00000010¥P3 00000020¥U噺本大系△第十一巻 00000030¥T/蝶夫婦(ちようつがい)〔序文〕 00000040¥G 00000050¥Y 00000060L17安永六年正月刊 00000070L18山手ノ馬鹿人此楓序 00000080L19遠州屋板 00000090L20小本一冊 00000100¥Y序 00000110M3/嘉辰(かしん)/令月(れいげつ)、歓無極。/万舌(ばんぜつ)、/撰集(せんしう)、/噺(はなし)もいまだ/央(なかば)ならず。 00000120M4/聞(きけ)ども/尽(つき)ず、/読(よめ)ども/替(かわ)らぬ(序1オ)/古(ふる)い/咄(はなし)は、/西(にし)の海(うミ)へさ 00000130M5らりと/流(なが)し、あら/玉(たま)の/新(あたら)しい/斗(ばつかり)を/撰抜(ゑりぬけ)ば、/丁(てう)どよい/程(ほど)の/丁= 00000140M6数(てう=かず)に/成(なつ)て、/重畳(てうぜう)の/重(かさね)て/畳(たゝ)む(序1ウ)/蝶花形(てうはながた)、/女(め)てう/男蝶(おてう)の 00000150M7/中(なか)もよく、/初編(しよへん)、/続篇(ぞくへん)ひとつに/合(あわせ)、/放(はな)れまいぞの/蝶夫婦(てうつがゐ)と、 00000160M8尓云 00000170M10△△△△△△△△△△△△△△△山手ノ馬鹿人 00000180M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△此楓述 00000190M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序2オ) 00000200¥P4 00000210¥G(序2ウ) 00000220¥N1¥J 00000230¥X/初夢(はつゆめ)の大吉 00000240M3/今宵(こよい)ハ初/夢(ゆめ)。ひよつとわるい夢でも見れバ/気(き)にかゝるが、 00000250M4/邯(かん)たんの/枕(まくら)をして/寐(ね)れバ、/栄花(ゑいぐわ)のゆめを見るといふに/依(よつ)て、 00000260M5/旧冬(ふゆとし)から/聞(きい)て(初一オ)/歩行(あるい)たけれども、/何所(とこ)にもない。貴 00000270M6様しらぬか。Sそれハない/筈(はづ)だ。かん/鄲(たん)の/枕(まくら)といふハ、/千= 00000280M7年(せん=ねん)を/経(へ)た/南天(なんてん)の/木(き)で/拵(こしらへ)た/物(もの)だ△S/道理(どうり)で、/槌(つち)屋にも/丸角(まるがく)に 00000290M8もなかつた。それではどふで(初一ウ)/今夜(こんや)の/間(ま)には/合(あわ)ぬ。 00000300M9ナント、/南天(なんてん)の/葉(は)でハどふであろう△Sされバ、/葉(は)でハ/合= 00000310M10点(がつ=てん)がいかぬが、/只(たゞ)には/増(まし)だろう。/先物(まづもの)ハ/例(ため)し、/葉(は)を/敷(しい)て/寐(ね) 00000320M11て見やれといふて/帰(かへ)り、扨/翌日(あくるひ)/早(そう)+行、(初二オ)△Sどふ 00000330M12だ。/夕部(ゆふべ)の/初夢(はつゆめ)ハ△Sイヤハヤ/奇妙(きめう)+。/物(もの)のいらぬもの 00000340M13だから、/南天(なんてん)の/葉(は)をおもいれ/敷(しい)て/寐(ね)たれバ、とんだゑへ/夢(ゆめ) 00000350M14を見た△Sどんな/夢(ゆめ)だ。/咄(はな)しやれ△Sなんだか/夜(よつ)ぴとひ、 00000360M15/強飯(こわめし)の/夢(ゆめ)を見た(初二ウ) 00000370¥N2¥J 00000380¥Xお/国者(くにもの)の/春袋(はるぶくろ) 00000390M18/町(まち)のけしき/賑(にぎや)かに、なんでごさい+の/声(こへ)も/長閑(のどか)さ。御/年= 00000400M19玉(とし=だま)物御/望次第(のそミしだい)の/看板(かんばん)/目当(めあて)に、あさぎうらの/短(ミじか)い小袖/着(き)た 00000410M20侍が、/舛(ます)屋の見せへ(初三オ)上り、/縞(しま)のびんろうどがほし 00000420¥P5 00000430L1いといふを、手代が/聞(きゐ)て、/手前(てまへ)には左様な物ハ御座りませ 00000440L2んといへバ、Sアニ、ねへ。おれらが/国(くに)サア迄も/聞(きこ)へたい 00000450L3わき舛屋に、びんろうどがなくつて、あんとすべへ(初三ウ) 00000460L4Sそれでもどふも、手/前(まへ)には御座りませんと、/迷惑(めいわく)そふに 00000470L5いふ内、/脇(わき)に/居(ゐ)る手代が/心付(こゝろつい)て、/側(そば)に/有合(ありあわせ)た/縞(しま)のひろうど 00000480L6を出して、/是(これ)でハ御座りませんかと見せれバ、侍、大に/腹(はら) 00000490L7を/立(たち)、(初四オ)△Sそれほど/有物(あるもの)を、ねへとべへいつて、ア 00000500L8ゼ、おれに/売(うる)ハやあだか△Sイヱ、/憚(はゞかり)ながら、是ハびろう 00000510L9どで御座ります。びんろうどと、おはねなさりましては/違(ちが) 00000520L10ひます△Sムヽ、そふだかナ。そんなら、これを(初四ウ) 00000530L11切て/貰(もら)ふべへ△Sハイ、/何(なん)に被成ます△Sきちやくにする 00000540¥N3¥J 00000550¥X/使者(ししや)の/間違(まちがひ) 00000560L14使者、/馬(むま)よりひらりと下りれバ、門番/飛(と)んで出、くゞりを 00000570L15〆て、大門を/明(あけ)に(初五オ)かゝる。S/是(これ)+、御門には及 00000580L16ばぬ。使者で御座るといへども、門番、/聞(きか)ぬふりにて、大 00000590L17門をあける。使者、あきれながら、ひらゐた大門を見れバ、 00000600L18S殿様のお/出(いで) 00000610¥N4¥J 00000620¥X/時代違(じだいちがい)の/長物語(ながものがたり)(初五ウ) 00000630M1/義経(よしつね)公、/雨夜(あまよ)の御つれ+に、四天王を/集(あつ)め給ひ、御/酒宴(しゆゑん) 00000640M2の折から仰出されけるハ、此間/篠塚(しのづか)いがの守が/咄(はなし)にきけバ、 00000650M3/東寺(とうじ)の/羅生門(らせうもん)に/鬼神(きじん)すんで、/往来(おうらゐ)を/悩(なやま)すよし。/誰(たれ)かある。 00000660M4此(初六オ)/金札(きんさつ)を/羅生門(らせうもん)に/建置(たておき)/帰(かへ)るならバ、/家(いへ)に/伝(つた)ハる/天(あま) 00000670M5のから/鞍(くら)、/刄(やいば)の太刀、/何(いづ)れ成とも/望(のぞミ)に/任(まか)せ取らすべしと、 00000680M6御/諚(でう)もいまだ/終(おわ)らぬ内、いまゐの四郎/兼平(かねひら)、/畏(かしこま)り奉ると、 00000690M7/物(もの)の/具(ぐ)りつぱ(初六ウ)に/出立(いでたつ)て、御前にひれふし、/身(ミ)/不肖(ふせう) 00000700M8なれども、/君恩(くんおん)をわすれぬ/某(それがし)、/何(なん)ぞや/是式(これしき)に、御ほうび 00000710M9の/望(のぞミ)ハなし。さりながら、/変化(へんげ)を/見届(ミとゞけ)参りなば、一つのお 00000720M10願ひ。/某(それがし)が/詠哥(ゑいか)の内、さゞ/波(なミ)(初七オ)や/志賀(しが)の/都(ミやこ)のこしお 00000730M11れを、/千載集(せんざいしう)に/加(くわ)へ/給(たまわ)らバ、此上の/本望(ほんもふ)なし。六/弥(や)太ど 00000740M12の、/宜舖(よろしく)お取成/頼(たのミ)入といゝ/捨(すて)て、御前を/立(たち)、/供(とも)をもつれ 00000750M13ず/只(たゞ)ひとり、/勢田(せた)の/橋(はし)にさしかゝれバ、/向(むか)ふの方£(初七ウ) 00000760M14さもやんごとなき/上(じよう)ろうの、/五(いつゝ)ぎぬ/踏(ふミ)したきて/歩(あゆ)ミ/寄(より)、何 00000770M15を/隠(かく)し申さん。/我(われ)ハ此所にすむ/大蛇(だいじや)なるが、年+なす所 00000780M16の子供を、/三上(ミかミ)山の/百足(むかで)に/服(ぷく)せられ、その/恨(うらミ)、/忘(わす)れ/難(がた)し。 00000790M17(初八オ)何とぞ御/身(ミ)の/弓勢(ゆんぜい)にて、/百足(むかで)を/退治(たいじ)て給ハれと、 00000800M18/涙(なミだ)とともにたのむにぞ、/兼平(かねひら)聞て、ソレハいと安き事也。 00000810M19/去(さり)ながら、/三上(ミかミ)山まで女の/足(あし)でハ/覚束(おぼつか)なし。/某(それがし)/負(おひ)て参ら 00000820M20せんと、かの女を(初八ウ)/負(おぶ)ひ、半丁/余(あま)り行と思へバ、大 00000830¥P6 00000840L1/盤石(ばんじやく)のごとくに/重(おも)くなるゆへ、コハふしぎと/振返(ふりかゑつ)て見れバ、 00000850L2御所の五郎丸なり。女ならバ/仕方(しかた)もあれども、/若衆(わかしゆ)の事な 00000860L3れバ、瀬川吉三郎と名をかへて、(初九オ)よし町へ/影間(かげま)に 00000870L4出した所が、大の/繁昌(はんぜう)。しかし/爰(こゝ)にひとつの/難儀(なんぎ)ハ、近所 00000880L5の油屋の娘おそめが/惚(ほれ)て、/付(つけ)つ/廻(まわ)しつくどくゆへ、吉三郎 00000890L6も/不義(ふぎ)の/悪名(あくめう)を付られてハ/成(なる)まいと、木/母寺(ぼじ)へ/迯(にげ)(初九ウ) 00000900L7行、/髪(かミ)を切て/鳴神(なるかミ)上人と/名乗(なの)り、/檀上(だんぜう)にのぼり、/行(おこな)ひ/済(すま)し 00000910L8て/居(ゐ)るを、おそめが/聞付(きゝつけ)、ヱヽ/恨(うらめ)しいといふ/一念(いちねん)にて、/廿= 00000920L9尋(はた=ひろ)あまりの大/蛇(しや)となり、名にしおふ/両国(りようこく)川を、安+とお 00000930L10よぎ(初十オ)/越(こ)して、/雲(くも)のたへまと/変(へん)じ、檀の/下(もと)に/近(ちか)づき、 00000940L11/色(いろ)+さま+の/恋咄(こひばな)しのうへ、/真白(まつしろ)な/内股(うちもゝ)を出しかけて 00000950L12見せれバ、さすがの鳴神上人も、はぎの白きを見て/通(つう)を/失(うしな) 00000960L13ひ、檀上より(初十ウ)はたと/落(おち)る所を、/猪(い)の早太が取て/押(おさ) 00000970L14へて、/九刀(こゝのかたな)さし通す。その時の/辞世(じせい)に、 00000980L15△△Sうもれ木の花咲く事もなかりしに 00000990L16△△△/終(つい)に此/身(ミ)ハとつくりとなる 00001000L17今に/回向院(ゑこういん)に/石牌(せきひ(ママ))が御座ります(初十一オ) 00001010¥N5¥J 00001020¥X/娘(むすめ)の/成人(せいじん) 00001030L20Sお見廻申ます△S是ハ/珍(めづ)らしいお/客(きやく)。マア何と/思(おぼ)し召て。 00001040M1サアまあ、おあがりなされ△Sハイ。扨+御/無沙汰(ぶさた)。/久(ひさ) 00001050M2しうてお目に/懸(かゝ)りましたと、/挨拶(あいさつ)して(初十一ウ)/居(ゐ)る所へ、 00001060M3/節分(せつぶん)の/生壁(なまかべ)を見るよふな大ミつちやの/娘(むすめ)が、/茶(ちや)を/持(もつ)て出れ 00001070M4バ、S是ハお娘子さま。三年ほどお目に/懸(かゝ)らぬ内に、きつ 00001080M5う/御成人(ごせいじん)なさりました△Sイヤ、是ハとなりのむすめで 00001090M6(初十二オ)御座りますSハテ/扨(さて)、/不調法(ぶてうほう)を申ました。とん 00001100M7とお娘子さまに、@といゝながら|皃を見て、△@ゆず二つで御座ります 00001110¥N6¥J 00001120¥X/乙姫(おとひめ)の/労咳(ろうがい) 00001130M10/龍宮(りうぐう)の/乙姫君(おとひめぎミ)、ぶら+とのお/煩(わづ□)ひ。(初十二ウ)/御両親(ごりようしん)のお 00001140M11/案(あん)じ、/大方(おゝかた)ならす。/兎角(とかく)お/気(き)はらしの御/遊山(ゆさん)かよかろう。 00001150M12/先(まづ)/有物(ありもの)のお/舟(ふね)からと、/附(つき)+がすゝめ立て、/海一(うミいち)丸の/楼(やかた)舟 00001160M13をかさり、女中ハもちろん、御/家老(かろう)の/海老爺(ゑびぢい)まで、(初十三 00001170M14オ)/端出(はで)に赤い/帷子(かたひら)着て、さつさおせ+と/乗出(のりだ)し、品川 00001180M15おきへ出る所に、/高輪(たかなわ)の町を、Sなまん/鯵(あじ)ハ/夕(ゆふ)鯵やと、/呼(よん) 00001190M16で行/声(こへ)を、乙姫さまが聞付給ひ、Sアレ、/可愛(かわひ)そふに、/迷= 00001200M17子(まへ=ご)が(初十三ウ) 00001210¥N7¥J 00001220¥X/足留(あしどめ)の/盃(さかづき) 00001230M20/浅草市(あさくさいち)のなぐれが、二人リづれで、/馴染(なじミ)のやたゐへ上つた 00001240¥P7 00001250L1所が、ひとりの女郎ハ/隙(ひま)、ひとりの/相方(あゐかた)ハさして/居(ゐ)るゆへ、 00001260L2/名代(めうだい)取て/居(ゐ)てといへども(初十四オ)/聞(きか)ず。やろうの/玉子(たまご)を見 00001270L3るよふに、かへろ+といふにこまり、/連(つれ)の所へ、かのさ 00001280L4して/居(ゐ)る女郎か/来(き)て、Sもしへ。どふも/新幸(しんこう)さんが、けへ 00001290L5ろうといひなんすけれども、/今夜(こんや)おけへしもふ(初十四ウ)し 00001300L6んしちやア、/下(した)イ/立(たち)ゐせん。/貰(もら)いんせうとおもひすけれど、 00001310L7五人/一座(いちざ)で、三人まで/貰(もらつ)た/跡(あと)でおぜんすから、そう+ハ 00001320L8/貰(もら)ハれもしゐせん。/後(のち)にはどふともしゐすから、/居(ゐ)てくん 00001330L9なんす(初十五オ)よふに、おめへをお/頼(たのん)もふしんす△Sマ 00001340L10アそんなら、わつちが/留(とめ)て見やせう。/何所(どこ)に/居(ゐ)やす△S/向(むか) 00001350L11ふ/座敷(ざしき)でおぜんす△S/新幸(しんこう)や+△Sなんだ△Sマアちよ 00001360L12つと/来(き)やれ△Sいめへましくつてならねへハナ(初十五ウ) 00001370L13Sどふでも、ぬしやアけへるか△Sおめへも、つもつて見 00001380L14なせへ。十二日の/晩(ばん)にもひとり/寐(ね)、又/今夜(こんや)もめうでへとは、 00001390L15あんまり/茶(ちや)でごせんす△Sそうゆふ事なら、おれもけへろ 00001400L16う△Sナニサ、/夫(それ)では(初十六オ)/悪(わる)ふごせんす△Sマア/何(なん) 00001410L17にしろ、/一(いつ)ぺへのミやれ。さそうといゝながら、/懐(ふところ)より何 00001420L18やら/黒(くろ)い/粉薬(こぐすり)のよふなものを取出して、/盃(さかづき)の中へ入て/呑(のま)せ 00001430L19れば、新幸ハその/酒(さけ)をのむとたちまち(初十六ウ)ぐにやと 00001440L20成て、Sイヤ、今からけへるでもねへ。イツソ/寐(ね)ていこう 00001450M1よ△Sそれでこそ新幸/先生(せんせゐ)。大のきまりと、大さわぎに成 00001460M2り、座敷もおもしろく、/床(とこ)が/廻(まわ)れば、かの女郎がこそと来 00001470M3て、S先ほどは(初十七オ)大におせわさんでおぜんした。 00001480M4モシヱ、/夫(それ)に付て、ぬしにお聞もふしんす事がおぜんす。 00001490M5さつき見て居ゐすりやア、何だか黒い物を新幸さんにのま 00001500M6せなんしたら、あれ/程(ほど)にいゝなんした物が、(初十七ウ)/直(ぢき)に 00001510M7きけんが/直(なを)つて、/居(ゐ)る気に成なんしたが、ありやア何とい 00001520M8ふ/薬(くすり)でおぜんす。有なら、ちつとおくんなんし△Sアレハ 00001530M9大/事(じ)の/薬(くすり)さ。/今度(こんど)/持(もつ)て来てあげう△Sありやアまあ、何で 00001540M10おぜん(初十八オ)すへ△S/朝比奈(あさひな)の/黒焼(くろやき)さ 00001550¥N8¥J 00001560¥X/盗人(ぬすひと)の/恋風(こひかぜ) 00001570M13まんまと/家尻(やじり)を切て、/這入(はいつ)て見れバ、/弁天(べんてん)さまのよふな女 00001580M14がたつた一人、/苧(を)をうんで/居(い)る。/襟(ゑり)元の/美(うつく)しさ。(初十八ウ) 00001590M15/盗人(ぬすびと)も/襟元(ゑりもと)がぞつぞとして、どふもこたへられぬゆへ、そ 00001600M16ろり+と/後(うしろ)へ/廻(まわ)り、/小声(こごへ)に、Sもしへ+といへバ、か 00001610M17の女/振向(ふりむい)て、S/誰(たれ)じやといふ。/盗人(ぬすびと)、/指(ゆび)をくわへながら、 00001620M18Sぬす人さ△Sナニ、うそばつかり(初十九オ)S@くわへたゆ|ひでひたゐ@ 00001630M19@へつわ|を付、@/大(だい)せいもん 00001640¥P8 00001650¥N9¥J 00001660¥X/鶴(つる)の/見物(けんぶつ) 00001670L3/田舎(いなか)へ/鶴(つる)がおりて/羽(はね)を/休(やす)めて居るを、/野(の)ら/廻(まわ)りの/親仁(おやじ)が見 00001680L4付て、Sおんぢゐ、見なさろ。ヤレはあ、とんだア/鳥(とり)が 00001690L5(初十九ウ)ぶつちいた△Sホンニさあ、げへに見事なア/毛色(けいろ) 00001700L6だ。あんちう/鳥(とり)たんべへ。あんねへもせなあも出て見され 00001710L7と、/村中(むらぢう)を/呼集(よびあつめ)て/評儀(ひようぎ)すれども、どふも名かしれぬに/依(よつ)て、 00001720L8そんだら/一向寺(いつこうてら)のお(初廿オ)せう人さまに見せべへもさと、 00001730L9/頓(やが)て/和尚(おせう)を/呼(よん)て来て見せけれども、和尚も/知(し)らず。S/愚僧(ぐそう) 00001740L10も/終(つゐ)に見た事のねへ鳥だ。何といふか知り申さぬと、/暫(しば)ら 00001750L11く/考(かんが)へ、イヤ/待(また)つせへよ。あれで(初廿ウ)/觜(くちはし)に/蝋燭立(ろうそくたて)があ 00001760L12れバ/鶴(つる)だが 00001770¥N10¥J 00001780¥X/娘(むすめ)の/不器量(ふきりやう) 00001790L15いけずの娘が、/黒(くろ)ひろうとの/帯(おび)を/〆(しめ)、/猫(ねこ)を/抱(だい)て立て居る。 00001800L16/折節(おりふし)、/車引(くるまひき)が/通(とを)りかゝり、Sアレ見ろ。/帯(おび)にばつかり(初廿 00001810L17一オ)/直打(ねうち)があるなあ△Sホンニ、びろうどかいやがると 00001820L18いふを、娘が/聞付(きゝつけ)て、Sゑへのサ。/外(ほか)に/嬉(うれ)しがる物が/有(ある)の 00001830L19ふと云ながら、/猫(ねこ)を/撫(なで)れバ、S猫にやあにや 00001840¥N11¥J 00001850¥X/灸所(きうしよ)の/早合点(はやがつてん)(初廿一ウ) 00001860M3S貴様ハ/年(とし)が/寄(よつ)ても、/仕合(しあわせ)で/耳(ミヽ)が/近(ちか)い。おれハもふ、ねつ 00001870M4から/聞(きこ)へぬ。/昇(のぼせ)じや/程(ほど)に、ふじへ/灸(きう)をしろと/医者(いしや)殿がいわ 00001880M5るゝが、/道(ミち)ハ/遠(とを)し、お/関所(せきしよ)もあるから、まづ/延(のば)した△Sイ 00001890M6ヤ、ふたつよい(初廿二オ)事ハない物さ。わしハ/冷(ひへ)じやか 00001900M7ら、/亀(かめ)の/尾(を)へすへろといわれたゆへ、/池(いけ)の/端(はた)へ/亀(かめ)を/買(かひ)にや 00001910M8りました 00001920¥N12¥J 00001930¥X/天狗(てんく)の/怪我(けが) 00001940M11天狗、/空(そら)を/飛行(とびゆき)けるが、何とかしけん、(初廿二ウ)/踏(ふミ)はづし 00001950M12て/人家(じんか)の/軒(のき)に/落(おち)、高い/鼻(はな)をしたゝか/打(うち)けれバ、/余(あま)り/痛(いた)さに 00001960M13両手で/鼻(はな)をかゝへ、スウ+フウ+といゝながら、/門口(かとぐち) 00001970M14に立て居れバ、内より、S御無用(初廿三オ) 00001980¥N13¥J 00001990¥X/姉(あね)女郎の/異見(いけん) 00002000M17/馴染(なしミ)の/客(きやく)来りて、しつぽりとした酒事の/最中(さゐちう)、/酌(しやく)をする/禿(かぶろ) 00002010M18が、ぶゐとの/仕損(しそこな)ひ。女郎、/尻目(しりめ)ににらミ置、/客(きやく)が/帰(かへ)ると、 00002020M19そう+/禿(かぶろ)をよび付ケ、(初廿三ウ)△Sホンニ、手めへもち 00002030M20つとたしなミや。/何(と)所の/国(くに)にか、/客衆(きやくしゆ)の/前(めへ)て、おならをす 00002040¥P9 00002050L1るといふ事が有ものか。/線志(ゑんし(ママ))さんハ心安いからまだしも、 00002060L2/初会(しよけへ)で見や。おれが/恥(はし)に成ハナ。まあ/全躰(せんてへ)、手めへの/居(すわ)り 00002070L3(初廿四オ)/様(よう)がわるいからだ△Sどふすわりんすへ△S是、 00002080L4こう/足(あし)を/重(かさね)ての、おいどの/穴(あな)へかゝとをかう付て、かうと 00002090L5いふ内に、ぶう引と取はづし、アレ見や。かゝとがはつれ 00002100L6ると、あの/通(とを)りだ(初廿四ウ) 00002110¥N14¥J 00002120¥X/大食(たいしよく)の/後悔(こうくわい) 00002130L9/無尽茶(むじんちや)屋へ人の/名(めう)代/頼(たの)まれて行。/爰(こゝ)こそ/喰(くわ)ぬハ/損(そん)と、おも 00002140L10ふさましてやりけれバ、何が/腹(はら)が/張(はつ)てせつないから、腹こ 00002150L11なしに、門口へ出て立て(初廿五オ)居る所へ、Sおあまり 00002160L12下さりましと、/乞食(こじき)が来れバ、かの/男(おとこ)が見付て、Sコレど 00002170L13ふだ。ひだるいか△Sハイ。まだ/今朝(けさ)から/給(た)べませぬから、 00002180L14イツソ/腹(はら)がへこ+いたします△Sハテ、/浦(うら)山しい身の上 00002190L15だ(初廿五ウ) 00002200¥N15¥J 00002210¥X/浪人(ろうにん)の/系図(けいづ) 00002220L18浪人もの、/麻上下(あさかミしも)にて来り、/無性(むせう)に/系図(けいづ)じまんをして、お 00002230L19れ程の/家(いへ)がらハ有まい。此三ツ/巴(ともへ)の/紋所(もんところ)ハ、/先祖(せんそ)/眉間尺(ミけんじやく)の 00002240L20/由緒(ゆいしよ)を/以(もつ)て、今に(初廿六オ)/家(いへ)の/紋(もん)に付るといふを見れバ、 00002250M1/柳原仕立(やなきハらしたて)の/上下(かミしも)にて、/劔(けん)かたばミの/紋(もん)の上へ、三ツ/巴(ともへ)を 00002260M2/切付(きりつけ)しゆへ、/少(すこ)しはなれた下に、かたはミの/劔(けん)か出て居る 00002270M3を、わざと/知(し)らぬ/顔(かほ)して、(初廿六ウ)△Sイヤハヤ、お/家柄(いへから) 00002280M4と申、/御紋所(こもんところ)の/御由緒(こゆいしよ)、/承(うけたまわつ)て/驚(おとろき)入ました。三ツ/巴(ともへ)の/下(した) 00002290M5に、/劔(けん)のよふな物が見へますか、それにも/訳(わけ)が御座ります 00002300M6か△Sイヤ、是ハすなハち/眉間尺(ミけんしやく)のしつぽさ(初廿七オ) 00002310¥N16¥J 00002320¥X/砂糖(さとう)/味噌(ミそ) 00002330M9/下女(けちよ)のおなへが、さとう/味噌(ミそ)を/摺(すつ)て居る所へ、/飯焚(めしたき)の/釜(かま)平 00002340M10か来て、/腕(うて)まくりをして、/握(にき)り/拳(こふし)をすつと/差出(さした)し、Sその 00002350M11/味噌(ミそ)を、手のこうへ(初廿七ウ)のせてくんな△Sけしから 00002360M12ねへ。/旦那(だんな)様がお/叱(しか)りなさる△Sヱヽハナ。ちつとくんな 00002370M13Sイヽニヤサ、ならねへよ△Sそんなら、此手をねぢつて 00002380M14見ろ 00002390¥N17¥J 00002400¥X/新参(しんざん)の/使(つかい)(初廿八オ) 00002410M17Sコレ/歩介(ぶすけ)。此手紙を、/入福(いりふく)/富(とミ)右衛門様へ/持(もつ)ていけ△Sハ 00002420M18イ。/何所(どこ)で御座ります△Sなんでも、此通りをまつすぐに 00002430M19いつてナ、/辻番(つじばん)へ/突(つき)あたつて/聞(きい)ていけ△S/畏(かしこま)りましたと、 00002440M20手紙/受取(うけとり)、まつ/直(すぐ)に(初廿八ウ)行て、/辻番(つじばん)の/椽頬(ゑんがわ)へおもい 00002450¥P10 00002460L1れつき/当(あた)れバ、/辻番(つじばん)、/腹(はら)を立て、S/昼(ひる)ひなかに、目が見へ 00002470L2ぬか。どふした/物(もん)だ△Sハイ、/私(わたくし)ハ、どつちへ行ので御座 00002480L3ります 00002490¥N18¥J 00002500¥X/当世(とうせい)の/眉毛(まゆげ)(初廿九オ) 00002510L6Sぬしハ/男(おとこ)ぶりに/言(いゝ)ぶんもねへけれど、いかにしても、/眉= 00002520L7毛(まミ=ゑへ)がそでねへ。ぐつと/細(ほそ)くしやれ。そうさへすれバ、/今業= 00002530L8平(いまなり=ひら)だとなぶれバ、うぬぼれ/男(おとこ)が/早速(さつそく)に/眉毛(まゆげ)を/直(なを)して、S是 00002540L9でハどふじや(初廿九ウ)△Sイヤ+、まだふとゐ△Sナニ、 00002550L10まだふとゐか。そんならかうかと、すつぺり/剃落(そりおと)し、S是 00002560L11でよいか△Sハヽア、是ハしつかいなりだ。アハヽヽ+ 00002570L12Sすいめ。/平(ひら)をバしやれたの 00002580¥N19¥J 00002590¥X/懸物(かけもの)の/唐詩選(とうしせん)(初三十オ) 00002600L15二三人/連(づれ)て/真先(まつさき)へ/出(で)かけ、Sサア/田楽(でんがく)にしよふと、/茶(ちや)屋の 00002610L16二/階(かい)へ上り、/懸物(かけもの)を見て、Sナンダ。主人不相識、偶坐 00002620L17為林泉と、/知(しつ)た/自慢(じまん)に/読(よむ)を、ひとりが聞て、S/何所(どこ)でも 00002630L18きつい/投扇興(とうせんけう)だ(初三十ウ) 00002640¥N20¥J 00002650¥X/役者(やくしや)の/噂(うわさ) 00002660M1/在郷(ざいごう)もの、/芝居(しばゐ)を見て/帰(かへ)り、Sあのナア、お/里好(りこう)殿ハ、ハ 00002670M2ア/器量(きりよう)ハよし、/名(な)の/様(よふ)に/利口(りこう)もりこうで、/云(いゝ)ぶんハおざん 00002680M3ねへが、おしい事にハア、/性悪(せうわる)だモサ。仲蔵殿の(続一オ) 00002690M4女房だアと思へバ、団蔵さまの/為(ため)にも、おく様だあげな 00002700M5Sホンニはあ、/夫(それ)よりもまだ、/利口(りこう)/発明(はつめい)なア三五郎殿だも 00002710M6し。あのよふなアお/役人(やくにん)を、おぢとう様イ/置(おき)てへもんだよ 00002720M7Sほんにサ、したがハア、(続一ウ)/高(たか)くハいわれねへがハ 00002730M8ア、/音(おと)八どのハちつと/抜(ぬけ)て/居(ゐ)るよ 00002740¥N21¥J 00002750¥X/武士(ぶし)の/嗜(たしなミ) 00002760M11Sハイホウ+、/脇(わき)へよれ+といふ所を、/聞(きか)ぬふりで、 00002770M12/供(とも)をわるゆへ、/若党(わかとう)が/捕(とら)へて(続二オ)/突戻(つきもと)せバ、/悪口(あつこう)する 00002780M13ゆへ、Sもふ/堪忍(かんにん)がと/抜放(ぬきはな)す/若党(わかとう)の/刀(かたな)が/赤錆(あかさび)だらけ。/旦(だん)那 00002790M14が見付て、S/平生(へいぜい)の/嗜(たしなミ)が/悪(わる)いから/恥(はぢ)をかく。ドレ/鑓(やり)をと、 00002800M15取て/抜(ぬい)た所が/同敷(おなじく)/真赤(まつか)。S是見ろ。/嗜(たしなん)でも此/通(とを)りだ(続二ウ) 00002810¥N22¥J 00002820¥X/角大師(つのだいし)の/噂(うわさ) 00002830M18/頃(ころ)ハ三月廿一日、/大師河原(だいしかわら)のやく/除(よけ)大師ハ、/霊験(れいげん)あらたに 00002840M19ましますなれバ、われも+と、はるの/野路(のじ)をくわへぎせ 00002850M20る。イヤ、ふつとおもい/出(だ)したが、がてんの行ぬ事がある 00002860¥P11 00002870L1わい。(三オ)けふまいる大師さまも、その外の大師さまも、 00002880L2/皆(ミな)/坊(ぼん)さま。そふありそふなものじやとおもへバ、つの大師 00002890L3のあたまハ/変(へん)じやの。ムヽなる程。是ハもつとも。おらが 00002900L4心じやすめまいから、お寺さまに聞がよかろふ。イカサマ 00002910L5よかろふ。(三ウ)アレ+、むかふにさいわひ/庵(あん)じつ。多 00002920L6葉粉の火を、むしんながら聞ておこふと、内をのぞけバ、 00002930L7/住寺(ぢうじ)とミへて、ナンノ御用。イヤちと、ものを/問(とい)ましやう。 00002940L8大師といふ大師ハミな坊さま。/角(つの)大師ばかり/別(べつ)のよふ。ア 00002950L9リヤどふした(四オ)いわれかしらず。はなして聞して下さ 00002960L10りませ。住寺、にわかにせきめんして、さたハない事。ア 00002970L11レハ/牛(うし)になる/下地(したぢ)でござる 00002980¥N23¥J 00002990¥X/雀(すゞめ)の/子飼(こがい) 00003000L14/爰(こゝ)な男ハばからしい。/能鳥(よいとり)かなんぞの(四ウ)よふに、すゞ 00003010L15めの子をそだてゝ、なんにしやる。イヤサ。のちにハ金に 00003020L16する/腹(はら)だ。おし付ケミやれ。白くなるぞや。どふして是が 00003030L17白くならふ。イヤ、なるだて。ソレにハなんぞ、しかけが 00003040L18あろふな。しかけといふて(五オ)ひじハまつ/毛(げ)。どふぞお 00003050L19れにも/教(おしへ)てくりやれ。ソンナラ人にいふまいぞ。あを/菜(な)の 00003060L20/代(かわ)りに、/大根(だいこん)の/葉(は)をすりゑに入てくわせるじや。ソレデな 00003070M1るかや。イヤ、まだ一ト色大事の薬。ソレハなんだ。ハテ、 00003080M2/地黄(ぢおう)をたへず(五ウ)のませて見やれ 00003090¥N24¥J 00003100¥X/噺(はなし)の/行過(ゆきすぎ) 00003110M5コレ+、お/身(ミ)/達(たち)ハよくおいらが事を、/噺(はなし)に/作(つくつ)て/笑(わろ)ふそふ 00003120M6なが、それ/聞(きい)てハかんにんならぬと、もつての外の/腹立(はらたち)。 00003130M7コレハめいわく。(六オ)ものハ/決定(けつぜう)して/云(いふ)がよい。すでに 00003140M8/孔子(かうし)の曰、/蓋(けだし)と/云(いふ)て/蓋(ふた)をとらねバわからぬものじや。ムヽ、 00003150M9そふかな。/決定(けつぜう)とハその事か。して又、/貴様(きさま)ハなんだとお 00003160M10もつた。おらあ又、/芳町(よしてう)から/来(く)る/文(ふミ)かと/思(おもつ)た 00003170¥N25¥J 00003180¥X/盗人(ぬすひと)の/逆追(さかおい)(六ウ) 00003190M13/独(ひと)りもの、ね入りし所を見すまし、盗人、/壁(かべ)を切/破(やぶ)り、そ 00003200M14ろ+と/這(はい)入りし時、/亭主(ていしゆ)目を/覚(さまし)、/棒(ほう)/追取(おつとり)て/追欠(おいかけ)しに、盗 00003210M15人、道£とつて/返(かへ)し、わきざしをぬいて追かへす。/亭主(ていしゆ)一 00003220M16ツさんに/我屋(わがや)へ/迯行(にげゆ)く。盗人、/急(きう)に追かけれバ、/壁(かべ)(七オ) 00003230M17の/穴(あな)をくゞりなから、てふどよい/迯道(にげミち)が有ツた 00003240¥N26¥J 00003250¥Xおこりの/見舞(ミまい) 00003260M20おまへ、ぎやくをお/煩(わづらい)なさるげな。お/見舞(ミまい)に/参(まい)りました。 00003270¥P12 00003280L1アイ、まだ/落兼(おちかね)まするといふ内、ふるい付キ、くるしみけ 00003290L2るを、かの男、ふしぎそふに、おこりもふるい被成ますか 00003300L3(七ウ) 00003310¥N27¥J 00003320¥X/富突(とミつき)の/指南(しなん) 00003330L6/表(おもて)の/方(かた)に大かんばん。/見徳(けんとく)/秘伝記(ひでんき)/算木(さんぎ)なげよふ第一番より 00003340L7/留(とめ)までをのこらず取よふ口伝/指南(しなん)、と筆ぶとに(八オ)かけ 00003350L8/看板(かんばん)。コリヤおもしろいと、弟子入りども、たのミませふ 00003360L9+。おとをりなされ。弟子入りハ百疋づゝ。ナルホド、 00003370L10心得、持参いたした。御しなんたのミ入まする。ムヽ、や 00003380L11すい事+。なんのぞうさもない事サ。うけやつてとらせ 00003390L12ます。コレハみゝより。(八ウ)そのしかたハ。ハテ、なん 00003400L13の事ハない。札の有たけ、一から/留(とめ)まで、おひとりでかわ 00003410L14つしやい 00003420¥N28¥J 00003430¥X/鰒(ふぐ)のせんさく 00003440L17イヤもふ、/鰒(ふぐ)ほどうまいものハない。きさまもちつとくい 00003450L18給へ。インニヤ、よしましよ。命か大事。(九オ)ハテばか 00003460L19な。あたるもんじやアないといふに、ムヽ、なぜまた、せ 00003470L20けんであたるといふやら。ハテさて、てふがきつい/毒(どく)じや 00003480M1て。ムヽ、よめた。どふりて夕部も友だちが、/岡場所(おかばしよ)でく 00003490M2つたとはなした(九ウ) 00003500¥N29¥J 00003510¥Xあんま取の/感心(かんしん) 00003520M5/奴(やつこ)、お/供(とも)にくたびれて、十六文がひねつてもらへバ、そば 00003530M6からつれがいふよふにハ、なぜやら/奴(やつこ)の/紋(もん)所ハ、ミなくぎ 00003540M7ぬきが付イてある。お身ハさだめてしつたろふ。しらい 00003550M8で(十オ)奴がすむものか。御/玄関(げんくわ)まへでふんばだかつた/後= 00003560M9姿(うしろ=すがた)、此紋所と両足とあたまで、/直(すぐ)に/釘貫(くぎぬき)とミへるによつて 00003570M10釘貫だ。ハテナ。いわれをきけバありがたいノヲ。あんま、 00003580M11ほんにさよふでござります。只今はつめい(十ウ)いたしま 00003590M12した。ナニヲはつめいしやつたぞい。ハテサテ、お足をも 00003600M13ミますと、米かミがうごきまする 00003610¥N30¥J 00003620¥Xうさぎのしゆつくわい 00003630M16むさしの原より、うさぎとびいで、(十一オ)十五夜お月さ 00003640M17まにむかいて、わたくし事、いやしい身なれど、哥にもよ 00003650M18まれ/詩(し)にもつくられ、上&方の御りやう/理(り)にもめし上られ、 00003660M19何不足ハござりませねど、人さまにかわれる時ハ、ふだん 00003670M20のしよく物、きらずばつかり。(十一ウ)是にほうどあぐみ 00003680¥P13 00003690L1ます。おまへさまのおちからで、此なんをのがれるよふに、 00003700L2お守りなされて下さりませと、あかい/眼(め)から涙を/流(なが)して申 00003710L3上れバ、お月さまもやゝしばらく、御へんとうもなかりし 00003720L4が、イヤ+、人をうら(十二オ)むまじ。ソリヤ又なぜで 00003730L5ござります。ハテ、うへゝばかり/長(なが)くつて、/耳(みゝ)たぶがうす 00003740L6いじやないか 00003750¥N31¥J 00003760¥X/神拝(しんはい)も/見立(ミたて) 00003770L9/鰐(わに)口ちやん+打ならして、/神前(しんせん)にひざ(十二ウ)まづき、 00003780L10十二銅のおひねり出して、扇をひらき、初尾をのせて、一 00003790L11心にきせいする所へ、神主出て、ムヽ、きこへた。/苅穂(かりほ)を 00003800L12打たい/願(ぐわん)とミへた 00003810¥N32¥J 00003820¥X七/福神(ふくじん)の/遊(あそ)び(十三オ) 00003830L15こよいハきつふさみしいまゝ、いざや七人より合て、めく 00003840L16りを打とふじやあるまいか。コレハよかろふ。サア+と、 00003850L17すでにはじまる折からに、/鐘旭大臣(せうきだいじん(ママ))お見まい。コレハめづ 00003860L18らし。気ハ中橋カ。ありま山+と、打くつろいでやらか 00003870L19す。そばから、(十三ウ)コレ+/鐘州(せうしう)。ないわ+。ナニ 00003880L20ガミへねい。イヤサ。鬼がミへねいわな。/鐘旭((ママ))、じまんの 00003890M1/髭(ひげ)をなで、鬼ハおれがひざの下ニ 00003900¥N33¥J 00003910¥X/弁慶(べんけい)ハ/調法(てうほう) 00003920M4むさし坊ほど/調法(てうほう)な人ハ有まい。ソリヤなぜに。(十四オ) 00003930M5ハテ、/武士(ぶし)/一道(いちどう)の道具ハ/勿論(もちろん)、大工道具ハのこらずもつて 00003940M6じや。ナルホド。しかし弓の道具をもたない。もつてる 00003950M7+。ソリヤどこに。/墨坪(すミつぼ)につるをまいてじや 00003960¥N34¥J 00003970¥X/魚(さかな)の/寸法(すんほう)(十四ウ) 00003980M10おれハ此中/網(あミ)にいつて、大きなこちをとつたとおもやれ。 00003990M11ハテナ。壱尺斗リもあつたかい。ナニ壱尺。とんだ事を。 00004000M12長サがまあ此くらいと、両手をいつはいにひろげてミせる。 00004010M13コレ、人をばかにしやれ。そんな魚が有ルものか。もちつ 00004020M14とまけやれ。ソンなら是程。ソレでも(十五オ)大きい。ソ 00004030M15ンなら是程。それでも大きい。ソンなら是程。イヤ+、 00004040M16それでもまだうそだ。ソンなら是程+と、両手をひつた 00004050M17りあわせると、アいたゝ+。コリヤどふしやつた。イヤ 00004060M18サ、ひれで手をついた 00004070¥P14 00004080¥N35¥J 00004090¥X/萱原(かやわら)へおふせ(十五ウ) 00004100L3/諸国(しよこく)を/廻(まわ)る/道心者(どうしんじや)に、/快心(くわいしん)坊といふもの有り。本庄辺へ行 00004110L4し時、/葭(よし)の中によしきりといふ鳥、羽を休メさへづるよふ 00004120L5ハ、/快心坊(くわいしんぼう)+/死(し)ぬ+死ぬと/鳴(なき)ければ、心にかゝりて、 00004130L6ふところの銭二三文取出し、死なぬよふにと/葭(よし)の中へ、ば 00004140L7ら+となげ込メバ、(十六オ)よしきりおどろき、チツと 00004150L8鳴てにげ行ば、ハテ、チツとでも、もつて行いで 00004160¥N36¥J 00004170¥X/清水寺(きよミづでら)の開帳 00004180L11悪七兵へ景清が守り本尊、御当地へ下らせ給い、開帳はじ 00004190L12まりければ、あらゆる(十六ウ)/観音菩薩(くわんおんぼさつ)たち、毎日+ 00004200L13おとづれ給い、いろ+の珍物持参の内に、/魚覧(ぎよらん)のくわん 00004210L14おんまいられ、折ふし何もござらぬゆへに、持参の品もよ 00004220L15ふゐいたさぬ。コレハ+御ねんの入た。外にミるものも 00004230L16ござらぬから、その/一篭(ひとかご)の中ハどふじやな。コレハシタリ。 00004240L17(十七オ)手まへハ只ミる斗リの事なれバ、とがもござらぬ。 00004250L18きさま、是をまいつたなら、江戸中のとりさた。ナルホド 00004260L19さよふござるなら、今ハたべまい。かへる時分にこそとし 00004270L20やうくわん。デモ、人の口にハ戸が立らレまい。その時ハ 00004280M1どふ云わけ。ハテさて、そこが/株(かぶ)じやわいの。(十七ウ)株 00004290M2とハどふじや。/爰(こゝ)なやぼめ。/尻(しり)くらいくわんおん+ 00004300¥N37¥J 00004310¥X/盗人(ぬすびと)の/白状(はくぜう) 00004320M5その盗人、爰へひけ。ソレたゝけ。ねぢ上ケろ。アイ+。 00004330M6私、何も盗ンだ覚ハナイ。とハいわさぬ。ソレ(十八オ)首 00004340M7へ/縄(なわ)をつけて、そいつがまたぐらへ引ツ込ミ、木の上へ釣 00004350M8上ろ。かしこまつたと引キこめば、アイ、申ます+。ソ 00004360M9レ、縄をゆるめてやれ。サア有り様に白状しろ。アイ、申 00004370M10ます+。はやくぬかせ。申シませふか。きり+いゝお 00004380M11れ。アイ。始て私が/尻(しり)の/穴(あな)を(十八ウ)見ました 00004390¥N38¥J 00004400¥X万年のあらそひ 00004410M14亀ハ万年いきるといふが、アリヤアうそだろふ。イヤ+、 00004420M15うそハない。万年いきるだて。ナニばかな。どふして万年 00004430M16の/数(かず)がしれるもんだ。ハテ、(十九オ)かぞへよふが有ルわ 00004440M17な。ソリヤまたどふして。ハテ、とらまつた時が百年め 00004450¥N39¥J 00004460¥X/狸(たぬき)のきんたま 00004470M20上ミ方の狸、いなかへ下りてミそをあげけるよふハ、おら 00004480¥P15 00004490L1がきんたまハ八畳敷ぐらい(十九ウ)じやアない。十畳の/余(よ) 00004500L2もひろがる。/田舎(いなか)の狸が/腹(はら)を立ツて、いかに花の/都(ミやこ)だとて、 00004510L3とんだうそを。イヤ+うそハない。そしてきさまハ何ン 00004520L4/畳敷(ぜうじき)だ。おれか。ヲレガのハ、やつと八畳もあるかなし。 00004530L5そばから/狐(きつね)がかんがへて、その/筈(はづ)※。(廿オ)上ミ方のハ 00004540L6/京間(けふま)じやものを 00004550¥N40¥J 00004560¥X/泥亀(すつほん)の/立腹(りつふく) 00004570L9/池(いけ)の/端(はた)の弁天へさんけいせし人、/祈願(きぐわん)ヲこめて/柏手(かしわで)、チヤ 00004580L10ン+打ならすと、池よりすつほんうかミ出て、エヽ、又 00004590L11だまされた(廿ウ) 00004600¥N41¥J 00004610¥X座敷上留理 00004620L14コレ/文好(ぶんかう)や。此中もとなりの日待に/呼(よば)れたが、/新(しん)上るりを 00004630L15おもしろく/語(かた)ツたぞい。/田舎者(いなかもの)、是を聞て、モシ文好さま。 00004640L16なぜあのよふに、イヨありがたい、うまい事とほめまする。 00004650L17何が(廿一オ)ありがたくて礼をいふのか、すつきりがてん 00004660L18がいぎましないと、りくつをいへバ、文好うなづき、礼を 00004670L19いふ/筈(はづ)が有わな。ソリヤあぜたな。ハテ、/床代(とこだい)がいらない 00004680L20から 00004690¥N42¥J 00004700¥X/塩干(しをひ)の道筋(廿一ウ) 00004710M3きのふ/塩干(しをひ)にいつた所が、/高輪(たかなわ)のよこ町へまがつて聞たら、 00004720M4爰ハ/鰡(ぼら)/横(よこ)丁といふ所だとおしへた。それから段+いつた 00004730M5れば、女郎町があつたが、あそこハ何丁といふやら。アレ 00004740M6か。アレハどら横丁(廿二オ) 00004750¥N43¥J 00004760¥Xくらげも/骨(ほね)に/逢(あふ) 00004770M9/近江(おふミ)の源五郎/鮒(ぶな)の所へ、くらげ来りて、コレ+源五郎。 00004780M10きさまハ大ぶん骨がある。おれにちつとくれないか。ヲヽ 00004790M11やすい事だ。ぬいてやろふと、あばらぼね一本ぬき、ソリ 00004800M12ヤさし込ムぞ。モヲ一本と、(廿二ウ)今度ハあたまより、 00004810M13まつすぐにつつ/込(こ)ミ、ソレよいか。コレ+源五郎。たつ 00004820M14た二本ハしわいやつじや。ハテ、今/糸目(いとめ)を付ケてやるのじ 00004830M15や 00004840¥N44¥J 00004850¥X/鷺(さぎ)を/烏(からす) 00004860M18さぎをからすとハ、ナンの事だ。アレか。あれハ/白(しろ)いヲ 00004870M19(廿三オ)/黒(くろ)いといゝ、黒イを白いとあらそふて、/無理(むり)いふ 00004880M20事だ。ムヽ、きこへた。おらが/旦那(たんな)も、よほどな/鷺(さぎ)だそ 00004890¥P16 00004900¥N45¥J 00004910¥X/地口(ぢぐち)の/御褒美(ごほうび) 00004920L3/殿(との)さまへ申上ます。/近頃(ちかごろ)地口と申事はやり(廿三ウ)まして、 00004930L4面白い口合を申ます。ソレハよかろふ。目通りへ/呼(よび)だせ。 00004940L5かしこまつて、地口の/達者(たつしや)、御ぜんへでる。折ふしお/庭(にわ)へ 00004950L6/蟹(かに)がはいでる。ソレ、さつそく申上ろ。ハイ、/庭蟹(にわかに)ハ申さ 00004960L7れませぬ。殿様、もつての外御きげんそこね、にくい(廿 00004970L8四オ)やつめ。にわかにいわれぬ口なら、/自慢(じまん)せふはづが 00004980L9ない。さがれ+との給へバ、御/家老(かろう)申上るよふ、お/庭(にわ)の 00004990L10かにを、すぐさま申上た地口でござります。ムヽ、そふか。 00005000L11それとハしらなんだ。又よび出せ。でませい+と御きげ 00005010L12ん(廿四ウ)/直(なを)り、地口云イよろこんで、さて+、殿様の 00005020L13御きげんなをり、ありがとふ存まする。此上のおとりなし 00005030L14とひれふせば、殿さま、/横手(よこで)をはたと打、是ハよい。なる 00005040L15程おもしろい 00005050¥N46¥J 00005060¥Xかぶろのはつめい(廿五オ) 00005070L18モシヱ、あの/塒(とや)といふ事ハなんの事だね。アレか。あれハ 00005080L19/一度(いちど)+のわづらいで、/髪(かミ)の/毛(け)もうすくなる。てうど鳥の 00005090L20/年(とし)※に、/羽(はね)のぬけ/替(かわ)ルよふなものだよ。ソレでしれんし 00005100M1た。どうりで、わつちらがのも/立(たち)の/侭(まゝ)サ(廿五ウ) 00005110¥Q 00005120M5/聞上手(きゝじようず)△初編△同△△二編 00005130M7同△△△三編△/福話内(ふくわうち)△全 00005140M9/聞童子(きゝどうし)△△全△/蝶夫婦(てうつがゐ)△全 00005150M11/葉留袋(はるぶくろ)△出来△/管巻(くたまき)△出来 00005160M13安永六酉年△元飯田町中坂 00005170M14△△△正月改△△△遠州屋板 00005180¥P17 00005190¥U噺本大系△第十一巻 00005200¥T/春袋(はるぶくろ)〔序題〕 00005210¥G 00005220¥Y 00005230L17安永六年正月刊 00005240L18大馬鹿の多倉太伊助序 00005250L19遠州屋板 00005260L20小本一冊 00005270¥Y/春袋(はるぶくろ)/序(じよ) 00005280M3むかしより/書画(しよぐわ)の/帖(でう)に、/外題(げだい)を/何袋(なにふくろ)、/何種(なにぐさ)など/号(なづく)るハ、/扨(さて) 00005290M4/野暮(やぼ)なものなり。/左様(さやう)の/古(ふる)めかしき(序1オ)/事(こと)は不好。し 00005300M5かし、/舞類(ふる)きをたづね/新良(あたら)し/幾(き)を/知(し)るとやらなれば、/此帖(このでう) 00005310M6の/名(な)を、やつぱり/春(はる)ぶくろと/蒙(かうむ)らしむ。(序1ウ)/福倫糖(ふくりんとう)に 00005320M7はあ/良(ら)ざ/礼(れ)ど/母(も)、/旨(うま)い+と/御評判(ごひやうばん)を/希而已(こいねがふのミ) 00005330M9△△△安永六つの△△△△△△△作者△@大馬鹿の|△多倉太@ 00005340M10△△△△△△△と△し 00005350M11△△△△△△△△正△月△△△△△△△△△△伊△助 00005360M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序2オ) 00005370¥P18 00005380¥G(序2ウ) 00005390¥N1¥J 00005400¥X○/福神(ふくじん)の/夜(よ)/遊(あそ)び 00005410M3/寒(さむ)い/晩(ばん)に、/福禄寿(ふくろくじゆ)が/仲(な)ケ/間(ま)/衆(しゆ)へ/行(いき)やす。/余(あま)りさむさに、/木= 00005420M4綿(も=めん)屋の/戸(と)をたゝいて、/手拭(てぬくひ)にするから、さらしを六尺下さ 00005430M5い。S内から、もしへ、それハ/下帯(したおび)の/間違(まちがい)では御座りませ 00005440M6ぬかと、くゞり戸を(一オ)あける。S/外(そと)から/首(くび)をぐいと入 00005450M7レ、ほうかふりにする 00005460¥N2¥J 00005470¥X○五/節句(せつく)の/古実(こじつ) 00005480M10弐三人/寄合(よりあい)、此五節句といふ事ハ、どふ/云(いふ)/訳(わけ)じややらと、 00005490M11/咄(はな)しなかバへ、/去(さ)ル/物知(ものし)りが/来(き)ました。S扨&、貴様たち 00005500M12ハ/馬鹿(ばか)な事いふ人だ。五節句ハ(一ウ)大/分(ぶん)/六(むつ)ケしい。/先(まづ)/七= 00005510M13種(なゝ=くさ)からして、だん+その/当日(とうじつ)の/日数(ひかず)の/字(じ)が、すこしつゝ 00005520M14か又ハ丸ではいります。三月三日ハ上巳とて、三日のミの 00005530M15/字(じ)△Sもし+、/夫(それ)でハ/重陽(ちやうやう)ハ何と申ます△Sこふで御ざ 00005540M16る。/節句(せつく)では御座らぬ。八/朔(さく)の/朔(さく)の/字(じ)て/差引(さしひき)(二オ)と見え 00005550M17ます 00005560¥N3¥J 00005570¥X○/吸物(すいもの) 00005580M20/座頭(ざとう)が/新宿(しんじゆく)へ/行(い)き、/白魚(しらうを)の吸物が出ました。ちよと/箸立入(はしたていれ) 00005590¥P19 00005600¥G(五ウ・又五オ) 00005610M1見たれば、/何(なに)か/小(ちい)サナさかな。/是(これ)ハ/骨(ほね)/沢山(たくさん)のやうすと、こ 00005620M2そと女郎に聞やした。Sソレカへ。/生(なま)の/白(しら)すぼしさ(二ウ) 00005630¥N4¥J 00005640¥X○/福神(ふくじん)の/俄(にわか) 00005650M5七/福神(ふくじん)/寄合(よりあい)、なんと、/春(はる)のたのしミ、/今宵(こよい)/俄(にわか)をしようじや 00005660M6ないか。Sミな+、よかろと、/先(まづ)/弁天(べんてん)が/琵琶(びわ)をもつて出 00005670M7やした。Sナンタ+。びわつき/出(だ)しのはじめより。Sコ 00005680M8レハおそろ、といふ内、大黒が/俵(たわら)を、ぐつと(三オ)しよい 00005690M9ました。Sナンタ+。俵しよいた秀さと。Sコレハいけ 00005700M10んと、ミな+/大笑(おゝわらい)。/外(ほか)の/衆(しゆ)も、何か/風雅(ふうが)の事ハ不/器用(きよう)に 00005710M11て、/坐(ざ)もしらけたゆへ、/寿老神(じゆらうじん)のいわれたには、/初春(はつはる)にこ 00005720M12のやうな事でハ/済(すま)ぬ。さらばめて度、/今宵(こよい)ハ/仕廻(しまを)ふと、 00005730M13(三ウ)/例(れい)の/鶴(つる)を/真中(まんなか)へ出し、くる+と廻ります。Sナン 00005740M14ダ+。是は/今宵(こよい)の/祝儀(しうぎ)に、/鶴見(つるミ)の/舞(まい) 00005750¥N5¥J 00005760¥X○/焼塩(やきしほ)と/生塩(なまじほ) 00005770M17焼しほと生塩/寄合(よりあふ)て、生塩申様ハ、やきしほ殿。貴様ハう 00005780M18らやましい事だ。其やうに/壷(つぼ)のうちへ/這入(はいり)(四オ)て、そし 00005790M19て人によくつかハれて、わしらハ/年中(ねんぢう)ぬかミその/住居(すまゐ)。/其= 00005800M20上(その=うへ)/冬(ふゆ)になると、大きな/石(いし)をしよつて、なんぎしますといへ 00005810¥P20 00005820L1ば、イヤ+、わしハ此やうに人めにハよくても、ことに 00005830L2よると、おこわにかけられる 00005840¥N6¥J 00005850¥X○/宝船(たからぶね)(四ウ) 00005860L5/由緒(ゆいしよ)/正(たゝ)しき/浪人(らうにん)、/貧(ひん)にてもむかしわすれず、こかうの/臣(しん)と 00005870L6もいつつべき/奴(やつこ)/壱人(ひとり)つかひしに、正月二日の/夜(よ)、世上/一統(いつとう) 00005880L7の/宝舟(たからぶね)の/吉事(きちじ)なれども、/買(かう)こともならぬ大晦日のさわぎ。 00005890L8ナレドモ/例年(れいねん)の吉事ハはづされぬ。コリヤ/凧助(たこすけ)。/其方(そのほう)/絵(ゑ)一 00005900L9まい(五オ)(五ウ・又五オ挿絵)書て、/枕(まくら)の下へ/入(い)レイ。S/畏(かしこまり) 00005910L10ましたと、なにか/早&(そう+)したゝめ、/其夜(そのよ)は/済(すミ)ました。/翌朝(よくちやう)に 00005920L11なり、もしへ旦那様。/昨夜(さくや)ハどふぞなされましたか。/夜中(よぢう) 00005930L12御/寐(ね)がへりばかりなされました。さればそのこと。地しん 00005940L13でもゆるやうで、はなはだ/難儀(なんき)(又五ウ)した。今もつて/不= 00005950L14審(ふ=しん)はれず。/宝舟(たからぶね)に/子細(しさい)あらんと見れば、/猪牙船(ちよきぶね)であつた 00005960¥N7¥J 00005970¥X○/物(もの)あんじ 00005980L17/下手(へた)の/役者(やくしや)の所へ/行(いき)ました。サテかミさん。御やどでも、 00005990L18此/顔(かほ)ミせは市村の御つとめ、御/太義(たいぎ)+。Sハイ、(六オ) 00006000L19おかたじけ。しかし、/深川(ふかがわ)でも/過(すぎ)るかして/帰(かへ)りハおそく、 00006010L20そして/腰(こし)がいたむ+と申まして、くろうで御座りやす 00006020M1Sイヽヤ、そふじやござらぬ。此間、御/亭主(ていしゆ)の/仕(し)うちを見 00006030M2ましたが、あれでは/草臥(くたびれ)で御ざらう△S女房左様(六ウ)な 00006040M3ら、はやがわりてもいたしますか△Sイヽヤ。そしてへ。 00006050M4Sイヤモ、/出(で)る/度(たび)に、たび+/投(なげ)られる/役(やく)で/有(あつ)た 00006060¥N8¥J 00006070¥X○/聞損(きゝそんじ) 00006080M7おのしや/夕部(ゆふべ)、吉原へいつたそふたが、どふだ。Sされバ 00006090M8さ。三人づれでいつたが、すぐにかへつた(七オ)Sそんな 00006100M9ら何ぞ、いざでも出来たか△Sイヽヤ、/随分(ずいふん)もてた△Sハ 00006110M10テナ、そしてどふだ△S夕べ、ぐつとあがりましたところ 00006120M11が、たばこ弐三ぶくのミました△Sソレカラ。その/跡(あと)がす 00006130M12ぐに床入さ 00006140¥N9¥J 00006150¥X○/不学者(ふがくしや)(七ウ) 00006160M15/聞取(きゝとり)かうまんな/学者(がくしや)が、いけんをしやす。とかく/行余力(こうよりよく)あ 00006170M16る/時(とき)ハ/文(ぶん)を/学(まな)べと。/若(わか)いしゆも/隙(ひま)なときは/読物(よミもの)をけいこし 00006180M17やれ。Sハイ、/先(まづ)何をよみましよ。はじめハ/四書(ししよ)、そして 00006190M18五/経(きやう)と/読(よま)しやれ△Sハイ、それがすミましたら、(八オ)何 00006200M19がよふ御座ります△S/跡(あと)ハ/将棊経(しようぎきやう)などが/能(よ)いものじや 00006210¥P21 00006220¥N10¥J 00006230¥X○/俄客(にわかきやく) 00006240L3これ+三助。けふハ四五人の/客(きやく)ゆへ、なにぞ其つもりで 00006250L4大きな/肴(さかな)をかえ。S/畏(かしこまり)ましたと、/皿(さら)をもち、/表(おもて)へ出る。 00006260L5Sムカウカラ、五/嶋(とう)くじら+(八ウ)Sヲヽイ肴よ。なん 00006270L6だ△Sハイ、くじらばかりさ△Sそんなら/爰(こゝ)へ、弐三本見 00006280L7せろ 00006290¥N11¥J 00006300¥X○/年忌(ねんき) 00006310L10なにが/持仏(ぢぶつ)へ、来ル酉年/亡父(ぼうふ)十三/回忌(くわいき)と、大/筆(ふで)なかけ/札(ふだ)。 00006320L11お/袋(ふくろ)見て、あまり利/口(こう)でもなき(九オ)しかた。よしにしや 00006330L12れといえば、S/御尤(ごもつとも)にハぞんじますが、/是(これ)ハいわれが御座 00006340L13ります△S/夫(それ)ハどのやうな事だ△Sハイ、/浅草(あさくさ)をまねまし 00006350L14た 00006360¥N12¥J 00006370¥X○/退屈(たいくつ) 00006380L17/去(さ)ル/殿(との)様、/元旦(くわんたん)の御礼とて、御登(九ウ)/城(じよう)。/跡(あと)ハ御/家来(けらい)何 00006390L18がしとて、たつた/壱人(ひとり)、上下いため/付(つけ)、御/玄関(げんくわん)の番人、び 00006400L19んぼうの御やしきなれバ、おきやくもなく、大あくびで/居(ゐ) 00006410L20られましたところへ、/素袍(すほう)の/音(おと)がざわ+。そりやこそと 00006420M1玄関へ/飛(と)んで出る。Sよい/春(はる)で(十オ)御座る。御いわい申 00006430M2に/参(まい)りました△Sハイ、どなた様で御ざります△S私ハ/万= 00006440M3歳(まん=ざい)/亀(かめ)太夫 00006450¥N13¥J 00006460¥X○/自慢(じまん)も/相手(あいて) 00006470M6/隣(となり)のひとりものが、/朝飯時分(あさめしじぶん)に、もしへ。御/無心(むしん)ながら、 00006480M7けさハいそがしくて、/汁(しる)をこしらへませぬ。(十ウ)一ぱい 00006490M8てうだい。S女房たゞの汁だによ△Sヒトリモノたゞの御汁 00006500M9でも、おまへのハ何か、むまふ御さりましよ△Sテイ主い 00006510M10やも、こちのハ/味噌(ミそ)でハないによ△Sヒトリモノ/牛(うし)のくそ 00006520M11なら、/帰(かへ)りましよう 00006530¥N14¥J 00006540¥X○/無間(むけん)の/鐘(かね)(十一オ) 00006550M14/去(さ)る女郎屋へ、しかつべらしきいきちよん、/深(ふか)いなじミに 00006560M15/通(かよ)ひ/尽(つく)し、今ハ/嶋(しま)ちり壱つの/身(ミ)のうへ、つもり+し/揚代(あげたい)、 00006570M16/梶(かち)原もどきの三百両。ソコデ/正宗(まさむね)のしち入。何が/翌(あす)その/刀(かたな) 00006580M17がなけれバとて大/騒(さわ)き。/相方(あいかた)がすかして、やう+きやく 00006590M18ハ(十一ウ)かへしたが、三分もつた/客(きやく)、おくニも見へず。 00006600M19ヨシ+ト/手水鉢(てうずばち)の/古実(こじつ)をおもひ出し、ひしやくおつ取、 00006610M20口すゝぐ所へ、けたかき/声(こゑ)して、其金/爰(こゝ)にと、ばらり+。 00006620¥P22 00006630L1いわゆる/袖(そで)/引(ひき)ちぎつて/拾(ひろ)ひましたが、袖ハちいさし、入も 00006640L2のにこまつたとさ。Sソレハ(十二オ)どふした事だ△Sソ 00006650L3ノハヅ。ミンな/南鐐(なんりやう)サ 00006660¥N15¥J 00006670¥X○/化物(ばけもの)の/臆病(おくへう) 00006680L6/狐(きつね)の所へ、ミこし入道が/行(いき)やす。Sたのミましよ+△ 00006690L7Sコレハ+よふ御出被成ました△Sイヤ、/今日(こんにち)まいる事、 00006700L8/別(べつ)の事でも御ざらぬ。/親共(おやとも)の時とちがい、/拙者(せつしや)/世(よ)になり、 00006710L9ばけもの(十二ウ)/仕(し)うち、/一向(いつかう)見ませぬゆへ、少&御そう 00006720L10だんに参つたといへば、狐がついと立て、みこし/入道(にうどう)のや 00006730L11つし/先生(せんせい)。此しうちハどふで御ざるといへども、何か入道 00006740L12ハうつむいて/居(ゐ)るゆへ、よく+見たら、目を引付ておつ 00006750L13た(十三オ) 00006760¥N16¥J 00006770¥X○/福神(ふくじん)の/借貸(かりかし) 00006780L16大黒の所へゑびすか行、さて此廿日ハ/町家(てうか)で祝ひますゆへ、 00006790L17所&へ参つて、うまいものハ/喰(く)ひますが、/余(あま)り/形(なり)がきたな 00006800L18くこまります。どふぞ廿日過まで、金/成(なり)とも米成とも、か 00006810L19して下され。(十三ウ)△S大黒/当分(とうぶん)金/気(け)ハないが、そんなら 00006820L20大びねでも/能(よく)ハ、米でかしませふが、/返済(へんさい)ハ米か金か 00006830M1Sゑびす米と/云(い)つてもむつかしいから、金で/済(すま)しましよう 00006840M2S大黒そんなら、御/張紙(はりがミ)/直段(ねだん)よ 00006850¥N17¥J 00006860¥X○/述懐(じゆつくわい)(十四オ) 00006870M5/南鐐(なんりやう)の所へ、四文銭が/来(き)ました。是ハ御出、かたじけない。 00006880M6扨&貴様なとハ、/手軽(てかろ)き身もちにて、御/浦山(うらやま)しい。拙者な 00006890M7どハ、金銀/米銭(べいせん)の/中(うち)でハ御ざるが、皆様のやうに/利運(りうん)ハい 00006900M8われず。Sナゼナ、/何方(いづかた)へ参つても、引ケばか/取(とり)ます(十 00006910M9四ウ) 00006920¥N18¥J 00006930¥X○/稽術(げいじゆつ) 00006940M12百年/已来(いらい)/治国平天下(ちこくへいてんか)、千万ねんの/末(すへ)までも御/繁栄(はんゑい)と存ます。 00006950M13しかし、/治(ち)に/乱(らん)をわすれずと申て、/諸稽(しよげい)の/嗜(たし□)ミ。/第一(だいいち)、/弓(ゆミ) 00006960M14などハ/折(おり)ふし水鳥など/射(ゐ)まして、ことの/外(ほか)わざが見へます。 00006970M15/手前(てまへ)(十五オ)などハ弓ハいたしませぬが、/劔術(けんじゆつ)はおぼへ御 00006980M16座れど、/近年(きんねん)ばけ物も出ませぬゆへ、ミな様へ/手練(しゆれん)のとこ 00006990M17ろ、御めにかけんで/残念(ざんねん)といへば、Sソバカラ、いや。御 00007000M18/劔術(けんしゆつ)御たんれんのほどハ私存ませぬが、あなた様の御/刀(かたな) 00007010M19ハ、ことの外/高名(かうミやう)が(十五ウ)/多(おゝ)いよふに存ます△Sコレハ 00007020M20御/挨拶(あいさつ)。いたミ入ましたが、/一向(いつこう)私、がつてん参りませぬ 00007030¥P23 00007040L1Sサヤウナラ申ましよ。/質(しち)屋えたび+御/持参(ぢさん)を見ました 00007050¥N19¥J 00007060¥X○/物知(ものしり) 00007070L4/禁裏(きんり)様の/右近(うこん)の/橘(たちばな)、/左近(さこん)の/桜(さくら)と(十六オ)いつてハ、/古事来= 00007080L5暦(こじらい=れき)の有事だ。こなたハしつてか。イヽヤしらない。そんな 00007090L6ら/咄(はな)そふ。/先(まつ)/桜(さくら)ハ/花(はな)のうちでも王だゆへ、王様の御/庭(にハ)へ/植(うゑ) 00007100L7られた。なんと、/利(り)くつの/有(ある)ものか。いかさま、きこへた 00007110L8が、/橘(たちばな)のわけハどのやうなわけじや。(十六ウ)その橘か。 00007120L9コウタ。とふだ+。あいしらゐに/植(うへ)たそふだ 00007130¥N20¥J 00007140¥X○/米(よね)の/守(まもり) 00007150L12とかく/長生(ちやうせい)でなけれバ、おもしろい事も/出来(でき)ぬから、今年 00007160L13ハおらが女房も、米の守りに、銭八十八文づゝ出すつもり 00007170L14だ。Sコレ+、とんだ(十七オ)事をいふ人だ。貴様のか 00007180L15ミ様ハ、ことし廿弐でハないか。夫に米の守ハつまらぬ 00007190L16Sソコタテ。廿弐だゆへ、壱年を四文銭の/勘定(かんぢやう)で出すのさ 00007200¥N21¥J 00007210¥X○/花(はな)/帰(かへ)り 00007220L19おぬしや/新宿(しんじゆく)へ行そふだが、新宿(十七ウ)ハよしやれ。品 00007230L20川がゑゝ。/先(まづ)/朝帰(あさがへり)のところが、ざつと日の出を見ながら、 00007240M1どふもいへたものじやないよ。南と出やれ+。Sコレ 00007250M2+、其やうニいやんな。又/甲駅(かうゑき)の方も、とんとゑゝ。朝 00007260M3の/帰(かへり)道に、はり合が有てゑゝよ△Sソレハナゼダ。されバ、 00007270M4どの馬と(十八オ)/一所(いつしよ)に/来(き)やうともすきだ 00007280¥N22¥J 00007290¥X○/時(とき)に/合(あわ)ぬ/侍(さふらい) 00007300M7もし+旦那様。私事ハ当年/迄(まで)十四五年も御家来て/居(ゐ)ます 00007310M8が、御前様のやうに度&の御/主取(しうとり)。時にあわぬ+と被仰 00007320M9ますか、又此ほども御浪人。扨&気の/毒(どく)に(十八ウ)存ます。 00007330M10こんどハ御主取なされましたらハ、/夫(それ)を/一生(いつせう)の御おちつき 00007340M11になされましといへバ、コレ+、それハその方が心得ち 00007350M12がいた。/孔子(こうし)は七十/余国(よこく)さへ/渡(わた)られた 00007360¥N23¥J 00007370¥X○/水馬(すいば) 00007380M15なんと、あの水馬といふものは(十九オ)おつなものだ。か 00007390M16たびらひとつぐらいで川を/渡(わた)るが、/若(もし)も今に/軍(いくさ)といつて、 00007400M17/具足(ぐそく)を/着(き)たら、ねつから、ゑけぬものでハあるまいが、そ 00007410M18の時は、とふ/云(いふ)あんじだろうといへば、ソバカラ、おぬし 00007420M19や、ばかな事をいふものだ。今にも/軍(いくさ)といへバ、(十九ウ) 00007430M20/具足(ぐそく)ハ/船廻(ふなまわ)しニなる 00007440¥P24 00007450¥N24¥J 00007460¥X○/高名(かうミやう) 00007470L3これ+、おれが/先祖(せんぞ)ハ、むかし軍の時、/一方(いつほう)の/大将(たいしよう)を 00007480L4/蒙(こうふ)り、ざいをふつて、大/分(ぶん)高名をされたといへば、イヤ、 00007490L5おれが先祖も、いくさ/場(ば)へ出られたが、むほんをされて 00007500L6(二十オ)はだかで国へ/帰(かへ)られた。S/何(なに)、/謀反(むほん)だ。かへり/忠(ちう) 00007510L7でもされたか。はなしやれ△Sイヤ、おらが先祖ハ貴様の 00007520L8とハちがひ、ざいハふられぬそうだが、/坪(つぼ)ふりから/発(おこつ)たむ 00007530L9ほんだよ 00007540¥N25¥J 00007550¥X○/誹諧(はいかい)(二十ウ) 00007560L12/連哥(れんが)はいかいといつてハ、上/品(ひん)なものだ。ちつとしやれ。 00007570L13Sナンダ、上品だ。何、あれが上ひんなものだろう。おら 00007580L14がおやぢ殿などハ、何か大きな/山事(やまごと)かまちがい、江戸にハ 00007590L15/居(ゐ)られぬとて、此ころハ/田舎(いなか)をはいかいされるそうだ(廿 00007600L16一オ) 00007610¥N26¥J 00007620¥X○/道中(どうちう) 00007630L19きかつせい。おれも/京都(きやうと)え上つたが、大分こまつた。Sど 00007640L20ふした△Sソレカ、/先(まづ)大井川て三日のとうりうよ△Sムヽ 00007650M1それハこまつたろう。まだ+そんなこつてハない。/大津(おゝつ) 00007660M2までやう+いつた所が、/宮迄(ミやまで)(廿一ウ)ひつくり返したよ 00007670M3Sコレ+、おぬしや、なんのこつた。おかしな道中たな 00007680M4Sイヽヤ、おかしくもない。はらがたつたよ△Sナンダ。 00007690M5はらが立た。わけをはなしやれ。そのわけか。大津で六を 00007700M6ふつたよ 00007710¥N27¥J 00007720¥X○/引導(いんどう)(廿二オ) 00007730M9/去(さ)ル/寺(てら)へともらいがきやした。何が/和尚(おせう)ハ品川の/居(ゐ)つゞけ。 00007740M10そう+の/迎(むか)いゆへ、/夢中(むちう)で/帰(かへ)り、/棺(くわん)へむかつた所が、又 00007750M11ばんに品川へ/行(い□)くめん/斗(ばかり)、口のうちでいつて、/棺(くわん)をとんと 00007760M12たゝくと、内から、もしへ和尚様。品川より/地獄(ぢごく)(廿二ウ) 00007770M13かゑゝよ 00007780¥N28¥J 00007790¥X○/松魚喰(かつほくひ) 00007800M16江戸衆ハ、初かつほのさしみといわれるが、おらが/在所(さいしよ)で 00007810M17/喰(くふ)/塩(しほ)がつほよりハ、うまみハない。去年も、江戸の山下と 00007820M18やらの茶屋で、四五十か初かつほを出せといつたら、(廿三 00007830M19オ)何か/細(こま)かに切きさんだのを出したから、/喰(く)つて見たれ 00007840M20バ、ねつから、そつへいもないものだよ 00007850¥P25 00007860¥N29¥J 00007870¥X○/大師参(だいしまいり) 00007880L3去年十月、大師さまへ参たが、扨大きな寺だよ。/今年(ことし)もふ 00007890L4ゆから/春(はる)へかけての江戸/詰(づめ)/故(ゆへ)、/一寸(ちよと)(廿三ウ)/年始(ねんし)ながらと、 00007900L5大師さまへいつて見たら、なあにはや、その寺に出入ても 00007910L6出来たかして、どこへかいかれた 00007920¥N30¥J 00007930¥X○/字知(じしり) 00007940L9なんと、けまりといふ事ハ、/京都(きやうと)のあさかいといふ/公家衆(くげしゆ) 00007950L10か/元根(こんげん(ママ))だ。(廿四オ)Sコレ+、おのしや、それハ/字(じ)のよミ 00007960L11がちがつた。/飛鳥井(あすかい)だよ△Sソレコソおのしが/了簡(りやうけん)ちがい 00007970L12だ。あさか山のあさかだ 00007980¥N31¥J 00007990¥X○/犬(いぬ)の/喧嘩(けんくわ) 00008000L15手がいの犬、/他所(たしよ)へ/行(い)き喧嘩し、一ぶんたちがたく/切腹(せつふく)す。 00008010L16其所(廿四ウ)より、/其段(そのだん)、あるじへ申こし。/亭主(ていしゆ)うちおど 00008020L17ろき、そう+まかり/越(こし)、やうす見とゞけしに、/腹(はら)十文/字(じ) 00008030L18にかき/切(きつ)たり。あるじ、なみだながらに、アヽさすがハぶ 00008040L19ちだ 00008050¥N32¥J 00008060¥X○/奴(やつこ)が/柏子木(ひやうしぎ) 00008070M3/去(さる)御屋敷の/召遣(めしつかい)に、/毎晩(まいばん)/時(とき)の(廿五オ)/柏子木(ひやうしぎ)をうたせける 00008080M4に、/時(とき)の/鐘(かね)より/先(さき)に、時の柏子木をうつ。それから/程(ほど)なく、 00008090M5時のかねきこへけるゆへ、あまりふしぎに思ひ、どうする 00008100M6事だと、ソツト/部(へ)屋を/覗(のぞい)て見たれば、大手をひろげ/廻(まわ)つて 00008110M7/居(ゐ)る(廿五ウ) 00008120¥N33¥J 00008130¥X○/浪人(らうにん)の/白酒(しろざけ) 00008140M10浪人もの、/遠方(ゑんほう)へ/出(いで)、日をくらし、てうちんを/借(か)るあてハ 00008150M11なし。くらさわくらし、いかゞせんとおもふ所え、むかふ 00008160M12より、白ざけ+と/売来(うりきた)る。コレ、白ざけ一ぱいくれろと、 00008170M13ちやわん/引(ひき)かけのミながら、(廿六オ)/今夜(こんや)ハ/石摺(いしずり)の/晩(ばん)だ 00008180¥N34¥J 00008190¥X○/居風呂流(すへふろながし) 00008200M16/河上(かわかミ)より居風呂/桶(おけ)が/流来(なかれき)て、/段&(だん+)ながれて/行(いく)ほどに、/蝦夷(ゑぞ) 00008210M17が/嶋(しま)へ/流(なが)れ/着(つ)く。其所の/者(もの)ども取あげ、大王へ/訴(うつた)へ申様、 00008220M18この桶ハ日本にて、ことの/外(ほか)(廿六ウ)/調法(ちやうほう)/成(なる)ものにて、此 00008230M19うちへ水を入レ/這入(はいり)候へば、/至極(しこく)/薬(くすり)になり申候といふ。大 00008240M20王/聞(きこ)し/召(めし)、/夫(それ)はてうほう成もの。その通りにせんと/取寄(とりよせ)せ、 00008250¥P26 00008260L1水を入、はいり給ふ。御/側(そば)から、いかゞ。御心/能(よき)やと申せ 00008270L2バ、よさハよいが、しよてが(廿七オ)つめたい 00008280¥N35¥J 00008290¥X○/鷺(さぎ)と/烏(からす) 00008300L5心/易(やす)き/友達(ともだち)/来(きた)り、貴様ハ大ぶん/顔色(がんしよく)がわるい。/気色(きしよく)でもわ 00008310L6るいかといへバ、されバ、/頃日(このごろ)ハぶら+、きしよくかわ 00008320L7るいといへば、/夫(それ)は/朝寐(あさね)をするゆへだ。朝はやく(廿七ウ) 00008330L8おきるとよくなる。/早起(はやおき)のために、よい/名鳥(めいてう)をやらうとや 00008340L9くそくをして、/烏(からす)壱/羽(わ)おくりける。/是(これ)ハよい鳥じやと/秘蔵(ひそう) 00008350L10し、/翌(よく)七ツよりなきけるゆへ目さめて、だん+/気(き)しよく 00008360L11/能(よく)なりしに、/程(ほど)なく/其鳥(そのとり)/死(しに)(廿八オ)だり。又其のち/友達(ともだち)/来(き) 00008370L12て、どふだ。よかろうと/問(と)へバ、だん+ときしよくか/能(よく) 00008380L13なるゆへ、/秘蔵(ひそう)にいたしたが/死(しに)ました。又&壱わ下さいと 00008390L14いへハ、/心得(こゝろへ)候とて、このたびハ/鷺(さぎ)をよこしつかハす。/翌= 00008400L15朝(よく=ちやう)、あさ/寐(ね)をして/起(おき)て(廿八ウ)見れバ、その/鷺(さき)、/庭木(にハき)に/居(ゐ) 00008410L16たり。サテ+/汝(なんち)ハまよふたな 00008420¥N36¥J 00008430¥X○/女郎(じよらう)の/身請(ミうけ) 00008440L19/去(さ)ルれき+、女郎を/請出(うけだ)す/約束(やくそく)いたしけれバ、/茶(ちや)屋の/亭= 00008450L20主(てい=しゆ)、女郎/呼(よび)よせいふやう、おまへは/仕合(しあハせ)もの。このたびし 00008460M1ん水様が、(廿九オ)おまへを請出すそふなといへバ、女郎、 00008470M2あのしん水様のおうちハ、よい御内かへと/尋(たづね)ければ、てい 00008480M3しゆ申やう、/此(この)ほどわたしが/参(まい)つて、/表向(おもてむき)からはいらんと 00008490M4すれバ、うらへ/廻(まハ)れと申ゆへ、うら門からはいり、/中(なか)の/口(くち) 00008500M5へあがり、それから(廿九ウ)/段&(だん+)/座敷(ざしき)へ/通(とを)り、御/居間(ゐま)へ/参(まいり)、 00008510M6御/酒(しゆ)を下され帰りました。あのやうなよき内ハあるまい。 00008520M7そして/辻番(つぢばん)の/書付(かきつけ)にも、あなたの/御名(おな)が、/初筆(しよふで)に大きく/書(かい) 00008530M8てあるといへば、女郎ソレガちと、がいぶんがわるい(三 00008540M9十オ) 00008550¥N37¥J 00008560¥X○/借金乞(しやくきんこい) 00008570M12おれが所へハ借金乞が/来(き)て、どふも/居(ゐ)られぬといへば、/亭= 00008580M13主(てい=しゆ)/答(こたへ)て、それハおれがまじのふと、/直(じき)にかへる。はてな、 00008590M14/夫(それ)は/調法(ちやうほう)な事。どふぞ/明日(あす)/来(き)て下されとたのミけれハ、心 00008600M15得候とて、/翌日(よくじつ)(三十ウ)/亭主(ていしゆ)まいり、いまか+と待所ニ、 00008610M16いち/度(ど)に四五人/来(き)て/催促(さいそく)しけれバ、其所へ出、じつとにら 00008620M17める。左様ならバ、又その内/来(き)ませうといつて、ミな+ 00008630M18かへる。なんと、きついものかといえば、/奇妙(きめう)+。又ど 00008640M19ふぞ大/晦日(ミそか)に/頼(たのミ)たい(卅一オ)といへば、イヤ、其/時(とき)ハ内を 00008650M20にらめる 00008660¥P27 00008670¥N38¥J 00008680¥X○/間違(まちがい) 00008690L3/伊勢(いせ)へ/太&講(だい+かう)に/行者(いくもの)あるを、/去(さ)る/田舎者(いなかもの)/聞(きい)て、おれもいせ 00008700L4へだい+こうとやらを、うちに/行(いか)ふとて、/銭(ぜに)を百文/持(もち)て、 00008710L5いせへゆく。Sモシ+、太&講を/打(うち)とふ(卅一ウ)御座る 00008720L6S御/初穂(はつほ)ハ何ほど御もちなされた△Sアイ、百文/持(もつ)て来ま 00008730L7した△Sソレデハ、たい+/講(かう)ハうたれませぬ△Sソンナ 00008740L8ラ、どれ/程(ほど)でうたれます△S百両からて御座る△Sソレハ 00008750L9あんまり高いものじや。ちとまけなさい△S御/初穂(はつほ)にまけ 00008760L10ハない△Sソンナラバ、此百で(卅二オ)きんかんを/打(うつ)て下 00008770L11さい 00008780¥N39¥J 00008790¥X○/妙薬(めうやく) 00008800L14おらが/子息(むすこ)ハ大の/寐(ね)ぼうにて、/宵(よい)ハ/居眠(ゐねむ)り、朝ハあさ寐、 00008810L15/昼(ひる)ハひるね、どふもならぬといへば、Sソレハ/能薬(よいくすり)がある。 00008820L16おれがやらう△Sソレハ/貰(もらい)たいものじや△Sやすい事だ。 00008830L17(卅二ウ)此/黒(くろ)い薬を/飲(のま)せやれ△Sコレハ有がたい。そんなら 00008840L18のませうといつて、一日のませたら、/昼寐(ひるね)、あさね、/居(ゐ)ね 00008850L19ふり/止(や)む。そこで一ト/廻(まわ)りのませたら、/夜昼(よるひる)/起通(おきどを)し。これ 00008860L20ハ/不思議(ふしぎ)だ。是ハ何といふくすりだ△Sアレカ。あれハ大 00008870M1事な薬だ△Sソシテ(卅三オ)なんだ△Sアレハ/腎虚(じんきよ)の/黒焼(くろやき) 00008880M2だ 00008890¥N40¥J 00008900¥X○/松魚(かつほ) 00008910M5/儒者(じゆしや)の内で松魚を/買(かふ)。S是はいくらじや△Sコレハそくば 00008920M6んどうさ△Sソレハ何のことじや△Sハテ、百八十の事で 00008930M7んす△Sハヽア、それでハたかい。まけやれ△Sソンナラ、 00008940M8そくがれんに(卅三ウ)まけふ△Sソレハ/何(なに)の/事(こと)じや△Sヱ 00008950M9ヽ/論語(ろんご)よミのろんごしらず 00008960¥N41¥J 00008970¥X○/短日(たんじつ) 00008980M12もしへ、アノたんじつとハなんの事で御ざりやす△Sムヽ、 00008990M13あれは/短日(ミしかいひ)と/書(かい)て、/日(ひ)のミじかいことよ△Sハアヽきこ 00009000M14へましたと、くわへ(卅四オ)きせるで、すぐにとなりへ/行(いく) 00009010M15ところに、/子(こ)ともをせつかんして/居(ゐ)る。Sコレかみさん。 00009020M16おまへハきついたんじつだの 00009030¥N42¥J 00009040¥X○/行過(いきすき) 00009050M19/香友達(かうともだち)/寄合(よりあい)、あの/瀧川(たきかわ)といふきや/良(ら)ハ、ちとからいかただ 00009060M20の。Sサレバサ。(卅四ウ)又あの/初霜(はつしも)ハ、ちとあまいの。 00009070¥P28 00009080L1左様さ。此間、わきで田むらといふ/伽羅(きやら)をきいたが、あれ 00009090L2もあまいかただと、おく座しきにてはなせば、/行過(いきすぎ)の下女 00009100L3が、Sモシ、旦那様がたハ、/遊(あそ)び御出なされて、女郎をな 00009110L4めて御/帰(かへり)なさいますか(卅五オ) 00009120¥N43¥J 00009130¥X○思ひ/付(つき) 00009140L7/天窓(あたま)がはげて、吉原へ遊びに/行(いく)にもこまるといふ。Sソレ 00009150L8ハよいおもひ付がある。/青苔(あをのり)をぬりやれと/教(をしへ)られ、ソコデ 00009160L9あをのりをぬつて遊びに/行(い)けば、あたまが青ひかして、と 00009170L10んだもてる。/床(とこ)になり、Sソコデ(卅五ウ)朝ミれバ、/青苔(あをのり) 00009180L11を/鼠(ねづミ)に/喰(くハ)れ、/本(もと)のはげになる。是ハしまつたと、女郎の目 00009190L12の/覚(さめ)ぬうちにはやく/帰(かへら)ふと、/屏風(びやうぶ)へ一/首(しゆ)の/哥(うた)を/書(かく)。 00009200L13△△△/恋(こひ)しくハ/尋(たつね)来て見よいづミなる 00009210L14△△△△△しのだの/森(もり)のうらみくずのは 00009220L15と/書(かい)て/帰(かへ)る。女郎、目をさまし(卅六オ)/歌(うた)をよんで、Sハ 00009230L16ヽア、やくわんだな 00009240¥N44¥J 00009250¥X○頭/痛(つう)の/薬(くすり) 00009260L19頭つう/持(もち)/煩(わつら)ひけり。ある/者(もの)、/好薬(よきくすり)ありといふ。Sソレハな 00009270L20んだ△Sアノ/達磨(だるま)の/付(つい)た/看板(かんばん)のくすりがよい。心得ました 00009280M1とのむ所に、/早(さつ)そく/直(なを)る。Sソノノチ又見まいに/来(き)て、/先= 00009290M2日(せん=じつ)の(卅六ウ)薬ハどふで御座る。S/早速(さつそく)たべた所が、すミ 00009300M3やかに/直(なを)つて、/頭(あたま)ハ/軽(かろ)くなつたが、/尻(しり)がおもくなつた 00009310¥N45¥J 00009320¥X○/盗人(ぬすびと) 00009330M6/有(ある)/寐(ね)ぼうの内へ盗人はいる。/所帯(しよたい)どうぐのこらずぬすまれ、 00009340M7つゞら壱つになる。Sサテ+、このやうに/盗(ぬす)(卅七オ)ま 00009350M8れてハどふもなるまいとて、つゞらの内へ/這入(はいり)て/寐(ね)る。是 00009360M9でハ此つゝらを/盗(ぬすミ)に/来(き)てもしれ様と、/安堵(あんど)して/寐(ね)る。S又 00009370M10盗人来て、そのつゞらをかつぎ出す。中で/寐(ね)かへりをした 00009380M11其おとにおどろき、つゞらを/捨(すて)て/迯(にげ)る。Sソコデ(卅七ウ) 00009390M12/葛篭(つゝら)の/蓋(ふた)をあけて出た所が野原。S南無三、/家(いへ)を/盗(ぬす囗)れた 00009400¥N46¥J 00009410¥X○/悪魔払(あくまはらい) 00009420M15おらあ、今/度(と)女房を/呼(よふ)が、ぐつと江戸中に壱番といふ/悪(あく)女 00009430M16にしやうとおもふ。先第一が大金になる。Sソレハとふい 00009440M17ふ事だ。イヤ、御大(三十八オ)/名(ミやう)の/悪魔払(あくまはらい)に出す 00009450¥N47¥J 00009460¥X○御/鷹場(たかは) 00009470M20なんと、/護持院(こちいん)原を見やれ。とほうもねい/雁(かん)か居る。とう 00009480¥P29 00009490L1してか、御/鷹場(たかば)になると、たんとおりるといへば、ソバカ 00009500L2ラ、いゝや。大坂の道/頓堀(とんぼり)ハあんなこつちやねい(三十八ウ) 00009510¥N48¥J 00009520¥X○/柔術(やわら) 00009530L5/侍(さむらい)といふものハ、心/懸(かけ)か/第(たい)一だ。おぬしもちつと、やわ 00009540L6らをけいこしやれ。先/迯(にけ)るとき、とんで身か/軽(かる)くてゑゝ 00009550¥N49¥J 00009560¥X○/田舎客(いなかきやく) 00009570L9おらが/在所(さいしよ)にハ女郎衆がねいから、(三十九ウ)こんど江戸へ 00009580L10出た/序(ついて)とおもつて、ゆふべ/畑(はたけ)の引ぱりへゑつたか、一生行 00009590L11ものてハない。コレ+、おぬしやア夫ほと南/鐐(りやう)かおしい 00009600L12か。イヽヤ、南鐐しやねい。百で/弐人(ふたり)遊んだ 00009610¥N50¥J 00009620¥X○五匁/銀(ぎん) 00009630L15五匁銀の所へ、色&の人が来ました。(三十九ウ)是ハよふ御 00009640L16出。ミな様ハ何かきん+と御くらし。/拙者(せつしや)なとハ、是か 00009650L17ら/千年(せんねん)もたゝぬうちハ、世に出ぬつもりで御座るといへば、 00009660L18ミナ+、/夫(それ)ハどふいふこつたといへバ、イヽヤ、/外(ほか)でも 00009670L19ない。千ねんたつと、/身(ミ)に付て入ル/竜(りやう)が/急度(きつと)世に出る(四十 00009680L20オ) 00009690¥N51¥J 00009700¥X○/初夢(はつゆめ) 00009710M3此/春(はる)の夢ハ、とんとゑゝゆめだ。/富士山(ふじさん)よりまだゑゝ。ソ 00009720M4レハとんな夢だ。S/近江(あふミ)の/湖(ミづうみ)を見た。ナンタ。/湖(ミづうミ)を見た。 00009730M5/夫(それ)がなぜゑゝ。ソレハサ、ふじ山の/故郷(こきやう)だ 00009740¥N52¥J 00009750¥X○/鴨(かも)の/病気(びやうき)(四十ウ) 00009760M8/流川(ながれかわ)に/鴨(かも)が弐/羽(わ)/寐(ね)て/居(ゐ)やす。一羽の鴨がぶる+してう 00009770M9なされるゆへ、/友(とも)鴨が、コレ+どふした。イヤ、何か/急(きう) 00009780M10にくるしくなつた。ソンナラちつと、おかへあがりやれと 00009790M11いつて立て/行(ゆく)ゆへ、/跡(あと)から立んとして見たら、/足(あし)の/親(おや)ゆび 00009800M12に、ねぎか引(四十一オ)かゝつてあつた 00009810¥N53¥J 00009820¥X○/河太郎(かつぱ)の/火(ひ) 00009830M15/鎌倉河岸(かまくらがし)/辺(へん)のミせへ、かつぱ、火をもらいに/来(く)る。若い者 00009840M16/驚(おどろ)き、/追(おつ)てやる。/隣(となり)の男/聞(きゝ)付て、何をさわぐといふ。かつ 00009850M17ぱ、火を/貰(もらい)ニきたりといへば、/夫(それ)ハおしきこと(四十一ウ) 00009860M18なり。とらへて、ミせものに出さば、金もふけなるべし。 00009870M19又+/来(きた)るべし。つらまへんといつて、若い者、/手組(てぐミ)て/居(ゐ) 00009880M20る所へ、又+かつぱ、其前を通る。ミナ+火を出し、 00009890¥P30 00009900L1かつぱ火やろ。いや++ 00009910¥N54¥J 00009920¥X○/物(もの)の/直踏(ねぶミ)(四十二オ) 00009930L4去ル男、人のものを/直(ね)ぶミすること/僻(くせ)なり。/或(ある)日、心/易(やす)き 00009940L5友だち、咄しに/来(く)る。大きな銀のきせるにて、たばこをの 00009950L6む。/亭主(ていしゆ)ミてことの外/誉(ほめ)て、/例(れい)の通、其御/烟管(きせる)、ぶしつけ 00009960L7ながら一両ぐらいならんといふ。きたる男、コレ+、貴 00009970L8様ハ人の(四十二ウ)/道具(どうぐ)のねぶミをなさるがおくせ、御た 00009980L9しなミ被成い。御心安きゆへ申といふ。/亭主(ていしゆ)よろこび、御 00009990L10/深切(しんせつ)によふこそ+御/異見(いけん)なされ、かたじけない。/外(ほか)のも 00010000L11のなら申まいに、/貴公(きこう)なれバこそ/仰(おつしやつ)て下された。その御 00010010L12いけん、百両が(四十三オ)ものハ御座る 00010020¥N55¥J 00010030¥X○/日雇取(ひようとり) 00010040L15これ/権(ごん)や。おのしも/今度(こんど)、おいらが/仲ケ間(なかま)になつたが、/仕= 00010050L16事師(し=ことし)も/無筆(むひつ)てハゑけないから、/手習(てならひ)をしやれ。/先(まづ)いろはが 00010060L17かんじんだ 00010070¥N56¥J 00010080¥X○/御利生(ごりしやう)(四十三ウ) 00010090L20なんと、/日蓮(にちれん)さまハたび+の/御難(ごなん)だが、すでに/由(ゆ)井がは 00010100M1までも/太刀(たち)がおれたげな。とんだ/利生(りせう)のある/名僧(めいそう)だの。 00010110M2Sコレ+、それハちがつた。/念彼(ねんび)の/段(だん)の御利生だ 00010120¥N57¥J 00010130¥X○/智信勇(ちしんゆう)(四十四オ) 00010140M5おらが/旦那(だんな)ハ/誠(まこと)に三/徳(とく)/兼備(けんび)だ。/先(まづ)/智(ち)は、/八算(はつさん)などハそらで 00010150M6やられる。/信(しん)といつてハ、世上へねつから/付合(つきあい)もならねへ 00010160M7人だによつて、/親(おや)の/墓(はか)へばかり、/毎日(まいにち)/参(まい)られるくらいのま 00010170M8ことた。/勇(ゆう)といつてハ、大晦日の/昼飯(ひるめし)/過(すぎ)に、(四十四ウ)/漸&(やう+) 00010180M9おきられるゆふだ 00010190¥N58¥J 00010200¥X○/近目(ちかめ) 00010210M12近目の町人が、ちかめの/供(とも)をつれ、/年始(ねんし)/廻(まわ)り。コレ+、 00010220M13むかふのすだれの名を、よく見てこいといへば、ハイ、あ 00010230M14れハいせやて御座ります。ハテサテ、いせやハしつて居る。 00010240M15よく(四十五オ)名を見てこい。ナゼヱ。もしも/忌中(きちう)と/間違(まちか) 00010250M16へバわるい 00010260¥N59¥J 00010270¥X○/清水(きよミづ) 00010280M19きん+な/色男(いろおとこ)が、/傘(からかさ)屋へきました。/扨(さて)このたび、清水 00010290M20の/舞台(ぶたい)からとぶ大ぐわんを/立(たて)ましたから、/随分(ずいぶん)りつぱに、 00010300¥P31 00010310L1壱本/張(はつ)て/頼(たのミ)(四十五ウ)ます。代ハいくらでもよいといへば、 00010320L2カラカサヤあなたにハ、弥清水を御とび被成ますなら、/至極(しごく) 00010330L3/下直(げじき)な/張替(はりかへ)が御/徳(とく)で御ざります。ナゼトおつしやりませ。 00010340L4/飛損(とびそこなつ)て、おけがをなされました/時(とき)、/第(たい)一/安(やす)いだけが御/徳(とく) 00010350L5と見へます(四十六オ) 00010360¥N60¥J 00010370¥X○/大儒(たいじゆ) 00010380L8とかく人といふものハ、/学文(がくもん)なくてハかなハぬによつて、 00010390L9おらも是から/日夜(にちや)心がけ、江戸一番の/儒者(じゆしや)になつて、/賢人(けんじん) 00010400L10ともいわれやうとおもふといへば、ソバカラ、それハ/貴丈(きぢやう)、 00010410L11わるいりやうけんだ。三年も立と、(四十六ウ)/急度(きつと)ろうしや 00010420L12う/病(やミ)になる 00010430¥N61¥J 00010440¥X○/蒟蒻(こんにやく)の/云分(いゝわけ) 00010450L15こんにやくの所へ、ゆとふふがきました。コレハ御出。貴 00010460L16様ハ/此節(このせつ)、/居酒(ゐざか)屋ていそかしかろう。イヤモ、そのやうて 00010470L17も御ざらぬ。/御手前(おてまへ)などハ、/夜(よる)もかんざけ+の御しやう 00010480L18ばいにて(四十七オ)御くらう。しかしなぜ、あのやうにぶ 00010490L19る+と/斗(ばかり)して御ざる。世上で何かゝ/市(いち)に立つたやうだと 00010500L20云ます。ちとたしなミ給へ。コレハ御いけん、かたしけな 00010510M1いが、どうもあれはやミませぬ。ナセナ。/夫(それ)ハふまれて/間(ま) 00010520M2がないからさ(四十七ウ) 00010530¥N62¥J 00010540¥X○/白銀(しろかね)の/利運(りうん) 00010550M5白銀の所へ/南鐐(なんりやう)が/来(き)て、わしなどハ/八片(はつぺん)をもつて小判壱両 00010560M6/抔(など)といふ身のうへ。こなたとちがつて、きつときまつた/数(かず) 00010570M7でのとりやり、/浦(うら)山しくハ御ざらぬかといへば、コレ+、 00010580M8/余(あま)り八片+といやんな。(四十八オ)おらなそハ江戸なれバ 00010590M9こそ、大坂で見やれ。/両替(りやうがへ)五十何匁といふ/利運(りうん)ハ、貴様ハ 00010600M10/出来(てき)まい 00010610¥N63¥J 00010620¥X○/寒声(かんこへ) 00010630M13おまへハ寒声をつかいなさつたげなが、立ますか。イヽヱ、 00010640M14寒声からして、/大分(だいぶん)のぼせてこまり(四十八ウ)ます。かな 00010650M15らず+/寒声(かんこゑ)ハ御/無用(むよう)+。ナセヘ。いやも/夜着(よぎ)をきて、 00010660M16こたつでやつたこつたもの、たまるものじやアねい 00010670¥N64¥J 00010680¥X○/鶴(つる)の/子(こ)/餅(もち) 00010690M19/通(とを)りすがいに、餅屋のかんばんを見たりや、つるの子餅と 00010700M20/有(あり)。コレハ(四十九オ)大きくてうまかろうと、コレ、/馬(むま)の 00010710¥P32 00010720L1/子(こ)もちを壱つ下さいといへば、Sイヤ、馬の子もちといふ 00010730L2ハ、此ほうには御ざりませぬ△Sアノかんばんは△Sアレ 00010740L3ハつるの子もちで御ざる△Sハアヽ、おれハ/馬(むま)の/字(じ)をゆつ 00010750L4たりと/書(かい)たと思つた(四十九ウ) 00010760¥N65¥J 00010770¥X○/扇子筥(あふぎばこ) 00010780L7伊勢屋徳兵衛で御座ります。/年始(ねんし)申上ますと、あふぎ一/箱(はこ) 00010790L8さし出す。旦那殿/聞付(きゝつけ)て、/一寸(ちよと)/逢(あゝ)ふ。扇子箱のふたあけて、 00010800L9/中(なか)を見て、これ、此よふな扇かある物か。竹へ/紙(かミ)をはさミ、 00010810L10かなめを/墨(すミ)で(五十オ)/書(かい)てばら+。あふぎハいらぬ。一 00010820L11本でももたれる扇子を/持(もち)て/来(き)たがよいと、さん※はら/立(たつ)。 00010830L12徳兵衛/進(すゝ)ミ出、それハ大きな思しめしちがい。是こそ/御武= 00010840L13運長久(ごぶ=うんちやうきう)を/表(ひやう)します。おふぎでハ御ざりませぬ。Sソンナラ 00010850L14なんだ△S/矢口(やぐち)の矢で御ざり(五十ウ)ます 00010860¥N66¥J 00010870¥X○/年代記(ねんだいき) 00010880L17/田舎者(いなかもの)、山下をそゝり、/両(りやう)めん年代記を見て、いくらで御 00010890L18座ります。Sコレハ十六文て御ざります△Sイナカモノ、 00010900L19たばこ入より八文いだし、こゝへかためん下さい(五十一オ) 00010910¥N67¥J 00010920¥X○/胴忘(どうわすれ) 00010930M3けふハ/幾日(いくか)じや。Sサレバ、いくかゝしれぬ。こよミを見 00010940M4たらしれやう△Sハテ、こよみをミたとて、しれるものか 00010950M5Sまちやれ。今どこぞから、/手紙(てがミ)が/来(こ)よふ 00010960¥N68¥J 00010970¥X○/七(なゝ)ころび(五十一ウ) 00010980M8/門前(もんぜん)の/石(いし)で/蹴(け)つまづいてころび、あたりを見て/起(おき)たりしが、 00010990M9二三/間(げん)/行(いつ)て又ころび、Sいま+しい。このくらいなら、 00011000M10おきねばよかつたに 00011010¥N69¥J 00011020¥X○/薮医師(やぶいし) 00011030M13/急病(きうびやう)とて、いそがわしく出て/行(いく)(五十二オ)/拍子(ひやうし)に、となり 00011040M14の子共を/蹴飛(けとば)す。S/隣(となり)のかゝ、とんて出、此いしや様は、 00011050M15いかに/急(きう)な/病用(びやうよう)じやとて、人の子をけとばすといふ事があ 00011060M16るものかと、大いざこさの中へ、大屋殿わりにはいり、/相= 00011070M17借(あい=じやく)屋の事なれバ、/互(たがい)にふせうしたがよい。/高(たか)が足で(五十 00011080M18二ウ)/蹴(け)られたばかり。此人の手にかゝつて、/活(いき)た/者(もの)ハ/壱= 00011090M19人(ひと=り)もない 00011100¥P33 00011110¥N70¥J 00011120¥X○/八景(はつけい) 00011130L3此/唐(から)のたんゆうが/書(かい)た八けいの/屏風(べうぶ)をもとめました。御/覧(らん) 00011140L4なされ。いかさま、これハかく/別(べつ)の御/道具(とうぐ)じや。Sコレガ 00011150L5源氏のばんせうで(五十三オ)がな御座りませう△Sサレバ、 00011160L6こちらが平家のらく/鴈(がん)で御ざる 00011170¥N71¥J 00011180¥X○/奴(やつこ)こしもと 00011190L9あしたハおく様か、神まいりに/入(い)らつしやりますが、どふ 00011200L10ぞ御ともがいたしとう御ざりますと/願(ねが)ふ。イヤ+、あす 00011210L11ハ人ごミの中だ。/若(わか)いものハいかぬ(五十三ウ)ものじや。 00011220L12それともいきたくハ、/爰(こゝ)へこいとて、こしもとのおいどを 00011230L13二つ三つつめり、それていつたと同じ事だ 00011240¥N72¥J 00011250¥X○/長竿(ながざほ) 00011260L16/夜中(やちう)に/小僧(こぞう)、長さほを/持(もち)て/庭(には)に出る。Sこいつハ何をしほ 00011270L17る△S/空(そら)の(五十四オ)/星(ほし)をおとしますSばかなやつだ。 00011280L18そこからとゞくものか。はやく屋/根(ね)へあがれ 00011290¥N73¥J 00011300¥X○/御馳走(ごちそう) 00011310M1コレ長松よ。いくつになると思ふ。ちとおとなしふしやれ。 00011320M2/先(まづ)よそへ/行(いつ)て、まんま/喰(く)ふ時ハ、/帰(かへ)りに、御馳走に(五十四 00011330M3ウ)成ましたといふものじやと、くれ※をしへければ、 00011340M4/或(ある)時/客(きやく)にいき、座に/着(つく)や/否(いな)や、御/馳走(ちそう)になりましたといふ。 00011350M5/親父(おやぢ)、/気(き)の/毒(どく)がりて、何をいふぞとしかりければ、Sそれ 00011360M6でも/忘(わす)れぬうちに 00011370¥N74¥J 00011380¥X○/鎗持(やりもち) 00011390M9/御鎗(おやり)御めんと/凧(たこ)をあげる。鎗もち(五十五オ)ふり返り、ヱ 00011400M10ヽ/邪魔(じやま)なでつちめと、にらミ付る。又二三間/行(いく)と、御/鎗(やり)御 00011410M11めん、といふ。やり/持(もち)ふり/向(むけ)バ、十六七のとうろうびんが、 00011420M12いとを/持(もつ)て/居(ゐ)る。Sソコデ/鎗(やり)をふせながら、此見付にハ屋 00011430M13根がない 00011440¥N75¥J 00011450¥X○/猩&舞(せう※まい)(五十五ウ) 00011460M16/初春(はつはる)の/寿(ことぶき)に、猩&が三人より合、/和泉(いつミ)まん+との/趣向(しゆかう)。 00011470M17さらバ/今年(ことし)は/風雅(ふうが)に/舞(まわ)ハんとて、/菊子童(きくじどう)のやつし。ひとり 00011480M18ハ/春駒(はるこま)のやつし。サア+/親分(おやぶん)、/打留(うちとめ)に/吉例(きちれい)の/舞(まい)をたのむ 00011490M19+といへば、何がぐいのミの大よハり。外のふたりもこ 00011500M20まつて、(五十六了オ)これ+、吉例ハはつされぬ。ちつと 00011510¥P34 00011520L1ばかり/本式(ほんしき)の/舞(まい)をたのみますといへハ、イサヤ、舞をまわ 00011530L2んとて、あふぎおつ取、/少&(せう+)/舞(まい)を見さいな+ 00011540¥Y/半留袋(はるふくろ)畢△(五十六了ウ) 00011550¥Q 00011560M2/聞上手(きゝじようず)△初編△同△△二編 00011570M4同△△△三編△/福話内(ふくわうち)△全 00011580M6/聞童子(きゝどうし)△△全△/蝶夫婦(てうつがゐ)△全 00011590M8/葉留袋(はるぶくろ)△出来△/管巻(くたまき)△出来 00011600M10安永六酉年△元飯田町中坂 00011610M11△△△正月改△△△遠州屋板 00011620¥P35 00011630¥U噺本大系△第十一巻 00011640¥T/管巻(くだまき)〔序文〕 00011650¥G 00011660¥Y 00011670L15安永六年正月刊 00011680L16糟喰人月風序・李白散人跋 00011690L17蘭徳斎春童画 00011700L18遠州屋板 00011710L19小本一冊 00011720L20大東急記念文庫蔵 00011730¥Y序 00011740M3/伝聞(つたへきく)、/飲(いん)中/(の)/八僊(はつせん)を/直下(ちよつか)に見おろし、せうちうや/淡盛(あわもり)リヤア 00011750M4水のむやうでたわいがないと、世を/一飲(ぐいのミ)に(序一オ)/見破(ミやぶ)り、 00011760M5/下戸(げこ)と/成(なつ)てお/蚕(かいこ)にくるまるより、/呑倒(のミたおれ)て/菰(こも)かぶりとなら 00011770M6むにはしかずと、/■(さんずい)にひよミの/酉(とり)の/年玉物(としたまもの)に、/新酒向(しんしゆむき)の 00011780M7(序一ウ)/一帖(いちぢやう)を/古酒(こしゆ)らへ、/管巻(くたまき)と/外題(げだい)し、/世(よの)人の口に合や 00011790M8/否(いなや)を/試(こゝろミん)ため、角田川に/燗居(かんきよ)有/柿(かき)の本の/四斗樽(しとだる)、/満願寺(まんぐわんじ) 00011800M9に/隣(となつ)て/猩&翁(せう※おふ)の/流(なかれ)を(序二オ)/汲(くむ)、/四方(よも)の/酒(あか)人の/許(もと)へ見せに 00011810M10遣しけるに、是で/酔(よい)+と申/漉(こさ)れし 00011820M12△△尓時安永六つ起して△△△△△△△△糟喰人 00011830M13△△△門松の尾の△△△△△△△△△△△△月△風 00011840M14△△△△神を拝む日 00011850M15△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序二ウ) 00011860¥P36 00011870¥N1¥J 00011880¥X○/初夢(はつゆめ) 00011890L3とそ酒のほろ/酔(よい)機げん、足に任せて暮かぬる日をぶら+ 00011900L4行ば、七福神の芝居。木戸番ハ/毘沙(びしや)、/看板(かんばん)は女の力持。是 00011910L5ハ面白いと這入て見れば、ゑびすの口上。何か大黒、/布袋(ほてい)、 00011920L6/寿老(じゆらう)が/囃子町(はやしまち)。とんだ事とおもふうち、(一オ)弁天がどん 00011930L7すの/廻(まハ)しにりゝ/敷(しく)/出立(でたち)、先ツ/最初(さいしよ)大黒の俵の/曲(きよく)取。夫から 00011940L8/宝船(たからふね)をずいとさす。Sドツト/誉(ほめ)たりと云に、思わず大声上 00011950L9て、ヤンヤ+。S/側(そば)から、モシ+旦那様。お/雑煮(ぞうに)が出 00011960L10来ました 00011970¥N2¥J 00011980¥X○/地黄丸(ちわうぐわん)(一ウ) 00011990L13/二季(にき)/徳庵(とくあん)、御慶申上ます。S是ハ+早&忝御ざる。相替 00012000L14らぬ御とし玉/長寿丸(ちやうじゆぐわん)。お/影(かげ)で/調法(てうはう)。時に此薬を惣躰、何 00012010L15/丸(ぐわん)か丸ンと申スハ、どふ云/訳(わけ)で御ざる△Sハテ、丸ンハま 00012020L16るいと云字、/都(すベ)て/丸(まる)イ薬ハ皆丸ン/薬(やく)さ△Sシテ、地黄丸ハ 00012030L17いかゞ△Sハテ、あれハの。/曲物(まげもの)へ入たときの(二オ)名さ 00012040¥N3¥J 00012050¥X○万屋 00012060L20万屋/万八(まんぱち)、御慶申入ますと云へども、/答(こたへ)なし。又万屋万八、 00012070M1御慶申入ます。S勝手の方から、ねぼけた/声(こゑ)で、ハテ、/七= 00012080M2種(なゝ=くさ)/過(すぎ)/迄(まで)待て下されよ 00012090¥N4¥J 00012100¥X○/歳暮(せいぼ)/之(の)/訳(わけ)(二ウ) 00012110M5/福徳(ふくとく)や金右衛門、/年頭(ねんとう)御祝儀と、/若衆(わかしゆ)に/扇子箱(あふぎばこ)/配(くバ)らせて/歩= 00012120M6行(あゆミ=ゆく)。/小僧(こぞう)、モシ、おかみ様ン。あの年頭とハ、何ンの事で 00012130M7御ざります。S年頭とハな、/年(とし)の/頭(かしら)と/書(かく)ハさ△Sハア、そ 00012140M8んなら十二月ハ年の/尻(しり)。どうりで、/身代(しんだい)の/尾(を)が/出(で)る(三オ) 00012150¥N5¥J 00012160¥X○見付 00012170M11きのふ見付前で、/大根売(だいこうり)か/荷(に)を/落(おと)した。大根ハそこら中へ 00012180M12/散(ち)ツて/折(おれ)レる。見付からハしかる。大根売ハぐづ+する。 00012190M13/頓(やが)て/二人(ふたり)/棒突(ほうつき)が出て、/通(とふ)れと/云(いふ)になぜ通らぬと、さん※ 00012200M14/呵(しか)り/散(ち)らし、たゝき立て、大根もいよ+(三ウ)/粉(こ)ナミぢ 00012210M15んに/成(な)つた。足軽ハ皆、わさびおろしを/着(き)て居た 00012220¥N6¥J 00012230¥X○/鳶(とび)の/者(もの) 00012240M18鳶の者二三人/連立(つれだち)、何/六(ろく)よ。きのふお屋敷で/能(のふ)を見たがの、 00012250M19道成寺とやらで、大そうな事さ。先ツ/坪(つぼ)が/釣鐘(つりがね)だ。Sトお 00012260M20つふせると、/張(は)つた坊主(四オ)どもが、/銘(めい)+いら/高(たか)/珠数(じゆす) 00012270¥P37 00012280L1でいのりかける。/勝負(せうぶ)と云所を/謡(うたひ)でやつて、/鐘(かね)を/明(あけ)ると、 00012290L2女の/面(つら)か/鬼(おに)さ 00012300¥N7¥J 00012310¥X○/俵(たはら) 00012320L5/亭主(ていしゆ)/咳払(せきはらい)で、もふ八ツでもあろふと、/夜咄(よばな)しの酒きけんニ 00012330L6て/帰(かへ)ル。/間夫(まをとこ)うろたへ、/迯(にけ)る事も間に合ハず、(四ウ)そこ 00012340L7ら見廻す。/台所(だいところ)に米俵四五俵/積(つミ)有る/影(かげ)へかくるゝ。/亭(てい)しゆ、 00012350L8ちらと見しや/顔色(かんしよく)わるく、女房ハもじ+して居ル。Sヤ 00012360L9イ、八介△Sハイ。今から米を/舂(つけ)。Sヱヽ△Sヱヽと云て、 00012370L10主人の云付る事、何時と云事か有ものだと、/朱鞘(しゆざや)の/刀(かたな)をひ 00012380L11ねくり(五オ)(五ウ・六オ挿絵)/廻(まハ)し立かゝつて、先ツ、アノ 00012390L12俵を/改(あらため)ろ。S/畏(かしこま)りましたと、ふせう※。アイ。此上ノ 00012400L13二俵ハ、三斗五升入で御ざります。S下迄改めろ△Sイヤ、 00012410L14改るに/及(および)ませぬ△Sナセ。下ハ/人俵(ひとびやう)で御ざります 00012420¥N8¥J 00012430¥X○しやれ/会(くわい) 00012440L17コレ聞きやれ。世の中にハ/飛(と)ンた/変(へん)ナ(六ウ)やつらも有る 00012450L18ものだ。此/頃(ころ)あんまりさへぬから、きのふ/浅草(せんそう)などゝ/出懸(でかけ) 00012460L19た。/並木(なミき)の扇子やに、シヤレの会が有た。上つて見たれば、 00012470L20ミんな本多あたま、銀きせるのいきちよん/揃(そろ)へ。其中に、 00012480M1うんざりあたまで/寐(ね)て居る/奴(やつ)も有り。色+の思ひ付さ。 00012490M2(七オ)Sフウ、そして/勝負(かちまけ)が有るか△Sヲヽサ。/有(あ)るとも 00012500M3+。壱番勝が大のしやれ、/断(ことハり)なしに/晩(ばん)まで/不来(こず)+ 00012510¥N9¥J 00012520¥X○/湯番(ゆばん) 00012530M6正月の/若湯(わかゆ)から大晦日迄、/一朝(ひとあさ)もかゝさず/毎朝(まいあさ)/入来(いりくる)る近所 00012540M7の人有。湯番も心安さ。芝居の/評判(ひやうばん)、世の(七ウ)中の/噂(うわさ)、 00012550M8とり※/咄(はな)したのしむ。此人、いかゝしたりけん、/一朝(ひとあさ)/不= 00012560M9来(こ=ず)。湯ばんおもふにハ、一朝もかゝさぬ人しやが、/若(もし)/煩(わづらふ) 00012570M10てか、/見舞(ミまふ)てやろふと、いつて見れば、其人の/這入(はいり)口に、 00012580M11今日休 00012590¥N10¥J 00012600¥X○/講釈(かうしやく)(八オ) 00012610M14八よ。そつちの/町(てう)にハナ、何も/面白(おもしろ)い事ハネイカ。イヽヤ、 00012620M15/何国(いづく)も同し/冬(ふゆ)の夕暮だ。Sおいらが長屋の/楊弓(やうきう)に、/夜講釈(よかうしやく) 00012630M16がはじまつた。チト/来(き)て聞ネイ△Sヲヽ、ソリヤアよかろ 00012640M17ふ。何をはなすの△Sウヽ、なんとかいつたつけ。ソレヨ、 00012650M18にかわ/記(き)さ△Sハア、ひつつきそう(八ウ)な/名(な)だの 00012660¥P38 00012670¥N11¥J 00012680¥X○/鶴市(つるいち) 00012690L3鶴市か/糀町(かうじまち)へ/出(で)るの。イヤ、貴様が一度ハ見ろといやつた 00012700L4から、きのふいつて見た。ヲヽ、何をした。Sイヤモウ、 00012710L5/正(せふ)+。先ツ/親玉(おやだま)がよしか、/中車(ちうしや)丸や其外、ともに/顔(かほ)なら 00012720L6/声(こゑ)なら/身(ミ)ぶり(九オ)、/奇妙(きめう)+と/咄(はな)す/側(そは)から、ヲレハ/間違(まちかつ) 00012730L7て鶴市ハまだ見ぬが、/幾歳斗(いくつはかり)に/成(な)る。どんな/男(おとこ)だ。Sイヤ、 00012740L8鶴市に/成(な)つた/所(ところ)ハ見なんだ 00012750¥N12¥J 00012760¥X○/石菖(せきせう) 00012770L11御/料理(りやうり)御/望(のそミ)次第、/春日野(かすがの)といふ茶屋の/亭主(ていしゆ)、目を/煩(わづ□)ふ。/近= 00012780L12所(きん=じよ)の(九ウ)もの/来(き)て、せきせうの/根(ね)をせんじて/洗(あら)へば/直(なを)る 00012790L13と云けれハ、/小僧(こぞう)を/呼(よん)で、/向(むか)ふの/植木(うへき)やへいつて、せきせ 00012800L14うを/貰(もらつ)てこいといふ。小僧、植木やえ/行(いつ)て、アイ。向ふの 00012810L15春日野やから/参(まい)りました。御/無心(むしん)ながら、/石菖(せきせう)を壱弐本下 00012820L16されまし。(十オ)/亭主(ていしゆ)/聞(きい)て、/安(やす)い事、/持(もつ)ていきやれ。/是(これ)ハ 00012830L17はねた/吸(すい)ものか/出来(てき)るそふな 00012840¥N13¥J 00012850¥X○/柏餅(かしハもち) 00012860L20/日外(いつぞや)貴様へやつた柏の木ハ、よく/附(つ)きましたか。/成程(なるほど)、附 00012870M1きは/能(よく)附きまして、/葉(は)ハ/随分(すいぶん)/出(で)ますが、(十ウ)貴様の所の 00012880M2やうに、/喰(く)ふよふに/実(ミ)は出来ませぬ 00012890¥N14¥J 00012900¥X○/達摩(たるま) 00012910M5ちと/承(うけたまハ)りたい事が御座る。/達摩(たるま)と云人ハ、/何所(どこ)の/絵(ゑ)を見 00012920M6ても、/腰(こし)から下が御ざらぬ。どうした人で御ざる。S/是(これ)ハ 00012930M7又/替(かわつ)た事を/聞(きか)(十一オ)しや/れ((るカ))。あれハ/禅宗(せんしう)の祖師(そし)で、九年 00012940M8/座(ざ)禅をされて、腰かくされました△Sハテナ。わしハ又/幽= 00012950M9霊(ゆう=れい)の/元(ぐわん)祖かと思つた 00012960¥N15¥J 00012970¥X○/娘(むすめ) 00012980M12お/見舞(ミまい)申と、ずつと/這入(はいる)ル。S是ハ忝い。久&の御出。/妻= 00012990M13子(さい=し)えも御/逢(あい)(十一ウ)被下と/呼出(よびだ)して、/銘&(めい+)/近付(ちかづき)になる。茶 00013000M14よたばこと/馳走(ちそう)ぶり。/客(きやく)ハ/人品(じんぴん)ニて、扨+/能(よ)き御/住居(すまゐ)。 00013010M15お娘子様方お/揃(そろひ)被成て、能い御/器量(きりやう)。おたのしミで御ざる。 00013020M16Sナニサ。/細工(さいく)/貧乏(びんぼう)/人宝(ひとたから)で御ざる 00013030¥N16¥J 00013040¥X○/庭(にハ)(十二オ) 00013050M19/片田舎(かたいなか)の百姓、江戸の/真中(まんなか)、石町/白銀(しろかね)丁の間、黒かね丁三 00013060M20丁めへ町屋敷を/買(かい)、/普請(ふしん)ハ金にあかし/風流(ふうりう)/尽(つく)し。扨引/移(うつ)る 00013070¥P39 00013080L1前に成て、大工に、Sコレ、/迚(とて)もの事に、ケ程の/造作(ぞうさく)、/庭(にハ) 00013090L2をこしらへたし。頼/入(い)ルと云に、成ほど、/畏(かしこま)りました。私、 00013100L3(十二ウ)心/安(やす)い庭/上手(ぜうず)が御ざります。明日/連立(つれたち)て参りませ 00013110L4ふと/請合(うけあい)、其/明(あく)る日、同道ニて/来(く)る。亭主出て、よくぞ御 00013120L5出。御/覧(らん)の通り、ふしん出来/上(あが)つた。/肝腎(かんじん)の庭が御ざらぬ。 00013130L6御せわながら頼ます。わしが望ハ、先ツ木も石もたんとつ 00013140L7かいたし。(十三オ)/向(むかふ)の/正面(せうめん)に大きく山を/築(つ)キ、下ハ/泉水(せんすい) 00013150L8の/流橋(なかれは□)をかけ、/色(いろ)+の/草花(くさばな)をふせ、/其外(そのほか)/能(よ)きかつこふに、 00013160L9/随分(ずいぶん)/急(いそい)でこしらへて/持(もつ)つて/来(き)て下され 00013170¥N17¥J 00013180¥X○/女房(にようほう) 00013190L12/先途(せんと)/芝居(しばゐ)で、貴様の/御台所(ミだいどころ)を(十三ウ)見/掛(かけ)た。Sおれが女 00013200L13房を、どふして/貴公(きこう)/知(し)るものだ△Sイヤ+、四五人の女 00013210L14/連(づれ)の中で、/鰒(ふぐ)のやうなが貴様の奥様であろう△Sコレ、い 00013220L15かに心安いとて、人のかゝアを鰒のやうとわ△Sナニサ、 00013230L16御/腹立(はらたて)らるゝな。うまそうだと/云(いふ)事さ(十四オ) 00013240¥N18¥J 00013250¥X○/三弦師匠(さミせんしせう) 00013260L19おれが/隣(となり)へ、此/頃(ころ)/杵(きね)屋が/弟子(でし)が引/越(こし)て/来(き)て、/昼夜(ちうや)人/出入(でいり)が 00013270L20/多(おゝ)く、やかましくてならぬ。Sソレハ/寐(ね)られまい。/旦冬(きうとう)の 00013280M1/夜(よ)なべにハ、/嘸(さぞ)こまつたろふ△S/馬鹿(ばか)な/男(おとこ)だ。/三味線(さミせん)の夜 00013290M2なべと云事が有ものか△S杵屋と(十四ウ)いふハ三味せん 00013300M3か△S知れた事さ△Sおらハ杵屋と云から、/舂(つき)屋の弟子た 00013310M4とおもつた 00013320¥N19¥J 00013330¥X○/墨(すミ)ぬり 00013340M7くろご/頭巾(づきん)の目ばかりハ、/親仁(おやぢ)が/呵(しかつ)て取上た。Sサレハ、 00013350M8己が所でもやかましいよ△S所を/考(かんがへ)た。/文珠先生(もんじゆせんせい)(十五オ) 00013360M9もおよぶまい+△Sそれハ聞たい△S先/顔(かほ)を、墨で/真(まつ) 00013370M10黒にぬつて出る。親仁ても/伯父貴(おぢき)でも、目に懸る事でなし 00013380M11さ△S是ハ近年の/知恵(ちゑ)。しかし、/途(ミち)ハよいか、あつちへ/行(いつ) 00013390M12た所がつまるまい△S成ほど、そこまでハ/気(き)が付なんだ 00013400M13(十五ウ) 00013410¥N20¥J 00013420¥X○/香(かう)きゝ 00013430M16/小草(こぐさ)香右衛門と/名乗(なのつ)て、/人品(じんぴん)あつぱれ、香/道(どう)/大先光(だいせんせい)と見へ 00013440M17たり。Sモシ先生。香/具(ぐ)の中に香/炉(ろ)/香盆(かうぼん)、何れも、寄所御 00013450M18座れば、/合点(がてん)まいれど、/鴬(うくゐす)となぜ申ます△Sされバこそ、 00013460M19一大事の事を御/尋(たつね)あれ。(十六オ)/当流(とうりう)に/秘(ひ)する所なれど、 00013470M20御/伝(つた)へ申そふ。鴬ハ/紙(かミ)を/集(あつめ)るの具なれバ、/宇佐(うさ)、/熊野(くまの)、/伊= 00013480¥P40 00013490L1勢(い=せ)、/住吉(すミよし)。此/頭字(かしらじ)をとつて、神を集ると申心より、名付た 00013500L2るものと、御心得なされい△S/誠(まこと)に、/知(し)らざるを/問(とふ)の/教(おしへ)、 00013510L3/感心(かんしん)+。又きやうじこじと申ハ、なんの心で(十六ウ)御 00013520L4ざる。先生、しばらく/工夫(くふう)して、アレハ/元祖(ぐわんそ)の/戒名(かいめう)で御ざ 00013530L5る 00013540¥N21¥J 00013550¥X○/菊作(きくつくり) 00013560L8此間ハ御/使(つかい)被下忝い。/丹精(たんせい)の菊の花、進上いたした。/如何(いかゝ) 00013570L9御/覧(らん)被下たか。S千万+忝。扨&見事な事。早/速(そく)せうく 00013580L10わんいたした。少+おし(十七オ)い事にハ、/苦味(にがミ)か有や 00013590L11うに存た△S扨+、貴様ハ不/風雅(ふうが)な/儀(ぎ)を/仰(おゝせ)られる。此間 00013600L12の花を、ひたし物ニても被成たか△Sいかに私か/様(やう)な/者(もの)し 00013610L13やとて、御/丹精(たんせい)の花をひたし物にいたすものか。/汁(しる)の/実(ミ)に 00013620L14いたして/給(たべ)た(十七ウ) 00013630¥N22¥J 00013640¥X○/客(きやく)の/噂(うわさ) 00013650L17/傾城(けいせい)の/土鍋(どなべ)/取巻(とりまき)/丑(うし)の時。なんと、しのゝめさん。/今夜(こよい)のぬ 00013660L18しの/客衆(きやくしゆ)ハ、/飛(と)んだきまりだの。Sアイ。ばからしいけれ 00013670L19ど、いつそ/面白(おもしろ)ふ有りんす△S其/筈(はづ)さ。いやミなしの/大通(だいつう) 00013680L20さ△Sそしてね、/連衆(つれしゆ)の/云(いゝ)なんすを(十八オ)/聞(きけ)は、万両屋 00013690M1敷とやらを、いつそ持て/居(ゐ)なんすと聞やした。/後(のち)には、ぬ 00013700M2しの/為(ため)にも成る/客衆(きやくしゆ)た。/大事(だいじ)にしなんし△Sナニ、わたし 00013710M3らが為に成ものかへ。いとしなけに/眼(め)ハなんとも/有(あり)んせむ 00013720¥N23¥J 00013730¥X○/丑時参(うしのときまいり)(十八ウ) 00013740M6/鉄輪(かなわ)の/足(あし)に/胸(むね)の/炎(ほのほ)をてらし、/白装束(しろしやうぞく)の/出立(でたち)。/座頭(ざとう)に見せて 00013750M7も丑のとき参り。/跡(あと)をしたいて/行(ゆく)ニ、/王子(わうじ)の/神木(しんぼく)。すは 00013760M8や/釘(くぎ)よと、/案(あん)に/相違(そうい)のしごきを/解(とい)て、/神木(しんぼく)を/引〆(ひきしめ)、釘さた 00013770M9なしに/帰(かへ)る/支度(したく)。/扨(さて)しやれた時参り。どふも/合点(がてん)(十九オ) 00013780M10/行(ゆか)ず、/側近(そばちか)く/寄(より)りて、ヤアラいぶかしや、時参りの/女性(によせう)。 00013790M11神木へくぎを/打(うつ)を時参りのおしきせとす。/然(しか)るに、しごき 00013800M12/帯(おび)を/以(もつ)て神木をいましめ、/立退(たちの)く有さま。不/審(しん)はれずと、 00013810M13コワ+りきんて/問(とい)かくれば、Sアイ。わたしがのろふ男 00013820M14ハ、/藤身(ふぢミ)て御ざり(十九ウ)ます 00013830¥N24¥J 00013840¥X○とうゆ 00013850M17/其角(きかく)が/句(く)を/納受(なふじゆ)有し/程(ほど)の/急雨(きふう)。ヤレ、/早(はや)く/桐油(とうゆ)を/出(だ)せ。 00013860M18Sアイと取出ス/古(ふる)桐油。一寸ンへがせば、めり++。 00013870M19/皆(ミな)ひつついて急な/間(ま)にハS合ぬと云て/済(すむ)ものか。此/吹降(ふきふり)、 00013880M20/傘(からかさ)では(二十オ)/凌(しのが)れぬ。はやく++と立かゝり、せ 00013890¥P41 00013900L1り立られ、弥ひつ付、/桐油(とうゆ)をめり++と/真弐(まつふた)つに/引裂(ひきさい) 00013910L2たり。S旦那、/大息(おゝいき)ついて、アヽ/能(よ)い/気味(きミ)だ 00013920¥N25¥J 00013930¥X○/猿(さる)の/飼様(かいやう) 00013940L5/御子息(ごしそく)様のお/慰(なくさミ)に、/猿(さる)を御飼なされぬか。Sほしがるけれ 00013950L6ど、飼が(二十ウ)めんどうだ△Sなんの/面倒(めんどう)なことなし。 00013960L7/柿(かき)、/栗(くり)、/桃(もゝ)の/類斗(るいばかり)△Sそれハ心/安(やす)イ事。しかし、秋/先(さき)に/能(よ) 00013970L8けれど、春に/成(なつ)たら、どうしやう△S春になれバ、もふ何 00013980L9も/喰(くハ)ハせずとよし 00013990¥N26¥J 00014000¥X○/提(さげ)もの 00014010L12/扨(さて)/御提(おさげ)もの、/結構(けつこう)な/儀(ぎ)。御/覧(らん)被成い。(廿一オ)これハ+ 00014020L13見事な。此/緒〆(をじめ)ハ何で御ざる。Sイヤ、/是(これ)ハ/珊瑚珠(さんごじゆ)さ 00014030L14Sへヽヽへ、これがさんごじゆで御ざりますか。是ハ/嘸(さぞ)能 00014040L15く/塵(ちり)を/吸(すい)ませふ△Sハテ/埓(らち)もない。/夫(それ)ハ御手前、/碼瑙(めのう)の覚 00014050L16へ/違(ちかい)であろう 00014060¥N27¥J 00014070¥X○/紅葉(こうよふ)(廿一ウ) 00014080L19こなたハとんだ事を云人だ。/海安寺(かいあんじ)の/紅葉(もミぢ)があんまり見事 00014090L20だ+といふから、きぬふ/態(わざ)+/行(いつ)て見たれば、ミんなこ 00014100M1う/葉(よふ)してしまつた 00014110¥N28¥J 00014120¥X○/初夢(はつゆめ)の二 00014130M4/夜前(やせん)初夢に、/茄子(なすび)を/沢山(たくさん)見ました。S/夫(それ)はめでたいおゆめ 00014140M5Sイヤ、/勿論(もちろん)(廿二オ)一/富士(ふじ)二/鷹(たか)三茄子と申/習(なら)ハしたれと、 00014150M6富士ハ三国の/名山(めいさん)、/鷹(たか)も/諸鳥(しよてう)の/司(つかさ)。茄子ハ此二/種(しゆ)にくらべ 00014160M7ものにハなりませぬ。めで/度(たい)とハ心得ませぬ△Sイヤ、茄 00014170M8子も第一、色か見事で御ざる△Sへヽ、色のよいわ茄子に 00014180M9も/限(かぎ)りませぬ△Sそんならうまい(廿二ウ)もので御ざる△ 00014190M10Sイヤ、/外(ほか)ニもまた/甘(うま)い物が御ざる△Sそんなら、久しく 00014200M11有もので御座る△Sイヤ、大根などの久しいにハ/及(および)ませぬ 00014210M12Sイヤモウ、そう/御卑下(おひげ)を被成てハ、/迷惑(めいわく)で御ざる 00014220¥N29¥J 00014230¥X○/慇懃(いんぎん) 00014240M15/夫(それ)/御隠居(ごゐんきよ)様御入。/奥表(おくおもて)大/騒(さわ)ギ。(廿三オ)/立出(たちいで)給ふを上座に 00014250M16/請(せう)じ、御/当主(とうしゆ)/九拝(きうはい)おハつて、いんぎんに御/挨拶(あいさつ)ニ、/未(いまた)/余寒(よかん) 00014260M17も/退(しりぞ)きませぬ。御機嫌宜敷/尊顔(そんがん)を/拝(はい)し、いか斗か大慶難有 00014270M18奉存ますと、四角四面に/形容(けいよう)/正(たゞ)しく被仰上るゝ。御隠居様 00014280M19たまりかね、いつぞ(廿三ウ)其/許(もと)へ申べきと存た。礼ハ五 00014290M20/常(じやう)の一つたれど、/勝(すぐ)るゝ時ハ/離(はな)るゝとの/失(しつ)有。/殊更(ことさら)親の子 00014300¥P42 00014310L1をおもふは、いくつに/成(なつ)ても/嬰子(こども)のことく思ふもの也。/以= 00014320L2来(い=らい)/必(かならず)子どもの時を/忘(わす)れず、/挨拶(あいさつ)有べしと仰けれバ、Sヲ 00014330L3ギヤア+(廿四オ) 00014340¥N30¥J 00014350¥X○/眼病(がんびやう) 00014360L6私も/旧冬(きうとう)から眼病にこまります。S夫ハ御/難義(なんぎ)。しかし、 00014370L7/合羽(かつぱ)の/裂(きれ)で/包(つゝ)ンでおくがよいものだ△Sアノ、コノ/眼(め)をか 00014380L8へ△Sハアヽ、私ハ足の出来物だと思た 00014390¥N31¥J 00014400¥X○/松魚好(かつほずき)(廿四ウ) 00014410L11/初物(はつもの)/評判記(ひやうばんき)の/巻頭(くハんどう)、江/都(ど)のはつ鰹。又外に/並(なら)ぶものハ有ま 00014420L12い+。S成程、/貴君(きくん)にハけしからぬ、かつほ御/好物(こうぶつ)とう 00014430L13け給る△S事も/愚(おろか)や。拙者事ハ/初夏(しよか)より/晩秋(ばんしう)に/至(いた)るまで、 00014440L14/旦暮(たんぼ)鰹を/給(たべ)ぬ事ハない△S夫と申も御勝(廿五オ)手宜しき 00014450L15まゝ。御浦山しう存シます△Sナニサ。勝手ハ大のすり切 00014460L16サ△Sでも、あの御/土蔵(どぞう)の米ハ/夥(おびたゝ)しい事△Sイヤ、あの/俵(たハら) 00014470L17ハミな/辛子(からし)の/粉(こ)さ 00014480¥N32¥J 00014490¥X○/狐(きつね) 00014500L20/真崎(まつさき)神明の/床几(せうぎ)/尻掛(しりかけ)て、/例(れい)の(廿五ウ)狐のお出+。是ハ 00014510M1一ツ/興(けう)と、/貴賎(きせん)上下あぶらげに/費(ついえ)る銭も、大ていの事でハ 00014520M2ない。時に/昔(むかし)、/狐(きつね)の女に/化(ばけ)たるを/妓楼(てう)へ/売(うり)、/銀(かね)もうけした 00014530M3咄が有つた。なんと、あの狐を女にばけさせてうらバ、ど 00014540M4うであろう。Sこれハ大のきまり。(廿六オ)どうしたら/化(ばけ) 00014550M5やう△Sおれにまかせろと、そろ+/狐(きつね)の/側(そば)へゆけば、狐 00014560M6は/眉毛(まゆけ)をぬらして/居(ゐ)る 00014570¥N33¥J 00014580¥X○/其(その)二 00014590M9/真先神明(まつさきしんめい)の/茶(ちや)やへいき、ちよんむだなし、きん+の通り 00014600M10/者(もの)。/芸者(げいしや)一両人/牽頭(たいこ)/交(まし)りに/腰(こし)うち/掛(かけ)ル。(廿六ウ)おいねさ 00014610M11ん。おまへ、/爰(こゝ)の狐を見なさつたか。いつぞやの、アノお 00014620M12か様ンか/呼(よひ)出して、わつちやミたよ。爰へ/来(く)ルかと、こわ 00014630M13かつたハ。Sハア、わつちや、まだ見やせぬ。おかさん、 00014640M14お頼申やす△Sアイ+と、油上を持て、かゝアお出+ 00014650M15と/呼(よび)ニ行。狐いでず。又/暫(しばらく)して、(廿七オ)お出+と/呼(よべ) 00014660M16ども/不出(いです)。是ハふしぎと/覗(のぞい)て見れば、狐か/顔(かほ)をしかめて、 00014670M17モウあぶらけハ気なし+ 00014680¥N34¥J 00014690¥X○其三 00014700M20真先神明へ、/浅黄(あさぎ)うらの/理屈(りくつ)らしいやつ来て、Sコレおか 00014710¥P43 00014720¥G(五ウ・六オ) 00014730M1ゝ。聞ケばこの頃爰へ呼と、狐が出ると(廿七ウ)いふが、 00014740M2ほんの事かときく。Sムヽなるほど、出ます。/夫(そ)レハ又ど 00014750M3うして出る。S夫にわ、油げをもつて呼と出やす△Sイヽ 00014760M4ヤ、それハ/虚(うそ)て/有(あ)らふ△Sなんのいの。こゝハ/名(な)におふい 00014770M5なり様ハ/近(ちか)し、/地面(ちめん)ハ神明様也。狐でこそあれ、/神(かミ)様も/同= 00014780M6前(どう=ぜん)。ちつ(廿八オ)ともうそハ御座りませぬ△Sムヽありが 00014790M7たい。そんなら/呼出(よびだ)してくりやれ△Sカヽ、あいと、立て 00014800M8油上を/持(もち)、/呼(よべ)ども+出す。/侍(さむらい)大/腹(はら)立。サア出ぬ。おれ 00014810M9がよバせるに出おらぬ。かんにんならぬ。/穴(あな)を/捜(さが)し、打 00014820M10/殺(ころ□)と、刀をひねくれば、Sムヽ、ハテ御かんにん(廿八ウ) 00014830M11被成ませ。/高(たか)がちくせうの事で御ざります 00014840¥N35¥J 00014850¥X○そば/切(きり) 00014860M14/新地(しんち)の/冬枯(ふゆがれ)、御出被成たか。/成(なる)ほど+。/四季庵(しきあん)へ参た。 00014870M15/深大寺(じんだいじ)ハいかゝ。大分よし、安いものた。S/傍(そバ)より出て、 00014880M16只今のお咄ハ、何の事で御ざる。新地の(廿九オ)/深大寺蕎= 00014890M17麦(じんたいじそ=は)の事さ。Sわたくしハ/悪(わる)く聞た。寺の庵のニ、安いの/高(たか) 00014900M18いのとおつしやるから、/借(かし)付金の事かと思た 00014910¥P44 00014920¥N36¥J 00014930¥X○/自身番(じしんばん) 00014940L3御/駕(かご)の戸を明させ給ひ、コレ、あの町人共が五七人打/寄(よつ)て、 00014950L4何(廿九ウ)やら/番人躰(ばんにんてい)。何事じや。Sアレハ自身番で御ざ 00014960L5ります△Sイヤ+、おれハ火の番とミた。/地震(ぢしん)の番でハ 00014970L6有まい 00014980¥N37¥J 00014990¥X○ともよ 00015000L9きのふ、ともよか内へ/寄(よつ)て見た。サテ/珍(めづ)らしい事。此ころ 00015010L10ハ/力持(ちからもち)にも(三十オ)いでず、/隙(ひま)だそうで、内にはじきをし 00015020L11て/遊(あそ)んで/居(ゐ)た。Sソレハぢやくはいな事だ△Sおれもそう 00015030L12思た。よく+ミれバ、さゞいがらをはじいて居た 00015040¥N38¥J 00015050¥X○さん/病(びやう) 00015060L15向の/隠居(ゐんきよ)の病気、なぜこのころハ(三十ウ)見/廻(まつ)てやらぬ。 00015070L16Sイヤ+、貴様もふ行きやるな△Sナセ。/先度(せんど)/医(い)者の来 00015080L17た時、おれが行合せたが、三病さへ/穢(けがれ)だといふに、しびや 00015090L18うだといわれた 00015100¥N39¥J 00015110¥X○/墨跡(ぼくせき) 00015120M1此間手前へ、/沢庵(たくあん)/墨跡(ぼくせき)が参つて(卅一オ)/居(ゐ)ル。どなたぞ、 00015130M2御/望(のぞミ)ハないか。Sどうぞ私、/調(とゝのへ)たい。何ほどで御さる△ 00015140M3S弐百疋さ△Sヤアヽ/飛(とん)だ高い事△Sイヤ、正/筆(ひつ)。/了円(りやうゑん)が 00015150M4/極(きわめ)まで/添(そふ)て居ます△Sキツイ間/違(ちがい)。/香(かう)の物のおし石だと思 00015160M5た 00015170¥N40¥J 00015180¥X○敵討(卅一ウ) 00015190M8此頃どこのか国で、/親(おや)のかたきを/討(うつ)たとさ。御ほうびを/取(とつ) 00015200M9たげな。アヽ、キツイ/忠臣(ちうしん)だの。Sコレ+、親の/敵(かたき)を 00015210M10討たのハ/孝心(かうしん)といふものだ。忠臣+と/云(いつ)て、人に/笑(わら)われ 00015220M11るな△Sヲヽ/覚(おぼ)へた+と、/外(ほか)へまた/行(いつ)て、このごろ、親 00015230M12のかたきうちが(卅二オ)御ざりましたとの/評判(ひやうばん)。なんと、 00015240M13きついきのへ/子(ね)で御ざるの 00015250¥N41¥J 00015260¥X○/烏(からす) 00015270M16烏といふものハ、扨大ぶん居るもので、/夜明(よあけ)といへば、/所(しよ) 00015280M17+で/鳴立(なきたて)ますが、あの/中(うち)になかぬ烏も御ざるかの。S/成(なる) 00015290M18ほど、なかぬも有り(卅二ウ)S/鳴(なか)ぬハどうします△S鳴ぬ 00015300M19/分(ふ)ンハ、ミんなこつか原へやる 00015310¥P45 00015320¥N42¥J 00015330¥X○上るり 00015340L3わしハ義太夫ふしハ/嫌(きらひ)で、一/度(ど)もきかぬが、/夕部(ゆふべ)はじめて 00015350L4花会を聞たか、扨おもしろいものだ。S何をきいた△S道 00015360L5風を聞た。/頼風(よりかぜ)とやら(卅三オ)が/夫(ふう)婦づれて/追出(おいだ)され、/夫(おつと) 00015370L6にはぐれて/高野(かうや)まで/尋行(たつねゆき)、日が/暮(くれ)て/船頭(せんどう)のどん兵衛が所に 00015380L7/泊(とま)れバ、/質(しち)の/尻(しり)がきて/大苦労(おゝくらう)。あげくにつるして有/太皷(たいこ)を 00015390L8たゝけば、金が三百両/降(ふ)る。/持(もつ)て/欠(かけ)出したが、一つも/合点(がてん) 00015400L9かいかぬから帰た(卅三ウ) 00015410¥N43¥J 00015420¥X/麩(ふ) 00015430L12/非時(ひじ)に/近(きん)所の者を/呼(よび)、/膳(ぜん)を出しけれバ、是ハ+御/丁寧(ていねい)な 00015440L13御/馳走(ちそう)で御ざる。時に、御/亭主(ていしゆ)様ハ/奇麗(きれい)なお/生(うま)れ。此/麩(ふ)を 00015450L14上るハ/合点(がてん)/行(いか)ぬ。是ハ足でこしらへるもので御ざる。S左 00015460L15様承たゆへ、/随分(ずいぶん)(卅四オ)いつて見ますが、やつぱり手で 00015470L16ちぎつて丸めます 00015480¥N44¥J 00015490¥X○/百足(むかで) 00015500L19むかでとハ百/足(そく)と/書(かい(ママ))とハ、あて/字(じ)まいな事だ。一ツ/間(けん)有む 00015510L20かでも一寸のむかでも、百足と書てハ/詰(つま)らぬ。/小(ちい)サナ/蜈蚣(むかで) 00015520M1にハ、百ハ有まい。(卅四ウ)/誰(たれ)も/数(かず)/撰(ゑらん)だものもあるまい。 00015530M2S/納戸(なんど)よりお袋、/顔(かほ)を出し、是、太郎兵衛。やすい/草履(ぞうり)な 00015540M3ら/買(かつ)ておきやれ 00015550¥N45¥J 00015560¥X○/乗物(のりもの) 00015570M6/鬼子母神(きしぼじん)へ/娘(むすめ)をつれて、お袋がまいるところへ、十五六万 00015580M7石もお取(卅五オ)なさるお大名の奥様、大勢の供/廻(まハ)り、は 00015590M8い+/片寄(かたよれ)レ+。S母アレ、あのお/乗物(のりもの)を見やれ。金づ 00015600M9くめの/高(たか)まきゑ。/昔(むかし)/時(じ)代の重箱のやうな/結構(けつかう)なお乗もの。 00015610M10/嘸(さぞ)/召(めし)物、お/櫛(くし)こうがい、おく様の御/器量(きりやう)、/美(うつく)しい事であら 00015620M11ふのと、/跡(あと)から(卅五ウ)そろ+付て行。お乗物の戸が/明(あ) 00015630M12く。おく様のお/顔(かほ)か、ぼた/餅(もち) 00015640¥N46¥J 00015650¥X○/盗人(ぬすびと) 00015660M15盗人、/息(むす)子を/呼(よん)で、我も今年十五になれば、只/居(ゐ)てハ/済(す)ま 00015670M16ぬ。/今夜(こんや)/横(よこ)丁の大黒屋へ/押込(おしこむ)/筈(はづ)じや。見習ひのため、付て 00015680M17行て(卅六オ)一/働(はたらき)しろと/連(つれ)て行。間もなく帰れば、女房 00015690M18か、なぜ帰らしつた。Sサレハ、此がきめ、/庚申(かうしん)の生れだ 00015700M19から、/頼母(たのも)しくおもつたが、先へ行てこわかり、ふるへて 00015710M20斗居ル。なんの/役(やく)に立ぬやつ。どうで仕廻の/果(はて)ハ、/畳(たゝミ)の上 00015720¥P46 00015730L1で/死(しぬ)で有ふ(卅六ウ) 00015740¥N47¥J 00015750¥X○/隠居(ゐんきよ) 00015760L4御/隠居(ゐんきよ)様。御機けんよふいらせられますか。Sヲヽ/能(よふ)御出。 00015770L5私も/表家(おもや)ハ/渡(わた)ス、/楽(らく)+と/成(なつ)つて、/明日(あした)/死(しん)てもよし、/石塔(せきとう) 00015780L6も立て/置(おく)。/若(もし)、見て下されと、取出す/葬礼(そうれい)/道(どう)具。/棺(くわん)からき 00015790L7やうかたびら、わらんじまで(卅七オ)一/式(しき)取そろへた。 00015800L8S是ハ+りつぱな事。よい御心/懸(がけ)で御ざります。ほんに 00015810L9御/浦(うら)山しい△Sアヽ貴様の事なら、何時でも/急(きふ)な時、かし 00015820L10て/進(しんじよ)ふ 00015830¥N48¥J 00015840¥X○/野郎(やらう) 00015850L13/野(や)郎が、アイと、もぐさ大小二/土器(かハらけ)(卅七ウ)/買(かつ)て/来(く)ル。 00015860L14Sコレ+、/我(われ)にもあとですへてやろうぞ△Sイヽヘ、/私(わし) 00015870L15ハ/灸(きう)はすえぬか、よふ御ざります△S又わがまゝをいふ。 00015880L16なぜすへぬかよい△Sイヱ、わしが手の/筋(すじ)にハ、/灸(きう)せぬ筋 00015890L17か御座る 00015900¥N49¥J 00015910¥X○/白壁(しらかべ)(卅八オ) 00015920L20/旦那(だんな)様。/表(おもて)の/白壁(しらかべ)へ/飛(と)ンだむだがきをしました。Sにくい 00015930M1やつの。/消(け)しておけと云付ル。又/翌(あく)ル朝、若、旦那。/夕部(ゆふべ) 00015940M2ハとんと壁ハ/不残(のこらず)/反古(ほご)にいたしました。S/夫(それ)ハしかたがな 00015950M3い。よいわ。/紙(かミ)くづ/篭(かご)へ入ろ 00015960¥N50¥J 00015970¥X○/月蝕(くわつしよく)(卅八ウ) 00015980M6アノ/鐘(かね)ハ九ツ。もふ/蝕(しよく)て有ふと、/親仁(おやぢ)/戸(と)を/明(あけ)て見ル。S扨 00015990M7+ふしぎなものじや。/暦(こよミ)の/証拠(せうこ)ハ是だ。かゝ、/来(き)て/拝(おが)ミ 00016000M8やれ。女房、ねてゐる/息子(むすこ)を/起(おこ)し、コレ+、月蝕をミろ 00016010M9と、親仁様がいわつしやる。出やれ+。Sアイ+。ど 00016020M10うもねむい。/翌(あした)ミませう(卅九オ) 00016030¥N51¥J 00016040¥X○/氷(こほり) 00016050M13/親仁(おやぢ)さま。/寒(さむ)い/筈(はづ)て御ざります。/此様(このやう)に氷が/厚(あつ)ふはりまし 00016060M14た。Sドレ+。ほんに厚く/張(は)つた。/寒中(かんちう)の/氷(こほり)ハ/薬(くすり)だ。一 00016070M15口/喰(くお)ふ△S中+お/歯(は)にハ/及(および)ますまい△Sソンナラ、/焼(やい)て 00016080M16くれろ(卅九ウ) 00016090¥N52¥J 00016100¥X○/腹中(ふくちう) 00016110M19/酒吸石亀(さけすふせきき)などゝて、/上戸(じやうご)の腹中にハ酒を/好(この)む/壷(つぼ)か御ざる。 00016120M20同じ人間で/一滴(いつてき)もならぬに、/昼夜(ちうや)/徳利(とくり)/同前(どうぜん)/成(なる)も此/道理(どうり)。/常(つね) 00016130¥P47 00016140L1に/程(ほど)よく/飲(の)めば/障(さハ)りハなし。此/壷(つぼ)に余るほどのむから、こ 00016150L2ぼれて(四十オ)/内損(ないそん)をしますと、/毒庵(どくあん)の/講釈(かうしやく)/聞(きゝ)はつゝて、 00016160L3/帰(かへ)りに/友達(ともだち)の所へ/行(いつ)て、上戸下戸の/腹(はら)の/相違(そうい)を聞て/来(き)た。 00016170L4どうだ。ウヽ、上戸の腹の中にハ/桶(おけ)があるげな。/余(あま)り/大酒(たいしゆ) 00016180L5すれバ、その/箍(たが)がきれると/内損(ないそん)だとさ(四十ウ) 00016190¥N53¥J 00016200¥X○/人面瘡(にんめんそう) 00016210L8やう+/私(わし)も/肥立(ひだち)ましたが、/未(まだ)/直(なを)りきりハいたしませぬ。 00016220L9/珍(めづ)らしい/腫物(しゆもつ)、人面瘡じやと/医者(いしや)が云ます。Sドレ+、 00016230L10ほんに/目鼻(めはな)口もと、こハゐ/煩(わづらい)じやの。今でハ/歩行(あるい)ても/痛(いたミ)ハ 00016240L11せぬかの△Sいゝへ、なんともなし。(四十一オ)もゝ引をは 00016250L12くと、/鼻(はな)が/詰(つま)るやうさ 00016260¥N54¥J 00016270¥X○/中間(ちうげん) 00016280L15おつとてん+/日向(ひなた)のばくちは、/手拭(てぬくい)かぶりのめくりと出 00016290L16かけて/余念(よねん)なく、八介七介しこつて/打(う)つ。/隣(となり)の/垣(かき)より、下 00016300L17女共か二三人/覗(のぞ)く。七介ふり/向(むい)て、めくりの(四十一ウ)/垣= 00016310L18覗(かき=のぞき)め 00016320¥N55¥J 00016330¥X○/血(ち)の/池(いけ) 00016340M1/血(ち)の/池(いけ)/御堀浚(おほりさらい)、/仰(おゝせ)付られ、/色(いろ)+の/鬼(おに)が/腰札(こしふだ)から+のふ 00016350M2ん/込(こミ)たち付、/地獄(ぢごく)も/賑(にきやか)な事。/精出(せいだ)せ+、鬼の内、赤鬼の 00016360M3分ンハ/浚方(さらいかた)へハ/無(む)やう、小屋の/働(はたらき)ばかりと/云渡(いゝわた)ス。Sナゼ 00016370M4(四十二オ)Sハテ、ひよつと/池(いけ)へ/落(おち)た/時(とき)、/死骸(しがい)が見へぬ 00016380¥N56¥J 00016390¥X○/鷲(わし) 00016400M7きのふ、わし大明神様へ/行(い)つた。キツク人が出た。/御祈祷(ごきとう) 00016410M8の/例(れい)こく。おれも四五百してやられた。どれをミても皆/負(まけ) 00016420M9た。Sその/筈(はづ)(四十二ウ)の事よ△Sナゼ。それであそこハ 00016430M10とりの/町(まち) 00016440¥N57¥J 00016450¥X○まんぢう 00016460M13/向(むかふ)の/壷(つぼ)やえ/行(いつ)て、まんぢうとみまさかを取てこい。/早(はや)く/帰(かへ) 00016470M14れと云付る。/小僧(こぞう)、はつと/欠(かけ)出ス。/待(まつ)ても+かへらず。 00016480M15人をやつても(四十三オ)しれず。したゝか/待(また)せてかへる。 00016490M16Sウヌ、又/道草(ミちくさ)かと/呵(しか)り付れば、Sいへ。/方(ほう)※/歩行(あるき)まし 00016500M17たが、まんぢうハあるが、/熊坂(くまさか)ハなし+ 00016510¥N58¥J 00016520¥X○すり/足(あし) 00016530M20お/茶(ちや)上ろと、/亭主(ていしゆ)が/高声(たかこゑ)。/勝手(かつて)から/信濃(しなの)が/摺足(すりあし)て/持(もつ)て出る。 00016540¥P48 00016550L1(四十三ウ)/客(きやく)/帰(かへ)る/跡(あと)にて、コレ手前。山出したといつたが、 00016560L2今の/摺足(すりあし)ハ、キツイ事だ。Sアヽイ。ごくつぶを/踏付(ふミつけ)まし 00016570L3た 00016580¥N59¥J 00016590¥X○/時鳥(ほとゝぎす) 00016600L6鳥の内でも/郭公(ほとゝぎす)ハ、/昼夜(ちうや)/寐(ね)る/間(ま)なく、かせぐ物だの。Sサ 00016610L7レハ、(四十四オ)女郎にしたら、はやりませう 00016620¥N60¥J 00016630¥X○/鳩(はと) 00016640L10介さん。Sおまへ、よく/虚(うそ)をつきなんしたの。いつそかわ 00016650L11いゝ事しいした△S何を△Sアノせんど、くんなんした鳩 00016660L12をネ、おいらんで大事かつて/置(おき)なんした。/豆(まめ)を喰せろ(四 00016670L13十四ウ)と、おまへいゝなんしたから、/精出(せいだ)して/喰(くわ)せんし 00016680L14たら、/死(しに)ンした△Sナニ、/鳩(はと)が/豆(まめ)を喰つたとて、/死(し)ぬもの 00016690L15だ△Sシカモネ、ざぜン豆を/喰(くハ)せんしたもの 00016700¥N61¥J 00016710¥X○むけん 00016720L18女房が一/念力(ねんりき)と、/手洗鉢(てうづばち)に(四十五オ)むかい、/無間(むけん)のかね 00016730L19をつく。三百両ぶん/南鐐(なんりやう)で、ぱら+と/降(ふ)る。有がたし 00016740L20+と/拾(ひろ)ひ/集(あつめ)て、ひだるさに茶づる気で、/飯鉢(めしばち)の/蓋(ふた)をとれ 00016750M1ば/孑孑(ほうふり) 00016760¥N62¥J 00016770¥X○/羽衣(はころも) 00016780M4/片田舎(かたいなか)の/者(もの)、ふらりと/畑(はたけ)へ出て(四十五ウ)見れは、/向(むかふ)の松 00016790M5に/美(うつく)しき/衣(ころも)/掛(かゝ)れり。いつてミるに、成程ひか+/光(ひか)る白 00016800M6きものに、/絵(ゑ)の/様(やう)な/模様(もやう)、ひら+と/紅(くれない)のへり。いかさま 00016810M7/常(つね)の衣にあらず。/伝聞(つたへきく)/天(あま)の羽衣成べし。取てかへり、/家(いへ)の 00016820M8/宝(たから)とせんか。/最(も)ふ/天人(てんにん)か取に/来(き)そふ(四十六オ)なもの。/其(その) 00016830M9天人をあやなして、ぜげんと出たら、/能(よい)もうけ口。アヽ天 00016840M10人か出ればよいと、アタリを/見廻(ミまわ)す。/側(そば)の/野雪隠(のせつちん)から、/釜= 00016850M11払(かまつ=ばらい)か出た 00016860¥N63¥J 00016870¥X○/心中(しんぢう) 00016880M14/夕部(ゆふべ)、むかふの/槙河岸(まきかし)で心中が有ツた。Sトレ、/行(いつ)て見よ 00016890M15ふと/欠出(かけだス)。(四十六ウ)/大勢(おゝぜい)の/見物(けんぶつ)。/男(おとこ)ハ/黒羽二重(くろはぶたへ)、下に/浅= 00016900M16黄(あさ=ぎ)むく。女は/白(しろ)むく、三つ白ちりめんのしごき、/脇差(わきざし)ハ金 00016910M17ずくめ、/紙入(かミいれ)にハ金子百両、/裙(つま)とつまとを/結合(ゆいあわせ)、/双方(そうほう)扨も 00016920M18りつはな死よふ。見物の中から/高慢(かうまん)らしい男が出て、アヽ 00016930M19きつい事だ。おれなら(四十七オ)/活(いき)帰つて、/味噌(ミそ)を上るに 00016940¥P49 00016950¥N64¥J 00016960¥X○見世物 00016970L3/日本一(につぽんいち)/親孝行(おやかう+)ハ是じや+。銭ハ/戻(もど)り+。/正真(せふじん)ン/交(まじ)りな 00016980L4しと、木戸番かきおい口、/這入(はいつ)てミれば、正/面(めん)に七十斗の 00016990L5老女、/傍(そば)に四十斗の男付て/居(ゐ)る。Sコレ/孝(かう)介。/腰(こし)を(四十七 00017000L6ウ)うつてくりやれ△S/畏(かしこま)りましたとたゝく。/S肩(かた)をもん 00017010L7でく/りれ((ママ))△S畏りました△S/夕部(ゆふべ)の/鯉(こい)の/赤(あか)ミそハ、よふ御 00017020L8ざつた。/晩(ばん)にハ竹の子を/堀(ほつ)てくりれ△S畏りました△Sや 00017030L9れ+、そなたハ/孝行(かう+)な人じや。/小便(せうべん)に/行(いき)たい。/連(つれ)て/行(いつ)て 00017040L10(四十八オ)くりれ△S畏りましたと、/背中(せなか)を出し、おぶつ 00017050L11て二三べん廻り、/楽(がく)屋へ入ると、/先(せん)の/方(かた)ハおかわり+ 00017060¥N65¥J 00017070¥X○/公家(くげ) 00017080L14/今度(こんど)の見へ屋ぜい右衛門が/聟(むこ)は京生れ、よい/器量(きりやう)た。Sソ 00017090L15ウサ。/公家(くげ)の/流(なが)れだといつた△Sフヽ、公家も(四十八ウ) 00017100L16/質(しち)に取るかの 00017110¥N66¥J 00017120¥X○/琴(こと) 00017130L19コレハ/姉(あね)さん。お/精(せい)か出ますの。/三味線(さミせん)よりハしんなもの 00017140L20だ。どうかおいらが/聞(きい)ても、琴ハ/音(ね)のいゝものだ。Sアイ、 00017150M1/三味(さミ)せんより/覚(おほへ)へにくう御ざりやす。なぜ。/糸数(いとかず)がおゝい 00017160M2から(四十九オ)/忘(わす)れやすい。Sハアヽ、/琴(こと)ハ十三/筋(すじ)か。ア 00017170M3ノ/閏(うるふ)のないとしもか 00017180¥N67¥J 00017190¥X○/水菜(ミづな) 00017200M6/京都(きやうと)から水菜の/種(たね)をもらい、/作(つく)りました。Sはて、それハ 00017210M7/珍(めづ)らしい。酒の/肴(さかな)などにハよふ御ざらふ。此/頃(ころ)にチト/拝= 00017220M8領(はい=りやう)いたしたい△Sお/安(やす)い(四十九ウ)御用。いつでも取につ 00017230M9かハされい△S成ほど、入物を上ませふ△Sイヤ、/風呂敷(ふろしき) 00017240M10でもつかハされい△Sヱ、風呂しきでハ/漏(もり)ませふ 00017250¥N68¥J 00017260¥X○/俳諧(はいかい) 00017270M13けふハ/定会(じようぐわい)第三と、/連(れん)中、/文台際(ぶんだいぎわ)に/車座(くるまざ)。/中(なか)に/医者(いしや)が居 00017280M14て、(五十オ)/先刻(せんこく)見廻ましたが、/雨夕丈(うせきじやう)の/内室(ない□つ)、/皷張(こてう)の仕 00017290M15/出(だ)し。/六(むつ)ケしう御ざる。それでけふ/出席(しゆつせき)なし、宜敷と私へ 00017300M16/断(ことハり)で御ざるといふ。/聾(つんぼ)が/聞取(きゝとり)/自慢(じまん)、ハアヽ、こてう/点(てん)ハ 00017310M17六ケしいものさ 00017320¥N69¥J 00017330¥X○/足袋(たび)(五十ウ) 00017340M20もし、/無心(むしん)ながら、/生(き)もめんさしうらの白たび、十文半ニ 00017350¥P50 00017360L1あつらへたい。Sハアヽ、出来合に、よいが御ざります△ 00017370L2Sイヤ、出来合わ/間(ま)に合ぬ。/外(ほか)に/望(のぞミ)が御ざる。/横(よこ)はゞを/八(や) 00017380L3もんにたのミます△S是ハけしからぬ事。何になされます 00017390L4S何も(五十一オ)かんりやくじやから、/両足(りやうそく)一つにはく/気(き) 00017400L5さ 00017410¥N70¥J 00017420¥X○/生酔(なまゑい) 00017430L8かミさん+。又御/亭主(ていしゆ)が/横町(よこてう)のどぶの中に/倒(たを)れてさ。/込(こま) 00017440L9つたやまいだ。いつそ/熟柿(じゆくしがき)と/来(き)た。わしらハおぶつた斗 00017450L10て/酔(よい)ました。(五十一ウ)チトしつぱりと/異見(いけん)なさい。マア 00017460L11此どろだらけ。/一寸(ちよつと)ぬぐつて、/真(まつ)ぱだかにして、水へ/漬(つけ)て、 00017470L12/棒(ぼう)ふりを/吐(はか)せなさい 00017480¥N71¥J 00017490¥X○/浪人(らうにん) 00017500L15二百十日ハ屋根に一日/暮(くら)さるゝ/浪人衆(らうにんしゆ)、今迄の所ハ/場所(ばしよ)ハ 00017510L16/能(よけ)れ(五十二オ)と、/地代(ちだい)の/高(たか)いによハり、所をかへて/四方(しほう) 00017520L17が/崖(がけ)で/摺鉢(すりばち)の/底(そこ)のやうな所へ/越(こさ)れたを、/日頃(ひころ)心安ければ見 00017530L18廻たところ、/在宿(ざいしゆく)にて/四方山咄(よもやまばな)し。/然(しか)るに此浪人、/至(いたつ)つて 00017540L19/常(つね)※火事/好(ずき)。どんといふと人先へ/騒(さわ)がるゝ生れ付。時に 00017550L20しらせの/太皷(たいこ)(五十二ウ)どんとなるを、/自身(ししん)/階子(はしご)を/軒(のき)にか 00017560M1け/登(のぼ)らるゝを、/客(きやく)おもふに、/爰(こゝ)の屋根でハどこも見へハせ 00017570M2まいとおもふて居た所、/僕(ぼく)の三介、又階子を持来り、/井戸(いど) 00017580M3へおろし、うぬも井戸へおりるてい、/合点(かてん)/行(い)かずと見て居 00017590M4れば、三介、井戸の内から、(五十三オ)旦那。見へますかな 00017600¥N72¥J 00017610¥X○/俄(にハか) 00017620M7/夕部(ゆうべ)/珍(めつら)しく/誘(さそハ)れて、中の町へ俄を見にまいつた。/老後(らうご)の思 00017630M8ひ/出(で)をいたした。/格別(かくべつ)/常&(つね+)/寐酒(ねさけ)£心よく、二つ三つ/過(すご)しま 00017640M9した。S夫はよい御/保養(ほよう)。御/羨(うらやま)しい。(五十三ウ)きのふ 00017650M10の/趣向(しゆかう)ハ何がよふ御ざつたの。イヤ、何もかもよふ御座つ 00017660M11た。わたしなそにハ、一番に山屋の/豆腐(とうふ)さ 00017670¥Yくだまき△終△(五十四オ) 00017680¥P51 00017690¥Y跋 00017700L3/扨(さて)も/其(その)のち、/糟喰(かすくら)ひの/月風(げつぷう)は、/件(くだん)の/年玉(としたま)/携(たづさへ)もち、下戸と 00017710L4上戸の/隔(へだて)なく、酉の/年始(ねんし)の/羽向(はむき)を/述(のべ)、一/冊(さつ)をさし(バツ一オ) 00017720L5出せば、人&一+よミ終り、よきもあり、さえぬも有、 00017730L6なまゑいなりと/打笑(うちわら)い、/既(すで)に/酒宴(しゆゑん)ぞはじまりける。かの月 00017740L7風がありさまを、(バツ一ウ)/酒呑童子(しゆてんどうじ)おしなべて、/皆(ミな)/感(かん)ぜ 00017750L8ぬものこそ/奈(な)かりけり 00017760L10△△△△△△△△△△△△△△△本郷の住 00017770L11△△△△△△△△△△△△△△△△△△李白散人 00017780L12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(バツ二了オ) 00017790¥Q 00017800M2/聞上手(きゝじようず)△初編△同△△二編 00017810M4同△△△三編△/福話内(ふくわうち)△全 00017820M6/聞童子(きゝどうし)△△全△/蝶夫婦(てうつがゐ)△全 00017830M8/葉留袋(はるぶくろ)△出来△/管巻(くたまき)△出来 00017840M10安永六酉年△元飯田町中坂 00017850M11△△△正月改△△△遠州屋板 00017860¥P52 00017870¥U噺本大系△第十一巻 00017880¥T@咄の会|七席目@/時勢話大全(いまようはなしたいぜん)〔目録題〕 00017890¥G 00017900¥Y 00017910L15安永六年正月刊 00017920L16橘香亭瓶吾序 00017930L17竹原春朝斎画 00017940L18大坂△渋川久蔵板 00017950L19半紙本五巻五冊 00017960L20大東急記念文庫蔵 00017970¥Y序 00017980M3夫、/倭歌(やまとうた)ハ目に見へぬ/鬼神(おにかミ)をも/感(かん)ぜしめ、人のこゝろを/和(やハ) 00017990M4らぐるためし。噺も又同じ。耳とつて/鼻(はな)のおとし/笑語(ばなし)ハ、 00018000M5いかなる/姥(しうとめ)も/片頬(かたほ)に/咲(ゑミ)をふくミ、/頓(どん)な/田舎(ひが)左衛門も腹すじ 00018010M6をよぢらせ、/婆嚊(ばゝかゝ)、是が為に/屁(おなら)の/出拍子(でひやうし)、下女の高(壱オ) 00018020M7/笑(わら)ひ、/丁児(でつち)の/寐(ね)むりを/驚(おどろか)し、酒事でなきに家内の/賑(にぎハ)ひも、 00018030M8誠に此/興(けう)の一/徳(とく)ならずや。其甲乙を定めよと有し/調子(てうし)にう 00018040M9かれいで、さらばと/読(よミ)くだす/会紙(くわいし)の数、/好(すく)とすかざるとハ 00018050M10/下戸(げこ)/上戸(しやうご)にひとしく、悦ぶ人も有なん、/譏(そし)る人も/多(おゝ)(壱 00018060M11ウ)からめ。いづれ/尽(つき)せぬはなしの/実(ミ)ばへ、/齢(よわい)を延る此/席(せき) 00018070M12の/諸好士(しよこうし)ゆるしたまへと、しかいふ 00018080M14△△△申とし△△△△△△△橘△香△亭 00018090M15△△△△△小春月△△△△△△△△瓶△吾G 00018100M17△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二オ) 00018110¥P53 00018120¥T1咄会七席目△△△△△△△△△△△△△¥A橘香亭瓶吾撰 00018130¥Y1時勢話大全巻壱 00018140L5巻頭/早説法(はやせつほう)△△△杜子△△第二/武蔵鐙(むさしあぶミ) 00018150L6第三/旦那(だんな)/贔屓(ひ□き)△△花笑△△第四/夢(ゆめ)はなし△△△△丸山 00018160L7第五/日陰豆(ひかげまめ)△△△青奴△△第六つがもない/切味(きれあぢ)△君里 00018170L8第七/俄旅(にわかたひ)△△△性急△△第八/汐(しほ)の/満干(ミちひ)△△△△朱桜 00018180L9第九/身仕廻(ミじまい)/部屋(べや)△/胯牛△△十軸/豊年(ほうねん)の/悦(よろこび)△△△△小河 00018190L10坐外むしろ/破(やぶり)△△△羅朝 00018200L11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二ウ) 00018210¥N1¥J 00018220¥X早説法 00018230M3/和尚(おしやう)さま。あの天人ハ/仏(ほとけ)のやうにもあり、仏でもなし。ど 00018240M4うしたものでござります。アレハ信心ハしたれども、/夫婦(ふうふ) 00018250M5中がわるふて、一/連(れん)/詫生(たくしやう)とも/契(ちぎ)らなんだゆへに、天上の/果(くわ) 00018260M6を/得(ゑ)ても/後家(ごけ)同前に暮すのが、それがなんの/手柄(てから)ぞやと/説(とか) 00018270M7せ置れた。ハア、/有難(ありかた)い事でござります。其男ハ何に成ま 00018280M8す。ムヽそれか。その男が五百/羅漢(らかん)じや 00018290¥N2¥J 00018300¥X武蔵鐙 00018310M11いにしへの/粋(すい)の/果(はて)も、今ハ下女だにもつかわず。只/女房(によぼう)と 00018320M12二(三オ)人わび住居。冬の日も長ふ覚へられ、たいくつや 00018330M13と門へ出れば、世に有し時、ちよこ+/呼(よひ)出せし法師通り 00018340M14けれバ、彼/粋(すい)人、是ハ御坊。どこへ行ぞといふ。法師是ハ 00018350M15/酒楽(しゆらく)さま。おひさしや+。先おかわりもなされいで御目 00018360M16出たい。酒楽、手をとり内へともなひ、久しふりじや。一 00018370M17つ呑せられぬか。法師夫ハ有/難(かた)しといふに、酒楽、召使ひ 00018380M18もあまた有ていにて手をたゝく。はいといふて女房出れバ、 00018390M19/盃(さかづき)を持といふ。女房ハ勝手へ立、したつゞみ打、/徳利(とくり)をふ 00018400M20つて見て居る。酒楽扨御坊。珍らしい事ハないかといへど 00018410¥P54 00018420¥G(四オ) 00018430L13も、法師たゞうつむいて/返答(へんとう)もせず。酒楽、御坊+とい 00018440L14ふに、(三ウ)(四オ挿絵)法師がハイ。酒楽貴さま、いねむつて 00018450L15居るか。イヤ、/寐(ね)ハ致ませぬが、きり+すや松むしに聞 00018460L16入ておりまする 00018470¥N3¥J 00018480¥X旦那贔屓 00018490L19/丁稚(でつち)三人/寄(より)合、ひとりの/丁児(でつち)がいふにハ、こちの旦那ハき 00018500L20つい/謡(うたい)が名人じや。昨日/鉢(はち)の木をうたわれた所が、其/侭(まゝ)/雪(ゆき) 00018510M1が降たといふ。又壱人のでつち、こちの旦那も/能(のふ)がきつい 00018520M2上手じや。此間/道成(どうしやう)寺の/能(のふ)をしられたら、/鐘(かね)入の時、/雨(あめ) 00018530M3がふつたげな。今壱人リの/丁児(でつち)、何がなまけずいひたいと 00018540M4おもひ、こちの旦那もうたひが上手で、先度/熊坂(くまさか)をやられ 00018550M5たら、其/晩(ばん)に/盗(ぬす)人が/這(は)入た(四ウ) 00018560¥N4¥J 00018570¥X夢咄し 00018580M8去/道具屋(とうぐや)に二三人手代有。九兵衛扨/私(わし)ハ夕部、大な+日 00018590M9の丸の/扇子(あふぎ)を/夢(ゆめ)に見たが、どふで有。権八夫ハ目出たいが、 00018600M10大イとハ十里もあつたかと、こまらせんと尋れば、九兵衛 00018610M11イヤ、十里や百里とハ言ハん。権八、/肝(きも)をつぶし、そんな 00018620M12ら千里もあつたか。九兵衛イヤ、そんな事じやない。権八 00018630M13そんなら大キいとハ、なんぽ程あつた。九兵衛されば、凡 00018640M14/雲(くも)に/骨(ほね)さいたやうな 00018650¥N5¥J 00018660¥X日蔭豆 00018670M17去所に/綿摘(わたつミ)の/指南(しなん)する人あり。かの所へ/弟子(てし)しゆ七八人も 00018680M18(五ノ十オ)ならひに行、皆+座敷に綿つんで居る。/床(とこ)の 00018690M19間に七福人の掛ものかけて有ルを見て、アノ/掛物(かけもの)見なされ。 00018700M20いかい/殿達(とのたち)の中に女中一人で、色事してゞあらふが、どの 00018710¥P55 00018720L1人じやあろふな。私しや戎さんじやあろか。おきよ様、お 00018730L2前ハヱ。私しや/大黒(だいこく)さんがよいわいな。イヤ、/布袋(ほてい)さんが 00018740L3でつくりとしてよかろといふ中に、十ヲばかりの子、わた 00018750L4しやな、げほうさんがよいわへといふを、皆+聞て、あ 00018760L5のお子ハませた。どふしてげほうさんがよいへ。私しや、 00018770L6だかれても/綿(わた)がつめるわへ 00018780¥N6¥J 00018790¥Xつがもない切味(五ノ十ウ) 00018800L9ある所にまけおしミいふ/浪(ろう)人者有けるか、たくわへの金遣 00018810L10ひ切し、手に覚へし事もなければ、いろ+心をつくし、 00018820L11一/思案(しあん)して、武士の常なればとて、切とり/強盗(ごうとう)と出かけ、 00018830L12/黒羽二重(くろはぶたへ)のよふかん色、ほくそ頭巾に目ばかり出し、大だ 00018840L13らきめて、/或(ある)松原にしのひ居たりける所へ、旅人通りかゝ 00018850L14るを、彼浪人、どす声にて、コヲレ+と呼ひかける。旅 00018860L15人、とこからじやと問へハ、イヤ、こゝからと、いなむら 00018870L16よりぬつと出、さか/代(て)置てゆけといふやいな、すらりとぬ 00018880L17いて、かの浪人を大げさに打はなして通りければ、彼死か 00018890L18い、あたまを上ケ、うれしや、これでたすかつた(十一オ) 00018900¥N7¥J 00018910¥X俄旅 00018920M1△△△△△右ハ必&舎馬宥撰話綱目第三の勝に有 00018930¥N8¥J 00018940¥X汐の満干 00018950M4/振(ふり)つるべを取はづし、引あげんにも、つるへ取もなし。/梯= 00018960M5子(はし=こ)をさして、やう+つるべをとりあけんとすれば、ほり 00018970M6ぬき井戸のかなしさ、すとんとぬけて、まん+たる海に 00018980M7出れハ、つるべ壱つをちからにういつしづんつ、やう+ 00018990M8大な山にさしかゝり、のほる程に/絶頂(せつてう)に又井戸あり。こり 00019000M9もせず、そつとのぞけバ、水ミち+たり。先息つぎにと、 00019010M10持たる釣瓶を井戸におろせバ、/鯨(くしら)が、ハアクツサメ(十一ウ) 00019020M11(十二オ挿絵) 00019030¥N9¥J 00019040¥X身仕廻部屋 00019050M14/菊(きく)さん。おまへ、アノ/金毘羅(こんぴら)さまへ/挑灯(てうちん)上ケンかヱ。アノ 00019060M15私じや、おもひ付が有わへ。/絵絹張(ゑきぬばり)にして/砂子(すなご)でもあしら 00019070M16ふたら、どふ有ロへ。そんなら私じや、白ぢりめんに/縫紋(ぬいもん) 00019080M17さしてあけるわへ。イヤ私じや、いつそ/緋(ひ)ぢりめんでしや 00019090M18うとおもふわへ。ヱヽもつたいない事言イ 00019100¥P56 00019110¥G(十二オ) 00019120¥N10¥J 00019130¥X豊年の悦 00019140L15/片山(かたやま)里までも近年になき/豊(ほう)年ゆへ、うきをはらしに/祖父(ぢい)/祖= 00019150L16母(ば=ゞ)/連(つれ)にて、大坂へ/芝居(しばい)見物に来り、日本橋の両がへ屋にて 00019160L17/銀(ぎん)拾匁/銭(ぜに)にかへたれば、九百文たらずほうり出す。/親父(おやぢ)手 00019170L18に取(十二ウ)あげ、ふしぎそうな顔をして、なんとお手代 00019180L19衆。コリヤ/算用(さんよう)が/違(ちが)ひハしませぬか。是ハあんまりおゝを 00019190L20ございすが。手代、につこり笑ふて、今の相/庭((ママ))でござりま 00019200M1す。/親父(おやぢ)ほた+悦び、/祖母(ばゞ)+悦びや。アヽけつかうな 00019210M2世中にあふ事じやわいの。在所ばかりじやない。大坂も銭 00019220M3の/豊年(ほうねん)じやそふな 00019230¥N11¥J 00019240¥X莚破り 00019250M6むかし+/祖父(ぢい)と/祖母(ばゞ)、/蟹殿(かにとの)の方へ行、サテ今日ハ清水に 00019260M7咄会が有ゆへ、是から出かけるが、こなたもござらぬか。 00019270M8サテ同道致そふ。サア我等も近頃咄会が度+有と聞て居 00019280M9ます(十三オ)れど、/私等(わたしら)やこなた衆ハ時代が違ふよつて、 00019290M10一向に出る気もない。こなた衆もおれも当代の咄しハ、迚 00019300M11もそりが逢ハぬ。よしにさしやれ。イヤ+そふでない 00019310M12+。是まで会毎に様子を聞に、わしらやこなたの年輩の 00019320M13ものが、ちよつこ+手からをします 00019330¥Y1話大全壱の巻終 00019340¥Q1 00019350M15△△△△此所へ書記し御披露仕候 00019360M16/英笑△話(はなふさはなし)/△見△台(けんだい)性急斎玄暉△△△八席目△△△全五冊 00019370M17/年△忘(としわすれ)/△互△笑△語(たかいはなし)@咄評判の如|く互評△△@△△△二席目△△△全五冊 00019380M18/青△陽(せいやう)/△戯△談△閲(はなしひらき)恵方軒福来△△△九席目△△△全五冊 00019390M19△△△右三品、近日板行出来仕候。御求め御覧可被下候 00019400M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十三ウ) 00019410¥P57 00019420¥T1咄会七席目△△△△△△△△△△△△△¥A橘香亭瓶吾撰 00019430¥Y1時勢話大全巻二 00019440L5十一/横切道(よこきれミち)△△△△朱桜△△十二△/夫(それ)+の/薬力(やくりき)△歳渡 00019450L6十三/内外(うちそと)のせりふ△提嶋△△十四△/鎗先(やりさき)△△△△対寿 00019460L7十五/京内参(きやううちまいり)△△△白水△△十六△/弥陀(ミた)の/光(ひかり)△△△自楽 00019470L8十七/孝行臼(かう+うす)△△△△必&△△十八△/印違(しるしちがい)△△△△不銘 00019480L9十九/雲介(くもすけ)の/孔明(こうめい)△△伏香△△二十軸二四八ツ/橋(はし)△△必& 00019490L10坐外/誹名(はいめう)の/間違(まちかい)△△福谷 00019500L11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一ウ) 00019510¥N1¥J 00019520¥X横切道 00019530M3△△△△△右ハ必&舎馬宥撰話綱目四十軸ニ有 00019540¥N2¥J 00019550¥X夫+の薬力 00019560M6長崎船てもなし、松前行とも見へず、江戸廻りの船でハ有 00019570M7まいし、サテ+かわつた船じやとよく+見れば、何や 00019580M8ら箱を大分つミいる。箱のふたを見れバ、五拾三万石物、 00019590M9大極上くわいとの書付。あまり/不思議(ふしぎ)におもひ、申+/船= 00019600M10頭(せん=どう)どの。此船ハいづくへ行のでござる。是か。此船ハ/女護(によご) 00019610M11の/嶋(しま)へ行ます(二オ) 00019620¥N3¥J 00019630¥X内外のせりふ 00019640M14町はづれに/田楽店(てんかくミせ)を出し、外に/息子(むすこ)、でんがくあぶりて居 00019650M15ル。折ふし/山伏(やまふし)通合せ、/兄(あに)よ。其手に持て居るハ何ンじや 00019660M16と問へバ、これか。是ハうちわじやといふ。あほういふな。 00019670M17内に有てこそ/団(うちハ)なれ。外に有ハ/卒都婆(そとは)じやといふ。息子、 00019680M18内へ/這入(はいり)、親父どの。アノ山伏めがにくい事言イおつた。 00019690M19我手に持て居る物ハ何ンじやといふた故、/団(うちハ)じやといふた 00019700M20れば、山伏めが、あほうぬかすな。内に有てこそうちわ、 00019710¥P58 00019720L1外に有ハそとハじやと言おつた。親父イテ、/返答(へんとう)してこい。 00019730L2何ンといゝましよ。ヲヽあなたハ何でござる(二ウ)(三オ挿 00019740L3絵)と問へ。山伏じやいふであろ。山に有てこそ山伏なれ。 00019750L4野にあれハ野ぶしじや、いふてこい。息子、心得とんで行、 00019760L5ヲヽイ+と呼へバ、山伏/跡(あと)むけバ、こなたハなんでござ 00019770L6る。山伏山上参りといふに、息子、ぬからぬ/顔(かほ)で、たつし 00019780L7やで参つてござれ 00019790¥N4¥J 00019800¥X鑓先 00019810L10/嚊(かゝ)さん。お使に往たよつて、よりまする。母ヲヽよふ来た 00019820L11が、コレ道よりせずと、早ふ/往(い)にや。どふじや。/往(い)てから 00019830L12四五十日にも成ルが、/居馴染(いなじん)で/勤(つとめ)よいか。アイ、/昼(ひる)ハ/随分(すいぶん) 00019840L13とよふござりますが、/夜(よる)ハ。母ムヽ、/更(ふけ)るによつて、ねむた 00019850L14いか。イヽヱ、(三ウ)旦那さんが。母しかりなさるか。イヽ 00019860L15ヱ、しかつてじやないが、/敵(かたき)のやうにしたり、子のやうに 00019870L16したり 00019880¥N5¥J 00019890¥X京内参り 00019900L19北国の人、/祇園会(きおんゑ)へかけて、はしめて京へのぼり、三条の 00019910L20/旅篭屋(はたごや)にてとうりうの折から、/勝手(かつて)に有/枕蚊帳(まくらがや)を見付、 00019920M1あれハ何に成ルものぞと尋ければ、亭主、/御覧(こらん)の通り、/忰(せがれ) 00019930M2めがござるによつて、/昼蚊(ひるか)が出ますると入ます故と、咄し 00019940M3中/端(ば)へ、/彼客(かのきやく)の/し((ママ))たいに/蚊(か)壱つとまれバ、客、手にておさ 00019950M4へ、/御亭主(ごていしゆ)。入レて置つしやれ(四オ) 00019960¥N6¥J 00019970¥X弥陀の光 00019980M7爰に名に聞へたる/浮瀬(うかむせ)の一客、/仙(せん)といへる/富家(ふか)の主人、手 00019990M8代/弁慶(べんけい)数多打つれ、我遊ふ所とて、西の/海面(うミづら)見渡す/亭(ちん)の別 00020000M9座敷を/建(たて)させ、大江屋にけふ巻ひらきの咄会、今や+と 00020010M10初りを待/酒宴(しゆゑん)。さいつおさへつ数廻る盃を手に持て、娘申、 00020020M11何と仙さん。アノ掛物に/画(かい)てあるげほう殿といふハ、七福 00020030M12神の内かいなア。仙成程、アレハ七福神の内て/福禄寿(ふくろくしゆ)とい 00020040M13ふて、金銀/沢山(たくさん)に/食(しよく)分多く、其上によい事ハ/寿命(しゆミやう)の長イ人 00020050M14じや。/欲(よく)にハ限りのないもの。我等も福禄寿にハあやかり 00020060M15(四ウ)たい。娘私もあやかりたい。アノやうにつむりが長 00020070M16ふしてほしい事てござります。仙アノ/化(ばけ)ものゝやうな長イ 00020080M17あたまが、とふしてあやかりたいぞ。娘サイナア。あのや 00020090M18うなつむりに、かんざしが一ぱいさしたい 00020100¥N7¥J 00020110¥X孝行臼 00020120¥P59 00020130L1御/隠居(いんきよ)、おかわりもござりませぬか。コレハ八兵衛殿。よ 00020140L2ふござつた。マアお上りなされ。扨いかふ/冷(ひへ)出しました。 00020150L3さやうでこざります。サテ大分芝居がはづミます。チト御 00020160L4見物に御出なされ。サアきつうはづむそふな。しかし年よ 00020170L5りますと/眼(め)ハうとふなります。芝居もとんと見に行気も出 00020180L6ませず、又/歯(は)ハわるふござれハ、/豆(とう)(五ノ十オ)/腐(ふ)より外の 00020190L7物ハ/香物(かうのもの)さへおろしで/おろしで((ママ))たべまする。余所へ参ても 00020200L8/喰(くひ)物にハこまります。いかさま、夫ハ御不/自由(しゆう)にござりま 00020210L9せう。しかし何ぞお/歯(は)に合そふな和らかなものといふ所へ、 00020220L10十七八のうつくしい/腰元(こしもと)が、お茶あげませう。 00020230¥N8¥J 00020240¥X印違 00020250L13/黒焼(くろやき)屋の/親父(おやぢ)、近所の娘に/惚(ほ)れ、しらがあたまでハとても 00020260L14/合点(がてん)せまいと、いもりの黒焼ふりかけて帰り、/晩方(はんかた)に出か 00020270L15け、/辺(あた)りに人もなしと、彼娘の/傍(そバ)へより、/姉(あね)、どふじやと 00020280L16/背中(せなか)をたゝけバ、娘、なんにもいわず、/腕(かいな)にかふりつく。あ 00020290L17いた+。こりやどふすると(五ノ十ウ)いへば、又あたま 00020300L18へかふりつく。親父、こりやたまらぬと/血(ち)のたら+なが 00020310L19るゝあたまをかゝへ、走つて戻り、コリヤ+。其/棚(たな)の角 00020320L20ミの/黒焼(くろやき)のふた物、なんと書て有ル。見てくれ。丁児ハイ。 00020330M1かき付ハ/狼(おほかミ) 00020340¥N9¥J 00020350¥X蜘介の孔明 00020360M4江戸より登りし/侍(さむらい)、大津にて、蜘介/旦那(だんな)。/駕(かご)にめしませぬ 00020370M5か。ムウ、是より京へ/竹輿(かご)ちん、いくらで行。ハイ。五百 00020380M6文でござります。夫ハ高イ。百五拾にまけい。ヱヽゑらい 00020390M7かつをふしじやなア。侍、聞て/小戻(こもとり)して、なんとぬかす。 00020400M8身をかつをぶしと言ツたな。イヤ、おまへさまの事じやご 00020410M9ざりませぬ。イヤ、身共が事じや。イヱ+、私か事で 00020420M10(十一オ)こざります。ナニ、我事とハとふした訳で。ハテ、 00020430M11かゝにやくわれませぬと申事でござります。にくいやつじ 00020440M12や。身を出しにつかふたな 00020450¥N10¥J 00020460¥X二四八ツ橋 00020470M15遠国から来た/這出(はいで)のおとこをよんで、/御主人(ごしゆじん)を/道頓堀(どうとんほり)へ/迎(むか) 00020480M16ひに行と言付ければ、ハイ。私ハ道頓堀ハ存しませぬ。フ 00020490M17ン、夫なら/新町橋(しんまちばし)をしつているか。ハイ、知つております。 00020500M18其新町橋へいて、/浜(はま)かわを真直に行と、四ツ橋といふてな、 00020510M19橋が四つある。ハイ。其橋を渡つて真直に行と道頓ぼりじ 00020520M20や。ソコテ川作と尋ねて往てこいとおしへられ、畏りまし 00020530¥P60 00020540¥G(三オ) 00020550L13たと/箱挑灯(はこてうちん)/提(さげ)て、新町ばしへ来て、/渡(わた)(十一ウ)らずに/浜側(はまかわ) 00020560L14行のじやと、教への通り真すぐに来て、なる程/橋(はし)が四つ有。 00020570L15サテモ珍らしい所じやと、ていねいに四ツ橋を渡つて、ま 00020580L16つ直に行、モウ爰らで有ふと思ひ、/番所(ばんどころ)で、どうとん堀の 00020590L17川作とハ何所でこさると尋ぬれバ、めつそうな。爰ハとん 00020600L18だやばしじや。ソレハ向ふの四ツばしを渡つて、真直に行 00020610L19と/道頓堀(どうとんぼり)じやとおしへられ、めんような事と思ひながら又 00020620L20あとへ戻り、爰が今の四ツばしと/念(ねん)入て皆わたつて、真直 00020630M1に行て見れバ、爰ハ新町ばし。是ハとうした物じやと、ふ 00020640M2しきな事の。なんでも/最(も)一度四ツ橋へ往て見てと、又四ツ 00020650M3橋へ戻り、コウ渡つて、又コウ渡つて、フウン、コウツコ 00020660M4ウ行と、さつきのみち(十二オ)じや。コレハふしぎと/思案(しあん) 00020670M5の内、/黒(くろ)イ/着(きる)物/着(き)た色白な女コ、/川岸(かハきし)より上へあがるを見 00020680M6て、其手じや行かぬと、/眉(まゆ)に/唾(つハ)を 00020690¥N11¥J 00020700¥X誹名の間違 00020710M9ナント治郎兵。上方にかわつた事ハなかつたか。イヤ何に 00020720M10もかわつた事ハないか、サテ上方の芝居で誉るのに、とか 00020730M11く役者の名を言ず。見物衆が何やら下に、しの字を付て誉 00020740M12まする。マア角の芝居座本の小川とやらが出ると、ヨウ/英= 00020750M13子(ゑい=し)といふて誉る。/雛(ひな)介を/■洲(ミんし)、岩五郎を/鳫子(がんし)、治郎三が出 00020760M14るとくわんしなとゝ、皆下に、しの字を付、誉まする。其 00020770M15間に見しらぬ役者が出ましたれバ、下手かして(十二ウ)見 00020780M16物衆が、誉詞がなかつたれば、役者の口から、上し 00020790¥Y1話大全二の巻終 00020800¥P61 00020810¥Q1 00020820L1△△△▲此所へ書記し御披露仕候 00020830L2順△会△咄△献△立△△増舎大梁△△△△四席目△全五冊 00020840L3智△恵△競△咄△揃△△筆花亭対寿△△△△五席目△全五冊 00020850L4新△撰△噺△番△組△△菊花亭流水△△△△六席目△全五冊 00020860L5時△勢△話△綱△目△△必&舎馬宥△△△△七席目△全五冊 00020870L6互△撰△咄△評△判△△@役者芸品定の例に習ひ位付を△|定め咄の甲乙を掟む則是初席也@△全五冊 00020880L7△△△右の本、当正月二日より出し申候。御求め御覧可被下候 00020890L8△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△巳上 00020900L9△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十三オ) 00020910¥T1咄会七席目△△△△△△△△△△△△△¥A橘香亭瓶吾撰 00020920¥Y1時勢話大全巻三 00020930M5廿壱△/乾△坤(けんこん)△△対寿△△廿二△/住吉詣(すミよしもふで)△△△渉江 00020940M6廿三△/節△分(せつぶん)△△不銘△△廿四△/今清姫(いまきよひめ)△△△朱桜 00020950M7廿五△/藍(あい)の/紋付(もんつき)△談山△△廿六△/福(ふく)の/神(かミ)△△△杜子 00020960M8廿七△/鰒(ふぐ)△△△△泉藤△△廿八△/夜明(よあけ)の/山葵(わさひ)△§ 00020970M9廿九△/大江(おほへ)の/岸(きし)△大梁△△三十軸/苦笑(にがわら)ひ△△△菅水 00020980M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(壱ウ) 00020990¥P62 00021000¥N1¥J 00021010¥X乾坤 00021020L3是ハ+お/顔(かほ)がきつうはれました。其上アチコチ/疵(きす)も付た 00021030L4が、よふお/眼(め)にあたりませなんた。お打なされたか、おこ 00021040L5けなされたか。ハイ。夜前左リが過まして、ヘヽヽヽヽ、 00021050L6右の仕合 00021060¥N2¥J 00021070¥X住吉詣 00021080L9北/浜(はま)/辺(へん)米問屋の手代、不断/得意衆(とくいしゆ)へ相場をふれ/歩行(あるき)しが、 00021090L10先キ+で高下がないといふを聞あき、けふハ/誓文(せいもん)ばらひ 00021100L11なれば、何ンでも今宮の戎から住吉へ参り、道すがら/慰(なくさ)む 00021110L12べしと、只一人リ行程に、フト道づれ出来、道連の男あな 00021120L13たも住吉へ御参(二オ)けいそうな。アヽいつでも御はんじ 00021130L14やうな宮でこさります。しかし此米の/相場(そうば)でハ、/実入(ミいり)かた 00021140L15ゝござりませうてやといへバ、手代ヱヽ、けふも/休(やす)ましお 00021150L16らぬ 00021160¥N3¥J 00021170¥X節分 00021180L19コリヤ+/旦那様(たんなさま)のお/厄年(やくどし)、お祝ひ申せと/差(さし)出せバ、大/鷹(たか) 00021190L20に包ンだいり豆と小判おし/戴(いたゞ)きて、厄払一ト口いひ出すと、 00021200M1旦那さまへ御/注進(ちうしん)と/広庭(ひろにハ)に両手を突、申上ます。只今御門 00021210M2前にて厄はらひ。ヤアラ目出たいなア。なんほう目出たい 00021220M3な。こなたの御/寿命(じゆめう)を申さバと舌も引ぬに、次の早打申あ 00021230M4げます。鶴ハ千ねん(二ウ)(三オ挿絵)亀ハ万年。/東方朔(とうぼうさく)ハ九 00021240M5千歳と申ます。次の早打申上ます。浦嶋太郎ハ八千ざい、 00021250M6三浦の大介百六つと申ます。旦那、紙と筆いち+に書な 00021260M7らべ、コリヤ+/夜中(やちう)の/対面(たいめん)ハ叶ハぬといへ。さいわい明 00021270M8日ハ/新橋(しんばし)の渡り/初(そめ)。一/番(はん)ハ万年の/亀(かめ) 00021280¥N4¥J 00021290¥X今清姫 00021300M11/長崎(ながさき)に有者、壱人の女と仮りに/契(ちぎ)りけるに、けふむかへた 00021310M12まへ、/翌(あす)呼びとり給へと、女ハ/婚礼(こんれい)を急ぐ内、/轆轤首(ろくろくび)の事 00021320M13を聞出し、此男たまられず、夜の間に/忍(しの)ひ出、/迯(にげ)る程に、 00021330M14ろくろ首是を聞、たちまちうるハしき首ぬけ出て/追(お)ふ程に 00021340M15迯る程に、跡へなり(三ウ)先キへなり、/海(うミ)を/越(こへ)山を越、と 00021350M16ふ+/奥州(おうしう)まて追来りしが、余りの/辛労(しんろう)さに、ある/畠(はたけ)の/畝(うね) 00021360M17に休む所、其/辺(あた)りにおびたゝしき里いもあり。先息つぎと 00021370M18思ひ、ろくろ首、いもをあまた喰ひければ、長崎でブウ 00021380M19++ 00021390¥P63 00021400¥N5¥J 00021410¥X藍の紋付 00021420L3去寺の/和尚(おしやう)、/旦家(だんけ)へ法事に参られ、いろ+と/馳走(ちそう)にあい、 00021430L4しつ+と寺へ帰られければ、留主居の/僧(そう)出向ひ、お早ひ 00021440L5お帰。今日ハ/非時(ひじ)。サゾ+御馳走なるべしといへバ、和 00021450L6尚イヤモフ馳走の段か。/膳部(ぜんぶ)ハ皆/景物(けいぶつ)だらけで有た。夫ハ 00021460L7マア気をはられましたな。(四オ)まづ+お休ミなされま 00021470L8せ。和尚、おくへ入ける。跡にて新参の/食焚(めしたき)男、/竃(かま)のまへ 00021480L9より、申、/信入(しんにう)さま。アノ今和尚さまの仰られたけいぶつ 00021490L10とハ、マア、どのやうな/仏(ほとけ)さまでござります 00021500¥N6¥J 00021510¥X福の神 00021520L13コレハおびたゝしい/燈明(とうめう)の。マアなんとしたのじや。サア 00021530L14聞てたも。先度貴様と大坂へ往た時、中の芝居のさんじき 00021540L15に居た女良をおもわくで、又此間大坂へ出かけて、/日頃(ひころ)/信= 00021550L16心(しん=+)する長町裏の/毘沙門(びしやもん)さまへ/這入(はいつ)て、しばらく拝し居たれ 00021560L17ば、何所ともなふ/異香(いけう)くんじ、/御戸帳(ミとてう)の内から、/画(ゑ)にかい 00021570L18たやうな/百足(むかで)がする+と出て(四ウ)来て、/袂(たもと)の中へはい 00021580L19つた。ソレハ目出たい。そんなら其女郎も、首尾よふ立/銀(かね) 00021590L20でも仕て連て戻つたのか。イヤ+、モウおもへバ+、 00021600M1私にハ福の神のひかへ/綱(づな)が有わいの。フウ、そんなら、/自(じ) 00021610M2まへのおやまで、心安ふ/相談(そうだん)が出来たか。イヤ、ふられた 00021620M3によつて 00021630¥N7¥J 00021640¥X鰒 00021650M6一日/過(すぎ)のはたらき人思ふやうハ、最早/節季(せつき)にも近づきけれ 00021660M7バ、どうも仕やうもなく、イツソ死ンでのきやう。しかし 00021670M8腹きればいたし。/鰒(ふぐ)を喰て死ふとおもひ、肴屋へ行、コレ 00021680M9+鰒の/随分(すいぶん)あたるやつハ有か。肴屋ハイ、ござりますと 00021690M10いふて/篭(かご)より出し、直ハ五百(五ノ十オ)文でござります。 00021700M11客ソリヤきゑんが悪イ。/百(ころり)にせい 00021710¥N8¥J 00021720¥X夜明の山葵 00021730M14居つゝけのむり酒に、/仲居(なかい)もとんとあぐミ/果(はて)、替へ/銚子(てうし)に 00021740M15/白湯(さゆ)に茶をくわへ、/銚子鍋(てうしなべ)二つで座敷をくろめる内、カノ 00021750M16/大尽(たいじん)、れいの大盃を引よせ、つきおれ、呑むハと/苦(にが)ちやり 00021760M17ましり。仲居も/酩酊(めれん)で、茶の方のてうしで丁どつぐ。一坐 00021770M18ハ手にあせ。スハ事こそ、大ていのハンコでハ有まいと思 00021780M19ふ内、カノ盃をクツトほして、/舌鞁(したつゝミ)打そらさぬ顔に、は 00021790M20つミをすかさず、其盃チヨトいたゞき。かさの紐とならぬ 00021800¥P64 00021810¥G(三オ) 00021820L13たいこも、白湯のチヤラクラ。跡ハ(五ノ十ウ)/芸子(げいこ)がはか 00021830L14たおどりで、どうやらかうやら/座敷(ざしき)も納り、又ももよふす 00021840L15盃に、/大尽(たいじん)から取あぐる。今度ハ/仲居(なかい)に/眼(め)くバせて、/酒(さけ)の 00021850L16方を丁どつく。/大尽(たいじん)一ト口呑ンで下に置、/予(おれ)もやつぱり、 00021860L17そちらにせう 00021870¥N9¥J 00021880¥X大江の岸 00021890L20去冬から/噺(はなし)が此やうに/時行(はやる)のハ、どふしたものじやゾイ。 00021900M1サア時行はづじや。/集元(あつめもと)が/神道者(しんとうじや)じやによつて、/稲荷(いなり)さま 00021910M2をまつらるゝ。夫レで此やうに長ふ噺がはやります。ハテ 00021920M3夫ハやくたいもない。/稲荷(いなり)さまを祭たとて、はなしがとふ 00021930M4しては(十一オ)やるもので。其やうな事、言ハぬものじや。 00021940M5サア夫でも、いなりか/狐(きつね)に違ひハない。ムウ、ソウいやつ 00021950M6ても、狐や稲荷が其様に自由に成ルものでハなし。又狐の 00021960M7/官(くわん)上りでも有まい。ハテ扨、貴様、其やうに言やるけれど、 00021970M8狐じやといふ其/証拠(しやうこ)ハの。何所でもかしこでも皆、/会(くわい)、/会(くわい) 00021980M9+と言まする 00021990¥N10¥J 00022000¥X苦笑ひ 00022010M12申、/親父(おやぢ)さま。此間ハ/人相(にんそう)におこりなされてござりますそ 00022020M13ふな。憚ながら私か/相(そう)、チヨト御らうして下さりませ。親 00022030M14父子を見事、親にしかず。相見るに及バぬ。息子イヤ申、 00022040M15夫でも子の(十一ウ)心親しらずと申ますじやないか。親父 00022050M16何をぬかすやら。親のこゝろ子しらずでこそあれ。息子イ 00022060M17ヱ+、其親の心子しらずハはるかむかし。今の世ハ皆、 00022070M18子のこゝろ親しらずに成ました。親父フン、そふいふ事な 00022080M19ら見てやろと、/天眼鏡(てんがんきやう)を出し、顔にあてゝ、先親に似て/保= 00022090M20寿官(ほ=しゆくわん)よし。しかし今年ハ大事のとしじや。ヱヽ此さんざい 00022100¥P65 00022110L1のほくろを取レと、しばらく守り、ホウ、水なんも見ゆる、 00022120L2けんなんも見ゆる。/万事(はんじ)ひかへて出あるかぬがよい。イヤ 00022130L3申、/女難(ちよなん)ハござりませぬかな。親父それをおれが口から 00022140¥Y1時勢話大全三の巻終△(十二オ) 00022150¥T1咄会七席目△△△△△△△△△△△△△¥A橘香亭瓶吾撰 00022160¥Y1時勢話大全巻四 00022170M5三十一/味(あぢ)くらべ△△△蛙沢△△三十二/深釜(ふかいかま)△△不銘 00022180M6三十三/彫出(ほりだ)し/損(ぞん)△△勇山△△三十四/戎膳(ゑひすせん)△△鯉鱗 00022190M7三十五/聾(つんぼ)の/垣覗(かきのそき)△△五粒△△三十六三ツ/違(ちかい)△△兎田平 00022200M8三十七里の/仙人(せんにん)△△木可棟△三十八口/脉(ミやく)△△提嶋 00022210M9三十九/鏡(かゝみ)の/顔(かほ)△△△香笛△△四十軸/真田山(さなだやま)△△二雪 00022220M10坐外/古方剤(こほうざい)△△△二雪 00022230M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一ウ) 00022240¥P66 00022250¥N1¥J 00022260¥X味くらべ 00022270L3若ひ者二三人打寄、/鰒汁(ふくじる)を喰ふて居る所へ/友達(ともたち)来りしに、 00022280L4わかい者、ホウ、よい所へ来た。/鉄炮(てつほう)じや。サア喰へと言 00022290L5ければ、友達何じや。鰒か。イヤ+よしにしやう。若い 00022300L6者共ハテ扨、貴さまもしゆんた事いふものじや。そんな事 00022310L7ハよしにせいといふに。友達どふやら/気味(きミ)が/悪(わる)い。そして 00022320L8鰒ハ一生喰ふなと親父のゆいこんじやといへバ、ハテ/埓(らち)の 00022330L9明ぬものじや。是を喰ねバ男の内じやないわい。サア喰へ 00022340L10と無理に/居(す)へけれバ、友達そんなら喰をかと箸取しが、し 00022350L11ばらく/思案(しあん)して、イヤ+、とふでも、おなごの方がよい 00022360L12(二オ) 00022370¥N2¥J 00022380¥Xふかい釜 00022390L15ホンニいつぞハ問ふ+とおもふが、貴様の/羽織(はおり)の紋から 00022400L16/腰提(こしさげ)の金物まで、皆&桐のとう。夫レに又、ひとつ+/形(かたち) 00022410L17がかわつて有の。フウ、コレカ。是にハ大分/講釈(かうしやく)が有てや。 00022420L18先五三の桐、五七の桐、小/判(ばん)に有が/大閤(たいかう)桐、/時代(じだい)桐をうつ 00022430L19した/唐紙(からかミ)ハ/岩仁(いわに)桐、其外/利休(りきう)桐、/織部(おりべ)桐、角の有のか/鬼(おに)桐、 00022440L20葉の丸いのが/布袋(ほてい)桐、ひれのやうなが戎桐。コレ+待た 00022450M1しやれ。其戎桐ハついに聞ぬ。ハテ、何ンのない事を言ま 00022460M2しよ。イヤ、夫でも戎桐ハ聞ぬ名じや。サア夫レが/啌(うそ)なら、 00022470M3ゆびきりかまきり(二ウ)(三オ挿絵) 00022480¥N3¥J 00022490¥X堀出し損 00022500M6去目利/自慢(しまん)する人、小道具屋見世へ立寄、/珊瑚珠(さんごしゆ)のおしめ 00022510M7見付、直段何ほどゝ問へバ、商人壱匁五分といふ。買人八 00022520M8分にまけひ。商人負り不申。買人しからハ折合ふて壱匁に 00022530M9かい、内へ戻つてよく+見ても、本のさんごじゆ。され 00022540M10ども余り直段下直なるゆへ、/不思議(ふしぎ)におもひ、日比より目 00022550M11利/自慢(じまん)もする身なれバ、人に/目利(めきゝ)頼まんも残/念(ねん)に思ひ、此 00022560M12上ハこゝろ見んと/毒(とく)酒をこしらへ、すてに呑ンとする時、 00022570M13カノさんごじゆ、たちまちミぢんに破たり。南無三ぼう、 00022580M14/正真(しやうじん)じや 00022590¥N4¥J 00022600¥X戎膳(三ウ) 00022610M17コレ+夫ハ戎膳じや。ハイ。戎膳とハなんの事でこさり 00022620M18ます。ハテ、ぜんハ/杢目(もくめ)を/横(よこ)にすへるものじや。立に居へ 00022630M19るを戎ぜんといふわいの。ソレハどふした事で、戎ぜんと 00022640M20申ます。サイノウ、立にすへるによつて、ゑびすぜんじや。 00022650¥P67 00022660L1其立にすへるのが、どふして戎膳でござります。とんと聞 00022670L2へませぬ。ハテサテ、聞へぬよつて戎膳 00022680¥N5¥J 00022690¥X聾の垣覗 00022700L5或/耳(ミヽ)の遠き人、住吉へ参詣して下向の道すがら、今宮村に 00022710L6て郷家の/間垣(まかき)を人+/覗(のぞ)き居るてい。あやしく立より見ら 00022720L7れしに、/数菊(かすのきく)にしばらく目を悦ハし帰りて、サテけふハよ 00022730L8い/慰(なぐさ)ミて有た。殊に(四オ)見事な菊を見て来た。耳ハ不自 00022740L9由なれと、見る事ハ、モけつかうなものじやと咄されば、 00022750L10傍に居る座頭、夫ハ何所でござります。今宮じやといへバ、 00022760L11座頭が耳をおしへ、へヽン、是も間に逢ふといふた 00022770¥N6¥J 00022780¥X三ツ違ひ 00022790L14旦那是りや、きさよ。/薬(くすり)を持てこい。きさ、ハイといふて、 00022800L15茶を汲ンで行ければ、旦那、手に取いたゞけば、きさ、小 00022810L16/声(こゑ)に成り、モフシ、お家さんが見てゞござります 00022820¥N7¥J 00022830¥X里の仙人 00022840L19/友達(ともだち)同士が咄しけるハ、てきら二人ハゑら/仙人(せんにん)じやてやノ 00022850L20ウ。そして此(四ウ)間きけば、太三ハ戎/風呂(ふろ)の鯛にのりじ 00022860M1やけなといへバ、今壱人の友がいふやうハ、イヤサア何所 00022870M2も同事で、梅八があふぎ風呂の鶴に乗ツて居るといのと咄 00022880M3ければ、かたわらなる/田舎(いなか)人これを聞、扨+珍らしい。 00022890M4大坂にハ、/鯛(たい)や/鶴(つる)に乗る仙人が/住居(すまい)しますか 00022900¥N8¥J 00022910¥X口脉 00022920M7/浄留利(しやうるり)/好(ずき)な人、心安き所へ行、/夜(よる)も/昼(ひる)もいけもせぬ浄留利 00022930M8をかたりけるが、其家につんぼの/婆(ばゝ)有ツていふにハ、アノ 00022940M9お人の浄るりも、きつうあがつた事わいのふと/誉(ほ)めけれバ、 00022950M10彼人、婆さんハ耳が聞るかと書イて見せければ、婆イヤ 00022960M11+、聞へハせぬが、/味噌(ミそ)のあぢが大(五ノ十オ)分よふな 00022970M12つた 00022980¥N9¥J 00022990¥X鏡の顔 00023000M15△△△△△右ハ必&舎馬宥撰話綱目拾六番勝有 00023010¥N10¥J 00023020¥X真田山 00023030M18/真田(さなた)山/穴(あな)の/稲荷(いなり)のどちやう/汁(じる)、殊の外の評判でござります 00023040M19な。されバ此間も其評判、よそで/承(うけたまハ)りまして、幸ひ我等 00023050M20こうぶつなり。余りひやうばんがよさに、きのふ先がけい 00023060¥P68 00023070¥G(三オ) 00023080L13たしました。扨よふたきまするや。近日貴様も御同道いた 00023090L14しませう。夫ハ忝ふ存します。しかしどしやうを作るにハ、 00023100L15/馬(むま)のふんを入て、むしろをふた(五ノ十ウ)して作ると聞ま 00023110L16したが、定而さなだ山のも其やうにして作るでかなござり 00023120L17ませう。夫を聞てハどふやら、きみのわるいものでござり 00023130L18ますてい。ハレめつそうな。何のどちやうを馬の/糞(ふん)でつく 00023140L19りませう。あづき餅ならしらず 00023150¥N11¥J 00023160¥X古方剤 00023170M3お前さまの/御子息(こしそく)さまハ出来がよふござりますので、けつ 00023180M4かうなお事でござります。イヤ+、手前のやつより其元 00023190M5さまの息子殿、御若ひがこうとうで、マアよひ事じや。此 00023200M6間も見ますれば、/短(ミしか)ひ/羽織(はおり)/着(き)て、小/紋(もん)の着物にも羽織にも、 00023210M7/萌黄(もへき)のそてぐち付て居や(十一オ)しやる。マア第一、/芸(けい)に 00023220M8精が出ますそうな。イヤモ何じやしらぬが、/朝(あさ)から/晩(ばん)まで 00023230M9も出ております。/商(あきな)ひも/相応(そうおう)に致しますやら、/帳面(てうめん)にハ見 00023240M10へますれど、どふじや、/勘定(かんてう)があひませぬ。サア、何所も 00023250M11同し事。夫ハどふで若いによつて、/尻(しり)へぬけるものでかな 00023260M12ごんしよ。イヱ+、/尻(しり)へハぬけませんが、まへの方へた 00023270M13んと/抜(ぬけ)ますてや 00023280¥Y1時勢話大全四の巻終 00023290¥Q1 00023300M17△△△此所へかきしるし御披露仕候 00023310M18年忘噺角力△△@岡本△対山|椎本△下物@△△咄会初席△△全五冊 00023320M19立春噺大集△△常笋亭君竹△△同二席目△△全五冊 00023330M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十一ウ) 00023340¥P69 00023350L1立春噺大集△△後素軒蘭庭△△二席目同席全五冊 00023360L2夕涼新話集△△参詩軒素従△△三席目△△全五冊 00023370L3/本朝(ほんてう)/千字文(せんじもん)△益軒貝原先生著△△△△全壱冊 00023380L4/同(おなしく)/傍/註絵抄(ほりちうゑせう)△ひらかな附△△△△△△全壱冊 00023390L5/同(おなしく)/楷書石摺(かいしよいしすり)△△△△△△△△△△△△全二冊 00023400L6/本朝(ほんてう)/人相考(にんそうかう)△△△△△△△△△△△△全三冊 00023410L7/神易選(しんゑきせん)△△△投算木拾弐本添△△△△全壱冊 00023420L8/投算(なげさん)/早卜筮(はやうらかた)△投算木三本添△△△△△壱牧摺 00023430L9△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十二オ) 00023440¥T1咄会七席目△△△△△△△△△△△△△¥A橘香亭瓶吾撰 00023450¥Y1時勢話大全巻五 00023460M5四十一/井(い)の/内(うち)の/蛙(かハす)§△△四十二△二/斗(とう)の/沙汰(さた)△桃太郎 00023470M6四十三/雲(くも)を/当(あて)△△増田△△四十四△/蚕(かいこ)むしろ△△布生 00023480M7四十五/潦(にハたつミ)△△△転&△△四十六△/小夜嵐(さよあらし)△△△大梁 00023490M8四十七/夜(よる)の/鶴(つる)△△喜久△△四十八△三ケの/津(づ)△△滑芸 00023500M9四十九/見(ミ)せ/大根(だいこん)△チヤ△△五十惣軸/口車(くちくるま)△△△如鉄 00023510M10坐外/勝将棊(かちしやうぎ)△△嶋山 00023520M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一ウ) 00023530¥P70 00023540¥N1¥J 00023550¥X井の内蛙 00023560L3ふじの山の/夢(ゆめ)をもらいかけられ、互にやらぬ+と、れい 00023570L4のせり合にて/追(おつ)かけしが、とふ+/駿河(するが)まで追かけられ、 00023580L5せんかたなく、それもどしたとまでハ聞たれど、そこらに 00023590L6何もなきゆへ、/何所(とこ)に有ぞいやい。うろたへもの、夫じや 00023600L7ハやいと、ふじをゆびさせバ、ふりあをむき、びつくりし 00023610L8て、夢になれ+ 00023620¥N2¥J 00023630¥X弐斗の沙汰 00023640L11此間京へのほられたけなの。ヲイノヲ。京に何も珍らしい 00023650L12事ハなかつたか。有共+。三条の/宿(やと)屋へ/坊(ぼん)さまがとまら 00023660L13れたが、/朝飯(あさめし)(二オ)を弐斗/焚(たか)して一度に皆/喰(く)たげな。京中 00023670L14ハ是/沙汰(さた)しや。何と不思義な事じやない/が((ママ))。そんな事も有 00023680L15そふな事。イヤ、人間わさでハ有まいてや。イヤ、そうも 00023690L16言ハれぬてや。/隣村(□なりむら)の庄屋どのの/息子(むすこ)ハ、こなたも知つて 00023700L17居る通り、ゑらひ酒/呑(のミ)じやが、せんども大坂へ祭りによば 00023710L18れた時、きかしやれ、御座/船(ふね)で呑ンたけな 00023720¥N3¥J 00023730¥X雲を当 00023740M1去てつぽうはなす人、/朋友(ほうゆう)の所へ行しが、ヲヽ是ハ八兵衛 00023750M2殿、めづらしい。アイ。わしも此間ふし山へ往やんした。 00023760M3ヲヽ夫ハ珍らしい。アイ。しかもぜつてう迄あがりました。 00023770M4フン、なんぞ/珍(めづ)らしい事が有たで(二ウ)(三オ挿絵)有ふ。ア 00023780M5イ。まづかミなり、いなつま、天人なと見ました。それハ 00023790M6珍らしい。イヤ、まだめづらしいものを見たて。なんじや 00023800M7なア。お月さまがかさをめしてござつた。イヤ、そりや下 00023810M8からも見ゆる。お日さまのかさハなかつたかの。イヤ+ 00023820M9お日さまにハかさハない。なんとして。ハテ、雨ふりにハ 00023830M10内に居てじや 00023840¥N4¥J 00023850¥Xかいこ莚 00023860M13/二階(にかい)の/子供衆(こどもしゆ)、むごんじや+といへ共、もや+たれい 00023870M14ふともなくやかましく、/当番(とうばん)の/兄弟子(あんでし)、コレ+皆。むご 00023880M15んとおつしやつてじやぞへ。やかましいひなや。やかまし 00023890M16いひたら、又お師匠さん(三ウ)の首が出るぞへ 00023900¥N5¥J 00023910¥X潦 00023920M20△△△△右ハ必&舎馬宥撰話綱目三十八番勝有 00023930¥P71 00023940¥N6¥J 00023950¥X小夜嵐 00023960L3/念仏(ねんぶつ)の/功力(くりき)にて、/極楽浄土(こくらくしやうど)の/繁昌(はんしやう)に、/焔魔(ゑんま)王宮、次第にお 00023970L4とろへ、牛頭馬頭なとも淋敷て、何がな御なくさミと有中 00023980L5に、絵合や咄会初り、/集(あつめ)元ハ扇東軒、評者ハ名おふ/対山翁(たいさんおう)。 00023990L6焔王の/御案者(ごあんじや)ハ並木正三。其外/冥官(めうくハん)/倶生神(くしやうしん)、赤青の鬼の 00024000L7目にさへ見落しの/趣向(しゆかう)もあらバと、レイノ見る目が首延 00024010L8(四オ)し大坂の写りを取つて、焔王へひそかの注進御聞有 00024020L9つて、かしこを入かへ、こゝへつなげ、はめよたゝけと工 00024030L10夫の/案紙(あんし)。筆取の十王もいろ+思案の最中へ、見ル眼申 00024040L11上ます。焔王何事ぞ。見ル眼日本の咄会五席目を、対山/追= 00024050L12善(つい=ぜん)とて、門人対寿が評の内。扨能イ咄しを大分/討殺(うちころ)しまし 00024060L13た。焔王ホイ、夫ハマアあつたらもの、たんと有ふ。おし 00024070L14い事じやにナア。能イハ。侭よ、/追(おつ)付こゝへ来ふ 00024080¥N7¥J 00024090¥X夜の机 00024100L17/吝(しわん)ほうで文/盲(もう)な、其くせに子細らしい事言たがる/旦那(たんな)、う 00024110L18ち(四ウ)から、コリヤ長次郎。油が高イ。手ならひするな 00024120L19ら、/灯心(とうしん)を一ト筋にせひ。ハイ。一筋でござります/が((ママ))。く 00024130L20ろうて手本が見へにくうござります。そんならけして、/石= 00024140M1摺(いし=ずり)をならへ 00024150¥N8¥J 00024160¥X三ケの津 00024170M4太夫、どうしや。/雅柳(がりう)す、お出と、互に/膝(ひざ)にもたれ合、御 00024180M5前ハ江戸へ/往(いき)なましたげな。客扨、江戸でわがミによふ似 00024190M6たおやま買ふての。又戻りに京でよんだ女良も、わかミに 00024200M7とんとせうじや。ヲヽすかん。/贋(にせ)が 00024210¥N9¥J 00024220¥X見せ大根(五ノ十オ) 00024230M10寺町のはづれに、ちりあくた捨べからす、立札あり。/詠(なが)め 00024240M11居る所へ、又壱人来りて、アレハ何の札でござりますと/問(とい) 00024250M12ければ、子細らしく、/来年(らいねん)ハ能がござる 00024260¥N10¥J 00024270¥X口車 00024280M15/遥(はる)か/遠国(おんごく)へ/商内(あきない)に行けるが、上方ものゝくせとして、お前 00024290M16方、大坂辺へ少とおこしなされませんかい。先/道頓堀(どうとんぼり)にハ 00024300M17/芝居(しはい)。扨又住吉天王寺川口の/景色(けいしよく)。秋の頃ハはせ釣りとい 00024310M18ふ事もござりますといへバ、田舎人今/言(いひ)めさつた其/鯊釣(はせつり)と 00024320M19やらハ、どふした物じやととへバ、商人お/知(しり)なされませぬ 00024330M20か。長イ糸の(五ノ十ウ)さきに此やうな針を付て、其針に 00024340¥P72 00024350¥G(三オ) 00024360L13/海老(ゑひ)をさして釣ますといへば、田舎人ハテ、夫ハよく致し 00024370L14たものじやな。いかさま、うらも前かた/参宮(さんぐう)の/節(せつ)、かミか 00024380L15たで見申たが、/都(ミやこ)人ハはつめいにおじやり申す。/凧巾(いか)とい 00024390L16ふて/糸(いと)をのはしたが、定て/鶴(つる)でも釣申のか 00024400¥N11¥J 00024410¥X勝の将棊 00024420L19長吉、/将棊(しやうき)壱番おしへてやろわい。ハイ+。弐まいおろ 00024430L20してやるハ。ハイ+。ざつとさせよ。ハイ、/旦那(たな)さん。 00024440M1かうさんじませう。イヤ、ちよつこと四/間(けん)/飛車(ひしや)と来おつた。 00024450M2ソコデこふ/角行(かく)の/頭(あたま)へ歩/兵(ふ)を付るハ。ハア/角行(かく)がまいまし 00024460M3た。ナントずつなか(十一オ)ろがな。ハイ。旦那所ハ/九重(こゝのへ) 00024470M4の東北の/霊地(れいち)にてと諷ハるれは、申し、旦那さん+。/飛= 00024480M5車手(ひ=しやて)/王将手(わうて)。コリヤどふじや。ヤア++むこい事しお 00024490M6つた。まけに成りそふな。ヱヽ/勝(かち)の将棊て有つたもの。ハ 00024500M7アコウツ、大事の所じやよつて。長吉大黒まいを見さいな 00024510M8ア 00024520¥Y1話大全五の巻終 00024530¥Q安永六酉年正月二日新板 00024540M13△△△△△△△△順慶町八百屋町筋南へ入 00024550M14噺集清書会頭△△△△△△△△△△△高橋栄治軒 00024560M15△△△△△△△△心斎橋博労町筋壱丁東茨木町 00024570M16御書物所△△△△△△△△△△△渋川久蔵 00024580M17△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十一ウ) 00024590¥P73 00024600¥Q 00024610L1京都咄集所并本弘所寺町通姉小路南西角菊屋安兵衛 00024620L3△△△△△道頓堀大和橋南詰△△△△△山田屋久兵衛 00024630L4△大坂△△曽根崎新地弐丁目△△△△△丸屋平兵衛 00024640L5△△△△△あハどの橋かいや町南へ入△板木屋伝兵衛 00024650L6△△△△△すなば小濱町角△△△△△△海都屋勘兵衛 00024660L7△書肆△△あわぢ町壱丁目筋へ南へ入△奈良屋三兵衛 00024670L8△△△△△すげた町ほねや町西へ入△△伏見屋嘉兵衛 00024680L9△△△△△心斎橋筋南久本所町北へ入△塩屋平助 00024690L10咄の会へ新御趣向の御噺御入章被下候ハヽ御手寄にて右の 00024700L11集所迄御出し可被下被ハヽ相届申候随分御加入奉希候以上 00024710L12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十二オ) 00024720¥P74 00024730¥U噺本大系△第十一巻 00024740¥T@咄の会|七席目@/時勢話綱目(いまようはなしこうもく)〔目録題〕 00024750¥G 00024760¥Y 00024770L15安永六年正月刊 00024780L16必&舎馬宥序 00024790L17竹原春朝斎画 00024800L18大坂△渋川久蔵板 00024810L19半紙本五巻五冊 00024820L20東大国文研究室蔵 00024830¥Y序 00024840M3/佗好(わびずき)の/茶人(ちやじん)も、おとしはなしばかりハ/新(あたら)しきを/専(もつぱら)と云ハれ 00024850M4しは爰こそと、分/別(べつ)/袋(ぶくろ)を/若(わか)むらさきに/染(そめ)こみて、/塩瀬(しほぜ)の/帛= 00024860M5紗(ふく=さ)(壱オ)は物かハ、わつさりと口切にハ、新しい/噺(はなし)をとお 00024870M6もへど、/根(ね)がせまき/耳掻(ミヽかき)に半分もなき/智恵(ちゑ)と共に/筆(ふで)を/揮(ふる)へ 00024880M7ど、/浴(よく)を同して/裸体(らたい)を/笑(わら)ふ/譏(そしり)ハまぬがれず、(壱ウ)誤りハ 00024890M8/時勢(いまやう)の二字に/価(あかな)ふて、/諸君子(しよくんし)/見赦(ミゆる)し給へと、いふ事/繰返(くりかへ)し 00024900M9+ 00024910M11△△△安永六つ△△△△△△必△&△舎 00024920M12△△△△△酉のむつき△△△△△馬△宥△G 00024930M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二オ) 00024940¥P75 00024950¥T1咄会七席目△△△△△△△△△△△△△¥A必&舎馬宥撰 00024960¥Y1時勢話綱目巻壱 00024970L5巻頭/土器投(かわらけなげ)△△△君酒△△第二/去嫌(さりきら)ひ△△△△転& 00024980L6第三/俄旅(にわかたび)△△△性悪△△第四/女(おんな)/猩&(せう※)△△△耳彦 00024990L7第五八/景(けい)△△△池水△△第六うらなひ△△△如文 00025000L8第七/先手(せんて)/後手(ごて)△△不銘△△第八/虚気(うつかり)ヒヨン△△△大幸 00025010L9第九/子供(こども)の/知恵(ちゑ)△可笑△△十軸/小判(こばん)の/端(はし)△△△君里 00025020L10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二ウ) 00025030¥N1¥J 00025040¥X土器投 00025050M3/貧(まづ)しき/働人(はたらきど)、出入の/旦那(だんな)にて、何やらん/祝(いわ)ひの事とて/餅(もち) 00025060M4一ト重もらひ、心/嬉(うれ)しく、何でも今夜ハ/能(よい)/土産(ミやげ)。子供ども 00025070M5に/悦(よろこバ)さんと、いそ+と/戻(もど)る/橋(はし)の上。/躓(つまづく)ひやうしに/風呂敷(ふろしき) 00025080M6とけて、/餅(もち)壱つコロ++。是ハといふうち川へ/丼(どんぶ)り。 00025090M7/南無(なむ)三と川を見れバ、水ハ青ミ切て、かげもかたちも見へ 00025100M8バこそ。/恨(うら)めしそふに川を/白眼(にらミ)つめて居たりしが、何思ひ 00025110M9けん、手を合して、/唯今(たゝいま)の餅壱つハ、/金毘羅(こんぴら)さまへさしあ 00025120M10げます 00025130¥N2¥J 00025140¥X去きらひ(三オ) 00025150M13/時花(はや)らぬ/点者(てんじや)、/淋(さび)しさのあまり、/格子(かうし)より人の/往来(ゆきゝ)を見て 00025160M14居る折ふし、/盲道心(めくらどうしん)、むかひの/明家(あきや)にたつて/鉦(かね)を/叩(たゝ)くゆへ。 00025170M15コレ+/坊(ほん)さま。そこハあき家じや。ハイと、又となりの 00025180M16明家へ行て、なまいだ+。コレ、そこもあき家じや。ハ 00025190M17イといふて、/点者(てんじや)の門口へ来て/鉦(かね)/叩(たゝ)く。ヲツト、そこで/通(とを) 00025200M18らしやれ 00025210¥P76 00025220¥G(四オ) 00025230¥N3¥J 00025240¥X俄旅 00025250L15/鰻屋(うなきや)、市より/戻(もと)り、/荷(に)を/軒(のき)下におろし置たるに、中にての 00025260L16大のうなぎ、どうまるを/喰(く)ひやぶり/抜(ぬけ)出る。(三ウ)(四オ挿 00025270L17絵)/南無(なむ)/三宝(さんぼう)、/代物(しろもの)が飛ひ出たと、ヤニハに押ゆれバ、向 00025280L18ふへぬるり。又おさゆれハ又ぬるり。コリヤたまらぬと/諸(もろ) 00025290L19肌ぬいて押ゆれとも、おさゆるたびに、だん+にぬるり 00025300L20+と/迯行(にげゆき)しかハ、亭主、/跡(あと)見/返(かへ)りて、/嚊(かゝ)、ヨウ/留主(るす)せい 00025310¥N4¥J 00025320¥X女猩& 00025330M3/侍客(さむらいぎやく)の無理言ひ酒。/牽頭(たいこ)/仲居(なかい)を/味方(ミかた)につけ、/芸子(けいこ)壱人を 00025340M4/盛潰(もりつぶ)さんと、さいつおさへつ大/酒宴(さかもり)。かへつて味方/敗北(はいぼく)し 00025350M5て、/牽頭(たいこ)仲居大めれん。客ハやう+半酔にて、彼/芸子(けいこ)に 00025360M6むかひ、扨+そなたハ/強(つよ)ひ酒、いつかな叶ハぬそ。(四ウ) 00025370M7/大将(たいしやう)+、アレ又ぬらしか。そなひそやしておくれな。イ 00025380M8ヤ+、/追従(ついしやう)ハもふさぬ。酒にとつての/大丈夫(たいぢやうふ)、何と申て 00025390M9/誉(ほめ)ふぞ。/一騎当千(いつきとうぜん)と申て能らふか。/万夫(はんふ)不/敵(てき)じや。/私(わ)しや 00025400M10いやいなア。そんな/誹名(はいめう)、付てお/呉(く)れな 00025410¥N5¥J 00025420¥X八景 00025430M13/息子(むすこ)/伊勢(いせ)参りして、日/数(かず)廿日余りかゝり/戻(もと)れバ、/親父(おやぢ)、/腹(はら) 00025440M14を/立(たて)、其方ハ何ゆへ殊の外のひま入としかれバ、イヤ、/余(あ) 00025450M15まり/天気(てんき)がつゞきまして。ワレ、/雨天(うてん)なれバ/逗留(とうりう)ももつと 00025460M16もじやが、/日和(ひより)に/逗留(とうりう)とハ。ハイ、/唐崎(からさき)で/夜(よる)の/雨(あめ)を見(五 00025470M17ノ十オ)よふとおもふて 00025480¥N6¥J 00025490¥Xうらなひ 00025500M20/安治川辺(あぢかハへん)の人、/友達(ともだち)の所へ行、/私(わし)ハチツトおもわくがあれ 00025510¥P77 00025520L1バ、/八卦(はつけ)が見てもらひたい。/貴様(きさま)のしるべハ有まいか。有 00025530L2ルとも+。/生玉(いくだま)の坂の上に/寄妙院(きめういん)といふを尋ねて見ても 00025540L3らハしやれといふに付、すぐさま生玉へ行、右の/寄妙院(きめういん)に 00025550L4/人相(にんそう)はつけを見てもらひ、/謝礼(しやれい)して立帰り、扨いかいおせ 00025560L5わでござつた。うらなふてもらひましたが、きやうとうよ 00025570L6ふあいました。ナント言れました。取分よふ合ましたハ 00025580L7(五ノ十ウ)/遠方(ゑんほう)の所、定めし/空腹(くうふく)にあらふ。/茶漬(ちやつけ)/喰(く)ハんか 00025590L8と云ハれた 00025600¥N7¥J 00025610¥X先手後手 00025620L11/親父(おやぢ)が/小(こ)/灯(てう)ちんさげて/念仏(ねんぶつ)かうに出て行をまちかね、/息子(むすこ) 00025630L12ハ/羽織(はおり)引かけ、/江南(こうなん)へ/飛(とん)で行、井筒での大だて。/終夜(よもすがら)/騒(さわ) 00025640L13ぎて、夜あけ/鴉(がらす)と共に/駕(かご)にうち乗り、/追立(おつたて)+/横町(よこまち)に/駕(かご)立 00025650L14させ、/我家(わがや)の門にたゝずミ、内の/首尾(しゆび)うかゞふ所へ、小灯 00025660L15ちんぶら+と立帰ル千鳥あし。コリヤ/親父様(おやちさま)じやないか 00025670L16といへバ、親父、物をもいわず、/灯(てう)ちんふき/消(け)し、/若役(わかやく)に、 00025680L17戸をたゝけ(十一オ) 00025690¥N8¥J 00025700¥X虚気ヒヨン 00025710L20此間からの/夜泊(よどまり)日泊り。内ハ野となれ山となれ、おのりや 00025720M1一ツたいどふする/分別(ふんべつ)じや。/息子(むすこ)ハ、ハイとうつむいて、 00025730M2心の内ハ/茶(ちや)屋の事おもふている。どふでおれが/跡(あと)ハよふつ 00025740M3ぐまい。他人のものにしおるであろ。息子、心の内にハ、 00025750M4ゆふべ今比ハ好物のふぐ汁でやりかけ、/芸子(けいこ)の/春野(はるの)や三/吾(ご) 00025760M5にちやつて見せた時分。親父ハイ+と/返事(へんじ)ばかり/仕(し)くさ 00025770M6つて、そわ+と/狐狸(きつねたぬき)にはかされくさつて、おのれが其 00025780M7/面(つら)付ハ。息子、心の内にハ、アヽ何やらおもしろい/哥(うた)を引 00025790M8おつた。(十一ウ)(十二オ挿絵)たしかまへから有ル哥じやあ 00025800M9つたが。親父/所詮(しよせん)百万だらいふたとて、/耳(ミヽ)へハ入まい。/元= 00025810M10服(げん=ふく)したやつをくらハされもせまい。息子、心の内に、アヽ 00025820M11何とやらいふ哥じやあつた。親父モウ+何にもくどふハ 00025830M12言ハぬ。/性根(しやうね)あらバ聞入て、じつと/根性(こんじやう)入かへたら其通 00025840M13り。又是迄の通り出あるくかさいご、すぐに/勘当(かんどう)じや。ほ 00025850M14りだす程に、そふおもへ。モヽヽヽおれもほつと仕たさか 00025860M15い、/異見(いけん)も/今夜(こんや)/限(かきり)じや。息子、おもわず声を上、ホンニ其、 00025870M16/異見曽我(いけんそが)でござりました 00025880¥N9¥J 00025890¥X子供の智恵(十二ウ) 00025900M19子供、内へ走つて戻り、/嚊(かゝ)さん、向の/伯母(おば)さんによい物/貰(もら) 00025910M20ふて来たと、/紙(かミ)につゝんだ物を見すれば、テモよい物もら 00025920¥P78 00025930¥G(十二オ) 00025940L13ふておじやつたのふ。チヤツト/往(い)てお礼申ておじや。アイ 00025950L14と向イへ往て、/伯父(おぢ)さん、ヱヽ正月でござります 00025960¥N10¥J 00025970¥X小判の端 00025980L17けふハ日/柄(がら)もよしと息子に/元服(けんぶく)させける。息子、元服仕た 00025990L18る嬉しさに、/隣町(となりてう)の近付の所へあそびに行。先キの内義出 00026000L19て、ヲヽ徳さん。いつの間に元服してと天窓をピツシヤリ。 00026010L20/奥(おく)より/亭主(ていしゆ)が出て、本にマア、/能(よふ)/似合(にあ)ふたといふて、又ピ 00026020M1ツシヤリ。(十三オ)コレハと/表(おもて)へ/迯(にけ)て出る。折ふし/友達(ともだち)が通 00026030M2り合せ、/徳(とく)か。いつの間にといふて又ピツシヤリ。是ハた 00026040M3まらぬといふて内へ/這入(はいり)しなに、門口の/柱(はしら)にてピツシヤリ。 00026050M4南無三宝と又/迯(にけ)出れば、/大根売(たいこんうり)の/枴(おゝこ)でピツシヤリ。これハ 00026060M5どふもならぬと、幸ひ近所のひとり住の心やすひ/婆(ばゝ)の所へ 00026070M6にげこミ、コレ/婆(ば)さん。けふ/元服(けんぶく)した者じや。二三日かく 00026080M7まふて下され 00026090¥Y1時勢話綱目壱の巻終△(十三ウ) 00026100¥P79 00026110¥T1咄会七席目△△△△△△△△△△△△△¥A必&舎馬宥撰 00026120¥Y1時勢話綱目巻二 00026130L5十壱それ/矢(や)△△有栖△△十弐/柿(かき)の/皮(かハ)△△△△椿& 00026140L6十三/仕合(しあハせ)よし△△△△△十四あふむ/返(がへ)し△△△表里 00026150L7十五/七行(なゝくだり)△△保打△△十六/鏡(かゝミ)の/顔(かほ)△△△△香笛 00026160L8十七/俄仏檀(にハかぶつたん)△△炭林舎△△十八/郷(こう)に入てハ/郷(ごう)△△近士 00026170L9十九/是(これ)もてには君里△△廿軸/水分論(ミづわけろん)△△△△哥木 00026180L10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(壱ウ) 00026190¥N1¥J 00026200¥Xそれ矢 00026210M3/参会(さんくわい)むかいの/丁児(でつち)/寄合(よりやい)、なんと三太。そちの/旦那(だんな)ハきつい 00026220M4/短気(たんき)者じやげなナ。ヲヽ/仮染(かりそめ)にも、きせるや/扇子(あふき)で叩かれ 00026230M5る。長太よ。そちのやこちの旦那も、おこると/焔魔大王(ゑんまだいわう)に 00026240M6せんぶりのましたやうな顔して/白眼(にらミ)まわす。松よ。そちの 00026250M7ハきついけつかう者じやと聞たが。ヲヽ大ていけつかうな 00026260M8旦那じやない。其/変(かハり)に大しわん坊じや。/宵(よい)から/灯(ひ)を/消(け)して 00026270M9寢るが、ゆふべも/小便(せうべん)におきられて、おれとおよしどのと 00026280M10ならんでねていたが、おれが足に/蹴(けつ)ま(二オ)づいてこけら 00026290M11れたそふな。夫で/私(わし)が/眼(め)があいた。ヲレカ足が/痛(いた)かろうと 00026300M12おもふてか、/唾(つば)をつけてひつた。/撫(なで)て/呉(く)たさつた 00026310¥N2¥J 00026320¥X柿の皮 00026330M15コリヤ長吉よ。買イにやつた/豆腐(とうふ)ハ何所に有るぞ。ハイ、 00026340M16そこなへついの/肩(かた)にござります。ハテ、めつそうな。/焚上(たくうへ) 00026350M17におくといふ事が有ものか。イヱ、是もおまへ様が/常(つね)※ 00026360M18気をつけい+とおつしやるゆへ、少つとなと、たりにな 00026370M19ろかと存じまして(二ウ)(三オ挿絵) 00026380¥P80 00026390¥N3¥J 00026400¥X仕合よし 00026410L3/馬士(まご)/立身(りつしん)して、/坐敷(ざしき)廻りの道具を買んと、壱丁目筋をうろ 00026420L4+見廻り、アノかけてある富士の山の/掛(かけ)ものハ何ンぼじ 00026430L5や。アレハ金五両でござります。夫ハ高イ物じや。そふし 00026440L6て此馬に乗つて居るわろハなんじや。ハイ、/業平(なりひら)の/東(あつま)下り 00026450L7でござります。フウ、東下りとハ。江戸行でござり 00026460L8ます。ハア、江戸行か。扨+馬ハよふ/画(かい)たが、/富士(ふじ)の山 00026470L9が不出来じや。ソレデモ/探幽(たんゆう)でござります。サア、何ンじ 00026480L10やハしらぬが、又おれが/画(かい)た/富士(ふじ)ハ、コンナ物じやない。 00026490L11扨ハあなたも/画(ゑ)(三ウ)をなされますか。アヽおれが江戸行 00026500L12の時、/小便(せうべん)で/画(かい)たれば、人が/誉(ほめ)た。へヱ、何と申てな。サ 00026510L13ア見事じやといふて 00026520¥N4¥J 00026530¥Xあふむ変し 00026540L16コレハ/祝(いわ)ひまして上ケます。ヲヽ長吉どん、ごんせ。お内 00026550L17方のもお/産(さん)が有たげな。ヲヽコリヤ、殊に/和子(わこ)さまじや。 00026560L18/私(わし)も一寸およろこびにも行のじやけれども、こちの者も/産(さん) 00026570L19をして、人づかいハなし。まだヱヽ行ませぬ。/宜(よろし)ふいふて 00026580L20下んせ。ハイ+、イヤ申、是ハ二つ残つてござりますが。 00026590M1サアソレハの、こちの/幼(ちいさ)ハ女じやによつて、一つ取つて/算= 00026600M2用(さん=よう)しておいた程にの、/去(い)ん(四オ)たら/旦那(だんな)さんに、御礼申 00026610M3たり申さしたり仕て下んせ 00026620¥N5¥J 00026630¥X七行り 00026640M6戸をグハラ+と/貸本(かしほん)屋が、/今朝(こんてう)の/新板(しんはん)の/浄瑠理本(しやうるりぼん)、あき 00026650M7ましてござりますか。ヱヽやかましい。/貴様(きさま)のやうにせつ 00026660M8ろしい。イヤ、今のあいだに/貸(かし)ませねバ、/花香(はなが)がぬけます 00026670M9といへバ、本を/嚊(かい)で見て、テモわるい花香の 00026680¥N6¥J 00026690¥X鏡の顔 00026700M12去ル内町/辺(へん)の/端手娘(はでむすめ)、/■(こしもと)や下女と/格子(かうし)のうちから/表(おもて)を見 00026710M13はらし居る所へ、六十余りの/親父(おやぢ)、かゞみ/磨(とぎ)+といふて 00026720M14(四ウ)通る。/娘ハ/■(こしもと)に呼入させ、/姿見(すがたミ)を/磨(とが)しければ、親父、 00026730M15/荷箱(にはこ)より/道具(とうぐ)取り出し/磨(とぎ)かゝる。コレハおもしろいものじ 00026740M16やと、ミな+見ている内、ハヤ/鏡(かゞみ)ハギラ+光。アレ見 00026750M17や、/私(わし)が/顔(かほ)がうつるわいのふ。ホンニ、/御寮人(ごりやうにん)さまのおか 00026760M18ほがよふ見へますといふ折ふし、親父、鏡へ息を、ホヲツ 00026770M19ト吹かける。娘ハ顔をチヤツト 00026780¥P81 00026790¥N7¥J 00026800¥X俄仏檀 00026810L3しんまいの/旦那(だんな)へ、/和尚(おしやう)、/棚経(たなきやう)に参られしが、取付/世帯(せたい)と 00026820L4見へて/仏檀(ぶつだん)らしき物もなし。/和尚(おしやう)うろ+しらるれバ、/夫= 00026830L5婦(ふう=ふ)(五ノ十オ)気の/毒(どく)さうに、まだ/御前(ごぜん)ハとゝのへませぬ。 00026840L6/何所(どこ)ぞそこらへ見合に、/御回向(こゑかう)なされて下さりませ。和尚 00026850L7も/眼当(めあて)なしにハと/柱掛(はしらがけ)の江戸/画(ゑ)、女子が風に/裾(すそ)吹ちらされ 00026860L8て居るが有しを、/鉦(かね)打ならし/念仏(ねんぶつ)申シ、/願以至功徳(くわいいしくとく)の時に、 00026870L9女房ハ/我前(わかまへ)へ手を 00026880¥N8¥J 00026890¥X郷に入てハ郷 00026900L12サア+おはや。是て一ツぱい呑で、酒ハ取てしまや。お 00026910L13れハコレから/隆平橋(りうへいばし)の/能(のふ)を見て来ル。わが身も/来(こん)か。ヲヽ 00026920L14すかん。此間路かうさんが/無理(むり)にこいといふて、/連(つれ)立て見 00026930L15に(五ノ十ウ)さんじたが、マア聞なされ。何じややら/坊主(ほうず) 00026940L16が出て、なんのかのといふたれバ、/跡(あと)からおなごが出て、 00026950L17なんのかの+。又/後(うしろ)から/大勢(おゝせい)が、なんのかの+ 00026960¥N9¥J 00026970¥X是もてには 00026980L20うつりかわるハ世のならひにて、/暦(れき)+の御/公家(くげ)方も、哥 00026990M1ハ/棚(たな)の/隅(すミ)へほうりあげ、/義太夫節(きだゆふぶし)にこりが来て、チヨコ 00027000M2+/御会(ごくわい)の/催(もよふ)し。ある日又&御会ありて、心安き御出入の 00027010M3/町人(てうにん)、御/召(めし)にて参り、御じやうるり聞べしとの事ゆへ、は 00027020M4るかこなたに/慇勤(いんぎん)にして聞居れバ、何が二(十一オ)/畳台(てうたい)の 00027030M5上へあがらせ給ひ、/見台(けんだい)にハ御/冠台(かふりたい)、御/笏(しやく)を拍子/扇(あふぎ)に仕て、 00027040M6御/装束(しやうそく)の袖まくりあげ、/御殿(ごてん)もゆるぐ御声にて、一段みし 00027050M7らかし給ひければ、彼町人も/糠味噌桶(ぬかミそおけ)のきづかいなしと、 00027060M8おかしさこらへて居れバ、コレヱ+と、御坐ちかく召さ 00027070M9れ、ナント、今/語(かた)つたお/染(そめ)の/質屋場(しちやば)。どふじやと仰らるれ 00027080M10ば、町人恐れ多くござりますれ共、けしからぬ御/出来(でき)でこ 00027090M11さります。ムヽウ、ふしハいかゝじや。イヤモ、殊の外御 00027100M12/功者(こうしや)に遊されます。シテ、/音声(おんせい)ハ。イヤハヤ、きつと/御簾(きよれん) 00027110M13を/通(とお)します(十一ウ) 00027120¥N10¥J 00027130¥X水分論 00027140M16/夏(なつ)の比/旱(ひで)りして、殊の外水大切ゆへ、庄屋の言付にて、出 00027150M17水かゝりの/田地(てんち)に、半時がわり入ける。次の/番(ばん)へ/渡(わた)すとき、 00027160M18水を両手にすくふを、コリヤやい、そふハならぬと/突倒(つきとば)せ 00027170M19バ、ミつの/溜(たま)りへ両手をつく。/子息(むすこ)が是を見て、こちの親 00027180M20父をなんと仕るとせり合内、親父、/濡(ぬれ)た手を/我田地(わがてんち)の上で 00027190¥P82 00027200¥G(三オ) 00027210L12/雫(しづく)たらした 00027220¥Y1時勢話綱目二の巻終△(十二オ) 00027230¥T1咄会七席目△△△△△△△△△△△△△¥A必&舎馬宥撰 00027240¥Y1時勢話綱目巻三 00027250M5廿壱/弁慶(べんけい)△△△晩翠△△廿弐/年忘(としわす)れ△△△△菅水 00027260M6廿三/菩薩(ぼさつ)の/早打(はやうち)△△君里△△廿四/風(かぜ)の/萩(はぎ)△△△△耳彦 00027270M7廿五/納(おさめ)の/夘(う)の/日(ひ)△△柳巴△△廿六/豆腐屋(とうふや)△△△△思月 00027280M8廿七/似(に)せ/白蔵主(はくそうす)△△対寿△△廿八/旅(たび)/艸臥(くたびれ)△△△△綿半 00027290M9廿九/貧乏(びんほう)の/花(はな)△△△増田△卅軸/国土産(くにみやげ)△△△△表里 00027300M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(壱ウ) 00027310¥P83 00027320¥N1¥J 00027330¥X弁慶 00027340L3/在所(ざいしよ)から/逗留(とうりう)の/客(きやく)、/風邪(ふうじや)にて去/医者(いしや)をまねきて、/薬(くすり)/調合(てうがう)の 00027350L4折から、/亭主(ていしゆ)出て、是ハ/御苦労(ごくろう)と/挨拶(あいさつ)ありければ、/客(きやく)も共 00027360L5に/田作(てんさく)ものゝはなし。亭主さて、/貴公(きこう)様にハお好ゆへ、定 00027370L6し/春水(しゆんすい)の子/別(わか)れ。医者イヤモ、かゝすものでハござらぬ。 00027380L7しかし/貴答(きとう)ほどにハ出来ませなんだ。マタ+/桂子(けいし)ハうま 00027390L8いものでござつた。客イヤマタ、/甘艸(かんそう)ハ/甘過(あますき)まして 00027400¥N2¥J 00027410¥X年忘れ(二オ) 00027420L11気の合ふた同士、酒のミ居けるが、ナント、/来(らい)年ハ此五人 00027430L12で/参宮(さんぐう)せうかい。よかろと皆/同心(とうしん)になり、はや/噺(はなし)も/道中気(とうちうぎ) 00027440L13になつて、/何所(どこ)ハどふしてこふしてと、/其座(そのさ)も/盃(さかつき)も道中の 00027450L14/酒呑気(さけのむき)になつて、/互(たがい)におもしろおかしう、段+/宿(しゆく)+を 00027460L15咄しもつて、とふ※京へ出た所が、二人リハ/愛宕(あたこ)へ参ら 00027470L16ぬつもり。/跡(あと)三人ハ/是非(ぜひ)とも参るとて、三/条(てう)/通(どふり)を真すぐに 00027480L17/嵯峨(さが)へ出るはなし。二人ハ其坐をすこし/片寄(かたより)、さし向ひに 00027490L18なつて川東へ出かけ、/芝居(しばい)のうわさから/祇園町(きおんまち)でどふして 00027500L19こふしてと、其座の咄しが二つになつて、/負(まけ)ずおとらず(二 00027510L20ウ)(三オ挿絵)はなしける内、三人の方にある盃がむちやつ 00027520M1き出し、カノ少し/脇(わき)へ/退(のい)て居る二人の中へ盃をポイ。ヱヽ 00027530M2めつそうな、/祗園(きおん)町に/遊(あそ)んで居るに 00027540¥N3¥J 00027550¥X菩薩の早打 00027560M5/新造(しんぞう)が/客(きやく)にあげられ、十日/戎(ゑびす)参りに/駕(かご)に/乗(の)りける。乗りつ 00027570M6けぬゆへ、もぢ+と仕て居るもかまわず、ヤツトかたげ 00027580M7てかけ出す、/息杖(いきづへ)なしのだんだ/走(はし)り。犬でも人でもかまわ 00027590M8バこそ、早打/駕(かご)見るやうに、大/勢(せい)の中を一/息(いき)に、戎の/茶店(ちやミせ) 00027600M9にほり出せバ、何が駕のうちで/天窓(あたま)打たり、ゆら(三ウ)れ 00027610M10たり、一向にわけもなく、ふな+として/駕蒲団(かごぶとん)の上へ/居(す) 00027620M11ハり、たばこのんだやら/呑(のま)ぬやら、うつせミのもぬけの駕 00027630M12へまたおしこミ、サツサ+さと一ツさんに/舁(かき)て/戻(もど)り、お 00027640M13き屋の内へかきこめバ、/新造(しんそう)ハ/往戻(ゆきもど)りにもまれて気をとり 00027650M14/失(うしな)ひ、/正気(しやうき)なし。/家内(かない)、是ハとおどろけバ、/駕(かご)かきハうろ 00027660M15たへて、新造の/背中(せなか)たゝいて、今もどりました 00027670¥N4¥J 00027680¥X風の萩 00027690M18天王寺の東/野辺(のべ)を/遊興(ゆうけう)せしに、物問ハん/往来(ゆきゝ)もなければ、 00027700M19/畑(はたけ)に/百姓(ひやくしやう)の居合せしを、コレ+/親父(おやち)殿。こなたハ(四オ) 00027710M20/大乗和尚(たいじやうおしやう)知つて居やしやるか。アヽ能知て居ます。/庵室(あんしつ)へ 00027720¥P84 00027730L1常+/見舞(ミまい)ました。フムヽ、そんならこなたに問たらしれ 00027740L2るであろ。和尚ハ/黄檗(おばく)へ行れたと聞たが、すわられたか、 00027750L3まだ/居(す)わりハせられぬか。百姓/黄檗(わうはく)へ行しやつて、/居(すハ)られ 00027760L4たやらすわられぬやら知りませぬが、こゝな/庵(あん)に/居(い)らるゝ 00027770L5ときも、/始終(しじう)居ハつたり立つたり仕て/居(い)られた 00027780¥N5¥J 00027790¥X納の夘日 00027800L8/竹輿(かご)の/立場(たてば)で/仲居(なかい)が、わたしも/富(とミ)さんも/難波(なにわ)屋とやらの松 00027810L9を見た事がない。けふハよい/次手(ついで)じや。どふぞ見せておく 00027820L10れな(四ウ)さらんか。ヲヽそんならすぐに/難波屋(なにハや)へと/駕(かご)か 00027830L11きにいひつけ、/新家(しんけ)もすぎて、程なく難波屋へ/竹輿(かご)おろせ 00027840L12ハ、ミな+/奥(おく)へ通りて見れバ、きのふからの雪/消(きへ)やらで、 00027850L13一面につもりあれバ、/客(きやく)大きに悦び。コレハきつい/絶景(せつけい) 00027860L14+。/格別(かくべつ)にも見たいほどの事、どふもいへぬと/余念(よねん)なく 00027870L15/誉(ほめ)らるゝに、/仲居(なかい)と/芸子(けいこ)ハ顔見合して、/折角(せつかく)見に来たのに 00027880L16ナア 00027890¥N6¥J 00027900¥X豆腐屋 00027910L19/何角(なにか)用事ありけん。いつにない/妾宅(せうたく)の/朝起(あさおき)。おもての豆腐 00027920L20や/覗(のぞい)て見て、いつでも内方ハ/朝起(あさおき)してじやなア。とふ/起(おき)た 00027930M1ハこゝろよい(五ノ十オ)ものじやが、どふしたら此やうに 00027940M2はよふ起らるゝヱ。豆腐や女夫ハイ、夫からすぐでござりま 00027950M3す 00027960¥N7¥J 00027970¥X贋白蔵主 00027980M6お帰りなら、おまへの所のこちらの/辻(つぢ)まておくろと、/仲居(なかい) 00027990M7と十一二な/小女郎(こめろ)と打連れおくる道にて、アレ犬が、ヲヽ 00028000M8/剛(こわ)と、/女郎(ちよろ)ハ/客(きやく)にしがミつけバ、小女良が、/私(わ)/じ((ママ))やひとり 00028010M9の時ハ犬がこわい。おまへハ/御客(おきやく)と/連(つれ)だつと、めんよう犬 00028020M10/剛(こハ)がりじや 00028030¥N8¥J 00028040¥X旅草臥 00028050M13下人半介、/遠方(ゑんほう)へ行、七つすぎにもとつて来る。下女が、 00028060M14半介殿、(五ノ十ウ)早ひ戻り。さぞ/草臥(くたひれ)さんしやう。早か 00028070M15つたかの。けふハきつい/寒(さむさ)、/風呂(ふろ)ハあるか。ハイ、風呂も 00028080M16よし/食(めし)もよいといふに、ソレハよかろといひさま、/草鞋(わらぢ)と 00028090M17きすて裸になり、直に風呂へとび/込(こん)て、扨+よい/気味(きミ)、 00028100M18けつかうな/湯(ゆ)じや。コレめつそうな。モウ風呂へ入らんし 00028110M19たか。まだ旦那さんやお家さんも御入りなさらぬのに。な 00028120M20んじや、/旦那殿(だんなとの)もお家もまだか。そんならかゝり湯、ちや 00028130¥P85 00028140L1つと下され 00028150¥N9¥J 00028160¥X貧家の花 00028170L4去ル者、/朋友(ほうゆう)の所へ行、わしハゆふべ/富士(ふじ)と/鷹(たか)、/茄子(なすび)と/夢(ゆめ) 00028180L5に見た。祝ひ事がしたけれど銭がない。どふぞ貴様、/質(しち)に 00028190L6取てたもらぬか。(十一オ)成程取もせふが、歩ハどふする。 00028200L7ハテ拾匁かしたら、弐拾目で請もとす。切ハ三日切にしよ。 00028210L8ソリヤむまいものじや。そんなら取ふ。マア/念(ねん)の為じや。 00028220¥G(三オ) 00028230M1札をかいて遣ロか。ヲヽ書て下んせ。一、銀拾匁富士/鷹(たか)な 00028240M2すび〆三品の夢。三日切と書て渡せバ、コレ、此夢を質に 00028250M3とらんすからハ、三日が間/寐(ねる)事ハならぬぞや。ソリヤなせ 00028260M4に。ハテ、おもふ事ハ/寐言(ねごと)じや。モシ/茄子(なすひ)一つでも/夢(ゆめ)に見 00028270M5てもらふたら、大事の代ものに/疵(きず)が付。コリヤ尤じや。ソ 00028280M6レナラ其/札(ふた)に書そへる事が有ルと、カノ札に、居ねむりぞ 00028290M7んぜす(十一ウ) 00028300¥N10¥J 00028310¥X国土産 00028320M10マツ、大夫といふハいくらだ。マア、聞せておくりやれ。 00028330M11ヲヽ/笑止(せうし)、アノお方わいなア。マア、/借(かつ)て見なませ。イヤ 00028340M12+、始から聞ない事ハわるい。ハイ、さやうなら六拾九 00028350M13匁でこさります。ヤアそれハならぬと留ル仲居をふりはな 00028360M14し、/侍(さむらひ)の女に/後(うしろ)を見せるとハ/比興(ひけう)とおもひながら、一ツさ 00028370M15んに/迯(にけ)てもどる。阿波座の店つきから、申、お遊ひと引留 00028380M16られ、ヤレ、はなしておくりやれ。六拾九匁出しでハたま 00028390M17る物か。ヲヽすかん、爰ハナ、壱匁花しやわいなア。なん 00028400M18だ、壱匁で遊へるか。嬉しや、其/直段(ねだん)でハ/身(ミ)が/武士(ぶし)も立つ 00028410¥Y1時勢話綱目三の巻終△(十二オ) 00028420¥P86 00028430¥T1咄会七席目△△△△△△△△△△△△△¥A必&舎馬宥撰 00028440¥Y1時勢話綱目巻四 00028450L5三十一/大社(おほやしろ)△△十人△△三十二/錆(さび)/鯖(あゆ(ママ)) 00028460L6三十三/眉(まゆの)/皺(しわ)△△菅水△△三十四打ハ/響(ひゞけ)△△△朱桜 00028470L7三十五一寸/壱匁(いちもんめ)△柳巴△△三十六おほこ/争(あらそひ)△△故常 00028480L8三十七/武蔵鐙(むさしあふミ)△△△△△△三十八/潦(にハたづミ)△△△△転& 00028490L9三十九/水仙(すいせん)△△魚好△△四十軸/横切道(よこきれミち)△△△朱桜 00028500L10坐外/磯(いそ)ぜゝり△柳巴 00028510L11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(壱ウ) 00028520¥N1¥J 00028530¥X大社 00028540M3通りかゝつて見れバ、/婚礼(こんれい)と見へて/嫁(よめ)の/乗物(のりもの)。母親とおぼ 00028550M4しきに仲人など付/添(そい)はいれバ、ハヤ内にハさゞんざの声 00028560M5/賑(にぎハ)しく、ハテかわつた事の。此月ハ神無月じやに、たゞし 00028570M6又/門徒宗(もんとしう)でかまわぬかと見れバ、門の戸に/祈祷札(きとうふた)も張てあ 00028580M7り。扨ハ/浄土宗(しやうどしう)と見ゆると、いらざる事に不/審(しん)を立、こぐ 00028590M8りを/覗(のぞけ)バ、中戸ののうれんに、/出雲(いづも)屋 00028600¥N2¥J 00028610¥Xさび鮎 00028620M11コレ太郎さん。おまへ、/起請(きしやう)のかわりに/灸(やいと)すへんか。わた 00028630M12しが居へてあけるがな。おふかたあつい、/否(いや)じやといひじ 00028640M13やあろ。客、少シ小川の(二オ)やうな身で、なんのいやい、 00028650M14/灸(やいと)ぐらいハなんでもない事じや。やけ火ばしでもにぎつて 00028660M15見せる。ソレハおまへ、ほんまかへ。どふやら油くさい。 00028670M16ヲヽ其筈じや。今夜ハ五右衛門/釜(かま)の/風呂(ふろ)へ入つた 00028680¥N3¥J 00028690¥X眉に皺 00028700M19香の会の有ル坐敷先が/隣(となり)の隠居の台所。コレモ何やら/振(ふる)ま 00028710M20いの有やうすにて、ドツサクサとこしらへ最中。うなき/焼(やき) 00028720¥P87 00028730L1かさが、ツン+と匂ふ。香の/席(せき)にハ、/香炉(かうろう)手に取あけし 00028740L2客、しばらくきいて、フヽン、此木ハ/柴船(しばぶね)が青ばへか 00028750¥N4¥J 00028760¥X打ハひゞけ(二ウ)△(三オ挿絵) 00028770L5/嫁女(よめちよ)、もとらしやつたか。ソレ、/湯(ゆ)をわかしてヤリヤ。し 00028780L6たくハよいか、着ル物着かや。ソレ、着がへ出してヤリヤ。 00028790L7申シ、其やうに御/世話(せわ)なされて下されますな。おまへ様の 00028800L8おミやに、来年の/暦(こよミ)と本/極(きハま)りの/役者附(やくしやづけ)、買ふてさんじまし 00028810L9た。ソレハ+めづらしいはつ物。シテ、来年/雛(ひな)介ハ大イ 00028820L10か 00028830¥N5¥J 00028840¥X一寸壱匁 00028850L13サア入/痣(ぼくろ)した。見なされと/腕(うで)まくりして見すれば、ヲヽよ 00028860L14ふ仕てたもつたが、トテモなら、与の字一字にせすと、な 00028870L15ぜに/華喬(くわきやう)とハしてたもらなんだ。サア夫でも、/華喬(くわきやう)とハむ 00028880L16つかしい字じや故(三ウ)たんと/痛(いた)イ。ソコテ与の字にした 00028890L17ハへ。ハテ、わづかな事をいとやる。そんなら跡の/節季(せつき)ま 00028900L18へに、おまへ故なら命でもといやつたを/忘(わす)れハしやるまい。 00028910L19サア、わたしが命上ふとハ言ふたものゝ、よふ思ふて見れ 00028920L20ば、私が/死(し)ぬれバ、おまへハげし人じやゆへ 00028930¥N6¥J 00028940¥Xおぼこ争ひ 00028950M3娘の子あつまりて、/松明(ついまつ)取つて遊び居る。ひとりの子が、 00028960M4アノ町人ハ哥よまぬものかして、/百人首(ひやくにんしゆ)の中に町人ひとり 00028970M5も無ナア。何いひなさるやら。町人がのふてわいナア。さ 00028980M6やふなら、どれが町人でござりますへ。ハイ、百人ながら 00028990M7ミな町人でござります。ヲヽおかし。(四オ)百人首ハ皆お 00029000M8くげさんと/坊(ぼん)さんとお/姫(ひめ)さんばかりで、町人ハひとりもご 00029010M9ざりませぬ。イヽヱ、ミな町人でござります。ソレガうそ 00029020M10なら、本出して見なされ。二本さいて居る人が、ねつから 00029030M11ござりませぬ 00029040¥N7¥J 00029050¥X武蔵野 00029060L14△△△△△右ハ瓶吾評話大全第二の勝に有 00029070¥N8¥J 00029080¥X潦 00029090M17/粋仕立(すいじたて)の男、/鹿嶋(かしま)立と見へて、もゝ引きやはん、/草鞋(わらぢ)ハひ 00029100M18もの/細(ほそい)のをはき、サツサ+と行先キへ、廿チ余りの女房、 00029110M19どふもいへぬうしろ/姿(すがた)。そばへ寄ルほど近まさりに行過コ 00029120M20し、ふり帰り見れバ、/古今(ここん)(四ウ)/無双(ぶそう)の/美(うつく)しさ。見帰+ 00029130¥P88 00029140¥G(三オ) 00029150L13うつゝになつて、水の/溜(たま)りの有ともしらず、しやつぷりは 00029160L14まつて、さあらぬ/顔(かほ)。マア、かふしめしてはけバ/強(つよ)イ 00029170¥N9¥J 00029180¥X水仙 00029190L17おなし/芝居(しばい)を、連さへあれば何度でも見にゆき、しかも/桟= 00029200L18敷(さん=じき)ハ西の三四の内。/狂言(けうげん)の方へハ/尻(しり)むけて、/楽家(がくや)から/役者(やくしや) 00029210L19がかわる+に見舞に来るものを、酒の相手にして/幕(まく)の間 00029220L20をうれしがつて見物を見渡し、幕があくと、またチヤツト 00029230M1こちら向キ。人がよふ+と/誉(ほめる)所ほどきかぬ顔。見ぬ/自= 00029240M2慢(じ=まん)する人、ある時さじきへ来て居る/芸子(げいこ)と役者が、どふや 00029250M3らおかしい/眼(め)づかい。サテハきつしりなるべしと/推(すい)を(五ノ 00029260M4十オ)通ふして、/狂言(きやうけん)の方へ向イて、ヱヽ、此間ハ/逆上(のぼせ)か 00029270M5げんか、どふやらまばゆひと、/眼(め)へ手を 00029280¥N10¥J 00029290¥X横切道 00029300M8コリヤいつぞハ+とおもふて往た。マアこちへよれと、 00029310M9/旦那(たんな)ハこしもとの手をシツト/握(にき)り、なでつさすりつする所 00029320M10へ、/奥(おく)さまがフツト来かゝり、申シ旦那どの。ソレハ/何事(なにごと) 00029330M11でこさります。旦那、そらさぬ顔で、ヱヽ/屎握(くそにぎ)りじや 00029340¥N11¥J 00029350¥X磯せゞり 00029360M14/船(ふね)/着岸(ちやくがん)して/流人(るにん)共を/追(おい)あぐれバ、/浪打際(なミうちぎハ)に女のぞうり、何 00029370M15足も(五ノ十ウ)ならべ有。扨こそコレカ聞およんだ/縁(ゑん)定の 00029380M16/草履(ぞうり)なるべしと思へバ心まよひ、あなたこなたと見廻し、 00029390M17イツソ二人リ女房持べしと、あちらを/片足(かたし)、こちらをかた 00029400M18しはいて、/家居(いへい)ある方へ歩ミ行。かたへの松原の中にて女 00029410M19のあらそふ声して、後にハ/掴(つか)ミ合、たぶさ/髪(かミ)を取いとミ合 00029420M20ふ。カノ流人、扨こそ/我(われ)を男に持んとのせり合ならんと走 00029430¥P89 00029440L1り寄、コレ+女中。定メし草履の主ならんが、何も争ふ 00029450L2事ハない。/妾(てかけ)と本/妻(さい)にして、上ミ十五日下十五日と仕ルか 00029460L3らハ、二人ながら女房に持ほどに気/遣(づかい)せまいと引分れバ、 00029470L4二人の女、顔なかめ、/此方(こなた)のやうな/自堕落者(しだらくもの)を男にせまい 00029480L5トノ/喧嘩(けんくわ)サ 00029490¥Y1四の巻終△(十一オ) 00029500¥Q1 00029510L11△△○此所へ書記し御披露仕候 00029520L12年忘噺角力△@岡本△対山|椎本△下物@△咄会初席△全五冊 00029530L13立春噺大集△常笋亭君竹△同二席目△全五冊 00029540L14立春噺大集△後素軒蘭庭△同席△△全五冊 00029550L15夕涼新話集△参詩軒素従△三席目△△全五冊 00029560L16順会咄献立△増舎大梁△四席目△△全五冊 00029570L17智恵競咄揃△筆花亭対寿△五席目△△全五冊 00029580L18新撰噺番組△菊花亭流水△六席目△△全五冊 00029590L19互撰咄評判△順評噺会△初席目△△全五冊 00029600L20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十一ウ) 00029610M1△八文字自笑の役者評判にならひて評の数多に撰ハれしを上座 00029620M2△とし評数の少きを下座として大極真上上吉あるひは上上の白 00029630M3△字なとゝ芸品定めのごとく甲乙をわかち板行にいたし申候 00029640M4時勢話綱目△必&舎馬宥△七席目△△全五冊 00029650M5時勢話大全△橘香亭瓶吾△同席△△全五冊 00029660M6△右六品ハ酉正月二日より本出し申候 00029670M7/英笑話(はなふさはなし)/見台(けんだい)性急斎玄暉△八席目△△全五冊 00029680M8/年忘(としわすれ)/互笑語(たがいはなし)△△△順評△二席目△△全五冊 00029690M9△右ハ咄評判にならひて互撰の咄の甲乙を役者の芸品定のごと 00029700M10△くわかち面白きよミ本とする 00029710M11/青陽(せいやう)/戯談閲(はなしひらき)△△△△△△九席目△△全五冊 00029720M12△右三品近日より本出し申候御求可被下候 00029730M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十二オ) 00029740¥P90 00029750¥T1咄会七席目△△△△△△△△△△△△△¥A必&舎馬宥撰 00029760¥Y1時勢話綱目巻五 00029770L5四十一/上下(あげさげ)△山本△△四十二一千/年(ねんの)/色(いろ)△△キワ子 00029780L6四十三/娘(むすめ)の/声(こへ)△歳渡△△四十四/印違(しるしちが)ひ△△△拙亭 00029790L7四十五/大福帳(たいふくてう)△二雪△△四十六/喰(くひ)だおれ△△性悪 00029800L8四十七/蟻(ありの)同行(とうきやう)士口△△四十八/外国噂(くわいこくうわさ)△△花笑 00029810L9四十九/青密柑(あをミかん)△高沢△△五十惣軸/京形気(きやうかたぎ)△△二雪 00029820L10坐外/福介踊(ふくすけおどり)△北ノ本平 00029830L11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(壱ウ) 00029840¥N1¥J 00029850¥X上ケ下ケ 00029860M3貴公ハ、大坂ハトノ辺でこさる。ハイ、/堂嶋(どうじま)。米/商(しやう)ばいを 00029870M4いたします。ソリヤけつかうな御/商売(しやうばい)。ゆび先で何百貫目 00029880M5の取引、日本一の大/商(あきな)ひ。中+お浦山しい。イヤ、正米 00029890M6でこさります。ソレハ猶以いよ+お浦山しい。イヤ、其 00029900M7米ふミます 00029910¥N2¥J 00029920¥X一千年の色 00029930M10チトすこびたる者、野中にて/俄(にわか)に雪の/降(ふり)ければ、破笠をひ 00029940M11ろひて、是幸ひと打かぶり、/漸(やう+)しのぎて、のど町の/裏筋(うらすち)へ来 00029950M12ルに、とある小家に/柴垣(しばかき)竹/簀戸(すど)、さも/奇麗(きれい)な住なし、十四 00029960M13五(二オ)ばかりの/小女童(こめろ)が、ひさしの雪をかき落し+す 00029970M14るけしき。コレハどふもいへぬと見とれる内、此方の/細道(ほそミち) 00029980M15より、廿の上ハ二つ三つ、いかにもすいらしき女性、/蛇(じや)の 00029990M16目のがさ打かだけ、此家へ帰り来ルに、こゝろうかれ、一 00030000M17夜の宿を御/借(かし)候へといへば、女我+さへ住かねて候あば 00030010M18ら家に、お宿おもひよらす。是より十八町あなたに、長町 00030020M19と申てよき/泊(とま)りの候へバ、日の暮ぬさきに一足もはやく御 00030030M20出あれと内に入。アラ/曲(きよく)もなや。よしなき人哉とつぶやき 00030040¥P91 00030050L1て、半丁ばかり行過しが立どまり、なふ+/旅(たび)人。お宿参 00030060L2らせうのふと、モウ呼ぶ筈じやがと、ふり返り見れども、 00030070L3何の音もせず。ハテ不/粋(すい)(二ウ)(三オ挿絵)な。是程迄に/鉢(はち)の 00030080L4木を仕おふせたに/残念(ざんねん)なりと、ソロリ+と跡へ戻り、内 00030090L5をのぞけバ、いつの間にか来りけん、たくましき/坊主(ほうす)、彼 00030100L6女とさし向、/火達(こたつ)にあたり/千話(ちわ)の/最中(さいちう)。ハヽアあれが中寺 00030110L7町の/最明寺(さいめうじ)じや 00030120¥N3¥J 00030130¥X娘の声 00030140L10/道者(とうしや)五六人/案内連(あんないつれ)、天満天神より両/御堂(ミどう)、あミだ池市の/側(かハ) 00030150L11の/芝居(しばい)へいて、コレが大あやつり/若(わか)太夫の芝居と見せ、扨 00030160L12夫より/道頓堀(どうとんぼり)へ出、コレが/筑後(ちくご)の芝居大あやつり。次ハ中 00030170L13の芝居とて/哥舞妓(かぶき)。次ハ角の芝居とて是もかぶき。サテ是 00030180L14ハ子供しばい。次(三ウ)なハ若太夫の大あやつり。是が竹 00030190L15田。サア是からハ天王寺と、/樋(ひ)の上へ出ければ、/道者(とうしや)、/不= 00030200L16思義(ふ=しき)そうな顔をして、ナニ/案内(あんない)者との。さいぜんはるか西 00030210L17の方で、若太夫の大あやつりといわつしやつたが、今アノ 00030220L18先キ、又若太夫のあやつりじやといわつしやるが、西ナガ 00030230L19本家か、今のがほんまか。折ふし南/側(かハ)の/薬店(くすりミせ)から、西なハ 00030240L20/贋(にせ)でござります 00030250¥N4¥J 00030260¥Xしるし違 00030270L3△△△△△右ハ瓶吾評話大全十八番勝に有 00030280¥N5¥J 00030290¥X大福帳(四オ) 00030300M6/霜先(しもさき)の/銀子(かね)もいとわず、/馴染(なしミ)の女郎よんで/昼(ひる)よりの酒/盛(もり)、 00030310M7余程/酔(ゑひ)きげん。しはらく/枕(まくら)をかたむける間に、女郎ハ勝手 00030320M8へ立ツて、しばらく待ども戻らぬに/退(たい)くつし、傍に有/鼻紙(はなかミ) 00030330M9取ツて見れば、中から小杉をとぢた/帳面(てうめん)出たり。扨ハ日か 00030340M10ら帳なんめりとあけかゝる所へ、女良出て来て、又あくち 00030350M11やりな。何なさると引たくれバ、客、図にのり、イヤ+、 00030360M12見やうと取付に、女良、/細目(ほめ)になつて、ホンニ朔日の/晩(ばん)に 00030370M13ハはやう仕舞ますほとに、どふぞ見合して、ちよつとなと 00030380M14来ておくれ。ソシテ二日と三日と四日と五日ハ、おまへて 00030390M15爰に出ておりますぞへ(四ウ) 00030400¥N6¥J 00030410¥X喰たおれ 00030420M18モウお/暇(いとま)申シます。御/隠居(いんきよ)さま。此間にチトお下りなされ 00030430M19ませ。今年ハ/鯊(はぜ)がよふ喰ます。イヤもう釣りもアノ、みず 00030440M20なやむがいやなものでござるてや。アヽ申、/鯊(はせ)ハそんなも 00030450¥P92 00030460¥G(三オ) 00030470L13のでハ喰ひませぬ。ソンナラ、何ンで釣りますな。ハイ、 00030480L14/海老(ゑび)も+が。何サ、ゑびでなか喰ませぬ。アヽこなたも 00030490L15/嗜(たしなま)しやれ。ナンホ大坂の魚じやとて 00030500¥N7¥J 00030510¥X蟻の同行 00030520L18俄に仙人がつた/閑居(かんきよ)人有しが、折ふし尋ね来りし人ありて、 00030530L19長噺シになり、/庭(にハ)まわりを見れバ/樹木(しゆもく)ハ壱本もなく、はき 00030540L20庭に(五ノ十オ)して/箒木(はうき)目/叮嚀(ていねい)にして、日当りに/唐焼(からやき)と覚 00030550M1しき/鉢植(はちうへ)一つのミ也。客人見て/合点(かてん)ゆかず、たづねければ、 00030560M2されば此鉢うへハ折+仕かへ置キ、/四時(しいじ)をたのしミます。 00030570M3是ハ唯の艸でござる。此程秋の/時節(じせつ)にもなれば、チト/露(つゆ)を 00030580M4見ませうと存じて 00030590¥N8¥J 00030600¥X外国の噂 00030610M7/難船(なんせん)にあひ、/異国(いこく)へ吹ながされ、方+を見歩行たはなし。 00030620M8中にも手長嶋の人を、足長嶋の人が/背負(せおひ)、うみへ/這(は)入つて 00030630M9魚や/貝(かい)を取。さて又夫より耳長嶋へ往たと噺すを聞て、成 00030640M10程、手長足長ともに/重宝(てうほう)な事じやが、耳の長イも、なん 00030650M11ぞ役(五ノ十ウ)に立事ハないかといへバ、マア風引た時、 00030660M12耳で鼻かむ 00030670¥N9¥J 00030680¥X青密柑 00030690M15六兵衛殿、お宿にか。ホウ次郎兵衛殿、よふござりました。 00030700M16扨殊の外ひへます、どつちへ御出なされました。イヤ、け 00030710M17ふハ/御堂(ミとう)へ/門跡(もんせき)様が来てござるゆへ、御日/没(もつ)を拝ミに参り 00030720M18ましたら、残多い事ハ、モウおそふござつて、門跡様ハお 00030730M19入なされて仕舞しやる。どふもしよふハなし、/阿弥陀如来(あミだによらい) 00030740M20を/拝(おが)んで戻りました 00030750¥P93 00030760¥N10¥J 00030770¥X京質気 00030780L3京の/風雅(ふうが)人、/朋友(ほうゆう)の方へ行、ナント/雅物(がふつ)丈。高尾/通天(つうてん)の紅 00030790L4葉、(十一オ)定しお出なされたて有ロ。成程、わたくしも 00030800L5此間さんしたが、どふでも/紅葉(もミぢ)ハ高尾の事でござりますて 00030810L6い。此間、下の衆が見へまして、牛/瀧(たき)も大分能げにござり 00030820L7ます。ナント、京の者が/他所(たしよ)のもミぢ見に行も一/興(けう)じやが、 00030830L8思ひ立てお出なされぬか。ジヤト申て、京の者が行でもご 00030840L9ざるまいか。サア、紅葉を見に行とおもふと、心がわるい。 00030850L10あつちの紅葉見て、手前の/自慢(じまん)仕に行のでござるてい。成 00030860L11程、それもそうなれど、/銭(ぜに)が入ます 00030870¥N11¥J 00030880¥X福介踊 00030890L14/生花(いけはな)/自慢(じまん)の人、いつでも内から/丁児(でつち)に花を持せ、コリヤ、 00030900L15其花(十一ウ)の持やうがわるい。惣体花を持つにハ、持や 00030910L16うがあれど、マア持て来イと、会席へいつきせき、自慢に 00030920L17おもふ花もおそふなり、丁児に持せし大菊を取、木鋏にて 00030930L18すそをはらい、カノ生筒へ入て見ても+菊がぶらつく。 00030940L19ハテ、がてんのゆかぬ。コリヤ長吉よ。此菊持つて来る時 00030950L20に、どふぞしたか。ハイ、あなた様、逆さまにもつて来イ 00030960M1とおつしやつたか。ソレデ上ミずりにかな成りおつて 00030970¥Y1綱目五の終 00030980¥Q安永六年酉正月二日 00030990M5噺清書会頭△順慶町八百屋町筋南へ入ル△△△高橋栄治軒 00031000M6御書物所△心斎橋筋博労町壱丁目東茨木町△渋川久蔵 00031010M7△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十二オ) 00031020¥Q 00031030M8京都咄集所并本弘所寺町通姉小路南西角菊屋安兵衛 00031040M10△△△△△道頓堀大和橋南詰△△△△△山田屋久兵衛 00031050M11△大坂△△曽根崎新地弐丁目△△△△△丸屋平兵衛 00031060M12△△△△△あハどの橋かいや町南へ入△板木屋伝兵衛 00031070M13△△△△△すなば小濱町角△△△△△△海都屋勘兵衛 00031080M14△書肆△△あわぢ町壱丁目筋へ南へ入△奈良屋三兵衛 00031090M15△△△△△すげた町ほねや町西へ入△△伏見屋嘉兵衛 00031100M16△△△△△心斎橋筋南久本所町北へ入△塩屋平助 00031110M17咄の会へ新御趣向の御噺御入章被下候ハヽ御手寄にて右の 00031120M18集所迄御出し可被下被ハヽ相届申候随分御加入奉希候以上 00031130M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十二ウ) 00031140¥P94 00031150¥U噺本大系△第十一巻 00031160¥T/喜美(よろこび)/賀楽寿(がらす)〔序題〕 00031170¥G 00031180¥Y 00031190L16安永六年正月序 00031200L17伽藍堂無銘序 00031210L18慶&画 00031220L19小本一冊 00031230L20国立国会図書館蔵 00031240¥T1/喜美(よろこび)/賀楽寿(がらす)△初篇 00031250¥Y序 00031260M5/鹿(か)の/子(こ)を/此道(このミち)の/開基(かいき)として、/当世(たうせい)/行(おこなハ)るゝ/所(ところ)の/数(かす)のはなし 00031270M6/書(ぶミ)の/徳(とく)たるや、/第一(だいいち)/欝気(うつき)を/散(さん)し、/寐(ね)むけを(一オ)/覚(さま)し、/徒= 00031280M7然(つれ=※)をなぐさめ、/辛苦(しんく)を/忘(わす)れ、つんとしたる、ぴんとしたる 00031290M8ふくれつつら、/仏頂頬(ぶつてうづら)、/小児(しやうに)の/泣(ほへ)つつら、/一切(いつさい)の/腹立(はらたち)、も 00031300M9しやくしやしたる/心労(しんろう)によし、/笑(わら)ひを(一ウ)/出(いだ)す/事(こと)、/妙(めう)也。 00031310M10よまざる/人(ひと)には、/説(とゐ)て/耳(ミヽ)にしめせバ、/笑(わらひ)をたちどころに/出(いだ) 00031320M11す。たゞし/此書(このふミ)、/鵜(う)の/万年(まね)をする/烏(からす)なれば、とりあえず、 00031330M12/喜美(よろこび)/賀楽寿(がらす)と(二オ)/祝言々々(こと+++) 00031340M14△△△安永六丁酉△△△△伽△藍△堂 00031350M15△△△△△目出度日△△△△△△無△銘G 00031360M17△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二ウ) 00031370¥P95 00031380¥N1¥J 00031390¥X○一の/富(とミ) 00031400L3ワキS/札料(ふだれう)三匁て一/番(はん)が百両といふ富がある。あれをとる 00031410L4と/云(いふ)と、きついもんだ△シテS/取(とつ)た/者(もの)ハよからうか、/親(おや)もと 00031420L5ハさそ/損(そん)をするだらう△ワキS何、そんのいく/事(こと)をするも 00031430L6んだ。おやもとの(三オ)そんといふハない/図(づ)た△シテS/夫(それ) 00031440L7てもあぶないもんだ△ワキSなぜ、まづ/金(かね)を/先(さき)い取て/置(おく)か、 00031450L8/跡(あと)で/突(つく)ものを、損のいく/理(り)くつハない△シテSイヤ、/先(まつ)札 00031460L9/数(かず)か/何(なん)/千(ぜん)何/百枚(びやくまい)とい/ふあ((ママ))るでハないか。その何千何百/人(にん)と 00031470L10いふ/奴(やつ)か、ミんな一番に/中(あたつ)て(三ウ)見やれ。どうした/物(もん)だ 00031480L11らう 00031490¥N2¥J 00031500¥X○/田舎者(いなかもの) 00031510L14田舎もの、はじめて/御(お)江戸/見物(けんぶつ)に出申た。むかふの/方(はう)から、 00031520L15/中納言様(ちうなごんさま)の御とをり。御先をはらつて、/下(した)にゐろ++ 00031530L16Sつくばう△S/高(たか)い++△S/土(つち)え(四オ)手をつく。 00031540L17Sし/だ((ママ))あに++△S/地(ぢ)へあたまをつける。S高あい 00031550L18++S/下水(げすい)へはいる。S高い+++Sモウ 00031560L19/是(これ)よりひくかあ、なり申さねゑ。むりな事をいふ御人さま 00031570L20だもし。御大名御/通(とを)りがすむと、下水から(四ウ)出ながら、 00031580M1御江戸といふとかあ、なんでもげいにしかるとこだ 00031590¥N3¥J 00031600¥X○四万六千日 00031610M4/軽子(かるこ)が/連立(つれだつ)て行ながら、ぼうぐミ+。二百十日たあ、ま 00031620M5あなんのこつたらう△S/手前(てめへ)、ありようひとつしらねゑか 00031630M6(五オ)S此としまでしらねゑよ△S先ありやあこうと、あ 00031640M7の/節分(せつぶん)のあくるひ/よう((ママ))/立春(りつしゆん)といふハ。よしか。/夫(それ)から二百 00031650M8十日めの事さ△Sハテナ。そりやあそれでよし。四万六千 00031660M9日たあな△Sハテ、それもおんなし事さ(五ウ) 00031670¥N4¥J 00031680¥X○せんだん 00031690M12/此頃(このごろ)ハきついはしか/病人(びやうにん)で、/医(ゐ)しやしゆ、ことの/外(ほか)いそが 00031700M13しがる。/鵜殿太卜(うどのたいぼく)か/息子(むすこ)の/太(たい)じゆ、そろ+/親父(おやぢ)の/代脉(だいミやく)に 00031710M14/歩行(ありく)。あるやしきで、/悴(せがれ)がきのふのばんがたから、/頭痛(づつう) 00031720M15(六オ)(六ウ・七オ挿絵)がいたしまして、すぐれません。御 00031730M16らうして下さりまし。ハイ、/伺(うかゞ)ひますでござりましよふ。 00031740M17まづと、御/熱(ねつ)もふくしております。/悪寒(おかん)ハござりませんか。 00031750M18御/舌(した)を御見せなさりまし。ハアきつい。ハイ。ようござり 00031760M19ます。(七ウ)/時(とき)に、御かハきがござります。ハイ。御のど 00031770M20がいたミませうが。まつたくはやりの御下/地(ぢ)と/相(あい)見へます。 00031780¥P96 00031790¥G(六ウ・七オ) 00031800M1/先(まづ)御ひへなさらぬやうになさりまし。/扨(さて)と御/毒(どく)だでをなさ 00031810M2りまし。先酒がわるし。/餅(もち)かわるし。何(八オ)によらず、 00031820M3/魚類(ぎよるい)ハけつして御/無用(むよう)でござります。あぶらこいもの、/香(かう) 00031830M4はしい物を、御/禁(きん)じなさりまし。/真桑爪(まくハうり)の/桃(もゝ)のといふもの 00031840M5か、/悪(わる)うござります。明日又うかゞひますでござりませふ。 00031850M6御/薬(くすり)ハ是を(八ウ)御用なさりまし。/生姜(しやうが)/入(いら)ず、水かげんハ 00031860M7つねのとをり。先御大事になさりまし。又明日と、/暇乞(いとまごい) 00031870M8して出てゆく。/跡(あと)で、Sあのむすこハ、此頃まておぎやあ 00031880M9+といつて/居(ゐ)たか、もつたいくさい、中&よい/医者(ゐしや)ぶり 00031890M10に(九オ)なつた。せんだんハ/二葉(ふたば)よりだといふを/聞(きゝ)つけ、 00031900M11門口から/取(とつ)てかへし、Sもし+、そのせんだんをかなら 00031910M12ず/進(しん)ぜられますな 00031920¥N5¥J 00031930¥X○/法力(ほうりき) 00031940M15/法印(ほういん)さま+。かゝあがもつて(九ウ)の外わるうこざりま 00031950M16す。妙喜の/神(しん)たくをきゝましたら、せんの女房の/死霊(しれう)だと 00031960M17申ました。どうぞはなれますやうに、御/祈(き)とうをなすつて 00031970M18/下(くだ)さりまし。/承知(しやうち)+。いまいつて、はらつて/進(しん)せう。お 00031980M19れが(十オ)法力でおちぬといふ事ハない。なまぐさまんた 00031990M20はさらだ、と云ても/放(はな)ればこそ、/段(だん)&わるくなる。Sもし 00032000¥P97 00032010L1+、法印さま+。/様子(やうす)か/大分(だいぶ)わるくなりました△Sな 00032020L2に、やうすがわるくなつた。よし+。/追付(おつつけ)はなして(十 00032030L3(ワ)見せう。/東方(とうばう)ごうざんぜ明王/南方(なんばう)ぐんだりやしや 00032040L4Sもし法印さま。あれ、あのやうで御ざります△S/気遣(きづか)ひ 00032050L5さつしやんな。今はなれるとこだ。Sちやうがせつしやと 00032060L6く大ちゑちがしんしやそく/心(しん)/成仏(しやうぶつ)といふ(十一オ)/所(ところ)で/引取(ひきとつ) 00032070L7た。S法印さま+。/息(いき)が切ました△Sそれハまづようご 00032080L8ざる。やれ+、たんせいをこらした△Sイヱサ。/死(しに)まし 00032090L9た△Sサレハ、/愚僧(ぐそう)が法力で、やう+成仏されました 00032100¥N6¥J 00032110¥X○ふたつ/文字(もじ)(十一ウ) 00032120L12日陰も稍西にめくりて、/名(な)にしあふ/四谷(よつや)の/街道(かいどう)ハ/在郷(ざいご)馬の 00032130L13/珠数(じゆず)つなぎ。くつはの音ハしやんこ+++。馬かた 00032140L14は思ひ+にうたをうたひ、あくたいをつきちらして、か 00032150L15へる道すがら、S/先(さき)の/馬子(まご)か、/今日(けう)も(十二オ)かうじ町の 00032160L16/三味(しやむ)せんの/師匠(しせう)どんで、べれつく+とひつひいたあ、何 00032170L17かじいんぜうなこゑゝだして、かたり出すのよ。なにようい 00032180L18ふかと思やあ、なにもかハつた事もいハねゑもんだ。S/跡(あと) 00032190L19の/馬士(まこ)、なんといつけ。(十二ウ)△S/肥(こい)ハく/さい(せゑ)ものといふ 00032200L20やつよ△Sハアヽ、そりやあ上ろりといふのたんべゑな 00032210M1S大かた、そんなこつたんべゑよ△Sそして其あたあ 00032220M2Sこいハ/稲穂(いなぼ)の/作(さく)のたね、とよ 00032230¥N7¥J 00032240¥X○/君(きミ)ハ/舟(ふね) 00032250M5おらがたんなのやうな、くそ(十三オ)だハけな、いめゑま 00032260M6しい。/朝(あさ)あくれゑからたゝきおこして、水うくめ、めしや 00032270M7うたけ、/庭(にハ)あはけ、やれまきようわれ、町いいけ、米へつ 00032280M8け、かミやういへ。永の日一日/立(たて)どうしに、あさつからば 00032290M9ん迄/追(おい)つかつて、いや(十三ウ)もういめゑましいともなん 00032300M10とも、ひれへせけゑに、もう/一人(ひとり)あ何ねへ。べらぼうづら 00032310M11な、/屎(くそ)のやうな。Sコレ+、そのやうに/御主(おしう)さまの事を 00032320M12わるくいハぬものだ。/君(きミ)ハふね、/臣(しん)ハ水といふ事がある△ 00032330M13S/君(きミ)たあ△Sきミ(十四オ)とハ/旦那(だんな)の事さ△S/臣(しん)たあ△ 00032340M14Sしんとハ/家来(けれ)の/事(こと)さ△Sそんなら、おらかだんなあ、い 00032350M15けねへ。かさいのくそ舟だ 00032360¥N8¥J 00032370¥X○とら/息子(むすこ) 00032380M18きん+のとらむす子、はつ+と金をつかひなくす。 00032390M19(十四ウ)/近所(きんじよ)のしゆが/気(き)のどくがり、おぬしももう三十と 00032400M20いやあ、おつ/付(つけ)四十。いつ/迄(まで)/若(わか)くもない。/親父(おやぢ)どのゝせつ 00032410¥P98 00032420L1かく、しんほうして/仕(し)のしたしんしやうを、ぼうにふらぬ 00032430L2やうにしたがよい。/今(いま)こそおやぢとのが、よく(十五オ)/工夫(くふう) 00032440L3さつしやるから、しつぽも/出(で)ないが、いわひハ千/年(ねん)、あす 00032450L4もしれない。おやぢどのがなくなつたら、どうしやる。/金(かね) 00032460L5が/先(まづ)、どつからわく/物(もん)だ。S/成(なる)ほど、そういハつしやりや 00032470L6あそう。わたしも/親父(おやぢ)が/死(しん)で、こうしてゐる(十五ウ)もの 00032480L7かい△Sお/主(ぬし)が/代(よ)になると、かせくといふ/了簡(りやうけん)か。/夫(それ)より 00032490L8ハどうぞ、/親(おや)ごの/息才(そくさい)な/内(うち)から、ちつとしまつて、/年(とし)のよ 00032500L9つた親ぢどのに、/安堵(あんど)させたがよい△Sイヤ、おれも親父 00032510L10の/達者(たつしや)なうちこそ、/此通(このとを)りなれ。こしでも/抜(ぬけ)る(十六オ)と 00032520L11いふと、もうこうしちやあゐぬて△Sよくかせぐか△Sイ 00032530L12ンニヤ。/商売(しやうばい)かへるか。Sナアニ△S/武士(ぶし)に/成(なる)あてゞも/出= 00032540L13来(で=き)たか△Sナンノ△S/医者(ゐしや)にでもなる/気(き)か△Sイヤナ事△ 00032550L14S/上(じやう)るりの/師匠(ししやう)でもしやるか△Sインヤ△Sして、/何(なん)にな 00032560L15る△S/宿(やど)なしに(十六ウ) 00032570¥N9¥J 00032580¥X○/座頭(ざとう)の/目(め) 00032590L18座頭、/金(かね)ハ/沢山(たくさん)あり。/家(いゑ)ハ/立(たて)る。/衣類(いるい)ハあり、/食(しよく)ハ/味(□ま)ひも 00032600L19のゝ/食(くい)あき、何にも/不足(ふそく)ハなし。/是(これ)からどうぞ、目をよく 00032610L20して見たいと/願(くハん)をおこし、/市谷(いちがい)の/茶木(ちやのき)の/稲荷(いなり)へ千日/参(まい)り。 00032620M1(十七オ)/実(げに)や/信心(しん※)むなしからず、/神(かミ)も/納受(なうじゆ)やまし+けん、 00032630M2千日に/満(まん)する日、/途中(とちう)で目かあいた。その/時(とき)のうれしさ、 00032640M3/天(てん)にも/上(あが)る/心地(こゝち)して、見へるほどのものがめづらしく、/是(これ) 00032650M4ハよしといつたところが、みんなしらぬミちで、(十七ウ) 00032660M5/跡(あと)へもいかれず/先(さき)へも/行(いか)れず、しバらく/杖(つえ)をついて/思案(しあん)し、 00032670M6きつと/思(おも)ひ/付(つい)たそうで、目をねぶり、いつものやうに/歩行(ありい) 00032680M7て/宿(やど)へ/帰(かへ)り、/扨(さて)目を/明(あい)て、Sお/主(ぬし)かおれが/女房(にようぼう)か△S女房、 00032690M8/取(とり)あへす、はじめて御目に/懸(かゝ)りまし(十八ノ二十オ)た 00032700¥N10¥J 00032710¥X○むすめ 00032720M11/下女(げじよ)、/御女(おじやう)さまへ+。/若(わか)さんにやあ、おちんこがごさり 00032730M12ますが、なぜ、おまへさんにやあ、ござりませんへ。Sお 00032740M13つちけ、はへらあゑ(十八ノ二十ウ) 00032750¥N11¥J 00032760¥X○くやミ 00032770M16/横丁(よこてう)の/隠居(ゐんきよ)が/大病(たいびやう)。/見廻(ミめへ)に/行(いつ)てやらずハ/成(なる)まいと、/出懸(でかけ)た 00032780M17/所(ところ)、/虫干(むしぼし)をするとて、/表(おもて)にす/く((ママ))れをかけて/置(おい)た。/扨(さて)こそ、 00032790M18もうらちかあいたそうなと、つとはいつて、いんきよさま 00032800M19御(廿一オ)なくなり、さぞ、御/力(ちから)おとしでござりませう。 00032810M20申さうようもござりません。おどろきいりましてござりま 00032820¥P99 00032830L1す。Sもし+、こなたハあんまりそゝうな人た。人の/親(おや) 00032840L2かわづらふと/云(いう)に、/面白(おもしろ)そふに、なんのこつた(廿一ウ) 00032850L3Sハア+、/是(これ)ハしたり+。まつぴら+ごめん+。 00032860L4/大(おう)きに/誤(あやま)りました。かならず気にかけないて/下(くだ)さりまし。 00032870L5わたしが/麁相(そさう)ハ、/御前(おめへ)も/御(ご)ぞんじのこつたから、/本(ほん)にしな 00032880L6しつたら、かならず/知(し)らせてくださり(廿二オ)まし 00032890¥N12¥J 00032900¥X○/劔術(けんじゆつ) 00032910L9六郎+。/貴(き)さまあ日ごろ、きつい/高(かう)まんだが、此中見れ 00032920L10バ、半十に大きにしつけられたな。Sナニ、あの半十に 00032930L11Sいやるな。おれハ見てゐた△S/負(まけ)ハまけ(廿二ウ)たのさ 00032940L12S貴さまよりそんなら、半十が/上手(うハて)だな△Sナニ、あいつ 00032950L13ハ/一向(いつかう)ならひがない△Sそれになぜ、貴様負たろう△Sサ 00032960L14レハ、/此方(こつち)からハ/流義(りうぎ)を/守(まも)つて/法(ほう)を/立(たて)て、こうした/時(とき)ハこ 00032970L15う、こうした時ハこうと、しめくゝりを(廿三オ)してかゝ 00032980L16れば、先からハ/習(なら)ひもなくつて、無法にこぢつけるから、 00032990L17たまるもんじやあない 00033000¥N13¥J 00033010¥X○/御声(おこゑ) 00033020L20となり村の十内どなあ、きつい/仕(し)あハせもんた。Sハアど 00033030M1うした△Sどうしたじやあねゑ。こんたあ(廿三ウ)まあだ、 00033040M2ありようきかなんだか。こんはる、/殿(との)さまい/御(お)/足(あし)がるにす 00033050M3むいなや、はたらきがよくつて、もう/殿(との)さまの御/声(こい)がかゝ 00033060M4つたげな。おつ付見さつせへ。/役(やく)げへをしるだらう△Sナ 00033070M5ゼ、とのさまの/御(お)くそがかゝりやあ、(廿四オ)やくげへを 00033080M6しるものか 00033090¥N14¥J 00033100¥X○/刀(かたな)の/目利(めきゝ) 00033110M9/私(わたくし)ハこしのものゝ目利をいたします。S/夫(それ)ハよいたしな 00033120M10ミ。さりとハ/下&(した+)にハ/気(き)とくな事。さらバ、おれが五十目 00033130M11で/大事(たいじ)なさそうなによつて、(廿四ウ)/買(かつ)て/置(おい)た/無銘(むめい)の刀が 00033140M12あるか、見てくりやれ△Sハイ、かしこまりました。/是(これ)ハ 00033150M13見事な、/重(おも)いよい御刀てござります。とつと/鉄光(かねミつ)の/上物(しようもの)で 00033160M14ござります△Sそれほどよいものかな△Sおまへさま、/兼= 00033170M15光(かね=ミつ)でござります物(廿五オ)を△Sまづ、どのくらいしてよ 00033180M16い物だらう△Sハイ、/是(これ)でも/古(ふる)かねかいに見せますと、二 00033190M17三百にし/ら((かカ))なりませぬ。いか/様(きま)、壱〆目からござりませう 00033200M18S/夫(それ)わ/重身(おもミ)の事でハないか△Sハイ、左やうでござります 00033210M19Sイヤサ。どの(廿五ウ)くらいに/買(かつ)てよい物だらうといふ 00033220M20事さ△Sそれハ/先(さき)によりました物でござります△S先五十 00033230¥P100 00033240L1目にかつて大事あるまい。/無銘(むめい)でも兼/光(ミつ)の上/作(さく)といふでハ 00033250L2ないか△Sハイ、なんでも/鉄(かね)光に/違(ちが)ひハござりませぬ△ 00033260L3S手まへ(廿六オ)先どうして一目見て、/直(ぢき)に/兼光(かねミつ)といつた。 00033270L4どこそに/定(さだめ)て、きつかけのある事だらう。おしえてくれぬ 00033280L5か△S知れませんでハ。おまへ、/重身(おもミ)でも知れます。/竹光(たけミつ) 00033290L6とかねみつが/一(ひと)つわかりませんでハ(廿六ウ) 00033300¥N15¥J 00033310¥X○/麻疹(はしか)/見廻(ミまい) 00033320L9はしかゞきつい事はやりやすが、/先(まあ)となたもなさらぬでよ 00033330L10うござり。Sイヤ、いたして△Sなすつたへ。むすこどん 00033340L11かへ。先ツかるくおしまいなすつて/御安堵(ごあんど)△Sナニサ、/重(おも) 00033350L12くてきのふ△Sきのふ、/湯(ゆ)を/御(お)かけな(廿七オ)すつたへ。 00033360L13/重(おも)くても/御順(おしゆん)せへよければよう△Sイヱサ、順がようござ 00033370L14らぬ。/昨日(きのう)△Sナニ、御順かわるくても、御/怪我(けが)さへなけ 00033380L15りやあ御/仕合(しやハせ)さ△Sイヱ+、昨日なくいたしたと申ます 00033390L16Sデモ、/先(まあ)/天気(てんき)がようて、/目出(めで)たうござります(廿七ウ) 00033400¥N16¥J 00033410¥X○しハん/坊(ほう) 00033420L19となりのしハん坊、さき/程(ほと)/御用達(ごようだち)ました/鳥目(てうもく)/壱銭(いつせん)、/只今(たゞいま)/急(きう) 00033430L20に/入用(いりよう)でござるから、御かへしなされ。Sこれハ+、/貴= 00033440M1様(き=さま)とした事が、/我(が)を/折(おつ)た人た。/敵(かたき)の/首(くひ)と壱文/銭(せに)ハ/取(とり)にくい 00033450M2と(廿八オ)いふが、いやはや/感心(かんしん)いたした。/成(なる)ほど、そう 00033460M3/心(こゝろ)かけさつしやらねハ、/金(かね)ハもたれぬ。しかしながら、あ 00033470M4まり/軽少(けいしよう)で/返(かへ)すか、けつく、こつちが/気(き)のとくなやうだと、 00033480M5なぶりかけたら、しハん/坊(ぼう)、/真(まつ)くすんで、S/何(なに)、壱文があ 00033490M6まり(廿八ウ)/少(すくな)くつて気のどくだといハつしやるか。そつ 00033500M7共くるしうござらぬ。/夫(それ)とも、そう/思(おも)ハつしやるなら、御 00033510M8ぢぎハ申さぬ。二文ください 00033520¥N17¥J 00033530¥X○/計策(はかりこと)(二十九ノ三十オ) 00033540M11/軍学者(ぐんがくしや)、/夏(なつ)になれば/蚊(か)にくつたくし、/蚊帳(かや)をつれハ/四方(しはう)を 00033550M12/取(とり)かこミ、/上(うへ)をもさしふさいで、/数万(すまん)の/蚊(か)がときの/声(こゑ)をあ 00033560M13げ、/出(で)はいりをすると、/蚊帳(かや)の/内(うち)へまぎれ入、/油断(ゆだん)をする 00033570M14とさす。/殆(ほとんと)/防戦(ぼうせん)の/術(てだて)がつきはてたり。(二十九ノ三十ウ)され 00033580M15ばとて、かれらごときの/虫(むし)けらが、たとい/何(なん)十万/疋(びき)で/攻(せむ)る 00033590M16とて、/家(いゑ)を/出(で)よう/様(やう)ハなしと、/手(て)を/組(くん)て/思案(しあん)し、きつと/智= 00033600M17謀(ち=ぼう)を/廻(めぐ)らし、/先(まづ)わらを/以(もつ)て/人(ひと)の/形(かたち)をつくり、さていつも/自= 00033610M18分(じ=ぶん)の/着(き)て/寐(ね)る/処(ところ)の/衣服(いふく)(三十一オ)を/着(き)せ、いつも/我(わが)/寐(ね)る/処(ところ) 00033620M19の/床(とこ)に/是(これ)をねせて、/今(いま)や+と/待(まち)かけたり。/所(ところ)へ/弟子(でし)が/来(き) 00033630M20て、/先生(せんせい)。あれハ/何(なん)でござりませう。先生、/時(とき)に/声(こゑ)をひき 00033640¥P101 00033650L1くし、/耳(ミヽ)を/出(いだ)し給へ。/敵方(てきがた)へもれ/聞(きこ)へてハ/大事(たいじ)。弟子S先 00033660L2生。今敵とし給ふハ(三十一ウ)何△先生Sまづ+だまつ 00033670L3て、おれが/謀畧(はうりやく)を見給へ。/策(はかりこと)ハ/密(ミつ)なるをもつてよしとす 00033680L4弟子Sいかにも先生の/御智(ごち)略、/拝見(はいけん)いたしませうと、/詰(つめ)て 00033690L5/居(ゐ)る時に、先生、/人形(にんぎやう)へ/蚊(か)のとまつたを見て、Sスハ謀な 00033700L6れりと/悦(よろこ)ひ、/脇(わき)へねるに、(三十二オ)(三十二ウ・三十三オ挿絵) 00033710L7/蚊(か)のくふ事、いつものごとし。先生あきれはて、ほつとた 00033720L8めいきをつきながら、今ハ/世(よ)が/悪(わる)がしこくなつて、蚊さへ 00033730L9/大躰(たいてい)なはかりことでハいかぬ 00033740¥N18¥J 00033750¥X○ぶせう親父 00033760L12あんまりじつとしてばかり(三十三ウ)ゐてハどくだ。ちつ 00033770L13とまめにさせたいと、/娵(よめ)か/朝(あさ)、ゑんがハへ/出(で)て、ぢいさま。 00033780L14あすこに/月(つき)がござります。Sナニ、月かある。けふハ/幾日(いつか) 00033790L15と、/有明(ありやけ)か、/丁(ちやう)どそこらにあらう△Sもし+、/庭(にハ)の/朝皃(あさがほ) 00033800L16の/初花(はつはな)が/咲(さき)ました。ごらうじまし△Sナニ、(三十四オ)/朝(あさ)が 00033810L17ほがさいた。/後(のち)にいつて見やう△Sあれ、あのぢいさまと 00033820L18した事が、/朝皃(あさがほ)ハ/後(のち)にハしぼミますに△Sもちつとして、 00033830L19いつて見よう△Sもし+、/御大名(おだいめう)が/御通(おとを)りなさります 00033840L20Sドリヤ、もつて/来(き)て見せやれ(三十四ウ) 00033850¥N19¥J 00033860¥X○/目鏡(めがね) 00033870M3目がねを/懸(かけ)ると目がわるくならぬといふから、/一(ひと)つかつた。 00033880M4見てくりやれ。Sどれ見せや。/先(まづ)いくらでかつた△Sおら 00033890M5あやすくかつた/気(き)た。たつた二十四文さ△Sそれハ/安(やす)いも 00033900M6んだ。/是(これ)ハ/手(て)めへ(三十三オ)輪(わ)ばかりで、かんじんのびい 00033910M7どろがない△Sそこがおれが/思(おも)ひ/付(つき)。びいどろがあるとな、 00033920M8ほんぼりとして/遠(とを)くのものが見へねへから、/夫(それ)でかへした 00033930¥N20¥J 00033940¥X○小ごと 00033950M11どうらくむすこ、あがきが(三十三ウ)あんまりかうじておい 00033960M12こめられ、おらがおやぢのやうな、けちいま+しい。/小(しやう) 00033970M13べんにも/出(だ)さないと、/大(おふ)こゞとをいふうしろへ、おやちが 00033980M14/来(き)て、S/己(おのれ)ハにつくいやつ。/身持(ミもち)をわるくして、/世話(せハ)をや 00033990M15かせるさへある(三十四オ)に、まだけちな/親父(おやぢ)と/云(いふ)か△ム 00034000M16スコSよその+ 00034010¥N21¥J 00034020¥X○つけ/木(き) 00034030M19となりの/彦六(ひころく)が/夜(よ)ばなしに/来(き)て、/半時(はんとき)ばかりも/咄(はな)して、 00034040M20Sハイ、モウ/御(お)いとま申やす△Sナゼマア、もちつとあそ 00034050¥P102 00034060L1んで/行(いき)なさい(三十四ウ)Sいやもう、かゝあか/待(もつ(ママ))てゐる。 00034070L2さらバと/立(たつ)て/出(で)る。テイSこれ、そとがくらい。ちやうち 00034080L3んを/上(あげ)やれ△Sイヤ、ちやうちんハいりやせん。ついそこ 00034090L4だ△カミSそんなら、/付木(つけぎ)を/一(ひと)さきつけて/上(あげ)ましようか 00034100L5Sアイ、それハおかたじけ。そん(三十五オ)なら、どふぞ 00034110L6いほうのない/方(ほう)へ/付(つけ)て/下(くだ)さりやし 00034120¥N22¥J 00034130¥X○/言葉(ことば)とがめ 00034140L9うらたなの/八兵衛(はちべい)が/来(き)て、どうだ、ぢいさん。/馬(むま)でものん 00034150L10だか。Sナニ、馬が/呑(のま)れるのんだ△S/久(ひさ)しいもんだ。それ 00034160L11ハそうと、(三十五ウ)きついあついこつたの△S/夏(なつ)だもの 00034170L12を。あつくなくつてさ△S/御(お)めへ、いつ見ても、あごをい 00034180L13ぢつていなさるの△Sひげをぬくに、/又(また)あこをいちらずに、 00034190L14どうしてぬかれるもんだ 00034200¥N23¥J 00034210¥X○/勘弁者(かんべんしや)(三十六オ) 00034220L17/勘弁者(かんべんしや)、むすこの/死(しん)だにも、Sコレ/折助(をりすけ)。どこぞへ/行(いつ)て、 00034230L18こしの/安(やす)いのをかつてこい。どうで/土(つち)にするもんだから、 00034240L19/安(やす)い/程(ほど)はよい△Sハイ、そんならかつて/参(まい)りませうと、し 00034250L20バらくして/帰(かへ)り、もし/旦那(だんな)さま。/何(なに)もかもがつさい(三十六 00034260M1ウ)そろへて、壱分てかいました。Sナニ、壱分でかつた。 00034270M2それハたかい。もうかいきつたか△Sハイ、今に/持(もつ)てまい 00034280M3ります/筈(はづ)でござります△Sハア、しよう事もない。まあき 00034290M4ハめずにくればよいに。もつと/外(ほか)にも、こしやかあらうか 00034300M5ら、(三十七オ)あたつてこい△Sふせう※に、ハイと/云(いつ) 00034310M6て/出(で)ながら、はて、かつたといふに、まだ/聞(き)けといふ。も 00034320M7う一つかつて、/手前(てめへ)でもはいる/気(き)かと、つぶやきながら/聞(きい) 00034330M8て/帰(かへ)り、/旦那(たんな)さま+。もう二三町あとに、弐/朱(しゆ)でそろへ 00034340M9てよこそふ(三十七ウ)と申ます。Sそれこそ見たか。/半分(はんぶん) 00034350M10安いのかある。/夫(それ)を今/持(もつ)てこいといへ△Sハイ、先ほどの 00034360M11も、もふかいました△S/夫(それ)ハさつき/持(もつ)て/来(き)たから、しつて 00034370M12ゐる△Sもう御/返(かへ)しなすつても、/請(うけ)とりハいたしません 00034380M13S/夫(それ)も/知(し)つて(三十八オ)ゐる。なんでもおれがかへといふ 00034390M14からかへ△S二つめして、まづ/何(なん)になされます△Sはて、 00034400M15/一(ひと)つハこんとのにするハ 00034410¥N24¥J 00034420¥X○/下女(げじよ) 00034430M18御/新造(しんぞ)さん。あの/御客(おきやく)さんハ、めいよう/悪(わる)いくせな。いつ 00034440M19でも(三十八ウ)/長(なが)ばなしをなさります。もういゝかげんに、 00034450M20御/帰(かへ)りなさればいゝ。Sそちハそんな事をいふな。あなた 00034460¥P103 00034470L1ハおれが大事の/伯父(おぢ)さまじや△Sハイ、どうりて、よいと 00034480L2の様でござります 00034490¥N25¥J 00034500¥X○/願(ぐハん)がけ(三十九オ) 00034510L5御屋しきの/御女(おじやう)さま、/三絃(しやミせん)の御けいこをなさるとて、/座頭(ざとう)、 00034520L6ちよつ+と/来(き)てとまる。/折(おり)ふし、御はしたのおるんが、 00034530L7おめへハいつも御くろうたのと、/云(いゝ)なぐつて/行(いく)。/座頭(ざとう)Sコ 00034540L8イツ、/気(き)があるとがてんして、ばんに(三十九ウ)/行(いく)にと/云(いゝ) 00034550L9かける。/夫(それ)より/夜更(よふけ)、人しづまつて/丑満(うしミつ)のころと思しき時、 00034560L10座頭、/銭(ぜに)を二百、口にくハへ、/真(まつ)はたかではつて/行(いく)。/何(なに)が 00034570L11/明日(あす)ハ/殿様(とのさま)の御/早出(はやで)て、おるんハ/八置(やつおき)して、/飯(めし)をたいてゐ 00034580L12る/処(ところ)へ、はつて/来(き)た。るんSこれ+、(四十オ)おめへ。 00034590L13どこい/行(いく)のだ△座頭Sしらぬ/皃(かほ)で、おれか。おらあ、/荒神(くハうじん) 00034600L14様い/願懸(がんかけ)よ 00034610¥N26¥J 00034620¥X○/象(ぞう) 00034630L17わしハ此/中(ぢう)、めづらしい物を見た。S/何(なに)を△Sぞうを 00034640L18Sどこて△Sあの、かうじ町で△Sそんなら、/造(つくり)(四十ウ) 00034650L19もんだらう△Sインニヤ、/生(いき)たのさ△Sハテナ、どんな物 00034660L20だ△Sマア/聞(きゝ)給へ。/鼻(はな)が長いハ。/耳(ミヽ)がたれてゐるか、/目(め)ハ 00034670M1/横(よこ)に/永(なが)い/大(おふ)きなもんだ△S/色(いろ)ハ△S/鼠(ねづミ)色さ△Sしつぽかあ 00034680M2るか△Sなくつてさ△Sあしハとんなだ。△Sあしか。/足(あし)ハ 00034690M3/先(まづ)とふくろを(四十一オ)見たやうで、さきハつんと/人間(にんげん)の 00034700M4足さ。そして/草(ぞう)りだの、わらちたのをはいてゐた 00034710¥N27¥J 00034720¥X○とうふ 00034730M7大きな/町(まち)に、はした/奉公(ほうこう)した下女、どこかよい/所(ところ)があつて、 00034740M8ふと亭主の/情(なさけ)にて、/妾(めかけ)に(四十一ウ)なり、/大分(だいぶ)/気(き)に/入(いつ)て、 00034750M9/今(いま)ハ/内(うち)でも/外(そと)ても、かミさま+と、ちそうほんそうされ 00034760M10るにしたがひ、だん+おごりが/付(つき)、じよなめいてゐる。 00034770M11ある/時(とき)、こしもとのもミぢに、たばこぼんもたせ、むかし 00034780M12なじミし(四十二オ)/茶(ちや)の/間(ま)へ/出(いで)、ぶら+そこらを見て、 00034790M13これもミちや。そこのまないたの/上(うへ)に、/何(なに)やら/白(しろ)いものが 00034800M14/半丁(はんてう)のせてある。それハなんと/云(いふ)ものじや 00034810¥N28¥J 00034820¥X○さらさ 00034830M17きん+とした/古渡(こわた)りの(四十二ウ)さらさのたばこ/入(いれ)を、 00034840M18/高慢(かうまん)に/持歩行(もちあるく)。Sドレ、/貴(き)さまの/御葉入(おはいれ)を、ちと/拝見(はいけん)。/扨= 00034850M19&(さて=+)、/近頃(ちかごろ)ハよう/似(に)せて/書(かき)ます。/是(これ)は/御近所(ごきんじよ)にござるか 00034860M20S/持主(もちぬし)、やきとして、よく/御覧(ごらん)なされ。/夫(それ)は/本(ほん)のでござる 00034870¥P104 00034880¥G(三十二ウ・三十三オ) 00034890M1Sハテサテ、おれハ(四十三オ)/書(かい)たのだと思つたが△S/今(いま) 00034900M2は/唐人(とうじん)も/利口(りこう)に/成(なつ)て、こつちのをよくにせます 00034910¥N29¥J 00034920¥X○/馬糞(ばふん) 00034930M5/是(これ)、/八兵衛(はちべゑ)、/権兵衛(ごんべゑ)。/此(この)ころおらがはたけへ、/毎(めへ)ばん/狼(おゝかミ)か 00034940M6/出(で)て、/馬(ば)ふんをしてならぬ。/仕様(しやう)ハ(四十三ウ)あるまいか。 00034950M7八兵へSそれハふつころして、/熊(くま)の/胆(ゐ)をとればよい△権兵へ 00034960M8Sナニ、/猪(いのしゝ)じやああんめへし 00034970¥N30¥J 00034980¥X○/哥(うた) 00034990M11きほひぐミの/六右衛門(ろくゑむ)、おらか/小(こ)ぢよくめハ、見たとかあ、 00035000M12たハけの(四十四オ)やうだが、とつぴやうしもねへきやう 00035010M13もんだ。なぜといへ/((バ脱カ))、この/初午(はつむま)に/手(て)なれへをはじめさせた 00035020M14ら、もう/此頃(このごろ)じやあ、よつほど目があいて、うたあよむハ 00035030M15い。はやりうたや/長(なが)うたのこつちやあねへ。/本(ほん)の/哥(うた)あ。(四 00035040M16十四ウ)Sさても、どんなうたをよんだ△Sあのなんとやら、 00035050M17/小野(をのゝ)の/小町(こまち)/花(はな)のいろうつりにけりが、とやらいふ/哥(うた)をよん 00035060M18だ 00035070¥N31¥J 00035080¥X○/取成(とりなし) 00035090¥P105 00035100L1/弥兵衛(やへゑ)+。そちの/世話(せわ)て/置(おい)たけれども、ことしの/今助(いますけ)め 00035110L2ハ、(四十五オ)どうもやくにたゝぬ/奴(やつ)だ。/先(まづ)/毎日(まいにち)の/事(こと)を、 00035120L3ひとつ+/云付(いゝつけ)ねば、しをらぬ。Sハイ、いゑ。もう/何方(いづかた) 00035130L4のも/左(さ)やうでござります。まだ/仰付(おゝせつけ)られていたしますのハ、 00035140L5よいのでござります△Sイヤ、そして、/酒(さけ)を/呑(のん)でハあばれ 00035150L6をる(四十五ウ)S酒のうへハぜひもござりません△Sばく 00035160L7ちも/打(うつ)そうなり△Sイヱ、モウ/今時(いまどき)、なぐさミをいたしま 00035170L8せんものハ、どふもござりません△Sそればかりならは、 00035180L9しらぬふりをしても/遣(つか)ハふが、/小(こ)ぬすミもするそうだ△ 00035190L10Sイヱ、(四十六オ)あいらが/小(こ)ぬすミハ、いたし/内(うち)でござ 00035200L11ります。わるくすると、だんな/衆(しゆ)が/大(おふ)ぬすミをなさります 00035210L12Sイヤ、/何(なに)がなんても、あのようにうごかぬでハ/遣(つか)ハれぬ 00035220L13Sイヱ、ひよつとそんな/奴(やつ)がいごき/出(だ)すと、たいていいご 00035230L14くこつちや(四十六ウ)ござりません 00035240¥N32¥J 00035250¥X○/祝言(しうげん) 00035260L17/高砂町(たかさごてう)の/松(まつ)屋/千(せん)右/衛門(ゑもん)の/前(まへ)で、めづらしい/御大名(おだいめう)に/行(ゆき)あつ 00035270L18た。/殿様(とのさま)といふが、/長(なが)い/白髪(しらが)がはへて、/御箱(おはこ)や御/馬(むま)の/鞍(くら)に 00035280L19は/亀(かめ)を/付(つけ)て、/六尺(ろくしやく)の/看板(かんばん)(47オ)には/竹(たけ)をつけて、/住吉町(すミよしてう)の 00035290L20/方(ほう)へこさつた。おさへの/衆(しゆ)に御/名(な)を/聞(きい)たれは、S万年いき 00035300M1のかミ(47ウ) 00035310¥P106 00035320¥U噺本大系△第十一巻 00035330¥Tさとすゞめ〔序文〕 00035340¥G 00035350¥Y 00035360L19安永六年正月序 00035370L20小本一冊 00035380¥Y序 00035390M3それ、人間に鼻穴ふたつ有。其下のからつ堀から出ほうだ 00035400M4い(序1オ)の/啌(うそ)八百も、/傾城(けいせい)のまこと、夜永のすかゞきに、 00035410M5こんたむの道行は、むかふ(序1ウ)ノウ人か/質艸(やりくり)の世の中、 00035420M6それとはひきかへ、古イと新しきを入替の働は、(序2オ)/廓= 00035430M7住身(さと=すゞめ)と題する而已 00035440M9△△安永六つの△△△△△△△△△△△△△G 00035450M10△△△△初紋日 00035460M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序2ウ) 00035470¥P107 00035480¥N1¥J 00035490¥X開帳 00035500L3もふし助さん。ことし浅草のくわんおん様の開帳がありん 00035510L4すよつて、どふぞ、ちやうちんでものぼりでも、あけとふ 00035520L5ありんす。おまへ、/拵(こしらへ)ておくんなんしと、むしんをいわれ 00035530L6て、(一オ)Sそれハやすい事だ。ちやうちんより、のぼり 00035540L7にしてやろう。/純子(とんす)にする気か△Sいゝへ△Sそんなら、 00035550L8紅ぢりめんにしようか△S何、もつたへねへ 00035560¥N2¥J 00035570¥X病人 00035580L11/福徳屋(ふくとくや)万右衛門方より参り(一ウ)ました。何とぞ御見廻被 00035590L12成て下さりませと、手代がはかまをいためつけていへば、 00035600L13いしや出て逢、御病人ハ御主人でござるか。S成ほど、主 00035610L14人でござります△S時に、御よふだいを聞ませふ。おしよ 00035620L15くハまいるかの△Sしよくハ(二オ)一向なりませぬ△Sフ 00035630L16ウ、大小便ハ△Sふくさもので取りまする△S御口中いき 00035640L17づかいのあんばいハ△Sしたもまわりませず、前後むちう 00035650L18で、人の見わけがござりませぬ△Sそれハ甚御大事でござ 00035660L19る。御としハいくつでござる△Sアイ、明日が宮(二ウ)参 00035670L20りでござります 00035680¥N3¥J 00035690¥X遠目鏡 00035700M3ゆしまの天神様、御ふしんりつばに出来て、友達さそいゆ 00035710M4けば、女坂に遠目がねのいゝ立。S是ハどこが見へます△ 00035720M5Sそれハ上野二王門、中堂が(三オ)見へます△Sどれ見よ 00035730M6ふとのぞき、成ほど、上野がひとめに見へるといゝながら、 00035740M7むかふの方をむせうにさがす。S友達これ、権右衛門どの。 00035750M8そこハがけであぶない。何をするのだ△Sイヤ、広かうじ 00035760M9に銭が弐百おちてござる(三ウ) 00035770¥N4¥J 00035780¥X無筆の帳合 00035790M12無筆のていしゆ、酒見せをいだせば、いせ屋から参りまし 00035800M13た。酒壱升いこして下さへ。Sアイといふて、やりハやつ 00035810M14ても、帳へつける事がならぬゆへ、小刀をもつて、柱へき 00035820M15すを$此印をつけて(四オ)おけば、又むかふから、炭壱 00035830M16俵といふとき、また柱へ$此しるしをつけておき、日 00035840M17暮に見せがいそがしくなり、柱へきずも付おふせられねば、 00035850M18Sむすこ見かねて、コレとつ様。日ぐれに帳合して、手を 00035860M19きらしやるな(四ウ) 00035870¥P108 00035880¥N5¥J 00035890¥X大黒 00035900L3権介よ。此大黒をもとめてから、そんばかりする。福の神 00035910L4じやねへ。びんぼう神だ。すてるももつたいなへから、川 00035920L5へながしてこい。かならず人にやるなといゝ付。Sかしこ 00035930L6まりましたと(五オ)ゆふて、大黒を持行。しばらくして帰 00035940L7れば、Sコリヤ権助。あまり早かつたが、いゝ付た通り、 00035950L8川へながしてきたか△Sアイ、いゝへ△Sどふた。ながし 00035960L9たかよ△Sいゝへ。人にやりました△Sにつくいやつだ。 00035970L10あれ程やるなといゝ付たに。跡ハどふ(五ウ)した△Sその 00035980L11大黒をくれたなら酒手をやろふから、ぜひにくれろと申、 00035990L12銭三百文くれました△Sそれ見ろ。はや先の人に、三百文 00036000L13のそんをかけた 00036010¥N6¥J 00036020¥Xめかけ 00036030L16いきなむすこ、めかけを抱へ(六オ)友達をよび、ぢまんご 00036040L17ゝろで、これ、おきく。御茶をもつてこいとよへば、Sア 00036050L18イと、茶持て出れば、友達ども、是ハすごいものじや。 00036060L19どこからあんな美しい物をつれて来たのだと、ほめちぎつ 00036070L20て帰れば、むすこ悦び、(六ウ)Sコレおきく。今の通り者 00036080M1が、いつそ手まへをほめた。おれがつく※と見るに、ふ 00036090M2うぞくハ里好で、かほがまへの路考に其まゝだ△Sおまへ 00036100M3も、つう程にもなへ。ちつとにれば、そのよふな事をいゝ 00036110M4なさる(七オ) 00036120¥N7¥J 00036130¥X子守り 00036140M7深川の茶屋女、おもてに子を抱き遊んでいれば、昔のほう 00036150M8ばいの女、是ハおひさしぶりであいやした。おまへ、今ハ 00036160M9爰に勤てか。そして此御子ハ、きれいなよい御子様じや。 00036170M10(七ウ)男の御子か。ぢよろうの御子かへ△Sいゝへ、地も 00036180M11のゝ子さ 00036190¥N8¥J 00036200¥X工藤介経 00036210M14堺町のまんじ屋か。ゑん/ぼ((ママ))うの所、寒気見廻、かたじけな 00036220M15い。顔見せにわ大勢いつて、いかいせわであつた。扨春狂 00036230M16言にハ(八オ)沢長が工藤をするとのうわさだが、いよ+ 00036240M17ちかいないか。Sそれハどこで御聞なされました△S此間 00036250M18ゑちご屋できゝ申た△S扨+、はやく御聞なされました。 00036260M19アヽ悪事千里でござります(八ウ) 00036270¥P109 00036280¥N9¥J 00036290¥X髪切 00036300L3びんぼう人の女房にハおしき貞女なものにて、おらがてい 00036310L4しゆハめしより酒がすきだに、それを買ふ銭かないとわ、 00036320L5よく+びんぼうな事だ。どふぞ買てしんぜたいものとし 00036330L6あんをして、(九オ)かもじ屋へ髪をきつて売、その銭で酒 00036340L7を買イ、ていしゆにのませば、悦び、是ハどふして買たとと 00036350L8へば、Sわしが髪をきつて売、その銭で買イました△S手 00036360L9まへハ、ていしゆ思ひのこゝろざし。しんでもわすれぬ。 00036370L10(九ウ)どれ、どのよふにきつた。見せやれと見て、Sよし 00036380L11+。まだあすのぶんほど、のこつてある 00036390¥N10¥J 00036400¥X仕事師 00036410L14大屋さん。御無心ながら、手紙を壱本かいて下さりやせ。 00036420L15S手紙をどこへやる△Sアイ、助に銭(十オ)をかしやした 00036430L16がねへ、いくらせがんでも、よこしやせぬから、手紙で見 00036440L17せ付る気さ△Sそんなら、弥御かわりなく珍重に存る。し 00036450L18かれハ△Sヱ、なに、しかつたぐらいで、よこすやつちや 00036460L19アござりやせぬ(十ウ) 00036470¥N11¥J 00036480¥X巨燵 00036490M3おらが村の庄屋どのが、江戸からこたつといふものをもつ 00036500M4て来たげな。とのよふなものやら、ついぞ見たことがない 00036510M5と、村中さそい、見に行やす。むかふから、コレ、貴様た 00036520M6ちハどこへ行の(十一オ)しや。S大せいこたつを見に行の 00036530M7さ△Sそれなら、いくにおよばぬ△Sそりやなぜに△Sな 00036540M8に、ふとんをかけて見せぬ 00036550¥N12¥J 00036560¥X御門跡 00036570M11八助。火事ハどつちに見へる。S八介アイ。浅草のもんぜ 00036580M12きと見ゑ(十一ウ)ます△Sたんな、大キにはらをたて、お 00036590M13のれ、につくいやつじや。大じの御しうしを、もんぜきと 00036600M14おふへいにぬかしおる。此のちハ、御もんぜきさまとか御 00036610M15坊さまとか、御のじを付ていゝおれ。火事御見まいにゆか 00036620M16ねばならぬ。てうちんを(十二オ)とぼし、先へ立てゆけ。 00036630M17S八介かしこまりましたと、てうちんをとぼし、先に立て、 00036640M18御はい+ 00036650¥P110 00036660¥N13¥J 00036670¥X熊の皮 00036680L3八兵衛でござります。扨つよいかんの内でござります。と 00036690L4なた様も御きげんよふ、おめてとふ(十二ウ)ぞんじます。 00036700L5是ハけつかふな物。なんと申す物でござりますととへば、 00036710L6Sたんなこれハくまのかわのしきぶとんさ△S八兵衛是がく 00036720L7まのかわでござりますかといゝながら、なでゝ見て、はゝ 00036730L8かり様ながら、かゝあもよろしく申ました(十三オ) 00036740¥N14¥J 00036750¥X麻疹 00036760L11うら店のかゝあ、となりへ行キ、おまへでハはしかで御心 00036770L12づかい。わつちらハ子ハなし。はしかも此まへ、わづらふ 00036780L13てしまいやんした。そのかわりに、なにくうまいとまゝさ。 00036790L14ほんの是が、くわつひんらく(十三ウ)といへば、Sていし 00036800L15ゆ、きゝつけて、そのらくを、たかさせる 00036810¥N15¥J 00036820¥X蛙 00036830L18かわづ、へびのどつきをうけて、大キにわつらい、とかく 00036840L19へびのなんをのかれんにハ、弁天様へ御ねがひ申す/((が脱カ))よいと、 00036850L20かわづのこらず(十四オ)しのはす弁天へ行、御つかわしめ 00036860M1のへびが、私ともの親ぶんゑ、どつきをふきかけ、たゞい 00036870M2まは九死一生でござります。なにとぞ此のち、かまいませ 00036880M3ぬよふ御ねがひに、かわづとものこらずまいりましたとい 00036890M4へば、S弁天なるほど、聞とゞけ(十四ウ)た。しかし、の 00036900M5こらず来たといふが、まだ池にこゑがするぞよ△Sかわつ 00036910M6イヤあれハ、せんごりとるのでござります 00036920¥N16¥J 00036930¥X百物語 00036940M9五六人より合、百物がたりを初メ、だん+とはなし、九 00036950M10十九本(十五オ)すミ、今/壱本なり((ママ))て、どふだ、権兵衛どの。 00036960M11貴様のばんだ。どふもらちのあかぬ。もふおしつけ、夜が 00036970M12あける。はやくいわつせへとせがまれ、権兵衛せつなく、 00036980M13表へしやうべんにでたれば、Sそとにばけ物が大あくび 00036990M14(十五ウ) 00037000¥N17¥J 00037010¥X色娘 00037020M17きりやうのよいむすめの所へ、むすこわかいものあつまり、 00037030M18ゆふへハ嘉幸がそばをおごり、こよひわれら、かのこもち 00037040M19おごりのすじといへば、中にしわいむすこをにくミ、内の 00037050M20かゝあ左衛門が、これ(十六オ)助さん。おまへはなぜおご 00037060¥P111 00037070L1らぬ。嘉幸さんやしこふさんハまいばんおごるに、おまへ 00037080L2ハこたつにばつかりあたつていなさる。酒さかなをこよひ 00037090L3おごらぬと、S中ゆびを切ておとすによ 00037100¥N18¥J 00037110¥X大仏(十六ウ) 00037120L6京の大仏、こんきうにおよび、さがのしやかへむしんに行、 00037130L7さて、われらつく+とおもひますに、そこもとハなりが 00037140L8ちいそふても、人のもちいがござる。われら事は、なりば 00037150L9かりたいそふで、いつかふ銭もふけがなく、扨+(十七オ) 00037160L10なんぎいたす。近頃御むしんながら、さんもつのたまりが 00037170L11あらば、少&かして下さるまいか。Sなるほと、おやすい 00037180L12事。さいわい爰に、四文ぜにで百貫文ほとござるから、ご 00037190L13よふたちませふ△S大仏これハ千万かたじけなしといふて、 00037200L14(十七ウ)まへきんちやくへいれた 00037210¥N19¥J 00037220¥X白狐 00037230L17よくのふかいおやぢが、きうに金ほしくなり、王子いなり 00037240L18へ日参をはじめ、初午にとうふ、このしろを穴のきわへそ 00037250L19なへ、人のきかぬよふに、口の内てしんを(十八オ)とり、 00037260L20おがんていれば、きつね、とうふ、このしろをくわんと手 00037270M1をだすひやうしに、おやぢがつらをしたゝかひつかけば、 00037280M2おやぢ、きもをつぶし、かほのきずを見て、Sどふてもち 00037290M3くせうだ 00037300¥N20¥J 00037310¥X座頭(十八ウ) 00037320M6昼九つぢぶん、座頭、せんとうへ行。はだかになつて、あ 00037330M7がりはより、アイ、目の見へぬひへもの。御めん+と、 00037340M8ゆへはいり、あたりをさぐつて見ても、人はなし。座頭、 00037350M9ぬからぬかほて、Sまあ、かふいつたものさ(十九オ) 00037360¥N21¥J 00037370¥X大さわぎ 00037380M12やしきがよひのごふくやの手代ともいゝそふなわかいもの 00037390M13が、よし町の茶屋て、かげまとげいしやをたくさんあつめ 00037400M14て、あそんでいると、からかミひとへのとなりざしきに、 00037410M15これもおな(十九ウ)じく、げいしやまじりのおふさわぎ。 00037420M16たがいにまけづおとらずさわぐひやうしに、からかミばつ 00037430M17たりはづれて、見ればたんなゆへ、大キにきもをつぶし、 00037440M18コレハたんな様。おひさしぶりにて御目にかゝりますとい 00037450M19へば、Sたんなわれハ(二十オ)手代の五郎兵衛でハないか。 00037460M20につくいやつの。おれが前へでゝ、おひさしぶりとハ△ 00037470¥P112 00037480L1S五郎兵衛アイ。これが百年めでござります 00037490¥N22¥J 00037500¥X茶椀鉢屋 00037510L4彦左衛門どの。御家見にまいつた。これハりつはなお見せ。 00037520L5扨(二十ウ)此せうばいハ、どふしておもひついたのだ。 00037530L6Sまあ聞て下され。貴様もしつての通り、元手はなし。ど 00037540L7ふせうかとしあんして、今川橋できずものわれ物の茶わん、 00037550L8さら、さはちを買こミ、それをうるしでついで、まあ(二 00037560L9十一オ)此くらいに見せハかさつたといふものさ△Sそれハ 00037570L10けつかふ。そしてうれるのか△Sうんにや、うれねへ 00037580¥N23¥J 00037590¥X松茸 00037600L13京みやけに、とんだ大きないなり山松だけをもらい、コリ 00037610L14ヤ三助よ。此ごろ御きやくのせつ、りやうり(二十一ウ)に 00037620L15つかふほどに、ずいふんたいせつにしまつておけといゝつ 00037630L16け、四五日もすぎ、珍客をまねき、かの松だけを見れハ、 00037640L17もらいし時よりかくだんちいさくなれハ、ていしゆ、はら 00037650L18を立て、三介。あれほどよくしまつておけといゝ付たに、 00037660L19(二十二オ)どこへいれておいた。Sアイ。こめびつゑいれ 00037670L20ておきました。ばかものめ。松だけにこめハ、だいてきや 00037680M1くじや△Sどふ/れ((ママ))で、ふんどしゑ、のりをつけぬ 00037690¥N24¥J 00037700¥X大根畑 00037710M4八ぼう。どこへ行。Sおれか。てつ(二十二ウ)ほうはなし 00037720M5に行のさ△Sそりやとこへ△Sしれた事。大根ばたけへ△ 00037730M6Sおれもゆくべいと、すじかへ橋までいつて、これ八ほう。 00037740M7おれハいかれねへ△Sそりやまたなぜに△S今ぢおうのん 00037750M8た 00037760¥N25¥J 00037770¥X牛の夢(二十三オ) 00037780M11ゆふべ、うしをゆめに見た。そのくせ、おふきいといふて 00037790M12ハ、たとへよふがない。よいゆめか、はんじて下され。是 00037800M13ハよいゆめしや。なが+と、よいことがござろう。そし 00037810M14ておふきいといふが、どのくらいあつた。Sまあたとへて 00037820M15いわゝ、くらやミゑ車をつけたよふた(二十三ウ) 00037830¥N26¥J 00037840¥X歯の跡 00037850M18しかふ、ゆふべ北国とでかけた。Sどこへいつた△S丸ゑ 00037860M19びのげんさいが所へ、此ぼんまへから行が、ゆふべすこし 00037870M20ほかにきまりがあつて、がくだわらへあがろうとする所を 00037880¥P113 00037890L1めつかつて、かミをきるの、おけ(二十四オ)ぶせにするの 00037900L2といふ所を、われらがちよ+らをもつて、よふ+なか 00037910L3をなおつた所が、是、このよふに、かたさきをくらいつい 00037920L4た。見てくりやれと、はだをぬけば、よふおもひきつて、 00037930L5このよふにくいついた。しかし、此女郎ハ大きな口だ。か 00037940L6た(二十四ウ)いつはいに、はのあとかある。Sなに、大キ 00037950L7くハなへ。ずいぶんちいさいくちじやが、ゆふべハわらつ 00037960L8てくいついた 00037970¥N27¥J 00037980¥Xしらミ 00037990L11となりのかミさん。このころのさむさで、ぶせうになつて 00038000L12(二十五オ)此なりでねるゆへに、しらミがたかつてならぬ。 00038010L13とかくふへるものは、/しやきん((ママ))としらミばつかり。せめて 00038020L14金銀のしらミでもたかればよいといへは、となりの内儀、 00038030L15金銀のしらミでもたかれば、くわれてせつ(二十五ウ)なへ。 00038040L16Sなに、わつちや、つぶしてつかいやす 00038050¥N28¥J 00038060¥X米舂 00038070L19ねんごろな人の所へ、しなのから冬奉公に来て、ほねがお 00038080L20れても、どふぞぜにのたんととれるしやうばいを(二十六オ) 00038090M1たのむといへば、Sそんなら、米つきをしたがよい。しか 00038100M2し、あれもくせがあつて、づうといふか、うんといふか、 00038110M3それをいわぬと米がつけぬげな。ことしハ寒ごへでもつか 00038120M4つておぼへたがよい。こゝろへましたと、両ごく(二十六ウ) 00038130M5橋へまいばん行て、づう+と寒ごゑをつかへば、橋番き 00038140M6ゝつけ、貴様、なにをさつしやる。Sわしかへ。寒ごへを 00038150M7つかいます△Sそれなれハよいが、おれハ橋ぐいでもぬく 00038160M8かとおもつた 00038170¥N29¥J 00038180¥X刀脇差(二十七オ) 00038190M11古道具やの見せへかゝり、もし此わきざしハいくらでござ 00038200M12ると、とゑどもこたへぬゆへ、ずつとさして、此かたなは 00038210M13いくらでござると、とゑどもこたへず。是もおなじくずつ 00038220M14とさしてゆけば、むかふのていしゆ、みかねて、コレ権兵 00038230M15衛どの。今(二十七ウ)見せのわきざし、かたなをさして行 00038240M16ましたと聞て、権兵衛、きもつぶし、どつちへゆきました 00038250M17と、おつかけてゆき、しばらくあつて立かゑり、Sどふも 00038260M18相手がぶしで、きミがわるい 00038270¥P114 00038280¥N30¥J 00038290¥X雪隠(二十八オ) 00038300L3途中できうにせついんへゆきたくなり、橋ぎわのせついん 00038310L4へはいらんとすれバ、内からもでよふとする人あつて、た 00038320L5がいに顔を見合、これハ与兵衛様。たゞ今貴公の所へ参と 00038330L6ころ。兼ておたのミのこんれいの(二十八ウ)そうだんも出 00038340L7来ました。S是ハいかい御せわ。よいところで御目にかゝ 00038350L8り、よろこびます 00038360¥N31¥J 00038370¥X目礼 00038380L11ひやうきんなもの、四五人づれで浅草へまいり、なんと、 00038390L12むかふからくる人ゑ、もくれいをして(二十九オ)見よふじ 00038400L13やあるまいか。Sこれハなぐさミながら、おもしろからふ。 00038410L14さあ貴様からしやれ。おつと心得たと、もくれいすれバ、 00038420L15むかふからくる人、ふしぎそふな顔をして、もくれいをす 00038430L16る。是ハどふもいへぬ。こゝでわれらいたそふと、もくれ 00038440L17い(二十九ウ)すれバ、是もおなじく、ふしぎそふなかほを 00038450L18してもくれいする。これハよいなぐさミ。さあ貴公がばん 00038460L19だ。しやれ。Sおれハ此つぎへまわしてくりやれ△Sなぜ 00038470L20に△Sあれハおれがしつた人だ 00038480¥N32¥J 00038490¥X初鰹(三十オ) 00038500M3権太がよいところへ来た。けふハおもひきつて初がつを買 00038510M4た。さしミにして一ぱいきまろふとおもつた所が、きうに 00038520M5だんな衆から、仕事かあるとよひに来たから、おのし、る 00038530M6すばんしてくりやれ。ついでに此かつをゝ、ねこにとられ 00038540M7ぬ(三十ウ)よふにたのむといふてでゝゆき、まてどくらせ 00038550M8どかゑらず。おれも内に用があるもの。しかし、此かつを 00038560M9見てハかゑられぬ。ねこがくらつたぶんにして、くつてか 00038570M10ゑるべいと、してやれバ、Sねこ、せを立て、ふう+ 00038580¥N33¥J 00038590¥X鼠(三十一オ) 00038600M13わかいもの寄合、はなしをしていれは、かもひの上を鼠四 00038610M14五疋とをれば、なんと、あのねずミをとめて見せべへか。 00038620M15Sそれハどふして△Sわれらでんじゆあり。にやあと、ね 00038630M16このまねをすれば、鼠のこらずとまる。(三十一ウ)なんと、 00038640M17きめうか。ねこのまねにも、でんじゆのある事だといへば、 00038650M18跡の鼠、どふだ、さきの親ぶん。いかねへのか。Sまて 00038660M19+。こわいろを聞てゆくべへ 00038670¥P115 00038680¥N34¥J 00038690¥X欠落 00038700L3あふミの水海、ふじの山を(三十二オ)見そめ、どふもよい 00038710L4おとこだ。せいハたかふていろ白で、外に又こふゆう男ハ 00038720L5ないとうちこミ、ふミたまづさのとりもちにて、ふかい中 00038730L6となり、ほうゑいざんといふ子まで出来たる事、ばつとさ 00038740L7たを(三十二ウ)すれバ、ふたりいゝやわせ欠落をして、よ 00038750L8ふ+ふじ沢までにげのび、はたごやへとまり、せんそく 00038760L9をつかい、奥のざしきへとをると、ふじ山、なミだをなが 00038770L10し、アヽぜひもない事だ。S何をなげきたまふと、水海 00038780L11(三十三オ)がきけば、Sふじ山あれをミやれ。床の間にもは 00038790L12や、ゑすがたがかけてある 00038800¥N35¥J 00038810¥X初会 00038820L15もふし、わつちや火事といふ物を、ついぞ見た事がありん 00038830L16せん。どんな物でありん(三十三ウ)すへときけば、S何、 00038840L17火事を見た事がなへ。まあ、たとへて見よふなら、初会の 00038850L18きやくを見るよふな物さ△Sそりやなぜへ△Sずつとはし 00038860L19ごをあがると、どこだ+といふ 00038870¥N36¥J 00038880¥X彫物(三十四オ) 00038890M3物おぼへのわるひ人、かゝあが名をうでへほりものにして、 00038900M4まくつて見てハ、かゝあが名をよぶ。折ふし、心やすき友 00038910M5だち、はなしにきたれば、又うでをまくり見て、おきよ。 00038920M6御茶をあげやれといふ。客、きも(三十四ウ)をつぶし、こ 00038930M7れ、貴様もたしなまつせへ。いろでもつた女房じやとて、 00038940M8うでへ名をほるといふ事があるものか。Sいや、そふじや 00038950M9なへ。こなたもしつての通り、どふも物おぼへがわるいゆ 00038960M10へ、ほつたのさ。こちらのうでにわ、おれが名もほつてお 00038970M11いた。(三十五オ)いしやどのを見しやつせへ。表にさへ名 00038980M12をかいておく 00038990¥N37¥J 00039000¥X小人 00039010M15ちいさなさむらい、屋敷の物見の下を通れば、女子ども見 00039020M16て、あれ、ちいさな男がとをると、口+に笑を聞て、は 00039030M17らを立て、友達の所へ(三十五ウ)行、はなせば、Sそふい 00039040M18われて、だまつて通るといふ事があるものか。さんせうハ 00039050M19小つぶでもからいと、なぜいわなんだ△Sなるほど、そう 00039060M20いゑばよかつたもの。そんならあした、貴様一所にいつて 00039070¥P116 00039080L1下さへ△Sなるほと(三十六オ)こゝろへたと、やくそくし 00039090L2て、あしたつれだつてゆけば、又女子ども笑ふ。Sかの男、 00039100L3こゝぞとおもふて、さんせうハからいわひといふを、S友 00039110L4達、これ、小つぶがおちた+と袖を引ば、Sどれ、どこ 00039120L5におちてある(三十六ウ) 00039130¥N38¥J 00039140¥X下女 00039150L8いろ男、下女をとらゑて、貴様ハどふもかわゆふてならぬ。 00039160L9どふぞかなへてくれる気ハ中ばしかといへば、S下女、何 00039170L10うそばつかり。おまへのよふなよい男が、わたしがやうな 00039180L11中ぐらいなものに(三十七オ) 00039190¥N39¥J 00039200¥X猫 00039210L14ねこずきなむすこ、おやぢのるすの内、きれいな白猫をも 00039220L15らつておけば、おやぢかゑり見て、あれほどおれがきらい 00039230L16としつておりながらつれ来た。飯もくらゑば米が外にいる。 00039240L17まあ、ついへといふ(三十七ウ)物じや。そして、白ねこハ 00039250L18よごれてわるい。とてもかうなら、外の色にしたがよいと 00039260L19いへば、Sむすこ、さつそくからすねこと取かへくれば、 00039270L20Sおやぢ見て、おのれハ身代をゑゝもつまい。黒イものハ 00039280M1よわいから、かゑしてしまへ(三十八オ) 00039290¥N40¥J 00039300¥X足袋 00039310M4いかつき男、たびやへ行、紺の十弐文の足袋壱足下さへ。 00039320M5Sアイ、こんの十弐文ハ出来合にハござりませぬ。そんな 00039330M6ら、十一文のても下さへ。Sそれもきれてござりませぬ 00039340M7Sそんなら、十文の下さへ(三十八ウ)Sおきのどくな。こ 00039350M8れもござりませぬ△Sゑゝけちな足袋やだ。こんのたびで 00039360M9さへあれバ、なんでもよふごんす。はくのじやねへ。こし 00039370M10へはさむのだ 00039380¥N41¥J 00039390¥X大根売 00039400M13一ト人もの、大こんを売てあるく(三十九オ)に、時&ひと 00039410M14こゑづゝ、大こ、+と売りあるく。道にてなかまにあい、 00039420M15Sこれ八兵衛。おのしハひとこゑづゝ、大こ、+とよぶ 00039430M16が、なぜ、つゞけてよばぬ△Sイヤ、おれハひとりものだ 00039440M17から、それでひとこゑづゝよぶ。なんと、おもひつきか△ 00039450M18S是ハよい(三十九ウ)おもひつきだ。おれもそふよんで見 00039460M19よふ。おれハ七人ぐらしだから、大こ++++ 00039470M20++。これハあんまりおゝい。どうぞ弐三人ばかりこ 00039480¥P117 00039490L1ろしたい 00039500¥N42¥J 00039510¥X子供 00039520L4となりの子があそびに来(四十オ)やんした。S小ぞうや。 00039530L5かゝ様ハなにをしてござる△Sかゝさんハねてさ△Sあね 00039540L6様ハ△S仕事して△Sばゝ様ハ△Sをうんで△Sとつ様ハ 00039550L7何してござる△Sゑんがわにふんどしをよんで 00039560¥N43¥J 00039570¥X呼出し 00039580L10深川におきなといふ呼出し(四十ウ)に、とんだなくやつが 00039590L11でたとのひやうばんに、すばやき男、さつそく行て、かの 00039600L12おきなを呼でくれといふ。わかいものが、そのおきな様と 00039610L13いふが、おふたりござりますが、何屋のおきな様を呼ませ 00039620L14ふといわれて、Sおれも何屋かしらぬ。そんなら、ふたり 00039630L15ながらよべと(四十一オ)いふ。やがて壱人くる。どふもし 00039640L16れぬ所へ、またひとりくる。二かいのあがりぎわにて、お 00039650L17かミさん。御やかましうござりませふといへば、S客聞つ 00039660L18け、あれだ+ 00039670¥N44¥J 00039680¥X婚礼 00039690M1仕事し、出入だんなのこんれいに(四十一ウ)よばれるに付、 00039700M2もし、大屋さんへ。じうわりとこんにや、旦那のこんれい 00039710M3によばれやんす。何といつてよふごんすか、おしゑておく 00039720M4んなんしといへば、大屋、こんれいにわ、かゑるといふ事 00039730M5を、ひらくといふ物だ。かならずわすれても、かゑるとい 00039740M6わつしやるな。(四十二オ)おつと、そこらハ大屋さん、のミ 00039750M7こみましたと、はやがつてんでゆけば、もはや膳なかばで、 00039760M8すんだ物ハミな+ひらけば、此男も、かゑりたくおもへ 00039770M9共、ひらくといふ事をわすれ、うぢ+して、そつと人の 00039780M10見ぬまにかへらんと表へでれば、Sコレ+、八兵衛どの。 00039790M11(四十二ウ)酒をたんとまいつたか。そしてもふひらくのか 00039800M12Sイヽへ、これからかけおちをいたします 00039810¥N45¥J 00039820¥X色男 00039830M15やしきの女中衆、四五人づれで堺町へゆけば、むかふから、 00039840M16いきな色男が、小ぞうひとり(四十三オ)供につれてくる。 00039850M17女中口+に、なんとよい男じやないか。わつちや、いつ 00039860M18そすいた。なんぼ、あのよふにミへをしても、わつちらが 00039870M19とをると、跡をふりかゑつて見るによといゝながら、行す 00039880M20きて、Sコリヤ小そうよ。今の女が、おれをふりかゑつて 00039890¥P118 00039900L1見や(四十三ウ)せぬか 00039910¥N46¥J 00039920¥X猿廻し 00039930L4さるまわし、のぼせて鼻血をいだせば、見物、気のどくに 00039940L5おもひ、それハはやく、ぼんのくぼの毛をぬくがよいとい 00039950L6へば、さつそく毛を三本ぬひてすてれば、さる、(四十四オ) 00039960L7手ばやにその毛を取て、大願成就、かたじけない 00039970¥N47¥J 00039980¥X祈祷 00039990L10是、おのしも久しいびんぼう人だか、なんと、おらほうに、 00040000L11よいきとうじやがある。いのつてもらわぬか。そふしたら、 00040010L12ちつとわ、まんがなをろふと(四十四ウ)すゝめられ、それ 00040020L13ハかたじけない。どふぞたのんで下さへ。Sそんなら、あ 00040030L14すよこそうと約束して帰り、よく日、山伏をつれて行、い 00040040L15ろ+といのる内に、戸だなうへからびんほう神が、カタ 00040050L16+とおちる。Sそばから、(四十五オ)あの通り、びんぼ 00040060L17う神が出て行といへば、Sていしゆ、是ハふしぎな事じや 00040070L18と、うへを見れハ、びんぼう神とも、是、おすな+。あ 00040080L19んまりおすから、今のやふに親ぶんがおちる(四十五ウ) 00040090¥P119 00040100¥U噺本大系△第十一巻 00040110¥T@鹿子餅|後△篇@/譚嚢(たんのう)〔序題〕 00040120¥G 00040130¥Y 00040140L16安永六年序 00040150L17馬場雲壷序・跋 00040160L18蘭徳斎春童画 00040170L19堀野屋板 00040180L20小本一冊 00040190¥T1@鹿子餅|後△篇@/譚嚢(たんのう) 00040200¥Y序 00040210M5/落(おち)たるを/拾(ひろ)ハざるは、/聖(ひしり)の/御代(ミよ)のならハし。それか中にも、 00040220M6拾つてくるし(序オ)からぬは、/譚(はな)しのミ。兎角して/嚢(ふくろ)ひと 00040230M7つに/満(ミ)つ。/号(なつけ)てこれを/譚嚢(はなしふくろ)といふ事タンノウ 00040240M9△△△安永六酉ハ 00040250M10△△△△△初音の時鳥ころ△△△△△△G 00040260M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序ウ) 00040270¥P120 00040280¥N1¥J 00040290¥X○/猿(さる) 00040300L3一ツ長屋左次兵衛/妻(さい)、乍恐(おそれながら)申上候。私/夫(おつと)左次兵衛/当= 00040310L4春(とう=はる)ふと罷出、/四国(しこく)を廻り、猿に成、罷帰り候処、/忰(せがれ)と/昼夜(ちうや) 00040320L5中あしく、/難儀(なんき)仕候との/訴(うつた)へ。/代官(だいくわん)/聞(き)かせられ、(一オ)/夫(それ) 00040330L6ハ忰め不/届(とゞき)千万。たとへ/猿(さる)に成つたれバとて、もとが/親(おや) 00040340L7なれバ/大切(たいせつ)にいたすべき事と、忰を御/呼(よひ)出し、御/吟味(きんミ)の処、 00040350L8中のわるひも/道理(どうり)、佐次兵へが/留守(るす)の内(うち)、むすこが/侠(きやん)に/成(なつ) 00040360L9た(一ウ) 00040370¥N2¥J 00040380¥X○/見(ミ)せ/物(もの) 00040390L12このごろ/両国(りやうこく)に、とんだれいほうといふ見せものが出たげ 00040400L13な。大入との/評判(ひやうばん)。お身ハ見たか。Sウヽ見た。ミんなさ 00040410L14いくものたつた。八文(二オ)でハ/安(やす)い。ゑゝかんふつ物だ 00040420L15Sそれでも/聞(きい)たところが、まつかうくさい。外の見世物の 00040430L16やうに、はやしかたはあるまい△Sある+。あたりの/芝(しば) 00040440L17居で、たいこをたゝき立ると、(二ウ)三ン/尊(ぞん)のミだが、ヒ 00040450L18ウヲ+ 00040460¥N3¥J 00040470¥X○あまいだ 00040480M1うらだなに、かた/法華(ぼつけ)の/夫婦(ふうふ)あり。子の/虎松(とらまつ)を/呼(よん)で、これ 00040490M2+、このごろあまいだといふ/飴(あめ)が/来(く)る。あれを(三オ)か 00040500M3ならず/買(か)うな。おらがしうしでハならぬ。もし/口(くち)へ入れて 00040510M4も、/直(じき)きにほつけ/出(だ)せ 00040520¥N4¥J 00040530¥X○/禁酒(きんしゆ) 00040540M7/久(ひさ)しく/見舞(ミまハ)わぬ/友達(ともたち)の所へ見舞た所、これハ/忝(かたじけな)い(三ウ) 00040550M8ともてなし、それ、お/盃(さかづき)を/出(た)せと、/女房(にようぼう)へのいひつけ。き 00040560M9やつ、元トからしわんぼうだが、何を思ひ出したか、ち/走(そう) 00040570M10ふりと心に不/審(しん)。/幸(さいハい)と/禁酒(きんしゆ)なれば、Sイヤモウ、その御/世= 00040580M11話(せ=わ)(四オ)よしにしてください。わしはちつと/願(ぐわん)が有て、き 00040590M12びしい禁酒だと/聞(きゝ)、Sなに、禁酒だ。そんならなを/盃(さかつき)を出 00040600M13せ 00040610¥N5¥J 00040620¥X○/地(ぢ)蔵 00040630M16/因果地蔵(いんぐわぢぞう)、くわんをんへ/夜(よ)(四ウ)ばなしにごさつて、さて 00040640M17今/度(ど)も又大あたり。/嘸(さそ)御/悦(よろこ)びでござりませう。S/貴僧(きそう)も/近(きん) 00040650M18年ははやつてゑいわさ△Sさればでござります。私も/元(もと)ハ 00040660M19さいのかハらの子どもの/世話(せわ)ばかり(五オ)でござりました 00040670M20を、いつの間にか、ゐんぐわといふ/名(な)をつけて、いろ+ 00040680¥P121 00040690L1な/願(ねか)ひをいふてまいりますにハこまります。/剰(あまつさへ)/城(しろ)木屋の 00040700L2/丈(じやう)八めまで、いけもせぬつらで色事の/願(くわん)。とんだ事にく 00040710L3ろうを/致(いたし)(五ウ)ます。なんのゐんくわだやら 00040720¥N6¥J 00040730¥X○ともよ 00040740L6ともよが/事(こと)は/力婦伝(りきふでん)にくわし。それを何人やらん、/狂哥(きやうか)に 00040750L7△△△/畠(はたけ)から出たとハむぐらもちならん(六オ) 00040760L8△△△△ことに女のちから/持(もち)とは 00040770L9男にさへ/力(ちから)ハ/稀(まれ)なるを、女で大力。何さま、むかしの/木曽= 00040780L10殿(きそ=どの)の/妾(おもひもの)巴、山/吹(ふき)なとにおとらさるまじ。そこでともよハ 00040790L11巴のひゞき/似(に)かよひたるで(六ウ)ついた名。山/吹(ぶき)は/損(そん)じや 00040800L12といふ。/側(そば)から、いや、/損(そん)でない。此中/浅(あさ)くさで、とも/代(よ) 00040810L13が/芝居(しばゐ)大入。/朝(あさ)から/小便(しじ)に/行(ゆく)ひまさへなかつた。/昼過(ひるすぎ)に成 00040820L14て、ともよ、/雪隠(せつちん)へ行、半/時(とき)/斗(ばか)リ出ず。(七オ)/見物(けんぶつ)ハ一は 00040830L15い/這入(はいり)、/退屈(たいくつ)のてい。/世話(せわ)やき、こら/((ヘ脱カ))かねて、たいこをた 00040840L16ゝき出すと、ともよもせいて、/雪(せつ)ちんを出た/所(ところ)、いぢかり 00040850L17またでやう+力もちをした。/跡(あと)できけバ、其時ハともよ 00040860L18なまぶき(七ウ) 00040870¥N7¥J 00040880¥X○/若殿(わかとの) 00040890M1御世つぎの/若殿(わかとの)御/誕生(たんじやう)にて、/奥(をく)のざゝめき/表(おもて)の/恐悦(きやうゑつ)、一/国(こく) 00040900M2/歓(よろこび)の/眉(まゆ)をひらき、御/宮(ミや)まいりの御/規式(ぎしき)もすら+と/済(すま)せ 00040910M3られ、けふは御/錠口(ぢやうくち)(八オ)/外(そと)のおもたる/士衆(さむらひしゆ)へ、御目 00040920M4見へ/仰(あふせ)付られ、御/乳(ち)の人/抱(いだ)き奉つて出らるれば、/実盛役(さねもりやく)の 00040930M5/奥家老(をくからう)上座にて、皆&あたまを/畳(たゝミ)へほり込、さんたし奉り、 00040940M6見上申て、/奥(をく)(八ウ)家/老(らう)申さるゝハ、イヤハヤ、御きれゐ 00040950M7な御/生(うま)れ。そして御/丈夫(じやうぶ)さま。もう少し御/笑(わら)ひ/遊(あそバ)すそうな。 00040960M8これハ+と、あたまを上ケ、/憚(はゞかり)ながら、バア引 00040970¥N8¥J 00040980¥X○/孟宗(もうそう)(九オ) 00040990M11/親孝行(おやかう+)といふものハ、日本にハすくないはづ。/唐(から)の四百/余= 00041000M12州(よ=しう)にさへ、たつた二十四人。其内にも/孟宗(もうそう)などは/親玉(おやだま)だ。 00041010M13Sなぜ△Sハテ、/雪(ゆき)の中カで/竹(たけ)の/子(こ)をとつて/来(き)たハサ(九 00041020M14ウ)Sなあに、そりやあうそだあらふ△Sほんの事よ△Sほ 00041030M15んなら、さそ/高(たか)かつたらう 00041040¥N9¥J 00041050¥X○其二 00041060M18/絵(ゑ)などにある/雪(ゆき)ふりに竹の子を/掘(ほつ)てゐるが、/孟宗(もうそう)と(十オ) 00041070M19やらか。Sヲヽよ。おのしはまだ、それをしらぬか。三つ 00041080M20子でもしつて/居(い)る事を△Sおれも三つ子の/時(とき)ハおぼへてゐ 00041090¥P122 00041100L1たが、四つ子のときから/忘(わす)れた 00041110¥N10¥J 00041120¥X○/狼(おゝかミ)(十ウ) 00041130L4/狼(おゝかミ)と山/犬(いぬ)ハ/似(に)たやうな物で、しれぬ。Sこれハしたり。 00041140L5お身ハそのめきゝをしらぬか△Sイヽヤ、しらぬ△Sしら 00041150L6ずハ、おれがおしへてやらう。まづ/狼(おゝかミ)らしいやつが出たら、 00041160L7/棒(ぼう)をもつて(十一オ)ぶつがゑい。山犬なればにげる。/狼(おゝかミ)な 00041170L8れば、とびこんでくらゐつく 00041180¥N11¥J 00041190¥X○/和藤内(わとうない) 00041200L11/国性爺(こくせんや)の和藤内ハ、どうでも日本をしくじつて/追(おい)(十一ウ) 00041210L12出され、/唐(から)へ行たやつと見へる。Sソリヤアなぜ△Sハテ 00041220L13サテ、千ン/里(り)か竹で/虎(とら)に出合た/時(とき)、/御秡箱(おはらひばこ)を出したハサ 00041230¥N12¥J 00041240¥X○/附子(ぶし) 00041250L16/親仁(おやぢ)様。/附子(ぶし)といふ物ハきつい(十二オ)物でこざります。 00041260L17/向(むか)ふの松が/病気(びやうき)。もふいけぬといゝたとき、人/参(じん)ばかりで 00041270L18ハ行ぬと、いしやどのが/参附湯(じんふとう)を用られましたが、本/腹(ぶく)で 00041280L19ござります。Sウヽ、ぶしハきつい。/渡(わた)しでさへ、/銭(ぜね)を出 00041290L20さぬ(十二ウ) 00041300¥N13¥J 00041310¥X○/新宅(しんたく) 00041320M3/家見(いへミ)に来た/客(きやく)、/方&(ほう※)をミて/肝(きも)をつぶし、てもよい御ふしん。 00041330M4まづ/柱(はしら)、/長押(なげし)などがミな/桧(ひのき)。/釘(くき)かくしが五へんくらいのめ 00041340M5つき、切目椽て畳もかうらいべり、(十三オ)(十三ウ・十四オ挿 00041350M6絵)/庭(にハ)のかゝり惣たいのきれいさ。/在家(ざいけ)にハとんとない。 00041360M7寺のやうたといふを、/亭主(ていしゆ)気にかけ、さん※不/興(きやう)。茶さ 00041370M8へろくにふるまハず、早&に/客(きやく)を返し、はじめて新/宅(たく)へ来 00041380M9て、/寺(てら)の(十四ウ)やうだとぬかした。是ハ/祝(いわ)ひ/直(なを)さずハな 00041390M10るまいと、八助をよび、これ、日/本橋(ほんばし)へ行て、三両でも五 00041400M11両でもよいから/鯛(たい)を/買(かつ)て/来(こ)いととりよせ、/新(あた)らしい/台(だい)にの 00041410M12せ、/家中(いへぢ)うを/自身(じしん)/持(もつ)て(十五オ)あるきながら、/寺(てら)じやあな 00041420M13い+ 00041430¥N14¥J 00041440¥X○/常念仏(じやうねんぶつ) 00041450M16すミだ川の/常念仏(じやうねんふつ)、/哀(あハ)れでどうもいへぬ。/本所(ほんしよ)五ツ目あた 00041460M17りに/建(たて)たら、/哀(あハ)れそうな物だとたてた所、/成(なる)ほどしゆせう 00041470M18(十五ウ)で/評判(ひやうばん)もよかりし。/或(ある)日、七ツ打ても/常念仏(しやうねんぶつ)の/代(かハ) 00041480M19りが/来(こ)ず。しやう事なしに、いつもの通り申て居た所、や 00041490M20う+七ツ半時分/代(かハ)りが/来(き)て、さあ/代(かハ)らうといふ。お身、 00041500¥P123 00041510¥G(十三ウ・十四オ) 00041520M1とほうもない。何ン/時(とき)だと(十六オ)おもやる。七ツに代る 00041530M2はづが、もうおしつけ、日がくれる。しかたがないから、 00041540M3おれが/念仏(ねんぶつ)を申てゐた。是がだれだといゝて、申たくて申 00041550M4/念仏(ねんぶつ)じやあない 00041560¥N15¥J 00041570¥X○/雪隠(せつちん)△(十六ウ) 00041580M7/亭主(ていしゆ)、/座舗(ざしき)の/雪隠(せつちん)へ/行(ゆ)き、あやまつてしたゝか/踏板(ふミいた)へたれ 00041590M8かけ、女/房(ぼう)へ、/終(つい)ぞない事。/折(をり)入ての/頼(たの)ミ。どうぞ/掃除(そうじ)/言(いひ) 00041600M9付ケてくりやと/言(い)ふて居る所へ、花見/帰(がへ)りの四五(十七オ) 00041610M10人、たゞ今御見/舞(まひ)申スと、/僕(とも)を/以(もつ)てのしらせ。外の事ハこ 00041620M11まらぬが、此/後架(こうか)はどうしませうと、女/房(ぼう)の/気(き)の/毒(どく)がり。 00041630M12/亭主(ていしゆ)、/仕形(しかた)があると、/雪隠(せつちん)の/戸(と)へ/張紙(はりかミ)。此所大/便(べん)/無用(むよう)(十 00041640M13七ウ) 00041650¥N16¥J 00041660¥X○/新宿(しんじゆく) 00041670M16/新宿(しんしゆく)の女郎、/品川(しながハ)の女郎を/譏(そしつ)て/曰(いわく)、品川の女郎/衆(しゆ)は/惣(そう)たい 00041680M17/下脾(けひ)さ。あれは/船頭(せんとう)につき合ふからだの。のふ、/馬士(まご)どの 00041690M18(十八オ) 00041700¥P124 00041710¥N17¥J 00041720¥X○/巫女(ミこ) 00041730L3/湯嶋天神様(ゆしまてんじんさま)の/開帳(かいてう)に、/神子(ミこ)がよいとの/評判(ひやうばん)。行て見た所、 00041740L4評判に/違(ちが)ハぬうまさうな半元/服(ぶく)。わけて/劔(つるぎ)の/舞(まひ)のりゝしさ。 00041750L5/抜(ぬい)た時やつ(十八ウ)ひしたゝく/神楽堂(かぐらとう)との/句(く)も、今目のま 00041760L6へに有て、立まふ/姿(すがた)わすられず、ぶら+恋わつらひ。其 00041770L7中に、くさりかたひらを/蜜(ひそか)にあつらへるやうす。気でも違 00041780L8つたかと二タ/親(をや)の/気遣(きづか)ひ。心安い(十九オ)/友達(ともだち)を頼ミ、聞 00041790L9て見れバ、ちつとも/気遣(きづか)ひな事ハない。あれを着て、ぬき 00041800L10ミのなかへ/飛(と)び/込(こ)ミとるつもりだ 00041810¥N18¥J 00041820¥X○/暦(こよミ) 00041830L13吉ぼう。/替(かハ)る事もないかと、ぬつ(十九ウ)と/這入(はいつ)て見た所、 00041840L14/烏帽子(ゑぼし)/大紋(たいもん)で、しやにかまへて居る。Sこれハどうだとき 00041850L15けば、Sこのごろおれハ、まい日こよミの通りにして/居(ゐ)る。 00041860L16けふハ大めう日だから、こんな/形(な)りた△S/聞(きこ)へたと(廿オ) 00041870L17/言(いふ)て/帰(かへ)り、又あした行て見れば、/棕箒(しゆろはゝき)をもち、うろたへ 00041880L18て居る。けふハなんだと聞けバ、/今日(けふ)は/十方(とほう)にくれだ 00041890¥N19¥J 00041900¥X○/蕎麦切(そばきり) 00041910M1御やくそくのそばを申付た。(廿ウ)サア+あがれと、/蓋(ふた) 00041920M2を/取(とつ)て、/亭主(ていしゆ)も少し/喰(くつ)て見、これはどうしたやら、けふの 00041930M3ハきついきれやう。せつかく御/呼(よび)申て、おそれ入たといへ 00041940M4ば、/客(きやく)Sどうもいへませぬ。/宿(やど)でハこれより(廿一オ)き 00041950M5れた/飯(めし)さへ/下(くだ)されます 00041960¥N20¥J 00041970¥X○/切腹(せつふく) 00041980M8/友達(ともだち)の所へ見/舞(まつ)た所、大/肌(はだ)ぬぎになり、/腹(はら)へ/仙(せん)の/字(じ)を/書(かい)て 00041990M9居る。/貴(き)様、それハ何をしやる。/亭主(ていしゆ)Sわるい所を見付 00042000M10ら(廿一ウ)れた。おれもどうていけぬから、いつそ/腹(はら)を切 00042010M11らうとおもふ。しかし、広治が/紋(もん)の十文/字(じ)に切るハ古いか 00042020M12ら、めづらしく助五郎に切らふとおもふ△Sナアニ、十文 00042030M13字+といふが、そうおもふやうに行物でハ(廿二オ)ない。 00042040M14やつはりぞうさもなく、門之介にしやれ 00042050¥N21¥J 00042060¥X○/宿札(やどふだ) 00042070M17/刻烟草屋(きざミたばこや)の/廛(ミせ)へ/仲間(ちうげん)来て、/谷中(やなか)三/崎(さき)といふは/爰(こゝ)らでござり 00042080M18ますか。S成ほど(廿二ウ)/爰(こゝ)です△Sこゝらに、/清水(しミづ)/螢沢(けいたく) 00042090M19といふ/医者衆(いしやしゆ)がござりますか△Sござる△Sどこらで御ざ 00042100M20ります△S其/向(むか)ふがわて四五/軒(けん)めの/格子(かうし)つくり、/宿札(やどふだ)が/古(ふる) 00042110¥P125 00042120L1くなつて、何んたかよめぬ所がそ(廿三オ) 00042130¥N22¥J 00042140¥X○/風鳥(ふうてう) 00042150L4いつぞや/護国寺(ごこくじ)の/開帳(かいてう)で、/風鳥(ふうてう)といふ物を見たが、あれは 00042160L5おかしな物で、/足(あし)がなくて、てうどとつくりに/羽(は)ねのはへ 00042170L6たやうな物だ。あれハ/餌(ゑ)をくふ(廿三ウ)ときハどうする。 00042180L7Sそこで/餌(ゑ)とてハ/喰(くハ)ぬ。風を/餌(ゑ)にして/居(い)る△S/糞(ふん)ハどうす 00042190L8る△Sなに、/糞(ふん)をするもんだ。/屁(へ)ばかり+ 00042200¥N23¥J 00042210¥X○/忠臣蔵(ちうしんくら) 00042220L11/四方都(よもいち)、どうだ。Sどうだ所じや(廿四オ)ござりませぬ。 00042230L12ゆふべ、もろのふ様に/泊(とま)つたら、夜/半(はん)/時分(じぶん)、ゑんや様の御 00042240L13けらい四十七人とやらが、かたきうちにおしこミ、/大(おゝ)事よ。 00042250L14やう+私もやねへにげて、命を/助(たすか)りました△Sそれハど 00042260L15うも(廿四ウ)/合点(がてん)がいかぬ。/椽(ゑん)の下へにけそうな物を、め 00042270L16くらのざいに、やねへにげたとハ/済(すま)ぬ△Sさればさ。/椽(ゑん)の 00042280L17下ハミな御/家中(かちう) 00042290¥N24¥J 00042300¥X○/蜂(はち) 00042310L20/今日(けふ)は/天気(てんき)もよく、/亭主(ていしゆ)(廿五オ)/庭(にハ)いぢり。/木鋏(きばさミ)なと出し 00042320M1て、/若葉(わかば)のしげりを/苅(かり)こんで居た所、いづくともなく/蜂(はち)が 00042330M2/飛(と)んで/来(き)て、小びんさきをしたゝかさして行く。たちまち 00042340M3大きくはれあがり、おび(廿五ウ)たゝしい/痛(いた)ミ。折ふし/傍= 00042350M4輩(ほう=ばい)/来(き)合せ、それには/歯(は)くそをつけるが/薬(くすり)だと、うぬが口か 00042360M5ら/歯(は)くそを取て/附(つけ)てやれば、/亭主(ていしゆ)よろこび、扨よいおたし 00042370M6なミでござる(廿六オ) 00042380¥N25¥J 00042390¥X○/因縁(ゐんゑん) 00042400M9物にハ/因(いん)ねんといゝて、いやといわれぬ事が有もんだ。/太= 00042410M10鞁(たい=こ)ハ馬の/皮(かハ)で/張(はつ)た物だから、かわに成てもたゝかれる。/鞁(つゝみ) 00042420M11は/猿(さる)の/皮(かハ)て/張(はつ)た物だ(廿六ウ)から/肩(かた)へあがる。Sそして大 00042430M12つゝミは/脇(わき)の下へはさむ。あれハ何のかわだ△Sあれハ/鯛(たい) 00042440M13の/皮(かハ)だ 00042450¥N26¥J 00042460¥X○/吊(とぶら)ひ 00042470M16/鳶(とび)の/者(もの)の女/房(ぼう)ごねたを、(廿七オ)ちつともはやくおつかた 00042480M17つけるかゑいと、寺へ人をたのんでやり、/早桶(はやをけ)を/買(かい)、あん 00042490M18まり/急(いそ)いで/仏(ほとけ)をさかさまに入、是でもよしと、はやぬのを 00042500M19かふせ、あら/縄(なハ)でからげ、/寺(てら)へもち込ミ、かく(廿七ウ)と 00042510M20言入れば、まづかう/剃(そり)をあてんと、/弟子坊主(でしほうず)、/桶(をけ)の/蓋(ふた)を/明(あけ) 00042520¥P126 00042530L1て見、大きにおどろき、/和尚(おしやう)へ何やらつぶやく/躰(てい)。/和尚(をしやう)も 00042540L2出て来て、/件(くだん)の/桶(をけ)を/覗(のぞい)て見、けでんの/皃(かほ)。/施主(せしゆ)に向て、(廿 00042550L3八オ)あれハ/仏(ほとけ)が/違(ちが)ひました。此方でハ/吊(とむらハ)れませぬ。Sソレ 00042560L4ハなぜでこざります△Sさればさ。何だかあれハ/胸(むね)に/毛(け)が 00042570L5まつ/黒(くろ)にはへて居て、/肩(かた)がいかつてふとつて、どうでも/首(くび) 00042580L6のない(廿八ウ)すまふとりの/死骸(しがい)さうでござる 00042590¥N27¥J 00042600¥X○/火事頭巾(くわしずきん) 00042610L9/或(ある)りきんだ御/家中(かちう)、むかしの/鎧兜(よろひかぶと)は今の/世(よ)での/火事(くわじ)せう 00042620L10ぞくじやと、物入かまわすあつらへられた。四五日たつと 00042630L11(廿九オ)出ねバならぬ/方角(ほうがく)に/火事沙汰(くわじさた)。かのせうぞくを取 00042640L12にやつた所、御/頭巾(づきん)ハ/出来(てき)ましたが、まだお/羽織(はをり)が/出来(でき)ま 00042650L13せぬとの/断(ことわり)。/頭巾(づきん)ばかりでもよいと、とりよせて見た所、 00042660L14五/枚(まい)(廿九ウ)しころで、そのりつぱ、どうもいへず。かぶ 00042670L15らねバかんにんならぬと引つかぶり、/窓(まと)から/首(くび)を出して、 00042680L16ハイ+ハイ+ 00042690¥N28¥J 00042700¥X○/魚田(ぎよでん) 00042710L19/本田(ほんだ)/銀(ぎん)きせるの/通(つう)&/仲(なか)か/間(ま)、(三十オ)四五人連で中の町の 00042720L20/茶(ちや)屋へ/来(く)ると、/亭主(ていしゆ)、これはとなたもお久しぶり。サア 00042730M1+まづ一つあがりませ。時に/鰹(かつを)がござります。あれを上 00042740M2ケませうといふに、Sなんだ、/鰹(かつを)。(三十ウ)かつをハ三月 00042750M3か、やう+四月一ぱいの物。五六月に成て、一口もくら 00042760M4ハれるもんじやあない△Sさればさ。さしミは/古(ふる)ふござり 00042770M5ます所を、/魚田(きよでん)にして上ます△S/魚田(ぎよでん)とはおもしろい。は 00042780M6やく出し給へと(三十一オ)いへば、Sそりや御らうじませ。 00042790M7めづらしうござりませうが。さあ+かゝあ、/味噌(ミそ)をすれ 00042800M8と、さかなを/焼(やき)にかゝつた時、むすこ、/手習(てならひ)から/帰(かへ)り、Sお 00042810M9らあ、昼めしを/喰(くひ)たい。何があると言ふ。Sやかましい。 00042820M10なにが(三十一ウ)あるもんだ。そこのめしつぎを出して、 00042830M11ひやめしをくへ△Sさいハなんだ△S/香(かう)の物でくや△Sか 00042840M12うの物斗リじやいや。あれ、とつ様が/鰹(かつを)を/焼(やい)てゐなさる。 00042850M13しかもミそをつけてやきなさる。おれもあれを(三十二オ) 00042860M14くわう△S/亭主(ていしゆ)ふり/向(むい)て、うぬもおんなじやうに、/馬鹿(ばか)を 00042870M15つくせ 00042880¥N29¥J 00042890¥X○/四文銭(しもんぜに) 00042900M18/浅草(あさくさ)の/開帳(かいてう)に、なんぞおもひつきをして/銭(ぜに)もうけをしやう 00042910M19と、/息子(むすこ)、おやぢへ/元手(もとで)二百両(三十二ウ)の/無心(むしん)。/合点(がてん)ゆ 00042920M20かぬと思ひながら、まづわたした所が、大はやりのよし。 00042930¥P127 00042940¥G(三十四ウ・三十五オ) 00042950M1なんでもそれハよいことゝ、くわんをんさまへ参り、かへ 00042960M2りによつて見た所、ミせハおびたゝしい人で、なか+よ 00042970M3りつかれず。うら(三十三オ)から廻つて見れハ、むすこ、 00042980M4さいはいをもち、/高(たか)い所に居れハ、/革羽折(かハばをり)など/着(き)た/若(わか)い/者(もの) 00042990M5大ぜい、四文銭が三文、四文銭が三文 00043000¥N30¥J 00043010¥X○/雷(かミなり) 00043020M8/雷(かミなり)/吉原(よしハら)の二/階(かい)へ/落(をち)て(三十三ウ)あがらうともがくうちに、 00043030M9/雲(くも)はれて大ごまりの所へ、/若(わか)い/者(もの)来て、おめへ、/雲(くも)がなく 00043040M10つてハ、どうで天へハのぼられますまい。いつそ女郎/衆(しゆ)を 00043050M11上げて御/遊(あそ)びなされませ。(三十四オ)(三十四ウ・三十五オ挿絵) 00043060M12Sなるほど、そうもせう。ひとり見たてゝ、つれまし来て 00043070M13くりやといへば、のミこミ山と下へおり、盃など出すと、 00043080M14おし付ケ/傾城(きミ)出なから、/能(よ)うお/落(おち)なんした(三十五ウ) 00043090¥N31¥J 00043100¥X○/其二(そのに) 00043110M17/雷(かミなり)の/正躰(しやうたい)を見たいものだ。どうしたらとらまろふ。S/仕= 00043120M18方(し=かた)がある。/大風呂(おゝふろ)しきの/角(すミ)+四人て引つはり、おちた時 00043130M19おさへると、なんのこともなくつかまるハサ。(三十六オ)是 00043140M20ハどうもいへぬといふ内、大/夕立(ゆふだち)。/雷(かミなり)こくうに/鳴(なつ)て来て/落(おち) 00043150¥P128 00043160L1た所、心/得(ゑ)たと、大ぶろしきを四人て引はり、いさいかま 00043170L2わずおつかぶせれば、/雲(くも)ハはれて/風呂敷(ふろしき)の中で(三十六ウ)う 00043180L3ご+。先つ/太皷(たいこ)の/撥(ばち)を出した所、こいつは/迯(にげ)たがる。ふ 00043190L4といやつと、其ばちをひつたくれば、又こちらへ/太皷(たいこ)を出 00043200L5す。それもひつたくり、もう明ケて見ようと、/風呂(ふろ)しきを 00043210L6(三十七オ)/取(と)れハ、中から/法華坊主(ほつけぼうず) 00043220¥N32¥J 00043230¥X○/徒(いたつら)つ/子(こ) 00043240L9ヲヤ++と/雪(ゆき)の/降(ふつ)た/朝(あさ)、/相番(あいはん)の所へ行たに、お心/安(やす)い 00043250L10からお/通(とを)りなされと、/勝手(かつて)へ通され、/念頃(ねんころ)のあいさつ。 00043260L11(三十七ウ)小/蔵(ぞう)の事なれば、何が羽向たら※の所へ、い 00043270L12たつらつ子が/起(をき)て来て、/椽(ゑん)がわから/雪(ゆき)の中へ小/便(べん)。その小 00043280L13/便(へん)で、のゝ/字(じ)をひよぐれば、/客(きやく)、/手(て)をついて、S扨も御/器= 00043290L14用(き=よう)な(三十八オ)御手でござります 00043300¥N33¥J 00043310¥X○/貧乏神(びんぼうがミ) 00043320L17ことしはめつらしう、/回向院(ゑかういん)でびんぼう/神(がミ)の/開帳(かいてう)が有との 00043330L18事、/方&(ほう+)へ/札(ふだ)が出て/居(い)る。/読(よん)で見たれば、/御(ご)/参(さん)(三十八ウ) 00043340L19/詣(けい)/無之(これなき)御/方(かた)え/者(ハ)、此/方(ほう)より御/見舞(ミまひ)申候 00043350¥N34¥J 00043360¥X○/探幽(たんゆう) 00043370M3/客(きやく)、よしハらへ来て、このぢう/品川(しながハ)へ行たが、いやもう、 00043380M4女郎がおかしくつてならぬ。/床(とこ)に/布袋(ほてい)の(三十九オ)/の((の衍))/画(ゑ)が 00043390M5/懸(かけ)て有ツた。ひようたんの印て/守信(もりのふ)とあつたから、これは 00043400M6よい/探幽(たんゆう)だと言たら、女郎が/側(そば)で、なあに、/布袋(ほてい)さんだ物 00043410M7をと言たといへば、/傾城(きミ)、たばこをすいながら、ほんにさ。 00043420M8/布(ほ)(三十九ウ)袋さんの誹名もしらないで 00043430¥N35¥J 00043440¥X○/助太刀(すけだち) 00043450M11/敵(かたき)うちの/助(すけ)だちたのまれ、のつひきならず、/明日(あす)といふに 00043460M12いろ+の/支度(したく)のうち、/赤(あか)いふんどしを/借(か)りにやる。どこ 00043470M13(四十オ)にもないを大ごまり。まだ/白(しろ)なればある。なぜ/貴(き) 00043480M14様は/赤(あか)いがのぞミだと/聞(き)けば、ハテ、/迯(にげ)る/時(とき)、/尻(しり)をまくる。 00043490M15其折の/見(ミ)へだ 00043500¥N36¥J 00043510¥X○/中堂(ちうどう)(四十ウ) 00043520M18上/野(の)の御/修(しゆ)ふくも出来上り、/正遷座(せうせんざ)も/済(すん)でおびたゝしいく 00043530M19んじゆ。/侠(きやん)二三人/連(づれ)て/中堂(ちうどう)を見、よく出来たな。あの/中(なか)に 00043540M20は何が入レてある。Sあの/中(なか)にハな、やくし様が入レてあ 00043550¥P129 00043560¥G(五十四ウ・五十五オ) 00043570M1る(四十一オ)Sハテ、もちつと、ゑい物を入れて/置(をき)さうな 00043580M2物だ 00043590¥N37¥J 00043600¥X○/小豆餅(あつきもち) 00043610M5/朋友(ともだち)の/病気(びやうき)久しい事。だまつても居られず。ひきの屋へ/小= 00043620M6豆餅(あつ=きもち)百が/取(とり)にやり、(四十一ウ)もたせやつて、/暫(しバら)くして見 00043630M7/舞(まへ)ヘバ、これハ忝いと、まくらをあげ、さきのもちの礼。 00043640M8S時にまづどうだ。ちつとつゝもこゝろよいかときけば、 00043650M9Sイヤモウ、ぜつしよく同前。いまの(四十二オ)小豆/餅(もち)も 00043660M10此通りと、/重箱(ぢうばこ)を出す。/客(きやく)、/蓋(ふた)を明て見れバ、たつた一つ 00043670M11/残(のこつ)てあり。/合点(がてん)行ず。Sこりやどうだときけば、Sのこり 00043680M12ハくつたが、その壱つが、どうもくへぬ(四十二ウ) 00043690¥N38¥J 00043700¥X○/太公望(たいこうぼう) 00043710M15/伝(つた)へ/聞(きく)、/太公望(たいこうほう)は/釣(つり)をたれて、かくれ居たを、/周(しう)の文王と 00043720M16やらがかぎ出して、/金&(きん+)物にしたとある。おれも/釣(つり)をして 00043730M17居たら、よいめに(四十三オ)合ふと、/毎(まい)日川へ出て釣りを 00043740M18すれど、何もかゝらず。たづねてくる者もないに、くたび 00043750M19れた/牢人(らうにん)、同じ/長屋(ながや)の権兵衛、通りかゝつて見付、またゑ 00043760M20い事もござりませぬか。浪人Sまい日(四十三ウ)川にかゝ 00043770¥P130 00043780L1つて/釣(つり)をすれど、なんのゑい事もないによつて、/翌日(あす)から 00043790L2山にかゝらうと/存(ぞんず)る 00043800¥N39¥J 00043810¥X○/追剥(をひはぎ) 00043820L5このごろハ/世間(せけん)ふつさうときく。/夜(よる)ルなと出やらば、/随分(ずいぶん) 00043830L6(四十四オ)用心ンしたが/能(よい)と言て/帰(かへ)た/晩(はん)、/門(もん)を/夜更(よふけ)てしき 00043840L7りにたゝく。どちからと/聞(き)けば、/昼(ひる)行た所のやつの/声(こへ)で、 00043850L8おれだ+といふ。明て見た所、/真(まつ)つ/裸(はだか)。そりや見やれ。 00043860L9(四十四ウ)それて/昼(ひる)行た時、/夜(よる)/歩行(ある)きやらば用/心(じん)をしやれ 00043870L10と言た。どこで/剥(はが)れた。Sどこても/剥(はが)れハせぬ。/随分(ずいふん)用心 00043880L11をして、/内(うち)から/裸(はだか)で来た 00043890¥N40¥J 00043900¥X○/願人坊主(ぐわんにんぼうず)(四十五オ) 00043910L14はんじ物をひらりとなけ/込(こん)で行く/願人(くわんにん)を、女/房(ぼう)ミて、あれ 00043920L15ハ/願(くわん)人のなかでも、むさいきたない/形(な)りじやといふを、/亭= 00043930L16主(てい=しゆ)とめて、Sこれ、めつたの事をいわぬ物じや。/得(ゑ)て/弘法(かうぼう) 00043940L17(四十五ウ)様か、人の心を/引(ひき)見るため、きたない/形(なり)ておあ 00043950L18るきなさる。それかもしれぬといへば、/願(ぐわん)人、行ながら、 00043960L19/南無(なむ)三ン、あらわれたと言ふ。/亭主(ていしゆ)おかしく、あいつ、/太(ふと) 00043970L20いやつだ。おれが、もし/弘法(かうぼう)様だも(四十六オ)しれぬと言 00043980M1たら、もふ/弘法(こうほう)様になつて、あらわれたとハ、なんの事だ 00043990M2といへば、S願人S南無三、又あらわれた 00044000¥N41¥J 00044010¥X○/蓼(たで) 00044020M5/旦那(だんな)様。また/隣(となり)から、/鮓(すし)に(四十六ウ)つけて/給(たべ)ますから、 00044030M6/蓼(たで)を下されと申てまいりました。旦那Sさて、しつこい。 00044040M7きのふも同し口上で/貰(もら)ひに/来(き)て、けふも/来(く)るはあんまりだ 00044050M8が、ちつとはかりやれさとやり、これ久助。/隣(となり)へ行て、 00044060M9(四十七オ)/蓼(たて)に付て/食(くひ)ますから、/鮓(すし)をちつと下されと言て 00044070M10/貰(もら)つて/来(こ)い 00044080¥N42¥J 00044090¥X○/魔法(まほう) 00044100M13おれはこの頃、まほうを/修行(しゆぎやう)するが、/段&(たん+)手に入て、人を 00044110M14/馬(むま)な(四十七ウ)どにするは、たちまちだよ。Sとんだ事を 00044120M15いやる。何、人が馬に/成(なる)物だ△Sそんなら、おのしを/馬(むま)に 00044130M16してやらう△Sこりやおもしろい。そしてどうしてしやる 00044140M17といふ時、/前(まへ)へ廻つて、何やらとなへ、(四十八オ)あたまか 00044150M18ら/皃(かほ)へかけ、からだまでなでれバ、なるほど/馬(むま)に成たり。 00044160M19これハひよんなことを言て、/終(つい)/馬(むま)に成た。これでハつまら 00044170M20ぬ。もとの/人間(にんげん)になをしやうかあるか。それも/自由(じゆう)だと、 00044180¥P131 00044190L1又何(四十八ウ)やらとなへ、あたまから/顔(かほ)のあたり、そろ 00044200L2+なでれバ、もとの/人間(にんげん)になる。まづこれで/安堵(あんど)し、扨 00044210L3/段&(だん+)にからだをなて、またぐらの所をなでやうとした時、 00044220L4Sそこをば、なですに/置(をい)てくりやれ(四十九オ) 00044230¥N43¥J 00044240¥X○/左官(さくわん) 00044250L7/左官(さくわん)、近所の/数寄(すき)屋へ行、/静(しつか)に/上(うハ)ぬりをして居るとき、あ 00044260L8わたゞしく/同(とう)/長(なが)屋の/者(もの)が来て、おやかた+。大/事(し)がある。 00044270L9/貴(き)様のかミ様の前へ、へびが/這入(はいつ)て、(四十九ウ)どうしても 00044280L10出ぬ。早くかへらつしやいといへど、/左官(さくわん)、一チゑんさハ 00044290L11がす、やつはり/静(しつか)に/壁(かべ)をぬつて居る。/追&(おい+)人が来れとも、 00044300L12いさゝかおどろくけしきなし。しバらく/過(すぎ)て、又一人来て、 00044310L13もふかへらつ(五十オ)しやるにおよばぬ。今出て行ました 00044320L14といふをきゝ、/左官(さくわん)、かべをぬりなから、其はづ。あのく 00044330L15さゝでハ 00044340¥N44¥J 00044350¥X○/菜売(なうり) 00044360L18/雪隠(せつちん)へ行たいをこらへ+て行く/侍(さむらい)、両国まて来、/雪隠(せつちん)を 00044370L19(五十ウ)方+さがせども見へず。/橋(はし)の/際(きハ)に/菜(な)うり、/色(いろ)/青(あを) 00044380L20さめて、荷ひの/棒(ぼう)にこしをかけて居たるまゝ、/爰(こゝ)らにせつ 00044390M1ちんハないかときく。菜うりSわしもたづねますが、ご 00044400M2さりませぬ(五十一オ)Sそんなら、お身もたつねるか。た 00044410M3つねるものが、なぜぢつとして居やる△菜うりS立てば出 00044420M4ます 00044430¥N45¥J 00044440¥X○三人一/座(ざ) 00044450M7三人で三歩なくなる/智恵(ちゑ)を出した/友(とも)たち/寄(より)合、此中の/初= 00044460M8会(しよ=くわい)ハ(五十一ウ)おもしろかつた。今/夜(や)/裏(うら)に行うじやないか。 00044470M9Sついぶん気ありたが、今夜/行(ゆく)と花か入る△Sヲツト、そ 00044480M10れハおれが所にある是をやる。其かハり引ぱりにして、三 00044490M11人でやるからハ、いつてもゑい、五匁(五十二オ)つゝ二人 00044500M12なから、おれが所へよこしやれ。がつてんだと、/飛(と)ぶがご 00044510M13とくに行。二/階(かい)へ上れば、/例(れい)のらうそく、酒さかな出ると、 00044520M14/傾城(きミ)たちも早く来て、また初/会(くわい)とハ/格別(かくべつ)。わかい者も(五 00044530M15十二ウ)/盃(さかつき)/持(もつ)て、/旦那(たんな)、上ケませうと云ふを、一つのミや 00044540M16れと、ひらりとはづめば、/側(そば)に居たやつも口を出して、一 00044550M17つのミやれ。/角(す)ミに居たやつものび上つて、壱つのミやれ 00044560M18(五十三オ) 00044570¥P132 00044580¥N46¥J 00044590¥X○/誹名(はいミやう) 00044600L3/先生(せんせい)。わたくしも/誹名(はいミやう)がなくては、/通(つう)ウらしくござりませ 00044610L4ぬ。何ぞ名をつけて下さりませ。Sせうちした。何そあら 00044620L5うとの事。二三日/過(すぎ)て(五十三ウ)行て/聞(き)けば、Sヲヽ/書(かい)て 00044630L6/置(おい)た。そのうちで気に入たをついたかよいと、/唐帋(とうし)へ/書(かい)た 00044640L7物を/出(た)され、その/■弁(きべん)とあるは/詩経(しきやう)の/字(し)。/丹鳥(たんてう)とハ/文選(もんせん)の 00044650L8/字(じ)、ほたるともよむ。/螢(ほたる)や(五十四オ)(五十四ウ・五十五オ挿絵) 00044660L9/雪(ゆき)をあつめて/学問(がくもん)をした/故事(こじ)もあれば、それなどが/能(よ)から 00044670L10う。/仕廻(しまい)のハ/文町(ぶんてう)。それハなにゝもない。そうして/熟字(しゆくじ)で 00044680L11もないが、まつ/書(かい)て置た。Sとれもよさそうでござ(五十 00044690L12五ウ)ります。其内文町がよさそうでござります。まづ申 00044700L13シて見ませう。文町/坊(ぼう)や、ぶんてうぼう、文町さんや、ぶ 00044710L14んてうさん。アイ、文町にいたしませう 00044720¥N47¥J 00044730¥X○/麻疹(はしか)(五十六オ) 00044740L17どうた、八兵衛。久しく/逢(あハ)ぬ。かハる事もないか。Sかハ 00044750L18る事の/段(だん)か。去年はしかで/惣領(そうりやう)むすこをやらかした。なか 00044760L19つさいもなくして、あげくのはてに、いつち/仕廻(しまい)のあまめ 00044770L20までやつてのけた。子が(五十六ウ)ミんななくなつて、お 00044780M1やばかりのこつて、いもうりのはんだいのやうに成た 00044790¥N48¥J 00044800¥X○/鰹(かつを) 00044810M4/郭公(ほとゝぎす)の/初音(はつね)を/聞(きい)たのきかぬとのはなしの中へ出て、(五十 00044820M5七オ)おらあきのふ、/鰹(かつほ)のはつねを聞た。S/十方(とほう)もない事 00044830M6をいやる。何、鰹が/鳴(な)く物だ△Sそれでもきのふ、初直が 00044840M7壱〆五百たと言た 00044850¥N49¥J 00044860¥X○/料理(りやうり) 00044870M10五郎、夕部ノヤ、/二教(じきやう)様の所へ(五十七ウ)行たが、とんだ 00044880M11ふるまひよ。Sうまい物が有たか△Sさま+の物が出た 00044890M12が、/平皿(ひらさら)が/強気(かうき)にむまかつ/だ((ママ))△S何だ△Sまづ、がんだか 00044900M13かもだか、なんでも/鳥(とり)よ。そして松だけナ、せりナ、長い 00044910M14もナ、もふ(五十八オ)一トいろあつたツけ。ヲヽそれよ。 00044920M15はいとりもち 00044930¥N50¥J 00044940¥X○/絵図(ゑづ) 00044950M18明ケて十五のお/姫(ひめ)様。来年は早&/去(さ)ルおれき+へ御こし 00044960M19入との事なるに、大/切(せつ)のおまへえ(五十八ウ)何やらお出来 00044970M20物が出来たとて御くらうがり。御/側(そば)の女中もひそ+気に 00044980¥P133 00044990L1して、とかく御/外科(げくわ)しゆに御見せ/遊(あそ)バせと申せど、いかな 00045000L2+御/合点(がてん)のないにこまり、お/乳母(うば)どの、あまり/気遣(きつか)ひ。 00045010L3そんならわた(五十九オ)くしが/絵(ゑ)にかきませうから、おで 00045020L4き物の遊ハした所を、印し付ておミせ遊ばせと、おうばど 00045030L5の、はじめての絵、ぶ/器(き)用に/書(かき)ちらし、/毛(け)を/書(かい)たるを、お 00045040L6ひめさま御らうじ、わたしにハまだ、そんな物ハないと 00045050L7(五十九ウ)/仰(あふせ)らるれば、おうばどの、ましめになり、それ 00045060L8でもこれをかゝねば、上ヘ下タがしれませぬ 00045070¥N51¥J 00045080¥X○/盗人(ぬすびと) 00045090L11/盗人(ぬすひと)二人、/宵(よひ)より/樋合(ひあハい)に/忍(しの)んで居けるか、久しいうち/下冷(したひへ) 00045100L12して、(六十オ)一人の/盗(ぬす)人、/屁(へ)を一つひつたり。今壱人の 00045110L13盗人、/耳(ミヽ)少し/遠(とを)かりけるが、いかゞしてか、今の/屁(へ)の/音(をと)を 00045120L14きゝかじり、今のハなんだと/小声(こごへ)にきく。S今のハ/屁(へ)だと、 00045130L15小/声(ごへ)に/答(こた)ふ。/聾(つんぼ)なれバ聞つけず(六十ウ)に、S今のは何ン 00045140L16だときく。Sハテサテ、/屁(へ)だと言ふにといふ。まだ/聞(きゝ)入レ 00045150L17ず、おし返して、S今のハ何ンだよときく。めんどうに成 00045160L18り、われを/忘(わす)れ大/声(こへ)にて、S/屁(へ)だといふに 00045170¥N52¥J 00045180¥X○/紋伝(もんでん)△(六十一オ) 00045190M1/紋所(もんところ)には、一つ+/伝(でん)がある。まづ/巴(ともへ)は/唐(から)で/眉間尺(ミけんじやく)の/首(くび)が、 00045200M2/釜(かま)の中で、王の/首(くび)と/友(とも)たちの/首(くび)とが、ぐる+まハつた所 00045210M3だ。Sハテナ。かたばミハヘ△Sあれは/眉間尺(ミけんじやく)の/尻(しり)だ(六 00045220M4十一ウ) 00045230¥N53¥J 00045240¥X○/夢(ゆめ) 00045250M7一/生(しやう)ハ/大夢(たいむ)のごとし。/是非(ぜひ)の/境(さかい)を/論(ろん)ずべからずと/悟(さとつ)て見て 00045260M8も、/唯(たゞ)はなれがたきは/慾心(よくしん)なり。しかし/下司(げす)のらくハ/寐(ね)ら 00045270M9くと、/寐(ね)た所(六十二オ)おもしろい/夢(ゆめ)。/浅草(あさくさ)へまいり、吉 00045280M10原へ行かふと、どてへかゝつた所、/財布(さいふ)が/落(おち)てある。人も 00045290M11見ぬゆへ/拾(ひろつ)て、そつと明ケて見れば、百両ばかりの小/判(ばん)。 00045300M12うれしく内へ持て(六十二ウ)かへり、/置(おき)所にこまり、/庭(にハ)のす 00045310M13ミを/掘(ほつ)てうめ、上へしたたかくそをたれ、これでハ/誰(たれ)もし 00045320M14るまいとおちつくと、/夢(ゆめ)はさめて/最(も)う/夜明(よあ)け。/金(かね)は/夢(ゆめ)で有 00045330M15つたか、(六十三ノ四オ)/屎(くそ)は/本(ほん)で、/寐所中(ねところぢう)ひりくるミ/畢(おわん)ぬ 00045340¥Y1@鹿子餅|後△篇@譚嚢終△(六十三ノ四ウ) 00045350¥P134 00045360¥Y跋 00045370L1先来/見(あら)ハしたる/鹿(か)の子/餅(もち)も、/軸(ちく)は/屎(くそ)にておさめたり。/其吉= 00045380L2例(そのきち=れい)をもて、又/尻(しり)に屎を/以(もつて)す。一/帖(てう)(六十五オ)見る人、屎の 00045390L3ことくとわらハむ。笑ハヽわらへ。此方、/屁(へ)とも存せぬ 00045400L5△△△△△△△△△△△△△△△馬△場△氏 00045410L6△△△△△△△△△△△△△△△△△△雲△△△壷 00045420L7△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(六十五ウ) 00045430¥P135 00045440¥U噺本大系△第十一巻 00045450¥T/春笑一刻(しゆんしよういつこく)〔内題〕 00045460¥G 00045470¥Y 00045480L16安永七年正月刊 00045490L17千金子著 00045500L18富田屋清次・吉蔵板 00045510L19小本一冊 00045520L20東大国文研究室蔵 00045530¥Y序 00045540M3おとしばなしハ人の/笑(わらひ)を/種(たね)として、/万(よろづ)の/宝(たから)かきあつめぬる 00045550M4/物(もの)ならし。いでや/春笑(しゆんせう)一/刻(こく)も、/直(あたい)ハ/千&(ちゞ)の/金(こがね)をひらふて、 00045560M5/浴衣(ゆかた)を/染(そめ)んと思ひたつ。(序一オ)/肩(かた)にかなてこ、/裳(もすそ)にいか 00045570M6り、/硯(すゞり)の/海(うミ)のそこはかとなく、かきの暖簾のまめなる/家(いへ)に 00045580M7も、/春(はる)のはじめの/御(をん)もてあそび。/恵方(ゑはう)に/向(むか)つて/沽(う)らんや 00045590M8+。/我(われ)ハ/賈(あたい)を(序一ウ)まつ/蕈(たけ)うりの/名(な)にしおふ、/臍(へそ)の/下= 00045600M9谷(した=や)の/出茶屋(でちやや)にして、/筆(ふて)のけん/毛(け)をむしる事しかり。 00045610M11△△/見料(けんりやう)の/安(やす)らけく/永(なが)き 00045620M12△△△とし/尾(を)をふる/戌(いぬ)の△(序二オ) 00045630M13△△△△△むつまし月 00045640M15△△△△△△△△△△△△G△G 00045650M16△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序二ウ) 00045660¥P136 00045670¥T1/春笑一刻(しゆんせういつこく) 00045680¥A/千金子(せんきんし)/著(あらハす) 00045690¥N1¥J 00045700¥X/初夢(はつゆめ) 00045710L7あら/玉(たま)の/年(とし)たちかへる、なミのり/舟(ぶね)のおとのよき初夢を見 00045720L8んと、/宵(よひ)から(一オ)とろ+ねた所が、さて、初夢を見た 00045730L9とも+。一/富士(ふじ)二たか三/茄子(なすび)、/伊勢(いせ)や/日向(ひうが)の/物語(ものがたり)、/白河(しらかハ) 00045740L10/夜(よ)舟の/夜分(やぶん)の/景色(けいしよく)、/荘子(そうじ)が/蝶&(てう+)、/盧生(ろせい)が五十/年(ねん)をつつくる 00045750L11んで、(一ウ)/一百(いつそく)五十ほどもつゞけて夢を見ければ、いづ 00045760L12れをいづれと/定(さだめ)がたく、あくる日/早&(そう+)、七/福神(ふくじん)のかけ物に 00045770L13むかひ、さて+、/昨夜(さくや)ハおびたゝしい夢の御/告(つげ)。どふも 00045780L14/目(め)うつり(二オ)がいたします。とてもの事に、あのうちで 00045790L15一/色(いろ)を初ゆめにいたしたうぞんじますと、おそれミ+申 00045800L16上れバ、七福神ハ目と目を/見合(ミあハ)せ、うか+と/乗合(のりあい)で、は 00045810L17なしもならぬ(二ウ) 00045820¥N2¥J 00045830¥X/梅(うめ)に/鴬(うぐいす) 00045840L20このごろ/湯島(ゆしま)で、はれな花の/会(くハい)があると、/本庄(ほんぜう)のかゝゑ/屋= 00045850M1敷(や=しき)へ/行(ゆき)て、/紅梅(かうばい)のことに見事な/枝(ゑだ)ぶりおもしろきを、/人足(にんそく) 00045860M2に/切(き)らし(三オ)むるに、此/枝(ゑだ)に/鴬(うぐいす)とまり/居(い)て、さもたのし 00045870M3むていなり。此/梅(むめ)がえに/鴬(うくいす)のとまりながらをたてるハ、こ 00045880M4とにめづらしからんと、人&にいひつけ、やう+鳥の/飛(と) 00045890M5ばぬやう(三ウ)に引切、そろ+/歩行(あゆ)ミ、/町中(まちなか)へ/出(いで)ければ、 00045900M6/子供(こども)大/勢(ぜい)あつまり、見事な梅に/鴬(うぐいす)かとまつてゐる。わしに 00045910M7もおくれ+と、/声&(こゑ※)にわめけば、たちまち/鴬(うぐいす)とび(四オ) 00045920M8さりぬ。/南無三宝(なむさんぼう)、此梅に花がなくハもらハふともいふま 00045930M9いに 00045940¥N3¥J 00045950¥X/問答(もんだう) 00045960M12/海鼠(なまこ)、/蟹(かに)に/問(と)ふ。/行(ゆく)がかいるか、/帰(かへ)るが/行(ゆく)か。/蟹(かに)、なまこ 00045970M13に/問(と)ふ。/尻(しり)が/頭(かしら)か、/頭(かしら)が/尻(しり)か(四ウ) 00045980¥N4¥J 00045990¥X/金(かね)が/敵(かたき) 00046000M16/尾羽(おは)うちからした/浪人(らうにん)あり。かみこ/羽織(ばおり)にやぶればかま、 00046010M17竹ミつか何かしらぬが/朱鞘(しゆざや)の大小、めつたに/利運(りうん)ばつても、 00046020M18/晦日(ミそか)+の/店(たな)ちんにおハれ(無丁オ)(無丁ウ・無丁オ挿絵)大屋 00046030M19を見ると/武者(むしや)ぶるい。大屋も気の/毒(どく)がり、あまりにくよ 00046040M20+/思召(おぼしめす)すな。金がかたきと申て、あまりに金もよい物で 00046050¥P137 00046060¥G(無丁ウ・オ) 00046070M1ハない。@浪人、△△△△△|なミだをながして、@Sよつく/武運(ぶうん)につきたさふな。敵 00046080M2に/久(ひさし)くめぐりあハぬ(無丁ウ) 00046090¥N5¥J 00046100¥X/碁(ご)/将棊(せうぎ) 00046110M5どふもひまで身にもちあつかうが、なんぞよいなぐさミは 00046120M6あるまいか。Sそれにハ/碁(ご)/将棊(せうぎ)がよふござります△S/碁(ご)と 00046130M7せうぎとハちがつた物か△Sハテ、/字(じ)のあるが(五オ)将棊 00046140M8のこま、字のないが碁/石(いし)でござる。@少し△△△△|△しあんして、@Sそんな 00046150M9ら、碁を/打(うた)ふ 00046160¥N6¥J 00046170¥X/誹諧師(はいかいし) 00046180M12誹諧師、吉原へ行、中の町の花を見て、ハツア、花の/雲(くも)/鐘(かね) 00046190M13は(五ウ)/上野(うへの)か/浅草(あさくさ)か。女郎聞て、Sおきな。はいかいし 00046200M14Sよくしつて/居(い)るの 00046210¥N7¥J 00046220¥X色男 00046230M17/髪(かミ)ハ本多に/銀(ぎん)ぎせる、/青黛(せいたい)ほそ/眉(まゆ)うすげしやう、/自(ミづか)ら/大通(だいつう) 00046240M18の/気(き)どりにて、ひげなで(六オ)のきん+と、/茶坊主(ちやぼうず)にむ 00046250M19かひ、さぞ/世間(せけん)の者どもが、おれにほれるであらふな。茶 00046260M20坊主S/多(おほ)くハござりませぬが、たつた/一人(ひとり)ござります 00046270¥P138 00046280L1Sして+、それハだれじや茶坊主Sおまへが(六ウ) 00046290¥N8¥J 00046300¥X/安(やす)たばこ 00046310L4いなかからの/客(きやく)が、たばこをきらしました。一ふくくださ 00046320L5りませといへば、そ/葉(は)じやがまいれと、こくふをだす。こ 00046330L6れハありかたいとのめは、ついぞのんだ(七オ)事のないよ 00046340L7いたばこ。どふもわすれられす、たばこ屋へゆき、そはと 00046350L8いふたばこがかいたいといへば、Sアイ、これになさりま 00046360L9せ△S@一ふく△△|のんてミて、@いや+、これハよしませふ△Sイヤ、 00046370L10これより(七ウ)したハこざりませぬ△Sハテ、びんぼうな 00046380L11たばこ屋じや 00046390¥N9¥J 00046400¥Xかハづ 00046410L14かうしに女郎、二三人よりあひて、けふハ/助(すけ)さんがミへぬ 00046420L15といへば、ナアニ、あの人ハ/道風(とうふう)さん(八オ)さ。これハし 00046430L16たり。もんハぎよやうぼたん。どう見てもすけ六さ。Sそ 00046440L17れハきつい見たてちがひ。道風さんさ△Sナゼ、道風さん 00046450L18といひなんす△Sハテ、かハづに見とれさんす(八ウ) 00046460¥N10¥J 00046470¥X/鑷(けぬき) 00046480M1コレかゝあ。けぬきハないか。女房S又きたねへ所をぬか 00046490M2ふと思つててい主Sばかをいへと、@ひげをなでながら、|あごの下へあてる。@女房 00046500M3Sそれ+、きたねへ所だもの△S何、こゝがきたねへも 00046510M4んだ△女房S/夫(それ)(九オ)でも不/断(だん)、ふんどしをはさみながら 00046520¥N11¥J 00046530¥X/酢(す)の物 00046540M7ぱつち/尻(しり)はしよりで二三人、/午(むま)の日の/王子(わうじ)参り。あすか山 00046550M8下の茶屋で、なら茶をくひ、(九ウ)なんた。/芋(いも)に/午房(ごぼう)か。 00046560M9/煤(すゝ)はきの/料理(りやうり)を見たやうで、ねからいかぬ。/御(ご)ていしゆ。 00046570M10こゝにわつさりと、/酢(す)の物といふ所ハねへか。@ていしゆ、△|△小くびをか@ 00046580M11@たげ|て、@S左様な村ハござりませぬ(十オ) 00046590¥N12¥J 00046600¥X/黄金(こがね)の/釜(かま) 00046610M14もろこしの/郭巨(くハくきよ)ハ、こがねの/釜(かま)をほり出して、廿四/孝(かう)の/中= 00046620M15間入(なか=まいり)。さらバわれらもほつて見んと、/乳(ち)のミ/子(こ)を/抱(だき)ながら、 00046630M16門口をふた/鍬(くわ)ミくハほれバ、何かがつきり。是ハとミれバ、 00046640M17Sごとう/土器(がハらげ)(十ウ) 00046650¥N13¥J 00046660¥X/引窓(ひきまど) 00046670M20ぬす人、ひきまどより/縄(なハ)にとりつき、ぶらりとさがり、内 00046680¥P139 00046690L1のやうすをうかゞひ見れバ、てい主見つけて、ヤア何者じ 00046700L2や。/月夜(つきよ)に/釜(かま)をとらふとハ(十一オ)ふといやつといへば、 00046710L3ぬす人Sイヤ+、水がめの月をとりに参つた 00046720¥N14¥J 00046730¥Xうば 00046740L6打つゞく/長雨(ながあめ)に、でつちうば/相談(さうだん)して、/餅(もち)でもかつてこず 00046750L7ハなるまい。たれゆけ、かれ(十一ウ)ゆけといふに、うば 00046760L8が/年(とし)かさなれバ、/差(さし)づめうば、かのもちをとりかへれば、 00046770L9人+これを見て、アノおうばどのとした事が、大きな切 00046780L10り餅ばかりかつて来て(十二オ)からといへば、うばSこも 00046790L11ちにこりた物だ 00046800¥N15¥J 00046810¥X/肥満(ひまん) 00046820L14/貴公(きこう)ハよくふとつて居る。さりとハうらやましいといへば、 00046830L15ナニサ。此よふに見へても、/半分(はんぶん)ハあかさ(十二ウ) 00046840¥N16¥J 00046850¥X/堂(どう)/建立(こんりう) 00046860L18/弘法大師(こうぼうだいし)ハ所&に堂/塔(とう)をこんりうして、一/夜(や)の内に出来た 00046870L19といふが、なんと大きな事でハないか。Sそれがなんの大 00046880L20きな事であらふ。(十三オ)ちつといけむと、/蛤(はまぐり)でさへ 00046890¥N17¥J 00046900¥Xかミなり 00046910M3/日輪(にちりん)と/月(ぐハち)輪出合て、これ+月りんどの。/拙者(せつしや)ハ近&/冬至= 00046920M4辺(とうじ=へん)へ/参(まいら)ふと存る。貴公にも御同道申たしと、そうだん(十 00046930M5三ウ)とゝのひたるを、/雷(かミなり)がきゝつけ、御供いたしたしと 00046940M6願ゆへ、つれだちて、まづその/夜(よ)ハ一つ/宿(やど)にとまり、どふ 00046950M7も雷がごろ+で、やかましくてねられぬゆへ、月と日が 00046960M8だんかうきハめ、其(十四オ)/翌日(よくじつ)ハかみなりを跡の/宿(しゆく)へと 00046970M9め、/翌朝(よくてう)さそひにこぬうちに、月も日もたつて行し跡に、 00046980M10雷が来てたづぬる。宿のていしゆ出て、もはやとうにお立 00046990M11なされましたと(十四ウ)/と((と衍))いハれ、雷、両手をくんで、扨 00047000M12+月日のたつハはやいものだ 00047010¥N18¥J 00047020¥X/代脉(だいミやく) 00047030M15はやり/医者(いしや)のむすこ、とかく医/道(どう)にうとく、/当世風(とうせいふう)のいき 00047040M16(十五オ)ななりふり。のらくらして/薬(くすり)もろく+覚へねば、 00047050M17おやぢ、むすこをよび、明日ハ用があるから、その方、代 00047060M18ミやくに行べしといひ付られ、かしこまつたと、翌日/乗物(のりもの) 00047070M19にのりちらし、(十五ウ)/病家(べうか)へ見まへバ、御/親父様(しんぷさま)の御り 00047080M20やうぢで、今日ハ大ぶんよろしく、/隣(となり)へちとはなしにまい 00047090¥P140 00047100L1つたの、いや/一家(いつけ)どもへまいつたのとて、脉見せるものも 00047110L2なく、はやく帰る。/親父(おやぢ)、いかゞ(十六オ)ととへば、/右(ミぎ)の 00047120L3通をはなす。親父まゆにしハをよせ、それミおれ。おのれ 00047130L4が不/断(だん)そハ+しおるによつて、病家ども残らず、/本復(ほんぶく)を 00047140L5つかつた 00047150¥N19¥J 00047160¥Xほうらい/山(さん)(十六ウ) 00047170L8ほうらい山と/名(な)をつけた/蚊屋(かや)がある。ソレハさぞよい蚊屋 00047180L9であらふと行て見れバ、松竹のもやふをそめたもじのかや 00047190L10なり。よさハよいが、大分やぶれが見へる。Sハテ、そこ 00047200L11がほうらいの(十七オ)しるしだ。なぜといへば、Sつると 00047210L12かめがゐる 00047220¥N20¥J 00047230¥X/彼岸(ひがん) 00047240L15ひがんといふものを見たか。Sこれ、おのしハとんだ事を 00047250L16いふ男だ△Sイヤ+、たしかに(十七ウ)見た△Sそれハ 00047260L17どんなものだ△Sなんだかしらぬが、/庭(には)をむく+するか 00047270L18ら、真木をもつて飛おりたら、おふくろが、Sこれ+、 00047280L19ひがんだぞ+ 00047290¥N21¥J 00047300¥X/鞠(まり)(十八オ) 00047310M3御/無心(むしん)ながら、鞠をちと、おかしなされて下さりませ。 00047320M4Sアイ、おやすい御用でござりますが、此方にもふつてい 00047330M5で、一つの鞠を、四人でけております(十八ウ) 00047340¥N22¥J 00047350¥Xばけ物 00047360M8ばけものやしきへ見とゞけにゆきしに、いろ+のばけも 00047370M9の出る。此おとこ、少しも/臆(おく)するけしきなく、もう/芸(げい)づく 00047380M10しハそれぎりかと(十九オ)せめられ、ばけものもこまり、 00047390M11そのゝちハ出ず。さて+、たけのしれたばけ物めといふ 00047400M12うち、しのゝめのそら、/烏(からす)がかあ+。間もなく日も出れ 00047410M13バ、さらバ帰り、此おも(十九ウ)むきを申上、御ほうびを 00047420M14もらひ、此やしきぐるミしてやらんと、よろこびいさミて 00047430M15/外(そと)へ出ると、まつくらになり/星(ほし)月夜。これハひとあしもひ 00047440M16かれぬといへバ、ばけ物S何ンと、(二十オ)あたらしいか 00047450¥N23¥J 00047460¥X/風(かぜ) 00047470M19/浪人(らうにん)、かミこはおりに/赤鰯(あかいはし)を一本きめてあるく。跡から、 00047480M20もし+、おわきざしにそりが打てござります。浪人S今 00047490¥P141 00047500L1の風でさ(二十ウ) 00047510¥N24¥J 00047520¥X/飛脚(ひきやく) 00047530L4/早飛脚(はやびきやく)、いきを/切(き)つて、/京(けう)から江戸まで三/日(か)につく。Sド 00047540L5レ+、なんぞ/急用(きうやう)だらふ。/書状(しよぜう)ハどこにある△Sイヤ、 00047550L6/御状(ごぜう)ハまいりませぬ△Sシテ+、何/用(やう)に(二十一オ)きた 00047560L7Sサレバ、何事でござるか、ぞんじませぬ△S大べらぼう 00047570L8めが。何ゆへに/飛脚(ひきやく)にきたと、しかりつけられ、Sいま 00047580L9+しい。/今度(こんど)から/状(ぜう)のない/飛脚(ひきやく)などに、やとはれるもん 00047590L10じやアねへ(二十一ウ) 00047600¥N25¥J 00047610¥Xしん/宅(たく) 00047620L13/新宅(しんたく)へひきうつり、三助がはき/掃除(さうぢ)の所へ、近比御/無心(むしん)な 00047630L14がら、/雪隠(せつちん)をかしてたもれ。三介Sおやすい事ながら、け 00047640L15ふはじめて引うつり、まだ/主(あるじ)も(二十二オ)はいらぬ内でご 00047650L16ざれバ、御断申ます。さむらいもしかたなく、/尻(しり)もぢ+ 00047660L17して出て行。旦那きゝつけ、三介をしかり、跡よりおひか 00047670L18けて、おかし申せといはれ、はうきを打すて、やう+ 00047680L19(二十二ウ)おひつき、/旦那(だんな)にしかられました。ひらにお返 00047690L20りなされ。御用御たしなされませといへば、/侍(さふらひ)、少しはら 00047700M1をたち、かへつてそふ申てくりやれ。たれたも/同前(どうぜん)でござ 00047710M2る(二十三オ) 00047720¥N26¥J 00047730¥Xひきはた 00047740M5/章魚(たこ)、わきざしのひきはだをひろひ、これハよい/革単皮(かハたひ)だ 00047750M6とはいて/居(ゐ)るを、うなぎが見付て、八本の足に一本ばかり 00047760M7たびをはいてハ、/寒(さむ)さふせぎにハなるまい。(二十三ウ)お 00047770M8れに下されともらひかくる。たこSそして/貴様(きさま)ハ何にしや 00047780M9る△うなぎSおれがもつと、/火事羽織(くハじばおり)にする 00047790¥N27¥J 00047800¥Xあたまはり 00047810M12はなうたをうたひ通る。/行(ゆき)(二十四オ)ちがひに、したゝか 00047820M13あたまをはる。大きにはらをたち、すいさん千万。/弓矢(ゆミや)八 00047830M14/幡(まん)、ゆるさぬととびかゝるを、きさまハたとへをしらぬ/男(おとこ) 00047840M15だ。Sなんだ△Sハテ、/出(で)る/首(くび)うたるゝといふハさ(二十 00047850M16四ウ) 00047860¥N28¥J 00047870¥X 00047880M19米つき、/渡世(とせい)に行つまり、拾/両(りやう)あまりの/借金(しやくきん)ゆへ、跡へも 00047890M20先へも/行(ゆき)がたく、/立臼(たちうす)をつく※ながめ、むかし/菊之烝(きくのぜう)ハ 00047900¥P142 00047910L1/手水鉢(てうずばつ)にて、むけんの/鐘(かね)をつき、三百両といふ大/金(がね)をつ 00047920L2(二十五オ)き出した。拾両ばかりハなんのそのと、/持(もつ)たる 00047930L3/杵(きね)を/柄杓(ひさく)となし、/一臼(ひとうす)つけばぐハつたりと、ふしぎや、 00047940L4/忽(たちまち)/小判(こばん)三両。むしがへしに、も一つつけば、/小判(こばん)ハくだ 00047950L5けて、たつた壱/歩(ぶ)。是ハしたり。つきべりがした(二十五ウ) 00047960¥N29¥J 00047970¥X/乞食(こじき) 00047980L8/武士(ぶし)の/真似(まね)をする/乞食(こじき)あり。やぶれごもを/上下(かミしも)として、/犬(いぬ) 00047990L9を/引馬(ひきむま)とし、又ハ竹の/先(さき)をそぎて/鑓(やり)をこしらへ、/毎日(まいにち)ふり 00048000L10/廻(まハ)して、/往来(わうらい)の(二十六オ)/邪魔(じやま)にもなるほど也。ある日、 00048010L11/蛇塚(へびづか)/蛇(じや)五右衛門殿といふ/武士(ぶし)一人/通(とふ)りかゝりしが、かの/乞= 00048020L12食(こ=じき)の/竹鑓(たけやり)、/武士(ぶし)の/眉間(ミけん)にあたり/疵(きず)つきけれバ、/蛇塚(へびづか)大きに 00048030L13はらをたち、かのこじき(二十六ウ)をさん※に/胸打(むねうち)しけ 00048040L14れバ、もはや/息(いき)もたへ※になる時、つれのこじきども、 00048050L15さま※とわびことして、事すミたり。さてうたれたるこ 00048060L16じきハ、/手足(てあし)もなへて、(二十七オ)小屋へ帰る事もかなハ 00048070L17ず。つれのこじき、/口&(くち※)に、こんな事があらふと思つて、 00048080L18/毎度(まいど)/異見(いけん)をするのだハ。モウ+ふつ+、/武士(ぶし)のまねを 00048090L19やめやれといへば、何がさて、これにこり(二十七ウ)ぬ事 00048100L20があるものか。なにとぞ小屋へつれかへりてくだあれと、 00048110M1手を/合(あハ)すれバ、つれの/乞食(こじき)もあはれに思ひ、やぶれたるむ 00048120M2しろのもつかうにのせて、かきあぐれバ、くるしき/息(いき)(二十 00048130M3八オ)の/下(した)よりも、ヤア/家来(けらい)ども。/駕篭(かご)やれ 00048140¥N30¥J 00048150¥X/浦(うら)しま 00048160M6うら/島(しま)太郎、/乙姫(おとひめ)にむかひ、/故郷(こきやう)こひしく候ゆへ、/一寸(ちよつと)か 00048170M7へりましたれば、これ、この(二十八ウ)やうに/年(とし)がよりま 00048180M8した。何とも申かねたが、/玉手箱(たまてばこ)をも一つ下されかしとい 00048190M9へば、/乙姫(おとひめ)うなづき、左様ならバ、これを/持(もつ)てお出と、/例(れい) 00048200M10の/玉手箱(たまてばこ)をわたされしかバ、/浦島(うらしま)、なんでも(二十九オ)(二 00048210M11十九ウ・又オ挿絵)此度の玉手ばこハ、さだめてわかくなる/箱(はこ) 00048220M12であらふと、/海上(かいしやう)へうかむやいなや、/蓋(ふた)をひらけばこハい 00048230M13かに、あつちから三/下(くだ)り/半(はん)の/去(さ)り/状(ぜう) 00048240¥N31¥J 00048250¥Xまごの手(又ウ) 00048260M16なんぞ/風(ふう)がハりの道具をかハんと、うろ+見廻り、/将棊(せうぎ) 00048270M17ばんの/両(りやう)めんハないか。道具屋もあきれはて、ハイ。/出来= 00048280M18合(でき=あい)ハござりませぬ。そんならよしと、又一/軒(けん)へ(三十オ)行、 00048290M19なんと、ちろりの両口ハないかとたづね、サテ+、/下町(したまち) 00048300M20ても思ふ様な物ハないとつぶやき、そんなら/孫(まご)の手のにぎ 00048310¥P143 00048320¥G(二十九ウ・又オ) 00048330M1りこぶしハないか。/道具(どうぐ)や、なぶらるると思ひ、/腹(はら)をたち、 00048340M2にぎり(三十ウ)こぶしハこゝにござると、/腕(うで)をまくつて出 00048350M3せば、/買手(かいて)コレ+、ちつと、せなかたゝいて/下(くだ)され 00048360¥N32¥J 00048370¥Xかるわざ 00048380M6/上竿奴(かるわざし)、ぢごくへ落て、/閻(ゑん)(三十一オ)/王(わう)の前に引出されし 00048390M7かバ、/汝(なんぢ)、しやばにありし時、人の目をかすめて/銭(ぜに)をせし 00048400M8めし/咎(とが)により、/劔(つるぎ)の山の/責(せめ)に申付るとのたまへば、是ハゑ 00048410M9ん王の仰ともぞんじま(三十一ウ)せぬ。/拙者(せつしや)、/魔術(まじゆつ)ハおこ 00048420M10なハず、人の/目(め)ハかすめず、/幼少(ようせう)よりしゆれんにて、/篭(かご)ぬ 00048430M11け、つなわたりを仕と、/席(せき)をたゝいていふに、大王、ほく 00048440M12+うなづき給ひ、/然(しか)らば/汝(なんぢ)が/術(じゆつ)(三十二オ)が見たい。し 00048450M13よもう+とのぞまれ、ずつと立て、さて御断申上まする。 00048460M14/篭(かご)ハなし/綱(つな)ハなし。あれなる/赤鬼(あかおに)の/口(くち)よりはいり、/尻(しり)へぬ 00048470M15けて御目にかけます。いづれも様。おはやしなさい。おつ 00048480M16(三十二ウ)と心得たと、どら、/鐃鉢(にやうはち)をたゝき立れば、その 00048490M17/拍子(へうし)に、口より/尻(しり)へぬけて出て、さて是よりハ、/尻(しり)よりは 00048500M18いり口へぬけます。@鬼、鼻を△|つまみて、@S夫ハ/御免(ごめん)+ 00048510¥P144 00048520¥N33¥J 00048530¥X/銭湯(せんたう)△(三十三オ) 00048540L3ごめんなされい。/冷物(ひえもの)でござりますと、ずつとはいつた所 00048550L4が、/熱湯(ねつたう)にて、中+/下(した)にしづむ事ならず。是ハあついと、 00048560L5/風呂(ふろ)をたゝけど、一/向(かう)うめる/様子(やうす)なし。あまりあつさに 00048570L6(三十三ウ)/飛出(とびで)て見れバ、/腰(こし)から/下(しも)ハ/真赤(まつか)になる。コレ、 00048580L7/番頭(ばんとう)どん、見てくんねへ。おれがなりハ、しつかい/宝引(ほつぴき)な 00048590L8ハの/様(やう)だ 00048600¥N34¥J 00048610¥X/寺侍(てらざふらひ) 00048620L11/侍(さふらひ)/奉公人(ほうこうにん)ふたり出合、イヤア新五。(三十四オ)/貴様(きさま)ハど 00048630L12こに居る。S四/国(こく)のさるやしきに。ソシテ△Sきさまはど 00048640L13つちにすんだ。/谷中(やなか)の/道楽寺(だうらくじ)に。S寺にハなんぞおもしろ 00048650L14い事でもあるか△Sあるとも+。/小僧(こぞう)ハ/今川(いまがハ)をよむ。/和= 00048660L15尚(お=しやう)(三十四ウ)ハいろはへ/行(ゆく) 00048670¥N35¥J 00048680¥X/硝子(びいどろ) 00048690L18/中洲(なかず)の/新地(しんち)に、びいどろ/細工(さいく)があるといふが、どふだ。 00048700L19Sイヤハヤ、きれいなさいくだ。てうど、よい/娘(むすめ)をさかさ 00048710L20につるした様だ(三十五オ) 00048720¥N36¥J 00048730¥X/精進(せうじん) 00048740M3/下女(げちよ)のさんをよんで、/今朝(けさ)もらつた/肴(さかな)を、にてくれろ。女 00048750M4房Sモシヘ、/旦那(だんな)さま。今日ハせうじん日でござります 00048760M5Sマテヨ。けふハ何もせうじん日じや(三十五ウ)ないはづ 00048770M6だが△女房Sけふハ/先(せん)の/仏(ほとけ)の日でござります△Sなんじや。 00048780M7/先(せん)のほとけの日だ。/夫(それ)になんの/精進(せうじん)する事があるもんだ△ 00048790M8女房Sおまへさまも、よふ思つてもごろうじませ。先(三 00048800M9十六オ)のぬしがかせがれたればこそ、かやうに/安楽(あんらく)にくら 00048810M10すじやないか。/亭主(ていしゆ)、はらをたち、Sおれがなんぼ/入聟(いりむこ)じ 00048820M11やとて、そのやうにおれをふミつけにする。いま+しい。 00048830M12/是非(ぜひ)+/肴(さかな)をくハねば(三十六ウ)ならぬ△Sイヘサ。なん 00048840M13のおまへをふミつけにいたしませう。しかし、けふハどふ 00048850M14ぞ/精進(せうじん)なさりませ△Sイヤ+/喰(くハ)ふ△Sイヤ、お/精進(せうじん)をと、 00048860M15/夫婦(ふうふ)げんくハやまず。/仲間(ちうげんの)八介きゝかねて、おくさまも 00048870M16+、旦那(三十七オ)さまもたんなさまも、なにおつしや 00048880M17ります。しかしおくさま。そのやうに/先(せん)の/仏(ほとけ)+とおつし 00048890M18やつてハ、今の/仏(ほとけ)にさハります(三十七ウ) 00048900¥N37¥J 00048910¥X/褌(ふんどし) 00048920¥P145 00048930L1/隣(となり)のぼうさん、おいでか。おかゝさんハ何をしてじや。 00048940L2Sおかゝさんハ/椽頬(ゑんがハ)で、/豊後節(ぶんごぶし)の/本(ほん)をよんで△Sおとゝさ 00048950L3まハ何をして△Sおとゝさんハ椽頬で、ふんどし(無丁オ) 00048960L4をよんで 00048970¥N38¥J 00048980¥X/新宿(しんじゆく) 00048990L7新宿の女、/箪笥(たんす)から/銭(ぜに)を五百なけだし、是でなんなと、う 00049000L8まい物をかつて/来(き)てくんなんし。S若い者これハきついお 00049010L9ごり(無丁ウ)なさりよふ。おめでたふ存ますといへは、女 00049020L10Sほんに/夢(ゆめ)を見たやうに。夕べの/客衆(きやくしゆ)に、/耳(ミヽ)をそろへて弐 00049030L11/分(ぶ) 00049040¥N39¥J 00049050¥Xどうらん 00049060L14どうらん、/瘧(おこり)をふるい、やせ(無丁オ)おとろへて/居(ゐ)ける折 00049070L15ふしに、/緒〆(おじめ)見まいに来て、どふじや。/食(しよく)ハなりますか。 00049080L16Sけふハ大分よくて、ねつけがとれました△Sハアそんな 00049090L17ら落ませう(無丁ウ) 00049100¥N40¥J 00049110¥Xうらなひ 00049120L20/状箱(せうはこ)/持(もち)たる/仲間(ちうげん)、/柳原(やなぎハら)を/通(とふ)りながら、さて+けさからさ 00049130M1がすが、おやしきがしれぬ。たしか此/辺(へん)だときいたが、も 00049140M2し間/違(ちがひ)ハしなんだか。イヤ、さいハゐ、こゝに(四十一オ) 00049150M3/算(さん)おきがゐる。ドリヤ一つ、うらなつてもらハふと、/紙烟= 00049160M4草入(かミたば=こいれ)から十二/銅(とう)ひねつて/差出(さしいだ)せバ、/算置(さんおき)、/小首(こくび)をかたふけ、 00049170M5これハ/急(きう)なお/使(つかい)と見へる。S/成程(なるほど)、左様でござります 00049180M6Sかハつ(四十一ウ)た八/卦(け)のおもてがあらハれた△Sなん 00049190M7とござります△Sヱヘ+、/先(さき)の/辻番(つぢばん)に/問(と)ふべしとある 00049200¥N41¥J 00049210¥X五十/服(ふく) 00049220M10コレ長兵衛。こんたハきつい/煙艸(たばこ)(四十二オ)ずき。/一(いち)どき 00049230M11に何ぶくほどのミやる。五十ぷくつゞけてのまバ壱/歩(ぶ)やら 00049240M12ふ。長兵衛これハけつかうなもの。五十ぷくや六十ぷくハ 00049250M13心やすい事。コリヤおもしろい。/見物(けんぶつ)しようと、(四十二ウ) 00049260M14そばからはやされ、のむほどにのむほどに、廿四五ふくの 00049270M15んで、サテ思ひの/外(ほか)のめぬハ。イヤのめ+と、/段&(だん+)つい 00049280M16であてがへば、三十四五ふくのミ、モウ/目(め)かくらんでかな 00049290M17ハぬと/迯出(にげだ)(四十三オ)す。跡よりハ/追(おつ)かける。十四五丁も 00049300M18にげし所に、大きなる/寺(てら)あり。/寺内(じない)へにげこみ、私ハ跡よ 00049310M19り/追人(おつて)のかゝるもの。なにとぞおかくしとたのむ。/住僧(ぢうそう)き 00049320M20ゝとゞけ、つり/鐘(がね)をおろし、その(四十三ウ)下にかくし置 00049330¥P146 00049340L1しに、/追人(おつて)のものども、/棒(ぼう)ちぎり木にてたづねきたる。/住= 00049350L2僧(ぢう=そう)、まことしやかに、うら/門(もん)よりぬけ出しといへは、/誠(まこと)と 00049360L3心得、/帰(かへ)りけり。サアもはや/気(き)づかひなしと、/釣(つり)がね(四 00049370L4十五オ)あぐれバ、長兵衛、大いきホツとつき、ヤレ+/気(き) 00049380L5づまり。まあ/一服(いつぷく)のませて/下(くだ)され 00049390¥Y/春笑一刻(しゆんせういつこく)終△△△△△(四十五ウ) 00049400¥Q 00049410M2/家賀美餅(かがミもち)△はなし本 00049420M4/春笑一刻(しゆんせういつこく)△同 00049430M6△剞■氏△松本錦寿 00049440M8△△安永七戊戌春 00049450M9△△△△市谷田町四丁目 00049460M10△書林△△△△冨田屋清次 00049470M12△△△△△△△△△△吉蔵 00049480¥P147 00049490¥U噺本大系△第十一巻 00049500¥T/乗合舟(のりあいぶね)〔序文〕 00049510¥G 00049520¥Y 00049530L17安永七年正月刊 00049540L18風来散人序 00049550L19柏原作兵衛板 00049560L20小本一冊 00049570¥Y序 00049580M3昔+/糊(のり)を/摺(する)ばゝも/歯(は)なし、なめた/雀(すゝめ)も/舌(した)を切て/放(はな)し、/裏(うら) 00049590M4の/山椒(さんしよ)の木を/研木(すりこき)に(一オ)/削(けずる)もはなし。いづれはなしの/世(よ) 00049600M5の中、/今歳(ことし)/時花(はやる)といへば、浅草の開帳に、/飛(とん)だ/霊宝(れいほう)の/拵(こしら)へ 00049610M6もの、(一ウ)能ひと/悪(わる)ひハ見る人の上手、噺の古ひのも/聞(きゝ) 00049620M7上手とやら、/駒(こま)方からの/乗(のり)合も、やたらはなしを/鉄炮洲(てつほふづ)の 00049630M8(二オ)船付迄、はや/作(つく)りを書つゞれハ、/怪(あやし)ふこそ物ぐるお 00049640M9しけれ 00049650M11△△△安永七つ△△△△△△△△風△来△散△人 00049660M12△△△△△はつ春 00049670M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二ウ) 00049680¥P148 00049690¥N1¥J 00049700¥X○色男 00049710L3いかにも色男と見へる仕立の/息子(むすこ)、/観音(くわんおん)参りに行キける。 00049720L4折節/跡(あと)より本田手合のいき人、二三人/連(つ)れにて、なんと、 00049730L5あの男ハ/能(いゝ)男たが、/芸者(げいしや)(三オ)とも役者とも見へず。定て 00049740L6金持の息子かぶたか、いやらしい/風俗(ふうぞく)と、はなしなから、 00049750L7二十軒の/蔦(つた)屋へやすめバ、同ク/彼(かの)息子も休む故、さぞ/腰(こし)の 00049760L8物も/立派(りつぱ)ならんと思ひ、(三ウ)/若(もし)、ぶしつけなから、御/腰(こしの) 00049770L9物拝見いたしたいといへバ、何さ。/麁物(ざつぶつ)さと差出すを、能 00049780L10+見れバ/悪(あく)物故、皆+あきれて、おまへの御人がらに 00049790L11も似合ぬ(四オ)御腰物といへバ、何さ。女の目に付く物で 00049800L12ハなし 00049810¥N2¥J 00049820¥X○仙台女 00049830L15心安ひ/同士(とうし)、新橋/辺(へん)にて行合ひ、これハ/先生(せんせい)。どつちへの 00049840L16御/来臨(らいりん)。Sあたごの開帳さ。(四ウ)イヤ、あたごへ御出な 00049850L17ら、定てあたこの下の仙台が出ましたが、御/覧(ろう)したか。い 00049860L18かにも見ましたが、千第ハ花にもなかつた 00049870¥N3¥J 00049880¥X○贔屓△(五オ) 00049890M1/堺(さかい)町ひいきのいふ、富十郎で勘三も今度ハ名を上ケたとい 00049900M2へハ、ふきや丁ひいき、イヤ、/羽(う)左衛門も/露孝(ろこう)が/羽衣(はころも)で名 00049910M3を上ケました。/木挽(こひき)町手合も/負(まけ)ぬ気で、(五ウ)木挽町も幸 00049920M4之助が名をあげました 00049930¥N4¥J 00049940¥X○/功慶子(こうけいし) 00049950M7大病人、/■(しやくり)が出、もはや/医者(いしや)も皆+/断(ことハり)をいふ故、いかゞ 00049960M8せんと思ふ処へ、/隣(となり)の内義(六オ)見/舞(まい)に来り、此間/売歩行(うりあるく) 00049970M9てうせんの/功慶子(こうけいし)を御/用(もち)ひ被成と、すゝめ帰る。其あとへ 00049980M10一ツ/家(け)寄合けれバ、/今(いま)/隣(となり)の御内義が、何か/妙(めう)薬が有とはな 00049990M11されましたが、とんと(六ウ)其名をわすれたりとて、/壁越(かべご) 00050000M12しに、若、おかミさん。今の御薬の名はなんと申ますと問 00050010M13へバ、隣の内義、大声にて、てうせんの功慶子といへば、△ 00050020M14S病人しやくりにて、ハツアツヽヽヽ(七オ) 00050030¥N5¥J 00050040¥X○薬買 00050050M17本町三丁目の/薬種(きくすり)屋へ、殊の外/痩(やせ)おとろへたる者、よふ 00050060M18+と見せへ/腰(こし)をかけ、まづため/息(いき)/継(つい)で、なんと、水の/減(へる) 00050070M19薬ハ御座らぬかと(七ウ)とへバ、亭主聞て、其/弱(よハ)+とし 00050080M20た御/顔(がん)しよくに、水の減薬をのんで、とふなさるゝといへ 00050090¥P149 00050100L1バ、イヱ+、/妾(めかけ)や女房に用ひます 00050110¥N6¥J 00050120¥X○物/忌(いミ) 00050130L4去ル旦那殿、/猿(さる)に其まゝなれ(八オ)ば、/家(か)内、/猿(さる)といふ事 00050140L5をゑんりよしけり。/或(ある)はつ春に至り、元日/早朝(そうてう)に/別家(べつけ)の/伴= 00050150L6頭(ばん=とう)、年始に来り、旦那殿の前へ出て、/先(まづ)/未(ひつし)の年も首尾能御 00050160L7/越(こへ)あそばされ、はや/申(さる)の(八ウ)元日といふやいなや、旦那、 00050170L8目をむき出し、おれがまへで猿と申ハ/慮外(りよぐわい)千万。/向後(きやうこう)出入 00050180L9無用としかり給へバ、伴頭、手にあせをにぎり、さよふ仰 00050190L10られましてハ、私、木から/落(おち)ましたと(九オ)/云(いゝ)さして、旦 00050200L11那の顔をなかめ、木から落ました/猫(ねこ)で御座ります 00050210¥N7¥J 00050220¥X○むしん 00050230L14よたか共/寄(よ)り合、扨此よふに段+と銭が安くなり、元四 00050240L15〆(九ウ)くらいの時も廿四文。今/頓(やが)て六〆になれ共廿四文。 00050250L16むかしからきわまれハ直上ケもならす。これハとかく、/客(きやく) 00050260L17へむしんいふがよからふと/相談(そうだん)し、扨むしんといふもの、 00050270L18つゐに(十オ)云かけた事がないゆへ、吉原の女郎、客へむ 00050280L19しんいふに、百両と云かけれハ五十両ハ/貰(もろ)ふといふ事、/耳(ミヽ) 00050290L20に聞覚、なんでも客にいをふと待て居る処へ、なじミの折 00050300M1介来(十ウ)けれバ、アイ、おめへを待ていやした。わつち 00050310M2もなくちやあならねへ事が/出来(でき)たから、とふぞ百両かして 00050320M3くんな。手元にねへなら五十両てもいゝ。残り四十六両ハ 00050330M4おそくつても(十一オ)(十一ウ・十二オ挿絵) 00050340¥N8¥J 00050350¥X○文箱 00050360M7吉原の女郎、なじみの/客(きやく)に/向(むか)ひ、モシヱ、ぬしの/紋(もん)とわた 00050370M8しが紋をひよく紋に/蒔絵(まきへ)にして、文箱が/欲(ほし)ふ有んすといへ 00050380M9バ、S客それハ/実(じつ)(十二ウ)持てくれる気なら、あつらへて 00050390M10/遣(やろ)ふと、内へ帰て、そふ+ぬしやへ云付、間もなく出来 00050400M11けれバ、しんくの/紐(ひも)を付てもたせて/遣(や)り、其後吉原へ趣、 00050410M12大門をはいると、向ふから禿か(十三オ)/彼(かの)文箱を持て/来(く)る 00050420M13故、定ておれが所へ持て来るので有ふと、そろ+禿の跡 00050430M14より行見れバ、/餅(もち)屋へ/這(は)入、十二文かあんころを 00050440¥N9¥J 00050450¥X○九年ぼう(十三ウ) 00050460M17出見世から本店へ手紙を/添(そへ)て、九年ぼ十ヲ、/田舎(いなか)より/到来(とうらい) 00050470M18のよし、申/遣(つか)ハせしに、使の者、あまり/喰(く)ひたさのまゝ、 00050480M19一つ/袂(たもと)へくすねて差出せば、旦那、手紙をよミ、是ハ手紙 00050490M20(十四オ)にハ十ヲと有がといへハ、使の者、一大事/露顕(ろけん)の 00050500¥P150 00050510¥G(十一ウ・十二オ) 00050520M1心地にて、是ハぶ/調(てう)法。一年ほ、爰に御座ります 00050530¥N10¥J 00050540¥X○灸 00050550M4こし元、旦那に/灸(きう)を/居(すへ)しに、(十四ウ)たひ+落すゆへ、 00050560M5旦那にしかられ、次の間へ来り、コレおせんとの。わたし 00050570M6が替りに行てくんな。なせといへバ、きゝなさへ。しわひ 00050580M7旦那じやアねへか。度+落すから、すへるなとよ。一/土= 00050590M8器(かわ=らけ)落して(十五オ)高が四文だ 00050600¥N11¥J 00050610¥X○/首(くび)売 00050620M11本所/割(わり)下水の/辺(へん)を、くび売ふ+と、せつて/歩行(あるけ)バ、或殿 00050630M12様、其節御/調(とゝのへ)被成し政/宗(むね)の刀、御ためし被成度旨。早& 00050640M13(十五ウ)/彼(かの)首売を呼込、首ハいか程で売ぞと、役人/問(と)へハ、 00050650M14ハイ、壱両で差上ませうといふ。それハ下直なりとて、首 00050660M15売を土/壇(だん)にすへ、政宗の刀を/抜(ぬい)て/討(うち)かけ給へバ、首売、身 00050670M16をひねり、たもと£(十六オ)/張子(はりこ)の首をなけ出せハ、殿様、 00050680M17御/立腹(りつふく)にて、/己(おのれ)が首を調て置たとの給へバ、S私か首は、 00050690M18かんばんで御座ります 00050700¥N12¥J 00050710¥X○文 00050720¥P151 00050730L1息子/遣(つか)ひ過し、座敷/牢(らう)へ(十六ウ)入れ置しに、吉原からの 00050740L2文、/親仁(おやじ)の手に入り、ひらき見れバ、随分/細字(さいじ)に紙のいら 00050750L3ぬよふに/短(ミじか)くしたゝめ、物の入らぬ小/指(ゆび)を切り、/蛤貝(はまくりかい)に 00050760L4入れ/送(おくり)しを、親仁かんしんして、息子(十七オ)か前へ持行、 00050770L5是、見おろふ。世間でハ此よふニ/商売(しやうばい)に身にしみる 00050780¥N13¥J 00050790¥X○婚礼 00050800L8/仕(し)事師、/婚(こん)礼/振(ふる)廻に/招(まねか)れ、したくをして出かけるところへ、 00050810L9(十七ウ)友達来り、おのしやあ、帰る時の/言(ことバ)を知ているか。 00050820L10いや、しらねへ。おせへてくりやれ。Sかならずな、御/暇(いとま) 00050830L11申の、帰りませうのと云事ハきんもつだ。そして、なんと 00050840L12いふベイ。ひらきましやうといゝやれ。(十八オ)ヲヽのミ 00050850L13込山だと、彼座敷へ行、/鱠(なます)のけんのくねんぼう迄してやり、 00050860L14/膳(ぜん)が引るやいなや、しびれをきらし、御亭主さん。わたし 00050870L15やあ、/欠落(かけうち)いたしやす 00050880¥N14¥J 00050890¥X○おく病(十八ウ) 00050900L18おくびやうなる盗人、ちとかせいて/来(こ)よふと、黒しやうぞ 00050910L19くにて出かけ、/或(ある)/表(おもて)店をうかゞへハ、/夫婦(ふうふ)のくぜつ。こ 00050920L20い/さ((ママ))あいつ/寐(ね)よふもしれねへと、其隣リをうかゝへハ、物 00050930M1しづか故、だん+(十九オ)戸をこぢはなして/這(は)入て見れ 00050940M2バ/明(あき)店。Sどろぼう、ため/息(いき)をつい/で((ママ))、まづ/首(くび)の気/遣(つかい)ハな 00050950M3し 00050960¥N15¥J 00050970¥X○占 00050980M6/広小路(ひろこうち)の人立おゝき所に、(十九ウ)御うらなひ所と、かん 00050990M7ばん出して有るよしづ張りのまへに、子共大勢/集(あつま)りて、/悪(わる) 00051000M8さしている処へ、これ+、子共衆。こゝらに上手なうら 00051010M9なひ者ハどれじやととへバ、子共ら/指(ゆび)をさし、アレ、向 00051020M10(廿オ)へいきなさへとおしへれハ、/側(そば)のうらなひ、是を聞 00051030M11てとんで出、こりや、かきども。見せ先をふさくさへある 00051040M12に、/商売(しやうばい)の/邪魔(しやま)をしをる。親たちにことハらにやおかぬ。 00051050M13内を/云(い)へ+と、き(廿ウ)め付れバ、S子共あてゝ見な 00051060¥N16¥J 00051070¥X○掛物 00051080M16さる所へ行、/床(とこ)の掛ものを見るに、/画(ゑ)のうへに何やら書て 00051090M17有ゆへ、Sもし、あのゑの上の書付ハ、何で御座りますと 00051100M18きけバ、(廿一オ)Sてい主あれハ/賛(さん)で御座りますといふ。又 00051110M19外へ行て床を見るに、掛ものに/文字(もんじ)が書て有故、もし、あ 00051120M20の掛地に書たハ、さんで御座りますかととへバ、Sイヤ、 00051130¥P152 00051140L1あれハ/詩(し)て御座ると(廿一ウ)いふ。又外て掛物を見るに、 00051150L2是にも何か書てある故、アレハ四でこさりますかととへバ、 00051160L3イヽヱ、/語(ご)で御座るといふ。扨+段&違ふ物と思ひ、其 00051170L4後去かたへ行、掛物見るに、又書付が有故、(廿二オ)思ひ 00051180L5切て、若、あれハ六でござりますなと/問(と)へバ、Sてい主い 00051190L6へ、これハ/質(しち)で御座る 00051200¥N17¥J 00051210¥X○見廻 00051220L9/堀(ほり)の船宿来り、しほぎぬさん。おめへのおなじミの/貧公(ひんこう)さ 00051230L10んが、夕(廿二ウ)/部(べ)の火事に、たちのまゝに御成被成まし 00051240L11たが、御見廻ても御/遣(やり)なされぬかといへバ、アイ、何ぞや 00051250L12りやしようとしあんして、おゝそれ+。/菰(こも)を二三枚遣り 00051260L13やしようといへバ、船宿きもをつぶし、(廿三オ)是はかり 00051270L14でハ、こやかけのたしにも成ませぬといへバ、S女郎何、 00051280L15ぬしの/着(き)る程あれバいゝ 00051290¥N18¥J 00051300¥X○湯屋のけんくわ 00051310L18/侍(さむらい)、/風呂(ふろ)の中てけんくわを初め、これ亭主。/喧嘩(けんくわ)の相手 00051320L19を出せ。(廿三ウ)S亭主もふふろにハ、たれもおりませぬ 00051330L20といへバ、ナニ、居るはづだと、又はたかに成り、風呂へ 00051340M1とび込、湯番。/笊(ざる)をかしやれ 00051350¥N19¥J 00051360¥X○なら漬 00051370M4/賀(が)の祝ひに呼れ、/膳(ぜん)を出した(三十オ)所がむまひ物ぞろひ 00051380M5故、だん+してやり、なら/漬(づけ)の/香(こう)の物、是ハ/嚊(かゝあ)が所へミ 00051390M6やげにしよふと残し/置(おけ)バ、/傍(そば)に/居(すハ)りし相客、権兵衛がなら 00051400M7漬の香の物を、そしらぬ顔にてはさんで/喰(く)へバ、権兵衛 00051410M8(三十ウ)むつとしたれども、むねをおさへ、御亭主様。拙 00051420M9者義ハぶし付けなから、中座いたします。いかひ御ちそう 00051430M10に相成ましたと、ずつと立を、傍に/居(すハ)りし客、もし権兵衛 00051440M11様。御/扇子(せんす)が残りました(廿五ノ三十一オ)(廿五ノ三十一ウ・三十 00051450M12二オ挿絵)といへバ、権兵衛立帰り、コレ、長兵衛殿。わし 00051460M13が、扇子をわすりようが、なら漬をわすれよふが、いかひ 00051470M14お世話さ 00051480¥N20¥J 00051490¥X○義大夫 00051500M17去ル隠居、義太夫ぶしの/高慢(こうまん)(三十二ウ)をいふ故、居合せ 00051510M18し者共、どふぞ承りたひと、しよもふすれバ、内の娘も、 00051520M19御/語(かた)りなされやしと、隠居をせめれハ、Sいんきよさよふ 00051530M20なら一段かたりましよふと、うなり出せバ、大の/下手(へた)ゆへ、 00051540¥P153 00051550¥G(三十九ウ・四十オ) 00051560M1聞/人(て)も(三十三オ)そろ+/迯足(にげあし)に成り、跡にハたつた壱人 00051570M2残りし故、Sいんきよ貴公斗リハ義大夫が御/好(すき)と見へて、 00051580M3御残り被成、拙者も/語(かた)るはり合が御座るといへバ、Sナニ、 00051590M4おめへに/扇(あふぎ)をかしたから 00051600¥N21¥J 00051610¥X○燈篭見物(三十三ウ) 00051620M7田舎もの、女郎やより/燈篭(とうろう)見物に廻り、さらハ元あがりし 00051630M8女郎屋へ帰ふと/尋(たづね)しに、知れす。されども、よふ+少し 00051640M9の目あてを思ひ出し、若ひ者を呼出し、/先(さき)程せんじ(三十四 00051650M10オ)の羽織を着て、燈篭見に出し/客(きやく)が有かと聞バ、成程、 00051660M11御出被成ましたが、まだ御帰りなされませぬといへバ、其 00051670M12客ハおれか。見てくりや 00051680¥N22¥J 00051690¥X○下手せうぎ(三十四ウ) 00051700M15/結城(ゆうき)へ/紬(つむき)/買(かい)出しに行。打つゞく/雨(あめ)にふりこめられ、せうぎ 00051710M16の相手を/乞(こひ)けれバ、宿より近所の者を一両人呼寄せ、さゝ 00051720M17せしに、江戸もの、相手かわれとぬし替らず、何番(三十五 00051730M18オ)さしても叶ハざれバ、Sコレ御亭主。今見へられた/衆(しう) 00051740M19ハ、定て此/土地(とち)での、せうきの名人で有ふのといへバ、イ 00051750M20ヤ、さし/習(ならい)で御座ります。Sはてな。もつと/弱(よハ)ひのがあら 00051760¥P154 00051770¥G(廿五ノ三十一ウ・三十二オ) 00051780M1ハ呼て下され(三十五ウ)Sいへ。もふあの衆よりよわひの 00051790M2ハ御座りませぬといへハ、はて、ふ自由な所だ 00051800¥N23¥J 00051810¥X○手足 00051820M5/膝(ひざ)の上へ度+手を上ける故、S足、うるさがりて小言を 00051830M6いへハ、(三十六オ)手の/曰(いわく)、あまりそふ/片(かた)おしに/云(いつ)てくり 00051840M7やるな。兄弟にたとへて見れバ、おれハ上ミに有から兄だ 00051850M8ハ。/鼻(はな)さまがなけりやあ、せうばいも/出(て)来ねへといへバ、 00051860M9Sそふ手前/勝(かつ)手をいわねへ(三十六ウ)ものだ。此足がなく 00051870M10ちやあ、/商(あきない)に出る事ハなるめへ△Sそふいへハ、是ハ五分 00051880M11+。今日の/露命(ろめい)をつなく/食物(しよくもつ)ハ、口へ足ではこハれるか 00051890M12といゝ込れハ、S足、此一/言(ごん)に/返答(へんとう)なく、よし+。くそ 00051900M13を(三十七オ)/踏(ふん)付てふかしよふ 00051910¥N24¥J 00051920¥X○田舎 00051930M16いなか者、女郎買に行キ、はや床へまハり、女郎のはだを 00051940M17/撫(なで)て、もし、おめへのはだア雪に/似(に)申たといへバ、S女郎 00051950M18おや、ばから(三十七ウ)しう有んす。なぐさミなんすのか 00051960M19へ。黒ふ有んすといへバ、Sイヤ、/色(いろ)の事ハいゝ申さぬ。 00051970M20げへにつめてへ 00051980¥P155 00051990¥N25¥J 00052000¥X○大食 00052010L3ゑひす/講(こう)に/招(まねが)れ、たらふく(三十八オ)してやり、帰る道に 00052020L4て、子共をおぶひたる/乞食(こじき)が、旦那さま。おたすけなされ 00052030L5て被下ませ。きのふから/給(たべ)ずにおりまして、どふもひもじ 00052040L6くてなりませぬといへバ、S/馳走(ちそう)になりし(三十八ウ)はら 00052050L7をなでゝ、それハうらやましい 00052060¥N26¥J 00052070¥X○狂哥 00052080L10節分かのへ/申(さる)にあたりし夜、見世の手代、下女と/蜜通(ミつつう)しけ 00052090L11るを、/番頭(ばんとう)の目に掛りけれバ、手代、兼て伴頭の/狂哥(きやうか)を 00052100L12(三十九オ)(三十九ウ・四十オ挿絵)好て/読(よミ)しかバ、/伴頭(はんとう)にむかひ、 00052110L13扨+/面目(めんぼく)もなき仕合せ。おまへの狂哥にも出来そもない 00052120L14ふ調法といへバ、まけぬ気な伴頭なれバ、とりあへず、 00052130L15△△△/歳(とし)+に/積(つも)れる恋ハかのへ申(四十ウ) 00052140L16△△△△見さる/聞(きか)ざる人にいわざる 00052150L17又、△節分にどふてすたれる豆なれバ 00052160L18△△△△/拾(ひろふ)人とて誰か/咎(とが)めん 00052170¥N27¥J 00052180¥X○迷ひ子 00052190M1/朝鮮(ちやうせん)人の子共、迷ひ子に成りしかバ、親、/歎(なげ)きのあまり、 00052200M2(四十一オ)薬売に身をやつし、我子の行衛をさかしに出、 00052210M3段&江戸へ趣、ちやうせんのかうけいしと、よばハり/歩(あゆミ)け 00052220M4れハ、向の方から、からしの子と、よんで来る。Sてうせ 00052230M5ん人、なミだを流し、(四十一ウ)かわひや、/女衒(ぜげん)の手に/渡(わたつ) 00052240M6た 00052250¥N28¥J 00052260¥X○目利/違(ちが)ひ 00052270M9茶やの女房、座敷へ出、もしお客さま。/能(いゝ)義太夫か出まし 00052280M10たが、御呼被成ませぬかといへハ、イヤ、義太夫も聞あき 00052290M11ました。(四十二オ)さよふなら/豊後(ぶんご)も御座ります。イヤ、 00052300M12それも聞あきました。Sソレ+、小玉をよふつかひます 00052310M13こハいろをお呼被成ませ。それもきゝあきたと、なにをす 00052320M14ゝめても、聞た+といふ故、此客、ぜんせいの/先生(せんせい)。 00052330M15(四十二ウ)定て家もちの旦那で有ふと思ひしに、船宿に聞 00052340M16バ、湯やの/伴頭(ばんとう) 00052350¥N29¥J 00052360¥X○初物 00052370M19まづ七十五日/生延(いきのび)たと/悦(よろこ)べハ、きやつ、初物をしめたな。 00052380M20ヲヽサ。(四十四オ)おのしたちの口へ/這(は)入物じやない。そ 00052390¥P156 00052400L1ふ見くびらぬものだ。何を/喰(くつ)た。咄しやれ。S/茄子(なすび)を喰た 00052410L2といへハ、なに、それがはつものな物だ。おらあ来年の物 00052420L3成を、もふ喰た(四十四ウ) 00052430¥N30¥J 00052440¥X○鶴亀 00052450L6大ぜひあつまり、嶋台を見て、なんと、あの松ハ何の/生(むま)れ 00052460L7かわりて有ふといへハ、あれはしれた事。/高砂(たかさご)のぢゞいさ。 00052470L8竹ハノ。あれハ/虎(とら)の生れ替りさ。(四十五オ)鶴ハどふた。鶴 00052480L9ハ仙人といふから、仙/人(にん)の/生(むま)れ替りさ。亀は。Sあい。さ 00052490L10あ/番(ばん)太郎でがな/有(あろ)ふよ。なぜ亀ばかり安くしやるといへバ、 00052500L11Sそれでも亀ハばんにん 00052510¥N31¥J 00052520¥X○せつしやう△(四十五ウ) 00052530L14/殺生(せつしやう)を好人、心安き人に/異見(いけん)を云れ/止(やめ)けるが、/或(ある)時、赤と 00052540L15んぼうおびたゝしく、北をのぞんて飛けるを見て、此男こ 00052550L16らへ兼、頓て/棹(さほ)へ/黐(もち)をぬりてねらふ処へ、/彼(かの)異見したる男、 00052560L17通りかゝり、扨&(四十六オ)貴公ハ人のいふ事を/反古(ほご)にす 00052570L18る。物の命をとれバ、又貴公も其如く/短命(たんめい)に成ります。ひ 00052580L19らにやめられよといへバ、いや+。貴公が御了/簡(けん)違ひ。 00052590L20拙者ハ/長(なが)生をいたす。Sよふ物を積て(四十六ウ)見られよ。 00052600M1/能(いゝ)事ハないはづといへバ、Sはて、さよふ仰られな。とん 00052610M2ぼふさすハ九千/歳(ざい) 00052620¥N32¥J 00052630¥X○かつぱ 00052640M5かげまを/連(つれ)て、船ゆさんに出し、折節かけま、大便に行 00052650M6(四十七オ)たく成り、/船人(せんとう)に、どふせうと/聞(きけ)バ、S船人船 00052660M7のともにて、こふしてしなさへと、おしへの通り、かげま、 00052670M8/尻(しり)を引まくつて、用たしけれハ、水/底(そこ)にて、かつぱの子共、 00052680M9尻を見付、とつさん。あれを(四十七ウ)たべたひとねだれ 00052690M10ハ、Sかつぱの親あれハ/売(うり)物だ 00052700¥N33¥J 00052710¥X○御札 00052720M13さむらい、/夜(や)半過に通町を通りけれバ、さもうつくしき女、 00052730M14跡より来り、声を掛けるゆへ、(四十八オ)びつくりして、 00052740M15能+見れバゆふれい也。そもじハ何の用が有といへハ、 00052750M16ちと、御無心が御座ります。此/家(や)にうらミのあるもの。ど 00052760M17ふそあの御札をはがしてたひ給へと、たのむゆへ、(四十八 00052770M18ウ)心安ひとて引はなして/遣(や)れハ、ゆうれい、何の/苦(く)もな 00052780M19く/這(は)入と見へしが、たちまち出て、御/侍(さむらい)様。/唯(たゞ)今の御札 00052790M20を、よふ御/覧(らう)じて下さりましといふ故、能+見れバ、 00052800¥P157 00052810L1@売すへ|かし店@(四十九オ) 00052820¥N34¥J 00052830¥X○眼の玉 00052840L4座/頭(とう)、くわんおんの/寺(じ)内にて、/杖(つへ)の先へふくさ包ひつかゝ 00052850L5りしまゝ、さぐつてみれバ、丸き物ゆへ、参/詣(けい)の者に見て 00052860L6もらへバ、是ハ/景(かげ)清が目の玉と書て有と(四十九ウ)いふ故、 00052870L7S座頭、かの目の玉、くわんおんの御さづけと、おしいた 00052880L8ゞき、おのれが目へはめけれバ、ふしぎや、たちまち目あ 00052890L9きと成る。折/節(ふし)、向から御大名の御通りを見て、かの/坊主(ぼうず)、 00052900L10はしり寄り、(五十オ)/右(う)大/将(せう)/頼朝(よりとも)やらぬと、馬の/轡(くつハ)にしつ 00052910L11かと取付ケバ、殿/驚(おどろき)給ひ、こいつ、気が違たそふだとの 00052920L12給へバ、Sいや、気ハ/違(ちが)ハぬ。目が違た 00052930¥N35¥J 00052940¥X○するか客(五十ウ) 00052950L15/駿河(するが)より/客(きやく)来りしまゝ、国を/誉(ほめ)て/馳走(ちそう)によろこバせんと、 00052960L16あなた様の御国ハけつかうな所て、竹/細工(さいく)なと見事に致し、 00052970L17それハ+きよふな細工。余国にハ御座りませぬといへバ、 00052980L18S客(五十一オ)イヱ+、御江戸の亀井町の方が、/遥(はるか)上手 00052990L19て御座ります△S亭主どふ仰られても、駿州ハ日本一の御 00053000L20国で御座ります△Sなぜて御座る△Sハテ、/茄子(なす)を御/覧(ろう)じ 00053010M1ろ。一番早く御しやうくわん被成ふ。(五十一ウ)イヱ+、 00053020M2本所の/砂(すな)村がはよふ出ますといふて、/卑下(ひけ)するのがくせな 00053030M3れバ、どふそ卑下させぬ/誉(ほめ)よふが有ふと、あなたが他/国(こく)を 00053040M4御ほめ被成ても、駿河のふじときてハ、/余(よ)国にならび(五 00053050M5十二オ)なき/名(めい)山で御座りますといへハ、Sイヱ、あれも半 00053060M6分ハ雪て御座ります 00053070¥N36¥J 00053080¥X○間違ひ 00053090M9/無(む)筆の親仁、むす子の手をよくかくをじまんして、/連(つれ)て 00053100M10(五十二ウ)あるく。ある時/余所(よそ)にて、大もしを好ミけれバ、 00053110M11何のくもなく紙一ツはいに書て見せる。皆+かをおり、 00053120M12これハよふ出来ました。しかも是ハおやぢ様の御/好物(こうぶつ)の字 00053130M13じやとほめけれバ、親(五十三オ)仁ハ/赤面(せきめん)して内へ帰り、 00053140M14Sヤイ、せかれめ。人中でかく字も/多(おゝ)からふに、あんな字 00053150M15を/書(かき)おつて、おやにはぢをかゝせをる△Sむすこあれハ酒 00053160M16といふ字で御座ります。おやぢ、につことわらひ、(五十三 00053170M17ウ)おらあ、女房の事でも書たかと思つた 00053180¥N37¥J 00053190¥X○嶋台 00053200M20/婚(こん)礼の祝義に、ちとしさひらしいが嶋だひを/遣(やろ)ふと思が、 00053210¥P158 00053220L1どふで有ふと相談すれ(五十四オ)バ、Sそれハ御無用+。 00053230L2嶋台程しつくわいな物ハ御座らぬ。其/訳(わけ)ハの。/先(まづ)/台(だい)のうへ 00053240L3に松が有るハ。それ、其/側(そハ)に竹か△Sヲヽ△S其下に亀が 00053250L4居るハ。ヲヽ。其うへの鶴か、亀のつらをじろ+ながめ 00053260L5て、(五十四ウ)流れの水にあそびなから、万年の/齢(よハ)ひとハ 00053270L6うら山しい、おれハたつた千年かと、心の内のかなしさハ 00053280¥N38¥J 00053290¥X○宗論 00053300L9年寄手合あつまり、なんと(五十五オ)おもハしやる。今で 00053310L10の/出家(しゆつけ)ハ何/宗(しう)で有ふといへハ、かたハらからすゝミ出、お 00053320L11らが/宗旨(しうし)でいふてハないが、御/門跡(もんぜき)様さといへバ、イヤ、 00053330L12かたはらいたや。日本一にならびなき日蓮を差(五十五ウ) 00053340L13おゐてかといふ。イヤ、長じゆづ。だまりめされ。/源(ミなもと)の浄 00053350L14土宗程有かたい宗旨ハなひと、水かけ/論(ろん)の中へ、寺町の/鰻(うなき) 00053360L15屋罷出て、おの+方ハ/味(ミ)方身ぐるしい/評(ひやう)の付よふ。どな 00053370L16た(五十六オ)(五十六ウ・五十七オ挿絵)がどふ仰られても、/禅(ぜん)宗 00053380L17程/堅(かた)く、有かたい宗旨ハ御座りませぬといへバ、座中口を 00053390L18揃、それハどふいたした訳て御座るな。Sハテ、かばやき 00053400L19を/現(げん)金に/買(かハ)れます△(五十七ウ) 00053410¥N39¥J 00053420¥X○せんべい 00053430M3去ル女郎、うらに来りし客の座しきへでゝ/居(い)たりしが、一 00053440M4座もなく、さびしき折から、わかい者、せんべいを/台(だい)につ 00053450M5ミていだす。これハ気が(五十八オ)付たと、/茶(ちや)をとりよせ 00053460M6てのむ。女郎もせんべいに気があれども、なじミもなけれ 00053470M7バ、とつてくわれもせす。/禿(かぶろ)を呼てすゞりをとり寄せ、せ 00053480M8んべいをとりてハむだ書を(五十八ウ)する。客これを見て、 00053490M9何を書給ふぞ。定てうつくしい手で有ふ。ちと拝見と、さ 00053500M10し寄れバ、女郎、はづかしふありんすと、手でもんでくち 00053510M11へ入れ(五十九オ) 00053520¥N40¥J 00053530¥X○はり/医(い) 00053540M14/薮(やぶ)中/良竹(りやうちく)の処へ行、兼+御願ひの義ニ付て参りました。 00053550M15Sそれハ/耳(ミヽ)より。はやく御聞せ被成ませ。外の義ても御座 00053560M16りませぬ。日/頃(ころ)見たいと仰らるゝ(五十九ウ)万やの御亭主 00053570M17が参られまして、内の者がわづらいますから、能ひ医者を 00053580M18引付ケて被下との頼ミ。御/療(りやう)治/序(ついで)に、/彼美(かのうつく)しい内義を御 00053590M19覧しろといへバ、善ハいそげともふせバ、直に貴公と(六 00053600M20十オ)御同道いたそふと、万やへ行バ、亭主、女房の/寐(ね)間 00053610¥P159 00053620¥G(五十六ウ・五十七オ) 00053630M1へ/連(つれ)て行。Sいしや、/脉(ミやく)より顔をよく+ながめ、是ハ御 00053640M2しやくけで御座りますといへバ、Sてい主とてもの義に、 00053650M3はりを御頼(六十ウ)申ますといへバ、Sいしやそれハ忝ひ 00053660¥N41¥J 00053670¥X○狩人 00053680M6/出家(しゆつけ)、/狩人(かりうど)に出合、そなたは物の命を取て/渡世(とせい)とするハ、 00053690M7わるひりやうけん。此世で其やうにけだ物をころせば、 00053700M8(六十一オ)来世て其通りころしたけだものと成り、身をく 00053710M9るしめる。わるひ事ハすゝめぬ。/殺生(せつしやう)をやめられよとの給 00053720M10へバ、Sそんなら、此世て/狐(きつね)をころせバ、あの世で狐に成 00053730M11ますか(六十一ウ)Sいかにも、狐に/生(むまれ)ますといへハ、狩人、 00053740M12なミだを/流(なが)しておそろしかり、/頓(やが)て/鉄炮(てつほう)に口薬をこめ、彼 00053750M13出家を目がけすゝミ/寄(よ)れバ、出家色をかへ、これハめいわ 00053760M14く。どふめさると(六十二終オ)いへバ、S狩人されバ、御 00053770M15/異見(いけん)にまかせ、/来(らい)世のために貴僧を/殺(ころ)し、/坊主(ほうず)に/生(むま)れてた 00053780M16すかります 00053790¥Q/戊((ママ))の初春吉旦△△△△△△△△柏原作兵衛板 00053800M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(六十二終ウ) 00053810¥P160 00053820¥U噺本大系△第十一巻 00053830¥T/今歳笑(ことしわらい)〔序題〕 00053840¥G 00053850¥Y 00053860L17安永七年正月序 00053870L18泥田坊序 00053880L19小本一冊 00053890L20東大国語研究室蔵 00053900¥Y今歳笑の序 00053910M3立渡たる門松ハ仙人の住家と齢れ、さござひ+の声ハお 00053920M4うは殿もうつゝをぬかし、喜七兵衛か顔真ツ赤に、かミ様 00053930M5(イオ)のひらじひ御目出度の色よし、出次第の一つ書、先 00053940M6青陽の今年笑は云& 00053950M8△△安永七戌△△△△△△△△白かね 00053960M9△△△初春△△△△△△△△△泥田坊G 00053970M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(イウ) 00053980¥P161 00053990¥N1¥J 00054000¥X歳玉 00054010L3長兵衛、どふだ。目ぐろさまへでもいかねひかへ。ムヽ、 00054020L4いや、きん兵衛や。けふ/下町(したまち)にいる/姉(あね)むこがきた。/久(ひさ)しひ 00054030L5もの。/年(とし)玉たといつて、人をばかにした。はしばこいあふ 00054040L6きを二/本(ほん)入れて、もつて(ロオ)きたア。とんだやつた。と 00054050L7ふからしでもなくつて/仕合(しやわせ) 00054060¥N2¥J 00054070¥X/高輪(たかなわ)の/呼(よひ)出し 00054080L10くつと/着(き)かへて、夕方から出よふとすれは、/親(おや)ぢ、コレ清 00054090L11吉。とこえいく。イヤ、高/輪(なわ)えむしんに。ムヽ、/其(その)むしん、 00054100L12がてんならん。/惣(そう)たひ、此/頃(ごろ)(ロウ)ハ内にねた事かなひ。 00054110L13にくひやつの。出るな。おれかそばにねろとねかして、親 00054120L14ちもそばニねて、むすこのむねを、ぢつとおさへて居る。 00054130L15むすこハかゝつた事てハなひ。/今時分(いまとき)ハたれ+もこよふ 00054140L16し、ヲヽ/今(こ)よひハおもよも/来(く)ルやく(ハオ)そく。アヽいま 00054150L17+しひぢゝいたとおもへとも、なか+こゝろはかり。 00054160L18しはらくあると、さすが/年寄(としより)。/気(き)くたひれてね入た所を、 00054170L19そつとぬけ出、かこやへ行てうちのり、いつさんに/茶(ちや)屋へ 00054180L20行けは、大さわきのさひ中。(ハウ)トウタ、/清(せい)公。おそか 00054190M1つた。ムヽ/今夜(こんや)ハ大のしくちり。やふ+ぬけた。茶ても 00054200M2/酒(さけ)ても早くたのむ+と言へハ、やつはり/親(おや)ぢか、むねを 00054210M3おさへて/居(い)て、たまつてねおろふ 00054220¥N3¥J 00054230¥X妹分(一オ) 00054240M6大/黒(こく)、/壱人(ひとり)座て居たる所え、きやくか来ル。おせふ様ハ/留(る) 00054250M7守かな。ハイ、留守てごさりますは。ときに御/前(まへ)は/客(きやく)か。 00054260M8イヽへ、わたしやおせふ様の妹さ。ハア、帰られたら、よ 00054270M9くたのみます。御いとま申と出て行。あとへおせふかへる 00054280M10と、(一ウ)大黒ハ、今きやくか/あた((ママ))から、ぬしの妹たとい 00054290M11ゝやした。ヨシ+。たれかきたな。サレバ。おせふ、/勝(かつ) 00054300M12手へお/納所(なつしよ)に、/留(る)守へたれそ/来(き)たかといへは、イヽエ、た 00054310M13れもきませんと言。大黒か、アレサ。今しまの小/袖(そて)/着(き)た人 00054320M14サ。アヽ、あれハおせふ様の弟ごさ(二オ)(二ウ挿絵) 00054330¥N4¥J 00054340¥X/雷(かミなり) 00054350M17夕立大雷に、アヽ今のハたしかに、庭のあたりへ/落(おち)たやふ 00054360M18だつけと、障/子(し)をあくれば、雷、とび石にておゝきに/腰(こし)を 00054370M19うち、うなつている。かミなりどん。どふぞさしつたか。 00054380M20イヤモウ、さん+の仕合。ときに御/亭主(ていしゆ)。無心がある。 00054390¥P162 00054400¥G(二ウ) 00054410L12なんでごんす。近頃(三オ)申かねたが、天ぢくへ手紙をや 00054420L13りたひが、はづかしながら/無筆(むひつ)だから、どふぞ/書(かい)て/下(くた)さい。 00054430L14ヲヽ、かふしていられてハめいわくだ。どれ、何とかきま 00054440L15す。先以手紙申入候。ウヽよし。それから。/光(ひか)れば 00054450¥N5¥J 00054460¥X/安産(あんさん) 00054470L18もふ出時分だ。うんといへ。またかふる。イヤ(三ウ)もふ、 00054480L19人の多いもやかましくつてわるいが、また手のすくないも、 00054490L20あんまりいそかしい。こんなときに、だれぞ来てくれゝば 00054500M1よいに。表から戸をくわらりとあけて、そんなら又しらせ 00054510M2てくれたかいゝ。どれ、おれも五十番ひかふと、ずつと這 00054520M3入て、ハアめくりかとおもつたら、マア御目出たふごんす 00054530M4(四オ) 00054540¥N6¥J 00054550¥X女郎/買(かひ) 00054560M7本多あたまに銀きせる、八反かけのはおり、きん+と出 00054570M8かけると、むかふから形のきたないおやぢが、コレむす子。 00054580M9アヽ、今どきの女郎かいハ、野夫な身をする。こなたのな 00054590M10りを見さつせい。もふ是ぎりでござるといふ身だ。誠、女 00054600M11郎かひのいたりといふ(四ウ)ハ、まづこんなもの。ぼろ/袷(あわせ) 00054610M12をぐつと肌をぬけば、/錦(にしき)と/唐(とう)さらさと片身替りのじゆばん。 00054620M13是ハすごひとあきるれば、まへをぐつとまくると、古金ら 00054630M14んの/犢鼻褌(ふんとし)。成程、きまつたものとのぞひて見れば、/銀箔(きんばく) 00054640¥N7¥J 00054650¥Xいかのぼり(五オ) 00054660M17アレ/若殿様(わかとのさま)。御らふじませ。いろ+な凧があかりました。 00054670M18ヲヽあの嶋/凧(たこ)ハ何まひてあろふ。ハイ、廿四五まひで御座 00054680M19りませふ。こちらハはんにや/奴凧(やつこたこ)、四ツ谷/鳶(とんび)にだるまたこ。 00054690M20アノずつとうへに、よくのしているのハ何/凧(たこ)じや。ハイあ 00054700¥P163 00054710L1れハ/下&(しも+)て、はるの内たのしミます、かるたと申ものゝう 00054720L2ちに(五ウ)/一(ひん)と申のが御ざります。その/一凧(ひんたこ)と見へます。 00054730L3ウヽ、/霧(きり)がなふてよくあがつた 00054740¥N8¥J 00054750¥X人ちかひ 00054760L6是ハ一別已/来(らい)。先ツ御堅勝。ときに御内方様ニも御替リハ 00054770L7御坐ルまひナ。イヤ、どなたで御さるか。/拙者(せつしや)、覚へませ 00054780L8ぬが。ハテ、扨+御物おほへのわるい。貴様、(六オ)/雨= 00054790L9子(あめ=こ)/皮内(かわない)どので御ざろふが。ハイヤ、私、さ様なものでハ御 00054800L10座らぬ。コレハ真平御免被下。御人/違(ちがい)と立わかれ、又向£ 00054810L11来ルさむらいに、どふで御座る。御手角内どの。しばらく 00054820L12御/無音(ぶいん)。ハイ、わたくしは、さ様なものでハないが、其元 00054830L13ハどなたでご坐る。ハア是ハ+、御人たがひで(六ウ)御 00054840L14座ります。御めん被下と、すりちがいさま、/於何能為様(なんでもやうせんさま)。 00054850L15先達而ハ御/苦(く)ろふ千万。御かげゆへ、さつそく/全(ぜん)快。ホン 00054860L16ニまだ御礼ニもさんじませぬ。ハア、/誰(たれ)様やらおほへませ 00054870L17ぬ。へヱ、是ハ御免被下ませい。ナント/土平(どへい)。けふハたく 00054880L18さんに/似(に)たかほのはやる日だ(七オ) 00054890¥N9¥J 00054900¥X/借着(かりぎ) 00054910M1/婚礼(こんれい)によばれ、/麻上下(あさかミしも)をかりた所が、/長(たけ)がミじかし。はか 00054920M2まをはひて、片衣をうしろまへ、共ニはかまにとぢつけて 00054930M3座につき、段+酒がまわり、おさへの間のといふひやう 00054940M4しに糸がきれ、左リのかた衣、ひよいとうしろへはねれば、 00054950M5(七ウ)右の手にあふぎをにぎり、左リの手をほう/杖(つへ)して、 00054960M6ハテあやしやナア 00054970¥N10¥J 00054980¥X道具見せ 00054990M9/唐(から)物見せに、さらさのふとん、せんとくの/火鉢(ひはち)、きん+ 00055000M10として銀きせるにて/烟草(たはこ)すぱ+。/立派(りつは)なさむらいが来か 00055010M11ゝつて、ヤイ、そちハてい主か。ヲヽ、てい主だが、(八オ) 00055020M12なんだ。イヤ、すいさんな町人め。アレ、アノ/赤銅(しやくとう)の/鍔(つば)ハ 00055030M13いくらだ。てい主も腹をたち、あれハ壱両弐歩だ。何、壱 00055040M14両弐歩だ。ヲヽ、三両にしをれ。イヽヤ、ほしくハたゞや 00055050M15るぞ。イラネヱ 00055060¥N11¥J 00055070¥Xいなかもの 00055080M18いなか/客(きやく)、/草臥(くたひれ)やすめとて、せんとうへ(八ウ)つれて行。 00055090M19アイ、ひへもんで御坐イと、ざくろ口をはいれば、跡から、 00055100M20わしは常州の彦左衛門で御坐る 00055110¥P164 00055120¥N12¥J 00055130¥X金もち 00055140L3世/界(かい)に金ほどたくさんなものハないぞ。どふぞ金のなくな 00055150L4る/工夫(くふう)をと、いろ+にしても、とかくふへる。出入のう 00055160L5へ木屋(九オ)が、わたくしのしゆかうになされやうならハ、 00055170L6一万や二万くらいハ、ツイなくなりませう。ソレハ/耳(ミヽ)より。 00055180L7どふじや。ハイ。まづ/辛(から)崎へ参つて、一つ松を/買(かい)きり、人 00055190L8/夫(ぶ)大ぜいいれてほらせ、御当地まてまいろうなら、ずいぶ 00055200L9ん一弐万ハなくなりませう。是ハ妙+。其通り申付ル。 00055210L10かしこまつ(九ウ)て、松を五千両で直が出来、人夫をいれ、 00055220L11段+ほらせ、もはや一万三千両ほどつかいました。とん 00055230L12だおもしろい。せい出してほらせよと、おい+人をまし 00055240L13てほらせければ、何やら大きな石が有と、だん+ほれば、 00055250L14かろうとなり。ふたをとれば、凡金が百万両の余程あり。 00055260L15(十オ)是ハならぬと、うけ/負(おひ)/欠落(かけおち) 00055270¥N13¥J 00055280¥X/鼻血(はなち) 00055290L18けしからぬはな血。どふもとまらぬが、なんぞくすりハな 00055300L19いか。ヲツトまつたりと、うしろへまわり、ぼんのくぼの 00055310L20/毛(け)を二三本くつと引ぬくと、かほが/猿(さる)になつた(十ウ) 00055320¥N14¥J 00055330¥X/屎(くそ)と思へ 00055340M3御/士(さむらい)様。先御待被下ませひ。何事て御座ります。ウヽ、 00055350M4御身ハ町役人か。あのものが、さむらいに水をかけて、御 00055360M5かんにんともいわず、其上におれを/屎(くそ)とも思わぬとぬか 00055370M6す。ふ/届(とゝき)千万。其分にハならぬと大腹立。@行事がいろ+と佗|言ニ而やう+しづ@ 00055380M7@ま|り、@(十一オ)ヱヽおのれ、すておかれぬやつなれとも、ゆ 00055390M8るしてやる。行事が、是以来たしなんで、あなた方を/屎(くそ)と 00055400M9思へ 00055410¥N15¥J 00055420¥Xがん病 00055430M12おのしやアどふした。目かわるいか。ヲヽ/今朝(けさ)いしやど 00055440M13んへいつて見て/貰(もらつ)たら、大分くもりが来た。むつかし(十 00055450M14一ウ)かろふといつた。ドレ、見しやれ。ヱヽ馬鹿らしい。 00055460M15うつちやつておきやれ。くもり所か、目中が/星(ほし)だらけだ 00055470¥N16¥J 00055480¥X/哥仙染(かせんそめ) 00055490M18京/土産(ミやけ)にもらつた哥仙染、仕立が出来て、娘に着せて、ヲ 00055500M19ヽよく似合つた。ドレ、/後(うしろ)ロを/向(むひ)ヒて見しやれ。(十二オ) 00055510M20お井戸のあたる所に、けふ九重と匂ひぬる哉。ムヽ、まへ 00055520¥P165 00055530L1を見しやれ。人こそしらねかわく間もなし 00055540¥N17¥J 00055550¥Xうらなひ 00055560L4モシ、/其元(そこもと)様ハさいぜんから、そこに御坐つて、/家業(かけう)のし 00055570L5やまをして、/算置(さんおき)が来ると、イヤ、あたらぬのうそじやの 00055580L6と。なんぞ、わし(十二ウ)/((に脱カ))いしゆでも有のか。マア、こな 00055590L7たハどこからござつた。Sあてゝミさつしやい 00055600¥N18¥J 00055610¥Xはいかひし 00055620L10町中両/側(かわ)を一/軒(けん)+に、何しばらくつゝかんがへてあるく。 00055630L11若イものが大勢より合ふて、アレハ何であろふ。ものもら 00055640L12いかなどゝうわさ/最(さい)中に、(十三オ)たゞ今御/門(かと)に立ました 00055650L13/俳諧師(はいかひし) 00055660¥N19¥J 00055670¥X金ひろひ 00055680L16ある/分限者(ぶげんしや)、ミなが金をひろへは/嬉(うれ)しいといふが、どの様 00055690L17にうれしいやら、ひろつて見やうと、/財布(さいふ)に五十両斗入レ 00055700L18て、/宵(よひ)月夜にあるきながら、二三間先へなげて、ひろつて 00055710L19見ても、(十三ウ)さして/嬉(うれ)しくもなし。又四五間さきへな 00055720L20げて、ひろつて見ても、うれしくもなし。今度ハ思ひきつ 00055730M1て、ぐつとうへなけれバ、/溝(とふ)の中へどぶり。是ハならぬ 00055740M2と手を入レてさがしてもしれず。はだしになつて、どぶの 00055750M3中をいろ+たづね、やう+足にさわれば、手に取あげ、 00055760M4ハア、是で(十四オ)ちつとうれしかつた 00055770¥N20¥J 00055780¥X/勘当(かんとう) 00055790M7/盲(もう)人のむす子、どふらくにてかん当/請(うけ)、一家をはしめ、近 00055800M8所からいろ+とわび/言(こと)すれど、がてんせず。今度ハきつ 00055810M9とつゝしミませうと、段+のわびことに、イヤ+、子 00055820M10を見る事、/親(おや)にしかずと。どふ(十四ウ)あつても、わしが 00055830M11目のあかぬ中ハゆるしませぬ 00055840¥N21¥J 00055850¥X/茶番(ちやばん) 00055860M14けふのりやう/理(り)ハ/竹田(たけた)でするといふがと、ずつと/這入(はいれ)バ、 00055870M15まくに、丸に九まひ/笹(さゝ)のもん所。是ハおもしろひと、座に 00055880M16/付(つけ)ハ、てい主が出、だん+あいさつの内、(十五オ)/盃(さかつき)が 00055890M17出、/数奇家膳(すきやぜん)に大平。てい主がつたない/趣向(しゆこう)、/些(ちと)御とりな 00055900M18されませ。コレハ/風雅(ふうが)な御しゆこうなどと、ふたをとれば、 00055910M19ぜんまひ 00055920¥P166 00055930¥N22¥J 00055940¥X/居風呂(すへふろ) 00055950L3五丁町に名有女郎、山吹辺に名有/盲(もふ)人にうけ出され、おご 00055960L4り(十五ウ)のあまりに、思ひ付のすへふろをいゝ付た。先 00055970L5こゝろミに這入て見やれと取よせるハ、硝子細工の/居(すへ)ふろ。 00055980L6コレハすゝしうありんしやうと、ずつと/這入(はいつ)てすわると、 00055990L7コハばからしいノウ。手がはなされぬ 00056000¥N23¥J 00056010¥Xうをうり(十六オ) 00056020L10ふゑんのきさきや+。さかなよと/呼(よん)て直が出来、コレ手 00056030L11前たちやア、其うをハ、いさきといふさかなでこそあれ、 00056040L12后といふハ天子様のかミ様を御后といふ。ちつと気を付た 00056050L13がよひ。肴うり、ぬからぬかほで、何ばからしい。夫でも 00056060L14あま塩の王さまさへうる(十六ウ) 00056070¥N24¥J 00056080¥X小僧 00056090L17ヤイ/小僧(こぞう)よ。おれがせつかく/仕(し)まつて/置(おい)タものを、よくく 00056100L18らつたな。イヽヱ、わたくしハぞんじませぬが、/如来(によらい)様が 00056110L19あがつたもしれませぬ。其せうこにハ御口に。イヤこいつ、 00056120L20にくいやつ。又めしつぶをつけておいたろう。アレ見ろ。 00056130M1久しいもんたが、くわん(十七オ)+とおつしやるハ。ア 00056140M2イ、今度ハわたくしがせん義いたしますと、湯をくら+ 00056150M3わかして、是でもおまへ、あがらんか。クツタ+ 00056160¥N25¥J 00056170¥Xあそび 00056180M6今夜ハなぜかおもしろくない。いつそおごろふかと、ずい 00056190M7いきのずいあがり。/床(とこ)がまわると、若イものが、ハイ御つ 00056200M8とめ。ヲツト(十七ウ)ミなまでの給ふなと、/浪銭(なミせん)一本なげ 00056210M9出せば、ヘイ、こゝハさ様でハ御坐りませぬ。ホイ、是ハ 00056220M10そそうと、懐中より/南鐐(なんりやう)一つ取出して、コレ、こゝの井戸 00056230M11ハ深イの。ハイ、橋をこすと、四百でくまれます 00056240¥N26¥J 00056250¥X大雪 00056260M14朝おもての戸をぐつとあけ、もハア(十八オ)おもしろいハ。 00056270M15いつもよりさむさハさむいが、成ほと、わるくハないもん 00056280M16だといふを、主人が聞て、アイツ、/余程(よほと)/風雅(ふうが)なやつじやと 00056290M17きいて/居(い)れば、イヤハヤ、ふるハ+。此雪をうれしがる 00056300M18ものハ、/犬(いぬ)とおらが/旦那(たんな)/斗(はかり)だ 00056310¥N27¥J 00056320¥X/劔術(けんしゆつ)(十八ウ) 00056330¥P167 00056340L1とんだあばれ者で御坐ります。サレハ、さやうニうけ給わ 00056350L2つたが、/怪我(けが)ハなひかの。イヤ、少&斗の疵で御ざります。 00056360L3どふぞ先生、御ねがひ申ます。ナニ、わしかいく程の事で 00056370L4も有まひに。そして、どこにおります。ハイ、酒やの内に 00056380L5おりますが、わたくし共の手ぎわにハ参り(十九オ)ませぬ。 00056390L6よほどの手者と見へます。ウヽ、そんちよととらへてやり 00056400L7ませうと、/木刀(ぼくとう)たづさへ、しづ+と行と思ふと、やがて 00056410L8ぶら+かへつて/来(く)れハ、弟子ともハ、これハとんだはや 00056420L9ひ御かへり。/流石(さすが)先生の/妙術(ミやうしゆつ)。時ニあはれものわへ。ま 00056430L10だ/居(い)るよ 00056440¥N28¥J 00056450¥X待ふせ(十九ウ) 00056460L13けふハ先生が/留主(るす)じやが、どふでこゝをかへるであろふか 00056470L14ら、此人数が此坂のうへにまちぶせして、ぶちのめしてや 00056480L15ろふじや有まひか。是ハよかろふと、四五人よりあひ、今 00056490L16や+と/待(まつ)ところに、まだ宵やミの/星(ほし)あかり、ふら+か 00056500L17へる先生が、坂中にたちやすらい、天へもひゝく大音(廿 00056510L18オ)/声(ぜう)。そこにいるハ何ものと、こへかけられて、イヤハ 00056520L19ヤ、おとろき入ましてござる。/今宵(こよひ)先生の御かゑりをまち 00056530L20うけ、此くらやミをたよりに、不/意(い)を打つて見ませうと存 00056540M1ましたが、モあやまり入ましてござる。しかし、どふして 00056550M2御ぞんじしられました。サレハ、人ハ居よふと居まいと、 00056560M3こんな所で(廿ウ)ハ、まづ/声(こへ)をかけるがよふ御ざる 00056570¥N29¥J 00056580¥Xきり+す 00056590M6コレ、さつきから跡へなつたり先へなつたりする娘を見や 00056600M7れ。/妹(いもと)ハあんなにうつくしいに、/姉(あね)の/面(つら)のふけいきさ。/妹(いもと) 00056610M8なら、今たんせいしてとつた此きり+すでもやりたいナ 00056620M9ア。ヲヽヨ。目黒さまの御引合せ(廿一オ)でもありそふな 00056630M10もんだ。/妹(いもと)がそばへ来て、モシ、其きり+すを、どふぞわ 00056640M11たくしに下されませ。アイ、あげたいもんだが、わつちら 00056650M12がたんせいして取たのだから、御めんなんし。友達が、今妹 00056660M13ならやりたいといゝながら、りきむやつよといふ所へ、又 00056670M14/姉(あね)が、どふぞ/私(わたくし)に被下ませ。ミながしんせろとゆふゆへ、 00056680M15そん(廿一ウ)ならあけやせうと、/姉(あね)へやれば、きり+ 00056690M16すが、ヱヽ、チヨツ 00056700¥N30¥J 00056710¥X/鞠(まり) 00056720M19おやぢが/椽(ゑん)さきへ出て、ヱヽあいつめが九/損(そん)十とくといふ 00056730M20て、何の/益(ゑき)のないものじやほどに、まりハよせ+といふ 00056740¥P168 00056750L1に、まだやめおらぬそふで/筥(はこ)があると、(廿二オ)ずつとふ 00056760L2たをあけて見て、ヲヽきどくに。やめたそふな 00056770¥N31¥J 00056780¥Xこわいろ 00056790L5おやぢさま。どふぞこわいろハやめにして被下ませ。わた 00056800L6くしもつきあいいたしますせけんへ、かほが出されませぬ。 00056810L7もふあさばんハ、ちと御かんきんでも(廿二ウ)なされたが 00056820L8よふござります。ヲヽサ。おれもそふ思ふている。どりや 00056830L9もふ/燈(ひ)ともしどきじや。/御(ミ)あかしでもあげてと、/仏間(ふつま)へゆ 00056840L10き、/談義(だんぎ)でおほへた御/経(きやう)に、すこしこわいろかゝつて、/願= 00056850L11以此功徳往生安楽国(くわん=いしくとくおふせふあんらくこく)などゝ申ました 00056860¥N32¥J 00056870¥X/地黄(ぢおふ)(廿三オ) 00056880L14方&からあつらへの六/味(ミ)八/味(ミ)せい/方(ほう)も出来、石うすにて/煉= 00056890L15合(ねり=あわせ)のとき、わきから手を出して、ちつとなめさして見やれ。 00056900L16イヤ+、是ハ/目(め)かたか/極(きま)つたもんだから、よしやれ。ハ 00056910L17テ、少しばかりハいゝわな。ならぬといふ所へ、/旦那(だんな)がに 00056920L18よつと出ると、サア、ねぢつて見ろ(廿三ウ) 00056930¥N33¥J 00056940¥X/柏(かしわ)もち 00056950M1かゝさん。そのあんへいれる/黒砂(くろさ)とふを、ちつとくんなよ。 00056960M2S又こんじやうのいやしい事をいふ。今かしわもちができ 00056970M3るハ。それでもちつとよ。Sその手ぶしハなんだ。つめる 00056980M4ぞよ。小ぞふが手を引ながら、/御(お)ふねハぎちらこ(廿四オ) 00056990¥N34¥J 00057000¥X/名灸(めいきう) 00057010M7/貧乏(ひんほう)をなをす名灸、此方にてすへ進し申候と/看板(かんはん)。さて 00057020M8+、/世(よ)にはいろ+のきうも有ものかと、すつとはいつ 00057030M9て、ちと御頼申ます。わたくし、いたつて/貧者(ひんしや)で御坐りま 00057040M10すが、どふぞ御りやうじで、なをり(廿四ウ)ませふか。/息= 00057050M11子(むす=こ)が出て、おやどもハ今日は/他行(たきやう)で御ざるが、/拙者(せつしや)がすへて 00057060M12しんぜませふと、すへているさい中に、おやぢがかゑつて、 00057070M13ヲヽよふ御ざつた。どれ+、/顔(がん)しよくを見て、ハアヽ、 00057080M14貴様ハよほと/強(つよ)イこんきうじやの。ハイ。そしてどこをす 00057090M15へる。むす子が、まづ七をすへて、/根(ね)を(廿五オ)たちませふ 00057100M16とぞんします。イヤ+、/夫(それ)でハいくまい。/章門(しよふもん)を/焼(やい)てし 00057110M17まへ 00057120¥N35¥J 00057130¥Xうなき 00057140M20うなきを/買(かを)ヲと、あれこれと見て、大うなきを手にとれば、 00057150¥P169 00057160L1ぬら+と/上(うへ)へ/ね((ママ))けるから、左リの手てにきれハ、またぬ 00057170L2ける。左右の手にて段&と、その(廿五ウ)うへをにきり 00057180L3+、とふ+/足(あし)が大/地(ぢ)をはなれ、段&と/空(そら)へあがり、か 00057190L4けもかたちもミへす。日/数(かす)ふれども音もなし。はや一/周忌(しうき) 00057200L5とて、/近所(きんしよ)一/家(け)をよひあつめ、/法事(ほふじ)ねんころにいとなむ折 00057210L6ふし、天£何かちら+とおちる。皆+/椽(ゑん)さきへ立出て 00057220L7見れハ、/短冊(たんざく)なり。(廿六オ)/なり((なり衍))とりあげて見れば、一/首(しゆ) 00057230L8の哥に、 00057240L9△△△/去年(こそ)のけふうなぎについて/登(のほ)りけり 00057250L10△△△△今にたへせずのほり社すれ 00057260L11△△△△△△△△△△△△△△△△他筆御免 00057270¥N36¥J 00057280¥X/雷(かミなり) 00057290L14/晴天(せいてん)にハかにかきくもり、しやぢくをなかす大かミなり。 00057300L15/殿(との)様。たゞ今のハ(廿六ウ)たしかにこゝらへ/落(おち)ましたで御 00057310L16さりませう。ヲヽ、今の一つハきひしかつた。アレ、むか 00057320L17ふに何やら丸イものか/沢(たく)山あるが、なんであろふ。ハイ。 00057330L18こゝへ落ましたそふで、大/木(ほく)がさけて、毛もミへます。是 00057340L19ハかミなりの玉子て御ざりませふ。ウヽ成ほと、めつらし 00057350L20いもんだ。とつてかへれ。(廿七オ)ハイ。何も入レものが 00057360M1御ざりませぬが。よし+。それ/合羽(かつは)ばこ+と、/桐油(とふゆ)を 00057370M2出して、/彼卵(かのたまこ)をひろひとり、/御帰館(ごきくわん)/早(そう)&、おく方へ入らせ 00057380M3るゝ。扨+けふは、めつらしい/雷(かミなり)のたまこをひろいたり。 00057390M4いで+見せんと、/椽先(ゑんさき)へ合羽筥からあけると、ころ+ 00057400M5+(廿七ウ) 00057410¥N37¥J 00057420¥Xつんほ 00057430M8つんぼが、からすを手にさけて来る。むかふからも、つん 00057440M9ぼか行あいて、どふだ。久しい。かわる事もないか。ヲヽ 00057450M10寒からすだ。そして、おやちハまめか。ウヽ、今ふちころ 00057460M11した 00057470¥N38¥J 00057480¥Xかゆ(廿八オ) 00057490M14/信濃(しなの)ものが、ハイ、だんなさま。おかゆが出来ました。ヲ 00057500M15ヽ今行と、そふ+内へもどり、あいつハ/田舎(いなか)ものじやか 00057510M16ら無理もないが、こなたも気のつかぬ。御膳が出来たとで 00057520M17もいふてよこせばいゝにと、女房をしかり、又よく日、外 00057530M18にはなしていると、しなのものが、ハイ、(廿八ウ)だんな 00057540M19様。御膳が出来ました。ヲヽ、もつてさましておけ 00057550¥P170 00057560¥N39¥J 00057570¥Xいせ物かたり 00057580L3コレ、うぬしのかゝアハ、とんだ/学者(かくしや)だぞ。ナゼ。ゆふべ、 00057590L4うぬしの湯へいつた/留主(るす)の内に、につほんのはじまりから、 00057600L5そして御/伊勢(いせ)さまの事を、むつかしい(廿九オ)名の神や何 00057610L6かをいつてはなしたよ。そふたろふ。此中から、伊勢もの 00057620L7/語(かたり)とやらいふ本ばつかりよんでいた 00057630¥N40¥J 00057640¥Xはつめい 00057650L10アヒ、おとつさん。京の御ちいさまから御手紙が参りまし 00057660L11た。ヲヽとれ+。ぼうや。なんと、てんとうさまが近か 00057670L12ろふか、また(廿九ウ)京の御ぢいさまの/方(ほう)が/近(ちか)かろふか。 00057680L13アヒ、京が/近(ちか)ふ御ざります。ナゼ。京からは御手紙が/来(き)ま 00057690L14したが、てんとふさまからハ、どつこへも御つかいが/来(き)ま 00057700L15せぬ。又あくる日、ぼうや。けふハてんとうさまが/近(ちか)いか、 00057710L16京がちかいか。アヒ。てんとうさまがちかい。ナゼ。京ハ 00057720L17こゝからハ見へぬが(卅ノ四十オ)てんとふさまハ見へる 00057730¥N41¥J 00057740¥X/午王(ごわう) 00057750L20どふも/大家(おゝや)さまのものがなくなつてハすまぬと、/長家(ながや)うち 00057760M1よつて/午王(ごわう)をのミ、ハア、まだ新八どのが見へぬ。もふ仕 00057770M2事からかへつたであろふと、うちをのぞいて、モシ、ゆふ 00057780M3べの事で、長家中(卅ノ四十ウ)よつて午王をたべますから、 00057790M4たゞ今御出なさい。アイ、そりやアかたしけないが、たつ 00057800M5た今、夜しよくをたべました 00057810¥N42¥J 00057820¥X/鼠(ねすミ) 00057830M8コレ、てめいわ、なぜそんなさむそふな身をしている。ナ 00057840M9ニ、さむかアねいがの、(四十一オ)せんどせつかくもらつ 00057850M10た/鼠(ねすミ)が、さむいかして、いつそ/死(しに)そふだから、それであた 00057860M11ゝめてやるのさ。ハテ、ばか+しい。それじやアいきが 00057870M12つまつて、けつく/死(しな)ふ。それでも出しておくと、だん+ 00057880M13しにやすものを 00057890¥N43¥J 00057900¥Xふミ(四十一ウ) 00057910M16もしあねさん。わつちに其半切リを、ちつとおくんなし。 00057920M17ヲイトいつて、ぐつと半分やぶつてやれば、/清(きよ)がきのやふ 00057930M18に大文字に文を/書(かく)。あねが見て、なぜ、そんな文のかきや 00057940M19うをしやるとしかれば、アイ。ゆふべきなんした、つんぼ 00057950M20のきやく/衆(しゆ)へやりやす△(四十二オ) 00057960¥P171 00057970¥N44¥J 00057980¥X三味せん 00057990L3イヤ、こゝのおむすも、三味せんがよくなつたが、むかふ 00058000L4のむすめハとんだあがりよふだ。まづこへハよし、手ハま 00058010L5わる。きやふなり。/長哥(ながうた)ハあゝでなけれハおもしろくない。 00058020L6おやぢがはらをたてゝ、ナニ、あれでもむかふずねをなぐると、 00058030L7たまらぬ(四十二ウ) 00058040¥P172 00058050¥U噺本大系△第十一巻 00058060¥T/福(ふく)の/神(かみ)〔内題〕 00058070¥G 00058080¥Y 00058090L17安永七年正月序 00058100L18大食堂満腹序 00058110L19小本一冊 00058120L20都立中央図書館加賀文庫蔵 00058130¥T1@新△落|はなし@福の神 00058140¥Y序 00058150M5初春のことぶきは、/去年(こぞ)の/辛苦(しんく)もうち(一オ)/忘(わす)れ、たゞに 00058160M6こ+ときけんよきそ目出度けれ。/諺(ことハざ)に、/笑(ハろう)ふ/門(かと)に/福(ふく)/来(きた)る、 00058170M7年&/面白(おもしろ)き/趣向(しゆこう)のおとしはなしを出シ(一ウ)て/笑(ハら)ハしむる 00058180M8ハ、/真(まこと)に/神儒仏(しんしゆふつ)の/道(ミち)にもかなふかと、/拙筆(つたなきふで)をとつて、思 00058190M9ふ事ふつと/吹出(ふきだ)し、/福(ふく)の/神(かミ)と(二オ)/題(だい)して、人&の/笑(ハら)ひを 00058200M10願ふのミ 00058210M12△△△安永七の初春 00058220M13△△△△△△△△△△△△△△△△△大食堂満腹著 00058230M14△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二ウ) 00058240¥P173 00058250¥T1福の神 00058260¥N1¥J 00058270¥X元日 00058280L5あれ、/聞(きゝや)れ。一/夜(よ)/明(あけ)ケたりや、もふ/鴬(うくゐす)が/鳴(なく)といへは、鴬/聞(きい) 00058290L6て、おれが元日をしつてなく物か(三オ) 00058300¥N2¥J 00058310¥X二 00058320L9初湯に入かへり、これ三介。一/夜(よ)の事で、ゆふべとはきつ 00058330L10ひ/違(ちか)ひといふ。/先(まつ)おまち被成ませ。今又米屋が参りました 00058340L11(三ウ) 00058350¥N3¥J 00058360¥X小町 00058370L14あの小町といふ人ハ、きめうな人よ。なぜ。外でもねへが、 00058380L15/哥(うた)をよんて、/雨(あめ)をふらせたといへば、Sそばから、其こへ 00058390L16で、/鷺娘(さきむすめ)がきゝてへ(四オ) 00058400¥N4¥J 00058410¥X鷺 00058420L19からすどん。/貴様(きさま)のからだと、おれがのと取かへてくれん 00058430L20か。なぜ。/外(ほか)でもねへが、おれが川へは入ると、/魚(うを)共がし 00058440M1つてにげるから、此頃ハどぢやう一つくわぬ。(四ウ)から 00058450M2す、そんなら成まひ。なぜ。おれも、うのまねが/出来(でき)めへ 00058460M3から 00058470¥N5¥J 00058480¥X八百蔵 00058490M6/極楽(ごくらく)で八百蔵を/待(まち)かね、/行(ゆく)とちきに、/芝居(しバい)へ/出(で)て下されと 00058500M7(五オ)いふ。八百蔵、どふも一月やそこらには出られませ 00058510M8ぬ。なせ。いや、おやしきがたへゑこうをうけに行ます 00058520¥N6¥J 00058530¥X盗人 00058540M11うしミつの/頃(ころ)、だん/平(ひら)にて(五ウ)家じりを/切(き)り/這(は)入る所を、 00058550M12一人がとめて、せくと事をしそんじると、そばのたらいの 00058560M13中ゑ、まじなひしやうと、のりあがり、まづ、こうぶう。 00058570M14Sシイ、こへが/高(たか)ひ 00058580¥N7¥J 00058590¥X脇差(六オ) 00058600M17旦那。この/脇(ハき)さしハなんの/為(ため)におさしなされます。はて、 00058610M18しれた事さ。とうぞくや又ばけ物にあつた/時(とき)、きる為さ。 00058620M19Sへヱ、其時は、そふして/誰(たれ)がぬきます(六ウ) 00058630¥P174 00058640¥G(十七上ウ・十七下オ) 00058650¥N8¥J 00058660¥X水 00058670M3水しなん所へ/行(ゆき)、どふすれバおよがれますといふ。Sへそ 00058680M4のとほりをなわでむすぶゆへ、Sこれハなんでござります 00058690M5と/聞(きけ)ば、S是£(七オ)ふかくハはいらしやるな 00058700¥N9¥J 00058710¥X鍵 00058720M8両/替(がい)やへ/盗人(ぬすひと)が/這(は)入、さつさとかつきだす。Sこぞう、/目(め) 00058730M9をさまし、こへをひそめ、ばんとうさん。/盗(ぬす)人が/金箱(かねはこ)ヲ 00058740M10(七ウ)もつてゆきますといへバ、S番頭かねばこをもつて 00058750M11いても、/鍵(かぎ)ハこゝに有ル 00058760¥N10¥J 00058770¥X大かめ 00058780M14此頃浅草辺へ、大かめがでるそふだから、くわれぬやうニ 00058790M15(八オ)けんじゆつをならひ、浅草へ/行(ゆく)と、向ふよりかけて 00058800M16くる。扨こそと、/抜(ぬい)ひてきりかけると、かひくゞり、/喰付(くいつき) 00058810M17けれハ、Sかの/男(おとこ)けんじゆつも、もふやめにしやう(八ウ) 00058820¥N11¥J 00058830¥X鴨 00058840M20かも一羽、くるしけ成る/躰(てい)にて、水のうへにたゞよう所へ、 00058850¥P175 00058860¥G(三十七上ウ・三十七下オ) 00058870M1/鴈(がん)とんで/来(き)て、S貴様ハ/顔色(かほいろ)がわるひが、/気色(きしよく)でもわるひ 00058880M2か△Sいや、気色所じやなひ△Sどふしやつ(九オ)た。川 00058890M3上でせりをあらう 00058900¥N12¥J 00058910¥Xばけ物 00058920M6/有浪(あるらう)人、はけ物やしきへゆき、/待(まち)かけて居ると、/丑(うし)ミつ/頃(こら) 00058930M7ひとふき、さつと/風(かせ)/吹(ふき)来り、/老人(らうじん)、/雲(くも)にのつて来て、申& 00058940M8(九ウ)と/言(いふ)。S/浪(らう)人、すいがらをたゝきながら、出なをせ 00058950M9+といへは、/老人(らうじん)、私はばけ物ではごさりませぬ。此/家(や) 00058960M10の/先祖(せんぞ)でござりますが、/子孫(しそん)になりまして、此やうにぼつ 00058970M11らくいたしました(十オ)から、あなたを御/頼(たのミ)申とふござ 00058980M12りますといへバ、S浪人、何を/頼(たのミ)たいといふ。Sはい。外 00058990M13でもござりませぬが、向ふのせん水のわきの石の下に、金 00059000M14子四五万両もござりますから、/何卒(なにとぞ)あの金子で(十ウ)此/家(いへ) 00059010M15を御/取立(とりたて)と/言(いゝ)ながら、きへうせたり。ほどなく夜も明ケけ 00059020M16れバ、其石の下をほりミれハ、/箱(はこ)が出る。扨こそと、ふた 00059030M17をとれバ、中から/入道(にうどう)が出て、あかんべい(十一オ) 00059040¥N13¥J 00059050¥X座頭 00059060M20さつさと/行(ゆき)、/車(くるま)につきあたり、とほうもなひ。ちとめをあ 00059070¥P176 00059080¥G(四十三上ウ・四十三下オ) 00059090M1いてあるかしやれと、さぐつて見て、人なりや、こふいふ 00059100M2のさ(十一ウ) 00059110¥N14¥J 00059120¥X同 00059130M5/座頭(ざとう)、/犬(いぬ)をふんで、壱丁斗リ行。又犬をふミ、いま+し 00059140M6い、長ひいぬだ 00059150¥N15¥J 00059160¥X猫 00059170M9十六七の/娘(むすめ)、ねこをだいて(十二オ)/立(たつ)て/居(い)る。きほひが見 00059180M10て、あのねこをだきてヱなといへは、ねこ、にやあ+。 00059190M11/娘(むすめ)、ばかな。手まへの事じやねへ 00059200¥N16¥J 00059210¥X喧嘩 00059220M14/或男(あるおとこ)、使から帰り、けふハとん(十二ウ)だけんくわを見て 00059230M15/来(き)たと/言(いふ)。Sはての、どんなけんくわだ。一丈八尺のけん 00059240M16くわさ。Sなに、けんくわに、たけがあるもんだ△Sそふ 00059250M17いやるな。六尺三人のけんくわだ 00059260¥N17¥J 00059270¥X早桶(十三オ) 00059280M20此間、おらが内に男をおひたが、/扨(さて)&/気(き)のつくやつよ。な 00059290¥P177 00059300L1んでもこちで思ふ事を/言(いハ)ぬさきにする。Sそりやとんだ事 00059310L2だと二三人より合、一はいのまんといわぬ/先(さき)に、かんをし 00059320L3て/出(だ)す。(十三ウ)なんそ/肴(さかな)をといわぬ/先(さき)に、さま+のも 00059330L4のをもつて出る。Sこれはきつひ事と、やたらにくひ、ひ 00059340L5とりがにハかに/食滞(しよくたい)かくるしむと、かの男、おもてゑかけ 00059350L6だせば、Sてひしゆあれ(十四オ)見さつしやれ。どくけしで 00059360L7も/買(かい)にいつたそふなといふ所へ、/早桶(はやおけ)をかついで/来(き)た 00059370¥N18¥J 00059380¥X犬 00059390L10/年寄犬(としよりいぬ)、/若(わか)ひいぬをよびあつめ、わいらハおらがわかひ/時(とき) 00059400L11と(十四ウ)ちがつて、/夜(よる)になつて、人さへとほれば、なき 00059410L12たがる。ちと、人を見てなきやれ。Sいゝへ。そふおつし 00059420L13やりますな。今はお/歴(れき)&てもなきます 00059430¥N19¥J 00059440¥X吉原(十五オ) 00059450L16金をすてるなら、よし原のこつた。ゆふべ三分すてゝきた 00059460L17が、とほうもなくおもしろかつたと言をきゐて、Sおれも 00059470L18すてんと早&かけ/出(だ)し、先大門へ一分すて、中の丁の/中程(なかほと) 00059480L19へまた一分(十五ウ)すて、/水道(すいどう)じりへ一分すてゝ見ても/面= 00059490L20白(おも=しろく)なひゆへ、こゞとを/言(いゝ)ながら、かしへまわり、又大門へ 00059500M1帰り、かの一分をひろいあけ、そろ+おもしろくなつた 00059510¥N20¥J 00059520¥X火事(十六オ) 00059530M4三介、火事がある。はやく/起(おき)ろ。あひ+。はやくさ。今 00059540M5おきます。今じやねへ。はやく+。まあおまちなされ。 00059550M6ふんどしだから、火事をさがします 00059560¥N21¥J 00059570¥X張良(十六ウ) 00059580M9むかし/張良(ちやうりやう)が/下■(がび)と言所にかくれて居た時、/黄石公(かうせきかふ)か馬 00059590M10にのつて/来(き)て、/橋(はし)の上からくつを/落(おと)して、張良にとつてよ 00059600M11こせといつた。そこで張良がふりかへつて見たと、Sいわ 00059610M12ぬ(十七上オ)(十七上ウ・十七下オ挿絵)さきに、そばから、は 00059620M13やく取らざ、くつが/流(なが)れよう 00059630¥N22¥J 00059640¥X黒焼 00059650M16おれがこゝへ/浅草(あさくさ)の/景(けい)をだして見せうと、/印(いん)ろうよりくろ 00059660M17き/粉(こ)を出してふけバ、(十七下ウ)浅草の景のこらず出る。 00059670M18こんどハ/富士山(ふしさん)を出さんと、西へ/向(むか)つて/吹(ふく)と富士山か出る。 00059680M19/皆(ミな)&、これハけしからぬ/奇妙(きめう)じやが、そりやまあ、なんの 00059690M20粉だ。Sこれか。/唐(とう)目かねの/黒(くろ)やき(十八オ) 00059700¥P178 00059710¥N23¥J 00059720¥Xすて子 00059730L3/或(ある)人、/奈良(なら)の大/仏(ふつ)へまいり、そこらを見れバ、すて子があ 00059740L4るゆへ、かごにのせて/帰(かへつ)て見たら、/道心(どうしん)ぼうず 00059750¥N24¥J 00059760¥Xうに(十八ウ) 00059770L7御/馳走(ちそう)にうにがでる。これハおめづらしいと言ながら、な 00059780L8めて、これハよひうにとほめれば、Sそばから、その/角(つの)ハ 00059790L9きつひ/薬(くすり)になります 00059800¥N25¥J 00059810¥X屋根(十九オ) 00059820L12おいらがやねへのぼると、ふじ山がよく見へると言ば、 00059830L13Sそんなら、ふじ山へのぼつたら、貴様のやねが見へよ 00059840L14うの 00059850¥N26¥J 00059860¥X儒者 00059870L17/成程(なるほと)、/孝(こう)の道は/行(おこなハ)れませぬ。(十九ウ)/弟子(でし)共、/先生(せんせい)。なぜ 00059880L18/左様(さよう)におつしやります。Sいや、此うらに、あしをおり、 00059890L19しりをきつた者がござる△Sへヱ、/何登(なんと)申人でござります。 00059900L20いや、ぶちと申犬でござる△(二十オ) 00059910¥N27¥J 00059920¥X遠目鏡 00059930M3/或(ある)人、遠目がねを見ながら、手ヲだして、目がねのさきを 00059940M4いぢる。そばから、何をするときけば、両国ばしのうへに、 00059950M5ぜにが有る 00059960¥N28¥J 00059970¥X猫(二十ウ) 00059980M8ねこをもらつたから、つよひ/名(な)を付やうと思ふが、/何(なん)と/付(つけ) 00059990M9たらよかろう。Sとらとつけやれ△Sとらより/龍(りやう)と付やれ 00060000M10Sそんなら、龍をのせて/歩行(あるく)もんだから、雲と付やふ△ 00060010M11Sそれより、風と付やれ。(二十一オ)いや、それより風を 00060020M12とめるもんだから、せうじと付やう。Sそれより、せうじ 00060030M13をかぢるによつて、/鼠(ねつミ)と付やれ△Sそんならいつそ、/猫(ねこ)で 00060040M14おこう 00060050¥N29¥J 00060060¥X和尚(二十一ウ) 00060070M17和尚様。おまへがたハ、人のしんだをバ、あミだのおむか 00060080M18ひだと/言(いゝ)ながら、なぜ、ちくしやうがしんだにハ、ふびん 00060090M19だのなんのかのとおつしやります。S和尚ちくしやうがあ 00060100M20んまり/死(し)ぬ(二十二オ)と、人がこまるからさ△Sなぜへ。 00060110¥P179 00060120L1はて、/極楽(ごくらく)がせまく成から 00060130¥N30¥J 00060140¥Xひがん 00060150L4ひがんといふ物ハどんなものだのといへば、Sそばから、 00060160L5おいらア/今朝(けさ)、たなの上で見たよ。(二十二ウ)はてな。ど 00060170L6んな物だ。/鼠(ねつミ)のやうなものよといへば、Sなんに、それが 00060180L7ひがんなもんだ△Sそれでも、おれがぶちころさうとした 00060190L8ら、おふくろが、ひがんだからよせといつた 00060200¥N31¥J 00060210¥Xほとゝぎす(二十三オ) 00060220L11/或哥(あるうた)よみ、うたまくらにいで、七つおきしてさつ+とゆ 00060230L12けバ、/雲間(くもま)にほとゝぎすの一こへ。/今(いま)一こへきかまほしく、 00060240L13ミヽをすまして/居(い)ると、Sそばをとふるかごかき共いま+し 00060250L14い。まだあいつがなきをる(二十三ウ) 00060260¥N32¥J 00060270¥X晦日 00060280L17あのつもごりのことを、なぜつごもりと言。Sあれか。あ 00060290L18れハ、つごがもるから、つごもりさ。成ほと、それで朔日 00060300L19のりくつもしれた△(二十四オ) 00060310¥N33¥J 00060320¥Xいもり 00060330M3/色男(いろおとこ)、いもりの黒やきを以て浅草へゆかんと思ひ、こまか 00060340M4た迄/行(ゆく)と、向ふから/歴(れき)&の/娘(むすめ)と見へて、女中、/士(さむ□)ひ、/中間(ちうけん) 00060350M5なと/大勢(おふぜい)つれてくる。さらバ、ふりか(二十四ウ)けんと思 00060360M6へば、つひ中間にかゝる。中間、かの男を取らまへにかゝ 00060370M7る。たまりかねて/舟(ふね)にのり/向(むかふ)へ/渡(わた)ると、かの中間、川へと 00060380M8びこみ、中ほどまておよき、おれハこゝへ/何(なに)しに/来(き)た(二 00060390M9十五オ) 00060400¥N34¥J 00060410¥X温せん 00060420M12/或(ある)人、/湯元(ゆもと)へ/溜(とま)り、/風呂(ふろ)ハ/出来(でき)たかととへバ、Sてい主/此= 00060430M13所(この=ところ)はとうじバでごさりますゆへ、手まへでハ風呂はたきま 00060440M14せぬと言。Sそれハ/幸(さいわい)じや。そうして(二十五ウ)もふよし 00060450M15か△Sはて、いつでもわいております 00060460¥N35¥J 00060470¥Xさまよ 00060480M18或/殿(との)様、げい/者(しや)をあつめ大さハぎの所へ、/家老(かろう)/石部(いしべ)金吉が 00060490M19出る。殿様、金吉。さまよをうたへと(二十六オ)おつしや 00060500M20れバ、S/拙者(せつしや)、さやうな事は/一向(いつこう)存ませぬといへどもいへども、ぜ 00060510¥P180 00060520L1ひにうたへとおつしやれば、金吉、川をへだゝて/軍(いくさ)をすれ 00060530L2ば。どふした+。舟よ+が気にかゝる(二十六ウ) 00060540¥N36¥J 00060550¥Xすつほん 00060560L5あそびにゆき、手をうてども、さつはりこぬゆへ、はらを 00060570L6たち、そう+帰り、すつほんを壱つ/買(かい)、黒やきにして遊 00060580L7びに行。/禿(かぶろ)、/若(ハかい)イ者にのませ、しバらく(二十七オ)して手 00060590L8をうてば、ミんなはつて/出(で)た 00060600¥N37¥J 00060610¥X小便 00060620L11/駕篭(かご)の中で小べんがしたくなり、ちつとおろしやれといへ 00060630L12ば、S立ばがもちつとだからと(二十七ウ)いふうちに、/問(とい) 00060640L13屋ばへついたゆへ、さふ+かた/脇(ハき)へすると、出るほどに 00060650L14+大/道(とう)が川のやうになる所へ、/馬士(まご)が/来(き)かゝり、いめ 00060660L15+しい。どいつがこんな事したといへば、Sかの人、大 00060670L16きにはらをたち、(二十八オ)おれが/小便(せうべん)したが、とふする 00060680L17といへば、S/馬士(まご)御免被成りませ。わたくしハ馬だと思ひ 00060690L18ました 00060700¥N38¥J 00060710¥X田舎者 00060720M1おしな。火事か/有(ある)るそふな。火の見へあかつて見やれ。あ 00060730M2い(二十八ウ)と言、あがつて見る。S下から、どつちだと 00060740M3いへは、わしらが方なれば、/北(きた)の方でござる 00060750¥N39¥J 00060760¥Xわさび 00060770M6/料理(りやうり)人、めしたきに、此わさひ、あらつて下されとだセハ、 00060780M7あい(二十九オ)と言ながらゆでる。しバらくして料理人、 00060790M8今のわさびハといへば、くつて見て、もふからミハとれま 00060800M9した 00060810¥N40¥J 00060820¥X儒者 00060830M12門弟入でも有と/挨拶(あいさつ)がちん(二十九ウ)ふんかんゆへ、弟子 00060840M13入もなく、段&ひんきうになる。S女ぼうおまへがあんま 00060850M14り、ちんふんかんをおつしやるから、弟子しうもなく、す 00060860M15へはどふなされますと/言(い)へは、此人、もんもうな事を(三 00060870M16十オ)言人じや。おれが/唐音(とういん)てもいわぬと、弟子共がいじ 00060880M17める 00060890¥N41¥J 00060900¥X帋てう 00060910M20はや/床(とこ)がまハり、/部(へ)屋へ行ハ、すゝしのかやがつつてある。 00060920¥P181 00060930L1/客(きやく)、/蚊(か)屋へ/這(は)入ながら、おめヱを(三十ウ)/買(かつ)たおかげで、 00060940L2こん/夜(や)ハけつこうな/蚊(か)やへはいつてねやす。おいらが内に 00060950L3居ると、してうばつかりといへば、ばからしい。してうと 00060960L4は何の事でありんすへ。Sおめへのおとつさんに/聞(きい)てミな 00060970L5(三十一オ) 00060980¥N42¥J 00060990¥X羅しやう門 00061000L8むかし/綱(つな)が、らい/公(こう)の/仰(おふせ)をこふむり、羅しやう門へ行、金 00061010L9札をかつち+うち付たといへバ、そばから、うそばつか 00061020L10り。あれは立て来たのだといへば、S/何(なに)、(三十一ウ)うち 00061030L11付るおとでなければ、/鬼(おに)が/知(し)らねヱ 00061040¥N43¥J 00061050¥Xろうらいし 00061060L14/唐(から)のろうらいしとやらは、/年(とし)たけて/赤(あかい)ひ/着物(きもの)を着、おとり 00061070L15をおとつて、親の(三十二オ)気をやすめたそふだ。きつい 00061080L16こう+なもんだといへは、Sそんなら、役者はミんなこ 00061090L17う+か 00061100¥N44¥J 00061110¥X信濃 00061120L20お手前の御/在所(ざいしよ)は。Sはひ。しなのでこざります。へヱ、 00061130M1(三十二ウ)しなのは/寒国(かんこく)と承りましたが、左様かの。Sは 00061140M2い。かん中などハ、はなしがかべゑしみつきます△Sさや 00061150M3うなら、/春(はる)はそう※しうごさりましやう(三十三オ) 00061160¥N45¥J 00061170¥X雨 00061180M6/雨(あめ)と言物は、/元(もと)はなんだの。Sあれがかみなりさまの/小便(せうべん) 00061190M7さ。とんだうそを。雨はちつとふるかとおもへは、たんと 00061200M8になり、さま+に(三十三ウ)ふる。小べんがそう、ぢゆ 00061210M9ふになるものか。Sはて、そこがかみなりさまじや 00061220¥N46¥J 00061230¥X酒 00061240M12/酒(さけ)のミあつまり、のミくらをせんと、こもつかぶり二三本 00061250M13(三十四オ)出して、のんでしまつて、/樽(たる)のおかハり 00061260¥N47¥J 00061270¥X鑓 00061280M16あるやり持、/兎角(とかく)やりをならすゆへ、けふはきつとならす 00061290M17なと言つけながら(三十四ウ)お出が有ル所が、ねつからな 00061300M18らぬゆへ、Sどふしたやらとおもひ、ふり/帰(かへつ)てミたりや、 00061310M19ぬきミ 00061320¥P182 00061330¥N48¥J 00061340¥X富十郎 00061350L3おれがしつた人に、とんだ人か(三十五オ)有ル。はてな、 00061360L4どんな人だ。まつはしめ京/生(うま)れの者よ。それからけわひ坂 00061370L5のせう+となり、又とらとなり、或は/竹抜(たけぬき)五郎、やのね 00061380L6五郎、其外色&に身をかへた人よといへは、S(三十五ウ)と 00061390L7んだ此人はうそを言△Sいや、うそじやねへ。/貴様(きさま)もしつ 00061400L8て居るであろふ△Sいゝや、おらアしらねへが、其人は今 00061410L9の名ハ/何(なん)と言。中村富十郎 00061420¥N49¥J 00061430¥Xこじき(三十六オ) 00061440L12こじき二人つれにてゆく。向ふから又壱人来り、きん、ど 00061450L13ふした。Sおひ。手前にあうと、むかしの事を思ひ出す。 00061460L14三年さきの今時分ハそれさと、二人して/噺(はな)せば、S壱人の 00061470L15こじき、(三十六ウ)おれもなんそいわんと思ふ所へ、はひほ 00061480L16う、わきよれと大きな大名が/来(き)かゝる。かのこじき、/幸(さいわい)に 00061490L17して、おれもむかしは、あゝいわせたものよ 00061500¥N50¥J 00061510¥Xきれ(三十七上オ)(三十七上ウ・三十七下オ挿絵) 00061520L20きれの/会(くわひ)が有ゆへ、さま+のきれをもつてよる中に、ひ 00061530M1ちりめんの、すこししみなと有をもつて出けるが、これが 00061540M2一になるゆへ、ミな+ふしんに思ひ、/聞(きい)て見た(三十七下 00061550M3ウ)れば、/鷺孝(ろこう(ママ))がふんどし 00061560¥N51¥J 00061570¥Xてんぐ 00061580M6くらま山の天ぐ、とふろけんぶつに来りて、方&をあるき、 00061590M7丁子やのかうしへのそけバ、女郎共きもを(三十八オ)つぶ 00061600M8し、ヲヤばからしい。そこハ小べん所じやありんせん 00061610¥N52¥J 00061620¥Xこじき 00061630M11あの/親(おや)のために、かにくわれたり、竹子をほり出したを 00061640M12(三十八ウ)こう+だといふが、親の事なら、あれくらひ 00061650M13の事はしそうなもんたといへば、Sナセ。おらがほうに、 00061660M14女郎ゆへにこじきになつた者さへ有る 00061670¥N53¥J 00061680¥X医師(三十九オ) 00061690M17あるいしや、しん/王(のう)に向ひ、又一人ころしました。おかげ 00061700M18て、げし人にもなりませぬといへバ、Sしんのう久しいも 00061710M19のだ。ことしも大方、三四百人もころしたろふ△Sいゝへ、 00061720M20たつた百人(三十九ウ) 00061730¥P183 00061740¥N54¥J 00061750¥X親父 00061760L3有/親父(おやぢ)、/黒(くろ)あぶらなどにてひからかし、大門へは入と、む 00061770L4すこニ/行合(ゆきやい)、見ぬふりをして行すぎしが立/帰(かへ)つて、これ 00061780L5+、女郎ハよひが、ばくちハするな(四十オ) 00061790¥N55¥J 00061800¥Xとうぞく 00061810L8二三人/寄合(よりやい)、ちと/追(おい)ひおとしにでもでよふとそうだんする 00061820L9内に、日もくれけるゆへ、すぐに出んと言へば、一人、ぶ 00061830L10つそうなに、夜る出られるものか(四十ウ) 00061840¥N56¥J 00061850¥X箒 00061860L13ながつちりな人、二人つれにて友だちの所へゆき、一日は 00061870L14なし、ひとりがなぜか帰る事がいやだといへバ、Sつれ大 00061880L15かた、かつてゞほうきてもたてたろう(四十一オ) 00061890¥N57¥J 00061900¥Xちよん 00061910L18なんでもしつたふりをする人あり。何とぞあれをこまらせ 00061920L19んと、大ぜひにてそうたんをし、ミその中へかつほふしを 00061930L20/摺交(すりまぜ)、ちよくへ入、かの男をよび、是ハ(四十一ウ)もらひ 00061940M1ましたが、なんと申ものかしれませぬ。あなたハ/定(さため)て御ぞ 00061950M2んじてござりませう。何と申ものでござりますといへば、 00061960M3かの男、なめて見て、これはめづらしいものでござると言。 00061970M4/皆(ミな)&(四十二オ)まがほにて、何と申ものてごさりますとい 00061980M5へは、しかつべらしく、ちよんといふものさ 00061990¥N58¥J 00062000¥X鳶ノ者 00062010M8とびの者、茶にしやうとてやすミ、/材木(ざいもく)にこしをかけ、 00062020M9(四十二ウ)手めへのたばこを一ふくくりや。Sさあ、のミ 00062030M10やれ△Sおひと、すいつけなから、とんだくさいのといへ 00062040M11ば、Sそばから、おれがてつほうのうちぞこなひだ 00062050¥N59¥J 00062060¥X年(四十三上オ)(四十三上ウ・四十三下オ挿絵) 00062070M14/貴様(きさま)のとしハいくつだ。S三十になります△Sそんなら、 00062080M15おれとは半分違ひだの△Sへヱ、おまへハ六十か△Sいや、 00062090M16三十一さ△Sそれで又、なぜ半分ちがひだとおつしやりま 00062100M17す△Sイヤ、貴様の一つの時、おれや二つだ(四十三下ウ) 00062110¥N60¥J 00062120¥Xひらめ 00062130M20/夕部(ゆふべ)おらがまへの下水へ、二尺斗リのひらめがおよひでき 00062140¥P184 00062150L1た。めつらしい事じやねへか。Sそれハとんだこつた。し 00062160L2かし貴様のまへの下水ハ、/幅(はゞ)壱尺斗リ有る。(四十四オ)そ 00062170L3れに弐尺のひらめハ、きつい万八だ△Sイヽヤ、たてにな 00062180L4つて来ました 00062190¥N61¥J 00062200¥X行者 00062210L7/狼(おゝかミ)口を明キ、新ぼりばたに出て/居(い)る所へ、はだか参りの 00062220L8(四十四ウ)/行者(ぎやうじや)来かゝり、ねらいをきハめ口へ/飛(とび)こミ、一 00062230L9さんにはらの内を、しりからぬけていそぎ行。S狼、きも 00062240L10をつぶし、ふんどしをすればよかつた 00062250¥N62¥J 00062260¥X礼(四十五オ) 00062270L13/御慶(ぎよけい)申入ますといへども、/答(こた)へなし。よろづや八兵衛、御 00062280L14慶申入ます。S/勝手(かつて)から、ねぼけたこへで、ハテ、/七種(なゝくさ)過 00062290L15まて待て下され 00062300¥N63¥J 00062310¥X将/基((ママ))(四十五ウ) 00062320L18/隣(となり)の/亭主(ていしゆ)来り、けふハ雨天て、よきせうぎ日じやといふ。 00062330L19こちらも/好(すき)なり。いか様一/番(はん)致そうと、ばんをとり出しさ 00062340L20し掛り、どちらもならいでのせうき、三四十手も過キ、 00062350M1(四十六オ)となりのてい主、/銀(ぎん)に歩ヲ付ル。Sあとへ引。 00062360M2Sとなりのてい主、そふハならぬと言。△Sなぜならぬ 00062370M3Sはて、銀ハあとへハきかぬ。貴様ノやうなおぼへのわる 00062380M4ひ人はなひといゝながら、せうきばんの/脇(わき)をはち+(四十 00062390M5六ウ)こうまんな顔て言ハ、Sそんなら、/脇(わき)へひらきます 00062400M6Sおひらきなさればぜひもなし。ぱつち+ 00062410¥N64¥J 00062420¥Xけん女達 00062430M9/雪(ゆき)ふりに、/夫婦(ふうふ)こたつにあたり居ル所へ、/落付(おちつき)じまんの 00062440M10(四十七オ)友たち来り、いかふさむふござるといへバ、 00062450M11S御出か。さあこたつにあたりなされ△S然らバ御めんと、 00062460M12こたつへはいり、内義の手へさハりけれハ、S内義、こた 00062470M13つをとび出、おまへ、ぶしつけな。主有女の(四十七ウ)手 00062480M14へさハるといふ事がある物かと、にが+しく/立腹(りつふく)し、き 00062490M15せるをかち+たゝきながら言バ、S友達、落つきはらつ 00062500M16て、はてぎやうさんな。けんににてけんにあらす。あしな 00062510M17らどふさしやる(四十八オ) 00062520¥N65¥J 00062530¥X女中 00062540M20年頃三十位と四十近き、きりりしやんとしたる女中二人、 00062550¥P185 00062560L1両ごく£舟にのり、くわんおん代さんとミへて、こまかた 00062570L2の真木屋のかしへ付、/舟頭(せんどう)を百助所へ買物に遣し(四十八ウ) 00062580L3/岡(おか)の方へ/向(む)き居ル所へ、きほひ、水あびに来り、かの女中 00062590L4を見て、なんでもこまらせてやろうと、ふんどしひつぱつ 00062600L5し、女中の舟のまへに/向(むかつ)て小ベんする。S女中、/声(こハ)だかに、 00062610L6おのれ、女とあなとつて(四十九オ)ぶ礼のふるまひ。人間 00062620L7のかくすベき所を出し、ちくしやうも/同前(とうぜん)と、やがて/竿(さほ)を 00062630L8ふり上ケけれバ、Sさすがのきほひ、りやうけんちがひ、 00062640L9引もひかれず、舟の下へとびこミ、半町ほとむぐる。女中 00062650L10(四十九ウ)きもをつふし、/南無(なむ)/観世音(くわんせおん)+ 00062660¥N66¥J 00062670¥X鳥尽し 00062680L13鳥屋、おれが/死(し)んだら、/鳥尽(とりつくし)でとむらいをしてくれひと言 00062690L14残し、相はてけれバ、さつそく(五十オ)寺へ右の趣を申遣 00062700L15しければ、/和尚(おせう)、心得たりと返答する。Sさて、本堂へこ 00062710L16しをかきこミて御/経(きやう)/初(はしま)り、おせう、こしに/向(むかつ)て、なんじ 00062720L17/元来(くわんらい)とんびとろゝう、/雀(すゝめ)ちう+、はとほう+、/烏(からす)(五十 00062730L18ウ)かあ+、/孔雀(くじやく)/鳳凰(ほほう)の/浄土(じやうど)へ/至(いた)れ。くわつ。S鳥をさ 00062740L19いたミさいな++ 00062750¥N67¥J 00062760¥X田舎者 00062770M3/在所(さいしよ)者に道にて出合、/扨(さて)&久しぶりと/無事(ぶじ)をかたり、どふ 00062780M4(五十一オ)だ、/奉公(ほうこう)ハ。Sいや、わしも/中間(ちうげん)奉公ニ/這(は)入た 00062790M5が、おとり立にあづかり、ぐつと/立身(りつしん)して、家中の者を目 00062800M6の下に見るやうになつたとかたるを/聞(きい)て、それハ目出たい。 00062810M7御/側(そハ)か、御用人か。Sいや+、やぐらばん(五十一ウ) 00062820¥N68¥J 00062830¥X蕎麦切 00062840M10石町の新道へ、そば切+と/来(く)る。でつち/来(き)かゝり、一は 00062850M11い下されと言所へ、又壱人来て、おれにも下されといふ内、 00062860M12/先(せん)のでつち、喰にげに/欠(かけ)出せば、そばうり、てんびんぼう 00062870M13(五十二オ)ひつさげ、/追(おつ)かける。今壱人も、そばをしたゝ 00062880M14かくらひ、にげ出しければ、そばうりあきれ、/荷(に)をとつて 00062890M15なげ出し、/先(まつ)こんばんハ是切り。/鐘(かね)はぐわん+(五十二ウ) 00062900¥P186 00062910¥U噺本大系△第十一巻 00062920¥T/鯛(たい)の/味噌津(みそず)〔内題〕 00062930¥G 00062940¥Y 00062950L16安永八年正月刊 00062960L17新場老漁序 00062970L18遠州屋板 00062980L19小本一冊 00062990L20大東急記念文庫蔵 00063000¥Y叙 00063010M3/日&(ひゞ)に/新(あらた)にしてまた日に/新(あらた)なる、はなしの/種(たね)を/買出(かいだ)さんと、 00063020M4/硯(すゞり)の/海辺(うミベ)の/市(いち)に立て、(序一オ)/持(もつ)たる/筆(ふで)を/天秤(てんびん)となし、め 00063030M5つたにうりたい、はなしたい。/鯛(たい)の味/噌(そ)/吸(ず)に/四方山(よもやま)の、は 00063040M6なしにひれハなけれとも、/尾(お)に/尾(お)をつけて(序一ウ)/書(かき)つゞ 00063050M7くれハ、/新(あたら)しうこそ/腥(なまぐさ)けれ。いでや/世上(せじやう)の/話本(はなしぼん)、/新背(しんせ)もあ 00063060M8れば/古背(ふるせ)もあり。/古(ふるき)をたづねてあたらしき、/譬(たとへ)のふしの/鰹= 00063070M9節(かつほ=ぶし)。/花(はな)に(序二オ)/酔(ゑひ)ぬる人ならで、/桜(さくら)の/皮(かハ)を/削(けづ)りはベりぬ。 00063080M11△△△△△△△△△△/新場老漁(しんばのらうぎよ)/書(しよす)G 00063090M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序二ウ) 00063100¥P187 00063110¥T1/鯛乃(たいの)/味噌津(ミそづ) 00063120¥N1¥J 00063130¥X/御慶(ぎよけい) 00063140L5元日の/早朝(さうてう)から、/御慶(ぎよけい)申入れます+といへども、/一向(いつかう)へ 00063150L6んじなし。これはてい主が、ゆふべのつかれ(一オ)で、/今= 00063160L7朝(け=さ)まだねてゐるかと、/勝手(かつて)の方をさしのぞき、御/慶(けい)申入ま 00063170L8すといへば、/戸棚(とだな)の中から、てい主の/声(こえ)にて、Sまづ/行(いき)ま 00063180L9ハつて/来(き)て/下(くだ)され(一ウ) 00063190¥N2¥J 00063200¥Xから木 00063210L12けふさる所で、めづらしい木を見てきた。Sそれハどのや 00063220L13うな木じや△Sなんでも、みきが/紫檀(したん)のやうで、/葉(は)がまる 00063230L14く、(二オ)花ハふじいろに咲で、大きな/実(ミ)がなる。その色 00063240L15がこいむらさきじや△Sハテサテ、それハめづらしい物。 00063250L16ソシテなんといふから木しやな△Sなすびといふ木じや 00063260L17(二ウ) 00063270¥N3¥J 00063280¥X三十ふり/袖(そで) 00063290L20/善光寺(ぜんくハうじ)/開帳(かいてう)の比、/夜発(よたか)弐三人づれにて、/両国橋(りやうごくばし)をとふりな 00063300M1がら、ヤレ+、きつい人ごミだ。おかいてうのうちハ、 00063310M2/通(とふ)りがつかへて(三オ)どふもならぬといへば、/半元服(はんげんぷく)のふ 00063320M3り/袖(そで)のよたかゞ、/姉(あね)さん。そういひなさんな。この/前(まへ)のお 00063330M4/開帳(かいてう)のあつた/年(とし)にハ、/大橋(おほはし)をまハつた 00063340¥N4¥J 00063350¥Xゑびす/膳(ぜん)(三ウ) 00063360M7/道楽寺(どうらくじ)の/遊山和尚(ゆさんおしやう)、/晨朝(じんでう)のお/勤(つとめ)をしまひ、/朝(あさ)めしの/膳(ぜん)にす 00063370M8ハりて見れば、ゑびす/膳(ぜん)にすへてあり。コリヤ/小坊主(こばうず)。な 00063380M9ぜ、いつもゑびす/膳(ぜん)にすゆるぞとしかれば、(四オ)小/僧(ぞう) 00063390M10Sそれでも、お/大黒(だいこく)様があるから 00063400¥N5¥J 00063410¥X/仁王(にわう) 00063420M13仁王へ、/紙(かミ)をかミてふきつけると、/力(ちから)か出るといふをきゝ、 00063430M14わかいもの二三人づれ(四ウ)にてさそひあひ、ある/寺(てら)の/金= 00063440M15剛(に=わう)へ、めつたむせうに紙をふきつけしが、一人、ふところ 00063450M16をさがしながら、たつた今はながミを出すとて、つい金を 00063460M17壱/分(ぶ)おとしたと(五オ)いへば、つれのもの、うろ+あた 00063470M18りをたつねれば、仁王も/首(くび)をふりながら、からだ/中(ぢう)を見て、 00063480M19きよろ+ 00063490¥P188 00063500¥N6¥J 00063510¥X座頭 00063520L3ある/座頭(ざと)の/坊(ぼう)、うつくしき(五ウ)女房をもち、ほどなくう 00063530L4い/子(ご)をもうけけるが、/日夜(にちや)/膝(ひざ)の上にて、そだてあげてかハ 00063540L5ひがり、そろ+ちゑづく比、てうち+あハヽとあやし 00063550L6ながら、コレ+かゝあどん。(六オ)/笑(わら)ふか、見て下さい 00063560¥N7¥J 00063570¥X/楽(かく) 00063580L9この比、さるおやしきで/楽(がく)といふものを見て来た。また、 00063590L10はやしなどゝハ、かくべつ/位(くらい)のちかつたものだ。Sハテナ。 00063600L11(六ウ)それハどのやうなものだ△Sイヤ、なんでも/大鞁(たいこ)の 00063610L12大きさが、/能(のう)の/太鞁(たいこ)より五わりましも大きくて、/笛(ふえ)といへ 00063620L13ば拾本ばかりたはねて、一所にふいた(七オ) 00063630¥N8¥J 00063640¥X/挑灯(てうちん) 00063650L16/隠居(いんきよ)、夜ばなしに行、かへる。モシ+、おてうちんをあ 00063660L17げませう。@隠居、あた|まをなでゝ@Sこれにござります 00063670¥N9¥J 00063680¥X/越後獅子(ゑちごじゝ) 00063690L20/角(かく)兵衛/獅(し)子をまハす程に(七ウ)+、つゞけて五百かまハ 00063700M1しければ、/角兵衛(かくべい)じゝも目まい立ぐらミして、チトやすミ 00063710M2まして、/弁当(へんとう)にいたしましたいといへば、インヤ、ならぬ。 00063720M3つゞけてまへといハれ、よう+まいおさめてかけ出す 00063730M4(八オ)(八ウ・又八オ挿絵)を、コレ+とよびかへせバ、Sも 00063740M5う壱/歩(ぶ)でも/御免(ごめん)なされ 00063750¥N10¥J 00063760¥Xすい口 00063770M8にハかの/客(きやく)に吸物をこしらへ、下女をよび、コレ+、す 00063780M9い口ハないかといへバ、下女これハしたり。(又八ウ)此間 00063790M10とつかへべいにやりました 00063800¥N11¥J 00063810¥Xはなし本 00063820M13なんと、/毎年(まいねん)はなし本も/出(で)る事でハないか。Sヲヽ、おれ 00063830M14も壱/冊(さつ)かいておいたが、/飛(とん)ださへたはなしがある△Sソレ 00063840M15ハ(九オ)どのやうな本だ。ちつと見せやれ△Sコレ、この 00063850M16本だ。どうだ。よからうが△Sウヽ、なんだか、ひとつも 00063860M17おとしがしれぬ。/書(かき)おとしたのでハないか△Sハテ、そこ 00063870M18が/落(おと)しばなしだ(九ウ) 00063880¥N12¥J 00063890¥X/栄螺(さゞい) 00063900¥P189 00063910L1壱文/銭(ぜに)も百にわるほどのしハん/坊(ばう)。/客(きやく)をよぶに、/客(きやく)四人と 00063920L2/亭(てい)主と五人のさんようにて、/栄螺(さゞい)を五つかひ、つぼやきに 00063930L3して/膳(ぜん)を(十オ)出すまへかた、ふと客一人/来(く)る。なむさん 00063940L4ぼうと勝手へ入、コレ+、さゞいのつぼやきがひとつた 00063950L5るまいから、/掃溜(はきだめ)にあるさゞいがらに、/午房(ごばう)や大根をきり 00063960L6まぜて、かならず(十ウ)是ををれにひけといひ付しが、い 00063970L7そがしまきれにとりちがへて、ていしゆによきさゝいをす 00063980L8えたれば、ていしゆ、ふたをとつて見て、きもをつぶし、 00063990L9モシ+、ミな様(十一オ)のうちへ、/精進(せうじん)のさゞいハ参り 00064000L10ませぬか 00064010¥N13¥J 00064020¥X/謡(うたひ) 00064030L13ぶきようなる/男(おとこ)、つゞみをうちならひ、ふゑをふき、たい 00064040L14こにかへ、いろ+と(十一ウ)ならひけれと、もとよりの 00064050L15ぶきようなれば、ひとつもらちあかず。いや+、うたひ 00064060L16がよい物じやとて、人の十日であぐる/謡(うたひ)を、百日もかゝり 00064070L17て覚え、しかつべらしく(十二オ)人/中(なか)でうたひ出せバ、友 00064080L18だち、なんと、此比ハいこふ/謡(うたひ)に御/精(せい)か出るか、よいおた 00064090L19のしミといへば、此/侍(さふらひ)△Sされバその事。/侍(さふらひ)ハいつなん 00064100L20/時(どき)、/浪人(らうにん)いたさうもしれませぬ(十二ウ) 00064110¥N14¥J 00064120¥X/色男(いろおとこ) 00064130M3本多ぐミのひとむれよりあひ、なんと、からばなしでハ、 00064140M4ねつからさへねいから、/酒(さけ)といふところを、きどろふでハ 00064150M5ないか。Sヲヽよかろう△Sヲレがかい(十三オ)にやらふ 00064160M6か△Sイヤ+、をのしにばかりおごらせてハ、おれがす 00064170M7まぬから、ミんなをいれて/鬮(くじ)取にしよう△Sインヤ、それ 00064180M8もめんどうだ。なんでも此内での/色男(いろおとこ)が、かつたかいゝと 00064190M9いへば、(十三ウ)となりのむすこ、あたまをかひ、くハば 00064200M10ら+ 00064210¥N15¥J 00064220¥X佐次兵衛 00064230M13ひとつ長屋の佐次兵衛どの、/四国(しこく)をまハつて/猿(さる)となり、内 00064240M14へかへりしが、今まで(十四オ)なかのわるい/女房(にようばう)をかあい 00064250M15がるゆへ、がてんゆかすと、/近所(きんじよ)のものにたづぬれバ、女 00064260M16房の/顔(かほ)ハ馬つらだんのう 00064270¥N16¥J 00064280¥X/歳暮(せいぼ) 00064290M19あるもの、/年始(ねんし)の礼にゆき、(十四ウ)年始といふをとりち 00064300M20がへて、/歳暮(せいほ)のごしうぎ申入れますといへば、てい主、ぬ 00064310¥P190 00064320¥G(八ウ・又八オ) 00064330M1からぬかほにて、Sこれハあんまりはや※と 00064340¥N17¥J 00064350¥Xからし 00064360M4二三人よりあひ、なんと、から(十五オ)しあへをして、く 00064370M5ハふでハないか。Sヲヽよからう。しかし、からしハはら 00064380M6をたつてかゝぬときかぬから、おのし、むつとしてかきや 00064390M7れ△Sばかな事をいふ。そんなにやす(十五ウ)+はらが 00064400M8たゝれるものかといふところへ、Sかつほ+とよんで来 00064410M9る。Sコレ、かつほハいくらする△Sアイ、かけねなしに 00064420M10一/貫(くハん)さ△Sソレハとんだ高いから、かた身かハふ△Sそん 00064430M11なら五百だか(十六オ)よしかと、半分にずつとおろす。 00064440M12Sイヤ、もういやになつた。かうまい+△Sナニ、/馬鹿(ばか) 00064450M13+しい。一/貫(くハん)のかつほを半分におろさせて、かハうのか 00064460M14うまいのといふ事があるものかと、(十六ウ)まつ/黒(くろ)になつ 00064470M15て、はらをたてれバ、Sヲツト、からしをかいてくんねへ 00064480¥N18¥J 00064490¥X/足袋(たび) 00064500M18さて+、この/足袋(たび)のきれた事ハ。これハ/雪踏(せきた)のわるい/故(ゆへ) 00064510M19(十七オ)だといへば、/雪踏(せきだ)、/以(もつて)の外にはらをたち、/私(わたし)かと 00064520M20がてハござりませぬ。ぜんたい/足袋(たび)めが、/地(ぢ)のよハひでご 00064530¥P191 00064540L1ざるといへば、/足袋(たび)も/鼠色(ねずミいろ)になり、Sイヱ+。それハ雪 00064550L2踏めがいひかけと申(十七ウ)もの。あいつが/鉄(かね)のあるを/鼻= 00064560L3緒(はな=お)にかけ、ちやらり+と/音(おと)をさせて、このやうにきれま 00064570L4したといふ。Sうぬ、/切付(きつつけ)られるかと、/雪踏(せきた)がりきめバ、 00064580L5Sコイツ、さしとふしてやらうと、/足袋(たび)が(十八オ)おこる。 00064590L6/主(あるじ)も大きにもてあまし、それでハ水かけ/論(ろん)といふものだ。 00064600L7/足(あし)のかゝとをよび出して、/急度(きつと)せんぎをしてミんと、かゝ 00064610L8とをよび付、/吟(ぎん)味すれば、Sわたくしハ/他出(たしゆつ)いたしまして、 00064620L9(十八ウ)一/向(かう)ぞんじませぬ 00064630¥N19¥J 00064640¥X/敦盛(あつもり) 00064650L12とびのものよりあい、なんと、あの一の/谷(たに)で/熊谷(くまがへ)と/敦盛(あつもり)と、 00064660L13きつたりはつたりやらかしたが、そのおり、なぜあつ(十 00064670L14九オ)もりハとつてかへした。おれならバ、いさいかまわ 00064680L15ずにげてゆくのにといへは、Sソレハおミさんのいふ事た 00064690L16が、あつ/盛(もり)も/熊谷(くまがへ)とハおもハなんだのさ。何か跡から、や 00064700L17れ+とよぶ(十九ウ)から、手/拭(ぬぐひ)でもおとしたかと思つて 00064710¥N20¥J 00064720¥X口上 00064730L20同し事をかさねていふものあり。ある時、/客(きやく)によばれ、又 00064740M1二三日すぎて礼にゆき、此(二十オ)間の一/昨日(さくじつ)は、参上い 00064750M2たしてまいりまして、/種&(しゆ※)いろ+、御/馳走(ちさう)御ざうさにあ 00064760M3づかりましてなりまして、その上又、/妻女房(さいにようばう)の/方(かた)へも、お 00064770M4ミやげのお心/付(づけ)をおくり下され、かた(二十ウ)じけなくあ 00064780M5りがたく、もつての外ことのほか、よろこびましてよがり 00064790M6まして、御座りましてあります 00064800¥N21¥J 00064810¥X/壷(つぼ) 00064820M9そさうもの、/壷(つぼ)をかいにいつ(二十壱オ)た所が、うつふけ 00064830M10てあるをミて、此やうなべらぼうな、/口(くち)のないつぼがある 00064840M11ものかといゝながら、ひつくりかへして、これ+、/底(そこ)も 00064850M12ぬけて/居(ゐ)る(二十壱ウ) 00064860¥N22¥J 00064870¥X折助 00064880M15どうだ、折介。いそがしいか。Sいそがしいとも+。/供(とも) 00064890M16にハつれる。/使(つかい)にハ/出(だ)す。いま+しい内だ。そしておの 00064900M17しハどうだ△三介Sおらが内ハ、その(二十弐オ)やうにい 00064910M18そがしい内ではないが、おれがすきで、いそがしくてなら 00064920M19ぬ。折介Sなんぞ/細工(さいく)でも出来るかといへば、Sインヤ、 00064930M20どうも/流行歌(はやりうた)におハれてならぬ(二十弐ウ) 00064940¥P192 00064950¥N23¥J 00064960¥X/魚哥(きよか) 00064970L3さんまと/鰯(いハし)と/蟹(かに)と/鮎(あゆ)と/鯖(さば)とよりあひ、なんと、ミんな一句 00064980L4づゝ/歌(うた)をうたをふでハないか。まづさんまからうたやれ/ど((ママ)) 00064990L5いへば、さんまSさんまようと/歌(うた)(二十三オ)へバ、いハし 00065000L6Sいはしに△S/蟹(かに)あゆならバよと、ぢきにふたりながらつ 00065010L7けゝれバ、さばひとり、もんく出来ず、Sさばよがどうし 00065020L8た+ 00065030¥N24¥J 00065040¥Xばくちうち(二十三ウ) 00065050L11ばくちうち、さん※不/仕合(しあハせ)にて、ごうはらまかせに、手 00065060L12/拭(ぬぐひ)をまハし+/銭湯(せんとう)へゆく道にて、/大黒(だいこく)をひろひ、これハ 00065070L13なんでもいゝ/見得(けんとく)だと内へかへり、/神棚(かミだな)へあげ、七日が間 00065080L14(二十四オ)(二十四ウ・二十五オ挿絵)/塩(しほ)ものだちにていのりける。 00065090L15/満(まん)ずる/夜(よ)の大ばくちに、/着(き)ていた/単物(ひとへもの)までとられ、ふんど 00065100L16しひとつで内へかへり、いま+しい。この/大黒(だいこく)め故に、 00065110L17このやうなめにあつたと、(二十五ウ)/神棚(かミだな)から引づりおろ 00065120L18し、どぶへ打込、ぐつと一トねいりしたれバ、かの/大黒(だいこく)、 00065130L19やう+どろまぶれにてはい出給ひ、ぜんざい+。/汝(なんぢ)、 00065140L20われをうらむる事なかれ。/湯(ゆ)へ/行(ゆく)時に(二十六オ)ひろつた 00065150M1れバ、はだかになつたハかくごのまへじやぞ 00065160¥N25¥J 00065170¥Xすりこ木 00065180M4コレ+/作(さく)右衛門どの。/聞(きゝ)なさろ。お江戸衆ハおそろしい。 00065190M5/毎日(まいにち)八丈八寸ある/擂槌(すりこぎ)を、がり+(二十六ウ)かぢり申す 00065200M6といふ事つたよ。Sヲヤ、てんこちない。あんとしてくハ 00065210M7れべいぞ△Sハアテ、お江戸ハ八百八町だ。もし/毎日(まいにち)すり 00065220M8こ木で/味噌(ミそ)をするに、一/町(てう)で一寸つゝ/減(へ)る(二十七オ)と見 00065230M9て、ざつとつもつて、八丈八寸でハないか 00065240¥N26¥J 00065250¥X/不動(ふどう) 00065260M12なんと、目/黒(くろ)の不/動(どう)に、せいたかどうじ、こんがうどうじ 00065270M13といふがあるが、せいたかの方が(二十七ウ)せいがたかそ 00065280M14うなものだが、せいたかもこんがらも同し事だといへは、 00065290M15Sそこで/不動(ふどう)といふハ 00065300¥N27¥J 00065310¥Xはつ/音(ね) 00065320M18だれぞほとゝぎすの/初音(はつね)(二十八オ)をきいたかといへば、 00065330M19きいたとも+。きのふの/朝(あさ)きいた。ソレハおそい事。わ 00065340M20れらハ四五日前にきいたといハれ、まんがちなやつが出て、 00065350¥P193 00065360¥G(二十四ウ・二十五オ) 00065370M1いま夘月に入てきいてハおそい。先月(二十八ウ)の末にき 00065380M2いたといへば、そはから、ナニ、先月きいたか。おいらハ 00065390M3とつくに、/去年(きよねん)の/夏(なつ)きいておいた 00065400¥N28¥J 00065410¥X土左衛門 00065420M6こゝに/曽我(そが)五左衛門といふ/浪人(らうにん)ありしが、折ふし(二十九オ) 00065430M7/信濃(しなの)者を家来にかゝへ、一/僕(ぼく)をかゝさず、家につたふる竹 00065440M8/光(ミつ)の一/腰(やう)を、わきばさみあるきしが、/借(かり)ハふへたり、米ハ 00065450M9高し。とてもながらへ、何かせん。いきてはぢをさらさん 00065460M10よりハ、死で(二十九ウ)しまハんと、かくごをきハめ、金 00065470M11の/工面(くめん)にゆくとて、家来をだまして内を出ける。家来の/信= 00065480M12濃(しな=の)、まことゝ思ひ、一日まち二日まち三日になれどもかへ 00065490M13らねば、ほう※たづねある(三十オ)きしが、ある川辺に、 00065500M14何かハしらず、大ぜいの人あつまり/居(い)るに、何事ぞとたづ 00065510M15ぬれバ、イヤ、/土(ど)左衛門でござるといふ。どれ、/土(ど)左衛門 00065520M16とハどのやうな人と、立よりミて、/涙(なミだ)をはら+(三十ウ) 00065530M17とながし、ど左衛門どのとハ人ちがひ。これハおらが旦那 00065540M18の五左衛門どのでござる 00065550¥P194 00065560¥N29¥J 00065570¥X/鷺(さぎ) 00065580L3/鷺(さぎ)、/海上(かいしやう)を飛行に、羽つかれ、やすまんと/下(した)をミれば、 00065590L4(三十一オ)何やら丸太のやうなるものあり。よきやすミど 00065600L5ころととまりしに、丸太にあらで、ぶりといふ/肴(さかな)なり。 00065610L6S/鰤(ぶり)、大きにはらをたて、/鰤(ぶり)つけ千万なといへば、さぎ、 00065620L7あやまつて(三十一ウ)Sまつびら/五位(こい)さぎませ 00065630¥N30¥J 00065640¥X/角力(すまふ) 00065650L10大寒、小寒、/余寒(よかん)、八/専(せん)、正月九日より/晴天(せいてん)八日のすまふ 00065660L11をはじめたりしに、/余寒(よかん)一人、なにが/褌(ふんどし)ひとつになつて 00065670L12(三十二オ)出て、相手にきらいハないから、だれでも一番、 00065680L13サアこいとよばハれバ、大寒、小かん、八専/等(どう)、かたつは 00065690L14じからひろいなげにあいける所へ、/立春(りつしゆん)が見物に来て、ど 00065700L15うだ。ミな(三十二ウ)まけたか。Sヲヽサ。かたつ/ばじ((ママ))か 00065710L16ら余寒めに、ひろいなげにあつたといへば、Sそうだろう。 00065720L17ことしハ大分ひへる 00065730¥N31¥J 00065740¥X/佐理(さり)/行成(こうぜい) 00065750L20さて+、見事なお手で(三十三オ)ござる。これハいにし 00065760M1への/能書(のうじよ)の/佐理(さり)/行成(こうぜい)の/筆(ふで)の跡にも、おとりませぬといふを 00065770M2きゝちがへて、そのゝち、よき手てかいた物を見ると、ヤ 00065780M3レ+、見事なお手でござる。いにしへ(三十三ウ)のしや 00065790M4れかうべが筆にも、おとりますまい 00065800¥N32¥J 00065810¥Xむすこ/部屋(べや) 00065820M7/唐(から)の人ハミな惣/髪(がミ)か。インヤ。今ハ/芥子坊主(けしばうず)じやげな。/阿= 00065830M8蘭陀人(お=らんだじん)ハ坊主あたまだ(三十四オ)そふだ。ヲヽサ。それよ 00065840M9りむすこべやの人が、あたまがおかしい。Sどのやうじや 00065850M10Sなんだか、/中剃(なかぞり)と/月代(さかやき)がひとつになつて/居(い)る 00065860¥N33¥J 00065870¥X/熊(くま)の/皮(かハ)(三十四ウ) 00065880M13この間、/熊(くま)の/皮(かハ)のしき皮をもとめましたと見せれば、これ 00065890M14ハよい皮でござる。ドレ+となでゝミて、サテ、よい心 00065900M15持でごさる 00065910¥N34¥J 00065920¥Xかゞ見もち(三十五オ) 00065930M18をらがおもての/駕舁(かごかき)の弥介ハ、正月になると、/息杖(いきづえ)に/注連(しめ) 00065940M19かざりをするが、尤な事でハないか。イヤ、それよりまだ 00065950M20おかしい事がある。おらが/隣(となり)の/飛脚(ひきやく)の忠七ハ、足の(三十 00065960¥P195 00065970L1五ウ)うらに/鏡(かゞミ)をすへた 00065980¥N35¥J 00065990¥X番太郎 00066000L4四方に四面の蔵をたてたる/大福長者(だいふくてうじや)、つね※思ふに、わ 00066010L5れらがやうな福人ハ、ぬす人の用心がおもじやとて、(三十 00066020L6六オ)あたりとなりの/番(ばん)太郎にめをかけられしに、ある/夜(よ)、 00066030L7茶をのめとて、番/床(とこ)へよびにやられしが、番太、ちやにう 00066040L8かされると、/夜(よる)ねられませぬから、まいりますまいといふ。 00066050L9長者(三十六ウ)いよ+きづかハしく、そんなら、やしよ 00066060L10くをきてくハぬかといひやりければ、ありがたうござりま 00066070L11すが、只今ねいりばなてござりますから、参りますまい 00066080L12(三十七オ) 00066090¥N36¥J 00066100¥X/居風呂(すえふろ) 00066110L15いなかからとまり客があるに、/居風呂(すえふろ)をたてゝいれられし 00066120L16に、此客、/風呂(ふろ)に入りて、半時ばかり音も沙汰もなし。て 00066130L17い主、きづかひに思へど、はやくあがら(三十七ウ)れよと 00066140L18もいひにくゝ、/湯殿(ゆどの)の口にたゝずミて、ゆるりとお入なさ 00066150L19れといへば、返事するをきゝ、まづおちつきて居るに、ま 00066160L20てどくらせど音もなし。又もふしんに思ひ、又&ゆるり 00066170M1(三十八オ)とお入なされといへば、返事のこゑあり。やゝ 00066180M2久しくしてゑびのごとく/赤(あか)くなりて、風呂(ふろ)よりあがる。つ 00066190M3れの/客(きやく)が見て、いかう/長湯(ながゆ)をめさせられたといへば、Sハ 00066200M4テ、御/馳走(ちさう)てハ(三十八ウ)あらうが、/湯(ゆ)をしいられるも、 00066210M5せつないもんだ 00066220¥N37¥J 00066230¥X/野島(のじま)地蔵 00066240M8のじま地蔵、給金八文にて、奉公人をかゝえ、/開帳(かいてう)すミて 00066250M9帰られしが、かゝえし所の奉公(三十九オ)人、ひとりも/引= 00066260M10越(ひき=こす)ものなし。早&請人人主をよびて、なぜ奉公人ハミえぬ 00066270M11といへば、請人、何をかくしませう。御給金をつかひこミ 00066280M12まして、夫故引こす事がなりませぬといへば、(三十九ウ)地 00066290M13蔵尊、大きにいかり給ひ、それハ以の外のふとゞき千万。 00066300M14そして給金を、何につかひこんだといへば、請人S請状/帰(がへり) 00066310M15に/銭湯(せんとう)へまいりました 00066320¥N38¥J 00066330¥X/柱(はしら)かくし(四十オ) 00066340M18この比、ふる道具やで、/雅(いき)な/柱(はしら)かくしをかつて来たが、何 00066350M19かよめぬ/字(ぢ)がかいてある。/来(き)てよんで見てくりやれ。Sナ 00066360M20ンダ。/唐様(からやう)かな△Sヲヽサ。からやうとも+。大方だれ 00066370¥P196 00066380L1ぞ、手かきのかいた(四十ウ)物であらう△Sドレ、いつて 00066390L2見やうと、つれだちて/行(ゆ)けバ、/床(とこ)わきの/柱(はしら)にかけてあり。 00066400L3よみて見れバ、/墨(すミ)くろ※と、S御手つけ三日/切(ぎり) 00066410¥N39¥J 00066420¥X/赤飯(せきはん) 00066430L6これ+、/謎(なそ)をかけやう。石の(四十一オ)かたハれとかけ 00066440L7て、なんととく。Sサレバ、なんであらうと、小/首(くび)をかた 00066450L8げてかんがへ、どうもしれぬ。Sながさうか+△Sヲヽ 00066460L9ながして下さい△Sハテ、/赤飯(せきはん)といふ事じやハナ△Sへヽ 00066470L10ヱ、ざんねんな。をれも(四十一ウ)こハめしとまでハ/気(き)が 00066480L11ついた 00066490¥N40¥J 00066500¥X三/味(ミ)せん 00066510L14おむすめごの三/味線(ミせん)ハ、きついものでござる。/晩(ばん)にさるお 00066520L15やしきに日/待(まち)があるが、やらつしやらぬかといへば、ふた 00066530L16/親(おや)、イヱ+、どふ(四十二オ)いたして、またそれほとに 00066540L17参りませう。やう+このごろ二三/段(だん)ほかハあげませぬ。 00066550L18それに/声(こゑ)はたちませずといへば、Sちつともくるしうない 00066560L19事。/当世(たうせい)ハまづ、/一(いち)ころび/二声(にこゑ)と申ます(四十二ウ) 00066570¥N41¥J 00066580¥X/乞食(こしき) 00066590M3/北(きた)風はげしく/雪(ゆき)ふる夜、/宿(やど)なしのこつしきども、大/勢(ぜい)あつ 00066600M4まり、なんと、けしからぬ/寒(さむ)さだとて、こもをたくさんあ 00066610M5つめ来り、(四十三オ)まハりをかこひ、サアこれで、ちつ 00066620M6とあたゝまつた。けれども/足(あし)のつめたいに、こまつたもの 00066630M7じやといへバ、中にきてんなやつありて、どれ+、しか 00066640M8たがあるとて、/近(きん)(四十三ウ)所の犬四五/疋(ひき)だいて来て、そ 00066650M9の下へ/足(あし)を入れて/寐(ね)ければ、ことの外あたゝかにて、ミな 00066660M10+/寐入(ねいり)けるに、/夜半(よなか)に壱人、大/声(こゑ)あげれバ、皆&おどろ 00066670M11き目をさまし、何事(四十四オ)だといへば、Sいま+し 00066680M12い。こたつにくらいつかれた 00066690¥N42¥J 00066700¥X/畳屋(たゝミや) 00066710M15/畳屋(たゝミや)、きん+といてだち、吉原へ/行(ゆき)、あそびけるが、/床(とこ) 00066720M16に入て、女郎はなし(四十四ウ)なかばに、客の/肘(ひぢ)を見れば、 00066730M17たこあり。女郎おかしく、モシ、おまへハ/畳(たゝミ)やさんだのと 00066740M18いへば、Sいんにや、/腕押(うでおし)の/指南(しなん)さ 00066750¥N43¥J 00066760¥X/碁(ご)(四十五オ) 00066770¥P197 00066780L1人&よりあひ、/碁(ご)をはじめけるが、その内に、きハめて/助= 00066790L2言(じよ=ごん)いひたがるものあり。人のうつ/碁(ご)をわきから見て、こゝ 00066800L3をきれの、かしこをおさへよのと、口をたしてや(四十五ウ) 00066810L4まず。こうち共うるさがり、/助言(じよごん)のいひたきハ、とかく目 00066820L5で見るゆへじや。はやくかへり給へとおひ出す。かの者き 00066830L6いて、いかさま、これハ尤じや。おれも見れバ目の(四十 00066840L7六オ)どくじやとて、半町ばかりかへりしに、むかふから 00066850L8二三人づれにて、/碁(ご)ともだち来る。是ハどこへ行給ふとい 00066860L9へば、今から上の町の/碁(ご)けんぶつにゆくといふ。かのもの 00066870L10きゝて、(四十六ウ)をれも今まで見ていたが、あまりまだ 00066880L11るくてかへるか、お出なされたら、おむづかしながら、御 00066890L12/伝言(ことづて)を致したい。Sなに用じや△Sどうミても/白(しろ)が/勝(かち)じや 00066900L13といつて/下(くだ)(四十七オ)さい 00066910¥N44¥J 00066920¥X/比目魚(かれい) 00066930L16/歳暮(せいぼ)の御祝義申上ますと、/肴台(さかなだい)をさし出すを見れば、/比目= 00066940L17魚(かれ=い)四枚有。ていしゆ、大きに物いまいにて(四十七ウ)さん 00066950L18※/気(き)にかけ、其方ハ、かれいをくれた志ハかたじけない 00066960L19が、とてもくれるなら、三枚か五枚ならきこえた。四枚と 00066970L20ハがてんがゆかぬ。さて+、ものをしらぬといふて(四 00066980M1十八オ)しかりちらせバ、ちつともさハがず、わたくしハ御 00066990M2しまひよかれいとお祝ひ申心で、四枚あげましたものをと 00067000M3いへば、ていしゆ、ことの外きげんなをり、おれハ又、そ 00067010M4の(四十八ウ)やうな事とハしらず、たゞ其方を、しかれい 00067020M5といふ事と思つた 00067030¥N45¥J 00067040¥X/心中(しんぢう) 00067050M8さるうとくなる町人のひとり娘、いつ/幾日(いくか)に/聟(む□)(四十九オ) 00067060M9取の/相談(さうだん)ときいて、つかへをおこし、二世とかハせししの 00067070M10び/男(おとこ)に、早&文にてしらせければ、男もとるものもとりあ 00067080M11へず、/例(れい)の/妻戸(つまど)のかげにて、こそと出あひ、(四十九ウ)き 00067090M12けばきくほど/生(いき)てハ/居(ゐ)られぬと、すぐに娘をつれで/出(いで)、こ 00067100M13の世のちきりははかなくとも、/未来(ミらい)ハひとつはちすぞと、 00067110M14手に手をとりて行ミちすがら、男ハふつと心付、(五十オ) 00067120M15けふハいかなる日じややらん。日のあしき時心中すれば、 00067130M16/未来(ミらい)にめぐりあハぬときく。どうぞして/暦(こよミ)を見たい物じや 00067140M17といへば、女も、げにもと思ひ、ホンニ/今朝(けさ)/仲人(なかうど)めが(五 00067150M18十ウ)/結納(ゆいれ)の日をミるとて/暦(こよミ)を出して、ツイそばのわたし 00067160M19が/針箱(はりばこ)の上においたが、ちよつと帰つてとつて/来(こ)やうかと 00067170M20いへば、男もともに立かへり、もとのつま戸をしのび入 00067180¥P198 00067190L1(五十壱了オ)なんなく/暦(こよミ)をとりて出、/軒端(のきば)のかげの月あかり 00067200L2にすかし見れば、S/血忌(ちいミ) 00067210¥Y鯛の味噌津△終△△(五十壱了ウ) 00067220¥Q 00067230L8/聞上手(きゝじようず)△初編△同△△二編 00067240L10同△△△三編△/福話内(ふくわうち)△全 00067250L12/聞童子(きゝどうし)△△全△/蝶夫婦(てうつがゐ)△全 00067260L14/葉留袋(はるぶくろ)△出来△/管巻(くたまき)△出来 00067270L16安永六酉年△元飯田町中坂 00067280L17△△△正月改△△△遠州屋板 00067290¥P199 00067300¥U噺本大系△第十一巻 00067310¥T/寿々葉羅井(すすはらい)〔序文〕 00067320¥G 00067330¥Y 00067340L16安永八年正月刊 00067350L17志丈序 00067360L18豊章画 00067370L19竹川藤助板 00067380L20小本一冊 00067390¥Y序 00067400M3年&歳&花相同し、歳&年&人同しからすといへ共、人寿 00067410M4百歳と言へは、兎角古キにしくべからすと、茶話のかひを 00067420M5うち(序壱オ)払て、新春の御笑艸ともならんかしと、記憶 00067430M6の任に書ちらし、寿&葉羅井と題するのミ 00067440M8△△△干時安永八亥△△△△△△△△戯撰者△志丈 00067450M9△△△△△△△はつ春 00067460M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序壱ウ) 00067470¥P200 00067480¥N1¥J 00067490¥X○女郎の/代参(だいさん) 00067500L3S/吉原(よしわら)の/女郎(ぢよろう)、/善光寺(ぜんくわうじ)の/開帳(かいてう)へ、だいさんにかぶろを/一人(ひとり) 00067510L4まいらせけるに、/参詣(さんけい)して/帰(かへ)り、Sアイ。まいつて/参(まい)りま 00067520L5した△Sヲヽ、よくいつてきてくれたの。そして、/如来(によらい)さ 00067530L6んハどんなだや△Sアイ、/立(たつ)ておいで(一オ)なんした。わ 00067540L7たしとあのみどりどんのやうに、/両方(りやうほう)に二タ人リついてゐ 00067550L8さんした△Sそしておきやくハ△Sアイ。おきやくさんハ 00067560L9三つぶとんで、ねてゞござんした 00067570¥N2¥J 00067580¥X○あんけら 00067590L12S/若(わか)いもの二三ン人づれにて、かやば/町(てう)の(一ウ)薬師へ参 00067600L13り、帰りに植木/店(ミせ)の方へまわり、ミまわるうちに、何かつ 00067610L14いに/見(ミ)ぬうつくしき草花あるゆへ、うへ木屋どん。あの花 00067620L15ア、何ンといふ花だね。Sアイ、あれかへ。ありやアこん 00067630L16けら/草(そう)と/云(いひ)やす△Sこちらのハ△Sあんけら/草(そう)さ△Sハア 00067640L17めづらしい。(二オ)長ぼう。かつていこうじやアねへか。 00067650L18いくらたね△Sアイ。千弐百両でござります△Sなに、千 00067660L19弐百両だ。とほうもねへ。此男ア人をばかにするか。直段 00067670L20をいふも程が有もんだ。あんまりな事をいふ△Sアヽ申 00067680M1+。そんなやつさもつさハ、そつちでさつしやい(二ウ) 00067690¥N3¥J 00067700¥X○かい帳 00067710M4S回向院の仏たち、みな+/寄(より)あつまり、ねじやかにいひ 00067720M5けるハ、コレ貴様。ふだん寐てばかりゐるが、これ程のは 00067730M6やる開帳に、そうねてゐてハつまるまい。ちとおき給へ。 00067740M7Sヲヽサ。おれも起やうと(三オ)おもふけれど△Sコレサ。 00067750M8おもふけれども、でハない。ドレ、おこしてやろふと、よ 00067760M9つてたかつてむりに引起しけれバ、S義太夫ぶし 00067770¥N4¥J 00067780¥X○/赤貝(あかがい) 00067790M12Sあか/貝(がい)を買、水を入置たれバ、さもこゝろよげに貝をひ 00067800M13らきたるを(三ウ)見て、/亭主(ていしゆ)、何とおもひけるにや、/中指(なかゆび) 00067810M14をぬつと入レたれバ、/赤貝(あかがい)/腹立(はらたち)、/指(ゆび)をしつかりはさミて、 00067820M15いかにすれども/一向(いつかう)はなさず。/見(ミ)る/内(うち)にゆびハすさまじく 00067830M16はれ、いたさたへがたく、/外料医者(げくわいしや)を/呼寄(よびよ)せ見せけれバ、 00067840M17医/者(しや)、しかつべら(四オ)しく、まだゆびでお/仕合(しあわせ) 00067850¥N5¥J 00067860¥X○女郎の/噺(はなし) 00067870M20S吉原の女郎/打寄(うちより)、/地色(ぢいろ)、/客色(きやくいろ)のうわさ/取(とり)+なる/中(なか)に、 00067880¥P201 00067890¥G(九ウ・十オ) 00067900M1Sもしへ/花(はな)まちさんへ。おまへ、/年(ねん)ンが/明(あけ)ケなんしたら、 00067910M2/二暁(ぢきやう)さんの/所(ところ)へ/行(ゆき)なんすかへ△Sイヽヱ。/吉(よし)さんのところ 00067920M3へ(四ウ)/行(いき)いす△Sおまへ。吉さんの所へお出なんすと、 00067930M4/飯(まゝ)をたかねバならぬが、おまへ、/飯(まゝ)のたきやう、しつてゐ 00067940M5なんすかへ△Sアイ。/飯(まゝ)を/焚(たく)にハね、アノ壱/升(しやう)たくにハ、 00067950M6ひしやくを壱本ン/立(たて)やす△Sそして、弐升たくにハへ△ 00067960M7Sアイ。二本ン/立(たて)やす 00067970¥N6¥J 00067980¥X○/役者(やくしや)の/女房(にうぼう)(五オ) 00067990M10S/芝居(しばゐ)の/詰役者(つめやくしや)の/女房(にようぼう)/打寄(うちより)、/夫(おつと)の/帰(かへ)りを/待(まち)、/四方山(よもやま)の/噺(はなし)の 00068000M11所へ、/同(おな)じ/仲間(なかま)/何某(なにがし)、/役(やく)を/仕廻(しまひ)て/帰(かへ)りたれバ、/中嶋(なかじま)/何某(なにがし)が 00068010M12女房、目はやくミて、権右衛門さま。お早ふござんす。わ 00068020M13たしが/内(うち)ハ、とうしやしたへ。Sアイ。たつた今、くびを 00068030M14きられさしつた(五ウ)Sハアそんなら、お汁をあたゝめや 00068040M15せう 00068050¥N7¥J 00068060¥X○/質(しち)屋の/後家(ごけ) 00068070M18Sある人、しちやへはり/形(かた)を/持行(もちゆき)、壱分/借(か)りたいと、/番頭(ばんとう) 00068080M19をさま+くどけども、さらに/聞(きゝ)入れず。/双方(さうほう)もの/言(いひ)こハ 00068090M20高なるによつて、/後家(ごけ)、おくより立出、(六オ)あなたもよ 00068100¥P202 00068110L1く+の事なれバこそ、あれほどにおつしやるに、壱分/借(か) 00068120L2してあけられよといへば、番頭、ふせう※に壱分/借(か)した 00068130L3り。先キの人/帰(かへ)りし/跡(あと)にて、番頭はり/形(かた)をミて、/泪(なミた)を/流(なが)し、 00068140L4Sツヱ、旦那が生てこされバ、五百がもの(六ウ)外なひ 00068150¥N8¥J 00068160¥X○/奴(やつこ)のなま/酔(ゑい) 00068170L7/護持院(ごぢいん)の原で、なまゑひの/奴(やつこ)が、竹/光(ミつ)をふり/廻(まハ)し、/殊(こと)の/外(ほか) 00068180L8あばれたり。折ふし/近所(きんじよ)にゐたる/夜鷹(よたか)、これを見れバ、/我(わ) 00068190L9がなじみの男なれば、(七オ)ハツトおどろき、かけ/寄(よ)つて 00068200L10うしろよりすがり付キ、これ折介さん。/爰(こゝ)であばれてハ、 00068210L11おまへのためにならぬ。/爰(こゝ)をどこじやとおもわしやんす。 00068220L12/悪所(あくしよ)だによ 00068230¥N9¥J 00068240¥X○/麁相者(そさうもの) 00068250L15Sそさうなる/主人(しゆじん)、でつちを/使(つかひ)にやりしが、(七ウ)/帰(かへ)りお 00068260L16そきゆへ、/殊(こと)の/外(ほか)いかり、今や+と/待(まつ)所へ、でつち、の 00068270L17ろりと/帰(かへ)り、内へ入ルやいらずに、ヤイ、おのれハどこへ 00068280L18/行(いつ)ても、/直(じき)にハ/帰(かへ)りおらぬ。ふちのめすぞ。/早(はや)く/横町(よこてう)へ/使(つかひ) 00068290L19に/行(いき)おろふ。にくいやつと、むしやうにしかられ、でつち、 00068300L20きも(八オ)をつぶし、/横町(よこてう)へ/欠出(かけいで)しが、先キの/名(な)も口上/聞(きか) 00068310M1ず。/無是非(ぜひなく)一チもくさんに内へ/欠(かけ)もどり、Sアイ、/旦那(たんな)様。 00068320M2/横町(よこてう)へ/行(いつ)て/参(まい)りました△S旦那/太儀(たいぎ)+ 00068330¥N10¥J 00068340¥X○/人相見(にんそうミ) 00068350M5Sさる人、にんさう/見(ミ)の/方(かた)へ/行(いつて)、/我相(わかさう)/見(ミ)て下タ(八ウ)され 00068360M6と、百/銅(とう)の/包(つゝミ)を出せバ、/相見(さうミ)つく+と/顔(かほ)を見て、/貴(き)様ハ 00068370M7/明日(あす)八ツ/時(どき)/限(かきり)の/命(いのち)なり/((と脱カ))/言(い)へば、大きにおどろき、/早&(さう+) 00068380M8/内(うち)へ/欠(かけ)もどり、/明日限(あすかぎり)の/命(いのち)なれバ、なんにもいらずと、/諸= 00068390M9道具(しよ=どうぐ)たゝミ迄/売払(うりはらひ)、/時斗(とけい)を/買求(かいもと)めて、/翌日(よくじつ)/早朝(さうてう)£/時斗(とけい)(九 00068400M10オ)(九ウ・十オ挿絵)を/仕懸(しかけ)、六ツ五ツ四ツと、九ツ時も/過(すき)れ 00068410M11ば、もはや一ト/時(とき)の命と、/目(め)もはなさず/時斗(とけい)を/見(ミ)て/居(ゐ)れバ、 00068420M12ほどなく八ツのかしらをちやんと打つと、もふかなわぬと、 00068430M13しり/引(ひつ)からげ、いつくともなく/欠落(かけおち) 00068440¥N11¥J 00068450¥X○/女(をんな)のはだか/参(まいり)(十ウ) 00068460M16S/若(わか)い/衆(しゆ)/集(あつま)り、/咄(はな)しの/中(なか)へ、/友達(ともだち)、にこ+として/来(きた)り、 00068470M17今めづらしい、とんだものを見たといふ。/皆&(ミな+)、いかなる 00068480M18ものぞととへバ、十八九の女のはだか/参(まい)り。からだの白き 00068490M19事/雪(ゆき)のことく、小またの/切(きれ)上つたるが、ふんとしもせず、 00068500M20ひたい/際(ぎわ)(十一オ)に少しといふ時、皆+、きりやうハ 00068510¥P203 00068520L1+といわれて、Sハア、顔ハ見なんだ 00068530¥N12¥J 00068540¥X○/盗人(ぬすびと) 00068550L4いたつてびんぼうなる一人リ/者(もの)の内へ、/盗人(ぬすびと)はいり、/火(ひ)を 00068560L5とぼしてそこらを/見(ミ)れども、何もなし。/節角(せつかく)/這入(はいつ)て、その 00068570L6(十一ウ)ぶんにもなるまじ。せめてなべでももちかへらん 00068580L7と見れハ、ほうろくばかり。あまりの事にあきれはてたれ 00068590L8バ、S/亭主(ていしゆ)ハ/天徳寺(てんとくじ)をかぶり、ねたふりして/居(ゐ)たれども、 00068600L9/余(あま)りおかしさ、くす+とふき出せバ、S盗人くそ、わら 00068610L10ひ事しやアない(十二オ) 00068620¥N13¥J 00068630¥X○/借銭乞(しやくせんこひ) 00068640L13S/友達(ともたち)の/方(かた)へ、銭五百文の/無心(むしん)に行。なる/程(ほど)、/借(かし)シハかそ 00068650L14ふが、/明晩(あすのばん)ハ/是非(ぜひ)+なけれバ、/我(われ)ら/甚(はなハだ)大/難(なん)儀になる。 00068660L15/急度(きつと)/返(かへ)すならばと、/儀定(きしやう)して/借(か)したり。扨/翌(よく)日/晩(ばん)になりて 00068670L16も/返(かへ)さす。/是非(ぜひ)な(十二ウ)くさいそくに/行(ゆき)、きのふの銭ハ、 00068680L17/外(ほか)よりあづかり物にて、/今宵(こよひ)先へ/返(かへ)さねバ、/我(われ)らいひ/訳(わけ)に 00068690L18/首(くび)でもくゝらねバならずといへば、S借主マアそふてもし 00068700L19て、間に合せて下さい 00068710¥N14¥J 00068720¥X○/牢人者(らうにんもの) 00068730M3永&の浪人、お葉打からし、外へ出る事も(十三オ)ならず、 00068740M4/雪隠(せつちん)へ/行(ゆき)たき事、こらへがたく、/是非(ぜひ)なくはだか身によろ 00068750M5ひを/着(き)て、/雪隠(せつちん)に/居(ゐ)たり。折ふし子供、/何心(なにこゝろ)なく/雪隠(せつちん)の戸 00068760M6をくわらりと/明(あけ)ケ、/早(そう)+かけもどり、ミんなこいヱ。/祭(まつり) 00068770M7がうんこしてゐる 00068780¥N15¥J 00068790¥X○/勘畧奉行(かんりやくぶきやう)(十三ウ) 00068800M10S去ルお屋舗方かんりやく/奉行(ふぎやう)を/召抱(めしかゝへ)給ひ、此奉行、さま 00068810M11+の事にこゝろを付、/工風(くふう)して、/当時(とうじ)/御治世(ごぢせい)に、/多(おゝ)く 00068820M12の/鑓(やり)を御/所持(しよぢ)なさるゝ儀ハ、御無用にて御座候。/只今(たゝいま)にも 00068830M13/軍(いくさ)おこりますれバ、竹/鎗(やり)をこしらへまする。第一チ、/常(つね)の 00068840M14/鑓(やり)ハ/柄(ゑ)を切おられてハ(十四オ)あとが/役(やく)にたちませぬ。竹 00068850M15/鎗(やり)ハきられても+遣われまする。段&切られて、手元迄 00068860M16まいりますれバ、それをためおきて、伊勢町へ遣しまする 00068870¥N16¥J 00068880¥X○どら/息子(むすこ) 00068890M19Sとうらくむすこ、/親父(おやぢ)のまへにて、袖£/頭巾(づきん)(十四ウ)を 00068900M20/落(おと)したれバ、親父(おやぢ)さつそく取りあげミれバ、黒ちりめんの 00068910¥P204 00068920L1/両面(りやうめん)、やまもしころもたつぷりとして、銀のこはぜ/懸(か)け、 00068930L2扨+おのれハにくいやつ。此やうな/頭巾(つきん)ハ中+安銭で 00068940L3ハかわれぬ。どこの金て/買(かい)おつた。Sイヱ+、買ハいた 00068950L4しませぬ。ひろいました△S何ンだ。(十五オ)ひろつた。 00068960L5ハテ、今ハよくしてひろわせる 00068970¥N17¥J 00068980¥X○/雷(かミなり)ぎらい 00068990L8S/至(いたつ)て/雷(かミなり)ぎらひのきおい、ぶら+と/涼(すゝミ)に出たれバ、に 00069000L9わかに/空(そら)かきくもり、いな/光(ひかり)リすさまじく、くわら+ 00069010L10+ひしや++と、今にも/落(おち)かゝるやうになりわたれ 00069020L11バ、(十五ウ)きおひ、/真青(まつさほ)くなり、にげたいにもにげられ 00069030L12ず、/大道(だいどう)へあをのけにふんそり/返(かへ)り、天をにらめて、とう 00069040L13でもしやあがれ+ 00069050¥N18¥J 00069060¥X○/桃太郎(もゝたらう) 00069070L16Sもゝ太郎、/鬼(おに)が/嶋(しま)へゆかんと、こしにきみ(十六オ)だん 00069080L17ごを付ケ出かけたれバ、/犬(いぬ)と/雉子(きじ)たちいで、何方へゆき給 00069090L18ふといへば、S/鬼(おに)がしまへ、たからをとりに△Sこしに付 00069100L19たるハ何ぞ△S日本一のきミだんご△S壱つ下さい。おと 00069110L20も申そふ。それより/両(りやう)人をともにつれ、すた+ゆく向ふ 00069120M1より、/猿(さる)/立出(たちいで)、Sもゝ太郎さん。どこへいきねんす。(十六 00069130M2ウ)おまへのこしのハ何ンてゑす△S日本一のきみたんご 00069140M3S一つくんねんしと、しやれるに、S/定(さだ)めて/猿(さる)もじよさい 00069150M4ハあるまじと、一つやれバ、Sアヽうまい。も一つくんね 00069160M5んしと、是をも/喰(くつ)て、アヽうまかつた。いつてきねんし 00069170¥N19¥J 00069180¥X○げぢ+(十七オ) 00069190M8S/大内(たいり)のしゝん/殿(でん)へ、けぢ+出たれば、/公家衆(くげしゆ)、もつて 00069200M9のほかさわぎ給ふ。一ト人リの/公家衆(くげしゆ)、/鼻紙(はなかミ)にてそつとつ 00069210M10まみて、/築地(ついじ)の/外(そと)へ/打(うち)すて、おとゝい/参内(さんだい) 00069220¥N20¥J 00069230¥X○/牢人(らうにん)の/錆刀(さびかたな) 00069240M13Sおくびやうなるらうにん/者(もの)の/内(うち)へ、/盗人(ぬすびと)(十七ウ)入らん 00069250M14とせしを、/浪人(らうにん)はやく/聞(きゝ)つけ、/刀(かたな)をぬいておどさんと、す 00069260M15らりとぬいて、くらやミをふりまわせども、/赤(あか)いわしにて、 00069270M16ねつからひからず。せう事なしに、くちで、ひか++ 00069280M17+とふりまハせバ、つれの/盗(ぬす)人、あとよりきたり、なぜ、 00069290M18はやくはいらぬと(十八オ)いへば、まちやれ。/内(うち)でわきさ 00069300M19しの/声色(こハいろ)をつかう 00069310¥P205 00069320¥G(二十ウ・廿一オ) 00069330¥N21¥J 00069340¥X○/大一座(おほいちざ) 00069350M3S吉原大一/座(ざ)の中にて、/新造(しんぞう)、へをひつたれバ、お/職(しよく)/女郎(ぢよらう)、 00069360M4大きにはら立、/殊(こと)の/外(ほか)しかれバ、/客(きやく)、/皆&(ミな+)きのどくがり、 00069370M5/出(て)ものはれ(十八ウ)もの、少しもくるしからず。/大名衆(だいめうしゆ)の 00069380M6お/姫(ひめ)さまでも/有(ある)事と、まぎらせとも、/姉(あね)女郎さらに/聞(きゝ)いれ 00069390M7ず。イヱ+、あのやうな事ハくせに成り、わたくし迄/顔(かほ) 00069400M8が/立(たち)いせん。ないせうへ言て、/急度(きつと)/仕置(しおき)をせねハなりいせ 00069410M9ん。下へいきなといへども、/新造(しんぞう)、/顔(かほ)をあか(十九オ)めて、 00069420M10たちかねれバ、下へいきなといふにといひながら、手まへ 00069430M11が、ぶう。おれも/跡(あと)からゆく 00069440¥N22¥J 00069450¥X○きせるのがんくび 00069460M14ある人、たばこをのミ、かんくび、下へうつむきたれバ、 00069470M15そばの人/気(き)を付、もし+、ひざへ/吹(ふき)がらが/落(おち)ませうとい 00069480M16へば、Sイヱ+、かやうに致て(十九ウ)たべますれバ、 00069490M17どちらからも/風(かぜ)があたりませず。ゆへにたばこが何/程(ほど)もい 00069500M18りませぬ。ハテ、それハ/能(よ)いおもひつき。おれにも一本ン 00069510M19/買(かつ)て下さい 00069520¥P206 00069530¥N23¥J 00069540¥X○どうらく/指南所(しなんどころ) 00069550L3Sどうらく/指南所(しなんどころ)へ、/米屋(こめや)の息子/来(きた)りて、(二十オ)(二十ウ・ 00069560L4廿一オ挿絵)御/弟子(でし)になりたきと、/師(し)しやうに/近(ちか)つきになり、 00069570L5一つ二つはなしのうへにて、/師(し)しやう、むすこにむかひ、 00069580L6/扨(さて)/当年(とうねん)ハかんじんのじぶん、いかふあめがふりましたが、 00069590L7/米(こめ)の/相場(さうば)ハ何ほどでござる。S息子ハイ。サレハ/一向(いつこう)そん 00069600L8じませぬ△S師匠(廿一ウ)ハツアよつほどお下地がある 00069610¥N24¥J 00069620¥X○/晦日(つもごり) 00069630L11Sきやん、家主へ行、もしへおふ屋さん。アノ晦日の事を 00069640L12つもごりといふは、どふしたわけでございすね。Sあれハ 00069650L13つもがごるゆへに、つもこりといふたもの(廿二オ)じや 00069660L14Sハアそんなら、つももごるものでございすかね△Sハテ、 00069670L15ごらいでハさ 00069680¥N25¥J 00069690¥X○きおひ 00069700L18Sきおひ、/寄合(よりあい)の帰りに、二三人づれにて深川へあそびに 00069710L19ゆき、茶屋の二かいへあがると、ずつと/床(とこ)の間へ(廿二ウ) 00069720L20あがれバ、つれのもの、きのどくがり、これ+、あんま 00069730M1りしやれるな+。今に女郎があがるハ。Sナアニ、吉わ 00069740M2らじやアあるまいし 00069750¥N26¥J 00069760¥X○いんぎん 00069770M5S/仕事師(しごとし)、二人づれにて丁場へ出(廿三オ)がけに、ちつと 00069780M6まちやれ。おらアこゝのだんな/衆(しゆ)へ、きのふの/礼(れい)をいわね 00069790M7バならぬと、見世へたち寄り、番頭さん。昨日ハ御/馳走(ちそう)に 00069800M8なりやして、有がたふございやす。だんなさんへもよろし 00069810M9ふお/たミ((ママ))申やすと、礼義をのべ(廿三ウ)て、サア/行(いか)ふとい 00069820M10へば、Sおのしやア、たんな/衆(しゆ)の/所(ところ)で、なぜあのやうに、 00069830M11おふへいにいふといわれて、S昨日といふよりも、ツヽト 00069840M12いんぎんにハどふいふ△Sハテ、一昨日とさ 00069850¥N27¥J 00069860¥X○/貧乏人(びんぼうにん) 00069870M15/近所(きんじよ)へふるまひによばれけるが、いたつて(廿四オ)びんぼ 00069880M16う人にて、/着(き)ものにこまりて、/是非(ぜひ)なく綿入羽織を着て、 00069890M17そのうへあわせはをりを着て、はかまを着て行けり。/盃(さかつき)、 00069900M18本膳も相/済(すミ)、是よりみな+/不礼講(ぶれいかう)+と、はかまをとれ 00069910M19ども、私ハこれが勝手でござる(廿四ウ)といへども、皆& 00069920M20がてんせず。大ぜい寄てたかつて、/無(む)りやりにはかまをと 00069930¥P207 00069940L1りて、Sハテ、きつい御せいじん 00069950¥N28¥J 00069960¥X○/禿(かぶろ) 00069970L4S吉原のかむろ、病気にて、皆&/殊(こと)のほか不便がり、まつ 00069980L5ごに/及(および)し時、(廿五オ)人+うちより、なににても、おも 00069990L6ひおく事あらバ申べしといへば、わたしや/死(し)んたら、神に 00070000L7/成(な)りたふござんすとのゆひごんにまかせ、/禿(かむろ)稲荷大明神 00070010L8と付たり。此宮へ人+もふでて、神前にて柏手をしやん 00070020L9+とうて(廿五ウ)ば、ミやのうちにて、Sアイ引 00070030¥N29¥J 00070040¥X/干鯛(ひだい) 00070050L12S/百姓(ひやくしやう)、江戸の/御地頭様(おぢとうさま)より干鯛を/拝領(はいれう)し、国へもつて 00070060L13帰りけれども、何といふものか、ミしりたるひともなけれ 00070070L14バ、ぼたい/所(しよ)の和尚へ見せ(廿六オ)たれバ、それハいなか 00070080L15にていらぬ物なりといふて、なにとも名をいわされば、百 00070090L16姓うちより、これハ何になるものでござるといへバ、中カ 00070100L17にとしよりが、これハ江戸にある/恵比須(ゑびす)さまのわきざしだ 00070110L18(廿六ウ) 00070120¥N30¥J 00070130¥X○/嫁(よめ)いぢり 00070140M1/嫁(よめ)をいぢる/親父(おやぢ)有りて、息子、はなはた/気(き)のどくにおもひ 00070150M2ゐたりしが、/急度(きつと)工風して、名主より呼に来りしよしにて 00070160M3出行。しバらくして内へ帰り、親父あんじて、何事ぞと/尋(たつぬ) 00070170M4れば、(廿七オ)今日名主どのより、此町内に嫁をいぢる親 00070180M5父が二タ人リ有るよしの御/尋(たづね)なりと。/左様(さやう)の者あらバ/早&(さう+) 00070190M6/訴(うつた□)べし。只今のうちにも/誤(あやま)らば、ゆるすべしとの事なりと 00070200M7いへば、親父、きもをつぶし、一ト人ハおれだが、/跡(あと)ハた 00070210M8れだな(廿七ウ) 00070220¥N31¥J 00070230¥X○/富士(ふじ)の/裾野(すその) 00070240M11S/若(わか)いしゆ/寄(より)、はなしの中カへ、六十/斗(ぱか)リの/親父(おやぢ)/来(きた)りけれ 00070250M12バ、アヽこれ+。/今時分(いまじぶん)、/昔(むかし)の/噺(はな)しハ/耳(みゝ)にいらぬといへ 00070260M13ば、アヽそんならば/帰(かへ)りませう。/扨&(さて+)/浮世(うきよ)ハさま+じや。 00070270M14(廿八オ)/兄(あに)ハきらるゝ、/弟(おとゝ)ハしばらるゝ。Sアヽもし+、 00070280M15/祖父(ぢい)さん。それハどこで+。/富士(ふじ)の/巻(まき)がりで 00070290¥N32¥J 00070300¥X○/竹田料理(たけだりやうり) 00070310M18S/竹田御料理(たけだをんりやうり)といふかんばんを見て、二三人づれにて/来(きた) 00070320M19り、/膳(ぜん)を見(廿八ウ)れバ、/茶漬(ちやつけ)ばかりに/平(ひら)壱つなり。いか 00070330M20なるものかと、/平(ひら)のふたをとつて/見(ミ)れハ、ぜんまい 00070340¥P208 00070350¥G(三十ウ・三十一オ) 00070360¥N33¥J 00070370¥X○/刀(かたな)のそり 00070380M3S/老人(らうじん)と/若(わか)き/侍(さむらい)、二タ人づれにて/両国橋(りやうごくばし)を/通(とを)りたれバ、若 00070390M4き/侍(さむらい)、かたなの(廿九オ)そりうちたるを、しらすしてゐる 00070400M5を、/老人(らうじん)気をつけ、なぜ、そりを/打(うつ)てさゝれしぞといへば、 00070410M6Sハヽア、/風(かぜ)で 00070420¥N34¥J 00070430¥X○/大食(たいしよく) 00070440M9S/大食(たいしよく)をする人、/余(あま)りすさまじくくふ故に、そばにゐる人、 00070450M10はなハだ気の(廿九ウ)どくに思ひ、/貴様(きさま)。それを/喰(く)つたな 00070460M11らバ、今に腹がさけるであらふぞといふ/内(うち)、/腹(はら)でぱつちり 00070470M12と/音(をと)がすれバ、それやこそと、ふところをミれば、/越中(ゑつちう)ふ 00070480M13んどしのひほが/切(き)れた 00070490¥N35¥J 00070500¥X○なががたな(三十オ)(三十ウ・三十一オ挿絵) 00070510M16S/上州(じやうしう)に/名(な)だいの/長(なが)き/刀(かたな)をさす人あるよしにて、わざ+ 00070520M17/近国(きんごく)より/見物(けんぶつ)に/来(きた)り、/尋(たつね)あたりて、/我&(われ+)わ/長(なが)き/刀(かたな)を/拝見(はいけん)い 00070530M18たし/度(たく)、わざ+/参(まい)り候よしいへば、/女房(にようぼう)たち出、これハ 00070540M19+、/節角(せつかく)の御出なれども、きのふ江戸へまいられ(三十 00070550M20一ウ)ましたが、今少しははやく御出なされば、今迄そこに、 00070560¥P209 00070570L1こじりがまたござりました 00070580¥N36¥J 00070590¥X○かつば 00070600L4S屋かた船へ、堺町のかげま子ども出しが、にわかに/雪隠(せつちん) 00070610L5へ行たくなり、せうことなしに、とものかたより、川へし 00070620L6りをむけ(三十二オ)ゐたれバ、折ふし/川太郎(かつぱ)、むすこをい 00070630L7だきておよぎきたりしが、息子かつぱ、かげまのしりをミ 00070640L8つけて、アレとつさんや。あつこに、うまいが+とねた 00070650L9れハ、Sおやぢしかつて、アリヤア売ものだ 00070660¥N37¥J 00070670¥X○/開帳(かいてう)の上ケ物(三十二ウ) 00070680L12S吉原の女郎、きやくに、申しヱ。おまへにね、御むしん 00070690L13がありんす。S何ンだ△Sこんど善光寺の如来さんのおか 00070700L14い帳がありんすによつて、なんぞあけたいもんでおざんす 00070710L15が、おまへ、こしらへておくんなんし△Sムヽ、こしらへ 00070720L16てやろうとも+。何がよかろふの。てう(三十四オ)ちん 00070730L17か、但しのぼりか。アイヤ+、にしきのみとてうがよか 00070740L18ろふ△Sナアに、なんぼ如来さんでも、あのすまふとりで 00070750L19ハあるまいし 00070760¥N38¥J 00070770¥X○/物(もの)しり 00070780M3Sこれ、貴様ハ何もかも物しりだが、日本のうぐひすハ、 00070790M4ほうほけきやうとなくが、からの(三十四ウ)うぐひすハな 00070800M5んとなきます△Sハテ、しれた事を聞人だ。それでもわし 00070810M6ハしらぬ。Sハテ扨、/子(し)の/日(とうまく) 00070820¥N39¥J 00070830¥X○はつ/茸(たけ) 00070840M9Sわしがいなかの山にハ、とんだ大きなはつ/茸(たけ)がでるて△ 00070850M10Sどのくらいござる△Sまづ大かた(三十五オ)ひらいた所 00070860M11が、さしわたしで五六尺もあろう△Sとんだてつほうをい 00070870M12ふ人だ。そのやうなはつだけがあるものか△Sイヤ、うそ 00070880M13でない事。あめのふる時ハ、からかさのかハりにする 00070890¥N40¥J 00070900¥X○/牢人(らうにん)の/自慢(じまん) 00070910M16S扨、わしが先祖ハ楠の/家臣(かしん)に、しのづか五郎(三十五ウ) 00070920M17といふてハ/名(な)たかいものだ。/度&(たび+)てがらもあつた。其後、 00070930M18石ばし山のたゝかいに、石なけのてがら。又/朝鮮(てうせん)ぜめにも、 00070940M19とらかりで手からをしました△Sアヽ申。それハ大分/時代(じだい) 00070950M20も人もちがひました△Sさればさ。そのまちがいで、らう 00070960¥P210 00070970L1人いたした(三十六オ) 00070980¥N41¥J 00070990¥X○/論語(ろんご) 00071000L4S/仕事師(しことし)、日本橋にて/仲間(なかま)にゆき/逢(あ)ひ、S八へ。おのしや 00071010L5ァどこへいく△Sヲヽ、おらァ/出雲寺(いづもじ)へ/論語(ろんご)を買にいくハ。 00071020L6何ンだ、論語を。いけねへやつしやァねへか。わりやァろ 00071030L7んごをよミゑゝるか(三十六ウ)Sべらほうめ。人を安くし 00071040L8やあがる。よまねへでどふするものだ△Sそんなら、はじ 00071050L9めの所をよんてミろ△Sがつてんだ。/商売往来(しやうばいおうらい) 00071060¥N42¥J 00071070¥X○/紙帳(しちやう) 00071080L12S/殊(こと)の/外(ほか)ちかくに/火事(くわぢ)あれバ、ていしゆ/紙帳(してう)をつり、こと 00071090L13+く諸道具を、その(三十七オ)紙帳の中へ入レけれバ、 00071100L14女房きのどくがり、おまへ、そのしてうハ何ンのためにつ 00071110L15る事ぞ。此急な火事にといへば、やかまし。だまつていろ。 00071120L16火事に土蔵と見せるのだ 00071130¥N43¥J 00071140¥X○ばちびん(三十七ウ) 00071150L19S深川にて/客人(きやくじん)、/芸者(げいしや)の/三味線(さミせん)をまくらにして、高いびき 00071160L20にて/寐(ね)たれバ、ふしぎや此三味線、おのれと/音(ね)をいだすゆ 00071170M1へ、客人を見れば、ぜんごもしらず。これハきミやうと、 00071180M2あたまを見たれバ、ばちびん(三十八オ) 00071190¥N44¥J 00071200¥X○/遠国者(ゑんごくもの) 00071210M5S/遠国(ゑんごく)の人、浅草の御見附の御番所へ/罷(まかり)出、私ハ遠国者 00071220M6でござりますが、何/卒(とぞ)江戸の女郎と申ものをかいまして、 00071230M7/古郷(こきやう)への咄しの/種(たね)にいたしたふ御ざります。何とぞ/仰(あふせ)付 00071240M8られて(三十八ウ)下されませうとねがへば、役人聞給ひ、 00071250M9勝手をしらねバ、尤の事なり。此方£下番を/案内(あんない)に遣すべ 00071260M10しとの給へバ、有がたふござりますと、浅草の方へゆくを 00071270M11/呼(よび)かへして、コリヤ+、びくにんをかわゞ、/寺社(じしや)へ/届(とゞけ)ろ 00071280M12(三十九オ) 00071290¥N45¥J 00071300¥X○/馬士(むまかた) 00071310M15S/師走(しわす)、/大根(たいこん)をつけたる在郷馬、度&小便をするを、馬か 00071320M16た殊の/外(ほか)こゝろせき、此ちくせうめハ、よく度+小便し 00071330M17て、日のミぢかいに待せおるハへ。ちつと、あるきながら 00071340M18しやあかれと(三十九ウ)いへば、S馬/馬鹿(ばか)な。/馬士(まご)じやァ 00071350M19あるまいし 00071360¥P211 00071370¥N46¥J 00071380¥X○/髪結床(かミゆひどこ)の/喧嘩(けんくわ) 00071390L3S/髪結床(かミゆひどこ)の/内(うち)に、若いしゆ/打寄(うちより)り/居(ゐ)たる所を、折ふし屋敷 00071400L4女中、/仲間(ちうげん)を供につれ通りしを、さま+評議の中に、あ 00071410L5れハくさいといひしを、仲間(四十オ)/聞(きい)て、がてんせず。 00071420L6おのれらハにくいやつだ。われらが供をする女中を、なぜ 00071430L7くさいとハいひおつた。弓矢八幡、かんにんならずと、き 00071440L8つぱ/廻(まハ)せば、Sハテ、ほうが赤いからくさいと/言(いふ)つたが、 00071450L9どふした△Sイヤ、くさくない△Sイヤ、くさいとあらそ 00071460L10へバ、S女ハ(四十ウ)/内(うち)ふところより手を入レ、そつと/中= 00071470L11指(なか=ゆび)を/鼻(はな)にあて、/団平殿(だんへいどん)、こつちや/負(まけ)た 00071480¥N47¥J 00071490¥X○/鉢(はち)の/木(き) 00071500L14S/至(いたつ)て/鉢(はち)の/木(き)を/好(すく)人のもとへ、こざかしげなる人ゆきて、 00071510L15それかこれかとながめるを、/亭主(ていしゆ)、/内(うち)より/立出(たちいて)、/貴公様(きこうさま)に 00071520L16も(四十一オ)/鉢(はち)の/木(き)をお好なさるゝと/見(ミ)へまして、御/頼母(たのも) 00071530L17しいといへば、されバ+、/私(わたくし)も/殊(こと)の外、/好物(こうぶつ)でござるゆ 00071540L18へ、たいがいハ見おぼへておりますが、これハ何ンてござ 00071550L19る。それハ/仏手柑(ぶしゆかん)。Sヘヱヽ、/薬(くすり)に/成(な)りますのか。S是ハ 00071560L20何。それハ/唐(から)のくわりん。Sヘヱヽ、/三味線(さミせん)(四十一ウ)の 00071570M1どうになりますのか。S是ハなに。それハぢんてうき。 00071580M2Sハヽア、そろばんに成るのか 00071590¥N48¥J 00071600¥X/疱瘡(ほうそう) 00071610M5Sひとり/息子(むすこ)、ほうそう/最中(さいちう)の/所(とこ)へ、きやん、/遊(あそ)びにきた 00071620M6れバ、/親父(おやぢ)、八や、/坊主(ほうす)めがほうそうするから、ちつとし 00071630M7づかにしてくりやれ。(四十二オ)なんだ、ほうそう。ねつ 00071640M8からしらなんだ。ほうそうにハ/亀(かめ)のこがとんだ/妙薬(めうやく)の。は 00071650M9やくくハせやれ。おれが取つてきてやろふと、/直(じき)に取つて 00071660M10きてこしらへ、サアくわしやれといへば、/親父(おやぢ)もいかゞと 00071670M11ハおもひながら、こゝろざしもたしがたく、一ト口くわせ 00071680M12たれバ、七てん八とうして、たち(四十二ウ)まち/死(し)んだり。 00071690M13両親はなハだなげきけれバ、此亀のこめハ、ふといやつじ 00071700M14やあねへかへ。万年/過(すぎ)たらすぎたと、いやあがれハよい 00071710¥N49¥J 00071720¥X○/新宅(しんたく) 00071730M17S/盗(ぬす)人、/晩(ばん)にはいらんとおもふにハ、ほう+を昼の内見 00071740M18廻りて、勝手/能(よ)き所へいるなり。(四十三オ)こゝに新宅の 00071750M19奥をミたれバ、唐木の/床(とこ)、/違(ちが)ひ/棚(だな)、こちらにハ/蝋色(らういろ)のたん 00071760M20す、長持、用だんす。何ンでも晩にハせしめてくれんと、 00071770¥P212 00071780L1夜に成をまてバ、程なく其夜うしミつごろ、まんまとしの 00071790L2び入、くらやミにてさがしてミても、何もなし。扨ハ外へ 00071800L3/預(あづけ)ケたるか、(四十三ウ)たしかこゝらが床の間と、さぐつ 00071810L4てミても、こし/張(ばり)ばかり。これハきミやうと、火をうち付 00071820L5ケ、よく+ミれバ、こと+く/絵(ゑ)に/書(かい)たり。/盗(ぬす)人あきれ 00071830L6て、扨もふといやつだ 00071840¥N50¥J 00071850¥X○/鯉(こい)の/瀧登(たきのぼり) 00071860L9S/隅(すミ)田川より/御献上(ごけんじやう)の/鯉(こい)を納めんと、(四十四オ)両国橋を 00071870L10通りしが、此鯉、とび出て川へ入たり。/持人(もちて)、うろたへ立 00071880L11さわけバ、/冷(ひや)水売、これをミて、いかなる事と尋れバ、持 00071890L12人、始終を咄し、泪をながせハ、少しも気遣ひ有な。おれ 00071900L13が取つてしんじやうと、らんかんの上より、ひや水をさら 00071910L14(四十四ウ)++とこぼしながら、/瀧(たき)++ 00071920¥N51¥J 00071930¥X○むらさき 00071940L17S若いもの四五人あつまり、はなしてゐる所へ、又一ト人 00071950L18ともだちきたり、これ+、めづらしい/木(き)を見てきた。 00071960L19S何ンだ。どんな木だ△S木もむらさき、/葉(は)もむらさき、 00071970L20はなも(四十五オ)むらさき、/実(ミ)もむらさきの木だ△Sムヽ 00071980M1そりやアめづらしい木たの。何ンといふ木だ△S何ンとか 00071990M2名ハいつたけ。わすれた。いつてきいてこようとかけ出し、 00072000M3しばらくし来り、S聞イてきた+△S何といふ/木(き)た 00072010M4Sなすび 00072020¥N52¥J 00072030¥X○/使(つかい)(四十五ウ) 00072040M7S仁/王(わう)、善光寺へ使に行てもどり、ふつてうつらをしてゐ 00072050M8るゆへ、/観音(くわんをん)、どうじや。口上のおもむき申たか/か((か衍))と聞給 00072060M9へハ、いゝへ。釈迦かねてゐて、挨拶をいたしたから、ご 00072070M10うがにへて/戻(もとり)ましたといへバ、S観音おうかた、そちも立 00072080M11てゐたろう(四十六オ) 00072090¥N53¥J 00072100¥X○かけあらそひ 00072110M14S何ンと、よし/光(ミつ)ハぼうずか、なでつけか。おのしやあし 00072120M15るめへ△Sヲヽ、しらねへ事ハない。なでつけに/違(ちがひ)ハない 00072130M16とあらそひ、そんなら何ンでもかけにしようと、二人して 00072140M17/開帳場(かいてうば)へ行、おしやうにねがひて(四十六ウ)かむりをとつ 00072150M18て見れハ、本田 00072160¥N54¥J 00072170¥X○/時花(はやり)うた 00072180¥P213 00072190L1S女郎、/客(きやく)に/向(むか)ひ、おめへに/無心(むしん)がありんすが、たび+ 00072200L2の事ていひにくふありんすから、はやりうたでもうしいせ 00072210L3うといへバ、客Sそれハめづら+。/承(うけたまハ)りたい△S女郎 00072220L4哥つまりて+二つの(四十七オ)ねがい△S客してやんし 00072230L5てどふしたの△S女郎/夜着(よぎ)ハにしきて、あんまり是でハ/好(この) 00072240L6ミがつよいが、なんがまくら△S客おうさ。ミんなそつち 00072250L7でせい△S女郎、したを出し、へん/ここ((ママ))+へんしわんぼさん 00072260L8かいな△S客おいな+ 00072270¥N55¥J 00072280¥X○/鬼(おに)むすめ(四十七ウ) 00072290L11Sなまゑひ、よろ+して、/鬼娘(おにむすめ)を見ようとするゆへ、/木= 00072300L12戸(き=ど)ばん、もし、おまへハよつほど御きげんそうだ。あぶな 00072310L13ふござりますから、よしになされませ。ゑいがさめてから 00072320L14おいでなされまし。Sいゝや。おりやもう、よいがさめた。 00072330L15ミせてくれ給へ(四十八オ)S木戸ばんよいがさめたら、おは 00072340L16いりなされてごろじませといへハ、うちから/鬼(をに)むすめが、 00072350L17ゑ/び((ママ))がさめたら、わしやいやじや+といふ。Sなぜ、い 00072360L18やがるといへバ、S鬼娘ゑひがさめると、せうきになりや 00072370L19す 00072380¥N56¥J 00072390¥X○ねじやか(四十八ウ) 00072400M3S若いもの/寄合(よりあい)、此度のかい帳ハ、きんねんにない大あた 00072410M4りだ。なんと、あのねじやかでもぬすんで、銭もふけしよ 00072420M5うじやあるめへか。こりやよかろふと、大せいにてぬすミ 00072430M6出し、ひつかついで/寺(てら)町まで来りしか、いつかな+うご 00072440M7かねバ、こりやあ(四十九オ)いかぬしろ物と、/寺(てら)まいへう 00072450M8ち/捨(すて)て/帰(かへ)りしまゝ、両/寺(じ)より/和尚(おしやう)/立合(たちあい)、よく+見れバ、 00072460M9善光寺の/伴頭(ばんとう)なれハ、たがいにわがしろものに、/御(ミ)くしが 00072470M10こちらにござれば此/方(ほう)へ引とりませうといへば、/浄土(しやうど)宗、 00072480M11イヤ此方へ引/取(とり)ませう。/其子細(そのしさい)ハ、ね仏で(四十九ウ)ござ 00072490M12ると、弁舌に/に((に衍))まかせ、つめかくれバ、日蓮/宗(しう)の和尚、は 00072500M13て、さやうおうせられな。今にお経 00072510¥N57¥J 00072520¥X○/座頭(ざとう) 00072530M16S/座頭(さとう)、開帳へ参り、/御印文(こいんもん)の入口へ行バ、おつと、如来 00072540M17ハそつちだと、/棒(ぼう)(五十オ)のさきでひたいをつけバ、/座頭(ざとう)、 00072550M18おつと、ありがた山と内へかへり、世の/定業(じやうがう)ぜひもなく、 00072560M19ついとん/死(し)して、ゑんま大王の御/前(まへ)へ/引(ひ)かれ、/私(わたくし)をバ御印 00072570M20文をいただいて/参(まい)りましたから、おうたがひなく/極楽(ごくらく)へ、 00072580¥P214 00072590L1御/通(とを)し下されましといへば、(五十ウ)ゑんま、大のまなこ 00072600L2をひらき、どれ+、/吟味(きんミ)せんとあらため給ひ、ならぬ 00072610L3+といふゆへ、/座頭(ざとう)、なぜてござりますといへば、ぼう 00072620L4/判(はん)だ 00072630¥N58¥J 00072640¥X○どろぼう 00072650L7S/盗人(ぬすびと)、/御印文(ごいんもん)をいたゝきにゆきて、(五十壱オ)ぜに百/文(もん) 00072660L8なげ/出(た)し、しりをまくつて、こゝへおたのミ申ますといへ 00072670L9は、ぼうずあきれて、これハもつたいない。/御印文(ごいんもん)をしり 00072680L10へおすとハ、そなた、/気(き)がちがつたか。なぜ、ひたいへい 00072690L11たゞかぬといへば、いへ+、/首(くび)ハあすないもの(五十壱ウ) 00072700¥N59¥J 00072710¥X○/地蔵(ぢぞう) 00072720L14Sゆしまのかいてうにて、/子供(こども)をちぞうへ/年季(ねんき)ぼうこうに 00072730L15/出(た)すゆへ、きん所のわかいもの、もし、おぢぞうさん。お 00072740L16まへさんハ子どもを、大ぶんほうこう人におかゝへなされ 00072750L17まする。あれハまあ、だん+と(五十弐オ)/年(ねん)があけたら、 00072760L18どうなされます。S地蔵あれハ女郎やかげまにうつてやる 00072770¥N60¥J 00072780¥X○/仏(ほとけ)のむしん 00072790M1S/京(きやう)の/大(だい)ぶつ、/夜(よ)を/日(ひ)についで、江戸のゑこう/院(いん)のかい/帳(てう) 00072800M2へ/来(きた)り給ひ、さて+われら、はなハだこんきうにおよひ 00072810M3しゆへ、(五十弐ウ)/貴公(きこう)へ御/無心(むしん)にまいつた。まづそこも 00072820M4とハ、たつた一寸八分の/身(ミ)で、大/金(がね)をもうけ給ふ。われら 00072830M5ハ此やうな/世間(せけん)はづれの大きなからたても、/一向(いつかう)/金(かね)もふけ 00072840M6ができぬ。ついてハ、よんところない入/用(やう)の事ができてま 00072850M7いつたが、何とぞ/貴公(きこう)の/此(この)一チ日のさんせん(五十三オ)を、 00072860M8しやくやう申たいが、何んと、かしてハくださるまいか。 00072870M9Sなるほど、/京都(きやうと)からこゝまでござつて、おつしやるほと 00072880M10の事、よく+のこと/((と脱カ))/存(そんず)る。一日のさんせんくらいハ、御 00072890M11/用立(やうだち)ませうと、かますに入たるさんせんをいたせバ、これ 00072900M12ハかたしけないと、まへきんちやくへ入る(五十三ウ) 00072910¥P215 00072920¥Q 00072930L2△△△△△△筆耕高砂町隠士△鼎峨G 00072940L3安永八巳亥季 00072950L5△△△春正月吉鳥 00072960L7△△△△△江戸橋四日市広小路 00072970L9△書肆△△△△△△△△△△竹川藤助蔵 00072980¥P216 00072990¥U噺本大系△第十一巻 00073000¥T/気(き)のくすり〔題簽〕 00073010¥G 00073020¥Y 00073030L18安永八年正月刊 00073040L19黒狐通人序 00073050L20小本一冊 00073060¥Y序 00073070M3/梅(むめ)が/薫(かほ)りの/軒伝(のきつた)ひには、/扇箱(あふぎばこ)/買(かひ)ませふと/囀(さえず)り、/梅(むめ)の/雨(あめ)の/晴= 00073080M4間(はれ=ま)を/待(まち)てハ、/傘(からかさ)の/古骨(ふるぼね)/買(かハ)ふと/名(な)のり、/松虫(まつむし)の/髭(ひげ)の/長(なが)き/夜(よ)を 00073090M5たのみては、/蝋燭(らうそく)の/流(なが)れかハふと/啼(なき)しも、いつしか(一オ) 00073100M6/埋火(うづミひ)のもとにうづくまる/頃(ころ)となれば、/落噺(おとしはなし)/買(かひ)ませふと/鳴(な) 00073110M7り/込(こん)だる/書林(しよりん)の/何某(なにがし)。おつと/呑込(のミこミ)/山鯨(やまくじら)、/新(あた)らしい/所(ところ)を/売真= 00073120M8生(うりま=せう)と、/筆(ふで)の/先(さき)を/磨(とぎ)すまして/小冊(せうさつ)となし、/初春(はつはる)の/笑顔(えがほ)を/招(まね)く 00073130M9/気(き)の/薬(くすり)と/題(だい)し/侍(はんべ)る 00073140M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△黒狐通人誌 00073150M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一ウ) 00073160¥P217 00073170¥N1¥J 00073180¥X歳旦 00073190L3貴様ハ近い比、/俳諧(はいかい)をすると聞たが、/歳旦(さいたん)でも被成たか。△ 00073200L4Sしたとも△S何と被成た△S古/池(いけ)や/蛙(かハづ)/飛込(とびこ)む水の音△ 00073210L5Sあてこともない。それは/芭蕉(ばせう)が/句(く)だ△Sこれハめいわく。 00073220L6きつとおれが/句(く)だ△Sおれハはせをとハ/懇(こん)(二オ)/意(い)だから、 00073230L7云て聞かせるによ△Sなに、お身様が芭蕉と/懇意(こんい)であろふ 00073240L8S大せいもんだ。しかも、其句をしたと云て、芭蕉がおれ 00073250L9にじきに/咄(はな)した△Sそれハいつの事だ△S/旧冬(きうとう)/膏薬(かうやく)を/買(かひ)に 00073260L10行た時の事よ△Sそれでハ/一言(いちこん)もない(二ウ) 00073270¥N2¥J 00073280¥X素人医者 00073290L13此/夏(なつ)のはやり風は/正気散(せうきさん)で/済(す)むと、近所の/素人医者(しろふといしや)へ手紙 00073300L14を書て、此間の/流行(はやり)ニ而家内不残引風仕候間、御薬申請度 00073310L15奉存候。八九人の病人ニ御坐候間、御薬二十/貼(てう)斗も御/調剤(てうざい) 00073320L16可(三オ)被下候と云やれば、素人大悦ひにて、早速おこさ 00073330L17れしと、使の者、/通(かよ)ひ/箱(ばこ)を指出す。外ニ二段/組(ぐミ)の/桐(きり)の箱に、 00073340L18/鱚(きす)のひらきと/味噌漬(ミそづけ)の/香(かう)の物。これはとうした事と、箱の 00073350L19ふたを気をつけて見れば、/景物(けいぶつ)御大病の御かたへ(三ウ) 00073360¥N3¥J 00073370¥X蕣 00073380M3/爰(こゝ)の朝がほハ/咲(さき)ますか。Sまだ咲ませぬ△S扨/遅(おそ)い事だ。 00073390M4今咲かずハ、大方八月あたりでなくハ咲まい。おらが内の 00073400M5ハ、五月から咲ます△S五月から咲が、何早い物だ。おら 00073410M6が内のハ二月あたりから咲て、其(四オ)(四ウ・五オ挿絵)/実(ミ) 00073420M7がこぼれて、あれ程になりました△Sそれが/遅(おそ)いと云のだ。 00073430M8おらが内の、其五月から咲といふも、実がこぼれてはへた 00073440M9二番ばへさ△Sして又、其こぼれた実の花ハ、いつ比咲ま 00073450M10した△Sそれハ/最(も)う/去(きよ)年ンの九月あたりの事さ(五ウ) 00073460¥N4¥J 00073470¥X菜畠 00073480M13/亭主(ていしゆ)、私ハ/菜(な)がきつい/好(すき)でござりますと、うらの/障子(せうし)を明 00073490M14けて見せれば、/客(きやく)、なる程/青(あを)+といたして、よい物でご 00073500M15ざるとのあいさつに、亭主、あの向ふに見へますも(六オ) 00073510M16わたくし/菜畠(なばたけ)、こちらの/畑(はた)も私の菜、あれ、あそこに見へ 00073520M17ますも私の菜ばたけと見するゆへ、扨+/沢山(たくさん)な菜畠。な 00073530M18ぜ又此やうに、おびたゝしくお/作(つく)り被成ましたといへば、 00073540M19あれでもゆでますと、わづかに成ます(六ウ) 00073550¥P218 00073560¥N5¥J 00073570¥X四神の籏 00073580L3町内の物しりと云ハれる男の所へ、若いものが二人、あハ 00073590L4たゞしく来て、/先生(せんせい)+。どうもしれぬ事があるから参や 00073600L5した。まづ惣べつ、神様の御/祭(まつり)といふと出るもので、/旗(はた)を 00073610L6四本立(七オ)て、上に鳥やけた物をこしらへてと、皆迄云 00073620L7ハせず。それハ/四神(しじん)のはたと云物だといへば、どうでも先 00073630L8生だな。/夫(それ)につけてのあらそひだがね。わしがいふにハ、 00073640L9/龍(れう)もあり/虎(とら)もあるから、あれハ/龍虎梅竹(れうこばいちく)といふのであろふ 00073650L10(七ウ)といへば、此男がいふにハ、とりも亀の/甲(かう)もあるか 00073660L11ら、/鶴亀(つるかめ)松竹だあろふと申やすが、これハまあ、どつちが 00073670L12よふござりやすゑと云に、先生わらつて、扨+、こなた 00073680L13衆ハあんまり/文盲(もんもう)な事だ。松竹だの/梅竹(ばいちく)だのと、何を見て 00073690L14云ハ(八オ)しやる。あれハナ、/麟鳳亀龍(りんぼうきりやう) 00073700¥N6¥J 00073710¥X開口新語 00073720L17/開口新語(かいこうしんご)といふ本ンハ、何を書た物だの。Sムヽ、それハ 00073730L18たしか、落し咄を/漢文(かんぶん)に書たものだといふに△Sハテナ。 00073740L19落しばなしだとか。なんだかよむ所(八ウ)をきけば、いつ 00073750L20そみじかい一ト口ぎりな所がある△Sそれハ/漢文(かんぶん)だけ、/短(ミじか) 00073760M1いであろふ△Sハテナ。漢文とハなんの事だの△Sされバ、 00073770M2おれもたしかにハしらぬが、/半分(はんぶん)といふ事だあろふ 00073780¥N7¥J 00073790¥X箒(九オ) 00073800M5友だちの所に四五人咄て居る所へ、新五左衛門、お見舞申 00073810M6と、/座敷(ざしき)へ通れば、亭主、あの客ハ今に帰るから、皆/遊(あそ)ん 00073820M7て/居(い)給へと、座敷へ出て咄て居るに、いつ迄も帰らず。/次(つぎ) 00073830M8の/間(ま)の四五人、扨長い客だ。早く帰したいと、(九ウ)箒を 00073840M9/尋(たつね)れ共見へず。一人が庭へ下りて/竹箒(たかほふき)を見付出し、こいつ 00073850M10がよいと、/柴垣(しばかき)へ/逆(さか)さまに立て置くと、程なく客、/玄関(げんくわ)へ 00073860M11出る。そりや箒が/利(きい)たとさゝやけば、客、/供(とも)の男を/呼(よん)で、 00073870M12われハさきへ帰れ(十オ) 00073880¥N8¥J 00073890¥X神木 00073900M15/丑(うし)ミつ比、あたまへ/蝋燭(らうそく)をともし、/足駄(あしだ)をはき、ちらし/髪(がミ) 00073910M16にて、/王子(わうじ)いなりの/神木(しんぼく)のあたりを、ぐるり+と廻つて 00073920M17あるくを、/宮守(ミやもり)見とがめて、コレ、人をのろうなら/釘(くぎ)を 00073930M18(十ウ)打そふな所を、なぜ、木のあたりを廻つてござると 00073940M19いへば、女、アイサ。/鉄槌(かなつち)のあたまを落しやした 00073950¥P219 00073960¥N9¥J 00073970¥X饅頭 00073980L3四五人/集(あつま)つて居る所へ、/痩(やせ)た色のわるい男が、/片息(かたいき)に成て、 00073990L4がた+とふ(十一オ)るへて来て、あとから/饅頭売(まんちううり)が参り 00074000L5ますか、私ハあのまんぢうが、どうも/怖(おそろ)しくてなりませぬ。 00074010L6どこぞへかくして下されといへば、物置へかくして置て、 00074020L7いたづらに、右のまんぢうを/買(かつ)て/盆(ぼん)へ/杉形(すぎなり)に/積(つミ)上ケ、物置 00074030L8の内へ入て、戸をひつしやり(十一ウ)/建(たて)て/押(おさ)へて居るに、 00074040L9久しく過ても、音も/沙汰(さた)もなし。もしこハがつて/死(しに)はせぬ 00074050L10かと、明けて見れば、まんぢうはのこらず/喰(くつ)て、口なめず 00074060L11りをして居るゆへ、てまへハあまり怖がつたから、おどし 00074070L12に入たが、そう喰て仕廻たのハ、どこ(十二オ)がこわいの 00074080L13たといへば、アイ。此上ハ、/茶(ちや)が二三ばい/怖(こハ)ふござる 00074090¥N10¥J 00074100¥X髪結 00074110L16/月代(さかやき)の/上手(じやうず)な/髪(かミ)ゆひ、おれハどの様にうごかれても、切る 00074120L17といふ事ハないと/高慢(かうまん)をいふゆへ、おれが思入レいごいて 00074130L18すら(十二ウ)せるが、切らぬやうに/剃(そる)なら、/蕎麦(そば)を/振舞(ふるまハ)ふ。 00074140L19もし切たら、わたくしがそばをおふるまひ申と、/賭(かけ)にして 00074150L20/剃(そり)かゝれば、男はむせうにうごく。髪ゆひも/奇妙(きめう)にはづし 00074160M1て、切らぬやうにしたれど、あまりつよく/動(うごき)しゆへ、/顔(かほ)を 00074170M2剃る段に成て、(十三オ)/鼻(はな)をぞつぺりとそがれ、/鼻声(はなごゑ)に成 00074180M3て、/先(まう)/蕎麦(ほば)ハ/喰(ふつ)たぞ+ 00074190¥N11¥J 00074200¥X浪人 00074210M6/浪人(らうにん)なんと、上/白(はく)があるか。米屋アイ。随分米ハ宜うござ 00074220M7ります。浪/相場(さうば)ハ。米両ニ八/斗(と)いたします。浪それが/極(ごく)よ 00074230M8いのか。(十三ウ)米うゑなして御座ります。浪夫ならば、 00074240M9/冷飯(ひやめし)を出しやれ。ちときいて見よう 00074250¥N12¥J 00074260¥X同 00074270M12めいよにあの浪人ものハ、どれも子供を/沢山(たくさん)に引つれてあ 00074280M13るきますが、とかく子を/持(も)たぬ浪人ハないものかなと(十 00074290M14四オ)いへば、そうでもないが、あれハ/哀(あハ)れに見へるやう 00074300M15に、一日いくら、一ト月いくらと銭を出して、/借(か)りて出ま 00074310M16す。あれも色の青い/病身(びやうしん)な子ハ、又/賃(ちん)が高い。又今/最中(さいちう)/疱= 00074320M17瘡(ほう=そう)して居る子などを借りるには、五両も六両も出るのさ 00074330M18(十四ウ) 00074340¥P220 00074350¥N13¥J 00074360¥X居続 00074370L3/居(い)つゞけの/隣(となり)座敷で、/最(も)うかんにんがなりんせん。あんま 00074380L4りでありんすとうらむ声。ふすまのすきからのぞいて見れ 00074390L5ば、/鏡(かゞミ)にむかひ、手まへのむなぐらをとつて、/赤(あか)すぢはつ 00074400L6ての/独(ひとり)(十五オ)/言(ごと)。居つゞけの客、声をかけて、/重(しげ)山様ン、 00074410L7何をしなさるといへば、コハかならず、人に云てくんなん 00074420L8すな。うそをふくして居やす 00074430¥N14¥J 00074440¥X初会 00074450L11/侍(さふらひ)、女郎を見立、二/階(かい)へ上る時、廻しかたか(十五ウ)Sお 00074460L12こしの物をお渡し被成ませ△S/武士(ぶし)が/腰(こし)の物を渡してなる 00074470L13物か△Sイヱ+、所の/掟(おきて)で、どなた様でもお/預(あづか)り申ます 00074480L14S所の掟とあれば/是非(ぜひ)がないと云て、/刀(かたな)をわたす。S御/脇= 00074490L15指(わき=ざし)も遣されませ△Sこれも取上るかと、わたして仕廻て、 00074500L16/角大師(つのだいし)の(十六オ)やうにかしこまつて、サアこれからは、 00074510L17やハらた 00074520¥N15¥J 00074530¥Xかけ上り 00074540L20あの文を書て居るとなりのむらさきなどゝ、づつと上れば、 00074550M1若い者が、Sお茶やハ△Sなし+△S/舟宿(ふなやど)でも△Sなん 00074560M2にもなし(十六ウ)S左様てハちと△Sつとめを今渡さうと、 00074570M3壱分出して渡す。S此お金ハ、ちと見にくふ御座ります。 00074580M4外のをいたゞきませふと返せば、Sそれなら、ちよつと行 00074590M5て来やうと表へ出て、銭を/買(かつ)て来て、サアつとめと、どつ 00074600M6さりと置く。(十七オ)△S私方などでハ、ついにつとめを銭 00074610M7で取ました事ハ御座りませぬ△S扨+むつかしい事だ。 00074620M8金でやれば金でとらす、銭でやれば銭でとらず。屋敷へこ 00074630M9い。米でやらふ 00074640¥N16¥J 00074650¥X羅漢(十七ウ) 00074660M12五百らかんへ、/新造(しんぞう)/禿(かぶろ)参けいして、堂をまハり、中程に 00074670M13て、新造、らかんの/顔(かほ)を見てさめ※と/泣(なく)。若い者お前ハ 00074680M14/親御(おやご)様に/似(に)た仏様が有て泣なさるか。扨+きどく千万な 00074690M15といへば、いへ+、とゝさんにハ似いせん。若だれに 00074700M16(十八オ)にました。新アイ。わたしを/売(うつ)た、ぜげんどんに 00074710M17似ているから 00074720¥N17¥J 00074730¥X十八日 00074740M20女郎、/袋棚(ふくろだな)のうちへ、/観音(くわんをん)の/掛(かけ)物をかけならべて、中へ天 00074750¥P221 00074760L1神のかけ物も一ぷくかけて、/菓子(くわし)、おそなへ、/燈明(ミあかし)な(十 00074770L2八ウ)ど上ておくゆへ、客けふハ十八日。観音様のかけ物 00074780L3ハきこへたが、天神様のかけ物ハ、なぜかけてあるの。女 00074790L4郎あの天神さんのかけ/字(じ)ハね、まんなかがあいて居て、見 00074800L5つともないから 00074810¥N18¥J 00074820¥X行燈(十九オ) 00074830L8客此あんどんハ、又けしからぬやぶれやうの。ちつと張ら 00074840L9せたらよさそうな物だ。女郎ほんに。いつそやふれんした。 00074850L10しかし今の内ハ、かうやぶれてもかまいになりいせんが、 00074860L11冬ならさぞ、寒からふね(十九ウ) 00074870¥N19¥J 00074880¥Xくら替 00074890L14目はなだちに云ぶんなけれど、/病身(びやうしん)さうなが/疵(きず)でうれぬゆ 00074900L15へ、京町へくら替させた所が、とんだはやるとの/沙汰(さた)。さ 00074910L16りとはふしぎと、/廛(ミせ)の出ばなに行て見れハ、色つやよく/息= 00074920L17才(そく=さい)そ(二十オ)うに成て、/格子(こうし)まぢかく/居(すハ)つた所が、なるほ 00074930L18どきつい物。こゝの内がふさつたか。さりとは/残念(ざんねん)な。く 00074940L19ら替させねばよかつたものと、ためつすがめつ見ながら、 00074950L20ふつと/行燈(あんどう)の横手を見たれば、扨も/案(あん)じた、一尺四方ほど 00074960M1赤い紙(二十ウ) 00074970¥N20¥J 00074980¥X西瓜屋 00074990M14/西瓜(すいくわ)屋の/行燈(あんどう)を見とがめて、コレ御亭主。すいくわ屋のあ 00075000M5んどんハ、赤い紙に/極(きハまつ)た物だが、/青(あお)紙とハめづらしい。な 00075010M6んといふ案じだといへば、亭主アイ。私方でハ皆、丸であ 00075020M7きないますから(廿一オ) 00075030¥N21¥J 00075040¥X木綿屋 00075050M10もめんやどん。手ぬぐひ/地(ぢ)を見せなと、しぼりの切レ地を 00075060M11あてつくらべつして、二尺切るによと、/鋏(はさミ)と物さしを持て 00075070M12出れば、これ+、わたしが切て上ませう。はさみで切ら 00075080M13れてハ/跡(あと)が(廿一ウ)みぢんだと、手前の物さしで弐尺さし 00075090M14て、こしから小刀を出し、折めを口にくハへて、ついと切 00075100M15れば、おや+、けしからん。/鼻(はな)のさきを大きに切らしつ 00075110M16た。それいつそ/血(ち)が出るハなといへば、木めんやそれ、見 00075120M17なさい。/鋏(はさミ)でたつ(廿二オ)てハ、ほつてもこうハいかぬ 00075130¥N22¥J 00075140¥X料理茶屋 00075150M20壱人前百両の/料理(りやうり)を/喰(くつ)て見たいと、所&の料理茶屋を聞て 00075160¥P222 00075170L1見れど、あまり大そうな事ゆへ出来ぬといふに、小さな茶 00075180L2屋の亭主、(廿二ウ)私が致ませふと請合ゆへ、成程頼ふか 00075190L3ら、/献立(こんだて)を書て見せろといへば、献立を御目にかけます迄 00075200L4も御座りませぬ。/中位(ちうぐらい)な/伽羅(きやら)で/飯(めし)を/焚(たき)まして、/朝鮮人参(てうせんにんじん)の 00075210L5ひたし物でお茶づけ(廿三オ) 00075220¥N23¥J 00075230¥X鍋屋 00075240L8私が/鍋(なべ)ハ請合て上ます。これ、御らうじませと、両方の/耳(ミヽ) 00075250L9を持て、なげて見せるに、われず。幾度も/投(なげ)て、これ、此 00075260L10通りでござると云時、鍋、さつと二つにわれる。コレ、こ 00075270L11れをば上ませぬ(廿三ウ) 00075280¥N24¥J 00075290¥X質屋 00075300L14ばくち打、此きる物で弐分かしておくれと、まつぱだかに 00075310L15成て、金と引替て行所を、もし+、何か落て居ますとい 00075320L16へば、身うちを見廻し、/褌(ふんどし)さへあれば、何も落た物はない 00075330L17(廿四オ) 00075340¥N25¥J 00075350¥X土手 00075360L20しきりニ行たけれども金がなし。やう+四ツ時分に内を 00075370M1ぬけて出て、/質(しち)屋へゆき、此/羽織(はおり)で弐分かして下されとい 00075380M2へば、ひとへ羽織では弐分は上られませぬ。其/脇指(わきさし)なら二 00075390M3分上(廿四ウ)ませふといふを、それハこつちも/合点(がつてん)だが、 00075400M4此比ハ大ぶんぶつそうだといふから、丸ごしでハ心/細(ぼそ)い。 00075410M5そんなら一分でもかりて行ふと、羽折をぬいで一分うけと 00075420M6り、/早足(はやあし)に/土手(どて)へかゝれば、うしろから大男がひつこぬい 00075430M7て、/肩先(かたさき)(廿五オ)をどつさり切る。合点だと、脇指の/柄(つか)へ 00075440M8手ハかけたれと、/深手(ふかで)なれば、ぬく事もならず。よろ+ 00075450M9とたをれて、ヱヽ口おしや。かうなる事を知たらば、やつ 00075460M10はり脇指で弐分かりるに 00075470¥N26¥J 00075480¥X心中(廿五ウ) 00075490M13どうあつても死なねばならぬ義理づくに成て、心中する事 00075500M14にきわめ、とてもの事に、此二/階(かい)をけがそふより、/郭(くるハ)をぬ 00075510M15け出て、かけかまひのない所で死ふと、やう+/忍(しのび)出て、 00075520M16/真闇(まつくら)な道を小でうちんでたどり行しが、男、てうちん(廿 00075530M17六オ)をふつと吹けす。女、男の手をつかまへて、かうな 00075540M18つてから/迯(にげ)なんせふとハひきやうな。さりとは水くさいお 00075550M19心とうらめば、はて扨、此/場(ば)に成て、だれが迯るものだ。 00075560M20迯るのでハないが、らうそくが半分のうへとほつたから。 00075570¥P223 00075580L1女郎それでけし(廿六ウ)なんしたかへ。男はて、とぼ切し 00075590L2てハ、おれがひとり帰るに、きミがわるい 00075600¥N27¥J 00075610¥X手前勝手 00075620L5おれハ女郎に/好(この)ミがある。まづ/初会(しよくわい)から大門迄/送(おくつ)て出て、 00075630L6幾たび行ても/床花(とこばな)をやらず、/名染(なじん)でも(廿七オ)物日やくそ 00075640L7くハ/勿論(もちろん)、/無心(むしん)がましい事を云ハぬ、中三のゑゝ女郎がか 00075650L8ひたい。なんと、あろうかの。茶屋の亭主なるほど、左様な 00075660L9女郎衆も御ざりますが、其女郎衆ハしまいに、介太刀をし 00075670L10てくれろと/頼(たのミ)ます(廿七ウ) 00075680¥N28¥J 00075690¥X隠居 00075700L13四五/会(くわい)めに、おれハ/隠居(いんきよ)したから、度+ハ来られず。物 00075710L14日の仕舞もうけられず。物前に金もやられぬが、其外の用 00075720L15ハ何でもきかうといへば、女郎それでハわたしが申事ハあ 00075730L16りんせん。(廿八オ)何ぞ一いろハ聞てくんなんせねば、/遣= 00075740L17手(やり=て)衆や/旦那(だんな)さんの前へ、わるふありんすといへば、なるほ 00075750L18ど、そんなら一年ン中つかふ、ふしと/楊枝(やうじ)をすけよう 00075760¥N29¥J 00075770¥X同 00075780M1女郎/買(かい)のいんきよ、手もちなければ(廿八ウ)たもとから/珠= 00075790M2数(じゆ=ず)を出して、此玉が/珊瑚珠(さんごじゆ)、これが/琥珀(こはく)、これが/馬脳(めのう)、こ 00075800M3れは/金(きん)、これハ/銀(ぎん)と、ひけらかせば、女郎わつちに其じゆ 00075810M4ずをおくんなんし。いんきよ扨+けしからぬ物をほしが 00075820M5つた物だ。もらつてなんにする。女郎しちにやりんす(廿九 00075830M6オ) 00075840¥N30¥J 00075850¥X通り者 00075860M9女郎の/夜食(やしよく)と思ひ、ちよつと/連(つれ)の所へつき合に行て来やう 00075870M10と出て行、しばらくして帰り、ナント、おれハきつい通り 00075880M11ものか。夜食時分と思つたからはづした所が、此ごとく、 00075890M12取肴もあらし(廿九ウ)山。かれいのほねハ/唐櫛(とうぐし)のごとくだ。 00075900M13初会ハ通りものも心づかひな物といへば、女郎そのやうに、 00075910M14/穴(あな)を云なんせんが通り者サ 00075920¥N31¥J 00075930¥X松茸 00075940M17松だけハ何から出来んすへ。Sあれは松からさ△Sそんな 00075950M18ら、しゐたけハ椎(三十オ)の木かへ△Sもちろん△Sゑの 00075960M19木たけハ、/榎(ゑのき)であろふし△Sそれ+。/初茸(はつだけ)ハ何から出よ 00075970M20うの△Sあれも松から出やんせう△Sこいつハあやまつた。 00075980¥P224 00075990L1サア/松露(せうろ)ハ△Sあれも松さ△S扨もゑらい。しゝたけハ 00076000L2Sぼたんかへ(三十ウ) 00076010¥N32¥J 00076020¥X裏 00076030L5若もの今日ハ初会のお客がござりますから、/名(めう)代でもお取 00076040L6被成まして。客これ+、/身(ミ)ハ二度めでおじやる。初会の 00076050L7客なら、身が方へ出そふな物だ。若お/貰(もらひ)被成ますお心なら、 00076060L8左(卅一オ)様申て見ませふか。客手をさげて/貰(もら)ふも/心(しん)外な 00076070L9れど、よいやうに/頼(たの)む。若左様ならば、@と云てしばら|くして来る。@/一座(いちざ)お 00076080L10貰被成ラばやろふと申事で御座ります。客もちろん、此市 00076090L11左衛門が申/請(うけ)るのだと云やれ(卅一ウ) 00076100¥N33¥J 00076110¥X金魚 00076120L14うがひ/茶碗(ちやわん)へ/金魚(きんぎよ)を入て、/新造(しんぞう)/禿(かぶろ)寄りあつまり、それ、こ 00076130L15ちらへ来た。又/藻(も)の下へはいつたと、たのしんで居るを、 00076140L16客聞つけて、どれ、とのやうな金魚だと、/窓(まど)のきハへよつ 00076150L17て(卅二オ)見れば、出/格子(がうし)の上に金魚が一疋、かたいきに 00076160L18成て居るゆへ、此金魚ハなぜ、爰へ置たといへば、新造が、 00076170L19此金魚ハね、あんまりくたびれたやうにおよぎんすから、 00076180L20ちつと/休(やす)ませておきんす(卅二ウ) 00076190¥N34¥J 00076200¥X時鳥 00076210M3/時鳥(ほとゝぎす)のめんどりハ、かつこうとなくか。Sイヤ+、それ 00076220M4ハかんこ鳥だ△Sそんなら、めすおすハしれぬの△Sイヤ、 00076230M5なきやうで知れる△Sてつへんかけたとなくのハ△Sあれ 00076240M6ハおすだ△Sめすハなんとだ(卅三オ)Sめすハの、てつへ 00076250M7んかけんした 00076260¥N35¥J 00076270¥X狼 00076280M10御蔵前へ/狼(おゝかみ)が出て、吉原へ通ふ客を、むしや+と/喰(くつ)てハ、 00076290M11がり+と/歯(は)にあたる物を、/柿(かき)のたねのやうに、ふつとふ 00076300M12き出し、又来るやつを喰てハ、又がり+(卅三ウ)といふ 00076310M13物を、ぷつ+と吹出して、扨江戸の人ハ弐朱銀で、歯が 00076320M14たまる物でハない 00076330¥N36¥J 00076340¥X土龍 00076350M17/大根畠(だいこんばたけ)の/土龍(もぐらもち)を見たか。Sわざ+見に行た△Sどんなも 00076360M18のだ△Sどうか/栗鼠(りす)に似た物だ△Sハテナ。/顔(かほ)が似たか、 00076370M19(卅四オ)/形(なり)が似たか△Sされば、どこが似たかしらぬ△Sな 00076380M20んの事だ。其やうな見やふがある物か△Sはて扨、おれ 00076390¥P225 00076400L1が見に行た日ハ、/去(さる)お屋敷へ上たと云て、見ずに帰たもの 00076410L2を△Sそれなら又、りすに似たとハ何の事だ△Sはて、/留= 00076420L3主(る=す)だから、りすに似た物だ(卅四ウ) 00076430¥N37¥J 00076440¥X木兎 00076450L6けふ/珍(めづ)らしい物を見た。S何を△S両/国(ごく)の/薬(くすり)うりの所に、 00076460L7/生(いき)た/木兎(ミヽづく)か有た△Sそれが何、珍らしい物だ。おれハ度& 00076470L8見た。木兎の生たハ/随分(ずいぶん)見かけるが、だるまの生たのがな 00076480L9いものさ(卅五オ) 00076490¥N38¥J 00076500¥X蚊 00076510L12同し江戸の内でも、/本所辺(ほんじよへん)ハ/蚊(か)が/沢(たく)さん有て、下タ町辺に 00076520L13ハすきと居ませぬハ、何と申道理でござろうといへば、さ 00076530L14ればさ。同し江戸のうちゆへ、/蚊(か)に多いすくないハござら 00076540L15ぬが、江戸/筋(すぢ)ハ(卅五ウ)本所辺と/違(ちが)つて、人が/格別(かくべつ)多い故、 00076550L16/蚊(か)のまハりが/遠(とを)いのさ 00076560¥N39¥J 00076570¥X鼠 00076580L19此比ハわしが内へ、/鼠(ねづミ)が大ぶん出てこまる。Sそれハ/直(ぢき)に 00076590L20たやしやうがある△Sそれハどうして△Sまづ/粉糠(こぬか)を能(卅 00076600M1六オ)いつて、/餅(もち)のりとすりまぜ、わさびおろしのうら/表(おもて) 00076610M2へぬつて、/棚(たな)へ上て置のさ△Sそれハまじないかへ△Sイ 00076620M3ヱサ。そうして置くと、鼠が来てハなめ、来てハなめして、 00076630M4のちには/尻尾斗(しつぽばかり)になります(卅六ウ) 00076640¥N40¥J 00076650¥X馬嫌 00076660M7/遠乗(とをのり)のお供を仕れと度&の/御意(ぎよい)。此/度(たび)ハそう+/虚病(きよひやう)もか 00076670M8まへられず、是/非(ひ)なく/乗(のつ)て出るや/否(いなや)、此馬、車に/驚(おどろい)て、む 00076680M9せうに/駈(かけ)出す。久平、/死身(しにミ)に成て、/鞍壷(くらつぼ)へかぢり付て行く 00076690M10向ふへ、近づき(卅七オ)の男来かゝり、馬の上へ声をかけ 00076700M11て、Sこれハ久平どの。どつちへお出被成ます△Sされば、 00076710M12此分でハどこへ行ふも/も((も衍))しれませぬ 00076720¥N41¥J 00076730¥X同 00076740M15馬/嫌(ぎらひ)な男、/傍輩(はうはい)にはぢしめられ、(卅七ウ)/詮方(せんかた)なく/桜(さくら)の馬 00076750M16場へ出て、/借(しやく)馬を乗ルと、むこくにさらハれて、雲をかす 00076760M17ミに行くほどに、/侍(さふらひ)も/覚悟(かくご)をきハめ、此上は/運(うん)次第と、/夢= 00076770M18中(む=ちう)に成て、/凡(およそ)道の十町あまりも行と思ふと、馬/亭(てい)が声で、 00076780M19あちらから能ふござります(卅八オ) 00076790¥P226 00076800¥G(四ウ・五オ) 00076810¥N42¥J 00076820¥X遠矢 00076830M3けふハ/品(しな)川/沖(おき)へ/遠矢(とうや)を/射(い)に行はづ。よい所へ来やつた。ナ 00076840M4ント、見物に行きやらぬかとあれば、出入の町人、それハ 00076850M5有がたふござります。お供仕りましたいと、/同船(とうせん)にて沖へ 00076860M6乗出し、/殿(との)ハ弓と(卅八ウ)矢つがへ、わするゝ斗引しぼり、 00076870M7/弦音(つるをと)高く切てはなす。町人手をつき、初メて拝見いたしま 00076880M8した。只今のお矢ハ、嘸遠く参ましたでござりませふと申 00076890M9上れば、殿/不便(ふびん)や、/唐人(とうしん)を 00076900¥N43¥J 00076910¥X重箱(卅九オ) 00076920M12/旦那(だんな)。只今帰りましたと、/使(つかひ)の返事を云へば、旦那、/風呂= 00076930M13敷(ふろ=しき)を/解(とき)て、此/重箱(じうばこ)のふたハどうした。Sハイ。無くハ落し 00076940M14た物でござりませふ△S大だわけめ。只持てあるいても落 00076950M15す事でハないに、ふろしきに/包(つゝん)だ重のふたを(卅九ウ)落す 00076960M16とは、あきれもせぬと、以の外の/呵(しか)り。八介、旦那にした 00076970M17ゝか/小言(こごと)を云ハせて仕廻つて、アヽ、あの重箱のふたを/拾(ひろつ) 00076980M18たやつハ、/嘸(さぞ)不/自由(ぢゆう)であらう 00076990¥N44¥J 00077000¥X無筆 00077010¥P227 00077020L1此手紙を、/牛込(うしこミ)の/後藤(ごとう)平太兵衛どのへ(四十オ)持てゆけ。 00077030L2/劔術(けんじゆつ)の/師匠(しせう)だと云付てやれば、此あたりに、/夜盗(よとう)は入た 00077040L3/兵衛(べい)様と申お方ハ御ざりませぬかと、聞てあるく。Sそれ 00077050L4ハとんだ名だ。所ハどこと聞てござつた△S/押込(おしこミ)と承まし 00077060L5た△Sシテ、/夫(それ)ハ何人だ△Sたしか、/粉失(ふんじつ)の/師匠(しせう)とやら 00077070L6(四十ウ) 00077080¥N45¥J 00077090¥X釜盗人 00077100L9ぬす人、/釜(かま)を引さげて出る跡から、亭主、見へがくれに付 00077110L10てゆけバ、筋/違(かい)の見附から日本橋へかゝり、芝の田町の/古= 00077120L11道具(ふる=とうぐ)屋へよりて、釜をおろして、ナント御亭主。此釜をと 00077130L12いふ(四十一オ)所へ、/泥坊(とろぼう)+と声をかけられ、雲をかす 00077140L13ミに/迯(にげ)た跡へ行て、釜を取て帰るを、道具や、わけを聞て、 00077150L14扨おまへハ気の長いお人じや。/駒込(こまごミ)からこゝ迄つけてお出 00077160L15被成ずと、取て迯る時、なぜ早く、声をおかけ被成ぬ(四 00077170L16十一ウ)といへば、イヤ+、持て居る内、声をかけると、 00077180L17此釜を/投(なけ)られます 00077190¥N46¥J 00077200¥X貧乏者 00077210L20盗人、/夜半(やはん)比に忍ひ入、だん+見て廻るに、たんすにも 00077220M1つゞらにも、/衣類(いるい)とてハさつはりなく、/米櫃(こめひつ)にハ米がなく、 00077230M2/味噌(ミそ)(四十二オ)桶にハ味噌が無し。見かけと違つてきつい 00077240M3/貧(ひん)じやと、あまり気のどくさに、/夫婦(ふうふ)をゆり/起(おこ)し、おれハ 00077250M4盗には入たが、あまり貧な様子。何とも/笑止(せうし)なゆへ、/合= 00077260M5力(かう=りよく)いたさんと、金子弐百疋出してやれば、夫婦大に/歓(よろこ)び、 00077270M6/厚(あつ)く礼を云(四十二ウ)て別れ、一二町も行と、跡から亭主、 00077280M7泥坊+と/追(おつ)て来るを、おのれハ/恩(をん)を/仇(あた)で/報(はう)する人/畜(ちく)め、 00077290M8真ツ二つにしてくれんと立とまれば、アイ。おたばこ入が 00077300M9落ておりました 00077310¥N47¥J 00077320¥X茶之間(四十三オ) 00077330M12泥坊、茶の間へ忍入、居間をのそけば、亭主、手鑓を持て 00077340M13待かけるてい。是は叶ハぬと勝手へ出れば、男共が/棒(ほう)を持 00077350M14てうかゞふてい。/玄関(げんくわん)へ出れば、若/党(とう)が/抜刄(ぬきミ)でひかへる。 00077360M15納戸を見れば、女房が長刀かまへて、入らば切らんず(四 00077370M16十三ウ)其いきほひ。/盗人(ぬすびと)、今ハせんかたなく、/大音(だいをん)上ケて、 00077380M17どろぼうウ+ 00077390¥N48¥J 00077400¥X葛篭 00077410M20/泥坊(どろぼう)、つゞらを背負て出て行を見すまし、跡から付ケて行。 00077420¥P228 00077430L1/暫(しばらく)して取返して来る。女房どうして取返し被成た。Sさ 00077440L2ればよ。(四十四オ)きやつが内へ帰たを見すまして、そつ 00077450L3とは入て取て来たといふ内、又彼泥坊か来て/背負(せをつ)て行。又 00077460L4/合点(がつてん)だと付て行。又取返して帰り、かゝあ+。又取返し 00077470L5て来た。女房そんなら又来やせふ。Sイヤ+、/最(も)う来ま 00077480L6い。つゝらが大ぶんかるくなつた(四十四ウ) 00077490¥N49¥J 00077500¥X火の見 00077510L9ぬす人、火の見へ上り、/半鐘(はんせう)をぬすまんと手をかける所を、 00077520L10/番人(はんにん)目をさまし、だれだととがめるゆへ、そしらぬ/躰(てい)にて、 00077530L11ちと物を承たうござります。本町通りへハ、とう参ます 00077540L12といへば、(四十五オ)火の見番本丁へハの、此はしごをだら 00077550L13+とおりての 00077560¥N50¥J 00077570¥X同 00077580L16貴様ハ火の見やぐらの番を被成るから、御/功者(こうしや)であろうが、 00077590L17是から/真(ま)ツ/先(さき)いなりへハ、どう参るがようござ(四十五ウ) 00077600L18ろう。Sまつさきへ御出被成ルにハ、先つ此/土蔵(どぞう)の/角(かど)から、 00077610L19/浅草(あさくさ)見つけのしやちほこを右へとつて、/観音(くわんをん)の/塔(とう)の/九輪(くりん)へ 00077620L20つき/当(あた)つて、少シ右へ/瓦煙(かハらけむり)のうしろさ 00077630¥N51¥J 00077640¥X井戸(四十六オ) 00077650M3/御蔵前(おくらまへ)へ井戸を/堀(ほつ)たれば、夜ニ入り物しづかになると、水 00077660M4の音が、テンチンテンツン、ツテチンツントンなどゝ/鳴(な)る 00077670M5ハあまりふしぎと、井戸堀を/呼(よん)ではなせば、成ル程、左様 00077680M6な事も御ざりませふ。それハ/三味(しやミ)せん堀からのさし水サ 00077690M7(四十六ウ) 00077700¥N52¥J 00077710¥X料理人 00077720M10井戸ばたで/肴(さかな)を/洗(あらひ)ながら、/指身庖丁(さしミはうてう)を井戸のふちへ、/手裏= 00077730M11劔(しゆり=けん)打たやうに、しやんと立て置くと、袖がさハつて井の中 00077740M12へ、ほかんと落れば、/料理人(りやうりにん)/泪(なミた)を/流(なが)して、扨+/残念(ざんねん)な。 00077750M13(四十七オ)/重代(じうだい)のさしみ庖丁を落したと、井の中を、きつ 00077760M14と見つめて居る故、/側(そば)から、貴様ハ思ひきりのわるい人だ。 00077770M15其やうに井戸の中を見つめて居れば、落た庖丁が出ますか。 00077780M16料理人そんなら見ずに居れば、出ますか(四十七ウ) 00077790¥N53¥J 00077800¥X釣 00077810M19S/船頭(せんどう)。/爰(こゝ)ハねつからあたらぬ。/去(きよ)年ンのいつか、こゝら 00077820M20へ/釣(つり)に来た時ハ、大ぶん能クついた所が有た△Sそれハも 00077830¥P229 00077840L1そつと/先(さき)でござります△Sそんなら、そこへやらぬか△ 00077850L2Sアイ。@と云て三四十|間こいで行て、@去年の所ハ、爰(四十八オ)で御座りま 00077860L3す△S何か/合点(がてん)が参らぬ△Sきつと、こゝで御座ります△ 00077870L4Sそれならば、かしをつきやれ△Sアイ。@と言て棹をたてれ|は、さほがづぶり@ 00077880L5@と土の中△|へは入ル。@アリヤ去年の/穴(あな) 00077890¥N54¥J 00077900¥X仙人 00077910L8心安い友だち、/仙人(せんにん)となり、二三十(四十八ウ)年ぶりにて 00077920L9山中にて/逢(あ)ひ、/昔語(むかしがたり)に時をうつし、/別(わか)れて帰る時、仙人、 00077930L10貴様ニみやげを/遣(やろ)ふと、小石にゆびをさせば、/仙術(せんしゆつ)にて、 00077940L11たちまちこがねとなる。友だち、わたしハあれハいりませ 00077950L12ぬといへば、それならば、もつと大きながほし(四十九オ) 00077960L13いかと、又よほど大キな石へ/指(ゆび)をさせバ、又/金(こがね)となる。又、 00077970L14私ハそれハほしうないと云故、/夫(それ)ならば何がほしいと云へ 00077980L15ば、私ハ、おまへの其ゆびがほしい 00077990¥N55¥J 00078000¥X大黒天 00078010L18/大黒天(だいこくでん)へ/福(ふく)を/祈(いの)らんと、/参詣(さんけい)して(四十九ウ)七日/通夜(つや)しけ 00078020L19るに、/満(まん)ずる夜に大黒あらハれ給ひ、/袋(ふくろ)をひろげて、/底(そこ)の 00078030L20方から金百両出し、あたへ給ふ。有がたく/頂戴(てうだい)して、扨只 00078040M1今見ますれば、/紫檀(したん)に/惣唐草(そうからくさ)の/高蒔絵(たかまきゑ)、/銀(ぎん)かな物打た/小槌(こづち) 00078050M2が、ふくろの中に見へました。扨(五十了オ)あれハ/結構(けつかう)な 00078060M3お/小槌(こづち)で御座りますと申せば、あれハおれが/遊(あそ)びにでも/行(ゆく) 00078070M4時に持て出る、/余所行(よそいき)の小槌だ。其又お手にお持被成たの 00078080M5ハゑ。ムヽ、これハ内での小/槌(づち) 00078090¥Yつちのとの亥のはつ春△(五十了ウ) 00078100¥P230 00078110¥U噺本大系△第十一巻 00078120¥T/御笑酒宴(ごしようしゆえん)〔内題〕 00078130¥G 00078140¥Y 00078150L16安永八年正月序 00078160L17放口斎千冲作・序 00078170L18武■越徳奈序 00078180L19小本一冊 00078190L20東大国文研究室蔵 00078200¥Y 00078210M1刻御笑酒宴序 00078220M2大酒公駟馬■之作 00078230M3御笑酒宴也多載当(一オ) 00078240M4世通人之語奇談幽 00078250M5言実得其妙矣雖天 00078260M6下清談多亦何如比(一ウ) 00078270¥P231 00078280L1語之新乎鳴呼先生 00078290L2之於風流可謂今也 00078300L3巨擘者矣余殊誦之(二オ) 00078310L4知其味之無窮焉今 00078320L5先生欲殺青以公世 00078330L6請序於予々亦深感(二ウ) 00078340M1其志故不敢辞終誌 00078350M2之為序 00078360M3△△武■越徳奈△記(三オ) 00078370M13△△△△△△△△△△G△△△G 00078380M15△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(3ウ) 00078390¥P232 00078400¥Y序 00078410L3あら/目出(めで)たや、あら玉の/春(はる)のはじめの(4オ)/御年咄(おとしばなし)。書つ 00078420L4ゞりたるひと/巻(まき)、/作者(さくしや)の/阿房(あはう)が、なひ/智恵袋(ちゑぶくろ)の/底(そこ)(4ウ)を 00078430L5/叩(たゝ)ひて、もち/料(りやう)の/馬鹿言(ばかごと)を、まけ出したるも、/皆(ミな)人様の 00078440L6(5オ)御/笑(わら)ひ/種(くさ)、/亥年(いとし)お/前(まへ)に/見(ミ)せうとて、/書物(ほん)に/骨(ほね)を/折(おつ)た 00078450L7ぞへ(5ウ) 00078460L9△△△亥の初春 00078470L10△△△△△△△△△△△△△△作者△△放口斎千冲 00078480L11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(6オ) 00078490¥T1御笑酒宴 00078500¥N1¥J 00078510¥X大黒 00078520M5年のはしめに、ばくちうちのはだか虫どもより合、ナント、 00078530M6まい日めくりにハまける。もとではなし。寒さハさむし。 00078540M7仕やうがない。ソコテおれが思ひ付。まい日まい夜、大黒 00078550M8をせめたら、福神のおかげ、かしもとでもでき(七オ)て、 00078560M9また一いくさハでけそふなものだ。七蔵コレハすごい思ひ 00078570M10付だ。何もする事はなし。サラハ、大黒でもいぢつて見よ 00078580M11ふと、俄におミき上るやら、おそなへをかふやらして、神 00078590M12棚をさがして見れハ、大黒なし。七蔵いめへましい。おら 00078600M13がさうだんをきいて、かけをちをしあアかつた。(七ウ) 00078610¥N2¥J 00078620¥X其二 00078630M16コレ万八。たからふねのはつゆめ見たか。万八見た共+。 00078640M17シカモ、大黒の内へ客にいつた夢を見た。ソレナラ、さぞ 00078650M18いひちそうがあつたろうの。ナニサ。いめへましい。黒ご 00078660M19めめしよ 00078670¥P233 00078680¥N3¥J 00078690¥X七福神 00078700L3七福神、ひんになり、のこらすよし原へ奉(八オ)こうにい 00078710L4で、あるひハ大こもち、まつしやなととてかける所に、へ 00078720L5んざいてんハ一はなのび人に化して、まつばやへつとめ、 00078730L6奉公名をせつといふて、大のせん盛。其ころ、とり山何が 00078740L7しといふ人、せつにほれてめつたづかひ。七ふく神いひ合 00078750L8せ、ナンテモあいつをたまして、きん※をとりこみ、も 00078760L9とのふく神に(八ウ)なるがかんやうと、とり山をいろ+ 00078770L10だまし、七福神のこらす大がねもちに成て、トウテモとり 00078780L11大じんハ、おらが福の神だ 00078790¥N4¥J 00078800¥Xかう利の怨霊 00078810L14かうり金のかねかしざとう、のこらす大わつらひ。中間ぢ 00078820L15ういひ合せ、うらなひさせてきけば、ト者これハかりての 00078830L16おんれ(九オ)うのたゝりてこざる。しかも大かた、おれき 00078840L17+だ 00078850¥N5¥J 00078860¥X新宿 00078870L20ざいごもの、江戸へきて、ともだちと共に、新宿へあそひ 00078880M1にゆき、二朱をあげて、一夜たのしミ、あした帰りがけに 00078890M2友だちに向ひ、あの女郎屋でだしたやしよくは、(九ウ)げ 00078900M3へに御ちそうなものだ。あの代ハいくらだの 00078910¥N6¥J 00078920¥X其二 00078930M6ざいごもの、新宿て始て女郎を見、アノおけいせいさまハ、 00078940M7でつかういかい事ゐるの。友だちはからしい。こゝらてけ 00078950M8いせいといふものか。こゝいらはミな、めしもりだ。ざい 00078960M9ごもの(十オ)とうりで、つらかしやくしのやうなやつらだ 00078970¥N7¥J 00078980¥X其三 00078990M12客、新宿て女郎にむしんをいはれ、ヨイハ。ぬすんでもや 00079000M13るべい。女郎ヲヤ、とらまつたら、とふしなんすへ。客サ 00079010M14レハ、もしこのゝちこずハ、おしをきに成たと思ひ給へ 00079020¥N8¥J 00079030¥Xけんやく(十ウ) 00079040M17あるさむらい、ぶげい申ぶんなし。さるおれき+の御意 00079050M18に入、三百石におめしかゝへ、其後何のげいもないおやぢ、 00079060M19千石にめしかゝへられけれハ、かのおとこ、ふしぎに思ひ、 00079070M20いろ+と友だちにきけバ、アレハ千石に成も尤な事。け 00079080¥P234 00079090L1んやくか上手だ 00079100¥N9¥J 00079110¥X飛のもの(十一オ) 00079120L4飛のもの、娘をおやしきへ奉公にたしておきけるに、かの 00079130L5おこま才三くらいの事でおいとま。おやちはらたち、むす 00079140L6めをおしこめておく。娘、恋しさにたへかね、おとこの所 00079150L7へふミをやるとて、おやちに見つけられ、ハツト思ふてか 00079160L8くす所を、おやちひつたくり、高ごへによんで、そのおく 00079170L9に、(十一ウ) 00079180L10△△△かハらじのことのはさへもまことあらハ 00079190L11△△△△なミたの床もなぐさめやせん 00079200L12おやちはらだちて、うぬもたしなみあかれ。イヒ介兵衛め 00079210¥N10¥J 00079220¥X松茸 00079230L15ざしきにまつだけがつるしてある。よその女ぼう、きやく 00079240L16に来て、かの松(十二オ)だけをにきつて見て、ホンニ、内 00079250L17てもよろしくと申ました 00079260¥N11¥J 00079270¥X其二 00079280L20よその女房、客に来て松だけがでる。もしかミさん。御ち 00079290M1そうでこさりやす。シテ、此まつだけハうまいね。亭主お 00079300M2めへハ松だけかすきか。客女房ヲヤ、はかな事をいひなさ 00079310M3る(十二ウ) 00079320¥N12¥J 00079330¥X疱瘡神 00079340M6疱瘡神、小児にとりつき、こいつハ大方してやつたと思ふ 00079350M7所へ、げんくわから、おいしや様のおいでといひ入る。疱 00079360M8瘡神、なむさん。いしやが来てハたまらぬ。どんないしや 00079370M9だ。見てこいと、手下のはうさう神を見せにやれハ、あハ 00079380M10たゞ(十三オ)しく立かへり、モシ、大事でごさります。か 00079390M11の疱瘡神どうだ+。功者そうなやつか。イヘ+。功者 00079400M12かどうかしれませぬが、六尺六まいで、さむらい、ぞうり取、 00079410M13れつきとしたごてんいしやと見へます。疱瘡神よし+。 00079420M14そんならおそるゝにたらぬ 00079430¥N13¥J 00079440¥X神のう(十三ウ) 00079450M17しやか、神のうの所へ行、きさまは当時、おりうきがはつ 00079460M18かうして、おびたゝしひいしやだ。さぞ貴様の御為に成の 00079470M19も御座らうの。何さ+。いしやめらも、わしがやつかい 00079480M20て、どうかこうかハしおるけれど、めし一はいのたしに成 00079490¥P235 00079500L1やつハない。ひつきやう、ゐ候にハわしもこまる(十四オ) 00079510¥N14¥J 00079520¥X韓人 00079530L4てうせん人がくるとて、おびたゝしひけんぶつ。何がせい 00079540L5どうのはたをたて、大ぜいくわげんで来かゝりけれハ、は 00079550L6かもの、手をたゝゐて、しよもう+ 00079560¥N15¥J 00079570¥X金かし 00079580L9金かし、新宿で女郎屋のかぶをかいて、(十四ウ)亭主と成 00079590L10けるに、しあハせと大分はやり、なしミの客も大ぜいくる。 00079600L11てい主、わかいものをよび、コレ清七。あのじやうぢうく 00079610L12るきやくには、さかなも何ぞ、そまつなものをだして、め 00079620L13しも大がいな料理をだしておけ。清七おめへ様。つゞひて 00079630L14くる御きやくをバ、なをさら大せつに(十五オ)なさるがよ 00079640L15うござります。ていしゆべらぼうめ。一年ぢうくるきやく 00079650L16に、そんなにちさうしてたまるものか 00079660¥N16¥J 00079670¥Xつんぼ 00079680L19となりのわかひもの、ふるへ+くる。内の息子おのしハ 00079690L20大ぶさむそうななりだが、きのふのはおりハどふした。と 00079700M1なりのわかいもの何さ。夕へ(十五ウ)めくりにハまける。いめ 00079710M2へましい。もとでハなし。はおりもぶちころしてしまつた。 00079720M3つんほのおふくろやれ+、そんなせつ生をしないものだ 00079730¥N17¥J 00079740¥X其弐 00079750M6十五六なつんぼの娘、となりのむすことはなししなから、 00079760M7おめへのとつさんハ何が(十六オ)おすきだへ。@息子、耳へ|口を付て、@と 00079770M8つくりの中の物がすきさ。娘又大口を 00079780¥N18¥J 00079790¥X馬鹿もの 00079800M11うぬ、おれをなんとぬかした。ゆるさぬと、ひよハひ男を 00079810M12ぶちたゝく。通りのもの大ぜい、いろ+取さへるに、何 00079820M13た、いめへましゐ。おもひ付てもない。よこつたおしめ、 00079830M14おき(十六ウ)あがれと、とりさへるものとのけんくハ。そ 00079840M15の間、かの相手のおとこ、早&にげ帰れバ、とりさへても、 00079850M16すてゝ帰る。ばかもの、手もちぶさた。まけぬ気で、大地 00079860M17へころりとねて、アヽ長いゆめを見た 00079870¥N19¥J 00079880¥X信濃もの 00079890M20しなのもの、医しやの所へ行、私ハどうも(十七オ)すぐれ 00079900¥P236 00079910L1ませぬ。御ミやくをいたゝきとうそんじます。@いしや、△|脈を見て、@ 00079920L2いんにや。貴様ハミやくもよし、病気ハちつとも見へぬワ。 00079930L3シテ、どこぞわるひか。イヽへ、一向めしが進ミませぬか 00079940L4/う((ママ))。ソレハわるひ。ねつからくへぬか。アイ。おとゝひか 00079950L5ら、たつた一俵ほかたべませぬ 00079960¥Y御笑酒宴△完△△(十七ウ) 00079970¥Y跋 00079980L12安永八木ゆたかにミのりて、/民(たミ)のおなかもほてれん、世間 00079990L13に用なき/作者(さくしや)が、/腹(はら)つゞみのたゝきあきして、何も/所為(しよい)の 00080000L14なきまゝに、つゞりたるつたなき/筆(ふで)も、たゞおなぐさミ 00080010L15(18オ)の一/趣向(しゆかう)。/多(おほ)き/咄(はなし)のその中に、よいがあらば御ふ 00080020L16いちやう、作者が/願望(くわんもう)。/故(ふるひ)があらば/銭(せに)とらず、/書林(しよりん)のかう 00080030L17まん。ホヽうやまつて記す 00080040L18△△△△△△△△△△△△作者ひゐきの△/曰識(のたまくしるす) 00080050L19△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(18ウ) 00080060¥P237 00080070¥U噺本大系△第十一巻 00080080¥T珍話;/金(かねの)/財布(さいふ)〔内題〕 00080090¥G 00080100¥Y 00080110L17安永八年正月序 00080120L18堀野屋仁兵衛板 00080130L19小本一冊 00080140L20大東急記念文庫蔵 00080150¥Y 00080160M3初春の御祝義、何かたもおなし御事に、目出度そんし上参 00080170M4候。扨ハ皆様御存知の落し噺、珍敷斗を、永き日の御眠覚 00080180M5しに、金財布と(一オ)名付、そこのおミやにも金よ、爰へ 00080190M6もかねよと御心安、欲気ハさら+御座なく候。めてたく 00080200M7かしく 00080210M9△△△亥△の△春△(一ウ) 00080220¥P238 00080230¥T1珍話;金財布 00080240¥N1¥J 00080250¥X○富 00080260L5神田明神の/富(とミ)/興(こう)行の/高札(こうさつ)が/建(たて)て有を、供を/連(つれ)た/御士(おさむらい)か、立 00080270L6とゝまつて見て、アヽ、/角力(すもふ)の札だなといゝな(二オ)から 00080280L7行くを、/傍(そバ)に居合せし若イ者の手合、なんと、今の御士ハ 00080290L8にが+しい/無筆(むしつ)だそふたといへバ、イヤ+、よもや無 00080300L9筆じや有まいといゝなから、/彼(かの)士に/追(おつ)つつき、もし+、 00080310L10(二ウ)おまへ様ハあの高札を、なんと御/覧(らふ)しましたととへ 00080320L11バ、/知(し)れた事。あれハ角力じやといふ故、なぜて御座りま 00080330L12すと聞けバ、はて、/裸(はだか)にならねバとられぬ(三オ) 00080340¥N2¥J 00080350¥X○役者 00080360L15/中役者(ちうやくしや)の女房、/夫(おつと)に/向(むか)ひ、もし、おめへも上/手(づ)に成なさへ。 00080370L16いつも/顔(かを)見世の役者付を見るに、/腹(はら)の立顔ばかり。そつと 00080380L17おめへにかくれて、/下桟敷(したさじき)から/覗(のそい)て(三ウ)見れバ、初春か 00080390L18ら/毎(めへ)日/首(くひ)を切られなさる。人にこそ/噺(はな)さね、女房の身にと 00080400L19つちやア、テヱ+ごふはらじやないと/泣(なき)くどけハ、いら 00080410L20ざる女の知たこつちやねへとはりこめハ、ナニ+、(四 00080420M1オ)おめへハ見/限(かき)りはてた。中富さんをミなさへ。七/変化(へんげ) 00080430M2で、はめをバはづさせるとよ。Sはて扨、だまつて居ろ。 00080440M3おらも、すハといふと、/隣(となり)の入を引かへして見せふといへ 00080450M4バ、女房、/俄(にハか)に/笑(ゑミ)をふくミ、今が(四ウ)すハで御座りやす 00080460¥N3¥J 00080470¥X○掛将棊 00080480M7はつ春の/寿(ことふき)、若イ者寄合ひ、/宝(ほう)引もふるめかしいとて、/掛(かけ) 00080490M8せうぎをはしめ、たがひに/秘術(ひじゆつ)を/尽(つく)しさしける処に、/側(そば) 00080500M9に(五オ)居合せし/弟(おとゝ)長吉、/兄(あに)が/贔屓(ひいき)をして、/既(すで)に/助言(じよごん)を/云(いわ) 00080510M10んとせしを、相手五郎八、長吉が/横(よこ)ツつらをはりけれバ、 00080520M11S長吉この/無(む)方者めが。助言も/云(いゝ)もせぬに、なぜくらわし 00080530M12たといへバ、S五郎八(五ウ)/云(いつ)た/跡(あと)でくらわしてハ、やく 00080540M13にたゝぬ 00080550¥N4¥J 00080560¥X○雪見 00080570M16旦那、七ツ/起(おき)キして雪見に出けれバ、/供(とも)の/権(ごん)介、口小/言(こと)を 00080580M17/云(いゝ)+/跡(あと)から/来(く)る。これ権介。雪と(六オ)いふものハけし 00080590M18きハよけれど、いこふつめたいものだ。おれ斗リかと思へ 00080600M19バ、あれ、向からも/誰(たれ)やら来るといへバ、S権介、ぶつち 00080610M20やうづらにて、あれも/誹諧師(はいくわいし)か/盗人(どろほう)で御座りませふ(六ウ) 00080620¥P239 00080630¥N5¥J 00080640¥X○/屁(へ)ツぴり 00080650L3両国/屁(へ)ツぴりの/舞台(ぶたい)の正/面(めん)へ見物/飛(と)び上り、ブイ++ 00080660L4とひる。口上/言(いゝ)、/遣(や)り/込(こめ)る気で、それハ何/屁(ぺ)で御座ります 00080670L5といへバ、S/誉言(ほめことバ) 00080680¥N6¥J 00080690¥X○/角力(すまふ)取(七オ) 00080700L8角力取、/来(く)る/度(たび)事に/勝(かつ)たはなし斗する故、なんと、勝た/噺(はなし) 00080710L9はかりせずと、貴様の/負(まけ)たはなしも有そふなものといへバ、 00080720L10S角力、ぬからぬ顔で、負けた咄ハ/余所(よそ)て致す(七ウ) 00080730¥N7¥J 00080740¥X○畳や 00080750L13/畳(たゝミ)屋、/女(じやう)郎/買(かい)に行、/床(とこ)の/中(うち)にて女郎、客の手をさぐりて、 00080760L14おめへハ何/商売(しやうばい)で有んすと/云(いゝ)なから、又ひぢをなでて見て、 00080770L15此たこハなんて有んす。(八オ)あふかた、おまへハ畳やさ 00080780L16んで御座りんしやうといへバ、ナアニ、/腕(うで)おしの/師匠(ししやう)だ 00080790¥N8¥J 00080800¥X○ぶしやれ 00080810L19おもひ/付(つき)に事をかき、ふんどしにしらミを/染(そめ)させ、早+ 00080820L20(八ウ)吉原へ遊ひに行、/酒機嫌(さかきけん)にまかせ、/馴染(なしミ)のひざへ寄 00080830M1りかゝり、わざとこれ見よかしに、/膝(ひざ)をまくり、/褌(ふんどし)の/下(さか)り 00080840M2を出し、たばこを呑て居る。/禿(かむろ)、褌の下りを見付、ヲヤ 00080850M3+、何やら/虫(むし)が(九オ)/這(はい)んすといへバ、客、すました顔 00080860M4で、ナニ、/染(そめ)たのだといふ。S禿それでも、うごきんすと 00080870M5いわれて、客、きもを/潰(つぶ)し、どふでも/名人(めいじん)の/染(そめ)たのハ 00080880¥N9¥J 00080890¥X○芝居者(九ウ) 00080900M8はんじやう売の所へ/嫁(よめ)を/世話(せハ)やきしに、あまり/諸道具(しよとうぐ)なき 00080910M9故、/舞台(ぶたい)の道具立を/借(か)りてならべ置しに、/間(ま)もなく/仲人(なこうど)女 00080920M10房を/伴(ともな)ひ来り、盃事も/済(すミ)しまゝ仲人ハ帰る。/跡(あと)にて夫婦 00080930M11(十オ)一ト/寐(ね)入しける処、女房の/足(あし)が戸/棚(たな)へあたれバ、た 00080940M12ちまち戸棚がひつくりかへり/土(ど)手になれハ、女房きもを/潰(つぶ) 00080950M13し、/既(すで)に出て行んとするを、/亭主(ていしゆ)寐とぼけ、女房の袖をと 00080960M14らへて、もふ一ト/幕(まく)(十ウ)見ていきな 00080970¥N10¥J 00080980¥X○紙/屑(くず) 00080990M17こりや三介。紙屑を呼といふ。三介、/門(かど)口へ/飛(とん)で/下(お)り、紙 00081000M18くすよ。どれ、見せさつしやい 00081010¥P240 00081020¥N11¥J 00081030¥X○佐次兵衛(十一オ)(十一ウ・十二オ挿絵) 00081040L3御聞キ/被成(なさ)れい。/拙者(せつしや)/長(なが)屋の佐次兵衛義、/四国(しこく)を廻て、/終(つい) 00081050L4には/猿(さる)となりました。なんとめづらしい義でハ御座りませ 00081060L5ぬか。イヤ+、あまりめつらしくもぞんせぬ。拙者が長 00081070L6屋の娘ハ、/廻向(ゑこう)(十二ウ)/院前(いんまへ)へ参て、/猫(ねこ)に成ました 00081080¥N12¥J 00081090¥X○米舂 00081100L9/米舂(こめつき)、/寒声(かんこへ)を/遣(つか)ひに両国橋のまん中へ行、ヅイ++と 00081110L10/云(いふ)。/橋(はし)番目を/覚(さま)し、とかむれバ、米舂の寒声で御座るとい 00081120L11へバ、おらあ(十三オ)橋/杭(くい)を/抜(ぬく)かとおもつた 00081130¥N13¥J 00081140¥X○縁談 00081150L14承れバ御/内室(ないしつ)を御入被成度よし。此節能御/縁女(ゑんしよ)有之、御申 00081160L15込と承る。御/相談(そうたん)相/極(きハま)りし哉といへバ、されバ+、半分 00081170L16/首尾(しゆび)致(十三ウ)ました。其/訳(わけ)ハ。此方ハ/得心(とくしん)、娘の方ハい 00081180L17かゞ 00081190¥N14¥J 00081200¥X○利屈 00081210L20/密夫(まおとこ)をとらへ、金づくて/済(すま)してハ男がたゝぬとて、御地/頭(とう) 00081220M1へ/持出(もちだ)しける。扨殿様御/吟味(きんミ)の(十四オ)上、両人の/首(くび)を切 00081230M2んと仰けれバ、百姓申上けるハ、此者両人火あぶりに御仰 00081240M3付可被下と願ふ。S殿、それハ其方心得/違(ちが)ひと仰らるれバ、 00081250M4S百姓元をたゞして見ますれバ、/巨燵(こたつ)からおこつた事で 00081260M5(十四ウ)御座ります 00081270¥N15¥J 00081280¥X○しわんぼう 00081290M8去る大家の御/隠居(いんきよ)、しわひときてハ御江戸に二人リとない 00081300M9殿様、瀬川/露孝(ろこう)に御/逢(あい)被成度キとの仰。サア御/家(か)中の/耳(ミヽ)へ 00081310M10/這(は)入り、おしわい御心(十五オ)が替り、/嘸(さぞ)御屋敷がにき 00081320M11+敷成ふとの/評(ひやう)ばん。扨露孝を呼よせ、これへ+との 00081330M12/御意(きよい)。露孝、こわ※御/側(そば)迄/這(は)ひ行、私は/痔(ぢ)がおこりまし 00081340M13ておりますから、かの所ハ御めん被下ましといへば、(十 00081350M14五ウ)イヤ、其用でハない。/無間(むけん)の/鐘(かね)はどふ/突(つく) 00081360¥N16¥J 00081370¥X○/馬士(まご) 00081380M17/馬(むま)、たちとゞまりて小便をたれけれバ、S馬士此ちくせう 00081390M18めハ。日のミじかいのをしらねへそふだ。/歩(あるき)(十六オ)なか 00081400M19らたれやアがれといへハ、S馬ふり返り、何、/馬士(まご)でハ有 00081410M20まいし 00081420¥P241 00081430¥G(十一ウ・十二オ) 00081440¥N17¥J 00081450¥X○/精進(しやうじん)日 00081460M3友達の所から初/鰹(かつほ)をもらひ、ふつとおもひだした処が精進 00081470M4日。/喰(くわ)ネエモごふはらと、/彼(かの)かつほを(十六ウ)/持(もつ)て、/持仏(ぢぶつ) 00081480M5のしやうじおし/開(ひら)き、もし親父様。此鰹を/貰(もら)ひましたか、 00081490M6折/節(ふし)おまへの御/名(めい)日ゆへ、たべられませぬ。それともに、 00081500M7たべてもだひじごさりませずハ、必御返事にハ及ませぬ 00081510M8(十七オ) 00081520¥N18¥J 00081530¥X○教訓 00081540M11去家中にて息子をとらへ、/異見(いけん)最中に、/窓(まど)下にて/誰(たれ)やら寄 00081550M12り合、親をむしやうに/悪(わるく)云しまゝ、是ハ異見の/邪(しや)魔をしお 00081560M13るやつハたれぞと、/覗(のぞい)て(十七ウ)みれバ、/芋売(いもうり) 00081570¥N19¥J 00081580¥X○米舂 00081590M16根津の茶やへ度+通ふ。主ハ何/商売(しやうばい)をしなさると聞れ、 00081600M17おれハ家主だと云。ある時、若イ者用事に出て、彼客に出 00081610M18合(十八オ)た処が、/汗(あせ)を流して米を/舂(つい)て居るを見て、権さ 00081620M19ん。おまへハなぜ御出被成ませぬと/云(いわ)れてびつくりし、イ 00081630M20ヤ、これハ地主のだ 00081640¥P242 00081650¥N20¥J 00081660¥X○買喰ひ(十八ウ) 00081670L3屋敷の客人、蔵前を/柿(かき)を/喰(くい)なから/行(ゆく)。折節向から吉原の若 00081680L4イ者、ぺつたり行合、せんちやう様と声を掛られ、客人、 00081690L5柿を/袂(たもと)へ入れバ、ひらにおかぶり被成ませ(十九オ) 00081700¥N21¥J 00081710¥X○塩売 00081720L8四五人寄合、/将棊(しやうぎ)をさして居る処へ、/塩売(しほうり)、/荷(に)をおろして 00081730L9よねんなく見て居る故、これ塩屋どん。こなたもすきなら、 00081740L10壱ばん/指(さす)気ハないか。イヱ、わたくしハ(十九ウ)そんじま 00081750L11せぬ。そんなら何を見て居るのだ。私は其中のちいさいの 00081760L12がほしさに見ておりました。何にさつしやると聞けバ、て 00081770L13んびん/棒(ぼう)のつくを/失(うしな)ひました 00081780¥N22¥J 00081790¥X○もんもふ(二十オ) 00081800L16三助よ。/東庵(とうあん)様の所へ行てナ、御/無心(むしん)なから/鞠(まり)を少しの内 00081810L17御/貸(かし)被成と言て、/借(か)りて/来(き)やれといへバ、イヱ+、御無 00081820L18用に被成まし。あなたでも、たらない物と見へまして、壱 00081830L19つの鞠を四五人で(二十ウ)けられます 00081840¥N23¥J 00081850¥X○無筆 00081860M3源蔵殿。世話なから手紙を/書(かい)て下さい。なんと書ますな。 00081870M4ハテ、しれた事を/尋(たつね)る人だ。/先(さき)様ヱも/別条(べつぢやう)なし、此方も無 00081880M5事。(廿一オ)しかし、/先(さき)がつんぼうだから、小高く書て下 00081890M6さい 00081900¥N24¥J 00081910¥X○鉄鉋 00081920M9吉ぼう、きゝやれ。おらが/伯父(おぢ)きハ、/飛(とぶ)とりを/鉄炮(てつほう)で/射(い)お 00081930M10とすといへバ、おのしも大キナ鉄炮ばかり。(廿一ウ)いん 00081940M11にや、/弓(ゆミ)だ 00081950¥N25¥J 00081960¥X○仕形噺 00081970M14二三人/連(つれ)にて、はなしなから行。向から、何を/云(いふ)にも/仕形(しかた) 00081980M15ではなすやつか/来(く)る故、/頓(やか)て/側(そバ)ばへ行。両手をしつかとと 00081990M16らへ、(廿二オ)おのしやアどこへ行といへハ、あたまを/廻(まハ) 00082000M17して、丸屋へ行 00082010¥N26¥J 00082020¥X○墓参 00082030M20江戸に名高き/笠森(かさもり)おせん、/己(おの)が/好(すい)たる/夫(おつと)を持しが、はかな 00082040¥P243 00082050L1くも夫/病死(ひやうし)したる故、/名(めい)日(廿二ウ)に/墓(はか)へ参り、おまへに 00082060L2おくれ、いんくわな此身。日/頃(ころ)御/重宝(てうほう)に被成し御手道具其 00082070L3外/衣類(いるい)に至まて、/皆(ミな)御寺へ/納(おさめ)ました。わたくし事ハ/後添(のちそへ)の 00082080L4/所存(しよそん)もなし。どふいたしたらよふ御ざんせう(廿三オ)(廿三 00082090L5ウ・廿四オ挿絵)と/泣(なき)くどけバ、/和尚(おしやう)、/墓(はか)の/後(うしろ)へそつと/廻(まハ)り、 00082100L6あわれな/声(こへ)をして、おのしも寺へ/納(おさめ)ろ 00082110¥N27¥J 00082120¥X○鎧 00082130L9/浪(ろう)人者、/衣(い)類不残/質(しち)やの蔵へ入置しまゝ、/家(いへ)重代につたわ 00082140L10る(廿四ウ)/緋(ひ)おどしの/鎧(よろい)を/着(ちやく)し、/雪隠(せついん)へ行を見て、/長(なか)屋の 00082150L11子共、あれかゝさん。/祭(まつり)が/糞(ばゝ)をしに行 00082160¥N28¥J 00082170¥X○献立 00082180L14八や。あの/料理(りやうり)に、一/汁(ちう)三/菜(さい)の、二/汁(ちう)五菜のと云ハ、なん 00082190L15の事た。(廿五オ)おのしももんもふな者た。あれハな、/料= 00082200L16理(りやう=り)の番付さ 00082210¥N29¥J 00082220¥X○七チ夜 00082230L19久兵衛殿。御/久敷(ひさし)ふ御座ります。承れハ御/産(さん)が有たそふだ 00082240L20が、/定(さため)而男の子で御座らふ。(廿五ウ)イヱ+、女て御座 00082250M1る。名ハなんと御付被成た。おいぬと付ました。ハテナ、 00082260M2めいぬと付そふな物だ 00082270¥N30¥J 00082280¥X○辻番 00082290M5/辻番(つぢばん)のわきへ、通りの/者(もの)、小便を(廿六オ)たれる故、番人、 00082300M6目をむき出し、そこへ小便はなせたれる。それでも、/爰(こゝ)に 00082310M7たれた/跡(あと)が有からしましたと、利屈らしくいへバ、それハ 00082320M8今、/呵(しかつ)た跡だ 00082330¥N31¥J 00082340¥X目かね(廿六ウ) 00082350M11/若(わか)ひ内から目/鏡(かね)を/掛(かけ)ると、いかふ目のたすけと成と/聞(きゝ)、め 00082360M12かねやを/呼(よひ)、わしが目に/合(あ)ひそふな目かねを見せさつしや 00082370M13い。ハイ。これがよふ御座りませふと、一つ/掛(かけ)させて見る 00082380M14に、此めかねハどふも見へぬ。(二十七オ)外のを頼ます。 00082390M15それより色+出して見せても、見へぬといふ故、せんか 00082400M16たなく/輪(わ)斗リのを掛させけれハ、ヲヽ、是が極上 00082410¥N32¥J 00082420¥X○徳利 00082430M19/鼠(ねつミ)、油をなめんと、徳利の中へ(二十七ウ)/首(くび)をおし入れ、 00082440M20ツイ徳利の/底(そこ)へまつ/逆(さか)さまに/落(おち)、のつつそつつして居る所 00082450¥P244 00082460L1へ、友鼠、是を見兼、おのが/尻尾(しつほ)をおし入れ、是に取付キ 00082470L2給へといへハ、中の鼠、尻尾に取付、ひいたアヽヽリ(二 00082480L3十八オ) 00082490¥N33¥J 00082500¥X○使 00082510L6出入の御座敷から御用有て、/奴(やつこ)とのか御/使(つかい)に来る。是ハ 00082520L7+よふこそ御出被成ました。それ、御酒を一つあけまふ 00082530L8せ。アヽなんにもないの。/豆腐(とうふ)を/買(こふ)てな(二十八ウ)と/云(いゝ)な 00082540L9から、/奴(やつこ)の顔を見て、ナニサ、豆腐のしたし物 00082550¥N34¥J 00082560¥X○飯櫃 00082570L12/息(むす)子、/夜更(よふけ)に帰り、御袋のうたゝ寐して居る/肩(かた)さきにつま 00082580L13つき、/飛(と)ひこへてふりかへり(二十九オ)見て、ハツトいふ 00082590L14ていたゞきけれバ、母も、これハきどくなと心悦ひ、ヲヽ 00082600L15今/戻(もと)りやたかといへバ、Sハア、おらあ/飯(めし)ひつかとおもつ 00082610L16た 00082620¥N35¥J 00082630¥X○/鼾(いひき) 00082640L19/駕篭(かご)の者、ヤアハアとかけ/声(こへ)(二十九ウ)いさきよく、/雷(かミなり) 00082650L20門へはいると、そろ+/棒組(ほうくミ)へはなし仕掛るを、かごの内 00082660M1から/咳(せき)ばらいして、アヽきのふ/乗(のつ)たかごかきどもハ、すい 00082670M2なくせに/大(たい)気な者とも。こゝらでハだんな、/一献(いつこん)きこしめ 00082680M3せ。わたくしか/買(かい)(三十オ)ませふと、いやといふものを/無= 00082690M4理(む=り)/無(む)たいにふるまふた。あのよふなかごの者ハ又と有まい。 00082700M5けふのかごも、やぼでハなさそふなと、ひとりこといへハ、 00082710M6/駕篭(かこ)かき、あるきなから、ごう+(三十ウ) 00082720¥N36¥J 00082730¥X○緒〆 00082740M9さんごしゆの/緒〆(おしめ)を払物にて金弐百両に/調(とゝのへ)、むらさきのふ 00082750M10くさに/八重(やへ)に包て仕廻て置。/或(ある)時、/婚礼(こんれい)の取持にたのまれ、 00082760M11/爰(こゝ)ぞ一番はれに/提(さげ)て、人の目をおどろ(三十一オ)かせんと 00082770M12提て行。/玄関(けんくわ)へ上り、/俄(にわか)にしあん替り、/彼(かの)さんごじゆを/家(け) 00082780M13来へわたせバ、もし旦那様。なぜ御提被成ませぬといへバ、 00082790M14座敷に毒が有て、/割(われ)れバそんだ 00082800¥N37¥J 00082810¥X○頭巾(三十一ウ) 00082820M17夕部、鶴屋の/菅(すが)原を買に行た処が大イのもて。/聞(きゝや)れ。たは 00082830M18こがないといへバ、たはこ入ごとくれる。まだそれに気の 00082840M19付た。朝帰る時、/伽羅(きやら)の/香(か)を留た黒ちりめんのおこそ/頭巾(つきん) 00082850M20あげん(卅二オ)せうと出しおつた時の/嬉(うれし)さ。どふもいへ 00082860¥P245 00082870L1たものでハないと/噺(はなす)。そんならおれも行ふと、其夜すくに 00082880L2行た処が、菅原ハきん+もので、御出なんしたかと/云(いゝ)な 00082890L3から、つんとした顔て/居(すハ)る。(卅二ウ)客ハたはこ入をわす 00082900L4れたふりをして/居(い)けれバ、おまへハ御たはこ、あがりんす 00082910L5かといへバ、Sアイ。たはこものむが、/頭巾(つきん)もかぶる 00082920¥N38¥J 00082930¥X○狐 00082940L8/勝負師(せうぶし)、きつねの子を/助(たすけ)けれハ、(卅三オ)母きつね、何に 00082950L9ても此御/恩返(おんかへし)をいたしとふ御座るといふ。そんなら、さい 00082960L10と/化(ばけ)て、おれが/胴(どう)を取る折、/一(ぴん)+と/合言(あいことバ)をいハヾ六と/化(ばけ) 00082970L11ろ。にこ+/笑(わらハ)ハ/五(ぐ)と化ろといゝふくめて、去る所へ/内(ない)ぐ 00082980L12わいをこしらへ(卅三ウ)胴を取り、/一(ぴん)+といふて坪をあ 00082990L13けれハ六なり。あまりうれしく、ツイうてうてんに成り、 00083000L14庭の梅を/誉(ほめ)けれバ、/坪(つほ)の中ハ/鴬(うくひす) 00083010¥N39¥J 00083020¥X○産 00083030L17/餅(もち)やの女房、安+と/産(うミ)おとす。(三十四オ)ばゝア取りあ 00083040L18げ、もし御亭主殿。此お子ハおしい事にハ、さいづちあた 00083050L19まて御座りますといへバ、亭主、おつぱたぬき、赤子のあ 00083060L20たまを/丸(まる)めなをし、/団(うちハ)てあをぎ給へ 00083070¥N40¥J 00083080¥X○なら漬(三十四ウ) 00083090M3/賀(が)の祝ひに/招(まねが)れ、膳を出し処が、むまもの揃へ故、段+ 00083100M4しよこなめ、なら/漬(つけ)の/香(こう)の物、是ハ/嚊(かゝア)が所へ/土産(ミやけ)にしよふ 00083110M5と残して置。/側(そば)に/居(すハ)りし客、権兵衛がなら漬の/香(こう)の物を、 00083120M6そ知らぬ顔で(三十五オ)はさんでくへハ、権兵衛、むつと 00083130M7したれども、むねをおさへ、御亭主様。拙者義者、ぶし付 00083140M8なから少&用事もござれハ、御いとま申ますと、ずつとた 00083150M9ゝんとするを、/側(そば)に/居(すハ)りし客、コレ権兵衛様。御/扇子(せんす)が残 00083160M10て御座るといへば、(三十五ウ)これ長兵衛殿。わしが/扇子(せんす) 00083170M11をわすれよふが、なら/漬(つけ)をわすれうが、いかいおせハさ 00083180¥N41¥J 00083190¥X○股引 00083200M14/田舎(いなか)者、もゝ引屋へ行、此もゝ引ハなんぼシ申ス。Sアイ、 00083210M15それハ壱貫五百で(卅六オ)御座りやす。そりやアゲヱニ/高(たこ)ふ 00083220M16ヲンジヤル。五百斗にまけなさらふ。そふいわずに/買(かつ)て下 00083230M17さりまし。そんなら、もふ五十も/遣(や)り申ふか。S口あけだ 00083240M18から、まけてあげやしやふといふ。田舎者、銭をかぞへて 00083250M19見れバ、たり(卅六ウ)ぬ故、帰りに/寄(よろ)ふといふ。もし、 00083260M20/朝商(あさあきない)だから小便をしなさんなといへバ、ハテむづかしい 00083270¥P246 00083280¥G(廿三ウ・廿四オ) 00083290M1もゝ引だ。小便のならねへもゝ引なら、入りもふさぬ 00083300¥N42¥J 00083310¥X○井戸堀 00083320M4家主の所へ行、御店を御/貸(かし)被成て(卅七オ)被下まし。御 00083330M5/商売(しやうばい)、なにを被成ます。拙者義、井戸堀て御座ります。 00083340M6イヱ+御/貸(かし)申事ハなりませぬ。/舂(つき)米やてさへ/貸(かし)ませぬ。 00083350M7それハいかゝいたした/訳(わけ)で御座ります。別の義でも御座ら 00083360M8ぬ。米を/舂(つく)(卅七ウ)/度(たひ)に地/形(きやう)がひくふ成まする。まして、 00083370M9貴公に/貸(か)して御/覧(らう)じろ。井戸の/出来(てき)合を御/堀(ほ)りなさろふ 00083380¥N43¥J 00083390¥X○酒売 00083400M12/獄(ごく)門にかけて有まへを、酒売、(卅八オ)すた+通りけれ 00083410M13バ、/獄(ごく)門の/首(くび)が、こりや酒売どの。其酒をたもれといふ。 00083420M14酒売、ぶる+もので、御安ひ御用で御座りますと、/茶碗(ちやわん) 00083430M15に一ぱいついで/呑(のま)せて/遣(や)れハ、ごく門、(卅八ウ)したうち 00083440M16して、アヽいゝきミだ。とてもの事に、あたまを一つたゝ 00083450M17いて下され 00083460¥N44¥J 00083470¥X○主人の噂 00083480M20市助、内のまへにて/槙(まき)を/割(わつ)て居る所へ、国者/尋(たつね)て来り、市 00083490¥P247 00083500L1介殿、(卅九オ)御替りもないか。ヲヽ御出か。国元にも御 00083510L2替りもないか。アイ、別事も御座らぬ。貴様ハ/去(きよ)年/中(ちう)ハ/悪(わる) 00083520L3かつたそふだが、今年の旦那ハどふだの。/聞(きい)て下され。此 00083530L4/度(ど)の旦那も、/箔(はく)の付た旦那よ。あたじけねへ(卅九ウ)の親 00083540L5玉よ。くそぼね斗リおらせての。此米の安ひのに、毎日/朝(あ□) 00083550L6が茶/粥(げへ)か、/夜(や)しよくがぞうすいと/云(いゝ)なから、うしろを見れ 00083560L7バ/旦那殿。S市介、まきわりに力を入、しかし、/薬(くすり)ハ薬だ 00083570L8けれど(四十オ) 00083580¥N45¥J 00083590¥X○小/声(こへ) 00083600L11娘、/格(かう)子から顔を出し、小声にて、これ松/茸(だけ)よ。松茸うり 00083610L12のすいりやうにハ、此/御娘(おむす)、ないせふで/買(かう)と思ひ、おなじ 00083620L13く小/声(こへ)て、三拾弐文で御座りますといへバ、S娘そなたも 00083630L14風を引て/居(いる)の(四十ウ) 00083640¥P248 00083650¥U噺本大系△第十一巻 00083660¥T/万(よろず)の/宝(たから)〔序題〕 00083670¥G 00083680¥Y 00083690L17安永九年正月刊 00083700L18四方赤良序 00083710L19中本一冊 00083720L20東大国文研究室蔵 00083730¥Y/万(よろづ)の/宝(たから)序 00083740M3めでた+の/若松(わかまつ)さまよ、/枝(ゑだ)も/栄(さかへ)て/葉(は)もしげる。しげき/言= 00083750M4葉(こと=ば)のはなしの/会(くハい)、/宝(たから)の/君(きミ)の/御(ミ)やしきにて、けふをはなしの 00083760M5三/番叟(ばさう)、/弁舌(べんぜつ)ながるゝ/瀧(たき)の水、たえずとふたる/連中(れんぢう)の、思 00083770M6ひ+の/景物(けいぶつ)を、うち/出(で)の/小槌(こづち)うちいだし、/延命袋(ゑんめいぶくろ)のひも 00083780M7とく+、(序オ)年の/始(はじめ)に筆とりて、かきあつめぬる一/巻(くハん) 00083790M8を、万の/宝(たから)とハ/名付(なづけ)侍りき 00083800M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△四方赤良書 00083810M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序ウ) 00083820¥P249 00083830¥G(無丁オ) 00083840¥N1¥J 00083850¥X七福神日待噺 00083860M3七/福神(ふくじん)よりあひて、/日待(ひまち)をする。おもひ+の/芸尽(げいづく)しを/始(はじめ) 00083870M4んと、まづ/福禄寿(ふくろくじゆ)が、あたまにはちまきをし、/筆(ふで)をはさみ、 00083880M5/大文字(おほもじ)をかく。ゑびすが/舞(まひ)をまひ、/大黒(だいこく)が/打出(うちで)の/小槌(こづち)を/肩(かた) 00083890M6にのせて、/小皷(こつゞミ)のまね。/弁天(べんてん)が/琵琶(びハ)をひく。/毘沙門天(びしやもんてん)ハや 00083900M7り/躍(おどり)で、入をとられけるに、/布袋和尚(ほていおしやう)ばかり、只まじ+ 00083910M8と見てばかりいられしを、/福禄寿(ふくろくじゆ)が見つけて、これ/和尚(おしやう)。 00083920M9/皆(ミな)/芸尽(げいづく)しをする中に、/貴様(きさま)ひとり/高(たか)ぶつて見て/居(ゐ)て、何も 00083930M10せぬハ、きついつき/合(あひ)をしらぬといふもの(一オ)だ。はや 00083940M11く何ぞ、はじめさつしやらぬかといへバ、ハテ、おれハじ 00083950M12つとして/居(ゐ)ても、どこぞでハよいはねをとる/腹(はら)だ 00083960M13△△△△△景物△△小原盞△連衆不残ニ配 00083970¥N2¥J 00083980¥X山伏の狐つき 00083990M16あるむらはづれの山/伏(ぶし)、/狐(きつね)を/遣(つか)ひて、いろ+の事をしや 00084000M17べるから、名主の/年寄(としより)のとより合、さて+こまつた物た。 00084010M18山伏に狐が付たから、いのる事もならぬ。/名主様(なぬしさま)。どふし 00084020M19たらよふござりませふ。名主狐といふものハ、犬がきらい 00084030M20だから、それハおらがうちの三助が、/戌(いぬ)の年戌の日(一ウ) 00084040¥P250 00084050L1戌の尅の生れだから、あれを/呼(よ)んで見よふ。皆&是ハよふ 00084060L2ござりませうと、三助をよびにやる。三助が門口をはいる 00084070L3といな、山伏がたつてのくるい。アヽこハひ+と大/声(こへ)を 00084080L4上ると、三助、/乗(の)りが来て、/夜着(よぎ)を山伏にかぶせる。ミな 00084090L5よつて、上からおさへると、山伏ハだん+/静(しづか)に、すや 00084100L6+と/寐(ね)る様に見へる。さてハ狐がのいたと見へたといふ 00084110L7と、/夜着(よぎ)の内で、大きな/屁(へ)をブツとひると、サアその/屁(へ)が 00084120L8くさく、是ハ/鼻(はな)もちがならぬ。是ハきつねのさいご/屁(べ)であ 00084130L9らふと、/夜着(よぎ)引まくれバ、/中(なか)で狐が/鼻(はな)をつまんで/居(ゐ)た(二 00084140L10オ) 00084150L11△△△△△景物△△@山吹茶一箱|薬鑵△一つ@ 00084160¥N3¥J 00084170¥X野郎の公家 00084180L14/出入(でいり)の町人、/公家(くげ)の所に見舞にゆく。これハ中将様。なぜ、 00084190L15野郎におなりなされました。公家やに/下(さが)りで、きのふ、/祇= 00084200L16園(ぎ=おん)の/祭(まつ)りにやとハれた 00084210L17△△△△△景物△△祇園守りにして香煎 00084220¥N4¥J 00084230¥X/無筆(むひつ)の/講釈(こうしやく) 00084240L20/隣(となり)の/講釈師(こうしやくし)へゆき、私ハ御無心ながら、承りましたい事が 00084250M1こざりまする。なんでこざります。/書事(かくこと)ハなりませぬが、 00084260M2天/地(ち)の間になんでもしれぬ事ハ(二ウ)ござらぬ。さよふな 00084270M3らバ、まづ/田鼠(でんそ)/化(け)して/螢(ほたる)となるとハ、なんの事でござりま 00084280M4す。それハ九月の末つかた、/田(た)の/草(くさ)がくされて、螢となる 00084290M5といふ事でござる。それでハ/時候(じこう)があひませぬが。はて、 00084300M6そこが/無筆(むひつ)でござる 00084310M7△△△△△景物△△/藁(わら)づとにうづら/焼(やき)三つ山椒の/芽(め) 00084320¥N5¥J 00084330¥X/丸綿(まるわた)の/嚏(くさめ) 00084340M10身代のよき町人、むす子に/嫁(よめ)をとれども、とかく/熟縁(じゆくゑん)せず。 00084350M11この訳をきくに、此むすこ、/大通(だいつう)いきなる/男(おとこ)なれども、か 00084360M12の道具、/世(よ)にすぐれたる大物にて、一トたび/拝(はい)するともが 00084370M13らハ、おそろしやと、/直(すぐ)にさとびらきからさた(三オ)なし 00084380M14にて、友だちにもさたがあり。/親仁(おやぢ)、ことのほかこまり、 00084390M15/仲人(なかうど)にくれ+/頼(たのミ)けれバ、仲人、一生の/智恵(ちゑ)を出し、とて 00084400M16もたゞでハいくまいと、/下腹(したはら)に/毛(け)の一本もなき、ころんだ 00084410M17事のないとやらいふ/芸者(げいしや)にのミこませ、ずつと白むく/仕(じ)た 00084420M18て、丸わたをきせ/婚礼(こんれい)。しやん+と手をうち、/盃事(さかづきごと)と 00084430M19なりけり。友だち、とりもちごかしに大/勢(ぜい)あつまり、/障子(しやうじ) 00084440M20に/穴(あな)をあけ、のぞきながら、さて/顔(かほ)ハ見へぬが、うつくし 00084450¥P251 00084460L1いものだ。見やれ。あの/尻(しり)のちいさく/細(ほそ)づくりで、又こち 00084470L2の/息子(むすこ)にハらちあくまいと、/噂(うハさ)をとり+すれバ、/嫁(よめ)、く 00084480L3さめを(三ウ)して、くそをくらへ 00084490L4△△△△△景物△△起上りこぼし 00084500¥N6¥J 00084510¥X/傾城(けいせい)の/学問(がくもん) 00084520L7けいせいに学問をこのミたるあり。つねに/唐机(とうづくえ)などかまへ、 00084530L8/孔雀(くじやく)の/尾(お)を/卓下(しよくした)にたて、/南京(なんきん)の/肉入(にくいれ)など、ぎやうさんにか 00084540L9ざりたて、いろ+の/書物(しよもつ)をよミける所に、ある時、かの 00084550L10女郎の/禿(かぶろ)申けるハ、なんのために、がくもんとやらんをし 00084560L11なんすと/聞(き)く。女郎学問ハ/天地(てんち)の事をしり、くもりたる月 00084570L12ハはれ、ふさぎたる/胸(むね)もひらくと物がたる。カノ禿、しバ 00084580L13らくして、/廊下(らうか)よりいそぎ/来(きた)り、(四オ)おいらんの、さつ 00084590L14きの/学問(がくもん)を、ちつとくんなんしといふ。ばからしい。学問 00084600L15をなんにする。/客衆(きやくしゆ)が/積(しやく)がおこりんした 00084610L16△△△△△景物△△/春画(まくらざうし)@/土鍋(どなべ)の中へ/鷄卵(たまご)|貝杓子そへて△@ 00084620¥N7¥J 00084630¥X/闇(やミ)の/夜(よ)の/花見(はなミ) 00084640L19大晦日の/雑候寐(ざこね)見んと、/天狗(てんぐ)、/大原(おゝはら)にゆくに、ある/後家(ごけ)、 00084650L20むしやうに/男(おとこ)の/鼻(はな)を/吟味(ぎんミ)して、かの天狗の/鼻(はな)をにぎり、さ 00084660M1てこゝちよやとだきついて、/天狗(てんぐ)のはなをくひきれば、/腹(はら) 00084670M2を/立(たて)る。アヽやかましい。口がすハれぬといふた(四ウ) 00084680M3△△△△△景物△△/歯磨(はミがき)△はくろぶし 00084690¥N8¥J 00084700¥X/下戸(げこ)の/猩&(せう※) 00084710M6/出格子(でがうし)に、/唐(から)ぞめ/指南所(しなんどころ)と/看板(かんばん)かけたるものあり。ある人、 00084720M7/弟子入(でしいり)して、/羅紗(らしや)、/猩&緋(せう※ひ)、/毛氈(もうせん)の/染様(そめやう)をたづねけれバ、 00084730M8猩&緋ハ猩&をとらへて、よき/酒(さけ)にかた/紅(べに)を入、/酔(ゑふ)ほどに 00084740M9のませて、その/血(ち)にて/染(そめ)る。/毛(もう)せんハ/少(すこ)し、/次(つぎ)の酒をのま 00084750M10せ、すわうをせんじて、/酔(ゑ)ふほどにのませて、その/血(ち)にて 00084760M11/染(そ)む。/萌黄(もへぎ)らしやハいかにとたづねけれバ、是ハちとむつ 00084770M12かしい。随分/下戸(げこ)の猩&をとらへて、/雛(ひいな)様の/餅(もち)をくはせる 00084780M13(五オ) 00084790M14△△△△△景物△△@/壺(つぼの)中に艸あんもち、さらさ梅、|/曲物(わげもの)に箸をつけ、/柄杓(ひしやく)にして△@ 00084800¥N9¥J 00084810¥X/大黒(だいこく)頭巾/嫌(ぎらい) 00084820M17若イものあつまり、いろ+咄しけるが、ひとりがいふに 00084830M18ハ、大黒といふものハ、/福(ふく)をさづけるといふが、どうすれ 00084840M19ばさづけるの。あれにハ大分/訳(わけ)がある。それ、福をさづけ 00084850M20させうと思ふにハ、/猩&緋(せう※ひ)の/頭巾(づきん)をこしらへてかぶせると、 00084860¥P252 00084870L1福をさづけるといふ故、さつそくその頭巾をこしらへ、か 00084880L2ぶせ置、/甲子(きのへね)に、さらバ出していのらんと、大黒のとびら 00084890L3をひらけバ、いつぞやかぶせた頭巾ハなくて、すあたま也。 00084900L4あるじ、大キにおどろき、是ハどうで(五ウ)ござります。 00084910L5なぜ/猩&緋(せう※ひ)の頭巾ハ、おぬぎ被成ましたといへバ、大黒、 00084920L6大キにこまりたる躰にて、おれハ/毛氈(もうせん)かと思つた 00084930L7△△△△△景物△△/緋唐紙(ひどうし) 00084940¥N10¥J 00084950¥Xヘマムシ山水天/狗(ぐ)と口論 00084960L10山水天/狗(ぐ)いふ。われらハ/古来(こらい)より/手習(てならひ)子/共(ども)、またハ吉原の 00084970L11/禿(かぶろ)などのさみしき/伽(とぎ)にかゝれて、/筋目(すぢめ)きつとしたものだ。 00084980L12/己(おのれ)がやうな、/釘(くぎ)の/折(お)れのかたくなしたハないといふ。ヘマ 00084990L13ムシヨ入道、/笑(わら)ふていふ。夫レハ己か/文盲(もんまう)だから。此方ハ 00085000L14第一/儒者(じゆしや)につかハれて、/弘法大師(こうバうだいし)(六オ)此かたのいろは同 00085010L15前。まづ己が/形(なり)をミろ。/無筆(むひつ)に書た物見せるやうな。くや 00085020L16しくハほんとになつて見ろ 00085030L17△△△△△景物△△筆墨 00085040¥N11¥J 00085050¥X/鶴(つる)/泥亀(すつぽん)と/遊(あそ)ぶ 00085060L20江戸一の/大商人(おほあきんど)、/恵比須講(ゑびすこう)の/飾(かざり)に、/生(いき)た/蓬莱(ほうらい)にて/落(おち)をとら 00085070M1んと、/金(かね)にあかして、まづ/生(いき)た鶴を/求(もと)め、さて/亀(かめ)の/小(こ)ぶり 00085080M2なにハこまりしが、/急(きう)にしあんし、/不忍(しのはず)の/池(いけ)にて/泥亀(すつほん)をと 00085090M3らへ来り、手入をして亀の名代。きらびやかなる/蓬莱(ほうらい)に、 00085100M4/鶴(つる)と(六ウ)/泥亀(すつほん)のまひあそぶハ、いとめづらしく、/段&(だん+)来 00085110M5る/客(きやく)、これハ+と大のはね。サア/例年(れいねん)の/通(とふ)りのあきなひ 00085120M6はじめと、/鯛(たい)もち出、三万両といへば、五万両+、七万 00085130M7両+。まけました。しやん++と手をうてば、/泥亀(すつほん) 00085140M8がきよろをり+ 00085150M9△△△△△/景物△△六角の香煎△G 00085160¥N12¥J 00085170¥X/雷(かミなり)の/臍(へそ)ぎらひ 00085180M12風の/神(かミ)の方へ、/雷(かミなり)をよびて酒をふるまふ。いろ+のさか 00085190M13なを出し、/数献(すこん)のうへに、/臍(へそ)の/和物(あへもの)を出したれば、/雷(かミなり)ぎら 00085200M14ひじやといふ。これハどうじやと(七オ)いへば、此比すば 00085210M15しりにあてられた 00085220¥N13¥J 00085230¥X/梟(ふくろう)の/昼(ひる)ばたらき 00085240M18/春(はる)くれ、はや/夏立(なつたち)、山林の/木&(きゞ)もわか/葉(ば)おひしげり、さま 00085250M19※の小鳥ども、/巣立(すだち)せしわが子鳥を、心よくあそばせる 00085260M20に、きのふも一羽けふも二羽、子鳥が見えず。是ハ大かた 00085270¥P253 00085280L1鳥さし/が((ママ))鷹の/仕(し)ハざであらふと、いろ+用心すれど、/道= 00085290L2理(どう=り)こそ、ちかきはやしにすむ/梟(ふくろう)が、/昼(ひる)になると出て、小鳥 00085300L3をとる。梟ハ/夜(よる)こそはたらけ、/昼(ひる)出るとハ/法外(はうぐハい)と、/鶴(つる)大王 00085310L4のもとへ/注進(ちうしん)、/櫛(くし)のはをひくがごとく、さつそくその林へ 00085320L5うつ手をむけられし所(七ウ)/ところ((衍カ))、/昼(ひる)ハ一ゑん手にあハ 00085330L6ず。是ハねごミがよからふと、/夜(よ)ふけて、ひた+とおし 00085340L7よせし所、手もなくめしとりて来る。しら/洲(す)へ引出し、何 00085350L8ゆへゆるし置し/夜(よる)ハはたらかず、/昼(ひる)ばたらきをする。/言語= 00085360L9同断(ごんご=どうだん)と/色&(いろ+)せめて、よく+きけば、此/梟(ふくらう)此ごろ/雀目(とりめ) 00085370L10△△△△△景物△△木のはせんべい 00085380¥N14¥J 00085390¥X/唐人(とうじん)の長うた 00085400L13此度唐から、長うたの/名人(めいじん)が渡て、こくうにはやる。大勢 00085410L14弟子が/出来(でき)て/諷(うた)ふ。しんから/唐風(からふう)にせねばうたハれぬと、 00085420L15先生のおしへ。弟子どものこらず、唐風(八オ)になる。そ 00085430L16の中に/新弟子(しんでし)一人、どふ/諷(うたつ)てもよくなき。先生がいふ。貴 00085440L17様ハ/入歯(いれば)をしてゐるそふだ。見せさつせいと、とつくりと 00085450L18見て、此入/歯(ば)でハ、どふも出来ぬはづじや。なぜへ。是ハ 00085460L19/和物(わぶつ)しや 00085470L20△△△△△景物△△扇子ニ紅文字 00085480¥N15¥J 00085490¥X男の産 00085500M3御屋しきのひとりの御子、武士の子ハ、女の中で/育(そだ)てるも 00085510M4のでハない。/表(おもて)へやつて、/侍(さふらひ)にもかいほうさせろといひつ 00085520M5けて、/表(おもて)にてそだてる内、十四五にもなつて色気付て、女 00085530M6の/顔(かほ)を見る事もならぬから、ねん/者(じや)(八ウ)ぐるいをしてい 00085540M7るうち、つい身持になつたが、男のはらんだ事だから、た 00085550M8れも/気(き)がつかぬうち、ほどなくむし/気(け)ついて/安産(あんざん)した。し 00085560M9かたかなくつて、御/家老(からう)の治部左衛門、旦那の前へ出、ま 00085570M10つかくの次第にて、若殿様、昨夜御/安産(あんざん)を遊しました。い 00085580M11かゞはからひませふといふ。旦那聞て、それハ不/埒(らち)千万の 00085590M12事。おれが聞てハ、うつてすてねバならぬ。それも/刀(かたな)のけ 00085600M13がれだから、/親(おや)しらずに/葛西(かさい)へやれ 00085610M14△△△△△景物△△盃△ミす帋 00085620¥N16¥J 00085630¥X極月の/富士詣(ふじまふで)(九オ) 00085640M17極月末の比、あるものしり/顔(がほ)なる人、長屋へ廻り、私も少 00085650M18&/願望(ぐハんもう)にて、ふじ/詣(まふで)いたします。跡ハ女ばかり。御たのミ 00085660M19申ますといへば、となりの人、ふじ山ハ/夏(なつ)参る物とぞんじ 00085670M20たが、今時分とハ如何といふ。只今までハ、ことの外とり 00085680¥P254 00085690L1こミゆへ、用事相/仕舞(しまひ)ましたゆへ、今月参詣いたしますと 00085700L2いへば、しかし/夏(なつ)でさへ/上(のぼつ)てハ、/布子(ぬのこ)を/着(き)ると申が、今時 00085710L3分ハ/上(のぼ)つてハ、何を/着(き)たもので御ざると聞ば、かの男、し 00085720L4たり/顔(がほ)にて、今比ハかたびらさ 00085730L5△△△△△景物△△/氷(こほり)ざとうといふて△/張子(はりこ)の/座頭(ざとう)(九ウ) 00085740¥N17¥J 00085750¥X/狐(きつね)の/宵(よい)なき 00085760L8/氷川辺(ひかハへん)にて、/狐(きつね)、/宵(よい)なきをむしやうにすると、/友達(ともだち)がはな 00085770L9すゆへ、二三人つれだちて/聞(きゝ)にゆきやした所が、はや/初夜= 00085780L10過(しよや=すぎ)、四/更(こう)五/更(こう)になるに、今になかず。是ハどうしたものだ 00085790L11といふうち、/烏(からす)ががあ+、コン+ 00085800L12△△△△△景物△△うづら焼△鴬餅 00085810¥N18¥J 00085820¥X/猫(ねこ)の/子(こ)わたし 00085830L15/浅(あさ)くさ川に、/虎(とら)の/子(こ)わたしがあるといふ/評判(へうばん)。ミな+こ 00085840L16ぞりて見にゆきて、両/国(ごく)ばしの/欄干(らんかん)によりかゝりて見れば、 00085850L17/虎(とら)にハあらで、/廻(ゑ)こういんまへけいどう(十オ) 00085860L18△△△△△景物△△かりがね焼一重 00085870¥N19¥J 00085880¥X/常世(つねよ)が/牛(うし) 00085890M1/佐野(さの)の源左衛門、出世の/後(のち)、/最明寺(さいミやうじ)さま御出、いろ+/馳= 00085900M2走(ち=そう)にあづかり、/古具足(ふるぐそく)、さび/薙刀(なぎなた)を御/覧(らん)じ、馬屋に/牛(うし)ばか 00085910M3り/居(ゐ)たり。馬ハどふしたと/尋(たづぬ)れば、されバその事。/喰(くつ)ちや 00085920M4あ/寐(ね)+++++、あのとをり 00085930M5△△△△△景物△△寒露梅△さくらあめ△松風 00085940¥N20¥J 00085950¥X男の/黒木売(くろぎうり) 00085960M8八王子のものどもうちより、/八瀬小原(やせおはら)にハ/黒木(くろぎ)うりあるが、 00085970M9こちにハないといふて、にハかにおもひ付て、(十ウ)黒木 00085980M10の/出立(でたち)。ミな/珍(めづら)しがつて/見物(けんぶつ)すれば、/牛(うし)あゆミながら、/長(なが) 00085990M11+と小/便(べん)すれば、/黒木(くろぎ)うりも立ながら小便 00086000M12△△△△△景物△△黒木のまきの心ニてちう一/把(ハ)、梅の折枝 00086010¥N21¥J 00086020¥X/富士(ふじ)をしらぬ/西行(さいぎやう) 00086030M15/辻番(つぢばん)の/庭(にハ)にて、西行/法師(ほうし)にあひ、/和尚(おしやう)ハとかく/不二(ふじ)がおす 00086040M16きで、/画(ゑ)に/書(かい)ても、とかく不二ハはなれませぬといへば、 00086050M17西行、イヤ+、わしハ一/度(ど)も/富士(ふじ)を見た事がござらぬ。 00086060M18それハ/佐藤(さとう)兵衛が事でこざろう。/拙僧(せつそう)ハ/今戸(いまど)/生(むま)れでござる 00086070M19△△△△△景物△△/唐(とう)ざらさの風呂敷ニ包、桜炭壱俵ツヽ 00086080M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十一オ) 00086090¥P255 00086100¥N22¥J 00086110¥X/紅毛(おらんだ)の紅毛しらず 00086120L3紅毛人、西のはてを見んと/船(ふね)を/出(だ)す。/磁石(じしやく)を西の方へ向て、 00086130L4/風雨(ふうう)にかまわず、三年ばかり行やす。もはや国も見えず、 00086140L5それでもかまハず、むしやうに行と、向ふに国が見えた。 00086150L6上つて見れば、やつぱり/紅毛(おらんだ) 00086160L7△△△△△景物△△こつぷ 00086170¥N23¥J 00086180¥X手なしの巾着切 00086190L10日本ばしの上にて、巾着切、/下(さ)ケものをきりやす所を、ひ 00086200L11きぬいて、右の/腕(うで)を/切(き)ると、/胴(どう)ハ/倒(たほ)れて/死(し)ぬ。/腕(うで)ハ水にう 00086210L12かミ/流(なが)れながら、/大指(おやゆび)と/人(ひと)さし指で、(十一ウ)ちよきり+ 00086220L13△△△△△景物△△はさみ 00086230¥N24¥J 00086240¥X/煤掃(すゝはき)の/朝寐坊(あさねばう) 00086250L16おふくろ、どらむす子にいふハ、/明日(あす)ハすゝ/取(とり)だから、い 00086260L17つもとちがひ、/早朝(さうてう)からおき、/随分(ずいぶん)/気(き)をつけ、世/話(ハ)をしや 00086270L18れといひ付けれバ、かの/息子(むすこ)心がけ、/宵(よい)からぐつと/寐(ね)る。 00086280L19はや/東雲(しのゝめ)のころ、/家内(かない)ミな+、はやおきして、/例(れい)の/粥(かゆ)な 00086290L20どいハふ中にも、かのむすこ、いろ+とおこせどもおき 00086300M1ぬゆへ、そのまゝにてねかしおき、そのたゝミぐるミとり 00086310M2出し、(十二オ)かさね/扣(たゝけ)ども高いびき。大勢/畳(たゝミ)をうち仕廻、 00086320M3さて+このやうに/畳(たゝミ)をたゝいても、目のさめぬといふハ、 00086330M4よく+な/寐(ね)ぼうと、ミな+笑ふ。かのむすこ、目をさ 00086340M5まし、/序(ついで)におれとも、とり込んでくれろ 00086350M6△△△△△景物△△八人前ニ草箒△たゝミ鰯 00086360¥N25¥J 00086370¥X/所化(しよけ)の/戯(たハふ)れ 00086380M9ある所化、思ひかけし若衆のすがた/絵(ゑ)を、不/断(だん)かけてたハ 00086390M10ふれしが、いつまで思ふても/叶(かな)ハぬことゝ、/淋(さミ)しさのあま 00086400M11り、とても秋と思ひを/桐(きり)の一/葉(は)かなと、/述懐(しゆつくハい)の一/句(く)をは 00086410M12いて、/肘(ひぢ)をまくらにすると、かの/姿絵(すがたゑ)(十二ウ)ぬけ出て、 00086420M13御一句のあハれに、一度思ひをはらさせんと、/奥(おく)へゆくう 00086430M14しろかげを見て、ありがたいと起上れバ、/仏壇(ぶつだん)から/阿弥陀(あミだ) 00086440M15が、おれよりか 00086450M16△△△△△景物△△桐の一葉句題ニして、団扇 00086460¥N26¥J 00086470¥X関取の/無褌(むふん) 00086480M19/墨田川(すミだがハ)の/中洲(なかず)に、かんりやくくらべ、くハんじん/角力(すまふ)とい 00086490M20ふ札かけたり。よりて見れば、あかね/木綿(もめん)まいたる四本 00086500¥P256 00086510L1/柱(ばしら)に、/染風呂(そめぶろ)しきつぎ合せたる水引打はり、角力も今を半 00086520L2と見へて、/錦(にしき)の/越中(ゑつちう)、あやのもつこふ、ひぢりめんのかき 00086530L3/違(ちが)ひ、/或(あるい)ハ/紅麻(こうあさ)又ハあいさひ、思ひ+の(十三オ)かんり 00086540L4やく手を/尽(つく)したる/褌(ふんどし)して、とりむすびけり。すハや両/関(せき)の 00086550L5立合と見へて、西の方に大坂に名たゝる/者(もの)のよし。/色(いろ)あく 00086560L6まで/黒(くろ)く、むなひげ生たる/仁王(にわう)のごとき大の男、大たかの 00086570L7紙つぎ/合(あハせ)たる/褌(ふんどし)に、/墨絵(すミゑ)の/雲龍(うんりやう)、/眼(まなこ)にしんちうを入、さも 00086580L8いかめしく出立たり。東の方やハ江戸の大/通(つう)、色しろく/中(ちう) 00086590L9じゝに、せい高からずひくからず、/褌(ふんどし)ハ紅どんすのきり立 00086600L10を、今様にむすびなし、/土俵(とへう)に/腰(こし)うちかけて/居(ゐ)たりける。 00086610L11/行司(ぎやうじ)、いざやと/声(こえ)かくれバ、やつといふて/組(くむ)よりはやく、 00086620L12江戸方ハ左の手をわきつぼへさし込ミ、/腰(こし)をひねりて付ケ 00086630L13(十三ウ)入れバ、大坂方ハ少しもさハがず、右のかいなを 00086640L14さしのへて、かの紅どんすのむすび目を、しかとつかミ、 00086650L15目より高くさし上んとすれば、手のひらに絵の/具(ぐ)べつたり 00086660L16△△△△△景物△△土俵にして、/真桑(まくハ)ふり 00086670¥N27¥J 00086680¥X/劔術(けんじゆつ)つかひの/臆病(おくべう) 00086690L19けんじゆつのゆるしをとるとあした、/指南所(しなんじよ)といふ札をか 00086700L20けた所へ、つよそふな男かずいと来て、モシ、御むしんな 00086710M1がら、わつちハ/仕合(しあい)に/来(き)やしたといふに、まづ/高弟(かうてい)を出し 00086720M2てたゝき/合(あハせ)るに、水もたまらず(十四オ)まけてしまい、先 00086730M3生、御出被成ませといふ。どれ+と立て、しなへをとり、 00086740M4やつといふよりはやく下タに/居(ゐ)て、御手ハ見えました 00086750M5△△△△△景物△△菎蒻△コヽロハぶる+もの 00086760¥N28¥J 00086770¥X/畳(たゝミ)の/上(うへ)の船/饅頭(まんぢう) 00086780M8夕すゞミの川を見わたせバ、/笘船(とまぶね)の中より、モンシ+と 00086790M9よばハるさま、/浅妻(あさづま)のむかしも思ひやり、あれを酒の相手 00086800M10にせばやと、よびよせて見れば、/遠目(とほめ)とハきつい/違(ちが)ひにて、 00086810M11/衣類(いるい)ハ/木綿(もめん)の/洗(あらひ)かへし、/顔(かほ)もおしろいに/目鼻(めはな)を付たる様な 00086820M12れバ、あきれはてゝ、是ハいかにと(十四ウ)たづぬれバ、 00086830M13世話やき、へらず口にて、名がまんぢうゆへ、アンに/相違(さうい) 00086840M14いたしました 00086850M15△△△△△景物△△花/蓙(ござ)△団扇 00086860¥N29¥J 00086870¥X高砂の杉 00086880M18むかし+高砂に、ぢゝとばゝとあつたとさ。ぢゞハ落葉 00086890M19に/熊(くま)さらへ、ばゝハ手なれし竹ばうき、相生の松とくらし 00086900M20ける。ぢゝ、ふとした出来心にて、夜ごと+のあだつき 00086910¥P257 00086920L1あるき、明かたに斗かへりけれバ、ばゝ、大キにりんきを 00086930L2おこし、ある夜、跡よりつき行見れバ、/三輪(ミわ)の/神(かミ)と/色事(いろごと) 00086940L3(十五オ) 00086950L4△△△△△景物△△杉楊枝△松葉くハし 00086960¥N30¥J 00086970¥X/猫(ねこ)のよめ入 00086980L7どら/者(もの)、四五人もよりて/噂(うハさ)しける所に、友だち仲間の権が 00086990L8方へ女房が来たが、はなしを聞たか。なか+いきなもの。 00087000L9先第一うつくしい。それにくると、あくる日から前帯など 00087010L10でしやれのめし、その晩も/盃(さかづき)などがすむと、/茶碗酒(ちやわんざけ)のあを 00087020L11り切といふものだ。まことに大/通(つう)いきのつう女房だげな。 00087030L12それハともあれ、さとハどこから来たなあ。たしか/赤城(あかぎ) 00087040L13△△△△△景物△△ごまめ(十五ウ) 00087050¥N31¥J 00087060¥X/黒(くろ)イ/鷺(さぎ) 00087070L16若旦那へ。きのふ/観音様(くハんおんさま)の/開帳(かいてう)へいつて見ましたら、/霊宝(れいほう) 00087080L17にとんだものがございした。何があつたの。マア/掛物(かけもの)さ。 00087090L18ヲヽかけものか、どうしたの。まあきいておくんなんし。 00087100L19その絵がとんだめづらしいものさ。どんな絵だの。絵ハ黒 00087110L20イ/鷺(さぎ)さ。とんだめづらしいね。手前といふものハ、けしか 00087120M1らぬことをいふものだ。どこのくにに、くろいさぎがある 00087130M2ものだ。若旦那へ。なに、わつちがおまへにうそをいふも 00087140M3のだ。うそとおもひなはるなら、いつて御ろうじんし。い 00087150M4かさまめづらしい。どれ、いつて(十六オ)見ませうといひ 00087160M5ながら、/開帳場(かいてうば)へきて見れバ、れいほうハ左へ+。/是(これ)ハ 00087170M6/古法眼(こほうげん)のかいたるところの/墨絵(すミゑ)の/鷺(さぎ) 00087180M7△△△△△景物△△墨絵の鷺 00087190¥N32¥J 00087200¥X舌きり烏 00087210M10からすどもより合、狂言をしけるに、/名題(なだい)舌切/烏(がらす)と/号(がう)し、 00087220M11/霜(しも)月朔日より/始(はじめ)ければ、/諸鳥(しよてう)ども、ゑいとう+大入にて、 00087230M12この狂言の/評判(へうばん)しけれバ、/髪(かミ)を/本田(ほんだ)にゆひしすゞめ、/銀(ぎん)ぎ 00087240M13せるをやにさがりにくハへ、何さ。久しい跡に、おれがあ 00087250M14てた狂言だ(十六ウ) 00087260M15△△△△△景物△△浅草のり 00087270¥N33¥J 00087280¥X/白(しろ)いからす 00087290M18/烏取(からすとり)、一ト/網(あミ)に/烏(からす)を十羽ばかり取て見れバ、中に白イ/烏(からす)が 00087300M19あり。これハよい/銭(ぜに)もうけと、見せもの/師(し)へ/売(うつ)てやる。二 00087310M20三日過ると、そのからすが/黒(くろ)くなる。見せもの/師(し)、きもを 00087320¥P258 00087330L1つぶし、早&そのからすをかえす。これハふしぎと、うら 00087340L2や/算(さん)に見てもらへバ、是ハ/烏(からす)の中でも/気(き)がミぢかくつて、 00087350L3まつ/白(しろ)になつて/腹(はら)をたつたと見えます 00087360L4△△△△△景物△△曲物に入し@白さとう|黒さとう@一斤銘&へ(十七オ) 00087370¥N34¥J 00087380¥X/塔大工(たうだいく)の/眩暈(けんうん) 00087390L7塔大工甚五郎といふもの、ふと/眩暈(けんうん)おこり、仲間の/駄(た)六が 00087400L8所へ行。駄六、内か。ヲヽ内だ。だれだ。おれだ。一寸と、 00087410L9手前に相談があつて/来(き)た。おれハ此比けんうんがおこつて、 00087420L10高イ所へ上ると、下るかこはくてならぬから、なんぞ/商売(せうばい) 00087430L11をかへずハなるまい。なんだ。高い所へのぼつたりくだつ 00087440L12たりがこハくハ、ひくい所へさがつたりのぼつたりにして、 00087450L13井戸ほりになりやれ。イヤ、それも下が水だからこハい。 00087460L14そんなら/横(よこ)にねかして、いつたり来たりにして(十七ウ)/楊= 00087470L15弓場(やう=きうば)の/矢(や)とり 00087480L16△△△△△景物△△上りたり下つたりの/猿(さる) 00087490¥N35¥J 00087500¥Xすた+やつこ 00087510L19/在郷者(ざいごうもの)がまつりを見に来やした。お/茶(ちや)の水からだら+お 00087520L20りて、四つ/谷(や)へ出、/赤坂(あかさか)の方へ行と、赤坂/奴(やつこ)が祭りに出お 00087530M1くれて、四五人さつ+とかけて行。ヤレお/祭(まつり)じやと、下 00087540M2に/居(ゐ)て見れば、ミな/緋(ひ)ちりめんのふんどし見える様に、/尻(しり) 00087550M3をぐつと引まくつてゆくうちに、ひとり白イ/木綿(もめん)の下の帯 00087560M4をして行を見て、アレ、おんちいナ、見さい。ミな/赤(あか)いふ 00087570M5んどしの内に、あのおやつこは、(十八オ)おらが様に木綿 00087580M6のふんどしをしてござるハといへバ、奴がくつとせき、ふ 00087590M7りかへつて、/屎(くそ)をくらへ。おいらがけつハかんざらしだ 00087600M8△△△△△景物△△かんざらし一重 00087610¥N36¥J 00087620¥X赤幽霊 00087630M11/傾城買(けいせいかい)に行ました。/夜(よ)ふけ、人しづまりて、枕もとにて、 00087640M12ひうどろ+。美しい女、色青ざめ、/髪(かミ)をふりミだし、/赤(あか) 00087650M13いきる物をきて、申シ+といふ。客、なにものじやと/問(と) 00087660M14へば、アイ、ゆうれいさ。客、ゆうれいハ白むくを/着(き)るは 00087670M15つじやといへば、今日ハ八/朔(さく)(十八ウ) 00087680M16△△△△△景物△△笛△大鞁ばち 00087690¥N37¥J 00087700¥X医師の/食傷(しよくしやう) 00087710M19/時行医者(はやりいしや)、/食傷(しよくしやう)をして引て/居(ゐ)る。見舞に/来(く)る人、お前のよ 00087720M20ふな御上手の手からも水がもる。御/食傷(しよくしやう)などハなさそふ 00087730¥P259 00087740L1なものだといへば、イヤ、此中さる方にて、/食傷(しよくしやう)した人が 00087750L2ござるか、どふも/食傷(しよくしやう)するものでないと思ふから、よん所 00087760L3なく、こゝろミにしよくしやうをして見ました 00087770L4△△△△△景物△△銅だらゐ壱つつゝ 00087780¥N38¥J 00087790¥X/蛤貝(はまぐりがい)の片思ひ(十九オ) 00087800L7/至極(しごく)中のよき夫婦/雀(すゞめ)のありけるが、てい主すゞめいふやう、 00087810L8いつまで雀で/居(ゐ)ても、おもしろくない。むかしから/海中(かいちう)に 00087820L9入て蛤になるといふが、かいそうの中でも、あハびハかた 00087830L10思ひといふてきらハれるが、蛤ハ婚礼の席に用ひられて、 00087840L11中のよい目出たいものじやから、蛤にならふといふ。女雀 00087850L12も不承知ながら、夫婦飛入て蛤となり、/新枕(にゐまくら)にこぶのふと 00087860L13ん、あらめの夜着引かつぎ、ねる段になつて、女蛤、口を 00087870L14ふさいで、うしろ向になつていふやう、是じやから、やつ 00087880L15はりすゞめがよいといふたものを。おもしろくも(十九ウ) 00087890L16ないといふ。男蛤、なぜそのやうに、おれにばかり、もの 00087900L17を思ハせるといふ。女蛤、大きにはらたち声にて、何、お 00087910L18もしろくもない。口斗吸て 00087920L19△△△△△景物△△籠△@わさび△柚△干山椒|ふきのとう△うど△@ 00087930¥N39¥J 00087940¥X/三途河(さうづか)の/爺(ぢい) 00087950M3近年仏法さかんに付て、さうづかのばゝも古着屋の前金に、 00087960M4いひわけ斗するやうな折ふし、地獄もつゞひて不/景気(けいき)。無 00087970M5間の釜煮も/薪(たきゞ)けんやくにて休ミ、罪人ハ漸&六道のほとり 00087980M6ぶら付、かの石川五右衛門、今ハ年二百斗に成りけれども、 00087990M7毎日の釜(二十オ)いりに身の/垢(あか)も落て、能/爺(ぢゝ)ぶりを見つけ、 00088000M8さうづかの/婆&(ばゝ)か/入(いり)うとの相談もとゝのひて、それ£ばゝ 00088010M9ハ川へ/洗(せん)たくに行、/爺(ぢゝ)ハ劔の山へたき木かりに行。ある時、 00088020M10朝めし支度に爺/焚(たき)つけんとするに、真木もへかね、/婆&(ばゝ)い 00088030M11ふハ、どんな人じや。けぶくてならぬ。ドレ、どかしやれ 00088040M12と、ひつたくりて、是ハ皆もへぬはづじや。爺、ナゼ。/婆= 00088050M13&(ば=ゝ)いふ。こりやミな、なまくらじや 00088060M14△△△△△景物△△おかもち入豆腐にして鹿子もち 00088070¥N40¥J 00088080¥X焼火の丁子頭(二十ウ) 00088090M17大勢あつまり、諸国/怪異(くハいい)ばなしのうち、やれ/筑紫(つくし)にハ、し 00088100M18らぬ火といふがあるといへば、こちからハ、中国にりこう 00088110M19坊の火、北国にゑんこうばうの火。中にも/便利(べんり)なるハ、/越= 00088120M20路(こし=ぢ)の七ふしぎの/樋(とひ)にて、諸方へよびよせ、村中の夜なべ、 00088130¥P260 00088140L1仏事に遣ふ。あれでハ第一、油とうしんがいらぬといふ。 00088150L2かたハらより/欲(よく)ふかき男、そんなら物をもらふ前夜、丁子 00088160L3頭はなんにたつととへば、丁子頭ハ、ヲヽ夫+、へつつ 00088170L4いへ 00088180L5△△△△△景物△△すき油 00088190¥N41¥J 00088200¥X/官女(くハんぢよ)の/飯(めし)ごしらへ(二十一オ) 00088210L8あの/禁裏(きんり)さまのめしハ、だれがたく。はて、しれた事。官 00088220L9女の内のおはしたサ。あの十二ひとへのなりでか。ヲヽサ。 00088230L10ひのはかまか、まづ赤前だれ。そしていつゝ/衣(ぎぬ)ハ。はて、 00088240L11ほこりよけの上つぱりさ。/天窓(あたま)のかざりハ。アレハ置手ぬ 00088250L12ぐひのかハりさ。そしてあのぼう+まゆハ。あれか。あ 00088260L13れハ/鍋(なべ)ずミのくつついたのさ 00088270L14△△△△△景物△△御所おこし 00088280¥N42¥J 00088290¥X仁王の色男 00088300L17浅草の仁王、女郎買に行。女郎、さて+是ハ関取か。何 00088310L18でもとんだ大男と、思ひの外きやしやにて(二十一ウ)もて 00088320L19た。やがてきぬ※に、又いつ来なんすへと、御定りのせ 00088330L20なかをたゝいて、わかれた跡で、その/床(とこ)のうち、/蘭麝(らんじや)のか 00088340M1ほりふん+と、どふもいへぬ/匂(にほひ)がするハ。はて、がてん 00088350M2のいかぬと、/鼻(はな)をひこつかせて、そのはづ+。あの人ハ 00088360M3/匂(にほ)ふさんだもの 00088370M4△△△△△景物△△匂ひ袋にして袂おとし 00088380¥N43¥J 00088390¥X毘沙門の笑顔 00088400M7まづしき人ありけるが、ある人のいふにハ、びしやもんを 00088410M8つね※信心すれば、福徳をさづけ、うんを守るとかたる。 00088420M9それより古道具屋へゆき、ふるき/厨子入(づしいり)の(二十二オ)びし 00088430M10やもんをたづね出し持帰り、朝夕日+にしん※しける 00088440M11に、ある時、又&ふくとくをいのりけれバ、かの/厨子(づし)の内 00088450M12にて/笑(わら)ふ/声(こえ)聞えければ、/扉(とびら)をひらいて見るに、びしやもん 00088460M13大わらひ。かの人、大きにいかりて、これハどうだといへ 00088470M14ば、びしやもんおれが力になるくらいなれば、こんな内にハ 00088480M15いぬハい 00088490M16△△△△△景物△△福とく小判 00088500¥N44¥J 00088510¥X八丈島の/疱瘡(はうさう) 00088520M19/通(つう)な疱瘡/神(がミ)、もミやひぢりめんハおもしろくないと、八丈 00088530M20じまへわたり、いろ+ねだり事を(二十二ウ)いふ。つい 00088540¥P261 00088550L1にほうそうのわたらぬ嶋。きもをつぶし、赤いものを着せ 00088560L2うにも、もミ切レが五寸ない嶋、せう事がない。/疱瘡神(ほうさうがミ)の 00088570L3望ミの通り、かハり島の小袖、御召嶋の間着、八反がけの 00088580L4羽織をきせる。いきな/形(なり)に成と、疱瘡神がずいと、その形 00088590L5で吉原へ行気になる。とやかくとするうち、かせる笹湯を 00088600L6かけやうといへば、疱瘡神、さゝ湯ハいやだ。此形でゆく 00088610L7といふ。さゝ湯ハいやで、そしてどこへゆとへば、ヲ 00088620L8ラア田中の湯へゆく 00088630L9△△△△△景物△△あらい粉△(二十三オ) 00088640¥N45¥J 00088650¥X/真昼間(まつひるま)の光り物 00088660L12きのふお寺のうらへ、つりにいつたれば、昼中、とんだ光 00088670L13り物が出た。それでさほもびくもおいて迯て来た。はてな、 00088680L14それハどんなものだの。何かしらねへが、出たといふから、 00088690L15見ずににげた。よハいやつだ。おれだとつかまへて、見せ 00088700L16ものにするハへ。そんなら今からいつてミやれ。行かねる 00088710L17ものかといゝさま、しりをはしより、御寺のうらへいつた 00088720L18れば、そりや出たとの沙汰。どれとミたれば、/窓(まど)から十七 00088730L19八のふり袖がちらり(二十三ウ) 00088740M2△△△△△景物△△@大黒といふきどりニて△△△△△△△△|打出の小づちニてほいろ△△△△△△△|ほうしゆのたま△△とうのいもに水引で|△△△△△△△△△しばり△ちり+△@ 00088750¥N46¥J 00088760¥X/竹(たけ)に/鳳凰(ほうわう) 00088770M5どうらくもので、けしからぬうそをつくものゝ心やすき所 00088780M6へ行、きのふ、ふるまひにいつたら、馳走に席書があつた。 00088790M7その/画師(ゑし)が、竹に鳳凰を書たが、いやもう、きついものさ。 00088800M8おのしハとんだ事をいふ。/竹(たけ)に鳳凰といふ取合があるもの 00088810M9か。大方桐に鳳凰だらふ。イヽヤ、竹に鳳凰だ。そんなら 00088820M10おのしハ竹をしつているか。てまへたちとした事が。竹を 00088830M11しらねいでつまるもの(二十四オ)か。まづ竹ハ/節(ふし)がある。 00088840M12それ、こういふ葉の、よしか。そして鳳凰ハ。それをしつ 00088850M13てつまるものか 00088860M14△△△△△景物△△するが細工竹のさいはし△さゞひ 00088870¥N47¥J 00088880¥X若衆の飛清水 00088890M17清水の/舞台(ぶたい)に、傘をさして立人あり。住僧見とがめて、女 00088900M18かといへば、若衆じやといふ。なんぞ願望があるかといへ 00088910M19ば、いゝへ、かるわざの/稽古(けいこ) 00088920M20△△△△△景物△△からかさ 00088930¥P262 00088940¥N48¥J 00088950¥X墨絵の梅が/香(か) 00088960L3/墨絵(すミゑ)の梅、出来よろしく、匂ひまでありといふ。(二十四ウ) 00088970L4あまりふしぎさに、とりよせて見れバ、浅草紙にかいてあ 00088980L5つた 00088990L6△△△△△景物△△梅がへでんふ 00089000¥N49¥J 00089010¥X大黒のつり/竿(ざほ) 00089020L9大黒、つりにいきやした。/針(はり)をおろすと、大/鯛(だい)かゝり、び 00089030L10く+とひく。コレよせ+。おれだ 00089040L11△△△△△景物△△鯛 00089050¥N50¥J 00089060¥Xつかぬ鐘の声 00089070L14いつれのおゝん時にか有けん、ひとつの国より、わが国の 00089080L15智恵をはからんと、つかぬ鐘の声といふ/難題(なんだい)(二十五オ)を 00089090L16おくりける。時の/博士(はかせ)ども召して、此事かうがへ、/奏(さう)すべ 00089100L17しとあふせ事下りけるに、ひとりハ、わたり/丈(たけ)ばかりなる 00089110L18/時斗(とけい)つくりてつかせんと申。一人ハ、水車こそよけれと申 00089120L19す。又ひとりハ、/湊(ミなと)に/撞楼(しゆろう)つくりて、/轆轤(ろくろ)といふものして 00089130L20船をつなぎ、/潮(しほ)のさし引にまかせてつかせてんなんと、と 00089140M1り+に/奏(さう)し侍る。御門、いとおかしとおほしたれと、な 00089150M2を御こゝろゆかでやおハしけん、その比、今一休といへる 00089160M3大とこ侍ひけるをめして、しか+の事たづねとハせ給ふ 00089170M4とき、今一休/勅答(ちよくたう)申けるハ、此(二十五ウ)事、いとやすく 00089180M5こそ侍れ。つかで/鐘(かね)をならさんとならバ、たゞ打てならす 00089190M6べしとぞ 00089200M7△△△△△景物△△柄杓 00089210¥N51¥J 00089220¥X/隠里(かくれざと)の/大道(だいだう) 00089230M10/正直(せうぢき)もの、隠里よりめし/状(ぜう)来りて、よろこび、かくれ/里(ざと)へ 00089240M11ゆきミれば、ことのほか/繁昌(はんじやう)にて、/家居(いえゐ)、/町(まち)なミたちつゞ 00089250M12き、千両/富(どミ)の/錐(きり)をたつべき/壘地(らいち)なし。/大道(だいだう)にハ/金(こがね)の/砂(すな)をし 00089260M13きつめ、/万(よろづ)のたからを馬につけて、/往来(ゆきゝ)のたゆる間なきに 00089270M14ぎハひ。跡から/唐子(からこ)が/蚫貝(あハびかい)に/柄(ゑ)をつけて、何かさらつて 00089280M15(二十六オ)/居(ゐ)るを見れば、皆/宝珠(ほうしゆ)の/玉(たま) 00089290M16△△△△△景物△△あんころ餅△(二十六ウ) 00089300¥P263 00089310L1△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二十七オ・ウ) 00089320¥G 00089330¥Q 00089340M1△△△△△△△△△△△¥A春裡 00089350M2¥A沾嶺△△△△△¥A一臥 00089360M3△△△△△△△△△△△¥A三冬 00089370M4△△△△△△△△△△△¥A楚文 00089380M5△△△△△△△△△△△¥A提魚 00089390M6¥A晋朝△△△△△¥A芝桜 00089400M7¥A五秀△△△△△¥A文車 00089410M8¥A麗布△△△△△¥A三亀 00089420M9¥A志来△△△△△¥A花県 00089430M10¥A香蒲△△△△△¥A不言 00089440M11△△△△△△△△△△△△(二十七オ) 00089450M12△△△△△△△△△△△¥A牛後 00089460M13△△△△△△△△△△△¥A紀廸 00089470M14△△△△△△△△△△△¥A五関 00089480M15△△△△△△△△△△△¥A秀洪 00089490M17△△△△△△△△△△△¥A赤良 00089500M18安永九年子の初春 00089510M19△△△△△△△△△△△△(二十七ウ) 00089520¥P264 00089530¥U噺本大系△第十一巻 00089540¥T落噺;/大(おおきに)/御世話(おせわ)〔題簽〕 00089550¥G 00089560¥Y 00089570L16安永九年正月刊 00089580L17神真人序 00089590L18北川春水画 00089600L19竹川治助板 00089610L20小本一冊 00089620¥Y序 00089630M3/抑(そも+)/噺(はなし)の/濫觴(らんじやう)は、むかし+/大昔(すとむかし)、/老父(ぢゞい)と/老母(ばゞあ)と/有(あつた)とさ。 00089640M4/双人(ふたり)/揃(そろふ)て/能御歳(よいおとし)、そなた/百(ひやく)才かやわしや/九十九(くじゆく)、/歯(ハ)は/一本(いつほん) 00089650M5もないわいのと、たがいに(一オ)としと/歯(ハ)のないを、/毎= 00089660M6日(まい=にち)/笑(わら)ふて/暮(くら)せし/故(ゆへ)、/御歳(おとし)/歯無(はな)しと/云(いふ)ことを、いつの/頃(ころ)にや 00089670M7/云誤(いゝあやまる)、/落噺(おとしばなし)の/因縁(いんゑん)ハ、まつかく/斯(かく)の/次第也(しだいなり)。/老父(ぢゞい)ハ/朝(あさ)も 00089680M8/早(と)く/起(おき)て、/言(こと)の/葉艸(はぐさ)をかつて(一ウ)/帰(かへ)る。それをおばゞハ 00089690M9/洗濯(せんだく)して、一つ二つと/書(かき)つゞり、/終(つい)/一冊(いつさつ)となりけるを、/老= 00089700M10父(ぢゞ=い)ハやがて/手(て)に/取上(とりあげ)ケ、/今日(けふ)/新玉(あらたま)の/書初(かきそめ)と、/墨(すミ)/摺流(すりなが)し/筆(ふで)/染(そめ) 00089710M11て、/何(なに)とか/是(これ)を/名号(なづけ)んと、/額(ひたい)に/寄(よせ)る/老(おひ)の(二オ)(二ウ・三オ挿 00089720M12絵)なミ、ばゞあハ/煮花(にばな)を/差出(さしだ)して、お/茶(ちや)でもあがれと/云(いゝ) 00089730M13けれバ、/親父(おやぢ)/莞尓(につこ)と/打笑(うちわら)ひ、/大(おゝきに)/御世話(おせハ)と、すぐに/題(だい)しぬ 00089740M15△△△やすらかになかきの△△△なにことも 00089750M16△△△△△九つのとし△△△△△△△神真人 00089760M17△△△△△△△△めて度日△△△△△△△△△△敬白 00089770M18△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(三ウ) 00089780¥P265 00089790¥G(二ウ・三オ) 00089800¥N1¥J 00089810¥X/蜜柑(ミかん) 00089820M3/扨(さて)/先(まつ)御慶でござる。どなたも/御(ご)きげんよく/御越年(ごほつねん)、/目出(めで)た 00089830M4ふこざるといふ/内(うち)、/喰摘(くいつミ)をもつて/出(で)るを、/不思義(ふしぎ)そふにミ 00089840M5て、S申。ぶしつけながら、/此(この)/赤(あか)い丸い物ハ(四オ)なんで 00089850M6ござります△Sそれハ/代&(だい+)でござる△Sイヤ、此ちいさい 00089860M7のハ△Sミかんでござる。なぜお/聞(きゝ)被成る△Sヘヱ、アノ 00089870M8是がミかんと申物でござるか。はて/扨(さて)、なんと、壱つお/振= 00089880M9舞(ふる=まい)被成まいか△S/亭主(ていしゆ)、/大(おゝ)キにきもをつぶし、なんとおふ 00089890M10せらるゝ。(四ウ)アノ/貴公(きこう)にハ/此蜜柑(このミかん)、御存知ないか。是 00089900M11ハあまりうそらしいと云へバ、/客(きやく)、/真顔(まがほ)になり、Sイヤ、 00089910M12しんもつていつわりでござらぬ。はなしに/致(いたす)ため、たつた 00089920M13壱つ、御/振廻(ふるまい)なされ△Sそれがほんのことなら、なにより 00089930M14も(五オ)/安(やす)いこと。いくら/成(なり)と、おあがりなされ△S/夫(それ)ハ 00089940M15/忝(かたじけな)いと、かわをむいてたもとへ入るを、S/亭主(ていしゆ)、イヤ、 00089950M16かわハお/捨(すて)なされ△Sイヱ+、/是(これ)ハ/陣皮(ちんび(ママ))にいたす 00089960¥N2¥J 00089970¥X/催促(さいそく) 00089980M19Sヲヽ八兵衛どの。御出かへ△Sハイ。まづ(五ウ)よい春 00089990M20でござります。扨/旧冬(きふと)の/御約束(おやくそく)でござりますから、さんじ 00090000¥P266 00090010L1ました△Sアイ。成ほど、春しんぜふともふしたが、此/暮(くれ) 00090020L2にハ、もふさん※さ。そつち/斗(ばか)リでもなし。ほう※不 00090030L3残云わけだらけ。モウどふも(六オ)わしもこまりきつてい 00090040L4ます。いつそのこと、/春霞(はるがすミ)と出ずハなりますまい△S春霞 00090050L5とハへ。ヱヽ、/店引(たなびく)といふこゝろで。ぶんさんにでも被成 00090060L6るつもりかへ。Sインニヤ、横になろふと思ひます 00090070¥N3¥J 00090080¥X/四(し)の/字(じ)きらい△(六ウ) 00090090L9Sコレ、世間の者ハ、正月だといつて、思ひ+にたのし 00090100L10むに、てめへの様に、あきないにばかりせいだしても、つ 00090110L11まらぬ物だ。ちつと、ゆふきやうといふ事をしりやれな△ 00090120L12Sヘヱ、ソノゆふきやうとやらハ、ほけきやうとハ/違(ちが)い 00090130L13(七オ)ますか△Sイヤサ。ゆさんのことよ△S/遊山(ゆさん)かさん 00090140L14とハ、五の段の/割声(わりこへ)かへ△Sインニヤヨ。女郎でも買に/行(ゆく) 00090150L15といふことよ△Sヘヱ、そのことかへ。イヱ、わたくしハ 00090160L16生れ付て、四の字がきついきらい。吉原、品川、新宿、其 00090170L17外はし※と(七ウ)アレ、不残四の字が付ますから、聞も 00090180L18いやで、咄す内も身うちがぞく+と申ます△Sムウ、そ 00090190L19んならなせ、しまつをしやる 00090200¥N4¥J 00090210¥X/掛物(かけもの) 00090220M3/振舞(ふるまい)に/呼(よば)れ、床の間に/龍(りやう)(八オ)/虎(こ)の二/幅(ふく)/対(つい)の/掛(かけ)てあるを見 00090230M4て、S扨+めづらしいおかけ物。とんといきて居るよふ 00090240M5でござる。/併(しかし)あれハ、なんと申物でござるな△Sイヤ、是 00090250M6ハ/古法眼(こほうけん)の龍虎でござる△Sヘヱ左様なら、あの右が古法 00090260M7眼で(八ウ)左リが龍虎とやらでござりますか△Sイヤ+。 00090270M8右がりやう、左がとらでござる。古法眼と申ハ、/則(すなわち)画工 00090280M9の名でござります△Sヘヱヽ、夫できこへました。成ほど、 00090290M10アヽよくかきました。アノたくましい/顔色(がんしよく)。イヤハヤ、/驚(おどろ) 00090300M11き(九オ)入ました。ときに、まだ承りたい義がござる。な 00090310M12んと、あれでハどちらがつよふござろふ 00090320¥N5¥J 00090330¥X/金持(かねもち)に/成(なる)伝 00090340M15/金銀(きんぎん)ためやう/指南(しなん)所といふ書付を見て、Sコレハなんでも 00090350M16よく(九ウ)した物と、案内をこい、内に入、何卒御/伝授(でんじゆ)被 00090360M17下といふ。S成ほど、おつたへもふさふが、まづ百七十日 00090370M18があいだ、私が申通りに、ぎやうを被成て、とくと御/心腹(しんふく) 00090380M19をためした上でなふてハ、御伝授ハ申されぬが、(十オ)/御= 00090390M20合点(ご=がつてん)でござるか△Sイヤモ、如何様な儀でも、あふせの通 00090400¥P267 00090410L1りに致しませふといふゆへ、然はとて、古き/単物(ひとへもの)ひとつ/着(き) 00090420L2せ、三七日があいだ、毎日/二食(にじき)にて置、また七七日が間、 00090430L3丸はだかにして、/一食(いつしよく)にて置けれバ、さむさひだるさ(十ウ) 00090440L4こたへかね、中+是にてハ命も/続(つゞ)くまじと、さめ※と 00090450L5なげくを、Sイヤ、今少しのしんぼうじや。こらへさつし 00090460L6やれと、とやこふ云内、ぎやうも首尾よく/済(すミ)、又百日が間、 00090470L7もとのごとく二食にして、袷壱つ着せ、(十一オ)△Sナヲ是 00090480L8でハ死にハせまいかと云へバ、S此ぶんにてハ、死もいた 00090490L9しますまい△S然ラは此通りに、一生が間二食にして、極 00090500L10寒にも袷壱つ着て、随分とかせがつしやい。/夫(それ)でハ金がた 00090510L11まろふ(十一ウ) 00090520¥N6¥J 00090530¥X/無心中(ぶしんぢう) 00090540L14水の/出(で)ばなの/浮気(うわき)どし、/互(たがい)に/替(かわ)るなかわらじと、言かわせ 00090550L15しもそわれぬ/義理(ぎり)、/死(しん)でミらいでそわんとて、/二人(ふたり)手に手 00090560L16を取かわし、/心中(しんじう)にハ出けれども、ふと道にて(十二オ)心 00090570L17替り、何とそして/迯(のがれ)んとおもひ、Sコレ、そなたと一所に 00090580L18居て、たがいに顔を見るならバ、心おくれてしそんぜんも 00090590L19はかりがたし。そふした時ニハ/恥(はぢ)のはぢ。さいわい+此 00090600L20土手をへたて、南無阿弥陀仏の一声を(十二ウ)/相図(あいづ)にして、 00090610M1一所に/最期(さいご)をとげんとて、土手を/隔(へだて)て立別れ、なむあミだ 00090620M2ぶつと大声上、暫く様子をうかゞいて、最早女ハ死につら 00090630M3ん。さらバ此間に/迯(にげ)ませうと、そろ+と四つばいに、土 00090640M4手の上へはいあがる。(十三オ)女も、男がしんだらバ迯ん 00090650M5物と、互ニ土手の上へはいあがり、おもわずはたと顔と顔、 00090660M6たがいにびつくり。Sハアヽ、サアこんどハ、本に死のふ 00090670M7の 00090680¥N7¥J 00090690¥X/夜(よ)ばい 00090700M10今夜ハ向ふの権右衛門が留主だ(十三ウ)そふな。なんでも 00090710M11/晩(ばん)にいつて、かゝあをせしめうるしとでやふと、夜の/更(ふく)る 00090720M12を待て、そつと裏口の戸を明てはいつた所が、思ひの外、 00090730M13亭主が内に居て、物音に目を覚し、Sたれだといふに、/彼(かの) 00090740M14男びつくり(十四オ)して、生た心地ハなく、ちいさく成て 00090750M15居れバ、亭主、あたまを上ケてうかゞへども、なんの事も 00090760M16なし。Sアヽ、また犬だそふなといふに、すこしちからを 00090770M17へ、彼男、Sわん+といふ。亭主、がつてんの行ぬこと 00090780M18に思ひ、(十四ウ)アヽイヤ、猫だハへといふに、/彼(かの)おとこ 00090790M19また、Sニヤアン+。いよ+/不思義(ふしぎ)におもひ、S但し 00090800M20鼠かしらん△S彼男又、チウ+。亭主、おかしく思ひ、 00090810¥P268 00090820L1なんでもこいつ、こまらせてくれんと/工夫(くふう)して、Sイヤ 00090830L2+、こんな時にハ、ゑて/化物(ばけもの)が出る(十五オ)物だ。ばけ 00090840L3物だもしれぬといふに、彼おとこ、是にこまり、暫らくし 00090850L4あんして、/障子(せうじ)をぐわた※とならし、Sもゝんぐわあ 00090860¥N8¥J 00090870¥X/瘡毒(そうどく) 00090880L7/彼(かの)所へ出来物ができて、段+と(十五ウ)はれ、殊の外/痛(いたミ) 00090890L8たへがたく、浅艸辺に/奇妙(きめう)成薬あると聞て、びつこ引+ 00090900L9つらをしかめて、漸と浅草御門の内で、友/達(だち)に行あい、友 00090910L10Sどふした。れいこくハゑいか△Sインニヤヨ。此中£又 00090920L11はれて、もふいたくてこたへ(十六オ)られぬとはなすを、 00090930L12御ばん所から、通れといわれて、/歩行(あるき)ながら、友Sそりや 00090940L13こまつた物だ。此中よりはれたか△Sイヤモウ、はれた所 00090950L14か、おそろしくはれた。是、みてくりやれと、まへをまく 00090960L15れバ、Sまた御ばん所から、Sヤイ。(十六ウ)そこへ小便 00090970L16ハならぬハ 00090980¥N9¥J 00090990¥X/犬(いぬ) 00091000L19夜中/時分(じぶん)に、表できびしく犬がなく故、親父目を/覚(さま)し、ア 00091010L20レ、犬がけしからずほへる。どろぼうだもしれぬ。見てこ 00091020M1いと、娘を起す。(十七オ)Sむすめ、目を覚して、どふも 00091030M2私ハこわいと云。親仁Sべらぼふめ。十八十九に成て、や 00091040M3くにたゝぬやつだ。見てこいとしかられ、こわ※戸を明 00091050M4て見れバ、犬のつるむのなれバ、その通りもいわれず、な 00091060M5んでもござりま(十七ウ)せんといふ口の下から、又かミ付 00091070M6やふにほへて、戸へあたれバ、親父はねおき、あのやふに 00091080M7犬のさわぐハ、たゞことでハない。ヱヽ、やくにたゝぬや 00091090M8つだ。こつちへのけと、/小言(こゞと)いゝながら、表の戸をぐハら 00091100M9りとあけて見て、Sほんに、(十八オ)なんでもない 00091110¥N10¥J 00091120¥X/駄賃馬(だちんむま) 00091130M12/在郷(ざいこう)道にかゝり、殊の外くたびれ、馬をかり、乗て行なが 00091140M13ら、馬の上で、したゝかな屁をひれバ、/馬士(まご)、大きにはら 00091150M14立、Sおまへハとんだ(十八ウ)事をさつしやる。馬ハ/馬頭(ばとう) 00091160M15くわんおん様でござる。夫レにもつたいない。馬の上で/屁(へ) 00091170M16をひるといふ事が有物かとしかれバ、S成程もつともだ。 00091180M17是ハあやまつたが、そんなら又、屁をひつてさへもつたい 00091190M18ない其(十九オ)/観音(くハんおん)様へ、なぜこへたごを付るぞ。たゞし、 00091200M19くそハたれでもよいのかといわれて、/馬士(まご)も此/返答(へんとう)にこま 00091210M20り、Sヱヽよふごんす。そんならこやしだとおもつて、乗 00091220¥P269 00091230L1せて行ませふハ 00091240¥N11¥J 00091250¥X/看板(かんばん)(十九ウ) 00091260L4かゝさんや。爰の内を見な。大きな袋をつるして置たハお 00091270L5かしいの。Sヲヽ、是ハ/薬(くすり)やのかんばんさ。内を見やれ。 00091280L6あのやふに袋がたんとある△Sハアほんになあ、あの袋の 00091290L7かんばんだのと、行先キに、かつはやの(廿オ)かんばんを 00091300L8見付て、あれかゝさん、ミな。/火(ひ)の/見(ミ)やぐらのかんばんが 00091310¥N12¥J 00091320¥X/桶(おけ)ぶせ 00091330L11若殿様、吉原へおしのびのおん出もたびかさなりて、/揚代(あげだい) 00091340L12もつもり+て三百両。金の代りに渡すべき/鎧(よろい)さへ(廿ウ) 00091350L13/遠(とを)に/質屋(ひちや)へ置のいし、おしきせのことく/桶(おけ)ぶせの/御難義(ごなんぎ)。 00091360L14大殿へしれてハ大事と、奥方の御なげき、やるかたなく、 00091370L15いろ+と内証でさいかくして、三百両調へ、おく家老に 00091380L16申ふくめ、吉原へ遣さるれバ、(二十一オ)扨若イ者にあい、 00091390L17金子をわたし、ねんのための一札を出せといふに、此若者 00091400L18/無筆(むひつ)にて、とふはくせしが、/暫(しバら)く/思案(しあん)し、やがて鼻紙をも 00091410L19んで出すを見て、Sムウ、是が請取か△S左様でござりま 00091420L20す。すべて色里の(二十一ウ)ならいにて、かやふに鼻紙を 00091430M1もミましたハ、とりましたと申しるしでござりますといへ 00091440M2バ、Sムウなるほど。さふいやれバ、かいたよりハましな 00091450M3ほふかい 00091460¥N13¥J 00091470¥X/仁王(におふ)(二十二オ) 00091480M6/田舎者(いなかもの)二人づれにて、江戸見物に出て、作左どの。おミ様 00091490M7ハたび※お江戸へおでやつて、/勝手(かつて)ハよくしりなさ/るろ((ママ))。 00091500M8まづ浅草さまへつれて行めされ。Sヲヽサ。おれにしたが 00091510M9つてきなさろよと、先キに(二十二ウ)立。程なく/雷神門(かミなりもん)。 00091520M10サア是が浅草様だあ。申、此御門番ハ、お/雷(かミなり)さまと風の神 00091530M11様だ。よくおがミなさろよ。Sアヽ成ほど、おそろしげな 00091540M12アおまなこざしさまだアといゝて内へ入り、Sコレ+。 00091550M13是をおがミなさろ。此御門(二十三オ)番ハ、又お/仁王(におう)さま 00091560M14だア△Sヲヤ、うつたまげたア。でかいおにおふさまだあ。 00091570M15もふし、こつちらのがおにおふ様ならバ、あつちらのハあ 00091580M16んだんべいナ△Sハテしれたこと。団三郎さまだアハよ 00091590M17(二十三ウ) 00091600¥N14¥J 00091610¥X/御神体(ごしんたい) 00091620M20/粟嶋(あわしま)/大明神(だいめうじん)のしんたいハ、何ンであらふと云へバ、Sハテ 00091630¥P270 00091640L1しれたこと。大明神だから男だといふを、Sイヤ+、女 00091650L2神だといふこつた△Sイヤ、そふでハないと、あらそいに 00091660L3成、/論(ろん)がひねハ、(二十四オ)そんならさいわいと横町の/神= 00091670L4道者(しん=とうじや)の所に、粟嶋を/祭(まつゝ)て置くさふな。聞にやるがよいと、 00091680L5/小僧(こぞう)をきゝにやれハ、小僧程なく帰る。Sどふだ。聞てき 00091690L6たか。何ンと言た△小僧Sアイ。粟嶋様の神/体(たい)ハ(二十四ウ) 00091700L7なんでござると申ましたれバ、/御幣(ごへい)じやといわれました△ 00091710L8Sソリヤこそな、五平ならバ男だハ 00091720¥N15¥J 00091730¥X/医者(いしや) 00091740L11家根から/飛(とぶ)とてふミはづし、まつさかさまに/落(おち)て目をまわ 00091750L12し、(二十五オ)ソレ/医(い)者よ薬よと、らんちき大騒キ。/砂村(すなむら) 00091760L13/玄伯老(げんはくろう)、早速見舞われ、/脉(ミやく)をとつて見て、Sアヽ、是ハた 00091770L14んでござる。薬を進上いたさふといふに、家内あきれて、 00091780L15S申、玄伯様。よくごろふじませ。たんでハござりま(二 00091790L16十五ウ)せぬ。只今家根から落られました。たんと御見立な 00091800L17されてハ、きつふ/相違(そふい)いたしますといわれ、医者も、扨ハ 00091810L18そふかとびつくりせしが、だいまけおしミにて、Sイヤ 00091820L19+、左様でござらぬ。/勿論(もちろん)家根からおちられ(二十六オ)た 00091830L20と、/脉(ミやく)にもミへます。なれども是、/元(もと)ハたんでござるとい 00091840M1ふに、いよ+あきれて、S夫ハ/如何(いかゞ)の/訳合(わけやい)と/問(とわ)れて、 00091850M2Sハテ、もとじやうだんがこふじて、家根へあがり、ふミ 00091860M3はづして落ると申ハ、ひつきやう油断でござる(二十六ウ) 00091870¥N16¥J 00091880¥X/白狐(びやつこ) 00091890M6Sモシ、此間/王子(おふじ)の/稲荷(いなり)へ白狐があつまつて、角力を取と 00091900M7承りました。其様な/噂(うわさ)をおきゝなされたか。どふかうそら 00091910M8しいことでござるといへバ、S成程、左様申ことでござる 00091920M9が、(二十七オ)/能(よく)+承れバ、是も人のせつそふにござる 00091930M10といふを、/傍(そバ)で聞て居て、なんでもあたらしい内はなしま 00091940M11せふと、すぐに友達の所へ行、Sコレ、珍しい事がある。 00091950M12アノ、どことやらへ、だつこがでるといふことだが、よく 00091960M13(二十七ウ)きけバ、人のけつだげなよ 00091970¥N17¥J 00091980¥X/大工(だいく) 00091990M16大工、/女郎(ぢよろう)買に行、床になれバ、女郎も/暫(しバら)くあつて/来(きた)り、 00092000M17もたれかゝつて、Sモシヱ。ぬしハどこだへ△S本町だ△ 00092010M18Sぬしの/商売(しやうばい)ハへ(二十八オ)Sおれ/が((ママ))。おれハアノ、/呉服(ごふく) 00092020M19やさ△Sハアそんなら、こんどきなんす時、もミの切を二 00092030M20三尺、もつてきておくれなんしといへバ、Sなに、もミの 00092040¥P271 00092050L1切、なんにしやる。ヱヽたなでもつるのか 00092060¥N18¥J 00092070¥X/田舎者(いなかもの)(二十八ウ) 00092080L4/田舎出(いなかで)の下女をおき、女房S言葉を/直(なを)しやれ。/兎角(とかく)女ハた 00092090L5しなミが/第一(だいいち)。其内にも、/言葉(ことば)であいそもつきる物じや。 00092100L6銭の事ハおあし。しりのことハおいど、またハいしきなど 00092110L7ゝいやれと、/兼(かね)+いわれける。あるとき(二十九オ)/旦那(だんな) 00092120L8が、コレおさんよ。あれ、すばしりが通る。はやく/呼(よべ)とい 00092130L9わるれバ、門へ出て、Sモシ、すばのおいどよ、すバいし 00092140L10きよといふを、三助がきいて、Sヱヽ、此人ハじれつたい。 00092150L11そんなやさしいこつて来る物かと、大声あげて、Sヤイ、 00092160L12(二十九ウ)すばつけつよ 00092170¥N19¥J 00092180¥X/悔(くやミ) 00092190L15何ンにも知らぬ男が/悔(くやミ)に行。ミんなそれ+に、とむらい 00092200L16ハなん時だの、やれ寺ハどこだのと聞て帰る。おれもなん 00092210L17ぞきいて帰りたい物と、(三十オ)いろ+/考(かんがへ)へてミても、 00092220L18さしたるおもひ付もなし。ふとこゝろ付て、Sモシ、やつ 00092230L19ばり仏ハ寺へやらつしやりますか 00092240¥N20¥J 00092250¥X/狩人(かりうど) 00092260M3大雪に/深山(しんざん)へわけ入しが、ふミ(三十ウ)はつして、はるか 00092270M4の谷へおちたり。あたりを見れバ、大キ成/洞穴(ほらあな)に/熊(くま)弐疋い 00092280M5たり。南無三宝、我一命、今日にかきれり。いかゞすべし 00092290M6と思ひしが、かねて聞、ちくしやうなれども、熊ハ/義心(ぎしん)/深(ふか) 00092300M7き物なる(三十一オ)よし。さらバ頼ミてみんと、かの/洞(ほら)の 00092310M8前へひざまづき、なんとぞたすけくれよと、さめ※とな 00092320M9きけれバ、かの熊打うなづき、洞の内へまねきけれバ、/猟= 00092330M10人(かり=うど)もこわ※ながら内に入る。壱疋の熊、おのれが手をな 00092340M11め(三十一ウ)るまねしてさし出しけれは、猟人も、我にな 00092350M12めよといふ事とおもへども、何ンとやらきミわるく、しり 00092360M13ごミして居れバ、又壱疋の熊、手をなめて出す故、こわ 00092370M14※ながら熊の手をなめて見れバ、其あまき事、(三十二オ) 00092380M15たとへんかたなし。また一疋の熊、手を出すゆへ、こんど 00092390M16ハ熊の手をよくなめけれバ、熊Sヲヽ、能なじんだわへ 00092400¥N21¥J 00092410¥X/茶(ちや)の/湯(ゆ) 00092420M19/上座(せうざ)の/客(きやく)が、あをばなをたらしながら/挨拶(あいさつ)して、/茶碗(ちやわん)を取 00092430M20上ケ(三十二ウ)一口のむと、/彼(か)ノ青ばなが、茶碗の内へぼ 00092440¥P272 00092450L1たりと落たを、しらずに廻す。次の客ハいやながら請取、 00092460L2茶わんの内に青ばなのういて居るを、ふういと一ト/吹(ふき)/吹(ふ)け 00092470L3バ、むこふの/岸(きし)へつく所を、手前のかたをちよつと(三十 00092480L4三オ)一ト口のんで、早+/次(つき)へ渡し、段+かくの通り 00092490L5にして渡しけれハ、いつち/末座(ばつさ)の/客(きやく)ハ、最前£いろ+と 00092500L6しあんしても、/所詮(しよせん)のがれべき/手段(てだん)もなく、/是悲(ぜひ)/呑(のま)ねバな 00092510L7らぬ手づめなれバ、死身になつて、むね(三十三ウ)をすへ、 00092520L8顔をしかめて目をふさぎ、南無阿弥陀仏と、ぐつと一口に 00092530L9のんだ 00092540¥N22¥J 00092550¥X/化狐(ばけぎつね) 00092560L12若イ者/寄集(よりあつ□)り、S狐が人をばかして、其上/坊主(ぼふず)にするとい 00092570L13ふ事じやと/咄(はな)すを、聞ぬ/気(き)な男が、Sイヤ、是ハ(三十四オ) 00092580L14/合点(がてん)がいかぬ。狐が人を/化(ばか)すさへうそら/う((ママ))しいに、/坊主(ぼふず)に 00092590L15するとハめつそふなこしらへ事とわらへバ、Sソレテモ、 00092600L16おれが知た者が坊主にされた△S人ハしらんが、おいらを 00092610L17ばかす狐ハあるまい△Sそんな者のくせに、ばかされる 00092620L18(三十四ウ)物よ。そんなら今からいつてミやれ△Sヲヽ、 00092630L19ばけ狐をひつくゝつて、ミやげに持てこよふ△S是ハおも 00092640L20しろい。そんならいきやれ△Sヲヽまつていやれと、/広言(ごうげん) 00092650M1はいて出て行。Sさて+気の/強(つよ)いやつかな。なんと、あ 00092660M2とから(三十五オ)いつて見よふでハないかと、皆+/打連(うちつれ) 00092670M3立て行ミれバ、はや/彼(かの)男ハ丸坊主にされて、まじ+して 00092680M4居る。扨こそと、おかしさをこたへ、Sどふだ+といへ 00092690M5バ、Sイヤ+、まだ+といふ。Sおのしがあたまハど 00092700M6ふしたと(三十五ウ)いわれ、なにごゝろなくなで/廻(まわ)し、き 00092710M7もをつぶして、Sイヤ、コイツハ/奇妙(きめう)だ 00092720¥N23¥J 00092730¥X/蟻(あり) 00092740M10/米(こめ)/一粒(いちりう)を蟻が二三疋して、ゑいさ+と引てきて、Sサア 00092750M11ちつと/休(やす)まふ。扨おいらが此/様(やう)に、二三人で(三十六オ)や 00092760M12つと引ずる此米を、/人間(にんげん)といふものハ、めしといふ物にこ 00092770M13しらへて、/親椀(おやわん)といふ物へ/盛(も)る所が、なん/万(まん)/何億(なんおく)か数もし 00092780M14れぬ米を、三四はいづゝ/喰(くふ)といふ事だ。して見れバ、人間 00092790M15といふ物ハ、とほうもない大キな(三十六ウ)物と見へると 00092800M16いへバ、残りの蟻ども、口を揃へて、Sコイツハうそらし 00092810M17い 00092820¥N24¥J 00092830¥X/火事(くハじ) 00092840M20それ八助。火事があるそふで、だいぶんはんせうがなる。 00092850¥P273 00092860L1そしてどこか、打まぜもきこへるやふだ。/近(ちか)いも(三十七オ) 00092870L2しれぬ。はやく/表(おもて)へ出て見ろと云。八助も、Sハイト門口 00092880L3へ出て、いへ+。火事ハ/遠(とを)いそふでござる。亭主S夫レ 00092890L4にしてハだいぶ世間がさわがしい。こんな時ハ、ゑて近い 00092900L5物だと表へ出て、Sヲヽ火事ハ/隣町(となりてう)だわへ。おゝ(三十七ウ) 00092910L6べらぼうめが。何を見て、/遠(とを)いとぬかしおるとしかられ、 00092920L7八助Sそれでも遠いそふで、火けしハミんな、わらんじで 00092930L8行ます 00092940¥N25¥J 00092950¥Xふとん 00092960L11ひとり者の/所(ところ)へとまり、ふとん(三十八オ)壱つを/二リ人((ママ))し 00092970L12て着て/寐(ね)る。夜中に/寒(さむ)く成て目が/覚(さめ)て見れバ、/亭主(ていしゆ)斗リふ 00092980L13とんを着てねて居るゆへ、そつとひつぱいで着て、そろ 00092990L14+とあたゝかに成て、とろ+とねたとおもつたら、又 00093000L15亭主が目が(三十八ウ)/明(あい)て、あつちへひつぱりこつちへ引 00093010L16ぱり、とふ+のちハ/草臥(くたびれ)はてゝ、ほくち箱をさがし、火 00093020L17を打付てたばこを/呑(のめ)バ、亭主も目を/覚(さま)し、あをむいて見て、 00093030L18Sモウ夜明ケか△Sインニヤ、まだ七つまへだ△Sなぜ、 00093040L19おきた(三十九オ)△Sイヤ、ちつと/休(やす)まふよ 00093050¥N26¥J 00093060¥X/魔(ま) 00093070M3娘がぶら+と/煩(わづら)ひ、どふやら一チ日ましにはらが大キク 00093080M4見へ、とかく/酢(す)イ物を/好(このむ)ハ、いよ+がてん行ぬ事と、う 00093090M5バに聞せけれバ、娘もまつすぐに(三十九ウ)はくじやうし 00093100M6て、男ハ見せの若イ者の内じやとのこと。其通りふた/親(おや)の 00093110M7/耳(ミヽ)へ入れバ、親/仁(ぢ)ハもつてのほかのはら立、母親ハ/気(き)の/毒(どく) 00093120M8がり、S/扨(さて)+こまりさつた物じや。まだ其様な事ハしら 00093130M9ん+とおもつていたに、(四十オ)どふもさ、/兎角(とかく)/魔(ま)のさ 00093140M10したがるにハこまるといふを、内のでつちが/傍(そバ)に/居(い)て、△ 00093150M11S申、おかミさんへ。なにさ。ま/斗(ばか)リならゑへがね、アノ、 00093160M12らもさしました 00093170¥N27¥J 00093180¥X/文字(もんじ)△(四十ウ) 00093190M15/扨(さて)+/文字(もじ)といふ物ハ、/皆(ミな)りくつづめて/拵(こしらへ)たものだ。まづ 00093200M16/金(かね)の字をはなして見ると、人の/主(ぬし)とよむ。これらハ成ほど 00093210M17もつともな事だといふ。Sいかさま、おもしろいりくつだ 00093220M18が、まちやれよ。其金といふ字も、(四十一オ)/真(しん)でハ人の 00093230M19主でハないぞや△Sアヽ、此男ハぐちな事をいふ。/死(しん)でハ 00093240M20いらぬ物じや 00093250¥P274 00093260¥N28¥J 00093270¥X/大食(たいしよく) 00093280L3/目(め)の/寄所(よるところ)へ/玉(たま)が寄とやら。旦那殿がくらいぬけなれバ、家 00093290L4来も/勝(すぐれ)ての(四十一ウ)大ぐらい。なにか/主(しう)と/家来(けらい)とくふ程 00093300L5に+、/二リ人((ママ))して一チ日に壱斗七八升程づゝ、ほんに/信= 00093310L6濃(しな=の)も/干鱈(ひだら)を遣ふほどのたいしよく。ある時だんな、家来に 00093320L7向ひ、Sヤイやミの夜。コリヤやミの夜と云バ、返事せず。 00093330L8Sヤイ(四十二オ)やミの夜。返事をせい△家来Sわたくし 00093340L9かへ△旦那Sヲヽ△家来Sなぜ、やミの夜とおつしやりま 00093350L10す△旦那Sハテ、くろふてやくにたゝぬ△家来Sへヱ、そ 00093360L11んならおまへ様ハ、神なし月でござります△旦那Sなぜ△ 00093370L12家来Sまいつても、やくにたちませぬ(四十二ウ) 00093380¥N29¥J 00093390¥X/猫(ねこ) 00093400L15S/是(これ)、/猫(ねこ)を一疋もらつたが、なんぞ此うへなしと云、きつ 00093410L16い名を付たい。なにがよかろふ△Sなんでも此上なしなら 00093420L17バ、てんとう様さ△Sそんなら天道様と付やふかの△Sし 00093430L18かし、てんとう様でも(四十三オ)/雲(くも)といふやつにハかなわ 00093440L19ぬさ△Sそんなら雲と/付(つけ)やふ△Sまちやれよ。雲も/風(かぜ)にハ 00093450L20かなわぬハ△Sそんなら風か△Sイヤ+、風も/屏風(べうぶ)とい 00093460M1ふやつにハかなわぬの△Sそんなら屏風さ△Sイヤ、まち 00093470M2やれよ。屏風も/鼠(ねずミ)がかぢりちら(四十三ウ)かすを見てハ、 00093480M3鼠にハかなわぬそふなわい△Sむつかしい事ハない。そん 00093490M4なら鼠と付よふわいな△Sイヤ+、ねずミハ/猫(ねこ)にハかな 00093500M5わぬぞや△Sなんの事だ。そんならやつぱり、猫でおこふ 00093510M6(四十四オ) 00093520¥N30¥J 00093530¥X/蝋燭(らうそく) 00093540M9/片田舎(かたいなか)へ、江戸の/縁者(ゑんじや)より、らうそくを一箱やれバ、一ツ 00093550M10家不残あつまりて、是ハ/替(かわつ)た物じや。なんであらふと/評判(へうばん) 00093560M11しても、/一向(いちこう)に/知(し)る人なく、もてあまして、ひよつとくい 00093570M12(四十四ウ)物でハ有まいかと、一ト口/喰(くつ)てミれバ、/至極(しごく)や 00093580M13わらか故、いよ+喰物にぎぜうして、ミな+打寄/喰(くう)/折= 00093590M14節(おり=ふし)、庄屋どのがひよつくり/来(き)て、此ていを見てきもをつぶ 00093600M15し、Sヤレ、てんこちもない事をしめさる。これハ(四十五 00093610M16オ)まへと大坂で見た。/口(くち)から/火(ひ)を吹ものたわへ。それを 00093620M17喰てたまる物か。さあ+/大事(おゝごと)だ+。喰た者ハ不残、/池(いけ) 00093630M18へはいらつしやいといゝすて、すぐに村中を/棒(ぼう)をついて、 00093640M19火の用心+(四十五ウ) 00093650¥P275 00093660¥N31¥J 00093670¥X/安物(やすもの) 00093680L3アヽ奉公人をおく/迚(とて)も、/信濃(しなの)者なぞおく物でハない。まづ 00093690L4第一ぶき/様(やう)で、其くせ/大飯(おゝめし)斗リ打くらつて、気ばかりもめ 00093700L5て、なんの/役(やく)に立ものでハない。Sイヤ+、其/位(くらい)な事ハ 00093710L6りやう(四十六オ)けんせいでハならぬ△Sソリヤなぜ 00093720L7Sはて扨、其替りにハ/給金(きうきん)が安い。ちつとばかりふしやう 00093730L8しても、安いものを遣ふが、/勘定(かんぜふ)づくでござるといへバ、 00093740L9S亭主、顔をしかめて、Sアヽ気のどくな。こなたも安物 00093750L10の米うしないだ(四十六ウ) 00093760¥N32¥J 00093770¥X/天地人(てんちじん) 00093780L13Sコレ、天地人といふ事を知て居るか△Sムンニヤ、しら 00093790L14ねへ。てまへ、知て居るか△Sしらねへじやあさ。先つ/人= 00093800L15間(にん=けん)のあたまハ天にたとへた物だ。あたまのあをいハ/則(すなわち)青 00093810L16/空(ぞら)だ△S成程、そふ(四十七オ)ありそふな物だ。そりやア 00093820L17ゑゝが、そんならあの黒い雲の出る時ハ、どふしたものだ 00093830L18Sあれか。あれハなで付がつそうのたぐひさ△Sムウ、是 00093840L19も聞たが、あの日の入ルに雲が/赤(あか)くなる時がある。あれハ 00093850L20どふだ△Sハテ、入日ハ(四十七ウ)/則(すなわち)、/親仁(おやじ)/年寄(としより)のあたま 00093860M1だから、赤いはづだ△Sこいつハゑゝ。そんならまだある。 00093870M2あの/白(しろ)い/雲(くも)の/出(で)る時ハ△Sヱヽくどひ男だ。白雲ハ二才や 00093880M3ろうのあたまた 00093890¥N33¥J 00093900¥X/小僧(こぞう)(四十八オ) 00093910M6/旦那殿(だんなどの)、何か/大腹立(おゝはらたち)。/小僧(こぞう)をしゆろぼう/木(き)で、むしやうに 00093920M7たゝけバ、家内の者あわて取さへ、/如何(いかゞ)の/訳(わけ)ととりすがる。 00093930M8Sイヤサ。こいつめがにくいやつ。おれがしかつたれバ、 00093940M9くそともおもわぬとぬかしおる。捨ておくとくせに成故、 00093950M10(四十八ウ)せつかんする。こゝはなせといわるれバ、Sな 00093960M11る程、御尤でござる。さふたい日頃から、ちつと口がすぎ 00093970M12ます。どこのくにゝ、旦那様に/其様(そのやう)な事をいふといふ事が 00093980M13有物か。まづ+今日ハ御かんにん。私共がとくと申付ま 00093990M14せふと云故、(四十九オ)しからバと、旦那もほふきをなげ 00094000M15捨、/小僧(こぞう)をにらみ付ケ、Sうぬ、にくいやつだ。こんどか 00094010M16ら、くそと思ひおろう 00094020¥N34¥J 00094030¥X/紋所(もんどころ) 00094040M19コレ、/釘(くぎ)ぬきハ/奴(やつこ)の定もんの様になつているが、どふした 00094050M20物だ。あれにも(四十九ウ)なんぞ、いわれでもあるかの。 00094060¥P276 00094070L1Sなにさ。いわれハないけれ共、四角四面でさつはりとし 00094080L2たもんだから、そこでさ△Sそんなら、あの/蛇(じや)の目ハ丸い 00094090L3もんだが、あれも/奴(やつこ)のもんに付る。あれハどふだ△Sハテ、 00094100L4わるいがつてんだ。じやの(五十オ)目も/釘貫(くぎぬき)も、おんなじ 00094110L5ことだ△Sなぜ△Sハテ、くぎぬきハ蛇の目を/真(しん)て/書(かい)た物 00094120L6だ 00094130¥N35¥J 00094140¥X/小判(こばん) 00094150L9/鳶(とび)の者、毎日+小判五両斗リ出して見てハ/笑(わら)ひ、だして 00094160L10見てハ(五十ウ)わらい、仕事もやめて、一日わろふにかゝ 00094170L11つて/居(い)れバ、/家主(いへぬし)見付て、Sコレ、貴様ハ此/頃(ごろ)うち、其金 00094180L12を見てハわらつて斗リ居て、仕事にも出ぬが、マア何が、 00094190L13そのやふにおかしいといへバ、S/大屋(おゝや)さん。是がおかしく 00094200L14なくつて(五十一オ)どふするもんでござへす△Sなぜ、お 00094210L15かしい△Sハテ、此金をよそでかりてきやしたが、是をか 00094220L16へすまいとおもへバ、いつそおかしくてなりやしねへ 00094230¥N36¥J 00094240¥X/蒲焼(かばやき) 00094250L19しわいやつ、うなぎやへ行て、かばや(五十一ウ)きのにほ 00094260L20いをかいで来てハ、それをさいに/食(めし)をくふ。うなぎや、あ 00094270M1まりしわいやつだ。にくさもにくしと、/書出(かきだ)しを持て行ク。 00094280M2Sコレ、おれハかりた/覚(おぼへ)ハないぞへ△Sイヱ、/蒲焼(かバやき)のかぎ 00094290M3だいが八百文ござります。にほひを(五十二オ)かいでハく 00094300M4つた/気(き)になつてござるから、こつちでもくわせた気になつ 00094310M5て、銭を/取(とり)にきましたと、/理(り)のとふぜんニ、しかたなく八 00094320M6百文、/板(いた)の間へなげだし、そんなら、とつたとおもつて、 00094330M7銭の/音(おと)をきいて/帰(かへ)らつしやれ(五十二ウ) 00094340¥N37¥J 00094350¥X/茗荷(ミやうが) 00094360M10/殿(との)様、/家老(からう)を/呼(よび)、めうがと/蓼(たで)ハ、/一家(いつか)中/決而(けつして)/喰(くろふ)ふべからず。 00094370M11/勿論(もちろん)門より内へ入る事/堅(かた)く無用のむね、/厳敷(きびしく)申渡すべしと 00094380M12の事。/家老(からう)承り、/如何(いかゞ)のわけ合と(五十三オ)申上れハ、△ 00094390M13Sイヤ、外の儀でもない。/蓼(たで)をくへバ/利口(りこう)になり、/茗荷(ミやうが)を 00094400M14/喰(くへ)ハ/馬鹿(ばか)となるよし、/前(まへ)+より申/伝(つた)ふる故、此間蓼を/夥(おびたゝ)し 00094410M15く/喰(しよく)し、/暫(しバら)くこゝろミ/考(かんがふ)れども、さして/利(り)口にもならず。 00094420M16また(五十三ウ)めうがをくふてこゝろみれ共、あながち馬 00094430M17/鹿(か)ともならざるハ、/是(これ)いつわり事なり。さすれバ/喰(くふ)て/益(ゑき)な 00094440M18きもの故、今日より一ツ家中へ/急度(きつと)申渡し、たでとめうが 00094450M19を/喰(くふ)ものあ(五十四オ)らバ、/曲事(きよくじ)たるべきのむね申渡すな 00094460M20りと/仰(あふせ)らるれバ、/家老(かろふ)もあきれて、/殿様(とのさま)の御顔をつく※ 00094470¥P277 00094480L1と見あげて、Sアヽ/御前(ごぜん)様にも、ミやうがゝきゝました 00094490L2(五十四ウ) 00094500¥Q 00094510L6△△△△△△△筆耕△恵井 00094520L7安永九庚子季△△△△G 00094530L9△△△初春新板 00094540L12△△△△江戸橋四日市広小路 00094550L13△△書肆△△△△竹川治助蔵 00094560¥P278 00094570¥U噺本大系△第十一巻 00094580¥T落し噺し;/明朝梅(あけのうめ)〔題簽〕 00094590¥G 00094600¥Y 00094610L17安永九年正月刊 00094620L18林蝶画 00094630L19小本一冊 00094640L20東大国語研究室蔵 00094650¥N1¥J 00094660¥X○/万作(まんさく) 00094670M3/爰(こゝ)に、やさかとうげいふところあり。いねにほがさき、ほ 00094680M4にほがさき、是万代にめつらしきとて、いそき/代(たい)くわん所 00094690M5へ申上ル。御/代官(たいくわん)、此/書(かき)物/見(ミ)て、是ハやさかとうげの、と 00094700M6うげ(咄ノ弐オ)といふ/字(し)ハ、/木((ママ))へんに上下と書が、此とう 00094710M7げといふしハ、手へんに上下とかいてある。何、みなのも 00094720M8の、たれがかいた。Sあい。五人ぐミでこざります 00094730¥N2¥J 00094740¥X○あいほれ(咄ノ弐ウ) 00094750M11中のよきしごとし、てうばからかへり、これ、かゝ。なぜ、 00094760M12おのしハ/寐(ね)てゐる。Sわたしかへ。心もちがわるいから△ 00094770M13ていしゆSしんでくれるなよ△女房Sわたしがしんだら、お 00094780M14まへハよい女ぼうをもちなさるであらふの(三オ)ていしゆ 00094790M15Sなにさ△女房Sおまへ、もつと、わたしがしんでから、 00094800M16ゆふれいになつて出る△てい主Sとうしてわれがてるもの 00094810M17か△女房Sでるのさ△/女房((ママ))Sなに、しろむくもなくて(三ウ) 00094820¥N3¥J 00094830¥X○ばくちうち 00094840M20Sうちに女ぼうひとりにて、おらがていしゆハ、けふで廿 00094850¥P279 00094860L1日/斗(ばか)りかへらぬか、もふかへりそうなものだ。こめもなし、 00094870L2ミそにもこまり、いろ+きれたものだらけ(四オ)と、こ 00094880L3ゞとのところへ、ていしゆかへり、おれもとふにかへりた 00094890L4かつたが、くめんのわるさ。どふだ、うちにきれたものハ 00094900L5ないか。女房S米もきれる、ミそもまきもきれるていしゆ 00094910L6S外に何も、きれぬものハないか△女房Sアイ。きれぬも 00094920L7のハね、ほうてう斗りさ(四ウ) 00094930¥N4¥J 00094940¥X○/番太郎(ばんたろう) 00094950L10女郎かいに行、四ツあきまでを/寐(ね)わすれ、ふつと四ツの/鐘(かね) 00094960L11をきゝつけて、ひよいとおき、まくらもとをさがす。女郎 00094970L12S申、何をしなんす△番太Sおれがひやうし/木(ぎ)(五オ)をさ 00094980L13がす△女郎Sさがして何ンにしなんす△番太Sほんにそれ、 00094990L14まつりに出たゆめをミた 00095000¥N5¥J 00095010¥X○/紋所(もんところ) 00095020L17ともだちより合、是&清幸や。おのしハふいきものところ 00095030L18をつけてな。(五ウ)其四つ目の紋を、くづしてつけれバい 00095040L19ゝに。清S何サ。紋をくづすと、おやぢがやかましい△友 00095050L20Sそれでも此/様(やう)な△清Sこれ+、引ぱるな。そふすると、 00095060M1ひしになる 00095070¥N6¥J 00095080¥X○/女郎買(ちよろうかい)(六オ) 00095090M4ぼうず、女郎かいに行。ふられてそばへもよられず、しり 00095100M5ばかりだいてゐ、あまりさんねんさに、女郎ね入りたる所、 00095110M6ぼうず、かミそりをいだして、女郎をぼうずにして置て/返(かへ) 00095120M7り、女郎、めをさましてミれハ、ほうずかへりけれハ、よ 00095130M8し+(六ウ)とおもひ、かミをミて、又ぼうづか 00095140¥N7¥J 00095150¥X/寄合(よりあい) 00095160M11しわい人より/合(あい)て、いろ+/相談(さうだん)する。金をかりにきても、 00095170M12おれハかさず、もらいにきてもやらず、/義理(ぎり)(七オ)づくで 00095180M13やらねバならぬものハ、たつた一つさ。友達Sハテ、なん 00095190M14だな△Sゆ屋の/桶(をけ)さ 00095200¥N8¥J 00095210¥X○とむらひ 00095220M17/仕事(しこと)し、大屋さん。上下をかして(七ウ)おくんなんし。家 00095230M18主S上下をなんにする△仕事しS/中間(なかま)にともらいがあるか 00095240M19ら△家主Sすこしきミわるく、けふハわしも入用があるが 00095250M20仕事しSそんならよしと、かへる。家主Sかんがへて、そと 00095260¥P280 00095270L1へいで、よびかけ、ヲヽイ+。かそう+といへば、仕 00095280L2事しS/仕事し((ママ))ふり返り、何サ。かそうでハないのサ。(八オ) 00095290L3土そうさ 00095300¥N9¥J 00095310¥X○/新(しん)たく 00095320L6/友達(ともたち)、よろこびに/来(き)て、これハいきな内だな。/台所(だいどころ)へハな 00095330L7せ、こしばりをせぬか△ていしゆSそれもあしたはるのさ。 00095340L8また/世帯(しよたい)(八ウ)/道(とう)具もいそがしくてかわぬ△友Sそのはづ 00095350L9+。ヲヤ、此かべに大きなあながあると、手をいれ、何 00095360L10か有と、引キ出してミれバ、かなじやくし。又手を入てひ 00095370L11き出せバ、すりこき。又手を入て、ぐつとつかめハ、/隣(となり)で、 00095380L12アレ、とろぼうめ(九オ) 00095390¥N10¥J 00095400¥X○/間違(まちかひ) 00095410L15さて+、おらがむすこハのろつきものだ。此さきのむす 00095420L16こハ、いつミてもおとなしい。いつ通つても、よくうちに 00095430L17/本(ほん)/斗(はか)リ見てゐる。あのよふにも成ルものかと、おらが/息子(むすこ) 00095440L18(九ウ)やくにたゝぬといひながら、又通つて見れバ、さき 00095450L19のむす子、のびをしながら、アヽ、壱分ほしいナア 00095460¥N11¥J 00095470¥X○しつたふり 00095480M3/仕事師(しごとし)、けふハのどかゆへ、小ぞうを(十オ)つれて、上/野(の) 00095490M4へてもゆかふとて、山王の山で、大せい人のゐる茶屋へこ 00095500M5しをかけ、ちつとおかしなんしといふ。茶やSこうせんを 00095510M6いれて、さゆを出せば、小ぞうSとんさん。此/湯(ゆ)の中にあ 00095520M7るのハなんだ△親仁、小そうにSそつと、是ハ茶ぬゆと云物 00095530M8たハ(十ウ)(十一オ挿絵) 00095540¥N12¥J 00095550¥X○わる/粋(ずい) 00095560M11S/金&(きん+)/先生(せんせい)、女郎かいに行。ゐつゞけにて/若(わか)い/者(もの)をよび、 00095570M12此はちで一ぱいのめ。若イ者Sイヱ+、わたくしハきん 00095580M13/酒(しゆ)でこざります△殿Sコレ、花ハ壱両だハ。此大はちでの 00095590M14めハ五両。何ンと、のめよふが△若イ者S下をかぶる気で、 00095600M15五両(十一ウ)ほしさのまゝくつとのめハ、殿S出した五両 00095610M16を、ふところへぐつとしまつて、それほどのミながら 00095620¥N13¥J 00095630¥X○見まひ 00095640M19おミまひ申ます。ていしゆSこれハお出なされ(十二オ)まし 00095650M20たか。わたくしもとうより、かんびやうにござりまして、 00095660¥P281 00095670L1/難義(なんぎ)いたします△客Sはてな。それハおこまりでござりま 00095680L2す。そうしてミますれハ、お目もわるふこざりますねイ 00095690L3(十二ウ) 00095700¥N14¥J 00095710¥X○めくり 00095720L6/友達(ともだち)/寄合(よりあい)て、/噺(はなし)しの/中(うち)に、一ト人リ/哥(うた)をよむ。哥ニ、 00095730L7△△△ほの※と/青(あを)二が/浦(うら)のあさ/桐(きり)に 00095740L8△△△△/馬(むま)かくれ/行(ゆく)四五おしぞおもふ(十三オ) 00095750L9是+、そんな/哥(うた)ハよむな。なぜ。ひよつと/役人首(やくにんしゆ)がきく 00095760L10と、わるい 00095770¥N15¥J 00095780¥X○しわんぼう 00095790L13ふうふして、金をうなるほどにため、日&をおくる。女房 00095800L14Sけふハ/肴(さかな)がとれ(十三ウ)たから、ひらめてもかおふかへ 00095810L15ていしゆSよせ+。ついゑな。よしやれ+△女房Sおま 00095820L16へ、そのよふに金をためて、子ハなし。おまへ、ひよつと 00095830L17あすにも、めをねむつたら、金をまあ、とふせうとおもい 00095840L18なさる△ていしゆSおれか目をねむれバ、五両壱分さ(十四 00095850L19オ) 00095860¥N16¥J 00095870¥X○あらそひ 00095880M3世に風ほどつよいやつハない。いやもふ、ごうぎなやつだ 00095890M4の。友達Sなにさ。風ほどよハい、ひきやうなやつハない 00095900M5Sとほうもない事をいふ△友Sはて、そふいふな。すきま 00095910M6を見てハはいるハさ(十四ウ) 00095920¥N17¥J 00095930¥X○/操廻(くりまハ)し 00095940M9大/勢(ぜ□)いつれて、ちよびあそびにて、大そうなやつ。くるも 00095950M10のにも、よるものにも/にも((にも衍))花をふらせ、こくうに/紙(かミ)をまき 00095960M11ちらし、何やらとんだ(十五オ)たいそうをいふ。友達Sこ 00095970M12れ+、先生か遊びハ、たいそうにつかふが、よくさくり 00095980M13まハす大イめいじん。きついものさ△先生Sこれさ。いま 00095990M14ちらした/紙(かミ)も/余(よ)ほどの金さ△友達Sいやさ。きついもの△ 00096000M15先生Sアノ/紙(かミ)も、金の/繰廻(くりまハ)しさ(十五ウ) 00096010¥N18¥J 00096020¥X○/毛貫(けぬき) 00096030M18/先生(せんせい)、御やどか。少し御/無心(むしん)がある。どうぞけぬきをおか 00096040M19り申シたい。先生Sおやすい事だが、むさい所をぬくまい 00096050M20かりてS何さ、とんだ事を。ぬく所ハすいぶんきれいさ△ 00096060¥P282 00096070¥G(十一オ) 00096080L14先生Sそんなら、こゝでぬき給へ(十六オ)かりてSすぐにあ 00096090L15ごのひげをぬけバ、先生Sこれさ+。きたない△かりて 00096100L16Sなせ、あこがきたない△先生Sでも、そこハあさゆふ、 00096110L17ふんどしをはさむ所だ 00096120¥N19¥J 00096130¥X○いきすぎ(十六ウ) 00096140L20とも/達(たち)の所へあそびに/行(ゆけ)ハ、戸もたてゝあつて、内にハふ 00096150M1うふの/声(こへ)で、何かとおもひ、/耳(ミヽ)をすましてきけば、内にハ 00096160M2ふうふして、これさ。しりをこちらへよせろ。ぶきよふな。 00096170M3何さ。おまへの入レよふがわるいといふ。友達Sこれハと 00096180M4んだ所へ(十七オ)きたとおもひ、ふしあなから/覗(のそい)てミれハ、 00096190M5内にハ桶のたがをはめてゐるやつさ 00096200¥N20¥J 00096210¥X○/鍋(なべ)三 00096220M8気ちがひ、所&をかけまわり、いろ+のものぐるひして 00096230M9あるくをミて、きつね、(十七ウ)これハお((も脱カ))しろきやつなり。 00096240M10これをばかしてなぐさミにせんと、/狐(きつね)、気ちがひをばかし、 00096250M11/所&(しよ+)をつれあるく。きつね、大きにおもしろきめをして、 00096260M12もふよいかげんと、/狐(きつね)はなるれば、気ちがい、やはりとん 00096270M13だりはねたりしてあるく。/狐(きつね)、これを/見(ミ)て、(十八オ)もふ 00096280M14はなれたに、どふしてあのやうにさわぐかとおもひ、/狐(きつね)も 00096290M15おれがばかされたかと思ひ、まゆけへつわをぬる 00096300¥N21¥J 00096310¥X○がくもん 00096320M18/鳶(とび)の/者(もの)、/書物(しよもつ)を見ている所へ、/中間(なかま)の/者(もの)(十八ウ)きて、コ 00096330M19レ、おのしハ何をミて/ゐ((ママ))。Sおれか。/書物(しよもつ)をミてゐる 00096340M20Sよしやれ。おのしが/読(よむ)と、/反古(ほぐ)に成る 00096350¥P283 00096360¥N22¥J 00096370¥X○/無間(むけん)の/鐘(かね) 00096380L3女郎、三百両の金にこまり、いろ+/く((ママ))/工面(くめん)の所に、/手水= 00096390L4鉢(てうず=ばち)におもひ付、さらば(十九オ)むけんの/鐘(かね)をつかんと、/手= 00096400L5水鉢(てう=すばち)にむかひ、八百/番(ばん)/神(じん)をいのりつく所に、二/階(かい)のせうじ 00096410L6から、そのかねこゝにと、はら++。ひろいあつめて 00096420L7ミれバ、ミな/弐朱銀(にしゆぎん)にて不/足(そく)ゆへ、神+をうらミ、三百 00096430L8両といつたに、たつたこれ斗リといへハ、二/階(かい)から、まづ 00096440L9/利(り)を/払(はら)つて/置(おけ)けさ(十九ウ) 00096450¥N23¥J 00096460¥X○/大根畑(だいこんばたけ) 00096470L12S八ぼう。どこへ/行(ゆく)△Sおれか。てつほうはなしにゆくの 00096480L13さ△Sそりやどこへゆく△Sハテ、しれた事サ。大こんば 00096490L14たけへいくのさ△Sおれもゆくべいとて、(二十オ)すじか 00096500L15へばしまでいつて、これ八ぼう+。おれハいかれねへ。 00096510L16Sそりやまた、なぜに△Sインニヤ、たつた今、/地黄(ぢわう)をの 00096520L17んだ 00096530¥Q安永九庚子歳 00096540L19△△△△△△△初春吉旦△(二十ウ) 00096550¥P284 00096560¥U噺本大系△第十一巻 00096570¥T/初登(はつのぼり)〔内題〕 00096580¥G 00096590¥Y 00096600L18安永九年正月序 00096610L19堀野屋仁兵衛板 00096620L20小本一冊 00096630¥Y序 00096640M3これ+御らんせ笑ハんせ。これこそ五十も三十も、居な 00096650M4から噺す口くるま、(一オ)さいさきよしの才はじけ、さい 00096660M5ハさくら木、花のお江戸の真中て、ふり出し撰出し新ら 00096670M6(一ウ)しきを書あつめ、京三かいまて売ませうと、思ひ付 00096680M7たる初登(二オ) 00096690M9△△△安永九子とし 00096700M10△△△△△目出度春の笑初め△(二ウ) 00096710¥P285 00096720¥T1初登 00096730¥N1¥J 00096740¥X○好嫌 00096750L5/貴(き)さまハ何が/好(すき)だ。わしが/好(すき)ハいかひ事有。まづ/謡(うたひ)、はや 00096760L6し、茶の湯、まり、/誹諧(はいかい)、/琴(こと)、三味せん、尺八。/遊(あそ)びハ女 00096770L7郎かひ、/釣(つり)、/野(の)がけ、芝居、すまふ。扨また(三オ)/喰(くひ)物な 00096780L8れば/餅(もち)、酒、さかな、めんるい。その外何に/寄(よら)ず、きらひ 00096790L9な物ハなひ。それでも/少(ちつ)とは/嫌(きら)ひが有ふ。成ほど、たつた 00096800L10一トいろ有。何がきらひだ。/商売(せうばい)が 00096810¥N2¥J 00096820¥X○百人一首(三ウ) 00096830L13おれが百人しゆを読と、おまへは/違(ちが)つた+と/云(いゝ)なさる。 00096840L14/爺(とつ)さんハ/無筆(むひつ)で居ながらといへば、/親仁(おやぢ)、何、おれが知ら 00096850L15ぬ事が有ものか。むすめそんなら/私(わたし)が/方(ほう)から名をいふから、 00096860L16おまへ、其/歌(うた)を/当(あて)て見なさい。サアS天智天皇。(四オ)秋 00096870L17の田の△S/菅家(かんけ)△S此たびハ△S伊勢。なには/潟(がた)△Sそん 00096880L18なら/僧正遍照(さうじやうへんぜう)△S/十方世界(じつほうせかい) 00096890¥N3¥J 00096900¥X○満願 00096910M1/富(とミ)山と云/座頭(ざどう)、/女房(によぼう)/女川(めがわ)を/盗(ぬす)まれ、大きに/腹(はら)を立、やれ 00096920M2+/残念(ざんねん)な。あれ(四ウ)ほどの大金を出した女房を/盗(ぬす)まれ 00096930M3てハ、/堪忍(かんにん)ならず。/去(さり)なから、目がなければ/叶(かな)ハぬと、/夫(それ) 00096940M4より思ひ付、/観音(くハんをん)へ七日/通夜(つや)し、何とぞ目を/明(あか)して、女川 00096950M5に/逢(あハ)せて下さりませと/願(ぐわん)をかけ、まんずる/朝(あさ)、目あきけれ 00096960M6は、是ハ/嬉(うれ)しやと(五オ)手引を/連(つれ)、ほう※さがしければ、 00096970M7向ふより、女川ハ男とつれだちて/来(く)るを、手引見つけて、 00096980M8南無三/宝(ぼう)、是ハ大/騒(さわ)ぎで有ふ。こまつた物じやとおまふ所 00096990M9へ、女川そば迄/来(きた)れハ、富山じつと見て、テモ、/美(うつ)くしひ 00097000M10ものだ(五ウ) 00097010¥N4¥J 00097020¥X○不孝 00097030M13/親(おや)に不/孝(かう)な/息(むす)子の/友達(ともだち)より合、/異見(いけん)して、おぬしハナゼあ 00097040M14のやふに、おやに世/話(わ)をやかしやる。/昔(むかし)ハ廿四孝と云ふて、 00097050M15/寒(かん)の内/笋(たけのこ)を/掘出(ほりだ)し、/氷(こほり)の中より/鯉(こい)を取て、/親(をや)の/望(のぞミ)を/叶(かな)へ 00097060M16た(六オ)人も有に、ちと/孝行(かう+)にしやれと云れ、/成(なる)ほどゝ/感= 00097070M17心(かん=しん)して内へ/帰(かへ)り、おふくろ、/笋(たけのこ)をくわつしやるかと云へバ、 00097080M18お/袋(ふくろ)、/肝(きも)を/潰(つぶ)し、/寒(かん)の内たけの子が、どふして/喰(くわ)るゝ物か。 00097090M19そんなら/鯉(こい)をくわしつしやい。Sおぬしが/夫(それ)ほどに思ふなら、 00097100M20あま酒を(六ウ)一ツはい呑しやれと云へバ、/息(むす)子はらを立、 00097110¥P286 00097120¥G(八ウ・九オ) 00097130M1お袋を大きにくらわし、廿四/孝(かう)の内に、あま酒をくらつた 00097140M2/親(をや)が、何、有ものか 00097150¥N5¥J 00097160¥X薮医 00097170M5/下手(へた)な/医師(いしや)との、/急病(きうひやう)人有て(七オ)/欠出(かけだ)すとて、/隣(となり)の小 00097180M6/娘(むすめ)を/蹴飛(けとば)したり。となりの/嚊(かゝ)とんて出、/如何(いか)に/急(きう)用なれは 00097190M7とて、人の大/事(じ)の子を/蹴(け)ちらし、此/様(やう)に/顔(かほ)に/疵(きす)を付てとわ 00097200M8めきけれは、大/家(や)どの、/割(わり)に入り、/相(あい)長屋の事なれは、ふ 00097210M9しやうしたが(七ウ)よい。ことに足で/蹴(け)られた/斗(ばか)り。ひよ 00097220M10つと此人の手に/掛(かゝ)つて見たがよい。/生(いき)た/者(もの)ハひとりもない 00097230¥N6¥J 00097240¥X○駕篭 00097250M13/品(しな)川まて/駕篭(かご)、いくらてやる。八百でやりませふ。そんな 00097260M14ら、/根(ね)ぎるまいから(八オ)(八ウ・九オ挿絵)/跡(あと)から/来(く)る/駕篭(かご) 00097270M15におひぬかれぬ/様(やう)に、/早(はや)くやれ。かしこまりましたと、さ 00097280M16つ+と/舁(かい)て行。/跡(あと)から/来(く)る/駕篭(かご)、/追(おひ)ぬきければ、コレ、 00097290M17/約束(やくそく)が/違(ちが)つた。イヤ、あれは三まいでごさります。S三ま 00097300M18いとハ。三まいと申ハ、三人てかきます。それて/早(はや)ふごさ 00097310M19(九ウ)ります△S/早(はや)くハ、おれも出てかつがふ 00097320¥P287 00097330¥N7¥J 00097340¥X○地獄 00097350L3四文/銭(せん)とずく銭、地ごくへおち、/焔魔王(ゑんまわう)の/前(まへ)へ出けれハ、 00097360L4焔魔王/仰(おふせ)出さるゝハ、四文銭ハ地/獄(ごく)へつかわし、づく銭 00097370L5ハ/極楽(ごくらく)へ/通(とふ)せとの仰。十王/達(たち)口を/揃(そろ)へ、(十オ)是ハ仰とも 00097380L6覚へませぬ。四文せんは/娑婆(しやば)にても通用もよく、づくハ人 00097390L7にいやがられます。づくを地ごくへ/遣(つか)わされませと申けれ 00097400L8ハ、Sイヤ+、さふはならぬ△Sなぜでごさります。あ 00097410L9れハ寺参りをせぬ(十ウ) 00097420¥N8¥J 00097430¥X○噂噺 00097440L12四五人/寄(より)合、/隣(となり)の/女房(によぼう)ハ、/顔(かほ)は/美(うつ)くしひが風が/悪(わる)ひ。/向(むか)ふ 00097450L13の内義ハ、風もかほも/能(よい)が/痩(やせ)てすげない。/兎角(とかく)/能(よい)のがない 00097460L14物じやといへば、いや+、さふ/云(い)やるな。/余(あま)りよい女房 00097470L15を/持(もつ)と、/病身(びようしん)に(十一オ)なるか、/左(さ)なくハ/若死(わかしに)をする物じ 00097480L16やと云へは、中に能女房を/持(もつ)た男、/顔(かほ)をしかめ、さゆをく 00097490L17りやれといふ。Sどふぞしたか△Sなんだか、/気分(きぶん)がわる 00097500L18く/成(なつ)た 00097510¥N9¥J 00097520¥X○眼薬(十一ウ) 00097530M1/春日(かすが)山といふ/料理(りようり)茶屋の/亭主(ていしゆ)、目を/病(やミ)ゐけれは、見/舞(まひ)の人 00097540M2/来(き)て、其目にハ、せきしやうの/根(ね)を水にひたしてつけると、 00097550M3つゐ/直(なを)りますと/教(をしへ)けれは、それこそ心安き事。/向(むか)ふの内に 00097560M4せきしやうが有から、/小僧(こざう)、(十二オ)/貰(もら)つて/来(こ)いと、取に 00097570M5やれば、さきの亭主、又/珍(めづ)らしひ/吸(すい)物ができるナ 00097580¥N10¥J 00097590¥X○秀句 00097600M8おまへの内の十助ハ、よく/秀句(しうく)を/云(いゝ)ますの。ハテナ。わし 00097610M9ハ/知(し)りませぬ。いや、モウきつい物さ。/少(ちと)/云(い)わせて御らふ 00097620M10(十二ウ)じろ。成ほどゝ/挨拶(あいさつ)して/宿(やど)へ/帰(かへ)り、それ£十助を 00097630M11/友(とも)に/連(つれ)、/雨(あま)あがりなれハ/下駄(けた)を/持(もた)せて行なから、われは/秀= 00097640M12句(しう=く)を/云(い)ふげな。/少(ちと)/聞(きゝ)たい。十助、/途中(とちう)でハ人が、げた+ 00097650M13/笑(わら)ひますといふ。/夫(それ)£内へかへり、/庭(にハ)を見れは、/蟹(かに)が居る 00097660M14ゆへ、(十三オ)十助を/呼(よび)、秀句をといへば、/俄(にはか)には申され 00097670M15ぬといふ。おのれ、にくひやつ。/他人(たにん)には秀句をいゝ、主 00097680M16人にハ/云(いわ)ぬ/筈(はづ)かと、/箒(はゝき)を持て/追(おつ)かくれは、十介、となりの 00097690M17内へにげ/込(こミ)、若、お/隣(となり)の/旦那(だんな)様。私の旦那が/ケ様(かやう)+とい 00097700M18へば、それは/文盲(もんもう)の(十三ウ)人と、十介をつれ行、承ハれ 00097710M19は、今日十介に秀句をお/好(この)ミの所と/云(いゝ)切ぬに、さればお聞 00097720M20下され。/途中(とちう)では人がげた+/笑(わら)ふと申から、内でいへと 00097730¥P288 00097740L1申せば、/俄(にわか)にハ申されぬと申。サア、それが秀句でごさる。 00097750L2下駄をさげてゐるゆへ、(十四オ)げた+と申た物。又/庭(には) 00097760L3に/蟹(かに)が出た故、/俄(にはか)にハ申されぬと申た。成ほとゝいふ所へ、 00097770L4十介、/茶(ちや)を持て出、旦那。あがりませと差出せば、是ハよ 00097780L5い秀句 00097790¥N11¥J 00097800¥X○針医 00097810L8/積(しやく)がおこり/針医(はりい)をよび、針を(十四ウ)/立(たて)て/貰(もら)ひしに、其針 00097820L9ぬけずして、/病人(びようにん)、ことの/外(ほか)いたむゆへ、ぬいて下されと 00097830L10いふ。/色(いろ)+手を/尽(つく)せども/抜(ぬけ)ず。針医しかたなく、/食(めし)わん 00097840L11を/出(だ)さつしやれ/((と脱カ))云て、やがて其めし/椀(わん)を針の上へかぶせ、 00097850L12/帯(をび)をさせ、サア(十五オ)たゝつしやれと云へハ、/病(びよう)人、ぬ 00097860L13けますか。Sサア、おれが針の/師匠(しせう)の/所(ところ)へ、あいばつしや 00097870L14れ 00097880¥N12¥J 00097890¥X○食事 00097900L17われハ/今朝(けさ)おきると/茶漬(ちやづけ)を/喰(くつ)て、/夫(それ)から/朝(あさ)めし。今がた又 00097910L18(十五ウ)二/度(と)。/昼(ひる)にまだならぬ内に四/度(たび)。其/様(やう)に/喰(くふ)てたま 00097920L19る物か。Sさればさ。いくら/喰(くふ)ても腹がへつて成りませぬ。 00097930L20そんならいつそ、/喰(くハ)ぬが/能(よい) 00097940¥N13¥J 00097950¥X○物忘れ(十六オ) 00097960M3/今日(けふ)ハ/幾日(いつか)じや。されは、をれも/忘(わす)れたが、/暦(こよミ)でしれやう。 00097970M4何、暦でしれるものか。そんなら、今に/願人(くハんにん)坊主の/代(だい)参り 00097980M5が/来(き)たらしれよふ 00097990¥N14¥J 00098000¥X○同(十六ウ) 00098010M8/婚礼(こんれい)のざしきへ/長家(ながや)中をよび、/振舞(ふるまひ)すんで、さあひらきま 00098020M9せふといふて、/皆(ミな)/帰(かへ)りければ、あとに/麁相(そさう)もの一人/残(のこ)り、 00098030M10今の人/達(たち)ハ何とか/云(い)ふて/帰(かへ)られたが、どふした物だと、/案(あん) 00098040M11じてもおもひ/出(た)されず。(十七オ)(十七ウ・十八オ挿絵)/頓(やが)て/裏(うら) 00098050M12の戸を/明(あけ)る。/亭主(ていしゆ)、おまへはどふなされます。Sモウ/迯(にげ)ま 00098060M13す 00098070¥N15¥J 00098080¥X○壁 00098090M16/友達(ともだち)の所へ行、となりの/左(さ)くわんとのハ内にか。イヤ、/今= 00098100M17朝(け=さ)しごと/場(ば)へ/行(ゆ)かれたが、なんぞ用でも有か。イヤ、(十八 00098110M18ウ)ちと/壁(かへ)の/落(おち)た所が有から、/塗(ぬつ)てもらおふと/思(おも)つたが、 00098120M19/留守(るす)ならおれでも/塗(ぬ)らふ。Sおぬしが/塗(ぬる)には、/壁(かべ)より/親父(をやぢ) 00098130M20の/顔(かほ)がよい。イヤモウ、親父の/顔(かほ)にハぬり/飽(あい)た 00098140¥P289 00098150¥N16¥J 00098160¥X○十露盤△(十九オ) 00098170L3/覚(おぼ)へのわるひ子/供(ども)に、二の/段(だん)をおしへ、/幾度(いくたび)させても覚へ 00098180L4ず。ヤイ/是(これ)、われハ/合点(がてん)の/悪(わる)いものじや。あの二と/此(この)二と 00098190L5/見合(ミあわ)せて/割(わる)のじやと云へハ、/成(なる)ほど、あの二と此二で、あ 00098200L6ん二が二だ(十九ウ) 00098210¥N17¥J 00098220¥X○参詣 00098230L9/明日(あす)ハ/奥(おく)さま、/浅草(あさくさ)のくわん/音(をん)へ入らつしやるとの/御沙汰(ごさた)。 00098240L10どふぞ御/供(とも)か致したいと/■(こしもと)の/願(ねが)ひ。イヤ+、あすハ人/込(ごミ) 00098250L11の所、わかい/者(もの)ハつれられぬ。それとも/達(たつ)て/行(ゆき)たくハ、こ 00098260L12ゝへ(廿オ)こひと/呼(よび)よせ、/■(こしもと)のおゐどを二ツ三ツつめり、 00098270L13それで/行(いつ)たもおなじ/事(こと)じや 00098280¥N18¥J 00098290¥X○角力 00098300L16/深(ふか)川八/幡(まん)の/角力(すまふ)、/近年(きんねん)の大はやり。ヤレ、/贔屓(ひいき)の/伊達(だて)がと 00098310L17るハと、/気(き)に(廿ウ)なつて、どつこいこりや+と/虚空(こくう)に 00098320L18りきんで居るあたまの上へ/吸殻(すいがら)を/落(おと)され、アヽ/熱(あつ)いと云な 00098330L19から、角力の/皮切(かわきり)だ。こらへて見よふ 00098340¥N19¥J 00098350¥X○長居 00098360M3/能(よく)はなしニ来る人の/異(ゐ)ミやうを(廿一オ)百万/遍(べん)とつけて/置(をい) 00098370M4た。四五人より合て/居(ゐ)る所へ、/彼(かの)男/来(きた)りければ、ソリヤ百 00098380M5万遍が来たといふ。かのおとこ/悟(さと)り、おまへ方ハわしが事 00098390M6を百万/遍(べん)とおつしやるハ、/定(さだ)めて/能(よく)/来(く)るといふ心て、御つ 00098400M7けなされたで有ふ(廿一ウ)と/云(い)へば、イへ+。くると/長(なが) 00098410M8いといふ事じや 00098420¥N20¥J 00098430¥X○咒 00098440M11/盗(ぬす)人二人/連(つれ)にて、/土蔵(どざふ)の/家尻(やじり)を切りはいるに、目の/覚(さめ)ぬま 00098450M12じなひに、たらいをふせながら、大きな/屁(へ)を(廿二オ)ぶい 00098460M13+とひれば、一人のぬす人、アヽ/声(こへ)が/高(たか)い。/密(ひそか)に+ 00098470¥N21¥J 00098480¥X○焼抜 00098490M16/客(きやく)/来(きた)り、/煙草(たはこ)のすいがらを/膝(ひざ)の上へ/落(おと)し、しらずに/咄(はな)す 00098500M17内、/着(き)物のした/迄(まで)/焼(やけ)ぬけ、是ハ+と云ふ。内の(廿二ウ) 00098510M18/息子(むすこ)、おれハさつきから/気(き)が付て居たといふ。そんなら、 00098520M19なぜはやくしらせなんだ。Sそれてもおまへ、/日比(ひごろ)いわつ 00098530M20しやるにハ、/惣躰(そうたひ)、物ハ/能(よく)見/届(とゞけ)ぬ内ハ/云(いわ)ぬものだといわし 00098540¥P290 00098550L1やるから、あの/吸(すい)がらも/焼(やけ)ぬけたら(廿三オ)云ふと/思(おも)ひま 00098560L2した 00098570¥N22¥J 00098580¥X○田舎 00098590L5庄屋の太郎左が、お江戸から/帰(かへ)られたげな。おらも/前(まへ)かた、 00098600L6半年/斗(ばかり)もお江戸に居て、/様子(やうす)も/知(し)つてゐるから、さらバ行 00098610L7て/咄(はな)さふと出かけ、/先(まづ)(廿三ウ)/門(かど)口から、やれ+、/豆(まめ)て 00098620L8/帰(かへ)られ目/出度(でたい)。なんとまあ、お江戸ハ/広(ひろ)くてにぎやかな事 00098630L9てあろふが。太郎左あぜふにも/面白(おもしろ)い所で、中+/云尽(いゝつく)さ 00098640L10れ申さねヱ。あのはや/幾世餅(いくよもち)ハよく/利薬(きくくすり)てごさり申△Sヲ 00098650L11ヽ、そしてあの(廿四オ)/錦袋円(きんたいゑん)ハうまい/餅(もち)よ 00098660¥N23¥J 00098670¥X○茶屋 00098680L14久太左衛門、大の/生酔(なまゑい)に成、/衣紋(ゑもん)坂の茶やへ/横附(よこづけ)にさせ、 00098690L15/駕篭(かご)より出れば、/亦(また)かつほ/節(ぶし)が/来(き)たといふを、久太左/聞(きゝ)付、 00098700L16おのれ、すいさん千万な(廿四ウ)やつ。ナゼおれが事を、 00098710L17かつほぶしと/云(いゝ)おつた。モシ、お/屋敷(やしき)さん。是ハどふでご 00098720L18さります。何、おまへ様の事を/左様(さやう)に申ませふ。/私(わたくし)が申た 00098730L19ハ/駕篭(かご)の/者(もの)の事てござります。ソリヤなぜ。かゝねば/喰(くわ)れ 00098740L20ぬ(廿五オ) 00098750¥N24¥J 00098760¥X○孔明 00098770M3/蜀(しよく)の国にて/諸葛孔明(しよかつかうめい)、/もふかわく((ママ))を/攻(せめ)んと、きざんへ/出陣(しゆつぢん) 00098780M4の時、/四輪(しりん)の/車(くるま)に/乗(の)り、手に/羽扇(うせん)を/持(もち)、/側仕(そばづか)ひの/羽金(うきん)と/云(い) 00098790M5へるハちと/馬鹿(ばか)なれとも、/孔明(かうめい)/気(き)に入にて/召仕(めしつか)ひしか、此 00098800M6時(廿五ウ)/羽金(うきん)、/孔明(かうめい)がそばに/寄(よ)り、今日の/軍(いくさ)ハ御無用に 00098810M7なされませと云。ナゼそふいふ。されハ、あの/向(む囗)ふに/赤(あか)ひ 00098820M8/雲(くも)が見へます。おまへ/常(つね)+おつしやるにハ、赤ひ/雲(くも)ハ/伏= 00098830M9勢(ふせ=ゞい)のしるしじやと承ました。/夫故(それゆへ)おとめ申ます。S大べら 00098840M10ほうめ。あれハ(廿六オ)(廿六ウ・廿七オ挿絵)日の/入(い)らつしや 00098850M11るのだ 00098860¥N25¥J 00098870¥X○上戸 00098880M14/下戸(げこ)の/建(たて)たる/蔵(くら)もなしと/云(い)ふ。/上戸(じやうご)ハ/楽(たの)しミが/多(をゝ)ひから、 00098890M15ちと酒を/呑(の)んだが/能(よい)。Sそんなら/貴(き)様ハ、/蔵(くら)を/建(たて)たか。ヲ 00098900M16ヽ、/建(たて)たとも。/池(いけ)田屋の蔵も(廿七ウ)/伊丹(いたミ)屋の蔵も、おい 00098910M17らが/寄(よつ)て/建(たて)た。エヽへらず口/斗(ばかり)。おいらハ酒を/呑(のま)ぬニ/依(よつ)て、 00098920M18大/晦日(ミそか)が/楽(らく)だ。そなたの内の/様(やう)に、/懸(かけ)取が/降(ふる)とハ/違(ちが)ふ。 00098930M19Sイヤ、蔵ハひやうひやくたが、見世をばほう※へ/出(だ)し 00098940M20た。何ミせを。S/小間(こま)物/店(ミせ)を(廿八オ) 00098950¥P291 00098960¥G(十七ウ・十八オ) 00098970¥N26¥J 00098980¥X○箒 00098990M3此ぢう、おらが内へ、すかねエやつが/来(き)たから、/早(はや)く/帰(かへ)る 00099000M4やうに、はゝきを/建(たて)たが、なぜか帰らぬ。/其(その)くせ長/尻(しり)をし 00099010M5をつた。ソリヤ何はゝきを。しゆろ箒を。/夫(それ)だに/依(よつ)て/帰(かへ)ら 00099020M6ぬ。そんなら、何が(廿八ウ)/能(よい)の。/実子(ミご)箒さ。S夫ハなぜ 00099030M7た△Sハテ、/稲(いね)といふ心 00099040¥N27¥J 00099050¥X○大仏 00099060M10/奈良(なら)の大/仏(ぶつ)に/捨子(すてこ)が有が、よい/衆(しゆ)の/息子(むすこ)と見へて、/脇差(わきざし)を 00099070M11指て居るきれいな子じやと、門/前(ぜん)まで(廿九オ)/連(つれ)て出て、 00099080M12/能(よく)見た所が、/医者(いしや)様の/生酔(なまゑひ) 00099090¥N28¥J 00099100¥X○助言 00099110M15/将棊(せうぎ)を/指(さし)て居る所、/勝方(かちかた)へ/助言(じよごん)をすれハ、/負(まけ)の方なる男、 00099120M16/腹(はら)を立て、/助言(じよごん)をしたる人をしたゝかくらわし(廿九ウ)け 00099130M17れば、此男、一ツさんに/宿(やど)へ/帰(かへ)る。/見物(けんぶつ)の/者(もの)ども口を/揃(そろ)へ、 00099140M18あの人ハ/武家(ぶけ)方の/浪(ろう)人といふ/沙汰(さた)じやか、大方/意趣(ゐしゆ)かへし 00099150M19が有ふといふ内、/鎧(よろひ)かぶとにて/押懸(をしかけ)ければ、/擲(たゝひ)たる男、/只(たゞ) 00099160M20今ハ不/調(てう)ほう。ごめんと/誤(あや)まれハ、イエ+。是てぶたれ 00099170¥P292 00099180L1(三十オ)ても/気(き)つかひハごさらぬ 00099190¥N29¥J 00099200¥X○人霊 00099210L4三つニ成子/供(とも)が/死(し)んで、百万べんを/繰(くつ)て/居(ゐ)る二/階(かい)から、人 00099220L5/霊(たま)が/飛(と)んで出る。ヤレ、人だまが出たハ。ほんに又出る。 00099230L6是ハ/珍(めづ)らしひ。二つでたハ何事。それ(三十ウ)又出たハ。 00099240L7是ハけしからぬ事た。そりやまだ出る。どふした物じやと 00099250L8/評(ひよう)ばんすれは、/脇(わき)から、何さ。まだいくらも出る物てごさ 00099260L9る。Sソリヤなぜへ△Sハテ、三つ子の/魂(たまし)ひ百まで 00099270¥N30¥J 00099280¥X○宗論(三十一オ) 00099290L12/浄土宗(じやうどしう)と/法花(ほつけ)宗、たがひに/云募(いヽつの)り、すてに六か/敷(しく)なる所へ、 00099300L13/真言(しんごん)宗のお寺、/割(わり)に/這(は)入、やう+事/済(すミ)けるを、/本寺(ほんじ)へ/呼(よび) 00099310L14付られ、其/方(ほう)、いらざる/他(た)の/宗論(しうろん)をとりもつ段、/言語(ごんご)同断 00099320L15不/届(とゝき)に付、寺をひらく(三十一ウ)べしと、申付られけれハ、 00099330L16一/首(しゆ)を/残(のこ)し、/是非(ぜひ)なく立/退(のく)。 00099340L17△△△南無をのけ/四字(よじ)と五字とで/公事(くじ)に成り 00099350L18△△△△あげくの/果(はて)は/住寺(ぢうし)めいわく 00099360¥N31¥J 00099370¥X○十徳 00099380M1/医者(いしや)のめしたき、/旦那(だんな)に/向(むか)ひ、お/前(まへ)の(三十二オ)/羽織(はをり)ハ人 00099390M2のとハ/違(ちが)ひますといふ。/旦那(だんな)殿、是ハ羽織でハない。/十徳(じつとく) 00099400M3といふ物じや。此/名(な)を十徳とつけたるハ、/居(ゐ)れバ羽織のご 00099410M4とく、/立(たて)バ/衣(ころも)のごとく、/如(ごと)くとごとくて十徳じやと聞て、 00099420M5是ハよい事を聞たと、/直(じき)に/近所(きんじよ)の内へ行、(三十二ウ)十徳 00099430M6の/訳(わけ)をしつてか。いや+しらぬ。どふした/訳(わけ)だ。S/先(まつ)/居(ゐ) 00099440M7れハ羽織に/似(に)たり、立てば/衣(ころも)に/似(に)たり、是ハしたり 00099450¥N32¥J 00099460¥X○夢判 00099470M10/夕部(ゆふへ)、わしハ日本一といふ/夢(ゆめ)を(三十三オ)見た。大かた/身= 00099480M11上(しん=しやう)が/能(よく)なつて、大金/持(もち)になるてあらふ。Sそれハどふした 00099490M12/夢(ゆめ)た△Sまづ、/富士(ふじ)の山に/茄子(なすび)がはへて有て、それに/鷹(たか)か 00099500M13/泊(とま)つて居る夢た△Sイヤ、そんな事にハ/間違(まちがひ)有ものだ。/先(まつ)、 00099510M14金もちになる人は(三十三ウ)/下地(したぢ)しんしやうが/悪(わる)くても、 00099520M15大イ/気(き)な人か、またハ/爪(つめ)に火をとぼす/様(やう)な人かでなけれハ 00099530M16ならぬ。/主(ぬし)が/気(き)ハそふではない。大/気(き)でなし、/始末(しまつ)ハきら 00099540M17い、/銭(ぜに)か有ても/払(はら)ひハせず。其/夢(ゆめ)を/判(はん)じ/様(やう)ハ、/借金(しやつきん)ハ富士 00099550M18の山ほど有ても、/鷹(たか)で(三十四オ)/茄子(なす)きがなひ 00099560¥N33¥J 00099570¥X○途中 00099580¥P293 00099590¥G(廿六ウ・廿七オ) 00099600M1八十ばかりの/親父(おやち)、ぼく+/杖(つへ)を/突行(つきゆく)向ふへ、三十/斗(はかり)の男 00099610M2/行逢(ゆきあい)、さて+太郎兵衛様。お/久(ひさ)しうごさりますといわ 00099620M3れ、/其元(そこもと)ハどなたか、/年寄(としよ)つて(三十四ウ)覚へがごさらぬ。 00099630M4S左様てごさりませう。/私(わたくし)ハ子どもの/時(とき)、おまへの/隣(となり)に居 00099640M5た長松でごさります△Sはて/扨(さて)、大/分(ぶん)/老(おい)くれさしやつた。 00099650M6/先(まづ)此/杖(つへ)を、ちと/持(もつ)て下され△Sなぜでこさります。/横(よこ)手を 00099660M7打ます(三十五オ) 00099670¥N34¥J 00099680¥X○聾 00099690M10つんぼの/親(をや)子有。/親仁(おやぢ)、むす子にむかつて、/今(いま)/来(き)たハ/武(ぶ)兵 00099700M11衛ではないか。S何サ。あれハ武兵衛さ△Sへヱ、おれハ 00099710M12武兵衛かとおもつた 00099720¥N35¥J 00099730¥X○豆腐屋(三十五ウ) 00099740M15/小僧(こぞう)や。/横(よこ)町の/豆腐(とうふ)屋へ/行(ゆき)てナ、御/亭主(ていしゆ)さまにちよつと御 00099750M16出なされませといふて/来(こひ)。アイ。それハどこでごさります。 00099760M17ハテどんなやつだ。わが/毎(まい)日ゆく、いせやの/向(むか)ふのとうふ 00099770M18やの事よ。Sそれハあの、きらずやの事(三十六オ)かへ△ 00099780M19Sハテ、ばかなやつだ。きらず屋と/云(いふ)が有物か△Sそれで 00099790M20も、わたしハきらず/斗(ばかり)、かいに行やす 00099800¥P294 00099810¥N36¥J 00099820¥X○異見 00099830L3コレ、そなたもまふ/若(わか)いといふ/年(とし)でもない。/何角(なにか)によく/気(き) 00099840L4をつけ(三十六ウ)たが/能(よい)。おれも此やふな事をいふハいや 00099850L5なれど、御/親父(しんぷ)からのなしミだからいふが、どふも/身持(ミもち)が 00099860L6/悪(わる)い。/先(まつ)/商(あきな)ひを/精出(せいだ)したが/能(よい)。S/成(なる)ほど御/尤(もつとも)△Sそして 00099870L7/朝寐(あさね)がわるひ△S成ほど御尤△S/元(もと)朝寐といふ(三十七オ) 00099880L8やつが、/夜遊(よあそ)びが/過(すき)るからの事だ△S御尤△Sハテ、そな 00099890L9たハ一つ+に、御尤+といふ/男(をとこ)だ。/何(なに)、御尤な事が有 00099900L10物だ 00099910¥N37¥J 00099920¥X○郭公 00099930L13/鶴(つる)といふ鳥ハ/名鳥(めいてう)で、/雌鳥(をんとり(ママ))が、つと(三十七ウ)/啼(ない)てたてば、 00099940L14/雄鳥(めんどり(ママ))が、ると/啼(ない)て立といふが、アノ/郭公(ほとゝきす)の/啼(なく)のも、/雌(を)と/雄(め) 00099950L15でちがふかの。S/違(ちが)ふとも+△Sどこか違ふ△Sハテ、 00099960L16/雌(な)鳥が、ほぞんかけたか+と/啼(なく)と、/雄(め)鳥ハ、ほぞんかけ 00099970L17な+(三十八オ) 00099980¥N38¥J 00099990¥X○願掛 00100000L20/不稼(ふかせぎ)もの、/王子(わうじ)の/稲荷(いなり)へ百日参して、どふそ金銀の身につ 00100010M1く/様(やう)になされて下されませと/願(ねが)ふ/余(あま)り、/丹誠(たんせい)をこらし/祈(いの)る 00100020M2ゆへ、/稲荷(いなり)もめいわくせられ、不/稼(かせぎ)の(三十八ウ)/癖(くせ)に/無理(むり) 00100030M3な/願(ねが)ひするやつ。にくさもにくしと、/額(ひたひ)へ金銀の/角(つの)を/生(はや)し 00100040M4/遣(つか)わされければ、此もの、/世間(せけん)へかほ/出(だ)しもならず。/夜(よる)ひ 00100050M5そかに/王子(わうし)へ参り、おいなり様。/是(これ)ハとふてごさりますと 00100060M6いへは、稲荷/現(あらハ)れ出、/其(その)ほう(三十九オ)金銀の身につくや 00100070M7うにと/願(ねが)ひに/任(まか)せ、身に付て/遣(つか)ハすに、/何(なに)を以ておれをう 00100080M8らむぞと/仰(をふせ)けれハ、イヤ、/私(わたくし)の願ひハ、金銀かほしひと申 00100090M9のでごさります。此やふに/角(つの)が/生(はへ)ましてハ、人中へ/皃(かほ)が出 00100100M10されませぬ。此上のおじひに、(三十九ウ)どふそおとりな 00100110M11されて下さりませと/云(い)へハ、われハ/無理(むり)をいふ者じや。お 00100120M12れが一/存(ぞん)て/行(ゆく)事でハない。神/仲間(なかま)へ/相談(さうだん)してした事なれは、 00100130M13おれが/自由(じゆう)にも/取(とら)れぬ。われもめいわくするといへば/気(き)の 00100140M14/毒(とく)にも有。まつ、/鼻(はな)の上へ(四十オ)/桂馬(けいま)を/打(うつ)て見ろ(四十ウ) 00100150¥P295 00100160¥Q当世おとし噺目録 00100170L3一△茶のこもち 00100180L4一△いちのもり 00100190L5一△酉のまち 00100200L6一△高わらい 00100210L7一△金財布 00100220L8△△△△△△本石町四丁目 00100230L9△△板元△△△堀野屋仁兵衛 00100240¥P296 00100250¥U噺本大系△第十一巻 00100260¥T/落咄;鼠(ねずみ)の/笑(わらい)〔題簽〕 00100270¥G 00100280¥Y 00100290L16安永九年正月序 00100300L17夢多楽舎出法題序 00100310L18夢多楽・十才爪好画 00100320L19小本一冊 00100330L20東大国語研究室蔵 00100340¥Y 00100350M1/肇春嘉瑞(ヨイハルダト)、/稽首唱賀(イウモンノカミシモ)、 00100360M2/品物整成(キン+トシテ)、/麗服子好(ミエボウヨシ)、 00100370M3/親戚(ドコモ)(序一オ)/知巳(カモ)、/不可不行(グルリトメグリ)、 00100380M4/早忽礼畢(ズイイキノ)、/而後欲帰(ズイガヘリ)、 00100390M5/請雷相識(カヘサヌヒツクミ)、(序一ウ)/三紋羽織(ムスコカブ)、 00100400¥P297 00100410¥Y(序2オ・ウ) 00100420L1/三輩寄而(サンハイヨツテ)、/屠蘇酒醉(チトリアシ)、 00100430L2/上衣脱去(カミシモヌギステ)、/賓主(ビタ)(序二オ)/安坐(アグラ)、 00100440L3/虚天談話(デシダイバナシ)、/日午半過(ヒハンニチ)、 00100450L4/鼠抱臍日(ネツミワラツテイフ)、/大匂配緩(ヲノロマ)(序二ウ) 00100460¥Y(序三オ・ウ) 00100470M1/即應何事(ノロマトハナンノコツタ)、/此是舊年(コレハコレユウベノ)、 00100480M2/寝言餘也(ネゴトノアマリ)、/焉乎無類(アヽツガモナイ)、(序三ウ) 00100490M3△△△△△安永庚子春 00100500M4△△△△△△夢多楽舎出 00100510M5△△△△△△法題△G 00100520¥P298 00100530¥N1¥J 00100540¥X礼者 00100550L3れいしやがきて、さてよい春でござります。みなさまにも 00100560L4御重ねん。おめでとうといへバ、小そう、三月じやあるま 00100570L5いし 00100580¥N2¥J 00100590¥X三つもん(一オ)(一ウ・二オ挿絵) 00100600L8通人、みつもんの羽おりを着て、どふだといゝなからはい 00100610L9る。春になつたら毛なミがよくなつた。なんた。三つもん 00100620L10かといへバ、どこのふる着屋て見た 00100630¥N3¥J 00100640¥X加賀もん(二ウ) 00100650L13屋しきもの、かゝもんの小そでにて、羽をりを手にもちて 00100660L14入きたれバ、てい主、ほうを、通人のおんいり。通と見へ 00100670L15るか。ほかの客、てい主にむかい、あれハかゞかの。屋し 00100680L16きもの、やれ、やしき(三オ)をいふな 00100690¥N4¥J 00100700¥X壱岐ざか 00100710L19こゝのさかハ、なぜいきさかと、どうした事でいふね。あ 00100720L20すひにゆくとき通るから、いきざかさ。帰るときハなんと 00100730M1いふ。すぐに居つゞけ(三ウ) 00100740¥N5¥J 00100750¥X匂ひ袋 00100760M4一寸兼安が見せへより、はミがきをかい、にほひぶくろと 00100770M5おもわせんと、坐しきにて、扇などつかいけれども、たれ 00100780M6も気もつかずいれバ、すこしハ匂ふか。貴様ハすか(四オ) 00100790M7したな 00100800¥N6¥J 00100810¥X辻ばん 00100820M10辻ばん、なんこをくりて居る。一つか、五つかといふ。通 00100830M11人の通るをかぞへるとおもひ、おれもかづにいれてくれろ 00100840M12(四ウ) 00100850¥N7¥J 00100860¥Xめくら長や 00100870M15三人いそいてゆく人、めくら、こじきにつまづき、とんだ 00100880M16こじきだ。此様なところに寐ていてといへバ、こじきおき 00100890M17あがり、どこだとおもふ。こゝハめくらな(五オ)がやだ 00100900¥N8¥J 00100910¥Xせん家 00100920M20うなぎをくわんと立より、これてい主。むこふのおてらハ 00100930¥P299 00100940¥G(一ウ・二オ) 00100950M1こゝなどへハくるか。参りハまいりますが、かとふござり 00100960M2ます。来てかたいと(五ウ)ハどふだ。まいぜにでござりま 00100970M3す 00100980¥N9¥J 00100990¥X天神 00101000M6ゆしま天じんの宮ないを通りながら、此御神たいハ藤堂高 00101010M7とらと、みな人がいふといゝて、行きす(六オ)ぎれバ、光 00101020M8めうかゞやき、ゼんざい+といふて、天じん出たまひ、 00101030M9此身になりても、まだ無しつをいゝかける 00101040¥N10¥J 00101050¥X地蔵むすめ 00101060M12じぞうむすめの水茶(六ウ)屋へよりけれバ、こしをかける 00101070M13とじきに、いくらも+茶をいたす。これ+、てまいハ 00101080M14なせ、じぞうむすめといふ。いゝへ、わたしハちそうむす 00101090M15めさ(七オ) 00101100¥N11¥J 00101110¥X遠目がね 00101120M18遠目がね見せる男、むしように目がねを見ていながら、な 00101130M19にかひとりごといふを聞けバ、角田川のわたしをわたる人 00101140M20ハ、さつき只見てにけた人(七ウ)た 00101150¥P300 00101160¥N12¥J 00101170¥X女ざか 00101180L3おんなざかとハよくつけた。あれ見ろ。中だんで、おひを 00101190L4しめるやら、すそ引きあげるやらと、わる口いゝながら、 00101200L5連だち(八オ)(八ウ・九オ挿絵)おりれバ、おんな、つく+ 00101210L6と見て、そんなら、おれが坂を通らしやるな 00101220¥N13¥J 00101230¥Xにしきゑ 00101240L9坂をおりて、本やが見せにたちより、あれハな(九ウ)んだ。 00101250L10これハ三升、あれハ十町といへバ、坐頭、とおりかゝり、 00101260L11こゝハさけと豆腐をうるのか 00101270¥N14¥J 00101280¥Xきんたいゑん 00101290L14きんたいゑんが見せへ、/舎田((ママ))もの馬をつなぎ、く(十オ)す 00101300L15りをくださいといふ。馬ハこうしへ足をかける。馬かた、 00101310L16ゑ引、こゝなちくしようめ。ミやくを見るのじやあねへ 00101320¥N15¥J 00101330¥X堺や 00101340L19木ぐすりやの見せさき(十ウ)にて、なでつけの医者、それ、 00101350L20黄蓮がぬけて、どふだなどゝはなすところへ、通人通りか 00101360M1ゝり、抜たといふところばかり耳へいり、それハどこの評 00101370M2とのだ(十一オ) 00101380¥N16¥J 00101390¥X山下 00101400M5義太夫、めりやす、ながうた、うたい、こわいろ、ものま 00101410M6ね、はんごんたん、こうしやく、だんぎ、おし合へし合を 00101420M7見て、おくにさむらい、拙者くにかたなそ(十一ウ)にハ、 00101430M8かよふな事ハごさらぬ。そのはづ、こゝハ湯屋のうじ神 00101440¥N17¥J 00101450¥X鶴吉 00101460M11孫右衛門、にげるな。彦右衛門、にけるなといへバ、孫右 00101470M12衛門といふさむらひ、につくきや(十二オ)つと、ぬき打に 00101480M13切かけれバ、つるきち、ひつたくり、手だまにとる。さむ 00101490M14らひ、せんかたなく、やんやほめたり 00101500¥N18¥J 00101510¥X弘けい子 00101520M17弘けいしの見せへ、医者(十二ウ)きたりて、朝せんのこう 00101530M18けいしとハ、朝せんにてならいしやなどゝきめられ、てい 00101540M19主、はつめいものにて、むかうの寺から 00101550¥P301 00101560¥G(八ウ・九オ) 00101570¥N19¥J 00101580¥X一月寺 00101590M3こゝハ尺八の師匠かといへ(十三オ)バ、寺の出見せさ。そ 00101600M4んなら一月寺とあるから、一月僧になると、らいげつハ素 00101610M5人か 00101620¥N20¥J 00101630¥X正直そば 00101640M8正じきそばとハ、なせいふ。この様にたくさん、正しき 00101650M9(十三ウ)にもりますゆへ、正しきと申ます。そんならゑへ 00101660M10が、これハしるがすくない。しるハうそか 00101670¥N21¥J 00101680¥X土手 00101690M13通人にわかいもの、土手にてゆきあい、これでおめ(十四オ) 00101700M14にかゝらんと、わすれてかへるところでといふて、小間物 00101710M15やよりきた文と、間ちかへていだす。うわかきわ、ぬし様。 00101720M16御そんじ£と。あけれバ、すゞの香ばこ、文におゝせの通 00101730M17り、あげ被参候。(十四ウ)かしくと斗り、さう字のミしか 00101740M18い文。これハたしかに、爪たといふてあけれハ、紅 00101750¥P302 00101760¥N22¥J 00101770¥Xあん摩 00101780L3あん摩をよひ、ひねるよりハ針がよい。さて+(十五オ) 00101790L4しんじといふものハ、くせになるものだといへバ、女郎、 00101800L5ぬしハいつ、しんじうしなんした 00101810¥N23¥J 00101820¥X田舎もの 00101830L8いなかもの、去年しもつきお江戸へ出たとき、し/□((ばカ))いと 00101840L9(十五ウ)いふものを見たが、さて+人もたくさんだが、 00101850L10くりこむものだ。江戸つうのいなかもの、そんなら、しば 00101860L11らくハ見たか。いんにや、じきかへつた 00101870¥N24¥J 00101880¥Xぢゞいばゞあ(十六オ) 00101890L14ぢゞいばゞあがあつたとさ。ぢゞいハ山へくさかりに、ば 00101900L15ゞあハ川へせんたくにゆき、いつものもゝがながれてくる。 00101910L16ばゞあ、とりてくうと、わかくなる。も一つながれてこい、 00101920L17ぢゞいにおまそといへバ、(十六ウ)又ながれてくる。それ 00101930L18を取り、もひとつながれてこいといへバ、手にもちし桃も 00101940L19あきれはて、そのように、なんにさつしやるといへバ、ば 00101950L20ゞあ、小ごへになり、まをとこに(十七オ)(十七ウ・十八オ挿 00101960M1絵) 00101970¥N25¥J 00101980¥X桃太郎 00101990M4れいのとをり、おにがしまへたからをとりに行く。道+ 00102000M5きじ、いぬ、さるが出て、きミだんごをもらい、供をして 00102010M6行く。たからを取り、わが家へかへり、もゝ太郎、(十八ウ) 00102020M7三人のものへ、大きにおせわ。さんにんのもの、お茶でも 00102030M8かといへバ、いんにや、だんご 00102040¥N26¥J 00102050¥Xかち+山 00102060M11うさぎ、たぬきにやけどさせんと、しばをかり、たば(十 00102070M12九オ)ねるところへ、たぬききたり、うさぎどの。なにを 00102080M13しやる。しばをかりて、たき木にしますといへば、たぬき、 00102090M14おれもかりて行んと、たがいにしばをかり、しよい出す。 00102100M15半ミちほど行くと、うさぎ、(十九ウ)やすんでいかうとい 00102110M16ふ。たぬき、なるほど、あついといふて、おもにをおろし、 00102120M17あせをふくうち、たぬき、ほくちをいだし、かち+とう 00102130M18てば、うさぎ、かへりくぢに、おふかとおもひ、たぬきど 00102140M19の。なに(廿オ)をしやるといへバ、たばこをのむのさ 00102150¥P303 00102160¥G(十七ウ・十八オ) 00102170¥N27¥J 00102180¥Xした切すゞめ 00102190M3したきりすゞめのばゞあ、たび+おもきつゞらにて、ば 00102200M4けものをしよいこミ、なんぎしたりし(廿ウ)ゆへ、此たび 00102210M5ハかるきつゞらにせんと、おもひいる所へ、いつものとを 00102220M6り、おもひのか、かるいのかといわれ、年よりしゆへ、/か= 00102230M7る((ママ))のがよいといゝ、うちへもち行き、あけて見れバ、から 00102240M8もの(廿一オ) 00102250¥N28¥J 00102260¥Xさるかに 00102270M11さるが、かにのところへ見まいに行きけれバ、れいのとを 00102280M12り、いろりより、たまこかはねつき、尻をまくつてにげる 00102290M13所を、はちがさす。あらめにてすべり、うら口へにげ(廿一 00102300M14ウ)だせバ、おもてののきにつるされしうす、のき下のう 00102310M15しのくそ、あぶれてハならんと、さるどの。ミちがちがつ 00102320M16た 00102330¥N29¥J 00102340¥Xはやのミ込 00102350M19はやのミこミの人、あの三味(二十二オ)せんのかわハなん 00102360M20だ。ひざへのるから、ねこさ。つゞミハ。あれハかたへ上 00102370¥P304 00102380L1るから、さるさ。大こハ。馬さ。どおりて、大こうつて見 00102390L2せろといふ 00102400¥N30¥J 00102410¥X新富士 00102420L5高田のしんふじを見(二十二ウ)たが、さてよくできた。よさ 00102430L6ハよいが、ふじ山ハ、とをくから見ても、ゑにかいたのを 00102440L7見てもしろいが、なせかくろい、まだできあかるまい。そ 00102450L8れでも出来たとさ。いや+、ゆきがまに合まい(廿三オ) 00102460¥N31¥J 00102470¥X初ゆめ 00102480L11ゆうべ初ゆめを見たが、はんじてください。一つハいわづ 00102490L12としごくよい。まつ一が、すりばちを見た。それハよい。 00102500L13ふせれバふじ山。なるほと、二ハなんだ。茶のしごく(廿 00102510L14三ウ)よいのだ。それもよい。なぜ。しごくよい茶に、たか 00102520L15のつめといふのか有る。ふじの山にたかのつめ。そのつき 00102530L16ハなんだ。いわづとなんでもよいといふてかへるを、よび 00102540L17かへし(廿四オ)きけば、そんなら、いおふ。とおなす 00102550¥N32¥J 00102560¥Xかミゆい 00102570L20日もくれ、出こうしをしめに出れハ、二人つれにて通るを 00102580M1きけば、一人のおとこ、さつきハ人を(廿四ウ)とりによこ 00102590M2したそうだが、間に合たかの。それさ。弐両と壱わかりた 00102600M3よ。あしたかへそうと咄して通る。是ハばくちうちかなん 00102610M4ぞとおもひ、あけてミれバ、かミゆい(廿五オ)(廿五ウ・廿六 00102620M5オ挿絵) 00102630¥N33¥J 00102640¥Xはくちうち 00102650M8又こうしを立て、入らんとすれバ、跡£三人つれにて、夕 00102660M9部きゝやれ。五ツから四ツ半までに、二はこつかつたとい 00102670M10ふて通る。さて+よきぶげんと(廿六ウ)よくきけバ、め 00102680M11くりのふだ 00102690¥N34¥J 00102700¥Xぎんぎセる 00102710M14しわき通人、ちいさきぎんぎせるをよく+こしらへ、じ 00102720M15まんらしく呑て、かミにており+ふく。友だち、これ 00102730M16+、(廿七オ)貴様ハ吸口のくろい所ハ、なぜミがゝぬ。 00102740M17ミがいてもどうしても、ぎんハぎんだといへバ、めがへる 00102750¥N35¥J 00102760¥Xこくぶ 00102770M20でんがくをやきながら、こくぶのたばこを、はじめ(廿七ウ) 00102780¥P305 00102790¥G(廿五ウ・廿六オ) 00102800M1てかい、火のつくがおもしろさに、火へかざしてハのミ 00102810M2+して、よいこれ+、ミそをくれろ+といへバ、ま 00102820M3だやけもせぬに 00102830¥N36¥J 00102840¥X吉原 00102850M6つき出しのちうさんをあ(廿八オ)げ、いろ+さわぎのう 00102860M7ちに、けんをうつ。三んよ引、ろまよ引といへバ、つき出 00102870M8し、つく+きいて、松金屋じやあるまいし 00102880¥N37¥J 00102890¥X深川 00102900M11けひてすそつぎへあがり、(廿八ウ)二会目の事なれバ、お 00102910M12なじ羽おりもならずとて、かのむそう羽おりのうらに、い 00102920M13きなもんつけたるをきてあがると、女郎、よう御出なんし 00102930M14た。ぬしわ、うら(廿九オ)かのといわれて、あかくなり、 00102940M15くそ、すそつぎ女郎め 00102950¥N38¥J 00102960¥X四谷 00102970M18十月じぶん、四谷新じくへあがり、ほう※見るに、さて 00102980M19+吉原にも、(廿九ウ)なきこともこうじたふしん。床に 00102990M20ハ四季ざきのあやめをいけ、さてよいあやめだねといへバ、 00103000¥P306 00103010¥G(三十二ウ・三十三オ) 00103020M1女郎、大キにおせわ 00103030¥N39¥J 00103040¥X品川 00103050M4しながわへあがり、さて(三十オ)+聞たより、見はらし 00103060M5がよし。そのうへ、つけのよさといふ所へ、だいのものに、 00103070M6大ゑび二つわりにして、山ほどだせば、ミな+とりより、 00103080M7たいらげてねると、しばらくし(三十ウ)て屏風のそとにて、 00103090M8何かわり+と、おとかしたれば、さてこそ四五年いせん 00103100M9のねこならんと、そつとのそき見れば、女郎、茶わんを引 00103110M10よせ、ゑひのあし 00103120¥N40¥J 00103130¥X四六(三十一オ) 00103140M13だいこはたけへ、病人あすびに行き、何かものあんしすか 00103150M14たにて、つれをよひ出し、さて+わるい事をした。なん 00103160M15だ。いやれ+といわれ、おれハ地黄をのむ(三十一ウ) 00103170¥N41¥J 00103180¥Xけころ 00103190M18けころへあがり、かへりのとき、ふところのうちにて六文 00103200M19ぬき、それとなげだせば、けころ、もし+、此ぜにハ百 00103210M20九十とよひかけられ、なんだといへバ、けころやの(三十二 00103220¥P307 00103230L1オ)(三十二ウ・三十三オ挿絵)女、もし、六文ふそくといへバ、 00103240L2それハゆせん 00103250¥N42¥J 00103260¥Xきのへねの米 00103270L5十二月のきのへねに、家内一ど喰ほど、大黒さまへ米をあ 00103280L6げ、二月のきのへねに、豆めしに(三十三ウ)してそなへる 00103290L7と、よいことがあるとて、いへ+にてそなへけれバ、ゑ 00103300L8ひす三郎、大黒天にむかい、あのたいぜいな人+へ、家 00103310L9ふくを、どうしてあたへさつしや(三十四オ)るといへば、 00103320L10二月まで利米にだすのさ 00103330¥N43¥J 00103340¥X米や 00103350L13大こく、米やへ行、こんどやまにて、米をたくさんとつた 00103360L14が、なんと利米をかすくふうハあるま(三十四ウ)いか。た 00103370L15くさんさへあればよいと、米やうけおい、ついでに、おま 00103380L16へが二俵も、おかしなさらぬかといへハ、夫でハ、しとね 00103390L17がない(35オ) 00103400¥P308 00103410¥U噺本大系△第十一巻 00103420¥T/笑長者(わらいちようじや)〔序文〕 00103430¥G 00103440¥Y 00103450L18安永九年正月序 00103460L19小本一冊 00103470L20東大国語研究室蔵 00103480¥Y序 00103490M3/万代不易(ばんだいふゑき)の/難有(ありがた)さ、又/福&敷(ふく+しき)/松餝(まつかざり)、/福(ふく)を/汲込(くミこ)む/若水(わかミづ)へ、/移(うつ) 00103500M4る/笑面(ゑがほ)の/福(ふく)&しさに、/鴬(うぐひす)の/声(こへ)も/新(あたら)しく、/猶(なを)/笑(ゑミ)を/増(ます)/軽口噺(かるくちはなし)し 00103510M5も/多(おほ)からん(序オ)/其中(そのなか)へ、/雀(すゞめ)のさへつりを/真似(まね)て、つゝく 00103520M6り/合(あわ)せし/雑噺(ざつはなし)、/幼童(いとけなきわらんべ)のもて/遊(あそ)びとひとしく、/春(はる)の/興(けう)に 00103530M7もなれかしと、/笑長者(わらいちやうじや)と/題(だい)して、御/一笑(いつしやう)をねがふのミ 00103540M9△△△△△子の初春 00103550M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序ウ) 00103560¥P309 00103570¥G(一オ) 00103580¥N1¥J 00103590¥X/丑(うし)の/時参(ときまい)り 00103600M3女房Sモシだんなへ。とふもあの八兵衛殿ハ、いけすかな 00103610M4い人でござりやす△亭主Sナゼ△女房Sむかふの大屋様の 00103620M5所て、わたしが事を、いつそわるくいつたそふでござりや 00103630M6す△ていしゆSあいた口だ(一ウ)もの、どのやうな事でも、 00103640M7かけでハいふはづよ△S女房どふもわたしや、にくくてな 00103650M8りやんせん。どふしてやろふかしらぬと、いひながらねる。 00103660M9/夜半時分(やはんじふん)、女房そつとおきて、へつついの方へそろ+ゆ 00103670M10く。Sていしゆかゝアどの。(二オ)どこへいかつしやる△ 00103680M11S女ぼうゑゝごうはらな。ミつかつた△Sていしゆ何ンの事 00103690M12だ△S女ぼう八兵衛どのがにくいから、/丑(う)しの時参りをい 00103700M13たしやす△Sていしゆとほうもない。そうしてどこへいく 00103710M14のだ△S女ぼう外へゆくハこわい(二ウ)から、/荒神(くわうじん)様の松 00103720M15へ、くきをうたふとおもいやす 00103730¥N2¥J 00103740¥X/杣(そま)の/自慢(じまん) 00103750M18/木曽(きそ)の山おくの/杣(そま)、江戸へ用事有て出る。山/家(が)そだちゆへ、 00103760M19/強勢(かうせい)に/力(ちから)も有て、ほねふとくたく(三オ)ましき/男(をとこ)ゆへ、や 00103770M20とのていしゆ、しこみのよひをほめる。/杣(そま)、/鼻(はな)を/高(たか)くして、 00103780¥P310 00103790L1/国(くに)にもわしらアほどなものハござんない。わしらアたいが 00103800L2いの木ハ、/鋸(のこぎり)いらずに、ねぢたおしますよ。それで木ども 00103810L3もしぜんと、わしを(三ウ)見ると、/枝(ゑだ)をたれてあやまりま 00103820L4す。Sていしゆそれハふしぎなものでござると、いろ+ 00103830L5はなす。あくる日、江戸見物に出、ていしゆとつれ立て御 00103840L6/殿(てん)山の方へゆく。Sていしゆあの山にハ大ぶ木がござる。 00103850L7ぬしがいかれたら(四オ)大かたおそれませう△Sそま木の 00103860L8ぶんハわしをミるとおそれますといふうち、御/殿(てん)山へゆく。 00103870L9杣、木のそばへゆけども、なんともなし。Sていしゆもし、 00103880L10木がおそれるようすがミへませぬといへば、杣、ぬから 00103890L11(四ウ)ぬかほして、江戸の木ハ、わしをしらねヱからさ 00103900¥N3¥J 00103910¥X江戸/見物(けんぶつ) 00103920L14いなかもの、はじめて江戸へ出、所&見物す。/上野(うへの)/浅草(あさくさ)よ 00103930L15り/両国(りやうごく)へ出けれバ、そのにきやかさ、いわんかたなく、(五オ) 00103940L16やかたふねおびたゝしく、さみせんひくやらうたふやら、 00103950L17/此(この)よふな所ハあるまいと、きもをつぶしてかへり、ていし 00103960L18ゆへはなす。どこさいつても、ゑらい人でござる。あの又 00103970L19ふねて、ぐわんやくをうるのハ、とうしたもので(五ウ)こ 00103980L20ざる。Sていしゆふねでくわんやくをうるとハ、がてんが 00103990M1まいりませぬ△Sそれでも、/吉野丸(よしのぐわん)の川一丸のと、かきつ 00104000M2けてこざる 00104010¥N4¥J 00104020¥X/白雨(ゆふだち) 00104030M5にわかに夕だちする。これてハなるまい。(六オ)権兵衛、 00104040M6まづこゝのミせをかりてやめやう。S権兵衛いや+、此 00104050M7あめハやむまい。ぬれてひとへ物一つ、おれハかけていか 00104060M8ふ△Sそれハわるい。すこしやめやれ△S権兵衛いや+、 00104070M9おれハいく。貴様ハやめてござれといふて(六ウ)かけ出す。 00104080M10Sアヽばかな男だ。すこしやめれバよいにといひながら、 00104090M11やめてゐれどもやまず。だん+くれかたになるゆへ、ぜ 00104100M12ひなく、手ぬくひにてあたまをつゝミかけ出し、大きにぬ 00104110M13れてかへる。あくる日、権兵衛にあひ、きのふ(七オ)おの 00104120M14しやアぬれたろう。S権兵衛ぬれただんか。ほねまてくさ 00104130M15つた。貴様ハどうした△Sおれハ/久(ひさ)しくやめてゐたが、日 00104140M16がくれそうだから、かへつた△Sそんなら、からかさても 00104150M17かりたか△Sイヽヤ、おれもほねまでぬれた(七ウ) 00104160¥N5¥J 00104170¥X/碁(ご)/将棊(せうぎ) 00104180M20/碁(ご)せうぎけいこ所へ、/町内(てうない)のわかいもの/来(き)てごを打つ。な 00104190¥P311 00104200L1んばん打てもまける。大きにせきこんでかへり、又あくる 00104210L2日/来(き)て、きのふのあいてをまつ。Sていしゆぬしハきのふ 00104220L3まけたな△Sわかいもの(八オ)あんまりごうはらだから、ま 00104230L4た/来(き)た△Sていしゆそのぼうハなんだ。わかいものあのやろ 00104240L5うにまけてハ、おれも/若(わか)いものがたゝねヱから、けふかち 00104250L6やアがるがさいご、此ほうて、よこつつらをはりまげるつ 00104260L7もりさ(八ウ) 00104270¥N6¥J 00104280¥X/麁相(そさう)もの 00104290L10モシ+新八さん。はき物がちがひました。S新八、取て 00104300L11かへし、是ハ+ふてうほう。御ゆるしなされませといふ 00104310L12て、はきちがひしぞうりを、とをくへぬぎすて、/我(わが)ぞうり 00104320L13(九オ)を取て、いたゞいてはく 00104330¥N7¥J 00104340¥X/疝気(せんき) 00104350L16ゐんきよ、せんきけでゐる。となりのもの、見まひにゆく。 00104360L17Sゐんきよ/久(ひさし)ぶりて/疝気(せんき)がおこりました。あすハ大かた/雪(ゆき) 00104370L18でござろう△Sとなりのものいゝへ、(九ウ)天きハよふござ 00104380L19ります△Sゐんきよいへ+、わしがせんきがおこると、 00104390L20ちがいなくふりますといふ。あくる日、となりのもの、又 00104400M1ミまひにきて、きのふ、おまへハゆきがふるとおつしやり 00104410M2ましたが、てんきハよふござります。Sゐんきよ(十オ)され 00104420M3はさ。わかいじふんハちがひなくふりました。よくゆきを 00104430M4しつておこりましたが、せんきめも年がよつて、物おほへ 00104440M5がわるくなつたそふでござる 00104450¥N8¥J 00104460¥X/戸棚(とだな)の/喧嘩(けんくわ) 00104470M8戸棚の中にて、てうし、とつくりと(十ウ)大けんくわ。 00104480M9Sてうしとつくりめ、なぜこゝへきた△Sとつくり/酒(さけ)がある 00104490M10からきたが、どうした△Sてうしわれハおれとかたをなら 00104500M11ぶるものでハない。おれがゐる所にハおかれない。はやく 00104510M12出ていけ△Sとつくり何ンた、あつかましい。われが(十一 00104520M13オ)なんぼうりきんでも、おれが酒をもつてこねば、/座敷(ざしき)へ 00104530M14出る事ハなるまい。あまり大きな事をいふな△Sてうしお 00104540M15のれ、下らうのぶんとしてぞう言、ふとゞき也とて、其ぶ 00104550M16んにせぬと大さわぎ。Sちろりきゝつけ、きのどく(十一ウ) 00104560M17におもひ、あつかいにいで、どちらもりくつハもつともだ 00104570M18が、ねもはもない事をあらそわずと、わしにめんじて、ま 00104580M19あ、かんさんせ+ 00104590¥P312 00104600¥N9¥J 00104610¥Xあミがさ 00104620L3さむらい、ふだん、あミがさをかふつてあるく。(十二オ)△ 00104630L4Sほうばい/貴(き)さま、あミかさはもふよしやれ。るすゐのし 00104640L5くじりのやうでミぐるしい△Sさむらい貴様のいけんハか 00104650L6たじけないが、おれもとをきおもんはかりあつてかぶる△ 00104660L7Sほうばいそりや又なぜ△Sさむらいぶしの身(十二ウ)の上 00104670L8ハしれぬものだ。もし、/浪(らう)人したときのためだ 00104680¥N10¥J 00104690¥X花がつほ 00104700L11たんな、けらいをよび、やしよくのさいハ、八はい/豆腐(どうふ)に 00104710L12せい。花かつほをたくさんかけろ。S八助、かしこまりま 00104720L13した(十三オ)といふて/台所(だいどころ)へ出て、小くびをかたむけ、町 00104730L14へかけ出してゆき、しばらくしてかへる。Sたん那八助。 00104740L15われハとこへいつた△S八助花がつほをかいに参りました 00104750L16が、とこにもござりませぬ 00104760¥N11¥J 00104770¥X芝居くづれ△(十三ウ) 00104780L19今からぶら+、両/国(ごく)へすゞみにゆかふとさそふ。それハ 00104790L20よかろう。しかし、しばゐくづれの人がじやまで、あるき 00104800M1にくかろう。大かたもふくづれたろふ。ちよつと見せにや 00104810M2ろふと、山/出(だ)しおとこを(十四オ)よんで、しばゐがくつれ 00104820M3たか、見てこいといひ付る。しばらくしてかへる。Sたん 00104830M4那どうだ。くつれたか△Sけらいイヱ、けんぶつの人ハ、 00104840M5ミなそとへ出ますが、まだどこもくづれハいたしませぬ 00104850M6(十四ウ) 00104860¥N12¥J 00104870¥X/生酔(なまゑひ) 00104880M9よりあひてさけをのむ。なんと、あの源八は、さけのうへ 00104890M10がわるひじやないか。ヲヽサ、ありやしゆらんだとはなす 00104900M11ところへ、源八かくる。(十五オ)こりやよいところへきた。 00104910M12一ぱいのましやれ。めつたにのんで、大きにあばれくたひ 00104920M13れて/寐(ね)る。わかいものども、そつと/戸(と)いたへのせ、むらは 00104930M14づれのすゝきの(十五ウ)なかへねせてかえる。源八、目を 00104940M15さまして、あたりを見てきもをつぶし、あたまをなでゝミ 00104950M16る 00104960¥N13¥J 00104970¥X/歳暮(せいぼ) 00104980M19むすこ、ししやうさまへせいぼ(十六オ)にゆくとて、した 00104990M20くする。はゝ、せわして出す。むすこ、道£かへり、かゝ 00105000¥P313 00105010L1さん。あふぎをもつてゆかふ。Sおやぢ、大ごいにて、ば 00105020L2かめ。あふぎがいるものか。なつでハあるまいし(十六ウ) 00105030L3(十七オ挿絵) 00105040¥N14¥J 00105050¥X/養生(やうじやう) 00105060L6/若(わか)い/男(をとこ)、ことのほかやうじやうふかく、ふだん/地黄(ちわう)をぢや 00105070L7くにのむ。ともだちいけん。おのしや、あんまりやうじや 00105080L8うすぎる。わかいものがそんなにちわうをのんでは、(十 00105090L9七ウ)かへつてどくだ。もふよしやれ。Sむすこおれハふか 00105100¥G(十七オ) 00105110M1いりやうけんあつての事だ△Sともだちそりや又、どうし 00105120M2たりやうけんだ△Sむすこどふでおやぢがいきてゐるうち 00105130M3ハ、とうらくハおもふよふにならねヱから、いまの(十八 00105140M4オ)うち、やうじやうして、おし付おやぢがしんでから、 00105150M5ふやうじやうに、とうらくするつもりさ 00105160¥N15¥J 00105170¥X/豆(まめ)いり 00105180M8/雨(あめ)ふりでさびしい。なんと、まめいりでもしやうか。それ 00105190M9ハよかろふと(十八ウ)て、まめをいる。長太郎ないて、そ 00105200M10とへ出る。母Sわれハなぜなく△S長太郎おらア、きうを 00105210M11すへる事ハいやだ 00105220¥N16¥J 00105230¥Xほうろく 00105240M14たんな、けらいへ、ほうろくを(十九オ)かつてこい、とい 00105250M15ひ付る。けらい、かしこまりました。どこにござります。 00105260M16たんな、はてさて、町へいつてきけ。Sけらい、ちとかん 00105270M17がへて、なんぞ入ものをもつてまいりませう(十九ウ) 00105280¥N17¥J 00105290¥X/氏神(うぢがミ) 00105300M20うぢ/神(がミ)さまへ、ひわの木を上る。Sともだち神へ、ひわの 00105310¥P314 00105320L1木ハあげぬものだ△Sなぜ△Sはて、びわの花ハ十月さく 00105330L2からさ△Sナセ、十月さくがどふした△Sハテ、がてんの 00105340L3わるい。(二十オ)せつかく花がさいても、十月は神様のお 00105350L4/留守(るす)だから、御らんなさる事がならぬからさ 00105360¥N18¥J 00105370¥X/草鞋(わらんぢ) 00105380L7おり介、せい出してわらんじをつくる。大ぶん上手になり 00105390L8て、(二十ウ)/買人(かいて)、前ぜにをおいてあつらい。めつたにお 00105400L9もしろく成てくるけれども、とかく奉公がじやまになつて、 00105410L10おもふよふにできず。Sかいて此ごろハなぜか、できませ 00105420L11ぬの△S織介奉公がいそがしく(二十一オ)じやまになつてで 00105430L12きませぬで、どうぞ、だんなのない所へほうこうしたい 00105440¥N19¥J 00105450¥Xとんだりんき 00105460L15かみ様。ちとそうだんがある。S女ぼうあい、なんでござ 00105470L16りやす△Sこな様(二十一ウ)ハもふ、此月のやくハすんだ 00105480L17か△S女房すミやしたが、なぜへ△Sそれならおし付、/氏= 00105490L18神(うぢ=がミ)の御まつりに、/神子(ミこ)に/頼(たの)ミたい。此むらにハ、こなさん 00105500L19よりほかにハない△S女房うぢがミさまの事なら、わたし 00105510L20や出やせうが、/内(うち)で(二十二オ)何ンといわれるか、しれや 00105520M1せんと云フ所へ、ていしゆかへる。S女房、いさいはなす。 00105530M2Sていしゆ、ふきやうにミへる。Sせわやき御ていしゆ 00105540M3たつた二日のあいだの事だから、どうぞ/出(だ)さつしやれ。う 00105550M4ぢ神様へおかし申のだからゑい△Sていしゆいや+、よし 00105560M5ませう△Sせわやき(二十二ウ)なぜさ。貴様のためにもなる 00105570M6事だ。そしてこんじやうのわるい女ハ、みこにはならない。 00105580M7こゝのかミ様ハすなをゆへ、神様もよくのりうつらしつて、 00105590M8御たくせんもよくしれる。むら中のものもよろこぶ事だ△ 00105600M9Sていしゆけつしてなり(二十三オ)ません△Sせわやきはて 00105610M10さて、わるいりやうけんだ。たつた二日の事だ。どふぞだ 00105620M11さつしやれ△Sていしゆ、少&せき/込(こん)で、たとへ二日が半 00105630M12時でも、ならぬといつちやならぬ。氏神さまでも何ンでも、 00105640M13女房をかしてハ男がたゝぬ。あまりしちくどくいわしやる 00105650M14と、(二十三ウ)しちめんどふな。御ミやをたゝきこわして 00105660M15しまうぞ 00105670¥N20¥J 00105680¥X/吸物(すいもの) 00105690M18いなかもの、江戸にてハ/鹿(しか)をもみぢのすい物といふ事、は 00105700M19なしに/聞(きゝ)、よくおぼへて/盃(さかづき)事のうち、(二十四オ)すい物 00105710M20出る。S若い者、かぶろに、もみぢ。おすい物をといふ 00105720¥P315 00105730L1に、取て、きやくへすへる。Sかぶろ申。ちとおすいなん 00105740L2し△Sきやくイヤ、四/足(そく)ハ/給(たべ)ぬ 00105750¥N21¥J 00105760¥X/松茸(まつだけ) 00105770L5松だけハ何から出やんすへ。Sあれは松から△Sそんなら、 00105780L6しゐたけハ/椎(しい)の木かへ(二十四ウ)Sもちろん△Sゑの木だ 00105790L7けハ。/榎(ゑのき)であらふし△Sそれ+。はつ/茸(だけ)ハ何からでやう 00105800L8の△Sあれも松から出やんしやう△Sこいつハあやまつた 00105810L9Sサア松露ハ△S扨もゑらい。しゝたけハ△Sぼたんかへ 00105820¥N22¥J 00105830¥Xひんな/娘(むすめ)(二十五オ) 00105840L12ひんな所のひとりむすめ、きりやうハことのほかよいが、 00105850L13どふも手のゆびがふとくて、/縁(ゑん)づきがならぬ。これハおい 00105860L14しや様にミてもらつたら、どふかなをりそふなものと、ふ 00105870L15だん心易いいしやどのにミせたれバ、Sいしや殿、よく 00105880L16+(二十五ウ)見て、これをなをさうならば、/朝夕(あさゆふ)ちと、 00105890L17めしをひかへたらよかろう。Sむすめ、はづかしさうに、 00105900L18イヤ、わたしハふだん、小しよくでござりますといへば、 00105910L19Sいしや殿イヤサ、/喰(くふ)事てハない。たく事じや(二十六オ) 00105920¥N23¥J 00105930¥X/通(とを)り/者(もの) 00105940M3/女郎(ぢよろう)の/夜食(やしよく)とおもひ、ちよつとつれの所へつき/合(あい)に/行(いつ)てこ 00105950M4やうと出て/行(ゆく)。しばらくして/帰(かへ)り、ナント、おれハきつい 00105960M5とをりものか。/夜食時分(やしよくじぶん)とおもつたから、ずつと(二十六 00105970M6ウ)はづした所が、此ごとく取ざかなもあらし山、かれい 00105980M7のほねハ/唐(とう)ぐしのごとく、たゞ初会ハ/通(とを)りものも心づかひ 00105990M8なものといへば、S女郎そのやうなあなをいひなんせんが、 00106000M9通りものさ 00106010¥N24¥J 00106020¥X/隠居(いんきよ)(二十七オ) 00106030M12四五くわいめに、おれハいんきよの身だから、度&ハこら 00106040M13れす。/紋日(ものび)/仕(し)まいもうけられず。物まへに金もやられぬが、 00106050M14そのほかの用ハ何ンでもきこうといへば、S女郎それでハ 00106060M15わたしが申事ハありんせん。何ンぞ一いろハ、きいてくん 00106070M16なんせねバ、(二十七ウ)やり手しゆやだんなさんのまへえ、 00106080M17わるふありんすといへば、なるほど、そんなら一年中つか 00106090M18ふ、ふしとやうじをすけやう 00106100¥P316 00106110¥N25¥J 00106120¥X/其二(そのに) 00106130L3女郎かいのゐんきよ、手もちなければ、たもとからじゆず 00106140L4をいだして、(二十八オ)此玉がさんごじゆ、これがこはく、 00106150L5これがめのう、これハ金、これハ銀と、ひけらかせば、 00106160L6S女郎わつちに、そのじゆずをおくんなんし△Sいん居さ 00106170L7て+、けしからぬものをほしがるものだ。もらつて、な 00106180L8んにする△S女郎しちにやりんす(二十八ウ) 00106190¥N26¥J 00106200¥X/初会(しよくわい) 00106210L11さむらひ、女郎を見立、二かいへあがるとき、まわしかた 00106220L12が、Sおこしの物をおわたしなされませといへば、S武士 00106230L13がこしの物をわたしてなる物か△Sイヱ+、所のおきて。 00106240L14どなた様でもおあづかり申ます△S所の(二十九オ)おきて 00106250L15とあれバ、ぜひがない。云((ママ))てかたなをわたす。Sおわきざ 00106260L16しもつかハされませ△Sこれも取上るかと、わたしてしま 00106270L17つて、つの大しのやうにかしこまつて、サハ、これからや 00106280L18わらだ 00106290¥N27¥J 00106300¥X/木兎(みゝづく) 00106310M1これハおよなべか。ときに、けふめづらしい(二十九ウ)物 00106320M2を見た。S何をごらうじた△S両/国(ごく)のくすりうりの所に、 00106330M3/生(いき)たみゝづくがあつた△Sそれが何、めづらしい物だ。わ 00106340M4たしハたび+見ました。みゝづくのいきたハミかけるが、 00106350M5だるまの/生(いき)たのがない物さ 00106360¥N28¥J 00106370¥Xびゐどろ(三十オ) 00106380M8だんな、此おすだれハびゐどろでござりますの。Sされば 00106390M9さ。此ころ出入のおやしきから、はいりやうした△Sこれ 00106400M10はうつくしうござります。とんと、いゝおんなをさかさま 00106410M11にしたようだ 00106420¥N29¥J 00106430¥X/田舎者(いなかもの)(三十ウ) 00106440M14いなかもの、江戸見物に来り、新吉原をミんと、ばくろう 00106450M15町からあんないをたのミ、五丁町中をあちこちと見てある 00106460M16き、これもし、あの/袖(そで)の/梅(むめ)とかいてあるハ、あんたね。 00106470M17Sあん内あれハさいけん(三十一オ)といふ物のげだいさ 00106480¥N30¥J 00106490¥X/七福神(しちふくじん) 00106500M20これ、あれをミやれ。ひとり/娘(むすめ)にむこ八人といふが、あれ 00106510¥P317 00106520L1ほどうつくしいべん天さまにハ、なぜ六人有の。Sされば 00106530L2よ。あとのふたりハ(三十一ウ)とうにぢんきよしたらう 00106540¥N31¥J 00106550¥Xすまうとり 00106560L5吉わらハよくきやくをなげるといふ事をきゝ、なんでもな 00106570L6げられまいとやうじんして、初て女郎屋へあがり、へやも 00106580L7ち(三十二オ)をかい、とこいりしてまつてゐる。ひけまへ 00106590L8に女郎きて、よぎへはいりながら、/寐(ね)なんしたかへと、か 00106600L9たへ手をかけければ、Sきやく、おきなをり、いあいごし 00106610¥G(三十三オ) 00106620M1に成て、いや、その手でハいかんぞ(三十二ウ)(三十三オ挿絵) 00106630¥N32¥J 00106640¥X/礼(れい)の/間違(まちがひ) 00106650M4/新参(しんざん)の米つき、とかくあせをかく。Sおやかた是、おのし 00106660M5やア/朝(あさ)からそのやうにあせをかいてハならぬ。米つきとい 00106670M6ふものハ、/土(ど)用のうちも、日なたでつかねバならぬものた 00106680M7が、その(三十三ウ)やうに、あさからあせばかりふいてゐ 00106690M8てハなるまい。日なたでつきならつたがよいとしかる。ぜ 00106700M9ひなく/日向(ひなた)へ出てつく。だん+あつく成て、玉のやうな 00106710M10あせが出る。/目(め)へながれこめども、だんながミてゐるゆへ、 00106720M11(三十四オ)ふく事もならず。こまりはてし所へ、是もいな 00106730M12かものとミへて、もし+、/浅草(あさくさ)の/観音(くわんをん)様へハどふまいり 00106740M13ますと、米つきに/聞(きく)。米つき、米をやめて手ぬぐひを出し 00106750M14て、あせをふきながら、是をまつすぐにいかしつても(三 00106760M15十四ウ)よいが、又そこらで/聞(きい)てござれ。とかく江戸のミち 00106770M16ハ、ちよつ+ときかねバしれませぬから、/油断(ゆだん)なくきい 00106780M17てござれと、われもしらねども、あせがふきたさのまゝ、 00106790M18なが口上におしへる。/田舎者(いなかもの)、めんとうがりて、(三十五オ) 00106800M19あい+と、へんじしながらゆく。米つき、ぞんぶんにあ 00106810M20せをふき、手ぬぐいをしまひなから、/忝(かたしけな)ふござります 00106820¥P318 00106830¥N33¥J 00106840¥X/一物(いちもつ) 00106850L3/男(をとこ)の/一物(いちもつ)ハ、なんぼちいさくツても、/銭(ぜに)百だけハ有るもの 00106860L4だ。Sハテナ。(三十五ウ)それなら、/仙台(せんだい)しゆの一もつハ、 00106870L5大きかろふ△Sナゼ。はて、/丁(てう)百だハさ 00106880¥N34¥J 00106890¥X/少気(せうき) 00106900L8/下戸(げこ)にて/小気(せうき)な/男(をとこ)、きうに/上戸(ぜうご)になりたがり、めつたに酒 00106910L9をのんでミても、のまれぬまゝ(三十六オ)ぐわんがけをす 00106920L10る。S友だちおのしや、なぜそのやうにじやうごに成りた 00106930L11い△S下こおれハどふも上戸がうら山しい。どうぞ/酔(よつ)てミ 00106940L12たい△S友達なぜ△S下ことうそ酒によつて、女とくるつ 00106950L13て見たい(三十六ウ) 00106960¥N35¥J 00106970¥X/息子(むすこ) 00106980L16むすこ、女郎ぐるひにて、/身代(しんたい)だいなしにする。/親父(おやぢ)、た 00106990L17び+ゐけんすれどもきかず。又ゐつゞけしてかへる。お 00107000L18やぢ、もつてのほかはら立、もふかんにんならぬまゝ(三 00107010L19十七オ)かんどうする。S息子御めんなされませ△S親仁そ 00107020L20れなら、つゝしむか△S息子いや、とうもつゝしむ事ハな 00107030M1りますまい△S親仁それなら、かんどうだ△S息子どうぞ、 00107040M2のちまでごめんなされませ△S親仁のちまでとハ、どふし 00107050M3た事だ△S息子/杖(つへ)(三十七ウ)とかさをかつて参ります 00107060¥N36¥J 00107070¥X/冷食(ひやめし) 00107080M6しりくせのわるいやつあつて、ふだんふミ/板(いた)へひりかける。 00107090M7S家主、大きにはらを立、なんても見付ケてしかりませう 00107100M8とおもひ、あさ+(三十八オ)/気(き)を付ケる。一人リの/男(をとこ)、せ 00107110M9つちんより出るあとへ、/家主(いへぬし)まわりミる所、たつた今ひり 00107120M10かけしくそ、ふミ/板(いた)の上にほや+して有ル。さてこそと 00107130M11おもひ、家主、かの男をおさへ、まい日+ふミいたへひ 00107140M12りかけ、いかにしてもたしなミのわるい事なり。/急度(きつと)(三 00107150M13十八ウ)つゝしミ給へとしかる。S彼男いや+、私ハひり 00107160M14かけません△S家主はて扨、今貴様がひりかけさしやつた 00107170M15にちがひない△Sかの男いへ+。どうあつても、わたく 00107180M16しでハござりません△S家主扨も+、むりをはる人かな。 00107190M17あれ、ミさつしやれ。今貴様の出た/跡(あと)(三十九オ)のふミ板 00107200M18に、ほや+/湯気(ゆけ)か立てある。それても貴様でないのか△ 00107210M19S彼男わたくしでハござりません。わたくしがくそハ、ゆ 00107220M20げハたちませぬ△S家主そりや又なぜ△S彼男わたくしハ 00107230¥P319 00107240L1/夜前(やぜん)ひやめしをたべました(三十九ウ) 00107250¥N37¥J 00107260¥X/雪隠(せつちん) 00107270L4丸の内へんにて、/大便(だいべん)つまりて、つぢばんへたのんでもか 00107280L5さず。ぜひなくだん+来り、/霞ケ関(かすミがせき)まで来りしが、しき 00107290L6りに大便出かゝり、なんぎながら、そろ+あゆミゆく。 00107300L7/道(ミち)のかた(四十オ)わらに、いろあをざめたる男、いぢかり 00107310L8またで立てゐる。きやつにきくべしとおもひ、そばへ行、 00107320L9もし+、ちとおたづね申たい事がござります。S青男な 00107330L10んでござる△Sハイ、此へんでハ雪隠ハどこにござります。 00107340L11わたくしハことのほか(四十ウ)大便ニつまりまして、こま 00107350L12ります△S青男、かほをしかめてゐながら、貴様ハまだあ 00107360L13るかれるか 00107370¥N38¥J 00107380¥X/味噌(ミそ) 00107390L16すまうや其外、ちからわざなどによわい者をミそといひ、 00107400L17又つよくて(四十一オ)ぢまんするをも味噌といふ。あれハ 00107410L18どふいふりくつであらふ。Sあれか。あれハわけのある事 00107420L19さ△Sどうしたわけだ△Sまづ、ミそにもたん+あるの 00107430L20さ△S其だん+のわけハ△Sまづよハいやつハ、あれハ 00107440M1(四十一ウ)いなかの玉ミそさ△Sそして、つよいやつハ△ 00107450M2Sつよいのは、/四方(よも)の上白さ 00107460¥N39¥J 00107470¥Xおんな 00107480M5女ハなまぐさい物かね。Sどうして女がなまぐさいものた。 00107490M6なまぐさいものなら、ほとけ様へハまいられない(四十二オ) 00107500M7ハい△Sイヤ、そふいやんな。それでも、なまぐさいわけ 00107510M8がある△Sなぜな△Sハテ、せうじんけつさいにハ、女の 00107520M9そばへよらぬじやないか 00107530¥N40¥J 00107540¥X/米相場(こめさうば) 00107550M12お月様ハもと米屋か。Sなぜ。(四十二ウ)それでも、/相場(さうば) 00107560M13をしつてござる△Sとんだ事をいふ男だ。お月様がどうし 00107570M14て、相場をしつてござろう△Sハテ、それでも皆が三ケ月 00107580M15様ミるでハないか 00107590¥N41¥J 00107600¥X/孤子(ミなしご) 00107610M18/隣町(となりてう)のおとぼうとやらハよい子だが、(四十三オ)あれハ/孤= 00107620M19子(ミなし=ご)だそうな。Sハテナ。きれいなこだが、むごい事だ。何 00107630M20かにつけてなんぎするだろうと、はなすそばから、一人が、 00107640¥P320 00107650L1なに、みなしごでハない。Sおれがよくしつてゐる。ハテ、 00107660L2みなしこだとさ。となりの者がはなした(四十三ウ)から、 00107670L3ちがいない△Sハテサテ、たれがなんといつても、おれが 00107680L4よくしつてゐる。みなし子でハない。/随分(ずいぶん)ふとつてゐる 00107690¥N42¥J 00107700¥X/日(ひ)まち 00107710L7日まちにより合、大ぜいにていろ+はなす。さま+の 00107720L8はなしもつきて、(四十四オ)おもひ+にごせうぎ、ある 00107730L9ひハほつくあわせなどはしまり、座敷もしづかになる中に、 00107740L10ひやうきんなるをとこ一人有て、たゞさわぐ斗リにて、な 00107750L11にもしらず。つくねんとしてゐながら、座敷のすミをミれ 00107760L12バ、年ごろのおとこ(四十四ウ)まぢ+してゐる。是よき 00107770L13相手なりとおもひ、其男のそばへ行、おまへもごせうぎ、 00107780L14おきらいとミへるから、なんとしづかに、にらミくらでも 00107790L15いたそうかねヱ。それハよふござろふとてはしめける。ひ 00107800L16やうきんな男、口をまげたり、はなをしかめたり、ほう 00107810L17(四十五オ)をふくらかしたり、いろ+さま+の事をす 00107820L18れども、いつもてまへばかりわらひ、さきの男ハ少しもわ 00107830L19らハぬゆへ、よく+かほをミれバ、あきめくらさ 00107840¥N43¥J 00107850¥X/喰合(くひあわせ) 00107860M3/文盲(もんもう)な/男(をとこ)、大しよくしやうなり、あげる(四十五ウ)やらく 00107870M4だすやら大さわぎ。となりのもの、見まひにゆき、どふだ。 00107880M5何があたつた。何もあたるものハくわねヱが、すいくわを 00107890M6大ふくつたから、/用心(やうじん)に/和中散(わちうさん)をのんだりや、大きにくる 00107900M7しんだ。Sとなりの者それハそのはづさ△Sナゼ△Sハテ、 00107910M8すいくわに和中散ハ、大のきん物だハさ(四十六オ)△Sハテ 00107920M9ナ、おらアねつからしらねヱ△S隣の者よくこんどから、 00107930M10おぼへていさつしやれ。さつまいもにはんごんたんがわる 00107940M11い。その外くひやわせハ、ふだん人のいふ事だ。ふなにか 00107950M12んぞう、こいにこせう、もゝにさとうのなんのとて、いろ 00107960M13+ある△Sハテナ、そんな事ハ今はじめて聞た。そして、 00107970M14あのお月様と(四十六ウ)すつぽんもか 00107980¥N44¥J 00107990¥X/秋茄子(あきなす) 00108000M17秋なすで匂ひがあつて、大ぶうまいとて、まい日+にて 00108010M18くふ。S娘かゝさん。もふなすハよしにしねい。あきはて 00108020M19た△S母おのしや秋なすをくふのハ、ことし斗リだ。たん 00108030M20とくいやれ△S娘なぜへ(四十七オ)母来年ハよめになるか 00108040¥P321 00108050L1らさ 00108060¥N45¥J 00108070¥X/宿(やど)なし 00108080L4宿なしを大ぜいとらへ、佐渡へやられる。中に/若(わか)い男一人、 00108090L5ことのほかよろこぶ。御やく人/衆(しゆ)、コレ、/我(われ)ハなぜよろこ 00108100L6ぶ。Sハイ。おかげて/生国(しやうこく)へかへりますのが、/嬉(うれ)しうござ 00108110L7ります(四十七ウ) 00108120¥N46¥J 00108130¥X/六部(ろくぶ) 00108140L10六十六/部(ぶ)、おゐをわすれてしゆ/行(ぎやう)に出る。Sもし+、上 00108150L11ませうといふて壱文やる。六部、いたゞいて、うしろ/むい((ママ))、 00108160L12/念仏(ねんぶつ)いふ 00108170¥N47¥J 00108180¥X/春袋(はるぶくろ) 00108190L15袋ハ春ぬふ物だといふから、かゝさん、(四十八オ)/銭(ぜに)入を 00108200L16ぬつてくんねヱ。S母、よくどうしく、大きくぬふ。/息子(むすこ)、 00108210L17大切にもつてゐれども、とかく銭のはいりし事なし。S息 00108220L18子、ふしきにおもひ、かゝさん。此/袋(ふくろ)ハねつから/銭(ぜに)がたま 00108230L19らねい。S母其はづだ。おれがわるかつた△S息子ナゼ△ 00108240L20S母/明(あ)キの方を向ひてぬつたからさ(四十八ウ) 00108250¥P322 00108260¥U噺本大系△第十一卷 00108270¥T@当世|新話@はつ/鰹(かつお)〔内題〕 00108280¥G 00108290¥Y 00108300L16安永十年正月序 00108310L17新場散人序 00108320L18堀野屋仁兵衛板 00108330L19小本一冊 00108340L20東大国文研究室蔵 00108350¥G 00108360G1新 00108370G2△作 00108380G3おとし 00108390G4△はな 00108400G5△△し 00108410G6△はつ 00108420G7△が 00108430G8△つ 00108440G9△△を 00108450G10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(袋絵) 00108460¥Y序 00108470M15/三浦三崎(ミうらミさき)の/初松魚(はつかつを)、ふる/背(せ)ハいやよ/新計(しんはかり)、道中/急(いそく)/程谷(ほとかや)に、 00108480M16/川(かハ)さき/品(しな)川/打(うち)(一オ)/越(こ)へて、/今日(けふ)江戸入のはつ声ハ、また 00108490M17/新(あたらしき)はなしの/親玉(おやたま)、アヽつかもねへ(一ウ) 00108500M18△△△△△△△△△△△△△△△△△新場散人戯書 00108510M19△△△安永十うしの歳 00108520M20△△△△△△めてたき日△△△△△△△△△△△(二オ) 00108530¥P323 00108540¥T1@当世|新話@はつ鰹 00108550¥N1¥J 00108560¥X○さる 00108570L5/猿(さる)、かきの木へ登り、よねんなく/柿(かき)を/喰(くつ)て/居(い)る所へ、/蛇(へび)、 00108580L6/跡(あと)から/登(のほ)り、さるの/尻(しり)のあかきを、かきとおもひ、/頭(かしら)をぬ 00108590L7ら+と(三オ)いれけれバ、猿ふりかへり、なむさん、/頼= 00108600L8政(より=まさ)が/来(こ)ねバよいが 00108610¥N2¥J 00108620¥X○婚礼 00108630L11善/公(こう)。おのしやア、地主の/婚礼(こんれい)に呼れて行そふだが、かな 00108640L12らす帰る時、御/暇(いとま)申ますの(三ウ)なんのと、気にかける 00108650L13事をいやんな。ハテナ。こむつかしいものだ。アヽ、おぬ 00108660L14しハもの/知(し)りだソ。そして、なんといつたらよかろふ。 00108670L15Sハテ、だまつて/帰(かへ)りやれ(四オ) 00108680¥N3¥J 00108690¥X○折介 00108700L18久助や。おのしやア本所まて、もふいつて/来(き)たか。とんだ 00108710L19はやい/足(あし)た。此男ア、/羽根(はね)でも有そふな。いや、はねもね 00108720L20へが、聞ツせへ。さむそうな折介と(四ウ)はなしをしなか 00108730M1ら/行(いつ)たら、此折すがさむがつて、こくうにはやく/歩行(あるひ)たか 00108740M2ら、おらも/主命(しうめい)じやあねへが、はやくあるいた。ハテナ。 00108750M3帰りにハどふした。S又、折介の/連(つれ)か有た(五オ) 00108760¥N4¥J 00108770¥X○年礼 00108780M6はつ春の/寿(ことふき)、わつさりと礼に出んと、/着付(きつけ)ぬ上下を/着(き)て、 00108790M7/先(まつ)内をずつと出て、/肩(かた)をいからし/歩(ある)くひやうしに、上下の 00108800M8/音(おと)ぐわさ+するが(五ウ)心うれしく、供の小蔵に、こり 00108810M9や、おれが上下付なら/袴(はかま)の/音(おと)なら、なんといさきゝか。 00108820M10子蔵おもしれへ音がいたしやすといへバ、ほめられるのが 00108830M11うれしく、/一足(ひとあし)/歩(あるひ)てハぐわさ+、/弐足(ふたあし)歩てハ(六オ)ぐわ 00108840M12さ+。一日ぐわさ+、内へ/戻(もどつ)て、おらあ、どけへ/行(いつ)た 00108850M13ツけ 00108860¥N5¥J 00108870¥X○京の髪ゆひ 00108880M16京の者、/床(とこ)へずつとはいると、又/志賀(しが)の/旅人(たひうと)、/跡(あと)からはい 00108890M17りしに、/髪(かミ)ゆい、サア御旅人様。おもミ被成(六ウ)といへ 00108900M18バ、京の者、大キにはらを立、なせ、わしが/先(さき)へ/来(キ)たサカ 00108910M19イ、してたもらぬとうらミをいへバ、髪ゆひはて、しがか 00108920M20らさきじや。やぼいわんすなといわれて、京の者あたまを 00108930¥P324 00108940¥G(七ウ・八オ) 00108950M1おさへ、一つ松かへ(七オ)(七ウ・八オ挿絵) 00108960¥N6¥J 00108970¥X○なじミ 00108980M4江戸の店もの、しまはらへなしミ、/急(きう)に江戸へ下るニ付ケ、 00108990M5なミたを流して/名残(なごり)をおしミけれハ、女郎ハ折節、茶わん 00109000M6に水を入、/硯(すゝり)引よせ(八ウ)文/書(かい)て居るに、/余(あま)り/客(きやく)に/泣(なか)れ、 00109010M7女郎もしかたなく、顔をわきへ/向(むき)、茶わんの水を目へ付、 00109020M8/泣(ない)たふりをして居る。男も誠とおもひ、いよ+/泣(なく)ゆへ、 00109030M9女郎、泣まけてハすまぬと、(九オ)茶わんの水を取てハ付、 00109040M10取てハ付るひやうしに、/墨(すミ)をべつたり付けれハ、客其顔ハ 00109050M11なんだといへハ、これハしたり。目の玉を泣つぶした 00109060¥N7¥J 00109070¥X○木喰ひ(九ウ) 00109080M14おらが/近(きん)所に、木を/喰(く)ふ子蔵が有。ハテナ。それハめつら 00109090M15しい事といふ処へ、/彼(かの)小蔵/来(きたり)、おぢさん。此たいこのぶち 00109100M16をくんなといふ故/遣(や)ると、たちまち喰てしまう。ある時 00109110M17(十オ)ぜん/棚(たな)のくづれをやれバ、是も喰てしまう。/亭主(ていしゆ)あ 00109120M18きれ、なんと、/巨燵(こたつ)やぐらのこハれか有るが/喰(くう)か。そりや 00109130M19あいやだ。なぜいやだ。かゝさんが、あたる物ハ喰ふなと 00109140M20(十ウ) 00109150¥P325 00109160¥N8¥J 00109170¥X○踏 00109180L3/公家衆(くけしう)の所へ、/誂(あつらへ)の/踏(くつ)をもたせて/遣(や)り、代物を取ニ/度(たび)+ 00109190L4/来(こ)られ、公家、/断(ことハり)のせんかたつき、何やらさら+と書て、 00109200L5/是(これ)を/親(おや)方ニ/遣(やつ)て(十一オ)たもれと、手代に渡せハ、早+ 00109210L6帰て親方に渡す。是ハなんじやと/開(ひらい)て見れハ、 00109220L7△△△書/出(いだ)し十三匁/踏(くつ)の代 00109230L8△△△△内百文ハ極月に取り 00109240L9公家より返哥。(十一ウ) 00109250L10△△△/近江路(あふミち)や/矢橋(やばし)の船を/踏(くつ)に見て 00109260L11△△△△/瀬&(ぜゝ)まわる迄/粟津(あハづ)ともまて 00109270¥N9¥J 00109280¥Xさゞゐ 00109290L14法事に酒肴て旦家を(十二オ)よべバ、左次兵衛きもを/潰(つぶ)し、 00109300L15もし和尚様。是ハどふで御座ります。和尚いや、当世ハ仏 00109310L16も/通(つ)ふに成ました。あの羅漢寺を御覧しろ。観音がさゞゐ 00109320L17へ巣をたべました(十二ウ) 00109330¥N10¥J 00109340¥X○新宿 00109350L20新/宿(しゆく)の女郎、品川の女郎をわるくいふにハ、品川の女郎衆 00109360M1ハ、りきんだ事をいゝても、/下脾(けび)だによ。不断/船人(せんど)に斗リ 00109370M2つき合からだ(十三オ)の。なふ、/馬士(まご)どの 00109380¥N11¥J 00109390¥X○切腹 00109400M5おれも一/生(しやう)けんめいだから、いつそ/腹(はら)を切らうと思ふ。と 00109410M6てもの事に、広次に切ふとおもふ。ナニ、くつハと(十三 00109420M7ウ)いふ心か。そふむつかしく切られる物じやない。助五 00109430M8郎にでも切りやれ。又/側(そハ)から、門之助がいゝ 00109440¥N12¥J 00109450¥X○蜂 00109460M11/亭主(ていしよ)、/庭(にハ)にて/蜂(はち)にさゝれ、(十四オ)あいた+と、たつて 00109470M12のくるひ/居(い)れバ、となりの亭主、あわたゝ敷かけ付、コレ、 00109480M13これを付さしやれと、/歯(は)くそを取て付て/遣(ヤ)れバ、女房、手 00109490M14をついて、/能(よい)おたしなミ(十四ウ) 00109500¥N13¥J 00109510¥X○/蓼(たで) 00109520M17旦那様。又/隣(となり)から、/鮓(すし)に付ケて/給(たべ)ますから、/蓼(たて)を下されと 00109530M18申て参ました。旦那さて、しつこい。きのふもおなし口上 00109540M19て/貰(もら)ひに/来(き)て、(十五オ)けふも来るハあんまりた。ちつと 00109550M20斗リやれさとやり、これ、/時(とき)介。となりへ行て、/蓼(たで)に付て 00109560¥P326 00109570L1/喰(くひ)ますから、/鮓(すし)をちつと下されと/言(いつ)て、/貰(もらつ)て/来(こ)ひ(十五ウ) 00109580¥N14¥J 00109590¥X○鰹 00109600L4ほとゝきすのはつ音を/聞(きひ)たの、きかぬの咄の中へ出て、お 00109610L5らあ、きのふ/鰹(かつを)のはつねを聞た。とほふもねへ事をいふも 00109620L6んた。なに(十六オ)かつをか鳴くもんだ。それでもきのふ、 00109630L7初/直(ね)が弐〆五百 00109640¥N15¥J 00109650¥X○雪隠 00109660L10/亭主(ていしゆ)、座敷の/雪隠(せつちん)へ行、あやまつてしたゝか/踏(ふミ)板へ(十六 00109670L11ウ)たれかけ、女房へそうじを頼で居る処へ、花見帰りの 00109680L12四五人/連(つ)れ、只今御見舞申スと、/僕(とも)をはしらせての知らせ。 00109690L13外の事ハこまらぬが、此/後架(こうか)ハどふしましよふと、(十七オ) 00109700L14きのどくかれバ、亭主しかたがあると、雪隠の戸へ/張(はり)紙。 00109710L15此所大/便(べん)無用 00109720¥N16¥J 00109730¥X○/小豆(あつき)餅 00109740L18/友達(ともだち)の/病(びやう)気見舞に、あづきもち百が取ニやり、(十七ウ)も 00109750L19たせ/遣(や)り、/暫(しばら)くして見まへバ、これハ忝ひと、まくらをあ 00109760L20げ、さきの餅の礼いへバ、ちつとつゝも心/能(よい)かときけバ、 00109770M1イヤモウ、ぜつしよく/同前(どうせん)。今の小豆餅も此(十八オ)通り 00109780M2と、重箱をいだす。/客(きやく)、/蓋(ふた)をあけて見れバ、たつた一つ残 00109790M3て有り。病人それ、その壱つがどふも 00109800¥N17¥J 00109810¥X○夜の/精進(せうじん) 00109820M6六七十の/親仁(おやち)、/年中(ねんちう)一日も(十八ウ)精進をせず。近所の/者(もの)、 00109830M7ふしきにおもひ、/親仁(おやぢ)殿。ついそ/貴(き)様のしやうじんしたの 00109840M8を見ぬといへハ、親仁おらが/仏達(ほとけたち)ハ、ミな/夜(よる)/死(しん)だから、/精= 00109850M9進(しやう=じん)ハ/寐(ね)てから(十九オ) 00109860¥N18¥J 00109870¥X○刀の空 00109880M12/浪(らう)人もの、/能(のふ)見物に行キ、ことの外こミ合、見物の者、御 00109890M13/免(めん)+と浪人の/側(そば)を通り、もし、御/刀(かたな)をちとゝいへハ、浪 00109900M14人くるしふ御座らぬ。小尻(十九ウ)の方をおまたぎ被成れ。 00109910M15そこハさやはかりて御座る 00109920¥N19¥J 00109930¥X○世良田 00109940M18/世(せ)良田の/観音(くわんおん)、/湯嶋(ゆしま)へ/開(かい)帳に出られたれども、はやらず。 00109950M19/払(はらい)にたらねバ、浅草の(廿オ)くわんおんへむしんに行れ、 00109960M20どふぞ御/仲(なか)間のよしミに、おすくひ被下と頼めハ、浅草御 00109970¥P327 00109980L1安ひ事たが、われらも殊の外物入リがあつて、まだ/羅漢寺(らかんじ) 00109990L2へうぶ/着(き)も(廿ウ)やらぬ 00110000¥N20¥J 00110010¥X○めくり 00110020L5開帳に出られし観音達、めくりを初められ、/回向院(ゑこういん)の/祐(ゆう)天 00110030L6へたび+人を/遣(や)られしが、うそを/付(つい)て(廿一オ)来らすゆ 00110040L7へ、観音/腹(はら)を立、/祐(ゆう)天をとらへて見れば、/舌(した)ハとふになし 00110050¥N21¥J 00110060¥X○/豆腐(とふふ) 00110070L10とふふ+と呼とも聞付ず。下女、はらを立(廿一ウ)おつ 00110080L11かけ出なから、此/豆腐(とうふ)やハ/耳(ミヽ)がないかといへハ、とうふや 00110090L12耳ハ跡の町て/売(うつ)た 00110100¥N22¥J 00110110¥X○見世物 00110120L15さあ+/生(いき)た/虎(とら)、大坂下り。銭ハ/戻(もど)り。ひやうばん+と 00110130L16(廿二オ)大はち/巻(まき)て/呼(よび)かける。/田舎士(いな□さむらい)、此かんばんを/良= 00110140L17暫(やゝ=しばらく)ながめて、此かんばんの通、/違(ちかひ)ハないか。ハイ。違た 00110150L18ら銭ハとりませぬ。御/覧(ろう)じませ。Sそんなら、見るに/及(およハ)ぬ 00110160L19(廿二ウ) 00110170¥N23¥J 00110180¥X○/無筆(むひつ) 00110190M3しかつめらしい無筆旦那、男を/連(つ)れて本/郷(ごう)を通、ある/明(あき)店 00110200M4に/札(ふだ)の/張(はつ)て有を見て、コリヤ八介。アノ札ハなんじや。ハ 00110210M5イ。あれハ/造作付売居(そうさくつきうりすへ)(廿三オ)と書て御座りますが、扨も 00110220M6見事な能ひ手でござりますとほめれバ、旦那Sいや、手よ 00110230M7りハ/文句(もんく)かよい 00110240¥N24¥J 00110250¥X○/医学(いかく) 00110260M10/老医(らうい)、/弟子(てし)をあつめて(廿三ウ)/講(こう)尺の折節、おもてに小便 00110270M11の/音(おと)がすると、一人のいしミれバ/若(わか)ひ男だが、/勢(いきほ)ひのない小 00110280M12便。あれハ/下(げ)しようの/弱(よハ)り。たしかにぢんきよとミへます。 00110290M13今一人いや、わたくしハ(廿四オ)りんびやうと見ましたと 00110300M14あらそへハ、先生各方の御医/案(あん)違ひ。/能(よく)かんがへてごらう 00110310M15しませ。あれハてつきり、/屁(へ)をふくんて/居(お)る 00110320¥N25¥J 00110330¥X○鯲(廿四ウ) 00110340M18/和尚(おせう)、小僧に徳利を持せ、どじよう/買(かい)に/遣(や)り、かならず、 00110350M19たれが聞ても、どじようたといふなと、くれ+いゝ付て 00110360M20/遣(やつ)た処が、小僧、帰りにミち草をくひ+あるく故、ツイ 00110370¥P328 00110380L1酒(廿五オ)屋のが、小僧どの。手に/下(さ)ケたハなんだといへ 00110390L2バ、当てミろ。壱疋/遣(やろ)ふ 00110400¥N26¥J 00110410¥X○茶わん 00110420L5/信濃者(しなのもの)、めミへに行、旦那の茶わんて、水を一ぱひ(廿五 00110430L6ウ)ひつかけて居る処へ、下女が来て、これ+三介との。 00110440L7其茶わんハ旦那様のじやといへバ、ナニ、たんなたとて、 00110450L8こじきてハ有まいし 00110460¥N27¥J 00110470¥X○/盗人(どろぼう)(廿六オ) 00110480L11夜中に家内/起(おき)て/騒(さハ)く故、/隠居(いんきよ)目を/覚(さま)され、コレワ+そふ 00110490L12※しい事。今迄/碁(ご)打にすゝめられ、今寐たとおもへハも 00110500L13ふ起しおる。なんの為にさハぐといへバ、ハイ。盗人が這 00110510L14(廿六ウ)入ましたが、どふさがしましても見へませぬとい 00110520L15へハ、隠居うつちやツて/置(お)け。/煤(すゝ)はきにハ/出(で)よふ 00110530¥N28¥J 00110540¥X○大工 00110550L18御まへハ店をもちな(廿七ノ三十オ)さるそふたが、/何(いつ)御越 00110560L19被成。アイ。わたしも店をもちとふ御座りやすが、金ニこ 00110570L20まりやす。裏へ/越(こし)しても、/造作(そうさく)の三日もたの/ば((ママ))ねバなるま 00110580M1いといへバ、大工なにさ+。(廿七ノ三十ウ)わたしがして 00110590M2上ると、一日ハかゝりませぬと請合、早&取かゝり、ぐわ 00110600M3たぴしぶつ付ケて/仕廻(しまい)、サア出来ましたといへハ、はや引 00110610M4/移(うつ)り、/鍋(なべ)たのすり/鉢(はち)だのと上る(三十一オ)やいなや、/棚(たな)の 00110620M5つるぎかはつれ、ぐわつたぴしと落ける故、きもをつぶし、 00110630M6大/工(く)の所へ行、うらミをいへバ、大工Sあふかた、なんぞ 00110640M7上ケさしやつたろふ(三十一ウ) 00110650¥N29¥J 00110660¥X○猿廻し 00110670M10さるまハし、のほせて/鼻血(はなち)を出せバ、見る人きのどくかり、 00110680M11アヽぼんのくほの毛を、三本ぬひて/遣(や)りたい物だが、アノ 00110690M12/猿(さる)がひつかけハそん(卅二オ)だといふを、背中の猿が是を 00110700M13聞て、ぼんのくぼの/毛(け)を三本ひつこぬき、だい/願(ぐわん)/成就(しやうぢう)、 00110710M14かたしけない 00110720¥N30¥J 00110730¥X○白狐 00110740M17/欲(よく)のふかい親仁が、きうに(卅二ウ)金がほしくなり、/王子(わうじ) 00110750M18のいなりへ日参はしめ、初午に/豆腐(とうふ)、このしろを白/狐(こ)の/穴(あな) 00110760M19へそなへ、人の聞ぬよふに、口の内てしんを取り、/拝(おが)ミて 00110770M20いれハ、きつね、つらを出し、(卅三オ)/彼(かの)このしろをくら 00110780¥P329 00110790L1わんと手を出すひやうしに、おやちがつらをしたゝかひつ 00110800L2かけバ、おやち、きもを/潰(つぶ)し、顔から/血(ち)の/流(なか)るゝを見て、 00110810L3どふでもちくせうだ(卅三ウ) 00110820¥N31¥J 00110830¥X○弐朱 00110840L6/新(しん)ごさ、品川の七百見せへ女郎/買(かい)に行、弐/朱(しゆ)遣て五分つり 00110850L7を取るつもりて、若イ者を呼ひ、/爰(こゝ)ハ七百かと聞けバ、さ 00110860L8よふて御座り(卅四オ)ますが、外ニ百文出ますといわれて、 00110870L9大キニりやうけんが違ひ、 00110880L10△△△ほの+とあかし品川/景(けい)もよし 00110890L11△△△△弐朱ハ定リ(卅四ウ)百おしそおもふ 00110900L12若者それハなんの哥て御座りますと聞けバ、百弐朱の哥さ 00110910¥N32¥J 00110920¥X○御/門跡(もんせき) 00110930L15八介、/火事(くわじ)ハいづくに見へる。(卅五オ)八介アイ。こふとな、 00110940L16浅草の門跡と見へますといへバ、旦那大キニはらを立れ、 00110950L17おのれ、大/事(じ)の御しうしを、もんせきと、おふへいにぬか 00110960L18しおる。此/後(ご)/急度(きつと)、/御門跡(ごもんぜき)様とか御/坊(ほう)様とか、御(卅五ウ) 00110970L19の/字(じ)を付ていゝおれと申付れバ、ハヤ八助、浅草様へ御見 00110980L20/舞(まい)に行ずハなるまいと、/頓而(やかて)とひぐち引かつき、ハイ+、 00110990M1/御(ヲ)はいはい 00111000¥N33¥J 00111010¥X○蛇(卅六オ) 00111020M4/蛙(かハづ)、/蛇(へび)のどつきをうけて、大キにわづらひ、とかく蛇の/難(なん) 00111030M5をのがれんにハ、弁天様へおねかい申が/能(よ)ひと、蛙とも不 00111040M6残、しのはつ弁天へ行、御つかハしめの蛇か(卅六ウ)私ど 00111050M7もの/親(おや)分へ、どつきを、只今/九死(きうし)一/生(しやう)。何とぞ此後、かま 00111060M8いませぬよふニ御願に参ましたといへハ、弁天の仰にハ、 00111070M9なる程きゝとゞけた。しかし、のこらずき(卅七オ)たとい 00111080M10ふが、まだ/池(いけ)に声がするぞよ。イヤ、あれハせんごりを取 00111090M11るので御座ります 00111100¥N34¥J 00111110¥X○湯上り 00111120M14/銭湯(せんとう)のあかり場に、/着(き)物を/振(ふる)ふひやうしに、御/士(さむらい)の(卅 00111130M15七ウ)ゑりにかゝりし故、すハ一大事と、外の/湯(ゆ)入が見て 00111140M16居る。此御士、/腹(はら)立けしきもなく、ふんとしを/袂(たもと)へ入れ、 00111150M17しづ+として出て行けり。湯番、ほつと大いき(卅八オ) 00111160M18付き、さて+貴様ハ仕合な人だ。今の御/士(さむらい)が、定てゆ 00111170M19るしハせまいとおもつたに、命ひろひをさしやつたといへ 00111180M20バ、此男、しほ+として、イヤ、あまり/仕合(しあわせ)でも御座 00111190¥P330 00111200L1(卅八ウ)りませぬ。湯番それハどふ云わけと聞けバ、何を 00111210L2かくそふ。ふんどしに/金(かね)を弐分、取り付て/置(おい)た 00111220¥N35¥J 00111230¥X○猟人 00111240L5/猟人(かりうど)の所へ行、/頃日(このごろ)おらか/後(うしろ)(三十九オ)の山へ、めつらし 00111250L6いはけ物が出る。ハテナ。とふいふ化物たナ。聞なさへ。 00111260L7祭のよふに、どん+かゝかといふ。ほんにそりやあ、き 00111270L8めうてうらいだ。おれがばんに、しとめて見せうと、其は 00111280L9んに鉄砲(三十九ウ)小/脇(わき)にかい込ミ、/彼(かの)山へ急行キ、今や 00111290L10おそしと/待(まち)かけけれバ、まもなく/向(むかふ)の山かげから、物すご 00111300L11くどん+かゝかの/声(こへ)/聞(きこ)へ、次第+に高く聞へ、すてに 00111310L12ま近くどん+といふ時、彼(四十オ)鉄砲の火ぶたを切て 00111320L13/放(はな)せバ、あやまたず手こたへせしまゝ、たいまつをとぼし、 00111330L14さがし見れバ、/血(ち)の流し有を、つたへ見れバ、大キなる/岩= 00111340L15穴(いわ=や)有。其中に一ツ眼が、火ちりんをおふき(四十ウ)たて、 00111350L16/薬(くすり)をせんじて居るてい。其正/面(めん)に化物大将、/猿鶏(さるとり)のもよふ 00111360L17のこん地のにしきの大どてら、胸より血をなかし、/息(いき)せハ 00111370L18しく、とん+かゝか++ 00111380¥N36¥J 00111390¥X○水入リ百姓△(四十一オ) 00111400M1/美(うつく)しい百姓の娘が、わたくしハ水入り百姓で御座ります。 00111410M2御たすけ被成て下さりませといふ。やれ+きのとくな事。 00111420M3まあこつちへ/来(き)給ひと内へあげ、しばらくたのしミの(四 00111430M4十一ウ)はなし/抔(など)をし、銭五十遣り、扨+水入りの/露孝(ろこう)め、 00111440M5毎日/来(き)なさへといへバ、アイ。わたしも方※に/約束(やくそく)か有 00111450M6やすから、まず弐百斗が/買(かい)なさへ(四十二オ) 00111460¥N37¥J 00111470¥X○小人 00111480M9/至(いたつ)てちいさく生し/士(さむらい)、屋敷の物見の下を/通(とふ)れハ、女子ども、 00111490M10あれ、来てミなさい。ちいさな男が通ると、口+に/笑(わらふ)を 00111500M11聞て、/残念(ざんねん)にハおもへど、(四十二ウ)胸をおさへて帰り、 00111510M12友達の所へ行、此はなしをすれバ、そふいわれて、たまつ 00111520M13て居事が有ものか。さんせうハ小つふでも/辛(から)ひと、なせい 00111530M14わなんだ。成程、そふいへバよかつた。そんなら(四十三了 00111540M15オ)/翌(あす)、貴様と一/所(しよ)に行て、此無念をはらそふと、其/翌(よく)、 00111550M16連立行、/彼(か)の/窓(まど)の下ニ/至(いた)れハ、又女子共、アレ又通るとい 00111560M17へハ、こゝぞと思ひ、さんせうハ辛ひといへバ、友達、/袖(そで) 00111570M18を引、コレ、こつぶが落たといへハ、とれ、どこに(四十三 00111580M19了ウ) 00111590¥P331 00111600¥Q当世おとし噺目録 00111610L2一△茶のこもち 00111620L3一△いちのもり 00111630L4一△酉のまち 00111640L5一△高わらい 00111650L6一△金財布 00111660L7△△△△△△本石町四丁目 00111670L8△△板元△△△堀野屋仁兵衛 00111680¥P332 00111690¥U噺本大系△第十一巻 00111700¥Tいかのぼり〔序文〕 00111710¥G 00111720¥Y 00111730L17安永十年正月序 00111740L18不知庵井蛙序 00111750L19小本一冊 00111760L20東大国文研究室蔵 00111770¥Y序 00111780M3ながるゝ/年(とし)の/淀(よど)ミ/無(なき)を、しバしとゞめて、年/忘(わすれ)と、/酔狂庵(すいけうあん) 00111790M4のくだ/咄(はな)しを、ちらつく目もと/震(ふる)ひ/筆(ふて)に/書林(しよりん)のあるじが/書(かき) 00111800M5とめて、(序一オ)/初春(はつはる)の/笑(わら)ひのたねに/蒔(ま)くつもりと、/本性(ほんしやう) 00111810M6/違(たか)ハず、/予(よ)が/庵(いほり)へよろけ/込(こん)て、/外題(けたい)をこひ、くだらぬ/事(こと)を 00111820M7くりかへす。/苧環(おたまき)ならでむだ/書(かき)の、その/糸(いと)ぐちを(序1ウ) 00111830M8引/出(いた)し、おの+様へ上ゲつけて、はなせば/落(おち)るいかのぼ 00111840M9りと、口から出るまゝ、/雪(ゆき)あかりに、/反故(ほうご)のうらへかひ/遣(や) 00111850M10り/捨(すて)ぬ(序2オ) 00111860M12△△△干時安永十の春はつ頃 00111870M14△△△△△△△△△△△△東武浅下堺茅屋 00111880M15△△△△△△△△△△△△△△△△不知庵井蛙 00111890M171△△△△△△△△△△△△△△△△G△G 00111900M19△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序2ウ) 00111910¥P333 00111920¥N1¥J 00111930¥X/金銀星(きん※せい) 00111940L3/占者(うらないしや)の所へ、うつくしひ娘と大としまと二人つれて来て、 00111950L4◇娘◇モシ、わたくしハ金銀のおほしさまニあたりましたと申 00111960L5ますが、御ろうじて下さりまし△◇占者◇おまへハ何の(一オ) 00111970L6としじや△◇娘◇アイ。私ハ/寅(とら)のとして御さります△◇占◇フウ、 00111980L7そんなら廿三じやの。女ハ/氏(うち)無ふして玉のこしとて、大に 00111990L8/運(うん)をひらかつしやる。おそなへ十二と、/燈明(とうめう)三つ上ケて、 00112000L9随分/祝(いわ)ハつ(一ウ)しやい△◇としま◇モシ、わたしも寅のとし 00112010L10で御さります△◇占◇フヽウ、きさまハ四十七じやの。随分用 00112020L11心さつしやい。一ツたんハ/信濃(しなの)へ/花嫁(はなよめ)に行事もあれど、た 00112030L12ちまちはけるから、/信心(しん+)(二オ)が第一じや△◇としま◇モシヱ、 00112040L13同し星でも、なぜそのよふに違ひます△◇占◇インヤ、きさま 00112050L14のハ、めつきの星じや 00112060¥N2¥J 00112070¥X小娘 00112080L17/表(おもて)てころんだ迚、むしやふニ(二ウ)ワア+となくから、 00112090L18二タおやがかけ出して、どこぞふちでもしたかと聞ケば、 00112100L19インニヤ、どこもいたくハ無ひと云ひながら、やつぴし泣 00112110L20く。◇二親◇/痛(いた)くなくハ、ぐわいぶんのわるい。(三オ)モウな 00112120M1くな△◇娘◇泪をぬぐひながら、ひよつと女郎屋へやられやふ 00112130M2かとおもつて 00112140¥N3¥J 00112150¥X/琴(こと)せめ 00112160M5去ル娘、/世渡(よわたり)りにぜひなく琴の師をしながら、さけ/重(じう)(三 00112170M6ウ)に歩行を、/重忠(しけたゝ)のやしきへとられ、ぎんミせられけれ 00112180M7バ、◇娘◇私ハ一ツ向、さやうな事は御さりませぬ。只琴の指 00112190M8南をいたします△◇重忠◇そんなら、いよ+/琴(こと)の師匠に違ひ 00112200M9無(四オ)くは、/弾(ひ)ひて聞かせい△◇娘◇ハイと、/琴(こと)にむかひ 00112210M10Sすいてう/紅閨(こうけい)にまくらならべし床のうち△◇重◇モウ弾かず 00112220M11といゝ。そいつしばれ 00112230¥N4¥J 00112240¥X/駕篭(かご)(四ウ) 00112250M14/舞子(まひこ)のうつくしひのを/駕篭(かこ)にのせて行く。壱人の年寄りの 00112260M15/駕篭(かこ)かきがつまづくと、かごの内から、◇舞子◇ころびなさん 00112270M16な△◇かごかき◇おめへ、落ねへよふにしな(五オ) 00112280¥N5¥J 00112290¥X月 00112300M19扇子屋の禿、れんじから月のあがるを見て居たを、おいら 00112310M20んが呼んで、中の町へ連て行、/客(きやく)のくるのを待て居た。五 00112320¥P334 00112330¥G(六ウ・七オ) 00112340M1つを打つてもこず、四つを(五ウ)打つても来ぬゆへ、/伸(のひ)た 00112350M2りちゞんだりしてまつて居る内、モウ引ケ四つちかくなれ 00112360M3ハ、禿もあくびたら+に、つく+/空(そら)をながめているか 00112370M4ら、おかさんが、コレ、よしの(六オ)どん。何をかんがへ 00112380M5て居さつしやる。◇禿◇イヽヱサ、わつちらが町のお月さま£ 00112390M6中の町のお月さまハ、ちいそう有んすから 00112400¥N6¥J 00112410¥X田舎者(六ウ) 00112420M9田舎者、吉ハらけんぶつに出て、中の町て女郎の道中を大 00112430M10せいで見て居ル。段+女郎か茶屋え来て、モシヱ、お内 00112440M11儀さま。/今日(けふ)はきつゐむく/鳥(とり)ておざへすといへは、(六オ) 00112450M12(六ウ・七オ挿絵)◇田舎◇アイ。わしらはむくとり、おまへがた 00112460M13ハ/篭(かご)の鳥だ 00112470¥N7¥J 00112480¥X小僧 00112490M16家内が朝から作り立てゝ、けふは/涼(すゝ)ミに行とて、やげんぼ 00112500M17りから両国を通る。(七ウ)供の小僧、モシヱ、旦那さま。 00112510M18爰にもやかたが二そう御さります。◇旦◇馬鹿をいへ。爰ハく 00112520M19すり屋だハ△◇小僧◇イヽヱ、それでも/女悦丸(によゑつまる)・/長命丸(てうめいまる)とかん 00112530M20ばんがごさります 00112540¥P335 00112550¥G(二十七ウ・二十八オ) 00112560¥N8¥J 00112570¥Xきりミせ(八オ) 00112580M3なじミの所へ行、コレおミなさま。見ねへな。きのふおら 00112590M4が旦那の所へ/行(いつ)たら、/若(わか)旦那のかいなはる/昼三(ちうさん)か、月見の 00112600M5/句(く)をした/摺(すり)/&(ママ)物とやらだとさ。◇女郎◇それからおもへバ、わ 00112610M6つちらハ(八ウ)らくだね△◇男◇ナセ△◇女郎◇月見か来たとつて、 00112620M7仕舞ふじやアなし、/苦(く)は無へのさ 00112630¥N9¥J 00112640¥X烟艸 00112650M10吉原へ四五人連で行、一座の盃もすミ、女郎ハ仕たくに下 00112660M11へ(九オ)おりる。跡で打寄りはなしながら、となり座しき 00112670M12を見れば、壱人の客、多葉粉をのミながら、うろこの烟を 00112680M13出す。能く+見れハ、ミつくちさ(九ウ) 00112690¥N10¥J 00112700¥Xまくら箱 00112710M16会津ものゝ箱うりが来ると、うらから女房が出て呼ひ、ま 00112720M17くら箱か有るかと出させ、あれ是と見て居るところへ、 00112730M18(十オ)ていしゆがかへり、箱うりをとらまへ、コレ、人の 00112740M19女ぼうに、まくらをかわすといふ事が有るものかと、まつ 00112750M20くろになつていふ。◇箱や◇まだ、ねハ致しませぬ(十ウ) 00112760¥P336 00112770¥N11¥J 00112780¥X七福 00112790L3/嘉例(かれい)にて、元日に七福と云ふことをする。/友達(ともたち)両三人、ど 00112800L4うそ御嘉例の七福が見たいと/待(まつ)うち、/程(ほと)なく元日になれ 00112810L5(四オ)は、二三人打連れ行、座敷へ通れハ、/床(とこ)の/間(ま)に二ふ 00112820L6く/対(つい)の/懸(かけ)物、/福寿艸(ふくしゆそう)なそをき、/是(これ)ハ御ていしゆ。おものす 00112830L7きとほむれハ、まつ一ふくあかれと云ふうち、/勝手(かつて) 00112840L8より、おたふくか福/茶(ちや)をもつて出ると、一/座(ざ)、とつとふき 00112850L9出し、これは出来ました。時に御ていしゆ。是ては(五オ) 00112860L10六福て、一ふくたりませぬと云へハ、ていしゆ、茶くわし 00112870L11に福りん/糖(とう)を出ス 00112880¥N12¥J 00112890¥X公家 00112900L14なり上りの/公家(くけ)、垣に(五ウ)/夕(ゆふ)かほのいと/咲(さき)ミたれたるを、 00112910L15しやんらしく、や+うちなかめていけれハ、とりあへす、 00112920L16かの/源氏(けんじ)のやうに/扇子(あふき)のうへゑ、つるを(六オ)のせてさし 00112930L17出しけれハ、かの公家、つく+なかめて、みならハ/干= 00112940L18瓢(かん=ひやう)にもなろふに 00112950¥N13¥J 00112960¥Xお駒 00112970M1れいの色男/髪(かミ)ゆいの(六ウ)才三、/城木(しろき)やへ来りて、こよい 00112980M2むこ入りの事を聞て、大キにおとろき、はらを立て/居(ゐ)ると 00112990M3ころへ、/奥(おく)よりお駒はしり出、あいたかつた、才三(七オ) 00113000M4さんといへは、才三、大キにせき、こよいむこのくるよし。 00113010M5サアわけをきこふ。とふた+といゝなから、たゝきのめ 00113020M6せハ、お駒ハあきれた/顔(かほ)にて、只(七ウ)うつむきていたり 00113030M7しか、なミたをうかへ、聞へませぬ才三さんと、いふもき 00113040M8ゝいれす。サア、むこのわけ聞ふ。なんと+といへと、 00113050M9お駒はタヾ,聞へ(八オ)ませぬ才三さん+と、たひ+ 00113060M10いへハ、才三、あんまりの事ゆへ、なにが聞へぬといへハ、 00113070M11はしか/後(ご)て/耳(ミヽ)が 00113080¥N14¥J 00113090¥X雨降の本屋(八ウ) 00113100M14むかし男、ういこをふりして七里かはまへ出けるに、/汐(しほ)ミ 00113110M15ちくれハ/片(かた)おなミと、ゑいし給ふ時、大せいきたりて、し 00113120M16き/皮(かわ)をしき、/首(くび)うちを(十オ)とさんとぬきはなせハ、つる 00113130M17きにおそれ、いわほへのほるを、/頼政(よりまさ)きり+と引しほり、 00113140M18一たひはなせハ千の/矢(や)さき、雨あられと/降(ふり)り(十ウ)かゝれ 00113150M19ハ、小町はつぶぬれになりてかへりけるか、大/木(ほく)の松、/枝(ゑた) 00113160M20をたれ葉をならへ、上を見れハ、よのつねのころもにあら 00113170¥P337 00113180L1す。取てミれは、(十一オ)/頼(より)とも公のかりきぬと、/景清(かけきよ)や 00113190L2いはをもつてつけは、御ころもより御/血(ち)こほるゝとおほへ 00113200L3しか、雨もりのをとにて/眼(め)をさまし見れハ、(十一ウ)かし 00113210L4本を/枕(まくら) 00113220¥N15¥J 00113230¥X女力持 00113240L7堺町の力持、大入りにて、見物あまた入り/込(こミ)、内壱人、出 00113250L8しなにゆふよふ、此女にかつものは、(十二オ)およそ/惣坐= 00113260L9中(そうさ=ちう)、木戸はんにもあるまい。しかし、まけると七ふぐりタ 00113270L10ト、しやれなから出れハ、木戸はん聞とかめ、わたしのハ 00113280L11/疝気(せんき)ゆへサ(十二ウ) 00113290¥N16¥J 00113300¥Xたいこもち 00113310L14女郎/買(かい)のしやれ男、けふは春雨にてさミしくいる所へ、ア 00113320L15ノたいこ持来り、/酒(さけ)なそ出し、一つまいろふ。サア、とい 00113330L16ましよ+。(十三ウ)うき世てといましよ++。とわ 00113340L17しやれ+。たかいはまつさき、うまいは深川、せまいは 00113350L18しんち、はやるはかほミせ、つよいはともよ。(十三ウ)お 00113360L19やぢ聞付、そりやドコノ/店(たな)おろしだ 00113370¥N17¥J 00113380¥X大こく 00113390M3/途中(とちう)にて、いきすき男、ひたと行合、とふだ。なんそおも 00113400M4しろい(十四オ)事ても有か。なにもさして、さへもなしさ。 00113410M5時に、/伝通院(てんすいゐん)の大こくハ、とんたはやりノ。ハテ、そりや 00113420M6アしりやせん。コレハせんせい、ふせいたそ。アレ(十四 00113430M7ウ)ほとはやる大黒を、御そんじなしか。ソリヤアしらな 00113440M8んた。いくつ斗リて、とんな女タ 00113450¥N18¥J 00113460¥X同 00113470M11米つき、としよりて(十五オ)しこともたいぎなれハ、此頃 00113480M12はやりの伝通院の大黒へ、七日なゝ夜こもり、せいいつは 00113490M13いにいのりけるに、まんする夜、/宮(くう)てんにもの(十五ウ)お 00113500M14とし、ぜんさい+。われは是、なんしがしんする大こく 00113510M15なり。しかれとも、なんしがねかひ、かなわぬ事也との御 00113520M16こと葉。米つき(十六オ)きやうをさまし、さて+なさけ 00113530M17なき事かな。/臼(うす)の上にたゝせたまふゑんをもつて、かよふ 00113540M18には御ねかひ申たりと、くと+云(十六ウ)けれハ、なる 00113550M19ほと、もつともの事なれと、おれは臼斗リて、/杵(きね)をもたぬ 00113560¥P338 00113570¥N19¥J 00113580¥Xもんもう 00113590L3ミやうきあんへ行き、(十七オ)むぎめしの出る内、そこら 00113600L4を見まわせバ、たんさく、そここゝにまきちらし有ゆへ、 00113610L5もつたいらしく、ハテ、たんさくはもち合さ(十七ウ)す、 00113620L6こまつたものたと、高まんゆふゆへ、住じ、とりあへす、 00113630L7/発句(ほつく)帳を出せは、是ハなんの/奉加(ほうが)帳だ 00113640¥N20¥J 00113650¥Xいきな男(十八オ) 00113660L10柳はしの/船(ふな)やどへ、毎日行、今日も/松葉(まつは)やへ行、又けふは 00113670L11/扇(あふき)屋へ行と、まい日+来るゆへ、舟/宿(やと)、ふしんにおも 00113680L12ひ、あのやうにかひ(十八ウ)ちらす事もあるまし。なんで 00113690L13もこんどハ付テミよふと、あとから行見れハ、シタリ、/文(ふミ) 00113700L14つかいサ 00113710¥N21¥J 00113720¥X吉原の俄 00113730L17しつた/り((ママ))ふりの/田舎(いなか)(十九オ)もの、よしハらのにわかけん 00113740L18ふつに行、あちこちと見物し、宿へかへり、さて+、お 00113750L19もしろい事てこさつた。しかし、頼とも/公(こう)の/馬(むま)も/鷹(たか)モ(十 00113760L20九ウ)はり子。とうてもにわかゆへ、馬もたかも間に合ぬ 00113770M1とミへた 00113780¥N22¥J 00113790¥X田舎女 00113800M4桜田治助かうちへ奉公に行しに、/亭主(ていしゆ)、ふら(二十オ)+ 00113810M5とあそんて斗リ居るゆへ、かの女おもふやう、/盗人(ぬすひと)か、た 00113820M6ゝし人かいかとおもひ、女房に、旦那様の御しやうはいは、 00113830M7なんてこさりますと(二十ウ)いへは、おのしらか、しる事 00113840M8てハないと斗リいふ。なを+こわくなり、となりのうち 00113850M9へ行、聞て見れハ、おなしやうなるあいさつゆへ、日+ 00113860M10心を(二十一オ)つけるうち、亭主、にかいへ上り、/作(さく)を案 00113870M11して居けるを、下女、はしこの上り口にて立聞して聞は、 00113880M12此金をこれにぬすませて、そのあと(二十一ウ)をあの女の 00113890M13つミにおとすか。ヱヽ是てよしといふを聞と、下女、はし 00113900M14ごよりおりて、すくにかけおち 00113910¥N23¥J 00113920¥X鑓指南(二十二オ) 00113930M17去年まてひとつにつとめしほうはいの男に行合、ことしは 00113940M18どこに居るといへハ、聞きやれ。とんた事よ。/武士(ふし)と思へ 00113950M19は/勤(つとめ)もなし、町人と(二十二ウ)おもへは/商(あきな)ひもせす。とふ 00113960M20もすめぬヨ。ハテナ。それはなんたあらふ。そしてとんな 00113970L1事をする。なんてもやりをつかふか、名はたしか(二十三オ) 00113980L2/宝蔵院(ほうそういん)といつたつけ。ハア、それてよめた。おふかた山ぶ 00113990L3したろふ 00114000¥N24¥J 00114010¥Xひとり者 00114020L6風にてとりふしいたりしに、いしやきたりて、(二十三ウ) 00114030L7/薬(くすり)をあわせかへれは、となりの子どもを頼ミ、せんじても 00114040L8らひ、またあくる日も、薬がくれハせんしさせ、のんでみ 00114050L9るに、いかふけふの御(二十四オ)薬は、御かけんとは云な 00114060L10から、チヨツトてまへ、聞テ来てくれろといへば、そのは 00114070L11つてこさります。せうかゞないから、とうからしを入れ 00114080L12ました(二十四ウ) 00114090¥N25¥J 00114100¥X瀬川 00114110L15さるけんきやう、瀬川といふけいせいを、千両にてうけ出 00114120L16しけれとも、とふても座頭ゆへ、イヤニなりて、かけをち 00114130L17せしが、(二十五オ)さつそく行先もしれしゆへ、けらいと 00114140L18も、そうたんし、公儀へ申出し、とりかへさんといへは、 00114150L19けんきやう、ヤヽしあんし、いや+、めつたにねが(二 00114160L20十五ウ)われぬ。うつちやつておけさ。なせ、さよふおつし 00114170M1やります。ハテサ。公へんにすると、拾五両壱分サ 00114180¥N26¥J 00114190¥X初ゆめ(二十六オ) 00114200M4サテおれはゆふへ、よいゆめを見た。そりや、そしてなん 00114210M5た。/不二(ふじ)か。イヽヤ。/鷹(たか)か。イヽヤ。なすか。それてわる 00114220M6くなつた。そしてなんた。おれかのは、とうなすた(二十六 00114230M7ウ) 00114240¥N27¥J 00114250¥X天狗のやとい 00114260M10日光御社参にて、あまたさんけいの人入り込ゆへ、てん狗 00114270M11もすこしふそくゆへ、にはかに/鳶(とび)をやといけるに、/鼻(はな)かな 00114280M12く(二十七オ)(二十七ウ・二十八オ挿絵)ては、天狗らしくない 00114290M13とて、さそくに日光とうからしの/赤(あか)きをとり、しく付のと 00114300M14ころをきつてすて、/鼻(はな)へすつほりあてかへハ、からミに 00114310M15(二十八ウ)むせて、ぐひん+ 00114320¥N28¥J 00114330¥X朝かほ 00114340M18七月廿六夜に、きん所の/紺(こん)屋へ/昼(ひる)よはれて行けるに、/庭(にハ)の 00114350M19あさかほ、もはやしほミてあり(二十九オ)しを、さて+、 00114360M20うつくしきあさかほ。さそ+あさは見事にあらんとい 00114370¥P340 00114380L1へは、ていしゆ、おなしこんても、あさかほはよおふ御さ 00114390L2ります(二十九ウ) 00114400¥N29¥J 00114410¥Xお七 00114420L5かまや武兵衛、お七かところへ来り、コレお七。わしか心 00114430L6にしたかいたまへなとゝくとけハ、お七、しりやせんと、 00114440L7顔をそむけ、ふりつ(三十オ)けれハ、時にそりやアよいが、 00114450L8てまへのなりは、いつてもとんたやほななりたそ。そして、 00114460L9くしもかんさしも、かいなをせハよい。ほしいけれとも、 00114470L10かねが(三十ウ)御さりやせん。てまへ、いくらかゝるもん 00114480L11た。それ三両。うハぎもいまは、/黄八(きはち)のこつたよ。あいき 00114490L12も、さらさちりめんかよい。それ拾両と、つかう拾弐三両 00114500L13なけ出(三十一オ)せは、お七、なんにも云すに文をしたゝ 00114510L14め、手はやくふうし、吉三様まいる、七£と/書(か)くと、武兵 00114520L15衛、むつとし、そりやアなんたと、とかむれハ、きれ/文(ふミ)サ 00114530L16(三十一ウ) 00114540¥N30¥J 00114550¥X身投 00114560L19有る長屋に、ひとり/住居(すまゐ)のおとこ、あたまのてつへんゑ、 00114570L20大きなるさくらの木はへけり。/春(はる)三月/頃(ころ)になりけれハ、/花(はな) 00114580M1(三十二オ)見の大/勢(せい)、べんとう、さけさかな、毛せんなど 00114590M2引、さミせん、こわ色にて大さわぎ。まい日+人くんじ 00114600M3ゆしけれは、/家(いへ)ぬし、かのおとこをよひ、さて+、/貴(き)さ 00114610M4まの(三十二ウ)あたまは、らちもなきあたまなり。あのや 00114620M5うににぎハひてハ、/地(ぢ)ぬしの手まへもいかゝなり。いつそ、 00114630M6そのさくらの木をぬいて仕まわれよといへば、わた(三十三 00114640M7オ)くしもさよふぞんじますれども、どふもぬきやうがこ 00114650M8ざりませぬといへば、家ぬし、わしがぬいてやろふと、あ 00114660M9たまへあしをかけ、こんごう/力(りき)を出し(三十三ウ)引ぬきけ 00114670M10れバ、あとへすほんと、大きなる/池(いけ)できたり。はや五月も 00114680M11すへになりけれバ、そろ+いけのうちへ、やねふねなど 00114690M12にて、こわいろ、めり(三十四オ)やすにて、すゝみふねき 00114700M13たり、/花火(はなひ)、さるまわしなそにて、いよ+にき+しく 00114710M14なりけれハ、また+家ぬし、かのおとこをよび、さて 00114720M15+、せわのやける(三十四ウ)人かな。もはや此ほうの長 00114730M16屋にハおかれぬといゝけれハ、このながやをたちのき候て 00114740M17は、たゝずみもなりかたし。いつそ身てもなけよふと、ぞ 00114750M18(三十五オ)んしますれども、いけはあたまのうへなり。ど 00114760M19ふも身のなけよふかこざりませぬといへは、家ぬし、そふ 00114770M20おもふならば、すいふん身はなけられる。それハ(三十五ウ) 00114780¥P341 00114790L1どふいたしませふ。ハテ、きせるふくろをぬふよふにサ 00114800¥N31¥J 00114810¥X凧 00114820L4通り町にて、をよそ百まいばり程のたこをあげ(三十六オ) 00114830L5けるに、さるにハどうぞ、人をやつて見たいものといふお 00114840L6りふし、やどなし、とふりかゝり、とふて、此なりては正 00114850L7月もできす。直がよくハ、さるにても(三十六ウ)いきませ 00114860L8ふ。そんなら一分で、さるにゆくかといへば、けんきんに 00114870L9くたさりますなら、ゆきませふと慾ふかく、まへかねにと 00114880L10り、そのまゝさるに成りてゆけは、(三十七オ)たん+の 00114890L11ほる程こわく成り、やう+と糸めのきわゑちかづけハ、 00114900L12大風しきりにふき来り、たこのいとめよりふつときれ、い 00114910L13づくともなくふきゆ(三十七ウ)けは、おりふし天狗との、 00114920L14日光さしてとびゆけば、くたんのやどなし、跡につき、是 00114930L15申、旦那。おたすけなされてくださりませといへハ、天狗、 00114940L16ふりむき、つく(三十八オ)な+。戻りにやろふ 00114950¥N32¥J 00114960¥X問す語り 00114970L19さる長屋の/女房同士(にようほうどし)、いろ+のせけんはなしのうへにて、 00114980L20ひとりの女房、おまへわ御きやう(三十八ウ)たいても御さ 00114990M1りますか。たゞしおひとり/子(こ)かと/問(と)へは、わたくしは、き 00115000M2やうたい五人こざります。それは+、おまへはおたのし 00115010M3ミな事。ミな女郎(三十九オ)かへといへは、イヽヱ、女郎 00115020M4をいたしたハ、わたしとあね斗リサ(三十九ウ) 00115030¥P342 00115040¥U噺本大系△第十一巻 00115050¥T/豆談語(まめだんご)〔序文〕 00115060¥G 00115070¥Y 00115080L18安永年間刊 00115090L19小本一冊 00115100L20複製本 00115110¥Y序 00115120M3/清(すめ)るものは/上(のほつ)て/天(てん)となり、/濁(にご)れる物は/下(くたつ)て/地(ち)と/成(なつ)て、はじ 00115130M4めてまめあり。/開(かい)わりにしてつまミ/喰(くら)ハんといふ。まづ/待(まち) 00115140M5たまえ、/今少(いますこ)(1オ)しはじき/真女(まめ)にして/喰(く)ハヽ、その/味(あち)/美(び) 00115150M6ならんと、/終(つい)にまちあふせたる/豆談語(まめたんご)の/好味(かうミ)なる事、/亦(また) 00115160M7(1ウ)しても+/旨(うま)からんと、/淫中(ゐんちう)の七/賢(けん)、/涎(よだれ)をながして 00115170M8しかいふ(2オ)(2ウ・3オ挿絵) 00115180¥P343 00115190¥G(2ウ・3オ) 00115200¥N1¥J 00115210¥X/絵図(ゑづ) 00115220M3/娘(むすめ)、/婚礼(こんれい)の/晩(ばん)、かの所をけがをしたを、/乳母(うハ)きゝ/出(た)し、/大= 00115230M4切(たい=せつ)の所たから、おいしや様に見せなさいといふ。Sむすめ 00115240M5たとへ/死(しぬ)とも、出して見せる事ハいやといふ。Sうバ/思(おも)ひ 00115250M6/付(つき)がごさる。/私(わたし)が/絵図(ゑづ)を/書(かき)ませふ。お/前(まへ)(3ウ)いたむ所へ 00115260M7/印(しるし)をなされ。/夫(それ)をお/医者(いしや)様に見せませふと/硯(すゝり)/引(ひき)よせ、/薬研= 00115270M8形(やげん=なり)を書キ、むしや+と/毛(け)を書ク。Sむすめヲヤ+、お 00115280M9れがのにハ、まだ/毛(け)ハはへぬにといふ。Sうバだまつて/居(ゐ) 00115290M10なさい。/是(これ)を/書(かゝ)ねば、/上(う)へ/下(し)タが/知(し)れぬ(4オ) 00115300¥N2¥J 00115310¥X/行(いき)すぎ 00115320M13コレ三介。そちハ/太義(たいぎ)なから/本所(ほんぢやう)へ/使(つかい)に/行(いつ)てくれ。/口上(こうじやう)ハ、 00115330M14きのふハやす+と/御産(ごさん)がこさりましたと/承(うけたまハ)りまして、 00115340M15おめでたふこさりますといへと/言付(いゝつけ)れハ、S三介、それハ 00115350M16御/免(めん)下されといふ。ナゼさふいふ。さればて(4ウ)こざり 00115360M17ます。/安(やす)+と/御産(ごさん)が/有(あつ)たと申せハ、/先(さき)キのおかミ様の/物(もの) 00115370M18が/広(ひろい)と申さぬばかりてこさります 00115380¥P344 00115390¥G(5ウ・6オ) 00115400¥N3¥J 00115410¥X/血気(けつき) 00115420M3今を/盛(さかり)の/若者(わかいもの)、/一寸(ちよつと)/咄(はなし)を/聞(きい)ても、つつぱりかへり、もて/扱(あつか) 00115430M4ふ/折(おり)から、二/階(かい)にて一/本(ほん)かきかけけるが、(5オ)(5ウ・6オ 00115440M5挿絵)/余(あま)り/血気(けつき)なるゆへ、/淫水(いんすい)五/間(けん)ほどむかふへ/飛(とび)けれハ、 00115450M6つく※思ふやう、/是(これ)ハをしい/事(こと)かな。これが子に成たら 00115460M7バ、/能(よ)ひ/軽業師(かるわざし)にならふに 00115470¥N4¥J 00115480¥X/山伏(やまぶし) 00115490M10/山伏(やまぶし)、/田舎(いなか)を/修行(しゆげう)に/歩行(ありき)、/昼(ひる)(6ウ)のことなれハ/皆(ミな)+/留= 00115500M11主(る=す)にて、/娵(よめ)/一人(ひとり)/内(うち)に/居(ゐ)ける。/山伏(やまふし)づつと入て見れハ、/扨(さて)も 00115510M12/美(うつ)くしい/物(もの)と俄に/悪心(あくしん)おこり、/外(ほか)に人のなけれバ、/無理(むり)に 00115520M13おさへて/取(とり)かけ、/思(おも)ふさまに/気(き)をやり/仕廻(しまい)、ゆう+と出 00115530M14て行。/娵(よめ)ハかなしく/泣(ない)てゐる/所(ところ)へ(7オ)(7ウ・8オ挿絵)/亭= 00115540M15主(てい=しゆ)、のらより/帰(かへ)り、/此躰(このてい)を見て、/其訳(そのわけ)を/問(とい)けれハ、/娵(よめ)ハ/有(あり) 00115550M16し/次第(したい)を/語(かた)れハ、亭主大キに/腹(はら)を/立(たち)、/其山臥(そのやまぶし)、/遠(とを)くハ行ま 00115560M17し。追かけて/討留(うちとめ)んと、/側(そバ)に有合ふ大/斧(まさかり)を/押取(をつとり)て、二町ば 00115570M18かり/追(おい)かけけれハ、山臥ハゆう+と/先(さき)へ行。跡より(8 00115580M19ウ)/声(こへ)かけ、ヤレ/大胆(だいたん)な/山臥(やまふし)め。引かへして/勝負(せうぶ)せよと/呼(よバ) 00115590M20ハれハ、山臥がふり/返(かへ)りたる/顔色(がんじよく)の/恐(おそ)ろしさ。おのれ/推参(すいさん) 00115600¥P345 00115610L1なりと、/腰(こし)の物に手をかけれバ、Sモシ+、大/峯(みね)へ/御参= 00115620L2詣(ごさん=けい)ならバ、此/斧(まさかり)を/納(おさめ)て下され 00115630¥N5¥J 00115640¥X弐分五/厘(リン)(9オ) 00115650L5/去(さ)る/男(おとこ)、/弐分(にふん)五リンと/仇名(あたな)を/付(つけ)られしを、どふした/訳(わけ)だと、 00115660L6/知(し)つた/若者(わかいもの)に/聞(き)けバ、/胡粉(ごふん)屋の/娘(むすめ)を/割(わつ)たから 00115670¥N6¥J 00115680¥X/目黒(めぐろ) 00115690¥G(7ウ) 00115700M1/女房(にやうぼう)、目黒/参(まいり)して/帰(かへ)る。Sていしゆやれ+/早(はや)かつた。/草= 00115710M2臥(くた=びれ)であろふといふ(9ウ)うち、/最早(もはや)四つ/前(まへ)。いざ/寐(ね)やうと 00115720M3いへバ、/女房(にやうほう)、さて+けふは/足(あし)に/豆(まめ)か/出来(てき)て、/帰(かへり)りに/行= 00115730M4人坂(ぎやう=にんさか)から/駕籠(かご)に/乗(のつ)てかへりましたといへば、S亭主けふは 00115740M5/遠道(とをミち)をしたから、/能(よ)クねれて/能(よ)からふと一日/楽(たのし)んで/待(まつ)て/居(ゐ)た 00115750M6に、/駕篭(かご)とハと/甚(はなハた)不/機嫌(きげん)。(10オ)(10ウ・11オ挿絵)/夫(おつと)に/孝行(かう+) 00115760M7な/女房(にやうぼう)、そんなら/仕方(しかた)がこざりますと、/梯子(はしこ)へ/上(あがつ)つたり/下(お) 00115770M8りたり、十四五/篇(へん)して、サアしなさいと/始(はじめ)かけ、ねれやし 00115780M9たかといへハ、イヤ+、まだ/粒(つふ)が/有(ある) 00115790¥N7¥J 00115800¥X/遠(とを)目がね(11ウ) 00115810M12/築(つき)山の上の/亭(ちん)座/敷(しき)で、/遠目鏡(とをめかね)にて/東西(とうざい)を見れバ、いろ+ 00115820M13の/面白(おもしろ)いだらけ所に、/北(きた)の/方(ほう)の/高(たか)ミに、きれいな/二階坐舗(にかいざしき) 00115830M14に、/男女(なんによ)ともニ/美(うつく)しい/奴(やつ)、すれつもつれつしをる/浦(うら)山しさ。 00115840M15/姿(すかた)は見ゆれど/口舌(くぜつ)が/聞(きこ)へぬ。やかて/目鏡(めかね)を/耳(みゝ)へ/当(あ)テ(12 00115850M16オ) 00115860¥N8¥J 00115870¥X/化(ばけ)もの 00115880M19/化(ばけ)物が出るといふもつぱらの取/沙汰(さた)。/去(さ)ル/歴(れき)+の/侍衆(さむらいしゆ) 00115890M20/聞(きゝ)つけられ、/能(よ)ク所を/聞(きゝ)、をれが/退治(たいぢ)すべしと、/供(とも)人引/連(つれ)、 00115900¥P346 00115910¥G(13ウ) 00115920L13かの/所(ところ)へ/越(こ)されけれども、はけ物ハ出ざるが、/殿(との)をはじめ、 00115930L14/供廻(ともまハり)まて(12ウ)/男根(へのこ)を/抜(ぬ)かれ、/殿(との)も大キに/驚(おどろ)かれ、一七 00115940L15日の/間(あいだ)、/山伏(やまぶし)を/呼(よん)で/祈祷(きとう)/有(あり)しが、不/思義(しぎ)や、/満(まん)ずる/朝(あさ)、/床(とこ) 00115950L16の/上(うへ)に/白木(しらき)の三/宝(ぼう)にのせて、へのこの/数(かず)/不足(ふそく)なく/有(あり)けれハ、 00115960L17/殿(との)ことの/外(ほか)/悦(よろこ)ばれ、まづ一/番(はん)に大キ/成(なる)を/取(とり)、/手前(てまへ)の/前(まへ)へ/付(つけ)、 00115970L18/残(のこ)り(13オ)(13ウ・14オ挿絵)を/供廻(ともまハ)りに/遣(つか)ハさる。/何(なに)が/奥(おく)様、 00115980L19きついお/悦(よろこ)び。三日三/夜(よ)さ/入(いれ)づめになされたりや、/鑓持(やりもち)が 00115990L20/腎虚(じんきよ) 00116000¥N9¥J 00116010¥X/文字割(もじわり) 00116020M3/亭主(ていしゆ)、お/宿(やと)か。/是(これ)はきん+ものにて、/如何(いかゞ)の/思召(おほしめし)といへ 00116030M4ば、/亭(てい)(14ウ)/主(す)、/坐(ざ)して/居(ゐ)なから、/両手(りやうて)を/上(うへ)へあげ、/両足(りやうあし) 00116040M5を/立膝(たてひざ)にして見せれバ、/是(これ)ハ/何事(なにこと)だといふ。Sサレバ、/文= 00116050M6字(も=じ)といふものハ/理屈(りくつ)なもので、をれが/形(かたち)を見やれ。山に山 00116060M7をかさねた/所(ところ)が、/出(で)ルといふ/字(じ)だ。/今(いま)から出かけやうと/思(おも) 00116070M8ふ△S/成(なる)ほどおもし(15オ)ろいが、/下(した)にぶらさがつたハ 00116080M9何だ△Sあれは出/候(そろ)だ 00116090¥N10¥J 00116100¥X/狐(きつね) 00116110M12/美(うつ)くしい/娘(むすめ)、ひとり/野道(のミち)を/行(ゆく)。/若(わかい)者見/付(つけ)、/扨(さて)+見/事(ごと)な 00116120M13ものじやと/思(おも)ひ、/跡(あと)をしたひ/行(ゆき)、/色(いろ)+くどきけれハ、 00116130M14むすめ(15ウ)も/兎(と)も/角(かく)もと/承引(しやういん)すれバ、あたりを見まハ 00116140M15し、/小(ちい)サキ/森(もり)の内へ/引(ひき)こみ、/初(はじ)めたれとも、どふしても/這= 00116150M16入(は=いら)ず。ハテふしぎな事と/思(おも)ひ、モシ、おまへハ/狐(きつね)でハない 00116160M17かといへバ、Sむすめ、/男(おとこ)の物をさぐつて見て、/私(わたし)は/狐(きつね)で 00116170M18ハないが、おまへ(16オ)(16ウ・17オ挿絵)ハ/馬(むま)ではござんせ 00116180M19ぬか 00116190¥P347 00116200¥N11¥J 00116210¥Xはり/形(かた) 00116220L3/下女(げじ□)、はり/形(かた)を/遣(つかつ)て/居(ゐ)る所を、/主人(しゆじん)あわたゞしく/呼(よひ)けれバ、 00116230L4かゝとに/結(ゆ)ひ/付(つけ)たを/気(き)もつかず、あいといふて/行(ゆく)。S主人 00116240L5わが/足(あし)につけた物ハ/何(なん)じやといふ。(17ウ)下女Sヲヤ、そ 00116250L6さふな。どこてへのこをふんで参りました 00116260¥N12¥J 00116270¥X/全盛(ぜんせい) 00116280¥G(16ウ) 00116290M1よし原の/女郎(じよろう)、/観音(くハんおん)へ/参(まい)りしに、/乞食(こじき)のかゝども、/馬道(むまミち)か 00116300M2らやがて/観音(くハんをん)の/近所(きんじよ)までつゐて/来(く)る。女郎、/銭(ぜに)を出しとら 00116310M3せけれバ、/若(わかい)(18オ)/者(もの)、もし/太夫(たゆふ)様ン。/是(これ)はどうでごさ 00116320M4ります。わたしらにでも、なぜやれとおつしやりませぬ。 00116330M5/御全盛(ごぜんせい)のおまへ、どふかつたなふ見へてわるふござります 00116340M6といへバ、女郎Sハテ/喜助(きすけ)。さふいやんな。ひつかふつか 00116350M7れてハやらねバならぬ(18ウ) 00116360¥N13¥J 00116370¥X/羽(は)ころも 00116380M10/黄昏(たそがれ)どき/三保(みを)の/松原(まつバら)を/通(とを)りしが、/並松(なミまつ)の/間(あいた)に、/天女(てんによ)、/立休(たちやす) 00116390M11らい/居(ゐ)しを、/是(これ)ハ+/天人(てんにん)とハ/珍(めづ)らしい。/末世(まつせ)のきどくに 00116400M12一/番(ばん)しめんと/物(もの)いわずに/押(をし)ころバし、/乗(のり)かゝつてやつた/所(ところ) 00116410M13が、/見(ミ)かけと、(19オ)(19ウ・20オ挿絵)/違(ちがつ)て、/殊(こと)の/外(ほか)/大味(おゝあぢ)。 00116420M14モシ/天人(てんにん)さん。/此(この)うつくしさで、なぜ/此(この)やうに/味(あぢ)が/悪(わる)ふご 00116430M15さんすへといへば、S天人/地(ち)に/又(また)/住(す)めば 00116440¥N14¥J 00116450¥X/柳原(やなきハら) 00116460M18/男妾(おとこめかけ)の/男根(まら)の大キなとの/注文(ちうもん)に、/奉公(ほうこう)人の/肝煎(きもいり)。/随分(ずいふん)/金(かね) 00116470M19ニ/成(なる)(20ウ)事なれバ、/如在(しよさい)なくさがせども、なき/故(ゆへ)、こま 00116480M20り/果(はて)けるが、/風与(ふと)/柳(やなき)原を/通(とを)りけれバ、/土手(どて)の/片陰(かたかげ)に、/宿(やど) 00116490¥P348 00116500¥G(20オ) 00116510L13なしが大キなまらを出し、/昼寐(ひるね)をして/居(ゐ)る。/是(これ)こそ/屈竟(くつきやう)と 00116520L14/先(ま)つ/宿(やと)なしを/起(おこ)し、/委細(いさゐ)をはなし、/夜(よ)ニ/粉(まぎ)れ内へ(21オ) 00116530L15/入(い)れ、/湯(ゆ)をつかハせ、/着(きる)物をきせ、/髪(かミ)を/立派(りつは)に/結(ゆひ)立けれハ、 00116540L16/箔(はく)の/付(つき)たる/色男(いろおとこ)とハ/成(なり)にけり。/早束(さつそく)/彼後家(かのごけ)の所へ/連行(つれゆき)けれ 00116550L17ば、/直(じき)ニ/気(き)ニ/入(いり)、/先(まつ)ツ/当坐(とうざ)の/褒美(ほうび)として三十両。ほた+ 00116560L18/悦(よろこ)ひ/帰(かへり)しが、二日/過(すき)たれバ/尻(しり)が/来(き)て/呼(よび)(21ウ)付られ、/後家(こけ) 00116570L19大キに/腹(はら)を/立(たち)、ナゼ/宿(やど)なしを/肝煎(きもいり)したと、/殊(こと)の/外(ほか)の/叱(しか)り。 00116580L20S是ハしたり。/何(なに)おつしやります。此者/生国生立(せうこくおいたち)、ずいぶ 00116590M1ん/慥(たしか)にそんじおります△Sハテまた/言(いゝ)やる。/宿(やど)なしの/証拠(しやうこ) 00116600M2には、日なたまらで、/皮(かわ)がこわい(22オ) 00116610¥N15¥J 00116620¥X/松茸(まつだけ) 00116630M5とんだ事が/有(ある)。松だけを/米櫃(こめびつ)に/入(いれ)て/置(をい)たれバ、ついとけた。 00116640M6それハ/其(その)はづよ。それで/褌(ふんどし)へ/粘(のり)をつけぬ 00116650¥N16¥J 00116660¥X/和尚(おしやう) 00116670M9/若後家(わかごけ)/寺(てら)へ/行(ゆき)、/和尚(おしやう)に/逢(あい)、さて(22ウ)わたくしは/何(なに)とそ/尼(あま) 00116680M10に/成(なり)とふござります。御かう/剃(そり)、/頼上(たのミあけ)ますといへバ、/和= 00116690M11尚(お=せう)、なるほと/今(いま)/連合(つれあい)にわかれ、/悲(かな)しミ/最中(さいちう)なれバ、/無理(むり)と 00116700M12ハ/存(ぞん)せねとも、日に/増(まし)月にまし、又/了簡(りやうけん)が/違(ちが)ふものにて、 00116710M13/後(のち)+ハよしない/事(こと)をした(23オ)(23ウ・24オ挿絵)て/尼(あま)に/成(なつ) 00116720M14たと、/後悔(こうくハい)が/出(て)る/物(もの)でござる。/今(いま)一二/年(ねん)も/見合(みやわせ)ての/上(うへ)のこ 00116730M15とといわるれバ、Sイヘ+、/私(わたし)が/心斗(こゝろバかり)は/変(へん)ずる/事(こと)でハ 00116740M16ごさりませぬ△Sハテそふいわるれとも、/是(これ)こふ/手(て)をにぎ 00116750M17つた/所(ところ)ハ、どふでこさる。イヘ+、/乱(ミだ)るゝ事てはござり 00116760M18ませぬ。そん(24ウ)なら/爰(こゝ)らをかふでわと、かの所へ手を 00116770M19/入(いれ)ても、/何(なに)さ+。/乱(ミだ)るゝ事でハこさりませぬ。/和尚(おせう)も/今(いま) 00116780M20はたまりかね、/押(おし)ころバしてはめかけ、/是(これ)でハどふじや 00116790¥P349 00116800L1+。イヤ+、/乱(ミた)れぬ。Sそつちハ/乱(ミだ)れいでも、こつち 00116810L2が/乱(ミだ)れた 00116820¥N17¥J 00116830¥X/高楊枝(たかやうじ)(25オ) 00116840L5/浪人夫婦(ろうにんふうふ)、きのふ迄ハ/喰(くへ)たが、けさくふ物かない。/飯(めし)の/代(かわ) 00116850L6りに一/番(はん)せうと/相談(そうだん)きわまり、/早束(さつそく)/一義(いちぎ)/相(あい)すミ、/譬(たとへ)のとを 00116860L7り、/楊枝(やうし)つかひながら、/隣(となり)の内の戸を/明(あけ)れバ、/今(いま)を/盛(さかん)とし 00116870L8てゐる。/是(これ)はおまへても、/御時分(こじぶん)どきかな(25ウ) 00116880¥G(24オ) 00116890¥N18¥J 00116900¥X/大師参(たいしまいり) 00116910M3七つ/起(おき)して/大師参(だいしまい)りも、わやく半分。よく/寐(ね)て/居(ゐ)る所の戸 00116920M4を/叩(たゝ)き/起(おこし)て、開をさつしやれと大/声(ごへ)にておこす。にくつい 00116930M5やつめと、/飛起(とびおき)て/外(そと)へ出て見れバ、/最早(もはや)二町も/先(さき)へ/行(ゆく)。に 00116940M6くいやつめだ。たつた(26オ)/今(いま)してしまつたに 00116950¥N19¥J 00116960¥X/飯(めし)すたれ 00116970M9りん/気(き)/深(ふか)い/女房(にやうほう)を/持(もつ)ハ/亭主(ていしゆ)も/心(こゝろ)づかひ。/谷(や)中へ/吊(とむら)ひに/行(ゆき)、 00116980M10かへりに/根津(ねづ)と出かけ、/帰(かへ)りかけ、/是(これ)は又/帰(かへ)つたら、かゝ 00116990M11めが/例(れい)のやきもち。どふした物と、よいしあんを(26ウ)/仕= 00117000M12出(し=いだ)し、/池(いけ)の/端(はた)ですつぽんを/買(かい)、/首(くび)を/切(きつ)て/紙(かミ)に/包(つゝみ)、/袂(たもと)へ/入(い)れ 00117010M13/帰(かへ)れば、/亭主(ていしゆ)の/顔(かほ)を見るや見ず、/帰(かへ)りが/遅(おそ)ひと/雷声(かミなりこへ)。/亭= 00117020M14主(てい=しゆ)さハがず、コレ+やかましくいふな。/今日(けふ)は/道(ミち)で/気合(きあい) 00117030M15が/悪(わる)さに、ちか/付(つき)の所へ/寄(よつ)て世/話(わ)になり、大キに手間取つ 00117040M16た。(27オ)/大方(おゝかた)わがれいのやき/餅(もち)/合点(がつてん)。此上とてもうるさ 00117050M17いから、/今日(けふ)/道(ミち)でらせつしたと、/紙(かミ)ニ/包(つゝみ)しやつを/投出(なげだ)せバ、 00117060M18/嚊(かゝ)も/是(これ)ハと/仰天(きやうてん)し、つゝと立て/飯櫃(めしびつ)の/簾(すたれ)を/前(まへ)たれにして、 00117070M19/忌中(きちう) 00117080¥P350 00117090¥G(29オ) 00117100¥N20¥J 00117110¥X/灸治(きうじ)(27ウ) 00117120L14かゝア、/急(きう)にしたくなつた。しやふでハないか。S女房め 00117130L15つそふな。/昼日中(ひるひなか)どふなる物だ△Sイヤ、よい/智恵(ちゑ)か/有(ある)。 00117140L16まづ/屏風(ひやうふ)を/立(たつ)て、/火入(ひいれ)へ/艾(もくさ)をくべてをくと、人が/灸(きう)をすへ 00117150L17て/居(ゐ)ると/思(おも)ふ。サア/初(はじ)めやふと/屏風(ひやうふ)を/立廻(たてまハ)し、/艾(もくさ)を/火(ひ)にく 00117160L18べて、さつ(28オ)(28ウ・29オ挿絵)+としてゐる所へ、/隣(となり) 00117170L19の/亭主(ていしゆ)/来(き)て、/是(これ)はよい事をなされますといへば、/是(これ)ても見 00117180L20へますか 00117190¥N21¥J 00117200¥X/妻(つま) 00117210M3/女(をんな)の/詠(よん)だ/哥(うた)に、/吾(わか)つまのといふ/事(こと)も有り、又/女房(にやうほう)の事を、 00117220M4/都(すべ)てつまといふは男の事か、女のことか、とふ(29ウ)も 00117230M5がてんがゆかぬといふ。ハテ、それハどちらもつまサ。 00117240M6Sと/斗(ばかり)いふてもわからぬ△Sハテ、つ。ナ。ま 00117250¥N22¥J 00117260¥X/輪(りん)の/玉(たま) 00117270M9かけむかい/暮(ぐら)しハ/気(き)さんじ。/宵(よい)の/内(うち)から戸を/〆(しめ)て、/嚊(かゝ)、は 00117280M10しめよふとしなだれなから、/昼(ひる)/余所(よそ)て/聞(きけ)ハ、(30オ)/輪(りん)の/玉(たま) 00117290M11といふ物か/有(あつ)て、それを/入(いれ)てすると、とほふもないゑいき 00117300M12みだといふ/事(こと)だ。なんと/輪(りん)の/玉(たま)を/買(かつ)て/来(き)ようじやないかと 00117310M13いへば、Sカヽそれは弐三/分(ぶ)もする物そふな△S亭主/夫(それ)で 00117320M14ハ/気(き)がない。ソレ+/金(きん)かんを/買(かつ)て来て、やつて見やうと 00117330M15/八百屋(やをや)へ(30ウ)かけ/出(た)し、/金(きん)かんを下されといふ。/八百屋(やをや) 00117340M16の/亭主(ていしゆ)、/棚(たな)を見て、金/柑(かん)ハ/売切(うりき)レました。けんにてもなさ 00117350M17/礼(れ)ますなら、/九年母(くねんぼ)になされませとさし/出(だ)せは、Sばか 00117360M18+しい。/是(これ)がはいるものか 00117370¥N23¥J 00117380¥X/乞食(こじき)(31オ) 00117390¥P351 00117400L1/闇(やミ)の/夜(よ)に/美(うつく)しいやつが/只(たゞ)ひとり/行(ゆく)を/見(ミ)て、はて/合点(がてん)のゆか 00117410L2ぬ。/供(とも)てもつれさふな物だが、なんでもこいつをせしめん 00117420L3と、/片陰(かたかけ)へ/無理(むり)に/引廻(ひきまハ)し、物いわずにまくりやりかけれハ、 00117430L4/彼女(かのをんな)、これさ、めつそふな。/何(なに)をなされますといふをも/構(かま) 00117440L5ハず、さつ+と(31ウ)やる。モシ+、わたしハ/乞食(こしき)て 00117450L6ごさりますといふ。/何(なに)、/乞食(こじき)にこふした/味(あぢ)か/有(ある)ものた 00117460¥N24¥J 00117470¥X/二階(にかい) 00117480L9/亭主(ていしゆ)ハ七十/近(ぢか)ひに/内義(ないぎ)ハ四十そこら。/相応(そうをう)な/身躰(しんだい)なれとも、 00117490L10/実子(じつし)なけれバ、/直(じき)ニ/用立(やうだ)つ/養子(やうし)をと、(32オ)(32ウ・33オ挿絵) 00117500L11廿三になる/息子(むすこ)を/貰(もら)ひけるが、お/袋(ふくろ)の/様子(やうす)、どふか/色気(いろけ)の 00117510L12/有(ある)きミ。あいそふかと/思(おも)へハ/又(また)/堅(かた)ひ/所(ところ)も有ルやうで/気(き)かし 00117520L13れぬ。/息子(むすこ)つく+/思(おも)ひけるは、とうぞお/袋(ふくろ)をしめてやり 00117530L14たいと、/兼(かね)て思ひけれとも、いゝ/寄(よる)/手(て)だてもなけれハ、/何(なに) 00117540L15となく(33ウ)/打過(うちすぎ)けり。/或(ある)とき、/親父(おやじ)は/留主(るす)なり。見世は 00117550L16/鬧(いそ)かしく取/込(こん)て/居(ゐ)る。お/袋(ふくろ)ハ二/階(かい)にて仕立物して/居(ゐ)けれハ、 00117560L17折よしと/息(むす)子、/抜足(ぬきあし)にて二/階(かい)へ上り、お/袋(ふくろ)のうしろから、 00117570L18物いはす、ぬつと/抱(だき)付は、おふくろ/振(ふり)かへり、/畜生(ちくしやう)めとし 00117580L19かられて、手/持(もち)なく、そろ+(34オ)/梯子(はしこ)の/方(かた)へ/行(ゆけ)ハ、 00117590L20Sコリヤ+、おりると、なを/畜生(ちくせう)だそ 00117600¥N25¥J 00117610¥X/下女(げしよ) 00117620M3/女房(にやうほう)の/留主(るす)に下女を/手(て)なつけ、/是(これ)、/今日(けふ)/幸(さいわ)ひ、かゝが/留主(るす) 00117630M4たから、此/間(あいだ)やく/束(そく)の/通(とをり)、一/番(ばん)/仕(し)やう。まづ、/湯(ゆ)やへ/行(いつ)て 00117640M5こい。アイといふて風/呂(ろ)へ/行(ゆき)、(34ウ)/帰(かへつ)て見れハ、/客(きやく)か/有(あつ) 00117650M6て/咄(はな)してゐる。下女も/好(すき)キな/奴(やつ)にて、どふぞ/早(はや)く/客(きやく)をかへ 00117660M7し、/始(はじめ)たいと/思(おも)へとも、/客(きやく)/帰(かへ)らず。/余(あま)り/待兼(まちかね)て、モシ/旦那(だんな) 00117670M8様。/能(よ)く/洗(あら)ひました 00117680¥N26¥J 00117690¥X/玉輿(たまのこし) 00117700M11/或(ある)人/問(とふ)て/曰(いわく)、女は/氏(うじ)なふして玉の(35オ)/輿(こし)と申/事(こと)を申/伝(つた)へ 00117710M12候が、いかゝいたしたる/事(こと)と/聞(き)ケバ、/大勢(をゝせい)の中より物/知顔(しりかほ) 00117720M13に/罷(まかり)出、/是(これ)には/深(ふか)い/義理(きり)の/有(ある)事でござる。/先(ま)ツ開と申も 00117730M14のハ、/至(いたつ)てくさひ物て、/外(ほか)のものでごろふじろ、/虫(うじ)がわか 00117740M15ずにハ/居(ゐ)ませぬ。所か、うぢがわかぬから、うぢなふて。 00117750M16/扨(さて)玉(35ウ)のこしとは、まらは/開(ぼゞ)の内へ/這入(はいり)ますれども、 00117760M17/睾丸(きんたま)ハ/外(そと)ニ/居(おり)ます。/夫故(それゆへ)玉/残(のこ)し 00117770¥N27¥J 00117780¥X/車引(くるまひき) 00117790M20/坂(さか)を車を引て上る。其内よわい者を/叱(しか)るとて、こいつハせ 00117800¥P352 00117810L1んずり/斗(はかり)かきをるからと/云(い)ふを、/御大名(おだいめう)(36オ)/駕篭(かご)の内に 00117820L2てお/聞(きゝ)有。御屋/敷(□き)へ/帰(かへつ)て、御/近習(きんじゆ)にお/尋(たづね)有けれハ、御/近= 00117830L3習(きん=じゆ)も/御挨拶(ごあいさつ)にこまり、お/上(かミ)に/御存知(ごそんじ)なくとも/宜儀(よろしきぎ)と申上け 00117840L4れとも/御承引(ごせういん)なく、/是非(ぜひ)+との/義(ぎ)。/然(しか)らハ申上ませう。 00117850L5あれは/朝寐(あさね)を/致(いた)す者の事と申上けれハ、/折節(おりふし)(三六ウ)/若殿(わかとの)、 00117860L6/朝寐(あさね)をなされ、/大殿(おゝとの)の/前(まへ)へ御/出(いて)/有(あり)けれバ、/其方(そのほう)ハいつから 00117870L7せんずりかきに/成(な)りやつた。/後(のち)にハ/大(をゝ)せんずりかきに/成(なり)ま 00117880L8せふ 00117890¥N28¥J 00117900¥X/絵師(ゑし) 00117910L11物/数奇(ずき)な/男(おとこ)、/絵師(ゑし)の/方(かた)へ/行(ゆき)、開を/上(うへ)から見る所ハいくらも 00117920L12/有(あれ)とも、/穴(あな)の(37オ)中が見へねバ/面白(おもしろ)くないから、/能(よ)く/穴(あな) 00117930L13の内の見へるやうに/書(かい)て下されと/頼(たの)む。Sそれハどふも/出= 00117940L14来(で=き)ませぬといふを/女房(にやうほう)/聞(きゝ)つけ、/片(かた)かけへ/招(まねき)、/何(なに)も/商売(せうばい)つく 00117950L15だから、/私(わたし)か物をよく見て書て/遣(つかハ)されと、/前(まへ)をまくる。/折= 00117960L16節(をり=ふし)ゑんこうぼうて/居(ゐ)しが、とく(37ウ)とのそき見て、イヤ 00117970L17+かゝ、よしませう。Sナゼ△Sハテ、五/匁(もんめ)や拾匁でハ、 00117980L18/朱(しゆ)の/代(だい)にも/足(た)らぬ 00117990¥N29¥J 00118000¥X/達者(たつしや) 00118010M1おまへハおいくつにお/成(なり)なされます。モウ七十五て御ざり 00118020M2ます。Sても御/達者(たつしや)な事てこさります。お/目(め)や(38オ)(38ウ) 00118030M3・39オ挿絵)お/歯(は)は、どふてこさります△Sアイ、仕/合(あハせ)にハ 00118040M4こまかい/物(もの)も/見(ミ)へ、/堅(かた)い/物(もの)も/給(たべ)ますが、だふした事か、/近(ちか) 00118050M5い/比(ころ)ハ/物覚(ものおほへ)が/悪(わる)く/成(なり)ました。/夕部(ゆふべ)も/婆&(はゝ)が/寝所(ねところ)へ/行(ゆき)たれバ、 00118060M6/今(いま)/帰(かへつ)て又ごさつたかと/言(いゝ)ました 00118070¥N30¥J 00118080¥X/下女(けしよ)(39ウ) 00118090M9/主(しゆ)人の所へ/茶(ちや)をくんで/行(ゆく)。/主(しゆ)人、/薬(くすり)と心得、茶/碗(わん)を/戴(いたゞ)く。 00118100M10Sモシ、御かミ様か見ておいでなされます 00118110¥N31¥J 00118120¥X/氏子(うじこ) 00118130M13/父(てゝ)なし/子(ご)を/孕(はらミ)、/親達(おやたち)の/腹立(はらたち)、いろ+と/詮義(せんぎ)しても、男を 00118140M14/云(い)ハねば、/是非(ぜひ)なく/臨月(りんげつ)にもなれハ、取/揚(あけ)(40オ)/婆&(ばゝ)を 00118150M15/頼(たの)ミ/安産(あんざん)。/親父(おやじ)心付、/胞(ゑな)を男の/紋(もん)所有といふ事なれバ、/洗(あら) 00118160M16つて見んとて見けれハ、/稲荷大明神(いなりたいめうじん)と/有(あり)。/是(これ)はけしからぬ 00118170M17/事(こと)といへば、/母(ハヽ)、それハ/氏神(うちがミ)様の名で/胞(ゑな)の/裏(うら)じや。/表(おもて)で見 00118180M18さつしやれと/引(ひつ)くり/返(かへ)して見れハ、/若者(わかいもの)中(40ウ) 00118190¥N32¥J 00118200¥X息子 00118210¥P353 00118220L1よし原/好(ずき)のむすこと、/芳(よし)丁/好(がき)の/息子(むすこ)と出合、/何(なん)と、チト/吉= 00118230L2原(よし=ハら)へいかんか。いか/様(さま)、ちと/気(き)が/替(かハ)つてよかろふと、/直(すぐ)に 00118240L3/柳橋(やなきばし)より/舟(ふね)に/乗(のつ)て、/浅艸(あさくさ)川へ/出(だ)すと、/向(むかふ)から/鹵舟(こいぶね)が/来(く)る。 00118250L4/芳(よし)町/好(ずき)の/息子(むすこ)、(41オ)/大分(だいぶん)/気(き)がわるくなつた 00118260¥N33¥J 00118270¥X/帋入(かミいれ) 00118280L7/亭主(ていしゆ)の/留主(るす)に、/隣(となり)のむすこを/呼(よび)にやり、/今夜(こんや)は/帰(かへ)りが/遅(をそ)ひ 00118290L8からと、ゆる+と/始(はじめ)かけ、おもふまゝ/気(き)をやり、/拭(ふ)く一 00118300¥G(42オ) 00118310M1だんに/成(なつ)て、/亭主(ていしゆ)かへり、/表(おもて)の戸を/叩(たゝ)く。/南無三宝(なむさんほう)(41 00118320M2ウ)(42オ挿絵)(42ウ・43オ挿絵)と、二/階(かい)から/早(そう)+/迯(にげ)て/帰(かへ)り 00118330M3しが、/余(あま)りあハてゝ/紙入(かミいれ)を/落(おと)して/来(き)たゆへ、いろ+と/工= 00118340M4夫(く=ふう)して、/翌日(あくるひ)/何喰(なにくハ)ぬ/顔(かほ)ニて、又/隣(となり)へ/行(ゆき)、/扨(さて)御/前(まへ)がたに、ち 00118350M5と/相談(さうだん)があるといふ。S亭主、/何事(なにごと)じやといへば、イヤ、 00118360M6/別(へつ)の事てもないが、/去(さ)ルところのかゝしうとねん(43ウ)ご 00118370M7ろして、きのふ/行(いつ)たか、こまつた事には/帋入(かミいれ)を/置(をい)て/来(き)たか、 00118380M8/亭主(ていしゆ)が/見付(みつけ)ねバ/能(よい)がといへバ、/女房(にやうぼう)/聞(きゝ)て、Sハテ、おまへ 00118390M9もやぼな事を/言(いゝ)なんす。/密夫(まおとこ)をする女が、/亭主(ていしゆ)に/知(し)らせる 00118400M10ものかといへバ、S亭主/成(なる)ほと、ま男をしられる男なら、 00118410M11/側(そば)に/有(あつ)ても(44オ)気ハ/付(つ)クまい 00118420¥N34¥J 00118430¥X/楊弓(やうきう) 00118440M14/是(これ)も同じやうなこと。/亭主(ていしゆ)か/帰(かへつ)て/外(そと)より/伺(うかゞ)へバ、/何(なに)か/内(うち)に 00118450M15人/音(をと)する/故(ゆへ)、/節穴(ふしあな)より/覗(のそき)ミれバ、/蜜夫(まおとこ)がいふ。/何(なん)とけふハ 00118460M16/珍(めつ)ら/敷(しく)、/楊弓(やうきう)ぼゝをしやふ。それハどふするのだへ。ハテ、 00118470M17手/前(まへ)(44ウ)が/前(まへ)をまくつて、/向(む□)ふの/壁(かべ)によりかゝつて/居(ゐ)る 00118480M18と、をれがついと/行(いつ)てつゝ/込(こむ)のだ。そんならバと、/教(をしへ)の/通(とを) 00118490M19り/前(まへ)をまくつて/居(ゐ)ると、/蜜夫(まをとこ)おやしすまし、こちらから/欠(かけ) 00118500M20て/行(いつ)て、すつと/突込(つゝこむ)と、Sテイシユ/当(あた)り引 00118510¥P354 00118520¥G(43オ) 00118530¥N35¥J 00118540¥X/胴乱(とうらん)(45オ) 00118550L15/是(これ)は+よふ御/出(いで)なされた。/先(まづ)+お/替(かハ)りもなくて、/目出(めで) 00118560L16たふこさります。イヤ、/貴様(きさま)に御めにかける物かあると、 00118570L17/熊革(くまのかハ)の/胴乱(とうらん)を出して、此/間(あいた)、/堀(ほり)出しものをいたしたと、見 00118580L18せけれバ、S/客(きやく)、これハ+見/事(こと)なものと、手に取て/撫(なで)て、 00118590L19Sイヤ、/妻(さい)もよろしく申上ます(45ウ)