00000010¥P3 00000020¥U噺本大系△第十巻 00000030¥T@安永|新板|絵入@/軽口(かるくち)/五色帋(ごしきがみ)〔題簽〕 00000040¥G 00000050¥Y 00000060L16安永三年正月刊 00000070L17百尺亭竿頭序 00000080L18京△菊屋安兵衛等板 00000090L19半紙本三巻三冊 00000100L20東大国語研究室蔵 00000110¥Y序 00000120M3/此間(このあいだ)、よそに/老父(ぢい)と/老母(ばゞ)とあつて、ぢいハ/屋根(やね)へ/田(た)かりに 00000130M4ゆく、ばゝハ/門(かど)に/膳立(ぜんだて)してゐたれハ、/狸(たぬき)が一/疋(ひき)とんで/来(き)た 00000140M5げなと、/云(いふ)やうなことでなけれバ/請(うけ)とらぬ、/当世(とうせい)の(一オ) 00000150M6/人気(ひとぎ)/呑(のミ)こんで、/咽(のど)につまらぬ/軽口咄(かるくちはな)し、/書集(かきあつめ)たる/猿(さる)の/尻(しり)、 00000160M7てもまつかいな/虚言(うそ)の/皮(かわ)、/太鼓(たいこ)にはつた/午(むま)のはつ/春(はる) 00000170M9△△△△△△△△△△△△△△△△百△尺△亭 00000180M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△竿頭 00000190M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一ウ) 00000200¥P4 00000210¥Y/軽口(かるくち)/五色帋(ごしきかミ)/序(ぢよ) 00000220L3/何(なに)とやら/通(どふ)り/何(なに)とやら/町(てう)、どつちへやら/行所(ゆくところ)に、/軽口(かるくち)/噺(はなし)指= 00000230L4南(し=なん)といふかんばんを/出(いだ)しければ、/何(なに)が/咄(はなし)すきの/連中(れんぢう)/寄(より)あつ 00000240L5まり、これハめづらしいかんばんを出した。なんと/行(ゆく)まい 00000250L6かといふより、それハよからふと、二三人づれにて/行(ゆき)ける 00000260L7が、見れば、/門口(かどぐち)の/柱(はしら)に、/山川(やまかわ)/唇薄斎(しんばくさい)といふ/表(ひやう)/有(あり)ければ、 00000270L8やがて(二オ)うちへ入り、/頼(たの)ミませふ+といふこゑに、 00000280L9/襷褌(たすき)はずしてとんで/出(で)る/下女(げぢよ)の/名(な)ハ、りんといふか、わん 00000290L10といふかハしらねども、どふれといふも、あまりつこどに 00000300L11もなく、どふやら/声(こゑ)におもしろミのあるハ、いかさま/軽口(かるくち) 00000310L12やの/下女(げぢよ)ほど有て、又ちがふたものじやと/囁(さゝやき)あひ、イヤ、 00000320L13/咄者(せつしや)どもハ、/咄(はなし)/御指南(ごしなん)にあづかりたさに/参(まい)つたものでござ 00000330L14る。此だん、/先生(せんせい)へよろしくつたへられてくだされと、 00000340L15(二ウ)しかつべらしくのべけれバ、かしこまりましたと下 00000350L16女がつたふる/口上(かうじやう)に、/唇薄斎(しんばくさい)/出(いで)むかひ、これハ+、ミな 00000360L17+やうこそ/御出(おいで)。サア+これへと/座敷(ざしき)へともなひ、い 00000370L18づれも/軽口(かるくち)/御修行(ごしゆぎやう)なされたいとあつて、/是(これ)まで御出なさる 00000380L19ゝ/段(だん)、/近比(ちかごろ)御きどく/千万(せんばん)とあいさつし、/菓子盆(くハしぼん)に/塩打豆(しほうちまめ)を 00000390L20うづだかくもりてさし出し、せんじ/茶(ちや)をこつちりといれて 00000400M1のまさるゝは、これぞはなしの(三オ)たねならん。/床(とこ)を見 00000410M2れば、/時分(じぶん)がら/水仙(すいせん)に/山茶(つばき)のいけ/花(はな)。二/種(しゆ)共に/葉(は)ハむしつ 00000420M3て、花ばかりなりければ、イヤ、/先生(せんせい)。御/花(はな)がうるハしう 00000430M4入ました。いかさま/花(はな)バかりをおつかひなされて、/葉(は)なし 00000440M5になされた所ハ、御/尤(もつとも)な御/趣向(しゆかう)でござります。サテ、御 00000450M6/一軸(いちぢく)を見ますれば、/葛家(くずや)の/上(うへ)に/雀(すゞめ)が一/羽(ハ)とまつてゐまする。 00000460M7其下に/老女(らうぢよ)が、かた手に/茶(ちや)わんやうの物をもち、かた手に 00000470M8ハ(三ウ)/鋏(はさミ)を/持(もつ)てゐますが、あれハ何の/図(づ)でござりまする 00000480M9とたづぬれば、ヱヽ、あれハ/彼(かの)/舌(した)きり/雀(すゞめ)どのゝ/図(づ)でござる 00000490M10とこたへられけれバ、/成(なる)ほど、これハ又/各別(かくべつ)な御/物(もの)ずきか 00000500M11なと、ミな+大にかんじ入ける。/扨(さて)/先生(せんせい)申されけるハ、 00000510M12まづ/咄(はなし)をこのむで、/噺(はなし)といふことの/故事来歴(こじらいれき)をしらいでハ 00000520M13すまぬことでござるによつて、マア/咄(はなし)の/由来(ゆらい)から、だん 00000530M14+/云(いふ)て/聞(きか)しませうほどに、いづれも(四オ)さやうにおぼ 00000540M15しめされませ。/抑(そも+)/噺(はなし)といふ事の/濫觴(はじまり)ハ、/古昔(むかし)庚申天皇(かうしんてんわう)の 00000550M16/御時(おんとき)に、/尾張(おはり)の/国(くに)より/葉(は)のなき/大根(だいこん)を/奉(たてまつ)る。長サ二丈六尺 00000560M17三寸五分。かつてつまミ大こんほどな/葉(は)もなくして、づん 00000570M18ぼらぼんなりとかや。/帝(ミかど)、/叡覧(ゑいらん)ましまし、/御感(ぎよかん)のあまり一 00000580M19/首(しゆ)の/御製(ぎよせい)を給ハりける。御/哥(うた)に、 00000590M20△△△てもゑらいこのだいこんをたいてミや(四ウ) 00000600¥P5 00000610¥G(五ウ・六オ) 00000620M1△△△△いくたりまへの/菜(さい)になるぞい 00000630M2とあそバされ、御よろこびなゝめならず。まことに/前代未= 00000640M3聞(ぜんだいミ=もん)の/葉(は)なしかなとの給ひしより、人に/対(たい)して物がたりする 00000650M4事を、はなしとハいひならハせり。なれども其/時代(じだい)には/今(いま) 00000660M5のごとき/軽口噺(かるくちはなし)といふものハなし。かる口はなしといふも 00000670M6のハ、中ごろよりはじまりし物なり。しかし、其中ごろのか 00000680M7る口ばなしといふも、/今(いま)の(五オ)(五ウ・六オ挿絵)やうなる 00000690M8おとしばなしにてハなく、やはり/実(まこと)のはなしを、おもしろ 00000700M9く/口軽(くちがる)にいふ事也。又今のおとし/噺(はなし)といふものハ、ずんど 00000710M10/近比(ちかごろ)のものにて、/元禄(げんろく)の比/露休先生(ろきうせんせい)といふもの出て、/法会(ほうゑ) 00000720M11の/場(にハ)にて/興(けう)あるおとしの/軽口(かるくち)噺をなせしより、この道/大(おほい)に 00000730M12/世上(せじやう)に/行(おこな)ハれし/処(ところ)。つゞいて/米沢先生(よねさわせんせい)なるもの出て、いよ 00000740M13+軽口世に/盛(さか)んにして、/終(つい)に/露休流(ろきうりう)、/米沢(よねさわ)流の二流とな 00000750M14る。しかれども、(六ウ)二/流(りう)ともに/咄(はなし)の/皮肉(ひにく)をいふて、い 00000760M15まだ/骨髄(こつずい)を云ハず。さるによつて/当時(とうじ)/粋(すい)なる人の/風(ふう)に/合(あわ)ず。 00000770M16/今時(いまとき)ハ三/歳(さい)の/小児(こども)でも/祖父(ぢい)と/祖母(ばゝ)でハ/合点(がてん)せず。それゆへ 00000780M17手まへの/流儀(りうぎ)ハ、/専(もつハら)噺のこつずいをいふて、/当世(とうせい)の/人気(ひとぎ) 00000790M18にあふを/肝要(かんよう)と致なり。しかし人の/気質(きひつ)にさま※ありて、 00000800M19今時でも、ずいぶんぶ/風雅(ふうが)な人も有物なれば、其人に風雅 00000810M20なはなしをしてハ一かう/間(ま)に/合(あハ)ず。/遠国(ゑんごく)の(七オ)人に/京(きやう) 00000820¥P6 00000830L1のはなしをしてハ、ねから通ぜず。むかしからいふてある 00000840L2とふり、/人(にん)をミて/法(ほう)を/説(とけ)で、/当世(とうせい)をこのむ人には当世にむ 00000850L3く/噺(はなし)、/粋(すい)をこのむ人には/粋(すい)にむくはなし、/遠国(ゑんごく)の人にハ遠 00000860L4国の人にむく/咄(はなし)をするが此方の/心得(こゝろへ)なり。しかし米沢先生 00000870L5がいふた通りで、むくのむかぬのといふて、噺に/皮(かわ)の有物 00000880L6でハなけれども、むかふの人の/気(き)にあうとあハぬとの事な 00000890L7り。(七ウ)/別(べつ)して/禁(きん)ずべきハ/親子兄弟(おやこきやうだい)、あるひハ/篤実(とくじつ)なる人 00000900L8の/並居(なミゐ)る中でさし合咄など、大によからぬ事なり。/扨(さて)はな 00000910L9しによつて、/競(きをひ)かゝつていハねバならぬはなしもあり。ず 00000920L10いぶんおさめていはねバならぬはなしもあり。又/哀(あは)れにい 00000930L11ハねばならぬ/噺(はなし)もあり。扨/貴人(きにん)より/中人以下(ちうじんいか)、/或(あるひ)ハ/駕篭舁(かごかき)、 00000940L12/船頭(せんだう)、/馬士(むまかた)、/非人(ひにん)、/乞食(こつじき)にいたるまで、/皆(ミな)それ+の/詞(ことば)づ 00000950L13かひ、又/老若男女(らうにやくなんによ)の/声(こゑ)のつかひわけ/抔(など)が(八オ)/第(だい)一の/心得(こゝろゑ) 00000960L14也。此/趣(おもむき)をとくとのミこまねバ、/面白(おもしろ)い咄でも、それほ 00000970L15どにおもしろからず。又あまりおもしろふもないはなしで 00000980L16も、此所をとくとのミこんではなせば、思ひのほか/落(おち)のく 00000990L17る物也。先今日ハ/上品(じやうひん)むき、/粋(すい)むき、/遠国(ゑんごく)むき、/学者(がくしや)むき、 00001000L18/当世(とうせい)むき。此五通のわかちを申ませう。さりながら、/古語(こご) 00001010L19にもいふて有通りで、/噺(はなし)といふものが/天(てん)からふらず、/地(ち)か 00001020L20らもわかず、木の/椏(また)からハなをはへず、/小沢山(こだくさん)そふに(八 00001030M1ウ)あたらしいはなしが、其やうにたんと/出来(でき)る物でハな 00001040M2いによつて、とかく/聞人(きゝて)の/方(ほう)に、あたらしい/耳(ミヽ)をずいぶん 00001050M3たんとこしらへて/所持(しよぢ)してゐるがよふござる。じやによつ 00001060M4て、手まへがいたす/噺(はなし)もミな/古(ふる)い咄なれ共、/先(まづ)それ+へ 00001070M5むくとむかぬとの/噺(はなし)の/体(てい)を、申までの事でござるほどに、 00001080M6いづれも/左様(さやう)に思召て、/得(とく)と御聞なさりませ。/最初(さいしよ)/上品= 00001090M7向(じやうひん=むき)の咄から/致(いたし)ませうと、しさいらしく/扇(あふぎ)を/斜(なゝめ)にかまへて、 00001100M8ヱヘン+(九オ) 00001110¥P7 00001120¥Y1/軽口(かるくち)/五色帋(ごしきがミ)上之巻 00001130L3△△△/目録(もくろく) 00001140L4一△/礼者(れいしや)の人なし 00001150L5一△/水(ミづ)あつめ 00001160L6一△/烟管(きせる)のせりあひ 00001170L7一△/墨(すミ)ぬり(九ウ) 00001180L8一△/非人(ひにん)の/薦(こも) 00001190L9一△/茶(ちや)屋の/先銀(さきがね) 00001200L10一△/茶(ちや)の/湯(ゆ)ずき 00001210L11一△/眉毛(まゆげ)に/唾(つわ) 00001220L12一△/俄(にわか)/乞食(こじき) 00001230L13一△かなもの/喰(くひ)(十オ) 00001240¥T1 00001250¥N1¥J 00001260¥X/札者(れいしや)の人なし 00001270M3さるかたの/旦那(だんな)、/元日(ぐわんじつ)さう+/礼(れい)に/出(いで)られ、まづとなりか 00001280M4ら、だん+まハられけるが、あるいゑにて、ものもう 00001290M5++といふても、とんとをとがせぬゆへ、しバらく見 00001300M6あハせ、また、ものもう++といふてミても、ぐつと 00001310M7もすつともこたへざりければ、/供(とも)の/丁稚(でつち)が、どふれとこた 00001320M8へけれバ、/旦那(たんな)、大きにはらを(十ウ)たて、こさしでた、 00001330M9何のためにおのれが、どふれといふたぞと、しかられけれ 00001340M10ば、デモ、あまりおせいがつきやうとぞんじまして 00001350¥N2¥J 00001360¥X/水(ミづ)あつめ 00001370M13/旦那(だんな)。うけ給ハりますれば、/頃日(このごろ)ハ/名水(めいすい)を御あつめなされ 00001380M14ますげにござります。又これは一/段(だん)/風雅(ふうが)なおたのしミでご 00001390M15ざります。サレハおれもこれまで/古銭(こせん)をあつめる、/介(かい)をあ 00001400M16つめる、/石(いし)を(十一オ)あつめる、/異物(ゐぶつ)をあつめる。此たび 00001410M17ハ/何(なん)ぞきれかわつたものとおもふて、水と出かけた。ホン 00001420M18ニさいわいじや。/今朝(けさ)/朧(おぼろ)の/清水(しミづ)を取よせた。ふるまおふ。 00001430M19ソレハありがたい。イヤマア、これからさきへのんでミや。 00001440M20是が/西(にし)の/洞院(とうゐん)の/柳(やなぎ)の水じや。サテ是が/彼(かの)/井堤(いで)の/玉川(たまミづ)。ナン 00001450¥P8 00001460L1トよからふが。イヤハヤ、また/各別(かくべつ)な物でござります。サ 00001470L2テ、是が/武者(むしや)の/小路(こうぢ)の/常盤(ときは)井の水。これが/六条(ろくでう)の/醒(さめ)が井の 00001480L3水。これが/天王寺(てんわうじ)の/亀(かめ)井の水。イヤモシ、/最前(さいぜん)から(十一 00001490L4ウ)すさまじうたべました。のこりハ又、明日さんじまし 00001500L5てたべませう。デモかんじんの/朧(おぼろ)の/清水(しミづ)がのこつてある。 00001510L6イヤモ、/腹(はら)がどぶついて一口もいけませぬ。デモ、ちつと 00001520L7なりと。イヱモ。はてさて。イヱモ。はてさて。イヱモ。 00001530L8はてさて。モシどふぞ、おゆるしくださりませ。モフ申ま 00001540L9す+ 00001550¥N3¥J 00001560¥X/烟管(きせる)のせりあひ 00001570L12ある所に、/客(きやく)両人よバれけるが、/客人(きやくじん)、やがてたばこぼん 00001580L13のきせるをとり、たばこをつぎてのミかけら(十二オ)るゝ 00001590L14に、ぶそうじなきせるとミへて、ありたけ/頬(ほう)をすぼめられ 00001600L15ても通らバこそ。今一人の/客(きやく)きのどくがり、マア、これで 00001610L16おあがりなされませ。わたくしがとふしませう。イヱ+、 00001620L17/私(わたくし)が通します。マア、これへつかハされませ。イヱ、私 00001630L18がと、せり合ゐらるゝ所へ/亭主(ていしゆ)出られ、/此体(このてい)をミて/丁稚(でつち)を 00001640L19/呼(よ)び、コリヤ、ソノつまつたきせる、/今(ま)一本/持(もつ)てこひ 00001650¥N4¥J 00001660¥X/墨(すミ)ぬり(十二ウ) 00001670M3マア/聞(きい)てたも。せんどから、きつう/内(うち)がやかましうて、/親= 00001680M4仁(おや=ぢ)が/勘当(かんどう)せうといふを、/一家中(いつけぢう)があいさつで、どふやらこ 00001690M5ふやらとくしんしたが、其かハりに、さつまのしるべのか 00001700M6たへやつて、四五年/塩(しほ)をふますといふものに/究(きわ)まつて、け 00001710M7ふおれに其とふり云わたした。/今夜(こんや)ハそれでマア、いとま 00001720M8ごひにきたのじや。又/逢(あ)ふやら/逢(あ)ふまいやらしれぬほどに、 00001730M9ずいぶん/達者(たつしや)でゐてたもと、なミだぐんでの(十三オ)いと 00001740M10まごひ。ヱヽ、それハマアほんの事かいなア。わしや、お 00001750M11まへひとりをたのミに思ふてゐるものを。もしそんな事な 00001760M12らバ、わしや/生(いき)てハゐぬハいなア。どふぞ/仕(し)やうハない事 00001770M13か。コレ、よい/思案(しあん)を出して下さんせ。ホンニ、此やうな 00001780M14かなしひことがまたと/世界(せかい)に/有(あら)ふかと、いハるゝ所ハなん 00001790M15の事ハない、/桜丸(さくらまる)が/腹切場(はらきりば)の/八重(やゑ)が/仕内(しうち)でやりかけ、小め 00001800M16ろをよんで、おさんどの。/茶(ちや)+一つおくれと取よせ、一 00001810M17口のんで、うしろの(十三ウ)方へかくしおき、/着物(きるもの)の/袖(そで)を 00001820M18/顔(かほ)にあて、そつと/茶碗(ちやわん)の中の/茶(ちや)を/指(ゆび)につけて/目(め)をぬらし、 00001830M19かなしいわいなアといふてハ目をぬらし、なさけないこと 00001840M20じやハいなアといふてハ/茶(ちや)をぬつてゐれども、かの/客(きやく)ハそ 00001850¥P9 00001860¥G(十四ウ・十五オ) 00001870M1れともしらず、さしうつむいてゐられけるが、/隣座敷(となりざしき)の/客(きやく) 00001880M2が、そつと/差(さし)のぞき、さて+にくき/仕方(しかた)かなと、/硯(すゞり)を/取(とり) 00001890M3よせ/墨(すミ)をすり、/茶碗(ちやわん)に入てうしろより、ぬきあし(十四オ) 00001900M4(十四ウ・十五オ挿絵)して、かのちやわんとすりかへ/置(おき)ければ、 00001910M5それともしらず、かなしいハいなアといふてハ/墨(すミ)を目に 00001920M6ぬり、どふしようぞいなアといふてハ墨をぬりて、なき 00001930M7ゐける。/折(おり)ふし/客(きやく)、ふと/仰(あをむひ)て/顔(かほ)を見られけれバ、サア+ 00001940M8/生捕(いけどつ)た+といふやうな顔ゆへ、大キに/肝(きも)をつぶし、コレ 00001950M9+、そのわがミのかほハ、マアどふした/顔(かほ)じやぞいのフ。 00001960M10どふしたとハ/曲(きよく)がない。これがマア、どふ/泣(なか)ずにゐられふ 00001970M11と、すりつけるほどなを/真黒(まつくろ)。/客(きやく)(十五ウ)ハ/女郎(ぢよらう)の/延鏡(のべかゞミ)を 00001980M12取出し、ソレ、マア見やと、つきつくれば、我もびつくり 00001990M13しながら、さハがぬ顔で、アノ是ハな。あんまりかなしさ 00002000M14に、/烏睛(くろだま)をすりやぶつたのじやハいなア 00002010¥N5¥J 00002020¥X/非人(ひにん)の/薦(こも) 00002030M17八よ。わりやよい/薦(こも)もらふたなア。あつたら物を、なぜに 00002040M18ミじかふ/切(きる)ぞい。イヤ、/今(いま)/着(き)て見たが、あんまり長うて、 00002050M19どふやら/医者(いしや)のやうでわるい(十六オ) 00002060¥P10 00002070¥N6¥J 00002080¥X/茶(ちや)屋の/先銀(さきがね) 00002090L3これハ/旦那(だんな)、よふお出。まづおくへ。女子ども、おくへお 00002100L4/供(とも)せい。イヤ、けふハ/円山(まるやま)へ行。そのやうにしてハゐられ 00002110L5ぬ。デモ、マアしバらく。イヤ、もどりによろ。是、そこ 00002120L6へ入にして/置(を)きやと、/金子(きんす)五十両わたさるれば、/亭主(ていしゆ)/肝(きも)を 00002130L7つぶし、コレハ有がたい。/茶(ちや)屋へ/先銀(さきがね)くださるとハ/前代未= 00002140L8聞(ぜんだいミ=もん)といたゞけバ、イヤ、/全躰(ぜんたい)に/銀(かね)ハこゝへくして/置(おい)たがよ 00002150L9い。内にあると(十六ウ)何の/役(やく)にもたゝぬ事につかふてし 00002160L10まふ 00002170¥N7¥J 00002180¥X/茶(ちや)の/湯(ゆ)ずき 00002190L13けしからぬ茶の湯のすきなる人、ある/所(ところ)を通られけるに、 00002200L14/客(きやく)ありと見へて/路次口(ろじぐち)/明(あけ)はなち、/水(ミづ)などうちて/奇麗(きれい)に見へ 00002210L15ければ、/彼(かの)人、/元(もと)より/好(すき)の道なれば心にくゝ、そとさし/覗(のぞ) 00002220L16き、二/足(あし)三足おぼへず/囲(かこい)の/傍(そば)まで来り、/庭(にわ)なら/囲(かこい)の/物数奇(ものすき)、 00002230L17ハテサテ/風雅(ふうが)なる/好(この)ミかなと/感(かん)じ(十七オ)入り、とてもの 00002240L18ことに内がミたきものと、くゞり/戸(ど)をすこしあけてのぞき 00002250L19見れば、/釜(かま)もしやん+にへて有ければ、たまりかね、や 00002260L20がて/囲(かこい)へ/這入(はいり)、/床(とこ)をながめ/釜(かま)をのぞき、コレハ+、コレ 00002270M1ハ+といふて、いつかう/夢中(むちう)になり、それより/水屋(ミづや)を見 00002280M2られければ、めづらしき/茶器共(ちやきども)取そろへ有けれバ、どふぞ 00002290M3一ふくたてたきものと、そろ+/道具(どうぐ)を/錺(かざり)つけ、さもゆふ 00002300M4+と/茶筌(ちやせん)とふじなどせらるゝころ、(十七ウ)/俄(にわか)に/勝手(かつて)そ 00002310M5ふがしく、/何者(なにもの)やら、かこいへはいつてゐると、/勝手口(かつてぐち)を 00002320M6ほそめにあけ、かはる+さしのぞき、アレハどふでも/茶(ちや) 00002330M7の/湯(ゆ)の/盗人(ぬすびと)であらふ。どふしよう、かふしようと/評義(ひやうぎ)まち 00002340M8+なる所に、/彼男(かのおとこ)/手(て)をたゝきければ、そりやこそ/呼(よ)ぶ 00002350M9ハ。何にもせよ、マア/瓶斎(ひんさい)、いて/聞(きい)てこいと、むりにおし 00002360M10やれば、せうことなしに小/坊主(ぼうず)ハ勝/((手脱カ))口より、ハイ、何の/御= 00002370M11用(ご=よう)と/尋(たづ)ぬれハ、イヤ、/最前(さいぜん)からいかふ勝手がそふがしい 00002380M12(十八オ) 00002390¥N8¥J 00002400¥X/眉毛(まゆげ)に/唾(つわ) 00002410M15アノわたしや、おまへに御/無心(むしん)があるが、/聞(きい)てくれなます 00002420M16かへ。コレハあらたまつた、/何(なん)なつと聞てやろ。そんなら、 00002430M17どふぞ/金(きん)を百/疋(ひき)くれなませんか。ソレハ何よりやすい事じ 00002440M18や。/幸(さいハい)こゝにある。ソレやろと、はな/帋(かミ)入より金壱/歩(ぶ)取 00002450M19出しやりけれバ、イヤモシ、わたしがいふのハ、百疋のこ 00002460M20とじやハいなア。サアそれが百疋じやハいなふ。アノいひ 00002470¥P11 00002480L1なますことハいなア。コリヤたつ/((た脱カ))(十八ウ)一/疋(ひき)じやもの 00002490¥N9¥J 00002500¥X/俄(にわか)/乞食(こじき) 00002510L4さる/銀持(かねもち)の/旦那(だんな)、ことの外/古(ふる)イ物ずきにて、何でもふるい 00002520L5ものとさへいへば、何のやくに立ぬものでも、/金銀(きん※)をおし 00002530L6まずもとめられけるが、それゆへ、ほどなふ/身代(しんだい)/滅却(めつきやく)して、 00002540L7/今日(こんにち)/食(くハ)う物もなきやうになり、せんかたなく/乞食(こじき)と/出(で)かけ 00002550L8られけるが、/乞食(こじき)に成ても入用の物とて、/仁徳天王(にんとくてんわう)の(十 00002560L9九オ)/高(たか)きやにおしきなされたるあら/薦(こも)と、/弁慶(べんけい)が/食椀(めしわん)と 00002570L10/西行(さいぎやう)の/行脚(あんぎや)の/杖(つえ)と、此三/品(しな)をのこし置けるが、/件(くだん)の/薦(こも)をか 00002580L11ぶり、/飯椀(めしわん)を/持(もち)、/杖(つえ)をつき、/門(かど)がまへよろしき/軒(のき)に立て、 00002590L12モシ、わたくしハ/腹(はら)からの/乞食(こじき)でもござりませぬ。/身上(しんしやう)を 00002600L13しもつれまして、かやうの/身分(ミぶん)になりました。どふぞ一せ 00002610L14んの御/合力(かうりよく)/頼(たのミ)ますといはれければ、いかさま、あれハよ 00002620L15しある人と見へ(十九ウ)ると、一文やられけれバいたゞき、 00002630L16モシ、/近頃(ちかごろ)じゆうなことながら、どふぞ/古銭(こせん)とかへてくだ 00002640L17さりませ 00002650¥N10¥J 00002660¥Xかなもの/喰(く)ひ 00002670L20アノ金八といふやつハ、なんでもかなものを喰ふといふて 00002680M1/自慢(じまん)しをる。何ぞあいつがこまりおるものを、くハしたひ 00002690M2ものじやが。ヲツト、よいものがある。/針(はり)がねをぐる+ 00002700M3とわごためて、すい物にして/喰(くわ)したら、なん/義(ぎ)しおるじや 00002710M4有まいか。イヤ、こいつ(二十オ)ハよい/趣向(しゆかう)じやと、すぐ 00002720M5によびにやれバ、さつそく/来(きた)りけり。イヤ、/別(べつ)の事でもな 00002730M6いが、/餘所(よそ)から/酒(さけ)をもらふたが、一つのましやれぬか。ソ 00002740M7レハかたじけない。イヤ/其代(そのだい)に、/肴(さかな)ハ何にもない。/吸物(すいもの)一 00002750M8/種(しゆ)じやと出しければ、コレハ+と、ふた取て見て、イヤ、 00002760M9ぶしつけながら、/我等(われら)/麪類(めんるい)ハきらひじや 00002770¥Y1 00002780M11○/唯今(たゞいま)はなしましたのが、/先(まつ)/上品(じやうひん)むきの/噺(はなし)でござる。上品 00002790M12の中へ、/非人(ひにん)の噺などハ入そむない(二十ウ)ものなれども、 00002800M13躰ハ/非人(ひにん)でも趣向がきつと/上品(じやうひん)なり。お/公家(くげ)様の噺にも、 00002810M14ずいぶん/下品(げひん)な噺もあり。いちがいには申されず。扨此/次(つぎ) 00002820M15にやりかけるのが、/粋向(すいむき)の咄でござる。此/粋(すい)むきと/当世向(とうせいむき) 00002830M16とが、/初心(しよしん)のうちハわかりにくいものじやほどに、/皆(ミな)とく 00002840M17とかんがへて、よふ御/聞(きゝ)なされ 00002850¥Y1軽口五色帋上之巻終△(廿一了オ) 00002860¥P12 00002870¥Y1/軽口(かるくち)/五色帋(ごしきがミ)中之巻 00002880L3△△△/目録(もくろく) 00002890L4一△/医者(ゐしや)の/尺八(しやくはち) 00002900L5一△/女郎(ぢよらう)の/川(かハ)/流(なが)れ 00002910L6一△/軽業(かるわざ)の/稽古(けいこ) 00002920L7一△/生洲(いけす)の/割合(わりあひ) 00002930L8一△/女郎(ぢよらう)の/直打(ねうち) 00002940L9一△/香魚(あゆ)の/喧嘩(けんくわ)(一オ) 00002950L10一△さふハ/立合(たちあハ)ぬ 00002960L11一△/章魚(たこ)の/居風呂(すへふろ) 00002970L12一△/竿竹(さほだけ)でほし 00002980L13一△こんにやく屋が/角力(すまふ) 00002990L14一△/邪(じや)ハ/正(しやう)にかたず 00003000L15一△/唐好(からずき)の/心中(しんぢう) 00003010L16一△/唐好(からずき)の/変宅(へんたく) 00003020L17一△大/男(おとこ)の/評判(ひやうばん) 00003030L18一△きつい/間違(まちが)ひ(一ウ) 00003040¥T1 00003050¥N1¥J 00003060¥X/医者(ゐしや)の/尺八(しやくはち) 00003070M3ことの/外(ほか)、/尺八(しやくはち)にしこつてゐらるゝ/医者殿(いしやどの)、はじめての/病= 00003080M4家(びやう=か)よりたのミに/来(きた)りけるゆへ、/見舞(ミま)ハれければ、/亭主(ていしゆ)出む 00003090M5かひ、コレハ+御/苦労(くろう)に御出くだされ、有がたふぞんじ 00003100M6ます。/病人(びやうにん)と申ますハ、/私(わたくし)が/妻(さい)でござりますが、/去年(きよねん)の 00003110M7/秋(あき)からぶら+いたしております。おゐしや様もあれこれ 00003120M8/転(てん)じて見ますれども、さして(二オ)かはつた事もござりま 00003130M9せぬ。/御苦労(ごくらう)ながら、御らんくださりませ。フン成ほど、 00003140M10まづ+見ませうと/座敷(ざしき)へ/通(とふ)り、/食事(しよくじ)の/多少(たせう)、/経候(けいかう)のやう 00003150M11す、/二便(にべん)のつうじ、其外くハしくたづね、さてお/脉(ミやく)見ませ 00003160M12うと右の手を取、/良(やゝ)/久(ひさ)しう見てゐられしが、/不図(ふと)尺八のこ 00003170M13とを思ひ出し、/内義(ないぎ)の手を尺八と思ひ、そろ+/指(ゆび)をつか 00003180M14ふて尺八のけいこをやりかけられけれバ、/内儀(ないぎ)ハそれとハ 00003190M15(二ウ)しらず、ハテいやらしい/医者(ゐしや)かな。/早(はや)う/去(い)んでくれ 00003200M16いでとおもふてゐられけるが、/医者殿(ゐしやどの)ふと/気(き)がつき、/南無(なむ) 00003210M17三、しまふたとハ思へども、そしらぬ/顔(かほ)で、ハイ、そちら 00003220M18のお手と云ハれけれバ、/内義(ないぎ)ちやつと/手(て)を/引(ひい)て、御/無用(むよう) 00003230¥N2¥J 00003240¥X/女郎(ぢよらう)の川ながれ 00003250¥P13 00003260¥G(四ウ・五オ) 00003270M1/加茂(かも)川に大水/出(いで)けれバ、客、女郎をつれて川ばたへ水見に 00003280M2出けるが、折ふし女郎ふミはづし、(三オ)すぽんと川へは 00003290M3まり、アレナア、あげておくれいなア。つめたいわいなア。 00003300M4サアあげてやらふと思ふけれども、どうもならぬハいのフ。 00003310M5どふもならぬといふて、お/前(まへ)ハわたしを見ごろしにする/気(き) 00003320M6かへ。ナンノマア、見ごろしにするのでハなけれど、此大 00003330M7水に、わしじやといふて、これがマアなんとなろぞいのフ。 00003340M8ホンニ、おまへハ水くさいおかたじやなア。そんな心とハ 00003350M9しらひで、わしやはまつたが、口おしいハいなア(三ウ) 00003360¥N3¥J 00003370¥X/軽業(かるわざ)の/稽古(けいこ) 00003380M12サテ/此間(このあいだ)から/軽事(かるわざ(ママ))のけいこをするが、ずんどおもしろいも 00003390M13のじや。そんならなんぞして見せいなア。して見しよとも。 00003400M14ソノ/碁盤(ごばん)取つておじや。ヲツト、此ごばんのうへで/杉立(すぎだち)を 00003410M15しておめにかけます。/東西(とうざい)+と、/牛(うし)のかるわざ見るやう 00003420M16に、どふやらかふやら/仕(し)おほせ、いつかど/太平(たいへい)な/顔(かほ)して/鼻(はな) 00003430M17をひこつかしてゐられけ(四オ)(四ウ・五オ挿絵)るが、げい 00003440M18子の/三吾(さんご)が、イヤ、わたしがおきやくに/唯(たゞ)さんといふおか 00003450M19たがあるが、/其方(そなた)ハまた、おまへさんより/上(かミ)なことしいじ 00003460M20やわいなア。フン、其きやくハどんなことするぞ。そなた 00003470¥P14 00003480L1ハな、此中も/酒(さゝ)のうへで身してじやあつたといふを/聞(きい)て、 00003490L2/中居(なかゐ)のおあいが、イヤマタ、わたしが/妹(いもと)ハそんなこつちや 00003500L3ない、かるいわいな。フン、そんならどんなことしいじや 00003510L4へ。アノナ、/宮川(ミやがハ)町で/中(ちう)はたらひてゐるハいなア(五ウ) 00003520¥N4¥J 00003530¥X/生洲(いけす)のわり/合(あい) 00003540L7マアしまふたといふものじや。こん/夜(や)ハ大ぶんしまいがは 00003550L8やかつた。モウどこからも/取(とる)のハないかしらぬ。ヲヽそれ 00003560L9+、コリヤ長太よ。となりへいてな、次郎さんに、もう 00003570L10おしまいなされましたか。/先(せん)日の/生洲(いけす)のわり合を五匁五分 00003580L11つかハされませといふて/取(とつ)てこい。五匁五分じやぞ。わす 00003590L12れなよ。ハイ。ムヽ五匁五分と、/両手(りやうて)の/指(ゆび)をおり、モシ/旦= 00003600L13那(だ=な)さん。どふぞ(六オ)マア壱分まけておやりなさりませ。 00003610L14何ぬかしおる。いらざることを、おのれが/左平次(さへいぢ)ばつて。 00003620L15マア何のために壱分まけてやれといふのじや。デモおまへ 00003630L16さん、これでハどふもくゞりの/戸(と)があけられませぬ 00003640¥N5¥J 00003650¥X女郎の/直(ね)うち 00003660L19イヤ源太。わがミのよびやる女郎じやによつて云てやるが、 00003670L20アノおかぎハわるひくせで、とかくなんでも物の直うちを 00003680M1する。此中も、おれが/着物(きもの)から/羽織(はをり)(六ウ)から/帯(おび)から、は 00003690M2ながミ入たばこ入、一&ねうちをする。さりとハよろしう 00003700M3ないことじや。/貴様(きさま)、とつくりとがてんのゆくやうに/異見(いけん) 00003710M4してやりや。ホンニ、それハよふいふてたもつた。/晩(ばん)にい 00003720M5て、とくといふて/聞(きか)そふと、其ばんに/早&(さう+)行、右の/次第(しだい)を 00003730M6つぶさに/云聞(いゝきか)せければ、女郎大きによろこび、おまへさん 00003740M7なりやこそ、御/深切(しんせつ)によふいふておくれた。たゞ今からふ 00003750M8つゝりやめませう。ホンニ、今のおまへの/異(ゐ)(七オ)/見(けん)に、 00003760M9とんと百両がものハある 00003770¥N6¥J 00003780¥X/香魚(あゆ)のけんくわ 00003790M12太郎兵。サア此/鮎(あゆ)を/鱠(なます)にしよまいか。イヤ/蓼酢(たでず)にせう。イ 00003800M13ヤ+、やつはりなますの方がむまいハいのヲ。ハテサテ、 00003810M14やくたいもない。/鮎(あゆ)ハ/蓼酢(たでず)の事じや。イヤ+、じつにう 00003820M15まいハやつぱり/鱠(なます)のことじや。サア+なますにせう。イ 00003830M16ヤこれ/呑介(のミすけ)。/我(わが)まゝな事しやんな。イヤ/一(いつ)たい、わが/身(ミ)が 00003840M17わがまゝじや。イヤ/我(われ)が。イヤ我がと(七ウ)/声高(こハだか)になりけ 00003850M18れば、むかひの/親仁(おやぢ)はしり/来(きたり)、コレ/若(わか)い/衆(しゆ)。何を/声高(こハだか)に云 00003860M19のじや。イヤ聞てくださりませ。私が/蓼酢(たでず)にせうといふも 00003870M20のを、アノ/呑(のミ)介が/鱠(なます)にしやうといふからおこつたことでご 00003880¥P15 00003890L1ざります。ハテサテ、其やうなことで/喧嘩(けんくハ)をするといふ事 00003900L2が有ものか。アヽわかいハよいが、しどがない。此けんく 00003910L3わ、おれがもらふた。其/代(かハり)に/鱠(なます)にもせず、/蓼酢(たでず)にもせず、 00003920L4よいやうにしてやる。二人ながら/云分(いゝぶん)ないか。(八オ)イヤ 00003930L5モ、おまへのあいさつじやもの、なア太郎兵。ヲヽ何の云 00003940L6ぶんがあろぞいな。ヲヽそんならよいハ、/中直(なかなを)りにチヨツ 00003950L7ト/煎(いつ)ておきや。しやん+ 00003960¥N7¥J 00003970¥Xさうハ/立合(たちあわ)ぬ 00003980L10二/条(でう)のかけあがりへ行て、サア/今夜(こんや)ハ/真肉(ほんにく)をよんで/来(こ)いと 00003990L11云ければ、かしこまりましたと、小めろがかけ出すと、/追= 00004000L12付(おつ=ゝけ)/女郎(ぢよらう)来りけるを見れば、/真肉(ほんにく)にてハなくて、大の/古狸(ふるたぬき)な 00004010L13りけれバ、(八ウ)さて+にくき事かな。どふそしてこま 00004020L14したいものと、たくミゐける所に、女郎、/勝手(かつて)へ行んと立 00004030L15ければ、ヤア+うごくな+。おのれこそハ/真肉(ほんにく)とハ、 00004040L16まアつかいないつハり、まことハ此さとに/数年(すねん)/功(こう)をへた、 00004050L17まアつ/黒(くろ)+な、黒おやまであらふがなア。女郎、ぬから 00004060L18ぬ/顔(かほ)で、コレハ+/箒(ほうき)様か、見それました 00004070¥Y1 00004080L20○今の中にも、さして/粋(すい)らしうない/噺(はなし)もあれ共、とくとか 00004090M1んがへてミさつしやると、粋むきと/当世(とうせい)(九オ)むきとハ、 00004100M2きつとちがひめが有なり。サテ、ぶすいな人や/遠国(ゑんごく)の人に、 00004110M3此/粋(すい)むきのはなしや当世むきの/咄(はなし)をしてハ、一かうにがて 00004120M4んせず、かへつて/不興(ふけう)になるものなり。/所謂(いはゆる)/詩人(しじん)に/遇(あハ)ずん 00004130M5バ/詩(し)を/献(けん)ずる事なかれの/場所(ばしよ)也。それゆへ先/爰(こゝ)で、ふすい 00004140M6な人や/遠国(ゑんごく)の人にむくはなしを、二つ三ついたして/聞(きか)しま 00004150M7せふ 00004160¥N8¥J 00004170¥X/章魚(たこ)の/居風呂(すへふろ)(九ウ) 00004180M10アノさる所に/親子(おやこ)あつたげな。むす子がいふのにハ、/親父(おやぢ) 00004190M11どの。けふハ/恵比須講(ゑびすかう)じやに、大/蛸(だこ)を一ぱい/買(かふ)て/喰(く)ふまい 00004200M12かといふたれバ、おやぢも、それハよかろといハれて、そ 00004210M13れからむすこが/銭(ぜに)を壱/貫(くわん)もつていて、とつともはや大きな 00004220M14+大だこ買ふてきたげな。あんまり大きうて/鍋(なべ)へもはい 00004230M15らず/釜(かま)へもはいらず。それからとつともはや、/居風呂(すいふろ)へい 00004240M16れてたいたげな。そしてから、大かた(十オ)(十ウ・十一オ挿 00004250M17絵)にへたじやあろと思ふて、/蓋(ふた)をあけて見たれバ、中か 00004260M18らたこめが/首(くび)をぬつと出して、もふ/湯(ゆ)のかげんハよいほど 00004270M19に、ぬか/袋(ぶくろ)と/手拭(てぬぐひ)をくだされと、いふたといな 00004280¥P16 00004290¥G(十ウ・十一オ) 00004300¥N9¥J 00004310¥X/竿竹(さほだけ)でほし 00004320M3アノ、よそにあほうなむすこが有たげな。其/息子(むすこ)が/酒(さけ)に/酔(ゑふ) 00004330M4て、それから/竿(さほ)竹を/持(もつ)て出て、/門(かど)でばつた+してゐるげ 00004340M5な。それから、とつともはや/親父(おやぢ)が、やい、それハ何しを 00004350M6るといふたれバ、イヤ、/星(ほし)を(十一ウ)かちますといふたれ 00004360M7バ、そしたら/親父(おやぢ)が、あほうめ。下から/星(ほし)がかてるものか。 00004370M8やねへあがつてかちおれと、いふたといな 00004380¥N10¥J 00004390¥X/蒟蒻(こんにやく)屋の/角力(すまふ) 00004400M11さる/田舎(いなか)にすまふがあつたげな。そしたら、其/在所(ざいしよ)にこん 00004410M12にやく屋があつたげな。そこの/親仁(おやぢ)がつよいわろで、とび 00004420M13入に出たげな。そしてからとつともはや、ミんなにかつた 00004430M14げな。それ(十二オ)から/関(せき)と取たれバ、又/関(せき)もこかしたげ 00004440M15な。そしたら/土俵(どひやう)のうへから、今日の/勝角力(かちすまふ)、こんにやく 00004450M16+といふたれバ、/見物(けんぶつ)が、ふわアいといふたといの 00004460¥Y1 00004470M18○此やうな/噺(はなし)ハ久しい物なれども、ぶ/粋(すい)な人や/遠国(ゑんごく)のかた 00004480M19くなゝ人にハ、此/格(かく)なはなしを此やうにいはねバ、うれし 00004490M20がらぬ物なり。いつでも/此心得(このこゝろゑ)ではなすがよし。/扨又(さてまた)、む 00004500¥P17 00004510L1かふの人が少し/学問気(がくもんけ)があつて、/四書(ししよ)の一/部(ぶ)もよんだ人な 00004520L2れバ、(十二ウ)それ/相応(さうわう)に、/学者(がくしや)むきの咄をするがよし。 00004530L3まづこゝで、/学者(がくしや)にむく/噺(はなし)を三つ四ついたしませう 00004540¥N11¥J 00004550¥X/邪(じや)ハ/正(しやう)にかたず 00004560L6ある/儒者(じゆしや)の所へ/盗人(ぬすびと)はいりて、なんなく/居間(ゐま)のこなたまで 00004570L7しのび入り、/居間(ゐま)のふすまを/明(あけ)けるが、あるじハ/机(つくえ)にもた 00004580L8れて/書物(しよもつ)をミて、さハがぬ/体(てい)にてゐられければ、ぬす人も 00004590L9むさと得はいりもせず、もぢ+して居たりければ、/主人(しゆじん) 00004600L10のいはく、(十三オ)/夜来(やらい)/沈&(ちん+)として他の/家(いゑ)を/伺(うかゞ)ふものハ、 00004610L11/応(まさ)にこれ/盗賊(とうぞく)なるべし。/然(しか)りや/否(いな)やと問ハれけれバ、此ぬ 00004620L12す人も少し/学者(がくしや)と見へて、こたへていはく、まことにしか 00004630L13り。/某(それかし)/過(あやまつ)て/君(きミ)が/家(いゑ)に入るといへども、/未且(いまだかつ)て/一物(いちぶつ)も/掠(あげ) 00004640L14ず。ねがハくハ/君(きミ)、/其罪(そのつミ)を/赦(ゆる)し給へとこたへければ、/主人(あるじ) 00004650L15のいハく、/君子(くんし)ハ其/罪(つミ)を/悪(にく)んで其人を/悪(にく)まずといふて、/鳥= 00004660L16目(てう=もく)二百文取出しやられければ、/盗人(ぬすびと)手にとつて、アヽ/鮮= 00004670L17矣仁(すくなひ=かなじん)(十三ウ) 00004680¥N12¥J 00004690¥X/唐数奇(からずき)の/心中(しんぢう) 00004700L20/祇園(ぎをん)町にお/漢(かん)といふ/白人(はくじん)有けるが、ことの外/唐数奇(からずき)にて、 00004710M1/万事(ばんじ)に/風雅(ふうが)をこのミ、/俗(ぞく)な/客(きやく)にハ一かうつき合もせずゐた 00004720M2りしが、又同じく/唐(から)すきなる客ありて、/同声(どうせい)/相応(さうわう)し/同気(どうき)/相(あい) 00004730M3もとむの/理(り)にて、此女郎と/終(つい)にふかひ中となりけるが、あ 00004740M4る時客、女郎に云けるハ、ナント、/世間(せけん)にとんとない/図(づ)な 00004750M5/唐(から)めいた、はねたことがしたい物(十四オ)じやが、なんぞ 00004760M6よい思ひつきハ有まいか。サイナ。/私(わたし)もとふからそふ思ふ 00004770M7てゐるが、ナント/唐人(とうじん)/衣裳(ゐしやう)で/心中(しんぢう)ハどふでござんせう。イ 00004780M8ヤ、こいつハあたらしい。デモ、其/衣裳(いしやう)が/急(きう)にハ/出来(でき)まい。 00004790M9アイ。それハわたしが/思案(しあん)がある。さいハい/去年(きよねん)、/南(ミなミ)でし 00004800M10た/国性爺(こくせんや)と/錦照女(きんしやうぢよ)の/衣裳(いしやう)を/借(かつ)てくりやよいハいなア。コリ 00004810M11ヤ近年の/智恵(ちゑ)しや。そんなら/明日(あす)のばんに/来(く)るほどに、其 00004820M12/用意(ようゐ)して/待(まつ)てゐやとわかれて(十四ウ)こそハかへりけり。 00004830M13/扨(さて)/客(きやく)ハ/翌晩(よくばん)早&、うれしさふな/顔(かほ)つきで参られければ、女 00004840M14郎もしやんと/身仕廻(ミじまひ)して/待(まち)ゐけれバ、やがてくだんの/衣裳(いしやう) 00004850M15を/着(き)かへ/出(で)かけられけるが、イヤモシ、/場所(ばしよ)ハどこにする 00004860M16のじやへ。ヲツトがつてん。ちと/遠(とふ)けれど/黄檗(わうばく)でせうと思 00004870M17ふが。なるほど、それがよござんしよと、しつかい、ねり 00004880M18ものゝ/途(ど)にまよふたやうな/身(ミ)で/行(ゆ)かれけるが、やう+う 00004890M19しミつ比に/黄檗(わうばく)へ/着(つき)、まづ一/息(いき)ついで、/扨(さて)/覚悟(かくご)ハ(十五オ) 00004900M20よいかといふ/段(だん)になつて、南無三、/劔(けん)をわすれてきた。コ 00004910¥P18 00004920L1リヤマアどふせう。イヘ+、/刄(は)物で/死(し)ンでハ、ヒヨツト 00004930L2/死(しに)ぞこのふてハはづかしい。見れバさいハい/池(いけ)がある。/身(ミ) 00004940L3を/投(なげ)た方がよいハいなア。ホンニそふじや。/身(ミ)を/投(なげ)うとい 00004950L4ふに、女郎ハ小石をひろひ/袂(たもと)に入レければ、イヤ、これま 00004960L5ちや/や((ママ))。其/石(いし)でハどふもすまぬ。ちよつと/去(い)んで、/蝋石(らうせき)を 00004970L6取つてかふ 00004980¥N13¥J 00004990¥X/唐(から)ずきの/変宅(へんたく)(十五ウ) 00005000L9/東(ひかし)の/洞院(とういん)上ル町に、きつい/唐(から)ずきな人ありけるが、/座敷(ざしき)ま 00005010L10ハりハいふにおよバず、/門口(かどぐち)から/中戸竃(なかどかまど)のまハり、/湯殿(ゆどの)・ 00005020L11/雪隠(せつちん)までに/額(がく)と/聯(れん)とをかけならべ、/書物(しよもつ)ハのこらず/唐本(たうほん)に 00005030L12て、/青貝(あをがい)入の/唐机(たうつくえ)に、何やら/彫物(ほりもの)のある/唐硯(たうすゞり)・/唐墨(たうすミ)、/太玉= 00005040L13柱(たいきよく=ちう)・/蘭亭選(らんていせん)などの/唐筆(たうひつ)を/並(ならべ)たて、其外/所持(しよぢ)の物、大かた/華= 00005050L14物(くわ=ぶつ)なりけり。しかるに/頃日(このごろ)、/西(にし)の/洞院(とういん)下ル町へ/変宅(へんたく)しられ 00005060L15(十六オ)けるが、/知音(ちゐん)の人これを聞て、/家見舞(いゑミまひ)に参られ、 00005070L16サテそのゝちハ御/疎遠(そゑん)。うけたまハれば/爰元(こゝもと)へ御/変宅(へんたく)なさ 00005080L17れたげな。それゆへ今日ハ/見舞(ミまい)に参つた。コレハ+かた 00005090L18じけない。サアおあがりなされと、/古(こ)わたり/雲龍形(うんりやうがた)の/南京= 00005100L19茶碗(なんきん=ちやわん)に、/唐茶(たうちや)をくんで出されける。/客人(きやくじん)申されけるハ、サ 00005110L20テ、/最前(さいぜん)からつく※見まするに、此/家(いゑ)ハ東の/洞院(とういん)よりハ 00005120M1せまふて/勝手(かつて)も/宜(よろ)しうござらぬに、どふした(十六ウ)事で、 00005130M2こゝへハ/変宅(へんたく)なされたとたづねられければ、/主人(あるじ)こたへて、 00005140M3イヤ、ちつとでも/唐(から)へちかいやうに 00005150¥N14¥J 00005160¥X/大男(おほおとこ)の/評判(ひやうばん) 00005170M6此間/在所(ざいしよ)へいた時に、大きな/男(おとこ)をミてまいりました。/背(せ)の 00005180M7高さが七尺五寸あるげにござりますが、イヤモ、やつと見 00005190M8あげねば/顔(かほ)が見へませぬ。フン、/貴様(きさま)ハ/学問(がくもん)をせぬによつ 00005200M9て、其くらいなものを大キイと思ふてゐやしやるが、(十七 00005210M10オ)むかし/唐(から)に/顔渕(がんゑん)といふ人があつたが、イヤハヤ、其七 00005220M11尺五寸ぐらいのおとこを、五人や十人よせたやうなもので 00005230M12ハない大キな/男(おとこ)じやあつた。ハテナ、して其/顔渕(がんゑん)とやらの 00005240M13/背(せ)ハ、/何(なん)ぼほどござりました。サレバ/背(せ)ハしらぬが、/顔渕(がんゑん) 00005250M14/鬢(びん)/四間(しけん)と/聞(きい)た 00005260¥N15¥J 00005270¥Xきつい/間違(まちが)ひ 00005280M17ホウお出。/貴(き)さま、どこぞでのんできたの。ソナイニあか 00005290M18いかな。/赤(あか)いだんか。貴様の大/髭(ひげ)の/真黒(まつくろ)なに、(十七ウ)/赤(あか) 00005300M19うなつたところハ、とんと/下手(へた)の/画(かい)た/関羽(くわんう)じや。ホンニ/青= 00005310M20龍刀(せい=りやうたう)がやりたいなア。フン、其/青龍湯(せいりやうとう)とやら、/醒(さめ)るものな 00005320¥P19 00005330L1ら一ぷくくだ/い((ママ))せんか 00005340¥Y1 00005350L3○/学者(がくしや)むきといへば、まづ此やうなものなり。しかし、何 00005360L4ほど/粋(すい)な人でも、少しも/学問気(がくもんけ)のない人に、此やうなはな 00005370L5しをすると、てうど/頭巾(づきん)ごしにあたまをかくやうなもので、 00005380L6ま一トいき、とふらひできのどく(十八了オ)なものじやに 00005390L7よつて、ずいぶんむかふを見はからふて、はなすが/肝要(かんよう)で 00005400L8ござる。/扨(さて)これから/当世(とうせい)むきの/噺(はなし)にいたしませう 00005410¥Y1軽口五色帋中之巻終△(十八了ウ) 00005420¥Y1/軽口(かるくち)/五色帋(ごしきかミ)下之巻 00005430M3△△△/目録(もくろく) 00005440M4一△/金絲烟入(たばこいれ)のせり/合(あひ) 00005450M5一△はなし/好(ず)き 00005460M6一△/月見(つきミ)の/丁稚(でつち) 00005470M7一△かし/家(や)ふだ 00005480M8一△/大名(だいミやう)の/能数奇(のうずき) 00005490M9一△/雷(かミなり)のすて/子(ご) 00005500M10一△きん/酒(しゆ)(一オ) 00005510M11一△見たて 00005520M12一△/盗人(ぬすびと)の/頓智(とんち) 00005530M13一△/木賊(とくさ)の/草鞋(わらじ) 00005540M14一△/念仏(ねんぶつ)のぬす人 00005550M15一△/火(ひ)なぶり/好(ず)き 00005560M16一△/了簡(りやうけん)ちがひ 00005570M17一△/入聟(いりむこ)の/立腹(りつふく) 00005580M18一△/馬(むま)かたの/悔(くや)ミ 00005590M19一△/銀(かね)のへらしやう(一ウ) 00005600¥P20 00005610¥T1 00005620¥N1¥J 00005630¥Xたばこ入のせり合 00005640L3サテ/此想思草(このたばこ)入を見てたも。大きにはり/込(こん)だ。ホウこりや 00005650L4/大分(だいぶん)よい。今ハ/上手(じやうづ)に成て、ようにせる。とんと/皮(かわ)じや。 00005660L5イヤ、貴様ハめつそふなことをいふものじや。/実(ほん)の/皮(かわ)じや 00005670L6ハいのふ。何をいやるぞいのふ。そんなでいくのじやない 00005680L7ハい。ハテ+めつそふな、/皮(かわ)じやハいなふ。ハテ、これ 00005690L8は/紙(かミ)じやハいなふ。これが/皮(かわ)なら/首(くび)なつとやろぞ。イヤ、 00005700L9かわに(二オ)ちがひない。どふで/皮(かわ)の/証拠(しやうこ)見せずハ/合点(がてん)せ 00005710L10まいと、やにわに/火鉢(ひばち)の中へくべければ、/悪臭(わるくさ)ひ/皮(かわ)の/匂(にほ)ひ 00005720L11しけれバ、ナントこれでも/紙(かミ)か。サイノフ。今でハにほひ 00005730L12までを、にせるわいのふ 00005740¥N2¥J 00005750¥X/噺数奇(はなしずき) 00005760L15アノ長兵衛といふやつほど咄ずきなやつハない。シテ、ち 00005770L16よつとしても/長(なが)ばなしをしをる。(二ウ)長兵衛とハよふ付 00005780L17ケた。又/今夜(こんや)もうせるであろ。どふぞ/早(はや)ふ/去(いな)したいものじ 00005790L18やが。イヤ、そりやつい/去(いな)しやうがあるといふてゐる所へ、 00005800L19長兵衛/来(きた)り、/今夜(こんや)も/寒(さむ)いなア。何ぞかハつた事もないかな。 00005810L20イヤ/替(かハ)つた事ハ/町中(まちなか)へ/追剥(おいはぎ)が/出(で)るの。/夕部(ゆふべ)も此/町(てう)で二人は 00005820M1がれた。めつたに/夜(よる)ハ/歩行(あるか)れぬ。フン、それハいやなこと 00005830M2じやなふ。イヤマア、おいとまもふそと、こそ+とかへ 00005840M3りければ、/門(かど)の/戸(と)ぴつしやりしめ、(三オ)うまふやつてこ 00005850M4ましたと/笑(わら)ふてゐる所へ、くゞり/戸(ど)とん+。/誰(たれ)じや。イ 00005860M5ヤ、長兵衛じや。あけてくだされ。モウねたが、何ンの/用(よう) 00005870M6じやぞ。イヤ、はがれるとわるいよつて、はだかで来た 00005880¥N3¥J 00005890¥X/月見(つきミ)の/丁稚(でつち) 00005900M9/今夜(こんや)ハよい月でござります。とかく/近頃(ちかごろ)ハ月見がはつきり 00005910M10といたしませぬが、/今夜(こんや)ハ/近年(きんねん)の月でござります。さやう 00005920M11でござります。イヤ又、(三ウ)此やうにくまなくさへた所 00005930M12ハどふもいへませぬ。サア/先(まづ)一つあがりませ。イヤまづ 00005940M13+。しからバ/是(これ)からはじめませう。ヲツト+、コリヤ 00005950M14三太よ。今から/酌(しやく)をするなら、手へかゝらぬやうにせいよ。 00005960M15ホンニ、よい/子供衆(こどもしゆ)をおゝきなされました。大ぶん/利口(りかう)そ 00005970M16ふに見へます。/田舎(いなか)じやな。ハイ/左様(さやう)でござります。おれ 00005980M17が一ト/目(め)にらんでからやるものじやない。そなたの/在所(ざいしよ)を、 00005990M18さいて見せうが、/方角(はうがく)ハどつちの/方(はう)(四オ)じや。アイ、/東= 00006000M19南(ひがし=ミナミ)の/方(ほう)でござります。フン、東南の方ならは/宇治(うぢ)じやあ 00006010M20ろ。イヽヱ、まちつとこつちでござります。ソンナラ/六地= 00006020¥P21 00006030L1蔵(ろくぢ=ぞう)か。イヽヱ、まだちかふござり。ソンナラ/藤(ふじ)の/森(もり)か。 00006040L2イヽヱ、/稲荷(いなり)でござります。フン、いなりじや。サアめん 00006050L3よう、/月夜(つきよ)の/丁稚(でつち)ハ/遠(とを)ふ見へる物じや 00006060¥N4¥J 00006070¥Xかし/家(や)/札(ふだ) 00006080L6さる所の/借家(しやくや)、/宿(やど)がへして/家(いゑ)あきければ、/家主(いゑぬし)、/早速(さつそく)かし 00006090L7や/札(ふだ)をはられけるが、/翌日(よくじつ)見れば、(四ウ)引やぶりて有け 00006100L8るゆへ、/書(かき)かへて/張置(はりをき)けるが、またよく日引やぶりありけ 00006110L9り。四五日もかくのごとく、/張(はり)かへるとハ引やぶり+し 00006120L10けれバ、/家主(いへぬし)大きにはらをたて、此度ハ木にて/丈夫(ぢやうぶ)にこし 00006130L11らへ、/釘(くぎ)にて打付、サアうれしや。これで四五年ハ/慥(たしか)じや 00006140¥N5¥J 00006150¥X/大名(だいミやう)の/能数奇(のうずき) 00006160L14ぞんの外、/能(のう)ずきなる/殿様(とのさま)ありけるが、/自身(じしん)に能をなされ、 00006170L15/城下(じやうか)の町人/見物(けんぶつ)に来るべしと、(五オ)御/触(ふれ)ありければ、何 00006180L16が/殿様(とのさま)のあそバす/能(のう)じやといふて、ことの外、/群集(くんじゆ)しける 00006190L17ゆへ、殿様ものりが来て、たび+御能ありければ、/後(のち)に 00006200L18ハとんと/行人(ゆきて)もなかりければ、御/家老(からう)きのどくに思ハれ、 00006210L19一人に/鳥目(てうもく)百文づゝ/遣(つかハ)すべく候間、/拝見(はいけん)に参るべしと御/触(ふれ) 00006220L20ありければ、それゆへ此度ハ又、大にくんじゆしけるが、 00006230M1又+/次第(しだい)に拝見人もうすくなりければ、何ゆへと御/聞合(きゝあハ) 00006240M2せありければ、百文(五ウ)にてハあい申さぬよし申けるゆ 00006250M3へ、しからバ此後ハ二百文づゝに相/極(きわ)むべしとありけり。 00006260M4又ある時、御/能(のう)の御/触(ふれ)ありけるが、/城下(じやうか)の町人、御/願(ねがひ)の/筋(すぢ) 00006270M5ありとて、御/役所(やくしよ)へ出ければ、/役人衆(やくにんしゆ)、何事なるぞと御 00006280M6/尋(たづね)ありけれバ、イヤ、/別(べつ)の/儀(ぎ)でもござりませぬが、明後日 00006290M7御能御座候よし御触これあり候所、何とぞ此度ハ、三百文 00006300M8づゝくだされ候やうと願ひければ、役人衆/仰(おほせ)られけるは、 00006310M9二百文に/定(さだめ)ある所に、此度にかぎり三百文くれ(六オ)いと 00006320M10ハ、どふしたわけぞと/尋(たづね)られければ、されバの事でござり 00006330M11ます。此度ハ/道成寺(だうじやうじ)がござりますさかいで 00006340¥N6¥J 00006350¥X/雷(かミなり)のすて子 00006360M14大/白雨(ゆだち)して/雷(かミなり)おちけるあとに、/捨子(すてご)ありけるゆへ、町中立 00006370M15より見れば、/人間(にんげん)の子とハ見へず。/眼中(がんちう)するどく、口など 00006380M16はなハだ大きく、/額(ひたい)の/角(つの)とおぼしき所すこし高く、/手足(てあし)の 00006390M17/指(ゆび)を見れば、/皆(ミな)三本指なりければ、/扨(さて)こそ雷のすて子にき 00006400M18ハまつた。(六ウ)ハテサテ、ひよんなものをすておつた。 00006410M19しかし此まゝにもしておかれまいと、先/殿様(とのさま)へ/訴(うつた)へけるが、 00006420M20殿様/仰(おほせ)られけるハ、おれも今ハよい/思案(しあん)がないほどに、ま 00006430¥P22 00006440¥G(七ウ・八オ) 00006450M1づ/連(つれ)てかへり/養育(やういく)せよとありければ、/為方(せんかた)なくつれかへり、 00006460M2/乳(ち)など/呑(のま)して見れども、一かうに/呑(の)まざりければ、/年寄(としより)、 00006470M3/分別(ふんべつ)して/臍(へそ)の/垢(あか)を取出し、水にてときのまされけれバ、う 00006480M4れしさふな/顔(かほ)してのミけれバ、サアしてやつたと町中の/臍(へそ) 00006490M5の/垢(あか)を取(七オ)(七ウ・八オ挿絵)あつめて/毎日(まいにち)のまし、どふ 00006500M6やらこふやらそだてゐけるが、/伝手(つて)をもつて見に/来(く)る人や 00006510M7ら、見せ物/師(し)が/直組(ねぐミ)に来るやら、町中大きにさハぎけるゆ 00006520M8へ、/年寄(としより)こまり入、/分別(ふんべつ)の有たけを取出し、/鍛冶屋(かぢ)にてず 00006530M9いぶん大きな火打をあつらへ/置(おき)、/白雨(ゆふだち)のするのを今や+ 00006540M10と/待(まつ)てゐられける/処(ところ)に、ある日大白雨しければ、やがて一 00006550M11町中を/呼(よび)あつめ、/門(かど)の/真中(まんなか)へ/件(くだん)の/捨子(すてご)を持出、/皆(ミな)の/衆(しゆ)。た 00006560M12ばこをのんで、/煙(けぶり)を此捨子に(八ウ)ふきかけさつしやれと 00006570M13おしへて、/自身(じしん)ハ/彼(かの)火うちを/持(もつ)て、ぴかり+といふて、 00006580M14めつたむしやうに火を打かけられければ、/雷(かミなり)の子そろ+ 00006590M15/身(ミ)うごきして、ゴヨゴヨ+ 00006600¥N7¥J 00006610¥Xきん/酒(しゆ) 00006620M18いかふ/寒(さむ)いが、おかはりもござらぬか。コレハよふお出。 00006630M19マアおあがりなされ。/寒(さむ)さに一/盃(ぱい)のんでゐます。/慮外(りよぐわい)なが 00006640M20らさしませう。イヤモ/御酒(ごしゆ)ハ御めん。ちつと/願(ぐわん)があつて、 00006650¥P23 00006660L1(九オ)/先度(せんど)から三年/禁酒(きんしゆ)いたしたが、サアおきゝなされ、 00006670L2/分別(ふんべつ)もあるものじや。此中よそのわろがいふにハ、三年が 00006680L3あいだ/呑(のま)ずにゐてハたまるものでハない。/昼(ひる)ハのんで/夜(よる)ば 00006690L4かり/禁酒(きんしゆ)して、六年があいだせいといふたゆへ、其とふり 00006700L5に/極(きハめ)て/置(おい)たによつて、/今夜(こんや)ハおゆるし。又/昼(ひる)参らふ。フン 00006710L6成ほど、/是(これ)ハよい/思案(しあん)じやが、まだよい/思案(しあん)がある。ハア、 00006720L7よい/思案(しあん)とハどふじやな。ハテ、/夜(よる)も/昼(ひる)ものんで、十二年 00006730L8したがよい(九ウ) 00006740¥N8¥J 00006750¥X見たて 00006760L11きついどろぼうなる/料理人(りやうりにん)有けるが、/折(おり)ふし/魚(うを)を/料理(りやうり)しな 00006770L12がらねむりてゐる所へ、のら/猫(ねこ)きたり、/彼魚(かのうを)をのこらず/喰(くら) 00006780L13ひ、さて/料理人(りやうりにん)の/手(て)を/嗅(かい)で見た所が、なまぐさきゆへ、そ 00006790L14ろ+/指(ゆび)さきより/喰(くひ)かけ、/両手(りやうて)ながら/肩(かた)のきわ/迄(まで)うつくし 00006800L15う/喰(く)ひ/仕舞(しまい)ける時、やう+目をさまし、此/体(てい)をミて/力(ちから)を 00006810L16/落(おと)し、/早&(さう+)やどへかへり、モシ/親(おや)(十オ)/仁(ぢ)さま。ねこめが 00006820L17こんなむごいことをしました。モフ/私(わたし)ハ何の/役(やく)にも立ませ 00006830L18ぬ。このうへおまへの/世話(せわ)にならふより、イツソ一ト思ひ 00006840L19にころしてくださりませ。ヲヽ成ほど。それでハ何の/役(やく)に 00006850L20も/立(たつ)まい。ねがひの通り/殺(ころ)してやろ。サア/覚悟(かくご)をせいと/脇(わき) 00006860M1ざし引ぬき、うしろへまハり、/天窓(あたま)のてつへいから、ほう 00006870M2ど/梨割(なしわり)にやつた所が、/天窓(あたま)ハほつかりわれて、/首筋(くびすぢ)ぎわに 00006880M3て/刄物(はもの)とまりければ、/親仁(おやぢ)/刄物(はもの)(十ウ)を引ぬき、つく※ 00006890M4見て、ちよつと立てミい。サア立たが、どふしました。/悴(せがれ) 00006900M5よろこべ。是で/役(やく)に立たぞ。イヤ/親仁(おやぢ)さま。こふなつたも 00006910M6のが、何のやくに立ますぞ。ハテ、/釘(くぎ)ぬきになつた 00006920¥N9¥J 00006930¥X/盗人(ぬすびと)の/頓智(とんち) 00006940M9ある所へ/盗人(ぬすひと)はいりけるが、/亭主(ていしゆ)ぬからぬ/男(おとこ)にて、/用意(ようゐ)の 00006950M10一/腰(こし)、こい口くつろげ/待(まち)かけゐるとも知らず、/居間(ゐま)の/襖(ふすま)を 00006960M11/明(あけ)てはいるやいな、(十一オ)/丁(てう)ど/首(くび)を/打落(うちおと)しければ、ぬす 00006970M12人、/心得(こゝろゑ)たりと、おちたる/首(くび)をひろひあげ、ふところへね 00006980M13ぢこんで、こけつまろびつ、/漸(やう+)/門(かど)へ出けるが、何がしん 00006990M14の/闇(やミ)でハあり、/首(くび)ハなし。一かう一/足(あし)もあゆまれねば、ふ 00007000M15ところよりくびを取出し、/髻(たぶさ)をつかんでさし上ケ、ハイ 00007010M16+++ 00007020¥N10¥J 00007030¥X/木賊(とくさ)の/草鞋(わらじ) 00007040M19おれハわらじをはきやぶつてどふもならぬ。此(十一ウ)中 00007050M20も、京から/草津(くさつ)までに五そくやぶつた。ホンニ、それでハ 00007060¥P24 00007070L1たまる物じやない。/木賊(とくさ)で/作(つくつ)てはいたがよい。ねから/切(きれ)る 00007080L2といふ事ハない。フン、是ハよい事おしへてたもつた。/明= 00007090L3日(あ=す)/奈良(なら)へ/行(ゆく)によつて、つくつてはいて/行(ゆく)と、其夜とくさで 00007100L4わらんじをつくりはきて、/翌朝(よくてう)早&出かけけるが、一/里(り)/程(ほど) 00007110L5ゆきて、ふと/足(あし)を見れば、いつのまにやら足のくわ、ミな 00007120L6になりけれど、どふも/行(ゆ)かずにハ/居(ゐ)られ(十二オ)ず、又あ 00007130L7るきけるが、二/里(り)ほど/行(ゆく)と、/膝(ひざ)がしらまでになり、三里ほ 00007140L8どゆくと、/腿(もゝ)までになり、/後(のち)にハ/首(くび)ばかりに成ければ、/飛= 00007150L9脚(ひ=きやく)しあんして、イヤ+、/飛(ひ)きやくをするも/鼻(はな)の下を/湿(うるハ)さ 00007160L10ふためじやに、くびがなふてハ/飯(めし)もくハれず、/目(め)も見へず、 00007170L11何の/詮(せん)のない事。ドウゾ此/首(くび)ハ取て/去(いに)たいものじやが、ど 00007180L12ふしてとつていのふぞ。ヲヽ、それ+、/懐(ふところ)へ入れて/去(いの) 00007190¥N11¥J 00007200¥X/念仏(ねんぶつ)の/盗人(ぬすびと)(十二ウ) 00007210L15おれハ/娑婆(しやば)で/念(ねん)仏といふもの、一ぺんももふさなんだが、 00007220L16今もきけば念仏がなふてハ/極楽(ごくらく)へハやらぬげな。どふした 00007230L17ものであろ。じやといふて、ないものがどふならふ。マア 00007240L18/行(い)ける所までやつてくりよと、/滅太(めつた)むしやうに/歩(あるき)行けるが、 00007250L19/地(ぢ)ごくの/城下(じやうか)とおぼしき町へ出ける所に、/念仏(ねんぶつ)いろ+ 00007260L20ありといふ/看板(かんばん)ありければ、サテ+、所がらとて/自由(じゆう)な 00007270M1事かな。さらば/買(かい)ませう。しかし/銭(ぜに)がない。(十三オ)どふ 00007280M2ぞしてぬすんでこまそと、見世へ立より、ちとねんぶつが 00007290M3ほしうごんすといへば、ハイ、マアおはいりなされませ。 00007300M4念仏ハ何がお/望(のぞミ)でござります。マア見せてくだされ。ハイ、 00007310M5かしこまりましたと、いろ+出しければ、フン、此すい 00007320M6+と長いのハ何でごんす。ハイ、これは/浄土(じやうど)念仏でござ 00007330M7ります。フン、このくる+と/輪(わ)にしてあるのハな。それ 00007340M8ハ/門徒(もんと)念仏でござります。フン、そのころ+してあるの 00007350M9ハへ。(十三ウ)へヱ、これハ/真読(しんどく)念仏でござります。イヤ、 00007360M10御/無心(むしん)ながらお/茶(ちや)一つくだされ。ハイあげましよと、くミ 00007370M11にいた間に、ありたけの念仏ひつさらへ、/足(あし)ばやに/迯(にげ)ける 00007380M12が、/念仏(ねんぶつ)屋の/亭主(ていしゆ)/茶(ちや)を/持(もち)出て、/南無(なむ)三、念仏の/盗(ぬす)人じやと、 00007390M13/棒(ぼう)ひつ/提(さげ)て/追(おつ)かけしが、やう+追/付(つ)キ、やい、盗人ゆる 00007400M14さぬと、/棒(ほう)ふり上ケ、したゝかにたゝきけるが、あたり所 00007410M15が/悪(わる)かつたか、ハアかわいや、/生(いき)おつた(十四オ) 00007420¥N12¥J 00007430¥X火なぶり/好(ずき) 00007440M18アノ七兵衛といふやつハ、そこへくるからいぬるまで、/火= 00007450M19鉢(ひ=ばち)の火をなぶつて、しまいにハとふ※けしてのけをる。 00007460M20又/追付(おつつけ)/来(き)をるであろと、火ばしをかくし/置(おき)ければ、やがて 00007470¥P25 00007480L1きたり、サテいかふひへる事じやなアと、火ばちにかゝ 00007490L2りけるが、火ばしなきゆへ、/多葉粉盆(たばこぼん)の中などさがし見れ 00007500L3どもなければ、/為方(せんかた)なく/火鉢(ひばち)に/顔(かほ)さしよせ、何やらぼちや 00007510L4+(十四ウ)小ごゑでいふてゐるゆへ、そつとうしろから 00007520L5聞て見れば、アノ火をこちらへ、コノ火をあちらへ 00007530¥N13¥J 00007540¥X/了簡(りやうけん)ちがひ 00007550L8/冬(ふゆ)の/寒(さむ)き/夜(よ)、/若衆(わかいしゆ)より合、/酒(さけ)をのんでゐける/折(おり)ふし、/番人(ばんにん) 00007560L9竹引て、火の/用心(ようじん)+と呼ハりまハりければ、ナント、あ 00007570L10いつも/寒(さむ)かろうに、一ツぱいのましてやろまいかと、/古(ふる)い 00007580L11五郎八ちやわんに、一ぱいついでやりけれバ、ばん人大き 00007590L12によろこび、コレハ/有難(ありがた)う(十五オ)ぞんしますと、/舌(した)うち 00007600L13して/去(いに)しなに、イヤモシ、内かたの火のやうじんハ、御/勝(かつ) 00007610L14手になされませ 00007620¥N14¥J 00007630¥X入むこの/立腹(りつぷく) 00007640L17モシ/旦那(だんな)。今日ハ/鯛(たい)がゑらふやすい。御/買(かい)なされませぬか。 00007650L18安か買ふ。ドレ見せや。イヤモシ、けふハよしになさんせ。 00007660L19ソリヤ又なぜに。デモ、けふハ/先(せん)の/仏(ほとけ)さんの日じやわいな。 00007670L20ハテ、/親(おや)の日じや有まいし。イヱ+、もつたいない、お 00007680M1かしやんせ。ハテ、めんよふおれが/肴(さかな)を/買(かをふ)といふと、イヤ 00007690M2今日ハ(十五ウ)先の仏の日じや、イヤ明日も先の仏の日じ 00007700M3やといふて/邪魔(じやま)しやるが、これが二人や三人の事じやなし、 00007710M4七八人もある先の仏の日に、こと※く/精進(しやうじん)してたまるも 00007720M5のか。イへ+、それでも先の仏さんの日にハ/肴(さかな)ハつかハ 00007730M6れぬ。マダきかぬか。イヤそれでもと/争(あらそ)ふ/声(こゑ)を、となりの 00007740M7/親仁(おやぢ)が聞付て、/是(これ)ハしたり。何を/女夫(めうと)/喧嘩(けんくわ)するのじやいの。 00007750M8マアお/聞(きゝ)なされませ。いつでも私が/肴(さかな)を/買(かを)ふといふと、あ 00007760M9のわろが、けふハ/先(せん)の(十六オ)ほとけの日じや、/明日(あす)も先 00007770M10の仏の日じやといふて/買(かハ)しませぬ。フン、コリヤ/貴様(きさま)のが 00007780M11/尤(もつとも)じや。お/内儀(ないぎ)さん。コリヤおまへのがわるいぞへ。/死(しん) 00007790M12で/仕(し)まふたものを/大事(だいじ)そふに、先のほとけ、せんの仏とい 00007800M13ハしやるによつて、今の仏が/腹(はら)たてる 00007810¥N15¥J 00007820¥X/馬(むま)かたのくやミ 00007830M16ある馬かたの所に、五/歳(さい)ばかりなる子ありけるが、ほうそ 00007840M17うにて/相(あい)はてければ、/友達(ともだち)くやミに(十六ウ)きたり、八よ、 00007850M18/聞(きゝ)や。こゝの/餓鬼(がき)も/死(しん)だげなア。どんな事したなア。サレ 00007860M19バイ、あれほど大キウなつてから/死(しに)くさつたハイ、いま 00007870M20+しい。モフゑいわい。/小(ちいさ)イ/者(もの)の事じや。/了簡(りやうけん)してやれ 00007880¥P26 00007890¥G(十七ウ・十八オ) 00007900M1やい 00007910¥N16¥J 00007920¥X/銀(かね)のへらし様 00007930M4/去(さる)大/銀持(かねもち)のだん那、/番頭(ばんとう)を/召(めし)て申されけるは、/其方(そのほう)もしる 00007940M5とふり、近年だん+銀がふへてめいわくゆへ、おれもい 00007950M6ろ+と/工夫(くふう)して、おごつてミれ(十七オ)(十七ウ・十八オ挿 00007960M7絵)ども、何ぶん思ふやうに/銀(かね)もへらず。是でハどふもす 00007970M8まぬものじやが、どふぞ/急(きう)に銀をへらす/思案(しあん)ハ有まいかと 00007980M9申されけれバ、/番頭(ばんとう)しバらく手をくミて、/先(まづ)私がぞんじ付 00007990M10ハ、/京廻(きやうまハ)りの/明地(あきち)を/買求(かいもと)め、/随分(ずいぶん)けつかうに/借屋(しやくや)を立て、 00008000M11/宿料(しゆくれう)を此方から/借屋(しやくや)の/者(もの)へつかハし、あるひハ借屋の/者(もの)に 00008010M12/買(かい)がゝり/日銭(ひぜに)などあらば、此方よりすましてつかハすやう 00008020M13に致たらば、少&ハ銀もへりませう。ナント、此/趣向(しゆかう)ハど 00008030M14ふで(十八ウ)ござりませうといへば、/旦那(だんな)大によろこび、 00008040M15早&其通りに取はからふべしとありければ、/番頭(ばんとう)ハまづ一 00008050M16ばんに、/六波羅(ろくはら)の/明地(あきち)をもとめ、/日雇(ひよう)をおよそ一万人ほど 00008060M17入れて、/地(ぢ)ごしらへをはじめける所に、/地(ぢ)中から/存(ぞん)の/外(ほか)に 00008070M18大きな/壷(つぼ)を/堀(ほり)出しける。/銅(あかゞね)のふたに/錠(ぢやう)をおろし有ければ、 00008080M19さつそく/番頭(ばんとう)を/呼(よび)て見せけれバ、まづ何にもせよ、中を 00008090M20/改(あらため)て見よと、/錠(ぢやう)ねぢきり、/蓋(ふた)をあけて見れば、/古金(こきん)が一 00008100¥P27 00008110L1ぱい入れて(十九オ)有ければ、/番頭(ばんとう)大きに/力(ちから)をおとし、/扨(さて) 00008120L2+/世(よ)の中といふものハまゝにならぬ物かな。此やうに物 00008130L3事が左リまへになるといふハ/情(なさけ)なきことかな。旦那の手ま 00008140L4へもめんぼくなし。じやといふて、どふしよう。マア/欠(かけ)お 00008150L5ちせう 00008160¥Y 00008170L7○先これが/当世(とうせい)むきの/噺(はなし)なり。此外ハ/哥人(かじん)むき、/医者(いしや)むき、 00008180L8あるひハ/謡(うたひ)むき、下がゝりなど、いろ+/噺(はなし)の/躰(てい)があれど 00008190L9も、まづ/只今(たゞいま)おはなし申た(十九ウ)/五躰(ごてい)の/噺(はなし)さへ、とくと 00008200L10/合点(がてん)なさるゝと、其/餘(よ)のはなしハ、ひとりがてんがゆく物 00008210L11でござる。先今日ハ/是切(これぎり)にいたしませう。また明日から、 00008220L12/貴賎(きせん)/老若男女(らうにやくなんによ)の/詞(ことば)づかひ、こゑのつかひわけなどを、そろ 00008230L13+申て聞せませうほどに、ミなさやうに思しめされませ 00008240L14と申されければ、ミな+大にかんじ入、サテ+/軽口(かるくち)/噺(はなし) 00008250L15と申ものも、其道へ入てうけ給ハれば、たやすふ/出来(でき)る物 00008260L16でハござりませぬ。しかし今日の御/示(しめし)にて、大ぶん/合点(がてん)が 00008270L17さんじました。イヤ/先生(せんせい)。さいぜんから見ますれバ、/奇(き) 00008280L18(二十了オ)/麗(れい)な御/庭(にハ)に/不相応(ふさうわう)にきたない/葛家(くずや)がござりますが、 00008290L19あれハなにゆへでござりますと/尋(たづね)けれバ、へヱヽ、あれハ 00008300L20むかし+/老父(ぢい)と老母(ばゝ)とがすんでゐられた/葛家(くずや)でござると、 00008310M1こたへられけれバ、ミな+/手(て)を/打(うつ)て、是ハしたり。ハヽ 00008320M2ヽヽヽと、/笑(わら)ひのこゑものどやかに、つきせぬ/春(はる)こそ目出 00008330M3度けれ 00008340¥Q 00008350M5軽口五色帋下之巻終△△江戸日本橋通南三町目△前川六左衛門 00008360M6△△△△△△△△書林△大坂心斎橋南久宝寺町△柏原屋佐兵衛 00008370M7△安永三年の春めでたき日△△△京寺町三条上ル町△菊屋安兵衛 00008380M9△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二十了ウ) 00008390¥P28 00008400¥U噺本大系△第十巻 00008410¥T/茶(ちや)のこもち△〔内題〕 00008420¥G 00008430¥Y 00008440L17安永三年正月刊 00008450L18唐辺僕序 00008460L19堀野屋仁兵衛板 00008470L20小本一冊 00008480¥Y序 00008490M3鹿子餅あり。再ひ餅有。而后に飛たんご有。何れ、もち屋 00008500M4の功者なるより、砂糖と赤小豆のこね加減に、うまゐ事を 00008510M5もて(甲オ)はやしぬ。其羨しさに是はこれ、めつたやたら 00008520M6のあんころか、但通りの豊年か、はた、くらまへの源すけ 00008530M7たんごか、喰ふて見給へ、かよふな澹泊物も、また(甲ウ) 00008540M8一興といふ人あらは、ムチヤしいの眠気覚しと、しかつへ 00008550M9らしく、ヱへン+ 00008560M11△△△甲/牛((ママ))初春△△△△△△△△△唐辺僕△述 00008570M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(乙オ) 00008580¥P29 00008590¥T1/茶(ちや)のこもち 00008600¥N1¥J 00008610¥X○/献立(こんだて) 00008620L5/何(なに)やらひらいてつぶ+よむを、うしろから、是、おぬし 00008630L6ハ/無筆(むひつ)でゐながら、何をよむ。ヲヽこんだてをよむ。それ 00008640L7ハだれぞにならつたか。(一オ)いゝや。をれハ子供のとき 00008650L8手ならいを/情(せい(ママ))出せと、きつふ/親(をや)たちがせわをやかれたが、 00008660L8どふもきらいで、ろくに/習(なら)ハぬから、とても/書(かく)事ハならず。 00008670L10無筆(むひつ)だといつてをくが、習つたおかげて、此ような/仮名(かな)ま 00008680L11じりは(一ウ)よめる。そんならよんできかせろ。ヲヽ心や 00008690L12すい事。是がまづ/食(めし)。これがなます。平目、うど、けん、 00008700L13きんかん。アヽしやれを書をつた。Sどふした△Sをつけ 00008710L14のけの/字(じ)ばかり 00008720¥N2¥J 00008730¥X○孔明(二オ) 00008740L17/旧冬(きうとう)ハ/大(だい)の不しまい。段&の/蕩(どら)で大/敗軍(はいぐん)。所をおれがちゑ 00008750L18を出した。どふした。聞きやれ。/懸(かけ)取ども、大ぐんを以て 00008760L19おしよせた。所ををれがやねへ上つて、/琴(こと)をたんじた 00008770¥N3¥J 00008780¥X○/籏頭(はたかしら) 00008790M3熊谷/直実(なをさね)ハ/士(し)之/堂(とう)のはた/頭(かしら)だといふが、(二ウ)/敦(あつ)もりハ何 00008800M4のとうだ。Sあれハ/最期(さいご)まで青ばの笛を持れたから、ふき 00008810M5のとうであらふ 00008820¥N4¥J 00008830¥X○/呉(ご)座 00008840M8門/前(ぜん)、ござともごさや花呉座やしんござ。侍きかゝり、/腹(はら) 00008850M9立がほで、新五左とハ何の事だ。/今年(ことし)仕入と申事でごさり 00008860M10ます。そんならかんにんしてやらふと行バ、奴S供ござと 00008870M11いふと(三オ)きかぬ 00008880¥N5¥J 00008890¥X○/石橋(しやつきやう) 00008900M14今度富十郎が/石橋(しやつきやう)を致ますが、おかみ様、おまへにしや 00008910M15うでござります。おれににたとハ、き/りう((ママ))か。Sいへ+ 00008920M16S風/俗(ぞく)か△Sいへ+。どこが。/髪(かミ)のあかいところが 00008930¥N6¥J 00008940¥X○二月(三ウ) 00008950M19貴様ハわるいくせで、二月の事を、にん月といふが、人な 00008960M20ミに二月といやれ。Sなぜ。ハテ、/文字(もじ)に/当(あた)らぬ。Sなに 00008970¥P30 00008980L1当る△Sそんならどうかく。びくにんのにんの字 00008990¥N7¥J 00009000¥X○/歳(とし)/穿鑿(せんさく) 00009010L4貴様ハいくつニならしやる。五十ぢかくさ。サアその五十 00009020L5近いか、久しい物。ほんのとしハいくつ。(四オ)まことハ 00009030L6五十三。それ、六十近い。ハテ、五十の方へちかい 00009040¥N8¥J 00009050¥X○/中洲(なかす) 00009060L9/三股(ミつまた)のしゞみ、つき出し/以来(このかた)、毎日/泣(なく)ゆへ、なじミのあさ 00009070L10り蛤きて、なぜ、そのやうにしうたんをしやる。S是が/中= 00009080L11洲(なか=ず)にゐらりやうか 00009090¥N9¥J 00009100¥X○書状(四ウ) 00009110L14状をよんで下され。S心安いことゝ/封(ふう)をし切、一筆啓上/啓= 00009120L15達(けい=だつ)也とよめは、ハヽアかわつた文ごん。モウ一へん/読(よん)て下 00009130L16さい。一筆啓上啓達也。一筆啓上啓だつなり。こちらの男と 00009140L17こまかせてよいとこなり 00009150¥N10¥J 00009160¥X○/遺言(ゆいごん) 00009170L20あまの/邪鬼(じやき)のやうな/子息(むすこ)めゆへ、ゆいごんハそむけていふ 00009180M1がよいと、子息を/呼(よび)寄、もはやいと(五オ)ま乞じや。死て 00009190M2も必物入すな。/菰(こも)につゝミ、川へ捨よといふて死。子息お 00009200M3もふやう、扨+是迄親の仰に/背(そむい)たが、一代一度のこと、 00009210M4こればかりハもちひずハ成まい 00009220¥N11¥J 00009230¥X○/鴨(かも) 00009240M7辻番所にてかもを/煮(に)てゐる。屋敷の廻り衆、そと£声かけ、 00009250M8ばんか。Sイヤ、かもで(五ウ)ござります△S能ねぎをい 00009260M9れろ 00009270¥N12¥J 00009280¥X○途中 00009290M12となり町迄今迄かゝるとハ、きつい/隙(ひま)の取やう。イヤ、御 00009300M13きゝなされませ。参る向から、人か来て行/当(あた)る。よける方 00009310M14へついてよけ、大きにてまを取ました。ハテ、われハどん 00009320M15な者だ。すべて法が有て、左へ/除(よけ)る物だと/教(をしへ)られ、又使に 00009330M16行。(六オ)(六ウ・七オ挿絵)心得て左リへよれハ、向ふもよ 00009340M17けれハ、貴様ハ下地が有ハへ 00009350¥N13¥J 00009360¥X○吉原 00009370M20丁子やの座敷大さわぎ。となり座敷ハ新/造(ぞう)/揚(あげ)て、/淋(さみ)しくし 00009380¥P31 00009390¥G(六ウ・七オ) 00009400M1てゐる。あのやうにさわぐに、なんぞ云なんせ。おらハ何 00009410M2もしらぬ肴やだ。なんなり共云なんせ。客大かつほ+ 00009420M3+。(七ウ)コリヤあたらしい 00009430¥N14¥J 00009440¥X○/悔(くやミ) 00009450M6生れ付ておかしがる男、くやミえ行ニ思ひつき、さんしよ 00009460M7をふくミ行、口上をのべる。/後家(こけ)、色&のくどき事。その 00009470M8あいさつに、さんしよのからミで内へつを引、しごくので 00009480M9き。ごけハ泣しづミゐるを/舌(した)打して、アヽよいきミだ(八オ) 00009490¥N15¥J 00009500¥X○夜鷹 00009510M12松ばやの染之介ハ、大/尽(じん)に百両もらふたと、夜たかが聞、 00009520M13をれも/貰(もら)ふと思ふ所へ、心当の/客(きやく)かくる。もし、云にくい 00009530M14が、金を百両下さんせ。をれハ百両ミた事もないか、何ニ 00009540M15する。アイ、五十両かゝさんニやる。/残(のこり)四十六両ハ小遣ニ 00009550M16しやす 00009560¥N16¥J 00009570¥X○こぶし(八ウ) 00009580M19ごまミそを/摺(すつ)てゐる。Sちつとあんばいをせうと、こぶし 00009590M20を出す。Sいやた△Sそんなら、此手をねぢつて見ろ 00009600¥P32 00009610¥N17¥J 00009620¥X○鳶之者 00009630L3友を/呼(よび)、新/宅(たく)だ。みてくりやれ。Sムヽ能できた。たる木 00009640L4を竹でした所が、どふもいへぬが、/節(ふし)をぬいたか△Sイヤ、 00009650L5ぬかぬが、なぜだ。(九オ)やけるとき、はねてわるい 00009660¥N18¥J 00009670¥X○/髪結床(かミゆいとこ) 00009680L8ぐつと根をつめて下さい。アイ、/随分(ずいぶん)つめませうと、こん 00009690L9りんざいひつつめられて、段Sあふのき、/鏡(かゞミ)をかりてあた 00009700L10まへかさし、/草履(さうり)を見てはく 00009710¥N19¥J 00009720¥X○田舎者(九ウ) 00009730L13江戸ハ/広(ひろ)ひ所だ。日本ほど有ふか。ツレとんだ/事(こと)をいふ。 00009740L14日本ハ江戸の二つがけ 00009750¥N20¥J 00009760¥X○古郷 00009770L17/中登(なかのぼり)して、おばニあふて久しぶりの悦ひ。江戸にハ/替(かわ)る事 00009780L18もないか。アイ、こわ色がはやります。ハテナ、をらがゐ 00009790L19た時ハ、きつい/丁子(てうじ)ちやが、はやりで有た(十オ) 00009800¥N21¥J 00009810¥X○飛脚 00009820M3/狼(をゝかミ)、口をあき、道なかにゐる。早ひきやくきかゝり、口へ 00009830M4/飛(とび)こみ、それもしらず、/腹(はら)の内を、エイサツサとはしり、 00009840M5しりからぬけていそぎゆく。S狼ふんどしをすれバよかつ 00009850M6た 00009860¥N22¥J 00009870¥X○/目利(めきゝ) 00009880M9狼と山犬のめきゝがしれぬ。/夫(それ)ハざうさも(十ウ)ないこと。 00009890M10/覚(をぼ)てゐやれ。向ふからほへてくるとき、/脇(わき)ざしをぬいて、 00009900M11づつと/突(つき)かける。山犬ならバ/迯(にげ)て行。狼ならハくらいつく 00009910¥N23¥J 00009920¥X○煙草 00009930M14御/庭(にハ)ニたばこか見へますが、御/植(うへ)なされたか。なへでも御 00009940M15まきなされましたか。イヤ、左様でもごさらぬ。大方さう 00009950M16じのとき、吸がらでも(十一オ)をとしたでござらふ 00009960¥N24¥J 00009970¥X○やり手 00009980M19大かづさやで、ねこが赤/貝(がい)に足をはさまれ、むせうニ二か 00009990M20いへかけ上る。やりて、目をさまし、下/駄(た)て上るまいぞ 00010000¥P33 00010010¥N25¥J 00010020¥X○題目 00010030L3/鳶(とび)の者、/題目(たいもく)のかけ物を買。コレ、五郎、ミや。(十一ウ)本 00010040L4/尊(ぞん)かないから念仏を買てきた。Sどれ+、念仏ハ六字だ 00010050L5が、是ハ七つだそよ△Sそんなら、なむあミた仏様であ 00010060L6らふ 00010070¥N26¥J 00010080¥X○朝皃 00010090L9御好次第あさかほ/咲(さか)せ所と、かんばんをみて、内へはいり、 00010100L10るりこんが望てこさる。成ほど御目にかけませうと、/鉢(はち)う 00010110L11への(十二オ)つほミを出す。/直(じき)にさく。是ハきめう。紫と 00010120L12赤とハ。成ほどゝ又咲せる。けんぼうと遊せん染ハな。そ 00010130L13れハあさつて 00010140¥N27¥J 00010150¥X○/肥満(ひまん) 00010160L16今きた人ハ、おまへの事を、御ひまんのなんのと、ぶさほ 00010170L17うな。だまつていずとも、きつといつたがよふごさります。 00010180L18ハテ、こじきと(十二ウ)いはふにハまし 00010190¥N28¥J 00010200¥X○ぶせう 00010210M1つまミな売/呼(よび)込れ、ミれハ/仏(ぶつ)てうつらの男、諸道具を取ち 00010220M2らしてゐるゆへ、こわい男と思ひ、三文といふを十文が程 00010230M3をく。それほどハいらぬ。少しをけといふ。ハテ、わきと 00010240M4ハきつひ違といへバ、そろへるかめんどうだ(十三オ) 00010250¥N29¥J 00010260¥X○つり 00010270M7をれハ/釣(つり)に出て、金を五十両釣てきたといふ。そんならを 00010280M8れも出よふと、品川沖へ出、大きな鯛を釣上ケ、はりを抜 00010290M9て海へなげ、いま+しい。うぬじやアない。 00010300¥N30¥J 00010310¥X○きほい 00010320M12/血気(けつき)の男/同士(どし)、行ちがひさま、よこつらを(十三ウ)したゝ 00010330M13かくらハす。Sアイタヽ、なせたゝいた△Sばかめ。今は 00010340M14やるがしらねいか△Sナニはやる。ながくハはやるまひ 00010350¥N31¥J 00010360¥X○修ふく 00010370M17大仏の別当、仏前へ出、今度御堂しゆふく申付ました。右 00010380M18之代百五十七〆二百文懸りました。御はらひなされて遣さ 00010390M19れ(十四オ)ませ。Sそれ斗なら、早道のを払へ 00010400¥P34 00010410¥G(十八ウ・十九オ) 00010420¥N32¥J 00010430¥X○まり 00010440M3いなか者、けまりをみて、是ハなんだあらふ。大方、柳の 00010450M4みだあろう 00010460¥N33¥J 00010470¥X○忌中 00010480M7手廻しの男、親父が/傷寒(せうかん)を煩ひ付と、表へ忌中札を出した。 00010490M8しんるい共がてんせず、(十四ウ)あんまりめつそうな。と 00010500M9むらひの用意は内しやう、忌中札ハ表向、近所からくやミ 00010510M10にもくる物だ。引こましたがよい。Sナニサ、よくみさし 00010520M11やれといわれてみれハ、/肩(かた)ニ、近日£ 00010530¥N34¥J 00010540¥X○酒好 00010550M14酒がのミたいか、銭がないとくやむゆへ、女房きのどくニ 00010560M15思ひ、/髪(かミ)の内をくるりとそり、(十五オ)廿四文ニ売、酒を 00010570M16買、ていしゆニ出ス。是ハどふして買たといへバ、余りお 00010580M17まへかのミたいといわしやるゆへ、此通と、中そりをみせ 00010590M18れハ、扨もそちハしんしつなものと、なミだを流しながら、 00010600M19まだ十六文ほどハ有 00010610¥P35 00010620¥N35¥J 00010630¥X○庄屋 00010640L3扇のゑの千羽つるをみて、是ハなん(十五ウ)といふ鳥た。 00010650L4S庄やハテナ、亀があれば鶴だが 00010660¥N36¥J 00010670¥X○開帳 00010680L7聖徳太子千百五十年忌ゆへ、湯しまにて開帳につき、高札 00010690L8出る。もつたいらしき親父立とまり、太子さまハきのふけ 00010700L9ふのやうに有たが、もふ千百(十六オ)五十年に御なり被成 00010710L10るかと、ひとりごといふて行過る。あの親父、とんだ事を 00010720L11ぬかす。追かけて聞とて、こへをかけ、もし+、おまへ 00010730L12ハどこの人だ。S万年町の年寄だ 00010740¥N37¥J 00010750¥X○/始末(しまつ) 00010760L15しはい親父がりんじうのゆいけんに、かならす物入すな。 00010770L16夜の内に寺へやつて(十六ウ)くれといふ。親るいあつまり、 00010780L17そふハなるまい、かふハ成まいといへハ、親父をき直り、 00010790L18そんなら、モウ死ナぬ+ 00010800¥N38¥J 00010810¥X○土用 00010820M1けふの土用ハ、何ときに入ますの。巳の上/刻(こく)さ。そふハ申 00010830M2ても、あちこち致すと、つい九ツになります(十七オ) 00010840¥N39¥J 00010850¥X○/頓(とん)死 00010860M5おらが内へ来る道心坊が死だ。アノがんぶつな男、そして 00010870M6きのふ来たでハないか。サレハ、けさまで何共なくて、つ 00010880M7いとんし。尤、人のせわにならぬ様に死たいと、兼て願で 00010890M8有たが、さそ、いきてゐたら嬉しがろふ(十七ウ) 00010900¥N40¥J 00010910¥X○/富樫(とがし) 00010920M11むかし義経どの、/作(つく)り山/臥(ぶし)となつて、をくへ下らんとせし 00010930M12とき、/関(せき)所をたて、往来の/改(あらため)有ときゝましたが、富樫左 00010940M13衛門、鎌倉殿の御目代として、御/連枝(れんし)の事、見しらぬ事ハ 00010950M14有まい。たゞし、鎌くらほり川とわかれて有ハみしらぬか。 00010960M15弁けいに(十八オ)(十八ウ・十九オ挿絵)はかられて通したハ、 00010970M16しつてもなさけをもつて通したか、がてんか参らぬといへ 00010980M17ハ、そはなる男、こへをひそめて、さたハない事。しつて 00010990M18通したけにごさる 00011000¥P36 00011010¥N41¥J 00011020¥X○分別 00011030L3/子息(むすこ)を招き、其方とも/成長(せいちやう)なれハ近&/嫁(よめ)をとらずハ成まい 00011040L4し、/妹(いもと)どもゝ(十九ウ)/似合(にあわ)しき事あらハ/嫁(よめ)らすなれハ、一 00011050L5人まへに百両あてにしても四百両入ル。じよさいハなく/情(せい(ママ)) 00011060L6出せとも、目のまへの物入、はしる馬にむちじや。あきな 00011070L7いを/随(ずい)ふんゆだんなくせいといふ。二男それハ大分のもの 00011080L8いり。私かよい分別がこさります。(廿オ)まつ兄貴のよめ 00011090L9にハいもとのお百、わたしか女房にハ末子のおきん。一ト 00011100L10こんれいに五十両つゝにしても、百両でハ仕舞ます。左様 00011110L11になされませといへハ、親父あきれはて、扨+、是まて 00011120L12ハそのやうなたわけともしらずにゐたが、ごんごに(廿ウ) 00011130L13たへたちくせうめ。物をいふもけがらハしと、ついと立て 00011140L14奥へ入れハ、あとにのこつて、これ兄貴。Sなんだ。親/同= 00011150L15士(どう=し)/夫婦(ふうふ)てゐなから 00011160¥N42¥J 00011170¥X○なぞ 00011180L18/亭主(ていしゆ)罷出、御吸ものを申付ましたが、此ほうより、なぞを 00011190L19かけませふ。御はんじ(廿一オ)なされ、召上られ下さるへ 00011200L20しといへは、大勢、それハよふこさりませふ。しからハと 00011210M1て取出し、是ハ五十四/郡(ぐん)を一トくゝりと申なぞ。御はんだ 00011220M2んたのミ上ます。S是ハ面白そうな事。なんて有ふと、大 00011230M3勢しあんしてもしれす。中にひとり、むつでこさりませう。 00011240M4是ハよう御/判(はんし)(廿一ウ)なされました。サア御吸なされませ。 00011250M5又上ケませうと、ふた茶わんを出し、此度ハ/沖(をき)中でこまる 00011260M6船と申ます。是ハ+/別而(べつして)をもしろさうな義。いざみな様、 00011270M7御はんしなされと、大勢しあんしてもしれす。また右の男、 00011280M8どふかしれましたやうにこされとも、/相違(さうゐ)(廿二オ)かハ存 00011290M9ませぬか、沖なかてこまる船ならば、ひしほてこさりませ 00011300M10ふ。成ほとさやうといへば、そはの男Sアヽざんねん。も 00011310M11ちつとのちがひ、/醤油(せうゆ)の/味(ミ)とまてハはんじたに 00011320¥N43¥J 00011330¥X○富士山 00011340M14ふじ山ハいつのころ、できました。(廿二ウ)はて、/頼(より)とも 00011350M15じだひさ。そんなら、かまくらへできそうな物。なぜ/駿河(するが) 00011360M16へできました。サア、そこが北条殿のたくミ 00011370¥N44¥J 00011380¥X○思案 00011390M19老人、橋をとをりかゝり、/板(いた)のすきめへ/杖(つへ)を/突(つき)こみ、はつ 00011400M20と思ふはづミ、手を/放(はな)せば、つへハ川へをちる。是に(廿 00011410¥P37 00011420¥G(三十二ウ・三十三オ) 00011430M1三オ)とふわくして、しハらく/思案(しあん)をめぐらし、又/腰(こし)より 00011440M2をふぎをだして、/彼(かの)穴へ入れ手をはなして、ハヽア、この 00011450M3をつじやな 00011460¥N45¥J 00011470¥X○歩の者 00011480M6/殿(との)、ゑんがわへ出させられ、/庭(にハ)のけしき(廿三ウ)御ながめ 00011490M7の折もをり、御国より今まいりの/歩仲(ぶちう)げん五六人、御にハ 00011500M8の/掃除(さうぢ)に/箒(ほうき)かたげて、殿さまともしらす、つる+ときか 00011510M9ゝりしを、殿こへを懸られ、何ものじやと、御たづね有ハ、 00011520M10さきに/進(すゝ)みしちうげん、ハイ、わたくしともハ(廿四オ)/歩(ぶ) 00011530M11てごさります。S歩とハなんの歩じや。ハイ、/只(たゞ)の歩でこ 00011540M12さります△S/忠信(たゞのぶ)ならハ、八しま/檀(たん)の浦のいくさ物かたり、 00011550M13能しりつらん。/語(かた)れ。きかんと仰あれハ、イヤ、其儀ハ、 00011560M14/次(つぎ)の/歩(ぶ)に御たづね遊バしませ 00011570¥N46¥J 00011580¥X○/麁相(そさう)(廿四ウ) 00011590M17/急病家(きうびやうか)へ行とて、わきざしと思ふて、すりこ木をさして 00011600M18行。病用相すミ、病家にて/摺(すり)こ木を見て、扨もおまへハそ 00011610M19さう千万。取ちがへる物こそこさらふに、わきさしと摺こ 00011620M20木とハとわらへハ、につくき/女房(によぼう)め。/ケ様(かやう)なる事を気を付 00011630¥P38 00011640L1へき事なるに、立かへり(廿五オ)しからんと、いとま/乞(こい)も 00011650L2そこ+に、/真(ま)一/文字(もんじ)にはせかへり、/我(わが)内を取ちがへ、と 00011660L3なりの内へはいり、/内義(ないぎ)のぬい物してゐるところを、おの 00011670L4れ、にくひやつ。/脇(わき)ざしを取ちがへ指たるを、しらぬかほ 00011680L5に見なし、万/座(ざ)の中にてはぢをあたへ、ごんご(廿五ウ)同 00011690L6断、ふとゞきものめとしかれハ、是ハしたり、/隣安(りんあん)さま。 00011700L7何をおつしやりますといふをみれハ、となりの内義。是ハ 00011710L8そさうと我家へとんでかへり、女房か前に手をつき、只今 00011720L9のぶ/調(てう)ほう、御めん下されませ(廿六オ) 00011730¥N47¥J 00011740¥X○開帳 00011750L12これ権太郎。そちハいかにわかいとて、大酒のんだり、き 00011760L13ほひ/歩行(あるひ)たり、ちときをつけておとなしくなりやれ。/間(あい)に 00011770L14ハ内にもゐて、御袋の心のやすまるやうにしたがよい。そ 00011780L15していつまでもわかくて(廿六ウ)ゐるものでハない。折 00011790L16+ハ/後(ご)せうも/願(ねが)やれ。さいハひ、ちゝぶ二十五ばんのく 00011800L17わんをんさま、本/堂(どう)こんりうのため、あすここゝの町家を 00011810L18かりて、/夜(よ)がい/帳(てう)が有。しかも/今夜(こんや)ハ、となりのうちで有 00011820L19はづじや。おぬしも/参(まい)つ(廿七オ)たがよし。又/留守(るす)をして、 00011830L20おふくろをも参らせたがよいぞや。アイ、そふ致やせふが、 00011840M1/若(もし)へ大屋さん。あのちゝぶの観音さんと大山の不/動(どう)さんと 00011850M2ハ、どつちがつよふ御ざんしようねエ 00011860¥N48¥J 00011870¥X○つれ+(廿七ウ) 00011880M5四五/輩(はい)を/集(あつ)め、はいかいして楽しむ。でつち/酌(しやく)しながら、 00011890M6/旦那(だんな)様。つれ+に、月花ハさのミめに見る物かわとごさ 00011900M7りますが、あれハ何の事でごさります。ハテ、われハこし 00011910M8やくな事を聞。まつ月ハ十五日がまん月とて、丸く/満(ミつ)るな 00011920M9れとも、十六日(廿八オ)からハかける。花ハ/咲(さき)も残らす、 00011930M10ちりも/初(はじ)めずといふ時が/盛(さかり)なれ共、/落花(らつくわ)とて次第ニおとろ 00011940M11へる。山も/登(のぼ)れハ/下(くだ)らねハならぬ。人間も其通り、/老衰(らうすい)と 00011950M12て、/年寄(としよれ)ハおとろへるほどに、身に引うけて見よ。月にめ 00011960M13で花にたわむれ、酒をのみ心を(廿八ウ)よろこバせる斗て 00011970M14ハ、ほいないといふ事しや。アイ、有かたふごさります。 00011980M15がてんが参ました。そして、月と花とハどちらがたのしみ 00011990M16でこさります。はて、色&な事を。そんな事ハ見世できけ 00012000M17といわれて、帳場へ行、/番頭(ばんとう)様。つれ+草に有、月花の 00012010M18/語(ご)を(廿九オ)旦那様ニ承ましたが、面白い事なれとも、月 00012020M19と花ハいづれが楽しミでこさりますと申たれハ、おまへニ 00012030M20聞とおつしやります。番頭、小/首(くび)をかたむけ、それハ月か 00012040¥P39 00012050L1たのしミさ。Sとハなぜへ△Sてうちんがいらぬ 00012060¥N49¥J 00012070¥X○燈篭(廿九ウ) 00012080L4馬道を二人つれにて、いきな身をして行。むかふから、親 00012090L5父が寺参りのかへりがけ、はたと行あい、をのれハどこへ 00012100L6行。アイ、此人にさそハれ、/燈(とう)ろう見物に行ます。エヽ/留= 00012110L7守(る=す)をあけて、にくいやつ。/早(はや)くかへれ。アイトわかれて 00012120L8(三十オ)行。つれあれハ親父か。イヽヤ。それでも大分お 00012130L9ふへいだ。ナニ、あれハ/下(げ)しやくばらの 00012140¥N50¥J 00012150¥X○異見 00012160L12兄弟二人を/呼(よび)、親父いふやう、/惣領(さうりやう)ハ外にいゝぶんないが、 00012170L13とかく人の/衣(ゐ)るい、紙入、(三十ウ)きせる、何をみても、 00012180L14ねうちをするが悪いくせじや。すいぶん、きを付たがよい。 00012190L15わきで聞てゐてもきのどく。亦/弟(おとゝ)ハ地口とやらが/好(すき)で、を 00012200L16もい人のまへもはゞからず、大事のさう/談(だん)の/中(ちう)ごんにも、 00012210L17地口を云ふわるくせ。かならす+二人(三十一オ)ともに 00012220L18気を付て、/癖(くせ)の出ぬやうニ心がけたがよいと、ゐけんすれ 00012230L19ハ、惣領ハ手をつき、有がたい御/教訓(きやうくん)。只今までうか+ 00012240L20と心付ませず居ましたが、思召の段、身にしミ+有がた 00012250M1ふごさります。世話にも、御/異見(ゐけん)五両かんにん(三十一ウ) 00012260M2十両と申せども、此御異見ハどふ安くつもつても、三百両 00012270M3が物ハごさりますと、じきにくせをいへハ、弟もこらへか 00012280M4ね、/兄貴(あにき)、三百両とハゐけんの鐘か 00012290¥N51¥J 00012300¥X○常念仏 00012310M7私どもハ日&の/家業(かぎやう)せわしきゆへに(三十二オ)(三十二ウ・三 00012320M8十三オ挿絵)/稼(かせぎ)の事はかりにかゝり、/後生(ごせう)のことハすてをき 00012330M9ます。さぞや/未来(ミらい)ハろくな所へハ参るまい。せめて朝ばん 00012340M10ハ念仏の一ツへんづゞも申たい物でごさる。それに引かへ、 00012350M11おまへがたハお/堂(だう)で/常念仏(ぜうねんぶつ)を御つとめ、/唱名(せうめう)の/絶(たへ)まなく、 00012360M12さぞや(三十三ウ)/来(らい)世ハよい所へ御生れなされませう。御 00012370M13うら山しい事といへハ、はて、/埒(らち)もない事をいわつしやる。 00012380M14/毎(まい)日毎ばんのこと。もふ+あきはてました。わしか/願(ねが)ひ 00012390M15でごさるが、どふぞ/死(しに)きわにハ三日ほど、念仏を申さすに 00012400M16死たふごさる(三十四オ) 00012410¥N52¥J 00012420¥X○大石 00012430M19力をたのミに夜の/独旅(ひとりたび)。向ふより小山のやう成男十人斗、 00012440M20酒手を/置(をけ)と、ぬつとでる。イヤ、酒手が有ハ夜はあるかぬ。 00012450¥P40 00012460¥G(四十六ウ・四十七オ) 00012470M1取だめが有ふ。こつちへせう。イヤこいつ。どぶとひやつ 00012480M2といふそば(三十四ウ)から、そいつたゝめ+と/声(こへ)かけれ 00012490M3ハ、イヤうぬら、にくいやつと、あたりに有あふ大石を、 00012500M4何の/苦(く)もなく差あげ、ぶち付んと思ひしが、いや+、な 00012510M5げ付たらハ当つたやつは/片(かた)付やうが、のこりのやつがにげ 00012520M6やふと、/彼(かの)石を小(三十五オ)わきにかいこミ、/引(ひつ)ちぎり+ 00012530M7なげた 00012540¥N53¥J 00012550¥X○せんぼう 00012560M10/浪人(らうにん)、かつほ売をよび、其かつほ、あたへハ何ほどじや。 00012570M11アイ、そくがれんにしてあけませふ。何の事じや。つうぢ 00012580M12の入らぬやふに、鳥目でいへ。(三十五ウ)そんなら、百八十 00012590M13にして上ませう。Sやれ+、よくうそをいふやつじや。 00012600M14たつた今、百五十じやといふたでハないか 00012610¥N54¥J 00012620¥X○大八車 00012630M17女の子/供(とも)ハちよつとよつても口(三十六ノ七オ)まめ。おま 00012640M18へのとつ様ハ、毎日くるまを引て、とこへ行のだ。ちかい 00012650M19所へばかりへか。いへ+、/遠(とふ)くへも行やす。それでも、 00012660M20それそこだ+といわつしやるでハないか。S何さ。あれ 00012670¥P41 00012680L1ハ車をだますのさ(三十六ノ七ウ) 00012690¥N55¥J 00012700¥X○人相悪 00012710L4/根津(ねづ)のぎう/勝迯(かちにげ)といふ身でをりると、武玉川に書しもむべ 00012720L5なるかな。にんさうわるの女郎、けふにかきつて大ぶん人 00012730L6相がよいが、がてんかゆかぬ。大かた、きやくに金でもも 00012740L7らつたで(三十八オ)あらふ。聞て見やふと/呼(よび)かけ、けふの 00012750L8きやくハ目出たそうに見へる。金でもくれたか。Sアイ 00012760L9Sいくらもらつた△S/耳(ミヽ)をそろへて弐分 00012770¥N56¥J 00012780¥X○家来 00012790L12/気点(きてん)の/利(きい)た/家来(けらい)ををき付、/扨(さて)も(三十八ウ)よく用のたりた 00012800L13やつ。朝をきると、其まゝ/手水(てうづ)を/汲(くん)で、はみがきにやうじ 00012810L14をそへて置。手水つかふ内にきせるをそうじして、たばこ 00012820L15ほんに火を生て、茶を汲て、仏だんへ/灯明(とうめう)上てをく。手紙 00012830L16書ふと思ふ。/直(じき)に硯墨すつて(三十九オ)紙をそへてだす。 00012840L17これほどのきてんものが、けさハ/気色(きしやく)の悪いに内にゐぬハ 00012850L18と思ふ所へかへる。そちハあさから、どこへ出たぞ。アイ、 00012860L19やぜんから御かほもちがわるふ見へますに/依(よつ)て、おゐしや 00012870L20様よびに参ました。是ハてきたと悦ひ、(三十九ウ)四五日も 00012880M1くすりのんても、げんもミへず。今日ハ取わけ、あんばい 00012890M2がわるひ。用どもの/沢山(たくさん)なに、/家来(けらい)がをらぬとつぶやく所 00012900M3へ立帰る。そちハどこへいたぞ。アイ、きのふから御様子 00012910M4か大分わるくみへますから、御寺へしらせに(四十オ) 00012920¥N57¥J 00012930¥X○自身番 00012940M7大家三四人、自身番所に/詰(つめ)てゐる中に、一人のちかづきの 00012950M8/医(い)しや通りかゝり、是ハ御番、ごくろう。いつも能御つと 00012960M9めなされます。是ハ忝ひ御あいさつ。私のばんハ、丁ど/貴= 00012970M10所(き=しよ)の御薬と同し事で(四十ウ)ごさります。Sとハなぜな 00012980M11Sハテ、能/廻(まハ)ります△S是ハ御口合。どふもいへませぬと 00012990M12別れ行。そばなる家主、是をきゝ、なんでもおれもいゝた 00013000M13い物と、/兼(かね)てちかづきの医者の通れかしと心がけしが、有 00013010M14時、ちかつきの医者、いそがしさうに(四十一オ)/通(とふ)るを、 00013020M15もし、ちよつと御目に懸りませうといへハ、只今ハ/急病(きうびやう)て 00013030M16参ます。いや+、御手間ハ取らせませぬ。左様ならハ、 00013040M17はやく仰聞られませ。イヤ、外の義でもごさりませぬ。私 00013050M18が番ハ、御まへの御薬と同し事。それがどふ(四十一ウ)致 00013060M19しました。ハテ、能/当(あた)ります 00013070¥P42 00013080¥N58¥J 00013090¥X○進物 00013100L3/友達(ともだち)が/養子(やうし)に行。悦ひに行ふと思ふ内に、/養父(やうふ)相/果(はて)しと聞、 00013110L4是ハきのどく。まだ悦ひにも行ぬ内に、くやミにもゆかれ 00013120L5まいし、どふした物と、一トしあん(四十二オ)して、手紙 00013130L6をしたゝめ、進物を/篭(かご)に入、もたせてやる。/先(さき)で手紙をひ 00013140L7らき見れハ、 00013150L8△貴様御事今般御養子ニ御出被成、目出度奉存候。早速御 00013160L9△祝儀参上可致処、彼是及延引候。然ル処(四十二ウ)御養 00013170L10△父様御死去之由、御残念之程察入候。右御祝儀并御悔旁 00013180L11△以/丈((文カ))申入候。此一品右之印迄懸御目候△已上 00013190L12是ハなんであらふと、ふたをとれバ、半ぶんうなぎ(四十三 00013200L13オ) 00013210¥N59¥J 00013220¥X○煙草 00013230L16たはこをわすれたほと、不自由なものハない。ドレ、貴様 00013240L17のたはこ、/和(やわ)らかくハ二三ふく下され。イヽへ、きつうご 00013250L18ざります。Sそんなら、五六ふく下され 00013260¥N60¥J 00013270¥X○熊(四十三ウ) 00013280M1両国へくまの見世物の木戸/番(ばん)に出るおやぢ、今をかぎりの 00013290M2/大病(たいひやう)。おふごへあげての/上言(うハこと)。熊じや+と斗いふて、念 00013300M3仏一へん申さず。女ぼう、きのどくに思ひ、だうそ、りん 00013310M4じうの今なれハ、念仏をすゝめても聞入ず。(四十四オ)/近所(きんじよ) 00013320M5の者ども、様&とすゝむれとも、只くまじや+と斗。な 00013330M6かにきてんの男、かミ様。くろうにさしやんな。わしが御 00013340M7念仏を申させてやりませうと、大きなこへにて、是おやち。 00013350M8あすハ大あめだによ。Sなむあミた仏(四十四ウ) 00013360¥N61¥J 00013370¥X○風呂 00013380M11/医者(いしや)、せんとうへ行。/風呂(ふろ)の内にて、ちかつきの者こへを 00013390M12かけ、今日ハをそく御出なされました。イヤ、今日ハ大ミ 00013400M13ち。四ツ/谷(や)から赤坂、かうし町、/谷(たに)まち、原町、ごんだ原 00013410M14をまハりました。(四十五オ)それハ御/草臥(くたびれ)でごさりませふと 00013420M15いふ内に、又すミの方で、/今日(けふ)ハとほうもない道をあるい 00013430M16た。聞きやれ。四ツ谷、赤坂、かうし町、谷町、原町、権 00013440M17田原と聞て、をれか口まねをする、にくいやつとすかし見 00013450M18れハ、薬/箱(はこ)もち(四十五ウ) 00013460¥N62¥J 00013470¥X○茶かま 00013480¥P43 00013490L1そさう者、ちやかまのふせて有を見て、何かこゝに/黒(くろ)いも 00013500L2のか有。ヲヽそれハ茶かまだ。なぜ、此茶釜にハ口かない。 00013510L3Sはて、ふせてをいたといへハ、S引くりかへして、/底(そこ)も 00013520L4ない(四十六オ)(四十六ウ・四十七オ挿絵) 00013530¥N63¥J 00013540¥X○見立 00013550L7三人/連(づれ)て、深川へ/呼(よび)出し買に行。座敷へ通れハ、おまへ方 00013560L8ハとしま衆がよふごさりますか、新/造(ぞう)衆になされますか。 00013570L9イヤ、をいらハちとのぞミか有。/爰(こゝ)の内ハ/高砂(たかさご)や。見立も 00013580L10うたひに(四十七ウ)して、/楊貴妃(やうきひ)をあげたひ。/面白(をもしろ)だぬき、 00013590L11/美(うつく)しひのをよんて上ケませふ。Sをれハ/猩&(せう+)△S酒をあが 00013600L12るのかへ△Sきつい事の△Sあなたハへ△S/俊寛(しゆんくわん)△Sそ 00013610L13んなしつぶかな、足/摺(ずり)をして/泣(なく)女郎衆ハござりやせん。イ 00013620L14ヤ+、そふでない。/迎(むかい)の/懸(かゝ)らぬのを(四十八オ) 00013630¥N64¥J 00013640¥X○末世 00013650L17/乞食(こじき)とも/云(いふ)べきぼうす、/門(かど)にたち、はつち+。S/食焚(めしたき)、 00013660L18つかふどなく、通らしやれといへハ、/婆(ば)様きいて、これ三 00013670L19介。そのやうに、けんどんにいはぬもの。このごろもきけ 00013680L20バ、段&と人の/気(き)が(四十八ウ)/邪見(じやけん)になるによつて、/折(をり)& 00013690M1ハ/弘法(こうぼう)様が、あのやうな/形(なり)て、人をさいどにおあるきなさ 00013700M2るげな。/随分(ずいふん)気をつけて物をいやれといふ。坊主S/扨(さて)ハあ 00013710M3らわれた 00013720¥N65¥J 00013730¥X○初会(四十九オ) 00013740M6/盆(ぼん)のころ、/初会(しよくハい)/客(きやく)か来て、/若(わか)い者、おれハ酒の肴に水く 00013750M7わしがすきだ。なんぞ出せと、壱分なげ出ス。わかい者ハ、 00013760M8何でも/珍(めず)らしい物をと/欠(かけ)まハり、/漸(やう+)/柿(かき)を十ヲ斗買出し、 00013770M9/鼻(はな)高&ともち出せハ、是ハ珍らしいと金一両。若い(四十九 00013780M10ウ)者ハあいさつして立、客ハ柿を一つくひかけ、是ハ/渋(しぶ) 00013790M11いと、又一つ取て、是も渋といふ。女郎、きのどくさふに 00013800M12立て、若い者を小かげへよび、あのやうな渋いものをしん 00013810M13ぜて、うらにハ/決(けつ)してごさるまい 00013820¥N66¥J 00013830¥X○/鉢(はち)の木(五十オ) 00013840M16わが/謡(うたひ)ハ、/帆(ほ)を/上(あげ)てといふ所がよくない。コレ/爺(とつ)様。何も 00013850M17しらぬくせに、やれ/早(はや)いの/遅(をそ)いのと。なんでも/師匠(しせう)様で/習(なら) 00013860M18つた通りにうたうのに。S何、をれがしらぬ事が有物か。 00013870M19何でもしつてゐる。そんなら、けふ/習(なら)つたうたひを/当(あて)て 00013880M20(五十ウ)見さつしやれ。Sそんなら謡へ△Sいで其ときの 00013890¥P44 00013900L1鉢の木ハ、梅さくら松にて有しよな△Sさあ是ハなんだ 00013910L2Sしれた事、/菅原(すがハら)だ 00013920¥N67¥J 00013930¥X○/游(をよぎ) 00013940L5今大河て見ました、あのやうにおよ(五十一オ)がれる物で 00013950L6ごさるか。うつむけに成て、身/動(うご)きもせす、十丁ばかり。 00013960L7それから/沖(をき)の方へ出ましたゆへ、目が及ひませぬから見/捨(すて) 00013970L8て来ましたが、あのやうなおよぎの上手も有物でごさるか。 00013980L9S大かた、それハ/土(ど)左衛門でごさりませう(五十一ウ)△Sさ 00013990L10れハ御/名(な)ハ承ませぬ 00014000¥N68¥J 00014010¥X○/了簡(りやうけん) 00014020L13/観音(くハんをん)さまの四万六千日ハいつだ。ハテ、しれたこと。しわ 00014030L14すの十七日十八日さ。Sとほうもない。それハ市だ△Sそ 00014040L15んなら六月の廿四日じや。(五十二オ)まだ/馬鹿(ばか)なことをいふ。 00014050L16それハあたごさまの四まん六千日だ。そんならいつで有た 00014060L17な。そばから/聞(きゝ)かねて、はて、あらさふ事ハない。ついこ 00014070L18よみを見れハしれることをさ(五十二ウ) 00014080¥N69¥J 00014090¥X○塔 00014100M1二人づれて浅草のくわんをんへ参、此/塔(とう)ハ/四重(よじう)だの。馬鹿 00014110M2をいふな。塔ハ三重か五重にきハまつた物で、これハ五重 00014120M3だ。あれ見やれ。一二三四五重だ。Sアヽ、ふたともにか 00014130M4(五十三オ) 00014140¥N70¥J 00014150¥X○天狗 00014160M7/杣(そま)人、煙草のんて休てゐる所へ、天/狗(ぐ)が来る。杣人ハ/肝(きも)を 00014170M8つぶし、/迯(にげ)るも迯られずうろたゆる。天狗Sをれを見てこ 00014180M9わがる其方が/胸(けう)中を、/神通(じんづう)を以てしつてゐる。かならずこ 00014190M10わがる事ハない。ちと(五十三ウ)無心が有。あの三ツめの 00014200M11杉の/枝(ゑだ)が、をれが/住(すむ)所だが、左リの枝が/邪魔(じやま)/((に脱カ))なるから、あ 00014210M12の枝を/伐(きつ)てもらいたい。Sそれハ心安い事と、かけ上り、 00014220M13/斧(まさかり)をふり上ると、/柄(ゑ)がぬけて、まさかりの/落(をち)る/拍子(ひやうし)に、 00014230M14天狗の/鼻(はな)を根からそぐ。S天狗是ハおもひ(五十四オ)もう 00014240M15けぬこと 00014250¥N71¥J 00014260¥X○茶 00014270M18貴様ハあつい/茶(ちや)を、人よりはやく/呑(のむ)が、どふしてあのやう 00014280M19に、はやくのむ。Sあれハぞうさハない。二口三口のんで、 00014290M20/跡(あと)ハ/死(しぬ)と思つて、ぐつとのむ(五十四ウ) 00014300¥P45 00014310¥N72¥J 00014320¥X○東北 00014330L3所ハこゝのへの/東北(とうぼく)の/霊地(れいち)にてと、/外(そと)を/謡(うた)つて通る。Sハ 00014340L4テ、/古(ふる)いうたひを 00014350¥N73¥J 00014360¥X○鉄炮 00014370L6小道具やの見世に/鉄炮(てつほう)の有を、アノ鉄炮の代ハ。S/台(たい)ハ 00014380L7/樫(けやき(ママ))てごさります。(五十五オ)イヤ、/金(かね)の事さ。S/真鍮(しんちう)でごさ 00014390L8ります。ハテ、/直(ね)ハ。Sすぽん 00014400¥N74¥J 00014410¥X○子息 00014420L12両国へ/奇妙(きめう)な見世物か出た。/釘(くぎ)かなものでも、きせるのつ 00014430L13ぶれでもかぢる。/十方(とほう)もないやつよ。Sなに、それが(五十 00014440L14五ウ)きめうな事が有物だ。をらがとなりの/息子(むすこ)ハ、尤、 00014450L15男も大きし、としも廿四五だか、親のすねをかじる 00014460¥N75¥J 00014470¥X○其二 00014480L18其/息子(むすこ)が此中、親父と大けんくわをしだしつかみ合、長屋 00014490L19中か大ぜい(五十六オ)/寄(よつ)て、やう+引わけ、/息子(むすこ)をハ/抱(だき) 00014500L20すくめて外へ出たら、/聞(き)きやれ、息子めかいふ事にハ、親 00014510M1父のどろぼうめ、つらを見しつてゐるぞ 00014520¥N76¥J 00014530¥X○こわいろ 00014540M4役者こわいろ/指南(しなん)と、かんばんを出ス。(五十六ウ)何とぞ、 00014550M5御指南申請たふ存ます。御心安い事。まづ口をあいて、/舌(した) 00014560M6を出さつしやれ。アイと、口を明く所を、きせるのやにを 00014570M7したゝか/舌(した)へぬれハ、Sカアヽ△Sそれが団十郎△S/十方(とほう) 00014580M8もない△Sそれが八蔵(五十七オ) 00014590¥N77¥J 00014600¥X○追落 00014610M11をれハ何をかせいでも/埒(らち)か明ぬが、おぬしハどふだ。をれ 00014620M12も同し事。サア/夫(それ)について/相談(さうだん)か有。どこぞ小/淋(さミ)しい所へ 00014630M13夜/更(ふけ)に出て、/追落(をいをと)しをせうと思ふ。Sハテ、めつそふな 00014640M14Sはて、まあ聞きやれ。をれが(五十七ウ)思ひ付ハ、/急度(きつと) 00014650M15した/追(をい)おとしでハない。向ふから小きみ悪いと思ふて来る 00014660M16/鼻(はな)のさきへ、ぬつと出て、お/定(さだま)りの酒手といふと、/肝(きも)をつ 00014670M17ぶして/迯(にげ)る/拍子(ひやうし)に、紙入か小遣銭てもおとして行を取/工面(くめん)。 00014680M18ひらに出やれと無理にすゝめ、大橋のきわへ出、/待(まつ)てゐる。 00014690M19/侍(さむらい)か(五十八オ)通りかゝりしを、二人出て、酒手を/置(をけ)と 00014700M20いふ。心得たりと刀するりと抜やいな、/肝(きも)をつぶし、跡を 00014710¥P46 00014720L1も見す迯帰り、あすの/晩(ばん)、又来てすゝめるを、をれハもふ 00014730L2いやだ。はて、夕部のやうな事ハたま+。まづあゆべ。 00014740L3Sイヤ、大橋ハぶつそうだ(五十八ウ) 00014750¥Q 00014760L5一△茶のこもち△@めつらしきお|としはなし△@ 00014770L7一△いちのもり△@同しく|新作△@ 00014780L9一△笑上戸△△@追&出し|申候△△@ 00014790L11△板元△△@本石町四丁目△|△堀野や仁兵衛@ 00014800¥P47 00014810¥U噺本大系△第十巻 00014820¥T新口;/稚獅子(おさなじし)〔序題〕 00014830¥G 00014840¥Y 00014850L16安永三年正月刊 00014860L17千三ツ万八郎序 00014870L18万笈堂・文林堂板 00014880L19小本一冊 00014890L20大東急記念文庫蔵 00014900¥Y新口;稚獅子序 00014910M3/日待(ひまち)/酒宴(しゆゑん)/歴(れき)+の/座鋪(さしき)などに、/黙(たまり)&として/居(い)る人、/傍(わき)より 00014920M4見れバ、二本/棒(ぼう)にあらずんハ/労症(ろうしよう)ならん。(序1オ)万一/信= 00014930M5心(しん=しん)の/輩(ともから)、此/書(しよ)をそらんじ、なんでもかでもより/取(とつ)て、/弁侫(しやべつ) 00014940M6て見よ、/忽(たちまち)/元気(げんき)の笑どつとして、/獅子(しし)の子を/谷(たに)へおとす 00014950M7が(序1ウ)ごとし。アヽラ/有難(ありかた)や。此/書(しよ)の外に/類無(るいなき)事、/仏= 00014960M8書(ふつ=しよ)も/転(ころ)り、/儒書(しゆしよ)も/跣(はた)し。ナント/愚痴(くち)/無智(むち)の/凡夫(ぼんぶ)、/試(こゝろミ)に此 00014970M9書を/学(まなん)て見給へ。/其(その)/霊験(れいけん)、/神(しん)のごとし。(序2オ)それか/虚= 00014980M10言(う=そ)なら、御/無理(むり)てこさる 00014990M12△△△安永三午年正月 00015000M13△△△△△△△△△△△△△うそ八百町の名主 00015010M14△△△△△△△△△△△△△△△△△千三ツ万八郎 00015020M15△△△△△△△△△△△△△たま+朝起をして 00015030M16△△△△△△△△△△△△△△△△△△△謹て序ス 00015040M17△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序2ウ) 00015050¥P48 00015060¥N1¥J 00015070¥X仁義礼智信 00015080L3何もしらぬ者が、りきんだ事いゝたがり、二三人寄合た所 00015090L4で、人は仁義礼智信をしらねハならぬと云。Sソレハとふ 00015100L5したことたといふ。Sサレハ、仁は人ナ、義ハ義理ナ、人 00015110L6に義理がなふてハすまぬ△S聞人(一オ)なるほど。ソシテ 00015120L7礼ハと云。Sサレハ礼ハ人に礼かなくてハすます△Sソ 00015130L8シテ智ハへといえハ、我もしらす、ソウ皆迄はゆるされる 00015140L9物か 00015150¥N2¥J 00015160¥X酒の徳 00015170L12二三人寄合、酒といふ物ハ/結構(けつかう)なものだ。/至極(しこく)よく血をめ 00015180L13ぐらすと(一ウ)いへハ、Sナルホトそふだ。おれか此中、 00015190L14大ふん/呑(のん)たれハ、家まて/廻(めく)らした 00015200¥N3¥J 00015210¥X蚊のまじない 00015220L17正月日待に夜食などしまひ、ナント、宝引でもしたひとい 00015230L18ふて、おかミ様。ソコを御/頼(たのミ)申ますといふ。/親父(おやぢ)は心よけ 00015240L19れとも、婆&、大きな(二オ)むつかしやなれハ、とかくは 00015250L20ゝ様のきけんを取て見よと、今はんハ皆か、蚊のましない 00015260M1をしたひと申ますといえハ、Sはゝ聞て、イヤならぬ+。 00015270M2此内てハさせぬと云て、はら立皃を、親父見て、わいらハ 00015280M3一年中いぶされなから、まだ蚊のまじないがしたひか(二 00015290M4ウ) 00015300¥N4¥J 00015310¥X年礼 00015320M7新玉の春、門にハ松を/飾(かさ)り、家内/雑煮(そうに)/喰(くふ)て居る所へ、大黒 00015330M8屋/福(ふく)右衛門、御/慶(けい)申入ます。まつ御きけんよく御/越年(えつねん)なさ 00015340M9れまして、めてたふこさりますといふ所へ、男か/金(かな)じやく 00015350M10しなけ込、Sこれは+御ねんきよく、かた(三オ)しけな 00015360M11ふこさりますと、いふてかへしける。Sサテ+、よい物 00015370M12をくれた。さいわいだ。おろしてつかへと、きうししてい 00015380M13る下女にやれば、S下女、もつて勝手へたち、これ長助と 00015390M14の。江戸てハ、金しやくしの事を、御ねんきよくといふか 00015400M15(三ウ) 00015410¥N5¥J 00015420¥X皃見せ 00015430M18去年の/顔(かを)見せハ、三芝居なから、しはらくサ。其中ても、 00015440M19八百蔵がよいといふ。Sイヤ、今団蔵か能と云。Sイヤ、 00015450M20とふでも団十郎かよいと云、たかひにあらそふを聞て、口 00015460¥P49 00015470L1/拍子(ひやうし)者そばから、イヤ、ソレハ(四オ)団十かはねたと云。 00015480L2S団蔵ひいき聞て、貴様ハ芝居を見た事もなくて、とふし 00015490L3て知るものかと云。Sナルホト、おれハ見はせぬか、団十 00015500L4かはねたろうとおもふハ、海老の子だから 00015510¥N6¥J 00015520¥X切見世(四ウ) 00015530L7二三人寄合て、江戸にハ切見せといふがあるか、ナセ田舎 00015540L8には無と云て/噺(はな)す所へ、口拍子者来懸り聞て、それハない 00015550L9はづ+。Sナセニ△Sハテ、村の入口に、/猥(ミだ)りに/鉄炮(てつほう)無 00015560L10用とアル 00015570¥N7¥J 00015580¥X蚤と虱(五オ) 00015590L13虱、のミと出合、ぬし/達(たち)ハ、うせ薬といふかなくてよい。 00015600L14おいらハ、さつてやの類の薬おゝくてこまるといふ。S蚤 00015610L15聞て、貴さま達ハ第一、わるい所へ喰入から、ソンナしつ 00015620L16深な事を止メ給へと云。Sしらミ聞て、サレハ、おれもそ 00015630L17うおもへとも、ソコカ/思案(しあん)(五ウ)の外だ 00015640¥N8¥J 00015650¥X/挟(はさ)ミ虫 00015660L20げじ+、はさみ虫に行あたり、はさミ虫大に腹を立、コ 00015670M1ノ/梶原(かじハら)のいちわるめ。此/広(ひろい)所て、あたる事か有ものかと、 00015680M2サン+/悪口(あくこう)すれバ、Sげじ聞て、/其(その)やうにいふな。此 00015690M3(六オ)/盗人(とろほう)めといへハ、Sヲレカ、何を/盗(ぬす)んたといへハ、 00015700M4Sおのれハ虫の中て/巾着(きんちやく)切だ 00015710¥N9¥J 00015720¥X/髪(かミ)置キ 00015730M7/至極(しこく)しわいやつ、子共の/祝(いわ)ひに心安キ者/来(き)かゝり、何、こ 00015740M8れハ御/小児(ちいさい)の御いわゐかへと云。S/亭主(ていしゆ)、もふ酒でも入ル 00015750M9/事(こと)をかなしミ、イヤモウ、(六ウ)ほんのしやうことなしさ。 00015760M10ヤツト七所こしらへたと云。S聞者、気をわるくして、ソ 00015770M11シテけふは神田/明(めう)神へか。Sアイ。今からつれて/往(ゆき)ますと 00015780M12いえハ、Sソレハてうとよひと云。S/亭主(ていしゆ)、ナセニトいへ 00015790M13ハ、Sハテ、/七(なゝ)所こしらへたといわしやれハ、七人のかけ 00015800M14だ(七オ) 00015810¥N10¥J 00015820¥X/鰤(ふり) 00015830M17/仕(し)事/師(し)、/親分(おやふん)へ/歳暮(せいほ)にふり一本遣う。二三人寄合て、ホウ、 00015840M18能ものもらいなさつた。これハいくら/位(くらい)しやふ。六百か五 00015850M19百か四百かと云。S/独(ひとり)、ナニ、ぶりたから二百サといふ所 00015860M20へ、子分来て、Sナンタ。ぬし/達(たち)ハおれかつかひ物を(七 00015870¥P50 00015880L1ウ)/安(やす)く見たナ。あんまりチヤアフウにしてくりやるな。 00015890L2小サくても加賀/鰤(ふり)だから、七百た 00015900¥N11¥J 00015910¥X/宝引(ほうひき) 00015920L5四五人寄合て、ほうひきを引中に、ひとり/勝(かつ)て、大に/笑(わら)ふ。 00015930L6Sヤレやかましい。其やうにわらやるなといへは、(八オ) 00015940L7Sキヤツ、むしやうに笑しが、だん+/負(まけ)て/来(く)ル。/笑(わらひ)もた 00015950L8ん+/止(ヤ)ミて、後はにがわらひに成しか、ミンナ負てしま 00015960L9い、なき/声(こへ)に成て、モウ/仕廻(しまを)ふ 00015970¥N12¥J 00015980¥X/仕事師(しことし) 00015990L12此中ナ、/旦那衆(たんなしゆ)、/若(わか)イ/衆(しゆ)と吉原へいつて見た。そのナ、大 00016000L13をん寺前の(八ウ)茶屋へ行て、何やら/帋(かミ)に/包(つゝ)んだ物をやつ 00016010L14てナ、/夫(それ)から/茶漬(ちやつけ)を/喰(くつ)てナ、茶屋をナ、お/先(さき)にして往まし 00016020L15た。キヽヤレ。/吉原(よしハら)たけ人からだ。切見せで、ふんばりと 00016030L16いふことを、ひつぱりと云ハ 00016040¥N13¥J 00016050¥X鉄炮(九オ) 00016060L19/息子(むすこ)/友達(ともたち)、はなしに/来(き)て、/権(こん)ホウ。今夜は/畑(はたけ)へ鉄炮はなし 00016070L20に/往(ゆか)ふといふ。S母親、/陰(かけ)にて聞付ケ、/飛(と)んて出、権や。 00016080M1鉄炮の/際(きハ)へ/寄(よる)ナ 00016090¥N14¥J 00016100¥X曲馬 00016110M4此比両国へ、さて上手な/曲馬(きよくは)か出たよ。Sナアニ、あの/位(くらい) 00016120M5ハおれも乗ル(九ウ)Sソンナラ、乗て見やれと、馬を出す。 00016130M6Sヒラリト乗て、これからとふする 00016140¥N15¥J 00016150¥X陰間 00016160M9子供屋の女房、/陰間(かけま)に/向(むか)ひ、大吉や。今年ハよふつとめを 00016170M10しやつたから、/葛西(かさい)へ/鯉(こい)を/喰(くい)につれて/往(ゆか)ふといふ。S陰間 00016180M11/私(わたし)はイヤ△Sソリヤなせに(十オ)Sきたない 00016190¥N16¥J 00016200¥X火打 00016210M14/仕事師(しことし)の所へ仲ケ間二三人来て、ドウダ、内にか。Sヲヽ 00016220M15よりやれ。たはこ呑やれと云。Sヲイト云て、内へはいり、 00016230M16すわんとするに、火かなし。火打箱を出して、/亭主(ていしゆ)カチ 00016240M17++、むしやうに(十ウ)打とも付ず。Sそはより、ト 00016250M18レ、よこしやれと取て、チヤツト打ハ、/直(ちき)につく。おのし 00016260M19ハ/埒(らち)の明ぬ者だ。これ見やれと、じまんすれバ、Sあんま 00016270M20りミそを上ケやるな。/下地(したぢ)をおれか打ておいた 00016280¥P51 00016290¥N17¥J 00016300¥X無筆(十一オ) 00016310L3無筆なる者、子共を手習に遣けるか、/息子(むすこ)、清書をして親 00016320L4父に見せる。S親父見て、/能(よく)出来た。この絵とつたて、大 00016330L5ふん見事だ 00016340¥N18¥J 00016350¥Xきつね 00016360L8分別らしい男、野道を通りけるか、狐、/昼寝(ひるね)をして居るを、 00016370L9新三+と/起(をこ)す。(十一ウ)Sきつね、化た気に成て、ムヽな 00016380L10んた。S今から余所に日待に行くか、ぬしも往ぬか△Sヲ 00016390L11イ行ふと、/連立(つれたち)行、やかて先へ行。S新三、ソコに待て居 00016400L12やれと云て、内へ入。道に狐か居たからつれて来たか、/化(ばけ) 00016410L13たと思ているから、皆か其気てあしらへといふ。S皆心得 00016420L14て、狐を内へいれ、(十二オ)いろ+/馳走(ちそふ)して、サアちと 00016430L15踊りやれといへハ、S狐、こくうにおとる。S座中、/腹(はら)を 00016440L16かゝえて笑。S狐、つい我か尾を見付、早+にけて行。 00016450L17S其後、また狐居るゆへ、新三、とふしたといへハ、S此 00016460L18中はおかしかつたの 00016470¥N19¥J 00016480¥X献立(十二ウ) 00016490M1或者、祝ひ事有て/献立(こんたて)を書付、はつておく処へ、友達来て、 00016500M2Sこれハこん立か。きついしやれやうたの△S亭主何もし 00016510M3やれた事ハない。とこかしやれた△Sハテ、おつけのけの 00016520M4字はかり書て有ル 00016530¥N20¥J 00016540¥X反物(十三オ) 00016550M7こもかふり寄合て、たん+寒く成に、羅紗てもこはくて 00016560M8も買て、着すはなるまいと云。S新まいのやつか聞て、羅 00016570M9紗のこはくのと、とんた事をいふか、ソリヤなんの事た。 00016580M10Sハテ、/羅紗(らしや)とは/俵(たハら)の事、こはくとハ畳のおもてのことた 00016590M11Sソンナラ酒こもハ、飛/紗綾(さや)といふか(十三ウ) 00016600¥N21¥J 00016610¥X/堺(さかい)丁 00016620M14/田舎(いなか)者、江戸の/縁者(えんしや)へ来て逗留する。S亭主けふはさかい 00016630M15町を振廻ふから、したくをしめされ△Sハイ。夫はよくこ 00016640M16さりませふと/連(つれ)立て行。折節両方大入にて、札うり切たと 00016650M17いふ。S亭主、きうに気かかわり、(十四オ)ついと通りぬ 00016660M18けて、大門通りのそは屋へより、田舎にも喰せて、すいと 00016670M19宿へ/帰(かえ)り、しらぬ皃をして/居(い)る。S女房、いなかにきく。 00016680M20とふたネ、あたつたかね。Sアニサ。あたるへい△Sハテ 00016690¥P52 00016700L1ナ、能ときひたが△Sゑいはゑいのさ。まつ/大((ママ))一、ほそく 00016710L2つて、(十四ウ)/汁(しる)かゑい 00016720¥N22¥J 00016730¥X/蚤(のミ)か/喰(くつ)た 00016740L5/或(ある)所に/友達(ともたち)二三人来て、表に/涼(すゝ)んて/居(い)る。亭主か、おいて 00016750L6なとて内へはいり、ミんなか/来(き)てくりや。Sムヽなんだ 00016760L7Sマアおのしハ/裏口(うらくち)へいてくりや。手まへハおもての上リ 00016770L8(十五オ)口にいやといふて、帯を/解(とく)。S友/達(たち)、/肝(きも)をつぶし、 00016780L9おのしハ何をする。Sインニヤ、/蚤(のミ)を取る△Sおのしハ大 00016790L10そうな。のミぶんざいわ、にけてもゑいわな△Sハテ、そ 00016800L11ういやんな。大切な金をくつた 00016810¥N23¥J 00016820¥X/信濃(しなの)もの(十五ウ) 00016830L14/或(ある)人、/信濃(しなの)者をおきけるが、折ふし風を引て/寝(ね)る。S/女= 00016840L15房(によう=ぼう)、トウタ、/今朝(けさ)は物か/喰(く)へたかときく。S信濃、にかい 00016850L16/顔(かを)をして、トウモ/埒(らち)やあきませぬ。/湯(ゆ)につけ水につけ、た 00016860L17つた三ばいくいました。Sソンナラ、あんじる(十六オ)事 00016870L18ハない。それほとくゑれはよいわさ△S何おまへ。三ばい 00016880L19はかりハ、しろうとも/喰(くい)ます 00016890¥N24¥J 00016900¥X/朝寝(あさね)ぼう 00016910M3ある人、/息子(むすこ)を/呵(しか)る。モウおきなひか。カヽア、ふんばい 00016920M4ておこしやれ。/其様(そのやう)に朝寝をして、ろくな者(十六ウ)には 00016930M5なるまひ。終にはやく/起(おき)た事かない。モウ/何時(なんとき)だとおもふ。 00016940M6/追(おつ)付ケ四ツまへだハ。早くおきろ。いつても、おれと/一所(いつしよ) 00016950M7にはかり/起(おき)をる 00016960¥N25¥J 00016970¥X/馬鹿(はか)/主従(しう※) 00016980M10八介。ハイ。やれ+、久しく居たわい。(十七オ)(十七ウ・ 00016990M11十八オ挿絵)Sハイ△Sいつても、あそこへ行と、なかくな 00017000M12る。モウなん時だ△S大かた九ツか、九ツ半か、八ツてご 00017010M13ざりませふ△Sムヽそふだろ+ 00017020¥N26¥J 00017030¥X/聾(つんぼ) 00017040M16つんぼう/親父(おやぢ)、/日向(ひなた)ぼこして居る。S/若(わか)イ者二三人きて、 00017050M17ぢい様。(十八ウ)さむうこさるといへと、あいさつなし。 00017060M18又さむいねといえと、いつかう聞いれす。/皆(ミな)+笑ひなか 00017070M19ら、ハア、きついてれぼうだといへば、Sちゝい聞付て、 00017080M20どろぼうとハ、だか事た 00017090¥P53 00017100¥G(十七ウ・十八オ) 00017110¥N27¥J 00017120¥X吉原(十九オ) 00017130M3/或(ある)者、無理にさそハれて吉原へ行、遊ひけるが、高なしの 00017140M4さわき。生れて初めての目にあひ、/面白(おもしろ)さに、又四五日過 00017150M5て行んとおもひけるか、以前のつれは留守ゆへ、ぜひなく 00017160M6一人行、すいとはいる。S若イ者立出て、御出なされまし 00017170M7たか。サア(十九ウ)御見立といへハ、Sイニヤ、此中も来 00017180M8たと云。Sヱヽおまへの御あひかたは、/重(しけ)の井様かへ。わ 00017190M9るい時御出なされた。今夜ハあなたは、さして御出なされ 00017200M10ますといへハ、S/皃(かほ)をふくらかして、ヱヽナンノ、さして 00017210M11いたとて、こわひものか。たかゞ女だ(廿オ) 00017220¥N28¥J 00017230¥X蝋燭屋 00017240M14去ルらうそくや、年季者を/仕(つか)ひけるか、/未熟(ミしゆく)ゆへ、親かた 00017250M15折+/叱(しかつ)て、わかやうに物をしてハ役にたゝぬ。チト気を 00017260M16付ろ。しんほうかかいないとしかり、サア+はやく仕事 00017270M17に掛れと、見せへ/追(をい)やる。S頓て、らうそくの(廿ウ)/真(しん)を 00017280M18こしらへるに、/灯心(とうしん)をしたゝか/巻(まき)、ふとくする。Sナセ、 00017290M19其やうにふとくすると/聞(きけ)ハ、Sアイ。それてもおまへ、し 00017300M20んぼうがかいないとおつしやつた 00017310¥P54 00017320¥N29¥J 00017330¥X灸すへ 00017340L3/片屈(へんくつ)なる/夫婦(ふうふ)、子供一人もち(廿一オ)けるか、ある時とな 00017350L4りの/亭主(ていしゆ)、きせるくわへなから来て、坊や、とふしたとく 00017360L5すくる。S女房か云ハ、何、その子ハねつから、くすくつ 00017370L6たかりませぬ。Sハア、そんなら此子ハ、まを見て、灸を 00017380L7すへてやりなさい 00017390¥N30¥J 00017400¥Xあめ細工(廿一ウ) 00017410L10小ぞう、内へかけて入り、銭をくんな。あめさいくか来た 00017420L11からとねたる。Sヱヽやかましいと銭三文やる。/頓(やか)て/買(かつ)て 00017430L12来る。S親父見て、何をかつてきた。/鳶口(とひくち)か、ひやうたん 00017440L13か△Sインニヤ、おら、あね様をかつて来た△Sヱヽべら 00017450L14ぼうめ。/男(おとこ)のやうてもなひ。(廿二オ)うぬもよつほとすき 00017460L15たわへといへハ、Sアイ、おまへに/似(に)てさ 00017470¥N31¥J 00017480¥X観音 00017490L18浅草観音、目はかり/頭巾(つきん)にて、吉原へ女郎/買(かい)に右大臣左大 00017500L19臣を/牽頭(たいこ)持につれ、大門へすつとはいる。S/禿(かふろ)、むかいに 00017510L20でゝいやす。Sくわんをん、(廿二ウ)/尻(しり)をつめる。Sかむろ 00017520M1おかミんすによ△Sこれでもしれるか 00017530¥N32¥J 00017540¥X庚申 00017550M4/庚申(かうしん)さま、深川へ/呼(よひ)出し買にいきやす。牽頭に/猿(さる)をつれ、 00017560M5かは焼屋のまへをとをる。S/旦(たん)那。かばやきのくいしるし 00017570M6ハ、とふてこざります(廿三オ)Sよかろうか、猿、なんそ 00017580M7しやれるか△Sアイ。ずつと寄り、たん那。このうなきを 00017590M8ぐいのミの/尻(しり)ぬけぬえハとふてこさります 00017600¥N33¥J 00017610¥Xすつぱ抜 00017620M11吉原の女郎か、すつぱぬきの客になしミ、今宵もきやした。 00017630M12(廿三ウ)すつと座敷へはいる。くわい中に御太刀をちやく 00017640M13ふくしていやす。S女郎、さしきへくる。またこわらしい 00017650M14もの、持て来なんしたのか。Sイヤ、何も持てハこぬ 00017660M15Sホンカヘト、そはへよると、抜て/首(くひ)をきる。Sそれ見な 00017670M16んし(廿四オ) 00017680¥N34¥J 00017690¥X間/違(ちがい) 00017700M19/信濃(しなの)者をおきやす。赤い帋を買にやる。とり違て青い帋を 00017710M20かつてくる。旦那、大きに腹を立、さつそくいとまを出す。 00017720¥P55 00017730L1S宿の/亭(てい)主、其方ハ/博(はく)奕ハしらす、酒ハ/呑(のま)す、女郎ハきら 00017740L2い。なんでしくじつた(廿四ウ)と、たつねけれハ、Sすこ 00017750L3しの/色(いろ)事さ 00017760¥N35¥J 00017770¥X大黒 00017780L6/或侍(あるさむらい)、大黒様をひろい、町人ならハ商はんしやうを祈ろ 00017790L7うか、此方はおかしなものだ。よし、なんでもこの/暮(くれ)は、 00017800L8百/俵(ひやう)て百両といのるが(廿五オ)よいと、とろ+とまとろ 00017810L9む内に、S大黒様、まくら/上(かミ)にたち、此二俵を其/相場(そうハ)て売 00017820L10てくれろ 00017830¥N36¥J 00017840¥X日/雇(よう)取 00017850L13去ル御屋敷へ、百五十文にて日用ニたのまれ、看板を着せ、 00017860L14棒を持せおく処へ、Sとおりの者、かの人に、(廿五ウ)御 00017870L15屋/舗(しき)にてハ、なんそ御祝儀かととへハ、Sインニヤ△Sさ 00017880L16やうならば、御/役替(やくかへ)でもこさりますか△Sインニヤ△S何 00017890L17ンで御座りますといへハ、Sあてゝ見ろ 00017900¥N37¥J 00017910¥X身投 00017920L20この比、両国橋にて、たひ+身を(廿六オ)なけるゆへ、 00017930M1/番(ばん)人、気をつけて/居(い)る/処(ところ)へ、S二八はかりの女、/袂(たもと)へ石を 00017940M2ひろい入、らんかんに取付、身をなけるところを、S/番(はん)人、 00017950M3/後(うしろ)よりつかまへ、にくひやつだ。/毎晩(まいはん)身をなげるやつハ、 00017960M4うぬであろう(廿六ウ) 00017970¥N38¥J 00017980¥X将棊指 00017990M7吉原の女郎、/朝客(あさきやく)をかへした跡にて、/遣手(やりて)にいふやう、夕 00018000M8部の客ハ、武士て有う。Sインヘ、/旅人(たひうと)であろうといふ。 00018010M9Sやりていふやう、あれハ/将棊(しやうき)さしてこさります。/終(つい)に弐 00018020M10分つかつた事がない(廿七オ) 00018030¥N39¥J 00018040¥X/在郷(いなか)者 00018050M13田舎者二人つれにて/浅艸(あさくさ)観音へまいり、地内にて/笛(ふへ)見せへ 00018060M14より、ふえの穴へゆびを入、/抜(ぬけ)ぬ/故(ゆへ)、いくらでこざるとい 00018070M15ふ。S八文てこさる△S/銭(せに)をはらい、/笛(ふへ)をぶら※下ケて、 00018080M16吉原けんふつに行、(廿七ウ)女郎に見とれ、/格子(かうし)の間へ首 00018090M17をいれ、抜ぬゆへ、此こうしハいくらでこざる 00018100¥N40¥J 00018110¥X/書判(かきはん) 00018120M20/無筆(むひつ)の古道具屋、女房に帳面つけさせます。/或時(あるとき)、/唐絵(からゑ)の 00018130¥P56 00018140L1/皿(さら)を買ました。此はこの/蓋(ふた)へ、大文字(廿八オ)に書付しや 00018150L2れといふ。S女房、/書(かき)ました。大文字に書たゆへ、さらと 00018160L3いふ字かあまり、/脇(わき)へ、皿といふ字を書、/亭主(ていしゆ)に見せけれ 00018170L4ハ、Sヲヽよく/出来(てき)たが、かきはんはいらぬものだ 00018180¥N41¥J 00018190¥X/医師(いし) 00018200L7無筆の/医師(いしや)、/薬種(やくしゆ)の/袋(ふくろ)に、(廿八ウ)ミな+絵をかきしる 00018210L8しおきました。/或(ある)時、/調合(てうかう)いたします所へ、心安キ人来り、 00018220L9かの袋の絵を見て、S其袋に、/侍(さむらい)の/書(かい)て有は、何ンでこさ 00018230L10る△Sコレハぶしてこさる△Sつきの袋に、ゑんまのかい 00018240L11て有ハ△S大わうてこさる(廿九オ)Sそちらの袋に、犬か 00018250L12火にあたつて居るハいかにといへハ、Sコレハ/陳皮(ちんひ)てこさ 00018260L13る 00018270¥N42¥J 00018280¥X餅噺 00018290L16飛たんこ、かの子餅/出会(てあい)、此中幾世餅かいふにハ、貴様や 00018300L17かの子は、咄しの題に出たナ。目出たひ。(廿九ウ)おいら 00018310L18ハ古イ者なれと、いまた見立られぬといふ。Sかの子聞て、 00018320L19ナンホウそふやわらかに出ても、下地焼て居る 00018330¥N43¥J 00018340¥X福湯 00018350M3正月三日、三人/連(つれ)にて大師へ参り、それより大黒の福湯へ 00018360M4行。(三十オ)一人は五盃、一人ハ七盃、一人は九盃呑て、 00018370M5大黒へ、何とそ当年より、福を御さつけ下さりませと/祈(いの)れ 00018380M6ハ、S大黒天、わらいなから、ナンホ、福をさつけても、 00018390M7ソウ喰つてハイケナイ 00018400¥N44¥J 00018410¥X弐朱銀 00018420M10五匁銀と弐朱銀とけんくわを(三十ウ)すれハ、S小判や小 00018430M11粒出て、なんぼ貴さまか/腹(はら)を立ても、五匁は先へ出た物た。 00018440M12貴様か/負(まけ)ねはならぬといふ。S弐朱銀、ソウ打寄て、おれ 00018450M13をつふすことハないといへは、S小判おれはたてゝもやり 00018460M14たいか、貴さまに引ケをつけねハ、人か(三十一オ)かつて 00018470M15んせぬ 00018480¥N45¥J 00018490¥X大工 00018500M18意地のはつた大工のはなしに、キヽヤレ。此中おれか屋敷 00018510M19へ仕事に行た。女めらか出やアかつて、ゑもえしれぬから 00018520M20/言(こと)をぬかしてナ、おれにナ、/鴬(うくひす)をこしらへてくれと(三 00018530¥P57 00018540¥G(三十二ウ・三十三オ) 00018550M1十一ウ)いつた。なんたといふもこふはらたから、おれか/推(すい) 00018560M2量て、/摺子木(すりこき)をこしらえてやつたら、奥中ておれを大に笑 00018570M3たと咄せハ、S聞者それハ大違だ。ナセまた、摺子木とお 00018580M4もひ付た△Sそれてもあいつで、/鴬(うくひす)の餌を摺てハないか 00018590M5(三十二オ)(三十二ウ・三十三オ挿絵) 00018600¥N46¥J 00018610¥X/談合(たんかう) 00018620M8ひとり者、/毎晩(まいはん)戸をひつしとたて、内にて何やら談合する 00018630M9声、聞へけれハ、S大屋、不/審(しん)かり、ある夜、戸の/際(きハ)に立 00018640M10聞すれは、Sサテ、段+年か寄ますれハ、いつ迄もこれ 00018650M11てハつまりませぬ(三十三ウ)から、国元の田地を売まして、 00018660M12元手にいたし、相応な所を見立て、廛ても出そふと存ます 00018670M13か、それに付てハ、留守居てもいれすはなりますまいとい 00018680M14ふを聞て、S大屋こらへかね、戸をさらりと明てはいり、 00018690M15コレ伝介との。貴さまハ何をいわ(三十四オ)しやる。Sハ 00018700M16イ。/談合(たんかう)をいたします△Sナニ、たわことはかり。相手も 00018710M17なくて、/誰(たれ)とたんかうする△Sイヤ、/膝(ひさ)といたします 00018720¥N47¥J 00018730¥X/馴染(なしミ) 00018740M20/宿(やと)/下(を)リと見へ、手に/包(つゝミ)下、廿チばかりな女に下女か付、 00018750¥P58 00018760L1内へずつと(三十四ウ)はいり、権左衛門様。御久しうござ 00018770L2りますといへハ、Sハイ。とつちから御出なされました 00018780L3Sアイ。いせ屋のいとでこさります△Sムヽおいととのか。 00018790L4ヤレ+、久しうてあいました。ヤレ、よい女中にならし 00018800L5やつた。/器量(きりやう)か上つたで、とんと見ちがへたといへハ、 00018810L6Sアイ。御/馴染(なじミ)(三十五オ)ゆへ、ちよつと寄ました。また 00018820L7其内、御めにかゝりませふといふてかへる。Sちゝはゝ、 00018830L8/跡(あと)を見をくり、Sばゝ大ぶんよい子ニなつた。子共の時は、 00018840L9あんな/顔(かを)でハなかつたといへハ、Sぢゝ/何(なに)さ。ほうばいの 00018850L10/皃(かほ)ても、かりて来たあろう 00018860¥N48¥J 00018870¥Xそゝり(三十五ウ) 00018880L13二三人連て、けころをそゝりけるか、ひとりかいふは、ア 00018890L14ノたちはなやの/新造(しんそう)ハ、大ふんわるくなつた。/年増(としま)とうぜ 00018900L15んに見へる。ちつとの内に、きついふけよふだといへハ、 00018910L16Sまた一人か云は、八ヤ。かわいそうに、そふいやんな。 00018920L17トンナゑい女でも、/常往(しやうじう)見せえ(三十六オ)出しておくから、 00018930L18店さらしに成た 00018940¥N49¥J 00018950¥Xさんげ+ 00018960M1両国の川に五六人、さんげ+といふて、千/垢離(こり)を取ける 00018970M2か、寒中にて北風はけしく、そこ+に/仕廻(しまい)、/着(き)物ひつか 00018980M3け、/近所(きんしよ)の酒屋へしけ込ミ、熱がんいゝ付、なんぞ有かへ 00018990M4(三十六ウ)といへハ、Sアイ。こんにやくのでんがくと、 00019000M5湯/豆腐(とうふ)がこさりますといへハ、Sソンナラト、てんでの/好(すき) 00019010M6なもの出させ/喰(くい)けるか、一人かいふハ、こんにやくといふ 00019020M7物は、/姓分(しやうぶん)のかひないものだ。Sナセ△Sこれ程あつい湯 00019030M8の中ニいてもふるへるといへハ、Sイニヤ、そふいやんな。 00019040M9/豆腐(とうふ)も(三十七オ)/震(ふる)へるといへハ、S一人が/茶碗(ちやわん)を/持(もち)なか 00019050M10ら、これ+、こんにやくのふるゑるでも、/豆腐(とうふ)のふるふ 00019060M11でもない。/地震(ちしん)のゆるのさ。Sナセサ△Sハテ、おれか酒 00019070M12を、ミんなゆりこぼした 00019080¥N50¥J 00019090¥X駕舁 00019100M15駕篭/舁(かき)の女房、ふた子を/産(うミ)(三十七ウ)ける。S/隣(となり)の女房、 00019110M16見まいに/来(き)て、ヤレ+、さんか有たそふな。しつたら、 00019120M17こやうもの。マア/血(ち)心もないかへ。トレ、やゝを見ませう、 00019130M18ヤ、ひとりハ内の、もふひとりハとこのだへ。Sアイサ。 00019140M19/面目(めんぼく)もなひ。ふた子をうミましたといへハ、S/隣(となり)の女房、 00019150M20気のどく(三十八オ)かり、ナニサ、/世間(せけん)にない事でもない。 00019160¥P59 00019170L1マアかミ様か/重荷(おもに)をおろされてよいといへハ、S/亭主(ていしゆ)アイ 00019180L2サ。かゝもあひごしで、太儀てこざりましたろう 00019190¥N51¥J 00019200¥X小便たご 00019210L5こいたごに青/菜(な)をいれ、/売(うり)/歩行(あるく)。(三十八ウ)/或(ある)女房、コレ/菜(な) 00019220L6よとよんて、アヽ是ハこいたこにいれてきたの。きたなひ。 00019230L7いや+といへハ、Sナニサ。/洗(あら)へハよくこざります 00019240L8Sあらつても/皮(かわ)をむくでハなし。きたない。/買(かう)まいといへ 00019250L9ハ、Sソウいわしやりますな。江戸でハ小/便(へん)たごで(三十九 00019260L10オ)酒をうります 00019270¥N52¥J 00019280¥X/樽酒(たるさけ) 00019290L13樽酒を取しか、二三人/寄合(よりあひ)てはなしけるハ、ヲレハ/八千代(やちよ) 00019300L14を/買(かつ)た。/甘(あま)いと云。Sひとりハ、ヲレハ/若竹(わかたけ)を/買(かつ)た。/辛(からい)と 00019310L15いふ。S/行過(いきすき)ナ下女/聞(きい)て、けしからぬ。女郎ヲ買に、(三十 00019320L16九ウ)ナメテ/買(かい)なさるそふだ 00019330¥N53¥J 00019340¥Xくさめ 00019350L19/息子(むすこ)、女郎/買(かい)に行、/居(い)つゞけを/打(うち)、くさめをし、ハツクセ 00019360L20ン、ちくしやうめ。どいつか、おれが/噂(うわさ)をするやら。Sツ 00019370M1レもつたいなひあくたいをいやるな。大かた/親父(おやぢ)タロウ 00019380M2(四十オ) 00019390¥N54¥J 00019400¥X/牛(うし)部や 00019410M5牛ども/寄合(よりあひ)、/噺(はな)しをする。/近年(きんねん)ハ大ぶん、所+に女郎屋 00019420M6か/出来(てき)た。人/間(けん)といふ物ハ、よいたのしミをするものだと 00019430M7いへハ、S一つの牛が、ヲイラモどふぞ、/安者(やすもの)が/買(かい)たい。 00019440M8Sアシナ物/数奇(すき)を/云(いふ)といへハ、(四十ウ)Sハテ、やすもの 00019450M9で/鼻(はな)か/落(おち)たら、/楽(らく)をシヤウニ 00019460¥N55¥J 00019470¥X/起上(おきやがり)/小法師(こぼし) 00019480M12/頭痛持(つつうもち)のかミ様へ、此ころ、所+にだるまの付たかんは 00019490M13んの頭痛/薬(くすり)か/奇妙(きめう)だとすゝめけれハ、S/直(ちき)に/調(とゝのへ)/呑(のま)せる。 00019500M14S/其後(そののち)すゝめたる(四十一オ)人/来(きた)り、此中の薬はどふだと 00019510M15とへハ、S/亭主(ていしゆ)なるほどきめうに、あたまはかるくなつた 00019520M16が、わるい事に、/尻(しり)か/重(おも)くなつた 00019530¥N56¥J 00019540¥X/川浸餅(かわひたりもち) 00019550M19川びたり餅を/買(かい)けれハ、内の/祖父(ぢゞ)、どふぞのけておいて、 00019560M20/孫(まこ)めに(四十一ウ)/喰(くわ)せてくりやれといへハ、S/何(なに)さ。アイ 00019570¥P60 00019580L1ツがよふに、内に/居(い)ぬやつに、まゝにしたかよいといへハ、 00019590L2Sそふいやるな。アレハ此ごろ、/深川(ふかかわ)へはまつていると/聞(きい) 00019600L3た 00019610¥N57¥J 00019620¥X/犬(いぬ) 00019630L6/犬(いぬ)つるんだを、どふも/子共等(こともら)か(四十二オ)よつて、やかま 00019640L7しいと、内より水をもつて/出(いで)、ザツト/懸(かけ)けれバ、S/犬(いぬ)ふり 00019650L8/返(かへ)り、おかげてサ 00019660¥N58¥J 00019670¥X/植木(うへき) 00019680L11/大師様(たいしさま)へ参り、帰りかけに/密柑(ミかん)のつぎ/穂(ほ)を/買(かつ)たが、さても 00019690L12大きいミかんだ。まづ/茶碗(ちやわん)より大きい(四十二ウ)/密柑(ミかん)たと 00019700L13いへハ、Sそれハ大かた、たい※てあらふと云。Sナニ、 00019710L14ミかんたといふ。Sソシテ、/葉(は)ハとのやうなはたといへハ、 00019720L15Sアレハ、はなしさ 00019730¥N59¥J 00019740¥Xいき/過(すき) 00019750L18女郎屋の/嚊(かゝ)、何やら腹立て、女郎をさん+/打擲(てうちやく)しけれハ、 00019760L19女郎も(四十三オ)髪を/乱(ミた)し/泣(なき)さけひける。折ふし、其女郎 00019770L20の/馴染(なしミ)の/客(きやく)来りけるゆへ、嚊もてうちやくを止メ、女郎も 00019780M1よひ/幸(さいわい)と、泣/皃(かほ)なから客の前へ出るに、S客は女郎の泣顔 00019790M2をミて、これハきつい/愁歎(しうたん)かな。とふしておれか国へ往事 00019800M3を知た(四十三ウ) 00019810¥N60¥J 00019820¥X小児 00019830M6小児あつまりて、吉さんや。おまへの/乳母(うば)はうまそふな。 00019840M7よく/肥(ふとつ)ているの。Sインニヤ、/権(こん)さんのうはか、色か白く 00019850M8てうまそふた△Sインニヤ、八さんのかよいと乳母の/噂(うハさ)。 00019860M9S/親父(おやち)、障子こしに聞て、かきめらか/乳(ち)を/喰(くら)ふ(四十四オ) 00019870M10さまで、いけこしやくな事をいふとしかれハ、Sわい+、 00019880M11乳の事をいふに 00019890¥N61¥J 00019900¥X座頭 00019910M14/生酔(なまゑい)、/座頭(ざとう)に行あたり、エヽ/爰(こゝ)なとうめくらめ。目を明て 00019920M15あるけ。S座頭、はらを立て、うぬ、目を明イてあるけ。 00019930M16コヽナどう目明め(四十四ウ) 00019940¥N62¥J 00019950¥X俳人 00019960M19/俳人(はいしん)三人/連(つれ)て/帰(かへ)る。ナント/天(てん)保丈。さて+/麁相子(そさうし)の/句(く)は 00019970M20いつも同しこと。其うへ/遅吟(ちぎん)で、さん+/興(きやう)をさまします。 00019980¥P61 00019990L1Sナルホト+。酒/呑(てん)子の仰の通り。一/躰(たい)/俳気(はいき)か/薄(うすふ)て、是 00020000L2ぞといふ/秀逸(しういつ)も出ませぬ△Sイヤ、/私宅(したく)は(四十五オ)此横 00020010L3丁へまいるか近道。これて御別れ申ますといふて、/天保(てんぽ)ハ 00020020L4分る。Sナント天山丈。天保の句作も久しいもの。せんた 00020030L5い古句/先(せん)生てこさる△Sサヨウ+。まことに天保とハ、 00020040L6よく付ましたと咄し+行内に、天山か家の前なれハ、是 00020050L7は私宅。チト御寄なされぬか。Sイヤ+、(四十五ウ)夜 00020060L8も更ましたから、おさらハ+とわかれて、酒/呑(てん)、/独(ひとり)言に 00020070L9人を譏る。天/山(さん)か句作も、やつはり天保同前、ひさしい/下= 00020080L10手(へ=た)てハ有ルといへハ、S奴、挑灯引/摺(すり)なから、モシ/旦那(たんな)様。 00020090L11俳諧と申ものハ、道の遠人か/上手(しやうす)てこさりますか(四十六オ) 00020100¥N63¥J 00020110¥X/提灯(ちようちん) 00020120L14/侍(さむらい)、酒/機嫌(きけん)にて、コレ/可(へく)介。提灯か暗。らうそくの/真(しん)を 00020130L15切れ。Sハイトいふて、ちやうちんを下におき、しんを切 00020140L16とて火を/消(けし)けれハ、S主人怒て、にくいヤツ。なせ火をけ 00020150L17した。ゆるさぬと刀をひねくる。S奴もやかて/脇差(わきさし)をとり 00020160L18(四十六ウ)直し、/鯉(こい)口をならすゆへ、S主人/驚(おとろ)き、おのれ 00020170L19は、主に手むかひするか。Sイヤ、御気つかひなされます 00020180L20な。爰から付木を出します 00020190¥N64¥J 00020200¥X番太郎 00020210M3番太郎、夜の八つより七つ六つと、たん+時の/拍子木(ひやうしき)を 00020220M4打けれとも、暮六つ(四十七オ)より九つまては、/一向(いつかう)に拍 00020230M5子木うたす、時もしらせされハ、S大屋衆、番太郎を/呼寄(よひよせ) 00020240M6て、/其方(そち)ハ明かたにハひやうしきを打とも、宵より夜中ま 00020250M7ては一切うたぬハ、とふしたことだ。Sハイ。此間/鶏(にハとり)を 00020260M8/養生(やうしやう)喰ニいたしますゆへ、宵のうちハ/慎(つゝしミ)ます(四十七ウ) 00020270¥N65¥J 00020280¥X/釣(つり) 00020290M11/医師(いしや)殿、釣をしけるを見れハ、きすかといへハ/鱚(きす)/上(あか)り、/鯛(たい) 00020300M12といへハ/鯛(たい)があかる。そばの見物とも、これハ/奇妙(きめう)と/肝(きも)を 00020310M13つふしけるうち、カノいしやとの、/今度(こんと)は/無言(むこん)ニて/釣(つり)上け 00020320M14れバ、ふぐを/釣(つり)あぐる。(四十八オ)/是(これ)ハとふりて、/死脉(しミやく)か 00020330M15うつた 00020340¥N66¥J 00020350¥X/吸物(すいもの) 00020360M18/煮売(にうり)屋に、ふり/袖(そて)の/吸(すい)物有と、かんはん懸けるゆへ、とを 00020370M19りの/者(もの)/寄(より)ていゝ付けれバ、/兎角(とかく)/鳥(とり)の味ひあるゆへ、/亭主(ていしゆ)に 00020380M20/聞(きゝ)けれハ、Sナルホト、それハ/鷺(さぎ)てこさりますと(四十八ウ) 00020390¥P62 00020400L1いふゆへ、Sナセまた/鷺(さき)を/振袖(ふりそて)といふといへハ、Sサレハ、 00020410L2羽か白ふこさります 00020420¥N67¥J 00020430¥X/弟子入(てしいり) 00020440L5/盗人(とろほふ)の/師匠(ししやう)とのへ、弟子入有りけるゆへ、師匠との、相手 00020450L6になつてはなし居る内、裏口より、盗人、コソトはいり、 00020460L7箪笥の引出を明て、(四十九オ)大かた/着物(きもの)を持出すを見て、 00020470L8S弟子入の人、モシ御師匠さま。只今御/勝手(かつて)より/這入(はいつ)た人 00020480L9は、定てとろほうと存ます。御たんすの御/衣類(いるい)、大かた取 00020490L10出しましたといゝけれハ、S師匠との、ぬからぬ皃て、今 00020500L11日ハ稽古日てこさる(四十九ウ) 00020510¥N68¥J 00020520¥Xかし座舗 00020530L14物/数奇(すき)もの、京の祇園に/逆(さかさ)座舗といふ所有とて行。まつ天 00020540L15井か備後表、畳に/網代(あしろ)、/其(その)外さかさなる事とも、いてし膳 00020550L16も逆にすへて、諸事逆なことはかり。これハ珍しいと(五 00020560L17十オ)/誉(ほめ)て、サテ亭主。此入用、何ほとかと問。S程なく 00020570L18/逆(さかさ)に書付て、/勘定(かんてう)して出しけるを、よく見て、S此代は、 00020580L19われ/払(はら)へ 00020590¥N69¥J 00020600¥Xしやれ 00020610M3友達のかミ様、少&煩けるゆへ、見舞に行けれハ、S亭主 00020620M4さて(五十ウ)貴様の御存ニ、/功者(こうしや)ナ御/医師(いしや)さまか御座らハ、 00020630M5引付て下されと/噺(はなし)けれハ、Sナルホト、一人こさりますか、 00020640M6ことの外、しやれるいしや殿てこさるからといへハ、Sし 00020650M7やれても、病気さへ/直(なを)れハよふこさる。引つけて下されと 00020660M8云ゆへ、引つけければ、(五十一オ)Sほとなく見/舞(まい)。まつ 00020670M9/脉(ミやく)なとミて、/薬筥(くすりはこ)より薬取出し、けさんを止て、/石(いし)をおも 00020680M10しに/置(お)キ、さじを/用(もち)ひす、/指(ゆひ)につまミ出し、/調合(てうかう)/仕廻(しまい)、薬 00020690M11をぐる+とひねり、なけ出し、ソレずいせんじ、ずいの 00020700M12ミといへハ、S/亭(てい)主、これハ(五十一ウ)せうかてもいれま 00020710M13すかといへハ、Sナニサ。わさひてよふこさる 00020720¥N70¥J 00020730¥X小刀 00020740L16/奥様(おくさま)、/小刀(さすか)を/産(うミ)給ひければ、/家老(かろう)用人/皆(ミな)&打寄、いろ+ 00020750L17評義しけれハ、S一人、/昔(むかし)/唐土(もろこし)に、黒かねの丸かせを産 00020760L18シ事も有。(五十二オ)何にもせよ、抜て見んとてぬきけれ 00020770L19ハ、大ふんさひたり。これハ+きついさひよふたといへ 00020780L20ハ、S小刀トキヤア+ 00020790¥P63 00020800¥N71¥J 00020810¥X自慢 00020820L3仕事師、酒の/自慢(ミそ)をあけ、おいらはふたん、上酒はかり呑 00020830L4(五十二ウ)多くもかわぬか、内田屋て木棉屋はかり/取(とつ)てお 00020840L5いて呑といへハ、S/友達(ともたち)、クソヲクラへ。わいらか口へろ 00020850L6くなもめんやがはいる物かといえは、Sよくなくてとふす 00020860L7る物た。しかも/名古屋(なこや)の一はんた 00020870¥N72¥J 00020880¥Xくわゐ(五十三オ) 00020890L10/硯(すゝり)ふたに、くわゐ出けれハ、客とつて/喰(くわ)んとす。S女郎見 00020900L11て、よしなんし。とくだといへば、Sソンナラよそふとい 00020910L12ふて、/投(なけ)けれハ、Sくわゐ、ころ+として/起直(おきなを)り、おれ 00020920L13より、わがどくた 00020930¥N73¥J 00020940¥X金持(五十三ウ) 00020950L16/金持(かねもち)、かねの/減(へる)やうに工夫するに、上方に/寒咲(かんさき)の桜かある 00020960L17ゆへ、江戸/真崎(まつさき)の/社地(しやち)へ植れば、二万両もかゝるとて、/急(いそき) 00020970L18引付て植るとて、穴を/堀(ほり)けるに、其穴の内より、千/両筥(りやうはこ)を 00020980L19二つ堀出しけれハ、金持、これハ/叶(かな)(五十四オ)わぬとて、 00020990L20直に/出奔(しゆつほん) 00021000¥N74¥J 00021010¥X座頭 00021020M3大晦日の晩、座頭の所へかけ乞来り、モシ、米やてこさり 00021030M4ますといへハ、Sナルホト、/後程(のちほと)御出と断ける。Sまた、 00021040M5味噌屋てこさりますといへハ、Sこれものちほとこされと、 00021050M6(五十四ウ)いふてかへし、Sまた、/油(あふら)屋てこさりますとい 00021060M7へハ、S貴様にハ/何(なに)ほどこさりますと聞けれハ、Sアイ。 00021070M8壱分二朱こさりますと云。S座頭アヽつふへなものた(五十 00021080M9五オ) 00021090¥Q 00021100M12おさ名獅子△△初篇出版 00021110M14同△△△△△△後篇近刻 00021120M16△△△△△駒込△万笈堂 00021130M17安永三午 00021140M18△△初春△△本郷△文林堂 00021150M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(五十五ウ) 00021160¥P64 00021170¥U噺本大系△第十巻 00021180¥T/富来話有智(ふくわうち)〔内題〕 00021190¥G 00021200¥Y 00021210L17安永三年正月序 00021220L18鷄肋斎画餅序 00021230L19遠州屋弥七板 00021240L20小本一冊 00021250¥Y○序 00021260M3/嘘(うそ)の/嘘(うそ)とすべきは、/常(つね)の嘘にあらず。/室(むろ)に入れて、/梅(むめ)に/春(はる) 00021270M4の/嘘(うそ)をひらかせ、/年玉(としだま)の/揚底(あげそこ)に、/砂糖(さとう)の(序一オ)/嘘(うそ)をくば 00021280M5る。/是(これ)ぞ/誠(まこと)の/本(ほん)の/嘘(うそ)なるべし。むかし+、/爺(ぢゝい)と/婆(はゞア)とハ、 00021290M6子どもたらしの/歯無(はなし)の/種(たね)、/当世(とうせい)ちよゝらの/■戯咄(たわけはなし)は、/新口(しんくち) 00021300M7と/書(かい)て/葉(は)なし(序一ウ)と/訓(くん)ず。/何(なに)がな/種(たね)と、/遠州屋(ゑんしうや)が/拾(ひろ)ひ 00021310M8/集(あつめ)し/根(ね)なしぐさ、/耳上手(ミヽじやうす)の/世間(せけん)へ/新作(しんさく)とハおこがましけれ 00021320M9ど、/笑(わら)ふ/門(かど)には/富来話(ふくわ)うちと、/吉例(きちれい)に(序二オ)まかせて、 00021330M10/鷄肋斎(けいろくさい)画餅/題之(だいす) 00021340M12△△△安永三年 00021350M13△△△△△△△甲午の初春(序二ウ) 00021360¥P65 00021370¥T1富来話有智 00021380¥N1¥J 00021390¥X○年礼 00021400L5伊勢屋徳右衛門、御慶申ますといひこめバ、内でも、伊せ 00021410L6や徳右衛門、御慶申ますとこたへる。よい春でこざるとい 00021420L7へバ、内でも、よい春(壱オ)でござるといふ。ハテ、かわ 00021430L8つたことじやと、/玄関(げんくハ)から内をのぞひ/で((ママ))見たれバ、あふむ 00021440L9が/飼(か)ふて有た 00021450¥N2¥J 00021460¥X○聾 00021470L12おや子ともに、かなつんぼの所へ、米屋五兵衛、年始の御 00021480L13礼申ます(壱ウ)とよびこんでゆけバ、もし、おやぢ様。今 00021490L14/来(き)たのハ、米屋の五兵衛殿てござるのといへバ、Sナニサ。 00021500L15あれハ米屋の五兵衛殿さ△Sハテ、あれハ米やの五兵衛で 00021510L16ござるといへハ、おやぢSフウ、おれハ又、米やの五兵衛 00021520L17どのじやと(弐オ)思ふた 00021530¥N3¥J 00021540¥X○年玉 00021550L20御慶+。Sコレハ/早&(はや+)と忝い。しづかな春でと、めでた 00021560M1い/尽(づく)し。門にハ/絵双六(ゑすごろく)のうりごへ。一チ夜明ケたとて、と 00021570M2んだ気のかるく成る事(弐ウ)じやのふ。扨、此とし玉にあ 00021580M3ふぎを/持(もつ)てくるのハ、どふしたいわくじや。Sハテ、しれ 00021590M4たこと。/末(すへ)ひろくはるにあふぎといふ心さ△S成程、それ 00021600M5ハきこへたが、此茶わんハ又どふいふ/訳(わけ)じや△Sハテ、そ 00021610M6れハ夕部かけ取を(三オ)茶にしたといふ心さ 00021620¥N4¥J 00021630¥X○歳旦 00021640M9/駕篭舁(かごかき)も/門出(かといで)、アヽのどかな/空(そら)じや。/棒組(ぼうぐミ)。おらハいわふ 00021650M10て/歳旦(さいたん)をいたした。Sフウ、何と被成た△Sかうもあらう 00021660M11か。(三ウ) 00021670M12△△△はつ/霞(かすミ)まづかごの/棒(ぼう)一もんじ 00021680M13これハ+おもしろい。/及(およバ)ずながら、やつがれも御わきを 00021690M14仕らうと、しばらくあんじて、 00021700M15△△△おいらは/餅(もち)を買うてくう也 00021710M16なんといかゞでござる。S成ほど、おも(四オ)しろそふな 00021720M17が、これハ/発句(ほつく)につきませぬやふでござる。アヽどふもつ 00021730M18かぬ+といへバ、Sサレバ、つかぬによつて、かうてく 00021740M19いますわいの 00021750¥P66 00021760¥G(十ウ・十一オ) 00021770¥N5¥J 00021780¥X○投扇会 00021790M3夕部も/投扇興(とうせんけう)を/催(もよふ)して、八つ(四ウ)じぶん迄して見たが、 00021800M4どふも/苅穂(かりほ)ハでぬぞ+と/咄(はな)すを、もし、それハどんな物 00021810M5でござるといへバ、そバにゐたおやぢが、コレ+、いな 00021820M6かものゝいふ様なこといふて、わらわれやるな。/投(とう)せん/興(けう) 00021830M7といふハ、まへから有ること(五オ)じや。Sそれでもしら 00021840M8ぬもの△Sハテ、湯に入レてのむものじや 00021850¥N6¥J 00021860¥X○一の富 00021870M11/杉(すぎ)の/森(もり)のとミハきついはやりの。Sサレバ、あんなよいわ 00021880M12りな富ハないよ。一枚かい給へ△Sハテつがもない。三千 00021890M13と云札の(五ウ)内であたるといふハ、大ていのことじや有 00021900M14まいといへバ、そバから、アヽ江戸なれバこそ、六百で百 00021910M15両取ルといふハ、こんなうまいことハ、からにもあるまい。 00021920M16Sコレサ。それもとれゝバよいが、とれぬ時ハ△Sハテ 00021930M17(六オ)さて、こつちで取らいでも、人がとりますわな 00021940¥N7¥J 00021950¥X○丸屋 00021960M20二三人寄りて、ナント、/旧冬(きうとう)の中村が/顔(かを)見せ、御/覧(らん)被成た 00021970¥P67 00021980L1か。Sアヽ、あれを見いでどふいたそふぞ。(六ウ)とんだ 00021990L2入りてござつた。あれハまつたく丸屋があたりと存ます 00022000L3Sいかにも+、丸屋あたりにきわまりましたといへバ、 00022010L4そバに/居(い)たるおやぢ、目がねをはづして、なんと、其丸屋 00022020L5といわ(七オ)しやるハ、けんどん屋のことか 00022030¥N8¥J 00022040¥X○宝舟 00022050L8/御前(ごぜん)様から、女中方へのこらすたからぶねを下され、三日 00022060L9のあさ、ミな+/御前(ごぜん)へ出て、めい+の/夢(ゆめ)ばなしをお聞 00022070L10なさるれバ、(七ウ)めでたい/夢(ゆめ)を思ひ+に申上ゲるなか 00022080L11に、お/末(すへ)のお/亀(かめ)がばんに成ル。サアおかめどのハ、どんな 00022090L12ゆめを見なさつた。はなしなされとせがまれ、まじめに成 00022100L13て、Sアイサ。わたしもいたゞひたたからぶねを(八オ)/敷(しい) 00022110L14てねまして、なんでも、よい夢を見よふ+と思ひました 00022120L15に、つゐねいりました 00022130¥N9¥J 00022140¥X○連哥 00022150L18/今宵(こよひ)の初雪、むげに内にハ/居(い)られまい。折助。てうちんを 00022160L19(八ウ)とぼせ。/理外(りぐわい)が所へ/行(い)てこふと、ぼくりはいて立い 00022170L20づれバ、なむさん、/今夜(こんや)も八つがものハあると、つぶやき 00022180M1ながら/供(とも)してゆけバ、はや四五人あつまりて、初雪の/百員(ひやくいん) 00022190M2はじまる。折助ハ供部屋(九オ)にうづくまり、すそハおろ 00022200M3せど、さむさにてねるもねられぬ/現(うつゝ)の夢。やう+/八時過(やつすぎ) 00022210M4に、百/員(いん)すミて/旦那(だんな)の御かへり。ぜひなく/挑灯(てうちん)さげて/先(さき)に 00022220M5たち、/主従(しう※)ふたり/雪道(ゆきミち)をたどり行に、道のまん(九ウ)なか 00022230M6に、六尺ばかりの大の/法師(ほうし)、すつくりと立てゐしを、折介 00022240M7ハものをもいわず、そばをずつとすり通れバ、/旦那(だんな)も足ば 00022250M8やにゆきぬけて、Sナント折介。今のハ何であらうなとい 00022260M9へバ、折助ハ(十オ)(十ウ・十一オ挿絵)ぶつてうづらにて、 00022270M10Sハイ。今じぶん出ているから、ろくなやつでハ有ルまい。 00022280M11どろぼうか/俳諧師(はいかいし)でござりませう 00022290¥N10¥J 00022300¥X○人参 00022310M14扨+/人参(にんじん)の/力(ちから)ハすさまじい(十一ウ)もんだのふ。Sそれ 00022320M15を貴様、今知たか△Sサレバさ。/先度(せんど)/隣(となり)の/浪人(らうにん)殿が、/瘧(おこり)を 00022330M16ふるふて、久しく/落(をち)こぢれて、よわり切てゐる所へ、/医者(いしや) 00022340M17どのが来て、これハもふ人しんを弐分づゝも用ひずハなる 00022350M18まいと(十二オ)いわれたを、彼病人がきくと、びつくりし 00022360M19て、ぢきにおこりが/落(をち)た 00022370¥P68 00022380¥G(二十五ウ・二十六オ) 00022390¥N11¥J 00022400¥X○/黒(くろ)尽し 00022410M3御大名の御とをりを立とまつてミるに、おかちの羽織はか 00022420M4ま、一様ニ黒ク、かごかんばん、やつこのふんどしまで(十 00022430M5二ウ)みな/黒尽(くろづく)し。是ハ+/物好(ものずき)な殿様だと、おさへにむ 00022440M6かひて、どなた様でござるととへバ、/黒田(くろだ)/大隅守(をふすミのかミ) 00022450¥N12¥J 00022460¥X○虫笛 00022470M9きのふ湯嶋の下で見れバ、むし(十三オ)/笛(ぶへ)をこしらへてう 00022480M10るが、それハ+/松(まつ)虫、すゞ虫、/蛙(かへる)ぶへなど、/生身(しやうじん)にちつ 00022490M11ともちがわぬ。きめうなものもでるものだといへバ、さて 00022500M12+貴様、めづらしさふに。あれを/始(はじめ)て見やつたか。アレ 00022510M13ハ久しいものだ。(十三ウ)そんなら貴様ハ、もふ知つてゐ 00022520M14るか。Sヲウサ、/随分(ずいぶん)しつてゐる。虫といふむしに、あれ 00022530M15がこしらへぬ/笛(ふへ)ハない。此ごろもいつて見れバ、むかでぶ 00022540M16へ、げし+/笛(ふへ)迄こしらへて居た(十四オ) 00022550¥N13¥J 00022560¥X○時鳥 00022570M19雨ふつて/淋(さミ)しさに二三人より合、/趣向(しゆかう)する所へ/鰹(かつを)うりのこ 00022580M20ゑ。これハよい処へ初かつほ。それよべと、/直段(ねだん)かまわず 00022590¥P69 00022600L1/買(かい)とり、サア御/亭主(ていしゆ)。/包丁(ほうてう)+といへば、(十四ウ)これハ 00022610L2きじやきにせふと、/魚串(うをぐし)を取りいだす。Sコレハどふた。 00022620L3/初鰹(はつかつほ)をやくとハ、いかに/下戸(げこ)じやといふて心もない。さし 00022630L4ミにつくり給へといふて、酒をあたゝめ/楽(たの)しむ折から、/空(そら) 00022640L5に一こへ/時鳥(ほとゝぎす)。アレきゝ給へ。(十五オ)初ほとゝぎす。ど 00022650L6ふもいへぬと、/座中(ざちう)、/耳(ミヽ)をそバだつれバ、/亭主(ていしゆ)/聞(きい)て、/何(なに)、 00022660L7/時鳥(ほとゝぎす)とおつしやるか。これこそやき鳥がよかろう 00022670¥N14¥J 00022680¥X○余寒 00022690L10大屋さまへ/仕事師(しごとし)、年礼に(十五ウ)ゆけバ、これハ八兵衛 00022700L11どの。忝い。よい春でござる。したが、つよい/余寒(よかん)だの。 00022710L12Sアイ、まだ/昼(ひる)も/寒(かん)じます 00022720¥N15¥J 00022730¥X○でき心 00022740L15/旦那(だんな)の/硯(すゞり)ばこに、/壱分(いちぶ)が紙に/捻(ひねつ)(十六オ)て有るを、三介、 00022750L16ひよつとでき心に成ツて、ちよいとつまミける所へ、旦那 00022760L17/帰(かへ)りけれバ、うろたへて、かミくずかごへなげ/込(こミ)ミける。 00022770L18折ふし/紙屑(かミくず)/買(かい)くれバ、紙くずやらふと、旦那が手づからか 00022780L19ごをわたして(十六ウ)やれバ、Sアイ、三十上ゲませふと、 00022790L20/銭(ぜに)をいだし、紙くずをかごへつかミ/込(こミ)ながら、彼ひねりを 00022800M1見付て/袂(たもと)へいれる。三介たまらず、コリヤ+まて。其く 00022810M2ずハうるまい。かへせといふ。Sイヤ、三十でかいました 00022820M3からハ(十七オ)何が有ても私がものてござる。かへす事ハ 00022830M4成りませぬ△Sハテ扨、三十でも五十でも、ぬすミ物をか 00022840M5うては其方が為に成ルまい 00022850¥N16¥J 00022860¥X○吝い奴 00022870M8/隣(となり)の太郎左ほどしわいやつハない。(十七ウ)/砥石(といし)をかりに 00022880M9やれバ、こつちへ来てとげといふ。まきわりをかせといへ 00022890M10バ、こちへ来てわれとぬかす。あいつほどわりづめなやつ 00022900M11はない。さりとハ人をばかにする。何でもこつちへかりに 00022910M12来たらバ、(十八オ)いひ/返(かへ)してやるべいと思ひふくんでゐ 00022920M13けるに、ある時、太郎左が所から人が来て、御無心ながら 00022930M14少しの内、はしごをかして下さりませといふてくる。/亭主(ていしゆ) 00022940M15聞て、ヲヽお安い御用でござる。こつちへ(十八ウ)来てあ 00022950M16がらしやいといやれ 00022960¥N17¥J 00022970¥X○養子 00022980M19近所の米屋へ/養子(ようし)を入レたとの/噂(うハさ)。いかさま/柔和(にうハ)さふなよ 00022990M20いむすこが見へる。しかもよつほと持ツて来たげな。四五 00023000¥P70 00023010L1百の/持参(じさん)(十九オ)でもあるかといへバ、Sなにさ。あそこ 00023020L2へハ、わしか心やすく行ます故、よくしつて居ます。持ツ 00023030L3て来たといふハきついうそさ。よつほどおいてきました 00023040¥N18¥J 00023050¥X○麁相(十九ウ) 00023060L6こりや与介よ。/急(きう)な用があるから、/万(よろづ)屋万兵衛殿へ使にい 00023070L7つてこいよと、いゝ付ケながら筆を取り、手紙をかく内に、 00023080L8/畏(かしこま)りましたと/云捨(いひすて)てかけいだす。これハしたり。もふい 00023090L9つたか。手がミももたず口上(二十オ)もきかす、扨もあほ 00023100L10う/者(もの)と/頭(あたま)をかいてゐるうちに与介ハ立帰り、アイ。御使に 00023110L11いつてまいりました。たわけものめが。手紙をも持すにい 00023120L12きをつて。先へいつて、マア何といふて来た。Sアイ、い 00023130L13や何とも申(二十ウ)ませぬ△Sたまつて/帰(かへ)つたか△Sイヱ 00023140L14+、/仕合(しやわせ)とよい所へまいりました。万兵衛様ハおるすで 00023150L15ござりました 00023160¥N19¥J 00023170¥X○朔日丸 00023180L18いなかもの、旦那にむかい、Sアノ/赤(アカ)いかんばんに、/朔日(ついたち) 00023190L19丸とござるハ何の(廿壱オ)/薬(くすり)でござります△Sフウ、あれ 00023200L20は女のはらまぬ薬じや。毎月朔日+にのますれバ、/懐= 00023210M1胎(くわい=たい)せぬ薬じやげなと、いふてきかせければ、其後使に出た 00023220M2ついでに、/中条(なかでう)の/門(かど)へ行き、朔日丸を一ふく下さいと(廿 00023230M3壱ウ)いへバ、内から、いなかものと見て、是ハ女ののむ 00023240M4くすりじやが/合点(がてん)かといへバ、Sアイ。しつて居ます。女 00023250M5のはらまぬ御薬じやげな△S成ほど左様てござる。貴様、 00023260M6/頼(たのま)れさつしやつたかといへバ、Sイヱ、わしハ去年から 00023270M7(廿二オ)江戸へ奉公に出てゐますが、ざい/所(しよ)の女房の方へ 00023280M8やりたふござります 00023290¥N20¥J 00023300¥X○初雪 00023310M11これハ初雪のけしき。となりのてい主にもしらせてやらふ 00023320M12と、戸をたゝいて、初ものゝ雪じや(廿二ウ)+と/起(をこ)しけ 00023330M13れバ、S何、ゆきとおつしやるかと、むく+と/起(をき)て戸を 00023340M14/明(あ)ケ、/外(そ)とを見て、大そうらしい。是ばかりの雪に 00023350¥N21¥J 00023360¥X○からかさ 00023370M17/傘(からかさ)をはりならい、七八本はり(廿三オ)上ゲしが、/油(あぶら)引てか 00023380M18ら壱本もすぼまらず。これハつまらぬと、むりに/畳(たゝ)めバ、 00023390M19バリ+とさける。どふしたものじやとこまりしが、折か 00023400M20らの夕立。シヤ、よい思ひ付があると、からかさをひらい 00023410¥P71 00023420L1たまゝ/辻(つぢ)へ持ツて(廿三ウ)いで、それ安イ。まけた+と 00023430L2うりかけしに、何が/俄雨(にわかあめ)のことなれバ、大勢集り、ばいあ 00023440L3ふ様にかうてゆく。コリヤうれしやと、内へはしりかへり、 00023450L4思イ付をやつて、からかさをのこらずうつて来たといへバ、 00023460L5(廿四オ)/隣(となり)の人が、それハよかつた。いくらにうつたぞ。 00023470L6Sなむさん。あまりいそひで、銭をバとらずにやつた 00023480¥N22¥J 00023490¥X○月見 00023500L9もし/里夕(りせき)さん。十三夜も近くなりんした。/必(かなら)ずしまつて下 00023510L10さん(廿四ウ)せへ。Sハテわるいがてんだ。/先度(せんど)もいふと 00023520L11をり、十五夜もやう+の/工面(くめん)でしまふてやつた。/後(のち)の月 00023530L12見ハ/外(ほか)をたのミ給へ△Sそれでもぬしハつまらぬ。/片月見(かたつきミ) 00023540L13ハせぬものしや物△Sアヽやぼ+。そんなごへいハいわ 00023550L14ぬもの(廿五オ)(廿五ウ・廿六オ挿絵) 00023560¥N23¥J 00023570¥X○雨天 00023580L17やつこぬる平、/紺(かう)屋へ/来(きた)つて、コリヤ/亭主(ていしゆ)。おらが/染(そめ)物ハ 00023590L18どふするのだ。/埒(らち)の/明(あか)ねいといつても、ほどのあるもんだ。 00023600L19おら迄/旦那(だんな)にしかられる。/半分(はんぶん)できても持ツてかへると 00023610L20(廿六ウ)りきミ出せバ、Sサレバ+、此間中の/雨天(うてん)故で 00023620M1きませぬ。/明後日(あさつて)はきつとできます。それ迄の御取なし 00023630M2Sイヤサ、あさつてもきゝ/明(あい)た。そしていつでも、うてん 00023640M3+としれねいことばかいふが、うてんとハマア(廿七オ) 00023650M4何の事だ△Sハイ、雨のふる事でござります△Sウヽそれ 00023660M5なら尤だ 00023670¥N24¥J 00023680¥X○天気 00023690M8くもる夜に友だち来りて、夜のふける迄はなしけるが、も 00023700M9うおいとま申さふと門をいで、コレハ(廿七ウ)とんだこと 00023710M10だ。上&のてんきに成つたといへバ、内から何、天気にな 00023720M11つたか。/星(ほし)が見へるかの。Sヲヽ見へるだんでハない。/空(そら) 00023730M12ハほしだらけた△S月ハとふだ△S月はたつた一つでた 00023740M13(廿八オ) 00023750¥N25¥J 00023760¥X○権介 00023770M16イヤ、/一別(いちべつ)いらいめづらしい。権助。貴様、今ハどこにい 00023780M17やる。Sヲヽ、おらハことし/俳諧師(はいかいし)の所へ有り付ている 00023790M18Sそれハさぞひまであらう△Sイヽヤ、おれもそふ思つて 00023800M19はいつ(廿八ウ)たが、/俳諧(へいけい)がはじまると、日がな一日、/灰= 00023810M20吹(はい=ふき)の/掃除(そうじ)にかゝつている 00023820¥P72 00023830¥N26¥J 00023840¥X○雪の段 00023850L3/節句(せつく)まへに、なじミの女郎から文がくる。ひらいて見たれ 00023860L4バ、雪のだんと/書(かい)てある。いろ+(廿九オ)はんじて見て 00023870L5もしれぬゆへ、返事にも雪の段と書イておくりぬ。其後く 00023880L6るわへゆきけるに、女郎がいふにハ、せんどのぬしの/返事(へんじ) 00023890L7ハどふもとけやせぬ。アリヤ、何といふことでありんすへ 00023900L8S客(廿九ウ)貴だんの文の雪の段ハ、何といふなぞだ 00023910L9Sアイ、/方(ほう)+のくめんが/皆(ミナ)ちがつて、此せつきハ/跡(あと)へも 00023920L10先へもまいりがたしといふ心で、ぬしへそうだんの文じや 00023930L11わいの△Sサレバこそ、やつがれの返事の雪の段(三十オ) 00023940L12の心わな△Sナントじやへ△S/外(ほか)をお頼なされませといふ 00023950L13のじや 00023960¥N27¥J 00023970¥X○異見 00023980L16おやに/不孝(ふかう)なむすこを/呼(よん)でだん+/異見(いけん)をくわへ、コレ、 00023990L17よふ/合点(かつてん)しやれ。おやといふものハ(三十ウ)千両でも万両 00024000L18でも、かわれるものでハござらぬぞや。/必(□なら)ずそまつに思わ 00024010L19つしやるなといへバ、Sハイ、成ほどおつしやる通り、/考(かんが) 00024020L20へて見ますれハ、金銀てもかわれぬものハ親でこざります。 00024030M1したが又、/売(うろ)うと申て(三十一オ)かいてのないものでござ 00024040M2ります 00024050¥N28¥J 00024060¥X○大蛸 00024070M5/海辺(かいへん)の/芋畑(いもばたけ)へ、うミ£大/蛸(だこ)が上ツて、いもを/掘(ほつ)て、とふも 00024080M6ならぬといふを聞イて、それハおれが/工面(くめん)がある。どふぞ 00024090M7其たこハとれそふ(三十一ウ)なもんだ。/今夜(こんや)おれ次第にし 00024100M8やれと、ふたりつれ立/畑(はたけ)へゆき、今や+とかくれて/待(まち)け 00024110M9るに、あんのごとく/海中(かいちう)より大だこあらハれ、八本ンの足 00024120M10にて、のたり+と/畑(はたけ)へ来り、/芋(いも)をほつてしてやる所を 00024130M11(三十二オ)彼男、見すまして、ふるきわらぢをくゝりあハ 00024140M12せ、グンバイといつて/投(なげ)かくれバ、/蛸(たこ)ハくるり+とひつ 00024150M13くりかへり、ぶん+と云ながら/迯(にげ)る 00024160¥N29¥J 00024170¥X○下駄 00024180M16/下方(けほう)が/所(とこ)へいつて、/下駄(げた)を壱足(三十二ウ)あつらへてこい。 00024190M17/注文(ちうもん)ハ、下駄の此通りへ/鉄(てつ)のびやうを、ぴつしりと打つの 00024200M18だ。Sハイ、そんなら/雪沓(ゆきぐつ)のやふにかな△Sイヤ+、/上(うへ) 00024210M19の方へうつのさ。/度(たび)+人のと/間違(まちがふ)から、おれが思ひ付で 00024220M20/類(るい)なしにして、人に/肝(きも)を/潰(つぶ)させる(三十三オ)のさ△Sハイ、 00024230¥P73 00024240L1それでハおまへ、はかれますまい△Sヲヽ、持せてあるく 00024250L2ばかりさ 00024260¥N30¥J 00024270¥X○妙薬 00024280L5/真(じん)のやミに/眼(め)の見へる/薬(くすり)をでんじゆ致タさふ。とんだ/重宝(てうほう) 00024290L6な事だ。Sソレは有がたい。どふいふくすりだの(三十三ウ) 00024300L7Sヲヽ、黒ねこの目玉を黒やきにして、めへぬるのさ。し 00024310L8たが、火事の時は御無用。ぢきに/縁(ゑん)の下へはいる 00024320¥N31¥J 00024330¥X○笙の笛 00024340L11/笙(シヤウ)をすいてふく人あり。ある時/盗人(ぬすひと)大ぜいおし入レけれバ、 00024350L12/家来(けらい)ふるへ(三十四オ)+、申シ旦那様。大勢ぬす人がお 00024360L13し/込(こミ)ました。どふしませふといへバ、少しもさわぐことハ 00024370L14ない。つね+/稽古(けいこ)の/笙(しやう)ハこゝじや。/漢(かん)の/張良(てうりやう)ハ笙を吹て 00024380L15/楚(そ)の/囲(かこ)ミを/解(とい)たとある。おれも張良にまけることハないと、 00024390L16笙を(三十四ウ)取出して吹いたす。其/声(こへ)/簫&(しやう+)として/恨(うら)むる 00024400L17がごとく、又/訟(うつたふ)るがごとく、其身さへ/感(かん)に堪へて、しば 00024410L18らく吹てゐる内に、家来まかり出、Sモシ旦那様。盗人ハ 00024420L19壱人もおりませぬ△S何と/迯(にけ)ちつたか。そふだらう+ 00024430L20(三十五オ)Sハイ、そのかわり道具ハのこらず/鍋釜(なへかま)まで見 00024440M1へませぬ△Sヲヽそふだらう+ 00024450¥N32¥J 00024460¥X○雷嫌イ 00024470M4雷ぎらいが金にあかして家を立、どふぞ、/雷(かミなり)の用心のよい 00024480M5/工面(くめん)をと(三十五ウ)ある人聞イて、それハ/天井(てんじやう)に/鉄(てつ)の/網(アミ)を 00024490M6はり給へ。何のぞうさもなくてよし。たとへ落ても/細(こま)かニ 00024500M7成ておちるハさ 00024510¥N33¥J 00024520¥X○泉水 00024530M10/番(ばん)町から本所へ屋敷がへした(三十六オ)人の所へ見まい。こ 00024540M11れハ+/能(よ)イお/庭(にハ)だの。Sされバ御存シの通り、/拙者(せつしや)/数年(すねん) 00024550M12の/泉水(せんすい)ずきでござつたが、/番丁(ばんてう)でハ/出来(でき)ませなんだに、久 00024560M13しい望ミで/泉水(せんすい)をほりました△S成程+、此辺ハ/自由(じゆふ)に 00024570M14成ル。扨も大きな泉水(三十六ウ)のといへバ、/段&(だん+)/広(ひろ)く/思= 00024580M15入(おも=いれ)ほる/積(つも)りでござるといふ。其後又ゆきて見るに、家も長 00024590M16屋ものこらず/崩(くづ)して、屋敷一チめんに泉水にする。となり 00024600M17やしきの門番に聞けれバ、Sアイ、御/隣(となり)の旦那ハ/榎(エノキ)の上に 00024610M18ござります(三十七オ) 00024620¥P74 00024630¥N34¥J 00024640¥X○雪女 00024650L3こん夜ハやまぬ+。近来の大雪しや。イヤ、今くる道で 00024660L4雪女を見た。Sほんにか。それハさぞこわかつたらう 00024670L5S何さ、少しもこわくなし。ハテ、見へる所は黒目ばかり 00024680L6だ(三十七ウ) 00024690¥N35¥J 00024700¥X○短册 00024710L9四十ばかりの/品(ヒン)のよい/坊主(ほうず)が/紗(しや)の十徳をきて、頼ンましよ 00024720L10+といふ。Sコレ、げんくハに、頼ンましよがある。お 00024730L11るんどの。でなさい△Sコレ、わしハ油手じや。こなた出 00024740L12なさい。ぜひなくお(三十八オ)くめがたすきはづして、ど 00024750L13うれといふて出る。Sハイ。私ハ/万八(マンパツ)と申ます。此間/宗匠(そうぜう) 00024760L14なりのせつは、/胡元(こげん)様お出被下まして有がたふござります。 00024770L15千句の御礼に参りましたといへバ、/供(とも)の男が長イ箱(三十八 00024780L16ウ)から書たものをいだす。これハ/当座(とうざ)仕りましたから上 00024790L17ゲますとさしいだせハ、下女ハ/顔(かほ)をあかめ、わたしハ火が 00024800L18わるふござりますと、内へかけこんだ 00024810¥N36¥J 00024820¥X○/曲切(きよくぎり)(三十九オ) 00024830M1/豆腐(とうふの)曲切リとのかんばん。はいつて見れバ、口上の/言立(いゝたて)す 00024840M2んで、大夫、上下にて罷りいで、/包丁(ほうてう)を取ツてたうふをき 00024850M3る。其はやきこと、中+/祇園(ぎをん)などの/及(およ)ぶことでハなし。 00024860M4チヨン+と切て仕廻へ(三十九ウ)ハ、口上言がアレ御 00024870M5らうじませ。たうふハのこらず、/粉(こ)に仕りました 00024880¥N37¥J 00024890¥X○鵺 00024900M8頼政の/射落(いおと)した/化鳥(けてう)を、/猪(い)の早太が/九刀(こゝのかたな)さしたといふが、 00024910M9/鵺(ぬへ)ぐらゐのものを、こゝの/刀(かたな)とハ(四十オ)あんまりしいと 00024920M10いへバ、Sサテも貴様ハいにしへにくらい人だ。ぬへとい 00024930M11ふものハ、/一身三躰(いつしんさんたい)の化ケ物ゆへ、/猿(さる)と/虎(とら)と/蛇(へび)とを/三刀(ミかたな)づ 00024940M12ゝさし/通(とを)し、合せて九刀といふたもんだ△Sフウ、夫で 00024950M13(四十ウ)きこへたが、しかし、わりにしてハ、へびハそん 00024960M14なものだ 00024970¥N38¥J 00024980¥X○戸板 00024990M17/廛(ミせ)の戸ぐハら+/鳴(な)つてやかましいと、油をたくさんに引 00025000M18たれバするり+。女房が云。(四十一オ)それハ用心がわる 00025010M19い。/夜(よる)人が取ツていきませふぞへ。Sハテ扨、/夜(よる)ハ戸を仕 00025020M20廻つておくわへ 00025030¥P75 00025040¥N39¥J 00025050¥X○的 00025060L3けふ御屋敷へ行て、/的(まと)をゐるを見てきたが、/能(よく)あたるもん 00025070L4だ。(四十一ウ)したが、がつてんのいかぬ。みんな手に/革(かわ) 00025080L5でしためりやすをはめていたわい。Sハレヤレ、たしなめ。 00025090L6やしき方をあるきながら、あれをしらぬか。アリヤア名が 00025100L7有よ△Sソリヤ何といふな△Sアリヤアな、(四十二オ)う 00025110L8がけといふもんだ 00025120¥N40¥J 00025130¥X○甘酒 00025140L11夜ふけて/外(そと)を、あまアざけイ+と、よんでとをる。Sあ 00025150L12ま酒よ。一ツぱいくれろ△Sアイ。こんやハうりきつて、 00025160L13もふなし。あまりさむ(四十二ウ)いによつて、よばつてば 00025170L14かりいくのさ。あしたあげよふ△Sヲヽそんなら、おらも 00025180L15のんだ気でいよふ。ぞろ++。ヲヽあつたかい 00025190¥N41¥J 00025200¥X○御能 00025210L18八ヤ。おのしやア/上下(かミしも)をはいて、(四十三オ)とんだりきんだ 00025220L19なりて、どこへいつた。Sヲヽおらアな、御出入のやしき 00025230L20へ、/御能(おのう)/拝見(へいけん)によばれて、いまかへるのさ△Sフウ、/能(のう)ハ 00025240M1何ン番ほど有ツたの△Sヲヽ、けさから四五十ばんもした 00025250M2らふ△Sあてこともない。/能(のう)が(四十三ウ)そのやふに、何 00025260M3はやくなるもんだ△Sハテ、ばかをいへ。そこが大めうだ。 00025270M4人をかけたわい 00025280¥N42¥J 00025290¥X○つぐミ 00025300M7わしハこま鳥をひさしく/飼(かう)て置キましたが、もふあきまし 00025310M8た(四十四オ)(四十四ウ・四十五オ挿絵)から、黒つぐミにしかへ 00025320M9やふと思ひますといへば、ヲヽそれもましよ。くろつぐミ 00025330M10もよいものさといふを、/勝手(かつて)でおふくろがきゝはつり、い 00025340M11や+、よしにしやれよ。つぐミもくろいハよわからう 00025350M12(四十五ウ) 00025360¥N43¥J 00025370¥X○武士 00025380M15江戸はつ/詰(づめ)の/国侍(くにつほう)、女郎かいニ行て座敷へあがれバ、跡か 00025390M16ら/若(わか)イものが付て来て、ハイ。御大小をと、手をいたせバ、 00025400M17S大小をどふするのだ△Sハイ、お遊びなさるうち(四十六 00025410M18オ)おあづかり申まして、おかへりの/節(セツ)、お返し申ます 00025420M19Sフウ、そんなりやせわながらと、大小をぬいて/渡(わた)して遊 00025430M20びけるが、ほどなく子共を頼ミ、若イものを/呼(よび)いたし、コ 00025440¥P76 00025450L1レ、先刻預ケた大小の内、/脇(わき)ざしばかり(四十六ウ)ちつと 00025460L2の内、だしてくれやれ。若イもの聞て、何になされます。 00025470L3Sイヤ、ちよつと小用にゆきたい 00025480¥N44¥J 00025490¥X○レイ+ 00025500L6いなかもの、やどやにとまりて、通りを見ていたりしが、 00025510L7てい主を呼ンて、(四十七オ)あのざるをかたにかけて、レ 00025520L8イ+といふてあるくは、何/商人(あきうど)でござるの。Sイヤ、あ 00025530L9れハあきんどでハござらぬ。せきだをなをしあるくこぢき 00025540L10でござる△Sハテナ。そふして又、レイ+といふハ(四 00025550L11十七ウ)何といふことでござるととへば、あれハせきだ/直(なをし)と 00025560L12いふことを、/梵字(ぼんじ)にいつたものさ 00025570¥N45¥J 00025580¥X○箱根 00025590L15/東海道(とうかいどう)の中でも、はこね八里といふハ、四里のぼりて四里 00025600L16/下(くだる)(四十八オ)つがもない/難所(ナンジョ)だとはなせば、それハさぞく 00025610L17たびれやふ。そふして四里あがつて四里くだるといふハ、 00025620L18つゐへなことだ。やつぱり/平(たいら)な道をいつたらよからう 00025630¥N46¥J 00025640¥X○対句(四十八ウ) 00025650M1よく/咲(さい)たの。これハ何ンといふ花だの。Sヲヽ、これハ日 00025660M2まわりといふて、お日さまについてまわるきめうな/花(ハナ)さ 00025670M3Sフウ、そんなら大屋殿と、つい句の花だの△Sナゼ 00025680M4Sハテ、大屋殿は/月行事(ぐハちげうじ)で、夜まわりでござる(四十九オ) 00025690¥N47¥J 00025700¥X○頭巾 00025710M7めんよふ、おれが/出(で)よふと思ふと、物が見へぬ。コレ+ 00025720M8かゝあどの。おれがづきんハどこへやらしやつた。Sヱヽ 00025730M9おまへとしたことが。かぶつていなさるでハないか。てい 00025740M10主、あたまへ(四十九ウ)手をあげて、ほんに、とんだ所に 00025750M11おいた 00025760¥N48¥J 00025770¥X○舎利 00025780M14おしやりさまといふものハ、とつておけバ、だん+おふ 00025790M15へなさるきめうなもんだの。ヲヽ、あれにもにせが大(五 00025800M16十オ)ぶんござる。何でもしごくかたいのを、ぶつしやり 00025810M17といふて本のさ。Sフウ、かたくないのハ、何といふの 00025820M18Sつぶれるやつハ、ぴつしやりといふて、やくニたゝぬ 00025830¥N49¥J 00025840¥X○極楽 00025850¥P77 00025860L1/炎魔(ゑんま)大王御/酒宴(しゆゑん)/最中(さいちう)へ、/鬼(おに)(五十ウ)ども/罪(さい)人をつれ来り、 00025870L2いかゞ致さんと申ス。ゑんま王、一ツぱいきこしめし、ア 00025880L3ヽ/極楽(こくらく)じやとの給へバ、/畏(かしこま)つて/鬼(をに)ども、彼/罪(さい)人をごくら/((く脱カ))へ 00025890L4おくりける。しばらく過て、さつきのざい人ハととひ給へ 00025900L5バ、仰にまかせ、極楽へ(五十一オ)やりましたと申す。や 00025910L6れ、とほうもない。それハ間違じや。はやくよびかへせと、 00025920L7/追手(をつて)をかけ給へバ、とふに極楽へゆきまして、もふ/箔(はく)だミ 00025930L8すみました 00025940¥N50¥J 00025950¥X○助言(五十一ウ) 00025960L11/碁(ご)をうつそばにいて、アヽそちらの/端(はし)の黒があぶない+ 00025970L12といふ故、打チても小くびをかたぶげ、こふすれバでる、 00025980L13こふすれバはねる。何のこともないが、どこがあぶないと 00025990L14いへバ、/端(はし)の石がどふやら下へおつこちそふだ(五十二オ) 00026000¥N51¥J 00026010¥X○安物 00026020L17/棒(ぼう)ぐミがあんまりきばるからに、きのふも一日のりてがな 00026030L18かつた。Sイヤ、そふいふおのしが高ばるからじや。何で 00026040L19もけふハかゝり合次第に、/負(まけ)てのせよふじやないか△Sヲ 00026050L20ヽそふしよふ(五十二ウ)といふ処へ、おやしき方がござつ 00026060M1て、かごがかりたい。こゝから/浅草(あさくさ)へ/行(イツ)て、それから上野 00026070M2迄いくが、いくらでやる。Sアイ、三百五拾下さりませ 00026080M3Sソレハ高い。百ばかりでやらぬか△Sイヽヱ△Sそんな 00026090M4ら、あゆんで行キませふ△Sコレ/棒(ぼう)ぐミ。(五十三オ)あんま 00026100M5り安イが、まけてやろか△Sヲヽ何でものせろ+。申シ 00026110M6+、まけてまいりませよふ△Sフウ、浅草からうへ野か 00026120M7けて、百にまけるのか△Sアイ、/負(マケ)てあげませふ△Sそん 00026130M8ならのらふかと、かごにのりながら、何ンと、これハ/盗(ぬす)ミ 00026140M9(五十三ウ)ものでハないかよ 00026150¥N52¥J 00026160¥X○昼ね 00026170M12とんだのらもの、/昼(ひる)ねした/処(とこ)が、あくる日までたつたひと 00026180M13ねいり。やう+めをさまして、となりへゆき、もしおか 00026190M14ミさん。今ハ/朝(アサ)だか(五十四オ)/晩(ばん)だか 00026200¥N53¥J 00026210¥X○五重塔 00026220M17浅くさの/塔(とう)を見て/来(き)やした。/四重(よじう)のたうといふハ高イもん 00026230M18だといへバ、Sナニ、四重のたうといふがあるもんだ。三 00026240M19重か五重のものさ。(五十四ウ)浅くさの塔ハ五重だ△Sイヽ 00026250M20ヤ、四重であつたとあらそへバ、そんなら一ツ所にいつて 00026260¥P78 00026270¥G(四十四ウ・四十五オ) 00026280M1見てこうと、ふたり同道して浅草へまいり、ゆびをさして 00026290M2一チ重二重三重とかぞへ、アレ見なさい。四重ばつかない。 00026300M3Sナゼ(五十五尾オ)いつちうへハ見へぬか△Sフヽウ、あ 00026310M4の上のふたともにか 00026320¥Q 00026330M9新撰聞上手五編△△近刻 00026340M12△△板元△元飯田町△遠州屋弥七 00026350M13△△△△△△△△△△△△△△△△△(五十五尾ウ) 00026360¥P79 00026370¥U噺本大系△第十巻 00026380¥T/新口(しんこう)/花笑顔(はなえがお)〔序文〕 00026390¥G 00026400¥Y 00026410L16安永四年正月刊 00026420L17龍耳斎聞取序 00026430L18湖龍斎画 00026440L19山林堂板 00026450L20小本一冊 00026460¥Y序 00026470M3/史記(しき)に/曰(いわく)、/往古(むかし)/漢(かん)の/高祖(こうそ)の/臣下(しんか)に、/今井(いまゐ)の/四郎(しろう)/業(なり)平といふ 00026480M4ものあり。/其娘(そのむすめ)お/七(しち)、/勅(ちよく)を/蒙(かうむ)りて/一(ひと)つの/書(しよ)をあめる(一オ) 00026490M5を、もりやの/大臣(だいじん)、是を/焼(や)き/捨(すて)んといふを、/深(ふかく)くおしミて 00026500M6かくしける/故(ゆへ)、/世(よ)になかりしに、ちかきころ、/孔子(かうし)のかべ 00026510M7のうちより/出(いで)(一ウ)たり。これをひらき/見(ミ)るに、/当世(とうせい)に/時= 00026520M8行(はや=る)るおとし/噺(はなし)の/書(しよ)なりければ、/新口(しんかう)/花笑顔(はなゑがほ)と/題(だい)して、(二オ) 00026530M9/小冊(せうさつ)とはなしぬ 00026540M11△△△安永四年 00026550M12△△△△△△△△△△△△△△△△△/龍耳斎(りうにさい)/聞取(もんしゆ)/題(だいす) 00026560M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二ウ) 00026570¥P80 00026580¥N1¥J 00026590¥X/福(ふく)/遊(あそ)び 00026600L3/初春(はつはる)のおなぐさミに、福/神(じん)たちすまふをはじめ、/行司(ぎやうし)ハさ 00026610L4いわいびしやもん天右衛門、ひがしの方やハ大/黒(こく)天兵衛、 00026620L5西の方ゑびす三郎兵衛と、いざお/勝負(しやうぶ)といふよりはやく、 00026630L6大黒を、めより高くさし上ケ、とひやうの外へ、ずでんど 00026640L7うとなげつけられしを、行司(一オ)ハせうぶなしと/声(こへ)かく 00026650L8れバ、Sゑびす三郎はらをたてゝ、此すまふを、われとハ 00026660L9とうしてと、少シせいてとい給へば、Sおなげなされたハ 00026670L10見事なれども、さいぜんさし上給ふ/時(とき)、ゑひす三郎の/鯛(たい)が 00026680L11おちました 00026690¥N2¥J 00026700¥X/天神(てんじん) 00026710L14湯しまの天神さまをしん※なる(一ウ)もの、七日七夜つ 00026720L15やをいたし、なにとぞ御しんたいをはいし申度と、いのり 00026730L16けれバ、七日まんずる明ケがた、とひらをおしひらき、ゐ 00026740L17きやう、さつとかほりて立出給ふをおかミ奉れバ、十五六 00026750L18の大ふりそての/姫君(ひめきミ)なり。ふしんにおもひ、あなた様が天 00026760L19神さまの御しんたい(二オ)にてわたらせ給ふか。Sイヽヤ、 00026770L20今ハしばらく、かり屋/姫(ひめ)じや 00026780¥N3¥J 00026790¥X大ミそ 00026800M3きゝやれ。此ぢう山へいつたれバ、なにが大きな/猪(いのしゝ)が、一 00026810M4さんにかけてきた所を、つのをしつかりとつかんだ。Sな 00026820M5にをとんだことばかり。いのしゝにつのがある(二ウ)物か 00026830M6Sヲヽそれよ。尾をつかんだ△Sなにをばかな。/尾(を)がどこ 00026840M7にある△Sムヽそんなら、どこをつかもふ 00026850¥N4¥J 00026860¥Xつりがね夫婦 00026870M10しゆもくがいふやうハ、つきてもひとり、つかれてもひと 00026880M11り。此やうに中のよいめうとハあるまい。Sアイ、それで 00026890M12わつちやア(三オ)ひとしほおまへが、いとしうご/を(引)んすと 00026900M13いふた 00026910¥N5¥J 00026920¥X大やしろ 00026930M16十月にハいづもの大やしろへ、神+様たちあつまり、ゑ 00026940M17んむすびをなされける。なかに一人、しろききぬをきたる 00026950M18神様、はるかばつざにすハられゐたり。(三ウ)ミな+神 00026960M19様ふしんにおぼしめし、そこもとハいかなる御神ぞとたづ 00026970M20ね給へば、Sハイ。わたくしハふき紙でござります 00026980¥P81 00026990¥N6¥J 00027000¥X後家 00027010L3喜兵衛。そちのとなりの/後家(ごけ)ハ、チト遊ひにゐて、じやら 00027020L4+いふとおちるといふが、じやうかい。Sイヤ、かぎじ 00027030L5や(四オ) 00027040¥N7¥J 00027050¥Xゑびす大黒 00027060L8福嶋や福介/親父(おやぢ)ふうふ、ゑびす大黒のたなへとうめうをと 00027070L9もし、ミきをそなへ、私七十、ばゝ六十、むすこ二人娘二 00027080L10人孫三人、ありがね千両斗リ、掛やしき三十/軒(けん)斗リ、何不 00027090L11足もござりませぬ。此うへ、あくじさいなんをのがれます 00027100L12やうにと、おがミけれ(四ウ)バ、ゑびす大黒、ちいさい声 00027110L13をして、アノおやぢにあやかりたい 00027120¥N8¥J 00027130¥X/座頭(さとう) 00027140L16ざとう六七人、つれだち通りけれは、おりふし子ども遊び 00027150L17ゐて、アノざとうがたんと通るといひければ、S座頭いふ 00027160L18様ハ、夕へのあめで、はへたのだ。S中にこざかし(五オ) 00027170L19き子供、なに、めもなくてはへる物か 00027180¥N9¥J 00027190¥X/間(ま)ちがひ 00027200M3となりの/猫(ねこ)が/老犬(らうけん)になりまし、/余日(よじつ)もない。ミがやしきへ 00027210M4/馬(ば)ふんをいたした。さて+につくいやつ。さすがハ/鳥(てう)類 00027220M5でござる。うちころして/熊(くま)の/胆(ゐ)をとらずハなるまい(五ウ) 00027230¥N10¥J 00027240¥X御しきせ 00027250M8コレ長吉。そなたのしきせハ、なにをしてやろふぞと/尋(たつね)け 00027260M9れバ、S長吉、ないぎのみゝへ口をよせ、ちいさい/声(こへ)をし 00027270M10て、ハイ、私のハ/鼠(ねつミ)小/紋(もん)にして下さりませ。S何、それを 00027280M11さゝやく事があるものか△Sイヤ、それでもあすこに、ね 00027290M12こがきいております(六オ) 00027300¥N11¥J 00027310¥X年礼 00027320M15モノモウ、けじまやけ兵衛でこざります。御けい申入ます。 00027330M16Sかたじけのふござります。ヤ、け兵衛もわせられた。お 00027340M17れも礼にいこう。どれ、/着物(きもの)、上下出しやれ。イヤモ、こ 00027350M18ふ上下きた所ハ、わつさりとよいぞ。トレ、いてこふぞ 00027360M19Sコレ、おまへもめつそふな。はかまごしがまへにあたつ 00027370M20てある(六ウ)S何ぬかす。またうしろへまハさぬのだ 00027380¥P82 00027390¥N12¥J 00027400¥X夢見 00027410L3イヤコレ、六兵衛。おれハ夕べよいゆめをミた。酒をふ/((る脱カ))ま 00027420L4わふ。S夢ミて、さけをふるまわふとハ、それハさだめて 00027430L5よい夢であらふ△Sヲヽ、よいゆめのくらいでハない△ 00027440L6Sシテ、何をミた△Sきうりをミた△S夫レかなんの(七 00027450L7オ)よい夢であらふぞ。てまへもたしなめ。もんもうなも 00027460L8のじや△Sハテ、むかしからいふをしらぬか。一チふじに 00027470L9二たか、三、ヱヽちがふた 00027480¥N13¥J 00027490¥X子ども 00027500L12コレとゝさんや。かどて/犬(いぬ)がごをうつてゐるぞへ。S何、 00027510L13とんだことをぬかす。犬かこを打て、たまるものか△Sそ 00027520L14れでも今、白が/黒(くろ)を(七ウ)一チもくおさへた 00027530¥N14¥J 00027540¥X八幡大名 00027550L17ヤイ+太郎/冠者(くわんじや)。今のはなしハ殊のほか/面白(おもしろ)かつた。ほ 00027560L18うびに此/太刀(たち)をやるぞ。ハア、ありかたふござりますとい 00027570L19ひながら、太刀をいたゞく所を、そばにあつたぼうとり/直(なを) 00027580L20し、太郎冠者をさん+にうちけれハ、たのふ(八オ)だお 00027590M1かた、コリヤなんとなされます。やるからぼうじや 00027600¥N15¥J 00027610¥X魚心中 00027620M4おふな、あいの介とふかふいひかハしてゐける。それをも 00027630M5しらず、おふながおや、なまつ兵へがよめにつかハすそう 00027640M6だん、きわめければ、おふな、あいの介に右のやうすをは 00027650M7なし、わしやもふ、なまずの所へゆく事ハいやじや。(八ウ) 00027660M8ぬしといつしよにしん中せうといひ合、ひれと+をくゝ 00027670M9り合せ、そばなるつゝミへとびあがつた 00027680¥N16¥J 00027690¥X魚尽 00027700M12ふぐ、/太刀魚(たちうを)、たこ、より合、げいつくしをはじめける。 00027710M13ふぐハけいせいのまねして八文じ、たこハ松のゑだへ一本 00027720M14ンのあしをかけ、(九オ)さがり+といひけれバ、太刀魚、 00027730M15おかへひらりととびあがり、すつくとたつて、あをい/下(しも)さ 00027740M16か、よつくきれます 00027750¥N17¥J 00027760¥X早くらべ 00027770M19世の中に/飛脚(ひきやく)ほど、はやいものハ有ルまい。百五十里を五 00027780M20日にゆくといへば、一人がいふよふ、イヤ+、鳥ほどは 00027790¥P83 00027800L1やい物ハない。また(九ウ)一人がいふ様ハ、イヤモ、のミ 00027810L2ほどはやいものはない。S此男ハとんだ事をいふ。のミが 00027820L3何ンのはやかろふぞ△Sイヤ、けさもきゝやれ。のミめが、 00027830L4びんごからりうきうへ一トとびにとんだ 00027840¥N18¥J 00027850¥X庭ずき 00027860L7あるさゑんずき、さゑんをつくりゐける所へ、友だちきた 00027870L8り、先生、さゑんをおつくりなさるか(十オ)といへば、な 00027880L9るほど+、此菜をつくりましたが、よふござる/が((かカ))。いか 00027890L10にも見ごとにできました。此やうに大ぶん御作りなされい 00027900L11でも、よふござりませう。イヤ+此やうに大ぶんにミ 00027910L12ゆれども、ゆでるとへります 00027920¥N19¥J 00027930¥X巾着 00027940L15きんちやく、おこりをふるひ、わつらひ(十ウ)けれハ、上 00027950L16ミより/緒〆(をじめ)ミまひに下りていふやう、どふじや。気ぶんハ 00027960L17ちとよいか。Sハイ、けふハねつけかさりました△S何ン 00027970L18じや。ねつけかさつた。ハアヽ、そんならバおつつけ、お 00027980L19ちるであらふ 00027990¥N20¥J 00028000¥Xこもかぶり 00028010M3こもかぶり、何やらひろひ、大ぐわん(十一オ)じやうじゆ、 00028020M4か/だ((ママ))じけなしといたゞくを、やつこ見つけ、引たくりてミ 00028030M5れバ、五月のちまきなり。ヤイひにんめ。是をおのれひろ 00028040M6ふて、大くわんじやうじゆとハ。ハイ。こもをぬいで、く 00028050M7ふミになります 00028060¥N21¥J 00028070¥X徳兵衛 00028080M10おはつ徳兵衛、二人つれにて心中に(十一ウ)出けれバ、/嫁(よめ) 00028090M11のおきた、心ならずたづね行。又むかふより久左衛門も、 00028100M12ちやうちんとぼして尋来り、行ちがひさま、おきたにゆき 00028110M13あたり、おきたこけけれバ、久左衛門、ちやうちんにて、 00028120M14とつくとミて、ヤア、そなたハ嫁のおきたでないか。イヽ 00028130M15ヱ、わしや、こけたハいな 00028140¥N22¥J 00028150¥X水御望次第(十二オ) 00028160M18水御のぞミ次第といふかんばん有けれバ、さるもの、内へ 00028170M19はいり、御ていしゆ。丸イ水がしよもふじやといひけれバ、 00028180M20きれいなる茶わんに、水一はいくんでもちきたりけれバ、 00028190¥P84 00028200L1S是が丸イ水か。ハイ。どふしてまるひぞ。ハイ、すミき 00028210L2つてござります 00028220¥N23¥J 00028230¥X吸物御望次第(十二ウ) 00028240L5すいものおのぞミしだひといふかんばんを出しけれバ、若 00028250L6いもの二三人通りかゝつて、ナント太郎兵へ。ゑらい太平 00028260L7なかんばんしや。ナント、むりな吸物を望でこまそと、ず 00028270L8つとはいり、コレ御ていしゆ。すわり舟のすいものがしよ 00028280L9もふじやといへば、ハイ、かしこまりましたといふて、す 00028290L10いものもつて出る。ふたをとつて、(十三オ)これハ何ンじ 00028300L11や。ハイ、すわり舟でござります。これがどふしてすわり 00028310L12舟じや。ハイ、干塩の吸物でござります。ムヽよいハ。こ 00028320L13んどハよたかのすい物をだしてもらを。ハイトいふてもつ 00028330L14てくる。ふたをとつて、これハよたかのすいものか。これ 00028340L15ハ/夘(う)の花じやないか。ハイなるほど、よたかでござります。 00028350L16なせな。ハテ、まめのから(十三ウ)でこさります 00028360¥N24¥J 00028370¥X通り者 00028380L19通りものがいふやう、人ハたゞたとんのやうに、ありたき 00028390L20ものだ。Sナゼ△Sハテ、くろうまるふといふ事じや 00028400¥N25¥J 00028410¥Xぢぐち 00028420M3ぢぐちの上手なる/兄弟(きやうだい)ありしが、(十四オ)弟にいふやうハ、 00028430M4ソレ日がくれる。戸をたてやれといひ付けれバ、弟、戸を 00028440M5さすハ九千歳と、ぢくちをいひけれバ、兄き、ぬからぬか 00028450M6ほで、うら口の戸をしめながら、うらしめ太郎ハ八千歳 00028460¥N26¥J 00028470¥X女夫 00028480M9女夫さしむかひの所へ、となりよりいわゐ(十四ウ)のもち 00028490M10三つもらひけるが、一つつゝくふて、跡一つをにらミ合て 00028500M11ゐたりけるが、ていしゆいふやう、かゝ。そなた、こゝへ 00028510M12よめ入てきてから、何ン年になる。ハてしれたこと。九年 00028520M13になります。ムヽそんなら、此一つハおれかくを 00028530¥N27¥J 00028540¥X松だけ 00028550M16下女のりん、松だけを米びつへ入るを(十五オ)ミて、コリ 00028560M17ヤりんよ。其まつだけを米びつへハ入ぬものじや。とだな 00028570M18/た((ママ))へでも入ておけ。ハイ、かしこまりました。是を米びつ 00028580M19へ入ると、わるうござりますかへ。ハテ、松だけを米びづ 00028590M20へ入ておくと、くさるハやいといふてしかるを、でつちの 00028600¥P85 00028610L1三太聞て、ハツア、それでふんとしにハ、のりをつけぬか 00028620L2い(十五ウ) 00028630¥N28¥J 00028640¥X乞食のけん 00028650L5/乞食(こじき)、/橋(はし)のしたにて、けんをしてゐけるを、立ぎゝすれバ、 00028660L6一人がいふやう、たもや。またひとり、とうりやない所、 00028670L7ハアしまふた 00028680¥N29¥J 00028690¥X/柚(ゆづ)/金柑(きんかん) 00028700L10きんかんと/柚(ゆづ)/連立(つれだち)、お江戸へ下る時、/箱根(はこね)の(十六オ)/番所(ばんしよ) 00028710L11前にて、きんかんいふやう、イカニ/柚(ゆづ)殿。貴様、きつてが 00028720L12あるか。イヤ、きつてハないが、きんかんとのハ/切手(きつて)があ 00028730L13るか。イヤ、おれも切手はなけれど、けんで通る。ムヽ、 00028740L14そんならおれも、けんてとをる、イヤ、それハよしにした 00028750L15まへ。貴様、けんでとをると、きられるぞや(十六ウ) 00028760¥N30¥J 00028770¥X/一生(いつしやう)/独者(ひとりもの) 00028780L18うつくしい/娘(むすめ)と、わかひ/男(おとこ)か、はなしをしてゐる。ムスコ 00028790L19S申シ、おめへのまへでいふじやアねへが、わつちやア 00028800L20きついモウ女きらいさ。それで一生女ぼうハもちやせん 00028810M1ムスメSうそや△ムスコSほんさ△ムスメSはてね、わつちも 00028820M2きつい男ぎらい。(三オ)一生ていしゆハもちやせん△ムスコ 00028830M3Sうそ△ムスメSほんさ△ムスコSはて、よくにた事だねへ。 00028840M4いつそおまへとわたしと、/夫婦(ふうふ)になりやせふ 00028850¥N31¥J 00028860¥Xねこ 00028870M7見世にうつくしいかミ様が/猫(ねこ)をだひてゐるを、Sナント見 00028880M8やれ。とんだうつ(三ウ)くしいねこだナア。ウン、あのね 00028890M9こをだきたいな+。S猫きいて、ニヤアンウヽ。女Sべ 00028900M10らぼう。うぬがこつちやねへ 00028910¥N32¥J 00028920¥X/子供(こども)/使(つかひ) 00028930M13/小僧(こぞう)が雪ふりに、たのんませう+。/内(うち)からも小僧が、ど 00028940M14うれ。使S/御酒(こしゆ)一つおあげ申たふござります。だん(四オ) 00028950M15な様に、おいでなされ下さりませと△内Sアイ。そふいわ 00028960M16ふと内へいつて、だんなへいへば、タンナSけふハ雪がふ 00028970M17つて、きがない。たしゆついたしましたといへ△内Sアイ、 00028980M18小ぞうどん。だんな様ンハたしゆついたしましたとさ△使 00028990M19Sアイ、たしゆつと。コレ+、あのたしゆついたしま 00029000M20(四ウ)したとハ、なんのこつたのふ△内Sてめへ、しらぬ 00029010¥P86 00029020¥G(六ウ・七オ) 00029030M1か。たしゆつといふハ、こたつにあたつてゐる事だ 00029040¥N33¥J 00029050¥X青男 00029060M4とをり町を、いとあをざめた男が、ふらり+ととをりけ 00029070M5れハ、かみゆひどこに大ぜいあつまり、女郎(五オ)かひの 00029080M6はなししていたものが、あれ+、むかふをとをる男をミ 00029090M7や。とんだあをひやろうだぜ。Sほんになあ。マアあんな 00029100M8あをひしやつつらも又なひものだといへば、かのおとこ、 00029110M9ふりかへつて、なアくつた 00029120¥N34¥J 00029130¥X/乞食(こじき)(五ウ) 00029140M12さむらいが、しやくりをして、はしのうへをとうる。こも 00029150M13かぶりがミて、コシキS父のかたき、やらぬ△サムライSま 00029160M14て+。それがし、人をあやめしおぼへ、さら+なし。 00029170M15りやうじめされな。かた+△コシキS申。しやくりがな 00029180M16をつたら、どふぞ壱文くだはりませ(六オ)(六オ・七オ挿絵) 00029190¥N35¥J 00029200¥Xくやみ 00029210M19何ニもしらぬ/男(おとこ)が、くやミにいつたが、ミんなそれ+に、 00029220M20とむらいハ何ンどきだの、やれ、てらハとこだのときいて 00029230¥P87 00029240L1かへる。おれもなんぞきいてかへりたひものだとおもつて、 00029250L2申シ、やつはり/仏(ほとけ)ハ/寺(てら)へやらしやるか(七ウ) 00029260¥N36¥J 00029270¥Xかけ/硯(すゞり) 00029280L5金いれておいたかけすゞりを、どろぼうがぬすんでいつた。 00029290L6おやぢ、/南無(なむ)三ぼう。かけ/硯(すゞり)をやらかされた。しかし、あ 00029300L7いつをもつていつても、なんのやくにたつまい。Sテモ、 00029310L8おめへ。かねがはいつているじやアねへ(八オ)かい△S何 00029320L9さ。なんぼ金がはいつてゐても、かんじんのかぎハ、おれ 00029330L10がこしにある 00029340¥N37¥J 00029350¥Xかミゆひ/床(とこ) 00029360L13コレ、かミゆひどん。これハほんだにできた。これてハわ 00029370L14るい。どうそゆひなをしてもらひたひ。Sアイ、かしこま 00029380L15りやした。これでよしかへ△Sフンイヤ+、これ(八ウ) 00029390L16でハどうか、とびのものゝやうだ。ゆひなをしてもらひた 00029400L17い△Sアイ。これてよしかへ△Sイヤモウ、これでハどふ 00029410L18か、ごふくやのやうでわるひ△Sそして、とふいゝやす。 00029420L19おめへもあんまりだ。たつた廿四文で、いく度ゆひなをす 00029430L20とおもひなんす。とほうもねへ。モウわつちハいゝやすめ 00029440M1へ。(九オ)どこへでも、おめへのきのむいたかみゆひ/床(どこ)か 00029450M2あろうから、いきなんし。/噺(はなし)のやうな、あんまりだ。せに 00029460M3ハそつちの物、あたまアヽ 00029470¥N38¥J 00029480¥X/盗人(ぬすびと) 00029490M6いなかの壱人リ/者(もの)の/所(ところ)へ、ぬすひとがはいつて、大かたも 00029500M7つてゆく。ていしゆ(九ウ)つく+おもふやう、ぬす人ハ 00029510M8大ぜい、おれハ壱人リ。しよせんかなふまじ。もはやどう 00029520M9ぐもミなになりたれバ、おれをしばつて、/金(かね)をだせ+と 00029530M10大かたせめるだろう。ムヽ、さいわい+、あの大/釜(がま)ハよ 00029540M11も心がつくまいと、大/釜(かま)の中へはいつてふたをして、中 00029550M12(十オ)にねいつてゐる。かくとハしらず、どろぼうふたり、 00029560M13さしになひに大かまをかつぎ出し、さつ+と/行(ゆき)けるが、 00029570M14中でハ、せをこゞめてゐたせいやら、ねいつてゐて、ぐつ 00029580M15とのびをする。これハかなわぬと、ぬす人、あともミずに 00029590M16げゆく。やがて、かまのうちでめをさまし(十ウ)て、そつ 00029600M17とふたをあけてミれハほしだらけ。なむさんぼう。いへま 00029610M18でとられた 00029620¥P88 00029630¥N39¥J 00029640¥X/柱(はしら)と/云(いふ)/字(じ) 00029650L3コレ、はしらといふ字ハどうかく。Sウン。アノはしらと 00029660L4いふ/字(じ)ハ、/木(き)へんをして/主(ぬし)といふよと、ちうへかいて見せ 00029670L5る。(十一オ)コレてめへ。たゝミの上へでもかいてなら、 00029680L6そう、あとでけしてしまふがよいに、ちうへかいて、又あ 00029690L7とでけすことがある物か。ばか+しい。インニヤ、けし 00029700L8ておくがよい。Sナゼ△S人がつきあたる 00029710¥N40¥J 00029720¥X/雪舟(せつしう) 00029730L11イヤもふ、きゝな。おかばしよの女郎ハ(十一ウ)あんまり 00029740L12何もしりおらぬ。おれが此中、/床(とこ)にせつしうのたるまがか 00029750L13けてあつたによつて、ハア、このかけぢハせつしうだナア 00029760L14といふたれバ、女郎が、何さ。だるま様だといひおつた。 00029770L15あんまりだから、もふあいそもこそもつきはてた。Sソリ 00029780L16ヤ(十二オ)大かた、女郎がたるま様のはいめうをしらぬの 00029790L17さ 00029800¥N41¥J 00029810¥X/雷(かミなり) 00029820L20かミなりといふもの、どのやうなもんだやら見たひものだ。 00029830M1アレ+、かう大きくなつてきたによつて、大かたおちる 00029840M2だろう。なんでも(十二ウ)おちたならバ、つかまへようで 00029850M3ハあるまへか。Sよかろふ+といふ/内(うち)に、ぴしや+ 00029860M4+となつてくるやいな、くろくもといちどに、どうどお 00029870M5つるを、すかさず/戸板(といた)にておさへ、にがすな+。であへ 00029880M6++。/雷(かミなり)をいけどつたるハと、よバわれバ、(十三オ) 00029890M7われも+とはせあつまり、てんでにさいまき、六尺ぼう 00029900M8をふり/廻(まハ)し、なわをひつくゝりにして、そろり+と戸い 00029910M9たを引のけれバ、それ+、たいこのぶちがでたぞ。にか 00029920M10すな+といひながら、だん+のけれバ、それ+、た 00029930M11いこがでた。こんどハ(十三ウ)/雷(かミなり)だと/戸(と)いたをのけ、よく 00029940M12+ミれハ、/法花(ほつけ)ぼう/様(さま)さ 00029950¥N42¥J 00029960¥X/夜(よ)たか 00029970M15/夜(よ)たか大/勢(ぜい)、/居酒(ゐさけ)へより、てんでにでんがく、よこぐわへ 00029980M16にし、ちやわんでのんでゐる中に、ひとり、こしをかけ、 00029990M17はなかミの上で(十四オ)くしをぬき、ぢんじやうらしくく 00030000M18つてゐる。S扨もあんなつとめをする中にも、たしなミの 00030010M19ゑへ女だ。小つくりのせいて、年もまだわかくみへると、 00030020M20あんどん取なをすふりして、よくミれバ、はのぬけたばゝ 00030030¥P89 00030040L1あた 00030050¥N43¥J 00030060¥X/植木(うへき)(十四ウ) 00030070L4六十ばかりのおやぢが、かやば/町(てう)のやくしへさんけいにい 00030080L5かれけるが、うへ木屋に、ついぞみなれぬうへ木が有。立 00030090L6よりミれハ、金のなる木と札がかいて有。はてな。申、コ 00030100L7レハほんに、かねがなりますかへ。Sおめへ、ならぬもの、 00030110L8なるといつてうるものか。(十五オ)ミなさへし。此めぐん 00030120L9でいるのハ、もふ花おちでござへす△Sシテ、代物ハいか 00030130L10ほどでござる△S八十五両△Sソレハ大ぶん高いものだ。 00030140L11弐十両にならぬか△Sいんへ△Sソンナラ廿壱両やろふ△ 00030150L12Sいんへ△Sハテ、どうぞまけてくだされ△Sおめへ、よ 00030160L13くつもつてミなさんやし。此秋ハもふ、金の廿両(十五ウ) 00030170L14くらゐハなりやす。そふいふ木を、どふ二拾や三十にまか 00030180L15るものか△Sハテ、そふいわずとまけて。ムヽ、そんなら 00030190L16弐十二両か△Sよしなさへし。なんの、おめへのやうな人 00030200L17ハ、おふかたあかるまぬさきから、もいでしまハつしやら 00030210L18ふ 00030220¥N44¥J 00030230¥X/娘(むすめ)(十六オ) 00030240M1コレ、おれハあのしたて屋のむすめにほれたが、もふ大か 00030250M2たできたよ。Sイヤ、それハきついもの。そして△Sイン 00030260M3ヤ、もふはんぶんハてきた△Sハテナ△Sマア、おれハと 00030270M4くしんしたが、またむかふの△Sむかふの、どうした△ 00030280M5Sウン、むすめがとくしんせぬ(十六ウ) 00030290¥N45¥J 00030300¥Xたち/物(もの) 00030310M8おれハどふも、ものわすれをしてならぬ。どうか、しやう 00030320M9ハあるまいか。それハてんじん様へたち物をして、ぐわん 00030330M10をかけろ。そうすると、おぼへがよくなる。たちものとハ、 00030340M11なにをたとふ。Sむめがよいハ(十七オ)△Sまちやれ。お 00030350M12れハうまれついて、むめが大かふぶつだから、どふもたちも 00030360M13のにならぬ△Sそんなら、たばこでもたつたがよひ△Sい 00030370M14んにや、たばこも大かふぶつて、たちにくい△Sそんなら 00030380M15バ、ちやにしやれさ△Sちやもきついすきだ△Sそれでハ 00030390M16しかた(十七ウ)がない△Sなんぞきらいなものを、たちも 00030400M17のにしたひものたが、そのくせ、なにもきらいなものがな 00030410M18い。よし+。たつものがある+△Sなんだ+△Sか 00030420M19ミなりをたちものにしよう 00030430¥P90 00030440¥N46¥J 00030450¥X/朔日(ついたち) 00030460L3八月朔日に、だんなのまへでゝ、サテ+、(十八オ)今ン 00030470L4日はつさくと申て、まづあれ/日(ひ)でござりまするに、けふの 00030480L5しづかと申、おひよりハよし、けつかうなおついたちでご 00030490L6ざりますると、手をついていへば、だんな、ひげをぬきな 00030500L7がら、ウヽサ、たいがいなついたちしや(十八ウ) 00030510¥N47¥J 00030520¥X/江戸鑑(ゑどかゞミ) 00030530L10コレ八右衛門。こんたハちよと、むこふの本屋へいつて、 00030540L11江戸かゞみを、ちよとおかしなすつてくださへといつて、 00030550L12かりてきてくださへ。Sアイと、むかふの本屋へいつて、 00030560L13申シへ。じしんばんからまいりやしたが、(十九オ)どうぞ 00030570L14江戸かゞみをかしておくんなさんやし△Sハア、江戸かゝ 00030580L15ミハなかつたわへ。/又(また)/自身番(じしんばん)て、/江(ゑ)どかゞミをなんにする 00030590L16やら△S大かた、ひげでもぬくのでござんやしやう 00030600¥N48¥J 00030610¥X/烟艸(たばこ) 00030620L19たばこのきよくのミするをじ(十九ウ)まんする/男(おとこ)、/女郎(ぢよろう)か 00030630L20いにいつて、かうまんづらで、わをふく。さいしよ三つ/輪(わ) 00030640M1をふき/出(いだ)しまする。つぎハ大わをふきまする。つぎハ五つ 00030650M2/輪(わ)をふきまするでござい。さてつぎハ、大わをふきまして、 00030660M3またちいさいわを、大/輪(わ)の中をとうし(二十オ)ますると、 00030670M4よねんなくのんでゐたところが、となりざしきよりも、三 00030680M5かくなたばこのけふりがでるをミて、はてさて、それがし 00030690M6今/輪(わ)をふくをもつて、ならびなき/名人(めいじん)とおもふところに、 00030700M7三ン/角(かく)なるけふりをふくものあるハ、何ともかてんゆかす 00030710M8と、(二十ウ)からかみのすきまより、のそいてミれバ、ど 00030720M9うりじや+。三つ口だ 00030730¥N49¥J 00030740¥X/女郎買(ちようろうかい) 00030750M12此中かふた女郎の所へ、いきとふハおもへども、あとにき 00030760M13ていつたものもきていかれハしよまいと、きるものゝうら 00030770M14をひつくりかへしてきていき、ちよん(二十一オ)上りのな 00030780M15じミ有、/折枝(おりゑ)様ンといへば、わかいもの心へ、/折枝(をりゑ)さんと、 00030790M16こへかけて下へおりると、やがて女郎がきて、おや、おめ 00030800M17へ。けふハ/二度(うら)にきなんしたの。S何さ。おらハ此やうな 00030810M18きものハの、いくつもある 00030820¥N50¥J 00030830¥X/四文銭(しもんぜに)(二十一ウ) 00030840¥P91 00030850L1あるとき、あさおきてめしをたかんとて、四文ぜににいひ 00030860L2つけて、水をくミにやるに、はやひるになれどもかへらず。 00030870L3ていしゆはら立、あとよりむかいにゆきけれハ、/向(むか)ふより 00030880L4しほ+としてくる。Sていしゆおのれ、今までどこへいつ 00030890L5てゐおつた。(二十二オ)水なら/手桶(ておけ)に一つ、そのくせ水も 00030900L6くまず、大べらぼうめ△Sイヱ+、とこをあるいても、 00030910L7つりがござりませぬ 00030920¥N51¥J 00030930¥X/傘(からかさ) 00030940L10此ごろハとんだからかさがたかい。いつも弐百ぐらいなか 00030950L11らかさが、五百の六百のといふから、はりかへやう(二十 00030960L12二ウ)とおもつたら、はりかへが三百だといふぜ。Sおれ 00030970L13がさいくに、安くはりかへてやろう。あのてめへ、からか 00030980L14さをはるか。Sウン、おれもからかさ屋に、六年ほうかう 00030990L15をした△Sそんなら、てめへ、いくらではりかへてくれる 00031000L16S三拾弐文△Sコレ、てめへも(二十三オ)ほんに、三百で 00031010L17はりかへやうといふかさを、どうして、三十弐文ではられ 00031020L18るものか。かみばかりもおぼへがある△Sなに、かミがい 00031030L19くらいるものか。三/枚(まい)あると、たくさんだ△S三まいや十 00031040L20まいで、どうしてはられるものか△Sハテさて、おれがは 00031050M1つて見せよふ(二十三ウ)Sとうしてはる△Sすぼめておい 00031060M2てはる 00031070¥N52¥J 00031080¥X/狐附(きつねつき) 00031090M5おらがとなりのむすこが、きつねにとつつかれたが、おれ 00031100M6に百万べんをくつてくれとたのまれたが、おれハ申やうを 00031110M7しらない。てめへ、たのむぜ。Sいんにやよ。おれも(二 00031120M8十四オ)たのまれたが、おれもしらぬ。いつそあの、そうば 00031130M9んねんぶつにでもしやう△Sそれがよかろう。そんならバ 00031140M10いかふとつれだつていつて、やがて、なもウあアヽだアヽア 00031150M11ヽなもあアヽだアヽヽといふと、きつねつきが、Sこん 00031160¥N53¥J 00031170¥X/馬尾(むまのを)(二十四ウ) 00031180M14つなひであるむまのしりを、/子(こ)どもが、くい+とひつこ 00031190M15ぬくを、/近所(きんじよ)の/男(おとこ)、これ+こども。よせ+。むまのし 00031200M16りををぬかねへもんだ。Sなぜ△Sわけかある△Sなんの、 00031210M17ぬいてもいゝ△Sいんにや。わけがあるから、ぬかぬもの 00031220M18だ△Sそのわけといふハ、なんのこつ(二十五オ)た△Sい 00031230M19んにや。てめへたちのきいて、やくにたゝぬ事だ△Sそれ 00031240M20でもそれをいわぬと、おら、ぬかあ△Sよせよ△Sそんな 00031250¥P92 00031260¥G(四十五ウ・四十六オ) 00031270M1ら、なぜぬかないもんだ△Sハテサテ、馬がいたがる 00031280¥N54¥J 00031290¥X/春(はるの)/日(ひ) 00031300M4はるの日ハながい+といふが、おれがきをつけてミるが、 00031310M5やつはり/丸(まるい)イ。(二十五ウ)あれか。あれハお日様のこぐちだ 00031320¥N55¥J 00031330¥X/楊枝(やうじ) 00031340M8なんでもかでも、ねをねぎつてまけぬとかわぬものがあつ 00031350M9て、くわんおんのいちへいつて、/柳屋(やなぎや)で、やうじハ一本が 00031360M10いくらだ。Sアイ、五本て壱文でござります△S一本ほし 00031370M11いが、ねぎりやう(廿六オ)がないから、壱本たゞください 00031380M12といふ。Sそれハうりものだから、たゞハなりやせん。お 00031390M13めへ、たつた壱文だから、かいなんし△Sインニヤ、壱本 00031400M14ほしいものだ。どうぞたゞください△Sどふもならぬとい 00031410M15へば、せんかたなしにかへるを、あいつをなぐさんでやら 00031420M16ふ(廿六ウ)と、S申+△Sヲイ、まけるか 00031430¥N56¥J 00031440¥X/掛物(かけもの) 00031450M19おらが内のわかだんなハ、どうもならぬ大ばかで、こまつ 00031460M20たものだ。あれでハやしきがたのつとめもできまい。ばか 00031470¥P93 00031480L1につける/薬(くすり)がないと、こまつたものだといふ/内(うち)、(廿七オ) 00031490L2むすこがかへつて、おらがうちへおきやくがある。二かい 00031500L3をかたつけてをけ。かうと、とこのかけ物ハ何がよかろう。 00031510L4あのおさむらいハ、つよい事がおすきだから、おふそれよ、 00031520L5ゑいしんのとらがよかろふな。Sアイ、ようござりませう 00031530L6Sそんなら、とらにしやう(廿七ウ)と、二かいへあがる。 00031540L7Sあゝいふきどりでハ、ばかゞよつほどなをつた△Sムヽ 00031550L8サ。あれでハやしきつとめもてきるといふうち、むすこが 00031560L9二かひからおりて、なんと、とらとべんけいハどつちがつ 00031570L10よかろう 00031580¥N57¥J 00031590¥X/御成(をなり)(廿八オ) 00031600L13今日/頼朝公(よりともこう)おなりじやと、やく人がなわひきわたして、か 00031610L14なぼうをついてゐるところへ、一人きかゝつて、とうろう 00031620L15とする。やく人、けふハおなりだ。とうられない。Sなぜ 00031630L16おなりだ△Sハテ、此人ハおなりだといふに△Sイヘサ、 00031640L17なぜおなりだね△Sなぜでも(廿八ウ) 00031650¥N58¥J 00031660¥Xいけん 00031670L20どうらくな/息子(むすこ)を、おやぢよひつけ、ヤイ、おのれも人の 00031680M1いけんするうちに、ちつとしまりおれ。/我(われ)がやうにあすん 00031690M2でばかりいて、おれがいつまで、そくさいているもんだ。 00031700M3モシおれがしんだら、マアなんで、めしをくわふとおもふ。 00031710M4ムスコSかう+で(二十九オ) 00031720¥N59¥J 00031730¥X/伊勢参(いせまいり)リ 00031740M7いよ+明日、おたちなされますか。ふりまして御なんぎ 00031750M8でござりませうといふて、あさから大ぜいきて、おなじ事 00031760M9をいふてハかへる。あいさつをせねバならず、/荷(に)ハしまい 00031770M10たし、こめんどうなと、おもふ(二十九ウ)ところへ、むか 00031780M11ふのていしゆきて、明日ハふつても、おたちなされますか 00031790M12といへバ、Sていしゆしやう+ハてんきてもたちます 00031800¥N60¥J 00031810¥X/百性(ひやくしやう) 00031820M15田の/水(ミづ)をとつたのとらぬのと、少シの事が大げんくわにな 00031830M16り、(卅ノ四十オ)たゝき合つかミ合しが、久作をとつておつ 00031840M17ふせると、くやしがつて、八右衛門があたまへかミ付、か 00031850M18たこびんへかぶりかく内ニ、大/勢(ぜい)あつまり、このぶんでハ 00031860M19すむまい。おぢとうへうつたへずハなるまい。そじやうを 00031870M20かきやれ。なんとかこう。Sおそれ(卅ノ四十ウ)ながら、 00031880¥P94 00031890L1かき付を/以(もつて)ねかひ上ケたてまつり候。一ツ久作と申もの、 00031900L2八右衛門があたまをかぶりかき申候△Sまちやれよ。かぶ 00031910L3りかきとハかゝれまい△Sなんとかこふ△Sくひかき申候 00031920L4Sいや、くひかきともかゝれまい△Sとうかきませうとい 00031930L5ふ所へ、名主がき(四十一オ)て、Sフン、それハ久作、八 00031940L6右衛門があたまを、カウトフンたべ申候 00031950¥N61¥J 00031960¥X/町廻(てうまハ)り 00031970L9あのとなり町のかゝへの太右衛門ハ、火の用心さつしやい 00031980L10ませうを、よくよぶぞ。そしてまあ、とんだよいこいだと 00031990L11いふを、かゝへのものが、何さ。(四十一ウ)なんぼこへが 00032000L12よくつても、かんじんのかなぼうにあわぬ 00032010¥N62¥J 00032020¥X/其(その)二 00032030L15より合/酒(さか)もりしてゐる所へ、火の用心さつしやいませう 00032040L16+とよんでくる。ほんに、おらが町のかゝへハ、よくき 00032050L17どくにまわる。さむいに、いつぱい(四十二オ)のませてや 00032060L18ろふ。ヲイ+太右衛門どん。さむいに一はいのんてまわ 00032070L19らつしやい。Sそれハありがたふこざります。これがよか 00032080L20ろふと、てんもくをたせば、二三ばいぐいのミにして、御 00032090M1ちそふでござります。おやすミなされませと、まわりにゆ 00032100M2きしが、たんながた(四十二ウ)のおこゝろさしが、いかに 00032110M3してもありがたい。もつとおれいをいゝたひもんだとおも 00032120M4つて、又たちより、あなたでハ火のやうじんハ、かならず 00032130M5おこゝ/((ろ脱カ))おきのふ、御かつてになされませ 00032140¥N63¥J 00032150¥X/眼病(がんびやう)(四十三オ) 00032160M8てめへ、このごろ、めがわるひそふな。ちつともいゝやう 00032170M9かな。Sミやれ、おへないぜ。おゝきなくされよ。このめ 00032180M10でいくらのちがひかしれない。まあ、それミてくりやれ。 00032190M11なんと、これでハおれも、じやくハあめだろうよ△S何さ 00032200M12+。ふるこつちやないよ。めのうちハ(四十三ウ)ほしだ 00032210M13らけだ 00032220¥N64¥J 00032230¥Xやうじ 00032240M16だんな寺へいつて、ちそうになり、くわいちうからやうじ 00032250M17をだしてつかふのを、おしやうがミて、ハテサテ、ざいけ 00032260M18といふものハ、じだらくなものだ。Sなぜさやうにおつし 00032270M19やりますへ(四十四オ)Sハテさて、さかなをくつた口へつ 00032280M20かふやうじも、こんなときつかふやうじも、やつはりおな 00032290¥P95 00032300L1しやうじをつかふとハ、あんまりじや。しやうじんのやう 00032310L2じハやうし、又つねのやうじハやうじと、二本づゝもつて 00032320L3ゐたがよい。わしがたしなミをミやつしやい。これ、やう 00032330L4じ(四十四ウ)が弐本あるハ 00032340¥N65¥J 00032350¥X折助 00032360L7ヤイおりすけ。われハぜにをつかふが、どうしてぜにをた 00032370L8くさんにもつてゐる。Sこれハまいばん+、さしをなつ 00032380L9てうりにまいります。このごろハ大ぶんねがよひから、も 00032390L10うかります(四十五オ)(四十五・四十六挿絵)Sハテナ。シテ 00032400L11なんぼほどもうかるぞ。弐百文づゝになります。Sスリヤ 00032410L12/鳥目(てうもく)弐百文が事ハで/ぎ((ママ))るな△Sアイ、さやうでござります 00032420L13S身もさしをこしらへて、あきなおふ△Sそんなら、おあ 00032430L14そびなされますひまに、おこしらへなされませと、おしへ 00032440L15ながら二人でこしらへためて、サアうりにてやう(四十六ウ) 00032450L16と、しう※してかついであるく。Sコレおり介。おれハ 00032460L17よびやうをしらぬ。われ、よんでミろ△Sアイ。さしハよ 00032470L18ヲといふと、だんながあとから、身も/同前(どうぜん) 00032480¥N66¥J 00032490¥X/押込(おしこミ) 00032500M1此ごろハ大イぶんおしこミがはやつて、めつたにゆだんが 00032510M2ならぬ。Sそれハ(四十七八オ)又どうしたもんだ△Sなん 00032520M3てもはいると、ていしゆをしばつて、ぬき身で、かねをだ 00032530M4せ+といつてせめるのさ△Sフン、金をたせバよいか△ 00032540M5Sウン、かねさへたせバ、命をたすかる△Sそんなら、か 00032550M6ねをださねへと、おへないな△Sウン△Sハテナ、こまつ 00032560M7たものた。おれもそんなら、五両壱分でもかり(四十七八ウ) 00032570M8ておこう 00032580¥N67¥J 00032590¥X十六日 00032600M11日なしかしの所へいつて、けふハさい日だから、おにハう 00032610M12ちにゐるだろう。S此人ハとんだ事いふ人だ。人のていし 00032620M13ゆを、おにだなんのと△Sでもせけんで、おに+といふ 00032630M14ものを△Sそれだつて(四十九オ)も、さい日しまに、人に 00032640M15はらをたてさせてからに△Sそしてどこへいつた△Sけふ 00032650M16ハさい日だから、がきをつれて、ゑんまへいつた 00032660¥N68¥J 00032670¥X/雪隠(せつちん) 00032680M19けんじゆつしやの所で、ぶしつけながら、せついんへまい 00032690M20りましたが、水(四十九ウ)だくさんで、それハ+はねて、 00032700¥P96 00032710L1こんきういたしました。Sなにさ。あれもしやうで、はね 00032720L2ません△Sそれハ御でんじゆをうけたふござります△Sま 00032730L3つせついんへまいる△Sアイ△Sしりをまくる△Sアイ△ 00032740L4Sたれる△Sアイ△Sとんとおちる△Sアイ△Sはねてく 00032750L5る。ひらく 00032760¥N69¥J 00032770¥X/浪人(らうにん)(五十オ) 00032780L8かたくるしきらう人、さかやきをすらんと、ゆをわかし、 00032790L9あの/髪結(かミゆい)ハもふくるはづと、まつところに、だんなさま。 00032800L10おまちどふでござりましよ。Sさいせんから、よほどの間 00032810L11まつてゐた△Sさやうでござりませう。こんにちハおもて 00032820L12の(五十ウ)/酒屋(さかや)に、こんれいふるまひがあるとて、おふか 00032830L13たおすりなされました△Sされバ、身もそのことで、さか 00032840L14やきをいたす△Sへヽ、あなたも/御出(おいで)なされますか△Sイ 00032850L15ヤ、いまだ人ハこぬが、よびにくれバいくし、又よびにこ 00032860L16ねバいかぬ。そこが/武士(ぶし)だ(五十一オ) 00032870¥N70¥J 00032880¥X舟宿 00032890L19ふなやどのむすこ、せつたをはいて、ちやら+ならして 00032900L20ミたいと思ふて、三百だして、せつたをかい、おやぢのる 00032910M1すにはいて出ると、あとへおやぢがかへつてゐる。むすこ 00032920M2ちやら+ならしきてミると、なむ三ぼう(五十一ウ)とゆ 00032930M3きすぐる。おやぢあをのき、ふねかイ、舟かイ 00032940¥N71¥J 00032950¥Xねづミ 00032960M6おらがうちへ、此ごろねづミがでゝ、どうもならぬ。ねこ 00032970M7ハきらいなり。おとしをおけバかゝらず、いたづらをして 00032980M8ならぬ。Sその/鼠(ねづミ)ハ(五十二オ)どこからでる△Sあれ、あ 00032990M9のあなからでる△Sそんなら、あのあなのきハへ、わさび 00033000M10おろしを立かけておかしやれ△Sそうすれバ、でねへか。 00033010M11イヤ、ではいりに、ちつとづゝなくなつてしまふ 00033020¥N72¥J 00033030¥Xおなら 00033040M14かむろ、しやくをしなから、ぶいと(五十二ウ)とりはずす。 00033050M15女郎、気のどくがり、此子のやうなぶしつけな。おきやく 00033060M16のまへで、おならをするといふ事がある物か。下へおりな 00033070M17といひしま、ぶいといふ。Sヱヽこの子ハ、はやくおりね 00033080M18へ。おれもいまいく 00033090¥N73¥J 00033100¥Xゐんきよ(五十三オ) 00033110¥P97 00033120L1/殊(こと)のほか/菜(な)をすくおやぢ、/目黒(めぐろ)へやしきをもとめ、ざしき 00033130L2などびをつくして、いんきよしける。S二三人つれだち、 00033140L3かのゐんきよ所へ立より、おかハりも御/座(ざ)りませぬか。 00033150L4Sやれ+久しぶりじや。さあこつちへ(五十三ウ)あから 00033160L5つしやれ△Sアイ。これハよいおざしきでござりますとい 00033170L6ひながら、しやうじをあけてミれバ、むかふ一チ/面(めん)に/菜(な)ば 00033180L7たけ。これハけしからぬ。此/菜(な)ハどうなされます。Sミな 00033190L8わしがくひ/料(りやう)でござる△S何ンぼおすきでも、これほどハ 00033200L9入ます(五十四オ)まい△Sイヤ、これでもゆでると、ちイ 00033210L10とになります 00033220¥N74¥J 00033230¥Xせん/湯(とう) 00033240L13座とう、せんとうへゆき、まつはだかになりて、ざくろ口 00033250L14から、アイ、ごめんなされませう。ひへものでございとい 00033260L15ひながら、あたりをさぐつて(五十四ウ)ミても、人がひつ 00033270L16とりもゐねへから、まあこをいつたものさ 00033280¥N75¥J 00033290¥X/乗合舟(のりあいふね) 00033300L19/吟咄川(いまでがわ)にて大ぜい、ふねにのり合、さて大ぜいが此一つふ 00033310L20ねに、此やうにのり合すも、たしやうのゑんとやら。まづ 00033320M1そこもとのお/国(くに)ハ(五十五オ)どこでござります。Sわたく 00033330M2しハ/上州(しやうしう)でござります△Sフン、そこもとハ△S/三州(さんしう)でご 00033340M3ざります△Sフン、そこもとハ△S/雲州(うんしう)でござる△Sわた 00033350M4しハ/遠州(ゑんしう)△S身どもハ/奥州(おうしう)でござる△Sして、そこもとハ 00033360M5S/天州(てんしう)/て((ママ))でござる△Sハテ、てんしうとハきゝおよバぬ。 00033370M6どつちのほうでござると(五十五ウ)きけバ、△S/大坂(おうさか)の/天満(てんま) 00033380M7でござる 00033390¥N76¥J 00033400¥Xいが/栗(ぐり) 00033410M10二三人より合、これ、おぬしハくにハどこだ。おらあ/丹波(たんば) 00033420M11だ。Sそんなら大きなくりがあるだらうな。たいてい大き 00033430M12いのが/有(ある)こつちやねへ。どれほどある。これほどあると、 00033440M13りやうてを(五十六オ)ひろげてミせる。Sとほうもねへ。 00033450M14そんなのがあるものか△Sいんにや、これほどあると、手 00033460M15をよせる。Sなに、またうそだ△Sこれほどある△Sまだ 00033470M16うそだ△Sそんなら、これでほんだ△Sイヤ、まだゞ△ 00033480M17Sそんなによせると、いがで手をつく(五十六ウ) 00033490¥N77¥J 00033500¥X/八百屋(やをや) 00033510M20ふくろく/寿(じゆ)、/福神(ふくじん)なかまをおいだされ、せんかたなく、す 00033520¥P98 00033530L1こししるべの/八百屋(やをや)へきたり、ひらに一チ/夜(や)たのむよし、 00033540L2そんなら、そこのすミにでもねさつしやれ。Sこれハかた 00033550L3じけないと、そばなるむしろを(五十七オ)ひつかぶつてね 00033560L4ると、物かいがきて、此夕がほハいくらだ。Sそれハほく 00033570L5ろく/寿(じゆ)でござります△Sフン、百六十にやあ、高イもんだ 00033580¥N78¥J 00033590¥X/髪結(かミゆひ) 00033600L8これ六や。おふきにのんだな。S何、少シさといふしたも 00033610L9まハらぬくらい(五十七ウ)で、さあ、おすりなさへまし。 00033620L10Sイヤ、おれハよしにしよう。きられてハならぬ△Sなん 00033630L11ぼよつても、きるこつちやねへ△Sそんなら、ちつとでも 00033640L12きると、そばをかハせるぞ△Sアイ。きらずハおまへにか 00033650L13ハせますといひながら、大かたあたまハすりしまい、さあ、 00033660L14そばをお(五十八オ)かいなさい。もふひげばかりだ。Sひ 00033670L15げがかんじんだ。こゝでそばをかわせる△Sいゝゑ。おま 00033680L16へにかわせますと/云(いひ)しま、はなをうハそぎにそがれた。は 00033690L17なにめもかけず、Sハア、ほばくを、ハアほばくおゝ 00033700¥N79¥J 00033710¥Xたこ(五十八ウ) 00033720L20さとかへりに、むすめがきて、だん+のはなし。さて、 00033730M1かハつたことをいわれました。Sなんといわれた△Sわた 00033740M2しをたこだといわれました△Sハテ、わたしがこゝへよめ 00033750M3いつてきたときも、うちでたこだといわれたといへバ、 00033760M4(五十九オ)うしろのふすまをあけながら、大ばあさまがでゝ、 00033770M5はてさて、かハつたことが三ン/代(たい)つゞいた 00033780¥Q 00033790M8△△△安永四乙未歳春 00033800M10△△△△△△△△△東都△△△△△山林堂版 00033810M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(五十九ウ) 00033820¥P99 00033830¥U噺本大系△第十巻 00033840¥T@新△落|はなし@/一(いち)のもり〔序題〕 00033850¥G 00033860¥Y 00033870L17安永四年正月序 00033880L18来風山人序 00033890L19堀野屋仁兵衛板 00033900L20小本一冊 00033910¥T1@新△落|はなし@一のもり 00033920¥Y序 00033930M5当世おとしはなしの行ハるゝ事、古今(1オ)かく/盛(さかん)なるこ 00033940M6とをきかす。ねん+/歳(せい)+はなしかわれとも、人かわら 00033950M7す。/諸方(しよほう)の/遊士(ゆうし)、我れも/落(おと)せ(1ウ)おれも/落(おと)さんとほつす。 00033960M8/利(り)もなく/屈(くつ)もなく、はらをかゝゑて/一笑(いつしよう)す。あゝ/君子(くんしの)たの 00033970M9しみ(2オ)ならすや。よつて、そこのおち、こゝの/落(おち)をあ 00033980M10つめて、茶の子もちの/後扁(こうへん)となしぬ。こゝに(2ウ)/鯨(くじら)の 00033990M11名、/遠近(ゑんきん)にひゝくをもつて、いちのもりと名つく。またも 00034000M12/童蒙(とうもう)/好子(かうし)の/一笑(いつしよう)(3オ)にあつからんことを願ふのミ 00034010M14△△△安永四 00034020M15△△△△△ひつし春△△△△△△△来風山人書 00034030M17△△△△△△△△△△△△△△△△GG 00034040M19△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(3ウ) 00034050¥P100 00034060¥T2いちのもり 00034070¥N1¥J 00034080¥X物忘れ 00034090L5/押(おさ)へに/雇(やと)ハれ、となたでごさると/問(と)ハれ、/殿(との)の御名をわす 00034100L6れ、きうに/出(で)ねば、きかぬ/顔(かほ)にて/行(ゆく)を/追(をつ)かけきて、どなた 00034110L7様でごさります。S何しや(甲オ)Sイヤ、どなたさまでご 00034120L8さりますな△S/当(あて)て見ろ 00034130¥N2¥J 00034140¥X三角 00034150L11三/角(かく)御/望(のぞミ)しだいと/看板(かんばん)を見て、是ハ/珍(めづ)らしい。どふしたし 00034160L12ゆかうじやと見れば、まづ/玄関(げんくわん)か三角、ふミこみへ(甲ウ) 00034170L13そばがら。物まふ/乞(こへ)バ、とふれと/角(すミ)ちがへに出る男、/是(これ)へ 00034180L14御通りと/案内(あんない)につれ通れバ、/座敷(ざしき)が三角、/床(とこ)ちがひ/棚(たな)も皆 00034190L15三角、かけ物ハなくて三角の/穴(あな)あり。のぞき見れバ、/亭主(ていしゆ)、 00034200L16うろこ/形(がた)の/着(き)物、三角なやき/飯(めし)を/喰(くつ)て(乙オ)/居(ゐ)る。何ても 00034210L17/難題(なんだい)をいふてこまらさふと、Sモシ、三角な水が/所望(しよまう)とい 00034220L18へば、S是、さんよ。すミ/切(きつ)た水をあげろ/角(すミ)切たハ三角 00034230¥N3¥J 00034240¥X見違 00034250M1/大(おゝ)いも/顔(がほ)の/娘(むすめ)、となりの娘も同く大あばたにて、/遊(あそび)に/来(き)て 00034260M2ゐる所へ(乙ウ)見まひに行、/無事(ぶし)を/問(と)ふときに、/娘(むすめ)が、御 00034270M3/茶(ちや)上りませと/差出(さしだ)すを見れバ、見/違(ちが)へるほどの/成人(せいじん)。さて 00034280M4+きつい御せいじんといへば、Sイエ+、それハ/隣(となり)の 00034290M5/娘御(むすめご)でごさります△Sはて、よふ/似(に)て御座ります。とんと 00034300M6/柚(ゆず)を二つに(一オ)わつた/様(やう)だ 00034310¥N4¥J 00034320¥X草履取 00034330M9/背(せ)のひくゐ/医師(ゐし)に、/背高(せたか)のざうり取、/旦那(だんな)殿のあたま/越(ごし)に 00034340M10つばきをするとて、/旦那(だんな)のあたまへ、したゝかしかける。 00034350M11/医師(ゐしや)大に/怒(いか)り、主人のあたまへ(一ウ)つばきを/仕(し)かけると 00034360M12ハ、/途中(とちう)と云、ごんご/同断(どふだん)。にくゐやつめと、/殊外(ことのほか)のりつ 00034370M13ふく。S/真平(まつひら)御免下さりませ。/全(まつた)く/仕(し)かけハ致ませぬ。わ 00034380M14きへ致ましたが、風の/吹(ふき)まわしにて/掛(かゝ)りましたと/誤(あやま)り入る。 00034390M15/然(しから)バ/自今(じこん)をたしなめと、先に立て行。ぞう(二オ)り取/小声(こごへ) 00034400M16にて、いつも/能(よく)とびこすが 00034410¥N5¥J 00034420¥X腰巻 00034430M19御/土蔵(どざふ)が/立派(りつは)によふできました。時に、此/腰巻(こしまき)ハ/十方(とほう)もな 00034440M20い/高(たか)さ。いかさま、五尺/斗(はかり)でごさりませう。成ほど、五尺 00034450¥P101 00034460¥G(八ウ・九オ) 00034470M1五寸でごさります。S/世間(せけん)のハ/大慨(たいがい)二尺がつ(二ウ)かう。 00034480M2なぜ、あのやうに/高(たか)くなされました△Sさればサ。/惣躰(さうたい)せ 00034490M3けんを見まするに、/免角(とかく)やけ/残(のこ)る物ハこしまきでごさる 00034500¥N6¥J 00034510¥X移従 00034520M6/新宅(しんたく)へ悦ひに来て見れは、入リ口なし。/格子(かうし)を/覗(のぞい)て、御て 00034530M7いしゆ様。入リ口ハどこで(三オ)御座ります。Sアイ、こ 00034540M8ちらへと、家をくるりと/廻(まわ)らせて、/奥(をく)の/隅(すミ)に二尺ほどの/窓(まど)。 00034550M9/爰(こゝ)から御/這(は)入なされ。S扨&是ほど大さふな御ふしんに、 00034560M10是/斗(はかり)の入口とハ、あまり御ふ/自由(じゆう)てごさりましよ△Sイヱ 00034570M11+、私ハ是も付まいかと存ました(三ウ) 00034580¥N7¥J 00034590¥X毛抜 00034600M14きゝやれ。通町に/毛抜(けぬき)やができての、/喰(くひ)あんばいを見やう 00034610M15と/思(おも)つて、それを是をといふて/抜(ぬい)たれば、残らす/抜(ぬい)たから、 00034620M16/買(かわ)ずに/帰(かへ)つた。そんならおれもわれもと、聞つたへ行ほど 00034630M17に、/見世(ミせ)さきへ山の(四オ)ごとく人立して、こちらの毛抜、 00034640M18あちらの大きなといふて/抜(ぬき)立る。ていしゆ、/棒(ぼう)もつていで、 00034650M19/抜(ぬい)たハ/左(ひたり)へ+ 00034660¥P102 00034670¥N8¥J 00034680¥X釣 00034690L3/船頭(せんだう)や。けふハなぜ此やうに/喰(くわ)ぬ。されバ/合点(がてん)が行やせぬ。 00034700L4ヲヽそれ+。けふハ/龍宮(りうぐう)の(四ウ)ゑびす/講(かう)で、/魚(うを)ども残 00034710L5らず/呼(よば)れて参りました。/悪(わる)い日に御/供(とも)申、きのどくと云ふ 00034720L6うちに、何か/懸(かゝ)つたと/釣(つり)上見れば、大/金魚(きんぎよ)。ヤレめでたい 00034730L7と、是をしほに/宿(やど)へかへり、おかもちの/蓋(ふた)を/明(あくれ)ば、/塩(しほ)さい 00034740L8ふぐ、のびをしながら、アヽ大きに/酔(よつ)た(五オ) 00034750¥N9¥J 00034760¥X番太郎 00034770L11一つ/町内に二人の/番人(ばん)人、ひとりの/越(ゑち)ぜん者、/関東(くハんたふ)者の方へ 00034780L12来り、町内に/捨子(すてご)めが有。S/捨米(すてごめ)とハよい物が有の△Sイ 00034790L13ヤサ、/赤子(あかご)めじやハいの△S赤米でも、/舂(つけ)バ/白(しら)ふ成ハい△ 00034800L14Sはて、人じやハい△S四/斗(と)なら、二/斗(と)(五ウ)づゝわけよ 00034810L15ふ 00034820¥N10¥J 00034830¥X梅枝 00034840L18/殿(との)御/秘蔵(ひさう)の梅を、となりやしきより、たび+/枝(ゑだ)を/折(をる)ゆへ、 00034850L19以の外御りつふく。見付しだひ手/討(うち)にするとの御/意(い)。御そ 00034860L20ば/衆(しう)、/達(たつ)て御なだめ申、私義(六オ)よろしく取はからひ申 00034870M1べきとて、御/請(うけ)申、梅のゑだへのぼり、狼ぜきあらばと/待= 00034880M2居(まち=ゐ)しに、ゑだを折らんと差出す手をとり見れば、十七八な 00034890M3る/美婦(びふ)なり。どのゑだが御のぞミ(六ウ) 00034900¥N11¥J 00034910¥X菜売 00034920M6雪ふりに、七十ばかりの/菜(な)うりを/呼(よび)かけ、/年(とし)よりのさぞつ 00034930M7めたからふ。其/菜(な)ハ残らず/買(かつ)てやらふほどに、はやく/仕廻(しまふ) 00034940M8て/休(やす)めやれと、銭四百文にて/買(かい)取しが、コレおやぢ。/合力(かうりよく) 00034950M9ごゝろ(七オ)に買たれども、是ほどハ/仕(し)かたなし。そなた 00034960M10にやるほどに、みやげにでもしやれといへば、それハ一入 00034970M11有がたふ存ます。年よりの事なれバ、あたりの世/話(わ)に成ま 00034980M12すれハ、/近所(きんじよ)へみやけに致ませふと、ほた+悦ひ立出し 00034990M13が、心/替(かわ)り(七ウ)して、いや+、/帰(かへ)りがけに売ませうと、 00035000M14/隣(となり)町から、青な/冬菜(ふゆな)とよびあるく所へ、/初(はじめ)の/亭主(ていしゆ)に/出合(であい)、 00035010M15まあかふいふて/遊(あそ)んだものさ 00035020¥N12¥J 00035030¥X両国 00035040M18/家業(かぎやう)こそ/多(をゝ)ひ中に、人中へ出て/屁(へ)を(八オ)(八ウ・九オ挿絵) 00035050M19ひるとハあんまりな事だ。外のしやうばいを/仕(し)やれと/異見(ゐけん) 00035060M20すれハ、イヤ+、外の/稼(かせぎ)ではいかぬ事だ。まづ/聞(き)きやれ。 00035070¥P103 00035080L1くもつた日でも七八/〆(くハん)、/日和(ひより)さへよいと。Sまだひるかへ 00035090¥N13¥J 00035100¥X同 00035110L4をれもうら山しゐ。ひりたい物た。何(九ウ)でも/習(なら)ひに行 00035120L5ませふと尋ねてゆき、もし、/屁(へつ)ぴりさんの内ハ/爰(こゝ)かへ。あ 00035130L6いといふて/女房(によぼう)が出た所が、いもがほ 00035140¥N14¥J 00035150¥X儒者 00035160L9/予(よ)が/如(ごと)き/清(きよ)き/意(こゝろ)を以て、/斬(かゝ)る/愚盲(ぐもう)どもにハ/交(まじ)わられずと、 00035170L10/経書(けいしよ)を/抱(いだ)き、/深山(しんざん)に引込、只/独(ひとり)、心をすましかほに、(十オ) 00035180L11日夜/書(しよ)を/読(よミ)居る所へ、大キ成/狼(をゝかミ)来り、儒者を書物くるミ、 00035190L12只一口に/喰(く)ふとひとしく、へどをつき、なやミゐる所へ、 00035200L13/仲間(なかま)の狼来り、何ゆへになやむぞととへは、/腐(くさ)つた物を/喰(くつ) 00035210L14た 00035220¥N15¥J 00035230¥X松葉屋 00035240L17染之助、/不快(ふくわい)ゆへ薬をのむ。あの/医師(いしや)(十ウ)さんの薬ハ/甘(あま) 00035250L18くてならぬといふ。またかふろが、御くすりあがれと差出 00035260L19す。一ト口/呑(のん)て、ばからしい。此薬ハ/塩(しほ)がからいといふ。 00035270L20それでもおまへ、あまひ+といゝなんすから、/醤油(せうゆ)をさ 00035280M1しやした 00035290¥N16¥J 00035300¥X同 00035310M4わたしもきのふから、あんばいがわるひ。(十一オ)染さん 00035320M5の/相伴(せうばん)にと薬を/貰(もら)ひ、かぶろをよび、これ、此御薬にはの、 00035330M6せうがと/麩(ふ)が/這(は)入るによ 00035340¥N17¥J 00035350¥X同 00035360M9/朋輩(はうばい)女郎/目黒(めぐろ)へ行、/夜(よ)に入、四ツ/時分(じふん)に/帰(かへ)る。今帰りなん 00035370M10したか。江戸には/珍(めづ)らしゐ事ハないかへ。ありんすとも。 00035380M11(十一ウ)江戸ではなぜか、日が暮ると戸を立んした 00035390¥N18¥J 00035400¥X土持 00035410M14やごとなき/雲(くも)のうへ人、恋ゆへ/落(おち)ぶれ給ひ、/渡世(とせい)にこまり、 00035420M15/持(もち)も/習(なら)ハぬ/土運(つちはこび)に/雇(やと)ハれしが、親方、/着到(ちやくたふ)帳を付る。貴様 00035430M16ハ何/荷(が)じや。アイ、三荷持ました。よし+。名ハ(十 00035440M17二オ)何といふ。Sイヤ、私ハ名ハごさりませぬ△Sハテ、 00035450M18/埒(らち)もない。六介とも八介共、帳へ付ねばならぬ△Sハイ、 00035460M19こまつた物でごさります。そんなら、持人知れずとなされ 00035470M20て下さりませ 00035480¥P104 00035490¥N19¥J 00035500¥X間違 00035510L3/吊(とむら((ママ))ひから帰り、ヤレ+、深川の火の見(十二ウ)櫓(やぐら)ハ/能(よく)て 00035520L4きたといふを、女房聞て、そんな所へ/寄(よつ)てだによつて、い 00035530L5つでも/遅(をそ)い 00035540¥N20¥J 00035550¥X夜見世 00035560L8/田舎客(いなかきやく)を/伴(ともな)ひ、五町まちをあちこちと/格子(かうし)をのぞき、S田 00035570L9舎あの女郎ハ名ハ何といふ△Sあれハ高砂△Sこちらハ。 00035580L10(十三オ)田むら。Sハテナ。ミんな/謠(うたひ)の名じやの。大/方(かた)こち 00035590L11らの色の黒いは、/船弁慶(ふなべんけい)といふであらふと/評判(ひようばん)すれバ、や 00035600L12り手がきゝ付、こちの女郎衆に、/悪名(あくめう)つけて/貰(もら)ふまいとし 00035610L13かれば、Sソリヤ山/姥(うば)が出た 00035620¥N21¥J 00035630¥X管絃 00035640L16/朝鮮(てうせん)人二人、/欠落(かけおち)して日本へ渡り、(十三ウ)/家業(かぎやう)なけれは、 00035650L17たどん売、今一人ハ/麩(ふ)を/商(あきな)ふ。道に/迷(まと)ハぬ様に打連立、 00035660L18麩う++と/笛(ふへ)の/拍子(ひようし)でよべは、/太鼓(たいこ)の/拍子(ひようし)で、たど 00035670L19ん+ 00035680¥N22¥J 00035690¥X庄屋 00035700M3髪をほんだに結事、なり申さざるのよしにて、村中残らす 00035710M4庄屋へ/呼(よは)れ、(十四オ)皆&、/畏(かしこま)り候とて帰りしが、中にひ 00035720M5とり、取てかへし、/玄関(けんくわん)に手をつき、只いま仰られ候ほん 00035730M6だあたまと申ハ、たふ/致(いたし)た義でごさりますといへは、庄屋 00035740M7殿、あたまを/横(よこ)にして、此とふり 00035750¥N23¥J 00035760¥X遠気色 00035770M10/客(きやく)、女郎をつれ、/真崎(まつさき)の方から、ぶら(十四ウ)+と来て、 00035780M11アノ向ふの/塔(たう)ハ、とこでありんす。Sあれハ/観音(くハんをん)さ。アノ 00035790M12こちらの/高(たか)いのハへ△S/上野(うへの)さ△S此とふりに見へる松ハ 00035800M13へ△Sあれがへどかけの松さ。もしへ。へどかけとハあん 00035810M14まりだネ。あげの松ともすればよいに 00035820¥N24¥J 00035830¥X伊勢物語(十五オ) 00035840M17かゝさん。わたしや今川も百人一/首(しゆ)もあげたから、伊勢物 00035850M18かたりを買てくんな。Sもし/旦那(だんな)へ。いせ物かたりがほし 00035860M19いとさ△Sヲヽ買てやれさ。女の事なれハ/参宮(さんぐう)ハならず 00035870¥P105 00035880¥N25¥J 00035890¥X乗打 00035900L3/検(けん)ぎやうの手引、はいたうを見付、旦那。(十五ウ)はいた 00035910L4うが/乗打(のりうち)を致ます。それハにくゐやつ。まて。おのれハな 00035920L5ぜ/乗(のり)打を致たと、以の/外(ほか)/立腹(りつふく)。/真平(まつひら)御/免(めん)と/詑(わぶ)れ共、きかず。 00035930L6/神道者(しんたうじや)きのとくに思ひ、/扱(あつか)ひに入けれバ、其/元(もと)様、御/名(な)ハ 00035940L7何と申ます。身ハ松/永(なが)/伊豆(いづ)守と申。けんぎやう/肝(きも)をけし、 00035950L8両手をつき、あなた様の御/直(ぢき)の御/詑(わび)と(十六オ)御座れは、 00035960L9何が/扨(さて)いかやう共御/意(ゐ)に/随(したが)ひませふ。それハ/早速(さつそく)/聞済(きゝすミ)、/過= 00035970L10分(くわ=ぶん)と一礼/述(のへ)、/別(わか)れけれハ、/最前(さいぜん)より/大勢(をふぜい)の見物、どつと立 00035980L11/音(をと)を聞て、/扨(さて)、すさましいどふぜいだ 00035990¥N26¥J 00036000¥X途中 00036010L14/国者(くにもの)に/途中(とちう)で/逢(いあい)、さて久しぶりと(十六ウ)/互(たが)ひの無事を/語(かた) 00036020L15り、をれも御屋敷へ/中間(ちうげん)奉公に/這(は)入たが、御見立にあづか 00036030L16り、づゝと/立身(りつしん)して、/家中(かちう)の者を/下(した)目に見るやうに成た。 00036040L17それハ目出たい。そんなら御/側(そば)か、御用人か。いや+火 00036050L18の見ばん 00036060¥N27¥J 00036070¥X無宿(十七オ) 00036080M1やどなし、ぶら+/歩行(あるく)向ふから、なかまが来て、どふた。 00036090M2四五日/逢(あわ)なんだ。見れは、大分/色(いろ)が/悪(わる)いが、とふぞしたか。 00036100M3ヲヽヨ。さん※た。/第(だい)一/喰(くい)物がますくてならぬ。ソレハ 00036110M4/込(こま)つた物だ。なんそ、口にあう物を/貰(もら)つてくやれ 00036120¥N28¥J 00036130¥X其二(十七ウ) 00036140M7やとなしども、橋の上に涼て居る。六や。/今夜(こんや)ハ十/方(ほう)もな 00036150M8くすゞしくてゑいな。そして/蚊(か)ハいづ。ヲヽヨ、/萌黄(もへぎ)の風 00036160M9かふく 00036170¥N29¥J 00036180¥X新世帯 00036190M12/年明(ねんあ)き女郎、/世帯(せたい)を持、まづへつついをかつて/来(く)る。Sモ 00036200M13シへ、此へつゝい、(十八オ)いくらでかいなんした。弐分 00036210M14三百だ。/灰(はい)の入れたのハ、まだ高からうね 00036220¥N30¥J 00036230¥X開帳 00036240M17はやらぬ/開帳(かいてう)、参りハ/少(すく)なし。/言立(いゝたて)の/坊(ぼん)さま、/居眼(ゐねふり)を仕な 00036250M18がら、是に立せ給ふハ/当寺(たうじ)の本/尊(ぞん)正くわんぜをん/菩薩(ぼさつ)、/弘= 00036260M19法(かう=ぼう)大師一ツ/刀(とふ)三礼の御作。(十八ウ)又と開帳ハ/叶(かな)ひませぬ。 00036270M20/近(ちか)ふよつて御/縁(ゑん)を/結(むす)ばれませふといふて、目をひらき見れ 00036280¥P106 00036290L1ハ一人も居ず。のし観音さま 00036300¥N31¥J 00036310¥X地獄 00036320L4大の/悪女(あくじよ)、/焼餅(やきもち)けんくわの上/頓死(とんし)をして、地ごくへおち、 00036330L5/幽霊(ゆうれい)と成、/夫(おつと)へうら(十九オ)みをなしたく、/焔魔(ゑんま)王へねが 00036340L6ひけれバ、/焔王(ゑんをう)御/覧(らん)し、/汝(なんじ)が其不/器量(きりやう)にてゆうれいの/願(ねが)ひ、 00036350L7/叶(かな)ハぬとの御しかり。/鬼(をに)ども、女の/袖(そで)を引て、/化(ばけ)ものとね 00036360L8がへ+ 00036370¥N32¥J 00036380¥X俳人 00036390L11/信濃(しなの)者、/俳諧師(はいかいし)の内へ奉公する。(十九ウ)国もの/来(き)て、そ 00036400L12ちの内ハ何しやうばいだ。Sされば、何だか/知(し)らぬが、/旦= 00036410L13那(だん=な)ハ/至極(しこく)けつかうな人だか、/毎(まい)日/余所(よそ)から人が来て、/訳(わけ)も 00036420L14しれぬ事を/云(いふ)てハ帳に付るが、おれが事かとおもふ 00036430¥N33¥J 00036440¥X居風呂 00036450L17江戸ハ/洗湯(せんたふ)が/調法(てうほう)でうら山しい。(廿オ)(廿ウ・廿一オ挿絵)こ 00036460L18ちの/在所(さいしよ)へも、/折(をり)&/船湯(ふなゆ)か/来(き)ますが、/間遠(まどふ)てこまります。 00036470L19Sそんなら/居風呂(すへふろ)/能(よ)ふござらふ△Sされバさ。前かた居風 00036480L20呂も/立(たて)ましたが、/寒(さむ)い/時分(じぶん)にハ、湯に/涌(わく)まで/這(は)入てゐるの 00036490M1が、つめたくて成ませぬ 00036500¥N34¥J 00036510¥X知らぬ同士(廿一ウ) 00036520M4/皆(ミな)が/将碁(せうぎ((ママ))をさすが、をれもさしたい物だ。S何さ。ぞうさ 00036530M5ハない。をれか/教(をしへ)てやらふ。先かふ/駒(こま)をむせうに/並(ならべ)て/置(をい)て、 00036540M6向ふの方へつゝかけて/当(あた)り合と、其/駒(こま)を取て、又明た所へ 00036550M7はるが能と、/互(たが)ひにさしかゝりて、御手にハ何。S/王将(わう)が 00036560M8二まい(廿二オ) 00036570¥N35¥J 00036580¥X浅艸 00036590M11十二/軒(けん)茶屋にひらき直つて居所へ、/親父(をやぢ)が通り/掛(かゝ)つて、己 00036600M12れハ/爰(こゝ)に何してゐると/叱(しかる)を、とぼけた/顔(かほ)で、是ハ御久しう 00036610M13ごさります。S何、ばか/尽(つく)す。けさ内で/逢(あふ)たハい△Sハテ、 00036620M14おまへに/逢(あへ)ハ百年め(廿二ウ) 00036630¥N36¥J 00036640¥X狂言 00036650M17/芝居好(しばゐすき)の/息子(むすこ)、/庭(には)の/掃除(さうじ)にも、男共に/釘貫(くぎぬき)の/紋(もん)を付たるは 00036660M18んてんを/着(き)せ、其身ハ/奥(をく)より、ぎやう+しく/見分(けんぶん)に出る。 00036670M19/若(もし)、/旦那(たんな)様。御かほに何か、とまつて/居(を)りますといふ。手 00036680M20を上て/顔(かほ)をぴつしやり。見れは/蝿(はい)なり。(廿三オ)/家来(けらい)共。 00036690¥P107 00036700¥G(廿ウ・廿一オ) 00036710M1/死骸(しがい)を/片(かた)付ろ 00036720¥N37¥J 00036730¥X遊所 00036740M4/田舎(いなか)者、/遊(あそ)びに行。/帰(かへ)りにわかいもの、/裏(うら)に御出なされま 00036750M5せといふ。Sおれが/腹(はら)のくだるを、どふして/知(し)つた 00036760¥N38¥J 00036770¥X噺 00036780M8/芋好(いもすき)の女郎、/度(たび)&の/仕損(しそこな)ひゆへ、(廿三ウ)/亭主(ていしゆ)/急度(きつと)/云渡(いゝわた)し、 00036790M9/誓言(せいこん)にて/済(すミ)しが、四五人一/座(ざ)の/客(きやく)、/芋(いも)を/好(この)む。/若(わか)い者、/煮= 00036800M10付(に=つけ)にして出す。皆&/賞翫(せうくわん)するを見て/脉(こら((ママ))へかね、/笄(かんざし)にて/一寸(ちよつ) 00036810M11とさし、/喰(く)ふとひとしく/仕損(しそこな)ひ。是ハならぬと、女郎/梯子(はしご) 00036820M12を/下(をり)る所へ、高/挑灯(てうちん)にて、取た+と/声(こへ)かけられ、/廊下(らうか)へ 00036830M13行ば、(廿四オ)/客(きやく)共/鉢巻(はちまき)にて、取つた+といふ。/是非(ぜひ)な 00036840M14く/格子(かうし)へ出れば、大/勢(ぜい)にて、女め、いもくな 00036850¥N39¥J 00036860¥X会津 00036870M17/空腹(くうふく)に/及(をよ)びました。御/無心(むしん)なから、御/食(めし)を御/振舞(ふるまひ)なされ下 00036880M18されませ。御安い御用。サア上りませと/膳立(ぜんだて)して、(廿四ウ) 00036890M19/櫃(ひつ)を/明(あけ)て見れば、/漸(やう+)一/膳(ぜん)ばかり。/気毒(きのとく)と/思(おも)ひながら/盛(もつ)て出 00036900M20す。さら+と/喰仕舞(くひしまひ)ても、かへろといハぬゆへ、/椀(わん)の内 00036910¥P108 00036920L1を/内義(ないぎ)の方へ見せて、此御/椀(わん)ハ/堅地(かたぢ)な/能(よい)御/道具(とうぐ)でごさりま 00036930L2すといへハ、内義ハ/櫃(ひつ)を客へ見せて、此/櫃(ひつ)と一ツ/緒(しよ)に/買(かい)ま 00036940L3した(廿五オ) 00036950¥N40¥J 00036960¥X手癖 00036970L16/調市(でつち)を/呼(よひ)よせ、こちの/勝(かつ)手に合ぬゆへ/暇(いとま)をやる。われにハ 00036980L7手/癖(くせ)といふ/悪(わる)い/病(やま)ひが有ほどに、わきへつとめても、/夫(それ)で 00036990L8ハ行ぬほどに、/隨分(ずいぶん)心を/改(あらた)めて、くせを/直(なを)せと/暇(いとま)を出けれ 00037000L9ハ、五七日/過(すぎ)て来り、/旦那(だんな)様。私も/隣(とな)り(廿五ウ)町の/穀(こく)物 00037010L10屋へ/済(すミ)ましたが、先日の御/異見(ゐけん)、段&有がたふごさります。 00037020L11此御礼にハ、おまへ様ハ引/割飯(わりめし)が御/好(すき)でこさりますから、 00037030L12/頃日(このごろ)に/能(よい)引割が入/舟(ふね)致したら、/盗(ぬすん)で上ませふ 00037040¥N41¥J 00037050¥X大額 00037060L15/矢口(ヤぐち)の百/性(せう)共/寄(より)合、Sひとしきりと(廿六オ)/違(ちか)ひ、此間ハ 00037070L16参りも/少(すくな)く/淋(さミ)しいやうに思われます。どふぞ今迄の通り、 00037080L17御/宮(ミや)御/繁昌(はんぜう)つゞきまするやうに致したいと云ふ。庄屋/聞(きゝ)、 00037090L18なるほど尤の事じや。是にハ/額(がく)を上るが/能(よ)からふ。成ほど 00037100L19ゝ一ツ/決(けつ)して頼めバ、庄屋/否込(のミこミ)、おれ/次第(しだい)にし(廿六ウ)や 00037110L20れと、/差渡(さしわし((ママ))し二間ほどの板にて丸く/拵(こしら)へ、中へ一文じを引。 00037120M1百性共、/額(がく)を見て庄屋へ行、/扨(さて)&/能(よく)/出来(でき)ました。/殊(こと)に丸に 00037130M2引りようハ/新田(につた)さまの御/紋(もん)、一入、/神慮(しんりよ)にも叶ひませう。 00037140M3Sイヤ+、あれハ引りようでハないぞや△Sそして、何 00037150M4でごさります(廿七オ)Sあれハ/鍋蓋(なべふた)じや△Sとハなぜに 00037160M5Sさめぬやうに 00037170¥N42¥J 00037180¥X山出シ 00037190M8/医師(ゐし)、/家来(けらい)を/呼(よび)、そちハ頃日江戸へ出たれバ、しらぬは尤 00037200M9じやが、物まふといふ時、どこからござつたといふ物てハ 00037210M10ない。どふれと云ものじやと(廿七ウ)云付れば、/畏(かしこま)りま 00037220M11したといふ所へ、/頼(たのミ)ませうといふ。Sどこからござつたと 00037230M12云ふ故、たつた今云付た事、まふ/忘(わす)れたか。なぜ、どうれ 00037240M13といハぬと/叱(しか)れバ、それでもあれハ、/頼(たの)ミませうと申まし 00037250M14た。イヤサ、頼ミませうも、物まうと同し事じや。そう心 00037260M15得(廿八オ)たが/能(よい)。アイ、/畏(かしこま)りましたといふ。又/裏(うら)口の/障= 00037270M16子(せう=じ)を/明(あけ)て、/光簾(ミつかど)/吟庵(ぎんあん)さまハ/此方(こなた)でごさりますか。成ほど、 00037280M17こちでごさる。そんなら御頼ミ申ます。Sどふれ 00037290¥N43¥J 00037300¥X笋 00037310M20/勝負師(しやうぶし)、しあわせをして/家主(いへぬし)へ(廿八ウ)ゆき、/若(もし)、大屋さ 00037320¥P109 00037330L1ん。去/年(ねん)中の/勘定(かんじやう)も残らす致ませふ。わたくしも此間ハ、 00037340L2仕合が能なりました。/夫(それ)て子ども/等(ら)にも、久しぶりて弐つ 00037350L3づゝ/着(き)せました。Sそれハ/能(よい)事じや△Sそれにつゐて/発句(ほつく) 00037360L4を致ました。 00037370L5△△△たけの子ハおやニ/増(まさ)りて/重着(かさねき)て(二十九オ) 00037380L6と申ました△Sそれハ/能(よく)できた。をれがわきをしませふ。 00037390L7△△△/育(そだ)つにつけて/裸(はだか)ぼうかな 00037400¥N44¥J 00037410¥X火事見舞 00037420L10/恵美寿(ゑびす)どの、/弁(べん)てんえ行、/昨夜(さくや)ハさぞ御さわぎでごさらふ。 00037430L11S何でへ。(二十九ウ)/火事(くわじ)でさ。Sいへ+、わたしハぞ 00037440L12んじませぬ△Sあの火事をしらぬとハ、きついねよふ△ 00037450L13Sヱヽ成ほど、ゆふべハ/琵琶(びわ)をたんじて/居(をり)やしたが、/梯子(はしご) 00037460L14よ水よといふ/声(こへ)がしやしたが、わたしや/福禄(ふくろく)さんの/月代(さかやき)か 00037470L15とおもひやした(三十オ) 00037480¥N45¥J 00037490¥X野宿 00037500L18/貧窮(ひんきう)もの、国もとへむしんに/行(ゆ)かんと/思(おも)ひ立、/子供(こども)をつれ 00037510L19/旅(たび)へおもむきしが、/路銀(ろぎん)なけれハ/野宿(のじゆく)して、子供にハ/古(ふる)げ 00037520L20たの有しを、まくらにさせけれハ、コレ/爺(とつ)さん。(三十ウ) 00037530M1/下駄(げた)であたまがいたひから、をれハはだしてねよふ 00037540¥N46¥J 00037550¥X餞別 00037560M4/西国(さいこく)もの/兄弟(けうだい)、江戸へかせぎに出、/折(をり)+かわり+国へ 00037570M5のぼる。/或(ある)とき/兄貴(あにき)、国へのぼらんと思ひ、だふぞ/弟(おとゝ)(三 00037580M6十一オ)めが壱歩も/餞別(はなむけ)をすれバよひが、しわいやつじやか 00037590M7ら、/合点(がてん)がゆかぬ。たゞし/置(をき)みやげとでて、せかしやうか。 00037600M8いや+、あのような/奴(やつ)ハ、大かた取徳にしやふもしれぬ。 00037610M9いつそ/唯(たゞ)/行(ゆく)がよいと、/弟(をとゝ)が方へ行、おれハ国へ/登(のぼ)るいとま 00037620M10/乞(こひ)に(三十一ウ)来た。/隨分(ずいぶん)無事でゐやれ。Sそれハ御きど 00037630M11く。/茶(ちや)ばかり出して、/餞別(はなむけ)の/様子(やうす)も見へねば、是ハ/埒(らち)の明 00037640M12ぬ事と、そんなら/帰(かへ)つて/逢(あを)ふと/立(たつ)を、ひらに酒でも。いや 00037650M13+と/云(いゝ)つゝ、/上(あが)り口にて、ぶいとやる。是ハ/兄貴(あにき)、どふ 00037660M14でごさる。Sされバ(三十二オ)こうも有ふか。 00037670M15△△△/旅(たび)立におなら一つを/置(をき)みやげ 00037680M16/弟(おとゝ)、とりあへず、 00037690M17△△△/余(あま)り/嗅(くさ)さにはなむけもせず 00037700¥N47¥J 00037710¥X毛彫 00037720M20はて、/能(よい)きせるの。どれ、ちと御見せ。(三十二ウ)是ハ/四(よ) 00037730¥P110 00037740¥G(三十三ウ・三十四オ) 00037750M1つ/橋(ばし)はり、きつい事だの。時に、らうに/毛彫(けぼり)とハ、きつい 00037760M2やぼのと云つゝ見て、両国の/図(づ)を毛ぼりとハ、是ハおもひ 00037770M3つきか。Sそれがつまらぬましない 00037780¥N48¥J 00037790¥X新刀(三十三オ)(三十三ウ・三十四オ挿絵) 00037800M6/刀(かたな)屋、/牢(らう)人方へ、よき/新刀(あらミ)出候とてもち来り、御/求(もとめ)なされ 00037810M7と云。牢人とくと見て、いかにも/調(とゝの)へたし。しかし、一両 00037820M8日/置(をい)て行へし。刀屋、/承知(せうち)して置てかへる。/牢(らう)人思ふやう、 00037830M9つゐに人を/切(きつ)た事なし。/幸(さいわ)ひなれバためしみんと、其(三 00037840M10十四ウ)夜/乞食(こじき)ども打/臥(ふし)ゐたりし所へ行、/件(くだん)の一こし/抜(ぬき)はな 00037850M11し、/拝(おが)ミ打と切付る。さう+/迯(にげ)さり、あつはれ/名(めい)作と/称= 00037860M12美(せう=び)し、しかしきれ口こそ/肝要(かんやう)と、又右の所へ行ミれバ、/非(ひ) 00037870M13人あたまを/上(あけ)、べらぼうめ。又たゝきに来たか(三十五オ) 00037880¥N49¥J 00037890¥X言葉咎 00037900M16ゐんきよ。内にか。S此/寒(さむ)いに、内にゐずに/外(そと)にゐられる 00037910M17物か△Sエヽ、ことば/咎(とがめ)も久しい物よ。それハさうと、/強(きつ) 00037920M18ふ/冷(ひへ)に/実(ミ)か入ツたの△Sひへの花ハ、いつさいた(三十五ウ) 00037930¥N50¥J 00037940¥X夜鷹 00037950¥P111 00037960L1/烏石葉(うせきよう)の/唐(から)よう/書(かき)、やミの夜に両国/辺(へん)をとふる。おしろい 00037970L2をべた+と/塗(ぬつ)た女、よりなんしと/袖(そで)を/掴(つか)めば、唐よう書、 00037980L3/肝(きも)をつぶし、/汝(なんじ)ハ/石摺(いしずり)の女よな(三十六オ) 00037990¥N51¥J 00038000¥X見立 00038010L6/芝(しば)居もの、五六人にてあそびに行。ひとり+見立、/扨(さて)さ 00038020L7かつきなかばに、見立/違(ちが)ひの大げんくわ。アノ女郎ハをれ 00038030L8がみたてた。S何さ。をれがと/互(たがい)にあらそふ。コレエイ、 00038040L9なんぼそふ/云(いつ)てもナ、(三十六ウ)/鳶(とび)いろ/紋(もん)付わ、おれかは 00038050L10やく/声(こへ)をかけた 00038060¥N52¥J 00038070¥X珊瑚珠 00038080L13山/出(たし)の女/奉公(ほうこう)人、もし御新/造(ぞう)さん。わたくしハ/今朝(けさ)おもて 00038090L14ゞ、銭の丸さほどの、/赤(あか)い/真(まん)中に/穴(あな)のあいた物を(三十七オ) 00038100L15ひろひましたと/咄(はなす)を、/亭主(ていしゆ)がきいて、それをおれに/売(うつ)てく 00038110L16れ。何ても百やらふといへハ、Sあい、あけませふと百取 00038120L17て、/針箱(はりばこ)から紙に/包(つゝミ)たるをとり出す。あけて見れは/餅(もち)花 00038130¥N53¥J 00038140¥X異見(三十七ウ) 00038150L20/道楽(どうらく)なむすめを持、おふくろのきついせわ。おのれハ何を 00038160M1いふても、つんぼほとも/聞(きゝ)をらず、若い男を/相(あい)手ニ/狂(くる)ひ/廻(まわ) 00038170M2り、/夜遊(よあそ)びにハ出る。大/方(かた)わがやうな/者(もの)ハ/半産(はんさん)てもしをる 00038180M3で有ふ。そんな事でも有ときかぬぞ。Sかゝさん。(三十八 00038190M4オ)くろうにしなんすな。半さんなんぞする物か。丸でう 00038200M5んで見せやせう 00038210¥N54¥J 00038220¥X生酔 00038230M8わかとの、御/縁側(ゑんがわ)にて御/庭(にハ)を御らん有に、/池(いけ)の/端(はた)に/蟹(かに)一疋、 00038240M9まつすぐにあゆむ。アレ/替(かわ)つた蟹じや。/皆(ミな)見ろと(三十八ウ) 00038250M10の御意。御/近習(きんじゆ)大ぜい立かゝり見れハ、/蟹(かに)、きのどくさう 00038260M11に、ちとたべ/酔(ゑい)ました 00038270¥N55¥J 00038280¥X芦鴈 00038290M14/彫物師(ほりものし)とつれ立、日くらしから/不忍(しのはす)へ出て、/池(いけ)のはたの茶 00038300M15やにて酒など(三十九オ)たのしミ、池のやうすを見て、イ 00038310M16ヤ、思ひ出しました事がごさる。去年御せわにあづかりま 00038320M17した/縁頭(ふちかしら)の/芦(あし)に/鴈(かり)のほり物、今あの/鴈(かり)のやうすを見ますれ 00038330M18ハ、とんとあの通り。御/細工(さいく)のほど、おどろき入ました。 00038340M19Sイヤサ。あれ、あの/飛(とふ)がんなとハ、まだ+(三十九ウ) 00038350M20ほんの事じやこさらぬ 00038360¥P112 00038370¥N56¥J 00038380¥X寒声 00038390L3米/舂(つき)より合、去年の大/煩(わつら)ひこのかた、/声(こへ)がたゝぬ。なんと、 00038400L4/遊山(ゆさん)ながら大川へ出て、/寒声(かんごへ)をつかをふじや有まいかと/相= 00038410L5談(さう=たん)一決して、小船に大勢のり、/両(りよう)(四十オ)国橋の下へ付て、 00038420L6サアうたへと、大ぜい一度に、ヘンスイヘンスイといふ。 00038430L7番人、/棒(ぼう)を/持(もつ)て出、/橋杭(はしぐひ)をぬくハどいつじや 00038440¥N57¥J 00038450¥X三味線 00038460L10大キに/自慢(じまん)する/子息(むすこ)、三/味線(ミせん)をこしらへたといへば、/友達(ともだち) 00038470L11にくミ、また(四十ウ)例のミそ。ちとなぶつてやらんと、 00038480L12おまへの/三弦(さミせん)なら、さぞ能てきまし/つ((ママ))ろ。何ほどかゝりま 00038490L13した。S三百両の/余(よ)△Sそれハさぞ/結構(けつかう)。シテ、/胴(どう)ハくわ 00038500L14りんかへ△S/花輪(くわりん)とも+。しかも/唐花輪(たうくわりん)、さほハ/紫檀(したん)、 00038510L15かなものハゆう/乗(じやう)の(四十一オ)高ぼり△S/定(さだ)めて/皮(かわ)ハ/八(や)つ 00038520L16/乳(ぢ)かの△Sイヘ+、八つぢハ/安(やすい)から/印伝(ゐんでん) 00038530¥N58¥J 00038540¥X牽頭もち 00038550L19たいこもちの/女房(にようほう)、/産所(さんじよ)にかゝり、いしやも取/揚(あげ)はゞも手 00038560L20を/尽(つく)せども、手/斗(ばかり)出して/産(うま)れかね、なんきに及ぶ所へ、 00038570M1(四十一ウ)気てんの/客(きやく)、此ていを見て、さすがつかひ/人(て)ほど 00038580M2有て、壱/角(かく)取出し、/赤(あか)子の手につかませれバ、おぎやあ 00038590M3+ 00038600¥N59¥J 00038610¥X鉢木 00038620M6りんき/深(ふか)き男、/能見物(のふけんぶつ)に行、やどへ/帰(かへ)る。/友(とも)だちきて、今 00038630M7日ハのふ見物と(四十二オ)聞たが、はやい帰り。Sされバ、 00038640M8心/持(もち)がわるさに、/半過(なかバすぎ)に出て来た△S/番組(はんぐミ)ハ何で有たの△ 00038650M9S/弓八幡(ゆミやはた)、/橋弁慶(はしべんけい)。それから何かしらぬが、雪ふりに/坊主(ほうず) 00038660M10が来て、とめてくれといふ。/主(あるし)のるすじや。ならぬと云ふ 00038670M11たが、それ切て出て来たが、/跡(あと)で(四十二ウ)とめねばよい 00038680M12が 00038690¥N60¥J 00038700¥X了簡 00038710M15とつさんや+。亀さんの/伯父(おぢ)さんも万さんのおぢさんも、 00038720M16ミんな目が有に、おまへニばかり、なぜ目がない。S成ほ 00038730M17ど、是ハ尤じや。おれハな、わいらがじぶん(四十三オ)に 00038740M18ハ目が有たが、かんといふ/病(やまひ)が出て、それで目がつぶれた。 00038750M19わいらも/隨分(ずいぶん)わづらわぬ/様(やう)にしろ△Sそんならおまへも、 00038760M20ちいさい時ハ目が有たか△Sなくてハさ△Sどふりで、目 00038770¥P113 00038780L1の/跡(あと)が有 00038790¥N61¥J 00038800¥X裸(四十三ウ) 00038810L4又/例(れい)の/好(すき)にかゝつてはだかになり、せう事なしに、二かい 00038820L5へ上つてねて見ても/寝(ね)られず。かゝや。何ぞかける物ハな 00038830L6いか。Sアイ。そこらに/折釘(をりくぎ)がありませう 00038840¥N62¥J 00038850¥X閉帳(四十四オ) 00038860L9/商売(しやうばい)やのわかひ者、/開(かい)帳参りした所が、/閉(へい)帳じやと/押(おし)合、 00038870L10どふも内へはいられぬから、/外(そと)でをがんて/下(した)を見れば一歩。 00038880L11これハと取て押いたゞき、おやすミなされませ 00038890¥N63¥J 00038900¥X返魂丹(四十四ウ) 00038910L14/客(きやく)の/悪(わる)ふざけに女郎もいやニなり、ふせう※に、しやく 00038920L15が/痛(いた)ひと、うしろむきに成てゐる。/客(きやく)、小/判(ばん)の上にはんご 00038930L16ん丹をのせ、薬やらふとさし出す。女郎取ていたゞき、金 00038940L17をしまい、薬をのんで、よい御薬でありんすと、(四十五オ) 00038950L18こちらむけバ、Sどふだ。よいか△Sアイ、きめうになを 00038960L19りんした△Sそんなら/盆(ぼん)をかへせ 00038970¥N64¥J 00038980¥X養子 00038990M3女郎が子を/産(うむ)。/内義(ないぎ)ハことの外よろこび、此子ハすぐにお 00039000M4れが(四十五ウ)もらひませう。扨&よい子をうミやつたと 00039010M5/嬉(うれ)しがれハ、Sおまへ、あのやうな/赤(あか)ひ子を、なんになさ 00039020M6んす。せめておなんどちやならよいに 00039030¥N65¥J 00039040¥X物買 00039050M9お/侍(さむらい)、物/買(かい)に来り、見世へ上つてゐる。(四十六オ)でつち、 00039060M10/茶(ちや)を出すとて、/刀(かたな)をまた/げ((ママ))ければ、お/刀(かたな)をまたぐといふ事 00039070M11が有ものか。ぞんざいなやつめと、ていしゆがさん+に 00039080M12しかる。侍、しかるを気のどくに思ひ、イヤ+、くるし 00039090M13うごさらぬ。あそこハ/空鞘(そらさや)でおじやる(四十六ウ) 00039100¥N66¥J 00039110¥X日雇 00039120M16此/日和(ひより)に、なぜ仕事に行ぬ。Sされハ/聞(き)きやれ。どこてけ 00039130M17がをしようもしれぬ。やらうめが/持遊(もちあそ)ひの小刀を、/足(あし)へふ 00039140M18ミこんだ△Sそりやら/飛(と)んた事たの。それがほんの天/智(ち)天 00039150M19/皇(おう)だ(四十七オ)(四十七ウ・四十八オ挿絵) 00039160¥P114 00039170¥G(四十七ウ・四十八オ) 00039180¥N67¥J 00039190¥X親指 00039200M3/土手(どて)の/駕篭(かご)かき、是ぼうぐみ。/聞(きい)てくりやれ。ゆふべゆび 00039210M4をひろつたから、何でも/上(じよ)郎に/売(うつ)て、金もふけせうと/持(もつ)て 00039220M5いつたれバ、/小指(こゆび)なら/買(かふ)が、おや指ハいらぬとぬかすとは 00039230M6なせば、(四十八ウ)わきに/菰(こも)かむりが聞てゐて、それをおじ 00039240M7ひに下されませといふ。何にすると聞ハ、/柄(ゑ)をすげて、し 00039250M8らミをころしやす 00039260¥N68¥J 00039270¥X切腹 00039280M11/浪(ろう)人、/暮(くれ)のしまひにこまり、まづ大(四十九オ)屋へ行、/店(たな) 00039290M12ちんのことわり。Sイヤ+、/平生(へいぜい)とハ/違(ちが)ひます。此/暮(くれ)ハ 00039300M13またれませぬといへは、そんなら/爰(こゝ)ではらを切ますと、お 00039310M14しはだぬげハ、/腹(はら)に十文じに/墨(すミ)打してあり。大屋もあきれ、 00039320M15そんなら春まで/待(まち)ませふ。(四十九ウ)それハ御/聞(きゝ)すミ、忝ふ 00039330M16ごさると、/墨(すミ)を一トすじ/消(けす)。もし、/横(よこ)の一すじがきへませ 00039340M17ぬといへば、是ハ米屋でけします 00039350¥N69¥J 00039360¥X百の札 00039370M20/長生(ながいき)したがる/親仁(おやぢ)、くわんをんへ参り、(五十オ)どふぞ長 00039380¥P115 00039390L1生をお/守(まも)りなされ下さりませと、/逆(さか)さまに成ておがむ。小 00039400L2/僧(ぞう)がいたづらに、百といふ/字(じ)を書て、親仁がわきにをきけ 00039410L3れば、おやぢハ是をひろひ、悦びいさミ、ほと+して/帰(かへ) 00039420L4り、くわんをん様から、百迄の(五十ウ)/寿命(じゆめう)をさづかりし 00039430L5と悦べハ、/惣領(そうりよう)がミて、それハ/余(あま)り悦ぶ事でハござらぬ。 00039440L6百といふ/字(じ)を/放(はな)してよめば、一日とよミますといへば、/弟(おとゝ) 00039450L7がさし出て、/兄貴(あにき)だけで一日と/読(よま)れる。百ハころりといへ 00039460L8ば、今もしれぬ(五十一オ) 00039470¥N70¥J 00039480¥X岡場所 00039490L11/権(ごん)めハ/切(きり)見世へ/斗(ばか)りゆくから、こんや新地へむりにつれて 00039500L12行かふと、二三人でひつはり、つれて行。権も/是非(ぜひ)なくあ 00039510L13がり、きてうめんニかしこまつてゐれば、/連(つれ)のせんせい、 00039520L14(五十一ウ)是、権や、ろくにゐやれな。吉原でハ有まいし 00039530¥N71¥J 00039540¥X丁稚 00039550L17をらが親方ハ人づかひの/悪(わる)い人。日がな一日、/供(とも)につれて 00039560L18/歩行(あるき)、/帰(かへ)るとつかひにやる。大方用をしまつ(五十二オ)た 00039570L19とおもへば、手ならひをしろとぬかしをる 00039580¥N72¥J 00039590¥X慇懃 00039600M3/盗(ぬす)人はいりけれは、/家内(かない)目をさまし、ヤレ、/泥坊(どろぼう)よと/声(こへ)か 00039610M4けられ、二かいから物/干(ほし)へ出、/迯(にげ)んの思へど足もと/悪(わるく)、 00039620M5(五十二ウ)うろ+して居る。ていしゆ下より、どろぼうめ 00039630M6ハ/迯(にげ)たかといへば、二かいの/若(わかい)もの、いゝへ。まだ物/干(ほし)に 00039640M7おいでなされます 00039650¥N73¥J 00039660¥X東鑑 00039670M10/鎌倉(かまくら)に/朝比奈(あさひな)の切どふしといふ(五十三オ)所が有。あれハ 00039680M11朝比奈が/勇力(ゆうりき)に/任(まか)せてこしらへたといふ。一ツ/説(せつ)には朝比 00039690M12奈が屋敷あと共いふが、どれがほんか。Sされハ、それハ 00039700M13をらも知らぬが、其やうな事ハ/東鑑(あづまかゞミ)を見れハ、くわしく 00039710M14しれる△S其あづまかゞミハ(五十三ウ)大屋様に有はづだ。 00039720M15コレ六よ。大屋様へ行て、東かゞミを/借(かり)てこい△Sあいと 00039730M16いふて/走(はし)り行、もし大屋さん。あづまかゞミを/貸(かし)て下さり 00039740M17ませ。S東かゞミを何にしやる△S大方/髭(ひげ)でもぬくでござ 00039750M18んしやう(五十四オ) 00039760¥P116 00039770¥N74¥J 00039780¥X達磨 00039790L3吉原へ行、女郎を相手にはなし、まづ/聞(き)きやれ。此中/品(しな)川 00039800L4へ/行(いつ)たれバ、/床(とこ)に/達磨(たるま)のかけ物。/画(ゑ)がらが/至極(しごく)/能(よ)かつたか 00039810L5ら、そばへ/寄(よつ)て見れば、/紛(まぎ)れもない目覚の(五十四ウ)/印(ゐん)。 00039820L6是ハ/探幽(たんゆう)しやなといふたれば、女郎がいふにハ、何さ。た 00039830L7るまてごさると云ふた。なんと/文盲(もんまふ)なやつの。Sそりや知 00039840L8れた事さ。/岡場所(をかはしよ)の女郎/衆(しゆ)が、何、たるまさんの/俳(はい)名を知 00039850L9るものか(五十五了オ) 00039860¥N75¥J 00039870¥X投入 00039880L12花を/生(いけ)やふとおもふて買て来た。見やれ。S是ハ何といふ 00039890L13花た△Sはて、梅もどきサ△Sエヽ、とてものことに、も 00039900L14とかぬのにすれハよい 00039910¥Q先ツ今晩ハ是切リ△(五十五了ウ) 00039920¥Q 00039930M3一△茶のこもち@めつらしきお|としはなし△@ 00039940M5一△いちのもり@同しく|新作@ 00039950M7一△笑上戸@追&出し|申候△△@ 00039960M9△板元△@本石町四丁目△|△堀野や仁兵衛@ 00039970¥P117 00039980¥U噺本大系△第十巻 00039990¥T/聞童子(きくどうじ)〔題簽〕 00040000¥G 00040010¥Y 00040020L16安永四年正月序 00040030L17不知足(小松百亀)作・画 00040040L18遠州屋板 00040050L19小本一冊 00040060L20尾崎久彌氏蔵 00040070¥Y叙 00040080M2/侍童(じとう)は/菊(きく)の/徳(とく)を以て、/七百歳(なゝもゝとせ)を/保(たも)ちたりとや。こゝに/年頃(としころ) 00040090M3/聞(きく)の/徳(とく)を以、/噺(はなし)の/問(とい)屋といはれし/老翁(らうおう)(壱オ)あり。/商始(あきないはしめ) 00040100M4に/売(うり)/弘(ひろめ)んと、/此翁(このおきな)に/近寄(ちかより)、せちに乞ふて/咄(はな)させしに、/買置(かいをき) 00040110M5咄の口は/古(ふる)し、小刀の/利(きゝ)そふな/代(しろ)物は、はや人に取られ 00040120M6(壱ウ)/跡篇(あとへん)と成りぬ。されど/浜(はま)の/真砂(まさご)とやらで、かき/寄(よせ)て 00040130M7見たれは、又壱冊。/則(すなわち)なつけて/聞童子(きくどうじ) 00040140M9△△△安永四つの 00040150M10△△△△△△はつ春(弐オ) 00040160¥P118 00040170¥G(弐ウ) 00040180¥N1¥J 00040190¥X○福守 00040200M3なむ/大慈(だいじ)/大悲(だいひ)の/観音(かんのん)様、かれたる木にも花&しく、千両の 00040210M4福守りをあてゝ下さりませ。其御礼にハ、金子九百九十九 00040220M5両、/耳(ミヽ)をそろへてあげませうと、(壱オ)/一心(いつしん)にいのるを、 00040230M6友だちがうしろから袖を引て、Sコレ、それハ/埒(らつち)もないお 00040240M7やくそく申しやる。それでハ只壱両ならでハ、手にはいら 00040250M8ぬぞやといへバ、Sハテ、だまツていろ。観音をだます 00040260M9(壱ウ) 00040270¥N2¥J 00040280¥X○占ひ 00040290M12/広小路(ひろこうぢ)の/賑(にき□)ひ。人立おゝき所ニ、御うらなひとかんばん出 00040300M13した/店(ミせ)の前に、子どもあつまり、こまを廻している。Sコ 00040310M14レ+子ども衆。こゝらにうらないがいるはづしやが、 00040320M15(弐オ)どこらであつたなととへバ、S子供らうらないに用 00040330M16なら、アレ、むかふのよしずのうらないが上手だから、あ 00040340M17そこへいきな/い((ママ))と、おしへてやる。内のうらない、これを 00040350M18聞て/飛(とん)で出、Sコリヤがきども。みせさきをふさ(弐ウ)い 00040360M19であそぶさへあるに、せうばいの/邪魔(じやま)をしをる。そつちの 00040370M20内へ、きつとことハる。どこの子じや。いへ+ときめれ 00040380¥P119 00040390¥G(七ウ・八オ) 00040400M1バ、S子供あてゝ見な 00040410¥N3¥J 00040420¥X○検校(三オ) 00040430M4さる/座頭(ざとう)、どらなるむす子を持ツて、ひざもとへ引キよせ 00040440M5ての御/談義(だんぎ)。コリヤよくきけよ。おれがかうしてゐる内ハ、 00040450M6それでもすむがな。あすが日、おれが目をあいたら(三ウ) 00040460¥N4¥J 00040470¥X○はやり 00040480M9殿様、目付衆を御よびなされ、ちか頃/家中(かちう)にて、/武士(ぶし)のあ 00040490M10るまじきはやり/詞(ことバ)とやらを申す。此間も/近習(きんじゆ)の/左織(さをり)が、こ 00040500M11いつはよいといふた。さりとハいやしい詞(四オ)じや。/近= 00040510M12習(きん=じゆ)にハつかわれまいと、御機嫌さん※。御目付承り、左 00040520M13織事、御しかり御尤に奉存候。しかしながら、其せつ左織 00040530M14が小袖の/染色(そめいろ)の義ニ付、こびちやハよいと申ましたを、/御= 00040540M15前(ご=ぜん)にハ御きゝちがいと申せバ、S殿様(四ウ)フウ、こいつ 00040550M16ハゑゝ 00040560¥N5¥J 00040570¥X○水練 00040580M19水におぼれぬひてんといふ/看板(かんばん)。これハ/重宝(てうほう)なことと、大 00040590M20勢でし入して、御しなん、うけたしといふ。師匠まかり出、 00040600¥P120 00040610L1いづれも御(五オ)心がけ、御尤也。明日四つ時、御揃なさ 00040620L2れとやくそくし、/翌日(よくじつ)に弟子たち、より合まちかけしに、 00040630L3しばらくありて、先生いでられ、硯ばこを取いだし、扨、 00040640L4水におぼれぬでんと申ハ、(五ウ)いさゝかのことなれども、 00040650L5大秘事にて候。おの+、すねをまくられよと、/筆(ふで)にすミ 00040660L6をつけて、むかふずねの三里のあたりへ、よこにすじを付 00040670L7け、これよりふかい所へ、はいらしやるな(六オ) 00040680¥N6¥J 00040690¥X○うハさ 00040700L10さるじゆ者のまどまへにて、何ものにや、より合、むしや 00040710L11うにおやをわるくいふものあり。先生きゝ付、扨+ふと 00040720L12ゞきものども哉。しかつてくれんと、(六ウ)ひとこし引さ 00040730L13げ立いでゝ見たれバ、/芋(いも)うり 00040740¥N7¥J 00040750¥X○落馬 00040760L16八や。おのしやあ、どこへいつた。Sヲヽ、上野へ花見に 00040770L17Sどふた、桜ハ△Sナニ、もう花もミな、らくバする(七 00040780L18オ)(七ウ・八オ挿絵)Sコレ、おのしもよつぽど、もんもうを 00040790L19いふもんだの。らくばとハ、馬のしんだことだ 00040800¥N8¥J 00040810¥X○お初ほ 00040820M3番太の長太が、毎ばん十六文のむとき、かまどへ向ひ、な 00040830M4む(八ウ)くハう神様、うぶすな様と、ゆびではつをゝあ 00040840M5げけるが、あるとき、ついはぢきおとして、ミなうちこぼ 00040850M6し、両手をあわしておがミながら、ヱヽいま+しい 00040860¥N9¥J 00040870¥X○夜廻り(九オ) 00040880M9火の用心+と、/寒夜(かんや)にせつ+廻るを、さる/旦那(だんな)衆が、 00040890M10長太が此さむいにせいがでると/呼(よび)こんで、コレ、あまりさ 00040900M11むいニひとつのミやれと、一つてうしに湯とうふ迄ふるま 00040910M12ハれ、Sコレハ+(九ウ)有がたいことじや。ほんに+ 00040920M13おまへ様のよふな御じひぶかいだんなハ、外にハないと、 00040930M14ついしやうたら※、したゝかのんで、はやうおやすミな 00040940M15されませと、礼をいふて立いでしが、たちかへりて、(十オ) 00040950M16もし、おまへの所ハ火の用心も御かつ手になさりませ 00040960¥N10¥J 00040970¥X○/吾妻(アヅマ)橋 00040980M19ある夜、あづま橋、両ごく橋のかたへ来り、御/近所(きんじよ)のこと 00040990M20なれバ、いごハお心やすくなさつてくだ(十ウ)さりませ。 00041000¥P121 00041010L1是から大橋様へもおたのミにまいりますと立を、両国橋が 00041020L2とゞめて、コレむすこ。大はしが所へハあすでもよい。今 00041030L3から町へ同道せうと、そゝりたつれバ、したぢすきなり 00041040L4(十一オ)そんなら/近所(きんじよ)へさたなしに。ヲヽサ。おれもふ 00041050L5しんの内なれハ、しんのころしで、貴様とおれ斗のチヨン 00041060L6+ものと、したく/急(いそい)て立チいつる。/跡(アト)よりあづまが、め 00041070L7きり/頭巾(づきん)のしころをつかんで、(十一ウ)どこへ+。そふ 00041080L8ハさせぬ。/拙者(せつしや)もお供と引とゞむ。両ごく橋ふりかへり、 00041090L9/誰(たれ)じや+ととがむれバ、づきんをぬいで、イヤ、/渡(わた)シで 00041100L10ござります 00041110¥N11¥J 00041120¥X○蛤(十二オ) 00041130L13いなかものを置てつかひしに、ある夜きやくありて、はま 00041140L14ぐりをふかさせ、よくすなをあらふていだせといゝ付ける 00041150L15に、わんにもつてだした所が、ミなから/斗(ばかり)。これハどうじ 00041160L16やといへバ、ハイ。(十二ウ)わたハみな、とつてすてまし 00041170L17た 00041180¥N12¥J 00041190¥X○まちかひ 00041200L20のふらくむすこ、/夜(よる)の四つ過にかへり、おふくろのうたゝ 00041210M1ねしていやるかたさきにつまづき、とびこへてふりかへり、 00041220M2ハツトいふて、手(十三オ)をだしていたゞきけれバ、母も 00041230M3これハきどくなと思ひ、いま帰らやつたかといへバ、Sハ 00041240M4ア、おらハめしびつかとおもつた 00041250¥N13¥J 00041260¥X○長松 00041270M7たらぬとおもへど男の子(十三ウ)じやと、ふたおやのたの 00041280M8しミ。十四五になりて、おやの目にもあまり、コリヤ長松 00041290M9よ。てまへハもふいくつだとおもふ。/来年(らいねん)ハげんぶくもせ 00041300M10ねバならぬぞよ。いつも+おなじのらでハすまぬ。(十四 00041310M11オ)手ならひハきらい、そろばんハおぼへず。マア何でめ 00041320M12しをくわふと思ふ。Sむすこやきみそで 00041330¥N14¥J 00041340¥X○反ごん香 00041350M15さるもの、/妻女(さいぢよ)にわかれ、甚だかなしミ、今一チ度まぼろ 00041360M16しに(十四ウ)なりと見たいとなげく。友達聞イて、それほ 00041370M17どに思やるならバ、はんごんかうをたいて見給へと、かの 00041380M18/李夫人(りふしん)のいにしへをかたりけれバ、かの男悦び、其/香(かう)ハど 00041390M19こにあらうと/問(と)へバ、/木薬屋(きくすりや)に(十五オ)ありさふなものと 00041400M20いふ故、かの男、さつそく/買(かい)に行キしに、/薬種屋(やくしゆや)きいて、 00041410¥P122 00041420L1/反魂丹(はんごんたん)ならんといふ。イヤ、/反魂香(はんごんかう)なりといへバ、それハ 00041430L2此方にハない。本屋にあらうとおしゆれバ、本やに行キて、 00041440L3はん(十五ウ)こん香があらバ下さいといへバ、S本ヤけい 00041450L4せいはんごんかうのことかへ△Sイヱ+、/地女(ぢおんな)のがほし 00041460L5うござる 00041470¥N15¥J 00041480¥X○口上 00041490L8/仕事師(しごとし)のおやかたが、コレ長六。おミたちがやとはれた伊 00041500L9勢屋の/店(ミせ)(十六オ)かできて、此頃わたましがあつたが、お 00041510L10のしハ悦びにいつたか。アイ。わしもいかふと思ひますが、 00041520L11いふことにこまりますで、まだいきませぬ。ハテ、何もむ 00041530L12つかしいことハない。御ふしんもよくできまして、おめで 00041540L13たい(十六ウ)といふ斗じや。ヲイ。そんなら行ツてこうと、 00041550L14伊せやのだい所へ御見廻申せバ、だんないでられ、Sホウ、 00041560L15長六。見へたか。おミたちのせハに成つたふしんも、のこ 00041570L16らずできて、/家移(やうつり)もしもふた。めでたく一ぱいいわふ(十 00041580L17七オ)ていきやれといわるれバ、Sアノ、もふだんなの、 00041590L18あなばつかりをおつしやる 00041600¥N16¥J 00041610¥X○せんべい 00041620M1さる女郎、うら客のざしきへでゝいたりしが、一チ座もな 00041630M2くて、ものさびしき折から、わかい/者(もの)(十七ウ)せんべいを 00041640M3/台(だい)につミていだす。コレハきがついたと茶をとりよせての 00041650M4む。女郎もせんべいに気があれど、まだなじミもなけれバ、 00041660M5とつてくわれもせず。かぶろを/呼(よん)で/硯(すゞり)をとり寄せ、せんべ 00041670M6いを(十八オ)とりてハむだかきをする。客これを見て、何 00041680M7をかき給ふ。哥か+とさしよれバ、女郎ハせんべいをひ 00041690M8とつにかきよせ、手でもんで口へいれ、イヱ+、ほぐで 00041700M9ありんす(十八ウ) 00041710¥N17¥J 00041720¥X○ねたり 00041730M12/並(なミ)木あたり迄、ヤアハアとかけこへいさぎよく、/雷門(かミなりもん)へ 00041740M13はいると、そろ+/棒組(ぼうくミ)へはなし/仕懸(しかけ)るを、/駕篭(かご)の内から、 00041750M14せき/払(はらい)して、アヽ、きのふのつたか/だ((ごカ))かき(十九オ)どもハ、 00041760M15すいなくせに大気なものどもて、こゝらでハいつぱいかハ 00041770M16ずハなるまい。だんなもあがれと、いやといふものをむり 00041780M17に酒をふるまふた。きのふのやふなかごのものハ又あるま 00041790M18い。けふの(十九ウ)かごも、やぼでハなさそふなと、ひと 00041800M19りごといへバ、かごかきハあるきながら、ごう+ 00041810¥P123 00041820¥G(廿四ウ・廿五オ) 00041830¥N18¥J 00041840¥X○三めん 00041850M3/碁会所(ごくわいしよ)へ大勢よりて勝負さい中へ、いなか人来りて、見物 00041860M4(二十オ)してゐる。Sナント、おまへも何なりとなさらぬ 00041870M5かといへバ、Sイヤ、私は/不調法(ぶてうほう)でござるといふ。Sコレ 00041880M6ハひげなさると見へた。三めんの内、何がおすきでござる 00041890M7ととへバ、Sハイ。そばきりが/好物(こうぶつ)でござります(二十ウ) 00041900¥N19¥J 00041910¥X○かつを 00041920M10/南楼(なんろう)の見とをしで、のミかけ山のほとゝぎす、もふけしき 00041930M11がよふなつた。どふもいへぬ。コリヤ新介。けふハかつを 00041940M12とでたい。はたらけ+。Sハイといふてたちしが、(廿一 00041950M13オ)しバらく過てまかり出、だんな。けふハおこらへなさ 00041960M14れませ。きつふ/高(たか)やまと申せバ、S客どらほどする+△ 00041970M15Sハイ、壱貫だと申ます。女郎、そばにきいてゐて、Sヲ 00041980M16ヤ、わつちより/高(たか)山だの(廿一ウ) 00041990¥N20¥J 00042000¥X○元結 00042010M19いなかものがあぶら屋をよんで、元ゆひをくださいといふ。 00042020M20Sアイ。六ぱか七わかととへバ、Sイヽヤ。たつた壱わく 00042030¥P124 00042040L1ださい 00042050¥N21¥J 00042060¥X○掛物(廿二オ) 00042070L4さる所へ行て/床(とこ)の/懸(かけ)ものを見るに、/絵(ゑ)の上に何やら書て有 00042080L5ルゆへ、Sもし、あのゑの上の/書付(かきつけ)は何でございますとき 00042090L6けバ、Sてい主あれハ/賛(さん)でござるといふ。又/外(ほか)へ行て/床(とこ)を 00042100L7見るに、かけ(廿二ウ)物に文字が書てある故、もし、あの 00042110L8かけ地に書イたハ、さんでござりますかととへバ、Sイヤ、 00042120L9アレハ/詩(し)でござると云。又外で懸物を見るに、これにも何 00042130L10か書てあるゆへ、アレハ/四(し)でござりますかといへバ、(廿三 00042140L11オ)△Sイヽヤ、/語(ご)でござるといふ。扨+段&ちがふと思 00042150L12ひ、其後さる方へ行キて、懸ものを見しに、又書付がある 00042160L13故、思ひきつて、もし、あれハ六でござりますなといへバ、 00042170L14Sてい主いへ、これハ/質(ひち)でござる(廿三ウ) 00042180¥N22¥J 00042190¥X○ゆや 00042200L17いなかもの、子どもをつれて銭湯へはいつている。そとか 00042210L18ら、ハイ御免なさい。ゑだがさわりませうと呼こむ。いな 00042220L19かもの、小ぞう、こちへよれ。うへ木がくる(廿四オ)(廿四 00042230L20ウ・廿五オ挿絵) 00042240¥N23¥J 00042250¥X○してう 00042260M3/昼中(ひるなか)にしてうを/釣(つ)つて、ふうふながらなかにはいり、何や 00042270M4らしている所へ、となりのかミ様が/来(き)かゝり、やいとをす 00042280M5へるとおもひ、おかミさん。よいことをなさりますなと 00042290M6(廿五ウ)いへバ、してうの内から、ハア、そこからも見へ 00042300M7ますか 00042310¥N24¥J 00042320¥X○禁酒 00042330M10ある夜、/茶(ちや)わんでのミかける所へ、友だち来り、Sヤア、 00042340M11貴様ハ/禁酒(きんしゆ)したといふたじやないか。(廿六オ)△Sサレバ、 00042350M12願だてか有つて、一ねんの内きん酒したが、二年にのばし 00042360M13て、昼の内ばかりやめて、夜ハおゆるしにした△Sフウ、 00042370M14そんならば、とてもの事に、三年のきん酒にして、夜も昼 00042380M15ものんだが(廿六ウ)よい 00042390¥N25¥J 00042400¥X○自鬢 00042410M18貴様ひとりで、よく髪をゆひなさる。おらにもいふて下さ 00042420M19い。Sホウ、お/安(ヤス)いことだが、人のハ不/得手(へて)でござる△ 00042430M20Sぜひわしにも、じびんニ(廿七オ)ゆふてくたさいとたの 00042440¥P125 00042450L1むゆへ、せんかたなく、そんならおぶさりなさい 00042460¥N26¥J 00042470¥X○白ねずミ 00042480L4木ぐすりやにて、あまり/鼠(ねずミ)があれるゆへ、おとしをかけて 00042490L5(廿七ウ)とりけるに、おしにうたれて、弐疋まで取レた所 00042500L6が白鼠也。てい主是を見て、手代共をしかり、Sヱヽ/埒(らち)も 00042510L7ない。これハおれが内の福鼠であつたものをと/残念(ざんねん)がれバ、 00042520L8手代ども、イヱ+(廿八オ)こいつハなかでもいつち、/地= 00042530L9黄(ち=をう)をくうたやつてござります 00042540¥N27¥J 00042550¥X○つゞみ 00042560L12ウタイS所ハ九重の、王城のきもんを守りつゝ、ヤアハア 00042570L13のかけごへのどやかに、小つゞみ打てたのしむ(廿八ウ)な 00042580L14かバへ、折介まかり出、S申シ旦那様。モシ+△S旦那、 00042590L15やかましいに、何ごとじやととへバ、Sハイ。しほがござ 00042600L16りませぬ。どふいたしませう△Sハテ、それをおれにきく 00042610L17ことか。とゝのへい+。ハア。ウタイあく/魔(ま)をはらふ雲 00042620L18水(廿九オ)の△S申シ旦那様。モシ+△Sハテやかまし 00042630L19い。何じやいやい△S付木もつかひきりました△Sハテ、 00042640L20それもとゝのへいやい。チワホウ。ウタイみなかミハ△ 00042650M1S申シだんな。申シ+、米がござりませぬ△Sタンナヤア 00042660M2+(廿九ウ) 00042670¥N28¥J 00042680¥X○蓬莱蚊屋 00042690M5ほうらいかや+とうつてきた故、呼こんで/釣(つ)つて見たれ 00042700M6バ、穴だらけ。これハどふじやととがむれバ、されバこそ、 00042710M7つるとかめがはいります(三十オ) 00042720¥N29¥J 00042730¥X○/土圭(とけい) 00042740M10おらんだ細工の壱つ/時計(とけい)といふものをかふてきた。時+ 00042750M11ニひとつつゝうちますが、マア何と、よいさいくでハない 00042760M12か。どれ+と手にのせて見ている内、ジヤリ+(三十 00042770M13ウ)ちやんとなる。ホンニよいしかけしや。今うつたのハ 00042780M14何時じやの。Sサレバ、何時たやら 00042790¥N30¥J 00042800¥X○かミあい 00042810M17これ三太郎や。よこ町に大なかミやひがあつての、壱疋ハ 00042820M18ちミとろ(三十一オ)になつてねている。/大事(をふごと)だ。早くいつ 00042830M19て見ろ。Sフウ、それハぶちか、町人か 00042840¥P126 00042850¥N31¥J 00042860¥X○大文字 00042870L3/無筆(むひつ)のおやぢ、むす子が手をよくかく故、じまんしてつれ 00042880L4て(三十一ウ)あるく。ある所にて、大もじを好ミけれバ、 00042890L5何のくもなく紙一ツはいに書イて見せる。ミな+がをお 00042900L6り、これハよふなされました。しかも是ハおやぢ様の御/好= 00042910L7物(こう=ふつ)の字じやとほめけれバ、おやぢハ/赤面(せきめん)して(三十二オ)内 00042920L8へかへり、Sヤイ、せがれめ。人中でかく字も多からふに、 00042930L9あんな/字(じ)をかきおつて、おやにはぢをかゝせをる△Sむす 00042940L10こあれハ/酒(さけ)といふ字でござります。おやぢ、おもてをやわ 00042950L11らげ、Sフウ、おれハ又、女房ども(三十二ウ)の事でも書 00042960L12たかと思ふた 00042970¥N32¥J 00042980¥X○異見 00042990L15おやに不/孝(かう)なむすこを呼び付ケて、だん+/異見(いけん)をくわへ、 00043000L16これ、よふがてんさつしやれ。おやといふものハ、千両万 00043010L17両出しても(三十三オ)かわれるものじやござらぬぞや。か 00043020L18ならずそまつに思やるなといへバ、Sハイ。なるほどおつ 00043030L19しやるとをり、かんがへて見ますれバ、金銀でもかわれぬ 00043040L20ものハ、おやでござります。したが又、うらふと申て、か 00043050M1い手(三十三ウ)のないものでごさる 00043060¥N33¥J 00043070¥X○猫 00043080M4なじみに銀のねこをねたられて、かざりやへ/相談(そうたん)したれバ、 00043090M5大分ン高いものゆへ、やき付にこしらへさせて持つてゆき 00043100M6(三十四オ)やりけれバ、女郎悦び、手に取り、はなの先を 00043110M7たゝミでこすつて見、ヲヤ、これハむくでハない。これ見 00043120M8なんし。/赤(アカ)くなりんす。むくニしてくんなんしといふたに、 00043130M9にくらしいといへバ、Sサレバ、あつらへて(三十四ウ)見 00043140M10たが、犬にハむくがあれど、ねこにむくといふはない 00043150¥N34¥J 00043160¥X○眼病 00043170M13どうでごんす。此頃ハ御見まい申さぬ。御/眼病(がんびやう)ハよいかの。 00043180M14Sアイ。度+忝ふござります。これ(三十五オ)見て下さ 00043190M15りませ。/私(わし)が目も/寂(じやく)は/雨(あめ)でござります△S何さ。あんじる 00043200M16ことハない。めの内ハほしだらけた 00043210¥N35¥J 00043220¥X○思付 00043230M19此様に/蚊(か)でハはなされぬ。どふかしよふハあるまいか。 00043240M20Sヲヽ、おれが思ひ(三十五ウ)付があると、さはちへ酒を 00043250¥P127 00043260L1入レて/真中(まんなか)に/置(お)ケバ、ざしき中の蚊が一ツ所による。其う 00043270L2へゝそつとかやをつりて、何ンとちゑか。これで又咄がな 00043280L3ると/寐(ね)ころんで咄す。/蚊屋(かや)の内にほそいこへで、Sナント 00043290L4(三十六オ)皆の衆。こよひハ思ひよらず、酒ハたらふくの 00043300L5む。はらハよし。ずいねにしよふとおもへバ、やかましい。 00043310L6何とマア、きつい人こへではないか 00043320¥N36¥J 00043330¥X○学者(三十六ウ) 00043340L9儒者の家へぬす人きたりて、まとより手をいれてさがす。 00043350L10先生、其手をとらへて、/歎(たんじて)曰、此人にして此やまひあるこ 00043360L11と。ぬす人は、なむさん、しまい付ケたとおもふ所に、銭 00043370L12百文にぎら(三十七オ)せて手をはなす。ぬす人、手をひら 00043380L13き見て、Sアヽ、すくない哉仁 00043390¥N37¥J 00043400¥X○なまこ 00043410L16/蟹(かに)、なまこにむかひ、貴様ハ/頭(アタマ)がしりか、/尻(シリ)があたまだか。 00043420L17なまこ、そふいふ貴様のあるくのは、(三十七ウ)ゆくのか帰 00043430L18るのか 00043440¥N38¥J 00043450¥X○豆いり 00043460M1とほうもなく豆いりをすいてくふ人ありけり。ある時よん 00043470M2で、まめいりをふるまいけるに、三升ほどの豆いりを、大 00043480M3かたにくい、(三十八オ)弐合ほどはつかなし。Sサア、ミん 00043490M4なくつて見せさつしやいといへバ、イヤもう、こうかむや 00043500M5ふに成つてハいけぬ 00043510¥N39¥J 00043520¥X○和中散 00043530M8/権(ごん)助、下女に向ひ、こなたハうり(三十八ウ)ものを呼ふに 00043540M9も、/豆腐(とうふ)やさん、油やさんといわしやるが、聞にくい。町 00043550M10かたとハちがふから、ほうばい衆をも、どの付にさつしや 00043560M11いとしかる。或時、はらがいたいといふて、ねてゐる故、 00043570M12くすりでもまいらぬかといへバ、Sアイ。(三十九オ)そんな 00043580M13ら権介どん。わしがはり/箱(ばこ)に、むめの木の/和中(わちう)どんがある 00043590M14から、出して下ださい 00043600¥N40¥J 00043610¥X○たるの名 00043620M17かよひたる、/万願寺(マングワンジ)様のまへゝいでゝ願けるハ、私が名を、 00043630M18びんぼう(三十九ウ)樽+とみな申されます。どふぞ外の 00043640M19名に付ケかへて下さりませ。Sフウ、成ほど尤なねがひな 00043650M20れど、其ねがひハとりあげにくい。ハテ、てまへたちがお 00043660¥P128 00043670L1やの名さへ、こもかぶりじや(四十オ)(四十ウ・四十一オ挿絵) 00043680¥N41¥J 00043690¥X○手本 00043700L4むすめが、かな手本をあげて内でさらへるをきくに、御/奥(おく) 00043710L5様御平/産(さん)とよむ。おふくろがきひて、これおこよ。おらが 00043720L6いかにしらぬとて、うそをよむなよ。(四十一ウ)そふじや 00043730L7あるまいといへバ、Sナニ、それでも、御奥様ごへいさん 00043740L8とならひやした△Sアレ、まだいやる。何、おく様に五兵 00043750L9衛さんがならんであらう 00043760¥N42¥J 00043770¥X○まぐろ(四十二オ) 00043780L12小田原がしに大まぐろが、あたまへ手ぬぐいまいてねてゐ 00043790L13る。かるこ立よりて、コレま/ぐ((ママ))や。どふした。おきねへか 00043800L14といへバ、Sイヽヤ、おらハちゑゝがわるい 00043810¥N43¥J 00043820¥X○びつこ(四十二ウ) 00043830L17ヤイ八内。おれがほかへでると、子共めらが、びつこ+ 00043840L18とはやしをるが、何と、おれが片&のあしが、それほどみ 00043850L19じかく見ゆるかやい。Sイヱ+、何のおまへの御足が、 00043860L20みじかふござりませふぞ。けつく、かた+長い(四十三オ) 00043870M1くらいでござります 00043880¥N44¥J 00043890¥X○学文 00043900M4八兵衛、ふところに本をいれて、師匠様へならいにゆく。 00043910M5道にて友だちが、Sコレ八や。てまへハ人がらを/作(つく)つて、 00043920M6どこへゆく△Sヲイ。おらハな、(四十三ウ)/学文(かくもん)をするわ 00043930M7い△Sナンダ、がくもんする。おつだな+。何をならふ 00043940M8ぞ△Sヲウ、百人しゆをよむわい△Sナアニ、ばかな。/医= 00043950M9者(い=しや)には成まいし 00043960¥N45¥J 00043970¥X○ぶし 00043980M12吉原かごのきをいよく、ヤツさつ(四十四オ)とかいてくる 00043990M13/棒(ほう)はなへ、/下駄(げた)ぐミがつきあたり、Sナンダこいつ、まな 00044000M14こがないか△Sイヤ、そつちからあたつたのだ。だまつて 00044010M15いきあがれ。/駕篭(かご)のだんなハ/武士(ぶし)だそ。へたなこといふて 00044020M16跡でほへるな△Sナンタ、ぶした。(四十四ウ)かつをぶし 00044030M17か、なまりぶしか。面白いと/棒(ぼう)ばなへ取付ケバ、のつたる 00044040M18侍飛んで出、あくたいぬかす、あごきりさげんと、そり打 00044050M19てぎしむにぞ、げたくミのつれがさつそくあやまり、Sイ 00044060M20ヤ、あれハおまへ様へ申た(四十五オ)あくたいてハこざり 00044070¥P129 00044080L1ませぬ。まつぴら御免下さりませ△Sイヤ+、それでも 00044090L2かつをぶしとぬかした△Sサヽ、それもかごかきのからな 00044100L3でござります。ハテ。かゝねハくわれぬと申ことさ 00044110¥N46¥J 00044120¥X○伊勢物語(四十五ウ) 00044130L6/駕篭(かご)かきの七兵衛がむすめ、てら子やへかよわせ、百人一 00044140L7首もあげてしまひ、伊勢もの語をかふてくださいとねだる。 00044150L8S女房何、もふよミものハよしたがよい。高イ物はかわれ 00044160L9ぬといふ。おやぢきいて、ナニ、(四十六オ)いせ物語の事 00044170L10なら、かふてやれといふ。S女房らちもない。こなたも同 00044180L11シやふにいわしやる。このほうづれの子どもが、いせ物が 00044190L12たりよんで、何ニするものだ。おいたがよい△Sおやぢハ 00044200L13テ、そふいわすと、かふてやつたがよい。(四十六ウ)あい 00044210L14つが男の子なら、ぬけ参りもするころだ 00044220¥N47¥J 00044230¥X○難風 00044240L17なぎだと思ふて/沖(をき)へのり出し、きすのくうさい中、にわか 00044250L18にもやになり、/東西(とうざい)まつくらになり、風(四十七オ)だん+ 00044260L19つよく、/昼夜(ちうや)のわかちもなく、むしやうニ吹ながされ、や 00044270L20う+くがを見付てこぎよせてミれバ、見なれぬ人が、み 00044280M1のゝ様成ルものきて立いたり。釣人ども/頭(かしら)をさげ、私ども 00044290M2ハ/日本人(につほんじん)でござりまする。(四十七ウ)難風にて吹付られま 00044300M3した。爰ハ何と申ス嶋でござります。Sかのおとここゝハ大 00044310M4森さ 00044320¥N48¥J 00044330¥X○辞退 00044340M7妻をさとへやりて、るすなれバ、友だちをよんで酒くミか 00044350M8ハし、(四十八オ)一ぱいきげんのあまり、/留守(るす)にのこりし 00044360M9下女の手をとり、コリヤ色よ。おれがいふことをきいてく 00044370M10れる/気(き)かとたわむれけれバ、友だちも、成ほど、こよひハ 00044380M11御さみしからふなどゝいふて、日も(四十八ウ)くれけれバ 00044390M12帰りぬ。てい主もねどころへはいり、/前後(せんご)しらずふしぬ。 00044400M13/夜(よ)/更(ふけ)て/障子(せうじ)をそろ+あくるもの有り。てい主めをさまし、 00044410M14たれじや+とあたまを上ケ、ヤア、われハ下女のさんで 00044420M15ハないか。(四十九オ)今じぶん、何しにきたと咎むれバ、 00044430M16Sアイ。アノひるおつしやつたことを、いやと申に参りま 00044440M17した 00044450¥N49¥J 00044460¥X○新宿 00044470M20四つ谷へあそびにいつて、女郎衆のはなしをきけハ、コレ、 00044480¥P130 00044490L1ぬしの(四十九ウ)もん所ハ、彦さんのによくにた。ひこさ 00044500L2んのもん所ハなんじやつたの。ウヽそれさ。丸の内にかし 00044510L3わつぱさ 00044520¥N50¥J 00044530¥X○おつけ 00044540L6とびのもの、御だい所へあがり、(五十オ)はりてある/献立(こんだて) 00044550L7をよんでミる。もしへ、此/字(じ)ハ何といふ/字(じ)だへ。ヲヽ、そ 00044560L8れハしるといふ字さ。Sハヽア、どふりでおつけのけの字 00044570L9かある 00044580¥N51¥J 00044590¥X○比よく 00044600L12夫婦のちぎりを、れんげのゑだ(五十ウ)といゝますの。ア 00044610L13ヽ貴様ハかた/言(こと)をいふ人だ。れんげでハないよ。/地(ち)にあら 00044620L14バれんりのゑだ、/天(てん)にあらバひよこの/鳥(とり)といふたもんだ 00044630¥N52¥J 00044640¥X○遠目かね 00044650L17ゆしまの/台(だい)で/遠目(とふめ)かねを(五十一オ)見る。いくらだ。どれ 00044660L18見よふと言ながらのぞひて、此おとこ、むしやうに手をい 00044670L19だす。コレ、なにを被成ますといへバ、仁王門の前ニ銭が 00044680L20おちてある 00044690¥N53¥J 00044700¥X○かつを(五十一ウ) 00044710M3かつを+と呼ながら、うらへ入ル。かミさんが出て、も 00044720M4しいくらだへ。S初がつほ八百さ△S百五十にしな△Sヱ 00044730M5ヽあんまりおしがかたいといゝながら、でゝ行跡を見れバ、 00044740M6壱本おちてある。Sもし、むかふのおば様ン。(五十二オ)今 00044750M7のかつをがこゞといひながら、一ツ本おとしていきやした。 00044760M8どうせうねい△S手をつけなさんな。いまにとりにきやせ 00044770M9ふと/評判(へうバん)する所へ、/隣(トナリ)の/亭主(ていしゆ)が出て、ようごんす+。塩 00044780M10をして大屋へ預る(五十二ウ) 00044790¥N54¥J 00044800¥X○胆 00044810M13/猫(ねこ)めかこたつのなかへ、大きな/馬(バ)ふんをたれたといへバ、 00044820M14ヤア、そいつ、にくいやつ。ぶちころして/熊(くま)のゐをとり給 00044830M15へ。ナアニ、/猿(さる)でハあるまいし(五十三オ) 00044840¥N55¥J 00044850¥X○はりかね 00044860M18さるもの、/替(かわ)つたやまひにて/食類(しよくるい)いつかうくわず、あかが 00044870M19ねはかりくふてゐる。ある時、友達をたのんでかいにやり 00044880M20しに、/銅(アカヽネ)のはりがねを買うて来り、コレハ(五十三ウ)くひ 00044890¥P131 00044900¥G(四十ウ・四十一オ) 00044910M1よからふとおもふて、かうて来たといへハ、病人、かぶり 00044920M2をふり、おらハめんるいハきらいだ 00044930¥N56¥J 00044940¥X○鞠 00044950M5久&にて御在所よりの御客と毎日のちそう。てい主、/鞠(マリ)ず 00044960M6き(五十四オ)にて、近所の友だち打より、けふハ御/馳走(ちそう)に 00044970M7まりを出しますとのことにて、/鞠(マリ)をだして見せけれバ、い 00044980M8なかの/客(きやく)、手ニ取り、くひ付けれバ、Sイヤ+、申。左 00044990M9様のものでハない。まづ+/御覧(ごらん)被成(五十四ウ)よと、れ 00045000M10ん衆打より、けて見せけれバ、いなか客かんじ入、成程。 00045010M11あゝもなされずバ、やわらかに成ルまい 00045020¥N57¥J 00045030¥X○仕掛 00045040M14九尺/店(たな)をかりて、/移(うつ)りハ移つ(五十五オ)たが、道具とてハ 00045050M15ひとつもなし。これてハ見へかわるいと、/壁(かへ)をごふんぬり 00045060M16にして、ゑ心のあるおもひ付、/押込(おしこミ)たんす、持仏堂、/床(とこ)の 00045070M17かけ物、ほうきや/帳(てう)面のかゝつた所迄、/道具立(たうくたて)のこらす、 00045080M18(五十五ウ)書ひて置ける。其夜ぬす人はいり、忍びでうち 00045090M19んふりあけ、重だんすを明んとすれども、わらび手に手が 00045100M20かゝらず。こハふしぎと押入の戸をあくれ共、いつかうあ 00045110¥P132 00045120L1かず。いかゞせんと工夫(五十六オ)するを、てい主、最前 00045130L2から見ていて、ヱヽこいつ、やぼめ。芝居も見たことがね 00045140L3いそうだ 00045150¥N58¥J 00045160¥X○やしま 00045170L6/御庭(おにわ)の御物ずきにて、御下タの百姓ども、石をはこぶ。殿 00045180L7様、御(五十六ウ)縁がハにて御らん遊し、Sコリヤ+、 00045190L8其おのこ。是へまいれと近くへめされ、其方ハ何ものなる 00045200L9ぞと/尋(たづね)給へバ、Sハイ。わたくしハ、/夫(ぶ)の/者(もの)でござります 00045210L10Sイヤ、たゞものとハ見へぬ。名をいへ△Sハイ。いや、 00045220L11たゞの(五十七オ)/夫(ぶ)でござります△Sたゞのぶならバ、八 00045230L12しまの物がたりがきゝたい△Sハイ。そんなことならバ、 00045240L13つぎの/夫(ぶ)へ、おきゝ被成ませい 00045250¥0△△△△△飯田町中坂△△△△△△△ゑん州屋板 00045260L17△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(五十七ウ) 00045270¥P133 00045280¥U噺本大系△第十巻 00045290¥T/軽口(かるくち)/駒佐羅衛(こまさらえ)〔内題〕 00045300¥G 00045310¥Y 00045320L16安永五年正月刊 00045330L17志滴斎序 00045340L18京△野田藤八等板 00045350L19半紙本五巻五冊 00045360L20東大国語研究室蔵 00045370¥Y序 00045380M3/軽口(かるくち)は/祖父(ぢい)と/祖母(ばバ)とをたねとして、よろづのことの/葉(は)とぞ 00045390M4なれりける。/世中(よのなか)に見る/事(こと)/聞事(きくこと)につけつゝ、/云(いゝ)つたふる/咄(はなし) 00045400M5したき/物(もの)なれば、(壱オ)/古今(いにしへいま)のわかちなく、/桜(さくら)に/刻(きざミ)のこ 00045410M6せしを五の/巻(まき)に/書(かき)あつめて、/駒(こま)ざらへとなん/題号(たいがう)し、はつ 00045420M7/春(はる)のもてあそびとハなしぬ 00045430M9△△△さるのとし 00045440M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△志△滴△斎 00045450M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(壱ウ) 00045460¥P134 00045470¥T1/軽口(かるくち)/駒佐羅衛(こまさらゑ)巻之一 00045480¥N1¥J 00045490¥X/表具(ひやうぐ)屋の/間違(まちがひ) 00045500L5/田舎(いなか)人/京都(きやうと)へのぼり表具屋へ行。/掛(かけ)物一ふく、/画(ゑ)ともにあ 00045510L6つらへ、代金壱両壱歩に/極(きハ)め、/手付(てづけ)に金壱分/渡(わた)し、四五日 00045520L7中に/出来(しゆつたい)いたし候様に/頼(たのミ)ミ/置(をき)、/扨(さて)五六日/過(すき)参り、かけ物出 00045530L8来候哉と/問(と)ふ。いかにも/出来(でき)ましたと、取出し見せければ、 00045540L9/表具(ひやうぐ)よく出来候。/去(さり)ながら、是ハ/柳(やなぎ)に/鴬(うぐひす)也。あつらへし 00045550¥G(三オ) 00045560M1ハ/梅(むめ)に(二オ)うぐひす也といへバ、表具屋いふやう、/柳(やなぎ)に 00045570M2/鴬(うくひす)にて/宜(よろしく)候。京都にハ今是がはやりますといへバ、/然(しか) 00045580M3らバ是にてすまし申べし。/先日(せんじつ)の壱分を此方へ/戻(もど)し給ハる 00045590M4べしといふ。表具屋いふ。それハ思召ちがひ成べし。一両 00045600M5一分にて御あつらへ被成、内壱歩/手付(てづけ)につかハされ、残り 00045610M6金壱両、此方へ/遣(つか)ハさるゝはづといへば、/田舎人(いなかびと)いふ。は 00045620M7て、/柳上(りうしやう)に/鴬飛(うぐひすとぶ)/返弁(へん※)たる/金(きん)と、/故人(こじん)も申されました 00045630¥N2¥J 00045640¥X/絵師(ゑし)の/長銘(ながめい) 00045650M10/是(これ)も/去(さる)/遠国(ゑんごく)人、/古郷(こきやう)へ/帰(かへ)る/土産(ミやげ)にとて、/絵所(ゑどころ)/土佐(とさ)(二ウ)(三 00045660M11オ挿絵)/家(け)へ行、二/幅(ふく)/対(つい)の/画(ゑ)を頼ミけるが、心安く/請合(うけあハ)れけ 00045670M12るゆへ、大きに悦び、/然(しか)らバ/迚(とても)の/儀(ぎ)に、/御姓名(ごせいめい)を長く御書 00045680M13下さるべしと頼ミをき、夫より/望月玉蟾(もちづきぎよくせん)へ行、同じく二/幅(ふく) 00045690M14/対(つい)を頼ミ、是も御姓名を長く御書下さるべしと申置ぬ。 00045700M15扨/約束(やくそく)の/日限(にちげん)、土佐へ行しが/出来(でき)上りあり。/図(づ)ハ/中彩色(ちうさいしき)の 00045710M16/花鳥(くハてう)。/姓名(せいめい)は/日本(につほん)/絵所(ゑところ)/土佐(とさ)/筑前守(ちくぜんのかミ)/従五位下(じうごゐのけ)/右近将監(うこんのしやうけん)/藤原 00045720M16(ふぢはらの)/光= 00045730M17房(ミつ=ふさ)とあり。/早速(さつそく)御/調筆(てうひつ)忝しと一礼し、扨又/玉蟾(きよくせん)方へ行、 00045740M18/尋(たづね)けるが、いかにも/認(したゝめ)置たり。土佐方も/出来(しゆつたい)候や。どれ 00045750M19(三ウ)※御見せ候へと/披(ひら)き見、我が/銘(めい)長&と書べきやう 00045760M20なけれハ、しバらく/思案(しあん)し、/日本鍛冶(につほんかぢの)/宗匠(そうしやう)/三品(ミしな)/藤原(ふぢハらの)/伊賀守(いかのかミ) 00045770¥P135 00045780L1/国綱(くにつな)/上(かミ)ノ町/望月(もちづき)/玉蟾(ぎよくせん)と書れたり 00045790¥N3¥J 00045800¥X/田舎(いなか)の/誹人(はいじん) 00045810L4/鄙(いなか)に/俳諧(はいかい)を/好(すく)人あり。かね+/京都(きやうと)の/誹士(はいし)にも出合たく、 00045820L5/朋友(ほうゆう)に其よしかたりければ、それハ安き事。/北野天満宮(きたのてんまんぐう)の 00045830L6/御社内(ごしやない)にて、毎月廿五日/誹諧(はいかい)の/会(くハい)あり。知らぬ人にても/席(せき) 00045840L7へ出られ候也。/尤(もつとも)/麻上下(あさかミしも)/御持参(ごぢさん)候へといふ。それハ/幸(さいハい) 00045850L8/成(なる)事かな。しかし(四オ)拙者、京都不/案内(あんない)のよしいへば、 00045860L9然らハとくとおしへ申べし。/先(まづ)京へ/着(つき)、/千本(せんぼん)と御/尋(たづね)候て、 00045870L10此/筋(すぢ)を/段&(だん+)北へ行ば、/天満宮(てんまんぐう)の/社内(しやない)へおのづから/行当(ゆきあた)る也 00045880L11といふ。/心得(こゝろへ)たりと、/伏見(ふしミ)より千本通をたづね、だん+ 00045890L12北へさして上りけるが、人多く/集(あつま)りゐる所あり。見れば、 00045900L13上下を/着(ちやく)し、/追付(おつゝけ)門内へ入べき/体(てい)也。扨ハ/北野(きたのゝ)/連哥堂(れんがだう)ハ是 00045910L14ならんと、同じく上下を/着(ちやく)し、あたりの人と共に内に入、 00045920L15/同席(どうせき)にかしこまる。/板敷(いたじき)の上にて/高(たか)らかに/読(よミ)出す。一/借= 00045930L16銀(しやく=ぎん)の事三貫五百目と/読(よミ)(四ウ)かくれば、/彼田舎(かのいなか)もの/伸(のび)上り、 00045940L17/請人(うけにん)/爰(こゝ)に/有明(ありあけ)の月、と御わきを/附(つけ)ましたと云。/殿様(とのさま)、御聞 00045950L18被成、/気違(きちがひ)さうなと仰られ候へバ、いや、/気(き)ハ/違(ちが)ひませぬ。 00045960L19/秋(あき)の/季(き)で御/座(ざ)りますと云た 00045970¥N4¥J 00045980¥X/医者(ゐしや)の/頓智(とんち) 00045990M3/或城下(あるじやうか)の/百姓(ひやくしやう)、/石痳(せきりん)を/煩(わつら)ひ、/色&(いろ+)/療治(れうぢ)すれと/験(しるし)なし。/近= 00046000M4在(きん=ざい)に/老医(らうゐ)あり。又&是に見せけれバ、とくと/勘(かんが)へ見て、是 00046010M5/茎中(きやうちう)に石あり。それゆへ/小便(しやうべん)/通(つうじ)がたく/痛(いたむ)也。此石を/吸(すい) 00046020M6出し候へバ/跡(あと)/愈(いゆ)る事/安(やす)しと申されける故、(五オ)すなハち 00046030M7女房に/吸(す)ハせけるが、一つの石を/吸(すい)出しぬ。此石、/玉(たま)のご 00046040M8とく/光(ひか)り/有(あり)。/希代(きたい)の物なるゆへ、人&不/審(しん)をなし、此/沙汰(さた) 00046050M9ひろがり、/終(つい)に/城主(しやうしゆ)の御/聞(きゝ)に/達(たつ)し、/彼玉(かのたま)を御らん有べし 00046060M10と仰出されけれバ、うや+しく/箱(はこ)に入、/持参(ぢさん)致しける。 00046070M11/先(まづ)/御家老(ごからう)御らんあり。/出所(しゆつしよ)の/様子(やうす)御たづね付、くわし 00046080M12く其いハれを申上けるに、御家老聞かれ、いかにもめづら 00046090M13しき物なれど、いかにしても、出所のあしき物なれバ、先 00046100M14&持てかへるへしと仰られける。/其比(そのころ)、/京都呉服所(きやうとごふくしよ)/居合(ゐあわせ)、 00046110M15御家老へ申上けるハ、私義も此度/悴(せかれ)を召つれ、御/目(め)(五ウ) 00046120M16見へ御ねがひ申上度候処、先/遠慮(ゑんりよ)仕べきや。/出所(しゆつしよ)/宜(よろ)しから 00046130M17ざればと申ける 00046140¥N5¥J 00046150¥X/鳳巾(いかのぼり) 00046160M20/殿様(とのさま)、/椽(ゑん)の/端(はし)へ御出あつて、うらゝかなる/春(はる)のけしきを御 00046170¥P136 00046180¥G(七オ) 00046190L13/眺(なが)め有けるが、いかのぼりを御らん有て、あれハいかなる 00046200L14物とお/尋(たづね)ある。/近習(きんじう)、あれハいかのぼりと申て、/竹(たけ)の/骨(ほね)に 00046210L15/紙(かミ)を/張(はり)、/糸(いと)を/付(つけ)て/風(かぜ)にまかせ候へハ、右ごとくのぼり候と 00046220L16申上る。/絵(ゑ)ハ何と、お/尋(たづね)ある。かるたのぴんと申物にて候 00046230L17と申。はて、ぴんでは(六オ)よふあがると仰られた 00046240¥N6¥J 00046250¥X/乞食(こじき)の/飛行(ひぎやう) 00046260L20/若者(わかもの)あつまり、めづらしきいかのぼりをしてたのしまんと、 00046270M1/面&(めん+)思ひ付をいふ内、一人/云様(いふやう)、/松原河原(まつハらがハら)に、いたつて/痩(やせ) 00046280M2たる/乞食(こぢき)あり。かれに/糸(いと)を付なバのぼるべし。此思ひ付、 00046290M3いかゞといふ。是ハいまだ/図(づ)のない思ひつき。一入よから 00046300M4んと、松原河原へ行、かの乞食を/呼(よび)出し、右の/次第(しだい)を申き 00046310M5かせ、/褒美(ほうび)にハ/鳥目(てうもく)壱貫文つかハすべしといふ。/此者(このもの)おそ 00046320M6ろしき事とハ思ひながら、壱貫文に(六ウ)(七オ挿絵)ほた 00046330M7され、うけかひぬ。扨/細引(ほそひき)にて/肩先(かたさき)より胯へかけつけをこ 00046340M8しらへ、多くの細引を/用意(ようゐ)し/風待(かぜまち)しける。/折(おり)ふし、ひつじ 00046350M9さるより、とつと/吹来(ふきく)る風に、/大地(だいち)をはなれのぼる程に、 00046360M10/既(すで)に/豆(まめ)ほとのかたちにそ見へける。/彼乞食(かのこつじき)も、/大空(おほそら)の/風(かせ)に 00046370M11骸を/吹(ふき)立られ、/命(いのち)もきへ+に成へき/心地(こゝち)。/泣(なき)さけべども 00046380M12こたへず。とやせんかくやと思折ふし、一/颯(さつ)の/風(かぜ)につれて、 00046390M13/叡山(ゑいざん)より/南(ミなミ)のかたへと行、木の/葉(は)/天(てん)狗あり。いざ、是を 00046400M14/頼(たの)まんと、うしろより/呼(よび)とめ、かく+の/次第(しだい)也。御たす 00046410M15け下されと(七ウ)たのめど、/天狗(てんぐ)、/耳(ミヽ)にもかけず/急(いそ)ぎゆく。 00046420M16のがしハやらしと、/跡(あと)より/追(おつ)かけ、申シ+、とふぞおた 00046430M17すけ下されと、しきりにいふにぞ、/天狗(てんぐ)もうるさく、/付(つ)く 00046440M18な+と云た 00046450¥Y1軽口駒さらゑ巻之一終(八オ) 00046460¥P137 00046470¥T1軽口駒さらゑ巻之二 00046480¥N1¥J 00046490¥X/布袋(ほてい)の/画(ゑ) 00046500L5/夷中大尽(いなかだいじん)、/嶋原(しまハら)へ/行(ゆき)、/太夫(たゆふ)にあひ/咄(はな)しけるは、此ほど/祇園(きおん) 00046510L6町の/扇九(せんく)へ/付合(つきあひ)有て行しが、/床(とこ)に/布袋(ほてい)のかけ物をかけしゆ 00046520L7へ、/探幽(たんにう)そふなといふたれば、そバにゐる/素人(はくじん)、あれハ/布= 00046530L8袋(ほ=てい)さんでござんすといふた。扨&素人と云ものは、/野卑(やひ)な 00046540¥G(三オ) 00046550M1ものといへば、太夫、これを聞、何ンのあれらが(壱オ)/探= 00046560M2幽(たん=にう)と/布袋(ほてい)を見分ケましよう 00046570¥N2¥J 00046580¥X/傾城(けいせいの)/無心(むしん) 00046590M5あひかたの太夫より文のはしに、ちと+/内証(ないしやう)の入用候ま 00046600M6ゝ、金百疋御こし被下べくとの/無心状(むしんじやう)。/大尽(だいじん)、何よりやす 00046610M7き事と、/則(すなハち)金壱歩返事ニそへ、おろせにわたしける。太 00046620M8夫、返事をひらき見て、是ハ百疋と申て上たに、たつた壱 00046630M9疋来たと云た 00046640¥N3¥J 00046650¥X/釈迦(しやか)の/立腹(りつふく) 00046660M12/大仏(だいぶつ)の/釈迦(しやか)、/腹内(ふくない)/開帳(かいちやう)/仕度(したき)よしを、/釈尊(しやくそん)/聞(きゝ)給ひ、(壱ウ)大 00046670M13にいかり、此方へ/得心(とくしん)もさせず、/腹内(ふくない)まで/凡夫(ぼんぶ)に見せんと 00046680M14ハ/奇怪(きくわい)也。何分是ハ/嵯峨(さが)の/親玉(おやたま)に/相談(さうたん)すべしと参られ、久 00046690M15&にての/対面(たいめん)。たがひの/無沙汰(ぶさた)を/語(かた)り合、さて今日参りた 00046700M16る事、/餘(よ)の/儀(ぎ)にあらずと、しか+の/様子(やうす)を申され、/先生(せんせい) 00046710M17の/御賢慮(ごけんりよ)いかゞと、うかゞハれければ、/赤栴檀(しやくせんだん)も/天窓(あたま)をか 00046720M18き、いかさま、/足下(そつか)の/腹立(はらだち)もだしがたし。しかし/拙僧(せつそう)も/即= 00046730M19刻(そく=こく)の/思案(しあん)にあたハず。かやうの事にハ、/永観堂(やうくわんどう)/分別者(ふんべつしや)なれ 00046740M20バ、かれを/呼(よび)よせて御/相談(さうだん)(二オ)/然(しか)るべしと仰らるれバ、 00046750¥P138 00046760¥G(五オ) 00046770L13永観堂とハ近所ながら/餘(あま)り/懇意(こんゐに)致さずといふ。それは何ゆ 00046780L14へ。イヤ、/全体(せんたい)かれハ/向不見(むかふミず)でござる 00046790¥N4¥J 00046800¥X/親父(おやぢ)の/代筆(だいひつ) 00046810L17/親父(おやぢ)、/悴(せがれ)を/呼(よ)び、/昨日(きのふの)/振舞(ふるまひ)の/礼(れい)に/手帋(てがミ)をつかハすべし。/其= 00046820L18方(その=ほう)/代筆(たいひつ)せよ土云付けれバ、/硯箱(すゞりばこ)/引出(ひきた)しより/巻紙(まきかミ)取出し/筆(ふて)を 00046830L19/取(とり)、何と/認(したゝめ)べきやと/問(と)ふ/昨日(さくじつ)た/参上(さんじやう)/仕(つかまつ)りと/書(かく)べし。 00046840L20/心得(こゝろへ)しと、/昨日(さくじつ)と/書(かき)しが、たの/字(じ)につまり、もし+、/親= 00046850M1人(おや=ひと)。昨日(二ウ)(三オ挿絵)たのたハ、いかゞ/書(かき)候やと/尋(たつね)け 00046860M2れバ、/親父(おやぢ)も/文盲(もんまう)なるゆへ行つまり、されバいかゞ/書(かく)べし 00046870M3やと、/埒付(らちつ)かぬゆへ、/息子(むすこ)がいふ。/昨日(さくじつ)/者(ハ)と/書(かい)てハ/悪(あ)しく 00046880M4やといへば、/親父(おやち)、/者(ハ)でハぬるいと云ハれた 00046890¥N5¥J 00046900¥X/息子(むすこ)のじまん 00046910M7/久&(ひさ+)/中絶(なかたへ)し人来り、扨+/其後(そのゝち)はこと+しく心の外に/無= 00046920M8沙汰(ぶ=さた)せし也。/皆(ミな)+御そく才にて、何よりもめでたし。扨 00046930M9久しく見ぬ/間(ま)に、御/子息(しそく)/御成人(こせいじん)、もはや/角(すミ)を入給ひぬ(三 00046940M10ウ)/慥(たしか)成御/世継(よつぎ)有て、おうら山しと/挨拶(あいさつ)すれバ、/親父(おやぢ)、ゑ 00046950M11つぼに入、もハや親がハりを致します。/第(だい)一親ににず、ず 00046960M12んど/万事(はんじ)に/器用者(きようもの)でござるといへば、それハ/重畳(ちやう+)の事。 00046970M13/碁象戯(ごしやうぎ)ハいかゞととへば、/将棊(しやうき)ハ/死(し)なれました/源内(げんない)に/片馬(かたむま) 00046980M14おろして/差(さし)ました。それはおどろき入ました。/皷(つゞミ)などもよ 00046990M15くなさるゝであらん。/皷(つゞミ)も/先(せ)ンの/粕谷(かすや)に/片革(かたかハ)はづしました 00047000¥N6¥J 00047010¥X/羊巻(ようかん)の/論(ろん)(四オ) 00047020M18/菓子(くわし)屋の/軒(のき)に、/非人(ひにん)/立(たつ)て、何にてもあまりものを下さるべ 00047030M19しといふにぞ、/庭(にハ)まハりの/飯焼(めしたき)女、手の/間(ひま)がない。/通(とう)れと 00047040M20いへど、しつこく立さらねバ、/見世(ミせ)まもりの手代、/手廻(てまハ)り 00047050¥P139 00047060L1にようかんの/切(きり)くず有しを、さらへおとしとらせける。/乞= 00047070L2食(こ=じき)いたゞき、いぶかしげなる/顔(かほ)付にて、まづ道にてすこし 00047080L3たべけるが、其/風味(ふうミ)/絶(たへ)かたく、何といふ物やらんと、/忙然(ぼうぜん) 00047090L4としてあきれゐる所へ、/友(とも)の乞食来て、其方が/喰(く)ふ物、見 00047100L5/馴(なれ)れぬ物也。いかなる物ぞと/問(と)ふ。今あれ(四ウ)(五オ挿絵) 00047110L6なるくハしやにてもらひぬ。そちにもちとくわせんと、す 00047120L7こしバかりとらせけるが、此ものも大きにおどろき、さて 00047130L8+うまき物かな。此すへらぬハ思ひやらるゝいふた 00047140¥N7¥J 00047150¥X/花(はな)の/宴(えん) 00047160L11/桜(さくら)さかりなる/比(ころ)、/隣(となり)の/花(はな)をミて/酒(さけ)/汲(くま)んと/朋友(ほうゆふ)を二三人まね 00047170L12き、/椽先(ゑんさき)に出て、/終日(ひめもす)/酒盛(さかもり)せしが、/興(けう)に入て/後(のち)にハ/舞(まひ)つう 00047180L13たひつ大さハぎなるを、/壁(かべ)となりの/主(あるし)/聞(きゝ)つけ、さて+、 00047190L14/傍(ほう)若無/人(じん)の(五ウ)ふるまひかな。此方の花を/断(ことハり)もなしに、 00047200L15/我物(わかもの)がほの大さハぎ。此まゝさし/置(をき)/餘所(よその)/見物(ミもの)にせん事、/口= 00047210L16惜(くち=おし)しと/翌(よく)/早朝(さうてう)/大工(だいく)を/呼(よ)び/寄(よせ)、/塀(へい)の上より/桜(さくら)一ぱいの/囲(かこ)ひを 00047220L17こしらへ、少しも/隣(となり)へ見へぬやうに/出来(でき)上りければ、やれ 00047230L18+/嬉(うれ)しや。是であの方へ見ゆる/気(き)づかひなしと悦びぬ。 00047240L19/程(ほど)なく花も/散(ち)り/葉桜(はざくら)と成しが、おびたゝしく/毛虫(けむし)わき出て、 00047250L20かこひごしに/隣(となり)りへ/這(はひ)行しを、/隣(となり)りのむすめ見付て、あれ 00047260M1+、/桜(さくら)に/毛虫(けむし)がわいて、こちの方へつたふ来るといふを、 00047270M2(六オ)/隣(となり)の/親仁(おやぢ)聞つけ、扨+/生(いき)物は/侭(まゝ)にならぬ 00047280¥Y1軽口こまさらへ巻之二終(六ウ) 00047290¥P140 00047300¥T1/軽口(かるくち)/駒(こま)さらゑ巻之三 00047310¥N1¥J 00047320¥X/半畳売(はんでううり) 00047330L6/鳴物(なりもの)/御停止(ごてうじ)の時、/半畳(はんでう)うり共、/殊(こと)の/外(ほか)/退屈(たいくつ)し、うち/寄(より)一お 00047340L7どりして/欝散(うつさん)せんと/舞台(ぶたい)へあがりて/音頭(をんど)を取、/踊(おどり)をはじめ 00047350L8けるが、あまり/仰山(けうさん)なるさハぎゆへ、此事/名代(なだい)の/耳(ミヽ)へ入、 00047360L9/早速(さつそく)かけ付、是ハけしからず。かやうの事しぜんどこぞの 00047370L10/耳(ミヽ)へ入らバ、大きに/尻(しり)の来る事といへば、(壱オ)其/尻(しり)の/来(く) 00047380L11るを/待(まつ)てゐると云た 00047390¥N2¥J 00047400¥X/追善(ついぜん)のらくしゆ 00047410L14/猪熊通(いのくまどふり)に/下駄(げた)屋喜兵衛といふ/者(もの)ありしが、/不慮(ふりよ)に/二階(にかい)より 00047420L15/落(おち)て/死(し)してけり。/日頃(ひころ)/懇意(こんゐ)の人、其事も知らず、ふと立よ 00047430L16りしが、/息子(むすこ)に此よしを/聞(きゝ)、大きにおどろき、/常&(つね※)/狂哥(きやうか)を 00047440L17このミければ、取あへず/筆(ふで)をとりて、 00047450L18△△△/二階(にかい)から/下駄(げた)りと/落(おち)て/木履(ぶくり)して 00047460L19△△△△/足駄(あしだ)の/露(つゆ)と喜兵衛うせにけり(壱ウ) 00047470L20かく/追善(ついぜん)の一/首(しゆ)をしたりける 00047480¥N3¥J 00047490¥Xかけねの/間違(まちが)ひ 00047500M4/主人(しゆじん)、/丁稚(でつち)に云やう、其方/商(あきな)ひ物に/掛直(かけね)を云ハぬゆへに、 00047510M5かへつて/商(あきな)ひ出来かぬる也。壱匁の物ならバ云出し弐匁と 00047520M6いへ。五匁の物ハ拾匁と云べしと云付置ぬ。ある/夜(よ)/出火(しゆつくわ)こ 00047530M7れあり。/丁稚(てつち)、/火(ひ)の見へ上りしを、主人下より、いづ方成 00047540M8ぞと/尋(たづ)ねしに、/掛直(かけね)を申さば、五六町も/南(ミなミ)でござる。/火事(くハじ) 00047550M9に/掛直(かけね)ハ入らぬ。/本直(もとね)をいへと申されけれバ、/然(しか)らバ、ツ 00047560M10イ下の町でござると云た(二オ)(二ウ挿絵) 00047570¥N4¥J 00047580¥X/乞食(こじき)のまけをしミ 00047590M13/宮川(ミやかハ)町の/女郎(ちよろう)、/夜(よ)の/明(あけ)がた、松原の河原まで/客(きやく)を/送(おく)り行し 00047600M14が、/帰(かへ)りがけ、/橋(はし)のほとりに/臥(ふし)たる/非人(ひにん)を見れバ、/前(まへ)かた 00047610M15/深(ふか)く/名染(なじミ)し/客(きやく)也。かく/浅(あさ)ましき/躰(てい)に成たるを見て、/笑止(せうし)に 00047620M16思ひ行すぎしが、さすがハ/粋(すい)の見/捨(すて)ゆくも心なしとて立も 00047630M17どり、/彼非人(かのひにん)の/傍(そば)へより、コレ、おまへハ/助(すけ)さんでハない 00047640M18か。何とて、かやうの見ぐるしい/形(なり)にハ成給ふととへバ、 00047650M19非人、/声(こゑ)をひそめ、しほらしい。よふ/問(とふ)てたもつた。わし 00047660M20も(三オ)三年このかた、/敵(かたき)をさかしに出てゐると云た 00047670¥P141 00047680¥N5¥J 00047690¥X/脇差(わきざし)/好(この)ミ 00047700L3/中京辺(なかきやうへん)/有徳(うとく)の/町人(てうにん)、/至(いたつ)て/長劔(ちやうけん)をこのミしが、其しる人のう 00047710L4ちにも同しく/長劔(ちやうけん)すきあり。かね※折を以て、かれに 00047720L5手を取らせんと、長サ五尺斗の/脇差(わきざし)をこしらへ、是にて/彼= 00047730L6者(かの=もの)の目をおどろかせんと、少&/問合(とひあハ)せ事を云立に、/彼家(かのいゑ)に 00047740L7行、/案内(あんない)を/乞(こひ)しが、さいハひ/在宿(ざいしゆく)致し候へハ/追付(おつゝけ)/御意(ぎよゐ)得候 00047750L8べしとて、/玄関(けんくわん)へ通し、/茶(ちや)、たばこ/盆(ほん)など/差(さし)出しぬ。(三ウ) 00047760¥G(二ウ) 00047770M1/暫(しバらく)有て/勝手口(かつてぐち)より/亭主(ていしゆ)/咳払(せきばら)ひして出るを見れば、長サ七 00047780M2尺斗の大/脇差(わきざし)を/閂(くわんぬき)に/指(さし)こハらし、/鐺(こじり)の/先(さき)を小者にかゝへさ 00047790M3せて、ゆらり+とゆるぎ出、いざまつ是へと、/次(つぎ)の座敷 00047800M4へ/通(とふ)しぬれバ、/件(くだん)の/客人(きやくじん)も是に/壁易(へきゑき(ママ))して、問合せ事もそこ 00047810M5+になして/帰(かへ)りぬ。其後、此事の/無念(むねん)さわすれがたく、 00047820M6何とぞして此/意趣(ゐしゆ)をはらさずんバ有べからずと、/出入(でいりの)/拵= 00047830M7屋(こしらへ=や)に申附、今度ハ一/向(かう)壱丈五尺斗に長サを/好(この)ミ、/火急(くわきう)に/仕= 00047840M8立(し=たて)くれよと、/金銀(きん※)の/費(つゐへ)をいとハず申付けるにぞ、/程(ほど)なく出 00047850M9来上りければ、大に悦び、よもや是(四オ)にハきやつも/閉= 00047860M10口(へい=かう)すべしと、其日/直(すぐ)に右の脇差を/横(よこ)たへ、/大地(だいち)を引ずりな 00047870M11がら右の家へ行、/案内(あんない)を/乞(こひ)しが、/取次(とりつぎ)の/手代(てだい)申/様(やう)、/主人(しゆじん)義、 00047880M12/今朝(こんてう)/未明(ミめい)より/伏見表(ふしミおもて)へ罷/越(こし)候へハ、/折角(せつかく)御出の/程(ほど)/残念(ざんねん)のよ 00047890M13しをいふ。/彼仁(かのじん)も、けふこそと思ひに思立し事なれバ、何 00047900M14とぞ/逢(あふ)て/先頃(せんころ)の/恥辱(ちぢよく)をすゝがんと、手代にむかひ、今日ハ 00047910M15/最早(もはや)、/餘(よ)ほど日もたけたり。御/帰宅(きたく)に/間(ま)もあらすば、/暫時(さんじ) 00047920M16見合、お/帰(かへり)を待んと、かさねて申されけれバ、見世より/若(わかき) 00047930M17手代参り、/帰宅(きたく)もすこし/隙取(ひまどる)るべし。/最前(さいぜん)まで下之町に、 00047940M18/主人(しゆじん)が/鐺(こじり)の/先(さき)が見へましたと云た(四ウ) 00047950¥P142 00047960¥N6¥J 00047970¥X/不夜城(ふやぜう)/贔屓(ひいき) 00047980L3/友達(ともだち)あつまり、/咄(はな)しの上、とかくあそびハ/嶋原(しまバら)の事。/諸事(しよじ) 00047990L4うわつきげなく、/東辺(とうへん)のあつかひとハ又&/各別(かくへつ)の事也。/此= 00048000L5頃(この=ころ)も心ぜき、/烟艸(たばこ)入をわすれて行しが、さつそく是をおも 00048010L6ちなされよとて、/丸山形(まるやまなり)な/古金襴(こきんらん)のたばこ入をくれたり。 00048020L7/其先(そのさき)にも/帰(かへ)りがけに、/土風(つちかぜ)はげしけれバとて、/紗金(しやきん)の/頭巾(づきん) 00048030¥G(六オ) 00048040M1を手づから/縫(ぬふ)てくれたり。/万事(ばんじ)かやうの/仕(し)こなしなれハ、 00048050M2/素人(はくじん)とハ/雲泥(うんでい)(五オ)のちがひ。貴様も東方をやめて、西方 00048060M3/浄土(しやうど)の/宗旨(しうし)に成給へといふに、いかさま、近日/同道(どうだう)せんと 00048070M4/約(やく)し、夫より/東辺(とうへん)を/遠(とふ)ざかりて、/西廓(さいくわく)へのミ通ひけるが、 00048080M5太夫より/何(なに)一つくれたる事なければ、有時、わざと/懐(ふところ)をさ 00048090M6がし、心ぜき、たばこ入をわすれしといへば、太夫、おま 00048100M7へハたばこを/上(あが)りますかと/問(と)ふ。/客(きやく)、/烟草(たばこ)も/呑(の)ミ、/頭巾(づきん)も 00048110M8かぶると/云(いふ)た 00048120¥N7¥J 00048130¥X/六波羅(ろくはら)/狐(きつね) 00048140M11/都(ミやこ)六はらのほとりに/住(す)む/狐(きつね)あり。/容(かたち)十六七の(五ウ)(六オ挿 00048150M12絵)/娘(むすめ)にばけ、/諸人(しよにん)をたぶらかすこと、/下京辺(しもきやうへん)/沙汰(さた)しける 00048160M13が、さる/有徳人(うとくじん)の/息子(むすこ)これを聞、何とぞ見度ものと/朋友(ともだち)同 00048170M14道し、六/波羅野(はらの)をあなたこなたと/徘徊(はいくわい)せしが、むかふの方 00048180M15より、/年比(としのころ)十六七とおぼしき/娘(むすめ)、/緋(ひ)ぢりめんの/下着(したぎ)に、 00048190M16/紫(むらさき)ちりめんに/江戸裙(ゑとづま)もやうの大/振袖(ふりそて)、/容儀(ようぎ)いハんかたな 00048200M17くうつくしく、/供(とも)をもつれず/只(たゞ)ひとり、しとやかにあゆミ 00048210M18くるにぞ、/是(これ)こそ/彼狐(かのきつね)に/極(きハま)りぬといふ内、/次第(しだい)に/近(ちか)づく/顔(かほ) 00048220M19を見れバ、/遠目(とふめ)といへど/傍(そば)にてハ/猶(なを)うるハしく、/彼息子(かのむすこ)も 00048230M20/目(め)がれせず(六ウ)ながめゐたりしが、/娘(むすめ)も此男の/顔(かを)を打ま 00048240¥P143 00048250L1もり行過ぬ。/彼息子(かのむすこ)も/是(これ)に心をうバヽれ、何とそ娘に/得心(とくしん) 00048260L2させ、つれかへりて/宿(やど)の/妻(つま)にせん物と、引かへし/跡(あと)をした 00048270L3ひ行を、/朋友(ともだち)/興(きやう)をさまし、よく+/思案(しあん)せよ。あれハ/彼狐(かのきつね) 00048280L4に/極(きハま)りたり。/畜生(ちくしやう)を/妻(つま)に/持(もち)て、/世間(せけん)の/付合(つきあひ)成べきかと/諌(いさ)む 00048290L5れども聞入ず。たとへ/狐(きつね)にもせよ何にもせよ、あの娘より 00048300L6外に、女房を/持(もつ)/気(き)ハなひ。/是非(ぜひ)/同道(どうたう)してかへらんと/走(はし)り行 00048310L7しが、不/思儀(しぎ)やな、/今迄(いまゝで)こゝに有つる娘、行方しらす/消(きへ)う 00048320L8せけり。(七オ)/彼男(かのおとこ)も/本意(ほゐ)なけにあたりを見れ共見へばこ 00048330L9そ、/力(ちから)なく+かへりしが、夫より/病(やまひ)の/床(とこ)に/臥(ふし)、様&/医療(ゐれうを) 00048340L10/尽(つく)すといへども、/聊(いさゝか)もしるしなし。/唯(たゞ)/明暮(あけくれ)、/彼娘(かのむすめ)の事のミ 00048350L11/恋(こひ)しく思ふにぞ、/両親(ふたおや)も/不便(ふびん)には思へども、何を/当(あて)に/呼(よび)よ 00048360L12せ、/逢(あハ)せん/手(て)がゝりもなく、心を/苦(くるし)めゐらるゝ折ふし、 00048370L13中戸口より、頼ミませうと女の/声(こゑ)。いづかたよりお出なさ 00048380L14れしと/尋(たづ)ぬれバ、わたくしハ六はら/辺(へん)のものなるが、是の 00048390L15御/子息(しそく)様におめにかゝり、ひそ(七ウ)かに申上度事有りと 00048400L16いへバ、是こそむすこが/恋(こひ)しく思ふ女ならんと、/病家(びやうか)へ通 00048410L17しあハすれバ、むすこも/重(おも)き/顔(かほ)を上ケ、此女をつく※見 00048420L18て、そもじハ先年、六はら/野(の)にてあふた娘にハ/似(に)たれ共、 00048430L19其娘ハ十六七、そもじハ/四十(よそじ)にちかき/年恰好(としかつかう)、かた※以 00048440L20ていぶかししと云へば、私ハ其娘の/母(はゝ)でござります。娘も 00048450M1おまへに/別(わか)れしより、おもき病にふしなやミ、/今(いま)をかぎり 00048460M2と見へますれバ、モウ/退(のひ)てやつて下さりませ 00048470¥Y1軽口古満佐羅衛巻之三終(八オ) 00048480¥P144 00048490¥T1/軽口(かるくち)こまさらえ巻之四 00048500¥N1¥J 00048510¥X/唐物屋(とうものや)の/変宅(やどかへ) 00048520L5/唐物茶器(からものちやき)を/商(あきな)ふ/者(もの)あり。/宿替(やどがへ)の/後(のち)、いづくへ/引越(ひつこ)したるや、 00048530L6/行方(ゆきがた)しれず。人&ふしんしけるが、ある時下京/辺(へん)にて、/不= 00048540L7図(ふ=と)/行合(ゆきあひ)しゆへ、/是(これ)ハ+久しく見/請(うけ)申さず。いづ方に御く 00048550L8らし候やと/尋(たづ)ぬれバ、/拙者(せつしや)、/商売(しやうばい)の/勝手(かつて)に付、/唯今(たゞいま)は/伏見(ふしミ) 00048560¥G(三オ) 00048570M1/京橋辺(きやうばしへん)に/住居(すまゐ)仕ると/云(いふ)。それハ/辺土(へんど)(壱オ)への御/宅(たく)がへ。 00048580M2何ゆへと/尋(たづ)ねたれバ、とかく少しにても/漢土(から)へ近き方へと 00048590M3ぞんじ 00048600¥N2¥J 00048610¥X/蛇(じや)之介 00048620M6いたつて/酒好(さけずき)あり。/蛇(じや)之助と/異名(ゐめう)せしが、壱斗弐斗くらゐ 00048630M7/飲(のま)せてハ/素面(すめ)/同前(どうぜん)ゆへ、かれが/足納(たんのう)する程のませ見たき物 00048640M8と、ある時/呼(よび)よせ、其方に/酒(さけ)を/呑(のま)すべし。何ほどにても/望(のぞ) 00048650M9ミの/程(ほど)を申べしといへバ、/此者(このもの)大きに悦び、/夫(それ)は何よりも 00048660M10/忝(かたしけな)し。/迚(とても)の事/垂腹(たらふく)(壱ウ)御/振廻(ふるまひ)下さらバ、/先(まつ)壱/石(こく)/斗(ばかり)御の 00048670M11ませ下されよといふ。/皆&(ミな+)おどろき、其方、何ほど酒を/好(すく)と 00048680M12いふ共、わづか五尺の/体(からだ)に壱石と云酒の入る/処(ところ)なし。つも 00048690M13りもなき事をいふ者哉といへば、/給得(たべゑ)ずハ/酒代(さかたい)、/拙者(せつしや)/相弁(わきまふ) 00048700M14ふべしと/丈夫(ちやうぶ)に/請合(うけあふ)ゆへ、/然(しか)らば/呑(のま)せてみんと/酒屋(さかや)へ/言付(いゝつけ)、 00048710M15壱石入の/桶(おけ)に酒を/詰(つめ)させあてがへば、此男/丸裸(まるはだか)に成、/彼桶(かのおけ) 00048720M16にのぼり、中へざんぶと/飛込(とびこ)ミ、がふ※とのミては、う 00048730M17まし+と/舌打(したうち)する事、やゝ時をうつしぬ。(二オ)しかる 00048740M18に/最前(さいせん)より/物音(ものおと)聞へねバ、もしや/酔死(ゑいしに)などいたさずやと、 00048750M19ひそかに/桶(おけ)のうちをさしのぞき見れば、/片(かた)すミにて、ふん 00048760M20どしを/絞(しぼ)つてゐた 00048770¥P145 00048780¥N3¥J 00048790¥X/料理(れうり)あらそひ 00048800L3/日待(ひまち)に、/素人(しろうと)/浄(じやう)るり、/三味線引(さミせんひき)/同道(どうだう)にて/頼(たの)ミけるが、/翌日(よくじつ) 00048810L4右の礼に、両人へとして、見事成/鯛(たい)一/枚(まい)/送(おく)りける。打より 00048820L5/是(これ)を/肴(さかな)にして一/献(こん)/給(たべ)んとて、此/鯛(たい)を/生姜酢(しやうがず)にせんと云。一 00048830L6人、いや/潮煮(うしほに)がよからんといふ。/互(たがひ)に/其論(そのろん)やまずして、(二 00048840L7ウ)(三オ挿絵)/後(のち)にハ/高声(かうしやう)に/云(いゝ)あらそひけるを、/隣(となり)の/親父(おやぢ)聞 00048850L8付、何事を両人はせり/合(あハ)るゝ事と/尋(たづぬ)るゆへ、右の/次第(しだい)を/語(かた) 00048860L9るにぞ、扨&それを何ンの/口論(かうろん)におよぶ事、/拙者(せつしや)にめんじ、 00048870L10/中直(なかなを)りしてくれられよと/愛拶(あいさつ)するにぞ、両人も/諍(あらそ)ひをやめ、 00048880L11/和談(わだん)に/及(およ)びけれバ、/親仁(おやぢ)も悦び、いざ+/中直(なかなを)りの/盃(さかづき)を 00048890L12はじめん。扨此/鯛(たい)ハ/生姜酢(せうがす)にも/潮煮(うしほに)にもせず、/中(なか)とつて/煎(いつ) 00048900L13ておきや。シヤン+ 00048910¥N4¥J 00048920¥X/埋木(むもれぎ)の/辞世(じせい)(三ウ) 00048930L16/夜盗(よたう)、/罪(ざい)きハまり、すでに/首(くび)を/刎(はね)られんとする/期(ご)に/及(およ)んで、 00048940L17御/役人(やくにん)へ/願(ねが)ひけるハ、/最期(さいご)の/思出(おもひで)に/辞世(じせい)をのこし申たし。 00048950L18/硯(すゞり)を仰付られ下されよといふに、御/聞届(きゝとゞけ)有て、御/懐中(くわいちう)の/矢= 00048960L19立(や=たて)に/紙(かミ)をそへ下されけれバ、/筆(ふで)をとりて、 00048970L20△△△むもれ/木(ぎ)の/花(はな)さく事もなかりしに 00048980M1△△△△/身(ミ)のなる/果(はて)はあはれ成けり 00048990M2かくしたゝめさし出せバ、御役人/再吟(さいぎん)あり。是は/三位(さんミ)/頼政(よりまさ) 00049000M3が/辞世(じせい)にして、/普(あまね)く/世(よ)に/知(し)る所なり。(四オ)/是(これ)を/汝(なんぢ)が/辞世(じせい) 00049010M4也とハ心得ずと御たづねあれバ、是が/今生(こんじやう)の/盗(ぬす)ミおさめで 00049020M5ござりますと言た 00049030¥N5¥J 00049040¥X/鼠(ねづミ)の/生捕(いけどり) 00049050M8かゝへの/女郎(ぢよらう)、/身仕廻(ミじまひ)してゐる/折(おり)ふし、うしろの/箪笥(たんす)の引 00049060M9出しの内、何やらごと+と/音(おと)するゆへ、よく+聞バ、 00049070M10いつの/間(ま)にか/鼠(ねづミ)入て、/着(きる)物をかじる/音(おと)す。いかゞしてつか 00049080M11まへんと/工夫(くふう)してゐる所へ、まハし男/来合(きあハ)せ、どれ+、 00049090M12/生捕(いけどりに)せんと大/風呂敷(ふろしき)を/引出(ひきだし)にあて、そつと/小口(こぐち)を引出せば、 00049100M13/鼠(ねづミ)のがれんと/飛(とび)(四ウ)出るを、やにハに風呂敷にてつゝミ 00049110M14とれば、にげんと思ひ、風呂敷をかぢるにぞ、まハし男が 00049120M15いふ。いつそ、うちころそかいと云へば、/女郎(ぢよろう)、それも/質(しち) 00049130M16に取るかへといふた 00049140¥N6¥J 00049150¥X/深夜(しんや)の/雪隠(せつゐん) 00049160M19/高禄(かうろく)を/領(れう)ぜられし/去御家(さるおんいゑ)の/家老職(からうしよく)なるが、/生得(しやうとく)/臆病(おくびやう)にし 00049170M20て、/関東(くわんとう)の/勤(つとめ)も成がたく、/国隠居(くにゐんきよ)を/願(ねが)ハれ、/従者(じうしや)/纔(わづか)に/召遣(めしつか) 00049180¥P146 00049190¥G(六オ) 00049200L13ひ、/世(よ)を/安楽(あんらく)に/暮(くら)されけるが、/或夜(あるよ)/丑満比(うしミつころ)、/俄(にわか)に/厠(かわや)へ参ら 00049210L14れたく思(五オ)ハれけれ共、/例(れい)の/臆病(おくひやう)ゆへ、ひとり行んも 00049220L15/底気味(そこきミ)/悪(わる)く、/辛抱(しんほう)も成がたけれバ、/是非(ぜひ)なく/内室(ないしつ)を/起(おこ)され、 00049230L16何とぞ/付添(つきそひ)/来(き)てくれよと申されけれバ、/内室(ないしつ)其まゝ/起出(おきいで)、 00049240L17/手燭(てしよく)に火をてんじ、/椽(ゑん)づたひに/雪隠(せつゐん)へ/伴(ともな)ハれける。折ふし 00049250L18/其夜(そのよ)は風はげしく、/樹&(き※)の/音(おと)どふ※と/物凄(ものすご)く、/厠(かわや)の内に 00049260L19て、ふるい+ゐられしが、折&ハ、/奥(おく)、それにゐらるゝ 00049270L20やと、ことバをかけられしゆへ、是にひかへ参らする/間(あいた)、 00049280M1御心をたしかに、やうじを御とゝのへ候へと、こたへ(五ウ) 00049290M2(六オ挿絵)られし/故(ゆへ)、すこしハ/安心(あんしん)せられしが、あまり風 00049300M3はげしく、/立具(たてぐ)の/音(おと)までさハがしければ、奥、それにかと 00049310M4/尋(たづね)らるゝ。御/気遣(きづか)ひし給ふなとこたへらるれば、其方ハ此 00049320M5物すごき/夜(よ)、ひとりそれにゐらるゝ事、おそろしくハ思ハ 00049330M6ずやと/尋(たつね)らるゝ。/屋(や)の内の事なれバ、すこしも物すごふハ 00049340M7存ぜずとこたへられければ、/主(あるじ)もかんじ入、/流石(さすが)は/武士(ぶし)の 00049350M8/妻(つま)ほど有ると申された 00049360¥N7¥J 00049370¥X/尾上(おのへ)/梅幸(ばいかう)(六ウ) 00049380M11/四条(しでう)/北側(きたかハ)の/芝居見物(しばいけんぶつ)に/行(ゆき)しが、人&/評(ひやう)判せしハ、/当時(とうじ)/尾上(おのへ) 00049390M12/菊(きく)五郎ハ/日本立役(につほんたちやく)の/惣巻頭(そうくわんどう)。いつミても花(はな)やかにして、し 00049400M13かも/芸風(げいふう)/賎(いやし)しからず。/落付(おちつい)て見ごたへがござるといへば、 00049410M14一チ人申やう、其はづでもござる。もはやよい年でござれ 00049420M15バといふ。/最(も)う六十/近(ちか)うもござろかいといへば、つがもな 00049430M16い事。先年/海老蔵(ゑびざう)がつれて下りしも、三十/年(ねん)/餘(よ)に成ますれ 00049440M17バ、七十に手が/届(とゞ)きまするといふ。それハ貴様の心得(七 00049450M18オ)ちがひ。其時ハやう+/二十(はたち)そこらの時なれば、六十 00049460M19にハまた間がござろと、/年(とし)ぜんさく/最中(さいちう)に、/花(はな)道の/幕(まく)さつ 00049470M20と/開(ひら)き、五十四引と云た 00049480¥P147 00049490¥Y1軽口こまさらへ四之巻終(七ウ) 00049500¥T1/軽口(かるくち)/駒佐郎(こまさら)ゑ巻之五 00049510¥N1¥J 00049520¥X/途中(とちう)の/持病(ぢびやう) 00049530M4さる方の/内儀(ないぎ)、ぢびやうに/積気(しやくき)ありしが、おこりし時/銅(あかゞね) 00049540M5をなめさすれバ、さつそくおさまりけり。ある時/寺(てら)参りせ 00049550M6んと、下女一人めしつれ、/真如堂(しんによだう)へと出かけられしが、東 00049560M7川原をすぎ、/田(た)の/畦(あぜ)道を/行(ゆ)かれけるが、/俄(にわか)に/持病(ぢびやう)さしおこ 00049570M8り、/大地(だいち)にたをれ、/正気(しやうき)をうしなひけれバ、(一オ)下女、 00049580M9大きにおどろきけれども、/途中(とちう)といひ、ことに/前後(せんご)に人の 00049590M11/往来(ゆきゝ)も見へねば、すべきやうなく、/兎(と)やせん/角(かく)やと思ふ折 00049600M12ふし、むかふのかたより、年の比六十斗なる/侍(さふらひ)、下人ひと 00049610M13り召つれ、此/道筋(ミちすぢ)を通りかゝられけるが、此/体(てい)を見て気の 00049620M14どくにや思ハれけん、/懐中(くわいちう)の/薬(くすり)などあたへられけれども、 00049630M15さらにしるしなし。しかるに此/侍(さふらい)、/糸(いと)びんのやくハんあた 00049640M16まなるを、ふとおもひ付、下女ねがひけるハ、此病人、持 00049650M17病おこりし時、つね※/銅類(あかゝねるい)をなめさすれバ、さつそく 00049660M18/正気(しやうき)つき(一ウ)候也。しかるに其御方様御つむり、御なめ 00049670M19させ下さらバ、やくわんなどゝぞんじて正気付くまじき物 00049680M20でもなし。一人御たすけと思召し、しバらく御つむりを御 00049690¥P148 00049700¥G(三オ) 00049710L13/借(かし)下さらバ、何ほどか有がたく在るよし、よぎなく頼むに 00049720L14ぞ、めいわくながら、なん義のほども見すてがたく、いか 00049730L15やうとも心にまかすべしと申されけるにぞ、下女ハ悦び、 00049740L16病人をかきいだき、/侍(さふらひ)の/天窓(あたま)をなめさすれバ、一口なめる 00049750L17より正気つき、しか+のやうすを聞、大におどろき、両 00049760L18人ともあつく一礼してわかれぬ。/程過(ほどすぎ)て(二オ)かの侍、あ 00049770L19たましか+いたミけるゆへ、/疵(きず)付けるやと、下人に見せ 00049780L20られけるが、下人申けるハ、少&/疵(きず)見へ候へども、/洩(もる)ほど 00049790M1の事ハ有まじきよし申た 00049800¥N2¥J 00049810¥X/友達(ともだち)の/噂(うわさ) 00049820M4何と六兵衛。此中ハまちがふて/遠(とふ)※しいが、かハる事も 00049830M5ないか。扨八兵衛が事を聞ハ、此ほど/頓死(とんし)したげな。かね 00049840M6※/死(し)ぬるならバ、一日もわづらハず/往生(わうじやう)したいものと、 00049850M7つね※/願(ねが)ふてゐたが、/望(のぞミ)のごとく/頓死(とんし)したげな。さぞ、 00049860M8(二ウ)(三オ挿絵)/生(いき)ておつたら、じまんしをるで有ふ 00049870¥N3¥J 00049880¥X/葬礼(そうれい)の/物数奇(ものずき) 00049890M11/去有徳人(さるうとくじん)、/曲輪(くるわ)のかよひしげく、/昼夜(ちうや)わかちなく/入込(いりこま)れし 00049900M12が、/常&(つね+)/手代(てだい)共へ申置れけるハ、/我(われ)もし/死(し)なバ、/葬礼式(さうれいしき)成 00049910M13たけ/立派(りつは)に致すべし。扨又くるわより、/泣人(なきて)/女郎(ぢよろう)卅人/呼(よび)よ 00049920M14せ、/出棺(しゆつくわん)の節、一同に/声(こゑ)をあげ/泣(なか)すべしと、一&申付置 00049930M15れけるが、其秋の/末(すゑ)つかた£、/虚分(きよぶん)の/症(せう)にて、/医療(ゐれう)手をつ 00049940M16くせどもしるし(三ウ)なく、つゐに/黄泉(くハうせん)の/新客(しんきやく)とぞなられ 00049950M17にける。かくて/葬送(のおく)りをいとなむ日にいたりて、かね+ 00049960M18/遺言(ゆいごん)なれバとて、/万事(ばんじ)花やかに/葬式(さうしき)を/用意(ようゐ)し、扨かのくる 00049970M19わへ、/随分(ずいぶん)よく/泣(なく)女郎を卅人申つかハしけるが、すでに/葬(さう) 00049980M20の/時刻(じこく)近づけども、/泣人(なきて)来らず。手代ども気をもミ、たひ 00049990¥P149 00050000L1+人を以て申つかハしけるに、やう+/泣(なき)女郎二十五人 00050010L2相とゝのひ候へども、今五人/揃(そろ)ひがたしよし、/返事(へんし)しけれ 00050020L3バ、/番頭(ばんとう)申けるハ、今に(四オ)/至(いた)りて左様の/返(へん)じ、不/届(とゞき) 00050030L4也。しかし、とやこふ/隙(ひま)とりてハ/間(ま)に合ハず。然らバ/泣(なき)女郎 00050040L5二十五人、のこり五人は/仲居(なかゐ)てもくるしからずと申遣した 00050050¥N4¥J 00050060¥X/三本木(さんぼんぎ)の/参会(さんくわい) 00050070L7/田舎(いなか)の人、京/逗留(とうりう)の中、ある日三本木へふるまハれ、ゆか 00050080¥G(六オ) 00050090M1れけるが、よく日/去(さる)人に出合ひ、きのふは三本木と申所へ、 00050100M2はじめてまいりしが、/殊(こと)の外ちそうにあひ、/夜(よ)に入まであ 00050110M3そび(四ウ)かへりしよしをはなされける。それはよきなく 00050120M4さミにて有らん。/料理(れうり)ハ何&にてありしぞと、たづねけれ 00050130M5ども、/田舎人(いなかびと)にて、つと※/返答(へんとう)出かねしゆへ、まつ※ 00050140M6/汁(しる)ハ何をつかハれ候やととへば、/〆治(しめぢ)に/小鳥(ことり)のやう成もの 00050150M7をあしらひしといふ。むかふハととへバ、むかふハ、/河原(かわら) 00050160M8でござつたと云ハれた 00050170¥N5¥J 00050180¥X/茶人(ちやじん)の/黙礼(もくれい) 00050190M11/商人(あきんと)の手代、二人つれにて行け/((る脱カ))が、むかふ(五オ)より年比 00050200M12五十あまりの/人品(じんひん)よき/禅門(せんもん)/来(き)たり、かの壱人の手代に/愛拶(あいさつ) 00050210M13して行すぎけるが、今一人の手代、あれハ/何人(なにひと)成そととへ 00050220M14ば、/遠州流(ゑんしうりう)の/茶人(ちやじん)也と云。扨&貴様ハ/至(いた)つた人に近付あり。 00050230M15茶にて/付(つき)合せしかととへば、イヤ、/湯(ゆ)にて付あふと言た 00050240¥N6¥J 00050250¥X/手代(てだい)の/答話(たうわ) 00050260M18去方の手代、/遊所(ゆふしよ)の通ひしげく、/主人(しゆじん)、/度&(たび+)/異見(ゐけん)におよバ 00050270M19れけるにぞ、此後ふつ+(五ウ)(六オ挿絵)通ひ申まじ。是 00050280M20までの不/埒(らち)、御ゆるし下さるべしと、わひけるにぞ、主人 00050290¥P150 00050300L1も/仁心(じんしん)ふかき人にて、/然(しか)らバ此/後(のち)をきつと相たしなむべし 00050310L2と言付置かれける。ある時/大谷(おほたに)参りの/下向(げかう)、下河原より/祇= 00050320L3園(ぎ=おん)の/社(やしろ)へ/参詣(さんけい)し、かへりがけ/縄手(なわて)を上へ来かゝれしが、/大= 00050330L4和橋(やま=とばし)/辺(へん)にて、くだんの手代、ほろ/酔(ゑい)の/姿(すがた)にて、/中居(なかゐ)の手を 00050340L5引来りしが、主人を見るより/当惑(たうわく)せしが、わさとさハらぬ 00050350L6/体(てい)にて、/傍(そば)へより、是ハ+珍らしや。(六ウ)其後ハやゝ 00050360L7久しく御/意(ゐ)/得(ゑ)ず。さて+御とふ※しく/打過(うちすき)ぬ。まづ 00050370L8+御/息才(そくさい)の様子見うけ、珍重に存るなどゝ/挨拶(あいさつ)すれは、 00050380L9主人も一/向(かう)あきれはてゝ、/詞(ことば)なく行過られけるが、さて 00050390L10+にくきふるまひかな。すぐにいとまをつかハすべくと 00050400L11ハ思ハれけれども、一たんかへるを待て/最前(さいぜん)の/言分(いひぶん)のほど 00050410L12も、とくと/糺(たゞ)しみんと、ねもやらす待たれけるが、/夜半(やはん)の 00050420L13比、/表(おもて)をほと+たゝく(七オ)/音(おと)す。主人/直(ぢき)に/呼(よび)付、重& 00050430L14不/届(とゞき)なるうへ、/先刻(せんこく)/途中(とちう)にて我にあひ、やゝ久しく御/意(ゐ)/得(ゑ) 00050440L15ず、とふ※しきなどゝのたわ言。何事やらんと申されけ 00050450L16れバ、手代、すこしもさハがす、されバ候。あそこで御め 00050460L17にかゝるが百年目なれバと申ける 00050470¥Y1軽口こまさらゑ巻之五終(七ウ) 00050480¥Q 00050490M4△△△△△江戸△日本橋通南三丁目△前川六左衛門 00050500M5安永五年申正月 00050510M8△△△△△大坂△心斎橋北詰△和泉屋卯兵衛 00050520M10△△△△△京△△二条通富小路西へ入町△野田藤八板 00050530¥P151 00050540¥U噺本大系△第十巻 00050550¥T/年忘(としわすれ)/噺(はなし)/角力(すもう)〔題簽〕 00050560¥G 00050570¥Y 00050580L16安永五年正月刊 00050590L17岡本対山序△無尺舎下物跋 00050600L18竹原春朝斎画 00050610L19大坂△渋川久蔵板 00050620L20半紙本五巻五冊 00050630¥G(一ウ・二オ) 00050640¥P152 00050650¥Y序 00050660L3吾妻の百物かたりハもの凄く、在郷の茶のみ噺は賎しく、 00050670L4京の目利はなしハ貪るに似たり。爰に浪華の風流家、噺に 00050680L5すまふとらせむと、やくらに一声をあくれは、好き人のめ 00050690L6ん+、日夜に(二ウ)舌頭のしこ踏かため、既にうるハふ 00050700L7師走朔日、春は山ふき咲なる大江屋の、土俵にいりて手を 00050710L8あハせ、しつとんとん+ヨウイヤナと、ちからあしとゞ 00050720L9ろく東西の行司は、木むらしやくしの徒にハあらて、(三オ) 00050730L10毛のない天窓に付髪して、神風吹なひく、やまと扇しやに 00050740L11かまへ、双方顔を見合てと、身かまへする今日の結ひはし 00050750L12め 00050760L14△△△△△△△△△△△△△△浪華△対山G 00050770L17△△△両考五十章巻頭より次第におく 00050780L18△△△但し合しるしにてこれをわかつ 00050790L19△△対山考△▽合印△△△△下物考△○合印△(三ウ) 00050800¥T1年忘噺角力巻一 00050810¥N1¥J 00050820¥X○画工の機転△△△△△△△△△△¥A瀬川 00050830M5去ル方に、表具師をかねたる画工有けるが、ある日一人来 00050840M6りて、あんないをこふ。画工立出見るに、四十過たる/人物(しんぶつ) 00050850M7らしき男なり。何の御用といへバ、絵を少しお頼申たし。 00050860M8何でかなござります。イヤ、壱まいハくちなわと、一まい 00050870¥G(十一オ) 00050880¥P153 00050890L1ハ/猿(さる)とかいて下され。/畏(かしこま)りましたが、めづらしいおものず 00050900L2きてござりますナア。されハ、是ハかの今はやる十二支の 00050910L3七つ目にて、則(四オ)/拙者(せつしや)ハ寅のとし、女共ハいのとして 00050920L4ござるゆへ、二幅ついにいたして、/常掛(じやうがけ)にいたしておくつ 00050930L5もりにて、とあれバ、画工あなた、御子さまハござりませ 00050940L6ぬか。もし申のとしの御子があらバ、/鵺(ぬえ)一疋で済まするが 00050950L7ナア 00050960¥N2¥J 00050970¥X▽升がへし△△△△△△△△△△¥A可子 00050980L10小づめの女房、同しこづめの女房を門口からさそふて、お 00050990L11きくさん。こちの/芝居(しばい)で見残しておいた二つ目、見にゆく 00051000L12が、お出んかへ。おきくマア先へお出。そしたら、いてく 00051010L13るぞへと、しばゐへ行。しばらくして帰り、又くたんの 00051020L14(四ウ)門口から、おきくさん、よふお出なんだのといへハ、 00051030L15ヲヽはやかつたな。こちの人ハどふじやなと尋れば、こゝ 00051040L16なかへ。今切れてじやあつたといへば、アヽめしたこ 00051050¥N3¥J 00051060¥X○辻堂わかれ△△△△△△△△△△¥A菅水 00051070L19/俄雨(にハかあめ)に辻堂へはしりこミ、/旅人(たひひと)同士かほ見合、ヱ、太郎兵衛 00051080L20さまか。コレハ八兵衛。どちへ。ハイ、ざいの一つ家から 00051090¥G(巻二・十一オ) 00051100M13急用のよしでよびにまいりましたゆへ。フム、おれも大和 00051110M14の/甥(おい)が所へいたもどりがけじや。これハ私も帰りがけなれ 00051120M15バおとも申ませうに、扨と/珍(ちん)なしろものが(五ノ十オ)こざ 00051130M16りますハい。フン、後家でござりますが、先つきりやうハ 00051140M17よし、かうとゝ指折て、いかさま、かねが廿ばかりあるて 00051150M18ござりませうが、其くせ/粋(すい)で、とうぞ男気な/実体(しつてい)な人があ 00051160M19らバと申ます事ゆへ、おまへさまのかねての御注文にも。 00051170M20ソレハ耳よりと、たがいにたばこつきかへゐるうち、雨や 00051180¥P154 00051190L1ミて、そらはれる。八兵衛ヤ、はれました。私ハ急な用事 00051200L2を思ひたしました。モウお別れ申ます。アイヤ、今のしろ 00051210L3ものハいくつぐらいじや。アイヤ、立ながらてハ、おはな 00051220L4しなりにくひ。かへりまし(五ノ十ウ)(十一オ挿絵)たら、お 00051230L5まへさまへさんじませう。おしづかにお出なされませとい 00051240L6ひ+わかれ出ると、そんならいかしやるか。ヱヽ、/邪魔(しやま) 00051250L7な/晴(はれ)やうじや 00051260¥N4¥J 00051270¥X▽山中の日くらし△△△△△△△△△△¥A左又 00051280L10/飛(ひ)きやく、山中を急きゆくに、向ふの方ざハ+として、 00051290L11大イのうハばみ、松の/根(ね)より木すへをさしてのほる。ひき 00051300L12やく大におとろき、身をあとへよせたゝすミしが、うハば 00051310L13ミハ、くびをのべたりちゝめたり、たちさらねバ、飛脚い 00051320L14よ+せんかたなく、通りも得せず(十一ウ)たゝずむ。わ 00051330L15きからかいるがとんで出て、手をつかへ、日もばんけいに 00051340L16およびます。今日ハこれぎり 00051350¥N5¥J 00051360¥X○家来の年忘△△△△△△△△△△△¥A卜古 00051370L19/西照庵(さいせうあん)参会に友とち四五人、/膳後(せんご)のさけ、ひま入たるゆへ、 00051380L20供のもの、まちたいくつして申合せ、近所ぞめきに行ける 00051390M1あとにて、いつれもお立と、げんくわんへいでけるが、/僕(ぼく) 00051400M2一人も見へず。せひなく、惣+げんくハんに打寄り、供 00051410M3の帰りを待ゐれ共、やゝしバらくすれ共かへらず。さて 00051420M4+、ともを待のもたいくつなものとて、旦那を待のハ 00051430M5(十二オ)さぞあらんと、是でおもひ知つたり。定てあま寺 00051440M6へかなゆきつらん。いつそ酔さましがてら、家来迎ひにゆ 00051450M7こふか。コリヤよかろうと、うちつれ出ゆきけるが、むか 00051460M8ふより、S竹にサア/雀(すゝめ)ハナアヽヨと、高声にてうたひつれ 00051470M9てかへりけるが、旦那を見るより、スワヤお立と、めい 00051480M10+てうちんともし、先にたつてかへるに、/大酩酊(めれん)にて、 00051490M11なんと半助。アノ三かわやの亀めが浄るりハ、とんと綱太 00051500M12しやナ。イヤ+、六介や。おれハ後の石で三つ四つきめ 00051510M13たて、何ンにもおほへなんだ。はしめのひそ+声が、段 00051520M14+(十二ウ)大キなり、われをわすれての高噺し。さて 00051530M15+、けふハヱライとしわすれした事。旦那共の遊ひしや 00051540M16とて、別に仕ようもあるまいてや。待てよ。三イ四ヲ五ツ、 00051550M17よし+。皆そらふているかと、あとふりかへりて、コリ 00051560M18ヤ、ミな来るかよ 00051570¥N6¥J 00051580¥X▽千鳥足△△△△△△△△△△△△△△¥A文楽 00051590¥P155 00051600L1ある寺の/和尚(おしやう)、おとこをよび付、これハ/俗(そく)らしい事なれど、 00051610L2春ハはなにひかれて人の来るものじや。こちのあのさくら 00051620L3に/蜘(くも)のすでもあらバ、ずいぶん取て、(十三オ)あたりもそ 00051630L4うじが大事じやといひ付られしが、その日のゆふぐれ、く 00051640L5だんの男、竹ぼうきをもち、さくらの枝をめかけかゝる所 00051650L6を、/納所(なつしよ)坊ンとんで出て、男をうしろだきにだきとめ、コ 00051660L7リヤめつそふな。入あいのなるさへ、ハア+おもふてい 00051670L8るのに 00051680¥N7¥J 00051690¥X○住吉詣△△△△△△△△△△△△△△△¥A東 00051700L11去ルもの、住よしへさんけいしたるよし、四のミやより本 00051710L12社へ拝しめくる。かたハらなる伊勢太神宮の/遥拝所(ようはいしよ)へ行て、 00051720L13おかまんとせしが、せまき所にて、(十三ウ)さきに拝しい 00051730L14る人が、ヱヘン+とせきばらひした 00051740¥N8¥J 00051750¥X▽無筆女郎△△△△△△△△△△△△¥A一梅 00051760L17しまの内へ出た女郎、よつぽどきりやうハよかつたか、無 00051770L18筆なが疵になつたか、なんば新地へしかへられて、此間か 00051780L19ら出ているに、おやかたのうちへ、なしミの客から状がく 00051790L20るに、れいのとをり、へんじする事かなハず。申、おへさ 00051800M1ん。其文よんで、どふなりとへんじかいてやつておくれ。 00051810M2わたしや今、身しまいじやといへハ、置やのかゝ、アノ子 00051820M3ハめつそふな事いふ子しや。なしミのお(十四オ)きやくに、 00051830M4外の手てかいてやつてすむものかいのといへバ、女郎、な 00051840M5んのいな。むかいがハとこゝと、所がちかふもの 00051850¥Y1噺角力一巻終 00051860¥Q 00051870M8△△△噺角力二編目 00051880M10△△△△△/立春(りつしゆん)/噺(はなし)/大集(おほよせ)△△△全部五冊 00051890M11△△△右ハ跡会の外題にて御坐候。随分新趣向 00051900M12△△△御噺御恵投奉希候△△△△△△△△△△(十四ウ) 00051910¥P156 00051920¥T1年忘噺角力巻二 00051930¥N1¥J 00051940¥X▽四文銭△△△△△△△△△△△△△△¥A大梁 00051950L5/隠居(いんきよ)、生玉辺から寺かけて出らるゝに、でつちを/呼(よ)び、コ 00051960L6リヤ、此はやミち、われがさげていけ。此中に四文ぜにと、 00051970L7つねのぜにが入てある。つかひ銭にこゝろをつけい。つい 00051980L8へのないよふに。又こじきにハとんとやるなといひ付て、 00051990L9つれて出れしが、方+あるきて、水茶屋の足やすめ。サ 00052000L10アいこと、休所を立しな、/丁児(でつち)こゝろへ、茶のぜに、四文 00052010L11ぜに一文と、(壱オ)つねのぜに二文とやりけれバ、隠居、 00052020L12こゝろのうちに、よし+と打うなづき、扨大師さまへま 00052030L13いらるゝと、でつち、さいせんに四文ぜに壱文なげけれバ、 00052040L14隠居、これを見て/思案(しあん)して、ワレもおがめ 00052050¥N2¥J 00052060¥X○苗字違ひ△△△△△△△△△△△△△¥A住十 00052070L17よしとよミたるなにハかたに、むかし男有ける。宮/仕(つか)へし 00052080L18て、其身まゝならねども、いろごのミにてぞ有けり。同し 00052090L19家に侍る、かたちうるハしきにあらねと、心おかしけなる 00052100L20女と、人しれず契りけり。あふ夜重る(壱ウ)につけて、只 00052110M1ならぬ身とハなり侍るに、斯ハ成りけりと男に告るに/驚(おとろ)け 00052120M2共、今更うしと見しむかしのつらかりし世を、こひしくぞ 00052130M3思ひける。よついつゝのころにもなりいたれば、よその見 00052140M4る目もびんなくて、女のたらちねに、此よしをかたり、何 00052150M5となくいとま乞ハせ侍りつゝ、男のしるべあづけけり。月 00052160M6もみちぬある日、/気(け)つきてふつかと申に、いまた産れざり 00052170M7けれバ、女ハくるしみ、あたりの心づかい、思ひやるべし。 00052180M8かの女を、ひめもすよもすから、後ロよりいだきて、気を 00052190M9張よ+と力付いたり。/孕(はら)ミ女のくるしき余りに、中山さ 00052200M10ま(二オ)+といへバ、何の、此中で文七を/誉(ほめ)る所カイと 00052210M11/呵(しか)る 00052220¥N3¥J 00052230¥X▽粋自慢△△△△△△△△△△△△△△¥A丁林 00052240M14そちの息子めが、いかふすいがるけれと、髪のゆひよふも 00052250M15てつへき大八といふよふなあたまじや。今ハわげを細うし 00052260M16て、江戸流がすいじやのにと聞て、なんじや。こちのむす 00052270M17こめが事か。そりや、こなたが久しうあいつにあハぬによ 00052280M18つてしや。此間のあいつが髪を見るのに、ほそい所しやな 00052290M19い、あるかないかじや 00052300¥P157 00052310¥N4¥J 00052320¥X○殿上人の執心△△△△△△△△△¥A菅水(二ウ) 00052330L3アル/殿上(てんしやう)人、御てうあいの美人ニわかれさせ給ひてより、 00052340L4明ケくれなげきにしつませられ、病ふの床に打ふし給ふゆ 00052350L5へ、/典薬(てんやく)立かわり/療(れう)治に心をつくさるゝといへども、印な 00052360L6く、一人の老医、あんをめくらして、/殿下(との)の御/病根(ひやうき)も、も 00052370L7とハ彼美人に別れ給ふ故なれハ、かれに似たる絵すがたを 00052380L8かゝせ、御なぐさめ申さバと有に、是ハ尤と、京中の画工 00052390L9をめされ、此よし仰出され、おい+さし上ケ、御らんに 00052400L10入といへ共、御心にかなハすしていかゞと心いためいる所、 00052410L11江戸表住居いたす画工の名人、去屋敷がたへかゝへられゐ 00052420L12るよし、此絵はなの(三オ)つぼミをゑがき、/陽気(ようき)をうくれハ、 00052430L13忽ち花ひらくよし。又人物なとにても心通すれば、かたち 00052440L14ぬけ出て、ことばをかハす事ありと、ちうしんするものあ 00052450L15り。夫ハさいわいの事とて、早速その主人へ御使者を立ら 00052460L16れ、有のよしを申入ての御しよもうに、やごとなき方の仰 00052470L17ゆへ、数日を経す、使しやとうりうの間に、さいしきとも 00052480L18に仕上てさしあげらるゝ。使者、夜を日についで京に帰り、 00052490L19さつそく御覧に入奉りし所に、ことの外、御意に叶ひ、扨 00052500L20+見事也。中+絵とハ思ハれず。しバらく見入給ふに、 00052510M1アヽラふしぎや、申上しに違ハず、彼(三ウ)絵ぬけ出て、 00052520M2御そばちかくあゆみよるに、ぞつとする程のよい器量なれ 00052530M3バ、たちまち御/快(こゝろよ)き顔バせにて、うつゝぬかせたまひて、 00052540M4思ハずも御枕をあけられ、ヤア/そな((ママ))もの。はる※の所を 00052550M5よく来れるものかな。是よりやつかれが、身近くめしよ 00052560M6せつかハんぞ。サアマア、此しとねの上へ来れ。ゆるす 00052570M7+と手とり給へハ、ふり/放(はな)し、画姿ばかつらな。なんの 00052580M8事た。こな、はつつけやらうめが 00052590¥N5¥J 00052600¥X▽もとの麓△△△△△△△△△△△△△¥Aウニ 00052610M11むせうに/風雅(ふうが)がる友二三人打つれ、芝居でハないぞや。兎 00052620M12(四ノ十オ)角さびしひ野辺の事と、方+ありきて、/嵯峨(さか) 00052630M13へ出しが、とある家居をのぞけハ、きれいなる/藁(わら)ぶきに片 00052640M14びさし、すいがきより内を見れバ、床の間に/束帯(そくたい)の画のか 00052650M15けもの前に、このミなと備へ、うらやかなる小女の声聞ゆ 00052660M16る。是こそやことなき人の浮世を思ひすてゝ、かゝるあや 00052670M17しの賎か里に住居なしたるならめと、ひたすらゆかしく、 00052680M18みな+たゝすミいる所へ、四方/髪(かミ)に一こしさし、童子二 00052690M19三人うちつれ帰る。是こそ、めのとなどいふ人ならめと、 00052700M20其人の袖をひかへ、不礼なからお尋申ます。此おやとりハ 00052710¥P158 00052720L1いや高き雲の(四ノ十ウ)(十一オ挿絵)上人のうきよをはかな 00052730L2くおもひとりて、かやうに住ませ給ふにてあるべしといへ 00052740L3ハ、四方かミの人、つこど声にて、今の世ニそんな事ハ御 00052750L4ざらぬ。身ハ爰のていしゆでござるといゝすててはいりぬ。 00052760L5三人共思ハく違ひ、是ハきやうといおもハくの違ふた事と 00052770L6つふやきて、よふ思へバ、けふハ廿五日 00052780¥N6¥J 00052790¥X○木魚の音△△△△△△△△△△△△△¥A昇武 00052800L9さる禅僧、かくし妻をこしらへて、程なく子をもふけ、し 00052810L10るべの/嚊(かゝ)に/養育(よういく)をたのミ、世をはゞかりいけるが、ある日、 00052820L11彼かゝ、子をつれてかの寺の辺りに、ひなたぼこりして遊 00052830L12ハせゐるを、かの(十一ウ)僧これを見付て、立よりても人 00052840L13目あれハ、何所の御子ソイ。扨もよい子しやのふといわれ 00052850L14たれバ、/嚊(かゝ)、した/皷(つゝミ)にて、コツ+++ 00052860¥N7¥J 00052870¥X▽○;さいの川原△△△△△△△△△△△△△¥A布生 00052880L17ひとりずミの人、/頓死(とんし)しけるが、びやう+と広ひ川原へ 00052890L18出しと思ふに、是ハはや/迷途(めいど)か。何とそ極楽へ行たいもの 00052900L19と思ふ所へ、青鬼と黒鬼が出て、おのれハ何ものしや。人 00052910L20私しハ/娑婆(しやば)でひとり住ミいたし、何も/科(とが)なる事いたした覚 00052920M1へはなし。とふぞ極楽へまいりとふこさりますといへバ、 00052930M2二鬼おのれ、娑婆て女房も持たす、人間ンの道さへしらぬ 00052940M3大さい人。是(十二オ)いまとつて喰ふやつなれど、女のあ 00052950M4ちさへしらぬやつを、むざ+くふでもない。さいの川原 00052960M5へうせう。人イヱ+、私ハ在所で入むこに参り、女房の 00052970M6味もそんしておりますといへハ、鬼何ンじや。女のあぢを 00052980M7しつているウン。人成程、さやうといへハ、鬼、小声にて、 00052990M8そのあちハ、とのよふなものじや 00053000¥N8¥J 00053010¥X○時行もの△△△△△△△△△△△△△¥A松隣庵 00053020M11弁慶と申ものハ強ひ者て有たそふなナ。貴さま、とくとし 00053030M12らぬか。ハイ。しからバいふて聞カそふぞ。源平いくさの 00053040M13間、/天晴(あつはれ)の功名、たび+ゑらひ手からじたわろじやテ。 00053050M14先つせなかに七つ(十二ウ)道具といふか有て。ハイ。夫ハ 00053060M15私も/端午(たんこ)ののぼりの時見て、しつております。サア、其七 00053070M16つ道具が皆はたらきますじや。ハイ。夫についてふしんな 00053080M17ハ、それ程のつハものが、どうして衣川でなかれましたぞ 00053090M18いな。フムなるほど、それか。ハイ。夫ハおとご朔日の初 00053100M19手のにも、閏のにもなすびつけを喰なんだ故じやテ。ソレ 00053110M20ナラ立つていたのハ。ソレハ/枴(おゝこ)をのんだのじや。後に横に 00053120¥P159 00053130L1こけたのハナ。ハテ、座敷つとめサ 00053140¥N9¥J 00053150¥X▽芸ハ身を助る△△△△△△△△△△¥A馬耳風 00053160L4近頃/田舎(いなか)よりのほりたる名画工ありしか、其徳大イに(十 00053170L5三オ)きこへ、/禁中(きんちう)より馬をかくべしとの御事。誠に此時こ 00053180L6そと筆をふるひ、馬をかきしが、とりわけ心に叶ひ、既に 00053190L7眼をかき入るゝと、此馬はしり出、雲をかすミとゆく。此 00053200L8絵をとりはなしてハたまらぬと跡を追ふてゆくほどに、凡 00053210L9十里はかりおつかけしが、向ふ大河ありて、馬もせんかた 00053220L10なくとまり、画師もよふ+追付て、馬をとらへたれバ、 00053230L11/一身(いつしん)くたびれはてゝ、戻りにハ其馬に乗つてもとつた 00053240¥N10¥J 00053250¥X○長老の物忘△△△△△△△△△△△△¥A大梁 00053260L14長老扨此間ハ、久&貴僧も御上京のよし。客僧左様で(十三 00053270L15ウ)ござります。長老何ぞめづらしい事ハなかつたかな。 00053280L16客殊の外めづらしい事がござりました。長夫ハいかやうな 00053290L17事じやぞ。客十ヲばかりの子に十念さづけましたが、辞世 00053300L18をよミました。長夫ハめづらしい。ふびんな事であつた。 00053310L19其哥ハ。客アヽ何とやらいふ哥でござりました。長お忘れ 00053320L20なされたか。客覚ていましたが、とんとわすれました。長 00053330M1沙門の物をわすれて、悟リの道がどふなるものぞ。チトお 00053340M2たしなミなされ。こなたのような人が、釈尊の御弟子にも 00053350M3有ツて、其人の名を、アヽ何とやらいひましたワイ 00053360¥Y1二の巻終(十四オ) 00053370¥P160 00053380¥T1年忘噺角力巻三 00053390¥N1¥J 00053400¥X▽鍼のけいこ△△△△△△△△△△△¥A角槌 00053410L5はりのけいこにこつて、人見ると、はりしてやりたがれど、 00053420L6さすものなく、茶屋へいて中居共に、はりしてやらふとす 00053430L7ゝめても、はりハきらひじやとよせつけず。たいこもちが 00053440L8つとめぶり。私にちとなされてと枕してねるを、こゝろへ 00053450¥G(三オ) 00053460M1たりとはりをおろせバ、たいこ持ハいたさこらへ、付合ふ 00053470M2ている。其はり、ぬきとらんとするに、肉がまとふて、ア 00053480M3イタヽタヽヽヽ。さわぐまい+。しやくのわさで、こん 00053490M4な事ハまゝある(壱オ)事。今壱本むかいばりをやるとよい 00053500M5と、又壱本はりをおろし、扨ぬかんとするに、はしめのは 00053510M6りも後のはりもぬけず。たいこもちハ顔をしかめて、アイ 00053520M7タヽヽヽ。客さハかず、此今おろした針一本金しん、後に 00053530M8おろしたハ銀しん、金銀のはりじや。われにやるハ 00053540¥N2¥J 00053550¥X○天竺がへり△△△△△△△△△△△¥A伊藤 00053560M11何やらん、得しれぬ事を思ひつゞけたる僧、仏法の奥儀を 00053570M12ひらかんと、からへわたつて見たが、はか+しき名僧に 00053580M13も出逢ハず。爰にうか+と長居せんよりハ、いつそ天竺 00053590M14へ(壱ウ)わたらんと、はる※/流砂(りうしや)とやらんを打越、/案(あん)天 00053600M15竺とおぼしき所に着ける。たそかれごろなれバ、とある人 00053610M16家に立よりて、一宿をこふて泊りしが、/納戸(なんど)の内に仏たん 00053620M17らしきもの見へたり。扨こそてんぢくほとありて、かゝる 00053630M18/辺鄙(へんぴ)にも/信仰(しんかう)をなす事とかんじ入るうち、亭主、かんきん 00053640M19と見へて、とうめうをあげ小引出しより鈴ようの物取出し、 00053650M20何やらとなへ打ふる体也。扨もあやしき事とさし/覗(のぞ)けハ、 00053660¥P161 00053670¥G(十二オ) 00053680L13中央に/幣白(へいはく)を立て、両わきにハ月よミ日よミの像をかけ、 00053690L14神前に向ひ余念なく拝しいれば、/旅僧(りやうそう)(二オ)さし寄、かゝ 00053700L15る仏土に、何とて神道をまねび給ふと問へハ、イヤ+、 00053710L16仏土とやらんハずつと往古の事にて、今ハ夢に見た事もな 00053720L17し。たま+坊主あれバ、医者か/儒者(しゆしや)かのミにて、今ハ神 00053730L18道さかんにて、我+迄も、かく先祖の/霊(れい)をまつる也とか 00053740L19たるうち、亭主、夜食をすへける。さいの廻り、ミな青物、 00053750L20とうふの類也。扨こそ仏土の/遺風(ゆいふう)残りて、しやうじんハ忘 00053760M1れ給ハぬならんといへバ、イヤ+、しやうじんといふ事 00053770M2ハかつてしらずといふ。しからバ先祖のよミやなどゝ見へ 00053780M3たり。何とて腥物にて祝ひ給ハずやといへバ、左やうにて 00053790M4ハ候へども、(二ウ)(三オ挿絵)もう+ゆるしもらハねバな 00053800M5らず。/当世(とうせい)ハ神主てさへじやに 00053810¥N3¥J 00053820¥X▽くじら△△△△△△△△△△△△△△△¥A清 00053830M8くじらいふ。おれハかハつた。とかく女にすかるゝ性じや。 00053840M9先第一かゝみ立、そしてびんはり。其外もあるが、これハ 00053850M10どふした事じやしらぬ。/鯖(さバ)がいふ。ソリヤおまへの目が細 00053860M11イから 00053870¥N4¥J 00053880¥X○朝の息△△△△△△△△△△△△△¥A自楽 00053890M15富家の店さきへ、こじきが来て、朝飯のおあ/が((ママ))りあらバ、 00053900M16くださりませといふに、めしたき女コの声として、まだ朝 00053910M17の御膳も出さぬのに、せわしい乞食じや。とをらしやれと 00053920M18いふを(三ウ)きいて、扨もおそひ朝めしじやといへバ、店 00053930M19にならびいるでつちが、ナア+ 00053940¥P162 00053950¥N5¥J 00053960¥X▽筒もたされ△△△△△△△△△△△△¥A自楽 00053970L3日ころこんゐにして、毎日まい夜入来る浪人、女房と/密夫(まおとこ) 00053980L4にちかひなく、ていしゆ、いろ+と工夫して、ある夜、 00053990L5女ほうとさむらひをおさへけれバ、浪人、少しもわるひれ 00054000L6ず、かくなる上に何をか包まん。其方か女房と密通したる 00054010L7に/相違(そうい)なし。我、今かく浪人の身でいれど、近江源氏の末 00054020L8葉。命にかへて思ひこんだ此恋、申分があるなら一命を投 00054030L9出す迄(四オ)じや。こわ高にいわずと思案をいたせと、哥 00054040L10右衛門がよふな身ぶりて、のし+と帰る。ていしゆ、う 00054050L11つかりひよんと、うしろかげを打ながめ、しばらくしあん 00054060L12して、誰レあらふぞ。近江源氏のばつようのものゝふと、 00054070L13又しあんして、美しい女房を持つたりやこそ 00054080¥N6¥J 00054090¥X○▽;行違ひ才覚△△△△△△△△△△△△¥A東旭 00054100L16ある人、けふハさむひ日じやが、/得意(とくい)まハりを致さんと、 00054110L17しりひつからげ、/頭巾(づきん)のうへへ、下から綿て/頬(ほう)包などして 00054120L18通られけるが、むかふより来る人ハ、/知音(ちかつき)のいんきよ。あ 00054130L19いさつ申(四ウ)そうか。夫でハ頭巾とらざなるまい。いつ 00054140L20そ見ぬ顔してゆきましよと、袂に手を入て小うつむいて打 00054150M1過けれ共、もしや見てハいられなんだかと、三足四足過て 00054160M2から、跡見かへれバ、アノ方にも、アレたれじやかと思ハ 00054170M3れけん、見ていられけれバ、互に顔見合して、是ハマア、 00054180M4とつちへか御出。マア御きげんさまてといゝつゝ、つきん 00054190M5取たり、尻からげおろしたり、たかいにあいさつしてわか 00054200M6れ、又づきん着て、ア、どうでも壱升入つぼハ一升じや 00054210¥N7¥J 00054220¥X▽家守の了簡△△△△△△△△△△△△¥A扇東 00054230M9つくし果の若隠居、おもひ合ふた女良と、こぎれいなうら 00054240M10(五ノ十一オ)がしやにすんでいる。三月二日といふ節季に、 00054250M11家もり、家ちんを乞ひにゆけハ、女房出て、今日ハ住よし 00054260M12へ参詣いたされました。晩もと帰れましたら、家ちん持ツ 00054270M13て参れますとのことハり。扨+/節季(せつき)の果に住吉まいり、 00054280M14大かたにけているのであろ。急度、ばんに持てござれとい 00054290M15ゝつゝ、又其となりのかし屋へいて、やちんをこへバ、是 00054300M16も女房が出て、わたくしの所の人ハ留主でこさります。ハ 00054310M17ア扨ハ、となりのわろと一ツ所に、住よしへまいつたのじ 00054320M18やの。たしなましやれとしかれハ、イヱ+、ぬしハ四五 00054330M19日まへから、田舎へ参られましたと聞イて、物をも(五ノ十 00054340M20一ウ)(十二オ挿絵)いわず門へ来て、家守、口のうちで、そ 00054350¥P163 00054360L1したら/隣(となり)がうまいぞ 00054370¥N8¥J 00054380¥X○/廓(サト)の本の人丸△△△△△△△△△△△△¥A淀 00054390L4掛/行燈(あんど)めあてにぞめき声、申+とて引すり込れ、御泊り 00054400L5なされと、むりにおいへへ引あげれバ、爰ハあたひ何程す 00054410L6る所と尋るに、此所の定りハ金一角でござります。夫てハ 00054420L7持合が足らぬ。是でなる事ならバとて、紙入より二/朱(しゆ)銀一 00054430L8つ出してわたせバ、今夜ハ淋しけれバ、いかやうとも致し 00054440L9ませう。なれ共、親方へハ私等から足してなり共、マア今 00054450L10夜が仕まいたいによつてといふに、夫でハ気のどくと、は 00054460L11やミちより銭百文出して、(十二ウ)是でもふ皆じやがとい 00054470L12へハ、相談きわまり、すぐに閨に入ツて夜明て見れバ、ふ 00054480L13きりやう、言語にのべがたくして、あきれ果て、其硯かさ 00054490L14しやれとて、はながミに、 00054500L15△△△ほの+と窓のあかりでよく見れバ 00054510L16△△△△よひに払ひしかねをしぞ思ふ 00054520L17女良覗て、夫ハ何やらにある哥じやナア。ヲヽ、百弐朱に 00054530¥N9¥J 00054540¥X▽仏の畜生△△△△△△△△△△△△△¥A浪華 00054550L20かいどうばたにある六地蔵も、上座にいる地蔵へハ、折に 00054560M1所から、もりものなとすへれど、兎角行わたらず。こんき 00054570M2うして、さいわいちかき墓所へゆきて死人をほり出し、惣 00054580M3+(十三オ)地蔵たち、是を喰ふてうゑをしのぐ所へ、大 00054590M4イの狼が出テ来つて、汝等、仏の身として、われらが食物 00054600M5をうバふハいかなる事とのゝしる。地蔵たちあハれげに、 00054610M6飢におよんでかくの通りなり。ゆるしてくりやれとあれバ、 00054620M7狼、クワツとにらみ、畜生め、そしたりや、おれを送りヲ 00054630M8レ 00054640¥N10¥J 00054650¥X○凡商売△△△△△△△△△△△△△△¥A石磨 00054660M11扨打たへて御物遠&。コレハ+治郎兵衛さまか。サア 00054670M12+、マア是へ御通り。ヱきのふハどれへやら。イヤ、き 00054680M13のふハ東の忠臣ぐら見に参りました。扨雛介もよふ致しま 00054690M14するが、富士(十三ウ)松も気を付て致します。ソウ聞まし 00054700M15たてや。一ツたいアノ狂言ハ、出ます度にやつぱりはやり 00054710M16ます。さやうでござる。主のかたきを討て、子孫を残さぬ 00054720M17大石の魂ゆへか、げいに愛がござりますてや。イヤ、アノ 00054730M18かたき打迄四十七人共ミな、京にいられましたかイナ。イ 00054740M19ヤ+、そうでハごさらぬ。江戸表へ参るものもあり、す 00054750M20でに加茂与茂七などハ北浜に住所いたし、/相庭(そうば)の小づかい 00054760¥P164 00054770L1にやとハれ、大わし源吾ハ江戸で屏風師、かんざき与五郎 00054780L2ハ上かん売とも申、皆其余も大方商内していられました。 00054790L3いかさま尤な事でござる。時に、由良の介ハ芝居の通り、 00054800L4山しなが/実(しつ)てごさりますかな。夫ハ(十四オ)違ひませぬ。 00054810L5あれからしゆもく町へかよハれたを、一チ力にしたもので 00054820L6ござる。ムヽ、又由良の介ハ其節、何しやうばいしていら 00054830L7れましたナ。ソレハ国元て割符いたした銀子で、田地など 00054840L8かひ、うちふしん/立派(りつぱ)に土蔵などたて、敵に油断させんが 00054850L9ため、子孫長久に随分ゆたかな体に、銀子がし致してくら 00054860L10されました。成ほど、是も尤な事でござりますハイ。した 00054870L11が、又其かねの借リ人ハ誰てごさりましたソイナ、夫ハ、 00054880L12ヲヽ夫、多くしばいへかされました。へヱヽおまへ、夫レ 00054890L13借サれたりや、入ル時に戻りますまいがナア。サアそれが、 00054900L14見への所じやテ 00054910¥Y1噺角力巻三終(十四ウ) 00054920¥T1年忘噺角力巻四 00054930¥N1¥J 00054940¥X○泥亀酒△△△△△△△△△△△△△△¥A大西 00054950M5近年名石をあつめ、あるひハ/盆石(ぼんせき)などはやるについて、石 00054960M6好の人+、いろ+と珍らしき物をとあつめ、会など度 00054970M7+ある中に、けふぞ此一品/珍物(ちんぶつ)、これにまさるものハあ 00054980M8らじと、うや+しく高上なるふくさつゞみより、小キ箱 00054990M9一つ取出し、さし出さるゝに、みな+打よりて押いたゞ 00055000M10きて、上がきを見れハ古哥也。 00055010M11△△△夜をこめてとりのそらねハはかるとも 00055020M12△△△△世にあふ坂の関取ハわし 00055030M13と有ルを、いぶかしく/蓋(ふた)をとり見(壱オ)れバ、茶わんの割 00055040M14れが 00055050¥N2¥J 00055060¥X▽聞た顔△△△△△△△△△△△△△△¥A一鳥 00055070M17/門徒(もんと)寺の/借家(かしや)があいてありしが、さいわいと近所の仏具屋、 00055080M18ころもや、さし込でかりかゝりしが、住持、気に入のさか 00055090M19なや、手ぢかくへよせんと、出入のさかなやに、かしやを 00055100M20かせバ、仏具屋、衣屋、大にはらを立、お寺そうおふのも 00055110¥P165 00055120L1のにハ借さずに、アノさかなやに家をおかしなさるハ、ど 00055130L2ふした御了簡とうらむれバ、住持、ハテ扨、寺の家を仏具 00055140L3や、ころもやなとにかしてハ、あんまりべたでごさる(壱 00055150L4ウ) 00055160¥N3¥J 00055170¥X○大仏の願ひ△△△△△△△△△△△△¥Aシムホ 00055180L7何と太郎兵。此大坂にも大仏を一躰ハこんりうしたいもの 00055190L8じやナ。願ふて見まいかイ。ヲヽ夫ハよかろが、どの位に 00055200L9するのじや。ヲヽとてもならバ、京の大仏の/倍(ばい)にしたい。 00055210L10ソリヤ大ていの物入じやない。木材木ハ高し、銅も直あが 00055220L11りがする。其かねハ何所から出る。ハテ、町+へ奉加帳 00055230L12持てまわる。イヤ+、夫でハ下+の難義とてかなふま 00055240L13い。よしにしや+。なんのイ、下+の悦ぶ仕やうがあ 00055250L14る。ソリヤ又どうする。ハテ、ふしミ銭をよせてこしらへ 00055260L15るハ。なる程、尤じやが、じやらついて信が有マイぞ(二 00055270L16オ) 00055280¥N4¥J 00055290¥X▽さすがハ△△△△△△△△△△△△△¥A三山 00055300L19奢り大名に、家老職のかん言も届かず、此上ハ鷹野をすゝ 00055310L20め、百性のうさくのていをお目にかけんと、まんまとたか 00055320M1のに出しが、かねて百性に、農作かまひなしとふれたれバ、 00055330M2常のごとくはたらき居けるを、殿さま、つく※御らんな 00055340M3されて、扨やかたへ帰り給ひしが、家老をさつそくめされ、 00055350M4けふたかのに出て、はじめて百性のていたらくを見るに、 00055360M5甚たしんろうをなす事じや。われ、是まての奢りハ、只先 00055370M6非をくゆる也。よく+百性がこんきうするかして、けふ 00055380M7も壱ふくのたはこを二人して呑ていた(二ウ) 00055390¥N5¥J 00055400¥X○龍宮のむかし噺△△△△△△△△△¥A角槌 00055410M10其むかし、/浦嶋(うらしま)太郎といへる大美男、/瀬多(せた)のはしの辺りに 00055420M11釣をたれいたりしが、龍宮の乙ひめ、ふとなミ間よりかい 00055430M12ま見てより、ぶら※病ひに食すゝまざりしを、龍王、夫 00055440M13を悟りて、術をめくらし、恋むことハなしたり。されども、 00055450M14まだ龍宮なれぬうらしま、うつ+として気もうかず。/近= 00055460M15鱗(きん=りん)の人すゝめにて、日比すける釣の/業(わさ)にそ出しけるが、日 00055470M16本とハかくべつかわつて、下手な鳥さし見ることく、かた 00055480M17びら竿に/餌(ゑ)をつけて、上をねらひ、ちよいとさせバ、扨と 00055490M18れるほとに+、たいにすゞきにはも(三オ)かつを、あら 00055500M19ゆるうろくず、鱗をならべかゝりければ、うらしま、是を 00055510M20おもしろがつて、釣りのミにかゝり、朝まつり事もせざり 00055520¥P166 00055530L1けれバ、りう王、げきりんはなはだしく、今川状を引事に 00055540L2して異見も用ひねバ、大の科人ハ此土に置れず。出てうせ 00055550L3うと有るに、浦しま夫ハおやぢさま。あんまりの道よく。 00055560L4唐の大公望ハ、釣をもつて文王をつりよせしためしもあり。 00055570L5せつしやうをしたりとて、さのミ科にハ。▽たわけものめ 00055580L6が。人たねが尽キるワイ 00055590¥N6¥J 00055600¥X▽艸履の風味△△△△△△△△△△△¥Aのふ女 00055610L9小座敷でしんめりあそびの客、仲居たいこ相手に、はなし 00055620L10ハ(三ウ)よもやま。中居がいふにハ、わたしや大せつな事、 00055630L11聞ました。お客のはきものゝうらを、夜ふけてなめると、 00055640L12思ふ事が叶ひ、よい身に成げなと真顔でいへバ、たいこ二 00055650L13作、大にわらひ、貴さまも此どうとんぼりにいて、そのよ 00055660L14うなうまい事いふているか。大きにそりややられたのじや 00055670L15と、一トくちに打こまれ、外のはなしになるうち、なじミ 00055680L16の君が見へて、客ハ屏風へ、たいこハとなり座敷へ。さて 00055690L17ふけ+て、りやうり場の/灯(ひ)もものすごい時分、くだんの 00055700L18中居、そろり+と、たい所のくつぬぎをこゝろざし、く 00055710L19だんのはきものねぶるつもり。どふやら人音がするゆへ、 00055720L20身をかくしてうかゝへハ、くつぬきに(四オ)お客のはきも 00055730M1の、ねむつているハ何ものぞ。なむさん、先ンを取ラれた 00055740M2かとうかゞふうち、とつくりとなめてふりむいた顔を見れ 00055750M3ば、よいにうちこんだたいこの二作であつた 00055760¥N7¥J 00055770¥X○船頭の信心△△△△△△△△△△△¥A如雲 00055780M6さる船頭、馬かたの所へゆきて、ちと物が尋たうごさる。 00055790M7くわんおん丸と申船のせんどうでこさるゆへ、我等くわん 00055800M8おんさまを/信心(しんじん)いたしとふござる。こなたハ馬士の義、馬 00055810M9頭観音と申ては御あんないで、さぞあらん。信心のしよう 00055820M10がおしへてもらひたく、其かわりにハ船玉さまの事なら、 00055830M11何時なりとも仰られい。(四ウ)(五ノ十一オ挿絵)馬士きいて、 00055840M12馬頭くわんおんとハ聞ていますれど、信心の致しようハ存 00055850M13ぜぬが。それハやつぱり、内の/嚊(かゝ)を信心さつしやれ 00055860¥N8¥J 00055870¥X▽なにはの冬△△△△△△△△△△△¥A人徳 00055880M16はんくハの大坂、絵合のさかんなるを、田舎大じん、新町 00055890M17で聞付ケ、なんでも案して見すべしと、揚屋にてたはこ入 00055900M18四五十持帰り、問屋の手代、せんどうなど相手にしてあん 00055910M19すれど、一つも趣向出ず、ほつとしている所へ、絵合の趣 00055920M20向売ましよいと、ヤレ売て来た。ソレよべと、とりよせ見 00055930¥P167 00055940L1れば、取合せの趣かう十本つゝ、一わにたはねて有を、や 00055950L2う(五ノ十一ウ)+直がなつて、しゆかうに落ハないかと、 00055960L3うらの方をみたれバ、ミな故事てあつた 00055970¥N9¥J 00055980¥X▽鶴の一声△△△△△△△△△△△△¥A野田鮮魚 00055990L6/梅幸(はいこう)が忠臣ぐら見にいて、幕の間につれとのはなし。ナン 00056000L7ト雲のたへまになつたのも久しい事。大かた七十であろか 00056010L8い。ハテめつそふな。七十であのやうにはたらかるゝもの 00056020L9か。随分いて六十ぐらひ。イヤ、夫てハとしのさん用が合 00056030L10ハぬと、六十と七十とのせり合のうち、チヨイ++と 00056040L11まくがあいて、花道のとやから、五十四(十二オ) 00056050¥N10¥J 00056060¥X○無間の鐘△△△△△△△△△△△△¥A常派 00056070L14ひかしの座中村十次郎、座本役者づけ出してより、段+ 00056080L15延ル程に+、是でハどうもと、哥右衛門かれこれの心づ 00056090L16かいながら、とかく出ぬハ銀とて行届かずして、いつそむ 00056100L17けんの鐘をつかんといふに、皆+打より、是より佐夜の 00056110L18中山へハ道はるか也。とても間合ぬ事といへハ、哥七いふ 00056120L19やうハ、ハテ、爰にゐながら、手水鉢でもたらいでも信心 00056130L20する時ハ同し事といふに、おもてかた、夫ハそふなれど、 00056140M1此願かけると、きついつミがあると聞たが。イヤサ。たと 00056150M2へ、つミあればとてむくへハとて、かふしかけた事(十二 00056160M3ウ)なんでなり共とて、はやく/水垢離(ミつごり)なして水むすふに、 00056170M4信心をこらしてむけんのかねとなぞらへ、いのれバ、ふし 00056180M5きや、急にかねおや出来て、サア初日をとて、はしめた所、 00056190M6はしまりが/昼(ひる)になつた 00056200¥N11¥J 00056210¥X▽花生で咲△△△△△△△△△△△△△¥A百喜 00056220M9お宿にか。すつきりお目にかゝらぬ。コレハよふお出なさ 00056230M10れました。此間ハ京へおのぼりなされましたけな。かんき 00056240M11の時分に、ともいわず、我すきの芝居ばなし。ひな介か扨 00056250M12あてます。序のむねんの場に、とりわけよいハ、/腹(はら)切場の 00056260M13由良の介。(十三オ)扨茶屋場になりましてから、前のから 00056270M14うの仕うちおもかげ。扨九段目で、こも僧すがたになり、 00056280M15雪がふるゆへ、あるきぶり迄違ふ仕うちと、長+とはな 00056290M16すに、客ハ立んとすれば、申+、どれへお出なされます。 00056300M17イヤ、ちよつと小便にたちまする。ヱヽそれハまそつと、 00056310M18こらへなされませ。最ふ幕でござりますのに 00056320¥Y1噺角力巻四終(十三ウ) 00056330¥P168 00056340¥T1年忘噺角力巻五 00056350¥N1¥J 00056360¥X○息子耳洗△△△△△△△△△△△△△¥A左上 00056370L5いくつに成ても子をおもふ親ごゝろとて、/実体(しつてい)なるむす子 00056380L6ハもしや煩らひも出なんと思ふにつれて、商ひせいを出ス 00056390L7ばかりで、世間しらずと笑ふもいかゞ。せい出して置てハ、 00056400L8その隙+に、友達とも誘ひ合て、銭も少しハ遣ひ、うち 00056410L9で遊所へ行ケといハぬ斗。むすこ、大に腹立して、此もう 00056420L10けにくい時節に、遊ひにゆけとての親父の異見。茶屋と聞 00056430L11くもけがらハしいとて、やがて川ばたへ下りて耳をあらふ 00056440L12を、友達の(壱オ)うち、隣のむすこが見付て、又兵衛、な 00056450L13にするぞ。イヤ、こちのおやぢが病をあんじて、茶屋へゆ 00056460L14けといハぬ斗。余りに耳か/穢(けがれ)るゆへあらふのじやと聞て、 00056470L15彼となりの息子、物をもいわず帰りて、土ひんさげて出て、 00056480L16少し下へ廻つて水汲てあがるを、コレ、其水くんで、何に 00056490L17するぞ。コレか。せんじて、こちのおやぢにのますのじや 00056500¥N2¥J 00056510¥X▽当世じや△△△△△△△△△△△△△¥A馬耳風 00056520L20/桶(おけ)かたりもしかねぬ程の浄るりずきの若旦那、出入の者の 00056530M1所へいて、毎度浄るりのじまん。女夫のものハ、つい(壱 00056540M2ウ)せうに、どふぞおきかしなされて下さりませに、のり 00056550M3が来て、直に今夜かたつてきかそふと、先に立ツて二階へ 00056560M4あがれバ、女夫ハぜひなく二かいへあがると、上座になを 00056570M5つて本とり出し、勘平が腹きり場、てうしぐるひのめつた 00056580M6ぶし。女夫の者もあきれていれば、やふ+とかたり仕廻 00056590M7ひ、ナントかなしいか+。ふたり共、かなしかつたか。 00056600M8ハイ、かなしい事てこさりました。ヲツト、いさぎよい所、 00056610M9最一段かたつてきかそふと、しゆら事になる。さしものて 00056620M10いしゆもほつとして、聞入たようなていにて、くつゝりと 00056630M11ね入りしが、大音上ケヽヽヽヽといふのり地に、びつくり 00056640M12うしろへこけて、はしこからステン(二オ)ドウ。女房も若 00056650M13旦那もはしりおり、いだきおこし呼いければ、やう+と 00056660M14息キ吹もどすと、若だんな、耳に口よせ、長兵衛、気がつ 00056670M15いたか+といへバ、ハイ、おもしろい事でござります 00056680¥N3¥J 00056690¥X○当自慢△△△△△△△△△△△△△△¥A大西 00056700M18或ル所に、/運(うん)の御守御影処とかんばんあり。内へ入て、チ 00056710M19トお頼申たし。われらも一幅あつらへ度よしいひ入れバ、 00056720M20あるし出て、こゝろへました。ざつと表具も致しおきませ 00056730¥P169 00056740L1うカイ。なる程、さやうならバ、随分早く仕立下されかし 00056750L2とたのミおき帰り、日すぎて、最はや出来ても有べきと思 00056760L3ふに、ヤ、/麁相(そさう)千万。(二ウ)我等が/年支(ゑと)もいハずあつらへ 00056770L4おきたりとて、早速かの方へ行、有の訳をいわんとせしに、 00056780L5もはや出来てごさりますとて取出し渡せしゆへ、ふしんな 00056790L6がら取あけひらき見れバ、釣/燈篭(とうろう)の下に、由良の助が長文 00056800L7見ている体也。ハヽア、七つ目じやナ 00056810¥N4¥J 00056820¥X▽地獄の誠△△△△△△△△△△△△△¥A鬼声 00056830L10巾着切かおしこミか、罪きハまつて牢へ入なかに、十八九 00056840L11なるひな男に、牢もり目をつけ、生れ付いやしからず、殊 00056850L12に若きもの、まきぞへにあひたるならんと、心にいたハり、 00056860L13外のもの共ハ、此わかもの斗すいきよして、たゝきばらひ 00056870L14といふもの(三オ)にて、牢より出る時、ろうもり、ひそか 00056880L15に呼ひ付、其方ハ巻ぞへになりたるならん。此方がはから 00056890L16ひて、命をたすけつかハしたほどに、以後悪心をやめて、 00056900L17誠の人になれかしと、念頃に申さるゝを聞て、ハイ、有か 00056910L18たふござります。そしたら、ちよとかへつてまいりませう 00056920¥N5¥J 00056930¥X○開帳△△△△△△△△△△△△△¥A常派 00056940M1何ンと権兵衛。貴さま聞たか。何をイヤイ。アノナ、京の 00056950M2大仏にかい帳するげな。めづらしい事でハないカイ。何を、 00056960M3われも飛んた事いふものじや。マア/何所(どこ)で聞て来た。イヤ 00056970M4モ、もつぱらそふ(三ウ)いふ。そして、橋+にたて札が 00056980M5出たといふ。フウ、そんならまことかいな。ハテナ、おれ 00056990M6ハ京の大仏の釈迦ハ、おとこじやとおもふていたにナ 00057000¥N6¥J 00057010¥X▽行基の鮒△△△△△△△△△△△△△¥A住十 00057020M9いつぞハ貴公に申そふとそんじた。子供衆もたんとあるの 00057030M10に、其/殺(せつ)生すきをおやめなされ。コレ、わしハ見るかげも 00057040M11ない道心者なれども、ころもをかけているものが、わるい 00057050M12事ハ申さぬ。むかしも、せつしやうずきが大きな鮒をあぶ 00057060M13つていたを、/行基(きやうき)さまがいろ+と/教化(けうけ)なされて、かた身 00057070M14やけた(四オ)其ふな、/昆陽(こや)の池へおはめなされたりや、其 00057080M15まゝ生かへつた。それで今に其池のうをハ、かた身やけて 00057090M16こざるわいのと、ていしゆ聞て、ハテ、それハ手まハしな 00057100M17ものじやナ 00057110¥N7¥J 00057120¥X○長生の論△△△△△△△△△△△¥A枩閣 00057130M20/老若(らうにやく)打より、いろ+咄し合中に、老たる人のいへるハ、 00057140¥P170 00057150¥G(五ノ十一オ) 00057160L13若イしゆハとかく、せつしやうをしたがるか、せつしやう 00057170L14ハせぬものてこそあれ。別て鳥なとハ、一ト入のむごさと、 00057180L15釣狐のせりふから出たよふな異見がてらを、其中の一人が、 00057190L16いざ+、そうでござらぬ。鳥でも魚でもころせバ、其/寿= 00057200L17命(しゆ=めう)が此方の足しに(四ウ)(五ノ十一オ挿絵)なる道理にて、鶴 00057210L18ならハ千年だけ、こつちへますといふものじやないかとい 00057220L19へバ、其中に又近江の志賀生れの人がいふハ、是ハ尤な事 00057230L20じや。ずい分せつしやうさつしやれ。また、こなたをおれ 00057240¥G(巻四・五ノ十一オ) 00057250M13か薬/喰(くひ)にしませうぞ 00057260¥N8¥J 00057270¥X▽いんろう△△△△△△△△△△△△△¥A慮仙 00057280M16ふるまいにいて、下戸のかなしさ、大にめしをしいられ、 00057290M17苦しひほとの/満腹(まんぷく)。せんかたなく、こんいうちへより、扨 00057300M18こんやふるまいにいて、物を喰過して、じゆつない。どう 00057310M19ぞしよふハ有まいか。友達それハじゆつなかろが、それハ 00057320M20外の物でハゆかぬ。(五ノ十一ウ)大せつな丸やくなれど、 00057330¥P171 00057340L1たちまちなをる薬やらふと、印篭の丸子を出さるれバ、く 00057350L2たんの男、其うちて随分ちいさいのヲ 00057360¥N9¥J 00057370¥X▽夢の献立△△△△△△△△△△△△△¥A瀬川 00057380L5去ル所に、/強欲(がうよく)なるしハんぼうの男あり。ある日、友だち 00057390L6の方へ来て、おれハゆふべ、富士のゆめを見たが、去もの 00057400L7に噺したれバ、吉夢ハ悦バねバ幸ひなしといふ。夢ばかり 00057410L8にて、手に取た事もな/((け脱カ))れば、ふるまいに張こむハ損じや。 00057420L9それで夢に寄と題して、/献立(こんだて)をかいた。見てたもとさし出 00057430L10すに、トレと取あけ見れバ、むかふになすびのかうの物に、 00057440L11とうがらし(十二オ)と有ハ。なる程、三なすびに鷹の爪、 00057450L12唐がらし、おもしろい+。めしハさしつめ、白つきの山 00057460L13もりならずバといへハ、イヤ+、そこを又一トこし越て、 00057470L14山のかわりに、/白粥(しらかゆ)の/湖(ミつうミ)にするしやテ 00057480¥Y1五巻終 00057490¥Q安永五丙申年正月二日新板 00057500¥Y跋 00057510L20御乳の人の/懐(ふところ)にいねながらも、古きを知りて、首掛芝居の 00057520M1幕をや/補(おきな)ふ時節なるにと、(十二ウ)/輯(あつま)りし数凡三百余の/笑話(はなし) 00057530M2角力、いてそよとかゝりても忘れやハする/篭耳(かごミヽ)の撰者、/需(もとめ) 00057540M3に応しておこがましく、筆の団をひらめかし、古きに上し 00057550M4ハ破れ傘の/貴価(ねあがり)にや/比諭(ひゆ(ママ))せんと、負惜しミを云立て跋とす 00057560M6△△△△△△△△△△△無尺舎主人△下△物△G 00057570M8△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十三オ) 00057580¥Q 00057590M10噺清書会頭△順慶町八百屋町筋△高橋栄二 00057600M11△△△△△△嶋の内南かきや町八まん筋北△橋屋忠兵衛 00057610M12△△△△△△道頓堀下大和ばし南つめ△山田屋久兵衛 00057620M13大△坂△△△備後町せんたんの木筋南へ入△大和屋弥兵衛 00057630M14△△△△△△今ばしせんたんの木筋東へ入△塩屋三郎兵衛 00057640M15△△△△△△曽根崎新地二丁目△△△丸平平兵衛 00057650M16書△林△△△松屋町すげた町筋北へ入△大和屋吉兵衛 00057660M17△△△△△△すなば小濱町角△△△海部屋勘兵衛 00057670M18板木細工人△あわどのばし筋かいや町南へ入△板木屋伝兵衛 00057680M19△△△△△△内久ほうじ町谷町東へ入△△板木屋平八 00057690M20御書物所△△茨木町△△△△渋川久蔵 00057700M21△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十三ウ) 00057710¥P172 00057720¥U噺本大系△第十巻 00057730¥T/売言葉(うりことば)〔内題〕 00057740¥G 00057750¥Y 00057760L15安永五年正月刊 00057770L16整&畔市和序 00057780L17土龍斎画 00057790L18整&畔板 00057800L19小本一冊 00057810L20尾崎久彌氏蔵 00057820¥Y/売古登波(うりことば) 00057830M3序 00057840M4/祖母(ばゞ)ハ/川(かわ)へせんたくに、/祖父(ぢゞ)は/山(やま)へ/芝苅(しバかり)にと、/竹馬(ちくば)の/噺(はなし)も 00057850M5(一オ)いつしか/桃(もゝ)のよふ+たりと/変化(へんくわ)して、/落(おと)し/咄(ばなし)しを 00057860M6あつめ/鹿(か)の子/餅(もち)となりぬ。/其(その)/風味(ふうミ)、あじわゐに(一ウ)/習(なら)ひ、 00057870M7かのこもちをてうなとなむなして/噺(はなし)をつゞり、/仙菓風子(せんくわふうし)は 00057880M8なされしにより、れき+の/紺(こん)/足袋(たび)(二オ)/髭奴子(ひげやつこ)の/長(なが)うた、 00057890M9世のならハし、/少(すこ)し/曲(きよく)あるものは/利久(りきう)となのミをなすハ利 00057900M10久のさびならむや。/必(かなら)ず(二ウ)/人(ひと)の/戯気(たわけ)と/譏(そしり)もしらす、/鼻= 00057910M11毛(はな=げ)/長(なが)になつて、ふんでをならべ、/桜木(さくらぎ)にうつし、/呵(しかり)給ふ人 00057920M12も/戯(たハれ)給ふ(三オ)ひとも、/寸莚(すんゑん)の/興(けう)ならしと、/山田(やまだ)/竹枝(ちくし)、序 00057930M13をかなて、予に/与(あたへ)しにより、/反古(ほんご)を/集(あつ)め、/爰(こゝ)に三つ(三ウ) 00057940M14かしこに五つとはきよせて、/古(ふる)きもまた/新玉(あらたま)りぬる/賀千具= 00057950M15利(かちぐ=り)の、くしやめも/歳(とし)の/土産(いへづと)と、一/冊(さつ)につゞり(四オ)畢ぬ 00057960M17△△安永五申とし 00057970M18△△△△春の目出度日 00057980M19△△△△△△△△△△△△△△整々畔市和G 00057990M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(四ウ) 00058000¥P173 00058010¥T1/売言葉(うりことバ) 00058020¥N1¥J 00058030¥Xばか/息子(むすこ) 00058040L5とし立帰る/春(はる)のながき日に、四五人より合て、おとゝひは 00058050L6あすか/山(やま)より、/目(め)ぐろ、ふか/川(がわ)八まんへ参りましたが、さ 00058060L7て+(五オ)お/江戸(ゑど)のひろさハ、/知(し)る人にひとりも/逢(あい)ませ 00058070L8ぬと/咄(はな)せバ、S/宿(やど)のむすこ罷出て、きのふ、わたしハ両国 00058080L9へ参りましたが、心やすい者に二三人/逢(あい)ました。きのふハ 00058090L10/江戸(ゑど)のせまくな(五ウ)つたのか 00058100¥N2¥J 00058110¥X/銭湯(せんとう) 00058120L13わかい者両人にて、/夕(ゆふ)がた/湯(ゆ)へゆきながら、Sコレ/吉(きち)や。 00058130L14くれがたの湯ハきついけいせいといふところじやといへば、 00058140L15Sナゼ△S地いろと云所(六オ)じやと云。Sおれハやハら 00058150L16かに当るところが、/傾城(けいせい)じやといふに、地いろとハどふし 00058160L17た心じや△Sハテ、にた+としてくさい 00058170¥N3¥J 00058180¥Xまんぢう売 00058190L20/餅(もち)やとふる道ぐ見せと、両見せ(六ウ)にしきりておきける 00058200M1に、/奴子(やつこ)、/餅(もち)をかいに/来(き)て、まんぢう十ヲでいくらじやと 00058210M2とふ。Sふる道ぐや、ミせより、十ヲで三十といへバ、 00058220M3S奴子、ふそくがほにて、そんならやつぱり、もち見せで 00058230M4かふも同じ事だ(七オ)(七ウ・八オ挿絵) 00058240¥N4¥J 00058250¥X夜たか 00058260M7よたかども、四五人さそいあいて、あきないに出る道にて、 00058270M8/頃日(このごろ)ハおかめが見へぬがといへバ、Sサレバサ。おかめハ 00058280M9/娘(むすめ)をころし、あきないにも出ず、/泣(ない)てばかりいやす△Sば 00058290M10か(八ウ)な女だ。だか子だかしれぬに 00058300¥N5¥J 00058310¥Xちりから 00058320M13あるむすこ、ちりからをならひ、遊びに行て、ちりからを 00058330M14女郎に見せたく、/蚊(か)やをぶちころし、/勤(つと)めをこしらへ行。 00058340M15その/夜(よ)は(九オ)ちりからにてさわぎ、/面白(おもしろ)くあそびけるが、 00058350M16つぎの夜、かやがなけれバ、/蚊(か)にいぢられ、/夜明(よあけ)まで、や 00058360M17つぱりちりからさ 00058370¥N6¥J 00058380¥Xしゞみとり 00058390M20/兄弟(きやうだい)にて、しゞみをとりに行(九ウ)しに、いもと、あねの 00058400¥P174 00058410¥G(七ウ・八オ) 00058420M1うしろより、水かゝみを見て、/姉(あね)さん。おまへの下に、こ 00058430M2わいものが水にうつるから、はやくあがろふ 00058440¥N7¥J 00058450¥Xめくり 00058460M5座とうのむすこ、つぎの間にて、(十オ)/友(とも)だちをあつめて、 00058470M6めくりをはじめけるに、よくおきるゆへ、是ハかたじけな 00058480M7すびのこふの物といへば、おくの間の座とう聞つけ、S吉 00058490M8や。たくさんにくふと、たんにあたるぞ(十ウ) 00058500¥N8¥J 00058510¥Xさふらい同士 00058520M11御屋しき衆ふたりづれにて、/芝(しバ)のあたごへまいり、/床(とこ)にこ 00058530M12しかけて、ひや水へかうせんをふつてくれといふ。つれの 00058540M13/士(さむらい)、かつしてもかうせんの水をくらハずとハ、/義(ぎ)しやの 00058550M14/戎(いましめ)。(十一オ)是ハ御むようと云。Sまた/貴様(きさま)ハきやうも 00058560M15んをいふか 00058570¥N9¥J 00058580¥Xせいぼ 00058590M18/中(なか)の/町(てう)、ていしゆ、けいせいかたへせいぼに/行(ゆき)、ひるほど 00058600M19ハ御せいぼ下され、いく/久(ひさ)しくよろこび(十一ウ)もふすと 00058610M20いへば、Sけいせいきいて、わつちやアいやさ 00058620¥P175 00058630¥N10¥J 00058640¥X地まハり 00058650L3/地(ぢ)まハり、ふたりづれにて/新丁(しんてう)をそゝり、中あふミ屋のま 00058660L4へ、二かいの江戸ぶしを聞て、あれきゝやれ。大(十二オ) 00058670L5見せ/程(ほど)あつて、かとうできめる。Sツレ、あれハ/半太夫(はんだいふ)だ 00058680L6といへハ、Sナニ、半太夫ハ中のてうにいた物を 00058690¥N11¥J 00058700¥X物しり皃 00058710L9ある人、ゆやにゆきしに、/亭主(ていしゆ)、はこねのはなしを出し、 00058720L10/御当地(ごとうち)(十二ウ)にハ見へませぬが、さんしやう/魚(うを)ハ、扨ふ 00058730L11うミのよいものでござりますといへば、物しり/顔(がほ)にて、あ 00058740L12のぴり+のからミが、しごくよいて 00058750¥N12¥J 00058760¥X豊竹肥前座 00058770L15さかい/町(てう)の/肥前(ひぜん)がしバやへ参り(十三オ)ましたが、あつさ 00058780L16ゆへか、切おとしも、まばらに見物がおります。ふるい小 00058790L17もんでござるといへば、S其筈+。/住太夫(すミたいふ)だゆへ 00058800¥N13¥J 00058810¥Xせん頭の駕かき 00058820L20あたゝかなる/町人(てうにん)、にハかに/花見(はなミ)と(十三ウ)出かけしに、 00058830M1折ふし、やといのかごかき/他出(たしつ)しけれバ、/出入(でいり)の/船(せん)どうを 00058840M2/頼(たの)ミ、/駕篭(かご)をかゝせ出しに、向ふより/座頭(ざとう)きたりしを、く 00058850M3だんの/船(せん)どう見て、お座とうおもかぢ+ 00058860¥N14¥J 00058870¥X駒げたうり(十四オ) 00058880M6わかい者ども/火燵(こたつ)にあつまり、遊び手くだの相だんしける 00058890M7に、そとに/咄(はな)しごへあり。/耳(ミヽ)をすまして聞けるに、もふ此 00058900M8ごろハ/吉原(よしハら)にもあきた。どこへなと行たいといふ。またひ 00058910M9とり、おれもおか/場所(ばしよ)にあきたから、吉原へと思ひしが、 00058920M10(十四ウ)むだ事かといふ/声(こへ)を聞て、S内より/障子(しやうじ)をあけて 00058930M11見れバ、こま下たうりさ 00058940¥N15¥J 00058950¥X仕ごとしの日まち 00058960M14しごとし共、日まちにより合、コレ/辰(たつ)。なんぞ一トくち、 00058970M15かたれ+とすゝめられて、/扇子(おふぎ)をしやにかまへ、/声(こへ)を 00058980M16(十五オ)上ケ、上るりSあふミ/源氏(げんじ)のちやくりう、むくハ 00058990M17んの/太夫(たゆふ)あつもりとかたるにぞ、一座大によろこび、とん 00059000M18だこつた。おのしハきつひかくしげいがあるとほめそやさ 00059010M19れて、辰Sおれも、このもミぢがりにハ、よつぽど/骨(ほね)を 00059020M20おつた(十五ウ) 00059030¥P176 00059040¥N16¥J 00059050¥Xしミづ餅 00059060L3両ごくにしミづもちといふ/新(しん)見せが/出来(できて)、人にもちがなる 00059070L4といふ事を、/近所(きんじよ)の/猫(ねこ)が聞て、かの見せへきたり、江戸す 00059080L5じはじめての御出。/御用(ごよう)もあらバ/仰(おゝせ)らるべし。しかし/稽者(げいしや) 00059090L6がさ(十六オ)そふとも、/私共(わつちども)の座しきへかならず御むやう 00059100L7と云。Sもちや聞て、それハきよくもなし。御/座(ざ)しきへ罷 00059110L8出、おあそびも見物いたし度と申せバ、Sそれハめいわく。 00059120L9御出を/客(きやく)しゆが見ましたら、/早々(さう+)ひらきませふ(十六ウ) 00059130¥N17¥J 00059140¥X脇ざし 00059150L12あるむすこ、/先生(せんせい)かたへ行、これごろうじろ。此たびこし 00059160L13らへましたと、/脇(わき)ざしを出せバ、S先生うけ取、ほめて、 00059170L14御道ぐなれ共、/町家(てうか)でハいらぬ物。おさふらいとちがい、 00059180L15やくにたてた(十七オ)ところが、御/理(り)うんなりませぬ。是 00059190L16ハ御/宿(やど)のたからになされ。/外(そと)へハ御む用といへば、むすこ 00059200L17Sわたくしハ人をあやめまする/存(ぞんじ)よりハござりませぬ。/銀(ぎん) 00059210L18きせるのつり合にさします(十七ウ) 00059220¥N18¥J 00059230¥Xかミそり 00059240M1となりへかミそりをかりにゆく。Sていしゆやすい事だが、 00059250M2またきたない所を、するのでハないか△Sこれハめいわく。 00059260M3そんなら/爰(こゝ)で/髭(ひげ)ばかりそろうと、ひげをそり、したあごば 00059270M4かりのこし(十八オ)て帰るゆへ、てい主Sなぜ、あごの下 00059280M5をバ、のこさしやつたといへば、Sこゝへハ、ふんどしを 00059290M6はさむゆへ、ゑんりよもふしました 00059300¥N19¥J 00059310¥X銀の丁ちん 00059320M9ある人、/友(とも)だちのかたへ丁ちんを/持(もち)(十八ウ)行、これ見や 00059330M10れ。/当(とう)せい/銀(ぎん)ざいくのはやり。おらも/丁(てう)ちんを一ト/張(はり)こし 00059340M11らへた。これ、ミんな/銀(ぎん)かなぐてしやれるハさと/自慢(じまん)すれ 00059350M12バ、S友だち、どれと見て、/成(なる)ほど、おもい/付(つき)ハよいが、 00059360M13大イのむだ。/夜(よ)るとぼして見へぬといへハ、Sすか(十九 00059370M14オ)さぬ皃にて、おらア、ひるもつてあるくのだ 00059380¥N20¥J 00059390¥X花火 00059400M17いなか/者(もの)、江戸見物して国もとへかへり、旦那寺へゆき、 00059410M18江戸おもてのめづらしき事をはなし、其うへに(十九ウ)て 00059420M19両国ばしとやら、ずないはしのうへから花火を見ましたが、 00059430M20玉や+と皆/同音(どうおん)にもふしたが、あんちう事で/ござます((ママ))。 00059440¥P177 00059450¥G(二十ウ・二十一オ) 00059460M1S/和尚(おしやう)、これを聞て、しかつべらしく/考(かんが)へ、それハ花火の 00059470M2事てハあるまい。/橋(はし)ばんをよぶのじや(二十オ)(二十ウ・二十 00059480M3一オ挿絵) 00059490¥N21¥J 00059500¥X瀬川 00059510M6/松葉(まつバ)やの/瀬川(せがわ)、江戸大評ばん。其仕内を見んと行しに、其 00059520M7面白事いふ斗なく、近キ内にといふて帰りしが、其心差わ 00059530M8すれかね、次の日行しに、先夜とハ大イの(二十一ウ)ばん 00059540M9くるい。/宵(よい)からあけまで/寄付(よりつか)ず。大キにりつふくし、/茶(ちや)や 00059550M10へかへりて、扨&瀬川がゆふべのと、こよいとの/仕(し)うち、 00059560M11きついちがい。どふ云事じやといへば、Sてい主罷出て、 00059570M12御尤ながら、そこが瀬川てござります(二十二オ) 00059580¥N22¥J 00059590¥X泉水 00059600M15去ル御大ミやう、/家(か)らう/用(やう)人を/召(めし)、/四丁(してう)/四方(よほう)のあいだに/築= 00059610M16山(つき=やま)/泉水(せんすゐ)を/堀(ほり)、/金銀(きん※)のいさご、/玉(たま)の/宮殿(くうでん)をならべたきとの 00059620M17おゝせ。/家老(からう)どもすゝみ出、/年&(ねん+)八木/下直(げじき)付、御かつて 00059630M18(二十二ウ)はなハだいそがしく候へば、この/度(たび)の御もの入。 00059640M19六/億(おく)ほどゝ相見へ候間、一両年御見合と申上れバ、Sイヤ 00059650M20+、わがのぞミに六億ハかろき事也。此ごろ水うちの者 00059660¥P178 00059670L1がはなしに、遊びにゆくくめんに、七おくといふた(二十三 00059680L2オ) 00059690¥N23¥J 00059700¥X足袋 00059710L5女ぼう、/細工(さいく)におつとの/足袋(たび)をこしらへしに、/十文(ともん)のあし 00059720L6へ/九文(こゝのもん)の/形(かた)にてこしらへしゆへ、はいりかね、はら立けれ 00059730L7バ、S女ぼう大きにせき、用にもたゝぬ足ばかり大キくて 00059740L8(二十三ウ) 00059750¥N24¥J 00059760¥X其二 00059770L11旦那出かゝり、折介に、/十文(ともん)のたびをはやふ/買(かふ)てこいと云 00059780L12付しに、十三文のたびをかふてくる。旦那、はいた所が、 00059790L13見ぐるしけれバ、大きに/腹(はら)たち、折介を呼だし、おのれ、 00059800L14いつもの/足袋(たび)をかハ(二十四オ)ず、何のやくに立ものかと 00059810L15しかり給へバ、S折介、こゝろへ皃にて、たらいへ水をく 00059820L16ミ、旦那、これにてしバらく、あしをおふやかしなされま 00059830L17せ 00059840¥N25¥J 00059850¥X其三 00059860L20/旦那(だんな)、ゑんがわへ出、折介を/呼(よび)、ぼくり(二十四ウ)を持て 00059870M1こいと云付れバ、折介こゝろへ、/棚(たな)より/徳利(とくり)をおろし、ご 00059880M2ミをはく。下女これ、折介どん。ぼくりとハ/下駄(げた)の事だよ 00059890M3折介又こしやくな。あれハ徳利のはい/名(ミやう)だ 00059900¥N26¥J 00059910¥Xしやうへい橋(二十五オ) 00059920M6ゆふべ、しやうへい/橋(はし)へまいつたか、/樓(やかた)がいて、おどりこ 00059930M7わいろ、大イの両ごくよりにぎやかと咄せバ、Sいなか者 00059940M8聞て、それハいづかたてござる。さらさの手本にハなるま 00059950M9いか 00059960¥N27¥J 00059970¥X料理の伝授(二十五ウ) 00059980M12/料理(りやうり)ずき、料理人をまねき、かね※御たのミ申ス魚のほ 00059990M13うてう、/御伝受(ごでんじゆ)を得たし。扨/魚(うを)ハ何が伝ものでござるや。 00060000M14料理人まづ、こいに、たちをと申て、伝受がござる。其外 00060010M15ハふぐでござる。てい主ふぐとハ耳より。我ら好物ゆへ、 00060020M16日&(二十六オ)たべます。幸イとゝのへたるふぐもござれ 00060030M17バ、只今御でんじゆ願いますと、ふぐをまないたになをせ 00060040M18バ、料理人大事の/秘伝(ひでん)にハござれ共、御/好(このミ)なら、いたして 00060050M19御目にかけんと、/爼(まないた)になをり、/件(くだん)のふぐをあらいもせず、 00060060M20/筒切(つゝぎり)にきる。てい主、これを見て、/皮(かわ)に(二十六ウ)どくが 00060070¥P179 00060080L1ござると聞ましたが、あらいもなさらず筒切とハ、とこが 00060090L2伝でござる。料理人これこそハ、人ごろしの伝 00060100¥N28¥J 00060110¥Xわかとの 00060120L5殿、/若君(わかぎミ)御てうあいの所へ、家老石部金右衛門罷出る。殿、 00060130L6是、金右。わかゞ(二十七オ)ちゑ付をあいせとの御意。家 00060140L7老、すゝミ出、両手をつき、恐ながら。チツヨ+ 00060150¥N29¥J 00060160¥X家老 00060170L10/太皷(たいこ)さミせん、大さわぎのところへ、家老御目見仕たきよ 00060180L11し、御つぎへ罷出し申せバ、殿、これハつまらぬ所へ 00060190L12(二十七ウ)と云内に、/鹿(しか)右衛門罷出、御用向申上、御用も 00060200L13すめバ、殿、こりや鹿右。此間、さまよといふ/哥(うた)がはやり 00060210L14だ。おれが引から、其ほう、うたへ+とせがまれ、家老 00060220L15まじめになり、/扇(おふぎ)をしやにかまへ、うたSかわをへだてゝ 00060230L16いくさをすれバ、/船(ふね)よ+が(二十八オ)/気(き)にかゝる 00060240¥N30¥J 00060250¥X乞食 00060260L19やしき町でこじき同士ゆきあい、ドウタ、六。ひさしく逢 00060270L20ハぬ。今ハどこにいる。ヲラア/麻布(あざぶ)の/寺(てら)のうらに/居(いる)。/手前(てまへ) 00060280M1ハどこに居る。Sおれハ/浅(あさ)くさの小屋に(二十八ウ)S扨久 00060290M2しぶりた。一ぱいのミあいたいが、/酒(さけ)やハなし△Sヲヽこ 00060300M3うせう。むかし世にありし時を思ひ出して、一ツけん/来(こい) 00060310M4Sサンナア△Sスウ△Sロマ△Sリヤン。辻ばんから、 00060320M5Sトウライ 00060330¥N31¥J 00060340¥Xむかで 00060350M8/池(いけ)の/端(はた)のべんてんへ、/蔵前(くらまへ)のびしや(二十九オ)もんさまか 00060360M9ら、/御家来(こけらい)の/百足(むかで)、ふミ/箱(ばこ)を/持来(もちきた)る。/弁天(へんてん)さま御/逢(あい)なされ 00060370M10て、いま御返事をあげませふ。ちと/待(まつ)ていやれと御/返事(へんじ)を 00060380M11したゝめ、わたし給ひて/奥(おく)に御いり。しバらく過て、何や 00060390M12らごそ+するゆへ、ハテ/使(つかい)のものハ帰りしと思ふ(二十九 00060400M13ウ)たがと、うかゞへごろうじたら、/草鞋(わらぢ)をはいて居る 00060410¥N32¥J 00060420¥Xげんぞく 00060430M16ヤア/和尚(おしやう)さま。久しく御出なされなんだ。Sアヽわしも、 00060440M17さん※な事で御ぶさたいたした△Sそれハなにごと。ま 00060450M18づおあがりな(三十オ)されませと見たところが、和尚かミ 00060460M19を立られた。申シ、おまへのおつむりハへ。Sされバの事、 00060470M20/妻(さい)にはなれました 00060480¥P180 00060490¥N33¥J 00060500¥X二百十日 00060510L3二百十日ハいつだの。S何、とふにすぎたらふ△S何、ま 00060520L4だ過るものが△Sインヱ、それ(三十ウ)でも四万六千日ハ、 00060530L5いイつか過た 00060540¥N34¥J 00060550¥Xてうちん 00060560L8もふし旦那さま。このてうちんのくさりハ、何のためにい 00060570L9たします。Sこれハきられぬためさ。切かゝつても、これ 00060580L10でとまるハ△Sその時ハ、たれが持ますへ(卅一オ) 00060590¥N35¥J 00060600¥X浪人 00060610L13うら店のずつと/奥(おく)に/浪人(らうにん)住けり。町の/番(ばん)人、/鉄(かな)ぼうを引て 00060620L14奥までこぬゆへ、かね※ふ/届(とゞき)/成(なる)事に思ひし所へ、鉄ぼう 00060630L15の/音(おと)するゆへ、浪人一/腰(こし)ぼつこミ待居けるに、/案(あん)のごとく、 00060640L16となりの(卅一ウ)まへより引かへすを/呼(よび)とめ、おのれ、ふ 00060650L17とゞき者。なぜ、おれが/前(まへ)をのこす。おれだとて/火事(くハじ)を出 00060660L18すまい物か 00060670¥N36¥J 00060680¥X其二 00060690M1井戸がへで/長屋(ながや)中つな引に出る。となりの/亭主(ていしゆ)きたりて、 00060700M2御浪(卅二オ)人さま。あなたからも一人出されませ。らう 00060710M3人いや、わたくしでもよふござりませうか。Sずいぶんよ 00060720M4ろしふござりますが、どふもあなたが。らう人いや+、 00060730M5くるしふなくハと/支(し)たく。大小さして立出る。となりのて 00060740M6い主もおかしさこらへ、あな(卅二ウ)たハほんのあたまか 00060750M7ずと、ふしんばへつれ立行、サア+、このつなをおもち 00060760M8なされと、つなのさきをもたせけるに、S井戸の中より、 00060770M9ひいたりよ。らう人いづれもさま。おさきへまいります(卅 00060780M10三オ)(卅三ウ・卅四オ挿絵) 00060790¥N37¥J 00060800¥X其三 00060810M13/浪人(らうにん)となりへよバれ、/麦(むぎ)めしをバふるまハれ、何がしたゝ 00060820M14か喰たゆへ、ぱつちりと/腹(はら)がなる。扨&めんぼくもない事。 00060830M15こちそうゆへ/沢山(たくさん)たべて、腹がやぶれましたといふ。S扨 00060840M16それハ(卅四ウ)きのどく。どふぞ/療治(りやうじ)の/仕(し)やうもござりま 00060850M17せふ。まづ※/帯(おび)を御ときなされませと、むりにとかせ見 00060860M18れバ、/紙(かミ)のふんどしさ 00060870¥N38¥J 00060880¥X扇子 00060890¥P181 00060900¥G(卅三ウ・卅四オ) 00060910M1/亭主(ていしゆ)外よりかへり、扇子をぬいて(卅五オ)見れバ、まだ壱 00060920M2本あり。是ハしたり。どこからか、扇子を一本さして来た。 00060930M3女房それ見なさい。あんまり帯をかたくしなさるからさ 00060940¥N39¥J 00060950¥X多葉粉 00060960M6とつさんや。こゝにたばこの木が/生(はへ)て(卅五ウ)いるよ。 00060970M7Sばかめ。何うそつく△Sうそじやァない。是ミな。ドレ。 00060980M8Sほんにナア。あの大ぼやめが、ふきがらでも/落(おと)したらう 00060990¥N40¥J 00061000¥Xくじら 00061010M11/煤払(すゝはき)にくじら/汁(じる)するものだが、おれハきらい。こなたもき 00061020M12らい。三介ハ(卅六オ)すきか。Sハイ、たべます△Sそん 00061030M13なら、ちつと斗、かふたかよひ△Sアイ、わたくしばかり 00061040M14なら、一疋で/沢山(たくさん)ござりませう 00061050¥N41¥J 00061060¥X払もの 00061070M17/茶杓(ちやしやく)のはらいものがくる。女房見て、それハ何ンでごさり 00061080M18ます。S/利休(りきう)の(卅六ウ)茶しやくさ。女ぼう茶の湯にも利休 00061090M19がござりやすかへ 00061100¥P182 00061110¥N42¥J 00061120¥X切会 00061130L3中のてうの茶屋にて、/古切(ふるぎれ)の/会(くハい)有と聞て、二三人云あわせ、 00061140L4古ぎれを/持参(ぢさん)しけるに、きのふ会有しと聞、(卅七オ)/残念(ざんねん) 00061150L5ながら、きのふの一/番(ばん)ハどんなきれがなしましたと/尋(たづね)ける 00061160L6に、Sまづおらんだの/帆(ほ)ぎれ、/綴(つゞれ)のにしきの/類(るい)ハ、かずも 00061170L7しらず出ましたが、とんだものが出ました。/緋(ひ)ちりめんの、 00061180L8ちといろのさめかゝつた五六寸の切が、一番に成(卅七ウ) 00061190L9ました△Sそれハいかなるきれでござる△S今度の/松葉(まつば)や 00061200L10の瀬川がふんどしの切レてござつた 00061210¥N43¥J 00061220¥Xへのどく 00061230L13なしミの/客(きやく)、けいせいに向イ、こんなに大切の金銀をつい 00061240L14やしても、やくそくの通り、(卅八オ)すへハふうふになる 00061250L15気(き)やら。うつりやすきハ/君(きミ)けいせいといへば、S女郎、ず 00061260L16んと立て、/櫛(くし)ばこより/剃刀(かミそり)を取出す。S客、もぎとり、た 00061270L17んきなる者かな。たとへかミ切りゆび切したれバとて、何 00061280L18ンのやくたいもない事といふに、S女郎、/仕(し)かたなく見へ 00061290L19しが、つい、へを(卅八ウ)ひとつひりけり。S客、ぬから 00061300L20ぬ皃にて、ヤレ+もふ/起情(きしやう)も/髪切(かミきり)にも及バぬ。よく+ 00061310M1心やすく思へバこそ、へをもひらるゝ。すへかけて/替(かわ)らぬ 00061320M2/女夫(めうと)ぞといふ時、Sまた一つひりけれバ、Sさて+、う 00061330M3たかいのふかい女じや 00061340¥N44¥J 00061350¥X高慢の合羽(卅九オ) 00061360M6/近所(きんじよ)のいきなかま来りしに、S御いでか△S/合羽(かつぱ)を大丸へ 00061370M7あつらへて、今帰つた△Sどんな合羽を△Sいや/高慢(かうまん)だよ。 00061380M8まづおもてにハとふけんつむぎ。/裏(うら)ハ/唐(とう)ざらさ。/将(しやう)ぞくハ 00061390M9唐びらうど。かなものハ/銀(ぎん)のむく△Sさて、ゑらい合羽じ 00061400M10や。して見かへしハ△S其事よ。(卅九ウ)おもい切て、ゑ 00061410M11ぞにしき△Sそれハ/貴様(きさま)にもない、おしい事さ△Sなぜに、 00061420M12ゑぞにしきがわるいといへば、Sされバよ。/干物(ひもの)なれバ、 00061430M13むしつてすてる所じや 00061440¥N45¥J 00061450¥X面のあつらへ 00061460M16おとく/女(ぢよ)のせふうつしのめん。あたいにかま(四十オ)ハぬ 00061470M17から、よふ打てくれとたのまれ、/面(めん)やも、生のおとく女の 00061480M18手本にこまりしが、ふと思ひ出シ、となり/裏(うら)のせんだくや 00061490M19へ行しに、内義ひとり、物ぬふていらるゝ。おむすハどこ 00061500M20へいかれました。S二/階(かい)に/髪(かミ)ゆふていますといふに、S面 00061510¥P183 00061520L1や、それハと云ながら、二かいのはし(四十ウ)ごを三つ四 00061530L2つあがりけれバ、S/娘(むすめ)ハ/黒(くろ)かミをつかミ、ふりかへり、に 00061540L3つと/笑(わら)ひしありさま。S面やハよく+見て、楷子を下り、 00061550L4御かミ様。御さらバへと立帰る。Sほどなく、娘ハ二かい 00061560L5よりおりて、かゝさん。わたしや、/舅(しうと)の有ところへハいや 00061570L6よ(四十一オ) 00061580¥N46¥J 00061590¥X身なげ 00061600L9新大はしへ三十ばかりの女、いそがしげに、/橋(はし)せん一チも 00061610L10んなげてとをるを、Sよびかへし、橋せん一もんふ足とい 00061620L11ふ。S女わたしハつまらぬ事が出来て、橋中から/身(ミ)をなげ 00061630L12やす(四十一ウ) 00061640¥N47¥J 00061650¥X猫また 00061660L15去ル人が、去ところの女郎になじミかよいしに、ある/晩(ばん)に 00061670L16/床入(とこいり)して、まてどくらせど女郎来らず。はるか過て来り、 00061680L17/我(わ)が/寐(ね)いきをかんがへて、なにやら出して、/行灯(あんどう)のかげて、 00061690L18むさ+と(四十二オ)くふをそつと見れバ、人の/腕(かいな)なり。 00061700L19そつと身の/毛立(けだち)、扨ハこの女郎も/猫(ねこ)またなりしか。/恐(おそ)ろし 00061710L20の事と思い、ねふりしていに/臥(ふし)居たり。女郎も何とやら見 00061720M1付られしと思つたか、/件(くだん)の腕の/骨(ほね)を、そつと/畳(たゝみ)の/角(すミ)を上ケ 00061730M2て、下タへ(四十二ウ)かくし、口のはたふいて、もふし+ 00061740M3とゆりおこし、おまへハなんぞ見たかへ。Sイヤ+、何 00061750M4もしらぬ△Sほんかへといゝさま、ふところへ入ルSそ 00061760M5の/恐(おそ)ろしさ。みじかい/夜(よ)さへ/待(まち)/久(ひさ)しく、心にたのまぬ神ほ 00061770M6とけもなく、やう+からすの/声(こへ)の/嬉(うれ)しく、そつと/起(おき)、 00061780M7(四十三オ)いのちびろいとよろこびながら、女郎のねたこ 00061790M8そ/幸(さいハ)イと、/畳(たゝミ)のすミをあけて見れば、とうもろこしのから 00061800M9だ 00061810¥N48¥J 00061820¥Xその二 00061830M12/此(この)ごろ猫またざたの/気味(きミ)わるく、久しくどこへもあそびに 00061840M13行かす。きつと(四十三ウ)/工夫(くふう)し、一/晩(ばん)びくにをかいに行 00061850M14しに、夜の八ツとも思ふころ、/比丘主(びくしう)/寐息(ねいき)をかんがへる有 00061860M15さま。なむ三ぼう、こやつも猫またなりしか。/今夜(こんや)こそ此 00061870M16世のいとまなるらんと思ふ/程(ほど)心くるしく、ひやあせをかい 00061880M17て居けるに、Sびくにハよく+/伺(うかゞ)い、(四十四オ)そつと起 00061890M18て/頭巾(づきん)を取、いがぐりの様なあたまを、両手でぼり+か 00061900M19く 00061910¥P184 00061920¥N49¥J 00061930¥X鳶の者 00061940L3/仕事師(しことし)大やへゆき、扨ぞんじやしなんだ。御/眼病(がんびよう)だげに 00061950L4ござりやすと、/仕事(しごと)から帰つたら、かゝアが/咄(はな)しでうけ給 00061960L5ハり(四十四ウ)やしたが、おこゝろよふござりやすか。 00061970L6S大やよふこそおいで。一両日ハちとよふござると、おく 00061980L7よりいつる。Sハア、御がんびようばかりじやない。お目 00061990L8もわるふござりやすか 00062000¥N50¥J 00062010¥X桃太郎(四十五オ) 00062020L11/祖父(ぢゝ)と/祖母(ばゞ)、もゝを半ふんづゝ/喰(くふ)てわかくなり、祖母ハ/身= 00062030L12持(ミ=もち)に成。/別(べつ)して/腹(はら)が大きいゆへ、/嘸(さぞ)たくましひ男の子出生 00062040L13あらんと、ふうふよろこび居けるに、/臨月(りんげつ)にも成けれバ、 00062050L14いまや+とまつところに、(四十五ウ)/虫気(むしけ)ついて、やす 00062060L15+と/生(うま)れしを見れバ、/犬(いぬ)と/猿(さる)と/雉(きじ)、/声(こへを)そろへて、/旦那(だんな)さ 00062070L16ん。はやく+ 00062080¥N51¥J 00062090¥X離魂病 00062100L19かげのわづらいする者あり。/夜(よる)になつて、/女房(にようぼう)にかゝると、 00062110L20ひとりの男(四十六オ)やき/餅(もち)をやく。ひとりがよると、ひ 00062120M1とりが引のけ、/毎晩(まいばん)+同し事ゆへ、ある晩ひとりの/亭主(ていしゆ) 00062130M2/思案(しあん)して云やう、此ごろまいばん+おなじ/理屈(りくつ)で事がひ 00062140M3ぬ。どふか/仕(し)かたの/有(あり)そうなものだ。三人よれバ/文珠(もんじゆ)の/智= 00062150M4恵(ち=ゑ)。女房もこい。そこ(四十六ウ)なおとこもこいとより/集(あつま) 00062160M5り、てんでにひざを/抱(だい)て/工夫(くふう)し見れども、よいちへも出す。 00062170M6しバらくして、ひとりの/亭主(ていしゆ)、もふひとりふへれバ、めく 00062180M7りでもするものを 00062190¥N52¥J 00062200¥X開帳(四十七オ) 00062210M10去ル御てらで/千手観音(せんじゆくハんをん)の/開帳(かいてう)有。どうした事か、まいりも 00062220M11すくなかりしに、/田舎(いなか)もの、二三人づれにて/参詣(さんけい)し、扨も 00062230M12/沢山(たくさん)ナ御手でハあるぞ。S観音、/妙(たへ)なる/御声(ミこへ)にて、御手ば 00062240M13かり/多(おゝ)くて、御あしがふつていだ(四十七ウ) 00062250¥N53¥J 00062260¥Xむすめ 00062270M16いなか道でうつくしい/娘(むすめ)とつれになり、くどいて見たれバ 00062280M17ついできた。さいわい/辻堂(つじとう)ありしゆへ、そこへいれ、/抱(だい)て 00062290M18寐たところが、/其味(そのあぢ)のよさ、あまり/合点(がてん)ゆかぬゆへ、コレ 00062300M19おぬしハ(四十八オ)/狐(きつね)じやアないか。Sむすめおまへハ馬じ 00062310M20やアないか 00062320¥P185 00062330¥N54¥J 00062340¥X玉手ばこ 00062350L3/浦嶋屋(うらしまや)太郎兵衛といふ男、/沖(おき)づりに出て、/難風(なんふう)にあい、/船(ふね) 00062360L4ハづぶ+。これハと思ふ内、一つの/世界(せかい)へ出たれバ、 00062370L5(四十八ウ)ヤレめづらしい男と/王(わう)さまの前へゆく。王さま仰 00062380L6らるゝハ、其方、わが娘にめあわせ、/龍宮(りうぐう)の/跡(あと)とりにせん。 00062390L7S太郎兵衛/聞(きい)て、わたくしハ女ほうも子どもゝござれバ、 00062400L8何とぞ/国(くに)へ/帰(かへ)りとふござります。Sそんなら、のぞミのと 00062410L9をり帰へすべしと、いろ+(四十九オ)ごちさうの上、/玉= 00062420L10手箱(たま=てばこ)を下さるとおもへば、たちまち/品(しな)川の/磯(いそ)ばたへ出た。 00062430L11心に思ひけるハ、わづかの内のやうなれども、/定(さだめ)て七世ほ 00062440L12ども過つらん。まづすんだ所へいて見んと、行けるに、わ 00062450L13が/家(いへ)に/違(ちが)ハず。内へはいりて見れバ、しらぬ人が火をとも 00062460L14して(四十九ウ)居る。そこらも少しかわりしゆへ、もふし、 00062470L15太郎兵衛様の御宿ハ、おまへかへ。Sアイ。それハ十日ば 00062480L16かりいせんに/欠落(かけおち)せられ、かミ様や子共衆ハ、店うけの方 00062490L17へゆかれました 00062500¥N55¥J 00062510¥X松茸 00062520L20あるむすこ、/土物店辺(つちものだなへん)へ行けるに、能(五十オ)松たけの有 00062530M1しを、二三本/調(とゝの)へかへり、申/親(おやぢ)父さま。大松たけを、みや 00062540M2げにかふてきました。S親父大だわけめが 00062550¥N56¥J 00062560¥X寒の見まい 00062570M5/御隠居(ごいんきよ)さま。/当年(とうねん)ハべつして/寒(かん)もつよふござりますが、御 00062580M6そく才なてい、(五十ウ)おうれしふぞんします。ハアよい 00062590M7ものをおしきなされました。是ハ/熊(くま)のかわでござりますか。 00062600M8/嘸(さぞ)あたゝかにござりませふと/撫(なで)て見て、ほんに女房共も、 00062610M9よろしふ申あげました(五十一オ) 00062620¥Q 00062630M12売言葉@二編|三編@追&出来 00062640M15△安永五申年 00062650M17△△正月二日 00062660M19△△△△△整&畔梓 00062670M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(五十一ウ) 00062680¥P186 00062690¥U噺本大系△第十巻 00062700¥T/鳥(とり)の/町(まち)〔内題〕 00062710¥G 00062720¥Y 00062730L16安永五年正月序 00062740L17来風山人序 00062750L18堀野屋仁兵衛板 00062760L19小本一冊 00062770L20大東急記念文庫蔵 00062780¥Y鳥の町序 00062790M3/南海(なんかい)に矢口の/名所(めいしよ)あり。/其名(そのな)/道然(とうねん)に/志(し)られ、/北国(ほつこく)に/鳥(とり)の町 00062800M4のき(甲オ)まり/有(あり)。その名/頭(とう)の/芋(いも)に/盛(さかん)/也(なり)。/南北(なんほく)の/地名(ちめい)、/武= 00062810M5江(ぶ=こう)に/高(たかく)くして、/遊楽(ゆうらく)/山人(さんじん)/酒餅(しゆべい)の/豪傑(ごうけつ)、(甲ウ)我も+とお 00062820M6し合有さま、大晦日の/掛取(かけとり)の/如(こと)し。一夜/明(あく)れは/初春(はつはる)の、こ 00062830M7とふき祝ふ/酉(とり)のまちの/序(しよ)ひらき(乙オ) 00062840M9△△△安永五さるの春 00062850M10△△△△△△△△△△△△△△△△来風山人書 00062860M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(乙ウ) 00062870¥P187 00062880¥T1/鳥(とり)の/町(まち) 00062890¥N1¥J 00062900¥X年玉 00062910L5女郎の方より、あらたまの文に、とし玉を取そへ来ル。ひ 00062920L6らき見れハ、有ふれたるぶんていに、/包(つゝミ)をとけハ黒ちりめ 00062930L7んの/頭巾(づきん)。引かへし+見(一オ)て居るところへ、/親仁(をやぢ)、 00062940L8によつときかゝる。/息子(むすこ)ハちやつと文ハ/隠(かく)せしが、頭巾を 00062950L9は/隠(かく)しかねたるを、親仁/目(め)はやく、其づきんハ買たのか。 00062960L10イヽエ。/貰(もろ)ふたか。Sイヽエ、是ハひろひました△Sドレ 00062970L11+みせろと、ためつすがめつ見て、/前(まい)(一ウ)かた、おら 00062980L12が/若(わか)イじふんひろつた£ハ/地(ぢ)がわるくなつた 00062990¥N2¥J 00063000¥X大根 00063010L15庄屋/畑(はたけ)を/持(もち)、大/根(こん)をつくらせけれとも、二三年思ふやうに 00063020L16できぬゆへ、大かた男ともの/仕(し)なしの/悪(わる)い/故(ゆへ)と(二オ)、じ 00063030L17しんはたけへ出て、つちを/堀(ほつ)て居るところへ、/支配(しはい)/下(した)の百 00063040L18性/通(とを)りかゝり、是ハ/旦那(だんな)さま。男衆におさせなされま 00063050L19せいで、御じしんニなさるのハお/憚(はゞか)りてごさりますといへ 00063060L20は、/文盲(もんもう)成庄や、腹を立、おれが大根をつくるニ、/葉(は)/斗(ばかり)と 00063070M1ハ(二ウ)不/屈(とゞき)なりといふ所へ、又一人/来(き)かゝりて、是ハだ 00063080M2んなさまの御/腹(はら)立御尤。しかしながら、あれハ/何(なん)の/分別(ふんべつ)な 00063090M3しに申たので、/根(ね)も/葉(は)もないでごさります 00063100¥N3¥J 00063110¥X釣棚 00063120M6/此中(このぢう)/貴(き)さまに/釣(つゝ)てもらつた(三オ)/棚(たな)が/落(おち)て、大きにこまつ 00063130M7た。あの/様(やう)な/麁末(そまつ)な事をしてといわれて、Sハテナ、おち 00063140M8るはづじやないが、それハ大かた、何ぞ/揚(あげ)たであらふ 00063150¥N4¥J 00063160¥X狼藉 00063170M11/承(うけたま)ハつて参りました。此御寺に(三ウ)桜のさかりとごさ 00063180M12る。何とそ/見物(けんぶつ)仕たしと/云(いゝ)入れ、五六人つれにて/庭(てい)ぜんを 00063190M13見あるき、中ニ一人の/若(わか)もの、一ト/枝(ゑだ)/手折(たをら)んとせしを/和尚(おせう) 00063200M14見/咎(とが)め、コリヤ+、なぜ桜に手をさすぞとしかられて、 00063210M15Sハテ、そふもぎたうに(四オ)おつしやりますな△S見て 00063220M16のミや人に/語(かた)らん桜花、と申/歌(うた)も、有ルてハごさりませぬ 00063230M17か△Sイヤ+、/埒(らち)もない事をいふ人じや。入相のころハ 00063240M18/鐘(かね)さへもつかせぬに 00063250¥P188 00063260¥G(六ウ・七オ) 00063270¥N5¥J 00063280¥Xきさま(四ウ) 00063290M3きさま+といふが、あれハ何の事だ。Sハテ、あばたの 00063300M4事よ△Sそれで/聞(きこ)へた。おれがあばたが有によつて、なぶ 00063310M5つて、きさまといふで有ふと、それより/余所(よそ)へ出かける道 00063320M6にて、我より大あばたのちか/付(づき)の友たち、向ふ(五オ)より 00063330M7/声(こへ)をかけ、きさまハどこへ行ぞといへば、Sをれよりうぬ 00063340M8が大きさまだ 00063350¥N6¥J 00063360¥X見舞 00063370M11/人形(にんぎやう)/芝居(しばゐ)の木戸番、/怪我(けが)をせしゆへ、見/舞(まい)に行、どふじや。 00063380M12けかを/仕(し)(五ウ)たと聞たが。Sサレバ、二三日あと/階子(はしご)を 00063390M13ふミはづして/落(おち)た△Sそれハあぶない事だ。どこらからお 00063400M14ちたぞ。三段め+ 00063410¥N7¥J 00063420¥X地口 00063430M17此ごろおらが大/家(や)どのが、かミさまを(六オ)(六ウ・七オ挿絵) 00063440M18/呼(よ)バれたから、わしが地口を/云(いゝ)ました。何といふたぞ。お 00063450M19ふやさんにようぼう/大師(だいし)。S是ハ/能(よく)できた。しかし、もそ 00063460M20つとかるくいふがよい。それをいはふなら、/大家(をふや)御/縁組(ゑんぐミ) 00063470¥P189 00063480¥N8¥J 00063490¥X/揚((ママ))弓(七ウ) 00063500L3お/姫(ひめ)様の/出臍(でべそ)、りやうじ手を/尽(つく)すといへ共引込ず。/揚弓(やうきう)の 00063510L4名人聞及て、一ト/矢(や)にて引込せ申へしと取次を以て申上る。 00063520L5お姫様へ右のわけ申上候へとも、はづかしく思召、御とく 00063530L6心なし。お/乳(ち)の人おなだめ申、私もごしやうばん申(八オ) 00063540L7へしと申上、/漸(やう+)御/得心(とくしん)にて、おちの人と立ならび、おなか 00063550L8を出して、五間ほと向に/侍(まち)玉ふときに、/彼(かの)揚弓、ねらひを 00063560L9/極(きわ)め、ひやうど/放(はな)す。/矢(や)、おうばの/腹(はら)にあたり、Sどん 00063570¥N9¥J 00063580¥X硝子(八ウ) 00063590L12/扨(さて)/近&(きん+)に金/儲(もうけ)のつるに取つく事が/出来(でき)た。Sそれハ/耳(ミヽ)より。 00063600L13どうじや+△Sされは/先(せん)年から、川+に/埋(うづも)れたる金銀 00063610L14おびたゝしく有ニ/依(よつ)て、見出す/工夫(くふう)を付たが、どうだ+ 00063620L15Sそれは面白い。おれも半分/乗(のり)たひ△Sそれ(九オ)ならば 00063630L16舟を/借(かり)玉へとて両人舟に打/乗(の)り、両国の/辺(へん)へのり出し、/兼(かね) 00063640L17て/用意(やうゐ)の大/硝子(びいどろ)を取出し、此中へはいり玉へと入て、/能(よく)口 00063650L18をしめ、/綱(つな)を付て水/底(そこ)へさげ、どうじや。有か+。S有 00063660L19とも+。銭/金(かね)、わきざし、金物、おびたゝしひ(九ウ) 00063670L20S早くとりやれ△S手がでない 00063680¥N10¥J 00063690¥X摘菜 00063700M3いものくきを/割菜(わりな)と、なぜいふ。わりやしらぬか。Sいん 00063710M4にや、おらしらぬが、それよりな、此内こんにやく/嶋(しま)へい 00063720M5つたらナ、/肴(さかな)に/鮹(たこ)のあしを出して、つまミなとよ(十オ) 00063730¥N11¥J 00063740¥X吉原 00063750M8此ころハ久しくお出なんせん。お心かわりかといふ。Sイ 00063760M9ヽヤ、心がはりではないが、さん※/痔(じ)が/起(おこ)つて、それゆ 00063770M10へ/来(こ)なんだ。それハさぞおこまりなさんしたてごさんしよ。 00063780M11殊に/出痔(でじ)のいぼじの(十ウ)/走(はし)り痔のと、色&あるさふでご 00063790M12さんすが、おまへのハ何痔でごさんす。おれがのハ/親仁(おやぢ)だ 00063800¥N12¥J 00063810¥X刀の銘 00063820M15/波平(なミのひら)/行安(ゆきやす)の刀の/銘(めい)よめぬゆへ、/別(べつ)ニ書付て、/儒者(じゆしや)の所へや 00063830M16りけれハ、なミ(十一オ)たいらかにして/行(ゆく)こと/安(やす)しと/読(よん)で 00063840M17来る。刀の/銘(めい)にハおかしい事じやと、お寺の/和尚(をせう)ニ見せけ 00063850M18れハ、是ハ/波平(はびら)/行安(ぎやうあん)じやが、/先祖(せんぞ)の/戒名(かいめう)でごさるか 00063860¥P190 00063870¥N13¥J 00063880¥X潜上 00063890L3/身上(しんせう)を女郎にいれ上ケ、一/家(け)一門に(十一ウ)見/限(かぎ)られ、つ 00063900L4ゐに/菰(こも)をかふり、寺町/辺(へん)にねてゐる。折ふし、前かたなじ 00063910L5みの女郎通りかゝり、此ていを見るより、扨&おいとほし 00063920L6や。わたしゆへニ此やうな/躰(てい)にならんしたかとすがり付、 00063930L7/泣(なき)いだせば、こりや+、/声(こへ)が高い。おれハ/敵(かたき)うちニ(十 00063940L8ニオ)/出(で)たのじや 00063950¥N14¥J 00063960¥X/骸(からだ)/廻(めぐ)り 00063970L11しらミども/云(いゝ)合せ、からだめぐりせんと、/背中(せなか)より/肩(かた)さき、 00063980L12/腕(うで)なと/歩行(あるき)、おやゆびの中ほどまで来て、是ハ大きながけ 00063990L13じや。皆はやくこいといへは、年/寄(より)(十二ウ)しらミ声をか 00064000L14け、ヤレ/若(わか)イ者ども。そこへ行な。そこが/親(おや)しらず子しら 00064010L15すた 00064020¥N15¥J 00064030¥X煙草 00064040L18/貧(まづ)しき/煙草(たばこ)や、思ひがけなく金/儲(まふ)けして、/俄(にわか)に見せを取ひ 00064050L19ろげ、日本ニわれにつゞく煙草やハある(十三オ)まじと、 00064060L20じまん心でゐたる折ふし、ちかづきの人/来(き)て、扨&大きな 00064070M1見世になされ、たばこやの/三井(ミつゐ)でごさるといへは、てい主、 00064080M2大きなかほつきして、/服部(はつとり) 00064090¥N16¥J 00064100¥Xぶせふ者(十三ウ) 00064110M5くわんおんに参らふと思ふが、ちと/空腹(くうふく)なが、/喰(くふ)も/面倒(めんだう)な 00064120M6といふ。男聞て、やき/食(めし)を竹の皮に包ミ、道にてあがれと 00064130M7ふところへ入てやる。道へ出たれば、しきりにひだるく成。 00064140M8向ふ£ひもじそふな/顔色(がんしよく)なる男、/菅笠(すけかさ)をあたまへのせ来る 00064150M9を、(十四オ)是+、貴様ハひもじさふだが、おれがふと 00064160M10ころに/食(めし)が有から/喰(くつ)て、跡ておれにもくわせて下されとい 00064170M11ふ。Sとんだ事をいふ人だ。そなたニ/喰(くわ)せるくらゐなら、 00064180M12此笠の/紐(ひも)をむすびます 00064190¥N17¥J 00064200¥X押(十四ウ) 00064210M15小/身(しん)なる所ニ/押(おさへ)/奉公(ほうこう)に/済(すむ)しが、/誰(たれ)もたつねぬゆへ、いとま 00064220M16をとり大きな所へすミ、/早速(さつそく)御供を云付られけれハ、何で 00064230M17もけふハ云ふと思ひすまして出ると、其まゝ、となたてご 00064240M18さるととふ。Sちつと、さふもごさるまい(十五オ) 00064250¥N18¥J 00064260¥X茶人 00064270¥P191 00064280L1深川/辺(へん)へ出かけしが、/立派(りつは)なる/住居(すまゐ)有。/枝折(しをり)戸が/明(あい)てゐる 00064290L2ゆへ、ずつと/這(は)入ハ、きれい成/庭(には)、四畳半に/炉(ろ)も立て有。 00064300L3見れハ/誰(たれ)もゐず。ずつとざしきへ上り、先ツ茶をのむ。/奥(をく) 00064310L4より小/僧(そう)か見(十五ウ)つけ、モシ/旦那(だんな)様。あれ、ごろうし 00064320L5ませ。とんだやつか参りました。大方どろ坊でごさりませ 00064330L6ふ。ぶちのめしてやりませふ。イヤ+、先まてといふ内、 00064340L7かのやつ、手を二つたゝく。イヤ、とほふもないやつでご 00064350L8さります。Sどふするか、行て見ろ。(十六オ)小/僧(ぞう)ハ/彼(かの)や 00064360L9つがまへに手をつき、何の御用でこさります。S/勝(かつ)手がさ 00064370L10わがしい 00064380¥N19¥J 00064390¥X雷 00064400L13大かミなり/鳴(なり)出し、/親父(をやぢ)ハ大きらひにて、かゝや、是ハど 00064410L14ふもならぬと、(十六ウ)おし入をあけ、内へにげ/込(こむ)。子ども 00064420L15かゝさんや。あすハ又御/節句(せつく)か 00064430¥N20¥J 00064440¥X桶屋 00064450L18お袋と/養子(やうし)とけんくわをして、/息子(むすこ)を出さうといふ。家主、 00064460L19あいさつに/這(は)入、なんぼお袋がそう(十七オ)いつても、あ 00064470L20れを出してハ/身上(しんせう)が立ぬ。/夫(それ)てハ店にも置れぬと、中カを 00064480M1/直(なを)させ、/狂哥(きやうか)、 00064490M2△△△木と竹とあわせる物ハ/底(そこ(ママ))が親 00064500M3△△△△たが何いほと/侭(まゝ)にして桶 00064510¥N21¥J 00064520¥X信者(十七ウ) 00064530M6二三人/寄会(よりあい)、とかく私共が/宗盲(しうし)は有かたい。此ころも/飴(あめ)売 00064540M7がうたに、おめこ買ねばおとりこしやないと云ます。/浄土= 00064550M8宗(ぜうど=しう)が聞て、イヤ+、あミださまが有かたい。あめ売も仕 00064560M9舞にハ、/十夜(じゆや)+じゆや斗だと云ます(十八オ)(十八ウ・十九 00064570M10オ挿絵) 00064580¥N22¥J 00064590¥X紅葉 00064600M13なんと二三日の内、/海安(かいあん)寺へ紅葉見に行ふじやないか。そ 00064610M14れはよかろふ。下男、是を聞、それはよしになされませ。 00064620M15ナゼ、そふいふぞ。S先日、品川へお使に参たつゐでに寄 00064630M16ましたが、(十九ウ)皆/赤(あか)く成ました 00064640¥N23¥J 00064650¥X仕事師 00064660M19吉原へ手伝に行、もし女郎さん。あわびかいに火をくんな 00064670M20さいといふを、/外(ほか)のが聞付、是わりや、ばかな事をいふ者 00064680¥P192 00064690L1だ。なんぼこちとだ(二十オ)とて、ふだんあわび貝で、煙 00064700L2草のミハせまいし。ヲヽ/合点(がつてん)た。もし女郎さん、お茶を一 00064710L3つ/拝見(はいけん)いたしやせう 00064720¥N24¥J 00064730¥X礫文字 00064740L6手紙をひらき見れは、/柳日(やなぎひ)を(二十ウ)/借(しやく)用申度との/文言(もんこん)。 00064750L7サアこれは/読(よめ)ぬハ。二三人/評義(ひやうぎ)して、大方/平生(へいぜい)あて/字(じ)を/書(かく) 00064760L8やつじやによつて、是ハ/朔日(ついたち)のたちであろふと/読(よん)て見ても 00064770L9すめぬ/故(ゆへ)、/先方(さきかた)へ聞にやれは、/晦日(つもこり)のごりの/字(じ)しや。柳 00064780L10(廿一オ)ごりをかりたい 00064790¥N25¥J 00064800¥X香物 00064810L13御寺から、/少(すこ)しなから/漬(つけ)物を上ますと申て参りましたと、 00064820L14取次の男か差出せば、イヤ、是ハよい/匂(にほ)ひじや。御寺でハ 00064830L15どふして/漬(つけ)さしや(廿一ウ)る事やら。匂ひなら/風味(ふうミ)なら、 00064840L16どふもいへぬといへば、アイ、私が春中も御/使(つかひ)に参つた時、 00064850L17/勝手(かつて)て見ましたか、久しく/漬(つけ)て/置(をき)ますさふで、/重(をも)しの石に 00064860L18年/号(がう)が/彫(ほり)付てごさつたか、たしか/永禄(ゑいろく)二年八月五日とごさ 00064870L19りました(廿二オ) 00064880¥N26¥J 00064890¥X豆腐 00064900M3/小僧(こぞう)、とうふを売に出て内へ/帰(かへ)り、けさハ/売(う)れませぬ。 00064910M4/漸&(やう+)半丁うりましたといへば、つんぼうの/親父(おやぢ)、ナニ、/半= 00064920M5鐘(はん=しやう)を打た。イヽへ、/豆腐(たうふ)の事さ。S/遠(とふ)くならよい(廿二ウ) 00064930¥N27¥J 00064940¥X貧福 00064950M8用有て出かける。むかふから、こゝろやすい/友達(ともだち)来るゆへ、 00064960M9びんぼう神、どこへ行。ヲヽ、わが内へ/行(ゆく)といふて行過る。 00064970M10ハテ、いま+しひやつじや。ひんほう神がおれが内へ来 00064980M11ては、(廿三オ)/気(き)がゝりと思ひなから、用をたし/帰(かへ)れバ、 00064990M12右の友だち、又むかふからくるゆへ、こんどはいわふて、 00065000M13福の神、どこへ行。Sヲヽ、今そつちから出て来た 00065010¥N28¥J 00065020¥X根間(廿三ウ) 00065030M16/鶴(つる)ハ千年/生(いき)るといふが、ほんの事かの。Sヲヽサ、/生(いき)れば 00065040M17こそ、かまくらに/頼朝(よりとも)の/放(はな)しつるが有てハないか△Sそし 00065050M18て千年過ればどふする△Sそれからしぬのさ△S/死(しん)でどふ 00065060M19する△Sそれから(廿四オ)十万/億土(をくど)へ行のさ△S/極楽(ごくらく)へ行 00065070M20てどふする△Sアヽ六かしい男だ。極らくで/蝋燭(らうそく)たてに 00065080¥P193 00065090¥N29¥J 00065100¥X国穿鑿 00065110L3下女四五人あつまり、おさき殿ハ江戸/産(むま)れかと思つてゐた 00065120L4に、(廿四ウ)此中やどから/便(たよ)りの時、国から/便宜(ひんぎ)が有たと 00065130L5の咄し、おまへハどこむまれだ。Sアイ、ちいさいとき、 00065140L6江戸へ来やしたが、産れハ/房州(ぼうしう)さ△Sおたき殿ハどこへ 00065150L7Sわたしハ/神奈(かな)川/在(ざい)さ△Sおミわどのゝ/在所(ざいしよ)ハ△Sアイ、 00065160L8私ハ(廿五オ)と、いゝかねる。Sハテ、どこてこさんす 00065170L9Sアイ、わたしハびろうなから、/葛西(かさい) 00065180¥N30¥J 00065190¥X不孝 00065200L12きさまハもはや四十に及んて、/親(おや)に不/孝(かう)な事だ。もろこし 00065210L13の/老(らう)(廿五ウ)/来子(らいし)ハ七十に/余(あま)りて、子/供(とも)の小/袖(そて)を/着(き)てたわ 00065220L14むれしハ、/歳(とし)わかしと/親(をや)におもわせんとの心つかひした人 00065230L15さへ有に、たしなミやれとの/教訓(きやうくん)。不孝もの、尤と思ひ、 00065240L16大しまの/布(ぬの)子をこしらへ、おやのまへで飛たり、(廿六オ) 00065250L17はねたり、とんぼかへりしたりして見せけれは、お袋、な 00065260L18ミたをなかし、さて+長/生(いき)すれは、色&のかなしひ事を 00065270L19見る。とふそ、あいつがほんの/気(き)ちかひにならぬ/先(さき)に行た 00065280L20い 00065290¥N31¥J 00065300¥X/億((ママ))病(廿六ウ) 00065310M3五十人ばかり/夜討(ようち)がはいり、/俄(にはか)の/事(こと)ゆへうろたへ廻り、八 00065320M4方へきりちらされ、/迯(にげ)たる者/多(をふ)かりける。其/後(のち)事すみて、 00065330M5/彼(かの)にげたる人&に出合云けるハ、むかし/堀(ほり)川の/御所(ごしよ)へ、/土= 00065340M6佐坊(と=さばう)が五百/余騎(よき)にて夜うちに(廿七オ)/押寄(おしよ)せしを、わづか 00065350M7三四人にて五百余騎をさん※に切なびけ、/討(うつ)手の大/将(せう)/土= 00065360M8佐坊(と=さぼう)を討取たるためしも有に、わづか五十人にたらぬ夜う 00065370M9ちに切立られ/迯(にげ)廻るとハ、ひきやうな事じやとさん※に 00065380M10おろ(廿七ウ)され、Sイヤサ+。その亀井、かたおか、 00065390M11むさし坊のやうなやつが、五十人来たゆへに 00065400¥N32¥J 00065410¥X飛鳥山 00065420M14/田舎客(いなかきやく)、あすか山はおもしろい所と聞ました。国もとへ/帰(かへ) 00065430M15り、/咄(はな)しの(廿八オ)たねに見て行たいと云ふ。ていしゆ、 00065440M16わしが/案内(あんない)しませふとつれ立行。てい/主(しゆ)、せわしき/者(もの)にて、 00065450M17/飛脚(ひきやく)のやうに/歩行(あるき)、茶屋へも/寄(よ)せずに、たばこもあるきな 00065460M18から/吸(すわ)せ、飛鳥山から/道鑵(どうくわん(ママ))山、日くらし、いろは茶や、(廿 00065470M19八ウ)/夫(それ)より/息(いき)もつかセず、/上野(うへの)へ出ければ、Sまだ飛鳥山 00065480M20ハ/遠(とう)くごさるか△Sハテ、もふ/通(とう)つて/仕舞(しまい)ました。それ、 00065490¥P194 00065500¥G(十八ウ・十九オ) 00065510M1さくらのたんと/咲(さい)た所があすか山サ△Sハア、おらハ物を 00065520M2ぼへかわるい。わすれてしまつた(廿九オ) 00065530¥N33¥J 00065540¥X信濃もの 00065550M5しなの者をおきしが、/亭主(ていしゆ)、/向(むかふ)の内へ/呼(よば)れて行ける。/急(きう)に 00065560M6用が出来けれは、/内義(ないぎ)ハ、是おしな。向ふの内へ行て、手 00065570M7をつゐて、/珍(ちん)兵衛に用がごさります。/一寸(ちよつ)と/帰(かへ)ります(廿 00065580M8九ウ)やうにと、おふへいに云ふ物じや。Sハイと云ふて、 00065590M9向ふへ行けれハ、/折(をり)ふし/珍(ちん)兵衛、見世に/居(ゐ)合せ、/信濃(しなの)を見 00065600M10つけ、わりや何に/来(き)た。Sわれを/呼(よび)にきた。今/帰(かへ)りやれ 00065610¥N34¥J 00065620¥X間違(三十オ) 00065630M13おでん+と/毎晩(まいばん)よんで通るが、あいつを/喰(くひ)たひ物だか、 00065640M14/呼(よぶ)もぐわゐぶんがわるし。S下男すくに買て参りませう 00065650M15S/夫(それ)でハさめる。あれハ/釜(かま)から出す、みそを付る、すぐに 00065660M16してやらねばと云ふ所へ、おでん+といふと、(三十ウ) 00065670M17物いわずに/自身(じしん)/欠(かけ)出し、おでんが/肩(かた)をつかまへて、むせう 00065680M18に引て来る。おでんハ/鹿子(かのこ)もちといふ身で、ご/ゆ((ママ))されませ。 00065690M19/夜(よ)あきんどの義て御さります。不てうほうがごさりますな 00065700M20ら、/幾重(いくへ)にもあやまりました。Sイヽヤ、何もいふ(三十一 00065710¥P195 00065720¥G(三十三ウ・三十四オ) 00065730M1オ)なと、/店下(たなした)へ/連(つれ)てきて、小/声(こへ)になり、二三本みそをつ 00065740M2けろ。Sお安ひ御用と、つけて出すを、はいり口にてして 00065750M3やる/透間(すきま)を見合せ、をでんハ/迯(にげ)のひ、/溜息(ためいき)をつき、アヽ、 00065760M4ひやいな目にあつた(三十一ウ) 00065770¥N35¥J 00065780¥X吉原 00065790M7/京町(きやうまち)へ新見世か出来たと聞たから、ゆふべ行たが、おつな 00065800M8内よ。Sハテナ、家名ハなんといふ△S伊勢やといふが、 00065810M9/元(もと)/茶(ちや)わんばちやで有たげなから、/瀬戸(せと)物いせやと云ふ(三 00065820M10十二オ)△Sそして、何といふ女郎を/揚(あげ)た。にしきでといふ 00065830M11部屋もちよ。Sわかい者の名ハ△S五郎八 00065840¥N36¥J 00065850¥X道楽者 00065860M14/太平楽(たいへいらく)しなん所といふ/看板(かんばん)が出たから、おらア行かふとお 00065870M15もふが、(三十二ウ)わりや行かぬか。Sヲヽ、おれもそり 00065880M16や/気(き)があると、/家樽(ゑだる)を持て行、たのみませうといへは、是 00065890M17ハよう御出なされました。先つしバらく、御/扣(ひか)へなされま 00065900M18せと云ふて内へはいり、まてどくらせと、何の/沙汰(さた)もなき 00065910M19故、(三十三オ)(三十三ウ・三十四オ挿絵)大きにはらを立、Sこ 00065920M20りやまあ、とほうもないやつだ。のろまが/咸陽宮(かんやうきう)の/城(しろ)をあ 00065930¥P196 00065940L1づかつたやうに、いつ迄かふして/置(を)きやあがるとの/悪(あく)たい。 00065950L2おく£せうじを/明(あけ)て、よほど御したぢかごさります(三十四 00065960L3ウ) 00065970¥N37¥J 00065980¥X違謡 00065990L6/聞(きゝ)取/謡(うたひ)を、しつたふりにてうたふ。みだたのむ、ねかひも 00066000L7四つの御山を+、けふ立出る/旅衣(たひころも)、きの/知盛(とももり)がたつか弓。 00066010L8Sはて、それハ/誓願寺(せいぐわんし)かと思へば/舟弁慶(ふなべんけい)のやうな所もあり、 00066020L9何といふ(三十五オ)うたひで御さると/咎(とがめ)られ、是ハせいく 00066030L10わんじさ。Sそれてもどふか△S是ハ/元(もと)誓願寺 00066040¥N38¥J 00066050¥X業平 00066060L13わかき男、わつらひにて/眉毛(まゆげ)少シ/薄(うす)く成しを、見くるしく 00066070L14おもひ、ま(三十五ウ)ゆに/墨(すミ)をぬりしを、三十二文ほと不 00066080L15/足(そく)のむすこ、Sもし、おまへハまゆを、なぜ墨で/塗(ぬり)なさつ 00066090L16たといへば、見付られてにくさもにくし、是ハ今はやる/業= 00066100L17平(なり=ひら)まゆといふ物じやと聞て内へ帰り、眉を/剃(そり)おとし、墨に 00066110L18て塗ければ、(三十六オ)/親父(おやぢ)見付、おのれが其つらハ何じ 00066120L19や。しつかい、なりを見るやうなといへば、Sイヨ、親父 00066130L20のしやれめ。/平(ひら)をいわずに 00066140¥N39¥J 00066150¥X嫁姑 00066160M3むせうにむりをいふて、/嫁(よめ)をいじる/姑(しうとめ)有り。あの/無理(むり)ハと 00066170M4ふしたら/直(なを)(三十六ウ)ろふやらと/明暮(あけくれ)嫁のくろう。とふぞ 00066180M5しかたハ有まいかと思ふ所へ、町内から/寄会(よりあい)をふれて来る。 00066190M6アイ、あるじか/留守(るす)でごとります。帰りましたら申聞せま 00066200M7せうといふを、しうとめハはや/鳴(なり)出し、おれが内に居るに、 00066210M8何でも(三十七オ)おれにはひし/隠(かく)しにする。何の/寄(より)合じや 00066220M9としかられ、/嫁(よめ)ハさそくに、イヤ、外の事でもごさりませ 00066230M10ぬ。此町内ニ/嫁(よめ)をいじるしうとめが二人有ほとに、/異見(ゐけん)を 00066240M11して、事のないやうにせよと有ル寄合でごさりますといへ 00066250M12ば、Sハテナ、(三十七ウ)今一人ハ/誰(たれ)じや 00066260¥N40¥J 00066270¥X茶代 00066280M15京者、江戸/見物(けんぶつ)に来り、/馬喰(ばくろ)町に/宿(やと)をとり、/供(とも)に/連(つれ)し男に 00066290M16いふやう、当所ハ道中と/違(ちが)ひ、/茶(ちや)やへ/寄(よつ)ても、茶代を二三 00066300M17文つゝハ/置(をか)れぬ。/明日(あす)から見物に(三十八オ)出るが、茶や 00066310M18へ/寄(よつ)て、六介と云たら六もん、八介と云たら八文/置(をけ)と云付、 00066320M19/毎(まい)日/遊山(ゆさん)に出る。又/観音(くわんをん)へ出かけ、/焔魔堂(ゑんまだう)のあたりにて夕 00066330M20立に/逢(あ)ひ、是、おれハ此茶やに/待(まつ)て居るから、内へ行て、 00066340¥P197 00066350L1かさを取てこひと云付やり、二三町も行と思ふと、(三十八ウ) 00066360L2/日和(ひより)になる。アヽ、もそつと/待(まて)ば/能(よか)つた。是、御ていしゆ。 00066370L3今八介が帰つたら、くわんをんの方へこい、茶代も八介に 00066380L4/払(はら)つてこひといふて下されと頼ミ行。Sなんだ、あの人ハ 00066390L5めつたに、八介+と。ハア聞へた。此ぢう六介と云たら 00066400L6茶代を六文、けふハ(三十九オ)手間どつたゆへ、八文とい 00066410L7ふ事であろふといふ所へ、/傘(かさ)を/持(もつ)て来る。S是、/旦那(だんな)ハ観 00066420L8音へごさつた。百介ニ茶代を/払(はら)つてこひと、おつしやつた 00066430L9S/十方(とほう)もない。旦那ハきつひむりいひ。/爰(こゝ)にたつた三十四 00066440L10五介(三十九ウ) 00066450¥N41¥J 00066460¥X庵室 00066470L13/相模(さがミ)へんを通りかゝり、見れハ/庵(あん)じつに三十/斗(ばか)りの男、/唯(たゞ) 00066480L14一人/机(つくへ)にもたれ、/書藉(しよじやく(ママ))を見て居る/躰(てい)を見て、あのやうにし 00066490L15て/暮(くら)したらハなあ、さぞ/面白(をもしろ)い事てあらふと、うら山(四 00066500L16十オ)しうおもへば、/庵室(あんじつ)の男、ずつと出、のびをしなから、 00066510L17アヽ金かほしい 00066520¥N42¥J 00066530¥X金物見世 00066540L20/田舎(いなか)者、二三人/連(つれ)にて柳原をとほり、らうそくのしん切を 00066550M1見て、あれ、江戸には馬の/毛抜(けぬき)までごさるとつれニ(四十ウ) 00066560M2/咄(はな)せば、金物やの男、大きなとうへんぼくだといふを聞付、 00066570M3何じや。とうへんぼくとは何事だ。イヽエ、おまへ方の 00066580M4やうな田舎の大/尽衆(じんしう)をは、とうへんぼくと申が、江戸のは 00066590M5やりことばてごさります。Sムウ、おれも余ほどのとうへ 00066600M6んぼく(四十一オ)と見へるか 00066610¥N43¥J 00066620¥X丁稚 00066630M9何しても何いふても、でかした+といふ/旦那(だんな)。/食(めし)まへに 00066640M10出られ、/膳(ぜん)立をして/待(まつ)てゐる所へ、旦那かへりけれハ、で 00066650M11つちだんなさま。お/食(めし)を上りませ(四十一ウ)といふ。Sイ 00066660M12ヤ、をれハ喰ふてきた。われ、くふてしまへ。でつちでか 00066670M13した 00066680¥N44¥J 00066690¥X/億((ママ))病 00066700M16大をくびやうなる/侍(さむらい)、/夜(よる)うらへ行に気味わるく思ひ、内義 00066710M17に手/燭(しよく)をかゝげさせ行しが、/雪隠(せつゐん)の内より、(四十二オ)何と、 00066720M18そなたハこわくハないかといふ。なんのこわい事が御ざり 00066730M19ましよといへは、S/流石(さすが)武士の/妻(つま)ほと有 00066740¥P198 00066750¥G(四十四ウ・四十五オ) 00066760¥N45¥J 00066770¥X火燵 00066780M3/能(のふ)好キなる男、/観進能(くわんじんのふ(ママ))を/見物(けんぶつ)して帰りに西風/烈(はげ)しく吹立ら 00066790M4れ、早く(四十二ウ)/帰(かへ)り、/火燵(こたつ)にあたりて/寒(さむ)さを/凌(しの)がんと 00066800M5/急(いそ)きかへり見れは、こたつに火ハなく、ふとんハたゝミて 00066810M6やぐらの上に有ければ、ふとんを目八分にたづさへて、う 00066820M7らめしさうに、Sト見れはなつかしや(四十三オ) 00066830¥N46¥J 00066840¥X守刀 00066850M10/錆光(せいくわう)がかゝが/産(さん)をしたが、/変(へん)な物を/産(うん)だ。S何をうんだ 00066860M11S/守(まも)り/刀(かたな)を△Sそりやとんだ事だ。行て見よふと四五人よ 00066870M12りあつまり、/抜(ぬい)てミよふと一寸斗リ抜た所が、大の/錆(さび)がた 00066880M13な。(四十三ウ)ずつとぬけば、とぎやあ+ 00066890¥N47¥J 00066900¥X地獄 00066910M16地ごくの/鬼(をに)とも/寄(より)合して、扨きんねんこんきう故に、風の 00066920M17神をたのミはやらせても、/医者(ゐしや)といふ者が有てよくする故 00066930M18/死(し)ぬ者が/少(すく)ない。何ごともしや(四十四オ)(四十四ウ・四十五オ 00066940M19挿絵)ばの医者どもをなくす/手段(しゆだん)ハ有まひかとの/相談(さうだん)。中カ 00066950M20に年かさなる鬼、いや+、それハ/悪(わる)い相談。あいらが有 00066960¥P199 00066970L1バこそ、/間(ま)に+/来(く)るでハないか 00066980¥N48¥J 00066990¥X儒者 00067000L4物/堅(かた)き/儒者(じゆしや)、/弟子(でし)衆のさそひにて、(四十五ウ)/芝居(しばゐ)見物して 00067010L5/帰(かへ)り、今日/若殿(わかとの)に成ました色の白い/悪形(あくがた)ハ何と申ますと/問(と) 00067020L6わるれハ、あれハ市川八百蔵と申ますが、悪形でハごさり 00067030L7ませぬ。/実(じつ)形でごさりますと云へば、はて、あれが悪人で 00067040L8ごさるまいか。一ツ/国(こく)の/主(ぬし)たる身にて(四十六オ)/傾城(けいせい)まよひ。 00067050L9身を/放埒(ほうらつ)に/持(もち)くづし、国の/乱(ミだ)れを引出すものが、/所謂(いわいる)悪人 00067060L10にて有まじきや 00067070¥N49¥J 00067080¥X茗荷 00067090L13あほう成庄屋、/茗荷(めうが)を多/年(ねん)/喰(く)ひ、/或(ある)とき村の年/寄(より)どもを 00067100L14(四十六ウ)/招(まね)き、/云渡(いゝわた)すハ/別(へつ)の事でもない。もつはら世/間(けん) 00067110L15で、めうがをくへばあほうに成といふが、おれハ/数(す)ねん茗 00067120L16荷をくへども、あほうにならぬ。此とほりを村中の者へふ 00067130L17れて、/安堵(あんど)させておへりやれ(四十七オ) 00067140¥N50¥J 00067150¥X虎 00067160L20/犬(いぬ)のほへるとき、/虎(とら)といふ/字(じ)を手に書て、/握(にぎ)つて/居(ゐ)ればほ 00067170M1へぬと、貴さまに/聞(きい)て、大きな目に/逢(あふ)た。S何としたぞ 00067180M2Sゆふべ夜/更(ふけ)て帰るとて、何が犬めがほへかゝる所へ、 00067190M3(四十七ウ)にぎつた手を出したら、是、此/様(やう)ニしたゝか喰ひ 00067200M4付れた△Sムウ、そりや/無筆(むひつ)の犬であらふ 00067210¥N51¥J 00067220¥X占 00067230M7両国の/占(うらなひ)見世の前で、子/供(ども)、たこを/上(あげ)ながら、/爰(こゝ)のうらな 00067240M8ひハあた(四十八オ)らぬ。/下手(へた)だと悪たいをいふ。/占(うらな)ひ/者(しや) 00067250M9/腹(はら)を立、こいつらハ/毎(まい)日、見世さきでたこを/上(あげ)るさへ有に、 00067260M10にくひやつらだ。うぬらハどこから/来(き)をる。あてゝみな 00067270M11(四十八ウ) 00067280¥N52¥J 00067290¥X大黒 00067300M14/旦那(だんな)寺へ参り、/玄関(げんくハん)にて/案内(あんない)こへども、あいさつなきゆへ、 00067310M15/勝(かつ)手へまわりのぞきミれハ、/和尚(おせう)、/鮹(たこ)をりやうりし/で((ママ))居ら 00067320M16るゝ。見付られてハさぞ/気毒(きのどく)からるゝであらふと、又玄関 00067330M17へ(四十九オ)廻り、たのミませうと大/声(ごへ)でいへば、/漸(やう+)取次 00067340M18出て、先つ御上りと、座敷へ通シ、和尚も出、あいさつ有 00067350M19て/盃(さかつき)を出し、二三ばいのむ。是ハ何もお/肴(さかな)がなしといふ。 00067360M20S和尚さま。そふおつしやりますな。おたのしみを存てを 00067370¥P200 00067380L1る。是ほどお心(四十九ウ)安いわたくしに、なぜおかくし 00067390L2なされます△Sムウ、ごらふじたか。/是非(ぜひ)ニ及ばぬ。コレ 00067400L3おふじ。お心安イお方じや。出て、おちかづきニなりやれ 00067410¥N53¥J 00067420¥X雷 00067430L6夕だち大かミなり、しきりなりしが、(五十オ)去ルお大名、 00067440L7いたつておきらいにて、/雷(らい)の/鳴(なる)所を目/当(あて)に/鉄炮(てつほう)をすぽん 00067450L8+と打かけ玉へば、/空(そら)にて子どもかミなり、大におどろ 00067460L9き、かゝさん。ぽん+がこわひとなき出す。親父雷、コ 00067470L10レかゝ。/蚊(か)屋を敷てやりやれ(五十ウ) 00067480¥N54¥J 00067490¥X仝 00067500L13雷、/太皷(たいこ)を/質(しち)に持て/来(く)る。子/供(ども)が大ぜいついて、ヤア、此 00067510L14かミなりハ/鳴(なり)そふな物だに、根からならぬと、はやし立る。 00067520L15雷ふりかへり、ならぬから/質(しち)を置(五十一オ) 00067530¥N55¥J 00067540¥X大屋 00067550L18/貸店(かしたな)の札を子どもかいたづらにはなす。/度(たび)&に及べハ、大 00067560L19屋どの、/案(あんじ)をつけて、/厚(あつ)板に、かし店と書て、釘にて/丈夫(ぢやうぶ) 00067570L20ニ打つけ、是でハ二三ねんハこらへる(五十一ウ) 00067580¥N56¥J 00067590¥X時節 00067600M3雪ふりに/庇(ひさし)の雪をおとしけるが、相長屋に/住(すむ)/浪(ろう)人、/路次(ろじ)を 00067610M4通りかゝる。家根よりしたゝかにあびせけれハ、我等いか 00067620M5に/斯(かく)ろう+すればとて、/余(あま)り/踏(ふミ)付たる仕方と、以の外の 00067630M6/腹(はら)立。てい(五十二オ)/主(しゆ)とんで出、/誤(あやま)り入たる/風情(ふぜい)にて、 00067640M7/真(まつ)ひら御/免(めん)下されませ。/誠(まこと)にじせつたふらいと申ものと/詑(わび) 00067650M8けれは、浪人甚だ/感(かん)じ入、扨&貴殿ハ/学者(がくしや)なり。今/社(こそ)はつ 00067660M9めい致たり。まことに、じせつたふらいの/文字(もんじ)ハ、/時(とき)の雪 00067670M10/頭(かしら)に来ると書なれバ、(五十二ウ)/了簡(りやうけん)致し申さふ 00067680¥N57¥J 00067690¥X高砂 00067700M13当春西国へ参りまして、高/砂(さこ)の松、/尾上(をのへ)の/鐘(かね)も見物致しま 00067710M14した。それハお浦山しひ事の。Sそれニ付ておまへにおた 00067720M15づね申たいハ、アノ高砂の(五十三オ)うたひニ、尾上の鐘 00067730M16の/落(をと)すなりとござるが、やはり/釣(つゝ)てこさります△Sそのは 00067740M17づ+△Sナゼナ△Sハテ、あかつきかけてと有からハ 00067750¥N58¥J 00067760¥X泰平楽 00067770M20/音楽(をんがく)/社中(しやちう)、女郎買に行、さて+、(五十三ウ)はゞかりな 00067780¥P201 00067790¥G(五十四ウ・五十五オ) 00067800M1がら/先生(せんせい)、此間のゑてんらくハ、/能(よふ)お/出来(でき)なされました。 00067810M2Sイヤ、/足下(そつか)の/太平楽(たいへいらく)が。女郎お人がらにもお/似(に)合なされ 00067820M3ぬ 00067830¥N59¥J 00067840¥X春興 00067850M6/先生(せんせい)、/歳旦(さいたん)を致しました。Sそれハ御(五十四オ)(五十四ウ・ 00067860M7五十五オ挿絵)きどく。何となされた△S此/扇(あふぎ)下さるならば 00067870M8有かたい△Sムヽ、是ハよふできましたが、しかし扇とい 00067880M9へば春の目出度を/祝(いは)へども、/夏(なつ)の/気(き)どりニ成ゆへ、どふぞ 00067890M10春の/意(こゝろ)を云たひものゝ△Sそんなら、こふ致ませふ△S何 00067900M11と+△S此扇くだ春ならば有がたい(五十五ウ) 00067910¥N60¥J 00067920¥X釣指南 00067930M14つり/好(ずき)の男、しなんの/看板(かんばん)を見て、/弟子(でし)入し/稽古(けいこ)にかゝる。 00067940M15/師匠(しせう)、/釣竿(つりさほ)に糸をつけ、/弟子(でし)に/持(もた)せ、しせうハ/針(はり)さきをそ 00067950M16ろ+引ながら、此ひき、何とおかんがへなされた。S弟 00067960M17子、しばらく/案(あん)じ、はぜの(五十六オ)/針(はり)あんばいと覚ます。 00067970M18S成ほど+、/余程(よほと)お/下地(したぢ)がごさる。明日から、きすに致 00067980M19さふ 00067990¥P202 00068000¥N61¥J 00068010¥X平目 00068020L3/夕部(ゆふべ)おらか前の下水へ、二尺ばかりのひらめが/游(をよい)で来た。 00068030L4/珍(めづ)らしひ事じやないか。Sそれハ/飛(と)んた事の。しかし、 00068040L5(五十六ウ)/貴(き)さまの前の下水ハ、わづか/幅(はゞ)が一尺斗。それ 00068050L6に二尺のひらめハきつい万八。イヽヤ、/竪(たて)になつて 00068060¥N62¥J 00068070¥X出物 00068080L9十七八のお/小性(こせう)、お目見へにあがり、/次(つぎ)の間に/扣(ひか)へてゐる 00068090L10ときに取はづし、(五十七オ)ぶつとやる。御/家老(かろう)かたハら 00068100L11に有て、是おわかしゆ。/御前(ごぜん)かちかひ。不礼有な。又ブウ。 00068110L12はて扨ごぜんがちかひ。又ブウ。はて、/是非(ぜひ)に及ハぬナア 00068120¥N63¥J 00068130¥X講釈(五十七ウ) 00068140L15百人一首/講釈(かうしやく)とかんばんをかけ、どのやうな事をいふぞと 00068150L16聞は、/講師(かうし)しかつへらしく、/今晩(こんはん)ハ/在原(ありハらの)/業平(なりひら)/朝臣(あそん)の/詠哥(ゑいか)の 00068160L17下を申ます。この哥ハ、 00068170L18△△△ちはやふる神代もきかす龍田川 00068180L19△△△△からくれなゐに水くゞるとは 00068190L20是ハ(五十八オ)そのかミ、たつた川と申すまふとりが、/千= 00068200M1早(ち=はや)といふ女郎の/方(かた)へ、たび+かよひましたが、/張(はり)のつよ 00068210M2い女郎でござつて、/愛(あい)らしい事もなかつた。されとも竜田 00068220M3川ハことの外/執心(しうしん)にて、かむろの/神(かミ)代といふを頼みました 00068230M4が、神代も同し(五十八ウ)く/邪見(じやけん)ものにて/執(とり)もちを致さす。 00068240M5さるに/依(よつ)て、/千早(ちはや)振神代もきかず龍田川と申ます。/扨(さて)/夫(それ)よ 00068250M6りほど/過(すき)まして、龍田川も/老年(ろうねん)に/及(をよ)び、すまふをやめて/豆= 00068260M7腐(とう=ふ)しやうはいをしてをりましたが、ちはやも右の心いれが 00068270M8(五十九オ)つのりまして、/乞食(こつじき)となり、龍田川が内ともし 00068280M9らず、きらずをもらいに/来(き)ましたを、龍田川ハ見付、あれ 00068290M10こそわれにつらくあたりし者ゆへ、きらずをやるなと男ど 00068300M11もニ/云(いゝ)付てやらぬゆへニ、/千早(ちはや)ハ世をあじきなく思ひ、(五 00068310M12十九ウ)/淵(ふち)へ身を/沈(しづ)めました。それてきらずをくれぬといふ 00068320M13こゝろを、からくれなゐと申ます。聞人成ほど、水くゞる 00068330M14までハすめましたが、しまいの、とはといふ二/字(じ)ハな。 00068340M15Sとはゝちはやが/雅(おさな(ママ))名(六十オ) 00068350¥N64¥J 00068360¥X石垣 00068370M18/権(ごん)や、/聞(き)きや。をらがとなりの/杓子(しやくし)めが、もふ/孕(はらん)だ。Sそ 00068380M19りや孕そうな物よ。をらか出入やしきの此春したおもて長 00068390M20屋の石/垣(かき)さへ、もうはらんた(六十ウ) 00068400¥P203 00068410¥Q 00068420L3一△茶のこもち△@めつらしきお|としはなし△@ 00068430L5一△いちのもり△@同しく|△新作@ 00068440L7一△笑上戸△@追&出し|申候△△@ 00068450L9△板元△△△@本石町四丁目△|△堀野や仁兵衛@ 00068460¥P204 00068470¥U噺本大系△第十巻 00068480¥T/新口(しんこう)/一座(いちざ)の/友(とも)〔序文〕 00068490¥G 00068500¥Y 00068510L16安永五年正月序 00068520L17池田屋伝兵衛板 00068530L18小本一冊 00068540L19天理図書館蔵 00068550L20天理図書館本翻刻△第一五五号 00068560¥Y序 00068570M3/和(ハ)かんに落し噺といふもの有き。なかんづく、たへてげり。 00068580M4今又、/世間(よのなか)に色&のはなし本/出(いで)、(序一オ)昔も今も咄しの 00068590M5さかり、うそと誠をこきまぜて、新口一座の友と題し而、 00068600M6小冊とはなしぬ 00068610M8△△△安永五つの春(序一ウ) 00068620¥P205 00068630¥N1¥J 00068640¥X○品川 00068650L3品川のおふミやへ、目ツかち、女郎かひに行ければ、合に 00068660L4くに、びつこの女ろうを出しける。S/客(きあく)思ひけるハ、おれ 00068670L5がかたわだによつて、(二オ)あのよう成女郎をだしたと思 00068680L6ひ、なんでも/悪口(あつこう)をしてやらふとおもい、Sコレ女郎衆。 00068690L7/来年(らいねん)は、びつこう御/□□((二字分アキ))さんだね引といゝけれバ、S女郎、 00068700L8ぬからぬかをで、(二ウ)Sアイ、さぞおかためハ、たひそ 00068710L9ふでござんしよふ 00068720¥N2¥J 00068730¥X○宗旨論 00068740L12法花しうと、御門としうとより合、Sコレ、そちのしうし 00068750L13で、おめいこうをするが、(三オ)あれはぜんたひ、むかし 00068760L14よりない事だといゝけれバ、又一人、いや+、そふでは 00068770L15なひ+。おとりこしといふ事こそ、昔よりない事だと、 00068780L16たかいにせり合(三ウ)けるところへ、/飴(あめ)うり/来(きた)り、これ、 00068790L17なにをいわつしある。さりとハぐちなしふだ。Sヲレガ其 00068800L18わけをいつてきかそふ。これ、きかつせふ。せりふS/御十= 00068810L19夜(おじう=や)やじゆや+。/十(じゆ)(四オ)やばかり。/御(お)めいこなけれバ、 00068820L20おとりこしもねへ 00068830¥N3¥J 00068840¥X○象もゝ引 00068850M3殿さま、御たか野ゝせつ、さ官、象もゝ引おはき、/仕(し)事を 00068860M4いたし/居(い)けるを、殿さま(四ウ)ごらんなされ、われ+も 00068870M5あの象もゝ引をはきたき/由(よし)、おふせられけれは、S御そば 00068880M6衆£、/早速(さつそく)/仕立(したて)やへ申つけけれバ、ぞうもゝ引早&/持(じ)さん 00068890M7仕る。/殿(との)、/早速(さつそく)(五オ)御はきなされて仰られけるハ、これ 00068900M8こそ/至(し)ごくよろしきもの也と仰有。S御そば衆いかゞに御 00068910M9座候哉。殿さま御へんとうにハ、/上下(かミしも)ともに、ゆたかな 00068920M10り(五ウ) 00068930¥N4¥J 00068940¥X○/化(はけ)ものうり 00068950M13番丁へんに、ばけものずき成とのさま有。御出入のばけ物 00068960M14売まいり、今日あたらしきバけもの御座候間、御らんに入 00068970M15申上候。則代金三両也と申上る。(六オ)殿さま、じきに御 00068980M16気ニ入、代金御はらい被成候へは、化ものうりハ返りける。 00068990M17あとにてはけものを/御(ご)らん有。/先(まづ)むらさきのふくさつゝみ 00069000M18をときミれバ、三寸ぐらいの/黒(くろ)(六ウ)(六ノ六オ・六ノ六ウ挿絵) 00069010M19ぬりのはこ也。ふたをあけミれバ、S中ニハ、/紅(べに)と/白粉(おしろい) 00069020¥P206 00069030¥G(六ノ六オ・ウ) 00069040¥N5¥J 00069050¥X○銀ぎせる 00069060M3八右衛門や。とんだはねをしてきた。まあきゝやれ。き/ぬ((ママ)) 00069070M4ふ、さかい丁へ行、ずつと/切落(きりおとし)(七オ)えはいり、此ぎんぎ 00069080M5せるでのんだ。それから、そばの男がゆふには、御無心な 00069090M6がら、をきせるを御かしといふたによつて、かしやした。 00069100M7Sそふすると、かりた男がわす(七ウ)れたによつて、さき 00069110M8の/牛(うし)ぐるまを御かへしといつたらば、かの男、きもをつぶ 00069120M9し、ぎんのきせるを出し、是かへ。Sアイ、それさ。そん 00069130M10ならバ、きせるといゝなさればよひに、(八オ)なせ、うし 00069140M11車とはあしな。何ぞわけの有事かへと、ゆつたに寄て、お 00069150M12れもぬからぬ顔で、それはね、/牛(うし)なふてはなりませぬとい 00069160M13ふ事さ(八ウ) 00069170¥N6¥J 00069180¥X○其二 00069190M16是ハおもしろし+。おれもきせるをもつて、早&/芝(しバ)居へ 00069200M17行、なんでもかりてがあらバと思ひし折から、そバの男、 00069210M18御無心ながら、御きせる(九オ)を御かしなされませといふ。 00069220M19S是ハ御やすひごよう。サアゆるりとあかりませ。さよう 00069230M20なら、をかり申ます。扨はもふわすれたじふんとをもひ、 00069240¥P207 00069250L1Sさきの大八車を、をかへし(九ウ)なされましといゝやし 00069260L2た。それから、かりた男もきもをつぶし、きせるを出し、 00069270L3是かへといふ。さよふさ。Sそんならバ、きせるとおつし 00069280L4やれバよひに。それにはわけの(十オ)ありそふな事といわ 00069290L5れて、Sアイ、是ハ牛なくつてもよひといふ事さ 00069300¥N7¥J 00069310¥X○鍔の直段 00069320L8さるれき+の衆、柳はらをとふり、/干(ほし)ミせにあるつばを 00069330L9(十ウ)見たまひ、おもしろさふなつばじやと手にとりて、 00069340L10/近(きん)じゆの侍に、直をきけと/仰(おゝせ)らる。御とものさふらい、こ 00069350L11の鍔ハいくらじやととへバ、代百十文といふ。S/御前(ごせん)の御 00069360L12/求(もと)メ(十一オ)なさるのしや。もつとたかくいへといへバ、 00069370L13あきんど、こへを大きくして、百拾文 00069380¥N8¥J 00069390¥X○/行灯(あんとん) 00069400L16道つくりの場所へ、くるまにあんどんを大分つんて(十一 00069410L17ウ)引きたる。/仕事師(しことし)ともみて、これハあて事もなひ、/沢(たく) 00069420L18さんなあんとうしやといふところへ、ゑひ+ごへにて、 00069430L19又一/輛(りやう)引イてくる。是ハけしからぬあんどう(十二オ)しや 00069440L20といへバ、/親(おや)ぶん、/鍬(くわ)をひじにあて、つく+ミて言。何 00069450M1でもどこか、大きに日のくれる所がある 00069460¥N9¥J 00069470¥X○/茗荷(めうが) 00069480M4はたごやの女房、ていしゆ(十二ウ)に/向(むか)ひ、こん夜泊つた 00069490M5旅人のこりハ、余ほとの物とみへます。とふぞわすれてお 00069500M6けばよひといへば、てい主、ヲヽよいくめんか有ル。何で 00069510M7もむせふに、めうがをくわせ(十三オ)て見よふと、/汁(しる)もさ 00069520M8いも皆めうがだくさんに入レてふる廻ける。よくてう、た 00069530M9び人ハ立つて行。をふかたおとしていつたろふと、跡をミ 00069540M10れば、/何(なに)も(十三ウ)なし。扨+めうがもきかなんだとい 00069550M11へバ、てい主、イヤ+きいた+。ソリヤ何を。ヲヽサ、 00069560M12はたごをわすれて、はらわずにいにおつた(十四オ) 00069570¥N10¥J 00069580¥X瓦けむ 00069590M15両ごくばしの上を、はでな女中がとふる。ミな立とまつて 00069600M16見おくり、Sアレハやしきであろう。イヤ、/町(まち)であろうと、 00069610M17(十四ウ)とり+ひやうばんするところへ、ばん人がきて、 00069620M18Sイヤ、あれはかはらけむじや 00069630¥P208 00069640¥N11¥J 00069650¥X○江戸の/口者(こうしや) 00069660L3田舎もの、両ごくばしを(十五オ)ミて、さてもながひはし。 00069670L4是こそ日本一のはしといふ。又大坂ものきたり、是さ。ま 00069680L5た+長イはしがあります。大さかに/天満(てんま)ばしといふか有。 00069690L6/是£(これより)(十五ウ)も長イといふところへ、又江戸もの来り、こ 00069700L7なたしうハ何をいわつしやる。江戸をろくにミもせひで。 00069710L8是よりもまだ長イはしが有。ミせよふか。/皆(ミな)+(十六オ) 00069720L9口をそろへ、サアミませふといふ。そんならバ、おれにつ 00069730L10ゞひてきたがゑゝといゝなから、S上野二王門へつれ行、 00069740L11サア、ミなのしふ。これからミたがゑゝ。先さしわたし 00069750L12(十六ウ)/六丁(ろくてう)/余(よ)。さゆうへ三丁斗リ有り。Sミな+口を 00069760L13揃へて、此はしの名ハなんと申ます。これこそ、日本一の 00069770L14けころばし 00069780¥N12¥J 00069790¥X○わたくづ(十七オ) 00069800L17小僧が、もし旦那さまへ。おまへの/肩(かた)に、しらみがをりま 00069810L18すとつまミてとれば、Sコリヤはかつらなめ。そんな事を、 00069820L19大きなこへでいふものじやなひと(十七ウ)しかれバ、小僧、 00069830L20こゑをひくゝして、ハイ。これハ綿くずてござりました 00069840¥N13¥J 00069850¥X○玉の字 00069860M3若しゆ、おふぜいより合、Sコレ次郎吉や。ゆふべ、いゝ 00069870M4(十八オ)ゆめをミた。噺して/聞(きか)そふか。サアきかふ。おれ 00069880M5はおしつけ王に成よ。それハとんだこつたの。とふして成。 00069890M6サアそこが、よひゆめをミたに(十八ウ)よつてさ。S/土(つち)の 00069900M7字のうへニ、一と書とゆめミたゆへさ△S成ほど、/王(おう)の/字(じ) 00069910M8だが、是ハ/王(おふ)かた、ゆめに/玉(たま)されたらふ 00069920¥N14¥J 00069930¥X○鼠木戸(十九オ) 00069940M11ねづミ木戸ニて、大ぜい立ならんで、ふだひやらふ+と 00069950M12いゝけれは、田舎もの、こむしんながら、舟弁慶をくださ 00069960M13れませ 00069970¥N15¥J 00069980¥X○間違(十九ウ) 00069990M16門口から、旦那様ハおやどにかといへば、内儀がうちから、 00070000M17けふハ王子さまへまいりました。ハア、けふは午かのとい 00070010M18へバ、Sイヤ、かごでござります(二十オ) 00070020¥N16¥J 00070030¥X○/蛸(たこ)の夢 00070040¥P209 00070050L1これさ、めをさましやれ+。コレサ+。Sムウウヽ、 00070060L2アイ++。めハさめました。アヽこわかつた△Sとふ 00070070L3だ。さつきからうなされたが、ゆめでも(二十ウ)ミたか 00070080L4Sアイサ。かわつた/夢(ゆめ)を見ました。わたしがからたが蛸に 00070090L5なつての、まな板のうへゑのせられ、すでに包丁できらる 00070100L6ゝ所。イヤハヤ、あんまりせつなさに、(廿一オ)よばはつ 00070110L7たけれど、いつこうにこへが出ませなんだ△Sヲヽ、それ 00070120L8ハむねへ足てもあげたらう 00070130¥N17¥J 00070140¥X○賀の祝 00070150L11八十八の加のいわいによバれ(廿一ウ)て、あやかりたいの 00070160L12吸もので、お盃をいたゞき、ごてい主さまの御達者でハ、 00070170L13百迄の御寿命ハ、たしかに御受合申スといへば、/亭主(ていしゆ)、 00070180L14色をかへ(廿二オ)て、それはむごひ御/挨(あい)さつ。賀のいわひ 00070190L15ニ、百迄と限つての御しゆくしは、まんぞくに存ぜすと、 00070200L16いかりけれバ、S客人、めひわくして、イへサ。わたしが 00070210L17申たハ、四文銭で(廿二ウ) 00070220¥N18¥J 00070230¥X○くしら 00070240L20おらハゆふべ、鯨を夢にミた。扨も大きなくじらもあるも 00070250M1んだ。Sとれほどあつた△Sアノヽ、くらやミほど 00070260¥N19¥J 00070270¥X○辻ばん(廿三オ) 00070280M4これもさる処の辻ばんの事さ。やろうがきて、つじばんの 00070290M5わきへ/小便(しやうべん)をしける。S辻バンのおやじ、此音をきくより、 00070300M6棒をさげて、Sコリヤおのれ、にくひやつだ。(廿三ウ)そ 00070310M7こハ小べんするところではなひと、目のでる程しかられて、 00070320M8ハイ、是ハ/麁(そ)そういたしました。御めんなされませ。わた 00070330M9くしもずいふん気をつけまし(廿四オ)たが、Sコレ、是を 00070340M10御ろうじませ。こゝに小べんをした/跡(あと)がござりますから、 00070350M11つひ、わたしもいたしましたといへバ、Sバカツヽウメ。 00070360M12それハたつた今しかつたあとだ(廿四ウ) 00070370¥N20¥J 00070380¥X○/木曽山(きそやま) 00070390M15木曽山のとふげに/於(おい)て、前/夜(や)ひかりをなす。此/旨(むね)ところの 00070400M16やく所へうつたへける。やく人、其おもむき御らん被成、 00070410M17是ミなの/者(もの)。てへんに上下と言文字あり。是ハ/何(なん)といふ文 00070420M18字也。ミな+、はいと/斗(ばか)リ、(一オ)うつむきいる。Sや 00070430M19く人たはけめ、やい。しれずハかなでかゝいで。/重(かさね)てあて 00070440M20/書(かき)ハ無用たぞ 00070450¥P210 00070460¥N21¥J 00070470¥X○雪 00070480L3子蔵よ。庭の/雪(ゆき)ハどれほどつもりしぞ。物さしでな、さし 00070490L4て/来(こ)ひ。S子蔵、口小/言(ごと)を/云(いゝ)+さして/来(く)る。(一ウ)どふ 00070500L5だ。しれたか。Sアイ、ふかさハ壱尺ト五寸、はゞハしれ 00070510L6ませぬ 00070520¥N22¥J 00070530¥X○手帳 00070540L9まんじやの/亭主(ていしゆ)、/座敷(ざしき)ですま浦さんを壱つとる。はしごの 00070550L10したで、やりて(二オ)どんを弐つ。まんじやのかミさまを 00070560L11/旦那(だんな)のそばで二つとると、かひて有り。亭主、やつきとし 00070570L12て早+仲人を呼にやり、よく+きん味してミれハ、あ 00070580L13んまの心覚(二ウ) 00070590¥N23¥J 00070600¥X/女郎(ぢよらふ) 00070610L16お/前(まへ)に/無心(むしん)が有が、どふも/云(いゝ)にくう/有(あり)んすから、川/崎(さき)をん 00070620L17どの/文句(もんく)にしてうたいんせう。S客コレハきまり。サア 00070630L18+△S女郎/袷小袖(あわせこそで)に蝶鳥付て△S客がつてんじや△S女 00070640L19郎もふるの/夜着(よぎ)に、ひぢりめんのうらよ△S客そつちてせ 00070650L20い(三オ) 00070660¥N24¥J 00070670¥X○/自身番(ししんばん) 00070680M3大家三四人、自身番所に/詰(つめ)てゐる。中に一人のちかづきの 00070690M4/医(い)しや通りかゝり、是ハ御番、ごくろう。いつも能御つと 00070700M5めなされます。是ハ忝ひ御あいさつ。私のばんハ、丁ど/貴= 00070710M6所(き=しよ)の御薬と、同し事で(三ウ)ごさります。Sとハなぜな 00070720M7Sハテ、能廻りますS是ハ御口合。どふもいへませぬと 00070730M8別れ行。そばなる家主是をきゝ、なんでもおれもいゝたい 00070740M9物と、/兼(かね)てちかづきの医者の通れかしと心がけしが、有時 00070750M10ちかつきの医者、いそがしさうに(四オ)/通(とふ)るを、もしちよ 00070760M11つと、御目に懸りませうといへハ、只今ハ/急病(きうびやう)て参ます。 00070770M12いや+、御手間ハ取らせませぬ。左様ならハ、はやく仰 00070780M13聞られませ。イヤ、外の義でもごさりませぬ。私が番ハ御 00070790M14まへの御薬と同し事。それがどふ致ました。ハテ、能/当(あた)り 00070800M15ます(四ウ) 00070810¥N25¥J 00070820¥X○中の町 00070830M18親/父(ぢ)つく※しあんし、とかく命有ての物だね、壱時の/栄= 00070840M19花(ゑい=くハ)に千とせを/延(のふ)るためし有り。ちと/眼(がん)前の極/楽(らく)へ行ツて見 00070850M20よふと、/俄(にわか)に黒あぶらなど買よせ、しらがあたまへなすり 00070860¥P211 00070870L1付、七ツ過キより出て行。はや大門口の(五オ)内へ/這(は)入る 00070880L2と、むかふから息子の甚吉、女郎の/肩(かた)へもたれかゝり、能 00070890L3きげんにて/歩(あゆミ)来る。親父せんかたなく、これ甚吉よ。ばく 00070900L4ちハならぬぞ 00070910¥N26¥J 00070920¥X○遠目かね 00070930L7御物見から、/遠(とう)めがねの御たのしミ。あれなる/塔(とう)ハいづく 00070940L8じや。ハイ、くわんおんで(五ウ)御座ります。こちらの鳥 00070950L9居が、ミめぐりのいなり。此とふりを御ろうぢませ。三つ 00070960L10またの新地で御座ります。/殿(との)、能+御覧/最(さい)中、うつくし 00070970L11い娘と行平ともいゝそふな若ものが、ひたりと出合、なにや 00070980L12らはなしの/躰(てい)。殿たまり兼、/遠(とう)目かねへ/耳(ミヽ)をおし付(六オ) 00070990¥N27¥J 00071000¥X○親子/生酔(なまゑい) 00071010L15親父、酒に/酔(ゑい)て/戻(もど)り、こりや孫六よ。おのれがあたまハ三 00071020L16つに見へる。そんなかたわものに、/跡(あと)をゆづる事ハならぬ。 00071030L17おなじく此息子も酒に酔、こんな廻る家を、なんにするも 00071040L18のだ(六ウ) 00071050¥N28¥J 00071060¥X○飛脚 00071070M1/狼(をゝかミ)、口をあき、道なかにゐる。早ひきやくきかゝり、口へ 00071080M2/飛(とひ)こみ、それもしらず、/腹(はら)の内をエイサツサとはしり、し 00071090M3りからぬけていそぎゆく。S狼ふんどしをすれバよかつた 00071100¥N29¥J 00071110¥X○大八車 00071120M6女の子/供(とも)ハ、ちよつとよつても口(七オ)まめ。おまへのと 00071130M7つ様ハ毎日くるまを引て、とこへ行のだ。ちかい所へばか 00071140M8りへか。いへ+。/遠(とふ)くへも行やす。それでも、それそこ 00071150M9だ+と、いわつしやるでハないか。S何さ。あれハ車を 00071160M10だますのさ(七ウ) 00071170¥N30¥J 00071180¥X○四十七人 00071190M13四十七人の者ども、/敵(かたき)もろのふを/尋(たつぬ)れどもしれぬ故、ミな 00071200M14+/爰(こゝ)で/切腹(せつふく)せんと思ひ定める。大高すゝミ出、少しの心 00071210M15あてが御座る。しばしとゞまり給へと/言(いゝ)、頓而/炭(すミ)/部(へ)屋へ行、 00071220M16/鑓(やり)おつとりのべ、もろのふ+といへば、Sすミべやで、 00071230M17どふれ(八オ) 00071240¥N31¥J 00071250¥X/仙人(せんにん) 00071260M20仙人といふものは三人にかぎつたものだ。ナニ、手/前(まへ)たち 00071270¥P212 00071280L1がしるものて。SナゼS仙人ハ五人あるものだに△S何、 00071290L2五人有ものだ△Sソンナラかぞへて見や。ソレ、かま仙人。 00071300L3Sヨシ。てつかい仙人。Sヨシ。/久米(くめ)の仙人。Sヨシ。そ 00071310L4して△Sハテ、めくら仙人めあき千人(八ウ) 00071320¥N32¥J 00071330¥X○熊 00071340L7両国へくまの見世物の木戸/番(ばん)に出るおやぢ、今をかぎりの 00071350L8/大病(たいひやう)。おふごへあげての/上言(うハこと)。熊じや+と斗いふて、念 00071360L9仏一へん申さず。女ぼう、きのどくに思ひ、だうそ、りん 00071370L10じうの今なれハ、念仏をすゝめても聞入ず、(九オ)/近所(きんじよ)の 00071380L11者ども様&とすゝむれとも、只くまじや+と斗。なかに 00071390L12きてんの男、かミ様、くろうにさしやんな。わしが御念仏 00071400L13を申させてやりませうと、大きなこへにて、是おやち。あ 00071410L14すハ大あめだによ。Sなむあミた仏(九ウ) 00071420¥N33¥J 00071430¥X/辞世(じせい) 00071440L17/盗人(ぬすひと)をとらへ、ころさんとする時、Sぬす人しばらく待て 00071450L18たべ。辞世の/哥(うた)をよミたひといふ。ソレハきどくな事じや。 00071460L19サアよめといふたれは、 00071470L20△△Sかゝるときさこそいのちの/惜(おし)からめ 00071480M1△△△△/兼(かね)てなき/身(ミ)と/思(おも)ひしらすバ(十オ) 00071490M2/皆(ミな)/人(ひと)/聞(きい)て、ソレハ/太田道潅(をゝたとうくわん)のうたしやか。Sぬす人アイ、 00071500M3これが一生の/盗(ぬすミ)おさめでござります 00071510¥N34¥J 00071520¥X/呉服屋(こふくや) 00071530M6/大師(たいし)/参(まい)りの/下向(げかう)に、/飴(あめ)で/拵(こし)らへた/松茸(まつたけ)をミやげに/買(かつ)て、本 00071540M7町のごふく屋の前をさげて通れバ、(十ウ)何でござります 00071550M8+といふから、是でござると、出して見せたれば、Sご 00071560M9ふく屋子ともよ。/下(した)の/帯(をひ)/持(もつ)てこいよ 00071570¥N35¥J 00071580¥X/市松(いちまつ) 00071590M12/佐(さ)の川市松を/買(かつ)て/遊(あそ)び、/客(きやく)思ふにハ、扨&/是程(これほど)/高(たか)い物はな 00071600M13いが、こゝにゐる/内(うち)/斗(ばかり)で、/別(わか)れて/帰(かへ)れバ、何の(十一オ)へ 00071610M14んてつもないものじや。どふぞ/形(かた)見になるものを/持(もつ)て帰り 00071620M15たいと思い、市松が/尻(しり)へ墨を付、/菊座(きくざ)の所を/板行(はんこ)に/押(をし)て内 00071630M16へ帰り、つく※とながめて居る所を、/女房(にようぼ)が見て、ソレ 00071640M17ハ何ンてござんすへと/問(とふ)。Sてい主是ハ市松サ△S女房ナ 00071650M18ニヤ、/唐(から)松だものを(十一ウ) 00071660¥P213 00071670¥Q 00071680L2一座友初編△出来 00071690L4同△△二編△近刻 00071700L5長雄江戸方がく△出来 00071710L7同△隅田川往来△近日出 00071720L9同△用文しやう△近日出 00071730L10△△△江戸かんだかじ丁△池田屋△伝兵衛板 00071740¥P214 00071750¥U噺本大系△第十巻 00071760¥T/一(いち)の/富(とみ)〔題簽〕 00071770¥G 00071780¥Y 00071790L17安永五年刊 00071800L18本屋清次郎等板 00071810L19小本一冊 00071820L20松浦史料博物館蔵 00071830¥N1¥J 00071840¥X○/一(いち)の/富(とミ) 00071850M3/第六天(だいろくてん)の/富札(とミふだ)をかハふと、/行(ゆき)て/見(ミ)て、/此前(このまへ)/出(で)た/壱番(いちばん)を/見得(けんとく) 00071860M4にせふと、/張札(はりふだ)をよミてみれハ、/第一番(だいいちばん)三千三百三十三/番(ばん)。 00071870M5もし、これハどこへおち(一オ)ました。世話役S/山王(さんわう)のさ 00071880M6る/御(お)やしき 00071890¥N2¥J 00071900¥X○/船宿(ふなやど) 00071910M9/船宿(ふなやど)のむすこ、/雪踏(せきだ)をはいて/観音(くわんのん)/参(まい)りに/出(て)かける/所(ところ)を、/親= 00071920M10父(おや=ぢ)見つけて、これ+、/置(おい)て(一ウ)(無丁オ挿絵)(無丁ウ挿絵) 00071930M11くれろ。おらがわが/年(とし)ぐらいでハ、はだしでさへあるいた 00071940M12に、せきだをはいて、どこへ/行(ゆき)をる。こつちへよこせと、 00071950M13/棚(たな)へ/上(あげ)て/昼寐(ひるね)して/居(い)れば、むす/子(こ)ぬき/足(あし)にて、/棚(たな)のせき 00071960M14だを(二オ)とり、/手(て)にさげて/門口(かどぐち)を/出(で)て、ちやらり+と 00071970M15/雪踏(せきだ)のおと。おやぢ、あたまをあけて、S/舟(ふね)か+ 00071980¥N3¥J 00071990¥X○/祭(まつり)の/行燈(あんどう) 00072000M18/天王(てんのう)の/夜宮(よミや)にて、/思(おも)ひ+の(二ウ)/行燈(あんどう)。/春章(しゆんしやう)が/似皃(にがほ)の 00072010M19/役者絵(やくしやゑ)、/地口(ぢぐち)/頓作(とんさく)、いろ+の/中(なか)に、/煤(すゝ)びきつたる/行燈(あんどう)あ 00072020M20り。これはあんまり/虫(むし)がよいと、/立(たち)よつてミれバ、/何(なに)やら 00072030¥P215 00072040L1/書(かい)てあり。Sばちをばちと思ハねバ、はりかへた(三オ)事 00072050L2がない 00072060¥N4¥J 00072070¥X○/夕部気(ゆふべけ) 00072080L5どふだ、むす/子(こ)。夕部ハよくさたなしに、/町(てう)へいつたそう 00072090L6な。おぬしが/高慢(かうまん)ては、/又(また)ふられたらう。Sインヤ、/天気(てんき) 00072100L7ハ(三ウ)よかつたよ△S/馬鹿(ばか)め。天気のこつちやないわい。 00072110L8/女郎(ぢよらう)にふられたらふといふのしや△Sヲヽサ、それじやに 00072120L9よつて、天気かよかつたといふハ△Sそりやまあ、なんの 00072130L10事しや△Sハテ、てらされ(四オ)たといふ/事(こと)さ 00072140¥N5¥J 00072150¥X○/黙礼(もくれい) 00072160L13/春(はる)の/比(ころ)、三人/連(づれ)にて、あすか/山(やま)から/日暮(ひぐら)しへゆくみちすが 00072170L14ら、一人がいふ。しらぬものに/時宜(じぎ)をして、うろつく(四 00072180L15ウ)/皃(かほ)を見やう。アレ+、むかふから/和尚(おしやう)が/来(く)る。/貴(き)さ 00072190L16ま、/時宜(じぎ)して見やれ。ヲツト/心得(こゝろゑ)たと、すりちかひに/黙礼(もくれい) 00072200L17すれバ、/和尚(おしやう)、ふ/思義(しぎ)そうにふりかへり+/行(ゆく)。/跡(あと)から/若(わか) 00072210L18いおとこが来る。(五オ)ドレ、/時宜(じぎ)をして見せふと出れバ、 00072220L19かの/男(おとこ)も/同(おな)じく、ふしぎな/皃付(かほつき)。これハたまらずおもしろ 00072230L20い。サア+、/紙子羽織(かミこばをり)のなでつけか/来(く)る。/今度(こんど)ハさしづ 00072240M1め/貴様(きさま)の/番(ばん)。おやぢだけ、かく(五ウ)/別(べつ)/面白(おもしろ)からふといふ 00072250M2に、/此(この)おとこ、/何(なに)かもぢ+して、/是(これ)ばかりハ/御免(こめん)+。 00072260M3Sそりやまた、なぜといへば、Sあれハおれがちかつき 00072270M4だ 00072280¥N6¥J 00072290¥X○/忍(しの)ぶ/売(うり)(六オ) 00072300M7/女房(にようほう)Sモシ+、おひんなりませ/亭主(ていしゆ)Sムヽウ、ナンタ。 00072310M8せつかくうまい/所(ところ)をおこされた。/夢(ゆめ)に/芝居(しバゐ)をみて、/今(いま)/仲蔵(なかざう) 00072320M9か忍売の/出端(では)。あつたら/物(もの)を見のこしたト、/小言(ここと)いへば、 00072330M10女房、ムツト(六ウ)して、Sそんなら、また/寐(ね)いつたがよ 00072340M11い。まだ/一(ひと)ト/幕(まく)ハすむまい 00072350¥N7¥J 00072360¥X○/饅頭(まんぢう) 00072370M14おれハ/虫(むし)がきらふかして、/饅頭(まんちう)をミると、こハくつて+ 00072380M15(七オ)/身(ミ)の/毛(け)がよだつ。コレハおもしろいと、いたづらな 00072390M16/友達(ともだち)、こハかる/男(おとこ)を/明(あ)キ/店(だな)へいれ、むし/立(たて)のまんぢうを、 00072400M17せいらうにつめて、/鼻(はな)の/先(さき)へつきつけ、/外(そと)から/錠(ぢやう)をぴんと 00072410M18おろす。(七ウ)/半時(はんとき)ほど/過(すぎ)て、/音(おと)も/沙汰(さた)もなし。あまりし 00072420M19つかな。/気(き)を/失(うし)なつたもしれぬと、/戸(と)の/透間(すきま)からのぞけバ、 00072430M20かの/男(おとこ)、こそり+とまんぢうをくひ、/蒸篭(せいろう)/大(おほ)かたたいら 00072440¥P216 00072450¥G(一ウの次) 00072460L12けた/様子(やうす)。(八オ)こいつ、ふとい/奴(やつ)。こハくハないかとい 00072470L13へは、/彼男(かのおとこ)、Sとてもの/事(こと)に、/茶(ちや)か一ぱいこわい 00072480¥N8¥J 00072490¥X○/鵺(ぬえ) 00072500L16/夜(よ)な+/屋根(やね)に、ぬえのなく/声(こへ)がする。/今夜(こんや)ハ/正躰(しやうたい)を(八 00072510L17ウ)/見(ミ)とゞけねバならぬと、ねどころから/飛(とん)て/出(いで)、/目(め)さす 00072520L18もしらぬ/闇(やミ)の/夜(よ)に、/重藤(しげどう)の/弓(ゆミ)/引(ひき)しぼり、よつぴきひやうど 00072530L19はなつ/矢(や)あやまたず、/手(て)ごたへして/地(ち)に/落(おつ)る。さて/火(ひ)を 00072540L20(九オ)とぼし/能(よく)みれバ、となりの/猫(ねこ) 00072550¥N9¥J 00072560¥X○/打老児丸(たらうにぐわん) 00072570M3/打老児丸(たらうにぐハん)といふ/妙薬(めうやく)のめば、一/粒(りう)で三/年(ねん)づゝ/若(わか)くなると/聞(きい) 00072580M4て、/源五兵衛(げんごべい)おばゝ、四十九のよめ/入(いり)/前(まへ)、/何卒(なにとぞ)/若(わか)やきたく、 00072590M5(九ウ)十粒ほど一/度(ど)にのミけれバ、/白髪(はくはつ)/変(へん)じて/黒(くろ)しゆすの 00072600M6ことく、/皺(しハ)ハのびて/桜色(さくらいろ)となり、/花(はな)のかんばせ/柳腰(やなぎごし)、あた 00072610M7かも十六七のごとし。あまりにうれしく、とてもの事、/一= 00072620M8生(いつ=しやう)/年(とし)のよらぬ/様(やう)にと、(十オ)/残(のこ)る五六/粒(りう)一/度(ど)にのめバ、こ 00072630M9の女、にわかにこしぬけ、おぎやあ+ 00072640¥N10¥J 00072650¥X○くろんぼう 00072660M12/阿蘭陀人(おらんだじん)、/船中(せんちう)にて、ヤイ+/黒(くろ)んぼう。/明日(あす)ハ/日本(にほん)へつ 00072670M13くから、/供(とも)につれるぞ。Sハイ、/此(この)あいだ/風気(ふうき)(十ウ)でご 00072680M14ざります△S/大(たい)かいならバ/推(おし)て/供(とも)をせい△Sそれでも/湯(ゆ)も 00072690M15つかハず、まつ/白(しろ)になつて/居(お)ります 00072700¥N11¥J 00072710¥X○/耳塚(ミヽづか) 00072720M18アノ/耳塚(ミヽづか)といふハなんだ。Sアレハ/朝鮮(ちやうせん)/征伐(せいばつ)の/時(とき)、/朝鮮人(ちやうせんじん) 00072730M19の/耳(ミヽ)を(十一オ)/切(きつ)て/帰(かへつ)たのじや△S耳をとつて/何(なに)にしたな 00072740M20S大かたはなでもかんだらう 00072750¥P217 00072760¥N12¥J 00072770¥X○/柚子味噌(ゆずミそ) 00072780L3/隠居(いんきよ)、ヤレ+/借本(かしほん)をよんだら/気(き)かつきた。さらバ/夜(や)しよ 00072790L4くの(十一ウ)さいに、ゆづみそと/出(て)よふと、ゐんきよの/身(ミ) 00072800L5の/気(き)さんじ。/自身(じしん)に/八百(やを)やへ/行(ゆき)て、/柚子(ゆづ)を/買(かつ)てかへり、/是(これ) 00072810L6ハしたり。/麁相(そさう)な。/目(め)がねをかけて/行(いつ)たそふなと、めがね 00072820L7をはづせバ、/柚子(ゆづ)にハあらず(十二オ)S/金柑(きんかん) 00072830¥N13¥J 00072840¥X○/茶(ちや)の/湯(ゆ) 00072850L10/茶(ちや)の/湯者(ゆしや)、/銭湯(せんとう)に/行(ゆき)、/手拭(てぬぐい)を二つに/折(おり)、/腰(こし)にはさむまねし 00072860¥G(二十ウの次) 00072870M1て、さて、/小桶(こおけ)に/湯(ゆ)をくミてこぼし、手ぬくひにて/奇(き)(十 00072880M2二ウ)/麗(れい)にふく/所(ところ)、/茶(ちや)の/湯(ゆ)の/手前(てまへ)を見るごとし。湯くミ、 00072890M3/皃(かほ)を/出(いだ)して、Sあとで、/御(お)どうぐを/拝見(はいけん)いたしたい 00072900¥N14¥J 00072910¥X○/田村(たむら) 00072920M6アノ田村のうたいに、/一度(ひとたび)/放(はな)せバ(十三オ)/千(せん)の/矢(や)さきとあ 00072930M7るが、/何(なに)とも/心得(こゝろへ)ぬ。/弓(ゆミ)といふものハ、/右(ミぎ)の/手(て)に弓をもち、 00072940M8/左(ひだり)の手て矢をはなすものなれハ、/千手観音(せんじゆくわんのん)の矢なら五百の 00072950M9/矢先(やさき)であらふ。コレ+、そのやうな/文盲(もんもう)な/事(こと)が(十三ウ)あ 00072960M10るものか。千手か五百の矢でハ、/何(なに)も/利生(りしやう)が見へぬ。/夫故(それゆへ) 00072970M11はしめに、Sあれをミよ。ふしぎやなとあるハ 00072980¥N15¥J 00072990¥X○そゝり/唄(うた) 00073000M14/三番叟(さんばそう)、/下駄(げた)/引(ひき)すりながら、(十四オ)あさぎそめりやあい 00073010M15たらぬと、そゝりうたい、/馴染(なじミ)のけころばしの/前(まへ)を/通(とを)れバ、 00073020M16モシ+と/声(こへ)かくれど、ふりむきもせず、四五/間(けん)/行過(ゆきすぎ)て/立= 00073030M17帰(たち=かへ)り/内(うち)に/入(い)る。けころSナゼ行過なはつた。(十四ウ)/門違(かどちがい)か 00073040M18へといへば、Sイヤ、/門(かと)ちがひじやないが、/哥(うた)があまつた 00073050¥P218 00073060¥N16¥J 00073070¥X○/年子(としご) 00073080L3うむほどに+つゞけて/年子(としご)四人、/内(うち)二人へごまめをつけ 00073090L4て、となりの/米(こめ)屋へおくりける。(十五オ)/米屋(こめや)のてい/主(しゆ)、 00073100L5きもをつぶし、なんとも/覚(おぼへ)のない事といへば、Sハテわる 00073110L6い/合点(がてん)。わしハ/御存(ごそんじ)の/通(とを)り、/昼(ひる)ハあきなひに/出(いで)、/夜(よる)ハくた 00073120L7びれ、あくる/朝(あさ)まで、ひとねいりにいたしますに、/御手前(おてまへ) 00073130L8(十五ウ)のからうすの/音(おと)が、/明(あけ)七つからひゞくゆへ、ねら 00073140L9れぬまゝに/出来(でき)た/子(こ)なれバ、/半分(はんぶん)ハお/前(まへ)の子さ 00073150¥N17¥J 00073160¥X○/関東(くハんとう)のつれ/小便(しやうべん) 00073170L12つれ/小便(しやうべん)するものを/見(ミ)て、一人ハ(十六オ)/将棊(しやうぎ)さし、一人 00073180L13ハ/碁(ご)うちと見ゆるといふ。とふいふ/見立(ミたて)しやといへば、ひ 00073190L14とりハ/石(いし)に手をかけてゐるから/碁打(ごうち)。Sそんなら/将棊(しやうぎ)さし 00073200L15とハ、どふしてしつたといへば、S/前(まへ)に(十六ウ)/金(きん)をひか 00073210L16へて/居(ゐ)るハ 00073220¥N18¥J 00073230¥X○/山出(やまだ)し 00073240L19/若(わか)さま、しゝが/出(で)るそうじや。おりんどん、おまるをもつ 00073250L20て/来(き)な。アイといふて/立(たち)、Sもし、このいびつなのでも、 00073260M1よふご(十七オ)ざりますか 00073270¥N19¥J 00073280¥X○うにかうる 00073290M4うにかうるのはらひ/物(もの)が/有(ある)。S友だちそれハ/似(に)せでハない 00073300M5かSイヤ、/正銘(しやうめい)まかいなししやS友たちうにかうるは 00073310M6/毒虫(どくむし)がこハがると(十七ウ)いふが、とうぞためしたい/物(もの) 00073320M7じやといふ/内(うち)、/座敷(ざしき)へむかで/出(いづ)る。/亭主(ていしゆ)/自慢(じまん)らしく、コレ 00073330M8+見やしやれと、うにかうるでむかでを/押(おさ)ゆれども、/一= 00073340M9円(いち=ゑん)おそるゝけしきなし。S友だちそりやこそ(十八オ)にせ 00073350M10だ+といふ。/亭主(ていしゆ)ムツとして、Sこれハ/蜈蚣(むかで)が/似(に)せだも 00073360M11しれぬ 00073370¥N20¥J 00073380¥X○/兄弟(きやうだい)づれ 00073390M14兄弟づれにて/真崎(まつさき)の/甲子(きのへね)やへゆきしに、その/妹(いもと)、あまりに 00073400M15うつくしきゆへ、/芸者(げいしや)を(十八ウ)つれて/来(き)たやうに/見(ミ)へ、 00073410M16/何(なに)とも/心外(しんぐわい)なれバ、兄弟のわかちを見せんと、/二階(にかい)のはし 00073420M17ご二三/段(だん)おりて、/妹(いもうと)といへば、/上(うへ)から、/兄(あに)さん。/奥(おく)ざしき 00073430M18にて、Sテヽテン++ 00073440¥N21¥J 00073450¥X○/蓮(はす)の/上(うへ)(十九オ) 00073460¥P219 00073470L1/新仏(しんぼとけ)、はじめて/極楽(こくらく)へ/来(き)て、すハりつけぬ/蓮(はす)の/上(うへ)に、こハ 00073480L2※かしこまると、下から蓮花、S/旦那(だんな)、おたいらに 00073490¥N22¥J 00073500¥X○/大小(だいしやう)の/目利(めきゝ) 00073510L5大小の目利の/伝受(でんじゆ)をおしへて(十九ウ)やらう。まづ、くら 00073520L6やミであらうと、/其(その)こじりをさぐつて/見(ミ)て、しりの/角(かど)の/有(ある) 00073530L7が/刀(かたな)、/丸(まる)いが/脇指(わきざし)じや。Sそして/船底(ふなぞこ)ならバ、なんでござ 00073540L8らうSそこが/伝受事(でんじゆこと)じや(二十オ) 00073550¥N23¥J 00073560¥X○/犬(いぬ) 00073570L11/大道(たいどう)つつつく/座頭(ざとう)の/坊(ぼう)、/杖(つへ)にて/犬(いぬ)の/背中(せなか)をつく。犬、わん 00073580L12といつて/起(おき)、四五/間(けん)/行(ゆき)てねる/所(ところ)を、また/杖(つへ)でつけバ、わん 00073590L13といふ。/座頭(ざと)の/坊(ぼう)、/大(おほ)きに/驚(おどろ)き、(二十ウ)(無丁オ挿絵)(無丁 00073600L14ウ挿絵)Sさて、大きな犬だ 00073610¥N24¥J 00073620¥X○/助言(ちよごん) 00073630L17/碁(ご)の/会所(くわいしよ)に/皆勤(かいきん)の/隠居(ゐんきよ)、はげあたまをうちかたむけてかん 00073640L18がへ/居(い)る/最中(さいちう)、かたわきから、/黒(くろ)があぶない+といふ。 00073650L19(廿一オ)Sイヤ、こふ出れバこふおさへる。こふうてバこ 00073660L20ゝをきる。/何(なに)もあぶない事ハないSイヤ+、あぶない 00073670M1+Sハテサテ、やかましい。どこがあふないSイヤ、 00073680M2はしの/黒(くろ)か、/下(した)へ/落(おち)そふだ(廿一ウ) 00073690¥N25¥J 00073700¥X○/観音(くハんをん) 00073710M5/芳町(よしてう)のかげま、/浅草(あさくさ)のかんのんさんへ/参(まい)り、かんのんさん、 00073720M6きこへませぬ。/吉原(よしハら)の/女郎(じやうろ)の/願(ぐハん)ハおきゝなさんすが、なせ 00073730M7/若衆(わかしゆ)の/願(ねがい)を/叶(かな)へて/下(くだ)んせぬ。(廿二オ)/其時(そのとき)/拝殿(はいでん)/鳴動(めうどう)し、/御= 00073740M8戸帳(ミ=とちやう)きり+と/明(あ)き、せんざい+汝(なんぢ)が/願(ねかひ)もつともなれ 00073750M9共、/背(せ)に/腹(はら)ハかへられぬ 00073760¥N26¥J 00073770¥X○/万歳楽(まんざいらく) 00073780M12/地震(ぢしん)きらひのもの、すこし(廿二ウ)の/物音(ものおと)にも、/万才楽(まんざいらく) 00073790M13+といふ。ある日/地震(ぢしん)つよくゆる/時(とき)、うろたへて、Sま 00073800M14つちやらこ+ 00073810¥N27¥J 00073820¥X○/誓願寺(せいくわんじ) 00073830M17/謡(うたい)をしらぬもの、/柳(やなぎ)ハみどり(廿三オ)/花(はな)ハくれないと、/功= 00073840M18者(こう=しや)らしき/声(こゑ)にてうたふ。S友達それハなんのうたひといへ 00073850M19ば、/誓願寺(せいぐハんじ)だといふ。誓願寺の/諷(うたい)には、/其(その)やうな/事(こと)ハなか 00073860M20つたが。Sイヤ、これハ/元誓願寺(もとせいくわんじ)(廿三ウ) 00073870¥P220 00073880¥N28¥J 00073890¥X○/聾(つんぼ) 00073900L3/旅人(たびびと)、/川(かハ)をわたらんと/思(おも)ふに、/折(おり)ふし/雨(あめ)ふりて、/水(ミつ)にごり 00073910L4/底(そこ)みへず。むかふをみれバ、さきへわたりたるものあり。 00073920L5Sモシ+、/此川(このかハ)ハ/深(ふか)う/御座(ござ)るか。(廿四オ)かの男、つん 00073930L6ぼにて、/耳(ミヽ)へ/指(ゆひ)をさす。Sそれならバわたるまい。耳まて 00073940L7/水(ミづ)がつくさふな 00073950¥N29¥J 00073960¥X○/浅黄(あさぎ)うら 00073970L10/浅黄(あさぎ)うらの/新五左衛門(しんござへもん)、はじめてよし/原(ハら)へ/行(ゆき)、(廿四ウ)/夜(よ) 00073980L11が/明(あけ)てハすまぬから、/迎(むか)ひハ八つにしてくれろと、/茶屋(ちやや)の 00073990L12/男(おとこ)に/云付(いひつけ)、/一目(いちもく)おして/帰(かへ)るさ、/茶(ちや)屋へよれバ、/亭主(ていしゆ)/立(たち)いで、 00074000L13/盃(さかづき)を/出(いた)し、/旦那(たんな)、/水雑炊(ミづぞうすい)をあがりませ。新五左(廿五オ)Sひ 00074010L14や※とよかろう 00074020¥N30¥J 00074030¥X○/極楽(ごくらく)おとし 00074040L17/湯沢山(ゆだくさん)/茶(ちや)くれん/寺(じ)の/和尚(おしやう)、/朝起(あさおき)して/蓮(はす)のさかりを/見(ミ)、/池(いけ)の 00074050L18かげに/居(ゐ)るともしらす、ねり/塀(べい)のくづれより(廿五ウ)/皃(かほ)を 00074060L19出す/盗(ぬすびと)。/和尚(おしやう)、とりあへす、/蓮(はす)の/葉(は)にて/一(ひと)うちうてハ、 00074070L20/盗(ぬすびと)のゑりにひいやり。なむさん、してやられたと、/目(め)を 00074080M1/廻(まハ)し、うんとのつけにそりかへる。おしやう、あまり(廿 00074090M2六オ)のおかしさに、かくれて/様子(やうす)をうかゞへバ、しバら 00074100M3くありてよミがへり、あたりを見るに/蓮池(はすいけ)あり。なミだを 00074110M4ながし/手(て)をあハせ、/我(われ)/平生(へいぜい)、ぬすみをもつて/渡世(とせい)(廿六ウ) 00074120M5とせしに、/悪業(あくごう)/転(てん)じて/仏果(ぶつくわ)を/得(ゑ)たり。/今(いま)ぞはちすの/上(うへ)に/座(ざ) 00074130M6せんと、/池(いけ)の/中(なか)へずぶ+ 00074140¥N31¥J 00074150¥X/智恵者(ちゑしや) 00074160M9/村(むら)のあるきがぬつとはいり、(廿七オ)/門口(かとぐち)から、サア+ 00074170M10/与茂作(よもさく)どの。/代官所(たいくハんしよ)から/問(とい)が/出(て)た。/目(めつ)かち/千人(せんにん)に目がいく 00074180M11つあるといふ/難問(なんもん)。とふしておこたへ/申(もうす)べい。与茂作そ 00074190M12れがしれる/身共(ミども)なりやあ、/此年(このとし)まて/鍬(くハ)/鎌(かま)もつて(廿七ウ)/居(ゐ) 00074200M13ハしない。/隣村(となりむら)の/旦那寺(たんなでら)の/智恵(ちゑ)をかりずハ、/此(この)おこたへ 00074210M14ハ/出来(でき)まいと、/旦那寺(たんなでら)をよびにやれハ、/和尚(おしやう)はる※と/馬(むま) 00074220M15に/乗(のつ)て/来(く)る。/村中(むらぢう)むかひに/出(いで)て、ハア、和尚さまが馬の 00074230M16(廿八オ)/尻(しり)にのつてござる。さだめてあれにも、いはくが 00074240M17あんべいと、わけをきけバ、和尚Sヱヘン+。/手(た)づなか 00074250M18/長(なが)い 00074260¥N32¥J 00074270¥X○/雪踏(せきだ)/直(なを)し 00074280¥P221 00074290L1/雪駄(せきだ)なをしの/新米(しんまい)、でれん(廿八ウ)+のよび/声(ごゑ)を/稽古(けいこ)す 00074300L2るに、/先生(せんせい)/髭(ひけ)を/抜(ぬ)きながら、Sもちつと、/声(こへ)を/呂(りよ)にし給へ 00074310¥N33¥J 00074320¥X○/移従(わたまし) 00074330L5/新宅(しんたく)の/祝義(しうぎ)、/扨(さて)よいお/住居(すまい)と/誉(ほめ)る/所(ところ)へ、そこつ/者(もの)、あつた 00074340L6ら(廿九オ)/事(こと)に、/間口(まぐち)がせばくて、/葬(とぶらひ)の/時(とき)、/棺(くわん)が/出(で)まいと 00074350L7いへバ、/亭主(ていしゆ)、/以(もつて)の/外(ほか)/立腹(りつぷく)し、/何(なに)/共(とも)/不吉(ふきつ)/千万(せんバん)と、/膝(ひざ)/立(たて)なを 00074360L8せバ、Sアヽこれ+、/随分(すいふん)/出(で)る+ 00074370¥G(廿一オの前) 00074380¥N34¥J 00074390¥X○/声色(こわいろ)(廿九ウ) 00074400M3コレおやぢさま。/子(こ)の/口(くち)からハ/申(もうし)にくいが、/町所(ちやうところ)でも/噂(うハさ) 00074410M4がごさるゆへ申ます。/御法躰(ごほつたい)をなされ、/後生(ごしやう)でもおねがひ 00074420M5なさる/時分(じぶん)に、/芝居(しバい)がお/好(すき)て、ふ/断(だん)/内(うち)でも、/役者(やくしや)の/声色(こハいろ)を 00074430M6お/遣(つか)(卅オ)ひなされ、/念仏構(ねんぶつこう)から/呼(よび)にくれば、けちいま 00074440M7+しいと、/魚楽流(ぎよらくりう)に/口(くち)をまげ、/談義(だんぎ)/参(まい)りにさそハるれバ、 00074450M8とほうもないと/宮崎(ミやざき)であしらひ、いかにしても、御とし/不= 00074460M9相応(ふ=さうおう)にござれハ、(卅ウ)/向後(きやうかう)こハいろ、ものまねをやめさ 00074470M10せられて、/朝晩(あさばん)に/看経(かんきん)をなされませ。Sヲヽサ。おれもそ 00074480M11ふおもへど、くせになつたさふな。もうすつきり/物(もの)まねせ 00074490M12まい。/明日(あす)ハ/母(はゝ)の/日(ひ)じや。/看経(かんきん)せふと、(卅一オ)/持仏堂(じふつどう)へ 00074500M13ミあかし/上(あけ)、/鉦(かね)をたゝき、/南無(なむ)あミだぶつ+、/願以此功= 00074510M14徳平等施一切同発菩提心往生安楽国(ぐハんいしく=どくべうどうせいつさいどうほつぼだいしんわうしやうあんらくこく)、/是(これ)で/野暮(やぼ)ならしよこ 00074520M15とかない 00074530¥N35¥J 00074540¥X○/一枚(いちまい)/起請(ぎしやう)(卅一ウ) 00074550M18/法然上人(ほうねんしやうにん)/一枚(いちまい)ぎせうの/開帳(かいちやう)、おの+/渇仰(かつがう)の/涎(よだれ)をたらし、 00074560M19/信心(しんじん)/肝(きも)に/命(めい)じ、/冥加銭(ミやうがせん)の/巾着(きんちやく)をさぐる/時(とき)、ひとりの/婆(ばゝ)&、 00074570M20かふりをふり、これハ/似(に)せだ+といふ。Sナゼといへば、 00074580¥P222 00074590L1(卅二オ)Sおらも/若(わか)い/時(とき)おぼへがあるが、/起請(きしやう)ならバ、/血(ち) 00074600L2がついてゐる/筈(はづ)しや 00074610¥N36¥J 00074620¥X○/柔術取(やわらとり) 00074630L5/朝湯(あさゆ)へいそぐ/柔術取(やわらとり)、/板(いた)の/間(ま)にてすべり、あふのけに/転(ころ)び 00074640L6(卅二ウ)/起上(おきあが)り、/口(くち)の/内(うち)にて、S/今(いま)のいきに/投(なげ)るとよい 00074650¥N37¥J 00074660¥X○/人真似(ひとまね) 00074670L9/今(いま)をはやりの/女郎(じようろ)、二/階(かい)のはしご、ばた+と/上(あか)らんとせ 00074680L10しが、いかゞしてはしごから(卅三オ)こけ/落(おち)ければ、やり 00074690L11て、かぶろ、やがてだきかゝへ、/水(ミづ)などまいらせ、お/気(き)が 00074700L12つきなん/と((ママ))したか、/何(なん)で/肝(きも)をつぶしなんしたといへば、 00074710L13Sアノ二かいの/上(あか)り/口(くち)に、/長虫(ながむし)のやうな/物(もの)がありん(卅三 00074720L14ウ)した。モヽヽこハくてなりんせんといふ。やりて、そ 00074730L15のまゝ二かいへかけ上りみれハ、/銭(せに)が百/落(おち)てあり。さすが 00074740L16/名高(なたか)い/女郎(じやうろ)/程(ほど)あつて、/銭(せに)を見おぼへぬはやさしい事と、も 00074750L17つぱらの(卅四オ)/評判(ひやうばん)。/引(ひけ)/四(よ)ツ/物(もの)の/花崎(はなざき)か/鼻(はな)もとじあんで 00074760L18うらやましく、/或(ある)日はしごの/口(くち)よりこけおちければ、S/皆(ミな)、 00074770L19/何事(なにごと)じやと/尋(たづね)るに、Sイヤ、こハくて+/物(もの)がいわれぬ。 00074780L20アノ二かいに、/大(おほ)きな(卅四ウ)/四文(しもん)/銭(ぜに)が/落(おち)て/居(ゐ)る 00074790¥N38¥J 00074800¥X○あたり/芝居(しバゐ) 00074810M3/皃見(かほミ)世のあたり芝居、はめをはづす/切落(きりおと)しに、/前(まへ)にゐる/男(おとこ)、 00074820M4あミ/笠(がさ)ふか※とかぶりいるを、あとがミへぬ。(卅五オ) 00074830M5ぬげ+といふ。/聞(きか)ぬふりにてぬかず。たび+ぬげとい 00074840M6へば、ふりかへりて、ぬいだら/為(ため)になるまいといふ。そい 00074850M7つ/引(ひき)ずり/出(だ)せと、うしろからとつて引まくれバ、くさつた 00074860M8かさ(卅五ウ)あたま。アトノモノSやはり、めしてござりま 00074870M9せ 00074880¥N39¥J 00074890¥X○十二/支(し) 00074900M12/鶴(つる)ハ/千年(せんねん)のよハひを/保(たも)ち、/狐(きつね)はいなりのつかハしめ、ふた 00074910M13りとも十二/支(し)の/仲間(なかま)(卅六オ)/入(いり)をしてもはづかしくないと、 00074920M14十二/神(じん)へねがへば、/古来(こらい)から十二と/数(かず)の/極(きま)つたものを、/今(いま) 00074930M15更十四/支(し)にもなるまい。やはり/中(なか)へわりこんで、Sきつ/子(ね) 00074940M16/丑(うし)/寅(とら)/卯(う)/辰(たつ)るといふがよい(卅六ウ) 00074950¥N40¥J 00074960¥X○ぢんてき/問答(もんだう) 00074970M19アノ/大晦日(おほミそか)を/大(おほ)つごもりとハ、/何(なん)の/事(こと)でござる。Sあれ/式(しき) 00074980M20の/事(こと)を/御存(ごぞん)しないか。あした/京(きやう)へ/着(つく)ものが、/今夜(こんや)/大津(おほつ)にこ 00074990¥P223 00075000L1もつた/様(やう)なもの。そこで(卅七オ)/大津(おほつ)こもりと申す△Sし 00075010L2からば/元日(ぐハんじつ)とハ△Sハテ、そこで/夜明(よあけ)の/鐘(かね)を、ぐハん+ 00075020L3とつきます。そこで/元日(ぐハんじつ)でござる△Sムヽウ、それで/朔日= 00075030L4丸(ついたち=ぐハん)の/訳(わけ)まで/知(し)れた(卅七ウ) 00075040¥N41¥J 00075050¥X○/長小便(ながしやうべん) 00075060L7/大雨(おほあめ)のふる/夜(よ)、/小便(しやうべん)にをき、五つ/時分(じぶん)から九つ/過(すき)まで/内(うち)へ 00075070L8/入(い)らす。/女房(にようぼう)ふしぎに/思(おも)ひ、/出(で)てみれバ、/竹椽(たけゑん)に/立(たち)はだか 00075080L9り、/前(まへ)をまくつて/居(ゐ)る。(卅八オ)/何(なに)をしていやしやるとい 00075090L10へば、/今夜(こんや)ハおびたゝしい小便じやといふ。Sそれハこな 00075100L11たの/小便(しやうべん)でハこさらぬ。とゆの/雨落(あめおち)じやといふに/気(き)がつき、 00075110L12/前(まへ)へ/手(て)をやつてミて、ほんに(卅八ウ)S/小便(しやうべん)ハ/出(で)なんだ 00075120¥N42¥J 00075130¥X○/福禄寿(ふくろくじゆ) 00075140L15/福禄寿(ふくろくじゆ)/行(ゆき)くれて、/一夜(ひとよ)の/宿(やと)をかりけるが、/家(いへ)の/内(うち)せばけれ 00075150L16ば、/長(なが)きあたまを/戸(と)の/外(そと)へ/出(だ)して/寐(ね)られしに、(卅九オ)/朝(あさ) 00075160L17はやく、/道(ミち)/通(とを)りがミつけ、/外(そと)から、この/夕皃(ゆふがほ)の/花活(はないけ)ハいく 00075170L18らでござる。Sイヤ、/是(これ)ハふくろくじゆでござります 00075180L19Sナニ、百六十にハ/高(たか)い 00075190¥N43¥J 00075200¥X○/藍(あい)さび(卅九ウ) 00075210M3/本多組(ほんだぐミ)のむす/子(こ)/株(かぶ)、/銀(ぎん)ぎせるで/国分(こくふ)をはたきながら、とか 00075220M4く/帷子(かたびら)ハ/藍(あい)さびの事だといふを、/隠居(ゐんきよ)きゝつけ、S/若(わか)イも 00075230M5のとした事が、ヤハリさびない/方(ほう)がよからうに(四十オ) 00075240¥N44¥J 00075250¥X○/夫婦(ふうふ)/喧嘩(げんくわ) 00075260M8/男女(なんによ)/相性(あいしやう)に、/荒神(くわうじん)さまがちらしがミで/立(たつ)てござる/夫婦中(ふうふなか)。 00075270M9/毎日(まいにち)+夫婦いさかい。つまる/所(ところ)ハ/茶(ちや)わんばち/屋(や)と/鍋(なべ)いか 00075280M10けか/仕(し)あハせに(四十ウ)なると、/相借屋(あひじやくや)のあつかひで、や 00075290M11う+/中直(なかなを)りの/盃(さかづき)する/時(とき)、となりの/大屋(おほや)との、/皮羽織(かハばをり)の/袖(そで) 00075300M12かいつくろひ、/御(ご)ていしゆ、よく/合点(がてん)しやれ。おれも二十 00075310M13/年(ねん)、/女(おんな)どもにそつてゐれど、(四十一オ)ついにこぶしひと 00075320M14つも、あてられた/事(こと)ハ/御座(ござ)らぬ 00075330¥N45¥J 00075340¥X○/雪隠(せつちん) 00075350M17雪隠の/中(なか)で/何(なに)かごそ+する/様子(やうす)。これハ/怪(あや)しいと/耳(ミヽ)をす 00075360M18ましてきけバきく(四十一ウ)ほど、この/足(あし)をこゝへ/上(あげ)ろ。 00075370M19この/手(て)を/肩(かた)へかけろとさゝやくこゑ。こらへかねて、/外(そと)か 00075380M20ら/戸(と)を/明(あけ)れバ、S/猿廻(さるまハ)し 00075390¥P224 00075400¥N46¥J 00075410¥X○/三太郎(さんたらう) 00075420L3三太郎よ。/太皷(たいこ)をうつぞ。/屋根(やね)へ(四十二オ)あがつてミろ 00075430L4と/起(おこ)され、三太郎、/目(め)をこすりながら、Sヤレ+せハし 00075440L5ない。/今(いま)にやけてくれバしれるに 00075450¥N47¥J 00075460¥X○/樺焼(かばやき) 00075470L8/江都前(ゑどまへ)/大(おほ)かばやきの/匂(にほ)ひニ(四十二ウ)めでゝ/立寄(たちより)、ナント 00075480L9ていしゆ。/此(この)にほひをかいでハ、いかな/貴僧(きそう)/高僧(かうそう)でも、す 00075490L10どをりハなるまい。Sあいさ。/今(いま)ハミんな/寺方(てらかた)がお/出入(でいり)に 00075500L11/成(なり)ましたが、/未(まだ)/禅宗(ぜんしう)ハかたうこさります(四十三オ)Sハテ、 00075510L12/禅宗(ぜんしう)ばかりハくハぬか△Sイヽヱ、おはらひがよふ/出(で)ます 00075520¥N48¥J 00075530¥X○/精進落(しやうじんおち) 00075540L15/大勢(おほぜい)あつまり、/夜(よ)ばなしの/中(なか)へ、でつち/罷出(まかりいで)て、となたも 00075550L16お/精進(せうじん)ハ/御座(ござ)りませぬかと(四十三ウ)いふ。Sイヤ、だれ 00075560L17も/精進(しやうじん)ハないといふ/内(うち)、/夜(よ)もふくれバ、てつちをよび、/何(なに) 00075570L18もあるまいが、/出来合(できあひ)のお/夜食(やしよく)を/上(あげ)るなら、はやう/出(だ)しや 00075580L19と/云(いふ)。Sイヽヱ、こよひハ/何(なに)もいたしませなんだSそん 00075590L20(四十四オ)なら、なぜ精進をあらためた△Sハイ、/勝手(かつて)で 00075600M1/茶(ちや)びしやくが見へませぬから、/貝(かい)じやくして/茶(ちや)を/汲(くミ)ました 00075610¥N49¥J 00075620¥X○/大学(だいがく) 00075630M4このころおらがやつめが、/大学(でいがく)を(四十四ウ)ならふか、/大= 00075640M5学(でい=がく)といふものハ/重宝(てうほう)な/物(もん)で、/硯墨(すゝりずミ)のこしらへやうまで/有(ある)。 00075650M6Sナセといへバ、Sハテ、/人(ひと)におしゆるゆゑんの/法(ほう)也 00075660¥N50¥J 00075670¥X○/孔雀(くじやく)/鳳凰(ほうわう) 00075680M9/法皇様(ほうわうさま)のお/通(とを)りをおがミて、(四十五オ)さて+/有(あり)がたい。 00075690M10/聖代(せいたい)にハ/孔雀(くじやく)/鳳凰(ほうわう)が/出(で)るといふが、/今(いま)まのあたりおがんだ。 00075700M11S/先(まつ)/法皇様(ほうわうさま)で、鳳凰ハすんだが、孔雀ハなかつた△Sイヤ、 00075710M12それでもお/乗物(のりもの)かきの/六尺(ろくしやく)が、/三尺(さんじやく)/手(て)ぬぐひを(四十五ウ) 00075720M13かぶつて/居(い)たから、てうど/九尺(くじやく)じや 00075730¥N51¥J 00075740¥X○/俄照(にハかでり) 00075750M16/御(ご)むしんながら、せきだかしてくたされ。/今朝(けさ)ふつた/故(ゆへ)、 00075760M17/足駄(あした)で/出(で)ましたら、みちが(四十六オ)かん+よくなつて 00075770M18こまります。Sおやすい/御用(ごよう)だが、まだ/足駄(あしだ)でもつたハれ 00075780M19ませう 00075790¥P225 00075800¥N52¥J 00075810¥X○/馬鹿(ばか)/息子(むすこ) 00075820L3/馬鹿(ばか)むすこ、見せへ出る。見世の/者(もの)、目と目を/見合(ミあハ)せて、 00075830L4/南(ミなミ)に(四十六ウ)ハこまるといふ。むすこきゝつけ、Sお/や((ママ)) 00075840L5あ、/南(ミなミ)てハないはつじやが△Sなせでござります△Sそれ 00075850L6でも、/人(ひと)がおれをミると、よつほど/北(きた)+といふ 00075860¥N53¥J 00075870¥X○/角兵衛獅子(かくべいじゝ)(四十七オ) 00075880L9/此比(このごろ)/久(ひさ)しぶりで、/角兵衛獅子(かくべいしゝ)か/来(き)たら、/番町(ばんてう)/辺(へん)ハきついは 00075890¥G(二オの前) 00075900M1やりだ。きさま、まだ見まいの。Sイヤ、みたとも+。 00075910M2/久(ひさ)しくミぬ/内(うち)、いかふ/年(とし)がよつた(四十七ウ) 00075920¥N54¥J 00075930¥X○/振舞(ふるまい) 00075940M5/御(ご)ていしゆさま、/下(くだ)さりますとあいさつして、/汁(しる)を/一口(ひとくち)/吸(すつ) 00075950M6た/所(ところ)が、くさつた/肴(さかな)なり。/其侭(そのまゝ)/箸(はし)を/下(した)に/置(おき)、けふのおふる 00075960M7まいハ、/一汁(いちじう)/一菜(いつさい)のやくそく(四十八オ)でハござらぬか。 00075970M8Sいかにも、一/汁(ぢう)一さいでござる△Sイヤ/是(これ)ハ一/汁(じう)くさい 00075980¥N55¥J 00075990¥X○/生仏(いきぼとけ) 00076000M11/清水(きよミづ)のくわんおんハ、/生(いき)ぼとけしやといふを/聞(きゝ)て、うたぐ 00076010M12り(四十八ウ)ぶかき/針医(はりい)、/内陳(ないぢん)へ忍び/入(いり)、/御腹(おんはら)のあたりへ 00076020M13/針(はり)/一本(いつほん)/立(たて)、/引(ひき)ぬきミれば、/血(ち)がつきて/有(あり)。/大(おほ)きにおどろき、 00076030M14/観音様(くわんおんさま)、まつぴら/御免(ごめん)あそバしませ。/只今(たゞいま)たつた一/度(ど)ぎり 00076040M15で(四十九オ)/御座(ござ)ります。/今度(こんど)から/致(いた)しますまいと、/迯行(にげゆく) 00076050M16/手(て)を、しつかととらへ、/観音(くハんおん)、/微妙(ミめう)の/御声(ミこへ)にて、S/一度(いちど)ぎ 00076060M17りでハめいわく。せめて/一(ひ)ト/廻(まハ)りハ/来(き)て給ハれ 00076070¥N56¥J 00076080¥X○/朝湯(あさゆ)(四十九ウ) 00076090M20/朝湯(あさゆ)の/定連(ぢやうれん)、/風呂(ふろ)の/中(なか)にて/背中(せなか)ながしあふ/所(ところ)へ、Sアイ、 00076100¥P226 00076110L1/御免(ごめん)/なりまし((ママ))。/枝(えだ)がさハりますとはいれば、せなかながし 00076120L2なから、Sけふハ/大師(だいし)かの 00076130¥N57¥J 00076140¥X○/濃茶(こいちや)(五十オ) 00076150L5/濃茶(こいちや)の/席(せき)の/上(うへ)、/客(きやく)にきんかんあたまの/親父(おやぢ)あり。/茶碗(ちやわん)をひ 00076160L6かへて/脇(わき)へゆづらず。/次(つぎ)の/客(きやく)の/待遠(まちどを)なる/皃付(かほつき)を見て、おや 00076170L7ぢSわたくしハたべるやうでも、/歯(は)の/間(あいだ)から/皆(ミな)もります 00076180L8(五十ウ) 00076190¥N58¥J 00076200¥X○/釣師(つりし) 00076210L11/釣師(つりし)二人、/互(たがい)に/張合(はりあひ)て、/朝(あさ)から/木場(きば)に/釣(つり)をして、/猟(りやう)の/多(おほ)き 00076220L12/方(かた)に/酒(さけ)をふるまふ/約束(やくそく)。一人Sどふだ/太公(たいこう)。一束(いつそく)もつれた 00076230L13か。一人S/今(いま)/餌(ゑ)をくふのと(五十一オ)もに二/疋(ひき) 00076240¥N59¥J 00076250¥X○/七(なゝ)つ/目(め) 00076260L16/七(なゝ)つ/目(め)/御(おん)うらなひ/所(どころ)と、かんばんかけた。/門前市(もんぜんいち)をなす/人(ひと) 00076270L17だかり。Sハイ、わたくしハ/丑(うし)でござります△S/私(わたくし)は 00076280L18(五十一ウ)/寅(とら)でござります△S/其次(そのつぎ)ハなんのおとし△Sば 00076290L19つとハ/申(もうし)にくい。/耳(ミヽ)をお/出(だ)しなされと、/小声(こごゑ)になり、S/子(ね) 00076300L20でござる△S/何(なに)、/子(ね)のおとし△Sシイ、/声(こへ)が/高(たか)い。あれに 00076310M1/猫(ねこ)が/聞(きい)て/居(お)る(五十二オ) 00076320¥Q 00076330M4一の富△後篇 00076340M6△△/福寿左右(ふくじゆそう)@右本出し置申候|御覧可被下候△@ 00076350M9△△△△△市谷左内坂町 00076360M10△△△△△△本屋清治郎 00076370M11△△△△△△△△文治郎 00076380¥P227 00076390¥U噺本大系△第十巻 00076400¥T/立春(りつしゆん)/噺大集(はなしおおよせ)〔内題〕 00076410¥G 00076420¥Y 00076430L17安永五年四月刊 00076440L18常笋亭君竹序・後素軒蘭庭序 00076450L19大坂△渋川久蔵板 00076460L20半紙本五巻五冊 00076470¥Y序 00076480M3/旧臘(きうろう)噺すもふ有。夫に次て、はなし大よせ。是を/耕(たがや)して見 00076490M4るに、寄&妙&/珍作(ちんさく)多/集(あつま)りし高は六百九拾余。其中に甲乙 00076500M5を分て五拾番とするハ、/集者(しうしや)より定まれる/限(かぎり)なれば、(壱オ) 00076510M6/是非(ぜひ)をいとハず、爰にもらし、/愚(おろ)かに考ふるも又ひとつの 00076520M7噺とはなりぬ。のどけき春に/芽(め)を出せる笑ひ草のはなは、 00076530M8/諸君子(しよくんし)の耳に/咲(さく)ものならむ 00076540M10△△△△△△△△△△常△笋△亭 00076550M12△△△△△△△△△△△△△△君△竹△撰G 00076560M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(壱ウ) 00076570¥P228 00076580¥T1立春噺大集巻壱 00076590¥A常笋亭君竹撰 00076600¥N1¥J 00076610¥X巻頭△おほろ月△△△△△△△△△△△△¥A浅井 00076620L7はるか西国の人、京大坂見物して国もとへ帰りけれバ、/友= 00076630L8達(とも=だち)共見まいに来り、さだめてかミがたにハ/珍(めづ)らしい事があ 00076640L9つたであらふ。イヤ、さしての事もなかつたが、水/車(ぐるま)とい 00076650L10ふばけものを見て来た。何が/京都(きやうと)より夜ふねにて、大坂へ 00076660L11下ルに、/淀(よど)とやらいふ所で、乗合の衆が、アレ+、水車 00076670L12じや+といふによつて、おれもそつと/笘(とま)の間からのぞけ 00076680L13バ、何やら大キな(弐オ)丸いものが、ぐる+と水を呑て 00076690L14ハ浮、水のんでハうきする故、余りおそろしさに、アレハ 00076700L15どちへ行のてござると問ふたれバ、お聞きやれ、お花ばた 00076710L16けへゆくといふた 00076720¥N2¥J 00076730¥X第二△あてちがひ△△△△△△△△△△△¥A不妙門 00076740L19日比こゝろ安き友同士、ふと/途中(とちう)にて行合、これハ+、 00076750L20久&御意得ませぬ。どうおくらしなされます。サア下拙も 00076760M1天わうし東門辺に/隠居(いんきよ)いたして、すきの茶事一ツへんに暮 00076770M2しております。時に/手製(しゆせい)の茶ぐわしがこざるが、甚た/賞美(しやうび) 00076780M3にあいます。ちと茶くわしあがりにおこしなされと立わか 00076790M4れ、其後/回廊(くわいらう)百/瓶(へい)(弐ウ)の次手に、かの隠居へ立寄、御 00076800M5いんきよ。内にこざりますか。是ハ+よふこそ。まづ 00076810M6+おくへと伴ひ、座につき、一通りのあいさつおハり、 00076820M7サテ/御手製(ごしゆせい)の御茶ぐわしハナ。サア夫へあげますと、やが 00076830M8て銘+ぼんに入れ、やうじをそへて出されけれバ、是ハ 00076840M9+と一つ口へ入られしが、何がしわい親父のこしらへた 00076850M10餅ゆへ、/風味(ふうミ)ことの外あしく、/一向(いつかう)/咽(のど)へ通しかね、/吐(はき)出さ 00076860M11んにもざしきなればまかせず、くちにふくみながら、お庭 00076870M12はいけんいたそと、椽さきへ出、くちに有餅を塀越しにポ 00076880M13イ。折節、はたけに仕事している百姓のあたまへピツシヤ 00076890M14リ。百姓、是ハと手に取てほうるとて、ヱヽ又茶の湯かい 00076900M15(三オ)(三ウ挿絵) 00076910¥N3¥J 00076920¥X第三△尻切わらぢ△△△△△△△△△¥A北ノ△本平 00076930M18ドリヤ一ッふくすい付て行かふ。扨爰から大坂へハ何ンぼ 00076940M19あろな。ヲヽ二里半ハゆつくり。アヽもちつとにしたぞ。 00076950M20今なるハ/入相(いりあい)か。ドリヤ+ゆかふ。此あたりハたんと/狐(きつね) 00076960¥P229 00076970¥G(三ウ) 00076980L13のばかす所じやげなが、小/気味(きミ)のわるひ事じやとおもふ内、 00076990L14ざハ+風など吹、こゝろぼそくおもひながら急ぎしに、 00077000L15向ふに灯の見ゆる。アヽ嬉しや。大坂へ近ひと、やう+ 00077010L16明りの/傍(そバ)へ来て見れハ、町はつれの/髪結床(かミゆひどこ)なり。まづ/這(は)入 00077020L17て、火を一つかしてもらひ、青いきといきで、たばこのむ。 00077030L18かみゆひハ仕事でもさすかと、仕事/仕(しい)+そこ(四オ)+ 00077040L19のあいさつする内に、そばにありける/髭(ひけ)ぬきかゞみ吸付る 00077050L20ひやうしに、我顔うつれバ其まゝ、コリヤすなやいと、ま 00077060M1つ/毛(げ)をぬらした 00077070¥N4¥J 00077080¥X第四△それ+の耳△△△△△△△△△△¥A我得 00077090M4浜町をいぬる旦那、くれすぎに酔きげんにて、謡もしもら 00077100M5い紙にやあるらんと/巻(まき)かへして見れ共、/僧都(そふず)とも、トうと 00077110M6ふて通られけれバ、惣嫁が、ヲヽあのおかたハ/酔(よふ)てかして、 00077120M7姫小まつの浄るりを/謡(うたひ)にしてじや 00077130¥N5¥J 00077140¥X第五△手に持花△△△△△△△△△△¥A狐秋(四ウ) 00077150M10去りとてハ、びたら+とよふ雨が降る事じや。コリヤ長 00077160M11吉よ。棚の徳利に酒ないか。ふつて見いヤイ。長吉かしこ 00077170M12まりました。ドブ+。ヲヽヽヽ、大分ござります。旦那 00077180M13とつくりとふつて見たか。よふふりました。旦那爰へ徳利 00077190M14を持つて/来(こ)イ。コリヤなんじや。酒ハないがなとて、棚を 00077200M15見れバ、たなだらけハ酒だらけ 00077210¥N6¥J 00077220¥X第六△寐て吐唾△△△△△△△△△△△△¥A瀬川 00077230M18/敵(かたき)もちの侍ありけるが、/万端(ばんたん)身の用心いふばかりなし。あ 00077240M19る日/風(ふ)と思ふにハ、此やうに用心すれば、何によらず気遺 00077250M20ひなし。此うへハ/喰(くひ)物も用心せねバならぬ。もし敵のまハ 00077260¥P230 00077270L1しもの、下女などになつて(五ノ十オ)入こみ、ちんどくなと 00077280L2をあたへまいものでもない。これをふせぐにハと、/珊瑚珠(さんこじゆ) 00077290L3の大ざしきを/建(たて)、ふだん居まにして居たりけり。あんのご 00077300L4とく敵方のまわしもの、下女になつて入こみけれども、女 00077310L5の手にかなひがたく、ひそかに食事にちん/毒(どく)を入おき、/例(れい) 00077320L6の通りすへ置けるに、ふしぎや、此座敷、バチ+とはぜ 00077330L7出しけれハ、スハしれ者と、/膳部(せんぶ)を打つけると、ばた+ 00077340L8と家がはぜて、/押(おし)に打れて死だ 00077350¥N7¥J 00077360¥X第七△利屈のほどき△△△△△△△△△△¥A茅江 00077370L11ナント、/自然居士(しねんこじ)のうたひに、/貨狄(くわてき)といへる者がはじめて 00077380L12舟をつくり、敵を亡したとあるハ。是ハ聞へたが、/蚩尤(しゆう)と 00077390L13いへる/逆臣(げきしん)あり。(五ノ十ウ)(十一オ挿絵)かれをほろぼさん 00077400L14とし給ふに、/烏江(うかう)といへる海をへだて、せむべきやうもな 00077410L15き所にと有が、ナント、互に/通路(つうろ)もなく、/勿論(もちろん)船ハなし、 00077420L16出合ハあるまいし、何として敵にハなつた事と問れ、是に 00077430L17ハとんとゆきつまりながら、有らふ事か、毎度川上から、 00077440L18ごもくをながしおつたといの 00077450¥N8¥J 00077460¥X第八△医者の才覚△△△△△△△△△△△¥A帰東 00077470M1/薮医者(やぶいしや)、りやうじの帰るさ、/暑(あつ)さにこまり、/木陰(こかげ)にすゞみ 00077480M2居たりしを、/蝮蛇(うハばミ)来つて、何の苦もなく呑にけり。いしや、 00077490M3腹の中にて工夫し、くわい中の/薬箱(くすりはこ)より/巴豆(はづ)/大黄(たいわう)の類をま 00077500M4き(十一ウ)ちらしけれバ、腹中大になり渡り、医者を立く 00077510M5だしにくだしけり。いしや大によろこび、帰らんとせしが、 00077520M6薬ばこをうハばミが腹の中にわすれたり。是ハしたりと、 00077530M7又うハばミが前にかしこまり、ヤイうハばみ。今一度おれ 00077540M8呑ンでくれいといへバ、うハばミ大音にて、ヱヽ医者を見 00077550M9るもむねがわるい 00077560¥N9¥J 00077570¥X第九△正直もの△△△△△△△△△△△△¥A我笑 00077580M12ある時、/始末(しまつ)なる人二三人より、世間のうハさなどしけり。 00077590M13一人申やうハ、扨アノ/常香(しやうかう)ばんといふものハ、大分ための 00077600M14よいものてごさるに、爰の内にハなぜ買しやれぬといへバ、 00077610M15主されバてござる。(十二オ)是も太義なものじやて。ハテ 00077620M16扨弐三百出せバ、古道具屋によいものがござる。イヤサ。/常= 00077630M17香盤(しやう=かうばん)ハ二三百なれど、大釜が高ふ付ク 00077640¥N10¥J 00077650¥X十軸△所自慢△△△△△△△△△△△△△¥A筌井 00077660M20三十石の乗合下リふねにて、/例(れい)のやうに京大坂のせり合。 00077670¥P231 00077680L1大坂ものかいふにハ、何ぞといふと/内裏(たいり)さまじや/禁裏(きんり)さま 00077690L2じやとぬかしても、其/台所(たいどころ)ハ大坂じや。大坂につゝく/大湊(おほミなと) 00077700L3が外にハない。あるならいふて見い。京の人/嵯峨(さが)あらし山、 00077710L4清水の/風景(ふうけい)、又+ぜつけいじやと半分聞て、大坂者大坂 00077720L5ハ又かくべつ。(十二ウ)住吉の浦や清水の/舞台(ぶたい)から遠目か 00077730L6ねで見りや、四国九しうハおろか、からてんぢく迄も見へ 00077740L7るといふゆへ、京の人ぎおん二軒茶屋ハといへハ、ヲヽす 00077750L8なばのうどんや、何をいふても大坂の口にハかなハず、そ 00077760¥G(十一オ) 00077770M1れでも京をのけたりや皆田舎じや。京ハ上ミじやとまけお 00077780M2しみいふに、大坂の連そうじや。大坂の御城の事いや、ぐ 00077790M3つ共いふ事ならぬ。いつでも勝じや。モウ言やんなと、と 00077800M4やかくいふ内、皆+寐入、ほどなく船も八軒屋へ着キ夜 00077810M5もあけはなれ、大坂者、さいぜんせり合ふた京の人をよく 00077820M6+ミれバ、/得意(とくい)さきの/旦那(たんな)なり。南無三宝と思ひながら、 00077830M7能ふおくだり(十三終オ)なされましたと/挨拶(あいさつ)すれバ、うな 00077840M8づくばかり。せんかたなさに、もみ手して、へヽヽヽ+ 00077850M9まんざら/私(わたくし)ひとりの大坂でもござりませぬ 00077860¥Y1竹巻壱終 00077870¥Q1 00077880M13本朝素読千字文△△訓点付 00077890M14本朝千字文傍註△△平かな絵入△△△△△△△△△両板出来 00077900M15△△△此書ハ/旧(もと)益軒貝原先生の/草稿匣(ほうごばこ)に/遺(のこ)り存し、日本天地/開闢(かいびやく)よ 00077910M16△△△り今代に至るまての故事をあつめ、人の/善悪(せんあく)、/世(よ)の/盛衰(せいすい)/移(うつ)り 00077920M17△△△/変(かハる)に随ひ、其/次第(しだい)を/序(つい)て千文となしぬ。尤/韻字(いんじ)を/押(ふま)すといへ 00077930M18△△△ども、同字をはふき、幼/童(ご)の便りとす 00077940M19△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十三終ウ) 00077950¥P232 00077960¥T1立春噺大集巻弐 00077970¥A常笋亭君竹撰 00077980¥N1¥J 00077990¥X十壱△目はしき△@蘭△庭△考|十三ニモ有@△△△△△△△¥A柳巴 00078000L7おばゝ。今の所へ往てこふわいのといへバ、孫が、/祖父(ぢい)さ 00078010L8ん。おれもゆかふ。ハテ扨/灸(やい)とすへに行のじやハやい。イ 00078020L9ヤ+灸とじやない。おれもゆかふと、ひたすらせがめバ、 00078030L10ばゝがひつとり、アノやうにいふほどに、あれにもひとつ 00078040L11すへてもらハしやれといへバ、孫、大きに笑ふ。ワイ+、 00078050L12夜さりハ山が見へぬもの、やいとハうそじや。ゆこ+。 00078060L13ノウばゝ。あちら町のみそから、/狸(たぬき)めが出おるげな。ヲヽ 00078070L14(壱オ)こわや。/祖父(ぢい)さん。たぬきめハどのやうにして出ル 00078080L15や。ハテしれた事。たんほと通ひと持て、大なはつてうが 00078090L16さを着て出おるハヤイ。孫/溝(ミそ)からそんな笠きて出たら、か 00078100L17さがつぶれるハの。祖父ハテ、われか物じやなし、かまふ 00078110L18な 00078120¥N2¥J 00078130¥X十二△すまたのいり豆△△△△△△△△¥A鹿悦 00078140M1コレ権兵衛。/年越(としこし)の/翌(あく)ル日、貴さまの所へ非人が、朝から 00078150M2ばん迄立かハり入レかハり来たが、アリヤ何しやあつたぞ。 00078160M3アレか。あれハはやし豆の/貰(もら)ひためを買ふて遣らふと、/非= 00078170M4人(ひ=にん)仲間へいふておいたれば、持て来るほどに+、大かた 00078180M5豆の百石斗もよつた(壱ウ)てや。フウン、其豆を何にしや 00078190M6る。此豆で/豆腐(とうふ)屋をせふとおもふ。ハテ、めつそふな事い 00078200M7ふ。/煎(いつ)た豆がどふしてとうふになるもので。よしにしや。 00078210M8イヤ、やきどうふにするのじや 00078220¥N3¥J 00078230¥X十三△猫の栄華△△△△△△△△△△△△¥A瀬川 00078240M11年ふるまた/猫(ねこ)、さる方の/小児(せうに)を喰てしまい、おのれが其小 00078250M12児にばけて/馳走(ちさう)に合ふて居る内に、出入の者より持あそび 00078260M13の三味せんをもらひしが、此/児(こ)の/乳母(うば)、さいしよものにて、 00078270M14申+、此三味せんハ何て/張(はつ)た物でござります。旦那夫ハ 00078280M15しれた事。ねこの皮じやわいのふ。乳母其ねこの皮をどふ 00078290M16して取り(二オ)ます。旦那ハテ、ねこめがはらをたち割ツ 00078300M17て、すつぽりと皮を/剥(はく)と、何の気も付かず咄し。かのまた 00078310M18猫、小気味わるく、思ハずぞつと身ふるひすれば、乳母ド 00078320M19レ/小便(しゝ)遣ロ 00078330¥P233 00078340¥N4¥J 00078350¥X十四△老僧の感△△△△△△△△△△△△¥A菅水 00078360L3/洛中(らくちう)の/遊人(ゆうじん)、雪の日、遠目がねを持し、清水の/舞台(ぶたい)より雪 00078370L4の/景色(けいしよく)を見る内に、何とかしたりけん、かの目がねを取落 00078380L5し、ぶたいの下の/庵(あん)のやぶの内へおとし、急ぎぶたいをお 00078390L6り、かのあんの戸ぼそへ立寄り、チトお頼ミ申ませう。私 00078400L7ハくわんおんさまへ/参詣(さんけい)の者でござりますが、お庭へ落し 00078410L8ましたものがござり(二ウ)ますゆへ、どふぞそれを/貰(もら)ふて 00078420L9帰りとふござります。ヱヽ何てかなござる。/庭(にハ)へとおつて 00078430L10御らうじと、/庵主(あんしゆ)の老僧とも+に庭へまわれバ、彼目が 00078440L11ね、やぶの/傍(そば)にたちある。ホ、爰にござりますと、雪かき 00078450L12わけて引ぬく。老僧、目をしばたゝき、ハアヽ、扨ハ其元 00078460L13ハ/孝行(かう+)なお人じやな 00078470¥N5¥J 00078480¥X十五△力士按摩△△△△△△△△△△△△¥Aワテキ 00078490L16コレあんま殿。おれハずいぶんつよいあんまが好じやほど 00078500L17に、力一ぱいもんで下され。ハイ+。私ハ一たい、素人 00078510L18がたハひねりませぬ。お聞なされ。此間も去/関(せき)とりをつか 00078520L19みましたら、貴様(三オ)でなけれハこたへんといわれまし 00078530L20た。ハヽヽヽヽ、ハヽヽヽヽ。扨そろ+と/掴(つか)む。ナント 00078540M1こたへましよがナ。イヤ+、其くらひでハこそばい+。 00078550M2是ハしたり。是ほどつかんでもこたへぬかと、惣身のちか 00078560M3らを両手にいれ、汗をながしてつかみけれど、ぬるいあん 00078570M4まじやとつぶやきけり。按摩ヱヽきこへました。/今晩(こんばん)バ宵 00078580M5から二三人もりやうし致したゆへ、指さきがくたびれまし 00078590M6た。明晩/暮方(くれかた)早&まいります程に、かならず内にまつてい 00078600M7やしやりませと、念入ていのふとすれば、コレ、其やうに 00078610M8根にもつ事ハない 00078620¥N6¥J 00078630¥X十六△月夜釜△△△△△△△△¥A里嶋(三ウ)(四オ挿絵) 00078640M11もむほどに+、/鹿(しゝ)の/角(つの)のまるふなる程もうて、金銀ハも 00078650M12ち論、/衣類(いるい)諸道具まて打こミ、唯壱人薄ぶとんを着て寐て 00078660M13居るともしらず、/盗(ぬす)人はいり、たんすの引出し、又ハ押入、 00078670M14戸だななぞさがし見れども、しゆばん壱まいなし。ぬす人 00078680M15もきやうざめ顔にてつぶやく折節、/亭主(ていしゆ)、ふとんの中から、 00078690M16くつ+とわらひしかば、盗人是を聞、おのれ、これが笑 00078700M17ひ所か 00078710¥N7¥J 00078720¥X十七△勤かたぎ△△△△△△△△△△△△¥Aつき 00078730M20ヱイ+ヱ。是からうくしい/伯母(おば)さんへいこか。ぴん+ 00078740¥P234 00078750L1弾イてかしらぬ。ハイ、いとでござります。けふもいかふ 00078760L2おさむうござり(四ウ)ます、おばさん。ホ、いとさん。お 00078770L3出+。よふマアお出たナア。けふハ旦那ハ来なさらず、 00078780L4さびしうてならなんだ。どれ+。マア/抱(だき)ましよ。サア 00078790L5+お出。おばさん。ハイ+。サアおうバどん。あから 00078800L6んせ。何ぞあげたいものじやが。コレ+、こんな物上き 00078810L7よかナ。もし、ちつとあげましておくれなされませ。ちつ 00078820L8とじやわいナア。おうバどん。此お子ハ何所でも此やうに、 00078830L9おばさん+いふてかへ。ハイ、どなたでも、おばさん 00078840L10+おつしやつてゞござります。ほんまかへ。ハイ。それ、 00078850L11とつとゝ/連(つれ)ていんでくださんせ。モウ重ねてごさんすな。 00078860L12アタ水くさい 00078870¥N8¥J 00078880¥X十八△非人の太平楽△△△△△△△¥A宜亮(五ノ十オ) 00078890L15大三十日の夜、非人おや子、橋の下にもらひ物/貯(たくハ)へ、しま 00078900L16い酒を親子のんで咄しいけるが、橋の上を/懸(かけ)取りのとおる 00078910L17を見て、アレ、おやぢどの。見やしやれ。/旦那衆(だんなしゆ)も大てい 00078920L18でハない。物を売てハ/懸取(かけとり)にゆかしやれんならず。最早お 00078930L19つ付夜が明るに、又あれをしまハしやつたら、礼に出さつ 00078940L20しやらにや成まい。あれを見てハ、こちらハらくな事じや。 00078950M1/懸取(かけとる)事ハなし、礼に行コかとも思ハずといへバ、/親父(おやぢ)聞イ 00078960M2て、其らくハ/誰(たれ)がさすぞ 00078970¥N9¥J 00078980¥X十九△寛永通宝△△△△△△△△△△△△¥A転& 00078990M5扨もこんやハ真ンのやミで、一ト足もあるけるものでハな 00079000M6いといゝ、何やら(五ノ十ウ)しつかり踏ミけるが、何じや、 00079010M7小気味のわるい事をした。灯のあかりがほしいものと思ふ 00079020M8折から、侍とおぼしく、奴に/挑灯(てうちん)持せ、さつさ+と来る。 00079030M9是幸ひと、申+、お侍ヒさま。御無心ながら灯の明りを 00079040M10ちよつと御かし下さりませ。イヤ、身ハ急な御用て心せわ 00079050M11しいと、ゆかんとすれバ、イヤ申、ついちよつと御かし下 00079060M12さるべし。ツイ済ム事てござります。しからバはやく見よ。 00079070M13ハイ、さやうならバ、御供のやつこさん。もちつと挑灯を 00079080M14あげて下さりませ。ヲヽサ、かうか。ハイ、是ハ/御慮外(おりよくわい)で 00079090M15ござりますと、/懐中(ふところ)をごつて+さがし、銭卅文ばかり出 00079100M16し、コリヤ、文字ならくそじや(十一オ) 00079110¥N10¥J 00079120¥X二十軸△仮名の去状△@蘭庭考|十七ニ有@△△△△△¥A角槌 00079130M19旦那さま。御宿にござりまするか。御/機嫌(きげん)うかゞひに参り 00079140M20ました。ホウ、八兵衛か。何と思ふて。サア私も去ル/後家(ごけ) 00079150¥P235 00079160¥G(四オ) 00079170L13の方へ入/聟(むこ)に参りましたが、あまり/達者(たつしや)もので/勤(つとま)りかねま 00079180L14するか、どふぞ/隙(ひま)の取やうハこさりますまいかナ。夫ハ気 00079190L15の毒。そんならお定りの三くだり半かいて戻つたがよいわ 00079200L16いの。イヤ、私ハ/無筆(むひつ)同前で。ハテ扨、いろはてなりとか 00079210L17いて置キやれ。然らバ、さやうに致しませうと立帰りしが、 00079220L18四五日たつて、旦那さま。とふもあの女房ハ去られませぬ 00079230L19とて来りけれハ、トウシヤ。/去状(さりじやう)ハ出来たか。ハイ。御意 00079240L20の通り。いろはでどのやうに書ましても、どふも三行半に 00079250M1ハかけませぬ(十一ウ) 00079260¥Y1◇竹巻二の終◇ 00079270¥P236 00079280¥T1立春噺大集巻三 00079290¥A常笋亭君竹撰 00079300¥N1¥J 00079310¥X廿一△南艸好△△△△△△△△△△△△△¥A六華 00079320L7△△右ハ蘭庭考二の巻の内十六番の坐に有 00079330¥N2¥J 00079340¥X廿二△乗合の迷惑△△△△△△△△△△△¥A桐下 00079350L10三十石の/乗合(のりあい)にて、夜ふけ船中もしつまり、のり合の/祖(ば)母 00079360L11さま、ほうろくに小便をして、よろ+と持、川へ捨てん 00079370L12とせしが、苫にかゝり、舟の中へ取おとし、/隣(となり)に寐てゐる 00079380L13よその男の足へ、かの小便ざんぶりとかゝりけれ共、彼男、 00079390L14それ共しらず/寐(ね)(壱オ)入居る。ばさまハ、扨も気のどくな 00079400L15事をしたと思ひ、又茶わんを取出し、川の水をすくひ、其 00079410L16足へ掛てあらハれけるに、此男目をさまし、ヱヽ、爰なば 00079420L17さまハ、湯をかけたり水をかけたり 00079430¥N3¥J 00079440¥X二十三△鴈が飛べハ石亀△△△△△△△△△¥A丹丘 00079450L20/武士(ぶし)の間似をする/乞食(こじき)有。やぶれごもを上下として、犬を 00079460M1引馬とし、又ハ竹のさきをそぎて/鑓(やり)をこしらへ、毎日ふり 00079470M2廻して、/往来(わうらい)の/邪魔(じやま)にも成るほど也。ある日、武士一人通 00079480M3り合せしか、かの乞食の竹鑓、武士のみけんにあたり/疵(きず)付 00079490M4けれバ、武士大きに腹を立、かの乞食をさん+に/胸(むね)打し 00079500M5けるにぞ、も(壱ウ)はや息もたへ※になる時、つれの乞 00079510M6食共、さま※とわびことしければ、武士も聞入、了簡し 00079520M7て帰り、扨打れたる乞食ハ手足もなへて、我小家へ帰る事 00079530M8もかなわず、連の乞食をたのみぬ。仲間のもの共口+に、 00079540M9かやうな事もあらふかと、毎度/異見(いけん)をするのじや。此後フ 00079550M10ツ+武士の真似をやめるなら、そちが小家へつれて去ン 00079560M11てやらふ。さなくバ爰にて命終るとも、みな+かまふ者 00079570M12なしといふに、うたれたる乞食、かさねてハ武士のまねを 00079580M13やむべし。是にこりぬものハなし。何卒わが小屋へつれ帰 00079590M14りくれよと、ひたすら頼むに、連の者とも聞入れ、むしろ 00079600M15のもつかうに(二オ)のせて、二人リしてかきあぐれハ、く 00079610M16るしき息の下よりも、家来ども。乗ものヤレ 00079620¥N4¥J 00079630¥X二十四△余所の懸乞△△△△△△△△△△△¥A林子 00079640M19/堀江(ほりへ)辺の事かや、門口から、天満のなすび屋のハ、おまへ 00079650M20にござるかな。ヲヽ是ハ米屋どの。よふこそ尋ねてお出。 00079660¥P237 00079670L1コレ、よふこそでハない。/毎節季(まいせつき)留主ゆへ、けふハ聞合せ 00079680L2て尋ねて来た。マアどふして/呉(くれ)れるのじや。サ、御尤じや。 00079690L3しかし爰ハ余所の内、マアこちの内へ来てくだされ。/訳= 00079700L4立(わけ=たて)ませう。めつそふな事いふ人じや。爰から天満まて、誰 00079710L5がべら+行ものじや。何じやあろと、いま(二ウ)爰で訳 00079720L6たてゝもらいませう。ハテサテ、無理な事いふお人じや。 00079730L7よそでそれがどふなるもので。イヤ+、コレ是まで貴さ 00079740L8まにつられたが/腹(はら)がたつ。/是非(ぜひ)こゝでわけたちやれ。サ、 00079750L9夫てもよふ物を/合点(がてん)して見やしやれ。最前からもいふ通り、 00079760L10爰ハこれ/余所(よそ)のうちじや。ぜひマアこちの内へござれ。し 00079770L11よせんこゝでハどふもならぬ。サア其天満まで行のがめい 00079780L12わくじや。イヤコレ、さきの/節季(せつき)ハどふなとしてやろ。け 00079790L13ふハ爰で/断(ことハ)りいふてもらをカイ 00079800¥N5¥J 00079810¥X二十五△さくらの海△△△△△△△△△△△¥A長井 00079820L16/浦嶋(うらしま)太郎、乙姫にむかい、/古郷(こきやう)こひしく候ゆへ、ちよつと 00079830L17かへり(三オ)たし。すぐさま折かへりにして来ませうとね 00079840L18かへバ、乙ひめうなづき、さやうならバ、是を持つてお出 00079850L19と、/例(れい)の玉手箱を渡されしかハ、太郎、なんでも此度の玉 00079860L20手箱ハさためて若コなる箱で有ふと、海上へあがるやいな 00079870M1や、先早ふ若コなつてと/蓋(ふた)をひらけば、こわいかに、姫よ 00079880M2りの三くだり半なり。びつくり浦しま、とほうにくれ、く 00079890M3りかへし+/海底(かいてい)をうらめしそふに、アノ蛇よ 00079900¥N6¥J 00079910¥X廿六△好の論△△△△△△△△△△△¥A田嶋柳枝 00079920M6コレ六兵衛。そなたハきつい/南艸(たばこ)ずきじや。一時に何ぶく 00079930M7程呑ミやる。五十ぷくつゞけてのまバ、弐/朱(しゆ)銀壱つほうび 00079940M8に進上致そか。(三ウ)(四オ挿絵)六兵衛これハけつかうなも 00079950M9の。五十ぷくや六十ぷくハ呑めませいでくださりませう。 00079960M10コリヤおもしろい。見物しようと/傍(そば)からもはやされ、のむ 00079970M11程に+廿四五ふくほとのんで、サテ呑メませぬ。イヤ、 00079980M12呑め+と段+とついであてがへバ、三十四五ふくのミ、 00079990M13モウかなハぬと/迯(にけ)出す。跡よりハおつかける。拾四五丁も 00080000M14迯し所に、大成ル寺有。寺内へにげこミ、私ハ跡より/追人(おつて) 00080010M15のかゝる者。なにとぞお隠しとたのむ。住僧聞とゞけ、釣 00080020M16がねをおろし、其下に隠しおきしに、追人の者ども此寺に 00080030M17来り、しか+のやうす尋けるに、住僧の曰、うら門より 00080040M18ぬけ出しと申さるゝを誠と心へ、追人ハ(四ウ)皆+走り 00080050M19ゆき、サア最早気づかひなし。心しづかにかへられよと、 00080060M20釣がねあぐれバ、六兵衛、大いきほつとつぎ、ヤレ+、 00080070¥P238 00080080L1気詰や/退屈(たいくつ)や。マア壱ふく、のまして下されう 00080090¥N7¥J 00080100¥X廿七△坊主の性根△△△△△△△△△△△¥A政喜 00080110L4/彼岸(ひがん)参りの次手に、/宿坊(しゆくほう)へ立寄、四方山はなしの内に、旦 00080120L5仲イヤ申、お住持さま。あなたにハ/猫(ねこ)をお/飼(かい)なされてござ 00080130L6るそふなが、魚類ハおつかいなされず、入らぬものかと存 00080140L7しますといへバ、/住持(ちうぢ)、是ハ御尤なれど、/経文(きやうもん)などを鼠が 00080150L8たべます。其おどしにもなりますてや。旦仲又お庭に犬が 00080160L9おりますが、あれハ何のためでござり(五ノ十オ)ますな。 00080170L10されバ/貧地(ひんち)でハござれ共、もし/檀中(だんちう)の寄銀でも有らふかと 00080180L11思ひ、/盗賊(とうぞく)などか心掛ふかと存じてとあいさつの内、猫走 00080190L12り元へ行。何やらグワツタリと音して、大キなる生蛸をひ 00080200L13つくわへ出しを、犬是を見付、やがて飛かゝり、くだんの 00080210L14蛸をせり合ふ。誠に引はりだことハ是やらん、住持も旦那 00080220L15の手前をはぢ、さしうつむいて居られけるが、旦中もあき 00080230L16れはて見る内に、なんなく犬とねこ、くだんの蛸を喰ひし 00080240L17まふ。住持、かほをふりあげて、ア、けふハ人の身の上 00080250¥N8¥J 00080260¥X廿八△台からうす△△△△△△△△¥A舎楽(五ノ十ウ) 00080270L20あしたにハ水を汲ミ、ゆふべにハ米をつき、/朝夕(てうせき)のかせぎ 00080280M1に追付がたきはにふ住ミ、十人割も買尽し、拾両余りの/借(しやく) 00080290M2金ゆへ、念比なる友達に相談すれバ、友達つたへ聞瀬川菊 00080300M3の烝ハ、手水鉢にてむけんのかねをついて、三百両といふ 00080310M4大金を出した、拾両や廿両ハ一トつきにも出そふなものじ 00080320M5や。サア、其手水鉢がござらぬ。友達それこそ、そちの/商= 00080330M6売道具(しやう=はいどうぐ)台がらうすを手水鉢のかわりにして、念力次第て小 00080340M7判が出る。金/相場(そうば)のさからぬ内、早ふつかしやれとすゝめ 00080350M8られ、すぐさま戻るといなや、かのうすをむけんのかねと 00080360M9信心し、南無むけんのかねさま、旦那衆の金を(十一オ)此 00080370M10所へ寄せ給へと、ぐわつたりと一つつけハ、ふしぎや、忽 00080380M11ち小判三両。是ハ+ありがたしと、ひろひあつめて立あ 00080390M12がり、又一トつき、ばらりと弐両。扨も+有がたし。今 00080400M13一トつきでハ拾両ハたしか+と立あがり、今度ハ力一ぱ 00080410M14いついたれバ、小判もくだけてたつた壱歩。是ハしたり。 00080420M15始三両、次に弐両、三/度(ど)目にたつた壱歩。是を思へハやつ 00080430M16ぱり手水鉢がよかつたもの。どふでもだいがらハ、つきべ 00080440M17りがする 00080450¥N9¥J 00080460¥X廿九△情か仇△△△△△△△△△△△△△¥A浪華 00080470M20ある/乞食(こじき)、目をまわしけるが、友達の乞食どもあつまり、 00080480¥P239 00080490L1やう+呼いけ、どふじや。心持ハよいかと尋ねけれバ、 00080500L2サア聞てくれ。(十一ウ)此二三日ハとこへ往てもへこまん 00080510L3にて、とんとつかずぼう。それゆへかくの通り。友達共我 00080520L4も/遠慮(ゑんりよ)ぶかひものじやナア。目をまわすほどひだるけりや、 00080530L5こちとらなりとわけてやるにといへバ、おいてくれ。乞食 00080540L6ハしても、人の物ハもらふて喰ハぬ 00080550¥N10¥J 00080560¥X卅軸△通り一編△△△△△△△△△△△△¥A富善 00080570¥G(四オ) 00080580M1去ル人、なんぞ風ウかわりの道具もとめんと、壱丁目筋う 00080590M2ろり+と見廻り、/将棊(しやうぎ)ばんの両めんハ有まいかと尋る。 00080600M3道具やもあきれながら、ハイ、出来合ハござりませぬ。外 00080610M4に何ぞ御覧といふ。買人さやうならバ先よしと、又北へ行。 00080620M5ナント、てうしなべの両口ハないか(十二オ)と尋ね、扨 00080630M6+壱丁目ても、おもふよふな物ハないぞとつぶやき、/唐(から) 00080640M7物町竹ざいくや見せにて、此孫の手のにぎりこぶしハない 00080650M8か。竹細工屋、なぶらるゝと腹を立、もしあつたら、かふ 00080660M9のか。買人入レバこそ問ふ。竹細工屋、/火鉢(ひばち)にて孫の手を 00080670M10たわめ、にぎりこぶしじや。サア買しやれ。買人能ふ出来 00080680M11たと、銭はらへバ、竹細工屋、しりこそばく、又こしらへ 00080690M12ておきとふござりますが、何にお遣ひなされます。買人ハ 00080700M13テ、おそふ戻つた時、戸を叩きます 00080710¥Y1竹巻三終(十二ウ) 00080720¥P240 00080730¥T1立春噺大集巻四 00080740¥A常笋亭君竹撰 00080750¥N1¥J 00080760¥X三十壱△田舎気質△△△△△△△△△△△¥A政義 00080770L7百性長兵衛、庄屋松兵衛方へ参り、お宿にござりますか。 00080780L8長兵衛でござります。私/忰(せかれ)長松めを/元服(けんぷく)させましたか、何 00080790L9ぞつよい名を付てくださりませと頼めバ、庄屋うなづき、 00080800L10なるほど、たくましい名を付てやりましよと、しばらく/思= 00080810L11案(し=あん)して、ヲヽよい名か有ルそ。何とでござります。/朝比奈(あさひな) 00080820L12の三郎とがよかろ。長兵へびつくりし、夫ハ子供迄しつて 00080830L13いるむかしのつハもの。どふもつけ(壱オ)られますまいか 00080840L14へ。庄や夫ハこなたが世間しらぬによつての事さ。うらが 00080850L15/麁相(そそう)な事ハ言ハぬ。やはり朝比奈にしておかしやれ。デモ、 00080860L16あんまりな名で御座りますが。ハテサテ、うらが前かた、 00080870L17大坂の揚屋て遊んた時、/弁慶(べんけい)といふ名の人を、いくらも聞 00080880L18ているハさ 00080890¥N2¥J 00080900¥X三十二△道心者の悟道△△△△△△△△△¥A布生 00080910M1/紙(かミ)入を落し、うろ+其辺りを尋ね居る人あり。かゝる折 00080920M2節、/道心者(どうしんじや)一人来り、見れバ知つた人なり。ノヲ八兵衛ど 00080930M3の。なにをうろ+尋ねさつしやる。イヤ、落しました。 00080940M4何を。かミ入を。ハテサテ見へませぬか。見へぬによつて 00080950M5尋ねます。ハア夫で(壱ウ)/悟道(ごどう)をさしやれ。惣じて俗の口 00080960M6かしこい人が/地獄(ぢごく)/極楽(こくらく)ハないといわるゝが、こなたが/迷(まよ)ふ 00080970M7て其やうに尋さしやる。是が六道の/辻(つぢ)でござるてや。ソレ 00080980M8ハ何てそふいわるゝと問へバ、ハテ、過去でこなたを紙入 00080990M9が落したゆへ、今又此世でこなたがかミ入を落すといふも 00081000M10のじや。それでさらりと/算用(さんよう)ハ済む。こゝをコレ、/因果(いんぐハ)と 00081010M11いゝまするといへバ、八兵衛去ながら、今落しました紙入 00081020M12の中に銀子が入れてござりました。道心じや夫ハしれた事。 00081030M13日合がかゝる 00081040¥N3¥J 00081050¥X三十三△聾の口髭△△△△△△△△△△△¥A之行 00081060M16七十余りのつんぼおやぢ、/髪(かミ)結ひ/床(どこ)へゆき、/髭(ひげ)ばかり頼む 00081070M17とて、(二オ)水にてもミ、顔をあてかひけれバ、かミゆひ、 00081080M18心得たりと立あがり、おとかいかゝへて、サア口をあかれ 00081090M19よといふに、/聾(つんぼ)なれバ聞へず。度+言けれど、とんと聞 00081100M20へざれバ、コレ斯ウさつしやれいと、口を明て仕形にて見 00081110¥P241 00081120L1せれば、かのおやぢ、折ふしあくび出ければ、わるい人じ 00081130L2や。おれにうつさしやつたの 00081140¥N4¥J 00081150¥X三十四△いかりの靨△△△△△△△△△△¥A左又 00081160L5/秘蔵(ひそう)の梅を/隣(となり)から、わりはさみにて折ルを見て、旦那大き 00081170L6に腹を立、久三を呼、アレ急度しかれ。かしこまりまつて 00081180L7候と、はしごをさし、/塀(へい)の/屋根(やね)へあがり見れバ、隣から十 00081190L8七八ばかりなる/随分(すいぶん)美し(二ウ)き娘が、割ばさみにて、か 00081200L9の梅の枝を折ル体なれバ、久三どの枝がほしいへ 00081210¥N5¥J 00081220¥X三十五△浪華△△△△△△△△△△△△¥A哥友 00081230L12/田舎道者(いなかとうしや)四五人連にて高津の社へ参り居る所へ、よこ/鉢巻(はちまき) 00081240L13にまへだれがけした男が、ふところ手してゆくを、申+、 00081250L14是ハ何と申御宮でござりますな。爰でごんすか。こゝハ高 00081260L15津といふて、むかし/仁徳天皇(にんとくてんわう)といふわろが、高きやにのほ 00081270L16りて見れハ/煙(けむり)たつ/民(たミ)のかまどハ/賑(にぎ)ハひになりけりと/諷(うた)ハれ 00081280L17た所で、其人の宮でこんす。よふおかまんせ。ハイ+。 00081290L18イヤ申。其御哥ハ、賑ハひにけりでハ(三オ)ござりませぬ 00081300L19か。ヱヽどんな。そんな事ハ大坂でかまふものじやごんせ 00081310L20ぬ 00081320¥N6¥J 00081330¥X三十六△おくじま△△△△△△△△△△△¥A鷺舟 00081340M3こちの旦那も、ごまがらや嶋右衛門といふ程あつて、きつ 00081350M4い立じま好じやてや。ほんに、こなたの所の御亭主ほど、 00081360M5たつしまの好ハない。内のやうすをちと/噺(はな)さしやれ。まづ 00081370M6聞しやれ。/葭天井(よしてんしやう)よしぶすま、門の/格子(かうし)が虹じまだて。扨 00081380M7竹のれん、中戸が/縄(なハ)のうれん、ちよつと酒をまいるとても 00081390M8/瀧(たき)の水といふ/銘酒(めいしゆ)、さかなハ京よりかうなぎよりハまいら 00081400M9ぬてや。フウン、ほんにきついたつじまずきじや。そんな 00081410M10ら三度+のおめしハナ。ミな麺るいじや(三ウ)(四オ挿絵) 00081420¥N7¥J 00081430¥X三十七△馬の述懐△△△△△△△△△△△¥A銀朝 00081440M13或人、/借馬(しやくば)を乗ならひ、夫よりおもしろふなり、借屋をこ 00081450M14ぼち馬屋を建て、馬を六七疋かい置、つね+乗あるきし 00081460M15に、次第に/身代(しんだい)を馬にのり込ミ、今ハ/鞭(むち)打つ力もなく、唯 00081470M16ぼうぜんとして居られしが、段+済ぬやうになり、一家 00081480M17中へ往て相談に及ハんと、/栗毛(くりげ)の馬にふハと乗つて、鞭を 00081490M18打、何たちばなの小嶋が崎にハあらねど、一さんにかけ出 00081500M19しに、どふかしつらん、此馬、高いなゝきして主人をおと 00081510M20せしに、主人起上り、おれが身の上をしり顔に、おのれ迄 00081520¥P242 00081530¥G(四オ) 00081540L13がヒン+と 00081550¥N8¥J 00081560¥X三十八△笑ひ顔△△△△△△△△△△△¥A里麦(四ウ) 00081570L16正月二日、/商売(しやうばい)はじめ、店びらき、通ひくばりと/賑敷(にきしき)中に、 00081580L17たばこのんでいる所へ、近所の子が、伯父さん。此かね、 00081590L18包でおくれ。けふハてらやへ礼に行といへバ、ヲヽ大キな 00081600L19銀子じや。是でハ御/師匠(しせう)さまがよろこばしやろといへバ、 00081610L20イヽヱ、此やうにかね持つていてもな、ねつから休といや 00081620M1さつしやれぬ 00081630¥N9¥J 00081640¥X三十九△梅に鷲△△△△△△△△△△△△¥A桐虫 00081650M4爰に/派利(はきゝ)の/瞽女(こぜ)、ひきぞめの会をするとて、/芸者(けいしや)も聞人も 00081660M5宵から集り、段+と名人の勢揃へ。サア今が今夜の聞所、 00081670M6会元と、/法師(ほうし)の/連弾(つれびき)いさゝめ。是こそ/心(しんに)耳をすまし(五ノ十 00081680M7オ)しづまりかへれバ、早ヤ/調子(てうし)も合ハし、/峯(ミね)より落るみ 00081690M8なの川と弾ている最中へ、/神さま(わるもの)達、ひきぞめと聞、定め 00081700M9てきんごなるへしと、案内もなくどか+と座舗へ通り、 00081710M10うぬら、御法度のきんこをと言ひしが、フト哥のしやうが 00081720M11を聞、あじいな顔して、ハアヽ、節(ふし)の付たむへ山しやな 00081730¥N10¥J 00081740¥X四十軸△鱧の筒切△△△△△△△△△△△¥A家橘 00081750M14遥か九州かたの人、家来壱人召連、中の嶋辺にかし坐敷を 00081760M15借り/逗留(とうりう)の内、見舞として/鯛(たい)と/鱧(はも)もらハれし所へ、水汲来 00081770M16り、是ハ見事なる肴と/誉(ほめ)けれバ、かの家来、はものなき国 00081780M17にて、(五ノ十ウ)此ほそく長キものハ何とかいふものと問ふ。 00081790M18是ハはもとて、かまほこなぞに致し、よい肴といふてかへ 00081800M19りける。然らバ中飯の菜にせよと申付らるゝ。扨中飯にな 00081810M20りしかハ、八助。先程のはもとやらを、かまぼこに致せし 00081820¥P243 00081830L1かと問ハれけれハ、イヤ、釜にてめしを焚ましたゆへ、鍋 00081840L2ぼこに致しました 00081850¥Y1竹巻四終 00081860¥Q1 00081870L6△△△△△△△此所へ書記し御披露仕候 00081880L7/投算早卜筮(なげざんはやうらかた)△△△△△△△△△△△△△△△△△@壱枚摺|算木添@ 00081890L8△△△△此書ハ一二三四の切形の入し算木三本を、赤白黒にわ 00081900L9△△△△かち添て、投算にて人の身の上、吉凶禍福を述、売買 00081910L10△△△△高下なとの善悪を知らしむる哥占の書なり△(十一オ) 00081920L11年忘噺角力△△△△△△△△△△全部五冊△△@ひらかな絵入|新板よみ本@ 00081930L12△△△△安永未の冬、新清水観世音へ奉納のはなしを、岡本対 00081940L13△△△△山、椎本下物両撰にて評を乞請、噺会の初席の本。当 00081950L14△△△△申年正月二日より出し置申候 00081960L15/夕涼新話(ゆふすヽみはなし)/集(あつめ)△△△△△△△△@角槌軒素従撰△△ひらかな絵入|△△全部五冊△△新板よミ本@ 00081970L16△△△△右ハ噺会二席目の噺大集と三席目話大全との間、夏坐 00081980L17△△△△舗の遊興或ハ六月七月比の暑をしのぐ新話集。七月十 00081990L18△△△△五日£本出し申候。御求め御覧可被下候 00082000L19/新撰(しんせん)/話(はなし)/大全(だいぜん)△△△△△△△△△全部十冊△△@ひらかな画入|新板よミ本@ 00082010L20△△△△噺会三席目。秋の夜なかき比、各&様新御趣向の御咄 00082020L21△△△△被仰合、数多御恵投可被下奉希上候△△△△(十一ウ) 00082030¥T1立春噺大集巻五 00082040¥A常笋亭君竹撰 00082050¥N1¥J 00082060¥X四十一△花鳥一躰△△△△△△△△△△△¥A蘭奴 00082070M7/立花(りつくハ)ずきの人、近&はれがましき会あるに付、山入して諸 00082080M8木見廻りしに、/紅梅(かうばい)ことに見事な枝ぶり。おもしろきと人 00082090M9足をして切しむるに、此枝に/鴬(うぐいす)とまりゐて、さも楽むてい 00082100M10なり。主人おもへらく、此梅に鴬とまりなからを立ルハ殊 00082110M11に珍らしからんと、人&に言付、やう+鳥の飛ハぬやう 00082120M12に引切、そろ+歩行ミ、/梺(ふもと)の村へ下りけれバ、子供大勢 00082130M13(壱オ)あつまり、見事な梅、わしにおくれ。おれもくれい 00082140M14と、声+にわめきけれバ、此声におとろき、/忽(たちまち)鴬とびさ 00082150M15りぬ。主人のいはく、思ふようにならぬものかな。此梅に 00082160M16はながなくば、くれいとハいふまいに 00082170¥N2¥J 00082180¥X四十二△乗合船△△△△△△△△△△△△¥A菅水 00082190M19鶴ハ能ウの甚敷ものにて、今度たべます迄/腹中(ふくちう)に有よし、 00082200M20承りました。成程、左やうな/類(るい)もまゝござるテ。かの/泥亀(すつぽん) 00082210¥P244 00082220L1が、今度たべます迄腹中にござるてやト咄す/傍(そバ)に、さもし 00082230L2さいらしき男、ハタト手を打、ハテ、/道理(どうり)をよくせめた 00082240L3(壱ウ)ものでござる。さほど功能ある長生なる物ゆへ、目 00082250L4出度/司(つかさ)にしてござる。/既(すて)に早ヤ何やらの/書(しよ)に、アノ嶋台の 00082260L5鶴とまでいふて、跡ハ得言ハなんだ 00082270¥N3¥J 00082280¥X四十三△笑ふ門△△△△△△△△△△△△¥A梅子 00082290L8年頭の礼に、/堂(どう)じま辺へ行し所、いつれも同し/格子(かうし)作りゆ 00082300L9へ、いつも行所ながら三ケ日の事ゆへ、/店戸(ミせと)さしあれバわ 00082310L10かりかね、たしか路次より二三軒目と思ひ、尋ねませよ。 00082320L11申、ものが尋ねたうござります。何屋何右衛門さまハどこ 00082330L12でござりますな。内より、手まへでござりますといへハ、 00082340L13礼者へヽヽヽ+、さやうならバ、/物申(ものも)(二オ) 00082350¥N4¥J 00082360¥X四十四△毒がくすり△△△△△△△△△¥A朱桜 00082370L16△△△右ハ蘭庭考三の巻廿五の坐に有 00082380¥N5¥J 00082390¥X四十五△油のしづく△△△△△△△△△△¥A如雲 00082400L19正月二日より旧冬の/噺会(はなしくわい)の本出けれバ、有人、此本をも 00082410L20とめ、扨あたらしきはなし数+有とて、附合内の先+ 00082420M1へ、右の噺を売に行れしが、早先キ+へも廻り、一つも 00082430M2珍らしがらす。此上ハ三十石に乗りて咄さんとて、大仏屋 00082440M3より乗合にのり、船が出やいなや、当節はやり/風邪(かぜ)の噺な 00082450M4ど、そろ+しかけいる内に、乗合の中より、扨当正月二 00082460M5日に噺会の本が出て、其内に(二ウ)おもしろき咄かず+ 00082470M6有と、先より噺かけられけれバ、彼人、今ハたまりかね、 00082480M7コレ+/船頭(せんどう)どの。ちよつと船を付て下され 00082490¥N6¥J 00082500¥X四十六△蛇篭の進物△△△△△△△△△△¥A馬両 00082510M10去/篭(かご)屋へ、人体らしき/隠居(いんきよ)、かごを求めに来り、何そ/細(ほそ)き 00082520M11かごハないか。さやうな細き篭ハござりませぬ。分に致し 00082530M12ませうかな。サレハ出合ハ有まいと思ふたと、店中うろ 00082540M13+見廻し、弐尺余りにて三寸廻りぐらいの/蛇篭(じやかご)を見付、 00082550M14是+幸ひの物なりと、/直(ね)をしてもとめ、帰りがけに途中 00082560M15にて友達に出合、是ハ+隠居さま。どれへ御出なされま 00082570M16したと声掛られけれバ、(三オ)コレ御らうじ。こんなもの買 00082580M17に参りましたと、くだんのじやかごを見せけれバ、ヒヤア 00082590M18御なぐさミに/泉水(せんすい)でも出来まするか。イヤ+、さやうな 00082600M19事でハござらぬ。然れバ其かご、何になされます。サア遣 00082610M20ひものでござりますて。ハテあぢな物。いづれへおやりな 00082620¥P245 00082630L1されますぞ。コレハ鱧を入て、京へつかハします 00082640¥N7¥J 00082650¥X四十七△推量ちがひ△△△△△△△△△△§ 00082660L4△△右ハ蘭庭考四十四の坐あり 00082670¥N8¥J 00082680¥X四十八△馬次第△△△△△△△△△△△△¥A玉甚 00082690L7馬きらひの/侍(さむらい)、/無拠(よんところなく)主人より馬を拝領致し罷有る時に、 00082700L8(三ウ)(四オ挿絵)ある日主人より使来つて、先達遣し置馬に 00082710¥G(四オ) 00082720M1乗、参るべきむね申来る。かしこまり奉り、きらひなれ共 00082730M2是非なく、かの馬にまたがり、一ト/鞭(むち)打ハ、供の者跡にお 00082740M3き、一さんにかけり行。折しも向より/朋友(ほうゆう)来り、ふしぎや、 00082750M4アノ人ハついに馬にのつた事ハないに、何事じやしらぬと、 00082760M5間近くなり、声をかけ、コレ+、/早(はや)馬にていづ方へ行め 00082770M6さると問へバ、馬の上から、御すいりやうくだされ。此て 00082780M7いなれバ、/何国(いづく)へ参らふやらしれませぬ 00082790¥N9¥J 00082800¥X四十九△女郎の風味△△△△△△△△△¥A芦雪 00082810M10嶋の内の去女良、/馴染(なしミ)の客にあげられ、十日戎に今宮へ 00082820M11(四ウ)/竹輿(かこ)にて参りけるが、/森(もり)近き辺りの石/橋(はし)の上にて、 00082830M12かごのもの押されてふミはづし、かこ共に/井池(いぢ)へはまり、 00082840M13女良ハぬれ鼠の如クなり、どふやらかうやらかごに乗、い 00082850M14そぎ茶やへ帰りけるが、思ひの外亭主きげんよし。マア初 00082860M15戎にはまるとハ、ぬれがきくといふずいさう。目出たいと、 00082870M16さつそく/衣裳(いしやう)をきかへさせ、盃出せともてなしけり。其後 00082880M17かの茶やの客、友達に出合ひし節、友達扨貴さまの逢イ方 00082890M18が、戎てはまつたけなの。サア外聞のわるい。それでとん 00082900M19といやに成つた。ナゼ。そんな中じや有まい。それに貴さ 00082910M20まハ其/晩(ばん)にあふたじやないか。ムヽ逢ふた。ソレニどふし 00082920¥P246 00082930L1たものしや。イヤ、(五ノ十オ)はまつたによつて、水くそ 00082940L2なつた 00082950¥N10¥J 00082960¥X五十番軸巻尾△口に風△△△△△△△△△△△△¥A轉& 00082970L5貴さまにも風めしたの。イヤモ大に引ました。此節ハ片か 00082980L6な一つよふ/読(よ)まぬ/医者(いしや)でも時花ます。此近所ニ、てうど今 00082990L7申た通りの医者がござりますが、しれた風の事ゆへ、私も 00083000L8かゝつておりますといふ所へ、彼いしや、しかつべらしく 00083010L9咳はらひして、すつと通れハ、是ハ御苦労に存しますとあ 00083020L10いさつ済、扨おかげて大分ねつもさめましてござりまする。 00083030L11扨+今度の風ハきつい事て御座ります。平生にいか程/達= 00083040L12者(たつ=しや)なものでも、皆ひきまする程の人が、唐人の様に(五ノ十 00083050L13ウ)/乱鬢(らんびん)/長髪(ちやうはつ)でござりますといへバ、彼医者思案して、い 00083060L14かさま、おの+のおこまりのはづ。其もろこしの乱びん 00083070L15や長髪でさへ 00083080¥Y1君竹撰噺大集五巻終 00083090¥Q1 00083100L19/順評(しゆんひやう)/咄(はなし)/献立(こんだて)△△△@全壱冊|懐中本@ 00083110L20△△△はなしをあつめ順評にして、惣評を増舎大梁撰乞 00083120L21△△△近日板行出来。其節御求め御覧可被下候 00083130¥Q 00083140M1安永五申年二月十三日巻開 00083150M4噺清書会頭△△順慶町二丁目八百屋町筋南へ入高橋栄二 00083160M6御書物所△△心斎橋博労町筋壱丁東茨木町渋川久蔵 00083170M7△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十一オ) 00083180¥Q 00083190M10△△△△道頓ぼり下大和ばし南つめ△山田屋久兵衛 00083200M11△△△△同太左衛門ばし八まん筋北へ入△橋屋忠兵衛 00083210M12大△坂△備後町せんだんの木筋南へ入△大和屋弥兵衛 00083220M13△△△△今橋せんだんの木筋東へ入△△塩屋三郎兵衛 00083230M14△△△△曽根崎新地二丁目△△△△△丸屋平兵衛 00083240M15△△△△松屋町すけだ町筋北へ入△△大和屋吉兵衛 00083250M16書△林△すなば小濱町角△△△△△海部屋勘兵衛 00083260M17△△△△九条本でん堤△△△△△△△佐加井屋伊兵衛 00083270M18板木大工人あハどのはしかいや町筋南へ入△板木屋伝兵衛 00083280M19△△△△内久ほうじ町谷町筋東へ入△△板木屋平八 00083290M21△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十一ウ) 00083300¥P247 00083310¥Y序 00083320L3予か口の軽き沙汰は、頃日/新話(はなし)大集の評せよとより、固く 00083330L4是を辞するといへども、敢てゆるさねば、/低机(ていき)にかゝり、 00083340L5その前後を/閲(ゑつ)すといへども、たゞ雲水を行が如く、/■■(どび)に 00083350L6酔るごとく定るに、/正直(ますぐ)の心(壱オ)/菅(すが)&しからねば、神明 00083360L7に任むと、我/姫国(きこく)の神徳とせる一の/嬶(かゝ)どれとりや/□((俄カ))の/鬮(くじ)を 00083370L8以て、その/高卑(かうひ)を爰に定む。/愚意(ぐい)の及さる処ハ、諸好士/大= 00083380L9都(おほ=つ)の辺の大船の/友縄(ともづな)/解放(ときはな)ちて、見ゆるしたまへと云爾 00083390L12△△△△△△△△△△△△△後素軒蘭庭△G 00083400L14△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(壱ウ) 00083410¥T1立春噺大集巻壱 00083420¥A後素軒蘭庭撰 00083430¥N1¥J 00083440¥X巻頭△好物△△△△△△△△△△△△△¥A故常 00083450M7屋敷方/新参(しんざん)の/奴(やつこ)、急用あつて拾里ばかり有所へ使に/遣(や)りけ 00083460M8れバ、十里ほどの道を日の内に帰りしゆへ、/奥方(おくがた)はなはだ 00083470M9/機(き)げんよく、扨+其方ハたつしやなるもの。嘸くたびれ 00083480M10たで有ふ。何なり共/好物(かうぶつ)の品をたべて/休息(きうそく)しや。そちが好 00083490M11物ハ何じやいな。ネイ。ハテ、一ばんの/好(すき)ハ何じや。/遠慮(ゑんりよ) 00083500M12なし、いやいの。ネイ。二はんに酒でごわります(二オ) 00083510¥N2¥J 00083520¥X第二△あくびの寄合△△△△△△△△△¥A文杉 00083530M15商人あくひ売ロ+。買人コリヤあくび。上のかごのあく 00083540M16びハ何ほどじや。商人ハイ。コレハさつまのあくびでござ 00083550M17ります。是より/仙台(せんだい)のあくびになされませ。買人夫ハなん 00083560M18ぼじや。商人、そろばん入て、ハイ。拾五両に致しませう。 00083570M19買人此かごのハ/何所(どこ)の/欠(あく)びじや。商人ハイ+。是ハ今橋 00083580M20筋のあくびでござります。ちと、あくびも高上にござりま 00083590¥P248 00083600¥G(三オ) 00083610L13す。買人こちらの/篭(かご)ハ。商人ハイ。蔵屋敷方のあくび。買 00083620L14人ぜんたい、是ハ/何所(どこ)から出るぞ。商人ハイ。九けんの供 00083630L15部屋から出ます(二ウ)(三オ挿絵) 00083640¥N3¥J 00083650¥X第三△おぼこ娘△△△△△△△△△△△△¥A勇鯉 00083660L18所ハ都の東堀でもなく、近辺にひとり娘にこがひのでつち、 00083670L19たがひに年も梅柳、おそめくさいと親達も思ハれしが、彼 00083680L20でつちに早&元服させ、娘と見合せんと、日からをゑらみ、 00083690M1娘にとくと言聞せ、母親ハこよミ持出、さいわいと、あさ 00083700M2つてがよい日じや。あさつての晩に盃さして、/婚礼(こんれい)のかた 00083710M3めをしたがよいといへバ、娘がいふにハ、此やうなはづか 00083720M4しいこわい日が、何ンの能事と、こよみ取て捨たれば、母 00083730M5おやいふにハ、是見や。/天社(てんしや)万よしとて、目出たい日しや 00083740M6が、わがみハ何てはづかしいと尋たれバ、むすめがいふに 00083750M7ハ、夫でもうへに(三ウ)むまのぞくとかいてあるといふた 00083760¥N4¥J 00083770¥X第四△子供の正直△△△△△△△△△△△¥A可光 00083780M10/浪花(なにハ)うへ町の事なるが、男子と/爺(てゝ)おや二人リくらしけるが、 00083790M11門へ遊ひに行、日暮に帰り、とゝさん。めしが喰たいとい 00083800M12ゝけるを、てゝおや申けるハ、/隣(となり)に百万べんが有ゆへ、お 00083810M13くり/膳(せん)が来る程に、しバらく遊んでこいといふを悦び出け 00083820M14るが、しばらく致しかへり、又くいたいといふをしかれバ、 00083830M15外へ出て余りひま入けると、となりの門ぐちへ行、戸の間 00083840M16より内をのぞけバ、せめ念仏ゆへ、彼子ハないて我家へ戻 00083850M17る。てゝおやおどろき、何事と尋ぬれバ、隣ハ念仏(四オ) 00083860M18がもふ仕まいかと門口へ行て見りや、なをきつなつた 00083870¥N5¥J 00083880¥X第五△屏風ばなし△△△△△△△△△△△¥A松周 00083890¥P249 00083900L1扨此あちら町に/珍(ちん)なあんどが出たの。見リヤ屏風咄しとか 00083910L2いて有が、どふした物じや。中居ヱヽあれハな、びやうぶ 00083920L3立まハして、その内から噺をしられますが、/寄妙(きめう)な事ハ噺 00083930L4にかすけ、ミぢんもないと、きつい評判でござります。客 00083940L5それハかわつた事の。中居ハイ。今/勝手(かつて)へ来て居られます。 00083950L6御/慰(なくさ)ミに座舗へおよびなされませぬかといふに、客夫ハ幸 00083960L7じや。是へ+といふより、彼男坐舗へ出、いづれも様。 00083970L8よふ御出遊されましたといふ声のきたなさ。皆+(四ウ) 00083980L9おもふよう、あんな口ぶりてはなしも出るかいと、うさん 00083990L10に思ひながら、サア+、噺し/所望(しよもふ)といふに、是ハ又せハ 00084000L11しい御意じやと、其まゝ立て、有合ふひやうぶぐる+と 00084010L12引まハし、其内へはいり、扨そろ+噺出しけるに、成ほ 00084020L13ど其声あざやかにして、よどみなふ誠にミづのながるゝご 00084030L14とくに聞へけるゆへ、あまりふしぎさに/屏風(ひやうふ)引あけ見たれ 00084040L15バ、口にすいのふあてゝいた 00084050¥N6¥J 00084060¥X第六△鶴の一声△△△△△△△△△△△△¥A十八公 00084070L18/蓬来(ほうらい(ママ))のゑびがいふやう、/髭(ひげ)永く/腰(こし)のかゝむまて長生してこ 00084080L19そ目出たいと、/貴賎(きせん)に賞くわんせられ、七五三、五&三な 00084090L20どハいふに及(五ノ十オ)ハず、遊山、酒もりの座舗まで出 00084100M1ぬ事ハない。此中のおかしらに極まつた。/橙(だい+)がいふ。なん 00084110M2ぼそちが太平らくやりかけても、ヲレハ代&のかぶになつ 00084120M3て、上座しきたつた。橘がいふ。夫ハ餘りな/自慢(しまん)じや。お 00084130M4れが/系図(けいづ)をいわふか。忝なくも禁中にてハ右/近(こん)と呼れ、大 00084140M5名高家の紋所にも付らるゝものが、貴様達の下手につかふ 00084150M6やうがないと、声高にわめく。三方聞て、あたやかましい。 00084160M7/家(いへ)/明(あけ)付るぞへ 00084170¥N7¥J 00084180¥X第七△代脉△△△△△△△△△△△△△¥A梅丸 00084190M10名医ありて、一子をてうあいにそだてあげたれバ、とかく 00084200M11医の道にうとく、風流なる姿をこのミ、遊里にうき身をや 00084210M12つし、我侭に(五ノ十ウ)(十壱オ挿絵)くらしけるゆへ、/医学(いがく) 00084220M13上達心もとなしとて/息子(むすこ)をよび、身共ハ此間風邪なれバ、 00084230M14明日其方代ミやくに出べしと言付けれバ、かしこまつたと、 00084240M15翌日/乗(のり)物に乗りちらし、/病家(ひやうか)へ見まへバ、御親父様のおり 00084250M16やうしで今日ハ大分よろしく、隣まて居ますの、いや一家 00084260M17共へまいつたのとて、脉見せるものなく、はやく帰りしゆ 00084270M18へ、親父、いかゞと問へバ、右のあらまし申けるに、親父 00084280M19/眉(まゆ)にしハよせ、それミおれ。おのれが/不断(ふだん)そハ+しおる 00084290M20によつて、けふハ病家共が残らず本腹をつかふたのじや 00084300¥250 00084310¥G(十壱オ) 00084320¥N8¥J 00084330¥X第八△ほうらい山△△△△△△△△△¥A流水(十壱ウ) 00084340L15ほうらいさん松竹の林にて、鶴と亀と行合、目出たい事か 00084350L16なけれバ、お目にかゝる事もないが、亀どのハいつてもお 00084360L17年がよらぬ。おまへハ古イ御なしミじやげなが、私が/先祖(せんぞ) 00084370L18も今年が八千年忌に成ります。鶴の/祖父(おゝち)からの事ハ聞つた 00084380L19へておりますが、八九代もさきの事。ねから存しませぬと 00084390L20いへバ、かめ、成ほど+。皆若死しらるゝゆへ知らしや 00084400M1るまい。八代さきの鶴どのハ/竹馬(ちくば)からのなじミて、子供の 00084410M2時から中がよふて、/臘燭飴(らうそくあめ)さへくわへさせておけバ、きげ 00084420M3んよふ、おれにおわれたわろしや 00084430¥N9¥J 00084440¥X第九△冥途の訴訟△△△△△△△¥A多川■良(十二オ) 00084450M6殊の外/悋気(りんき)ふかき女死て、めいどよりしやばのたよりを聞 00084460M7たふ思ひける所、となりの七兵衛といふもの、死て来りけ 00084470M8れバ、彼おさん、大キに悦び、先夫の事を尋けれバ、七兵 00084480M9衛イヤモウ、こなたか死ンで、一七日立つや立ぬ内、どこ 00084490M10の女郎やら連て戻り、たいてい中のよい事じやないといへ 00084500M11バ、おさん、いよ+りんきつのり、夫なら/幽霊(ゆうれい)になつて 00084510M12行ましよ。七兵衛イヤ、ゆうれいハ/株(かぶ)がのふてハ出られぬ 00084520M13よつて、/焔魔(ゑんま)さまへ願ハんせ。わしが連ていてやろといへ 00084530M14バ、おさん悦び、ゑんま王の前へ出、/幽霊(ゆうれい)ヲ願けれハ、大 00084540M15王つく※とおさんが顔を御らんじて、此ねがひ叶ハぬ程 00084550M16に、そふ心得。にくひやつの。凡ゆふれいといふものハ色 00084560M17白クうつ(十二ウ)くしう、背もすうハりと高イものじや。 00084570M18夫におのれがつらを見よ。色黒し、目ハさる眼なり。背ハ 00084580M19ひくし。それがゆうれいにならるゝかとの給ひけれバ、七 00084590M20兵へ、おさんが袖を引、コレ、おさんどの。化もの/株(かぶ)と言 00084600¥P251 00084610L1ハんせ 00084620¥N10¥J 00084630¥X十軸△春の味△△△△△△△△△△△△△¥A瀬川 00084640L4弥生のすへつかた、哥るた、/賽(さい)など寄合いふやう、扨もは 00084650L5るも末になり、こちとらが商売も余程手すきに成ツた。な 00084660L6んと、是から中間言合せ、参宮でもせうじやあるまいか。 00084670L7皆+、是ハよかろ。迚もなら皆+言合せ、一ト連に参 00084680L8りたいものじや。また(十三オ)宝引ハ爰へ来ぬほとに、一 00084690L9はしり/誘(さそ)ふてこいといへバ、イヤ+、それハよしにしや。 00084700L10あいつハ一所にハ行きやしほらぬ。あれにハたい+か有 00084710¥Y1蘭巻壱終 00084720¥Q1 00084730L14@身上|組建@△/富貴(ふうき)の/地基(ちかため)△△△△△△@全部壱冊|教訓よミ本@ 00084740L15@町家|式目@△/分限玉(ぶんげんたま)の/礎(いしすへ)△△△△△△@全部壱冊|教訓よミ本@ 00084750L16△△此二品の書ハ諸商人、諸職人主人より末+に至る迄、夫& 00084760L17△△式目ケ条等有て、すべて町家の身上を組建る地基になりて、 00084770L18△△家を建へき礎ニなるべき事、又ハ立身出世せし人&の行跡の 00084780L19△△事実を委く記して、よミ安き平かな本にて、人&の心入、差 00084790L20△△別あるを記す。 00084800L21△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十三ウ) 00084810¥T1立春噺大集巻弐 00084820¥A後素軒蘭庭撰 00084830¥N1¥J 00084840¥X十壱△まがひの水呑△△△△△△△△△△¥A岸枩 00084850M7めつたに/粋(すい)がる客、どふでも遊ひハ南の事じや。おもしろ 00084860M8いと、そろ+酔もさめくちに、水呑ふと手をたゝけば、 00084870M9ソリヤ水汲んで来ひといふより、はや/錫(すゞ)の水のミにて出す。 00084880M10扨むまいハ+と三四はいものんで、どふでも水ハ秋田や 00084890M11の事じや。中居イヱ+、そりやほうぜんじのでござりま 00084900M12す。ムヽ法善寺のミづか。ほうぜんじも今ハよふ仕おるナ 00084910M13ア(壱オ) 00084920¥N2¥J 00084930¥X十二△花見の留主△△△△△△△△△△△¥A一梅 00084940M16此比/雨天(うてん)打つゞけバ、/丁児(でつち)/乳母(うば)そうだんして、あもなりと 00084950M17もとてごんせ。誰レ行ケ、かれ行。中にうば、年かさなれ 00084960M18バ差づめ、うば彼もちを取り帰れバ、人+是を見て、ア 00084970M19ノおうばとの。めつそふな。大なばかり取つて来てからと 00084980M20いへ/((バ脱カ))、/乳母(うば)すかさず、こもちにこりた物じやといふた 00084990¥P252 00085000¥N3¥J 00085010¥X十三△目はじき△△△△△△△△△△△△¥A柳巴 00085020L3△△右ハ君竹考十壱の坐有 00085030¥N4¥J 00085040¥X十四△自慢顔△△△△△△△△△△△△¥A秋月(壱ウ) 00085050L6近所付合も出来ぬ程の/高慢(かうまん)人、ある人と段+噺しをして、 00085060L7又例の物知りじまんを/鼻(はな)へ出して、むかしハきつい物て、 00085070L8/弘法(こうぼう)ハ所+に/堂塔(どうとふ)を一夜にこんりうし、しやうとく太子 00085080L9ハ四天王寺を/暫時(さんじ)にこんりうと、太平らくを聞て、ソリヤ 00085090L10なんでもない事。前の事なら、そんな事ぐらひじやない。 00085100L11ヤア貴さま。是よりゑらひ事しつて居るかといへバ、むか 00085110L12しハ/蛤(はまくり)でさへ 00085120¥N5¥J 00085130¥X十五△精進の喧嘩△△△△△△△△△△¥A下林 00085140L15/精進(せうじん)をきらひの人あり。下女をよんで、/今朝(けさ)もらふた肴、 00085150L16りやうりせよといへバ、女房出て、旦那さま。今日ハせう 00085160L17じん日で(二オ)ござります。マチヤ。や、けふハ何日じや。 00085170L18精進日じやないがの。イヤ、けふハ先の仏の日でござりま 00085180L19す。なんじや。先のほとけの日じや。なんの夫に精進する 00085190L20事がある。だんない。喰ふ。おまへさまもよふ思ふてもご 00085200M1らふじませ。先のぬしが/稼(かせがれ)たゆへ、かやうに安楽にくらす 00085210M2も、先の主のかけじやないかいな。あるじ腹を立、おれが 00085220M3なんぼ入聟じやとて、其やうに男をつぶす事もない。けた 00085230M4いが悪るい。喰ふ。イヤサ。なんの、おまへをつぶしませ 00085240M5う。/併(しかし)けふハどふぞ精進なされませ。イヤ+喰ふ。イヤ 00085250M6お精進をと、夫婦けんくハやまず。仲仕の市介聞かねて、 00085260M7おくさまも+、(二ウ)旦那さまも+しや。何おつしや 00085270M8ります。しかしおくさま。其やうに先の仏+とおつしや 00085280M9るてハ、今の仏にさハります 00085290¥N6¥J 00085300¥X十六△南艸ずき△@君△竹△考|廿一ニも有@△△△△△△△¥A六華 00085310M12コレ母じや人。こなたのくわへぎせるこそ、やめにさつし 00085320M13やれ。物するのに、其やうにくわへきせるすると、ひよつ 00085330M14とものゝ中へすい/殻(から)が落とわるい。殊に医者どのに聞ば、 00085340M15どくなものそうな。ちとやめさつしやれ。せめて人の飯喰 00085350M16ふ間なりと、やめたがよい。何いやる。是がわしがたのし 00085360M17みじや。朝から晩迄、是より外に楽しミハござらぬ。サ、 00085370M18夫ハそふなれど、ちつとの間ハやめたがよい。(三オ)ひよ 00085380M19つとたばこが法度になつたら、何とさつしやる。あの人の 00085390M20いふ事わいの。何の是が法度になろぞいの。サ、はつとに 00085400¥P253 00085410L1ハならぬけれど、ひよつと成たらといふ事。まだいのふ。 00085420L2何の法度になつてたまるものか。サ、法度にならぬハしれ 00085430L3てあれど、又ひよつとなつたらといふ事。ヤレまだいやる。 00085440L4何の法度になろぞひの。ヱヽ聞わけのなひ、あほらしいと 00085450L5腹立て、やたけたはらに近所へ遊ひに行、さて+こちの 00085460L6/はじ((ママ))やハかたいぢもの。たばこが好ゆへ、ひよつと法度に 00085470L7なつたら、どふさしやるといふたりや、聞て下され、何の 00085480L8法度になる物と、聞わけなしにせり合ふて、けたいがわる 00085490L9さに遊ひに来た。フウいや(三ウ)(四オ挿絵)夫ハ貴さまが 00085500L10わるひ。何のそれが法度になろ 00085510¥N7¥J 00085520¥X十七△仮名の去状△△△△△△△△△△△¥A角槌 00085530L13△△右ハ君竹撰二の巻廿軸の坐ニ有 00085540¥N8¥J 00085550¥X十八△賽使ひ△△△△△△△△△△△△△¥A瀬川 00085560L16双六好の人、殊の外に打負、丸/裸(はだか)になつて、布風呂敷にま 00085570L17かれ居て、つく※思ふに、此形リでハ門口迄も出られぬ。 00085580L18せめて/単(ひとへ)物の一まいなりとも、才覚せばやと思へ共、すべ 00085590L19き/思案(しあん)もなし。風とおもひ出し、此間富の札を買て置た。 00085600L20さいわい、けふハつき日なれバ、/若(もし)当らハ夫にて才覚せば 00085610M1やとおもへども、(四ウ)此丸はだかてハどふもならぬとあ 00085620M2んじ居る折節、辺りに/不断(ふたん)つかふ/賽(さい)ありけれバ、コリヤ賽 00085630M3よ。われハ耳の早ひ物しや。大義なから富場へいて聞て来 00085640M4てくれといへハ、賽、こゝろへたりとて、其侭かけ出し、 00085650M5しばらくしてはせ帰り、入口の敷居に/躓(つまつ)き、庭へころ+ 00085660M6と/転(こけ)こめバ、彼双六好、上から、ムヽびりか 00085670¥N9¥J 00085680¥X十九△文相手△△△△△△△△△△△△△¥A名尾 00085690M9ある日/妻(つま)他行せしに、留主を守り居ける折から、春さめふ 00085700M10り来り、いとゞ/弥増(いやまし)のあまり、亭主心に思ふよふ、/我(われ)/妾(せう)宅 00085710M11へ日毎にかよひ、/深夜(しんや)に門を叩クに、三つ共言ハさす走り 00085720M12(五ノ十オ)出て、供ない入事数度也。やうやく半日あまり 00085730M13の留主を仕るに、のつそつするに付、嘸かね+淋しく思 00085740M14ふらん。以来妾たくへ通ふ事/嗜(たしな)むべしと、我と我こゝろを 00085750M15恥、つまの/情(せう)を/感(かん)じ入たる所へ、/妾(てかけ)よりひそかに使来り、 00085760M16其文に、訴ても見たいときめく春雨の/徒(つれ)+と、思ふ心を 00085770M17引かへて、おくさまとさいつおさへつの盃に、おもしろく 00085780M18雨をながめ、つれなき君の御心もじと、実もこそくるやう 00085790M19に、こま+との/文体(ふんてい)。/読(よミ)も終らず、中+内にハ居る気 00085800M20ハないが、けふハ山の神が内に居ぬゆへ、出る事もかなハ 00085810¥P254 00085820¥G(四オ) 00085830L13ぬ。へげが帰り次第ゆくほとにと使へ返事し、はじめ思ひ 00085840L14し(五ノ十ウ)妻の情ハとこへやら、立たり居たりあせれども 00085850L15出がたく、やゝ思案して、子供をよび、用事有ゆへ、/放(はな)れ 00085860L16/座舗(さしき)へ行。/奥(おく)が帰り次第、早速しらすへしと申つけ、放れ 00085870L17さしきのふすまを明ケて、件の文取出し、さしむかいて、 00085880L18扨只今ハ/毒(どく)だらけの御文忝が、御もとの心に引あて書たり 00085890L19な。イヤ申、旦那さま。どちらがいな。われが。おまへか。 00085900L20イヤ+と独りしてかけ合に、我を忘て、こけつまろびつ 00085910M1足音に、/丁稚(てつち)/驚(おとろ)き、はしり行のぞき見て、コハ狂気やと/仰= 00085920M2天(げう=てん)して/襖(ふすま)をあけ、丁稚、申+、旦那さまといへバ、亭主 00085930M3最ふむかひに来たか(十一オ) 00085940¥N10¥J 00085950¥X廿軸△尻目つかひ△△△△△△△△△△△¥A雪亭 00085960M6美しい/若後家(わかごけ)の所へ、小川吉太郎につり取やうな/呉服(ごふく)屋の 00085970M7手代、けつかうな天気でござりますといふて尻目をつかう。 00085980M8後家、左やうでござりますと、しり目をつかう所へ、藤川 00085990M9八蔵/作(つく)つた小間ものやの男か来りて、何も御用ハござりま 00086000M10せぬかといふて尻目をつかう。三人が咄しの/最中(さいちう)、こたつ 00086010M11から七十余りのかミさまが、ほそひ目をあいて、アヽ長い 00086020M12きしたれハこそ、生た三つどもへを見た 00086030¥Y1蘭巻二の終(十一ウ) 00086040¥P255 00086050¥T1立春噺大集巻三 00086060¥A後素軒蘭庭撰 00086070¥N1¥J 00086080¥X廿壱△身の上噺△△△△△△△△△△△△¥A巾武 00086090L7ある所て玉子、/烏芋(くわい)と出合、玉子是ハ久しい。先度すミ半 00086100L8で/菓子(くハし)/椀(わん)の中て出よふた侭じや。今日ハどこへ。くわいい 00086110L9や、けふハ何も用もなく、気ばらしに出かけて見たが、わ 00086120L10しハどこへいても/兎角(とかく)人の請がわるふて、悪い/評判(ひやうばん)をする。 00086130L11貴さまハけつかうな身の上じやといへバ、玉子わしも大て 00086140L12い/術(じゆつ)ない事でハない。いつでも跡ハ/延(のべ)紙の世話になります 00086150L13(壱オ) 00086160¥N2¥J 00086170¥X廿二△穏婆△△△△△△△△△△△△△¥A貴投 00086180L16取あげ/婆(ばゝ)を/渡世(とせい)にするもの有。中山の/観音(くハんおん)へ参詣して、私 00086190L17ハとりあげ婆をしやうばいいたしますが、近年おなし/商売(しやうばい) 00086200L18がたんと出来まして、一通りでハ中+口すぎが出来ませ 00086210L19ぬ。どふぞ観音さまの/御免(ごめん)を/蒙(かふむ)りまして、中山観音相伝取 00086220L20りあげ婆と申/看板(かんばん)が出しとふござりますと/立願(りうぐハん)して、七日 00086230M1七夜/通夜(つや)申せしかバ、まんずる/晩(ばん)、御戸をギイとひらかせ 00086240M2たまい、誠にとふとき御声にて、そちが願ひ、もつとも/至= 00086250M3極(し=ごく)せり。さりながら、/小店(こたな)へハおろさぬとの給ふ(壱ウ) 00086260¥N3¥J 00086270¥X廿三△猿引猿△△△△△△△△△△△△△¥A十七八 00086280M6去大家へ/猿(さる)廻し来り、嫁子の/昼寐(ひるね)ハころりとせいとうとふ 00086290M7所へ、/奥(おく)さま、内ののうれんの合よりのぞかせられ、扨も 00086300M8美しいさるでハ有と言ハれけるを、猿廻し見とれてきよろ 00086310M9り。さる、竹ひつたくり、シイ 00086320¥N4¥J 00086330¥X廿四△しハん坊△△△△△△△△△△△△¥A北子 00086340M12/悋(しハん)ほう、二軒となり同士に有けるが、一けんの悋坊、/隣(となり)へ 00086350M13噺しに行しが、咄しすぎにて殊の外長咄しをいたせしに、 00086360M14日も/暮(くれ)に及びけれバ、我家へ帰りける。/翌(あく)ル日又隣へ行て、 00086370M15きのふハ参り長坐を(二オ)いたし、御礼に参りましたとい 00086380M16ふて、何やら置て帰られしが、跡にて思ひけるハ、アノし 00086390M17ハんほうが何も持ツて来るやうハなきにといふて、持来り 00086400M18しものを見れバ、ちいさい/紙袋(かんぶくろ)に、わらのすべを一寸程つ 00086410M19ゝに切り入ありけれバ、是ハいかなるものと、かのふくろ 00086420M20の書付を見れば、しびりのくすり 00086430¥P256 00086440¥N5¥J 00086450¥X廿五△毒がくすり△@君竹考△△|四十四番ニ有@△△△△△¥A朱桜 00086460L3ある/医者(いしや)のむすめ、言ひ/契(ちぎ)りし男の、フト外心出来たりし 00086470L4かハ、サア大事の/殿御(とのご)をねとられてハと、やわかたゞにハ 00086480L5置まじと、ひそ+とものをとゝのへ、さらバ今宵ぞ思ひ 00086490L6しらさん物と、(二ウ)丑ミつ過る比に、やう+我家を忍 00086500L7ひ出しに、心せくまゝ/鉄輪(かなわ)/蝋燭(らうそく)を取落し、折ふし闇ミの夜 00086510L8のくらさハくらし、さぐり+漸+に、氏神の社に来た 00086520L9り、/神木(しんぼく)の松じややら何じややら、腹立まぎれのめつたむ 00086530L10しやう、釘打つけて帰りしが、扨十日しても何事もなし。 00086540L11廿日たつてもしるしなく、いよ+思ひ煩ふ所に、五十日 00086550L12斗リして、/玄関(けんくハん)へ、たのミませう。娘ハ何心なく、どふれ 00086560L13といふて立出たれハ、/蘇鉄(そてつ)が/薬代(やくたい)持て来た 00086570¥N6¥J 00086580¥X廿六△開帳うハさ△△△△△△△△△△△¥A夏鐘 00086590L16大仏の開帳の止ンだハとふした事じやと、いろ+といひ 00086600L17し内、(三オ)夫ハわしが聞ている。御詫宣があつた。ハテ 00086610L18めつそふな。そふ斗でハ神さまのやうな。イヤ、大仏さま 00086620L19がおもりにいわしやる事ハ、見れば開帳札を出したが、あ 00086630L20れハ急に引ケ。夫ハ何ゆへでござります。どふぞ開帳さし 00086640M1て下さりませ。イヤ、よく思ふて見よ。おとなげない 00086650¥N7¥J 00086660¥X廿七△珊瑚珠のふしぎ△△△△△△△△△¥A露紅 00086670M4/蝦夷(ゑぞ)の嶋の大王、八月十五日の夜、月を見に出られけるに、 00086680M5/海中(かいちう)大きにばせる音にて/鳴動(めいとう)いたしければ、大王、大にお 00086690M6とろき、臣下にいゝつけて遠見させけれバ、/斑猫(はんめう)を/積(つミ)たる 00086700M7船、なん船をして居た(三ウ)(四オ挿絵) 00086710¥N8¥J 00086720¥X廿八△台所の臭△△△△△△△△△△△△¥A李偖 00086730M10西宮辺に/富家(ふか)の/酒造(さかや)の旦那、いまだ新町の/味(あぢ)を知ラず。出 00086740M11入の/牽頭(たいこ)を連、吉田屋方にて太夫末社をあつめて大さわぎ 00086750M12の最中、座敷へ風吹こミけれバ、亭主、しよくだいにぼん 00086760M13ぼりをかけしより、旦那大きに/機嫌(きげん)そんじ、此座敷、だい 00086770M14所くさしとて、/駕(かご)に乗り、直に/旅宿(りよしゆく)へ帰られける。時に牽 00086780M15頭、いかゝ致し、/台所(だいところ)臭しと仰られけるやと問ふ。旦那ぼ 00086790M16んほりに針の穴が三つあり 00086800¥N9¥J 00086810¥X廿九△跡しらなミ△△△△△△¥A和州今井△正堂(四ウ) 00086820M19呉服屋の手代、けいせいぐるいに心うかれ、親方の手前、 00086830M20いろ+と/智略(ちりやく)をめぐらし、毎夜+出けるが、度かさな 00086840¥P257 00086850L1れバ内出る首尾も遣ひきり、せんかたなく/黙念(もくねん)として居る 00086860L2所に、/得意(とくい)先より注文申来れバ、是幸いと思ひ、旦那さま。 00086870L3あれハ先達より、私致しかけ置候へば、今ばん参りませう 00086880L4と、まづ商内より彼方がいそぐ、かんじんの注文ハそこ 00086890L5+に仕て、日比かひ入置し/丁児(てつち)を小すミへ呼び、長太よ。 00086900L6おれハかの所へちよつと寄れバ、戻りハおそひ。トン+ 00086910L7いハしたりや、夜ざと/寐(ね)て、明ケに起よ。其かわりにハ又 00086920L8やるハと、こま付おき、飛がごとく(五の十オ)に、カノふ 00086930¥G(四オ) 00086940M1かまの方へ行キ、とやかくする内、夜も更、/酔(ゑい)も/廻(まわ)れば、 00086950M2辻まて/駕(かご)で戻る。トン++戸をたゝけバ、/後室(こうしつ)聞付、 00086960M3/誰(た)ぞもとりしぞ。/起(おき)よ+と起コさるれど、寐入ばななれ 00086970M4バ起ず。是非なく後室、戸をあけに出られけれバ、酒くさ 00086980M5ひ/息(いき)にて手をとらへ、ソヽソリヤ、さつまいもじや 00086990¥N10¥J 00087000¥X三十軸△結構な御造作△△△△△△△△△¥A烏二助 00087010M8/釈迦(しやか)/御仏(ミほとけ)の祥月の/退夜(たいや)なればとて、極楽かいせいの/仏(ぶつ)ぼさ 00087020M9つへ手紙をもつて、/羅漢(らかん)中より申入れられしに、ほどなく 00087030M10彼仏ほさつ達、大せい引つれて/来臨(らいりん)あり。先つかう(五ノ十 00087040M11ウ)御通りと、/九品(くほん)の坐舗をしつらい、おの+/蓮台(れんだい)の/座= 00087050M12席(ざ=せき)をもふけ給へバ、七宝をちりばめたる/台盤(たいはん)/水晶(すいしやう)のうつハ 00087060M13に、百味の/飲食(おんじき)を/堆(うづたか)く備へたり。のうべんの富/留那(るな)まかり 00087070M14出て、扨おの+いづれもさまを申入、そまつの品を/呈(てい) 00087080M15します。是と申も/釈迦(しやか)如来ならびに/衆生(しゆしやう)の人間達、各+ 00087090M16さまや/我等(われら)迄うやまハるゝによつて、次第に極楽はんじや 00087100M17ういたします。ホンノ是がまことに/報恩(ほうおん)/謝徳(しやとく)でござります 00087110M18てや。是ハ御あいさつの通りと膳にむかい、/合掌(かつしやう)し、しや 00087120M19かむにせそん、南無東方人間世界とゑかうして、ミな+ 00087130M20こゝろよく舌打し、だいごミ+と(十一オ)しやうくハん 00087140¥P258 00087150L1してきこしめす。/禁酒(きんしゆ)なれば、天のこんずに/甘露(かんろ)を合せ、 00087160L2ひさげにいれて持出、/沙羅林(しやらりん)に生せしくさびらのすいもの、 00087170L3サアお壱つも、たけなわに及び、冷し物の出るとおぼしき 00087180L4比、そこらめき+とゆるぐゆへ、こりや家なりか地しん 00087190L5かとおどろけバ、/羅漢(らかん)たち/制(せい)して、おの+、さのミなさ 00087200L6ハぎたまひそ。すこしばかり/連根(わかね)とるのじや 00087210¥Y1蘭巻三の終(十一ウ) 00087220¥T1立春噺大集巻四 00087230¥A後素軒蘭庭撰 00087240¥N1¥J 00087250¥X三十一△通り一編△△△△△△△△△△△¥A富善 00087260¥Y1右ハ君竹考三の巻卅軸の坐に有 00087270¥N2¥J 00087280¥X三十二△道心者の悟道△△△△△△△△△¥A布生 00087290¥Y1右ハ君竹考四の巻卅二番の坐に有 00087300¥N3¥J 00087310¥X三十三△足の苗代△△△△△△△△△△△¥A浅井 00087320M13/貧乏(びんぼう)なるくせに、ぜいなる人あり、/師走(しハす)の末になりて、正 00087330M14月の年礼に足袋がほしけれど銭ハなし。どふぞ仕やうハあ 00087340M15らぬと(壱オ)思案して、兼て近付の/足袋(たび)屋へ行、内に御座 00087350M16るか。ヱヽ長兵衛様か。何ぞ御用でござります/が((ママ))。アイヤ、 00087360M17足袋が壱足ほしい。シヤが、おれがのでハない。友達に頼 00087370M18まれた。しかし/価(あたい)ハ此/節季(せつき)にハ得はらハん。過て取つてや 00087380M19つて下されまいか。ハヽアおまへの御請合ならバ、いかや 00087390M20う共いたしましよ。シテ、足の寸ハ何ほどでござりますぞ。 00087400¥P259 00087410L1フン、足の寸ンか。是をさしてと、足を出した 00087420¥N4¥J 00087430¥X三十四△寄物じや△△△△△△△△△△△¥A高臺 00087440L4正月十七日に、大坂のあミた池へ八尾の/地蔵(ぢそう)が/開帳(かいてう)の入仏 00087450L5ありしが、/刻限(こくげん)甚たおそく成り、日くれて寺へ入らせ給へ 00087460L6バ、若イものが集りて、(壱ウ)扨此入仏ハあくびに寄物じ 00087470L7やといふ。壱人のいハく、イヤ、腹に寄物じや。又壱人の 00087480L8いわく、イヤ+、嫁入に寄物じや。夫ハどうして。ハテ、 00087490L9/挑灯(てうちん)ともして長持が来た 00087500¥N5¥J 00087510¥X三十五△花見の古哥△△△△△△△¥A天王寺井川 00087520L12去おくさま、あまた/■(こしもと)をつれ、花見に行ク。よき折に来 00087530L13りしぞ、今をさかり、何れおとらぬ/眺(なが)め。さて+見事な 00087540L14事でハないか。■さやうでござります。ことのふ見事にご 00087550L15ざります、一首御哥ても遊バせ。おくさまヲヽ一首うかんだ 00087560L16わいの。■何と遊バしましたな。奥様見わたせハ柳さくら 00087570L17をこきまぜて/都(ミやこ)そはるのにしき也(二オ)けり。■夫ハお 00087580L18もしろそふなお事でごさりますが、しかし柳ハござりませ 00087590L19ぬが。奥、きりと廻り、おれが/腰(こし)を見や 00087600¥N6¥J 00087610¥X三十六△帳屋の片親仁△△△△△△△△¥A銀両 00087620M3帳屋へ壱人来り、万/買帳(かいてう)あつらへ来ル。帳屋親仁申、上か 00087630M4き致しましよかな。イカニモ+、買とかいて下さりませ。 00087640M5親仁申ハ、あなたハどこでござりますといふ。拙者ハ四つ 00087650M6橋辺にて、三拾石の船問屋といふに、親仁申ハ、そんなら 00087660M7/灘(なだ)屋さまかといふ。イヤ+、大仏屋でこさるといふ。親 00087670M8仁、あきれ顔でいふハ、大仏ならハ開帳ハなりますまい 00087680¥N7¥J 00087690¥X三十七△しり切草履△△△△△△△△△¥A大梁(二ウ) 00087700M11揚屋町のたそかれ比、黒羽二重のやれ小袖、黒ちりめんの 00087710M12古羽織、頭巾に顔を隠し、案内もなく/台(たい)所迄はいり、ヲヽ 00087720M13久しうこぬうち、台所の勝手もよし、九軒町ハ日+に繁 00087730M14昌じやな。半七ハかわる事ハないか。誰+も随分/息(そく)さい 00087740M15なかと、念比に尋ぬるに、中居立出、よふ御出なました。 00087750M16サアおあがりなませと、ていねいに客あしらい。彼男、イ 00087760M17ヤ近+に参ふといふて門口へ出る。中居ハ送り出、さや 00087770M18うならバ、おちかい内。よふお出なましたといふ。井筒屋 00087780M19へも行て、又同し口上にて中居おくり出る。夫より吉田 00087790M20や、住吉や、山口や迄行に、家+より中居共出て、ふし 00087800¥P260 00087810¥G(四オ) 00087820L13ぎがほ、(三オ)あれハ誰さんでおます。わしハとんと覚へ 00087830L14ん。おまへの所のお客かと尋合ふ程、ふしぎはれず。跡を 00087840L15ながめ問合す内、彼男頭巾をぬぎて、又家+へ這入、 00087850L16只今大臣の/真似(まね)を致しました者で御座ります 00087860¥N8¥J 00087870¥X三十八△当世ハ見へ△△△△△△△△△△¥A結& 00087880L19大坂の人、京へ用事あつてのぼり、大仏へ参詣し、/釈迦(しやか)に 00087890L20尋けるハ、今年あなたさまの開帳が有と、橋+へも札が 00087900M1出る。何ンでも珍らしい事じやと、大坂ハいふに及ハず、 00087910M2近在迄も参詣せんと、こぞつて居ましたに、俄におやめな 00087920M3されたハどふした事でござりま(三ウ)(四オ挿絵)するぞ。大仏 00087930M4サア聞てたも。わしも近年の富にかゝつて、余程の/損(そん)をし 00087940M5たゆへ、開帳でもして見よと思ふたれど、今の世界ハ/懐中(ふところ) 00087950M6を見られてハいかぬ 00087960¥N9¥J 00087970¥X三十九△雷の子△△△△△△△△△△△△¥A瓦香 00087980M9爰に物ずきな/全盛(ぜんせい)の太夫、人の/剛(こハ)がる/雷(かミなり)のなり渡るを悦び、 00087990M10ひごろ雷の子がほしいと、愛イがして見たいと望ミしに、 00088000M11ある日随分ふかまの/客(きやく)、あげやで太夫と一座して、是太夫 00088010M12す。おれハ此間北国へ年礼にいて、珍ンナものをもらふて 00088020M13来た。そなたのほしがるかミなりの子を、今一つあらハ目 00088030M14貫にもして見たいくらい、紙入にいれて(四ウ)来た。夫ハ 00088040M15ヲヽ嬉し。早ふ見せておくれいなア。うつかり持ちやんな。 00088050M16迯るぞ。ヲヽかわいらしいと手の内にて、しばらくあいし 00088060M17見る内に、太夫のふところへフト飛こむ。あれ、にけたハ 00088070M18いなア。それ見や。めつそうなと、ふところをあけ、/袖(そで)す 00088080M19そをはらへ共なし。ヲヽ/笑止(せうし)。なんとしやうと、太夫帯を 00088090M20とき、はだへおなかの廻りを見れハ、アレ見なされ。/臍(へそ)に 00088100¥P261 00088110L1しがミ付ているわいなア。ほんにのふ、エヽちよこざいな、 00088120L2今からだんに 00088130¥N10¥J 00088140¥X四十軸△鏡のなぞ△△△△△△△△△△¥A大梁 00088150L5去ル所の/富家(ふか)の娘、けしやうせんと/鏡台(きやうだい)とり出し、/鏡(かゝみ)を 00088160L6(五ノ十オ)持、何かおもひけん、母親のまへにひざまつき、 00088170L7かゝさん。此かゝみのもやう、御らうじませ。まがきに梅 00088180L8のはなざかり。見事な事じやござりませぬかと見せけれバ、 00088190L9母おやなるほど、そなたももふ十八に成りやる。嫁入の口 00088200L10も聞合さぬと、はゝおやへのうらみ口上。其やうにうらば 00088210L11かり見ず共、ちと表ても見やイノ 00088220¥Y1蘭巻四の終(五ノ十ウ) 00088230¥T1立春噺大集巻五 00088240¥A後素軒蘭庭撰 00088250¥N1¥J 00088260¥X四十壱△まじなひ△△△△△△△△△△¥A君里 00088270M7若キもの二三人連にて、なじミの茶屋へ遊びに行、いろ 00088280M8+のがくやばなし。茶屋おやま、中居/芸子(げいこ)のあな/噺(はなし)いふ 00088290M9うち、一人リのいふやう、恵比須/風呂(ぶろ)の/鯛(たい)といふ芸子知ツ 00088300M10て居るか。ヲヽ知ツている。何ンとした。あいつハ/器量(きりやう)ハ 00088310M11親玉じやが、どふしたものか虫がないとい。ナアニあほう 00088320M12らしい。今のげい子に、虫の五六疋づゝもないといふのハ 00088330M13ない。そりやわれが太郎にかけられたの(壱オ)じや。サア 00088340M14おれも太郎かと思ふて、いろ+と聞て見たが、虫のむの 00088350M15字もない。そふいや、おもひ合せた事が有。ないはづじや。 00088360M16もんがいてうじや。 00088370¥N2¥J 00088380¥X四十二△匂ひ鳥△△△△△△△△△△△△¥A一艸 00088390M19有ル/瞽女(ごぜ)、しのび男ありけり。毎夜/横(よこ)町の/塀(へい)を越へ、松を 00088400M20つたひ通ひしが、有夜いつもの通り/閨間(ねま)をしつらい、/彼瞽= 00088410¥P262 00088420L1女(かのご=せ)まち居たりけるに、折節となりの猫、彼塀を越、松をつ 00088430L2たひて雨戸よりずつと這入しが、瞽女ハ忍ひ男とおもひ、 00088440L3/今宵(こよひ)ハ御早いのといへバ、猫、びつくりして、フウ、とふ 00088450L4けハ、瞽女、マア(壱ウ)/灯(ひ)を/消(けさ)ぬがよいに 00088460¥N3¥J 00088470¥X四十三△絵合札△△△△△△△△△△△△¥A千代 00088480L7年のはしめと/福人達(ふくじんたち)絵合と有て、きんごを引、御遊ひあり。 00088490L8京の大仏、おれもまじろとありて御あそび。やゝあつて福 00088500L9人論し合。ある福人の仰にハ、皆此/喧嘩(けんくハ)ハ大仏よりおこり 00088510L10し事。/全躰(ぜんたい)/素人(しろと)のくせに、神さま達の中へ/這入(はいり)しゆへ、か 00088520L11く間違と仰あれバ、大仏ぬからぬ顔で、じろ+とあんま 00088530L12りこなすな。冬から札は引て居る 00088540¥N4¥J 00088550¥X四十四△推量ちかひ△¥A@君竹考△|四十七に有@△△△△△△(二オ) 00088560L15去ル/全盛(ぜんせい)の太夫、ひとり寐の/夢(ゆめ)うつゝともなく、其さま髪 00088570L16も形も真白なる者、あたまの丸キいろの真赤なる者、又ハ 00088580L17顔も姿もまつ黒なるもの也。/異類(いるい)/異形(いげう)の/化(け)したる姿数おゝ 00088590L18く出て/来(くる)に、玉しゐも身も添ハでおそれ居る。彼もの共近 00088600L19くへよりて、さのミな玉きり給ひそ。我+ハそもじ日比 00088610L20つかひ捨給ふ物の精也。頭の丸キいろの赤キは紅ちよくの 00088620M1せい也。真黒なハおはぐろのせい也。ずんべりとして目も 00088630M2耳もなきハ啌の精、其外やうし留木の精、やきもち甘酒の 00088640M3精までのこる所なし。すこし心おち付、みな+お悦びハ 00088650M4嬉しけれど、全盛も御客あつての事なれば、/肝(かん)じんのお 00088660M5(二ウ)客の精がなふてハ、何やらたらぬやうで済やらぬ 00088670M6ものといふところへ、壱歩の/着物(きるもの)に小判の/羽織(はおり)、弐朱の帯 00088680M7に伏見銭のせつた、シヤラリ+出来るハ、お客の/精(せい)にま 00088690M8きれなし。マアどなたじやと顔を見れバ、おろ覚へなり。 00088700M9モシ、あなたハどのお客の精でおますへ。わしか。こなさ 00088710M10んの/借銭(しやくせん)のせいじや 00088720¥N5¥J 00088730¥X四十五△戎毘沙門△△△△△△△△△△△§ 00088740M13正月十一日、長町/毘沙門(びしやもん)、今宮へ見舞にゆかれ、戎、内に 00088750M14か。きのふハさぞ御くたびれであろ。戎/毘沙(びしや)か。よふ御出 00088760M15しや。なんと此十日ハゑらひ人じやあつたのふ。ほつとく 00088770M16たびれた。毘沙定メて。イヤ夫に付、(三オ)わしも貴さまの 00088780M17相伴で、大分銭もふけが有てうれしいが、まいつて呉れる 00088790M18程の人が、/富貴(ふうき)はんじやう/商内(あきない)はんじやう、/福(ふく)をあたへて 00088800M19くれの、/銀子(かね)もふけさして呉れいとたのまんものなしじや。 00088810M20なんぼ七ふく神じやとて、福にハ限りのあるもの。断りい 00088820¥P263 00088830L1わふと思ふても、アノ数万人が頼ム事じやによつて、何か 00088840L2なしに受ておいた。又+貴さまハいかい事、どふせうと 00088850L3思やる。戎たんない+。皆/誓文(せいもん)/払(はらい)迄延しておく 00088860¥N6¥J 00088870¥X四十六△閏月の富札△△△△△△△△△△¥A板平 00088880L6何れ/家業(かげう)も多けれど、仕似せを古き/道具(とうぐ)屋、近年はやる富 00088890L7の札を/片店(かたミせ)へならべ、十一日小野御殿、廿六日多賀大社な 00088900L8どゝ、一の富(三ウ)(四オ挿絵)/突留(つきどめ)のはりがミハあれと、仕 00088910L9かゝりの富の札やわづかの元手ゆへ、札の数も少しばかり 00088920L10ならべ置たり。買人、直段を尋/ぬ((ママ))、是ハ跡の月のにてハな 00088930L11きやと問ふ。亭主跡の月の札を売て、何にしましよ。閏と 00088940L12いふ字ハ/別(へつ)に印ありと腹立して、こちの札をどふして跡の 00088950L13月かといハしやると、高声にて腹立まぎれにいゝけれバ、 00088960L14買人ハテ、此月の富札ハしれてハあれど、古道具屋の事じ 00088970L15やによつて、跡の月かと問ふたらなんじや 00088980¥N7¥J 00088990¥X四十七△夢の出来合△△△△△△△△△△¥A瀬川 00089000L18節分の夜、宝ぶねをもとめて/枕(まくら)にしく。なんでも能ひ夢を 00089010L19(四ウ)見るべしとたのしミしに、何が見る程に+、いろ 00089020L20+の夢二三十も見てけり。/翌朝(よくてう)おきて、我ながらあきれ 00089030M1はて、あんまりの夢数ゆへ、いつれを+とわかりかね、 00089040M2いろ+心に掛ければ、フトこゝろ付、神/棚(たな)の大黒天へむ 00089050M3かい、何とぞ夕部の夢の中、いづれを御/授(さつ)ケの夢じや。御 00089060M4知らせ下されと、一心にいのりけれバ、大黒天、はなはだ 00089070M5あぐませ給ひ、扨+是ハこまり入た事、めつそふに乗/合(あい) 00089080M6ではなしもならぬ 00089090¥N8¥J 00089100¥X四十八△おほこ分別△△△△△△△△△△§ 00089110M9或銀子持の娘、御角芝居の小川にほれて、明ケ暮是をおも 00089120M10ひ、(五ノ十オ)/侍女(こしもと)にはなしけれバ、侍女、それハおやす 00089130M11い事と請合、さて寺参りをかこつけて伴ひ出て、こつそり 00089140M12とした茶屋へ/連行(つれゆき)けるが、茶やの女房、是ハおめつらしい。 00089150M13何と思召てといへバ、侍女小声に成りて、けふ爰へ御供し 00089160M14たハ外の事でもござんせぬ。アノ角の小川を呼に遣ておく 00089170M15れ。こつちの御りやう人さまが、大ていこがれてござるゆ 00089180M16へ、けふハ首尾してつれまして来たといへバ、かしこまり 00089190M17ました。ちやつと小川さまへ人遣ツておくれといゝ+ 00089200M18/勝手(かつて)へ立て、やゝあつて使帰り、小川さまへいて参りまし 00089210M19たが、俄に最前から/積(しやく)がおこつて、きつういたミます。よ 00089220M20ろしふお断り申て呉れといふてゞござりますといへバ、ひ 00089230¥P264 00089240¥G(四オ) 00089250L13よんな事じやナア。せつ(五ノ十ウ)かく来にくひ/首尾(しゆび)して 00089260L14来たもの。又ついハ出なされにくひ。ナントどふぞ仕や 00089270L15うハ有まいかといへバ、亭主か出て、御座ります共。此近 00089280L16所に/役者(やくしや)でハないが、小川にいきうつしな/息子(むすこ)がござる。 00089290L17是ハどふでござりませう。マア御りやう人さまへ御/窺(うかゞ)ひな 00089300L18されませい。なるほどゝ奥へ行、御りやう人さま。御聞遊 00089310L19ハす通りの事。せつかく御出あそばしたもの。マア今日ハ 00089320L20近所の小川によふ似た人なとお呼なされませぬかといへバ、 00089330M1御りやう人町の御方なら、やゝ/産(うん)だらわるひ 00089340¥N9¥J 00089350¥X四十九△凡夫心△△△△△△△△△△△△¥A隆子 00089360M4ちんばの人有けり。つく※と、わしハ前生にてあしい事 00089370M5せしか、この(十一オ)やうにかたわに生れたり。せめて/来(らい) 00089380M6世をたすからんと、女房に/暇(いとま)を遣し、/修行(しゆぎやう)に出けるが、日 00089390M7かずかさなりて/浪華(なにハ)の/湊(ミなと)につく。一宿しけるが、寐ざめに 00089400M8過こしかたを思ひ出し、かくなん、あし引の山鳥の尾のし 00089410M9だりおの△なが+しよふひとりかもねん、とつぶやきけ 00089420M10れば、浦の方から、とぎやろう 00089430¥N10¥J 00089440¥X五十軸巻尾△仙人物かたり△△△△△△△△△¥A安楽 00089450M13去ル/風雅(ふうが)人なるが/普請(ふしん)を致され、近比仙人が殊の外はやる 00089460M14よし。何ンそに仙人をつかいたいものと、いろ+工夫せ 00089470M15しに、らんまのすかしに八仙人をほらし、殊の外よふ出来 00089480M16しが、(十一ウ)扨夫より普請/振舞(ふるまい)をいたされ、段+/客(きやく)来 00089490M17がありし所、右のらんまを見、扨+見事なるらんま。此 00089500M18仙人も定てミな+名がござるかと問へバ、亭主、成程、 00089510M19みな+名がござる。先かま仙人、/粂(くめ)の仙人なぞと六人迄、 00089520M20何にやかや仙人の名をいへハ、残り弐人ハ名ハ何と申とと 00089530¥P265 00089540L1へバ、残り二人ハ、彼目あき仙人目くら仙人でござる 00089550¥Y1蘭巻五の終 00089560¥Q 00089570L5噺清書会頭△順慶町二丁目八百屋町筋南へ入△高橋栄二 00089580L7御書物所△心斎橋博労町筋壱丁東茨木町△渋川久蔵(十二オ) 00089590L8△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十二オ) 00089600¥Q 00089610L9安永五年申三月 00089620L10△△△△道頓堀下大和ばし南つめ△山田屋久兵衛 00089630L11△△△△同太左衛門はし八まん筋北へ入△橋屋忠兵衛 00089640L12大△坂△備後町せんだんの木筋南へ入△大和屋弥兵衛 00089650L13△△△△今橋せんだんの木筋東へ入△塩屋三郎兵衛 00089660L14△△△△曽根崎新地二丁目△△丸屋平兵衛 00089670L15△△△△松や町すげた町筋北へ入△大和屋吉兵衛 00089680L16書△林△すなば小濱町角△△海部屋勘兵衛 00089690L17△△△△九条本でんつゝみ△△佐加井屋伊兵衛 00089700L18△△△△谷町内久ほうじ町筋東へ入△板木屋平八 00089710L19板木細工人△あハとの橋かいや町筋南へ入△板木屋伝兵衛 00089720¥P266 00089730¥U噺本大系△第十巻 00089740¥T/高笑(たかわら)ひ〔内題〕 00089750¥G 00089760¥Y 00089770L15安永五年六月序 00089780L16彡甫先生作 00089790L17陳奮翰撰 00089800L18東紫画 00089810L19堀野屋仁兵衛板 00089820L20小本一冊 00089830¥Y 00089840L3三甫先生纂述当世新話名曰高笑。迺命序於余余辞曰。拝 00089850L4民(一オ)素幣。許曩謨之。先生曰勿馬鹿道而不可。因 00089860L5作之序曰。高者何。高聲也。笑者何。捧腹(一ウ)也。 00089870L6夫高聲而捧腹。則男子葵丘葵比丘比丘天地万物之情可見(二オ 00089880L7)矣。今三甫先生所著。足使世之男女葵丘葵丘比丘比丘。則名曰高 00089890L8笑者。不亦大之蹴鞠乎。書(二ウ)叙曰。誼伯仲伯作典宝 00089900L9。雖。則素屁之■乎。仲印不刪之。余之序茲編。蓋窃比於 00089910L10彼親(三オ)玉者。烏乎爾。 00089920L12△△△△丙申六月 00089930L14△△△△△△△△陳奮翰撰 00089940L15△△△△△△△△△△△△GG 00089950¥P268 00089960¥T1高笑ひ 00089970¥N1¥J 00089980¥X高慢 00089990L5大根はたけの地/廻(まわ)りの/咄(はな)しに、/今度(こんど)さかい町へ見世物に出 00090000L6た/友世(ともよ)ハ、/腹(はら)の上へ/臼(うす)を/乗(のせ)る。きつい事と/自慢(じまん)するを、吉 00090010L7原の地廻り、何さ+。松葉やの瀬川(一オ)などハ、二千 00090020L8両三千両の屋敷をさへのせる 00090030¥N2¥J 00090040¥X囃子方 00090050L11/笛吹(ふへふき)がいふ。/拙者(せつしや)などハ/役(やく)を/仕舞(しまひ)/帰(かへ)るじふん、/笛(ふへ)を/懐中(くわいちう)し、 00090060L12/寒夜(かんや)にはふところ手して、どふもいへませぬ。太皷打イヤ、 00090070L13拙者もさして、/道具(どふぐ)が/邪魔(じやま)にも(一ウ)成ませぬ。/先(まづ)/調(しらべ)をは 00090080L14づし、其調ですぐに/革(かわ)を/結(むす)び、/撥(ばち)を通して/肩(かた)にかけます。 00090090L15S/胴(どふ)ハヱ△Sころかして 00090100¥N3¥J 00090110¥X勘略 00090120L18貴殿ハ/苦労(くろう)して/咄(はなし)を/拵(こしらへ)ると有が、きつい/損(そん)じや。/咄(はなし)本がい 00090130L19ろ+出て有。(二オ)イヤ+、徳じや。Sナゼ△S本屋 00090140L20のハ銭が出ます 00090150¥N4¥J 00090160¥X買出し 00090170M3/木曽(きそ)の山/家(が)へ材木買出しに行とて、/旅宿(りよしゆく)に/泊(とま)りしに、/追立(ついたて) 00090180M4の様成風/除(よけ)の絵に、浪の中に/槙(まき)の/焚(たき)さしのやう成(二ウ)も 00090190M5の。御/亭主(ていしゆ)、あの絵ハ何でごさる。Sハテ、江戸衆かあれ 00090200M6を知らしやらぬとハ。/夫(それ)でもしれませぬ。Sあれハ/鰹節(かつほふし)と 00090210M7いふ/肴(さかな)さ 00090220¥N5¥J 00090230¥X挨拶 00090240M10/番頭(ばんとう)どの、/晩(ばん)にハ/遊(あそ)びに行ふ。ばんは/旦那(だんな)が/留守(るす)じや。そ 00090250M11んなら、あすのばん。(三オ)あすハ/勘定(かんじやう)日だ。そんなら、あ 00090260M12さつて。その/よ((ママ))に出ると、/蕩(どら)をうつ 00090270¥N6¥J 00090280¥X湯屋 00090290M15今うめたに又たゝく。/釜(かま)屋の三介、たつた今うめました。 00090300M16それでもうめろ。又うめる。又たゝく。あんまり度&ゆへ、 00090310M17(三ウ)ていしゆ、やがてはいり、/素人(しろうと)衆にはあつい 00090320¥N7¥J 00090330¥X初心 00090340M20二人/連(つれ)にて/北州(ほくしう)へ行。連の/発明(はつめい)にて、しごく/面白(をもしろ)く遊ひ、 00090350¥P269 00090360L1二三日過て、/裏(うら)に/行(ゆく)といふ。連、当分ハ出る事ハならぬと 00090370L2(四オ)云ふ。/是非(ぜひ)なくひとり行て帰り、連のところへ行け 00090380L3れハ、連がいふ、/裏(うら)だによつて肴が出よふ。一分やりやれ 00090390L4といふたが、やつたか。Sいんにや、やらぬ△Sナゼ。名 00090400L5代か。いんにや。/若(わかい)ものか、/代(かわ)りか。いんにや、せんどの 00090410L6さ。ハテ、肴が出る/筈(はづ)だか、(四ウ)何も出なんだか。菓子 00090420L7か出た 00090430¥N8¥J 00090440¥X焔魔 00090450L10浅くさのゑんま、正月も十六日に/降(ふ)られ、又七月もふられ、 00090460L11どふも/仕方(しかた)なく、/観音(くわんをん)へ金を/借(かり)に/行(ゆく)。観音あい給ひ、金か 00090470L12何ほど入ます。S三十両かして下され。成程、(五オ)三十 00090480L13両なら/貸(かし)てもやらふか、なす時は、/貴(き)さまハどんなかほで 00090490L14なさつしやる 00090500¥N9¥J 00090510¥X両国 00090520L17此中両国へいたが、きついものさ。人がねからねエ、さむ 00090530L18しい事よ。S其はづさ。ひるま、大かめが出る(五ウ) 00090540¥N10¥J 00090550¥X野がけ 00090560M1/去(さる)御大名の/若殿(わかとの)様、御/供(とも)あまた召つれられ、/野(の)がけに御出 00090570M2遊され、きうに日がてり上り/暑(あつ)く成けれは、若との、/笠(かさ)を 00090580M3+/早(はや)く+と御意遊ハされ、にわかに有合ねば、御/供(とも)の 00090590M4しうも(六オ)大きにこまり廻るとき、秋田/城(じやう)之介共いふべ 00090600M5き御/側(そバ)、ト/仕形(しかた)をして御/頬(ほう)かぶり 00090610¥N11¥J 00090620¥X医者 00090630M8よく/所(ところ)かへをする/医者(ゐしや)あり。小田原町にて風と行/逢(あい)、おま 00090640M9へは今の御名は(六ウ)何と申ます。S今ては/鈴木(すゝき)/鯛庵(たいあん)。又 00090650M10其後、吉原の土手てあい、Sおまへハまた/爰(こゝ)に御出なされ 00090660M11ますか。今のお名ハ何と申ます。/沖奈(おきな)三/情(せい) 00090670¥N12¥J 00090680¥X拾物 00090690M14/蛸(たこ)とうなぎ、咄しをして居る所へ、(七八オ)わきざしの引 00090700M15はたを/落(をと)して行。うなぎひろいしを、たこ、おれにくりや 00090710M16れと云。Sおぬしハ何にする△S/股(もゝ)引に△Sとんだ事を云 00090720M17ふ者だ。八本の/足(あし)を一本/斗(はか)り入てもつまるまい。そして御 00090730M18ぬしハ又何にする。S/蒲焼(かばやき)の時の火事/羽(は)をり(七八ウ) 00090740¥P270 00090750¥N13¥J 00090760¥X新無間 00090770L3/盗(ぬす)人、女郎買に行、/帰(かへ)りに何ぞぬすまんと心/懸(かけ)、小きかな 00090780L4たらいの有しを、こそと/羽(は)をりの下へ入れて出る。S女郎、 00090790L5門へ/送(おくつ)て出、よふ来なんしたと、せなかを一つたゝくと、 00090800L6ぐわんとなる。ヲヽコハ、何て(九オ)ありんすへ。S盗人 00090810L7/逢(あふ)てわかるゝ/鐘(かね)の/声(こへ)だ 00090820¥N14¥J 00090830¥X道心 00090840L10/表(をもて)を道心/坊(ぼう)が通るを見て、内義、扨&きたない坊主じやと 00090850L11いふ。S主めつたな事を云ふな。/弘法(かうぼう)様だもしれぬと(九 00090860L12ウ)いふを/聞(きゝ)、S坊主立とまり、なむ三、/顕(あら)われたといふ。 00090870L13S主扨も+ふとい坊主だ。弘法さまだもしらぬと云ふた 00090880L14りや、顕われたとぬかしたといわれ、S坊主又顕ハれた 00090890¥N15¥J 00090900¥X息子 00090910L17硯箱と/脇(わき)ざしを持て、あわたゝ/敷(しく)(十オ)(十ウ・十一オ挿絵) 00090920L18二かいへ上る。/親父(おやぢ)、のぞいて見れば、/腹(はら)へ十文字に/墨(すミ)を 00090930L19する。親父、何たわけをすると/咎(とが)めけれは、S何をかくし 00090940L20ませふ。私がなじみの女郎が、二百両で今度請出されます。 00090950M1それがあまり/残念(さんねん)さに、切そこなわぬやうに、すみを(十 00090960M2一ウ)して/切腹(せつふく)致しますといふ。Sたわけ者めが。それし 00090970M3きな事に、/死(し)ぬことがある物か。二百両くれるから、われ 00090980M4/請(うけ)出せと、百両なげ出ス。S今百両なければ成ませぬとい 00090990M5ふ。Sあとハ晩でもやろうから、まづ/竪(たて)の/棒(ぼう)一本/消(けし)てをけ 00091000M6(十二オ) 00091010¥N16¥J 00091020¥X店越 00091030M9きほい、/裏店(うらたな)へ引/越(こし)、店廻りをしける。/隣(となり)に/浪(らう)人居られし 00091040M10が、此人はなはだ/大(あふ)へい成あいさつ。きほい、以の外はら 00091050M11ヲたてども、引こすと早&けんくわもならず。しばらく居 00091060M12なしみ、大/家(や)の所へ行、(十二ウ)もし大家さん。隣の浪人 00091070M13殿、あふへいな人ゆへ、長屋の者が/腹(はら)を立て居ます。あの 00091080M14やうな人を置てハ、御まへの御ために成ませぬから、早& 00091090M15店を御たてなされたらよふ御座りませといふ。S大家は 00091100M16て、/侭(まゝ)にしてをかつしやれ。/詞(ことば)でも大へいに(十三オ)いわ 00091110M17ねば、/乞食(こじき)とまがひます 00091120¥N17¥J 00091130¥X宥経 00091140M20/法花宗(ほつけしう)と/浄土(しやうど)宗と一同に/所作(しよさ)をくるニ、とかく法花宗の方 00091150¥P271 00091160¥G(十ウ・十一オ) 00091170M1が/数(かず)とりが早く廻る。はてふしぎな事と思ひ、法花宗にた 00091180M2づねたれハ、S法花まづ貴様ハどうくら(十三ウ)しやると 00091190M3/問(と)ふ。S浄土わしらハ、なむあミた仏+とくりますとい 00091200M4ふ。S法花それで/遅(をそ)ひ。わしらハ、南無妙法蓮華経と一つ 00091210M5となへ、/夫(それ)から跡ハ、同++と云ます 00091220¥N18¥J 00091230¥X浅草 00091240M8江戸を一ツ/向(かう)しらぬもの、両人して、(十四オ)なんと、/飛= 00091250M9鳥(あす=か)山ハ/定(さだ)めて/最(さい)中てあろふと云ふ。Sアノ飛鳥山の花ハ日 00091260M10本一じやといふ。S浅草ハどふであろふといふ。S此男、 00091270M11浅草をしらねハ/挨拶(あいさつ)にこまり、浅草ハ死んだといふ。Sハ 00091280M12テ、おしい/角力(すまふ)を/殺(ころ)した 00091290¥N19¥J 00091300¥X格子(十四ウ) 00091310M15/天狗(てんぐ)、吉原へ行、/兎角(とかく)どの見世を/覗(のぞい)て見ても、/格子(かうし)へ/鼻(はな)が 00091320M16つかへて、ろくに見へず。/是非(ぜひ)なく格子の間へ鼻を入ると、 00091330M17/禿(かぶろ)か見付、Sモシ/麁相(そさう)な。/爰(こゝ)ハ/小用(せうよう)所では有んせん 00091340¥N20¥J 00091350¥X会合(十五オ) 00091360M20三人寄て一人がいふ。扨&おれハ/珍(めづ)らしひ火事に逢ふた。 00091370¥P272 00091380L1/鱗形(うろこがた)の。Sそりやだうして△S深川の三角やしきでとい 00091390L2ふたれは、Sイヤ+まだ+。おれハお花ごまと云ふ火 00091400L3事/((に脱カ))あいました△Sそれハ/何国(どこ)で。京の六角堂の/飛(とび)火て。 00091410L4S残りの男それハ/珍(めづ)らしふない。(十五ウ)わしハ/輪違(わちがひ)の火 00091420L5事に逢ふた△Sこりや珍らしひ。どふして△S丸やけに二 00091430L6/度(ど) 00091440¥N21¥J 00091450¥X鶏 00091460L9つんぼう、春さき/庭(には)を/詠(なが)めて居しが、にはとり、時をつく 00091470L10るを見て、人をまねき、いかさま/永(なか)い日でこざる。/鶏(とり)さへ 00091480L11/退屈(たいくつ)したか、(十六オ)あくびをします 00091490¥N22¥J 00091500¥X地蔵 00091510L14/田舎(いなか)の/地蔵堂(ぢざうだう)から火を出し、村中半分/焼(やけ)けれハ、/住寺(ぢうじ)、地 00091520L15蔵に向ひ、/外(ほか)の火事をもけのがして下さり、うちのおまへ 00091530L16が手前から火を出すと申ハ、扨&情なきなされ/方(かた)と(十六 00091540L17ウ)/恨(う)らミを云へハ、S地蔵かふ成てハ地蔵てハ行ぬ。/土= 00091550L18蔵(と=さう)を頼め 00091560¥N23¥J 00091570¥X口上 00091580M1/頃日(このころ)/隣(となり)屋敷でハ、能く口上を云ふ家来を/抱(かゝへ)たげな。何と、 00091590M2聞に行まいかと、二三人云合せ行けれハ、コレハ+よふ 00091600M3御出。さだめて(十七オ)家来が事を御聞及、御出有へし。 00091610M4幸ひ使に遣したれハ、追付帰つて/返事(へんし)申てごさらふといふ 00091620M5所へ、家来帰り云ふ様、よふ御使を下されまする。仰下さ 00091630M6れまする通り、段&冷気ニおもむきまする。弥御別条もご 00091640M7さりませいで、目出度存ます。/今晩(こんはん)ハ新そばと(十七ウ)ご 00091650M8さつて、私まて召/呼(よば)れ、忝ふ存まする。それへ参つてお礼 00091660M9を申ませふと、/定(さだ)めておつしやるでこさりませふが、今日 00091670M10ハおるすで御座ります 00091680¥N24¥J 00091690¥X古道具屋 00091700M13/盗人(どろぼう)が道具やの見世へ来て、大小を/盗(ぬすん)て(十八オ)さし、一 00091710M14さんに/欠(かけ)出すを、/隣(となり)のてい主見付、知らせけれは、道具や 00091720M15/追(をつ)かけて行、し/わ((ママ))らく/過(すぎ)てすご+と帰る。隣のてい主、 00091730M16どろぼうハ/迯(にげ)のびましたかと云ふ。Sイヱ+、二三町で 00091740M17/追(をい)付ました。/先(さき)も/侍(さむらひ)、めつたな事ハいわれませぬ(十八ウ) 00091750¥N25¥J 00091760¥X医師 00091770M20/下手(へた)な/医師(ゐしや)どの、/病家(びようか)から帰ると、さじを/拝(をが)む。女房、ふ 00091780¥P273 00091790L1しぎにおもひ、何ゆへ/拝(をが)ミ給ふといふ。はて、/馬鹿(ばか)な事を 00091800L2いわつしやる。是かなければ、とふに/解死(げし)人成ます(十 00091810L3九オ) 00091820¥N26¥J 00091830¥X幽霊 00091840L6ばくちにまけ、丸/裸(はだか)に成て帰る。女房は/袷(あわせ)一つ/着(き)て居しか、 00091850L7引ほどき、裏を/夫(をつと)、表をわか着ながら、モウばくちをやめ 00091860L8て下され。此/寒(さむい)のに/単(ひとへ)物一つで、どふ命かつゞきましやう。 00091870L9若こゞへて死と、わしが/幽霊(ゆふれい)ニ成て(十九ウ)出ます。S何、 00091880L10きものもなくて△Sはて、此引ときを着て△Sはて、びん 00091890L11ほうなゆうれい。そして何と言ふ△Sアヽラ/裏(うら)ほしやナア 00091900¥N27¥J 00091910¥X画 00091920L14/鯨(くじら)の絵を書て居るを見て、私にも書て下されと/鼻(はな)紙を出せ 00091930L15は、鯨ハ大魚(廿オ)なれは、此やうな小さい紙へハ書れぬ 00091940L16といへば、そんなら百匁斗書て下され 00091950¥N28¥J 00091960¥Xきほひ 00091970L19/吊(とむらひ)に/甥(をひ)が供に立、/焼香(せうかう)のとき、和尚のまへに行、アイ、 00091980L20をしやうさん。御くろうでござりやすといふて/輿(こし)の前に行、 00091990M1(廿ウ)是、/伯父御(おぢご)。おいといつちやあ、いつでもをれひと 00092000M2りだ 00092010¥N29¥J 00092020¥X大師 00092030M5大師さまに/角(つの)のはへて有ハ、どふした/訳(わけ)だ。アノ坊様に聞 00092040M6ふと、やがて坊様の/側(そは)へ行、もし、アノ大師様に角のはへ 00092050M7(廿一オ)たハ、どふした/訳(わけ)てこさりますと聞は、坊さま、 00092060M8何も知らねハ、イヽヤ、高くハいわれぬ事。あれハ/牛(うし)の生 00092070M9れかわりて御座る 00092080¥N30¥J 00092090¥X観音参 00092100M12おれハ/今日(けふ)、くわんのん参りして来た。Sコレ(廿一ウ)く 00092110M13わんのん+といふが、くわんのんでハない。くわんをん 00092120M14といふ物だ。時に、大分ン/遅(おそ)かつた。どこぞへ/廻(まわ)つたか 00092130M15Sいんにや、/何方(どこ)へもよらぬが、ぎのん/豆腐(とふふ)で/呑(のん)で来た 00092140¥N31¥J 00092150¥X奴 00092160M18品川へ/使(つかひ)に行けるが、/赤羽(あかはね)のあたりへ(廿二オ)(廿二ウ・廿三 00092170M19オ挿絵)行と、/急(きう)にひだるく成、何でも/喰(くい)たい物と思ふ所へ、 00092180M20のり売が通りけれハ、五十が/姫(ひめ)のりを/喰(く)ひ、そろ+行内 00092190¥P274 00092200L1に、日が当つて来たれは/骸(からだ)がしやきばり、手も足も/動(うご)かず、 00092210L2なんぎの所へ医者通けるを/呼(よび)かけ、/様躰(やうだひ)を咄し、薬を/乞(こい)け 00092220L3れは、(廿三ウ)ムウ、よし+と、きものをぬがせ、川へざ 00092230L4んぶりとひたし、奴に/着(き)せた 00092240¥N32¥J 00092250¥X掛乞 00092260L7大晦日の/晩(はん)、頼ます。Sたれだ△S米やでごさります 00092270L8S/留主(るす)だ△Sはて、さつきも留主といふたが、/慥(たしか)ニ/亭主(ていしゆ)の 00092280L9/声(こへ)と思ひ、(廿四オ)/障子(せうじ)に穴を明け/覗(のぞ)き見れは、てい主/火= 00092290L10燵(こ=たつ)にあたつて居る。もし、おまへはるすだとおつしやりま 00092300L11すか、そこに御座ります。てい主/腹(はら)を立、せうしになぜ穴 00092310L12を明た。/仮(かり)にもおれか/城郭(じやうくわく)だ。是ハ不/調法(てうほう)。穴をふさい 00092320L13で上ケませふ(廿四ウ)と/能(よく)つくろひ、アイ、能なをしまし 00092330L14たといふ。ムウ、そんなら見へぬか。アイ、見へませぬ。 00092340L15そんなら、るすじや 00092350¥N33¥J 00092360¥X燈篭 00092370L18新五左、初て吉原へ行、ぶしやれの上に/燈篭(とうろう)見物に出、ほ 00092380L19う+あるき、(廿五オ)/連(つれ)にはぐれて内が知れず。むしや 00092390L20うニかほを出して、こんな男をしらつしやらぬか 00092400¥N34¥J 00092410¥X番人 00092420M3火の用心に廻り帰り、番屋のわきを見れハ、首を/縊(くゝ)らんと 00092430M4/帯(をび)をさげて(廿五ウ)/支度(したく)をする。番人見付て、是、何をす 00092440M5ると/咎(とがめ)られ、首縊、番人の袖を引、申、御/慈悲(じひ)てごさりま 00092450M6す。私ハだふも立ぬ事がごさりますから、どふぞ知ぬぶん 00092460M7ニなされて下さりませと、袖から四文銭一本渡せば、そん 00092470M8なら早く(廿六オ)くゝつて行ケ 00092480¥N35¥J 00092490¥X火燵 00092500M11/夫婦連(ふうふつれ)にて寺参りに行とて/息子(むすこ)に云付、もふ段&/寒(さふ)く成か 00092510M12ら、おらが/留主(るす)の内、/火燵(こたつ)を切て/置(をけ)と云付、帰つて見れば、 00092520M13三/角(かく)に切て置。(廿六ウ)親仁、むすこに、なぜ四/角(かく)に/切(きら)ず、 00092530M14三角ニ切た。ハテ、是でよふごさります。先ツ/爰(こゝ)がおまへ 00092540M15か、爰がかゝ様、爰が私。Sムウ、来年ハ/呼(よん)でやろふ 00092550¥N36¥J 00092560¥X高慢 00092570M18候といふ字ハ、外にも/読声(よミこへ)がごさるか(廿七オ)と/問(とわ)れ、/高= 00092580M19慢(かう=まん)なやつ、/知(しつ)たふりニ、有共+。候といふ字ハでつちと 00092590M20よむ。すべて字といふ物ハ、理くつで/拵(こしら)へた物で、申候の 00092600¥P275 00092610¥G(廿二ウ・廿三オ) 00092620M1御座候のと、物の跡に/附(つく)ゆへしや。Sそんなら、てうちん 00092630M2持のてつちハ先キに立が、あれハだふだ。候べく候の候だ 00092640M3(廿七ウ) 00092650¥N37¥J 00092660¥X虚空 00092670M6御月さまハそはて見たら、どれほど有らふの。Sあれハ/十= 00092680M7方(と=ほう)もなく長い物だ△S何さ、丸イによ△S何さ、あれハこ 00092690M8ぐちた 00092700¥N38¥J 00092710¥X馴染(廿八オ) 00092720M11/夜鷹(よたか)のなしみ/客(きやく)、是、おぬしハどふして、此やふな商売を 00092730M12する。Sアイ、わたしか親ハ、もと/暦(れき)&て御ざんしたか、 00092740M13/訳(わけ)有てこんな身に成やした△Sコレ酒を買た。一ツ盃/呑(の)ミ 00092750M14やれ。こんにやくの/田楽(てんかく)を肴にと差出せば、/戴(いたゝ)いて/掫(つまミ)切て 00092760M15/喰(く)ふ。Sハテ、昔ハ(廿八ウ)むかし、今かふ成てハ/喰(くい)つい 00092770M16てくつたが/能(よい)△Sわたしや、/歯(は)が御ざりやせん 00092780¥N39¥J 00092790¥X元日 00092800M19物/忌(いま)いの人、/明日(あす)ハ大切な/元日(くわんじつ)たから、何でも目出度+ 00092810M20と云へと、家内の者に云付けれハ、/翌朝(よくてう)下女が/槙(まき)を(廿九オ) 00092820¥P276 00092830L1取に行しが、/余(あま)り高く/積(つん)で有ゆへ、中から/抜(ぬか)んとする。上 00092840L2£/落(をち)かゝる。コレ八介どの。目出度事が/出来(てき)そうな。早く 00092850L3来てくんなトいふこへに、八介、はちまきをしながらとん 00092860L4で行、もふおれがきちやあ、めつたにめてたくハさせぬ 00092870L5(廿九ウ) 00092880¥N40¥J 00092890¥X角力 00092900L8/千(せん)田川ひゐきの男、今日ハ千田川と/稲(いな)川との取/組(くミ)。何とぞ 00092910L9千田を/勝(かた)せたいと、心に/願(ぐわん)ごめして角力場へ行見物す。/程(ほと) 00092920L10なく/彼勝負(かのしやうぶ)に成けれは、/血(ち)まなこに成、かたづを/呑(の)んで/互(たが) 00092930L11ひの(三十オ)取組、目もふらず/守(まも)りけるか、何とかしけん、 00092940L12千田川すとんと/負(まけ)けれハ、此男/狂気(きやうき)のことく成、それ£/宿(やど) 00092950L13へ帰り、いろ+りやうじすれ共、/快気(くわいき)せす。是ハとかく 00092960L14/祈祷(きとう)か能とて、山/臥(ぶし)を頼ミ/祈(いの)りけれハ、さつそく/全快(ぜんくわい)した 00092970L15り。余りふしぎに、(三十ウ)如何いたした。/寄妙(きめう)の御祈祷 00092980L16てごさると山臥にきけハ、何さ。あの位な事ハぞふさハこ 00092990L17さらぬ。/千田(せんだ)ハ/負(まあ)きやあしゐねい++ 00093000¥N41¥J 00093010¥X無尽 00093020L20きさまハ何方へ行。S/今夜(こんや)むじんが(三十一オ)有が、/是非(ぜひ) 00093030M1取らねばならぬ。それて不動様へ百/度(ど)参りに来た△Sムウ、 00093040M2そんなら/能(よい)まじなひを/教(おしへ)てやろふと、ふところへ/杓子(しやくし)を入 00093050M3て行きやれ。寄/妙(めう)に当る。是は有がたしと、入て行たが当 00093060M4らす。Sどふた。当つたデあらふ△Sゐんにや、当らぬ 00093070M5Sハテナ。(三十一ウ)いくら/懸(かけ)た△S二分むじんを半口た 00093080M6Sヱヽそんなら/初(しよ)手にそふ云へは能。せつかいをやるもの 00093090¥N42¥J 00093100¥X国府 00093110M9こくうに味噌をあけたがるおとこ、/国府(こくぶ)をのんで、どふだ。 00093120M10匂ふか+(三十二オ)といへば、又すかしたか 00093130¥N43¥J 00093140¥X紋所 00093150M13丁子屋の/雛鶴(ひなづる)を買、ひなつるを紋に付ていつたら、大きに 00093160M14もてた。Sそふだあろふ。おらあ此ぢう、/透腹(すきはら)て/信濃(しなの)屋へ 00093170M15いつたら、大きに(三十二ウ)/喰(く)へた 00093180¥N44¥J 00093190¥X単物 00093200M18内の/年季(ねんき)者を/呼(よひ)、われハ大ぶん/能(よく)/働(はた)らくから、別にひとへ 00093210M19物を一つ/着(きせ)てやらふが、/嶋(しま)が能か、小/紋(もん)が能か。わか/好(すき)ニ 00093220M20/望(のぞ)め。Sアイ、私ハ/鼠(ねすミ)がよふ御ざります(三十三オ)と/小(ちい)さ 00093230¥P277 00093240L1な/声(こへ)でいへは、Sなんだ。大きなこへで/云(い)へ。聞へぬ 00093250L2Sアイ、鼠がよふこさります△Sナニ、鼠か△Sもし、そ 00093260L3こに/猫(ねこ)が居ます 00093270¥N45¥J 00093280¥Xあざみ 00093290L6/鼻(はな)の/欠(かけ)た男、上郎買に行、女郎の(三十三ウ)/皃(かほ)を見た所が 00093300L7大あざ。こいつ、/忌(いま)&しいと思ひ、/床(とこ)をみれば、あざミの 00093310L8花が/生(いけ)て有。いよ+/小腹(こはら)が立、引ぬいてすてれば、Sも 00093320L9しへ、はなが/落(をち)やした 00093330¥N46¥J 00093340¥Xきり+す 00093350L12大すべたな/姉(あね)と、きりやうよしの/妹(いもと)、(三十四オ)二人/連(つれ)にて 00093360L13/薬師(やくし)参りの道にて、きり+すを買、/妹(いもと)が手のひらへ上ケ 00093370L14たれば、/指(ゆび)を/喰(くひ)つかれ、/姉(あね)さん。きり+すが/喰(くひ)付やした 00093380L15といへは、なんの大イそうな。見せやと、/姉(あね)が手のひらへ 00093390L16あげたれは、きり+す、/皃(かほ)を見て/舌(した)打(三十四ウ) 00093400¥N47¥J 00093410¥X初会 00093420L19/雷(かミなり)、吉原へ/落(おち)、くわらりと日/和(より)になりければ、仕様なく 00093430L20/短(ミしか)はをりにほうろく/頭巾(づきん)、見世にづゝと上り、女郎を上ケ 00093440M1てくれと云ふ。男出て、どれぞ御さしでもごさりますか。 00093450M2イヤ、/誰(たれ)てもよひ。(三十五オ)出してくれと云。新ぞう、 00093460M3ずつと出て、雷の手を取、/落(をち)なんしたか 00093470¥N48¥J 00093480¥X信濃 00093490M6/干(ひ)物のあたま斗/残(のこ)りしを、/食(めし)たき、/釜(かま)の下て/焼(やい)て居る所へ、 00093500M7ほうばいの小/僧(ぞう)が見付、是、/干(ひ)物のあたま/喰(く)ふといふ事が 00093510M8(三十五ウ)有ル物か。/信濃(しなの)者ハ/犬(いぬ)のやうなといへは、いや 00093520M9+、そふ云わつしやるな。/焼(やい)て/喰(く)ふと、大ていうまいこ 00093530M10つちやないといへば、そんならちつと下さい 00093540¥N49¥J 00093550¥X笘船 00093560M13船まんぢうの/客(きやく)折介、おれハ是ほど(三十六オ)/馴染(なじん)て来る 00093570M14が、なんと、おぬしが/肌(はだ)を見せぬか。S心安い事。見なさ 00093580M15いと、はだをぬげば、折介なで/廻(まわ)し、ほんに/雪(ゆき)たぞ+。 00093590M16Sそのやふに/白(しろ)いかへ△Sいんにや、つめたい 00093600¥N50¥J 00093610¥X/時代(しだい)物(三十六ウ) 00093620M19此/印篭(いんろう)ハきつふ古く見へるが、/東(ひがし)山どの/時代(じたい)ても有ふか。 00093630M20いや+、まだ後の物でごさらふと、/評(ひやう)義して居るところ 00093640¥P278 00093650¥G(三十七ウ・三十八オ) 00093660M1へ、/古道具(こどふぐ)やが参りましたといへは、是は/能(よい)所へ見へた。 00093670M2是へ/通(とふ)せと/直(すぐ)に/呼(よび)、このいんろうの時代ハ、いつごろて有 00093680M3ふ。目/利(きゝ)(三十七オ)(三十七ウ・三十八オ挿絵)して/呉(くれ)と有れハ、 00093690M4道具や、つく+見、是ハ/明智(あけち)じたいと相見へますと云。 00093700M5それにハ/定(さだ)めて、見所が有てあらふとあれば、薬を三日ハ 00093710M6/持(もち)ませぬ 00093720¥N51¥J 00093730¥X天目 00093740M9/茶碗(ちやわん)の事を/天目(てんもく)といふか、なぜてん(三十八ウ)もくと云ふ 00093750M10の。Sはて、天がもく+とするから、それで天目さ 00093760M11S成ほど、夫で/茶碗(ちやわん)の義/理(り)までしれた 00093770¥N52¥J 00093780¥X甲酉 00093790M14/祭(まつり)のだしに/鶏(とり)が太皷の上にとまつて居るハ、どふしたわけ 00093800M15じや。Sあれハむかし(三十九オ)/唐土(から)で目出度御代の/時分(じふん)、 00093810M16/太皷(たいこ)を出して置て、/訴訟(そせう)が有れは其太皷をたゝく。なれ共、 00093820M17太平にて/誰(たれ)一人/訴(うつたへ)出る者がないから、太皷に/苔(こけ)ができ、 00093830M18/鶏(とり)が/遊(あそ)び所に成た。諌/鞁苔(ここけ)深ふして/鶏(とり)/驚(をどろ)かざる目出たい事 00093840M19/故(ゆへ)、だしに作つた物さ△Sそんなら、アノ(三十九ウ)御/幣(へい) 00093850M20を持た/猿(さる)ハなんじや△Sあれハ/鶏(とり)/驚(をとろ)かざるのさるだ 00093860¥P279 00093870¥N53¥J 00093880¥X練間 00093890L3馬/附(つけ)大/根(こん)うり、七つをきして江戸中を引/歩行(あるけ)ども、不仕合 00093900L4にて一つも口に/当(あた)らず。/最早(もはや)日も/暮(くれ)(四十オ)/懸(かゝ)りければ、 00093910L5/馬士(まこ)、むまに向ひ云ふやう、今日ハ不仕合にて一本も売ら 00093920L6ず、さぞわれも/草臥(くたびれ)成べし。是からおれが/替(かわ)つて/背負(せをわん)とて、 00093930L7大根ををろし、一つに/束(たばね)てせをひ、サア是から、われに/乗(のる) 00093940L8ぞ(四十ウ) 00093950¥N54¥J 00093960¥X餅売 00093970L11五文取が三文+と、/夜(よる)+売歩行。何とかしけん、/犬(いぬ)ど 00093980L12も大/勢(せい)とりまき、けわしくほへけれは、/動転(どうてん)して、三文ど 00093990L13りが五文+ 00094000¥N55¥J 00094010¥X仕合(四十一オ) 00094020L16/伯父貴(おぢき)が死なれたとてハ、角屋敷一ケ所に金五百両の/筐(かたミ)お 00094030L17くり。/舅(しうと)どのが/往生(わうじやう)せられたとては、大船二/艘(そう)に/質(しち)両/替(がへ)の 00094040L18/株(かぶ)に、代物を/添(そへ)ての/形(かた)見。其外、/叔父(をぢ)、/嫁(よめ)、おば、/聟(むこ)にい 00094050L19たる迄、往生の/度毎(たびごと)に金/儲(もうけ)をし(四十一ウ)けるが、有とき、 00094060L20/兼(かね)而びんぼう者の/従弟(いとこ)/死去(しきよ)としらせ来たり。今/度(ど)は、はや 00094070M1/桶(をけ)を/買(かふ)手あてもなけれバ、こと※くせわに成けれは、/初(はし) 00094080M2めてちからを/落(をと)した 00094090¥N56¥J 00094100¥X/穏((ママ))密(四十二オ) 00094110M5火の見/番(ばん)、/今夜(こんや)ハどふか小/気味(きミ)/悪(わる)い/晩(ばん)とおもふ所へ、天/狗(ぐ) 00094120M6ずつと来り、コレ番人。其方どもハ何に/寄(よ)らす、見/聞(きゝ)たる 00094130M7事を云ふまいと云ふ/誓詞(せいし)をして/勤(つと)めると聞たが、/違(ちが)ひハな 00094140M8いか。成ほど左様、/相違(さうい)ごさり(四十二ウ)ませぬ。Sそん 00094150M9なら四文銭を壱本/借(かし)てくれ 00094160¥N57¥J 00094170¥X三月 00094180M12/雛(ひな)をかざりなから、何と、/殿(との)さまが/左(ひだ)リか、/奥(をく)様が左リか 00094190M13と/聞(きけ)ば、しれた事、男が左リさ。Sそれでも、/隣(となり)の(四十三 00094200M14オ)とは/勝手(かつて)が/違(ちが)ふやうなといへは、Sハテ、そんなら/灸(きう) 00094210M15をすへるを見たがよい。男ハ左リ 00094220¥N58¥J 00094230¥X常上下 00094240M18是ハ/久(ひさ)しぶり。とふた+。S久しうおめに/懸(かゝ)りませぬ。 00094250M19/私(わたくし)もおせわに(四十三ウ)なされて下されましたが、/先(まづ)御 00094260M20悦ひなされ下さりませ。/常上下(じやうかミしも)を/着(き)て/勤(つとめ)る/格(かく)に成ました。 00094270¥P280 00094280¥G(四十八ウ・四十九オ) 00094290M1それハ目出たい。屋敷つとめか。イヽヱ、/芝居(しばゐ)の/後見(かうけん) 00094300¥N59¥J 00094310¥Xつんぼ 00094320M4やれ、すさましい/雷(かミなり)といふ中に、つん(四十四オ)ぼハきよ 00094330M5ろりくわんとして居る。/側(そは)の人、大/雷(かミなり)と書付て見せれは、 00094340M6はてさて、存しませなんだ。/芸(げい)ハ身を/助(たす)けるじや 00094350¥N60¥J 00094360¥X看板 00094370M9/湯(ゆ)屋のかんばんに、/矢(や)はつを/出(だ)すは(四十四ウ)どふした/訳(わけ) 00094380M10だ。あれは人のいるやうにとの事さ。Sそんなら、/酢(す)屋の 00094390M11かんばんに、すいのうの/底(そこ)のないものをするハどふじや 00094400M12Sあれハ、なんぼ/射(い)ても/素矢(すや) 00094410¥N61¥J 00094420¥X茶の湯 00094430M15/数寄(すき)屋ふるまひに行、あるじ、さま+の(四十五オ)/道具(どふぐ) 00094440M16をかざり/置(をき)しを、/賞客(しやうきやく)いち+ほめそやし、扨&御てい 00094450M17しゆ様ハ/能(よい)道具もちと云ハれけるを、/末座(ばつざ)の男、したが、 00094460M18あつたら道具/持(もち)に/髭(ひげ)がない 00094470¥N62¥J 00094480¥X信州 00094490¥P281 00094500L1浅間がだけのふもとを/道心者(どふしんじや)とふり(四十五ウ)かゝり、見 00094510L2る内に/黒雲(くろくも)、浅間山をひつ/包(つゝ)んで、其内より/災(ほのほ)もへ出、ば 00094520L3んじやく火のことなりて、/飛音(とぶをと)のすさましさ。道心じや、 00094530L4しばらく/念仏(ねんふつ)申て見けれハ、かの山ぶる+とふるひ、天 00094540L5もひゞける大をんにて、あら/峯(ミね)くるしや(四十六オ) 00094550¥N63¥J 00094560¥X饅頭 00094570L8/殿(との)さま、御用人に仰らるゝハ、此ごろ/求(もと)めたる/刀(かたな)、きれあ 00094580L9ぢがしれぬゆへ/様(ため)して見たひ。人の/外(ほか)に、よいためしもの 00094590L10ハないかと有。御用人/聞(きゝ)、まんぢうを/十(とを)/重(かさ)ねて、下まで/切(きれ) 00094600L11ますれは、二つ/胴(どう)を(四十六ウ)切ますと同し事で御ざりま 00094610L12す。/夫(それ)はやすひ事じやと、/直(すぐ)に用/意(い)して切給へハ、物の見 00094620L13事に/畳(たゝミ)迄きれたり。用人見て、/扨(さて)もよふきれました。/天晴(あつはれ) 00094630L14の御道具。さらは/死(し)がいを申受ませふ 00094640¥N64¥J 00094650¥X赤銅(四十七オ) 00094660L17/小道具(こどうぐ)やにて、しやくどう/鍔(つは)を見て、是ハ/似(に)せでハなひか 00094670L18といへば、/売人(うりて)、イヱ+、/正身(しやうじん)にまがひごさらぬ。しや 00094680L19うこには、/百足(むかで)を/乗(のせ)て見れハ/必(かなら)す/死(しに)ます。それこそと、む 00094690L20かでをひろひ取/乗(のせ)けれ共死なず。是見や。正身ではないと 00094700M1いへは、(四十七ウ)売人、なるほと、/赤銅(しやくどう)に/違(ちか)ひハないが、 00094710M2其むかでが/似(に)せてごさらふ 00094720¥N65¥J 00094730¥X乞食 00094740M5酒の/酔(えひ)まきれ、ぶら+あるき、/辻(つぢ)にねて居る/乞食(こじき)を切け 00094750M6るに、/明日(あす)に成ておもひ出し、扨&ゆふべの(四十八オ) 00094760M7(四十八ウ・四十九オ挿絵)こじきハふびんな事をした。まだい 00094770M8きて居るかと/辻(つぢ)へ行見れば、かの乞食、物の見事にあたま 00094780M9の/鉢(はち)を切/落(をと)され、其おちた鉢を手に/持(もつ)て、是へ一文+ 00094790¥N66¥J 00094800¥X絵師(四十九ウ) 00094810M12大/名(ミやう)の/床(とこ)に/鷺(さぎ)の/絵(ゑ)有しを、/絵師(ゑし)見てあざ/笑(わら)ひ、扨も/下手(へた)な 00094820M13絵かな。かんじんの/鷺(さき)のかたちハひとつもない。/我(われ)らが家 00094830M14のさぎハ又かふした物でハないと/自慢(じまん)いふ所へ、/庭(には)の/泉(せん)水 00094840M15へさぎ来るを、そんならあのやうな(五十オ)/鷺(さぎ)てごさらふ 00094850M16といへは、マダ+あのやうな物でもなひ 00094860¥N67¥J 00094870¥X雪ふり 00094880M19/夜(よる)小べんに/起(をき)て戸を/明(あけ)んとすれども、/宵(よひ)より/雪(ゆき)ふり、こを 00094890M20り付てあかず。/能(よき)事を思ひ出し/だ((ママ))りと、(五十ウ)/敷居(しきゐ)のみ 00094900¥P282 00094910L1ぞへ小/便(べん)をしかけければ、心/安(やす)く/戸(と)も/明(あ)き、/外(そと)へ出たれば、 00094920L2/何(なに)も用かなひ 00094930¥N68¥J 00094940¥X膏薬 00094950L5用心/深(ふか)い人思ふやう、/骸(からだ)の内に/第(だい)一大/切(せつ)な物ハ/眼(まなこ)なり。其 00094960L6まなこを、二つな(五十一オ)がら一/度(ど)に用ひて、ひよつと 00094970L7/怪我(けか)でも有た時ハ不/自由(しゆう)なりと/感(かん)をつけ、かうやくにて/片(かた) 00094980L8目/張(はり)ふさぎ、まさかのときの用心と心がけしが、はたし 00094990L9て/眼病(がんびやう)をこり、つぶれけれハ、扨こそかうした事も有ふか 00095000L10と/兼(かね)ての/始末(しまつ)ハ此(五十一ウ)時と、張ふさいだ/膏薬(かうやく)を取す 00095010L11て見れバ、/家内(かない)に有合ふ人、/皆(ミな)しらぬ/顔(かほ) 00095020¥N69¥J 00095030¥X食焚 00095040L14をらが/親(をや)方ハ米が/高(たか)いとて、/荒骨(あらぼね)おる者に/粥(かゆ)を/喰(くわ)せ、弐/分(ぶ) 00095050L15が/槙(まき)を/今日(けふ)中に/割(われ)と。あんまりいま+しい。(五十二オ)/槙(まき) 00095060L16は/堅(かた)木なり、/腹(はら)ハかゆばらなりと云なから、うしろを見れ 00095070L17ハ、/旦那(たんな)殿が/立(たつ)て居る。/併(しかし)、/養生喰(やうぜうぐい)にハよい 00095080¥N70¥J 00095090¥X色紙 00095100L20小道具屋の見世を見れは、みしりの有金/紙(かミ)の/色紙(しきし)。あれハ 00095110M1/正(まさ)しくおれが(五十二ウ)内に有た金紙へ、じやうだんに/歌(うた) 00095120M2を書しか、/先達(さきだつ)而何やかや取/集(あつ)め/払(はら)ひしが、扨ハ其中へ入 00095130M3れて払ひつらん。おれが手ハさして/能(よい)とも思わぬが、銭に 00095140M4成ばこそ/桐(きり)の箱に入て有れハ、なくさミに/直段(ねだん)を/聞(きか)んと、 00095150M5もし、あのしきしハ(五十三オ)何ほどてこさるといへば、 00095160M6あれハ五匁ニ致して上ケませふと云ふ。扨ハおれが手ハ/余= 00095170M7程(よ=ほど)/能(よい)そふなと、心によろこび、ナント、百ばかりに/売(うら)しや 00095180M8れといへハ、/亭主(ていしゆ)、お/前(まへ)もめつそふな事をおつしやります。 00095190M9アノ金紙ハ/昔(むかし)もので、十匁ニ買ふと(五十三ウ)おつしやつ 00095200M10てもごさりませぬ。/畢竟(ひつきやう)、/哥(うた)が書て有ればこそ 00095210¥N71¥J 00095220¥X鸚鵡 00095230M13/頃日(このころ)おれが内に/鸚鵡(をふむ)を/飼(かつ)たが、/奇妙(きめう)な事、人が/来(く)ると、お 00095240M14れかおもふ事をいふ。Sめつそふな事を云ふ(五十四オ)者 00095250M15だ。あふむハ人の口/真似(まね)こそすれ、何、心におもふ事をい 00095260M16ふ物た△S大/誓文(せいもん)。それが/偽(うそ)たと思ふなら、/晩(ばん)にでもおら 00095270M17が内に来て見給へ△Sそんなら/後(のち)に/行(ゆか)ふと/約束(やくそく)して、/彼(かの)方 00095280M18へ行、ずつと/座敷(ざしき)へ通り見れハ、/亭主(ていしゆ)ハ(五十四ウ)だまつ 00095290M19てゐる。鸚鵡が/声(こへ)をかけ、来給へ。おれが云ふ通り、/違(ちが)ひ 00095300M20ハ有まい。三賀、お茶/汲(くめ)。おたはこ/盆(ぼん)持てこいと何も角も、 00095310¥P283 00095320L1ていしゆの思ふ事、鸚鵡が皆云ふ。/容(きやく(ママ))も/肝(きも)を潰しあきれ 00095330L2果、たはこ一二ふく/呑(のんで)居れハ、鸚鵡、もふ/帰(かへ)れハよい(五 00095340L3十五了オ) 00095350¥N72¥J 00095360¥X手紙 00095370L6/雷(かミなり)落て/腰(こし)が/抜(ぬけ)る。近所の寄合、どふなされたと/問(とへ)ば、/怪= 00095380L7我(け=が)をして、此分にてハ天上/登(のほ)られす。何とそ、/迎(むか)ひを/呼(よび)に 00095390L8手紙を/遣(やり)たい。書て下されといふ故、何と書ます。一筆啓 00095400L9上申候。其/次(つぎ)ハな。ひかれば(五十五了ウ) 00095410¥Q 00095420M2一△茶のこもち@めつらしきお|としはなし△@ 00095430M5一△いちのもり@同しく|新作@ 00095440M7一△笑上戸@追&出し|申候△△@ 00095450M9△板元△@本石町四丁目△|△堀野や仁兵衛@ 00095460¥P284 00095470¥U噺本大系△第十巻 00095480¥T@咄の会|三席目@/夕涼新話(ゆうすずみはなし)/集(あつめ)〔題簽〕 00095490¥G 00095500¥Y 00095510L16安永五年七月刊 00095520L17参詩軒素従撰・序 00095530L18大坂△渋川久蔵板 00095540L19半紙本五巻五冊 00095550L20東大国語研究室蔵 00095560¥Y序 00095570M3/天地(あめつち)のひらけ初り、万の/調(とゝの)ひし後ハ、何れかあたらしき/咄(はなし) 00095580M4のあらん。/宇治(うぢ)大納言の物語、一休/禅師(ぜんじ)の/艸帋(そうし)、/曽呂利(そろり)が 00095590M5書捨も、むかし+/祖父(ぢい)と/祖母(ばゞ)とに/発(おこ)りて、/猿(さる)が嶋のかた 00095600M6きうちより、流れ+て/難波(なにハ)の足引ミやこの彦八/等(ら)が、こ 00095610M7とはの花を/咲(さか)せしも、たゞ古きを以て(壱オ)新らしきとな 00095620M8せるハ、かの日&+にあらたにしてとの/聖(ひじり)の/教(お)しへ、/有= 00095630M9難(あり=がた)し+。/新話(はなし)の/趣向(しゆかう)、/新古(しんこ)の/争(あらそ)ひハ、/挾(せわ)き耳の及バぬ処、 00095640M10時の/宜敷(よろしき)をとつてあらたに/思(おも)ハんと、しかいふ 00095650M12△△△于時夘の花咲七日 00095660M13△△△△△△△△△△△参△詩△軒 00095670M14△△△△△△△△△△△△△素△従G 00095680M15△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(壱ウ) 00095690¥P285 00095700¥Y1咄会三席目△△△△△△△△△△¥A参詩軒素従撰 00095710L3△△△夕涼新話集巻の壱 00095720L4△△△△目録 00095730L5巻頭/西東(にしひかし)△△△釜井△第二/息子(むすこ)の/理屈(りくつ)△△△流芳 00095740L6第三/代脉(だいミやく)△△△大梁△第四/抱(だき)つんくハん△△扇東 00095750L7第五/昼(ひる)の/闇(やミ)△△△転&△第六/咄(はなし)の/気(き)つくり△△栗本 00095760L8第七/杖(つへ)の/折(おれ)△△△亀楽△第八/通(かよ)ひに/梵字(ぼんじ)△△△鴈二介(弐オ) 00095770L9第九/髪結(かミゆひ)の/立腹(りつふく)△キ△△十軸/天蓋蛸(てんがいだこ)△△△△△白桃 00095780L10十壱/田舎客(いなかぎやく)△△△コニシ十二/不審紙(ふしんがミ)△△△△△位夕 00095790L11十三/浮川竹(うきかハたけ)△△△里木△十四/桶(おけ)の/月(つき)△△△△△菅水 00095800L12十五/鬼笑(おにわら)ひ△△△△潮月△十六/息子(むすこ)の出たらめ△時楽 00095810L13十七/葉裏螢(はうらのほたる)△△△§△十八/妾宅(せうたく)の/朝(あさ)△△△△菅水 00095820L14十九/千鳥足(ちとりあし)△△△尤△△廿軸/鋳(い)かけ/茶瓶(ちやびん)△△△扇東 00095830L15△△△△△△△壱の巻目録終(弐ウ) 00095840¥N1¥J 00095850¥X西東 00095860M3物しり/自慢(じまん)する者とつれ立、坂本山王よりゑい山へのぼり、 00095870M4/雲母(きらら)の山の/絶頂(ぜつてう)にて、しり/自慢(じまん)がいふにハ、むかし/平親王(へいしんわう) 00095880M5/将門(まさかど)が、京都を見おろして哥よんだ所じや。其時分ハ爰ら 00095890M6に、たいぶんさつきが有ツたげな。友達して、其哥ハなん 00095900M7といふ哥じや。サア夫ハ、時ハ今あめがしたしるさつきか 00095910M8な。ホウ、それハわしが/講釈師(かうしやくし)に聞ておほへている、/明智(あきち) 00095920¥G(四オ) 00095930¥P286 00095940L1があたご山でした/発句(ほつく)じや。貴公の覚へ違ひじや。ゑらひ 00095950L2間違ひしやと笑へバ、ムフン、大キな違ひてもない。高で 00095960L3(三オ)馬のくつだけの事じや 00095970¥N2¥J 00095980¥X息子の理屈 00095990L6去所の息子、すまふを取、手の/骨(ほね)を折、なんばの骨楼へい 00096000L7て/療治(りやうぢ)し、内へ戻り、母じや人。おれハすまふを取て、少 00096010L8&筋が違ふた。けふハなんばへいて、りやうじして来まし 00096020L9た。ヲヽ、夫ハ源左衛門どのへゆきやらいで、へヽ、むま 00096030L10いわろじやわいの。子共の時てさへ、娘の方へいたもの 00096040¥N3¥J 00096050¥X代脉 00096060L13/医者(いしや)とさへいへバ、ことしハ飛あるくはやり病ひ。殊に名 00096070L14高き(三ウ)(四オ挿絵)医者あり。いつ+より四双ばいの 00096080L15病用。壱人にてハつとまりかねるにつき、あまたの弟子を、 00096090L16代ミやくにまわしける中に、/玄関番(げんくハんばん)の/何某(なにがし)を、四まいがた 00096100L17にのせ、/病家(ひやうか)へまわらしける。のりつけぬ/乗物(のりもの)の中にて、 00096110L18小いねふりして行内、病家に至り、/陸尺(ろくしやく)共、声高に、物モ 00096120L19ウといへバ、乗物から、どふれ 00096130¥N4¥J 00096140¥X抱つんくわん 00096150M3おくさま、只今ハお女中を下されました。いかさま、けふ 00096160M4ハ/旦那様(たんなさま)にも外へ御出被成、今にお帰り遊バさぬハ、大か 00096170M5たこよいハ南におとゞまりなさるゝものでかなあろ。サア 00096180M6+今人を(四ウ)やりましたハ、こよいハお帰りあるまい 00096190M7し、折節のはるさめよと、共にわしが部屋ではなそふとお 00096200M8もふて。これハ+、あなたの美クしいお心から。いつこ 00096210M9わいお顔もなされねども、私も部屋こそかわれ、同しお内 00096220M10におりますれバ、にくいやつじやと思しめしませう。ヲヽ 00096230M11ヲ、あんな事いわんす。いくたりお気に入が有とても、お 00096240M12のこゞの常の事。かんならずこゝろおかんすな。其お心な 00096250M13ら嬉しうござります。イヤモ、こなさんとわしが、すいぶ 00096260M14んむつまじうして、あなたをきらを 00096270¥N5¥J 00096280¥X昼の闇(五オ) 00096290M17/法師(ほうし)同士、/途(と)中にて行あたり、おのれハ、マアめつそうな。 00096300M18目あきのぶんざいとして、おれがあしを、なせふんだ。い 00096310M19や、おれもめくらじや。フウ、そふいふハ、さの市でない 00096320M20/が((ママ))。わしハかめいちじや。これハ+、そふとハしらず、 00096330¥P287 00096340L1最前よりの過言、まつぴらおゆるし。いやも、それハお互 00096350L2イ。さて+お久しぶり。かやうな不調法でなくバ、お目 00096360L3にハかゝるまい 00096370¥N6¥J 00096380¥X咄の気つくり 00096390L6/遠国(おんごく)の/百性(ひやくしやう)、大坂へのぼり居るに、宿の亭主、咄/会(くわい)え入 00096400L7ンとて、なんぞよい種がほしい。咄の気ハつくりにくいも 00096410L8のと/言(いひ)(五ウ)ければ、/夫(それ)を聞て、彼百性、爰にハ咄しの木 00096420L9といふ物がござるかと、尋られけれバ、サア+、作ツて 00096430L10会に出しますといへば、夫ハどうしてつくる。何がこへに 00096440L11なりますと問へバ、亭主、ぬからぬ顔で、まづおもに灰ふ 00096450L12きのたまりや茶かすでござる 00096460¥N7¥J 00096470¥X杖の折 00096480L15非人ふたりづれにて、町+東西と立わかれ、くだア+ 00096490L16とながし行。ひとりの/乞食(こじき)、四歩一の少しはげたきせる壱 00096500L17本ひらい、コリヤ八よ。よいきせるひらふたといゝつゝ、 00096510L18くわへんとする。コリヤまて。ヱヽ、誰がのんだのじや知 00096520L19レもせぬのに(六オ) 00096530¥N8¥J 00096540¥X通ひに梵字 00096550M3寺の小僧、/豆腐箱(とうふばこ)をさげて、ぶら+ともどりしが、後ロ 00096560M4よりなじみの犬はしり来り、クフン+/鼻(はな)をならし、かの 00096570M5豆腐箱を、かざかいだりねぶつたり、よれつもつれつ、そ 00096580M6ばへければ、小僧もうたてく、シイ+とおへども+、 00096590M7付まとふてのかざれば、せんかたなく、かの箱をふたあけ 00096600M8て見せ、ヤイあほうめ。けふハほんぼの豆腐じやわれ 00096610¥N9¥J 00096620¥X髪結ひの立腹 00096630M11上町の太郎兵へさまが見へるであろ。あの人ハどのやうに 00096640M12髪(六ウ)(七オ挿絵)ゆふても、こゞといわしやる。あんな 00096650M13人ハ来ぬがゑい。外のぜにもふけにハかへられぬと、そし 00096660M14りいる所へ、太郎兵衛きたり、久七、どうじや。いそがし 00096670M15いそふなの。ちよとなで付てたも。ハイ。これ久七、わが 00096680M16みハきはいハよいが、髪がへたじや。イヤ申シ、太郎兵衛 00096690M17さま。おまへハどのやうに髪をゆふても、こゞとおつしや 00096700M18ります。わたくしも髪ゆひしやうばい致しますれハ、人さ 00096710M19まがお聞なされても面目なふござります。此後とんと、髪 00096720M20ゆひに来て下さりますな。あたどんくさいと、大きにはら 00096730¥P288 00096740¥G(七オ) 00096750L13立けれバ、太郎兵衛もむつとして、コリヤ久七。そふぬか 00096760L14しや(七ウ)もふこぬハ。なんじや、あほらしい。シヤ、ほ 00096770L15んに銭ハこつちのもの、あたまハそつちのもの 00096780¥N10¥J 00096790¥X天蓋蛸 00096800L18爰に一寺のお上人、とうろうびんの尊天にあきしにもあら 00096810L19ねど、此比/寺役(しやく)のおり+、夜にいるも幸ならん、同しあ 00096820L20なの友に預けある/頭巾(づきん)・はおりを着して、/医者(いしや)と見せかけ、 00096830M1/青楼(せいらう)にのぼられけるに、/亭主(ていしゆ)の/後家(ごけ)、なかゐも共に立出、 00096840M2これハ+よふお出なされた。サアおあがりなされ。/峯(ミね)さ 00096850M3んもたつた今迄待ていてゞ(八ノ十オ)ござりました。夫い 00096860M4そよひましておじや。ついでに三五様もしらせましや。お 00096870M5茶、たばこほん、お盃といふ内、早聞付て、たいこの喜六、 00096880M6げいこのさんご、門口から、ハイみねさん。送りますとい 00096890M7ふより先へ、/燭台(しよくだい)の/灯(ひ)のクハツ+△遊ひと見へて、物ま 00096900M8ね、/端哥(はうた)、はやり哥などのさわぎの中、何おもひけん、お 00096910M9客ハたつて/勝手(かつて)より、坊主あたまにほうかぶり、はなれか 00096920M10たなや半七がとの身ぶり。是を見るより一坐のもの、大キ 00096930M11に悦ひ、声を揃へて、ヨウ+、ありがたいぞ+といへ 00096940M12ば、客、ひたいにしハよせ、ヱヽしゆんた事いふないやい 00096950M13(八ノ十ウ) 00096960¥N11¥J 00096970¥X田舎客 00096980M16去問屋へ初めて登りし/客(きやく)、手代あんないにて、浪花の名所 00096990M17残りなくつれゆき、けふハなんばの豆茶へおとも致そと、 00097000M18そろ+野辺へさしかゝれば、土橋の方から/釣台(つりだい)に大/風呂= 00097010M19敷(ふろ=しき)をかけ、大の男二三人さし荷ひ来るを見れバ、釣台の中 00097020M20にハ老人のねているてい。/腰(こし)ぼねを違へ、/骨(ほね)つぎのもどり 00097030¥P289 00097040L1と見へしを、彼客、大によこ手を打て珍らしがるを、手代 00097050L2が、何が/御意(きよい)に入ましたと尋ぬれば、されバ+、/繁花(はんくわ)の 00097060L3地ハ又/格別(かくべつ)。人の献上物ハ今が(十壱オ)見はじめ 00097070¥N12¥J 00097080¥X不審紙 00097090L6いつぞハ、おまへさまに尋よふとそんじました。其/書物(しよもつ)な 00097100L7がめ+おはりなさるゝちいさい紙ハ、何のためでござり 00097110L8ます。ハテ扨、/医者(いしや)の女房に似あわぬ/文盲(もんもう)な人じや。是ハ 00097120L9どふもふしぎな、がてんのいかぬ事があると、此印を付て 00097130L10おいて、先生に尋ぬるのしや。これを不/審(しん)がミといふわい 00097140L11の。左やうならバ、なんでもがてんのいかぬ、ふしぎな所 00097150L12へハ、此かミを張のかへ。どふぞ私にたつた壱まい、おく 00097160L13れなされ。これをわかミハ何(十壱ウ)にしやる。わたしや、 00097170L14おまへの/鼻(はな)にはりたい 00097180¥N13¥J 00097190¥X浮川竹 00097200L17夜廻りの/鈴(すゞ)と/割(わり)竹と出合、/鈴(れい)がいふ。扨貴様ハ、ぐハら 00097210L18+と、いつもかわらぬ/面白(おもしろ)からぬ音也。チト音のかへや 00097220L19うハないか。竹そふいやるわがミも、ちりん+ハ古ひも 00097230L20のじや。鈴いや+、古ふても、/曲輪(くるわ)色町での/座敷(さしき)の/興(けう)に 00097240M1なる。竹どふして興になるぞ。/鈴(れい)サア、/法師(ほうし)げいこがきぬ 00097250M2たをひく時ハ、いつでもおれが音ハ地になるわいの。竹コ 00097260M3リヤ、あんまり/太平楽(たいへいらく)いふな。おれも曲輪色町座敷の興に 00097270M4ハ、まゝなるわい。鈴いや+、われが(十弐オ)興になる 00097280M5といふ事ハ、これ迄きかぬぞよ。竹ハテ扨、時+ハおれ 00097290M6がものまねをする/芸子(げいこ)もあるてや 00097300¥N14¥J 00097310¥X桶の月 00097320M9/猿猴(ゑんかう)の/大将(たいしやう)、水の月を取来るべしと、/数(す)万の手下へ言付け 00097330M10れバ、なにが/猿(さる)ども、いろ+こゝろを/尽(つく)せ共、とりへず。 00097340M11殊の外こまりけるが、中にも壱疋、/桶(おけ)を持て、水をすくい 00097350M12し桶の中に、月のうつりあるを見て、月をすくいしと思ひ、 00097360M13/早速(さつそく)かの大将へ持行、仰付られました水の月とさし出す。 00097370M14大将、大きに/悦(よろこ)ひ、アヽ/手柄(てがら)+。でかしおつたと(十弐 00097380M15ウ)(十三オ挿絵)ほうびの詞。イヤ申、おかしら。是ハ何に 00097390M16なりますな。サア何になるか、我等もしらぬ 00097400¥N15¥J 00097410¥X鬼笑ひ 00097420M19去/肴(さかな)ずきのしわい/親父(おやぢ)、冬年さんしよの木をもとめ、うへ 00097430M20おき、/来春(らいはる)ハなんでも/潮煮(うしほに)をくわんと楽しミゐる所、/弥生(やよい) 00097440¥P290 00097450L1にもなれば、彼さんしよ、そろ+芽を出しかけ、時分ハ 00097460L2よしと、/鯛(たい)の/直段(ねだん)を尋る所、魚じまもなく、甚た/高直(かうじき)ゆへ、 00097470L3待あわさバ下直にもならんとおもひいる間に、木の/芽(め)ハ段 00097480L4+大きう成、四月になれとやすならず、五月も過て木の 00097490L5芽を見、アヽ/侭(まゝ)よ、(十三ウ)しめなわへなとはさも 00097500¥N16¥J 00097510¥X息子のでたらめ 00097520L8おまへハ/麻疹(はしか)ハもふ、まへなされたでござりませうな。イ 00097530L9ヤ、まだせぬげな。左やうなれば、ずいぶん御用心なされ 00097540L10ませ。いづれもきつい、ねつなものでござります。麻疹ハ、 00097550L11アヽ何とやら、ヲヽ夫+、痘瘡のおばとやら申じやござ 00097560L12りませぬか。なる程そふじや。かの又へないもは、何ンで 00097570L13ござりましよな。あれハ伯父じや。又おこりハな。おこり 00097580L14か、おこりハおやぢじやわい 00097590¥N17¥J 00097600¥X葉裏の螢(十四オ) 00097610L17アノお人の長噺しにハこまる。ソレヨ、まじないの/雪踏(せつた)の 00097620L18/裏(うら)へやいと、此間の時もよふきいたと、家内ひそ+声で、 00097630L19もぐさ取出し大/灸(やいと)。かの客人、モウお/暇(いとま)申ま/((し脱カ))よと、揚り口 00097640L20へ出かけれバ、それ、おはきものと、ちやつとせつたをな 00097650M1をせバ、コレハ私が/履(はき)ものでないやうにござりまする。イ 00097660M2ヤ、あなたのせつたでござります。イヱ+、私がせつた 00097670M3は江戸ミやげで、うらのかねでよふわかりますと、手づか 00097680M4ら裏を見て、かの/艾(もぐさ)の跡あれバ、しばし小首かたむけ、今 00097690M5/晩(ばん)ハもちつと帰りとむなうそんしたが、/道理(とうり)こそ。先日の 00097700M6灸点とハ(十四ウ)すこしにじつてござる 00097710¥N18¥J 00097720¥X妾宅の朝 00097730M9/妾宅(せうたく)の雨戸へひゞく明六ツ。ゴン。/旦那(だんな)目をさまし、アヽ 00097740M10用をおもひ出した。たいがいの用なら、マアよいわいな。 00097750M11又たいていでハ来やなさるまい。イヤ+、いなにやなら 00097760M12ぬと/雨戸(あまど)をあけ、/草履(ぞうり)かた足入て、いまかたしへ足をやり 00097770M13かね、ハアヽ、しんハなきよりじやナア。あさがほが、わ 00097780M14が身のひいきして、是ミや。つるをはなをへ、まきつけお 00097790M15つた 00097800¥N19¥J 00097810¥X千鳥足(十五オ) 00097820M18友達さそひ、三人づれにて行けるが、夜に入ければ、もは 00097830M19や帰らんといふに、壱人/正体(しやうだい)もなく/酔(ゑい)ふしけるを、両人 00097840M20して引立て、おふもおわれるも千鳥あしで帰り、せわしく 00097850¥P291 00097860L1表の戸をたゝき、旦那お帰り+といふに、女房立出、戸 00097870L2をあくれば、どや+と内に入、御亭主、きつい酔よふ。 00097880L3帰るまいといひしを、おまへがわしらを/呵(しかつ)てゞあらふとお 00097890L4もひ、二人リしておゝてもどつたと、三人共に/揚(あが)り口へ、 00097900L5どつとこけけるに、女房、申+、こちの人ハといふに、 00097910L6イヤモ、きつい酔よふ。申+、是ハ/着(き)ル物斗じや。手前 00097920L7のハどふしてゞごさんす。二人、びつくりして、(十五ウ) 00097930L8是ハどふじや。慥におふて出たが、帯がゆるんでぬけ落た 00097940¥G(十三オ) 00097950M1のかいのう。女房おまへがたもめつそふな。大ていがよい、 00097960M2人を落しておくといふ事がある物か。マア+、ちやつと 00097970M3尋ねてこふと、どや+出けるに、南の/辻(つぢ)に丸はだかにて 00097980M4こけてゐるを、ひつかゝへ帰りければ、女房、大きにはら 00097990M5を立けるを、サア、尤じや+が、おまへハ仕合なお人じ 00098000M6や。女房何がいな。イヤサ、おとしたハ我等が/誤(あやま)り。した 00098010M7が、よふ人がひらはなんだ 00098020¥N20¥J 00098030¥X鋳かけ茶瓶(十六オ) 00098040M10ソリヤ/銅壷(どうこ)の下がもえすだるぞよ。ヤイ、其/鉢(はち)ハそちらへ 00098050M11なをせ。ヱヽ、ぞべ+と/裾(すそ)はくがな。そして、此のらま 00098060M12つめハどこへいたぞ。あなたハおくで、つぎさんのおあい 00098070M13なされてゞ。又おくで酒か。ソレよべ+。おやぢさん、 00098080M14何ンてござい。なんでヱ。おのれ、此いそかしいのに、酒 00098090M15といや/眼(め)が見へぬ。ちやんとおくへいて、お客とおんなし 00098100M16よふに、あほらしい/顔(つら)をして 00098110¥Y1咄会三席目夕涼巻壱終(十六ウ) 00098120¥P292 00098130¥Y1咄会三席目△△△△△△△△△△¥A参詩軒素従撰 00098140L3△△△夕涼新話集巻の弐 00098150L4△△△△△目録 00098160L5廿壱/夢(ゆめ)の/有合(ありあい)△△△山楽△廿二かげの/花(はな)△△△六華 00098170L6廿三/十八公(しうはつかう)△△△△朱桜△廿四/慾(よく)の/見遁(ミのが)し△△桂陽 00098180L7廿五/紋(もん)の/幸(さいわい)△△△△蜂帰△廿六/目利違(めきゝちが)ひ△△△我笛 00098190L8廿七/勤(つとめ)かた/気(ぎ)△△△歳渡△廿八/江戸訛(ゑどなま)り△△△丸&(壱オ) 00098200L9廿九おやごゝろ△△梅花三十軸/正直(しやうぢき)/一編(いつぺん)△@天王寺|△松本@ 00098210L10卅壱/玉(たま)のかんさし△六華△卅二みそひともじ△朱桜 00098220L11卅三/気転違(きてんちが)ひ△△△人徳△卅四/関寺姿(せきでらすかた)△△△△大梁 00098230L12卅五/銀(きん)まかひ△△△§△卅六/孝行(かう+)△△△△故常 00098240L13卅七/孫(まご)の/興(けう)△△△馬曲△卅八/哥学者(かがくしや)/性根(しやうね)△△菊夫 00098250L14卅九とり/違(ちが)へ△△△子高四十軸/古主(こしう)の/竹鑓(たけやり)△@田嶌△|△柳枝@ 00098260L15△△△△△△巻の二目録終(壱ウ) 00098270¥N1¥J 00098280¥X夢の有合 00098290M3/猩&(しやう※)の徳右衛門と/異名(いめう)の付し大酒ずき、/夢(ゆめ)に/友達(ともだち)の方へ 00098300M4行けり。是ハ徳右衛門どの、珍らしいお出かな。サアお上 00098310M5り。幸ひ貴様のすきの/名酒(めいしゆ)がある。しかし/肴(さかな)はないが、玉 00098320M6子がある。是をふハ+に致そう程に、其/間(ま)に貴様ハかん 00098330M7をして下され。心得たりと徳右衛門、かまの下を/焚(たき)つけ、 00098340M8しばらくして釜のふたをあけんとすれば、ゆめさめたり。 00098350M9ヱヽ、/冷(ひや)でのめバよかつたに 00098360¥N2¥J 00098370¥Xかげの花(二オ) 00098380M12/友達(ともたち)と天王寺参りの戻り。さたハない事、此比/妾宅(せうたく)をこし 00098390M13らへました。大事なくバちよつとよつて下さりませ。コレ 00098400M14ハ+珍らしい。左やうなれバ、御手いけの花を/拝見(はいけん)致す 00098410M15べしと、二人リづれにて妾宅へゆけバ、/台所(だいどころ)より下女と見 00098420M16へて、色ぐろなふごた/尻(しり)の女、茶を持来りあいさつし、し 00098430M17ばらく二人リのはなしの内、/妾(てかけ)らしき者も見へねバ、/連(つれ)の 00098440M18/男(おとこ)、貴公の色すハどふでござる。はやう見せて下されぬか 00098450M19といへバ、今茶を持つて来たが、そうでござる。何をじや 00098460M20ら+。おなぶりなく共、ちよつと/近付(ちかづき)にして下され。ハ 00098470¥P293 00098480L1テ、何の/偽(いつわり)申そふぞ。(二ウ)(三オ挿絵)/台所(だいところ)にいるが、そ 00098490L2ふでござると聞てびつくりし、扨+存じよらず。貴さま 00098500L3の/御内宝(こないほう)ハ、近辺でのきりやうよし。それに又あのやうな 00098510L4不/器量(きりやう)なものをてかけとハ、がてんが参らぬ。御内宝とハ、 00098520L5お月さまとすつぽんほとちかひますぞや。サアそのすつぽ 00098530L6んの/味(あぢ)、御存しないによつてじや 00098540¥N3¥J 00098550¥X十八公 00098560L9かわる事もごんせぬか。ヲヽお出なされ。イヤ、ぬしハ留 00098570L10主かの。ハイ、うへ町までいかれました。マア、上りなさ 00098580L11れ。聞バおまへ、きつう/浄留利(しやうるり)にこつてじやけな。チトき 00098590L12かしんか。/語(かた)つ(三ウ)ても見よかのと、くわいちうより本 00098600L13取いだし、いけもせぬ声はりあげ、かたり出す。近所の/内= 00098610L14義(ない=ぎ)が、とや+と四五人、おしげさん。よい音がするとは 00098620L15いれバ、てうしにのつて大音のうち、がつくりそつくり。 00098630L16聞にはいつた内義たちも、いにしほなく、もゝ/尻(じり)にて、お 00098640L17しげさん。そこにある味噌桶やぬかみそ/桶(おけ)を、ちやつと/表(おもて) 00098650L18へなと出しんかと、小声ていふを、太夫聞付、へヽ、そう 00098660L19大/勢(ぜい)見へてハつらいぞ 00098670¥N4¥J 00098680¥X慾の見遁し 00098690M3/慾(よく)のつよきかたおやぢ、大/道(たう)をあるくにも、たゞハあるか 00098700M4ず、(四オ)眼くバりしてゆくむかふに、銭百文おちてあれ 00098710M5ば、是ハうまいと、/走(はし)りゆきしが、壱両五分とかいた付札 00098720M6に、南無さん、コリヤひろわれぬ 00098730¥N5¥J 00098740¥X紋の幸 00098750M9去ル所の/紺屋(こんや)へ、角の/芝居(しはい)ひいき/連中(れんぢう)より、小川吉太郎の 00098760M10紋付ケ/幟(のぼり)壱本あつらへけるが、請取/人(て)の/麁相(そそう)にて、もんを 00098770M11よこ品に染付、これハマア、どふせうと、主とうわくの所 00098780M12へ、はや取に来る。/連中(れんちう)へ段+わび事すれど、聞いれす。 00098790M13こんなものが何になる。まどふてかへせと(四ウ)たゝみた 00098800M14ゝいてわめけバ、表にハ人がたかる、/差当(さしあた)りてかねハ出来 00098810M15ず、なんぎのていを、人立の中より壱人うちへはいり、さ 00098820M16いぜんからのやうすハうけたまハり、気のどくな事。其の 00098830M17ぼり、わしが/買(か)ふてやろと、かねほり出して、とつて帰り 00098840M18ぬ。こんや大きによろこび、物ずきな人もあれバあるもの 00098850M19と、あとよりついていて見たれば、住よしの三文字屋へは 00098860M20いられた 00098870¥P294 00098880¥N6¥J 00098890¥X目利違ひ 00098900L3兄弟つれにて/湯豆腐屋(ゆとうふや)へはいり、おくへ通れバ、男(五オ) 00098910L4ども、つりものとこゝろへ、ひそかなるざしきへつれ、給 00098920L5/仕(じ)のたびに、あぢな目つかいし、さゝやくを見て、申、兄 00098930L6さん。どふやらいろでも来たやうに思ふそふな。わたしや、 00098940L7はづかしいわいな。なんのかまふ事で。夫でもどふやらわ 00098950L8るい。それならあいらが聞よふに、あにさんといや。/妹(いもと)と 00098960L9いをと折節、かつ手にて/女(にん)印も美くしいが、男もよいとさ 00098970L10ゝやくていを聞、/高声(たかこえ)て、あにさん。いもうとといふたれ 00098980L11ハ、/豆腐(とうふ)をチヨイ+++と切る 00098990¥N7¥J 00099000¥X勤かた気(五ウ) 00099010L14わたしや角力ハ、ツイに見ぬわいな。けふつれてゆきんか。 00099020L15ヲヽこい、と連立ゆきしが、まだ/土俵(どひやう)いりまへのほそじず 00099030L16まふ。ヤツトこゑかけ/組合(くミあい)しが、かたずかしにすかせバ、 00099040L17とば+とはい行、ワアイの声。きやうじ団をあけかける。 00099050L18どつこい残ツたと立あがり、又とりつく。さじきより、彼 00099060L19/女郎(じよろう)、ヲヽひつこ 00099070¥N8¥J 00099080¥X江戸なまり 00099090M3江戸の町+を、はかア+と売あるくを、かミがたのき 00099100M4やく人聞とがめて、あれハなんでござる。サア、あれハ貝 00099110M5の(六オ)みでござる。時にあのうるやつを、ばかに致して 00099120M6お目にかけようとて、はるかにゆき過しを、コリヤ、ばか 00099130M7よ+とよひかへせば、/耳(みゝ)にいりしか、たちもどつて、ア 00099140M8ノばかハおまへかなといへば、ウン、おれじや 00099150¥N9¥J 00099160¥Xおやごゝろ 00099170M11ようせんさま。是ハよふこそお出。いよ+おかわりもご 00099180M12ざりませぬか。おまへにもおかハりないか。扨むすこどの 00099190M13ハどふでござるの。手まへがいつぞや御いけん申てから、 00099200M14おとなしうおなりなされ、先生の所でもせいが出ますと、 00099210M15殊の外に(六ウ)/先生(せんせい)のほめものてござる。さだめて此せつ 00099220M16ハ、/遊所(ゆうしよ)のわるあそびハ、とんとやみませうがの。されば、 00099230M17おまへさまのおせ/話(わ)で、だいぶんやミましたが、しかし/性= 00099240M18根(しやう=ね)ハまだとんとなをらぬか、此間もきいて居ますと、もの 00099250M19よみの/友(とも)だち衆とはなしに、/秋田屋(あきたや)の左でんがかいたいと 00099260M20言ひました 00099270¥P295 00099280¥N10¥J 00099290¥X正直一編 00099300L3/八尾(やを)の/地蔵(ぢぞう)、あミだいけへ/開帳(かいてう)においてなされしが、おり 00099310L4しも/雨(う)てんつゞき、たいくつをなされたか、/講中(かうちう)を(七ノ十 00099320L5オ)呼んで、おれハはよふいにたい。開帳をしたら、/其侭(そのまゝ) 00099330L6いぬぞ。そふおもふてくれいとあれバ、講中きいて、なぜ、 00099340L7左やうにおせきなされまするぞ。マア、ゆるりと/御休息(こきうそく)な 00099350L8されて、おたちなされませといへバ、地蔵イヤ、聞およん 00099360¥G(三オ) 00099370M1だ事がある。むかし/善光寺(ぜんかうじ)の/如来(によらい)が、いけにはまつてゐら 00099380M2れたを、よしミつがしなのゝ国へおふていんだげな。おれ 00099390M3もながいしたら、なにをおふていのふもしれぬ(七ノ十ウ) 00099400¥N11¥J 00099410¥X玉のかんざし 00099420M6中村/粂(くめ)太郎ハ三ケ津に名高き女/形(がた)なれ共、人の/風雅(ふうが)ハかく 00099430M7べつにて、/役者(やくしや)をやめて月花にたのしみ、/好(すく)事の多き中に、 00099440M8/劔相(けんそう)見る事にくハしく、見てもらひにゆく人おびたゝしく、 00099450M9けふも表に/案内(あんない)して、私ハ/浮瀬(うかむせ)のくめでござります。/鯉長(りてう) 00099460M10さん、お宿にござりますか。コレハ+おむすさん、よふ 00099470M11お出。何とおもふてお出たぞ。サアあなたにハ/劔(けん)相ごろう 00099480M12しますと承り、私も見て/貰(もら)ひたさ、女の事なれば、/鏡(かゞみ)を持 00099490M13参いたしました。是ハ何よりお安イ事。/劔相(けんさう)/鏡相(けうさう)と(十壱オ) 00099500M14いふて、書にも出てござる。まづ見てあげふ。扨、鏡の表 00099510M15にくもりなく、是、第一によろしく、扨又/地金(ちがね)に/福寿(ふくしゆ)の相 00099520M16といふて、よろしき/相(そう)が見へます。あるいハ貴人にたより、 00099530M17ふしん等の事に幸があるか、又ハ/唐土(もろこし)の人よりかんざしか 00099540M18うがいの類、もろふやうな事がござろう。何、女房共、ち 00099550M19とお/盃(さかつき)持ておじや。イヱ+、わたくしハさゝハ得くだ 00099560M20さりませぬ。テモ浮瀬の/娘御(むすめご)に、下戸ハうつらぬ。ぜひに 00099570¥P296 00099580L1/一献(いつこん)。イヱ+、おじきでハござりませぬ。ヲヽそんなら 00099590L2幸いの物が有。/甘酒(あまざけ)+ 00099600¥N12¥J 00099610¥Xみそひともじ(十壱ウ)(十二オ挿絵) 00099620L5すこしハ/風雅(ふうか)の西国すぢの/客人(きやくじん)、/宿(やと)の/亭主(ていしゆ)もちと/子細(しさい)もの、 00099630L6同道にて、けふハ/浪花(なにハ)の名たる所をめぐらんと、まづ/難波(なにハ) 00099640L7ばしから西をおしへて、あめにきる/田蓑(たミの)のばし、夫がわた 00099650L8なべ大江ばしといへども、/実(まこと)ハあの天神/橋(ばし)へんが、わたの 00099660L9べや大江の/岸(きし)とよんである所でござります。マア、是から 00099670L10東へと/御城(おんしろ)のばんば打過て玉/造(つくり)。爰も/名所(めいしよ)でござると、/風= 00099680L11雅(ふう=か)の/自慢(じまん)に、ツイ上塩町にさしかゝれバ、/青物店(あをものミせ)にぶら 00099690L12+のりの/看板(かんばん)。客人ハ、テモ大坂でハ、てにはも売ます 00099700L13か 00099710¥N13¥J 00099720¥X気転違ひ(十二ウ) 00099730L16/鑓(やり)の/術(しゆつ)にくわしき/浪人(らうにん)、ある者の方へ、お見/舞(まい)申と来りけ 00099740L17れば、亭主是ハよふこそお/尋(たつね)下されし。かねて待まふけた 00099750L18りといふまゝ、/長押(なげし)にかけし/古鑓(ふるやり)おつ取、くり出し/突(つき)出ス。 00099760L19其有さまに、かの浪人もおどろきながら、まつ+お待あ 00099770L20られ。手向ひハ致さぬ。其元の今の手の内、鑓のくり出し 00099780M1やう、何ともがてんまいらず。まづ/御流義(おりうき)が承りたしと、 00099790M2こゝろせいたる/体(てい)にて問かくる下心ハ、ゆうよさせてつけ 00099800M3こまんずと/早速(さつそく)のきてん。亭主、さハなくて口ばやに、/何= 00099810M4流(なに=りう)/角流(かりう)ハしらず、此すゝを御らうじ(十三オ) 00099820¥N14¥J 00099830¥X関寺姿 00099840M7是ハ/雲水(うんすい)の/沙門(しやもん)にて候。我此程ハ近江の国に候しが、/粟田= 00099850M8越(あハた=こへ)にかゝり、/都(ミやこ)へ登らバやと存候。ヤア見れバ、道の辺り 00099860M9に、としたけたる女、そとはにこしかけやすらふ体。アヽ 00099870M10ラもつたいなや。外の所にて/休(やす)ミ候へといへども、/老女(らうによ)ハ 00099880M11/聾(つんぼ)と見へて、きよろりとしたる体を見て、扨ハ/小野(おのゝ)小町、 00099890M12かりに/姿(すがた)をあらわし、われらにまミへ給ふかや。そとハ何 00099900M13かハくるしかるまじといふやうな、哥の心てかなあらふ。 00099910M14サア+/早(はや)く外の所へいて、やすミ候へ。休ミ候へやとい 00099920M15へども、/老女(らうによ)ハ聞へぬゆへ、道を問ふのと心得、しらぬ 00099930M16+とかぶりふる。(十三ウ)/僧(そう)ハはらを/立(たて)、老女いだきの 00099940M17け、かの木をいたゞき、ゑかうするを、老女見てびつくり。 00099950M18此木ハ。コリヤ/貰(もろ)ふたのじや。/盗(ぬすミ)ハせぬハいの 00099960¥N15¥J 00099970¥X銀まがひ 00099980¥P297 00099990L1是ハ/夜中(やちう)に御くろうでござります。/病人(びやうにん)を御らうじてくだ 00100000L2されましたか。なる程、見ましたと、しさいらしく/俄(にハか)/医者(いしや) 00100010L3をかくさんと、/扇(あふき)ばち+打ならし、気遣ひあるな。アノ 00100020L4病気ハ/当分(とうぶん)の/邪気(しやき)の入にて、おれが薬壱二ふくのました 00100030L5らなをる。ハテ扨、とうからおれに見せたがよいにと、太 00100040L6平楽のいゝ次第。イヤ申。今日/昼(ひる)のお/医者(いしや)様ハ、/渋(しぶ)川さま、 00100050L7小/泉(いつミ)さま、白/髪(かミ)町の(十四オ)/岡(おか)さま。どなたもお見立ハ一 00100060L8ツ所にて、いかうむつかしいとおつしやるし、お/薬(くすり)も出ま 00100070L9せぬ。夫にツイ/当分(とうぶん)の事とのお見立、是ハどふでござりま 00100080L10すときいて、此/医者(いしや)、れき+の見立と/相違(そうい)せしを、ハツ 00100090L11トハ思ひながら、フウ、/昼(ひる)見せさつしやつたハ渋川や小い 00100100L12つミか。それに/今夜(こんや)の/脉(ミやく)のよいハ。ハテナア、/夜目(よめ)/遠目(とをめ)じ 00100110L13やナア 00100120¥N16¥J 00100130¥X孝行 00100140L16母者人が/笋(たけのこ)を/喰(くわ)せといわれましたゆへ、/薮(やぶ)へ/堀(ほり)に参りまし 00100150L17たれば、/銀(きん)のてうしなべを堀出しましたと見せければ、ホ 00100160L18ウ(十四ウ)是ハけつかうな物じや。貴様ハ平生、親に/孝行(かう+) 00100170L19にする事、/誰(たれ)しらぬものもない。大方、天よりあたへられ 00100180L20た物であらう。夫ハ/富(とミ)があたつたやうなものじや。ハイ、 00100190M1是ハおほめに/預(あつか)り/痛(いたミ)入ます。イヤモ、もろこしの廿四孝か 00100200M2ら見てハ、十人/割(わり)にもたりませぬ 00100210¥N17¥J 00100220¥X孫の興 00100230M5コレ/祖父(ぢゝ)さん。わしや毎日てらやで/百人(ひやくに)一/首(しゆ)をよむによつ 00100240M6て、名さへいふと哥ハ皆ちうで覚へて居る。おまへもミな、 00100250M7ちうて覚へて居いか。夫をしらいでよいものか。名をいふ 00100260M8と口/拍子(ひやうし)でいへる物じや。そんなら、ちうでいふて見なさ 00100270M9れ。サア/持統天皇(ぢとうてんわう)。/春(はる)すぎて(十五オ)夏きにけらし白妙の。 00100280M10ヲツト、/柿本(かきのもと)の人丸。足引の山鳥の尾のしだり尾の。ヱヽ 00100290M11口じやによつて、よう覚へてじや。/奥(おく)の方をいふてミなさ 00100300M12れ。/僧正遍照(そうじやうへんじやう)。十方/世界(せかい) 00100310¥N18¥J 00100320¥X哥学者の性根 00100330M15/哥学者(かがくしや)につかへたる男、チト、/旦那(たんな)さまへお尋申たい義が 00100340M16ござります。何事じや。アノ/鳫(がん)ハふるさとへいつ帰ります 00100350M17へ。さてもやさしい事を尋ねるな。アレハ八月の/社(しや)日に来 00100360M18て、二月の社日に帰るものじや。詞にハ、花を/見捨(みすて)て帰る 00100370M19かり、又かすめるそらに帰る/雁(かり)かねなどゝよむものじや。 00100380M20/其方(そち)ハ(十五ウ)むくつけなもので有たが、此内にいるだけ 00100390¥P298 00100400¥G(十二オ) 00100410L13で、風雅の情がうごいてきた。勧学院の雀じやな。イヱ 00100420L14+、足のしゆもつが、あまり痛ンで、じゆつないから 00100430¥N19¥J 00100440¥Xとりちがへ 00100450L17/或(ある)寺の/住持(ちうち)、/外(そと)に/妾(てかけ)を/拵(こしら)へ、あけくれ/寵愛(てうあい)しけるが、内の 00100460L18大こく、是を気にして、ぶら+と/煩(わづ)らい付しが、気をな 00100470L19ぐさめんと、/石塔(せきとう)のあたりへそろ+行しが、眼くらみ、 00100480L20気を取/失(うしな)ひけれバ、住持、あハてゝ走り出、寺の事なれば、 00100490M1おまんとも大こくともいわれす、せんかたなさに、申+ 00100500M2といわれた(十六オ) 00100510¥N20¥J 00100520¥X古主の竹鑓 00100530M5爰に/兄弟(けうだい)の女、/父(ちゝ)の/敵(かたき)を/討(うた)ンと思ひ、国+を尋ね廻りて、 00100540M6やう+相しれけるゆへ、所のつかさへ申上、親の敵をう 00100550M7たせ給ハれと願ひしが、/早速(さつそく)御聞/届(とゞけ)あつて、/定(じやう)日をきハめ、 00100560M8/勝負(しやうぶ)せよとの仰せ。有がたく用意せしが、供につれし八助、 00100570M9すけ/太刀(だち)を願へ共叶ハず。しかし相手ハ大/敵(てき)、女子供の手 00100580M10にハあまる。心元なく、たつて願ひければ、然らバ/竹鑓(たけやり)に 00100590M11てつけ。イヤ、竹鑓ハ。刀にて切ます。切た/跡(あと)がはす切に 00100600M12ならうがな。又つけ。又切ます。又つけ+。こう/短(ミしか)ふな 00100610M13りましたが。其跡ハ米屋へやれ(十六ウ) 00100620¥Y1(匡郭外)咄会三席目夕涼巻の二終 00100630¥P299 00100640¥Y1咄会三席目△△△△△△△△△△¥A参詩軒素従撰 00100650L3△△△夕涼新話集巻の三 00100660L4△△△△△目録 00100670L5四十壱/嫁(よめ)の/里帰(さとがへ)り△△一力△四十二/下女(げによ)の/渡猿(わたりざる)李渓 00100680L6四十三/名作物(めいさくもの)△△△楳残△四十四/言次第(いゝしだい)△△△柳玉 00100690L7四十五/方譲(ほうゆずり)△△△柳翠△四十六一/度(ど)の/恥(はぢ)△△清雅 00100700L8四十七つりざほピン△朱桜△四十八世/界(かい)廻り△△梅子(壱オ) 00100710L9四十九/神(かミ)ハ/正直(しやうぢき)△△△森太郎五十軸/夢(ゆめ)の/本性(ほんしやう)△△可雄 00100720L10五十壱目の正月△△△布生△五十二/紅毛(おらんだ)/細工(さいく)△△潮月 00100730L11五十三野がけ行△△△文十△五十四/器量(きりやう)/自慢(じまん)△△哥柳 00100740L12五十五吉野がえり△△菅水△五十六/仙(せん)人/稽(けい)古△△流芳 00100750L13五十七/浪華(なにハ)の/苔(こけ)△△△転&△五十八/夕顔(ゆふがほ)の/下涼(したすゞみ)△算余 00100760L14五十九本/性(しやう)/忘(わすれ)ず△△大梁△六十軸/律義(りちぎ)/一編(いつぺん)△△点里 00100770L15△△△△△巻の三目録終(壱ウ) 00100780¥N1¥J 00100790¥X嫁の里帰り 00100800M3去れき+の娘よめ入し、こんれい/調(とゝの)ひ、めでたく五日帰 00100810M4りせし所、むすめ、甚たふきげんにて、わしハよめ入ハい 00100820M5や。もふゆきハせんといふを、二親、/仲人(なかふと)、いろ+とな 00100830M6だめすかして、よふ+先へかへせし。其後月日過て、娘、 00100840M7ぶら+/煩(わづ)らひしゆへ、先キより/養生(やうじやう)のためしばらく親里 00100850M8へ預ケおきぬ。母親ハ夜の目もあハず気遣ひに思ひ、娘を 00100860M9一間へよび、わが身の五日帰りの時、いやじやといやつた 00100870M10を、むりにさきへやつたが、居にくい所にむりにいねバな 00100880M11らんとおもやつて、此上病ひが(弐オ)おもふなれば、返つ 00100890M12て母へ/不孝(ふかう)になるほどに、誠にいやなれバ、何時でも/隙(ひま)と 00100900M13つてやろふ。コレ娘。かゝさん、もふよいわいな 00100910¥N2¥J 00100920¥X下女の渡り猿 00100930M16アノ女ごハ/貴公(きかう)の所に居るか。/成程(なるほど)、こちの下女じや。ア 00100940M17レハ/我等(われら)、よう知つているが、ゑらいげんかいじや。しよ 00100950M18てハよいが、/尻(しり)がぬくもると、どふもならんぞや。ソリヤ 00100960M19/合点(かてん)でおいた。ハテ、きつい/物好(ものずき)じや。イヤ、こちの内で 00100970M20ハ/大分(たいふん)つかいやうにこんたんがある。そりや又とうして。 00100980¥P300 00100990L1折+/尻(しり)まくつて水かけるテヱ(弐ウ)(三オ挿絵) 00101000¥N3¥J 00101010¥X名作もの 00101020L4日の/暮(くれ)まぎれに、野道を急ぐ/旅(たび)人の、向ふから来ル/侍(さむらい)が、 00101030L5親の/敵(かたき)、おほへたかとぬき打、/宗近(むねちか)にてや有つらん、/彼旅(かのたび) 00101040L6人のあたまの/皿(さら)より/尻(しり)のわれと迄、/真(ま)二つにから竹わり。 00101050L7アヽうれしや、本/望(もう)とげたと、刀をさやに納めて帰りぬ。 00101060L8跡にて切たをされし/左右(さゆふ)のからだ、むく+と/起(おき)上り、互 00101070L9に/顔(かほ)を見合せて、どふやら見たやうな顔じやが、扨今のハ 00101080L10何の事じや。親のかたき、覚へたかときくといなや、から 00101090L11だがひいやり。/一向(いつかう)此方に覚へハなしと、半分/宛(つゝ)のからた 00101100L12がもたれあふて、(三ウ)あちらの手とこちらの手を組ンて、 00101110L13ハテ、合点のいかぬ 00101120¥N4¥J 00101130¥X言次第 00101140L16友達二三人/寄(より)あひ、壱人がいふやう、扨手前の/裏(うら)に、もみ 00101150L17ぢを植ましたが、/鹿(しか)が参りておだてますにこまりますとの 00101160L18太平楽に、又壱人、さて私方ハふどうを植ましたら、毎日 00101170L19/栗鼠(りす)が来ましておだてますと聞て、今壱人の/客(きやく)、手前にも 00101180L20桐の木を植ましたればと、半分聞て、/鳳凰(ほうわう)がくるといふ事 00101190M1か。古ひ+と打込れて、イヽヱ、下駄屋が来ておだてま 00101200M2す 00101210¥N5¥J 00101220¥X方譲(四オ) 00101230M5/浦嶌(うらしま)、/龍宮(りうぐう)の乙姫に/暇(いとま)乞して帰らんとす。姫、しばらくと 00101240M6押留め、日外、わらハ/眼病(かんひやう)のせつ、そもしの/希代(きたい)の/妙薬(ミやうやく)に 00101250M7てさつそくなをつたが、何卒其薬を少&たまわれかしとい 00101260M8へバ、浦しま、あの薬ハ外の人にハきかず。もとより君ハ 00101270M9御/快気(くわいき)。なに入用にて左やうにハの給ふぞ。サア又眼病が 00101280M10おこるまい物でもない。薬がなくバ、方がきなり共たま 00101290M11われといへバ、左ほどに思ひ給ハばとて、書付をして差出 00101300M12す。姫、取上てひらき見れば、/薬種(やくしゆ)にあらで、わら灰のあ 00101310M13く 00101320¥N6¥J 00101330¥X一度の恥(四ウ) 00101340M16下人、/旦那(だんな)の足をもみ+たづぬるハ、申、アノお/釈迦(しやか)さ 00101350M17んのお/背(せ)ハ、なんほ程ござります。ムウ、壱丈六尺有。そ 00101360M18れを大きにしたのが京の/大仏(だいぶつ)じや。夫よりまだ大きながご 00101370M19ざりますか。あるとも+。十万/億土(おくど)の/阿弥陀如来(あミだによらい)ハ、八 00101380M20十万/億恒河沙由旬(おくこうがしやゆじゆん)といふて、天まて/届(とゞ)くお/背(せ)じや。ヱヽ、 00101390¥P301 00101400L1テモ大キなものでござりますな。それをバもむあんまがこ 00101410L2さりましよかいな 00101420¥N7¥J 00101430¥X釣竿ピン 00101440L5虎之助、どこへ。南へ御/使(つか)ひに。こなたハどこへ。かわせ 00101450L6請取に(五オ)行。ホンニ卯吉。そちの/旦那(たんな)ハ、下のおはぎ 00101460L7をしめてじやないか。いや、またしめハせぬそふな。聞て 00101470L8くれ。かくべつよふもない代ロものに、けふも、松金油か 00101480L9ふて来てやれの、銀のかんさしあつらへにゆけのと、大 00101490L10キに/辛労(しんど)する。/内証使(ないしやうづかい)ハわし斗リ、ほんのあれが、/鯉(こい)で 00101500L11/麦食(むきめし) 00101510¥N8¥J 00101520¥X世界廻り 00101530L14大友の/真鳥(まとり)、むらがる/雁(かり)を/白眼落(にらミおと)してより、のりが来て、 00101540L15/諸鳥(しよてう)残らずにらみおとし、是より/唐土(もろこし)/天竺(てんぢく)へわたり、/鳳凰(ほうわう)、 00101550L16/孔雀(くじやく)、金翅鳥迄にらみ落し、夫より/冥途(めいど)の鳥を/白(にら)(五ウ)/眼(ミ) 00101560L17落さんと、牛王にあて/殺(ころ)され、一月二月たてども戻らぬ故、 00101570L18牛王もわれとわかでに当殺し、/普(あまね)く冥途を尋たれバ、/浄破(しやうば) 00101580L19離の/鏡(かゝみ)のもとで、/焔摩王(ゑんまわう)と/白眼(にらミ)ごくしていられた 00101590¥N9¥J 00101600¥X神ハ正直 00101610M3西国方の/座頭(さとう)、やう+/工面(くめん)して、/官金(くハんきん)を拵へ、京へのぼ 00101620M4るに、明石を通り、人丸へ参詣して、 00101630M5△△△ほの+と誠あかしの浦ならば 00101640M6△△△△我にも見せよ人丸の宮 00101650M7と詠しければ、ふしぎや両眼/忽(たちま)ちひらき、/海山(うミやま)、/草木(そうもく)、/社= 00101660M8檀(しや=だん)のかゝり、あきらかに見へければ、座頭あきれて、/南無= 00101670M9三宝(なむ=さんほう)、ひよんな事いふてのけた(六ノ十オ) 00101680¥N10¥J 00101690¥X夢の本性 00101700M12承りますれば、あなたに/邯鄲(かんたん)の/枕(まくら)が、もろこしより/渡(わたつ)て御 00101710M13座りますげな。何とぞ其枕して五十年の/夢(ゆめ)が見たきと/所望(しよもう) 00101720M14しければ、お安イ事。去ながら、たゝ寐てハせんなし。/粟(あわ) 00101730M15の/飯(いゝ)をたく間に、ねる事でござる程に、/粟(あわ)の/飯(いゝ)を/焚(たく)べし。 00101740M16サア一ツ/眠(すい)まどろみ給へといひけれバ、客、大きに悦び、 00101750M17やがて枕して/寐(ね)入しが、何やら、ボシヤ+/寐言(ねごと)をいふ。 00101760M18/亭主(ていしゆ)、かまハず/飯(めし)をたき居けるが、もはや/飯(いゝ)も/出来(でき)る比な 00101770M19り。/余(あま)りやかましく、枕もとへよつて聞バ、こう早ふ/節季(せつき) 00101780M20が来てハたまらぬ(六ノ十ウ) 00101790¥P302 00101800¥G(三オ) 00101810¥N11¥J 00101820¥X目の正月 00101830L14貴公にも御/婚礼(こんれい)が有たと聞ました。ハイ、一家共から世話 00101840L15致され、せたいをすれバ女房がないと内がしまらぬ。女房 00101850L16ハ世帯の道具じやと、たつてすゝめられました。夫ハおめ 00101860L17でたいといふ内、かの女房、茶をくミ、お茶あけませうと 00101870L18さし出す。ハイ、是ハお慮外にござりますといひ+、女 00101880L19房の皃じろ+ながめ、テモ扨もハテ扨、道具にしてハお 00101890L20しい道具じや 00101900¥N12¥J 00101910¥X紅毛細工(十壱オ) 00101920M3田舎者、なにわの清水へ参詣し、舞台を見あるけバ、ごろ 00101930M4うじませ。/遠(とふ)目がね+と、しやべり居る。いなかもの、 00101940M5立寄て/覗(のぞ)けば、遠目や/正面(しやうめん)なるが/淡路嶋(あわぢしま)。左リに見ゆるが 00101950M6住吉の高/燈篭(とうろう)。田舎もの是+、むかふにしろふ見ゆるハ、 00101960M7なんでござる。あれハ船の/帆(ほ)じやわいのふ。フン、そつか 00101970M8らも見ゆるか 00101980¥N13¥J 00101990¥X野がけ行 00102000M11出立はなやかに、衣ふくもやうの物ずき、しやうぶかわ染 00102010M12の江戸/褄(づま)、/紋(もん)もしやうぶがた、下着も帯も、つむりの道(十 00102020M13壱ウ)(十二オ挿絵)具も供廻りの衣ふく、/茶弁当(ちやべんとう)のまきゑま 00102030M14でも、皆しやうぶがたの物好にて行を、跡から付イていて 00102040M15見れバ、/堤(つゝみ)の角の所で/弁当(べんとう)ひらきしに、/煮染(にしめ)万ミなしやう 00102050M16ぶ/形(かた)なり。是ハけしからぬ事。/喰(くひ)やうハいかゞと見れバ、 00102060M17二つ/喰(くふ)たり三つ/喰(くふ)たり 00102070¥N14¥J 00102080¥X器量自慢 00102090M20引ずりミつちやに、ひたい出て、ほうぼね高く、/鰐口(わにぐち)の大 00102100¥P303 00102110L1/悪女(あくによ)、とうふ/箱(ばこ)さげてゆくを、/近所(きんしよ)の/店(ミせ)に若イもの二三人 00102120L2いて、下女の顔をながめ、よう+、小町様+とほめけ 00102130L3り。下女帰り、申+お/家(いへ)さん。かわつた事を申ます。横 00102140L4(十二ウ)町のみせに若イ男が大ぜい居て、私を見て、小町 00102150L5様+と申ますハ、どふした事と尋る。夫ハわがミのきり 00102160L6やうのよさ。小町といふハ日本一のきりやうよし。それに 00102170L7似たゆへほめるのじやと申されければ、下女/嬉(うれ)しく、いよ 00102180L8+つくりたてゝ通るを、又大勢寄たかり、よふ+小町 00102190L9様+とほめけれバ、下女ゑしやくしてふり帰り、なんじ 00102200L10やの。ちつと斗リにたとて、ヲヽしんき 00102210¥N15¥J 00102220¥Xよし野帰り 00102230L13無/雅(が)なやつじやと旦那殿のお気に入、下男三介、供に(十 00102240L14三オ)つれられ、吉野へ花見にゆかれ、帰られければ、家 00102250L15内の/傍輩(ほうばい)、さて+三介ハ仕合なものしや。定ておもしろ 00102260L16かつたであろの。インヤ、も、さくらばつかりがたんとあ 00102270L17つて、何にもおもしろいものハなかつた 00102280¥N16¥J 00102290¥X仙人の稽古 00102300L20去/富家(ふか)の旦那、書物に眼をさらし、唐のはめ句などして、 00102310M1/楽(たの)しみゐられし、/仙術(せんしゆつ)をまなぶべしと、下屋舗に引こもり 00102320M2/木(こ)の/実(ミ)を食として、十日あまりも過しに、番頭、旦那のき 00102330M3げんをうかゝひに来りければ、ヲヽ八兵衛か。扨+(十 00102340M4三ウ)久しや+。そちも長命で目出たい。そしてこちの 00102350M5内ハ、もう何代ほどになろ 00102360¥N17¥J 00102370¥X浪華の苔 00102380M8大坂より田舎へ商ひに下りける商人、折節長雨にふりこめ 00102390M9られ、つれ※のあまり、/将棊(しやうぎ)の/相手(あいて)をこひければ、所の 00102400M10者一両人来り、あひ手かわれどぬしかわらず、させども 00102410M11+かたばこそ。いかな大坂ものも、まじめになるを見て、 00102420M12皆+きの/毒(どく)そうに帰りける。跡にて、これ御亭主。今見 00102430M13へられた人+ハ、定て此/土地(とち)でのゆび折であらうの。い 00102440M14や、さしならいでござります。(十四オ)ハテナ、もそつと 00102450M15よわひのがあらバ、呼んで下され。イヱ、もふ今のよりよ 00102460M16わいのハ、一ツかうにござりません。ないか。ハテ、不自 00102470M17由な所しやのう 00102480¥N18¥J 00102490¥X夕顔の下涼 00102500M20はたち斗の女の二布して、松葉をよせて/蚊(か)やりとし、ふき 00102510¥P304 00102520¥G(十二オ) 00102530L13ぬく風にも暑をなやみ居る所へ、てゞら着たる男の来りて、 00102540L14扨も+此やうにしても、/土用(とよう)ぜんごハあついに、おらが 00102550L15去年順礼した時、京や大坂で貴人も見たが、/照(て)りつゞく/炎= 00102560L16天(ゑん=てん)に、うつとしい乗ものとやらんにのり、供の者までも、 00102570L17着(十四ウ)物を二つも三つも着て、其上にかづき物して、 00102580L18へらり+とあるくゆへ、どうしたものじやと、所の人に 00102590L19尋ねたら、こゝらのよい衆の内義ハ、みなあのやうにせね 00102600L20バならぬといふた。夫ハマア因果なものじや。そのやうな 00102610M1不自由な所へ、よう嫁入して/行者(ゆくもの)もあるものじやなふ。ナ 00102620M2ンノイヤイ、あんなものハ、あんなもの同士、取やりする 00102630M3わいヤイ 00102640¥N19¥J 00102650¥X本性忘れす 00102660M6何ぞ落てあらバひろハんと心がけて、/不断(ふだん)道をあるく大欲 00102670M7人のさきへあゆむ人、金銀も余程入たるとおもふ/鼻紙袋(はながミふくろ) 00102680M8(十五オ)をハ懐中して、落かゝりたるまゝに、酒きげんや 00102690M9ら千鳥足でひよろり+としければ、大欲人、心に笑ミを 00102700M10ふくみ、落たらバひろハんと跡に付、十四五丁もしたひ行。 00102710M11折よくも鼻紙袋落しければ、/欲人(よくじん)あわてゝ、ヤア嬉しや。 00102720M12やう+落たぞとおもハず言ひしを聞て、コレハ+、よ 00102730M13ふこそおしらせ 00102740¥N20¥J 00102750¥X律義一編 00102760M16大坂の問屋へ田舎の客のほられ、/逗留(とうりう)のうち、手代共、何 00102770M17がなついせうに、今晩ハ/順慶(しゆんけい)町の夜見世御見物かた+、 00102780M18ちと/新(しん)町へも御こしなされませ。太夫の/揚屋(あけや)入、天神の行 00102790M19(十五ウ)通ひ、中+賑+しい事といへバ、それハ去年 00102800M20宮嶋で見ました。めつそうな。爰な太夫てんじんが、とう 00102810¥P305 00102820L1して宮嶋へハ下りませうぞ。デモ、それ+の実名まで聞 00102830L2ております。して、其名ハ何と申ましたな。サア、太夫の 00102840L3/顔(かほ)ハみすごしで見へなんだが、天神ハ梅幸といひました 00102850¥Y1咄会三席目夕涼巻三終 00102860¥Q1 00102870L8△△此所へ書記し御披露仕候。安永四年末冬咄会相催、夫より 00102880L9△△打つゞき興行いたし追て集め候咄しの本出来仕候目録 00102890L10/年忘(としわすれ)/噺(はなし)角力△@岡本対山|椎本下物@△両撰△△△△全部五冊 00102900L11△△右ハ咄会初席目、△申正月二日に本出し置申候 00102910L12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十六オ) 00102920L14/立春(りつしゆん)噺/大集(おほよせ)△△常笋亭君竹撰△△△△全部五冊 00102930L15同/外題(げだい)ニ而/別本(べつほん)△△後素軒蘭庭撰△△△△全部五冊 00102940L16△△右二者ニて咄会二席目相揃申候申四月八日£本出し置申候 00102950L17/順会(しゆんくわい)/咄献立(はなしこんだて)△△@咄会四席目△△近日板行出来|懐中本壱冊△△増舎大梁撰@ 00102960L18/智恵競(ちゑくらべ)/咄揃(はなしぞろへ)△△筆花亭対寿撰△△△△全部五冊 00102970L19△△前に噺角力を撰り集し岡本対山翁身まかり給ひぬる 00102980L20△△追善の咄会を門弟対寿に撰を乞て咄会五席目とする 00102990M1/新撰話(しんせんはなし)/大全(たいせん)△△咄会六席目△酉正月二日本出し申候 00103000M2△△右撰者相致摺出し板行出候ハヽ各&様方被仰合 00103010M3△△新御趣向の御噺数多御恵投奉希候 00103020M4△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十六ウ) 00103030¥P306 00103040¥Y1咄会三席目△△△△△△△△△△¥A参詩軒素従撰 00103050L3△△△夕涼新話集巻の四 00103060L4△△△△△目録 00103070L5六十壱/商売(しやうばいの)/行先(ゆくさき)△露紅△六十二/文字(もじ)の/間違(まちかひ)△△酒好 00103080L6六十三かけ/直(ね)なし△朱桜△六十四あふむ/返(がへ)し△△転& 00103090L7六十五/売屋(はたや)の/癖(くせ)△△勇狸△六十六/万石取(まんごくとり)△△△△丸& 00103100L8六十七/長生(ちやうせい)の/毒忌(どくいミ)△布生△六十八/御落人(をんおちうど)△△△△念夢(壱オ) 00103110L9六十九/福寿艸(ふくしゆさう)△△△鬼外△七十軸/焼米袋(やきこめふくろ)△△△△伝乎 00103120L10七十壱/器用(きよう)な/子(こ)△△§△七十二/石(こく)あらそひ△△天& 00103130L11七十三/夢(ゆめ)にかね△△我笛△七十四あやめの/八橋(やつはし)八木 00103140L12七十五/咳(せき)ばらひ△△■政△七十六/負(まけ)おしミ△△△不沙門 00103150L13七十七/松竹梅(まつたけむめ)/口論(こうろん)△一幸△七十八/所(ところ)/誹諧(はいかい)△△△△不沙門 00103160L14七十九/二度(にど)の/笑(わらひ)△△哥竹△八十軸/古哥(こか)に寄(よる)△△△文橋 00103170L15△△△△△△巻の四目録終(壱ウ) 00103180¥N1¥J 00103190¥X商売行先 00103200M3去人、/道傍(ミちばた)の/干売(ほしうり)見せへ立寄、此辺に見/通(とふ)しさまがござり 00103210M4ますときゝましたが、向ひの/山伏(やまぶし)さまでござりますかと尋 00103220M5ぬれバ、ハイ、左やうでござりますけれど、あれハ大へた 00103230M6てござるゆへ、外をお頼なされませときいて、左やうなら 00103240M7バと行過るを、向ひの山伏、すだれの内より聞イていて、 00103250M8是ほし売や。貴さまハ銭もうけのさまたげをしやるか。な 00103260M9んでわらをたくのじや。どのやうにいやつても、見/通(とふ)しに 00103270M10おいてハ日本/無双(むそう)、外にならびのないおれじや。貴さまが 00103280M11どふ(二オ)おもふて居るといふ事ハ、皆おれが見/通(とふ)してい 00103290M12る。又いつたい、貴さまハどこの人じやぞいの 00103300¥N2¥J 00103310¥X文字の間違 00103320M15大坂の/橋(はし)※ども寄あひ、我+ハなんとして太左衛門橋 00103330M16じやの、九之助ばしじやのと、かる+しういふ。同し/仲= 00103340M17間(なか=ま)内でも、/越(ゑつ)中とのばし、/肥後(ひご)殿ばしとて、殿を付しハ合 00103350M18点ゆかずといゝけれバ、あれハ大名の屋敷に付た名じやゆ 00103360M19へ、/自然(しぜん)と殿付をするのじや。成程夫ハ聞へたが、また大 00103370M20目殿ばしにどのを付たハ、どなたの屋敷跡じやぞ。アレカ。 00103380¥P307 00103390L1あれハ真鳥のやしき(二ウ)(三オ挿絵)跡じやわいの 00103400¥N3¥J 00103410¥Xかけねなし 00103420L4サア一ペんながして/来(こ)ふ。/青柳(あをやぎ)もこぬか。きくもこい。サ 00103430L5ア+きく。きつうのましたな。覚へていゝよ。ナンノイ 00103440L6ナ。青柳さんじやハいな。もし、/自安寺(じあんじ)へ参りなさらんか。 00103450L7参ろ+。ホウ、こゝによい店が出来たの。アイ、六軒丁 00103460L8にもこんな見せが出来たわいな。もし、半ゑり買ふておく 00103470L9れんか。イヤ、/私(わたし)も/袖(そで)ぐちが/萌黄(もへぎ)に仕かへたい。買ふてお 00103480L10くれ。ハテ、おとなげない。ぽぺんにせい 00103490¥N4¥J 00103500¥Xあふむ返し(三ウ) 00103510L13あんまにかたをひねらせけるが、大イ赤下手ゆへ、これ、 00103520L14あんまどの。こなさんハ/商売(しやうばい)にしていながら、きついへた 00103530L15じや。こちのおてつがやつとましじや。もちつと、けいこ 00103540L16がたらぬぞやといへバ、あんまハぶつともいわず、段+ 00103550L17むねをなておろし、夫よりつむりへかゝり、耳のあたりを 00103560L18もみ、ゆびを両ほうの耳へおしこミ、しやべらしておけバ 00103570L19やかましい 00103580¥N5¥J 00103590¥Xはた屋の癖 00103600M3北/浜(はま)辺の衆、二三人打寄て、扨又此金銭などの/相場(そうば)ハ、ち 00103610M4つとなをらぬ事か。夫につれて、何から何まても近(四オ) 00103620M5年ハ高直に成ましたとはなせバ、成程、十年跡の正米の相 00103630M6場と、今の直合イと引合せ、/諸色(しよしき)の/割(わり)の高イから見ますれ 00103640M7バ、いつち米が安といへバ、どふでも仙人が多い故じや 00103650¥N6¥J 00103660¥X万石取 00103670M10去国の/殿様(とのさま)、御てうあいの/小性(こせう)を召させられ、/汝(なんぢ)によきも 00103680M11のをとらせんと、外の/近習(きんしう)にもしらさず、ひそかに一間へ 00103690M12こよと仰らるゝ。これわなんでもよろしき事、日比ほしい 00103700M13+とおもふている/印篭(いんらう)か、たゞしハおさしがへでもてう 00103710M14だいするならんと心うれしく、御返事申あけ、御前へ出れ 00103720M15バ、/殿(との)の(四ウ)仰にハ、さて/夜前(やぜん)、すさましう大なるふじ 00103730M16の山を/夢(ゆめ)に見たが、おれハいらん。われにやるハ 00103740¥N7¥J 00103750¥X長生の毒忌 00103760M19/御隠居(ごいんきよ)さまハ、いつ見ましても/御達者(おたつしや)で、其うへお若イ事 00103770M20でござります。もうおいくつでござります。ヲヽ/長生(ながいき)しや 00103780¥P308 00103790¥G(三オ) 00103800L13うなら、/私(わし)がやうにさつじやれ。もちつとで、百になりま 00103810L14すてや。夫ハおめでたい事でござります。イヤ、長生にハ 00103820L15/毒忌(どくいミ)をせねばならぬ。先つ気をつかふ事がわるひ。/色(いろ)事、 00103830L16酒、/飽食(ほうしよく)、これらの事をいめハ長生します。其/証拠(せうこ)ハ、ア 00103840L17ノ池の亀を(五オ)見や。/食物(しよくもつ)もはぜを壱粒づゝくひます。 00103850L18アノやうに身を大事にすれバ、長生ハうたがひがない。ハ 00103860L19イ、去ながら、亀ハ酒がすきでござりますぞへ。ハテ、す 00103870L20けバとて、買ふてハ呑マぬわさ 00103880¥N8¥J 00103890¥X御落人 00103900M3/光源氏(ひかるげんじ)、御ま男仕過し給ひ、今ハはや、御/恥(はぢ)らひの御お 00103910M4もひ出てや、行衛しれさせ給ハずとなん。御/父君(ちゝぎミ)聞かせ給 00103920M5ひてより、御案し、ひとかたならず。とのいの者をめされ、 00103930M6ひそかに御有家を尋ねもとめくれよかしとありしに、取あ 00103940M7へず、そのまゝにたづね出て、さかし得ざる事、凡二タ月 00103950M8あまりにして、(五ウ)やう+草ふかき中にて、御姿をぞ 00103960M9見まいらせて安堵なせしが、され共此程、何をかわざとな 00103970M10して日を過させ給ひし事ぞとて、ひそかにうかゞひ見参ら 00103980M11せバ、大なる/香(かう)の/図(づ)に、/鼠(ねつミ)の油上ケをくゝり付、狐をつら 00103990M12せ給ふとぞ見へし 00104000¥N9¥J 00104010¥X福寿艸 00104020M15元日に近所へ礼に行、門口より、ものもう+といへど、 00104030M16音もせず。いかゞと思ひ、さしのぞけば、/丁稚(でつち)、宵のくた 00104040M17びれにていねむりいる躰。これハいかぬと高声にて、何屋 00104050M18何兵へ、御礼申ますといへバ、丁稚、其声にびつくり。目 00104060M19をすり+、イヤ、(六ノ十オ)それハとなりでござります 00104070¥P309 00104080¥N10¥J 00104090¥Xやき米袋 00104100L3マア、わらんずもといて上らんせ。何と、在所もさだめし 00104110L4はしかであろ。アイ、風がやう+はやりしまふと、又は 00104120L5しかゞはやる。其跡が目がわるなるやら、モヽしやうらい 00104130L6でごんす。大坂へ出たら寄つてこいといわれたゆへ、ちよ 00104140L7つと寄やんしたて、もふいにやんしよ。ちとまた在へもご 00104150L8んぜ。ハテ、そふいわずと、マアあからしやれ。大坂にハ 00104160L9今ハ会がはやるでの。在ノ人ヱヽそれハ、なんぎでごんし 00104170L10よ(六ノ十ウ) 00104180¥N11¥J 00104190¥X器用な子 00104200L13さる/寺子(てらこ)屋のお内儀、御亭主の留主の内に、子供の清書を 00104210L14見て、ていしゆ、帰たくの後はなさるゝハ、申、此間寺入 00104220L15した子の清書を見ましたれば、いろはを皆左リ文字にかい 00104230L16てゞござりました。きような子でござりますな。ムヽ、あ 00104240L17りやそのはづじや。そりやなせでござりますへ。ハテ、/板= 00104250L18木(はん=き)屋の子じやわいの 00104260¥N12¥J 00104270¥X石あらそひ 00104280M1友/達(たち)打寄、夜ばなしのうへ、一人がいふハ、アノひぜんか 00104290M2きを三(十壱オ)十七万石といふハ鍋嶋にたとへたものじや 00104300M3といへバ、それハわれが覚/違(ちか)ひ。三十六万石じやわやい。 00104310M4イヤ、七万石じやテ。イヤ六万石じやと、べしてもない事 00104320M5に、あらそひはてず。そんなら、かけどくにせうとて、大 00104330M6名/鑑(かゞみ)をさがせとしれず。いねふつている丁稚をむりに引お 00104340M7こし、コリヤ、となりへいてな、大名かゞみをかつて来お 00104350M8れと、しかりつくれハ、ぼやき+寐ているとなりの戸を 00104360M9ぐわつた+。ハイ、/隣(となり)からさんじました。大名かゞみを 00104370M10かして下さりませ。なんじや、よふねているものをたゝき 00104380M11おこして。今比に大名かゞみを、何に(十壱ウ)(十弐オ挿絵) 00104390M12するのじやぞいのう。ハイ、/髭(ひげ)ぬくのしやそふにござい 00104400¥N13¥J 00104410¥X夢にかね 00104420M15コレさつ。茶をひとつたも。ハイと持行、その手をじつと 00104430M16にぎれバ、彼女こゝろで、ほの字とおもひ、おゑさんが見 00104440M17てござるともきはなし、勝手へ出てよごれた手を見て、心 00104450M18はつかしく思ひ、俄に湯をつかひ、みかきたてゝ爪など取、 00104460M19又茶をもつて出れバ、旦那も又手をとり、なでまハし、テ 00104470M20モうつくしい手じや。此手であへものしてくハしや 00104480¥P310 00104490¥G(十弐オ) 00104500¥N14¥J 00104510¥Xあやめの八橋(十弐ウ) 00104520L15さる所の/妾(てかけ)に、男子一人/誕生(でき)し所、さいわい/本妻(ほんさい)に子なけ 00104530L16れバ、これぞ本家の代とりと、おもやへ引取、はやさつき 00104540L17の空になれば、初の/節句(せつく)と/定紋(でうもん)の大のぼり、/兜(かぶと)よ人形よと 00104550L18ひしめくを、妾つく※とおもふハ、扨も+じゆつない 00104560L19めをして産だ子ハ本家へとられ、是ハきついつぼざん用と、 00104570L20市松人形を我子のかわりにして、いつそ本家の通りの/幟(のぼり)を 00104580M1たてんと、もやう紋所も同し様に染させ立ければ、本妻、 00104590M2是をきいて、我かどの幟に張/紙(がミ)をせられたを見れバ、近所 00104600M3にまきらハしき物出来候間、(十三オ)もやう紋所、よく+ 00104610M4御改め 00104620¥N15¥J 00104630¥X咳ばらひ 00104640M7コリヤぼんよ。人さまの前で、/爺(とゝ)がこもきてねると、かな 00104650M8らすいやんな。/夜具(やぐ)きてねるといひふくめけれバ、/合点(がてん)し 00104660M9ける。あるとき亭主、/隣(となり)へ咄しに行けるに、子共、跡から 00104670M10ついていて、とゝの/髪(かミ)にわらの付たるを見て、/爺(とゝ)さん。び 00104680M11んに夜具が付てあるわいの 00104690¥N16¥J 00104700¥Xまけおしみ 00104710M14おさつさん。きつう/寒(さむ)いな。すがハまだこぬかへ。是ハ助 00104720M15さん。(十三ウ)よふお出た。けふハさじきのつゝきがある 00104730M16によつて、まだ見へぬわいな。寒いに、ちやつとこたつへ 00104740M17御出。そんならなんぞたちよか。サアあがりやと友同士二 00104750M18人こたつへあたり、/今夜(こんや)ハふぐと出かけふ。貴様もくふか。 00104760M19いや+、ふぐハおれハくハぬ。たしなめ。貴様こわいか。 00104770M20イヤ、こわい事ハなけれど、喰付ぬによつて。そのかわり 00104780¥P311 00104790L1四つあしなら何でもくふ。犬、/猫(ねこ)、/狐(きつね)、たぬきハ申に及ハ 00104800L2ず、牛、馬、さる、其外はしりのだい、くらかけ、/床几(しやうき)、 00104810L3へついのたい、御座ふねでも、四つ足とさへいへバくふと、 00104820L4太平らくをいふに、そんなら、此こたつのやぐらも四つ 00104830L5(十四オ)足じや。これをくへと、さし出しけれバ、サア、 00104840L6それもくハぬでハなけれども、あたる事しつてハ、どふも 00104850L7くひにくい 00104860¥N17¥J 00104870¥X松竹梅口論 00104880L10松と竹とあらそひの中へ、梅わつてはいり、マア+両人 00104890L11共、だまれ+。是ハしばらく/我等(われら)/預(あづか)りじや。マア、竹ハ 00104900L12いねとて、むりにかへし、跡にて松の木にむかい、貴さま 00104910L13もたしなミや。/世間(せけん)てハ松竹梅ともいわるゝ中じやないか。 00104920L14サアそうじやけれど、マア聞てたも。竹に此間、少&/銭(せに)を 00104930L15取かへたが、今日入用じやによつて、くれんかといふたの 00104940L16じや。ハテ、あれも(十四ウ)男気な、竹わつたやうな者じ 00104950L17やによつて、外へ無心云よりとおもひ、いふたのじや。イ 00104960L18ヤ、それハ貴さまの違ひじや。あれもふしづいて、ようは 00104970L19つていれど、/内証(ないしやう)ハからじやわいの 00104980¥N18¥J 00104990¥X所誹諧 00105000M3南に名高き/端手(はで)な日の出の大茶屋、取込もち込、国屋敷の 00105010M4お客、つれ※うつさんの色遊ひ、なしミのはくが悦バし 00105020M5/代(しろ)ロもの、はたか人形に客の定もん、おまへとふたりの中 00105030M6にと、口でいふよりきゝめのよい、/守(まもり)袋のきハに、名でし 00105040M7れる/迷(まよ)ひ子の札、かわいゝほんちが大きう(十五オ)なつた。 00105050M8見ておくれと手に渡せバ、客、手にとつて、かわいゝやつ 00105060M9だ。ヤツクツ+と/懐(ふところ)へ入レしな、/件(くだん)のまい子の札を見て、 00105070M10何州御屋敷/活斗(くハつと)/帯刀(たてわき)子刀松とよミ、ハテ、大坂にハかわ 00105080M11つた印篭がはやるの 00105090¥N19¥J 00105100¥X二度の笑ひ 00105110M14おにハ外ト福ハ内。よこづちのたとへやら、家内打寄笑ふ 00105120M15折節、小がいの/丁児(てつち)、庭を通りかゝり、こちの/荒神(くハうじん)さまハ若 00105130M16イものじやナア。あの人ハ何をいわんす。イヤ、いまちよつ 00105140M17と荒神様の豆を見たら、十七八程はかないわいの(十五ウ) 00105150¥N20¥J 00105160¥X古哥に寄 00105170M20ゆへあつて/定家(ていか)の/色紙(しきし)を/所持(しよぢ)せし人、他より来れる人に見 00105180¥P312 00105190L1せけれバ、コレハ何になる物でござります。/痘瘡(ほうそう)はしかの 00105200L2守りにもなりますものかとたづねければ、さやうな事ハ存 00105210L3せぬが、是ハのぞミ人がござれば、このやうな/反故(ほうご)のやう 00105220L4なものなれども、百両にも二百両にもなるもの也と申され 00105230L5けれバ、かの人/肝(きも)をつぶし、それハよい直のするものでご 00105240L6ざるの。扨+世間ニハ、大きな銀もちも有バあるものじ 00105250L7や。丁と其やうな反古を、壱荷になふて(十六オ)かど+ 00105260L8を、ていか+といふていきました 00105270¥Y1咄会三席目夕涼巻の四終 00105280¥Q1 00105290L12△△△△△△△此所へ書記し御披露仕候 00105300L13/古今(ここん)/俄選(にわかせん)△△@ひらかな絵入|新板よミ本△@△△全部五冊 00105310L14/安永(あんゑい)/俄選(にハかせん)△△同断△△△△△全部壱冊 00105320L15△△△此俄選ハむかしより今に至る迄、浪花津の夏祭礼に、見及ひ 00105330L16△△△聞つたへたるおもしろき俄を数多あつめ、よミ本となし、猶 00105340L17△△△も来年酉の五月にハ、各様新御趣向の俄をあつめ、咄の会の 00105350L18△△△ごとく評を乞、勝章へ景品を出し申候。且此両選御求メ御覧 00105360L19△△△被下候而、来酉年俄集メ出候ハヽ、新作数多御恵投奉希候 00105370L20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十六ウ) 00105380¥Y1咄会三席目△△△△△△△△△△¥A参詩軒素従撰 00105390M3△△△夕涼新話集巻の五 00105400M4△△△△△目録 00105410M5八十壱/間渡違(けんとちがひ)△△△勇狸△八十二/黐(とりもち)/桶(おけ)△△季岡 00105420M6八十三/丁児(でつち)の/才覚(さいかく)△菅水△八十四/水鏡(ミづかゞみ)△△△キ 00105430M7八十五/夫婦(ふうふ)の/苦笑(にがわらい)△可棟△八十六/弥生(やよひ)の/日和(ひより)△我笛 00105440M8八十七/老(おひ)/女房(によほう)△△△幽山△八十八/金(かね)もち△△△右一(壱オ) 00105450M9八十九/女郎(ぢよろう)の/心(こゝろ)得△文十△九十軸/真田股野(さなだまたの)△△釜井 00105460M10九十壱/天(あま)の/川(がハ)△△百喜△九十二/都(ミやこ)の/異国(いこく)△△五水 00105470M11九十三/如月(きさらぎ)△△示光△九十四いつまで/艸(ぐさ)△出石 00105480M12九十五/稲田(いなだ)の/留主(るす)柳巴△九十六/田舎侍(いなかざむらい)△△蓬洲 00105490M13九十七/商売(しやうばい)+△鬼丸△九十八ひなぶり/伏向(うつむけ)△里 00105500M14九十九/百銅参(ひやくとうまいり)△麻石△百番惣軸/風(かぜ)の/神(かみ)△△△二弓 00105510M15△△△△△△△夕涼巻の五目録終△(壱ウ) 00105520¥P313 00105530¥N1¥J 00105540¥Xけんと違ひ 00105550L3/遠国者(おんごくもの)、二王門を見て、これハ、何といふ/仏(ほとけ)さまじやとい 00105560L4へバ、茶店のばゞかこたへて、これハ二王さまと申て、力 00105570L5士でござる。ムヽして又、身内にチヨボ+物の出来てあ 00105580L6るハ、はしかでもなされたのかととへば、イヱ+、あれ 00105590L7ハ/惣体(そうたい)、力をつよく/達者(たつしや)に守らせ給へと、お頼申しるしに、 00105600L8我思ふ所へ紙をかんであてますとかたれバ、フン、それな 00105610L9れバ、わしも足のたつしやなように願かけませうと、ちり 00105620L10がミをしがみ、二王の足へ打つくれバ、ねらひ/違(ちか)ふて、二 00105630L11王のまへへぴつしやり。(弐オ)ばゞか見付て、こなさんも 00105640L12よいとしをして 00105650¥N2¥J 00105660¥Xとりもち桶 00105670L15/有徳(うとく)なる人の娘、ふきりやうなれば、少&/敷銀(しきがね)を付て成共、 00105680L16/縁(ゑん)につけたくおもふ折から、仲人半分の/医者(いしや)来て、/御息女(ごそくちよ) 00105690L17さまの/御縁談(ごゑんだん)の義について参りしといへば、ふた親大きに 00105700L18悦ひ、夫ハ段+御/世話(せわ)忝し。もはや/仕拵(しこしら)へもいたしあれ 00105710L19バ、いつときも早う頼たしと、はづミ切たる様子にて、娘 00105720L20にも引合せしに、見れバ見るほど/余(あま)りのふきりやう。医者 00105730M1も少シ跡へよりぎみなるを、/支配(しはい)人罷出、とかく縁(弐ウ) 00105740M2(三オ挿絵)遠き娘御なれハ、何とぞ、急ウ+に御世話下さ 00105750M3れかしとたのむに、/医者(いしや)もあまり返事にこまり、イヤ+、 00105760M4マア+、/余人(よじん)へ御見せなされませ 00105770¥N3¥J 00105780¥X丁児の才覚 00105790M7/犬(いぬ)の/首(くび)に/縄(なわ)をかけ、引づり+/泣声(なきこへ)て、頼ミませう/((と脱カ))、/乞(こふ)で 00105800M8つち有。内から、とふれ。/丁児(でつち)、道にて持来る/肴(さかな)、よそ見 00105810M9しているうちに、此犬にくわれしよし/物語(ものかたり)、どふそ御うけ 00105820M10なされた分にして、お手かミの御返事なされて下さりませ 00105830M11と、なく+いふ。内より/主(あるし)きゝつけ、ヲヽ三太郎か。よ 00105840M12ふ来たなア。/芝居(しばい)の(三ウ)かんばん見ていたな。ヱイハ。 00105850M13/肴(さかな)ハうけた分にしてやろと/返事(へんじ)したゝめ、サアこれ持ツて 00105860M14いね。コリヤ、いんでいふにハな、お見/舞(まい)とござりまして 00105870M15見事のおさかなを下さります。おめにかゝりましてお礼申 00105880M16ませうといへ。ヨヨ、泣がほふいていね。ヱヽ有かたふご 00105890M17ざります。せめてマア、此/犬(いぬ)めハあなたのといふて、/走(はし)り 00105900M18/元(もと)にくゝりつける。ヱヽ何するそいやい。なわといていな 00105910M19せ。イヤマア+、うつりハあなたにおかしやつて下さり 00105920M20ませ 00105930¥P314 00105940¥N4¥J 00105950¥X水かゞみ 00105960L3ほんに隣の五郎兵さんに、ふとなれそめハ、此相合井戸。 00105970L4(四オ)互に顔をうつし合、コレおさんよ。銀のかんさしな 00105980L5んのかのと、ホンニ油ぎつたあぢハいがわすられぬ。此へ 00105990L6だての/壁(かへ)がなければ、だきしめたい。大かた、けさも手水 00106000L7つかひに来なさるであろと、井戸をのぞいて、/襟(ゑり)つくろひ 00106010L8まつに、程なく五郎兵にあらで山の神、井戸にかゝり、水 00106020L9くまんとしたりしが、隣のさんが井戸にうつるを、きつと 00106030L10ねめつけ、コレおさん。そなたハこちのぬしと、よう井戸 00106040L11事をしやつたの。つね+くい+思ふていると、大きに 00106050L12はら立せりあへバ、おさんすかさず、申、隣のお内儀さん。 00106060L13なんぼ其やうにいわんしても、五郎さんとハきつと(四ウ) 00106070L14いひかわした事があるわいなと、互にかべごしにせりあふ 00106080L15所へ、五郎兵、手水つかひに出、コレかゝ。マア何いやる。 00106090L16きちがひの様に。アイ、気違ひに成ませいで。此井戸の中 00106100L17を見やしやんせ、といふに、何事やらんと井戸を/覗(のぞ)いて、 00106110L18ハツトおもへど、さあらぬ顔。コレさん。井戸がへハまた 00106120L19はやい。かゝも其やうにせりあハずと、マアつるべおこし 00106130L20やと引たくり、井戸の中へどぶん 00106140¥N5¥J 00106150¥X夫婦のにが笑ひ 00106160M3爰に女あり。ふたゝび人の家へ嫁入せしが、夫婦むつまじ 00106170M4く暮し、ひとりのむすめをもうけける。かくて年月も/移(うつ)り 00106180M5(五オ)ぬれバ、娘、はやむつになりける比、へだてぬ中の 00106190M6心やすだて、ふと互に言合けるが、女房いふにハ、わしじ 00106200M7やとて、其やうにすてられたものじやござんせぬ。そんな 00106210M8どんなものなら、此年月がくらされうか。したぢ居た所で 00106220M9も十五年といふ年月をくらし、爰へ来てももふこれ、十三 00106230M10年といふ月日をおくつたものといゝければ、娘がそばにき 00106240M11いていて、そんなら/嚊(かゝ)さん。おまへも最ふ、又どこぞへい 00106250M12きなさる時分かへ 00106260¥N6¥J 00106270¥X弥生の日和 00106280M15吉野ゝさくら煩ふと聞、/諸方(しよほう)の/珍花(ちんくわ)、おい+見舞に(五 00106290M16ウ)行ける。大坂よりも姉川ざくら、/東岸寺(とうがんじ)、/隆専寺(りうせんじ)、/寿(じゆ) 00106300M17法寺などの桜達、見まいにゆき、御病気と承りましたが、 00106310M18お/医者(いしや)の見立ハいかゞ。わたしが辺にハ、/高津(かうづ)/吉祐(きちすけ)と申名 00106320M19医かござります。是に見ておもらいなされぬかといへば、 00106330M20/姥(うば)ざくら出て、あなたハ薬ハきかぬ恋病でござります。い 00106340¥P315 00106350L1かさまナア。あなたも時分なれバ、そふいふ事も知れぬが、 00106360L2あの子のおそばへゆくものハ、/幕(まく)さんか、/氈(せん)さんか。イヽ 00106370L3ヱ、あなたの恋病のもとハ、せんど駒さんを、ちらとつな 00106380L4いてからじやわいな(六オ) 00106390¥N7¥J 00106400¥X老女房 00106410L7小兵へといふて、はたちばかりの小/男(おとこ)あり。女房ハとしふ 00106420L8けて、大がらなる者なりしが、小兵へ、つね+わがから 00106430L9だのちいさきをあなどるとこゝろへ、女夫げんくハとなり 00106440L10言あいけるが、女房こゑをあらゝげ、親にも持そふなわし 00106450L11を、あらけなくしかるハ何事と、互にたゝきあふ所へ、 00106460L12となりの治郎兵衛来かゝり、此ていを見て/真(まん)中にわけ入、 00106470L13先&やうすをかたられよと尋ぬれバ、小兵衛なミだをなが 00106480L14して、これ、マアきいて下され。おれをあなどり、親にも 00106490L15(六ウ)持そふななどゝいひますわいの。治郎兵衛きいて、 00106500L16それなれば、お内義のがわるい。女房といふ物ハ男を大切 00106510L17にする物じや。こなたハ男をあなどるによつて、ツイそん 00106520L18な詞が出る。チト男をたいせつにさしやれ。女房聞て、な 00106530L19んの、わたしがわるふ思ひましよ。ほんに+、真実の子 00106540L20のやうにおもふていますもの 00106550¥N8¥J 00106560¥X金もち 00106570M3日ハくれかゝる見せさいて、火もともさず、くらがりてた 00106580M4ばこのんで居る所へ、/誰(たれ)やら戸をあけて、お宿にござりま 00106590M5(七オ)すか。どなたじや。ハイ、私でござります。是ハよ 00106600M6ふこそお出た。サア、お上りなされませ。さやうなら/御免(ごめん) 00106610M7といふて、おいへへ上り、しまつ咄しばかりする所が、ま 00106620M8つくらがり。しばらくして、もふおいとま申ましよといふ 00106630M9て庭へおりる。亭主、火お目にかけましよといひつゝ、す 00106640M10り火打とり出し、コツチ+。見へましたか+。客イヤ、 00106650M11私ハはだして参りました 00106660¥N9¥J 00106670¥X女郎の心得 00106680M14あね女郎、新造をこかげにまねきおしへけるハ、つとめの 00106690M15身ハ万事にこゝろへあり。第一が、おきやくのまへで、 00106700M16(七ウ)おならの出そふな時ハ、紙をよくもんで、おいどに 00106710M17あて、スウヽとこいてよく/包(つゝん)で、たもとへ入て置がよいと、 00106720M18いゝきかせおきけるが、はたして座舗にて、おならの出か 00106730M19ゝる時、かの伝じゆの通にして、たもとへ入置しが、夜も 00106740M20ふけ、やがてかぎりの/太皷(たいこ)の/刻限(こくげん)。きやく、かの/新造(しんぞう)にい 00106750¥P316 00106760¥G(三オ) 00106770L13たき付ば、たもとにいれおいた/屁(へ)が、おされてブウヽ。か 00106780L14ぎりのたいこがドヲン。しんぞうハにげんとする。/客(きやく)ハに 00106790L15がすまじとする/拍子(ひやうし)に、たもとの屁がブウウ。かぎりの太 00106800L16皷がトヲン。引ぱるひやうしにブウヽ。かぎりのたいこが 00106810L17ドヲン。(八ノ十オ)互にもミ合ふたびに屁がブウヽ、たいこ 00106820L18がドヲン。ブウヽドヲン+に、一座あわてゝ立さわげハ、 00106830L19亭主走り出、/扇子(あふぎ)をひろげて、長イぞ。立まい+ 00106840¥N10¥J 00106850¥X真田股野 00106860M3/座摩祭(ざままつ)りのみこしまへに、例の鼻高馬にのり、待合すれ共、 00106870M4/行烈(きやうれつ(ママ))が揃ハぬか、いまだみこしハ出ず。其間、鼻高の面 00106880M5の内からそこら見廻し、/二階(にかい)にたゝ二人、/囁(さゝやい)たり、口吸ふ 00106890M6たり、ちわするを、ながめつめいる所を、子供どもが見て、 00106900M7アレ、鼻高見いやい。ゑらいものしやナアといふたら、手 00106910M8/綱(づな)の手で、まへおさへた(八ノ十ウ) 00106920¥N11¥J 00106930¥X天の川 00106940M11新らしい/趣向(しゆかう)で心中せうと、どこでやら牛を壱疋引出し、七 00106950M12夕さまのいしやうをこしらへ、天の川のかわりに、本庄/堤(づゝみ)へ 00106960M13さしてゆき、すでに身をなげんとする所に、あたりの/森(もり)にて、 00106970M14/烏(からす)あまたなきけれバ、男、手を打、扨も鳥るいなれど心あ 00106980M15るものかなと、かさゝぎの橋をおもひやり、かんじ入けれ 00106990M16ば、女郎、わたしやまた、もふ心中かやめにしたい。それハ 00107000M17又どふして。ハテ、死た跡で、あのからすの事をおもへば 00107010¥N12¥J 00107020¥X都の異国(十壱オ) 00107030M20/漁師(りやうし)、/難風(なんぷう)にあい、西南の方へ吹ながされ、とある嶋とお 00107040¥P317 00107050L1ぼしき所へ吹付しが、所の者共打寄、日本人来りし迚、手 00107060L2を取足を取、いづく共なく連て行。道にて、うとふをきけ 00107070L3ば、おやまさんと一所かへ、サヨシヤ+とうたふ。ふし 00107080L4ぎにおもひ、此所ハ日本の内かと問へハ、イヤ、/朝鮮国(ちやうせん)と 00107090L5いふ。扨、わかいもの共はなすを聞けば、今日本にハ咄の 00107100L6会がはやるなどゝきゝて、何ゆへ左やうにはやく知れます 00107110L7といへバ、イヤ、其ために、京都へ耳を/遣((ママ))して置た 00107120¥N13¥J 00107130¥X如月(十壱ウ)(十二オ挿絵) 00107140L10むかし+ぢいとばゞとあつて、ぢいハ山へ柴かりにハゆ 00107150L11かで、ばゞもろ共、長町を南へさしてゆきけれバ、むかふ 00107160L12よりしる人来て、これハ+、御夫婦づれで天王寺へでも 00107170L13お参りなされますか。ハ、イヤ+、今日ハ清水大江屋に 00107180L14はなしの/会(くわい)があるげな。定てこちらか中間もたんと有ふと、 00107190L15聞に行ますわいの 00107200¥N14¥J 00107210¥Xいつまて艸 00107220L18これハけつかうな御ふしんがお出来なされた。チトお座敷 00107230L19を拝見と通り、おくざしき迄ながめあるきしに、はおりの 00107240L20(十二ウ)/袖(そで)に何やら付たり。コレハしたりと、よく見れバ 00107250M1土なり。ハテ、がてんのゆかぬとふりかへり見て、さわが 00107260M2す紙入よりようじを出し、かミ引さきくゝりつけ、かの座 00107270M3舗のかべへぐつしやり 00107280¥N15¥J 00107290¥X稲田の留主 00107300M6ハテめんような。けふハ親旦那ハ留主じやに、/鞠場(まりば)に人音 00107310M7がするがとのぞいて見れバ、御りやう人やこしもと衆、皆 00107320M8まりのしやうぞくにて、はねをついていさせらるゝに、コ 00107330M9リヤおもしろいと一心不/乱(らん)見ていれハ、又しても柳(十三オ) 00107340M10の枝へとまれバ、ソリヤさほ竹よせつぎよともてかへすに 00107350M11ぞ、のぞきゐる/奴(やつこ)まどろしく、申+、私が柳の木にのぼ 00107360M12つてゐて、はねのとまるたびにふり落してあげませうと、 00107370M13つる+とかきのぼれバ、これハよいしゆかうじやと/誉(ほめ)そ 00107380M14やし、サア+おつき遊バせ。一イ二ウ三イ。ソレとまつ 00107390M15たぞや。ヲツト心得、枝をふる。四ウ五ツ六ウ。又とまつ 00107400M16た。又ふりおとす。八七十ヲ。是、奴どの。はねもとまら 00107410M17ぬに、何てふるハしやる。ハイ、しゝがしとふなりました 00107420¥N16¥J 00107430¥X田舎侍(十三ウ) 00107440M20金平に毛のはへた田舎侍、新町へはじめていざなハれ、住 00107450¥P318 00107460L1よしやもとにて、げいこ二三人ひきたてさせさハぎけるが、 00107470L2田舎侍ハしミしたゝるくて、げいこ共にすい付、御門前あ 00107480L3たりへ手をさしこミ、ろうぜきをさハぎしが、アヽいやい 00107490L4なと、持たるばちにて、ばちびんあたまをピツシヤリたゝ 00107500L5くはづミに、うの毛ほどなきづつけバ、/田舎(いなか)/片気(かたぎ)のむくろ 00107510L6ばら、/武士(ぶし)の/眉間(ミけん)にきずうけてハかんにんならぬと、すで 00107520L7にぬき打すべきけしきに、アヽこわと、げいこハにげんと 00107530L8する。一座に居合す大夫/職(しやく)、まづお待とおしとゞめ、お侍 00107540L9ともあらふ御方が、(十四オ)きついぶずい。今此里でもつ 00107550L10はらはやりますハいな。何じや。みけんをたゝく事がはや 00107560L11るか。大夫、哥で、女子にあたまを/叩(たゝ)かれて来たわいな 00107570L12+とうたへハ、侍はやるか+と、少&の疵に/唾(つハ)つけ 00107580L13+きげんを直し、此里ではやるとハおもちろい+。し 00107590L14かし長くハはやるまい 00107600¥N17¥J 00107610¥X商売+ 00107620L17勢州宇治橋の下の/非(ひ)人、大坂へ来り逗留し、芝居見物し、 00107630L18住吉へも参詣し、夫より天王寺へ参り、石のふたいの辺へ 00107640L19来りて、/蓮(はす)にうけたる露を(十四ウ)つ/ぐ((ママ))+と見て、ハヽ 00107650L20ア、どふでも大坂じやなア 00107660¥N18¥J 00107670¥Xひなぶりうつむけ 00107680M3嶋の内のおやま、駕の入かたとねんごろして、たがひにこ 00107690M4つているおくりむかひのたのしみ。ある時かのおやま、朝 00107700M5戻りに、れいのかごかき、相棒をさそひ、むかいにゆきける 00107710M6が、いつもより/余(よ)程ひま入、よふ+/客をつれておくつて 00107720M7出る。又ばんかた、ちかひなふ御出などゝ、しミ+との 00107730M8本せりふ。客もうぢ+、立かねながら出行に、やがてお 00107740M9やまがかごに乗るやいな、かき出し、太左衛門はしへ来ル 00107750M10(十五オ)と、相棒、ちよつとおろしてくれと、かごのたれ 00107760M11あけ、ヤイ、今のざまハ何じや。いま+しいと、目に/角(かど) 00107770M12立ていへバ、これ、たしなまんせ。かとなかで人が聞わい 00107780M13なア。聞たら何じや。今のよふにこだれくさつて、おれが 00107790M14むかいにいたをしつていなから、隙入あがつて。ヱヽこり 00107800M15やたまがかへつたな。きり+こゝへ出あかれ。サア出る 00107810M16わいなア。ヱヽ出されといふなら、はよふ出されやいとい 00107820M17ひ+、下駄を直した 00107830¥N19¥J 00107840¥X百銅参り 00107850M20天神参りに、友達£さいせん百銅ことづかり、此銭を(十 00107860¥P319 00107870L1五ウ)十二銅あげてもいなもの。残りし銭にてなんぞかへ 00107880L2とてくれたのか。しかし、さいせんといふておこしたれバ、 00107890L3皆あけねバ気もすますと思案して、神楽所へ行、申、御膳 00107900L4が上ケとふござります。料ハ何程と問ふ。御膳料ハ十二両 00107910L5也といふに、びつくりして物をもいわず、又思案して、我 00107920L6等がきとうにもなれバ、少しハ銭たしてなりともと、左や 00107930L7うならば組合にても御膳があげられますかといふ。いかに 00107940L8も、半御膳が六両といふ。早道の銭皆だしてもたらねバ、 00107950¥G(十二オ) 00107960M1うぢ+としているに、/禰宜(ねき)/腹(はら)を立、どふじや。人をなふ 00107970M2るのかと(十六オ)せり立られ、やう+と百の銭そつと見 00107980M3すれバ、これハ何でござる。これで御膳上るのか。ハイ。 00107990M4とふそこれで、お茶づけなりと上ケて下さりませ 00108000¥N20¥J 00108010¥X風の神 00108020M7近年医者衆/隙(ひま)にて、よい医者殿もさびしく、いわんややぶ 00108030M8ゐハお/葉打(はうち)からし、甚だこんきう。去年の大晦日の苦しみ 00108040M9わすれず、春を春ともおもハぬ折ふしに、はやり風。サア 00108050M10してやつた。/借銭(しやくせん)の輪ぬけするハこの時と、いさミ立て居 00108060M11る所へ、同気相もとむると、おなじやぶ医達二三人(十六ウ) 00108070M12入来り、わつさりとてんしやうでもはじめんと居ならへハ、 00108080M13はるかにきこゆる/鉦(かね)/太皷(たいこ)。何事なるぞとおどろくを、そば 00108090M14に居合す客人が、あれハ風の神をおくるのでござるといへ 00108100M15ば、ハテ、いらざる/殺生(せつしやう)を 00108110¥Y1咄会三席目夕涼巻の五終 00108120¥P320 00108130¥Q 00108140L3噺清書会頭△順慶町二丁目八百屋町筋南へ入△高橋栄治軒 00108150L5御書物所△心斎橋博労町筋壱丁目東茨木町△書物屋久蔵 00108160L6△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△@合刻@ 00108170L7浪速書肆△道頓堀日本橋壱丁北西かわ△播磨屋九兵衛 00108180L8△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十七オ) 00108190¥Q 00108200L10安永五年申四月七日巻完 00108210L11同△△△△七月新刻 00108220L12△△△道頓ほり大和橋南つめ△山田屋久兵衛 00108230L13△△△すなば小濱町角△△△△海都屋勘兵衛 00108240L14△△△曽根崎新地二丁目△△△△丸屋平兵衛 00108250L15△△△阿波殿橋筋かいや町南へ入△板木屋伝兵衛 00108260L16△△△内久ほうじ町谷町東へ入△△板木屋平八 00108270L17△△△心斎橋博労町南へ入△△△誉田屋伊右衛門 00108280L18噺会御入季被下候ハ御手前ニて右之集所迄御出し 00108290L19可被下候相畫候間御加入奉希候己上 00108300L20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十七ウ)