00000010¥P3 00000020¥U噺本大系△第九巻 00000030¥T話稿;/鹿(か)の/子(こ)/餅(もち)〔序題〕 00000040¥G 00000050¥Y 00000060L16明和九年正月刊 00000070L17木室卯雲作 00000080L18勝川春章画 00000090L19鱗形屋孫兵衛板 00000100L20小本一冊 00000110¥T1/話稿(わかう);/鹿(か)の/子(こ)/餅(もち) 00000120¥Y1序 00000130M5/山(やま)の/手(て)を/飛歩行(とびあるく)/尻(しり)やけ/猿(ざる)、/下町(したまち)にすむ/腹(はら)つぷくれ、いつれ 00000140M6かおとし(序1オ)はなしをせさりける。こゝにその/落(おち)を/拾(ひろ) 00000150M7ひあつめたる/帖(でう)あり。/話(はなし)の/稿(やたらがき)なれば、わかうの/響(ひゞき)あるを 00000160M8もて、/鹿(か)の子/餅(もち)と/題(たい)す。/意味深長(ゐミしんちやう)の(序1ウ)/旨味(むまミ)は、ひと 00000170M9つ+/読(よん)て御らんなされ。/数(かず)ハ/六百八(ろつぴやくはち)ほどありと云云 00000180M11△△△明和壬辰の△△△△△△△山△風G 00000190M12△△△△△△太郎月 00000200M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序2オ) 00000210¥P4 00000220¥G(序2ウ) 00000230¥N1¥J 00000240¥X○/桃太郎(もゝたらう) 00000250M3むかし+の/桃太郎(もゝたらう)ハ、/鬼(をに)か/嶋(しま)へ/渡(わた)り、もとで入らすに/多(おゝ) 00000260M4くの/宝(たから)を/取(とつ)て/来(き)たげな。これほど/手(て)みじかな/仕事(しごと)はない。 00000270M5しかし、/犬(いぬ)と/猿(さる)ときじが/供(とも)をしたとある。おれもきやつら 00000280M6をこまつけるがよいと、かの/日本(につほん)(一オ)/一(いち)の/秬団子(きびだんご)をこし 00000290M7らへ、/腰(こし)につけて/行(ゆ)く。/向(むか)ふの/岩(いわ)ばなに/猿(さる)が/出(で)て/居(ゐ)る。ま 00000300M8づしてやつたりとうれしく、/件(くだん)の団子ぶらつかせ行/過(すぐ)るを、 00000310M9猿よびかけ、おまへ、どこへござる。Sおれか。おれハ/鬼(おに) 00000320M10がしまへ、たからを/取(と)りにゆく△S/腰(こし)につけたハ何で(一 00000330M11ウ)ござる△S/是(これ)は/日本一(につほんいち)のきびだんご。/猿(さる)、うかぬ/皃(かほ)に 00000340M12て、Sこいつ、うまくないやつだ 00000350¥N2¥J 00000360¥X○/牛(うし)と/馬(むま) 00000370M15/惣(そう)たい、けだものゝ/中(なか)で、/爪(つめ)の/割(わ)れた/物(もの)は/道(ミち)か/早(はや)い。/犀(さい)な 00000380M16どゝいふやつ、爪かわれて/居(ゐ)るによつて、/波(なミ)をはしる(二 00000390M17オ)こと、/飛(と)んだこつた。Sハテナ。しかし/馬(むま)ハ/爪(つめ)がわれ 00000400M18てないけど、/道(ミち)が/早(はや)い。あれハどうした物だ△Sあれハ爪 00000410M19が割て/居(ゐ)ぬから、まだ人が/乗(のら)られる。あれが爪がわれて見 00000420M20やれ。不/断(だん)/飛(と)ぶやうて、中+人が乗られる物でハない△ 00000430¥P5 00000440L1S牛ハどうした物だ。あいつハ/爪(つめ)がわれてゐれど、道がお 00000450L2そいハ。(二ウ)あれか。あれは/爪(つめ)が/割(われ)て/居(ゐ)るから、/道(ミち)をあ 00000460L3るく。あいつが/爪(つめ)がわれぬと、だいなし、うごくこつちや 00000470L4ない 00000480¥N3¥J 00000490¥X○/煙艸入(たばこいれ) 00000500L7/古代(こだい)の/裂(きれ)にて、たばこ入を/数+(かず+)こしらへ、/味噌(ミそ)を上る/者(もの) 00000510L8あり。/望(のぞん)で/見(ミ)れば、いかにもおもしろききれ(三オ)あり。 00000520L9まづ/此(この)にしきハ、いかふけつかうなきれそうにござります。 00000530L10これハいつ/頃(ごろ)のきれでござります。Sそれハ/実盛(さねもり)がにしき 00000540L11のひたゝれのきれさ△Sいかさま、そふもござりませう。 00000550L12又この/蝶(てう)のちら+見へますは△Sそれこそ/曽我(そが)の五郎が 00000560L13はん切のきれでござる△Sして又、こゝに(三ウ)/白地(しらぢ)のき 00000570L14れに/赤(あか)い/所(ところ)のミへまするハ△Sそりや、うし/若(わか)の/大口(おゝくち)のき 00000580L15れ。そのあかい/所(ところ)は、いがきのもやうのきれたのでござる 00000590L16S/扨(さて)よくおあつめなされました。どうして、こふはあつま 00000600L17りました△Sミんな/人形屋(にんきやうや)で/貰(もらつ)て/来(き)ました 00000610¥N4¥J 00000620¥X○/鞠(まり)(四オ) 00000630L20まりにはまつた/息子(むすこ)へ、/親父(おやぢ)、/遠廻(とをまハ)しの/異見(ゐけん)。いかな事/聞= 00000640M1入(きゝ=い)れねば、ある/時(とき)よびつけ/油(あふら)をとりて、/九損一徳(くそんいつとく)、/何(なん)のや 00000650M2くにたゝぬ/芸(げい)、/向後(きやうこう)ふつつりやむべし。/鞠(まり)があれバ/蹴(け)たく 00000660M3なる。そのまり、うつちやつて/仕廻(しま)へといふに、むすこ、 00000670M4しほ+と/鞠(まり)を/出(いだ)し、/手代(てだい)をよひ、今まで(四ウ)もてあそ 00000680M5んだ/此(この)まり、/無下(むげ)にすつるもあんまりじや。せめて/庭(にハ)の/隅(すミ) 00000690M6をほつてうめ、しるしに/柳(やなぎ)をうへてくりや 00000700¥N5¥J 00000710¥X○/俄道心(にわかとうしん) 00000720M9/相店(あいたな)の/八兵衛(はちべい)、/欠落(かけおち)して/行衛(ゆくゑ)しれず。/程少(ほどすこ)し/過(すぎ)て、/両(りやう)ごく 00000730M10/橋(ばし)の/上(うへ)て、ひたと/出(で)つくわした所、ごつそり/剃(すつ)た/道心(どうしん)(五 00000740M11オ)すがた。でもゆるさず、/胸(むな)ぐらひつとらへ、コリヤ八 00000750M12兵衛。/坊主(ぼうず)に/成(なつ)たとて、りやうけんはならぬ。いつぞやの 00000760M13八百のかし、たつた今かへせ。Sこれ、/坊主(ぼうず)に/成(なつ)たと/思(おも)つ 00000770M14て/安(やす)くするな。かう/成(なつ)ても、/心(こゝろ)まて/坊主(ぼうず)にやならない 00000780¥N6¥J 00000790¥X○/盗人(ぬすびと)(五ウ) 00000800M17ぬす/人(びと)の/用心(やうじん)に、/親父(おやぢ)/蔵(くら)に/寐(ね)る。それでもぬす/人(びと)/来(き)て、/家= 00000810M18尻(や=じり)をきり、まつ/壱人(ひとり)/蔵(くら)の/内(うち)へ/入(い)れば、/外(そと)の/一人(ひとり)は、/持出(もちだ)す 00000820M19/道具(どうぐ)うけとる/手(て)はづで、しやがんでゐたり。/時(とき)におやぢ、 00000830M20/目(め)をさまし、/壁(かべ)に/穴(あな)の/明(あい)たるは/合点(がてん)ゆかずと、件(くだん)の/穴(あな)より、 00000840¥P6 00000850L1あたまをさし/出(だ)したるに、/外(そと)に/居(ゐ)るぬす/人(びと)、Sムヽ、やく 00000860L2わん(六オ)から/先(さき)キか 00000870¥N7¥J 00000880¥X○/挑灯(てうちん) 00000890L5/夜(よ)ばなしの/帰(かへり)ミち+、/家来(けらい)と/咄(はな)しながらもどれバ、/家来(けらい) 00000900L6も/咄(はな)しが/尽(つき)て、もし/旦那(だんな)。/此(この)てうちんには、なぜくさりを 00000910L7つけた物でござります。Sそれはひよつと、りふじんもの 00000920L8が/切(きつ)た/時(とき)、きれはなれぬ/用心(やうじん)じや(六ウ)Sシテ、そのとき 00000930L9ハだれがもちます 00000940¥N8¥J 00000950¥X○/浪人(らうにん) 00000960L12/雨(あめ)のふる日は/真(しん)の/浪人(らうにん)と/来(き)て、/晴間(はれま)まつ/張肘(はりひぢ)の/門口(かどぐち)。おあ 00000970L13まり/貰(もらい)が/立(たつ)て、おあまり/下(くだ)さいませう。/浪人(らうにん)、くすミ/返(かへ)つ 00000980L14て、Sあまらぬ 00000990¥N9¥J 00001000¥X○/馬鹿(ばか)/娘(むすめ)(七オ) 00001010L17なんぼ/馬鹿(ばか)でも十七なれバ、もふ/袖(そで)をとめてやつたがよい 00001020L18と袖つめた日、/近所(きんじよ)のわかいしゆ/来(き)て、こりやおむす。袖 00001030L19とめ、めでたい。とりや見たいといへば、むすめ、/右(ミぎ)の/手(て) 00001040L20をあぐる。コリヤどふもいへぬといふ/時(とき)、/娘(むすめ)、/左(ひだ)リの/手(て)を 00001050M1あげ、こつちやも 00001060¥N10¥J 00001070¥X○/蕣(あさがほ)(七ウ) 00001080M4/朝(あさ)とく/起(おき)て、やうじ遣ひながら、/垣(かき)の/透間(すきま)から/隣(となり)を/覗(のぞ)けば、 00001090M5/寐(ね)ミだれすがたの/娘(むすめ)、ゑんがわにこしかけ、あさかほの/花(はな) 00001100M6をながめて/居(ゐ)る。これはかわゆらしいと、/息(いき)もせずのそき 00001110M7居たるに、/庭(にハ)におり、/留(る)りに/咲(さい)た一りんをちぎり、/手(て)のひ 00001120M8らへのせて/見(ミ)る/風情(ふぜい)、どふも(八オ)いへず。/哥(うた)でも/案(あん)ずる 00001130M9よと、いよ+ゆかしく見て居たるに、/今度(こんど)は/葉(は)をひとつ 00001140M10ちぎりたり。/何(なに)にするぞと/見(ミ)て/居(ゐ)たりや、チント/鼻(はな)をかん 00001150M11で/捨(すて)た 00001160¥N11¥J 00001170¥X○/鼻捻(はなねじり) 00001180M14/殿(との)の御/好(この)ミで/出来(でき)た/鼻(はな)ねじり、御/預(あづけ)ケ/被遊(あそばされ)たにより、かん 00001190M15ぶくろをこしらへ、(八ウ)これに入て御/次(つぎ)の/間(ま)にかけた/所(ところ)、 00001200M16/白(しろ)ふて/見(ミ)とむなけれハ、御/鼻(はな)ねじりと/書付(かきつけ)たが、御鼻ねじり 00001210M17てハ、/旦那(だんな)の/鼻(はな)をねちるやうなれば、書/直(なを)して、鼻御ねじり 00001220¥N12¥J 00001230¥X○/鶉(うづら) 00001240M20うづら/好(すか)せ給ふお/大名(だいめう)、/承(うけたまハリ)つたへ/聞(きく)に(九オ)まいる/者(もの) 00001250¥P7 00001260¥G(十ウ・十一オ) 00001270M1へハ、御/料理(れうり)なと/被下(くだされ)、/甚(はなハた)/悦(よろこ)バせ給ふよし。お/出入(でいり)の/宗= 00001280M2匠衆(そう=せうしゆ)を/頼(たの)ミ、/私(わたくし)もきつい/鶉好(うづらす)きと申入て、/暁(あかつき)/起(おき)し/行(い)た/所(ところ)、 00001290M3さすがお大名の御/手(て)の/廻(まハ)つた/事(こと)、/朝(あさ)つはらからいろ+の 00001300M4むまごと、/酒(さけ)たらふく下され、のミくらひして/居(ゐ)る/内(うち)、チ 00001310M5ヽツクワイトの一/声(こへ)。/肝(きも)をつぶして、あれハ何でござりま 00001320M6す(九ウ) 00001330¥N13¥J 00001340¥X○御/髭(ひげ) 00001350M9/御大名(おたいめう)、御/髭(ひげ)を/剃(す)らせ給ふ/時分(とき)、お/舌(した)でお/鼻(はな)の/下(した)や御/頬(ほう)べ 00001360M10たをふくらませ給ふ。なんと、おれが/髭(ひげ)を/剃(す)る/時(とき)、したを 00001370M11まいてはたらかせ、ふくらませるで、/剃(すり)よくハないかとの 00001380M12/御意(ぎよい)。Sイヤハヤ、/格別(かくへつ)仕りやう御/座(ざ)ります△S/其筈(そのはづ)。/是(これ) 00001390M13ハおれか/工夫(くふう)じや(十オ)(十ウ・十一オ挿絵) 00001400¥N14¥J 00001410¥X○/劔術(けんじゆつ)/指南所(しなんところ) 00001420M16/諸流(しよりう)/劔術(けんじゆつ)/指南所(しなんところ)と、/筆太(ふでふと)なかんばん。/人物(じんぶつ)くさき/侍(さむらい)来て、 00001430M17/何流(なにりう)なりとも、わたくし/相応(そうおう)の/流儀(りうぎ)、/御指南(ごしなん)下(くだ)され。/御門= 00001440M18弟(こもん=てい)に成りましたいとの/口上(かうじやう)。S/其元様(そこもとさま)ハ/表(おもて)の/看板(かんばん)を見て、 00001450M19お出でござりますか△S左様でごさります△Sハテ、/埓(らち)も 00001460M20ない。あれハぬす人の(十一ウ)/用心(やうしん)でござります 00001470¥P8 00001480¥N15¥J 00001490¥X○/蜜柑(ミかん) 00001500L3/分限(ぶげん)な/者(もの)の/息子(むすこ)、/照(て)りつゞく/暑(あつさ)にあたり/大煩(おゝわづら)ひ。なんても 00001510L4/食事(しよくじ)すゝまねば、/打寄(うちよつ)て、なにぞのぞミはないかとのくら 00001520L5うがり。/何(なん)にもくいたうない。そのうちひいやりと、みか 00001530L6んなら/喰(くひ)たいとのこのミ。/安(やす)い事と/買(かい)に(十二オ)やれど、 00001540L7六月の/事(こと)なれバ、いかな事なし。/爰(こゝ)に/須田町(すだてう)に、たつた一 00001550L8つあり。一つて千両、一文ふつかいてもうらす。もとより 00001560L9/大身代(おゝしんだい)の事なれバ、それでもよいとて千両に/買(かい)、さああが 00001570L10れと出せバ、むす子うれしがり、まくらかろく/起(おき)上り、/皮(かわ) 00001580L11をむいた/所(ところ)が/十(と)袋あり。にこ+と/七袋(なゝふくろ)くひ、いやもふ、 00001590L12うまふて(十二ウ)どふもいへぬ。これハお/袋様(ふくろさま)へあげてた 00001600L13もと、のこる/三袋(ミふくろ)、/手代(てだい)にわたせば、手代、その三ふくろ 00001610L14をうけ/取(とつ)て、みちから/欠落(かけおち) 00001620¥N16¥J 00001630¥X○/医案(いあん) 00001640L17これも/一人息子(ひとりむすこ)。よほどの/日数(ひかづ)をぶら+わづらひ、くす 00001650L18りや/針(はり)の/験(げん)も見へねバ、/親(おや)(十三オ)/父(ぢ)くらうがり、/少(すこ)し通 00001660L19り/者(もの)を/出(た)し、/心安(こゝろやす)い/若(わか)いしゆを、ひそかにまねいて、市之 00001670L20丞が/病(びやう)気、/引(ひつ)つこんでばかりのよふぜうハ、けつく、めづ 00001680M1らいでわるい。/貴様(きさま)たちハ/不断(ふだん)も心やすいは、こんな/時(とき)じ 00001690M2や。ちとさそふて、/遊(あそ)び/所(しよ)へつれて行て、/気(き)を/転(てん)じさせて 00001700M3下さいとの/頼(たの)ミ。/得手(ゑて)に/帆(ほ)とうけ/合(あい)、/息子(むすこ)にあそびすゝむ 00001710M4れど、(十三ウ)一ゑんすゝミなく、どこへも出るハいやと 00001720M5のあいさつ。そうでハ/済(すま)ぬ。そんなら/船(ふね)はと、いろ+ 00001730M6にいへば、/何(なに)もかもいや。しかし、/芳町(よしてう)なら/遊(あそ)んで見たい 00001740M7気もあるといへば、/安(やす)い事と、おやぢに/内(ない)&かたれバ、と 00001750M8こでも/大(だい)じござらぬなれど、ちよつといしやとのへきいて 00001760M9ミての事にして下さいと、/念(ねん)を入れて(十四オ)/直(す)ぐにい 00001770M10しや/殿(どの)へ/行(いて)、/扨(さて)/市坊(いちぼう)もおかげてよほど心よふ、しよく/好(この)ミ 00001780M11がでました。どふぞ、よし町へ/遊(あそ)びにまいりたいと申ます 00001790M12が、どうでござりませう。イヤ、それハちとゆるしにくい。 00001800M13/野郎(やらう)はうま過てもたれると、不/承知(しやうち)のてい。Sしからバ、 00001810M14/内(うち)にきれいな/二才(にさい)がこざります。これを用ひませうか△ 00001820M15Sいや+、/地穴(ぢけつ)ハ/毒気(どつき)か(十四ウ)ある。これもなるまい 00001830M16Sそれでハ、せつかくの/好(この)ミが/無(む)になります。とふぞ/御了= 00001840M17簡(こりやう=けん)を/被成(なされ)て下されませ△Sハテ、こまつた物と、/机(つくゑ)のうへ 00001850M18から、こまかに/書(かい)た/大冊(たいさつ)の/書物(しよもつ)/取出(とりいだ)しひらき、/眉(まゆ)に/皺(しわ)よ 00001860M19せ、くり/返(かへ)しミ、ハヽア、あるは+。S何でござります 00001870M20S/寒(かん)ざらしのやつこのけつがよい(十五オ) 00001880¥P9 00001890¥N17¥J 00001900¥X○/下女(げぢよ) 00001910L3どふだ、おさんどの。久しい。とこへござる。Sけふは/宿(やど) 00001920L4おりに/出(で)やした△Sして、ことしはどこに/居(ゐ)さつしやる△ 00001930L5Sアイ、ことしは/下谷(したや)のもちやに居やす△S何、もち屋。 00001940L6そんなら、大ぶもちをくふだあらうの△Sなあに、きよね 00001950L7んは/湯屋(ゆや)に居たけれども(十五ウ) 00001960¥N18¥J 00001970¥X○/初夢(はつゆめ) 00001980L10/宝船(たからぶね)/敷(しい)て/寐(ね)たあした、/友達(ともだち)へひとを/廻(まハ)しよびあつめ、/亭主(ていしゆ)、 00001990L11/何(なに)やら大よろこびの/躰(てい)。/神棚(かミだな)へミきをあぐるやら、/客(きやく)へは 00002000L12/酒(さけ)さかな/出(た)すやら、/上(うへ)を/下(した)への大さわぎ。なんでも/初春(はつはる)/早= 00002010L13+(そう=+)めでたい事と/見(ミ)へた。どんなこつちや。おらもちつ 00002020L14とあやかりたい。いつてきかしやれ。(十六オ)Sされば/聞(きい) 00002030L15てくりや。ゆふべ、めでたい/夢(ゆめ)をミた△S何をミやつた△ 00002040L16S/丸(まる)づけをミた△S何、丸づけを/見(ミ)た。丸/漬(づけ)がなぜめでた 00002050L17い△Sハテ、一/富士(ふじ)二たか、/南無三(なむさん)、まちがつた 00002060¥N19¥J 00002070¥X○/田舎者(いなかもの) 00002080L20いなか者、はじめて/堺町(さかいてう)へ/行(ゆき)、/芝居見物(しばゐけんぶつ)して/帰(かへ)りけるを、 00002090M1けふは芝居へござつた(十六ウ)げな。どつちへござつた。 00002100M2Sたしか/勘左衛門(かんざへもん)とやら勘三郎とやらへ行ましたが、/何(なに)が 00002110M3はや、わるい/日(ひ)ゆき申て、ろくだま/狂言(きやうげん)ハしもうしなんだ△ 00002120M4Sそれハさん※て/有(あつ)た。そして、どんな事がござつた△ 00002130M5Sさかおもだかの/鎧(よろひ)とやらがなくなつたとつて、一日ハイ 00002140M6そのさハぎて/仕廻(しまい)ました 00002150¥N20¥J 00002160¥X○/新五左殿(しんござとの)(十七オ) 00002170M9/誹名(はいめう)なくて/為(ため)になる/客(きやく)と/来(き)て/居(ゐ)るお/国(くに)の/御家老(ごからう)、たま+ 00002180M10/家内(かない)/引(ひき)つれ、江戸への/出府(しゆつふ)。出入の/町人(てうにん)、/芝居(しばゐ)ふるまい、 00002190M11/翌日(よくじつ)/機嫌(きげん)きゝにまいれバ、/直(すぐ)に/居間(ゐま)へ/通(とを)され、/丁寧(ていねい)の/礼(れい)。 00002200M12町人ハ/本田屋(ほんだや)/銀(ぎん)次郎、/当世(とうせい)しやれのひつこぬき、/昨晩(さくばん)もそ 00002210M13つと/茶屋(ちやや)に/御座(ござ)なされましたら、(十七ウ)/奥様(おくさま)や/尉(じやう)さまへ、 00002220M14/露友(ろゆう)か/唄(うた)おきかせ申、/一瓢(いつひやう)が/身(ミ)もおめにかけませうとぞん 00002230M15しましたに、おいそぎ/遊(あそ)ばしまして、/早(はや)ふお/帰(かへ)り遊ばし、 00002240M16/残念(ざんねん)にござります。又/近(ちかい)い内、/船(ふね)を申付ませうなどゝ、く 00002250M17るめかけれバ、いやもう、きのふハいかゐ/世話(せわ)。めつらし 00002260M18い江戸芝居/見物(けんぶつ)して、/皆(ミな)もよろこび申す。/扨(さて)あの/祐経(すけつね)に/成(なつ) 00002270M19た/役者(やくしや)ハ、/何(なん)といふ(十八オ)やくしやでおじやる。Sあれ 00002280M20ハ/松本(まつもと)/幸(かう)四郎でござります。せけんでかの、/親玉(おやだま)+と申 00002290¥P10 00002300L1でござります△S何、親玉とハあれが事でおじやるか。い 00002310L2やはや、よい/人品(じんぴん)。何を/言(いひ)つけても、つとめ/兼(かね)まい/男(おとこ)。い 00002320L3かうさしはたらき、/分別(ふんべつ)もあると見うけ申た。それにつけ 00002330L4ても、あの/音(おと)八郎がたわけハ 00002340¥N21¥J 00002350¥X○/雪隠(せつちん)(十八ウ) 00002360L7/兵法(ひやうほう)の/師匠(しせう)の/所(ところ)へ、/大水(おゝミづ)の/見舞(ミまひ)に/行(ゆき)てミれバ、/床上(ゆかうへ)へはあ 00002370L8けず。師の/坊(ぼう)、/雪隠(せつちん)と見へて、/雪(せつ)ちんにて/声(こへ)/有(あり)。その/声(こへ)、 00002380L9はねるたび+、/尻(しり)をひねるやうすにて、トウ&&どこへ 00002390L10+とのかけ声。トヾはづしそこないしや、ひつしやりと 00002400L11尻へはねる/音(おと)したれバ、な/無三(むさん)。あひ(十九オ)うちに/成(なつ)た 00002410¥N22¥J 00002420¥X○/小便(せうべん) 00002430L14/雪(ゆき)の/夜中(よなか)、/小便(せうべん)つまりて目さめ、/起(おき)て/立出(たちいで)、/雨戸(あまど)/明(あけ)にかゝ 00002440L15つた/所(ところ)、/氷(こほり)ついて、いかな事/明(あか)かず。/仕(し)かたなけれバ、/敷= 00002450L16居(しき=ゐ)へかゝんで小/便(べん)をたれかけ、/扨(さて)/明(あけ)て見れハ、氷とけて、 00002460L17ぐわらりとあいたり。よしと/言(いひ)て出た/所(ところ)が、(十九ウ)/何(なに)も 00002470L18/用(よう)なし 00002480¥N23¥J 00002490¥X○/悔(くやミ) 00002500M1/神道者(しんとうじや)の/親父(おやぢ)が/死(し)んだ/時(とき)、くやミに/行(ゆ)き、/扨(さて)おやじ/様(さま)ハ/此= 00002510M2間(この=あいだ)、/高間(たかま)が/原(はら)へ/御出(おいで)なされましたげな。おちからおとし、 00002520M3申しませうやうもござりませぬとの/口上(かうじやう)。おもしろし。お 00002530M4れも/其通(そのとをり)にやらかそうと/行(ゆき)、/扨(さて)おちから/落(おと)し、(二十オ)申 00002540M5しませうやうもござりませぬ。/親父様(おやぢさま)ハ/此中(このぢう)、うねめが原 00002550M6へお出/被成(なされ)ましたけに御ざる 00002560¥N24¥J 00002570¥X○/屁(へ) 00002580M9/初会(しよくわい)のざしき、/女郎(ぢようろ)、ぶいとの/仕(し)ぞこない。/若(わか)い/者(もの)ひつか 00002590M10ぶり、/旦那(だんな)/御免(ごめん)。/出(で)ものはれ/物(もの)/所(ところ)きらわずと、あたまをか 00002600M11けバ、/客(きやく)もさるものにて、ひつたものこいとの/事(こと)か。コリ 00002610M12ヤ/放屁(ほうび)を(二十ウ)やり/山(やま)と、/一分(いつぷん)はづめバ、ぶいてハない 00002620M13/粋(すい)様といたゞき、さあお/床(とこ)にいたしませうと/出(で)て/行(ゆく)/廊下(らうか)、 00002630M14/女郎(ちようろ)も/何(なに)くわぬかほでつゞいて出、うハぞうりゆたかにな 00002640M15らしてよびかけ、八/兵衛(べい)や。はたらいてやつたによ 00002650¥N25¥J 00002660¥X○/文盲(もんもう) 00002670M18/草臥(くたびれ)のびれの/字(じ)は、/五(ご)へんに/分(ぶん)の/字(じ)と(二十一オ)おぼへ 00002680M19たやつ。/書画(しよぐわ)の/咄(はな)しの/中(なか)へ/罷出(まかりいで)、/下谷(したや)/和泉(いづミ)ばし/通(どをり)に/居(ゐ)られ 00002690M20ます、/唐(から)やうとやら/唐(から)りうとやら/書(かゝ)れる人は、/達者(たつしや)そうな 00002700¥P11 00002710L1/手(て)なれど、ひとつぱもよめませぬ。いかふつやのない、き 00002720L2たない/手(て)でござる。Sそれは/誰(たれ)でござる△Sその/書(かい)た/物(もの)に、 00002730L3/則(すなハち)/名(な)も/書(かい)てござつた。/何(なに)さ。/関思恭(せきちうべい)さ(二十一ウ) 00002740¥N26¥J 00002750¥X○/恋病(こひやミ) 00002760L6/恋(こひ)はをなごのしやくのたね。むすめざかりの/物思(ものおも)ひ/寐(ね)、た 00002770L7ゞてはないとミてとる/乳母(うば)、しやめかに/問(と)ふは、おまへの 00002780L8しやくも、わたしがすいりやうちがひはあるまい。だれさ 00002790L9んじや。いひなされ。となりの/繁(しげ)さまか。Sイヽヤ△Sそ 00002800L10んなら/向(むか)ふの/文鳥様(ぶんてうさま)か△Sイヽヤ△Sしてまた(廿二オ)た 00002810L11れじやへ。/娘(むすめ)、まじめになり、Sだれでもよい 00002820¥N27¥J 00002830¥X○/無筆(むひつ) 00002840L14/物(もの)もう。Sトレイ△S/北佐野(きたさの)/三五(さご)右/衛門(へもん)、/御見舞(おミまひ)申ます△ 00002850L15S/今日者(こんにちハ)/旦那(だんな)まかり/出(で)ましてござります△Sしからバ、/御= 00002860L16玄関帳(お=げんくわてう)へしるされ、おかへりのしぶん、/宜(よろ)しう/仰上(あふせあげ)られて 00002870L17/下(くだ)されませう△Sイヤ、わたくしは/無筆(むひつ)でござります。(廿 00002880L18二ウ)そこもと/様(さま)/御自筆(こじひつ)に、/帳面(てうめん)へ御/名(な)をお/書(かき)なされて下さ 00002890L19りませ△S/拙者(せつしや)も/無筆(むひつ)でござります△二人Sハテ、こまつ 00002900L20た物たナア△客Sしからハかういたしませう△取次Sどう 00002910M1なされます△客Sまいらぬぶんになされて下され 00002920¥N28¥J 00002930¥X○/海鼠腸(このわた) 00002940M4御/肴(さかな)に/今(いま)/出(だ)すこのわた、/料理人(りやうりにん)お/風味(ふうミ)(廿三オ)をするとて、 00002950M5ずる+とのむところ、やれ、いまおざしきへ/出(だ)すのを、 00002960M6ミんなにしてハ/済(すま)ぬと/側(そば)からいわれ、/引出(ひきだ)しなから、こい 00002970M7つ、/出這入(ではいり)にうまいやつだ 00002980¥N29¥J 00002990¥X○/牽頭持(たいこもち) 00003000M10/西(にし)の/国(くに)の/御家中(こかちう)、/品川(しなかハ)に/奢(おご)り、/翌(あす)ハ/立(たつ)て/国(くに)もとへゆかるゝ 00003010M11まて、/牽(たい)(廿三ウ)/頭(こ)もちには/一分(いちぶ)もくれず。/大(おゝ)かた/見送(ミをく)り 00003020M12に/行(いつ)たなら、いとま/乞(ごひ)の/時(とき)はづまれうとおもひ、/四五人(しごにん)/言= 00003030M13合(いひ=あハ)せてのおくり。/六郷(ろくがう)の/万年屋(まんねんや)でも/沙汰(さた)なく、/駕(かご)にのらる 00003040M14ゝ/時(とき)、/皃(かほ)を/見(ミ)て/居(ゐ)れバ、ミなさらばじや。/随分(ずいぶん)まめでゐや 00003050M15れと、/駕(かご)の/戸(と)ぴつしやり/立(たて)て/行(ゆく)。/跡見送(あとミおく)り、S/誰(だ)がまめで 00003060M16ゐるものだ(廿四オ) 00003070¥N30¥J 00003080¥X○/名所知(めいしよしり) 00003090M19わしは/歌(うた)まくら/修行(しゆぎやう)して/国&(くに+)をめぐり、/名所旧跡(めいしよきうせき)、どこで 00003100M20も/問(と)ふて/見(ミ)さつしやい。しらぬ/所(ところ)ハない。Sそれハうら/山(やま) 00003110¥P12 00003120¥G(廿五ウ・廿六オ) 00003130M1しい。そんなら/問(と)ひませう。まづ/嵯峨(さが)とやらは、どんな/所(ところ) 00003140M2でござる△S/嵯峨(さが)といふてハ、ミやこ第一の/風景(ふうけい)。/大井川(おゝゐがハ) 00003150M3とて、/石(いし)の/流(ながれ)る/川(かハ)も(廿四ウ)あり。/向(むか)ふは/金谷(かなや)、こちらハ 00003160M4/嶋田(しまだ)、/鱠(なます)の/名所(めいしよ)でござる△S/八(や)つ/橋(はし)のかきつはたは△Sそ 00003170M5れは、なり/平(ひら)の/昼(ひる)めし/喰(くハ)れたところ。/花(はな)の/時分(じぶん)ハいやはや、 00003180M6/見事(ミこと)な事さ△Sよし/沢(ざハ)のあやめは△S/沢中(さハちう)/一面(いちめん)のあやめ、 00003190M7とうもいわれた/所(ところ)じやこさらぬ△S/松(まつ)しまの/茂平治(もへいじ)ハ△ 00003200M8S/是(これ)がまた、/大(おゝ)きな/禅寺(ぜんでら)じや(廿五オ)(廿五ウ・廿六オ挿絵) 00003210¥N31¥J 00003220¥X○/試合(しあい) 00003230M11/先生(せんせい)。このあいだ/試合(しあい)に/参(まい)つた/者(もの)がござりましたげな。さ 00003240M12ためて、/手(て)ひどいめにあわせて/遣(つか)ハされましつら。Sなる 00003250M13ほど、いやもう、まだ+/至極(しごく)/未熟(ミじゆく)な/劔術(けんじゆつ)。/立合(たちあハ)ねは、お 00003260M14くれたなどゝぞんずるがいやさに、おとなげないとおしか 00003270M15りでござ(廿六ウ)らうなれど、/立合(たちあい)ました。/敵(てき)、しなへを 00003280M16ふりあけ、/真一(まいち)もんじに/打(うつ)てまいる/所(ところ)、さそくのはやわざ 00003290M17ハ/爰(こゝ)じや△Sどうなされました△S/額(ひたい)てうけた 00003300¥N32¥J 00003310¥X○/上(あが)り/兜(かぶと) 00003320M20ちんぼうの/看板(かんばん)たてる/幟(のぼり)かなと、人にもいわゝれたむすこ。 00003330¥P13 00003340L1その/母(はゝ)、のろまの(廿七オ)/玉子(たまご)をのむと/夢見(ゆめミ)て/孕(はらミ)しゆへに 00003350L2や、/廿(はたち)/越(こ)へても/古今(ここん)のぬけ/作(さく)。/四月(しぐわつ)のはじめから、/二階(にかい)へ 00003360L3/引(ひき)こもつて、/何(なに)をするかしれず。五月の/節句前(せつくまへ)に/出(て)て/来(き)て、 00003370L4/先途(せんど)から、ちつとばかり/細工(さいく)をいたしました。これ/売(うつて)て、 00003380L5/小遣(こづか)ひ/銭(ぜに)にでもなされませと、うつくしいきれではりぬい 00003390L6た/上(あが)りかぶと。/二親(ふたおや)も(廿七ウ)きもをつぶし、人にもふい 00003400L7ちやうし、/日頃(ひごろ)は/足(た)らぬやつとおもふていたが、/大(おゝ)きな/相= 00003410L8違(そう=ゐ)とほめちぎる/親馬鹿(おやばか)。その/上(あが)りかふとも/時節(じせつ)の/物(もの)とて、 00003420L9/早速(さつそく)に/売(う)れ、/思(おも)ひ/寄(よ)らぬ/銭(ぜに)もうけ。/聞(き)く/人(ひと)/舌(した)を/振(ふる)ひし。/又(また) 00003430L10八月のはじめから/二階(にかい)ごもり。/今度(こんど)は/何(なに)が/出来(でき)るぞとお 00003440L11もふて/居(ゐ)た/所(ところ)、(廿八オ)九月/節句前(せつくまへ)に/出(で)て/来(き)て、/先途(せんど)から 00003450L12こしらへました/物(もの)、おめにかけませふとの事。/今度(こんど)は/何(なん)ン 00003460L13じや。/早(はや)ふ/見(ミ)たいといふに、/出(だ)した/所(ところ)、/又(また)あがりかぶと 00003470¥N33¥J 00003480¥X○/炮禄売(ほうろくうり) 00003490L16/霞(かすミ)が/関(せき)の/辻番(つぢばん)の/前(まへ)で、ほうろく/売(うり)、/仲間(ちうげん)に/逢(あ)ひ、/国(くに)ものと 00003500L17て、しミ※との(廿八ウ)/咄(はな)し。/扨(さて)/久(ひさ)しうてあふた。まづ 00003510L18/貴様(きさま)もまめでめでたい。/時(とき)に、とうぞ/酒(さけ)でも/買(かつ)てふるまい 00003520L19たいが、/爰(こゝ)はおやしきの/中(なか)、/酒屋(さかや)ハ/遠(とを)しと、/少(すこ)し/案(あんじ)る/身(ミ)あ 00003530L20りて、うなづき、ほうろくを/一(ひと)つ/手(て)にとると、/辻番(つぢばん)から、 00003540M1Sそこをこミにせまいぞ 00003550¥N34¥J 00003560¥X○/料理(りやうり)/指南所(しなんどころ)(廿九オ) 00003570M4/料理(りやうり)/指南所(しなんしよ)と/看板(かんばん)かけて、/小(こ)ぎれゐな/格子(かうし)づくり。/弟子(でし)に 00003580M5ならんと、/朝(あさ)とく/来(き)て、/案内(あんない)/乞(こ)へば、/髭(ひげ)むしや+とはへ 00003590M6た/仏頂面(ぶつてうづら)のおとこ、/取次(とりつぎ)に/出(いで)て、まだ/休(やす)んででごんす。/馬= 00003600M7鹿(ば=か)+しい/早(はや)いござりやうだ。/昼過(ひるすぎ)にごんせと、/懐手(ふところで)で 00003610M8のあしらい。/一先(ひとまづ)ツかへり、/八(や)ツ/時分(じぶん)に/来(き)て/案内(あんない)/乞(こ)へば、 00003620M9かのにくていなやつ、(廿九ウ)ふせう※の/取(とり)つぎ。/内(うち)へ 00003630M10/通(とを)れバ、/亭主(ていしゆ)/出(いで)、ようこそ/御出(おいで)なされました。/料理(りやうり)/御執心(こしうしん) 00003640M11で御さらバ、/御相談(こそうだん)申あげませうといふに、Sそれハ/近= 00003650M12頃(ちか=ごろ)/忝(かたじけな)うござります。/扨(さて)こなたのお/取次(とりつぎ)は、いぢのわるそ 00003660M13ふな人。/山下(やました)/次郎三(じろさ)と/来(き)て/居(ゐ)るにくてい。あれハ/御家来(ごけらい)で 00003670M14ござりますか△Sヱヽあれかへ。あれハ/手前(てまへ)のからしかき 00003680M15(三十オ) 00003690¥N35¥J 00003700¥X○/睾玉(きんたま) 00003710M18/鎗(やり)もち/角内(かくない)、/疝気(せんき)で/睾玉(きんたま)の大きくなる/事(こと)、/土塚(とつか)のごとし。 00003720M19/本道(ほんどう)/外料(くわいりやう)/手(て)を/尽(つく)せども/直(なを)らず。/外料(ぐわいりやう)もとより/長崎流(ながさきりう)にて、 00003730M20/今迄(いままで)かゝつた/事(こと)、/直(なを)さぬといふ事なし。/是(これ)を/直(なを)さねバ/名代(なだい) 00003740¥P14 00003750L1がすたる。/今日(けふ)ハ/仕(し)かたありとて/見舞(ミまひ)、/本道(ほんどう)も/来合(きあハ)せ/見(ミ) 00003760L2て(三十ウ)/居(ゐ)れば、/角内(かくない)を/庭(にハ)へおろし、/耳(ミヽ)くじりぬきはな 00003770L3して、/首中(くびちう)にうちおとせば、/切(きり)くちよりながるゝ/血(ち)にま 00003780L4じり、/無間(むけん)の/鐘(かね)の/手水鉢(てうつばち)のごとく/吹出(ふきだ)す水につれ、/件(くだん)のき 00003790L5ん玉、/次第(しだい)+にちゞミ、不/断(だん)の通りに成たり。/外料(げくわ)/鼻(はな)を 00003800L6高くし、Sなんと、/奇妙(きめう)かといへば、/本道(ほんどう)/感心(かんしん)し、Sいや 00003810L7はや、きめう+。(三十一オ)しかしちつと、あらりやうじ 00003820L8だ 00003830¥N36¥J 00003840¥X○/唐様(からやう) 00003850L11/唐様書(からやうかき)の/客(きやく)/有(あり)て、かきちらさるゝ/最中(さいちう)、/鳶(とび)の/者(もの)/来(き)て、おら 00003860L12も一番、書てもらいたいと出しやばり、もしへ。わしにも 00003870L13一/枚(まい)、/書(かい)てくだんせ。つがもない。またあまくちなことハ 00003880L14いやです。何ぞかうぎな事か書て(三十一ウ)もらいたうこ 00003890L15んすといふに、S/安(やす)い事。/何(なん)ぞこのんだかよい。/詩(し)がよか 00003900L16ろふか、/語(ご)がよからうかといわるれバ、S/四(し)の/五(こ)のと、ち 00003910L17いさい/目(め)ハ/気(き)がごんせぬ。ちつとふさ+しいが、/百千= 00003920L18万(ひやくせん=まん)と/書(かい)てくだんせ△Sヲツト/合点(かてん)じやと、/筆(ふて)をてんし、百 00003930L19の/字(じ)の/横(よこ)の/一画(いつくわく)/書(か)かるゝと、Sイヨ、ひやの/字(じ)、/出来(てき)やし 00003940L20た(三十二オ) 00003950¥N37¥J 00003960¥X○/薪屋(まきや) 00003970M3/神田川(かんだかわ)/出水(てミづ)に、/筋違(すじかい)の薪、こと+く/流(なか)れるを、/柳原(やなきわら)の/乞= 00003980M4食(こ=しき)、/川端(かハはた)へ/出(て)て/居(い)て、/鳶(とひ)口にひつかけ、ながるゝ薪を/引(ひき)あ 00003990M5ぐれバ、たちまち/乞食(こじき)か薪屋になり、薪屋が/乞食(こじき)に/成(なつ)た 00004000¥N38¥J 00004010¥X○/物知(ものしり)(三十二ウ) 00004020M8/時頼記(じらいき)の/序(ぢよ)に、/将軍宣下(せうぐんせんげ)といふ/事(こと)が書てある。あれハどん 00004030M9な事しや。Sあれハかの/源(ミなもと)の/頼朝公(よりともこう)なとが、/金(きん)のゑほしを 00004040M10/召(め)して、まん中にござると、/和田(わだ)・/北条(ほうじやう)・/畠山(はたけやま)そのほか 00004050M11の大名、ゑぼし/素袍(すわう)でならび、まん中の頼朝公が、/将軍(しやうぐん)宣 00004060M12下とおつしやると、ミんなが/一(いち)どに、Sさんげ+、六こ 00004070M13んしやう+(三十三オ) 00004080¥N39¥J 00004090¥X○/尻端折(しりはしより) 00004100M16/竹之丞(たけのじやう)寺の/開帳(かいてう)まいり。/非番連(ひばんづれ)の二人、/両国橋(りやうごくばし)わたりかゝ 00004110M17つた/所(ところ)、/橋(はし)の中ほどで/喧嘩(けんくわ)。そりやぬいたと大/騒(さハ)き。され 00004120M18ども/侍(さむらい)か来かゝつて、/跡(あと)へとてはもどられまじ。まづずる 00004130M19けたなりでハ/済(すま)ぬとかい+しく、貴様も/尻(しり)をはしよつた。 00004140M20おれも(三十三ウ)はしよると、/七図(しちのづ)まてひつからげ、/脇(わき)ざ 00004150¥P15 00004160¥G(三十四ウ・三十五オ) 00004170M1し/横(よこ)たへ、/刀(かたな)ハぐいとおとしざし、/腕(うて)まくりに/身(ミ)こしらへ。 00004180M2サア/貴様(きさま)はよしか。S/能(よう)うごさる。よくバ/早(はや)く/大橋(おゝはし)へ/廻(まハ)り 00004190M3ませう 00004200¥N40¥J 00004210¥X○/座頭(ざとう) 00004220M6/座頭(ざとう)、/昼中(ひるなか)/銭湯(せんとう)へ/来(き)て、御免なされませう。/冷物(ひへもの)てござり 00004230M7ますと/呼(よハ)わり、(三十四オ)(三十四ウ・三十五オ挿絵)/風呂(ふろ)へ/這入(はいつ) 00004240M8たところ、ふろの中には人ひつとりも/居(ゐ)ず。/座頭(ざとう)しばらく 00004250M9して、Sまづ、かう/言(いつ)たものさ 00004260¥N41¥J 00004270¥X○/雷(かミなり) 00004280M12けふはどうやらふりさうな/空(そら)と、/案(あん)しながらの/暑気見(しよきミ)まひ。 00004290M13御かしらの/屋敷(やしき)/近(ちか)くへ/来(く)ると、/大(おゝ)つぶな/雨(あめ)ばらつき/出(だ)し、 00004300M14(三十五ウ)/門(もん)に/至(いた)れバ、ひかりと/光(ひか)つて/鳴(な)り/出(た)す/雷(かミなり)。/門(もん)を 00004310M15かけて/這入(はいり)ながらの/観音経(くわんをんぎやう)。うんらいぐうせいでんと/唱(とな) 00004320M16へ、/下座敷(げさしき)の/際(きハ)へ行と、/取(とり)つぎ、おりて/手(て)をつく。かミな 00004330M17りきびしく/鳴(なる)に、ごうばくちうだいうととなへながら、/死= 00004340M18身(しに=ミ)に/成(なつ)てひれふせバ、/取次(とりつぎ)/聞(きい)て、/広間(ひろま)の/帳附(てうつけ)の/方(かた)へふりむ 00004350M19き、(三十六オ)がうばく十太夫/様(さま) 00004360¥P16 00004370¥N42¥J 00004380¥X○/喜勢留(きせる) 00004390L3/客(きやく)/二人(ふたり)あり。たばこ/盆(ぼん)/一面(いちめん)/出(だ)す。きせる壱本あり。一人の 00004400L4/客(きやく)、その/喜(き)せるをとり、/吹(ふい)て/見(ミ)るに/通(とを)らず。小よりをして 00004410L5/吸口(すいくち)に通し、/吹(ふけ)どもまた/通(とを)らず。/側(そば)の一人、/其(その)きせる、/早(はや) 00004420L6くよこしやれといふ。ハテ、せわしないと(三十六ウ)言な 00004430L7がら、いろ+して/通(とを)せど通らず。/側(そば)の/客(きやく)/腹(はら)をたち、はや 00004440L8くよこしやれと、ひつたくりにかゝる。Sやれ、せわしな 00004450L9いとわたさねば、/亭主(ていしゆ)/見(ミ)かね、勝手のかたをのぞき、Sコ 00004460L10リヤたれぞ、あなたへも一/本(ほん)、/通(とを)らぬ/喜(き)せるを持て/来(き)てあ 00004470L11げろ 00004480¥N43¥J 00004490¥X○/豆腐屋(とうふや)(三十七オ) 00004500L14きれいな/裏(うら)に/豆腐屋(とうふや)あり。まい/朝(あさ)/早起(はやおき)して、/夫婦(ふうふ)/名(な)だいの 00004510L15もろかせぎ。しかるに/起(おき)た/時分(じふん)、/一朝(ひとあさ)もかゝさずに/朝(あさ)まつ 00004520L16りごと。たれいふとなし、はつとした/評判(ひやうばん)。ちら+/覗(のぞ)く 00004530L17人もたへぬ/様(やう)に/成(なり)ける。/或朝(あるあさ)、/路次口(ろぢぐち)/明(あけ)六つ/時分(じぶん)、かの朝 00004540L18まつりごと見に/来(き)たもの、大/勢(ぜい)おち(三十七ウ)/合(あい)、とや 00004550L19+と/這入(はい)りかゝつた/所(ところ)、おなじ/裏借屋(うらしやくや)の/牢人(らうにん)/原(はら)/減(へり)右/衛= 00004560L20門(へ=もん)、/用事(やうじ)/有(あつ)て/出(で)かゝり、/朱鞘(しゆざや)の大小、/紙子羽織(かミこはをり)、/編笠(あミがさ)手に 00004570M1/提(さげ)、/人物(じんぶつ)くさく、コリヤ/各(おの+)。大勢つれ、/何用(なによう)有て/早朝(そうてう)に、 00004580M2/此裏(このうら)へハ/這入(はい)らるゝぞと、小むづかしく/問(とハ)れて、ミな+ 00004590M3もみ手に、もじ+として、Sイヤ、ちと(三十八オ)この 00004600M4裏に見ます物がござりまして、アイ、まいりましたで、ナ 00004610M5フござりますと、ミんなが/皃(かほ)を見あわせていへば、牢人の 00004620M6ミこみ、Sム、それか。そりやもう/済(す)んだ 00004630¥N44¥J 00004640¥X○/角力場(すもうば) 00004650M9/釈迦(しやか)が/嶽(だけ)に/仁王堂(にわうとう)と/来(き)てハ/近年(きんねん)にない大入。/札(ふだ)を/買(かつ)ても/這= 00004660M10入(は=い)られぬ木戸(三十八ウ)の/込合(こミあい)。仕かたなけれバ/裏(うら)へ/廻(まハ)り、 00004670M11/囲(かこい)をやぶり、/犬(いぬ)のやうに/這(はつ)て/入(い)りかゝつた/所(ところ)、/内(うち)に/居(ゐ)る/世= 00004680M12話(せ=わ)やき見つけ、コリヤ+、そこから/這入(はいる)る/所(ところ)じやないと、 00004690M13あたまを/取(とつ)ておしもどされ、/得(ゑ)/這入(はい)らず。しばらく/工夫(くふう)し 00004700M14て、/今度(こんど)は/尻(しり)から/這入(はいり)かゝつた/所(ところ)、/又(また)/内(うち)の/世話(せわ)やき/見付(ミつけ)、 00004710M15コリヤ、そこから/出(で)る(三十九オ)所じやないと、/帯(をび)をつか 00004720M16んで/引(ひき)ずりこんだ 00004730¥N45¥J 00004740¥X○/十字(ぢうのじ) 00004750M19/悔(くや)ミにきても/寄(より)かゝるハ/傾城(けいせい)のつね。まして/無心(むしん)いふとき 00004760M20のしなやか。/偶(たま+)のことなりや、/生返辞(なまへんじ)にもならず、のミ 00004770¥P17 00004780L1/込(こ)んだとの/安(やす)うけ/合(あい)して、またいくらほど/入(い)るときけば、 00004790L2(三十九ウ)それはかほをあわせてハいわれんしんといふに、 00004800L3そんなら、おれが背/中(なか)へ/指(ゆび)でかき給へと、/大肌(おゝはだ)ぬぎに/成(なつ)て、 00004810L4/背中(せなか)さし/向(むけ)れバ、そんならかきんすによと、まづ/一(いち)の/字(じ)を 00004820L5/人(ひと)さしゆびにてしつかりとかく。よし、かつてんだとうな 00004830L6つく/所(ところ)、/十(ぢう)の(四十オ)/字(じ)の/竪(たて)の/画(くわく)、ちりけの/所(ところ)へ/指(ゆび)をつけ 00004840L7ると、/客(きやく)、/身(ミ)をひいて、ヲツト、そこには/灸(きう)かある 00004850¥N46¥J 00004860¥X○/将棊(せうぎ) 00004870L10せうぎといふ/物(もの)、/人(ひと)のさすに、さしてさゝれぬ事ハないは 00004880L11づ。さして/見(ミ)よふと、/駒(こま)をむしやうにならべ、やたら(四 00004890L12十ウ)にさし、さてしばらくよどみ、いかうむつかしく/成(なつ) 00004900L13た。/御手(おて)に/何(なに)。S/王(わう)が/二(に)まい△Sホヽヲ、いやな/物(もの)の 00004910¥N47¥J 00004920¥X○/大石(たいせき) 00004930L16/裡店(うらだな)へ/引越(ひつこし)して/来(き)た/牢人(らうにん)、/世帯道具(せたいどうぐ)はさつはりとなく、ひ 00004940L17とつ/竃(へつつい)と、/飯焚(めした)くほうろく一つばかり。(四十一オ)/見舞(ミまひ)に/来(く) 00004950L18る/者(もの)へ/何(なに)もないをきつい/味噌(ミそ)。/惣(そう)たい/武士(ふし)たるもの、/衣類(いるい) 00004960L19/諸道具(しよとうぐ)、/持(もた)ぬ/物(もの)でござる。つね/自由(じゆう)/過(すぎ)ると、さあ/軍(いくさ)といふ 00004970L20た/時(とき)、/身(ミ)が/倦(うん)んで/困(こま)る。そこで/我(われ)らは、なにも/持(もた)ぬです。 00004980M1Sそれハ/聞(きこ)へましたが、この/上(あが)り/口(くち)の/大石(たいせき)は、ふミ/石(いし)とも 00004990M2/見(ミ)へませぬ。/何(なん)で(四十一ウ)ござります△Sそれか。それ 00005000M3ハ/寒(さむ)い/時(とき)、もちあげるのじや 00005010¥N48¥J 00005020¥X○/唐相撲(とうすまふ) 00005030M6/長崎(ながさき)の/唐人(とうじん)やしきへあそびに/行(いつ)た/時(とき)、/日本人(につほんじん)と/見(ミ)ると、こ 00005040M7くうにすまふを/取(とり)たかる。もとより/好(すき)の/事(こと)なれば、/取(とつ)くん 00005050M8だところ、(四十二オ)なんの/手(て)もなく/唐人(とうじん)になけられ、/目(め)を 00005060M9まわして/起(をき)あからねバ、/唐人(とうじん)/肝(きも)を/潰(つぶ)し、/人参(にんじん)をしたゝかほ 00005070M10うばらせ、/水(ミづ)をのませれば、/漸(やう+)/気(き)がつき、/見(ミ)たりや/口(くち)に 00005080M11くゝんたハ/人参(にんじん)。おもひよらぬ/金(かね)をもふけ、/味(あぢ)を/〆(しめ)て、ま 00005090M12たすまふはいやかとすゝめる/身(ミ)ぶり。(四十二ウ)/唐人(とうじん)うれし 00005100M13がつて/立合(たちあい)、/組(くむ)かくまぬに、わざと/負(まけ)て/目(め)を/廻(まハ)したふり。 00005110M14/唐人(とうじん)、/袋(ふくろ)から/何(なに)やら/出(だ)すと/見(ミ)へしが、こんとはしたゝかな 00005120M15/灸(きう)をすへた 00005130¥N49¥J 00005140¥X○/菜(な)うり 00005150M18/本所(ほんじよ)から/来(く)る/菜(な)うりに、/何(な)んと、まゝの/紅葉(もミぢ)はもふよいか 00005160M19と/聞(きけ)ば、(四十三オ)Sナアニ、もミぢハもふ/赤(あか)くなりました 00005170¥P18 00005180¥N50¥J 00005190¥X○/芳町(よしてう) 00005200L3/鳶(とび)の/者(もの)、はしめて/野郎(やらう)を/買(かい)、/床(とこ)になり、/若衆(わかしゆ)に/向(むか)つて、Sモ 00005210L4シ、ちつと大屋へでもあつけやせうか 00005220¥N51¥J 00005230¥X○/大銭(たいせん) 00005240L7/四文銭(しもんぜに)の/通用(つうよう)、/日&(ひゝ)に/重宝(てうほう)。たし(四十三ウ)かに/今(いま)すたつ 00005250L8て/居(ゐ)る/大銭(たいせん)も、/近(ちか)いうちに/通用(つうよう)するであらう。/其時(そのとき)ハ/太(ふと)い 00005260L9/緡(さし)が、きうになくてはならぬ。今からこしらへためて/設(もうけ)る 00005270L10と、ふといさしをない/溜(ため)るを、/隣(となり)のやつ/見(ミ)かじり、あいつ 00005280L11に/負(まけ)ず、おれも/設(もう)けやうと、やがて/柳原(やなぎわら)へ(四十四オ)/行(ゆき)、 00005290L12/古(ふる)かねの中の/鑿(のミ)と/小刀(こがたな)を/買(かい)、ふる/風(ふ)ろしきにつゝんでひつ 00005300L13しよい、/朝(あさ)つばらから/町中(まちぢう)を、S/銭箱(せにばこ)の/穴(あな)をひろげう 00005310¥N52¥J 00005320¥X○/借雪隠(かしせつちん) 00005330L16/不忍(しのはず)/辨才天(べんざいてん)の/開帳(かいてう)、/参詣(さんけい)くんしゆ。/此嶋(このしま)はむざと/小便(せうべん)のな 00005340L17らぬ(四十四ウ)不/自由(じゆう)。そこを/見込(ミこ)んで/茶屋(ちやや)の/裏(うら)をかり、 00005350L18かし/雪隠(せつちん)。わけて/女中(ぢよちう)がたの/用(よう)が/足(たり)り、/一人前(いちにんまへ)五/文(もん)づゝと 00005360L19きわめ、おびたゝしい/銭(ぜに)もふけ。/是(これ)よい/思(おも)ひ/付(つき)。おれも/借= 00005370L20雪隠(かし=せつちん)と/地面(ぢめん)の/相談(さうだん)。/女房(によぼう)/異見(ゐけん)して、/最(も)はや/一軒(いつけん)/出来(だき)た/跡(あと)、 00005380M1/今(いま)/建(たて)たとてはやらぬは(四十五オ)/見(ミ)へてある。ひらによし 00005390M2にさつしやれと、いへども聞かず。/建(たて)た/日(ひ)からの/大入(おゝいり)。/今(いま) 00005400M3まではやつた/隣(となり)の雪隠へは、/行人(ゆくひと)/怪我(けが)に/一人(ひとり)もなく、こつ 00005410M4ちばかりの/繁昌(はんじやう)。/女房(にようぼう)/不審(ふしん)し、どうしてこつちばかりへ 00005420M5人が来ますと/聞(きけ)ば、/亭主(ていしゆ)/高慢(かうまん)/鼻(はな)に/顕(あらわ)れ、なんと(四十五ウ) 00005430M6/見(ミ)たか。あれハそのはづ。/隣(となり)の/雪隠(せつちん)へハ、一日おれが/這入(はいつ) 00005440M7て/居(ゐ)る 00005450¥N53¥J 00005460¥X○/九郎助(くろすけ) 00005470M10/傾城(けいせい)の/遠(とを)い/思案(しあん)も/遠(とを)からず。/随分(ずいぶん)ぬけめない/女臈(ぢようろう)、/駒下駄(こまげた) 00005480M11/鳴(な)らし、/新町(しんてう)のいなり/様(さま)へまいり、やゝ/一時(ひととき)/慾心(よくしん)/満(まん)+の 00005490M12/願(ねが)ひ/事(ごと)、(四十六オ)/内陣(ないぢん)の/戸帳(とてう)さつとひらき、/稲荷(いなり)の/神体(しんたい)あ 00005500M13らわれ給へば、/神(かミ)も/納受(なふじゆ)しなんしたとうれしく、/何(な)んと/言(いひ) 00005510M14なんすと/見(ミ)て/居(ゐ)れバ、/神体(しんたい)/無言(むごん)にして、しろりと/皃(かほ)を/見(ミ)や 00005520M15り給へ、/前(まへ)なる/散銭箱(さんせんばこ)ひつかゝゑて/御這入(おはいり)(四十六ウ) 00005530¥N54¥J 00005540¥X○/夜発蕎麦(よたかそば) 00005550M18/夜発蕎麦(よたかそば)、/一(ひと)つ/辻(つぢ)へ/集(あつま)り、さて/惣兵衛(そうへい)と/十兵衛(ちうへい)。/米(こめ)が/高(たか)く 00005560M19て、/蕎麦(そば)きりも/合(あハ)ぬ+と/言(いふ)たが、/夕部(ゆふべ)から/内(うち)へもとらぬ 00005570M20といふ/事(こと)じや。/出奔(しゆつほん)したか、/又(また)は/狐(きつね)にでもばやかされて、 00005580¥P19 00005590L1どこぞに/居(ゐ)るか、/何(なん)にもせい、(四十七オ)/可愛(かわゆ)いこつた。と 00005600L2うでありく/夜道(よミち)、/手(てん)ン+によんで、/尋(たつね)てやらうしやある 00005610L3まいか。いかにも、それがよかろふと、/面(めん)+/箱(はこ)をかつい 00005620L4で/立(たち)わかれ、/声(こへ)はり/上(あけ)げて、Sそばきり+。声/底((ママ))にして、 00005630L5S十兵衛やそうべい 00005640¥N55¥J 00005650¥X○/薬鑵(やくわん)(四十七ウ) 00005660L8やくわんなかれて、/釜山海(ふさんかい)の/湊(ミなと)へ/寄(よ)る。/唐人(とうじん)/見(ミ)つけ、/替(かハ)つ 00005670L9た/物(もの)がながれて/来(き)たと/取揚(とりあけ)、/大勢(おゝせい)よつて、/是(これ)ハまあ/何(なん)てあ 00005680L10らふと/評議(ひやうぎ)まち+。/中(なか)でも/智恵(ちゑ)のあるやつがいふは、 00005690L11これハどふしても/日本(につほん)の/道具(とうぐ)じや。その/中(なか)にも(四十八オ) 00005700L12このかつかう、/大(おゝ)かた/兜(かぶと)であらう。それにちがひはあるま 00005710L13ひといふに、/側(そば)から、かぶとにしてハ/口(くち)が/附(つい)てある。しか 00005720L14も/長(なが)く/附(つい)いて/居(ゐ)る。/是(これ)はまた、とうした/物(もの)じやとの/不審(ふしん)。 00005730L15ハテ/扨(さて)しれた事。これをかぶると/耳(ミヽ)がふさがる。その/時(とき)/脇(わき) 00005740L16から/物(もの)をいふ、その/口(くち)さ。Sなるほど、(四十八ウ)それて 00005750L17よめた。しかしそんなら、/両方(りやうほう)にありそうなもの。こつち 00005760L18らにハない。こりやどうであらう△Sそれもしれた/事(こと)。/寐(ね) 00005770L19ころぶ/方(ほう)さ 00005780¥N56¥J 00005790¥X○/伊勢物語(いせものかたり) 00005800M3母、/親仁(おやぢ)に/向(むか)かひ、おはなもよほど/手(て)があがりました。/最(も) 00005810M4う/百人(ひやくにん)(四十九オ)一/首(しゆ)でもござらぬ。ちと、い/勢(せ)ものがたり 00005820M5でもよませたらようござらう。/親仁(おやち)うなづき、なるほど、 00005830M6それよかろう。どうで/伊勢(いせ)へハまいられず 00005840¥N57¥J 00005850¥X○/通小町(かよひこまち) 00005860M9/或(ある)お/公家(くげ)さまの/御姫(おひめ)様に、おもひ参候の/文(ふミ)つけたれば、/今= 00005870M10宵(こ=よひ)より(四十九ウ)/百夜(もゝよ)/通(かよ)ふて、/夜(よ)ごとにかよふたしるし、 00005880M11/車(くるま)の/榻(しゞ)にきずつけよ。/百夜(もゝよ)/過(すき)なば、かならす/逢(あハ)んとの/返事(へんじ) 00005890M12うれしく、/雨(あめ)のふる夜も/風(かぜ)の/夜(よ)も、かよひ+て/九十九夜(くじうくよ) 00005900M13め、/車(くるま)の/榻(しゞ)へきずをつけ、/立(たち)かへらんせし/所(ところ)へ、こしも 00005910M14と/出(いで)て/袖(そで)をひかへ、お/姫(ひめ)様の(五十オ)(五十ウ・五十一挿絵) 00005920M15おつしやりまする。おかよひなされて九十九/夜(よ)、/一夜(ひとよ)ばか 00005930M16りハまけにしてあげませうほどに、わたくしにつれまして、 00005940M17お/寐間(ねま)へすぐにまいれとの事といへば、この/男(おとこ)たゞ、いや 00005950M18はや+とのしりごミ。Sナゼ、そのやうにおつしやりま 00005960M19すといへば、Sアイ、わたくしハ/日雇(ひやう)でござります(五十一 00005970M20ウ) 00005980¥P20 00005990¥G(五十ウ・五十一オ) 00006000¥N58¥J 00006010¥X○/朝鮮人(てうせんじん) 00006020M3/朝鮮人(てうせんしん)/帰国(きこく)の/時(とき)、/友(とも)だちか/取巻(とりまい)て、なんと、/日本(につほん)でハさぞ、 00006030M4めづらしい/事(こと)が/有(あつ)たらう。まづ/何(なに)が/其内(そのうち)にも、かわつた/事(こと) 00006040M5じやぞと/問(と)ふに、いやはや、/何(なに)もかもめづらし/事(こと)ばかりで 00006050M6/有(あつ)た。/中(なか)にもめづらしいハ、/鞠(まり)といふ/物(もの)が(五十二オ)ある。 00006060M7これ、けだものじや。まづ/庭(にハ)へ/垣(かき)をこしらへ、その/垣(かき)の/内(うち) 00006070M8へ/人(ひと)が/四人(よつたり)/這入(はいる)と、かの/鞠(まり)めが/出(で)て、むしやうに人の/足(あし)へ 00006080M9/喰(く)らひつく/所(ところ)を、くひつかれまいと/蹴(け)とばすと、/又(また)/向(むか)ふの 00006090M10者のあしへくひつく。/爰(こゝ)でも/蹴(け)る。かくする/事(こと)しばらく/有(あつ) 00006100M11て、どふした(五十二ウ)/拍子(ひやうし)やら、中の/一人(ひとり)が/足(あし)もとへ/来(く) 00006110M12る/所(ところ)、はづして/踏(ふミ)ころしたりや、/屁(へ)をひつて/死(し)んだ 00006120¥N59¥J 00006130¥X○/比丘尼(びくに) 00006140M15/足軽(あしがる)の/心(こゝろ)/和(やハ)らぐ/前句附(まへくづけ)。その前句より/比丘尼(びくに)には目が/細(ほそ)ふ 00006150M16なつて、/菖蒲(せうぶ)/革染(かわぞめ)をぐすとぬぎ(五十三オ)かへ、ぬつと/二= 00006160M17階(に=かい)へあがり、まてどくらせど/敵(てき)の/来(こ)ぬに/退屈(たいくつ)し、/呼(よハ)んとせ 00006170M18しが、/名(な)を/聞(きか)ねば/名(な)も/呼(よハ)れず、/様(さま)とはゐんぎんなり、/殿(どの)で 00006180M19ハかたし。/坊主(ぼうず)あたまからおもひつき、/二階(にかい)より/覗(のぞ)いて、 00006190M20はやう/来(き)たまへ、びくに/老(らう)(五十三ウ) 00006200¥P21 00006210¥N60¥J 00006220¥X○/押込(おしこミ) 00006230L3/押込(をしこミ)ども/相談(そうだん)して、とかく/小(ちい)さい/所(ところ)はよい/仕事(しごと)にならずと、 00006240L4/越後屋(ゑちごや)へ/這入(はいる)にきわめ、人にきず/附(つけ)てハ、/呉(ご)ふく/物(もの)などよ 00006250L5ごれてハぜににならず。/兎角(とかく)/此方(このほう)/大(おゝ)ぜいで、/手(て)はづをよく 00006260L6し、/出(で)るほどのやつ/練(しバ)り、/猿(さる)(五十四オ)/轡(くつハ)をはめ、/柱(はしら)へく 00006270L7ゝしつけ、/扨(さて)/心次第(こゝろしだい)にごふく/物(もの)/持出(もちだ)すべしとて/這入(はいつ)た所、 00006280L8ソリヤおしこミといふより、かけて/出(で)る手/代(だい)、/判(はん)とり、/下= 00006290L9男(しも=おとこ)、/出(で)るもしばり出るもしばり、/片(かた)はし/猿(さる)ぐつわをはめ、 00006300L10柱へくゝしつけるに、/又(また)/跡(あと)からも/出(で)る。しばれバ又出る。 00006310L11しはれバ出る。どうもしバり(五十四ウ)つくされず、その 00006320L12うちに/夜(よ)か/明(あけ)て、/烏(からす)がかあ+ 00006330¥N61¥J 00006340¥X○/小鞁(こつゞミ) 00006350L15/息子(むすこ)の/小(こ)つゝミ、/親仁(おやぢ)/以之外(もつてのほか)の/立腹(りつふく)、/友達(ともだち)へ/逢(あ)ふても/其小= 00006360L16言(そのこ=ごと)。/友(とも)だちも気のどくがり、いや、そのやうにおつしやり 00006370L17ますな。/主(ぬし)のつゞミハ、いかう(五十五オ)/器用(きよう)で、それし 00006380L18やも/我(か)を/折(をり)ます。まづちとあの/音(ね)をおきゝなされと、むす 00006390L19こをよび出し、さあ+なんぞみじかい事、おやぢ/様(さま)にお 00006400L20きかせ申たい。/早(はや)ふはじめ給へといふに、/鞁(つゝミ)とりあげ、し 00006410M1らべた/音色(ねいろ)、いか/様(さま)の/妙音(ミやうをん)。/親父(おやぢ)も/肝(きも)をつぶし/見(ミ)て/居(ゐ)れハ、 00006420M2/息子(むすこ)/鞁(つゞミ)を(五十五ウ)/肩(かた)よりおろし、/其(その)かわへ、くひさき/紙(かミ) 00006430M3をして/張(は)らんとする/時(とき)、/親父(おやぢ)S/一(いち)まいではれ、/一(いち)まいで/張(は) 00006440M4れ 00006450¥N62¥J 00006460¥X○/野等息子(のらむすこ) 00006470M7いがミの/権(ごん)と/来(き)て/居(ゐ)る/息子(むすこ)、/夜更(よふけ)てかへり、/火(ひ)もきへてま 00006480M8つくらやミ。/親仁(おやぢ)のあたまに/蹴(け)つまづき、ハア(五十六オ) 00006490M9/勿躰(もつたい)ないといふ/声(こへ)、/母(はゝ)/聞(きゝ)つけ、コレおやぢどの。こちのむ 00006500M10すこもこゝろが/直(なを)つたか、こなたのあたまにけつまづき、 00006510M11もつたいないといひました。/息子(むすこ)/聞(きゝ)て、Sナアニ、おらア 00006520M12めしつぎかとおもつた 00006530¥N63¥J 00006540¥X○/糞(くそ) 00006550M15/古人(こじん)の/糞(くそ)を/集(あつ)める/奴(やつ)あり。/執心(しうしん)の(五十六ウ)/客(きやく)/来(きた)つて、/一= 00006560M16覧(いち=らん)を/乞(こ)ふ。/亭主(ていしゆ)よろこびて、/香箱(かうばこ)やうの/物(もの)、いくらともなく 00006570M17/取出(とりいだ)し/見(ミ)す/留(る)に、/一(ひと)つ+に/見(ミ)て、S/扨&(さて+)おとろき/入(いり)まし 00006580M18た。めづらしい/糞(くそ)どもでござります。せつ/者(しや)も、とし/久(ひさ)し 00006590M19う/好(す)きまして、/大既(たいがい)は/目利(めきゝ)もいたしまする。ちとあてゝ/見(ミ) 00006600M20ませうかと(五十七オ)いへば、それハおたのもしい/義(ぎ)で/御= 00006610¥P22 00006620L1座(ご=さ)ります。せつ/者(しや)も/修行(しゆきやう)の/為(ため)、いざ、お目/利(きゝ)を/承(うけたまハ)りました 00006630L2い。S/先(まづ)/此(この)くそハ/時代(じたい)/凡(およそ)六七/百年(ひやくねん)、しかも/勇(ゆう)ある/大将(たいしやう)の 00006640L3くそ。しかし、/旅(たび)にくるしんだ/相(そう)がござれば、/大(おゝ)かた/源(ミなもと)の 00006650L4よしつねの/糞(くそ)でごさらうやとそんします△Sなるほど、/義= 00006660L5経(よし=つね)の(五十七ウ)くそ。御/目利(めきゝ)、いやはや、/神(しん)のごとくでご 00006670L6ざります△S/扨(さて)このくそは、/侍(さむらい)かとぞんずれバ/坊主(ほうず)くさ 00006680L7い/所(ところ)も/見(ミ)へ、/是(これ)もつわものゝくそ。/時代(じだい)もよしつねと/同時= 00006690L8代(どうじ=たい)と/見(ミ)へますれバ、これハもし、/武蔵坊(むさしほう)/弁慶(べんけい)が/糞(くそ)ではござ 00006700L9りませぬか△S弁慶で/御座(こざ)ります。御/功(かう)(五十八オ)/者(しや)のほ 00006710L10ど、/感心(かんしん)いたしました。いざ+/迚(とても)の/事(こと)、/其次(そのつぎ)も/承(うけたまハ)りま 00006720L11したい△Sハヽアこれはむづかしい。ちとしれかねます△ 00006730L12Sそれハ/此方(このほう)でも、いろ+/吟味(ぎんミ)いたしまするが、しれま 00006740L13せぬ△Sいや、しれぬと申/事(こと)ハないはづ。これも/弁慶(べんけい)と/同(おな) 00006750L14じ/事(こと)で、/出家(しゆつけ)と/武士(ぶし)とのひりませに/見(ミ)へまする(五十八ウ) 00006760L15が、いかう/位(くらゐ)が/有(あつ)て、うづ/高(たか)うござります。/少(すこ)し/削(けづり)て/見(ミ)ま 00006770L16してもくるしうござりますまいかな△Sそつともくるしう 00006780L17ござりませぬ。お/削(けづり)りなされませ△S/然(しか)らばと/削(けづ)り、/扨(さて)こ 00006790L18そしれました。/是(これ)ハ/最明寺(さいめうじ)の/糞(くそ)でござります。Sしてまた、 00006800L19(五十九了オ)それは/何(なん)でしれました△Sハテ、/削(けづ)つた/所(ところ)に、 00006810L20ちら+/粟(あわ)が/見(ミ)へます 00006820¥Y下司咄屎果以古語先此巻是切 00006830¥Y/話稿(ワカウ);/鹿子餅(カノコモチ)/終(ヲハリ)(五十九了ウ) 00006840¥Q 00006850M8明和九歳 00006860M10△△壬辰正月吉日 00006870M13△△△江戸大傅馬三町目 00006880M14△書肆△△鱗形屋孫兵衛板 00006890M16△△△△△△△△△△△△△△△△△(大東急本奥付) 00006900¥P23 00006910¥U噺本大系△第九巻 00006920¥T珍話;/楽牽頭(がくたいこ)〔序題〕 00006930¥G 00006940¥Y 00006950L17明和九年九月序 00006960L18稲穂序 00006970L19笹屋嘉右衛門板 00006980L20小本一冊 00006990¥T1珍話;/楽牽頭(がくたいこ) 00007000¥Y1序 00007010M5/花(はな)見には/株(かぶ)のもふせん、/月雪(つきゆき)にハ/客(きやく)の/尻馬(しりむま)に/乗(のつ)て(序1オ) 00007020M6/青楼(せいろう)/外場(おかば)の/噺(はなし)の/梵論(ぼろ)を/買(かい)あつめ、新/古(こ)のわかちなく、/楽(たのしミ)の 00007030M7/響(ひゞき)を寿くに、楽牽頭と/題(だい)し、(序1ウ)旦那衆の一笑にもな 00007040M8らし 00007050M10△△△明和壬辰菊月△△△△△△稲穂G 00007060M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序2オ) 00007070¥P24 00007080¥G(序2ウ) 00007090¥N1¥J 00007100¥X○山/師(し) 00007110M3/去(さる)御大名、いかなる福神の/末葉(ばつよう)にや、大判小判/蔵(くら)に/満(ミち)、/金(かね) 00007120M4なき/者(もの)の思ひにや、/毎夜(まいよ)、金の/精(せい)/光(ひか)り/渡(わた)るを、/殿(との)の御目に 00007130M5とまり、/賎(さも)しき金の/仕業(しわざ)よな。いそぎ金の/減(へ)るよふな/工夫(くふう) 00007140M6せよとの仰付ケ。御出入りの(岩オ)山師申上る/様(よふ)ハ、/長崎= 00007150M7海道(ながさき=かいどう)に、/広根(ひろね)の松と申スが御座ります。是を/数(す)万の/人足(にんそく)を 00007160M8/召連(めしつ)れ、/壱鍬(ひとくわ)壱両つゝにて/堀(ほら)せましたら、いかな御金も/減(へ) 00007170M9りませう。役人共、/横(よこ)手を打、早&申付る。扨かの松を段 00007180M10+堀ツて見た処が、石のかろうと。是ハふしぎと(岩ウ) 00007190M11/蓋(ふた)を/明(あけ)れば、中に/打出(うちで)の小/槌(つち)。金銀/湧(わき)出る事、山のごとし。 00007200M12山師、此/躰(てい)を/見(ミ)て、すぐに/欠落(かけおち) 00007210¥N2¥J 00007220¥X○喜世留 00007230M15きせる三千本/急(きう)御用。明/朝(てう)迄に/持参(ぢさん)仕れとの仰付ケ。サア 00007240M16/家(か)内ハ/勿論(もちろん)、/素人(しろうと)迄に/手伝(てつだわ)せ、一/夜(や)に/長(なが)らう三千本(戸オ) 00007250M17すげ仕廻、夜明/烏(からす)ともろともに/納(おさめ)に行キ、ふと気が付キ、 00007260M18此きせる、/出来(でき)ハ出来たが、らうの/節(ふし)を/通(とう)さなんだ。アヽ 00007270M19まゝのかわと、/役所(やくしよ)へ納る。/折節(おりふし)ゑこぢ/悪(わるい)役人、受取に 00007280M20出る。Sきせるやの心の内ハひや+もの。/頓(やが)而役人、き 00007290¥P25 00007300L1せるの/数(かず)をあらため、がん/首(くび)へ/親指(おやゆび)をおしあて、/吹(ふひ)て見て、 00007310L2よし+(戸ウ) 00007320¥N3¥J 00007330¥X○御/寵愛(てうあい) 00007340L5/殿(との)様御てうあいの御手/飼(かい)共へ、めつらしき/芸(げい)御覧被遊たき 00007350L6仰出され、/狆(ちん)と/猿(さる)とのすもふ、殊の外の御よろこひ。明日 00007360L7鳥の番とて、鳥とも寄合を付、おらが中/間(ま)でもどふぞはね 00007370L8を取たい(一オ)ものだ。Sよし+。/鴬(うくいす)に/出語(てかたり)をつとめ 00007380L9さしやう 00007390¥N4¥J 00007400¥X○きよく/馬(ば) 00007410L12かミさんへ。御/亭主(ていしゆ)を浅草へ/同道(どう+)して、帰りにきよく/馬(ば)と 00007420L13てかけるよ。S女房、ブツテウツラニテ、/魔道(まどう)へ引ツこんで 00007430L14くんなさんな(一ウ) 00007440¥N5¥J 00007450¥X○仁王 00007460L17浅草の/仁王(にわう)が所へ上野の仁王来り、どふだ、せんせい。ま 00007470L18づ/焼(やけ)のこらしやつて目出たい。おれハゆふべ/野宿(のしゆく)をした。 00007480L19/当分(とうぶん)の内、/出居衆(でいしゆ)において下され。S安ひ事だが、内もせ 00007490L20まし、おか目とハ(二オ)ちかつて、しよ+の見舞に銭を 00007500M1遣て半焼たよ△S/泣(なき)ごとをいやるな。わらじでハもふけた 00007510M2ろう 00007520¥N6¥J 00007530¥X○灸 00007540M5こし/元(もと)、/旦(たん)那に/灸(きう)をすへ、たび+/落(おと)すゆへ、だんなにし 00007550M6かられ、/次(つき)の間へ/来(きた)り、お春どの。(二ウ)わたしが/替(かわ)りに 00007560M7いつてくんな。なぜへ。Sきゝなさい。しわひ旦那だ。/度(たび) 00007570M8+/落(おと)すからすへるなと。/一(ひと)かわらけ落して、/高(たか)が四文だ 00007580¥N7¥J 00007590¥X○/百足(むかで) 00007600M11びしやもん、百足をよび付ケ、しのはづの弁天が所が/風(かざ)し 00007610M12た(三オ)だ。はやく見/舞(まい)に行てたもれ。百足、かしこまり 00007620M13候とて/台(たい)所にうづくまり/居(い)る。Sなぜ、はやく/行(いか)ぬ△Sハ 00007630M14イ。わらじをはいております 00007640¥N8¥J 00007650¥X○/禿(かぶろ) 00007660M17深川の/仮宅(かりたく)にて、女郎、禿をよぶ。アイヽヽヽヽヽヽとい 00007670M18ゝなから、そば迄(三ウ)/来(き)て又/戻(もど)る。そはから客、/千(ち)鳥ハ 00007680M19なぜもどる。S返事があまりんす 00007690¥P26 00007700¥N9¥J 00007710¥X○/契約(けいやく) 00007720L3御広間にて/小性(こせう)/同士(どうし)、兄弟分の言かわせに、たかひの小/指(ゆひ) 00007730L4を切し折ふし、殿より御/召(めし)と/声(こへ)をかけられ、/血(ち)ハいづミの 00007740L5ごとく(四オ)ながれ出る。Sおつと、思ひだした。ぼんの 00007750L6くぼの/毛(け)を三本ぬき給へ 00007760¥N10¥J 00007770¥X○/按摩(あんま) 00007780L9/肩(かた)をひねらせけるに、大イの/下手(へた)ゆへ、是ぼうさん。こな 00007790L10さんより、おらがおしなが、はるか上/手(ず)だよ。あんま、/胸(むね) 00007800L11をおさへ、やがて/頭(つむり)を(四ウ)もミ、それより/耳(ミヽ)のあたりを 00007810L12もミ、/爰(こゝ)ぞいしゆかへしと、耳へ/指(ゆび)をおしこミ、はつつけ 00007820L13やろうめ 00007830¥N11¥J 00007840¥X○七つ目かね 00007850L16/焼(やけ)出されの女郎屋、見世を/張(は)りたく思へとも、女郎といへ 00007860L17ばたつた壱人リ。如何ハせんとしあん/最(さい)中(五オ)/友達(ともたち)来り、 00007870L18おれがいゝしゆこうが有。/格子(かうし)へ七つめがねをはり、女郎 00007880L19だくさんに見せる/工夫(くふう)。なんと、今/孔明(こうめい)であろうがといへ 00007890L20ば、亭主、手を/打(うつ)てよろこひ、早+其日より取かゝり、 00007900M1はや見世/開(ひら)きせしに、/客(きやく)、船宿をともなひ、かのぼうけい 00007910M2の(五ウ)/格(かう)子をのぞき、/爰(こゝ)へあがろうと、若イ者へ/好(のぞミ)をい 00007920M3へば、金山さん、お/支(し)度と/声(こへ)をかける。S客、のぞき居て、 00007930M4おつと、/惣(そう)仕廻てハない 00007940¥N12¥J 00007950¥X○/牛王(ごおふ) 00007960M7/隠居(いんきよ)のくすね金/紛失(ふんじつ)し、/長(なが)屋中寄合、/衣(い)類もぬすむ(六オ) 00007970M8(六ウ・七オ挿絵)へきに金ばかり/盗(ぬすミ)しハ心得ぬとのうたかひ 00007980M9はれす。てんでの身はらしに、/牛王(こおう)をとりよせ、大屋、ざ 00007990M10いをふつて/呑(のま)せし処に、まだ仕事師の太郎が居ぬ。はやく 00008000M11よんてござい。Sモシ太郎さん。早く大屋さんへ/来(キ)て、牛 00008010M12王をのミな(七ウ)さいと△Sアイ、お/忝(かたしけの)ふござりやすが、 00008020M13/今(いま)/飯(めし)をたべやした 00008030¥N13¥J 00008040¥X○目見へ 00008050M16日なし/貸(かし)の所へ、目見へ度+/来(きた)れども、此亭主、/大(たい)の念 00008060M17しやにて、男がよすぎて女房もあぶなし。金もあぶなく、 00008070M18/湯(ゆ)へ行ても(八オ)ながからうのと、あじな所へ迄かんを付 00008080M19て、いちゑんきまらず。今日来りし目見への/人相(にんそう)の/悪(わる)ひの 00008090M20が大キに気に入、給金ハ/望(のそミ)にまかせん。今迄どこにいやつ 00008100¥P27 00008110¥G(六ウ・七オ) 00008120M1た。Sハイ、/辛子(からし)かき御用を/勤(つとめ)ました 00008130¥N14¥J 00008140¥X○水中の恋(八ウ) 00008150M4/鯉(こい)、ふなの娘と/蜜通(ミつつう)し、水中のたゝずミ成かたく、/言(ゆい)かわ 00008160M5せしも水のあわ、いつそ/死(しぬ)るがましじやとて、ひれとひれ 00008170M6とをからミ/付(つ)け、/網(あミ)うち船へひらりとはねこむ 00008180¥N15¥J 00008190¥X○/猿(さる)廻し(九オ) 00008200M9よしの丸へ猿廻しの船/漕(こぎ)付、あたらしき芸を御覧に入れま 00008210M10せう。Sしよもうじや+。はや大/振(ふり)そでを/着(き)かへさせ、 00008220M11/鷺(さぎ)娘のおどり/最中(さいちう)、ポントおならをしけれハ、座中きやう 00008230M12をさます。猿、気のどくがり、まつ白くなつて、御/暇(いとま)申ま 00008240M13す(九ウ) 00008250¥N16¥J 00008260¥X○/化(ばけ)ねこ 00008270M16手/拭(ぬくい)のなくなるをふしぎに思ひ、気をつけみれば、うらの 00008280M17/明地(あきち)にて/猫(ねこ)ともあつまり、/踊(おどり)をおどる。扨こそとてうかゝ 00008290M18ひ見るに、手んでに手拭をこうべゑのせておどる。しまい 00008300M19に/三毛(ミけ)ねこ、みなの(十オ)手拭をあつめて/戻(もと)る。/跡(あと)より、 00008310M20いづくのねこぞとしたひ見るに、髪ゆひ/床(とこ)へはいる 00008320¥P28 00008330¥N17¥J 00008340¥X○女郎の野/宿(しゆく) 00008350L3太夫女郎、/禿(かぶろ)をつれて大/火(くわ)のミぎり、/遣(や)り/人(て)にはぐれ、今 00008360L4夜ハ野宿をせんと、ひちりめんの三つ(十ウ)ふとんに引か 00008370L5へ、/柴(しば)の上へおのが/駒(こま)下/駄(た)をまくらとなし、すや+と/寐(ね) 00008380L6入しに、禿、こま下駄を取てほうり出す。なぜまくらにせ 00008390L7ぬぞ。Sわたしや、はだしかよふありんす 00008400¥N18¥J 00008410¥X○きよく/馬(ば)の気のばし 00008420L10/雨(あめ)ふり、きよく馬もやすミなれば、(十一オ)/馬(むま)ども寄合、 00008430L11気のばしに、おはなをはしめける。三升やゆひわたはりて 00008440L12あれとも、大/谷(たに)ハはりてなし。/栗毛(くりけ)ヤ。十町を/売(うろ)ふか。 00008450L13Sヒヒ、/轡(くつわ)ハごめんだ 00008460¥N19¥J 00008470¥X○一ぼく医/者(しや) 00008480L16/大家(たいけ)£、いか成吉日やら呼に来る。(十一ウ)ハテこまつた 00008490L17事だ。/壱(ひと)人リ行も/外聞(くわいぶん)がわるい。つい行けば千/疋(ひき)はしめた 00008500L18もの。ハテトヲセウ。よし+。供を頼とて、/隣(となり)のさかな 00008510L19やへ行キ、かくのわけを咄し、とふぞ百疋にて、そうり取 00008520L20にちよつと頼たひ。亭主も、名をとろより徳をとれとて、 00008530M1(十二オ)早+/雇(やとわれ)て行。/杢庵老(もくあんろう)、シカツヘラシク座敷へ通 00008540M2り、首尾よく/脉(ミやく)をうかゞひ、お/暇(いとま)申。/玄関(げんくわん)へおくられ出し 00008550M3処が、杢庵、まつさほになつて、なむさん。S天水桶のか 00008560M4げ£肴やが、おぞうり預りおる 00008570¥N20¥J 00008580¥X○うそつき(十二ウ) 00008590M7/聞(きい)てくりや。おらが/親父(おやじ)ハまづ、此米の高イのに五升つゝ 00008600M8してやるて。Sハテナ。さぞ男も大キかろふ△Sマツ/足袋(たび) 00008610M9が十五文よ。/雪駄(せつた)が十七文だ△Sハテナ。そして下駄ハ△ 00008620M10S下たか。十九文さ 00008630¥N21¥J 00008640¥X○/途(と)中の/目(もく)礼 00008650M13二人リつれにて咄なから行ク(十三オ)向から、/惣(そう)髪の/茶仁(ちやじん) 00008660M14ていのもの来り、もく礼してわかれしを見て、市ぼう。今 00008670M15のミけんじやくハなにものだ。Sあれか。あの人は茶仁さ△ 00008680M16Sおきやれ。茶づきやいハ△Sイヤ、茶じやあ付合ぬか、 00008690M17/湯(ゆ)てつきやう(十三ウ) 00008700¥N22¥J 00008710¥X○/血(けつ)気 00008720M20永代/橋(はし)へ行キかゝり、橋代なきゆへ、いろ+言わけして 00008730¥P29 00008740L1もとふさず。/流石(さすが)すいどの水にてそだちしわかもの、一寸 00008750L2も引す。通さぬとて/戻(もど)るものか。ひいやりとおよぐべいと 00008760L3て、まつ/裸(はだか)(十四オ)になつて/飛(とび)こむ。Sそばから、びんせ 00008770L4ん申フ 00008780¥N23¥J 00008790¥X○手紙 00008800L7/友達(ともたち)、手紙を/拾(ひろ)ひ、ばんのまくらかミにいゝとよろこぶ。 00008810L8S其手紙をおれにくりや△Sなんにする△S/国(くに)へやる(十 00008820L9四ウ) 00008830¥N24¥J 00008840¥X○儒者 00008850L12/儒者(しゆしや)、品川へ/引移(わたまし)、/弟子(でし)とも家見の祝義に行き、/先生(せんせい)ハ/繁= 00008860L13花(はん=くわ)の日本橋を御見すて被成、何の能思召御座候哉。S儒者、 00008870L14まじめな顔にて、/唐(から)へ二里/近(ちか)い 00008880¥N25¥J 00008890¥X○/首(くび)売(十五オ) 00008900L17本所割下水のほとりを、/首(くび)うろふ+とせつて/歩行(あるく)をよひ 00008910L18込、首ハいか程じや。壱両で御座ります。それハ下直なり 00008920L19とて、御/求(もとめ)被成、/政宗(まさむね)の/刀(かたな)を出され、どだんばへつれ行し 00008930L20に、首うり、身をひねり、たもとより/張子(はりこ)の首を(十五ウ) 00008940M1なげ出す。S己が/首(くび)を/調(とゝのへ)たぞ△S私が首ハかんばんてござ 00008950M2る 00008960¥N26¥J 00008970¥X○文 00008980M5/息子(むすこ)、座敷/牢(ろう)へ入れおきしに、深川£と、うハ書したるふ 00008990M6ミ、親父の手へわたり、ひらき見るに、吉原の焼だされと 00009000M7見へて、/随(すい)(十六オ)分/細(さい)字に紙のいらぬよふニ/短(ミじか)くしたゝ 00009010M8め、物のいらぬ小/指(ゆび)を切り、/香(かう)箱で有そふな処を蛤貝に入 00009020M9れ/送(おく)りしを、親父かんしんして、息子が前へもち行キ、是、 00009030M10見おろう。世/間(けん)でハ此よふに/商売(せうばい)に身をいれるハ(十六ウ) 00009040¥N27¥J 00009050¥X○/横平(あふへい) 00009060M13大じんの所へ出入リの/者(もの)、/年始(ねんし)に/行(ゆき)、座敷へ通り、はるか 00009070M14/末(ばつ)座に平/伏(ふく)し、けつこうな/春(はる)で御座ります。S大じん、/髭(ひげ) 00009080M15を/撫(なで)なから、ゑいかげんな春だ 00009090¥N28¥J 00009100¥X○/旅(りよ)人(十七オ) 00009110M18二人リつれにて山みちへ掛りしに、/狼(おゝかミ)、親子にて山のいた 00009120M19ゞきニ居るを見付、こんな時ハ気をのまれてハわるひ。 00009130M20/強(つよ)い事を云ふか能ひと、一人リハ金時のばつよふだと云ふ。 00009140¥P30 00009150L1今壱人ハ/仁田(にたんの)四郎が/末(すへ)、いのしゝなどにちとでつくわして 00009160L2(十七ウ)見たいなどゝ咄し/行(ゆく)。S狼云ふよふ。とツさん。あ 00009170L3れもてつほうだの 00009180¥N29¥J 00009190¥X○/子(ね)の年 00009200L6/士(さむらい)、供壱人リ召/連(つ)れ、/途(と)中に/死(しに)たる/鼠(ねすミ)有り。/角内(かくない)。此鼠 00009210L7を/持(もつ)て参れ。Sへヱ、あれは/死(しん)で折ます△Sそりやしれた 00009220L8事さ。(十八オ)身どもハ子の年じやから、見のがしにハな 00009230L9らぬ△Sへヱ旦那、/午(むま)のお年でなくつて、我ら仕合 00009240¥N30¥J 00009250¥X○掛硯 00009260L12息子、かけ/硯(すゞり)の金弐分/遣(つか)ひける。親父、息子をよびつけ、 00009270L13おのれ、弐分ぬすミおつたな。是(十八ウ)能く/聞(きけ)よ。/後(のち)に 00009280L14ハミな、われにゆづるハ。S息子、ましめな顔にて、ゆづる 00009290L15時、弐分ひけばよい 00009300¥N31¥J 00009310¥X○/面(めん)屋 00009320L18/若殿(わかとの)よりおたふくのめんを被仰付、なにとぞ/出精(しゆつせい)して御 00009330L19出入にもなり度、これに付て(十九オ)も、せうじんのおた 00009340L20ふくか見たいといふ処へ、ねんごろ成/者(もの)/来(きた)り、能キおたふ 00009350M1くの手本が御座る。御蔵前の酒屋まで/同道(どう+)すべしと/伴(ともな)ひ行 00009360M2き、かの酒やの見世に/腰(こし)かけ、のミたくもないさけ十六文 00009370M3がかんを申付ると、かの娘、(十九ウ)のふれんの/陰(かげ)よりの 00009380M4ぞきける時、手本ハあれじやと/指(ゆび)をさせば、娘、内へはい 00009390M5り、かゝさん。/舅(しうと)の有所ハいやよ 00009400¥N32¥J 00009410¥X○杜若 00009420M8かきつばた寄り合を付ケ、/皆(ミな)の/衆(しう)。なんと思やる。世の中 00009430M9に(廿オ)なげ入れがはやるから、我+が/寿命(しゆめう)が/短(ミじか)ひ。此 00009440M10上/言(いゝ)合せ、ひらくまい。ヲヽそれがよかろと、/悦(よろこび)のまゆを 00009450M11そむ。/中(なか)にもたいくつ成るまゝに、少しひらきて見れバ、 00009460M12いつの/間(ま)にか/床柱(とこばしら) 00009470¥N33¥J 00009480¥X○/按摩(あんま)の/出来(てき)心(廿ウ) 00009490M15あんまを呼/込(こ)ミ、ちつと/待(まつ)てくださいと/言(いゝ)、小便に行く。 00009500M16/跡(あと)にてあんま、見世をなでゝ見れハ、/万(よろづ)見世なり。段+ 00009510M17手さくりにする所が、/棚(たな)の紙にさくりあたる。まづ壱/帖(せう)、 00009520M18しめこのうなきと、/懐(ふところ)へいれる。/間(ま)もなく/亭主(ていしゆ)帰り、上ミ 00009530M19から下迄(廿一オ)ひねりしまい、かの/盗(ぬす)ミし紙を取出し、 00009540M20はなをかむ。Sホヤ、此おぼうハ/赤(あか)ひ紙でさ 00009550¥P31 00009560¥N34¥J 00009570¥X○金銀のはり 00009580L3はり/稽古(けいこ)の/為(ため)、/御(ご)用をとらへ、壱升/買(かお)ふから、はりをうた 00009590L4せろ。此御用、/主(しう)思ひにて、うたせませうと/言(いふ)。(廿一ウ) 00009600L5/頓(やが)て銀のはりを壱本打、ゑミをふくんで、さらばぬかんと 00009610L6ぬきにかゝつて見れば、イカナぬけづ。/迎(むか)ひばりに/極意(ごくい)の 00009620L7金のはりをうてどもぬけづ。せんかたつき、此はりハ/高直(こうじき) 00009630L8なはりだが、我にやるぞ 00009640¥N35¥J 00009650¥X○/真裸(まつはたか)(廿二オ) 00009660L11/友達(ともたち)/真裸(まつはたか)になり、内から人が/来(く)ればわるい。二/階(かい)へでも/寐(ね) 00009670L12ていかうと、にかいへあかり、寐てミてもねられず。亭主 00009680L13や。下から風がきて、/寒(さむ)くてならぬよ。Sおつと心得たと、 00009690L14/階子(はしご)を引く 00009700¥N36¥J 00009710¥X○座頭(廿二ウ) 00009720L17/座頭(ざとう)、/犬(いぬ)のあしへふミかけければ、わんと/鳴(なく)。おつと、つ 00009730L18へのほうへ、あいと/言(いゝ)ながら、又犬のつらへふミかけ、わ 00009740L19んといふ。そばから、此/坊(ほう)さんハかんがない。Sなに、犬 00009750L20が/長(なが)ひ 00009760¥N37¥J 00009770¥X○/自鬢(ぢびん) 00009780M3おのしが髪ハどこの/床(とこ)で/結(ゆう)た。(廿三オ)ぢびんだが、能く 00009790M4見へるか。Sうそだらう△S大イせいもんよ△Sほんなら、 00009800M5おれにも/結(いつ)てくりやれ△S結ひ/兼(かね)るものか。おぶつさりや 00009810¥N38¥J 00009820¥X○丑の時参 00009830M8/神主(かんぬし)、夜中に小便に/起(お)キ、しんぜんの方をうかゞひ見るに、 00009840M9何やら(廿三ウ)あかるく、四つばいに/這(はつ)て居るをあやしミ、 00009850M10おのれハ何ものだ。Sわたしハ/丑(うし)の時参りでござんす△ 00009860M11Sソフ見へる。/神木(しんぼく)ハそこにハない△Sまづ/釘(くぎ)を/落(おと)したか 00009870M12ら/尋(たづね)やす 00009880¥N39¥J 00009890¥X燈篭見物 00009900M15/田舎(いなか)もの、/女郎(ぜうろ)やより/燈篭(とうろう)見物ニ(廿四オ)/廻(まハ)り、さらば/元(もと) 00009910M16あがりし女郎やへ/帰(かへろ)ふと尋けれともしれず。よふ+少し 00009920M17の目あてを思ひ出し、/若(わか)イ者を呼び出し、さつきせんじの 00009930M18/羽織(はおり)を/着(き)て燈篭見に/行(いき)し/客(きやく)が有るか。なるほど御出被成ま 00009940M19したが、まだ御帰り被成ませぬ。(廿四ウ)其客ハおれか。 00009950M20見てくりや 00009960¥P32 00009970¥G(廿六ウ・廿七オ) 00009980¥N40¥J 00009990¥X○あぶら虫 00010000M3/仕(し)事/師(し)、/曲馬(きよくば)をのぞき、/今日(けふ)は/借(か)りるよと言てはいる。 00010010M4扨口上/言(いゝ)罷出、御/待(まち)どふに御座りますから、/最初(さいしよ)かけを/乗(のら) 00010020M5せます。し事し見て、大キにはらをたち、いま+しい。 00010030M6(廿五オ)おれがなんぼかけでみればとて、/行(いつ)たり来たり、 00010040M7/掛(かけ)取を見るよふだ 00010050¥N41¥J 00010060¥X○四季の立花 00010070M10四季の/立花(りつくわ)御望次第といふかんばんを見て、/稽古(けいこ)の為一/覧(らん) 00010080M11せんと内へはいり、けいとうが所望でござる。S初春に/仏(ほとけ) 00010090M12めきたる(廿五ウ)御好ミ△Sミな迄/言(いわ)しやるな。当時けい 00010100M13とうのない所が所望だ△S/畏(かしこま)りましたとて、亭主のさそ 00010110M14く。しゆろぼうきをしんに/立(たて)る。S侍御暇申 00010120¥N42¥J 00010130¥X○駒下駄 00010140M17うつくしき女三人/連(つれ)にて通ル。扨もきれいの。なにものて 00010150M18/有(あろ)ふ。(廿六オ)(廿六ウ・廿七オ挿絵)あれハかのまん+が/所(とこ) 00010160M19のよ。/側(そば)から、嶋ちりめんが/妾(めかけ)と見へる。Sなぜ。しるし 00010170M20でも有か△Sハテやぼめ。/駒下駄(こまけた)がほんの/音(ね)だ 00010180¥P33 00010190¥N43¥J 00010200¥X○なぞ 00010210L3なぞを四/割(わり)八/分(ぶ)で/銅(どう)を/取((ママ))ふが、/張(はる)か。Sこりやめづらしい。 00010220L4/題(だい)を(廿七ウ)出しやれ△Sぬらくらして/長(なが)ひものハ。うな 00010230L5ぎで有ふと、壱両はる。なむさん、しめられた。/夫(それ)又ふせ 00010240L6るぞ。ぬらくらして長ひものハ。Sこくびをかたげ、今/度(ど)ハ 00010250L7五両出して、/蛇(へび)で有ふが。Sおつと、うなきのつらでござ 00010260L8い(廿八オ) 00010270¥N44¥J 00010280¥X○片思ひ 00010290L11/有徳(うとく)なる息子、/傾城(けいせい)に/魂(たましい)をぬかれ、誠に/奢(おごる)平家/久(ひさし)からず、 00010300L12今ハ角やしきも/売代(うりしろ)なし、/通(かよ)ひ+て後には船ちんのくめ 00010310L13んも/出来(てき)ねば、せめて/逢(あつ)てばかり来らんと、そぼろの/形(なり)に 00010320L14て江戸町へ(廿八ウ)趣、のふれんの/際(きハ)迄行キ、若イ者を呼 00010330L15出し、どふぞ/松(まつ)風に/逢(あハ)せてたもとたのめば、S若イ者、二 00010340L16/階(かい)へ上り松風に逢、/片(かた)さんがお出被成ました。S銭なしが 00010350L17事か。病気だとゆふてたも。若イ者/階子(はしご)をおり、お/癪気(しやくけ) 00010360L18でござります。Sなに(廿九オ)うそばかり。おれがこふゆ 00010370L19ふなりたからあわぬのだ。かゝさんに/逢(あう)気ででれば/能(よ)ひ 00010380¥N45¥J 00010390¥X○/蕎麦(そば)振廻 00010400M3そば/振廻(ふるまい)にまねがれ、/腹(はら)ぢうまんし、拙者ハ少+/虫(むし)がか 00010410M4ぶります。S/相客(あいきやく)きのどくがり、そりや(廿九ウ)御難義。 00010420M5/返魂丹(はんこんたん)でもお用ひ被成ますか△Sハイ。はらをなでゝ見て、 00010430M6/小(ちいさい)のを一/粒(りう)ごむしん申ふ 00010440¥N46¥J 00010450¥X○雷 00010460M9ゴロ+ピシヤ+++。万吉よ。お/雷(かミなり)がおなり被成 00010470M10る。そこに居て/臍(へそ)をつかまれるな。はやく内へ行ツて、/蚊(か) 00010480M11屋の(三十オ)中へはいつて、おとなしくして/居(い)ろ。万吉、 00010490M12やかて内へかけ/込(こミ)、かゝさん。かやを/釣(つゝ)てくんねへ。Sば 00010500M13かめ。かやハナ、/質(しち)やへかしておいたハ△Sそんなら、い 00010510M14ぶしてくんな 00010520¥N47¥J 00010530¥X○いきすぎ 00010540M17/医(い)者、ひもじさのあまり人目に(三十ウ)はじず、/柿(かき)を丸ツ 00010550M18かぢりにしなから行く。/向(むかう)から出入り場のばんとう来るを 00010560M19見付ケ、とつぱくさして、ふところへ入るを見て、くるし 00010570M20うない。おかぶりなさい 00010580¥P34 00010590¥N48¥J 00010600¥X○下手/将棊(せうぎ) 00010610L3上/州(しう)たてばやしのほとりに、/打(うち)(三十一オ)/続(つゞ)くながあめに 00010620L4ふりこめられ、つれ※のあまり、せうぎの/相(あい)手を/乞(こい)けれ 00010630L5ば、所のもの一両人来りてさしけるに、江戸もの、相手か 00010640L6われどぬしかわらす、何番させども手ハ出ず。これ御亭主 00010650L7ヤ。今見へられた人※ハ、(三十一ウ)定て此/土(と)地でのゆび 00010660L8おりであろうの。Sいや、さしならひでござります△Sは 00010670L9てな。もつと/弱(よは)ひのがあらば、よんで下され△Sイヱ、も 00010680L10ふござりませぬ△Sはて、不/自由(じゆふ)な所だ 00010690¥N49¥J 00010700¥X○手足の論(三十二オ) 00010710L13/膝(ひざ)の上へ手をふだんあげる故、/足(あし)うるさがる。手のいわく、 00010720L14兄弟にたとへてみれば、おれハ上ミに有ゆへ/兄(あに)だハ。おれ 00010730L15がなければ、/商(あきない)も出/来(き)ぬ。Sそふ手前勝手斗をいふな。此 00010740L16足がなければ、商に出る事もなるまい。Sそふいへば、是 00010750L17ハ(三十二ウ)五/分(ぶ)+よ。今日の/露命(ろめい)をつなぐ/食(しよく)もつハ、 00010760L18口へ足ではこばれるか。足も此一/言(ごん)に/返答(へんとう)なく、よし+。 00010770L19くそをふんづけてふかせう 00010780¥N50¥J 00010790¥X○/鉄鉋(てつほう) 00010800M3聞て下され。今日四ツ/谷(ヤ)を通りしに、/耳(ミヽ)のきわにて、ぽん 00010810M4と(三十三オ)いふ/音(おと)に、きもをつぶしました。それハ鉄鉋 00010820M5であろう。Sいや、此咄ばかりハほんだ 00010830¥N51¥J 00010840¥X○/土(つち)のわかれ 00010850M8上総の/在(ざい)に、高サ十四五/間余(けんよ)の松と、三/抱(かゝ)へほとのひのき 00010860M9と、数年夫婦のちきりをこめしに、今度(三十三ウ)松ハ/芝= 00010870M10居(しば=い)より所望のよし。/桧(ひのき)ハ御屋敷より御用なれば、両木枝に 00010880M11なミだをしぼり、しよせん/死(し)なばもろとも、人手にかゝる 00010890M12も残念と、なむあミだぶつと云なから、/足先(つまさき)へ/鍬(くハ)をつきこ 00010900M13む(三十四ノオ) 00010910¥N52¥J 00010920¥X○肴売 00010930M16つかぬはなしだが、つかさといふ/字(じ)ハどふ/書(かく)の。Sされば 00010940M17の。おらが/師匠(しせう)にハない字だ。アレ+、むかふを通る肴 00010950M18売が大イの/学(かく)者だ。呼て聞ふと、さかなやをよび込ミ、喜 00010960M19八どの。つかさといふ(三十四ノウ)字ハどふかくの。そ 00010970M20れハこふいふ字さ。どふいふ字だの。S/言(ことば)にてハちといゝ 00010980¥P35 00010990L1にくい。こふさ。/同(おなしく)といふ字を/片(かた)身おろして、/骨(ほね)付キのほ 00011000L2ふさ 00011010¥N53¥J 00011020¥X○まんぢう 00011030L5客、/仲(なか)町へあがり、芸者大/勢(せい)(四十オ)/呼(よぶ)。是ハ/伴公(ばんこう)さん。 00011040L6おひさしぶりともてはやされ、/酒宴(しゆゑん)のさい中、ばんこう、 00011050L7たもとよりまんぢうを取出し、壱つニ壱両つゝ小判をさし 00011060L8こミ、きの替た肴が出来た。ちと上戸へハ/向(むく)まいのといわ 00011070L9れ、/牽頭(たいこ)ども口を(四十ウ)そろへ、下戸のやくも勤ます。 00011080L10ハテナ、こまつた事には、ばん公がそろばん違ひで、人数 00011090L11よりまんぢうがすくなひ。なんでも/月代(さかやき)そつているものに 00011100L12斗リとらせう。しかしミななじミなれバ、あかるくてハ/遣(ヤ) 00011110L13らぬものへきのどくと、/燭台(しよくたい)(四十一オ)ふきけし、それや 00011120L14るぞと、あたまをなでゝハ、それ、にしきのまんぢう壱つ。 00011130L15中にさかやきのはへたやつ、もらわぬも残念と、/尻(しり)をまく 00011140L16つてさかさまに出ス。ばんこうなでゝ、それ、弐つ 00011150¥N54¥J 00011160¥X○船(四十一ウ) 00011170L19/近在(きんざい)/船(ふね)寄合、きけば、親舟が/永代(ゑいたい)橋へつきあたり、どうぼ 00011180L20ねをつきぬいたそふな。それゆへ、親船も手を負たそふな。 00011190M1永代どのにハ往来にせハに成から、きのどくでみまいにも 00011200M2行キにくい。どふそ中直りをさせたい(四十二オ)ものだな 00011210M3どゝ咄し/居(い)る処へ、/釣(つり)船行キあはせ、これ+、そふくろ 00011220M4うにさつしやるな。きのふから/平船(ひらだ)がわたりをつけた 00011230¥N55¥J 00011240¥X○盗人 00011250M7隠居の/庵(あん)へ/盗人(どろぼう)はいる。いんきよ目をさまし、小/蔵(ぞう)よ。盗 00011260M8人が(四十二ウ)/来(き)た。/追(おい)出してやれよ。S小蔵、/夜着(よき)引ツ 00011270M9かぶり、今のハ犬でござります。S盗人、わん+と/云(いふ)。 00011280M10又/音(おと)がするぞ。あれハねこで御座ります。S盗人、にやア 00011290M11ウと云。小蔵よ。戸をあける音がするぞ。あれハ/獅子(しゝ)で御 00011300M12座ります。(四十三オ)盗人、ひやろひゝ。小蔵、よぎの袖 00011310M13から顔をつんだし、盗人さん。跡で茶わんのきよくをおた 00011320M14のミもふす 00011330¥N56¥J 00011340¥X○/田舎(いなか)もの 00011350M17田舎もの、女郎/買(かい)に行キ、はや/床(とこ)へまわり、モシぬしやあ、 00011360M18お名あ(四十三ウ)/千山(せんざん)さんとや、でかばちねへ家のせんせ 00011370M19ゑだあから、ごてへそうな名もそふあふだ。おめへのはだ 00011380M20は、雪に/似(に)申た。Sヲヤ、ばからしうありんす。なぐさミ 00011390¥P36 00011400L1なんすのかへ。/黒(くろ)ふありんすよ△Sいやア、/色(いろ)の事ハいゝ 00011410L2申さぬ。げへにつめてへといふことさ(四十四オ) 00011420¥N57¥J 00011430¥X○/愚(おろか) 00011440L5お袋、息子がそはへ行キ、そなたハ此日のみぢかいのに、 00011450L6たばこ斗リのんで居ていゝか。Sそのよふにおつしやらぬ 00011460L7もので御座ります。/追(おし)付てうせん人/来朝(らいてう)。其時こそたはこ 00011470L8の/呑(のミ)ツくらに召出さるゝ(四十四ウ)/稽古(けいこ)の為で御座ります 00011480L9Sヲヽそふとハしらなんだ。あまり人にハはなさぬが/能(よ)ひ 00011490¥N58¥J 00011500¥X○大食 00011510L12/夷講(ゑひすこう)に/盛(もり)付られ、のつつそつつ、はらをかゝへて帰るミ 00011520L13ちにて、おたすけなされて被下ませ。きのふ(四十五オ)か 00011530L14ら/給(たべ)すにおります。どふもひもじくて成ませぬ。Sそれハ 00011540L15うらやましい 00011550¥N59¥J 00011560¥X○/教訓(きやうくん) 00011570L18不/孝(こう)なる息子、かんどふせんと/立腹(りつふく)/最(さい)中の処へ、/読(よミ)ものゝ 00011580L19師/匠(せう)、中へはいり、御子/息(そく)のたましいをきたいなおしてし 00011590L20んぜうと、我宿へ/伴(ともな)ひ(四十五ウ)行キ、これ、能く/聞(きか)しや 00011600M1れよ。/父(ちゝ)の/恩(おん)ハ天のごとし。/母(はゝ)の恩ハ地のことし。親程大 00011610M2切なものハないなどゝ/教訓(きやうくん)最中、/格(かう)子のそとにて、たれや 00011620M3らたゝずミ、いま+しい。親ゆへに大キナそんをした。 00011630M4あゝうるさい親にハこまるぞ。師匠、にが+しき顔にて、 00011640M5/悪(わる)ものめが(四十六オ)/異見(いけん)の水をさしに来たよと、かうし 00011650M6よりのぞきみれば、いも/売(うり) 00011660¥N60¥J 00011670¥X○糞 00011680M9/闇(やミ)の/夜(よ)に、何やらぐにやとふミつけ、くそか/泥(どろ)かわからぬ 00011690M10折ふし、/向(むかう)£てうちん/来(きた)ル。是さいわいと、/懐(ふところ)より銭を 00011700M11出し、てうちんの/側(そば)へ行キ、なめ(四十六ウ)なら/糞(くそ)だぞ 00011710¥N61¥J 00011720¥X○ろくろ/首(くび) 00011730M14本所へ/美(び)成ろくろ首が出るといふ事だが、うそかほんか、 00011740M15見/届(とゞけ)に行ふでハないか。こりやおもしろい。今から行ふと、 00011750M16三升/樽(たる)をさし/荷(にな)ひ、大/盃(さかつき)を小/脇(わき)にかい/込(こ)ミ(四十七オ)(四 00011760M17十七ウ・四十八オ挿絵)本所さして/急(いそき)行く。頃は極月、寒気し 00011770M18のきかたく、なんと金兵衛。おし付八ツで有ふ。まづ/寒(さむ)さ 00011780M19しのぎに一ぱい/呑(のも)ふでハ有まいか。そふもしよふと、樽を 00011790M20/開(ひらき)、酒/最(さい)中、向より十七八の美成娘、しづ+とあゆミ来 00011800¥P37 00011810¥G(四十七ウ・四十八オ) 00011820M1る。/綱(つな)平ヤ。いゝ肴が/来(く)るぞ。あれがかのなら、(四十八ウ) 00011830M2おせんもはだしだなどゝ/云(いふ)処へ、かの娘、二三/間(けん)/向(むかふ)へすわ 00011840M3り、ちと、おあいいたしませうと/首(くび)をのばす。これハ+ 00011850M4ねかふに/幸(さいわひ)。さあ+と、大盃へなミ+つぐ。娘、有か 00011860M5たしと、ぐつと引かけ、あゝ、いゝきミでござんすと、 00011870M6のどをなでる。Sこれハうら山しい。ひとしほ/楽(たのしミ)が(四 00011880M7十九オ)ながひ△Sアイ。そのかわりに、おからを/給(たべ)る時の 00011890M8づゝなさ 00011900¥N62¥J 00011910¥X○/宗旨論(しうしろん) 00011920M11大/勢(ぜい)あつまり、なんと、今での/出家(しゆつけ)ハ、なに宗で有ふ。御 00011930M12/門跡(もんせき)様サ。イヤ、かたはらいたや。日本一チにならびなき 00011940M13/日(にち)様をわすれたか。(四十九ウ)イヤ、此ながじゆつめが。 00011950M14いわせて/置(おけ)バほふずがない。/源(ミなもと)の/浄土(ぜうど)のかミ様をしらぬか 00011960M15などゝ水かけろんの中へ、寺まちのうなぎや/罷(まかり)出て、おの 00011970M16+方にハ身方ミぐるしい/評(ひやう)の付よふ。どなたがどふ仰ら 00011980M17れても、/禅宗(ぜんしう)ほどかたく、有かたひ/宗(しう)(五十オ)/旨(し)ハ御座る 00011990M18まい。S座中口をそろへ、なぜ+。Sハテ、かばやきが 00012000M19/現(げん)金だ 00012010¥P38 00012020¥N63¥J 00012030¥X○/庇(へ(ママ)) 00012040L3初/会(くわい)の/床(とこ)にて女郎、ぶいとのしそこない。S客こりやたま 00012050L4らぬ/匂(におい)だ。おゆるしなんし。此おならには(五十ウ)/訳(わけ)が有 00012060L5んす。わたしが母、/十死(ぢし)一/生(せう)の時、/毎(まい)月一/度(ど)つゝ御/客(きやく)のま 00012070L6へで/恥(はぢ)をかきんせうと、/観音(くわんのん)さんへ大/願(ぐわん)をかけんしたとい 00012080L7ふ口のしたから、又ぶいとのしそこなひ。ヲヤうれし。来 00012090L8月分も/仕廻(しまつ)た 00012100¥N64¥J 00012110¥X○身なげ(五十一オ) 00012120L11両/国(こく)の/橋(はし)番呼ひ付られ、/毎(まい)ばん橋のうへから身をなげるそ 00012130L12ふだが、なぜ気を/付(つけ)ぬ。今/夜(や)からずいぶん、きをつけろと 00012140L13きめつけられ、扨其/夜(よ)より、のミ取りまなこにて、ゆだん 00012150L14せざる処に、くせもの/来(きた)りて、らんかんをくゞる所を、/番(ばん) 00012160L15人、うしろ(五十一ウ)から、むづとくミ、/毎(まい)ばんの身なげ 00012170L16ハ、おのれであろふ 00012180¥N65¥J 00012190¥X○竹田 00012200L19竹田/近江(あふミ)が/宅(たく)へ日待にまねぎ、はや客も/揃(そろ)ひしかば/膳(ぜん)を出 00012210L20し/置(お)き、近江罷出、扨何ぞ御ちそうとそんじ、少の/細工(さいく)を 00012220M1(五十二オ)お目にかけますと/云(いゝ)、勝手の方へ扇をひろげて 00012230M2さしまねぎければ、客/銘(めい)+へ/平(ひら)、/烈(れつ(ママ))をたがへすあゆミ出、 00012240M3膳の前へ直る。/客人(きやくじん)、何よりの御ちそう。きめう+と/誉(ほむ) 00012250M4る声、風波戦音にひとし。時に/平(ひら)壱つ、座/中(ちう)にとゞこふり 00012260M5て(五十二ウ)うごかず。近江、はしりよつて/蓋(ふた)をあけて見、 00012270M6ぜんまいも有り、ヲヽ其はづ。/油揚(あぶらげ)が/落(おち)た 00012280¥N66¥J 00012290¥X○/腰元(こしもと) 00012300M9/美(うつく)しき/殿(との)様に、こしもと心をかけて居れとも、誠に/蚫(あわび)の/貝(かい) 00012310M10の/片(かた)思ひ、日&に思ひハますかゞミ。(五十三オ)有時殿様、 00012320M11御/風邪(ふうじや)にて御/床(とこ)につかせらるゝ。かの腰元、お薬を持行キ 00012330M12差上ければ、殿、薬茶わんをいたゞき給ふ。Sこしもと、 00012340M13ゑミをふくミ、奥様が御/覧(ろう)じたら、おやきもち 00012350¥N67¥J 00012360¥X○嶋台 00012370M16祝義にちとしさいらしいか、嶋/台(だい)を(五十三ウ)/遣(やろ)ふと思ふ 00012380M17が、どうせう。S御無用+。嶋台ほど、しつくわいなも 00012390M18のハござらぬ。其わけハの。先ツ台の上に松が有ルハ。そ 00012400M19れ、そのそばに竹か△Sヲヽ△S其/下(した)に亀がいるハ、ヲヽ。 00012410M20Sうへの/鶴(つる)が亀のつらをじろ+ながめ、/流(なかれ)の水にあそび 00012420¥P39 00012430L1なから、万年/生(いき)るとハうら山しい。(五十四オ)おれハたつ 00012440L2た千年かと、心の内のかなしさハ 00012450¥N68¥J 00012460¥X○大/文字(もじ) 00012470L5大文字の筆にて、文を書て居る。もし、其/大(たい)字ハ屏風へで 00012480L6も/張(は)りなさるのか。Sコワばからしい。文で有んすよ△ 00012490L7Sそんな文ハ/釈迦(しやか)一代(五十四ウ)此かた見やせぬ。あふか 00012500L8た/大(たい)そうな御/無心(むしん)で有ふ△Sなあに、御きやくがつんぼだ 00012510L9から 00012520¥N69¥J 00012530¥X○/薮医(やぶい) 00012540L12/盗(ぬす)人がはやる。どふぞ/殺(ころ)して仕廻ツたら、おたやかて有ふ。 00012550L13/随(ずい)分/昼夜(ちうヤ)にかぎらす、御用心被成まし。今/横(よこ)町で(五十五オ) 00012560L14見かけたから、おし付/爰(こゝ)へ/来(こ)よふもしれぬと、/番太(ばんた)がふれ 00012570L15てあるくを、薮中龍ちく、是を聞キ、むつくと/起(おき)、薬箱よ 00012580L16り/匕(さじ)をいだし、しやにかまへて居る。S弟子おわきざしを 00012590L17あげませうか。はて、いらざる世話さ。此さじにハ覚があ 00012600L18るて(五十五ウ) 00012610¥N70¥J 00012620¥X○三人兄弟 00012630M1兄弟三人なから/夜(よ)あそひに出、母、親父のきびしきをいと 00012640M2ひ、どらどもがはやく帰ればよひに。親父どのが又おこら 00012650M3しやろうとあんずる所へ、/弟(おとゝ)が帰る。Sおのしハどこへ/行(いつ) 00012660M4た。/謡講(うたひこう)に参りました△Sなに、謡でハ(五十六オ)おじや 00012670M5るまい。又/二男(じなん)、のろりと/戻(もど)る。Sコレ、もふ何時だとお 00012680M6もやる。九ツをうちましたハ△Sハイ。けんくわの中へは 00012690M7いりまして、手間を取りましたと、あちら/向(むい)て/舌(した)を出す。 00012700M8S何、けんくわでハおじやるまい。又そふれうの甚六戻ル。 00012710M9母、目をむきたし、おのれが身持が(五十六ウ)わるひから、 00012720M10弟がまねをする。今迄とこに居やつた。もふ親父どのに知 00012730M11れても、そせうハせぬ。S御尤て御座りますが、友達のつ 00012740M12き合で、唯今迄/吉原(よしわら)におりました△Sハテナ、そふでハお 00012750M13じやるまい 00012760¥N71¥J 00012770¥X○/釣(つ)り船(五十七オ) 00012780M16大/店(たな)の手代、女郎/買(かい)をもよほし、ちよき船に/乗(の)り、新/地(ち)の 00012790M17はなを通り、釣り船を見て、あんなおもしろくもないたの 00012800M18しミをゆふ+として居る。あの/隙(ひま)をわしにくれいで、ち 00012810M19よんのまあそびでハたんのうせぬさかい、などゝはなし/行(ゆく)。 00012820M20S釣り船(五十七ウ)のじやん+手合聞キ付、あんまり安 00012830¥P40 00012840¥G(五十九ウ・六十オ) 00012850M1くするな、おしつけ、うぬらも釣り/好(すき)になろう 00012860¥N72¥J 00012870¥X○天/人(にん) 00012880M4国侍二人リ/連(つれ)にて観音へ参り、さあ+/拝(おかミ)給へ。まん中の 00012890M5がくわんのん様かの。そふさ。右のわへ。あれハ大日様。 00012900M6(五十八オ)左のハせいし様。ハテネ。天/井(ぜう)の天人のすがた 00012910M7を見付ケ、あれ、あの観音様おもはゞからす、/寐(ね)ころんて 00012920M8居る女ハ、なんでござるな。Sあれか。あれハ/豊後(ぶんご)ぶしよ。 00012930M9そふいわしやつてハのミこめぬ。Sハテ/野暮(やぼ)め。ことかい 00012940M10なあの御/姿(すがた) 00012950¥N73¥J 00012960¥X○/年越(としこし)(五十八ウ) 00012970M13去る所に/浪(ろう)人者有りける。年越のことぶき、まづ/赤(あか)いわし 00012980M14ハ手まへもの、/門(かど)口へさすにも不及。是ハヨシト、扨/豆(まめ)を 00012990M15買銭がない。しよせん/近所(きんじよ)のまへもあれば、豆をまかずに 00013000M16も/置(おか)れまい。ハテどふしたもので有ふと、しあんをめくら 00013010M17し、よきくふう有と、(五十九オ)(五十九ウ・六十オ挿絵)きらず 00013020M18をいり、/鬼ア外(おにやあそと)、/福(ふくあ)内とまきければ、ゑんの下から、びん 00013030M19ぼう神の子おどり出、/雪(ゆき)こん+よ 00013040¥P41 00013050¥N74¥J 00013060¥X○浪人 00013070L3/木(この)落猿右衛門と云浪人有ける。あまり/横平(あふへい)なるゆへ、大屋 00013080L4のいふ。貴公の物/云(い)ひ、きゝくるしい。(六十ウ)むかし二 00013090L5百/石(こく)取ツたりとて、今のやくに立つものにあらず。壱/間(けん)店 00013100L6そふおふに、ものを/云(い)ふが能ひ。ちとたしなミ給へと/突(つゝ)こ 00013110L7まれ、S御心入れ忝ひ。身どももあながち、しさひらしき 00013120L8しよぞんでハござらぬが、/横(おふ)平に/云(いわ)ねバ、/乞食(こじき)とまがひま 00013130L9す(六十一オ) 00013140¥N75¥J 00013150¥X○/貞髪(ていはつ) 00013160L12/和尚(おせう)、品川へ通ひそめ、たま+/仏(ほとけ)がとれても/弟子(でし)坊主の 00013170L13/引導(いんどう)でまをあわせ、/己(おのれ)ハ日&の女郎ぐるひ。すた+/高輪(たかなわ) 00013180L14さして行く道ニて、地主の/尼君(あまきミ)にでつくわす。Sこりや、 00013190L15おまへハ/出家(しゆつけ)ににやわぬ/売(ばい)女くるひか。(六十一ウ)どふりで、 00013200L16わたしが/所(とこ)へハ御出がない△S和尚、あたまをかき、それ 00013210L17でもおまへハ/落髪(らくはつ)なされたから、いつものてうしに、たわ 00013220L18むれも成まいとぞんじ、さしひかへました。Sそふおつし 00013230L19やつたが能ひのさ。心まで/尼(あま)にハなりませぬ(六十二オ) 00013240¥N76¥J 00013250¥X○大/根(こ)売 00013260M3はつ/鰹(かつを)のおごりに、客、大/根(こ)おろしの所望。折ふし大根売 00013270M4来るを呼込ミ、此大根ハおれがものより/細(ほそ)ひと云ふ。大根 00013280M5売りはらをたち、おめへのものがどのよふな/道具(どうぐ)だとて、 00013290M6此大根よりふとくハ(六十二ウ)有ルまい。S亭主そんなら、 00013300M7/掛(かけ)にしよふ。もし此大根よりふとくハどふする△S酒を/買(か) 00013310M8ひませう。わしが/勝(かつ)たら、弐百たゞ/鳥(とり)山だよ。あふ/合点(がつてん)と、 00013320M9くらべて見た/処(ところ)が亭主のかち。大根売もきやうをさまし、 00013330M10一/言(ごん)の/言(ことば)もなし。女房立出、大根やどん。(六十三オ)ばかも 00013340M11のにかまわしやるな。大キにむだなひまをつうやしたの。 00013350M12その/替(かわり)に、とうなすでも/持(もつ)てござい。Sまた、きん玉とく 00013360M13らべるのか 00013370¥N77¥J 00013380¥X○/法印(ほういん) 00013390M16/狐付(きつねつき)/即(そく)座に/落(おと)す事/請合(うけやい)と/云(いふ)/看板(かんばん)、/門(かど)口へかけければ、たれ 00013400M17いふとなく、(六十三ウ)/去(さ)る/金持(かねもち)の/耳(ミヽ)へ/這入(はいり)、/早速(さつそく)頼に来 00013410M18る。法印、してやつたりと、百両に/直(ね)段を定、其夜近/在(さい)へ 00013420M19趣、狐壱疋/求(もとめ)来り、/召仕(めしつかい)の親/仁(じ)に申付ルよふハ、此狐を/挾= 00013430M20箱(はさん=ばこ)に入れ、供いたすべし。/先(さき)にて、きつねつきに/向(むか)ひ/祈祷(きとう) 00013440¥P42 00013450L1/最(さい)中、此狐を/奥(おく)の方へ/追(お)ひ(六十四終オ)/放(はな)すべし。さすれ 00013460L2ば、狐はなれしと一ツぱいはめる/算(さん)用。ナ、心へたるかと 00013470L3いゝふくめ、金持の所へ趣キ、しやくぜうふりたて、顔 00013480L4より/瀧(たき)のごとくの/汗(あせ)を/流(なが)す。/供(とも)、/時(ぢ)分ハよしと、挾箱のふ 00013490L5たを取ツて見た処が、狐ハ/死(しん)で/居(い)る。奥へ/遣(や)らずにも/置(おか)れ 00013500L6まいと、/勝手(かつて)へ/廻(まわ)り、モシ、お/盆(ぼん)を御/借(かし)被成レませ(六十四 00013510L7終ウ) 00013520¥Q 00013530L11/楽牽頭(がくだいこ)△△初編 00013540L12/座笑産(ざせうミやけ)△△二編 00013550L13/近目貫(きんめぬき)△△三編 00013560L14/蝉(せミ)の/聲(こへ)△△近刻 00013570L16△△△△江戸伊勢町 00013580L17△蘭秀堂△笹屋嘉右衛門板 00013590¥P43 00013600¥U噺本大系△第九巻 00013610¥T/軽口(かるくち)/大黒柱(だいこくばしら)〔題簽〕 00013620¥G 00013630¥Y 00013640L16安永二年正月刊 00013650L17舞蝶亭一睡序・画 00013660L18京△小幡宗左衛門板 00013670L19半紙本五巻五冊 00013680L20東大国語研究室蔵 00013690¥Y序 00013700M3/軽(かる)口といふ物ハ、/尋常(たいてい)の物でなし。一に/色(いろ)めく/噺(はなし)には、/婆(ばゝ) 00013710M4も/皺(しハ)を/延(のバ)したる、/鼻毛(はなげ)もいとゞ永き日の、御/伽(とぎ)の/初(はつ)物/新(あたらし) 00013720M5ひをしやうくわんに、一/盃(ぱい)くわすか、くハされ(一オ)たか、 00013730M6/角(かど)の取レたる丸/頭巾(づきん)、大黒/柱(はしら)の/太(ふと)ふて長ふ心地よひ、/噺(はなし)の 00013740M7/緒(いとぐち)引だすと、/自慢(じまん)の/鼻(はな)も高てうし、ひこ+として、ご 00013750M8さつた+ 00013760M10△△△めてたき△△△△△△△△△舞△蝶△亭 00013770M11△△△△△春の日△△△△△△△△△△△△一睡 00013780M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一ウ) 00013790¥P44 00013800¥T1軽口大黒ばしら巻之一 00013810¥N1¥J 00013820¥Xまけをしミ 00013830L5モノモ、けしま屋けい兵衛、御礼申ます。ハア、/忝(かたじけ□)ふござ 00013840L6ります。ヤア、けい兵衛もわせた。/我等(われら)も出かけふ。/嚊(かゝ)、 00013850L7/上下(かミしも)たも。ヲヽどれ+、アヽめでたいな。よし+、い 00013860L8てこふぞや。アイ+。アヽ申+、おまへもそゝふな。 00013870¥G(五オ) 00013880M1はかまのこし/板(いた)が、まへに成て有じやないかひな。(二オ) 00013890M2ヨウ、なにぬかす。まだうしろへまハさぬのじやわひ 00013900¥N2¥J 00013910¥X/知(しつ)た顔 00013920M5/何(なに)が正月ハ/殊(こと)さら/貰(もらい)もおゝく、/乞食(こじき)、ものもらいさへ、ゆ 00013930M6つくりとした事、/貰(もらい)だめを七八升引かたけていて、さる米 00013940M7屋をさしのぞき、米ハいらぬかな。ヤア米屋へ米うるとハ。 00013950M8ムヽはらいまいか。どれ+、ハア(二ウ)したが、こいつ、 00013960M9けぶな米じやわい。ヤアおやかた、けぶなとハ。サア、モ、 00013970M10どこ/米(まい)やら、ねからしれぬ。イヤサ、しれてある。大こく 00013980M11/米(まい)じや 00013990¥N3¥J 00014000¥X/十種香(じしゆかう) 00014010M14/若(わか)旦那、かねて十しゆ/香(がう)をけいこしたいとおつしやるさか 00014020M15い、すしむかいの十右衛門殿に、ふとはなしたら、心やす 00014030M16い事じや。(三オ)/晩(ばん)にでも見へるなら、ついおしへてやろ 00014040M17といわれました。ヤアそれハ/幸(さいわ)ひ。したが、そふ心やすふ 00014050M18ハゆかぬはづしやと思ひ+、すぐに/向(むかい)へ行、礼をいへば、 00014060M19十右衛門、ホウ、よい御心がけ。ヤ、モ、なんでもないも 00014070M20のじや。先初めの十日が一二九十ハ九九六六しやとハきつ 00014080¥P45 00014090L1いまちがい 00014100¥N4¥J 00014110¥X日月の/生洲(いけす)ゆき(三ウ) 00014120L4御日様と御月様が、さて+いそがしい事じや。ちと気ば 00014130L5らしに、一/盃(ぱい)/飲(のミ)にいこふで有まいか。よござんしよと、お 00014140L6二人づれ、/生洲(いけす)の/扇(せん)長へ御出なされける。何が大事の御/客(きやく) 00014150L7ゆへ、/料理(りやうり)ごしらへ、大きにひまいるうち、日がくれかゝ 00014160L8る。お月様が、ヲヽせわし。/役(やく)まへじや。わたしやでにや 00014170L9ならぬ。御日様、これで御ゆるりとへ。ヤア日がくれたに、 00014180L10貴様斗やつてハ(四オ)心もとない。そんなら、おれもいこ 00014190L11ふと、/沙汰(さた)な/((し脱カ))に/座敷(ざしき)を/立(たつ)て帰り給ふ。引ちがへて、/亭主(ていす) 00014200L12/料理(りやうり)こしらへ、座敷を見て、ヤアいつのまにやら。アヽ、 00014210L13月日のたつハはやい物じやなア 00014220¥N5¥J 00014230¥X/若後家(わかごけ) 00014240L16下の町の/白粉(おしろい)屋のごけめハ、けよといもんじやないか。サ 00014250L17レバうまい物じやが、あれや二つ三つ(四ウ)(五オ挿絵)物 00014260L18いふと、つい/相談(さうだん)ができるといふうわさじやが、/誠(でう)かい。 00014270L19イヽヤ、かぎじや 00014280¥N6¥J 00014290¥X/足袋(たび)のすいもの 00014300M3/親(おや)子づれにて、町内の家ぶるまいより帰り、おやじ、/奥(おく)の 00014310M4間にねころんでいて、/兄(あに)よ、あの二度めにハ、はねたすい 00014320M5物だしおつたじやないか。ハイやも、ぬら+して、どつ 00014330M6とせぬ物てござりました。ムヽわれ/し((もカ))そう思ふか。じたい、 00014340M7(五ウ)あのづる+した物ハなんじやい。息子あら、おま 00014350M8へ、/知(しれ)た事。うんさいでござりますわい△おやじムヽ/成程(なるほど)、 00014360M9うんさいじやあろと思ふた。したが、/濃柑子(こいかうじ)よりハかるふ 00014370M10てよいといふた 00014380¥N7¥J 00014390¥X/雨中(うちう)のきせる 00014400M13ヤこれ喜八。貴様のたばこの/飲(のミ)やうハ、さりとハ見ぐるし 00014410M14い。/鴈首(がんくび)うつむけてのんでいるが、第一/灰(はい)が/落(おち)てわるい。 00014420M15ちと気を(六オ)つけや。ムヽ是か。いや+/合点(がてん)じや。こ 00014430M16いつ、けよとい/利方(りかた)なのミやうじや。たとへバ/俄(にわか)に/雨(あめ)がふ 00014440M17る。そりや/洗濯(せんだく)物といれ。ヲツトといふて、くわへながら 00014450M18といれる。なんぼふつても火がきへぬ。なんとしこいか。 00014460M19ハアヽしたり。おれにも一本/買(こふ)てたも 00014470¥Y1一之巻終△(六ウ) 00014480¥P46 00014490¥T1軽口大黒はしら巻之二 00014500¥N1¥J 00014510¥X/謎解(なぞとき)の名人 00014520L5さる所の/旦那(だんな)、/殊(こと)の外/謎(なそ)をすかれしが、又/好(すき)の道ゆへか、 00014530L6いか成入くんだ六ケしい謎にても、とかずと云事なく、手 00014540L7代をはしめ出入の者、何とぞこまらさんと、いろ+/工夫(くふう) 00014550L8をこらしけれど、中+かなふ物にあらず。/或(ある)時久三が、 00014560¥G(四オ) 00014570M1申+旦那様。/少(ちと)六ケしいやつをあげましよ(一オ)かい。 00014580M2アヽわいらが/謎(なそ)は聞におよばすと、取あわねバ、イヤ、ま 00014590M3あ+御/聞(きゝ)なされませ。おそらく/解(とけ)ますまい。何をぬかす 00014600M4やら。よいは。一つ/聞(きい)てやろか。ハイ。先/頭(あたま)が二つ、足が 00014610M5十九本、手が四本、/臍(へそ)が七十九、/尾(を)が三すじ、/眼(め)が十七、 00014620M6はねがはへて/飛(とぶ)事の/叶(かな)わぬ、/歩(あるく)事のはやい物なアに。さし 00014630M7もの旦那、さま+工夫をこらせど解ず。テモ口おしい。 00014640M8どうぞ/解(とき)たいもの(一ウ)じや。久三なんとして+△旦那 00014650M9どうも叶わぬ。エヽあげざ成まい。マア/何(なん)と/解(とく)そい△久三 00014660M10/妖物(ばけもの)じや 00014670¥N2¥J 00014680¥X/夢(ゆめ)いわひ 00014690M13サヽようおじやつた。/幸(さいわ)いの所、よびにやろと思ふた。一 00014700M14/盃(ぱい)のんでたも。ホウ/忝(かたじけな)ひ。なんとおもふて。イヤ、/祝(いわ)ひ 00014710M15/事(こと)しや。ホウ、そりやめてたい。/金(かね)でもひろふたか。イヤ、 00014720M16ミたわい。(二オ)/何(なに)をい。ゆめをいやひ。ムヽ/夢(ゆめ)ミて酒も 00014730M17ろなら、おいらは一年中もりつゝけじや。サアわいらがミ 00014740M18るあくた/夢(ゆめ)とハ/違(ちが)ふ、けよといやつをミた。ヨウ何をミた。 00014750M19/胡瓜(きうり)を見た。ヤア、アノ/胡瓜(きうり)が、それ程けつかうな夢かい。 00014760M20アヽ、われもたしなめ。/文盲(もんもう)な。/昔(まへ)からもいふ/通(とを)り、一/富= 00014770¥P47 00014780L1士(ふ=じ)二/鷹(たか)三、へエちがふた 00014790¥N3¥J 00014800¥X/我(わが)ものなし(二ウ) 00014810L4宮川町に/狸(たの)吉といふ/影子(かげこ)、はれなざしきへ行とて、/傍輩(ほうばい)の 00014820L5太夫子の/下着(したぎ)をちやくし、/上着(うハぎ)も帯も/羽織(はおり)も、一しき人の 00014830L6物にてすましけれバ、/親方(おやかた)が、そちが物といふハ、/指似(ちんぽ)ば 00014840L7かりじや。それのけては、ミな人の物じや。/狸(たの)吉、ぬから 00014850L8ぬ/顔(かを)で、イヤ、ちんぽもわたしがのじやないそうな。親方 00014860L9なせに。サアイナ、此中も御/客(きやく)様が、そなたのちんぽは 00014870L10(三オ)/馬(むま)のじやてゝ 00014880¥N4¥J 00014890¥X一を/聞(きい)て十をしる 00014900L13ヤイ+、こりや/杉(すぎ)よ。其/松茸(まつだけ)、どこへ/納(とつ)ておく。ハイ、 00014910L14/鼠(ねづミ)がたべますとわるいさかい、/米(こめ)がら戸へ入ておきます。 00014920L15旦那たわけめが。米/櫃(からと)へ入てたまるものか。外のとこへ/収(とつ) 00014930L16ておけ。ハイ+、かしこまりました。そりや又、なぜ米 00014940L17がら戸へ入ませぬへ。まだそん(三ウ)(四オ挿絵)なうろた 00014950L18へた事ぬかす。松/茸(だけ)を米がらとゑ入るといなや、じきに/腐(くさつ) 00014960L19てしまうハやい。長吉が是を/聞(きい)て、ハヽア、そんで/褌(ふんどし)にのり 00014970L20をつけぬかい 00014980¥N5¥J 00014990¥X/祝(いわ)いなをし 00015000M3平三。貴様いかふ/顔(かほ)もちが/悪(わる)ひが、どこぞあんばいがわる 00015010M4いか。イヽヤ、どこもわるふもないが、おら、あほらしい 00015020M5/事(こと)じやが、とつと、どん(四ウ)な/夢(ゆめ)見て気にかゝる。ハレ、 00015030M6やくたいもない。そんな事ぐらいを。マア何を見た。サア 00015040M7/青石鰐(あをどかけ)と/班猫(はんめう)を一つにしてくたと、まざ+ミたが、三/毒(どく) 00015050M8をくたからは、おれハもう。アヽだんない+。/夢(ゆめ)はさか 00015060M9夢といふさかい、/毒(どく)をくたと見たら、てつきり/今年(ことし)中、/薬(くすり) 00015070M10のもといふ事じや 00015080¥N6¥J 00015090¥X/偕死(しんじう)の/評判(へうばん)(五オ) 00015100M13アヽようすつぱりとやりおつたな。サレバ/可愛(かわい)や、/銀(かね)づま 00015110M14りてあろ。イヤ+/鶸(ひわ)ちりめんに/黒(くろ)じゆすの/帯(おび)、/反古染(ほうぐぞめ)の 00015120M15/下着(したぎ)迄、そろいにしたからは、中+/銀(かね)づまりじや有まい。 00015130M16イヽヤ、あら/呉服(ごふく)やふんで、こしらゑおつた物じやなどゝ 00015140M17うわさとり※。去/田舎者(いなかもの)が、申+、/何(なに)かでごさますの 00015150M18よ。ヤア/心中(しんじう)ですわい。ハアヽ心中とは、あんたる(五ウ) 00015160M19物だかな。ヱヽこなわろハ。男と女がさし/違(ちが)へて/死(しん)だのじ 00015170M20や。ヒヤアあのそら、/敵(かたき)どしでこざるかよ。/夫婦(めうと)じやわい 00015180¥P48 00015190L1の。田舎ても/中(なか)の/悪(わる)ひめうとだのよ 00015200¥N7¥J 00015210¥X御寺の/漬(つけ)もの 00015220L4/狗子山(ゑのころざん)/彎&寺(わん+じ)から参りました。住持申ます。/時分(じぶん)がら、ゑ 00015230L5ろふ/寒(かん)じますが、どなたも御/堅固(けんご)で/残念(ざんねん)に存ます。こい 00015240L6(六オ)つは又/例年(れいねん)の通り上ケますと、さし出す/重箱(じうばこ)/芬&(ふん+)と、 00015250L7テモよい/色(いろ)なくきじや。御寺では、どう/漬(つけ)なされや、此や 00015260L8うなかげんになる。貴様しらぬか。ハイ、/何(なん)でも久しう/漬(つけ) 00015270L9て/置(おく)事と見へます。/圧石(おもし)に/書付(かきつけ)がしてござりました。ヤア 00015280L10+。ハイ、アヽたしか、/貞享(でうきやう)二年/乙丑(きのとのうし)八月廿九日と/彫(ほつ) 00015290L11てござりました 00015300¥Y1二之巻終△(六ウ) 00015310¥T1軽口大こく柱巻之三 00015320¥N1¥J 00015330¥X/刎題目(はねだいもく)の/食傷(しよくしやう) 00015340M5八/宗(しう)九/宗(しう)、いづれか/我(わが)法をおろそかにする人もなけれども、 00015350M6わきて/日蓮宗(にちれんしう)の行/者(じや)こそ、/他宗(たしう)にすぐれて、心から/底(そこ)から 00015360M7有がたがる事にぞ有ける。ある/歴&(れき+)の/隠居婆(いんきよば)様、/何(なに)がすぐ 00015370M8れた/堅法華(かたぼつけ)にて、/題目(だいもく)を/唱(とな)へるを、よそのやつが/聞(きい)て、ひ 00015380M9よいと/極楽(ごくらく)へうせを(一オ)るまい物でもない。いつその事、 00015390M10/題(だい)もくを一トのミにしてくれんと、/高祖(かうそ)様の御/題(たい)もくの/表= 00015400M11具(ひやう=ぐ)にせしを引めくり、くる+と丸めて、やにはに、ぐつ 00015410M12と/呑(のむ)やいな、アヽ+、いたゝ++。息子是ハしたり。 00015420M13なんとなされました。アヽハヽヽあゝくるしや。/食傷(しよくしやう)じ 00015430M14や。アヽ+。やあ+何をまいつて是ハ+。アヽお/題= 00015440M15目(だい=もく)を呑だら、/腹(はら)につつぱつて、アヽくるしや。息子がてん 00015450M16じやと、/近所(きんじよ)へ人(一ウ)をはしらし、/手伝(てつたい)/日庸(ひよう(ママ))七八人/呼(よび)に 00015460M17やり、サア+ミなのしゆ。/尻(しり)へまわつてもらをと云まゝ 00015470M18に、三/黄丸(わうぐわん)を一/抓(つかミ)程/白湯(さゆ)にてのませバ、/瀉(くだ)し薬の/奇特(きどく)、 00015480M19はやぐわら+と/鳴(なり)て、/尻(しり)へちつくり、/妙(ミやう)の/字(じ)の女へんが 00015490M20出るやいな、ゑたりと手伝、とび口打立、ヒンヨヱやあれ、 00015500¥P49 00015510L1天/満(ま)のてこじや、ゑひやらやア。アリヤ++。まて 00015520L2+、/蓮華経(れんげけう)のぴんとはねた/■(しにう)が、/尻(しり)の/穴(あな)へひつかゝつた。 00015530L3コリヤ+、(二オ)ヨヲイ、やるぞい、ゑいやら+。/婆(ばゝ) 00015540L4アヽいた++△手伝やんやら+ゑつさらさ△ばゞあ 00015550L5いた+。ゑいやらや。うづくハ+。よんやさア、/同音(どうおん) 00015560L6に、ヤレ+、ようよふと、だいもくが/出(で)た 00015570¥N2¥J 00015580¥Xうハばミ 00015590L9ある/時(とき)、/蟒(うハばミ)山道に/出(いで)て、人をくわんと思ひ、まちいける。 00015600¥G(四オ) 00015610M1それをしらずして、一人の/若(わか)き男通りけるを、何ンのくも 00015620M2なくぐつ(二ウ)とのミて、まひとりものミたき事と思ふ折 00015630M3ふし、うつくしき女、通りける。是ハいよ+うまさふな 00015640M4やつと、又ぐつとのミける。/腹(はら)の中にて、男と女とはなし 00015650M5するをきけバ、前かたのなしミの/客(きやく)と/女郎(じよらう)と、ひとつに/呑(のま) 00015660M6れたる也。しよせん、もとのせかいへ出てそハれぬからハ 00015670M7とて、/腹(はら)の中にて心中して死ける。うハばミいふやう、是 00015680M8ハどんなものを/呑(のん)でのけ(三オ)た。/屋敷(やしき)へことわりて、け 00015690M9んしの/衆(しう)を/呑(のま)ずバなるまいといふた 00015700¥N3¥J 00015710¥X/独(ひとり)べんとう 00015720M12あるしわきもの、四条かわらの/納涼(すゞミ)にゆきけるが、/弁当(べんとう)に 00015730M13めしばかり入てこしにつけ、かわらを方+とあるきて、 00015740M14うなぎやのとなりの水ちや屋に/腰(こし)をかけ、/弁当(べんとう)をいだし、 00015750M15めしを一口くふては、うなぎの/臭(にをい)(三ウ)(四オ挿絵)をかぎ、 00015760M16又一口くふてハにほいをかぎける。うなぎやの/親仁(おやじ)、/是(これ)を 00015770M17見て、是+、其やうにしてハ、こちのにおいがへるとい 00015780M18ゝける。かのもの、ぬからぬ/顔(かほ)で、これ+、/骨(ほね)ハぬすま 00015790M19ぬといふて、/銭(ぜに)百文とりだし、うなぎやの/鼻(はな)のしたをなで 00015800M20た 00015810¥P50 00015820¥N4¥J 00015830¥X寺参り 00015840L3あるわかき/後家(ごけ)、娘と下女とをつれて、/度(たび)(四ウ)+寺へ 00015850L4参り、娘と下女とを/堂(どう)におきて、いつにても/座敷(ざしき)へゆき、 00015860L5御/住持(ぢうじ)の/部(へ)やに久しくいられける。娘もせいをつかし、今 00015870L6度からハわたしも座敷へゆかふと申ける。/後家(ごけ)聞て、いや 00015880L7+、そなたハまだわかいさかいで、いらぬものじや。/年(とし) 00015890L8よれバ/先(さき)が/近(ちか)いゆへに、おれハ御/部(へ)やへ行、御住持様とひ 00015900L9そかに/仏縁(ぶつゑん)むすんでおくといふた(五オ) 00015910¥N5¥J 00015920¥X雨のうらなひ 00015930L12去御大/名(めう)、御/伽(とぎ)のいしやをよび給ひて、其方事ハ、身ども 00015940L13が/他所(たしよ)へ行に、天気をうらなふ事いつにても/奇妙(きミやう)也。いか 00015950L14成うら方を得たると御/尋(たづ)ね有ける。いしや申さるゝハ、い 00015960L15や、此うらなひハ、どふも/御前(ごぜん)へハ申されませぬと、じた 00015970L16いいたさるゝほど、/殿(との)様ハ/聞(きゝ)たく思し召、/是非(ぜひ)+おしへ 00015980L17よと/仰(おゝせ)(五ウ)られけれハ、せひなく/小性衆(こしやうしう)の方をむきて、 00015990L18雨ふりまへにハ、わたくしが/睾丸(きんたま)がしめりますといわれた 00016000¥N6¥J 00016010¥X/鯨(くじら)うり 00016020M1町+を、身くじらの/安売(やすうり)+と、うりあるきけるを、/呼(よん) 00016030M2でかいけるに、/餘(あま)りやすくうりけるにより、是ハくじらの 00016040M3/肉(ミ)かや。もし/牛肉(うしのミ)ではないかといふ。くじらや、大き(六 00016050M4オ)に/腹(はら)をたて、大事のしろ物に/疵(きづ)つけられ、かんにんな 00016060M5らぬと、さん※にけんくわをいたしける。/近所(きんじよ)の/者(もの)来り 00016070M6て、其やうに/腹(はら)を立さしやるな。此中もこちの娘をば、/馬(むま) 00016080M7さうなとさへいふたといひける 00016090¥Y1巻之三終△(六ウ) 00016100¥P51 00016110¥T1軽口大黒はしら巻之四 00016120¥N1¥J 00016130¥X太夫の/屁(へ) 00016140L5ある/全盛(せんせい)の太夫、なじミの/客(きやく)のそばにて、ふつと取はづし 00016150L6けるを、客ハ気の/毒(どく)に思ひて、小哥などうたひて、まきら 00016160L7かしけるに、くわしやがいふやうハ、太夫様かいな、あゝ 00016170L8けうこつといへば、太夫、くわつと上気して、くわしやに 00016180L9云やう、/客(きやく)様さへ、まぎらかしてく(一オ)れなさるに、く 00016190L10わしや様、聞へぬとねだりけるを、/客(きやく)きゝて、/誰(たれ)も有なら 00016200L11いじや。太夫かいふやう、それでもおまへ、あいそがつけ 00016210L12ふ。なんのいの。なじミのおれじやもの。太夫よろこび、 00016220L13あゝうれしや。それで気がゆつくりとしたと云て、又ぶつ 00016230L14+ふつと、のこりをミなこいた 00016240¥N2¥J 00016250¥X/餅(もち)三つ(一ウ) 00016260L17/夫婦(ふうふ)かけむかいにくらすもの有。/相(あい)じやく屋より、/餅(もち)三つ 00016270L18もらいて/盆(ぼん)にのせをき、二人とも一つづゝくいて、一つの 00016280L19こりしを、たがいににらミ合ていたりしか、/亭主(ていす)いふやう、 00016290L20これ/嚊(かゝ)。わがミの/嫁(よめつ)ておじやつたも、もふ/何年(なんねん)になるぞい 00016300M1のととへば、アヽしれた/事(こと)。八/年(ねん)に成わいなといひけれバ、 00016310M2そんなら、おれがくわふといふて、又一つ(二オ)くふてし 00016320M3まふた 00016330¥N3¥J 00016340¥X/孝行(かうかう)のまちかい 00016350M6去所に、四十/余(よ)になりて、/親(おや)に/不孝(ふかう)なるむすこありけり。 00016360M7/近所(きんじよ)の人いけんして申けるハ、もろこしの/老莱子(らうらいし)ハ、七十 00016370M8になりても、/子供(ことも)の小そでをきてたわむれ、親のとしをわ 00016380M9かく思ひ給ふようにとの心づかひした/孝行(かう+)人さへ有に、た 00016390M10しな(二ウ)ましやれとの/教訓(けうくん)。/不孝(ふかう)もの、尤じやと思ひ、 00016400M11夫より/伊達(だて)なる大じまの/布子(ぬのこ)をこしらへ、/親(おや)のまへにて、 00016410M12とんぼがへりおし、とんづはねつして見せければ、おやた 00016420M13ち是を見て、扨も+長いきすれバ、さま+のかなしい 00016430M14事を見る。どうぞ、あいつが/真(ほんの)/乱心(きちがい)にならぬさきに/死(しに)たい 00016440M15と、/涙(なミだ)をこぼされた(三オ) 00016450¥N4¥J 00016460¥X 00016470M17ある/若(わか)きもの、物をうりて三匁五分ばかりのわる/銀(がね)をかづ 00016480M18き、口をしく思ひ、どうぞあんばいのよい所へ、はめたい 00016490M19物じやとしあんして、/茶(ちや)屋へゆき/遊(あそ)びて、もどりしなにな 00016500M20りて、いとま/乞(こい)もそこ+、/足(あし)ばやに/迯(にげ)て/行(ゆく)。あとから女 00016510¥P52 00016520¥G(四オ) 00016530L13のこゑにて、申+といふて/追(おつ)かくる。/南無(なむ)三、しもたと 00016540L14思ひながら、ふりかへり、/銀(かね)ハよい+。(三ウ)(四オ挿絵) 00016550L15女申+。客かねハよい+。女申+。ね所にふんどし 00016560L16が/落(おち)て有た。申+ 00016570¥N5¥J 00016580¥X/敵(かたき)うち 00016590L19さる大/名(ミやう)やしきへ、五十人ばかり/夜(よ)うち入、八/方(ほう)へきりち 00016600L20らす。思ひがけなくうろたへまわり、にげたるもの/多(おゝ)かり 00016610M1けり。其/後(のち)事すミて、にげたる/侍(さふらい)に、ある人、はじしめて 00016620M2申けるは、むかし/堀(ほり)川の(四ウ)御/所(しよ)へ、/土佐坊(とさぼう)が五百よき、 00016630M3/夜(よ)うちにおしよせしを、わづか/亀井(かめい)、/片岡(かたおか)、むさし/坊(ほう)、し 00016640M4づか、三四人にて、五百よきをさん※にきりなびけ、/討= 00016650M5手(うつ=て)の/大将(たいしやう)/土佐坊(とさぼう)をうちとりさへしたるに、わずか五十人に 00016660M6たらぬ夜うちに、切立られてにけまわるとハ、/餘(あんま)りひけう 00016670M7な事しやと、さん※おろされ、/侍(さふらい)、ぬからぬ/顔(かほ)て、いや 00016680M8さ+。(五オ)/其亀井(そのかめい)、/片(かた)おか、/武蔵坊(むさしぼう)のやうなやつが五 00016690M9十人うせたさかい、/迯(にげ)たのじや 00016700¥N6¥J 00016710¥X/追剥(おいはぎ) 00016720M12大津の/米問(こめとい)屋の手代、しわすの/末(すへ)、/京(きやう)ゑかけとりに行しが、 00016730M13方+をまわりて/帰(かへ)りがけ、/小関(こぜき)ごへにかゝれバ、はや/三= 00016740M14更時(よ=なかじ)ぶん也しが、くらがりより/雲突(くもつく)やうな大男、大わきざ 00016750M15しをさし、こりやまち(五ウ)おろ。うぬがふところに/有(ある)五 00016760M16百目をこゝへだしをろと、にらミつけられ、ゑゝと/恟(びつく)り。 00016770M17そんな/覚(おぼへ)ハござりませぬと、ふるい+/云(ゆへ)ば、なくばこう 00016780M18じやと、/段平(だんひら)引ぬき、あたま/下(くだ)しに/切(きつ)てかゝる。のうかな 00016790M19しや、/命(いのち)が物だね、五百目あげますと、どつさり/投(なげ)だし、 00016800M20あとをも見ずして一さんに/迯(にげ)てゆく。/盗(ぬす)人も、これさへと 00016810¥P53 00016820L1れバよ(六オ)し+。/迯(にげ)しだい、うまい+と、あたりを 00016830L2さぐりすかし見て、おつと、/爰(こゝ)にとおしいたゞき、手ぬら 00016840L3さずに五百めとは/近年(きんねん)の/仕合(しあわせ)。ゑゝ/忝(かたじけな)ひと、ひらいて見 00016850L4れバ、いかにも五百目は五百めじやが、さつま/芋(いも)のほつこ 00016860L5りじや有た 00016870¥Y1巻之四終△(六ウ) 00016880¥T1軽口大黒柱巻之五 00016890¥N1¥J 00016900¥X女/房(ぼう)の/怨念(おんねん) 00016910M5ある/女(によう)ぼう、/殊(こと)の外のいけずのくせに、大のじたらくもの。 00016920M6/其(その)うへきつい/肝積(かんしやく)もちにて、しごく/吝気(りんき(ママ))ふかく、/明(あけ)くれ男 00016930M7をいぢりまわせしが、/終(つい)に/吝気(りんき)から/煩(わづら)ひつきて/相果(あいはて)ける。 00016940M8何がうんじ/果(はて)たる山のかミゆへ、/中(ちう)いんすむと、こんどハ 00016950M9うつ(一オ)くしい/後妻(ごさい)をよび、しごく/中(なか)よし。/先妻(せんさい)めいど 00016960M10より大/肝(かん)しやくをおこして、/閻魔(ゑんま)様え/願(ねが)ひを/上(あげ)、/何(なに)とぞわ 00016970M11たくしをゆうれいになされ、しやばへ御つかわしくだされ 00016980M12との段+のねがい。/閻魔(ゑんま)王まゆにしわよせ、ひまハつか 00016990M13わさうが、ゆうれいの/願(ねがい)、御とり上なしと也。女/房(ぼう)大きに 00017000M14せいて、女がゆうれいに成まする(一ウ)ハ、段+/先例(せんれい)も 00017010M15ござりますに、ならぬとハ/聞(きこ)へませぬとわめけバ、大王、 00017020M16これや+、よう物をがてんせい。/全躰(ぜんたい)ゆうれいといふも 00017030M17のハ、ほつそりすうわりと、すごい/程(ほど)きりやうがよふなけ 00017040M18にや、うつらぬ物しや。夫にそちがつらがまへなら、/風(ふう)な 00017050M19ら、/黒菊石(くろミつちや)にはす切ばな、ふご/尻(じり)にわに/足(あし)、そうちやつた 00017060M20/図(づ)でハ、とても/幽霊(ゆうれい)にハなら(二オ)れまい。そんでも/腹(はら)が 00017070¥P54 00017080¥G(四オ) 00017090L13立てなりません。/閻(ゑん)王しあんし給ひ、よし+、われや、 00017100L14やはり/妖物(ばけもの)がよかろ。たて+ 00017110¥N2¥J 00017120¥X/言葉(ことバ)のかんりやく 00017130L17男奉公人を/置(おき)けるが、/殊(こと)の外のしつぱくものにて、諸事か 00017140L18んりやくを致しけるが、/常(つね)いふことも、こんにやくハこに 00017150L19やく、とうふハとふなどゝ、/是非(ぜひ)一/字(じ)づゝハかんりやくし 00017160L20て、(二ウ)ミじかくいふ也。ある時、/麩(ふ)をかふてこいと申 00017170M1付けれバ、ちよとうなづいて/走(はしつ)て行。こいつハ何ンといふ 00017180M2であろと、/跡(あと)からついていて/聞(きけ)ば、物もいわずに/銭(ぜに)をほり 00017190M3出した 00017200¥N3¥J 00017210¥X/麩(ふ)こんにやくの/眼病(がんびやう) 00017220M6こんにやく、さん※めをわづらい、目いしやの所え行け 00017230M7れバ、/麩(ふ)も目をやミて、はや/先(さき)ゑいている。是ハ+、そ 00017240M8ちも/眼病(がんびやう)か。なか+(三オ)さん※。世の中に、目をや 00017250M9む程つらい物ハないとはなし/半(なかば)へ、いしや殿でられ、やう 00017260M10すをミて、はあゝ、/麩(ふ)殿ハついなおるが、こんにやく殿ハ 00017270M11きつう/重(おも)いわいの。はい、そりや又なぜてごさります。さ 00017280M12れバ/麩(ふ)は、にしめと云て/軽(かる)い。こんにやくハ大なし玉がく 00017290M13さつたといわれた 00017300¥N4¥J 00017310¥X/畳(たゝミ)の/表(おもて)がへ(三ウ)(四オ挿絵) 00017320M16去御大名、はじめて御国元へ御/入部(にうぶ)有ける。其こしらへい 00017330M17ろ+也。中にも/畳(たゝミ)の/表(おもて)がへを申つけらるゝに、何がけつ 00017340M18かうな畳ゆへ、此通に仕りましてハ/直段(ねだん)かく/別(べつ)/高直(かうじき)のよし。 00017350M19ミな+/相談(さうだん)して、うらかへすべしといふを、一人の/家老(からう)、 00017360M20いや+、/武士(ぶし)の家にてうらがへるとハ、いミ事也。いか 00017370¥P55 00017380L1ゞあらんと云を/聞(きい)て、畳屋、先ツ何/程(ほど)の事にて(四ウ)御座 00017390L2候やと/尋(たづね)ける。いや、およそ八百五十/畳(でう)ばかり也。/畳(たゝミ)や、 00017400L3さやうならくるしうござりますまい。そりや又なぜに。は 00017410L4て、うらがへるといふは、/千畳(せんじやう)のうへの事じやといふた 00017420¥N5¥J 00017430¥X/新参天狗(しんまいのてんぐ) 00017440L7おれハどうぞ天/狗(ぐ)になつて、方+を/飛(とひ)まわつて、行たい 00017450L8所へいたら、/面白(おもしろ)かろと(五オ)思ふが、おれが大/願(ぐわん)じやと 00017460L9いへば、去もの、そりやなりそふな事じや。物ごとに/自慢(じまん) 00017470L10をすれバ天/狗(ぐ)になるといふ程に、そうしやれと/聞(きゝ)しより、 00017480L11物ごとめつたやたらに/自(じ)まん、/頭(あたま)がちを云ならべ、廿日斗 00017490L12して/後(のち)、/寝(ね)ていたるに、/鼻(はな)の/尖(さき)ぽか+ほめき出しけり。 00017500L13是ハと手をやりミれバ、はな五寸ばかりのびて高くなる。 00017510L14やれ有(五ウ)/難(がた)やと、ねまきのまゝ/帯(おび)とけひろげて/起(おき)上り 00017520L15けれバ、/背中(せなか)うそ+/痒(かゆい)いがと思ふと其まゝ、四尺/丈(だけ)ぐら 00017530L16いのはねがずつとはへる。さあしてやつたと、/椽側(ゑんがハ)へいで、 00017540L17ちとけいこに/飛(とん)で見たい物じやがと、見やるむかふは/愛宕(あたご) 00017550L18山。てんぽのかハと、ひと/思(おも)ひ/飛(とべ)ば、ふしぎや、/一瞬(またゝく)ま/清= 00017560L19瀧(きよ=たき)迄一とび。とある杉の/木(こ)ずへに/下(おり)たてバ、/下(した)(六オ)から、 00017570L20どいつじや。/案内(あんない)もせす、/恟(びつく)りさしおつたがとわめかれ、 00017580M1はい+、/御免(ごめん)+と/下(した)をのぞけバ、ときんすゞかけの/歴= 00017590M2&(れき=+)の天/狗(ぐ)、/眼(め)をむきだし、ぶしつけな。してまあ、うぬ、 00017600M3其なりハどうじや。/袷袴(たちつけ)もはきおらずにとしかつた 00017610¥Y1巻之五大尾△(六ウ) 00017620¥Q 00017630M10○/誠(まこと)七百物語△@ひらかなゑ入|よみ本△△△@△四冊 00017640M11○/絵(ゑ)本/妖怪(ばけものの)/精霊(せいれい)△@/舞蝶亭(ぶてうてい)△|△/一睡(いつすい)画@△二冊 00017650M12△△右古今/武勇(ぶゆう)めづらしき化物の/珍図(ちんづ)をあつめ 00017660M13△△これ迄有来りしとハ大きに/変(かハ)り/趣向(しゆかう)至 00017670M14△△てあたらしく/勢(いきほ)ひ有/図(づ)也 00017680M15△△△右追&出来御求御覧奉無幾候 00017690M16明和十年正月 00017700M18△△△△京六角通油小路西江入町 00017710M19△△△△書林△△小幡宗左衛門 00017720¥P56 00017730¥U噺本大系△第九巻 00017740¥T/聞上手(ききじようず)〔題簽〕 00017750¥G 00017760¥Y 00017770L17安永二年正月序 00017780L18小松百亀作・画 00017790L19遠州屋弥七板 00017800L20小本一冊 00017810¥Y叙 00017820M3子不語怪力乱神、/万八(まんはち)を/嫌(きら)ひて也。されど、/仏(ほとけ)に/方便(ほうべん)と 00017830M4いふ/偽(うそ)あり。/武士(ぶし)ハ/計策(けいさく)といふて/敵(てき)を/欺(だま)す。/商人(あきんど)に(序1オ) 00017840M5/掛直(かけね)、/傾城(けいせい)に/手管(てくだ)。みな是、てつほうを/用(もち)ひずといふこと 00017850M6なし。/矧(いわんや)/座興(ざけう)に/於(おゐて)をや。/徒(むだ)なしといふべからす。人の/噂(うハさ) 00017860M7をいわんより、/根(ねつ)からたわけを(序1ウ)/語(かた)る共、/聞人(きくひと)あほ 00017870M8うを知て/聞(き)けハ、/徳(とく)を/損(そん)ずるの/害(がい)はあらじ。/今(いま)/集(あつむ)る/笑話(せうわ)/一= 00017880M9帖(いち=でう)、/聞上手(きゝしやうず)と/題(たい)ス。/下手(へた)の/咄(はなし)も/種(たね)を/積(つ)むの/謂(いゝ)也。/洗張(あらいはり)(序 00017890M102オ)/小刀細工(こかたなさいく)も、よむ人の/腹(おなか)にあるべし。/横合(よこあい)から/腰(こし)おら 00017900M11ずと、/黙(だまつ)て/聞(きい)て/居(ゐ)さしやんせと云尓 00017910M13△△△安永の 00017920M14△△△△△めてたい春△(序2ウ) 00017930¥P57 00017940¥N1¥J 00017950¥X○いなか帰 00017960L3どふだ、久しうあひませぬ。お/替(かわ)りもねいか。Sこれハ五 00017970L4兵衛殿。きつい御見かぎりの。そふなさつたがよいのさ△ 00017980L5Sイヱ、わつちもせんどから、いなかへいつて居やした。 00017990L6それできやせなんだ△S女房どうりでこそ。マアあがりな 00018000L7さい。ホンニ(一オ)おまへがござらぬゆへ、/毎(まい)日御うわさ 00018010L8ばかり申てゐやした。そしていなかハ、おぢさんの所へか 00018020L9へ。何ぞおもしろい事でもあつたかへ△Sアイ、何も/面白(おもしろ) 00018030L10いこともなか/橋(はし)さ。したが、いなかハきさんじなことさ。 00018040L11マアきゝねい。/門口(かどくち)にむしろを/敷(しい)てねてゐても、だれもし 00018050L12かる(一ウ)ものハなし。大あぐらてめしをくふているとの、 00018060L13むかふの山にハ梅やさくらがさいてゐるの、こちらの/池(いけ)に 00018070L14ハ/杜若(かきつバた)が今をさかりとひらいてゐる。又こちらにハ/紅葉(もミち) 00018080L15がかふやうして、/鴬(うぐひす)などが/来(き)てなくの、それハ+/気(き)の 00018090L16はれたせんさくさ△Sてい主それハほんによかろう(弐オ) 00018100L17S女房したが、まちなよ。アノ/梅(むめ)や/桜(さくら)のじぶんに、なアに、 00018110L18もみぢがあろうや△Sハテ、そこがいなかハやりばなしさ 00018120¥N2¥J 00018130¥X○てうちん 00018140M1/友(とも)/遠方(ゑんほう)よりきたることあり。何かのはなしに日をくらし、 00018150M2もうお/暇(いとま)申ますと/立(たち)かゝれバ、てい主、これハ+(弐ウ) 00018160M3おのこりおゝい。それ、あかりを見せませい。イヤほんに、 00018170M4/宵(よい)やミじやから、てうちんをあげ申せ。Sイヤ、それにハ 00018180M5およびませぬ。サア御はいりなされませいといふ内に、女 00018190M6房がてうちんをとぼしてもつて/出(いで)、ひらに、もつておいで 00018200M7なされませとさしいだすを、(三オ)てい主見て、アヽそれ 00018210M8ハ大ぶんふるい。Sイヱ+、どのやふにふるふてもよふ 00018220M9ござります。ソレでも、あんまりじやといへバ、女房そば 00018230M10から、ナアニ、/夜(よる)だからごかんにんあそばせ 00018240¥N3¥J 00018250¥X○/人間(にんげん) 00018260M13四五人/茶見(ちやミ)せに/腰(こし)かけて、/芝居(しバい)の(三ウ)はなし世の/噂(うハさ)。 00018270M14其座ぎりの/近付(ちかづき)なり。おまへハどこでござる。Sわしかへ。 00018280M15わしハ/糀(かうじ)丁さ△Sソレハ/遠(ゑん)方でござる。わたしハ/神(かん)田の/永= 00018290M16富(なか=とミ)丁、/表(おもて)にゐますから、お通りなさらバよりなさい△Sこ 00018300M17ちらのおふたりハおつれかへ△Sイヱ、おらハ/浅(あさ)くさ、此 00018310M18人ハ/本所(ほんじよ)の人さ△Sヤレ+、かふより合ふも/他生(たせう)の(四オ) 00018320M19ゑんと、めくちかわきのござ+ばなし。/最前(さいぜん)よりきゝい 00018330M20たる/老人(らうじん)、手を打て、ひとりハ/糀(かうじ)町、/一人(ひとり)ハ/浅草(あさくさ)、ふたり 00018340¥P58 00018350L1ハ/神田(かんだ)、/本所(ほんじよ)の人とな。サテモ/人間(にんげん)といふものハと、かん 00018360L2心したるていに見へけれバ、Sソレハ又、なぜてござると 00018370L3いへバ、Sサレバサ。/犬(いぬ)ならバかミやわふに(四ウ) 00018380¥N4¥J 00018390¥X○/呵(しかり)の通 00018400L6むすこ、おやぢに/度(たび)+しかられて、もしおやぢさま。其 00018410L7様にふだんがミ+いわずと、わるいことがあらバためて 00018420L8/置(おい)て、いつしよにしかつたがよいといへバ、Sたわけめが。 00018430L9おのれがつくすを覚へてゐらるゝものかといふ。むすこ、 00018440L10帳をこしらへ、/持(もつ)て(五オ)いで、/是(これ)へ付ケて置て下されと 00018450L11いふ。おやぢ、帳面を取て見れバ、上書に、/油之通(あぶらのかよい) 00018460¥N5¥J 00018470¥X○/鍔(つバ)の直段 00018480L14さる/歴&(れき+)の衆、/柳原(やなきわら)をとをり、/于店(ほじミせ(ママ))にあるつばを見給ひ、 00018490L15おもしろさふなつばじやと手にとりて、/近習(きんじゆ)の/侍(さふらい)に、/直(ね)を 00018500L16きけと仰せらる。御供の侍、此つばは(五ウ)いくらじやと 00018510L17とへバ、六十四文といふ。S/御前(ごぜん)の御/求(もとめ)なさるのじや。も 00018520L18つとたかくいへといへバ、/商人(あきんど)、こへを大きくして、六十 00018530L19四文 00018540¥N6¥J 00018550¥X○/行灯(あんどん) 00018560M3/道造(ミちつく)りの/場(ば)所へ、/車(くるま)に/行灯(あんどん)を大分/積(つん)で引きたる。/仕事師(しごとし)ど 00018570M4も見て、是ハあてこともない、たくさんなあんどうじや 00018580M5(六オ)といふ所へ、/曳(ゑい)+ごへにて、又/一輛(いちりやう)引イてくる。 00018590M6これハけしからぬ/行灯(あんとう)じやといへバ、/親分(おやぶん)、/鍬(くわ)をひぢにあ 00018600M7て、つく+見て/云(いふ)、何でもどこか、大きに日のくれる所 00018610M8が有ル 00018620¥N7¥J 00018630¥X○/御即位(ごそくい) 00018640M11大屋さん。アノ御そく/位(い)といふハ、何のことでごさります 00018650M12の。Sヲヽ、あれハ/禁裏様(きんりさま)の(六ウ)おくらゐにおつきなさ 00018660M13ることじや△Sハテノ、そしてきんり様の御手に/持(もツ)てござ 00018670M14る、木でした物ハ何じやいのといへバ、家ぬし、しバらく 00018680M15かんがへて、アレハ御/即位(そくい)をおすへらさ 00018690¥N8¥J 00018700¥X○けぬき 00018710M18皆よつてはなしてゐる所へ、/友達(ともたち)来り、今此けぬきをかふ 00018720M19てきた。見てくりやれ(七オ)といふ。これハよいけぬきじ 00018730M20や。いくらでかつたととへバ、三十弐文でといふ。それハ 00018740¥P59 00018750L1安イものだといゝながら、ひけにあてゝみて、こりや/一向(いつかう) 00018760L2にくわぬといへバ、サレバ、それを/疵(きず)にしてかつた 00018770¥N9¥J 00018780¥X○梅もどき 00018790L5かやば丁の/薬師(やくし)へ参り、/帰(かへ)りにむめ(七ウ)もどきをとゝの 00018800L6へ、何でもやすい物と思ふて、手にさげてかへる。/向(むか)ふか 00018810L7らも友だちが、梅もどきをさげてぶら+くる。S/助坊(すけぼう)か。 00018820L8おのしも/植木(うへき)をかつたな。コレ、おらもかつてきたが、貴 00018830L9様のハ大ふんよさそふな。いくらでかつたととへバ、ヲヽ 00018840L10是が十六文さ。ナントやすかろふがといへバ、サ、おれも 00018850L11(八オ)(八ウ・九オ挿絵)十六文でかつたが、同じねで貴様の 00018860L12よりわるい。Sイヤ+、/木(こ)ぶりがよさそふな△Sインニ 00018870L13ヤ、それだか、貴様のほどにハもどかぬ 00018880¥N10¥J 00018890¥X○はらゝご 00018900L16けふハめづらしい/汁(しる)をふるまわれてきた。Sソレハ何じる 00018910L17じやの△Sはらゝご汁とやらで、かうばしいものさ△Sソ 00018920L18レハよかつ(九ウ)たらふ。はらゝハよいものさ△Sされバ 00018930L19ゑゝものかしらぬが、けふのハ目ばかりだ 00018940¥N11¥J 00018950¥X○/色白(いろじろ) 00018960M3御/屋敷(やしき)のまど下を/通(とを)ふるに、何か/美(うつく)しいやつが/出(で)てゐる。 00018970M4さすがの/色男(いろおとこ)も、ちとりきミが/付(つい)て、わきめもふらずとを 00018980M5り/過(すぎ)て、ふりかへり、まどをみれバ、(十オ)ヱヽばかな、 00018990M6/白鳥(はくてう)の/徳利(とつくり)だ 00019000¥N12¥J 00019010¥X○/銅(かね)の/鳥居(とりゐ) 00019020M9/隣(となり)のかミさま/大難産(おゝなんざん)。さてもきのどく。いしやよ/人参(にんじん)よと 00019030M10大さわぎ。/亭主(ていしゆ)こらへかねて、はだかに成り、井戸ばたへ 00019040M11とんていで、水をざんぶりとあびて、/南(な)むこん/比良(ひら)大ごん 00019050M12げん。/何卒(なにとぞ)(十ウ)/安産(あんざん)いたすやふに。御礼にハからかねの 00019060M13大/鳥居(とりゐ)をさし上ませふほどにと一心にいのる。/産婦(さんふ)きゝ付 00019070M14て、もしこれへ。わしが/安産(あんざん)したとて、どふマアかねの鳥 00019080M15居ができるものぞ。つがもないことばかりといへバ、Sハ 00019090M16テやかましい。わしがこんぴらをだます内に、早く/産(うミ)給へ 00019100M17(十一オ) 00019110¥N13¥J 00019120¥X○/厄(やく)はらい 00019130M20御やくはらい/疫(やく)おとしと、よばつて/来(く)る。コレ+疫はら 00019140¥P60 00019150L1いどの。/頼(たのん)ますと、/紙(かミ)に/包(つゝ)んでわたせバ/受取(うけとつ)て、ヤアラだ 00019160L2んなの御/寿命(じゆめう)申さバ。ヲツト/待(まツ)たり。だんなのでハない。 00019170L3おれがのだ 00019180¥N14¥J 00019190¥X○初かつほ(十一ウ) 00019200L6初かつほを/奢(おご)らんと、一盃しかけるところへ、/近所(きんぢよ)から、 00019210L7/急(きふ)に御目ニ/懸(かゝ)りたい。ちよつと+と/呼(よび)にくる。なむさん、 00019220L8けいどう。コリヤ六助。此まゝ置てゆくぞ。気を付よとい 00019230L9ゝすてゝ、いでゝゆく。六助もそこらかた付る内に、/三毛(みけ) 00019240L10めが、さし身を半分ンほどしてやる。六助(十二オ)おどろ 00019250L11き、/猫(ねこ)をおしのけ、とてものこと、/残(のこ)りも/三毛(ミけ)にかづけふ 00019260L12と、/二箸(ふたはし)三はし、/舌打(したうち)すれバ、/側(そバ)からねこが、フウ+ 00019270¥N15¥J 00019280¥X○どもり 00019290L15ことしの/年(とし)おとこハ、どもりの八助。さぞおかしからふと 00019300L16いふ内、八助は/升(ます)をしやにかまへて大音上。フヽヽ/福(ふく)ハ 00019310L17(十二ウ)内、ヲヽヽ鬼ハ、ヲヽヽおにハといへバ、おにが 00019320L18門口からのぞひて、これさ。でるのか、はいるのか 00019330¥N16¥J 00019340¥X○/綱(つな)右衛門 00019350M1/渡辺(わたなべ)の綱右衛門といふ/浪人(らうにん)有り。近所の衆打より、おまへ 00019360M2様ハ名にあふ四天王の/随一(すいいち)、おにの/腕(うで)をきらしやりました 00019370M3綱様の御/子孫(しそん)と承りました。どふぞ、(十三オ)/御先祖(ごせんぞ)の/高= 00019380M4名(かう=めう)ばなしを承りたしといへバ、綱右衛門/子細(しさい)らしく、/成程(なるほど)、 00019390M5我らハ/源(ミなもとの)/頼光(らいくわう)の御内、/渡辺(わたなべ)/源次(けんじ)/綱(つな)が/末葉(ばつよう)でござる。申ス 00019400M6もおこがましく候へども、只今/絵馬(ゑま)やのぼりにかたちを 00019410M7のこされしハ、かの/洛陽(らくよう)/九条(くでう)の/羅生門(らせうもん)に/鬼神(きじん)すんで、/往来(わうらい) 00019420M8をなやませしに、(十三ウ)/我先祖(わがせんそ)渡辺の綱、/君(きミ)の仰を/蒙(かうむ)り、 00019430M9/印(しるし)の/金札(きんさつ)/給(たまわ)りて、/五枚(ごまい)かぶとを/猪首(いくび)にきなし、/羅生門(らせうもん)にい 00019440M10そぎゆき、馬よりひらりと、おりしもさつきの/宵(よい)やミに、 00019450M11かの金札をたておきて、立かへらんとする所に、/悪風(あくふう)しき 00019460M12りに/吹(ふき)きたり、/鬼神(きじん)ハうでをさし出し、(十四オ)綱がかぶと 00019470M13のしころを、むンづとつかんで/後(うしろ)へ引。綱もさるもの、身 00019480M14をのがれんと/前(まへ)へ引。たがいにヱイヤとひくちからに、は 00019490M15ちつけの/板(いた)より引ちきつて、さふへばつとぞのいたりける。 00019500M16Sコレ+申、それでハどふやら/八島(やしま)の/軍(いくさ)の/様(やう)にござりま 00019510M17す△Sサレバ+、其まちがいゆへ、身も浪人致シた(十四ウ) 00019520¥N17¥J 00019530¥X○悪イ/癖(くせ) 00019540M20心やすいものに、よく/家来(けらい)をしかる人有り。ある時きたり 00019550¥P61 00019560L1て、/晩(ばん)にハ/皆(ミな)がくるはづじやから、何もないが、貴様もき 00019570L2てはなし給へといふ。それハ忝イが、きさまハ人がゆくと、 00019580L3よく/家来(けらい)をしかる人じやによつて、/行(いき)にくい。(十五オ) 00019590L4Sされバおれもたしなむけれど、どふもしかり/度(たく)てならぬ。 00019600L5わるい/癖(くせ)じや。したが、もふばんにハしからぬほどに、/来(き) 00019610L6てくれ給へといふゆへ、そんならいかふとやくそくして、 00019620L7/咄(はなし)にゆきける。あんのごとく、やたらに/家来(けらい)をしかる故、 00019630L8/客衆(きやくしゆ)ミな+きの/毒(どく)がり、其様ニ(十五ウ)しかり給ふなら、 00019640L9ミな御いとま申さふといへバ、てい主もこまり、そんなら 00019650L10もふ、どのやふな/事(こと)が有ツてもしかるまいほどに咄し給へ 00019660L11と、とめて咄させける。しバらく/過(すき)て、てい主も家来も見 00019670L12へねバ、コレハふしぎと、うら口を/覗(のぞい)て見れバ、てい主、 00019680L13家来をとらへて、(十六オ)かた先へ/喰(くい)ついてゐる 00019690¥N18¥J 00019700¥X○/几巾(たこ) 00019710L16むす子がたこをあげるに、あがらず。おやぢ出て、どれ 00019720L17+、おれがあげ付てやらふ。/向(む□)ふの/河岸(かし)へもつてこいと 00019730L18て、小/僧(そう)をつれゆき、一トかけはしると、よくあがる。お 00019740L19やぢ、おもしろがり、引たり(十六ウ)しやくつたり、よね 00019750L20んなし。Sコレとつさん。もふおれにくんねい+とせつ 00019760M1けバ、ヱヽやかましい。我をつれてこねハよかつた物 00019770¥N19¥J 00019780¥X○水打 00019790M4/夏(なつ)の/夕(ゆふ)げしき、かどへ水をうつている所へ、よい/年増(としま)が、 00019800M5けしき取ツて/来(く)るゆへ、打かゝつた/手桶(てをけ)を左りへ(十七オ) 00019810M6ふり廻し、まかんとする所へ、きれいな/振袖(ふりそで)が/来(き)かゝる。 00019820M7是へもかゝつてハと、こちらへふりむけハ、としまが/間近(まぢか) 00019830M8く/来(く)る。せんかたなさに、/手桶(てをけ)をさしあげて、てまへのあ 00019840M9たまからざつぷり 00019850¥N20¥J 00019860¥X○ちか目 00019870M12/近目(ちかめ)のおとこ、/開帳(かいてう)へまいる。/霊宝(れいほう)ハ(十七ウ)ひだりへ+。 00019880M13これハ/鎌倉(かまくら)の/権(ごん)五郎/景政(かけまさ)のよろいでござる。おとこ、たち 00019890M14よつて、ていねいに見る。コレ+、くさいものてハござ 00019900M15らぬ 00019910¥N21¥J 00019920¥X○女の評判 00019930M18どこてもよれバ色ばなし。アヽおらハおぼこなふりそでが 00019940M19ゑい。Sイヤ+、/新造(しんぞう)(十八オ)より、としまがおもしろ 00019950M20い△Sイヤ、おらハ/地色(ちいろ)ハきらいだ。びくにかゑゝといふ 00019960¥P62 00019970¥G(廿五ウ・廿六オ) 00019980M1内ニ、ひとりが、いや+何もいらぬ。しよじごけがよい。 00019990M2とかく/後家(ごけ)のこと+といへハ、皆口をそろへて、そふだ 00020000M3+。/後家(こけ)+といへバ、Sアヽおらが/嚊(かゝ)も、早くごけに 00020010M4したい 00020020¥N22¥J 00020030¥X○びくに(十八ウ) 00020040M7/神田(かんだ)へんにて、/比丘尼(ひくに)が二三人ゆきあひて、つれ/立(たち)はなし 00020050M8て/行(ゆく)をきくニ、けふわつちやの/通(とを)り町で、ゑゝ女を見やし 00020060M9た。ソレハ+とんだきりやうでの。/嶋(しま)ちりの小袖に/紫(むらさき)う 00020070M10らを付ケての。/帯(をび)ハ黒じゆすのはゞびろを、/路考(ろかう)にむすん 00020080M11での。そして/髪(かミ)ハといふて、手を(十九オ)あげ、わが身で 00020090M12なし、/深川(ふかかわ)ほんださ 00020100¥N23¥J 00020110¥X○五匁五分 00020120M15/呉服(ごふく)やえかいものを/取(とり)にいき、ねをとへバ、五匁五分とい 00020130M16ふ。めんどふながら、ちよつとかき付てくださいといへば、 00020140M17手代がいふにハ、マアもつていて、見せてござれ。五匁五 00020150M18分がおぼへにくゝハ、ソレ(十九ウ)ゆびをおつて五匁、又 00020160M19こちらの/指(ゆび)をおつて五分とおぼへてござれといへバ、よし 00020170M20+のミ込/印(じるし)と、両手をにぎつて/立(たち)いでしか、又立かへり、 00020180¥P63 00020190L1コレ+、とふぞこれを弐分まけてくれまいか。Sナゼへ△ 00020200L2Sこれでハ/戸(と)かあけられぬ 00020210¥N24¥J 00020220¥X○りちき(廿オ) 00020230L5ことしおいた久助めハりちぎものしや。あんなものハすく 00020240L6ないといふ所へ、久助まかりいで、もしだんなさま。私が 00020250L7くにから持つてまいつた/金子(きんす)が壱分ござります。これをお 00020260L8まへ様に/預(あづけ)て置キたふござります。ヲヽそれハきどくじや。 00020270L9見世のばんとふへ持つていて、あづけたが(廿ウ)よい。 00020280L10Sイヱ+、わたくしハおまへ様に預ケたふ御ざります△ 00020290L11Sソリヤ又なぜに△Sアイ、おまへ様のしんぼうを見とゞ 00020300L12けました 00020310¥N25¥J 00020320¥X○/落馬(らくば) 00020330L15ふたりつれ立て、さくらの/馬場(はゞ)へゆき、サアしやく馬にの 00020340L16つて見よふでないかといへバ、コリヤおもしろからふ。 00020350L17(廿一オ)したが、おらハつゐに/乗(のつ)たことがない。ハテ、し 00020360L18づかにのつて見やれと、むりにのせて引いだす。これハこ 00020370L19わいものだと、もゝちりに成つてのつてゆく。/引(ひツ)かへすと、 00020380L20馬ハ一さんにかけいだす。アレ+、どふもならぬ+と 00020390M1いふ内に、/馬場(はゞ)のなかほどで、ころりとこけおち、アヽこ 00020400M2れでよい(廿一ウ) 00020410¥N26¥J 00020420¥X○大/牛(うし) 00020430M5おらハゆふべ、/牛(うし)を/夢(ゆめ)に見た。扨も大きな/牛(うし)もあるもんだ。 00020440M6Sどれほどあつた△Sアノヽくらやミほどさ 00020450¥N27¥J 00020460¥X○もの日 00020470M9おやぢが見たら、きん+といふべきむすこ、女郎かいに 00020480M10ゆく。女郎に下心(廿二オ)あるとみへて、むせうとかける。 00020490M11はや/床(とこ)になりて、あんのごとく、Sコレせきさんへ。/八朔(はつさく) 00020500M12をしまつておくんなんし。むすここたへて、八ツさくハち 00020510M13とむつかしいことがある。Sそんなら月見を△Sイヤ、月 00020520M14見ハ/例年(いつも)ゆく処があるじや△Sそんなら、十三夜をしまつ 00020530M15ておくれ△Sイヤ、そう+(廿二ウ)ハでられぬ 00020540¥N28¥J 00020550¥X○かつぱ 00020560M18おやぢ、むすめにかつぱをねだられ、つぶやきながら、せ 00020570M19ふことなしに/買(かう)て来て、ソレおのぞミの/合羽(かつぱ)とさし出せハ、 00020580M20むすめ/悦(よろこ)び、よいかつぱじやと/引(ひつ)くりかへし、とつさんへ。 00020590¥P64 00020600¥G(三十六ウ・三十七オ) 00020610M1とてもかつてくんな(廿三オ)さるなら、ゑりハびろうどが 00020620M2よいもの。こんなおかしなせうぞくと/気(き)にいらねバ、S何、 00020630M3せうぞくがわるい。ヱヽやかましい。つゐへなことをいふ 00020640M4なよ。コレ/干物(ひもの)で見ろ。むしつてすてる所だ 00020650¥N29¥J 00020660¥X○しわいやつ 00020670M7伊勢/甚(ぢん)めハしわいやつしや。あの男(廿三ウ)のところへい 00020680M8つて、ついぞ何もくわせたことがないといゝながらも、/用(よふ) 00020690M9が有つてちよつと見廻へバ、/伊(い)せ/甚(ぢん)たち/出(いて)、これハ+よ 00020700M10ふ御いで被成た。マア御上りと、うへゝあげ、扨御/物遠(ものどふ)で 00020710M11ござります。コレかゝ。久しうて御出なされたに、何ぞ上 00020720M12ましたい。女房きひて、(廿四オ)アイサ、何ぞあげたいも 00020730M13のじやが、此ごろハきついしけでと、/例(れい)のくわせぬあいさ 00020740M14つする/処(ところ)へ、おもてに、かつほ+と、さかなやのこへ。 00020750M15女房きいて、アレモシ、あんなわる口 00020760¥N30¥J 00020770¥X○ゆふ/霊(れい) 00020780M18きをひ/組(ぐミ)の/夫婦(ふうふ)げんくハ。ヤイ(廿四ウ)ふんばりめ。うぬ、 00020790M19あごがすぎると、たゝつころしてしまふぞ。Sヲヽ、ころ 00020800M20さばころしや。ゆふれいニ成て、とりころして見せふぞ 00020810¥P65 00020820L1Sヱヽおしのつよい。よしてくれろ。白むくももたねいで△ 00020830L2Sヲヽ、白むくがなくても、うろこの半てんで(廿五オ)(廿 00020840L3五ウ・廿六オ挿絵) 00020850¥N31¥J 00020860¥X○/戸棚(とたな) 00020870L6ぐわら+ぴかり+。ソリヤなるわと、てい主大のきら 00020880L7い。コレ+/嚊(かゝア)。/蚊屋(かや)わまけてしまふ。どふせふな。アレ、 00020890L8またパチ+ぱちと/鳴(なつ)てくる。コリヤもふたまらぬと、と 00020900L9だなをあけてかけこむ処へ、小ぞうが/外(そと)からかけてきて、 00020910L10(廿六ウ)おやぢが戸たなにかくれるを見て、かゝさんや。 00020920L11あすも又お/節句(せつく)かへ 00020930¥N32¥J 00020940¥X○/掛乞(かけこい) 00020950L14大/晦日(ミそか)の/夜(よ)なか/時分(しぶん)、かけとり、/財布(さいふ)を/肩(かた)にかけ、おしま 00020960L15いはできましたかの。御てい主。/昼(ひる)のやくそくの/通(とを)り、/外(ほか) 00020970L16ハしまふて/来(き)ました。(廿七オ)さつきの/残(のこ)りをはらふて/下(くだ) 00020980L17さい。Sホイ、今やりませう。ちつとまつてゐさしやいと、 00020990L18いさいかまわす/帳合(てうあひ)してゐれハ、Sコレ、もふ/追付(おつつけ)八ツに 00021000L19なります。七百ばかりの事じやに、ちよつと/出(だ)してくだん 00021010L20せ△Sハテ、追ツ付わきからくる所がある。もちつとまた 00021020M1(廿七ウ)しやい△S是ハしたり。それが/待(まつ)ていられるもの 00021030M2か。そんなら/春(はる)でもきませうといふを、てい主、イヤ+、 00021040M3/暮(くれ)迄のやくそくじやから、こん夜はらつてしまいます。そ 00021050M4こらまわつてから、きさつしやい。Sアレ、まだあてこと 00021060M5もない。あればかりに/何度(なんど)とりにくる物だ。(廿八オ)はる 00021070M6のことにしませう△Sイヤ+、ことし/中(ぢう)にはらわねバな 00021080M7らぬ。ぜひともまつていさつしやれ△Sイヤ、/春(はる)とりニ/来(き) 00021090M8ませう△Sイヤ+、/今夜(こんや)/払(ハら)わねバかへさぬと/互(たが)ひにあら 00021100M9そひ、/声高(こわたか)になれバ、S女房そばから、これ、こちの人。 00021110M10あれほどにいわつしやるニ、(廿八ウ)はる迄のばしてしん 00021120M11せさつしやい 00021130¥N33¥J 00021140¥X○まり/箱(ばこ) 00021150M14むすこ、まりをすいてける。おやぢ、/気(き)にいらずして、大 00021160M15きに/呵(しかつ)て/曰(いわく)、そも+其まりといふ物、/貴人(きにん)/高位(かうい)の遊ばす 00021170M16もので、此方どもがもてあそぶものじやおじやらぬ。(廿九 00021180M17オ)/九損一徳(くそんいつとく)とて、/腹(はら)のへるばかりが/徳(とく)じやげな。それが 00021190M18なんのとくなこと。/九損(くそん)一そんといふものじや。/度&(たび+)やめ 00021200M19ろといふに、/兎(と)かくやまぬそふな。まりがあれバこそ、け 00021210M20たくなる。いつそうつちやつてしまへと、にが+しくい 00021220¥P66 00021230¥G(八ウ・九オ) 00021240M1へバ、むすこ、しほ+と成て、(廿九ウ)それから/後(のち)ハ、 00021250M2おやぢのるすばかりかんがへてける。ある時むすこのるす 00021260M3に、おやぢ、/縁(ゑん)がわにてまり/箱(はこ)を見付、まだやめぬそふな 00021270M4と、そばへより、両手でそつとふたをあげ、内を見て、ハ 00021280M5ア、すておつたそふな 00021290¥N34¥J 00021300¥X○義大夫ぶし(三十オ) 00021310M8又あるむすこ、義大夫がすきてうなる。おやち/腹(ハら)をたて、 00021320M9何のおのれが上るり、こへハわるし。とても上るり/語(かたり)にハ 00021330M10/成得(なりゑ)まいし、何ンのやくにもたゝぬ。/重(かさね)てうなりおるとく 00021340M11らわすぞと、きびしくきめられ、/湯屋(ゆや)より/外(ほか)に/楽(たの)しミなく、 00021350M12ある時、雨ハふる。(三十ウ)二/階(かい)へあかり、/夜着(よぎ)引かぶつ 00021360M13てうなり出スと、おやぢきゝ付、下からこへをかけ、ヤイ 00021370M14+たわけめが、又かたりをる。だまらぬかとよばゝれバ、 00021380M15よきの内からむすこが、ナント、これてハ/幕(まく)を通しませふ 00021390M16か 00021400¥N35¥J 00021410¥X○/薦(こも)かぶり(三十一オ) 00021420M19こもかぶり二三人あつまりて、おあまりをわけて居る処へ、 00021430M20花ござをきた非人/来(き)かゝりて、ホヲ、ミんな、ゑいものをし 00021440¥P67 00021450L1たな。おらにもちつとくれのかね。Sヲヽ長か。こゝへこ 00021460L2ふ+。ヒヤアわれや、りきんだものをきたな△Sヲヽサ。 00021470L3今ひろつたが、ちツとはで過る(三十一ウ) 00021480¥N36¥J 00021490¥X○/生酔(なまよい) 00021500L6夜更て通るぼうたらが、ひよろ+/足(あし)の千鳥がけ。あたま 00021510L7がさがるとこミあげて、ケイといふと、道なかへ小間物見 00021520L8せを出しかける。/夜(よる)なれバかまふ人もなく、すぐにのめつ 00021530L9て、たわいなき処へ、犬が三四疋よつて、(三十二オ)見せ 00021540L10をバ大かたなめてしまい、なまゑいのあたまやかほを、へ 00021550L11ろ+となめれバ、Sアヽ、どなたかしらぬが、いかい/御= 00021560L12介抱(ご=かいほう) 00021570¥N37¥J 00021580¥X○二/度(ど)の/駈(かけ) 00021590L15/桃(もゝ)太郎、/鬼(おに)がしまの/手柄(てがら)に/味(あぢ)をしめ、又おもひ立/旅衣(たひごろも)。こ 00021600L16んどハ(三十二ウ)/龍宮(りうぐう)へでもいつて見んと、/腰(こし)には/例(れい)のき 00021610L17びだんご、すかりにいれてさげ/で((ママ))出る。道にて/猿(さる)に/出(いで)あへ 00021620L18バ、Sもゝ太郎殿+。どこへござる△S/龍宮(りうぐう)へ/宝(たから)とりに 00021630L19まいる。/腰(こし)につけたハ何でこざる。S日本一のきびだん/子(こ) 00021640L20Sひとつください。おとももふそう。/桃(もゝ)太郎、(三十三オ)す 00021650M1かりよりひとつだし/へ((てカ))とらせけれバ、/猿(さる)、手にとり、つ 00021660M2く+見て、モシ、ちいさくなりやしたの 00021670¥N38¥J 00021680¥X○/声(こへ)の薬 00021690M5/玄関構(げんくハがまへ)に/金看板(きんかんばん)/出(だ)して、/声(こへ)のたつくすりと、/書(かい)てある/門口(かどくち) 00021700M6へ/行(ゆき)て、/頼(たの)ミませふといへバ、大きなこへ(三十三ウ)で、 00021710M7どうれといふ。Sもし、こへの立つ薬を下さいませ。アノ 00021720M8いま、どうれとおつしやつたよふに、こへが立ますかとと 00021730M9へバ、取つぎのおとこ、こへをひきふして、また此よふに 00021740M10も、もふされます 00021750¥N39¥J 00021760¥X○すへ切 00021770M13/劍術(けんじゆつ)の/師匠(しせう)、すへ切といふ手の内(三十四オ)をして見せん 00021780M14といへバ、弟子ども、是ハ先生、/拝見(はいけん)いたしたい。成ほど 00021790M15+、しからバ、明日人ごミの所へいつてから、/往来(おうらい)のも 00021800M16の、いづれにても御のぞミしだい、すへ切にして見せ申さ 00021810M17んと、弟子どもを同道して、人どをりへ/出(いでゝ)、/待(まつ)て/居(ゐ)て、ア 00021820M18レ、あそこへ来た男(三十四ウ)をきつて見せふと、先生立 00021830M19向ふて、ぬくぞと見へしが刀をさやへ、何事もなし。弟子 00021840M20ども、いかゞとおもふ内に、おとこ七八軒あゆミしが、/首(くび) 00021850¥P68 00021860L1ハ前へころり。あとから、モシ+、くびが/落(おち)ました 00021870¥N40¥J 00021880¥X○/豆腐屋(とうふや)(三十五オ) 00021890L4夫婦ぐらしの/豆腐(とうふ)屋ありけるに、ふたりながら無筆なり。 00021900L5されども、女房おぼへがよく、Sモシ壱丁おくれ。代ハあ 00021910L6とから△Sアイ、むかふの/伊勢(いせ)やへいつてうといへバ、女 00021920L7房、ヲイよしといふ。/間(ま)もなく伊せ屋から、只今の壱丁の 00021930L8代と、もつてくれバ、S是ハ御きんとふ。(三十五ウ)ソレ、 00021940L9今のいつてう、代すみます△Sヲツト、わすれたり 00021950¥N41¥J 00021960¥X○御迎 00021970L12しごとしのおふくろ、大病なれバ、/友(とも)だち見廻に来て、ど 00021980L13ふだの、おふくろ。めしでもくへますか。Sイヤモウ、わ 00021990L14しもこんどのわづらひハ、おいとま(三十六オ)(三十六ウ・三 00022000L15十七オ挿絵)ごいじや。はやくおむかいがくればよふござる△ 00022010L16Sナニサ。お/迎(むかい)のなんのと、そんな/奢(をご)つたことをいわずと 00022020L17も、つゝかけていきなさい 00022030¥N42¥J 00022040¥X○/灯(てう)ちん 00022050L20御やしきのてうちんが通れバ、子供が/大勢(をふぜい)ついて、/灯(てう)ちん 00022060M1くをふな+。(三十七ウ)お/仲間(ちうげん)がぶつてふかほにて、ヱヽ 00022070M2やかましい子どもだ。コレ+、かまわずとくわせろ 00022080¥N43¥J 00022090¥X○/狩場(かりば)の切手 00022100M5/曽我(そが)の兄弟、かたき/工藤(くどう)を/討(うた)んとおもへど、かりばの切ツ 00022110M6手なけれバ、忍ビいることならず。/梶原(かぢハら)の/家老(かろう)/番場(ばんバ)の忠兵 00022120M7衛が所持して、色里にある由(三十八オ)/聞(きゝ)いだし、何とぞ 00022130M8/奪(うバ)ひ取るべしと、兄弟/土手(どて)にまちぶせして、なんなく/番場(ばんバ) 00022140M9をきりふせて/懐中(くわいちう)をさがし、ふくさ/包(つゝ)ミを引いだして、大 00022150M10ぐわん/成就(しやうじゆ)。これこそと悦びいさミ、我/家(や)にかへりひらき 00022160M11見れバ、コハいかに、/箱入(はこいり)/温石(おんじやく)(三十八ウ) 00022170¥N44¥J 00022180¥X○/恰好(かつこう) 00022190M14/薬種屋(やくしゆや)の/店(ミせ)にて、/若衆(わかいしゆ)が/寄(よつ)てはなしする中へ、さる/老人(らうじん)/来(き) 00022200M15かゝりてきゝゐたりしが、コレ+、貴様たちハ何をはな 00022210M16すかしらぬが、とかくわかいものハ、物のかつこうといふ 00022220M17ことをしらいでハ、やくにたゝぬ。これハ/格好(かつこう)が(三十九オ) 00022230M18よい、いや、ようないと、まづ第一に、かつこうといふこ 00022240M19とをしつたがよい。それだによつて、こゝらにも、/格好正= 00022250M20気散(かつこうせう=きさん)といふがある 00022260¥P69 00022270¥G(四十七ウ・四十八オ) 00022280¥N45¥J 00022290¥X○かなもの 00022300M3/或人(あるひと)、かなものをすいてなめる/病(やまい)あり。さま+の金物を 00022310M4なめて、たの(三十九ウ)しミけるが、いまた/塔(たう)の上なるたま 00022320M5をなめて見ず。何とぞ、浅草の五重のたうの上にある、き 00022330M6ぼうしゆをなめて見たいのぞミ、やう+手筋をもとめて、 00022340M7浅くさのおべつたう様へ申こミ、願のとをり、五重の/塔(とう)へ 00022350M8あししろをかけさせ、てつへんのきぼうし(四十オ)をなめ 00022360M9て見、/多年(たねん)の望ミ達したりと、よろこびける。Sどふだ。 00022370M10貴様ハ/塔(とう)のきぼうしゆをなめたか△Sアイ、なめました△ 00022380M11Sどのやふなものだな△Sイヱ、おもふた程にもござりま 00022390M12せぬ。橋のきぼうしに、/塩(しを)けのないものさ 00022400¥N46¥J 00022410¥X○こよみ(四十ウ) 00022420M15/伊勢(いせ)の/御師(おし)が/門口(かどくち)から、御機嫌よふござりますか。/例(れい)年の 00022430M16とをり/御秡(おはらい)を/進(しん)ぜますると、/台(たい)にのせて出せハ、/是(これ)ハ忝イ 00022440M17が、しかしことしから、ちつと/存寄(そんじより)もござれバ、御/土産(とさん)も 00022450M18のしも受ますまい。イヤそれだか、/年号(ねんがう)がかわつたから、 00022460M19/暦(こよミ)ハもらわずハ成まい。(四十一オ)その/代(かハ)り、今までの/暦(こよミ) 00022470M20を/下(した)にやりま/ず((ママ))から、取かへてくださりませ。/御師(をし)、まが 00022480¥P70 00022490L1ほになつて、ソレハめいわくでこざります 00022500¥N47¥J 00022510¥X○大名 00022520L4夜中に/御大家(ごたいけ)の御通り。となたで御ざりますととへバ、お 00022530L5さへの衆が/聞(きか)ぬ(四十一ウ)ふりしてゆく故、きこへぬかと 00022540L6思ふて、モシ、どなた様でござります。Sおさへ、つかう 00022550L7どごへで、/夜(よる)ハいわん。Sハテ、大きな/医者(いしや)様だ 00022560¥N48¥J 00022570¥X○岡場所 00022580L10新じゆくがはやつて、とんだ/美(うつく)しいが出るときい/で((ママ))、どん 00022590L11な女郎かでるかと(四十二オ)おもふて遊びにゆき、おもい 00022600L12れにふざけて床へまわれバ、女郎も打とけ/顔(かほ)なり。S客ど 00022610L13ふかぬしやア見た様だ。今迄ハどこにゐなさつた△S女郎 00022620L14わつちかへ。わつちハな、吉原にいやした△Sヲヽそふか 00022630L15の。道理で見たよふだ。そして/町(てう)でハ、どこらにいなさつ 00022640L16た△Sわつちや(四十二ウ)江戸町の三丁目に 00022650¥N49¥J 00022660¥X○富士山 00022670L19わかい衆大勢よつて、御山参りのはなしに、おらハ越中の 00022680L20立山へいつて見たい。Sおらハ又ゆどのも大ミねも、のほ 00022690M1つて見たけれと、マアそれより、三国一の名山といへバ、 00022700M2するがのふじへ(四十三オ)のぼつて見たい△Sナアニおき 00022710M3ねい。あがつて/能(よ)けれバ、西行が下にハおらぬ 00022720¥N50¥J 00022730¥X○/雇(ヤトイ)の供 00022740M6ひとりものゝ/医者(いしや)あり。さる町家から/呼(よび)にくれバ、是ハお 00022750M7もひもよらぬよい鳥がとれたと悦び、いつてふらを出して 00022760M8見へをつくり、ひとりてハゆかれ(四十三ウ)まいと、相/店(だな) 00022770M9の長八を、/慮外(りよぐわい)なからと/草履(そうり)取にたのミ、召つれて出ける 00022780M10が、長八がなりのあまり見ぐるしきにめいわくし、コレ 00022790M11+長八。貴公の/形(なり)ハ/余(あんま)り見とむない。ナント、あんじハ 00022800M12あるまいかといへバ、長八、しバらくくふうして、/腰(こし)の手 00022810M13ぬぐいをとつて、/頬被(ほうかぶり)(四十四オ)をして、是でよい。サア 00022820M14ござれといふ。/医者(いしや)是を見て、マアそのほうかぶりハどふ 00022830M15だ。Sハテ、これでおまへの供とハ見へませぬ 00022840¥N51¥J 00022850¥X○格子作り 00022860M18てんきがよさに友だちをさそひ、夕やくしと出かける。か 00022870M19やバ町へゆく(四十四ウ)道に、よい/身代(しんだい)と見へたる/格子作(かうしづくり) 00022880M20の内に、廿ばかりの/息子(むすこ)が/書物(しよもつ)を見てゐる。アレマア、此 00022890¥P71 00022900L1あついのに、何が/楽(たの)しミで気のつまる本を見るナア。へん 00022910L2なやつじやアねいかと言ながら、やくしへまいり、帰りが 00022920L3けにさつきの内を見るに、まだつくへにかゝつている。と 00022930L4んだ(四十五オ)こつた。まだ本を見てゐるハと、/暫(しバら)く立と 00022940L5ゞまれバ、むすこハずつと立て、のびをしながら、アヽ壱 00022950L6分ほしい 00022960¥N52¥J 00022970¥X○芸者 00022980L9深川ほんだに/結(ゆ)つて本八丈。とんだ/意気(いき)ななりだの。アレ 00022990L10ハげいしやだの。あとのおとこが長イ(四十五ウ)はこをふ 00023000L11ろしき包ミにしてさげなから、ぶつてふづらして/小言(こごと)をい 00023010L12ふをきけハ、/歩行(あるく)ハお/下手(へた) 00023020¥N53¥J 00023030¥X○貧家 00023040L15此上もないびんほう人の所へ、ぬす人はいりて、そこらさ 00023050L16がして見れど、何もなし。/亭主(ていしゆ)ハてんとくじを(四十六オ) 00023060L17引ツかぶり、しらぬかほでねていれバ、ヱヽいま+しい。 00023070L18此やふな何もない内も又あるまいと、/小言(こごと)をいふ。ていし 00023080L19ゆ、あまりおかしさに、くつ+わらへバ、イヤ、わらい 00023090L20ごつちやない 00023100¥N54¥J 00023110¥N○ふの字 00023120M3ある人、/有卦(うけ)に入れバ、ふの字の(四十六ウ)付たものを七 00023130M4いろそなへるといふことを聞て、友だちにむかひ、コレ、 00023140M5おれハの、ことし/有卦(うけ)にいつたから、ふのじを七つを用ひ 00023150M6た。きいてくりやれよ。まづ、ふつと思ひ付て、ふたりづれ 00023160M7て、ふら+出かけて、ふねにのつてな、ふか川へいつて、 00023170M8ふたりあげた。ナントよからふがと(四十七オ)(四十七ウ・四 00023180M9十八オ挿絵)いへバ、友達聞て、イヤ、まだそれでハ、ひと 00023190M10つたらぬといへバ、ヲヽそれよ。ふられた 00023200¥N55¥J 00023210¥N○うに 00023220M13あるいしやどのへ見廻けるに、是ハ+よふこそとざしき 00023230M14へ通し、/盃(さかつき)をいだし、/馳走(ちそう)しける。さかなに越前の(四十八 00023240M15ウ)うにをいだしける。もし、コレハ何でござりますの。 00023250M16Sうにでござる△Sハテ、けつかうナ御さかなでござりま 00023260M17す。/風味(ふうミ)と申、おめづらしい△Sサレバサ。やふ+もら 00023270M18いました。ときに、此/角(つの)ハきつい/毒消(どくけし)しさ 00023280¥P72 00023290¥N56¥J 00023300¥X○井戸がへ 00023310L3長屋中よつて井戸がへをするに、(四十九オ)相/店(だな)の浪人衆、 00023320L4/出(で)ずにもいられまいとまかりいでゝ、身どもゝ御/手伝(てつだい)申さ 00023330L5ふといふ。又御浪人様か。けつく、じやまにならふとめい 00023340L6わくながら、モシそんなら、おまへ様ハこゝへ御出なさつ 00023350L7て下さりませいと、つなの先をあてがい、Sソレひいたり 00023360L8よと/声(こへ)かけれバ、浪人、(四十九ウ)/四角(しかく)に成つて、しから 00023370L9バお先へ 00023380¥N57¥J 00023390¥X○/仲人(なかうと) 00023400L12いたつてふきりようなる/娘(むすめ)有り。とかく/縁遠(ゑんとを)くて、おや/達(たち) 00023410L13もこまりゐける。ある時、心安くなされて下さる/鯛庵(たいあん)老の 00023420L14御出。/四方(よも)山のはなしもすみて、てい主、鯛庵(五十オ)老 00023430L15に/向(むか)ひ、御存の娘がこと。とし比にも成ますれど、いまだ 00023440L16/相応(そうおう)なこともござりませず。おまへ様ハ/方&(ほう※)ひろふ御ある 00023450L17きなされますれバ、御きゝ合せ被成てくださりませいとい 00023460L18へバ、鯛庵どのもこれにハこまり、成ほど、心へました。 00023470L19(五十ウ)/病家(びやうか)其ほか方+へも参れば、随/分(ぶん)と心がけま 00023480L20せふが、又/余人(よじん)にもお/頼(たのミ)なされい 00023490¥N58¥J 00023500¥X○鑓持 00023510M3さる御やしきの御/使者(ししや)、馬にのつて/供廻(ともまわ)り/美&(びゝ)しく召つれ 00023520M4られしが、/鑓(やり)のさやがた+となるゆへ、/馬上(バせう)£(五十一オ) 00023530M5ふりかへり、/鑓(やり)のさやをおとすなよといゝ付、又ふりかへ 00023540M6りてハ、やりのさやに/気(き)をつけよ。おとすなよと、/幾度(いくたひ)も 00023550M7/言付(いゝつけ)て行けるが、ふり返りて見れバ/鑓(やり)のさやなし。/侍(さむらい)大 00023560M8きに/腹(はら)を/立(たて)、あれほど/気(き)を付ケたに、ふとゞき/千万(せんばん)としか 00023570M9れバ、/鑓持(やりもち)がいふにハ、あまり(五十一ウ)御/苦労(くろう)に被成ま 00023580M10すによつて、さやハ/懐中(くわいちう)いたしました 00023590¥N59¥J 00023600¥X○/年弱(としよハ)の兄 00023610M13はなしのついでに、コレ、貴様の御/舎兄(しやけう)のおとしハ、もふ 00023620M14いくつにならしやるととへバ、わたしより、五つ六つわか 00023630M15ふござるといふ。ソレハかわつてことをいわしやる。どふ 00023640M16(五十二オ)したこととゝへバ、されバ、/今年(ことし)ハとしがとら 00023650M17れぬ+と申されたが、わたしがしつても、もふ十年の上 00023660M18じや 00023670¥N60¥J 00023680¥X○風鳥 00023690¥P73 00023700L1/駝鳥(だてう)といふ/鳥(とり)ハ/火(ひ)をくふ鳥でござる。Sそれハきめうな鳥 00023710L2じや。/糞(ふん)ハ/消炭(けしすミ)でかな/御座(ござ)らふ。又/風鳥(ふうてう)といふ鳥は、(五十 00023720L3二ウ)風ばかりくふて居ますとはなせバ、/夫(それ)ハ又何を/糞(ふん)に 00023730L4しますぞととへバ、ハテ、へばかりさ 00023740¥N61¥J 00023750¥X○金拾ひ 00023760L7人が金をひろへバ、うれしいものじやといふが、おれもひ 00023770L8ろふて見んと、小判壱両/才覚(さいかく)して内へかへり、(五十三オ) 00023780L9座敷のまん中へなげて、ひろいあげて見たれど、/嬉(うれ)しくも 00023790L10なし。これハがてんのゆかぬことじやと、/今度(こんど)ハ思ひ切て、 00023800L11ぴよいとなげれバ、物のあわいへかくれて見へず。これハ 00023810L12したりと、色&さがして、やう+と見付、手に取上ゲ、 00023820L13ほんに/嬉(うれ)しかつた(五十三ウ) 00023830¥N62¥J 00023840¥X○二度/添(ぞひ) 00023850L16あるおとこ、二度めの女房を呼ンてくらしけるが、ちつと 00023860L17のしそこなひがあつても、もとの/仏(ほとけ)がいたらバかふはある 00023870L18まいにと、/口癖(くちくせ)のやふに/言出(いゝだ)せバ、今の女房はらをたて、 00023880L19夫婦いさかいするところへ、となりの/太郎平(たろへい)(五十四オ)来 00023890L20かゝり、あつかひにはいりて、わけを/聞(きゝ)、なるほど、御/亭= 00023900M1主(てい=しゆ)のいわるゝ通り、まへのかミ様ハよい人であつたが、又 00023910M2今のほとけもわるい人でもない 00023920¥N63¥J 00023930¥X○/親分(おやぶん) 00023940M5きほひ/組(くミ)の八兵衛、子どもの薬をもらいたるいしやどのへ 00023950M6ゆきて、(五十四ウ)此たびハおかげで、むす子めをひとりひ 00023960M7ろいました。わつちがことじやから、何も御礼にあげるも 00023970M8のもございませぬ。其かわり、/何所(とこ)でも/喧嘩(けんくハ)をなさつたら 00023980M9バ、八兵衛が子分だとおつしやりませ 00023990¥N64¥J 00024000¥X○/居(すへ)ふろ(五十五オ) 00024010M12/水(すい)ふろがあいている。今おれがでた/跡(あと)だが、はいらんかと 00024020M13いへハ、ヲイ、それハよからふと、まつぱだかに成つて、 00024030M14/居風呂(すへふろ)へ/片足(かたあし)いれて、ヲヽあついと、あしをひく。ヱヽお 00024040M15くびやうな。そんなにあつくもないもの。こたへてはいり 00024050M16給へ。イヤ、むめてくれなさい。(五十五ウ)おらアハ大の 00024060M17ねこあしだ 00024070¥P74 00024080¥Q 00024090L1/話稿(わかう) 00024100L2△△/聞上手(きゝじやうす)/後篇(こうへん)△△嗣出 00024110L3△/続(つゞい)て/板行(はんかう)仕候間御/求(もと)め御/覧(らん) 00024120L4△△△△△△△△△△△△可被下候 00024130L6元飯田町中坂△△△遠州屋弥七板 00024140L7△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(五十六オ) 00024150¥P75 00024160¥U噺本大系△第九巻 00024170¥T興話;/飛談語(とびだんご)〔序題〕 00024180¥G 00024190¥Y 00024200L16安永二年正月刊 00024210L17宇津山人菖蒲房序 00024220L18常室画 00024230L19雁義堂板 00024240L20小本一冊 00024250¥Y興話;/飛談語(とびだんご)序G 00024260M3/往昔(むかし)/々(+)々、/桃太郎(もゝたらう)ハ、/黍団子(きびだんご)を/携(たづさへ)て/三禽(さんきん)を/随(したが)へ、/遂(つい)に/珍貨(たから) 00024270M4を/獲(え)たり。/厥后(そのゝち)、/代(よ)くだりて、/愚(をろか)なる/聟(むこ)あり。この(序一オ) 00024280M5/団子(だんご)の/饗(もてなし)に/逢(あひ)て、其/味(あぢハひ)/甘美(かんび)なるを/忘(わす)れかね、/却(かへつ)て其/名(な)を 00024290M6/忘(わす)る。/吹火筒(ひふきだけ)の/一棒(いつぼう)に、其/称(な)/顕然(あらハれ)てより、此/談語(だんご)も、/飛(とん)だ 00024300M7/茗釜の/上(うへ)に/蒸(むさ)れて、(序一ウ)/腹(はら)をふくらし、/頤(をとがい)を/解(と)くの/所= 00024310M8縁(しよ=えん)にひかれ、/鹿児餅(かのこもち)の/御口(おくち)には/協(あ)ふまじけれど、/飛談語(とびだんご)と 00024320M9/披露(ひろう)するものならし(序二オ) 00024330M11△△△△△△△△△△△△△△宇△津△山△人 00024340M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△菖△蒲△房 00024350M13△△△△△△△△△△△△△△△GG 00024360M15△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序二ウ) 00024370¥P76 00024380¥G(一ウ・二オ) 00024390¥T1/飛談語(とびだんご) 00024400¥N1¥J 00024410¥X/金沢(かなざハ) 00024420M5/駕(かご)より/出(で)て/能見堂(のうけんどう)にあがり、扨も+/絶景(ぜつけい)じや。/駕(かご)の/者(もの)、 00024430M6あれ、あの/筆(ふで)/捨松(すてまつ)の見事。なるほど/昔(むかし)の/金岡(かなをか)も、あゝハか 00024440M7ゝれぬとて筆を捨たも、/無理(むり)でハない。S駕の者わたくし 00024450M8どもハ、/箱根(はこね)が/舁(かき)にくうござり(一オ)(一ウ・二オ挿絵)ます 00024460¥N2¥J 00024470¥X/鍵袋(かぎぶくろ) 00024480M11/客(きやく)の/三徳(さんとく)から/鍵袋(かぎぶくろ)が/出(で)たを、/禿(かぶろ)が取て、いかひ事/鎰(かぎ)があり 00024490M12んす。此かぎをおくれ。Sそれハ/十種香箱(じじゆがうのはこ)の鎰で、やられ 00024500M13ぬ△Sそんなら是をおくれ△Sそれハ/哥書箪笥(かしよだんす)の鎰で、や 00024510M14られぬ△Sそんなら是をおくれ△Sそれをやる(二ウ)と、 00024520M15内へはいられぬ 00024530¥N3¥J 00024540¥X/飼猫(かひねこ) 00024550M18十八九の/娘(むすめ)、/当世(とうせい)ひきぬきに/髪(かミ)を/結(ゆひ)たて、/子猫(こねこ)に/赤(あか)い/首玉(くびたま) 00024560M19付けたるをば両手でかきいだき、/門口(かどぐち)に/立居(たちゐ)たり。/往来(ゆきゝ)の 00024570M20人、/見(ミ)て/通(とを)りながら、扨もかハひらしい/猫(ねこ)な。S@猫、ニヤア|ウと鳴く。@ 00024580¥P77 00024590¥G(四ウ・五オ) 00024600M1S@娘、猫のあたまを|したゝかたゝきて、@(三オ)うぬが事じやない 00024610¥N4¥J 00024620¥X/小便(しやうべん) 00024630M4客、/床(とこ)より出て小便に行く。/先(さき)に大坊主が、/長(なが)+と小便 00024640M5して居る。此方もはづミけれバ、ちと御めんなされと、お 00024650M6しならぶ時、/皃(かほ)を見れバ/旦那寺(だんなでら)の/和尚(おしやう)也。是ハ+といへ 00024660M7バ、S和尚/御奇特(ごきどく)にお出なさ(三ウ)れた 00024670¥N5¥J 00024680¥X/天秤(てんびん) 00024690M10/両替町(りやうがへてう)を、/母乞食(はゝこじき)が/先(さき)にたつて、/坊主(ほうず)早く/来(こ)い。そこに何 00024700M11を見て居る。/天秤(てんびん)を/扣(たゝ)くに見入りて、おれハあれが/面白(をもしろ)い。 00024710M12S母乞食おもしろくハ、そこの/子(こ)にくれるぞよ 00024720¥N6¥J 00024730¥X/立聞(たちきゝ)(四オ)(四ウ・五オ挿絵) 00024740M15扨&/御不沙汰(ごぶさた)いたしました。まづ御かハりもなくてめでた 00024750M16い。/御亭主(ごていしゆ)様。只今是へ参る/道(ミち)で、/真(まこと)の/美人(びじん)といふ女を見 00024760M17ました。/笠森(かさもり)のおせんでもかなひませぬ。あれがほんの、 00024770M18三十二/相(さう)などゝ申すのでござりませふ。S亭主はて、あれ 00024780M19バある者な△S客申ぶんハ/少(すこ)しもなけれど、/若(もし)(五ウ)いは 00024790M20ゞ、/鼻(はな)の下が、ちとみじかいばかりが、疵てござります△ 00024800¥P78 00024810L1S亭主こいよ。お/茶(ちや)をあげい△S@腰元、鼻の下を随分引の|ばし、客へ顔を突付て、@お茶 00024820L2あがりやせ 00024830¥N7¥J 00024840¥X/鳶者(とびのもの) 00024850L5/鳶者(とびのもの)、/隣(となり)の人に、アノ/質(しち)の/利(り)ハ/一貫(いつくハん)にいくらづゝ出る。/八= 00024860L6月限(や=つきぎり)りでも、/勘定(かんでう)をすれバ出されるか。S爰な人ハ、/子細(しさい) 00024870L7らしい。(六オ)ついに/質(しち)でも/置(を)かぬ人のいふやうな。質の 00024880L8/利(り)の/勘定(かんでう)を/知(し)らぬといふ事がある物か△Sついに/請(うけ)た事が 00024890L9ないから知(し)らぬ 00024900¥N8¥J 00024910¥X/芸者(げいしや) 00024920L12芸者二人づれにて/座敷(ざしき)より/戻(もど)りけるに、/夜(よ)ハもう八つ/時分(じぶん)。 00024930L13Sモシおもんさん。わたしハ/後架(かうか)へ行きたい△Sヲヤ、/爰(こゝ) 00024940L14らハお/屋(や)(六ウ)/敷(しき)で/後架(かうか)がない。其/潺(どぶ)のはたへしな。/誰(たれ)も 00024950L15見ハせず。早く+といふ内に、もう/急(きう)になれバ、おふき 00024960L16ハ/尻(しり)ひんまくり、/快(こゝろよ)くたれてしまひ、おもんさん。/紙(かミ)をく 00024970L17んな。S是ハしたり。わたしも紙をつかひきつた。よし、 00024980L18その/唄(うた)の/本(ほん)の/末(すへ)の/白(しろ)い所を/引裂(ひきさい)て/拭(ふき)な△Sアイと、/末(すべ)を/引(ひき) 00024990L19さいて/拭(ふい)て、/連立(つれだち)(七オ)/帰(かへ)る。S/翌日(あくるひ)、お/屋敷(やしき)の/潺(どぶ)の/端(はた)に、 00025000L20/大糞(おほぐそ)の/上(うへ)に紙に/書付(かきつけ)がある。此主ふき 00025010¥N9¥J 00025020¥X/巨燵(こたつ) 00025030M3九尺二/間(けん)の/裏店(うらだな)、/夫婦(ふうふ)して小僧をなぶり、/我(われ)ハ/掃溜(はきだめ)の/際(きハ)に 00025040M4/密柑篭(ミかんかご)に/入(いれ)て/捨(すて)て有たを、おれがひろつた。S小僧その/密= 00025050M5柑篭(ミ=かんかご)を、/巨燵(こたつ)に/塗(ぬ)らしやつたか(七ウ) 00025060¥N10¥J 00025070¥X/音楽(をんがく) 00025080M8/湯島聖堂(ゆしませいどう)のうしろに、/風鈴(ふうりん)/蕎麦(そは)と/箒売(はゝきうり)と/団炭(たどん)うり、/荷(に)を 00025090M9おろし/休(やす)みけるに、/煉塀(ねりべい)の内かすかに、/音楽(をんがく)の/稽古(けいこ)/聞(きこ)ゆ。 00025100M10各/感心(かんしん)し、小次郎/直家(なをいへ)もどき。いざや、我らもあの/真似(まね)し 00025110M11ながら行ふと、まづSふうりん引△Sほうき。(八オ)火い 00025120M12れ、たどん引 00025130¥N11¥J 00025140¥X/伯父貴(をぢき) 00025150M15/奥様(をくさま)御ひろひの御供。/奥山(をくやま)にて、しバし御やすみの内、/遥(はるか) 00025160M16/熊谷(くまがへ)いなりの方に、/朱鞘(しゆざや)大小の六十ばかりな/侍(さむらい)、一/僕(ぼく)つれ 00025170M17て/行(ゆく)を見つけ、/家来(けらい)に口上いひつけやる。/坂東(はんどう)/勘八(かんはち)、申 00025180M18あげまする。伯父貴様にハ、(八ウ)いつ/御出府(ごしゆつふ)なされまし 00025190M19た。存しませいで御無沙汰仕りました。私只今、主人/奥方(をくがた) 00025200M20の供先ゆへ、まづ家来へ口上申つけましたとのぶる。かの 00025210¥P79 00025220L1/朱鞘(しゆざや)の/侍(さふらい)ふりかへり、/拙者(せつしや)、/御当地(ごとうち)に/数年(すねん)/住居(ぢうきよ)いたす。其 00025230L2上、/甥(をい)は一人ももちませぬ。御人違とぞんずるとの/返辞(へんじ)を 00025240L3聞て、なんぼ/立派(りつは)な/返事(へんじ)ても、(九オ)あれも/誰(たれ)ぞが/伯父(をち)に 00025250L4ちがひハない 00025260¥N12¥J 00025270¥X三人/支離(かたは) 00025280L7/片眼(かため)と/■跛(ちんば)と/鼻(はな)ぐたとつれだち、花見に出る。御大名の/御= 00025290L8望楼(お=ものみ)に、女中/綺羅(きら)を/錺(かざ)り見ゆれバ、三人ながら、其前を通 00025300L9りかね、やう+/工夫(くふう)して、Sチンバ是ハ/糞(くそ)を/蹈(ふん)だ。ビツ 00025310L10コリ+S@ハナグタ、袖|ヲ鼻ヘアテヽ@さても臭い+(九ウ)S@片目ヲ手デ|フサギテ、@ 00025320L11/二目(ふため)とハ見られぬ 00025330¥N13¥J 00025340¥X/鞠(まり) 00025350L14扨+江戸でめづらしい物を見た。/鞠(まり)といふ鳥を見た。ま 00025360L15づ白く丸いが、/羽(はね)も見へねどもよく/飛(と)ぶ。四間四方ほどの 00025370L16/鳥篭(とりかご)の中に、人が四人/居(ゐ)る。/足(あし)へ/喰付(くひつい)てハ/飛上(とびあが)り+した 00025380L17が、其中に一人、きつい(十オ)/男(おとこ)が/蹈(ふん)だら、/屁(へ)をひつて/死(しん) 00025390L18だ 00025400¥N14¥J 00025410¥X/小粒(こつぶ) 00025420M1小粒を/奉書(ほうしよ)に/包(つゝ)んで、是/取(とつ)て置れと、女郎に/遣(や)る。S@女郎|アケ@ 00025430M2@テ見|テ、@是ハ何だへ。/薬(くすり)かへと、@知ラヌフ|リヲスル。@S客はて、しまつて 00025440M3/置(をきや)れといふ所へ、/宿(やど)より/急用(きうやう)で/呼(よび)に/来(き)たゆへ、いそぎ/立帰(たちかへ) 00025450M4る。道より取て/帰(かへ)し、(十ウ)紙入を/忘(わす)れたゆへ、/部屋(へや)へズ 00025460M5ツとはいる。S@女郎ハラ|バヒテ、@四づゝのけて/居(ゐ)た 00025470¥N15¥J 00025480¥X/頭痛(づつう) 00025490M8此頭痛が/直(なを)らふなら、十両ハ/出(だ)すといふ。S友ダチそれハ 00025500M9一代、頭痛の/根(ね)のぬける/仕方(しかた)がある△Sどうするぞ△S/箱= 00025510M10根(はこ=ね)へ/湯治(とうぢ)に/行(いきや)れ。/滝(たき)の/温泉(ゆ)にたゝかせれバ、/一生(いつせう)頭(十一オ) 00025520M11痛ハせぬ△Sそれハ何程かゝる△S十両内外で/済(す)む△Sも 00025530M12つと/強(つよ)く/頭痛(づつう)がしてもよい。今十両ほしい 00025540¥N16¥J 00025550¥X/近眼(ちかめ) 00025560M15此/手紙(てがミ)を伊右衛門どのへ/持(もつ)てゆけ。Sハイ。これハ平右衛 00025570M16門様とござります△Sドレと、又取て見れバ伊右衛門様。 00025580M17これほど伊右衛門(十一ウ)様と書てあると投出す。S家来、 00025590M18取て見れバ、とかく平右衛門様と見へる。よく+詮義し 00025600M19たれバ、/鼻(はな)に/人篇(にんべん)を書た 00025610¥P80 00025620¥N17¥J 00025630¥X/岡釣(をかづり) 00025640L3三人連にて/葛西(かさい)へ岡釣に行しに、いつの間にか、川向ふに、 00025650L4大男の色の青いが、じつと立て見て居るを、三人がふと見 00025660L5付、(十二オ)扨も色の青い男じや。随分色の青い男も見た 00025670L6が、此やうにすぐれて青い男ハついに見ぬと/囁(さゝや)き合ふを聞 00025680L7つけて、目をむき出し、大声ニテ、/菜喰(なアくつ)たアイ 00025690¥N18¥J 00025700¥X/名鳥(めいてう) 00025710L10明日の/珍客(ちんきやく)に、なんぞあたらしい/馳走(ちさう)の仕方ハ有まいか。 00025720L11/才覚(さいかく)致せ。S用人至極(十二ウ)めづらしい御馳走がごさり 00025730L12まする△S主人何がある△S昨日鳥屋の前を通りましたが、 00025740L13尤小鳥で/三線(さミせん)の/音(ね)を/啼(なき)まする△Sそれは/至極(しごく)じや。/買(か)へ△ 00025750L14S金百両じやと申ます△S百両でもよい。/買(か)ふて/来(こ)い△ 00025760L15S扨/客(きやく)の前へかざり、此鳥の音を、今にお聞なされと、亭 00025770L16主/自慢皃(じまんがほ)にて/披露(ひろう)したれども、/終(ひね)(十三オ)/日(もす)/啼(な)かす。客も 00025780L17/気毒(きのどく)ながら、又かさねて参り/承(うけたまハら)ふといふて/帰(かへ)られた。 00025790L18S主人、用人をよびつけ、其方、此鳥ハ三線の音を啼くと 00025800L19いふて、我に/買(かハ)せ、客の前へ出させたれど、/終日(しうじつ)少しも/鳴(な) 00025810L20かず。さすれバ入用にもなし。則、其方へとらすると、に 00025820M1が+しき皃にて/投出(なげいだ)す。S用人、/誤(あやま)り(十三ウ)入たる風 00025830M2情にて、鳥/篭(かこ)を御次へ持出、鳥に向ふて恨ミけるハ、/最前(さいぜん)、 00025840M3鳥屋にある内ハ、/汝(なんぢ)随分/三線(さミせん)を啼けるに、今日御客の/曠(はれ)の 00025850M4/場(ば)にて鳴かざるハいかなる事ぞ。主君に大金を出させまし、 00025860M5/御馳走(ごちさう)も無になるのミならず、/全(まつた)く/私慾(しよく)に/主君(しゆくん)を/欺(あざむ)くとの 00025870M6御意も同(十四オ)じき/御顔色(ごがんしよく)。今さら申わけにハ、我等/切= 00025880M7腹(せつ=ふく)するまでなり。/鳥類(てうるい)に向ひ、/無益(むやく)の/恨(うら)ミながらも、あま 00025890M8りにつれなきふるまひかな。よく+/武運(ふうん)にも/尽果(つきはて)たナア 00025900M9トイフミフリ。S鳥てゝてん+、つゝてちちん 00025910¥N19¥J 00025920¥X/入歯(いれば) 00025930M12/初会(しよくハい)の/座敷(ざしき)、女郎、袖にて口を覆ひ(十四ウ)居る。客、/廻(まハ) 00025940M13り気にて、おれが/息(いき)でも/臭(くさ)さに、さうして居るのか。Sい 00025950M14ゝへ。アノ夕べ、/傍輩衆(はうばいしゆ)と/狂(くる)ひやして、/麁相(そさう)で/柱(はしら)へ/前歯(まへば)を 00025960M15打つけやして、つい/欠(かけ)やしたと袖を取れバ、成程/向歯(むかふば)一枚 00025970M16かけてあり。S客、やがて/小粒(こつぶ)を/出(だ)し/墨(すミ)にて/塗(ぬ)り、どれ、 00025980M17/入歯(いれば)をやらふとさしこみたれバ、丁(十五オ)/度(ど)よく、/常(つね)の 00025990M18/歯並(はなミ)に成たり。そのゝち、うらに行けるに、又もとのごと 00026000M19く/歯(は)ぬけて/居(ゐ)れバ、/先途(せんど)の/入歯(いれば)ハどうしたと聞けバ、S中 00026010M20の町で、/巾着切(きんちやくきり)に/吸取(すひと)られやした 00026020¥P81 00026030¥G(十六ウ・十七八オ) 00026040¥N20¥J 00026050¥X/新参(しんざん) 00026060M3八助ヤイ。源左衛門殿へ/使(つかひ)に/行(い)て/来(こ)い。Sハイといふてか 00026070M4けゆく。Sあいつハ口上もきかず(十五ウ)に/使(つかひ)に/行(い)て、何 00026080M5といふであらふ。/麁相(そさう)なやつじやといふ所へ帰る。S八助。 00026090M6我ハ口上を何といふた△Sイヤ、/幸(さいわい)お/留守(るす)でござりました 00026100¥N21¥J 00026110¥X/紋所(もんどころ) 00026120M9/紋(もん)といふものハ、めつたに付る物でハない。(十六オ)(十六 00026130M10ウ・十七八オ挿絵)皆それ+に/謂(いはれ)がある。Sそんなら、あの 00026140M11/巴(ともへ)ハ/何(なん)だ△Sあれハ/眉間尺(ミけんじやく)と/王様(わうさま)と/臣下(しんか)と、三人の/首(くび)が/釜(かま) 00026150M12で/煮(にへ)る/形(かたち)だ△Sそんなら、あの/酸漿(かたばミ)ハ/何(なん)だ△Sあれハその 00026160M13三人の/尻(しり)だ 00026170¥N22¥J 00026180¥X/紺屋(こんや)(十七八ウ) 00026190M16/紺(こん)屋の若いしゆ、夜なべに、/伸(の)したり/畳(たゝん)だり、/緘(とぢ)る/包(つゝ)むと 00026200M17ころへ、/蚰蜒(げぢ+)が出ると、一人ハ/嫌(きら)ひで/迯(にげ)る。一人ハ/息(いき)で/吹(ふ) 00026210M18く。一人ハ紙をかぶせて/包(つゝ)ミ、ひんねぢて、/格子(かうし)の間から 00026220M19/外(そと)へ/投(なげ)る。/明後日(あさつて)/来(こ)い 00026230¥P82 00026240¥N23¥J 00026250¥X/辻駕(つぢかご) 00026260L3/草鞋(わらんぢ)引しめ、/合棒(あひぼう)とつれだち出しが、間も(十九オ)なく帰 00026270L4り、門口から/畳(たゝミ)の/上(うへ)へ、/銭(ぜに)八百なげ出す。/嚊(かゝ)ハ見て、是ハ 00026280L5まあ、/晩(ばん)まで出て二百とれぬ日もあるに、よい仕事さしや 00026290L6つたと、/機嫌(きげん)よげに/盥(たらい)に水くみさし出せバ、/足(あし)を/洗(あら)ひあが 00026300L7りて、/飯(めし)を/早(はや)く/拵(こしら)へよ。/出来(でき)たら/起(をこ)せと木枕引よせ高/鼾(いびき)。 00026310L8/嚊(かゝ)ハ早&/飯拵(めしごしら)へも出来て/膳(ぜん)をすえ/置(をき)、さあ飯がようござる。 00026320L9/起(をき)て(十九ウ)まいれとさすり/起(をこ)せバ、むくと/起(を)き、/箸(はし)をと 00026330L10り/汁(しる)の/蓋(ふた)をとれバ、汁の/澄(すミ)たるを見て、ヤイ爰な者。おれ 00026340L11ハ/平生(へいぜい)/薄(うす)い汁ハ/嫌(きら)ひだ 00026350¥N24¥J 00026360¥X/舛罠(ますわな) 00026370L14/堅法華(かたほつけ)の/仏檀(ぶつだん)へ/鼠(ねずミ)がはいり、かぢりちらす。/亭主(ていしゆ)、/舛罠(ますわな)を 00026380L15しかけて寐ると、もうがつたりと落る。ソリヤ/掛(かゝつ)たと、内 00026390L16義が起て、(二十オ)/舛(ます)をよく/押(をさ)へ、力一はい/振(ふり)廻し、いか 00026400L17な事/最(も)う死だかと、そつとあけれハ、鼠ハなくて/御祖師(おそし)さ 00026410L18ま、所&かけ/損(そん)じ。内義ハあきれて、又/御難(ごなん)におあひあそ 00026420L19ばした 00026430¥N25¥J 00026440¥X/頭巾(づきん) 00026450M3柳原/床廛(とこミせ)に/釣(つる)してある頭巾の/直(ね)を聞て、/買(かハ)んとせしが、す 00026460M4べて此へんに/釣(つる)(二十ウ)してある/頭巾(づきん)ハ、/女郎(じよらう)の/脚布(ゆぐ)の/古(ふる) 00026470M5いのを黒く/染(そめ)て/仕立(したて)るといふが、いよ+左様かと/聞(きく)。 00026480M6S是ハ/勿躰(もつたい)ない。/脇(わき)のハ存ぜず。私などが/売(うり)まするハ、/呉= 00026490M7服屋(ご=ふくや)から黒ぢりめんを/買(か)ひまして仕立まする。ゆめ+、 00026500M8さやうなるむさい事ハ致しませぬ△Sそんなら/買(か)ふまい 00026510¥N26¥J 00026520¥X/仲町(なかてう)(二十一オ) 00026530M11/深川(ふかがハ)の/馴染(なじミ)の所へ行しに、女郎が出て、おいでなんしたか 00026540M12といふ。S客/何(なん)と、おいでなんしたかとハ。それハ/町(てう)から 00026550M13此へんへ近比/出張(でばり)が来て、其/詞(ことバ)を/聞(きい)て/真似(まね)るか。さりとハ、 00026560M14地の者がいふてハうつらぬ。よしにして、やつはり云つけ 00026570M15た通り、/来(き)なはつたかでよい△S女郎おがミんす△S又お 00026580M16がミんす。是ハ聞ぐるしい。(二十一ウ)/最(も)うよしてくれい△ 00026590M17S女郎そんなら、何といひやしよ△S客/教(をし)へてやらふ。所 00026600M18/相応(さうをう)な/詞(ことバ)がよい。ばか++++++++ 00026610M19らしうありんすといへ 00026620¥P83 00026630¥N27¥J 00026640¥X/文争(ふミあらそひ) 00026650L3/貴(き)様ハ品川/贔屓(びいき)じやが、きつい/下卑(げび)じや。やめて町へ行き 00026660L4やれ。第一、町ハ/文(ふミ)にも、/岡場所(をかばしよ)にないやさしい事を/書(か)く。 00026670L5此中(二十二ノ三オ)の/文(ふミ)に、Sむかふ十七日十八日ハ、年 00026680L6の市にておハしまし候まゝ、にぎ+しく御はこびと/書(かい)て 00026690L7/来(き)た。S品川客そのやうな/脇(わき)にない事ハ、品川の文にも/書(か) 00026700L8く。/先度(せんど)おれが方へ、Sむかふ四日ハ/磔獄(はつゝけごく)門にて、此里、 00026710L9にぎ+しく候まゝ、御見/物(ぶつ)ながら御はこびと/書(かい)てよこし 00026720L10た(二十二ノ三ウ) 00026730¥N28¥J 00026740¥X/労咳(らうがい) 00026750L13/娘(むすめ)、まづハ労咳と見へて、色&/療治(れうぢ)すれども、はか※し 00026760L14くなし。ある/才覚人(さいかくじん)来て、/両親(りやうしん)にむかひ、わしが/了簡(りやうけん)に付 00026770L15てごらうじろ。むさとした事も成まい。あの/美若(びじやく)な/色香(いろか)/艶= 00026780L16庵(えん=あん)どのに見せて、夜も/側(そば)に/置(をい)て/伽(とぎ)をさせたら、きつと/直(なを) 00026790L17(二十四オ)らふといふ。両親も/納得(なつとく)し、/艶庵様(えんあんさま)を/頼(たの)めバ、 00026800L18艶庵きつい/悦(よろこ)び。早速参られ、/脉(ミやく)を/窺(うかゞ)ひ/額(ひたい)を/押(をさ)へ、お/腹形(はらなり) 00026810L19などとくと見て、側に居らるゝと、娘が、Sかゝさん。あ 00026820L20つちへお出△Sお袋、/合点(がてん)で/立(たゝ)るゝ。S/乳母(うば)もあちらへ行 00026830M1や。こいつも合点で立つ。艶庵、心にうなづき居ると、 00026840M2Sおまへもあちらへ(二十四ウ) 00026850¥N29¥J 00026860¥X/矮鷄(ちやぼ) 00026870M5貴様ハ何のために/地鷄(ぢとり)を/飼(か)やる。Sサレバ、地鷄ハ/晨方(あけがた)に 00026880M6/早天紅(さうてんかう)と/鳴(な)く。よく物を知た/鷄(にハとり)だから△S是ハおかしい。 00026890M7おれは/暹羅(しやも)を/飼(か)ふが、そんなまハり遠い/啼(なき)やうハせぬ。/胴= 00026900M8声(どう=ごへ)ニテ、/夜(よ)があ/げ((ママ))たアと啼く△S今一人扨&、どれも/鳴(なき)やう 00026910M9がむつかしい。おれハ前(二十五オ)から/矮鷄(ちやぼ)を/飼(か)ふが、ず 00026920M10んど手みじかに、/起(をき)ちやつちゑと/啼(な)く 00026930¥N30¥J 00026940¥X/慳貪(けんどん) 00026950M13/時分(じぶん)がよからふ。/嫌(きら)ひでなくハ/蕎麦(そば)をいふてやらふ。Sよ 00026960M14しにしやれ△Sそれハむさいといふ気か、つなぎでいやか 00026970M15Sさうでハないが、わしハあの/箱(はこ)の、ごと+と/鳴(な)る音が 00026980M16/耳(ミヽ)へ(二十五ウ)はゐるがいなや、喰ふ事が成らぬ△Sそれ 00026990M17は鳴らぬやうにいふてやらふと、@其わけを云△|つけてやる。@やがて、蕎麦 00027000M18屋から/担(かつい)で来る。ごと+と音がする。Sあれ聞れ。あの 00027010M19音がしてハ、私ハ最う/喰(く)へぬ△S亭主、勝手へ立て、蕎麦 00027020M20屋の男を大に呵る。蕎麦屋の男が、S随分/蓋(ふた)に詰をいたし 00027030¥P84 00027040L1ました。あの鳴る箱ハ、(二十六オ)お/隣(となり)へ参るの 00027050¥N31¥J 00027060¥X/寺詣(てらまいり) 00027070L4久しう旦那寺へゆかぬと、参る道にて、寺の小/野郎(やらう)が重箱 00027080L5を/風呂敷包(ふろしきづゝミ)にしたを提て帰るに逢ひ、S今そちへゆくが、 00027090L6其包だ物ハ何だ△S是ハ大事の物。御目にハ掛られませぬ△ 00027100L7Sハテ、おれハ/格別(かくべつ)/懇(ねんころ)な旦方。(二十六ウ)見せてもよい△ 00027110L8Sそんなら/黙(だまつ)てござりませと、/解(とい)て見せれバ、/蒲鉾(かまぼこ)、/酢章= 00027120L9魚(すだ=こ)、切身、其外色附/旨(うま)い物だらけ。よし+、何もいふ事 00027130L10でハない。先へゆけ。扨/墓詣(はかまいり)して和尚に/対面(たいめん)。おしきせの 00027140L11/肴(さかな)で/盃(さかづき)の廻る時、S/和尚(おしやう)様。此/肴(さかな)や此吸物でハ飲めぬ。 00027150L12彼をお出しなされ△S寺にハ是より外の御(二十七オ)ちさ 00027160L13うハない△Sハテ、見かぢつた事もござる。/餘人(よじん)とハちが 00027170L14ひます。/私(わし)におかくしにハ/及(および)ませぬ△Sさうあれバ、出し 00027180L15ませふ。コレ、出てお近付になりやれ 00027190¥N32¥J 00027200¥X/取馳(とりはづし) 00027210L18客の/前(まへ)にて、女郎/屁(へ)をブウとひり、そのまゝ/客(きやく)の/頬(ほう)へたを 00027220L19両方/抓(つめ)り/居(ゐ)る。(二十七ウ)/客(きやく)もあきれて、S手前が/屁(へ)をひつ 00027230L20て、/他(ひと)を/抓(つめ)る事があるものか△S女郎/餘所(よそ)へ/行(いつ)て、/云(いは)ふか 00027240M1いふまいか 00027250¥N33¥J 00027260¥X/異見(ゐけん) 00027270M4/若(わか)いから/尤(もつとも)でハあるが、/年寄(としよつ)た/親達(をやたち)に/苦労(くらう)させぬやうに、 00027280M5大切にしやれ。まづ/両親(ふたをや)のあるハ手/柄(がら)じや。/親(をや)のない/者(もの) 00027290M6(二十八オ)もある。そのうへ何/程(ほど)の金銀で/買(かハ)ふといふても、 00027300M7/親(をや)ハ/買(かハ)れぬ。S息子又/売(うら)ふといふても売れぬ 00027310¥N34¥J 00027320¥X/新宿(しんじゆく) 00027330M10/四(よつ)谷の新/宿(じゆく)へあそびにゆく。/膳(ぜん)が出ると、S客今初/鰹(がつほ)を大 00027340M11分/喰(くつ)た。/飯(めし)ハくへぬ△S女郎うそをいひなんす△S客ほん 00027350M12の事。おれ(二十八ウ)/一人(ひとり)で、すらりと一本くつた△S女郎 00027360M13それでも/酔(よひ)もしなんせぬ 00027370¥N35¥J 00027380¥X/物前(ものまへ) 00027390M16/親仁(をやぢ)ハ/渡世(とせい)に/油断(ゆだん)なく、S息子は色里へゆだんなく/通(かよ)ふ程 00027400M17に、親仁大に/腹立(はらたて)、やがて二階へ追あげて、何方へも出さ 00027410M18ず。/息子(むすこ)二階にて/淋(さみ)しさの(二十九オ)まゝ、竹と紙とを/買(かひ) 00027420M19よせ、何やら細工をする/躰(てい)なるが、/盆前(ぼんまへ)なれバ二階より下 00027430M20りて、帳合にてもせよと呼びつけ、扨何の/細工(さいく)をしたるぞ 00027440¥P85 00027450L1と/問(と)へバ、切子灯/篭(ろう)を/夥(をびたゝし)く拵へたり。是を/売(うら)せたれバ/餘= 00027460L2程(よ=ほど)の/理分(りぶん)あり。/親仁(をやぢ)大に悦びけるに、又&/元(もと)の/如(ごと)く里通ひ、 00027470L3又二階へ(二十九ウ)追上ると、又&竹と紙とを買ひての/細= 00027480L4工(さい=く)。九月/節句前(せつくまへ)に成て、/親仁(をやぢ)思ふやう、今度ハ何の細工を 00027490L5/仕(し)たるかと、下女に二階を/覗(のぞ)かせけれバ、又/切子灯篭(きりこどうろう) 00027500¥N36¥J 00027510¥X/家名(いへな) 00027520L8夕べ貴様ハ町と見へたが、何屋の何といふ女郎、/揚(あげ)やつた。 00027530L9S/若菜(わかな)屋の若(三十オ)菜を揚た△S/爰(こゝ)なうそつき。/若菜屋(わかなや) 00027540L10といふ/屋号(いへな)の内に、/直(すぐ)に若菜といふ女郎の名があるものか△ 00027550L11S是ハおかしい。/随分(すいぶん)ある。/昔(むかし)も/三浦屋(ミうらや)の三浦といふ/大= 00027560L12夫(たい=う)あり。/巴屋(ともえや)のともえもあり。/丁度(てうど)ゑいやらやのゑいの/格(かく) 00027570L13だ 00027580¥N37¥J 00027590¥X/祭礼(さいれい)(三十ウ) 00027600L16/業仕(しごとし)の/侠夫(きをひ)、/祭(まつり)の万度を/持(もつ)て、既に/喧嘩(けんくハ)を仕出しての云ぶ 00027610L17ん。S/今日(けふ)の/祭(まつり)に出るからハ、/生(いき)て帰る気ハない、今朝内 00027620L18て、お袋と/暇乞(いとまごひ)の/盃(さかづき)もして出た 00027630¥N38¥J 00027640¥X/庸医(やぶゐ) 00027650M1親仁、/急症(きうしやう)。まづハ/卒(そつ)中風と見へて、(三十一オ)/一向(いつかう)の/無性(むしやう)。 00027660M2近所の/医師衆(いしやしゆ)/呼(よび)にやる。折あしく皆&留守。/是非(せひ)なく風薬 00027670M3さへ誰も/貰(もら)ハぬ竹市愚庵老でも、まづ呼で/来(こ)い。あの仁ハ 00027680M4いつでも内に居ると呼に遣るに、能&の事、/愚庵老(ぐあんらう)も/留守(るす) 00027690M5ゆへ、お帰りなされたら早速お/見舞(ミまひ)くたされと云置く。 00027700M6/暫(しばら)くあり(三十一ウ)て、/愚庵老(くあんらう)お見舞。しさいらしく咳は 00027710M7らひして、なんと、/先刻(せんこく)呼につかハされた節ハ留守でござ 00027720M8つたぞや 00027730¥N39¥J 00027740¥X/打擲(てうちやく) 00027750M11/神職(しんしよく)の備中が家来、町にて喧嘩。したゝか/扣(たゝか)れ蹈れ、大 00027760M12/童(わらハ)にて帰る。/傍輩(はうばい)歯痒がり、Sなぜ、/備(びつ)中家来だ(三十二オ) 00027770M13と名のらぬ△Sされバおれも油断ハない。精出して、/備(びつ)と 00027780M14いへバ蹈れ、備といへバ/扣(たゝ)かれ△ちうの音もあがらぬ 00027790¥N40¥J 00027800¥X/鋲釘(べうくぎ) 00027810M17四十ばかりの内義、手に/蝋燭(らうそく)三挺持ながら、/鉄(かな)物屋へ来て、 00027820M18ちいさい五徳と大きな/鋲(べう)打四本買てゆかるゝ。/廛(ミせ)の(三十二 00027830M19ウ)/若(わか)い/衆(しゆ)思ふやう、あの年で/丑時詣(うしのときまいり)する内義か。只の五 00027840M20寸/釘(くぎ)でよさそうなものを、/鋲(べう)の思ひつきハ合点がゆかぬと、 00027850¥P86 00027860L1そろ+/跡(あと)から付て/窺(うかゞ)へバ、上町の通り者の内義 00027870¥N41¥J 00027880¥X/杉苗(すぎなえ) 00027890L4/杉苗売(すぎなえうり)を/呼(よん)で/買(か)ひ取り、/直(すく)に/植(うへ)さ(三十三オ)せける。S/枯(かれ) 00027900L5ハせまいか△S/請合(うけあひ)ます。/枯(かれ)ハいたしませぬ△Sそれでも 00027910L6/去年(きよねん)其方が/植(うへ)たる松が、大方/枯(かれ)たぞよ△S/間(あいだ)には/枯(かれ)るもご 00027920L7ざります△Sそれでハ/請合(うけあ)ふでハない△S成程さやうでハ 00027930L8ござれども、此/苗売(なへうり)も/医師(ゐしや)の/格(かく)で、間に/枯(かれ)ねバ私共が/咽(のど)が 00027940L9/干(ひ)ます 00027950¥N42¥J 00027960¥X/一富(いちのとミ)(三十三ウ) 00027970L12/富(とミ)を/突(つ)く時に/杓子(しやくし)を/懐中(くハいちう)すると、きハめて/当(あた)るといふ/咒(まじなひ)の 00027980L13/守(まもり)を/習(なら)ひ、道にて一本/買(か)ひて/懐中(くハいちう)する。S是も/富(とミ)に/行(ゆ)く人 00027990L14と見へて、/懐(ふところ)にせつかいを入て見へるゆへ、S私ハ/守(まもり)に/杓= 00028000L15子(しやく=し)を/入(い)れましたが、せつかいも/守(まもり)に成りますかと/問(と)へバ、 00028010L16S私ハ半口てごさります(三十四オ) 00028020¥N43¥J 00028030¥X/妓有(わかいもの) 00028040L19/両国(りやうごく)にて/極暑(こくしよ)の/頃(ころ)、/冷水売(ひやミつうり)をしても、秋風たちてハ、あが 00028050L20つたりにてつまらぬを、/相借屋(あひじやくや)の男が、今/吉原(よしわら)に/妓有(まハしかた)をし 00028060M1て/居(を)るが/世話(せわ)をして、同しく/妓有(まハしかた)に/住(すま)せける。/座敷(ざしき)の/膳(せん)を 00028070M2/階子(はしご)口まて/揃(そろ)へて、Sさがりんすハ、今/食(く)つた(三十四ウ)の 00028080M3か 00028090¥N44¥J 00028100¥X/麁忽(そこつ) 00028110M6/岡場所(をかばしよ)ばかり遊ひつけたる男、始て吉原へゆき、座敷をた 00028120M7ちて/階子(はしご)を/下(をり)るゆへ、どこへ/行(いき)なんすと/禿(かぶろ)に/問(とハ)れて、/小便(せうべん) 00028130M8に行くといふて大に/笑(わら)はれ、/廊下(らうか)の/隅(すミ)へ/教(をし)へられて、小便 00028140M9をしまひて、(三十五オ)向ふ見れバ、二枚/杉戸(すぎど)に大きな/錠(でう) 00028150M10をおろした所を見て、あれハ/驚動口(けいどうぐち)かへ 00028160¥N45¥J 00028170¥X/畳屋(たゝミや) 00028180M13是ハどうた。久しく/逢(あハ)ぬが、きつう/鬧(いそが)しさうたの。Sされ 00028190M14ハ、今度/桜田(さくらだ)の御屋敷の/畳(たゝミ)を請合た△Sそれハ/何畳(なんでう)ほどた△ 00028200M15S/表向(をもてむき)ばかりが三千八百/畳(でう)だ△S扨々(三十五ウ)/御身(おミ)ハ仕 00028210M16合な。大きな/儲(もふけ)をしやる。まづざつとつもつて、一畳で一 00028220M17/分宛(ふんづゝ)もふけても、エヽアノ、三千八百/分(ふん) 00028230¥N46¥J 00028240¥X/料理(りやうり) 00028250M20/翌日(あす)おれハきつとした/振廻(ふるまひ)に行くが、恥しい事だが、二/汁(じう) 00028260¥P87 00028270L1七/菜(さい)といふ/料理(りやうり)たげなが、ついに、そんな/膳(ぜん)を/喰(くつ)た事が 00028280L2(三十六オ)ない。どうまあ/順(じゆん)を/喰(く)ふ物だ。S今まで、それ 00028290L3ほどな/膳(ぜん)を/喰(く)ハずハ、/教(をし)へてやらふ。まづ/飯(めし)を一/箸(はし)くひ、 00028300L4/汁(しる)を/吸(す)ひ、又飯を一箸くひ、又汁を吸ひ、そこでとくと/起(をき) 00028310L5上り、/膳(ぜん)をとくと見渡してから、銭目+と先へ喰やれ 00028320¥N47¥J 00028330¥X/滴酒(したミざけ)(三十六ウ) 00028340L8/乞食(こじき)、茶屋にて/滴酒(したミさけ)を/面桶(めんつう)に一/盃(はい)/貰(もら)ひ来り、道/端(はた)にすハり、 00028350L9前に置、/飲(のま)んとせしが、其/昔(むかし)、/捻上戸(ねぢじやうご)ゆへ、ひとり/飲(の)んて 00028360L10ハ/旨(うま)からず。/案(あん)じ居るところを、/奴(やつこ)の/供帰(ともがへ)りを見付けて、 00028370L11Sモシ/奴(やつこ)さま。お願いがこさります△Sなんだ△S私、そ 00028380L12の/昔(むかし)ハ/大(だい)の/捻(ねぢ)上戸でこさります。只今此酒(三十七オ)をぐ 00028390L13つと/給(たべ)てハ/旨(うま)からず、/憚(はゞかり)ながら、それくらへと/仰(おつしやつ)てく 00028400L14ださりませ△Sそれをのめ△S乞食是をたべますると、/御= 00028410L15座(お=ざ)にたまられませぬ△Sはて、ぐつとのめS乞食それハ 00028420L16/御無理(ごむり)でこさります。/先刻(せんこく)の/一盃(いつはい)さへ、/漸(やう+)たべました。 00028430L17もうごめんなさりませ△Sそんなら/此方(こつち)へよこせと、奴ぐ 00028440L18つと/飲(の)む(三十七ウ) 00028450¥N48¥J 00028460¥X/譲金(ゆづりがね) 00028470M1/引越(ひつこ)して/来(き)た/隣(となり)の/親仁(をやぢ)、/大病(たいべう)もさし/重(をも)りて、三人の子共へ 00028480M2譲金の/噂(うハさ)を/聞(き)くに、/惣領息子(さうりやうむすこ)に金百両、/次男(じなん)に二百両、三 00028490M3男に三百両との事。ハテ/替(かハつ)た譲り金じや。惣領こそ三百両 00028500M4で、二男三男ハ/順(じゆん)に/少(すく)なさう(三十八オ)なものじやが、ど 00028510M5うした/訳(わけ)じやと、よく+聞けバ、/借金(しやつきん)を/譲(ゆづ)るの 00028520¥N49¥J 00028530¥X/居風呂(すいふろ) 00028540M8/山家(やまが)の/者(もの)、江戸へ出て人にすゝめられ、居風呂を買ひ、/在= 00028550M9所(ざい=しよ)へ/持帰(もちかへ)りける。所の者、見た事もなけれバ見物に来て、 00028560M10なんと/能(よ)いものでござるかと/問(と)へば、(三十八ウ)なるほど、 00028570M11よいものでハござれども、/涌(わ)く内が/冷(つめた)くて、こらえにくふ 00028580M12ござる 00028590¥N50¥J 00028600¥X/鼻虧(はなかけ) 00028610M15/時節(じせつ)もあれバある。/鼻缺(はなかけ)、赤坂の江戸一人へゆき、鼻を入 00028620M16れて/貰(もら)ひ、/戻(もど)りに/朋友(ともだち)の所へ立寄れバ、S是ハ貴様ハ、よ 00028630M17い/面躰(めんてい)に成りやつた。それハどうだ△Sされバ、(三十九オ) 00028640M18/彼(かの)赤坂へ行て、入鼻をして来た△Sさりとハ、ちつとも/際(きハ) 00028650M19も見へぬ。妙だと/誉(ほめ)る。S/袂(たもと)から紙に/包(つゝん)だものを出して、 00028660M20是を見やれ。S何だと/広(ひろ)げて見れバ、/赤(あか)い/鼻(はな)なり。是ハど 00028670¥P88 00028680L1うだ。Sそれハ/酒(さけ)に/酔(よつ)た時の 00028690¥N51¥J 00028700¥X/用意(ようゐ) 00028710L4/両眼(りやうがん)ハ/大切(たいせつ)なもの。両方へ/土埃(つちぼこり)などが(三十九ウ)度&はいれ 00028720L5バ、一時に/両眼(りやうがん)がわるく成て、其節/難義(なんぎ)なるべし。/兼(かね)て/用= 00028730L6意(よう=ゐ)するかよしと/了簡(りやうけん)し、/左(ひたり)の/眼(め)を/渋張(しぶばり)にして張り/塞(ふさ)ぎ、も 00028740L7し右の眼のわるく成た時、/剥(はが)すべしとの上分別。S時に、 00028750L8ふと/転(ころ)ぶ/拍子(へうし)に、/竹垣(たけがき)の先にて右の眼を/突潰(つきつぶ)す。扨こそ此 00028760L9時と、渋張を(四十オ)/引剥(ひきはが)し、/左(ひだり)の眼/鮮(あさやか)にして、重宝と 00028770L10覚へたり。然るに、向ふより/侍(さむらい)/来(き)かゝり、是ハ久&で/御= 00028780L11意(ぎよ=ゐ)得ました。まづ+御別条もござらぬかと/問(とハ)れて、/疾(とく)と 00028790L12すがめて見、S成程、御声ハ/承(うけたまハ)つた御声で御ざれども、 00028800L13/御仁躰(ごじんたい)を見覚へませぬ 00028810¥N52¥J 00028820¥X/三線(さミせん)(四十ウ) 00028830L16貴様ハ/岡場所好(をかばしよずき)だが、成程当世はどこもかも、吉原/跣足(はたし)な 00028840L17れとも、兎角/三線(さミせん)かないて/気色(けしき)が/冴(さへ)ぬ。Sそんなら、三線 00028850L18のある/家台(やたい)へ/連(つれ)て/行(ゆか)ふと、やがて同道する。S/彼(か)の三線ハ 00028860L19ないか△Sそれ、子共。三線取て来い△S下から、三線を 00028870L20子共が/持(もつ)て来る。見れバ/裏皮(うらかハ)がなし。S是、見や(四十一オ) 00028880M1れ。おれが/斯(か)ふて/有(あら)ふと思ふた。/裏皮(うらかハ)がなくて、是が/弾(ひか)れ 00028890M2るものかと/投出(なげだ)す。女郎気の/毒(どく)がり、Sほんに/先(さつき)、/灯蕊売(とうしミうり) 00028900M3か来たに、/張(はり)にやれバよかつた 00028910¥N53¥J 00028920¥X/番太(ばんた) 00028930M6/番太(はんた)、/根津(ねづ)へあそひに行き、めつたに酒をのむ。女郎、い 00028940M7やがりて座敷を明る。(四十一ウ)番太もごうはらまぎれ、 00028950M8やたらに/酒(さけ)を/銚子(てうし)の口から/飲(のん)で/衾(ふすま)をたて切り、女郎の/明(あ)け 00028960M9かねるやうに、/跡(あと)を足にて/踏張(ふんばり)、酒きげんにぐつと寐入る。 00028970M10女郎ハ/能(よ)いかげんに遊んで来て、/衾(ふすま)を明て見るに、色&す 00028980M11れどもあかず。Sもしへ、爰をあけておくれ△S番太、/酔(よひ) 00028990M12の/耳(ミヽ)に聞つけて、/何屋(なにや)へ(四十二オ)/通(とを)らしやる 00029000¥N54¥J 00029010¥X/通夜(つや) 00029020M15/富貴(ふつき)を/祈(いの)らんと、/時行弁天(はやりべんてん)へ七日七夜通夜をしけるが、何 00029030M16の/奇特(きどく)もなし。七夜目の/暁方(あけがた)、弁天、/内陣(ないじん)の戸帳をあけ、 00029040M17白紙一枚/喰(くハ)へて出給ふ。ありがたく思ひ、是に/居(ゐ)ますと/御= 00029050M18裾(お=すそ)をとらゆれバ、S弁天いや(四十二ウ)らしい。/小便(しゝ)に行 00029060M19くのに 00029070¥P89 00029080¥N55¥J 00029090¥X/一字占(いちゞのうらなひ) 00029100L3S客心に思ふ事の、上の/一字(いちゞ)を/聞(き)くと、跡をあてる/兆(うらなひ)を 00029110L4覚て居る△S女郎そんなら、あの、いひやせう。Sのゝ字 00029120L5サ△S客、しばらく/勘(かんが)へて、のもせやト/禿(かぶろ)をよぶ事であら 00029130L6ふ。S女郎ほんによくあたりんした△Sツレノ女郎/私(わたし)も、の 00029140L7ゝ字だよ(四十三オ)S客/後(のち)に御/蔵前(くらまへ)の吉さんが、/来(こ)ねバよ 00029150L8いといふ事か△S女郎ほんに怖いほどあたりんす△S新造 00029160L9わつちものゝ字だよ△S客、色&/勘(かんが)へても、どうも是ハあ 00029170L10たらぬ。ずつと/流(なが)し。S新造あたりんせんかへ△S客どう 00029180L11もあたらぬ+△S新造の/来(らい)さんの事でありんす 00029190¥N56¥J 00029200¥X/鸚鵡(あふむ)(四十三ウ) 00029210L14鸚鵡を/求(もと)めたが、/拙者(せつしや)が心に/思(おもふ)事を云まする。夫ハ/珍(めづら)し 00029220L15い。近日参り、/承(うけたまハら)ふ。/或日(あるひ)其客人参られ、/彼(かの)鸚鵡ハ是か 00029230L16と/見居(ミゐ)たり。/亭主(ていしゆ)、なんと、/御時分(ごじぶん)がよからふ。近所に/名= 00029240L17蕎麦(めい=そば)が出来た。申/遣(つかハ)さふ。/来(こ)いよ。その名代蕎麦を/取寄(とりよ)せ 00029250L18て、あなたへ上い。/畏(かしこま)りました。S鸚鵡/是(これ)八助。百がので 00029260L19よいぞ(四十四オ) 00029270¥Q 00029280M2興話;飛談語△△△△△初篇△出版 00029290M4下部;飛談語@是ハ下がゝりを|まぜたるはなし也@二篇△近刻 00029300M6興話;飛談語@是ハ跡£新しき|はなしをあつむ@三篇△追刻 00029310M9△安永二己春△△△△雁義堂 00029320M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(四十四ウ) 00029330¥P90 00029340¥U噺本大系△第九巻 00029350¥T@楽牽頭|後△篇@/坐笑産(ざしようみやげ)〔序題〕 00029360¥G 00029370¥Y 00029380L17安永二年正月序 00029390L18稲穂序 00029400L19笹屋嘉右衛門板 00029410L20小本一冊 00029420¥T1@楽牽頭|後△篇@/坐笑産(ざせうミやけ) 00029430¥Y1序 00029440M5/去秋(きよしう)/扣(たゝき)あつめし/楽牽頭(がくたいこ)の/響(ひゞき)もいつか/明(あけ)の春、/素(す)下手の/噺(はなし)も 00029450M6(水オ)また/新(あら)玉の/一笑(いつせう)と、めつたやたらに/掻餅(かきもち)の、/黴(かび)を/払(はた) 00029460M7きて其/再篇(さいへん)、/坐笑産(ざせうミやけ)と/呼(よぶ)もはつ/賀(か)し(水ウ) 00029470M9△△△安永二歳 00029480M10△△△△△△巳春 00029490M12△△△△△△△△△△△△△△△稲穂G 00029500M15△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(流オ) 00029510¥P91 00029520¥G(流ウ) 00029530¥N1¥J 00029540¥X○鶴 00029550M3去ル御大名。鶴/御頂戴(ごてうだい)の御祝義に、御/領(りよう)分の百性頭、御 00029560M4/家老(かろう)迄相つめ、御家長久のもとひ/恐悦(きやうゑつ)のよし、申/述(のぶ)る。 00029570M5扨きらのういた/菜(な)ばかり/拝領(はいれう)させ、なんとありかたひか。 00029580M6Sさぞ御物も入りましたで御座りませう△Sヲヽサ。千両 00029590M7程入ル。(一オ)百性、まじめな顔にて、まだ亀をおもらひ 00029600M8なされいで御仕合だ 00029610¥N2¥J 00029620¥X○/馬鹿(ばか) 00029630M11女房、/釈迦(しやか)ケ/嶽(たけ)を見たがり、男に/云(いゝ)付、すもふの仕廻を見 00029640M12せに遣る。三助、/廻向院(ゑこういん)へ/急(いそき)行ク。はや角力おわり、釈迦、 00029650M13向から帰る。三助かけて/戻(もど)り、只今廻向院をお/立(たち)で御座り 00029660M14ます(一ウ) 00029670¥N3¥J 00029680¥X○銀八 00029690M17/大判(あふばん)/釈迦(しやか)右衛門、づく/内(ない)と云/牽頭持(たいこもち)を/召連(めしつれ)、京町の/金(かな)屋へ 00029700M18/揚(あが)り、しんそうをあけての大さわき。/廊下(ろうか)より、あれ見な 00029710M19んし。あふあたまが/大(たい)平をぬかしんす。たいこのづくが/耳(ミヽ) 00029720M20へはいり、これ/女(め)郎ども。おらが旦那をやすくするな。う 00029730¥P92 00029740L1ぬらハ御/子息(しそく)の(二オ)小判殿を見てさへ、ぢびやうのしや 00029750L2くがさがるでハないか。Sヲヤ、うぬぼれをいゝんす。こ 00029760L3ゝに居て耳をけがそふより、しろたへさんの座敷へ、あい 00029770L4をしにいきんせうと、ずつと行キ、づく内が事をあてこす 00029780L5る。Sづく、こらへ兼、/隣(となり)座敷の色男ハ/弐朱(にしゆ)の銀八か。 00029790L6おらが旦那をなぐさませて、なぜ(二ウ)だまつている。さ 00029800L7せうなから、おれが/相(あい)手だ。/来(キ)て/云訳(いゝわけ)をしやあがれ。S二 00029810L8朱銀八、なんといわれてもだまつて/居(い)る。下から金屋の亭 00029820L9主、はしご£顔をつんだし、どふでも弐朱銀ハ、おむくだ 00029830¥N4¥J 00029840¥X○折介 00029850L12ヤアラ旦那の御/厄(やく)もふさば、右の松が(三オ)千/歳(ざい)、左の松 00029860L13が万歳、合せて万千歳の/齢(よわひ)をたもち、あまたのおめかへ、 00029870L14うらミなく御ふち方をわたさるゝ。是も旦那の御十ぶん、 00029880L15あくまげどうを/打(うち)はらひ、西の/海(うミ)へさらり+。S/折(おり)介、 00029890L16/台(たい)所に居合せ、おれも二十五のやくを/払(はらお)ふと/呼戻(よびもど)す。/厄(やく)は 00029900L17らひ立帰り、ヤアラ旦那のと/云(いゝ)(三ウ)ければ、S折介これ、 00029910L18おれがのだよ 00029920¥N5¥J 00029930¥X○釈迦 00029940M1/角力(すもう)取寄り合、あミだの光リをした処が、/釈迦(しやか)が/嶽(たけ)、つか 00029950M2ひの役にあたり、ぜひなく、くら/闇(やミ)を四ツ過キに、とうふ 00029960M3を/買(かい)ニ行キ、/力(ちから)にまかせて/戸(と)を/扣(たゝく)。亭主目をさまし、二/階(かい) 00029970M4をたゝくやつハだれた(四オ) 00029980¥N6¥J 00029990¥X○願人 00030000M7/願(ぐわん)人坊主三百人、ゑんま大王の前へ引ならへる。大王、し 00030010M8やく取りなをし、おのれら、しやばに有し時、おれがひそ 00030020M9ふのせうづかのばゝを、引づり/歩行(あるき)おつた。それ、なべゆ 00030030M10でにして、あびだい/地獄(ちごく)へおとすべしとの仰付ケ。役人の 00030040M11/鬼(おに)ども、三津川へ(四ウ)/行馬(やらい)を/結(い)いつ、/何日(いつか)にざい人ども 00030050M12/鍋(なへ)ゆでと/云(い)ふ高札を立る。ミな+当日ニいたり、さぞお 00030060M13もしろかろうと行て見れば、/断(ことわり)書。/薪(まき)/高直(こうぢき)ニ付/暫(しばらく)/延引(ゑんにん) 00030070¥N7¥J 00030080¥X○車引 00030090M16当世ハ/欲(よく)の世の中。あたじけない車引、米十俵/車(くるま)につミ、 00030100M17たつた壱人リで(五オ)引て行キ、江戸/橋(ばし)へ引あげてみても、 00030110M18いかな壱人でハうごかず。たれぞ/来(キ)たら、おしあげてもら 00030120M19おふと待ている所へ、/跡(あと)から殿様の御通り。車引、あせを 00030130M20ぬぐひ、すきと、ろくなやつハ/来(こ)ぬ 00030140¥P93 00030150¥N8¥J 00030160¥X○好物(五ウ) 00030170L3新/参(さん)男、壱両が/槙(まき)を半日に/割(わつ)て仕廻ウ。旦那どの、男をよ 00030180L4び、でかした。そふかい※しくなければ、おれが気にハ 00030190L5いらぬ。つめたい時分に大義+。ほうばい共への能キ手 00030200L6本。ほうびをとらそふが、一ばんにおのしがすきはなんだ。 00030210L7Sはい△Sはて、いへよ△Sはい△Sはて(六オ)/云(い)やれよ△ 00030220L8Sハイ。二/番(ばん)に酒で御座ります 00030230¥N9¥J 00030240¥X○年越 00030250L11/近(きん)所でハ我かちに/豆(まめ)まきの/声(こへ)。旦那どのハまだもどられず、 00030260L12/調市(でつち)ニでもまかせよふと/云(いゝ)付る。此調市、ともりにて、豆 00030270L13をつかミ、おゝゝゝゝとばかりいへば、/門口(かとぐち)の/鬼(おに)、あくび 00030280L14をしなから、これ、出る(六ウ)のか/這入(はい)るのか 00030290¥N10¥J 00030300¥X○雪 00030310L17子蔵よ。庭の/雪(ゆき)ハどれほどつもりしぞ。物さしでな、さし 00030320L18て/来(こ)ひ。S子蔵、口小/言(ごと)を/云(いゝ)+さして/来(く)る。どふだ。し 00030330L19れたか。Sアイ。ふかさハ壱尺ト五寸、はゞハしれませぬ 00030340L20(七オ) 00030350¥N11¥J 00030360¥X○占 00030370M3/乳母(うば)、うらなひ/者(しや)の所へ頼ミに行ク。扨こくびをひねり、 00030380M4/占(うらなつ)て見、此うせもの、出ますまい。Sうば、なミだをな 00030390M5がし、/主人(しゆじん)の御子を大/根畑(こばたけ)で/失(うしな)ひました。其はづ+。/地= 00030400M6黄(ぢ=わう)で出/来(き)た子だ 00030410¥N12¥J 00030420¥X○貝焼(七ウ) 00030430M9/見焼(かいヤキ)をもよふし、なんと、つんぼうの長兵衛に/喰(くハ)せても、 00030440M10/割(わり)まいハ出すまい。はぶこふでハないか。それにハ能ちへ 00030450M11が有と、大キナ声をして、長兵衛ヤ。なんだ。/頃日(このころ)ハ/追(お)ひ 00030460M12はぎがはやるとよ。早く帰りやれ。Sそんなら帰ろふと、 00030470M13出て行ク。サアかわかしが/居(い)ぬから能ひと(八オ)おごる処 00030480M14へ、長兵衛、まつぱだかで/来(く)る。おのしやアはがれたか。 00030490M15Sイヤ、/支度(したく)をして喰に/来(キ)た 00030500¥N13¥J 00030510¥X○縫の下帯 00030520M18/聞(きい)てくりやれ。今はでな女が通ツた。まづこし帯が金らん、 00030530M19ふんどうしが/紅(ひ)ちりめんに金/糸(し)で/立波(たつなミ)。おりよく(八ウ)う 00030540M20れしい風が/吹(ふい)て、雪のよふな/股(もゝ)か見へた。Sそりやア/定(さだめ) 00030550¥P94 00030560¥G(九ウ・十オ) 00030570M1而きりよふもよかろふの△Sやぼめ。どふあおのく/間(ま)か有 00030580M2ものか 00030590¥N14¥J 00030600¥X○珊瑚珠 00030610M5さんごじゆの/緒〆(おじめ)、払物にて百両に/調(とゝのへ)、むらさき羽二重の 00030620M6ふくさ、/八重(やへ)につゝミて(九オ)(九ウ・十オ挿絵)仕廻ツて/置(おく)。 00030630M7有時こんれいの取/持(もち)に頼れ、こゝぞ一番、はれに/提(さげ)て、人 00030640M8の目をおどろかせよふとさげて行キ、/玄関(げんくわん)へあがり、にわ 00030650M9かにしあん替り、かのさんごしゆを/若党(わかとう)へ/渡(わた)す。Sもし殿 00030660M10様。なせ御提被成ませぬ△Sイヤ、座敷に/毒(どく)が有て、/割(われ)れ 00030670M11ばそんだ(十ウ) 00030680¥N15¥J 00030690¥X○中の町 00030700M14親/父(ぢ)つく※しあんし、とかく命有ての物だね。壱時の/栄= 00030710M15花(ゑい=くハ)に千とせを/延(のふ)るためし有り。ちと/眼(がん)前の極/楽(らく)へ行ツて見 00030720M16よふと、/俄(にわか)に黒あぶらなど買よせ、しらがあたまへなすり 00030730M17付、七ツ過キより出て行。はや大門口の(十一オ)内へ/這(は)入 00030740M18ると、むかふから息子の甚吉、女郎の/肩(かた)へもたれかゝり、 00030750M19能きげんにて/歩(あゆミ)来る。親父せんかたなく、これ甚吉よ。ば 00030760M20くちハならぬぞ 00030770¥P95 00030780¥N16¥J 00030790¥X○遠目かね 00030800L3御物見から、/遠(とう)めがねの御たのしミ。あれなる/塔(とう)ハいづく 00030810L4じや。ハイ、くわんおんで(十一ウ)御座ります。こちらの 00030820L5鳥居が、ミめぐりのいなり。此とふりを御ろうぢませ。三 00030830L6ツまたの新地で御座ります。/殿(との)、能+御覧/最(さい)中、うつく 00030840L7しい娘と行平ともいゝそふな若ものが、ひたりと出合、な 00030850L8にやらはなしの/躰(てい)。殿たまり兼、/遠(とう)目かねへ/耳(ミヽ)をおし付 00030860L9(十二オ) 00030870¥N17¥J 00030880¥X○親子/生酔(なまゑい) 00030890L12親父、酒に/酔(ゑい)て/戻(もど)り、こりや孫六よ。おのれがあたまハ三 00030900L13ツに見へる。そんなかたわものに、/跡(あと)をゆづる事ハならぬ。 00030910L14おなじく此息子も酒に酔、こんな廻る家を、なんにするも 00030920L15のだ 00030930¥N18¥J 00030940¥X○朝帰り(十二ウ) 00030950L18息子遣ひ過し、/勘当(かんとう)におよぶ処を、一/家(け)のそせうにて、其 00030960L19分にさしおく。有時、ぢびやうおこり、一夜ばかりハしれ 00030970L20もせまいと、吉原へ行キ、/明(あく)る日戻りて、/我(わが)内の/首尾(しゆひ)をの 00030980M1そき見れば、また一家どもあつまり居る。なむさん、又勘 00030990M2当の/相談(そうたん)で有ふ。まつ、よふすを(十三オ)聞ふと、/飯(めし)たき 00031000M3を呼出し、どふだ、内の首尾ハ。夕部旦那様が/頓死(とんし)被成ま 00031010M4した。Sヲヽ、それでおちついた 00031020¥N19¥J 00031030¥X○歯形 00031040M7見へをしたがる隠居、おのれが/腕(うで)をおのれが/喰(くい)付キ、これ 00031050M8見やれ。年か/寄(よつ)ても気にほれたそふで、かのなじミ(十三 00031060M9ウ)めが、/焼(ヤキ)もちで喰付キおつた。S此/歯形(はかた)ハ、女にして 00031070M10ハ、たいぶ大キイね△S其はづ。/笑(わら)ひなからよ 00031080¥N20¥J 00031090¥X○神木 00031100M13丑の時参り。/神木(しんぼく)に/灸(きう)をすへて居る。/宮守(ミやもり)見付ケ、なぜ/釘(くぎ) 00031110M14をうたぬぞ。Sなにをかくしませう。わたしがのろふ男ハ 00031120M15(十四オ)/糠(ぬか)やさ 00031130¥N21¥J 00031140¥X○茶わん 00031150M18/即(そく)座に茶わんをこしらへる/芸者(げいしや)をよび、サアちよんの間の 00031160M19/細工(さいく)が見たい。御めにかけませうと、/土(つち)をまるめ、/臂(ひぢ)を/突= 00031170M20込(つき=こ)ミ、是がちよん茶わんで御座ります。是ハとふもいへぬ。 00031180¥P96 00031190L1なんと/鉢(はち)も出来るか。(十四ウ)かしこまりましたと、くだ 00031200L2んの土を丸め、こうべへおしあて、ちよん/鉢(ばち)が出/来(キ)ました。 00031210L3Sはやわざ細工、かんしん+。ちよんすりばちが見たい 00031220L4S扨御/断(ことわり)申ます。ちよんすりばち出来ますれば、/迎(むかひ)がか 00031230L5ゝります。扨土をたつぷりとまるめ、/尻(しり)をまくつておしあ 00031240L6てる。(十五オ)なむさん、/片口(かたくち)になつた 00031250¥N22¥J 00031260¥X○目/利(きゝ)違 00031270L9茶屋の/内(ない)義、座敷へ出、もし御客様。能ひ義大夫が御ざり 00031280L10ますが、御/呼(よひ)被成ませぬか。Sイヤ、義大夫も/聞(きゝ)あきまし 00031290L11た。さよふなら、ぶんごも御座ります。それも聞あきた。 00031300L12Sそれ+、上手なこわいろも(十五ウ)御座ります。それ 00031310L13も聞あきた。半大夫ハどふで御座ります。それも聞あきた。 00031320L14此/客(きやく)、ぜんせいの/先生(せんせい)、/定(さため)て/家持(いへもち)の旦那であろふと思ひし 00031330L15に、能+きけば、/湯(ゆ)やの/伴頭(ばんとう) 00031340¥N23¥J 00031350¥X昔の後悔 00031360L18酒を壱升/買(かい)に行ク。伴頭、/呑口(のミくち)へ升を(十六オ)あてがいけ 00031370L19れども出かねるゆへ、/上(うへ)の/方(ほう)へ/息(いき)出しをもむ。/秘事(ひぢ)ハまつ 00031380L20/毛(け)にて、のミくちより/瀧(たき)のことく出る。かの酒買、なミだ 00031390M1を流す。Sおまへハなぜ御/泣(なき)被成ます。聞て下され。拙者 00031400M2が親が三年いぜん、小便つまりにて相/果(はて)ました。/息口(いきくち)をも 00031410M3ミましたら、/助(たすかり)ませう(十六ウ) 00031420¥N24¥J 00031430¥X○七ツ起キ 00031440M6/暮(くれ)におしかゝり、世間でハ餅/搗(つく)/音(おと)。/寐(ね)て居てもつまるまい 00031450M7と、夜の七ツから出て行。道にて/知(し)る人に出合ヒ、八兵衛 00031460M8どの。どこへの/旅(たび)たちだ。イヤ、今から金をひろひに行ま 00031470M9す。貴様ハそんなあてが有て、うら山しい(十七オ) 00031480¥N25¥J 00031490¥X○羽織 00031500M12越後屋から、/縞(しま)ちりめんの/羽折(はおり)が出/来(キ)て、持て/来(く)る。/友達(ともだち) 00031510M13居やわせ、其羽折を今夜かし給へ。これハめいわく。まだ 00031520M14袖もとふさぬ。Sはて、そこをかすのが男だと、むりむた 00031530M15いニかりて行キ、扨/翌(よく)日帰り、/貴公(きこう)の(十七ウ)御/影(かげ)で、夕 00031540M16部ハはねました。Sそふだろう+。嶋がらを/誉(ほめ)るやら。 00031550M17Sそふたろう+。どふうらを誉るやら。Sそふだろう 00031560M18+。/芸者(げいしや)が/貰(もらひ)たがる。Sそふだろう+。ひらりとぬい 00031570M19で/遣(やつ)て/来(き)た。Sそふだろう+ 00031580¥P97 00031590¥N26¥J 00031600¥X○十文字 00031610L3惣/領(りやう)、おしはだぬぎ、/腹(はら)へすミにて(十八オ)十/文字(もんじ)にぼう 00031620L4を引ク。母見付ケて、なにをしやる。S弐百両、遣ひこミ 00031630L5ましたから、申わけなく、如此に、はらを切ります△Sお 00031640L6袋あわてゝ、たんすよりへそくり金を百両取出し、まづう 00031650L7への/一(ひと)すじを、けしてたも 00031660¥N27¥J 00031670¥X○客十一人(十八ウ) 00031680L10客十一人/来(きた)り、/椀(わん)壱人前ふ足ゆへ、大屋どのへハ黒わんで 00031690L11出す。S大屋、座中を見まわし、ミなの衆へハ/赤(あか)わん。我 00031700L12壱人リ黒わんとハ、其/意(い)を/得(ゑ)ぬとの/立腹(りつふく)。S/親(しん)るい、/勝(かつ)手 00031710L13へ行キ、外にしゆわんハないか 00031720¥N28¥J 00031730¥X○浪人(十九オ) 00031740L16/浪(らう)人、酒やえ行キ、/借銭(しやくせん)の/云訳(いゝわけ)をいへども、とくしんせざ 00031750L17る故、せひなくおしはだぬぎ、腹を切るがとふだ。亭主あ 00031760L18ざ/笑(わら)ひ、おまへ方のせりふハ久しいものだ。S頓而浪人、 00031770L19わきざしをよこ/腹(ばら)へつきこミ、/臍(へそ)のきわ迄切り廻し、如斯 00031780L20だと云。Sとてもの事に、なぜ(十九ウ)みんな御切り被成 00031790M1ぬ△S此半分は、米やで切る 00031800¥N29¥J 00031810¥X○頭巾 00031820M4ゆふべ、てうしやのてうざんを/買(かい)に行た処が、大イのもて。 00031830M5/聞(ききや)れ。たばこがないといへば、たばこ入ごとくれる。また 00031840M6それに気の付た。/朝(あさ)帰る時、(二十オ)/伽羅(きやら)の香をとめた黒 00031850M7ちりめんのおこそ/頭巾(づきん)、あげんせうと/出(だ)しおつた時のうれ 00031860M8しさ。どふもいへたものでハない。Sそんならおれも行ふ 00031870M9と、其ばんすくに行キ、まづ座敷へおちつく。てうざんハ 00031880M10きん+もので、御出なんしたかと/云(いゝ)なから、つんとすわ 00031890M11る。(二十ウ)こちらでハたばこ入をわすれたふりをして/居(い) 00031900M12る。Sおまへハたばこをあがりんすかへ△Sアイ、たばこ 00031910M13ものむが、/頭巾(づきん)もかぶる 00031920¥N30¥J 00031930¥X○平伏 00031940M16息子、親父の前てあぶらを取られて居るを、/友達(ともたち)に見られ、 00031950M17おのしハ親父のまへで、/畳(たゝミ)へあたまをこすり(廿一オ)つけ 00031960M18て居たな。あのよふにあやまらすと、よさそふなものだ。 00031970M19Sなにもしらずハ、だまつていろ。アアあたまを/下(さげ)るとな、 00031980M20/異見(いけん)がうへを/通(とふ)る 00031990¥P98 00032000¥G(廿二ウ・廿三オ) 00032010¥N31¥J 00032020¥X○初もの 00032030M3まづ七十五日/生(いき)のびたとよろこふ。きやつ、はつものをし 00032040M4めたな。ヲヽヨ。おのし(廿一ウ)たちの口へ/這(は)入るもので 00032050M5ハない。Sそふ見くびつた事をいふな。なんた。/聞(きゝ)たい。 00032060M6/茄(なすび)をよ。Sなに、それがはつものなものか。おらあ/来(らい)年の 00032070M7/物成(ものなり)を、もふ/喰(くつ)て仕廻た 00032080¥N32¥J 00032090¥X○なんきん 00032100M10/無筆(むひつ)の親父、なんきんの/皿(さら)を/買(かつ)て(廿二オ)(廿二ウ・廿三オ挿 00032110M11絵)/戻(もと)り、これ平吉よ。此さら箱へナ、おれに能よめるよ 00032120M12ふに、書付をして/置(お)け。やがて平吉、筆おつとり、なんき 00032130M13んと書た処が、/下(した)がいかうつまり、かなにてハ書きしまわ 00032140M14れぬゆへ、/皿(さら)と/字(ぢ)にて書キければ、Sこれ平吉。/書判(かきはん)にハ 00032150M15およばぬ(廿三ウ) 00032160¥N33¥J 00032170¥X○大仏 00032180M18大/仏(ぶつ)参/詣(けい)の帰りに/餅(もち)やへ寄り、此もちハいくらでござる。 00032190M19S三文で御座ります△S三文にハだいぶちいさいの△Sは 00032200M20て、大仏をごろふじた/眼(め)で御覧被成るから、ちいさく見へ 00032210¥P99 00032220L1ます△Sいかさま、そふでもあろふと(廿四オ)かんしんし、 00032230L2/二足(ふたあし)三足あゆミけれハ、道中にすて子有り。是ハ大仏様の 00032240L3おさづけ子と/拾(ひろつ)て帰り、よく+見れば、はつち/坊主(ほうづ) 00032250¥N34¥J 00032260¥X○弐朱銀 00032270L6弐朱銀が処へ、長銀、年/始(し)に来る。弐朱銀出むかい、これ 00032280L7ハ+、よふこそ(廿四ウ)御出被成ました。小玉よ。お茶 00032290L8をくめ 00032300¥N35¥J 00032310¥X○梅の木 00032320L11/軒(のき)ならびに/浪(ろう)人もの二人リ有り。壱人リハ至てどふらく者、 00032330L12今壱人ハ天神をしんかうし、ふしぎや、あたまに/臥(ぐわ)龍/梅(ばい)咲 00032340L13ミだれ、諸人見物に来り、敷もの代山のことくに(廿五オ) 00032350L14あつまりければ、隣の浪人、/焼(ヤキ)もちをやき、夜中にしのび 00032360L15入り、こうべの梅の木を/根(ね)こぎにして/盗(ぬすミ)戻る。かの浪人、 00032370L16ちからを/落(おと)せしが、梅の木の跡、池となり金/魚(ぎよ)わき出る。 00032380L17またとなりの浪人来り、いつの間にか、たばこのやにをは 00032390L18たき込ミければ、(廿五ウ)金魚不残あがり、浪人、いよ+ 00032400L19ちからをおとし、家主の/内(ない)義にあひ、拙者もかさね+の 00032410L20残念。いつそあたまの/池(いけ)へ身をなげよふと存る。S女房お 00032420M1まへハ気でもちがひハせぬか。手前のあたまへ、どふ身が 00032430M2なげられるものかSイヤ、其儀もくふういたしおいた。 00032440M3御世話(廿六オ)なから、きせるづゝをしたてるよふに、/足(あし) 00032450M4からひつくりかへして下され 00032460¥N36¥J 00032470¥X○弐朱銀 00032480M7弐朱銀、きん+とした/形(なり)にて、遊ひに行。道にて、づく 00032490M8に出合ひ、S弐朱さん。どこへ行キ給ふぞ△Sヲレカ。今 00032500M9からやぐら下へ行キ、おれが名だけおごるつもりだ。(廿六 00032510M10ウ)それより、おれと/根(ね)津で四百/奢(おご)りたまへ。Sいや+、 00032520M11それでハおれが身を、くづさねばならぬ 00032530¥N37¥J 00032540¥X○上染 00032550M14女房の正月ものを、亭主のはからいにて京染にして、/蛸(たこ)を 00032560M15白上りにそめさせよふといへば、S女房そんな(廿七オ)も 00032570M16よふがばか+しい。どふ/着(き)られるものかと云。S亭主、 00032580M17大キにはらをたち、人の心ざしをむにするちくせうめと、 00032590M18にぎりこぶしをふりあげるところへ、/仲人(なこうど)来り、/委細(いさい)を聞 00032600M19キ、おゑんどの。どふしたものた。御亭主のいわしやる事 00032610M20なら、よかろふがわるかろふが、なぜ(廿七ウ)だまつて/居(い) 00032620¥P100 00032630L1さしやれぬ。S女房、顔をふくらし、ナニ、/鐘(かね)太夫でハ有 00032640L2るまいし 00032650¥N38¥J 00032660¥X勘定 00032670L5夕部/先生(せんせい)ハどこへたのしミに行た。/角蔦(かどつた)で一角のおごりさ。 00032680L6それハきついそんの。Sなぜ△S七匁五分のおごりがいゝ。 00032690L7そろばんでおいて見給へ。まづ二度行ば(廿八オ)十五匁の 00032700L8びるハ△Sなるほど△Sナ、是が利のとうぜんといふもの 00032710L9だ。/今(こ)年中行て見やれ。いくらのびるかしれぬ 00032720¥N39¥J 00032730¥X○巨燵 00032740L12/巨燵(こたつ)やくらを買ヒ、兄弟の手をひかねばならぬ故、やくら 00032750L13をかぶつて戻りければ、知る人に出合ヒ、やくらをとら 00032760L14(廿八ウ)んとすれば、Sやつぱりめせ+ 00032770¥N40¥J 00032780¥X○奴そり打 00032790L17/奴(やつこ)そゝうにて、てうちんをけし、/俄(にハか)にわきざしのそりを打、 00032800L18こい口をくつろげければ、旦那どの/肝(きも)をつぶし、こりや六 00032810L19助。はやまるな。Sイヤ、/附(つけ)木を出しております(廿九オ) 00032820¥N41¥J 00032830¥X○はしら暦 00032840M3はしら/暦(こよミ)を調、下女に云付、はらせければ、Sもし旦那様。 00032850M4是をはりますれば、なんの御やくに立ますへ。それか。そ 00032860M5れハな、/今(こ)年中の事がしれるハ。Sへヱ、今年/露孝(ろこう)ハどこ 00032870M6へ出ます(廿九ウ) 00032880¥N42¥J 00032890¥X○/欠(かけ)る名人 00032900M9/追(おつ)かけくらの/名(めい)人有り。ある時/盗(ぬす)人を追かけ行ク。むこう 00032910M10から/友達(ともたち)来り、なんだ+。どろぼうをおつかける。其ど 00032920M11ろぼうハどれた。Sアレ、/跡(あと)から/来(く)る 00032930¥N43¥J 00032940¥X○/布袋(ほてい) 00032950M14/禿(かぶろ)、布袋の掛ものをながめ、もし、(三十オ)此ほていさん 00032960M15ハ大キなおなかて有んす。おめしをいくら程、たべなんせ 00032970M16う。/五升(いつます)ほともあかるで有ふ。S布袋、かけものよりぬけ 00032980M17出給ひ、ばかをいふな。かゝつて/居(い)てハくわれぬ 00032990¥N44¥J 00033000¥X○/素(す)壱分 00033010M20たつた壱分有金にて、あそひに行。(三十ウ)勤の段になつ 00033020¥P101 00033030L1て渡しければ、S若者もし、此金ハ御とりかへ被下まし△ 00033040L2Sナニ、此金がわるひ事が有ものかと、かつこうわるく、 00033050L3両替やを五/丁(てう)町中をたつね、やつと銭を/買(かつ)て戻り、銭にて 00033060L4渡しけれハ、手前でハ銭ハ取リ/とり((とり衍))ませぬ。ハテむづかし 00033070L5い内だ。金で/遣(ヤ)れば金ハ(三十一オ)とらず、銭でやれば銭 00033080L6ハとらず、米ハこゝにハない 00033090¥N45¥J 00033100¥X○/栄螺(さゞい) 00033110L9さゞひ五つ有しを、つぼ焼にして居る処へ、又客壱人リふ 00033120L10へ、亭主ともニ六つなければたりず。亭主、さそくを出し、 00033130L11おれにハつぼの中へ焼みそ(三十一ウ)ても入れて出しやれ 00033140L12と云付、座へならぶ。はやつぼ焼を座しきへ出す。亭主、 00033150L13ふたを取て見れば、せうじんのさゞい。あわたゝしく座を 00033160L14たつて、/給仕(きうじ)人をしかる。Sきうぢわたくしが能ひよふに 00033170L15いたしませうと、客の前へ行キ、どなたへぞ/精進(せうじん)のハまい 00033180L16り(三十二オ)ませぬか 00033190¥N46¥J 00033200¥X○掛リ人 00033210L19/掛(かゝり)り/人(と)、膳へ/居(すハ)り、壱膳/喰(くつ)てかへければ、Sジヤケンカヽア 00033220L20お湯かへといへバ、S掛リ人御ゆでも、おめしでも 00033230¥N47¥J 00033240¥X○/屁(へ) 00033250M3去る女郎、客のまへニて、ぶいとのし(三十二ウ)そこない。 00033260M4/牽頭(たいこ)もちきのどくかり、も壱つせと、ぶいとする。女郎/限(かぎ) 00033270M5りなくよろこひ、牽頭もちに返礼として、羽織を/遣(ヤ)る。外 00033280M6の牽頭持、おれも、への身替りにたちたいものだと心かけ 00033290M7る。ある座敷ニて、おなじよふなる事もあれは有もの、女 00033300M8郎(三十三オ)ぶいとのしそこなひ。牽頭もち、こゝぞ羽折 00033310M9のたねと、大キナ声出して、おいらもしよ 00033320¥N48¥J 00033330¥X○一家へ注進 00033340M12三助、旦那との/((の脱カ))所へ行キ、モシ、わたくしらが旦那ハ/狐(きつね)で 00033350M13御座ります。Sナセ△S今朝承れハ、お/壱人(ひとり)リ/言(ごど)に、まづ 00033360M14此/暮(くれ)ハ尾を見せなんだと、おふせられ(三十三ウ)ました 00033370¥N49¥J 00033380¥X○釈迦 00033390M17/釈迦(しやか)がたけに朝湯で/逢(あ)ひ、どふだ/関(せき)取リ。ハヽア、夕部あ 00033400M18そびに行たの。Sこれハきめう。どふして御そんしじや△ 00033410M19Sハテ、はらに/紅粉(べに)が付て/居(い)る 00033420¥P102 00033430¥N50¥J 00033440¥X○口きゝ(三十四ノオ) 00033450L3/仕(し)事/司(し)、/喧嘩(けんくわ)のさい人に/這(は)入、まづ両方へ引わけ、これ権 00033460L4ぼう。なぜまけて居やらぬ。人と生れて、かんにんと云二 00033470L5字をわすれてハならぬ。/昔(むかし)かんせうじやうハ、千人のまた 00033480L6さへくゞつた 00033490¥N51¥J 00033500¥X○あま酒 00033510L9/仲間(ちうげん)、さむき夜に使に出、むかふから、(三十四ノウ)あま酒 00033520L10うり来る。さらば一ぱい/奢(おごろ)ふと、たばこ入の銭かぞへて見 00033530L11れハ、たつた五文有り。壱文のふそくハちよろまかそふと、 00033540L12あま酒うりを呼、一ぱい引かけ、サア銭を/払(はらお)ふ。手を出し 00033550L13給へ。それ、壱文二文三文。なん時で有ふの。S四つで御 00033560L14座ります△S五文六文(四十オ) 00033570¥N52¥J 00033580¥X○鶉 00033590L17女郎、/鶉(うつら)を/飼(かい)、チヽツクワイといふ。S客、此うづらハ能 00033600L18/鳴(なく)とほめければ、Sヲヤ、ばからしう有んす。うづらハふ 00033610L19けるとこそいへ、なに鳴といゝんすものか△S客、ゆびを 00033620L20くわへ、其後地主の隠居に/出((咄力))シければ、それハ/貴(き)様のがほ 00033630M1んとうだ。(四十ウ)すでにもつて、とふるの切リに、うづ 00033640M2らなく+わか草山にといふ謡がござる。さよふなら、わ 00033650M3たくしが利て御座りますか。Sいかにも+。扨、又あそ 00033660M4ひに行。初而にもこりす、此うづらハ能なくとほめければ、 00033670M5S女郎ぬしハ物覚が悪ひ。あれほと、せんど御出なんした 00033680M6時に、(四十一オ)うづらハふけるとおしへ申んしたに△Sイ 00033690M7ヤ、そなたがもんもふだ。すでに/以(もつ)て、うつら鳴+わか 00033700M8くさ山といふうたひが有ル△Sヲヤ、それハなにのうたひ 00033710M9にへ△Sコレカ、もふるの/切(きれ)に 00033720¥N53¥J 00033730¥X○四十七人 00033740M12四十七人の者ども、めいどへおもむき、(四十一ウ)ゑんま 00033750M13大王の前へならひ、それかし共ハかるた大明神に成たき願 00033760M14ひ、宜頼上まする。S大王のたまわく、かるたといふもの 00033770M15ハ、四十八枚なければならぬハ。S見るめかくはな壱人リ不 00033780M16足でハかなわぬ+△S大石ゆらの介申上まする。/先(せん)達而、 00033790M17あざのたくミが参ております(四十二オ) 00033800¥N54¥J 00033810¥X○とびの者 00033820M20とびの者、髪さかやきをして来る。けふハ休ミか。ヲヽ、 00033830¥P103 00033840L1今から吉原と出かける。Sべらぼう、/昼(ひる)よしわらかあるも 00033850L2のか△Sうそだハヱ、 00033860¥N55¥J 00033870¥X○鴨 00033880L5/鴨(かも)、水にあそひ/居(い)る。うしろから、(四十二ウ)ねぎ/一(ひと)手な 00033890L6がれて行キ、/鴨(かも)の/尻(しり)へあたりければ、鴨ふりむき、おゝこ 00033900L7ハ 00033910¥N56¥J 00033920¥X○鴨 00033930L10大/勢(ぜい)のはなしに、殿様かぶに三日なつて見たいと云。Sお 00033940L11れハはやく/隠居(いんきよ)になりたい。長ぼうハなんニ成たひ△Sお 00033950L12れか。おれハ鴨に成たい。(四十三オ)座中どつと/笑(わら)ひ、な 00033960L13ぜ。Sハテ、むまいわさ 00033970¥N57¥J 00033980¥X○弁天 00033990L16しのはづの/社(しや)内よりもへあがり、弁天、火のこをおそれ給 00034000L17ひ、前の池へ/飛(とび)こミ給へば、/甲(こうら)の上へあからせ給ふ。此こ 00034010L18うら、日頃弁天を見そめし折から、能キ(四十三ウ)時節と 00034020L19思ひ、いづくともなくはしり行ク。S弁天こりや、我身を 00034030L20つれて/行(ゆく)そのほふハ、なにものぞ△Sおまへをつれて、す 00034040M1つぽん 00034050¥N58¥J 00034060¥Xむだ 00034070M4ちよき船に/乗(のり)し/客(きやく)、親£大切ニする百目程有る銀きせるを、 00034080M5浅草川へおとし、なむさん+と/言(いふ)。S舟人、/肝(きも)を(四十四 00034090M6オ)(四十四ウ・四十五オ挿絵)/潰(つぶ)し、どこらへ/落(おち)ました。Sこゝ 00034100M7だ+。/船人(せんどう)、/尻(しり)ひつからげ、こゝかへ+と/云(いゝ)なから、 00034110M8/指(ゆび)に/唾(つは)をつけ、ふねの小べりへ印を付る 00034120¥N59¥J 00034130¥X/眼(め)の玉 00034140M11座/頭(とう)、くわんおんの/寺(じ)内にて、/杖(つへ)の/先(さき)へふくさ/包(づゞミ)がひつか 00034150M12ゝり、さぐつて見れば(四十五ウ)丸きもの。もし、是を御 00034160M13覧被成て被下。S是ハ/景清(かげきよ)が目の玉と/書(かい)て御座る△S座頭、 00034170M14かの目の玉をくわんおんの御さづけといたゞき、おのれが 00034180M15目へはめければ、ふしきや目/明(あき)となる。折ふし、向から御 00034190M16大名の御通り。かの坊主はしり寄り、/右(う)大将/頼朝(よりとも)やらぬと、 00034200M17馬の/轡(くつハ)へしつ(四十六オ)かと取つく。殿様/仰天(ぎやうてん)し給ひ、こ 00034210M18いつ、気が/違(ちがつ)たそふだ。Sイヤ気ハ/違(ちがハ)ぬ。目が違た 00034220¥P104 00034230¥G(四十四ウ・四十五オ) 00034240¥N60¥J 00034250¥X○花見 00034260M4仕事/司(し)、弁当をこしに付、弐人リつれにて花見に行キ、な 00034270M5んた、ふさ+しい。おいらが/来(き)たとおもつて、ミヤ、/八= 00034280M6重(や=へ)斗(四十六ウ)有る△Sはらアたちやんな。ひとへ/落馬(らくば)し 00034290M7たろう△S大キなべらほうしやあねゑか。落馬とハ馬の/死(しん) 00034300M8だ事だ 00034310¥N61¥J 00034320¥X○いきすぎ 00034330M11かミさん。夕部ハきつい/地震(ぢしん)だネ。S女房/悪(わる)口をいゝなさ 00034340M12んな 00034350¥N62¥J 00034360¥X○寒国(四十七オ) 00034370M15其元の御在所ハ/寒国(かんこく)と承る。左様で御座ります。/寒中(かんちう)など 00034380M16ハ/箸(はし)をぜんへ置キますると、かへまする内に、箸がぜんへ 00034390M17/氷(こふ)り付キ、もふたべます事ハなりませぬ。ちよつと咄しを 00034400M18いたしましても、/壁(かべ)へこふり付キまする。寒中のはなしハ 00034410M19不残、壁に氷り付ておりま(四十七ウ)する。S客春ハさぞ、 00034420M20やかましう御座りませう 00034430¥P105 00034440¥N63¥J 00034450¥X○盗人 00034460L3/儒者(しゆしや)の内へ盗人/這(は)入り、盗人に金銭をあたへ、其方が名ハ 00034470L4なにといふ。八兵衛と申ます。ハテもんもふな。おなしい 00034480L5ふなら、八びやうへといふものだ。(四十八オ)そして、い 00034490L6づれからしのび入ツた。ハイ、ねりびやうへから/這(は)入りま 00034500L7した 00034510¥N64¥J 00034520¥X○はんごん香 00034530L10女房に別れ、今壱度/逢(あい)たきよし、友達に咄す。S友たち/伝(つた) 00034540L11へきくに、/墓(はか)のまへで、はんごん香をたけば、/姿(すかた)があらわ 00034550L12るゝと聞く。そんならそふして(四十八ウ)逢ふと、/薬種(やくしゆ)や 00034560L13へ行、ツイはんこん香をわすれ、はんこんたんを百が買イ、 00034570L14墓の前にて/焚(たき)ければ、墓づし+++とうごく。ひミ 00034580L15つのたきものゝしるし有とよろこんで居る内、はやはんこ 00034590L16んたん焚キしまう。もふ百がくべよふと、内へ銭を取に帰 00034600L17る。S母、声をかけ、おのしハ(四十九オ)今の/地震(ぢしん)に、ど 00034610L18こであやつた 00034620¥N65¥J 00034630¥X○焼もち 00034640M1去ル御用人の御内義、/焼(やき)もちを焼てならぬ。同/家(か)中の若も 00034650M2の共、あの内義に気をもませて遣ふと、亭主に/云(いゝ)合せ、百 00034660M3/石(こく)に壱人リつゝ/妾(めかけ)を置ケとの御ふれ書。かの内義はらをた 00034670M4ち、(四十九ウ)旦那様へ。御ふれの趣、御承知で御座りま 00034680M5すかな。ヲヽ承知とも+。三百/石(こく)取ルから、妾をもふ弐 00034690M6人リ/抱(かゝへ)ずハなるまい。内義、髪をさかだて、おもてへ出る。 00034700M7こりや、どこへ/行(いく)。御役所へ参ります。なにの用が有る。△ 00034710M8S二百石あげて参ります 00034720¥N66¥J 00034730¥X○思入れ違ひ(五十オ) 00034740M11まおとこ、亭主に見付られ、二/階(かい)へかけあかる。亭主おち 00034750M12つきはらひ、まおとこを呼おろし、酒を/買(か)へといふ。まお 00034760M13とこ、これハぞんじの外の/首尾(しゆび)。きれいにくれるなごりの 00034770M14盃で有ふと、よろこんで壱升買て/来(く)る。亭主、壱升の酒を 00034780M15壱人リひつかけ、これ文吉。今度見(五十ウ)付ると、/蕎麦(そば) 00034790M16に酒だそ 00034800¥N67¥J 00034810¥X○井戸堀り 00034820M19お/家主(いへぬし)様ハこれで御座りますかな。さよふで御座る。御店 00034830M20を御/貸(かし)被成ませぬか。貴様の御/商売(せうばい)ハなんで御座る。井戸 00034840¥P106 00034850L1/堀(ほり)で御座ります。S貸事は成ませぬ。なぜさよふニおつし 00034860L2やる。Sハテ、井戸の(五十一オ)出/来(き)合イをほられてハな 00034870L3らぬ 00034880¥N68¥J 00034890¥X○/烏(からす)男 00034900L6羽織も黒、小袖も黒、帯、/頭巾(つきん)、/足袋(たび)、はきもの迄まつ黒。 00034910L7誠に是が黒仕立のミなかミ男。向からきん+として/来(く)る。 00034920L8S黒/先生(せんせい)。今からよし/原(わら)へ御/来臨(らいりん)か△Sアヽアヽ(五十一ウ) 00034930¥N69¥J 00034940¥X○駿河の客 00034950L11/駿河(するが)£/客人(きやくじん)来る。どふそ/馳走(ちそう)に国をほめてよろこばそふ 00034960L12と思ひ、あなた様の御国ハ、けつこうな御国で、竹細工な 00034970L13ど見事にいたします。それハ+きよふな細工、/余国(よこく)にハ 00034980L14御座りませぬ。Sイヤ+、江戸の亀井町の方か上手で御 00034990L15座る△Sどふ(五十二オ)仰られても、駿州ハ日本一の御国 00035000L16で御座ります△Sなぜで御座る△Sハテ、/茄(なすび)をごろふじろ。 00035010L17一ばんはやく御せうくわん被成ふ△Sイヤ+、本所の 00035020L18すな村がはよふ御座る。此客、とかく/卑(ひ)下するがくせ。ハ 00035030L19テとふぞ、卑下させぬ/誉(ほめ)よふか有そふなものだと、つく 00035040L20※とかんがへ、ヲヽそれ+、(五十二ウ)あなたが他国を 00035050M1御誉なさるれとも、駿河の/不二(ふじ)ときてハ、/余国(よこく)にならびな 00035060M2き/名山(めいざん)で御座ります。Sイヱ、あれも半分ハ雪で御座る 00035070¥N70¥J 00035080¥X○畳替へ 00035090M5/畳(たゝミ)がへいたすよふにとの仰付。それもよごれざるハ、其ま 00035100M6ゝにさし置ケとの(五十三オ)/御意(ぎよい)。S家老御畳ぬき+取 00035110M7かへましてハ、石畳のよふで、みくるしう御座りませう。 00035120M8殿そんなら、よごれたるハ、うら返したが能ひ。S家老武 00035130M9士の家に、うらかへると申事ハ/嫌(きら)ひまする△S殿其畳ハい 00035140M10か程有る。凡八百/畳(ぜう)程御座ります。S殿千/畳(ぜう)におよばねば、 00035150M11うら(五十三ウ)かへるとも、くるしうない 00035160¥N71¥J 00035170¥X○後家 00035180M14若ひ/者(もの)、ちよぼをはじめ、壱£六迄、壱寸弐寸と、ふてう 00035190M15で/云(いゝ)、大らうそくをかゞやかし、なぐさミ最中、/後家(こけ)の/耳(ミヽ) 00035200M16へはいり、ふすまをあければ、/俄(にわか)にらうそくをふきけす。 00035210M17Sヲヽまだ/寐(ね)やら(五十四オ)ぬか△Sハイ、唯今ふせりま 00035220M18す△S庄吉ヤ。六寸ハたれじや 00035230¥N72¥J 00035240¥X○/瞽女(ごぜ) 00035250¥P107 00035260L1店請、おしやべりの瞽女の所へ見/舞(まい)に/寄(よ)る。Sこぜこれハ 00035270L2+よふ御出被成やした。まづどなたも御替りも御座りや 00035280L3せぬか。扨+わたしハ御ぶさたをいたしやす。(五十四ウ) 00035290L4御聞キなさい。一/夜(や)/明(あけ)ますると、三味せんの/稽古(けいこ)かはじま 00035300L5りやす。二月に成りますると、初午でいそがしう御座りま 00035310L6す。三月に成りますれハ、いくつに成りましても/雛(ひな)をかざ 00035320L7りとふ成りまする。四月に成りますると、/袷(あわせ)のさしづを 00035330L8いたすやら、そちこちいたす内、はや五月に成りま(五十五 00035340L9オ)すれば、男の子がなくても、かしハ餅をこしらへます。 00035350L10六月に成りやすれば、ヲヽソレ+、天王様のそうめんや 00035360L11ら、ひとへものをぬわせますやら。七月に成やすれば、/盆(ほん) 00035370L12前の/才覚(さいかく)にかゝりやす。おさんヤ。御客様ハ御出なさるか 00035380L13Sアイ、かしハ餅の出来まする/頃(ころ)、御帰り被成レました。 00035390L14(五十五ウ)アヽ其はづ。ぬしハ上/戸(ご)だ 00035400¥N73¥J 00035410¥X○はごのこ 00035420L17太夫女郎、はねがはづまぬ故、はねのめいじん番太の七助 00035430L18を呼寄せ、これ七助どん。こんなはづミもせぬ/羽根(はね)を売付 00035440L19たの。にくう有んすに。S番太どれ※、能くしてあげよ 00035450L20ふと、酒を五合買よせ、(五十六オ)ぐいと引ツかけ、はご 00035460M1のこへ/息(いき)をふつかけ、キヽナコヲヽヽ 00035470¥N74¥J 00035480¥X○四十七人 00035490M4四十七人の者ども、/敵(かたき)もろのふを/尋(たつぬ)れども、しれぬ故、ミ 00035500M5な+/爰(こゝ)で/切腹(せつふく)せんと思ひ定める。大高すゝミ出、少しの 00035510M6心あてが御座る。しばしとゞ(五十六ウ)まり給へと/云(いゝ)、頓 00035520M7而/炭(すミ)/部(へ)屋へ行キ、/鑓(やり)おつとりのべ、もろのふ+といへば、 00035530M8Sすミの方で、どふれ 00035540¥N75¥J 00035550¥X○かばやき 00035560M11うなぎやの前を毎日通る/度(たび)に、扨もむまいにほひじやと、 00035570M12かいで通りければ、大晦日にうなきやから呼込ミ、毎日の 00035580M13かゝせ代。六百文で御座る。Sそれハ安ひもので(五十七オ) 00035590M14御座ると、ふところ£六百文なげ出し、これ、此/音(おと)を聞キ 00035600M15給へ 00035610¥N76¥J 00035620¥X○手帳 00035630M18まんじやの亭主、座敷で手帳を/拾(ひろ)ひ、/読(よミ)て見れば、奥の座 00035640M19敷ですまきぬさんを壱つとる。はしこのしたで/遣(ヤ)リ/人(テ)どん 00035650M20を弐つ。まんじやの(五十七ウ)かミ様を旦那のそばで二つ 00035660¥P108 00035670¥G(五十九ウ・六十オ) 00035680M1とると書て有り。亭主やつきとし、早+/仲人(なこふど)を呼に/遣(ヤ)り、 00035690M2能+/吟味(ぎんミ)して見れハ、あんまの心覚 00035700¥N77¥J 00035710¥X○大工 00035720M5大/工(く)まん+と金をもふけ、こんな時節に吉原へ/行(いか)ずんば 00035730M6有べからずと、吉原(五十八オ)/通(がよ)ひ。ツイ、さんやの/土(ど)手 00035740M7で、両/腕(うで)を切り落され、親分の所へ行キ、わたしがあたま 00035750M8を、ぶつさいて被下まし。親分きもをつぶし、それハ何事 00035760M9じやといへば、S/釘(くぎ)ぬきにでも成ふと思ふ 00035770¥N78¥J 00035780¥X○松茸 00035790M12/和尚(おせう)、松/茸(だけ)をもらひ、/鼠(ねつミ)の/喰(くわ)ぬよふニ(五十八ウ)米/櫃(ひつ)へ入 00035800M13れさせ置キ、/明(あく)る日、米櫃のふたをあけて見れは、松茸ハ 00035810M14なし。もし旦那様。きのふおもらひ被成ました松茸が、米 00035820M15櫃の中で/消(き)へてなくなりました。見ますれば、米にしめり 00035830M16けが御座ります。S和尚、手を/打(うち)、それでよめた。Sどふ 00035840M17よめました。(五十九オ)(五十九ウ・六十オ挿絵)どふりで、ふん 00035850M18どしにハのりをつけぬ 00035860¥N79¥J 00035870¥X○ぶせうくらべ 00035880¥P109 00035890L1ぶせうもの三人あつまり、なんと、ぶせうくらへをしよふ 00035900L2でハ有まいか。そりやおもしろかろふが、あすのばんにの 00035910L3ばしやれ。市ぼうハいつする。Sおれか。おれハあいさつ 00035920L4もめんどふだ(六十ウ) 00035930¥N80¥J 00035940¥X○/掃除(そうぢ) 00035950L7/至(いたつ)てきれい/好(すき)なる殿様有り。/毎(まい)日御/自身(ぢしん)に御そうぢ。ある 00035960L8時大坂下りそうぢのめいじん、御目見へ。すくにそうぢせ 00035970L9よとの仰付。しからばとて、裏付上下の/片衣(かたきぬ)をはね、/風呂= 00035980L10敷(ふろ=しき)包から大ぼうきに小ぼうき、うちはらひ、/数(す)(六十一オ) 00035990L11十本取出シ、中段下段とはたきたて、/黒(くろ)ぬりの六尺ぼうを 00036000L12取り出し/シ((シ衍))、水にてきりを/吹(ふ)く。S役人その/棒(ほう)ハ何に成り 00036010L13ますな△S此/棒(ぼう)にて、/中(ちう)をぶらつかせ、みぢんごミを/退治(たいぢ) 00036020L14ます 00036030¥N81¥J 00036040¥X○/馬士(まご) 00036050L17/馬(むま)、たちとまりて小便をする。S馬士(六十一ウ)此ちくせ 00036060L18うめハ、日のみじかいのをしらねへそふだ。馬ふりかへり、 00036070L19/何(なに)、/馬士(まご)じやア有ルまいし 00036080¥N82¥J 00036090¥X○いしや 00036100M3/医者(いしや)の所へ行キ、ねかふに/幸(さいわい)な事が御座ります。それハ 00036110M4/耳(ミヽ)より。なんで御座る。日/頃(ころ)見たいと仰らるゝ/箔(はく)や(六十二 00036120M5オ)から、内の/者(もの)がわづらいますから、/能(よ)ひいしやを引付 00036130M6ケて被下とのたのミ。御りやうじ御ついでに、うつくしい 00036140M7/内義(ないぎ)を御ろうじろ。/善(ぜん)ハいそげじや。唯今から参ふと/伴(ともな)ひ 00036150M8行。Sはく屋の亭主、女房の手を引て出る。Sいしや、/脉(ミやく) 00036160M9より顔をよく+ながめ、是ハ御/癪気(しやくけ)で御座る(六十二ウ)と 00036170M10いへば、S亭主とてもの義に、はりを御頼ミ申ます△Sい 00036180M11しやそれハ/忝(かたじけな)ひ 00036190¥N83¥J 00036200¥X茶の湯 00036210M14/四畳(よじやう)半の座敷出来、早&/珍(ちん)客をまねぎ、亭主、/茶(ちや)をたてゝ 00036220M15出す。/上(せう)座の客おしいたゞき、/呑(の)むひやうしに、水ばなを 00036230M16たらしこミ、つぎの客へ渡す。/次(つぎ)のきやく、(六十三オ)に 00036240M17か※しい顔にて、はなの有所を/向(むこふ)へ/吹(ふき)、一口のんでつぎ 00036250M18へ渡す。それより段+じゆんに廻しければ、/末(ばつ)座に/居(い)る 00036260M19のミしまいの/客人(きやくじん)、おしいたゞき、目をふさいで、なむあ 00036270M20ミだぶつ 00036280¥P110 00036290¥N84¥J 00036300¥X○しわんぼう 00036310L3去ル/大家(たいけ)の御隠居、しわいと/来(き)てハ日本一の(六十三ウ)し 00036320L4わんぼうの殿様、/瀬(せ)川/露孝(ろかう)に御/逢(あひ)被成たきとの仰出され。 00036330L5サア御家中の/耳(ミヽ)へ/這入(はいり)、おしわい御心が替り、さぞ御屋敷 00036340L6がにぎ+しう成ふとの評ばん。扨露孝を/呼(よび)よせ、S殿こ 00036350L7れへ+との/御意(ぎよい)。露孝、こわ※御/側(そば)迄/這(は)ひ行キ、わた 00036360L8くしハ/痔(ぢ)がおこりまして/引篭(ひつこんで)(六十四終オ)おります。かの 00036370L9所ハ御めん被下まし。S殿いやさ、其用でハない。無間の 00036380L10/鐘(かね)ハどふ/突(つ)く 00036390¥Q 00036400L12珍話;/楽牽頭(カクタイコ)△@近頃のはなしの会を|絹ふるひにかけ座興のたねにつゞる△出来@ 00036410L15@座笑産|後△篇@△/近目貫(キンメヌキ)△近刻 00036420L17△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(六十四終ウ) 00036430¥Q 00036440M2顔の的△@客の手てうちん△|女郎の手てうちん@ 00036450M3△△△△@其外堅和の類心道の要に|成し事をひらかなにて記ス|両めん壹枚すり△△△△@ 00036460M5各様方御自作之御はなし出来候ハヽ 00036470M6後編近目貫に差加へ候間何とぞ 00036480M7頂戴仕度候 00036490M8△△△△△△△江戸伊勢町 00036500M9△△△△△△△△△笹屋 00036510M10△己二月日蘭秀堂△△嘉右衛門 00036520M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(明大本奥付) 00036530¥P111 00036540¥U噺本大系△第九巻 00036550¥T俗談;/口拍子(くちびようし)〔序題〕 00036560¥G 00036570¥Y 00036580L15安永二年正月跋 00036590L16軽口耳秡著 00036600L17春重画 00036610L18聞好舎板 00036620L19小本一冊 00036630L20尾崎久弥氏蔵 00036640¥Y俗談;/口拍子(くちびやうし)序 00036650M3/天竺(てんぢくの)/方便(うそ)、/唐人(とうしん)/阿房(あほう)、/日本(につほんの)/雲穴(うんけつ)、/秤(はかり)ニ/懸(かけ)て/五厘(ごりん)もちがハ 00036660M4ぬたハけが/口拍子(くちひやうし)。/甲子待尓(きのへねまちに)/祖父(ぢゝ)と/婆&(ばゝ)とを/集(あつ)めて、/大黒(たいこく) 00036670M5を/茶(ちや)に/浮(うか)せて、/軽口咄(かるくちはなし)にあた/満(ま)を/砕(くだい)て/咄(はな)せども、イカナ/誰(たれ)/ 00036680M6/独(ひとり)/笑(ゑミ)をふくむ/人(ひと)もなく、/麻木(しびれき)(序オ)を/古(こ)らへ、/大黒(たいこく)を/宵(よい) 00036690M7から/茶(ちや)ニして/寐言噺(ねごとはなし)。ナント/大黒(だいこく)、/利生(りしやう)ハ/奈(な)いかといへば、 00036700M8/不思議(ふしぎ)や/大黒(だいこく)、スツクト/立給(たちたも)ふ。サア/御利生(ごりしやう)じや。どこへ 00036710M9のお/出(いて)。イヤ、をれも/茶(ちや)にしよふ。そふだ+ 00036720M11△△△△△△△△△△△△書苑△△△掌高△喰米△撰 00036730M13△△安永二年三百八十四日甲子待(序ウ) 00036740¥P112 00036750¥T1俗談;口びやうし 00036760¥Y1/落咄(ラクキウ)△△△@軽口△耳秡△著△|咄肆△頓作△考訂@ 00036770¥N1¥J 00036780¥X/歌(うた)のしせう 00036790L7/哥(うた)のしせうの所に、ひとり/娘(むすめ)があつた。/美(び)なものじやによ 00036800L8つて、/方(ほう)+からほしがれとも、ひとり/娘(むすめ)なれバ、/手前(てまへ)へ 00036810L9(一オ)/聟(むこ)をとらねハならぬ。又/聟(むこ)にきたがるものも有ど、 00036820L10/弟子(でし)の/内(うち)に/美(び)な/男(おとこ)有て、たがひに/相(あい)ぼれでけつかるゆへ、 00036830L11/娘(むすめ)がてんせず。S/二親(ふたおや)、何ぞわけでも有かと、うばに内し 00036840L12やうを/聞(きか)せければ、S娘かの/美男(びなん)の/弟子(でし)とならそひたひと 00036850L13いふ。Sウバ、その/通(とを)り二おやへ云。(一ウ)S二親、/幸(さいわ)ひ 00036860L14の事と/悦(よろこ)び、其/弟子(でし)を/聟(むこ)ニ取、こんれいの/盃(さかづき)/済(すん)で、/色直(いろなを) 00036870L15しから/床盃(とこさかづき)迄めで度/納(おさま)り、/新枕(にいまくら)にS娘云やう、お前とそ 00036880L16ひたい+と年月思ひましたニ、こよひぞ/千代(ちよ)の初メでご 00036890L17ざんす。私が上の/句(く)を/致(いたし)ましよ。お前、下の句をお/付被成(つけなされ) 00036900L18ませ。ヲヽ夫ハよかろ。サアさつしやい。S娘マミムメモ。 00036910L19/今宵(こよい)/初(はじめ)て(二オ)サシスセソ△S男是ハめでたい。ふたりが 00036920L20初て相/通(つうず)る/心(こゝろ)で/五音(ごいん)相通の/上(かミ)の/句(く)。大でき+。おれも/五= 00036930M1音(ご=いん)/相通(さうつう)で下の/句(く)を/付(つけ)ませう。Sラリルレロこそタチツテト 00036940M2カナ 00036950¥N2¥J 00036960¥X/恵方参(ゑほうまいり) 00036970M5しまつな/隠居(いんきよ)、/小坊主(こほうず)を/供(とも)に/連(つれ)、/恵方参(ゑほうまい)りに/行(ゆき)、さん/銭(せん)を 00036980M6/上(あけ)よふと(二ウ)/思(おも)ひ、/巾着(きんちやく)をさがして見ても四文/銭(ぜに)/斗(ばかり)/也(なり)。 00036990M7ぜひなく一文ン出し、/跡(あと)をふりむき、S小/僧(さう)、われもおがめ 00037000¥N3¥J 00037010¥X/水(ミつ)かゞみ 00037020M10ふとつた/婆(ばゝア)&が、/前(まへ)のできものを見る事も、ふとつてみえ 00037030M11ぬゆへに、/気(き)ニ/入(いり)の八介、たらひに水を入、/座敷(ざしき)へ(三オ) 00037040M12/置(お)ケと、やがて/婆&(ばゝ)は/屏風(ひやうふ)を/立(たて)てゐる。八介、ふしぎに/思(おも) 00037050M13ひ、/引(ひき)まどからのぞいて見た所が、/婆&(ばゝ)はたらいニまたが 00037060M14り、/前(まへ)を見て、モモ、八介が/顔(かを)によく/似(に)た 00037070¥N4¥J 00037080¥Xまをとこ 00037090M17まおとこをしたとて大/乱(らん)をやる/故(ゆへ)、(三ウ)/隣(となり)の/亭主(ていしゆ)/聞(きゝ)かね、 00037100M18/何事(なにごと)でござるといふて/来(き)たれば、S内ノてい主イヤ、かゝア 00037110M19めがあの/男(をとこ)と/密通(ミつつう)しました△S@となりの|ていしゆ@をれがこふ有ふと 00037120M20おもつた。まだこゝの/亭主(ていしゆ)ハ大まかだ。おれが見た/斗(ばかり)も、 00037130¥P113 00037140L1/密通(ミつつ)や四つじやない 00037150¥N5¥J 00037160¥X/隠居夜這(いんきよよばひ)(四ノ九オ) 00037170L4隠居、よばひに/行(ゆく)とて、ツイふミはづして二かいから/落(おち)て、 00037180L5/目(め)を/廻(まハ)した。サア/家内(かない)おどろくまい/事(こと)か、/手(て)にあせをにぎ 00037190L6り、モシ、お/死(しに)かへ+と/呼(よぶ)。やう+に/気(き)が/付(つい)て、フウ 00037200L7+、イヤ/仕(し)にでハない 00037210¥N6¥J 00037220¥Xなめたかそうだ+ 00037230L10八内、下&がうたふを聞バ、なめたか(四ノ九ウ)づんばいと 00037240L11いふ。めづらしいことだ。わするゝな。/同役(とうやく)どもへみやげ 00037250L12ニ申きけふぞ。アヽモウわすれた。八介、/覚(おぼへ)て/居(い)るか。イ 00037260L13ヤモウ、ハヤつんぬけ申シてごさる。イヤ、/覚(おぼへ)て居ろと申 00037270L14たに、はやつんぬけ申たかと、あたまこつきり。アヽいた 00037280L15や、なミだが/出(づ)るばい。ヲヽサ、そだそだ(十オ) 00037290¥N7¥J 00037300¥Xまき 00037310L18/右大将(うだいしやう)/頼朝公(よりともこう)、ちゝぶの/重忠(しげたゞ)をめされ、ふじのまきがりを 00037320L19/仰(おゝせ)付らる。重忠うけ玉ハり、/真木(まき)がりの一/条(でう)、かしこまり 00037330L20奉る。シテ其真木、いかゞ致して/払(はらい)申さんや。ナニサ、五 00037340M1らうか十両だ(十ウ) 00037350¥N8¥J 00037360¥Xいてう 00037370M4どうぞとゝ様。ゆもじにめづらしひもやうを/染(そめ)て、ほしう 00037380M5ござんす。それはやすい事。何がよからふ。ソレ+、い 00037390M6てうがよい。イヤ、わたしや、いてうハいやでござります。 00037400M7デモ、いてうがよい。ナゼ、とゝ様、そのよふに、いてう 00037410M8+とハ(無丁オ)をつしやります。Sイヤサ、/虫(むし)がつかい 00037420M9でよい 00037430¥N9¥J 00037440¥X/犬(いぬ)のねごと 00037450M12いぬ/多(をゝ)く/集(あつま)つて、ねて/居(い)た所、一/疋(ひき)の犬、ウヽツト大きに 00037460M13うなりだした。ナゼ其やふにおのしや、うなるぞ。Sイヤ 00037470M14サ、/今+((マヽ))しい。/夢(ゆめ)ニ紙くずひろいを見た(無丁ウ) 00037480¥N10¥J 00037490¥Xま/男(おとこ) 00037500M17/忍男(まをとこ)を/引込(ひきこん)でコツテリの/最中(さいちう)、/亭主(ていしゆ)が/帰(かへり)、ナム三宝トうろ 00037510M18たへなから、/幸(さいわひ)/明(あい)た/居(すへ)ふろへかくし、/主(あるし)、そしらぬ/顔(かを)で、 00037520M19ざしきニいる。ま男ハひもじからふと女房が/心中(しんちう)の/握(にぎり)めし、 00037530M20ふろの内へ/投込(なげこむ)を、主がちらと見て、何/喰(くハ)ぬ/様子(やうす)で、ふろ 00037540¥P114 00037550L1のふたを/明(あけ)ると、/中(なか)から、Sヲツト/塩(しを)か(無丁オ) 00037560¥N11¥J 00037570¥Xかげま 00037580L4はやるかげま、/廻男(まハし)を/呼(よび)、おいどがかゆふてならぬといふ。 00037590L5S男アイ、/夫(それ)ハけつかうな事でござります△S明日ハよい 00037600L6事、御/聞(きゝ)なされませう 00037610¥N12¥J 00037620¥X/女郎買(ちよろうかい)立ぎゝ 00037630L9/茶(ちや)やへはいると、なじミの女郎、ちらと見てかくれる。S茶 00037640L10や/亭主(ていしゆ)、おつ/取(とつ)てあいさつ。S女郎(無丁ウ)わつちやアい 00037650L11やで/有(あり)んす。/此(この)ごろ引ておりんすといふて、お/帰(かへ)し申て△ 00037660L12S女ぼうなぜそふおつしやるそ△S女郎、かををばしかめて、 00037670L13いなせて+としかたニ、ぜひなく女郎/病気(びやうき)ぶんニして、 00037680L14わきへやつた。S客、たしか、てきめが/爰(こゝ)に/居(い)おつたがと、 00037690L15ふしんさに/立(たち)ぎゝ。S女郎(無丁オ)おくから/出(で)て、ぬしや 00037700L16アどふもすきんせん。Sていしゆデモおまへ。ぬし様ハけつ 00037710L17かうなお/客(きやく)だもの。なぜ/大事(だいじ)に被成ませぬ△S女郎どふい 00037720L18けんしなんしても、モ、しミ+やしき/衆(しゆ)ハいやで/有(あり)んす 00037730L19S客、ずつとはいり、@血ばしりたるめに△|なミたをうかめて、@ヤイ、身も/腹(はら)からの 00037740L20/武士(ぶし)でもないわい(無丁ウ) 00037750¥N13¥J 00037760¥Xしわい女郎/買(かい) 00037770M3しわ様。金介に/花(はな)をやりなんせ。Sムウ、けふハ/持合(もちあハせ)がな 00037780M4い。/鼻(はな)がミでもやらふ。コリヤ金介、一ばい/呑山(のミやま)△Sハイ、 00037790M5有がたふござります。@紙一まいやれば△|ゑひすがミなり。@S金介/旦那(だんな)。けふハ 00037800M6きつふお/気(き)がはりました△Sウヽ△S金介コレハ旦那。申、 00037810M7此かミハ、/別(べつ)してお(無丁オ)めでたふござります△S客一 00037820M8つ打てくれ。七両二歩△S金介八両△S客ヲツト/売(うつ)たぞ。 00037830M9サア二歩つりよこせ 00037840¥N14¥J 00037850¥X/客(きやく)いつゞけ 00037860M12/客(きやく)、いつゞけして、此/天気(てんき)こまる。女郎、あいさつなしニ 00037870M13うしろむく。Sきついふりといふ事か(無丁ウ) 00037880¥N15¥J 00037890¥X/矢数(やかず) 00037900M16打つれ立て、三十三/間堂(げんどう)へ/矢数(やかず)見にいた。/中食(ちうぢき)のさいがな 00037910M17いが、ソレ+、そこにこんにやくのてんがく。こゝの/名= 00037920M18物(めい=ぶつ)がよかろふ。Sイヤ+、/名物(めいぶつ)でも、/是(これ)ハやめにしたひ 00037930M19Sナゼ+△Sハテ、やかずにミそを/付(つけ)るぞや(十二オ) 00037940¥P115 00037950¥N16¥J 00037960¥X/雷(かミなり) 00037970L3グハラ+ピチヤアリと、なるかミのくもふミはづして、 00037980L4おちこちの、たちまちかぢやの/細工場(さいくば)へおちた。Sていし 00037990L5ゆ、見むきもせず、/槌(つち)うつ/音(おと)の面白く、トンチンカラチヤ 00038000L6ン+。だん+/拍子(ひやうし)が早くなり、トチカラチヤン+。 00038010L7S@かミなり、ひや|うしニのつて、@八天から++(十二ウ) 00038020¥N17¥J 00038030¥X/品川(しなかわ) 00038040L10しな川へ二人/壱歩(いちぶ)であそびニ/行(ゆき)、/帰(かへ)りニ百で/船(ふね)に/乗(のる)とて、 00038050L11Sほの※と品川/沖(おき)の/朝帰(あさかへ)り△百かくれ/行(ゆく)/銭(ぜに)おしぞ/思(おも)ふ、 00038060L12とよんだ。S女郎これハおもしろい哥でござんす。何とい 00038070L13ふ/本(ほん)にありんすへ△S客百/弐朱(にしゆ)にある(十三オ) 00038080¥N18¥J 00038090¥X/下駄(げた)屋 00038100L16申、大屋様。/私(わたし)が/向(むかへ)の/下駄屋(げたや)が、/只今(たゝいま)/死(しな)れました。Sハテ 00038110L17ナ、さきまて見かけましたニ、どふして/死(しな)れました△S二 00038120L18かいから、げたりとおちて、はなをつかれました△Sとふ 00038130L19らいハへ△S/足駄(あしだ)でござります 00038140¥N19¥J 00038150¥X/節分(せつぶん)(十三ウ) 00038160M3ふくハ/内(うち)、おにハそとへと、/豆(まめ)うちおさめて/酒(さけ)のんでゐる 00038170M4/所(ところ)へ、/門(かど)の/戸(と)ぐハらりとおしあける。見れバ/赤鬼(あかおに)なるゆへ、 00038180M5豆をとつて/打(うた)んとすれバ、Sおに、いふやう、是(これ)+、ち 00038190M6つとの内じや。/置(おい)て下され。/今(いま)そこへなまよひが/来(き)ます。 00038200M7Sハテらちもない。おにともいわるゝものが、なま/酔(ゑひ)をこ 00038210M8ハかつて(十四オ)すむものか。出ていかつしやい△Sおに 00038220M9いやさ、さふでない。/醒(さめ)ると、せうきになる 00038230¥N20¥J 00038240¥X/貧(ひん)の/病(やまい) 00038250M12モノモウ。Sドウレ△S内へはいれば、/医者(いしや)どのが出てあ 00038260M13いさつし、/脉(ミやく)を見て、そこ元様ハ/録(ろく)も有ルお/方(かた)と見ゆるが、 00038270M14いかふ/内(ない)しやうに御そんが/立(たち)、/銭借(せんしやく)の(十四ウ)さしこミが 00038280M15つよひ。ばくゑきと/酒色慾(しゆしきよく)をたち、けんやくをお/用(もち)ひなさ 00038290M16るゝがよい△Sイヤ、それもじよ才なく用ひますれど、と 00038300M17かく/銭借(せんしやく)がこだハリ、なんぎいたします△Sしからバ、/分= 00038310M18散(ぶん=さん)をお/用(もち)ひなされい。/古(こ)しやくがつよいから、/身(しん)だいをお 00038320M19あらひなされたが/能(よい)(十五オ) 00038330¥P116 00038340¥G(無丁オ・ウ) 00038350¥N21¥J 00038360¥X/巾着切(きんちやくきり) 00038370M3江/戸(ど)にとんだ/獣(けだもの)が有。/巾着切(きんちやくきり)と云て、/巾着(きんちやく)を/切(きり)て/喰(くう)。Sハ 00038380M4テめづらしい。そんなら、巾着の/皮(かわ)を/喰(くふ)なら、かほハどん 00038390M5なものじや△Sアイサ、つらの/皮(かハ)があつい 00038400¥N22¥J 00038410¥X/象煮(さうに)たくハへ(十五ウ)(無丁オ挿絵)(無丁ウ挿絵) 00038420M8日本で象煮とて/象(そう)を/煮(に)てくふが、どふして/象(ぞう)をたくハへて 00038430M9/置(おい)たの。Sイヱサ、/家珍(かちん)/餅(かちん|もち)にして/置(おい)たとさ 00038440¥N23¥J 00038450¥X/鼻緒(はなを)がたかい 00038460M12めづらしいみせが/出(で)た。/女(じよ)郎が/下駄(げた)/鼻緒(はなを)の/店(ミせ)を出したが、 00038470M13/高(たか)い。Sなぜだな△Sふり付て、/鼻緒(はなを)たかくする(十六オ) 00038480¥N24¥J 00038490¥X天ぢくのゆき 00038500M16此ゆきといふものハ、何で有ふ。Sコレハ天ぢくの/塩(しを)さ△ 00038510M17Sソリヤとふしてしれたぞ△Sハテ、これからおらんだへ 00038520M18壱万三千里、/天竺(てんぢく)ハまだ/遠(とを)いゆへ、/天竺(てんぢく)から/飛(とん)でくる内に、 00038530M19塩けがぬけるてさ(十六ウ) 00038540¥P117 00038550¥N25¥J 00038560¥X/石(いし)の上のすまひ 00038570L3江戸ハはんじやうな所じや。金ハつかミ取ニもふかる。江 00038580L4戸えゆきやれ。Sイヤモ、なんぼけつかうでも、石のうへ 00038590L5のすまいハ、いやてござります 00038600¥N26¥J 00038610¥X/田舎(いなか)のやねや 00038620L8おれハ江戸へ/行(ゆき)て、/天狗(てんぐ)にならふ。Sソリヤマア(十七オ) 00038630L9とんだ事だ。どふして/天狗(てんぐ)になるぞ△Sハテ、江戸のやね 00038640L10やハ、はねがはへて/飛(とぶ)げな 00038650¥N27¥J 00038660¥X/観音(くハんおん)の/告(つげ) 00038670L13私が/腰(こし)の立つやうに、/南無観世音(なむくハんせをん)様とねんじた所が、/観音(くわんおん) 00038680L14のお/告(つげ)に、早く江戸へ行。Sソリヤどふしたわけでこさり 00038690L15ます△Sハテ、江戸ハ下へ金がまわつたゆへ、下が/潤(うる)ハふ 00038700L16(十七ウ) 00038710¥N28¥J 00038720¥Xかの子/餅(もち)△をとし/咄(はなし)の本也 00038730L19所&の本屋に、かのこ/餅(もち)といふ/咄(はなし)のよふな餅がある。/買(かつ)て 00038740L20/味(あぢ)わふて/見(ミ)た処が、しごくS/軽口(かるくち)さ 00038750¥N29¥J 00038760¥X/聞上手(きゝじやうづ)△@をとしはなしの|本なり△△△△@ 00038770M3所&の本屋に、聞上手といふ/看板(かんばん)か/掛(かけ)て有。聞上手とは何 00038780M4でごさるととへば、本屋、(十八オ)聞上手でござるといふ。 00038790M5Sイヱサ、聞上手とハ何の事でござる△Sハテ、/聞上手(ミヽをあけて|きゝじやうづ)/聞(きか) 00038800M6ツしやい 00038810¥N30¥J 00038820¥X/朝比奈(あさひな) 00038830M9/奴(やつこ)、さけをのんで、にらんで云。/気(き)ばやしのあけいな 00038840¥N31¥J 00038850¥X/夷福神(えひすふくのかミ) 00038860M12/娘(むすめ)、おとこの所へ/起請(きせう)を/書(かい)てやるとて、ゆびを切た所が、 00038870M13/紙(かミ)がなし。サアしまつた。(十八ウ)/血(ち)をふくかミハなし。 00038880M14/南無(なむ)ゑびすの/神(かミ)、金三百両あたへ給へと/念(ねん)じたれば、ふし 00038890M15ぎや/夷(ゑひす)の/神(かミ)、/現(けん)じたまひ、金三百両、紙に/書(かい)てあたへ給ふ。 00038900M16Sコレハ申、紙でござります△Sヲヽサ、/福神(ふくかミ△|ふくのかミ)じや 00038910¥N32¥J 00038920¥X/伊呂波茶(いろはちや)や 00038930M19/客(きやく)、/女郎(しよらふ)かいニ/行(ゆき)、こゝハ何といふ所じや。(十九オ)アイ、 00038940M20いろは/茶(ちや)やと申ます。/客(きやく)、つとめを四十八文やる。Sモシ、 00038950¥P118 00038960L1是でハたりませぬ△Sハテ、いろはでハなひか 00038970¥N33¥J 00038980¥Xつんぼう 00038990L4/耳聾(つんぼう)、/酒勾(さかわ)川を/渡(わたり)て、あがる処へ、/向(むかう)より老人/来(きたつ)て、川ハ 00039000L5ふかうごさりますか。つんぼう、/耳(ミヽ)へ手を/当(あて)て見せる。 00039010L6(十九ウ) 00039020¥N34¥J 00039030¥Xこしぬけ 00039040L9こしぬけ、/往生(わうじやう)ぎハに、/女房(にようぼう)と/心中(しんぢう)をしたひ。Sソリヤと 00039050L10んだ事た。/和尚(おしやう)様、どふいたしましよ△Sハテ、馬がなく 00039060L11てハ、十万おくどへ/行(ゆか)れぬ 00039070¥N35¥J 00039080¥Xさいてくりやうの哥 00039090L14/鴬(うぐいす)あつまりて/曰(いわく)、アヽきミのわるひ。(二十ノ廿七オ)サイ 00039100L15テくりやうといふ/哥(うた)がはやる。どふしたら、マアたすから 00039110L16ふぞ。/住持(ぢうじ)きゝ/付(つけ)て、なけ+。Sハイ、ホケ/経(きやう)+△Sソ 00039120L17レデたすかる 00039130¥N36¥J 00039140¥X/痔(ぢ)ぬし 00039150L20わしハぢを/持(もつ)てゐるが、金の五両や十両ハ/付(つけ)てなりとも、 00039160M1もらひ(二十ノ廿七ウ)/人(て)が/有(ある)なら、やりたいものサ。S本の 00039170M2/事(こと)かへ。/地(ぢ)なら/金(かね)ハ/付(つか)ずとも、わたくしがもらいましよ。 00039180M3どこでござります△Sサア見さつしやい。@いぼぢのしりを|まくりて、△△@/屁(へ) 00039190M4をプイとひる。Sコレハきついてつほう 00039200¥N37¥J 00039210¥X/井戸掘(いとほり) 00039220M7/類焼(るいせう)ニ/付(つい)て、/田舎(いなか)から/井戸仕事師(いどほりしごとし)、(二十八オ)/大工(たいく)など、大 00039230M8ぜひ来たゆへ、/深(ふか)サ五六尺の井戸をつもらせたれば、金子 00039240M9壱両でほりませふと/云(いふ)。/安(やす)イものじやから/誂(あつら)へたれば、/庭(にわ) 00039250M10へ/川(かわ)のように/長(なが)くほるから、そふでハない。/井戸(いど)をほるの 00039260M11じやといふたれバ、かふほつて、おつ/立(たて)ます 00039270¥N38¥J 00039280¥X/後家(こけ)(二十八ウ) 00039290M14いんらんな/後家(ごけ)か有た。/男(おとこ)めかけをいくたり/置(おい)ても、十日 00039300M15たつと、ぢんきよして/出(で)て/行(ゆく)から、せんかたつきて、てん 00039310M16ほうを置てあてがつたら、三十日程つとめると、ころりと 00039320M17/死(しん)だ。きけば、/早打(はやうち)かたしやげな 00039330¥N39¥J 00039340¥X/夫婦(ふうふ)/五音(ごいん)で/哥(うた)(二十九オ) 00039350M20私が/上句(かミのく)を致ませふ。お前、下の/句(く)をおつけなされませ。 00039360¥P119 00039370L1S男ヲヽそれハよかろう。サアさつしやい△S娘マミムメ 00039380L2モ。/今宵(こよい)/初(はじめ)てサシスセソ△S男是ハめでたい。ふたりが初 00039390L3て相/通(つうず)る/心(こゝろ)で、/五音(ごいん)/相通(さうつう)の/上(かミ)の/句(く)。大でき+。おれも/五= 00039400L4音(ご=いん)/相通(さうつう)で、下の/句(く)を/付(つけ)ませう。Sラリルレロこそタチ(二 00039410L5十九ウ)ツテトかな 00039420¥N40¥J 00039430¥X/雁(がん) 00039440L8おひめ様、庭のけしきをながめて、/多葉(たば)こを/上(あが)る。/折(おり)ふし、 00039450L9/空(そら)を/雁(がん)が/渡(わた)るゆへ、Sおひめ様あれを見や。/局(つぼね)。がんが/通(とふる) 00039460L10とおつしやつた。S局がんハ/雁(かり)とおつしやるが、よふござ 00039470L11りますと申/上(あげ)た。Sおひめ様、/吸(すい)(三十ノ四十オ)がらをはた 00039480L12くとて、がんくびがぬけて、/灰(はい)ふきのなかへおちた。コレ、 00039490L13はいふきのなかへ、かりくびがおちた 00039500¥N41¥J 00039510¥X/関羽(くハんう) 00039520L16/関羽(くハんう)/死(しん)で、ぢごくへ/行(ゆき)、ゑんま/王城(わうじやう)をせめおとし、ミつか 00039530L17ら、ゑんま/王(わう)ニ/成(なつ)たゆへ、/鬼(おに)ども、/地(ぢ)ごく/中(ぢう)をふれて/廻(まハ)る。 00039540L18とう人(三十ノ四十ウ)様のおゑんま+ 00039550¥N42¥J 00039560¥X/角力取(すまふとり) 00039570M1すもふとりの所へ、/盗人(ぬすひと)がはいつた。Sハテナ、そふして 00039580M2どふした△Sイヤはや、角力取ハ大/力(りき)じや。盗人がはいつ 00039590M3たと見ると、むつくとおき、/庭(には)へ出、大キな石の/手水(てうづ)ばち 00039600M4を、小わきにかいこミ、/餅(もち)を引のばすごとく(四十一オ)引 00039610M5のばし、引ちぎつてハなげ、又引ちぎつてハなげ 00039620¥N43¥J 00039630¥X/娵(よめ)の/乳(ちゝ) 00039640M8娵が有た。しごく/器用(きよう)で/能(よく)はたらき、おやぢの/月代(さかやき)をそつ 00039650M9てやる。/髭(ひげ)をそるとき、うつくしいはだへの/乳(ちゝ)が、おやぢ 00039660M10の口びるへさハつた。Sおやぢ、/我(われ)を/忘(わすれ)て(四十一ウ)なめ 00039670M11る所を、むすこが見て大に腹を立。S扨&親人にハ有まし 00039680M12き被成かた。女房の/乳(ちゝ)をなめてのたハふれ。御所/存(ぞん)の/程(ほと)が 00039690M13/承(うけたまわり)りたいときめ付れバ、S親父ひらき/直(なを)つて、おのれ 00039700M14ハおれが女房のちゝを、五年くらつたでハなひか 00039710¥N44¥J 00039720¥X/天窓(あたま)の/池(いけ)(四十二オ) 00039730M17神田にお玉が池といふ有。/誠(まこと)ハあたまのいけなり。むかし 00039740M18此/辺(へん)ニ/住(すミ)ける人のおやぢのあたまに池ができて、ふなや金 00039750M19/魚(ぎよ)が大ぶん/住(すん)で、/珍(めづら)しいことゆへ、/遠近(ゑんきん)£くんじゆをなし 00039760M20て見に来る。むすこ、/外聞(ぐハいぶん)かた+きのどくなれば、/見物(けんぶつ) 00039770¥P120 00039780L1の/来(こ)ぬやうにしたいと思ふ折ふし、(四十二ウ)S私ハ山の 00039790L2手から承及んで、親父様のあたまの池を/拝見(はいけん)に参りました 00039800L3Sムスコ/遠方(ゑんほう)からせつかくお出なされましたが、親父義、 00039810L4/世上(せじやう)の取さたをきのどくに思ハれまして、やぜんあたまの 00039820L5池へ/身(ミ)をなげられました 00039830¥N45¥J 00039840¥X/麩(ふ)うり(四十三オ) 00039850L8寺の地中を、ふハア+とよんで/通(とう)る。おりふし/僧正(そうぜう)のミ 00039860L9ヽに入、アレヲよべ。Sアイ△Sわれハ何屋じや△Sふうり 00039870L10私ハお寺様へお出入いたします麩うりで御ざります△S僧 00039880L11正何、麩うりじや。寺内をよぶには、まぎらハしい。/以来(いらい) 00039890L12よびやうをかへろ△Sふうりハイ。とてもの事に、よびや 00039900L13うを(四十三ウ)仰付られて下さりませ△S僧正かふよべ。 00039910L14ふウふ、おかしいぞ 00039920¥N46¥J 00039930¥X/竹田(たけた) 00039940L17大坂へ/行(ゆく)ついでに竹田が所へよつた。イヤハヤ、きめうな 00039950L18/細工人(さいくにん)じや。/先(まづ)/座(ざ)につくと、小/坊主(ほうず)が、たばこ/盆(ぼん)を持て出 00039960L19て、ひつくり返り、/龍朴流(りうほくりう)の/投(なげ)入に(四十四オ)なつた。/夫(それ) 00039970L20から、ふりそでの/■(こしもと)が/薄茶(うすちや)を持て出て、ひつくり/返(かへ)り、/釣= 00039980M1花活(つり=はないけ)になりました。しバらくして/女房(によほう)が出て、/挨拶(あいさつ)をし 00039990M2て、ひつくり/返(かへ)りました。Sハテナ、それハ何に成ました△ 00040000M3S/茶碓(ちやうす)にサ 00040010¥N47¥J 00040020¥X竹田の/肴(さかな)(四十四ウ) 00040030M6わしも此まへ、竹田が内へ寄たれバ、是ハ久しぶりと、先 00040040M7/盃(さかづき)を持たかぶろの/人形(きやう)、つる+と出、/亭主(ていしゆ)、何がなお 00040050M8/肴(さかな)と存ずれど、折あしく、けふハ家内も/留守(るす)なれば、お/吸(すい) 00040060M9ものさへ出来すといゝさま、かの人形をあをのけニして、 00040070M10まへをまくりしに、あかゞひ。イヤ、(四十五オ)けふハ/精進(せうじん) 00040080M11じや。Sてい主、人形をうつふけニして、それ、きん/山寺(ざんし)ミ 00040090M12そ 00040100¥N48¥J 00040110¥X/俳諧(はいかひ) 00040120M15はいかい/師(し)の/新宅(しんたく)の/祝(いわ)ひニ、/客(きやく)をよんで/歌仙(かせん)をはじめた。 00040130M16先客が/発句(ほつく)をしたれば、/亭主(ていしゆ)がわきを/付(つけ)たゆへ、/相伴(しやうばん)の人 00040140M17が/第(だい)三をした。(四十五ウ)S春の日やのきばに/付(つい)て/廻(まハ)るらん。 00040150M18/執筆(しゆひつ)、/宗匠(そうせう)に/聞(きい)たれば、S宗匠是はきつひ/禁句(きんく)+。けさ 00040160M19つしやれ。けしたら、おれが付よふ 00040170¥P121 00040180¥N49¥J 00040190¥X/釣(つり) 00040200L3船で釣をして居た。何かかゝつたやうなから、引上たれば、 00040210L4けつかうな/印篭(いんらう)、/巾着(きんちやく)、(四十六オ)さんごじゆのおじめ斗も、 00040220L5五両がものハあらふと悦び、又ゑさをさしておろしたれバ、 00040230L6又かゝつたやうなから、ぐつと引上、コウハラナ、こんど 00040240L7ハ鯛 00040250¥N50¥J 00040260¥X/鰹売(かつをうり) 00040270L10さかな売が、かつを一ツほんわすれていつた。となりの/亭= 00040280L11主(てい=しゆ)、どふしたものて有ふ。(四十六ウ)S@となりの|ていしゆ@よりあふて 00040290L12くハふ△Sそして又、ひよつと/銭取(ぜにとり)ニ来たら、たれがやる 00040300L13ぞ△S@となりの|ていしゆ@そんなら/晩(ばん)までおいたがよかろ△Sそれで 00040310L14ハ、あついじぶんじやから、わるくならふと/論(ろん)して/居(ゐ)る所、 00040320L15S@むかふの|ていしゆ@その/鰹(かつを)、こつちへおこさつしやい△S二人どふ 00040330L16さつしやるぞ△S@むかふの|ていしゆ@/塩(しほ)をして/大(をゝ)屋へ/預(あづ)ける(四十七オ) 00040340¥N51¥J 00040350¥X/袖留(そでとめ) 00040360L19ばかな/娘(むすめ)が有た。もはやふり/袖(そで)もにやはぬと、袖を/留(とめ)、/母(はゝ) 00040370L20おやが、/近所(きんしよ)へ見せてこいといわるゝゆへ、となりへ/行(ゆき)、 00040380M1おば様ン。そでを/留(とめ)やしたと、/右(ミぎ)の袖を出して見せる。 00040390M2S@となりの|女ほう@これハよふお/似合(にやい)なさつた。おめでたふござり 00040400M3ますと、/挨(あい)さつすれバ、S娘(四十七ウ)アイサ、したてや 00040410M4で、ぬわせやんした 00040420¥N52¥J 00040430¥X/虎(とら) 00040440M7/唐(から)から/虎(とら)がわたるゆへ、/道(ミち)すじへちそうニ竹をうへた。/其= 00040450M8中(その=なか)を/通(とふ)しけるに、/虎(とら)、なまけて一ツかう/道(ミち)/ばか((ママ))ゞ/行(ゆか)ぬゆへ、 00040460M9Sとらつかい/虎(とら)ハ千里いて千里もどるといふのに、なぜ此や 00040470M10うに、なまけさつしやるぞ△S虎(四十八オ)アヽ/竹(たけ)に/酔(よつ)た 00040480¥N53¥J 00040490¥X/小僧(こそう)/白酒(しろさけ) 00040500M13ヤどこへ。S貴様の内へ、ひな/祭(まつ)りの白酒のミに△Sてい 00040510M14しゆ、サア+/爰(こゝ)へと、ひなだなの/徳利(とくり)ふつてミれば、モ 00040520M15ウ/皆(ミな)にしたか。コリヤ/小僧(こそう)よ。山川屋へいて、白酒/五合(ごゝう)/買(かつ) 00040530M16てこい。S小僧、アイと出てゐたが、/扨(さて)もどらぬハ。ヤイ 00040540M17(四十八ウ)(無丁オ挿絵)(無丁ウ挿絵)コリヤ何してをるぞ。扨 00040550M18此白酒が新/店(ミせ)ゆへに、とんだ/能(よい)酒で、そして/直(ね)が/安(やす)い。と 00040560M19ほふもなく、はかりが/多(おゝ)いと、/徳利(とくり)かたぶけ、コリヤきつ 00040570M20ふすくない。ヤイ小僧よ。/道(どう)りてひまが入た。おのれ、/道(ミち) 00040580¥P122 00040590¥G(無丁オ・ウ) 00040600M1で/呑(のん)だな。S小僧、おつ声で、のんだがどふする 00040610¥N54¥J 00040620¥X/坊(ぼん)様 00040630M4ナント/道(どう)てつおしやう。/一別(いちべつ)/已来(いらい)。相かハらず(四十九オ) 00040640M5/南州(なんしう|しながわ)お出てあらふ。Sイヤ、/貴(き)様一座の/後(のち)ハ、とんと/打(うち)た 00040650M6へ、思ふ人にはとふざかりの金/言(げん)、今思ひしつた。しかし 00040660M7きつい/変(へん)だの。/頃日(このごろ)ハ品川も、/俗(ぞく)の/方(ほう)がけくで/多(おゝ)いげな。 00040670M8/坊主客(ぼうずきやく)ハはだし+ 00040680¥N55¥J 00040690¥Xうなぎ 00040700M11/心(こゝろ)やすいだんぽう、お/寺(てら)様お見まい申ます。(四十九ウ)Sお 00040710M12しやうこれハよふ/社(こそ)。/今日(けふ)ハ/納豆(なつとう)くばりで、なつしよも男 00040720M13も/留守(るす)でさびしかつた所へ、よふぞお出。一ツしゆこしら 00040730M14へ、しやうじん酒一つしんじよ。此かまの下たいて下され。 00040740M15おれハうらのはたけで/菜(な)を取てこよふ。S/心得(こゝろへ)ましたと、 00040750M16火をたきながら、へついのわきニ有おけのふた取てミれば、 00040760M17たいそれたうなき。(五十オ)Sおしやうハ/帰(かへ)るうら口から、 00040770M18ちらと見付て、なむ/三(さん)。それハ山のいものはづじやが△ 00040780M19@うなぎ△△△|山のいもニ△|へんずる者也@ 00040790¥P123 00040800¥N56¥J 00040810¥X/飛脚(ひきやく) 00040820L3辰の二月、江戸から/大火事(おゝくわし)の飛脚。また/西国(さいこく)すじから大水 00040830L4のうつたへ。飛脚と+、はこね山ではたと/行合(ゆきやい)、/両方(りやうほう)と 00040840L5も、ヂウ 00040850¥N57¥J 00040860¥X/上下借(かミしもかり)(五十ウ) 00040870L8/仕(し)事/師(し)の/近所(きんしよ)にとふらひ。コリヤおへなへ事た。せなや、 00040880L9お/主(のし)が所に/上下(かミしも)が/有(あら)ハ、かしてくれや。ヲヽ上下か。夏上 00040890L10下か冬上下か。Sあて事もなへ。わたほうしじや有まいし 00040900¥N58¥J 00040910¥X/長羽折(なかはをり) 00040920L13今世間でハ、かふもり羽折のみじかひのがはやる。たれも 00040930L14+同じみぢか羽折ハ、人まね(五十一オ)するやうでこけ 00040940L15な。おれハずつとのいて、長ばをり、ひざから下へ/三里(さんり)と 00040950L16黒ぶしの/国界(くにさかい)まで引ずり、おやぢの/留主(るす)を見合せて、一も 00040960L17んじにかけ出す。横丁のまがり/途(と)で、おやぢにはたと/行合(ゆきやい)、 00040970L18むすこ、ちやつと両そで合せて、羽折をかくせバ、Sヲヤ 00040980L19ヂやい、帯をしてあるきをれ(五十一ウ) 00040990¥N59¥J 00041000¥X/仙人(せんにん)のとりちがへ 00041010M3下女、ものほしへ出、ゆぐをひろげゐる所へ、何やらぐハ 00041020M4た+と/空(そら)から落たれば、下女、キヤツといふて二かい/飛(とび) 00041030M5おりた。S下男おどろき、おさんどの。どふさしやつた。 00041040M6S下女わしハどふもせぬが、ものほしで、わしが白いはぎ 00041050M7を/出(た)してゐたれば、天からたれ(五十二オ)やら、/通(つう)をうし 00041060M8なふて/落(おち)た△S下男そんなら、たしかに仙人だろと、かけ 00041070M9/上(あがつ)て見た所が、大のあら男ゆへ、こハ※ながら、はしご 00041080M10の口から、ヤイ、おのれハ/何(なん)といふ仙人しや。Sイヤ、お 00041090M11れハ此やねで昼ねして、ころけて落たやねどろぼ 00041100¥N60¥J 00041110¥X/昼(ひる)がんとう(五十二ウ) 00041120M14柳原の/床(とこ)ミせ、いろ+かざり/立(たて)ても、朝の内ハ物買もす 00041130M15くなし。/店(ミせ)あけ/置(おい)て、ちよつと出て/居(い)た跡の/間(ま)、/帰(かへ)つて見 00041140M16れバ、五つこしの大小が一トこしたらぬ。コリヤどふじや 00041150M17といふに、となり/店(ミせ)の男か、アヽそれハ、たつたそこへ/立(たち) 00041160M18よつて、丸ごして/来(き)たやつが、大小さして帰つたが、アレ 00041170M19+、あの/小紋(こもん)の綿入を(五十三オ)きて行やつじや。Sヲ 00041180M20ツトいふて/追(おつ)かけ、しバらくして、ぶらり+と/帰(かへ)つて/来(き) 00041190¥P124 00041200L1た。Sドウヂヤ+、取かへしてござつたかSイヽヤ△ 00041210L2Sソレハどふじや△Sなる/程(ほど)よく見るに、おれが/店(ミせ)の大小 00041220L3ニちがひハないが、/相手(あいて)がさむらひじやゆへ、きミがわる 00041230L4さに 00041240¥N61¥J 00041250¥X/雪(ゆき)の/夜(よ)の/大屋(おゝや)(五十三ウ) 00041260L7うら店のひとりもの、毎ばん出あるき。八ツ九ツに/路次(ろし)の 00041270L8戸をたび+たゝくもきのどくさに、路次のわきの/塀(へい)をと 00041280L9びこへて、はいるもたびかさなりて、大屋よび付て、ハレ 00041290L10ヤレ、/貴(き)様ハやくたいもなひ。ひとり内ニばかりもゐられ 00041300L11ぬからのおのづと夜あるき、尤な事じや。/昼(ひる)/精出(せいた)す(五十四 00041310L12オ)かハりに、夜ルなりとのたのしミハよいが、ゑんりよ 00041320L13して/塀(へい)を/飛(とひ)越ハ、大屋ありかためいわく。いく度でもたゝ 00041330L14かつしやひ。大屋のやくしや。/大事(たいし)なひ。/必(かならす)ゑんりよせま 00041340L15いぞや+と、すいをいふハ、/得手(ゑて)にほかけて、かハらず 00041350L16毎ばんほつき/廻(まハ)り、くるよも+九ツ/過(すぎ)ニ、路しをたゝけ 00041360L17は、(五十四ウ)あけてやる。こよひの大雪、よふ+あた 00041370L18ゝまるね入ばな、路しの戸とん++。S大屋ヱヽこん 00041380L19/夜(や)ハとんだり 00041390¥N62¥J 00041400¥X/医(いしや)の年ン数 00041410M3扨こゝの/湯(ゆ)に/入付(いりつけ)てハ、とんと/外(ほか)の湯へハ/入(いら)れませぬから、 00041420M4/心(こゝろ)安く毎朝せんとうで出合ふ。/貴公(きかう)様も御近ン所さふな。 00041430M5成ほど、(五十五オ)私ハ新ン道ニおります何がしと申いしや。 00041440M6私もいしや。扨いしやと申ものハと、/互(たかひ)に/咄(はなし)がつのり、ナ 00041450M7ント/貴老(きらう)ハ凡是まで、人をいくたり/程(ほど)おころしなされた。 00041460M8私ハ大かた七八十もころしたでござらふ。シテ/貴公(きかう)ハ何ン 00041470M9人ほど。/拙者(せつしや)ハ三十人ばかりも。ハテ、それハすくないが、 00041480M10いしやにおなり(五十五ウ)なされてから/何年程(なんねんほど)。イヤ、/去= 00041490M11年(きよ=ねん)から 00041500¥N63¥J 00041510¥X/鯛(たい)のやきもの 00041520M14お/朝(あさ)ごぜんハ鯛でなくてハすまぬ。/何(なに)ほどのしけでも、一 00041530M15まいハ/有(あり)そふなもの。Sやう+一/枚(まい)できました。モウ/千= 00041540M16両(せん=りやう)出しても/鯛(たい)ハござりませぬ△Sマア+/御膳(ごぜん)上ろ△S/殿(との) 00041550M17様、きげん(五十六オ)よく/召(めし)上られ、やきもの、かハりも 00041560M18て。S御きんじゆ、なむ三と立かねて/居(い)る内、/殿(との)様、あち 00041570M19らむかせられた内、S御きんじゆ、チヤツトやき物を引く 00041580M20りかへして/置(をい)た。S殿様、又やき物のかハりもてとの/御意(ぎよい)。 00041590¥P125 00041600L1S御きんじゆ、とむねついて、ぐづ※すれば、S殿様 00041610L2又あちらむこか(五十六ウ) 00041620¥N64¥J 00041630¥Xまけおしミ 00041640L5/我(が)のつゝぱり/過(すぎ)たハ/貴(き)様のきつい大きづじやと、いけん受 00041650L6ても、サアわしもそれハがつてんじやと、やつぱりきかぬ 00041660L7/気(き)。おやぢもそれをうませたおやじなれば、/年(とし)ハよつても 00041670L8まだ+おのれらにハといふから、又しても/親子(おやこ)いさかひ。 00041680L9けふ(五十七オ)のハ/取分(とりわけ)、むすこ殿がわるかつた。/親(おや)ニま 00041690L10けて/恥(はぢ)にハならぬ。/誤(あやまつ)たといわしやれと、となりのてい/主(しゆ) 00041700L11があいさつ。さすがのむすこも、かなわぬと思ふたゆへ、 00041710L12おやぢ/殿(どの)、アヤじや。Sソリヤなんの事じやぞ△Sハテ、 00041720L13マレバ、よいでハなひか 00041730¥N65¥J 00041740¥X上るり一ト口(五十七ウ) 00041750L16ハテ、まだ/九(こゝの)ツにハなるまいとおもふたニ、はるの夜のミ 00041760L17じかさと、くらかりて、ひとりぼつ※。S/犬(いぬ)が/足(あし)もとか 00041770L18ら、ヒヨウとほへつく。/飛上(とびあが)ツて、アレヱ。S/後(うし)ロに人。 00041780L19上るりSとばかりに 00041790¥N66¥J 00041800¥Xかけ取 00041810M3/打(うつ)てもミしやいでも、是ほどハなくて(五十八オ)ならぬが、 00041820M4壱ぶもあてがなひ。アヽ、ある所にはたくさんあらふにと、 00041830M5久しい物せつきごとのよまひごと。何でも米屋に/逢(あふ)てハな 00041840M6らぬと、/亭主(ていしゆ)ぜひなく二かいへ/篭城(らうじやう)。Sハイ、米屋でござ 00041850M7い△S女房アイ、まだおやしきから/帰(かへ)りませぬ△S今じぶ 00041860M8ん迄お帰りなされぬ事ハある(五十八ウ)まいが△S女房な 00041870M9んの/虚(うそ)を申ませふ△S米屋、さいふを下ニをき、/上(うへ)へあが 00041880M10り、ひつそりこへニて、てい/主(しゆ)ハるウすウかと、せなかを 00041890M11たゝく。S女房、二かいへゆびざしすれば、S米屋そんな 00041900M12らおいとま 00041910¥N67¥J 00041920¥X手のくぼ 00041930M15かゝや+。ひだるくなつてたまらぬ(五十九オ)ゆへ、/急(きう)ニ 00041940M16/帰(かへ)つた。/早(はや)く+といへば、女房、きのどくそふに、まだ 00041950M17おめしがと/云(いふ)。イヤ、/其(その)ひたるひのしやなひ。/爰(こゝ)へ/来(き)やと 00041960M18二かいへ引すり上る。/昼中(ひるなか)にかへといふ所へ人か/来(き)た。女 00041970M19房ぜひなくおりてあいさつ。/亭主(ていしゆ)、/近(ちか)がつへゆへ手のくぼ 00041980M20(五十九ウ)(無丁オ挿絵)(無丁ウ挿絵) 00041990¥P126 00042000¥G(無丁オ・ウ) 00042010¥N68¥J 00042020¥X/栗(くり) 00042030M3太郎くハじや/有(ある)かやい。Sハア御ンまへに、と/平(へい)ふくすれ 00042040M4ば、Sトノサマ/汝(なんぢ)、いとまをかふて国へゐて/来(き)たが、国ハ 00042050M5どこしや△S/丹波(たんば)でござります△Sトノサマヤア+、何丹 00042060M6波とや。そんなら、をにを見たで有ふ△Sイヤ、/只今(たゞいま)ハ、 00042070M7をにも/故人(こじん)になりまして、その(六十オ)をんねんで、/大(をゝき)な 00042080M8いが/栗(くり)ができます△Sトノサマどのくらい有△S大かた此く 00042090M9らい△Sトノサマうそをいふやつ。それでハすりばち/程(ほど)有 00042100M10Sア、いか様。此/位(くらい)△Sトノいや+、それでもまだうそ 00042110M11じや△Sア、いか様、此くらい△Sイヤ+、それでも+ 00042120M12++。/左様(さやう)/御意(ぎよい)あそばしてハ、いがて手を(六十ウ)つ 00042130M13きます 00042140¥N69¥J 00042150¥X/芝居(しばい) 00042160M16第二ばんめハ/市川(いちかわ)/団(だん)十郎。ナツカナカ+++/新五左(しんござ) 00042170M17様、木戸口へ立より、コリヤ+若いもの。/狂言(きやうげん)ハまだは 00042180M18じまつたかと/尋(たづね)られ、札うり、なぶると思ひ、わざと、イ 00042190M19ヤ、まだ初りましたと云。(六十一オ)/侍(さふらひ)、はらを立、をの 00042200M20れ、/身(ミ)をてうらう仕る/段(だん)、ごんご同断、はなはだふらち千 00042210¥P127 00042220L1万と云つのるS所へ、原/郷(こう)右/衛(へ)門らしき侍わけ入、/先刻(せんこく)£ 00042230L2しゞうのこらず/子細(しさい)承る所。御たかひニ一/理(り)あれば、いづ 00042240L3れをいづれとも得きゝわけた 00042250¥N70¥J 00042260¥X恋やミ(六十一ウ) 00042270L6おほこ+ハむかし+のぢい様ばゝ様のつぼミのじぶん、 00042280L7十七八ハ/花(はな)ざくろならぬきのどく。ナンヨヱの/哥(うた)ハ/神代(じんだい)の 00042290L8/事(こと)かもしらず。ひとり娘のぶら+やまひ。お/定(さたま)りの、う 00042300L9ばや、うらどふて見やつたか。なる/程(ほど)、さま+すかして 00042310L10見ましたれば、/裏丁(うらてう)の/安(あん)ざん様の/息(むす)(六十二オ)/子(こ)/殿(どの)なんざ 00042320L11ん様お薬かもらひ/度(たい)とのお/望(のそミ)。S二おやマア+、何でも 00042330L12なんざん様、よびニやりや△Sうばさいぜん人を上ました 00042340L13Sなんざんお見/廻(ま)ひ。うばが/案内(あんない)、すぐにおくニ入り、い 00042350L14しや、つねニ此おむすニ/首(くび)だけ。ぶら+/病(やま)ひでおれニ見 00042360L15せたいと娘の/望(のぞミ)。/胸(むね)をときつかせて/脉(みやく)をミる。(六十二ウ) 00042370L16S娘うばや。ちつとの間、あつちへ行きや△Sうば、扨こ 00042380L17そと/次(つぎ)の間で/立(たち)ぎゝすれば、S娘わたしが/病気(びやうき)を/直(なを)すのハ 00042390L18お前様より/外(ほか)ないと、ほにあらハれて見ゆるニ、いしや殿 00042400L19も/気(き)を/取(とり)のぼし、何が扨、なんなりとも/思召(おぼしめす)事があらばと 00042410L20よりそへば、S娘女の口から、おはもじながら、(六十三オ) 00042420M1此ふミをおとゞけなされて、といふた 00042430¥N71¥J 00042440¥X/了簡違(りやうけんちがへ) 00042450M4さしむかひの/女夫(めふと)、ていしゆ/大病(たいびやう)。/日頃(ひころ)/心(こゝろ)/安(やすい)い/山田(やまだ)/巧案(こうあん) 00042460M5/老(らう)。/万(まん)びやう/回春湯衆方(くハいしゆんとうしゆほう)きくめい/湯(とう)に、/五分(ごふん)つゝの/人参(にんじん)。 00042470M6手もあたまもくだいて見たが、どふもとゝかぬと、女房を 00042480M7/小(こ)かげへよんでのはなし。Sてい主、女房を(六十三ウ)よ 00042490M8び付、フサ+しい。ゐかにおらが/煩(わつら)ふて居れバとて、ア 00042500M9ノいしやのけづりまハしと、かたすミで/囁(さゝや)き上る。ハツヽ 00042510M10ケメと、/死(しに)かゝつて居てのやきもち。S女房、/涙(なミだ)にむせび、 00042520M11そんな/段(だん)てハござらぬ。お/前(まへ)の/病気(びようき)も、とてもほんぶくハ 00042530M12有まいとのお/咄(はな)しと、/半分(はんぶん)きゝ、Sてい主なき出し、そふ 00042540M13いふ/出入(でいり)ならバ、(六十四オ)おらに/直(じき)に立引してくれ上れば 00042550M14/能(よい) 00042560¥N72¥J 00042570¥X/将棊(しやうぎ) 00042580M17/若衆(わかいしゆ)よりあつまり/将棊(しやうぎ)。/岡目(おかめ)屋の八兵衛、大じよごんずき 00042590M18で、アヽそこハ/桂馬(けいま)の所じやニ。Sハテ扨、じよごんしや 00042600M19るなといふニ、わるいくせじやといふても+、くせじや 00042610M20から、いわねバ/気(き)がすまぬそふで、(六十四ウ)とかく/差出(さしで) 00042620¥P128 00042630L1る。/大事(だいじ)のしやうぶニじやまになるゆへ、壱かく出して、 00042640L2コレ八兵。貴様が居ると大分じやまニなる。壱/分(ぶん)やる/程(ほど)に、 00042650L3どこへなりとあそびに/行(ゆき)や。S八兵/悦(よろこ)び、壱ぶ取てかけ出 00042660L4した/道(ミち)で、友だちにあふた。S八兵どこへゆく△S友だち 00042670L5しやうぎさしに/行(ゆく)△S八兵そんならことづけしよふ。(六十 00042680L6五オ)ろきやうニそふ云てくれや。/角(かく)さきの/歩(ぶ)を/先(さき)へつく 00042690L7事わすれなと 00042700¥N73¥J 00042710¥X/念(ねん)ぶつかう 00042720L10此ごろ/風(かぜ)がはやる。うら/店(だな)五十づゝ出し/合(やい)、百/万(まん)べんをく 00042730L11ろ。Sよかろ。どこでせふ。大屋様がよかろか△Sイヤ 00042740L12+、子共衆の有所ハわるい。一ツかう/専(せん)右衛門が内でせ 00042750L13うと、(六十五ウ)より合たが、三ゑもんがマダこぬ。Sイヤ、 00042760L14こぬか幸ひじや。あの男が来ると、ひとりして酒をのむか 00042770L15ら、戸を立て置て、こぬさきに申て仕まハふ△Sよかろ。 00042780L16ナムアミダンブツ。百万へん中やすミの時分、三ゑもん、 00042790L17戸をたゝく。S大ぜい何、今じぶんニ来て、念ぶつハ申さ 00042800L18すに、酒を(六十六オ)申さふと思ふて来たか。戸を/明(あけ)るな 00042810L19S三右衛門、はらを立、何、酒+と大そうらしい。内で 00042820L20十六文かの申せば、/金玉(きんたま)迄申ス 00042830¥N74¥J 00042840¥X上るり 00042850M3/新(しん)上るり/立会(たてぐわい)、/黄色(きいろ)/紫色(むらさき)の/染分(そめわけ)こへでかたり出した。きゝ 00042860M4/人(て)、さん※ニどくをいひ出しで、/半畳(はんじやう)ぶち/込(こん)だゆへ、か 00042870M5たりて(六十六ウ)ふるひ出して、/猶(なを)+ごんめやうな/声(こへ)が 00042880M6出る。是ハならぬ。/誰(たれ)そかわつてかたれといふに、おれが 00042890M7出よふと、/床(ゆか)へ飛こんた所が、此人、大あく/音(をん)のどふまん 00042900M8ごへ。/聞人(きゝて)いよ+わらひ出し、あくたいのあるちやう。 00042910M9頭取あたまをかき、ヱヽあの人ニかたらせてハ猶わるひ。 00042920M10/下手(へた)の/横(よこ)ずき。こまつた物と(六十七オ)がくやてハ気をも 00042930M11むニ、だん+あくたいかやんで、おとなしく聞て/居(ゐ)る。 00042940M12Sかたりて、/爰(こゝ)で/鼻(はな)を高くして、おれが/声(こへ)でハと、みそ上 00042950M13ながら、床から出て見たれバ、聞/人(て)ハひとりもなくなつた 00042960¥N75¥J 00042970¥X/夜食(やしよく) 00042980M16/夕部(ゆふべ)/梅雪老(はいせつらう)の所て、夜食といふ物を(六十七ウ)ふるまハれ 00042990M17たが、/成程(なるほど)/茶心(ちやこゝろ)も有人じやから、イヤハヤ、とふもいへぬ 00043000M18/仕方(しかた)じや。/晩(ばん)にやしよくをして、/家内(かない)のものにくハせふ。 00043010M19それハ+、きつふよいものじや。コリヤ三介。ばんニハ 00043020M20やしよくをせい。S三介ハイ、お/夜食(やしよく)ニハ何をいたしませ 00043030¥P129 00043040L1ふ△Sてい主ハテ扨、やしよくの仕かたを今おしゑてやる 00043050L2に、去り(六十八オ)とハ/行過(いきすぎ)たと、しかりのめして、だん 00043060L3+仕かたをおしへる所が、なめしニでんがくなり。三介、 00043070L4おかしけれとも/笑(わら)ハれもせず。/程(ほど)なく、S三介ハイ、お/夜= 00043080L5食(や=しよく)が/出来(でき)ましてござります△Sてい主はやく出せ△S三介ハ 00043090L6イ@さむいばんゆへ、でんがくをバめ|しの下ニ入、其上ニめしをもり、@ぜんをすへた。Sてい主ヤイ 00043100L7三介。しよくばかりで、/矢(や)がないが(六十八ウ) 00043110¥N76¥J 00043120¥Xおふくろ 00043130L10元ンぶくした当座ニいひはぐつて、いまたニ母人とも/云(いひ)に 00043140L11くさに、ヤツパリかゝ様ン+と、ひげ口ていふも聞にく 00043150L12いと、/友(とも)だちに又してもわらハれてゐる所を、お/袋(ふくろ)が通た。 00043160L13S友だち、わさと、あれハ/誰(たれ)しやと/問(とわ)れて、いひやうにこ 00043170L14まり、アレハおらが(六十九オ)/女(によう)ほのしうとめじや 00043180¥N77¥J 00043190¥X/金魚(きんぎよ) 00043200L17つりニ出たに、二尺はかりの金魚を/釣(つり)上た。是ハめづらし 00043210L18いと、大事ニもつて帰り、出して見たれば、/鰒(ふぐ)サ。S今日 00043220L19ハ/龍宮(りうぐう)のゑびすかうで、アヽ、大きに下された 00043230¥N78¥J 00043240¥X/聾(つんぼ)(六十九ウ) 00043250M3大屋か門ト口から、アヽわるい日よりしやなふといふを見 00043260M4て、Sアイ、よいしめりてござりますといふニ、大屋わら 00043270M5ひながらいんだ。おやぢもつんぼて、おくからちらと見て、 00043280M6今のハ大屋様か。Sむすこイヤ、あれハ大屋殿じや△Sおや 00043290M7ぢムウ、おれハ又、大屋殿かと思ふた(七十オ) 00043300¥N79¥J 00043310¥Xこんのたび 00043320M10山ン王の/祭(まつり)しやとて、/若衆(わかいしゆ)げんきよく、/黒(くろ)いからたに/浅(あさ)ぎ 00043330M11ちりめんのじゆはん、用もないに、いたり来たり+。コ 00043340M12レハしたり。かんじんのたひをわすれたと、銭壱〆、たび 00043350M13やのミせへなげ出し、モセヱ、こんのたひ一そく、くんな 00043360M14んし。Sたびや(七十ウ)あい。いくもんのあけませふ。何さ。 00043370M15こしへはさむのさ 00043380¥N80¥J 00043390¥X/願(ぐハん)がけ 00043400M18はやらぬ/野郎(やらふ)と、はやらぬ/女郎(じよろう)。何とぞはやります/様(よう)にと、 00043410M19/ぐ((ママ))わんおんへ/願(くハん)かけ、七日参りしける。女郎ハ三日めの/頃(ころ) 00043420M20£はやり出し、/全盛(ぜんせい)の/太夫(たゆう)ニ(七十ノ下オ)なつたが、/野(や)郎 00043430¥P130 00043440L1ハ一ツかうはやらぬゆへに、七日まんずる日、/観音(くハんおん)へ御う 00043450L2らミを申上けるは、女郎の/願(ねが)ひハおかなへ被成、私が/願(ねがひ)ハ 00043460L3ナゼお/叶(かな)へ被成て下さらぬと、/涙(なミた)をながして申上れバ、観 00043470L4音、/御戸帳(ミとちやう)をひらかせ給ひ、/其方(そのほう)が/恨(うらミ)、尤なれど、ハテ、 00043480L5/背(せ)にはらハかへられぬ(七十ノ下ウ) 00043490¥N81¥J 00043500¥Xげび大/尽(じん) 00043510L8わがたばこ入ハたもとにかくして、ハア忘れて来た。一ぷ 00043520L9くと、女郎のたは粉を取て/呑(のミ)、コレハしだしか。/扨(さて)も/思(おも)ひ 00043530L10付た。コリヤ+、おれがもらひ山のほとゝぎすと、もつ 00043540L11て帰る。女郎もがてんして、たばこ入を/奉書(ほうしよ)て/折(おつ)てもつて 00043550L12出たれば、/彼(か)の客/取(とつ)て(七十一オ)見て、/是(これハ)紙。あたりうそ 00043560L13+ながめて、なんなりとせしめたい/顔付(かをつき)。だん+見た。 00043570L14テモ、その/其(その(ママ))くしハ、よいくしじやの。S女郎アイ、これ 00043580L15も/追付(おつつけ)、/紙(かミ)にいたしんす 00043590¥N82¥J 00043600¥X/葉多(はた)ばこ 00043610L18葉多ばこ+とうつて/来(き)た。コレ、たば/粉(こ)見せろ。Sサ、 00043620L19ころうじませ△Sいくらだ△S壱/斤(きん)(七十一ウ)六十四文△ 00043630L20Sソレハとんだ事だ。なぜその様ニやすいぞ△Sハイ、こ 00043640M1れハ二月の/火事(くわじ)ニ/蔵(くら)へ/火(ひ)が入まして、其時のやけのこりゆ 00043650M2へ、のけものニいたしての安うり△Sそんな火付のわるい 00043660M3のハ、いやだ+ 00043670¥N83¥J 00043680¥X/雪隠(せつちん) 00043690M6めぐろ/参(まい)りの/道(ミち)で、しきりに大べん(七十二オ)きざして、 00043700M7そこらのせつちんへはいつた。二けんならびの/間(あい)のかべが 00043710M8やぶれて有ル。となりをひよつと見れバ、ヤ、五兵衛か。 00043720M9コレハよい所で/逢(あふ)た。めぐろか。Sヲヽ、ヤ、夫レハそふ 00043730M10と、おぬしハ/先(せん)どの所へ、い/た((てカ))ミたか△Sきばりごへにて、 00043740M11ウンニヤ、まだゝ 00043750¥N84¥J 00043760¥X/落咄(おとしはなし)の本(七十二ウ) 00043770M14此本ハなんだ。Sハイ、はなしてござります。ウヽ、山に 00043780M15育花。ソンナラバ山師の子じやな。トウリデ秡がおゝい 00043790¥N85¥J 00043800¥X本屋理を立る 00043810M18モシ旦那。秡々とおつしやりまするが、秡ても理は立ませ 00043820M19ふが。ヲヽサ、理が有から売じやなひか(七十三オ) 00043830¥P131 00043840¥N86¥J 00043850¥X/宗祇(そうぎ) 00043860L3宗祇/法師(ほうし)、/行脚(あんぎや)の/頃(ころ)、さる山/里(ざと)をとふりしに、しきりに/咽(のんど) 00043870L4かハきければ/民家(ミんか)え/立(たち)より、/此家(このいへ)へもの申さんともふされ 00043880L5しに、しやうじをあけて、二八あまりのやん事なき女出た 00043890L6り。S宗祇(七十三ウ)たびの/僧(そう)に候が、たへがたく、のんど 00043900L7かわき候間、御/茶(ちや)一つ/所望(しよもう)也と有しに、女、何のいらへも 00043910L8なく、しやうじを/立付(たてつけ)、あらけなくて内に入ぬ。S宗祇、 00043920L9うそ/腹立(はらたて)て、 00043930L10△△△立つけるしやうじがお茶になるならば 00043940L11△△△△門トの口もや/呑(のむ)べかりけり(七十四オ) 00043950L12といふてかへらんとす。女、内よりかへし、 00043960L13△△△お茶ひとつぬるむあひだをまちかねて 00043970L14△△△△いかにしんゐのわきかへるらん(七十四ウ) 00043980¥Y 00043990L17/此巻(このまき)に集る所の/噺(はなし)、皆/嘘(□そ)也。故、/焔魔(ゑんま)に/舌(した)を抜れんの害を 00044000L18/惶(をそれ)て、実(しつ)事を以て、/跋言(はつげん)となす。尚後編を/待(まつ)て、此類の/咄(はなし) 00044010L19を/揖(あつ)め、諸公子の/慰(なぐさミ)に/備(そなふる)の/む((ママ))而巳 00044020L20△△△安永二年癸巳春△△△△南△蛙△坊△書(終オ) 00044030¥Q 00044040M2△咄肆△虚八百考訂 00044050M4△△△△△△△/宵日待(よひひまち)三/更目(かうめ) 00044060M5△△△△△唐本肆△聞好舎△耳秡△板 00044070M7△安永二年十三月 00044080M10一/口拍子(くちひやうし)/二編(にへん)△@前べんにもれたる|珍敷をとし|はなしを集る@△近日出来 00044090¥P132 00044100¥U噺本大系△第九巻 00044110¥T落咄;/今歳咄(ことしばなし)@口拍子|二△編@〔内題〕 00044120¥G 00044130¥Y 00044140L15安永二年正月序 00044150L16南蛙坊序 00044160L17書苑武子編 00044170L18文苑堂板 00044180L19小本一冊 00044190L20国立国会図書館蔵 00044200¥Y俗談;/今歳花時(ことしはなし) 00044210M3筆に/笠(かさ)きせ、/墨(すミ)の/奴(やつこ)を/供(とも)ニ/連(つれ)、江戸中を/欠歩行(かけある)き、/新(あたらしき)/咄(はなし) 00044220M4を/沢山(たくさん)に/買出(かいだ)し、こよひハはなしの/関(せき)とらむといへば、/行= 00044230M5司(きやう=じ)か出て/口上(こうじやう)、/抑(そも+)/談笑(はなし)の/始(はじま)りハ、/吾朝(わがてう)にても/初(はしま)らず、 00044240M6(一オ)/大唐(もろこし)にても/初(はじま)らず、天ぢくにてもはじまらす、/只今(たゝいま)/ 00044250M7/此処(このところ)にて/始(はしめ)まする/野鉄炮(のてつぽう)が、/談笑(はなし)の初でござります。/一座(いちざ)/ 00044260M8/同音(どうおん)に、ソウダソダ+ 00044270M10△△△巳初春 00044280M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△南△蛙△坊 00044290M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一ウ) 00044300¥P133 00044310¥T1落咄;今歳咄@口拍子|二△編@ 00044320¥Y1東都△△書苑武子△彙編 00044330¥N1¥J 00044340¥Xぢゞとばゞ 00044350L7ぢいハ山へ/柴(しば)かりに、ばゞハ/内(うち)でせんだくも何もせずにゐ 00044360L8たれば、/程(ほど)なくぢゞが帰て来たを見れば、廿四五の/男(おとこ)にな 00044370L9つて/帰(かへつ)た。ばゞ/肝(きも)をつぶし、こなた、どふして其やうに若 00044380L10くならしやつた。(二オ)サレバ有がたいことじや。アレ、 00044390L11あの山こへて此山こへて、あちらの+/滝(たき)の/水(ミづ)を一ト口の 00044400L12むと、此やうに/若(わか)やいだ。こなたもいて/呑(のん)てお/来(き)やれ。ば 00044410L13ゝもよろこんでへこ+して行れたが、とほうもなくひま 00044420L14が入から、ぢいが/跡(あと)からいて見たれバ、ばゞハよくとしく 00044430L15呑だそふて、滝つぼのはたで、おぎやあ+(二ウ) 00044440¥N2¥J 00044450¥X/忍(しの)ぶ/恋(こい) 00044460L18やしき女中に/逢(あふ)やくそくして、たび+/通(かよ)へども、/折(をり)がわ 00044470L19るかつたり、/邪魔(じやま)が入たりして/逢(あわ)れぬゆへに、(三オ)/大師(だいし) 00044480L20え参つて、ミくじを/上(あけ)て見たれば、九十九ばんさ 00044490¥N3¥J 00044500¥Xふくらふ 00044510M3/夜(よる)/目(め)の見へる/薬(くすり)は有まひかと、人に聞たれバ、ソレハふく 00044520M4らふのめを/黒(くろ)やきにして、/目(め)へぬれといふから、その通り 00044530M5したれば、五六町さき迄、/昼(ひる)の(三ウ)やうに見へたから、 00044540M6おもしろさに/夜中(よなか)あるき、/夜(よ)があけると、マツクラ 00044550¥N4¥J 00044560¥Xちりめん 00044570M9/緋(ひ)ぢりめん/寄合(よりあい)、お/主(ぬし)ハ/今度(こんど)/能口(よいくち)が有て/行(ゆく)げな。ヲヽサ。 00044580M10お/姫(ひめ)様/御婚礼(ごこんれい)の/地赤(ぢあか)に/済(すん)だ。/貴様(きさま)も/出世(しゆつせ)だげな。イヤ、出 00044590M11世とハいふものゝ、/主(ぬし)とハ/雲泥(うんでい)(四オ)のちがひで、/大僧正(だいそうぜう) 00044600M12の/緋(ひ)の/衣(ころも)。なまぐさ/気(け)はかゞず、/堅事斗(かたいことばかり)/聞(きい)て、/気(き)のなひ 00044610M13ものだといへば、/末座(はつざ)から一ト/巻(まき)/出(て)て、/各(おの+)ハ/浦山(うらやま)しい。ヲ 00044620M14ラハ/切(きれ)ニ/成(なつ)て/居(い)れば、どんなめに/逢(あハ)ふもしれぬ。/蚊屋(かや)、ど 00044630M15ん/帳(てう)のへり迄ハよいか、六尺切にはうんざりだ(四ウ) 00044640¥N5¥J 00044650¥X/辞世(しせい) 00044660M18/盗人(ぬすひと)をとらへ、ころさんとする時、Sぬす人しばらく待て 00044670M19たべ。/辞世(じせい)の/哥(うた)をよミたひといふ。ソレハきどくな事じや。 00044680M20サアよめといふたれは、 00044690¥P134 00044700L1△△Sかゝるときさこそいのちの/惜(おし)からめ 00044710L2△△△△/兼(かね)てなき/身(ミ)と/思(おも)ひしらずバ(五オ) 00044720L3/皆人(ミなひと)/聞(きい)て、ソレハ/太田(をゝた)/道潅(とうくわん)のうたじやが。Sぬす人アイ、 00044730L4これが一生の/盗(ぬすミ)おさめでござります 00044740¥N6¥J 00044750¥X/呉服屋(こふくや) 00044760L7/大師参(たいしまい)りの/下向(けかう)に、/飴(あめ)で/拵(こし)らへた/松茸(まつたけ)をミやげに/買(かつ)て、本 00044770L8町のごふく屋の前をさげて通れバ、(五ウ)何でござります 00044780L9+といふから、是でござると出して見せたれば、Sごふ 00044790L10く屋子ともよ、/下(した)の/帯(をひ)、/持(もつ)てこいよ 00044800¥N7¥J 00044810¥X/市松(いちまつ) 00044820L13/佐□川(さ(のカ)かわ)市松を/買(かつ)て/遊(あそ)び、/客(きやく)、思ふにハ、扨&/是程(これほど)/高(たか)い/物(もの) 00044830L14はないが、こゝにゐる/内斗(うちばかり)で/別(わか)れて/帰(かへ)れバ、何の(六オ)へ 00044840L15んてつもないものじや。どふぞ/形(かた)見になるものを/持(もつ)て帰り 00044850L16たいと思い、市松が/尻(しり)へ/墨(すミ)を付、/菊座(きくざ)の/所(ところ)を/板行(はんこ)に/押(をし)て内 00044860L17へ帰り、つく※とながめて/居(ゐ)る所を、/女房(にようぼ)が見て、ソレ 00044870L18ハ何ンてござんすへと/問(とふ)。Sてい主是ハ市松サ△S女房ナニ 00044880L19ヤ、/唐(から)松だものを(六ウ) 00044890¥N8¥J 00044900¥X/女郎(ぢよらふ) 00044910M3お/前(まへ)に/無心(むしん)が/有(ある)が、どふも/云(いゝ)にくう/有(あり)んすから、/川崎(かわさき)をん 00044920M4どの/文句(もんく)にしてうたいんせう。S客コレハきまり。サア 00044930M5+△S女郎/袷小袖(あわせこそで)に蝶鳥付て△S客がつてんじや△S女郎 00044940M6もふるの/夜着(よぎ)に、ひぢりめんのうらよ△S客そつちでせい 00044950M7(七オ) 00044960¥N9¥J 00044970¥Xうそつき 00044980M10/仇名(あだな)を/千三(せんミつ)といふて、うそばつかりつくものが有た。S友 00044990M11たちお/主(ぬし)はうそ斗りつくが、/正直(しやうじき)の/頭(かうべ)に/神(かミ)やどるといふか 00045000M12ら、/必(かならず)うそをつかぬがよいと/異見(いけん)をしたれは、Sうそつき 00045010M13そふ言やるな。うそつきを/守(まも)る神か有てや△Sソリヤ、何 00045020M14といふかミ様だ。(七ウ)ハテ、/通(かよ)ふ神サ 00045030¥N10¥J 00045040¥X/吉原(よしハら) 00045050M17吉原ふしんの/出来(てき)た内えあそひにいつたれば、/腰張唐紙(こしはりからかミ)ハ 00045060M18申に/及(およ)バず、/女(ぢよ)郎の/夜着(よぎ)ふとん、/衣類(いるい)その/外(ほか)、つかふ銭ま 00045070M19でが/青海(せいがい)なミじやから、S客コレハきついものずきじやの 00045080M20といふたれば、(八オ)S女郎アイ。はんじて見なんせ△S客 00045090¥P135 00045100L1/女郎衆(ちよろしゆ)が、たこ図といふ事か△S女郎すきんせん△S客/江(ゑ) 00045110L2の/島(しま)のふうけい、/弁天(へんてん)がいるといふ心か△Sナニヤ△S客 00045120L3そんならどふじや△S女郎やけるにこりんした 00045130¥N11¥J 00045140¥X/唐(から)の/雀(すゝめ) 00045150L6/唐(から)の/雀(すゝめ)を/献(けん)上するに、/一羽(いつわ)たりぬ(八ウ)ゆへに、/日本(にほん)の 00045160L7/雀(すゝめ)をまぜて上た。/殿様(とのさま)/御(ご)らんなされ、コレハめづらしいも 00045170L8のじやが、日本の雀が/一羽(いつは)見へると、/御意(きよい)なさ/る((ママ))り。S雀 00045180L9ハイ、わたくしは/通辞(つうじ)でこさります 00045190¥G(十オ) 00045200¥N12¥J 00045210¥X/疝気(せんき) 00045220M3せんき/持(もち)、/遊(あそ)びに/行(ゆき)しが、あまりひへるから/火鉢(ひはち)で、きん 00045230M4玉をあぶつて居る。(九オ)女郎見て、スカヤ。せん気てあ 00045240M5りんすの。S客インニヤ、する気サ 00045250¥N13¥J 00045260¥X/色子(わかしゆ) 00045270M8よし町はじめてのお/客(きやく)、/床入(とこいり)してお/心(こゝろ)もちがよくなつたと 00045280M9見へて、おれはモウいく。そなたハどふじや。それいく 00045290M10+△Sワカシユきた+きタサノ(九ウ) 00045300¥N14¥J 00045310¥X 00045320M12ゑだるとぬり/樽(たる)かより/合(あふ)て、ゑ樽殿、/貴様(きさま)ハ/仕合(しやハせ)のよい/人(ひと) 00045330M13しや。/其様(そのよふ)ニ/箱(はこ)の/様成(よふなる)/家(いゑ)をもたしやつて。/私(わし)ハ/此(この)よふにい 00045340M14ゑもなく、そこら/爰(こゝ)らを/投(なけ)ほうらるゝハ、/甚(はなハ)だ/残念(ざんねん)ニ/存(そんじ)ま 00045350M15す。はて/何(なに)さ。/貴様(きさま)もわずかS一升△Sわしも一升(十オ) 00045360¥N15¥J 00045370¥X 00045380M17/龍宮(りうくう)の日/待(まち)、/皆&(ミな+)/芸(げい)をしけ/れ((ママ))る。/鮹(たこ)ハさがり/藤(ふち)、/蟹(かに)ハ一と 00045390M18はさミのはさミ/細工(さいく)、いろ+さま※の芸ありけり。か 00045400M19つぱ一人、/何(な)んの芸もなかり/に((ママ))けるが、なんぞしやれ+ 00045410M20といわれて、かつぱ、やがて/尻(しり)をまくり、サア/拍子(ひようし)ニ/合(あハせ)て 00045420¥P136 00045430¥G(十ウ) 00045440L12尻の/穴(あな)を/吹(ふき)かしやれ。皆&、コリヤ/面白(をもしろい)と、火ふき竹で 00045450L13/吹(ふき)きけれバ、かつは、あたまで、Sホコン++(十ウ) 00045460¥N16¥J 00045470¥X 00045480L15サア+、/今夜(こんや)は/皆(ミな)よつて/一盃(いつぱい)/飲(のま)ふ。ヨカロウ。/間(かん)をかけ 00045490L16よふ。シカシ/肴(さかな)がない。ヨイ+、/幸(さいわい)/飼(かつ)て/置(をい)たうづら/一= 00045500L17羽(いち=わ)、しめて、やき鳥にせふと、/篭(かご)のなかへ手をさしこめば、 00045510L18Sうづらヨサツチヤイ 00045520¥N17¥J 00045530¥X/急病(きうびやう) 00045540M1九つ/過(すぎ)の/寐入(ねいり)ばな。トン++。/誰(たれ)じや。イヤ(十一オ)い 00045550M2せ屋から。御しんぞ様が、しやくが/引付(ひきつけ)て、目を/取詰(とりつめ)まし 00045560M3た。急に+。Sなむ三宝。はをり引かけ、ひもそこ+ 00045570M4にかけてゐて、ズツトはいれば、/家内(かない)ハ/上(うへ)を/下(した)へ。いしや 00045580M5どの、ねをきのうろたへ/眼(め)で、/行(ゆき)なりに/下女(けじよ)の/手(て)を/取(とつ)て、 00045590M6ミやくをミる。アヽ申。/私(わたし)でハござりませぬ。Sハテ、 00045600M7(十一ウ)こんな時に/誰(たれ)かれの/差別(しやべつ)ハないてや 00045610¥N18¥J 00045620¥X/幽霊(ゆうれい) 00045630M10アヽ/去(きよ)年の/今日(けふ)ハ、/禁平(きんぺい)が/火事(くハじ)て/真黒(まつくろ)やきに/成(なつ)たが、モウ 00045640M11/一周忌(いつすいき)。アヽかういん/矢(や)のごとしだ。/友(とも)だちのよしミに、 00045650M12/墓参(はかまいり)りしてやらふでハないか。ヨカロ+と、/連立(つれたち)て/行(ゆき)、 00045660M13何と、禁平ハはくち(十二オ)が/好物(かうぶつ)だから、/追善(ついせん)に/爰(こゝ)で 00045670M14/$(ちよぼいち)をおつぱしめよふでハないか。コレハすごい所を/案(あん)じ 00045680M15付た。きまり+と、/墓原(はかハら)ではじめた所が、/志(こゝろざし)が/通(つう)した 00045690M16か、/才(さい)の/音(おと)が/通(つう)じたか、/禁平(きんへい)/忽然(こつせん)とあらわれ出、ヲヽ/皆(ミな)よ 00045700M17く/来(き)てくれやつて/嬉(うれし)い。おらも/六道銭(ろくとうせん)が有なら、一/番(ばん)ごつ 00045710M18きり(十二ウ)やつ付てハ見たひが、六道銭はなし。いつそ/経(きやう) 00045720M19かたびらの/半(はん)てん、なじみがいにと三百ニうつて、有ぎり 00045730M20はりこんだが、とられて/仕(し)まひ、/有(あり)しときのげんきもなく 00045740¥P137 00045750L1て、/早(はや)きへじたくする/故(ゆへ)、禁平。ナゼもつとせなひぞ。 00045760L2Sきん平イヤモ、/幽霊(いうれ)も三百はりこんだ(十三オ) 00045770¥N19¥J 00045780¥Xそそう 00045790L5/承(うけたまハ)り/及(およ)んだ。おまへはそゝう御たんれんのお方さふな。 00045800L6私も/少(すこし)&ハ心がけております。ソレハおたのもしい。ヤ、 00045810L7チト/近夕(きんせき)お/見廻(ミまい)申ませふと/約束(やくそく)して、又の/夜(よ)/尋(たつね)ね/行(ゆき)、/門(かと)ト 00045820L8の/戸(と)とん+++たゝきませう。S内からものモウ 00045830L9(十三ウ) 00045840¥N20¥J 00045850¥Xねつミ 00045860L12四寸五寸のながれの身には、/取分(とりわけ)いやしき/言(こと)の/葉(は)もあらん 00045870L13かし。ソレ+、そこへ/鼠(ねづミ)が+。S若イものヱヽ、ぶちこ 00045880L14ろしなさんせ△S女郎アレモ/質(しち)にとるかへ 00045890¥N21¥J 00045900¥X/仕(し)あひ 00045910L17ソリヤぬいた+と/八方(はつほう)へにげる。/互(たがい)に(十四オ)/侍(さふらい)/同志(とし) 00045920L18の/真劔勝負(しんけんせうふ)。うけはづして一人の侍、顔/片頬(かたつら)/切落(きりおと)され、モ 00045930L19フかなわぬと/迯出(にけだ)した/跡(あと)へ、かごかきか/通(とふ)りかゝり、かの 00045940L20かた顔をひろひ上て、S/旦那(たんな)、かをやりましよ+ 00045950¥N22¥J 00045960¥X/鉄炮(てつぽう) 00045970M3てつほうを買て来た。ドレ※見せ/給(たま)へ。(十四ウ)ハヽア、 00045980M4これハよい鉄ぽうじや。いくらだ。S三匁弐分/玉(だま)サ△Sイ 00045990M5ヤサ、/代(だい)は△S/台(だい)ハ/樫(かし)の/木(き)だ△Sイヽヤ、/直(ね)ハサ△S/音(ね)ハ 00046000M6ポン 00046010¥N23¥J 00046020¥X/立(たち)あひ 00046030M9ナンボやわらの/兵法(ひやうほう)のといやつても、/誠(まこと)/大力(だいりき)に/逢(あふ)てハか 00046040M10なハぬ。マアおらなどが/手(て)ニさハるがさいご、兵法ても/牛= 00046050M11若(うし=わか)ても、/身(ミ)(十五オ)うごきもさせぬとの/高(かう)まん。/近所(きんじよ)の兵 00046060M12法/師(し)の/弟子(でし)が/聞(きい)て/居(ゐ)て/腹(はら)を/立(たて)、/師匠(しせう)の所へ/行(ゆき)、/先生(せんせい)。/ケ様(かやう) 00046070M13+の/事(こと)を申ます。にくいやつでござるといへば、へヽ、 00046080M14/千人力(せんにんりき)を一人で/打(うつ)てしめるのが/兵術(ひやうじゆつ)。そんな事いふやつハ、 00046090M15チトしめるがよい。/連(つれ)てごされといふに、/弟子(でし)どもいきり 00046100M16/出(だし)て、やがて(十五ウ)すまふとりをつれて来て立あハせた 00046110M17れば、やがて/師匠(しせう)を一トつかみにして、グツト/差(さし)上、ナン 00046120M18トどふだ。/今(いま)/打(うつ)つけると、みちんになるが、ふたゝび口を 00046130M19きくまいか。S師匠、をち/付払(つきはらつ)て、こゝが術だ。/其打(そのうち)つけ 00046140M20られる/時(とき)に、あて/身(ミ)の/手練(しゆれん)。お/主(ぬし)がSくびハころり。サア 00046150¥P138 00046160L1/遠慮(ゑんりよ)なしに打/付(つけ)ろ+。Sすまふとり、コレハひよん(十 00046170L2六オ)/事(こと)をしたと、打つける事もならす、そつとおろすは 00046180L3/猶(なを)いやなり。しよふ事なしに、さし/上(あけ)たなりで、ヤレ人ご 00046190L4ろし+ 00046200¥N24¥J 00046210¥Xひいきよ 00046220L7ひいきよやミが、/只(たゞ)もの/喰(くい)たがる。/薮△内(やふのうち)/笋△庵(しゆんあん)様、お/見廻= 00046230L8被成(ミまい=なされ)て、イヤ、/得(ゑ)て/素人(しろうと)ハ、ひいきよやミにハ喰せさへせ 00046240L9ねは/能事(よいこと)の/様(やう)ニ(十六ウ)/心得(こゝろへ)てゐるものじや。/随分(ずいぶん)かまハ 00046250L10ずに喰せるがよい。何が喰たいぞ。S病人ハイ、そばをた 00046260L11べて△Sヲヽ、そばは/能(のう)の有ものじや。よかろ+。一 00046270L12人ハくへまい。をれも/相伴(せうばん)せう。サア、そばを/仰付(をゝせつけ)られい。 00046280L13そば前ニ/抓(つまミ)やうかん、/葛(くず)まんぢうがよい。そは/後(ご)ハ、とう 00046290L14ふ/汁(しる)にあんかう、/一味(いちミ)くわへる/((が脱カ))よいと、/今迄(いままて)(十七オ)と 00046300L15ハ、打てかへたりやうじの/仕方(しほう)。いしやと/病人(びやうにん)が、/爰(こゝ)をせ 00046310L16んどゝ喰て/居(ゐ)る所へ、/表(をもて)から、おたのミ申ませう。/笋庵(しゆんあん)、 00046320L17あなたに/居(を)りますかな。/左様(さやう)ならば、/御新(ごしん)ぞう様へ、/手前(てまへ) 00046330L18/内儀(ないぎ)申ます。笋庵には何もおふる廻下されますな。Sひい 00046340L19きよいたして/居(をり)まする(十七ウ) 00046350¥N25¥J 00046360¥Xこん立 00046370M3サアそんなら、そこへ/書(かき)や。マヅ/汁(しる)。Sアヽ汁といふ字ハ、 00046380M4どふじやな△Sハテ、さんずいに十の/字(じ)サ△Sヱヽ、おつ 00046390M5けのけの字か 00046400¥N26¥J 00046410¥X/卜者(うらなひ) 00046420M8/平(ひら)の/卜内(ぼくない)と、/筆太(ふてぶと)に/手首(てくび)からさきの(十八オ)かんばんを出 00046430M9し、/吉凶禍(きつけうくわ)ふく見ぬいた/弁舌(べんぜつ)。久アしく/立(たつ)て/居(い)たお仲間、 00046440M10思ひ切て六文/耳(ミヽ)をそろへてならべ置、おれが身の/上(うへ)、/考(かんが)へ 00046450M11て下されと/手(て)を出せば、マツ其元の/寿命(じゆめう)は、百六つ迄は受 00046460M12合。手の/筋(すし)ニ、大助へイの相がミへます。しかし/一生(いつしやう)/掃= 00046470M13除番(さう=じばん)きりの/果(くわ)てござる。ソリヤナゼナ。Sハテ、星が(十 00046480M14八ウ)ほうきぼし 00046490¥N27¥J 00046500¥Xすり木 00046510M17どふだ、/亭主(ていしゆ)。何さつしやる。イヤ、のり/米(ごめ)をする。S貴 00046520M18様、ナゼ手でとぐぞ△S手でとがいで、なんでとがふぞ△ 00046530M19Sハテ、すりこ木で。マア/第(だい)一、手ではきたない△Sなる 00046540M20ほど、コリヤきつい/智恵(ちへ)。おれもいか(十九オ)さま、手で 00046550¥P139 00046560L1ハきたないから、イツソ/足袋(たひ)はいて/足(あし)でと迄ハあんじたが、 00046570L2すりこ木とは/気(き)が付なんだとの/感(かん)しん。又/明(あく)る/朝(あさ)いて見れ 00046580L3ば、すりこ木が三/本(ほん)そろへて有。S御てい主。大ぶんすり 00046590L4こ木ができたが、コリヤ何にさつしやるぞ△Sハテ、米と 00046600L5ぐのさ△S米ハ(十九ウ)壱本て能らふに、/残(のこ)りの二本ハ何 00046610L6にするのだ△Sあれハをがむのサ 00046620¥N28¥J 00046630¥X/横(よこ)の/門(もん) 00046640L9あミだ/堂(どう)ハ、むかし/頼朝公(よりともこう)の御こんりうで、/梶原(かぢわら)が/普請(ふしん)奉 00046650L10行をしたげな。Sハテナ、いか様けつかうな普請だ。とて 00046660L11もの/事(こと)にナア、あの/矢(や)大臣門ハ(二十オ)横に付ずと、まつ 00046670L12すぐに付たらば、/勝手(かつて)の/能(よさ)そふなものだが△Sサア、そこ 00046680L13が梶原だ 00046690¥N29¥J 00046700¥X/名所(めいしよ) 00046710L16ヤ、貴様ハ/善光寺(ぜんくわうじ)へ/参(まいつ)たげな。/北国筋(ほくこくすし)名所/旧跡(きうせき)、/御一覧(こいちらん)で 00046720L17有たらふ。嘸めづらしい所&、面白い/風影(ふうけい)なとも有たろ。 00046730L18(二十ウ)Sイヤ、さしてかハつた所もないが、からしなの 00046740L19月には、かんしんせしめたハい△Sソリヤ貴様、さらしな 00046750L20の事で有ふが。イヤ、からしなさ。からしなのしやうこハ。 00046760M1月がはなの/穴(あな)を/通(とふ)した 00046770¥N30¥J 00046780¥Xつゞみ 00046790M4/春(はる)の/夜(よ)のしづかなるに、月のひかりさやけく、(二十一オ)は 00046800M5なしの/友(とも)もなけれは、ひとり/床柱(とこはしら)ニより、S去ども此人ハ 00046810M6と、/中音(ちうおん)にうたひかくれば、しばしすると、しやうじごし 00046820M7にポン+と、さしもゑならぬつゞみの/音(おと)。ふしぎにハ思 00046830M8ひながら、たえずうたへば、ます+つゞミも/図(づ)にのつて 00046840M9/打(うつ)。だん+面白さに、/田(た)村を/高声(かうしやう)にうたひ/出(だ)し、せめに 00046850M10かゝり、S雨や(二十一ウ)あられとふりかゝつて、ヤツハ、 00046860M11スポヽンポン+。たがひにはりあふて、よねんなかり 00046870M12しが、いつの/間(ま)にか、とんとつゞみを/打(うち)やんだから、ふし 00046880M13ぎにをもひ、そつとしやうじを/明(あけ)て見たれば、Sたぬきが 00046890M14/腹(はら)を打やぶり、ヒイ+ 00046900¥N31¥J 00046910¥X/鼠(ねづミ) 00046920M17ねづミ大ぜひあつまり、しやうじのさんへ上り(二十二オ) 00046930M18くらすると、てんでに/上(のほ)つたり/下(をり)たりするに、一人のねづ 00046940M19ミ、/上下(かミしも)を/着(き)るを、おぬしはナゼ/上下(かミしも)を/着(き)やる。Sヲリヤ 00046950M20とのさんへ上る 00046960¥P140 00046970¥N32¥J 00046980¥X/入道(にうどう) 00046990L3八よ。おれハ/夕部(ゆふべ)/高入道(たかにうどう)に/出会(てあふ)た。Sくつとへし/付(つけ)て、た 00047000L4ぶさをつかんだ△S何、/狸入道(たかにうとう(ママ))にたぶさが△Sサア、そこ 00047010L5が/噺(はなし)だ(二十二ウ) 00047020¥N33¥J 00047030¥X/虫(むし)ぼし 00047040L8おぬしハ京へ上つたげなが、/嘸(さそ)/有(あり)がたいことども、見たり 00047050L9/拝(おが)んたり/仕(し)やつたで/有(あろ)。Sヲヽサ、見た/段(だん)しやない。とん 00047060L10だ物迄見たハい。小間物やで、虫干の/時(とき)で有た。をびたゝ 00047070L11しい/張(はり)かたどもを、ツラアリト/立(たて)かけた所が、アヽ凡千本 00047080L12斗、時にさつと風きて、ふきこかされて、/其張形(そのはりかた)が(廿三 00047090L13オ)しやうぎだをしニ、マラ+++ 00047100¥N34¥J 00047110¥X/行(ゆき)あひ 00047120L16たんぼ道をひとりうか+/行(ゆけ)バ、/向(むか)ふから/美(うつく)しい女が/来(く)る。 00047130L17やがて行合、チヨビトあやなして見たれば、さつそく/合点(がてん) 00047140L18した。コレハありがたい御ほうしやと/悦(よろこ)び、すぐに引く 00047150L19み、四つに/渡(わたり)、/祭(まつ)りをわたしかゝつたニ、/通(とふ)り道がきつう 00047160L20(廿三ウ)せまくて、/色&(いろ+)にして見ても、どふもはいらず。 00047170M1男、ふつと/気(き)が/付(つい)て、此やうにせまいのハ、コリヤきつね 00047180M2でハないかよ。S女おまへハ/馬(むま)でハないか 00047190¥N35¥J 00047200¥Xひとりげい 00047210M5となりの内で、アヽいきやす+といふハ。コリヤとほふ 00047220M6もなひ。/昼中(ひるなか)にと/門(かど)を見れバ、/戸(と)がしめて有。モシ、昼中 00047230M7に何被成ます。S@となりの|ていしゆ@(廿四オ)/去(され)バ、ひんすればどんす 00047240M8るで、/夜(よる)する事を/昼(ひる)いたしますと、のぞくもかまハず、サ 00047250M9ツ+とやる。コリヤたまらぬと/飛(とん)で/帰(かへ)り、五人ぐミの/最(さい) 00047260M10中、となりの/亭主(ていしゆ)が/来(き)て、おまへハ何を被成ますぞ。Sハ 00047270M11イ、ひんすりやどんするから、二人でするを、ひとりでい 00047280M12たします(廿四ウ) 00047290¥N36¥J 00047300¥X/絵(ゑ)の/手本(てほん) 00047310M15/始(はじめ)て/逢(あい)申ス。承り/及(およ)んでまいつたハ、お身か/画工(ぐわこう)に/妙(めう)を/得(ゑ) 00047320M16られたと承り、ソトあつらゑたい/画(ゑ)が有ルてや。/手前(てまへ)主人、 00047330M17代&/開(ぼゝ)を/好(すか)せられて、お/家(いへ)につたハるばさらゑ/取方(とりかた)四十八 00047340M18手ハ/勿論(もちろん)、まらの/品(しな)三百六十、/開(ぼゝ)の品四百三(廿五オ)十六 00047350M19/品(ひん)、/絵(ゑ)に/写(うつ)して/悉(こと+く)/宝(ほう)蔵へ納おかるゝ所、絵に有ハ上べば 00047360M20かりで、中の/様子(やうす)がしれ申さぬ。何とぞ、さねの/根元(こんげん)、/子= 00047370¥P141 00047380L1壷(こ=つぼ)の/有(あり)様、ふちのひだ、中のひだ、のこる所もなく/書(かき)うつ 00047390L2し/置(をか)れたいと有事。/是(これ)を書取事ハ、お身ならでハと御意を 00047400L3/受(うけ)て、/罷越(まかりこし)申たてや。お受合(廿五ウ)めさるゝか。Sな 00047410L4る程、/畏(かしこま)りましたと日げんきハめ、/手付(てづけ)迄取ハ取たが、 00047420L5サテ/平生(へいぜい)手がける物じやが、中の/様躰(やうだい)ハ、どふも手本がな 00047430L6くてハ。アヽどふした物と/思案(しあん)にくれたが、/有合(ありあわ)せた女房 00047440L7を/呼(よん)で、見せよといへば、ドウモ+と/埓(らち)が/明(あか)ぬ。ハテ/扨(さて) 00047450L8/商売(せうばい)づくじやとしかるゆへ、ドウモわたしハ、火が(二十六 00047460L9オ)わるいからといふを、むりに引まくつて、まゆをしハ 00047470L10め、Sハア是ハ、壱歩が/朱(しゆ)ではきかぬハい 00047480¥N37¥J 00047490¥Xぢ口/指南(しなん)所 00047500L13京から、江戸のぢ口しなん所へ/尋来(たづねき)て、帰る時、私ハへ 00047510L14キだを取れました。/第主((ママ))左やうなら、S其まらぞうりをを 00047520L15は/れ((きカ))なされませ(二十六ウ) 00047530¥N38¥J 00047540¥X/針医(はりい) 00047550L18おいしや様、/是(これ)ハ御くろう。娘がつかへ、/胸先(むなさき)えつよく/差= 00047560L19込(さし=こミ)、おやぢが/力(ちから)一ぱいおし付てゐる。マヅ/針(はり)二三本、ミ 00047570L20しらせたれば、/大分(だいふん)/腹(はら)もやわらいだから、/針(はり)を口にくわへ 00047580M1て、グウツト/腹(はら)をなでゝ、へその下迄なでおろす時、/手先(てさき) 00047590M2へぼいやりと/産毛(うぶけ)のやうながさハると、しきりニ(二十七オ) 00047600M3いしや/殿(どの)の/下(した)のつかへが、木のやうにさしこみ、こたへら 00047610M4れぬからの/出来心(てきこゝろ)。/夜着(よぎ)の/内(うち)で、ソツト/娘(むすめ)の/手(て)をしめたれ 00047620M5バ、だまつて居る。コレハよくした物と、/彼(かの)のしやちほこ 00047630M6のよふにをこつた/一物(いちもつ)をにぎらせたれば、たまつてにぎつ 00047640M7てゐる。此ようすならバと、むほんのくハだて。おやぢハ 00047650M8ヤハリ、娘の腹ををさへて(二十七ウ)居るから、どふぞお 00047660M9やぢをのけ/度(たい)ものじやと/思(をも)ひ、コレ+、モウおさへずと 00047670M10/能(よい)。/私(わし)が/丸薬(くわんやく)を/進(しん)せる/程(ほど)に、さゆをぐら+わかしてご 00047680M11ざれ。/急(きう)にわかしては/悪(わる)い。とろり++と/気長(きなか)に、と 00047690M12つくりとわいたがよいそや。Sヲヤヂ、かしこまりました 00047700M13といゝつゝ、くずつく。Sいしやサア、わかしてござらぬ 00047710M14か△Sヲヤチハイ。モシ、この(二十八オ)にきつたものハ、 00047720M15ドウ致しましよぞ 00047730¥N39¥J 00047740¥X/薬喰(くすりぐい) 00047750M18ナント、あの/一人(ひとり)ものゝ/鉢(はつち)ばゝを、あれでもするものがあ 00047760M19らふか。Sなくちやア△Sナニ、させもせまい△Sソリヤ 00047770M20しよふが有△S/手前(てまへ)、するか△Sヲヽして見せよふかと、 00047780¥P142 00047790L1/壱分(いちふ)がけにして、ばゝか/所(ところ)へ/行(ゆき)、わしハ此間りん/病(びやう)で、き 00047800L2つふ(二十八ウ)いたんでなんぎする。いしや様のいわれる 00047810L3には、八九十ぐらいのば様をすれバ、きめうなをるとおし 00047820L4ゑられたが、ナント、むしんながら、一つ二つかして下さる 00047830L5まいか。ば様、きもをつぶし、いやがるをおつぷせて、両手 00047840L6/を((でカ))しわを/引延(ひきのば)し+、よう+の事で、ぐつと/根迄(ねまで)をしこ 00047850L7ミ、二つ三つついたれば、よかつたそふで、/念仏(ねんぶつ)(二十九オ) 00047860L8四五へん申されたが、とかくしハがまとひ付てなんぎなゆ 00047870L9へに、よふ+に/引(ひつ)こぬき、ヤレうれしや。しゆびよくぬ 00047880L10けたと、かけ出して/来(く)るを、ば様、たもとをひかへて、 00047890L11Sきいたやうなら、ゑんりよなしに又お出 00047900¥N40¥J 00047910¥X/吸(すい)もの 00047920L14正月のつかひように、/漬松(つけまつ)だけを/塩出(しほだ)シ(二十九ウ)して/有(あつ) 00047930L15たを、/女中(じよちう)が見て、/能似(よくに)たものじやとおかしがる。時しも 00047940L16/不時(ふじ)のお/客(きやく)。三介も吉介も/供(とも)に/出(で)て/留主(るす)じやから、/山出(やまだ)し 00047950L17の女に/吸(すい)ものを/云付(いゝつけ)たれば、やがて/出来(でき)て客の/前(まへ)へすへた。 00047960L18あまりはやく出来たから、/内儀(ないぎ)がふしぎさに、ふた取てミ 00047970L19たれば、松だけを丸く入て有ル。おさん。コレハ(三十オ) 00047980L20どふしや。切もせず、ソシテ、にゑる間もあるまいに、ふ 00047990M1てうほうなといわれて、おさんが、Sソレデモミなが、よ 00048000M2く/似(に)て/有(ある)と申された 00048010¥N41¥J 00048020¥X/衆道(しゆとう) 00048030M5いたくハせぬから、いふなりになりやと、やう+がてん 00048040M6させて/尻(しり)/引(ひき)まくり、よくぬらしても、かりくびが/通(とふ)りかね 00048050M7るを、チクト/力(ちから)を/入(いれ)てをし(三十ウ)こめば、ヌル+グウ 00048060M8イとはいつた。若衆の前/((へ脱カ))手をやつて見たれば、/若衆(わかしゆ)のへの 00048070M9こがグツトをへた。Sナム三ぼ、つきぬいた 00048080¥N42¥J 00048090¥X/松茸(まつたけ) 00048100M12せつちんで五人/組(ぐミ)/寄合(よりやい)を/付(つけ)て、/八百屋(やをや)の娘をあてがきのよ 00048110M13くなつた時、コタへかね、アヽ+八百屋の娘と、大キな 00048120M14声を聞て、(三十一オ)S娘、戸を明て、何じやへ。S返答 00048130M15ニこまり、こんな松たけハないか 00048140¥N43¥J 00048150¥Xくらべ 00048160M18かゝア+。/銭(ぜに)百くれやれ。まらくらべニ/行(ゆく)。S女房よさ 00048170M19しやんせ。又まけよふとをもふて△Sてい主こんや/限(ぎり)だ。 00048180M20どふぞ百くれやれ△S女房ソンナラ、百ぎりで/帰(かへ)らしやん 00048190¥P143 00048200L1せやと/出(だ)してやつた。(三十一ウ)/亭主(ていしゆ)、/悦(よろこ)んで出ていたが、 00048210L2/間(ま)もなく/帰(かへ)つて戸をたゝく。女房、又まけたので有ふと、 00048220L3戸をふせう※にあくれば、イヤかつた+。S女房ムウ、 00048230L4おまへのより、ちいさいのが有たかへ△S亭主きゝやれ。 00048240L5/今夜(こんや)ハきんたまくらべサ 00048250¥N44¥J 00048260¥X/曲(きよく) 00048270L8せつかくおまねき申ても、あんまり/何(なん)にも(三十二オ)おあ 00048280L9いそもなひ事。しかし一つの御ちそうには、/私(わたくし)女房が/曲= 00048290L10屁(きよく=べ)を少&ひりますから。S客コレハ一だんの御ちそう、 00048300L11/忝(かたじけない)。/然(しか)らば/一曲(いつきよく)△S女房スツポン△S客コレハ何でご 00048310L12ざりまするな△S女房あれハ/後藤(ごとう)/目貫(めぬき)のてつ/炮(ほう)の/段(たん)△S客 00048320L13ハヽア、コレハとんだ/当(あたり)り+△S女房/次(つぎ)ハ/忠臣(ちうしん)ぐらの九 00048330L14段め△S尺八のをとフウ+。(三十二ウ)S客@あまり△|くさく、@/御無用(こむよう) 00048340¥N45¥J 00048350¥Xねぼけ 00048360L17友だちの所へとまり、真夜目がさめて見れば、亭主がよく 00048370L18ねいりて居るから、そつとをきて女房の上へのり、半分い 00048380L19れる所を、亭主、めをさまし、大きにはらたて、すむのす 00048390L20まぬのとやかましし。S客コレハ(三十三オ)/尤(もつとも)じや。/重&(ぢう+) 00048400M1のあやまり。ジヤガ、是ハとんとをれが/夢(ゆめ)で有ツた。ねぼ 00048410M2けたのじやからかんにんしやと、だん+わびこと。Sて 00048420M3い主、それも有まい事でもないとなつとくし、/双方(さうほう)をさま 00048430M4つてねたが、/間夫(まをとこ)、さるにてもあまり/残念(ざんねん)と、又をきては 00048440M5いかゝり、/今度(こんど)ハなんなく入すまし、/気(き)がいく/最中(さいちう)、(三十 00048450M6三ウ)はないきにをどろいて、/亭主(ていしゆ)、めをさまし、Sコレ 00048460M7コレおきやれ。目をさましや+ 00048470¥N46¥J 00048480¥Xもうざう 00048490M10をれは/内(ない)しやうがよハつたそふで、夕部もうぞうを見た。 00048500M11Sナニサ。/若(わか)い内ハ思ふ事/夢(ゆめ)に見るで、/血気(けつき)さかんな時ハ、 00048510M12なをたび+見るものサ△Sイヤサ、ゆふべ(卅四オ)ねる 00048520M13と/直(じき)に見たが、/明(あけ)がたに又一度△Sソレモ/有事(あること)じやて。/宵(よい) 00048530M14の/明星(もうぞう)、/暁(あかつき)の明星 00048540¥N47¥J 00048550¥X/額(がく) 00048560M17よしハらの大門に、/大学(だいがく)といふ/額(がく)をかけたを、/医者(いしや)が見て 00048570M18/合点(がてん)/行(ゆか)ず、小首かたげてゐる所へ、/跡(あと)から/来(き)た/息子(むすこ)、本田 00048580M19のきん+がちよつと見て、ハヽア(卅四ウ)コレハよいと 00048590M20いふて/通(とふ)るを、S医者、いかゞいたしたるわけにやと/尋(たづぬ)れ 00048600¥P144 00048610L1ば、Sハテ、大学ハ/格子(かうし)の/居所(い△しよ△|ゐるところ)にして、/諸客(しよ△△かく△△|いろ+のきやく)/床(とこ)に入の 00048620L2門なり△S医者、手を打て、ハヽア/面白(をもしろ)し+。しかうし 00048630L3て後に/開(へき)すか 00048640¥N48¥J 00048650¥X/巻様(まきやう)の/伝(でん)(卅五オ) 00048660L6/肥後(ひご)ずいきを/買(かつ)て/来(き)たが、扨どふも、此/巻留(まきどめ)がすまぬもの 00048670L7じや。S友たち/夫(それ)は大伝しゆ/事(こと)じやが、お/主(ぬし)だからをしへ 00048680L8てやる。人にはいゝやんな。/先(まづ)ずいきの/先(さき)へ、むくろじを 00048690L9付て/段&(だん+)/巻(まい)て、仕廻にむくろじを穴へをしこむ 00048700¥N49¥J 00048710¥X/枕(まくら)さうし(卅五ウ) 00048720L12まくら草紙を見ながら、/通(とふ)り丁を行しニ、アヽ/急(きう)に一ばん 00048730L13ときざして、/猶(なを)よミ+/行(ゆく)。/向(むか)ふから、/田舎(いなか)のをやぢが江 00048740L14戸/見物(けんぶつ)と見へて娘をつれて/来(く)るを、/是幸(これさいわひ)の事と、むりに 00048750L15引こかして草紙をひろげて、ヱヽ此手でせうか、あの手で 00048760L16せうか。S娘、アレ、とつ様+と/呼(よぶ)。Sヲヤヂマアだま 00048770L17つてゐよ。(卅六オ)書物を見てなさるから、わるい事ハ有 00048780L18マイ 00048790¥N50¥J 00048800¥X/額文字(がくのじ) 00048810M1大屋様え、/長屋中(ながやぢう)おふるまひに/呼(よば)れ、アイ、おめつとうご 00048820M2ざんやすと、ミな+座に付、/親分(をやぶん)、かけて/有(ある)/額(がく)の文字、 00048830M3/酒(さけ)の/字(じ)ばかりよめて、大屋様。アノ字ハけつかうな字でご 00048840M4ざります。マツ/夜(よ)ル(卅六ウ)ひる/用(もち)ひてもあかぬものなり。 00048850M5サテまた、あぢのよいものでござります。Sそばから、ハ 00048860M6ア、あれハ/開(ぼゝ)といふ字かへ 00048870¥N51¥J 00048880¥X/女郎(ぢよらふ) 00048890M9かたいお/侍(さふらい)が/遊(あそ)びにおこしなされ、よほど酒が/過(すぎ)たと見 00048900M10へて、/祝義(しうぎ)の小うたひ一二ばんうたハれたれば、女郎も 00048910M11/若者(わかいもの)もあきれた(卅七オ)/顔(かほ)で座を/持(もち)かねて、サアお床入 00048920M12とすゝめた時に、しからバいづれもと/挨拶(あいさつ)して、ね間へは 00048930M13いツたが、あんまりおかしい客じや。あれでハむつ/言(ごと)がを 00048940M14もしろかろと、ミな/聞(きゝ)ミヽでうかゝひ/居(ゐ)れば、だん+せ 00048950M15めよせた時に、女郎が、アヽいきやす、しにんす+とい 00048960M16へは、Sお侍/身(ミ)も相/果(はて)る/様(やう)だ(卅七ウ) 00048970¥N52¥J 00048980¥X 00048990M18山のてを三人つれして行しが、一人が酒ニよつてどうもな 00049000M19らぬ、そして/舟(ふね)ニのろう+と/言(いふ)てあるかぬ。一人の/思付(をもいつき) 00049010M20で、かごをふねだとたまして、かごかき、ぎちやこ+、 00049020¥P145 00049030L1おもかじとりかじと言て行。やかて、三町程もゆきけれバ、 00049040L2かこのそこが、すどんとぬけけれハ、なまよいSぬからぬ 00049050L3/顔(かほ)で、すぶ++(三十八オ) 00049060¥N53¥J 00049070¥X/仙人(せんにん) 00049080L6仙人といふものは三人にかぎつたものだ。ナニ、手/前(まへ)たち 00049090L7がしるものて。Sナゼ△S仙人ハ五人あるものだよ△S何、 00049100L8五人有もので△Sソンナラかぞへて見や。ソレ、かま仙人 00049110L9Sヨシ。てつかい仙人。Sヨシ。/久米(くめ)の仙人。Sヨシ。そ 00049120¥G(三十八オ) 00049130M1して△Sハテ、めくら仙人めあき千人(三十八ウ) 00049140¥N54¥J 00049150¥X/革(かわ) 00049160M4/三味(さミ)せんは/猫(ねこ)の/皮(かわ)だから、/膝(ひさ)の/上(うへ)にのるハきこへたが、つ 00049170M5ゞミハ何の/皮(かわ)だナ。Sアリヤ、さるの/皮(かわ)だから、/肩(かた)に/乗(のる)の 00049180M6さ△Sムウ、そんなら大つゝみハ△Sあれか。アヽ/待(まて)よ。 00049190M7あれハ/脇(わき)の下へはさむナ。/鯛(たい)の/皮(かわ)だろう 00049200¥N55¥J 00049210¥Xつゞミ(三十九オ) 00049220M10/主(ぬし)のとなりに、/皷(つゝミ)のしせうが有な。Sヲヽサ、やかましく 00049230M11てならなひ△S上/手(づ)かな△S何サ。ことしで三年ニなるが、 00049240M12ヤツパリ小つゞみだ 00049250¥N56¥J 00049260¥X/恋(こひ) 00049270M15/去年(こぞ)の/顔(かほ)見せがやミ/付(つき)になつて、一ト人/娘(むすめ)が/坂東(はんどう)/実(しつ)五郎に 00049280M16/首(くび)より上迄はまり、わしや/死(しん)でもといふを、うばが/聞(きひ)て、 00049290M17お/前(まへ)ハ(三十九ウ)マアけしからぬ。そんな事して、モシ身 00049300M18もちニ/成(なり)なさつたら、どふなさるぞ。S何、/地(ぢ)ものでハ有 00049310M19まいし 00049320¥P146 00049330¥N57¥J 00049340¥X/牛(うし) 00049350L3/高輪(たかなわ)の/牛共(うしとも)/寄集(よりあつま)り、ナント、いづれも此ように、/毎日(まいにち)+ 00049360L4/重荷(をもに)を/引(ひき)あるく/斗(ばかり)でも、つまらぬものじやが、どふしたら 00049370L5/能(よか)ろ。(四十オ)ヲヽサ。これも金があれば、/親方(おやかた)へ/出(だ)して、 00049380L6/身(ミ)も/楽(らく)になるて。Sソンナラ/金(かね)さへ有バ、じゆうになるか。 00049390L7/是(これ)に/付(つけ)ても、アヽかねがほしいなア。哥いつか/車(くるま)をはなれ 00049400L8てほんに 00049410¥N58¥J 00049420¥Xさけ 00049430L11おやぢハ酒のさの/字(じ)もきらいじや。(四十ウ)むすこがぼう 00049440L12だら。かたくいましめて/呑(のま)せぬゆへ、/頃日(このころ)の/禁酒(きんしゆ)。/気(き)ぬけ 00049450L13のした様になつて/居(い)る/折(をり)から、/幸(さいわい)をやぢかいぬ間を見て、 00049460L14/竹戸棚(たけとたな)を明てミれバ、とつくりと入て有を引出し、一ぱい 00049470L15グツト引かけ、/座禅豆(ざせんまめ)ニ/舌打(したうち)しかゝる所へ、おやちか、ソ 00049480L16リヤ何(四十一オ)しをる。S/息子(むすこ)ハイ、豆と/徳利(とくり)でござい 00049490¥N59¥J 00049500¥X/葬(とふらい) 00049510L19おふくろがじやくめついたされたが、とふらいにはんてん 00049520L20でハ/行(いか)れまいと、/仲間(なかま)の所へ行て、こう+だからドウゾ 00049530M1お主が着ンものを、一日かしてくれやれ。S/手前(てまへ)も(四十一 00049540M2ウ)ほんに。おれさへまだ/手(て)も/通(とふ)さぬものを、/女郎買(ぢよろかい)にで 00049550M3も/行(ゆく)なら/借(かし)もしよふが、とふらいにはごゆるされだ△Sハ 00049560M4ア、そんならせう/事(こと)もなしと、すご+と/帰(かへ)る/後(うしろ)かげ。ア 00049570M5ヽかあいそふに。/一世(いつせ)一どの事じやと思ひ、コレ+、/借(か) 00049580M6そふか+。Sインニヤ、/土(ど)そふだ(四十二オ) 00049590¥N60¥J 00049600¥Xさい 00049610M9むすこのはな/帋袋(かミぶくろ)から、コロリと出たさい一トつふ。をや 00049620M10ぢ、チヨツト見付、/手(て)の/平(ひら)へのせて、ヤイ、こりやなんだ。 00049630M11Sムスコそれは、はんでござります△Sヲヤヂなんしや。/判(はん) 00049640M12とハ。/是(これ)が/歟(か)+。/己(をのれ)ハ/悪(にくい)やつだ。/手(て)の/内(うち)てころつかせば、 00049650M13Sムスコ(四十二ウ)ハイ、長になりました 00049660¥N61¥J 00049670¥X/新参(しんさん) 00049680M16/此間(このあいた)/新参(しんざん)の/小僧(こぞう)が、それは+/利口(りかう)もので、/茶(ちや)を/飲(のま)ふと 00049690M17存る所へハ、チヤント/茶(ちや)を/汲(くん)で/参(まい)る。/肩(かた)がつかへたとをも 00049700M18へバ、けんびきをもむ。何でも人の/心(こゝろ)をさとる早サ。ハテ 00049710M19ナ、それハ/能(よい)ものを(四十三オ)お/置(をき)なされた。どのやうな 00049720M20/小僧(こぞう)てござるぞ。S/幸(さいわい)/供(とも)につれて/参(まい)りましたと/呼出(よびだ)した 00049730¥P147 00049740L1時に、/折(をり)ふし/亭主(ていしゆ)がクツサミ。S小僧くそをくらい/上(あが)れ 00049750¥N62¥J 00049760¥X/手帳(てちやう) 00049770L4/宿(やど)なしの/行(ゆき)たおれ、/色&(いろ+)にして見ても/立(たつ)て/行(ゆか)ぬ。/大屋衆(おゝやしゆ)/立= 00049780L5合(たち=やい)、(四十三ウ)かれ是いふ内、ふところを見たれば、/行(ゆき)た 00049790L6をれ/覚帳(おほへてう)といふ/書付(かきつけ)。引出して見たれば、何丁そは五ツ、 00049800L7何丁/食(めし)三ぜん。S何丁/灸(きう)ばかり 00049810¥N63¥J 00049820¥Xおし 00049830L10おらが/町(てう)の/番太良(ばんたろ)は、/雪(ゆぎ)が/降(ふつ)ても/雨(あめ)がふつても/能(よく)おこたら 00049840L11ず、時を打つ(四十四オ)やつじや。なる/程(ほと)そふだが、おれ 00049850L12がをもふには、あいつはぶせうものだから、大かた/内(うち)で打 00049860L13て/置(をい)て、S/団(うちわ)であふぎ/出(た)すだらふ 00049870¥N64¥J 00049880¥X/錦(にしき) 00049890L16こもかふりが/古郷(くに)へ/帰(かへ)らんと/心(こゝろ)ざし、したくして出かける 00049900L17向(むか)ふへ、/仲間(なかま)(四十四ウ)のおこもが/来(き)かゝり、お主はどこ 00049910L18へ行そ。ヲラ国へ帰る。それにお/主(ぬし)。その花ござ一枚では、 00049920L19さふくてなるまい。をらが着てゐる此むしろ、/餞別(はなむけ)にやる 00049930L20から/着(き)て/行(ゆき)やれ。Sばかいふな。こも着られるものか。古 00049940M1郷へは/錦(にしき)だハイ 00049950¥N65¥J 00049960¥X/様(さま)(四十五オ) 00049970M4松ヤ。風を引たな。おらが内に六字の名号を/拝(おが)ましやう。 00049980M5ウフウ有がたい。モウ風か能なつた。が/待(まて)よ。ヱヽなむあ 00049990M6ミた仏。コリヤ/一字(いちじ)/多(をゝ)イハ。Sばかいふな。ソリヤ様の字 00050000M7だ 00050010¥N66¥J 00050020¥X/三絃(さミせん) 00050030M10Sきゝやれ。チツトした/意気(いき)づくニ成て、三絃を/買(かつ)てやる 00050040M11Sソリヤ大事だ。大かた(四十五ウ)/胴(どう)ハクワリンで有ふ△ 00050050M12Sイヽヤ、/琥珀(こはく)だ△Sヤア、ソリヤ/恐(おそろ)しい。シテ、棹は△ 00050060M13Sさんごじゆ+△Sそれではかゝるはづだ。/海老尾(かいらうび)は△ 00050070M14Sうにかうるサ△S/皮(かわ)ハなんだ△Sうそのサ 00050080¥N67¥J 00050090¥X/名(な) 00050100M17/今日(けふ)て/七夜(しちや)の/娘(むすめ)の子に、名を付てくれいとたのまれたが、 00050110M18/鐘突(かねつき)の子な(四十六オ)ればと思ひ付たを、すぐに行て、モ 00050120M19シ、お娘御のお名は、おこんとおつけ被成ませ。Sてい主、 00050130M20/聞(きい)てうなづき、ウヽンウンウン 00050140¥P148 00050150¥N68¥J 00050160¥Xためしもの 00050170L3/日蔭町(ひかげてう)で、三両であら身を/買(かつ)た/故(ゆへ)、どふぞためして見たさ 00050180L4に、/夜半(よなか)(四十六ウ)じぶんに、通り町の/橋(はし)の上にねて/居(いる)こ 00050190L5もかぶりを見て、スラリとぬいてあやまたず、すつはりい 00050200L6わせ、さやへおさめ、切口をあらためんと/立寄(たちよれ)バ、Sヤイ、 00050210L7こつちへよれ。又くらわすそふな 00050220¥N69¥J 00050230¥Xゑびす 00050240L10ゑびすといふは、大かた/絵(ゑ)ニかく(四十七オ)のが/絵比寿(ゑびす)で 00050250L11あらふかい。木できざんだは/木(き)びす様。/金(かね)のがかびす。/土(つち) 00050260L12のが、Sつ、ハヽヽヽヽ、これハぶてう法 00050270¥N70¥J 00050280¥Xひるね 00050290L15/娘(むすめ)、ゑんがわで/昼寐(ひるね)。おやぢがいて見たれば、白イもゝを 00050300L16出して/能(よく)/寐(ね)入た有様。おやぢこたへられず、のりか(四十七 00050310L17ウ)かつてやり付ケは付たか、娘が目をさましたにおどろ 00050320L18き、/抜身(ぬきミ)のまゝで/表(おもて)へかけ出し、/暫(しバらく)して何くわぬ/顔(かほ)付で、 00050330L19Sコリヤ、そこらに昼寐して/居(ゐ)ると、/狐(きつね)がをれに化て/来(き)て 00050340L20するぞよ 00050350¥N71¥J 00050360¥X/大屋(おゝや)(四十八オ) 00050370M3/自身番(じしんばん)に/居(い)らるゝを、/小女郎(こめろ)が/来(き)て、モシ、ぞう/水(すい)が出来 00050380M4ました。S大屋、帰ながら、ヤイばかめ。ぞう水といわず 00050390M5とも、/御膳(ごぜん)といへばよい事をとしかられた。/明(あく)ル朝、ハイ、 00050400M6御ぜんがよふござります。Sヲヽ+。さらば、一ぱいす 00050410M7ゝつて参らふか 00050420¥N72¥J 00050430¥X/湯(ゆ)(四十八ウ) 00050440M10ヲヽさむ+と、くる+と/引(ひん)ぬいで/湯(ゆ)どのへ/欠行(かけゆく)を、/湯= 00050450M11番(ゆ=ばん)が、モシ+、/頭巾(づきん)が+。Sホイ、/内(うち)での/格(かく)をした 00050460¥N73¥J 00050470¥X/早(はや)やくそく 00050480M14なんでもかでもほしがるやまひの人が/来(き)た。コレハお出。 00050490M15よい所へ。/今日(けふ)は/妻(さい)が/帯(をび)の/祝(いわ)ひ。Sハアそれはお/目(め)(四十九 00050500M16オ)/出度(てたい)なヤ。どふぞ/御平産(こへいさん)の上、/御出生(こしゆつしやう)を/拙者(せつしや)申/請度(うけたい)△ 00050510M17Sハイ、まだマアおやくそくの所へも/参(まい)らぬが、お/望(のぞミ)なら 00050520M18バ/上(あげ)ハ/致(いた)そふが、/男子(なんし)が出よふやら、/女子(によし)が出よふやら△ 00050530M19Sイヤ、いづれでもくるしうなひ。申/受(うけ)たい。/譬(たとへ)/男女(なんによ)の 00050540M20/中(うち)でなくても 00050550¥P149 00050560¥G(終オ・ウ) 00050570¥Y今歳咄大尾(四十九ウ) 00050580¥N74¥J 00050590¥Xごとく 00050600M8むかふからとびのものがきた。こつちからもとびの者が来 00050610M9た。/両方(りやうほう)がけんくわしてゐる所へ、又とびのものがきて 00050620M10/中(なか)へはいり、あいさつし、/中(なか)を/直(なをし)たれバ、/丸(まるく)Gなつた〔絵〕 00050630M11(終オ) 00050640¥N75¥J 00050650¥Xたばこ 00050660M14/堀留(ほりどめ)をずつととふつたればな、あちらにも烟草や、こちら 00050670M15にも煙草や。あちらでかをふか、こちらで買ふか++ 00050680M16〔絵〕△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(終ウ) 00050690¥P150 00050700¥Q 00050710L1△△/落咄(をとしはなし)新板出来目録 00050720L2一/口拍子(くちひやうし)@当世めづらしき|おとし咄あつめ@一冊△一/今歳噺(ことしはなし)@あたら敷|咄を集@小本一冊 00050730L3一今歳噺二篇両面摺△一同三篇@上下共ニ珍敷|はなしを集@△一冊 00050740L4一同四篇/御伽噺(をとぎはなし)△△一冊△一同五篇 00050750L5一同六篇△△△△△一冊△一同七篇 00050760L6上かゝり下かゝりにかぎらず各様御手作の御新口御座候ハ、 00050770L7五篇に加へ申度候間、御越可被下候。御はい名など御出し被成候ハ、 00050780L8随分相しるし可申候己上 00050790L9安永二年△△三月△△文苑堂△蔵板 00050800¥P151 00050810¥U噺本大系△第九巻 00050820¥T/聞上手(ききじようず)/二篇(にへん)〔尾題〕 00050830¥G 00050840¥Y 00050850L17安永二年三月序 00050860L18不知足散人序 00050870L19遠州屋弥七板 00050880L20小本一冊 00050890¥Y叙 00050900M3/聞上手(きゝじやうず)の/二集(にしう)、/既(すでに)/成(なん)ぬ。/事(こと)は/前篇(ぜんへん)に/述(のべ)たり。/今将(いまはた)/何(なに)をかい 00050910M4はむ。/落咄(おとしばなし)は/滑稽(こつけい)に/起(おこ)り、/中頃(なかごろ)/流行(りうかう)(序ノ一オ)して/廃(すた)れ、 00050920M5/近世(きんせい)又/盛(さかん)也。/古風(こふう)の/話(はなし)は/迂遠(うゑん)にして/理(り)を/備(そな)へ、/近頃(ちかころ)は/洒= 00050930M6零過(しや=れすぎ)て/味(あぢ)なし。/仕形咄(しかたばなし)は/書事(かくこと)ならねば先ヅ/置(をき)ぬ。(序ノ一ウ) 00050940M7/当時(いま)の/咄(はなし)は、/只(たゞ)たわけの/阿堵(あな)を/尽(つく)すのミ。つまんて咄すは 00050950M8なしあり。/餘勢(よせい)をかりて/冱(さえ)を/採(とる)/噺(はなし)あり。/各(おの+)/咄人(はなして)の/功拙(こうせつ)に 00050960M9よれハ、(序二オ)/時(とき)の/出来(でき)不/出来(でき)は/予(われ)ハしらぬと、/東都(ゑど)の 00050970M10/真中(まんなか)にて、不知足散人自識 00050980M12△△△安永二歳 00050990M13△△△△弥生の日△△△△△△△GG 00051000M14△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序二ウ) 00051010¥P152 00051020¥N1¥J 00051030¥X○香炉 00051040L3きやしやでやい/寄合(よりあい)て、/香(かう)の/会(くわい)などゝしやれかけてたのし 00051050L4む所へ、さし出ものが来て、おミたちハ何をしていやると 00051060L5いへバ、ヲヽ/木市丈(ほくしてう)。よい所へ御出だ。けふハ/香(かう)の/会(くわい)(壱 00051070L6オ)じや。貴様も/連(れん)に成り給へとすゝむれバ、ソリヤ忝い 00051080L7が、おれハモウねつからしらないことだ。よしにしよう。 00051090L8Sイヤ、マアきいて見給へ。少シの内見てゐると、ついし 00051100L9れる物じや。サア+と、むりに座につけて(壱ウ)/置(を)ケバ、 00051110L10/木市(もくし)ハじろ+見てゐる。/連衆(れんしゆ)ハだん+きいてまわす。 00051120L11是ハ今のより少しあまいと云ながら、/次(つぎ)の人へ/渡(わた)せバ、イ 00051130L12ヤ+、是ハ/最前(さいぜん)のよりハからいといふて、扨/彼(かの)おとこへ 00051140L13/渡(わた)せバ、/木市(ぼくし)、手ニ取て(二オ)顔へよせると見へしが、/香= 00051150L14炉(かう=ろ)を取ツてなけ出し、ヱヽいま+しい。何のこつた。貴 00051160L15様たちが/甘(アマ)イの/辛(カラ)イのいつたから、大きに/舌(した)をやいた 00051170¥N2¥J 00051180¥X○八艘飛 00051190L18けふ浅くさで/絵間(ゑま)を見てきた(二ウ)が、よい/手際(てぎわ)なおし絵 00051200L19があるわい。したが、あのよし/経(つね)/八艘飛(はつそうとび)といふことハ、お 00051210L20れハもふ、つんと/解(げ)せぬ。義経がかるわざ/師(し)でハあるまい 00051220M1し、そふ/飛(とバ)れるものでハないといへバ、/老人(らうじん)聞て、イヤ 00051230M2+、それハ絵そらごと(三オ)といつて、/実(じつ)ハわけのある 00051240M3ことじや。貴様/達(たち)ハしらぬ/筈(はづ)。いふて/聞(きか)そふ。アノ八嶋の 00051250M4/舟軍(ふないくさ)の時、のり経殿ハ/剛勢(がうせい)な人で、義経を見ると、ぜひ/勝= 00051260M5負(せう=ぶ)をしそうにした。時に、よし経公ハけしきをしつて、よ 00051270M6そう(三ウ)とした。それをあわせて、八そふ飛といふたも 00051280M7のだ 00051290¥N3¥J 00051300¥X○ふたん猫 00051310M10おまへの/処(とこ)のねこが/子(こ)をうんだときゝやした。とふぞわつ 00051320M11ちにおくれねい。Sヲヽおむすのことなら、今持ッて(四 00051330M12オ)(四ウ・五オ挿絵)来てしんぜふと行£早く、ふところに入 00051340M13レて来て、サアあげふと取出せバ、娘、手に取て、これハ 00051350M14もし、あんまりきたねい。どふかきれいなをほしいものと 00051360M15いへバ、/折角(せつかく)持ッてきたに、マアそれを/飼(かい)なさい。/追(おつ)付ま 00051370M16た、(五ウ)よいねこをもらつてあげふから、それハふだん 00051380M17ねこにでもしな 00051390¥N4¥J 00051400¥X○/雇(やと)ひ 00051410M20おれき+の御祝義と見へて、/左右(さゆう)に/番(ばん)手桶をかざり、/棒= 00051420¥P153 00051430¥G(十一ウ・十二オ) 00051440M1突(ぼう=つき)の/足軽(あしがる)殿、/対(つい)のかんばんを(六オ)/着(き)て、しやち/張返(ばりかへ)つて 00051450M2ゐる。/通(とを)りのもの/立寄(たちよつ)て、もし+、御/婚礼(こんれい)でも御ざりま 00051460M3すかととへバ、其通りといふ。此御やしきから/外様(ほかさま)へ御出 00051470M4遊すのか、又外から御入りなさるゝのかととへバ、/棒突(ぼうつき)、 00051480M5しかな/皃(かを)にて、イヤ、(六ウ)其義ハ存せぬ 00051490¥N5¥J 00051500¥X○火いぢり 00051510M8よく火をいぢる人有り。/亭主(ていしゆ)/考(かんが)へて、/今度(こんど)からあの人がき 00051520M9たら、/火鉢(ひばち)に/火箸(ひばし)を付ずに出せと、言付て置キける。/或(ある)時、 00051530M10かの/客(きやく)(七オ)来りけれバ、女房/心得(こゝろゑ)て、火ばしをかくして、 00051540M11火鉢ばかりいたしけるニ、しバらく/咄(はな)す内に、此/客人(きやくじん)、火 00051550M12鉢を見つめて、口の内で何やらつぶやく故、/亭主(ていしゆ)、/耳(ミヽ)をす 00051560M13まして/聞(きく)に、此火をあちらへ、あの火をこ(七ウ)ちらへ 00051570¥N6¥J 00051580¥X○新躬 00051590M16あるもの、あらミの刀をとゝのへ、/友達(ともだち)をさそひ、/今夜(こんや)此 00051600M17刀をためして見やう。/皆(ミな)も/来(き)て見給へと、人ばなれな所へ 00051610M18出かけ、(八オ)とある/橋(はし)ぎわニて、ふしたる/非人(ひにん)を見付、 00051620M19月かげにすかして、よくふとつたやつ、サアあいつをきつ 00051630M20て見せうと、すらりとぬいて/丁(てう)ど切り付、かけぬけて/一所(いつしよ) 00051640¥P154 00051650¥G(四ウ・五オ) 00051660M1にかたまり、ナンノ、迯ずともよいに。そしてどふだ。(八 00051670M2ウ)切レたかといへバ、ヲヽ手ごたへして、/橋(はし)げたまで切 00051680M3付たといふ。サアそんなら/行(いつ)て見てこふと、引ッかへして 00051690M4/橋(はし)ぎわへ/帰(かへ)り、非人の/前後(せんご)に立まわれバ、非人ハむく+ 00051700M5と/起(おき)あがり、又ぶちに(九オ)うせたか 00051710¥N7¥J 00051720¥X○土器喰 00051730M8/或男(あるおとこ)、よくかわらけをくふさた有り。/近所(きんじよ)のもの共より合、 00051740M9ナント、今夜ハなぐさみに次郎を/呼(よん)で、/土器(かわらけ)をくわせて見 00051750M10よふじやないかといへバ、(九ウ)コリヤよからふと、次郎 00051760M11八を/招(まねき)て、かわらけをくわせて見るに、/殆(ほとんど)せんべいをくふ 00051770M12がことし。/各(おの+)/胆(きも)を/潰(つぶ)し、是ハ/頗(すこぶる)くひてじやと/感心(かんしん)すれバ、 00051780M13次郎八、/図(づ)にのつて、ナアニナア、こんなこつちやねい。 00051790M14おらが、サアくふと(十オ)いふ日にやア、ホンニ、/猿(さる)でも 00051800M15/西行(さいぎやう)でも 00051810¥N8¥J 00051820¥X○辻番菊 00051830M18/寄合(よりあい)/辻番(つじばん)のおやぢが/菊(きく)を/作(つく)り、/毎(まい)日手入レをして/楽(たのし)ミとす。 00051840M19ある時、わやくな子どもが/来(き)て、つぼミをむしつてとる。 00051850M20おやぢ見(十ウ)付て目をむきだし、きのふむしつたも、お 00051860¥P155 00051870L1どれか。扨も+わるいがきだ。/重(かさね)てむしると、其ぶんで 00051880L2ハおかぬぞ。コレ、此きくハな、おれが大てい/貴賎(きせん)くんじ 00051890L3ゆして作つたこつちやない(十一オ)(十一ウ・十二オ挿絵) 00051900¥N9¥J 00051910¥X○聞違 00051920L6門口から、おやぢさまハおやとにかと呼れハ、内儀が内か 00051930L7ら、けふハ王子様へまいりました。ハア、けふハ午かのと 00051940L8いへハ、Sイヱ、/駕篭(かご)てござります(十二ウ) 00051950¥N10¥J 00051960¥X○武勇 00051970L11/劔術師(けんじゆつのし)の所へ/皆(ミな)/寄(よつ)て、近頃此村はづれに/悪者(わるもの)が出て、/往来(おうらい) 00051980L12を/剥(はい)でとるよし、/専(もつぱ)らの/噂(うハさ)てござる。此間も、/去武士(さるぶし)がは 00051990L13がれましたと、たしかな咄シ。(十三オ)かの/追剥(おいはぎ)め、大て 00052000L14しやでござるげなといへバ、/先生(せんせい)聞て、それハ人の/説(せつ)で御 00052010L15座ろう。/誠(まこと)に居るにも/致(いた)せ、はがれたといふ/侍(さむらい)ハ、/腰(こし)ぬけ 00052020L16と申/者(もの)。今宵ハ拙者が参つて、ためして見ましやう。(十三 00052030L17ウ)/各(おの+)の内二三人一ツ所にござれと同道して、/彼(かの)うわさ 00052040L18の有ル/松原(まつバら)へ行キ、ミなハ/爰(こゝ)にまつてござれ。/拙(せつ)しや壱人 00052050L19参つて/見届(ミとゝけ)てきませうと、/勢(いきを)ひこんで/行(ゆき)しが、間もなくま 00052060L20つぱたかに成つて帰る。弟子共(十四オ)おどろき、先生、 00052070M1これハといへば、/師匠殿(しせうどの)、小ごゑに成り、まだ居たわい 00052080¥N11¥J 00052090¥X○/蛸(たこ)の夢 00052100M4これさ、めをさましやれ。コレサ+。Sムウウヽ、アイ 00052110M5+、めハさめました。アヽ(十四ウ)こわかつた△Sとふ 00052120M6だ。さつきからうなされたが、/夢(ゆめ)でも見たか△Sアイサ。 00052130M7かわつた夢を見ました。わしがからだが/蛸(たこ)に成つての、/真= 00052140M8那板(ま=ないた)の上へのせられ、すでに/包丁(ほうてう)で/切(き)らるゝ所。イヤハヤ、 00052150M9あんまりせつ(十五オ)なさに/呼(よばつ)たけれど、いつかうに、こ 00052160M10へが/出(で)ませなんだ△Sヲヽ、それハ/胸(むね)へ/足(あし)でもあげたらう 00052170¥N12¥J 00052180¥X○大国 00052190M13/唐詩(とうし)せんに/白髪(はくはつ)/三千丈(さんぜんじやう)とあるハ、かミの/毛(け)のことじやげな。 00052200M14(十五ウ)其やふにながい/髪(かミのけ)もあることかの。Sヲヽ成ほど、 00052210M15/唐(から)ハ/大国(たいこく)じやさかい、/千里(せんり)あるほうきもあるげな△Sそれ 00052220M16でも/三千丈(さんぜんじやう)の/髪(かミ)の/毛(け)とハ△Sハテ、/論語(ろんご)にも/鬢四間(びんしけん)といふ 00052230M17人がある(十六オ) 00052240¥N13¥J 00052250¥X○賀の祝 00052260M20八十の/賀(が)の/祝(いわ)ひによばれて、あやかり/鯛(たい)の/吸物(すいもの)でお/盃(さかづき)をい 00052270¥P156 00052280L1たゞき、/御(ご)てい/主(しゆ)さまの/御達者(おたつしや)でハ、百迄の/御寿命(ごしゆめう)ハたし 00052290L2かにお/受合(うけやい)申スといへバ、/亭主(ていしゆ)/色(いろ)をかへて、(十六ウ)それ 00052300L3ハむごい/御挨拶(ごあいさつ)。/賀(が)のいわひニ百までと/限(かぎ)つての御/祝(しゆく)しハ、 00052310L4/満足(まんぞく)に/存(そん)ぜずと、にがり/返(かへ)れバ、/客人(きやくじん)めいわくして、イヘ 00052320L5サ。わたしが申たハ、/四文銭(しもんぜに)でのことで御ざります 00052330¥N14¥J 00052340¥X○/庸医(やふいしやの)/匕(さじ)(十七オ) 00052350L8さるいしやの所へ/盗人(ぬすびと)忍び入り、たんすをかたげてでる所 00052360L9を、女房見付て、アレぬす人がと/夫(おつと)を/起(おこ)せバ、/医者坊(いしやぼう)おき 00052370L10上る。ぬす人ふり返り、手むかいするときり/殺(ころ)すがと、わ 00052380L11きざしをぬきかくれハ、てい(十七ウ)しゆ、/薬箱(くすりばこ)より/匕(さじ)を 00052390L12/取(とり)いだし、これでもかとひらめかして見せれバ、ぬす人、 00052400L13これハならぬと、たんすをすてゝ/迯(にげ)さりけり。女房/我(が)をお 00052410L14り、どふしたことじやと、/夫(おつと)にとへバ、サレバコソ、此/匕(さじ) 00052420L15でいくらか人を(十八オ) 00052430¥N15¥J 00052440¥X○猫も杓子 00052450L18どふだ。/勘弥(かんや)の/芝居(しバい)を見たか。何ンだ。まだいかぬか。/去= 00052460L19年(きよ=ねん)からきついあたりで、ねこもしやくしもいかぬものハな 00052470L20いといへバ、ナアニ、ばかをいへ。/猫(ねこ)ハ/足(あし)があるから/行(いき)も 00052480M1(十八ウ)しよふが、/杓子(しやくし)がどふしていかるゝものだ。Sハ 00052490M2テ、杓子も/弁当(べんとう)に/付(つい)てゆくわい 00052500¥N16¥J 00052510¥X○文字 00052520M5/金(かね)といふ/字(じ)ハよくこしらへたもんだ。人の/主(ぬし)と書ます。/成= 00052530M6程(なる=ほと)(十九オ)金ハ人の主にちがいハないといへバ、/側(ソバ)の人が、 00052540M7それでも、/真(しん)でハ人のぬしとハかゝぬぞや。Sハテ扨、/死(しん) 00052550M8でハいらぬものじや 00052560¥N17¥J 00052570¥X○/雷(かミなり) 00052580M11/真黒(まつくろ)に成ると、ぱち+ピシヤリ(十九ウ)とおつる。こわ 00052590M12いものハ見たくて、そつと/障子(しやうじ)を/明(あけ)て見れば、/雷(かミなり)どのが/手= 00052600M13水鉢(てう=ずばち)で手を/洗(あら)つてゐる。モシ、おまへハ何を被成ますとい 00052610M14へバ、Sヲイ。あそこで今へそをつかミそこなつた△Sヱ 00052620M15ヽきたない(二十オ) 00052630¥N18¥J 00052640¥X○/染(そめ)の介 00052650M18/小紋(こもん)の/頭巾(つきん)に江戸ざらさの/羽織(はをり)、/小(こ)そでハとび/茶(ちや)、/帯(おび)ハ花 00052660M19いろ、/細(ほそ)ミのわきざしをむな/高(だか)にさいて/出(で)かける/向(むか)ふへ、/友(とも) 00052670M20だちが/来(き)て、貴様ハはでな(二十ウ)/表具(ひようぐ)でどこへいき給ふ。 00052680¥P157 00052690L1きまりの/御筋(おんすじ)か。Sヲヽさ。/松葉(まつは)屋の/染(そめ)が/処(とこ)へ△S此みす 00052700L2がたハ△Sされバ、もふ/黒(くろ)もふるし。いきな事もしつくし 00052710L3たによつて、思ひ付でこふでたが、マアどふだろう△Sウ 00052720L4ヽおのしが/染(そめ)と(廿一オ)いふ/気取(きとり)と見へた。とんだ/洒落(しやれ)を 00052730L5するやつさ。したが/能(よ)ク/案(あん)じた。遊ぶものハそふだ+。 00052740L6おらも、めへかた/信濃(しなの)屋の/信(しな)の/路(ぢ)を/買(かつ)たときにハ、うちか 00052750L7ら/食(めし)をくわずにいつた(廿一ウ) 00052760¥N19¥J 00052770¥X○小鼓 00052780L10あの/音(おと)ハたれじやへ。アレカ。あれハとなりのむす子の小 00052790L11つゞミのけいこさ。Sハテの。久しく小つゝみを習うてご 00052800L12ざる。もふ大つゞみに成そうなものだ(廿二オ) 00052810¥N20¥J 00052820¥X○其二 00052830L15これもさる処の/辻番(つじばん)のことさ。やろうが来て、辻番のわき 00052840L16へ/小便(しやうべん)をしける。辻番のおやぢ、此/音(おと)をきくより/棒(ぼう)をさげ 00052850L17て、コリヤおのれ、にくいやつ。そこハ小便する(廿二ウ) 00052860L18所でハないと、目のてるほどしかられて、ハイ、これハ/麁= 00052870L19相(そ=さう)いたしました。御/免(めん)なされ。私も/随分(ずいぶん)気を付ケましたが、 00052880L20コレ、是を御らうじませ。こゝに小便をした跡がござりま 00052890M1すから、つゐ、わたしもいたしました(廿三オ)といへバ、 00052900M2/馬鹿(バカツ)つらめ。それハたつた今しかつた/跡(あと)だ 00052910¥N21¥J 00052920¥X○鳶先生 00052930M5きをい/組(くミ)ふたりづれて遊びに出けるが、コレ八や。ちつと 00052940M6まつてくれろ。おらハこゝの/旦那(だんな)衆から、ゑゝ物を(廿三 00052950M7ウ)/貰(もら)つたから、ちよつと礼と礼によらずバなるまいと、 00052960M8八をかど口にまたせ置キ、内へはいつて、ハイ、/権(ごん)でござ 00052970M9りやす。きのふハお/忝(かたじけな)ふございやす。御礼にまいりやし 00052980M10た。アイ、おかミさんへも/宜(よろし)うと言すてゝ門へでれバ、 00052990M11(廿四オ)Sコレ/権(ごん)や。今/聞(きい)てゐるに、おのしやアマア、 00053000M12物のいゝやふもしらねいの△Sナゼそふいふ△Sハテ、旦 00053010M13那衆へ、きのふ/抔(など)トいふハ、/横平(をうへい)だによ。/重(かさね)てもあるもん 00053020M14だ。きのふといふことを、いんぎんにいわふならバ/昨日(さくじつ)と 00053030M15さ。まつと(廿四ウ)いんぎんな所でハ、/一昨日(いつさくじつ)ハ有がたふ 00053040M16ござりますと 00053050¥N22¥J 00053060¥X○己惚 00053070M19わかい衆、大勢より合て夜/噺(ばなし)。サア、こんやハ/蕎麦(そば)切にし 00053080M20よふじやあるまいか。ヲヽそれハよかろ。(廿五オ)何でも 00053090¥P158 00053100L1そばをおごるなら、こん夜ハ此内での色おとこに/買(かわ)せふで 00053110L2ハないかといへバ、うぬぼれめが頭をたゝひて、これハめ 00053120L3いわく 00053130¥N23¥J 00053140¥X○座頭 00053150L6町中にて、座頭の/坊(ぼん)と/釜払(かまはらい)、(廿五ウ)ばつたり行あたり、 00053160L7/釜(かま)はらひの/袂(たもと)で、すゞか、がら+となりけれバ、座頭お 00053170L8どろき、手をあげて、ドウ+ 00053180¥N24¥J 00053190¥X○反魂香 00053200L11五月雨に/軒(のき)の/雫(しづく)のいと/淋(さミ)しき(廿六オ)夕べ、/舟宿(ふなやど)からの/届= 00053210L12文(とゞけ=ふミ)。/封(ふう)じめ切ツて見れバ、お定まりの参候に、やく/束(そく)の/起= 00053220L13請(き=せう)をまき込ミ、/嬉(うれ)しがる事のかぎりをのべ、/下(しも)の/章(せう)ニハ、 00053230L14/過(すぎ)し/節(せつ)句のほとをり、是ほど/斗(ばかり)との無心文。ヱヽこいつ、 00053240L15まずい(廿六ウ)やつだ。金のことをいふてよこす、おくす 00053250L16りに/起(き)請とハあんまりな/三井(ミつい)だと、/腹立(はらたち)まぎれに、かの/起= 00053260L17請(き=せう)を/火鉢(ひばち)へくべて、/一(いつ)へんのけふりの/中(うち)£、あらふしぎや、 00053270L18おてきのすがた、/忽然(こつぜん)とせり上にて/顕(あらハれ)(廿七オ)/出(いで)、/火鉢(ひばち)を 00053280L19はなるゝと、男のむねへしがミ付、ヱヽぬしさんハ+、 00053290L20わしが心を/尽(つく)したかいもない。なぜに/起請(きせう)をやかせんした。 00053300M1きこへぬしかたと、くぜつの/仕内(しうち)。Sヤイ、おいてくれや。 00053310M2てまへのなミだ、/久(ひさ)しい物サ。(廿七ウ)/先度(せんど)の/気(き)じやもの、 00053320M3やかいでどふしやう、もへいでどふしやう、/金(かね)がほしさの 00053330M4かけ文。おらハくふもんでハない。ふさ+しい、そんな 00053340M5しかけハマア、われらへハ/沖(をき)の/石(いし)+△Sナニ、ソリヤぬ 00053350M6しの/廻(まわ)り/気(き)。そんなりや今迄(廿八オ)いふたこともミなう 00053360M7そに思んすか。ヱヽ心づよいと、しやくりあげてなき/居(い)し 00053370M8が、さりとてハ/水(ミづ)くさい。もふ+ぬしの心も見へんした。 00053380M9わつちやもふいきんすと、ずんど立を引キとゞめ、Sコレ、 00053390M10まつてくれや。いふ(廿八ウ)ことがあると、/袂(たもと)にすがれバ、 00053400M11Sイヱ+、はなしなんし△Sハテ、ちよつと/聞(きい)てくれ△ 00053410M12Sヱヽしつこい。わたしや此/序(ついで)ニ、まだ/外(ほか)へ/出(で)る/所(とこ)があり 00053420M13んす 00053430¥N25¥J 00053440¥X○夜噺 00053450M16そんならもふ、おいとま。Sハテ、まつと(廿九オ)咄てお 00053460M17いで△Sイヱ+、夜が/更(ふけ)た。もふ四つに成ませふ△Sナ 00053470M18アニ、まだ四つに成るものだ。もふ一ぷく/袖引(そでひき)に△Sイヱ 00053480M19+、それでもあれ、/拍子木(ひやうしき)がアレアレアレSアレ 00053490¥P159 00053500¥N26¥J 00053510¥X○山升(廿九ウ) 00053520L3八百屋の/店(ミせ)にある/山枡(さんせう)をつまみて口に入レ、がり+とか 00053530L4んで、ホヽフ、こりやよい山升じや。ごうぎにからい。こ 00053540L5れハならぬ。/茶(ちや)一つおくれといふ内に、むかふの/家(いへ)て、何 00053550L6か大きニさわぐ。何ことじやと聞ケバ、おやぢ殿が(三十 00053560L7オ)今二/階(かい)から/落(おち)られたといふ。ホイ、そりや見廻つてこ 00053570L8ずハなるまいと、すぐにかけゆき、ほうをすぼめて、スウ 00053580L9+いゝながら、おやぢ様ハどふなされたととへバ、Sハ 00053590L10イ、今二/階(かい)から/落(おち)まして、大けがをいたしました(三十ウ) 00053600L11Sヤレそれハ、スウ+、ホウ、ゑゝきミだ 00053610¥N27¥J 00053620¥X○音の字 00053630L14おらがむすこめが、/四角(しかく)な/字(じ)/斗(ばかり)ならふてゐるが、/医者(いしや)にハ 00053640L15成まいし、おらが/商買(せうばい)でハいらざることさ。其せうこにハ、 00053650L16/観音(かんのん)の/音(のん)の(三十一オ)/字(じ)などハ、/草(そう)でかけバ七百じやニ、 00053660L17/真(しん)てかけバ、けつく、六百ニ成ル 00053670¥N28¥J 00053680¥X○/鳶(とび)と/烏(からす) 00053690L20とんび、/油揚(あぶらげ)をつかんで来てしてやる。/烏(からす)、これを見て、 00053700M1アヽ貴様ほどにもない。あふらげを(三十一ウ)/半分(はんふん)に/引(ひつ)き 00053710M2つてきたな。Sヲヽ取そこなつた。/今度(こんど)ハなんぞ、大きな 00053720M3物をして来て、おミニもふるまハふ△Sイヤ、人の/持(もつ)てゐ 00053730M4るのハ取にくかろといふ所へ、/奴(やつこ)がひらめをさげてくる。 00053740M5/鳶(とひ)見付て(三十二オ)サアよい物がきた。あれを取ツて見せ 00053750M6ふ△Sヲヽ手ぎわにとつて見せ給へ。/合点(がてん)がいかぬぞや△ 00053760M7Sイヽヤ、こんどハ思ひ付があると、/奴(やつこ)の/鼻(はな)の先キへまひ 00053770M8/下(さが)り、さかな/持(も)つたるうで/首(くび)へ、したゝかに/喰(くい)付ケハ、/奴(やつこ) 00053780M9(三十二ウ)おどろひて、持ツたる/魚(うを)を取り落ス。とんびハ 00053790M10すかさず、ひらめを引ツさらひ、/虚空(こくふ)をさしてまひあがる。 00053800M11/奴(やつこ)ハきつとそらをにらんで、あきれてゐる。/屋根(やね)の/上(うへ)から 00053810M12/烏(からす)が見て、ガヲレ+(三十三オ) 00053820¥N29¥J 00053830¥X○無宿の帳 00053840M15/途中(とちう)にて帳面を/拾(ひろ)ひ、/上書(うハがき)を見れバ、/行倒(いきたを)れ/之(の)/覚(おぼへ)と/書(かい)て、 00053850M16わきに/病人(ひやうにん)/無宿(むしゆく)としるしたり。是ハ/珍(めづ)らしいと、あけて見 00053860M17れバ、(三十三ウ) 00053870M18△一△何ン月何ツ日△/中橋(なかはし)へたをれ候節 00053880M19△△△△△ひやめし△八はい 00053890M20△△△△△/古(ふる)ぬのこ△壱つ 00053900¥P160 00053910L1△一△何ン月いつ日△/糀丁(かうじまち)へたをれ候節(三十四オ) 00053920L2△△△△△やきめし△七つ 00053930L3△△△△△/銭(ぜに)△弐百文 00053940L4△一△何ン月何ツ日△/青山(あをやま)ニて/倒(たを)れ候節 00053950L5△△△△△/灸斗(きうばかり) 00053960¥N30¥J 00053970¥X○幽霊の切(三十四ウ) 00053980L8中てうのなじミがしんでから、どこへいつ/で((ママ))も/面白(おもしろ)くない。 00053990L9アヽゑい/女郎(ちよらう)であつたにナア。けふハしかも/忌(き)日にあたる。 00054000L10かたミ/社(こそ)今ハあだなれと、/火鉢(ひはち)/引寄(ひきよせ)、有りし文ども打くべ 00054010L11て、/胸(むね)の(三十五オ)けふりと立のぼる。なかよりいづるね 00054020L12まきすがた、/夢(ゆめ)か/現(うつゝ)かまぼろしか、なふなつかしやとすが 00054030L13り/寄(より)、つもることのは/語(かた)りあひ、久しぶりじやにと、/屏風(べうぶ) 00054040L14を/引(ひか)んとする/処(ところ)へ、からかミ明ケて、(三十五ウ)/角(つの)のある 00054050L15やつが、アイ、お/迎(むかい)でござります 00054060¥N31¥J 00054070¥X○世話好 00054080L18何事に付ても/世話(せわ)やき/好(ずき)な手代あり。/実(じつ)なやつとハ思ひな 00054090L19がら、やくにもたゝぬ/世話(せわ)にかゝり、みせのこともそこ 00054100L20+ニする(三十六オ)ゆへ、/旦那(たんな)よび付ケて大キにしかり、 00054110M1/急度(きつと)やめにせよと云付けれバ、手代もあやまり、わるい/癖(くせ) 00054120M2でござります。/向後(けふこう)たしなミませうといひしが、又此頃ハ 00054130M3何にかゝつたやら、/万事(ばんじ)打/捨(すて)て、(三十六ウ)うらの物置へ 00054140M4度&通ふ。旦那、/跡(あと)からつけ行キて見れバ、/桶(おけ)の中へへび 00054150M5を/壱疋(いつひキ)/飼置(かいおき)けり。それハマア、何にするぞと/尋(たづね)れバ、Sハ 00054160M6イ。これハ此間、町内にまよふておりましたを、子共がよ 00054170M7つて(三十七オ)いぢります故、あまりむごいことじやとそ 00054180M8んじて/養(やしな)ふて置ました。どふぞ、こいつをうわばミにいた 00054190M9して、わたしが/在所(ざいしよ)の池のぬしにでも、いたしてやりとふ 00054200M10ござります(三十七ウ) 00054210¥N32¥J 00054220¥X○猩& 00054230M13/或人(あるひと)、/長崎(なかさき)より/帰(かへ)りけれバ、見廻にゆきて、/嘸(さぞ)/珍(めづ)らしい事 00054240M14ども見たで有ふと/尋(たづぬ)れハ、イヤ、何もさしたることもない 00054250M15が、/生(いき)た/猩&(せう+)を見て来ました。とんと、/絵(ゑ)に(三十八オ)/書(かい) 00054260M16た通りさ。/舟(ふね)に/乗(のつ)て五人来ました。よく酒をのむものさ。 00054270M17Sホウ、それハよい物を見さしやつた。シテ、夫にハ名で 00054280M18もあるかの△Sヲ、サ。ミんな名がある。まづ天せう※、 00054290M19/地(ぢ)せう※、/内外(ないげ)せう※、/六(ろつ)こん(三十八ウ)せう※と 00054300M20いひました△Sフウ、そしてもふひとりハな△Sアヽソレ 00054310¥P161 00054320L1ハ、ヲヽそれよ、かんせう※ 00054330¥N33¥J 00054340¥X○/綿(わた)くづ 00054350L4/小僧(こそう)が、もし旦那様へ。おまへの/肩(かた)に、しらミがおります 00054360L5と、つま(三十九オ)みてとれバ、Sコリヤばかつつらめ。 00054370L6そんな事を、大きなこへでいふものじやないとしかれバ、 00054380L7小僧、こゑをひくゝして、ハイ、これハ/綿屑(わたくづ)でござりました 00054390¥N34¥J 00054400¥X○又(三十九ウ) 00054410L10旦那が/碁会(このくわい)にいつていらるゝ所へ、/小僧(こぞう)/迎(むか)ひに来て、もし 00054420L11旦那さまへ。/茶(ちや)がゆが/出来(でき)ました。御/帰(かへ)り被成ませといゝ 00054430L12ければ、旦那、内へ帰り+、小僧をしたゝかしかり、/大= 00054440L13勢(おふ=ぜい)人のゐる所で、茶(四十オ)がゆとぬかして、おれに恥を 00054450L14かゝせおつた。/女房(かゝあ)も女房だ。只夜食ができたといふてよ 00054460L15こせバよいにといへバ、/女房(かゝあ)きいて、わしもそふ言ヒ付て 00054470L16やつたものと、小僧がしくじりに成つてしまひぬ。(四十ウ) 00054480L17又二三日/過(すぎ)て、/碁会(ごくわい)にいかれけれバ、/夜食(やしよく)/時分(しぶん)に小僧が/迎(むかい) 00054490L18ニ来て、もし、旦那様。御夜食ができました。御帰り被成 00054500L19ませといへども、旦那ハ/碁(ご)に打かゝつて、/一心不乱(いつしんふらん)にわき 00054510L20めもふらず。(四十一オ)小僧そばへよりて、もしだんなへ。 00054520M1おやしよくがようござりますと/度(たび)&いへバ、旦那、大きな 00054530M2こへで、ハテやかましい。今/帰(かへ)つてすゝろう 00054540¥N35¥J 00054550¥X○/瓦(かわら)けむ 00054560M5両国橋の上を、はでな女中が(四十一ウ)とふる。ミな/立(たち)と 00054570M6まつて/見送(ミおく)り、アレハやしきであろう。イヤ、/町(まち)であろう 00054580M7と、とり+/評判(へうばん)する/処(ところ)へ、/番人(ばんにん)が来て、イヤ、アレハ/瓦(かわら) 00054590M8けむじや 00054600¥N36¥J 00054610¥X○柏もち(四十二オ) 00054620M11とつさまハ内にか。Sアイ、とつさんハ今、かしわ/餅(もち)に成 00054630M12ツて/寐(ね)てさ△Sヲヽそんなりや、さすりおこしや 00054640¥N37¥J 00054650¥X○はなし 00054660M15おれも一つはなそふか。さる/者(もの)が/目黒(めぐろ)の/蛸(たこ)やくしの/茶(ちや)屋で、 00054670M16(四十二ウ)酒をのむとての、/肴(さかな)ハ/何(なに)があるときひたれバ、 00054680M17/酢(す)だこ様が/御座(ござ)りますといふた。/時(とき)にかの/客(きやく)が、フウ、す 00054690M18だこハきこへたが、/蛸(たこ)様とハいんぎんじやといふ。されバ、 00054700M19こゝ/元(もと)にハ/薬師(やくし)様が(四十三オ)ござりますれバ、たこ様 00054710M20+と/様付(さまづけ)に申ますといふ。/客(きやく)、/是(これ)をきいて、いかさまな 00054720¥P162 00054730L1といふたれバ、Sヲツトまつたり。其/跡(あと)ハ、いへ+、い 00054740L2かにハ、さまハ付ケませぬといふで/有(あ)ろう。其咄シハふる 00054750L3い+と/打込(うちこ)メバ、(四十三ウ)/咄人(はなして)は/腹(はら)をたて、人の咄シの 00054760L4/腰(こし)をおる人じや。そんなぐちなことでハない。よいおとし 00054770L5じやけれど、もふ咄すまいとすねれば、Sコレハあやまつ 00054780L6た。サア今の/跡(あと)をきゝたい。はなし給へ△Sイヤモウ、(四 00054790L7十四オ)/腰(こし)がおれてハはなされぬ。おしい咄じや物といへバ、 00054800L8/側(そバ)からひとりが、そんならもふ、あの人にハいわずと、お 00054810L9らに/斗(ばかり)はなし給へ。そふしてどふしましたといへば、かの 00054820L10おとこ、/耳(ミヽ)へ口を付ケて、/黙(だまつ)て(四十四ウ)/居(い)な。今の/跡(あと)ハ、 00054830L11あいつがいつた通りだ 00054840¥N38¥J 00054850¥X○七つめ 00054860L14ある男、/友達(ともだち)の/処(ところ)へ行キしに、それハよく/猿(さる)に/似(に)た/悪女(あくぢよ)が 00054870L15いる故、コレ、あの女ハ見せものニでもだすつもりかとと 00054880L16へバ、Sイヤ、アレハ(四十五オ)おれがてかけじやといふ。 00054890L17サテモこなたハ/外聞(くわいぶん)のわるい。あんな/猿(さる)を/置(をく)ことが有るも 00054900L18のか。早く/出(だ)して/仕廻(しま)やれといへバ、サア/猿(さる)じやによつて 00054910L19/置(をく)のじや。Sソレハ何ンのことじや。早く/追出(おいだ)して/能(よい)のを 00054920L20(四十五ウ)おきやれさ。/亭主(ていしゆ)かぶりを/振(ふつ)て、どふも出され 00054930M1ぬことがある。Sソリヤナゼニ△Sサレバ、おれが/寅(とら)のと 00054940M2しだから 00054950¥N39¥J 00054960¥X○げた組 00054970M5これかミさん。わつちやけふ、御大名の御こん礼を見てき 00054980M6やした。(四十六オ)アヽとんだこつた。マアきゝねい。お 00054990M7かごなんざ、べちやアねい。いつそ/印籠(いんろう)のやうだ。そして 00055000M8の、/御長刀(おなぎなた)のかなものなぞが、みんな/銀(ぎん)ながしさ 00055010¥N40¥J 00055020¥X○/代脉(△△(ママ)#だいまやく)(四十六ウ) 00055030M11さるはやり/医者(いしや)の所へ、/夜更(よふけ)て、わきから/病用(ひやうよう)がいふてく 00055040M12る。/追付(おしつけ)/是(これ)からと/使(つかい)を/返(かへ)し、こん/夜(や)ハ雨ハふる、いかふさ 00055050M13むい。おれハ/不快(ふくわい)じやといふて、こなた、/名代(めうだい)にいつてく 00055060M14りやれと、/内弟子(うちでし)を(四十七オ)/駕籠(かご)にのせてやる。ねむけ 00055070M15れど/師匠(しせう)の/言付(いゝつけ)、ぜひなくかごにのりて、ふら+ねむり 00055080M16ながらいく。/病家(びやうか)の/門口(かどぐち)にかごをおろして、かご/舁(かき)が、頼 00055090M17ミませう+といへバ、/彼弟子(かのでし)、ふつと/目(め)をさまし、かご 00055100M18の内から、ドウレ(四十七ウ) 00055110¥N41¥J 00055120¥X○/熊革(くまのかハ) 00055130¥P163 00055140L1大きに御ぶさた/致(いた)しました。/皆(ミな)様/御替(おかわ)りも御座りませぬか。 00055150L2Sヲヽ御出か。サアたばこでもあがれ△Sそんなら、一ぷ 00055160L3くいたしませふ。ハアわすれました。一ぷく下さりませ 00055170L4(四十八オ)Sホイ、ちつときつからふがと、/毛皮(けがわ)のたばこ 00055180L5入をさしいたせバ、Sコレハ/熊(くま)の/皮(かわ)じやの。さてもよいと 00055190L6/手(て)でひねつて見て、イヤほんに、/妻(さい)もよろしうと申ました 00055200¥N42¥J 00055210¥X○ほうろく(四十八ウ) 00055220L9ほうろくや+。すミけしや/雛(ひな)のへつつい。/有(あ)る/家(いへ)からか 00055230L10ミ様が出て、これ+、ほうろく見せさつしやい。いくら 00055240L11じやへ。アイ、/是壱枚(これいちまいで)しまいで、拾六文で/御(ご)ざいます。 00055250L12Sヲヽあの人。しまいなら十文ニさつしやい。(四十九オ)イ 00055260L13ヱ、かけ/直(ね)ハなしと/荷(に)へ/仕廻(しまい)、かついて二三軒ゆくと、か 00055270L14のほうろくすべり/落(をち)て、みぢんに成ル。かミ様が見てゐて、 00055280L15ヲ、しやわせ。よくぞかわなんだ 00055290¥N43¥J 00055300¥Xはやり医(四十九ウ) 00055310L18さる所に/名医(めいい)あり。いきやくしともてはやして、/駕籠(かご)ニ/乗(のつ) 00055320L19テ/飛(とび)あるく。/夜(よる)ハ/五度(ごと)/六度(ろくど)つゝ/迎(むかい)が/来(き)て、つれて/行(いく)。/朝(あさ)も 00055330L20七ツ/時分(じぶん)から/起(をき)ねハ/調合(てうがふ)の/間(ま)があわず。此やふにいそがし 00055340M1くてハ(五十オ)つゞかぬ。どうぞはやりやむ/工夫(くふう)もがなと 00055350M2/色&(いろ+)あんじて、ふけいきに見せんと、/先(ま)つかごをやめて、 00055360M3かちであるく。それでもはやる。これでハいかぬと、/供(とも)を 00055370M4へらして/一僕(いちぼく)つれてあるく。それでもはやる。(五十ウ)/後(のち) 00055380M5にハ/供(とも)をもやめて、身の/廻(まわ)り見ぐるしく見せて、只ひとり 00055390M6あるく。それでもはやる。どふしてもかふしてもはやる故、 00055400M7イヤハヤ、これでハならぬと、とふ+/欠落(かけおち) 00055410¥N44¥J 00055420¥X○黒人(五十一オ)(五十一ウ・五十二オ挿絵) 00055430M10/柔術(やわら)の/指南所(しなんどころ)でけいこ/最中(さいちう)。ヤレ、となり町でけんくわが 00055440M11あるとさわぐ。/師匠殿(しせうどの)、おつ/取刀(とりがたな)ニてかけ行キ、しバらく 00055450M12有ツて/眉間(ミけん)に大/疵(きず)を/受(うけ)てかへる。/弟子(でし)ども、是ハ先生。ど 00055460M13ふなされしととへバ、サレバ、(五十二ウ)/大工童(たいくわら)と/酒屋(さかや)の 00055470M14御用との/喧嘩(けんくハ)でござつた。あつかいにかゝつて見ましたが、 00055480M15きゝわけぬゆへ、さらバしめてやらふと存たに、つい、こ 00055490M16のやふにぶたれました。Sコレハしたり。先生のお/詞(ことバ)とも 00055500M17存ぜぬ。/武士(ぶし)と(五十三オ)/武士(ぶしと)の御立合ならバまだしも、 00055510M18大工わらにとハ/余(あんま)りしいといへバ、先生/真皃(まがを)に成つて、サ 00055520M19アそこが、さきが/素人(しろうと)だ 00055530¥P164 00055540¥G(五十一ウ・五十二オ) 00055550¥N45¥J 00055560¥X○/亭主(ていし) 00055570M3/小道具屋(こどうぐや)の/廛(ミせ)へお/侍(さむらい)が/来(き)て、(五十三ウ)コリヤ、此/徳利(とくり)ハい 00055580M4くらじや。Sハイ、それハ/本備前(ほんびぜん)でござります。五百文に 00055590M5して上ゲませう△Sソレハ高い。ずつとまけてくりやれ△ 00055600M6Sイヱ、もうひけハござりませぬ△Sフウ、てい/主(しゆ)ハるす 00055610M7か。内にならまけてくれふニ、(五十四オ)てまへでハらち 00055620M8があくまいといへバ、Sハイ、イヤ私がすぐにてい主でご 00055630M9ざります。其様にかけ/直(ね)ハござりませぬ△Sナニ、うそを 00055640M10いへ。こゝのてい主でハ有まい。せんど見た時、弐百にう 00055650M11ろふといふたもの。そちハてい主でハ有ル(五十四ウ)まい 00055660M12がのといへバ、Sイヱ+、てい主に/違(ちが)イござりませぬ△ 00055670M13Sイヤ+、てい主でハあるまい+といふにぞ、/亭主(ていしゆ)/赤= 00055680M14面(せき=めん)して大きにせき、かの/徳利(とくり)を/庭(にわ)へ打付ケ、みぢんになし 00055690M15て、サア何と、これでも/亭主(ていしゆ)でござ(五十五オ)るまいか 00055700¥N46¥J 00055710¥X○見立 00055720M18/難経(なんきやう)の/講釈(かうしやく)はてゝ、たばこ/盆(ぼん)ニかゝる所に、先生のいわる 00055730M19ゝにハ、アレ、今/表(おもて)で小便の/音(おと)がする。/弟子共(でしども)、あの/病= 00055740M20症(ひよう=せう)を/知(し)つたか。Sハイと、弟子共(五十五ウ)/耳(ミヽ)をそばだて 00055750¥P165 00055760L1ゝきゝ取、あの小便の/音(おと)ハ/全(まつた)く/痳病(りんひよう)か/消渇(せうかち)の内と/考(かんが)へまし 00055770L2た。先生、かぶりをふり、いや+そふでハない。アレハ 00055780L3/腹(はら)ニへをもつたものだ(五十六オ) 00055790¥N47¥J 00055800¥X○早咲 00055810L6お大名のお通りと聞て、/宿(しゆく)の/茶屋(ちやや)にて早ざきの/水仙(すいせん)を/鉢(はち)う 00055820L7へにして、何でもめづら/いし((ママ))/気(き)で、みせに/出(だ)して/置(をき)けれ共、 00055830L8たれも見るものなく、やう+/跡(アト)£(五十六ウ)来りし/鑓持(やりもち) 00055840L9がひとり、/茶(ちや)屋の/店(ミせ)に立より、つく+とながめ/居(い)たり。 00055850L10/亭主(ていしゆ)悦び、扨+/是程(これほど)のお通りの内、此花にめもつかずに 00055860L11通らしやるといふハ、/餘(あんま)りしい/衆(しう)じや。貴様ハかるい人な 00055870L12れども、さりとハおくゆか(五十七オ)しい心有る人じや。 00055880L13御/頼(たの)もしいといへバ、やり/持(もち)いふ様、成ほど、わしも此/海= 00055890L14道(かい=どう)をいく/度(たび)も通るが、ねぶかに花のさいたは/初(はじめ)て見た 00055900¥N48¥J 00055910¥X○本/粋(すい) 00055920L17/粋自慢(すいじまん)のものあり。ある人、/心見(こゝろミ)ニ(五十七ウ)すへためし 00055930L18をふるまいければ、しらぬ/顔(かほ)でしてやる故、もし、/食(めし)の/塩= 00055940L19梅(あん=ばい)ハどふでござりますと/問(と)ふて見れバ、/彼(かの)おとこ、されバ、 00055950L20此めしなどハ/野暮(やぼ)にくわせたら、すへたといふであろう 00055960M1(五十八オ) 00055970¥N49¥J 00055980¥X○大下戸 00055990M4酒屋の前を/通(とを)つても、むか+してくるやふな大の/下戸(げこ)あ 00056000M5り。つら+思ふに、おらほどの/下戸(げこ)も又と有まいとおも 00056010M6ふていたるに、上方から此頃、/隣町(となりてう)へ/越(こ)して(五十八ウ)/来(き) 00056020M7た/大下戸(だいげこ)があるときひて、それハどれほどの/下戸(げこ)だやら、 00056030M8/行(いつ)てくらべて/来(こ)ふと、/彼上方(かのかミがた)/下戸(げこ)の所へ/尋(たづね)て行、私ハ江戸 00056040M9の下戸でござるが、おまへの御/噂(うわさ)承り及ンで参つたとい 00056050M10へバ、コレハよふこそ御出。(五十九オ)おまへのことも聞 00056060M11ておりました。そふしておまへの下戸ハ、どの/位(くらい)てござる。 00056070M12Sサレバ、まあ聞て下され。先日も/樽(たる)ぬきの/柿(かき)を/給(たべ)て、ぼ 00056080M13うだらに成り、私ハ/覚(おぼ)へませぬが、すつパぬきなどいたし 00056090M14たげにござります。(五十九ウ)さめてから承り、/面目(めんぼく)を/失(うしな) 00056100M15ひました。マア此くらゐの/義(ぎ)でござりますと咄す内より、 00056110M16てい主の/顔(かほ)が/真赤(まつか)に 00056120¥N50¥J 00056130¥X○/謎(なぞ) 00056140M19なぞをかけ様。目が弐つあつて/足(あし)が四本、/鼻(はな)ハずつと長く 00056150M20毛の(六十オ)はへた物で、白イ物ハナアニ。Sそれハ/象(ぞう)で 00056160¥P166 00056170L1ハないか△Sヲヽよふといた。もふ一つかけ様。こんどハ 00056180L2/目玉(めたま)が九つ、/鼻(はな)が七十八、/耳(みゝ)が三千二百十六、/足(あし)が六百七 00056190L3十九本有ツて、色ハ/白(しろ)い/様(やふ)で/黒(くろ)く、/赤(あかい)イ/様(やふ)で/黄(きいろ)な、/毛(け)のな 00056200L4がく(六十ウ)はへた物ナアニ△Sフウ、それハむつかしい。 00056210L5何であらうぞ。三才/図(づ)にも/山海経(せんかいけう)にも、そんなものハなか 00056220L6つた。これハしれぬ。あげた+△Sハテぶきやうな。つ 00056230L7いしれる物さ△Sハテナ、どふ/考(かんが)へてもしれぬ。マア何で 00056240L8ござるととへば、(六十一オ)/化物(ばけもの)さ+ 00056250¥N51¥J 00056260¥X○いもや 00056270L11いもうりを呼ンて、ホウよい/芋(いも)だ。壱升いくらだ。Sアイ、 00056280L12二十四文でござります。十八文にさつしやい。/口明(くちあけ)じや。 00056290L13まけてあげふといふ所へ、(六十一ウ)となりからも出てき 00056300L14て、いくらにめしましたといゝながら、へをポンとひれバ、 00056310L15いもうりが、モシ、これ旦那。あきないの/邪魔(じやま)を被成ます 00056320L16な 00056330¥N52¥J 00056340¥X○おならの伝 00056350L19/禿(かぶろ)が客の前でおならをして、(六十二オ)わらわれける。姉女 00056360L20郎、ひそかに新/造(ぞう)を/部(へ)屋へまねき、禿衆ハまだよいが、こ 00056370M1なさん/達(たち)ハ大事のことだ。たしなんだがよいぞや。そして 00056380M2こなさんハ、への工夫をしらんしたか。まだであらふ。大 00056390M3事のことじやが、(六十二ウ)おしへておこふ。アノヽおなら 00056400M4の/出(で)そふでこらへられぬ/時(とき)、むりにこらへていると、おく 00056410M5びにでるものじや。そのやふな時にハ、/紙(かミ)をよくもんで、 00056420M6いしきにあてゝ、そつとつゝんで、たもとへ入レてすてた 00056430M7がよい。それも(六十三オ)へのころしやふがわるいと/外(ほか)へ 00056440M8/匂(にほ)ふぞへと、ねんごろにおしへける。扨ざしきへいでける 00056450M9が、/彼新造(かのしんぞう)、へのてんじゆを/得(ゑ)て、おいどへ/気(き)をよせける 00056460M10ゆへに/□((不詳))、しきりにおならがてそふに成るゆへ、紙を(六 00056470M11十三ウ)もんでふところに入レ、あんばいよく、へをつゝん 00056480M12で/取(とり)、まどより/外(そと)へなげしに、かうしにあたり、紙がつぶ 00056490M13れて、ブウ 00056500¥N53¥J 00056510¥X○/鼻(はな)の薬 00056520M16いなかもの、まじまが/前(まへ)に立つて(六十四オ)ゐるゆへ、こ 00056530M17なたハ何を見てござる。Sサレバ、こゝで、はなの/薬(くすり)をか 00056540M18いたふござる△Sナニサ、あれ/バ((ママ))めぐすりのかんばんじや△ 00056550M19Sソレデモ、/目(め)の/下(した)に、くすりとかいてある。目ならバ、 00056560M20まゆ/毛(げ)の下に、くすりとあらふ(六十四ウ) 00056570¥P167 00056580¥N54¥J 00056590¥X○/茗荷(めうが) 00056600L3はたごやの女房、てい主に/向(むか)ひ、こんや/泊(とま)つた/旅人(たびうと)のこり 00056610L4ハ、/余程(よほど)の物と見へます。どふぞわすれて/置(を)ケハよいとい 00056620L5へバ、てい主、ヲヽよい/工面(くめん)が有ル。何でもむせふニめう 00056630L6がを(六十五オ)くわせて見よふと、/汁(しる)も/菜(さい)も/皆(ミな)/茗荷(めうが)だくさ 00056640L7んに入レてふる/廻(まい)ける。/翌朝(よくてう)/旅(たび)人ハ立つて/行(いく)。おふかたお 00056650L8としていつたろうと/跡(あと)をミれども、何もなし。扨+めう 00056660L9がもきかなんだといへバ、てい主、イヤ+、(六十五ウ)き 00056670L10いた+。ソリヤ何を。ヲヽサ。はたごをわすれて、はら 00056680L11わずにいにおつた 00056690¥N55¥J 00056700¥X○蛇と蛙 00056710L14/雑子谷(ざうしかや)の道で/田(た)の/畦(くろ)に、へびと/蛙(かいる)がにらミあふている故、 00056720L15これハ(六十六オ)めづらしい。へびが/蛙(かいる)をのむで有ウと、 00056730L16見ている内に、ひとり/立(たち)二人立、/大勢(おふぜい)立チとまりて見てい 00056740L17る。さりとハらちがあかず、其内に日がくれかゝる。これ 00056750L18ハどふすることぞと、みなたいくつする処ニ、(六十六ウ) 00056760L19/蛙(かいる)がぴよいと/飛(とん)で/出(いで)、まづ/今日(こんにち)ハ/是切(これきり) 00056770¥Y1聞上手二篇終△△(六十七オ) 00056780¥Q 00056790L2/聞上手(きゝじやうず)初編△△出来 00056800L4聞上手二編△△出来 00056810L6聞上手三編△△近刻 00056820L8△△△元飯田町中坂 00056830L9△△△△△△△遠州屋弥七板 00056840L11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(六十七ウ) 00056850¥P168 00056860¥U噺本大系△第九巻 00056870¥T/聞上手(ききじようず)/三篇(さんぺん)〔序〕 00056880¥G 00056890¥Y 00056900L17安永二年閏三月序 00056910L18奇山序 00056920L19遠州屋弥七板 00056930L20小本一冊 00056940¥YG 00056950M3/鹿(か)の/子(こ)/出(いで)ておとし/咄(はなし)/世(よ)に/鳴(な)る。/故(かるがゆへ)に/諸家(しよけ)/先(さき)を/諍(あらそ)ふて/撰出(せんしゆつ) 00056960M4す。/就中(なかんづく)、/予(よ)がきゝ/上手(じやうず)の(序ノ一オ)/両本(にほん)、/僥倖(ぎやうこう)にして/大(おゝ) 00056970M5ひに/行(おこなハ)る。/連衆(れんしゆ)/又(また)/三集(さんしう)を/催(もよ)ふして、/余(よ)に/書(かゝ)しむ。/元(もと)より/言(ことバ) 00056980M6/簡(かん)にして/意(い)をのぶるに(序ノ一ウ)たれりとせず。/且(かつ)/剞■(きけつ)も 00056990M7/功(こう)を/急(いそい)て、/菽麦(しゆくばく)/択(ゑらむ)に/遑(いとま)あらず。/尓(しか)はあれど、/故(ふる)きを/温(たづ)ね 00057000M8てあたらしき/談柄(はなし)の/一助(たすけ)(序ノ二オ)ともなりねかしと、於 00057010M9鷄肋舎筆を/採(とる) 00057020M11△△癸巳春 00057030M12△△△壬やよひのはしめ△△△△奇山G 00057040M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序ノ二ウ) 00057050¥P169 00057060¥N1¥J 00057070¥X○新吹 00057080L3すゞのもりへばけ/物(もの)が/出(で)るといふ。何のきついことハない。 00057090L4おふかた/狐(きつね)かたぬきで有べいと、/気丈(きぜう)に/任(まか)せて/出(いで)けるが、 00057100L5/日(ひ)ハめそ+くれる、人/通(とを)りハなし。/足早(あしばや)にゆく処に、め 00057110L6の(壱オ)三ツ有ル大/入道(にうとう)が道にねてゐる。/彼(かの)男、/少(すこ)しもさ 00057120L7わがす、久しい物だ。ふるい+といへバ、たちまちきへ 00057130L8て/失(うせ)にける。又/四五間(しごけん)ゆけバ、十六七の娘が/立(たつ)てゐる。ホ 00057140L9ヽウ、/化(ばけ)たハ。もふ/其(その)娘もふるし+といへバ、これも 00057150L10(壱ウ)きへてなくなる。ヲヽそふもござるまいといふて/行(ゆく) 00057160L11所に、/弐朱銀(にしゆぎん)がすてゝある。/彼(かの)男、はつたとにらミ、/古(ふる)イ 00057170L12+といふて見てもきへねバ、手に取り上ゲて、ふるし 00057180L13+といへど、何ンのこともなけれバ、/是(これ)ハ有がた山と 00057190L14(弐オ)いたゞけバ、ひたいへがつちり/喰(くい)つく。アヽこれ、 00057200L15ふるい+。Sナアニふるからふ。/新(しん)ぶきだもの 00057210¥N2¥J 00057220¥X○大太刀 00057230L18せんだい/座頭(ざとう)を/呼(よび)て、上るりを/語(かた)らせけるに、/九寸五分(くすんごぶ)の 00057240L19/大太刀(おふだち)を(弐ウ)するりとぬいてさしかざし、ばらり+と 00057250L20なきたをすとかたる。きく人/腹(はら)をかゝへ、九寸五分の大だ 00057260M1ちとハおかしいといへバ、/座頭(ざとう)、/扇(あふぎ)をたゝいて、/幅(はゞ)が+ 00057270¥N3¥J 00057280¥X○犬の産(三オ) 00057290M4よし/原(わら)の/犬(いぬ)、/揚屋(あげや)の/縁(ゑん)の/下(した)で/人間(にんげん)の/子(こ)をうむ。これハめづ 00057300M5らしいことと、/皆(ミな)/集(あつま)りて見る処へ、女郎きたりて、けしか 00057310M6らぬ。何でおざんすといふ。されバ、犬が人の子をうミや 00057320M7した。めづらしい。おまへも見なと(三ウ)いへバ、ヲヤ、 00057330M8それが何ンのかわつたこと。をふかた/紙(かミ)くずかな、くふた 00057340M9犬でありんせふ 00057350¥N4¥J 00057360¥X○まり 00057370M12/小僧(こぞう)よ。あんまりさミしいからな、/隣(となり)へ行て、/鞠(まり)をかりて 00057380M13/来(こ)い。アイと(四オ)いつてかけ/行(ゆき)しか、間もなくかへる。 00057390M14なぜ、かりてこぬ。Sイヽヱ、よしに被成ませ。おとなり 00057400M15にもふつていだそふで、一つのまりを/四人(よつたり)で/蹴(け)でござりま 00057410M16す 00057420¥N5¥J 00057430¥X○やきもち 00057440M19コレだんな。もふおきさんせとゆり(四ウ)おこせバ、/目(め)を 00057450M20あいて、ヱヽ、むまい/夢(ゆめ)を見てゐたに、/大事(たいじ)の/所(とこ)をおこし 00057460¥P170 00057470¥G(六ウ・七オ) 00057480M1くさつたと、/舌打(したうち)すれバ、Sソリヤまあ、どんな/夢(ゆめ)を見な 00057490M2さつた。はなしなさい△Sヲヽ、上のゝやふな所へ/行(いつ)て、 00057500M3それハ+どふもいへぬいゝ女にあふて、うか+(五オ) 00057510M4/跡(あと)についていつたれバ、/茶屋(ちやや)の/二階(にかい)へあがつたとおもへ。 00057520M5おれも茶やへよつたれバ、其女がおれにはなしをしかけお 00057530M6つた。/其時(そのとき)のうれしさ。それから何のかのと、すびきかけ 00057540M7て見たれバ、その女もがてんしたとおもへ△Sヱヽ(五ウ) 00057550M8そふしてどふしたへ△Sヲヽ、それからそばへよつて、よ 00057560M9いしゆびじやと/抱(だき)付た所を、ついてまへにおこされた。ア 00057570M10ヽのこり多イといへバ、Sヱヽ、ほんに見るおまへもおま 00057580M11へじやが、あつかましい。そのマア見られた女めが女めじ 00057590M12や(六オ)(六ウ・七オ挿絵) 00057600¥N6¥J 00057610¥X○暦 00057620M15けふハよいてんきだ。/灸(きふ)でもすへやふ。イヤ、ほんに何の 00057630M16日だやら。コリヤ松よ。となりへいつて、/暦(こよミ)をかりて/来(こ)い。 00057640M17Sハイといふて、/丁稚(てつち)がこよミをかりてくる。Sヲヽ、こ 00057650M18ゝへよこせと、あけて見る。(七ウ)Sもし、それハさかさ 00057660M19までござります△Sナニ、さかさまだ。めんよふ、となり 00057670M20からハさかさまにしてよこす 00057680¥P171 00057690¥N7¥J 00057700¥X○見越 00057710L3さる所へ見こし/入道(にうどう)が/出(で)るといふ。こわいことでハないか。 00057720L4Sフウ、おれが/工面(くめん)で、(八オ)其入道めをたいらげてやら 00057730L5ふ△Sシテ、その/工面(くめん)ハどふじや△Sされバ/杖(つへ)を五六本/持(もつ) 00057740L6て、かさをかぶつてゆくじや。入道めが見こす時、/笠(かさ)につ 00057750L7へをゆひ付ケて、そろ+とさしあげるハ。入道も/首(くび)をの 00057760L8ばして/見越(ミこ)スで/有(あろ)う(八ウ)時に、/杖(つへ)に/杖(つへ)をつぎたし、だ 00057770L9ん+さし上ゲて、入道の/首(くび)がほそくなつた時、はさみで 00057780L10ちよつきりとはさミきる 00057790¥N8¥J 00057800¥X○白狐 00057810L13武左衛門どの。/御聞(おきゝ)なされたか。此間承(九オ)れバ、/神田(かんだ) 00057820L14/辺(へん)へ/白狐(びやつこ)が/出(で)ますげな。/珍(めづ)らしい/義(ぎ)でござる。Sイヤ、そ 00057830L15れは/誠(まこと)しからぬ。人の/説(せつ)てござらふと、きん+たる/武士(ぶし) 00057840L16の/物語(ものがたり)。/供(とも)の/者(もの)ども/聞(きゝ)はつり、Sナント、角助殿。おきゝ 00057850L17なさいたか。神田/辺(へん)へ、たつこがでます(九ウ)との/噂(うハさ)。何 00057860L18ンとめづらしいことでハないか△Sイヤ/何(なに)、/折内殿(おりねいどの)。それ 00057870L19ハ人のけつでかなござらう 00057880¥N9¥J 00057890¥X○女夫 00057900M3其日ぐらしの/女房(にようぼう)が、アヽ、おらほど/埓(らち)の/明(あい)イたくらし 00057910M4ハあるまい。くる/春(はる)も(十オ)くる/春(はる)も、/何(なに)くふまいとまゝ 00057920M5なこと。さわがしくてもしまふ世/話(わ)もなし。/盗人(ぬすびと)が/来(き)ても 00057930M6とられるものハなし。これほど/気(き)さんじな/世帯(せたい)ハ又とある 00057940M7まいといへバ、てい主/聞(きひ)て、ヲヽ、その/楽(らく)ハ/誰(だ)がさせる 00057950M8(十ウ) 00057960¥N10¥J 00057970¥X○看板 00057980M11はやり風にて、/医者衆(いしやしう)も/払底(ふつてい)にて、/下手村(へたむら)どのゝ/仕合(しやわせ)。そ 00057990M12こへもこゝへもと/呼(よび)つり/引(ひつ)はる。此やふにはやるからは、 00058000M13/駕籠(かご)にのつてあるかふと思ひます。かこかきの/看板(かんばん)ハ(十 00058010M14一オ)何にしよふなといへバ、心やすひ人がいふにハ、と 00058020M15んび/凧(だこ)を付ケ給へ。Sフウ、其思ひ付の心ハな。ハテ、風 00058030M16がやむと、おりねバならぬ 00058040¥N11¥J 00058050¥X○泥坊 00058060M19/留守(るす)をうかがひ、/盗人(ぬすびと)はいりて、(十一ウ)そこらさがして 00058070M20居る処へ、そとよりてい主かへり、是ハくらいと、/火(ひ)を/打(うつ) 00058080¥P172 00058090L1て/付木(つけぎ)へとぼす。/一方口(いつほうぐち)でぬす人も/迯(にげ)はなく、せんかたな 00058100L2さに、/壁(かべ)へ/身(ミ)をひつたりと付ケてゐる。其内にてい主、あ 00058110L3かりを付ケ、やい、(十二オ)そこなハ何じやといへバ、ア 00058120L4イ。これハおまへの/影(かげ)ぼうし 00058130¥N12¥J 00058140¥X○井戸 00058150L7五兵衛どのが井戸へ/落(おち)られた。ヤレといふと、/長屋中(ながやぢう)がか 00058160L8け/集(あつま)り、のぞひてみれバ、つるべに取付て(十二ウ)居て、 00058170L9どふぞあげてくださいといふ。/日頃(ひごろ)があたじけない人だか 00058180L10ら、こんな時きめてやらふと、申シ+、此/節(せつ)だから、あ 00058190L11げちんが/壱〆(いつかん)じや。それでもよいかといへバ、井戸の内に 00058200L12て、それハあまり高イ。弐百で(十三オ)あげてください。 00058210L13Sイヤ+、まけはないと、/口&(くち※)にいへバ、Sアヽそんな 00058220L14ら、マア/春(はる)までのばしませふ 00058230¥N13¥J 00058240¥X○/南都(なら) 00058250L17上がたものにであふて、おめへはかミがたハ、どこにゐな 00058260L18さつたと(十三ウ)とへバ、Sアイ。わしハおならでござり 00058270L19ます△Sフウ、それハ/奈良(なら)のことであらう。おの字をつけ 00058280L20ずともよからうにといへバ、Sアイ。それでも、わしがゐ 00058290M1どころをとはんすさかいで 00058300¥N14¥J 00058310¥X○人の噂(十四オ) 00058320M4アヽ貴様ハ見上ケた人だ。大ぜい人もくるが、/咄(はな)しといへ 00058330M5バ、人の/噂(うわさ)ばかりいふ。貴様ハ人のうわさをいわぬよい人 00058340M6じや。Sアイさ。わたしも/心懸(こゝろがけ)て、人の/噂(うわさ)ハ申ませぬ様に 00058350M7いたします。/隣(となり)の五兵衛殿などハ、(十四ウ)よふ人の/噂(うハさ)を 00058360M8いふ人でござる 00058370¥N15¥J 00058380¥X○おなら 00058390M11よめ/御(ご)、/後架(こうか)へゆかれしが、/戸(と)をあけてはいると、おなら 00058400M12がブウとでる。ヲヽこハ。まだまたぎもせぬに 00058410¥N16¥J 00058420¥X○眼玉(十五オ) 00058430M15/長崎(なかさき)より/紅毛流(おらんたりう)の目いしや下り、/奇妙(きめう)の/療治(りやうじ)をして、/殊= 00058440M16外(ことの=ほか)はやる。ある人来りて、/療治(りやうじ)をたのむ。/医者(いしや)/様子(やふす)を見て、 00058450M17是ハめたまをくり出して/洗(あら)うて/進(しん)ずれバ、/元(もと)の様によく成 00058460M18ます。/少(すこ)しもいたむ(十五ウ)ことでハござらぬと、/匕(さじ)にて 00058470M19まぶたを/動(うご)かして/目玉(めのたま)をくりいだし、病人をバねかして/置(おき)、 00058480M20/彼(かの)めだまを/薬(くすり)にて/能(よく)+/洗(あら)い、/縁(ゑん)がわへ出シてかわかして 00058490¥P173 00058500L1/置(おき)ける/間(ま)に、/鳶(とんび)が/攫(さらへ)てもつてゆく。是ハ/大事(たいじ)と思へど(十六 00058510L2オ)せんかたなく、/庭(にわ)にねてゐる/犬(いぬ)の目玉をぬいて/取(とり)、/彼(かの) 00058520L3病人の目へ入レてやりけれバ、是ハきめう。/能(よふ)見へまする 00058530L4と、殊の外悦び、礼をいふて/帰(かへ)りぬ。其後かの人、いしや 00058540L5の方へ来り、先日ハ忝ふござります。(十六ウ)おかげてめ 00058550L6ハよふござりますが、/替(かわつ)たことで、かミくずひろひを見ま 00058560L7すると、どふもほへとふ/で((ママ))成ませぬ 00058570¥N17¥J 00058580¥X○ふな宿 00058590L10舟やどのむす子、/切付(きつつけ)の/雪踏(せきだ)を/買(かう)てはく。おやぢ見付て、 00058600L11ヤイ、旦那(十七オ)衆と同じ様に、てめへのせきだは何ン 00058610L12のことだ。/船頭(せんどう)ハ/草履(そうり)をはくもんだよ。それハうつてでも 00058620L13しまへと、さん※しかれバ、むす子せうことなく、せき 00058630L14だハかくして/置(をき)けるが、ある日、おやぢハ/昼(ひる)ね。けふこそ 00058640L15/思入(おもいれ)はいて(十七ウ)やろうと、そこらへはいて出、ちやら 00058650L16+いわして/内(うち)の/前(まへ)を/通(とを)れば、おやぢ、めをさまして、/船(ふね) 00058660L17か+ 00058670¥N18¥J 00058680¥X○銀の大黒 00058690L20ある人、/途中(とちう)ニて、/銀(ぎん)の/大黒(だいこく)を/拾(ひろい)、大きに悦び、内へかへ 00058700M1り、/神棚(かミだな)へ(十八オ)上ゲて/置(をき)けれバ、/元(もと)から有ツた大黒様 00058710M2が/腹(はら)を/立(たつ)て、/跡(あと)から/来(き)た大黒を/置(おく)まいといふ。銀の大こく 00058720M3/聞(きか)ぬ/気(き)で、/何(なん)だ。おれにおりろといふのか。ふさ+しい。 00058730M4おらハ/只(たゞ)の大黒でハない。しろかね様だハ。おのしらに 00058740M5(十八ウ)あげさげをされるものけい。Sヲヽ、しろかね 00058750M6でもふるかねでも、うぬがはり/込(こ)ミをくつて、つまるもの 00058760M7かと、つちをふり上て、あたまをがつちり。もふきかれぬ 00058770M8と、銀の大黒、かた/肌(はだ)ぬげバ、下があかゞね(十九オ) 00058780¥N19¥J 00058790¥X○菊作り 00058800M11よふ/咲(さき)ました。わしも久しく/菊(きく)をつくつて見ますが、此や 00058810M12ふに大きくハならぬ。/大輪(たいりん)にする手入をおしへてくれなさ 00058820M13い。Sヲヽ、何のむつかしいことハない。貴様ハ花を置た 00058830M14(十九ウ)がるから大きくならない。ずつと大きくつくらふ 00058840M15と思ハヾ、/莟(つぼミ)がでるとつミ切+して、ずつとさきへいつ 00058850M16て、/一輪(いちりんも)有かなしにする 00058860¥N20¥J 00058870¥X○犬のとくゐ 00058880M19いぬが二三疋/寐(ね)ている。くろこい+と(二十オ)よぶこへ 00058890M20に、ぶちがくびをあげて、アレ/黒(くろ)よ。おのしを呼ぶハ。い 00058900¥P174 00058910L1つてこい。何ぞにならふといへバ、Sアヽねむたい。そち、 00058920L2いつてきや△Sそれでも/黒(くろ)+とよぶから、そちがとくい 00058930L3だろう。貴様、いき給へといふ故、/黒(くろ)、むく+(二十ウ) 00058940L4とおきてかけ行しが、ほどなくかへり、又ねころぶ。Sど 00058950L5ふだ。さかなか、やきめしか。何に成つたとゝへバ、Sナ 00058960L6ニサ、/子共(こども)の/小便(しゝ)だ 00058970¥N21¥J 00058980¥X○御膳料 00058990L9神明様へ/御膳(ごぜん)を上ゲて下さり(廿一オ)ませと、銭弐百文さ 00059000L10しいだせば、/禰宜(ねぎどの)手にもとらず、御膳料ハ金百疋でござる。 00059010L11それ斗でハあげられませぬ。Sアイ、そんならお/茶漬(ちやづけ)でも 00059020¥N22¥J 00059030¥X○見立 00059040L14/新宿(しんじゆく)へ遊びに/行(いつ)て、/蚊(か)屋のつゝ(廿一ウ)てあるを見て、ナ 00059050L15ント、あの/蚊屋(かや)の、かうふくらんだ/所(とこ)を、わしが/見立(ミたて)た。 00059060L16/流(なが)レくわんじやう。なんと、きついかといへバ、女郎衆が、 00059070L17わつちも見立やした。Sなんと+△S馬の/腹(はら)かけと 00059080¥N23¥J 00059090¥X○/目利(メきゝ)(廿二オ) 00059100L20貴様がたハ、大小のめきゝをしつていらるゝか。Sハイ。 00059110M1いや、/腰(こし)のもの目/利(きゝ)ハ、ねつからしりませぬ△Sこれハし 00059120M2たり。/武士(ぶし)がしらいですむものか。/六(むつ)かしいことでハない。 00059130M3おしへて/進(しん)ぜふ。まつ大小のめきゝのしかたハ、/柄(つか)を下へ 00059140M4(廿二ウ)して、/鐺(こじり)を手でなでゝ見たがよい。アノ、こじり 00059150M5の/丸(まる)いのハ/脇差(わきざし)、/四角(しかく)なハ/刀(かたな)だ 00059160¥N24¥J 00059170¥X○枕うり 00059180M8てい主の/留守(るす)に枕うりを/呼込(よひこん)で、はり枕をかいける。てい 00059190M9主かへりて、(廿三オ)/枕売(まくらうり)をとらへ、おのれハなぜ/間夫(まおとこ)を 00059200M10ひろいだ。あきんどおどろき、コレハめいわく。何をせう 00059210M11こに。Sハテ、おれがるすに、なぜ女房ニ枕をかハした 00059220¥N25¥J 00059230¥X○琴爪 00059240M14かミさまがはり/箱(ばこ)から/琴(こと)づめ二つ(廿三ウ)だして、紙くず 00059250M15かひに見せけれバ、是ハ/銭(ぜに)にハ/成(なり)ませぬ。したが、おまへ 00059260M16もむかし/床(ゆか)しいお人じやナアと/感心(かんしん)すれバ、Sアイさ。そ 00059270M17れも/去(きよ)年迄、五つそろへて/持(もつ)ていやした 00059280¥N26¥J 00059290¥X○財布(廿四オ) 00059300M20いなかもの、/芝居見物(しばいけんぶつ)して/帰(かへ)り、扨+げふに/面白(おもしろ)くあり 00059310¥P175 00059320L1ました。/金箱(かねばこ)といふやく/者(しや)があるかして、金箱+といふ 00059330L2てほめました。Sナニさ。それハ/役者(やくしや)の/名(な)でハないけれど、 00059340L3/当(あた)り役者をバ、かねばこ(廿四ウ)/同前(どうぜん)といふ心で、ほめた 00059350L4ものさ△Sへヽそれでよめた。どふりで/市松(いちまつ)とやらいふ/若= 00059360L5衆(わか=しゆ)のでた時に、いよ、さいふのとほめました 00059370¥N27¥J 00059380¥X○兄貴 00059390L8なんと/兄貴(あにき)。アノ/卯月(うづき)といふのが(廿五オ)(廿五ウ・廿六オ挿 00059400L9絵)/先(さき)か、/弥生(やよい)といふがさきでござるかといへバ、Sヤイ。 00059410L10そんなあはうなことをいふて、人にわらわれるな。アノナ、 00059420L11/卯月(うづき)がさきな時もあり、又やよひがさきなとしもあるわい 00059430L12といへバ、おやぢが/勝手(かつて)に(廿六ウ)聞て居て、アヽなんで 00059440L13もあにが居ねバ、うちハやミだ 00059450¥N28¥J 00059460¥X○長かたな 00059470L16あるさふらひ、/道具(どふぐ)屋へ来り、むせうに長い/刀(かたな)があらバほ 00059480L17しいといへバ、Sアイ。/随分(ずいぶん)ござりましたが、(廿七オ)け 00059490L18さ/外様(ほかさま)へ見せに/遣(つかわ)しました。ヱヽざんねんな。もちつと/先(さき) 00059500L19まで、/鐺(こぢり)が見へましたに 00059510¥N29¥J 00059520¥X○下女 00059530M3/作庵(さくあん)様。御かげで/私(わたし)ハ心よふ成りましたが、/召仕(めしつかい)が風でも 00059540M4引ましたか、(廿七ウ)ねております。/一寸(ちよつと)御らうじて下さ 00059550M5りませ。コリヤさんよ。さく/庵(あん)様が御出じや。こゝへ出て 00059560M6/脉(ミやく)をお目にかけい。Sアノ/旦那(だんな)さんの、もつたいない。な 00059570M7に、わたしらに/脉(ミやく)がござりませう 00059580¥N30¥J 00059590¥X○雷のやど(廿八オ) 00059600M10/馬喰町(はくろてう)へかみなり落たりしが、/雲(くも)にはなれて、もふあがら 00059610M11れぬ。こゝに二三日とめて下さい。S何が扨、お/安(やす)イ御用 00059620M12と/受合(うけあい)てとめ置キしが、其夜てい主、/雷(かミなり)の前へ出、せつか 00059630M13くおやど申ましたが、とんだものゝ/宿(やど)(廿八ウ)をすると、 00059640M14大屋様からしりが参りました。/気(き)のとくながら、/明朝(めうてう)早& 00059650M15おたち被成て下されといへバ、かミなり、あたまを/掻(かい)て、 00059660M16それハあんまりきうしや。どふぞ/夕立(ゆふだち)にしてくれ給へ 00059670¥N31¥J 00059680¥X○御隠居(廿九オ) 00059690M19もし+、御ゐん居様へ。内へぬす人がはいりました。お 00059700M20きておさがしなさい。Sナニばかな。うつちやつておいた 00059710¥P176 00059720¥G(廿五ウ・廿六オ) 00059730M1がよい。すゝはきにハ出よう 00059740¥N32¥J 00059750¥X○初旅 00059760M4ある所に/初(はしめ)て/旅(たび)をする人あり。(廿九ウ)/旅功者(たびこうしや)な人、見廻に 00059770M5来て、すべて/道中筋(たふちうすし)心得になる事共おしへけるが、まづの 00059780M6り/合(あい)などにのる時は、人より先へのつて、/随分(すいぶん)ひろがつて、 00059790M7/場(ば)を取ツておらねバ、/後(のち)にハせまく成てこまるものじやと 00059800M8おしへける。(三十オ)/彼(かの)おとこ、/伏見(ふしミ)の/夜舟(よふね)にのり、あを 00059810M9のけにねて、/手足(てあし)をひろけ、/随分(すいぶん)/場(ば)びろく成つて居けるが、 00059820M10しバらく/過(スギ)て、大きにくたびれ、アヽこれはつゞかぬ。ち 00059830M11つと/起(おき)て/休(やすま)う 00059840¥N33¥J 00059850¥X○頼母子(三十ウ) 00059860M14/劔術(けんじゆつ)の/師匠(しせう)、/門弟(もんてい)あまたにて、/弟子(でし)入の/誓詞(せいし)大分ンたまり、 00059870M15/置所(おきどこ)もなけれバ、/古(ふる)い/誓詞(せいし)の分ンは、ミな/焼(やい)てすてけるに、 00059880M16/起請(きせう)をやかれし/弟子(でし)の/幽霊(ゆふれい)、/大勢(おふぜい)/顕(あらハ)れ出て、/恨(うらミ)をいふ。/昼(ひる) 00059890M17も/稽古場(けいこば)へ/幽霊(ゆふれい)(三十一オ)がいつぱい/詰(つめ)かけてゐれバ、是 00059900M18ハならぬと、色&/祈祷(きとう)すれどもきかず。せんかたつきてゐ 00059910M19けるに、うら/店(だな)の/十六兵(とろくべい)へ、ドレ、それハわしがいつて 00059920M20/呪(まじなつ)て見よふと、/先生(せんせい)の方へ来り、けいこ/場(ば)へ出、幽霊の 00059930¥P177 00059940L1/並居(なミゐ)たる中へ、(三十一ウ)ずつと/通(とを)り、そばへ/行(ゆき)て、何やら 00059950L2こそ+いゝけれバ、/彼(かの)ゆふ/霊(れい)まじめになり、ずつと立つ 00059960L3て/消失(きへうせ)ぬ。そのつぎへゆき、又こそ+といへバ、この幽 00059970L4霊も立てゆく。見る内ニ/末座(ばつざ)よりもひとり/立(たち)ふたり立、大 00059980L5勢の(三十二オ)幽霊ども、のこらず/消(きへ)て/失(うせ)ニける。これハ 00059990L6/奇妙(きめう)と、皆&/我(が)をおり、いかなる/術(じゆつ)にて、かゝる/奇特(きどく)を見 00060000L7せ給ふぞと尋れバ、/十六兵衛(とろくべい)聞て、イヤ、外のことでハな 00060010L8い。/無尽(むじん)を/頼(たのん)で見ました(三十二ウ) 00060020¥N34¥J 00060030¥X○気丈 00060040L11此/寒(さむ)いに、そなた/達(たち)ハよふマア、はだかであるきやるぞ。 00060050L12とんだきじようなうまれだなふといへバ、なにさ。はだか 00060060L13だとつて、/惣身(そうミ)を/顔(かほ)だと思へバ/済(すミ)やす(三十三オ) 00060070¥N35¥J 00060080¥X○心掛 00060090L16さる/浪人(ろうにん)の方へ/噺(はなし)にゆきけるに、てい主ハ/脇(わき)ざしさいて、 00060100L17きつとして居る故、おまへ、さりとハきうくつらしい。ち 00060110L18とくつろいて、おはなしなさいといへバ、イヤ+、/武士(ぶし) 00060120L19ハ/心懸(こゝろがけ)が(三十三ウ)/大事(だいじ)でござる。貴様/達(たち)じやとて、どん 00060130L20な気に成ふもしれぬ。我等ハ/誰(たれ)にあふても気に/油断(ゆだん)いたさ 00060140M1ぬ故、ふだん心/遣(づか)ひてござるといへバ、いかさま、/武士(ぶし)ハ 00060150M2そふも/有(あり)そふなことじやと/感心(かんしん)して、しバらく(三十四オ) 00060160M3はなす内に、大きなあくびをしけれバ、/彼浪人(かのろうにん)、身がまへ 00060170M4して/反(そり)を/打(うつ)。コレハおまへ、どふなさると/驚(おどろ)ケバ、イヤ、 00060180M5おてまへが口を/明(アイ)た故、おれをのむかと思ふた 00060190¥N36¥J 00060200¥X○/引窓(ヒキマド)(三十四ウ) 00060210M8ぬす人、引まどより/縄(なわ)に取り付て、ぶらりとさがり、内の 00060220M9やふすを/伺(うかゝい)見れバ、てい主見付て、ヤア何者じや。何を 00060230M10するぞととがめけれバ、ぬす人ぬからぬ顔で、マア、こふ 00060240M11して見たものさ(三十五オ) 00060250¥N37¥J 00060260¥X○竹の子 00060270M14まへかたつかふた三介、/宿下(やどおり)とて/来(きた)りけれバ、かミ様が出 00060280M15て、Sヲヽ三助。久しいの。そく才でつとめやるか△Sハ 00060290M16イ。こゝの/旦那(だんな)様ニも/御機嫌(こきげん)よふて、お目出たふござりま 00060300M17す。わたくし義も、(三十五ウ)しゆびよくつとめまして、 00060310M18ことしも/超年(てうねん)いたします。今の主人も気のよい旦那でござ 00060320M19ります△Sヲヽ、それハしやわせじや。そして今の旦那も、 00060330M20さゝをあがるかや△Sハイ。さゝはそんじませぬが、マア 00060340¥P178 00060350L1竹の子ハまいります(三十六オ) 00060360¥N38¥J 00060370¥X○/冷(ひや)めし 00060380L4思ひよらぬ/客(きやく)ありて、/食(めし)を出スとて、少したらねバ、かミ 00060390L5様が、コリヤ金助。そこらへいつて、ひやめしでも少しか 00060400L6りてこいと言付て、/急(きふ)な間をあわせける。客人帰りて/後(のち)、 00060410L7飯も(三十六ウ)できけれバ、さつきかりた所へ/飯(めし)をかへし 00060420L8てこいと言付けれバ、金助が、イヱ+、かへさずとよい 00060430L9所でござるといふ。どこからかりて来たぞととへバ、むか 00060440L10ふの/小屋(こや)からといふ。かミ様/驚(をどろ)き、それハアノ、/非人小屋(ひにんごや) 00060450L11でハないか。(三十七オ)つがもないといへバ、イヱ+、 00060460L12だいじござりませぬ。こつちからふだん、ひやめしをやつ 00060470L13ておきます 00060480¥N39¥J 00060490¥X○同いどし 00060500L16ぬかりみの道を、おばゝがふたり/行(ゆき)かゝり、マアおまへ、 00060510L17ござりませ。(三十七ウ)Sイヤ、おまへからおさきへとい 00060520L18ふ。/先(さき)に来たおばゝが、おまへハいくつにならしやますへ。 00060530L19Sアイ。六十八に成ます△Sフウ、そんならおまへハわた 00060540L20し£ひとつうへだから、おさきへござりませ。/来年(らいねん)ハおま 00060550M1へと同いどし(三十八オ)に成るから、其時ハ一ツ所にいき 00060560M2ましよう 00060570¥N40¥J 00060580¥X○夕立 00060590M5/夕立(いふだち)や+とうつて/通(とを)る。是ハめづらしいあきんどじやと 00060600M6いふ内に、むかふの娘が出て、コレ+(三十八ウ)三文が 00060610M7ゆふだちを/下(くだ)さい。Sそれハあんまりすくない。何に被成 00060620M8といへバ、さくら/草(さう)にかけてやる 00060630¥N41¥J 00060640¥X○眼病 00060650M11伊勢やのおやかたが、がん/病(びよう)でござるときいて、/台所(だいとこ)迄/行(ゆき)、 00060660M12(三十九オ)/承(うけたまハ)れバ、旦那様が/御眼病(ごがんひやう)じやけに御ざります。 00060670M13いかゞでござりますといへバ、おくよりだんなが、もミの 00060680M14きれにて、目をかゝへて出られ、ヲヽ助七か。よふ/来(き)やつ 00060690M15た。Sハイ。/御眼病(ごがんびやう)の/御見廻(をんめい)にめいり(三十九ウ)やした。 00060700M16ヤア、おめへの/御目(をめ)ハ、マアどふなされました 00060710¥N42¥J 00060720¥X○/介錯(かいシヤク) 00060730M19ある/侍(さむらい)、/野辺(のへん)を通りけるに、松かげに壱人の侍、もろ/肌(ハタ)ぬ 00060740M20いで、座を/組(くミ)居たりしが、かの侍を(四十オ)/呼(よび)かけ、御侍 00060750¥P179 00060760L1と見かけ、おたのミ申度義有りと、近くへ/招(まね)き、/某事(それがしこと)一 00060770L2分立がたきこと有て、只今/切腹(せつふく)仕るなり。御世話ながら 00060780L3/介錯(かいしやく)なされて下されいといふ。侍聞て、はつと思ひしが、 00060790L4(四十ウ)ひかれもせず、成ほど、/介錯(かいしやく)ハして/進(しん)ぜよふが、 00060800L5かならず/他言(たごん)なされな 00060810¥N43¥J 00060820¥X○建立 00060830L8/相借(あいじやく)屋のむすめが/外(ほか)へもらわれてゆくときいて、/建立同= 00060840L9行(こんりうどう=ぎやう)いゝ合セ、(四十一オ)どや+としかけて、/悦(よろこ)びをいふ。 00060850L10コレハそろふて御出、忝い。娘もマア/相応(そうおう)な処へ/遣(や)ります 00060860L11から、一ツ/盃(はい)いわふて下さいと、/茶(ちや)わんだしての酒ごと。 00060870L12さいつおさへつする内に、/講頭(かうがしら)の権兵衛が、こへはり上ゲ 00060880L13て、(四十一ウ)/和讃哥(わさんうた)たアかアさごやと、うたひ出せバ、皆 00060890L14/同音(どふをん)に、此うら船にほをあけて。おやぢ、/呂(りよ)ごへに成つて、 00060900L15娘おいとま/乞(ごい) 00060910¥N44¥J 00060920¥X○胸算 00060930L18むな/算(ざん)のよい人があつて、/寄(よ)せ算などするに、少しもちが 00060940L19わず。(四十二オ)ある時合算に頼んで見るニ、そろばんい 00060950L20らずに、扨も/寄妙(きめう)なとミなあきれる。/寄(よ)せ/算(ざん)がはじまると、 00060960M1てい主、かのおとこのそばへよつて/気(き)を付ケて見るに、よ 00060970M2む/度(たび)ごとに/胸(むね)の内が、パチ+パチ+と(四十二ウ)/鳴(な)つ 00060980M3た 00060990¥N45¥J 00061000¥X○肥満 00061010M6/貴様(きさま)ハよくふとつて/居(い)る。さりとハうらやましいといへバ、 00061020M7ナニサ。此よふに見へても、/半分(はんぶん)ハあかさ 00061030¥N46¥J 00061040¥X○達磨(四十三ノ四オ) 00061050M10さる人、だるまのかけ/地(ぢ)を見て、此だるまといふ人ハ、ど 00061060M11の/絵(ゑ)を見ても、/腰(こし)から下タハない。どふしたものじやとふ 00061070M12しんすれバ、物しつた人が聞て、されバ、此だるま/大師(だいし)ハ 00061080M13/九年(くねん)/面壁(めんへき)とて、九年が間/座禅(さぜん)被成(四十三ノ四ウ)たによつて、 00061090M14/尻(しり)がくさつてしまふたとさ。それ故下タをバかゝぬ。Sフ 00061100M15ウ、それなりや又、しりのない人がどふして居たもんだの△ 00061110M16Sヲヽサ。そのために耳にくわんを付たものさ(四十五オ) 00061120¥N47¥J 00061130¥X○銀むね 00061140M19むすめが、きんむねの/櫛(くし)をほしがつて、母をやをねだる。 00061150M20Sなにさ。ついへな。アレもやがてすたるから、よしにし 00061160¥P180 00061170L1やといへど、どふもほしいといふ。/近所(きんじよ)の/若(わか)イ/者(もの)が聞て居 00061180L2て、(四十五ウ)わつちか/買(か)うてしんぜうと、/能(よい)のをかふて 00061190L3来てやりける。娘悦び、かゝさんや。介さんがの、とんだ 00061200L4いゝ/櫛(くし)をくんなんした。コレ、見ておくれといへハ、ヲヽ 00061210L5それハゑゝこつた。シタガ、めつたにさしやんなや(四十六 00061220L6オ) 00061230¥N48¥J 00061240¥X○合せ鏡 00061250L9/床(とこ)にて/髪(かミ)をゆひ、どれ見ていかふ。かゞミをかしてくれ給 00061260L10へ。Sハイ、/鏡(かゞミ)ハ是ひとつでござると出してやれバ、これ 00061270L11ハこまつたと、しはらくあんじて、ひしやくに水を/汲(くミ)て、 00061280L12/片手(かたて)(四十六ウ)にもち、かゞミを/後(うしろ)へあげて合せミれバ、 00061290L13Sコレハちへかなと、ミな/感心(かんしん)するうち、こちらのびんを 00061300L14見るとて、ひしやくをふりあげ、あたまからざつぷり 00061310¥N49¥J 00061320¥X○其上(四十七オ) 00061330L17うへを見れバ、きりのないものでござる。Sアイ。それだ 00061340L18けれども、/禁中(きんちう)様のうへといふハあるまい△Sイヽヤ、き 00061350L19んり様の上にも、/天道(てんとう)様といふがある△Sフウ、てんとう 00061360L20様のうへもあるかの△Sヲヽてんとうの(四十七ウ)うへは、 00061370M1やねぶねさ 00061380¥N50¥J 00061390¥X○八米 00061400M4/御浪(ごらう)人が、つき米やへ来りて、コレ+、/米(こめ)がとゝのへた 00061410M5い。よいのが有りや、見せてくりやれ。Sハイ。是が/白米(はくまい) 00061420M6の上&でござります△Sフウ(四十八オ)うまくくへるかの△ 00061430M7Sアイ、ふだん内でつかいますよい米でござります△Sナ 00061440M8ント、そんならひや/食(めし)があらハ、きいて見たい 00061450¥N51¥J 00061460¥X○うわばミ 00061470M11/添(そ)ふにそわれぬくされ/縁(ゑん)、ふたり(四十八ウ)つれ立、/心中(しんぢう) 00061480M12と出かけしを、大なる/蟒(うハばミ)いてゝ、只一口にのんでしまひぬ。 00061490M13ふたりハ/忙然(ぼうぜん)と/腹(はら)の中にいたり、とてもしぬる身、何かハ 00061500M14所きらふべきと、一腰をぬきはなし、女をさしころして、 00061510M15其身も/野腹(のはら)の/露(つゆ)と(四十九オ)きへぬ。うわばミおどろき、 00061520M16サア+/大事(をふごと)だ。これからけんしをのミにゆかずはなるま 00061530M17い 00061540¥N52¥J 00061550¥X○/走(かけ)くら 00061560M20どろほう、いのちかぎりと/迯(にげ)るを、跡からはだしで/追(おつ)かけ 00061570¥P181 00061580L1る。/拾(じう)四(四十九ウ)五丁かけけれバ、たがいに/息(いき)きれ、そ 00061590L2ばなる茶屋へかけ/寄(よ)つて、物をもいわず、ふたりなから水 00061600L3をのミてやすむ。Sサア+よくバ/迯(にげ)ろ。おつかけよふ 00061610¥N53¥J 00061620¥X○せんじ茶(五十オ)(五十ウ・五十一オ挿絵) 00061630L6/茶(ちや)がまをしやん+/煮(に)たてゝ、ちや袋をうちこめバ、むら 00061640L7+とたつゆげのなかより、白むくを/着(き)たやつが、すつく 00061650L8りとたつてでる。ヤア、ゆふれいでハないか。何/し((ママ))出たと 00061660L9いへバ、ほうじかたりませぬ(五十一ウ) 00061670¥N54¥J 00061680¥X○助言 00061690L12/碁(ご)をうつてゐる。今/一目(いちもく)の処がかんじんじやと、そばに見 00061700L13てゐる人の/顔(かほ)をしたゝかにくらわす。これハどふするぞと 00061710L14いへバ、どふやら/助言(ぢよこん)をしそふな(五十二オ)/顔(かほ)付じやから、 00061720L15いわれぬさきにぶつて/置(をく)のさ 00061730¥N55¥J 00061740¥X○三徳張 00061750L18/火皿(ひざら)をうつむけて、たばこをのむ人あり。/替(かハ)つた/持(もち)やふじ 00061760L19やといへバ、Sコレハおれが/工夫(くふう)の/三徳(さんとく)ばりじや。(五十二 00061770L20ウ)かうすれバ/吸(スイ)付るにもはたくニも、せわがなし。/旅(たび)で 00061780M1雨ふりなどにのまれる△Sフウ、成ほどきこへた。そんな 00061790M2ら、わしにも一本はらせてくれ給へ 00061800¥N56¥J 00061810¥X○/趣向(しゆかう) 00061820M5三人よりて、ひとりがいふにハ、(五十三オ)おらハどふぞと 00061830M6つくりに成たい。Sトハ、どふいふ心で△Sハテ、/腹(はら)に酒 00061840M7がたえぬ△Sフウ、おらハ又、もミうらに成つて見たい△ 00061850M8Sソリヤなぜに△Sハテ、女の/肌(はだ)をはなれぬ△Sムヽおら 00061860M9ハ/鯛(たい)に成りたい△Sトハ、どふして△Sハテ、たい(五十三 00061870M10ウ)といふやつハ、にてもやいてもよい 00061880¥N57¥J 00061890¥X○柱穴 00061900M13/大仏殿(だいぶつでん)の/柱(はしら)のあなを、/後生(ごせう)の/為(ため)とて皆くゝるなかに、ふと 00061910M14つたやつがくゞりかゝつて見るに、/肩斗(かたばかり)出て、/腰(こし)がつかへ 00061920M15て、/跡(あと)へも先へも(五十四オ)いかず。大/勢(ぜい)よつておし出せ 00061930M16ば、やう+ぬけいで、なミだをながし、これで/母(はゝ)の/恩(をん)を 00061940M17しりました 00061950¥N58¥J 00061960¥X○女夫中 00061970M20引づりめといへバ、のら殿と/云(いゝ)かへす。またしやべるかと 00061980¥P182 00061990¥G(五十ウ・五十一オ) 00062000M1/火吹竹(ひふきたけ)ふり上(五十四ウ)てかゝれバ、女房もむしり付てた 00062010M2ゝきあふ。/近所(きんじよ)がよつて、やう+なだめて引わくれバ、 00062020M3大屋殿が、アヽ御てい主もおとなしくない。おらハ廿年も 00062030M4そふてゐるけれど、ついぞ女房にあたま(五十五オ)ひとつ 00062040M5はられたことハない 00062050¥N59¥J 00062060¥X○悪たい 00062070M8此かつほハいくらだ。Sアイ、/壱貫(いつかん)五百でごぜいす△S弐 00062080M9百にまけやれ。コレサ。きこへぬか。弐百にまけや△Sば 00062090M10かをいゝなんな。あてこともねへ(五十五ウ)Sヤイ、おど 00062100M11れ。侍にむかつて、ばかトハ何のことだ。これが見へぬか 00062110M12と、きつぱまわせバ、Sアヽ是、びこ+しなさんな。お 00062120M13めへがりきんで見せたとつて、くそともおもふものけへ△ 00062130M14Sもふゆるされぬと、ぬき(五十六オ)はなす。ぼていなか 00062140M15まが/中(なか)に入り、マアごかんにん被成ませ。あいらがあくた 00062150M16いハ付めでござりやす。Sイヤサ、あいつがおれをくそと 00062160M17も思わぬとぬかした△Sハテサ。くそとおもわせませふか 00062170M18ら、御/免(めん)なさい(五十六ウ) 00062180¥N60¥J 00062190¥X○うにかうる 00062200¥P183 00062210L1/一角(ウニカウル)の/根付(ねつけ)をかつたとて見せる。Sコリヤ、うにかうる 00062220L2でハない。たゞの/角(つの)だそふな△Sイヤ+、/正真(せうじん)じやと、 00062230L3/自慢(じまん)する処へ、げぢ+がはふてでる。Sヤ、よいめきゝ 00062240L4が有ル。(五十七オ)/正真(せうじん)のうにかうるなれバ、げぢがそばへ 00062250L5よりつかぬものじや。そこへ出して見給へと、げぢ+の 00062260L6ゆく/先(さき)へ出しておけバ、げぢ+、/根付(ねづけ)をはい/越(こし)てゆく。 00062270L7Sソレ、ミ給へ。ほんのじやないといへバ、Sイヤ+、 00062280L8(五十七ウ)此ねつけハ/正真(せうじん)のうにかうるだけれど、あのげぢ 00062290L9めが/似(に)せだらう 00062300¥N61¥J 00062310¥X○他行 00062320L12/旦那(だんな)様。むかふの/隠居(いんきよ)さまから、よびにまいりました。 00062330L13Sヱヽまた来たか。/他行(たぎやう)したといふてやれ(五十八オ)Sハ 00062340L14イ。たんなハ/他行(たぎやう)いたしましたといふでくださいといへバ、 00062350L15/使(つかい)のものが、もし、たぎやうとハ何のことでござります。 00062360L16Sハテ、/巨燵(こたつ)にねころんて/居(い)さつしやることさ 00062370¥N62¥J 00062380¥X○仙台張(五十八ウ) 00062390L19さるむす子、仙だいのかる/張(ばり)をもつて、/舟遊山(ふなゆさん)にでる。/友= 00062400L20達(とも=だち)が、ナントむすこ。其きせるを、川へうかせて見ぬか。 00062410M1Sヲイ、うかせて見せよふと、水の上へそつとをけバ、ず 00062420M2ぶ+としづむ。/皆&(ミな+)(五十九オ)おしいことをしたのふとい 00062430M3へば、むすこハ少しもさわがず、ナアニ、此頃に又/磁石(じしやく)を 00062440M4もつてきて、うかしてとろう 00062450¥N63¥J 00062460¥X○なら茶 00062470M7/鴬(うぐひす)なめしの/隣(となり)に/時鳥(ほとゝぎす)なら(五十九ウ)茶といふ/看板(かんばん)いだし 00062480M8て、/卯月(うづき)からの/店(ミせ)びらき。おびたゝしくはやる。ほどなく 00062490M9見せをしまいけれバ、となりのてい主、見廻にゆきて、あ 00062500M10れほど/繁昌(はんじやう)したニ、なぜやめ給ふ。おしい事をと(六十オ) 00062510M11いへバ、Sされバおれも/趣向(しゆかう)ハして見たが、どふもあわな 00062520M12い△Sハテ、あれほどはやつて、なぜあいませぬノ△Sさ 00062530M13れバきかつしやい。/来(く)る/客(きやく)がミな、てつへんからかけだ 00062540¥N64¥J 00062550¥X○/呪(まじ)ない(六十ウ) 00062560M16女中、/湯(ゆ)のなかにて、もし、/隣(となり)のおばさんへ。わつちや/手= 00062570M17前(て=めへ)に成そうになつた。どふぞとめやふハあるまいかといへ 00062580M18バ、ヲヽ、それにハまじないが有ル。おいどの/毛(け)を/三筋(ミすじ)ば 00062590M19かりぬいたがいゝ(六十壱オ) 00062600¥P184 00062610¥Q 00062620L3御連中へ申上候四編五篇も 00062630L4追&板行仕候尤よい御咄は 00062640L5新古にかゝわらす差加へ禁句 00062650L6指合ハ勿論ふ落居なはなしは 00062660L7委細なしに相省キ申候此だん 00062670L8よしなに御くまれ下されかし 00062680L9△△△△△△△會主△△娯楽堂 00062690L10△△△元飯田町△遠州屋弥七板 00062700L11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(六十壱ウ) 00062710¥P185 00062720¥U噺本大系△第九巻 00062730¥T@座笑産|後△篇@/近目貫(きんめぬき)三編〔題簽〕 00062740¥G 00062750¥Y 00062760L16安永二年閏三月序 00062770L17稲穂序 00062780L18笹屋嘉右衛門校 00062790L19小本一冊 00062800L20都立中央図書館加賀文庫蔵 00062810¥T1@座笑産|後△篇@/近目貫(きんめぬき) 00062820¥Y序 00062830M5大凡物不得其平、則鳴。草木之無声、風撓之鳴。金 00062840M6石之無声、或撃之鳴。(水オ)人之於言也亦然。/万= 00062850M7八(まん=ぱち)は/嘘(うそ)となる。嘘ハはなしと成る。是を/集(あつめ)て/近目貫(きんめぬき)、人さ 00062860M8ん方がわらわんしても/大事(だぢ)/無(ない)と、コリヤおかしい(水ウ)の 00062870M9で御座りんす 00062880M11△△△安永二 00062890M12△△△△△閏弥生日 00062900M14△△△△△△△△△△△△△△△△稲穂△G 00062910M16△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(流オ) 00062920¥P186 00062930¥G(流ウ) 00062940¥N1¥J 00062950¥X○宇治川 00062960M3ほとゝぎすの/云(いふ)。/毎(まい)年はつ/鰹(かつほ)と我ハ、おつつかつつに江戸 00062970M4へ出、吉原といふ名所を/詠(ながめ)る。どふそ/今(こ)年ハ、鰹£はやく 00062980M5五/丁町(てうまち)の/誉(ほま)れを取ふと/時節(じせつ)を/待(まつ)。はや時節/至来(とうらい)して、はつ 00062990M6鰹/売(うり)、すた+大門さして/急(いそ)ギ行ク。Sほとゝきすなむさん、 00063000M7(一オ)はつ鰹に/先(さ)キがけされじと/追(おつ)かけ行キ、これ鰹やど 00063010M8の。わらぢの/紐(ひも)がとけたによ 00063020¥N2¥J 00063030¥X○江の嶋 00063040M11/上(かミ)の/宮(ミや)の弁天、/岩(いわ)屋の弁天へ行キ給ひ、当年ハ/巳(ミの)年を/幸(さいわ)ひ 00063050M12に/開(かい)帳をはじめまして、金もふけをいたしませうといへば、 00063060M13S岩やのおふくろヲ、それハ/能(よひ)が、開帳の(一ウ)内ハ、かな 00063070M14らず/蛇(へび)をつかやんな 00063080¥N3¥J 00063090¥X○枕の曲 00063100M17吉ぼうヤ。ふきや町の/曲(きよく)まくらを見たか。イヤ、まだ見ね 00063110M18いが、ひやうばんがイヽの。ヲヽサ、とんだ上/手(づ)よ。それ 00063120M19に/聞(きゝや)れ。若/衆(し)がうつくしいものよ。S吉、かんしんのていに 00063130M20て、それでハはづれるめハない、/蚤(のミ)の/歯(は)に/犬(いぬ)だ(二オ) 00063140¥P187 00063150¥N4¥J 00063160¥X○田舎和尚 00063170L3此うわさを、/田舎和尚(いなかおせう)立聞して、さらば、きよくまくらの 00063180L4若衆を/買(かつ)て見よふと、堺町の茶やへあがり、なんと、あの 00063190L5若衆がよばれるかの。S亭主呼れまするといへば、そんな 00063200L6らよんでたもれと云。はや、ふきや町へ人はしらせ、呼ん 00063210L7で見た処が、よふ(二ウ)きひの顔を/寒(かん)さらしにしたよふな 00063220L8若衆。和尚、見るよりはやく、/魂(たましい)を天までとばし、/床(とこ)へま 00063230L9わるやいなや、和尚大キにはらを立、これ御/亭主(ていしゆ)。かんぢ 00063240L10んの/一曲(いつきよく)ハ御/免(めん)といゝます。S亭主、ぬからぬ顔で、一曲ハ 00063250L11枕ばかりで御座ります 00063260¥N5¥J 00063270¥X○天神 00063280L14/宗匠(そうせう)、吉原へ/通(かよ)ひそめ、手にかゝる程の(三オ)物をぶちこ 00063290L15ろす。其内に/探幽(たんにう)の天神、是ばかりハ大切と残し置しが、 00063300L16今ハはや/質(しち)草のたねつき、無/是非(ぜひ)天神ニ向ひ、私義、/風= 00063310L17与(ふ=と)吉原のめ狐にまねぎ込れ、家内/建(けん)長/寺(じ)の庭のごとく相成 00063320L18り、お/淋(さミ)しうも御座りませうから、しばらく質やの蔵へ御 00063330L19出被下べしと願ければ、(三ウ)天神、御/涙(なミだ)をはら+と/洩(こぼし) 00063340L20給ふ。S宗匠コハ、何故に御/落涙(らくるい)遊します△S天神又/流(なが)さ 00063350M1れるで有ふ 00063360¥N6¥J 00063370¥X○三ツ股 00063380M4江戸前/鰻(うなき)、大/海(かい)へ趣、此度三ツまたに新/地(ち)が出/来(キ)まして、 00063390M5殊のほか/賑(にぎ)+しう御座りますから、御/迎(むか)ひに参り(四オ) 00063400M6ました。S/鯛(たい)それハおもしろかろうと/魚仲間(うほなかま)をさそひ、大 00063410M7亀/先生(せんせい)も行キたまわぬか。S大亀、かむりをふり、いやだ 00063420M8+。なぜ先生ハ気がすゝまぬ。S大亀おれがかうらを、 00063430M9山師の/眼(め)にかゝつて見やれ。茶見世でも/建(たて)よふといふで有 00063440M10ふ 00063450¥N7¥J 00063460¥X○花見(四ウ) 00063470M13上野の桜にかたをならべる/飛鳥(あすか)山のにぎわひ。/王子(わうじ)近所の 00063480M14若イ者、飛鳥山へ花見の趣向。そこでハ義太夫、爰でハめ 00063490M15りやす、テツツンつんの音にうかれ、S門十郎ヤ、おらも 00063500M16爰らて一ぱい/呑(のむ)べい△Sのミなさろうと、びんぼう/樽(たる)の口 00063510M17ひらき、酒の肴に、役者のこわいろをつかうべいかの。 00063520M18(五オ)(五ウ・六オ挿絵)よしやれ。ぐわいぶんのわるひ。/似(に) 00063530M19もしないにといへば、S今壱人リの/連(つれ)、酒の肴ならば、な 00063540M20までもよかろう 00063550¥P188 00063560¥G(五ウ・六オ) 00063570¥N8¥J 00063580¥X○目黒参 00063590M3権八ヤ。今から目黒の不動へ行ふでハないか。/馬鹿(ばか)なつら 00063600M4た。何時だと思やる。もふ七ツ/過(すぎ)だハ。S此/猿(さる)めハ、とん 00063610M5だ事を(六ウ)いふ。/明日(あした)行ものさへ有ル 00063620¥N9¥J 00063630¥X○頭巾 00063640M8/麁相(そそう)な/隠居(いんきよ)、何やらむせうにさがす。もし、なにをおたづ 00063650M9ね被成ますへ。づきんが見へませぬ。それハおまへ様のお 00063660M10つむりに御座ります。Sヲヽ、とんだ所に御座りやした 00063670M11(七オ) 00063680¥N10¥J 00063690¥X○/漏(もり)の見まい 00063700M14今年のよふに、たび+雪の/降(ふ)る事ハない。しつぽりと、 00063710M15二文四文をはじめよふでハ御座らぬか。S相店の者ミんな 00063720M16が/好物(こうぶつ)、ちつともはやくはじめさしやれといふ処へ、大屋 00063730M17が/来(きた)り、どふだ。/爰(こゝ)も/漏(もり)ますかの。S亭主アイ。唯今/長(なが)屋 00063740M18の(七ウ)衆が、屋根を/葺(ふく)/相談(そうたん)をいたします△S大やそれハ 00063750M19きどくな事じや。又めくるなら頼ミます 00063760¥P189 00063770¥N11¥J 00063780¥X○/嫉妬(しつと) 00063790L3殿様、御/妾(めかけ)を御てうあい、御/側(そば)に斗リ置給へば、奥様りん 00063800L4きのあまり、有ル夜、/庭(にハ)の木へ/釘(くぎ)を/打(うち)給へば、かの(八オ) 00063810L5めかけ、色つや清+として、なを+気かるに成りし故、 00063820L6/一入(ひとしほ)御/意(い)ニ入りけれハ、奥様ふしぎに思召、庭にうちし釘 00063830L7能+御覧あれば、/蘇鉄(そてつ) 00063840¥N12¥J 00063850¥X○/強弓(ごうきう) 00063860L10去ル殿様、強弓の/達人(たつじん)。S御近習何とぞ/御(ご)前の御/弓(ゆミ)を、拝 00063870L11見いたしとふそんじ奉る(八ウ)と願ひければ、殿、/髭(ひげ)をな 00063880L12で給ひ、其方共の願ひとな。どりや一弓/射(い)て見せうと、五 00063890L13人ばりに十五/束(そく)よつぴいで、てうどはなし、/弓(ゆミ)をなげ/捨(すて)御 00063900L14/落涙(らくるい)。S御前、いかゞ遊しました△S殿、南の方をながめ 00063910L15給ひ、かわひや唐人ども 00063920¥N13¥J 00063930¥X○買物(九オ) 00063940L18おまへの/買(かい)なさる物ハ、なんでも/安(やす)ひ。わたしらが内で/買(かう) 00063950L19ものハ、なんでも/高(たか)ひ。買ひよふに、ひミつでも有りやす 00063960L20かへ。Sアイ。少しの/秘事(ひぢ)さ。/雨(あめ)のふる時ニ、そうりを買 00063970M1ひやして、日/和(より)の能ひ時、/傘(かさ)や下駄を買ひやす△S亭主、 00063980M2此咄を/聞(きゝ)、おらも/昼(ひる)、あんどんを買ふ(九ウ) 00063990¥N14¥J 00064000¥X○/鼠(ねづミ) 00064010M5/廻向(ゑこう)院まへの/仮宅(かりたく)へあがり、女郎、何やら/箱(はこ)を大切にして 00064020M6/居(い)る。S客ちよ鶴さん。なんだ。見せな△S女郎おがミん 00064030M7すといへど、むりにふたをあけて見れば、はつか鼠。S客 00064040M8なにかとおもつたら、たいそふらしい△S女郎そふいゝな 00064050M9んすな。近所ハ/猫(ねこ)だらけ(十オ) 00064060¥N15¥J 00064070¥X○座頭の小便 00064080M12/座頭(さとう)、/道(ミち)中にて小便をして/居(い)る。酒屋の御用、座頭のまた 00064090M13ぐらをのぞき、扨も大キなものだといへば、S座頭、顔を 00064100M14あげ、どこと見へます 00064110¥N16¥J 00064120¥X○井戸端 00064130M17井戸/端(はた)に若イ者二三人、むた口たゝいて(十ウ)居る処へ、 00064140M18うつくしき事/露孝(ろこう)ともいゝそふな娘が、手/桶(おけ)をさげて来り 00064150M19ければ、これあねさん。こゝへだしな。/汲(くん)であぎようと、 00064160M20なミ+くめば、/跡(あと)から/来(キ)たあだちばゝア、わたしにも汲 00064170¥P190 00064180L1でくたさいとさし出せば、S若者、ぶつてうつらにて、ま 00064190L2だあればいゝが(十一オ) 00064200¥N17¥J 00064210¥X○御召の羽織 00064220L5若殿の御前へ、小/性(せう)衆申上る様ハ、此度ふしぎな義が御座 00064230L6ります。Sなんじや△S御/広間(ひろま)へ御前の御羽織、夜中に出 00064240L7まし/た((ママ))/踊(おどり)をおどります。其意ゑませぬゆうれいて御座りま 00064250L8するといへば、若殿うなずき給ひ、そふした事も(十一ウ) 00064260L9有ふとの/御意(きよい)。S小性御覚が御座りますか△S若殿おれが 00064270L10/部(へ)屋/住(すミ)の節ぶちころした 00064280¥N18¥J 00064290¥X○印判 00064300L13/自身(ぢしん)番へ/仕(し)事/師(し)印判を持行、大ぜい/并(なミ)居たる中へなげ出せ 00064310L14ば、コレ吉五郎。どふしたものた。名主様も御出被成るに、 00064320L15ぶしつけ千万な。なぜ、なげ(十二オ)出しやつた。Sなん 00064330L16だ、此大屋さんハ。やろうの朝顔ミるよふに、からんだ事 00064340L17をいわつしやる。どふ/投(なげ)ても、半ハ半た 00064350¥N19¥J 00064360¥X○夜かこ 00064370L20かごかき、壱人リハ/丈(せひ)高、壱人リ丈ひく。一家中の/棒(ぼう)ぐミ 00064380M1と見へて、かたをあわせ、夜かごのとせい。ある時、吉原 00064390M2客を(十二ウ)/乗(の)せ、一角の酒手になり、先キをかつぎし/丈= 00064400M3高(せい=たか)、いそぐひやうしに、ぐつと/腰(こし)をのせハ、S客いそぐ程 00064410M4有て、もふ/土(と)手へ来た 00064420¥N20¥J 00064430¥X○寐ぼう 00064440M7/蕣(あさかほ)の盛を見た事のない豆/腐(ふ)や有り。これ御亭主。貴様の 00064450M8よふに朝寐をしてハつまらぬ。わしも一家のよしミ、(十三 00064460M9オ)見て居てもきのどくじやから、夕部くふうをして見た 00064470M10が、内に/烏(からす)を/飼(かう)が能ひ。そふしたら、いかな寐ぼうでも、 00064480M11目がさめよふといへは、亭主手をうち、御工夫忝ひと云、 00064490M12早+烏を飼ひければ、サア/翌朝(よくてう)から、町内壱はんの朝/起(おき)、 00064500M13次第に家はんぜう。これもひとへに、(十三ウ)五兵衛殿の 00064510M14御影故とよろこびしか、ツイ/飼(かい)置し烏が死、又もとのもく 00064520M15あミ、朝寐の先生。ある時、/鷺(さぎ)の/飛(とふ)のを見て涙を流し、か 00064530M16わいや、まだ/迷(まよう)て/居(い)るそふな 00064540¥N21¥J 00064550¥X○/屁(へ) 00064560M19女郎、床の内にておならをし、千/調(てう)さん。(十四オ)おまへ 00064570M20ハわたしをかわゆふ有んすかへ。おふさ。かわゆふなくて 00064580¥P191 00064590L1/来(く)るものか。そんなら今のしそこないを、御つれさんには 00064600L2なしなんすなへ。大/誓(せい)文。はなすこつちやない△S女郎ヲ 00064610L3ヽかわいゝと、いふ口の下から、また、ぶいとのしそこな 00064620L4い。S客、まじめになり、此女郎ハうたぐりぶかひ(十四ウ) 00064630¥N22¥J 00064640¥X○六味丸 00064650L7鮒、ごミにあてられ、ぶら+/煩(わつらい)、医者に見せければ、こ 00064660L8れハ殊の外/六(むづ)ケ敷ひ。先ツ内/損(そん)で、水のそこりと見へます 00064670L9から、六味地黄丸てなければいかぬとて、地黄をのませ 00064680L10/養生(ようせう)/最(さい)中、川/魚(うほ)ども見廻に来り、段+よふすをたづね、 00064690L11(十五オ)其くすりハ/利(きゝ)ますまい。Sなせで御座る△S川上ミ 00064700L12で/毎(まい)日大/根(こ)をあらう 00064710¥N23¥J 00064720¥X○南鐐 00064730L15/鳶(とび)の者の頭、弐/朱(しゆ)銀を八つ払ひに取、となりの浪人に見せ 00064740L16ければ、S浪人是ハめづらしい物を拝見仕ます。これハ/南= 00064750L17鐐(なん=りよう)で御座るぞと問(と)へば、S鳶(十五ウ)それで壱両さ 00064760¥N24¥J 00064770¥X銭同士 00064780L20銭共寄合、なんと此よふに両替屋に安くされてハつまらぬ。 00064790M1/神(かん)主の/泣(なき)ごと、尤とハ思へども、さんせんをつなぐ/度(たび)に、 00064800M2此高でいくら/違(ちか)うの口小/言(ごど)。どふもうるさくつてならぬ。 00064810M3Sヅクおふさ。其時のくるしさ。わしが(十六オ)あたまの 00064820M4かけが、両替やの/畳(たゝミ)の/合(あい)に/這(は)入ています。いつそわしハ、 00064830M5/鍋(なべ)やへでも/巣(す)を替へよふといへば、S文銭おれハ引/窓(まど)の車 00064840M6にでも出よふ。四文、おのしハどふだ。おれか。おれは、 00064850M7あわ雪のこしばりにても行ふ。がん/首(くび)、おのしもあてが有 00064860M8ルか。わしかへ。わしハ/蔵前(くらまへ)へ行キやす。蔵前ハなんだ。 00064870M9(十六ウ)札さしか。Sナアニ、六地蔵の/鼻(はなつ)ぱり 00064880¥N25¥J 00064890¥X○水瓶 00064900M12日頃旦那の/云(いゝ)付にハ、/皿(さら)はちにかぎらす、/焼(ヤキ)ものゝ類ハ、 00064910M13/茹(ゆで)て/遣(つか)へば/格別(かくべつ)つよいといわれたが、今日/買(かい)し水/瓶(かめ)、これ 00064920M14ハ/鍋(なべ)へも/釜(かま)へもはいらねば、まづ旦那に聞が能ひと、旦那 00064930M15殿の側へ行キ、もし旦那様。今日(十七オ)買ました水がめ 00064940M16ハ、すぐにつかひませうかといへば、旦那目をむき出し、 00064950M17こりややい、平/生(ぜい)いゝ付て置た事をわすれたか。イヤ、わ 00064960M18すれハいたしませぬが、どふもかまへはいりませぬ。S旦 00064970M19那、あたまをかき、八文で/風呂(ふろ)へ入れろ 00064980¥P192 00064990¥N26¥J 00065000¥X○はさミ細工(十七ウ) 00065010L3両国で、とんだきよふな細工を見てきた。ハテナ。どんな 00065020L4細工だ。Sはさミて人形をはさむやら、ちハ文まではさむ 00065030L5よ△Sナニ、それがめつらしい事が有ものか。今時の女房 00065040L6ハ、かゝとできんちやくさへ切ル 00065050¥N27¥J 00065060¥X○拾文銭 00065070L9銭、すもうを取り、どふでも文せんハ、今での(十八オ)手 00065080L10とり、/越(こし)の海ときている。四文せんハ関の戸か/出水(いづミ)川たと、 00065090L11はなしなかばへ、拾文銭顔を出シ、いづれもハ/幕(まく)の内のた 00065100L12てもの、関取リも若ひ内じや。おらも若ひ時ハ丸山か、お 00065110L13にが嶋、今のしやかともよばれたが、年が寄ツてハ壱文に 00065120L14もならぬ 00065130¥N28¥J 00065140¥X○あてすいりやう(十八ウ) 00065150L17廿三夜の/夜食(やしよく)もすぎ、見世のかたすミにこぞり寄り、若イ 00065160L18者、でつちまじりのはなしに、今度、中/洲(ず)のきよくばがは 00065170L19やるそふな。あれハやつぱり、やげん堀の馬だげな。Sナ 00065180L20ニ、其馬でハない。外の馬さ。ハテ、其馬に違ひハなひと 00065190M1あらそへば、/伴頭(ばんとう)、/奥(おく)から顔をいだし、若イ衆。めくりハ 00065200M2ならぬよ(十九オ) 00065210¥N29¥J 00065220¥X○祝義 00065230M5/仕(し)事/師(し)、/婚(こん)礼のふるまいに/招(まねか)れ、したくをして出かける処 00065240M6へ/友達(ともだち)来り、おのしやア帰る時の/言(ことば)を知ているか。イヤ、 00065250M7しらねへ。おしへてくりやれ。Sかならすナ、おいとまも 00065260M8ふすの、帰りませうのと/云(いふ)事ハ、きついきんもつだ。ひら 00065270M9きませうと(十九ウ)いやれ△Sヲヽのミ込ミ山だと、かの 00065280M10座敷へ趣、/鱠(なます)のけんのくねんぼう迄してやり、/膳(ぜん)が/引(ひけ)るや 00065290M11いなや、しびれをきらし、御亭主さん。わたしやア/欠落(かけうち(ママ)) 00065300M12いたしやす 00065310¥N30¥J 00065320¥X○龍宮 00065330M15/済(さい)上/寺(じ)の/金印(かないん)、/懐中(くわいちう)したる身なげ、/龍宮(りうぐう)へよびこまれ、い 00065340M16ろ+のもてなし。(廿オ)S身なげ此お茶ハしがらきも及 00065350M17びませぬ、けつかうなお茶で御座ります。第一、水がよふ 00065360M18/合(あ)イます。やはり玉川から/掛(かゝ)りますかと/問(と)へば、Sいゝへ。 00065370M19/引(ひき)まどから/来(キ)やす 00065380¥P193 00065390¥N31¥J 00065400¥X○松茸 00065410L3田舎の/伯父(おぢ)、松/茸(だけ)をミやけに持て来ル。(廿ウ)娘、かのま 00065420L4つだけをぢろ+ながめ、かゝさんへ。此松茸のあたまハ 00065430L5大/黒(こく)さんのつむりニ、よふ/似(に)ていやすといへば、S母もつ 00065440L6たいない事をいやるな 00065450¥N32¥J 00065460¥X○祭の祝 00065470L9/祭(まつり)も首尾よく済たいわゐに、/池(いけ)の/端(はた)の/料理(りやうり)茶屋で、ふるま 00065480L10いをしよふと思ふ。(廿一オ)Sそりやよかろうと、茶屋へ 00065490L11頼ミに行。S茶やの亭主かしこまりました。お/膳(ぜん)ハけんくわ 00065500L12のまへに出シましやうか 00065510¥N33¥J 00065520¥X○新無間 00065530L15女郎、金につまり、しあんさい中。となり座敷て、新むけ 00065540L16んをうたひ出す。S女郎、是ハ神+さんのおしへで有ふ 00065550L17と、/手水鉢(てうつばち)(廿一ウ)にむかひ、芝居で見たよふに、むけん 00065560L18の/鐘(かね)をつきければ、二階のせうぢ、さらりとあく。やれう 00065570L19れしや。金が/降(ふる)で有ふと、のぞき見れば、二階からも顔を 00065580L20いだし、若松さん。金が/湧(わき)んしたら、十両斗リ/借(かし)なんし 00065590¥N34¥J 00065600¥X○きつね 00065610M3/勝負師(せうぶし)、きつねの子をたすけければ、(廿二オ)(廿二ウ・廿三 00065620M4オ挿絵)母きつね、なににても、此御/恩(おん)返しをいたしませ 00065630M5う。Sせうぶしそんなら、さいと/化(ばけ)て、/胴(どう)を取ルおり、/一(ぴん) 00065640M6+といわば六とばけろ。にこ+わらわば五とばけやれ 00065650M7といゝふくめ、去ル座敷へ行キ、胴を取、/一(ぴん)+といふて 00065660M8/坪(つぼ)をあければ六なり。あまりうれしく、ツイうてうてんに 00065670M9成り、庭の梅を(廿三ウ)/誉(ほめ)ければ、/坪(つぼ)の中ハ/鴬(うくひす) 00065680¥N35¥J 00065690¥X○塩同士 00065700M12/塩(しほ)の云よふ、おなじ塩でも/焼(ヤキ)塩ハ仕合もの。おいらハ/寐(ね)お 00065710M13きの手でつまゝれ、たくあん大/根(こ)とまきぞへにされ、うへ 00065720M14から大石をのせられ、いくらつらひめにあうかしれぬ。 00065730M15Sヤキシホそふいやるな。おれハ時+、おこわにかけら 00065740M16れる(廿四オ) 00065750¥N36¥J 00065760¥X○/盗人(ぬすびと) 00065770M19びんぼう人の所へ盗人/這(は)入り、何を取ふにも、なにもなし。 00065780M20ヱヽごうはらな。/飯(めし)でも/喰(くふ)べいと、そろ+釜のしたへた 00065790¥P194 00065800¥G(廿二ウ・廿三オ) 00065810M1きつけ、/飯(めし)びつのふたを取つて見れば、/杓子(しやくし)斗リ。亭主、 00065820M2/巨燵(こたつ)から顔を出し、ぐつ+笑う。S盗人、ごふをにやし、 00065830M3これ、笑ひこつちやない(廿四ウ) 00065840¥N37¥J 00065850¥X○明店 00065860M6/若衆(わかしゆ)、娘の所へしのび入らんと、まづ/敷居(しきい)に水をながし、 00065870M7/灸(きう)のふたへがすよふニ、そろり+と戸をあけあふせ、こ 00065880M8わ※/這(は)入つて見れば/明店(あきだな)。若衆、むねをさすり、ヲヽ、 00065890M9これでしくぢる気遣ひがない 00065900¥N38¥J 00065910¥X○びつこ(廿五オ) 00065920M12旦那、六あミだへ参り、/角内(かくない)ヤ。今日は/余(よ)ほどの道じやか 00065930M13ら/草臥(くたびれ)た。S角内さよふで御座りましやう。殊におまへハ 00065940M14御びつこ様ゆへ、ひとしほ御くたびれがつよひといへば、 00065950M15Sほうばいの奴これ角内。とんだ事をいふ。なに、旦那がび 00065960M16つこなものか。ハテ/片足(かたあし)みしかい。Sうそをつく(廿五ウ) 00065970M17やつた。けつく、片足/長(なが)ひくらひだ 00065980¥N39¥J 00065990¥X○仏神 00066000M20目黒の不動へ、近所の仏神/達(たち)、/振(ふる)まいに呼れ、盃なかばに、 00066010¥P195 00066020L1なにやらなまぐさひにほひがするゆへ、/台(だい)所をのぞき見れ 00066030L2ば、/魚藍(ぎよらん)と/蛸薬(たこやく)師、火にあたつて居る(廿六オ) 00066040¥N40¥J 00066050¥X○湯屋喧嘩 00066060L5/士(さむらい)、/風呂(ふろ)の中でけんくわをはじめ、これ亭主。/喧嘩(けんくわ)の相 00066070L6手を出しやれ。S亭主もふふろにハ、たれもおりませぬと 00066080L7いへバ、ナニ居るはつだと、又はたかに成り、風呂へ/飛(とび)込 00066090L8ミ、湯ばん、/笊(ざる)をかしやれ 00066100¥N41¥J 00066110¥X○茶釜(廿六ウ) 00066120L11去ル/独(ひとり)者の内へ、/毎夜(まいよ)茶/釜(かま)の中から、ゆふれいが出る。亭 00066130L12主こらへ兼、てんびんぼうを、こわきにかい込ミ、おのれ、 00066140L13何のうらミ有やと/問(と)へば、Sゆうれいほふぢが/悪(わる)ひ 00066150¥N42¥J 00066160¥X○入レ札 00066170L16源六。おのしやア/佐(さ)川の川/浚(さらい)の/入(いれ)札を/落(おとし)たげな。Sヲヽお 00066180L17としたよ。とんだひどい札と聞た。(廿七オ)仕廻に/欠落(かけおち)で 00066190L18もするつもりか。Sとんだ事をいゝやる。ヲラア、百両に 00066200L19/落(おとし)て、九十九両利が有△Sそりやどふして/浚(さらう)といへば、川 00066210L20上ミへこんにやくを/流(なが)す 00066220¥N43¥J 00066230¥X○白雨傘 00066240M3御物見の前で、/仕(し)事師の/頭(かしら)、/雨(あめ)にふられ、これ長吉。内へ 00066250M4行つてナ、/傘(かさ)がふるから雨をよこせと/云(いつ)てくりやれといへ 00066260M5ば、S殿様(廿七ウ)/笑(わら)わせ給ひ、御/家老(からう)を/召(めさ)れ、先/刻(こく)ふつ 00066270M6ゞかな/下(げ)郎が通た。あめがふるから傘がほしいといふた。 00066280M7/石(セキ)左衛門、なんとおかしいでハないか。S家老、平/伏(ふく)して、 00066290M8ヘイとばかり/返答(へんとう)して笑わず。S殿これ石左衛門。こゝで 00066300M9笑ふがゑんりよなら、/次(つぎ)の間で笑やれ 00066310¥N44¥J 00066320¥X○服沙包(廿八オ) 00066330M12ぶげん者の内へ盗人はいり、なんだかけつかうな/裁(きれ)に包た 00066340M13る物をぬすミ出シ、中をあらためて見れば、銀のしゆびん。 00066350M14親方が見て、それハなんだといへば、S親方、シイヽヽヽヽ 00066360¥N45¥J 00066370¥X○細工 00066380M17ぶきような亭主、たばこぼんを/打(うち)付るとて、/大(たい)そふにミそ 00066390M18をあげ、内の/調市(でつち)に(廿八ウ)おさへさせ、/錐(きり)もミをして/釘(くぎ) 00066400M19をうつ。調市、箱の内をのぞひて居る。S亭主、とん+ 00066410M20とんとうち、どふだ。釘ハきいたか。Sアイ。又とん+ 00066420¥P196 00066430L1とんとうち、こふ釘も/利(きけ)ば、甚六に世話はやけぬなどゝみ 00066440L2そをあげ+、とん+とんとうち、此釘もきいたかとい 00066450L3へば、調市、いゝへと云。Sどふしたよ△Sまだ内へ釘が 00066460L4出ませぬ(廿九オ) 00066470¥N46¥J 00066480¥X○棟梁 00066490L7長兵衛ヤ。おらが/頭(かしら)ハごうぎに金をもふけおつた。ハテそ 00066500L8れハにくいやつだな。それに/聞(きゝや)れ。今年のしきせハ茶袋の 00066510L9うへを、なめくじが/這(はつ)たよふなさんとめよ。此春しきせを 00066520L10/着(き)て、切り見世をそゝりに行ツてな、あすこでハひつぱり、 00066530L11こゝでハひつぱり、一度(廿九ウ)/着(き)て、あらめのよふにさ 00066540L12れたけれと、おしくもなんともない。あたな/頭(かしら)よといへば、 00066550L13S友達そんなむだをいやるな。そつちの頭ハいくら程のば 00066560L14した△Sまづ親/仁(ち)が八百両か、息子が八百両。二人リて壱 00066570L15〆六百両よ 00066580¥N47¥J 00066590¥X○節分 00066600L18福ハ内/鬼(おに)ハ内と、豆まきの/声(こへ)。となりに(三十オ)/居(い)合せし 00066610L19客、ふしきに思ひ、/隣(となり)は何/商売(せうばい)で御座ると/問(と)へば、S女房 00066620L20となりハめくり/師(し)さ 00066630¥N48¥J 00066640¥X○見廻 00066650M3/堀(ほり)の船宿来り、染山さん。夕部の火事に、おなじミの/貧公(ひんこう) 00066660M4さんが、たちのまゝに御成被成やした。御見廻を御遣やせ 00066670M5んか。アイ、何ぞ(三十ウ)/遣(ヤ)りやしよふと、/菰(こも)を三枚買に 00066680M6遣る。船宿きもをつぶし、モシ是斗リでハ、こやがけにもた 00066690M7りやすまいといへば、S女郎何、ぬしの/着(き)る程あれば能ひ 00066700¥N49¥J 00066710¥X○餅屋の産 00066720M10/餅(もち)屋の女房、安+と/産(うミ)おとす。ばゝあ取りあげ、モシ御 00066730M11亭主様。此お子ハ、さいづちあたまで(三十一オ)御座りま 00066740M12すといへば、亭主おつぱたぬぎ、/赤(あか)子のあたまを丸めなを 00066750M13して、見世£/団(うちハ)を取りよせ、ばあさん。是であをぎ給へ 00066760¥N50¥J 00066770¥X○むぢん寄り合 00066780M16/仕(し)事師、むぢんの寄り合に/行(ゆく)。S世話役是ハ治郎兵衛さん。 00066790M17なせ、おそふ御出被成やした△Sアイ、町/場(ば)を今仕廻やし 00066800M18た△S世話役、/膳(ぜん)をいだす。(三十一ウ)仕事師、膳にすわり、 00066810M19/大(タイ)平の/巻(まき)物をならべ、膳を取てほうり出せば、S世話役こ 00066820M20れ、かしら。おとなしくないしかただ。まづ、はらたちの 00066830¥P197 00066840L1/訳(わけ)をいゝ給へといへば、Sこれ、あんまりみくびつてくれ 00066850L2るな。いかにおいらが半口だとつて、なぜ引物に/海老(ゑび)を半 00066860L3分付ケやつた 00066870¥N51¥J 00066880¥X○いろは(三十二オ) 00066890L6日ぐらしの/戻(もど)りに、いろは茶やへ/揚(あが)り、此あねさんハ見た 00066900L7よふだ。わたしかへ。わたしハ深川に居やした。ハテナ。 00066910L8そんなら酒の肴ニけんをしやせう。Sけんハ/知(し)りやせん。 00066920L9はて、ついしれやす。両方から/指(ゆび)で数を出シテネ、あてる 00066930L10のさ。S女郎わたしらがほふでハ、そんなむづかしい事ハ 00066940L11はやりやせん。/種柿(たねかき)(三十二ウ)がはやりやす 00066950¥N52¥J 00066960¥X○洗ひ髪 00066970L14/客(きやく)、小/便(よう)に/起(おき)、/廊下(らうか)を見れば、女郎、/洗(あらひ)髪をミたし/立(たつ)て居 00066980L15る。客、思ふよふにハ、此女郎、/自害(ちがい)でもする気か。たゞ 00066990L16し、ゆふれいか、なんでも見とゞけてやろうと、こわ+ 00067000L17そば迄行キ、そつとのぞき見れば、女郎(三十三オ)ふとこ 00067010L18ろの内で、はした銭の/勘定(かんぜう) 00067020¥N53¥J 00067030¥X○なら漬 00067040M1/賀(が)のいわゐに呼れ、/膳(せん)を出した処がむまものぞろひ。段 00067050M2+しよこなめ、なら/漬(づけ)の/香(かう)の物。是ハ/嚊(かゝあ)が所へ、ミやげ 00067060M3にしよふと残し置。/傍(そば)にすわりし客、権兵衛がなら漬の香 00067070M4の物を、そしらぬ顔にて、はさんてくへば、(三十三ウ)権兵 00067080M5衛、むつとしたれども、むねをおさへ、御亭主様。拙者義ハ 00067090M6ぶし付ケなから/中(ちう)座いたします。いかい御/馳走(ちそう)に相成まし 00067100M7たと、ずつとたつ。Sそばにすわりし客モシ権兵衛様。御/扇(せんす) 00067110M8が御座りまするといへば、権兵衛立チ帰り、これ長兵衛殿。 00067120M9わしが/扇子(せんす)をわすれよふが、なら漬をわすれよふが、いか 00067130M10いお世話さ(三十四ノオ) 00067140¥N54¥J 00067150¥X○義太夫 00067160M13去ル隠居、義太夫のかうまんを云。居合せし息子ども、と 00067170M14ふぞうけ給りたひと、しよもふすれば、内の娘も、おかた 00067180M15り被成やしと、隠居をせむれば、S隠居さよふなら、一段 00067190M16かたりませうと、さとふ湯など二三ばい引ツかけ、あんま 00067200M17の鶴一が三味線(三十四ノウ)でそろ+うなり出した処が、 00067210M18/大(だい)の下手故、/聞人(きゝて)もそろ+/迯(にげ)足に成り、のちにはたつた 00067220M19/壱人(ひと)リ残り居る。Sいんきよ貴公斗リハ義太夫が御/好(す)キと 00067230M20見へて、御残り被成れ、拙者もかたるはり合ヒか御座ると 00067240¥P198 00067250(四十一ウ・四十二オ) 00067260M1いへば、Sナニ、おまへに扇をかしたから 00067270¥N55¥J 00067280¥X○猿蟹(四十オ) 00067290M4/柿(かき)のたねと焼めしの出入りにて、/蟹(かに)、大キなめに出合ヒ、 00067300M5/臼(うす)、きね、あらめ、しりを持、/意趣(いしゆ)を返してしんぜうと、 00067310M6待て居る処へ、猿見廻に来りければ、あらめ、/猿(さる)の足へ廻 00067320M7り、まつさかさまにほうり出す。サア上から/杵(きね)が、ちから 00067330M8ニまかせ、よこぞつほうをはりたをせば、猿、命から+ 00067340M9こなたの山へかけ/登(のほ)る。/跡(あと)から(四十ウ)臼、/遁(のか)さしと、お 00067350M10なじく山へ登りしが、木の/根(ね)につかへ、ころ++。臼 00067360M11あせを/流(ながし)、たのミます+ 00067370¥N56¥J 00067380¥X○御通り 00067390M14百性、/格子(かうし)から顔を出し、ほとゝぎすをよねんなく/詠(なかめ)て居 00067400M15る処へ、庄屋かけて来り、今御地/頭(とう)様の/御(ヲ)通りじやから、 00067410M16引ツこミ給へ。亭主、きもをつぶし、(四十一オ)(四十一ウ・ 00067420M17四十二オ挿絵)/首(くび)を引ツこませにかゝれとも、格子に/挾(はさま)れ、 00067430M18いかなうごかず。コレ御庄屋さん。こふして居てハ、御地 00067440M19頭をふミつけ。此なんをすくひ給へと/泣(なき)出せば、S庄や、 00067450M20さそくを出し、目薬有りと書キ、/鼻(はな)の/先(さ)キへはり付る 00067460¥P199 00067470¥N57¥J 00067480¥X○廻向院 00067490L3おれハ今日、金を五両ぬすまれて/来(キ)た。ソリヤ(四十二ウ) 00067500L4とんだ目にあつたの。シテ、どこでぬすまれやつた。S/廻= 00067510L5向(ゑ=こう)院の/寺内(ぢない)でよ△Sそんなら、おのしがぶ/念(ねん)だ。なぜとい 00067520L6ゝやれ。廻向院ぶつそふと書て有る 00067530¥N58¥J 00067540¥X○大釜 00067550L9ミそやの内へ、ある/夜(よ)盗人/這(は)入り、/家財(かざい)ハおろか、/着(き)て寐 00067560L10た夜着迄ひつたくられ、(四十三オ)今夜ハ着て寐る夜着ハ 00067570L11なし。/幸(さいわ)ひ、あの大/釜(かま)こそ大/切(せつ)の/商売(せうばい)道具と、大釜の中へ 00067580L12/寐(ね)る。やがて盗人、夕部のあぢをしめ、又/這(は)入ツた処が、 00067590L13なんにもなし。此大釜こそよきかね目と、ひつかつぎて、 00067600L14すた+/迯(にげ)れば、釜の中で大/鼾(いびき)。是ハふしぎと、/畑(はたけ)の中へ 00067610L15釜をおろせば、S亭主、フツトめを/覚(さま)し、なむさん、(四十 00067620L16三ウ)家をぬすまれた 00067630¥N59¥J 00067640¥X○なぞ 00067650L19なんと、めづらしいなぞをかけよふが、/解(とく)か。ヲヽ/解(とい)てミ 00067660L20しようが、壱両よこすか。どふであたるこつちやないて。 00067670M1ハテ先キをからさずと、かけて見やれ。Sそんなら、といて 00067680M2見やれよ。二を/仕(し)事ニ出て、/桐(きり)をかぶるものナアニ。(四十 00067690M3四オ)まちやれよ。こふぎにむづかしい事を/云(いゝ)出シた。ソ 00067700M4レ+、よくどうしくない/富(とミ)の願ひか。Sナアニ、はこね 00067710M5山の/雲(くも)助 00067720¥N60¥J 00067730¥X○もゝ引 00067740M8/田舎(いなか)者もゝ引やへ行キ、此もゝ引ハなんぼシ申ス。S亭主 00067750M9アイ、それかへ。それハ壱〆弐百で御座りやす。そりやあ、 00067760M10げゑに/高(たこ)ふおんじやるの。(四十四ウ)五百ば/あ((ママ))りにまけなさ 00067770M11らふ。Sそふいわずと、もつと/買(か)ひなさい△Sそんなら、 00067780M12もふ五十も遣りますべいか△S口あけだから、まけやせう△ 00067790M13Sハ、銭がたりもふさぬ。帰りに/寄(よ)りますべい△S朝/商(あきな) 00067800M14ひだから、小便をしなさんなよ△Sハテ、むつかしいもゝ 00067810M15引だア。モシ。小便のならネヱもゝ引なら、入りもふさぬ 00067820M16(四十五オ) 00067830¥N61¥J 00067840¥X○赤イ頭巾 00067850M19大晦日に成り、S女房もし旦那へ。米やとみそやが/来(き)やし 00067860M20よふよ△S亭主ヲヽサ。年の寄るのハかまわぬが、米やの 00067870¥P200 00067880L1寄るのがうるさいから、今日の切りぬけよふハ、おもひつ 00067890L2きが有ると、女房に/囁(さゝやく)。サア間もなく酒やが来れば、S女房 00067900L3あれ、あの通り、ほうそふをいたしておりやす△S酒や 00067910L4(四十五ウ)ヲヽまだ山があがらぬの△S亭主、赤イづき 00067920L5んをかぶり、酒屋のおぢいか。取りついて/遣(ヤロ)ふぞ 00067930¥N62¥J 00067940¥X○語好キ 00067950L8孫ぼう。又ふるひはなしをはなしに/来(きた)のか。S孫そふ/腰(こし)を 00067960L9おつてくりやんな。今日のはなしハあたらしい。/兄(あに)がうで 00067970L10をもがれる、/弟(おとゝ)が足をもがれる。/跡(あと)ハかんじんの所だが、 00067980L11は(四十六オ)なすまいと、帰りにかゝれば、Sミナ+これ 00067990L12+、孫ぼう。そふおもわせぶりをしやるな。ちよつと聞 00068000L13イた処が、中+あたらしそふだ。どふぞ、そしてそれハ 00068010L14どこでの事だ△Sふじの/裾(すそ)野で 00068020¥N63¥J 00068030¥X○髪結 00068040L17髪/結(ゆひ)、女郎買に行キ、/剃刀(かミそり)/問(とん)屋の/伴頭(ばんとう)づらで、しやれのめ 00068050L18す。女郎、ばんとうかぶにくらひ(四十六ウ)こミ、ぬしの 00068060L19事なら、親ゆびでも切りんすなどゝ大イのもて。髪結、あ 00068070L20まりうれしく、盃の数を/過(すご)し、たらふく孫左衛門に成り、 00068080M1小便所にたおれて居る。S女郎ばんさん。/床(とこ)へ御出なんし 00068090M2といへば、Sナニ、床へハ/日(ひ)手/間(ま)を出して/来(き)た 00068100¥N64¥J 00068110¥X○暫悦(四十七オ) 00068120M5/金(きん)の大/黒(こく)をひろひ、女房に見せ、/捨(すて)売にしても百両が物ハ 00068130M6有る。はやくおみきをあけよふと、/馳走(ちそう)をすれば、/棚(たな)のす 00068140M7ミから、すゝびたる大黒おどり出、/神酒(ミき)徳利をひつたくれ 00068150M8ば、金の大黒きかぬ気に成り、おつぱたぬいだ所が、/銅(あかかね) 00068160¥N65¥J 00068170¥X○嫁(四十七ウ) 00068180M11親仁、よめに/惚(ほれ)、/嫁(よめ)もせんかたつき、息子ニわけをいへば、 00068190M12S息子おれがたしなませて見しやうと、/或(ある)朝、よめの/布子(ぬのこ) 00068200M13をかりて/着(き)、手拭をあたまへかぶり、火を/焚(たい)て居る。親仁、 00068210M14いつもの如くに、嫁が火を焚て居るかと思ひ、うしろから 00068220M15/抱(だき)しめれば、息子、手拭を取り、これ親父さん。何を(四 00068230M16十八オ)しなさるといへば、S親いくつに成ツても、子ハか 00068240M17わいゝ 00068250¥N66¥J 00068260¥X○ゑんまの恋 00068270M20/蕣(あさがほ)にめんぼくもなき命/哉(かな)と/云(いふ)/辞世(ぢせい)を残し、地/獄(ごく)の/楼(らう)門へ 00068280¥P201 00068290L1かゝり、わたくしは瀬川菊之丞で御座ります。大王様へ宜 00068300L2御ひろう御頼ミ申ます。/鬼(おに)ども、急キ大王へ(四十八ウ)ひ 00068310L3ろうすれば、しばしひかへよとの/御意(ぎよい)。/露孝(ろこう)、あまりまち 00068320L4どふしく、戸/帳(てう)よりそつとのぞき見れば、Sゑんま、きや 00068330L5う/台(だい)に/向(むか)ひ、/笑(わら)ひ顔の/稽古(けいこ) 00068340¥N67¥J 00068350¥X○榎 00068360L8下女、桜の/馬場(ばゝ)へ行キ、/榎(ゑのき)へのぼる処を、/番(ばん)人が見付ケ、 00068370L9こりや、/首(くび)をくゝらせる事は(四十九オ)ならぬといへば、 00068380L10下女、榎より/飛下(とびヲ)り、どふぞ/慈悲(ぢひ)じやから、くゝらせてく 00068390L11んなさいと、ばん人にぴつたりだきつく。Sばん人、ぐに 00068400L12やりと成り、そんなら、はやくくゝつて/帰(かへ)りや 00068410¥N68¥J 00068420¥X○花 00068430L15こふまん手合ヒあそびに行キ、まづ女郎の(四十九ウ)/来(こ)ぬ 00068440L16まへに床を見れば、/杜若(かきつばた)のなげ入レ。これ清公。此花ハ/生(イ) 00068450L17ケよふがわるひからおしい。花が死でいるの。Sせいこう 00068460L18しらずハの、だまつているものだ。アヽ能ウ/生(イ)ケた。花が 00068470L19いきていると、せうびすれバ、今壱人リの/連(つれ)、おのしたち 00068480L20ハどこを見て、/死(しん)だの/生(いき)たのといやる。死も生もせぬ。ま 00068490M1だ/床(とこ)に付て居る(五十オ) 00068500¥N69¥J 00068510¥X○庭見物 00068520M4きをい、組下やしきの/庭(にハ)へ/這(は)入り、次郎ヤ。此木を見や。 00068530M5なんたか、ごふぎに/匂(にほ)う木だ。S次郎そりやアぢんこうき 00068540M6さ△Sウ、そろばんの成る木だな 00068550¥N70¥J 00068560¥X○いも 00068570M9酒のさかなに、いもの/煮(に)ころばしを出ス。(五十ウ)S客わ 00068580M10たしやア、たんにあたるから、/給(たべ)やすめへ△S女房せつか 00068590M11く煮やしたから、あがりやし△S客そんなら壱つたべやし 00068600M12やうと、はしではさめば、いも、/箸(はし)より/落(おち)て/向(むかふ)へころげ、 00068610M13アイ、わたしやアたんの/毒(どく)さ 00068620¥N71¥J 00068630¥X○女曲馬 00068640M16/諸(しよ)所のきよく/馬(は)ども寄リ合ヒ、なんと思やる。(五十一オ) 00068650M17段+あつくハ成るし、ほねのおれる役めだの。ヲヽサ。 00068660M18まだ/仕(し)合ものハ、やげん堀ばかりだ。Sヤゲンホリノ馬なぜ、 00068670M19おらア仕合だ△Sミツマタノ馬女を/乗(のせ)るからよ△Sなに、/腹(はら) 00068680M20へでも/乗(のせ)ハせまいし 00068690¥P202 00068700¥N72¥J 00068710¥X○三弦箱 00068720L3/鳶(とび)の者、芸者の三味線箱をあけ、これ見や。なんだか/光(ひか)ルば 00068730L4ち袋が有らア。守袋/だけ((ママ))(五十一ウ)段+店おろしをはじ 00068740L5め、筆のかさでこしらへし/上(かミ)ごまをめつけ出し、コレ、こ 00068750L6れを見や。たしなミのいゝ。しびれの薬迄有る 00068760¥N73¥J 00068770¥X○槙 00068780L9親仁、息子を/呼(よび)付ケ、おどれハ夕部も行キおつたな。アレ、 00068790L10あの/庭(にわ)に/積(つん)で有るまきを見おろふ。なんぼ/高(たか)くても、壱分 00068800L11がまきが(五十二オ)山ほど有るハ。S息子なに、/槙(まき)が/抱(たい)て 00068810L12/寐(ね)られるものか 00068820¥N74¥J 00068830¥X○小声 00068840L15娘、/格子(こうし)から顔を出し、小声にて、これ松茸よ。S松/茸(だけ)う 00068850L16りのすいりやうにハ、此むすめ、ないせうで/買(かう)と思ひ、お 00068860L17なじく小/声(こへ)で、壱つ三十弐文で御座りますといへば、S娘 00068870L18(五十二ウ)そなたも風を引て/居(い)るの 00068880¥N75¥J 00068890¥X○酒 00068900M1/獄(ごく)門のまへを酒売通りければ、Sごくもんこりや酒売。マ 00068910M2テ△S酒や、ぶる+もので、何の御用で御座ります。 00068920M3Sこくもん酒を/呑(のま)せい△S酒や御安ひ御用。それでおち付キ 00068930M4ましたと、茶わんに一ぱい、ぐいのミに(五十三オ)のませ 00068940M5て/遣(や)れば、Sこくもんあゝいゝ気ミだ。とてもの事に、あ 00068950M6たまを一ツたゝいてたもれ 00068960¥N76¥J 00068970¥X○竹薮 00068980M9ちと、おらが所へ/来(き)給へ。/秡(ぬき)たての/笋(たけのこ)でもふるまおふ。其 00068990M10やわらかさ、/真(ま)わたのごとしなどゝ、ミそをあげのめす。 00069000M11S江戸ものおのしハ(五十三ウ)ほんに、どらを/打(うつ)ても仕合も 00069010M12の。江戸に居てハ、そんなたけのこハ口へはいらぬ。/急(きう)に 00069020M13うら山しくなつた。/近(ちか)さもちかし。/同(どう)道して/行(いく)べいと、つ 00069030M14れだち行キ、サア/腹(はら)がへり山。はやく/煮(に)やれといへば、ヲ 00069040M15ヽのミこミ印と、うらへ出て行ク。S客まてどくらせど帰 00069050M16らねば、どりや/尋(たづね)て/来(こ)よふと、うらの/薮(やぶ)へ(五十四オ)行て 00069060M17見れば、亭主、/笋(たけのこ)にしばられて 00069070¥N77¥J 00069080¥X○悪口 00069090M20権助、内のまへで/槙(まき)を/割(わつ)て居る処へ、/国者(くにもの)たづねて来り、 00069100¥P203 00069110¥G(五十五ウ・五十六オ) 00069120M1権助どの。御替りもごんせぬか。ヲヽいつ、こつちへござ 00069130M2つた。きのふ/来(キ)申た。/今年(ことし)ハどふじや。勤能ひ内かの。な 00069140M3にさ。くそぼね斗リおらせての、此米の安ニ、(五十四ウ)/聞(きかつ) 00069150M4セヱ。/毎(めへ)日朝が茶/粥(げへ)か、/夜(や)しよくがぞうすいといゝながら、 00069160M5うしろを見れば、旦那どの。△S権助。まきわりに力を入レ、 00069170M6しかし、/薬(くすり)ハ薬だけれど 00069180¥N78¥J 00069190¥X○挾箱 00069200M9/越後(ゑちご)者に/挾箱(はさんばこ)をかつがせ、年礼に出ける。此男、どせう 00069210M10ねがない故、どふも行/先(さき)※で、(五十五オ)(五十五ウ・五十六 00069220M11オ挿絵)はさん箱をわすれてならぬ。イツソおれ£/先(さ)キへた 00069230M12つて/歩行(あるけ)。S男どふでも旦那だけ、イヽ御ちへが出るなど 00069240M13ゝ、むだ口たゝいてかつぎ/行(ゆく)。向から御大名の御通リ。/先(さき) 00069250M14挾箱の/御格式(おかくしき)、はいほう、わきよれの/声(こへ)におそれ、もし旦 00069260M15那様。わし斗でもない。あの男もわすれるそふだ(五十六ウ) 00069270¥N79¥J 00069280¥X○安永 00069290M18安永と云物をふるまおふか。それハめづらしいものだ。ど 00069300M19ふぞ七十五日/生(いき)のびたい。はやく/振廻(ふるまい)給へ。おはるや。此 00069310M20客人にふるまへといへば、下女、/皿(さら)へつけてだした処が、 00069320¥P204 00069330L1さんまの/甘(あま)塩 00069340¥N80¥J 00069350¥X○吉原 00069360L4田舎客を、息子の/案(あん)内で、吉原見物ニ(五十七オ)/連(つれ)立行、 00069370L5サア大門口へ/来(キ)やした。S田舎ものアレ見なさらふ。げへ 00069380L6に、りつぱな男共が、目をひつぱだけて居申ス。どろぼう 00069390L7の/番(ばん)でがな、御座らふの。ナニ、アレハ女郎の番で御座り 00069400L8やす。能く見て、国のミやけにしなさへ。右へはいれハ江 00069410L9戸町壱丁め。左リか弐町め。先キの町があげや/町(まち)。其先キ 00069420L10が京町。まつすぐにつき/当(あたつ)(五十七ウ)て、/鼻(はな)でもぶちなさ 00069430L11んな。/水道尻(すいどしり)が有ルといへば、そんなら馬にでも/乗(のり)ますべ 00069440L12い。/問(とん)屋/場(ば)ハどこだあもし 00069450¥N81¥J 00069460¥X○観音 00069470L15大イのしあんぼう、吉原へ/行(いき)がけに、まづくわんおんさん 00069480L16を/素(す)通りにもなるまいと、/腰(こし)から壱文取り出し。なげた処 00069490L17が四文せん。(五十八オ)ハ、なむさん、/小(こ)銭ととつちがつ 00069500L18たといへば、Sくわんおんくるしうない 00069510¥N82¥J 00069520¥X○大橋 00069530M1髪をミだしたる女、/息(いき)を切て/大橋(おふはし)へかけ来り、壱文なげて 00069540M2通りければ、Sはしばんこれ+女中、弐文出ルよ△S女 00069550M3ふりむき、わたしやア橋のまん中迄(五十八ウ) 00069560¥N83¥J 00069570¥X○肥 00069580M6/田舎(いなか)者、屋敷町を通り、/俄(にわか)に大便をしたくなり、/辻(つじ)番へお 00069590M7いて/来(く)るもおしいものじやと、ひだりねぢりをはな紙へく 00069600M8るミ、/袂(たもと)へ入れル折ふし、むかふから/肥(こへ)取リが/来(く)る。これ、 00069610M9肥のはしたものが有が、/買(かわ)ぬか。Sこへ取り御屋敷ハどこ 00069620M10で御座ります。そんなおつ(五十八又オ)くうな事じやない。 00069630M11こゝに有ルと、袂から出せば、Sこへ取それハ/盗(ぬす)ミ物じや 00069640M12ないかネ 00069650¥N84¥J 00069660¥X○ふ男 00069670M15/亭主(ていしゆ)、親分を/呼(よ)び、御聞キ被成ひ。おふさめが、わしを見 00069680M16/捨(すて)て帰りませぬ。わしじやとて、すてた男でもないといへ 00069690M17ば、S親分うぬぼれをいやるな。/拾(ひろ)ふ男でもない(五十八又 00069700M18ウ) 00069710¥N85¥J 00069720¥X○いざこざ 00069730¥P205 00069740L1/鳶(とび)の者、女郎買に行キ、女郎/夜(ヤ)食に/下(ヲ)りしをまち兼、二/階(かい) 00069750L2から手をたゝけば、若者来る。Sこれ若イ衆。能聞ツし。 00069760L3ミそじやアねへが、切り見世でだれしらぬものもねへ、あ 00069770L4づまの六といふものだ。はじめて此/吉原(さと)へ来たと思つて、 00069780L5ごふぎに安くするの。S若者(五十九オ)何が御気にさわりま 00069790L6したかぞんしませぬが、唯今おあい方様ハ、お/夜(や)しよくを 00069800L7あがつて御出被成ますS鳶これ、茶にしたことをいふな 00069810L8へ。七五三の料理を、/当才(とうざい)子になめさせても/覚(おべゑ)が/有(あら)ア。お 00069820L9らア遊びにやア/来(こ)ねへよ 00069830¥N86¥J 00069840¥X○茶碗(五十九ウ) 00069850L12新ぞう、茶わんの水をたゝいて居る。S若者其梅さん。何 00069860L13を被成やす△S其梅金がほしいから、いのるのさ。おめへ 00069870L14ハちへのない。それほど金がほしくハ、むけんの鐘でもつ 00069880L15きなさいといへば、S何、二/歩(ブ)や三歩 00069890¥N87¥J 00069900¥X○雨宿り 00069910L18寺の門前に、大/勢(せい)/雨(あま)やどりして居る。(六十オ)はなしに、 00069920L19おまへハいづ方じや。わたしかへ。わたしハ神田で御座り 00069930L20やすから、内へハ近く成やした。シテ、おめへハと/問(と)へば、 00069940M1わしハびろうながら、/葛西(かさい)さ 00069950¥N88¥J 00069960¥X○猿 00069970M4殿、御/家老(かろう)を召れ、儀左衛門。身が/尊顔(そんがん)を拝見いたせ。 00069980M5S儀左衛門、見奉り、けつこうな御顔(六十ウ)で御座ります 00069990M6るといへば、S殿ヲヽ、そふじや有ふ。人の口にハ戸がた 00070000M7てられぬものじや。おれを/猿(さる)に/似(に)たといふものが有るそふ 00070010M8な。誠に猿に其まゝか。正直によふ拝見いたせ△S儀左衛 00070020M9門、殿の御顔、能+見なをし、いへ+、御前がナニ、 00070030M10猿に似ます物て御座ります。猿が御前に似ました(六十一オ) 00070040¥N89¥J 00070050¥X○まくわ瓜 00070060M13/侍(さむらい)、山の手を通りければ、本山/瓜(うり)を売て居る。かミさ 00070070M14ん、壱つむいておくれ。S女房アイ。わたしが目/利(きゝ)て、能 00070080M15ひのをあげやせうと、むきにかゝれば、かミさんや。瓜の 00070090M16/皮(かわ)で人の心がしれるといゝます。随分/厚(あつ)くむいてたもれ 00070100M17よ。S女房かしこまりやしたと、皮(六十一ウ)/厚(あつ)にむいて 00070110M18出せば、Sさむらいさらば、せうくわんいたそふと、手の 00070120M19ひらへのせ、まづ皮から 00070130¥P206 00070140¥N90¥J 00070150¥X○掛取り 00070160L3/浪(ろう)人の所へかけ取に行キ、アイ、米やで御座ります。S女 00070170L4房留守たと云。米屋、せうじの/穴(あな)からのぞき、それ、そこ 00070180L5に御座るでハないか。爰から見へますといへば、浪人、の 00070190L6み取まなこにて穴をふさぎ、どふ(六十二オ)じや。是でも 00070200L7見へるか。イヤ、見/((へ脱力))ませぬ。そんなら留守だ 00070210¥N91¥J 00070220¥X○雨乞 00070230L10/法印(ほういん)、/損料(そんりう)屋へ行キ、御亭主。/紅(ひ)の衣を/借(しやく)用申たひ。S亭 00070240L11主随分色の能ひのが御座ります。いづ方へ召ますな△S法 00070250L12印明日/雨乞(あまごひ)に参ります△S亭主雨乞でハしミか付ますか 00070260L13ら、/貸(かし)ませぬといへば、S法印御気/遣(つか)ひ被成ルな。(六十二 00070270L14ウ)拙者が/法力(ほうりき)でハ、めつたに/降(ふる)/雨(あめ)じやない 00070280¥N92¥J 00070290¥X○密夫 00070300L17亭主、/密夫(まおとこ)を/真(まつ)二ツに切り/殺(ころ)す。S女房わたしも共に切り 00070310L18なさいと云。亭主、かぶりをふり、まづそふハいたすまい。 00070320L19S女房、手を合、/慈悲(ぢひ)じや。/殺(ころし)て被下といへば、S亭主あ 00070330L20の世で/添(そわ)せてハならぬ(六十三終オ) 00070340¥N93¥J 00070350¥X○対面 00070360M3座/頭(とう)/同士(どうし)/突(つき)あたり、イヤ、此目/明(あき)づらめが、/慮外(りよくわい)千ばんと、 00070370M4/杖(つへ)ふりあげれば、コリヤ、そこつめさるな。/貴公(きこう)ハ/北佐野(きたさの) 00070380M5さの一どのでハ御座らぬか。いかにも、さの一で御座る。 00070390M6シテ貴公ハ、ちよこ一どのでハないか。アイさよふさ。是 00070400M7ハ+御久しぶり。かよふな、ぶ/調法(てうほう)でなくハ御目にハか 00070410M8ゝるまい(六十三終ウ) 00070420¥Q 00070430M12/楽牽頭(がくだいこ)△△初編 00070440M13/座笑産(ざせうミやけ)△△二編 00070450M14/近目貫(きんめぬき)△△三編 00070460M15/蝉(せミ)の/聲(こへ)△△近刻 00070470M17△△△△江戸伊勢町 00070480M18△蘭秀堂△笹屋嘉右衛門板 00070490¥P207 00070500¥U噺本大系△第九巻 00070510¥T/御伽噺(おとぎばなし)〔序題〕 00070520¥G 00070530¥Y 00070540L16安永二年閠三月序 00070550L17書苑武子序 00070560L18文苑堂板 00070570L19小本一冊 00070580L20大東急記念文庫蔵 00070590¥Y御伽噺序 00070600M3つら+思ふに、/智者(チシヤ)は/過(スギ)たりと、/彼陳文漢(カノチンフンカン)に/泥(ナツ)ミて、/唐= 00070610M14本読(トウ=ホンヨミ)のヘンクツ/咄(ハナシ)も古めかしい。いまぞあたらしいシヤレ、 00070620M5僕の/意気(イキ)(一オ)すぎ咄ヲ伽にもとや、御伽艸と/題(ダイ)して、/楽= 00070630M6丸子(ラク=マロシ)か/鋸屑(ヲガクズ)の/掃溜(ハキダメ)咄ヲ/彙(アツメ)て、かの楽丸が/如(ゴト)き/偏僕(ヘンボク)の/一覧(イチラン)に 00070640M7/備(ソナフ)已 00070650M9△△△安永癸巳閏三月△△△△△△△△書苑武子 00070660M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一ウ) 00070670¥Y/御伽(おとぎ)艸△△/功能(こうのう) 00070680M12一△第一ねむけさましによし 00070690M13一△月まち日まちに用てよし 00070700M14一△/座敷(さしき)のしらけたるニハ、かん酒ニテ五ツ六ツ用て吉 00070710M15一△/雨中(うちう)のつれ※ニハ、いり/豆(まめ)ニせんしちやニて用る 00070720M16△△時ハ、其/徳(とく)ある事、神のごとし 00070730M17△△此外/諸事(しよし)に用て/甚(はなはた)/奇妙(きめう)/也(なり) 00070740M19△△△安永巳年△△△△△△東都司馬口居 00070750M20△△△△△三月△△△△△△△△△城戸楽丸製(二オ) 00070760 00070770¥P208 00070780¥G(二ウ) 00070790¥N1¥J 00070800¥X京人 00070810L14モウとんと、ゑらいものじやハイナ。大ぶつ様のはなへ、 00070820L15かさをさいてはいるわいなといへば、S江戸の人がまけぬ 00070830L16気で、Sナニサ。ふか川べんてんのはなハ、つがもなひ、 00070840L17をやふねかとをる(二ウ) 00070850¥N2¥J 00070860¥X/噺(はなし)の/種(たね) 00070870M3あるいなかのかたほとりに、/万(よろづ)噺の/種(たね)ありといふかんばん 00070880M4有。/侍(さふらい)来りて/案内(あんない)を/乞(こふ)。/亭主(ていしゆ)、何用ニて、/何方(いつかた)より御出 00070890M5といふ。イヤ、身共ハ/承(うけたまハ)り/及(およ)んで参たが、なんぞ/能噺(よいはなし)の 00070900M6/出来合(てきあい)が(三オ)あらば/求(もとめ)たいが。ハア/出来合(できあい)にハ、どふで 00070910M7もたぎつた物はござりませぬが、/去(さる)/御大名(おたいめやう)様からお/誂(あつらへ)の/極(こく) 00070920M8上&の/噺(はなし)の/種(たね)。/先(まづ)/是(これ)をふりかへて上ませふ。/直段(ねだん)ハ弐両/前= 00070930M9金(まへ=かね)。ソレハあまり/高直(かうじき)な。どふぞ壱両に。イヤ、/左様(さやう)にハ 00070940M10と、あちいふて、壱両弐歩て手をたゝいて、(三ウ)サラバ、 00070950M11/噺(はなし)のたねを上ませふと、おくのしやうじをさらりとあくれ 00070960M12バ、ばゝが川でせんたく、ぢゝハ山へ 00070970¥N3¥J 00070980¥Xだるま 00070990M15アノだるまハ手もなし、こしから下もなし。あれハどふし 00071000M16て/動(うごく)物だノウ。Sアレカ。手もなし足もないニよつて、耳 00071010M17にくわんか/付(つけ)て有 00071020¥N4¥J 00071030¥X/長座(ちやうざ)(四オ) 00071040M20いつでもじやが、/取分(とりわけ)/今夜(こんや)の/長咄(ながばなし)し。/勝手(かつて)も/滞屈(たいくつ)しはてゝ、 00071050¥P209 00071060L1/立(たて)るほうきは/客(きやく)の/後(うしろ)に/有(あり)。せう事なしに、/庭(には)の/草(くさ)ぼうきを 00071070L2立たれば、客の/供(とも)が/玄関(けんくわ)から、モシ/旦那(たんな)様。/私(わたし)ハモウお/先(さき) 00071080L3へ/帰(かへ)りましよ 00071090¥N5¥J 00071100¥N/白雨(ゆふたち)うり 00071110L6てりつゞく日よりに/風(かぜ)はげ/敷(しく)、/店(ミセ)の(四ウ)うりものにごミ 00071120L7がたまるとて、/亭主(ていしゆ)、小ごといゝなからはたき居る所へ、 00071130L8/白雨(ゆふたち)や+と/売(うつ)て/来(き)た。S亭主白雨+△Sアイ、白雨ハ 00071140L9お/前(まへ)かな△S亭主となりの/門(かと)からこちのかどまで、とつく 00071150L10りとふらせていくらだ△Sアヽ/先(まづ)四間に三間半。アイ、八 00071160L11百五十でおまけてござります△S亭主ねぎらぬ/程(ほど)に、/念入(ねんいれ) 00071170L12て。(五オ)ヲツト/心得(こゝろへ)て/仕(し)かくれば、/忽(たちまち)に/大車軸(をゝしやぢく)。おくか 00071180L13ら/娘(むすめ)が/出(て)て、コレ、/爰(こゝ)へも三文がの。S三文ばかりか白雨、 00071190L14何になされます。アイ、/桜草(さくらさう)にサ 00071200¥N6¥J 00071210¥X/利生(りしやう)の/門違(かとちが)へ 00071220L17/弁天(べんてん)様しんかうすれば/金(かね)が/出来(でき)るげなと、にはかに/江(ゑ)の/島(しま) 00071230L18の岩やニ七日の(五ウ)だんじき。六日めの明方、/宮殿(くうでん)のと 00071240L19ばりさつとひらけ、天女、/左(ひだり)の/御手(おんて)に白紙をたつさへ出給 00071250L20ふ。コレハ有かたい。/凡夫(ぼんふ)にも/帋花(かミはな)といふ事あれバ、/福(ふく)を 00071260M1さづけ給ふ。ありかたやといたゞきニかゝれば、S天女 00071270M2ヲヽ気はつかしい。めつたにシヽにも出られぬ(六オ) 00071280¥N7¥J 00071290¥X/魂魄(こんぱく) 00071300M5/京店(きやうたな)の/手代(てたい)、/中登(なかのぼり)に、/親(おや)の内よりマア/大事(たいし)の江戸のなじミ 00071310M6のおどり子ニ/約束(やくそく)した、したん/棹(さほ)に、くわりん/胴(どう)、/紋金具(もんかなく)、 00071320M7/恰好(かつかう)よく/出来(てき)上るやいなや、京をそこ+ニ立出、何でも 00071330M8見せて/悦(よろこ)ばせよふと、/早速(さつそく)/例刻(れいこく)へ/仕(し)かけたれば、/若(わか)イもの 00071340M9がいふ(六ウ)にハ、おかね様ハ持病のしやくて、跡月はか 00071350M10なひ、戒名はしるしの塚にとゞめたりと聞て、かつくり腰 00071360M11もぬけて、せめての事と、寺へ行て石塔に向ひて、生たる 00071370M12人にいふごとくかきくときつゝ、ゑかうせしに、幽こん、 00071380M13忽ありしすかたにて顕ハれ出、お前のお志のうれしさに 00071390M14(七オ)と、かの/三絃(さミせん)を/取上(とりあげ)、チツトばかりひくやひかず、 00071400M15バツトけふりの内から、Sハイ、おむかひ。/冥途(めいど)から 00071410¥N8¥J 00071420¥X/俄分限(にわかぶげん) 00071430M18/長刀(なぎなた)が/菜刀(さいだな)になるよの中に、天びんぼうか/裏付(うらつけ)/上下(かミしも)、ふち 00071440M19ハ/瀬(せ)となる、山事が/当(あた)つたそふで、/急(きう)に/小袖(こそで)を仕立させ、 00071450M20(七ウ)上下も/出来(でき)た。マア/着(き)て見よふと、/前帯(まへおび)の/上(うへ)え上下 00071460¥P210 00071470L1を/着(き)かゝるを、/女房(にようほう)が/笑出(わらいた)して、それでは/腰板(こしいた)が/前(まへ)になり 00071480L2ます。ヲヽサ、がてんじや。かふして/置(をい)て、帯と一所ニま 00071490L3わすのサ 00071500¥N9¥J 00071510¥Xこハ/色(いろ) 00071520L6ひとり/住(すミ)のさみしさにねられぬ上ニ、(八オ)いぢわるひ/鼠(ねつミ) 00071530L7がさわく。/猫(ねこ)ハ/居(ゐ)ず。あんまりあたけ/廻(まわ)るゆへ、/寐所(ねところ)から、 00071540L8ニヤアンといふと、/棚(たな)の鼠が、チヤンとちゞかまつてうご 00071550L9かぬ。コレハ/能(よくし)仕た物と思ふ内、外の鼠か、コレ、お/主(ぬし)は 00071560L10ナゼそこに居るそい。S初の鼠が、こゝへきや。/面白(をもしろ)イこ 00071570L11ハ色を/聞(きゝ)や 00071580¥N10¥J 00071590¥X/名人(めいじん)(八ウ) 00071600L14ふりつゞく/春雨(はるさめ)に、/寄合(よりあふ)てチヨボ一をはじめける所へ、不 00071610L15断/来(く)る/青菜(あをな)小なうりのおやじが来て、アヽお/前方(まへかた)ハさりと 00071620L16は/悪(わる)いおなぐさみじや。私なども本トハそふをふに/暮(くら)した 00071630L17者が、其お/影(かげ)で/今(いま)此さま。そのかわりニ/屏風(ひやうふ)の外からで 00071640L18も、さいの目は/当(あて)ます/程(ほど)に/修行(しゆぎやう)/仕(し)(九オ)ました。/物(もの)はた 00071650L19めし、お/望(のぞミ)なら今でもじや。コレハ見たいもの。そんなら 00071660L20バと/椽(ゑん)えこしかけ、/屏風(ひやうふ)の内へさいをなげこミ、サ、あて 00071670M1ますぞ。Sナンダ△S五かな△Sイヽヤ六だ△Sソレ、そ 00071680M2れだから、おやめなされ 00071690¥N11¥J 00071700¥X/指(ゆび)のかろうと 00071710M5/在番(ざいばん)の/侍衆(さふらいしゆ)、あそひニいつて、通ふ女郎(九ウ)に/間夫(まぶ)が 00071720M6有て、/隣座敷(となりさしき)でしつぽりのチン+。にくい/奴(やつ)かなと、ふ 00071730M7すまほそめニ、大のまなこに/角立(かどたて)てのそき居たるに、間夫 00071740M8えの/心中(しんぢう)に/切(きつ)た/指(ゆひ)が、/欄間(らんま)を/越(こし)て/侍(さふらい)の座敷へ飛たり。侍、 00071750M9チヤツトひろいあげて、天のあたへとおしいたゝき+、 00071760M10/飛(とぶ)やうに屋敷へ帰り、石屋ニ申付、からふと(十オ)を/拵(こしらへ)、 00071770M11/件(くたん)のゆびを/入置(いれをき)、/出仕(しゆつし)もやめて、/昼(ちう)夜はりひぢて/守(まも)り/詰(つめ)て 00071780M12ゐるゆへ、/同役(どうやく)、/見舞(ミまひ)に/行(ゆか)れしに、右のわけをはなせバ、 00071790M13ソレハくつきやうのお手がら+。しかし、おばなと/来(こ)ら 00071800M14れたら、/油断(ゆだん)有な 00071810¥N12¥J 00071820¥X手たゝき 00071830M17/秋(あき)の/夜(よ)のさひしきに、/今宵(こよひ)なと(十ウ)/金(かね)あらばと、くる/輪(わ) 00071840M18の事とも思ひねに、たましいがゐたと見へて、/夢(ゆめ)の内の大 00071850M19をごり。/居(い)つゞけのもちこし。のとがかハくから水もてこ 00071860M20いよも/返事(へんし)せぬゆへ、むしやうに手をたゝけハ、/表(をもて)のかう 00071870¥P211 00071880L1しのそとから、Sそばかな、にうめんかな 00071890¥N13¥J 00071900¥Xはやりうた(十一オ) 00071910L4はじめてお江戸/詰(つめ)の/侍(さふらい)衆、はやりうたそこ/爰(こゝ)すこし/聞覚(きゝをほ) 00071920L5へ、いかめしき事に思ハれしが、品川へさそハれ行て、ひ 00071930L6いつうたひつうかれ出て、しつた顔に、哥Sさまよヲヽと 00071940L7うたひ/出(だ)せば、S女郎、/声(こへ)をそろへて、さまよがどふした。 00071950L8S客コレ、いづれも(十一ウ)さやうに/詞(ことハ)とがめハめさるな 00071960¥N14¥J 00071970¥Xびいどろや 00071980L11御/家老(からう)らしい/人品(しんひん)、びいとろ屋の/店(ミせ)へ立寄、ナニ、/亭主(ていしゆ)ハ 00071990L12とれた。ハイ、/私(わたくし)てごさります。ムヽ、然らば、ちと内& 00072000L13て/御意(きよい)/得(ゑ)たい。Sてい主/左様(さやう)ならば、おくへおとふり。イ 00072010L14ヤ、左様にもいたして/居(おら)ぬ。(十二オ)/暫(しバら)くのうち、手代中 00072020L15其外/御遠慮(ごゑんりよ)ニ預りたい。Sていしゆ/畏(かしこまつ)て、店中人ばらい。 00072030L16扨すり/寄(よつ)て、/御内&(こない+)の御用とハ、いかやうのすじて。イヤ、 00072040L17/余(よ)の義でもないが、近頃/面目(めんぼく)ないが、アノ店にかざつてあ 00072050L18るポコン+の直段が/聞(きゝ)たいてサ 00072060¥N15¥J 00072070¥X/頭巾(づきん)(十二ウ) 00072080M1アヽ、おれとした事がそゝかしひ。ハテ、どこに/置(をい)たやら 00072090M2と、きよろ+さがし/廻(まわ)れは、いん/居(きよ)様。何をおたづねあ 00072100M3そはすと/嫁(よめ)が聞バ、イヤサ。頭巾がミへませぬ。アノお/前(まへ) 00072110M4とした事が。頭巾はおつむりにござりますといわれて、ホ 00072120M5ンニハテ、とんた所に置て(十三オ)一ツぺんさがした 00072130¥N16¥J 00072140¥X/狐(きつね)に/付(つい)た/和尚(おしやう) 00072150M8いなかでらの和尚が、/行(おこな)ひすましてゐるものを、/徒(いたづら)な狐が 00072160M9/美(うつく)しい若衆にはけていたれば、和尚、是にうつゝをぬかし、 00072170M10/色(いろ)+ちそうして/留(とめ)たかるを、あすの/夜(よ)は/必(かならす)と、やくそく 00072180M11し帰りしが、(十三ウ)/待(まて)ど/暮(くら)せど/再(ふたゝ)び/来(こ)ず。和尚ハ只うつ 00072190M12ら+と/床(とこ)の/中(うち)、/其思(そのおも)ひが/忽(たちま)ち/狐(きつね)に取つき、さま※と口 00072200M13ばしれば、/親狐(おやきつね)、大きにおどろき、和尚へさま+とわび 00072210M14事いへば、/扨(さて)はきつねで有たかと、おそまきなまつげをぬ 00072220M15らしぬ。扨おしやう様のをんりやうがのいたお礼、(十四 00072230M16オ)おや子づれで/庵室(あんじつ)へ/見舞(ミまふ)たれば、ヲヽきどくな事じや 00072240M17と、有合せのかんざらし、/団子(だんご)にして出されたれバ、子狐 00072250M18が、トツサン。是ハ馬のふんでハ有まいか 00072260¥P212 00072270¥N17¥J 00072280¥Xふじ 00072290L3ある人、女郎にへやをもたせてやりしニ、(十四ウ)/壁(かべ)を/唐= 00072300L4帋(とう=し)の/無地(むぢ)ではつたれは、女郎が、これでハあんまりさひし 00072310L5いといふ。S客ヨシ+。おれが/絵(ゑ)を書てやらふ。よしあ 00072320L6しハかくべつ、/気象(きしやう)の所はたれにもまけまい。マア大すり 00072330L7鉢で/墨(すミ)をすれと、したゝかすらせ、/草(くさ)ぼうきを/筆(ふで)にして、 00072340L8グウヰトやりつけたが、(十五オ)山が半分あまつてかゝれ 00072350L9ぬゆへ、アヽとなりのみちのく様や。ふじが/余(あまつ)た。おまへ 00072360L10の方へ半さんやらふ 00072370¥N18¥J 00072380¥Xうば 00072390L13子もりして、うか+女郎屋のあたりをあるひて居たれば、 00072400L14子ぼんなふな女郎が、モシ、ちと其お子をおかしなんせと 00072410L15(十五ウ)だきとつて、テモかハいらしいお子じや。/女郎(ちよらふ)の 00072420L16お/子(こ)かへ。Sうばイヽエ。/地(ち)ものゝお子サ 00072430¥N19¥J 00072440¥X/潮煮(うしほに) 00072450L19/田舎(いなか)からたま+の/珍客(ちんきやく)、/気(き)を/張(はつ)て/鯛(たい)のうしほ/煮(に)。ていし 00072460L20ゆハぢまんのあんばい。客人はむつとした/顔(かほ)で、(十六オ) 00072470M1コレ/御亭主(ごていしゆ)様。いかに/拙者(せつしや)が田舎ものなれバとて、鯛のめ 00072480M2がくわれよふか 00072490¥N20¥J 00072500¥X/無間(むけん) 00072510M5/新造(しんぞう)、/地色(ぢいろ)に無心いわれ、うがゐ/茶碗(ちやわん)におはぐろびしやく 00072520M6で、むしやうにたゝく。Sとしま女郎何をしなんすととへば、 00072530M7Sわたしハ無間のかねをサ(十六ウ)Sなぜ/手水鉢(てうづばち)でつきな 00072540M8んせぬへ△Sナニサ、たつた/壱歩(いちぶ)だものを 00072550¥N21¥J 00072560¥Xいわれ 00072570M11ナント、すりこ木やすり/鉢(ばち)にも、いわれが/有(あら)ふか。S有ル 00072580M12のサ。/先(まづ)すりこ木ハ男で/男根(まら)にたとへ、すり/鉢(ばち)ハ女で女根 00072590M13ニたとへたものサ△Sハヽア、それでか。(十七オ)すると 00072600M14/汁(しる)が/出(で)る 00072610¥N22¥J 00072620¥Xしやれ 00072630M17/馬道(うまミち)に/本多(ほんだ)/$(ちよん)/庵(あん)と/云(いふ)/医者(ゐしや)有。江戸に/指折(ゆびをる)しやれものな 00072640M18りしが、近所のたのミニつき、/$(ちよん)庵お/見廻(ミまい)と/病床(びやうしやう)/((へ脱力))通 00072650M19れば、/息子(むすこ)/労咳(らうかい)のよし。/段&(たん+)のはなし、さら+と/聞(きゝ)、/脉(ミやく) 00072660M20をミて、(十七ウ)アヽよし+。此/病気(ひやうき)ハ一二ふくて、ツ 00072670¥P213 00072680L1ヰなをして/進(しん)ぜる。/是(これ)にハ/向嶋(むかいじま)のあらい/鯉(こい)に、/堀(ほり)の/猪牙(ちよき)の 00072690L2あかを/役味(やくミ)にして、/松葉(まつば)やの/二階(にかい)で、チヨビ/食(ぐひ)の/小盃(こさかづき)と、 00072700L3むしやうにしやれれば、/病人(ひやうにん)が、モシ、お/薬(くすり)をいたゞきと 00072710L4ふござります。ヲヽ進せよふと、/薬筥(くすりばこ)をあけて、/調合(てうがう)もか 00072720L5ため(十八オ)かしきはうつとしと、はながみの/小菊(こきく)をさば 00072730L6き、手づかミ/盛(もり)としやれながら/薬(くすり)をわたせは、Sかいほう人 00072740L7モシ、是ハせんじ/様(やう)ハ△Sいしや/常(つね)のごとし+。/当世(とうせい)/生= 00072750L8姜(せう=が)ハ大のやぼ、/山葵(わさび)チヨツキリぐい入と、出て行 00072760¥N23¥J 00072770¥Xこん/立(だて)(十八ウ) 00072780L11ゆふべ/品川(しなかわ)へいたが、品川ハまたかくべつ/喰(くい)ものが/能(よい)ハイ。 00072790L12マア/汁(しる)が/小(こ)つミ入に/青(あを)ミ、なますがいけ/盛(もり)、/平(ひら)がのつぺい。 00072800L13ムヽそして/向(むか)ふハ。Sナンダ、向ふとハ△S向ふをしらぬ 00072810L14か△Sムフ/知(しつ)て/居(い)るのサ。/安房(あわ)/上総(かつさ)だ 00072820¥N24¥J 00072830¥X/放(はな)し/亀(かめ)(十九オ) 00072840L17/巳(ミ)まちにべんてんへ/参(まい)り、/下向(げかう)に、はなし/亀(かめ)+といふて 00072850L18/居(い)る。ヤ、万年いきるものじやから、/徳(とく)な/買(かい)もの。コレ、 00072860L19/一疋(いつひき)/買(かを)ふが、きつと万年/受合(うけやい)のを見たい。ハイ、是がたつ 00072870L20ぷりと万年の受合。キツト/受合(うけあふ)かと、/念(ねん)をおして/買(かふ)て帰り、 00072880M1/泉水(せんすい)へ入て(十九ウ)をき、/明(あく)る/朝(あさ)見れば/死(しん)で/居(い)る。ヤ、に 00072890M2くい/亀(かめ)うりめ。いかにかけねいへばとて、万年が一トばん 00072900M3ハあまりにくいと、/池(いけ)のはたへ又かけていて、コリヤ、万 00072910M4年の/受合(うけあい)、/一夜(いちや)に/死(しん)だが、コリヤどふしたものぞ。亀うり、 00072920M5さハがぬ/顔(かを)で、ハアSコリヤ申、ゆふべが万年め(二十オ) 00072930¥N25¥J 00072940¥Xほとゝぎす 00072950M8アノほとゝぎすのなきやふをしつてか。Sしらぬわいの△ 00072960M9Sマヅ/雄鳥(をず(ママ))のなくのハ、テツペンカケタカ△Sシテ、/雌鳥(めす) 00072970M10ハな△Sテツペンカケヤシタカ 00072980¥N26¥J 00072990¥X/朋友(ほうゆう) 00073000M13/江戸橋(ゑとばし)の上て、/国(くに)ものにへたりと(二十ウ)/行合(ゆきあい)、コレハし 00073010M14やば/已来(いらい)。/先(まづ)/御(ご)そく才。シテ、/只今(たゝいま)ハどつちに。Sアイ、 00073020M15/馬喰丁(はくろてう)ニ△Sしやうばいは△Sばくろさ△S今のお/名(な)は△ 00073030M16S馬左衛門と申△Sコレハあぢな名で、きつい/馬(うま)づくし△ 00073040M17Sイヒヽンヒンと、わらふてわかれぬ 00073050¥N27¥J 00073060¥X/十徳(しつとく)のいわれ(二十一オ) 00073070M20/立(たつ)たる所は/羽織(はをり)のごとく、すハつた所ハ/衣(ころも)のことく、ごと 00073080¥P214 00073090L1くニごとく、/合(あわせ)て/十徳(しつとく)。Sなるほど、きついものしりとい 00073100L2へバ、/側(かたへ)の一人が、Sおれもそんな事ハ/云(いゝ)かねぬ。/立(たつ)たる 00073110L3所ハ/羽織(はをり)に/似(に)たり、/座(ざ)したる所ハ/衣(ころも)に/似(に)たり。にたりや 00073120L4+、ヤ、コレハしたり(二十一ウ) 00073130¥N28¥J 00073140¥X/記臆(ものおほへ) 00073150L7ある人、/記臆(きをく)の/弟子(でし)入して、こと※くでんじゆを/受(うけ)、又 00073160L8明日参りましよと、/門(かど)口へ出かゝり、コレ/御家来衆(こけらいしゆ)。Sわ 00073170L9しハどつちからはいりましたの 00073180¥G(廿三ウ) 00073190¥N29¥J 00073200¥Xばけ物やしき 00073210M3何ほどのばけものでも一トつかみにして(廿二オ)くれよと、 00073220M4/夜(よ)すがら待ていたれども、何も出ず。/烏(からす)がカア+といふ 00073230M5から、さらバ/帰(かへ)らふと門を出見れば、/戸(と)にはり札。S/今晩(こんばん) 00073240M6ハ/去(さる)ル御屋/敷(しき)様へ参申候 00073250¥N30¥J 00073260¥X/質(しち) 00073270M9/紋日(もんひ)のやくそく/仕(し)たれど、金につかへてグツグトいふ。/茶(ちや) 00073280M10屋を/呼(よん)で/相談(さうたん)。(廿二ウ)/茶(ちや)屋/聞(きい)て、お気遣ひ被成ますな。 00073290M11/私(わたくし)がちへがござります。お/前(まへ)様のお/小袖(こそで)を/質(しち)にやれバ、 00073300M12/今度(こんど)の/紋日(もんび)だけハ/沢山(たくさん)。S何、/質(しち)とハどふする事じや△ 00073310M13Sヤレ+、若/旦那(たんな)じやから/御存(ごそんし)ないはづ。/質(しち)と申はかう 00073320M14+と、さつそく/呑込(のミこミ)、/小袖(こそで)を/渡(わた)せば、そんなら/早(はや)ふ参り 00073330M15ましよと(廿三オ)(廿三ウ挿絵)/持(もつ)て/立(たつ)を、コレ+と/呼帰(よびかへ)し、 00073340M16S/必(かならす)/上(うハ)がり/仕(し)てくれやるな 00073350¥N31¥J 00073360¥Xはるの日 00073370M19アヽ日ハよつほどながくなつたそ。あさの事をきのふのよ 00073380M20ふにおぼへる。モウしかし、ひるてあらふ。ヤイ小ぞう。 00073390¥P215 00073400L1見てこい。ハイといふて、ナニ、ながくハない。ヤツパリ 00073410L2まるい(廿三ウ) 00073420¥N32¥J 00073430¥Xはひかいし 00073440L5いなかの/誹者(はいしや)、あんぎやニ出て、江戸にハ/碁(ご)/将棊(しやうき)、/立花(りつくわ)、 00073450L6/連哥(れんが)の座があると聞、そんなら/誹諧(はいかい)の座もあらんと、江戸 00073460L7え出て/尋(たづ)ねしに、(廿四オ)両国の/川岸(かし)の茶屋に、留/守居(すい)の 00073470L8/寄(より)合を見て、是が/誹諧(はいかい)の座で有んとおもひ立よる所へ、/袴(はかま) 00073480L9はいた人が、/玄関(げんくわ)へ/出(で)て、/桜田(さくらだ)やしきお/留守(るすい)の供とよぶを 00073490L10/聞(きい)て、ツカ+と/来(き)て、/玄関(げんくわ)え手をつき、致しましよと云。 00073500L11S侍、なんでござるといへは、(廿四ウ)S冬の夜に犬のな 00073510L12き/声(ごへ)もの凄き△S侍/気(き)が/違(ちが)つたそふな△S/季(き)が/違(ちが)ひました 00073520L13らバ、/夏(なつ)と/直(なを)しましよ 00073530¥N33¥J 00073540¥Xてつほう 00073550L16三ケ津の/牽頭(たいこもち)/寄(より)合、京の牽頭がいふには、/祇園(ぎをん)の/鉾(ほこ)とい 00073560L17ふてハ、モウ+おそらく有まい。S二人聞てハ/居(ゐ)れど 00073570L18(廿五オ)目にハ見ぬが、どふ云物じや△S京まづ/柄(ゑ)の長サ 00073580L19が壱町半、身の長サが十二三間もあらふ△S二人うそばつ 00073590L20かり。ソレハ何をつくのじや△S京うそをつくのサ△S江 00073600M1戸イヤ、大きな事をいわふなら、江戸の/山王祭(さんわうまつり)に/麹町(かうじまち)か 00073610M2ら出る/諌鼓(かんこ)、さし渡しが三百六十間、/胴(どう)の/廻(まハ)りが五百四五 00073620M3十(廿五ウ)/間(けん)、/其(その)をとハ/唐迄(からまで)聞へるげな△S二人ばかいふ 00073630M4な。/夫(それ)が何の/皮(かわ)で/張(はら)れる物で△S江うその皮でサ△S大坂 00073640M5わしがいふのハ正/真(じん)の事じや。/天王寺(てんわうじ)かぶらハ御存じの名 00073650M6物。あまり大きふハなひが、マア/中(ちう)ぐらいのでさし/渡(わた)し四 00073660M7五間△S二人ソリヤ+、又/鉄(てつ)を/放(はな)しかける。(廿六オ)シテ、 00073670M8/葉(は)はどの/位(くらい)あるぞ△S/葉(は)なし、はなし 00073680¥N34¥J 00073690¥X/菓子(くわし) 00073700M11夕部、/女郎買(ちよろかい)に/行(い)た。Sとんだ事だ。みんな/菓子(くわし)づくし。 00073710M12S先かべが/糟(かす)てらだ△S畳が松風の、/柱(はしら)が/巻(まき)せんべい。所 00073720M13へ女郎が出た。上/菊輪(きくりん)の/裾(すそ)もやう、/中着(なかぎ)ハ床(廿六ウ)子/餅(もち)。 00073730M14/其下(そのした)に/黄(き)むくもち、/島(しま)あるへいニウイロウ/餅(もち)のくしら/餅(もち)。 00073740M15/帯(をひ)ひぢりめんの/柚餅(ゆもち)△Sナンダ。いけない/口合斗(くちやいばかり)/云上(いゝあが)ル。 00073750M16そして/女郎(ぢよろ)ハどんなきりやうだ△Sヲヽサ。手/足(あしハ)ハまんぢ 00073760M17うのやうで、/顔(かほ)はぼた/餅(もち) 00073770¥N35¥J 00073780¥Xかぐはな 00073790M20おく方の日/待(まち)に/座頭(ざとう)を/呼(よび)、/段(だん)&/芸(げい)/尽(つくし)。(廿七オ)/私(わたし)が得手た 00073800¥P216 00073810L1と申事ハ/鼾(かぐ(ママ))事でござる。コレハ/面白(おもしろ)からふと、/先(まづ)お/小性(こせう)が 00073820L2/包(つゝん)だ物を/出(だし)て/鼾(かゞ)せれバ、ハア/是(これ)ハ/太好庵(たいかうあん)の金/龍(りう)丸。此/箱(はこ)の 00073830L3内ハ/琴柱(ことぢ)。是ハ何+と/段&(だん+)/鼾当(かぎあて)ルを、お/局(つぼね)が/股(また)ぐらへ手 00073840L4を入て、グツトいぢつて、其手をかゞせれバ、/顔(かを)をしかめ、 00073850L5しバらく/考(かんがへ)、ハア/当(あて)た+といふを、/側(そは)(廿七ウ)から/皆(ミな)が、 00073860L6サア何た+と聞バ、Sコレハ/入替(いりかハり)の/役者附(やくしやづけ)だ 00073870¥N36¥J 00073880¥Xびいどろ 00073890L9となりの/小僧(こぞう)がせつかんに/逢(あふ)そふで、ギヤンギヤツトなく 00073900L10を/聞(きい)て、どふした+といて見れバ、/内義(ないき)か、マア見てお 00073910L11くれなされ。大事のひな様のとつくりの口へ、しよせんも 00073920L12ない、/指(ゆび)を入て、夫がぬけない(二十八オ)から/火鉢(ひはち)へふつ 00073930L13付、/徳利(とくり)を打こハしました。ヲヽそりやわるかつた。モウ 00073940L14+かんにんしてやりなさい。ソンナ事ハよくあるやつさ。 00073950L15おらも/若時(わかいとき)、おやぢの/屑瓶(しゆびん(ママ))え何がヒヨイと入て、Sハア、 00073960L16チト/用(よう)がアツた。又ばんに来て咄しやしよ(二十八ウ) 00073970¥N37¥J 00073980¥X/年頭(ねんとう) 00073990L19とびの親分が、ヤイ/熊(くま)よ。此正月はわれを/礼(れい)に出すから、 00074000L20/上下(かミしも)/着(き)て/出(で)ろ。Sおらアいやだといふを、しかり/付(つけ)て出シ 00074010M1たれば、/横町(よこてう)の/友(とも)だちの/門口(かとくち)へいて、アイ、おめつとうご 00074020M2んす。S友たち/死人(しひと)め。/安(やす)くなひナ△Sヲヽ、いきたはつ 00074030M3付だ(廿九終オ) 00074040¥N38¥J 00074050¥X/紙(かミ) 00074060M6/芸者(けいしや)、ざしきを/仕廻(しまい)て/帰(かへ)りに、S/私(わつち)ハいつそ、/大便(こうか)に/行(ゆき)た 00074070M7い。ハア紙かない。其&、けいこ本の口壱/枚(まい)、こゝハ/白紙(しらかミ) 00074080M8じやから、是で+とふき帰。/明日(あくるひ)、又二人リづれでそ 00074090M9こを/通(とふ)り、ゆふべおまへのこまりなさつた所ハ、こゝらで 00074100M10有たといふ。見れは、Sかの紙に、此主ぎん(廿九終ウ) 00074110¥P217 00074120¥Q 00074130L2△△/落咄(をとしはなし)新板出来目録 00074140L3一/口拍子(くちひやうし)@当世めづらしき|おとし咄あつめ@一冊△一/今歳噺(ことしはなし)@あたら敷|咄を集@小本一冊 00074150L4一今歳噺二篇両面摺△一同三篇@上下共ニ珍敷|はなしを集@△一冊 00074160L5一同四篇/御伽噺(をとぎはなし)△△一冊△一同五篇 00074170L6一同六篇△△△△△一冊△一同七篇 00074180L7上かゝり下かゝりにかぎらず各様御手作の御新口御座候ハ、 00074190L8五篇ニ加へ申度候間、御越可被下候。御はい名など御出し被成候ハ、 00074200L9随分相しるし可申候已上 00074210L10安永二年△△三月△△文苑堂△蔵板 00074220¥P218 00074230¥U噺本大系△第九巻 00074240¥T当世口合;/千里(せんり)の/翅(つばさ)〔序文〕 00074250¥G 00074260¥Y 00074270L17安永二年閏三月序 00074280L18能楽斎序 00074290L19拍子木堂跋 00074300L20小本一冊 00074310¥Y序 00074320M3むかし+/阿耶(ちゞい)ハ/山仕(やまし)の/喋&(ちよ+)/郎者(らもの)、/阿婦(ばゝあ)は/川竹(かわたけ)の/夜母(やぼ)なら 00074330M4ぬ/果(はて)、/人(ひと)を/茶(ちや)わけにした/軽口(かるくち)の/思(おも)ひ/附(つき)、/其故(そのふるき)を/尋(たづね)て/新(あたら)しき 00074340M5をしる、おもしろおかしき/噺(はなし)の/種(たね)を/買(かい)あつめて、/虚八百(うそはつひやく)に 00074350M6/智恵(ちゑ)が/三文(さんもん)、しかもこつちの(序オ)/升(ます)で/不足斗(さむいはかり)ハ/御免(こめん)の/受(うけ) 00074360M7て、はなし/雀(すゞめ)の/舌(した)を/切(きつ)て、/放(はな)せバ/飛(と)ぶ/千里(せんり)の/翅(つばさ)とものす 00074370M9△△△安永二の△△△△△△△△能△楽△斎△誌 00074380M10△△△△後の弥生 00074390M11△△△△△△△△△△△△△△GG 00074400M14△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序ウ) 00074410¥P219 00074420¥N1¥J 00074430¥X/御目見(おめミ)へ 00074440L3御/国家老(くにからう)いかさま惣太夫との、/若(わか)とのへおめミへ。おもり 00074450L4/役(やく)、だき申てゐるところへまかりいで、きつと/平伏(へいふく)して、 00074460L5扨もおすこやかなる/若(わか)ぎミ様。まことに御せいてうのほど、 00074470L6/万&(ばん+)ざいと、きやうゑつに/奉存(そんじたてまつり)ますといひながら、(壱 00074480L7オ)かほをあげて、Sおそれながら、ばあア 00074490¥N2¥J 00074500¥Xばかのむきみ 00074510L10ばかのむきミをうりにくるを、ばかよとよべバ、アイとい 00074520L11ふを、となりのていしゆきいて、あれ、ききやれ。/馬鹿(はか)よ 00074530L12といへば、アイといふ。いかいたわけ。もいちどよんでミ 00074540L13やうと、Sばかよ△Sアイ。ばかハおまへかへ△Sヲヽ 00074550L14(壱ウ)おれだ 00074560¥N3¥J 00074570¥Xはやがくもん 00074580L17此ごろ/大学(だいがく)のそどくをならひはじめ、むしやうに物しり/顔(がほ) 00074590L18に、こうまんいひのめせバ、また一人、同しがくしや出て、 00074600L19Sこれ+。やう+大がくを二三まいならつたとて、大 00074610L20キな事をいふな。なんぼミそをあげても、/山高(やまたかき)が(二オ)ゆ 00074620M1へにたつとからずといふ事ハしるまいが△Sイヤ、まだそ 00074630M2こまでハならわぬ 00074640¥N4¥J 00074650¥X/雲助(くもすけ) 00074660M5此ごろ/雲介(くもすけ)、はやり風にてミなしにて、/地(ぢ)ごくへ/落(をち)けれバ、 00074670M6/赤鬼(あかおに)、くろおにいふよう、ゑんま王へ申上るにおよバす。 00074680M7くつてしまうがよいとて、おにども大ぜいにて、/雲介(くもすけ)をく 00074690M8ひけ(二ウ)れバ、/鬼(をに)ともミなしにければ、のこりたる/鬼(おに)ど 00074700M9も、ゑんまへ此よしをうつたへれハ、その/残(のこ)りたる/雲介(くもすけ)を 00074710M10よべ。おのれハしやばにて、いかやうなどくくらいおつた。 00074720M11Sアイ。何もたべたおぼへハござりませぬ。/鬼(おに)ころしをた 00074730M12べた/斗(ばか)リてござります 00074740¥N5¥J 00074750¥X/雪隠(せつちん)の/敵討(かたきうち) 00074760M15さいこくのもの、おやのかたきをたづねんと、/所&(しよ+)/方&(ほう+)と 00074770M16(三オ)めぐり、/江戸(ゑと)へ/来(きた)り、くらまへすじを行しが、/急(きう)に 00074780M17/雪隠(せつちん)へ入たくなり、道ばたの二けんつゞきのせつちんへ入 00074790M18しが、となりにも人おとするゆへ、おもわずふしあなより 00074800M19のそきミるに、ひごろたづぬる所の/敵(かたき)なれバ/声(こへ)かけ、ヤア、 00074810M20となりにおいやるハ、さいこくの/住人(じうにん)/太井(ふとゐ)/弥津太(やつだ)どのにあ 00074820¥P220 00074830L1らずや。いかにも。シテ、そふおいやるハ何人で(三ウ)ご 00074840L2ざる。名をなのり給へ。いふにやおよぶ。われこそ、/草井(くさゐ) 00074850L3/運平(うんぺい)がせがれ小次郎。よくもわがちゝを手にかけ、たちの 00074860L4きしよな。それ、ちゝのあたにハ、ともにてんのいたゞか 00074870L5ずとかや。日ごろこゝろをつくせしかいあつて、けふこの 00074880L6所にてあふハ、うどんげの花。サア出あふて、しやうぶおし 00074890L7やれ△Sヤア、こしやくなる/若(わか)もの。イデ、かへり(四オ) 00074900L8うちにしてくれん△Sサア出あへ△Sイサでろと、たがひ 00074910L9にミがまへして、しりをおろす 00074920¥N6¥J 00074930¥X/茶人(ちやじん)の/目利(めきゝ) 00074940L12/道具(どうぐ)や、茶人の所へゆき、しごくちんぶつがござりまする 00074950L13といふ。S茶人きいて、どれ、ミせ給へ△Sサアごろうし 00074960L14ませといひながら、はこのひもをとき、むらさきのふくさ 00074970L15(四ウ)につゝミし/香(かう)ばこをいだし、このなかをごろうじま 00074980L16せ。/利久(りきう)のくそでござりまする△Sどれ+、ヲヽいかさ 00074990L17ま。ふるミのあんばいといひ、これハ/利久(りきう)に/相違(そうい)あるまい 00075000L18が、しかし、あづきハのちに/付(つけ)たものとミゆる 00075010¥N7¥J 00075020¥X/音(をと)といふ/字(し) 00075030M1ふたりつれで、/浅艸(あさくさ)のくわんをんへゆき、/道(ミち)にて、(五オ) 00075040M2イヤなんと、/観(くわん)のんののんといふしハ、とふかきますとと 00075050M3へば、Sハテ、のんでハござらぬ。をんでござる△Sシテ、 00075060M4そのをんのじハ、/御用(ごやう)の/御(をん)のじをかきまするか△Sイヤ、 00075070M5/音(をと)といふしをかきます△Sそのまた、おとゝいふじハ、ど 00075080M6ふかきます。ハテ、もんもうな人じや。そうでかく時ハ、 00075090M7/七百(しちひやく)、しんでかけば/六百(ろつひやく)とかきます(五ウ) 00075100¥N8¥J 00075110¥X/芝居(しばゐ) 00075120M10これきゝやれ。イモウ羽左衛門がとんだ/事(こと)だ。/役者(やくしや)もねへ 00075130M11が、きやうげんのさくがいゝと/言(いつ)て、とほうもねへ大入だ。 00075140M12Sフウ。そしてミたか△Sムヽ、ちつとばかりミたが、に 00075150M13ぎやかなきやうげんで、きりじぶんにハ/梅幸(はいかう)が二人、/杉暁(さんきやう) 00075160M14が三人、十/町(てう)が(六オ)五人△Sフン、まちやれよ。そんな 00075170M15におなじやくしやが、いくたりでるものた△Sイヤ、よつ 00075180M16ほどよつていてミた 00075190¥N9¥J 00075200¥X/落(おち)かね 00075210M19おとしばなしハ、ふるいがおもしろいよ。Sナゼ△Sミん 00075220M20なあたらしいをすくに、きさまハなぜ、ふるいをすくハ、 00075230¥P221 00075240L1どふだ△Sハテ、あたら(六ウ)しいハ、かんがへるがたい 00075250L2ぎだ 00075260¥N10¥J 00075270¥X/奥女中(をくぢよちう) 00075280L5おく/女中(ちよちう)、やどおりより上る。Sおく方さまどふじや。何ぞ 00075290L6めつらしいはやり/哥(うた)でも、きいておじやつたか△Sハイ。 00075300L7何もめつらしい事もござ/((り脱カ))ませぬが、町ではやります/哥(うた)をき 00075310L8いてまいりました△Sそれハどふしたうたて(七オ)おじや 00075320L9る△Sハイ、/辰巳午(たつミむま)の、しバらくあんじて、いしきをなめろ 00075330¥N11¥J 00075340¥X/湯(ゆ)の/字(じ) 00075350L12/湯(ゆ)といふじハ、どふかくの。S何さ。ずつとぼうをひき、 00075360L13/フ(かたかなのふのじ)のじのやうにして、こつちのほうに、/人(ひと)といふしさ△ 00075370L14Sムヽまちやれよ。それハ/水(ミつ)と/云(いふ)じでハないか△Sナニサ。 00075380L15まきの高いときハ、そふも(七ウ)かくよ 00075390¥N12¥J 00075400¥X/盗人(ぬすびと) 00075410L18ひとりものゝところへ、ぬす人はいれバ、ていしゆこわさ 00075420L19に、かたすミへかゞミていれバ、だん+どうぐどもをか 00075430L20らげ、やぐ、なべ、かまにいたるまでからげ、もふ何もな 00075440M1いかと、あたりを見れバ、Sていしゆ、すミから、まだお 00075450M2れが(八オ)のこつてゐる 00075460¥N13¥J 00075470¥X年頭 00075480M5大/晦日(ミそか)ハ/夜通(よどを)し、とこもかしこも/掛(かけ)こひだらけ。御ていし 00075490M6ゆ/内(うち)にか。米やでござります。おはらいといへば、Sいま、 00075500M7ぜにをミなだしきつた。か/わね((ママ))ハならぬ。マア、いきまハ 00075510M8つてござい△S又かミやが(八ウ)くる。Sマア、いきまわ 00075520M9つてござい△S又まきやかくる。Sマア、いきまわつてご 00075530M10ざい△S又ミそ屋。Sマア、いきまハつてござい△Sハイ、 00075540M11万年屋/亀(かめ)右衛門、/御慶(ぎよけい)申入ます△Sマア、い/ま((きカ))まハつ/((て脱カ))ござ 00075550M12れ 00075560¥N14¥J 00075570¥X/高砂(たかさご) 00075580M15アノ/高砂(たかさご)といふ/謡(うたひ)ハ、どこへでもよく(九オ)でるうたひだ 00075590M16が、アレハめでたいうたひかの。Sヲヽヨ、めでたいだん 00075600M17か。あれハうたひのおやさ。それだによつて、ミやれ。ぢ 00075610M18ゞと、ばゞだ 00075620¥P222 00075630¥N15¥J 00075640¥X/肴(さかな) 00075650L3ハテ此ごろハ、とこへいつても、さしミだのぬただのと、 00075660L4とかくに/肴(さかな)を、なまでくハ(九ウ)せるが、どふでも/煮肴(にさかな)ハ 00075670L5おもくろしいかしらぬ。S何さ。おもくろしい事も、へち 00075680L6まもない△Sそして、なぜでござる△Sまきが/高(たか)いから 00075690¥N16¥J 00075700¥Xあんどう 00075710L9長吉よ。/用(よう)がある。はやくこい+。Sアイといふて、か 00075720L10けだすひやうし。/行灯(あんどう)へつゝかゝれバ、(十オ)とうがいお 00075730L11ちて、まつくらがり。Sおやぢ、はらをたて、いつでも 00075740L12+わがやうなそゝふなやつハないと、しかれバ、S長吉、 00075750L13ふくれつらして、ぜんたい、此やうなくらやみにをくがわ 00075760L14るひ 00075770¥N17¥J 00075780¥X/亀(かめ) 00075790L17りうぐうにて、うろくずどもよりあい、(十ウ)/灸(きう)をすへる。 00075800L18/亀(かめ)ばかり灸をすへず。/皆&(ミな+)、Sコレ/亀右(かめへ)。おミも、なんぼ 00075810L19じやうぶても、ちと灸をすへてミたがヱヽ△Sいや、すへ 00075820L20ずとも、万ン年ンいきれバたくさんだなどゝいふて、がて 00075830M1んせず。Sミな+、むりやりにつかまへて、すへてやり、 00075840M2どうだ。あついか。Sイヽヤ。せなかハあつくない。/き((ママ))よ 00075850M3くらと、さんりがあつい(十一オ)(十一ウ・十二オ挿絵) 00075860¥N18¥J 00075870¥X新五左衛門 00075880M6さる/御大家(ごたいけ)の/新五(しんご)左衛門といふ/国侍(くにざむらい)、久しぶりでの/勤番= 00075890M7帰(きんばん=がへ)り。おくにへつくやいな、ともだちども、ミまひにきた 00075900M8り、さて+、久しぶりにて御/目(め)にかゝつたが、先ツハ/江= 00075910M9戸(ゑ=ど)おもての御しゆびもよろしく、ちんちやうにぞんずる。 00075920M10してまあ、御/勤(きん)ばんの(十二ウ)/間(あいだ)、何ぞよいおなぐさミが 00075930M11ござつたであらふ。Sなるほど、/御当(ことう)ちとちがひ、はんく 00075940M12わな事で、イヤはや、たのしミづくめでござつた△Sそれ 00075950M13ハおうらやましい。まあ、どのやうな事でござります△ 00075960M14Sマアそこへあしを一寸ふミだすと、何をくわふがくふま 00075970M15いが、のもふがのむまいが、すき△Sハテナ△Sそして(十 00075980M16三オ)/梅(むめ)やしき、/萩寺(はぎでら)のさかりなとにハ、うつくしい女の 00075990M17ミあき△Sサ、そふでござろふとも△Sイヤまだ、堺町な 00076000M18どへゆくと、すきなげいができます。のどがかわくと、/一= 00076010M19丁(いつ=てう)に十けんほどづゝ、やまと/茶(ちや)があるの。いつぞやも、さそ 00076020M20ハれて/深川(ふかがわ)へまいつて、ひけ四つをうつまであそび、それ 00076030¥P223 00076040¥G(十一ウ・十二オ) 00076050M1からすぐに/吉原(よしわら)へまいつて、五丁め(十三ウ)のたハらやで 00076060M2大さわぎ。あんまり/酔(よふ)て、二かいのはしごからおちて、ミ 00076070M3せのあんどうで、あたまをしたゝかくらわせて、ぶら+ 00076080M4いたしたが、そこが江戸のじゆふのたりたことにハ、ふね 00076090M5でもかごでも、すきなこと。しかし、よしハらなどへまい 00076100M6るにハ、いつち/車(くるま)がよふごんす 00076110¥N19¥J 00076120¥X花さかせぢゞ(十四オ) 00076130M9/花(はな)さかせぢゝ、れいのはいをもつて、かれ/木(き)にあがりゐる 00076140M10ところへ、お大ミやうのおとをり。/下(した)に+といへば、 00076150M11Sこれハ、かれきにはなさかせぢゞにて候といふ。S御大 00076160M12ミやう、これハ一だんおもしろかろふと、たもとから手ぬ 00076170M13ぐいをだして、かぶらせられ、サアまけ(十四ウ) 00076180¥N20¥J 00076190¥X/茶(ちや)めし 00076200M16ミなきかしやれ。おらがでいりやしきの御/家老(からう)のわかだん 00076210M17なが、丁子やのつきだしにうちこんで、おやのいけんもな 00076220M18んのその、一寸さきハやミよ、月よよ、のめやうたへとい 00076230M19ふうちに、つい、ひやめしになつて、ゆふべから、おらが 00076240M20うちへ(十五オ)きてござると、はなしたせバ、Sあいがし 00076250¥P224 00076260L1やのおやぢが、そばから、しんぶつらしいかほして、ひや 00076270L2めしぐらいにハ、なりそふなもの。おらがむすこの上るり 00076280L3さへ、ちやめしにまでハなつたとさ 00076290¥N21¥J 00076300¥Xさうれい 00076310L6これ、七兵衛。けふ/上野(うへの)へいつたが、とんた大(十五ウ)き 00076320L7なそふれいにあつたよ。まづ/聞(き)きやれ。さきへおせう様と 00076330L8ミへて、あかいのり物がゆく。そのつぎか、しらはりのち 00076340L9やうちんが五六はり。くわんの大きさ。とかくに金もちの 00076350L10だんなとミへて、あミがさかぶりの大ぜい。イヤモウ、と 00076360L11んだことさ。S七兵衛、まじめになつて、おれもいつしや 00076370L12うのおもひでに、そふいふ(十六オ)ともまわりで、でゝミ 00076380L13たい 00076390¥N22¥J 00076400¥X/大工(たいく) 00076410L16大工、まん+ともうけ、此せつ、あそびにゆかぬハこけ。 00076420L17何ンでも大工とミへぬやうにしてゆかふとおもひ、/黒(くろ)はぶ 00076430L18たへ、八じやうなんどゝおごりかけ。よしわらへ/行(ゆき)、大き 00076440L19にかけられ、なんでもおれをバ、とんだヱヽ(十六ウ)むす 00076450L20こかぶとミたそふなと、のりがきて、四五たびもゆく/時= 00076460M1分(し=ぶん)、女郎、ちつと、ぬしにねがひがありんすといへば、 00076470M2Sなにがさて、ぬしの事なら、何ンでもしてやろふ△Sそ 00076480M3れならもうしんせう。わつちも、ちかいうちにざしきをも 00076490M4ちんすから、どふぞふしんをしておくれなんし△S何、お 00076500M5れを/大工(だいく)(十七オ)といふ事を、どいつがいつた 00076510¥N23¥J 00076520¥Xしやれ/過(すぎ) 00076530M8/当世(とうせい)ハとかくしやれのことだと、こゝろかけるほどに、あ 00076540M9まおちのきさごのごとくなる/男(をとこ)、かどぐちから、やうしや 00076550M10なく、Sコレてい。何ンだ。/本(ほん)よミのずいねハあるめんす。 00076560M11ちつと、おきなの。めんどうなから、きいてくんな。(十七 00076570M12ウ)ゆふべ、ちよこいきのとんおごり。丁/子(じ)やのしんひな。 00076580M13イヤ、すとんだてんやのとびどうくサ△Sていしゆ、おき 00076590M14なをり、コレ/甚(ぢん)さん。いかにしやれるとて、おめへのハな 00076600M15んだかおきやうのやうで、一つもしれぬ。マア、すとんだ、 00076610M16てんやのとびどうくとハ、なんのことた△Sやぼめ、つき 00076620M17出し+(十八オ) 00076630¥N24¥J 00076640¥X/高(たか)なわ 00076650M20二三人づれにて、いひあわせ、/高縄(たかなわ)へゆき、なかでもきれ 00076660¥P225 00076670L1いな石橋よろづと出かけ、いづれも、きげんのうハでうし。 00076680L2/酒(さけ)のさのじハ/酒屋(さかや)のさのじ、のんでゆらるゝ/由良(ゆら)の/介(すけ)なぞ 00076690L3とうたへば、又かた+でハ、大ざらなはりひぢで、あさ 00076700L4きたくミのゑんやどの。(十八ウ)くちをしき御ふるまひと 00076710L5かたり出す。S/茶(ちや)屋の/娵(よめ)、きやくのくちをおさへて、モシ、 00076720L6せんがくじが、ちかふござります 00076730¥N25¥J 00076740¥X/仕込(しこミ)あきなひ 00076750L9これ、おのしハ大ぶ、かけやだの/槌(つち)だのといふをしこんだ 00076760L10が、なんのことだ。Sハテ、やけたところが、ミんなたつ 00076770L11ときになると、此しごとし(十九オ)道ぐが、ぐつとはける 00076780L12/勘定(かんじやう)さ△Sムヽ、それハきこへたが、アノ小さい/本(ほん)を、い 00076790L13かいことこしらへたが、あれハなんだ△Sアレカ。あれハ 00076800L14そのときの/ぎ((きカ))やりの/新(しん)ぶしさ 00076810¥N26¥J 00076820¥Xはなし本 00076830L17此ごろミれバ、はなしを本にしてだすことが、大ぶんはや 00076840L18るの。Sフウ、そのやう(十九ウ)な事もあらふ。おらがわ 00076850L19かいしぶんにハ、/絵(ゑ)にかいて、かべへはることがはやつた 00076860¥N27¥J 00076870¥Xめくり 00076880M3/当世(とうせい)ハ、ねこもしやくしも、めくりの/座(さ)。なんによ、ひさ 00076890M4をくミゐるところへ、/色白(いろしろ)なわかしゆ、むすめのそばにく 00076900M5つつきて、(二十オ)そつとふところへ手を入れハ、Sむすめ 00076910M6をゝ、すべた 00076920¥N28¥J 00076930¥X/琴(こと) 00076940M9よつほどよいしんしやうのかうしづくり。びなるむすめが、 00076950M10ことをしらべかけてゐる。そとから、よたれでのぞきかく 00076960M11れバ、せんせいとミへるもつたいで、コレ+、(二十ウ) 00076970M12きさまも/琴(こと)がすきかして、さきからミてござるが、おこゝ 00076980M13ろがけがあるなら、一きよくしよもういたしたい。Sイヱ 00076990M14ハヤ、ぶちやうほう△Sハテ、おかくしなされな。ひらに 00077000M15+とせめられ、S今日ハ御めんなされませ△Sソリヤ 00077010M16又、なぜてござります△Sけさ、つめをとりましたから 00077020M17(廿一オ)(廿一ウ・廿二オ挿絵) 00077030¥N29¥J 00077040¥X/積(つミ)もの 00077050M20中村/秀霍(しうかく)、此たび/出勤(しゆつきん)につき、れんぢうよりのつミもの 00077060¥P226 00077070¥G(廿一ウ・廿二オ) 00077080M1に、さぎのあたまを/赤(あか)くぬつて、/鶴(つる)のすごもりのつくり物 00077090M2にする。Sコヽへわきから、/鷺(さぎ)が一ぴきとんできて、コレ 00077100M3おのしハ、とんだ身をしてゐるが、/鶴(つる)になつた心もち(廿 00077110M4二ウ)ハとうた△Sムヽ、よくたづねてくりやつた。マア 00077120M5くひものも/相応(そうわう)にくふ。こゝろもちに、何もかわつた事ハ 00077130M6ないが、/目(め)のミへぬばかりさ 00077140¥N30¥J 00077150¥X/嶋台(しまだい) 00077160M9/鶴(つる)、/亀(かめ)、/松(まつ)、/竹(たけ)、/寄合(よりあい)、さて、つるどのハ千ン/年(ねん)、/亀(かめ)どの 00077170M10ハ万ン年ン、/松竹(まつたけ)とも(廿三オ)に御/同前(どうぜん)に、このやうにめ 00077180M11てたき/座(ざ)せきへでるといふことハ、まことにわれ+がめ 00077190M12んぼく、このうへもなき事。いづれ/今宵(こよひ)ハ大のミ+と、 00077200M13にきやかにさわげバ、/嶋台(しまだい)のしたから、したミがハらけが 00077210M14でゝ、おあまりをくだありませ(廿三ウ) 00077220¥N31¥J 00077230¥X女郎のへ 00077240M17あるいき人、/遊(あそ)びに/行(ゆき)、さわぎくたびれ、/夜(よ)ふけ、ねいり 00077250M18しとこのうちに/で((ママ))、女郎とりはづし、へをひり、びつくり 00077260M19して、きやくのきゝつけしかと思ひ、ぬからぬかほにて、 00077270M20モシ、よくねなんすの。今のハなんでありんすといふ。 00077280¥P227 00077290L1Sきやく、めをさまして、(廿四オ)き様のへさ。さて+ 00077300L2それでこそ、そなたのしんぢうがミへた。おれをこゝろや 00077310L3すく思ひ、まことのふうふともおもひ、うちとけたる心ゆ 00077320L4へに/出(で)たものであらふ。さりとハうれしいと、おもひのほ 00077330L5かによろこべバ、女郎、またひとつ、ひりけれバ、きやく、 00077340L6とりあへず、さて+うたがいぶかい人だ(廿四ウ) 00077350¥N32¥J 00077360¥X/浅草(あさくさ)五/重(ぢう)の/塔(とう) 00077370L9ある人、とこに付、日をおつて、やまひおもり、きんじよ 00077380L10のたのもしきともだち来り、さて+、き様のわづらいハ 00077390L11ながいことじやが、とふぞよくしてしんぜたいものじや。 00077400L12ちと又、いしやでもかへてミさしやらぬか。Sイヤ、わし 00077410L13がやまひハ、なか+/薬(くすり)でハなをりませぬ。(廿五オ)シテ 00077420L14又、なんぞのぞミがござるか。何なりと命にハかへられぬ。 00077430L15してミたがよい。心おきなく、わしにはなし給へ。S何を 00077440L16かくそう。わしが此びやうきづいたハ、あじな事でござる。 00077450L17ふと、かんおうじのとうのあたまを、なめてミたいとおも 00077460L18つたところが、そのとうが、今ハやけてなくなりましたゆ 00077470L19へ、もはやのそみハ(廿五ウ)かなわぬとおもひ、ちからを 00077480L20おとし、それから此やうにぶら+とわづらひますとかた 00077490M1るにぞ、さて、あじなやまひもあるものじや。しかし、ち 00077500M2からをおとすことハない。まだあさくさにもござる。あれ 00077510M3でハどうでござる。Sせめて、それでもようござるといへ 00077520M4ば、それより、でんぼういんへねがい(廿六オ)けれバ、か 00077530M5なひ、やがて五/重(じう)のとうのかしらをなめけれバ、びやうき、 00077540M6だん+とくハいきしたり。それより、ともだちうちより、 00077550M7/祝(いわ)ひして、又とうのあたまのあぢハ、どのようでござつた 00077560M8といへば、/九(く)りんのぎほしハ、しほからかつた 00077570¥N33¥J 00077580¥X/金(きん)の字(廿六ウ) 00077590M11人/相(そう)をかんがへる人のもとへゆきて、つゞいてふしあわせ 00077600M12でござる。/吉凶(きつきやう)をかんかへて下されといふ。Sつく※と 00077610M13見て、さて+、そこもとの/相(そう)ハ、よいそうでござる。先 00077620M14顔が金のごとし。よつて金形相と申。やがて御りつしんあ 00077630M15つて、物のつかさ、人の主なり、人にもちひらるゝ身と 00077640M16(廿七オ)なり給ふべし。すでに金といふじハ、人の主とか 00077650M17きまするハさ 00077660¥N34¥J 00077670¥X/桃(もゝ)太郎 00077680M20もゝ太郎、/鬼(をに)か嶋へわたり、/宝(たから)物をしたゝか取てかへり、 00077690¥P228 00077700L1ころしも大晦日、/掛乞(かけこひ)、山のごとくつめかける。中にも 00077710L2猿や/雉(きじ)兵衛、鬼がしまへ/出立(てたち)の入用金(廿七ウ)千/両(りう)の/証(しやう)文 00077720L3/持参(ぢさん)し、元利そろへて千弐百両。サア、たつた今、ミヽを 00077730L4そろへてうけとりませうといへば、S/桃(もゝ)太郎、びくともせ 00077740L5ず、かのゑんめい小/袋(ふくろ)をとりいだし、うちでの小づちにて、 00077750L6ソレ千弐百両と、うつてミても、一文もいでず。ハテふし 00077760L7ぎな。でぬといふ事ハ(廿八オ)ないはづと、又うてども何 00077770L8もでず。桃太郎、しバらくしあんし、これハ鬼がしまより 00077780L9とつて帰り、大せつな/品(しな)なれど、そちにやるぞ 00077790¥N35¥J 00077800¥X/親(をや)玉 00077810L12今でのやくしやハ、おやだまにきハまつた。S何、おや玉 00077820L13+と、きも玉がつぶれる。(廿八ウ)あいつがまねハおら 00077830L14ア、けつでもする△S何、けつでする。サアしてミやれ△ 00077840L15Sヲヽと、しりをまくり、つかもない、フウ 00077850¥N36¥J 00077860¥X/工夫者(くふうしや) 00077870L18何でもおまへほど、ものゝ/工(く)ふうをよくするものハないと、 00077880L19のせられ、Sイヤまだ、き様にミせるものがある。(廿九オ) 00077890L20これ、此たばこぼんをミやれ△Sドレ、是ハよくできた。 00077900M1まづ/火(ひ)入が大きくて、火がよくもたふ。はいふきも、ころ 00077910M2ばずによし。此引だしハ、たばこがはいるの。そして此ひ 00077920M3きだしハ、すゞりだの。そのわきのちいさいひきだしハ、 00077930M4何を入るところだ△Sそれハ、こよミだの、やうしさし、 00077940M5(廿九ウ)もぐさなどを入る△Sなるほど、りかたなものだ。 00077950M6そして此下の、大きなふかひひきだしハなんだ。それハさ 00077960M7けによふた/時(とき)、きうにこま物を入る所だ 00077970¥N37¥J 00077980¥X/火(こ)たつのかん 00077990M10サアかゝ。かんをしやれ。Sアイ。酒ハこさりませぬ△ 00078000M11Sハテさて、こたつにあたれといふ事だ(三十オ)(三十ウ・ 00078010M12卅一オ挿絵) 00078020¥N38¥J 00078030¥Xけん 00078040M15さへやうなら吉町のことだと、酒もよほどまわつた時分、 00078050M16あいかたの/若衆(わかしゆ)、ぶいとのしぞこない。わかいもの、まぎ 00078060M17らかし、/音(おと)さん。一ツけんまいりやしよう。サンヤ。わか 00078070M18しゆ又、スウ(卅一ウ) 00078080¥N39¥J 00078090¥X/弁天(べんてん) 00078100¥P229 00078110¥G(三十ウ・卅一オ) 00078120M1/不忍(しのわず)の/弁天(べんてん)へ、七福神たち、/見(ミ)まひにきたり、御/近火(きんくわ)にて 00078130M2さぞ+おさわぎなされましたろふ。/併(しかし)、御/居(ゐ)たくにべつ 00078140M3じやうなく、まづハ御あんど。さて、おびたゝしい火けし 00078150M4でござつたが、先ツ御/門前(もんせん)の火/消(けし)ハ(卅二オ)町ひけし、/次(つき) 00078160M5に/谷中(やなか)から池をとりまハしたハ、/上野方(うへのかた)とミへましたが、 00078170M6アノ御/拝殿(はいでん)へつめた火けしハ、ついに見なれぬ。あれハ何 00078180M7でござります。S弁天あれかへ。あれハこハいろ組さ 00078190¥N40¥J 00078200¥X/医者(いしや) 00078210M10/薮医庵(やぶいあん)、大/米屋(こめや)よりよびにきたり、(卅二ウ)おミまひ申た 00078220M11所が、よほどの大びやう。身だい、かつこうといゝ、何ン 00078230M12てもこゝをしあふせると、おかまをおこすせんさくと、こ 00078240M13ゝろによろこび、これハちかごろ、御たいせつの義にミ 00078250M14うけました。なれども、せつしや、ちとぞんしよりこされ 00078260M15バ、御/望(のぞミ)にまかせ、御薬をしんじましよと、(卅三オ)もつ 00078270M16たいらしく、へそのしたから、もみだした薬を/置(をい)てかへり、 00078280M17よくてうになり、何ンでもあの薬でハいくはづと、はづミ 00078290M18きつて御ミまひ申シ、ずつと/通(とを)れバ、手代、まかりいで、 00078300M19これハ+御くろう/千万(せんばん)。さて、さくばんの御薬ハ、何 00078310M20と申御薬か。さて+きびしい御薬。のませま(卅三ウ)す 00078320¥P230 00078330L1と、じきにおきあがりました。Sそれハちやう※△Sサ 00078340L2テ、はらがすいたやうなと申て、茶つけを三ばいたべまし 00078350L3た△Sそれハちやう※△Sそして、いつものとをり、ふ 00078360L4せりました△Sそれハてう※△Sこんてうミますれバ、 00078370L5いつかしんでおりました△Sそれハちやう※ 00078380¥N41¥J 00078390¥Xわび事(卅四オ) 00078400L8むすこ、かんどうをうけ、さま+とおやぢにわびことす 00078410L9れども、なか+がてんせず。いまハせんかたつきて、心 00078420L10やすくでいりする日/雇(よう)取の伝が所へ行、だん+のわけを 00078430L11はなし、わびことをしてくりやれとたのめば、S伝、うな 00078440L12づいて、ようごんす。わしがのミ(卅四ウ)こんだといつち 00078450L13やア、きついことアねへ。大ぶねにのつたとおもつてゐな 00078460L14せへ。それハまづ、かたじけないが、大ていの事でハきか 00078470L15れまい。何ンといふてくりやるつもりだ。S何ンといふと 00078480L16つて、たいがいしれたものだ。コレ、おやちさん。きゝや 00078490L17あ、おめへ、むすこをかんどうしなさつたげなが、ちつと 00078500L18斗リ(卅五オ)のことを、何ンのかのと/御大(ごてい)そうに、いざこ 00078510L19ざあこねることたねへ。わつちが一ばん、あつけへにへへ 00078520L20るから、おれにめんじて、ゆるしておくんなへしと、やつ 00078530M1つけるのさ。それで又きかねへと、そりやあ又つがもねへ 00078540M2たてひきだ。あのおやぢのはなのあなへ、かなひはしやら 00078550M3おしこんて、きやんといハ(卅五ウ)/いわ((ママ))せうあ 00078560¥N42¥J 00078570¥X/浪人(らうにん) 00078580M6/智者(ちしや)もまどひ、/勇(ゆう)者もおそれるは、金といふ一チもつ。軍 00078590M7があらバ、一ツかどの大名にもならふに、治世に生れて残 00078600M8念といふほどの浪人。今ン年ンも才/覚(かく)につまり、さる金持 00078610M9の(卅六オ)ところへしかけ、いろ+くどけども、Sイヤ 00078620M10はや、当くれハ、此方にてもくり合あしく、せけんが類/焼= 00078630M11後(しやう=ご)、ひしとさしつかへてうごかぬゆへ、一向御そうだんが 00078640M12いたしにくいなどゝ、とつてもつかぬあいさつに、せんか 00078650M13たなく、S浪人ものしからバ御ざしきをはいしやくいたし 00078660M14て、せつふく仕たいと、(卅六ウ)ふるいせりふをいひたせ 00078670M15バ、Sていしゆきのどくながら、此くれハマア、そうでも 00078680M16して御ろうじろ 00078690¥N43¥J 00078700¥X/和尚(おしやう) 00078710M19和尚様。おまへのほうに、おしろいがついております。 00078720M20Sハテ、これハさつき、ついすりこわしたによつて、薬を 00078730¥P231 00078740L1つけたと、ぬけ(卅七オ)れバ、Sヘヱ。それでもおくちに 00078750L2/紅(べに)のやうなものか△Sハテ、やかましい。これハすりこハ 00078760L3した所をなめた/血(ち)だにといひながら、ふく 00078770¥N44¥J 00078780¥X九太夫 00078790L6大星由良之介、小野九太夫にむかひ、なんとおもわるゝ。 00078800L7われ+、此しろにありながら、おめ+とあけわたすも 00078810L8くちおしく、(卅七ウ)花+しく一トはたらきして、しろ 00078820L9を/枕(まくら)にうちじにいたそうとそんずるといへば、S九太夫、 00078830L10にがいかほしてゐる。S大ぼし/是(これ)ほどに申に、にがいかほ 00078840L11して、あちらむかるゝハ、ヱヽ聞ヱた。かねてのふかつて 00078850L12ゆへ、/質(しち)にでも御入なされて、/具足(ぐそく)がござらぬか△Sイヤ、 00078860L13それハござる△Sそれなら/弓矢(ゆミや)のないか△Sそれもご(卅八 00078870L14オ)/ご((ご衍))ざる△Sシテ、何がござらぬ△S気がござらぬ 00078880¥N45¥J 00078890¥X/落噺(おとしばな)し 00078900L17イヤ、このごろとんだヱヽ/落(おとし)しはなしをきいた。Sフウ、 00078910L18どふいふはなしだ△S何サ。まづとんだゑゝむすめがあつ 00078920L19たそうだ△Sソシテどふだ△Sそのむすめが、アヽト、そ 00078930L20のむすめが、アヽどうかしたことであつたが、それハまづ 00078940M1うつちやつ(卅八ウ)ておいて、こふいふあたらしいのがあ 00078950M2るて△Sフウどうだ△Sむすこがどらで、どふもならんの 00078960M3さ△Sムヽ△Sそこでおやぢが、なんとかいつたと、あた 00078970M4まをかけバ、Sミな+、くつ+とふきだし、わらへば、 00078980M5Sどうだ。おちたか+ 00078990¥N46¥J 00079000¥X/都(ミやこ)どり 00079010M8/日雇取(ひやうとり)、二人づれにて、すミだ/川(がハ)を/通(とを)る。(卅九オ)Sコレ 00079020M9/平(へい)ぼうや。おのしハちつと、ものをもかミわけるおとこだ 00079030M10が、あのういてゐる/鳥(とり)ハ、何ンといふとりだの△Sあれ/が((かカ))。 00079040M11ありやア、ミやこどりさ。/古哥(こか)にもよんてある△Sフウ、 00079050M12そりやア、何ンといふ/哥(うた)だの△S/名(な)にしをハヾいざこざと 00079060M13ハんミやこどり。これが/則(すなハ)ち、いざこざのはじまりさ(卅 00079070M14九ウ) 00079080¥N47¥J 00079090¥Xひいき/論(ろん) 00079100M17きんじよのおとこきて、かミさん。あの/八百蔵(やをぞう)なぞハ、/助(すけ) 00079110M18がひつたくそともおもわねへ。Sゑゝ、にくらしい。そん 00079120M19な事をいひなさるなら、もふおらがうちへきてくんなさる 00079130M20なよ。いけすかない。サア+、出(で)ていきな+△Sコレ 00079140¥P232 00079150¥G(四十一ウ・四十二オ) 00079160M1+かミさん。そんなら、しやうことがねへ。くそ(四十 00079170M2オ)とおもつてやろう 00079180¥N48¥J 00079190¥Xげじ 00079200M5なつの/夜(よ)、/燭台(しよくだい)などとぼして、きやく二三人、さけのミて 00079210M6はなすうち、けぢ+一ついで、ともしびのまわりをあり 00079220M7く。きやく、あふぎをひらき、もちてゆけバ、けぢ、おと 00079230M8ゝいからおりやす(四十ウ) 00079240¥N49¥J 00079250¥X/御幸(ごこう) 00079260M11けふはきんりさまの御こうがあるといふから、ミにゆきま 00079270M12す。Sヘヱ。わたくしハほとけにばかり御くわうがあると 00079280M13思ふたら、きんりさまにもござりますか△Sあるのくらい。 00079290M14ごかうも、まくりもござる(四十一オ)(四十一ウ・四十二オ挿絵) 00079300¥N50¥J 00079310¥X/金(かね)のなる/木(き) 00079320M17きんじよの/医者(いしや)の所に、/金(かね)のなる/木(き)があるといふきついひ 00079330M18やうばん。ミにいつた所が、たいていでハミせず。/漸&(やう+)と 00079340M19たよりをもとめて、きど/口(ぐち)からにわへとをりミれバ、/十重= 00079350M20廿重(とへ=はたへ)にかきをして、中にうへてある。(四十二ウ)これハけ 00079360¥P233 00079370L1しからぬことゝほめれバ、S/側(そば)にゐる/弟子医者(でしいしや)が、イヱ 00079380L2サ。ちかごろハたいがい/壱分(いちぶ)のところへ、/弐朱銀(にしゆぎん)がなりま 00079390L3す 00079400¥N51¥J 00079410¥X/行過(ゆきすぎ) 00079420L6おのしやア、とんだヱヽ/羽織(はをり)をきたの。おれもてふど、こ 00079430L7ふゆふ/羽織(はをり)を(四十三オ)もつてゐたが、/去年(きよねん)の二月、ひに 00079440L8入た。Sこいつ、しやれるやつ。なかしたかSイヽヤ、 00079450L9もやした 00079460¥N52¥J 00079470¥X/万年箒(まんねんほうき) 00079480L12/玉(たま)のよる所へ玉がよる。しわいところへしわがよると、/同= 00079490L13気相求(どう=きあいもとむ)るの/友(とも)/来(きた)り、/四面山(しめんざん)の/噺(はなし)のついで、サテ、/私共(わたくしとも)の 00079500L14(四十三ウ)ほうきハ、きれてどふもならぬ。Sていしゆイヤ、 00079510L15はうきを/買(かわ)ふならバ、かまくらがしの/豊嶋屋(としまや)。さきおとゝ 00079520L16し/買(かふ)たのが、まだ何ンともない△Sきやくイヤ、わたくし 00079530L17もあそこでかつたて△Sハテ、それ、どうしたことだ。ど 00079540L18んなきついつかひやうをなさる△S何さ。まい日/朝晩(あさばん)二/度(ど) 00079550L19つゝ/外(ほか)ハ(四十四オ)はかぬて△Sイヤ、それでハたまらぬ 00079560L20+ 00079570¥N53¥J 00079580¥Xむすこのしゆつぽん 00079590M3しやれおとこ、きんじよへゆきけるに、ふうふながら、な 00079600M4いてゐるおりふし、Sこれハどうだ。なぜないてゐさつし 00079610M5やるぞ△Sイヤサ、きいて下され。/忰(せがれ)が四五日いぜんに、 00079620M6きんじよへゆくとて/出(で)ましたが、いまに(四十四ウ)かへり 00079630M7ませぬ。ひごろ、どらもいたさぬが、どこをたづねても、 00079640M8しれませぬ△Sハテ、それハ/気(き)のどく。しかし、/気(き)をおと 00079650M9さずとも、うつちやつておいたら、/煤払(すゝはき)にハ出よふ 00079660¥N54¥J 00079670¥Xむきミ/売(うり) 00079680M12むき身/売(うり)、/堺町(さかいてう)へんをとをる。何かハしらず/大喧嘩(おゝけんくわ)。お 00079690M13さだまりの(四十五オ)はつつけめと、/声高(こハだか)にのゝしれバ、 00079700M14あいてもまけずに、はつつけといふ。Sナンダ。はつつけ 00079710M15といつたな△Sヲヽ、はつつけといつたによつて、はつつ 00079720M16けといつたがどうしたと、せりあふなかへ、むき身うり、 00079730M17わつて入、これさ。はつつけといつたとて、そのやうには 00079740M18らをたゝつしや(四十五ウ)るな。/世(よ)ハ/五分(こぶ)+だ。おらハ 00079750M19ふだん、ばかや+といふてあるけバ、ばか+とよぶハ 00079760M20な 00079770¥P234 00079780¥N55¥J 00079790¥X久助 00079800L3火事がある。久助、でゝミろ。S久助ハイ△Sやれ大ぶ、 00079810L4けわしくうつ。ミたか△Sハイ△Sちかいか。どうだ△ 00079820L5Sハイ、ぐつとちかふ(四十六オ)ござります△Sハテ、ど 00079830L6こたといふにさ。もし/旦那(だんな)。しづかになされませ。/火事(くわじ)ハ 00079840L7御手まへでござります 00079850¥N56¥J 00079860¥X/五音相通(こゐんそうつう) 00079870L10/五音相通(ごいんそうつう)、/卜筮(ぼくせい)/先生(せんせい)のかたへ、でしどもよりあつまり、い 00079880L11ろ+けいこしてゐる所へ、/玄関(げんくわ)に、たのミませうの(四 00079890L12十六ウ)こへ。S/先生(せんせい)、ミヽをそばたてゝ、アレ、あのつか 00079900L13い/声(こへ)をきかしやつたか。すべて/卜(うらかた)ハ、まづ五いんをきゝ 00079910L14わけて、ミぜんにことをさつするが第一。あのつかひハ、 00079920L15まづ何ンのつかひであらふとおもハつしやるととへば、 00079930L16S一でし/自慢(じまん)のはな/高(たか)/才蔵(さいぞう)、すゝミいで、只今のつかひハ 00079940L17(四十七オ)/角(かく)のてうしあつて、/怒(いかり)の/声(こへ)あれバ、大かた/借(かし)た 00079950L18物をとりかへしにまいつたか、又ハいこんあつて、ねだり 00079960L19にまいつたか、二つに一つ。/先生(せんせい)。おをぼへがござらふと、 00079970L20ゑんりよなくいひはなせバ、S/先生(せんせい)、につことして、なる 00079980M1ほど、いかりの/声(こへ)もすこしあれども、これ、しゆ人のいか 00079990M2りにあらず。まつたく(四十七ウ)つかひのはら/立声(たちこへ)なり。 00080000M3又すこしかなしむところもあれバ、これハ/先(さき)に/不幸(ふかう)があつ 00080010M4て、しよ+へつかひがでるゆへ、つかひ、ごうはらかつ 00080020M5てきたのでござるといへば、Sミな+、なるほどゝかん 00080030M6しんする所へ、とりつぎがもつてくるをミれバ、こわめし 00080040M7/重(ぢう)。てまへかたにて、(四十八オ)せかれ、はかまぎをいわ 00080050M8ひ候間、わざと/進上(しんじやう)との/口上(かうじやう)。なむさん。そうでハないは 00080060M9づ。ぜひかなしむ/声(こへ)に、はらたつ/声(こへ)がまじつたといへば、 00080070M10Sとりつぎ、そばから、そのはづでござります。つかひの 00080080M11/衆(しゆ)が、/道(ミち)でぞうりへ、くそをふミ付て、そのさハぎに、/銭(せに) 00080090M12を二百/落(おとし)たと申ました(四十八ウ) 00080100¥N57¥J 00080110¥X/金(かね) 00080120M15/壱歩(いちぶ)の/金(かね)をへがして、/二分(ぶ)にする/伝(でん)をうけた。Sそれハて 00080130M16うほうな事だ。おれも壱分出そうから、どうぞ二分にして 00080140M17くれな△Sヲイ。じきになる事だ。しかしことわつておく 00080150M18ことがある△Sナンタ△Sあとてつかハれぬによ(四十九オ) 00080160¥N58¥J 00080170¥X/上戸(じやうご)くらべ 00080180¥P235 00080190L1おれほどの/底(そこ)ぬけハあるまいと、うぬぼれの酒のミ/先生(せんせい)。 00080200L2大坂に、/猩&子(しやう+し)といふ酒のミがあるときゝ、なんでもい 00080210L3つぞ、のミくらべてこようと大坂へゆき、やう+とたづ 00080220L4ぬれバ、ところハ/住(すミ)の/江(へ)のほとりに、/猩&子(せう※し)と/墨黒(すミくろ)のかん 00080230L5ばんに、(四十九ウ)あんないこうて、わたくしハ江戸の酒 00080240L6のミ、/新川(しんかハ)/底助(そこすけ)と申もの。かねてうけ給りおよびたる/先生(せんせい) 00080250L7の/上戸(じやうご)。およバすながら、御あいてにもあいなり候ハヾほ 00080260L8んもうと申こめバ、是ハ+、はる+の所をよふこそお 00080270L9たづね。なるほと、わたくしも少したべ/印(しるし)。いざ、お通り 00080280¥G(五十一オ) 00080290M1と、ざしきへ(五十オ)ともない、まんなかに、こもかぶり 00080300M2をなをし、さしむかひの酒もり。とう+ひ/ご((とカ))たるハ、ち 00080310M3んちろり。S江戸もし、一たるハしゆびよくあけました。 00080320M4モ、こんきりと、したのまわらぬところをミこミて、Sし 00080330M5やう+しコイヨ。おたるのかハりめだよ(五十ウ)(五十一オ 00080340M6挿絵) 00080350¥N59¥J 00080360¥X/仙薬(せんやく) 00080370M9/欲(よく)と/垢(あか)とぼんのふとハ、たへぬがならひ。/金銭(きんぎん)ざいほう、 00080380M10一つとしてくらからぬ御大/名(めう)。此うへハほかにのぞミもな 00080390M11けれバ、/寿命(しゆめう)をながくして、一せうしなぬくふうハあるま 00080400M12いかと、じゆいに御たづねあれバ、なるほど、むかし(五十 00080410M13一ウ)から/伝(つた)へうけ給ハる/仙薬(せんやく)の/名方(めうほう)がござります。まづ 00080420M14/高(たか)サ三十/餘丈(よじやう)にはしらを立て、そのうへにばんをすへて、 00080430M15これへ/仙露(せんろ)をうけます。これを/仙人掌(せんにんしやう)とよび、/金茎露(きんけいろ)と申 00080440M16て、そのつゆにて、たんやくをねり、めし上らるれバ、/長= 00080450M17寿(てう=じゆ)をゑて、せんにんに(五十二オ)おなりなさるゝと申上れ 00080460M18バ、ソレいそぎ、/其通(そのとを)りにはかろふべしとのあふせ。よを 00080470M19日についで、ほどなくじやうじゆし、何かハしらず、/銀(ぎん)の 00080480M20うつわにつゆを入て、もちていづれバ、ことのほか御よろ 00080490¥P236 00080500L1こび。こゝろミに、なめてミやうと、一トさじめし上らる 00080510L2れバ、やねのうへから、とびがミてゐて、(五十二ウ)ヱヽ 00080520L3きたない。おれがせうべんをさ 00080530¥N60¥J 00080540¥X/姑(しうと)ばゞ 00080550L6しうとばゞ、よめをにくがり、どこぞでハはぢをかゝせや 00080560L7うと、ひつふくらめてゐる。あるとき、きやく四五人あり。 00080570L8よめも出て、ちそうしてゐる。そばにならんでゐて、ばゞ、 00080580L9ぶいとひり、ヲヤ、こな人ハ。おきやくの(五十三オ)なか 00080590L10で、ちとたしなんだがヱヽと、はじしめれバ、よめ、さい 00080600L11はつものにて、少もおくせず。ナニサ。おとのするおなら 00080610L12のでる人ハ、ながいきをすると申ますから、たのもしうご 00080620L13ざりますといへば、Sしうとばゞおとのしたのハ、おれだよ 00080630¥N61¥J 00080640¥Xへんじやう/男子(なんし)(五十三ウ) 00080650L16へんじやうなんしといつて、男が女になることがあるとい 00080660L17ふが、ほんのことだよ。こんど、おらがざいしよで、さる 00080670L18ものゝ女ぼうが、いなものがはへて男になつた。Sフウ、 00080680L19女ぼうがおとこになつて、ていしゆハなにゝなつた△Sて 00080690L20いしゆか。ていしゆハの、わかしゆにさ(五十四オ) 00080700¥N62¥J 00080710¥Xむすこ 00080720M3むすこ、もくねんとしているところへ、ともだちきて、コ 00080730M4レ/照(てる)ぼう。こんや、あそびにゆくが、/気(き)ハねへかといへバ、 00080740M5Sムヽ。/気(き)ハあるが、/黄(き)なるものがねへ 00080750¥N63¥J 00080760¥X/身(ミ)ぶり/好(ずき) 00080770M8おさまる/御代(ミよ)のゆたかさ。/武士(ぶし)が/町人(てうにん)(五十四ウ)のまねを 00080780M9すれバ、町人が、ながいさめざやで、けんじゆつならふも、 00080790M10すきこそ物の/上手(じやうず)なり。やくしやのまねといふと、なん 00080800M11でも/親玉(をやだま)の身ぶりから、わい+のこわいろまで、つかひ 00080810M12おぼへて、おれほどによくするものもあるまいと、あさか 00080820M13らばんまで、こわいろ、ミぶりをしてあるけバ、S/親父(おやぢ)、 00080830M14大きにはらをたて、(五十五オ)むすこをよびつけて、おの 00080840M15れ、何にならふとおもふて、こわいろ、ミぶりにうきミを 00080850M16やつしてあるく。あれを、ろくなものだとおもふか。これ 00080860M17ほどの/大(おゝ)しんだいをゆづるミが、たいこげいしやをミるや 00080870M18うに、人のざしきをかけあるきて、なぐさミにことをかい 00080880M19たミもち。きやうこう、ふつつとやめにせずハ、七せうまで 00080890M20(五十五ウ)のかんどうと、もつてのほかにしかれバ、Sむ 00080900¥P237 00080910L1すこ、あやまり入ていたりしが、ずつと立て、そバにあり 00080920L2あふ/親父(おやぢ)のひげぬきかゞみをとり、ひばちへうちつけ、ま 00080930L3つ二つにうちわれバ、S/親父(おやぢ)、けふをさまし、こいつ、き 00080940L4がちがつたか。何ンのことだといへば、Sこんにち£こゝ 00080950L5ろをあらためるといふことばのきん(五十六オ)てう、かく 00080960L6のとをりでござります 00080970¥N64¥J 00080980¥X/借金(しやつきん) 00080990L9きゝやれ。マア、めづらしいこともあれバあるものだ。さ 00081000L10るところで、たん+ふしあハせなおとこがあつて、しん 00081010L11だいをしまつて、/女(によう)ぼうをバ、あにのところへあづけて、 00081020L12てまへハかゝり/人(うど)になつていたが、まへ+からの/借金(しやつきん) 00081030L13(五十六ウ)をせつかれて、どふでもとりのぼせたとミへて、 00081040L14/借金(しやつきん)のかたに、/金玉(きんたま)をきつてやつたが、なにがそこで、 00081050L15一/町(てう)が大さわぎ。まづはやく、女ぼうのところへしらせて 00081060L16やつたがヱヽと、さつそく人をやり、モシ、御ていしゆが、 00081070L17ゆふべ借金のかたに、/金(きん)をきらしやつた。Sナニ、きんを 00081080L18きつたへ(五十七オ)Sアイサ。きんたまをさ△Sヲヽあぶ 00081090L19ないこと。それでおちついた 00081100¥N65¥J 00081110¥X/賀(が)の/餅(もち) 00081120M3こゝろやすくくる/日雇取(ひようとり)。このあいだハすつきり御用がご 00081130M4ざりやせんのと、だいどころへのぞけバ、うちのめしたき、 00081140M5ヲヽ吉どんか。御いんきよさまが、百の/賀(が)を/祝(いわ)ハ(五十七ウ) 00081150M6しやつたもちだから、わざと、しんぜうとおもつて、とつ 00081160M7ておいたとたせバ、S吉これハありがたふござりやす。し 00081170M8たが、だんなへハさたなし。御いんきよ様もしわい人だ。 00081180M9おらがかばねでさへ、二百や三百のもちハつくに、たつた 00081190M10百の賀もちとハ 00081200¥N66¥J 00081210¥X手ならい子(五十八オ) 00081220M13モシ、おしせう様。アノ、からにも人がゐますかへ。Sゐ 00081230M14るとも+。から人さ。とうじんとかくよ△Sハア、とう 00081240M15じんとハ人のことかへ。わたしハまた、火をとぼすものと 00081250M16そんじました△Sハテ、らちもない。あれハとうしん。か 00081260M17らのハとうじんさ△Sへヱそんなら、てうせんにも人かお 00081270M18りますかへととへば、Sあにでしのはなたらしが、そばか 00081280M19ら、(五十八ウ)長ぼうハばかなことばかりきく子だな。て 00081290M20うせんにも人がゐねへで、どうするもんだ。しかも、てう 00081300¥P238 00081310¥G(五十九ウ・六十オ) 00081320M1せんにんじんがいる 00081330¥N67¥J 00081340¥X/鶴亀(つるかめ) 00081350M4つるハせんねん、かめハまんねんいきるといふが、そうか 00081360M5の。Sハテ、しれたことサ。うそなら、ためしてミたが 00081370M6ヱヽ(五十九オ)(五十九ウ・六十オ挿絵) 00081380¥N68¥J 00081390¥X/田舎出(いなかで) 00081400M9いなかもの、江戸へ/出(いで)、とうりうしてゐる。わかいものど 00081410M10も、よりあい、なんと、ヱヽくろがもがかゝつたでハない 00081420M11か。おだてゝ、/町(てう)へつれていつて、つかハせてあそぼふで 00081430M12ハあるまいかと、二三人いひあわせ、/吉原(よしハら)へ/行(ゆき)、/中(なか)の町へ 00081440M13上つ(六十ウ)て、のミかけてゐれバ、だん+女郎がむか 00081450M14ひにでかけるをミて、Sいなかもの、うかれてきて、アノ 00081460M15かさをさしかけた女郎ハ、何ンといひます。Sあれかへ。 00081470M16あれハてうざんといつて、こゝでのたてものさ△Sいなかも 00081480M17のなるほど、そうミへて、どうもたまつたものでハない。 00081490M18アノ(六十一オ)女郎をかいたいが、ねだんハいくらほどし 00081500M19ます 00081510¥P239 00081520¥N69¥J 00081530¥X/雷(かミなり) 00081540L3ぐわら+ひつしやりといふおとに、おちハおちたが、ひ 00081550L4らちへおちて、とりつきはなく、あがられず。うろ+し 00081560L5てゐるを、かミなりなかま、ミすて(六十一ウ)てハおかれ 00081570L6まいと、そらから、大きなきをさげれバ、おちたかミなり、 00081580L7うれしく、これをふまへて上るのか。Sヲヽサ。/其(その)きでき 00081590L8なさい 00081600¥N70¥J 00081610¥X/足袋(たび)や 00081620L11たびやのていしゆ、きんじよへゆき、コレ、きゝやれ。お 00081630L12れハ大きにてがらを(六十二オ)した。S何ンだ△Sイヤ、 00081640L13しやかがだけを、したゝかふミのめした△Sナニ、うそを 00081650L14つく人だ。き様、ふまれたろう△Sイヤ、しやつひたいを、 00081660L15したゝかふんだ△Sそりやあ、またどうした△Sかんばん 00081670L16て、ひたいをぶつこハした 00081680¥N71¥J 00081690¥Xおかわ(六十二ウ) 00081700L19きんじよのにようぼうにほれ、どこぞでハいわふ+とお 00081710L20もつていれど、よいおりもなく、なんでもせつちんへいつ 00081720M1て、まつてゐるがよいと、ちようど、かのにようぼうのく 00081730M2るじぶんをかんかへ、ぬけろじのせつちんへいつて、まつ 00081740M3て(六十三オ)ゐれバ、S女ばう、おかわをもつて、あけに 00081750M4きて、くらさハくらし、だれもござらぬかといへば、こゝ 00081760M5ぞとおもひ、いきをころしてゐる。あたまから、おかわを 00081770M6ざぶり(六十三ウ) 00081780¥Y跋 00081790M11東西+。咄もはや糞まであびたれば、お定まりの通り、 00081800M12是きりにて筆を止、又新らしき趣向を二のかわりに御意に 00081810M13入レ申べくと、此所にて跋しおわり候。高ふハ御ざ(六十四 00081820M14オ)りますれど、御買なされて御らうじ被下ませうなら、 00081830M15作者をはしめ惣連中、いかはかり大慶仕極に奉存ますで御 00081840M16ざりませう。先ハ其ためのおことわり、さよう 00081850M18△△△△△△△△△△拍△子△木△堂G 00081860M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(六十四ウ) 00081870¥P240 00081880¥U噺本大系△第九巻 00081890¥T/再成餅(ふたたびもち)〔序文〕 00081900¥G 00081910¥Y 00081920L15安永二年四月刊 00081930L16即岳庵青雲斎序 00081940L17餅十・沙明画 00081950L18莞爾堂等板 00081960L19小本一冊 00081970L20都立中央図書館加賀文庫蔵 00081980¥Y序 00081990M3夫温故知新は、/己等(おら)がおやじの/金言(きんけん)にあらずや。/近= 00082000M4世(きん=せい)/払底(ふつてい)なる/物(もの)は、/金(かね)と/噺(はなし)とのミおもひしに、(一オ)/此比(このころ)め 00082010M5つらしき/小冊(せうさつ)を/閲(けみ)するに、/臍(ほそ)をさゝけ/頤(おとがひ)を/解(と)く。/多(おゝ)くは/洗= 00082020M6濯(せん=たく)なれと、/是(これ)も/又(また)あたらしきをしるの一/助(じよ)ならん/歟(か)。しか 00082030M7のミ(一ウ)ならす、さくら/木(き)に/鏤(ちりはめ)ぬれハ、/跡(あと)から/出(で)る人の 00082040M8/眼(め)をよろこハしむるも、/好事(こうず)の/力(ちから)すくなからす。予も/其顰(そのひん) 00082050M9にならひて、/再成餅(ふたゝびもち)を(二オ)/御茶(おちや)の/子(こ)に/備(そな)ふるといふ/事(こと)し 00082060M10かり 00082070M12△△△安永二△△△△△△△△△△△△△即岳庵 00082080M13△△△△△後の弥生△△△△△△△△△△青雲斎 00082090M14△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二ウ) 00082100¥P241 00082110¥N1¥J 00082120¥X○/年礼(ねんれい) 00082130L3あらたまる/春(はる)、/門並(かとなミ)/松(まつ)たてわたし、/扇子(おふき)うる/声(こゑ)もゆたかに、 00082140L4ヲヽ八。とけゑいつた。Sおらア大屋様へ礼にいつた。/手= 00082150L5前(て=まへ)ハしまつたか△Sいゝヤ。つゐそ正月、礼にいつた事か 00082160L6ねヱ。なんの礼に行△Sハテ、いくもんた△Sソシテまた、 00082170L7いつて何といふ△Sハテ、大屋様。御慶て(三オ)おめてた 00082180L8ふこさりますといへハいゝ△Sソンナラ、いつていふへい 00082190L9と、大屋の松をくゞらんとする。/出合(てあい)かしらに大屋、上下 00082200L10にて礼の出かけ。ヲヽ/権殿(ごんとの)。/御慶(ぎよけい)てこさると、/先(せん)ンをこさ 00082210L11れ、S権もし大屋さん。/穴(あな)たな+ 00082220¥N2¥J 00082230¥X○しんてう/木(き) 00082240L14是、あのむかふのすみにある、せいの/高(たか)い(三ウ)木ハ何ン 00082250L15た。Sアレカ。あれハ/桐(きり)の木さ△S何になる木た△Sあれ 00082260L16ハ十九文の下駄になる木た△Sウヽソレヨ。こちらのハや 00082270L17なきたの。あれハ何になる木たの△Sソレサ、やうじにす 00082280L18る木さ△Sヲヽやうじになる+。下のはなの/咲(さい)ている木 00082290L19ハ、何ンといふ木た△Sアレハじんてう木△Sムヽ、あれ 00082300L20がそろばんになる木だの(四オ) 00082310¥N3¥J 00082320¥X○/井戸(いど) 00082330M3/朝(あさ)やうじつかいなから、井戸/端(ばた)へ来る所へ、となりの/娵(よめ)か 00082340M4水くみに来るを見て、とれ+、わしが/汲(くミ)て/進(しん)ぜうと、手 00082350M5おけへこほるゝほと/汲(くん)て、もつとかへ。何ばいてもくんて 00082360M6上申さうといへは、ハイ。もうよう御さります。お/忝(かたしけ)なふ 00082370M7(四ウ)こさりますと、引ツさけゆく/跡(あと)へ、向ふのおばゝ、 00082380M8ヲヽよいところへきました。わたしにも一はい/汲(くん)で下され 00082390M9と、手/桶(おけ)を出せは、此男、ふせう※に井戸をのそき、水 00082400M10があれハよいが 00082410¥N4¥J 00082420¥X○/半(はん)どけい 00082430M13半とけいの/払(はらい)ものか出ました。安イ物(五オ)てこさります。 00082440M14Sトレ+、ほしかつた。是はよさそうしや。/直段(ねだん)ハ何ほ 00082450M15としや△Sハイ、壱両弐分てこさります△Sソレハいかふ 00082460M16やすいものしやと/調(とゝの)へ、/土圭(とけい)といふもの、初而わか物にし 00082470M17/珍敷(めつらしく)、ことの外よろこひ、かけ置ける。しはらくすると、 00082480M18チヤント一つなりけ/礼(れ)は、(五ウ)Sコレ三助。何ン時しや。 00082490M19きいてこい 00082500¥P242 00082510¥N5¥J 00082520¥X○/鉄棒(かなほう) 00082530L3壱町めの/番太郎(ばんたらう)が火の用心の声ハよいこゑしやと、日比ほ 00082540L4めけるに、又此ころ来た二町めの/番太(ばんた)がこゑハ、壱丁めの 00082550L5番太より、なを/能(よい)とてほめける所へ、壱丁目の番太(六オ) 00082560L6が通るを/呼(よび)かけ、Sコレ、日頃手前かこゑがよいとほめた 00082570L7所が、二丁めの此比来た番太か声ハ、/猶(なを)よいとほめけれハ、 00082580L8S壱丁めの番太何サ。こゑハよかろふけれ共、かなぼうにあ 00082590L9いやせぬ 00082600¥N6¥J 00082610¥X○/掛取(かけとり) 00082620L12Sモシ梅かゑさん。サア懸取にきやした。(六ウ)此くれハ 00082630L13とふぞ/払(はらつ)てくれなさい△S女郎わつちもとふぞ此/暮(くれ)ハとお 00082640L14もいんしたが、あてがちがいんして、いつそくめんかわる 00082650L15ふありんす。/春(はる)まてのはしてくんなんし△Sかけ取とふも 00082660L16わりい。半分てもはらつてやんなゝ△S女郎半/分(ふん)もできん 00082670L17せん。りやうけんして(七オ)おくんなんし△Sかけ取それ 00082680L18てもそう+すまねは、/親方(おやかた)の前がたちやせんから、首て 00082690L19もくゝらにやなりやせぬ△S女郎此暮ハとふそ、そふても 00082700L20しておくんなんし 00082710¥N7¥J 00082720¥X○/鼻(はな)くそ 00082730M3/茶(ちや)の/湯(ゆ)によはれ、亭主手前(七ウ)さい中の時、S客、はな 00082740M4の/穴(あな)むづ+とせしゆへ、鼻へゆひを入くしりけれハ、大 00082750M5キなはなくそをほしり出し、ゆひにて丸め、とこそへ/捨(すて)ん 00082760M6とおもへとも、/掃(はき)ちきりたるかこいなれハ、せんかたなさ 00082770M7に、又はなの穴へいれた 00082780¥N8¥J 00082790¥X○/鏡(かゝミ)とぎ(八オ) 00082800M10かゝみとぎ、/或(ある)やたいへ/行(ゆき)、女郎衆のかゝミをといて居る 00082810M11むこふへ、しんぞう衆か二三人見て居て、Sコレかゝみや 00082820M12どん。こなたハどつから出さつしやる△Sアイ、わしとも 00082830M13ハ/加賀(かゞ)から出ます△Sしんヱヽモウばからしい。日がくれ 00082840M14やうによ(八ウ) 00082850¥N9¥J 00082860¥X○/喧嘩(けんくわ) 00082870M17きおい組、/侍(さむらい)につきあたり、おのれ、/眼(め)をあいて/通(とを)れ。 00082880M18Sなんだ、めをあいて通れ。おれよりハ、われ、めをあい 00082890M19てとふりやアがれ△Sおのれ、侍にむかつて/過言(くわごん)なやつの 00082900M20S何をいふ。さむらいだ。侍をくそとも思ふ物かと、一ツ 00082910¥P243 00082920¥G(十ウ・十一オ) 00082930M1いゝ(九オ)二ツいゝ、/後(のち)にハ侍きかぬ/気(き)になり、/抜(ぬき)てもし 00082940M2そうなまなこさし。それを見るより、/自身番(じしんばん)より大屋とも 00082950M3走り出、扨+あの者、何そお気にあたりました事ても申 00082960M4上ましたか。Sイヤサ、侍をくそとも思ハぬとぬかしおつ 00082970M5た。其ぶんにならぬ△Sイヤ、是ハわたくし(九ウ)とも、 00082980M6おわひ申上ます。御りやうけんなされて/遣(つか)ハされくたさり 00082990M7ませ。又/甚吉(じんきち)もとふしたものだ。お/侍(さむらい)様をくそとも思ハ 00083000M8ぬとハ、つかもない事。此/以後(いご)は、御侍様をは、くそとお 00083010M9もつたがよい 00083020¥N10¥J 00083030¥X○/腰元(こしもと)(十オ)(十ウ・十一オ挿絵) 00083040M12イヤ是ハお出か。けふハ/淋(さび)しかつた。/咄(はなし)ていきやれ。これ、 00083050M13お/茶(ちや)上けいよ。アイといふて、/腰(こし)もと茶を持て出る。/客(きやく)人 00083060M14見て、あいつハいきまな、ほつてりもんたのと/噂(うわさ)して居る 00083070M15所へ、またたはこ/盆(ぼん)持て来て/立尻(たつしり)を、イヨ/楊貴妃(やうきひ)めとたゝ 00083080M16けハ、こしもと(十一ウ)/振(ふり)かへり、につこりと/笑(わら)ひ、Sち 00083090M17つと/似(に)ると、もうあんなことを 00083100¥N11¥J 00083110¥X○/夜道(よミち)の心かけ 00083120M20夜道て犬にとりまかれた時ハ、四/這(はい)にはつて、わん+と 00083130¥P244 00083140L1いへハ、友犬かと思つて/構(かま)ハぬ物じやと聞た男、ある夜、 00083150L2犬に取まかれ、是ハたまらぬと、聞およんだ(十二オ)通り、 00083160L3四つばいに成て、わん+といふて/這(はい)あるくうしろより、 00083170L4おもいもよらす、/尻(しり)ツへたを、わんとかまれ、かの男@黄色|な声@ 00083180L5@を出|し、@キヤン+ 00083190¥N12¥J 00083200¥X○/合口(あいくち) 00083210L8せわしないおとこ、/道具(どうぐ)やのミせへ立/寄(より)、コレ、此合口の 00083220L9/直(ね)寸ハ、いくらじや(十二ウ)と聞けハ、亭主、同しくせわ 00083230L10しない男にて、Sアイ、それハ三百八寸 00083240¥N13¥J 00083250¥X○/麻上下(あさかミしも) 00083260L13きおい/組(くミ)、大屋へ行。モシ大屋様。けふ/吊(ともらい)の/供(とも)にいきやす。 00083270L14上下かして下さりやせといふ。大屋聞て、やすい事。/借(か)し 00083280L15て進せふ。コレ/嚊(かゝ)や。そこな麻(十三オ)/上下(かミしも)出して、/借(かし)し 00083290L16てしんせやれといへハ、Sきおい組モシ大屋様。/夏(なつ)じや有 00083300L17まいし 00083310¥N14¥J 00083320¥X○/雪駄(せつた) 00083330L20/舟宿(ふなやど)の/親父(おやぢ)しわきやつ。/夫(それ)レに引かへむすこかどら者。あ 00083340M1る時むすこ、石/割(わり)せつたを/買(かい)て来る。親父見付て、おのれ 00083350M2ハ/高(たか)く出して、ついゑな物を(十三ウ)と大に/叱(しか)り、あまつ 00083360M3さへ雪駄も取上られ、ふ/首尾(しゆび)たら※。ある時おやぢ、ミ 00083370M4せで/昼(ひる)寐して居るを、よき時節と、むすこ、かの雪駄をそ 00083380M5つとぬすみ出し、ミせ先より、チヤラ+とはきて出る/音(おと) 00083390M6に、親父目を/覚(さま)し、舟かへ+ 00083400¥N15¥J 00083410¥X○/眼(め)の/玉(たま)(十四オ) 00083420M9/頼(たのミ)ましよ。Sとなたてござります△S/表(おもて)のふだを見ますれ 00083430M10ハ、/眼(め)の玉入レ/替(かへ)所とござるゆへ、/拙者(せつしや)眼の玉入レてお/貰(もら) 00083440M11い申そうとそんして、/罷越(まかりこし)ました△Sハイ、よふお出なさ 00083450M12れました。扨玉も/段々(だん+)こさります。/水晶(すいしやう)て入ますれハ、代 00083460M13金壱両弐分てこさります。又びいどろ(十四ウ)て入ますれ 00083470M14ハ、金弐分て上ります△S其びいとろの方を見たふ御さり 00083480M15ます△S則、是て御ざります。/随分(すいふん)よろしうござります△ 00083490M16S此せつの事てござれば、まつ、びいどろにいたしませふ 00083500M17とていれてもらい、/鏡(かゝみ)を見て、なるほと、まことの/眼(め)のや 00083510M18うてこさります。/忝(かたしけな)いと一礼を(十五オ)のへ、門口へ出 00083520M19ると、向い風ドツト吹は、眼玉ホコン+ 00083530¥P245 00083540¥N16¥J 00083550¥X○/正宗(まさむね) 00083560L3/拙者(せつしや)このあいた、まさむねの刀を取出しました。Sハテ、 00083570L4それハ御うらやましい。ちと/拝見(はいけん)おふせ付られませ△S則、 00083580L5是てござります△Sフヽウ、さて+(十五ウ)まづ御ふち 00083590L6かしら、しほらしい。御つばと申、おさめ、おこづか、お 00083600L7めぬき、けつこうな物。なるほど正宗ほどござつて、見事 00083610L8にみえますといふて/返(かへ)す。S/直(すぐ)に身を御らんなされませ 00083620L9Sヱ、中もか 00083630¥N17¥J 00083640¥X○/涼(すゞ)ミ(十六オ) 00083650L12さて+あつい。此やうな日にハ、/両国橋(りやうこくはし)の下へ、ひらだ 00083660L13に/■(かや)を入て行、ふねをはしはしらへ/結(ゆい)付け、そのかやを橋 00083670L14はしらにつりて寐たこゝろもち。蚊ハくわず、すゝしく、 00083680L15とふもいへた物てハない。S是ハいか様よかろふと、おし 00083690L16へのとをりのり出し、橋の下へ(十六ウ)つけて蚊屋をつり、 00083700L17/寐(ね)たところ、なるほと、とふもいへた物てハないと、/枕箱(まくらはこ) 00083710L18引よせ、一寐入する内、手足を蚊かくふに目か/覚(さめ)見れは、 00083720L19かやが高引く/釣(つり)てあつた 00083730¥N18¥J 00083740¥X○/盗人(ぬすひと) 00083750M3/有徳成(うとくなる)/町家(てうか)に、こん/礼(れい)とて、さへつ(十七オ)/押(おさ)へつ大さわ 00083760M4き。それにハかまわすゐんきよとのは、部屋へ/酒(さけ)さかな取 00083770M5よせて/独(ひとり)/楽(たの)しみ居る所へ、盗人/忍(しのひ)入り、ゐんきよ/部屋(へや)の 00083780M6せうしを明けるを、/隠居(いんきよ)見付て、おのれ、盗人かとこゑか 00083790M7けられ、にけんとするを、これ、こゝへこいと云に、盗人 00083800M8下に居るを、(十七ウ)ゐんきよ立出、おのれハにくゐやつ 00083810M9なれとも、見る通り、けふハ/孫(まご)むす子のこん礼にて/祝中(いわうなか)じ 00083820M10やによつて、ゆるして返す。これ、のんて行ケと、りんな 00083830M11り茶わんに酒たふ+と次キ出せは、盗人、/案(あん)にそういし 00083840M12て大キに/悦(よろこ)ひ、有かたしとグツト引かけ、もし(十八オ)御 00083850M13ゐんきよ様。御/耳(みゝ)をお出しなされませと、/隠居(いんきよ)のみゝへ口 00083860M14を/寄(よせ)、こゑびくに四/海(かい)/波(なみ)しづかにて 00083870¥N19¥J 00083880¥X○たけ/箒(ほうき) 00083890M17なが/咄(はなし)する/客(きやく)来る。亭主うるさく思ひ、でつちに、はうき 00083900M18/立(たて)よと云付る。てつちうなつき、かつ手へ(十八ウ)/行(ゆき)、/箒(ほうき) 00083910M19/立(たて)んとするに、客の/草履(そうり)取か見て居る/故(ゆへ)、立る所なし。/詮= 00083920M20方(せん=かた)なくて/脊戸(せと)へ出見れは、竹箒有。これ幸と、さかさに立、 00083930¥P246 00083940L1内へ入ハ、S客今ばんハ何も用事もこさらぬ。ゆるりと御 00083950L2咄うけ給りませふ。まづ/家来(けらい)をば/帰(かへ)しませふ(十九オ) 00083960¥N20¥J 00083970¥X○/福禄寿(ふくろくしゆ) 00083980L5ふくろく/寿(しゆ)、/八百屋(やをや)のミせに/昼寐(ひるね)して居けるに、/買手(かいて)来て、 00083990L6Sコレ、此ゆふがほハいくらしやといへは、/亭主(ていしゆ)出て、そ 00084000L7れハふくろくじゆでこさります。Sかい手百六十には/高(たか)い 00084010L8ものしや(十九ウ) 00084020¥N21¥J 00084030¥X○/米(こめ)の/味(あぢ) 00084040L11米の味を/奇妙(きめう)に/喰(くひ)わける男あり。ある時、ともたちより合 00084050L12て、いろ+米をくわせけるに、イヤこれハ/美濃(みの)米、イヤ 00084060L13/播州(はんしう)まい、つかるの、/仙台(せんだい)しやのと喰あてる。あまりきめ 00084070L14うさに、ごうはらになり、/頓(やか)て/諸国(しよこく)の(二十オ)こめをまぜ 00084080L15あわせて喰せけれは、/彼(かの)男/首(くび)をかたけ、是ハ/回向院仏餉(ゑこういんふつしやう) 00084090¥N22¥J 00084100¥X○/夜噺(よはなし) 00084110L18/雪(ゆき)の/降(ふ)る日、ともたち五六人来る。Sこれハよくきやつた。 00084120L19今夜ハ/鰒汁(ふぐしる)にしやう。/咄(はなし)していきやれ△Sヲヽそれはよか 00084130L20らうと、下かゝりの咄にしこり、(二十ウ)/宵(よい)のうちのかね 00084140M1ハ/耳(みゝ)に入らす、ゴン+。今打のハなんときしやと、かそ 00084150M2へて見れハ八ツ。イヤ、これハ/飛(と)ん/て((ママ))夜が/更(ふけ)た。ミなとま 00084160M3らう。Sサアとまらう+と、口&にいふ。S亭主ヲヽサ、 00084170M4とまりやれ。しかし/■(よき)も/蒲団(ふとん)もない△Sイヽ+。此/巨燵(こたつ) 00084180M5ふとんを、ミんなしてかふつて/寐(ね)よふと、/頓(やか)て(二十一オ) 00084190M6ふとん一ツへ五六人一所に/寐(ね)る。いつちはつれにねた男、 00084200M7ヲヽ/寒(さむ)い。こつちへもよこせと、はしを引ツはる。又こち 00084210M8らのはしに寐たおとこ、それてハこちらかあいて、さむく 00084220M9てならぬと引ツはる。たかいにひき合おしあいすると、中 00084230M10に寐たおとこ、ひよいと/枕(まくら)もとへ飛出る。(二十一ウ)ふと 00084240M11んの中から、なぜ貴様ハ出たといへハ、Sちつと/休(やす)んて/寐(ね) 00084250M12よふ 00084260¥N23¥J 00084270¥X○/無間(むけん)の/鐘(かね) 00084280M15むすめか二/階(かい)へ、うがい茶わんに水を入て持て上るを、お 00084290M16/袋(ふくろ)見つけ、Sこれ+お梅。何をしやるといへは、Sむす 00084300M17めアイ、むけんのかねをつかふと(廿二オ)思つてさ△Sお 00084310M18ふくろいかな事にも、むけんのかねハ、/石(いし)の/手水鉢(てうつばち)をつか 00084320M19ねは出ぬ物をといへハ、Sむすめ何サ、たつた弐分ばかり 00084330¥P247 00084340¥N24¥J 00084350¥X○/田舍者(いなかもの) 00084360L3江戸のゑんじやより、しほかつほ二ほん/貰(もろ)ふ。むひつにて、 00084370L4/手帋(てかみ)を(廿二ウ)よむ事にこまり居るところへ、庄屋か来る。 00084380L5さいわいと、Sモシ、今江戸からこれをもらいました。手 00084390L6紙を/読(よん)て聞せて下されといふ。此庄屋も同しく/無筆(むひつ)なれと 00084400L7も、それを/隠(かく)し、Sトレ+、読て聞かせ申へい。おきゝ 00084410L8やれ。ウヽ何ンた+。弥御かわりもおりないか。(廿三 00084420L9オ)少しなから、此しほにした/肴(さかな)二本、/粟俵(あわたハら)五俵とよめは、 00084430L10Sモシ+、あの粟俵ハ、こつちのてこさりやすといへハ、 00084440L11Sウヽ、とうりて猶&書に有つた 00084450¥N25¥J 00084460¥X○/天神(てんじん) 00084470L14これ六助。天神のうら通りの松竹梅右衛門殿へ、此手かみ 00084480L15持て(廿三ウ)行ケ。所ハしつて居るか。Sハイ、あちらの 00084490L16天神てこさりますか、こちらのてんじんでこさりますか△ 00084500L17Sあちらのこちらのといふてハ知れぬ。/湯嶋(ゆしま)のか/五条(ごじやう)のか 00084510L18といはねハわからぬ△S六助それでも、そう+天神様の 00084520L19御/名字(めうじ)ハそんしませぬ(廿四オ)(廿四ウ・廿五オ挿絵) 00084530¥N26¥J 00084540¥X○火の/用心(ようしん) 00084550M3/寒風(かんふう)つよき夜、/番太(ばんた)が/裏店(うらたな)を、火のやうしんさつしやりま 00084560M4せふ+と、かなほうの音。ある内から、是番太との。ち 00084570M5よつと寄つて、一はいすゝつてこさらぬか。S夫レハ有か 00084580M6たしと、内へ入見れは、ねきそうすゐ。日比ハ(廿五ウ)す 00084590M7きなり、/御意(きよい)ハよし、さむさハ/寒(さむ)シ。二はいまてかへて/喰(くい)、 00084600M8Sアイ、お/忝(かたしけ)のふこさります。/火(ひ)の/用心(やうしん)ハお/勝手(かつて)したいに 00084610M9なさりませ 00084620¥N27¥J 00084630¥X○/使者(ししや) 00084640M12/生鯉(なまこい)をつり/台(だい)に/荷(にな)わせ、/使者(ししや)、/馬(むま)にて/両国橋(りやうこくはし)を行。こいは 00084650M13ねて(廿六オ)川へとび/込(こ)ミ、/南無三宝(なむさんぼう)、いかゝせんと、大 00084660M14さわきのところへ、水/汲(くみ)来かゝり、其鯉とつて上ませふと、 00084670M15にないの水を、はしのうへから、ダフ+とあけなから、 00084680M16/瀧(たき)++ 00084690¥N28¥J 00084700¥X○/看病(かんひやう) 00084710M19/八(はち)が/煩(わつら)ふ。かんひやうに行かふと、友(廿六ウ)たち四五人 00084720M20つれ立、どふだ、ちつともいゝか。貴様ハひとりもの。か 00084730¥P248 00084740¥G(廿四ウ・廿五オ) 00084750M1んびやうのしてが有まいとおもつて、みないゝ合せて来た。 00084760M2Sヲヽそれハかたしけない。にぎやかにはなして下され△ 00084770M3Sヲヽ何ンそ、やふかあるならよびやれとて、やかてめく 00084780M4りをはしめ打しこる。/病人(ひやうにん)(廿七オ)おもき/枕(まくら)を上ケ、もし、 00084790M5湯を一つ下されといへとも、うちしこつて、今やろふ+ 00084800M6とはかりいふて居る。/病人(ひやうにん)、待どふしさにそろ+/這(はい)出し、 00084810M7/釜元(かまもと)へ行/音(おと)にきがつき、これ+、とこへ行。あふないそ。 00084820M8Sアイ、ゆをのみにおきました△Sヲヽそんならついでに、 00084830M9(廿七ウ)おれにも一はいくんて来てくりやれ 00084840¥N29¥J 00084850¥X○/三味線(しやミせん) 00084860M12たが屋、女郎/買(かい)に、いつちやうらのおふめの/布子(ぬのこ)に、さん 00084870M13とめのあわせ/羽折(はおり)て、/呉服(ごふく)屋のばんとふといふ気取になつ 00084880M14て見立て、/座敷(さしき)へ(廿八オ)上り、S女郎ぬしやア/何商売(なにせうばい)し 00084890M15なんすやら、きつふ手があれんしたといふ。手かあれたと 00084900M16いはれ、ごふく屋ともぬけられす、Sわしや/三味(しやミ)せんやじ 00084910M17やといふ。S女郎そんなら、わつちか/持(もつ)ていんす三味せん、 00084920M18ゑゝかわるいか、見ておくんなんしと、三味線を出して 00084930M19(廿八ウ)見せれハ、Sヲヽよい/三味線(しやミせん)じや△Sモシ、どう 00084940M20の木ハなんておさんすときかれ、Sひねくりまハして、/桧(ひのき) 00084950¥249 00084960L1かしらぬ 00084970¥N30¥J 00084980¥X○/調市(てつち) 00084990L4/扨(さて)/今年(ことし)おいた/調市(てつち)めハ、イヤ/飛(と)んたはしこいやつ。此/比(ころ)も 00085000L5/客(きやく)か有つたか、きやくのすハるかすわらぬうちに、(廿九オ) 00085010L6もう/茶(ちや)を/持(もつ)て来る。た、といふと、ばこ/盆(ぼん)を持て来た 00085020¥N31¥J 00085030¥X○すき/屁(べ) 00085040L9友達四五人/咄(はなし)居る中に、ひとりすかしけれハ、これハくさ 00085050L10い。/誰(たれ)かひつたそうな。これハ/嗅(くさ)い。たまらぬと、ミなふ 00085060L11ところへ/顔(かほ)をゐれる。ひつた男(廿九ウ)も、おなしくふと 00085070L12ころへ顔をさし入しが、Sムウ、内より/外(そと)がましたといふ 00085080L13て、かほを出した 00085090¥N32¥J 00085100¥X○/蕎麦(そば)がけ 00085110L16コレ、貴様の/髭(ひけ)を/剃(すら)せぬか。Sイヤ+、貴様は/麁相(そそう)かし 00085120L17いから、きられてハならぬ。お/断(ことハり)+△Sイヤ+、めつ 00085130L18たにきる事じや(三十オ)ない。もし/切(き)ツたら、そはを/買(か)お 00085140L19ふ△Sナニ、切るとほんに/蕎麦(そは)をかうか△Sヲヽかう+ 00085150L20Sそんなら/剃(すつ)てくりやれと、/段(たん)&にすらせ、/鼻(はな)の下を/剃(す)る 00085160M1とき、/剃(すら)せる男、わさと/急(き)ウにうつふいて/鼻(はな)をそがれ、ひ 00085170M2やながおちた。そばかへ+(三十ウ) 00085180¥N33¥J 00085190¥X○/茶人(ちやじん)の/銭湯(せんとう) 00085200M5/茶(ちや)人、せんとうへ行、/戸(と)たなをあけ、おひをとき、/小袖十= 00085210M6徳(こそでじつ=とく)もおりめたゝしくしまい、ふんとしをとき、ふくささは 00085220M7きにてしまい、/手拭(てぬくゐ)にてきん玉をおさえ、/風呂(ふろ)口のはふの 00085230M8/彫(ほり)ものをとくと見て、扨+よふほりました。(三十一オ)お 00085240M9/物(もの)すき、とふもいへぬとくゞり、/湯(ゆ)をかき/廻(まハ)し、おゆもよ 00085250M10ふわきましたと、ほめて/湯(ゆ)に/入(いり)、これハよい/気味(きミ)てこさり 00085260M11ます。イヤどふもいへぬとほめて、しはらくあたゝまりて 00085270M12あがり、/小桶(こおけ)を持て/岡湯(おかゆ)を/汲(く)ンて/貰(もら)い、つかいしまい、/手= 00085280M13拭(て=ぬぐい)をしぼり、ちや(三十一ウ)きんさばきにてたゝみ、とく 00085290M14とふきしまへハ、/火焚(ひたき)、おか/湯(ゆ)くむ口からのそき、おしま 00085300M15いなら、お/道具(どうぐ)拝見仕ませう 00085310¥N34¥J 00085320¥X○/早足(はやあし) 00085330M18はやあしをいゝたての/奉公(ほうこう)人、/楠(くすのき)のなき男かゝへたやう 00085340M19に、何の用もなく(三十二オ)居たる所に、となりへ/盗(ぬす)人は 00085350M20いり、物を取て/迯(にげ)たりと大さハき。この/時(とき)こそと、かの早 00085360¥P250 00085370L1足のおとこを/追駈(おつかけ)させける。此おとこも、爰をはれと、/逸= 00085380L2足(いち=あし)出して、どろぼう+とはしりゆく。さきから来る人、 00085390L3モシ+、先へハどろぼうらしいものハゆきませぬと(三 00085400L4十二ウ)いへハ、かの男、/跡(あと)の方へゆびさして、跡からきま 00085410L5す 00085420¥N35¥J 00085430¥X○/古(ふる)いはなし 00085440L8友達寄合てはなして居るうち、ひとりいつもふるいはなし 00085450L9する男あり。S友達貴様ハとかくふるいはなし斗する。お 00085460L10もしろくない。すミへ(三十三オ)はいつて、こつちの咄を 00085470L11聞やれと、かまハすにはなし居る。ふるい咄するおとこ、 00085480L12しかたなくすみにひとり居て、兄ハ足をきられ、弟ハしば 00085490L13られと、ひとり事いへは、ミな+、是ハあたらしい。ま 00085500L14だきかぬ。どこての事たといへハ、Sかの男/富士(ふじ)のすそ野 00085510L15でさ(三十三ウ) 00085520¥N36¥J 00085530¥X○/精進日(せうしんび) 00085540L18近所から初かつほをもらい、是ハよかろふ。しかしけふハ、 00085550L19ゐんぐわと親仁殿のせうじん日。とふした物てあろふと、 00085560L20しはらく/考(かんが)へ、彼かつほをもつて/持仏(じぶつ)のせうじを明け、も 00085570M1し親父様。外から此かつほをもらゐましたか、お前(三十四 00085580M2オ)のせうしん日ゆへ、たへられませぬ。それ共/に((ママ))、たへ 00085590M3てもたいじこさりませすハ、御返事にハおよひませぬ 00085600¥N37¥J 00085610¥X○/百疋(ひやつひき) 00085620M6もし、はんてうさん。とうもいゝにくうありんすが、こん 00085630M7ときなんすとき、金を百疋もつて来ておくんなんし。(三十 00085640M8四ウ)Sヲヽそれハ/安(やす)イ事。こゝにもあると、/懐中(くわいちう)より/壱= 00085650M9分(いち=ぶ)出してやりけれハ、S女郎何、たつた一ツ疋はかり 00085660¥N38¥J 00085670¥X○水/自慢(じまん) 00085680M12これハおいてか。Sヲヽ、けふハ方&/暑気(しよき)見まいに/歩行(あるい)た 00085690M13が、餘りあついゆへ、日頃貴様のじまんの水をのもうと思 00085700M14つ(三十五オ)て、ちつと廻りだが寄つたSヲヽよく来て 00085710M15くれた。ドレ+/振(ふる)まハふと、くみ立テを水のみ茶わんに 00085720M16たぶ+とくんて持て来るを、いきもつかすぐつと/呑(のむ)。ヲ 00085730M17ヽつめたい。よいきみた。おしい事に、ちつと塩けかある 00085740M18のといへは、S其/塩(しほ)てなけりや、此/暑(あつさ)ハ(三十五ウ)もたぬ 00085750¥N39¥J 00085760¥X○/茶(ちや)わん 00085770¥P251 00085780L1五郎八や。手前なせ、そんなきたねヱちやわんて、めしを 00085790L2/喰(くい)。Sコレハ茶のゆのちやわんた。きのふたハら町て、五 00085800L3百て/買(かつ)て来た△Sイヤ、貴様もばかなおとこだ。よくつも 00085810L4つて見やれ。それか/金(かな)もの(三十六オ)ならハ、五百てもよ 00085820L5いか、土てこしらへたものた。それを五百てかつて来ると 00085830L6は、きついついゑな事たといへハ、S五郎八、/首(くひ)をかたけ、 00085840L7なるほと貴様のいふ通りた。思へハ、へつついは安イもの 00085850L8た 00085860¥N40¥J 00085870¥X○八丈しま 00085880L11八/丈(ぜう)のはおり、八丈の上/着(ぎ)、八丈の(三十六ウ)下き、八丈 00085890L12の/繻伴(じゆはん(ママ))、八丈のおひ、八丈の/足袋(たび)。きつい八丈すきなおと 00085900L13この所へ、友達、咄にゆきてあんないを/乞(こい)けれハ、これハ 00085910L14よふこそお出。まつおとふりと、/玄関(げんくわ)へ入り見れハ、八畳 00085920L15敷。其次も八畳、座敷も八畳 00085930¥N41¥J 00085940¥X○/兄弟(きやうだい)(三十七オ)(三十七ウ・三十八オ挿絵) 00085950L18これ/兄(あに)き。アノ三月のせつくが/前(まへ)か、五月のせつくがまへ 00085960L19かな。S兄ムウ、としの廻りによつて、三月のせつくが前 00085970L20の事もあり、五月かまへなこともある。はゝ/親(おや)、/脇(わき)に聞て 00085980M1居て、アヽおらがとこも、あにいがいねバやみだ 00085990¥N42¥J 00086000¥X○/開帳(かいてう)(三十八ウ) 00086010M4/回向院(ゑこうゐん)にかいてう有。/霊宝(れいほう)ハ/左(ひだり)へ+。これハよりとも公 00086020M5のこうべてこさい。ちこうよつて、はいあられませう。さ 00086030M6んけいの人きいて、/頼朝(よりとも)のこうべなら、もつと大キそうな 00086040M7ものたか、是ハちいさなものじやといへハ、S言立の出家こ 00086050M8れハ頼朝公三/歳(さい)のこうへ(三十九オ) 00086060¥N43¥J 00086070¥X○/大門(おゝもん) 00086080M11大門口のまへにて、小便をしなから、ヤイ、うぬゆへ銭金 00086090M12をなくなし、/色&(いろ+)くろうをすると、口/小言(こごと)いふてひねくる。 00086100M13番所の/窓(まど)をうちより明ケて、これ、そこへ/捨(すて)子ハならぬ 00086110¥N44¥J 00086120¥X○よたか/蕎麦(そば)(三十九ウ) 00086130M16よたかそは、/夜(よ)中しぶん内の戸をたゝく。コレ/嚊(かゝ)ア、あけ 00086140M17てくれ。Sこなたハもうかへらしやつたか△Sイヤ、ひた 00086150M18るくてならぬから、/飯(めし)をくいにもどつた△S女房ひだるく 00086160M19ハ、なぜ/荷(に)のそはでもまいらぬ△Sどふこれが、きたなく 00086170M20て/喰(くハ)れるものか(四十オ) 00086180¥P252 00086190¥G(三十七ウ・三十八オ) 00086200¥N45¥J 00086210¥X○/掛物(かけもの) 00086220M3扨けつこうな御/懸物(かけもの)てごさる。上に/書(かい)てあるハ何ンてこさ 00086230M4ります。Sアイ、あれハ/賛(さん)てこさる△Sこちらの上のハ、 00086240M5なんてこさります△Sアイ、あれハ/詩(し)てこさります△Sハ 00086250M6イ、又此/沢庵(たくあん)とやらか/書(かい)たは、なんてこさります△Sソレ 00086260M7ハ/語(ご)てごさると(四十ウ)いへハ、Sそんなら、こちらのか 00086270M8なて書たハ、六てごさる/歟(か) 00086280¥N46¥J 00086290¥X○/鍔(つば)ミせ 00086300M11ある/侍(さむら□)、/床廛(とこミせ)へかゝり、コレ/亭主(ていしゆ)。そのつばハいかほとす 00086310M12ると、たび+たつぬれとも/返辞(へんじ)せす。つんほかとおもひ、 00086320M13さきの/鍔(つば)ミせへ行、あそこにのそみの(四十一オ)つはかあ 00086330M14るか、亭主ハつんぼうそうて、へんしをせぬ。とふそお 00086340M15ぬし、聞て来てくれぬか。ハイ、あれハつんぼうてハこさ 00086350M16りませぬ。わけか御さります。あの亭主ハ、もと/歴&(れき+)の/武= 00086360M17家(ぶ=け)かたそうてこさつたか、おちふれられて、たゝ今わたく 00086370M18しとも仲ケ間になられ(四十一ウ)ました。それゆへ、むか 00086380M19しの気かはなれませぬ故、とかくとなたても大へいにおつ 00086390M20しやると、返事をいたしませぬから、/鍔(つは)お望なら、ずいふ 00086400¥P253 00086410L1んいんきんにおつしやつて御らうしませといへは、侍/合点(がてん) 00086420L2して立もとり、/急度(きつと)手をつき、何とそ其鍔をおうり下さり 00086430L3(四十二オ)ませう。お/直段(ねたん)ハいかほとてこさりますといへ 00086440L4ハ、亭主、/髭(ひげ)をぬきなから、そふいへハ、たゝでもやる 00086450¥N47¥J 00086460¥X○/催促(さいそく) 00086470L7コレどふして下さる。けふ中に/算用(さんやう)して下され。Sなるほ 00086480L8ど、だん+おそなハり、気のとくてこさるか、もちつと 00086490L9(四十二ウ)待て下され。急度した/当(あ)テが三つこざる△Sソ 00086500L10レハ、とうしたあてたの△Sサレハ、一つハひろをうもし 00086510L11れす。二つにハ/誰(たれ)そ、くれうもしれぬ△Sコレ+、夫レ 00086520L12はつかもない当テ事た△Sイヤ、もふ一つは、きつとした 00086530L13事だ△Sシテ、それハなんた△Sイヤ、其内貴様が/死(し)なふ 00086540L14も知れぬ(四十三オ) 00086550¥N48¥J 00086560¥X○こん/礼(れい) 00086570L17コレ/権(ごん)。大屋とのへこんれいの/祝義(しうき)にいつたか。Sムウま 00086580L18たいかねヱ。いくへいと大屋へ行。せうしを明けて、大や 00086590L19様。まだおさむうこさゐやす。きけは、おまへのあねさん 00086600L20が、とけいかこさつたそうてこさいす。Sアイサ、あれも、 00086610M1そふ(四十三ウ)わうな所かこざつて/遣(や)りました。よろこん 00086620M2て下さりませ△Sアイ、それハおめてたうこさりやす。そ 00086630M3ふして、いつり御帰りなさいす 00086640¥N49¥J 00086650¥X○/笋(たけのこ)ぶるまい 00086660M6たけのこ/振(ふる)廻ふと/約束(やくそく)せし客来る。Sてい主こゝにもあれ 00086670M7ど、/迚(とても)の(四十四オ)ちそうに、取立テをふるまおふ。ちつ 00086680M8と待ちやれと/脊戸(せど)へ行。客、まてども暮らせとも帰らぬゆ 00086690M9へ、待/遠(とお)しがり、脊戸へ行て、そつとのそひて見れハ、て 00086700M10いしゆ、/隣(となり)のやぶにしはられて居た 00086710¥N50¥J 00086720¥X○/役者(やくしや)の/女房(にようぼう)(四十四ウ) 00086730M13/役者(やくしや)、/狂言(きやうげん)しまいかけに、/隣(となり)の役者の内へよれハ、となり 00086740M14の女房、おまへハおはやうこさりました。こちのうちでハ 00086750M15へ。S今/三升(さんぜう)様にきられてじや△Sトリヤ、そんならめし 00086760M16を/仕懸(しかけ)ふ 00086770¥N51¥J 00086780¥X○/浪人(ろうにん)ごたつ 00086790M19/雪(ゆき)の/降日(ふるひ)、浪人ものゝ所へ、友達の(四十五オ)らうにん、 00086800M20咄に行て見れハ、S友たち是、貴様ハおごつてゐるの 00086810¥P254 00086820L1Sイヤ、おれが案して、/犬(いぬ)に/羽折(はおり)をかぶせて、はらへ/足(あし)を 00086830L2/押付(おしつけ)てゐるか、あたゝかて、とふもいへた物しやない。ち 00086840L3と貴さまも、あたつて見やれ△Sコレハおもしろい案しや 00086850L4とて、かの男もあたらんと思ひ、(四十五ウ)足を入ければ、 00086860L5犬、しらぬ/足(あし)がはいつたゆへ、ワントくらい付けれハ、 00086870L6Sヲヽあつ+ 00086880¥N52¥J 00086890¥X○/茶(ちや)の/銘(めい) 00086900L9けふ元/旦那(だんな)へ行たら、/能(よい)/茶(ちや)をふるまハれた。S女ほうなん 00086910L10といふ茶てこさりました△Sなんとかいわれたか、わす 00086920L11(四十六オ)れた△S女房/初(はつ)むかしか/後(のち)むかしかな△Sイヤ 00086930L12+、そふいふ/名(な)てハない△Sそんなら/鷹(たか)の/爪(つめ)かへ△Sイ 00086940L13ヤ+、ヲヽそれよ、/土(つち)ふますさ 00086950¥N53¥J 00086960¥X○むけん/茶屋(ちやや) 00086970L16/深川(ふかかわ)二/間(けん)茶屋の/近所(きんしよ)へ、むけん茶やといふか/出来(てき)たけなと、 00086980L17友たち二三人(四十六ウ)つれにて行見れハ、さのみかわり 00086990L18たる事もなく、有来りの/普請(ふしん)。しかし床板がろいろに金ン 00087000L19の一かけ、はしごも/唐朱塗(とうしゆぬり)に金ンのいつかけ。Sコレハけ 00087010L20つこうな事しや。何そ/料理(りやうり)にむけんのしゆこう有らんと見 00087020M1れハ、/硯(すゝり)ふた/吸(すい)物なとも、何の趣向らしき事も(四十七オ) 00087030M2見ゑす。あたりにこゝろをつけてミれハ、花入に山吹たつ 00087040M3ふり。さてハこれらがむけんの/趣向(しゆこう)かと思へと、是も年中 00087050M4ハ有まい。何か無間しやと、亭主を呼て聞て見れハ、Sハ 00087060M5イ、/無間(むけん)と申ハ、/床(とこ)に三両、はしごに五両 00087070¥N54¥J 00087080¥X○/夫婦(ふうふ)けんくわ(四十七ウ) 00087090M8/夫婦(ふうふ)の中、ちよつとした事が心安だて。一ついゝ二つ言け 00087100M9んくわとなり、三くたり半を書てなけつけ、/我(わか)やふなやつ 00087110M10にハあきはてた。出て行けとあいそふつかしに、/女房(によふほう)もは 00087120M11ら立まきれ、/納戸(なんど)へ入て/髪化粧(かみけせう)作り立、/路考(ろこう)茶ちりめんに、 00087130M12ぎよやう/牡丹(ほたん)の金/糸(し)もん、下には(四十八オ)茶小もんのむ 00087140M13く黒しゆすの/帯(おび)をむな高に〆め、Sアイ、おさらハと、/涙(なミた) 00087150M14くみて言を見れは、又美しく、おしくなれとも、そふもい 00087160M15われす、早く出てゆけといへは、S女房、しほ+と立つ 00087170M16て、みせをさして出るを、てい主Sイヤ+、そこから出 00087180M17す事ハならぬといわれ、又うら口から出そふ(四十八ウ)に 00087190M18するを又、Sイヤ、そこからもならぬといへは、S女房そ 00087200M19ふして、とこから出ますといへハ、Sてい主出る所かなく 00087210M20ハ、出ねヱがよい 00087220¥P255 00087230¥N55¥J 00087240¥X○/儒者(じゆしや) 00087250L3じゆ者の前を、いわし生いわし大/鰯(いわし)。Sしゆしやコレ/魚商= 00087260L4人(きよばい=にん)+と/呼(よひ)、いわし/売(うり)、知らすに行を追かけて、コレぎよ 00087270L5ばい(四十九オ)にん。先から呼ふに、なせ返事をせぬ。Sハ 00087280L6イ、わたしか事てこさりますか△Sハテ、きよはいにんと 00087290L7ハ、うをうる人と書。それをしらぬか、小人め。ソシテま 00087300L8づ、此いわしハ何程しや△Sハイ、そくがれんてこさりや 00087310L9す△Sソレハ何の事しやといへは、S肴うり、口の内て、 00087320L10/論語(ろんご)よみのろんごしらす(四十九ウ)め 00087330¥N56¥J 00087340¥X○/医者(いしや)の/女房(にようほう) 00087350L13これかゝや。こゝに置た/銭(せに)ハとふした。されは、わしも/尋(たつ) 00087360L14ねますが、しれませぬ。知れぬといふ事があるものか。う 00087370L15ぬより外に、しりてがない。Sそれほとうたがハしやるな 00087380L16ら、/熊野(くまの)ゝ/地黄(ぢおう)ても(五十オ)のみませふ 00087390¥N57¥J 00087400¥X○/火燵(こたつ) 00087410L19ひとりむすこ、火燵を三/角(かく)にしなさいといふ。/両親(りやうしん)聞て、 00087420L20あほうなやつじや。三かくなこたつが有ものかといへは、 00087430M1Sでも、四角でハついゑしやと云時、Sおふくろ待て+。 00087440M2ちかい内によんでやろうそ(五十ウ) 00087450¥N58¥J 00087460¥X○/聾(つんほう)の/朝(あさ)めし 00087470M5つんほ/親父(おやぢ)、日なたにゐる。小/僧(そう)来て、もし御朝めしかよ 00087480M6ふこさりますといへと、聞へず。又御朝/飯(めし)かよふこさりま 00087490M7すと、/高(たか)くいへと聞へす。此度ハ/耳(ミヽ)へ口をあてゝ、御朝め 00087500M8しかよふこさりますと、大/声(こゑ)ていへは、Sナンノ、それを 00087510M9かくす事(五十一オ)かと、しかつた 00087520¥N59¥J 00087530¥X○/駕篭(かご) 00087540M12かこの/底(そこ)かぬけ、/棒(ほう)組同士、/案(あん)して、ふんとしをはづし、 00087550M13二筋くゝりつけ、/乗(のつ)た人にことわり云て、かごのとう中を 00087560M14ゆわひ、かき行は、通りの人、/南無(なむ)あミたぶつと言て通る 00087570M15を、/乗(のつ)て聞付、いま+(五十一ウ)しく、中て、ヱヘンと 00087580M16咳はらいすれハ、又通りの人、ヱヽ、とが人たそうな 00087590¥N60¥J 00087600¥X○万年亀 00087610M19亀ハ万年といふかうそだ。此亀ハ此中買ツたか、夕べ死ン 00087620M20た。古ひともあてにならぬ△Sイヤ、ゆふへか、まんねん 00087630¥P256 00087640L1めじやも知れぬ(五十二オ) 00087650¥Q 00087660L5/再成餅(ふたゝひもち)△二編△@初編にもらしたる言葉すく|なにしななほき咄しを集@ 00087670L7同△△△三編△@しかた咄しのくをあつむ|二冊共近月賣出し申候@ 00087680L11安永二巳四月上梓 00087690L13△△△△△△△△莞爾堂 00087700L14江戸池之端本屋△喬山堂 00087710L15△△△△△△△△青藜閣 00087720L16△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(五十二ウ) 00087730¥P257 00087740¥U噺本大系△第九巻 00087750¥T興話;/都鄙談語(とびだんご)三篇〔内題〕 00087760¥G 00087770¥Y 00087780L15安永二年四月刊 00087790L16自辞矛斎丹青序 00087800L17常室画 00087810L18鴈義堂板 00087820L19小本一冊 00087830L20東大国語研究室蔵 00087840¥Y興話/都鄙談語(とびだんご)三篇序 00087850M3/上古(ずんどむかし)は/爺(ぢい)と/姥(ばゞ)。/中古(なかごろ)を/長者(ちやうじや)、/馬鹿聟(ばかむこ)、/真似(まね)する/妻妾(ないぎ)。今 00087860M4や/流行(りうかう)して、/盲僧(ざとう)、/傾城(けいせい)、/侠夫(きをひ)、/泥坊(どろぼう)と、(一オ)/咲話(はなし)にも 00087870M5/調度餝(だうぐだて)ありと、此さかひを/勘弁(かんべん)して、/亀文子(きぶんし)が一/篇(へん)となす 00087880M6を、今/梓行(しかう)し、三/篇(へん)の/都鄙談語(とびだんご)と/表題(へうだい)して、/賞(せう)(一ウ)/覧(らん)に 00087890M7/備(そな)ふることになりぬ 00087900M9△△△△△△△△△△△△△△△△自辞矛斎△丹青 00087910M11△△△△△△△△△△△△△△△△GG 00087920M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二オ) 00087930¥P258 00087940¥G(二ウ) 00087950¥T1興話;都鄙談語△三篇 00087960¥N1¥J 00087970¥X/花押(かきはん) 00087980M5きつい/目出度好(めでたずき)の男、/友達(ともだち)の所へゆき、おれハめでたい/花= 00087990M6押(かき=ばん)を/工夫(くふう)して/居覚(すへおぼ)へた。是見やれと/出(だ)す其/判(はん)Gなんと、 00088000M8/能(よ)い(三オ)判であらふ。/一(いち)の/上(じやう)といふ/字(じ)で、是ほどめでた 00088010M9い事ハないと/吹聴(ふいてう)すれバ、/友達(ともだち)が、あまりめでたがりやる 00088020M10な。それハ/下(げ)の/一(いち)だ 00088030¥N2¥J 00088040¥X/借着(かりぎ) 00088050M13/通町(とをりてう)の/菓子屋(くハしや)の/若衆(わかいしゆ)、吉原へ(三ウ)ゆく。内の/若旦那(わかだんな)の/不= 00088060M14断着(ふ=だんぎ)の/黒縮緬(くろぢりめん)の小袖と/羽織(はをり)を/借(か)り、茶屋つきにて/遊(あそ)ぶ。茶 00088070M15屋が/帰(かへり)しなに、女郎に/吹込(ふきこ)む。あれハ下町の大きな菓子屋 00088080M16の若旦那で、めでたい客。よくあやなしなされ(四オ)とい 00088090M17ふて出る。女郎つく※と見るに、とかく/下卑(げび)て、そのう 00088100M18へ手のひらなどがあれて見ゆれバ、若旦那とハどうも思は 00088110M19れねど、めつたに口でハ大きな事をいふ内、/夏(なつ)の/夜(よ)の/明(あけ)や 00088120M20すく、/烏(からす)が/啼(な)けバ、是ハ/寐(ね)わす(四ウ)れたと、急ぎ/帯(をひ)しめ 00088130¥P259 00088140¥G(七ウ・八オ) 00088150M1帰るを、女郎が/送(をく)りながら見れバ、小袖も/羽織(はをり)も/羊羹色(やうかんいろ) 00088160¥N3¥J 00088170¥X/地獄(ぢごく) 00088180M4/焔魔王(ゑんまわう)、つく※と/御覧(ごらん)あり。菊之丞とハ其方か。多くの 00088190M5人の/念(ねん)(五オ)をかけたる/罪(つミ)にて地獄へやるべきが、/器量(きれう)す 00088200M6ぐれし/者(もの)を/不便(ふびん)なりとて、/地蔵菩薩(ぢぞうぼさつ)へ聞合せ給へば、地蔵 00088210M7の返事に、まづ此方へ/暫(しばら)くおあづけあれとて、地蔵の方へ 00088220M8/逗留(たうりう)にゆく。二三日過て、/焔魔(えんま)(五ウ)より、/鬼(をに)に/重箱(ぢうばこ)/持(も)た 00088230M9せ、菊之丞へ見まいの/使(つかひ)。やかて/重箱(ぢうばこ)を/明(あけ)て見れバ、/焼餅(やきもち) 00088240¥N4¥J 00088250¥X/追善(ついぜん) 00088260M12今度森田屋にて、/路考(ろかう)/追善(ついぜん)。/慶子(けいし)が/石橋(しやつきやう)。路考が/位牌(ゐはい)を切 00088270M13(六オ)/落(をとし)の/真中(まんなか)へすえて、/手向(たむけ)の/所作(しよさ)に、/朝(あさ)から大入。/既(すで) 00088280M14に/石橋(しやつけう)/央(なかバ)に、/俄(にハか)に/空(そら)かきくもり、大雨/雷電(らいでん)物すさまじく、 00088290M15/雲中(うんちう)より/赤鬼(あかをに)あらハれ出る。/見物(けんぶつ)も/役者(やくしや)も/肝(きも)を/潰(つぶす)。その時 00088300M16赤鬼大声にて、瀬川菊(六ウ)之丞さま/急用(きうやう) 00088310¥N5¥J 00088320¥X/三途(さんづ) 00088330M19/地蔵菩薩(ぢぞうぼさつ)、菊之丞を/俤(ともな(ママ))ひ、/地獄(ぢごく)を見せ給ふ。大なる川に至 00088340M20り、是は/三途川(さんづがハ)じやとの給ふ。見れバ、川中に/若衆(わかしゆ)が/首(くび)だ 00088350¥P260 00088360L1け水につかり、/苦(くる)しむ(七オ)(七ウ・八オ挿絵)てい。菊之丞 00088370L2申上るハ、/難産(なんざん)にて/死(しゝ)たる女ハ、/血(ち)の/池(いけ)に/苦(くる)しむと承りま 00088380L3したが、あの若衆ハ何の/訳(わけ)で、川にくるしみまするぞ。 00088390L4S地蔵あれハ/八重桐(やえぎり)じや 00088400¥N6¥J 00088410¥X/仲満(なかま)(八ウ) 00088420L7/路考(ろかう)/死(しん)で、/役者地獄(やくしやぢごく)へ/堕(をと)され、/先立(さきだち)たる/仲満(なかま)に/対面(たいめん)する。 00088430L8/先(まづ)、S/古訥子(ことつし)が出て、吉次か。久しや。/能(よい)役者に成たのに、 00088440L9爰へ/来(く)るとハ、ハレやくたいもない。S古/栢莚(はくえん)が、ちいさ 00088450L10い扇で、あをいでくれながら、Sかハいの(九オ)/者(もの)やな 00088460L11S/和考(わかう)ハ大声をあげて、ワア+と/泣(な)く。そのうしろに、 00088470L12目の/光(ひか)る男が、三角な/額紙(ひたいがミ)を/横(よこ)なでにして、Sあて事もね 00088480L13へ 00088490¥N7¥J 00088500¥X/間違(まちがひ) 00088510L16かたい/気(き)なるおふくろが、/昼寐(ひるね)のうち、(九ウ)/息子(むすこ)、そつ 00088520L17と/友達(ともだち)をあつめ、めくりをこそ+はじめ、息子が声で、 00088530L18かたじけなすび一束三十といふを、おふくろ、/寐耳(ねミヽ)に聞つ 00088540L19け、やすいなすだ。最う一束も/買(かつ)て/漬(つけ)やれ 00088550¥N8¥J 00088560¥X/舌切雀(したきりすゞめ)(十オ) 00088570M3/雀(すゞめ)、/性懲(せうこり)もなく、又/婆(ばゝ)の/留守(るす)に/糊(のり)をなめたゆへ、又/舌(した)を切 00088580M4て/追(を)ひ/放(はな)す。/爺(ぢゞ)ハやがて/跡(あと)をしたひて、お/宿(やど)ハどこじやの 00088590M5口/拍子(べうし)にまかせ、こくうと/尋(たづ)ねゆけバ、程なく鳥の/都(ミやこ)と見 00088600M6へて、諸鳥の/囀(さへづり)いさまし(十ウ)く、/往来(ゆきゝ)も/賑(にきやか)に、/三弦(さミせん)も聞 00088610M7へ、其ほか/旨(うま)い/匂(にほ)ひ、/鼻(はな)をつらぬく。しかし、どうやら/前= 00088620M8方(まへ=かた)/来(き)たより/違(ちが)つたやうに思はれて、角の番所で聞たれバ、 00088630M9小田原町 00088640¥N9¥J 00088650¥X/楼殿(おものミ)(十一オ) 00088660M12/殿様(とのさま)、お下屋敷の/高楼(おものミ)に上らせられ、/遠目鏡(とをめがね)にて両国を/御= 00088670M13覧(ご=らん)。/遊山(ゆさん)の舟も段&。/先(さき)の/樓(やかた)の/額(がく)ハ川一丸、次の/屋根舟(やねぶね)ハ 00088680M14/芸者(げいしや)か、一人ハ藤色、一人ハ/紫(むらさき)。高い/幟(のぼり)ハ/回向院(ゑかういんの)/開帳(かいてう)。其 00088690M15下に/赤(あか)いハ/出張(でばり)の二階。橋を(十一ウ)/越(こし)て/懸(かゝつ)て/居(ゐ)る/屋根舟(やねぶね) 00088700M16に、五六人が/唐(とう)ざらさの/裁(きれ)を持て見てゐるゆへ、/御側(おそは)の衆 00088710M17へ、あの舟で、唐ざらさを/売(う)るのか。/珍(めづ)らしい裁どもじや 00088720M18が、それ見よと御意ゆへ、御側の衆、/遠目鏡(とをめがね)にて見れば、 00088730M19めくり(十二オ) 00088740¥P261 00088750¥N10¥J 00088760¥X/腰元(こしもと) 00088770L3/新参(しんざん)の/■(こしもと)、こくうと/先主(せんしう)を/誉(ほめ)る。まづ奥様のお/気(き)が/結構(けつかう)。 00088780L4/若殿様(わかとのさま)お/娘様(ぜうさま)そろつて/御器量(ごきれう)よし。其上、/御手道具(おてどうぐ)、/召物(めしもの) 00088790L5でも、ゆたかな事と/算(かぞ)へたてる。S奥方それハお/高(たか)ハ何程。 00088800L6(十二ウ)S五百石とやら。それでも千石のうへのおくらし 00088810L7と申やす△S奥方/地方(ぢかた)で/何所(どこ)じや。/但(ただし)お/蔵(くら)まへか△Sイヽ 00088820L8ヱ、/鳥越(とりこへ)でござりやす 00088830¥N11¥J 00088840¥X/新造(しんざう) 00088850L11/新造(しんざう)、/座頭(ざとう)にあげられ、/夜中(よぢう)いぢ(十三オ)られもてあつか 00088860L12ひ、やう+/追(をひ)出しが/鳴(な)れバ、/座頭(ざとう)をつゝき、もう夜があ 00088870L13けんした。/起(をき)なんし。Sナニ、まだどうして/明(あけ)るものだ△ 00088880L14Sそれでもアレ、おきゝなんし。六の/鐘(かね)がなりいすよ△ 00088890L15Sナニ、まだ/烏(からす)が/鳴(なか)ねば、夜ハあけない△Sイヽヱ、もう 00088900L16いつそ(十三ウ)あかるくなりんした△S此子ハ、なんぼお 00088910L17らゝがやうな/者(もの)でも、さう/早(はや)く/帰(かへ)したがらぬものだ。どう 00088920L18して、まだあかるくハならぬ△Sぬしのやうな、うたぐり 00088930L19のふかい。そんなら、/眼(め)をあいて見なんし 00088940¥N12¥J 00088950¥X/二朱銀(にしゆぎん)(十四オ) 00088960M3/裏(うら)に/行(ゆき)て、/若者(わかいもの)へ/二朱銀(にしゆぎん)を花にやる。若者いたゞき、/廊下(らうか) 00088970M4へたつ。S新造これ、新助ドウ。今の/光(ひか)るものハなんだ△ 00088980M5S若者二朱銀/南鐐(なんれう)さといひ、/階子(はしこ)を/下(をり)る。S新造、今の座 00088990M6敷へゆき、客にむかひ、Sモシヱ、わつちやアぬしの/俳名(はいめう) 00089000M7を(十四ウ)知ていひすよ 00089010¥N13¥J 00089020¥X/新吹(しんぶき) 00089030M10/松魚(かつほ)に/酔(よ)ひ、/惣身(さうミ)/紫色(むらさきいろ)になりてくるしむ。Sそれハ/金(きん)を 00089040M11/煎(せんじ)てのむと/醒(さめ)る△S折ふし/一分(いちぶ)もなけれバ是でもと、/四文= 00089050M12銭(しもん=ぜに)を/煎(せんじ)てのめバ、/爪先(つまさき)が/少(すこし)(十五オ)さめた。Sそりや/利(き)く 00089060M13ハ。四五百も/煎(せんじ)てのませろといふ所へ、/隣(となり)から是を/貸(かさ)ふと、 00089070M14/二朱銀(にしゆぎん)をよこした。/直(じき)に/煎(せんじ)てのませたれバ、/半身(はんしん)さめた 00089080¥N14¥J 00089090¥X同 00089100M17其/又隣(またどなり)で、銭ハすくなし、目も(十五ウ)/赤(あか)く/成(なつ)た/鰹(かつほ)を/喰(くふ)て、 00089110M18したゝか/酔(よ)ひ、四文/銭(ぜに)さへなけれバ、づく/銭(せん)を煎じてのむ 00089120M19と、/紫色(むらさきいろ)ハ/醒(さめ)たが、/錆(さび)色になつた 00089130¥P262 00089140¥G(十七ウ・十八オ) 00089150¥N15¥J 00089160¥X/通夜(つや) 00089170M3/近所(きんじよ)の/熊野権現(くまのごんけん)へ、七日七夜の(十六オ)/通夜(つや)をはじめ、何 00089180M4とぞ男子一人、御さづけ下さりませと一心に/念(ねん)じ、七日め 00089190M5の/夜明方(よあけがた)に、/烏(からす)の/声(こへ)が/夥(をびたゝ)しくする。扨ハ/烏(からす)ハ/熊野(くまの)の/使(つかハ)しめ、 00089200M6/大願成就(だいぐハんせうじゆ)と、/賽(かへりもうし)して立出れバ、/鳥居前(とりゐさき)に、/病犬(やまひいぬ)が寐て 00089210M7居た(十六ウ) 00089220¥N16¥J 00089230¥X/時宜(じぎ) 00089240M10/隠居(いんきよ)が/逝(すぎ)られ、/追(をつ)つけ/葬礼(さうれい)を/出(だ)す/支度(したく)。/嫁(よめ)ハ/息子(むすこ)に/着替(きかへ)さ 00089250M11せ/麻(あさ)上下を/着(き)せる。Sかゝさん。/上下(かミしも)を/着(き)て/何所(どこ)へ/行(い)くの 00089260M12だ△Sどこへも/行(い)くのでハない。お/祖父(ぢい)さまの/前(まへ)へ/行(いつ)て、 00089270M13(十七オ)(十七ウ・十八オ挿絵)お/時宜(じぎ)をしや△S/棺(くハん)の前に手を 00089280M14つき、お/祖父(ぢい)さま。おめでたうござります 00089290¥N17¥J 00089300¥X/牽頭(たいこ) 00089310M17/牽頭(たいこ)と/牽頭(たいこ)が/途中(とちう)で行合ひ、是ハどうだ。/逢(あ)へバ/逢過(あひすぎ)る。 00089320M18あハねバ百日もあハぬ。なんと、よい/殿(との)にでも(十八ウ)/附(つき) 00089330M19やつたか。Sいや+、此ごろハ/大(おほ)べちま大じけ。/悪役者(わるやくしや) 00089340M20めらが、とかく/邪魔(じやま)を入れて、此/商買(しやうばい)もやめずハなるま 00089350¥P263 00089360L1いと思ふ。しかし/御身(おミ)ハどうだ。/代八丈(かハりはちぜう)ずくめ。きまり 00089370L2+△Sされバそこが江戸だハ。/跡月(あとげつ)から、さる/大尽(だいじん)の/定= 00089380L3供(せう=ども)を(十九オ)して、/座敷(ざしき)でもちよつ+と/貰(もら)ふ。/飛談語(とびだんこ)の 00089390L4/噺(はなし)ひとつしても、/直(しき)に/一角二角(いつふんにふん)。お/宿(やど)まで/送(をく)れバ、/宵(よい)の/小= 00089400L5袖(こ=そで)/羽折(はをり)ともに、/着(き)て/帰(かへ)れとて是じや。今も/文(ふミ)を/持(もつ)て行て、 00089410L6はなしをふたつミつ/売(うつ)たら、一もんめ(十九ウ)になつた。 00089420L7そこで/腹(はら)が/減(へつ)たから、/茶漬(ちやづけ)をたべたいといふたりや、まづ 00089430L8/切身(きりミ)の/焼肴(やきさかな)に/茶碗盛(ちやわんもり)の/煮冷(にびやし)。/飯(めし)までが/中冷(ちうびえ)の/冷飯(ひやめし) 00089440¥N18¥J 00089450¥X/機嫌(きげん) 00089460L11金五両、手に/持(も)ち、/芫尓(にこ+)して見て(二十オ)/居(ゐ)る所へ、/友達(ともだち) 00089470L12/来(き)かゝり、ちらりと見つけ、なんだ。何を見て、きげんが 00089480L13よい。S何でもない△S今ちらと見へた。金なら五六両持 00089490L14て、/詠(なか)めくらすハ、それほどうれしいか△Sされバ、聞て 00089500L15くりやれ。五両たまして/借(か)りたが、かへすまいと思へハ、 00089510L16(二十ウ)うれしい 00089520¥N19¥J 00089530¥X/口説(くぜつ) 00089540L19大いざこざがおこりて、S客爰な/畜生(ちくせう)めといへバ、S女郎 00089550L20なるほど、/賎(いや)しいつとめハしんすけれど、/畜生(ちくせう)といはるゝ 00089560M1/覚(おぼへ)はありんせん△S客/畜生(ちくせう)の訳、/言(いふ)て聞さう。(二十一オ)ま 00089570M2づ/親方(をやかた)を/亡八(くつわ)か、扨/牽張(ひつはり)女郎か、扨/外繋(とつなぎ)女郎か、人を/乗(の)せ 00089580M3るか、/鞍替(くらがへ)するか。なんと/皆(ミな)、馬/同前(どうぜん)だ。/一言(いちごん)もござんす 00089590M4まいといへバ、S女郎イヒヽヒン 00089600¥N20¥J 00089610¥X/鳥類(てうるい) 00089620M7/岡場所(おかばしやう)へあそびにゆき、S客これ、/雛(ひよつこ)(二十一ウ)と、子 00089630M8共をよぶ。女郎/腹(はら)たち、とんだ事をいひなんす。尤/端(はし)※ 00089640M9で/禿(かぶろ)とはいひやせぬけれど、/雛(ひよつこ)とハなんの事でありんす。 00089650M10S客はて、/鳥類(てうるい)だから△S女郎なぜへ△Sやがて/廛(ミせ)へ/出(で)る 00089660M11と、/篭(かご)の/鳥(とり)でハないか。そのうへ/御鷹匠(おたかぜう)をこはがる△S女 00089670M12郎一言(二十二オ)もごさんせぬ△S客/先度(せんど)、/雛(ひよつこ)から/成(なつ)た/新= 00089680M13造(しん=ざう)ハ見へぬが、どうした△S/鳥屋(とや)にかゝりんした△S客そ 00089690M14れ見たか 00089700¥N21¥J 00089710¥X/初会(しよくハい) 00089720M17/初会(しよくはい)の/床(とこ)で、さのミ/噺(はなし)もなく/静(しずか)なるに、/隣座敷(となりざしき)の/床(とこ)ハ/馴染(なじミ) 00089730M18と見(二十二ウ)へて、女郎の/声(こへ)で、Sぬしも/能(よ)く、つもつ 00089740M19ても見なんし。/勤(つとめ)をはなれて、わたしが心をつくすを、ち 00089750M20つとハ/汲(くミ)わけてくんなんしたがよい。さあ、わたしが/無理(むり) 00089760¥P264 00089770L1か。ぬしハその百ぶ一も思つてもくんなんせぬ。/無理(むり)に女 00089780L2房に(二十三オ)ならふでハなけれども、あまりどうよくな。 00089790L3むごい御しんでありんすと聞へるゆへ、扨もうまい/口説(くぜつ)か 00089800L4な。どのやうな/客(きやく)で、あのやうに女郎が/廻(まハ)る事じやと、そ 00089810L5つと/覗(のぞい)て見れバ、女郎が只一人寐て居て/云(い)ふゆへ、/不思(ふし) 00089820L6(二十三ウ)/義(ぎ)に思ひ、/我(わが)女郎に/聞(き)く。Sあの女郎衆ハ、/独(ひとり) 00089830L7で長+と何やら/云(いは)るゝが、/酔(よつ)ての事か、/寐言(ねごと)か△S女郎 00089840L8あれハねへ、/啌(うそ)を/復(ふく)すの 00089850¥N22¥J 00089860¥X/車僧(くるまぞう) 00089870L11/腰(こし)ぬけの/道心者(だうしんじや)、/車(くるま)をこしらへ/乗(の)り(二十四オ)て、町中で、 00089880L12なむ/地蔵(ちざう)大ぼさつと/唱(とな)へれバ、子共が大勢あつまり、/綱(つな)を 00089890L13ひく石の上も、/雁木(がんぎ)もかまハず、ぐハらりがたくり、/荒(あら)く 00089900L14/引(ひ)かれて、道心者もこまり、子共衆そろ+と、なむ地蔵 00089910L15の/拍子(へうし)に、/引(ひい)てくだされと/頼(たの)めども、(二十四ウ)きかずに 00089920L16やたらに/引(ひ)く所へ、/酒屋(さかや)の御用が/来(き)て、わしが引くに/付(つい)て、 00089930L17/皆(ミな)/引(ひか)つしやいと/拍子(へうし)に/合(あハ)せ引けバ、道心者もうれしげに/音= 00089940L18頭(をん=ど)を出す。此御用が/居(を)らぬと、/兎角(とかく)やたら/引(びき)にするゆへ、 00089950L19道心者/工夫(くふう)して、我前に(二十五オ)/札(ふだ)を/書(かい)て立る。S御用 00089960L20の外、車無用 00089970¥N23¥J 00089980¥X/相撲(すまふ) 00089990M3/深川(ふかがハ)の/角力(すまふ)に/尺迦嶽(しやかゞたけ)くだるとて、/駿府(すんふ)の/弥勒町(ミろくまち)の/阿部川餅(あべかハもち) 00090000M4へ/立寄(たちよ)り、餅をしたゝか/喰(くふ)て、Sなんと、此町ハわしがの 00090010M5ぼつた/時分(じぶん)よりハ、大(二十五ウ)ぶん/寂(さび)れましたの△S亭 00090020M6主あい、/尺迦嶽(しやかゞたけ)さま。おまへが、お/救投(すくひなげ)に、なげつくさし 00090030M7やつた所で、/弥勒(ミろく)ハ/出世(しゆつせ)をします 00090040¥N24¥J 00090050¥X/愚鈍(ぐどん) 00090060M10/自身番(じしんばん)に/家主達(いへぬしたち)が、/飛談語(とびだんご)/初篇(しよへん)、(二十六オ)二篇、三篇、/持= 00090070M11寄(もち=よ)り、/読(よん)でハ/笑(わら)ひ、/噺(はなし)てハ/笑(わらハ)るゝが、おれハ/愚鈍(ぐどん)で、一つ 00090080M12も/合点(がてん)ゆかねバ、/翌日(あくるひ)/宿(やど)へ帰り、/朝飯(あさめし)/喰(くひ)ながら、/漸(やう+)/合点(がてん) 00090090M13して、飛談語初篇の内にてワハヽ。二へんの内なをワハヽ 00090100M14+。それから/雪隠(せつちん)へ行き、三篇にそれよワハヽ++ 00090110M15+(二十六ウ) 00090120¥N25¥J 00090130¥X/舟引(ふねひき) 00090140M18/行徳(ぎやうとく)/舟堀(ふなほり)に、年中/舟引(ふねひき)する八兵衛が、/先度(せんど)男子を/産(う)んだ 00090150M19げなが、まだ/悦(よろこび)にゆかぬと、S扨&、ぶさたしました。 00090160M20/男子(おとこのこ)が/出来(でき)たげな。目出たうござる△S八兵衛女房これハ 00090170¥P265 00090180L1お/忝(かたじけな)(二十七オ)うござります。今日/宮参(ミやまいり)につれて、今/戻(もど) 00090190L2りました。此子もやがて、/首(くび)に/縄(なハ)の/掛(かゝ)るやうに、お/守(まも)りな 00090200L3されてくたさりませと、/産砂(うぶすな)さまへたのみました 00090210¥N26¥J 00090220¥X/侠夫(うでこき)(二十七ウ) 00090230L6八や。おらが/町(てう)の/役者(やくしや)の/脇師(わきし)どんが、今度の/勧進能(かんじんのう)に出て、 00090240L7今日が三番めの/東北(とうぼく)とやらの/脇(わき)をするから、見て/誉(ほめ)てくれ 00090250L8ろと、/札(ふだ)をくれられたから、今見に/行(いか)ア。八もいかねいか。 00090260L9S八おらも町内の/大夫(たいう)どんハ/贔屓(ひいき)(二十八オ)だ。所で、け 00090270L10ふ東北の/仕手(して)とやらだによつて、見ろといはれた。権と一 00090280L11所にいくべいと、つれだち行く。/丁度(てうど)三番めの/始(はじま)る所で、 00090290L12S是ハ東国方より出たる/僧(そう)にて候と、/脇(わき)がいふと、権が、 00090300L13S/僧(そう)だそだ+と/誉(ほめ)る。やがて/仕手(して)(二十八ウ)が、/序(じよ)の/舞(まひ) 00090310L14の時分、八が、S長うたのミます 00090320¥N27¥J 00090330¥X/蝦蠏(ゑびかに) 00090340L17あの/蝦(えび)と/蟹(かに)とハ/夫婦(ふうふ)さうでござる。S爰な人ハ、とんた事 00090350L18をいはるゝ△Sそれでも/蟹(かに)ハ/夫(をつと)かして、/褌(ふんどし)をき(二十九オ)つ 00090360L19と/割込(わりこ)んで/居(ゐ)ます。又/餝海老(かざりえび)をよく見ましたら、あんまり 00090370L20子どもがたんと出来るゆへか、青い/竹串(たけぐし)で、さし/薬(ぐすり)をして 00090380M1/居(ゐ)ます 00090390¥N28¥J 00090400¥X/牢人(らうにん) 00090410M4/古網笠(ふるあミがさ)に/古小袖(ふるこそで)、/脇差(わきさし)さして、扇(二十九ウ)/半(はん)びらきをさ 00090420M5し出し、/貰(もら)ふにも/往来(ゆきゝ)のとぎれの時分、/道端(ミちばた)につくばひ/休(やす) 00090430M6む/側(そは)へ、年ばいな/乞食(こじき)が是もやすミながら、S扨私も物を 00090440M7/貰(もらひ)まするが、おまへにハ/網笠(あミがさ)で/皃(かほ)かくし、小袖をめして/脇= 00090450M8差(わき=ざし)もはなさず、(三十オ)さすがに/昔(むかし)が/忍(しの)ばしう存ますとい 00090460M9へバ、S牢人忝ふござる。/某(それがし)も/以前(いぜん)ハ/鍵鎗(かぎやり)も/持(もた)せ、馬に 00090470M10もまたがつた身の、今/斯(か)く/落(をち)ぶれ、/往来(わうらい)の/合力(かうりよく)を/請(うけ)るも/心= 00090480M11外(しん=ぐハい)に存じ、去年までハ、今/腹(はら)を切らふか、/最(も)う/生害(せうがい)におよ 00090490M12(三十ウ)ばふかと、/幾度(いくたび)か存じつめたりしが、/去暮(きよくれ)此/脇指(わきざし) 00090500M13に致し/代(かへ)てより、/横死(わうし)をまぬかれました 00090510¥N29¥J 00090520¥X/源平(げんへい) 00090530M16羽左衛門まで乗せて、又迎駕に行ながら、S/相棒(あいぼう)。切の/遅(おそ) 00090540M17いでわるいナア△Sヲヽサ。(三十一オ)あの狂言ハなんだ 00090550M18ナ△S源氏と平家を/作(つくつ)たトヨ△Sハテナ、あの源氏ハ何で 00090560M19も白く、平家ハ赤いとハどふした訳だナ△Sサレバ、/桃(もゝの)花 00090570M20も白赤の/飛(とび)入を源平といふサ△Sそして芝居でするに、い 00090580¥P266 00090590L1つでも源氏ハ/勝(か)つが、ぜんたい平家ハ/弱(よハ)かつたかナ△Sさ 00090600L2うかして、(三十一ウ)/蚤(のミ)よりハ/虱(しらミ)か/痒(かゆ)い 00090610¥N30¥J 00090620¥X/慶安(けいあん) 00090630L5さる/御歴&(おれき+)にて/妾(めかけ)を/御抱(おかゝ)へ。/素性(すぜう)のなき/者(もの)ハならぬと、/御= 00090640L6局(お=つぼね)が/世話(せわ)やきに/頼(たの)めバ、/横手(よこて)をはたと打、Sそれハ/至極(しごく)よ 00090650L7いのがござります。(三十二オ)/砂村(すなむら)/玄伯殿(げんはくどの)と申す/下手医者(へたいしや) 00090660L8で、其くせ/堅(かた)い/仁(じん)。去年/旱(ひ)やけで四月頃、本国/駿河(するが)の/香貫(かぬき) 00090670L9とやらを/駕(かご)で出られ、此/娘御(むすめご)に、おなすどの。/御歴&方(おれき+がた)へ 00090680L10奉公に出したいと頼まれて居ました。是をお目(三十二ウ)に 00090690L11かけませふ。とかく/胤(たね)が/大事(だいじ)と申ます。/親御(をやご)に/似(に)ぬ/細(ほそ)おも 00090700L12てゞ、第一/器量(きりやう)、色つやのよさハ/上(うへ)なしと/誉立(ほめたて)る。Sお局 00090710L13それハ/何所(どこ)にござるぞ△S/駒込(こまごみ)に 00090720¥N31¥J 00090730¥X/煙管(きせる)(三十三オ) 00090740L16見やれ。/煙管(きせる)を/張(は)らせた。Sドレ、これハ/凄(すご)い。なるほど 00090750L17きせるハ/銀(ぎん)の事た。しかし/直(じき)に/落(をと)しやるな。わしハ此正月 00090760L18/張(は)らせて、やがて/落(をと)した。吉ぼう、貴様ハ/日外(いつそや)の五十目ハ 00090770L19/落(をと)しハせぬか△S吉おらハ、銀ぎせるなどを(三十三ウ)/落(をと) 00090780L20す事なし。あれハ/仕様(しやう)がある△Sどうすれバ/落(をと)さぬぞ 00090790M1S吉のまずにしまつて置く 00090800¥N32¥J 00090810¥X/雑炊(さうすい) 00090820M4/田舎侍(いなかざむらひ)、/昼三(ちうさん)と出かけ、/奢(をこり)まん+。酒も/大過(おほすご)し、寐る間 00090830M5程なく、七ツ(三十四オ)/迎(むかひ)で、中の町の茶屋へ/戻(もと)れば、亭 00090840M6主、目をこすり+、まだおはやうござります。/迎酒(むかひさけ)にひ 00090850M7とつあがつて、お/駕(かご)にめしませ。Sイヤ+、此上にのん 00090860M8でハ、明日の/御奉公(ごほうこう)がまかりならぬ。酒ハもうゆるしやれ 00090870M9Sさやうならば、(三十四ウ)/水雑炊(ミづざうすい)をあげませふ△Sいかさ 00090880M10ま、それハひや※とよからふ 00090890¥N33¥J 00090900¥X/一角(うにこをる) 00090910M13やれ+おそろしや。/河琢(ふぐ)を/煤掃(すゝはき)の/祝(いはひ)に、したゝか/喰(くつ)てあ 00090920M14てられ、すでに/死(しな)ふとしたを、/一角(うにこをる)を持た人が、/削(けづゝ)て(三 00090930M15十五六オ)やたらに/呑(のま)されたおかげで、/快気(くハいき)したと/噺(はな)せバ、 00090940M16Sそれハ/危(あやう)い目に合やつた。/私(わし)も/先度(せんど)、酒の/肴(さかな)になめたが、 00090950M17見てハ/番椒味噌(たうがらしミそ)のやうで、しやんとしたよい肴だ△Sそれ 00090960M18ハ一角でハあるまい△Sなるほど、おれがなめたのハ、ま 00090970M19だ/氷(こを)ら(三十五六ウ)ぬ/雲丹(うに)であつた 00090980¥P267 00090990¥N34¥J 00091000¥X/鰻売(うなぎうり) 00091010L3/向(むか)ふ/裏(うら)に/百万遍(ひやくまんべん)があるを聞て、鰻売が来て、百万べんハ 00091020L4/祈祷(きたう)にも/後生(ごしやう)にもなるげにござる。わしも/殺生(せつしやう)/商(あきなひ)の/罪(つミ)ほ 00091030L5ろぼしに、(三十七オ)/連衆(れんしゆ)に/入(い)れてくだされ。Sそれハ/御= 00091040L6奇特(ご=きどく)な。サア爰に居て/繰(くら)つしやれ△Sしからバと、すハり 00091050L7て/珠数(じゆず)を/握(にぎ)るがいなや/廻(まハ)らねバ、/不思議(ふしぎ)に人&思ひ、どう 00091060L8でも多くの/鰻(うなぎ)を/裂(さ)く/科(とが)で/廻(まハ)らぬかと、よく気を付けて見れ 00091070L9バ、/鰻売(うなぎうり)(三十七ウ)ハ両手の/中指(なかゆび)の/間(あいだ)へ/珠数(じゆす)を/挾(はさ)ミ/〆(しめ)つけ 00091080L10て居た 00091090¥N35¥J 00091100¥X/木葉狙(このはざる) 00091110L13/御歴&(おれき+)、/木曽(きそ)の/木葉狙(このはざる)を/好(す)き給ふ。廿疋ばかりお/居間(ゐま)にて 00091120L14の/放飼(はなしが)ひ。されども/糞(ふん)/仕(し)わるきものゆへ、/和(やハ)らか(三十八オ) 00091130L15なものハ/喰(くハ)せず、/堅(かた)い/菓(このミ)、又ハ/干菓子(ひぐハし)を/投(なげ)てやり給へバ、 00091140L16是を/奪(ば)ひ/合(あ)ひ、/狂(くる)ひ/遊(あそ)ぶ。折節/堅(かた)き/糞(ふん)を、お/居間(ゐま)の内、ど 00091150L17ことも/構(かま)ハずする時に、/殿様(とのさま)小僧を/呼(よび)給ふ。S/糞取(ふんとり)引。此 00091160L18時七八人の小僧、/同音(とうをん)に、Sハアヽイヽといふ内に、(三十 00091170L19八ウ)一人の小僧、/麈取(ちりとり)/羽箒(はばゝき)を持来り、/掃(はい)て取る 00091180¥N36¥J 00091190¥X/相店(あひだな) 00091200M3京者の/痩男(やせおとこ)の/隣(となり)ハ、/関東者(くハんとうもの)の/丈夫(ぜうぶ)男が、/闘争(いさかひ)を仕出し、京 00091210M4者が、S/我御前(わごぜ)がやうな者でも、おれが(三十九オ)いでと 00091220M5思へバゆるさぬ△S関東者、/片肌(かたはだ)をぬいで、サアいでと思 00091230M6へと、身を/摺(すり)つける。S京者いや、いでと思はぬわい 00091240¥N37¥J 00091250¥X/点者(てんじや) 00091260M9/時行(はや)らぬ/点者(てんじや)、ものさみしく、/庵(あん)の/出格子(でがうし)で人通りを見て 00091270M10居るに、(三十九ウ)/盲道心(めくらどうしん)が、/向(むか)ふの明店の前で/鉦(かね)を/扣(たゝ)く 00091280M11ゆへ、Sコレ+/坊様(ぼうさま)。そこハ明店だ△Sハイと、又其次 00091290M12の明店の前で、なまいだ+。Sコレ+、そこも明店だ△ 00091300M13Sハイといふて、此方の/門口(かどぐち)へ来て/鉦(かね)を/扣(たゝ)く。Sそこで/通(とを) 00091310M14らしやれ(四十オ) 00091320¥N38¥J 00091330¥X/百韻(ひやくいん) 00091340M17是もはやらぬ/点者(てんじや)の/門(かど)へ、/中間(ちうけん)が、たのミませふといふて、 00091350M18百韻一巻をさし出し、S此代ハ何程でござる△Sお定り、 00091360M19二百五十てござる△S百五十ぐらいにハまかりませぬか△ 00091370M20Sハテ/違(ちがひ)ハご(四十ウ)ざらぬ△Sそんなら/脇(わき)へ/行(ゆき)ませふと、 00091380¥P268 00091390L1/懐紙(くはいし)を取て/外(そと)へ/行(ゆ)く。宗匠つく※思ふに、あの中間が/懐(ふところ) 00091400L2に、銭三四百も持て居たが、こいつ/全(まつた)く/点料(てんりやう)をかすりて、 00091410L3/飲(の)む気と見へた。/折角(せつかく)見かけた/銭(ぜに)を/迯(にが)すも/残念(ざんねん)と、/窓(まど)へ 00091420L4(四十一オ)/皃(かほ)を/出(だ)し、Sコウレ+と/呼(よび)かへせバ、中間ふ 00091430L5りかへり、Sまける気かへ△S宗匠まづいくらまてハ出さ 00091440L6しやる 00091450¥N39¥J 00091460¥X/初買(はつがひ) 00091470L9此/歳(とし)まで吉原で/遊(あそ)バぬも口おしく、/連(つれ)が有てハ/恥(はづ)かし。/所= 00091480L10詮(しよ=せん)/数年(すねん)の(四十一ウ)/耳学問(ミヽがくもん)でやつてのけんと、独行き、何 00091490L11かを/知(しつ)たふりに、くだらぬ/晒落(しやれ)を女郎にいひかけれバ、 00091500L12S女郎しりいせん。ばからしうありんすと、ついとたつゆ 00091510L13へ、むつとして/妓有(わかいもの)をよびつけ、あの女郎、おれを/馬鹿(ばか)ら 00091520L14しいとぬかしをつた。引摺(四十二オ)て/来(こ)い。/了簡(れうけん)がある 00091530L15と大声。S妓有それハ大きな/御麁相(ごそさう)。女郎衆の、ばからし 00091540L16いと申さるゝハ、ぬしをとんと/請取(うけとつ)て、まづハ/惚(ほれ)たと申事 00091550L17でござりますとあやなされ、扨ハさうかと、/機嫌(きげん)/直(なを)して/遊(あそ) 00091560L18び/明(あか)し、内へ/帰(かへ)れバ、女房が(四十二ウ)大声で、ばからし 00091570L19い、よい年をして。此着物も/酒臭(さかくさ)くて、ほんにばからしい 00091580L20といへバ、亭主なんだ、ばからしい。コレ近所へ聞へても、 00091590M1あんまりだ。そんなに/惚(ほれ)た+いやるな(四十三オ) 00091600¥Q 00091610M5都鄙談語△△△△△三篇△出版 00091620M7同△新作にてさし合なし△四篇△近刻 00091630M9同△@軽く短くおかしミを|深くす△△△△△△@△五篇△追刻 00091640M12△安永二己稔 00091650M13△△△△夘月△△鷹義堂 00091660M15△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(四十三ウ) 00091670¥P269 00091680¥U噺本大系△第九巻 00091690¥T/芳野山(よしのやま)[序文] 00091700¥G 00091710¥Y 00091720L16安永二年四月序 00091730L17古喬子作 00091740L18咄好庵序 00091750L19小本一冊 00091760L20東大国語研究室蔵 00091770¥Y序 00091780M3閑窓に肘を縣て眠る。友人古喬子、一小冊を携来て、コレ 00091790M4&とゆりおこされ、眼をすりて閲するに、たちまちねむり 00091800M5を(一オ)さまし、腮をはつすまゝに、筆をとりて、 00091810M6△△これハ+とばかりはなしよしの山 00091820M8△△△△巳仲呂△△△△△△△△△△△咄△好△庵 00091830M9△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一ウ) 00091840¥P270 00091850¥N1¥J 00091860¥X/大仏(たいふつ) 00091870L3/南都(なんと)/大仏(だいふつ)の/鼻(はな)の/穴(あな)へ、/傘(からかさ)さしてはいり見れバ、これハとん 00091880L4だひろい事じやと、くるり+まわる内に、/如来(によらい)、/鼻(はな)の/穴(あな) 00091890L5しきりにこそハゆく、こらへかね給ひて、アヽクツサメ。 00091900L6Sかのおとこ、五丁ほど向ふへふき/落(おと)され、ふり(二オ)か 00091910L7へつて、くそをくらへ 00091920¥N2¥J 00091930¥X/茶(ちや) 00091940L10かミさん、茶を一つをくれ。Sアイ、ぬるいから、わかし 00091950L11て上やうと、/釜(かま)のした、たき付る。Sアヽかわいてならぬ。 00091960L12はやくのミたい△Sヲヽせわしなひ。今わきやす△Sそん 00091970L13なら、そつと/底(そこ)の(二ウ)ほうを、くんでくんな 00091980¥N3¥J 00091990¥X/角力場(すまふバ) 00092000L16角力場へ/行(ゆ)キ、よしづ£/覗(のぞい)て見る。うしろから、Sこれ 00092010L17+、そこからのぞくまいと、引のける。Sかのおとこ、 00092020L18/思案(しあん)して、これハ/鹿子餅(かのこもち)のはなしの/伝(でん)が/能(よ)イと、よしずの 00092030L19間から、/尻(しり)をすつと(三オ)/出(だ)して/居(ゐ)る内に、/喜(き)せるをぬか 00092040L20れた 00092050¥N4¥J 00092060¥X/蜘蛛(くも) 00092070M3大内にて、/関白(くわんぱく)、/大中納言(だいちうなごんを)はじめとして、/月卿雲客(げつけいうんかく)なミ 00092080M4/居(ゐ)給ふ/所(ところ)へ、/蜘蛛(くも)/落(おち)けり。S/帝(みかど)、ゑいらんありて、あれハ 00092090M5何といふ/虫(むし)にやと御たづね。S/右大弁(うたいへん)/罷出(まかりいで)、これハ/哥(うた)(三 00092100M6ウ)にもよミ候さゝがにと申上る。Sおそろしくたくまし 00092110M7き虫なり。はやくしりぞけよとのみことのり。/右大弁(うだいべん)ひた 00092120M8たれの/袂(たもと)をしぼり、/扇(あふぎ)をひらき/蜘蛛(くも)をのせ、みはしの/元(もと)に 00092130M9出て扇をはたき、/一昨日(おとゝい)/参内(さんだい) 00092140¥N5¥J 00092150¥X/鼾(いびき)(四オ) 00092160M12/友達(ともだち)より/合(あい)、/夜中(よちう)/飲(の)ミあかして、あくる/朝(あさ)、/茶(ちや)などのミ/居(ゐ) 00092170M13しに、/縁(ゑん)の下にて/大勢(おゝぜい)のいびきの/音(おと)。これハふしぎと、の 00092180M14ぞいてみれバ、明キ徳利が三つ四つ 00092190¥N6¥J 00092200¥X/路考(ろかう) 00092210M17ゑんま大王、/菊之丞(きくのせう)が/相果(あいはて)し/由(よし)を(四ウ)/聞玉(きゝたま)ひ、/我(われ)ひさし 00092220M18く/菊之丞(きくのぜう)を見んとねがふ。かれハ/娑婆(しやば)にて、ひいきつよき 00092230M19ものなれバ、/聞(きく)ほどの/諸人(しよにん)、一ツ/遍(へん)づゝの/念仏(ねんふつ)にても、/定(さだ) 00092240M20メて/極楽(ごくらく)へ/行(ゆく)べし。はやく/此方(このほう)へ/召(めし)とるべし/迚(とて)、/六道(ろくどう)の/辻(つぢ)、 00092250¥P271 00092260L1/極楽道(ごくらくみち)へ/関所(せきしよ)をすへられ、/路考(ろかう)を見しるものなきゆへ、ゆ 00092270L2ひわたの(五オ)/紋所(もんどこ)を目じるしに/召(めし)とるべしとて、/牛頭(ごず)/馬= 00092280L3頭(め=ず)の/鬼共(おにども)/関所(せきしよ)に/相(あい)つめ、今や+とまちゐたりしが、二三 00092290L4日何の/沙汰(さた)もなき所に、/極楽(ごくらく)へ/遣(つかハ)しをきたる/横目鬼(よこめおに)£、/昨= 00092300L5夜中(さく=やちう)、/路考(ろかう)/極楽(ごくらく)へ/着(ちやく)仕候由/注進(ちうしん)。Sゑんま王/驚(おどろ)キ、/早速(さつそく)/関= 00092310L6所(せき=しよ)の/鬼共(おにども)をよびつけ、(五ウ)いかゞ/致(いた)して見のがせしと、 00092320L7/大(おゝきに)にいかりたまふ。S/鬼共(おにども)申けるハ、まいにち/役者(やくしや)かげ 00092330L8まのたぐひ、/一両人(いちりやうにん)づゝも/通(とを)り候へども、被仰付候目印の 00092340L9/紋所(もんどころ)ハ一人ンも無御座候と申上る。S夫ハふしぎと、ひそ 00092350L10かに/極楽(ごくらく)へ見せにやれバ、/紋所(もんどこ)が/五七(ごしち)の/桐(きり)(六オ) 00092360¥N7¥J 00092370¥X/貝(かい)じやくし 00092380L13なんと、/貝(かい)じやくしハどこでとるの。Sアレカ。あれハ/霊= 00092390L14巌(れい=かん)じまのわきでとれる△Sハテナ、どふしてとるの△Sあ 00092400L15れハふねをぐつとのり出して、くま手にて、水の中をぐわ 00092410L16らり+とかきさがして、/柄(ゑ)の/出(で)る/所(とこ)を/取(と)ル(六ウ) 00092420¥N8¥J 00092430¥Xしつぽく 00092440L19/唐人相伝(とうしんそうでん)しつほく/料理(りやうり)とかん板。これハめづらしいと、二 00092450L20三人行キ、/膳代(ぜんだい)ハいかほどゝ聞く。御壱人まへ金三両とい 00092460M1ふ。/高(たか)イものとハおもひながら座敷へ/通(とを)る。間もなく膳を 00092470M2出す。S見れバ、/食(めし)と/汁(しる)と/平(ひら)バかり。(七オ)これハとんだ 00092480M3高/直(じ)キと、/平(ひら)のふたを取つて見れバ、S/朝(てう)せん/人参(にんじん)の/葛煮(くずに) 00092490¥N9¥J 00092500¥Xぬす人 00092510M6/浪人(らうにん)もの、/裏店(うらたな)をかり、引うつりしに、/諸道具(しよどうぐ)なけれバ、 00092520M7あまり見/ら((ママ))わるし。/買(か)ふにハ金がなし。いかゞ(七ウ)せん 00092530M8と、あんじわづらひしが、ふと思ひ付キ、/壁(かべ)を/白紙(しらかミ)にては 00092540M9り、/箪笥(たんす)、/長持(ながもち)、はさみ/箱(はこ)の類ひを、さいしき/絵(ゑ)に/書置(かきおき)た 00092550M10り。Sぬす人、外トを通りてこれを見、/実(まこと)の/道具(だうぐ)とおもひ、 00092560M11ある/夜(よ)、/浪人(らうにん)の/留守(るす)を/伺(うかゞ)ひ、しのび入りしに、くらやミゆ 00092570M12へ、/心当(こゝろあたり)(八オ)の/所(とこ)をさぐり+ミれども、みな/壁(かべ)にて 00092580M13何もなし。これハがてんゆかぬと、火をとぼして見れバ、 00092590M14/絵(ゑ)なり。Sぬす人、どつかと/座(ざ)して/手(て)を/打(うつて)、Sサテモ、ふ 00092600M15とひやつだ 00092610¥N10¥J 00092620¥X朝がほ 00092630M18/貴公様(きかうさま)にハ、めづらしい/朝(あさ)がほを/御(ご)(八ウ)/所持(しよじ)とうけ給り 00092640M19ました。どふぞ/拝見(はいけん)いたしたふ御ざります。Sイヤ、ほか 00092650M20にめづらしい/義(ぎ)もござらねども、/詞(ことバ)にしたがひまして、花 00092660¥P272 00092670L1が/咲(さき)ます/斗(バかり)でござる。御目にかけませうと、/石台(せきだい)にむかひ、 00092680L2とんと/手(て)をたゝいて、むらさきを/頼(たの)むといへバ、はつと、 00092690L3(九オ)むらさきの花がひらく。/又(また)/手(て)をたゝいて、紺をたの 00092700L4むといへば、また/紺(こん)の花が/咲(さく)。/客(きやく)、よこ手を打て、/是(これ)ハき 00092710L5めう。とてもの事に、今一/輪(りん)とのぞむ。/亭主(ていしゆ)、又手をたゝ 00092720L6き、しぼりハどふじやといへば、/朝(あさ)がほ、ふり/帰(かへ)りて、 00092730L7S/明後日(あさつて)/御出(おいで)(九ウ) 00092740¥N11¥J 00092750¥X/蜜夫(まおとこ) 00092760L10/或男(あるおとこ)、/女房(にようぼう)の不義有をしり、なんでもにくひやつら、/重切(かさねぎり) 00092770L11にしてやらふと思ひ、或/夜(よ)、女房に/向(むか)ひ、/今夜(こんや)ハいせ屋の 00092780L12無/尽(じん)に/行(ゆく)。帰りがおそかろふ。よく戸を〆てねやれといふ 00092790L13て出て行。しばらくすぎて、(十オ)もふよい/時分(じふん)と/立帰(たちかへ)り、 00092800L14ずつと内へはいれバ、ふたりがさし/向(むか)ひて、たばこのんで 00092810L15ゐる。もはや/御祭(おまつ)りすぎのてい。/亭主(ていしゆ)、/拍子(ひやうし)ぬけがして、 00092820L16わきざしをかつぎ、座しきをまわりながら、だしや+ 00092830¥N12¥J 00092840¥X猿(十ウ) 00092850L19/猿(さる)共/寄(より)合、何ンとおいらハ人間ンに、わづか/毛(け)が三本ンふ 00092860L20そくなれバ、人間のやうにしやれぬといふも/残念(ざんねん)。ナント 00092870M1/真崎(まつさき)と出かけやうと、二三疋/連(つれ)レにて/茶(ちや)屋へ上り、/料理(りやうり)を 00092880M2/云(いヽ)付、いろ+としやれぬき、/俄(にわか)などをする。一疋の/猿(さる)、 00092890M3うなきをまるで/呑(のも)ふといふ。Sこれは(十一オ)ぶしやれと 00092900M4/云(いふ)内に、グツトのむと、うなぎが/尻(しり)へぬける。Sどふだ 00092910M5+、ぬえハ 00092920¥N13¥J 00092930¥Xいづなつかひ 00092940M8いづなつかひ、/裏店(うらだな)をかり/引越(ひつこ)して、/家主(いへぬし)の/所(とこ)へ/来(きた)り、私 00092950M9も今日より/家業(かけう)にかゝります。先ヅつかひ(十一ウ)/初(そめ)をい 00092960M10たして、御目にかけませうと云。/家(いへ)ぬしよろこび、/窓(まど)£見 00092970M11ている。いづな/遣(つか)ひ、/路次(ろじ)に立出、/唯今(たゞいま)私/大名(だいミやう)のすがたに 00092980M12なります。さやうに思しめしませと、何やら口のうちで/唱(とな) 00092990M13へ、手を二つ三つたゝけば、/忽(たちまち)/先徒士対(さきがちつい)の/挾箱(はさミばこ)、/乗物(のりもの)、 00093000M14/手廻(てまわり)り、/長柄持(ながゑもち)、/合羽篭(かつはかご)、(十二オ)/押(おさ)への/侍(さふらい)まであらわれ 00093010M15/出(いで)、/路次(ろじ)にひつしとなミ居る。そのとき/彼(かの)男、ゆう+と 00093020M16/乗物(のりもの)に乗れバ、/行烈(ぎやうれつ)を/揃(そろ)へて、ろじを出る。/家主(いへぬし)、/肝(きも)を/潰(□ぶ) 00093030M17し、これハきめう。しかし、/是程(これほど)の/同勢(どうせい)にて、/道具持(とうぐもち)のな 00093040M18いわどふじやと、見ているうちに、/鑓持(やりもち)が、Sズツト(十二 00093050M19ウ)/井戸(いど)から 00093060¥P273 00093070¥N14¥J 00093080¥X/高(かう)まん 00093090L3これむす子。/貴様(きさま)ハ此ごろよミ物をするげなが、なにをよ 00093100L4まつしやる。Sアイ、/五経(ごけう)をならいます△Sムヽ、/夫(それ)ハ 00093110L5きどく+。ずいぶんせい出してよミたまへ。おらも/若(わか)い 00093120L6/時(とき)から、いろ+よんで(十三オ)見たが、/唐詩(とふし)せんに/有国(あるこく) 00093130L7せんやが/虎(とら)がりなぞハ、/又(また)おもしろい/事(こと)さ△Sイヤ申、/唐= 00093140L8詩(とう=し)せんハ私もよミましたが、/左様(さやう)な/事(こと)ハうけ給りませぬ△ 00093150L9Sムヽ/其筈(そのはづ)。これハ/新板(しんはん)の中にござる 00093160¥N15¥J 00093170¥X/喧嘩(けんくハ) 00093180L12きのふ/芝居(しばい)で、大キなけんくわが(十三ウ)有た。Sムヽ夫 00093190L13ハどふした△Sイヤモ、/大乱(おふらん)よ。/相手(あいて)ハ一ト人リじやが、 00093200L14つよいやつさ。大勢かゝる所を取てなげる、ふミつける、 00093210L15さじきへほうり上ルやら、ばらり+と人つぶて。これハ 00093220L16かなわぬと、/舞台(ぶたい)へにげ上ル/所(とこ)を、/足(あし)を取ツて引はると、 00093230L17Sぐつと/足(あし)がぬけた(十四オ) 00093240¥N16¥J 00093250¥X/髪結床(かミゆいどこ) 00093260L20これ、どふぞ/畳(たゝミ)屋/風(ふう)に/結(ゆふ)てくれな。Sハイ+と、/当世風(とうせいふう) 00093270M1に/結(ゆつ)てやる。Sかの男、/髪(かミ)をなで/廻(まハ)し、これが/畳(たゝミ)屋/風(ふう)かの。 00093280M2Sアイ、さやうでござります△Sこれハ御/世話(せわ)と/出(いで)て/行(ゆく)。 00093290M3Sもし+、/銭(ぜに)ハへといへバ、Sかのおとこ立/帰(かへ)り、(十四 00093300M4ウ)けふハ/床(とこ)をふミに来た 00093310¥N17¥J 00093320¥X/猫(ねこ) 00093330M7/廻向院(ゑかうゐん)まへのなしみの茶屋へあがり、なんと内義。此ころ 00093340M8よく/泣(なく)やつが出たけな。とふそよんでくれ給へ。Sハイ、 00093350M9かしこまりましたと呼にやる。しハらくすると、こま下駄 00093360M10のおと。(十五オ)これか+とまちゐけるに、ねこ一人リ 00093370M11来り、Sかゝさん。今日ハおあつうござんすといふて、外 00093380M12のざしきへ通る。跡から又ひとり来り、Sおはさん。今日 00093390M13ハおやかましふごさんしよ 00093400¥N18¥J 00093410¥X夜たかそは 00093420M16途中にて、夜たかそはをくい、(十五ウ)せにを見れバ七文 00093430M17有。なむさん、壱文たりぬと思ひ、サアぜにをやろふから、 00093440M18手をだした。Sそは売、アイトいふて手を出す。Sソレ、 00093450M19壱つ弐つ三つ四つ。なんと今夜ハ何時だな△Sアイ、もふ 00093460M20五つでこざります△Sムヽ/夫(それ)、六つ七つ八つ(十六オ) 00093470¥P274 00093480¥N19¥J 00093490¥X/螺(さゝい) 00093500L3コレ伝介。そのさゞひをつぼいりにして、御きやくへ出せ 00093510L4といゝ付ケ、ざしきへ行。伝介、さゞいのこしらへやうを 00093520L5しらず。さゝいをまな板になをしおき、/組(くミ)手をして、いき 00093530L6をつめ、口のひらくをまつてゐる。(十六ウ)あまりおそき 00093540L7ゆへ、かつ手口の戸をおしあけ、さゞいわとふじやといへ 00093550L8バ、S伝介、両手を上て、Sシイ引 00093560¥N20¥J 00093570¥X女/郎(ろう) 00093580L11品川の女郎、見世にてよりあい、ナント、丁の女郎ほど、 00093590L12いけすかぬやつらハない。そしてマア、(十七オ)なんぼけ 00093600L13んたいぶつても、たんす長持も中ハから物。口で斗リ此里 00093610L14のまねハなりんせん。ノウ、/馬士(まこ)どん 00093620¥N21¥J 00093630¥X御物見 00093640L17/或(ある)ちいさき男、御物見のまへを通る。女中衆見て、アレち 00093650L18いさな(十七ウ)男がといふて/笑(わら)ふ。S彼のおとこ、帰つて 00093660L19はなしをして、はらを立つ。S友だちがいふやう、貴様ハ 00093670L20そんなやくにたゝぬ事か有ものか。/山椒(さんしよ)ハ小/粒(つぶ)でも/辛(から)ひと、 00093680M1なせいわぬ。おれも一所にいかふから、又わらふなら、い 00093690M2ゝかへしてやれとて、ふたり(十八オ)づれで、御物見のま 00093700M3へをとふる。S女中衆見て、アレ、さつきのちいさなおと 00093710M4こが又通ると笑ふ。S/彼(かの)おとこ、/爰(こゝ)ぞと思ひ、ナンダ、/山= 00093720M5椒(さん=しよ)だハやいといふ。Sつれの男、コレ/源坊(げんぼう)。小/粒(つぶ)かおちた 00093730M6+といへハ、Sドレ、どこに+(十八ウ) 00093740¥N22¥J 00093750¥X/儒者(じゆしや) 00093760M9/或儒者(あるじゆしや)の内へ、ぬす人忍び入しが、とらへられたり。儒者、 00093770M10とうぞくにむかひ、その方、人としてかやうの不義を行ふ 00093780M11事、/言語同断(ごんごどうだん)なり。/古語(こご)にも、かつしても/盗泉(とうせん)の水をのま 00093790M12ずといふ。(十九オ)此/已後(いご)、/志(こゝろさし)を改むべしとて、銀子一 00093800M13/包(つゝミ)遣し、早&出て行ケといふ。Sぬす人、銀づゝミを見 00093810M14て、アヽすくないかな銀 00093820¥N23¥J 00093830¥X/師匠(しせう) 00093840M17或/手習(てならい)の師匠、川のほとりを通りしに、/柳(やなき)の下に、かハず 00093850M18(十九ウ)二三疋ゐたり。師匠思ふやう、むかし小野道風ハ 00093860M19/柳(やなき)に/飛(とひ)つく/蛙(かわづ)を見て、/筆道(ひつどう)の/妙(めう)を/極(きわめ)しよし。われも此かわ 00093870M20づにて、一度/能書(のうしよ)になるべしと、こかげにたちよりながめ 00093880¥P275 00093890L1ゐる。/案(あん)のごとく一疋のかわづ、やなぎのゑだに(二十尾オ) 00093900L2/飛(とび)付んと、一寸とび、二寸飛、三寸とび、下へ/落(おち)て、Sモ 00093910L3ウくたびれた 00093920¥Q 00093930L6芳野山△二編△△△△△△△△△△△△△△△近△刻 00093940L7△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二十尾ウ) 00093950¥P276 00093960¥U噺本大系△第九巻 00093970¥T/出頬題(でほうだい)〔序題〕 00093980¥G 00093990¥Y 00094000L17安永二年夏序 00094010L18夢楽庵序 00094020L19亀長画 00094030L20小本一冊 00094040¥Y出頬題序 00094050M3近比/軽話(おとしはなし)が/流行(はやり)ますによつて、/鰯(いわし)も/鯨(くじら)の/中間(なかま)と/餌食(ゑじき)にな 00094060M4る事ハ知らで、是がほんの/魚(とゝ)まじりと、/出頬題(でほうだい)にやつての 00094070M5けたゆへ、出(序一オ)頬題と云 00094080M7△△△安永二@壬△|△辰@夏中旬 00094090M8△△△△△△△△△△△△△△△夢△楽△庵△書 00094100M9△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序一ウ) 00094110¥P277 00094120¥N1¥J 00094130¥Xむけんのかね 00094140L3息子、/親父(をやぢ)のへそくり金を、おふかたつかいなくして、せ 00094150L4けんもさみしくなり、あそびたいゆめハミれど、さがりだ 00094160L5らけ。しあんして、むけんの/鐘(かね)をつけバ金だらけになると 00094170L6聞て、イザつかんと、(一オ)ゑんばなへ出て、八代/龍王(りうわう)を 00094180L7ねんじ、ひさくおつとり、口すゝぎ、すでにつかんとする 00094190L8所に、にかいから/声(こへ)をかけて、Sぐわんといつたらしまい 00094200¥N2¥J 00094210¥X菊之丞 00094220L11とんだひゐきで、今度のとむらいを(一ウ)見たか。/供(とも)乗物 00094230L12が三十六てう、/騎馬(きば)が十六騎。Sなんだ/茶釜(ちやがま)をいふな 00094240L13Sうそだと思ふか。あるお大名からでた△S大名が、役者 00094250L14の供をしてたまる物か。そして、どのよふな馬がでた 00094260L15Sミんな黒足 00094270¥N3¥J 00094280¥Xぬす人(二オ) 00094290L18ある夜、金千両ぬすんで、此よふな/勝負(しやうぶ)ハなひと、こそと 00094300L19しまふた所を、またぬすまれた。よふ+に、しあんしつ 00094310L20けて、/中間(なかま)のあれならんと、夜に入て、ソツトゆき、戸を 00094320M1たゝき、かへせ+と小/声(ごへ)でいふ。内にもはやこゝろへ、 00094330M2大声あげて、(二ウ)とつたトいふト、南無さん、しまつた 00094340¥N4¥J 00094350¥X/芥子喰(からしくい) 00094360M5とんだからしの大ぐひが御ざります。ちよつと/喰(くつ)て見せる 00094370M6所が、一どに二三升程つゝくつて、しらぬ/顔(かを)して/居(を)ります 00094380M7と云。サアそんなら、くハせてみよふとよびよせて、芥子 00094390M8かい(三オ)てだしたれバ、なんの/苦(く)もなく、くつてかへり 00094400M9ました。ミな+ふしぎと、せんぎしてきけバ、鶴吉が/弟= 00094410M10子(で=し)で/豆粉(きなこ) 00094420¥N5¥J 00094430¥Xくさめ 00094440M13夜ルひる出て、まじなひハさま※、いしやをたのんで薬 00094450M14(三ウ)もらい、色+にかげんすれども、よくならず。い 00094460M15しやかんがへて、是ハ気を内へひかせたらよからんと、病 00094470M16人のはなをつまんで、よしか+といふ。つまゝれて、よ 00094480M17し+とうなづく。いしや、してとつたりと手をはなせバ、 00094490M18クシヤアリ。いしやどの、/鼻(はな)(四オ)だらけ 00094500¥P278 00094510¥N6¥J 00094520¥X芝居 00094530L3ずつと奥の+/田舎(いなか)もの、/堺町(さかいてう)を見まして宿屋へかへり、 00094540L4扨も+市川といふものハ、咄にきひたより/肝(きも)のぬけた物 00094550L5ダアナ。/将門(まさかど)ハ七人にみへたと聞申すが、アノよふ(四ウ) 00094560L6に/尺(せい)がのびたりちゞんだり、赤くなつたり白くなつたり、 00094570L7いろ+になりもふすハ、あんたることダアもし。Sこな 00094580L8様ハしらぬか、大勢でたのハ/海老(ゑび)蔵/独(ひとり)でハなひ。市川とい 00094590L9ふハいくらもあります△Sハテナ、わしや、かげぼうしか 00094600L10とおもつた(五オ)(五ウ・六オ挿絵) 00094610¥N7¥J 00094620¥X色男 00094630L13とほうもない色男が、二十けんをそゝるを見れバ、しつた 00094640L14者ゆへ/呼(よび)かけて、江戸一番の色男のミなかみ、ちよん+ 00094650L15にでかけた所ハ助六もどき、とんだしやれ、おそろ+と 00094660L16いへば、S色男そふいつてくれるな。色男と(六ウ)いわれ 00094670L17ると、身がぞつ+とする△Sなんだ。ぞつ+とするな 00094680L18ら、風だろう△S色男いや、女の思ひだ 00094690¥N8¥J 00094700¥X哥 00094710M1おれも此比ハそゝりをよして、人がらになろうとおもつて、 00094720M2哥をよむ゜Sとてつもない。よむなら、よん(七オ)でミろ 00094730M3Sヲヽよんでミせう。秋の田の△Sコリヤおかしひ。百人 00094740M4首だ△Sハテ笑な。哥のうちだ 00094750¥N9¥J 00094760¥X気がゝり 00094770M7見る物聞ことにつけて気にかける。ある夜/沢山(たくさん)に金をひろ 00094780M8つた夢を見て、ゆめハさかゆめと(七ウ)て、大キに気にか 00094790M9け、/占(うらなひ)をおひた所が、よろず願事が叶ふといへば、弥& 00094800M10気にかけ、大師の/鬮(みくじ)をとつて見れば四十九。是ハたまらん 00094810M11と/欠落(かけをち) 00094820¥N10¥J 00094830¥Xのミこみ 00094840M14ある人、青山えゆくとて、道を聞ました。こふ+と/指(ゆび)を 00094850M15さして、(八オ)ミせたを、のミ/込姿(こミすがた)でさつ+といきつい 00094860M16て、たづねた所がとんだ違い。なむさんぼうと聞て、あご 00094870M17のうごいたほうを、おつとのミこみ、くつ+といつた所 00094880M18が、とつけもなく違ひけれバ、せひて、こんどちがつたら 00094890M19京 00094900¥P279 00094910YN11¥J 00094920¥Xはひかいし(八ウ) 00094930L3花の頃、風りうに出立て、/飛鳥(あすか)山の/盛(さかり)を/詠(なが)め、/杖(つへ)にすがつ 00094940L4てかん/心(しん)しているを、/田舎(いなか)もの通りかゝり見て、あれハま 00094950L5あ、あんと云ものだ。Sあれハはいかひしといふものだ△ 00094960L6Sそして何をして/食(めし)をくふ△Sあれハ/発句(ほつく)といふ物をする△ 00094970L7Sはてな、(九オ)たわけものな△Sなぜ△Sらくがよかろ 00094980L8うに 00094990¥N12¥J 00095000¥Xつんぼ 00095010L11つんぼのぢゝ様、下谷をとふります。むかふからしる人き 00095020L12て、/父(ぢゝ)様、どこゑいかしやるといふ。S是ハ五十/篇(へん)△Sい 00095030L13くらだ△Sくわん音へ参る△Sお気どく(九ウ)な△S/父(ぢゝ)、 00095040L14じゆずを出して、三匁 00095050¥N13¥J 00095060¥Xおふし 00095070L17日待の夜、大勢あつまつて、あるとあらゆる/芸(げい)づくし。そ 00095080L18の中に、おふしも/魚(とゝ)まじりに遊いるをとらへて、なんでも 00095090L19せねばつめると、しかたをするに、こゝろへあをのけに 00095100L20(十オ)なり、/頬(ほう)をふくらまし、むつ+といふをひきおこ 00095110M1せバ筆を取て、/唐(とう)人のねごと 00095120¥N14¥J 00095130¥X女湯 00095140M4湯くミ奉公している所へ、在所のいしやたづねきて、ゆる 00095150M5+との咄さひちう、切ぬき穴をのぞけバ、(十ウ)うつく 00095160M6しひ女の、大勢丸/裸(はだか)てざハ+するを見て、気のどく/皃(かを)で、 00095170M7アノ裸ハ毎日+の事でござるかへ。Sアイサ、朝の五ツ 00095180M8から夜の五ツ迄、あきはてるほど拝ますと、咄しまつて別 00095190M9れて帰り、まもなく国£一ト/袋(ふくろ)をくれる。久しひ物と、あ 00095200M10けて見れハ、/地黄丸(ぢわうぐわん)の/粉(こ)(十一オ) 00095210¥N15¥J 00095220¥X大臣 00095230M13吉原へゆきました。かの女郎いやがつて、ふりつけても 00095240M14+、なんともおもハず、夜昼かよひます。女郎もあまり 00095250M15のにくさに、ほうへたをしたたかにつめりあげる。S客、 00095260M16こらへて、/真実(しんじつ)か(十一ウ) 00095270¥N16¥J 00095280¥X物知り 00095290M19なんでもかでもしらぬといふ事が嫌ひ。扨咄した。聖人ハ 00095300M20孔子、仏法ハ/釈迦(しやか)、子のできるハ夫婦、十ケ月の中ハ腹の 00095310¥P280 00095320¥G(五ウ・六オ) 00095330M1内でこふ+と、しりじまんに、S聞手貴様ハ十三ケ月で 00095340M2生れたといふが、其内は(十二オ)何をしていた△Sもの知 00095350M3ヲヽ其内は、まてよ、ちよつと雪隠 00095360¥N17¥J 00095370¥X火の見 00095380M6殿様仰付にハ、/赤羽根(あかばね)の火の見が日本一と聞。あれにまけ 00095390M7てはおれがたゝぬ。サア/拵(こしら)へよとて、出来ました。とほう 00095400M8もない高サに、北(十二ウ)風にハ南へかへり、西風にハ東 00095410M9へぶちかへる。つつかい/棒(ぼう)も用にたゝず、こけぬよふにす 00095420M10る/智恵者(ちゑしや)をお尋にて、千五百石でおかゝへ。さてそれより、 00095430M11こけぬよふにとあれバ、S智恵者思案して、天竺からひる 00095440M12/鑰(かぎ)(十三オ) 00095450¥N18¥J 00095460¥X釣師 00095470M15毎日+大塩小塩の/嫌(きら)ひもなくいきますけれど、数船無双 00095480M16の大/下手(へた)、一疋も釣てかへらず。内でハ女房が/不人相(ぶにんさう)。家 00095490M17来のまへもきのどく。あるとき、口ふさげんと、かへりが 00095500M18けに、魚売の/戻(もど)るをなぶり付(十三ウ)に、大鯛一枚買て内 00095510M19に戻り、/鼻(はな)高+と、女房共。是を釣ふばかりに、毎年 00095520M20+骨を折たといだせバ、女房が/嬉(うれ)しさ。まづ酒のおさか 00095530¥P281 00095540L1なに、かた身ハ/海塩煮(うしをに)と吸ものにして、吸かけた所がさん 00095550L2+。S女房もしへ。是ハ大キにくされました。釣の魚(十 00095560L3四オ)ハあたらしひと申ますが、是ハどふして/喰(くわ)れませぬ 00095570L4S亭主わるいはづよ△S女房なぜへ△S亭主/伊豆浦(いづうら)からお 00095580L5よひできた 00095590¥N19¥J 00095600¥X/学文(がくもん) 00095610L8おれハ此ごろ学文をする。Sなんだ。それよりハ/博奕(ばくち)をし 00095620L9ろ△S学者(十四ウ)/人柄(ひとがら)がわるひ△S/馬鹿(ばか)なつらだ。よの 00095630L10中ハとちらをするも同じ事だ△S学者まてよ。そふいへば、 00095640L11おふくもちがわぬ 00095650¥N20¥J 00095660¥X/妾(めかけ) 00095670L14殿様の大気に入て、諸事万事ミないふなり。いろ+と 00095680L15/誑(たぶら)かせ(十五オ)ハ、一家中も恐れ入に、虎の勢ひ、殿様に 00095690L16そつと願ひハ、若殿様ハ御/病身(びやうしん)。私が持もふしたお子達ハ 00095700L17御丈夫。一生の願ひ納に、御/家督(かとく)になされて下されませ。 00095710L18S殿様なるほど、おのしがいふ通り/呑(のミ)こミ印と、おうなづ 00095720L19き。Sめかけ、(十五ウ)してやつたりと、左様ならバ、此 00095730L20上の心中に、/指(ゆび)はふるひから、手ともに切て上ませうと、 00095740M1お刀に手をかけると、Sマテ+まて。其手ハいかぬ 00095750¥N21¥J 00095760¥Xめくり 00095770M4/幽霊(ゆふれい)ハなぜ/鬼(をに)にまける。Sよ(十六オ)くきけよ。ゆふれい 00095780M5では目をまハし、鬼には人が/喰(くわ)れる△Sそんなら/釈迦(しやか)がか 00095790M6ちそふなものだSそれハ天ぢく。めくりハ江戸だ 00095800¥N22¥J 00095810¥Xきをい 00095820M9むかふ/鉢巻(はちまき)で、ほりものだらけなはだをぬぎ、此/侍(さむらい)ハヱヽ 00095830M10かとお(十六ウ)もヤアがつて、りよぐわへものだ。おらが 00095840M11りうぎにない。赤いわしをさしたとおもつて、びくしやく 00095850M12すると、二合半を/喰込(くひこむ)ハへ。五六年きられて見なへ。/爰(こゝ)を 00095860M13切レ+と、/尻(しり)をまくつて/押付(をしつく)れバ、S侍もこらへかねて、 00095870M14二尺八寸すらりとぬく。(十七オ)S/侠者(きをい)、はだを入て、お 00095880M15まへ様のハ光る 00095890¥N23¥J 00095900¥X/時計(とけい) 00095910M18諸事ミんな当世風でやつてのける/細工(さいく)人、時計を/拵(こしら)へ、あ 00095920M19る御大名へ上た所が、六ツといへば六ツ過、四五分程づゝ 00095930M20のびるによつて、かの(十七ウ)細工人をよんで御尋あれば、 00095940¥P282 00095950L1S細工人殿様は当世をお好ゆへ、当世に/拵(こしら)へて上ました 00095960L2S役人ども罷出て、それハマア、どふした事じや。Sいき 00095970L3すぎ 00095980¥N24¥J 00095990¥X/生花(いけばな) 00096000L6生花/会(くわい)/独流(どくりう)と大筆に書イ(十八オ)て出した。人+立寄て、 00096010L7独流とハ池の坊か、梅の坊のそげたのか。Sイヤ、銭とり 00096020L8だ△Sどふしてしつている△S皆/薬草(やくそう) 00096030¥N25¥J 00096040¥X/儒者(じゆしや) 00096050L11/髭(ひげ)を長+とのばした。Sこれ先生。ちとひげをおぬき。 00096060L12いや(十八ウ)ならすりたまへ△S儒者これも/親(をや)のゆずり、 00096070L13/疵(きず)がつくと/不孝(ふかう)だ△Sそして置て△S儒者イヤ、げぢにな 00096080L14めさせる 00096090¥N26¥J 00096100¥Xけんたい 00096110L17/張(はり)のつよひ女郎で、床花の五匁がすんでも、もりつけの 00096120L18(十九オ)けんたい、何をいつても、シリンセン。鳥がなひ 00096130L19ても夜食がすまぬ。/寐(ね)るハ/嫌(きら)ひと、たゝかれるきせるがめ 00096140L20いわく。客もあまりの事に、金十両ちよつとやる。S女郎 00096150M1コハばからしひ。/休(やすミ)なんし 00096160¥N27¥J 00096170¥X/夜発(よたか)(十九ウ) 00096180M4/尻(しり)のわれめ迄はしより、なげぶしをうたひ、柳原を/戻(もど)りま 00096190M5す。あとから見て、ソウ白イ/股(もゝ)を出した所を見てハ、/仙人(せんにん) 00096200M6もおちるだろう。S夜発、ふりかへつて、今夜ハ百人 00096210¥N28¥J 00096220¥X/朝鮮長屋(てうせんながや)(二十オ) 00096230M9りち儀もの、あすんでかへりに、てうせん長やといふをす 00096240M10いして、九十六文の外、四文別に/置(をい)た。S女、是を見て、 00096250M11はぐりか 00096260¥N29¥J 00096270¥X舟まんぢう 00096280M14冬の夜、/炭(すミ)火にうつる黒/木綿(もめん)の大もよふを見染、舟に(二 00096290M15十ウ)乗て、此もよふはきつくごわつくの。S小ちよ、ぬ 00096300M16からず、こうりんの/切附(きつつけ)。Sハテノ、よく火でとけぬ 00096310¥N30¥J 00096320¥X/和尚(おせう) 00096330M19小僧が和尚に向ひ、火事で/死(し)んだハなんと申ます。S和尚 00096340M20火事(廿一オ)で死んだハ火そふ、水でしんだハ水そう、寺 00096350¥P283 00096360L1でしんだを/寺(じ)そふといふ△S小僧ソレデしれました。又旦 00096370L2那から金を取ハへ△S和尚しれた事。死どふといふ△S小 00096380L3僧其金で女郎をかひ、/魚(うを)をくひますハ△S和尚、ぬからぬ 00096390L4かほで、/無道(むどふ)(廿一ウ) 00096400¥N31¥J 00096410¥Xやくわん 00096420L7茶人しあんして、今の/浮世(うきよ)はしやれでなけれバいかぬ。/千= 00096430L8家(せん=か)+というもふるひ。/釜(かま)をよして、やくハんにせんと、 00096440L9いろ+たづねても、思入なやくわんのなひ所え、道具や 00096450L10がもつてきて、さつそく気に入、(廿二オ)代ハいか程じや 00096460L11と云。S道具や下直な所が金十枚△S茶人、あきれて、ホ 00096470L12ヽウ、とんだ茶釜がやくわんだ。S/表(をもて)をとふる老人聞て、 00096480L13うぬらもおつつけ 00096490¥N32¥J 00096500¥Xのふ 00096510L16きのふ能を見た。とんだことよ。しかし/草鞋(わらし)もはかず、/急(いそ) 00096520L17ギ候と(廿二ウ)いつたはかり、ゆる+としていやあがつ 00096530L18た。Sハテしらぬか。それがのふだ△Sわれハあれをする 00096540L19か△Sきついゑて物よ△Sどふりでのらつく 00096550¥N33¥J 00096560¥X大小 00096570M3あの大小ハ、なぜ長く/短(みじか)くしたものだ。Sばかな事をいふ。 00096580M4大(廿三オ)の月/な((ママ))小の月。よしか。そこで長短がある△ 00096590M5Sソシテまた、二タ月大なりや、どふする△Sまてよ。是 00096600M6もはんじ物だ 00096610¥N34¥J 00096620¥X/舌(した)きり雀 00096630M9舌きりすゞめの咄をおもひたし、しからバ/我等(われら)も雀をかふ 00096640M10て(廿三ウ)ちそうし、宝をもらわんと、それから雀をとら 00096650M11まへ、いろ+ちそふしてはなすと、とんで行ました。/夫= 00096660M12婦(ふう=ふ)、それからあとをしたひ、尋あたりて、あらうれしやと、 00096670M13門の内え入て、たのんませう+といふ/声(こへ)に、雀出てミて、 00096680M14Sつそ(廿四オ) 00096690¥N35¥J 00096700¥X三疋/猿(さる) 00096710M17つんぼ、座頭金をかりました。どのよふに/催促(さいそく)しても、利 00096720M18足の壱分もよこさぬ。座頭、腹を立て大声をあげ、わつ 00096730M19+といふても、つんぼ、しらぬ顔。Sおふし、あつかい 00096740M20に入て、つんぼかり/徳(どく)(廿四ウ) 00096750¥P284 00096760¥G(廿五ウ・廿六オ) 00096770¥N36¥J 00096780¥Xきし本 00096790M3深川へいつたか、/蝋燭(らうそく)屋の/烏暁(うけう)より岸本の/雨暁(うけう)が、/広沢(かうたく)流 00096800M4はまたよひ。Sなんだ。我は無筆で、よひ悪ひをしる物か 00096810M5Sしらいでどふせう。/床(とこ)へはいると、Sどふした△S枕紙 00096820M6が/唐紙(とうし)(廿五オ)(廿五ウ・廿六オ挿絵) 00096830¥N37¥J 00096840¥X腰もと 00096850M9旦那との、ちよく+と手なつけても、顔をまつかに、あ 00096860M10れ+の高声を、いよ+こんもふにおもハれ、なんでも 00096870M11+と心がけ、女房がすきまをうかゞひ、/茶台(ちやだい)もつた手を 00096880M12しつかとにぎり、ナゼ旦那のいふ(廿六ウ)ことをいやがる。 00096890M13おれがいふなりになつたら、芝やも見せる、かんざしもか 00096900M14ふてやる。見かけとハ大ちがひ、心/味(ミ)にしらせると、手を 00096910M15とれバ、S腰もと/釈迦(しやか)でも 00096920¥N38¥J 00096930¥X哥人 00096940M18扨/文雅(ぶんが)先生咄すハ、日本ハ/角(すミ)(廿七オ)から角まで、一分五 00096950M19リンでもしらぬことはなひ。天ぢくの谷そこに、獅子の子 00096960M20が三疋いる。毛唐人の/天窓(あたま)は毛がない。/葛西(かさい)の/菜(な)ハ/茎(くき)がや 00096970¥P285 00096980L1ハらか。松嶋は外の名所よりハ又しほらしいとかたるに、 00096990L2Sこな様ハ、どふしてそのよふに(廿七ウ)あるいた△S同 00097000L3座の人これ八よ。此人ハあるきハせぬが、事しりだ△Sそ 00097010L4れハどふして△Sハテ、哥人ハ居ながら名所をしる△Sハ 00097020L5テナ、ぶせうな人だ 00097030¥N39¥J 00097040¥X大食 00097050L8とんだ大食する人があつて呼ましたに、先夜食をもり付て 00097060L9十六(廿八オ)はい、酒を三升小口のミ、/鯛(たい)の/浜(はま)やきを/丸喰(まるぐい)、 00097070L10はや外の物ははいるまいと思ふたに、座敷にある程の物を、 00097080L11ミんな/喰(くつ)てしらぬ皃。あまり/不思議(ふしぎ)さに、とらへて/裸(はたか)にし 00097090L12て見たれバ、/腋(わき)の下ハ/鵜(う)の/毛(け) 00097100¥N40¥J 00097110¥X/間男(まおとこ)(廿八ウ) 00097120L15女房、間男をひきこんで、ちん+の所へ、亭主かへりま 00097130L16した。S女房がとつかハ、間男ハうろたへて、/釜土(へつつい)のすミ 00097140L17にかゞむ。S亭主、あたりを見て、是やだいぶばたくさす 00097150L18るの△S女房アイ。ぬす人/猫(ねこ)が/食(めし)つぎをあけましたから、 00097160L19おひました△S間男、ぬか(廿九オ)らぬ気で、ニヤウ+。 00097170L20S女房、気のどくがり、火ふき竹をふり上て、まだいかぬ 00097180M1か。S間男、腹を立て、けちな、いま+しひ 00097190¥N41¥J 00097200¥Xおどり子 00097210M4/床稽者(とこげいしや)を呼ました。つんとしてきた所が/美(うつく□)ひ物。ちよつと 00097220M5(廿九ウ)ミると、こゝへきな、瀬川/結(むす)びにむすんだ所ハき 00097230M6ついこと、天人が/猟師(りやうし)の女房ときている、/露江(ろかう)を其まゝ立 00097240M7くだし+。Sおどり子、口へ手をあてゝ、よくどふしい 00097250M8や。Sソリヤアなぜ+△Sおとり子今夜一度でか 00097260¥N42¥J 00097270¥X/医者(いしや)(三十オ) 00097280M11此お坊も/当世(とうせい)男だが、よしやれ、/医者(いしや)咄ハ西の海で、病家 00097290M12へゆくと/劔術(けんじゆつ)遣ふて、/真向(まつかう)をなしわりにした。やわらとつ 00097300M13て首のほねをどうたひへ/煮込(にへこま)せた、ゑい山ンの天狗とすも 00097310M14ふ取、長ひ/鼻(はな)をおつてきたと、とつけもなひ/気丈(きぜう)咄し。 00097320M15(三十ウ)二十年ばかりハわけてはやる。どふやらいしやも 00097330M16名人そふなたぶらかし。三/沢(たく)坊もおきやれ+とつゝけバ、 00097340M17Sイシヤ大腹を立て、人中での悪口。下手か上手か、気丈 00097350M18の程をミせんと、ふるい/声(こへ)でいへば、S両手をつき、御貴 00097360M19公、御気丈ハ御用捨(卅一オ) 00097370¥P286 00097380¥N43¥J 00097390¥X/欲(よく)心 00097400L3ねても/起(おき)ても外のことはすておひて、金がほしひ+と思 00097410L4ふばかり。あるとき、沢山に金くれる人があると聞て、い 00097420L5そぎゆきました。亭主あふて、金の望なら、いか程でも進 00097430L6上致す。扨+金/沢山(だくさん)て、めい(卅一ウ)わく致すと、した 00097440L7ゝか金を出してくれた上で、いろ+な/馳走(ちそう)。S是は/福徳(ふくとく) 00097450L8の百年目と大喰し、金をしよつて帰り、近所の人にミせた 00097460L9ら、/柿(かき)の/蒂(たね) 00097470¥N44 00097480¥X/馬鹿(ばか) 00097490L12なんと、太郎ハ百の口が二十四文(卅二オ)ぬけたんべい。 00097500L13S太郎聞て、なんだ、ぬけたとハおれがことか。あほうに 00097510L14すると、かんにんせぬぞ。Sそのよふに腹を立な。ぬけハ 00097520L15せぬ。百がよつほどのびた△S太郎そんならうれしひ 00097530¥N45 00097540¥X金持(卅二ウ) 00097550L18大金持のしわひ男で、/爪(つめ)の/垢(あか)て/土蔵(どざう)の上ぬりするといふを 00097560L19聞て、友だち共、せめて弐朱女郎でもはまらせんと、よふ 00097570L20+にたまし、ひつはりへ上りました所が、大/酒(しゆ)大/食(しよく)、友 00097580M1達の気の/毒(どく)。夜/明(あけ)て内にかへり、扨はめたと笑へば、(卅三 00097590M2オ)S金持/指(ゆび)をおり、夜中かけて、SどふしたS金持八分 00097600M3の利 00097610¥N46¥J 00097620¥X/情(じやう)はり 00097630M6なんでもかでも、いゝ出した事ハひかぬ男で、江戸の/秤(はかり)ハ 00097640M7国の秤と/違(ちが)ふといひ出した。友達ども聞て、またくせがお 00097650M8こつた。(卅三ウ)/秤目(はかりめ)が/違(ちが)つてたまる物か。Sイヤ+、 00097660M9/違(ちがう)とも。大キな違ひ。おれが取よせてミせうと、扨取よせ 00097670M10てかけて見た所が壱匁。それ、違ひハあるまひ。拾五匁。 00097680M11それもちがうまひ。Sハテナ、秤も/当世(とうせい)か 00097690¥N47¥J 00097700¥X気位(卅四オ) 00097710M14年+心に位がつひて、/摺鉢(すりはち)/摺木(すりこき)まて唐物になり、食物も 00097720M15/飯(めし)では高まんでない。/菓物(くだもの)も/木食(もくじき)めいて面白うない。/甘露(かんろ) 00097730M16にせんと、高サ二十丈余の/蓮花(れんげ)をこしらへ、毎夜+甘露 00097740M17をとつてのミました。気位も大に出情し(卅四ウ)たれ共、 00097750M18露も腹にたまらす、/思案(しあん)して、いつそもとの/飯(めし) 00097760¥N48¥J 00097770¥X年子 00097780¥P287 00097790L1毎年+子ができるにつけて、子のできぬよふにしてもで 00097800L2きる。あまりの事に、れいげんあらたなれバとて、/雑司谷(ぞうしがや) 00097810L3へ百度(卅五オ)参りをしけれバ、其夜の夢に、S鬼子母神お 00097820L4れもこまる 00097830¥N49¥J 00097840¥X/禁酒(きんしゆ) 00097850L7きゝやれ。おれも此頃きん酒した。Sよくあるヤツ、久ひ 00097860L8ものだ。禁酒のきんの字ハ、近ひといふ字か△Sイヤ、近 00097870L9ひハ古いによつて、/勤(つとめ)るのだ(卅五ウ) 00097880¥N50¥J 00097890¥X/火(ぐわ)ゑん 00097900L12あるもの、/差売(さしうり)を見て、あれハマア、なぜあのよふななり 00097910L13でこさる。Sあれハ火ゑんといつて、寒の内もまつはだか△ 00097920L14Sそして、夏はどふします 00097930¥N51¥J 00097940¥X/息子(むすこ)(卅六オ) 00097950L17親父、息子をよんで、毎夜+の吉原通ひ、いけんももふ 00097960L18いひつくした。今よひハかんどうじやと、りきみかへるを、 00097970L19よふ+のわび事ですんで、息子、しほ+と門口へ出る。 00097980L20S親父大声して、もふでるか。S息子、空を(卅六ウ)見て、 00097990M1よいじぶん 00098000¥N52¥J 00098010¥X/一曲(ひとくせ) 00098020M4亭主、とかくに下女に手をつけ、いかな年も+/橘町(たちばなてう)の 00098030M5物入に、女房かきのどく。/夫(おつと)にむかひ、やき餅でハなけれ 00098040M6ども、さりとはわるひくせ。よい/年(とし)をし(卅七オ)て、もふ 00098050M7やめなさいと、いろ+にいけんいへば、S亭主女房や。 00098060M8/不(ふ)せうしやれ△S女房なぜへ△S亭主六つ/不足(ふそく) 00098070¥N53¥J 00098080¥Xすひほう 00098090M11びんぼうになつても、吉原でなければあそバぬとゆけバ、 00098100M12/昔(むかし)が(卅七ウ)むかしなれバ、いろ+とせめかけてもしら 00098110M13ぬ顔、女郎がきのどく。内証をいへば、よし+とのミ込 00098120M14印。二三日の中に大はづみと約束してきました。今夜は違 00098130M15ハぬと、茶や船宿がちよん+。若イもの遣手がうそ笑ひ 00098140M16(卅八オ)するとき、Sカノ男、高まんな皃で、風呂敷包を 00098150M17あけ、たばこ出して、一/葉(は)つゝ遣る。皆のもの口をそろへ 00098160M18て、是はマアなんでござります。Sすひほう、つんとして、 00098170M19千両 00098180¥P288 00098190¥N54¥J 00098200¥X水茶屋(卅八ウ) 00098210L3侍、水茶やの娘に恋茶となり、とんだ茶釜な所に、殿の供 00098220L4して三百里先へゆくに付て、/別(わかれ)をおしミ、おまへの/肌(はだ)に付 00098230L5たものをくれなと、いろ+のぞむに、S娘、/思案(しあん)して、 00098240L6なにやらくる+と包んでくれた。S侍、悦んで帰り、 00098250L7(卅九オ)道中ハ/勿論(もちろん)、国へ/着(つい)て朝も晩も片角にはいり、/舌(した) 00098260L8打をして、よまい事をいふを、家来ふしぎに思ひ、主人の 00098270L9/留守(るす)に箱をあけてミれば、古ひ火吹竹 00098280¥N55¥J 00098290¥X観音 00098300L12浅草観音へ一七日の願をかけ、(卅九ウ)小判なりと小粒な 00098310L13りと、少&ハ銀なりとも、沢山にさづけ給へと、さん銭を 00098320L14あけていのる。まんずる日、帰らんとすれバ、くわん音あ 00098330L15らわれ、まて+と呼給ふ。Sアラ有がたや。イサ、是へ 00098340L16下されませと、手を合すれバ、S/海老(ゑび)で/鯛(たひ)(四十オ) 00098350¥N56¥J 00098360¥Xびんぼう神 00098370L19だん+とびんぼうになるにつけて、是ハびんぼう神を 00098380L20/祭(まつる)がよいと、我/喰(くふ)ものもくわずに/馳走(ちそう)する。なを+びん 00098390M1ぼうになれバ、腹を立て、コレびんぼう神。これ程にちそ 00098400M2うするに、なを+びんぼうに(四十ウ)するハつまらぬと、 00098410M3はりひじをすれバ、Sビンボウ神あまりちそうで、家内引越 00098420M4た 00098430¥N57¥J 00098440¥Xけころ 00098450M7けころ買て、ふところより銭をだし、そつとおひて、はし 00098460M8ごをおりる。Sけこ、声をかけて、一/筋(すじ)(四十一オ)かへ。 00098470M9Sイヤ、四文銭。紙をあけなSアイと紙をとり、ゆびに 00098480M10/当(あて)て、二文不足 00098490¥N58¥J 00098500¥Xびくに 00098510M13浅草をかへります、若イ衆二三人/連(つれ)、コレかへるのか。け 00098520M14ふハどふだな。Sアイ、此頃ハお屋敷もふけいきだやら、 00098530M15折介さんもきづサ△Sコレ(四十一ウ)八よ。此おびくもよ 00098540M16つほど気があるが、油気がなくてをしひ物だ△Sびくに聞 00098550M17て、あぶらけがなくても 00098560¥N59¥J 00098570¥X/呼(よび)出し 00098580M20深川に久しくなじミ、長キ夜いつものよふにあそんで、コ 00098590¥P289 00098600L1レお(四十二オ)げんぼうや。爰の遊びもヱヽガ、/二(ふた)切リハ 00098610L2つひへ、一切リハみじかし。拾二匁ハ気がなひ。Sおげん、 00098620L3しり目で見て、切リが長かつたら 00098630¥N60¥J 00098640¥X七ふく神 00098650L6思案して、とても暮すなら一生を/安楽(あんらく)にくらすがよひ。 00098660L7(四十二ウ)七ふく神をいのれバ、金をくれるといふ。今か 00098670L8ら此神を/祈(いのつ)て金をもらハんと、それより古キ七福神のかけ 00098680L9物を買て祈りけれハ、ふしぎや、神たちあらわれ、日頃の 00098690L10しん※にまかせ、今夜£毎日+黄金二百両づゝさづ 00098700L11(四十三オ)けんと/霊夢(れいむ)をかふむる。アラ有かたやと/平伏(へいふく)し、 00098710L12二百両をうけ取いたゝくと、金玉をつかんでねがへり 00098720¥N61¥J 00098730¥X/庇((ママ)) 00098740L15とんだ/庇(ヘ(ママ))の名人がきて、ひりました。先一番に十五でう敷 00098750L16(四十三ウ)のひりづめ。それより立/庇((ママ))、中腰かけ/庇((ママ))、地道 00098760L17/庇((ママ))、かづ/鞠(まり)/庇((ママ))、だん+とひつて、/鼻(はな)をふさいだ上で、今 00098770L18一曲と望む。今度ハ九ツばしごの曲/庇((ママ))なりとて、毛だらけ 00098780L19なるしりをまくり、だん+とひりのぼつ(四十四オ)て、 00098790L20九ツ目に足をかけると、びち++ 00098800¥N62¥J 00098810¥X/釈迦嶽(しやかゞだけ) 00098820M3深川へゆき、呼出しを買ました。年ハ十八、/美(うつくし)ひ物たげ 00098830M4な。しやかぼうを見て、あのよふなとつけもなひ、すハと 00098840M5(四十四ウ)いつたら此世のわかれ。わしハこわひ。Sコレ 00098850M6サ。大男に気遣ひないハ、むかしからの/名言(めいごん)。私がすもふ 00098860M7/場(ば)で見たが、アノ人のは、ほんのお宝サ。ちんまりとくゝ 00098870M8つてあるとすゝめに、屏風まハして、鼻哥がやむと、(四十 00098880M9五終オ)おげんが高声。八助どん+と呼立るに、S八助、 00098890M10コハ何事とかけ付て、屏風あけれバ、/真(まつ)さほになつて、取 00098900M11あげ/姥(ばゝ)をよんでくだされ 00098910¥Y出頬題△終△△(四十五終ウ) 00098920¥P290 00098930¥U噺本大系△第九巻 00098940¥T話説;/仕形噺(しかたばなし)〔内題〕 00098950¥G 00098960¥Y 00098970L17安永二年五月頃刊 00098980L18書苑武子編 00098990L19小本一冊 00099000L20都立中央図書館加賀文庫蔵 00099010¥Y仕形咄序 00099020M3富潤屋徳潤身と、四/角(カク)な文字の/角(かど)/取(とつ)て、/鳥(とりハ)/樹(きに)/住(すミ)、 00099030M4魚/(ハ)水に/住(すむ)/世(よ)のならいと、/太皷(たいこ)がをとし/噺(はなし)、/鼻(はな)に/自慢(じまん)を/囀(さへづ)れ 00099040M5ば、S客(序一オ)ソリヤ古イ+++。亭主、/素下手(すべた) 00099050M6じやと、/頭(あたま)を/砕(くだい)て$トいふ身て、/智恵(ちゑ)を/文珠(もんしゆ)の/神(かミ)/懸(かけ)テ 00099060M8/$(ミヽ)で/$(はな)かむへちまが/智計(ぐんぼう)。東西+、タカウハ 00099070M10ござりますれども、まだ/図(づ)のナイ仕カタばなし。(序一ウ) 00099080M11客、コリヤ/飛(とん)だ/意気(いき)じやと、/横手(よこで)を/拍(うつ)てドツト/笑(わら)ひ、サラ 00099090M12バ$/仕形(しかた)の/一興(いつけう)/承(うけたまハろ)と、/奥(おく)の/坐敷(さしき)へ/通(とふ)れば、 00099100M14$といふ/額(がく)/有(あり)。サラバ/仕形咄(しかたはなし) 00099110M16(序二オ)お目に/懸(かけ)ふと、/巻物(まきもの)/取出(とりいた)し$ 00099120M18△△△△東△都 00099130M19△△△△△△△△△△△△△△△△△△書苑武子撰 00099140M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序二ウ) 00099150¥P291 00099160¥T1話説;仕形噺 00099170¥Y1東都△南芝△書苑武子△彙編 00099180¥N1¥J 00099190¥Xぢゝいばゝ 00099200L7むかし+、ぢいと/婆(ばゝ)とふたり/住(すミ)の/在郷(ざいごう)屋に/泊(とま)り/合(あわ)せ、/夜= 00099210L8中(や=ちう)、Sばゝや。ゆふべの/仕残(しのこ)しを/仕(し)よふか△Sバヽサア/始(はじめ) 00099220L9ましよと(二オ)いふから、コレハ/年寄(としより)たちが、むかしおも 00099230L10ひ出したそふなと、おかしく/聞(きい)てゐれば、Sバヽサアあて 00099240L11がハつしやい△Sヂヽソレハア、つゝぱづれた△Sバヽ/能(よく)し 00099250L12めさつしやい。なぜか大分ひろくなつた△Sヂヽそなたの 00099260L13手でつかまへてはめやれ。ハア又はづれた。ハヽヽと/笑(わら)ふ 00099270L14ゆへ、/客(きやく)もあまりおかしく、(二ウ)そろ+出て、ソツト 00099280L15のぞいて見れば、Sこたつやぐらのつくろい 00099290¥N2¥J 00099300¥X$ 00099310L19きんちやくがづつう/鉢巻(はちまき)と聞て、/印篭(いんらう)が/見舞(ミまい)ニ来て、どふ 00099320L20だ/先生(せんせい)。イヤモウ二三日風でさん+。ソレハ/御難(こなん)(三オ) 00099330M1/義(ぎ)だろう。シテ/看病(かんびやう)人は。アイ。おじめを/頼(たのミ)ました。ムウ、 00099340M2マア+/随分(すいふん)大事ニ、Sねつけの出ぬ様になされ 00099350¥N3¥J 00099360¥Xかわかし 00099370M5人の/呑喰(のミくい)をかハかして/斗(ばかり)あるく人あり。ある時、ミな/寄(よつ)て 00099380M6/味事(うまごと)の/趣向(しゆかう)の所へ、かの男が来たから、/皆(ミな)小づらにくさに 00099390M7(三ウ)$トやつているから、かの男、さとりながら 00099400M8仕ようもなく(四オ)すご+と/帰(かへ)つた/跡(あと)で、サアよし+ 00099410M9とたのしミくふて/仕廻(しまふ)た所へ、又今の男が来た。/今度(こんど)ハ大 00099420M10はだぬぎで、スタ+いふから、ドウシタと聞バ、イヤ、 00099430M11今そこでおれにけんくわをしかけたから、マヅ一人ハ取て 00099440M12なげ、又一人ハ取て/押(おさ)へ、トウ$た 00099450M14ぶさを引つかんで(四ウ)グツト引上ケ、 00099460M15Sうぬ、おれをよく/喰(クツ)たナ$(五オ) 00099470¥N4¥J 00099480¥X/瀬川(せかわ) 00099490M19こいつハおそろしい。コリヤいけなひと、/通(とふり)の女を/評判(ひやうばん)し 00099500M20て居る所へ、いけない/娘(むすめ)が通るを見付、ヨウ、せがハ様と 00099510¥P292 00099520¥G(四オ) 00099530L12ほめる故、お/主(ぬし)ハ、アンナものをなぜ/誉(ほめ)るぞといへば、 00099540L13Sハテそふいやるな。/帯(おび)が/路考結(ろかうむす)びか、せがひくの/丞(ぜう)じや 00099550L14(五ウ) 00099560¥N5¥J 00099570¥X$ 00099580L17権兵衛。内にいるかい。$ヲヽ来やれ。ナンダ、 00099590L19コリヤいきた/殿様(とのさま)見るやうだ。S手前/達(たち)ハ物をしらぬから、 00099600L20ふしぎに思ふはづ。けふハ大めう日たから、こうきつとし 00099610M1た物サ。ハヽアなる程と/感心(かんしん)して、/翌日(あくるひ)又いて見たれば、 00099620M2$居たり、$立たり。コリヤ権兵衛、どふした 00099630M3+。(五ノ四オ)イヤ、けふハ/十方(とほう)ニくれる日だから、此と 00099640M4ふり 00099650¥N6¥J 00099660¥Xしかた 00099670M7きのふ、お/庭(にハ)/拝見(はいけん)にいたハい。ドウダ。とんだことよ。 00099680M8/泉水(せんすい)つき/山(やま)、どふもかふもいへぬ。おく/庭(にわ)の/亭(ちん)で/一盃(いつぱい)した 00099690M9が、此庭が又ドウモいへぬ。ズツト/古(ふる)イ松が、ヌウト/見越(ミこし) 00099700M10ニ$(五ノ四ウ)かう出て有。/後(うしろ)の/方(ほう)ニ大木の/梅(むめ)が$ 00099710M12かう出た下に、$こゝの所が/石(いし)どうろう、 00099720M15$こちらか/桐戸(きりど)、向ふが、@モウ手足でたらぬ故|プツトつわをはいて@アレ、 00099730M17あそ/((こ脱カ))が/泉水(せんすい) 00099740¥N7¥J 00099750¥X/三師(さんし) 00099760M20そろばんの/師(し)と/軍師(ぐんし)、つゞミの(五ノ五オ)/先生(せんせい)、三人づれで 00099770¥P293 00099780L1高輪/辺(へん)えぶらつきに出たが、$アヽ/今日(けふ)ハ/見一天上(けんいちてんじやう) 00099790L3じやが、くもつて来たといへば、かの$イヤ、かつ 00099800L4せんに入りましたからサ。Sヱヽ/拙者(せつじや)は、チツポウぐれに 00099810L5入たかとぞんしたといふたは$(五ノ五ウ) 00099820¥N8¥J 00099830¥Xもゝ引 00099840L9此もゝ引はいくらだな。ハイ。四百でござります。S三百 00099850L10五拾にしなさい△Sまけて上ましよといふと、かの/買手(かいて)が 00099860L11とふやら/買(かい)さふもない/顔付(かほつき)を、/売人(うりて)が見て取、モシ、せう 00099870L12へんハなりませぬぞへ。Sナニ、小/便(べん)がならぬヱ△Sハイ 00099880L13S小便のならぬ(六オ)のなら、よしにしよふ 00099890¥N9¥J 00099900¥Xはやり風 00099910L16はやり風で、/家内(かない)/病人(ひやうにん)が/多(をゝ)いから、百万/遍(べん)をくりたひが、 00099920L17/鉦斗(かねばかり)で/珠数(じゆず)がない。いつそ/鉦(かね)斗でやるべいと、百万遍のや 00099930L18うに鉦斗たゝいて、むせうに/念仏(ねんふつ)申たれバ、S病人が、ア 00099940L19ヽじゆずなひ+(六ウ) 00099950¥N10¥J 00099960¥Xつんほ 00099970M3/亭主(ていしゆ)の/病気(びやうき)、/大方(をゝかた)ほんぶくいたしたハあなたのおかげと、 00099980M4あいさつして/送(おく)つて出て、いしや殿が/聾(つんぼ)しやから、/腰(こし)をか 00099990M5ゞめて、女房が、ヨウお出$といへば、Sいし 00100000M6やどのソレハまだはやいぞや(七オ) 00100010¥N11¥J 00100020¥Xかんばん 00100030M9二三人づれで、たばこ屋のまへを/通(とを)れバ、$テ 00100040M11モ大きなものじやといへば、亭主、我前をかくしたれバ、 00100050M12コレハ大のいき過。かんばんの事サと 00100060M14いへは、チヤツト$(七ウ) 00100070¥N12¥J 00100080¥X/猿(さる) 00100090M17ヤイ折介。けふあるいた/道(ミち)で、おれをミる人が、猿じや 00100100M18+といふたが、おれが/顔(かほ)がさるににたか。ナンノおまへ 00100110M19様。どふしてあなたのお/顔(かほ)が、/猿(さる)に/似(に)ハいたしませぬが、 00100120M20S/猿(さる)があなたのお顔に似ましてござります(八オ) 00100130¥P294 00100140¥N13¥J 00100150¥X/相性(あいしやう) 00100160L3/色(いろ)をしたが、そうにそわれぬ/義(ぎ)りが有て、たがひにはなれ 00100170L4る気にハ成ても思ひきられぬから、相性を見れバ、火と水 00100180L5で大に/悪(わる)しとある。ふしぎさに、八/卦(け)を見てもらふたれバ、 00100190L6イヤ、これははなれにくいはつしや。相性(八ウ)が/能(よく)ござ 00100200L7る。イヱ、火と水でござりますが。Sイヤサ。/貴(き)様たちの 00100210L8ハ/両国(りやうごく)の水性と/花火(はなび)の火性しや 00100220¥N14¥J 00100230¥Xよしハら 00100240L11はなしのやうな事サ。/犬(いぬ)か人間の子を/産(うミ)ました。Sヲヤ、 00100250L12うそでありんせう△Sイヱサ。ミんな見てきた物を(九オ) 00100260L13とせり合バ、としま/女郎(しよろう)が、/犬(いぬ)も人の/子(こ)を/産(うミ)そふなもの 00100270L14さ。Sソリヤ又なぜへ△Sハテ、/紙屑(かミくず)でもくつた物であら 00100280L15ふ 00100290¥N15¥J 00100300¥X女房のつんぼ 00100310L18/夜中(やちう)に、/火事(くハじ)じやと/聞(きい)て、/亭主(ていしゆ)、コレ火事だ+と、女房 00100320L19をゆりおこせバ、Sアヽ、こん夜はよしなさい(九ウ) 00100330¥N16¥J 00100340¥X/地蔵(ちそう) 00100350M3おくら前に久&とうりうの六ぢざう、吉原へ引こんだれば、 00100360M4女郎ハ/初(はじめ)て見たゆへ、アレ地蔵様が来なんした。ヲヤ、い 00100370M5かひ事ヤと、/皆(ミな)かうしからのぞけバ、新ぞう、/子易(こやす)の地蔵 00100380M6を見て、アレ、/跡(あと)の地蔵様ハ、/坊(ぼん)様のくせに子を/抱(たい)てゐな 00100390M7んすハ。/主(ぬし)のお子て有り(十オ)んすかへ。アレ、其跡の地 00100400M8蔵様ハ/兜(かぶと)を/着(き)ていなんすが、なせだやらといへ/((ば脱カ))、S地蔵様 00100410M9が、アノ子にこりたからサ〔次図〕 00100420¥G(十ウ) 00100430¥P295 00100440¥N17¥J 00100450¥X/駕(か)ごちん 00100460L3品川へ/戻(もど)り、上ましよ。ヲヽ/乗(のる)べい。なんでも(十ウ)ねぎ 00100470L4りこぎりが/面(めん)どうだから、四文銭て、おれか一物の長サ程や 00100480L5るべい。アイ+。長サハ見ずとも、お/鼻(はな)がかんばん。ヤ 00100490L7ツコレハサイと、/拍子(ひやうし)ニ/乗(のつ)て/宿迄(しゆくまて)を$ 00100500L8し付たれバ、マテ+ト$くらべ 00100510L10て、ソレアヽ/高(たか)い物だと/投(なげ)出したハ、四文銭を百五十。コ 00100520L11レハ/能鳥(よいとり)に/当(あたつ)たと/悦(よろこ)び(十一オ)帰り、あくる日も/辻(つじ)え出て、 00100530L12/其噂(そのうハさ)/最中(さいちう)へ、又其人が来て、/乗(のら)ふといふ。コリヤあり/難(かたい)と 00100540L13/引(ひつ)かついで、さつ+と/行(ゆけ)ば、/高輪(たかなわ)の大ぼとけの前から/下(を) 00100550L14りて、ソレかごちんとなげ出したハ、コリヤモシ、おまへ 00100560L15の物だけのお/約束(やくそく)。Sヲヽサ、物だけだSナニ、飛だ事。 00100570L16コリヤたつた廿四文。小銭で百(十一ウ)とハあて事もない 00100580L17といへば、グツト/前(まへ)を引ンまくり、コレ、此通り。/今日(けふ)ハ 00100590L18はか/参(まいり)だ 00100600¥N18¥J 00100610¥X野夫 00100620M1よんべ吉原へいつた。トウダ、持たか。インニヤ、づだい 00100630M2もてない。ハテナ、手めへ大方、/女房(にようぼ)/子(こ)の有ふりでいつた 00100640M3らふ。/晩(ばん)に/行(ゆく)なら、ないふりで/行(いき)やれ。ヲツト/呑込(のミこミ)(十二オ) 00100650M4だと、日のくるゝをまつて五丁町を、女房ハな/へ(イ)ぞ+と、 00100660M5大ごへであるいても、たれが/袖引(そてひく)ものもなし。$トごう 00100670M7/腹(はら)と/思(おも)ふ所、/引(ひけ)四ツ/過(すき)に、あ 00100680M8ぶれてゐる女郎を、/耳(ミヽ)のきハ 00100690M10へよつて、(十二ウ)女房ハなへといへば、女郎びつくりし、 00100700M11Sヲヽこわ△S子ハ猶ない 00100710¥N19¥J 00100720¥Xほれ/薬(くすり) 00100730M14四つ目屋が/秘伝(ひでん)いもりの/黒(くろ)やきを/買(かつ)て、/金(かね)もちの/娘(むすめ)にふり 00100740M15かけるつもりで、心がけて/行(いく)。/向(むか)ふからお/姫(ひめ)様お通り。一 00100750M16人ゑミして、ちかく/寄(よつ)て、彼の薬を(十三オ)ひねりかけた 00100760M17れバ、/風(かぜ)が/吹(ふい)て/供(とも)の/奴(やつこ)にかゝると、/忽(たちまち)かの奴が/来(き)て、/色&(いろ+) 00100770M18とくどく。これハたまらぬとにげ出したれば、奴がむしや 00100780M19うに/追(をふ)て来る。/無程(ほどなく)、/渡(わた)し/舟(ぶね)に打/乗(のつ)て/向(むか)ふへ渡り、マア/楽(らく) 00100790M20じやと思ふじぶんに、奴、/炎(ほのふ)のことく/成(なつ)て、/爰(こゝ)へ/追(おつ)かけて 00100800¥P296 00100810L1ハ来た(十三ウ)れとも、舟がなくて$ 00100820L2わたられす。あなたこなたを見まハ 00100830L3して、川えざんふと飛/込(こん)で、Sアヽ、 00100840L4おれハとふして/爰(こゝ)へ来た$(十 00100850L5四オ) 00100860¥N20¥J 00100870¥Xをなら 00100880L8貴公のおせわで、セツカク/結納(ゆゐのを)迄/遣(つかわ)したれと、聞ハ屁をひ 00100890L9る病ひがござるげな。夫でハどふももらハれませぬ。どふ 00100900¥G(十五オ) 00100910M1ぞ/返改(へんがへ)を。ハテやくたいもなひ。アレほどの美なものを、 00100920M2少しのきづハ大目ニ被成。なる程/屁(へ)をひる、一ト月にたつ 00100930M3た一度サ。(十四ウ)$ムウ、一ト月に一つや二つハく 00100940M4るしかるまいと、さらりと済て、こんれいの床いりに(十五 00100950M5オ)/仲人(なかうど)、/屏風(びやうぶ)の/後(うしろ)で/聞(きけ)ハ、S一ト/突(つき)に一ツつゝブイ+ 00100960¥N21¥J 00100970¥Xせつきやう 00100980M8おらが内にハびんぼう神が一人いて、どうもならぬが、フ 00100990M9ツト/思(おもい)付て見れハ、セツキヤウほど、今+しひものハな 00101000¥G(十六オ) 00101010¥P297 00101020L1いが、あわれつよい事ハきらいときいたから、(十五ウ)思 00101030L2ひ入かたつて/追(をひ)出してやろと、$セツキヤウあハれ 00101040L3なるハつし王丸、(十六オ)あんじゆの/姫(ひめ)に/別(わか)れて£と語ハ、 00101050L4かのびんぼ神、/涙(なミだ)ながして/出(で)て/行(ゆく)。シヤうれしや。出て行 00101060L5ハと、ハアびんぼ神どの、お帰りかといへば、Sインヤ、 00101070L6あんまりあわれで/面白(おもしろ)さに、/連(つれ)よびに行 00101080¥N22¥J 00101090¥Xかいる(十六ウ) 00101100L9/池(いけ)のふちに/蛙(かいる)かゐたれハ、/蛇(へび)が見付て/呑(のま)んとするを、/蛙(かいる)ハ 00101110L10にげる、へびハ/追(お)ふ。あつちこつちとかけ/廻(まは) 00101120L11る内、/甲(かうら)を/干(ほし)てゐる亀のせなかをふんたれ 00101130L12ば、ムク+ト/起(をき)て、コウラ又ナアンノコツ 00101140L13タ、池さう※しい$(十七オ) 00101150¥N23¥J 00101160¥X/文字(もし) 00101170L16おれも久しく/船頭(せんどう)をするが、船頭のセンの/字(じ)をしらない。 00101180L17Sおしゑてやろ。ナ、かう$して、こちらに$ 00101190L18かふだ。ヲツト、そふ/聞(きく)と、モウやるもんじやないと、仲 00101200L19/間(ま)の/者(もの)に、コレ手前、/船頭(せんど)のセンの字、しるまいな。Sイ 00101210L20ンニヤ△Sかうだナ。/人扁(にんべん)(十七ウ)して山の文だ△Sべら 00101220M1ほうめ。それが/仙(せん)の/字(じ)なものか。/丸(まる)もなくて 00101230¥N24¥J 00101240¥X字 00101250M4けふおれハ/大門(をゝもん)の/井口(いのくち)で、/東渓(とうけい)の/千枚書(せんまいがき)を見にいて、/帰(かへ)り 00101260M5に壱枚もらつて来た。コレ見や。$/是(これ)ハ何といふ/字(じ) 00101270M7だろうなア。大かた/才槌(さいつち)といふ/字(じ)だらふ。(十八オ)Sイヤ 00101280M8+、/才槌(さいづち)なら、なかゞ切て有はつた。ズツト/通(とをつ)て有ルか 00101290M9ら、/挾箱(はさミばこ)だろ 00101300¥N25¥J 00101310¥X/無筆(むひつ) 00101320M12ながし元へ/虫(むし)が出てならぬが、/無筆(むひつ)ゆへ、となりのむす子 00101330M13をたのみ、$(十八ウ)とやつた。あくる日から、ヤ 00101340M14ツハリ虫が出ルゆへ、亭主、うぬらも無筆か$ 00101350M15(十九オ) 00101360¥N26¥J 00101370¥X鶴 00101380M18鶴をしらぬ国え鶴がおりて居るを見て、村中/寄合(よりあい)、アレめ 00101390M19づらしい鳥がおりた。何といふ鳥だといへど、一人も知た 00101400M20人がない。コレハお寺様でなくバしれまいと、/和尚(おしやう)を/呼(よん)で 00101410¥P298 00101420¥G(十八ウ) 00101430L12来て見せたれば、ハヽア、是ハ珍ら敷鳥じや。マツ/頭(かしら)が長 00101440L13し、/尾(あし)が長し。アレデ(十九ウ)らうそくをくわへると、 00101450L14Sトント鶴しや 00101460¥N27¥J 00101470¥X$ 00101480L17/舟遊散(ふなゆさん)に出た所え、思ひ懸なく/水虎(かつぱ)が出たゆ 00101490L18へ、ミな/肝(きも)をつぶした所が、きてんな男が、 00101500L19もへ/杭(くい)を打付たれバ、/忽(たちまち)/迯(にけ)ていたが、し 00101510L20バらくして又出たゆへ、アレ+また/川童(かつぱ) 00101520¥G(十九オ) 00101530M12が+と(廿オ)いへば、彼男、カツパ火ヤロ+トいへバ、 00101540M13Sイヤ+++$ 00101550¥N28¥J 00101560¥X/人玉(ひとたま) 00101570M16/馬鹿(ばか)むす子がぶら+わづらふを、/継(まゝ)(廿ウ)/母(はゝ)つらく/当(あた)つ 00101580M17て、いぢりころしたれば、あくる晩から、人だまがごろつ 00101590M18きまハり、近所の人が/皆(ミな)わづらふゆへ、名僧に/占(うらな)つてもら 00101600M19いければ、アヽこれハ/彼(かの)馬鹿どのの一ねんでござるといふ 00101610M20を、近所の人、そんならバ、其家一けんばかりで有そふな 00101620¥P299 00101630L1ものといへば、Sハテ、そこが馬鹿サ(廿一オ) 00101640¥N29¥J 00101650¥X/犬(いぬ) 00101660L4犬のあたまをグツトふんだればワン+。 00101670L5コレハシタリト十間斗行て、又犬の/尻尾(しつほ) 00101680L6をふんだ。$Sキヤン+といふと、 00101690L7ハテ、長イ犬ノ(廿一ウ) 00101700¥N30¥J 00101710¥X大晦日 00101720L10此くれハ大屋の、米屋の、真木屋のと、手(廿二オ)づめの上 00101730L11のぜつたい/絶(せつ)めい。思ひ付のはや/桶(おけ)を買て来て、其内えは 00101740L12いり、おれが死た事にして今夜をおくり、元朝に/蘇生(よミぢがへり)し 00101750L13たといへばよいと女房に/呑込(のミこま)せ、死だふりしてゐる所え米 00101760L14屋が来たを、女房が段&のくどき事。扨も+せうしな事 00101770L15でハある。こゝに今取て来た銭弐〆。これでマア(廿二ウ) 00101780L16取をかしやれ。イヽヱ、是ハ思ひ 00101790L17かけもない。八〆から上のかりを 00101800L18上ぬのミか、ドウマア是がいたゞ 00101810L19かれませう。ハテサテ、取ておか 00101820L20つしやい。デモ。Sハテと、あち 00101830M1らへやりこちらへやり、はてしなければ、$トいふミ 00101840M2で、Sハテ、下さるものなら、取ておきやれサ(廿三オ) 00101850¥N31¥J 00101860¥Xつりぶね 00101870M5$ねんもなく/釣(つゝ)てゐた所、/早風(はやて)おこつて舟ハ 00101880M6あらなミにもまるゝ。日ハ 00101890M7くれる。$やミ/夜(よ)なり。 00101900M8どこともしらず吹ながされ、やう+一つ 00101910M9の/島(しま)に/着(つき)、ヤレ+うれしや。マヅ命ハたすかつたが、/爰(こゝ)ハ 00101920M10どこの島じややら。(廿三ウ)/女(によう)ごの島でもあらバ、もつ 00101930M11け/幸(さいわい)。モシ$が嶌などでハ有まひかと、コハ※ 00101940M13そこら立廻る所え、$て来る人が有から 00101950M14/立寄(たちよつ)て、私ハ、大日本/武蔵(むさし)の国ゑどゝ申所のものでござ 00101960M15る。今日/釣(つり)に出て/吹(ふき)ながされました。ドウゾ日本へ帰りま 00101970M16すよふにと、なミだこぼしていへ(廿四オ)バ、Sカノ人ベラ 00101980M17ボウメ。/爰(こゝ)ハ八左衛門殿島だ 00101990¥N32¥J 00102000¥X/無心(むしん) 00102010M20お/前(まへ)にどふぞ無心がありんす。ナンダ+。/何成(なんなり)共ゑんり 00102020¥P300 00102030L1よなしにいやれ。ドウモいゝにくう有んすが、ソレナラ申 00102040L2シんせう。サア+/聞(きこ)ふ。ドウゾ/金(かね)を十両おくんなんし。 00102050L3ヲヽ/安(やす)イ事。ナンノそれを云かねる事で。/其代(そのかハり)、おれもそ 00102060L4なたに/無心(むしん)が(廿四ウ)あるが。お前の事なら、どんな事で 00102070L5もいやとハ申んせん。いゝなんせ。Sイヤ、トウモいゝに 00102080L6くい△Sナゼデ有んす。どんな事でも聞んせうから、早く 00102090L7いゝなんせ△Sソンナラいわふ。/外(ほか)の事でハないが、今の 00102100L8拾両の/無心(むしん)、/止(やめ)にしてくれや 00102110¥N33¥J 00102120¥X/碇(いかり) 00102130L11見てくりや。おらが/袷(あわせ)を。Sナンダ。/祭(まつり)へでも(廿五オ)出 00102140L12ハせまいし、ごうぎな/碇(いかり)を/付(つけ)た。/変(へん)なもやうだな△Sハテ 00102150L13サテ、ぶちころしても、ながれぬためサ 00102160¥N34¥J 00102170¥X大/食(しよく) 00102180L16手前たち、何と/思(おも)ふ。おそらくおれほどの大食ハ、日本ば 00102190L17しキツテ、マア/有(ある)まいがといわるゝを、下ばたらきの男が 00102200L18/聞(きい)て、/旦那(だんな)様ハ(廿五ウ)との/位(くらい)上ります。Sヲレカ。マア 00102210L19/親(おや)わんで十一二盃サ△S其位ハ/私(わたくし)もたべますと、〔下段図〕 00102220L20/喰(くつ)て見せた所が十五盃。Sナルホド、コリヤ(廿六オ)われ 00102230¥G(廿六オ) 00102240M12にハかなわぬ。/嘸(さぞ)/力(ちから)が有ふ△Sイエ+、力ハ一かうござ 00102250M13りませぬ△Sソリヤ/一向(いつかう)、やみの夜じや△Sヘエ、やミの 00102260M14夜とハ、どふした事でござりますな△Sハテ、くらふてや 00102270M15くに立ぬハ△Sソンナラお前様ハ、又お力が△Sハテ、お 00102280M16れハないはづの事じや△S左様ならバ、お前様ハ/神無(かミな)月で 00102290M17ごさります△Sナゼ+△S参つても(廿六ウ)やくにたち 00102300M18ませぬ 00102310¥N35¥J 00102320¥Xばけもの 00102330¥P301 00102340L1/是斗(こればかり)ハひらによしやれ。イヤ/大事(たいし)なへよ。/化(ばけ)物やしきハお 00102350L2らが/得(ゑ)手ものだ。/幽霊(ゆうれい)でも出上ツたらバぶち/殺(ころ)して、すま 00102360L3しの/吸(すい)物にして一/盃(ぱい)/呑(のまふ)と、五升/樽(たる)引かたげて、/明(あき)やしきへ 00102370L4行、/化(ばけ)物を待ども/出(で)て来ぬゆへ、たひ(廿七オ)くつして、 00102380L5ドウダ、はやく出上らぬか。ドウ仕上ルと/悪口(あつかう)しながら、 00102390L6/引(ひつ)かけ+/呑(のミ)だをれにグツトねて、フツト目が/明(あい)たればカ 00102400L7ア+。ナム三ン、夜が/明(あけ)たと/門(かど)え/立出(たちいで)、大キな/声(こへ)で、ト 00102410L8ウシテ出/得(ゑ)るもんで。おれを/誰(だれ)だと思ひ上ル。モウ/重(かさ)ねて 00102420L9から出上ルな。/鼻(はなつ)たらしめらといふと、門のわきから、べ 00102430¥G(廿八オ) 00102440M1ラボウメ。(廿七ウ)出るときハねて/居(い)上つて$(廿八 00102450M2オ) 00102460¥N36¥J 00102470¥X手まハし 00102480M5むすこを/呼(よひ)付て、コリヤ、われハとかくぶら/付(つい)て/斗(ばかり)ゐるが、 00102490M6アヽ今時そふしたことでハ/行(ゆか)ぬ。ゆだんせぬ上にも/手廻(てまわ)し 00102500M7を/考(かんが)へて、ソレデモまだ人に/先(せん)を取れるに、其心がけでハ 00102510M8と、/眉(まゆ)にしハよせぬ日もなし。時におやぢが/急病(きうびやう)もつての 00102520M9外。むすこ、ズイト戸を立、/簾(すだれ)を(廿八ウ)かけ、$ 00102530M10/一家(いつけ)とも/仰天(けうてん)して/来(き)て見れば、また/死(しに)もせられぬに、コレ 00102540M11ハとんだ事としかられ、イヤ是/則(すなハち)/手廻(てまハ)しじやが。ハテめ 00102550M12つそうな。手廻しもことによる。ヤレ、早く/札(ふだ)を取て戸を 00102560M13/明(あけ)やれといへバ、むすこが、デモ、出した札を/引(ひく)もいかゞ。 00102570M14Sヨシ+と/筆(ふで)もつて出て、$(廿九オ) 00102580¥N37¥J 00102590¥X$ 00102600M17モシヱ、わつちや/盗(ぬす)人でござりやすが、おめへの/店(たな)を/借(かし)て 00102610M18おくれなさいやせ。ヲヽ/安(やす)イ事じや。店うけさへあらバ、 00102620M19かして/進(しん)ぜよふ。アイ、お忝ふございやすと、すぐに友だ 00102630M20ちの所え行、コレ、おらな店かりたが、大屋が、盗人かつ 00102640L1てんでかした。手めゑ、店うけに/立(たつ)てくれや。Sヲヽ、立 00102650L2ハ立ふが、大屋ハ(廿九ウ)たしかなも/((の脱カ))かな 00102660¥N38¥J 00102670¥Xくすり 00102680L5手前、モウそふなつちやアおへなへ。ほねからみハぬけに 00102690L6くいもんだ。又/此頃(このごろ)ははなが/落(おち)かゝつたぞよ。本丁に/能薬(よいくすり) 00102700L7が有。かつてのミや。ソリヤ/耳(ミヽ)よりだ。何ンといふくすり 00102710L8だな。イヤ、/名(な)ハしらなひが、/行(ゆく)と、/隠(かく)れハない/看(かん)(卅オ) 00102720L9/板(ばん)が出て有。Sムウ、どんな看板だナ△Sはなと思処に、 00102730L10$ 00102740¥N39¥J 00102750¥Xまじなひ 00102760L14女のはなしを聞くと、/直(じき)に$こうなる。ドウする 00102770L16がよからふといへは、ソレハよいまじなひが有。そういふ 00102780L17時にハ、口の内でセツキヤウをかたる。なる/程(ほど)、コレハよ 00102790L18ひ(卅ウ)思ひ付と、セツキヤウSあハれなるかなといへバ、 00102800L19$セツキヤウS姫君ハといふと$ 00102810¥N40¥J 00102820¥X$ 00102830M3おやぢ、ズツト内え入、私がせがれ、はつめいにござるが、 00102840M4とかく丁はんやめくりが/好(すき)でなりませぬ。どふぞ御りやう 00102850M5しをお/頼(たの)ミ申ます。先御りやうじの被成かたを拝見いたし 00102860M6(卅一オ)たふござるといへば、/医者(いしや)、なる程+、いろご 00102870M7ととハちがうて、ばくちのりやうぢハ/南(なん)ばん/流(りう)のあらりや 00102880M8うじでなければ参らぬと、/障子(しやうじ)を/明(あけ)、/庭(には)に大キな/釜(かま)をすへ 00102890M9させ/焚立(たきたて)て、/湯玉(ゆだま)の立つふたを取、アノなかへ/御子息(こしそく)を入 00102900M10て/煮(に)ます。エヽソリヤおまへ、死ませうが。サ、しなねば 00102910M11/直(なを)らぬ(卅一ウ) 00102920¥N41¥J 00102930¥Xふり売 00102940M14ばけものや+、ばけものや+。/化(ばけ)物よ。ハイ、御らふ 00102950M15じませと、ズイト出したハ$アヽ今時 00102960M17取らぬ所だ。ズツトゑいのを出せ+。ハイ、/左様(さやう)なら 00102970M18$ヱヽナンノこつたナ。コリヤ 00102980M19なひ所だ。イキナを(卅二オ)出して見せや。 00102990M20ソンナラバこれになされませ。ムヽ是がい 00103000¥P303 00103010L1きなばけものか。Sハイ△Sドレトよく見れバ$ 00103020¥N42¥J 00103030¥X$ 00103040L5若い女がズイト来て、一文なげて通る。(卅二ウ)ヲツト、 00103050L6マ壱文。コレ申、マ壱文といへは、女ふりかゑり、Sわた 00103060L7しや、マンなかで身をなげやす 00103070¥N43¥J 00103080¥X石橋万 00103090L10雨ふりに/駕(かご)に/打乗(うちのり)、品川えいそぎしに、/駕(かご)の中から、アヽ 00103100L11モウ万やの/前(まへ)だなといへば、/旦那(たんな)、/桐油(とうゆ)ハかけて有。/駕(かご)の 00103110L12内から、どふしてソレガしれますへ。Sハテ、/息杖(いきづへ)がカツ 00103120L13チ+(卅三オ) 00103130¥N44¥J 00103140¥X(無題) 00103150L16此ころ/毎夜(まいよ)、アノ/片(かた)かハ町で/抜身(ぬきミ)をふり廻し、人をおどし 00103160L17まする。ハテナ、/夫(それ)ハ人のさまたげにもなり、あぶなひ事。 00103170L18イザわれらが参つて見よふと、たすき/股立(もゝだち)、取あへず/行(い)て 00103180L19見れハ、人のいふにたかハす、大/刀(かたな)ふり廻し、なて切だぞ 00103190L20+といふ。/扨(さて)こそと(卅三ウ)身かまゑして、ヂリ+と 00103200¥G(卅四オ) 00103210M12そは近くよれば、かのもの、なて切りといゝつゝ、すかし 00103220M13みて、S/侍(さふらい)にハかまハぬ$(卅四オ) 00103230¥N45¥J 00103240¥Xもし 00103250M16コレ、此/字(じ)をよんで見や。ドレ、$コリヤしれなひ 00103260M17と、たれかれに見せても、天/竺(ぢく)にもおらんだにも、ツイド 00103270M18見た事もあるまひといへば、しらなひか。ヲヽ、何と/云(いふ)字 00103280M19だ。Sしうとめ△Sナニ、しうとめ△Sヲヽヨ。ソレ、よ 00103290M20めにくいからサ 00103300¥P304 00103310¥N46¥J 00103320¥X/吸物(すいもの)(卅四ウ) 00103330L3よつ程きげんで、ワヤ+いふて/浅草(あさくさ)をぶら付、りやうり 00103340L4屋えはいり、ヤ、何ぞ出せ+。ハイ、何なりとお望被成 00103350L5ませ。ナンテモ出来るか。ハイ。ソンナラ、ふり/袖(そて)を吸物 00103360L6にして出せ。畏りましたと、/忽(たちまち)出したを見れバ、コリヤか 00103370L7もじやないか。ハイ、はじろでござります。ナルホド、コ 00103380L8リヤできた。ソンナラかこかきを差身にして出せ。コリヤ 00103390L9(卅五オ)できまひ。スイブンできますといふ£はやく出し 00103400L10たハ、かつほぶしにしやうゆをかけたの。コリヤなんだ。 00103410L11人をたハけにした。コレガくわれるものか。テモ、お/望(のそ)ミ 00103420L12の/駕(かご)かき。Sかゝねば/喰(くハ)れぬ 00103430¥N47¥J 00103440¥X湯 00103450L15だん+の/鉦(とら)。おやぢ持あつかひ、/息子(むすこ)を二(卅五ウ)かい 00103460L16え追こめて置たれば、親父のかんきんの間に、ソロ+二 00103470L17かいからおりて/剃刀(かミそり)を取出し、かくして持て上ルをチラト 00103480L18見付、ナム三宝。/短気(たんき)でも出しをつたかと、早&かけ上て 00103490L19/剃刀(かミそり)を引たくり、アヽ若イものといふものハ/無分別(むふんへつ)を/出(だす)に 00103500L20ハこまると、親父も/取(とつ)つ/置(おい)つ思案の内、又ソツト来て、は 00103510M1さみを持て二かいえ行。(卅六オ)おやちつゞいて二かいえ 00103520M2上り、扨&おのれは/親(おや)の大/事(じ)に/生付(うミつけ)たからだを/刄(やいば)にかけて 00103530M3/死(しな)ふとは、不/孝(かう)ものとくり返して/異(い)けんすれば、サラ+ 00103540M4左様ナ事でハござらぬと/只(たゞ)/黙(うつふい)て斗居るゆへ、親父、/暫(しバし)も目 00103550M5をはなさぬか、年寄の気くたひれして居眠間に、息子ズツ 00103560M6ト/外(そと)え出た。ハテあやし 00103570M7やと(卅六ウ)内からのぞ 00103580M8けば、あたりの小石を/袂(たもと) 00103590M9にひろひ入て/欠出(かけだ)すゆへ、 00103600M10扨は永代橋かと/追(おつ)かけて 00103610M11いたれば$(三十七オ) 00103620¥N48¥J 00103630¥Xかね 00103640M14両がへ屋の/手代(てたい)、金四百両/持(もつ)て屋敷え/行道(ゆくミち)で/落(おと)したゆへ、 00103650M15/旦那(たんな)、/一円(いちゑん)がてんせず。四百両の金が/落(おと)さるゝ物でなし。 00103660M16其上/昼中(ひるなか)に/取(とら)られるものでもなし。どうも(三十七ウ)つま 00103670M17らぬ云わけじやと/詮義(せんぎ)に/逢(あふ)て、S手代デモお前様。四百両 00103680M18おとすまいとも申されませぬ△S旦那ナゼ+△S手代ハ 00103690M19テ、うたひに、/高砂(たかさご)のおのへの/鐘(かね)もおとすなり。/釣(つり)かねさ 00103700M20へ/落(おと)します△S旦那たハけめ。ソリヤ/暁(あかつき)かけての事じや 00103710¥P305 00103720¥N49¥J 00103730¥X/夜昼(よるひる)(三十八オ) 00103740L3扨しバらくお目にかゝりませぬ。マヅ御/壮健(さうけん)。扨/貴君(きくん)にハ 00103750L4/昼斗(ひるばかり)お/照(てら)しなさる。/拙者(せつしや)ハ/夜分斗(やぶんばかり)の/役目(やくめ)ゆへ、一かうお/出= 00103760L5合(で=あい)申さぬが、/能(よく)/毎日(まいにち)+お/勤(つと)めなさるゝと、お 00103770L6月様のあいさつ。$イヤ、/拙者(せつしや)義ハ/昼斗(ひるばかり)の 00103780L7義、お手前様ハ/夜分(やふん)のお/勤(つと)メ。(三十八ウ)/嘸(さぞ)かし 00103790L8/御苦労(ごくらう)な義でござりませう。Sハイ、ソレテ半 00103800L9月づゝ休ミます 00103810¥N50¥J 00103820¥Xゆめ 00103830L12/亭主(ていしゆ)がうなされてウン+いふを、女房が、申+とゆり 00103840L13おこしけれバ、アヽうなされたか。アイ。こわい/夢(ゆめ)でもご 00103850L14らふしたか。イヤ、こハくハなひが、どこ共しらず、飛た 00103860L15美しい女が、おれが手を/引(ひい)て、(三十九オ)/錦(にしき)のよぎふとん 00103870L16しいた/床(とこ)の上えあがれといふ。おれハ上ルまいといふ所で 00103880L17うなされた。S女房わたしがおこさずハ大方 00103890¥N51¥J 00103900¥Xやうだひ書 00103910L20娘、/虚労(きよろう)をわづらひしを、仙木寸伯様のおかげで大かたな 00103920¥G(四十オ) 00103930M12らぬ/験(けん)を/得(ゑ)て、/嬉(うれ)しく、コリヤ三吉。薬取てこい。トレ 00103940M13+やうだい(三十九ウ)書をと、/硯(すゝり)/引(ひき)よせ、さら+とした 00103950M14ゝめ、ヱヽ昨日ハ御/見廻(ミまい)被下忝奉存候。/随而(したかつて)/娘(むすめ)ト聞て、 00103960M15Sヲヽ、いかにお/心易(こゝろやす)いとて、そんな事ヲ$(四十オ) 00103970¥N52¥J 00103980¥Xむきミ 00103990M18ばか+++と売て来るを、Sヲイばか。ヲイばかよ。 00104000M19コレばかやい。S/売人(うりて)やうやう/聞(きゝ)付、ハイ。ばかハおまへ 00104010M20かヱ。Sヲヽ、おれだ 00104020¥P306 00104030¥N53¥J 00104040¥X/買詞(かいことば) 00104050L3かつほ++。ヲヽかつほ+と/鍛冶(かぢ)屋の/亭(てい)主が呼で、 00104060L4いくらだ。アイ。六百五十でごん/ず((ママ))。(四十ウ)百五十やる 00104070L5へい。/肴売(さかなうり)はらを立、$だまつて/行(ゆく)を、 00104080L6ヲヽ六十やろう。Sうりて今時のかつをヲ、そ 00104090L7う売ル物カイ。ウヌハナ、あらをシヤブリ上 00104100L8れ△Sかぢや、くやしがつて、/鉄(てつ)をなめろ 00104110L9(四十一オ) 00104120¥N54¥J 00104130¥X/嶋(しま) 00104140L12/釣(つり)に出て思ひ/懸(がけ)なくはや/風(て)にあひ、七日七夜/吹(ふき)ながされて、 00104150L13やう+一つの/島(しま)ニ上り、あらこち/歩(あゆん)で見れバ、/虫(むし)のやう 00104160L14なものが/足元(あしもと)でうぢやつくを、/能(よく)見れバ/人(ひと)の/形(かたち)。ハヽア、 00104170L15是ハ/小人島(こびとしま)そふなといふうちに、/肴(さかな)うりが/蚊(か)のやうな/声(こへ)で、 00104180L16Sメダカの(四十一ウ)/断(たち)うりやイ+。/是(これ)ハめつらしいと 00104190L17/段&(だん+)/奥国(おくぐに)え/分入(わけいり)、大人国へいて見たれハ、S/雲(くも)の中から、 00104200L18/鯨(くしら)さつこ+ 00104210¥N55¥J 00104220¥X/水仙(すいせん) 00104230M1あるじ、あけくれたんせいしてそだて上し水仙の/早咲(はやさき)、/椽(ゑん) 00104240M2がハに/置(おか)れたを、/去年(きよねん)/来(き)たしなの/者(もの)がつく+ミて、(四十 00104250M3二オ)江戸といふ所ハ、花の/咲(さき)よふの/遅(おそ)イ所じやといふを、 00104260M4/主(あるじ)/聞(きい)て、ふし/儀(ぎ)さに、九月の/水咲(はやさき(ママ))を又おそいとハどふじ 00104270M5やと/尋(たづぬ)れバ、Sハイ。/私(わたし)が国でハ六月/時分(じぶん)から/咲(さき)まする 00104280¥N56¥J 00104290¥Xすまふとり 00104300M8/両国橋(りやうごくばし)をすまふ取、二三人通り(四十二ウ)かゝるむかふえ、 00104310M9/風(かぜ)の/神(かミ)が、いそかしそふニすた+/来(く)るを、やにわに引と 00104320M10らへ、ヤイ、おのれハ/此間(このあいだ)、/方&(ぼう※)の人に/難義(なんぎ)をかける風の 00104330M11神め。ふミころしてくれふと、引かづいてなげんとすれば、 00104340M12風の神が、Sヤイ、おれをなげた/ろ((らカ))、又せきを出すぞよ 00104350M13(四十三オ) 00104360¥N57¥J 00104370¥X/宗論(しうろん) 00104380M16今ハのきハに/友(とも)だちが来て、/手前(てまへ)もモウよくハ有まいから、 00104390M17/随分(ずいぶん)ねんぶつを申たがよひ。Sイヤ+、/念仏(ねんぶつ)ハよしやれ。 00104400M18だいもくをとなへやれ。/妙法(めうほう)のくどくハ有がたひことじや 00104410M19ぞや△Sハテ、やくたいもない。/必(かならず)、一心から/念仏(ねんぶつ)+△ 00104420M20Sイヤ+(四十三ウ)あいつにかまわずとも、おだいもく 00104430¥P307 00104440L1Sヲキ上れ。念仏でなけりや△Sインニヤ、だいもく+ 00104450L2とせり/合(あへ)バ、/病人(ひやうにん)が、ヤイ、こいつらハマア、おれがたま 00104460L3+しぬのに 00104470¥N58¥J 00104480¥X/新参(しんざん) 00104490L6/今日(けう)めしに付た下女を見やれ。イヤ、とんだものよ。三人 00104500L7前の/働(はたらき)を/言立(いゝたて)に(四十四オ)して/済(すん)だ。Sハテナ△Sをし付 00104510L8/爰(こゝ)へ来るから、マア、はたらく事を見やれといふ内、/両= 00104520L9方(りやう=ほう)の手に/膳(ぜん)をもつて出る。Sコレ、今三人前といふたが、 00104530L10あれでハ二人前じやぞや△Sイヤ、アレミやれ。/足(あし)でお/鉢(はち) 00104540L11を/蹴(け)ながら来るハ(四十四ウ) 00104550¥N59¥J 00104560¥X$ 00104570L14あけても/暮(くれ)ても/呑(のミ)つゞけのぼうたら/組(ぐミ)、二人づれで、けふ 00104580L15も/一盃(いつはい)/呑(のミ)かけよふと、/深(ふか)川さしてぶら+行道て、/先(さき)の男 00104590L16がうつふいて、S何ひらふたぞ△Sイヤ、何もひろいハせ 00104600L17ぬとハいへど、どふやら/懐(ふところ)の内ていちつてミる/様子(やうす)。Sイ 00104610L18ヤ、とふでも(四十五オ)手前、何かひろつたぞよ。出しや 00104620L19れ+△Sイヤ+、ひろいハせぬてサといゝ+、/歩(ある)き 00104630L20ながら、/胸(むね)の所を明てのぞき+行を、むりにつかまへて 00104640M1出させてミれば、/樽(たる)の呑口。コリヤ何だ。手前又、/最前(さいせん)か 00104650M2ら、ナゼ又是をのぞいてハ見+するぞ。Sイヤ、のぞく 00104660M3じやない。/匂(にほ)ひを/嗅(かい)で(四十五ウ)たのしむのサ 00104670¥N60¥J 00104680¥X哥 00104690M6手前、/頃日(このころ)哥をよむげな。嘸面白い事であろ。/咄(はなし)が聞たい 00104700M7ものじや。Sヲヽサ、日本に生れてハ哥ハならふが/能(よい)。/古= 00104710M8今(こ=きん)の/序(しよ)に、/鴬(うくひす)/蛙(かハづ)迄が哥をよむと有△Sハテナ、鴬の哥ハ 00104720M9何とよんたな△S鴬の哥か。(四十六オ) 00104730M10△△△/初春(はつはる)のあしたごとには来たれども 00104740M11△△△△住てぞ帰る元のふるすへ 00104750M12又/蛙(かハづ)の哥ハどふだ。Sイヤ、蛙は鴬よりハ又上手だげな。 00104760M13マア哥ハしらぬが、/能(よく)/雨(あめ)をふらせる 00104770¥N61¥J 00104780¥Xせう※ひ 00104790M16あのしやう+緋といふものハ、何の(四十六ウ)/皮(かわ)だやら。 00104800M17/飛(とん)だうつくしいものたが、てまへハよく/色&(いろ+)の事を知てゐ 00104810M18るもんだが、あれハ/何(なん)の/皮(かわ)たろうなア。Sアレカ。あれハ 00104820M19ナ、だるまの皮よ 00104830¥P308 00104840¥N62¥J 00104850¥X/八百屋(やをや) 00104860L3/夫婦(めうと)ながら/無筆(むひつ)ゆへ、年中/帳面(てうめん)なしの中ざん用。/仕合(しあわせ)とか 00104870L4ゝがもの覚へハ/帳(てう)(四十七オ)より慥なゆへ、ソレ十六文、 00104880L5とうふ、いせや。Sヲイ、よし△S又近江屋、八文、/大根(だいこ)△ 00104890L6Sヲイ、よし△Sハイ、近江屋から/今(いま)の八文、銭やります。 00104900L7/帳面(てうめん)けしておかしやれ△Sハイ+、たしかに。ソレかゝ、 00104910L8わすれや 00104920¥N63¥J 00104930¥X/年(とし)より 00104940L11むす子が/小便(せうべん)するを、おやぢが見て、(四十七ウ)アヽ今の 00104950L12/若(わかい)ものハ、とんと役ニたゝぬ。おらが/若時(わかいとき)は、ツイニつか 00104960L13まへ小便など、/仕(し)た事ハないといへば、むすこか、Sナニ、 00104970L14つかまへねバ/顔(かほ)へかゝる 00104980¥N64¥J 00104990¥X大キサ 00105000L17二三人づれて/菊見(きくミ)にいて内へ帰り、なんと、あれハよつほ 00105010L18と/見事(ミごと)なもの(四十八オ)しやないか。第一ながいものじや。 00105020L19マアはなのいきほひからして、とんだものじやといふを、 00105030L20S/女房(にようぼう)、/釜(かま)の下たきながら、/仁王(にわう)様じや有まいし 00105040¥N65¥J 00105050¥X/店開(ミせひらき) 00105060M3たばこやの/店開(ミせひらき)に、ごふく屋風の口上引札を廻した故、い 00105070M4て見たれば、(四十八ウ)なる程/大会(たいくわい)な/店付(ミせつき)。スツト上ると、 00105080M5大勢の手代が、/茶番(ちやばん)よ。お/茶(ちや)/持来(もてこ)い。S子どもヨ、はつと 00105090M6ふり 00105100¥N66¥J 00105110¥Xあつかひ 00105120M9/密夫(まおとこ)見付たと、/柄(つか)に/手(て)をかくるを、だん+わび/言(こと)して、 00105130M10金子四両にあつかい、内え帰つて女房に、金四両出せとい 00105140M11ふに、女房(四十九オ)がふしんさに/根問(ねどひ)にこまり、何を/隠(かく) 00105150M12さふ。かう+した事でと聞て、ソンナラ一度が四両づゝ 00105160M13かへ。Sヲヽサ△S女房ソンナラおまへも、あの人の所へ 00105170M14いて、私がいふとて、マア四両取てお出 00105180¥N67¥J 00105190¥Xくわん 00105200M17二かいで、/息子(むすこ)が下女をつかまへて、(四十九ウ)たんすに 00105210M18おし付て、さつ+とするを、Sお/袋(ふくろ)が下に/居(ゐ)て、たばこ 00105220M19ヨ 00105230¥P309 00105240¥N68¥J 00105250¥X助兵衛 00105260L3すそつ/張(はり)の娘を/持(もつ)て、おやぢ、ほふどこまり、/工夫(くふう)して、 00105270L4とかく是ハめかけに出すがよいと/相談(さうだん)して、親子づれでふ 00105280L5り/売(うり)と/出(で)かけ、(五十オ)むすめハ/先(さき)に立て、めかけ+。 00105290L6Sヲヤヂいんらんのつび 00105300¥N69¥J 00105310¥X小そで 00105320L9わつちにどふぞ、哥がるたの小そでを/拵(こしらへ)てくんなとねだら 00105330L10れ、/仕立(したて)が/出来(でき)て持ていたれバ、きつう/悦(よろこ)んで、マア/着(き)て 00105340L11見やせう。申へ、わるい事ば/づ((ママ))かり。(五十ウ)/居敷(いしき)の所に、 00105350L12けふ/九重(こゝのへ)ににほひぬるかなとして有りんすと、S/前(まへ)を見れ 00105360L13バ、人こそしらねかハく/間(ま)もなし 00105370¥N70¥J 00105380¥Xチンホ 00105390L16小ぞう、/手前(てまへ)、とつさんのちんほうをミたか。Sヲヽ見た 00105400L17Sどんなちんほだ△Sとつたんのちんぼハ、/毛(け)がいかアい 00105410L18事はへて、ソシテ(五十一オ)此くらい/長(なが)イ△Sヲヽよく見 00105420L19たな。かゝ様のちんほハ見まい△S見た△Sどんなだ△ 00105430L20Sかゝ様のハ毛/斗(□かり)だ 00105440¥N71¥J 00105450¥Xつゝみ 00105460M3つゞミ故に/勘当(かんどう)/受(うけ)て、/所(しよ)せん/能(のう)やくしやにでもならふと、 00105470M4/弥(いよ+)せい出して、/朝(あさ)の六つから夜の九つ迄打てゐる/上根(しやうこん)。 00105480M5(五十一ウ)家来が、モシ、御ぜんがより能ござります。 00105490M6Sぽんホウ+とやつてゐらるゝ。/外(そと)から人が来て、お/見= 00105500M7舞(ミ=まい)申ます。Sハア+と/咄(はなし)しながらも、/皷(つゞミ)をはなさぬ。家 00105510M8来、つふやきながら、モシ、モウ/米(こめ)が一/粒(つぶ)もござりませぬ。 00105520M9ハリ上テSヤア(五十二オ) 00105530¥N72¥J 00105540¥X/口(くち) 00105550M12一が/力(ちから)、二が/手取(てとり)。一二そらふたすまふハ、/当世(とうせい)マアミへ 00105560M13ぬか、およそ/関八州(くわんはつしう)の内に、おれに/立(たち)あふすまふ取ハ/覚(おぼ)へ 00105570M14ぬと/広言(くわうげん)たら※。ドレ、おれが一番/立合(たちあふ)ふて見よふとい 00105580M15へば、手前たちをなぶるは、三つ子を/遊(あそ)はすやうなものと 00105590M16いゝつゝ立合かと/思(をも)へバ、マツ(五十二ウ)さかさまになげ 00105600M17出され、一座/臍(へそ)をよぢつて大わらひ。口にも/似(に)ぬまけよふ 00105610M18じやといへば、Sコレタカラ、ミそを/先(さき)え上ル 00105620¥P310 00105630¥N73¥J 00105640¥X/聞違(きゝちが)へ 00105650L3折介。/鳥渡(ちよと)此手紙持て行ケ。ハイ、どこで/御座(ごさり)ます。ソレ、 00105660L4/神田(かんだ)のれいがん/嶋(じま)で、/劔術(けんしゆつ)の/師匠(しせう)/後藤(ごとう)/騰造殿(とうぞうどの)と/尋(たづね)て/行(ゆけ)。 00105670L5/畏(かしこま)りました。(五十三オ)/扨(さて)/神田(かんだ)へいて、申、チト物/尋(たつね)ま 00105680L6せう。/御近所(ごきんじよ)ニ、よとうとうぞく様と申がござりますかな。 00105690L7イヽヱ、聞ませぬハい。手前、しらぬか。インヤ。ハテナ、 00105700L8かハつた名たが、何するお人だな。Sハイ、ふんじつの/師= 00105710L9匠(し=せう) 00105720¥N74¥J 00105730¥X/雷(かミなり) 00105740L12たいこ/引(ひき)つれ、なりこんだハ五丁町で、/近年(きんねん)のなりもの/雷= 00105750L13公(らい=かう)様。モシへ、お前の(五十三ウ)来なんすハ、とふも時分 00105760L14か定りんせん。あさでもチヨツトしらしてくんなんし。ソ 00105770L15レがとふも/定(さだめ)にくいが、大方黒雲が出たら、おれが/来(く)ると 00105780L16思へ。ソレデモきのふ黒雲か見へたから、来なんすかと思 00105790L17つたれと、来なんせなんた。ヲヽ、S来たかつたが、あの 00105800L18時ハ光ルものが(五十四オ)なかつたから 00105810¥N75¥J 00105820¥X$ 00105830M1通り/町(てう)を、サツ+と/四枚(しまい)かたで走せるは、ハヽア立派な 00105840M2医者たなと見れハ、六尺のかんばんに$の印。ハテ、 00105850M3かハつた印たといへバ、アレヲしらなひか。アレハナ、病 00105860M4ひが/細(こまか)に見へわかるといふ事たハヤイ。Sかたへの一人が、 00105870M5ナニサ、/小(ちつさ)な(五十四ウ)病気を大きく見立るのサ 00105880¥N76¥J 00105890¥Xよミくせ 00105900M8かぢ原平三を/先(さき)に立、大せいどや+とおしこめバ、忠の 00105910M9り、ヱヽぬき身でかたはしから/切(きり)たをせバ、ヱヽやれ、に 00105920M10けろ+。S八よ。わりや無/筆(ひつ)だが、/能(よく)/其(その)様に読るなア。 00105930M11何をよむ。Sコレサ。$(五十五オ) 00105940¥N77¥J 00105950¥X$ 00105960M16アヽ、お江戸と申所ハノモシ、でつかい事ども引うけて、 00105970M17世話めさる人がござり申スの。Sナンデゴザル△S長崎の 00105980M18権兵衛と、だいまいの/公事(くじ)を/引(ひき)うけ申スとさ 00105990¥N78¥J 00106000¥Xそゝう(五十五ウ) 00106010¥P311 00106020L1しちやの/手代(てだい)、/蔵(くら)へはいり、/思(おも)ひ/入(いれ)の小袖を/取出(とりだ)し、ばん 00106030L2にハ是を/着(き)て/深川(ふかかわ)えのり出さふと/思(おも)ひ、/夜(よ)ニ入て、/首尾(しゆび)を 00106040L3/見合(ミあハ)す内に、/隠居(いんきよ)が/店(ミせ)へ出て/長&(なが+)と/咄(はなし)てゐらるゝ内、/早(はや) 00106050L4五つハ/打(うつ)。/気(き)ハクシヤ+、つくほどせけども/仕(し)よふなし。 00106060L5だん+/咄(はなし)に/根(ね)がはへ、/枝(ゑた)ハさく。/夜(よ)は(五十六オ)ふける、 00106070L6/気(き)ハいらつ。やう+四つ前ニなつて、サア+/皆(ミな)/寐(ね)やれ 00106080L7と/隠居(いんきよ)が/奥(おく)え/行(ゆか)るゝやいな、/蔵(くら)えかけ入、チヨン+キリ 00106090L8+ト/着(き)かへて/飛出(とびだ)して中町え/行(ゆき)、なじミの茶やへズツト 00106100L9上れば、ヤレ++。コレハどふでござります。ヲヽナ。 00106110L10どふも用が/多(おゝ)くて/遅(おそ)くなつたと/座敷(ざしき)へ 00106120L11通れば、/待(まち)かねた/女郎芸者(ちよろうげいしや)、ツラリト 00106130L12(五十六ウ)ならんだ/真中(まんなか)へ、きん+と 00106140L13おしなをり 00106150¥N78¥J 00106160¥Xやミ 00106170L16/田舎衆(いなかしゆ)、江戸/問屋(といや)にとうりうしてゐらるゝ所、内に/美(ひ)ナや 00106180L17つがゐる故、サマ※アヤナシても(五十七オ)きかぬ。と 00106190L18やかふの内、国え帰らねハならぬとしたくして、/明日(あす)/立(たつ)と 00106200L19いふ前のばん、女の/部屋(へや)へしかけ、コレ、そなたにやらふ 00106210L20と思ふて、国から持テ来た手をりもめんと、手にわたして 00106220M1又あやなしたれば、九十九夜 00106230M2の思ひも壱反でチヨン+ト 00106240M3下のまくも打とけて事すミ、 00106250M4客ハくらい内から出立。女ハ 00106260M5うれしさに/寐(ね)(五十七ウ)所に 00106270M6ゐる内から、アノ/木綿(もめん)をドウ 00106280M7染てコウ/染(そめ)てとたのしミ、/夜(よ) 00106290M8が/明(あけ)ると/早&(さう+)、マヅ出して見 00106300M9よふと、取出して見れば$(五十八オ) 00106310¥N79¥J 00106320¥(無題) 00106330M12コリヤ久介。われは/大分(だいぶ)/地口(ちぐち)が上手じやと、となりの/亭主(ていす) 00106340M13がいわれた。おれにもチトいふてきかせい。$Sハ 00106350M14イ、にハかにハ出にくふござります△Sコイツハ++、 00106360M15せつかく(五十八ウ)/望(のぞ)むに、俄にハ出来ぬと、もつたいを 00106370M16付おると、さん※/腹(はら)を立れば、となりの/亭主(ていしゆ)が聞て、イ 00106380M17ヤ、それが則地口サ。/庭(にハ)で/蟹(かに)/洗(あら)ふを直に引かけて、/俄(にハか)にと 00106390M18いふたものじや。ハヽア、そふ云のが/地口(ちぐち)かと心得して、 00106400M19久介+。今のハおらが了簡ちがひだ。S久介イヤモ、私 00106410M20のふてうほう△Sア、コレハできた(五十九オ) 00106420¥P312 00106430¥G(五十八ウ) 00106440¥N80¥J 00106450¥X(無題) 00106460L13$湯へいかなへか。ヲヽ行ベイ。チトまちや。か 00106470L14んきんして行べイ。Sハテ、帰てからにしやれ△Sイヤ/直(じき) 00106480L15だよと、$チヤン++。ソレよし+。ナン 00106490L17ノ事ダ。/念仏(ねんぶつ)ハ申サなひか。Sイヤ、ねんぶつハ湯やで申 00106500L18ス(五十九ウ) 00106510¥N81¥J 00106520¥X$ 00106530M1$アイ、お/暇(いとま)申ます。S/送(おく)らそふか。イヱ+と、 00106540M3$貴様、とぼしても見へハせまいが。Sイヤ、 00106550M5人がツヽカラヌ様ニ△Sコレハできた。ヨウお出△Sハイ 00106560M6+。/哥(うた)なと/諷(うたつ)て四五丁/行(ゆけ)ば、ばつたり/行当(ゆきあたる)と、ヤイめく 00106570M7らめ。Sソウいふおのれもめくらだ△Sおれが(六十オ)め 00106580M8くらハしれて有が、おのれ、此てうちんが見へぬか△Sべ 00106590M9ラボウメ、きへて有は 00106600¥N82¥J 00106610¥Xぬす人 00106620M12其日ぐらしの人が、ずつしり千両/拾(ひら)ふた。ヤレ有がたやと 00106630M13/持(もつ)てハ/帰(かへ)つたが、/盗人(ぬすびと)がモシかぎ付てハと$/昼夜(ちうや) 00106640M14はり/番(ばん)。/是(これ)をもとでに何をしよう/彼(か)をしよう(六十ウ)と心 00106650M15をくだけども、千両といふ金、ドウモしようがない。/商内(あきない) 00106660M16やめて番して居るから、/米(こめ)/買(かう)銭ハなし。大屋ハ/店(たな)ちんをせ 00106670M17がむ。十日の上もまんぢりともせぬゆへ、イヤ+、/命(いのち)に 00106680M18ハかへられぬと、百両/持(もつ)てかけ/落(をち)(六十一オ) 00106690¥N83¥J 00106700¥Xくすりぐひ 00106710¥P313 00106720L1かね/持(もち)の子が廿四五の/頃(ころ)、/生得(しやうとく)/虚性(きよせう)で、ふら+わづらふ 00106730L2から、/医者(いしや)がすゝめて、/猪(いのしゝ)を二タ/廻(まハ)り程くふたれば、大に 00106740L3力づき、うれしさにグツト/気分(きぶん)よくなり、今迄グス+/暮(くら) 00106750L4したかハり、チトきほふて見よふと、/日和下駄(ひよりげた)でブウ+ 00106760L5(六十一ウ)やつてミれバ、/近所(きんじよ)でハ金/持(もち)の子じや故、人も 00106770L6/立(たて)て通す。コレハ/面白(おもしろ)い。此よ 00106780L7ふすなら、どこ迄もいかれると 00106790L8$小田原町から日本橋へか 00106800L9けて、とす声て、ヤアよい+ 00106810L10といゝもつて行バ、/気違(きちかひ)ひと思 00106820L11ふて、/寄(よる)人も(六十二オ)なし。/勝(かち)にのつて、ねつて行たが、 00106830L12$あたりから、/腹(はら)がへつた。そばやへズツ 00106840L13ト入、一二盃くふて出ハ出たが、そばハ 00106850L14/猪(しゝ)の/敵薬(てきやく)ゆへ、二廻りの薬/喰(くい)の 00106860L15げんき、/忽(たちまち)にぬけ/果(はて)、$あハ 00106870L16れな声で、ヨイ+といふて/行(ゆく) 00106880L17と、むかふから、りきんた男が(六十二ウ)来て、バタリ行 00106890L18あたりけれバ、グニヤ+とへたかり、Sモシ、おまへハ 00106900L19いく廻り、上りました$(六十三オ) 00106910¥G(六十三オ) 00106920¥N84¥J 00106930¥X$ 00106940M14女中方、/舟遊(ふなあそ)びに出て、/急(きう)に小便せんとて/艫(とも)え下りたるが、 00106950M15橋の上に人ハ多し。$トやつてゐる。橋の上の若 00106960M17イ/衆(しゆ)、サア+/行(ゆく)べい。/歩(あゆ)め+といへば、マアまちやれ。 00106970M18めづらしい(六十三ウ)事が有。ナンダ+。Sぼゞが/声色(こわいろ) 00106980M19つかう 00106990¥P314 00107000¥N85¥J 00107010¥X仕かた 00107020L3コレハ+久しぶりで、おめにかゝつた。今ハどつちに。 00107030L4Sアイ。山の手にといふても、相手が$がとを 00107040L6いから$トスレバ、Sムヽ山の手か。シテ、しやうば 00107050L8いは(六十四オ)$ムウ、きざみたはこだの。ソレ 00107060L10ハヨイ+。まだ/独身(どくしん)か。Sイヤ+、$かゝもあ 00107070L11るテヤ 00107080¥N86¥J 00107090¥X(無題) 00107100L14コレ折介。/手前(てめへ)の$/銘(めい)ハ何だ。おらがのハ 00107110L16$の/守(かミ)/藤原(ふぢハら)の/竹□(たけミつ(ママ))。ムウ、それから見れバ、 00107120L17おらがのは、また/名作(めいさく)だ。S手前のハナンダ+△Sなミ 00107130L18の上の/浮(うき)やすサ 00107140¥Y1終(六十四ウ)