00000010¥P3 00000020¥U噺本大系△第十二巻 00000030¥T/春帖咄(しゆんじようばなし)〔題簽〕 00000040¥G 00000050¥Y 00000060L16天明二年正月刊 00000070L17無尺舎序 00000080L18必&舎馬宥跋 00000090L19版木△藤村左文 00000100L20半紙本一冊 00000110¥Y叙話 00000120M3荒陵山内皇太子殿の北門の猫は、元朝毎に三声鳴くよし、 00000130M4昔よりいひ伝ふ。爰にある達者作りの禅門、生涯に一度は 00000140M5是も聞たきものとて、若戎の声を栞に、久三に挑灯ともさ 00000150M6せつゝ、たど+しき思ひ立も、心はこもりくの初そら明 00000160M7るや明ずに猫聞キの御帰り。皆+出向ひし、お寒からう 00000170M8の声さへ打揃ひ待合せし雑煮の御祝ひ、嫁孫ともに居ヱ並 00000180M9べ、かハらぬめてたさ。嘉例の屠蘇くみかハし、組重より 00000190M10はかの猫(序オ)嘸お聞遊ばしたてあらうナ。やつぱりニヤ 00000200M11アンと鳴ますかヱととへば、イヤ+、誠に左リ甚五郎で 00000210M12もあらうは、時の約束を忘れぬ所が寄妙+。シテ、どの 00000220M13やうな声で鳴ますゾイナと、ごぞつて問へハ、年が寄つた 00000230M14やら、雛がれながら、しかも口早に、天王寺のたう+ね 00000240M15ぶつ十ヲ申ても、さかられぬ+とそ 00000250M17△△ミつのへとらのむつまし月と 00000260M18△△△△それさへうらやみつゝ△無尺舎書△△△(序ウ) 00000270¥P4 00000280¥N1¥J 00000290¥X巻首△にし肴△早春△△△△△△△△△△△¥A可候 00000300L3嶋の内のかごかき、銭をの 00000310L4バし、なんバ新地で呼屋み 00000320L5せ出し、方+の久三を客 00000330L6にして、二かいでの大立テ 00000340L7大さハギ。台所ニハていしゆが、料理人やら仲ゐやら、一 00000350L8人リして打たり舞たり、肴ばちを片手に二かいへ上ロとす 00000360L9る、げいこか下りかゝる。南無三、こぼしてハならぬと、 00000370L10こちらへよけて上りかゝると、客が下りて来る。ていしゆ、 00000380L11ムシヤクシヤばらニ大ごへ上ケ、ハイ頼まんしよ。あほら 00000390L12しい。戎かなんぞのやうにG(一オ) 00000400¥N2¥J 00000410¥X第二△桃のうミ△春興△△△△△△△△△¥A翌佐 00000420L15おやまの手を引キ、蛤取一ツはいきげ 00000430L16んニウカ+と、沖はるかニ見れバ、 00000440L17見なれぬ草木にけつかうな宮殿楼閣。 00000450L18コレハふしぎと、おやまも客も金かく 00000460L19寺拝見する気で、あちらを見、こちら 00000470L20を覗キあるけバ、蛤もこそバかつたか、チヤツト口をふさ 00000480M1ぐ。たちまちニしんのやミ。二人リハびつくり。客アヽ聞 00000490M2へた。コリヤ蜃気楼であつたナ。中をあるいた故、蛤が口 00000500M3をふさいだのしや。おやまそんなら出る事ハならぬかへ。 00000510M4サウどふも仕やうハなひ。しかし此中で二人リが/干(ひ)死すり 00000520M5や本望じや。おやまソリヤ何としてヱ。客サア、生キなが 00000530M6ら/真珠(シンシユ)ニなるわいのG(一ウ) 00000540¥N3¥J 00000550¥X第三△寒水石△△△△△△△△△△△△△¥A姫州 00000560M9女郎、椽ンさきへ出て、コレおかちどん。 00000570M10かハいらしい石台じやナア。コリヤ福寿 00000580M11草じやないかいナ。仲居アイ。女郎そん 00000590M12なら元日に開く物じやないかいナア。夫 00000600M13ニまだ春にもならんに咲てあるぞへ。仲ゐサイナア。わた 00000610M14しもとふたらな、今年ハ閏がある。夫でじやといナア。女 00000620M15郎ヲヽせうし。取はづしてかいナアG(二オ) 00000630¥N4¥J 00000640¥X第四△年玉△△△△△△△△△△△¥A君里 00000650M18若戎うりのこへもろともニ、おいへが、申+、旦那さん。 00000660M19おざうにがようこさり升。おいハひ遊しませ。旦那、ウン 00000670M20トのびして、トレ+、おざうにかよくバ祝ハふ。マツ初 00000680¥P5 00000690L1雪隠へゐてこふと、椽さ 00000700L2きへ出れバ、おいへコレ 00000710L3長吉。手しよくをお目ニ 00000720L4かきやといふに、長吉、 00000730L5手しよくともして持行。 00000740L6旦那かつ手に用があろ。手しよくおいてゆけと云ゝ+、 00000750L7せつちんの戸を明しなニ、/屁(へ)をブウ+。長吉かつてへ出 00000760L8て、コレおりんどん。旦那さんハ又かくべつなもんじや。 00000770L9下女なんとして。長吉サア元日じやゆへ、雪隠へ行なさつ 00000780L10ても、おならで、モノモをG(二ウ) 00000790¥N5¥J 00000800¥X第五△千里同風△△△△△△△△△△△△¥A可石 00000810L13揚しまふてのもどり足。次作どん。チヨツト 00000820L14待てと、はいらんさきから、おしげさん。け 00000830L15ふもお目出たふ。ヲヽしんどゝ、あがり口へ 00000840L16ベツタリ。ヲヽ咲さんか。御きけんしやなナ。 00000850L17アイ。又ゑふたわいナ。アノナ、木の又さん 00000860L18ハ来てかへ。イエ+、冬からとんとお出んわいな。ヲヽ 00000870L19すかん。せんどわしをひどいめニあハしておいて、コレ見 00000880L20んかいナ。此やうニかミついてと、ぬいで見せるかたのき 00000890M1づ。花車ホンニナア。大かた其肩が気ニかゝつてG(三オ) 00000900¥N6¥J 00000910¥X第六△山里いかに△△△△△△△△△△△¥A裡叟 00000920M4山家からのはい出の下女、正月のこし 00000930M5らへ、物もうゐ+しい中にも、モシ 00000940M6おへさん。アノ床の間ニ箱ニうへてこ 00000950M7ざり升花ハ、なんといふ花でこざり升 00000960M8へ。おいへあれハの、福寿草といふものじや。けさひらく 00000970M9ゆへニ、元日草といふわいの。下女ヘヱ、さやうなら、モ 00000980M10ウ鴬がなきそふな物でこさり升ナアG(三ウ) 00000990¥N7¥J 00001000¥X第七△里こゝろ△春興△△△△△△△△△△¥A馬両 00001010M13ヲヽあぶないぞ。しづかニ乗ツたりと、本庄 00001020M14の渉し場、花見もどりの一トむれ。丁児がか 00001030M15たげた桜の大枝。旦那ハわけて大事がり、さ 00001040M16ハらぬやうと舟のまん中へ乗せて行うち、ハ 00001050M17ヤ入相の鐘がゴヲン。わたし船ハきしへグハ 00001060M18ツタり、桜ハバラリ。旦那エヽ、正直ものめ 00001070M19かG(四オ) 00001080¥P6 00001090¥N8¥J 00001100¥X第八△陽春△△△△△△△△△△△△△¥A思月 00001110L3サア最ふしはらく、いねでもつ 00001120L4んだり。しかし今年の元朝ハあ 00001130L5たゝかひ事じや。生花の梅も生 00001140L6咲也。したが、梅なども室へ入 00001150L7ておけバ、ぬくいを誠とこゝろ 00001160L8へて、花かハツト開く。イヤモ、此元朝のやうニぬくいと 00001170L9云ふ事ハ。長吉旦那さんのおつしやるニ違ひハ御さりませ 00001180L10ん。私が今くゞり戸あけて見ましたら、此ぬくさでか、掛 00001190L11取りが半分ハ礼者ニなつてG(四ウ) 00001200¥N9¥J 00001210¥X第九△二股竹△春興△△△△△△△△△△△¥A小田輝 00001220L14樽前ニ酔をすゝむるハ是春風と、一 00001230L15ぱいきげんの花見づれ。中にも弁慶 00001240L16とおぼしき惣髪の医師、桜の前ニか 00001250L17うべをさげ、礼拝するを、連コレハ 00001260L18寸伯老。何で其やうニ被成るゝ。寸 00001270L19伯コレハ我等がための大事の守神。 00001280L20各&かたの、戎大黒を商ひ神とあがめさつしやるも同前ン 00001290M1でござる。連医者の守神ならハ、神農か薬師ても有そうな 00001300M2物を、其桜を又何として。寸伯サア、是が縁ぐミのもとじ 00001310M3やテG(五オ) 00001320¥N10¥J 00001330¥X第十△山田猪△△△△△△△△△△△△¥A二雪 00001340M6初春の神詣。中にも住吉の賑しさ。友 00001350M7達ニさそハれて二人リ連の年頭参り。 00001360M8新家を過て横ぎれニ本社の方へさしか 00001370M9ゝる。誕生石の垣のまへ、やゝしばら 00001380M10く信をこらして礼拝する。つれの男ふ 00001390M11しん顔。マア貴様、きつい拝ミやうじやの。是まで外の所 00001400M12へ連立て参たニ、其やうニ念入て拝んた事も見ず。ことニ 00001410M13独身ンの貴公。妾もなけれバ、めつたニ誕生を祈る心あて 00001420M14もないはづ。何の為の願じや。おりや、トント合点がい 00001430M15かぬ。サイノ、貴様の云ふ通り、女房ハなし妾ハなし、お 00001440M16れが爰へ願かけておくハ、余所のをかづかぬ用心じやG(五 00001450M17ウ) 00001460¥N11¥J 00001470¥X十一△事始△△△△△△△△△△△△¥A裡叟 00001480M20コリヤ+長兵衛。棚な俄のあんどう、取てくれ。此祭りニ 00001490¥P7 00001500L1南てヱラフもらふて来た。寒中の俄も又気 00001510L2かかハつてよい。幸ひなりもにわか出立、 00001520L3紙ぶくろ頭巾ニゆかたの上ばり、ほこりた 00001530L4ゝき、シヤニかまへて、罷出たるそれがし 00001540L5ハと、惣身ニなつてやりかける所へ、おく 00001550L6より親仁とんて出、ヤイごくどうめ。すゝ 00001560L7ハきなかばニ、にわかどころか。ヱヽおのれハなト、叩キ 00001570L8竹ふり上ケ、つミかさねたる畳をトコ++トンチキ 00001580L9+。息子ヱヽ、わるい所へ、だん尻か来たG(六オ) 00001590¥N12¥J 00001600¥X十二△灯ともす梅△△△△△△△△△△△¥A千旭 00001610L12年の市ニじゆんけい町のにぎハひ。隠居が 00001620L13孫つれての買物。塩もの店ニ立より、其伊 00001630L14勢ゑび、なんぼしや。ハイ、コリヤ六十五 00001640L15文でこざり升。まそつとまけさしやれと直 00001650L16なし仕て、孫ヨ。これもてと手ニわたす。竹のくしでつい 00001660L17だるひげ、取るひやうしニスツポリぬける。まごぢさん。 00001670L18此ゑびハわきざしさゐて居るナアG(六ウ) 00001680¥N13¥J 00001690¥X十三△年内立春△△△△△△△△△△△△¥A君里 00001700M1あるお大名、節分の日、一家中へのこ 00001710M2らず宝ぶね一枚づゝ下され、此宝舟を 00001720M3枕の下へしき、明日早&罷出、夢物語 00001730M4仕ルべしとの御ふれ。何れも有難くか 00001740M5しこまり入、サテ夜明れハ、めい+ 00001750M6ゆめはなし申上る中にも、御用人鶴松 00001760M7亀左衛門の番ニあたれハ、罷出てウジ+。殿亀左衛門、 00001770M8ゆめハどふだ+。亀左衛門ハツト平伏し、何が殿様より 00001780M9はいれう仕ました宝舟、おのれやれなんでも目出度夢を見、 00001790M10御物語申上べし、一心ンにこゝろがけまする内に、ツイ 00001800M11寐入まして御さり升G(七オ) 00001810¥N14¥J 00001820¥X十四△遠山鹿子△△△△△△△△△△△△¥A五楽 00001830M14正月といふものハせハしなひ物と、下 00001840M15女のりんかひとりごと。其かハりやぶ 00001850M16入したら、八兵衛さんの顔を見て、ど 00001860M17ふしてかふしてと、きざむなますも手 00001870M18につかず、たゞうつとりとしてゐる所 00001880M19へ、丁ノ五郎助で御ざり升と、我に涙をそへよとや、心ほ 00001890M20そげなこきうのこほ。ヱヽせハしない。通リヤ+。ヤア 00001900¥P8 00001910L1大黒よ。ヨイ+、手のひまがない。通リヤ+と云ふて 00001920L2ハ鱠を切てゐる。心ニ苦のないうばや丁児、ばら+とは 00001930L3しり出、こちらは好キしや大黒舞、所望+と立かゝる。 00001940L4サレハ治る九重に、猶も目出たき寅のとし、ハアコリヤア。 00001950L5丁児が、ハアイG(七ウ) 00001960¥N15¥J 00001970¥X十五△年の尾△△△△△△△△△△△△△¥A対寿 00001980L8きびしい冷ヱじやが、お替り 00001990L9も御坐りませんか。夜ぶんな 00002000L10がら歳暮がてらお見舞申ま 00002010L11す。コレハ+やミと申、誠 00002020L12ニけしからぬ雪道もわるい 00002030L13ニ、よふお出なされた。お供 00002040L14の丁ちん消して、マアはいらんせ。アヽイヤ、供もつれ 00002050L15ず、丁ちんももたす、よい道連レがごさりました。夫ハマ 00002060L16ア御近所のお方で御座りますか。イヱ+、手飼の黒犬をG 00002070L17(八オ) 00002080¥N16¥J 00002090¥X十六△年のかぞへ△△△△△△△△△△△¥A君さと 00002100L20大三十日のせハしきニ、茶屋の掛ケをあつめてハ取り払ニ 00002110M1する女郎屋、残つた銭を此まゝてハ置 00002120M2レぬと読たてるが/加例((ママ))。サア+子供 00002130M3衆もみな手つたハんせに、芸子か銭を 00002140M5ゴツテ+、漸一トすぢよむと、おや 00002150M5まが傍から、春野さんハキツイ隙が 00002160M6入、ソシテ此銭みぢかい事わいナ。小吉さん、読ンで見イ。 00002170M7六文コレハたらぬハへ。小吉ホンニ六文たらぬわいナ。お 00002180M8やまコレ+、コレモ五文たらぬ。よんで見イ。けいこ又 00002190M9ゴツテ+よんて見て、ホンニ五つたらぬ。おまへハとふ 00002200M10でも、とゝさんの所ハ銭屋かへ。おやまナンノイナ。まい 00002210M11ばんあたりつけてゐるさかいG(八ウ) 00002220¥N17¥J 00002230¥X十七△野/七里(クレ)山/七里(クレ)△冬ノ作△△△△△△△¥A可石 00002240M14よしありけなる旅僧の雪ニふりこめられ、 00002250M15人里遠き野なれバ、いかゞハせんと見やる 00002260M16片ほとりニ柴の庵、一夜の宿と立入る。あ 00002270M17るじの老女、安キ御事、我ばかりさへ住か 00002280M18ねたる小家なれど、寐るバかりの事なら 00002290M19バ、おはいりあれ。それハ近比忝し。老女 00002300M20さもしけれどゝ、きびだんごのもてなし、たき火をしてあ 00002310¥P9 00002320L1てまいらせんと庭へ下りる。サテハアノ鉢うへの梅松桜を 00002330L2たくならん。さらバ我ら、さゐめうじ也と見てゐるうち、 00002340L3そバへより、やぶれ垣の竹二三本引ぬき来て焼キけれバ、 00002350L4旅僧ハアヽ、もちつと来やうが早かつたナG(九オ) 00002360¥N18¥J 00002370¥X十八△元日△△△△△△△△△△△△△¥A桃太郎 00002380L7内方の年始の御祝義ハ、おほし召付と申、見 00002390L8事な御箸初て御さり升。まづ金銀のかハらけ 00002400L9に、■■の盃キだい、るりの銚子ニ碼のふの 00002410L10ふた、さんごじゆのつまミ、コレハ七宝とそ 00002420L11んじ升か、琥珀ハなにゝおつかひなされまし 00002430L12た。亭主こはくハあれニこざり升。客ハヽ、 00002440L13コレハおつかひ方の御しゆかうが出来ませぬゆへニ、御座 00002450L14しきのすミニおかれましたか。イヱ+、アレハ今日の麈 00002460L15リ取てごさるG(九ウ) 00002470¥N19¥J 00002480¥X十九△春永点△△△△△△△△△△△△△¥A歳暉 00002490L18お戎若戎のうり声と引ちかへニもどる男、掛帳ニ財布、上 00002500L19リ口へドツサリ。サア掛もミな集め仕舞ました。旦那ホヽ、 00002510L20大義じや有た。入帳をツト+付ケて、トレ留帳と引合そ 00002520M1ふか。男ハイ+。 00002530M2旦那サア何所じや。 00002540M3男ハイ、泉八。旦那消 00002550M4したり。男松九。旦 00002560M5那夫も消したり。男平十。旦那おつと、けしたり。福五郎 00002570M6けしたり。夫もけしたり。つゐでニ丁ちんも消したりG(十 00002580M7オ) 00002590¥N20¥J 00002600¥X二十△小とのばら△△△△△△△△△△△¥A芦調 00002610M10台ばこに弓張丁ちんのけいきよく、町内 00002620M11を廻りしまふて、内へもどり、コリヤ長 00002630M12松ヨ。おれハヱラフ草臥た。わしがかハ 00002640M13りニ、われハ袴着てナ、ぢさんの所やお 00002650M14ばの所へ礼ニ往て来いと、かミしも出して、我子ニ着せて 00002660M15やる。待テ+。こし板がいがんてあると、ためつすがめ 00002670M16つ、ソレよしと、背中をチヨイG(十ウ) 00002680¥N21¥J 00002690¥X二十一△都錦△△△△△△△△△△△△¥A芦波 00002700M19禁裡へ年頭の礼ニ上る検校、在所者の手引キをつれて、コ 00002710M20リヤ、むかふから御公家様か見へたらナ、知らせい。ソシ 00002720¥P10 00002730L1テ御紋を云ふて聞せと云ゝ付、日御門より入 00002740L2来て、コレハ内侍所、コレカ日花門。男夫、 00002750L3むかふから、となたしや見へ升。けんきやう 00002760L4じきする。紋ハ。男ハイ。藤の丸で御坐り升。 00002770L5フヽ、御摂家様しや。ソレ又。じき仕る。紋 00002780L6ハ。ハイ。かたばミて御座り升。フヽ、三条 00002790L7様しや。それまた。じきする。紋ハ。ハイ、梅八。フヽ、 00002800L8高辻様しや。ソレまた。じきする。紋ハ。ハイ、丸の内ニ 00002810L9橘で御座り升G(十一オ) 00002820¥N22¥J 00002830¥X二十二△春隣り△△△△△△△△△△△△△¥A智両 00002840L12わがミハ今どこニゐるぞ。ハイ。樋の上ニお 00002850L13り升。シテ、商売ハ何しやる。ハイ。松山み 00002860L14そのうけ売を致シ升。フム。夫ハよい商売じ 00002870L15や。どふしや。売れるか。イヤモウ、此間ハ 00002880L16とんと売れませぬ。そうであろ+。マア何 00002890L17といふても極月の中比、なか+其やうな物買ふ人ハない。 00002900L18此あたり見たがよい。マア飾り一式、こゝにハやぐら小だ 00002910L19い武田わんと、せハしい商ひばかり。その中を長カたらし 00002920L20い道頓堀松山みそといふてハいかぬ。ソレ、むかふから来 00002930M1ル、間に合むしろ上むしろと云ふニ合せて、マアツ山みそ 00002940M2+と売たがよいG(十一ウ) 00002950¥N23¥J 00002960¥X二十三△豊の岡見△△△△△△△△△△△¥A泉齢 00002970M5煤はきニ、大半ン切ニ水くミ、軒 00002980M6下ニならべ、サア+、コレから 00002990M7家根じやと、瓦のすま※洗ふや 00003000M8う、はしごをかけて水をはこぶ。 00003010M9寒中の事なれバ、なめらニなつて、 00003020M10ズルウ+すべりあるくを、まる瓦とらへてハ苔をおとし 00003030M11仕てゐるニ、いかゝしけん、ズル++とすべり落、カ 00003040M12ノ半ン切の中へまつさかさま。下ニハ、ヤレおちたハと立 00003050M13さハげハ、半切の中から、皆の衆。さハぐ事ハない。釣瓶 00003060M14さへおろして下タさりやG(十二オ) 00003070¥N24¥J 00003080¥X二十四△ゆび折春△△△△△△△△△△△¥A銅露 00003090M17十ヲばかりな子をつれてのせいぼく 00003100M18バり。嶋の内通る。向ふから来る女 00003110M19郎やげいこを見て、子とゝさん。ア 00003120M20リヤおまさんかへ。親ヲヽ、アリ 00003130¥P11 00003140L1ヤげいこといふもんじや。子アノ跡からもつて行もんハ何 00003150L2んじやへ。アリヤ三味せん箱じやハヤイ。子アレ+、あ 00003160L3れもげいこかへ。イヤ+、あれハおやまじや。アノあと 00003170L4からもつてゆく紙ハ、何に仕るのじやへ。親アレカ。あれ 00003180L5ハな、祭りのときニ入るもんじやハヤイ。子フム、もふい 00003190L6くつ寐たら、まつりじやヘG(十二ウ) 00003200¥N25¥J 00003210¥X二十五△室紅梅△△△△△△△△△△△△△¥A表裡 00003220L9水犬も初対面からなつくやうなこしもと、 00003230L10ゑしやくあまつて、内申升。昨日ハおふ 00003240L11もしニ預りました。モハヤ年の内もこよ 00003250L12ひ一夜ニ成りますれハ、猶あら玉ニゆる 00003260L13+とお目もしいたしませう。又ぼん様 00003270L14も此方へ御かへり遊してから、御きけん 00003280L15も宜しう御ざり升。こよひハ御ほうさう 00003290L16のおまじなひニ、神様のお宿申ており升。妾コレハ+御 00003300L17帰りたら、おく様ニ、仰のとをり春永ニつもるお物語をた 00003310L18のしんでおり升。又ぼん様の御ほうさうの御まじないのこ 00003320L19と御下さり升。私かたニもお宿申ており升が、あなた様ニ 00003330L20おまつり遊したら、此かたのハへないものまじなひにG(十 00003340M1三オ) 00003350¥N26¥J 00003360¥X二十六△福寿艸△△△△△△△△△△△△△¥A不平 00003370M4かたのうちハ身じまひも早く、礼のこしら 00003380M5へ。コレ小ちよぼどん。わしか目ふき、と 00003390M6うさんした。ヲヽおいかけやナ、わたしや 00003400M7知りません。イヤ、こなさんじや/る((不明))しゐせ 00003410M8う入さんすか、大かた取らんした物じやあ 00003420M9ろ。きのふも赤きれもつてゐやんした。うそつきなされ。 00003430M10アリヤたばこ入やの人ニもらひました。おまへの目ふきハ 00003440M11ナ、たしかせんかう場のねきの、紫ちりめんのたもとに有 00003450M12たわいナア。何云ハんすやら。アリヤあげ目ふきしやG(十 00003460M13三ウ) 00003470¥N27¥J 00003480¥X二十七△福寿ノはなひら△△△△△△△△¥A如■ 00003490M16/さ((きカ))のふの鬼の角もとれ、打てかハつた今朝のよそおひ。男 00003500M17ハよひの草臥、上り口て高いびき。旦那コレ吉兵衛。そこ 00003510M18ニゐてハ邪魔になる。雑煮のかげんもよいそうな。早ふ起 00003520M19キヨのこへもそつちでせいのグウ+。旦那はら立、ソレ、 00003530M20其ふとんまくれニ、でつち打より、ふとんまくれバ、しや 00003540¥P12 00003550L1う事なく、ふせう※ニおきる。 00003560L2下女コレ吉兵衛どん。こなさん一 00003570L3人リじや。大ぶくを早ヨ祝ハんせ 00003580L4ニ、男、茶わんをふけうげニ取り 00003590L5上、義理かやくかのやうニ茶をチ 00003600L6ツクリ、梅干シヂンガリ。ヱヽヱ、母者の内ならナアG(十四 00003610L7オ) 00003620¥N28¥J 00003630¥X二十八△柳さくら△△△△△△△△△△△¥A九礎 00003640L10空のけしきも去年とハかハりて長閑な 00003650L11る初春の礼者ザハ+。娘同士ハ羽子 00003660L12つきゐる折ふし、家根へとまる。羽子 00003670L13とつてあぎよと小ざかしく、手まりを 00003680L14屋ねへコロ++、下通り合す礼者 00003690L15のあたまへばつたり落る。手まりをす 00003700L16ぐニ肩へこかし、右のかたをバ左りへおとして、娘の子へ 00003710L17わたす。おゝくの子供、アレ+、あれを見い。おかしい 00003720L18事を仕る人じやと口&わめくに、よく見れバ、紫キの足袋 00003730L19はひて居たG(十四ウ) 00003740¥N29¥J 00003750¥X二十九△お戎△△△△△△△△△△△△¥A万外 00003760M3物申。三郎兵へお礼申ます。亭主、大音 00003770M4ンにて、コレハ+早&忝ふ存ます。三 00003780M5郎兵へいやもふ早イ事も御ざりません。 00003790M6亭主三郎兵へ様。春のかげんか、めつき 00003800M7りとお耳がきこへますやうな。マア+ 00003810M8お上りなされませと、むりやりニ引とめ、おうへへ上ると 00003820M9盃もち出る。三郎兵イヤ+、私ハ御酒ハ一すいもたへま 00003830M10せぬ。ソンナラもちなとサア+と出せバ、三郎兵へしから 00003840M11ハおじきなしてと、取つてハくひ+、なにとかしけん、 00003850M12ギツク+、やれ、のどへつまつたそうな。どふで御坐り 00003860M13升。ソレ長吉。背中を。丁稚、ハイとうしろへまハり、背 00003870M14中たゝいて、参りました+G(十五オ) 00003880¥N30¥J 00003890¥X三十△爪ニほし△△△△△△△△△△△¥A可石 00003900M17けふハなんでも、ヱラフ餅 00003910M18花をつけてくりよと、大キ 00003920M19な柳を買ふてもどり、門口 00003930M20へもたしおき、一ト臼あが 00003940¥P13 00003950L1ると、やがて付てくれんとおもひ、飛んで出見れバ、カノ 00003960L2柳の枝ニ、折ふしふる雪のつもりけれバ、ヱヽ、待かねた 00003970L3やつじやG(十五ウ) 00003980¥N31¥J 00003990¥X三十一△ぢまん艸△△△△△△△△△△△¥A岸浪 00004000L6山+もほのめきて、尻の下からムク+ 00004010L7ともちあげる暖さに、北野辺へと出かけし 00004020L8が、トある庵リのおく床カしく住なしたる 00004030L9も心にくく、チト御めん下され。たばこの 00004040L10火一つ、御むしんと云入るれバ、庵主お安 00004050L11イ事。お茶でも参れニ、ハイ+、忝ふ存 00004060L12し升と、田ばこ吸付、庭の方へまハり、何がな追従に、サ 00004070L13テ+きれいナお庭。春と申ものハ、木の芽草のめ、一入 00004080L14けしきをましますと言+二足三足。庵主コレ+、そこ 00004090L15らハふんで下さりな。ハイ+、ホンニ此垣根のぐるりハ、 00004100L16したし物だらけじやG(十六オ) 00004110¥N32¥J 00004120¥X三十二△極寒ン△△△△△△△△△△△¥A菅水 00004130L19羽織ひつかけ出かけんと、羽子つくらひ。女房申、どこへ 00004140L20お出被成升。大がいな御用なら、今宵ハ内ニごさりませ。 00004150M1カウ申セバ、とふやらりんきのやうニ思 00004160M2召ませうが、夕部も御隠居様がお出被 00004170M3成、此間ハ毎はん出あるくそうな。チト 00004180M4内ニ居ゝと云ヤ。おれも翌のばんにハ来 00004190M5て、直キニもいハふとおつしやつてゞご 00004200M6さりました。追付お出なさるゝで御ざり 00004210M7ませうしといへど、きかぬ顔して、かき立いでも大事ない 00004220M8灯をかき立たり、しとふもない小便ンしたり、中庭を上 00004230M9つたり下りたり、手水鉢の杓をとらんとすれど、氷ニいて 00004240M10付てはなれず、ヱヽヱヽ、おのれまで親父の言ゝ付かG(十 00004250M11六ウ) 00004260¥N33¥J 00004270¥X三十三△船乗物△△△△△△△△△△△△△¥A大麿 00004280M14内義りん。表へ御礼者かあるそうなが、長 00004290M15吉ハ何してゐるヤ。下女、ハイと店へはし 00004300M16り出、コレ長吉とん+。寐てゐやんすか 00004310M17いの。コレ++。長吉、フム+と目 00004320M18をバすり+、夕部寐なんだゆへにヱラフねむたい。下女 00004330M19何云ハんすやら。こちらこそ、ざうにのこしらへで夜通し 00004340M20なれ。こなさんハチツトの間、いねつまんしたじやないか 00004350¥P14 00004360L1いの。長吉其いねとハなんじやヤ。下女寐ル事を、いねつ 00004370L2むと云ふわいの。長吉ヱヽヽヽ、夫できこへた。旦那さん、 00004380L3朝おこししなにハ、いねのわるいやつじやといふてじやG 00004390L4(十七オ) 00004400¥N34¥J 00004410¥X三十四△うら白△△△△△△△△△△△△¥A大万 00004420L7大三十日も夜明ちかく、掛取リも 00004430L8まれ+の中に、若戎うり足ばや 00004440L9に、せうぶ付売気になつて、逸足 00004450L10出してかけまハる。どふしや、と 00004460L11んと売れやんだ、さつきニ迄ハ能ふ売れたがと、よく+ 00004470L12あたり見まハせバ、コリヤ寺町しや。売れぬはづ。ヱヽコ 00004480L13レでハいかぬと、大声上て、キツケウの若大黒+G(十七ウ) 00004490¥N35¥J 00004500¥X三十五△私大△△△△△△△△△△△△¥A芦調 00004510L16大三十日の夕くれ時、まだ取りニ 00004520L17来ぬぶんハつないで有ルし、サア 00004530L18+是から出入のさん用仕てと、 00004540L19十露ばんハチ++。どふし 00004550L20や。銭の方ハ合ふたが、銀子が合ぬと、又ハチ+。めん 00004560M1やうな。とふしても銀の方が廿匁ばかりたらぬといふ声ニ、 00004570M2台所の小すミに内儀ハはかりで、小玉を掛ケて見て居るG 00004580M3(十八オ) 00004590¥N36¥J 00004600¥X三十六△年木こる△△△△△△△△△△△△¥A哥木 00004610M6歳暮の祝義ニ大ぶん牛房をもらひ、うらへ埋 00004620M7めておいたるを、下女が、コレ長吉とん。う 00004630M8らのごんぼ、ほり出して下んせ。長吉、ヲイ 00004640M9と云ふて、うらへ出、こゝらあたりかと掘て 00004650M10見てもなし。マチツとこちらかとさがせと見 00004660M11へず。あちらをほり、こちらをさがして居 00004670M13る。下女どうしや。ほり出さんしたか。イ 00004680M13ヤ、とんと見へぬ。下女もちつと掘て見ヤんせ。長吉よい 00004690M14わいの。まちつとまたんせ。春になつて、/芽(メ)が出たら知れ 00004700M15るG(十八ウ) 00004710¥N37¥J 00004720¥X三十七△梅が香△△△△△△△△△△△△¥Aきみ里 00004730M18寺+の桜狩して、家つとの一枝、丁児ニもたして、高津 00004740M19の宮へ参り、ホヽ、爰にもさくらを植たのと、西を遥カニ 00004750M20なかめ、いかさま浪花のはんゑい、高キやニ登りて見れハ 00004760¥P15 00004770L1煙たつとのお哥もおもひ出さるゝとのひと 00004780L2り言。丁児申、旦那さん。其哥か誰レが詠 00004790L3んたので御坐り升へ。旦那コレカ。是ハ 00004800L4な、むかし仁徳天王といふ王様があつて、 00004810L5其時の爰ハ御殿ンじや。/ほた((ママ))民の賑ひをお 00004820L6悦ひ被成て、高きやニのぼりて見れハけふ 00004830L7り立つ、とおよミ被成たのじやハヤイ。丁児ヘイ、さやう 00004840L8なら、アノ黒やき屋も古ルイものて御ざり升ナG(十九オ) 00004850¥N38¥J 00004860¥X三十八△初拍子△△△△△△△△△△△△¥A路笛 00004870L11サア長吉ヨ。こしらへが出来た 00004880L12か。夜の明ぬ内、住吉へ参て来ル 00004890L13と今宮へ出かけ、サテ元日といふ 00004900L14ものハ、心よいものじやと云ふて 00004910L15行うしろから、こじき、ヨイ+ 00004920L16+ヨイトコナ、初参りの御祝義に、どふそ一銭下タさ/((り脱カ))ま 00004930L17せ。コリヤつくな。旦那。つくなとおつしやれど、わたく 00004940L18し乞食の事なれバ、野中で餅ハつきません。一文もない 00004950L19豆蔵が、あるものとてハ古借銭ン。旦那ナニヲ太平らく 00004960L20をG(十九ウ) 00004970¥N39¥J 00004980¥X三十九△福わらひ△△△△△△△△△△△△¥A対寿 00004990M3旦那も内義もいねつんてゐらるゝ。下 00005000M4女ハざうにこしらへせんと、まつ井戸 00005010M5へかゝり、若水くミあげんとするを、 00005020M6番頭、人なきをさいわひと、晩にハひ 00005030M7めはじめせうぞへと、うしろよりたきつくニ、ひつくりす 00005040M8るひやうし、縄をとりはなせハ、まだ片つるべニ水なく、 00005050M9グハラ++。番頭おどろき、どびのけハ、下女それ、 00005060M10てんがうなさんすゆへ、くるまきさへ高笑ひするG(二十オ) 00005070¥N40¥J 00005080¥X四十△ヱクボ△△△△△△△△△△△△△¥A高田 00005090M13後室様ヘ、手前おいへ申され升。キツウ 00005100M14節迫仕りました。いよ+御きけんよふ 00005110M15おわたり遊しまし、御目出度そんし升。 00005120M16コレハ若ふ御さり升レと、お祝申上ます 00005130M17と、かゝミもちニ飾取そろへさし出ス。 00005140M18後しつ、コレハ+はや※と、能いハふて下さつたと、 00005150M19使をもてなし、そバにゐる長吉ニ、コリヤ+、此かゞミ 00005160M20をおくへ直しておけとあれバ、ハイ、かしこまりましたと、 00005170¥P16 00005180L1おくへもち行、人さしゆひで鏡もち、チイとおして見て、 00005190L2ホンニ、コリヤ若イ事じやG(二十ウ) 00005200¥N41¥J 00005210¥X四十一△まつ飾△早春△△△△△△△△△¥Aひめくに 00005220L5たいこ持、かつ手ニある紙ふくろニ入た富 00005230L6の札を、さしきへもち出、旦那のおかげ 00005240L7て、みのゝ富がとふぞとりたいもの。去年 00005250L8も守りを江戸から、十〆匁ニ買ひニ来たけ 00005260L9にこざり升。@けいこ|女郎△@わたしらも買ふておく 00005270L10れなされと、てんてに札へ書付る。客此富 00005280L11ニあたると、身にもかへぬ大事のものをやかねハならぬが、 00005290L12わいら、やく物かあるかへ。けいこわたしや、此あたまの 00005300L13道具、やくわへ。市まつさんハなにを焼じや。わたしや、 00005310L14富かあたつたら、三味せんやくわへ。客いとハくだんが起 00005320L15請なとやけ。いと又悪口云ゝじや。たいこヲツト、いとさん 00005330L16もあるそ。けふも旦那かおそひとて、やき餅をG(廿一オ) 00005340¥N42¥J 00005350¥X四十二△ほろ+△△△△△△△△△△△¥A千旭 00005360L19元三の中の二日ハ、郭のおひはなし。生玉、高津、天神様 00005370L20とおもひ+出ル中ニ、町風ニ仕立た女郎、客の所へ、内 00005380M1に居な升かへ。旦那聞つけ、こち 00005390M2へはいれの丁児があんないニ、う 00005400M3さんそうニ内へ入る。旦那梶か。サ 00005410M4ア上りヤニ、おくせず上る。女郎 00005420M5来いと云ゝなましたよつて、たの 00005430M6しミニ仕てゐましたけれど、今ニ 00005440M7なつて、どふやらわるふてナ、一つのんで来たわいナと見 00005450M8まハすむかふニ、かし本やの年玉、紅ずりのこよミ。女郎 00005460M9うつくしいもんしやナア。里木ス、コリヤ何でおますへ。 00005470M10旦那ソリヤくり出し。女郎ヲヽすかん。わしやいやいなG(廿 00005480M11一ウ) 00005490¥N43¥J 00005500¥X四十三△山かつら△△△△△△△△△△△¥A君あき 00005510M14お戎若戎と売て来れハ、番頭が買ふ 00005520M15て、ソレ佐平次。帳箱の上へ張てお 00005530M16きヤ。ハイ。こゝろへましたとはつ 00005540M17ておく。燈明のあかりて拝んて見れ 00005550M18バ、かいさまニはつてあり。コレ佐 00005560M19平次。わがミハいかに山出しじやとて、そゝうな張やうじ 00005570M20やとしかれバ、イヤ、わたくしハ、戎さまの外からおはい 00005580¥P17 00005590L1り被成たこゝろをG(廿二オ) 00005600¥N44¥J 00005610¥X四十四△好物△△△△△△△△△△△△¥A柿二良 00005620L4ゑんま大王の所へ、せうき大臣年礼ニ来 00005630L5て、組重ての酒もり。表から、ハイ、ご 00005640L6ろ+やて御さり升。初売リと大キな袋 00005650L7ニ、せんべいを一ツはい入て、相かハら 00005660L8すお頼申上ますとおいてかへりしあと、 00005670L9ヱンマあなたの所もさやうで御さりませ 00005680L10うが、此めしつかひの鬼ともくハしまするせんべい代に、 00005690L11ほとんどこまり入ます。セウキさやうで御坐ります。なんぼ 00005700L12銭が安うても、たまる事でハこさりません。しかし此正月 00005710L13のあいだハ、せんべい代もチトたすかりまするてい。ヱンマ 00005720L14いかさま、此せつハ、ツンを大ぶんたべますれバG(廿二ウ) 00005730¥N45¥J 00005740¥X四十五△蓬莱△△△△△△△△△△△△¥A表裡 00005750L17旦那、土器へとそうけなから、内義ニむかい、サテけさが 00005760L18た、いねつむうちニ叡山ンへ参た夢を見た。おいへ夫ハ目出 00005770L19たい夢で御ざりませう。旦那サア、ひゑい山ハ都のふじと 00005780L20いへバ、ます+はんぜうの印であろ。しかし都の不二も 00005790M1目出度が、とてもの事ニ、都のふし£駿 00005800M2河のふじなら猶よいニのふ。おいへハイ、 00005810M3都のふじからほんまのふじの山までハ、 00005820M4間がなんぼ程ごさり升へ。旦那サレバ、 00005830M5ひゑハ江州なれハ、するか迄ハ七八十り 00005840M6もあろ。あいへさやうならバ、駿河の方か七八十りも遠く 00005850M7バ、七日正月あたりニハ、今朝のゆめがするがのふじにG 00005860M8(廿三オ) 00005870¥N46¥J 00005880¥X巻尾△いと遊△春興△△△△△△△△△¥A乳子 00005890M11庭前の梅を肴ニ、さいつおさへつ 00005900M12酒もたけなハのころ、いつくより 00005910M13か来りけん、烏、梅ニとまり、カア 00005920M14+なく。亭主ナント先生。梅ニ 00005930M15からすとハ、気かかハつて面白う 00005940M16こさり升。コレを題ニ、一首なされて御らうじませんか。 00005950M17およハすなから私もと、さしうつふき、二人リハ思案。ド 00005960M18ウシヤ、先生。うかミましたか。イヤ+、いつかう出来 00005970M19ません。梅ニからすとハ、とり合ひの景物ニ余情がなふて。 00005980M20イカサマナア。黒主の恋のきかぬもG(廿三ウ) 00005990¥P18 00006000¥N47¥J 00006010¥X遅参△遠山小紋△春興△△△△△△△△△¥A大磨 00006020L3舟頭サア、乗ルのなら早う来た+。のり合早う 00006030L4出さぬかいと、見やる堤ニ四五人の女中づれ。小 00006040L5つまほら+、はぎも春風あらハニけはなしはし 00006050L6り来ル。女コたけニのり合もたまつて待てゐる。 00006060L7ほとのふ嫁菜、たんほゝのつミ草さけて舟へのり 00006070L8うつる。よく+見れハ皆打そろふた大のおたふ 00006080L9く。のり合もおもハくのちかふた顔。女中アレおきよさん。 00006090L10むかふの山のけしき、松ヤさくらかチラ+、よい景じや 00006100L11ナア。おきよサイナア、絵にかいたやうなナアと、はなし 00006110L12なかバを、舟頭もごうはらにて、アノ山も遠目ばかりしや 00006120L13わいのふG(廿四オ) 00006130¥N48¥J 00006140¥X遅参△丹後鰤△△△△△△△△△△△△△¥A八済 00006150L13見通し法印の内へ、頼ミませ 00006160L17う。法印だうれ。サアお上り 00006170L18なされ。ハイ+、おゆるし 00006180L19下さりませ。チトお頼申たい 00006190L20事か御ざり升。手まへのむす 00006200M1こめを、きのふ祖父の所へ鏡餅すへニ遣しましたか、いま 00006210M2ニ帰りません。お考へなされて下さりませ。法印ドレ+、 00006220M3考へてしんぜうと、しかつへらしく算ン木をならべ、ハヽ 00006230M4ア、コリヤ申の年て十四五な男と見へます。ハイ、男でハ 00006240M5こさり升れど、巳のとして廿四ニなるやつでこさり升。法 00006250M6印ハヽア、どふても鏡すへにゐたゆへか、八卦のおもてニ 00006260M7若ふ見へるG(廿四ウ) 00006270¥N49¥J 00006280¥X遅参△犬雨月△春興△△△△△△△△△△¥A白里 00006290M10八兵衛でこざり升。御きけん様ニ 00006300M11御さり升か。旦那ホヽ、親父殿御 00006310M12され。在所ハミなかハる事もない 00006320M13かの。ハイ+。追付桜もようご 00006330M14さり升。チトお出なされません 00006340M15か。旦那今年ハ吉野行の約束があ 00006350M16れハ、花ハやめニして、時鳥のじふんニ往コかい。親父時 00006360M17鳥ハ大ぶんなき升。しかし晴天ニハあまり啼ませす、また 00006370M18雨がふり升となきませず、くもつた日がよう御さり升。旦 00006380M19那サア、日和まんがかんじんじや。親父ハイ+、第一雨 00006390M20がきつうふりますと、私が所ハ内ニゐられませぬG(廿五オ) 00006400¥P19 00006410¥N50¥J 00006420¥XG復新 00006430L3物申+といへど、音かせぬゆへ、ソロ+内へはいつて、 00006440L4物申+といふいてゐる所へ、又門口から礼者が、物申+。 00006450L5内ノ礼者私もさいぜんから物申+と申ますれど、トント 00006460L6音がいたしませぬ。門ノ礼者さやうなら私ハおいとま。内ノ 00006470L7礼者マアよう御さり升。おはいり被成ませ。イヤ、まだ方 00006480L8+へ参りますれバ、あなたハマア夫で。内礼者コレハマ 00006490L9ア、かたじけなふ御ざります 00006500¥Y 00006510L12春帖咄なれり。諸君の高案五十有余。其しりへニ、僕も一 00006520L13章を加へて、めて度春の桜木ニ彫りて、見聞のおとがひを 00006530L14こほりと共に、解かん事を願ふのミ 00006540L16△△△寅はつ春△△△△△△浪花△△必&舎馬宥 00006550L17△△△△△△△△△△△△△△△△△△△G△G 00006560L19△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(廿五ウ) 00006570¥N51¥J 00006580¥Xてうすけ株△△△△△△△△△△¥A藤邨左文 00006590M3比ハきさらぎの末つかた、 00006600M4此集の彫刻して居ル所ニ、 00006610M5店さきへ、かます袖の大キ 00006620M6ナを江戸ぐゝりにして、小 00006630M7わきざしチヨイトさしたる 00006640M8奴ラさ。机の上の板木じろ+とよんで見て、コリヤ何ン 00006650M9だ。はなしのやうな事だG(無丁オ) 00006660G1△△藤邨左文 00006670G2版木卯判攸 00006680¥P20 00006690¥U噺本大系△第十二巻 00006700¥T@新作|狂話@/笑顔(えがお)はじめ△〔題簽〕 00006710¥G 00006720¥Y 00006730L18天明二年頃序 00006740L19小本一冊 00006750L20東大国文研究室蔵 00006760¥Y 00006770M1つれ+なるまゝに、/火鉢(ひばち)にむかひ、/世(よ)のよしなし/事(こと)を、 00006780M2あれこれと/思(おも)ひ出し(序一オ)てはわらひ、/灰(はい)に/書(かい)てはわら 00006790M3ひしまゝに、とんだ/可笑(おかし)な/咄(はなし)しばかり。(序一オ)これは/誠(まこと) 00006800M4に珍らしい。ことしのわらひ/初(ぞめ)じやと、つぶやきしを、そ 00006810M5の(序二オ)まゝに序とはなしぬ 00006820M7△△△とらのはつ春△(序二ウ) 00006830¥P21 00006840¥N1¥J 00006850¥Xつくり/酒屋(さかや) 00006860L3ナント八助殿。/貴様(きさま)と申/合(あハ)せて、/地酒(ぢざけ)を/造(つく)らふでハないか。 00006870L4S八介いかさまよかろう。そして/入用(いりよう)ハどうしやう△Sま 00006880L5づ貴様、/米(こめ)を出しなさい。わしハ/水(ミづ)を/出(だ)しませう(一オ) 00006890L6S八介そして/米(こめ)の/勘定(かんじやう)ハ、どうしてわりつけさつしやる 00006900L7Sイヤ、/外(ほか)にわり/合(あひ)ハいらぬ。/酒(さけ)が/出来(てき)たら、/貴様(きさま)へ/米(こめ)の 00006910L8/糟(かす)をとらつしやい。わしハ水をとりませう 00006920¥N2¥J 00006930¥X/虎(とら)(一ウ) 00006940L11/狩人(かりうど)、むすこをつれて/山(やま)へ/行(ゆく)。大きな/虎(とら)か/出(で)て、なんのく 00006950L12もなく、おやじを/引(ひつ)くハへて、はしり出しけれハ、むすこ、 00006960L13/弓(ゆみ)に/矢(や)をつがつて/射(い)んとする。おやじ、/虎(とら)の/口(くち)から/見(ミ)て、 00006970L14コレ+、/足(あし)を(二オ)/射(い)れ。/皮(かハ)に/疵(きず)かつけバ/直(ね)がおちる 00006980¥N3¥J 00006990¥X上戸 00007000L17/上戸(しやうご)、/友達(ともだち)の/所(ところ)へ/酒(さか)もりによばれ、/盃(さかづき)か/出(で)るを/見(ミ)れハ、/小(ちい) 00007010L18サナ/小盃(こさかつき)/故(ゆへ)、たちまち/泣(なき)てむせび(二ウ)入る。ていしゆ/肝(きも) 00007020L19をつふし、どうした/事(こと)で/泣(なき)給ふといへハ、S客/物(もの)を/見(ミ)て、 00007030L20かなしミを/思(おも)ひ/出(だ)しました。わたしがおやじが/死(し)なれまし 00007040M1た/時(とき)、/何(なに)も/病(やまひ)ハこざりませなんた。てうど/今日(こんにち)の(三オ)こ 00007050M2とく、外へふるまいによばれましたところに、こなた/様(さま)の 00007060M3やうに/小(ちい)サキ/盃(さかつき)が/出ましたを、ついさかつきぐるミ/呑(のん)で、 00007070M4/咽(のど)につまり、/死(し)なれましたゆへ、/俄(にわか)に/思(おも)ひ/出(だ)し、かなしう 00007080M5ごさる(三ウ) 00007090¥N4¥J 00007100¥X 00007110M7/小言(こごと)/半分(はんふん)/酒(さけ)を/出(だ)して、/客(きやく)にふるまふ。S客、一ト/口(くち)/呑(のん)んて 00007120M8大きに/泣出(なきだ)す。Sていしゆ/驚(おとろき)て、/何(なに)ゆへ/酒(さけ)を見て/泣(な)きやる。 00007130M9S客/是(これ)まて身にかへて、/酒(さけ)を/好(すき)ましたが、/今日(けふ)/酒(さけ)の/死(しに)まし 00007140M10たゆへ、もはやたのしミ(四オ)もこさらぬから/泣(なき)まする 00007150M11Sていしゆ/笑(わらい)て、どふして/酒(さけ)が/死(しぬ)ものてごさる。/酒(さけ)の/死(しん)だ 00007160M12といふ/訳(わけ)は、どうてこさる。S客/酒(さけ)に/死(し)ぬといふ/事(こと)がなく 00007170M13んバ、/今日(けふ)の/酒(さけ)に/少(す□)しも/気(き)のないは、/死(しん)た/酒(さけ)にちがひハこ 00007180M14さらぬ(四ウ) 00007190¥N5¥J 00007200¥X先生 00007210M17/先生(せんせい)/昼寝(ひるね)をして、小僧には昼寝をさせす。小僧おまへ様ば 00007220M18かり昼寝をなさるハ、どうしたことてこさります。S先生 00007230M19おれハ、夢に/周公(しうこう)に逢ふわさといふ。其翌(四ノ五オ)日、 00007240M20小僧ひる寝をしけれハ、先生、大きにいかり、杖にて打お 00007250¥P22 00007260L1どろかす。さて+にくきやつかな。昼寝ハならぬといふ 00007270L2こと、毎度いましめ置たに、とうした事じや。S小そうイ 00007280L3ヤ、私も周公を夢にミます△S先生おのれ、(四ノ五ウ)口ご 00007290L4うせうなるやつ/哉(かな)。/実(まこと)に/周公(しうこう)に逢たら、/何(なん)といわれた△ 00007300L5S小そう周公ハ、/夢中(むちう)に、ついそ/先生(せんせい)にハ/逢(あふ)ふたことハな 00007310L6いと申されました 00007320¥N6¥J 00007330¥Xいしや 00007340L9むかふからお医者様がごさる。通り(六オ)すがいに、/酒屋(さかや) 00007350L10のでつち/行(ゆき)あたりけれバ、医者大きにはら立、おのれ、に 00007360L11くいやつめと、/手(て)を/上(あけ)ケてくらハせんとするを、Sでつち、 00007370L12もし+、/足(あし)で/蹴(ける)とも、手はかならすおうごかしなさりま 00007380L13すなといへバ、Sいしやなぜ、そうぬかす(六ウ)△Sてつち 00007390L14おまへ様のお足て蹴られても、高が死ぬほどの事ハごさり 00007400L15ませぬ。/御手(おて)にかゝりますと、生られませぬ 00007410¥N7¥J 00007420¥X/家(や)うつり 00007430L18医者、家を借りて引越し、/両隣(りやうとなり)へ/家(や)うつり/粥(かゆ)をくばる(七 00007440L19オ)にも米がないから、/家伝(かでん)の/薬(くすり)一ツふくづゝくばりけれ 00007450L20バ、隣のていしゆ、かたしけなふごさりますれども、わた 00007460M1くしは/病(やまひ)ハ持ませぬから、おくすりハ申請ますまい。Sい 00007470M2しやこれは(七ウ)したり。ひらに上りませ。病ひのないと 00007480M3き拙者か/薬(くすり)を呑と、たちまち/病(やまひ)が/起(おこ)ります 00007490¥N8¥J 00007500¥X/媒人(なかうと) 00007510M6/貧(ひん)をなげくものあり。ある人、貴様ハ貧乏をことのほか、 00007520M7かな(八オ)しからつしやるが、媒人をたのまつしやいとい 00007530M8ふ。Sそれハとうした事でこさります。媒人が/貧乏(びんぼう)をよく 00007540M9しますか△Sはてさて、媒人の口にかゝれバ、いけぬ女も 00007550M10美女といはれ、貧乏人も内福といはれます(八ウ) 00007560¥N9¥J 00007570¥X/太平(たいへい) 00007580M13/旦那(だんな)、三介を呼ンで、これ、/随分(ずいふん)外へいつても、おれがこ 00007590M14とを/大(おゝ)きくいつて、ぐハいぶんをつくれと言付けれハ、三 00007600M15介、かしこまりましたといふ。ある所で、大坂(九オ)の妙 00007610M16国寺のそてつの大きいをほめる。S三介なにさ。わたしら 00007620M17が旦那の庭にあるくらいの/蘇鉄(そてつ)さ。何の珍らしい事ハごさ 00007630M18らぬ。又一人が/吉野丸(よしのまる)ハ神田丸より大きいといへハ、 00007640M19S三介なにさ。わたしらか内(九ウ)のかよひ船と同じこと 00007650M20さと云。又/一人(ひとり)、/牛丁(うしまち)の牛の腹も大きなものだぞといへハ、 00007660¥P23 00007670L1S三介何さ。こつちの旦那の/腹(はら)の皮ぐらひさ 00007680¥N10¥J 00007690¥X/女郎(ぢよろう)(十オ) 00007700L4/旅商人(たひあきんど)、/新宿(しんしゆく)へ行、女郎を買。なんとぬしヤア、いくつに 00007710L5なる。S女郎わつちかかへ。十八になりやすといふ。Sそ 00007720L6れから甲州の方へ行、/又(また)/来年(らいねん)かへりがけに、/此女郎(このちよろう)を買て 00007730L7遊ぶ。ぬしヤア、いくつだ。S女郎わつちハ十七(十ウ)で 00007740L8こさりやす。又此商人、だん+元手をなくなして、国も 00007750L9とへ引こむ時、又/此女郎(このちよろう)を買う。ぬしヤア、モウいくつに 00007760L10なる。S女郎十六でこさりやすといへハ、S客、大きに 00007770L11/泣(な)く。女郎/肝(きも)をつぶし、おや、(十一オ)けしからぬ。ぬし 00007780L12ヤア、何で泣なんす。S客ぬしの歳とおれが元手と同しこ 00007790L13とで、たん+年かへつてくるから 00007800¥N11¥J 00007810¥Xむすこ 00007820L16おやじ、在所へ行とて、むすこ(十一ウ)に言付て、これ、 00007830L17おれか留守に、もし人か来て聞たらハ、旅行いたしました 00007840L18といへと申わたしけれハ、むすこ、/忘(わす)れてハならぬと紙に 00007850L19書付て、/袂(たもと)に入て置、時+出してこれをミる。一日二日 00007860L20たてとも(十二オ)誰も/尋(たつね)に来る人もなけれハ、もはや此書 00007870M1付もいらぬものと、袂から出して焼てしまふ。翌日客が来 00007880M2て、おやじ様ハと問ふ。むすこ大きに/周章(あハてゝ)て、/袂(たもと)をさがし 00007890M3けれとも書付なし。しかたなしに、(十二ウ)/夕(ゆふ)部なくなり 00007900M4ましたといへハ、客大きに/驚(おどろ)き、それハおちから落してご 00007910M5さろう。そして、どうしての事てごさる。Sむすこつい/焼(やき) 00007920M6ました 00007930¥N12¥J 00007940¥X/聟(むこ)二人 00007950M9むすめ/一人(ひとり)あるところへ、/両方(りやうほう)から(十三オ)嫁にももらハん 00007960M10と/云(いふ)。/一人(ひとり)は大の/身代(しんだい)よしなれども、/大(おゝ)ふ男。一人ハ貧な 00007970M11れとも、きん+とした色男なれハ、/両親(りやうしん)も、とうしたら 00007980M12よかろうと、むすめにかたれハ、むすめ聞て、両方ながら 00007990M13嫁入(十三ウ)ませう。Sおふくろおのしハとんだ事をいやる。 00008000M14/両方(りやうほう)へよめ入て、どうせうとおもやる△Sむすめ/昼(ひる)の/内(うち)ハ 00008010M15/身代(しんたい)のよい/所(ところ)で/喰(くつ)て、日か/暮(くれ)たら、よい男の/内(うち)で/寝(ね)ませう 00008020¥N13¥J 00008030¥X/薬違(くすりちかひ)(十四オ) 00008040M18/医者(いしや)、くすりちがひをして、得意の/家(いへ)の/番頭(ばんとう)をもり/殺(ころ)す。 00008050M19主人大きに/怒(いか)り、御奉行所へ引つれて、/下死人(けしにん)にねかハう 00008060M20といふ故、いろ+詑言をして/死骸(しがい)をハ/葬(ほうむり)り、/少(すこ)しハ/罪(つミ)を 00008070¥P24 00008080L1つくのわんとねがひ(十四ウ)けれバ、よう+主人も/納得(なつとく) 00008090L2してゆるしけるまゝ、/医者(いしや)よろこび、人を/雇(やとい)、葬んと思へ 00008100L3とも、/貧(ひん)なれハ家に帰り、/妻子(さいし)を呼ンで/棺(くハん)を/舁(かき)行/途(と)中で、 00008110L4Sいしや人と/生(うま)れて、必医者をする事なかれ(十五オ)と、 00008120L5くよ+といへバ、S女房恨て、おまへが医者ゆへ、此よ 00008130L6うな重ひ死人をかつぐ、くるしミ/堪(たへ)かたしと、/涙(なミた)をこぼし 00008140L7けれハ、Sむすこもしとゝさん。此度から/痩(やせ)た病人斗療治 00008150L8をしなさい(十五ウ) 00008160¥N14¥J 00008170¥X/下駄屋(げたや) 00008180L11下駄屋のおやじ、/急病(きうびやう)にて/死(し)にけれバ、/隣(となり)のことゆへ、さ 00008190L12つそくくやミに/行(ゆき)、さて+いかいおちから落し。にハか 00008200L13の/事(こと)、いかゞいたしての/御死去(ごしきよ)(十六オ)でござる。Sむすこ 00008210L14/二階(にかい)から落まして、/鼻緒(はなを)をすりました。それきりで/往生(わうじやう)い 00008220L15たしました△Sとなりのていしゆそれハきのとく。そして/御= 00008230L16葬送(ご=そう+)ハいつでござります△Sむすこアイ。あしだでご(十 00008240L17六ウ)ざります 00008250¥N15¥J 00008260¥X/年号(ねんごう) 00008270L20/今度(こんど)明和といふ/年号(ねんごう)がかハるけな。何ンといふ年号になる 00008280M1やら。Sはやがてんの人/何(な)にさ。なんのこともないのさ。し 00008290M2(十七オ)れた/事(こと)さ。/大通(だいつう)か/親和(しんな)さ 00008300¥N16¥J 00008310¥Xゑんま 00008320M5ゑんまさま/御大病(こたいびやう)にて、地ごくの/医者(いしや)いろ+/枕(まくら)をくだけ 00008330M6とも/御同篇(ごどうへん)ゆへ、/娑婆(しやば)の名医をつれ来れと、/青鬼(あをおに)へ(十七ウ) 00008340M7仰つけられけれハ、かしこまりましたが、娑婆へまいりま 00008350M8しても、どれが名医かしれませぬ。どういたして見わけま 00008360M9せうといふ。S十王それハなんでも、門口に/幽霊(ゆうれい)のいぬ/医= 00008370M10者(い=しや)が名医じや(十八オ)と云つけられ、早/束((ママ))娑婆へ出、医者 00008380M11の門口を見るに、皆こと※く/盛殺(もりころ)されしうらみのゆうれ 00008390M12い、すさましくつめかけてゐる。是でハならぬと、新道の 00008400M13方へまハりけれバ、小サナ家(十八ウ)にあたらしき/格子(かうし)と 00008410M14あたらしい宿札の有いしや、ゆうれい一人もなし。これこ 00008420M15そと、ずつと/這入(はいつ)てミれハ、きのふからなつた/医者(いしや) 00008430¥N17¥J 00008440¥X/殿様(とのさま)(十九オ) 00008450M18不断お側の/役人(やくにん)に、女房にまかされてゐる男あり。或時女 00008460M19房にしたゝかくらハされ、顔に大きな/疵(きづ)をつけられ、番に 00008470M20出けれハ、殿様御覧じ、大かた女房にぶたれしものと(十 00008480¥P25 00008490L1九ウ)おほしめし、/其方(そのほう)が/顔(かほ)の/疵(きず)バ/何(な)ンじや。Sハイ。此 00008500L2/疵(きつ)ハ/御庭(おにハ)の/葡萄棚(ぶとうだな)がたをれかゝりまして、顔へ疵をつけま 00008510L3してごさります△S殿様いつわりをいふやつじや。大(廿 00008520L4オ)かた/女房(にようぼう)にたゝかれたであろう。女房を呼びにやれと、 00008530L5外の/役人(やくにん)へ/仰付(おゝせつけ)られけるを、/奥様(おくさま)/襖(ふすま)のあちらにて、ふと御 00008540L6聞なされ、殿様の御/声(こへ)で女房を呼ひにやれとハ(廿ウ)ねた 00008550L7ましやと、日ごろ大やきもちのおく様。大声を上て、うら 00008560L8めしやと云なから奥からはしり出給へハ、殿様肝をつふし、 00008570L9S是+、おれが所の/葡萄棚(ふとうだな)も大たをれだ。まづ(廿一オ) 00008580L10其方からはやくにげろ 00008590¥N18¥J 00008600¥Xかけとり 00008610L13/懸取(かけとり)/大勢(おゝぜい)つめかけ、さいそくすれともすまさぬゆへ、/座敷(ざしき) 00008620L14へ上り、ゆふ+として/居催促(いさいそく)と出かけしに、跡(廿一ウ) 00008630L15から/来(き)たるかけとり、/居所(ゐところ)のなさに這入口にかゞんで居け 00008640L16れハ、ていしゆ、そつと/呼(よ)ンて、貴様ハ/明日(あした)はやくこざれ 00008650L17と云けるまゝ、是ハ大かた、おれ一人はやく/来(こ)いと云から、 00008660L18借金を(廿二オ)此方へばかり/済(すま)せる気と、よろこび立帰る。 00008670L19是を聞しもの、にくき仕方と、/翌朝(よくてう)はやく来り、きのふ米 00008680L20屋に、朝はやく来れと云給ひしハ、大かた米屋ばかりへ/借= 00008690M1金(しやつ=きん)を済す気(廿二ウ)てごさろう。わしか方へも/片(かた)を/付(つけ)さつ 00008700M2しやれといへバ、Sていしゆイヱ+、そうした事ではこ 00008710M3さらぬ。きのふ米屋とのハ/遅(おそ)く来られて、這入口にいられ 00008720M4ましたゆへ、けふハ(廿三オ)はやく呼ンて、ゆるりと座敷 00008730M5へ/置(おき)ますつもりさ 00008740¥N19¥J 00008750¥X/物好(ものすき) 00008760M8大の野暮、俄に通しに成たく、座敷をこしらへ唐机をかざ 00008770M9り、孔雀の尾、南(廿三ウ)/京(きん)の/水入(みついれ)、/親和(しんな)のはしらかくし、 00008780M10手あぶりも深艸焼、/唐画(からゑ)のかけもの、きん+とかざりつ 00008790M11け、大通を/呼(よ)んて見せる。S大通これハとんだ事。おそろ 00008800M12でこさりやす△S野暮よふ(廿四オ)こざるかな。もし此中 00008810M13に不通なものがこざるなら、御遠慮なしにおつしやつて下 00008820M14さりませ。/取除(とりのけ)ませう△S大通いやもう、おそれ入ました。 00008830M15しかしたつた一色、似合ぬ(廿四ウ)ものがありさ△S不通 00008840M16どれでこざる△S大通/貴様(きさま)さ 00008850¥N20¥J 00008860¥X/犬(いぬ)のとし 00008870M19/友達(ともたち)より/合(あい)、/酒肴(さけさかな)にて/呑(のミ)かけしに、/一人(ひとり)のおとこ、むせう 00008880M20に/肴(さかな)をとつてハ/喰(くひ)、(廿五オ)とつてハ/喰(くい)する/故(ゆへ)、/是(これ)、/貴様(くさま)ハ 00008890¥P26 00008900L1/何(なん)のとししや。Sおれか。おれハ/戌(いぬ)の/歳(とし)さ△S/何(な)に、/犬(いぬ)の 00008910L2としか。それで大きに/落(おち)ついた△Sナゼ△Sもし/虎(とら)ならバ、 00008920L3おいらも/喰(くハ)れよう(廿五ウ) 00008930¥N21¥J 00008940¥X/寝(ね)ぼけ 00008950L6三人/一所(いつしよ)に/寝(ね)て/居(い)る。/一人(ひとり)、むせうに/股(もゝ)がかゆくなりし/故(ゆへ) 00008960L7かきけるに、/一所(いつしよ)に/寝(ね)ているとなりの/男(おとこ)の/股(もゝ)をやたらにか 00008970L8き/掻((ママ))こハし、大きに/血(ち)(廿六オ)を/出(だ)しけれハ、/隣(となり)に寐たる 00008980L9/男(おとこ)、/股(もゝ)を/探(さぐ)りミて、三人めの/男(おとこ)、/寝小便(ねせうべん)をしたる故/濡(ぬれ)たる 00008990L10とおもひ、/起(おこ)して/小便(せうへん)にやる。S三人めの男、/起(おこ)されて 00009000L11/小便(せうへん)に行しに、隣の/家(いへ)は(廿六ウ)/酒屋(さかや)にて、/粕(かす)から/酒(さけ)のし 00009010L12たたりの/落(おち)る/音(おと)するを/聞(きい)て、/我小便(わかせうへん)の/音(おと)とおもひ、またか 00009020L13+とおもふうち、/鴉(からす)かガア++ 00009030¥N22¥J 00009040¥X/長口上(なかこうしやう)(廿七オ) 00009050L16/途中(とちう)で/二人(ふたり)行あふ。/一人(ひとり)ハ大の/性急(せいきう)、/一人(ひとり)ハとんだ/気長(きなか)に 00009060L17て、さて+久しぶりニて御目にかゝりました。誠に/当春(とうはる) 00009070L18御/礼(れい)に/参(まい)りました/時(とき)ハ、大きに御ぞうさに成まし、お(廿 00009080L19七ウ)/雛(ひな)まつりにも/長座(てうざ)いたし、/端午(たんご)にハ大きな機嫌でか 00009090L20えりまして、/花火見物(はなひけんぶつ)にもいろ+御/馳走(ちそう)なされ、九月の 00009100M1/菊見(きくミ)には/別(へつし)て御もてなし、かれ/是(これ)御/礼(れい)の申上よう事(廿八 00009110M2オ)もこさりませぬと、/頭(かしら)を/地(ち)につけ/述(のべ)けれとも、挨拶も 00009120M3ない故、/天窓(あたま)を上ケて見れバ、/誰(たれ)も/居(ゐ)ぬ。はてふしぎと供 00009130M4につれたる/小僧(こぞう)にきけバ、Sハイ。むかふの旦那様ハ、/端= 00009140M5午(たん=ご)(廿八ウ)の/時(とき)に/御帰(おかへ)りなされましたから、モウ/半年(はんねん)もた 00009150M6ちませう 00009160¥N23¥J 00009170¥X/居候(ゐそうろう) 00009180M9/或(あ)る/儒者(じゆしや)のところへ/居候(いそうろう)に/居(い)る儒者あり。/毎日(まいにち)/外(そと)へ(廿九オ) 00009190M10出て、/昼時分(ひるじふん)にかへり、/己(おの)レが/部屋(へや)へ/行(ゆき)、/小僧(こぞう)を/呼(よ)ンて、 00009200M11/書物(しよもつ)を/貸(かせ)といふ。/小僧(こそう)、/文選(もんぜん)を持きたる。/是(これ)ハ/低(ひく)イとい 00009210M12ふ/故(ゆへ)、又/漢書(かんしよ)をやれバ、まだ低イといふ。今度ハ(廿九ウ) 00009220M13/史記(しき)をあてかへバ、/是(これ)でもひくいといふゆへ、/小僧(こそう)あきれ、 00009230M14/凡(およそ)/史記(しき)/漢書(かんじよ)と申てハ、/大(たい)ていの/学者(がくしや)も口をきゝます。そ 00009240M15れを低イと仰られますハ、よほとの/御学力(ごがくりき)てこざ(三十オ) 00009250M16ります。そして/何(なに)がよふござります。S居候イヤ+、お 00009260M17れハ/昼寝(ひるね)の/枕(まくら)にしますから、/節用(せつよう)でもよふござる 00009270¥N24¥J 00009280¥Xむすこ 00009290M20むすこに/師匠様(しせうさま)をたのミ(三十ウ)/手本(てほん)をもらふ。S師匠、 00009300¥P27 00009310L1一二といふ字からおしへしに、むすこ/内(うち)へかへり、おやじ 00009320L2にいふハ、もしとつさん。モウ/師匠様(しせうさま)ハいりやしねヱ。 00009330L3Sおやじそれハどうして△Sむすこいへ、(三十一オ)一といふ 00009340L4字ハまづかう一サ。又二の字ハかう二つ/引(ひき)ます。三の字ハ 00009350L5三つ。/何(な)ンの/事(こと)もない。たん+/此(この)てうしでいけば、ミん 00009360L6な/知(し)れやすから、モウよふござりやすといへば、おやじ(三 00009370L7十一ウ)大きによろこび、こつちのむすこハ利口ものじやと、 00009380L8じまんしてゐる。/或(ある)とき、万八殿を/呼(よひ)にやりたいから、ち 00009390L9よつと/手紙(てがミ)を書てやれと、むすこへ云付けれバ、(三十二オ) 00009400L10/心得(こゝろへ)ましたと部屋へ行。昼過になれども手紙できず。あん 00009410L11まりおそいから、おやじ、むすこの部屋へ行、どうじや。 00009420L12モウ出来たかといへハ、Sむすこ、大きに腹をたち、(三十 00009430L13二ウ)そのように/出来(てき)るものでこさるか。けさからやう 00009440L14+五百はかり/引(ひき)ましたが、/万(まん)/引(ひ)くにハ/翌日(あす)でなけれハ/出= 00009450L15来(て=き)ませぬ 00009460¥N25¥J 00009470¥X/誕生日(たんぜうび) 00009480L18お/屋敷(やしき)の/勘定方御役人(かんじやうかたおやくにん)(三十三オ)/誕生日(たんせうび)をいわゐけるまゝ、 00009490L19御/出入(でいり)の町人、ミな+申/合(あハ)せ、/進物(しんもつ)をする。/勘定奉行(かんぜうぶぎやう)の 00009500L20とし、/子(ね)のとしと/聞(きい)て、/銀(ぎん)にて/白鼠(しろねつミ)をこしらへ、/進物(しんもつ)にせ 00009510M1しに、/奉行(ふぎやう)大きに(三十三ウ)よろこび、/皆(ミな)+に/酒(さけ)をふる 00009520M2まひ、さて+/心入(こゝろいれ)/千万(せんばん)かたじけない。/妻(さい)か/誕生日(たんでうび)も/知(し)つ 00009530M3てゐやるか。/又(また)/近日(きんじつ)、/妻(さい)もいわゐます。S丁人それハ御め 00009540M4てたふごさります。(三十四オ)/御新造(こしんぞう)様ハ/何(なん)のおとしでこ 00009550M5さります△S奉行/妻(さい)ハ/身(ミ)どもより一つ/下(した)で、/丑(うし)のとしでご 00009560M6さる 00009570¥N26¥J 00009580¥X/初旅(はつたび) 00009590M9/貴様(きさま)ハ/京(きやう)へ/商(あきな)ひにこさる(三十四ウ)そうだか、かならす/油= 00009600M10断(ゆ=だん)をさつしやるな。/何(なん)でも/京(きやう)で/物(もの)を買ハつしやるなら、二 00009610M11両といはゞ一/両(りやう)じやおもハつしやれ。/京(きやう)といふ/所(ところ)ハとんだ 00009620M12かけ直を/云(いゝ)ますとおしへられ、(三十五オ)/成(なる)ほど/心得(こゝろへ)まし 00009630M13たと、すた+京へ/登(のぼ)り、/物(もの)を買てミるに、おしへられた 00009640M14とおり、とんだかけねはかり/言(いふ)/故(ゆへ)、いかさま京ハおそろし 00009650M15い/所(ところ)だ。/皆(ミな)/半分(はんぶん)づゝに/聞(きい)て/置(おく)かよいと/了簡(りやうけん)(三十五ウ)して 00009660M16居けるに、米屋とちかづきになり、おまへのお/名(な)ハ/何(なん)と申 00009670M17ます。Sこめや六郎兵衛と云ますると聞て、Sよし+。 00009680M18大かた三郎兵衛であろうと思ひ、御宿ハ/何間(なんげ)ンの/間口(まぐち)てご 00009690M19(三十六オ)さります。Sこめや五間口てごさります△Sこ 00009700M20れも、よし+。大かた二間/半(はん)であろうとおもひ、そして 00009710¥P28 00009720L1お/幾人(いくたり)御暮し被成ます。Sこめや只今でハ、わし一人てご 00009730L2さると聞て、S旅人、小首(三十六ウ)かたむけ、そんなら、 00009740L3どの人と半分づゝ御住居なされます 00009750¥N27¥J 00009760¥X/女房(にようぼう) 00009770L6/或(あ)るもの、/女房(にやうぼう)を/呼(よ)びて、婚礼の夜つく+ミるに、大き 00009780L7(三十七オ)なとし増なれハ、/床(とこ)へ/入(いつ)て、おのしハいくつに 00009790L8なりやるといへハ、S女房アイ。わたしハ丁ど四十てごさ 00009800L9ります△Sていしゆ媒人の口でハ三十じやと聞たが、四十 00009810L10といやるハ覚束ない。ほん(三十七ウ)のとしハいくつだ。 00009820L11かく/ざ((ママ))づといやれと/度(たび)+問けれども、やつぱり四十と云。 00009830L12Sていしゆ、どうぞしてほんの/歳(とし)を聞たく、工夫して居し 00009840L13が、ふと思ひ/出(だ)し、/寐所(ねどころ)から(三十八オ)真裸に成て起出る 00009850L14を、女房肝をつぶし、どこへ行給ふと問けれハ、Sていしゆ 00009860L15イヤ、宵に/塩壷(しほつぼ)の蓋をせなんだ。鼠に喰ハれようから、直 00009870L16してこよう△S女房とんだこと(三十八ウ)を云なさる。わ 00009880L17たしも/此年(このとし)になるが、ついぞ鼠が塩を喰たといふことハ、 00009890L18六十年このかた聞た/事(こと)がない 00009900¥N28¥J 00009910¥Xおく/病(びやう) 00009920M1女房を/怕(こハ)がるもの二三人(卅九オ)寄合、酒を/呑(のん)て、何と、 00009930M2おいらか内の山の神ハ、いま+しくやかましいといへハ、 00009940M3/残(のこ)りの二人も、されバおいらも同じことて、アノ山の神ど 00009950M4もにハうんざりとする。是から(卅九ウ)何ンでも山の神に 00009960M5/入(いり)を取られぬようにしやうと、皆+云合せて居る所へ、 00009970M6どや+と三人の女房鳴込ミ、なんの事たとつかミつきに 00009980M7かゝれバ、大きに驚き(四十オ)/鼠(ねつミ)のことく、ていしゆども 00009990M8外へ迯行しが、/跡(あと)に/只(たゞ)一人、しやにかまへて動かず。二人 00010000M9のものそつと覗て、さて+アノ/男(おとこ)ハとんた気丈者だ。本 00010010M10ンの男気たと感心し(四十ウ)てミるうち、女房も皆+あ 00010020M11バれちらかして帰りしまゝ、二人の/男(おとこ)そつと来て、さて 00010030M12+貴様ハ大丈夫だ。おらが/仲間(なかま)の先生たぞと/誉(ほめ)なから、 00010040M13側へ/寄(よつ)て見(四十一オ)れバ/即死(そくし) 00010050¥N29¥J 00010060¥X/虱紐(しらミひも) 00010070M16ナント、幸手屋ハ古ひものだか、縫め斗へつける故、おい 00010080M17らが喰にも用心さへすれハよいが、アノ紐にハこまるとい 00010090M18へハ、S/蚤(のミ)/聞て、うつちやつておきやれ。長イものにハま 00010100M19かれろだ(四十一ウ) 00010110¥P29 00010120¥U噺本大系△第十二巻 00010130¥T/柳巷訛言(さとなまり)〔題簽〕 00010140¥G 00010150¥Y 00010160L15天明三年正月刊 00010170L16朋誠堂喜三二作 00010180L17知久良述 00010190L18恋川春町画 00010200L19上総屋利兵衛等板 00010210L20小本一冊 00010220¥Y/柳巷訛言(さとなまり)序 00010230M3/万国(ばんこく)/各(おの+)万国の/音(をん)あり。/江都(こうと)の/中(うち)、/北廓(ほくかく)の音は、又江都の 00010240M4音にあらず。/万国(ばんこく)を/離(はなれ)たる/微妙(ひめう)の/音声(おんじやう)なり。/廓中(くわくちう)又家&の 00010250M5/別(わかち)あり。/所謂(いはゆる)/丁子(てうじ)の/有御座(ヲザンス)、/松葉(まつば)の(ロノ一オ)/有御坐(ヲヽス)、/扇= 00010260M6楼(あふぎ=や)の/不侫(ワタクシ)、/王館(たまや)の/足下(オマヘサマ)の/類(るい)の如し。こゝをもて、さとなま 00010270M7りといふ。此/書(しよ)、/皆(ミな)/傾城(けいせい)の/言(こと)にして、/少(まれ)に/遊客(ゆうかく)の/語(ご)あり。 00010280M8/全部(ぜんぶ)/実事(じつじ)にして、一/言(ごん)の/私意(しい)を/加(くわ)へず、/聞(きく)まゝに、これこ 00010290M9れをしるし(ロノ一ウ)て、/出所(しゆつしよ)/尤(もつとも)/正(たゞ)し。其/談(だん)は/落咄(おとしはなし)を/去(さ) 00010300M10ること/毫髪(ごうはつ)の/間(あいだ)にして、落ると落ぬとの/境(さかい)、わらハ/病(やミ)の/陰(かげ) 00010310M11てふ/物(もの)のことし。/毎行(ひとくだり+)/智恵(ちゑ)なきに/似(に)て、其/言(こと)いち+高 00010320M12く、/風雅(ふうが)/悉(こと※く)/備(そな)ハる。/不通(ふつう)の/君子(くんし)、此書を(ロノ二オ)かう 00010330M13がへて、/以(もつ)て/傾国(けいこく)の/風(ふう)をあきらめ、傾城の/尊(たつとき)を/知(し)るべし。 00010340M14傾城/聖賢(せいけん)の/道(ミち)、/一(いつ)に/貫(つらぬく)のゆへを以て、/夫子(ふうし)の道ハ/遊女(ゆうじよ)のミ 00010350M15ともいふならし 00010360M17△△△△△△△△△△△△△△△△△△知久良述 00010370M18△△△△△△△△△△△△△△G△G 00010380M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(ロノ二ウ) 00010390¥P30 00010400¥N1¥J 00010410¥X○ 00010420L2△去ル客人の一座へ、/台(だい)の物を送ること有て、例の札に、 00010430L3◇上ル△つくも◇と書て、茶屋の男か、アイ、つくも様から皆 00010440L4様へと、ひろうすれば、新造、その札をしバらく見て、客 00010450L5人にむかつて、モシへ。もの字も様とよむかへ 00010460¥N2¥J 00010470¥X○△(一オ) 00010480L7△/燈篭(とうろう)のころ、今夜のやうな/暑(あつ)ひ/晩(ばん)はなひと、そこらを 00010490L8明けひろげて遊そんて居れバ、/隅(すミ)の所に、けしからすやふ 00010500L9れ/だ((ママ))/行燈(あんどう)あり。◇客◇アノあんどうハつまらぬなりだ。なせ、 00010510L10はらぬ事だ。/張(はつ)たらよかろうといへば、◇女郎◇夏も行燈をは 00010520L11るかへ 00010530¥N3¥J 00010540¥X○△(一ウ) 00010550L13△女郎、茶/杓(しやく)をひねくり廻して、此茶杓ハ此頃/貰(もらい)やした 00010560L14と/高慢(かうまん)に見せる。◇客◇ムヽ、ゑゝ茶杓だ。是ハ/遠州(ゑんしう)でハない 00010570L15か△◇女郎◇アイ。何の/大納言(だいなごん)とやらが、まけなんしたのさ 00010580¥N4¥J 00010590¥X○ 00010600L17△三味線ひきの座当、扇屋へ上り、ぬしたち聞てくんな 00010610L18んし。わたしが目があくと、誰にか似て居ると、女郎/衆(し)の 00010620L19いふ(二オ)ハゑゝのさと、かうまんに/咄(はな)せば、◇女郎◇アイサ。 00010630L20そうでハありんすけれど、ぬしが目かあきなんすと似あひ 00010640M1なんせん 00010650¥N5¥J 00010660¥X○ 00010670M3△さる屋敷がたの客、前のかたのまるき御めん/下駄(げた)をは 00010680M4いて、女郎買にゆく。かへる時、女郎、其下駄を見て、ヲ 00010690M5ヤ+、ぬしハ/神主(かんぬし)さんのやうなものをはいてサ(二ウ) 00010700¥N6¥J 00010710¥X○ 00010720M7△ある/宗匠(そうせう)、/思入(おもいれ)の女郎ありて/買(かつ)て見た所が、先座敷も 00010730M8おもしろくなし。/床(とこ)へは入ると咄もせずに寐る。ぐつとご 00010740M9うはらになれど、はりこミをいふも安くてわろし。手前の 00010750M10年にもはぢて、まぢ+して居る内、夏の夜のならひ、は 00010760M11やあけのかねがごん+と/鳴(な)れば、(三オ)わざとそう※ 00010770M12しくはね/起(おき)て、かへるていをしても、とめるけしきもなく、 00010780M13モウお帰りなんすかへといふゆへ、/格子(かうし)の/障子(せうじ)をあけて、 00010790M14まだ外ハくらい。まだかへるにハはやしなどゝうぢ+し 00010800M15て居れバ、◇女郎◇そう見へても、ぢきにあかるくなりいす 00010810¥N7¥J 00010820¥X○△(三ウ) 00010830M17△焼出されの時のかなしひ事、おかしひ事など、さま 00010840M18※はなしあふとき、◇女郎◇江戸へ出ていた内、なんにも聞 00010850M19たやうに、おもしろひ事もありいしなんだか、いちばんに 00010860M20くらしい事があつて、しミ※今でもくやしうありんす 00010870¥P31 00010880¥G(五ウ・六オ) 00010890M1◇客◇それハ又、なにがにくらしかつた△◇女郎◇アイサ。いつそ 00010900M2わけのわるひ客衆が、かうまんに(四オ)馬に/乗(の)つてあるき 00010910M3んすにへ 00010920¥N8¥J 00010930¥X○ 00010940M5△さるかたのけんもん、俵屋へゆき、一座大さわぎの中 00010950M6に、だまつて酒斗/呑(の)んで、物あんじの/顔(かほ)をして居る内、座 00010960M7敷も/納(おさま)り、其つれの客に、◇女郎◇ぬしたちのつれ衆に、物を 00010970M8も云ハずに酒斗呑んで居さしつた客しゆハ、/留主居衆(るすいしゆ)か、 00010980M9(四ウ)なんたへ△◇客◇あれハけんもんさ△◇女郎◇ヲヤ、/道理(どうり)で 00010990M10かんがへて斗リ居さつしやる 00011000¥N9¥J 00011010¥X○ 00011020M12△六月船に出たるに、/其日(そのひ)ハ折ふし、けしからぬ/涼(すゝ)しさ。 00011030M13夕かたになれば、ふるへ上るやうにて、ちゞミの/帷子(かたひら)など 00011040M14ハ中&/着(き)られず。めん+あはせにきかへ、ひとへ物のか 00011050M15さね着などいふ中に、あわせの(五オ)(五ウ・六オ挿絵)/用意(ようい)な 00011060M16き人ハちゞミの/侭(まゝ)にてちゞミあがり、/絽(ろ)の/羽織(はをり)でハ中&た 00011070M17しにもならぬと云なから、/堀(ほり)へつけて上り、さつ+と吉 00011080M18原へはいれバ、ちかづきの茶屋のむすこ、大/縞(しま)のゆかたに 00011090M19て、うちハをつかいながら、此間ハおとう+しう御ざり 00011100M20ますといへば、ちゝみを着た客人、大ぶ/寒(さむ)ひの(六ウ) 00011110¥P32 00011120¥N10¥J 00011130¥X○ 00011140L2△客二三人にて、/年(ねん)あけの女郎といろ+のむかしはな 00011150L3し。◇客◇扨、大名小路のりうし様ハ、すへ+ハどうであつ 00011160L4た△◇ねんあき◇ぬしがたのしりなんした通りのきやく衆だから、 00011170L5どうも/仕内(しうち)かいつそ、きがもめんした。なぜあのやうに、 00011180L6きがつきんせんネヱ、/侍(さむらい)をしながら 00011190¥N11¥J 00011200¥X○△(七オ) 00011210L8△これもねんあきの女郎、/囲(かこ)われてゐて、ぬひ物の出来 00011220L9ぬゆへ、お/針(はり)を月やとひにして、そのおはりが、まい日 00011230L10+/来(く)る。ある日おはりと物/云(い)ひして、いひつのるとき、 00011240L11おはり/腹(はら)を立て、なんぼそのやうに/利口(りこう)そうに口をきいて 00011250L12も、ぬひものもできぬなりをしてとはりこまれ、女郎もぐ 00011260L13つとはらがたつて、何でも一ばん(七ウ)/縫(ぬつ)て見せる気にて、 00011270L14ばんかた、心安ひ人へはなす。昼おはりが、かう+云イ 00011280L15したから、いつそ腹がたつて+なりいしなんだから、あ 00011290L16すハおもひきつて、四つから/起(おき)て/縫(ぬひ)かゝろう 00011300¥N12¥J 00011310¥X○ 00011320L18△丁子やの女郎、大ぜいあつまり、心安ひ客と一つ所に 00011330L19めしをくふ。/平皿(ひらさら)のうちに(八オ)丸/煮(に)の松/茸(だけ)あり。女郎、 00011340L20客人の/耳(ミヽ)へ口をつけて、モシ、ほんにおしへてくんなんし。 00011350M1松だけハ、さきからくふか、あとからくふかへ 00011360¥N13¥J 00011370¥X○ 00011380M3△四つ目やのお客人へ、茶やからのおくり物に、うなぎ 00011390M4のかばやき有。◇茶や◇いまお/夜食(やしよく)の/初(はじま)りだ。てうどよひ所だ。 00011400M5サアあ(八ウ)たゝかな所を上りませ△◇女郎◇ヲヤ+/権(ごん)さん。 00011410M6いやなものを持て来なんした。うなぎハきらいさ△◇新造◇ア 00011420M7イサ。わたしもうなぎと馬ハ、きついきらひさ。しかし、 00011430M8むまハくわれハしないけれど 00011440¥N14¥J 00011450¥X○ 00011460M10△/堺丁(さかいてう)/見物(けんぶつ)から、すぐに丁子やへ遊びに行、けふも/慶子(けいし) 00011470M11が名ごりを見たが、い(九オ)やもう、きつひ事。いく度見 00011480M12てもあきぬ。あれがほんの/名人(めいじん)だ。そしてあの大いりに、 00011490M13いつもけんくわが一つない。あすこがけいしが/奇妙(きミやう)だとは 00011500M14なせバ、◇新造◇モシへ、けいしといふ/役人衆(やくにんしゆ)が、をりること 00011510M15があるねへ 00011520¥N15¥J 00011530¥X○ 00011540M17△さるかたの女郎、客人へゆびを切てやる(九ウ)と、そ 00011550M18の客人、大はまりにて、ぐつと根/引(ひき)の/相談(そうだん)にかゝる。その 00011560M19うハさをほうばい女郎が聞て、何さんハこんだハ、切りあ 00011570M20てさしつた 00011580¥P33 00011590¥N16¥J 00011600¥X○ 00011610L2△はかまを/着(き)たまゝで、名じミの/座敷(ざしき)へずつとはいり、 00011620L3けふハおふるまいからずつと/来(き)の大くたびれといゝなが 00011630L4ら、はか(十オ)まをぬいで、ついとなけておけば、◇おいらん◇ 00011640L5モシ/新造(しんそう)さんがた。あのはかまを、そでだゝミにして/置(おき)な 00011650L6んし 00011660¥N17¥J 00011670¥X○ 00011680L8△◇女郎◇きのふ/向(むかふ)嶋へいきんしたが、いつそおもしろうあ 00011690L9りんした△◇客◇とうだ。何が気に入だの△◇女郎◇いつそおもし 00011700L10ろくありんしたハ、馬が二人づれでかけんしたハ(十ウ) 00011710¥N18¥J 00011720¥X○ 00011730L12△玉屋へ/名染(なじミ)の客人来て、女郎の/机(つくへ)を引出して、いろ 00011740L13+むだ書をし、/真(しん)をかきながら、此しんといふやつが、 00011750L14女郎などの書かれぬむつかしい/物(もの)だといへば、女郎、なに 00011760L15さ。しんをかなでかきんす 00011770¥N19¥J 00011780¥X○ 00011790L17△/禿(かふろ)かけて来て、/火事(くハじ)がありんす。いつそ(十一オ)さハ 00011800L18ぎんすといへば、さハぐなら、ちかいであろうと、/皆(ミな)立さ 00011810L19わぐに、おいらん、おちつきはらつて、あの/子(こ)や。よく/聞(き) 00011820L20きや。/遠(とを)ひのが火事、ちかひのがてあいまちだよ 00011830¥N20¥J 00011840¥X○ 00011850M2△辰年の/大火(たいくハ)に、松葉屋の仮宅から/富士山(ふじさん)がよく見へる 00011860M3ゆへ、なるほどふじハ(十一ウ)きめうな山だと、/皆(ミな)見てゐ 00011870M4る内、火事+と云てさハぐ。どこだと聞けば、お山がや 00011880M5けると申ますといふを聞て、◇女郎◇なアにさ。さつきから見 00011890M6てゐんすが、ふじハなんともありいせん 00011900¥N21¥J 00011910¥X○ 00011920M8△あふぎやにて、いろ+はなしの折、/座当(ざとう)のはなしを 00011930M9して、あの/何都(なにいち)ハけん(十二オ)ぎやうになつた。あのけん 00011940M10ぎやうハ何いちと/云(いつ)たのとはなせバ、女郎聞て、あの、何 00011950M11さんでもけんきやうになられるかへ。私ハ又けんぎやうと 00011960M12ハ、お/大名(だいミやう)の目の見へぬ事かと思ひやした 00011970¥N22¥J 00011980¥X○ 00011990M14△国かたから初めて出た人、女郎/買(かい)に/行(ゆく)時、/貴(き)様ハあす 00012000M15の/晩(ばん)/行(ゆけ)ば、うら(十二ウ)だから、若ひ/者(もの)に花をやるのた。 00012010M16やりやうハかう++と、くわしく/教(をしへ)る。すいぶんのミ 00012020M17こんたと、其ばん/宵(よい)から/素(す)一/分(ふ)を/握(にき)つてゐるに、どうもさ 00012030M18かづきの/都合(つかう)がわるくて、やうやく/盃(さかづき)が/来(く)ると、サア/爰(こゝ)じ 00012040M19やと、わかひものへさし、/彼(かの)一分をなけ出してやるつもり 00012050M20の所が、久しくにぎりつめてゐたゆへ、あせ(十三オ)ばみ 00012060¥P34 00012070L1て、金が手のひらへつひて、はなれず。客、気をせいて、 00012080L2/片(かた)手ではたきなから、ソレ、はな+ 00012090¥N23¥J 00012100¥X○ 00012110L4△女郎かいにゆきての/咄(はな)しに、こんと川&の御手/伝(つたい)ハ/玄= 00012120L5蕃(けん=ば)様だ。うけをひ人の仕合だと咄せバ、女郎が聞て、さぞ、 00012130L6げんば様ハもうけなんせうの(十三ウ) 00012140¥N24¥J 00012150¥X○ 00012160L8△女郎、身うけの/相談(そうだん)きまり、さきハおはたで二/千石(せんごく)ぐ 00012170L9らいの/屋敷(やしき)。さりとハおまへハ仕合だと云へば、そんなら 00012180L10どうぞ其やしきを見て来ておくんなんしとたのむゆへ、よ 00012190L11く日わざ+かけ出して見て帰り、扨けふ、おまへの/行(ゆ)か 00012200L12つしやるおやしきを見て来たが、あれハとん(十四オ)だ事た。 00012210L13/廐(むまや)もあり、/馬(むま)もあり、大きな/玄関(げんくハん)さ。そして/辻番(つじばん)にも/頭取(とうどり) 00012220L14と書て、お名の出てゐる人だから、よいはづたと/咄(はな)せば、 00012230L15女郎、ヲヤわつちやア、辻番へ名の出た客人ハ、がいぶん 00012240L16がわりいね 00012250¥N25¥J 00012260¥X○ 00012270L18△女郎あつまつて/枕(まくら)の/拍子(ひやうし)をたがひにうつゝになつてさ 00012280L19わぐ時、/下(した)からも枕(十四ウ)をかせとて取に来て、かして 00012290L20やる。よくばんになつて、夕部の枕をおかへしなんせと、 00012300M1/下(した)へとりにやれバ、下から枕を/油(あぶら)だらけにしてかへす。女 00012310M2郎、/紙(かミ)を出して、油をふきながら、ばからしい。だれか枕 00012320M3にしたそうさ 00012330¥N26¥J 00012340¥X○ 00012350M5△◇女郎◇わつちや、いつそ/侍(さむらい)になりたふありい(十五オ)す 00012360M6◇侍ノ客◇きついあわせやうさ△◇女郎◇ヲヤばからしい。ほんに 00012370M7侍になりたくてなりいせん△◇客◇なぜ△◇女郎◇アイサ。/侍(さむらい)ハネ、 00012380M8/有(あ)りもせぬ/軍(いくさ)を/請合(うけあつ)て、/知行(ちぎやう)とやらを取て/居(い)なんすからさ 00012390¥N27¥J 00012400¥X○ 00012410M10△女郎、客人と大色事。いろ+こんたん/真(しん)のことなる 00012420M11を、男のならい、ちとうる(十五ウ)さくなりて、いやと思 00012430M12ふがさいご、しミ※いやになつて、あいそうつかして 00012440M13/切(き)れてしまう。女郎、大ばらたつて、/世話(せわ)をした人にむか 00012450M14ひ、うらみの/数&(かづ+)いふて、これ/見(ミ)なんし。此文もやいて/仕= 00012460M15廻(し=ま)うと、うまひ事書て/置(をき)しふミに/火(ひ)をつけてやけバ、おの 00012470M16が/泪(なミだ)にてちら+と火が/青(あを)く見へるを、あれ見(十六オ)な 00012480M17んし。わつちが一/念(ねん)で、火があをくなりいした。此一念で 00012490M18ハ、ぬしが/頭痛(づつう)でもしなんせう 00012500¥N28¥J 00012510¥X○ 00012520M20△ねんあきの女郎、かミ様となり、そのとしのくれに、 00012530¥P35 00012540¥G(二十ウ・廿一オ) 00012550M1もちをつきて、/亭主(ていしゆ)てづから、のしもちをたつ時、まだ/和(やハ) 00012560M2らかで、ほうてうに/付(つ)いてならねバ、/小桶(こおけ)へミづを(十六ウ) 00012570M3入レて、ほうてうの刄をぬらしてハきる。手がいたく成つ 00012580M4たゆへ、しばらく小桶の水へ/庖(ほう)丁をつけて置けば、かミ様、 00012590M5わきに見てゐて、もしへ、水へつけたら、庖丁がわるくな 00012600M6りんせうにへ 00012610¥N29¥J 00012620¥X○ 00012630M8△新ぞう、/姉(あ□)女郎のまへで文を書ながら、/貧乏(びんほう)ゆすりを 00012640M9する。姉女郎見て、ばから(十七オ)しひ。やめなんし。お 00012650M10いらハきついきらひだよ+といへども、新ぞう、びんぼ 00012660M11うゆすりの事とハ気がつかず。なにをやめんすのたへとい 00012670M12へば、姉女郎、其ぢん+ばしよりをさ 00012680¥N30¥J 00012690¥X○ 00012700M14△女郎、客を/送(おく)りて中の丁をゆく時、夜ばい/星(ほし)が/飛(と)ぶ。 00012710M15◇女郎◇あれ見なんし。お星さん(十七ウ)がとびいしたよ△◇客◇ 00012720M16あれハ夜ばひほしの/飛(と)んだのさ△◇女郎◇どうして向へ、つか 00012730M17まりなんすへ 00012740¥N31¥J 00012750¥X○ 00012760M19△大の/武(ふ)ざ客、座敷へはいるから、おれハ何/役(やく)をつとめ 00012770M20るからいそがしい。/家老(からう)どもも、しごく心安くて、ゆふべ 00012780¥P36 00012790L1ハ一ばん、かろうの所へふるまひに/呼(よ)バれた。あすの(十八 00012800L2オ)ばんハ又、二ばん/家老(からう)の所へよハれるが、あの/咄(はなし)ずき 00012810L3でハ、てつきり/夜(よ)があけるであろうと、ねつからおもしろ 00012820L4くなひこと/斗(ばかり)はなすを聞ながら、女郎うつら+と/眠(ねむり)なが 00012830L5らきひて、なんたへ。からすのことかへ 00012840¥N32¥J 00012850¥X○ 00012860L7△/方(ほう)※で二/階(かい)を/留(とめ)られた客、丁子屋へ(十八ウ)来て、 00012870L8又何かいちやつきが過て、二階をとめられたを、/新造(しんそう)が聞 00012880L9て、ぬしハ気ぜんハゑゝけれど、なぜか/階子(はしこ)ゑんがないよ 00012890¥N33¥J 00012900¥X○ 00012910L11△/年礼(ねんれい)のさきから、よし原へさそわれて、/腰替(こしかハ)りの/熨斗(のし) 00012920L12目を/着(き)た/侭(まゝ)で、すつと茶屋へすハる。茶やに覚た女郎、し 00012930L13んぞう(十九オ)など居て、◇皆&◇お出なんしたか△◇客◇どうだ。 00012940L14こんな/物(もの)を着てくる客もない物た。そして此/着(き)た物ハ、な 00012950L15んだか/知(し)るまいの△◇新造◇ヲヤ+、なんぼわつちらがやう 00012960L16な/者(もの)でも、しつてゐんすよ△◇客◇そんならなんだ△◇新造◇かミ 00012970L17こさ 00012980¥N34¥J 00012990¥X○ 00013000L19△おいらん、九郎介いなりへ参りたいといふ(十九ウ)ゆ 00013010L20へ、客、おれも/行(ゆか)ふとつれて行く。◇新造◇わつちらも参りん 00013020M1せう△◇客◇てまへたちハ、何にも/願(くハん)もあるまいに、ゆくハき 00013030M2つひむだだよ△◇新造◇わつちらも、ずいぶんおがむ事があり 00013040M3んす△◇客◇何と云つておがむ△◇新造◇/斯(かう)云つておがミんすハ 00013050M4◇客◇なんと△◇新造◇九郎介さん△◇客◇そして△◇新造◇おめでたうこ 00013060M5さんす 00013070¥N35¥J 00013080¥X○△(二十オ)△(二十ウ・廿一オ挿絵) 00013090M7△/鳴(な)り/物(もの)御てうじと、ふれがまハる。◇新造◇おいらんへ。 00013100M8こんどの御てうじハなんだへ△◇おいらん◇何さ。なんとか/云(いゝ)ん 00013110M9した。アイ、それさ。こじきの行く国のとのさんが、/死(しに)な 00013120M10んしたからさ 00013130¥N36¥J 00013140¥X○ 00013150M12△客、女郎をうたぐり、いろ+な事をいゝかけ、どう 00013160M13も井/筒(つゝ)屋の客人かおほつか(廿一ウ)ないとせめる。女郎も 00013170M14いろ+うそをつけとも、せうちせぬゆへ、伴/頭(とう)の長八へ、 00013180M15文を書ひて見せて/相談(そうたん)する。◇女郎◇長八どん。ぬしがとうも 00013190M16おぼつかない+といわつしやるから、此通り/書(か)ひてやり 00013200M17んす。これでもまだ、おぼつくまいかね。これならよもや、 00013210M18おぼつきそうな物だね△◇伴頭◇@じんぶつらしい|顔で見なから、@これでハよもや、 00013220M19おぼつきやせう(廿二オ) 00013230¥P37 00013240¥N37¥J 00013250¥X○ 00013260L2△ある女郎、/開帳(かいてう)のはなしを聞て、もしへ。/出世(しゆつせ)大/黒(こく)さ 00013270L3んハちいさゐなりをしてゐなんしても、いつそはやりんす 00013280L4かね。大キななりをして、おしやかさんハ/寐(ね)てゐなんす/気(き) 00013290L5がばからしい 00013300¥N38¥J 00013310¥X○ 00013320L7△客、ある女郎へはなしに、さて/信心(しん※)ハ/有(あ)(廿二ウ)ろう 00013330L8物だ。浅草の/観(くハん)音の/仁王門(にわうもん)のかわらが、きのふぐわら+ 00013340L9とおちたが、さすがハ観音様の御けいだいほどあつて、あ 00013350L10またのさんけいの人が、一人てもけがをした/者(もの)がない。さ 00013360L11りとハきめうだ△◇女郎◇/其時(そのとき)ハかんのん様ハ、さぞいそがし 00013370L12かつたあろふね 00013380¥N39¥J 00013390¥X○△(廿三オ) 00013400L14△さるかたの女郎、あるたいこ持にむかつて、もしへ、 00013410L15目吉さんもかみさんをもちなんす。/三為(さんい)さんもかミさんを 00013420L16持なんす。/太十(たじう)さんもかミさんをもちなんす。さぞかゝさ 00013430L17んがたがうれしがりなんすだあろう。それだから、子ハ三 00013440L18がいの/首(くび)かせぎをしなんしよ 00013450¥N40¥J 00013460¥X○△(廿三ウ) 00013470L20△◇新造◇モシ+おいらん。/竹屋(たけや)のふか川からきてゐなん 00013480M1した/女郎衆(じやうろし)が、ねんがあけて、又/深川(ふかがハ)へ出んすとさ。又と 00013490M2られて来んすであろうね。そして又女郎衆になるかね。い 00013500M3やだノウ△◇おいらん◇@しバしかんがへて|客にむかつて、△@なせ深川の女郎衆ハ、と 00013510M4られて来てハ又かへつて、/同(をな)じ事をなぜするねへ 00013520¥N41¥J 00013530¥X○△(廿四オ) 00013540M6△客、女郎にいろ+な物をくわせてたのしむ。◇客◇@とな|り座@ 00013550M7@敷へむ|かつて@これ+、/来(き)てうなぎハどうだ。/気(き)ハなしか△◇@となり|の女郎@◇ 00013560M8おありがたうござんすが、わつちやアうなぎハ/七(なゝ)つめであ 00013570M9りんすから、おゆるしなんし 00013580¥N42¥J 00013590¥X○ 00013600M11△ある女郎の/仰(あふせ)に、ミんなが/目黒(めぐろ)さん+と云んすが、 00013610M12やつばりふどうさんの/事(こつ)(廿四ウ)てありんす 00013620¥N43¥J 00013630¥X○ 00013640M14△◇客◇なぜこんやハ/引(ひけ)かおそひの△◇女郎◇/燈篭(とうろう)の/内(うち)ハ、八つ 00013650M15に/見世(ミせ)を/引(ひき)んすから、いつそ夜がながひやうでありんす。 00013660M16それても/夜(よ)の/明(あ)けやうハ同じ事さ 00013670¥N44¥J 00013680¥X○ 00013690M18△女郎、客人にむかつて、ミんながめくら(廿五オ)/千人(せんにん) 00013700M19目あき千人と云んすが、目のあいた/人(ひと)か/多(おほ)ひね 00013710¥P38 00013720¥N45¥J 00013730¥X○ 00013740L2△/五町(こてう)、/前(まへ)かたたひ+あこがはつれて、大きにこまつ 00013750L3たとはなす。◇客◇それにハゑゝ/薬(くすり)がある。ぢきにかゝる/名方(めいほう) 00013760L4を、おれか覚てゐる△◇女郎◇ほんに、ゑゝ薬がありんすかへ 00013770L5◇客◇ムヽあるとも△◇女郎◇五てう(廿五ウ)さん、はつして見な 00013780L6んし 00013790¥N46¥J 00013800¥X○ 00013810L8△女郎、いろ+のはなす/内(うち)に、かたわの咄しをして、 00013820L9たれハめつかちだの、びつこたの、三つくちハきざだの、 00013830L10いやだの、すかぬのとはなす中に、ある女郎、わつちハ 00013840L11/支離(かたわ)のうちでハ、いつち、ぼう様が/能(よ)うありんす(廿六オ) 00013850¥N47¥J 00013860¥X○ 00013870L13△◇新造◇/目吉(めきち)さん。どうぞ見たいものがありんす△◇目吉◇な 00013880L14んだ、見たい物と/斗(はかり)でハわからぬ△◇新◇人に/云(いゝ)なんすなへ 00013890L15◇目◇だれにもいふ事じやアねへ。何か見たい△◇新◇わつちやア 00013900L16まぐろの/顔(かほ)か見たい 00013910¥N48¥J 00013920¥X○ 00013930L18△/子(こ)もり、/子共(ことも)にめくりの/札(ふだ)を一まいも(廿六ウ)たせて 00013940L19あそバせ、わき見をするうち、子共、/其札(そのふた)をしやぶる。か 00013950L20ぶろ見つけて、おいちどん。それ、ばくちをくわつしやる 00013960M1よ 00013970¥N49¥J 00013980¥X○ 00013990M3△茶やからの/送(をく)り物のうちに、ちいさなさゞゐを/鉢(はち)につ 00014000M4ミたるあり。◇客◇なんだ、さゞゐか。ちいさなさゞゐだの 00014010M5◇新◇アイ、(廿七オ)これをば、とこぶしとやらと申んす 00014020¥N50¥J 00014030¥X○ 00014040M7△/奥座敷(をくさしき)のまどのしやうじをあけれバ、月がてら+と 00014050M8あがる。◇新◇アヽアレ、/朔日(ついたち)のお月様が/上(あが)りんした 00014060¥N51¥J 00014070¥X○ 00014080M10△◇女郎◇/地廻(ぢまハ)りハ、よる+、とこからきんす。もしへ、 00014090M11/昼(ひる)ハどこにゐるへ(廿七ウ) 00014100¥N52¥J 00014110¥X○ 00014120M13△/松葉(まつば)屋の/新造(しんぞう)、モシおいらんへ。てうしさんとも、 00014130M14又さとうさんとも/云(いゝ)なんすが、どつちでありんすへ。 00014140M15◇おいらん◇さとうさんとハ、かたひ時のはい/名(ミやう)さ(廿八オ) 00014150¥P39 00014160¥Y/柳巷訛言(さとなまり)/後序(こうじよ) 00014170L3/加古川(かこかハ)/本艸綱目(ほんざうかうもく)/赤魚(あかう)の/城下(じやうか)に/曰(いハく)、/傾城(けいせい)に/誠(まこと)なし。/而(しかうして)/情(じやう)な 00014180L4し。/故(かるがゆへ)に/金(かね)なし、而/銭(ぜに)なし。故にいくぢなし、而たハい 00014190L5なし。/此(この)六ツの/梨(なし)のつらの(廿八ウ)/皮(かハ)をむき/身(ミ)の皮を/悉(こと※) 00014200L6くはきて、/嘘(うそ)の皮/斗(はかり)/残(のこ)し、/其(その)六つのしんを/当分(とうぶん)に/合(あハ)せた 00014210L7るを、むしんと/云(いふ)。これに/質艸(しちくさ)の/絞(しほ)り/汁(しる)を/手(て)のくぼ程さし、 00014220L8/貧乏(ひんぼう)の/先(さ)キにて/能(よ)く/搗交(つきま)ぜ、さて(廿九オ)/勤酒(つとめさけ)/三盃(さんばい)、やけ 00014230L9酒/茶碗(ちやわん)に一つ、/泪(なミだ)は/出次第(でしたい)に/加(くハ)へ、/小鍋(こなべ)か/帆立貝(ほたてかい)へ/入(い)れ、/胸(むね) 00014240L10の/火(ひ)へかけて、/鼻帋(はなかミ)にてあふぎながら、いきすぎの/箸(はし)にて、 00014250L11とろ+とねりくるめ、/意地(いぢ)をたてゝ見て(廿九ウ)/不了簡(ふりやうけん) 00014260L12にこりかたまりたると思ふ/時(とき)、かんしやく斗に/引(ひき)のばし、 00014270L13/咄(はなし)のたね程の/大(おほき)サに/丸(ぐハん)じ、/床(とこ)の/上(うへ)にて/干(ほし)シかたむれば、た 00014280L14ちまちかねとなる。これをさとなまりと/号(ごう)す。/客(きやく)を(三十オ) 00014290L15釣るのおもり、/又(また)/野鉄炮(のてつほう)の/玉(たま)これ也。なまりの/天神(てんじん)様も/照= 00014300L16覧(せう=らん)あれ。うそじやあねへじやあねへじやあねへか。/我(われ)さへ 00014310L17/知(し)らぬ物からのふあんどしるす 00014320L18△△△△△△△△△△△△△△△△G△△△G 00014330L20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(三十ウ) 00014340¥Q 00014350M1/通詩選(つうしせん)@四方山人選△△△|唐詩選を当世の△|通に仕立たる書也@△/三教色(さんきやうしき)@唐来参和著△△|神儒仏女郎買の|しやれをしるす@ 00014360M2青楼遊君之容 00014370M3△大絵△錦摺百枚続@其君の自詠を自筆にて△△△|しるし初衣裳生うつしニ仕候|正月二日より追+売出し申候@ 00014380M4△△△△北尾政演筆 00014390M5@此書後篇追+正説△|をあつめ差出し御覧に|入可申候△△△△△@△耕書堂蔵 00014400M6天明三癸卯正月日 00014410M7△△△△△△△△四日市 00014420M8△△△△△△△△△上総屋利兵衛 00014430M9△東都書林△△△通油町 00014440M10△△△△△△△△△鶴△屋喜右衛門 00014450¥P40 00014460¥U噺本大系△第十二巻 00014470¥T/歳旦話(さいたんばなし)〔序〕 00014480¥G 00014490¥Y 00014500L15天明三年正月刊 00014510L16無尺舎主人下物序 00014520L17必&舎馬宥跋・梓 00014530L18版木△藤村左文 00014540L19半紙本一冊 00014550L20東大国語研究室蔵 00014560¥Yみつのとのうのとし歳旦話の叙として申 00014570M3△△△△△△△△△△則△△無尺舎主人下物書 00014580M4吹誘ふ初春風や、墨の江の宮居こそ己午にあたり、元方万 00014590M5よしとは拍子にも慾にも、押てるや浪国からの元朝詣ての 00014600M6賑ひハ、御利生付の外なりき。しやう事なしの山盛り雑煮 00014610M7祝ひて、無理やりの春知り顔にも、友呼びつれて去る若戎 00014620M8売と行違ふても、今宮あたりのほんのりが味ハひなから、 00014630M9しやべればしやべる、いハぬはぐつともいはぬ連どちこそ 00014640M10眠たさと、終に掛取リのぬくもりのさめやらぬ故なれば也 00014650M11とも、四社の前の拍手は、たよりも音高く、餅腹を苴の酒 00014660M12ハ伊丹三文字(一オ)か衝立にせばめられたり。みやけにハ 00014670M13何をと思ふやさき、ごろ+屋の店さきなる、此袋入ハな 00014680M14んぼしやナ。アイ、十入ハ廿でこさり升。三袋買ませうと 00014690M15いふより早、力を入て懐ぐち揉潰して、嬉しや、是でちつ 00014700M16と冬の気がぬけたといへば、見てゐた人が、是ハ御尤な事 00014710M17しや。そうして恵方土産に返て潰れてハ気にもかゝる。始 00014720M18から粉にして去ヌとハ御発明じや。私もさやうにいたしま 00014730M19せうとて、同しくもみ潰したり。あたりに店出してゐる種 00014740M20売の親父か、ふり出しのひやうたんハいらぬカナと(一ウ) 00014750¥P41 00014760¥N1¥J 00014770¥X駅路の霞△△△△△△△△△△△△△△¥A歳暉 00014780L3コリヤ三ヨ。悦へ。追付夜か明たら正月じ 00014790L4や。三ケ日ハ馬追ふのも休ましてやるハ。 00014800L5シカシ今年ハ三日か年こしじやニよつて、 00014810L6年まいりの親方衆か、たんとあろ。めつた 00014820L7ニ、三ケ日じやとて休んてもゐられまい。 00014830L8コリヤ八ヨ。おざうにの下ハよいかヨ。ソ 00014840L9シテおとうめうの油もなけにや、さいておけヨ。八アイ。 00014850L10油もよごんす。コレ親方、悦んせ。親方何としてヤイ。八 00014860L11あれ見やんせ。かうじん様のとうめうの中のりに、丁子か 00014870L12立たG(二オ) 00014880¥N2¥J 00014890¥X春興△九十九髪△△△△△△△△△△△¥Aとしてる 00014900L15春ハ花の咲時分じやニよつて咲の也。又秋ハもみ 00014910L16ぢする時せつじやニよつて紅葉するの也。夫をな 00014920L17んじや。珍らしさうニ、春ハ花見で候の、秋ハ紅 00014930L18葉見でごさるハのとうれしがるハ、常の人のする 00014940L19所。我等か楽しむ所ハ又かくべつじや。ナント三 00014950L20介。コウ見渡した立田山の春げしき、どうもいへ 00014960M1た物じやないワイ。桜一木あるニこそ、もとより幕うつ人 00014970M2なけれハ、じゆくしくさひ、山寺のおくび謡もきく気つか 00014980M3いなく、おのづからの閑ンせい。此立田山ニ目ざハりの花 00014990M4もなし、気ざハりの桜もなし。ハヽア、したが、モウ日の 00015000M5暮じや。三介。ソロ+去のふカイ。三介ハイ+。お供 00015010M6仕りませうと立あがれハ、入相がゴヲン。旦那ヱヽ、あれ 00015020M7だけがけふのきづしやナアG(二ウ) 00015030¥N3¥J 00015040¥X楠もどき△△△△△△△△△△△△△△△¥A梅子 00015050M10道頓堀より段&と礼をしまひ、高津ニて一休ミ。 00015060M11向ふニ、御らうじやりませ、遠目がね。コレ+ 00015070M12親父さん。五月ハのぼり、卯月八日ハ花。其時分 00015080M13ハよいが、今ハ何を見るのでごんす。イヤ、今も 00015090M14一統のしめかざり、海づらののどかさ。フン、そ 00015100M15んなら長吉ヨ。三文が所見い。ハイ、かしこまりました。 00015110M16サテ+海つらののどかなハよふごさり升。アレ+、ふ 00015120M17じの山が見へまする。何を言ふぞい。コレ+、親父どん。 00015130M18ふじの山が見へやんすか。イヱ+。あれハ有馬のふじと 00015140M19いふて、向山の間ニ見へまする。コリヤもつとも。モシ 00015150M20+旦那さん。二見の浦が見へまする。どれ+、何言ふ 00015160¥P42 00015170L1ぞい。アリヤ、とき船丁しやG(三オ) 00015180¥N4¥J 00015190¥X春△おもひ+△△△△△△△△△△△△¥Aばいし 00015200L4春の始ニよいとや申、ドウ+。コレ通らつ 00015210L5しやれ。春ニしてハせわしい物もらひでハあ 00015220L6るぞ。ヤア狐さんまのとんとこじや。こなた 00015230L7の家かたへとびこんだ。通らつしやれ+。 00015240L8サテ+せわしいおもらひの。ましたばうき 00015250L9ハ入ませぬか。ましたぼうき上箒、サテ+けふハ売りの 00015260L10うりまでかせわしい。コチヤ入ませぬわいのふと云ふ折ふ 00015270L11し、入相のかねがゴヲン。ホヽ、これでチト気がゆつたり 00015280L12とG(三ウ) 00015290¥N5¥J 00015300¥X是も千金△△△△△△△△△△△△△△¥A思月 00015310L15冬のつめたひ金子をつんで、なじみの女郎を 00015320L16請出し、元朝ニならんで雑煮いわゐ。亭主お 00015330L17れが礼のきるもの出しやるなら、黒羽二重ニ 00015340L18はかまハ花色小もんがよいぞや。お山も女房 00015350L19なれた顔して、ハイ+、袴ハ二具リ出して 00015360L20置ました。どちらなとおめし被成ませと、亭 00015370M1主を仕立て礼ニ出してしまい、わし、旦那さんのまねして 00015380M2見せうかと、あとの袴をきて座敷のまん中へすハれバ、下 00015390M3女や丁児が、ホンニお家さんハきやうとふ、能おにあひな 00015400M4されるとほめる内、丁児が、トント高ふハごさりますれど 00015410M5もじや。下女コレ、そんなさし合、いはぬもんじやG(四オ) 00015420¥N6¥J 00015430¥Xしのゝめ△△△△△△△△△△△△△△△¥Aしげつ 00015440M8別家の親父が年頭の礼。旦 00015450M9那もお家もやう+とおき 00015460M10出られたてい。親父、一通 00015470M11りの祝義を云ふて、サテ一年のはかり事ハ春ニありとやら 00015480M12申せバ、今朝などハわけて、はやうおひるなつたがようご 00015490M13さり升ニと、にが+しく云へバ、傍ニゐる丁児が、イヱ 00015500M14+、おそひ事ハごさりません。今おもてへ出て見ました 00015510M15ら、まだ店のあいた所ハ一軒ンもごさりませんG(四ウ) 00015520¥N7¥J 00015530¥Xはつ空△△△△△△△△△△△△△△△△¥A表裡 00015540M18されハ野川の水の音までもうらゝかなるあけぼの。お家ハ 00015550M19さかづき取上ケ、此とそ酒ハかハつた香気かする。コレり 00015560M20ん。そなた、どこから出しやつた。ハイ。あなたがたんす 00015570¥P43 00015580L1の引出しニ、角ミどりのもミのきれがあると 00015590L2おつしやつた故、三つめの引出しの御かたび 00015600L3らの中ニこさりましたもミの袋出しましてこ 00015610L4さり升。そなた、ソリヤたしかニ匂ひ袋じや 00015620L5あろぞや。ソレ見やの。やつハり掛香しや。 00015630L6あの人とした事が、つがもない。盆ンも正月 00015640L7も一チ時にG(五オ) 00015650¥N8¥J 00015660¥X春興△花月△△△△△△△△△△△△△¥A表裡 00015670L10一寸、此中戸おあけ被成て下さりませ。 00015680L11花がつかへてはいりません。亭主コレハ 00015690L12見事ナ桜。どこからじやの。ハイ。大和 00015700L13やから参りましたと、状をそへさし出 00015710L14ス。サテハせんけうお噂の吉野へごさつ 00015720L15たか、登りしらずのくだりみやげしや。 00015730L16殊ニ一首を添られてかたしけない。たぶん供ハわがミゐた 00015740L17か。ハイ。さやうでごさり升。とうしや。山中か花たらけ 00015750L18であつたか。ハイ。さやうでごさり升。一ト目千本のあた 00015760L19りて、親方ハ呑ンでおたのしミてあらふ。ハイ。さやうで 00015770L20こさり升。ソシテつれニハたれであつた。ハイ。さやうで 00015780M1ごさり升。是ハしたり。のミ込のわるい。つれの事じやわ 00015790M2いのふ。ハイ。其おつれの事ハ、旦那さんか、お家さんに 00015800M3も誰にも云ふなテG(五ウ) 00015810¥N9¥J 00015820¥X春興△五月ハ△△△△△△△△△△△△△△¥A雅連 00015830M6梅をきり出す杣かせぎ、花ニ朝夕なれたる 00015840M7ニヤ、惣身ニシユミこミ、フン+と、ゑ 00015850M8ならぬとめ木のぼくしやう親父、庄屋との 00015860M9より、婚礼ふるまひニまねかれ、じきもさ 00015870M10ほうも白梅一えだ、こゝろ迄の御ミやげと 00015880M11さしいだせハ、ヤレ待かねしと、おくさし 00015890M12き。酒えんの席へつらなりて、暫く興ニ入おりから、庭前 00015900M13より鴬あまた飛来り、カノ親父のあたま、首すぢ、鼻のさ 00015910M14き、吸付とひつき、よねんなくたハむるゝ。親父、これハ 00015920M15とこらへかね、扇ひろげて身内を、バサ+打払ヒ+、 00015930M16アヽ内方も水はきが悪るいやらG(六オ) 00015940¥N10¥J 00015950¥X年尾△△△△△△△△△△△△△△△¥A二酔 00015960M19歳暮のお礼申上升。ヲヽ半兵へか。おもやハまた、仕舞ハ 00015970M20せまいが。ハイ。申上升も恐なから、たゝ今参しましたハ、 00015980¥P44 00015990L1一生のお礼ニ参り納てこさり升。ソリ 00016000L2ヤ又どうして。帳面おもてニ、少シす 00016010L3ミませぬ事かこさり升て、是よりすぐ 00016020L4ニ海川へ身をなげ升る。御ゐんきよ様 00016030L5へハ申上ますまいと存升れと、是迄の 00016040L6御恩ン、あだニハ存ませぬせうこ。ヲ 00016050L7ヽ来にくい所、よう来た。シテ、其銀ハ何程の事で。ハイ。 00016060L8五十両ばかりて。ハテやくたいもない。ヱテ世上にハ死だ 00016070L9跡て、其くらいの事なりや、いハいで出してやろうにと云 00016080L10ものハあれど、死ナぬさきニ出してやるものハすくない。 00016090L11おれがへそくり、借してやろと、おしげもなく五十両ほり 00016100L12だし、目出度春を迎へイ。半兵へ小判おしいたゞき、あまり 00016110L13と申セハ、めうが恐しい。やはり殺して。ハテサテ、おれ 00016120L14か心をむそくニするか。死て花ミハさかぬぞよ。ヘツヱヽ 00016130L15難有ふこさり升。此御恩ハ死ンでもと、云ゝかゝりしが、 00016140L16せき払ひニまぎらして、生キてもわすれハG(六ウ) 00016150¥N11¥J 00016160¥X庭の花△△△△△△△△△△△△△△△¥A哥石 00016170L19物申。答礼。かじまや久兵へ、お礼申升。コレハ+、辱 00016180L20ふ存じ升。ソレより付合から、あれこれ出入の者までか礼 00016190M1ニ来る。次ニ出入の手伝。正月なれど、の 00016200M2りごハなせんだくの袷羽織。内へはいり、 00016210M3手伝八兵衛て御さり升。お礼申上ますと、 00016220M4ていねいニ手をつかゆれバ、番頭コレハ八 00016230M5兵衛殿か。かたしけなふこさると、礼いふ 00016240M6ていなせバ、傍ニゐる小サイ丁児が、申+、今礼ニ来た 00016250M7人ハ、常のなりで礼ニ参しましたが、どうした物でこさり 00016260M8升。番頭あれハびんほうしやニよつてといへば、丁児隣の 00016270M9お医者様もびんぼうて御坐り升か。番頭なんとして。丁児 00016280M10隣のお医者さんも、つねのなりで礼にG(七オ) 00016290¥N12¥J 00016300¥X鴨の足△△△△△△△△△△△△△△△¥Aかせき 00016310M13コレさつ。いつも餅つきニ、くきを出スが 00016320M14加例じやか、なれたか。出してミやつた 00016330M15か。ハイ+、出してミましたか、まだキ 00016340M16ツウなれませぬ。フム、モウなれそうな物 00016350M17じやかのふ。夏ならツイなれるけれど。モ 00016360M18ウつけてから廿日にも成けれと、どうても冬ハなれにくい。 00016370M19下女おまへさん。夏と冬とハ、大ていの違ひじやごさりま 00016380M20せん。此日のみじかさではG(七ウ) 00016390¥P45 00016400¥N13¥J 00016410¥X若水+△△△△△△△△△△△△△△¥A銅露 00016420L3モシ旦那さん。此浜の若衆が、水あびせニこ 00016430L4ちへ来るといふて、ゑらうこしらへており 00016440L5升。旦那ソレハめいわくな物じや。どうした 00016450L6らよかろと、取&の相談。よい+。能くふ 00016460L7うがあると、寒ンごりやとふて来て、其日ニ 00016470L8なると、坊主あたまへかづらをきせ、黒羽二重ニあさ上下 00016480L9て出むかへハ、若者、祝ませうトいふてハサンブリ、お目 00016490L10出たいといふてハザンフリ。さしもの寒ごりやもこらへか 00016500L11ねて、あとしさりするひやうしニ、かづらハぬげて坊主あ 00016510L12たま。若者、コリヤとうしやと、びつくりはいもう。旦那、 00016520L13みせから、扇をあげて、とうざい+G(八オ) 00016530¥N14¥J 00016540¥X冬ノ作△梅うめ△△△△△△△△△△△△¥A銅露 00016550L16梅さげたこしもとが中戸へあん内。丁児 00016560L17どうれ。こしもと内申升る。此間ハお遠 00016570L18+しうこざり升。時ぶんから殊のふひ 00016580L19へ※しう御ざり升か、どれ+様もお 00016590L20そろひ遊しまして、お目出たふ存升。此 00016600M1梅ハ室咲てこさり升ゆへ、一枝お目にかけまするとさし出 00016610M2す。丁児うけとり、内へはいり、おく様の前へ往て、口上 00016620M3をドウ忘れして、うぢ+もぢ+。おく様長吉ヤ。口上 00016630M4をわすれるといふ事がある物か。シテどこからしや。長吉 00016640M5ハイ。たしか、かうじやからて御ざりましたG(八ウ) 00016650¥N15¥J 00016660¥X三のあさ△△△△△△△△△△△△△△¥A桃太良 00016670M8物事ニ念入る旦那、久三ニ若水桶もたせ、 00016680M9丁児ニ丁ちんさげさせ、其身ハ上下を着 00016690M10し、若水むかひニ浜へ行。川風のさむきも 00016700M11いとハず、丁ちんのあかりにて、水の流れ 00016710M12をためつ見てゐらるゝ。久三汲ま 00016720M13すで御坐りませうか。旦那イヤ+、おれか能時分ニ差図 00016730M14すると、ヤヽしばしして風もなぎけれハ、サア汲め。久三、 00016740M15汲とつて、サテ+若水といふ物ハ、六かしいものて御さ 00016750M16り升ナ。常の水とハちがひ升てこさり升か。違ふとも+。 00016760M17わいらもよう覚へておけ。さゐぜん来てから、今迄の水ハ 00016770M18若ミづてなひ。久三何としてゞ御ざり升。旦那水のおもて 00016780M19ニ/皺(シワ)があつたG(九オ) 00016790¥P46 00016800¥N16¥J 00016810¥X玉たすき△△△△△△△△△△△△△△¥A姫州 00016820L3長家いゝ合しての米あらひ。内義か打 00016830L4寄、てん手ニ水を汲やら米かすやら、 00016840L5井戸ばたのにきハしさ。中にも水ぎハ 00016850L6の立きゝやうのまへだれ、いハねどそれしやのはてと見へ 00016860L7しハおくの妾。長家一統の事なれバ、よんどころのふ仕な 00016870L8れぬわざの水仕事。左平次の内義が、つるべ片手ニ、コレ 00016880L9おさとさん。其やうニ水流したら、皆米がながれる。ヱヽ 00016890L10おまへとした事が、かいしやうなひ。ホンニ素人といふも 00016900L11のハG(九ウ) 00016910¥N17¥J 00016920¥X品玉△△△△△△△△△△△△△△△¥A柳風 00016930L14長吉ヨ。若水汲んで来 00016940L15い。ハイと井戸ばたへ 00016950L16行、くんで来る。亭主ヲ 00016960L17ヽキツウ早かつた。し 00016970L18かし、つるべの音かせなんだぞよ。長吉イヱ+、くる巻を 00016980L19あげて見ましたら、つるべに水が入て御ざりました。亭主 00016990L20ごくどうめ。ソリヤ旧冬の水じやワレG(十オ) 00017000¥N18¥J 00017010¥X函谷関△△△△△△△△△△△△△△△¥A柳風 00017020M3大三十日の関をこえかね、女房ニこと 00017030M4ハりいはせ、其身ハ神社の絵馬をなが 00017040M5め、軍書場で日をくらし、夜ハ順慶町 00017050M6のよ見せ、新町の見せ付を、からぞめ 00017060M7きして、夜半比ニもなれバ、そろ+ 00017070M8と内へもどり、表口よりさしのぞけ 00017080M9ハ、あがり口ニ四五人のかけ取。女房のことハりもきかぬ 00017090M10てい。あいつらニ逢ふてハならず、いなせとうハあり、や 00017100M11う+思案きハめ、門口からつくり声して、お戎、若戎 00017110M12+G(十ウ) 00017120¥N19¥J 00017130¥X蕪のおく△△△△△△△△△△△△△△¥A酒巾 00017140M15一夜あくれハ去年とかハり、長閑なる 00017150M16元日の粧ひ。だい所ニハ下女が打よつ 00017160M17て、ナント、こちのおへさんハ、御身 00017170M18ン上ににあハぬ世帯の切廻りもきめご 00017180M19まかニ、つねハおぐしもろくニそろへなさらず、あさから 00017190M20晩までせり++と、ツイニにつとりとした顔も被成ぬ 00017200¥P47 00017210L1ニ、けふハ元日じやとおもふて、いつにないにこ+と、 00017220L2そしておぐしもサツパリ身じまいなさつたら、トツト見か 00017230L3ハしたやうナ。りんイヤ、又正月もあろう物じや。ツイニ 00017240L4見ぬお家さんの黒イ歯を見たG(十一オ) 00017250¥N20¥J 00017260¥Xつとの梅△△△△△△△△△△△△△△¥Aしゆきん 00017270L7せいぼの御礼申上升と、ふごをにのふ 00017280L8てはいるハ、丁児の長吉か親。旦那ホ 00017290L9ウ、親父との。ひへる時分ニようご 00017300L10さつた。マアまめで目出たい。ハイ 00017310L11+、あなた様にもミな御きけん様 00017320L12て、おめでたふ存升。是ハ又お目ニか 00017330L13け升やうな物てハこさりませんけれ共、長吉めがぼんのや 00017340L14ぶ入の時、旦那様ハ生花かお好キじやと申おり升たゆへ、 00017350L15御祝義ニ梅をもつて参しました。ホンの山から切+と申 00017360L16はかりてこさり升と云つゝ、ふごから取出す。梅ニとまつ 00017370L17てゐた鴬が、中にハから、くも井はるかに飛さりけり。親 00017380L18父、ト空うちながめ、御苦労G(十一ウ) 00017390¥N21¥J 00017400¥Xこたま塚△△△△△△△△△△△△△△¥A君里 00017410M1妾宅の餅つきの賑しさ。出入の藤助 00017420M2か、サア+こしきか上りました。旦 00017430M3那マアはじめての餅つきいはふで、ド 00017440M4レ、おれが一ト臼づこふ。妾又跡で、 00017450M5お手や肩がいたミませうぞへ。ナンノ 00017460M6+、一臼や二臼で、めつたニよハるおれじやないテイと、 00017470M7拍子ニかゝつてトヽントン+。臼取の藤助旦那のきねハ又 00017480M8かくべつにキツウ能こたへ升。おいと様のお悦ひじやと、 00017490M9あくチヤリましりニほむれバ、旦那ハのりが来て、コヽカ 00017500M10+とトン++。はづミを見て臼取ハ、もちをチヨイ。 00017510M11旦那、からうすどつさり。下女ハ、ワハヽヽヽヽ。妾、ク 00017520M12ツサメG(十ニオ) 00017530¥N22¥J 00017540¥X身がつ手△△△△△△△△△△△△△△¥Aきみ里 00017550M15面陰のかハらでと訓し小町が哥ニあら 00017560M16ねど、とかく若いとさへ云へバ嬉しが 00017570M17る隠居。年より元気よく、此比ハ浄る 00017580M18りニこりが来て、今夜ハどこの年わす 00017590M19れ、あすハあそこのとし忘れと、ぜつ 00017600M20くだらけの本ぐりも、皆御ゐんきよ様 00017610¥P48 00017620L1+ともてはやし、出入の者か何がなついせうニ、イヤモ 00017630L2ウ、御隠居様ハキツイお達者なこと。此間私もうけ給りま 00017640L3したが、其お声の丈夫サ。とんと若いものゝやう/((で脱カ))ごさりま 00017650L4すと、れいのあぶらをのせかくれバ、隠居イヤ+、浄る 00017660L5りのときばかりハ、親父様とほめるテイG(十二ウ) 00017670¥N23¥J 00017680¥X神国△△△△△△△△△△△△△△△¥A潮月 00017690L8物申。お礼申ます。コレハお早 00017700L9&。先お上りと、目出度つくし 00017710L10の挨拶おハり、組重の盃事。折 00017720L11しも庭の梅へ鴬来りけれバ、客 00017730L12御亭主。御覧なされ。お庭へ、 00017740L13アヽ鴬か参た所、又春めいてよ 00017750L14ごさり升。亭主アレハ目白でこさり升。客よう御覧なされ。 00017760L15鴬でこさり升。亭主イヤ、目白じや。鴬じやと、互ひに詞 00017770L16あらふ成り、すでニたゝき合んずけしき。母親、中へわけ 00017780L17入て息子をしかり付、やう+引わくれハ、客コリヤきゝ 00017790L18おれ。年よりのあいさつといゝ、正月早&からけんくハす 00017800L19るも、おれもいやじやニよつて、此せりふハ永日しよG(十 00017810L20三オ) 00017820¥N24¥J 00017830¥X畳やぶり△△△△△△△△△△△△△△¥A玉非 00017840M3大三十日の日暮すぎ、折せうじおし明ケ、 00017850M4客ドウシヤ。払もしまうたかと内ニ入れ 00017860M5ば、カヽヲヽ花石さん。ようお出。おかげ 00017870M6て暮限り払もしまひまして、にぎ+しう 00017880M7春をむかへ升。おとさんも、何じやおまへ 00017890M8様ニ咄シたい事かあるとて、とうからおく 00017900M9のこたつニ待てゝこさんす。チヤツト奥へ行なされ。其間 00017910M10ニこゝら片付て、正月ごしらへ致し升。客マア其やうニ正 00017920M11月めかすまい。こよひハおれハ姫おさめ仕にきたのじやG 00017930M12(十三ウ) 00017940¥N25¥J 00017950¥X春△売卜仙△△△△△△△△△△△△△△¥A柳風 00017960M15ある人、うら借家をのこらすこぼち 00017970M16て、一園ンの梅畑となしぬ。近付の人 00017980M17&見て、サテ面白御趣向。花のさかり 00017990M18の頃にハ、一しほよき詠めならんと挨 00018000M19拶の中ニ、親しき友の、サテ貴様ハ日 00018010M20頃から、きツイ勘定高い人しやか、是は似合ぬ風雅なおも 00018020¥P49 00018030L1ひ付といハれて、亭主サアそこじやテイ。あれニ花を咲せ 00018040L2て、鶯をつるのじやG(十四オ) 00018050¥N26¥J 00018060¥X富士の下り△△△△△△△△△△△△△¥A枝卜 00018070L5サア+ちつ者もそなたも、おざうにを祝ヤ 00018080L6と、親子三人貧ンにハくらせと、加例なれバ 00018090L7と、鯛のはまやきにて三人酒もり。子が見付 00018100L8て、コレとゝさん。此鯛のほねニハ、つぶ 00018110L9+か二つも三つも有るが、コレハどうした 00018120L10物じやヤ。トヽそれハ鳴戸こした鯛にハ、そんな物が出来 00018130L11る。子なるとゝハなんの事じやへ。トヽなるとゝハナ、せ 00018140L12とゝいふて、づゝない所がある。其づゝない所を越ス度ニ、 00018150L13其つぶ+が一つづゝ出来る。子フム、そんならおまへハ、 00018160L14つぶ+がどこらへ出来るG(十四ウ) 00018170¥N27¥J 00018180¥X雷豆腐△△△△△△△△△△△△△△¥A一雄 00018190L17ドリヤ去のか。マアよいわいナ。泊りんか。イヤ+、あ 00018200L18したハ餅つきじや。ソンナラあすお出かへ。イヤモ、せつ 00018210L19き前ハこんが、正月の日がらハよいの、九日ニ初天神じや 00018220L20ぞ。サアよいわいナ。おまへニまかす身じやもの。アノナ、 00018230M1しんきでならぬ事があるわへ。夕部おまへの 00018240M2いた夢見てナ。ソリヤモウ、そふおもふてゐ 00018250M3る事見るのじや。又あんな事、わしやおもふ 00018260M4てゐる事ハミんな言ふわへ。此間も、春野さ 00018270M5んが内で、おまへとのこと言ふておだてゝし 00018280M6や。コレ、そないニ酒ものミないナ。コレハ 00018290M7十誰がまあ、其やうに。しかし師走油ハ火 00018300M8ニたゝるぞG(十五オ) 00018310¥N28¥J 00018320¥X春△一刷毛△△△△△△△△△△△△△△¥Aかづを 00018330M11春霞たなひきニけりとハ、アヽ其哥人の心もお 00018340M12もひやらるゝぞ。世に霞ほどよい物ハないと、 00018350M13きのふハ今宮の霞、けふハさなだ山の霞と、早 00018360M14朝からの大さハぎ。毎日+酒肴での物入。息 00018370M15子もキツイこまりの所へ、隣の親父が来て、御 00018380M16ゐんきよハ早朝から、どれへお出被成ました。 00018390M17サアおきゝ被成て下さりませ。此間ハ毎日かすミ霞と、早 00018400M18朝から出られますが、サテ、大キニこまり升テ。ソレハぎ 00018410M19やく上しや。チトさんりなとG(十五ウ) 00018420¥P50 00018430¥N29¥J 00018440¥X明智氏△△△△△△△△△△△△△△¥A釜井 00018450L3いつも朝起キリヤこハい顔ナ姑も、元朝とてわ 00018460L4さ+と笑皃。嫁女ウ。不都合ニないやうニ、 00018470L5よう云付キヤヽ。ヨメハイ。畏りましたと手づ 00018480L6からくんで、かゝさん。大ぶく上ケませうと、 00018490L7ちやわんニコス+指出ス。コレハ+大ぶん 00018500L8たもつた。ヨメ大福じやゆへニ、小ぶくハわるいと存まし 00018510L9てと祝義の詞ニ、あられもせず取上てのめども、天ン目ニ 00018520L10一ぱいの茶ゆへ、腹へはいらず。半分のこし、大ぶくとい 00018530L11ふ名ニ捨られもせず、マシクシと下ニおく。ヨメわたくし 00018540L12へおくれ被成ませと、グイと呑ほしけれバ、姑大事の大ぶ 00018550L13く、やる事ハならぬ。もどしや+。ヨメさやうなら、福 00018560L14あかしまであづかり升G(十六オ) 00018570¥N30¥J 00018580¥X朝の鶴△△△△△△△△△△△△△△¥A蘇笛 00018590L17親父ハ大坂行の荷ごしらへ。婆ハ麦の紙袋ニ山 00018600L18のいもの苞とりそへ、コレ親父どの。せんばの 00018610L19旦那様ハ花かお好キしやニ、アノ室咲キもつい 00018620L20でニ、其畚へといへハ、親父、分別顔。イヤ 00018630M1+、そふもなるまい。御娘ごもあること也。まして、こ 00018640M2ちのやつも子がひからの御せわ。時分がらと云ゝ、むろ咲 00018650M3の梅ハどふやら気がゝり。殊ニ物いわゐする旦那どのゝ気 00018660M4しつ。ソレハモウよしに仕ヨわい。婆なんのマア、親父と 00018670M5のゝごまのごうな。あなたにハ蔵もないものG(十六ウ) 00018680¥N31¥J 00018690¥X茶うす山△△△△△△△△△△△△△¥A五楽 00018700M8取引もさつはりしまい、さらバちつとの間 00018710M9いねつもふ/も((とカ))横ニなり、夢ごゝろニ、かね 00018720M10て文やつた娘の方から、今宵しのへとの返 00018730M11事。コリヤ有難いと出かけると、なじミの 00018740M12女郎が、客を早しまふて、かしニくる。と 00018750M13なりの女コニかね※目づかひニ気味合も 00018760M14たしておいたか、やいとすへニいぬほどに、送つておくれ 00018770M15んかといふて来る。あちらからハこちへ、こちらからハ御 00018780M16出と、引ぱりだこ。一時ニもち込んて、あまりうれしがな 00018790M17しくおそわれて、ウン++うめいてゐるを、コレ、気 00018800M18をつけさんせと、おこされて見れバ道理こそ、若戎がむね 00018810M19の上にG(十七オ) 00018820¥P51 00018830¥N32¥J 00018840¥Xをか見△△△△△△△△△△△△△△¥A五らく 00018850L3西照庵の雪も東か見へいで、モ一/し((不明))めナもの 00018860L4也。難波橋の十六橋も寒し、解舟丁も唐めい 00018870L5たといふばかり也。ナンデも雪ハ不二の事じや 00018880L6と、俄ニ駿河へ往て、雪の中かきわけての禅 00018890L7定。とう※不二のてへんへ上り、なんぼの雪 00018900L8好きもあろが、今比ニ不二禅定とハおれ斗りてあろと、ぢ 00018910L9まん心てゐる。ふもとの方から、ザンザめかして、なんで 00018920L10も雪ハふじの事しや。又格別じやと云ゝ+のぼる、あま 00018930L11たの人音ニ、上から見おろして、サテ+、世界ハしろい 00018940L12ナアG(十七ウ) 00018950¥N33¥J 00018960¥X初鶏△△△△△△△△△△△△△△¥A八済 00018970L15大三十日のせわしなさハ、何国のうらもか 00018980L16ハりなく、取引サラリと片付て、サア、こ 00018990L17れから古掛のさいそくと、家内へざうにの 00019000L18拵へ云ゝ付、ちやわんニ一つあつかん引か 00019010L19け、弓張さけて出行ける。ハヤ明方も近つきけん、町年寄 00019020L20の年礼、行ちかふ箱丁ちんの数+、上下のバリ+の音 00019030M1も、又うらゝかに、丁ちんの灯も次第ニしらむしのゝめの 00019040M2気色、春めく若ゑびすの売声もいそ+ときほひよく、掛 00019050M3先キの門の戸ドン+。内から、どうれ。戎屋三郎兵へ、 00019060M4米代のお礼申ますG(十八オ) 00019070¥N34¥J 00019080¥X馬耳風△△△△△△△△△△△△△△¥A西木 00019090M7大晦の灯ともし時分、いそがしいどうぶく 00019100M8ら、別家の権兵へが又れいのむしん。親方 00019110M9もうるさいなから、もぎとふにもいハれ 00019120M10ず、用しい+相手ニなつてゐらるゝ。権 00019130M11兵へハ一生けん命のば所、つねのせつきとちかい、此せつ 00019140M12きをむちやニいたしてハ、明日から世間へつら出しがなり 00019150M13ませぬ。ドウモ+私ハ生キてゐられませぬ。いつそ首〆 00019160M14て死で仕舞うかと存しますと、声ふるわしてくどけとも、 00019170M15親方ハうハの空。フヽン、マアさふてもして見たらよかろ 00019180M16ふG(十八ウ) 00019190¥N35¥J 00019200¥X君子の流れ△△△△△△△△△△△△△¥Aきみ里 00019210M19初春の長閑ニ明方ちか 00019220M20く、旦那ハそろ+礼の 00019230¥P52 00019240L1こしらへに、フトおもひ出して、コレ+、去年伏見町の 00019250L2道具やか持て来た道時けい、出シてたも。けふハあれをさ 00019260L3げて往て礼ニ行、道法ハモアなんぼ程ある、ためして見ヨ 00019270L4と、腰ニさげてあちこちとあるき、扨よつぽとあるひたが、 00019280L5モウなんほ程歩行たことゝ、腰のとけいはづして、あるき 00019290L6+見れバ、サテ+、おれが心ニおもふた通り、丁ど一 00019300L7りの所へ、けんさきが往てある。サテ+、能細工ナもの 00019310L8と、よねんなくながめ+あるひて、おもハずばつたり行 00019320L9あたる門松。ハヽアヽ、一り塚じやナG(十九オ) 00019330¥N36¥J 00019340¥X西王母△△△△△△△△△△△△△△¥A君さと 00019350L12田舎のぼりの客同道して、道頓堀のへんか 00019360L13ら天王寺の試桜、其外寺中の花さかり。段 00019370L14&見物して、もとり道ハ生玉へんの桃の 00019380L15花、馬場さき、のど町、上塩町、桃谷のよ 00019390L16う+たる一面の花のけしきニ客おどろ 00019400L17き、サテ+、おびたゝしい花で御ざり升か、此花どもか 00019410L18皆桃ニなりましたら、定て国&へ大分出るで御ざりませう 00019420L19ナ。イヱ+、此もゝハ皆当地てさばけ升る。客ハテナア、 00019430L20おびたゝしい此桃が、当所で皆さばけましてハ、いかさま、 00019440M1お咄しの通りの茶屋町が、ふけいきナはづかいG(十九ウ) 00019450¥N37¥J 00019460¥X吉書はしめ△△△△△△△△△△△△△¥A対寿 00019470M4あれ、門松の根もとへ子供が 00019480M5小便ンする。誰も去んか。出 00019490M6てしかれといふ内ニ、にげか 00019500M7へる。丁児の長太が走り出て 00019510M8見れバ、いろはや、まいらせ候か書てあり。ハヽア、あい 00019520M9つらも、砂ぼんの手ならひこつておるそうなG(二十オ) 00019530¥N38¥J 00019540¥Xアウン△△△△△△△△△△△△△△¥Aたいじゆ 00019550M12コリヤ、夕部のとしわすれハきつい馳走 00019560M13で、一向うつゝてもどつたか、タシカ棚の 00019570M14うへゝ、紙入あげておいたとおもふか、有 00019580M15ルか、見て来い。長吉畏りましたと、あら 00019590M16ためて来て、旦那の前へ手をつき、ハイ。 00019600M17御坐ります。どうしや。こさり升か。ハイ。 00019610M18こさります。ヱヽ、われハとんとしりごへか、聞コへん。 00019620M19こさり升か、こさりませんかア。長吉、旦那の顔キツト見 00019630M20つめて、あるウヽG(二十ウ) 00019640¥P53 00019650¥N39¥J 00019660¥X切わらのし△△△△△△△△△△△△△¥A柿二郎 00019670L3垣外申、旦那さん。ふせの請取を持てさ 00019680L4んしました。旦那、ドレ+と手ニ取 00019690L5上、ナンじや。五百文。せきぞろ・大こ 00019700L6くまい・鳥おひ。コリヤ鳥追だけ、まけ 00019710L7じやナ。ハイ、さやうで御さり升。是も 00019720L8カレコレやかましう申升故、今度頭から 00019730L9極められましたといふニ、旦那フヽン、マア五百や壱〆ハ 00019740L10出そが、とてもの事ニ、掛取りもふせニなるまいかG(廿一 00019750L11オ) 00019760¥N40¥J 00019770¥Xさびかゝミ△△△△△△△△△△△△△¥A千旭 00019780L14せつぶんの夜も七ツ過キ、どうそ厄なと払ハし 00019790L15たいと、いたつての貧家、一文の銭もなひを、 00019800L16やう+ソコラさがし出して待ゐる表へ、いに 00019810L17がけのやく払。どうそ払うて下んせと頼ニ、厄払も、よひ 00019820L18からあるいたくたぶれニ、出ん声をむりやりニ、鶴ハ千年 00019830L19亀ハ万年もヒイ+ごへ。いかなる悪魔が来りても、此厄 00019840L20払がひつとらへ、西の海へのいきもギチ+ヒイ+。夜 00019850M1ハあけて内の鶏がコツカコウ。亭主クソ、おのれまでか、 00019860M2人のひいきをG(廿一ウ) 00019870¥N41¥J 00019880¥X口塩がま△△△△△△△△△△△△△△¥A二雪 00019890M5元日の夜明、門の戸クハラリ、又コウ 00019900M6あけた所、夕部とハ大キな違ひと、ひ 00019910M7とりこといふてゐる向うから、おちよ 00019920M8ぼからけニ小わきざし。ヲヽ、是ハは 00019930M9いうさんしやないか。先御慶お目出 00019940M10度。あじいナ形リで、どこへお出じ 00019950M11や。サア、私も今年の恵方参りいたしませうと存まして、 00019960M12さいわひ丁と住吉が恵方ニあたり升ル。ことに夘の年なり。 00019970M13それで今から参詣いたし升。ナント、お参りなされぬか。 00019980M14それハかたしけない。シタカ、なんぼ恵方しやとて、夘の 00019990M15としニ住吉参りとハ、べたしやG(廿二オ) 00020000¥N42¥J 00020010¥X乗かへ駕△△△△△△△△△△△△△△¥A二せつ 00020020M18朝のまの身じまひ部屋、片はだぬひで、入ぼくろの上へ大 00020030M19もぐさのつかミずへ。あつさこらへて、きバつてゐる。げ 00020040M20いこの小糸がもどりかゝつて、ヲヽ金五さん。何しいじや 00020050¥P54 00020060L1とおもや、かいなへやひとすへかいナ。 00020070L2ソシテ、大キな艾じやナア。サイナア。 00020080L3見ておくれ。大ていや大かた、此やうニ 00020090L4あついめせニヤ、正月がしられぬわへG 00020100L5(廿二ウ) 00020110¥N43¥J 00020120¥X浜おぎ△△△△△△△△△△△△△△△¥A大丸 00020130L8日本の地の疫鬼ども、西の海へ+ 00020140L9とはらハれて、皆&西海さして落 00020150L10行見れバ、楼門ニ龍宮城といふ額を 00020160L11上、此地も年こしと見へて、門の上 00020170L12ニハ例のきらいの柊ニ、生ナいはし 00020180L13のかしらをさしたれバ、うかつにも 00020190L14はいられず。またかたハらにハ疫をはらわして居るてい。 00020200L15はる※と来たニ、爰からハ又、何国へはらひよる事とよ 00020210L16く+きけバ、東の山へさらりG(廿三オ) 00020220¥N44¥J 00020230¥X春△浦しま△△△△△△△△△△△△△△¥A高田 00020240L19長吉が親里へ五年ぶりてのやぶ入。父親も母親も近所の祭 00020250L20ニ行、内にハばゞ様ばかり。長吉ばゞさん。帰りましたと 00020260M1いへバ、婆ようござんした。こなさんハたれ 00020270M2じや。長吉わしでごんす。松じやわいノウ。 00020280M3婆どれ+と顔をながめ、ヤア松か。アイ。 00020290M4イヤ+、松じやあるまい。松が其やうニな 00020300M5る物か。何いはんすやら。松じやわいノウ。 00020310M6イヤ+、松じやない。むかいの三四郎どのニ見てもろて 00020320M7おじやG(廿三ウ) 00020330¥N45¥J 00020340¥X親玉△△△△△△△△△△△△△△△¥A智両 00020350M10手伝のとうりやうの所へ、組下の若者と 00020360M11も、元日の礼ニ来て寄合、ナント、六道で 00020370M12もせうカイ。イヤ+、かるたがよかろ。 00020380M13めい+ふところより銭取出せハ、とうり 00020390M14やうコリヤ+、こちの内て、かるたヤさ 00020400M15いハ、さす事ハならぬ。何なり共、外のな 00020410M16ぐさミニせい。ソンナラいつそ宝引せうか。ソリヤよかろ。 00020420M17サア、親父どんもよらんせ。ヲヽ、おれが親をしてやろう 00020430M18と、人数ニあハせ、なハを出し、サア、めひ+銭を出せ。 00020440M19ミナ銭ハそろふてごんす。棟りやう、フングリしつかとく 00020450M20ゝり付、ソレナラ皆そろふてゐるか。ヨシ+。とうりや 00020460¥P55 00020470L1う、片はだぬいで、ヱヽイ、やるそG(廿四オ) 00020480¥N46¥J 00020490¥Xあハひ貝△△△△△△△△△△△△△△¥A銅露 00020500L4コレおりん殿。夕部旦那さんか暦出して見て 00020510L5御ざつたか、初釜てもなさるのかいナ。リン 00020520L6イヤ+、あれハ姫はしめなさるのしや。そ 00020530L7れで夕部、姫はじめもすんだそうな。店の佐 00020540L8兵へとんも礼ニゐかんして、しまの内たらですんだそうな。 00020550L9わしもやふ入したら、姫はじめのまねびなとして来ふ。長 00020560L10吉フン、こなさんハまだか。そんなら、どうておそなろほ 00020570L11どニ、ほね正月ニさんせ。リン何として。サア、此近所の 00020580L12若衆がの、こなさんを見てハ、ヱヽ、あのけんさいのアラ 00020590L13がたゝきたいとG(廿四ウ) 00020600¥N47¥J 00020610¥X年頭神拝△△△△△△△△△△△△△△¥A亀三 00020620L16田舎者供ニつれて年頭ニ住吉参 00020630L17り。供が、申、旦那さん。アリヤ 00020640L18鳥で御坐り升か。ケブナ事を申ま 00020650L19す。あなたがつね+上手じやと 00020660L20おほめなされ升哥人の名をよびま 00020670M1す。旦那フヽン、ソリヤめづらしい。シテ、どこから、な 00020680M2んといふたぞ。ハイ。あの松の中から、としよりこいと申 00020690M3ましたG(廿五オ) 00020700¥N48¥J 00020710¥X冬△はや合点△△△△△△△△△△△△△¥Aひさ三 00020720M6男四五人こたつニあたりゐるニ、内の娘 00020730M7ハヱラ花やか。コレも一所ニあたりて、 00020740M8よも山のはなし。ナント太しう。貴様ハ 00020750M9いくつじや。サアいくつじや、さいて御 00020760M10らうじといふニ、娘のとなりニあたつて 00020770M11ゐる連中が、サアいくつて有ロぞ。しか 00020780M12し、年の事といふものハ、若ういふとよいが、ヱテ老てい 00020790M13ふと、ヘンクツな者ハはら立るナア、おむすと、尻目づか 00020800M14ひして、ふとんの下から娘の手をジツトにぎれハ、娘イヽ 00020810M15ヱ、もちつと若かろうわいナアG(廿五ウ) 00020820¥N49¥J 00020830¥X壁ニみゝ△△△△△△△△△△△△△△¥A可挾 00020840M18うらのすミニ暮して、ぜいのはつた男、 00020850M19宵から紙やで仙過一枚買うておいて、元 00020860M20朝のまだくらい間ニ、家主の門で、物 00020870¥P56 00020880L1申。お礼申升ト、上下のかハりニ、せんくハグハサ+も 00020890L2んで歩行。年寄も付合も相長やも仕舞て内へ戻り、かゝ。 00020900L3上下たとんでおきや。嚊も麻ニつるゝよもぎと、わしもは 00020910L4かまのたゝミやうハよう知つて居ルと、紙のおとをクハサ 00020920L5+、かさ高ニなやむニ、隣の女房ハ耳をかたふけて、モ 00020930L6ウとなりニハ、姫はしめしまふたそうなG(廿六オ) 00020940¥N50¥J 00020950¥Xあふむ石△△△△△△△△△△△△△△¥A歩柳 00020960L9一生手伝てくちるも残念と、わづかの元手 00020970L10で思案して、マア時分の物なれバと、ほう 00020980L11ろく売ろと出かけしも、音頭木やりとハ違 00020990L12ひ、今を初のうり声ニ云かねて、三丁行五 00021000L13丁行、北野へんの町はづれ、富家の下やし 00021010L14きと見へて、見こしの梅ハ今を春辺のさか 00021020L15りも、うらやましともおもハす、売声にのミこまり、跡さ 00021030L16き見れバ人もなし。よい所とおもひ、大和ホヲウラリ。塀 00021040L17の内から、ホヽホヲケキヨG(廿六ウ) 00021050¥N51¥J 00021060¥X花むしろ△△△△△△△△△△△△△△¥A芦調 00021070L20母追付桜か咲たら、又野がけニ連ていきませう程ニ、せい 00021080M1だしてお寺へ往て手習しやゝ。娘ア 00021090M2イ+。アノさつもりんも、つれて 00021100M3いきかへ。母ヲヽ連ていくとも。娘 00021110M4アノ長吉ハ連ていきなへ。母かあい 00021120M5さうニ、長吉もおもしろがるわい 00021130M6の。イエ+、夫でも長吉ハ連てい 00021140M7きなさんナ。わがミ、なんとして其やうにいやる。娘アナ 00021150M8ナ、長吉ハナ、去年野がけニ往た時もな、げんけ花の上で 00021160M9ナ、もつたいない、とんぼかへりをG(廿七オ) 00021170¥N52¥J 00021180¥Xちゑの板△△△△△△△△△△△△△△¥A哥木 00021190M12すゝはきの役わりせうと、旦那ハ打はらひ、シ 00021200M13ヤニかまへて、八兵衛ハ身のかるい男じや。小 00021210M14家根へ上つて窓から家根をはひたがよい。吉平 00021220M15ハ背高しやほどニ、棚な物おろして天井まハり 00021230M16をはきヤ。長兵衛ハ小男也。すの子の下ナ物引 00021240M17出して、さうぢ仕ヤと、めい+それ+ニ云 00021250M18ゝつける。傍から、申、旦那さん。わたしハ何 00021260M19を致しませう。ホヽ新平か。わがミハ背かつかうがよふて、 00021270M20つかひ方が無い。けふハいつそ休にしやG(廿七ウ) 00021280¥P57 00021290¥N53¥J 00021300¥X忘れ艸△△△△△△△△△△△△△△△¥A白里 00021310L3朋友五七人より合ての年忘れ。皆初老か 00021320L4ら五十余りの分別盛り。呑んでハかまハ 00021330L5ぬ気ニ成、いつそ芝居せうかいと、俄ニ 00021340L6ゐしやう、かつら取寄て、ぜつくやらわ 00021350L7るミやら、芝居ハはてゝもまだ夜ハあけず。これから寒声 00021360L8と出かけうと、五七人か近き野へんへ行、謡やら浄るりや 00021370L9ら、うか+あるくうちニ、ハヤ夜ハがハラリ明け、めい 00021380L10+のからだを見れハ、すはうゑぼしを着てゐるもあれバ、 00021390L11女形のかづらかけてゐる者やら、いつこうやくたい。此な 00021400L12りして昼中ニハと、あんじ+もどるむかふから、近付の 00021410L13人が、コレハ+、早朝からどちへお出なされましたとと 00021420L14ハれて、されバ、夜前ハ大原へ参詣いたしましたが、いね 00021430L15が悪うてG(廿八オ) 00021440¥N54¥J 00021450¥X白妙△△△△△△△△△△△△△△△¥A路笛 00021460L18はたごやの元朝ニ旅人をおこし、サア+、皆おざうにお 00021470L19祝ひ被成、目出たふ御出立なされませ。旅人ハめい+起 00021480L20上り、サテゆふべ初夢ニ、わしハ都のふじの山を見た。一 00021490M1人の旅人ハ、サアわしも初夢ニ、有馬のふじ 00021500M2の山を見ました。ま一人の旅人が、おれハさ 00021510M3つまのふじを夢ニ見た。カウ三人寄た所ニ、 00021520M4誠のふじを見た物がないか、近比残念なノ 00021530M5ウ。サアそこが、どふても田舎だけしやG(廿 00021540M6八ウ) 00021550¥N55¥J 00021560¥X山かつら△△△△△△△△△△△△△△¥A筆外 00021570M9大三十日の夜も更渡りて、亭主モウ嚊、取り 00021580M10ニ来ル所もあるまいの。カヽハイ。米やがま 00021590M11だ参ンじませぬ。ヨイワイ。其あいだニ来う 00021600M12ぞい。わがミもイねつミやと、こたつへコロ 00021610M13リ。昼からのくたびれニ、前後もしらす一寐 00021620M14入。表の戸トン++。福屋徳兵へ、御礼申ます。亭主、 00021630M15ねミヽへ入て、ヲイ、十四日ニ来て下んせG(廿九オ) 00021640¥N56¥J 00021650¥X春色こそ見えね△△△△△△△△△△△¥A亀ミつ 00021660M18まかないが、申、若旦那様。御ゐん居様がおつしやつてゞ 00021670M19こさり升。せんざゐの梅の花の枝ぶりのよいを、あなたが 00021680M20ごらうして、一枝お切りなされて下さりませ。ムスコヲツ 00021690¥P58 00021700L1ト合点。誰ぞ手しよくもておじやニ、こし元 00021710L2が手しよくともし、二人リハおくへ行。サテ 00021720L3きつうひまがゐるから、まかなゐハおくへゆ 00021730L4き、せんざゐを見れど、手しよくのあかりも 00021740L5見へず。ハテめんやうなと、くらがりニおく 00021750L6の間のふすまをあけると、じきニ梅のにほひ 00021760L7ニ、まかないハしあんして、ハテナアG(廿九ウ) 00021770¥N57¥J 00021780¥X入間川△△△△△△△△△△△△△△△¥A芦波 00021790L10門からの物申+も、しら川夜舟と居ねふる丁 00021800L11児、一調子あげて、物申といへバ、ヒツクリし 00021810L12て、通らつしやれ。礼者かはらを立て、何とも 00021820L13いはず、去んて仕舞う。内から内義が、コレ長 00021830L14吉。めつそうナ。お礼者ニ、通らつしやれとハ 00021840L15何の事じや。居ねふらずと、おきて居や。ハイ+。居ね 00021850L16ふるまいぞ。ハイ+の返事も、はんぶんうつゝ。門から 00021860L17乞食が、おせちのおあまり下アイ。長吉かたじけのふごさ 00021870L18りますG(三十オ) 00021880¥N58¥J 00021890¥X年薪△△△△△△△△△△△△△△△¥A九礎 00021900M1杣かせぎする男が、年来樵かた手、正 00021910M2月のこしらへ、お注連かざらんと、門 00021920M3口へ出て見た所が、何が山里の事なれ 00021930M4バ、わらやの軒ハ、玉すだれ見るやう 00021940M5ニ、一面ンのつらゝ。是でハどうもし 00021950M6めがはられんと、つらゝをホキ+折てハたばね+G(三 00021960M7十ウ) 00021970¥N59¥J 00021980¥Xいすかの觜△△△△△△△△△△△△△¥A雷数 00021990M10妾申、旦那さん。歳旦とやらか来てござり 00022000M11升が、チト読てお聞しなさらぬか。旦那サ 00022010M12ア、おれも両節を案してゐるか、モウ毎年 00022020M13の事ゆへ、古めかしうて、どうも出来ぬ。 00022030M14妾アノ中の芝居て、金作かいたし升たかゞ 00022040M15の千代とやらハ、きやうとい誹人じやげニこさり升。朝顔 00022050M16ニつるべとられてもらひ水といへハ、旦那イヤ+、まだ 00022060M17そんな事じやない。夫ハ+名句があるテイ。マアSおき 00022070M18て三つ寐て三つ蚊家のひろさ哉。妾ヲヽせうし。女の口か 00022080M19らG(三十一オ) 00022090¥P59 00022100¥N60¥J 00022110¥X山吹なかし△△△△△△△△△△△△△¥A奴逸 00022120L3宿老と丁代とつれての戎参りニ、例の千鳥 00022130L4足。丁代なんと旦那様。此笹ニつけた丁銀 00022140L5の丁の字ハ、丁代の丁の字なれは、銀子持 00022150L6ニなりそうな物じやか、今ニびんほういた 00022160L7し升。宿老ハテ、文字わりほと能仕たもの 00022170L8ハない。丁の字と同し事て、此しんちうの小判も、人の主 00022180L9とかけハ金とよむテイ。丁代イヤ申、旦那さん。真ンで書 00022190L10く時ハ人の主とハかきませぬナ。宿老ハテ扨、しんでハ入 00022200L11らぬ物じやG(三十一ウ) 00022210¥N61¥J 00022220¥X年仕舞△△△△△△△△△△△△△△△¥A芦波 00022230L14権衛殿、聞て下され。せいぼの祝ひニ、上方 00022240L15の孫めか、かずの子といふものくれたが、ツ 00022250L16イニ見た事もなひ。いか様三四十年もまへか 00022260L17た、上方へのほつた時喰て見たが、サテほり 00022270L18+してよいもの。此間引出してたいて見た 00022280L19り、又焼て見たり、ほうろくへ入ていつて見 00022290L20たり、いろ+ニしても、とんとかとうてくへぬ。せんほ 00022300M1うつきて、ごもく場へ捨て仕舞たが、サテかハつた事でく 00022310M2へるやうニなつた。権兵へフヽン、夫ハどうしていの。サ 00022320M3ア聞ておこう事の。今朝の雪にせうへんしたらG(三十二オ) 00022330¥N62¥J 00022340¥X三千丈△△△△△△△△△△△△△△△¥A伊沙 00022350M6道頓堀の浜茶やニ、けいこ、たいこ持よん 00022360M7ての大さハぎ。納やの下から、ヱヽ、よい 00022370M8かげんニほたへくされ。あんまりどさ+ 00022380M9しおるで、マタ一切リおちてのけたと、非 00022390M10人かぼやく。上にハしこつて、おとるやら 00022400M11わる身やら、とんづはねつ。ヱヽ、あたや 00022410M12かましいと見上ると、あんまりほたへて酒をこミあげ、ゑ 00022420M13んばなから、ゲヱと云ふて反吐をだら+。乞食コリヤ、 00022430M14かゆやろが来たさうなG(三十二ウ) 00022440¥N63¥J 00022450¥X南部暦 00022460M17年こもりの参宮人か、身どもハ奥州南部領 00022470M18鹿角郡だか、お手まへ様ハどこだ。わしハ 00022480M19大坂でごんすと咄し+、大津の町へかゝ 00022490M20る。南部者、大津絵をつく※見て、ハテ 00022500¥P60 00022510L1むつかしい絵だ。コレ、大坂の野郎。アノ鬼の衣を着たハ 00022520L2何とよむ。アリヤ鬼の念仏でごんす。イヤサア、何とよむ 00022530L3と云事サ。なんじや知らぬウ。しからバこれの御亭。コチ 00022540L4ラの藤の花かたけたおん女郎ハどう読申ぞ。亭主あれハは 00022550L5んじ物でハごさらぬと、とりあへねバ、南部者サテ+、 00022560L6上方の野郎ハ、ガイニ無筆がおゝひG(三十三オ) 00022570¥N64¥J 00022580¥X玉の春 00022590L9おしつめて、船場から上町への宅がへしての大三十日。内 00022600L10義コレさつ。家うつりから間がない故、何も片付ぬけれど、 00022610L11加例ハかゝされぬ。井戸へとそをさげておいたほどニ、上 00022620L12てたも。モウ掛取の音もせず、若戎うる声がきこへるぞや。 00022630L13下女、ハイ+と、井戸へかゝり、たぐつても++船 00022640L14場とちがふて、井戸が深けれバ、大ていでハ上らず。ヱイ 00022650L15ヤヲウとたぐりあげて、下女けれうモウ春なりやこそ 00022660¥Y 00022670L17諸君の高案、六十有条、後ニ一章を加て、目出度春の寿ニ 00022680L18備ふ而己 00022690L19△△△△△夘初春△△△△△△△必&舎馬宥蔵梓 00022700L20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(三十三ウ) 00022710¥N65¥J 00022720¥X判のねまり 00022730M3此早春ハ、両節の咄集ハ旧冬より入板にて、もはや彫刻し 00022740M4まひ、つぎニ春興のすり物、干蕪の絵を彫て居ル所へ、加 00022750M5例とて、奴ラサが来て、ハヽア、今としも又、はなしのや 00022760M6うなG 00022770G1△△藤邨左文 00022780G2版木卯判攸 00022790¥P61 00022800¥U噺本大系△第十二巻 00022810¥T/夜明烏(よあけがらす)△〔内題〕 00022820¥G 00022830¥Y 00022840L17天明三年正月序 00022850L18無尺山人序 00022860L19小本一冊 00022870L20学習院大学図書館蔵 00022880¥Y/夜明烏(よあけがらすの)/序(じよ) 00022890M3/古語(こご)に/曰(いハく)、/一老夫(いちらうふ)あり、/山林(さんりん)に/樵(きこ)る。/一老姥(いちらうば)あり、/川流(せんりう)に 00022900M4/衣(ころも)を/洗(あら)ふなどゝいはずして、/春雨(はるさめ)(甲オ)/五月雨(さミだれ)のつれ+ 00022910M5にも、むかし+と/和(やハ)らかに/噺(はな)しかけるが、/日本(にほん)の/習(ならハ)し。 00022920M6すける事とて、人の/聞知(きゝしり)たまハんことも(甲ウ)しらで、出 00022930M7るまゝのたハことに、あほう+の/声(こへ)/聞(きく)とき、はじめて心 00022940M8付て、/夜明烏(よあけがらす)とハ/題(だい)しぬ 00022950M10△△△天明三つのとし正月日 00022960M11△△△△△ねむたき目にて書をハる(乙オ) 00022970M12△△△△△△△△△△△△△△無尺山人書于一歩舎 00022980M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△G 00022990M16△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(乙ウ) 00023000¥P62 00023010¥T1/夜明烏(よあけがらす) 00023020¥N1¥J 00023030¥X/文字(もじ)ちがひ 00023040L5/去息子(さるむすこ)、/色(いろ)ぐるひに/身(ミ)を/持(もち)くづし、/親(をや)の/勘当(かんだう)を/受(うけ)て/行所(ゆくところ)ハ 00023050L6なし。/愛宕(あたご)へなりと/参(まい)らんと、ぶら※と/山(やま)へ/上(のぼ)り、廿四 00023060L7五/丁目(てうめ)になつて、/腹(はら)ハへる(一オ)/行(ゆく)さきのあてハなし。/杉(すぎ) 00023070L8の/根(ね)にこし/打(うち)かけて/田(た)ばこのミ+、さて+、/是(これ)ハつま 00023080L9らぬ。どふした/心(こゝろ)で、/此様(このやう)には/成(なつ)たことじやしらぬ。/全(まつた)く 00023090L10これハ/魔(ま)のわさじやと/独言(ひとりごと)いふてゐるを、/上(うへ)から/天狗(てんぐ)が/聞= 00023100L11付(きゝ=つけ)て、ナニヲぬかす。ミな、らの(一ウ)わざじや(二オ)(二 00023110L12オ挿絵) 00023120¥N2¥J 00023130¥X/負(まけ)をしみ(二ウ)(二ウ挿絵) 00023140L15/無眼都(めないち)といふ/座頭(さとう)、/早朝(さうてう)に湯やへゆき、/丸裸(まるはだか)に成て、おば 00023150L16さん、/手拭(てぬぐひ)一つかしてをくれといふて、/風呂(ふろ)の/戸(と)をあけ、 00023160L17/御免(ごめん)成りませと/挨拶(あいさつ)すれど、まだ/一人(ひとり)も入りてなし。ぬか 00023170L18らぬ/顔(かほ)で、ナドヽいふたものじや(三オ) 00023180¥N3¥J 00023190¥X/将棊(しやうぎ)/風呂(ぶろ) 00023200M1/将棊(しやうぎ)ずきの/親父(をやぢ)、風呂やへゆき、戸を/明(あけ)てはいりしな、 00023210M2どなたも御免。/桂馬(けいま)がさハりませうといへバ、/中(なか)にも/将棊(しやうぎ) 00023220M3ずきの人ありて、桂馬ハかまハぬが、/王(わう)のあたまへ/金(きん)とハ 00023230M4あんまりじやと(三ウ)いへバ、/側(そば)から、おまへ、/金(きん)でをし 00023240M5あわせ。/歩(ぶ)なら、くさうてたまるまいといふた 00023250¥N4¥J 00023260¥X/丁稚(でつち)の/頓作(とんさく) 00023270M8ナント/長吉(てうきち)。そちのだんなハ/妾(せう)ができたけなが、/器量(きりやう)ハよ 00023280M9いかといへバ、いや+、そんなものハできぬといふ。い 00023290M10や+、かく(四オ)すな。おてかの/宿(やど)もしつているといへ 00023300M11バ、アノおてかの/事(こと)を/妾(せう)といふか。きこゑた。/此中(このぢう)ハそれ 00023310M12で/大(だい)がやかましい 00023320¥N5¥J 00023330¥Xほめくづし 00023340M15/奴(やつこ)らさが四五人より/合(あい)、なんと/可内(べくない)。/此(この)ごろの/御門跡(ごもんぜき)様の 00023350M16/御能(をのふ)をミたか。(四ウ)アノ/道成寺(だうじやうじ)を/舞(まつ)た二/才(さい)ハ、/赤(あか)へた 00023360M17ゞといへば、/一人(ひとり)の/奴(やつこ)が、あれハヲラガ/旦那(だんな)の/御師匠(をししやう)で、 00023370M18/上手(じやうず)じやといふ。イヤ+、/上手(じやうず)の/道成寺(だうじやうじ)ハ/雨(あめ)がふるも 00023380M19のじやが、ふらぬハ/下手(へた)じやといへバ、/又(また)/一人(ひとり)がいふハ、 00023390M20スレバ、をらが/旦那(だんな)ハ/上手(じやうず)と見へた。/去年(きよねん)/熊坂(くまさか)を(五オ)/舞(まハ) 00023400¥P63 00023410¥G(二オ・ウ) 00023420M1れたが、/其晩(そのばん)にハ/盗人(ぬすびと)がはいつた 00023430¥N6¥J 00023440¥X/片意地(かたいぢ) 00023450M4/太郎兵(たろひやう)。/内(うち)にか。こゝな/三太(さんた)が、/下(しも)の/町(てう)に/目(め)をまハしてゐ 00023460M5る。/早(はや)ふいきやといへば、いや+、三/太(た)ハ/裏(うら)に/風呂(ふろ)たい 00023470M6てゐるはづじやといふ。ソレデモ/今(いま)をれが(五ウ)ミてきた 00023480M7といふゆへ、三/太(た)+と/呼(よべ)バ、ハイトいふて/出(で)てくる。/扨= 00023490M8&(さて=+)/合点(がつてん)のゆかぬ。アノ/目(め)を/廻(まハ)してゐるハ、三/太(た)に/違(ちが)ひハな 00023500M9いといふゆへ、そんなら/一走(ひとはしり)見てこいといへば、/其(その)まゝ 00023510M10かけ/出(いだ)し、すう+いふてかえり、イヱ+、/私(わたくし)てハごさ 00023520M11りませぬと(六オ)いへば、/亭主(ていしゆ)もあんどして、/本人(ほんにん)がそふ 00023530M12いふなら、たしかじや 00023540¥N7¥J 00023550¥X/流石(さすが)ハ/浪人(らうにん) 00023560M15/寄合(よりあひ)て/将棊(しやうぎ)をさしゐけるに、/浪人(らうにん)もの一人、/朱鞘(しゆざや)の/大(をゝ)だら 00023570M16をさしこハらかして見てゐて、/毎度(まいど)/助言(じよごん)を(六ウ)いふゆへ 00023580M17に、ハテ/仰(をゝせ)られなといひさまに、/扇(あふぎ)にてあたまを一つたゝ 00023590M18きければ、/彼浪人(かのらうにん)、ものをもいハず、/座(ざ)を/立(たつ)て/帰(かへ)りぬ。そ 00023600M19れから/一座(いちざ)がしらけて、/扨&(さて+)きのどくなことかな。/尤(もつとも)/助= 00023610M20言(じよ=こん)をいふハ/至極(しごく)わるけれと、/侍(さむらひ)のあたまを/叩(たゝ)くとハ、(又六 00023620¥P64 00023630L1オ)あんまりなことじや。/是(これ)ハ/尻(しり)のこぬ/先(さき)に、/此方(こつち)から/誤(あやま) 00023640L2るがよからふと、/評判(へうばん)とり※の/所(ところ)へ、かの/浪人(らうにん)、/兜(かぶと)を/着(き) 00023650L3てズツト/通(とを)る。/南無(なむ)さん、/大事(をゝごと)じやとさハぎけれバ、/彼(かの)さ 00023660L4むらひ、/座(ざ)をしめて、サア+をさしなされ。なんぼたゝ 00023670L5かれても、(又六ウ)/是(これ)でハたしかじや 00023680¥N8¥J 00023690¥Xねとぼけ 00023700L8/夜(よ)ふけて/表(をもて)の/戸(と)をしきりにたゝく。ねみゝへ、ふと/入(いり)けれ 00023710L9バ、たれじや+ととかむれバ、をれしや。あけてたもと 00023720L10いふ。ハテ、かてんのゆかぬ。(七オ)をれハこゝにゐるが 00023730¥N9¥J 00023740¥X/鼠(ねずミ)の/元気負(げんきまけ) 00023750L13/長吉(てうきち)+。/何(なに)やらねずミかかぢる/程(ほど)に、/起(をき)て/台所(だいどころ)を見よと 00023760L14いへば、/目(め)をすり+/火(ひ)をとぼして、はしり/本(もと)を見て、イ 00023770L15へ+、なんぼかぢつても/大事(だいじ)(七ウ)ないものでごさりま 00023780L16す。ナンジヤ。わさびをろしでこざります。そんならよい 00023790L17ハといふてねられしに、/又(また)しバらくすると、しきりにかぢ 00023800L18る。/旦那(だんな)こらへかねて、/長吉(てうきち)。/大儀(たいき)ながら/又(また)/起(をき)てミよとい 00023810L19へバ、つらふくらしながら/火(ひ)をとぼし見て、イヱ+、も 00023820L20ふ(八オ)よふござるといふ。ソレハなぜにといへバ、/最早(もはや) 00023830M1/尾(を)ばかりに/成(なり)ましたといふた 00023840¥N10¥J 00023850¥X/文字(もじ)せんさく 00023860M4かねといふ字ハどふかくといへバ、ハテ、しれたことじや。 00023870M5/人(ひと)の/主(ぬし)とかくといふ。それハ/知(しつ)てゐる。しんでハどふかく 00023880M6と(八ウ)とへば、イヤ、しんでハいらぬ 00023890¥N11¥J 00023900¥X其二 00023910M9をとといふ/字(じ)ハどふかくととふ。ハテ、しれた/事(こと)じや。/七= 00023920M10百(しち=ひやく)とかくといへば、それハしつてゐる。/真(しん)でハどふかくと 00023930M11/問(とふ)。/真(しん)でハ/六百(ろつひやく)とかくといへバ、ハテノフ、(九オ)けつく 00023940M12/百(ひやく)やすいか 00023950¥N12¥J 00023960¥X/邯鄲(かんたん)のまくら 00023970M15さる/有徳(うとく)の/人(ひと)、/遊(あそ)ひつくしたうへ、ふと/唐(もろこし)の/盧生(ろせい)がかんた 00023980M16んの/枕(まくら)で五十/年(ねん)の/栄花(ゑいぐハ)の/夢(ゆめ)を見たをうらやミ、/何(なに)とぞ/其(その)ま 00023990M17くらがほしいと思へ(九ウ)ど、/一向(いつかう)てに/入(いる)べくもなく、ぶ 00024000M18ら+と/気(き)むつかしき/体(てい)を、/番頭(ばんとう)が/此(この)よしを/聞(きゝ)て、/色&(いろ+)と 00024010M19/詮義(せんぎ)せしに、かんたんの/枕(まくら)といふハ、/末口(すへくち)三/尺(しやく)八/寸(すん)の/南= 00024020M20天(なん=てん)を、/寸法(すんほう)あつて/削(けづ)り/上(あげ)たるものゝよしを/聞出(きゝいだ)し、/所詮(しよせん)/其= 00024030¥P65 00024040L1通(その=とをり)にハ/出来(でき)ぬゆへに、(十オ)/色&(いろ+)と/工夫(くふう)をめぐらし、/旦那(だんな) 00024050L2へいふ/様(やう)ハ、/段&(だん+)/御望(をのぞミ)の/品(しな)を/吟味(ぎんミ)候に、かやう+のもの 00024060L3は、/中&(なか+)/日本(につほん)にてハ/手(て)に/入(いり)申さず。/夫(それ)ゆへ、/私(わたくし)が/工夫(くふう)にて 00024070L4/寸法(すんほう)の/通(とをり)に/篭(かご)をこしらへ、ずいぶん/南天(なんてん)の/葉(は)をおし/込(こミ)、こ 00024080L5れをなされ候ハヽ、十四(十ウ)五/年(ねん)の/夢(ゆめ)ハ/御(ご)らんも候/半(ハん)か 00024090L6と申/付(つけ)しよしいひけれバ、/殊外(ことのほか)のきげんにて、/先&(まづ+)/一献(いつこん)/呑(のむ) 00024100L7べしとて二三/献(こん)/呑(のミ)て、ちとねむけ/付(つい)たり。いざ/其枕(そのまくら)してゆ 00024110L8めを見て/咄(はな)さん。/其方(そのほう)ハそれにて酒のめと、/其座(そのざ)に/横(よこ)に/成(な) 00024120L9りけれバ、/番頭(ばんとう)も(十一オ)いざ/其様子(そのやうす)をミんと、/枕元(まくらもと)にて 00024130L10/伺(うかゞ)ひミるに、しごくじゆくすいの/様子(やうす)。さてこそ/夢(ゆめ)の/始(はじま)り 00024140L11ならんと/伺(うかゞ)ひゐる/内(うち)に、すこしづゝウン+といふておそ 00024150L12ハるゝ/心地(こゝち)なり。/定而(さだめて)/今比(いまごろ)ハ/面白(をもしろ)き/最中(さいちう)ならんとおもひし 00024160L13に、けしからずうめき(十一ウ)/大(をゝ)あせをかきて、ウン+ 00024170L14といひけるゆへ、/番頭(ばんとう)もきのどくがりて、申+とゆり/起(をこ) 00024180L15しければ、/漸&(やう+)と/目(め)をあき、やれ+うれしや。よう/起(をこ)し 00024190L16てくれた。さても+/赤飯(こハめし)をしゐられて、なんぎした 00024200¥N13¥J 00024210¥Xはがねの/廻(まハ)りすぎ(十二オ) 00024220L19/去女房(さるにようぼう)、/間男(まをとこ)を/夫(をつと)のるすに/内(うち)へ/呼(よ)び、二/階(かい)へあがりてたの 00024230L20しミゐけるが、/兼(かね)て/間男(まをとこ)あることをかぎつけて、はなし 00024240M1のしミたる/時分(じふん)に/内(うち)へかえり、二/階(かい)のあがり/口(くち)に/大脇指(をゝわきざし)を 00024250M2さしてひかへゐたり。/此様子(このやうす)を二/階(かい)よりミて、(十二ウ)/最= 00024260M3早(も=はや)/一生懸命(いつしやうけんめい)と/女房(にようぼう)もかくごを/極(きハ)めて、しづ+と/下(した)へを 00024270M4りて、かく/顕(あらハ)るゝ/上(うへ)ハ/是非(ぜひ)なし。/御存分(ごぞんぶん)にし給へといへハ、 00024280M5よい/覚悟成(かくごなり)とて、/脇指(わきざし)すらりとぬき、/水(ミづ)もたまらず/首(くび)をこ 00024290M6ろりと/打落(うちをと)しぬ。二/階(かい)の/間夫(まをとこ)、/所詮(しよせん)/叶(かな)ハぬ/場所(ばしよ)なり。(十三 00024300M7オ)じんじやうに手にかゝらんと、二/階(かい)よりをり、/彼男(かのをとこ)の 00024310M8そばに/居直(いなを)りて、かくごきハめゐるなり。/存分(そんぶん)に/切(きり)たまへ 00024320M9といへバ、/彼男(かのをとこ)、/大(だい)の/眼(まなこ)をむき/出(いだ)し、ぞんじもよらず。/切= 00024330M10事(きる=こと)ハまかりならぬといふ。それハ/何(なに)ゆへといへば、サレバ、 00024340M11うま+と(十三ウ)/前(さき)の/世(よ)で/添(そを)ふでな 00024350¥N14¥J 00024360¥X/思案自慢(しあんじまん) 00024370M14さる/方(かた)へ、三四/人連(にんづれ)にて/振廻(ふるまひ)に/行(ゆき)しか、/酒宴(しゆえん)/半(なかバ)に/庭(にハ)を見れ 00024380M15バ、/飛石(とひいし)のそはに、/不相応(ふさうわう)なるたばこ/一本(いつほん)はへたり。/是(これ)ハ 00024390M16/御(を)ものずきにやと/尋(たづね)(十四オ)しに、/亭主(ていしゆ)のいひけるハ、い 00024400M17かゞいたしたる/事(こと)にや、/自然(しぜん)とはへ候ゆへ、/珍敷所(めつらしきところ)に/生(はへ)た 00024410M18ることと申て、/其(その)まゝにそだて/置(をき)し/由(よし)をいひけれバ、/中(なか) 00024420M19にも一人、/思案自慢(しあんじまん)の/男(をとこ)、/小首(こくび)をかたむけて、いかさま、 00024430M20/種(たね)もまかぬに/田葉(たば)このはゆるとハ、(十四ウ)めづらしき/事(こと) 00024440¥P66 00024450L1なり。もしやしぜん、すいからでも/落(をち)てあつたものか 00024460¥N15¥J 00024470¥X/小便(せうべん)の/工夫(くふう) 00024480L4こゝな/小便(せうべん)ハなんとしやるといふ。イヤ、/近在(きんざい)から/得意(とくい)が 00024490L5あつて、/取(とつ)ていぬる。それハたゞか。イヤ+、/時&(とき+)のあ 00024500L6るひハ/大(だい)(十五オ)こん、/茄子(なすび)のるいを、かへものにおくと 00024510L7いへバ、それを/喰(く)やるかといふ。/勿論(もちろん)の/事(こと)じやといへバ、 00024520L8/扨&(さて+)きたないことかな。/小(せう)べんにかへたものを/喰(くう)とハあき 00024530L9れるといへバ、そんなら、き様の/所(ところ)のハどふしやると/問(と)へ 00024540L10バ、こちの小べんハ(十五ウ)/一荷(いつか)を/何(なに)ほどゝ/極(きハ)めて/置(をい)て/売(うる) 00024550L11といふ。それハ/同(をな)じことじや。/其銭(そのせに)で/又(また)ものを/買(かふ)てくやる 00024560L12であらふが。イヤ+、/其様(そのやう)なきたない/事(こと)ハせぬ。ためて 00024570L13/置(をい)て、ふんどしを/買(かふ) 00024580¥N16¥J 00024590¥X/松蕈(まつだけ)のさし合(又十五オ) 00024600L16/去方(さるかた)より/松茸(まつだけ)を/送(をく)りけれバ、/下人(げにん)を/呼(よび)、/幸(さい□)ひあすハ/客(きやく)も/有(あり)。 00024610L17よく+たばひ/置(をく)べし。しかし/米(こめ)の/中(なか)へなど/入(いれ)なといへば、 00024620L18それハなせてござると/問(とふ)。サレバ、/飯(めし)にたけバ/何事(なにこと)ない/物(もの) 00024630L19なれど、/生米(なまごめ)ハ松だけにさし/合(あひ)じやと(又十五ウ)いふ。/下= 00024640L20人(げ=にん)あきれたる/顔(かほ)にて、それで/聞(きこ)へたことがこざりますとい 00024650M1ふ。ソレハなせときけバ、サレバ、ふんとしにハ/糊(のり)を/付(つけ)ま 00024660M2せぬ 00024670¥N17¥J 00024680¥Xひとつハ/本(ほん)の/事(こと) 00024690M5ある/夜(よ)の/夢(ゆめ)に、/所(ところ)ハ/岡崎辺(をかさきへん)の(十六オ)/野(の)道と/覚(おほ)へ、/二人(ふたり)づ 00024700M6れにて/通(とを)りしが、/向(むか)ふのミぞばたに壱/歩(ぶ)が/二切(ふたきり)/落(をち)てあり。 00024710M7/目(め)ばやくミつけけれど、つれにしらせたらバ壱/歩(ぶ)づゝわけ 00024720M8/取(どり)にせねばならぬとおもひ、/貴様(きさま)ハ/先(さき)へ/御出(をいで)なされ。われ 00024730M9らハ/小(せう)べんを(十六ウ)して/行(ゆ)くと、/引(ひき)まくり/小便(せうべん)をこゝろ 00024740M10よくして、/扨(さて)/彼(かの)弐/歩(ぶ)を/懐中(くハいちう)して/帰(かへ)ると見て、/夢(ゆめ)ハさめぬ。 00024750M11まざ※/敷事(しきこと)ゆへ、ふところをさがし、/又(また)/枕元(まくらもと)をさかし 00024760M12ミれと、/金(かね)ハなし。小/便(べん)したのハ、ほんの/事(こと)であつた(十 00024770M13七オ) 00024780¥N18¥J 00024790¥Xつとめの/大意(だいゐ) 00024800M16/去息子(さるむすこ)、/一向(いつかう)/嶋原(しまハら)へはいりこミ、/太夫(たいふ)とふかひ/中(なか)とやらに 00024810M17なつて、/家業(かぎやう)もそこ+に/成行(なりゆく)ゆへ、/親父(をやぢ)、/大(をゝ)きに/腹立(ふくりう)に 00024820M18て、/先(まづ)いづかたへも/他行無用(たぎやうむやう)といひ/付(つけ)、ざしきへ/追込(をいこミ)を 00024830M19き、(十七ウ)/自分(じぶん)ハ/店(ミせ)へ/出(で)て、/万事(ばんじ)の/差図(さしづ)してゐるところ 00024840M20へ、/里(さと)めきたる/若(わか)もの、/文箱(ふミばこ)を/持(もち)て/来(きた)りしゆへ、/親父(をやぢ)がこ 00024850¥P67 00024860L1れへといハるゝにそ、/使(つかひ)のものもきのとくなから渡しけれ 00024870L2バ、/返事(へんじ)ハ/此方(このほう)よりつかハさん。/置(をい)てかへられよといふに、 00024880L3せひ(十八オ)なくかえりぬ。どふでろくなことでハ/有(ある)ま 00024890L4いと、/文箱(ふミばこ)をひらき見るに、/太夫(たゆふ)よりの/文(ふミ)なり。/何(なに)やら/小(ちい) 00024900L5さきものにつゝみしものあり。/扨(さて)こそとひらきミるに、な 00024910L6ま+/敷(しき)/小指(こゆび)なり。もとの/通(とを)りに/包(つゝミ)をきて/息子(むすこ)を/呼(よび)、/文箱(ふミばこ) 00024920L7を(十八ウ)/渡(わた)しけれバ、/覚(をぼ)へのある/文箱(ふミばこ)。/消(きへ)たきこゝちな 00024930L8れど、そばにて/中(なか)をひらきミよといふゆへ、こハ※あけ 00024940L9て見れば、/心(こゝろ)におぼへの/有(ある)ふくさ/包(つゝミ)。なむさんと、たもと 00024950L10へ/入(いれ)んとするを、/其中(そのなか)を/爰(ここ)にてひらき見よといふ。/是非(ぜひ)に 00024960L11/及(をよバ)ず(十九オ)ふくさをとけば、なま+/敷(しき)/小指(こゆび)なり。/差(さし)う 00024970L12つむきてゐければ、/親父(をやぢ)/声(こへ)をふるハし、さて+/己(をのれ)ハなさ 00024980L13けなき/性根(しやうね)かな。それを見をれ。よその人ハそのやうに、 00024990L14/家業(かぎやう)にミを/入(いれ)らるゝことを見ならへ(十九ウ) 00025000¥N19¥J 00025010¥X/臆病(をくびやう)の/高名(かうめう) 00025020L17/年(とし)に/不足(ふそく)もない/大(だい)をくびやう/者(もの)。/夜(よ)ふけて/建仁寺(けんにんじ)の/門前(もんぜん)を 00025030L18/通(とを)りしに、/前後(ぜんご)を見かへるほときミわるく、/足(あし)もそゞろに 00025040L19/地(ち)につかず/通(とを)りしを、/建仁寺狸(けんにんじだぬき)がやぶの/小(こ)かげ(二十オ)よ 00025050L20り/伺(うかゞ)ひミて、なんでもこゝへ/来(きた)らハ、をとしてくれんと/待(まち) 00025060M1かけ、/例(れい)の/大坊主(をゝぼうず)になりて、ぬつと/出(いで)ければ、ワア、/何(なに)も 00025070M2のじやと、かミ/付(つく)やうにいひけれバ、/狸(たぬき)もびつくりして、 00025080M3ふるひ/声(こへ)にて、ハイ。たぬきでごさります(二十ウ) 00025090¥N20¥J 00025100¥X/新道成寺(しんだうじやうじ) 00025110M6京/祇園町辺(ぎをんまちへん)を/得意(とくい)にして、/不断(ふだん)/荒神(くハうじん)ばらひにゆく、/年(とし)の 00025120M7/頃(ころ)十七八になる山/伏(ぶし)の/有(あり)しが、/中(なか)にも/祇園町(ぎをんまち)にてハ/繁昌(はんじやう)の 00025130M8/茶(ちや)屋へ、/取分(とりわき)心やすく、/花車(くハしや)も/何(なに)かに/心(こゝろ)を/付(つけ)てしたしミけ 00025140M9るが、花車(廿一オ)/娘(むすめ)をてうあいの/余(あま)りに、アノ/客僧(きやくさう)こそ 00025150M10/汝(なんぢ)が/妻(つま)よ/夫(をつと)よなんどゝたハむれしを、/此(この)むすめ、おさな/心(ごゝろ) 00025160M11に/誠(まこと)と思ひ、/或夜(あるよ)/彼(かの)山ぶしとまりけれバ、/夜(よ)ふけ人しづま 00025170M12つて/後(のち)、/彼(かの)山ぶ/((し脱カ))のねやに/行(ゆき)、いつまでわらハを、かくて/置(をき) 00025180M13給ふぞ。/早(はや)くむかへ給へと(廿一ウ)いひけれバ、/客僧(きやくさう)/大(をゝ)き 00025190M14に驚き、さらぬ/様(やう)にもてなし、/彼家(かのいへ)をぬけ/出(いで)て四/条通(でうどをり)を/西(にし) 00025200M15へ一ツさんに/迯行(にげゆき)しが、/中嶋(なかじま)のあたりに、くゞりを/少(すこ)し/明(あけ) 00025210M16かけ/有(あり)しを/幸(さいハ)ひとかけ/込(こミ)、か/様(やう)+の/子細(しさい)とかたり、ひら 00025220M17にたのむよし申せバ、さしあたりかくすべき(廿二オ)とこ 00025230M18ろなけれバ、/幸(さいハ)ひ/大手水鉢(をゝてうづばち)の/有(あり)しを、/水(ミづ)/打明(うちあけ)て、/彼(かの)山ぶし 00025240M19を/此内(このうち)にかくしをく。さて、かのむすめハ山ぶしをのがす 00025250M20まじとてをつかけしが、/折節(をりふし)四/条川原(でうかハら)の/水(ミづ)、/以(もつて)の/外(ほか)にまさ 00025260¥P68 00025270L1りしかバ、/川(かハ)の/上下(かミしも)をかなたこなたとかけまハり(廿二ウ) 00025280L2しが、/一念(いちねん)のくちなハと/成(な)り、/川(かハ)をやす+とわたり、/中= 00025290L3嶋(なか=じま)のあたりを/尋(たづ)ねしか、/戸(と)の/明(あけ)かけしをあやしミかけ/入(いり)て、 00025300L4こゝかしこと/尋(たづ)ね、/手水鉢(てうづばち)のふせたるに/目(め)を/付(つけ)、/二(ふ)たまと 00025310L5ひ三/寸(ずん)ばかりまとひ、ほのほをいだし、/尾(を)をもつてたゝか 00025320L6んとせしが、/身(ミ)(廿三オ)ぶるひして、ぬる+ぬると/表(をもて)を 00025330L7さして/迯出(にけいで)ぬ。/亭主(ていしゆ)/驚(をどろ)き、あまりのふしぎさに、つゞゐて 00025340L8/追(をつ)かけ、/杖(つえ)にてをさへて、/何(なに)とてかくまで思ひつめしに/迯= 00025350L9行(にけ=ゆく)やと/問(とへ)ば、ゆるしていなしてくれとたのむ。イヤ+、 00025360L10/子細(しさい)をきかでハはなさじといへバ、くち(廿三ウ)なハがい 00025370L11ふハ、アノ/手水鉢(てうづばち)のうらハ、なめくじりだらけじや 00025380¥N21¥J 00025390¥Xまちがひ 00025400L14京でハ/名(な)をしられた/茶人(ちやじん)の/宗匠(そうしやう)、三四人づれにて/通(とを)りしに、 00025410L15/折(をり)ふしかち/荷(に)を/持(もち)し/若(わか)もの二三人、/息杖(いきづへ)(廿四オ)して/休(やすミ)ゐ 00025420L16けるが、/彼茶人(かのちやじん)、あとなるかち/荷(に)もちに、ねん/比(ころ)に/挨拶(あいさつ)し 00025430L17て/通(とを)りけれバ、あとにて/友達(ともだち)の/両人(りやうにん)が、あれハ/誰(たれ)じやとと 00025440L18へバ、/何某(なにがし)といふ/茶人(ちやじん)じやといふ。/扨&(さて+)/我(われ)ハゑらいつき/合(あい) 00025450L19がある。/茶(ちや)でかと/問(と)へバ、いや+、(廿四ウ)/湯(ゆ)や 00025460¥N22¥J 00025470¥Xたきのぼり 00025480M3さる/田舎(いなか)の/有徳(うとく)なる人、/京(きやう)の/嶋原(しまばら)へ/行(ゆき)、四五日も/居(い)つゞけ 00025490M4の/大(をゝ)さハぎに、/彼大尽(かのだいじん)、/大夫(たいふ)をいだき、二/階(かい)へあがりける 00025500M5を、/有合(ありあふ)なかゐが、ヲヽきやう(廿五オ)と。/去(さり)ながら、む 00025510M6かしの/業平(なりひら)ハ二/条(てう)の/后(きさき)を/負(を)ひ給ふと/聞(きく)に、だいてのぼると 00025520M7ハ、どふやらなものじやといへハ、/大尽(だいじん)、ぬからぬ/顔(かほ)で、 00025530M8これハ/恋(こい)のだき/登(のぼ)りじや 00025540¥N23¥J 00025550¥X酒もつて/赤面(せきめん)(廿五ウ) 00025560M11さる人、よき/夢(ゆめ)を見しとて、心安き二三人へ、/今晩(こんばん)夢/祝(いハ)ひ 00025570M12の/御酒(ごしゆ)/一(いつ)こん/進上(しんじやう)いたし/度(たき)よし申つかハしけれバ、いづれ 00025580M13も/暮(くれ)/早&(さう+)/来(きた)りぬ。/亭主(ていしゆ)、/殊外(ことのほか)の/馳走(ちそう)にて、/酒(さけ)も/数(す)こんに/及(をよ) 00025590M14びし時、客人、/亭主(ていしゆ)へ/御馳走(ごちさう)の/挨拶(あいさつ)をのべ、(廿六オ)/扨(さて)い 00025600M15かな御夢にや。/我&(われ+)もうけたまハり、ちと御あやかり申/度(たき) 00025610M16よし申けれバ、/亭主(ていしゆ)はりひぢにて、されバ/余(あま)りよき夢ゆへ、 00025620M17/祝(いハ)ひて/一(いつ)こん/進上(しんじやう)申せしなり。/先(まづ)夢のやうハ、/昨晩(さくばん)/夜半(やはん)の 00025630M18夢に、/見事成(ミことなる)/白瓜(あさうり)を/沢山(たくさん)にもらひしゆへ、此上も(廿六ウ) 00025640M19なき/吉夢(きちむ)と、一こん/進上(しんじやう)候よし、はなしけれバ、/扨&(さて+)め 00025650M20て/度(たき)/御夢(をんゆめ)かなといひて、/友達(ともだち)にむかひ/小声(こごへ)になりて、なん 00025660¥P69 00025670L1と、/白瓜(あさうり)ハさほどめでたき/物(もの)やといへば、いづれもしらぬ 00025680L2よしをいふゆへ、/又(また)/亭主(ていしゆ)にむかひ、/扨&(さて+)/目出(めで)たき/御夢(をんゆめ)かな。 00025690L3しかし(廿七オ)御ぞんじの通、/我&(われ+)ハもんもう/成(なる)ゆへ、/白= 00025700L4瓜(あさ=うり)のめて/度(たき)といふことを/存(ぞん)じ申さす。いかゞいたしたる/事(こと) 00025710L5やと/問(とい)けれバ、/亭主(ていしゆ)しかつべらしき/顔(かほ)にて、されバ+、 00025720L6/一富士(いちふじ)/二鷹(にたか)/三(さん)、ナムサン、これハまちがひじや(廿七ウ) 00025730¥N24¥J 00025740¥X/世話(せわ)やき 00025750L9ある/所(ところ)に、/小(こ)がいから/最早(もはや)四十/斗(ばかり)に/生立(をいたつ)て、/奉公(ほうかう)/大事(だいじ)と/勤(つとむ) 00025760L10る/手代(てだい)あり。/万事(ばんじ)人のせわをやくことが、/生(うま)れ/付(つい)ての/癖(くせ)に 00025770L11て、/嫁入(よめいり)、/養子(やうし)あるひハ/女夫喧嘩(めうとけんくハ)のせわまでにかゝりて、 00025780L12(廿八オ)/兎角(とかく)/夜(よる)になれば、右のせわにかけまハり、九つ八 00025790L13つときまでもかへらぬゆへに、/主人(しゆじん)も/気毒(きのどく)に思ひ、/尤(もつとも)/悪(わる) 00025800L14ひことするでハなけれども、/跡&(あと+)の/若(わか)ひ/者(もの)の/夜(よ)あるきをい 00025810L15ましめる/邪魔(じやま)に/成(なる)と、とくと/合点(がてん)のゆくやうにいひ(廿八ウ) 00025820L16きかせ、/此後(このゝち)他所のせわをふつ+とやめて、/夜(よ)あるきハ 00025830L17/無用(むやう)のよし申/付(つけ)けれバ、/律義(りちぎ)ものにて、/二(ふた)たび夜あるきも 00025840L18せず、/猶更(なをさら)/商(あきな)ひ/大事(だいじ)につとめけるが、あるとき/米(こめ)を/一(ひと)つか 00025850L19ミつかんで/蔵(くら)へはいるを/主人(しゆじん)がミつけ、(廿九オ)かハつた 00025860L20/事(こと)をするとハおもひながら、/打(うち)すてをきしに、/其後(そのゝち)ハ/毎日(まいにち) 00025870M1/朝晩(あさばん)/両度(りやうど)づゝ/蔵(くら)へ/行(ゆく)ゆへ、しのんて/様子(やうす)を見るに、/蔵(くら)の/下(した) 00025880M2屋をあけ、くだんの/米(こめ)を/土間(どま)にをくと、三/尺斗(じやくばかり)のくちな 00025890M3ハがぬる+と/出(で)て、/此米(このこめ)を/心(こゝろ)よく(廿九ウ)/喰(く)ふ。/主人(しゆじん)も 00025900M4あまりふしぎにてきミわるく、/或(ある)ときひそかに/彼手代(かのてたい)をま 00025910M5ねき、/右(ミき)のやうす/何(なに)ゆへのことそ。/余(あま)り/心(こゝろ)よからぬこと也 00025920M6と/尋(たつね)ければ、さればの御/事(こと)に候。ふと/蔵(くら)にくちなハのゐる 00025930M7ことを見/付(つけ)、/米(こめ)をくハせ(三十オ)候へば、大きに/成(なり)候と申 00025940M8ゆへ、/何卒(なにとそ)/大(をゝ)きにいたし、/私(わたくし)/在所(ざいしよ)の/池(いけ)にハ/主(ぬし)がなきよし 00025950M9申/間(あいだ)、つかハし/度(たき)ねかひなりといふた 00025960¥N25¥J 00025970¥Xわるしやれ 00025980M12八/百里(ひやくり)も/遠国(をんごく)の/侍(さむらひ)。ぎをん/町(まち)を(三十ウ)おかしげなりきミ 00025990M13にて/通(とを)りしに、若ひ/者(もの)四五/人(にん)、/店(ミせ)に/腰(こし)かけてこれをミて、 00026000M14なんと、あの/侍(さむらひ)をなぶつてミせうかといふ。/一人(ひとり)ハ、をれ 00026010M15ハ/頭(あたま)をはつてミせふと、かけ/行(ゆき)てすれ/違(ちが)ひさまに/頭(かしら)を/一(ひと)つ 00026020M16はつて/通(とを)りけれバ、/侍(さむらひ)ハ(三十一オ)/大(をゝ)きに/腹(はら)を/立(たて)、/言語同= 00026030M17断(ごんごどう=だん)。/侍(さむらひ)のあたまを/白昼(はくちう)にはられて/勘忍(かんにん)や/成(なる)べき。/真(まつ)二つに 00026040M18せんと、そり/打(うち)かけてさハぎければ、かの/若(わか)もの、/片(かた)ほゑ 00026050M19みして、/扨&(さて+)/御前様(をまへさま)ハ/田舎(いなか)のをかたさうな。/今(いま)/京(きやう)でハ/是(これ) 00026060M20がはやります。(三十一ウ)/御仁体(こしんたい)に/似合(にあわ)ぬ/御腹(をはら)の/立(たて)られや 00026070¥P70 00026080L1う。/不粋(ぶすい)なと申て/人(ひと)が/笑(はら)ひませふと/恥(はぢ)しめければ、さすが 00026090L2/田舎人(いなかひと)の/律義(りちぎ)ゆへ、/都(ミやこ)ではやる/事(こと)ならバ/是非(ぜひ)がないと、/堪= 00026100L3忍(かん=にん)して/通(とを)りぬ。/友達(ともだち)ども、/面白(をもしろ)きことにおもひ、/又(また)一人/跡(あと) 00026110L4より/追付(をいつき)、(三十二オ)おなじく/頭(あたま)をたゝく。/又(また)/侍(さむらひ)、りきミ 00026120L5けれバ、/京(きやう)ではやることをしらぬ/御侍(をさむらひ)ハ、/田舎人(いなかびと)さうなと 00026130L6いひ/捨(すて)、/通(とを)りけれバ、かの/侍(さむらひ)、十/面(めん)をつくりながら、いか 00026140L7に/都(ミやこ)にはやればとて、/武士(ぶし)のあたまをたゝくといふことハ、 00026150L8ながふハはやるまひ(三十二ウ) 00026160¥N26¥J 00026170¥X/因幡薬師(いなばやくし)の/開帳(かいてう) 00026180L11/扨(さて)六十九年めの御かいてうなれば、/日増(ひまし)に/夥敷(をひたゝしき)/参詣(さんけい)なり。 00026190L12/去老人(さるらうじん)ふたりつれにて内陣へはいり、ねんころにをがミ、 00026200L13さて一人の/老人(らうじん)がいふハ、貴様のをがむを/聞(きけ)ば、/南無薬師(なむやくし) 00026210L14/無二(むに)かう/如来(によらい)(三十三オ)といやる。それハ/大(をゝ)きな/間違(まちがひ)じや。 00026220L15かさねてハ/瑠理光如来(るりくハうによらい)とをがミやといへバ、/大(をゝ)きに/腹(はら)をた 00026230L16て、/貴(き)様の/唱(とな)へる/瑠(る)りくハう/如来(によらい)こそ/片(かた)ことなれと、たが 00026240L17ひにいひ/上(あが)りけれハ、/開帳場(かいてうは)の/世話人(せハにん)もあまり/気毒(きのとく)さに、 00026250L18かたハきへ(三十三ウ)/連行(つれゆき)、なためても/中(なか)+/聞(きゝ)いれず。 00026260L19/是(せ)非なく/和尚(をしやう)の/耳(ミヽ)へ/入(いれ)、いづれか/然(しか)るべきや、御申きかせ 00026270L20/下(くた)されとねかひければ、/成(なる)ほど、いづれも/尤(もつとも)なせり/合(あひ)じや 00026280M1か、しかし無二かう/如来(によらい)の/方(ほう)がよかろうといひけれバ、そ 00026290M2れハなせてごさると(三十四オ)いへバ、されバ/今度(こんど)/薬師(やくし)の 00026300M3御/開帳(かいてう)で、/諸方(しよほう)のかいてうをすいだした 00026310¥N27¥J 00026320¥X/其(その)二 00026330M6さて、/薬師(やくし)/御開帳(ごかいてう)に/乗(のつ)てこさる/碁盤(こばん)の/取(とり)さた/様&(さま※)ゆへ、/御= 00026340M7厨子(ミ=づし)もあらたまり、こばんもよく見へる/様(やう)に(三十四ウ)な 00026350M8りけるゆへ、/猶更(なをさら)の/参詣(さんけい)なり。/取&(とり※)の/評(へう)はんに、さて+ 00026360M9うすきごはん/哉(かな)。しかも足なしの/板(いた)じやといふ。一人の/老= 00026370M10人(らう=じん)か、/扨(さて)も+ありがたや。/此(この)ごはんををがんで、むかし 00026380M11のつわものじやといふ/忠信(たゝのぶ)の力もしれた(三十五オ) 00026390¥N28¥J 00026400¥X/其(その)三 00026410M14/薬師(やくし)の/御開帳(ごかいてう)に/日参(につさん)する/禅門(せんもん)、ある日ねん/比(ころ)に/内陣(ないちん)へ入、 00026420M15をがんて、/扨(さて)たもとへ/手(て)を/入(いれ)、/白(しろ)の碁/石(いし)を/一(ひと)つかミつかん 00026430M16で/薬師(やくし)へなげ/付(つけ)、/又(また)/左(ひたり)のたもとより/黒石(くろいし)を/取出(とりいだ)しなげ(三 00026440M17十五ウ)/付(つけ)て、ありがたや、たすけ給へとふしおがミけれバ、 00026450M18/薬師(やくし)、/大(をゝ)きに/御腹立(こふくりう)にて、/御厨子(ミづし)/出(いで)給ひ、かの/禅門(せんもん)があた 00026460M19まををさへ給ひ、さて+、/己(をのれ)ハ/年(とし)にふそくもなきに、む 00026470M20かふミずに/石(いし)を/打付(うちつけ)、/仏体(ぶつたい)のわれなれハこそ、けがもなし。 00026480¥P71 00026490L1/左様(さやう)の(三十六オ)/無法(むほう)なる事を、/向後(きやうかう)きつとたしなミ申べ 00026500L2しとしかり給へバ、/禅門(ぜんもん)ハ/涙(なミだ)をながし、さても+なさけ 00026510L3なき/仰(をゝせ)かな。/定而(さためて)/御悦(をよろこ)びあらんと/工夫(くふう)をこらし、/打付(うちつけ)まい 00026520L4らせし/石(いし)を、御いかりにあひしことのうらめしやとなげき 00026530L5けれバ、/薬(やく)(三十六ウ)/師(し)も/気毒(きのどく)におぼし/召(めし)、それハどふし 00026540L6たわけじやと/御尋(をたづね)あれバ、されバ/有難(ありかた)き/仏体(ふつたい)にさへ、御/心(こゝろ) 00026550L7にまかせず、/盤(ばん)ばかりにて/石(いし)のないハ、/嘸(さぞ)や/御不自由(ごふじゆう)と/差= 00026560L8上(さし=あげ)しを、/却而(かへつて)/御(を)いかりにあひ、なさけなきことかなと、さ 00026570L9め※となきけれバ、/薬師(やくし)も/此理(このり)に(三十七オ)ふくし、/成= 00026580L10程(なる=ほど)これハ/尤(もつとも)じや。/了簡(りやうけん)せよとあやまりて、/禅門(ぜんもん)ハ/返(かへ)し給ふ。 00026590L11/扨(さて)/其夜(そのよ)/薬師如来(やくしによらい)、/和尚(をしやう)の/枕(まくら)に立給ひ、/急&(きう+)に/碁(ご)ばんよりお 00026600L12ろしてくれとの給ふ。/和尚(をしやう)も/驚(をどろ)き、それハ/何(なに)ゆへの御/事(こと)と 00026610L13たづねまいらせしに、されバのことよ。けふ/去(さ)る(三十七 00026620L14ウ)/禅門(ぜんもん)が/参(まい)りて、/我(われ)に/碁石(ごいし)を/打付(うちつけ)し/故(ゆへ)、きつととがめし 00026630L15に、かやう+といふゆへに、をれも/一言(いちごん)かへす/詞(ことば)もなく、 00026640L16/尤(もつとも)なりといふて/返(かへ)しぬ。/早&(さう+)にこばんを/取置(とりをい)てくれと/仰(をゝせ) 00026650L17らる。/畏(かしこま)り/奉(たてまつ)りぬ。/左様(さやう)ならば/蓮花(れんげ)でも/急(きう)に申/付(つく)べし/((と脱カ))い 00026660L18ひければ、(三十八ノ九オ)いや+、れんげハいやじや。そ 00026670L19んなら/何(なに)にいたしませう。イヤ、/明日(あす)から、てんびんにの 00026680L20せてくれ 00026690¥N29¥J 00026700¥X/乞食(こつじき)のせんしよ 00026710M3八ヨ。よいこも/着(き)たなア。をいやい、/上(かミ)の/町(てう)の/米(こめ)やの/旦那(だんな) 00026720M4が/下(くだ)さつたが、あん(三十八ノ九ウ)まり/長(なが)ふて、/医者(いしや)のやう 00026730M5な 00026740¥N30¥J 00026750¥X/鼻(はな)ちがひ 00026760M8/夢(ゆめ)のうちに、/天狗(てんぐ)がつかんで、つゐと/虚空(こくう)をつれゆく。な 00026770M9むさん、/落(をち)てハならぬと、/天狗(てんぐ)の/鼻(はな)を、コヽヲ/大事(だいじ)と/両手(りやうて) 00026780M10にてにぎり、あまりつよく(四十オ)にぎりつめて、/目(め)がさ 00026790M11めて見れば、チンホであつた 00026800¥N31¥J 00026810¥X/成(なる)ほど/尤(もつとも) 00026820M14/母親(はゝをや)ハ/信心者(しんじんしや)で、/毎(まい)日+/仏(ほとけ)へ/御料供(をりやうぐ)をそなへ、かんきん 00026830M15/怠(をこた)らず。/或時(あるとき)のひとり/言(ごと)に、/此様(このやう)に/毎日(まいにち)+上る(四十ウ) 00026840M16/御膳(ごぜん)を、せめて/一(ひと)つぶ/成(なり)と/御手(をて)がつけバありがたいといふ 00026850M17を、/息子(むすこ)が/聞(きい)て、/母者人(はゝじやひと)。わけもないこといふ人じや。そ 00026860M18れを一つぶでもまいると、其/側(そば)に/雪隠(せつちん)たてにやならぬ 00026870¥P72 00026880¥N32¥J 00026890¥X/無理(むり)が/癖(くせ)(四十一オ) 00026900L3/丁稚(でつち)一人つれて/豆腐茶(とうふちや)屋へはいり、/何(なん)ぞあるかといへば、 00026910L4でんがくばかりでござりますといふ。そんなら酒一升かん 00026920L5して、/豆腐(とうふ)/焼(やい)てたもといふゆへ、酒一升かんして、でんか 00026930L6く/一鉢(ひとはち)/持(もつ)て行ければ、/茶椀(ちやわん)/引(ひき)よせ(四十一ウ)二/盃(はい)ほど引か 00026940L7け、でんがく二三/本(ぼん)/喰(くふ)て、残りハ/丁稚(でつち)にくハせ、手をたゝ 00026950L8ゐて、/扨(さて)/酒(さけ)ハなんぼじや。アイ、/一升(いつしやう)が百でござります。 00026960L9でんがくハなんぼじや。/一鉢(ひとはち)が四十でござります。よし 00026970L10+。/是(これ)/此茶椀(このちやわん)に二はい/呑(のん)だハ。ヨイカ。/大方(をゝかた)(四十二オ) 00026980L11一合ハ/入(いる)ハ。ヨイカ。そこで酒二はいが弐十、でんがくが 00026990L12四十、/〆(しめ)て六十文。サア取たといへバ、/亭主(ていしゆ)が/聞(きい)て/腹(はら)を立、 00027000L13それでハ/酒代(さかだい)がたりませぬといふ。/扨&(さて+)さん/用(やう)のわるい/男(をとこ) 00027010L14じや。一/升(しやう)が百じやによつて、其内を二/合(がう)のめば弐十。ヨ 00027020L15イカ。(四十二ウ)それで/算用(さんやう)がすむがといへば、/亭主(ていしゆ)/聞(きい)て、 00027030L16/左様(さやう)ならバ、/最初(さいしよ)二合と/仰(をゝせ)らるれバ二/合(がう)/上(あげ)ますに、壱/升(しやう)か 00027040L17んせいといひ付て、おまへの/呑(のミ)あまりが、外へ/売(うら)るゝもの 00027050L18か。/其様(そのやう)な/無理(むり)をいハずと、/是非(ぜひ)とも百文/御払(をはら)ひなされと 00027060L19(四十三オ)いふ。スレバ/是非(ぜひ)とも百とるか。ヨイハといひ 00027070L20さま、/側(そば)にある/大鉢(をゝばち)を/引寄(ひきよせ)、ドブ++とつゐで、/息(いき)な 00027080M1しにぐゐと/呑(のミ)ければ、/亭主(ていしゆ)もあきれて、/扨&(さて+)大きな/無理(むり)い 00027090M2ひじやといへば、サレバ、むりをいハねバのミにくい(四 00027100M3十三ウ) 00027110¥N33¥J 00027120¥Xあてのつら 00027130M6/去座頭(さるざとう)、/暮頃(くれごろ)に/近付(ちかづき)の所へ/立寄(たちより)、一つ二つはなすうちに日 00027140M7もくれければ、てうちん一つかして/下(くだ)されといへバ、/亭主(ていしゆ) 00027150M8がいふハ、めくらのいらぬてうちんざんまいじやといへば、 00027160M9イヱ+、これを(四十四オ)とぼさぬと、/目(め)あきが/行(ゆき)あたる 00027170¥N34¥J 00027180¥X其二 00027190M12さて/此座頭(このざとう)、/右(ミぎ)のてうちんとぼして、ぶら+と/四(よ)つの/袖(そて) 00027200M13などうたひ、二三/町(てう)ゆきけるが、/通(とを)りの人、すとんとゆき 00027210M14あたりぬ。ヤイ、こゝなどうめくらめ。/座(ざ)(四十四ウ)/頭(とう)に 00027220M15ゆきあたるのミか、此てうちんが目にミへぬかといへば、 00027230M16なにをぬかすやら。/其(その)てうちんハ、きへてあるわい 00027240¥N35¥J 00027250¥X/死(しん)でも/盗人(ぬすびと) 00027260M19人のものを/我(わが)ものと、流れわたりの/悪堂(あくたう)ものも、/死(し)の/道(ミち)ハ 00027270M20のかれがたく、(四十五オ)はやり/風(かせ)にふきたをされて、し 00027280¥P73 00027290L1での/旅路(たびぢ)におもむき、はじめてこゝろほそひといふことを 00027300L2/覚(をぼ)へ、/我(われ)しやばにてハ/一遍(いつへん)の/念仏(ねんぶつ)も申さず。さだめて/地獄(ぢごく) 00027310L3へ/行(ゆく)なるべし。どうそ/仕様(しやう)ハあるまいかと、/生(うま)れ/付(つい)たわる 00027320L4だくミ。ふとむかふをミれば、(四十五ウ)七十斗の/親父(をやち)が 00027330L5いそ+と行を、してやつた。是ハ/極楽(ごくらく)ゆきじや。つれに 00027340L6なつてまぎれ/込(こま)ふと、コレ/親父(をやぢ)との。さつきにからよぶに 00027350L7と/追(をい)つゐて、こなんハ/極楽(ごくらく)ゆきでごんすか。わしハ不/案内(あんない) 00027360L8なほどに、つれていてくだんせといへば、(四十六オ)アイ 00027370L9+、/御供(をとも)いたしませふが、とれでも申ためた/念仏(ねんぶつ)がなけ 00027380L10れバ、ごくらくの/御門(ごもん)ハ通られませぬが、おまへ様も定而 00027390L11/御念仏(をねんぶつ)がござりませふといへば、そんなら/念仏(ねんぶつ)がなけれバ 00027400L12入ぬかへ。けたいなことじや。こなんハごんすか。あい。 00027410L13(四十六ウ)/若(わか)いときから申ためたを、/此(この)ふくろにいれて/持(もつ) 00027420L14て/参(まい)ります。そんなら/其袋(そのふくろ)が/念仏(ねんぶつ)かへといひさま、引たく 00027430L15つて/迯行(にげゆく)を、ナフかなしや。/盗人(ぬすひと)よ。取かへして下されと 00027440L16/追(をつ)かけゆけば、/程(ほど)なく/極楽門前(ごくらくもんぜん)の/若(わか)ものどもが/聞付(きゝつけ)、(四十 00027450L17七オ)そりや/鉄棒(てつぼう)よ、さすまたよと、ひしめきて、かのわ 00027460L18るものをなんなく/取込(とりこめ)て、/念仏(ねんぶつ)を取かへし、/大盗人(をゝぬすびと)め。ふ 00027470L19めよたゝけよと/打擲(てうちやく)しけれバ、あまりたゝかれて、あたり 00027480L20所やわるかりけん、つゐ/蘇(よみがへ)りぬ(四十七ウ) 00027490¥N36¥J 00027500¥X/才覚(さいかく)すぎ 00027510M3/去所(さるところ)に/丁稚(てつち)を/置(をき)しが、/大才(だいさい)かくものにて、/亭主(ていしゆ)の/気(き)に入し 00027520M4が、あるとき心安人に/酒(さけ)を/出(いだ)しけるが、/亭主(ていしゆ)いひけるハ、 00027530M5此したしものにハ、すこし/酢(す)をかけたらバよからふ。長吉 00027540M6を/買(かい)に(四十八オ)やれ。/扨(さて)/今度(こんと)/置(をい)た/丁稚(てつち)めハ、殊外さいか 00027550M7くもので、其上使の早さと、/自慢(じまん)たら※にて、長吉よ。 00027560M8/酢(す)を壱文がの/買(かふ)てこいと、/側(そば)にある/茶椀(ちやわん)をつかハし、/今(いま)/急(きう) 00027570M9にいるのしや。/走(はしつ)てゐて、はしつて/帰(かへ)れといひ付けれバ、 00027580M10/其侭(そのまゝ)(四十八ウ)かけだすと/直(ぢき)にかへりて、ハイといふてさ 00027590M11し/出(だ)しぬ。サテモ/早(はや)ひことじやと/取上(とりあげ)見て、ヤイ、/長吉(てうきち)。 00027600M12これハ/違(ちが)ふたがといへば、アイ。あのやうに/走(はし)つてハこぼ 00027610M13れますゆへ、/糊(のり)にいたしました 00027620¥N37¥J 00027630¥X/切先流(きつさきりう)(四十九オ) 00027640M16/去所(さるところ)に、/浪人(らうにん)ものに/家(いへ)をかしける。/最初(さいしよ)のやくそくに、/拙= 00027650M17者(せつ=しや)/切先流(きつさきりう)といふ/兵法(へうほう)の/一手(ひとて)も/極(きハめ)しものなれば、/御町内(をてうない)まさ 00027660M18かのときの/御用(ごやう)にたゝんと/広言(くハうげん)はいて、/借屋(しやくや)を/仮(かり)しゆへ、 00027670M19/町(てう)にもたの/母(も)しくおもひゐけり。あるとき(四十九ウ)/町内(てうない) 00027680M20にて/奴(やつこ)らさ、/大喧嘩(をゝげんくハ)を/仕出(しいだ)し、すでにぬくの/切(きる)のと/町中(てうぢう)/大(をゝ) 00027690¥P74 00027700L1さハぎに/成(なり)しを、/年寄(としより)五人/組(ぐミ)、はかまを/着(き)ていろ+にわ 00027710L2ひことして、やう+に/相済(あいすミ)、/先&(まづ+)/怪我(けが)もなく/目(め)でたしと、 00027720L3たがひに/悦(よろこ)ひ/挨拶(あいさつ)しけるが、/年寄(としより)がふと思ひ(五十オ)/出(いだ)し、 00027730L4/近頃(ちかごろ)/町内(てうない)へ見へた/浪人殿(らうにんどの)ハ、/切先流(きつさきりう)とやらの/兵法(へうほう)つかひに 00027740L5て、/此(この)やうな/時(とき)/町内(てうない)のせわもしやうとの/約束(やくそく)。それに/顔出(かほだ) 00027750L6しもせられぬハ不/届(とゞ□)なり。/但(たゞ)しるすか、見てこいと、/町(てう)の 00027760L7/用人(やうにん)をつかハしミせけれバ、/内(うち)に/酒(さけ)をのんでゐるとの/事也(ことなり)。 00027770L8(五十ウ)/年寄(としより)/大(をゝ)きに/腹(はら)を/立(たて)て、/急(きう)に/呼(よび)につかハしけれバ、 00027780L9かの/浪人(らうにん)/大(をゝ)だらを/指(さし)こハらし、ゆう+と/座(ざ)して、/扨(さて)/今日(こんにち) 00027790L10ハ/御町内(をてうない)にやかましき/事(こと)ニて、さぞ/皆&(ミな+)様、御こゝろづか 00027800L11ひ。/先&(まづ+)/相済(あいすミ)めでたきよしをいひ/入(いれ)けれバ、/人&(ひと※)なを+ 00027810L12/腹(はら)をたて、/扨&(さて+)(五十一オ)/其許(そこもと)にハかやうのとき、/町(てう)のや 00027820L13くにもたゝんとあるゆへ、いづれもたのもしく/存(ぞんじ)、/家(いへ)をか 00027830L14し申せしに、/相済(あいすむ)まて/顔出(かほだ)しもせられぬ。/不届千万(ふとゞきせんはん)なり。 00027840L15たゞしいひわけ候やととがめけれバ、かの/浪人(らうにん)いひけるハ、 00027850L16/成程(なるほど)、けんくハ/最初(さいしよ)(五十一ウ)より/存罷有(ぞんじまかりある)。しかし、/拙= 00027860L17者(せつ=しや)/一流(いちりう)と申は、はいる/時(とき)ハ一ばんにはいり、/出(で)るときハい 00027870L18つちあとに/出(で)るが、/切先流(きつさきりう)の/極意(ごくい)でこざる 00027880¥N38¥J 00027890¥X/観音(くハんをん)の/御利生(ごりしやう) 00027900M1/去人(さるひと)、/金子(きんす)弐/分(ぶ)の/事(こと)に/大(をゝ)きに/難儀(なんぎ)(五十二オ)して、/嚊(かゝ)とも 00027910M2/談合(たんかう)して、/清水(きよミつ)の/観音様(くハんをんさま)へ/御通夜(をつや)を申ねがひしに、あかつ 00027920M3き/比(ごろ)とろ+とねむりしに、ひたいの/両脇(りやうわき)ひいやりとせし 00027930M4ゆへ、なでゝ見れハ、/金子(きんす)壱/歩(ぶ)づゝ/両方(りやうほう)に/付(つい)てあり。さて 00027940M5+ありがたきこととて/御礼(をれい)申てかへり、/嚊(かゝ)へも(五十二ウ) 00027950M6見せて、/扨(さて)かの/壱歩(いちぶ)を/取(と)れども+はなれず。/色&(いろ+)とすれ 00027960M7ど、/両方(りやうほう)ながらとれぬゆへ、/宿老(しゆくらう)どのへ、かやう+の/訳(わけ) 00027970M8にてねがひしに、/一向(いつかう)とれ申さず。せめて/当分(とうぶん)一/歩(ぶ)なりと 00027980M9はなれ候へバよく候/間(あいだ)、/何(なに)とぞ御しあん/下(くだ)されとたのミけ 00027990M10れば、(五十三オ)/御宿老(をしゆくらう)、/小首(こくび)をかたむけ、しあんして、ア 00028000M11ルゾ+。/先(まづ)壱/歩(ぶ)いたさうかと、/鼻(はな)のうへから/桂馬(けいま)をうた 00028010M12れた 00028020¥N39¥J 00028030¥Xびんぼかり 00028040M15/去人(さるひと)、/夫婦(ふうふ)ながら/悪気(わるぎ)もなく、/随分(ずいぶん)/人(ひと)のせわして/家業(かぎやう)も/精= 00028050M16出(せい=いだ)しけるが、/兎(と)(五十三ウ)/角(かく)びんぼうなるゆへ、/是(これ)ハひん 00028060M17ぼう/神(がミ)が、をれが/内(うち)をすミかとするゆへしや。/是(これ)からびん 00028070M18ぼう/神(かミ)を/追出(をいだ)す/仕様(しやう)があると、/生(なま)の/杉葉(すぎば)を/一荷(いつか)/調(とゝの)へ、ある 00028080M19/夕暮(ゆふぐれ)から/夫婦(ふうふ)が/大(をゝ)はだぬいでふすべたて、/角々(すミ※)/縁(えん)の/下(した)まで、 00028090M20/箒(ほうき)や竹をもつて/追出(をいいだ)(五十四オ)しけるが、/二階(にかい)のすミを/追(をい) 00028100¥P75 00028110L1いだすとき、/何(なに)かハしらず、ぐハた++といふて/落(をち)け 00028120L2れバ、ソリヤびんぼう/神(かミ)よ、たゝき/出(だ)せと、ふたりして/追= 00028130L3廻(をい=まハ)しければ、びんぼう/神(がミ)もぜひなく/表(をもて)へ/迯出(にげいで)たり。さて 00028140L4+うれしや。最/早(はや)びん((ママ))(五十四ウ)/神(がミ)ハ/追出(をいいだ)す。/此後(こののち)ハ/何= 00028150L5事(なに=こと)もこゝろのまゝならんと/悦(よろこ)ひ、/先(まづ)/大黒(だいこく)様へ/御燈明(をとうめう)を/上(あげ)て、 00028160L6/是(これ)から/福(ふく)の/神(かミ)様の/御宿(をやど)を申さねバならぬと/悦(よろこび)ゐけるに、/表(おもて) 00028170L7をほと+とたゝくをとす。たれしや+といへとこたへ 00028180L8ぬゆへ、/戸口(とぐち)へ/出(で)て、(五十五オ)となたでござるといへバ、 00028190L9/小声(こごへ)にて、イヤ、/私(わたくし)ハびんほう/神(かミ)てござりますといふゆへ、 00028200L10びつくりして、イヤ+、こちの/内(うち)へハ/入(いれ)ることハならぬ。 00028210L11とこへ/成(なり)といきや+といへハ、びんぼう/神(がミ)なミたをなが 00028220L12し、なが+の/御(を)せわ、かたじけなふごさります。/左様(さやう)な 00028230L13ら、わたくしハ(五十五ウ)/是非(ぜひ)もござりませぬ。/出(で)てまい 00028240L14ります。/忰(せがれ)どもがことを/御(を)たのミ申ます 00028250¥N40¥J 00028260¥X/切(きれ)の/自慢(じまん) 00028270L17ある人、つぎ+のたばこ/入(いれ)を/持(もち)ゐけるを、ちと御見せ/被= 00028280L18成(な=され)と手に/取(とり)、さて+/是(これ)ハよき/細工(さいく)かな。きれも/見事(ミごと)な/事(こと) 00028290L19やと(五十六オ)/誉(ほめ)けるゆへ、すこし/乗(のり)がきて、/成(なる)ほど、こ 00028300L20の/赤地(あかぢ)のにしきハ、/牛若殿(うしわかどの)の/袴(はかま)のきれでこざります。/又(また)/此= 00028310M1白地(この=しらぢ)ハ、/新田義貞(につたよしさだ)の/陣羽織(ぢんばをり)。/紺地(こんぢ)のにしきが/弁慶(べんけい)の/下着(したぎ)の 00028320M2きれ。/其外(そのほか)もミな、/名(な)ある人の/衣裳(いしやう)のきれじやといへば、 00028330M3/扨&(さて+)、それハけつかうな(五十六ウ)めつらしい切どもじや。 00028340M4どふして/其様(そのやう)なものが/御手(をて)に入たといへば、イヤ、/心安(こゝろやす)ふ 00028350M5いたす/人形(にんぎやう)やでもらひました 00028360¥N41¥J 00028370¥X/古糞(こふん)の/目利(めきゝ) 00028380M8世がこうじやうになつて、色&のものをもてあそびぬ。中 00028390M9にも/古糞(こふん)の/目利(めきゝ)(五十七オ)する人あり。/其道(そのミち)とて色&の/古= 00028400M10糞(こ=ふん)を/持来(もちきた)りぬ。是ハ/小町(こまち)の/糞(ふん)じやといへば、いや+、出 00028410M11口ハほそ※とつよからぬやうなれど、りきミのある所ハ 00028420M12まつたくこしらへものじやといふ。又一人、/時代蒔絵(じだいまきゑ)の/大= 00028430M13香合(をゝ=かうばこ)に、これハ/武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)(五十七ウ)の/糞(ふん)といふてミせけ 00028440M14れば、目利者、打かへし+とくと見て、/成程(なるほと)、出口の/様= 00028450M15子(やう=す)、黒ミを/帯(をび)し色合、/惣体(さうたい)わだかまりのつよさ、まがひも 00028460M16なき/弁慶(へんけい)+。しかし、此/大豆(まめ)ハあとから入たものじや 00028470M17(五十八オ) 00028480¥P76 00028490¥U噺本大系△第十二巻 00028500¥T/落咄人来鳥(おとしばなしひとくとり)〔序題〕 00028510¥G 00028520¥Y 00028530L16天明三年刊 00028540L17清遊軒序 00028550L18北尾政演画 00028560L19中本一冊 00028570L20大東急記念文庫蔵 00028580¥Y落咄/人来鳥(ひとくとり)序 00028590M3人をかたれハ/害(わざハひ)を招き、鬼を/語(かた)れハ/怪(あやし)ミをまねく。むかし 00028600M4/咄(はなし)もふるくさく、当世はなしもうハきらしく、/短(ミしか)ひはなし 00028610M5の/間抜(まぬけ)に/落(おち)、/長(なか)ひ咄のとまりかねてハ、人のあくびをのミ 00028620M6込も/気(き)のどく也。さハいへ、日まち/会集(くわいしう)の/席(せき)にて、/無言坊(だまりんほう) 00028630M7も/与所目(よそめ)より見くるしけれハ、/爰(こゝ)に/数多(すた)の落咄を/撰(ゑらむ)。是、 00028640M8はなすに/害(かい)なく、/聞(きく)に/興(けう)あれハ、/頓(とミ)に夘としの新板となす 00028650M9のミ 00028660M11△△△△△△△△△△△△△△△△△清遊軒G 00028670M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一オ) 00028680¥P77 00028690¥G(一ウ・二オ) 00028700¥N1¥J 00028710¥X医者 00028720M3Sやふゐしや竹斎、御見廻と、ずつと通つて、ミやくをミ、 00028730M4これハいよ+内そんに相違ござらぬ。此りやうしのしか 00028740M5たハ、まづ、かつほのさしミに、たいのミそづて五六はい 00028750M6も、たてつけてあがるがいゝ。せつしやも御しやうばんい 00028760M7たさふと、りやうりをいひつけ、びやうにんといしやどの 00028770M8と、さしむかひになり、さいつおさへつ、のんでいるとこ 00028780M9ろへ、おもてから、おたのミ申ます。せつしやハ竹斎かた 00028790M10からまいりました。竹斎ハこなたにおりますか。内儀申ま 00028800M11す。竹斎に御酒ハ御むやうに被成て下さりませ。このあい 00028810M12だから、ないそんいたしております(一ウ) 00028820¥N2¥J 00028830¥X長寿薬 00028840M15ある人、長寿の薬をもとめたく、いしやにたのミけれハ、 00028850M16いさい方をついたてにかき付て、れい金をしてやりける。 00028860M17跡にて大金を出し、右のくすりをかひとゝのへて、のミハ 00028870M18のんだが、しんだいハさゝほうさにて、いゑやしきまてう 00028880M19つてしまつても、はらひにたりず。アヽ、くびでもくゝつ 00028890M20て、死でしめへてへ(二オ) 00028900¥P78 00028910¥G(二ウ・三オ) 00028920¥N3¥J 00028930¥X坊主 00028940M3御出家様のまへで、かう申てハいかゞだが、今時ハミな、 00028950M4さかなハ通ひでとつてあがるそふだ。それのミならず、よ 00028960M5し原などに、したゝかさがりが出来て、御なんぎなさる坊 00028970M6さまが、たくさんあるそうでござりますが、あなたなどハ 00028980M7まことに、今の世にめつらしひせいそうだとほめれハ、か 00028990M8のぼうずSなるほど、ぐそうなとハかたふござる。女郎ても 00029000M9さかなでも、ミなけんきんにいたします(二ウ) 00029010¥N4¥J 00029020¥Xうけ 00029030M12おれハうけに入つたから、夕部、ふのじつくしを七色でし 00029040M13やれやした。まづ、舟にのつて、二人つれ、ふか川の、ふ 00029050M14く本へ行て、二くミげいしやをあけて、ふじんをよひにや 00029060M15つて、大しやれにしやれやした。Sそれでハ、ふのじが六つ 00029070M16ほかハねへ△Sヲヽそれ+。しかも、ふられたよ(三オ) 00029080¥N5¥J 00029090¥X茶わん 00029100M19ある所のむすこ、茶のゆのけいこをはじめ、半月もならふ 00029110M20かならハぬ内、もうきいたふうにて、どうぐやが井戸茶わ 00029120¥P79 00029130¥G(三ウ・四オ) 00029140M1んをもつて来たり、是ハこれ、ほり出しでこさります。や 00029150M2すひものだ。おめしなされませぬかとミせけれハ、ひねく 00029160M3りまハし、なるほと、おもしろひやきた。とこの井戸から 00029170M4/井戸から((衍))、ほり出しました(三ウ) 00029180¥N6¥J 00029190¥X古きれ 00029200M7ある人、古代のきれをあつめ、人かくると出してミせける。 00029210M8此あかぢのにしきが、さねもりがしたゝれのきれ、このり 00029220M9んぼうが、弁慶か切れとも、そうじやうほうのたちつけと 00029230M10も、さだかなりませぬ。また、とりゐに杉が、牛わか丸の 00029240M11大口のきれ。このつるひしハ、しのつかいがのかミが、し 00029250M12ハらくのときのいしやうのきれでござると、だん※出し 00029260M13てミせる。Sコレハどふして、このやうにおあつめなされ 00029270M14ました△Sナニ、ミな人形やの切くずでござります(四オ) 00029280¥N7¥J 00029290¥X三味せん 00029300M17通人、大ぜいよりあい、三みせんを引たり、うたをうたつ 00029310M18たり、こわいろをつかつたりしてしやれ、あまりさわひだ 00029320M19ら、ひだるくなつた。なんそ、くふものハねへか。Sくふ 00029330M20ものハねへが、そこにかぢるものがある△Sどこに△Sそ 00029340¥P80 00029350¥G(四ウ・五オ) 00029360M1こに三味せんがある(四ウ) 00029370¥N8¥J 00029380¥X夜咄 00029390M4大ぜいあつまつて、からはなしもおもしろくもねへ。何そ 00029400M5肴をとりにやつて、一ツはいのまふしやアねへかと、ミな 00029410M6+出銭で、いろ+なうま事をこしらへる中に、しわひ 00029420M7やつがあつて、一もんも出さず。だましてかへさんと、 00029430M8Sコレ、きさまハゑんほうなり。このごろハ道がぶやうじ 00029440M9んとはなせバ、Sそんならおいとま申さふと出て行。跡に 00029450M10て、まづあいつをまいてやつたからいゝと、ミな+打よ 00029460M11り、さけさかなを出してのまんとする時、れいの男、こて 00029470M12すねあてに、くさりかたびらを、壱本だんひらものをきめ 00029480M13てくる。ミな+、きもをつぶし、あいつをまいたゆへ、は 00029490M14らをたつて、うちはたしにきたかとおもへハ、かの男△Sミ 00029500M15ちがぶつそうだときいたから、やうじんをして、くひたを 00029510M16しに来ました(五オ) 00029520¥N9¥J 00029530¥Xたはこ 00029540M19高まんな通人ありしが、なんでもたばこハこくぶかまひの 00029550M20ふん+にほふ所をのむがいゝと、うすまひのたはこをか 00029560¥P81 00029570¥G(五ウ) 00029580L12い、よそへ行、やたらむせうに、けふをふきちらし、あふ 00029590L13ぎて、むかふへにほハせるやうにすれども、先で何ともい 00029600L14わず。こらへかねて、とうだ。にほふか+といへハ、先 00029610L15の人Sまた、すかしたの 00029620¥Q北尾政演画G 00029630L17△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(五ウ) 00029640¥N10¥J 00029650¥X歳暮 00029660M3ハイ。米やでござります。御/払(はらひ)を被下まし△◇てい主◇行廻つ 00029670M4てござれ。S味噌やてごさります。御払を被下まし 00029680M5S◇てい主◇行廻つてござれ△Sハイ、酒屋でごさります 00029690M6S◇てい主◇いき廻つてごされと、かれこれする内、夜が/明(あけ)は 00029700M7なれ、Sハイ、万屋八兵衛、/年始(ねんし)の御しう義申入ます 00029710M8S◇てい主◇いき廻つてごされ 00029720¥N11¥J 00029730¥X百夜通 00029740M11小野/何某(なにがし)の/娘(むすめ)お町といふハ、ならひ/無(なき)きりやう故、/深艸(ふかくさ)や 00029750M12正七とやらいふ男おもひそめ、いろ+と(五オ)手を廻し 00029760M13てくとけども、不/承知(せうち)にて、門に引/捨(すて)し大八車のかげまで 00029770M14百夜かよひ給へ。しんぢうがミへたらバ/逢(あひ)ませふとのへん 00029780M15じ。正七大きに悦び、/毎夜(まいよ)+かよひけるが、ある夜、お 00029790M16町が宿のくゞりを明て下女が立出、モシ+、御かよひな 00029800M17さるも/今宵(こよひ)て九十九夜なれバ、あなたの心中ハしれました。 00029810M18一夜ハまけて、御あひなされやうから、こちへ御つれ申せ 00029820M19と、おまちさまがおつしやります。サア+こちへと手を 00029830M20とれハ、S申+、わたくしハ(五ウ)/日雇(ひよう)てごさります 00029840¥P82 00029850¥N12¥J 00029860¥X鶏 00029870L3なるほど、にハとりハ日本の/名鳥(めいてう)だ。まつ夜が/明(あけ)ると、/東= 00029880L4天紅(とう=てんこう)とつげて人をおこすと咄せバ、聞てゐる人、それでも 00029890L5ちやぼハ、東天紅とハ/啼(なか)ねへせ。Sちやぼハ又、/起(おき)ちやつ 00029900L6せへと鳴ておこす 00029910¥N13¥J 00029920¥Xやりて 00029930L9/禿(かふろ)、/客(きやく)のまへで屁をひりけれバ、ざしきをおつ/下(さげ)られ、や 00029940L10りて/部(へ)屋へつれて行、どうしたものだ。(六オ)ぎやうきのわ 00029950L11るひ。/客人(きやくしん)のまへで/屁(へ)をひるといふ事があるものか。サア 00029960L12+下へ行ケ+。はしらへくゝしあげる。はやく下へお 00029970L13りろといふひやうしに、やりてが、ブイと一つとりはつす。 00029980L14ぬからぬかほで、サア、おれもおりるから、われもおりろ 00029990¥N14¥J 00030000¥Xとぎ屋 00030010L17あるとぎやのかミ様、/虫気(むしけ)つき、とりあげばゝアをよひに 00030020L18やり、かれこれする内、/安(やす)&とうミ出したハ、子でハなく 00030030L19て/錆刀(さひかたな)也。何れもきもをつぶして見て居(六ウ)れバ、やが 00030040L20てかの刀、なき出す。Sトギヤア++ 00030050¥N15¥J 00030060¥Xさいそく 00030070M3/或人(あるひと)、/芝居(しハい)がすきにて、/商売(しやうばい)にも出す、身代を/持(もち)くづし、 00030080M4/諸方(しよほう)のかけ取、内へずつと/居(い)ならんでの居さいそくの折 00030090M5から、/宿(しゆく)ちんたまりのさいそくに、家主も出かけてくる。 00030100M6S@かけ取△|△大せい@△アレ+、むかふから大家さまが見へるハ+ 00030110M7家主S店ちん++ 00030120¥N16¥J 00030130¥Xつれ+ 00030140M10もんもうなる男、御所方に勤て居たる女中を(八オ)女房に 00030150M11持けるが、かの女ほう、あまりひまさに、つれ+を出し 00030160M12て見て居れバ、ていしゆ、外よりかへり、コレ手めへ。何 00030170M13をしてゐる。女房Sあまりたいくつたから、つれ+艸を 00030180M14くつて居やす△てい主Sめつたなものをくつて、しよくし 00030190M15やうてもしめへ 00030200¥N17¥J 00030210¥X犬 00030220M18/坐頭(さとう)、/道(ミち)にて犬に/蹴(け)つまづきけれハ、犬Sワンとなく。又 00030230M19先で外の犬に/蹴(け)つまづく。犬Sワン+△坐頭S扨も長ひ 00030240M20犬だ(八ウ) 00030250¥P83 00030260¥U噺本大系△第十二巻 00030270¥T/福喜多留(ふくきたる)〔内題〕 00030280¥G 00030290¥Y 00030300L16天明五年頃序 00030310L17山堂京天序 00030320L18泉屋板 00030330L19小本一卅 00030340L20大東急記念文庫蔵 00030350¥Y序 00030360M3/抑(そも+)/当春(とうはる)の/吉左右(きつそう)申さハ、/鶴(つる)は/千軒(せんけん)、/亀(かめ)ハ/万軒(まんけん)、千軒/万(まん)軒 00030370M4まん+軒。/門(かと)にハ/花(はな)の/松飾(まつかさり)、/橙(たい+)/野老(ところ)に/問屋株(といやかふ)、人にも 00030380M5/負(まけ)すの/榧勝(かやかち)くり、そなへの/上(うへ)に(序1オ)とつさりと、/真赤(まつかな) 00030390M6な/海老(ゑひ)の/孫(まこ)/彦(ひこ)/玄孫(やしやこ)の/数(かす)の/子(こ)まて、/手(て)に/弄(もてあそ)ふ/絵草紙(ゑそうし)の、/是(これ)も 00030400M7お江戸の/繁栄(はんゑい)と、/只(たゝ)/何事(なにこと)も/七種菜(なゝくさなつな)、/唐土(とうと)の/金(かね)も/日本(にほん)の金も 00030410M8どら+どらと/納(おさま)りて、十一/分(ぶん)の/蔵(くら)ひらき。中には(序1 00030420M9ウ)/恵比寿(ゑひす)と大/黒(こく)の、/笑(わら)ふ/門(かと)にハ/福喜(ふくき)多留と/題(たい)し、/落(おとし)し/噺(はなし) 00030430M10や/口合(くちあい)の、其/種蒔(たねまき)の種おろし、この/泉(いつミ)屋かひつたハねて、 00030440M11/本(ほん)屋の見せへさらり+とうれます+と、/恵方(ゑはう)に(序2 00030450M12オ)むかつてしかゆふ 00030460M13△△△巳なる 00030470M14△△△△△金の春△△△△△△△△山堂京天述G 00030480M15△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序2ウ) 00030490¥P84 00030500¥T1/福喜多留(ふくきたる) 00030510¥N1¥J 00030520¥X/大黒年礼(たいこくねんれい) 00030530L5大こく、ねん礼にきたり、あけましてハよいはるてごさり 00030540L6ます。ミな様おそろいなされて、おめてたうごさります。 00030550L7これハわさと、ねんぎよくをあけますと、ふくろに(一オ) 00030560L8まめを入ていたす。ていしゆ、これハ+さう+のおい 00030570L9てと申、ことになによりの御ねんぎよくをくたされまして 00030580L10ありがとふこさりますと、ていしゆハだいこくより、ふく 00030590L11まめをさづかりしと、おほきによろこび、そのまめをもつ 00030600L12て、むしやうにおどるゆへ、(一ウ)あたりの人、なにをお 00030610L13どるといへハ、ていしゆS大こくまめをミさいな 00030620¥N2¥J 00030630¥X/忠臣蔵(ちうしんくら) 00030640L16七だんめに、九太夫、/伴内(はんない)いてゝ、九太夫が、むかいのか 00030650L17ごをもてといふ。伴内どの、おめしなさい。イヤ、きでん、 00030660L18御ろうたひのことなれハ、御ゑんりよ(二オ)なしにおめし 00030670L19なさい。しからハごめんと、九太夫かごにのると、伴内、 00030680L20九太どの+。此ところに/勘平(かんへい)がにようぼうかる、つとめ 00030690M1いたすと申ことでこざる。きでん、御そんじてごさるかな。 00030700M2九太どの+とよべと、あいさつなけれハ、伴内ふしぎに 00030710M3をもひ、かごのとをあけてミれバ、(二ウ)たいこのばち一 00030720M4ほんあるゆへ、伴内大きにあきれ、九太どのとをもひのほ 00030730M5か、たいこのばちなれハ、かてんノゆかぬこととおもひ、 00030740M6あたりをミなから、伴内S九太どの+。たいこをうちや 00030750M7れ 00030760¥N3¥J 00030770¥X/田舎者(いなかもの)(三オ) 00030780M10いなかもの、あさくさくハんをんへさんけいして国へかへ 00030790M11り、はなしけるハ、なるほと、はなのおゑどしや。しよこ 00030800M12くのいりこみ、なんでもないものハないよ。いきたほうそ 00030810M13うがミまておがんてきましたとはなせハ、どのやうなもの 00030820M14でこざる。まづ、まつかな(三ウ)のぼりをもち、まつかな 00030830M15きものをきて、はんだのいなり、ほうそもかるい、はしか 00030840M16もかるいといふて、おあるきなさるをおがミました。ほう 00030850M17そうがミさまも、おいそがしいかして、Sゑどをわらぢが 00030860M18けさ 00030870¥N4¥J 00030880¥X/鳶(とひ)の/者(もの)(四オ) 00030890¥P85 00030900L1これ、まさや。よんへハどこへいつた。またむぎめしか。 00030910L2おゑねヱよこつたをしだな。なんだ。よこつたをしだとい 00030920L3ひながら、おほげんくハになる。なぜよこつたをしといつ 00030930L4た。それでも、てめヱのふらてうちんに、Sながよこにか 00030940L5いてある(四ウ) 00030950¥N5¥J 00030960¥X/蛇(じや)の/鮓(すし) 00030970L8おはり四五人、ひばちにあたりいたる/処(ところ)に、じようろうわ 00030980L9かいと、しやくをおさへなからきたり、もしおいわどん。 00030990L10はんごんたんがあらハおくんなんしといへバ、おはり、こ 00031000L11のこのやうによわひこハないよ。なにさ。ミちしばさんの 00031010L12(五オ)きやくしゆが、たこをおくんなんしたが、なまにへ 00031020L13でありんした。それから、いつそむしかかぶりんすよ。お 00031030L14はり、おいらのわかいときハ、じやのすしまてくつたよ。 00031040L15そんなら、じやのすしをおあんなんしたか。たべんしたよ。 00031050L16どんなておツすへ。おはりSてうど、あぶらあけのぼうの 00031060L17やうさ(五ウ) 00031070¥N6¥J 00031080¥Xばけ物 00031090L20わかいもの五六人、なんと、ばんにかのばけものやしきへ 00031100M1いつてミようといへハ、壱人をくびやうもの、いやといふ。 00031110M2せひゆかふといふ。そんならひるのうち、ゆきやれ。それ 00031120M3よりつれだちてゆく。まづもんのところへゆき、なるほと 00031130M4ばけものもいそうな(六オ)門だせヱ。ひるでさへきミかわ 00031140M5るい。げんくハんのなりをミやれといひなから、ざしきへ 00031150M6ゆくと、ふるきながもちがあり。これこそかのばけものゝ 00031160M7がくやなるへしと、あけてミやうといへバ、よしやれとい 00031170M8ふうち、はやきじやうもの、ふたをあけてミれバ、なかに 00031180M9ハごくはげたぜんわん、あまた(六ウ)ある。さてはげた 00031190M10り+といひなからいだす。ながもちのそこに、なにかか 00031200M11いてある。よく+ミれば、S大ふでにて、はげもの 00031210¥N7¥J 00031220¥X/西(にし)の/宮(ミや) 00031230M14にしのミやかんぬし、おつとめをしまい、たいをつらんと 00031240M15うミべえいでゝ(七オ)つりをしければ、なにかひくゆへ、 00031250M16たひがかゝつたとおもひ、つりざをゝあげて見れば、いわ 00031260M17しゆへ、たいとおもつたらいわしだといへば、いわしSゑ 00031270M18ひすさまかとおもつたら、かんぬしだ(七ウ) 00031280¥P86 00031290¥N8¥J 00031300¥X/金玉望(きんたまのそミ) 00031310L3戸つかじゆくの五郎太郎、ゑどけんぶつにきたりて、ろく 00031320L4にけんぶつもせずして、さう+とつかへかへる。ともだ 00031330L5ちきて、このあいだ、ゑとけんぶつにいかれたげなか、げ 00031340L6いにはやくかへられた。なぜてござるといへハ、五郎太、 00031350L7きのどくそうな(八オ)かほをしているゆへ、なぜでござる 00031360L8といへハ、五郎太、あくじせんりてこさる。わしがさいの 00031370L9ことを、おゑどぢうがうたにして、子ともまでかうたいま 00031380L10す。いやはや、ぐわいぶんがわるくて、けんぶつもてきま 00031390L11せぬといへバ、なんといひます。しんでんむらからながも 00031400L12ち七さほ、たんすか四さほに、なゝつ(八ウ)ぶとんで百/両(りよ) 00031410L13のじさんで、きんたまのぞミのよめがきた。うそハない。 00031420L14そうだそ+ともふして、わたしをミますと、なをはやし 00031430L15ます。それはおまへのしやわせをそねむといふものでござ 00031440L16るから、はやく子でもおこしらへなさいといへハ、なに、 00031450L17子のできるきづかいハなしさ。それハ(九オ)なぜでござる。 00031460L18五郎太、きのどくそうなかほをして、Sはたくばかりさ 00031470¥N9¥J 00031480¥X/白髭(しらひけ) 00031490M1ともだち三人よりあいて、まくらひき・すねおし・いずま 00031500M2うをしてあそび、しらひげのひげわたしをせんとて、こよ 00031510M3りをより(九ウ)くちびるにはさミ、たがいにひきあいけれ 00031520M4バ、なかよりふツつときれて、こよりハひげのことくくち 00031530M5びるにはへけれハ、ふたりともにおほきにおどろき、ひけ 00031540M6どもなか+ぬけざりけり。のこり一人、それをミて、わ 00031550M7つとなきいだすゆへ、両人、なぜなくぞときけば、なきな 00031560M8から、Sこよりの(十オ)ないハ、わしひとり 00031570¥N10¥J 00031580¥X/江戸自慢(ゑとしまん) 00031590M11つうじんむすこ、はゝのざいじよへゆきけるに、きんしよ 00031600M12のわかいものきたりて、ゑどのはなしヲきゝけれは、なに 00031610M13がでほうだいなことをいふ。ソレ、ゑどハめづらしい/橋(はし)か 00031620M14あるよ。まづうしのくそ(十ウ)ばしにハ、うしのくそかあ 00031630M15るし、あらめばしにハあらめがあり、ぜにかめばしにハぜ 00031640M16にかめかいるよ。おやじばしにハおほきなおやちかあり。 00031650M17まだそのうへに、三ンがのつのはしかあるよ。ソレ江戸ば 00031660M18しよ。ソレ京ばしよ。ソレ大坂。Sなむさん、町だつた 00031670M19(十一オ) 00031680¥P87 00031690¥N11¥J 00031700¥X七/福神(ふくしん) 00031710L3七ふくじんあつまり給ひて、大こく天もふしいださるゝハ、 00031720L4さてせじやう、しんじんしやがおほく、すねん、たからを 00031730L5あたへつかハせしゆへ、たくハへすくなくなり、しいれの 00031740L6ため、しやうばいをはじめんといひけれは、いづれももつ 00031750L7ともなりとて(十一ウ)おもひつきのしやうばいをはじめ給 00031760L8へ。まづ大こくにハなにをあきなひ給ふ。こめ屋しやうば 00031770L9い。それより、ゑびす、ほてい、べんてん、じゆろうじん、 00031780L10びしやもん、おもひ+にあきないをはじめける。其中に、 00031790L11ふくろくじゆせんせいハ、いかにととへバ、おほきにこま 00031800L12り給ひ、なにもぞんじつき(十二オ)なく、せんこくよりか 00031810L13んがへ、ふうりうに、はないけミせをいだすべしとありけ 00031820L14れば、のこらず、それハなにゆへととへバ、ふくろくじゆ、 00031830L15あたまをたゝひて、Sふくべのかんばん 00031840¥N12¥J 00031850¥Xかし/女郎(しやうろう) 00031860L18くらのとさんへ。おまへにきゝもふしたうおすへ。(十二ウ) 00031870L19なんでおすへ。アノね。ゆふべふざけたきやくしゆかおい 00031880L20でなんしたから、ぐつとはりこんでやりやしたらね。いけ 00031890M1ねヱかハばをりといひした。このじうのきやくしゆもね、 00031900M2かハばをりといひなんした。つうげんか、なんのことでお 00031910M3ツすねヱ。それをしりんせんかへ。あたまの(十三オ)はげ 00031920M4たを、Sやくハんといふやうなものさ 00031930¥N13¥J 00031940¥X子/供(とも) 00031950M7をんなの子、三四さいぐらゐになると、母おや、この子に 00031960M8ハぎだゆうをならハせうといへバ、ばゝ様、うたにしやれ 00031970M9といふ。イヤ、ぎだゆふ。イヤ、うたと、すこしあらそひ 00031980M10けれバ、子もりのあま、(十三ウ)そばから、ぎだゆふにな 00031990M11されまし。ばゝ様、はらをたて、ナセ。S子もりだゞをお 00032000M12つしやるこゑでハ 00032010¥N14¥J 00032020¥X/薮医者(やふいしや) 00032030M15やぶいしや、さじをミて、おり+めいさくなりといふを、 00032040M16によぼうきゝ、モシだんなへ。おりふし(十四オ)さじをご 00032050M17ろうじて、めいさく+とおつしやるが、さじにもめいさ 00032060M18くがあるものでごさるかときけば、Sゆふべもまたひとり、 00032070M19とゞめをさしました 00032080¥P88 00032090¥N15¥J 00032100¥X大きな/夢(ゆめ) 00032110L3とびのもの、コレごんや。ゆふへ、おらがおふくろか(十 00032120L4四ウ)おほきなゆめをミたよ。それハどんなゆめだ。ふじ 00032130L5さんをうんだゆめよ。おれもおほきなゆめをミたよ。くじ 00032140L6らにのまれたゆめだよ。そのはらのなかのくさゝ。けだら 00032150L7けで、どふもいハれぬやうさ。なにがはらをやぶつてでや 00032160L8うとおもつて、むしやうにあがいたら、(十五オ)おふくろ 00032170L9がめをさまし、大きなこゑで、Sおれがはらをどふする 00032180¥N16¥J 00032190¥X下女 00032200L12だんな、たしよよりかへりけれバ、下女、けふどちらから 00032210L13か、おきやくがござりました。おるすでごさりますともふ 00032220L14しましたらハ、(十五ウ)おかへりなされました。ダンナとの 00032230L15やうな人であつたナ。下女せいのたかい人でごさりました。 00032240L16だんなヲヽそれ+、いろじろナ、まゆげのこい人か。下女 00032250L17さやうでごさります。だんなそして、はなのうへに、すこ 00032260L18しいものある、イヽおとこであらふ。さやうでごさります。 00032270L19/旦那(たんな)(十六オ)Sハテ、だれてあらふナ 00032280¥N17¥J 00032290¥Xぬかり道 00032300M3あめふりに、おや子づれにていで、おやぢコレとくよ。ミ 00032310M4ちかわるいからころぶなよ+といふうち、をやぢ、すへ 00032320M5つてころびけれハ、Sぬからぬかほで、コレミろ。このと 00032330M6ほりだ(十六ウ) 00032340¥N18¥J 00032350¥X/道(ミち)の/行合(ゆきあひ) 00032360M9こゝろやすきもの、たなごしをして、しバらくあハざると 00032370M10き、芝へんにて、ふとゆきあひ、やれ+、しバらくあい 00032380M11ましなんだ。おかハりもないか。いまハどこにいやるとい 00032390M12へバ、たゞいまハしば田まちにおります。やまのてとちが 00032400M13い、(十七オ)よいところでごさります。まづあわかづさをに 00032410M14はにいたし、しな川うミをせんすいにして、なつむきハべ 00032420M15つしてよろしうごさります。かならずちと、おたつねくだ 00032430M16されませ。シテ、たまちハどこてござる。ずんどしれやす 00032440M17いところでごさります。せんバの(十七ウ)となりのS九し 00032450M18やくだなでごさります 00032460¥N19¥J 00032470¥X/女郎買(しやうろうかい) 00032480¥P89 00032490L1むすこ源之介、ちうさんばかりかい、りやうしん、はなハ 00032500L2だこまり、いろ+いけんをしてももちいぬゆへ、あいく 00032510L3ちのともだちをたのミ、ちうさんばかりかい、ことのほか 00032520L4おほがねを(十八オ)つかひすて、はなはだしんだいもまハ 00032530L5りし事をはなし、いけんしてくだされとたのミけれバ、あ 00032540L6いくちのともだち、コレげんかう。このあいだ、き様のお 00032550L7やごのはなされるにハ、せかれぎ、ちうさんばかりかうゆ 00032560L8へ、いけんをしてくれといハれた。なんと、ちうさんをや 00032570L9めて(十八ウ)いちぶじよろうにし給へといけんすれは、む 00032580L10すこ、ぐつとせうちして、それより一分じやうろうをかい、 00032590L11これでもことたるとおもひ、二しゆをかい、だん+やす 00032600L12じやうろうをかい、むすこかんかへ、Sかへハかうほど、 00032610L13とくがゆく 00032620¥N20¥J 00032630¥X/寿命施行(しゆめうせきやう)(十九オ) 00032640L16/東方朔(とうほうさく)あまりとしよりて、おもしろからぬゆへ、わかくな 00032650L17らんとくふうして、わがじゆめうを世上の人にほどこさん 00032660L18と、三十年、五十ねん、七十、八十、九十、ひやくと、/遊(ゆ) 00032670L19ぎやうのふだのやうにこしらへ、八せんざいをだん+に 00032680L20わけ、もうせんなどをしき、三うらのおう介を(十九ウ)せ 00032690M1ハやきにたのミ、かどぐちへ元日より三日のあいだ、とう 00032700M2ばうさく、じゆミやうせぎやうのためゆづるものなりと、 00032710M3たてかんばんをいたしけれバ、くんじゆなすこと、かぎり 00032720M4なし。三日のあいた、じゆミやうせぎやうしけれハ、とう 00032730M5ばうさく、ゆきがたミへざるゆへ、(廿オ)みうらのおうす 00032740M6け、大おんあけ、とうぼうさく+とよびけれは、もうせ 00032750M7んのすミで、Sおぎやア+ 00032760¥N21¥J 00032770¥X心中 00032780M10客、女郎に向ひ、これ、てめへハほれたのなんのといふが、 00032790M11口ばかりだろふといふ。(廿ウ)女郎Sぬしハうたくりぶか 00032800M12ふありんす。そふおもいなんすなら、しん中にゆひをきり 00032810M13やしようといへば、客Sいびをきるの、かみをきるのと、 00032820M14そんなことハふるいハへ△女郎Sそんなら、どふいたしん 00032830M15しよう△客Sおれがくそをくうなら、おれもてめへのくそ 00032840M16(廿一オ)をくおふ△女郎Sぬしもくいなんすなら、たべん 00032850M17しようといへば、客、大きなひたりねじりをたれると、女 00032860M18郎、さつまいものよふにくつてしまう。女郎Sわたしのを 00032870M19お/わ((ママ))がんなんしと、づるくそをたれる。客、まいにおひて 00032880M20見ているゆへ、(廿一ウ)女郎Sなぜ、おわんなんせんへと 00032890¥P90 00032900L1いへば、客Sいま、さましてくう 00032910¥N22¥J 00032920¥X盗人 00032930L4女房、亭主をおこし、Sもしへ、ゑんの下に、どろほうが 00032940L5はいりましたといへば、亭主Sどろほうでハあるまい。ね 00032950L6こだ(廿二オ)ろふといへば、どろぼう、ゑんの下にて、に 00032960L7やあぐといふ。亭主Sねこよりハ大きなこへだ。犬であろ 00032970L8ふといへば、とろほうSわん+といふ。亭主Sいまのハ犬 00032980L9でハあるまい。しゝであろふといへば、とろほう、まごつ 00032990L10いているうち、女房、あかりをつけてさわくゆへ、どろぼ 00033000L11う(廿二ウ)にげなから、どんちきちき+、どんちき+ 00033010L12+ 00033020¥N23¥J 00033030¥X/蚤(のミ) 00033040L15若イものより合、此あいたハ、三ばそうをふむ蚤かあると 00033050L16いへば、ともSとんなのミたか、見たいといふゆへ、Sほ 00033060L17ところから(廿三オ)一疋出して、とつぴき+といふと、 00033070L18それに合てはねるゆへ、こいつはおもしろいのミたといへ 00033080L19ば、又一ツぴきひねりだし、とつぴき+といつても、も 00033090L20ぢ+するから、見ればしらミゆへ、まつかなかをゝして、 00033100M1Sこいつハおどりこが(廿三ウ)ちがつた 00033110¥N24¥J 00033120¥X江之/嶌(しま) 00033130M4これ吉公。江ノ/嶋(しま)でなにかおもしろいことがあつたげな。 00033140M5さればよ、はなしてきかしやれ。まづ七/里(り)の/浜(はま)でかいをひ 00033150M6ろい+行と、うつくしい十六七の娘も(廿四オ)貝をひろ 00033160M7い+行内、七/里(り)のはまのながい所で、つい娘の親ごとこ 00033170M8ゝろやすくなり、道つれニなつて、かのかいをひろい+ 00033180M9行内、日かたけたから、いそいでしまへ行やした。岩屋へ 00033190M10ゆくと、娘がこわかりやした。まつくらなたいないくゞ 00033200M11(廿四ウ)りで手を引やした。それからどうした。そうして 00033210M12嶋泊りさ。むかふの定やどで/弁天(へんてん)やさ。それからどうした。 00033220M13そうして居風呂ニいりの/夜食(やしよく)をしまいさ。それからとうし 00033230M14た。そうしてねやした所が、娘の親があんまをとらせて、 00033240M15ねやんせん。(廿五オ)それからどうした。やう+ねやし 00033250M16た。それからどうした。娘もねやした。それからどうした。 00033260M17わたしもねやした。それからどうした。Sそれからもう、 00033270M18明ケ六つのかねか、ごん引(廿五ウ) 00033280¥P91 00033290¥U噺本大系△第十二巻 00033300¥T/福茶釜(ふくちやがま)〔序〕 00033310¥G 00033320¥Y 00033330L17天明六年正月序 00033340L18茶楽亭序 00033350L19小本一冊 00033360L20東大国語研究室蔵 00033370¥Y序 00033380M3/分福茶釜(ふんぶくちやがま)は、/狸(たぬき)と/変(へん)じて/毛(け)が/生(はへ)、/富于(とんだ)茶釜ハ、/野于(やかん)と/化(け)し 00033390M4て/兀(はげ)る。/化(ばけ)もの/談(ばなし)のあやしきハ、/茶呑噺(ちやのミはなし)のおかしきにしか 00033400M5ず。/親父(おやぢ)の/異見(いけん)のなが+しきハ、/貉同士(むじなどうし)の茶をいふにし 00033410M6かず。/千住(せんじゆ)の茶釜ハ/錆(さび)を/生(しやう)じて、山下の茶釜、/噂(うハさ)にのこる。 00033420M7/地中(ちちう)に/釜(かま)を/得(う)る/孝(こう)子、/月下(げつか)に/釜(かま)を/失(うしな)ふ/愚(たわけ)者、/浮世(うきよ)ハ/五分= 00033430M8&&(ごふ=+)(序オ)茶ハしぶ+。いんだり/震巽鑵子(しんそんくハんす)の/前(まへ)、/腹(はら)の/皮(かハ) 00033440M9のより/合(あい)に、この/比(ごろ)/集(あつむ)るはなしの/数(かす)+、お/臍(へそ)でわかせし 00033450M10/茶(ちや)の/花香(はなが)、わらふ/門(かど)にハ/福(ふく)茶釜となつて、/見(ミ)る人をかしく 00033460M11は、/御釜(をかま)の/前(まへ)で/笑(わら)ひ、やかましくハ/薬鑵(やくハん)をかぶりたまへ 00033470M13△△△天明六丙午睦月△△△△△△△茶楽亭醒書 00033480M14△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序ウ) 00033490¥P92 00033500¥N1¥J 00033510¥X松竹 00033520L3松兵衛が所へ、おたけ緑組きハまり、是ほどめでたいこと 00033530L4ハないと、うち外のもの大キによろこび、上を下へとさわ 00033540L5ぐ。娘お竹は、ないてばかり居るゆへ、これほどめでたい 00033550L6ことがあるものか。なぜそのやうにおむつ(一オ)かると云 00033560L7へバ、アイ。たとへに、さん木ニたけと申ます 00033570¥N2¥J 00033580¥X田舎者 00033590L10いなかもの、江戸見物に出て、一家のうちへとまり、いろ 00033600L11+と馳走にあいて、御膳を御かへなされませといへバ、 00033610L12イヤわしハ(一ウ)五ぜんハたべませぬ。三膳でやうこさり 00033620L13ます 00033630¥N3¥J 00033640¥X馬鹿 00033650L16去御やしきの後室、谷風を見たがり、両国の水茶屋に来り、 00033660L17足がる八介にいゝつけ、角力のかへりを見せにやると、 00033670L18(二オ)おし付ため息にて帰り、只今回向院を御立でござり 00033680L19ます 00033690¥N4¥J 00033700¥X変化 00033710M3是ハむかし。去御屋敷の火の見へばけものが出るといふと 00033720M4りさた、世上にかくれなし。番人ハ上のことを申まいと 00033730M5(二ウ)せい紙を書てあがる。その夜丑ミつ比、鼻のでかい 00033740M6りきんだ天狗ともいふべきもの、いづくともなくあらハれ 00033750M7出ると、番人も歯のねをふるハし、がた+ものと見るよ 00033760M8り、ヤイ。うぬらハ上のことハけつしていわぬとな。ハイ。 00033770M9さやうで御ざります。フウ、(三オ)そんなら壱本かしてく 00033780M10れろ 00033790¥N5¥J 00033800¥X釈迦 00033810M13嵯峨のしやか、ゑかういんにてかい帳、ことのほかはやり、 00033820M14金銭ハぞく+なれバ、如来ハ毎夜+どてがハへかよひ 00033830M15の大ばまりの大なじミ。とんと帰るほうがくを(三ウ)わす 00033840M16れ給へば、開帳場ハ上を下へ大さハぎ。御住寺がむかひに 00033850M17来り、やう+御めニかゝり、申シ。御まへ様ハ仏の御身 00033860M18として、どうしたものでござります。もうし+、ちとは 00033870M19御たしなミなされませといけんの下£、ハア至らぬ+。 00033880M20ほとけハもとがぼんぶ(四オ)(四ウ・五オ挿絵) 00033890¥P93 00033900¥G(四ウ・五オ) 00033910¥N6¥J 00033920¥X馬 00033930M3上馬と野馬とより合、上馬、野馬にむかひ、貴様の身ほど 00033940M4楽なことハないぞ。マヅ草をくひたくなると喰、いやなら 00033950M5よしにするとうらやミけれバ、野馬がいふやうハ、わしほ 00033960M6どつまらぬものハない。貴公などハ(五ウ)何不足のない身 00033970M7の上。上馬がいふ。それはさうだが、しばられて自由がな 00033980M8らぬ。貴殿などハからだがじゆうだ。おいらハ仕たいこと 00033990M9ハならず、たま+大鼓をうてバ、子供がしよもうするば 00034000M10かりさ 00034010¥N7¥J 00034020¥X植木屋(六オ) 00034030M13田舎もの二三人、上野大師のゑん日とでかけ、あれこれ見 00034040M14物して植木ミせに立とまり、どうも国てミぬものゆへ、た 00034050M15めつすがめつ見てもわからぬから、是ハあんちうもんでご 00034060M16さると聞バ、ソレハさぼてんさといふと、ハヽアやぼてん 00034070M17なもし(六ウ) 00034080¥N8¥J 00034090¥X松餝 00034100M20松と竹といふ様ハ、貴様と我等ハ春毎に、相替らず一所に 00034110¥P94 00034120L1より添ふて咄あふ。是ほど目出度イことハ御座らぬ。竹な 00034130L2るほど左様で御坐る。松元日のゐわゐに、一こんくまふで 00034140L3ハ御坐らぬか。竹いかさま、よふ御座らふ。松竹殿。若役 00034150L4に酒取に(一オ)行て被下。海老ハ夕部のゑひがまださめぬ 00034160L5かして、まつかに成てねて居ますから、あれにハさたなし 00034170L6に御座れ。竹わしもそうぞんじますといゝながら、酒取に 00034180L7出れハ、ゑび、目をさまし、しばらく+ 00034190¥N9¥J 00034200¥X万歳(一ウ) 00034210L10子福者の所へまんざい来り、旦那様も御好ならかミ様もお 00034220L11すきといへは、亭主、ゑミをふくみ、お好きなれハこそ、 00034230L12此子供等を見やれ 00034240¥N10¥J 00034250¥X亀 00034260L15元日座舗の庭へ亀が一疋はひ出る所を、亭主見つけ、女房 00034270L16をよび、あれ見やれ。亀がはふて(二オ)出た。今年ハ上& 00034280L17吉の仕合と見へるとよろこへハ、女房、気作ものにて、是 00034290L18ハ+亀出たふ存ます 00034300¥N11¥J 00034310¥X手まり 00034320M1ある時、手鞠と羽子と寄合、まりのいふは、羽子殿。貴様 00034330M2もよい娘にもてあそばるれども、わしにハかなふまい。わ 00034340M3しハ直に手にて(二ウ)つかれる。貴様ハはごいたでつかれ 00034350M4る。なんぼ娘のちからでも、あたる時ハさぞいたからふと 00034360M5いへハ、羽子いふよふハ、それでも、わしに貴様ハかなわ 00034370M6ぬことがひとつ御座る。まりそれハ又、なにがかなひませ 00034380M7ぬ。羽子されは、わしハ折+きちかうと、むすめの口を 00034390M8すいます(三オ)(三ウ・四オ挿絵) 00034400¥N12¥J 00034410¥X手本 00034420M11ある無筆、ものかゝぬほど不自由なことハないと、諸人に 00034430M12ゐけんされ、成ルほどとおもひ、近所にて手本を書てもら 00034440M13ふ。其文言は、夕方より参上可申旨忝存候。乍去難黙止用 00034450M14事御座候間、御免可被下候。以上といふ手本を貰ひ、くり 00034460M15かへし+(四ウ)習ひ居る所へ、心やすい者の所より、御 00034470M16隙候ハヽ御出御咄被下かしと、口上にてよびにくれハ、よ 00034480M17き所へよびに来たと、すこしじまんにて、口上にてハ間違 00034490M18へハわるい。大儀ながらしばらくまたれよと、かの手本の 00034500M19通り、鬼のきせうのように書てやり、其使のかへるか帰ら 00034510M20ぬに先方へゆき、只今ハ御人(五オ)被下忝しと挨拶すれハ、 00034520¥P95 00034530¥G(三ウ・四オ) 00034540M1先の亭主、がてんのゆかぬ顔にて、貴様には只今御断の御 00034550M2紙面にて、どうして御出被下た。先つ何にいたせ、是へ御 00034560M3通り被成。そして御用ハ御仕舞かといへバ、何も用事ハ御 00034570M4座りませぬ。それでも此御手紙ハといへば、大かた、それ 00034580M5ハ師匠の間違ひて御座らふ(五ウ) 00034590¥N13¥J 00034600¥Xせきはん 00034610M8馬鹿な者の所へ近所より、忰髪置の祝儀に申付ましたとて、 00034620M9赤飯をよこす。はか、はて、かみをきハむまいものだとお 00034630M10もひくらしけるが、よく年、まつり見物にさそわれて行き 00034640M11けれバ、桟敷へめい+にせきはんを出す。ばか、先の亭 00034650M12主へ向ひ、(六オ)此御取込の中で、どなたが御髪置で御座 00034660M13ります 00034670¥N14¥J 00034680¥X宝引 00034690M16たん気もの、宝引をひき、人先キへいとをとり、待もたい 00034700M17くつさに、はやく糸をぬきたくおもひ、ちからまかせにひ 00034710M18けどもぬけづ。ミな取り仕廻、親、手をはなせバ、取りあ 00034720M19たつて居る。短気ゑゝ(六ウ)めんどうな。どうりでぬけな 00034730M20んだ 00034740¥P96 00034750¥N15¥J 00034760¥X無筆 00034770L3無筆、夫婦喧嘩を仕出し、ことのほか立腹して、女房にい 00034780L4ふようハ、おのれ不届ものめ。おれが無筆でなけれバ、今 00034790L5爰でさつて仕廻ふハやい 00034800¥N16¥J 00034810¥Xほとゝきす(七オ) 00034820L8角力取、をどり子をつれ、船あそびに出る。をり節、むか 00034830L9ふをほとゝきす、ないて通ふる。すまい、酒機嫌にて、是 00034840L10ハ一興+。なんと、一句つゝよからふといふて、角力取一 00034850L11声をなげてうれしや時鳥、といふて、さあ+手前+と、 00034860L12おどり子をすゝむる。おどり子ほとゝぎす今一声ハそつち 00034870L13でせ。角力おもじるし+。さあ+(七ウ)船州+。酒 00034880L14はつれハならぬ。一句きかう+。せんとうわしハ知りま 00034890L15せぬ。角まうどのよふにてもいふて見やれ。船頭やう+ 00034900L16出ました。角力さあきかう。船どうやつとう+をもかじ 00034910L17取りかじほとゝきす。角力、わらひながら、それハ句には 00034920L18ならぬ。せんどう知れたことさ。わしも、をもかぢとりか 00034930L19じが苦になれハ、せんどうハ(八オ)やめます 00034940¥N17¥J 00034950¥X舛呑ミ 00034960M3ある時五六人あつまり、世にハ上戸も多いが、其内にも舛 00034970M4のミをするものハすくないといへバ、其中にひとり下戸あ 00034980M5りていふよう、舛のミハ誰もすることだ。珍しくない。上 00034990M6戸手前ハ盃に一つも得呑まいで、(八ウ)舛のみをするとハ 00035000M7大たんなことだ。そんならのんで見やれと酒を取りよせる。 00035010M8下戸すいぶんのむが、爰でハのまれぬ。上戸そしてとこで 00035020M9のむ。下戸せんとうの懸り湯て 00035030¥N18¥J 00035040¥X煎湯 00035050M12ある飛の者、風を引き医者の所へ行き、もし(九オ)おいし 00035060M13やさん。わしハでいぶん、はなげいきがとつつきやした。 00035070M14ふり出しを二三ぶく、てうでい致やせう。医者、脉を見て、 00035080M15是ハ内イねつが大ぶんある。中+ふり出しでハゆくまい。 00035090M16せんとうを用ひやれ。飛の者此お医者さんハ、とんだこと 00035100M17をいゝねへす。此ねつて、洗湯へいかれませうか(九ウ) 00035110¥N19¥J 00035120¥X学問 00035130M20三人寄合て学文の咄をする。ひとりハ、がくもんハ文字を 00035140¥P97 00035150L1覚る為といふ。又ひとりハ、字を覚ゆる為でハ御座らぬ。 00035160L2道に達する為で御坐るとあらそひ、/ひづ((ママ))。今壱人が、じん 00035170L3ぶつらしい顔をして、御両所とも御争ひハ御無用。地も道 00035180L4も本トハ同し(十オ)心で御坐らふ 00035190¥N20¥J 00035200¥X華見 00035210L7去ル人、上野へ花見にゆきけるに、うちたへ久しく逢ぬ人 00035220L8にゆきあひ、是ハ+といへば、近付よし野もかくやと御 00035230L9覧じたか 00035240¥N21¥J 00035250¥X勘平(十ウ) 00035260L12親父、むす子にげんぶくをさせ、今日より、家の名なれハ 00035270L13勘平と名を改めよと云。むす子其儀は御免下されまし。親 00035280L14父それハなせだ。むすこ勘平と改めて、親を人にころさせ 00035290L15てハ成りませぬ。親父孝なれども、其様な愚/痴(ち)なことハ、 00035300L16かさねてからいふな。だいじない。勘平とかへろといへハ、 00035310L17むすこ左様なら、御意にした(十一オ)がひませうといふ。 00035320L18娵、そばから、いへ+。勘平とハ御無用に被成ませ。私 00035330L19もつらひつとめハいやで御坐ります 00035340¥N22¥J 00035350¥Xけん 00035360M3田舎もの、けんをするを見て、けんといふハ唐人の脇差か 00035370M4とおもふたら、おかしな手つきをして、なにかいゝながら 00035380M5たゝきあふまねをするのだといへば、(十一ウ)今壱人の田 00035390M6舎もの、ばかな。あれハ劔で切り合ふまねだ 00035400¥N23¥J 00035410¥Xわびこと 00035420M9そゝかわしい男、上野山下辺にて居合ぬきを見て居る。う 00035430M10しろよりすりがつけねらうを、ちらと見付、ばかめ。其位 00035440M11なことですらるゝものか(十二オ)といゝながら、懐中を見 00035450M12れハ、いつの間にか紙入がなけれハ、きもをつぶし、かの 00035460M13すりを追ひかけ、よふ+追ひ付、もし+、今ハそゝう 00035470M14申ました 00035480¥N24¥J 00035490¥X茶碗酒 00035500M17大酒なむす子あり。毎日ちやわんで五六ぱいつゝのむゆへ、 00035510M18親父もつての外はら立チ、やい、大ばか(十二ウ)め。へい 00035520M19ぜい、ちやわん酒をやめろ+と何度いふたと思ふと、ひ 00035530M20どくしかれバ、むすこあやまり入、明日より茶碗酒一切給 00035540¥P98 00035550L1べますまい。真平御免被下ましといふゆへ、親父明日より 00035560L2やめさへするならゆるす程に、急度たしなめ。むすこ畏り 00035570L3ましたといふ。其よく日、又例の通り大キに酔ふ。親父最 00035580L4(十三オ)はやゆるされぬ。かんどうだ。出てうせろ。むす 00035590L5こいゝへ。今日ハ親椀で給べました 00035600¥N25¥J 00035610¥X下人 00035620L8家来にぞんざいな男を置き、不断しかれども、とかく聞入 00035630L9ず。ある時大キにしかり、下人は道を知らぬものゆへ、い 00035640L10くらいふても聞か(十三ウ)ぬと独りこといへバ、家来下人 00035650L11でこそあれ、道のぶんハ、四ツ谷赤坂糀町、たら+下り 00035660L12て御茶の水まで知つてをります 00035670¥N26¥J 00035680¥Xふぐ 00035690L15町屋に至てふきりやうな娘あり。ある時、近所の若イ者と 00035700L16いさかひをする。若イ者なんだ。(十四オ)此ふぐめがといへ 00035710L17バ、娘なんぼふぐでも、こなたのように、どくをバいゝま 00035720L18せぬ 00035730¥N27¥J 00035740¥X百夜 00035750M1ある娘に、飛ビの者ほれてくどけとも聞入ぬゆへ、うるさ 00035760M2いほどくどけば、娘おまへ。それほどわたしを思て下さる 00035770M3なら、もゝ夜かよひ(十四ウ)被成たなら、御心にしたがひ 00035780M4ませうといへば、飛のものよろこび、それハありかた山。 00035790M5したが、もゝ夜といふ夜ハいつだやらしらねい。どふぞ内 00035800M6に待て居るから、百夜に一寸しらせてくんねい 00035810¥N28¥J 00035820¥X卯の花 00035830M9田舎者、江戸へ出て、屋敷奉公した女を女房(十五オ)に持 00035840M10チ、ある時、女房もし、今日ハ卯の花のおつけをいたしま 00035850M11した。亭主女房ハもたふものだ。おしやか様へハあげたが、 00035860M12つゐに喰ふたことハない 00035870¥N29¥J 00035880¥X日雇取 00035890M15日用取り、大屋の所へ年礼に行き、酒の肴にかづのこを出 00035900M16せば、すきにて大ぶん喰ふ。大屋の女房(十五ウ)おまへハか 00035910M17づ+ハ御すきかへ。日よう取かづ+の内にハ、すきも 00035920M18きらいも御座ります 00035930¥N30¥J 00035940¥X地しん 00035950¥P99 00035960L1ひとりもの、酒をもらい、あるにまかせてしたたかのみ、 00035970L2段&酔ひが出て、そこら内が/が((ママ))る+うこくよふに見ゆれ 00035980L3バ、ししんかとおもひ、きも(十六オ)をつぶし、そとへか 00035990L4け出すとて、どふへふみ込ミ、是ハたまらぬ。地がさけた 00036000¥N31¥J 00036010¥X角力取 00036020L7角力取、山道を通ふる。追ひはぎが出て、角力取を取らへ、 00036030L8酒手を置て行ケといふ。角力何、酒手か。此方チへほしい。 00036040L9をひはぎあま口な内に置て行か(十六ウ)ぬと、はだかにす 00036050L10るぞ。角力おれをはだかにすると、なげるぞよ 00036060¥N32¥J 00036070¥X鬼打大豆 00036080L13節分に、まめうりを小家からよび込ミ、大ぶん買ふゆへ、 00036090L14豆売り、はて、小家に似合ぬたんと買とおもひ、内をのぞ 00036100L15けば、八九十斗な年寄が(十七オ)三四人 00036110¥N33¥J 00036120¥Xをくびやう 00036130L18をく病もの、夜道を通ふる。むかふより大男が来る。月か 00036140L19げでよく+見れバ、月代をのばして居る。是ハ只もので 00036150L20ハあるまい。何にもせよ、せんをかけて、あやまるがよか 00036160M1らふとおもひ、(十七ウ)もし旦那様。どうぞおゆるし被成 00036170M2て、爰を御通し被下ます様に願ひますといへバ、大男手前 00036180M3は何をいふ。をれハ風を引て居るのだ 00036190¥N34¥J 00036200¥Xもんもう 00036210M6風引てねて居る所へ、もんもうなともだち咄に来て、ぬし 00036220M7ハどうしやつた。此頃ハ(十八オ)きつう御見かきりだの。 00036230M8されバ+大ぶん御遠+しい。わしも風邪でさん※で 00036240M9御坐る。もんもうそれハ気の毒千万。風邪ハ仕方もないが、 00036250M10其上へかぜでも引カぬ用心をしやれ 00036260¥N35¥J 00036270¥X馬鹿むす子(十八ウ) 00036280M13ある大町人のむす子、人にわるちへを付られて、両親、娵 00036290M14の相談をしても+、あれハきりやうかわるい。是ハ気に 00036300M15入らぬと、とかく娵のきりやうを好むゆへ、両親もあぐみ 00036310M16はて、むす子をよび、手前ハとのよふな娵がよいやら、ど 00036320M17このもかしこのも気に入らぬ。最早尋つくした。ぜんたい 00036330M18(十九オ)手前のりやうけんがわるい。きりやうをこのむハ、 00036340M19いつたんのまよひで、たとへふきりやうても、添ふて見れ 00036350M20バ、さほどにもないものだ。とくと心をきわめて、相談を 00036360¥P100 00036370L1仕懸ケた内を、どれなりときわめやれ。女に二つハないも 00036380L2のだ。ばかむすこそれでもむりな。よいのと悪いのと、二つ 00036390L3(十九ウ)御坐ります 00036400¥N36¥J 00036410¥Xうら浪 00036420L6ある時、四文銭釣りに出て、日暮まて釣ても何も釣れず。 00036430M7仕廻ぎわ/((に脱カ))成て、何か懸たよふだとあけて見れハ、小銭か壱 00036440L8文懸て上ル。四文銭、是ハ身で身を喰ふよふなものだと、 00036450L9気に(二十オ)かけて、早&仕廻て戻り、直きにうらないし 00036460L10やをよび、うらなわせけれバ、占者、さん木を置キ、とく 00036470L11とかんかへて、是ハよろしからぬ、けたいで御坐ります。 00036480L12先ツ壱銭を得て三銭をうしなふと申けで御坐ります。すて 00036490L13に其壱銭に釣りのゑんか御坐ります。これによつて(二十 00036500L14ウ)水難の御用心を被成ましといふて帰る。はたして其よ 00036510L15く日、石の手水鉢へなげこまれた 00036520¥N37¥J 00036530¥X腐儒 00036540L18ふじゆ者のむす子、絵がすきにて、あるとき屏風へ大キな 00036550L19みゝづくを書く。ふじゆ、もつての外(二十一オ)はら立、 00036560L20我ハおれが子程にもない。なぜみゝづくを書た。むすこそ 00036570M1れハなぜで御坐ります。ふじゆ者ばかめ。みゝづくハ、ね 00036580M2鳥を取ルハ 00036590¥N38¥J 00036600¥Xまちがい 00036610M5夏の夕ぐれに、十七八な娘、七十斗リなばゞを供につれ、 00036620M6すゞみに出ル。近所のむす子、ばゞに文を(二十一ウ)渡し、 00036630M7是を娘子に届ケて下されといふ。ばゞハ耳が遠くて、それ 00036640M8も聞へず。なんぞ用があつて手前へよこした文であらふと 00036650M9思ひ、内へ帰て、めがねをかけてよんで見バ艶書なり。ば 00036660M10ゞ嬉しそふな顔をして、たでくふむしもすき※だな(廿 00036670M11二オ) 00036680¥N39¥J 00036690¥Xやぶ入リ 00036700M14ある子供、親父に聞くハ、きのふ御すへが弐三人、やぶい 00036710M15りにいつたと申ますが、あれハやぶゑ何しにはいるので御 00036720M16座ります。親父わらいながら、大かた、こうのものでも取 00036730M17りにはいつたであらふ(廿二ウ) 00036740¥N40¥J 00036750¥X口と云文字 00036760M20友だち二三人集り、そんしよそれハうら山しいことた。四 00036770¥P101 00036780L1角な文字も知て居るそうなといへば、何も知らぬ男いふよ 00036790L2うハ、浦山しいことハ御坐らぬ。わしも四角な字ハ知て居 00036800L3ます。友立ふしつけながら、貴様が何を知つて御坐らふ。 00036810L4彼男口といふ(二十三オ)字を知て居ます 00036820¥N41¥J 00036830¥Xかんがへ 00036840L7寒中に、供を壱人つれた男、日かげはかりありく。供旦那 00036850L8様。此おさむいのに、なぜ日かけ斗り御歩行キ被成ます。 00036860L9旦那冬ハ日かげをありくものだ。供、しはらくかんかへ、 00036870L10なるほど、御尤て(二十三ウ)御座ります。日向ハ霜とけが 00036880L11いたします 00036890¥N42¥J 00036900¥X御手元 00036910L14上戸と下戸と酒をのむ。下戸、上戸へ、/御中(アイ)いたしました 00036920L15と盃をさす。上戸御手元拝見致しませう。下戸かう酔ふて 00036930L16ハ、御手元よりは足元に御気を付て下され(二十四オ) 00036940¥P102 00036950¥U噺本大系△第十二巻 00036960¥T/百福物語(ひやくふくものがたり)〔序題〕 00036970¥G 00036980¥Y 00036990L15天明八年正月序 00037000L16恋川春町・行町序 00037010L17春町・喜三二・行町合作 00037020L18喜多川歌麿画 00037030L19伏見屋善六板 00037040L20小本一冊 00037050¥Y百福物語之序 00037060M2諺曰。笑門者福来。実宜乎。談僧 00037070M3交咄則奉加多。豆蔵発口則鳥 00037080M4目集。是無他。可謂売笑衆人而 00037090M5得福者也。茲門人幸町。編百福 00037100M6物語。以及千嘘八百八町。而將(一オ) 00037110M14令衆人。笑以得福矣。不亦宜乎。 00037120M15予又従来。有好目出度之癖。故 00037130M16目出度然。而作百福之内十福。 00037140M17以題巻端。鳴呼御幣也夫。 00037150M18天明八戊申孟春 00037160M19△△寿山人恋川春町識G(一ウ) 00037170M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一オ・ウ) 00037180¥P103 00037190¥Y其二 00037200L3むかし+ぢゝいとばゝアとあつたとサとハ、夫そのかミ 00037210L4の/咄(はなし)にして、桃太郎がおぎやア+もはなしならん。/蟹猿(かにさる) 00037220L5/何(なん)ぞ/歯(は)のなき事ありや。然らバ歯の有にもよらず、又無き 00037230L6にもよらず噺ならん。/茲(こゝ)に/所謂(いわゆる)/百物語(ひやくものがたり)ハ、/■(とうしん)がなくなる 00037240L7と/化物(ばけもの)が(二オ)罷出て、もゝんぐわアの/狂言(きやうげん)を/勤(つとむ)。夫だに 00037250L8よつて、/寿山(じゆさん)/亀山(きざん)の両人に、我が/拙(つたな)きを/加(くハ)へて、春/夏秋冬(なつあきふゆ) 00037260L9の折+につけつるくさ+の口ずさみを、/実(げ)に/百福物= 00037270L10語(ひやくふくもの=がたり)とも/百福寿(ひやくふくじゆ)とも/題(だい)せしハ、/地口(ぢくち)でもなく/洒落(しやれ)でもなく、 00037280L11/愛(めで)たき年の初に/読(よむ)ものならバ、/何(なん)ぞかならずしも(二ウ)幸 00037290L12を/得(ゑ)ざらんや。/且(かつ)ハ/笑(わらい)艸となりなん。/笑(わら)ふ/家(いへ)にハ/福(ふく)/来(きた)ると、 00037300L13/宝珠(ほうしゆ)の玉の御目印の/書林(しよりん)にあたふるものならし 00037310L15△△△めでたきはるのめでゝへ日 00037320L16△△△△△△集者△△△△△恋川ゆき町述 00037330L17△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△G 00037340L19△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(三オ) 00037350¥G(一オ) 00037360¥P104 00037370¥N1¥J 00037380¥X/富士山(ふじさん)△△△△△△△△△△△△△¥A恋川はる町 00037390L3/富士山(ふじさん)ハとふいふ山だノ。Sあれハ/孝霊帝(こうれいてい)の/御宇(ぎよう)に、/近江(あふミ) 00037400L4の国に/湖水(ミづうミ)、一/夜(や)にできて、そのつちで一夜に、ふし山を 00037410L5/築(つい)たのだ△Sソンナラ、その下に/人家(じんか)もあつたろう△Sあ 00037420L6つたとも+。其人の/迯(にげ)たあとが、今の/人穴(ひとあな)サ(一ウ) 00037430¥N2¥J 00037440¥X/七宝(しつほう)△△△△△△△△△△△△△△¥A喜三二 00037450L9たからづくしのうちに、/七宝(しつほう)といふものがあるが、あれハ 00037460L10なんだ。Sされバサ。なんだかおれもしらぬが、七ほうと 00037470L11いふハ、七いろのたからをあつめて七宝といふ。其七いろ 00037480L12の一つを七宝といふハ、大きな/間違(まちがひ)サ。いかさま、まちが 00037490L13ひでも(二オ)あろふ。わちがひににたものだから 00037500¥N3¥J 00037510¥X/宝舟(たからふね)△△△△△△△△△△△△¥A恋川ゆき町 00037520L16/七福神(しちふくじん)おの+うちよつて、われ+が二日のはつゆめに、 00037530L17ミんなの/枕(まくら)の/下(した)にすかれて、こゞとをきく/時(とき)もあり。又/気(き) 00037540L18をわるくすることも、/毎年(まいとし)+あるによつて、此/春(はる)ハちと 00037550L19(二ウ)しゆこうをかへ、てんでに手わけをして、まづほて 00037560L20いおせうハ六十六か国の寺をつかさどり、其外/道心坊(どうしんぼう)まで 00037570M1をうけ合、さて又たれハそんじよそこ、あれハそんじよそ 00037580M2こと定め給へバ、とかく/品川(しなかハ)や/新宿(しんじゆく)、両国、なミ木ばかり 00037590M3へゆきたがり給ふものおゝく、ゑこひゐきが(三オ)できて、 00037600M4元日から二日の/入相(いりあい)ころまて/談(だん)じ給へども、ひやうぎまち 00037610M5+なりけれバ、ことしもやつぱ、いつものとをり 00037620¥N4¥J 00037630¥X/鷹(たか)△△△△△△△△△△△△△△△△△¥Aはる町 00037640M8ゆふべよいゆめを見た。たかを見た。それハよいゆめだ。 00037650M9はつゆめに二たかハどふもいへぬ。(三ウ)おれが/見(けん)とくに 00037660M10/買(かを)ふ。イヤ、うるまい。イヤ、ぜひに二たかをかをふとい 00037670M11ゝあふを、つんぼうのおふくろがきゝかねて、かふハよい 00037680M12が、一生のやまひをしよやるなよ 00037690¥N5¥J 00037700¥Xとしの/夜(よ)△△△△△△△△△△△△△¥Aゆき町 00037710M15此としのくれハさうおうだと、小うたうたふ(四オ)て、さ 00037720M16むいのに、てうちんの/火(ひ)で/手(て)をあぶりながら、とくいばの 00037730M17かけ取。もふはや九つでもあろふ。シカシ/吉原(よしハら)なら、まだ 00037740M18四つだのとしやれながら、ずるりとすべる。なむさん、/犬(いぬ) 00037750M19のくそをふんだかと、ひとりこゞとをいゝながら、手をや 00037760M20つて見た所が/小判(こばん)一両。こいつハむかて小判(四ウ)じやア 00037770¥P105 00037780L1ねへかと、ひつくりかへし+、どふ見ても/本(ほん)のこばんに 00037790L2ちがひハなし。大ぐわんじやうじゆ、かたじけないといふ 00037800L3バなれど、だまつてそつとしまい、ことしハだいぶいゝく 00037810L4れだといゝながらゆけバ、又ずるりべつたりころぶ。又金 00037820L5だろうと、てうちんの火で見るまでもなく、手をぐつと 00037830L6(五オ)やつた所が、犬のくそ 00037840¥N6¥J 00037850¥X/茄子(なすび)△△△△△△△△△△△△△△¥Aはる町 00037860L9ともだちどふしより合て、ばんの日まちのしるハ、ごまに 00037870L10のなすにしやう。イヤ、なすハわるひ。イヤ、なすがよい 00037880L11とあらそふ所へ、またひとりふつときて、おらアどふても、 00037890L12たこが(五ウ)いゝとおもふ 00037900¥N7¥J 00037910¥X/丁子頭(てうじがしら)△△△△△△△△△△△△△△¥A喜三二 00037920L15うちよつてはなしをしてゐるとき、あんどうにてうじかし 00037930L16ら。サアおれがいれよふ+といへバ、その中にゐる八右 00037940L17衛門、どれ+、おれがいれよふ。たゞいれてハやくにた 00037950L18ゝぬ。となへ事があると(六オ)なんだかそバへよつて、口 00037960L19のうちてべちやくちや+。みな+/耳(ミヽ)をたてゝ、しんに 00037970L20なつてきけバ、あしたハなんぞきつてうじ、なんぞおれに 00037980M1ハきつてうじ 00037990¥N8¥J 00038000¥Xとしの市△△△△△△△△△△△△△¥Aゆき町 00038010M4ごへいかつぎの福右衛門、けふ/浅艸(あさくさ)の市だに(六ウ)よつて、 00038020M5なんぞかつてこよふと、火事もねへのに火事はをり、もゝ 00038030M6引といふ身で、山下からだん+こうとく/寺(じ)の門前へかゝ 00038040M7り、御もんぜきのあまさけなどをすゝつて、/夫(それ)からなんぞ 00038050M8かをふとおもつて、きよろつきまなこであるく所が、どれ 00038060M9も+、まけた+。サアまけた(七オ)+といふゆへ、 00038070M10れいのごへいをおこし、まけたとハゑんぎわるいと、八つ 00038080M11じぶんから日のくれる迄、あつちこつちたづねてあるくけ 00038090M12れど、さて+どれも+、まけた+と斗リいふゆへ、 00038100M13ハテこまつたものだ。せつかくきて、なんぞかわねへじや 00038110M14ア、これもゑんぎかわるひ(七ウ)とおもつて見た所が、さ 00038120M15いわいそこに、としも八十斗リのおやぢが、大こくさまを 00038130M16だまつてうつてゐる。サテコソこいつハいゝ。おれもまた 00038140M17/福神(ふくじん)ハすて給ハぬと見へた。これこそてんのあたふ所と、 00038150M18モシエ。其大こくさまハいくらでござるといへバ、かのお 00038160M19やぢ、コレハ百てござります。(八オ)しかし、ちつとハま 00038170M20けませう 00038180¥P106 00038190¥N9¥J 00038200¥X/大黒(だいこく)△△△△△△△△△△△△△△¥Aはる町 00038210L3あるびんほう人、ふくをいのらんと、金だびの大こくをか 00038220L4いきたり、たんせいをくだきいのりしかバ、あるよ、あら 00038230L5たにごれいむにハ、おれとても外になんにもない。ばんか 00038240L6らべたに(八ウ)居て、/此俵(このたわら)を二俵ながらさづくるとのれい 00038250L7む。あらありがたやとおしいたゞき、なかをあけたれバ、 00038260L8あかつちのやきもの 00038270¥N10¥J 00038280¥X/鳥(とり)の/声(こへ)△△△△△△△△△△△△△△¥Aゆき町 00038290L11モシイ、/鶏(にわとり)ハなんとなきますへ。あれか。あれハいろ+ 00038300L12あるヨ。まづちやぼハ、おきちやつせへと(又八オ)なき、 00038310L13地鳥ハ/東天紅(とうてんこう)となくヨ。ひがしの天が、よがあけてあかく 00038320L14なるといふこゝろさ。とうまるハよがあけたアとなくぜ。 00038330L15して又すゞめハなんとなきます。すゝめか。すゝめはノ、 00038340L16かゝるめでたい/御代(ミよ)なれバ、/千代(ちよ)++と、しゆくして 00038350L17なくのだ。ハヽア/夫(それ)てすめました。(又八ウ)こんなにミん 00038360L18なのとりが、それ+になくによつて、がアおつた+ 00038370L19++ 00038380¥N11¥J 00038390¥X/恵比須(ゑびす)△△△△△△△△△△△△△△¥Aはる町 00038400M3とよあし/原(ハら)のなかつ/国(くに)、ことの外/劒術(けんじゆつ)がはやるところ。ゑ 00038410M4びす様ハれいのほねなし。どふぞしかたハあるまいかと、 00038420M5いしやへさうだん(九オ)ありしかバ、やげんぼりのほばし 00038430M6らぐわんかよかろふとて、一まわりもちひたとこが、しや 00038440M7つきりとして、ほねがあるやう。さつそくぼくとうをもつ 00038450M8て、あいてをたゝきふせ、あせをぐつとぬぐふとこが、の 00038460M9べがミ 00038470¥N12¥J 00038480¥X/納涼(すゞミ)△△△△△△△△△△△△¥A喜三二(九ウ) 00038490M12/頃(ころ)しも六月のたへがたきあつさに、たからぶねハ春斗リ入 00038500M13用ゆへ、どようぼし。こゝろながら/弁天(べんてん)のびわハ、さミせ 00038510M14んととりちがへ、ひしやもんの十文字ハ舟さすさほとこじ 00038520M15つけ、ぶら+両ごくからのり出し、はるのはじめのたか 00038530M16ら舟なんどハ、ゆめに見てせへよいとや申(十オ)とかなん 00038540M17とかしやれながら、だん+/永代(ゑいたい)の方へ/行(ゆき)給へバ、つぢば 00038550M18んからぼうをだして大さわぎ。なにをするかとおもつたれ 00038560M19バ、はしの人をとめしもおかし 00038570¥P107 00038580¥N13¥J 00038590¥X/布袋(ほてい)△△△△△△△△△△△△△△¥Aはる町 00038600L3ほていおしやう、もはやことしも/月迫(げつはく)。とし(十ウ)わすれ 00038610L4をしやうと、から子どもをよひあつめ、くつたりのんだり 00038620L5大さわぎにて、たらふくゑひたおれてねられたるが、ちり 00038630L6けもとへ、なにやらぐつとさしこんだから、目をさまして 00038640L7見たら、そバに/年始(ねんし)のてうめん 00038650¥N14¥J 00038660¥X/宝尽(たからづくし)△△△△△△△△△△△△△△¥Aゆき町(十一オ) 00038670L10/宝(たから)づくし、七ふくじんへうつたへけるハ、かくれかさ并か 00038680L11くれミのゝぎ、せじやう一とう、わたくしどもなかまとお 00038690L12ぼへておりますが、アノミのかさなどゝ申ものハ、なんに 00038700L13もたからなことハごぜへませず、ぬす人のすきそふなもの 00038710L14で、しのびのどうぐゆへ、なにぶんこのうへ、わたくしど 00038720L15も(十一ウ)なかまを仕ますことハ、ごめんあられましやう 00038730L16と申上けれバ、ふくじんたちごさうたんのうへ、なるほど、 00038740L17/尤(もつとも)しごくな事なれども、さりながら、たゞいま迄せじや 00038750L18う一ツとう、きさまたちのなかまにしておく事ゆへ、なか 00038760L19まをはづすこともなるまいから、そんならしバらく/青楼(せいろう|よしハら)へ 00038770L20でも(十二オ)あづけよふと/仰出(おゝせいで)けれハ、又たからづくし申 00038780M1出けるハ、それハなぜてござります。なせなら、よの中の 00038790M2若イしゆにかすハな 00038800¥N15¥J 00038810¥X/福禄寿(ふくろくじゆ)△△△△△△△△△△△△△△¥Aはる町 00038820M5/星(ほし)にもだん+なのあるものゝやうにきゝましたと、/天文(てんもん) 00038830M6じやにとひけれバ、なるほど、ある(十二ウ)とも+。ま 00038840M7つ/南極星(なんきよくせい)/北極星(ほつきよくせい)とて、此二つがおもさ。なんきよくせい 00038850M8ハせけんでいふふくろくじゆの事サ。そんなら/と((ほカ))つきよく 00038860M9せい/へ((ハカ))。北極せいハほくろく/神(じん)サ 00038870¥N16¥J 00038880¥X/気(き)なが△△△△△△△△△△△△△△¥Aゆき町 00038890M12とし月のたつハながいと思へバながく、みじかいと(十三 00038900M13オ)おもへハミじかく、もはやことしもせきぞろが、さつ 00038910M14サござれやといつてくると、すゝはき竹や+とうつてく 00038920M15ると、おらが内でもすゝはきをせずバなるめへと、/家内(かない)中 00038930M16大さわぎ。/千代(ちよ)の子やおめでたいヤアサウ+とうたひな 00038940M17がら、すゝはきもすんだところが、へつついのうへにすゝ 00038950M18が(十三ウ)のこつてゐると、ばんしんがれいのかんしやく 00038960M19でおゝこゞとをいふ所へ、うちのおばゝさま、ナンダ。こ 00038970M20れ新七や。すゝがのこつたとか。すゝがのこつたら、どふ 00038980¥P108 00038990L1て又来年もとるもんだから、うちちやつておかつし。その 00039000L2ときとるがヱヽ 00039010¥N17¥J 00039020¥X/福禄寿(ふくろくじゆ)△△△△△△△△△△△△¥Aゆき町(十四オ) 00039030L5ふくろくじゆ、此ごろハどちへもゆかねハ、きがくつして 00039040L6わるひと、まつ両ごくのかりたくへでもゆかふと、とこへ 00039050L7よりさかやきをそらせ、/鼠(ねづミ)のしつほほどなかミを本だにゆ 00039060L8わせて、たいもつをはらい給へバ、かミゆひ、モシだんな 00039070L9エ。おふたりまへ下さりませといふ。ふくろくじゆ(十四ウ) 00039080L10なぜ、そんなことをいふの。しよしきがたかいといつて、 00039090L11あぶら迄高くもなりそふもねへもんだとの給へバ、これハ 00039100L12おぐしの代でハこさりませぬ。さかやきのそり代でござり 00039110L13ます。なぜなら、よほどおつむりが長ふござりますから 00039120¥N18¥J 00039130¥X/七福神(しちふくじん)△△△△△△△△△△△△¥A喜三二(十五オ) 00039140L16七ふくじんの中ても、大こくてんとほていおせうハ、ミな 00039150L17さまこそんじのとをり、ふとつてましますゆへ、とかくつ 00039160L18れ立てあるくにおそくなり、中にもじゆろうじんなどハ、 00039170L19しかにのりあるき給ふゆへ一ばんはやく、弁天などハ女な 00039180L20れども、さつ+とあるくゆへ、コレ+、ほてい(十五 00039190M1ウ)さん。はやくあゆびなせへとのたまへバ、ほてい、ほ 00039200M2ていことをいふ人だ。どふしてはやくあるかれるものか 00039210¥N19¥J 00039220¥X/子待(ねまち)△△△△△△△△△△△△△△¥Aゆき町 00039230M5正月元日。こんやハきのへねとうちよつて、さて、江戸に 00039240M6ハよになると、およんな+といふこゑが(十六オ)ほんの 00039250M7人のやうな。あれでもたかだとサ。おらがくに/((の脱カ))たかのこへ 00039260M8とハ大ちがひ。又両こくとやらに、きん※のねこがいる 00039270M9そふだが、なんとなきますね。ムヽあるとも+。其なき 00039280M10やうか。そのこへわの、二しゆ一ぶ 00039290¥N20¥J 00039300¥X/弁天(べんてん)△△△△△△△△△△△△¥Aはる町(十六ウ) 00039310M13ゑのしまの弁ざいてん、ほうぢやうの四郎ときまさに、三 00039320M14つうろこをへがしてさつけ給ひしより、あとのうろこもう 00039330M15こきがでゝ、ミなぬけそふゆへ、よこ山丁のいればへ/来臨(らいりん) 00039340M16し給ひ、/入(いれ)うろこのことをたのミ給ひけるに、中+によ 00039350M17りたるうろこなけれバ、入うろこハで(十七オ)きませぬと、 00039360M18ミんなへがしてならべ、とをし口からくぎをおし+、か 00039370M19なづちてトン++トン++ 00039380¥P109 00039390¥N21¥J 00039400¥X/髪置(かミおき)△△△△△△△△△△△△△△¥Aゆき町 00039410L3けふハ万吉が三つのいわゐなれバ、うぢがミさまへもやら 00039420L4ざアなるめへと、内儀のおまつ、まないたとつてほう丁と 00039430L5ぎすまし、まづ(十七ウ)近所のしうでもよばふと、あづき 00039440L6めしにとうふのぐつに。なんぞ/尾(を)かしらのついたものをつ 00039450L7けよふと、あさからまつてゐたところか、さつぱりしけで 00039460L8なんでもなし。そふする所へ、ばか+とうつてくる。そ 00039470L9んならなまぐさに、はかでも入やうと、コレ+、ばか 00039480L10+とよびけれバ、その(十八オ)ばかうり、大のかなつん 00039490L11ぼ。ばか+。コレサ、ばか+と大いき切ツてよべハ、 00039500L12やう+きゝつけ、ハイ。ばかハおまいの事かへ 00039510¥N22¥J 00039520¥X/元日(くわんじつ)△△△△△△△△△△△△△△¥A喜三二 00039530L15からすががア+となくと、はぜや+とうつてくる。た 00039540L16から舟+。しんぱんかわりました(十八ウ)道中すご六、 00039550L17ふくじんすご六。ちよつとおたのミ申ます。どうれ。どな 00039560L18たでござります。/福井(ふくい)福さい、ぎよけい申入ますといふを、 00039570L19旦那のふく兵へどのきゝつけて、ことしハでへぶいゝ。は 00039580L20じめてのきやくに/福井(ふくい)/福斎老(ふくさいろう)とよろこべハ、又たのミまし 00039590M1やう。どうれ。つゐわすれ(十九オ)ました。又当年も御用 00039600M2あらバ、ごゑんりよなふおゝせ下さりませ 00039610¥N23¥J 00039620¥X八十八の/賀(が)△△△△△△△△△△△△△¥Aゆき町 00039630M5おらが内の御いんきよ、ことしハてうと八十八。むすこが 00039640M6七人、まごが五人、ひこが八人、やしやごが四人、きしや 00039650M7ごが一升。なにふそくなし。(十九ウ)どふしてそんなにめ 00039660M8でたい仕合といへハ、そのはづサ。大おねんぶつかすきた 00039670M9よ。そのおかげでもあらふ。おきてもねても、なむあミだ 00039680M10+。せわしくなると、なまだ+。めしがにへても茶が 00039690M11にへても、/あ((なカ))まだ+ 00039700¥N24¥J 00039710¥X/毘沙門(びしやもん)△△△△△△△△△△△△¥Aはる町(二十オ) 00039720M14/源(ミなもと)のよしとものミだい、ときハごぜん。なにとぞなんし 00039730M15を一人さづけたび給へと、くらまのびしやもん天にきせい 00039740M16をかけ給ひ、よしとも公とそいねのゆめに、くらまのびし 00039750M17やもんてん、こかねのよろいかぶとをめされて、あらわれ 00039760M18玉ひ、なんぢに男子を(二十ウ)さづくるなり。ゆめ+う 00039770M19たがふことなかれときいやり、きもにこたへて目がさめた 00039780M20ところが、四つ目やの道具だらけ 00039790¥P110 00039800¥N25¥J 00039810¥X/寄遊女恋(ゆふじよのこひによる)△△△△△△△△△△△△△¥Aゆき町 00039820L3/福田屋(ふくだや)のむすこ、ことしハしまいもよし、年わすれにちよ 00039830L4とたのしまふと、友だち弐(廿一オ)三人、江戸町の玉やと 00039840L5でかけ、/夜中(よちう)なんだか大いちやつきにて、ぬしやアどこへ 00039850L6いきなんすといへバ、かのむすこ、わたしかへ。わたしや 00039860L7アおめへばかりさ。いふもんでありいすなどゝいふ内、は 00039870L8やよがあけて、そふ+内のかと口へきてミたところが、 00039880L9おやぢがいつのまにか、やくわん(廿一ウ)あたまをだして 00039890L10ゐる。こいつハしかられよふと思つても、しかたもなく、 00039900L11しかられたらどふするもんだと、はりこミながらこわ※ 00039910L12そバへよれバ、ふくべ 00039920¥N26¥J 00039930¥X/月見(つきミ)△△△△△△△△△△△△△△¥Aゆき町 00039940L15/今夜(こんや)ハ八月十五夜。しかもよくさへたばん。(廿二オ)ミな 00039950L16+うちより、くつたりのんたり、しんるいゑんるい中む 00039960L17つましく、こちほど大けいなことハござらぬと、長き夜す 00039970L18がら、うたをよミ/詩(し)をつくり、れんがはいかひ、ふうぞく 00039980L19さいばら。ときにぞうり取の三助、すミつこにねむつてゐ 00039990L20る。これ+三介。此月のいゝにねむる(廿二ウ)事ハねへ。 00040000M1まづ月を見ろとしかれバ、ハイとおきあがり、かいるのつ 00040010M2くばつたやうななりで月を見る。モシイ、だんな様。此お 00040020M3月さまを/昼(ひる)見るもんだとよふごぜへます 00040030¥N27¥J 00040040¥X/恵方参(ゑほうまいり)△△△△△△△△△△△△△△¥A喜三二 00040050M6ゑほう参り。まつ/一寸(ちよつ)と、ちよろ+とかけだす(廿三オ) 00040060M7ところへ、くにのもの、これハめつらしい。まつぎよけい。 00040070M8さて又おめへハ、今でハどこにおいでなされます。して又 00040080M9おなもむかしのとをりかへ。イヱ、/名(な)もちがひ、ところも 00040090M10かへました。なハ/馬場(ばゝ)/馬(ば)ざへもん、所ハばくらう町。へヽ 00040100M11ヱ、それハむまづくし。きつい/馬(むま)がおすきだねといへバ、 00040110M12ひゝ引む+(廿三ウ) 00040120¥N28¥J 00040130¥X/題(だい)しらず△△△△△△△△△△△△△¥Aゆき町 00040140M15大こくのつかハしめ、はつかのすけがそくじよ、はつかの 00040150M16まへ。モシおとつさんへ。わたくしハなぜか、きのふから 00040160M17いつそ、しやくがいとふござりますといへバ、そんならち 00040170M18うあんが所へ人をやらふと、すゞり取だし、ふでおつとり、 00040180M19てがミをもつて、けい(廿四オ)じやうせ/めし((ママ))候。いよ+ 00040190M20御ぶゐめでたく候。したがつてむすめぎ。ヲヤ+、あの 00040200¥P111 00040210L1おとつさんハや。ナアニ、したがりもしねへものを 00040220¥N29¥J 00040230¥X/寿老人(じゆらうじん)△△△△△△△△△△△△△△¥Aはる町 00040240L4七ふく/神(じん)より合のときに、じゆろうじん申さるゝハ、さて 00040250L5せけんにて大こくばしら、(廿四ウ)ゑびすがミ、びしやも 00040260L6んすねあて、ほてい市右衛門、べんてんおとミなどゝいゝ 00040270L7なそらゆれども、おれがことハだれも一ごんいゝてがない。 00040280L8ナントしやうハあるまいかといへバ、あとの神+、おつ 00040290L9と、それハしかたがあると、柳ハらのにうり見せのせうじ 00040300L10へ、じゆらうじんの御すいもの(廿五オ) 00040310¥N30¥J 00040320¥X/出世鯉(しゆつせごい)△△△△△△△△△△△△△△¥Aゆき町 00040330L13これ+、おれハきのふのあさ、とんだめでたいものを見 00040340L14た。何をミた。イヤ、こいのたきのぼりをミた。それハい 00040350L15ゝものを見た。どふした所を見た。まづおれがとをつたら、 00040360L16こいめが二ひきつれだつて、たきをのぼろふ+とする。 00040370L17(廿五ウ)それからどふした。そこておれが見てゐたらノ、 00040380L18やがてたきのそバへいつて、あさ日の方へむかつた。それ 00040390L19からどふした。/夫(それ)からノ、一つのこいが四尺ばかり、今一 00040400L20つのこいが二尺ばかり。大かたあれハあのこいのむすこか 00040410M1/弟(おとゝ)でもあらふと思つて見ていた。/夫(それ)からどふした。夫から 00040420M2ノ、なにが大きなこいめが(廿六オ)だん+たきへのぼつ 00040430M3た。そこでおれがはだかになつて川へはいつた。シテ又そ 00040440M4のこいをつかめへたか。つかめへたとも+。そんならそ 00040450M5のこいを見せさつせへ。イヤ、それがミんなゆめであつた 00040460¥N31¥J 00040470¥X/宝珠(ほうしゆ)△△△△△△△△△△△△△△¥A喜三二 00040480M8ほうしゆの玉といふハなんだ。アレカ。あれは(廿六ウ)も 00040490M9とハおらもなんだかしらぬ。ハテ、なんとあろふナ。され 00040500M10バなんでござりますかといつてゐる所へ、ものしりがきて、 00040510M11あれハもとハ、とうのいものかしらだ。ハテ、とんだもの 00040520M12だの。それだによつて、/毛(け)がはへてゐる。イヤ、あれハ毛 00040530M13でハない。くわゑんだとあらそふ所へ、又人きたり、コレ 00040540M14+、(廿七オ)/毛火(けくハ)御無用+(廿七ウ) 00040550¥P112 00040560¥Y 00040570L1/李庭亭(りていてい)の/主人(しゆじん)なる恋川ゆき町か/集(しう)たるや、/夫(それ)ゆき町ハまし 00040580L2ろともならず、白妙にもあらす。雪にハえにしもとつけも 00040590L3ない恋川ゆき町也。/半紙(はんし)に/御(を)くらの名あれバ、かばやきに 00040600L4江戸/前(まへ)の名あり。江戸に/紫(むらさき)の名ありて、/菜飯(なめし)に女川の名あ 00040610L5れハ、ゆき町もしからん。夫はなせバとび(廿八オ)ます。 00040620L6はなせバ落ます。ますほの/薄(すゝき)、/穂(ほ)にいで/初(そ)めて、/此春(このはる)/我(われ)に 00040630L7/跋(ばつ)せよといへハ、気をはる町にもあらで、/平気(へいき)にかきがら 00040640L8/芋(いも)がら、ねつからわからぬ事を、めて度はるの/初(はじめ)の書初、 00040650L9宝舟/宝珠(ほうしゆ)の/玉(たま)の/其(その)ついでに、/一寸(ちよつ□)/書(かき)やるものハたそ。 00040660L10△△△△△△△△△△△△△△寿山人、恋川春町ぞや 00040670L11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(廿八ウ) 00040680¥P113 00040690¥U噺本大系△第十二巻 00040700¥T/千年草(ちとせくさ)〔序〕 00040710¥G 00040720¥Y 00040730L17天明八年正月序 00040740L18無辺斉序 00040750L19小本一冊 00040760L20東大国語研究室蔵 00040770¥Y序 00040780M3/夫(それ)/楽(がく)ハ人を/和(くわ)し、其/至妙(しミやう)/感(□ん)じてハ/龍蛇(りやうじや)出て/舞(まい)、/嬰児(ゑいじ)/起(たつ)て/躍(おとる) 00040790M4と云ハ/堅(かた)し。時に/感(かん)じてハ/田鼠(でんそ)/鶉(うつら)となり、/雀(すゝめ)/蛤(はまくり)となり、 00040800M5/嫁(よめ)/姑(しうと)となるは/古(ふる)し。/寒(さむき)時ハ手か/生姜(しやうが)ニなり、/喧(やかましき)/時(とき)は(序 00040810M61オ)/耳(みゝ)か/臼(うす)ニなり、/鬧(いそかしき)時ハ/足(あし)か/摺(すり)こ/木(ぎ)になるの/類(たぐ)ひ、今 00040820M7や/可笑(おかしき)ニ/感(かんじ)て、/臍(ほぞ)が/西国(さいこく)するといふも/宜(むへ)也。/嗚呼(あゝ)/臍(ほそ)は/寒(さむき)に 00040830M8/縮(ちゝミ)上りもせず、/暖(あたゝか)なるに/垂下(たれさかり)もせず、又ふとくなり/堅(かた)くな 00040840M9り、ひん+と/動(うご)く(序1ウ)/類(たくい)にもあらず。/只(たゝ)/可笑(おかしき)ニのミ 00040850M10/感(かんじ)て、はる+/西国(さいこく)する事ハ/何(なん)ぞや。/啌(うそ)八百巻の中に、/西(さい) 00040860M11ハ/臍(さい)也、/国(こく)ハ/黒(こく)也といへり。人/愁(うれ)ひ/煩(わつら)ふときは、/臍(ほそ)たゞれ、 00040870M12あるひは/赤(あか)く或は白し。/笑(わらひ)たのしむときハ、/臍垢(ほそあか)付て/黒(くろ)し。 00040880M13/此書(このしよ)や(序2オ)/読(よむ)ひとのわらひ/楽(たの)しミて、/臍黒(さいこく)ならしめて、 00040890M14ことぶきをのべんと思ふのミ。よつて/千年艸(ちとせくさ)と/号(なつけ)し事、/無= 00040900M15理(む=り)ならし 00040910M16△△△△△△△△△△△△△△△△無邊斉撰 00040920M17△△△天明八 00040930M18△△△△△申の尻真赤な正月△△△△△△△△(序2ウ) 00040940¥P114 00040950¥G(三ウ・四オ) 00040960¥N1¥J 00040970¥X菊見 00040980M3/或有徳人(あるうとくじん)、/亀井戸辺(かめいとへん)ニ/隠居(いんきよ)して、/娘(むすめ)壱人リ遣ふていらるゝ。 00040990M4/菊作(きくつくる)が大の/好(すき)で、/殊(こと)之外見事さ。又其娘が/猶(なを)見事だといふ。 00041000M5若男それハ見ニゆきたひの。見ニゆかしやれ。菊見があれ 00041010M6バ/悦(よろこば)るゝ。其レならハいつて見てこふ。/扨(さて)いきニ/拵(こしらへ)へ、/彼(かの) 00041020M7いん居へゆき、ちときく(一オ)/拝見(□いけん)仕たひ。いん居是ハ 00041030M8+よふこそ+。御/覧(らん)下され。男扨も/珍花(ちんくわ)、見事で御ざ 00041040M9りますと/言(いゝ)つゝ娘をミれハ、/殊(こと)之外の/美人(びじん)。先あらまし菊 00041050M10をミて、/定(さため)而/実生(ミしやう)も御ざりませふ。いん居/随分(ずいぶん)/実生(ミしやう)もござ 00041060M11る。/御好(おすき)なら御/覧(らん)下され。娘、御/案内(あんない)申せ。さて娘の案内 00041070M12ニて、/土蔵(とぞう)二三ケ所の間(一ウ)えゆく。いん居ハ茶でも立 00041080M13てふるまわんと/炭(すミ)などつぎ、/待(まて)ども+かへつて/来(こ)ねエ。 00041090M14/漸(やゝ)しばらくして/二人(ふたり)ともかへり、さて+/実生(ミしやう)ニも、/殊(こと)の 00041100M15外/珍花(ちんくわ)がミへますといへば、いん居いよ+/悦(よろこ)ひ、まづ御 00041110M16茶一つ上ケませふといふて、男の/膝(ひさ)をミて、御ひざに/土(つち)が 00041120M17/付(つき)ましたといへハ、娘、/顔(かほ)を/赤(あか)メて、/手前(てまへ)(二オ)の/尻(しり)をは 00041130M18らつた 00041140¥N2¥J 00041150¥X忠度 00041160¥P115 00041170L1/或(ある)男、/酒(さけ)をかつて/棚(たな)ニあげ/置(おき)、八つ/時分(じふん)ニ/呑(のも)ふと/楽(たの)しミ、 00041180L2/外(ほか)へ出、八つ時分ニかへりて/彼徳利(かのとくり)を出し、/盃(さかつき)へついでミ 00041190L3れハ、酒ハ一/雫(しづく)も出ず。/短冊(たんざく)がひら+と出た。よミてミ 00041200L4れハ、(二ウ) 00041210L5△△△さゝ浪や志賀の都ハあれにしを 00041220L6△△△△昔しながらの山ざくら哉 00041230L7ハヽア、のミ人しらずじやな 00041240¥N3¥J 00041250¥X赤尽し 00041260L10/茜(あかね)屋/紅(こう)右衛門どの、大イの赤イ/物好(ものずき)のと/評判(ひやうばん)している所 00041270L11へ、ちと御見/舞(まい)申と、ずつと/這入(はいる)。先つ赤小袖、赤イ/羽織(はおり)、 00041280L12赤イ/足袋(たび)、/帯(おび)も(三オ)(三ウ・四オ挿絵)/緋(ひ)どんす。さて赤イ 00041290L13どうらん、赤イきせる、赤イたはこを赤イ火で、赤イ/顔(かほ)し 00041300L14て/吸(すわ)るゝ。/扨(さて)も赤イ事かなと思ふて見ていれハ、又赤イ/鼻= 00041310L15紙(はな=かミ)を出し、/鼻(はな)をかミてミれハ、白ひはなか出た。びつくり 00041320L16した/顔(かほ)で、/首(くび)すじの毛をぬかれた 00041330¥N4¥J 00041340¥X柿栗(四ウ) 00041350L19/秋(あき)の/末(すゑ)つかた、山の/片(かた)かけに/柿(かき)と/栗(くり)と/咄(はな)している。/扨(さて)+ 00041360L20/栗(くり)どのハ/果報人(くわほうじん)だ。/幾重(いくゑ)も+/着物(きもの)を/着(き)て御ざるが、おれ 00041370M1ほど/情(なさけ)なひ/身(ミ)ハ御ざらぬ。/一重物(ひとゑもの)一チくわんで、/寒(さむ)うなる 00041380M2と赤イ/顔(かほ)でりきんで/居(い)ますと、/涙(なミだ)ぐミて/語(かた)れバ、栗も/気(き)の 00041390M3/毒(どく)さニ、/一重(ひとゑ)でも/着(き)ているハあり/難(がた)ひ。/此松茸(このまつだけ)を(五オ)見 00041400M4な。/此年(このとし)になれど、まだふんどしさへかゝねひ 00041410¥N5¥J 00041420¥X舛 00041430M7壱合/舛(ます)より二三合、五合迄の/舛(ます)どもより/集(あつま)り、/近年(きんねん)/米(こめ)/高直(こふじき) 00041440M8ニ付、/裏(うら)屋、小屋、米小/売(うり)屋ニ/至(いたる)まで、おれらばかり/遣(つか)ひ 00041450M9おる。ちと/御頭(おかしら)の壱升も出て/働(はたらひ)てもらおふ(五ウ)と/打連(うちつれ)、 00041460M10壱升へゆく。一升是ハ+/若衆(わかいしゆ)、打そろふてよふこそ御出。 00041470M11小升イヤ御頭。近年おれら/斗(ばかり)遣るゝ故、/昼夜(ちうや)とも/寸暇(すんか)なく 00041480M12/草臥(くたびれ)はつる。御頭もちと/働(はたらひ)て下され。一升されバおれも/若(わか) 00041490M13ひ/内(うち)ハせい出しました。まだ七十八十迄も/働(はたらい)たが、もふ百 00041500M14こしてハ/働(はたらか)るゝものじやアねエ(六オ) 00041510¥N6¥J 00041520¥X神田祭 00041530M17/田舎(いなか)の/客(きやく)、/馴染(なしミ)の女郎とさし/向(むかひ)て/咄(はなし)ている。女郎、おなら 00041540M18が出そふなゆへ、ぬしや/神田祭(かんたまつり)ミなんしたか。客/度(たび)+江 00041550M19戸え出れど、/神田祭(かんだまつり)ハまだミねエ。女郎/賑(にきやか)な祭でありん 00041560M20す。先つねり物、屋/台(たひ)ばやしして、/此(この)やうニ/太皷(たいこ)をたゝき 00041570¥P116 00041580L1んすと、/火鉢(ひばち)のふち(六ウ)を無しやうニたゝき、其/音(おと)ニま 00041590L2ぎらせ、おならをぽんとはづせば、客、あきれた/顔(かほ)で、其 00041600L3レほどけつこふな/賑(にきやか)な祭ニ、此やうニ/跡(あと)から、こやし/持(もち)の 00041610L4ゆくハどふだろ 00041620¥N7¥J 00041630¥Xたわし 00041640L7/流(なかし)のたわしども申/合(あわせ)、/毎朝(まいちやう)+やくわんの/尻(しり)をミかゝせを 00041650L8る。/心外千万(しんくわいせんばん)な事だ。(七オ)/明朝(ミやうちやう)ハけんくわニして、思 00041660L9ふ/存分(そんぶん)ニしてやろふと申合ス。/扨(さて)/朝(あさ)ニなり、/列(れい(ママ))のごとく下 00041670L10女か/薬鑵(やくわん)をさげて/来(き)て、たわしでぐる+と/洗(あら)ひ、/立(たち)のく 00041680L11/所(ところ)を、たわしの/頭(かしら)こゑかけ、コレ、ちよと/待(まつ)てもらを。や 00041690L12くわんふりかへり、ミがことか 00041700¥N8¥J 00041710¥X三番叟(七ウ) 00041720L15/蚤(のミ)をとらへ/枕(まくら)の上ニ/置(おき)、つぶさんとするニ、其のミいろ 00041730L16+と/飛(とん)で、/拍子(ひやうし)/甚(はなはだ)/面白(をもしろ)ひ。/三番叟(さんばそう)のはやしをすれバ、 00041740L17それニ合せ/三番叟(さんばそう)をふむ。是レハよひ/慰(なぐさミ)と思ひ、/紙(かミ)ニ/包(つゝミ)、 00041750L18/袂(たもと)へ入、/友達(ともたち)ニ出合ヒ、是レ+、面白ひ/物(もの)見せやふ。友 00041760L19ナンだ。S三番叟さと、/枕(まくら)の上ニおき、ハヲンヤとはやせ 00041770L20ば、/彼蚤(かののミ)/三番叟(さんはそふ)をふむ。(八オ)是レハ/面白(おもしろ)ひと、又/紙(かミ)ニ/包(つゝ) 00041780M1ミ/袂(たもと)へ入レ/置(おき)しが、あるれき+の/座舗(さしき)で右の/評判(ひやうはん)/故(ゆへ)、/何= 00041790M2卒(なに=とぞ)/拝見(はいけん)などゝ/所望(しよもう)せられ、/枕(まくら)など/出(だ)されけれバ、/然(しから)バと/袂(たもと) 00041800M3をさがして見てもしれぬ。いろ+/尋(たつね)、やう+/腰(こし)のあた 00041810M4りを/撫(なで)てミれバ、手ニさわるゆへつまミ出し、/然(しから)バ/御覧(ごらん)ニ 00041820M5/入(いれ)ませふと、/枕(まくら)の上ニ/置(おけ)ハ、しら(八ウ)ミしや。ハヽア翁 00041830M6が出られた 00041840¥N9¥J 00041850¥X大般若 00041860M9/法印様(ほういんさま)。/大般若(たいはんにや)を/読(よん)で下さりませ。法印それハ/奇特(きどく)千万。 00041870M10男御礼ハ/何程(なにほと)いります。法印しんどく、くんどく、てんど 00041880M11くとて、/読(よミ)やうニいろ+御さる。男/然(しから)ハ百疋上ます。何 00041890M12なりと読で下さりませ。法印明日/修行(しゆぎやう)いたそふ。(九オ)御 00041900M13参りなされ。扨明日参る。法印是ハ+よふ参らしやつた。 00041910M14/本堂(ほんどう)へいつて/拝(おかま)しやれ。男それハ/有難(ありかたふ)御ざります。本堂え 00041920M15いつてミれハ、/一人(ひとり)も/読(よん)でいる人がねひ。法印様。もふ大 00041930M16般若ハすミましたかな。法印今が/最中(さいちう)さ。男一人も/読人(よミて)が 00041940M17こざりませねエ。法印/貴様(きさま)の上さしやつたハ百(九ウ)疋だ 00041950M18ハ。男さやふ。法印それでハ/真読(しんどく)ならず、くんどくならず、 00041960M19/転読(てんどく)もならねいニよつて、こゝニつんどく 00041970¥P117 00041980¥N10¥J 00041990¥Xしわんぼう 00042000L3/殊(こと)の/外(ほか)しわき/親父(おやぢ)ありけるが、/死(しぬ)ると/其(その)まゝ/地獄(しごく)えゆく。 00042010L4/焔魔王(ゑんまおふ)大イニいかり、/汝(なんぢ)しやばニ而余りしわきゆへ、いろ 00042020L5+人の目をかす(十オ)めしニより、/黒闇地獄(こくあんじこく)へ/遣(や)る。そ 00042030L6れ引立よと、/雷(かミなり)の/落(おち)かゝるごとき/御声(ミこゑ)にての給ふ。/牛頭(ごづ)/馬= 00042040L7頭(め=づ)/引立(ひつたて)、こくあん地獄え/追込(おいこミ)けるニ、/鬼(おに)どもくらくてある 00042050L8かれねエニ、/彼(かの)親父、さつ+と/歩行(あるく)。鬼ども、/余(あま)りふし 00042060L9ぎニ思ひ、よりてミれバ、/爪(つめ)ニ火をともしていた 00042070¥N11¥J 00042080¥X講釈(十ウ) 00042090L12/或家(あるいへ)の/息(むす)子、女郎かひニのミゆき、内えかへると/唐詩撰(とうしせん)の 00042100L13かう釈きゝにいつたなどいふゆへ、いん居のばゞ様大ニ/立= 00042110L14腹(りつ=ふく)し、二/親(おや)が/甘(あま)ひから、おれがきつとしかつて/遣(やろ)ふと、/店(ミせ) 00042120L15え出て/息(むす)子がかへるを/待(まつ)ていらる。息子、/列(れい(ママ))のごとく/唐詩= 00042130L16撰(とうし=せん)など/懐(くわい)中し、かど口迄かへつてミれバ、いん居のばゞ様 00042140L17(十一オ)にらミつめ、きせるしやニかまへて御ざる。是ハ 00042150L18/定(さため)て/只(たゝ)なる事じやあるまい。/所詮(しよせん)/有様(ありやう)ニいわずバなるまい 00042160L19と/覚悟極(かくごきわ)め、門口をずつとは/入(いれ)バ、ばゝ様どこへうせた。 00042170L20息子ハイ。女郎かいニゆきました。ばゝ様イヽヤ、そふじ 00042180M1やアあるめエ 00042190¥N12¥J 00042200¥X二階ろう(十一ウ) 00042210M4/忰(せかれ)めが金を/遣(つか)ひをる。是でハ/身(しん)代がつゞかねヱ。/二階(にかい)へ上 00042220M5ケて/禁足(きんそく)申付ふ。息子親父様。二階ニ斗おりましてハ、/殊(こと) 00042230M6の/外(ほか)たいくつで/困(こま)ります。/手習(てならひ)でもいたしましよ。親父そ 00042240M7れハよひ心がけ。/随分(ずいふん)せい出せ。/紙(かミ)/墨(すミ)/筆(ふて)など/渡(わた)ス。息子、 00042250M8紙を/続(つぎ)、のれんニこしらへ、丁子屋、竹や、/蔦(つた)やなど(十二オ) 00042260M9/書付(かきつけ)、両方ニはりて江戸町の/気(き)どりにして、/真(まん)中をはなう 00042270M10たで/往(おふ)らいし/楽(たの)しミ、此のふれんをのぞき、こちらののれ 00042280M11んニ/顔(かほ)さし入レ、/馴染(なしミ)の女郎と/咄(はな)しする気になつて、/独言(ひとりごと) 00042290M12している所へ、下女が、もし/御膳(ごぜん)あがりませといふ。息子、 00042300M13びつくりし、コリヤ、/爰(こゝ)て/逢(おふ)たといふてくれな(十二ウ) 00042310¥N13¥J 00042320¥X鯉うり 00042330M16/或大尽(あるたいしん)、/近付(ちかつき)の/牽頭(たいこ)ニ/出逢(であひ)、夕部丁子やで/長羽織(なかはおり)だと、/遣= 00042340M17人(やり=て)どもニ/悪口(あつこう)された。/今宵(こよひ)ハくわつと/遊(あそ)びたい。/来(き)て/持(もつ)て 00042350M18おくりやれ。たいこ其レハ/面白(おもしろ)ふ御ざりませふ。/里(り)丁もつ 00042360M19れて参りましよ。大尽先つ御身立ハ少シ/跡(あと)からあかり、酒 00042370M20/半(なかば)ニならバ/中車(ちうしや)が/身(ミ)ぶりで/騒(さわが)ふ。/其(その)所え(十三オ)二人共出 00042380¥P118 00042390¥G(十四ウ・十五オ) 00042400M1て/持(もつ)ておくりやれ。大コそれハ/至極(しこく)の/趣向(しゆこう)で御ざります。 00042410M2/扨(さて)丁子やえ上ル。まだ女郎も/来(こ)ず、たばこのんでいる所へ、 00042420M3若者、/鯉(こい)ハ御/用(よう)に御さりませぬかと、/奇麗(きれい)なる/生桶(いけおけ)ニ一尺 00042430M4斗リの/鯉(こい)を入レ/持(もつ)て/来(く)る。大尽其レ、なんぼだ。若者ハイ。 00042440M5金五拾両で御ざります。其レハ/高(たか)ひ。もそつとまけろ。若 00042450M6者、/返事(へんじ)もせず、/次(つぎ)の/座敷(さしき)えゆき、モシ、/鯉(こい)(十三ウ)ハ御 00042460M7用御ざりませぬか。外の客鯉かほふ。なんぼだ。若者五拾 00042470M8両で御ざります。よし+と手を打。若者御/旦那(たんな)ありがた 00042480M9いといふをきゝ、大尽、思わず/立(たち)あがり、エヽ口おしや。 00042490M10又しくじつたといふ声ニ、/彼二人(かのふたり)の/牽頭(たいこ)、/衾(ふすま)をあけ、/御旦= 00042500M11那(おたん=な)。/首尾(しゆび)ハ。大尽シイ、/鯉(こい)が/高(たか)ひ 00042510¥N14¥J 00042520¥X嫁なぶり(十四オ)(十四ウ・十五オ挿絵) 00042530M14/息子(むすこ)ニ/嫁(よめ)をよんでやり、其/嫁(よめ)を/親父(おやじ)がおり+なぶる/故(ゆへ)、 00042540M15/嫁(よめ)も/余(あま)りうるさく、/聟(むこ)ニありのまゝニ/語(かた)れハ、息子、よし 00042550M16+/仕様(しやう)があると、/朝(あさ)/早&(そう+)/町年寄(てうどしより)えゆく。親父/起(おき)て、/息子(むすこ) 00042560M17めハどこへいつた。よめハイ。/町年寄(てうとしより)へ参られました。親 00042570M18父ハテ、/朝(あさ)から/何(なに)事だのと/言(いゝ)+、/嫁(よめ)の/尻(しり)をそつとつめる 00042580M19所へ、息子かかへる。親父/何(なん)であつ(十五ウ)た。息子ハイ。 00042590M20/此町内(このてうない)ニ嫁をなぶる/親父(おやじ)さんが/二人(ふたり)あるげな。それをしつ 00042600¥P119 00042610L1ているなら/言(いつ)てこひとて御ざります。親父ハテ、/今一人(いまひとり)ハ 00042620L2/誰(たれ)だろな 00042630¥N15¥J 00042640¥Xかた言 00042650L5或/親父(おやじ)、かた言のミいふ/故(ゆへ)、/息子(むすこ)/気(き)のどくニ思ひけるが、 00042660L6/或時(あるとき)/講事(こうごと)の/会(くわい)ニゆかるゝ。息子、又/片言(かたこと)を/言(いわ)れねハいゝが 00042670L7と思ひ、/早(はや)く/迎(むかひ)ニ(十六オ)いつてミれハ、/列(れい(ママ))のかた/言(こと)。天 00042680L8ニあらハひよこの/鳥(とり)、/地(ち)ニあらハ/蓮花(れんげ)のえだ、なとゝ物し 00042690L9り/顔(かほ)で/言(いわ)るゝ。息子、気のどくさニ、/親父(おやじ)さま。御/迎(むかい)ニ参 00042700L10りました。親父ヲヽ+、しからバ御/先(さ)キえと、/何茂(いつれも)へ一 00042710L11/礼(れい)し、かへる道て、息子又/片(かた)言を/言(いわ)しやる。ひよこでハね 00042720L12エ、/比翼(ひよく)でこざります。/町代(てうだい)も/聞(きい)ていらるゝにといへバ、 00042730L13親父ハテ、/町代(てうてい)もと(十六ウ)くらしさ。息子其レも/片言(かたこと)で 00042740L14御ざります。/燈台(とうたい)で御ざりますとしかりけれバ、親父、大 00042750L15イニはら/立顔(たちかほ)で、それでまへから、おれがじんきよしやう 00042760L16といふニ、そちがじん/居(きよ)させねエハ 00042770¥N16¥J 00042780¥X心中 00042790L19女郎ニはまり、つまらねエやうニなり、/勘当(かんとう)の/相談(そうたん)。/勘当(かんどう) 00042800L20さらりよより女郎ニ/切(き)レて(十七オ)/仕舞(しまわふ)と思ひ、いつて有 00042810M1まゝニ/語(かた)れハ、女郎、/初(はしめ)より/言(いゝ)かわしたやうニ、/心中(しんぢう)して 00042820M2くんなと/涙(なミだ)ぐミて、はりかつよい。/今更(いまさら)いやとも/言(いハ)れねエ 00042830M3わけニなり、/心中(しんちう)の/契約(けいやく)ニして/忍(しの)び出しが、/何卒(なにとぞ)/死(しな)ねエや 00042840M4うニしてエもんだと思ひ、/芝居(しばい)でするくびつりのやうニ/拵(こしら) 00042850M5へ、/首(くび)のしまらねエやうニして、女郎と(十七ウ)一所ニ/首(くび) 00042860M6をくゝり、サア今こそ心中だと、男が/先(さき)へとんで、七てん 00042870M7八とうして死だ/躰(てい)ニして、ほそ目で見ていれバ、女郎、男 00042880M8の/躰(てい)をミるよりこわげ/立(たち)、/其(その)まゝ/首(くび)をとき、/迯(にげ)んとする。 00042890M9男、/声(こゑ)かけ、コリヤ、ぞうりがかわつた 00042900¥N17¥J 00042910¥X貧乏ゆすり 00042920M12/或客(あるきやく)、/膝(ひさ)をふるわすくせあり。女郎よしなんし。(十八オ) 00042930M13ひんぼゆすりとて、人がきらいんす。客ホンニ、是レハ/止(やめ) 00042940M14よふといふて又ふるわす。女郎是さ、よしな。/何(なん)の/真似(まね)じ 00042950M15やアね。客おめエの/親父(おやじ)様の/真似(まね)さ。女郎、大ニはら/立(たて)し 00042960M16/顔色(かんしよく)ニてずつと立つ。新造、/跡(あと)ニ付てゆきミれバ、/細帯(ほそおび)ニ 00042970M17て/首(くび)つる/用(やう)意している。新造ヲヤ+、松野さんが、おつ 00042980M18ねエ事してゞありんすといへバ、客、/走(はしり)りゆき、是レさ。 00042990M19(十八ウ)それハ/何(なん)の/真似(まね)じやアね。女郎おめエの/師走(しわす)の/真= 00043000M20似(ま=ね)さ 00043010¥P120 00043020¥N18¥J 00043030¥X無筆 00043040L3/田舎(いなかの)/小野郎(こやろう)、江戸へ出て/奉公(ほうこう)ニあり付ク。/或時(あるとき)、/旦那様(だんなさま)。 00043050L4此御/家(いへ)の御/商売(しやうばい)ハ/何(なん)で御ざります。旦那おれが/商売(しやうはい)ハ/古= 00043060L5筆(こ=ひつ)/目利(めきゝ)さ。丁子/古筆(こひつ)とハ/何(なん)の事で御ざります。旦那/古(ふる)ひか 00043070L6いた/物(もの)さ。(十九オ)丁子/古(ふるい)かいた物ハ私が/親父(おやじ)の/方(かた)ニ、がい 00043080L7に御ざりま/しけ((ママ))。旦那/田舎(いなか)ニハ/能(よひ)物があるもんだ。/帰(かへし)て取 00043090L8てこひ。丁子/畏(かしこまり)ました。/在所(さいしよ)/((に脱カ))かへり、たんと取て来た。 00043100L9旦那取て来たか。丁子ハイ。是レで御ざりますと、/古(ふる)きふ 00043110L10んどしを出す。旦那あきれて、扨&/無筆(むひつ)といつて/是非(ぜひ)もね 00043120L11エといへバ、丁子、/前(まへ)をおさへて、/綿入(わたいれ)ごしニ、おらかむ 00043130L12ひ(十九ウ)つが見へますかね 00043140¥N19¥J 00043150¥X蘇てつ 00043160L15/馴染(なしミの)女郎、/植(うへ)木が/好(すき)だといふニよつて、そてつをかつて/持(もつ) 00043170L16てゆく。/新造(しんぞう)が、ヲヤ+いゝとてつだねといふ。客、大 00043180L17に/笑(わら)へハ、/今一人(いまひとり)の/新造(しんぞう)、ばからしひ。とてつとわ、/血(ち)を 00043190L18/吐(はく)く事だニね(廿オ) 00043200¥N20¥J 00043210¥X倹約指南 00043220M1/神田辺(かんたへん)ニ/倹約指南(けんやくしなん)と/表札(ひやうさつ)うち、/門人(もんじん)あまたあり。/浅草辺(あさくさへん)ニ 00043230M2も/同(おなしく)/指南(しなん)の/先生(せんせい)ありしが、/神田(かんだ)の/先生(せんせい)ハ/殊(こと)の外はつこう 00043240M3也。浅草のハ次第ニ門人も少くなる。浅草思ふやう、神田 00043250M4の先生へゆき、/奥義(おふぎ)もあらハ/聞(きゝ)たしと、/進物(しんもつ)/調(とゝのへ)へ神田え 00043260M5ゆき、/始(はじめ)而/参(まい)る/印(しるし)と、わらの(廿ウ)しべ拾本、半紙壱枚ニ包 00043270M6ミ、進上御きせるとうしと、/書(かき)付しさし出シ、奥義もござ 00043280M7らバ御/伝授(てんじゆ)下されたしといへバ、神田是ハ/夥(おひたゞし)ひ/調法(ちやうほう)の/品(しな)、 00043290M8/痛入(いたミいり)ます。/私(わたくし)とても/奥義(おふぎ)と申も御ざら/ね((ママ))が、/併(しかし)/是程(これほど)の品 00043300M9ニてハ、/拾軒(じつけん)/斗(ばかり)のしん物ニなります。浅草其レハどふ/致(いたし)て 00043310M10な。神田此わらしべを二三分ニ/切(きり)、/此紙(このかミ)もこふ/切(きり)まして、 00043320M11こふ(廿一オ)つゝミまして、$〔しん上しびりの薬〕 00043330¥N21¥J 00043340¥X遠火 00043350M14火事が有。/遠(とを)イ+。/火元(ひもと)ミにゆくとて、/若(わかひ)者四五人ンは 00043360M15しる。/老人(ろうしん)が壱人、/同(おなじ)しく火/元(もと)ミにゆくとてはしる。ヤレ 00043370M16+せつねエ。/年寄(としよつ)てハ、ずいぶん/近火(きんくわ)がいゝぞ(廿一ウ) 00043380¥N22¥J 00043390¥Xわるずい 00043400M19十六七のきれいな/若衆(わかしゆ)、十三四な/美(うつく)しひ/娘(むすめ)と二人/連(づれ)でゆく。 00043410M20娘もふ/切(きつ)てくんなといふ。若衆/此町中(このまちなか)で/切(きら)るゝ/物(もの)かといふ。 00043420¥P121 00043430L1或男、/扨(さて)ハ/心中(しんちう)そふなと思ひ、/跡(あと)ニ付ヒてゆけバ、浅草の 00043440L2/門跡(もんせき)へ/参(まい)る。/扨(さてハ)ハ/後世(ごせ)を/頼(たの)むよと見ていれハ、娘又も、こ 00043450L3ゝで/切(きつ)てくんな(廿二オ)といふ。若衆人の見ているニと、 00043460L4目くばせして/御堂(ミどう)のうらの/方(かた)へゆく。男、/扨(さてハ)ハ心中の/場所(ばしよ) 00043470L5を/尋(たづぬ)るよと、見へがくれニ/跡(あと)ニ付て/行(ゆけ)バ、/御堂(ミとう)のうらへゆ 00043480L6き、こゝで/切(きろ)ふといふ。/扨(さて)ハ/心中(しんぢう)する事よ。とめてやろう 00043490L7と思ふて/居(い)れバ、サア/切(きろ)ふといふて、/袂(たもと)から、さつまいも 00043500L8をだした(廿二ウ) 00043510¥N23¥J 00043520¥X蚊屋きらひ 00043530L11/夏(なつ)/蚊(か)屋つるが大きらい。それハいゝ/仕(し)かたが有。/壁(かべ)へ/酒(さけ)を 00043540L12/吹(ふい)て/置(おけ)バ、/蚊(か)ハ/酒(さけ)が/好(すき)だから、ミなかべえとまる。是レハ 00043550L13/至極(しごく)の思ひ付だ。/扨(さて)/壁(かべ)へ/酒(さけ)を/吹(ふい)てねる。/一疋(いつひき)も/蚊(か)が/来(こ)ねエ。 00043560L14/朝(あさ)/起(おき)て見れバ、/蚊(か)ハ/壁(かべ)ニ/吹(ふい)た/酒(さけ)を/呑(のん)で、/赤(あか)ふなつている。 00043570L15さらバ、/戸板(といた)でおし/殺(ころ)そふ/((と脱カ))思ひ付キ、(廿三オ)/戸板(といた)を/持(もつ)てゆ 00043580L16けバ、/蚊(か)がいふ/様(やう)ハ、/皆(ミな)大イニ/酔(ゑひ)ました。/此上(このうへ)おさへられ 00043590L17ますと、/皆(ミな)つぶれます 00043600¥N24¥J 00043610¥X遊行 00043620L20/遊行(ゆぎやう)上人の/名号(ミやうごう)を/頂(いたゞく)とて/群(くん)じゆする。/或器量(あるきりやう)のいゝ娘と、 00043630M1/不(ふ)きりやうな娘と/連(つれ)立て/名号(ミやうごう)を/頂(いたゞ)キ、/門前(もんぜん)迄/帰(かへ)りてミれハ、 00043640M2/器量(きりやう)のいゝ娘のハ名号が二つつゞいてある。/不器量(ふきりやう)(廿三 00043650M3ウ)な娘大ヒニなげき、/不器量(ふきりやう)なる/故(ゆへ)、/後世(こせ)の事迄わけ/隔(へだて) 00043660M4が有ルと/身(ミ)を/悔(くや)ミ/歎(なげ)く故、/器量(きりやう)の/能(いゝ)娘、気の/毒(どく)ニ思ひ、そ 00043670M5れなれハ今一度参り、/同様(おなじやう)ニ/頂(いたゝい)て参りませふと/連立(つれたち)、/跡(あと)へ 00043680M6かへりミれハ、/早(はや)上人ハ/方丈(ほうじやう)え/帰(かへ)り、/休(きう)そくして御ざる。 00043690M7/取次(とりつぎ)の/僧(そう)ニ右の由を申上る。取次の僧、上人え申上ケけれ 00043700M8バ、上人それハ二つ/付(つい)て(廿四オ)あるはづハねエが、それ 00043710M9ならハ/器量(きりやう)のいゝ娘、/是(これ)へ御ざれ。一つとつてやろ 00043720¥N25¥J 00043730¥X鶉 00043740M12/今日(けふ)/町(まち)え出て鳥屋へゆき、/此鶉(このうづら)、よく/鳴(なく)かといつたれバ、 00043750M13/惣(そう)じて/鶉(うづら)ハ、ひくの/囀(さへつる)のと申て、/鳴(なく)とは/云(いゝ)ませぬと/恥(はつか)しめ 00043760M14られた。Sそれハ/貴様(きさま)の/謡(うたひ)をしらねエからさ。/鶉(うづら)/鳴(なく)なる 00043770M15(廿四ウ)/深草山(ふかくさやま)よといふ事が、/融(とほる)の/切(きり)にある△S/扨(さて)ハそふ 00043780M16いふ事があらバ、今一度いつて/云返(いゝかへ)してこふ。又/彼鳥屋(かのとりや)へ 00043790M17ゆき、此/鶉(うつら)よく/鳴(なく)か。鳥や/惣(そう)じて/鶉(うつら)などハ、/引(ひく)の/囀(さへつる)のと申 00043800M18て、/鳴(なく)とハ申ませぬ。S是レハもんもうなるやつかな。/鶉(うつら) 00043810M19/鳴(なく)なる/深艸(ふかくさ)山よといふ事か、/毛織(もおる)の/切(きれ)ニあるぞよ 00043820¥P122 00043830¥N26¥J 00043840¥X如来(廿五オ) 00043850L3或ル寺の/和尚(おしやう)、/町(てう)え斗リいつている。/或時(あるとき)/如来(によらい)、/妙(たへ)なる/御= 00043860L4声(ミ=こゑ)を出し、/汝(なんじ)/毎夜(まいよ)+/遊所(ゆうしよ)へのミゆきて、おれ一人ニして 00043870L5置事、/不届至極(ふとゝきしごく)也。/今宵(こよひ)ハおれも/連(つれ)てゆけ。和尚是ハ/仏= 00043880L6勅(ふつ=ちよく)とも/覚(おほへ)ぬ御事。/随分(ずいぶん)御/供(とも)仕りませふ。/併(しかし)此御/姿(すがた)でハなり 00043890L7ますめエ。此/羽織(はおり)と/頭巾(つきん)を/召(めし)ませ。如来是て/仏嗅(ほとけくさく)ハねエか。 00043900L8和尚/大(でゑ)の/通(つう)人と見へます。/扨(さて)/町(てう)へいつて(廿五ウ)遊ふ。如 00043910L9来、/大(おゝい)ニ/酔(ゑひ)て、/新造(しんそう)をとらへてさわがしやる。新造アレよ 00043920L10しな。/拝(おかミ)んす+といへハ、如来まだ/仏(ほとけ)と/見(ミへ)るか 00043930¥N27¥J 00043940¥X忠信蔵 00043950L13/或家(あるいへ)の/息子(むすこ)、/丁子(てつち)/一人(ひとり)/連(つれ)て/振舞(ふるまい)ニゆく。大イニ/早過(はやすぎ)て/二階(にかひ) 00043960L14で/待(まつ)ていれバ、/殊(こと)の外/空腹(くうふく)ニなつてこたへられねエ。なん 00043970L15としよう。(廿六オ)丁子/御(お)めエの/好(すき)の/声色(こハいろ)でもいつて/紛(まぎら)しな 00043980L16さい。息子ゑんやの/腹切場(はらきりば)ニしやう。手めエ、/力弥(りきや)ニなれ。 00043990L17丁子/畏(かしこまり)ました。息子/力弥(りきや)+。丁子ハア。息子/由良助(ゆらのすけ)ハま 00044000L18だ/来(こ)ぬか。丁子ハア、いまた/参上仕(さんしやうつかまつり)ませぬといふ所へ、 00044010L19二/階(かひ)の/梯子(はしご)ぐわた+として、モシ、/御膳(こぜん)を上ケませう。 00044020L20息子まゝ、/待兼(まちかね)たハやい(廿六ウ) 00044030¥N28¥J 00044040¥X紙屋 00044050M3/紙(かミ)/御望(おんのそミ)/次第(しだい)といふ/看板(かんはん)をミて、/或侍(あるさむらひ)、/紙(かミ)ハ/何(なに)にても/有(ある)か。 00044060M4かミや/何(なん)でも御ざります。侍/風(かぜ)のかミがあるか。かミやず 00044070M5いぶん御ざりますといふて、/扇(おふぎ)の/地紙(じかミ)を/出(いだ)す。侍、/請取(うけとり) 00044080M6/懐中(くわいちう)してゆく。かミやモシ、/代物(たいもつ)をといへハ、侍/風(かせ)のかミ 00044090M7なら、おくりやれさ(廿七オ) 00044100¥N29¥J 00044110¥X神なり 00044120M10/或親父同士(あるおやしとし)/咄(はな)して、おれが/家(いへ)ニハ、とかく下女が/居付(いつか)ねエ 00044130M11が、どふしたもんだろ。Sそれハ/息子(むすこ)どのがなぶるからさ 00044140M12Sそれならバ/息子(むすこ)めハ二かいニ/寝(ね)さそふ。息子を二/階(かい)ニね 00044150M13させ、/親父(おやじ)が/其(その)下ニ/寝(ね)ている。/或夜(あるよ)息子、下女が所へゆか 00044160M14んと、二/階(かい)の口より/覗(のぞ)くおりふし、/神(かミ)なりがなる。(廿七ウ) 00044170M15息子/雷(かミなり)か大イきらひで、二/階(かい)の口で、/桑原(くわばら)+いふてい 00044180M16る。おりしもピツカリ、ぐわら+となるニ/驚(をとろ)き、手がは 00044190M17づれて、二/階(かい)よりどうど/落(をち)る。親父ヲヤ+、/雷(かミなり)が/落(おち)たと 00044200M18いつてさわぐ。息子/親父様(おやしさま)。/雷(かミなり)じや御ざりませねエ。親父 00044210M19イヽヤ、/雷(かミなり)だ。おれがほうがいへ、あつい/太鼓(ていこ)の/ま((ママ))ちが、 00044220M20ぴんとあたつた(廿八オ) 00044230¥P123 00044240¥N30¥J 00044250¥X梅干 00044260L3/或人(あるひと)、/梅干(むめぼし)の/核(たね)をわり、/此実(このさね)ハいゝもんだといふ。Sさね 00044270L4とハいわねエもんだ。/梅仁(ばいにん)と/云(いゝ)、/杏(あんず)を/杏仁(きやうにん)といゝ、/桃(もゝ)を/桃= 00044280L5仁(とう=にん)といふ△Sそれならバ、/実(さね)を/仁(にん)といふか△S皆/仁(にん)といふ 00044290L6よ△Sそれですめたア事がある△S/何(なに)が/済(すめ)た△S/女子(おなご)を/女= 00044300L7人(によ=にん)といふハさ 00044310¥N31¥J 00044320¥Xすりこ木(廿八ウ) 00044330L10/或娘(あるむすめ)、/相借屋(あいじやくや)の/息子(むすこ)と/色(いろ)事して、/板(いた)かべの/破(やふれ)し所へ/両方(りやうほう)か 00044340L11らおつつけて、おり+/逢(あい)けるが、/或夜(あるよ)/娘(むすめ)の/親父(おやじ)、/手水(てうず)ニ 00044350L12/起(おき)る。/相借屋(あいしやくや)の/息子(むすこ)、/其音(そのおと)をきゝ付ケ、/彼娘(かのむすめ)と思ひ、/板壁(いたかべ) 00044360L13の/破(やふれ)より/一物(いちもつ)を出し、/待(まつ)ている。親父、おりふし戸口を取 00044370L14/違(ちかへ)へ、あちこちさぐりあるき、/彼(かの)一物をしつかりと/握(にぎ)り、コ 00044380L15リヤ+(廿九オ)/娘(むすめ)。/何(なに)か/替(かわつ)た/物(もの)が/有(ある)といへハ、娘、それ 00044390L16とがん付て、すりこ木を/持(もつ)てゆき、どれ+見せなとひつ 00044400L17とり、ヲヤ+。是レハすりこ木だよ。親父、どりやと/又(また) 00044410L18持てミれハ、ほんニすりこ木だ。ハテ、不/思儀(しき)な事なア。 00044420L19たつた/今(いま)迄、此すりこ木ニハ/脉(ミやく)か/打(うつ)て/有(あつ)た(廿九ウ) 00044430¥P124 00044440¥U噺本大系△第十二巻 00044450¥T落咄はつわらい△〔内題〕 00044460¥G 00044470¥Y 00044480L16天明八年頃序 00044490L17一ツ分ン万十作 00044500L18七珍万宝序・一粒万倍跋 00044510L19小本一冊 00044520L20東大国語研究室蔵 00044530¥Y序開キ 00044540M3/夫(それ)天地人と三つの/大戯場(おふしばい)、/既(すで)に/出来(でき)てより/以来(このかた)、仁義礼智 00044550M4信の/道具建(どうぐだて)/調(とゝの)ひて、/喜怒哀楽(きどあいらく)の/仕組(しくミ)有り。是に/繁栄(あたり)を取ら 00044560M5んと/欲(ほつす)る時ハ、只諸人の/和(くわ)に/不如(しかず)。/和(くわ)ハ口あひの(序一オ) 00044570M6/噺(はなし)にしかずと、思ひ出せし事/社(こそ)あれ、テンツテン+。/往昔(むかし) 00044580M7+/其昔(そのむかし)、/祖父(ぢゝい)ハ山に/柴苅(しばかり)に、/祖母(ばゝあ)ハ川へ/洗濯(せんたく)に、折しも 00044590M8/桃(もゝ)が足元へ、どんぶりことし思ひ立、/日外(いつぞや)したる日待の夜、 00044600M9/諸君(だんな)様ン方/戯作者(けさくしや)の、/略語(さへ)をいふ事(序一ウ)豆蔵の如く、 00044610M10落咄や口あひの、/多(をふ)くの中で/洒落(しやれ)たのを、耳に/挿(はさん)で/質意(もとで)と 00044620M11なし、笑の種を仕入して、諸人の腹筋を寄らしめんと、/押(をし) 00044630M12の/重(おも)き口を開くを、古るひとケナス/御客(おきやく)には、/最(も)一つあが 00044640M13れと(序二オ)/書(かき)ちらす事、/茶(ちや)の/如(ごと)し 00044650M15△△△于時新玉の年立帰る/申(さる)の/面(つら) 00044660M16△△△/真赤(まつか)な/嘘言(うそ)を/月池(つきぢ)の門人 00044670M18△△△△△△△△△△△△七珍万宝述G 00044680M19△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序二ウ) 00044690¥P125 00044700¥T1落咄はつわらい 00044710¥A校合△一ツ分ン万十著 00044720¥N1¥J 00044730¥X初鰹 00044740L7かつを+と、いきほひよき売ごゑに、しわい親仁も、浅 00044750L8草の山門で、とんだ気になり、かつをよ+。鰹ハいくら 00044760L9だ。Sアイ。(一オ)弐〆五百でごぜへす△親仁Sそれハと 00044770L10んだ事ツた。八百にまけさつしやい。鰹うりもあきれて、 00044780L11おめへまあ、よくつもつて見なせへ。そふ懸直をいふもの 00044790L12か。まづあたまで壱〆七百違ふハな。親仁Sそんなら身斗 00044800L13り三百に(一ウ)/負(まけ)さつしやい 00044810¥N2¥J 00044820¥X聞ちがい 00044830L16先年ンくげ衆、関ン東げこうあつて、すミだ川より梅若辺 00044840L17へ御ゆふらんのミぎり、百姓共の居りしを召れて、所&御 00044850L18たづねありけれども、(二オ)百姓共ハ見なれぬなりに恐れ、 00044860L19御うけをする者もなければ、御附の侍、何もそのやうに恐 00044870L20れる事ハない。其方どもに、此あたりの名イ所旧跡を御尋 00044880M1なさるのじやといへば、中に年かさな百姓、(二ウ)おづ 00044890M2+御前へ出て、此辺ンにさやうな目いしやハ御ざりませ 00044900M3ぬ。/休碩(きうせき)と申ハ、となり村のはりゐでござりました 00044910¥N3¥J 00044920¥Xむけんの鐘 00044930M6梅がゑといふ女郎、/来(く)る/節句(せつく)(三オ)を、/当(あて)にしていた一人 00044940M7の客ハ、/急(きう)に国へつけのぼせになり、一人ハ内の首尾わる 00044950M8く出られぬといふ文のようす。見て恟り聞てとうわく。だ 00044960M9ん+節句ハ近付ク。ぎつちりと行つまり、あたまをわら 00044970M10しかんがへた所が、(三ウ)ヲヽそれよ。伝へ聞むけんの鐘 00044980M11をつけバ、福徳じざい心の侭。此世ハひるにせめられ、ミ 00044990M12らゐゑい+無間ぢごくに落るともかまいハしいせんと、 00045000M13手水鉢に向ひ、ひしやくおつとり、めつたむせうにたゝき 00045010M14ちらせし(四オ)/響(ひゞ)き、無間の鐘に聞へけれバ、聞ずてなら 00045020M15ずと、つりがね仲ケ間へより合をつけ相談すれども、まへ 00045030M16とハ違ひ、このせつ一文もなければ/詮方(せんかた)なく、といつてや 00045040M17らねバ一生の名おれなれバ、爰ハなんでも(四ウ)町中へむ 00045050M18しんをいふより外ハないと相談きわまり、のぼりをこしら 00045060M19へ、無間の鐘ハ先に立ち、つりがねこんきう 00045070¥P126 00045080¥N4¥J 00045090¥X短気 00045100L3気の早い男、芝口のほうへ用事有ツて出かけた所が、すざ 00045110L4(五オ)ましい大風にて、砂を吹たて目口にはいり、カアぺ 00045120L5ツと、つばをした所が、向ふ風でミな顔にかゝれバ、やつ 00045130L6きとして、ヤイべらぼうめ。向ふを見てしやアがれ 00045140¥N5¥J 00045150¥X/漬(つけ)うり(五ウ) 00045160L9白/爪((ママ))や丸漬/爪((ママ))やと呼ンであるく。Sうりよ+△Sハイ。 00045170L10白うりかへ△Sイヤ、そつちのを見せさつしやい△Sアイ。 00045180L11丸漬になさりますか△Sイヤ、わつてつけるのじや 00045190¥N6¥J 00045200¥X理屈者(六オ) 00045210L14なんでもむつかしく理屈をいふ人、庭の花の風に/動(うご)くを見 00045220L15て、あれハ何ンといふ花で御ざります。Sあれハゆりの花 00045230L16さ△Sヘヱ、そふして風の吹ぬ時ハ、なんと申ます 00045240¥N7¥J 00045250¥X/水犬(すいけん)(六ウ) 00045260L19御らうじまし。此頃よい/手裏剱(しゆりけん)をかひました。S客おまへ 00045270L20ハとんだ事をおつしやる。是ハ水犬といふもので御座りま 00045280M1す△Sそれハ思召ちがひ。すいけんといふハ、よし原から 00045290M2出る/武鑑(ぶかん)さ(七オ) 00045300¥N8¥J 00045310¥X息子の噂 00045320M5親仁達より合て、わしが忰めハどうらくで、いふ事ハきか 00045330M6ず。いやもふ、こまりはてますが、おまへの御子息さまハ 00045340M7をとなしそふで、おうら山しいといへバ、Sイヤ、モヲど 00045350M8こも同し事。わしが(七ウ)忰めハ、さしてどうらくもしま 00045360M9せぬが、只/碁(ご)/将棊(しやうぎ)に、金銀を遣ひすてます△Sそれハけつ 00045370M10こうな御きどくな事。お若イに/後生気(ごしやうぎ)の有といふハ 00045380¥N9¥J 00045390¥Xきり※す 00045400M13/桜田(さくらだ)の/土手(どて)に、子ども大ぜい(八オ)集り、草の中をかけ 00045410M14まハりて遊び、きり※すを/追出(おひだ)し、是ミな。万さんや。 00045420M15おれハきり※すをつかまへたよといへバ、Sきり※す口 00045430M16こゞとを言イながら、ヱヽ引Sチヨ(八ウ)(九オ・ウ絵) 00045440¥N10¥J 00045450¥X 00045460M18是源七。人ハ天に従ふといつて、天と同しやうにすると、 00045470M19天の道に叶つて仕合がよく成ル。なぜといやれ。日輪様ハ 00045480M20明六つから出さつしやると、一日ひまなくおあるきなさる。 00045490¥P127 00045500¥G(九オ・ウ) 00045510M1人も天の通りにしてかせぐと(十オ)仕合がよく成るだうり 00045520M2だ。S源合点ンだ。そふして見せやうといつて帰り、久し 00045530M3く見へねバ、今ン夜ミそかてハ有り、見舞つてやろうと、 00045540M4源七が所へ行けるに、折節内に居たりしが、何をいつても 00045550M5鼻であ(十ウ)いしらい、取ツても付ぬやうすなれバ、少し 00045560M6腹立心にて、コレ源七。おのしやあ腹でもたつたのか。腹 00045570M7がたつたら男の様に、さつはりといやれなといへば、S源 00045580M8なに、はらを立ものか。貴様のをしへた通りにする(十一 00045590M9オ)わさ△Sてめへもとんだ事をいふ。いつをれが、そん 00045600M10なぶ人相をしろといつた△S源はて、物覚のわるい男だ。 00045610M11此頃それ、天の通りにしろといつたじやあねへか。それだ 00045620M12から今ン夜はつきがないわさ(十一ウ) 00045630¥N11¥J 00045640¥X盗賊 00045650M15太平の戸ざゝぬ御代を心がけ、人の寐しづまる時分ンをか 00045660M16んがへ、仲ケ間の者ハ跡に残し、只一ト人ぬき足しで門に 00045670M17たゞずミ、ようすを窺ひ、をりよしと相図をきハめし(十 00045680M18二オ)よぶこの笛を、ピイ引とふくと、内から、/按摩(あんま)よ 00045690¥P128 00045700¥N12¥J 00045710¥X/片意地(かたいぢ) 00045720L3親仁、むすこをよび付、一ツ躰おのれハかたいぢばつかり 00045730L4ぬかして、親のいふ事もきゝをらぬ。親が子にわるい事を 00045740L5(十二ウ)いふものか。口ハわさハひの門といふて、むさと 00045750L6した口ハ聞ぬ物じや。少しの詞のまちがひで、人となかを 00045760L7たがふも、ミな口ゆへじや。たとへにも、大事ハ/小事(せうじ)より 00045770L8やぶれるといふでハないか。Sむすこなんのこつた。あれ 00045780L9(十三オ)も紙てはるからさ 00045790¥N13¥J 00045800¥Xかため 00045810L12一人て居てハどふも身の為にならぬから、貴様、世話をし 00045820L13て相応な女房を見立てくだせへ。なんでも身のかためにさ 00045830L14へなれバいゝ。Sウヽ、それハいゝ了簡(十三ウ)だ。さい 00045840L15わいおれが心あてが有ルといつて帰り、四五日して来り、 00045850L16せんど貴様が頼んだ、このミの通りの女房が有る。おれと 00045860L17一ツ所にいつて見やれ。Sソレハおせハと、つれ立ツてい 00045870L18て見た所が、顔ハそうをふなれども、がんち(十四オ)の女 00045880L19なれバ、腹を立、貴様も人をばかにした。いつおれか、目 00045890L20ツかちでもいゝといつた。Sハテ、それでも貴様、/片(かた)目の 00045900M1女房と頼んだでハないか 00045910¥N14¥J 00045920¥X取はづし 00045930M4下女のおさんが、/竃(かま)のまへで/苧(を)を(十四ウ)うミながら、ブ 00045940M5ウとの取はづし。はつと思つてうしろを見れバ、久介がい 00045950M6たゆへ、そしらぬ顔に、口まねにてまぎらかさんと、口に 00045960M7てブウブといふと、久介/後(うしろ)で、なる程。おさんどのハ口ま 00045970M8ねが上手だ。はじめしたのに少しも(十五オ)ちがわぬ 00045980¥N15¥J 00045990¥X御けんやく 00046000M11殿様、御かつてはなはだあしきゆへ、御家老中さうだんの 00046010M12うへ、とかくもの事御けんやく遊すようにと申上けれバ、 00046020M13殿様にも尤と思召、そのほう共、よき様に(十五ウ)はから 00046030M14へとの仰付。さつそく/畏(かしこ)まり、先第一に御料理がすぎます。 00046040M15是も一汁弐菜ぐらいと、だん+けんやくをもつぱらとし、 00046050M16いかゞの事にや、御家中の若侍、御とがめもなく、三人迄 00046060M17御暇と申渡けれバ、三人の侍(十六オ)大にをどろき、御家 00046070M18老まで申上けるハ、日頃わたくしども御高恩を蒙り、御奉 00046080M19公を大事と心懸候ゆへ、身にとつて何もふらちを仕りまし 00046090M20た覚もござりませず。只今御いとま下さりましてハ、我& 00046100¥P129 00046110¥G(十八オ・ウ) 00046120M1ども不(十六ウ)届成義など仕りましたように、世上に聞へ 00046130M2まして、心外に存ますと申上けれバ、S御かろういや、何 00046140M3も貴様達の不勤を申でハない。当時御けんやくにあいませ 00046150M4ぬ△Sそれハなぜで御ざります△Sハテ、其わけハ御けん 00046160M5(十七オ)やくにて、殿様さへ/一汁弐菜(いちじうにさい)の/仰出(おゝせだし)なるに、貴公 00046170M6達ハ/廿五歳(にじうごさい)と/承(うけたま)わつた 00046180¥N16¥J 00046190¥X山開キ 00046200M9今日ハどちらへお出なさつたといへバ、/田舎(いなか)の/客(きやく)、けふハ 00046210M10深川の八まんさまへまいりました。何か(十七ウ)(十八オ・ 00046220M11ウ絵)きれいな庭でござります。/夫(それ)にきつい/賑(にぎやか)な事と申て 00046230M12は、すさまじい人で御ざりました。Sほんにそふでごぜへ 00046240M13やせう。けふハ廿一日、山びらきだ。おまへも山でおごん 00046250M14なさつたろう△Sハアそれハ残念な事。おまへと一ツ所 00046260M15(十九オ)に参れバよふござりました。不案内と申ものハわ 00046270M16るいもの。其おはなしの山へハ、とんと/上(あが)りませぬ 00046280¥N17¥J 00046290¥X/泣男(なきをとこ) 00046300M19/楠正成(くすのきまさしげ)みなと川にて討死して、家来の杉本左兵衛らう人 00046310M20(十九ウ)せしを聞付、さるおやしきの石部金左衛門、さつ 00046320¥P130 00046330L1そく殿の御前へまかり出、杉本左兵衛と申楠が家来、浪人 00046340L2いたし罷在候が、かく太平の御代にも乱をわすれぬハ名将 00046350L3のならい。一チ/芸(けい)に達したる者ハ御かゝへ遊され候様(廿 00046360L4オ)にとすゝむれバ、殿様聞給ひて、その左兵衛と申ハ何 00046370L5の達人なるやとの御尋。金左衛門畏り、是ハ希代のなき男 00046380L6にて、正成も此杉本にて敵をはかりしよし申上れハ、殿様 00046390L7の仰にハ、なき男ハ入用にない。もし泣(廿ウ)女ならバか 00046400L8ゝへよう 00046410¥N18¥J 00046420¥X大通 00046430L11黒羽二重の小そでに黒なゝこの羽織、くろとんすの帯に黒 00046440L12ちりめんの頭巾。日暮ごろから新宿へと心さしゆく道にて、 00046450L13あやしいと思ひしか、犬が(廿一オ)とり巻、しきりにほへ 00046460L14かゝれバ、こいつ叶わじと羽織をかぶり、四ツばいにはつ 00046470L15て、わん+といふと、犬がむかふへまわつて、こいつハ 00046480L16妙+ 00046490¥N19¥J 00046500¥X/路考(ろこう) 00046510L19今度木挽町に菊之丞かき(廿一ウ)て、つがもねへ大当りだ 00046520L20が、字といふものもよくしたものだ。/路考(ろかう)の/幸(こう)のじハ、さ 00046530M1いわいといふ字で、かんやが幸ひといふものだ。Sなる程、 00046540M2りづめな物だ。しかし、かんやもろこう斗リだろう△Sイ 00046550M3ヤ、まだある△S何が(廿二オ)Sハテ/御講(おこう) 00046560¥N20¥J 00046570¥Xいたこぶし 00046580M6さるおやしきの新五左衛門さま。呉服やの手代のふるまひ 00046590M7にて茶やに/揚(あが)り、盃が出ると間もなく、羽をりげいしや二 00046600M8人来り、盃もだん+廻りて、(廿二ウ)高調子に三味せん 00046610M9引たて、さまよ今きてもふ帰らんすよとうたひ出すと、新 00046620M10五左衛門もいつにない大きげんにて、こゝぞと思ひ、人に 00046630M11すぐれたどうまんこゑをはり上、りきミ帰つて、さまよが 00046640M12どうしたと(廿三オ)いふと、羽をりげいしや恟りして、を 00046650M13や、どうしやうのふ。おまへさんの事じやあねへものを 00046660¥N21¥J 00046670¥Xちしやく 00046680M16或人店をかりしに、普請に手間どり、よう+極月に(廿 00046690M17三ウ)引移り、ことしももふ少しになつた。ときにとしと 00046700M18く/棚(だな)をつらづば成ルまい。是八介。となりへ/往(いつ)て、ひしや 00046710M19くをかりてこい。S八介ひしやくを何になさります△Sハ 00046720M20テ、方角を見て、年徳だなをつるの(廿四オ)じや△S八介 00046730¥P131 00046740L1おまへさまのおつしやるハ、ぢしやくの事で御座りませふ 00046750L2S何をたわけをいゝをる。ぢしやくとハ、我手にな、酒を 00046760L3ついて呑のじやわい 00046770¥N22¥J 00046780¥X女郎買 00046790L6ときに、おめへハどこへ遊ひにいく。(廿四ウ)S仲町にい 00046800L7くハ△Sそれハそんだ。よしやれ+△Sなせ△Sハテ、 00046810L8なんぼ十弐匁だといつても、きれいに壱分やるだろう。夫 00046820L9よりハ表やぐらの弐朱かいゝ。玉も違ひハねへぜ。マア第 00046830L10一、いちどで弐朱の違ひが有じやあ(廿五オ)ねへか。二度 00046840L11でハ壱分のとくといふものだ。四たびでハ二分のちがひだ 00046850L12せ。行バゆく程、ソレ金がのびやす 00046860¥N23¥J 00046870¥X唐料理 00046880L15コレ見やれ。とんだ引キ札が来た。Sドレなんだ。唐料理 00046890L16だな。百文(廿五ウ)に付御三人詰御吸物中ひら附めし。是 00046900L17ハとんた安いものだ。なんと、今から往ふしやあねへかと、 00046910L18三人つれ立往て見れバ、何がからめいた家作り。づつと上 00046920L19れハ、出た女が唐人せうぞく。是ハとんだ事ツたと思つて 00046930L20いる(廿六オ)うち、膳が出た所が、唐卓の上に三人まへの 00046940M1吸物、中ひら皆沈金ぼりの、何かからめいたけつこうな吸 00046950M2物椀。是ハきつい事たと/蓋(ふた)を取れバ、からあさり 00046960¥N24¥J 00046970¥Xふられた客 00046980M5おれがたび+買ふ女郎だが、(廿六ウ)行たび+にふる 00046990M6が、どうしたものだろう。どふそこまらせて遣るしやうハ 00047000M7有めへか。Sそれハこふしやれ。何ンでもふられる気に成 00047010M8て、/合羽(かつは)からかさでいきやれ。なる程、是ハ妙だといつた 00047020M9所が、程なく帰りけれバ、Sなんと、(廿七オ)ようすハど 00047030M10うだ△Sいやもふ、どうしても手の有るやつた。かつはか 00047040M11らかさでいつたらこまるだろうと思つたが、/今度(こんど)ハふらん 00047050M12で、おもいれ、てらした 00047060¥N25¥J 00047070¥X/悪推(わるずい) 00047080M15兄むすこが二階へ揚ると、跡から(廿七ウ)娵が付て揚りし 00047090M16を、弟か見て、是ハ昼中にはじまるそうだと、そつとあが 00047100M17つて見た所が、あんのじやう、ふすまが〆切て有たゆへ、 00047110M18ぬき足してそつと立聞すれハ、息子のこゑで、サアといふ 00047120M19と、娵の声で、そつと(廿八オ)しておくれよといふ。扨こ 00047130M20そと思つて聞耳立れバ、娵が、もつとをくのほうを。アヽ 00047140¥P132 00047150¥G(廿九オ・ウ) 00047160M1いつそいゝよといふを聞て、是ハたまらぬと、ふすまの合 00047170M2イからのぞひて見たれバ、耳の垢をとつてやつて居た(廿 00047180M3八ウ)(廿九オ・ウ絵) 00047190¥N26¥J 00047200¥X 00047210M5麦の連がきん+で、米の所へ見まい、どふだ。米先生。 00047220M6とんだはかなく暮すの。Sそふさ。此ごろハ大へこミさ。 00047230M7此せつ主ハおそろしいもんだといへバ、S麦いやもふ此頃 00047240M8ハ、よし原、品川、深川、二丁まちハいふに及ず、(三十オ) 00047250M9おれがいかぬ所ハねへが、どこへいつてもなれぬ事ゆへ、 00047260M10何かむせうにつきまわされるにハこまる 00047270¥N27¥J 00047280¥Xかたり 00047290M13おかミ様へ。旦那のおつしやります。只今きうに御入用が 00047300M14御(三十ウ)座りますから、小段子の二つめの小引出シに御 00047310M15さります金を弐分、わたくしに遣されませとの口上に、内 00047320M16義誠と心得、うかとのり、是ハ御太儀と、弐分渡してやり 00047330M17やした。Sかたり、餘ンり手もなく出来た(三十一オ)から 00047340M18心うれしく、千本桜の/鮓屋(すしや)の段を住太夫でやらかすと、 00047350M19S内義/格子(こうし)から、イヨ、かたります 00047360¥P133 00047370¥N28¥J 00047380¥X師匠 00047390L3へんけいおしへだて、打もの/業(わさ)にて叶のふまじと、/珠数(しゆず) 00047400L4(三十一ウ)さら+と押もんで、これさ子供よ。おれハ鼻 00047410L5がつぶれて居るから、へんけいといふが、わいらハやつは 00047420L6り、へんけいといやれ 00047430¥N29¥J 00047440¥Xしばらく 00047450L9中嶋やといふ油見世の一ト人(三十二オ)むすこが、神棚に 00047460L10あげてある/祇園(きをん)守りを、おもちやにするから引おろせゑゝ 00047470L11とのわやくに、二親ももてあまして居る所へ、台所の暖/簾(れん) 00047480L12の方から、しばらく+といふと、じきに泣やミやした。 00047490L13(三十二ウ)是ハふしぎと思ふうち、勝手にて、@チンツンテン|△△チツテン@ 00047500L14と、大ざつまを引出す。これハとんだ事ツたと、のぞひて 00047510L15見たれバ、団十郎もくさが、/柿(かき)のすほうに大太刀 00047520¥N30¥J 00047530¥X/田舎者(いなかもの)(三十三オ) 00047540L18此ころ/田舎(いなか)から来た小女が/使(つかい)から帰つて、もしへ、おかミ 00047550L19様ンへ。江戸といふ所ハ、とんだものを売にまいりますね。 00047560L20女房S何をうりに来た△S四文/銭(せん)をうりにまいりました 00047570M1S女房ばかな事をいふ。なんと言ツて(三十三ウ)うりに来た 00047580M2Sあの/脇差(わきざし)をさして、/大(おふ)せんや+ 00047590¥N31¥J 00047600¥X大屋 00047610M5/棒手振(ぼてふり)リがより合ツて、大屋のうわさをするのを聞に、皆 00047620M6しりの穴がせまひ+といふ中に、たつた一人、おいらが 00047630M7(三十四オ)大屋様のよふなしりの穴の大きいのハねへとい 00047640M8ふから、餘りふしぎゆへ、所を聞たら、よしてう新道 00047650¥N32¥J 00047660¥X/山伏(やまぶし) 00047670M11かけ出の山伏、ある山道に踏まよひ、日ハくれる、心細く 00047680M12(三十四ウ)行先に、定九郎とも言そふな大の男が、仁王立 00047690M13につつたつて、酒手を置てゆきをれと言さまに、だんびら 00047700M14物をするりと抜バ、わつといつて/迯出(にげだ)すを、/彼(かの)をとこ、の 00047710M15がさじと/追欠(をつかけ)る。山伏は(三十五オ)/息(いき)をはかりに迯のびて、 00047720M16向ふを見れバ、火/影(かげ)の見へるに力を得て、よう+と/走付(はしりつき)、 00047730M17跡より追手のかゝる者。何とぞ、をかくまい下されといへ 00047740M18バ、/主(あるじ)もうけ合、心よく宿をかしけれバ、山伏も落(三十 00047750M19五ウ)着キ、一チ夜をあかし大に悦び、おまへのをかげで 00047760M20命を/拾(ひろ)いました。此御礼にハ、/劔(けん)なんよけの/御守(おまもり)を上ませ 00047770¥P134 00047780¥G(三十七オ・ウ) 00047790M1う 00047800¥N33¥J 00047810¥X/団子(だんご) 00047820M4だんご、砂糖だんごと/呼(よ)びながら、アヽひだるい+と、 00047830M5せつ(三十六オ)なそうによんであるくを、跡から/来(く)る人き 00047840M6のどくに思ひ、貴様、そのやうにひだるくバ、其だんごを 00047850M7喰へバいゝのに。Sおまへ、まあどうして、此団子がすく 00047860M8つて/喰(くハ)れるものか(三十六ウ)(三十七オ・ウ絵) 00047870¥N34¥J 00047880¥X慶子 00047890M11近頃ハ芝居も餘りあたりが御座りませぬ。Sそうさねへ。 00047900M12/前(まへ)かた/慶子(けいし)が/来(き)たときの様に、人の出た事ハねへのさとい 00047910M13ふと、/側(そば)に聞て居た人が、それはほんに聞ぬ事ツたね。マ 00047920M14アどんな(三十八オ)/怪我(けが)人があつて、けいしが/来(き)やしたへ 00047930¥N35¥J 00047940¥X/冬奉公(ふゆぼうこう) 00047950M17/信濃(しなの)から冬奉公を心がけ、大勢つれ立て浅草御門に/来(き)かゝ 00047960M18りしが、ミな不案内故、/御番所(ごばんしよ)まへを恐れ、どうして(三 00047970M19十八ウ)通つたものだろうと、ミんなより集りて/相談(そうだん)した所 00047980M20が、中にも年かさ成ル男が、なんでも御番所のまへにいつ 00047990¥P135 00048000L1て、何とぞお通しなされて下さりませと願ふがいゝと/一決(いつけつ) 00048010L2して、夫ならおれに(三十九オ)付て、皆来やれと、先に立 00048020L3つて御ばん所のまへに皆ならぶを見て、御/番所(ばんしよ)から、S通 00048030L4ふれ△Sハイ。/有難(ありがた)ふ御座ります 00048040¥N36¥J 00048050¥X子もり 00048060L7日あたりの/能(いゝ)所へ、子もり共(三十九ウ)か/寄(よ)り合、だんな 00048070L8の/噂(うわさ)をして居ると、一人の子もりのいふにハ、聞てくんな。 00048080L9をらがうちのおかミさんが、/今度(こんと)/生(うま)しつた子ハの、とんだ 00048090L10子だよ。大きくならしつたら、/博奕打(ばくちうち)にきつとならつしや 00048100L11るだ(四十オ)ろう。Sなぜ△Sそれでも/生(うま)れおちると間も 00048110L12なくの、めくりを/呑(のま)つしやるとよ 00048120¥N37¥J 00048130¥X打出し 00048140L15/月池連中(つきぢれんちう)寄り合つて、茶はん/狂言(きやうげん)を初めやした。まづせか 00048150L16いハ大仏/供養(くやう)にて/大切(あふぎり)さ。(四十ウ)おしのつゑゝ/七珍万宝(しちちんまんほう) 00048160L17が悪七兵衛景清のやくに成て、千本さくらの四の切といふ 00048170L18出/立(たち)で、たからの山に入ながらと、何かわからぬ/対面(たいめん)のせ 00048180L19りふをいゝやすと、/一粒万倍(いちりうまんばい)が重忠のやくて、幸若にはぐ 00048190L20れた(四十一オ)/万歳(まんさい)のよう形で、Sいゝや。手をむなし 00048200M1くハかゑさぬと、てうしを合せて、かりぎぬを渡すと、万 00048210M2宝ハいつはいに団十郎のきどりで、Sなに、よりとも公の 00048220M3かりぎぬとやと、つつと寄つて、つゞけさまに(四十一ウ) 00048230M4九刀さし通して、/頼政(よりまさ)に猪の/早太(はやた)といふ見へに成ると、/太= 00048240M5皷(たい=こ)を打出す。S二人ハあきれて、今日ハこれきりともいゝ 00048250M6も仕ねへにと、口小言をいふと、見物か立ながら太皷とと 00048260M7もに、Sアヽ/鈍(とん)なこつた+。鈍+どん(四十二オ)と言 00048270M8ながら出て行と、楽屋でもミんながそしりながら、こうま 00048280M9んで+ 00048290¥Y落咄初わらい△(四十二ウ) 00048300¥P136 00048310¥Y跋 00048320L3物よくぬける/白銀(しろかね)の/毛抜(けぬき)と、主そしらぬ人の/従者(づさ)とハなき 00048330L4ものと、清少納言が耳うちして置たれば、とまれかくまれ、 00048340L5人の噂せんよりハ、尻のない落咄にしくものハあらじと、 00048350L6(跋一オ)/友人(ゆうじん)七珎万宝の/主(ぬし)の書集メたる新作ハ、/例(れい)の地口 00048360L7/行過(ゆきすき)の間違に、/洗濯(せんたく)しても落かねる古クよごれしも有らん。 00048370L8なれ共たゞ日待の/茶飯(ちやめし)の/茶(ちや)にし給ひて、/春雨(はるさめ)の/寂寞(つれ+)にハ/口= 00048380L9豆煎(くち=まめいり)の豆に替へて/御茶(おちや)を/最(も)(一ウ)一つくめ/寺(でら)/弾正(だんぜう)、笑らふ 00048390L10門にハ/福牡丹(ふくぼたん)の/上下着附(かミしもきツキ)。どなたも読ンで/三舛(ミます)の/紋(もん)。/拙者(せつしや) 00048400L11が/跋(ばつ)でハつがもない、/鉄(てつ)の/毛抜(けぬき)のひけもせず、/髭撫(ひげなで)の/高慢(こうまん) 00048410L12に/銀(ぎん)の/毛抜(けぬき)にこじつけしハ、/桟敷(さんじき)も/切落(きりをと)し/咄(ばなし)の/御評判(ごひやうばん)。 00048420L13(二オ)イヨ市川、イヨ/咄(はなし)の/親玉(おやだま)と、じや+も/来(き)たれかし 00048430L14も、/虎(とら)の/威(ゐ)を/借(か)る/稲荷(いなり)まち、/名(な)にし/月池(つきぢ)の/大横物(おふよこもの) 00048440L15△△△△△△△△△△△△△△△/尻(しり)から 00048450L16△△△△△△△△△△△△△△△△△△一粒万倍述 00048460L17△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二ウ) 00048470G1〔挿絵中の文字〕 00048480G2此所にて、ちよびと申上ます。少しばかりの御あいそうに、おも 00048490G3ひ口にていゝたる地口と御さげすミも、まことの木つくしと、御 00048500G4わらひ被成可被下候(九オ) 00048510G1/枳(からたち)/楮(かうぞ)/蘇枋(すをう)に/樫(かし)++△天王のあんとうのようたとのわる 00048520G2口ハ、なしのき+(九ウ) 00048530G1/榧(かや)ハ/柘榴(ざくろ)と/桑(くわ)/蘇鉄(そてつ)△ハテ、大きふなつたなあ(十八オ) 00048540G1/梭櫚(しゆろ)/栩(とち)/合歓(ねぶ)木の小松/柿(かき)、/栢(ひば)/藤(ふぢ)/楓(かへで)/団栗(どんぐり)の△花めづらしきけふ 00048550G2の対面(十八ウ) 00048560G1/楊盧(うつぎ)/胡桃(くるミ)/楮(こうぞ)/弱桧(さわら)の/梭櫚(しゆろ)の△しよりやうのあだ(廿九オ) 00048570G1/檳榔子(びんらうし)/榧(かや)の/樫(かたき)と△名のれ+(廿九ウ) 00048580G1/林檎(りんご)/菩提樹(ぼだいじゆ)ハ/梛(なぎ)で/桐(きり)が/早枝(さゑだ)ゑ△それ、じよでこい(三十七オ) 00048590G1/樗(あふち)が/枸杞(くこ)/楢(なら)/南天(なんてん)+△それ、もちこめ+(三十七ウ) 00048600¥P137 00048610¥U噺本大系△第十二巻 00048620¥T/独楽新話(どくらくしんわ)〔題簽〕 00048630¥G 00048640¥Y 00048650L16天明八年頃刊 00048660L17虎渓山人序 00048670L18蔦屋重三郎板 00048680L19小本一冊 00048690L20国立国会図書館蔵 00048700¥Y序 00048710M3/夜(よる)のことハ/寄(よる)といふ。よりぞもどさぬはなしの/絲口(いとくち)、とき 00048720M4はなるまつ/友(とも)あれハ/又(また)/推参(すいさん)の/押(をし)てはるさめ、ふるきを/温(たづ)ね、 00048730M5あたらしき/趣向(しゆかう)して、もちをやくてふ/網(あミ)の/目(め)に、/手(て)もち/不(ぶ) 00048740M6(序オ)/沙汰(さた)の/塵(ちり)/積(つも)る、/算盤玉(そろばんたま)の/露(つゆ)なから、/数(かず)かく/鴫(しぎ)の、/はね(反|羽) 00048750M7を/取(とら)んと、するかなる/不自由(ふじゆう)、ならぬみやこの/八重(やゑ)さくら 00048760M8木にのほせて、/小冊子(せうさつし)とす。/笑(わら)ふ/門(かど)にハふく/豆(まめ)の、/七歩(ひちほ)の 00048770M9/吟(ぎん)の/忽(たちまち)に、かいつけ侍ぬ 00048780M10△△△△△△△△△△△△△△△△△虎渓山人 00048790M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序ウ) 00048800¥P138 00048810¥N1¥J 00048820¥X/室咲(むろさき) 00048830L3/染井(そめゐ)の/植木(うへき)屋で、/節季(せき)候が、/福寿艸(ふくじゆそう)や/室(むろ)の/梅(むめ)の/鉢植(はちうへ)に/見(ミ)と 00048840L4れて/居(ゐ)るを/亭主(ていしゆ)見て、こなた/衆(しゆ)ハ鉢植がすきかといへば、 00048850L5ハイ。/私共(わたくしども)も/世(よ)に/有(ある)ときハ、/是(これ)がきついすきで(一オ)ご 00048860L6ざりました。イヤ、それハきどくな。くるしうない。室へ 00048870L7はいつて見さつせへ。これハ有がたふござりますと、室へ 00048880L8はいる。亭主ハ是をさつぱり/忘(わす)れ、/翌日(あす)の/朝(あさ)、室の/戸(と)を/明(あ) 00048890L9けて見たれバ、/内(うち)から/万歳(まんざい)が(一ウ)/出(で)た 00048900¥N2¥J 00048910¥X/豆畠(まめはたけ) 00048920L12/殿様(とのさま)、/用人(ようにん)共に/内&(ない+)で申付る事が有が、やしきでハ云ハれ 00048930L13ぬ。/船(ふね)に/乗(の)つて/品川沖(しながハをき)へ出やうと/仰出(をふせいだ)され、さつそく/其用= 00048940L14意(そのよう=ゐ)して(二オ)品川の沖へこぎ出せバ、殿様仰には、/下屋敷(しもやしき) 00048950L15へ豆を/蒔(まか)ふと思ふ。用人衆あきれて、此くらゐな事ならば、 00048960L16御屋敷で仰付られてもよさそうなものと/存(そんじ)ますといへば、 00048970L17ハテ、ばかをいふな。/鳩(はと)が/聞(きく)ハへ(二ウ) 00048980¥N3¥J 00048990¥X/桃(もゝ)太郎 00049000L20/久(ひさ)しぶりで桃太郎、又/鬼(をに)が/嶋(しま)へ/宝取(たからとり)に/行(ゆく)とて/立出(たちいづ)ると、/例(れい) 00049010M1の/役者(やくしや)共が出て、モシ+。おまへの/腰(こし)に/付(つけ)てごさるハわ 00049020M2んだといへば、これハ/日本(につぽん)一のきぢだんごさ。ハイ。ひと 00049030M3つ(三オ)くださる。お/供(とも)申さふ 00049040¥N4¥J 00049050¥X/木刀売(ぼくとううり) 00049060M6/近比(ちかごろ)ハ/劔術(けんじゆつ)のけいこがはやると/聞(きい)て、ぬけめのない/商人(あきんど)、 00049070M7屋敷/町(まち)を、/木刀(ぼくとう)や+と売あるけバ、/窓(まど)から、木刀よ+ 00049080M8とよんで、いくらだ。ハイ。七匁(三ウ)五分つゝでござり 00049090M9ます。/高(たか)ひ/物(もの)だ。五匁にさつせへ。イヽへ、そうハなりま 00049100M10せぬと、/引(ひつ)かたげて/行(ゆき)しが、/立戻(たちもど)り、モシへ。木刀まけて 00049110M11あげませうといへバ、イヤ、まけた木刀ハいらぬ 00049120¥N5¥J 00049130¥X/下(した)かた(四オ) 00049140M14おどり/初(そめ)に/出唄(でうた)/出囃子(ではやし)で、下かたがずうと居ならんだ/所(ところ)が、 00049150M15/見物(けんぶつ)の/内(うち)、十七八の/娘(むすめ)が/立膝(たてひざ)にして、/毛(け)のはへ所が/少(すこ)し見 00049160M16へけれバ、ふゑSほうやほう、とふき/出(いだ)しけれバ、つゞみ 00049170M17Sハテふしぎと見/廻(まハ)して、これを見ると、イヤア(四ウ) 00049180M18ぽん、とうてバ、たいこSちか/目(め)ゆへ、/一(いち)ゑんがてんがゆ 00049190M19かず。/何(なん)だ+と/聞(き)けバ、そバから、娘が出して居るとい 00049200M20ハれて、トばちをかまへて、どこ+++ 00049210¥P139 00049220¥N6¥J 00049230¥X/枕(まくら)うり 00049240L3ある/御家中(ごかちう)を、ぬりまくら+と(五オ)/売(うり)あるきければ、 00049250L4御/新造(しんぞう)/久(ひさ)しひねがひにて、/鬼蔦(をにつた)の/紋(もん)ついたる枕を/買(か)ハれけ 00049260L5る。枕売、/門口(かどぐち)へ/出(いで)んとする/出合頭(であいかしら)、/御番(ごばん)/帰(かへ)りの/此家(このや)の/主(あるじ)、 00049270L6/夫(それ)と見るより/顔色(かんしよく)かハり、枕売を/庭(にハ)へ廻らせ、すでに/手打(てうち) 00049280L7と見へけれバ、(五ウ)枕うりS私にハ何のとがゝござりま 00049290L8す。お手打に成/覚(をぼ)へ、ござりませぬといへば、主Sだまり 00049300L9をらう。/身(ミ)が/女房(にようぼう)に、まくらをかハせをつた 00049310¥N7¥J 00049320¥X/朝帰(あさかへ)り 00049330L12/兄弟(きやうだい)三人一/座(ざ)で/女郎買(ぢやうらうかい)にゆき、/朝(あさ)(六オ)がへりに見せを 00049340L13のぞひて見た/所(ところ)が、/親仁(をやじ)が十/面(めん)/作(つく)つて/火鉢(ひばち)にあたつて居る。 00049350L14/末子(ばつし)、かたわらからそつとはいれば、親仁Sやらうめ。/夕= 00049360L15部(ゆふ=べ)ハどこへうせをつた。ハイ。/謡講(うたひかう)に/参(まい)りましたが、つゐ 00049370L16/夜(よ)がふけまして。親S何、うたひ(六ウ)講じやア/有(ある)めへ。 00049380L17/二男(じなん)も/同(をな)じくそつとはいれバ、うぬハどこへいつた。ハイ。 00049390L18/寸伯(すんぱく)様で/碁(ご)を/打(うつ)て/居(をり)ました。親S何、碁じやア有めへ。/惣= 00049400L19領(そう=りやう)ハ、モウ此手でハいかぬと、/大(おほ)手をふつてずつとはいれ 00049410L20ば、大/や((ママ))うめ。おのれハどこへいき(七オ)をつた。アイ、 00049420M1しれた事。女郎買さ。親S何、うそばつかり 00049430¥N8¥J 00049440¥X/物(もの)しり 00049450M4なんと、うハばみといふ/和訓(わくん)ハ、どうして/付(つけ)たらうといへ 00049460M5ば、ミな+、/是(これ)ハむつかしいと/小首(こくび)かたむけるに、物/知(しり) 00049470M6(七ウ)/男(をとこ)、ヱヘン+とせきばらひで、しかつめらしく、 00049480M7あれにハ/故事(こじ)がござる。/昔(むかし)/加賀(かゞ)の/山中(やまなか)で、/旅人(たびひと)が/松(まつ)の/木(き)の 00049490M8下に/昼寐(ひるね)をして居ると、せうゆ/樽(たる)ほどの/大蛇(だいじや)が、松の/枝(ゑだ)か 00049500M9らねらひすまして、/一呑(ひとのミ)にのミました。そこで(八オ)/上(うへ)か 00049510M10らはみたるによつて、うハばみといふのさ 00049520¥N9¥J 00049530¥X/井戸堀(ゐどほり) 00049540M13お/家主(いへぬし)様ハおまへでござりますか。/表(をもて)の/弐間店(にけんだな)をおかり申 00049550M14たふござります。家主Sハイ。そこ/元(もと)の/御商(ごしやう)(八ウ)/売(ばい)ハ。 00049560M15ハイ。/井戸(ゐど)ほりでござります。家Sそれでバどふもかされ 00049570M16ませぬ。店が大なしになります。ヘヱ、そりや又なぜてご 00049580M17ざります。家S大かた/掘(ほつ)て売に出るだらう 00049590¥N10¥J 00049600¥X/田舎芝居(いなかしバゐ)(九オ) 00049610M20/土用休(どようやすミ)に、/堺町(さかいてう)/役者(やくしや)/中嶋(なかじま)何がしといふ者、田舎へいつた所 00049620¥P140 00049630L1が、もはやけふが/初日(しよにち)で大入のさい/中(ちう)。/急(きう)に/役(やく)ハなし、目 00049640L2見へハ/例(れい)の中嶋/流(りう)の/公家悪(くげあく)で、大づめに/大友(をほとも)の/真鳥(まとり)の/押出(をしだ) 00049650L3し。いなかの事なれバ/先(まづ)をつとつ(九ウ)て、/道具(とうぐ)の/馬(むま)がな 00049660L4し。きうな事/故(ゆへ)、/生(いき)た馬で/間(ま)に/合(あハ)せ、さて大づめになり、 00049670L5/皃(かほ)をさいしき/丸龍(ぐわんりやう)の/装束(しやうぞく)、/金冠(きんかんむり)で/彼(かの)馬に/打乗(うちのり)、やミなん 00049680L6+で/黒幕(くろまく)がとれる。ヒイヽでん※でをし出した所が、 00049690L7生た馬ゆへ/大皷(たいこ)の(十オ)/音(をと)におどろき、/見物(けんぶつ)の中ともいハ 00049700L8ずかけ/出(だ)すがさいご、/田畑(たはた)のしやべつなく、やミくもに/欠= 00049710L9行(かけ=ゆく)。かの役者ハ/死身(しにミ)になつて/乗(の)つてゐれバ、/村方(むらかた)のせハ/人(にん) 00049720L10ども、/名(な)がしれぬから、ヲヽイ、/真鳥(まとり)どの引+(十ウ) 00049730¥N11¥J 00049740¥X番太郎 00049750L13/初会(しよくハい)の/客人(きやくじん)、女郎の/来(く)るのをまちかね、/床(とこ)の/中(なか)にひとり、 00049760L14うとり+ねて/居(ゐ)ると、ひさアしくして女郎、床へ来て/枕= 00049770L15元(まくら=もと)で何やらなが+と/書(か)ひてゐる。もはや/表(をもて)ハ/引(ひけ)四ツ(十 00049780L16一オ)の/拍子木(ひやうしき)カチ++。客、ね/耳(ミヽ)に/聞(きい)て、となり町 00049790L17で打と思ひ、目を/覚(さま)し、拍子木が見へぬ+と/尋(たづ)ぬれバ、 00049800L18女郎、ばからしい。拍子木を何になんすへ。客、/心(こゝろ)づひて、 00049810L19アヽ、まつりのゆめを見た(十一ウ) 00049820¥N12¥J 00049830¥Xたしなみ 00049840M3/舟(ふな)まんぢうに/泊(とま)つて居ると、うろ+舟が通るをよんで、 00049850M4/酒(さけ)を/買(かい)、さかなハこんにやくのおでん、さしむかいで、さ 00049860M5いつおさへつのむ。ま事、てまへハマア十/人並(にんなミ)の/皃(かほ)で、ど 00049870M6ふしてこんな/者(もの)に(十二オ)なつたといへバ、わたしハこれ 00049880M7でも、いつかどの/侍(さふらい)の/娘(むすめ)でござりましたが、/浪人(らうにん)のたつき 00049890M8にせまりて此/有様(ありさま)と/咄(はなし)ながら、おでんをつまみ/切(きつ)て/喰(く)ふ。 00049900M9ハテ、いぜんがれき+ゆへ、よいたしなみだといへば、 00049910M10何さ。わたしや/歯(は)がご(十二ウ)ざりやせん 00049920¥N13¥J 00049930¥Xまじない 00049940M12今からむじんに行が、/物前(ものまへ)でハ有し、ぜつぴ/取(と)らねバなら 00049950M13ぬといへバ、/友達(ともだち)、イヤ、それにハよひまじなひか有。/杓= 00049960M14子(しやく=し)をふところへ入て行と、/奇妙(きミやう)(十三オ)に/当(あた)る。こいつハ 00049970M15有がたいと、入て行しがあたらず、すご+かへりければ、 00049980M16どふだ。当つたか。イヤ、あたらぬ。ハテな。いくらづゝ 00049990M17/掛(かけ)るのだ。壱両づゝを/半口(はんくち)さ。ヱヽどうりだ。それならバ、 00050000M18せつかいがよかつた(十三ウ) 00050010¥N14¥J 00050020¥X/手紙(てがミ) 00050030¥P141 00050040L1/鳶(とび)の/者(もの)、となりの/師匠(ししやう)様をたのミ、モシ師匠さん。手紙を 00050050L2一/本(ほん)お/頼(たのミ)申やす。師匠、ハイ。何と/書(かき)やせう。アイ、そこ 00050060L3へ、コフ八や。/此中(このぢう)かした二本のぜにやア、どふするのだ。 00050070L4/度&(たび+)とりに(十四オ)いきやア、/留守(るす)ウつかいやがる。ふて 00050080L5へやつじやアねへか。てへがへにしてよこしやアがれ。よ 00050090L6こさねへにをいちやア、なべかまでも/引(ひつ)ぱづすぞ。師匠 00050100L7Sそれがどふして/書(かゝ)れる物か△Sハテ、よふござりやす。 00050110L8/仮名(かな)で書ひてやりなんし(十四ウ) 00050120¥N15¥J 00050130¥X十/種香(しゆかう) 00050140L11/表(をもて)の/医者(ゐしや)様の所で、/香(かう)の/会(くわい)が有からいつて見やうと、/同(をなじ)/長= 00050150L12家(なが=や)の/鳶(とび)のもの、おゆるしなはりやしと、ずつとあがつて、 00050160L13/膝(ひざ)をちいさくすハると、もはや会も/初(はじま)りて、/香炉(かうろ)を手にと 00050170L14り/上(あげ)(十五オ)きひて見て、ちとあまひかとぞんじますと下 00050180L15にをけバ、鳶Sわしにも見せなんしと手にとり、/同(をなじ)やうに 00050190L16手をかざし、トやつて/香炉(かうろ)をほうり出し、とんだやつらだ。 00050200L17/甘(あま)ひのからひのとつて、/舌(した)をこがさせやがつた(十五ウ) 00050210¥N16¥J 00050220¥X/忠臣蔵(ちうしんぐら) 00050230L20九だんめに/本蔵(ほんぞう)がわき/腹(はら)へ/鑓(やり)をつつ/込(こむ)と、/由良之助(ゆらのすけ)出てせ 00050240M1りふになり、/聟(むこ)/引出(ひきで)の/絵図(ゑづ)を見て、/夜打(ようち)のけいりやく、手 00050250M2をひながらもぬからぬ本蔵、/用心(ようじん)きびしき/高(かう)の(十六オ)/師= 00050260M3直(もろ=なを)といへば、ゆらの介、あんじの/雪折竹(ゆきをれたけ)をかもゐにはめ、 00050270M4/枝打(ゑだうち)はらへバ、雪ちつてのびるハすぐなる/竹(たけ)のちから、/鴨= 00050280M5居(かも=ゐ)たハんでみぞはづれ、/障子(しやうじ)のこらずばた++。本蔵 00050290M6くるしさうちわすれ、アヽいゝ/仕(し)(十六ウ)/掛(かけ)だ 00050300¥N17¥J 00050310¥Xしらみ 00050320M9/裏河岸(うらかし)のこもかぶりが、けふハいゝひよりだ。/権(ごん)や。ねて 00050330M10バかりゐずと、ひなたへ出て、しらミでもとりやれなとい 00050340M11へば、いんにや。/虱(しらミ)ハ居なへハ。お(十七オ)きやアがれ。 00050350M12ミへぼうをいやるな。S何さ。見へじやアねへ。/丸(まる)はだか 00050360M13だ 00050370¥N18¥J 00050380¥X/花火(はなび) 00050390M16/中洲(なかず)の/仮宅(かりたく)で、女郎、花火をねだりしかバ、客、これハ/安= 00050400M17金(やす=がね)でハいかぬ事ゆへ、どふぞしてにげやうと思ひ、/翌(あす)(十 00050410M18七ウ)のばん/持(もつ)て来て、とぼして見せうといふ所へ、川の 00050420M19中て、花ア火+といふ/声(こへ)かすると、/禿(かふろ)が下へ/欠(かけ)をりて、 00050430M20むかふの/舟(ふね)ヱヽヽヽ引 00050440¥P142 00050450¥N19¥J 00050460¥X/鉄鉋疵(てつほうきづ) 00050470L3これ/源(げん)ぼう。てめへ、だいぶ/色(いろ)がわる(十八オ)ひが、どふ 00050480L4した。イヤをれも、ふし/見町(ミてう)の女の/湿瘡(しつ)がうつつて、いく 00050490L5じやアねへ。それに、しつだ+と思つて居る/内(うち)、よこつ 00050500L6/腹(ぱら)へ/穴(あな)があいて、あんまり心もちがわるひから、/横町(よこてう)の医 00050510L7者に見て/貰(もら)つたら、これハ(十八ウ)/毎(まい)ばん+/安物(やすもの)が/過(すき)た 00050520L8から、てつぽう疵だといハつしやる。ヘヱどうりで、てめ 00050530L9へ、ゑんしやうくさへ 00050540¥N20¥J 00050550¥X/難産(なんざん) 00050560L12/産(さん)ハ/生死(しやうじ)のさかいといふが、/扨&(さて+)おとついから、/子(こ)が/足(あし)を 00050570L13出して/居(ゐ)て(十九オ)どふしても/生(うま)れず。/祈祷(きとう)に/護符(ごふう)に百/度(ど) 00050580L14参り。医者ハ/名有衆(なあるしう)を/呼(よ)んで見せても、ミんなことハり、 00050590L15とりあげ/婆&(ば)ハ/引越(ひつこし)きり。ハテこまつた物だと、とほうに 00050600L16くれて居れバ、/側(そば)から、かういふ時にハ、けつく(十九ウ) 00050610L17かるひ医者に、こうしやなが有ものだ。となり/裏(うら)の/宅安老(たくあんらう) 00050620L18を/呼(よ)ん/((で脱カ))来やうと/欠行(かけゆき)しが、/直(ぢき)に/御見舞(をミまい)。どりや+お/脉(ミやく)と、 00050630L19とつくりと/様子(ようす)を見られ、さハぐまい+。/先(まづ)/火(ひ)をたんと 00050640L20おこして/遺(つかハ)されと(又十九オ)いへば、/幸(さいハ)ひ、しちりんによ 00050650M1くおこつてござりますと/持(もつ)て/来(く)る。/宅安(たくあん)、/右(ミぎ)の手(て)にじうの 00050660M2うを持、/左(ひだり)で/産婦(さんふ)の/前(まへ)をまくつて、そりや/火(ひ)を入ます。足 00050670M3を引たり 00050680¥N21¥J 00050690¥X/大通(だいつう)(又十九ウ) 00050700M6/何(なに)の何がしといふ、きつとした/通(とを)り/者(もの)、/着類(きるい)ハいふに及バ 00050710M7ず、きせるたばこ入その/外(ほか)、/手道具(てとうぐ)/座敷(さしき)の/物好(ものすき)、何くらか 00050720M8らぬ/大通(たいつう)。/毎日(まいにち)+/友(とも)だちあつめての女郎/買(かい)/咄(はなし)にも、/世(よ)の 00050730M9/中(なか)の人をバみなやぼと/見下(ミくだ)し、/我(われ)ひ(廿オ)とりいきなる 00050740M10者と、けんしきを/立(たて)けるが、こゝにふしぎ成事ハ、/食事(しよくじ)す 00050750M11るに、けつして人に見せずに/大屏風(をほひやうぶ)を/立廻(たてまハ)し、/其中(そのなか)にた 00050760M12つたひとり、きうしさへ入ずにくひ/仕廻(しま)ふ。/友達(ともたち)共もがて 00050770M13んゆかずと、いろ+(廿ウ)気をつけても、さつぱり見 00050780M14せず。扨ハ/狐(きつね)か/猫(ねこ)のとりつきしにきハまつたと、/皆(ミな)+/云= 00050790M15合(いひ=あハ)せ、何とぞして/見届(ミとゞけ)んと、いつものごとく/打(うち)より咄して 00050800M16居るに、/下女(げぢよ)が、御/膳(ぜん)をおあがりなされましといへバ、皆 00050810M17様、(廿一オ)御/免(めん)なされましといつて立と、/例(れい)のことく 00050820M18屏風を立廻して内へ入りぬ。皆&/爰(こゝ)ぞと手ぐすねして/時分(じぶん) 00050830M19を/待(まち)居るに、一/人(にん)それと/声(こへ)をかくれば、一/時(とき)にばた+と 00050840M20をつ/取(とり)まき、りふじんに屏風を(廿一ウ)取のくれバ、も 00050850¥P143 00050860L1ろ手でさつま/芋(いも)くつて居た 00050870¥N22¥J 00050880¥X/云(いひ)そくない 00050890L4/大家(をほや)様のおぼうさんが、とつくりへ/指(ゆび)を入さしつて、それ 00050900L5がぬけなへで、/外科(げくわ)をよぶの何のと大さハぎだ。(廿二オ) 00050910L6/旦那(たんな)、お見まいに行なさへといへば、それハいかずハ成ま 00050920L7いと/羽織(はをり)を引かけ、/御免(ごめん)なさりまし。おぼうさまがどうか 00050930L8なさりましたそうでござりますといへば、Sハイ。これハ 00050940L9おかたじけなふござります。やう+の(廿二ウ)事でぬけ 00050950L10ました△Sそれハ御あんどでござりませう。わたくしのお 00050960L11やぢがサ、/前方(まへかた)しゆびんへさ。ヘヱヽヽ、おいとま申ます 00050970¥N23¥J 00050980¥X/屋敷奉公(やしきほうこう) 00050990L14とても屋敷奉公するならハ、/押(をさへ)(廿三オ)をつとめるほど 00051000L15よいものハない。/先(まづ)/途中(とちう)でめつたに人が/腰(こし)をかゞめて、ど 00051010L16なたでござりますといふと、/何(なん)の何の/守(かミ)といひすてゝ/通(とを)る 00051020L17所ハ、どうもいへた物でハない。とうぞ/押(をさへ)にすミたいと、 00051030L18やう+口を/聞合(きゝあハせ)てすんだ(廿三ウ)所が、/御少身(ごしやうしん)ゆへ、 00051040L19ねつから/聞人(きゝて)がなく、さりとハいま+しい事と、/早&(そう+)ひ 00051050L20まをとつて/葛篭(つゞら)をせをひ、そのやしきの/門(もん)を出れば、通り 00051060M1の人が腰をかゞめて、モシ+、おまへのお出なさつたお 00051070M2やしきは(廿四オ)何と申ます/((と脱カ))とへば、むつとして、ハイ。 00051080M3ちつとそうもござるまい 00051090¥N24¥J 00051100¥X/悪名(あくミやう) 00051110M6/座頭(ざとう)の女房、/密夫(まをとこ)して居るをけどつて、にくひ/己(をのれ)ハ大どろ 00051120M7ほうめと、しかりつけられ、女房/腹(はら)を/((立脱カ))(廿四ウ)何もどろ 00051130M8ぼうした/覚(をほ)へハござりませぬ。人にきづを付なさるといへ 00051140M9ば、だまりをらう。おれが目をぬすみをつた 00051150¥N25¥J 00051160¥X/女郎買(ぢよらうかい) 00051170M12/亀背(せむし)大じん、女郎買に行しが、いつ(廿五オ)でも/連(つれ)ばか 00051180M13りもてゝ/面白(をもしろ)くなきゆへ、/一(ひと)くふうして、連の/皃(かほ)へ/膏薬(かうやく)を 00051190M14はりて、/同(をな)しくかたハにしたて、ながばをり大ふところ、 00051200M15すうとあげきせるで見せつけしに、せむしでも皃ハ人なミ 00051210M16ゆへ、座敷の/内(うち)から(廿五ウ)大じんの/方(ほう)へばかりおちが 00051220M17来て、連ハわるき/煩(わづらい)のやうに見へけれバ、女郎も/盃(さかづき)さへき 00051230M18たならしくとりあつかふゆへ、連もむつとハすれど、さす 00051240M19がハかミの事なれバ、やつと座敷をおさめ、/床(とこ)へはいるや 00051250M20いな、女郎(廿六オ)の来ぬうち、かうやくをはがし、皃を 00051260¥P144 00051270L1ふひて/下着(したぎ)に/前帯(まへをび)できれへにして、しやミせんをとりあげ、 00051280L2/荻江流(をきゑりう)のめりやすをかすめてひゐて居れば、いつそいきだ 00051290L3よと、/相方(あいかた)どもが来て見てきもをつぶし、ぬしハわるひ 00051300L4(廿六ウ)じやうだんをしなんす。/大方(をほかた)わつちが客人も、/背= 00051310L5中(せ=なか)へ何ぞ入てゐなんすだらうと、座敷へかけていつて、せ 00051320L6なかの物を出しなんし+と、したゝかぶちのめす 00051330¥N26¥J 00051340¥X/御国衆(をくにしゆ)(廿七オ) 00051350L9御国/侍(さふらい)、/吉原(よしハら)へ行あそびしが、座敷もおさまり、/床(とこ)へ/廻(まハ) 00051360L10つた所が、また/宵(よひ)の事ゆへ女郎ハ/来(こ)ず。あまりたいくつゆ 00051370L11へ/見物(けんぶつ)に出しが、/連(つれ)にはぐれて尋ねるうちに、/引(ひけ)を/打(うち)しか 00051380L12バ、どうも/内(うち)がしれぬから、(廿七ウ)一/軒(けん)+にくゞりか 00051390L13らのぞひて、こんな皃の男をしらしやらぬか、見てくださ 00051400L14い 00051410¥N27¥J 00051420¥X目出度 00051430L17物いまひな人、けふハ/大切(たいせつ)な/元日(くわんじつ)だから、何事によらず、 00051440L18たとへけが(廿八オ)をしても、めてたい+といへと、 00051450L19/家内(かない)の/者(もの)に云付る口の/下(した)から、/下女(げぢよ)/鍋(なべ)をおろすとて、たな 00051460L20が/落(をち)そうに成と、コレ+八助どの。/棚(たな)が/目出度(めでたく)なりそう 00051470M1だ。はやく来てくんなといへバ、八助とんで行、しつかり 00051480M2(廿八ウ)おさえて、おれが来ちやア、めつたに目出度させる 00051490M3事じやアねへ 00051500¥N28¥J 00051510¥X/巨燵(こたつ) 00051520M6となりの/小娘(こむすめ)が来て、こたつにあたつてあそんで居るを、 00051530M7女房、コレ、おめへの所でも、こたつをするか。アイ。し 00051540M8(廿九オ)やすといふ。イヤ+、まだこたつをあけた/沙= 00051550M9汰(さ=た)を/聞(き)かぬが、大かた/置巨燵(をきごたつ)だらうが。娘Sアイサ。/昼(ひる)ハ 00051560M10をきごたつね、/夜(よる)ハたどんを入レやすのさ(廿九ウ) 00051570¥P145 00051580¥Q/晒((ママ))落本類目録△@江戸通油町耕書堂△|△△蔦屋重三郎板@(二丁省略) 00051590¥Q 00051600L4珍らしき新板諸品追&出来 00051610L5申候御求メ御覧可被下候 00051620L9△△△江戸通油町 00051630L10△書林△△△蔦屋重三郎 00051640¥P146 00051650¥U噺本大系△第十二巻 00051660¥T/笑(わらい)の/種蒔(たねまき)〔尾題〕 00051670¥G 00051680¥Y 00051690L16天明九年正月序 00051700L17石部琴好作・序 00051710L18楊甚画 00051720L19小本一冊 00051730L20都立中央図書館加賀文庫蔵 00051740¥K〔序が一丁あるが、汚損のため省略〕 00051750¥N1¥J 00051760¥X恵比須 00051770M4信濃より新参を置。正月弐日恵比須講にて、其夜売買に恵 00051780M5比須の御膳五十万両、其外、御汁、平、だん+売買済ミ、 00051790M6恵比須のこふの物廿万両、イヤ、拾五万両で手を打玉ひし。 00051800M7手を打ツ役信濃、たくわん壱本持て、欠落チ 00051810¥N2¥J 00051820¥X甲子 00051830M10なんと、あの甲子に黒米の飯とハ、どふいふもんであらふ。 00051840M11ツレハテ、知れた事。色が黒ひから、それでさ。○成程、 00051850M12そふいへば尤に思われ/((る脱カ))が、(二オ)二/股(また)ハ亦どふした事てあ 00051860M13らふ。あれも/訳(わけ)の有る事かの。ツレハテ、そこで大こくう 00051870M14といふ 00051880¥N3¥J 00051890¥X仁王 00051900M17/独(ひとり)もの、金銭の延るやうにと、比門谷の仁王へ一七日のだ 00051910M18んじきにてこもり、ほどなくうちへかゑりければ、友立と 00051920M19も見舞にきて、/願(がん)もうが叶て、ちつとも延たか。▽ナニサ。 00051930M20きつひ事ハねえが、七日中の/扶持(ふち)か/延(のひ)タ斗サ(二ウ) 00051940¥P147 00051950¥N4¥J 00051960¥X比門谷 00051970L3色男、比門谷の仁王へ参り、どふぞ向の紙屋の娘を、お取 00051980L4持なされくだされましと、いつしんになつておがんて居る 00051990L5と、仁王様も/眼(め)を/細(ほそ)くして、どふぞおれにも 00052000¥N5¥J 00052010¥X下男同士 00052020L8コレ権七。腹をたゝつしやるな。貴様が/相(そう)ハ(三オ)ひんそ 00052030L9うだと言へば、権七何、人を馬鹿にした。おらア坊主じや 00052040L10ねヱ 00052050¥N6¥J 00052060¥X無益 00052070L12若、柳枝さん。はつ鰹も/喰(く)へやせぬ。けふは三分弐朱しや 00052080L14した。柳枝初鰹たから、そのくらひな事ハありそうなもの 00052090L15さ。それを喰わねヱといふハ大の野暮。おいらハそれ£高 00052100L16くとも喰ふ気だといふ内に、鰹呼んで(三ウ)来る。鰹、い 00052110L17くらする。▽ハイ。三分て御座ります。柳枝そりやあんま 00052120L18り安イ。壱両で買ふ 00052130¥N7¥J 00052140¥X病気見立 00052150M1/道楽(とうらく)もの、しきりに虫をやミ、医者をよぶ。医者、脉を見 00052160M2て、此病ハ有り来りの虫と違ひ、/俗(ぞく)に天正と申やまひなる 00052170M3が、誠は/四十八(めくり)と申やまひなりといへば、女房道理で、か 00052180M4ぶる+といゝやす(四オ) 00052190¥N8¥J 00052200¥X馴家 00052210M7或夜、家財不残盗人に取られ、大釜一つ残る。/今夜(こよひ)もまた 00052220M8此釜を盗ミに来るとおもつて、釜の中へはいり、用心して 00052230M9待て居る。/終(つい)/労(つかれ)て/寐(ね)る。其間に盗人はいり、釜をはづして 00052240M10かづき出す。/途中(とちう)にて亭主、寐うなりをすると、盗人ども、 00052250M11ヤレ、釜が/化(バケ)タとて、其釜うつちやつて迯る。跡にて亭主、 00052260M12眼を/覚(さま)し、/蓋(ふた)/押明(おしあけ)て(四ウ)見て、南無三、家を取られた 00052270¥N9¥J 00052280¥X物語 00052290M15勘七殿。おらア夕部、とんた夢を見た。壱里ばかり横に/歩= 00052300M16行(ある=い)た夢を見た。勘七そりや、夢たから見そふなものよ。お 00052310M17らが国でハ、五月じぶんになると、女どもが跡へ/歩行(あるく)。 00052320M18▽ナゼナ。勘七田を植る時に 00052330¥P148 00052340¥N10¥J 00052350¥X新商人(五オ) 00052360L3和尚、/玄俗(げんぞく)して舂米屋になる。▽アイ。米を百がおくんな 00052370L4さひ。和尚、壱升計て遣る。▽モシ。それハはかりが違ひ 00052380L5やしよ。/脇(わき)では壱升三合宛売やすトいへば、和尚何さ。高 00052390L6イ事ハ御ざりませぬ。御/洗米((不明))を見さつせひ 00052400¥N11¥J 00052410¥X馬鹿娘 00052420L9/嚊(かゝ)さん。/垢(あか)切から血か出やした。母此子ハとんだ事をいふ 00052430L10子だ。/夏(なつ)、垢切がきれる物か(五ウ)としかれば、娘、前を 00052440L11まくつて、それ、見なさい 00052450¥N12¥J 00052460¥X不通同士 00052470L14ヤコレ、清公。向河岸の長門屋の信女か、めつたやたらに 00052480L15色をするといふか、マアつまらねヱ事しやねヱか。仏の色 00052490L16をするといふハ、是迄聞た事もねヱが、/余(あま)り評判か/強(つゑ)イか 00052500L17ら、おら今夜、長門屋の旦那寺へいつて見て来る/積(つも)りたが、 00052510L18なんと、貴様もいかぬか。▽ヲヽ(六オ)おれもいかふ迚、 00052520L19二人連にて寺へ行、/墓(はか)所へこつそりとして忍び、明六つ比 00052530L20迄まつて居ても、なんのさたもなし。夜明ケて/石塔(せきとう)の側へ 00052540M1寄て見たれば、朱がけしてあつた 00052550¥N13¥J 00052560¥X間違 00052570M4亭主、/炬燵(こたつ)を切りながら、八助+と呼。八助来る。亭主 00052580M5壱分位のやぐら、買て来や。八助畏(六ウ)ましたと、壱分 00052590M6持て行。亭主、跡にてまてども+帰らず。/終(つい)其日は帰ら 00052600M7ねば、大に案じ待たひくつして寐る。八助、/翌日(よくじつ)/闇(くらい)うちに 00052610M8帰る。亭主、大に腹を立、さん+にしかる。そしてやぐ 00052620M9らハどふしやつたと問へば、八助扨夕部ハきつひもてやう 00052630M10てござりました 00052640¥N14¥J 00052650¥X/節分(せつぶん)(七オ) 00052660M13節分のばんかたに豆をまかれて、鬼どももうろたへ歩行折 00052670M14ふし、福もうち、鬼もうちといふをきゝつけ、これさひわ 00052680M15ひと、われがちにはいり、よく+見れば、見世物師の内 00052690¥N15¥J 00052700¥X小僧 00052710M18これ、こぞうや。此油のたかひのに、なぜ此やうに油をつ 00052720M19ひだ。こぼし(七ウ)たらどふするとしかられ、小二度目ハ 00052730M20油をいれずに/燈心(とふしミ)はかりしたゝかいれ、油をつがす。まつ 00052740¥P149 00052750L1くらがりに/成(なつ)て居るを亭主見て、小僧。なぜ/行燈(あんとん)へ燈心は 00052760L2かりいれて、油をなぜつがねヱといへば、油は高ひから、 00052770L3それでとふしみばかり 00052780¥N16¥J 00052790¥X/老女(おいての)/学文(かくもん)(八オ) 00052800L6/欲(よく)どしい/婆(バ)ア様、此ごろ三味線のけいこに浮身をやつすを、 00052810L7孫が見かね、せけんてひかわるひとて/異見(いけん)をしてもきかぬ 00052820L8ゆへ、おまへ、そのよふに三味線をならつて、何になさる 00052830L9といへば、婆&地獄でげひしやをする気さ 00052840¥N17¥J 00052850¥X/失物(うせもの) 00052860L12ある男、浅草へ/参詣(さんけい)し、内へかゑり、(八ウ)まづ/着物(きもの)を/抜(ぬい) 00052870L13て隣へ/行(いき)、今帰りましたといゝつゝ、うちへかゑると、ぬ 00052880L14ひて置た着物か見へず。大きにおどろき、ほう※/尋(さが)せど 00052890L15もミへねバ、まづうらなひの所へ行、見て/貰(も)らへバ、うら 00052900L16なひて、/真皃(まかほ)になり、是ハ/欠落(かけおち)物にて、あまりおあんじな 00052910L17さる事はござりませぬ。命にさゝわりハござらぬ(九オ)と 00052920L18いわれ、Sきもをつぶし、いや/若(も)シ、/生(いき)ものてはござりま 00052930L19せぬ。占そしてなんでござるの。S着/類(るい)でござります。占 00052940L20それ見さつせひ。それだから、まだぶちころされハしませ 00052950M1ぬ 00052960¥N18¥J 00052970¥X吸物 00052980M4田舎もの二三人づれにて両国をぶらつき、/障子(せうじ)に/牡丹(ぼたん)の花 00052990M5が/書(かい)てあるを見テ、(九ウ)あれハなんでこざる。もしやと 00053000M6/往来(おふらい)の人に/問(と)へば、あれハ/猪(しゝ)の吸もの、こちらの紅葉ハ鹿 00053010M7の吸ものでござりやすと、おしへてとふる。Sなるほど、 00053020M8しゝにぼたん、鹿にもミじとは、よくしたもんだとかんし 00053030M9んして/行(いく)。むかふを見れば、/床(とこ)の/障子(せうじ)に水仙の花かかひて 00053040M10ある。あれ、アノねぎハあんだつぺい。ツレあれハ(十オ) 00053050M11おゝかたまぐろであろふ 00053060¥N19¥J 00053070¥X/見違(ミちかへ) 00053080M14かぼちや/天窓(あたま)の八百屋あり。とつぱめきの/買人(かいて)、かぼちや 00053090M15と/天窓(あたま)をとりちがへ、亭主のあたまたゝひて見て、これは 00053100M16いくらすると問へば、亭主アイタヽといふに、/買人(かいて)、気が 00053110M17つき、これハおゝきにそゝう致したとあやまつて帰る。 00053120M18(十ウ)跡にて亭主、ひたひへ手をあて、これ小僧。あたま 00053130M19の/疵(きづ)ハ大きなきづではなひかときけば、小イヽヱ。くされ 00053140M20のつくほどの疵でもござりませぬ 00053150¥P150 00053160¥N20¥J 00053170¥X/坐舗(げいしや)女 00053180L3/続雨空(しけそら)に、げひしや、坐敷かあつて行。ほとなく帰り、母 00053190L4帰られたかといへば、娘アイ。いつそ/外(そと)は道か/悪(ハる)くて、や 00053200L5つと(十一オ)/来(き)やしたといへば、母/起(ころ(ママ))びでもしなんたかと 00053210L6問へば、娘イヽヱ。けふのお客ハ女客さ 00053220¥N21¥J 00053230¥X雅心 00053240L9/飯焚(めしたき)の三助、風をひき、食事いけぬゆへ、旦那申よふ、コ 00053250L10レ三助。まずくとも我慢して喰や。めひハしよくに有るぞ 00053260L11といへば、息子聞て、もしと/ん((ママ))さんや。三助が国ハそんな 00053270L12ら唐かへ(十一ウ) 00053280¥N22¥J 00053290¥X帯 00053300L15八ヤ。おらアおもひがけねヱ金壱分ばかりもふけたから、 00053310L16こはくの帯を買ふとおもふ。▽アヽそりやよさつせひ。 00053320L17○ナゼ。▽ちりだらけになる 00053330¥N23¥J 00053340¥X夢 00053350L20亭主、女房の死た夢を見て、へそ+/啼(なく)。/眼(め)ざとき女房、 00053360M1モシ+とゆすふる。亭主びつくりして眼を覚し、南無阿 00053370M2弥陀(十二オ)仏。最ふ/迷(まよ)つて来たか 00053380¥N24¥J 00053390¥X旅人同士 00053400M5旅人宿へ帰り、権兵衛殿。私ハけふ吹矢町の川岸で、珍ら 00053410M6しいもの見て来申た。権なんでござる。▽小人嶋を見申た。 00053420M7権ホウ、そりや八丈嶋見るやうなものか 00053430¥N25¥J 00053440¥X/己惚(うぬぼう) 00053450M10うぬぼう、夜咄に来る。亭主、なんでも(十二ウ)今夜はさ 00053460M11からつてやらんとおもひ、噺の折+に/毒(どく)をいへば、/己惚(うぬほう)、 00053470M12大に/暑(あつく)なつて、すでに亭主へ/刄向(はむか)わんとする。亭主おきや 00053480M13アかれ。爰なうぬほうめと、火吹竹にて/討(うた)んとすると、/側(そハ) 00053490M14に居た子供がりきんで、/甥(おち(ママ))さんや私に/何罪(なにとが)有て 00053500¥N26¥J 00053510¥X/婦婦((ママ))喧嘩 00053520M17婦婦げんくわをはじめ、亭主、/嚊(かゝあ)を討ン(十三オ)とて、終、 00053530M18釜を割る。其間に嚊ハ迯て行。亭主跡にて気をもみ、ヱ、 00053540M19いま+しい。かふいふ事を知つたらば、喧嘩ハしめへに 00053550¥P151 00053560¥N27¥J 00053570¥X新参 00053580L3御暦&の隠居、新参を置き、これ弥助。おらアが所では、 00053590L4別に鬧しい事ハねヱ。/兎角(とかく)/物言(ものこと)きれひにし、見苦しいもの 00053600L5などあらは、見付次第捨て仕舞ふよふに気をつけ(十三ウ) 00053610L6やれ。弥助ハイ。畏ました。○二三日過、隠居、/床脇(とこわき)に仕 00053620L7舞残したもの見へねば、弥助にとふ。手前ハ/床脇(とこわき)に茶の湯 00053630L8茶碗が有る/筈(はづ)じやが、しらぬか。弥助ハイ。それはうつち 00053640L9やつて仕舞ました 00053650¥G(十四ウ) 00053660¥N28¥J 00053670¥X見物 00053680M3田舎客に江戸見物させんとて、先堺町へ連て行、是レ客人。 00053690M4是か堺町といふのだと教へる。客、/櫓(やくら)を/尽(つく)※詠て、何、 00053700M5/虚言(うそ)をいふ人だ。たつ/銀杏(いてう)だ(十四オ)(十四ウ挿絵) 00053710¥N29¥J 00053720¥X鹿嶋 00053730M8是親分。これが要石といふのた。▽ホウ、これが要石とい 00053740M9ふのか。そして地紙は/何所(どこ)に 00053750¥N30¥J 00053760¥X孫 00053770M12若、ぢひさんや。お念仏より/欠(あくび)が有難の。▽何、馬鹿なや 00053780M13つだ。お念仏より有難いものが有るものか。孫それでも、 00053790M14欠の供をする(十五オ) 00053800¥N31¥J 00053810¥X空通 00053820M17吉原の/火(くわ)事、二口にしてやける。一ト口の火事いふやうハ、 00053830M18手前ハ是から両国の方まで行と言へば、▽イヤ+、行ま 00053840M19ひ。○ナゼ。▽ハテ、/野暮(やぼ)な。いつも仮宅の場だ 00053850¥P152 00053860¥G(十七オ) 00053870¥N32¥J 00053880¥X/城傾買(ぢよろうかい) 00053890L14田舎客、中洲の/仮宅(かりたく)へ行とて、/晴天(せいてん)に/蛇(じや)の/眼(め)の/傘(かさ)を/買(かい)、程 00053900L15なく見立も/済(すミ)、雪駄傘(十五ウ)ともに持て二階へあがらん 00053910L16とするを、▽若物見て、雪駄や傘はお預けなされませとい 00053920L17ふ。客そんなら雪駄斗預けよふ。▽お傘ハなぜへ。客若シ 00053930L18ふられた時のよふじん 00053940¥N33¥J 00053950¥X釣鐘 00053960M1片山家に、至てひんなる寺あり。釣鐘が有れども、ひゞた 00053970M2けて/音(ね)も出ず。/鐘鋳(かねい)の施主もなければ/鋳(いる)事なく、/撞(つく)事もな 00053980M3く、(十六オ)/錆(さび)くさつて居る折節、/見倒(ミたおし)屋が来て、和尚に、 00053990M4アノ鐘売てくれといへば、/龍頭(りうづ)が罷出、ならぬ+ 00054000¥N34¥J 00054010¥X身投 00054020M7貴様ハ/昔日(きのふ)の身/投(なけ)を見たか。▽ヲ、見た。/慥(しか)も、おらアが 00054030M8所から二丁ばかり先のもので、お亀といふ女だ。○ムヽ、 00054040M9道理で、すつぽんと音がした(十六ウ)(十七オ挿絵) 00054050¥N35¥J 00054060¥X天気見 00054070M12旦那、家来八平に、/翼日(あす)の/日和(ひより)ハどふであろ。見てくれと 00054080M13いへば、八アイト足早に出て見、明日は急度ふります。旦 00054090M14那ムヽ、/何所(どこ)に見どころかあつて。八アイ。空にいつぱい 00054100M15穴かあひております 00054110¥N36¥J 00054120¥X角力 00054130M18/天竺(てんぢく)にて、しやかによらひ、又/新規(しんき)に(十七ウ)すもふをは 00054140M19じめけれは、谷風もてんぢくへ渡り、角力の/司(つかさ)とならんと 00054150M20て/行(いき)、/最早(もはや)土俵入もしまひ、取組となれるとて、こんなや 00054160¥P153 00054170L1つハひとつまミと、茶にしてかゝる。行司、/軍配(ぐんぱい)をきると、 00054180L2なんの/苦(く)もなく谷風をなける。谷風も思ひのほか当が/違(ちか)い、 00054190L3残念におもひ、/名乗(なのり)をきけば、/達磨(だるま)そんしや(十八オ) 00054200¥N37¥J 00054210¥X手妻 00054220L6鶴吉、手妻をはじめ、しまいにのこらずたねをお目にかけ 00054230L7ますといゑば、/田舎(いなか)もの見て、とふぞ、そのたね売てくた 00054240L8さひといふ。鶴吉もあきれ、なんになさるといへば、▽/畑(はたけ) 00054250L9へまひてたのしもふ 00054260¥N38¥J 00054270¥X眼病(十八ウ) 00054280L12此比ハ/眼(め)かわるくて、ひつこんでばかり/居(い)るが、たひくつ 00054290L13してどふもならぬ。友そんならおれが所へきて、碁でも/打(うち) 00054300L14ねイな。S目をつかつちやアわるくハあるまいか。そして 00054310L15白ひものハ/毒(どく)であろふ。友そんならおめひ、黒石しなんね 00054320L16ヱよ 00054330¥N39¥J 00054340¥X噂 00054350L19なんと、あの首くゝり程、つまらねヱものハ(十九オ)ねヱ 00054360L20によ。どふで死ぬ命なら、腹でも切つて死ねば/疵(きつ)/ほれ((不明))/奴(やつ)と 00054370M1誉られもするにと言へば、河遊いや、そこたによ。腹切ほ 00054380M2どの/脇差(わきさ□)を求るちからがあれば、/死(し)にやしねふ 00054390¥N40¥J 00054400¥X力自慢 00054410M5年寄立二三人/集(あつま)り、おらアが若ひ時にハ、とんた/強(つよ)かつた。 00054420M6おいらも若イときハ力があつて、四斗俵三/表((ママ))宛ハ、かるか 00054430M7(十九ウ)つた。それで人に、馬といわれた。▽壱人の男き 00054440M8ゝ/兼(かね)て、おらアそんなこつちやねヱ。わかひときハ/牛(うし)とい 00054450M9われた。○ホヽ、そんならまた力かあつたな。▽何さ。い 00054460M10つそ気ぶせうで、/埓(らち)があかなんた 00054470¥N41¥J 00054480¥X内証噺 00054490M13是、久七どん。そつちのむすこハ、せん(二十オ)ど吉原へ 00054500M14遊びにいつたそうだが、どふた、もてた様子かの。久イヽ 00054510M15ヱ、それハどふかしりません。▽それでも万字屋のしづか 00054520M16をかつたとて、評判かあるといへば、久どふりで内へ帰る 00054530M17と、ひつそりとしていやした 00054540¥Y笑の種蒔終(二十ウ) 00054550¥P154 00054560¥U噺本大系△第十二巻 00054570¥Tうぐひす/笛(ぶえ)〔内題〕 00054580¥G 00054590¥Y 00054600L16天明頃刊 00054610L17改年堂御慶序 00054620L18若州屋藤兵衛等板 00054630L19小本一冊 00054640L20大東急記念文庫蔵 00054650¥Y序 00054660M3/春(はる)の山の/端(は)わらひ初て、/雪間(ゆきま)の/氷(こほり)うちとけたるに、/梅(むめ)が/香(か) 00054670M4いきをはきかくれば、/柳(やなぎ)の/糸(いと)も/腹筋(はらすぢ)をよる、笑ふ門にハ/福= 00054680M5寿草(ふく=じゆさう)、三つ葉(序オ)四つ/葉(は)とさき/草(くさ)の、はなしの/種(たね)をまき 00054690M6初て、花さく春を/待(まつ)ものならし 00054700M7△△△△△△△△△△△△△△△△改年堂 00054710M8△△△△△△△△△△△△△△△△△△御慶述 00054720M9△△△△△△△△△△△△△△△△△G△G 00054730M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序ウ) 00054740¥P155 00054750¥T1うくひす笛 00054760¥N1¥J 00054770¥X扇箱 00054780L5伊勢屋徳兵衛でござります。/年始(ねんし)の御祝義申上ますと、/扇= 00054790L6箱(あふぎ=ばこ)壱つさし出すを、/旦那殿(だんなどの)きゝ付られ、これ+、一寸あ 00054800L7ハふと罷出、扇箱の/紫皮(むらさきがハ)をはがし(一オ)中を/明(あけ)て見て、 00054810L8こんな扇がある物か。/竹(たけ)へ紙を/挿(はさん)ンで、/要(かなめ)を/墨(すミ)で書てある、 00054820L9ばら+扇ハ入用にない。/是(これ)£一本でも/持(も)たれる扇をもつ 00054830L10て来たがよいと、さん※のぶ/首尾(しゆび)。徳兵衛/進(すゝ)ミ出、それ 00054840L11は大きな/覚召(おほしめし)/違(ちがひ)、是こそ御/武運長久(ぶうんてうきう)を表し、/形(かなち)は(一ウ)扇 00054850L12に/似(に)たれども、/実(じつ)ハ扇で御座りませぬ。Sそんならなんだ 00054860L13S/矢(や)口の矢でござります 00054870¥N2¥J 00054880¥X/年代記(ねんだいき) 00054890L16/田舎(いなか)もの、山下をそゝりありき、/両面(りやうめん)の/年代記(ねんだいき)を見て、い 00054900L17くらで御座る。S十六(二オ)/銭(せん)でござります。/田舎者(いなかもの)、/煙= 00054910L18草入(たば=こいれ)から八文出して、Sこゝへ/片面(かためん)/下(くだ)さい 00054920¥N3¥J 00054930¥X萩寺 00054940M1ぬれて行人もおかしき/萩寺(はぎでら)の/盛(さか)り。けふハ/萩大名(はぎだいミやう)さま、/宮= 00054950M2城野(ミや=ぎの)といふ女郎をつれてお出との/評判(へうばん)。はたして/紫(むらさき)(二ウ) 00054960M3の/幕(まく)うつた/屋形(やかた)、前の川へつく。皆&大ぜい出て見れバ、 00054970M4/紫(むらさき)のしぼり/染(ぞめ)きた/一様(いちやう)の/船頭(せんどう)、/宮城野(ミやぎの)その日の出立にハ、 00054980M5紫ちりめんに/萩(はぎ)の/惣模様(そうもやう)、/紫天鵝絨(むらさきびらうど)の/帯(おび)しどけなく、/脛(はぎ) 00054990M6もあらハに船から出る。そりやこそとミた所が、S/顔(かほ)ハ 00055000M7(三オ)/牡丹餅(ぼたもち) 00055010¥N4¥J 00055020¥Xどう/忘(わす)れ 00055030M10けふハ/幾日(いくか)じやの。Sされバ、いく/日(か)かしらぬ。/暦(こよミ)を見た 00055040M11らしれやう△Sはて、/暦(こよミ)を見たとて、/幾日(いくか)じやかしれるも 00055050M12のか△Sまちやれ。今にどこぞから、手紙(三ウ)がこよふ 00055060¥N5¥J 00055070¥X/御門札(ごもんふだ) 00055080M15/若殿(わかとの)のうハ/気(き)を見込に、/毎日(まいにち)+/妾(めかけ)の/目見(めミへ)。御/家老(からう)/石部(いしべ)金 00055090M16太兵衛どの、ほとんどもてあぐミ、/魚鳥留(ぎよてうどめ)の札のうらに、 00055100M17/墨(すミ)くろ※と書付て(四オ)御/門(もん)に立ける。S此所/小便組(せうべんぐミ)無= 00055110M18用(む=やう) 00055120¥P156 00055130¥N6¥J 00055140¥X/粂(くめ)の/仙人(せんにん) 00055150L3日もはや七つ下りの比、/黒小袖(くろこそで)に/皮襪(かハたび)はいた/本庄夜鷹(ほんじやうよたか)、 00055160L4二三十人つれ立て/両国橋(りやうごくばし)を通る時、/辻(つぢ)風さつと吹/来(きた)り、/裾(すそ) 00055170L5ふきまくれバ、はぎの/白(しろ)いも(四ウ)/蕎麦切色(そばきりいろ)も、あらハに 00055180L6見ゆるまん中へ、何やらひら+とした物/落(おち)かゝる。さて 00055190L7ハ/粂(くめ)の仙人かと、よく+ミれバ、Sやつこ/紙鳶(だこ) 00055200¥N7¥J 00055210¥X/日暮里(ひぐらしのさと) 00055220L10花の/雲(くも)/鐘(かね)ハ上野の/谷中門(やなかもん)から(五オ)日ぐらしの/里(さと)へかゝり、 00055230L11/茶屋(ちやや)が/床几(せうぎ)で/一盃(いつぱい)のミかけ、帰りに/茶代(ちやだい)を払ながら、この 00055240L12山の/芋(いも)の/田楽(でんがく)ハなんぼじや。Sアイ。一/串(くし)六銭でごさりま 00055250L13す△Sハテ、/安(やす)いものゝ△亭主Sそれでも、/鰻■(うなぎ)になると、 00055260L14十二/銭(せん)でこざります(五ウ) 00055270¥N8¥J 00055280¥X/高売(たかうり) 00055290L17/近年(きんねん)/諸方(しよはう)に/安売(やすうり)が出来て、生合よろしき/呉服物(ごふくもの)、/古今無双(こゝんふさう) 00055300L18の大安売などゝ、引札を/廻(まハ)せとも、/高(たか)からうよからう、/安(やす) 00055310L19からうわるからうとて、/直(ね)がやすけれバ/丈(じやう)が/足(た)らず、(六オ) 00055320L20丈があれバ/地(ぢ)がわるい。やはり/安(やす)うりの/裏(うら)を行、大/高売(たかうり)と 00055330M1/看板(かんばん)出したら、物がよいとて/買(かいて)人があらうと、来ル霜月朔 00055340M2日より/冬物(ふゆもの)/諸色(しよしき)大/高(たか)うり、引上ゲ/高直(かうぢき)に差上申候と、札を 00055350M3まハしけれバ、/是(これ)ハめづらしい(六ウ)と、見せ/開(びらき)に、ゑい 00055360M4とう+つめかけけれバ、/伴頭(ばんとう)高助、かいてに/向(むか)ひ、Sな 00055370M5んなら、御無用でござります 00055380¥N9¥J 00055390¥X/七転(なゝころび) 00055400M8門前の石でけつまづきてころび、あたりをミておき上りし 00055410M9が、二三/間(げん)(七オ)(七ウ・又オ挿絵)行と、又ころびけり。 00055420M10Sいま+しい。この位なら/起(おき)ないけりやよかつた 00055430¥N10¥J 00055440¥X/薮医者(やぶいしや) 00055450M13町はづれのやぶ/医者(いしや)、鳥なき嶋の/蝙蝠(かうもり)、羽織とつかハとし 00055460M14て出行/拍子(へうし)に、となりの小女郎を/蹴(け)とばしけり。(又ウ)/隣(となり) 00055470M15の/嬶(かゝ)/飛(と)んで出、このお/医者(いしや)さまハ、いかに/急(きう)な/病用(びやうよう)じやと 00055480M16て、人の子をけとばす事ハござらぬと、大いざこざのまん 00055490M17中へ、大屋様が/割(わり)にはいり、/相借屋(あいしやくや)の事なれバ、/互(たがい)にふせ 00055500M18うしたがよい。高が足でけられた斗、此人の(八オ)手にか 00055510M19ゝつて/生(いき)たものハ、ひとりもない 00055520¥P157 00055530¥G(七ウ・又オ) 00055540¥N11¥J 00055550¥X/盗(ぬすびと) 00055560M3ヤレどろぼう+と、/棒(ぼう)ちぎり木にて追かけ、あまりに/息(いき) 00055570M4がはづむゆへ、/豆腐(とうふ)屋へはいり、水をもらふてのむに、/泥= 00055580M5坊(どろ=ぼう)も同じく/息(いき)をつきながら、水を弐タ口(八ウ)三口のミ、 00055590M6@皆のものを△△|ふりかへりミて、@Sサア、又ひとかけかけませう 00055600¥N12¥J 00055610¥X旦那寺 00055620M9/志(こゝろざし)の事ありて、/旦那寺(だんなでら)へ参り、/和尚(おせう)の前へ百/銅(とう)、お/所化(しよけ) 00055630M10の前へ弐百/銅(とう)つゝミ、/盆(ぼん)にのせて差出し、/宜(よろしく)/御廻向(ごえかう)(九オ) 00055640M11頼上ますとて帰りけり。和尚、がてんゆかず。/弟子(でし)に弐百 00055650M12/銅(とう)、我に百/銅(とう)とハ/間違(まちがひ)なるべしと、弟子の/包(つゝミ)と/無理(むり)に取か 00055660M13へて、/包紙(つゝミがミ)をあけミれバ、S/蝋燭(らうそく)弐本 00055670¥N13¥J 00055680¥X八/景(けい)(九ウ) 00055690M16此間、/唐(から)の/探幽(たんゆう)がかいた八景の/屏風(へうぶ)を求めました。御覧な 00055700M17され。Sいかさま、是ハ/各別(かくべつ)なお道具で御座ります。是が 00055710M18/源氏(げんじ)の/晩鐘(ばんしやう)でかなこざりませふ。亭主Sされバ、こちらか 00055720M19/平家(へいけ)の/落雁(らくがん)でごさる(十オ) 00055730¥P158 00055740¥N14¥J 00055750¥X/狸(たぬき)ねいり 00055760L3/初会(しよけい)の/客(きやく)、うれぬ/珊瑚珠(さんごじゆ)をミる様に、/蒲団(ふとん)の/上(うへ)にたゝひと 00055770L4り、まてどくらせど女郎ハこず。あまり/退屈(たいくつ)して、小/便(へん)に 00055780L5行、帰りミれバ、女郎/来(き)て/居(い)て、Sコハまだおやすミなん 00055790L6せんかへといふ。/客(きやく)、(十ウ)/行灯(あんどん)のわきに立ながら、目を 00055800L7ねふり、Sごう+ 00055810¥N15¥J 00055820¥Xのり合舟 00055830L10まん+たる/海上(かいしやう)へのり出しけるに、船すハりて、跡へも 00055840L11先へも行かず。是ハまさしく/龍神(りうじん)の見入レたるなれバ、何 00055850L12なりとも/海(うミ)へ(十一オ)ながしてミるがよいと、/船頭(せんどう)のいふ 00055860L13にまかせ、ミな+紙一まいつゝ/流(なが)しけるに、六十斗のお 00055870L14やぢか/帋(かミ)、ずぶ+としづめば、そりやこそと、人&おや 00055880L15ぢをはだかにして、海へつきいれけれバ、/海中(かいちう)にてすつく 00055890L16と立けり。人&、これハと(十一ウ)おどろけバ、船のすハ 00055900L17るも道理、/砂(すな)が/高(たか)かつた 00055910¥N16¥J 00055920¥X/■(こしもと) 00055930L20あしたハ/奥様(おくさま)、神参りに入らつしやりますか、どふぞお供 00055940M1がいたしとふ御座りますと、こしもとの願ひ。Sイヤ+ 00055950M2あすハ人ごミの(十二オ)/場(ば)なれバ、わかいものハ供につれ 00055960M3られぬ。それともたつて行たくハ、こゝへこいとよひよせ、 00055970M4/腰元(こしもと)のおゐどを弐つ三つつめり、Sそれで/行(い)つたも同じ事 00055980M5じや 00055990¥N17¥J 00056000¥X江戸見物(十二ウ) 00056010M8/隣(となり)の与茂三が、お江戸さあからもどりやつたげな。うらゝ 00056020M9も若い時ハ、べうとお/地頭(ぢとう)さまへ御/年頭(ねんとう)にのう出申たから 00056030M10ハア、お江戸のこんなら、/流通(るつう)だあロ。さらバ、いつては 00056040M11なし申さふと、門口から、やれ+/豆(まめ)でまつめでたい。な 00056050M12んと、お江戸(十三オ)さあの/広大(くハうてい)なにやあ、うつたまげ申 00056060M13たらふ。与茂三Sあぜうにもハア、いひつくされねいこん 00056070M14だ。あのはや、/幾世餅(いくよもち)ハよくきく/薬(くす□)でごんさり申よ△Sヲ 00056080M15ヽサ。そしてあの/錦袋円(きんたいゑん)ハうまいやつの 00056090¥N18¥J 00056100¥X/鳶(とび)のもの(十三ウ) 00056110M18/鳶(とび)のもの、おしきせの/皮羽織(かハばおり)で、ずつと入、これ、大屋さ 00056120M19ん。おミさんハなぜ、/塩(しほ)をなめなさる。大屋Sハテ、/喉(のど)の 00056130M20かハきを/止(とめ)るにハ、/茶(ちや)よりも/塩(しほ)がよふござる△鳶Sこいつ 00056140¥P159 00056150L1ハゑい事をきいたと、/直(すぐ)に/隣(となり)うらへ行、かミさん、塩をち 00056160L2つと、なめ(十四オ)させなさい。Sなんにしなさる△鳶 00056170L3Sあのさ、/穴(けつ)がかゆい 00056180¥N19¥J 00056190¥Xたハら屋 00056200L6/悪寒発熱(おかんほつねつ)の/気味(きミ)にて、/蒲団(ふとん)をかぶり取臥居るに、内儀、た 00056210L7ハらやをふり出して、下女のりんにもたせやり(十四ウ)け 00056220L8れバ、/旦那(たんな)、いたゞいて/薬(くすり)をのむ。@下女、いやな|目つきにて、@△Sアノ、 00056230L9だんなさんとした事が 00056240¥N20¥J 00056250¥X/長竿(ながざほ) 00056260L12/夜中(やちう)に/小僧(こぞう)、長/竿(ざほ)を持て庭に出る。和尚Sこいつハ何をし 00056270L13おる△小僧S空(十五オ)の星を/落(おと)します△和尚Sばかめ。 00056280L14そこからとゞく物か。早く屋根へ/上(あが)れ 00056290¥N21¥J 00056300¥X/女房(にようぼう) 00056310L17若いものより合、/隣(となり)のかゝハ、/面(つら)ハうつくしいが、あつた 00056320L18ら事に、/風(ふう)がわるい。/向(むか)ふの/内儀(ないぎ)ハ/風(ふう)も顔もよいが、あん 00056330L19まり(十五ウ)/痩(やせ)て、すげがない。扨よい女房ハないものじ 00056340L20やと評判すれバ、一人がいふ。しかしあまりよい女房ハ、 00056350M1もたぬがよい。めんよう女房の/器量(きりやう)がよすぎると、/亭主(ていしゆ)が 00056360M2/若死(わかじに)をするものじや。きさまたちも、ちと用心しやれとい 00056370M3へバ、一人が、どふぞ(十六オ)/小湯(さゆ)を一ぱいもらいたい。 00056380M4Sなぜといへば、Sなんだか/大分(だいぶん)、/気分(きぶん)がわるい 00056390¥N22¥J 00056400¥X/丼(どんぶり) 00056410M7あつたら/西瓜(すいくハ)を、井戸の中へどんぶりと落した。ハテ、ど 00056420M8ふしたらよからふと、井戸の中をのぞいて居るに、S是 00056430M9+(十六ウ)それがのぞいたとて出るものか。そんなら、 00056440M10のそかねいけりや出るか 00056450¥N23¥J 00056460¥X新五左 00056470M13新五左、二三人/非番(ひばん)日に出合、今のはやりハもえぎの小袖 00056480M14に/浅黄(あさぎ)うらの事だ。Sしかし、それもあまり/当世(とうせい)過る。 00056490M15(十七オ)ヤハリ/空色(そらいろ)にすミる茶のうらの/底至(そこいた)りがよい 00056500M16Sそんなら大小ハ△S太刀/拵(ごしらへ)の/貫(くハん)の/木(き)ざしさ△S/三徳(さんとく)ハ 00056510M17S/萌黄羅紗(もえぎらしや)の事△S/足袋(たび)ハ△S/生木綿(きもめん)△S/頭巾(づきん)ハ△Sいふ 00056520M18にや/及(をよ)ぶ。/袖頭(そでづ)+ 00056530¥P160 00056540¥N24¥J 00056550¥X上戸(十七ウ) 00056560L3/上戸(じやうご)と下戸、久しぶりで出合、上戸Sとふだ。/下戸(げこ)のたて 00056570L4た/蔵(くら)もないといふが、定めて/餅(もち)ばかりくつて、人にいやが 00056580L5られるだらう△下戸Sそして、おのしハどふだ△上戸Sお 00056590L6れハ見せを所&へ出した△S何見せを△上戸Sしれた事。 00056600L7(十八オ)小/間物(まもの)ミせさ 00056610¥N25¥J 00056620¥X/湯上(ゆあが)り 00056630L10/銭湯(せんとう)にて/上(あが)り/場(ば)に、きものをふるつてきる/拍子(へうし)、たもとの 00056640L11ふんどし、ふうはりと向ふの/奴(やつこ)のゑりにかゝる。すハ/一大= 00056650L12事(いちたい=じ)と、大勢がかたづをのんで見て居るに、(十八ウ)此/奴(やつこ)、 00056660L13/一円(いちえん)はらたつけしきなく、ふんどしをたもとへいれ、しづ 00056670L14+として出行けり。/湯番(ゆばん)もホツと/大息(おほいき)つき、さて+き 00056680L15さまハ/仕合(しあハせ)な。今の/奴(やつこ)が/定(さだめ)てゆるしハせまいとおもつた。 00056690L16/命(いのち)びろいをさしやつたといへバ、此男、しほ+として、 00056700L17いや、(十九オ)あまり仕合でもござらぬ。湯番S此人ハ/欲(よく) 00056710L18のふかい。/命(いのち)が/褌(ふんどし)一つぐらゐにかへられる物か△Sイヤ、 00056720L19/角(すミ)に金が弐/分(ぶ)有た 00056730¥N26¥J 00056740¥X/竹鎗(たけやり) 00056750M3此比/竹鎗(たけやり)をこしらへた。さて+/重宝(てうほう)な物で、まづ犬が/来(く) 00056760M4るとハ(十九ウ)つき/殺(ころ)して、/血(ち)のついた所を、はすに/切(きり) 00056770M5+すれバ、いく/度(たび)もつきころされる。Sそして、そのし 00056780M6まいにハどふする△S/蔵前(くらまへ)へやつて、/米(こめ)さしにするハ 00056790¥N27¥J 00056800¥X大入道 00056810M9親子、/枕(まくら)をならべて/熱病(ねつべう)をやミ(二十オ)けるに、むす子の 00056820M10うなり声、/親父(おやぢ)の/耳(ミヽ)に入れバ、おやぢSわれハ若いなりを 00056830M11して、とぼけてうハこと/事((衍))いふ。おれハ年こそよつたれ、 00056840M12先から大入道が/来(き)て立ていれど、こハくもなんともない 00056850M13(二十ウ) 00056860¥N28¥J 00056870¥X/雷(かミなり) 00056880M16ぐハら++ひつしやりと/雷(かミなり)/落(おち)て、庭の/榎(ゑのき)にはさまり、 00056890M17跡へも先へも行かず。亭主、/無分別(むふんへつ)ものにて、/真木割(まきわり)を持 00056900M18て出、榎を二つに/割(わり)けれバ、雷やう+からだを/動(うごか)し(廿 00056910M19一オ)お/礼(れい)ハ明日いたさうと、いひすてゝ/いひすてゝ((衍))/天上(てんじやう) 00056920M20しけり。/翌日(よくじつ)、同じ/刻限(こくげん)に又ぐハら+と落けり。何なる 00056930¥P161 00056940L1らんと見れバ、/重箱(ぢうばこ)二重あり。上を一重あけたれバ、すば 00056950L2しりの/臍(へそ)をつめたり。さすが/雷(かミなり)ほど有つ(廿一ウ)て、/相応(さうおう) 00056960L3なつかひ物と、/臍(へそ)の/下(した)の/重箱(ぢうばこ)を明れバ、S松だけと/赤貝(あかがい) 00056970¥N29¥J 00056980¥X/蚤虱(のミしらミ) 00056990L6/珍客(ちんきやく)の前にて、/背中(せなか)のかゆい所へ手をやつた所が、何やら 00057000L7一つとりけり。はて、蚤なれバよいが、/虱(しらミ)だとはぢの(廿 00057010L8二オ)かき上ゲと、ひねりながら、S壱/歩(ぶ)やらうから、/飛(と) 00057020L9んでくれろ 00057030¥N30¥J 00057040¥X/鎗(やり)の/師匠(しせう) 00057050L12おらがむす子が/鎗(やり)のけいこに出てから、どうも物事ぞんざ 00057060L13いになつてならぬ。/武芸(ぶげい)の師匠(廿二ウ)に/似合(にあハ)ぬおしへ方 00057070L14と見へると、/親父(おやぢ)、以の外の/腹立(ふくりう)。そのまゝ師匠へしかけ、 00057080L15せがれが/段&(だん+)おせわで、ぞんざい物になりました。御/流義(りうぎ) 00057090L16ハ何でござりますといへバ、/師匠(しせう)S/拙者(せつしや)/流義(りうぎ)ハ/投鎗(なげやり)(廿三 00057100L17オ) 00057110¥N31¥J 00057120¥X大釜 00057130L20/盗人(ぬすびと)、ある家へはいり見た所が、人ひとりも見へず、/道具(だうく) 00057140M1といつてハ、/内庭(うちにハ)の/角(すミ)に、/大釜(おほがま)が一つある斗。せめて是で 00057150M2ももつて行ふと、/釜(かま)の/蓋(ふた)をとれバ、中から、Sだれだ。/蚊(か) 00057160M3が/這入(はい)るハ(廿三ウ) 00057170¥N32¥J 00057180¥X水じまん 00057190M6/富貴(ふうき)なる/茶(ちや)の/湯者(ゆしや)、庭に井戸をほり、ことの外よき水ゆへ、 00057200M7大事にして、/井戸側(いどかハ)を/高蒔絵(たかまきゑ)にし、/貫(くハん)の木に/真鍮(しんちう)の/錠(でう)をお 00057210M8ろし、/鎰(かぎ)ハ/腰(こし)にさげて/居(い)られけり。/友(とも)だちの方より、/客(きやく) 00057220M9(廿四オ)御坐候ほどに、お井戸の水をちつと御/無心(むしん)と、/所= 00057230M10望(しよ=もう)しけれバ、/使(つかひ)を/庭(には)へまハし、/自身(じしん)、かぎにて/錠(でう)をあけな 00057240M11がら、たま+の御用じやに、お役にたつ程あれはよいが 00057250¥N33¥J 00057260¥X御/馳走(ちそう)(廿四ウ) 00057270M14コレ長松。いくつだと思ふ。ちとおとなしくしやれ。まづ 00057280M15/他所(よそ)へ行て、まんま/喰(く)ふた時ハ、返りに、御/馳走(ちそう)になりま 00057290M16したといふ物じやぞと、くれ+おしへけれバ、ある時/客(きやく) 00057300M17に行、座敷へすハるやいなや、御ちそうになりましたとい 00057310M18ふ。/親父(おやぢ)(廿五オ)きのどくがりて、何をいふと/叱(しか)りけれバ、 00057320M19Sそれでも、わすれぬ先に 00057330¥P162 00057340¥G(廿七ウ・又廿七オ) 00057350¥N34¥J 00057360¥X五つ/眼(まなこ) 00057370M3どうぞ/両眼(りやうがん)の外に、目を三つほしい。Sそれハ又なぜだ 00057380M4S壱つハ/背中(せなか)へつけ/つけ((つけ衍))て、/後(うしろ)を見たい。壱つハ/膝(ひざ)へ付 00057390M5て、(廿五ウ)/夜道(よミち)にけつまづくまい。又一つは/中指(なかゆび)のとつ 00057400M6先へつけたい△Sなぜといへば、S手を高くあげて、/豆蔵(まめぞう) 00057410M7をミるによい 00057420¥N35¥J 00057430¥X/昼寐(ひるね) 00057440M10/客(きやく)が来て見れバ、/亭主(ていしゆ)高いびき(廿六オ)にて、ひる/寐(ね)の/躰(てい)。 00057450M11おこすも/気(き)のどくと待て居る内、とろ+ねいれば、てい 00057460M12しゆ目をさまし、客のねているをミて、/起(おこ)すもきのどくと、 00057470M13又ねいる。/客(きやく)、目をさまし、まだ亭主ハねているさふなと、 00057480M14又とろ+する内に、日が(廿六ウ)/暮(くれ)た 00057490¥N36¥J 00057500¥X/天徳寺(てんとくじ) 00057510M17だい分寒くなつた。/天(てん)とく/寺(じ)にでもせずハなるまい。Sき 00057520M18さま、てんとく/寺(じ)より/蒲団(ふとん)にしやれな△Sふとんをかふ銭 00057530M19があれバ、いひ/分(ぶん)ハない△Sハテ、代ハ(廿七オ)(廿七ウ・又 00057540M20廿七オ挿絵)ずいとく/寺(じ)だ 00057550¥P163 00057560¥N37¥J 00057570¥X菊 00057580L3/御影講(おめいこう)によばれ、/仏壇(ぶつだん)に菊の作り花あるをミて、此つくり 00057590L4花ハ、とんと/生(せう)の菊の花でござりますと、ほめながら庭を 00057600L5ミれバ、/花壇(くハだん)に菊の/盛(さかり)(又廿七ウ)なるあり。Sさて、お庭 00057610L6の菊ハ、とんと作り花のやうでござります 00057620¥N38¥J 00057630¥X/杖(つえ) 00057640L9ヤレ+、久しぶりでおめにかゝりました。おなじミの八 00057650L10兵衛もはてました。友だちSイヤ、それハ。モシ、此/杖(つえ)を 00057660L11/一寸(ちよつと)もつて下され(廿八オ)Sなぜでござる△Sハテ、/横手(よこで) 00057670L12を打ます 00057680¥N39¥J 00057690¥Xうす着 00057700L15おいらハ兄貴よりきぜうだけ、ひとへづゝうすぎをする。 00057710L16あにきが/布子(ぬのこ)ひとつきれば、/袷(あハせ)ひとつでいる。あにきが袷 00057720L17をきれば、/単物(ひとへもの)でいる。兄きが/単物(ひとへもの)(廿八ウ)でいれバ、か 00057730L18たびらている。兄きがかたびらでいれバ、/褌(ふんどし)一つで居ると 00057740L19いふ。Sそんなら、兄きがふんどし一つで居たらどふする 00057750L20S其時ハ、ふりで居るハ 00057760¥N40¥J 00057770¥X/大人国(だいじんこく) 00057780M3/海中(かいちう)にて/難風(なんふう)にあひ、一つの/島(しま)へ吹(廿九オ)付られけり。 00057790M4此所ハ/大人国(だいじんこく)にて、人の大きさ、/仁王(にわう)の/如(ごと)し。おそろしき 00057800M5事と見ている向ふへ、/銅(あかゞね)の/棒(ぼう)を/数十本(すじつほん)かついでくれば、あ 00057810M6れでぶたれてたまるものかと、一トちゞミになつて見て居 00057820M7れバ、左にハあらで、Sはりがねの安うり、(廿九ウ)弐/丈(でう) 00057830M8壱文 00057840¥N41¥J 00057850¥X/益庵老(ゑきあんらう) 00057860M11/町医者(まちいしや)同士、道で行合、イヤア/益庵老(ゑきあんらう)。御/療治(りやうぢ)がいかふは 00057870M12やります。Sイヤモ、覚しめしの外、大の不/景気(けいき)。今日も 00057880M13あまりひまで御坐るから、/近所(きんじよ)(三十オ)へのミへに、あて 00057890M14どもなくあるいて見ます△Sしからば、わしが/隣町(りんてう)に大病 00057900M15人があつて、/医者(いしや)がミな断ました。なんと、行て/療治(りやうぢ)なさ 00057910M16れぬか△S大勢の手をはなしたなら、とてもりやうぢハ/届(とゞ) 00057920M17きますまい△Sハテ、何も(三十ウ)なぐさミだ 00057930¥N42¥J 00057940¥X橋の下 00057950M20/大晦日(おほミそか)の晩、橋の下に/乞食夫婦(こじきふうふ)ねていてきけば、橋の上の 00057960¥P164 00057970L1人/通(どふ)りの足音、引もきらず。あまりやかましさに、こじき 00057980L2の/嬶(かゝ)、目をさまし、ていしゆに、(卅一オ)あれハ何ぞときけ 00057990L3ば、Sはて、しれた事さ。かけ取じやハ△かゝSなんぼか 00058000L4けハとれても、此寒い/夜(よ)の八つ七つに外をありくハ、大て 00058010L5いな事でハない。それより、こふねて居るがましかといへ 00058020L6ば、@亭主、枕を|もたげて、@Sそれハ、だが(卅一ウ)かげじやと思ふ 00058030¥N43¥J 00058040¥X風の神 00058050L9風の神の/社(やしろ)へまふでゝ、明日/船(ふね)で/西国(さいこく)へ下りますから、何 00058060L10とぞ西風をおふかせなされて下さりませ。神主Sそんなら、 00058070L11二三日おまちなされ△Sいやもう、(卅二オ)明日下るつも 00058080L12りにいたしました△神主Sそれでも、/願(ぐハん)がけに/東風(こちかぜ)の/先(せん)が 00058090L13ある 00058100¥N44¥J 00058110¥X両/聾(つんぼ) 00058120L16つんぼの/飴(あめ)うり、十ヲ六+といつて居る所へ、是も同じ 00058130L17くつんぼの男、もし、/観音(くハんおん)へハどふまいります。飴うり(卅 00058140L18二ウ)S十ヲ六でござります△S此男かたじけのふござる 00058150¥N45¥J 00058160¥X/夜(よ)遊び 00058170M1親父、むす子をよびよせ、是+、わがやうに夜遊びが過 00058180M2ぎてハならぬ。ちと/昼遊(ひるあそ)びにしたがよひ。むす子Sなに、 00058190M3(卅三オ)おやしきものでハあるまいし△親父Sそれならせ 00058200M4めて、一ト切あそべバよい△むす子Sわつちらハ、切見せ 00058210M5へハ行きやせん 00058220¥N46¥J 00058230¥X切落 00058240M8顔見せの大入。ゑいとう+、はめをはづした/切落(きりおとし)へわり 00058250M9込とて、弁当(卅三ウ)の重箱へ足をふミ込む。その足をし 00058260M10つかととらへて、大べらぼうめが。この重箱が堀ぬき井戸 00058270M11だと、わが命ハないハ 00058280¥N47¥J 00058290¥X/夜具(やぐ) 00058300M14コリヤ/坊(ぼん)よ。かならず人の前で、(卅四オ)/爺(とゝ)が/薦(こも)をきてねる 00058310M15といやんな。夜具をきてねるといやれといひふくめけれバ、 00058320M16/合点(がてん)しける。ある時ていしゆ、隣へはなしに行けるに、小 00058330M17僧もついて行けるが、とゝの/髪(かミ)に、わらのつきたるを(卅四 00058340M18ウ)見て、Sとつさん+。/小髪(こびん)さきに、/夜具(よぎ)がついてゐる 00058350¥N48¥J 00058360¥X/鞍馬天狗(くらまてんぐ) 00058370¥P165 00058380L1/牛若(うしわか)丸、くらま山にて/木(こ)のはてんぐを/手下(てした)につけ給ふ。あ 00058390L2またの/天狗(てんぐ)、一同に/羽(は)づくろひして(卅五オ)かしこまり、 00058400L3/銘&(めい+)に小サき穴をほる。牛若Sこれ+、あたまを/土(つち)へほ 00058410L4り込にハ及ばぬ。/過分(くハぶん)+とありけれバ、天狗Sイヤ、か 00058420L5ふいたさぬと、/鼻(はな)がつかへます 00058430¥N49¥J 00058440¥X深川(卅五ウ) 00058450L8女房、ていしゆの友だちにむかひ、この比ハわたしらが所 00058460L9でハ、ねから内にいつきませぬ。きけバ、/深川(ふかがハ)へ遊びに行 00058470L10さふでござります。深川ハどこへ遊びに行ますな。友だち 00058480L11S大方すそつぎだらう△女房Sヱヽ、内(卅六オ)にハ/裾(すそ)つ 00058490L12ぎをかふ/銭(ぜに)もないに 00058500¥N50¥J 00058510¥X/関取(せきとり) 00058520L15/勧進相撲(くハんじんすまふ)の/大関(おほぜき)、相手にしたゝかなげられけれバ、/座中(ざちう)一 00058530L16どにどつとわらふとき、あるさじきより、花を出しける。 00058540L17おれハまけたに、人ちがひなるべし(卅六ウ)と、よく+ 00058550L18ミればわが名也。をしいたゞき、がく屋へ行、/中(なか)をミれば 00058560L19/正気散(せうきさん)一ふくあり。ふしんに思ひ、かきつけをミれば、こ 00058570L20れをのミて、/関(せき)をやめられよ 00058580¥N51¥J 00058590¥X/山伏(やまぶし)(卅七オ) 00058600M3/近所(きんじよ)の山ぶし、/狐(きつね)にばかされ、/田(た)のくろにて/馬糞(まぐそ)をくひ居 00058610M4けるを、つれ/返(かへ)りて/介抱(かいほう)しければ、やう+/正気(せうき)つきけり。 00058620M5/山伏(やまぶし)、皆の/者(もの)にむかひ、やれ+、おかげでたすかりまし 00058630M6た。お/礼(れい)に/魔(ま)よけの/札(ふだ)を上げませう(卅七ウ) 00058640¥N52¥J 00058650¥X/鬼(おに)も十八 00058660M9/福(ふく)ハ内/鬼(おに)ハ/外(そと)+。トン++。Sたれじや△S/鬼(おに)でご 00058670M10ざる△Sヤアおそろしや△Sイヤ、その様にこハがられる 00058680M11な。ちとむしんがある△Sむしんとハ△S節分の/豆(まめ)がほし 00058690M12い△S豆をもらふて何にする△S年をとり(卅八オ)ます 00058700M13Sそんなら、この/升(ます)の豆、みなやらふ△Sいや、たつた十 00058710M14八でよふござる 00058720¥N53¥J 00058730¥X/非人(ひにん) 00058740M17/五月雨(さミだれ)の比、雨ふりつゞき、四五日ほどハ/外(そと)へ出られず。 00058750M18ある/非人(ひにん)、/軒(のき)の下にすくミゐて、けふの/腹(はら)(卅八ウ)ハどふ 00058760M19だといへば、ひとりの/非人(ひにん)、はらハ/太皷(たいこ)のやうじや。Sそ 00058770M20れハよくかせいだな△Sイヤ、どうがかわについたといふ 00058780¥P166 00058790L1事よ 00058800¥N54¥J 00058810¥X/井(ゐ)の字 00058820L4/火(ひ)の用心の/咒(ましない)とて、/小札(こふだ)に/井(ゐ)の/字(し)(卅九オ)書て、/町内(てうない)の/軒= 00058830L5下(のき=した)へ/張(は)りけるに、医者の/門(かと)一/軒(けん)はらず。/大屋(おほや)はらをたて、 00058840L6お/医者(いしや)だらうが何だらうが、/町(まち)の/法(ほう)ハやぶられぬといへバ、 00058850L7/医者(いしや)Sよくつもつてもごらうじろ。/町内(てうない)で/私(わたくし)斗、/門構(もんがまへ)じ 00058860L8やが、/門(かど)がまへに/井(ゐ)の字ハ、ちと(卅九ウ)さしあいで御座る 00058870¥N55¥J 00058880¥X/閑居(かんきよ) 00058890L11すミだ川/関屋(せきや)の/里(さと)に、かすかなる/庵(いほり)をむすび、/窓(まと)のつくえ 00058900L12にもたれ、/書物(しよもつ)などみて居るていを見て、あのやうにして 00058910L13くらしたら、/浮世(うきよ)の事(四十オ)もわすれはて、さぞ面白き 00058920L14事であろと、うらやミていけるに、/閑居(かんきよ)の人、/椽先(ゑんさき)へずつ 00058930L15と出、大あくびして、Sアヽ金がほしいナア 00058940¥N56¥J 00058950¥X/雁首(がんくび) 00058960L18/妾(めかけ)あがりの/奥様(おくさま)へ、/御廉(ミす)の内£、(四十ウ)それ/鳥目(てうもく)+と 00058970L19のたまふ。御番の/の((衍))さふらひ衆、何事やらんと、そこらを 00058980L20ミれバ/柿(かき)の/蔕(へた)あり。此ことかと思ひ、/是(これ)ハ/柿(かき)のへたでござ 00058990M1りますといへば、おく様、ハテ、ミづからハ、きせるのが 00059000M2んくびと見た(四十一オ) 00059010¥N57¥J 00059020¥X/溲瓶(しびん) 00059030M5/文盲(もんもう)な男、/客(きやく)のもてなしに、何がなめづらしい物に花をい 00059040M6けんと思ひ、しびんを/買(かつ)て花をいけ置ければ、客、これを 00059050M7見てふしぎそふに、モシ、此/花生(はないけ)ハ、しびんでハ(四十一ウ) 00059060M8ござりませぬか。亭主Sいや、左様な/名(な)ある/道具(だうぐ)でハごさ 00059070M9りませぬ 00059080¥N58¥J 00059090¥X十面 00059100M12年の/暮(くれ)に、米屋、真木屋、/味噌(ミそ)や、酒屋、われも+とつ 00059110M13めかけて、お/払(はらひ)(四十二オ)ハ出ませぬかといふ。/亭主(ていしゆ)、/座= 00059120M14禅(ざ=ぜん)したるごとく、大の/眼(まなこ)をむき出し、一向/有無(うむ)のあいさつ 00059130M15なし。かけ取どもあきれはて、お/払(はらひ)ハともかくも、なぜそ 00059140M16のやうに十/面(めん)つくつて御坐ります。Sハテ、九/面(めん)かわるい 00059150M17(四十二ウ)から 00059160¥N59¥J 00059170¥X/眼病(がんべう) 00059180M20なしミの/野郎(やらう)から/文(ふミ)が来たり。ひらいて見れバ、/我身(わがミ)久 00059190¥P167 00059200L1+/目(め)をわづらひ、このほどハさん※/盲目(もうもく)のていに成参 00059210L2らせ候。日比の御なじミ(四十三オ)に、ちと+御見廻被 00059220L3下かしとあれば、/客(きやく)、/肝(きも)をけし、早&見廻て見るに、/眼病(がんべう) 00059230L4の躰にハミへざりけり。ふしぎや、先程の文に、そなたの 00059240L5目の見へぬといふ事をきゝて、気遣に思ひ参たるがといへ 00059250L6バ、/野郎(やらう)、されバ、おなじミ(四十三ウ)ゆへ申上たり。何 00059260L7をかくさん。久+/客(きやく)なく、あまりひまゆへ、/明尻(あきじり)になり 00059270L8ました 00059280¥N60¥J 00059290¥Xくすり/喰(ぐ)ひ 00059300L11おく/病(へう)なるもの、/狼(おほかミ)をくへば心つよくなるときゝ、ひと廻 00059310L12りくひて(四十四オ)野道に出行たりしに、比ハうしミつの 00059320L13/空(そら)に、/人通(ひととふ)りもすくなかりしに、むかふより来る人あり。 00059330L14すハやためしミんとて、まつところに、ほとなくちかつき、 00059340L15なんでもと思ひ、おのれハ何ものじやといへば、身ハ/行通(ゆきとふ) 00059350L16るものなるが、/夜(や)(四十四ウ)/中(ちう)にたゝひとり、こゝにゐる 00059360L17とハがてんのゆかぬ。そもまあ、おのれハ何やつじやとい 00059370L18へば、かの男、/仰天(げうてん)して、Sお前ハ、いく/廻(まハ)りあがりまし 00059380L19た 00059390¥N61¥J 00059400¥X酒 00059410M3/今年(ことし)ハ/豊年(ほうねん)だに、ちと/酒(さけ)をつくつて(四十五オ)のまふ。貴 00059420M4様、/米(こめ)を/出(だ)しやれ。おれハ水を出そふ。友だちS水ハ/有物(ありもの)、 00059430M5米ハ買ハねバならぬ△S其かハりに、出来た時、/上水(うハミづ)ばか 00059440M6り取て、跡ハきさまにや/□((らカ))う(四十五ウ) 00059450¥Q 00059460M12△△△△△糀町四丁目 00059470M13東都△△△若州屋藤兵衛 00059480M14△△△△△日本橋萬町 00059490M15△△△△△△上総屋利兵衛 00059500¥P168 00059510¥U噺本大系△第十二巻 00059520¥T/間女畑(まめばたけ)△〔序文〕 00059530¥G 00059540¥Y 00059550L15天明頃刊 00059560L16鉄棒序 00059570L17勝川春朗画 00059580L18小本一冊 00059590L19尾崎久弥氏蔵 00059600¥Y序 00059610M3/士農工商(しのうこうしやう)、/高(たか)きもひきゝもにがむしも、/豆(まめ)ばなしには/腹(はら)の 00059620M4/皮(かハ)よりによつたる/噺(はなし)の(序一オ)たね、はへそろふたるひと 00059630M5まきの、/作者(さくしや)もよしハら雀にて、おいらん/元(もと)より/地女(ぢもの)まで、 00059640M6たゝく/水鶏(くひな)の/口(くち)まめや(序一ウ)/筆豆鳥(ふてまめどり)の/書集(かきあつ)めたる也。/猶(なを) 00059650M7/是(これ)に/容艶(ようゑん)の/姿(すかた)をそへて、則/間女畑(まめばたけ)と/題(だい)するも、ヤツハリゆ 00059660M8め+ 00059670M9△△△△△△△△△△鉄棒 00059680M11△△△△△△△△△△△△△ぬら+と書△G 00059690M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二オ) 00059700¥P169 00059710¥G(二ウ・三オ) 00059720¥N1¥J 00059730¥X/御乳母(おうば) 00059740M3御ぼうさんがとんだだゝをいゝ/出(だ)して、だましたりすかし 00059750M4たり、いろ+すれども、どふもきげんがわるひ。おんば 00059760M5どの、ふつとおもひつき、ぼゝを/出(た)してミせる。おぼうさ 00059770M6ん、めづらしがつて、けを(三ウ)ひつぱつたり、さねをつ 00059780M7まんだり、かわゆらしひ手へつわをつけて、そろ+とい 00059790M8じると、Sうばアヽヽエヽモウいつそゑゝ心もちになつた。 00059800M9おぼうさん。てゝをのにぎつて、ぐつと入テ御あそび。ア 00059810M10ヽヽヽヽそれ+、もつと+と、しりをもぢらせ、だく 00059820M11++ときをやると、Sぼうさんばゝア、つぶれたア引 00059830M12(四オ)(四ウ・五オ挿絵) 00059840¥N2¥J 00059850¥X/御利生(ごりせう) 00059860M15十七八のとんだうつくしいむすめを、/近所(きんじよ)のきおひどもが 00059870M16めがけていると、四万六千にちへ、/其(その)娘がこもりにいつた 00059880M17をきゝすまし、/跡(あと)から大/勢(ぜい)つけて/行(いき)、まんまとひつかつぎ、 00059890M18おく山へつれていつて、まわりをとりかゝる。アレ+と 00059900M19(五ウ)こへを/立(たて)るを、てぬぐひて口をわつて、かわり+ 00059910M20にさつ+とやつつけるうち、娘のかたちハきへうせ、ふ 00059920¥P170 00059930¥G(八ウ) 00059940L12しきに思ひ、あたりをミれバ、かけじがあつたゆへ、ひら 00059950L13いてミれバ、くわんおんの/名号(めうがう)。是ハつまらぬと、よく 00059960L14+ミれバ、/観世(くハんぜ)音ほさつの、ぼの/字(じ)の所を/突(つき)やふつた 00059970L15(六オ)(六ウ・七オ挿絵) 00059980¥N3¥J 00059990¥X人まね 00060000L18/少(ちいさ)ひ子にちゝをのませながら、ちゝ/無(なイ)+といふが、とん 00060010L19だおもしろいと思ひ、/床(とこ)をしいて/寐(ねる)やいなや、/亭主(ていしゆ)の上へ 00060020L20ちやうすになつてこしを/遣(つかい)、三つ四つつかつてハ、ぼゝな 00060030M1い+といふ。ていしゆ、こいつハできたと/悦(よろこ)ぶ(七ウ)と、 00060040M2ひやうしにかゝつて、三つ四つ遣ツてハ、ぼゞない+と 00060050M3いふを、三介、/二階(にかい)からミてうらやまし/し((衍))く思へど、せん 00060060M4かたなく、せんずりをかく。壱つ二つかいてハ、手ヱない。 00060070M5/亦(また)三つ四つかいてハ、手ヱない+(八オ)(八ウ・九オ挿絵) 00060080¥N4¥J 00060090¥Xねぼけ 00060100M8友だちの所へとまり、/真((ママ))夜目がさめて見れバ、/亭主(ていしゆ)がよく 00060110M9/寐(ね)ているから、そつと/起(おき)て女房の上えのり、半ン分ンいれ 00060120M10る所を、亭主めをさまし、大きにはらをたて、すむのすま 00060130M11ぬのとやかましし。S客コレハ尤(九ウ)じや。/重&(ぢう+)のあや 00060140M12まり。ジヤガこれハ、とんとおれが/夢(ゆめ)で有た。ねぼけたの 00060150M13だからかんにんしやと、/段+(だん+)わび事。Sていしゆ/夫(それ)も有 00060160M14ルまい事でもないとなつとくして、/双方(さうほう)/納(おさま)り/寐(ね)た所が、/間= 00060170M15夫(ま=おとこ)、さるにてもあまり/残念(ざんねん)と、亦/起(おき)てはいかゝり、/今度(こんど)ハ 00060180M16なんなく入すまし、/気(き)がいく(十オ)(十ウ・十一オ挿絵)/最中(さいちう)、 00060190M17はないきにおどろき、/亭主(ていしゆ)めをさまし、Sコレコレおきや 00060200M18れ。目をさましや+ 00060210¥N5¥J 00060220¥Xひとりげい 00060230¥P171 00060240L1/隣(となり)の/内(うち)で、アヽいきやす+といふハ、コリヤひる/中(なか)にと 00060250L2ほうもなひと、/門(かど)をミれバ/戸(と)が/〆(しめ)て有。モシ、/昼中(ひるなか)に何被 00060260L3成ます。Sとなりのていしゆ/去(され)バ、ひんすれバどんするで、 00060270L4/夜(よる)する/事(こと)を(十一ウ)/昼(ひる)いたしますと、のぞくもかまわす、 00060280L5サツサ+とやる。コリヤたまらぬと/飛(と)んでかへり、五人 00060290L6ぐミの/最中(さいちう)、となりの/亭主(ていしゆ)が/来(き)て、おまへハ何を被成ます 00060300L7ぞ。Sハイ。ひんすりやアどんするから、二人リてするを、 00060310L8ひとりでいたします(十二オ)(十二ウ・十三オ挿絵) 00060320¥G(十一オ) 00060330¥N6¥J 00060340¥X/田舎娘(いなかむすめ) 00060350M3/親父(おやじ)とつれだつて、ゑどへ/開帳参(かいてうまい)りに/出(で)て、そうか/宿(じゆく)へと 00060360M4まつた。合ヒ/宿(やど)の/男(おとこ)、かの娘の所へはいこみ、上えのつか 00060370M5ゝり、/開(ぼゝ)へ/手(て)をやると、めをさまし、アレヱ+、よさつ 00060380M6せへ+といふもかまハず、まくら/双紙(そうし)をだして、/此手(このて)で 00060390M7/仕(し)やうか、イヤ(十三ウ)この手がよかろうと、きうなとこ 00060400M8ろでかんがへていると、娘ハ大キなこへで、このふとハと 00060410M9んだア事ベヱといふを、Sおやぢきゝつけ、コレ娘よ。し 00060420M10づかにしろさ。/書物(しよもつ)のウミてさつしやるこんだアから、ア 00060430M11ニ、わるひ事てハあるめへ(十四オ)(十四ウ・十五オ挿絵) 00060440¥N7¥J 00060450¥X/針医(はりい) 00060460M14おいしや様、是ハ御くろう。/娘(むすめ)がつかへが/胸先(むなさき)へつよく/差= 00060470M15込(さし=こミ)、おやぢが力一ツはいおし/附(つけ)て居る。マヅ針二三本ミし 00060480M16らせたれバ、大/分(ぶん)/腹(はら)も/和(やわら)ひだから、針を口にくわへて、グ 00060490M17ウツトはらをなでゝ、へその下迄なでおろす/時(とき)、/手(て)先えぼ 00060500M18いやりと(十五ウ)うふけの様ながさわると、しきりに/気(き)が 00060510M19わるく、でき/心(こゝろ)で/着物(きもの)のうちで、ソツト/娘(むすめ)の手をしめたれ 00060520M20バ、だまつて居る。コイツ/味(うま)ひと、/火(ひ)の/様(やう)になつたまらを 00060530¥P172 00060540¥G(十三オ) 00060550L12にぎらせたれど、だまつてにぎつている。サアしめたと思 00060560L13ふと、なを+いきり/出(だ)ス。アヽどふぞしてと/工夫(くふう)のさい 00060570L14/中(ちう)、Sおやぢモシ+、(十六オ)(十六ウ・十七オ挿絵)私がに 00060580L15ぎつた物が、何か大分うごき升 00060590¥N8¥J 00060600¥X/湯屋(ゆや) 00060610L18さる/所(ところ)のお/乳母(うば)、かミゆひといろ/事(ごと)で、いつもの通り湯屋 00060620L19で出合、ぼゝをくぢつてたのしむやら、まらをにぎつてく 00060630L20ちをすうやら、/陰戸(ぼゝ)は(十七ウ)ふくれあがる、まらハ/松(まつ)の 00060640M1/木(き)になつて、こぶ+/立(たち)チけれバ、もう+こたへられな 00060650M2く/成(な)つて、おうば殿の/後(うしろ)えまわり、しりから入ルつもりじ 00060660M3やが、/湯(ゆ)の中の/事(こと)なれバ、ツイうろたへて、/御(お)ぼうさんの 00060670M4/穴(けつ)へつゝかくれバ、アレばゝアや。うんこがはいるヨ(十 00060680M5八オ)(十八ウ・十九オ挿絵) 00060690¥N9¥J 00060700¥X/馬鹿娘(はかむすめ) 00060710M8うつくしいが、とんだばかな/娘(むすめ)を、/隣(となり)の/鉄(てつ)ぼう、いろ+ 00060720M9だまして、とふ+あらばちをわつた。/年(とし)ごろなれば、い 00060730M10たみもせず、/気(き)のゆく/事(こと)を/覚(おぼへ)、とんだ/嬉(うれ)しがつて/二親(ふたおや)の/前(まへ) 00060740M11へ/行(ゆき)、モシヱ、/私(わたし)ハとなりのてつさんに、よい/事(こと)を(十九ウ) 00060750M12してもらひやした。アノ御こう/箱(ばこ)へね、アノてつさんの大 00060760M13きな/物(もの)/入(いれ)れてね、モウ++とんだ面白イ/事(こと)をしなさる 00060770M14よ。かゝさん。/御(お)まへもおしへてもらいなさへといふ。お 00060780M15/袋(ふくろ)、にが+/敷(しい)/顔(かほ)で、お/主(ぬし)もトウ+きづが/附(つい)イたハヱ。 00060790M16Sむすめいゝへ。/疵(きづ)がつけバ、ちが出るはづだが、ナゼカ 00060800M17しろひ/物(もの)が/出(で)やした(廿オ)(廿ウ・廿一オ挿絵) 00060810¥N10¥J 00060820¥X/夫婦(ふうふ)けんくわ 00060830M20モシ、御まへのやうななまけものハねへ。くそをくらへ。 00060840¥P173 00060850L1うぬがやかましく/言(いふ)ほど/手(て)がまハるか。/此引(このひき)ずりめ。Sか 00060860L2ゝいゝのさS何、モウうぬと、一ツ/生(せう)ものハいわねへ。 00060870L3ヱヽ御まへとは、一ツ/生(せう)ものハ/云(い)ハぬと/大(おゝ)いざこざにて、 00060880L4よつもうてバ、ふたりなからねや(廿一ウ)した/所(ところ)が、/夜中(よなか) 00060890L5/時分(じふん)、/亭主(ていしゆ)/目(め)をさまし、しきりに/気(き)ざしけれバ、よいのい 00060900L6ざこざで/物(もの)ハいわれず。やにハにかゝアがはらのうへえあ 00060910L7がり、/両足(りやうあし)をかつぎ/上(あ)げて、ぐつ+とこしをつかふ。/何(なに) 00060920L8が大キなまらでつきまわされ、/女(にやう)ぼうこらへかねて、ヱヽ 00060930L9/口(くち)をきくまいと思へど、モウチツト/上(うへ)ヱだ(廿二オ)(廿二ウ 00060940¥G(十九オ) 00060950M1・廿三オ挿絵) 00060960¥N11¥J 00060970¥Xけつ 00060980M4きん/所(じよ)にきれいな/若衆(わかしゆ)が有ツた。どうぞあいつを+とつ 00060990M5け/廻(まわ)し、いろ+だまし、とふ+くどきおとし、そんな 00061000M6らいたくない/様(やう)にして、/御(お)まへ、めんどうだあろふか、/私(わたし) 00061010M7ハはしめてだからトいゝさま、うつむけ(廿三ウ)なるかわ 00061020M8ゆらしさ。まづ中/指(ゆひ)につわをつけて、そろ+入レていじ 00061030M9り、モ/□((うカ))よかろふと、つばきたつぷりと付てぬつといれる 00061040M10と、/根(ね)まてぬる++ウとはいると、/若(わか)しゆ、アイタヽ 00061050M11ヽヽいふ。びつくりして前へ手をやつて見ると、若衆がお 00061060M12やしているをミて、なむ/三(さん)ンつきぬいた(廿四オ)(廿四ウ・廿 00061070M13五オ挿絵) 00061080¥N12¥J 00061090¥X/大地震(おゝぢしん) 00061100M16/亭主(ていしゆ)がさつ+とつかいかくれば、/女(によう)ぼうも/男(おとこ)の/背中(せなか)へ/両= 00061110M17足(りやう=あし)をからミもちあげ+、アヽソレ+、ソコヲきつくよ 00061120M18+、アハヽヽいかアな+と大よがり。はづミにかゝつ 00061130M19て大ごしにのつか+と仕ると、ねだがきし+ゆさ+ 00061140M20とするを、(廿五ウ)/台所(たいところ)に/寐(ね)て/居(い)る山出シの下女か/聞(きゝ)つけ、 00061150¥P174 00061160¥G(廿二ウ) 00061170L12じゝんと/心(こゝろ)へ、まんざいらく+と/口(くち)の内で/言(いふ)/知(しら)ず。Sア 00061180L13ヽ又&ヱヽヽハアヽヽ、いかア++としがミつき、か 00061190L14たへくらいつく。亭主は/猶(なを)+大ごしにつき立チ+、サ 00061200L15ア+/嚊(かゝア)。/日本国(につほんごく)がひつくりかへるやふになるぞ+とい 00061210L16へば、S下女アヽかなしや。大ぢしんになるハ(廿六オ) 00061220¥N13¥J 00061230¥X/額(かくの)/文字(もじ) 00061240L19大屋様へ、/長(なか)屋中おふるまひに/呼(よば)れ、アイ。御めつとうご 00061250L20ざへすと、/皆(ミな)+/座(ざ)に/附(つき)、/親分(おやぶん)、かけてある/額(がく)の文字、/酒(さけ) 00061260M1の字はかりよめて、大屋様。アノ字ハけつかうな字でごさ 00061270M2ります。マヅ/夜(よ)ルひる/用(もち)ひても(廿六ウ)あかぬものなり。 00061280M3サテまた、あぢの/能(よ)イものでござります。Sそばから、あ 00061290M4れハ/開(ぼゝ)といふかへ 00061300¥N14¥J 00061310¥X女郎 00061320M7かたいお/侍(さふらい)が/遊(あそ)びにおこしなされ、よほど酒が/過(すき)たと見へ 00061330M8て、/祝義(しうき)の小うたひ一二ばんうたわれたれバ、(廿七オ)女 00061340M9郎も/若(わか)ひ/者(もの)もあきれた/顔(かほ)で座を持かね+、サアお床入り 00061350M10とすゝめた時に、しからバいづれもと/挨拶(あいさつ)して、ね間へは 00061360M11いつたが、あんまりおかしい/御客(おきやく)だ。あれハむつ/言(こと)が猶お 00061370M12もしろかろふと、ミなきゝ/耳(ミヽ)たてゝ/居(い)ル。だん+せめよ 00061380M13せた時に、女郎が、アヽいきやす+。(廿七ウ)アヽしに 00061390M14んす+といへバ、S御侍アヽ、/身(ミ)も/相果(あいはて)る/様(やふ)だ 00061400¥N15¥J 00061410¥Xくらべ 00061420M17かヽア+、/銭(せに)/百(ひやく)くりやれ。まらくらべに/行(ゆく)。S女ぼうよ 00061430M18しなさへ。/又(また)まけやうと思つて△Sていしゆこんや/限(ぎ)りだ。 00061440M19どふぞ/百(ひやく)くれ△S女ぼうソンナラ百ぎりでかへりなヨ(廿八 00061450M20オ)と/出(だ)してやつた。/亭主(ていしゆ)/悦(よろこ)んで/出(で)て/行(ゆく)。/間(ま)もなく帰つて 00061460¥P175 00061470L1/戸(と)をたゝく。/女房(にようぼう)、/亦(また)まけたのであろふと、/戸(と)をふしやう 00061480L2※に/明(あく)れバ、イヤ、かつた+。S女ムウ、御まへのよ 00061490L3りちいさいのが有たかへ△S亭きゝやれ。/今夜(こんや)ハきん/玉(たま)く 00061500L4らべよ 00061510¥N16¥J 00061520¥X一ツきよく(廿八ウ) 00061530L7せつかくおまねき申ても、あんまり/何(なん)にもおあいそもなひ 00061540L8/事(こと)。しかし一つ/御(ご)ちそうには、/私(わたくし)が/妻(さい)が/曲屁(きよくべ)を/少(せう)+ひり 00061550L9ます。S客これハ一チ/段(だん)御ちそう/忝(かたじけない)。然らば一ツきよく 00061560¥G(廿五オ) 00061570M1S女ぼうスツポン△S客コレハ/何(なん)でござりまするな△S女 00061580M2ぼうあれハ/後藤(ごとう)/目貫(めぬき)の/鉄炮(てつほう)の/段(だん)(廿九オ)S客ハヽア、/是(これ)ハ 00061590M3/当(あたり)り+△S/次(つき)キハ/忠臣蔵(ちうしんくら)の/九段(くだん)め△S尺八のおとフウ+ 00061600M4S客@あまり△|くさく、@/御無(ごむ)よう 00061610¥N17¥J 00061620¥X/地口(ぢぐち)しなん 00061630M7/京(けう)から、/江戸(ゑど)のちぐちしなん/所(じよ)へ/尋(たつねき)て/帰(かへ)る/時(とき)、/私(わたくし)ハヘキ 00061640M8ダを/取(とら)れました。亭主さやうなら、/其(その)まらぞうりをおはき 00061650M9被成まし(廿九ウ) 00061660¥N18¥J 00061670¥X虫ぼし 00061680M12おぬしハ/京(けう)へ/上(のぼ)つたげなが、/嘸(さぞ)ありがたひこと共を、ミた 00061690M13り/拝(おが)んだりしやつたで/有(あろ)ウ。Sヲヽサ。見た/段(だん)じやアねへ。 00061700M14とんだものを見たわい。アノ/小間物(こまもの)やで、虫ぼしの/時(とき)で有 00061710M15つた。モウおびたゝしい/張(はり)かたどもを、つらアりつ(卅オ) 00061720M16と/立(たて)かけた所が、アヽ/凡(およそ)千ン/本(ぼん)/斗(ばかり)リさ。/時(とき)にどつとふくか 00061730M17ぜにふきこかされて、/其張(そのはり)かたがしやうぎだおしに、マラ 00061740M18++++ 00061750¥P176 00061760¥N19¥J 00061770¥X/松茸(まつだけ) 00061780L3/雪隠(せつちん)で五人ン/組(ぐミ)/寄(より)合を/附(つけ)て、八百やの/娘(むすめ)をあてがきのよく 00061790L4なつたとき、(卅ウ)こたへられず、アヽ+、八百やのむ 00061800L5すめ+と、大キな/声(こへ)をきゝつけ、S娘/戸(と)を/明(あけ)て、なんだ 00061810L6へ。S/返答(へんとう)にこまり、フヽヽヽ、こんなまつだけハなへか 00061820¥N20¥J 00061830¥X赤がい 00061840L9/亭主(ていしゆ)、/赤貝(あかがい)を壱つかつて/来(き)て、スグたらひへ水をくんで、 00061850L10中へ入れて(卅一オ)/朝夕(あさゆふ)ながめています。/女(によう)ぼうも/初手(しよて)ハ 00061860L11ふしきに思ひしが、のちにハはらがたつてくる。S亭主コ 00061870L12レ、かゝア殿。おれがふんどしをあらつて下され△S女ぼ 00061880L13うヱヽ久しいもんだ。/赤(あか)がいにでもあらつてもらいなサへ 00061890¥N21¥J 00061900¥Xちん(卅一ウ) 00061910L16/有徳(うとく)なる所のむすめ/御(ご)、/此年(ことし)で十七のうまいさかり。どふ 00061920L17ぞさせてミたく、てがいのちんをよびて、まだうす+と 00061930L18/毛(け)のはへた/開(ぼゝ)を、まへをまくり、またをひろげて、コイ 00061940L19++と、ちんになめさせる。ちんも、コイツハありが 00061950L20てへと、ながひ/舌(した)をだして(三十二オ)そらわれのあたりか 00061960M1ら、そろ+なめかけ、さねがしらから、ぺちや+とな 00061970M2め上ケると、/娘(むすめ)ハかほゝしかめ、アヽイヽヽヽ、ヱヽモど 00061980M3ふもならぬと、もちあげ+うれしがる。ちんもさる/者(もの)、 00061990M4/舌(した)をぐつと入レて、/子壷(こつぼ)の/口(くち)をつよくなむれバ、こらへか 00062000M5ねて、アヽいく+と、/湯(ゆ)のやうな/陰水(いんすい)だく+(三十二ウ) 00062010M6と/気(き)をやる/所(ところ)へ、御/乳母(うんば)が/来(き)て/見付(ミつけ)、ヲヤ+/此御子(このおこ)ハ、 00062020M7/御娵(およめ)入り/前(まへ)にマア、御こうばこでも/喰(くい)/附(つか)れたらどうなさる。 00062030M8モウ+こんどから、こんなことをなさつたら、/御(お)かゝさ 00062040M9んへ申上ますぞへとしかられ、かみかきなでゝ、内もゝを 00062050M10ふきながらおくへゆく。Sうばマアあの/様(よう)(三十三オ)によ 00062060M11がりなさるハ、よく+ゑゝこゝろもちなものだろふと、 00062070M12すこしハきがわるくなつて、同じくまへをまくり、なにが 00062080M13毛だくさんぼゝをまくり、ちんにミせると、Sちんはらを 00062090M14たつて、わん++ 00062100¥N22¥J 00062110¥X/猪(いのしゝ)(三十三ウ) 00062120M17しゝがりに大/勢(せい)/出(て)る/中(なか)に、/仁田屋(にたんや)の四郎兵衛とて、けつき 00062130M18の/若(わか)ものゝありける。年ふる/手(て)おひしゝ、一ツさんにとび 00062140M19かゝる。四郎兵衛、ゑたりととびのりける。/猪(しゝ)ハまつしく 00062150M20らにかけ/出(いだ)す。おとされじと、しゝの/毛(け)をむんずとつかむ。 00062160¥P177 00062170L1しゝハ/鼻(はな)いきあらく、フウ+とかけまわる。四郎兵衛 00062180L2(三十四オ)しゝをなでまわして、ア、かゝアがあんじてい 00062190L3るであろふ 00062200¥N23¥J 00062210¥Xふられ 00062220L6/親分(おやぶん)、うミノ四六へ/遊(あそ)ひにいきました。/何(なに)が大そうばかり 00062230L7いふゆへ、ごうけつにふられ、/夜(よ)ひとへ、/壱人(ひとり)まじ+と 00062240L8している。/七(なゝ)ツ/半(はん)ごろ(三十四ウ)やう+と/女郎(じよろう)が来たが、 00062250L9しやくが/痛(いたひ)といつて/寄(よ)せつけず、くるりとあつちらを向ひ 00062260L10て/寐(ね)た。いろ+/大平(たいへい)をいつてもしかたなく、ごうはらさ 00062270L11に寐られハせず。思へば口おしく、まらハこくうにおへ/立(た) 00062280L12チ、こらへかねて、女郎のねいきをうかゞひ、まづしり 00062290L13(三十五オ)をそつとまくり、ゆびへつわを付、そつとさね 00062300L14がしらをいぢるに、ふつくりとやわらかなる上かい、モウ 00062310L15一チもつがかんにんせず、めがさめぬうちと思ひ、/二本(にほん)の 00062320L16ゆびをぼゝへくつと入ると、女郎目をさまし、ばからしい。 00062330L17なにをしなさる。S客イヤ、/此穴(このあな)へ/銭(せに)を四/百(ひやく)おとした(三 00062340L18十五ウ) 00062350¥N24¥J 00062360¥X/行合(ゆきあい) 00062370M1江戸の大まら、/京(けう)の大つびの/事(こと)、/兼(かね)+きゝおよび、はる 00062380M2+とたつねて/往(ゆき)、/亦(また)上かたの大つひも、/東(あつま)の大まらをき 00062390M3ゝおよびて、/是(これも)あづまへくだる。両ほうなから、ツイ(三 00062400M4十七オ)箱/根(ね)にて行あひ、すぐに江戸へつれかへり女ぼうに 00062410M5せんと、まつ馬をかりけるが、どうも/合(あふ)かあわぬか、一チ 00062420M6ばんあんばいをミやうと、やまやしてはじめかけたが、大 00062430M7まらハついに是まで本とうに/気(き)をやつた/事(こと)もなく、大つび 00062440M8も/今(いま)まで/是(これ)ぞといふ(三十七ウ)目にあわざりしか、/何(なに)がく 00062450M9ゝりまくらほどある道具にて、上六下六/右三(うさん)左三とつきま 00062460M10わされ、アレ+ソレ+と、こへをもおしまずよがりな 00062470M11き。大まらも/爰(こゝ)ぞと/勢(いきお)ひかゝつてつきたて+、アヽヽヽ 00062480M12いく+と/云(いふ)。S馬士サア/馬(むま)アやりましよウといふにおど 00062490M13ろき、ぐいとぬくと、音が(三十八オ)すどつくりといふ。 00062500M14S馬士此山さかを、せとものなら、よしましよウ 00062510¥N25¥J 00062520¥X/風(かせ) 00062530M17むすめ、さんしよに/色(いろ)をこしらへけるが、出合ふ所にこま 00062540M18り、うらのやぶへしりをまくつて出す。おとこ、やぶごし 00062550M19に一もつを出シて(三十八ウ)さつ+とやつける/最中(さいちう)を、 00062560M20/親(おや)じ、/御(お)ぬしハそこで何をしていやるぞ。S娘アイ。とん 00062570¥P178 00062580L1だよひかぜがくるから、こうやつてすゞんでおりますとい 00062590L2へバ、S親父トレ、おれもすゞまうと、同じくしりをまく 00062600L3つてつんだすと、/色男(いろおとこ)わ(三十九オ)/娘(むすめ)と思ひ、大きなまら 00062610L4をグツトつつかくる。/親(おやじ)父、ハアヽヽヽととひ/迯(のき)、コレ+ 00062620L5むすめ。モウ+よしやれ+。なるほどいゝかぜハ来る 00062630L6が、アノやぶにハまらの/様(よう)なむしがいる 00062640¥N26¥J 00062650¥X/御(お)びく/尼(に) 00062660L9うつくしきびくに、くわいこく(三十九ウ)をする。ある/馬= 00062670L10士(ま=ご)が馬をかして、なんでもうちへとめて一チばんやつゝけ 00062680L11てやろうと、モシ、わしらがうちでハ、かゝアがなにかこ 00062690L12ゝろざしがあるといふから、こんやハおらが内へとまらつ 00062700L13せへといへバ、それハ/忝(かたしけな)ふござると、すくにまごの(四 00062710L14十オ)うちへとまる。/亭主(ていしゆ)ハとなりへはなしに/行(ゆき)、かゝア 00062720L15ハおびくにへいろ+ちそうして、おくのなんどへねかし、 00062730L16あねヱよ。ぼんさまのさむしかんべヱ。いつ/所(しよ)にいつてそ 00062740L17べれヱ。S姉ヲイといつて、おびくと壱つふとんの中へは 00062750L18いると、びくにハす(四十ウ)ぐに/上(うへ)へのつかゝつて、/物(もの)を 00062760L19もいわせずむりやりにわりこみ、さつ+ととりのめす。 00062770L20アレ+ソレ+、アヽとんだおびくに様たア。アヽヽい 00062780M1く+と、なんのくもなくとりのめされ、ほう+のてい 00062790M2で/出(で)て/来(く)る。おふくろ、なぜそばにいねへヱ。どうぞされ 00062800M3たか。S姉フヽフンといふ。ヱヽらちの/明(あか)ねへ。(四十一オ) 00062810M4どれ、おれがゆくべヱと、おなじくなんどへ/行(いき)、やれ+、 00062820M5/若(わけ)へ/者(もの)ハハア、なんだかやくにたゝねへもんでござるよ。 00062830M6どれ、いつ/所(しよ)にね/へ((入カ))ませうと、ふとんの/中(なか)へはいると、お 00062840M7へきつたまらを、トにぎらせけれバ、びつくりしてにげん 00062850M8とするを、おこしも/立(たて)(四十一ウ)ず、さつ+とやつつけ 00062860M9る。ついにくひつけぬ大まらゆへ、/一生(いつせう)におぼへぬ大よが 00062870M10り。二三ばんつきのめされて、大あせになつてかつてへく 00062880M11れバ、むすめ、なぜにげてござつた。Sおふくろフヽフン 00062890M12といふ/所(ところ)へ、ていしゆかへり、ナゼ坊(ぼう)さま一ト人ねかして 00062900M13おくへといふに、S二人フヽ(四十二オ)フンといふ。ヱヽ、 00062910M14らちのあかねヱと、/又(また)なんどへ/行(ゆき)、さらバとつてくれんと、 00062920M15/無(む)二むざんにのつかゝると、下/£(より)ヱイとはねかへし、/何(なん)の 00062930M16くもなく/穴(けつ)をされ+、アヽイタイ+と、/尻(しり)をかゝへて 00062940M17にけ/出(いで)る。/女(によう)ぼう、/娘(むすめ)こへをそろへ、なせかへらしつた。 00062950M18S亭主おれも、フヽフンな/目(め)にあつたよ(四十二ウ) 00062960¥P179 00062970¥U噺本大系△第十二巻 00062980¥T/落話(おとしばなし)/花之家抄(はなしやしよう)△〔内題〕 00062990¥G 00063000¥Y 00063010L16寛政二年正月序 00063020L17白川与布祢序 00063030L18文李画 00063040L19小本一冊 00063050L20東大国語研究室蔵 00063060¥Y題言 00063070M3礫川の流に枕し、富阪の石に漱く/寄&南斎(キヽナサイ)の柴の扉をたゝ 00063080M4ひて、一小冊に題を乞ふ人あり。閲るに、おとしはなし 00063090M5(一オ)なり。そも+、傾城請出されて眉毛をおとし、義 00063100M6経のいさをしハ逆落、芝居にハきり落、鼠罠にハ升おとし、 00063110M7初段の将棋ハ香車をとし、山から(一ウ)のくるみおとし、 00063120M8酉の御鎗ハやぐらをとし、獅子の子をとし、節分の夜の厄 00063130M9おとし。おとし+と云て見ても、あとのはなしの趣向ハ 00063140M10なし。固辞とかいふも(二オ)気がつよひと、/花之家抄(ハナシヤセウ)とも 00063150M11のすれバ、満ン坐の人+膝すゝりよせ、能イもわるひも 00063160M12/咲(ワラハ)ずにハ 00063170M13戍の春白川与布祢がいふことしかり(二ウ) 00063180M16天明の初、もつはら狂歌流行せし頃、誰いふとなく、狂哥 00063190M17をよむ人+を狂哥師+といひける。その時節、あるけ 00063200M18いせひ、与布祢に問けるハ、鞘師ハこしのものゝさやをこ 00063210M19しらへるが商(三オ)買。仏師ハ神さんやほとけさんをこし 00063220M20らへるがしやうばい。きやうか師ハ何がしやうばいだね。 00063230¥P180 00063240L1一△常にしたしき友なりける青山なる静江がもとへ訪しに、 00063250L2折節、富本豊秀居合ける。(三ウ)あるじ静江、それかし与 00063260L3布祢にむかひ、足下ハ荘子をこのみ給ふよしきゝ及ふとい 00063270L4ひけれハ、されバとよ。かね+このむといへども、なん 00063280L5+として、よみくだすことすらかたしといひけれバ、か 00063290L6たはら(四オ)なる豊秀、おや+、それでもいつまいりま 00063300L7しても、とりちらしておきなさるよ 00063310L8寛政改元の夏、与布祢柳原の茶店にすゞみ居けるに、女の 00063320L9ふみもちたるおのこ、ひら仮字(四ウ)にて横山長之助様と 00063330L10かきたるおぼへ書を出して、これ、見て下さりましと、ち 00063340L11や屋ノむすめへ見せけれハ、此むすめ、十四五なりけるが、 00063350L12つく+と見て、よこ山丁のすけさまとあるから、両国の 00063360L13近(五オ)所へいつてきゝな 00063370L14△△△右三則、実説にして、よく落咄に似たるまゝ、此序 00063380L15△△△を書しちなみに、こゝにあらはして、諸君の咲ひに 00063390L16△△△そなふ(五ウ) 00063400¥T1/落話(おとしはなし)/花之家抄(はなしやしよう) 00063410¥N1¥J 00063420¥X/芸者(げいしや) 00063430M5もし+、ちとものをうけたまりとふござります。Sなん 00063440M6でござります(六オ)(六ウ・七オ挿絵)S此近所に、あねとい 00063450M7もとゝしやみせんをひいて、をとゝが二ちやうつゞみをう 00063460M8つ、げいしやの内をたづねますが、御存ござりませぬか 00063470M9Sされバ、とくとハしりま(七ウ)/ま((ま衍))せぬが、大かたそこの 00063480M10門が、そでござろふ△Sあれハ寺でハござりませぬか 00063490M11Sイヤ、やど札に、/立春(たつはる)・/大吉(だいきち)とござる 00063500¥N2¥J 00063510¥X其二(八オ) 00063520M14よりとも公の御代、かまくらの武士の若でやいが、大磯通 00063530M15いがすぎるとて、ちゝぶの重忠、若侍共をしかりけれバ、 00063540M16みな+あやまり入、武げいのけいこ斗(八ウ)するゆへ、 00063550M17げいしやなどハ殊外ひまなりけれバ、重忠きのどくにおも 00063560M18ひ、手前へげいしやをよび、あこやの琴せめのかくに、さ 00063570M19あひけといひけれバ、げいしやとも口をそろへて、(九オ) 00063580M20おかほのやつれを見るにつけとかたりけれハ、重忠、うか 00063590¥P181 00063600¥G(六ウ・七オ) 00063610M1れて、Sよしないわたしがあるゆへに 00063620¥N3¥J 00063630¥X其三 00063640M4あるげいしや、出入の旦那上方(九ウ)へのぼりけるに、品 00063650M5川迄送たら只でハあるまいと送りしに、沙汰もなし。もつ 00063660M6と先まで行たら、よもやとおもつて、川崎までおくりけれ 00063670M7とも、何もくれぬゆへ、(十オ)馬鹿+しひとおもひ、左 00063680M8様なら旦那様。御きげんよふといへば、Sムヽ、こゝから 00063690M9帰るか。随分まめでと云へば、むつとして一ツさんにかへ 00063700M10り、かゝさん。川崎まて旦那を(十ウ)送たが、何もくれね 00063710M11へよ。母Sそしてなんといはつしつた△Sきのきかねへ。 00063720M12まめでいろとさ。だれがまめで居るものだ 00063730¥N4¥J 00063740¥Xしゆりけん(十一オ) 00063750M15剱術つかひ、女郎買に行、坐敷もすみ、床に成て、まてど 00063760M16くらせど来ぬゆへ、小用に行、かへりに隣坐敷をのそひて 00063770M17見れバ、女郎がかんざしをぬき、たゝみざん(十一ウ)をし 00063780M18て居るゆへ、ずつとはいり、Sこれ+、ひとり何をして 00063790M19居ると云へバ、女郎、ぬからぬかほで、Sしゆりけんのけ 00063800M20ゐこさ 00063810¥P182 00063820¥N5¥J 00063830¥Xかみゆひ 00063840L3から崎のもの、かみゆひ床へ(十二オ)来り、一つ頼ますと 00063850L4いへは、しがのものが跡より来て、一つ頼ますといふ。外 00063860L5の人二三人あるを結イ仕廻イ、サア志賀の御客様。おもみ 00063870L6なさりませといへハ、辛崎(十二ウ)のもの、はらをたち、 00063880L7先へ来たものをあとへまスすといへハ、かみゆひ、御はら 00063890L8を御たちなさりますな。しがからさきでござります。Sム 00063900L9ヽ、そんなら一つまつのか(十三オ) 00063910¥N6¥J 00063920¥X其二 00063930L12けふハ畳屋ふうにたのむといへバ、かみゆひSこゝろへま 00063940L13したが、前銭でござるといふ。S畳屋風ウに限て、なせ前 00063950L14銭だ△Sとこをふまれてハなりませぬ(十三ウ) 00063960¥N7¥J 00063970¥X多葉粉好 00063980L17貴様ハたばこがすきだか、百ふくのむなら、かけにして酒 00063990L18をかをふ。S百ふくのまねへでハさ△Sそんなら、のんで 00064000L19見せろと、だん+つひでやり、九十(十四オ)九ふくのミ、 00064010L20Sもふのめ/ね((ママ))から、ゆるせといふ。Sやくそくだから、ぜ 00064020M1ひ百ふくのめといへバ、Sこれハかなはぬとにげ出せバ、 00064030M2Sあとより追かける。ある寺へにげこみ、Sおたのみ申ま 00064040M3す。あとより追て(十四ウ)のかゝるものでござる。おかく 00064050M4まひ被下ませといへバ、和尚きゝとゞけ、つりかねをおろ 00064060M5し、中へかくして置けれハ、S追てのもの今人がにげこんだ 00064070M6から、出して被下といへバ、S和尚(十五オ)いや+、その 00064080M7よふなものハしらぬといふ。S追人のもの、ぜひなくかへ 00064090M8る。Sやれ+、きうくつでござろふと、かねの中より出 00064100M9してやれバ、Sさて、御かう恩ありがたふそんします。ま 00064110M10づ一ツふくたべませふ(十五ウ) 00064120¥N8¥J 00064130¥X床 00064140M13かみゆい、あい上田にどんすの帯と出かけ、深川へゆきけ 00064150M14れバ、女郎おめへ、どこだ。Sあてて見な△S大かた、小 00064160M15あみ丁あたりか、江戸橋近所か。たゞし(十六オ)さや丁か 00064170M16Sアイ、さや丁だよ△Sよく知つて居るとおもひな△Sそ 00064180M17してしやうばいハ△Sかたなじよくだろふ△Sめうだとか 00064190M18しやれながら、むしやうにのみ、羽織もぬがす、その(十 00064200M19六ウ)まゝそこにねる。女郎Sこれさ。そこにねずと、とこ 00064210M20へ行てねねへな。もし+と、をこされて、Sふいとめを 00064220¥P183 00064230L1さまし、うつちやつてをけ。床へハてまをいれておいた 00064240L2(十七オ) 00064250¥N9¥J 00064260¥X味噌 00064270L5とふふイ+。Sとふふよ。田楽にするから五丁斗くりや 00064280L6れ。コレ三助。きのめでんがくにしよふから、さんしよを 00064290L7かつてこひ。とふふやSこゝにきのめ(十七ウ)もござりま 00064300L8す△Sさて+、きのきいたあきんどじや△とふふやSおめ 00064310L9へさん、今時のあきんどが、ぬかつてなるものでハこざり 00064320L10ませぬ。人が違ひます(十八オ)三介Sヲツト、みそハこつ 00064330L11ちにある 00064340¥N10¥J 00064350¥X豆腐 00064360L14とふふイ+。下女とふふよと、よべともへんじせず。 00064370L15Sとふふやどん。みゝハないか△S耳ハあそこでうりまし 00064380L16た(十八ウ) 00064390¥N11¥J 00064400¥X夢 00064410L19あるむすこ、富士と鷹と茄子をゆめに見て、一ふじ二たか 00064420L20三なすびといふから、これほど能イゆめハ有まひと、親父 00064430M1にはなせバ、おやじ(十九オ)Sそれハよい人が見れバ至極 00064440M2能イが、われが見てハわるいといふ。むすこSなぜでござ 00064450M3る△親父Sハテ、借金がふじの山ほどあるを、たかでなす 00064460M4ことハならねへ(十九ウ) 00064470¥N12¥J 00064480¥X観音 00064490M7によいりんくわんをんよいとしのくれでこざる。おてまへなど 00064500M8ハ千のお手がござれハ、さぞおてまわしもよふこざろふが、 00064510M9手まへなどハはなはた、ふによゐ(二十オ)りんでござるか 00064520M10ら、ほうつへ斗ついております。千手くわんおんSイヤ、浅 00064530M11草などゝちがひ、さて+こまります△Sそれハなぜでご 00064540M12ざる△Sサレバ、手ハ沢山ござれども、おあしかない(二 00064550M13十ウ) 00064560¥N13¥J 00064570¥X定紋 00064580M16くぎぬきハじやのめをしんに書イたのだといふおとしはな 00064590M17しがあるが、あんまり人をちやにしたはなしだといへハ、 00064600M18Sイヤ、そうもいやる(二十一オ)な。ほんのことだ△Sば 00064610M19かなことをいやるな△Sそれでも常盤津ハ、もつかうのし 00064620M20んで書イたをつけるハ 00064630¥P184 00064640¥N14¥J 00064650¥X小ぞう 00064660L3おらが内の小ぞうハ、かわらけや(二十一ウ)けし炭をくふ 00064670L4が、となりの子ハ木をくふといふことだが、うちの小ぞう 00064680L5がのハ虫のせいだと、/玄(げん)あん様がいわしつたが、木をくふ 00064690L6といふハうそだろふのウ。カゝアSそふも(二十二オ)いゝ 00064700L7なさるな。それもむしのせいで、くふめへものでもねへか 00064710L8ら、よんでくはして見やしようと、これ松さん。ちよつと 00064720L9きなといへバ、となりの子来る。Sぼうさん。はしらのふ 00064730L10るひがあるが、(二十二ウ)くゐなといへバ、アイトうまそ 00064740L11ふにくつて仕廻イけれバ、まだこたつやぐらの古イがある 00064750L12が、もつとくひなさるかといへバ、それハいや。Sなぜ 00064760L13Sかゝさんが、あたるものハくふなと(二十三オ) 00064770¥N15¥J 00064780¥Xすまふ 00064790L16現金やの伴頭、角力好にて見物に行キ、こたへられず、一 00064800L17番とりたいといへバ△そうをふナ相手を出し、とりくませ 00064810L18けるに、ものゝ見事に(二十三ウ)かちけれハ、行司Sたゞ 00064820L19今のかちすまふ、飛入げんきんかけねなしと、うちわをあ 00064830L20げる。見物のものSどふりでまけねへ 00064840¥N16¥J 00064850¥Xいなかりやうり(二十四オ) 00064860M3いなかものを料理人に置、けふハ客があるから、八はいと 00064870M4ふふをあんばいよくこしらへて出せと云付られけるに、折 00064880M5ふし此男、病気故、外のおとこにこしらへさせ(二十四ウ) 00064890M6けれバ、きなこをかけて出す。だんな、きもをつぶし、我 00064900M7ハとほうもねへことをする。八はいどふふに、きなこをか 00064910M8けるといふことが有ものかと、大キにはらを(二十五オ)た 00064920M9つてしかられけれバ、かのりやうりにん、きのどくにおも 00064930M10ひ、はちまきをしながらおきて来て、こなたハなぜ、おれ 00064940M11にきかねへ。八はいハあづきにきまつたものだ(二十五ウ) 00064950¥N17¥J 00064960¥X十とく 00064970M14くすり箱持の角介だんな様の御めしなさるゝものハ、何とま 00064980M15ふすものでござります。Sムヽこれか。これハじつとくと 00064990M16いふものだ。わけをいつてきか(二十六オ)そふ。すわれバ 00065000M17羽折のごとく、たてバ衣のごとく、五とくと五とくなれバ、 00065010M18じつとくといふわサ△角介Sかんしん仕ましたと、となり 00065020M19へゆき、これ+おさんどん。おらがだんなの(二十六ウ) 00065030M20着さつしやるじつとくのかふしやくをきいたが、こなたハ 00065040¥P185 00065050L1知つているか△Sわたしハしらぬから、はなしてきかせな 00065060L2Sあれハ、たてバころもに似たり、すわれバ羽折に(二十 00065070L3七オ)似たり。少しかんがへて、これハしたり 00065080¥N18¥J 00065090¥X手紙 00065100L6国へ手紙をやりたくおもへとも、かく事がならず。近所の 00065110L7心安ひ処へ(二十七ウ)行、御むしんながら、どふぞ手かみ 00065120L8の古イのが有なら、一通下さりませ。Sなんにすると聞け 00065130L9バ、国へやりとふござります 00065140¥N19¥J 00065150¥X女郎買(二十八オ) 00065160L12みんながなく女郎を買たのなんのといふが、おらアついぞ 00065170L13買たことがねへ。とふいふしうちにしたら、なくだろふ。 00065180L14友たちS心安い事だ。おしへてやろふ△Sそれハありがた 00065190L15へ。(二十八ウ)どふするがいゝの△Sハテ、よこツつらを 00065200L16くらハすがヱヽ 00065210¥N20¥J 00065220¥X生酔 00065230L19親子大酒のみにて、むすこ、大なまゑひに成て帰る。おや 00065240L20ぢ、うちにてとつちら(二十九オ)ものにて、Sわれがよふ 00065250M1なつらの二つあるやろうにハ、此しんせうハゆづられぬと 00065260M2いへバ、むすこSおらアこんなぐる+まはる家ハいらね 00065270M3へ(二十九ウ) 00065280¥N21¥J 00065290¥X猫 00065300M6ねこをもらつたが、大きくつよく、外のねこにまけねへよ 00065310M7ふに、大きなつよひ名を付たいが、何ンと云名がよかろふ。 00065320M8Sつよくまけねへ(三十オ)名なら、あを空と付るかいゝ 00065330M9Sイヽヤ。青空も風にハかなわぬから、風とつけよふか 00065340M10Sソレデモ風も屏風にハかなわねへ△Sホンニそふだ。屏 00065350M11風とつけよふ△Sイヤ、まちやれよ。屏(三十ウ)風も鼠に 00065360M12ハかなはねへ△Sソンナラねつみにしようか△Sナニ、鼠 00065370M13もねこにハかなわねへ△Sなるほどそふだ。いつそねこに 00065380M14してをかふ 00065390¥N22¥J 00065400¥X太皷 00065410M17江戸のもの、伊勢参宮に(三十一オ)たち、道中にて甲州の 00065420M18ものと道つれに成、また一日、路先にて紀州のものと近江 00065430M19のものと道連レに成、都合四人つれにて、はなし+行。 00065440M20まことに旅ハ道つれと申(三十一ウ)ますが、ふしぎな御ゑ 00065450¥P186 00065460L1んでござりますが、紀洲にハなんぞ珍しひことがござるか。 00065470L2紀州S左様でござります。国もとハ蜜柑が名物でござるが、 00065480L3近頃みかんの木が一本かれましたが、(三十二オ)此木の長 00065490L4さが三里ほどござる△Sそれハめつらしい事でござるが、 00065500L5甲州にハまた、なんぞ珍しいことがござるか△甲州S山国 00065510L6ゆへ、猿の大キなが居ましたが、去年死ました。かはをは 00065520L7いだ所が、(三十二ウ)二里四方ござる△Sこれもまた珍し 00065530L8ひことでござる。近江でハ何ンぞめつらしひ事がござるか 00065540L9近江Sイヤ、さしてめつらしひと申ほどでもござらぬが、 00065550L10御存の通りみづうみがござるが、(三十三オ)かの水うみを 00065560L11一またぎにする源五郎と申大男がござる△Sそれハ珍しひ 00065570L12事でござる。三人のもの口を揃へて、お江戸ハ、よこくとハ 00065580L13かくべつで御坐りますれバ、なんぞ珍しひ(三十三ウ)こと 00065590L14がごさるか。Sイヤ、何にも珍しひ事もござりませぬが、 00065600L15大キク高イ火の見やぐらがござるが、そのやぐらに太こが 00065610L16御坐るが、さしわたしが二里ござる△三人Sさて+珍し 00065620L17い(三十四オ)太こでござるが、胴の木ハ何でござる△Sさ 00065630L18れバサ。どうは、きのくにのみかんの木、かわハ甲州のさ 00065640L19るのかわ、これを打人ハ、近江の源五郎でござる(三十四ウ) 00065650¥N23¥J 00065660¥X赤鬼 00065670M3あかをに、一ついきに成て、ある人の内へかけこみ、あと 00065680M4から生酔がまいります。どふぞおかくまひ被成て下さりま 00065690M5せといふ。てい主(三十五オ)S其よふなあかひこわひかほを 00065700M6して、なぜなまよひをこわがるといへバ、あかをにSさめ 00065710M7ると、せうきになります 00065720¥N24¥J 00065730¥X遠目鏡(三十五ウ) 00065740M10遠めがねをゆめに見て、ゆめはんじの所へ行キ、夕部かよ 00065750M11ふなゆめを見ました。御はんじ被成て被下まし。卜者Sお 00065760M12まへ、おいくつでござる△S当年十八でござります(三十 00065770M13六オ)しばらくかんがへて、S御一生の内、至極よろしく、こ 00065780M14とに七十四五から八十四五までが、わけてよろしうごさり 00065790M15ます△Sそれハあまり遠いことでござる。もちつと近い所 00065800M16を御考(三十六ウ)被下まし△S遠いところハよく見へます 00065810M17が、ちかひ所ハ見へませぬ 00065820¥N25¥J 00065830¥X火事 00065840M20ヤレ三介。火事があるそふで、はんしやうがなる。近いか 00065850¥P187 00065860L1遠い(三十七オ)か、出て見ろ。三助、おもてへ出て、火け 00065870L2しの通るを見て、S遠ふござります△旦那Sそれでも大ぶ 00065880L3さはがしゐと、外へ出て見、べらぼうめ。火事ハとなり丁 00065890L4だ。何を見るといへバ、三介Sそれでも火けしハ(三十七ウ) 00065900L5みなわらじでまいります 00065910¥N26¥J 00065920¥X大食 00065930L8旦那、しなの生なれハ、皆信濃ものを家来に置。主も家来 00065940L9も大しよく也。ある時、家来を、やみの夜(三十八オ)やミ 00065950L10のよと呼ぶ。家来S私が事でござりますか。なぜやみのよ 00065960L11とおつしやります△旦那Sハテ、くろふて、やくにたゝぬ 00065970L12家来S左様なら御まへ様ハ、神無月でござり(三十八ウ)ま 00065980L13す△旦那Sそりやまたナゼ△家来Sまいつても、やくにた 00065990L14ちませぬ 00066000¥N27¥J 00066010¥X好物 00066020L17折助、けふハ客があつたのに、よくはたらいた(三十九オ) 00066030L18から、なんでもわれが好キなものをふるまをふが、われハ 00066040L19何がすきだ。えんりよなしに、なになりともこのめ。折介、 00066050L20少しいひかねて、S二ばんにハ、酒でござります(三十九ウ) 00066060¥N28¥J 00066070¥X大工 00066080M3大工、女郎買に行、とこの内にていろ+はなしてしやれ 00066090M4る。女郎Sぬしのところは、どこてをすへ。そして、しや 00066100M5うばゐハなんでをすよ△大工Sわつちハ(四十オ)するが丁 00066110M6へんさ。しやうばいハごふくさ△女郎Sそんなら、こんど 00066120M7きなんす時、かやの切レを三尺ほどに、もみのきれを三尺 00066130M8ほど、もつてきておくんなし△大工Sあい、なんに(四十ウ) 00066140M9しなさる。/棚(たな)でもつるのか 00066150¥N29¥J 00066160¥Xもゝ引 00066170M12すみ丁だちと筆ぶとにかひた見せへ行、もゝひきをいろ 00066180M13+見て、此もゝひきハいくらだへ。てい主S壱貫弐百(四 00066190M14十一オ)さ△かいてS八百にまけねへな△てい主Sあいませぬ 00066200M15が、朝あきなひだからあげやせふ△かいてそんなら行てき 00066210M16やしやうと外へ出る。てい主Sもし、せうべんハなりませ 00066220M17ぬ△かいてS小便(四十一ウ)のならぬもゝ引なら、まあよ 00066230M18しにしよふ 00066240¥P188 00066250¥N30¥J 00066260¥Xさしものや 00066270L3さしものやへ大勢あつまり、ひとりつゝおとしばなしをし 00066280L4けるが、てい主の咄(四十二オ)番になりけれバ、てい主Sを 00066290L5れハいそぎのたはこぼんをさしかゝつているから、たばこ 00066300L6ぼんのはなしをしよふが、みんな/が((ママ))聞イたか。大勢口をそ 00066310L7ろへて、Sいんにあや、きかね(四十二ウ)へ△てい主Sきか 00066320L8ずハもふ一本、釘をうたふ 00066330¥N31¥J 00066340¥X仕事師 00066350L11しごとし、昼休に帰り、昼ねして目がさめ、少しさむく成 00066360L12り、かゝあや。さむく(四十三オ)なつたが、なんぞかける 00066370L13ものハないかといへバ、かみさんがうらの方で、そこのは 00066380L14しらに、折釘が打てござります 00066390¥N32¥J 00066400¥X大黒(四十三ウ) 00066410L17大こくをまつれバ身上がよく成と聞て、浅草の市で買イ、 00066420L18きのへねにハおみきの、おそなへのと、きをつけて信心し 00066430L19けるに、とかくいろ+不仕合ばかりつゞひて(四十四オ) 00066440L20そん斗すれバ、てい主大キニはらをたち、三助に云付、大 00066450M1こくを捨にやりけれバ、三介、両国の橋の上から、かの大 00066460M2こくをすてるを、通りかゝりしさむらひが見て、(四十四ウ) 00066470M3おしい大こくじや。をれがもらあふと云、酒代二百くれけ 00066480M4れバ、三助、これハよくしたものと、うちへ帰り、旦那へ 00066490M5かよふかよふとはなせバ、旦那Sまた其おさむらい(四十五 00066500M6オ)にも、二百そんをさせた 00066510¥N33¥J 00066520¥X金の字 00066530M9かねハ人がもつてけつかうなるものゆへ、人の主とかくと 00066540M10いへバ、友だちが、/真(しん)では違ふといへバ、/死(し)んでハかねハ 00066550M11いらねへ(四十五ウ) 00066560¥N34¥J 00066570¥X/馬鹿(ばか) 00066580M14これ、そつちのおやぢが、此間をれにいふにハ、おらがば 00066590M15かやろうめが、此ごろ夜遊ひに出てならぬから、見かけた 00066600M16なら、しかつて帰して(四十六オ)くださゐといつたぜへ。 00066610M17Sおゝよ。おれさへ見れバ、ばかやろうばかやろうといふ 00066620M18けれども、何のかのといつて、おれをかわゆがるよ。親と 00066630M19いふものハ、ばかなものよ(四十六ウ) 00066640¥P189 00066650¥N35¥J 00066660¥Xひがん 00066670L3ひがんといふものを見た事があるが、長イもので、よくへ 00066680L4びに似た物だ。Sそれをだれにおそわつた△Sかゝさんが、 00066690L5ひがんのうちだからころすなと(四十七オ)いつたハな△Sそ 00066700L6んならおれが見たとハ、ちがつたハへ△Sてめへが見たの 00066710L7ハ、どんなものだ△Sをれがみたのハ、なんのことハねへ。 00066720L8ねづみにそのまゝさ(四十七ウ) 00066730¥P190 00066740¥U噺本大系△第十二巻 00066750¥T/振鷺亭(しんろてい)/噺(はなし)/日記(につき)〔内題〕 00066760¥G 00066770¥Y 00066780L16寛政三年正月序 00066790L17振鷺亭主人作 00066800L18上総屋利兵衛板 00066810L19小本一冊 00066820L20国立国会図書館蔵 00066830¥Y噺日記叙△△G 00066840M3/催子玉(さいしぎよく)が/座有(ざいう)の/銘(めい)に、人の/短(たん)を言事なかれ。己が/長(てう)をとく 00066850M4事なかれと申候。然者/想(おも)ひ茶漬/飯(めし)の如くなるハ/誰(たそ)。/予(われ)に/斎(ひと) 00066860M5しき二三子なり。/雨日(うじつ)の/閑(かん)の/時&(より+)、/優(ゆう)に/艶(やさ)しく語り出て、 00066870M6/後(しりへ)に/糞(くそ)船の下れる物語となり、/鼻(はな)うごめきて高く世に/示(しめす)て 00066880M7ふ、(序一オ)是/釈子(しやくし)の/掟規(じやうぎ)にあらず、/荘子(そうし)の/糞(くそ)が/忙(あき)れるに 00066890M8あらす。/偶然(ぐうぜん)としてうつかりひよんたる/抜作(ぬけさく)也。昔+一 00066900M9ツ/星(ぼし)見付たら長者になろな。/鬼渡(おにわた)しとねんぼ、サア/取(と)て見 00066910M10やれ。/豈(あに)/造化(ぞうくわ)の/天工(てんこう)、/理(り)を以て/推(おす)べからす。今や/智恵(ちゑ)を/富= 00066920M11楼那(ふ=るな)が/弁(べん)を/借(かつ)て、/舎利弗(しやりほつ)でたらめに/説(とき)かけ(序一ウ)るハ、 00066930M12夫/旧冬(きうとう)の店/卸(おろし)する/禿驢(はげあたま)。/跡着(あとぎ)の/間違(まちがい)に、いと/困(こう)じたる/小年(むすこ) 00066940M13の/眉(まゆ)をとかしめんと、此/怪誕(かいたん)の趣を/纂(あつむ)る也。扇子+の/旦(あした) 00066950M14より、軒の/柊(ひらき)の/夕(ゆふべ)迄、/徒(たゞ)/十露盤(そろばん)の玉の露、/消(きへ)やらでのミ 00066960M15住はつる、/猿(さる)と/蟹(かに)との/争(あらそ)ふ如き、利を/放(はな)れたる一ケにして、 00066970M16/尓(しか)も/合壁(がつぺき)にさし合(序二オ)なく、大家様の/■噫叱嗟(いんあしつさ)、/誤入(あやまり) 00066980M17の気遣なし。吁、丁子屋のばゞつ子なる哉。/蓋(けだし)、/論(ろん)ハ切落 00066990M18に/堕(おち)て、/金輪水際(こんりんすいさい)の穴/蔵(くら)にぽかん。/見(けん)ハ三十三尺の/鳶几巾(とんびだこ) 00067000M19よりも高し。恐らくハ/多弁家(たへんか)の/君子(くんし)、山の事を/忘(わす)れたかと 00067010M20/唾罵(ため)すとも、作者/原(もと)よりかべちよろなり。/時(ときに)正月(序二ウ) 00067020¥P191 00067030L1あんもに/納豆(なつとう)をつけて、/埋火(うづミび)のもとに/無為(むい)の/説(せつ)をなす事ハ 00067040L2ツプイ 00067050L4△△△△△△△△△△△△△△振鷺亭主人述 00067060L5△△△△△亥青陽△△△△△△△△△G 00067070L7△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序三オ) 00067080¥G(序三ウ) 00067090¥P192 00067100¥T1/振鷺亭(しんろてい)/噺(はなし)/日記(につき) 00067110¥N1¥J 00067120¥X○和泉式部 00067130L5和泉氏の女ぼう、加茂の/宮居(ミやい)へかちにてもふでける。道す 00067140L6がら、/草履(ぞうり)のはな/緒(を)にて、足のはづらハしきに、いと/艶(つやゝか)な 00067150L7る/爪(つま)さきに、紙まくさま(一オ)を、若き/殿上人(でんじやうにん)の心あくが 00067160L8れてや、/広(ひろ)すけとなんいへる人、 00067170L9△△△千早ふるかミをバ足にまくものか 00067180L10といひよりけれバ、女とりあへず、 00067190L11△△△これをバしもの社とハいふ 00067200L12とうちかへし/侍(はべ)るを、おふさきる(一ウ)さのもの/見(ミ)て、 00067210L13Sべらぼうヤイ、はなつたらしヤイ 00067220¥N2¥J 00067230¥X○琉球人 00067240L16/奥向(おくむき)の女中、大勢/高輪(たがなハ)の茶屋をかり、夜の七つから仕度を 00067250L17して来り、/瀧野(たきの)屋か/紀(き)の/国(くに)屋を(二オ)見る心持で/待(まち)/退屈(たいくつ)す 00067260L18る所へ、ソレ来るといふ間もなく通つてしまひ、思ひの外 00067270L19おもしろくもなく、皆+/腰帯(こしおび)よ/鼻紙(はながミ)よと立/騒(さわ)ぐと、ひと 00067280L20りの女中、マアお待。/台所(だいどころ)/唐人(とうしん)が/参(さん)じやせんから、まだ 00067290M1(二ウ)通りやしやう 00067300¥N3¥J 00067310¥X○足長嶋来朝 00067320M4/御隠居(ごいんきよ)さん。/琉球人(りうきうじん)をごろうじましたか。Sアイ。わしハ 00067330M5/今度(こんど)で三度見ます。大方来年ハ/足長嶋(あしながじま)が/来(く)るだろう△Sそ 00067340M6れもごろうじまし(三オ)たか。その時ハ/嘸(さぞ)、江戸中ふるつ 00067350M7て見物に出ましやうね。こいつハなまやさしいこつてハ見 00067360M8られますまい△Sイヤ、足長嶋の時ハ、あまり見に出るも 00067370M9のハないて。/高輪(たかなわ)あたりへ来ると、おらが火の見へのぼる 00067380M10と、(三ウ)/腰(こし)からうへハ見へる△Sつがもねい高いせいね。 00067390M11それでハ嘸、足が早くて道中がはかがゆくだろう△Sサニ 00067400M12サ。なんぼいつても、国から日本橋まで/八百万里(はつひやくまんり)といふ道 00067410M13のりだから、/随分(ずいぶん)ぶらり※ぶらりと来るのさ(四オ)Sモ 00067420M14シ、そのあしで/寐(ね)る時ハどう致します△Sとんと/足(あし)の/骨組(ほねぐミ) 00067430M15が/挑灯(ちやうちん)のよふで、たゝんで寐るのさ。ぜんてい、是から/案(あん) 00067440M16じたぶら挑灯さ 00067450¥N4¥J 00067460¥X○通人来朝 00067470M19此頃唐にてハ、/毛日本人(けにつぽんじん)が来る(四ウ)と大/騒(さわぎ)にて、通筋ハ 00067480M20/桟敷(さじき)をかけて、/毛氈(もうせん)ハやたらに明店まで敷/詰(つめ)、ちんきん/彫(ぼり) 00067490¥P193 00067500L1の手すりに諸見物、今や+と待かけ、通人/行烈(ぎやうれつ)の/絵図(ゑづ) 00067510L2+と/売(うり)あるくにぎはひ。早かげんの/声(こゑ)/聞(きこへ)て/幟(のぼり)見ゆる(五 00067520L3オ)に、/首(くび)を/鷺(さぎ)のことくながくするハ、お屋敷女中の/一群(ひとむれ)、 00067530L4/呉服(ごふく)屋の見せを/借(か)り/切(きつ)てのけんぶつ。おすへの◇ちんぴ◇ソレ、 00067540L5のぼりがさんじやした。/当世(とうせい)とかいて/有(ある)ハ、/清道(せいどう)のひつく 00067550L6りかゑしだね。行烈付を(五ウ)ちよつとお見せ。とちめん 00067560L7/棒(ぼう)といふハ、アノ棒の事かね◇かんぞう◇ヲヤ+、うへの/衣(ころも) 00067570L8ハ/帯(おび)をなぜしめやんせんねい◇ようかん◇アレハ/羽織(はをり)といふも 00067580L9のだそうさ。/髷(まげ)のふうをごろうじ。鶴の口ばしのよふだね。 00067590L10そして(六オ)あたまじうが/額(ひたい)だねイ。どうしやうのう。 00067600L11@おつぼねと見へて|ものしり顔に、△@/鳴物(なりもの)ハ/三絃(しやミせん)、/尺八(しやくはち)、つゞミなどゝ名をもうす 00067610L12そうさ。やつはりこつちのどらのほうが、/意気(いき)でござんす 00067620L13ね。此/毛通人(けつうじん)を、のだいこといつ(六ウ)て、こつちの/下官(げかん) 00067630L14サ。/皆(ミな)/唐桟留(とうざんとめ)を/着(き)ていやす。ふけいきななりだね◇ういろう◇ 00067640L15ソレ+、四つ手/駕(かご)とやらにのつて来るのが、通人の/親玉(おやたま) 00067650L16かね◇まんぢう◇/上着(うハぎ)ハかべちよろとやらでござんしやう。/唐= 00067660L17物(から=もの)め(七オ)きやすね。あい/着(ぎ)ハ/唐(とう)ざらさだそうだ。すかね 00067670L18い/半可(はんか)な/形(なり)た◇あるへい◇モシ、/豕肉(ぶた)ハたべませんとサ。/鴨(かも)や 00067680L19/白魚(しらうを)をたべますとさ◇こりん◇ヲヤ、こわらしい 00067690¥N5¥J 00067700¥X○壬生狂言(七ウ) 00067710M3をらが/長屋(ながや)の明店に、まいばん/化物(ばけもの)が出るか、とんだひね 00067720M4つたものさ。/壬生(ミぶ)のはやしさ。そいつハおもしろいと、近 00067730M5所の若者大ぜいよつて、/鉦(かね)と大/皷(こ)にて、その夜、今やおそ 00067740M6し(八オ)と、夜ふけ人しづまつて後、明店のうちに、チヤ 00067750M7ンチキチツチチンと、まづしづかにはやし出すを、こつち 00067760M8ハ大ぜい、やたらに、シヤデン+++++とは 00067770M9やす。ばけ物もまけぬ気になつ(八ウ)て、チヤ+ドヾド 00067780M10ンとはやせしが、のちハ音がせぬゆへ、そつと明店の戸を 00067790M11あけて見れバ、/大狸(おふたぬき)、はらをふちやぶり、/片息(かたいき)になつて、 00067800M12チヤンチキチツチチヤン 00067810¥N6¥J 00067820¥X○団十郎(九オ) 00067830M15此/皃見(かをミ)せハ、団十郎ハ猶鼻が高くなるだろう。Sアノはな 00067840M16ハ親ゆずりさ。/元祖(がんそ)/栢莚(はくゑん)があんじて、京の/耳塚(みゝづか)にあるてう 00067850M17せん/人(しん)の耳を、/唐(から)の千里がやふの竹べらにて、耳をするめ 00067860M18の(九ウ)よふにひらつたくして、/王子(をうじ)の/稲荷(いなり)にある杉のや 00067870M19にて、鼻へかぶせて付て、高く見せたそうさ。/尤(もつとも)みゝをひ 00067880M20らたくのばすにハ、餅のなる木でこしらへた/摺小(すりご)木て、耳 00067890¥P194 00067900¥G(十三ウ・十四オ) 00067910M1を鳥の/骨(ほね)を(十オ)たゝくよふによくたゝくと、しんこのよ 00067920M2ふになるそうさ。これがどふもないものだが、栢莚ならハ 00067930M3きついもんで、これにハ/目黒(めぐろ)の餅ばなの木をつかつたそう 00067940M4さ△S此人ハ、人をあんまり茶に(十ウ)した。ばか+し 00067950M5い。ほんの耳をとつて鼻、といひそうにして、ヱヘン、木 00067960M6に竹といひそうにして、又木に餅といひかゝり、イヤ、木 00067970M7にこわめしだ 00067980¥N7¥J 00067990¥X○菊之烝(十一オ) 00068000M10浜村屋ほどな役しやもあるまい。ふきや町へすけに出て、 00068010M11両座ながら所作をするそうだが、よくつゞくこつたの。ふ 00068020M12きや町をしまつて、さかい町へゆくおりのやすミ所が、 00068030M13(十一ウ)両座からできるそうさ。Sハテノ、そうだろうよ。 00068040M14どつちの茶屋だの△Sナニ、ふくやまの二/階(かい)だそうさ 00068050¥N8¥J 00068060¥X○茶漬飯 00068070M17ことしのよふに、ちやづけの(十二オ)はやる年もねい。夘 00068080M18の花だの山吹だのと、いろ+/看(かん)板が出してあるが、こん 00068090M19ど丸太越後屋の跡へ出たのハおもしろいの。当世/意気(いき)仕立 00068100M20御茶漬といふ看板さ。はいつて(十二ウ)見やした。出すと 00068110¥P195 00068120L1ころが、めしとかうのものばかりで、まづとうざんとめと 00068130L2いふ/銘(めい)で、ちつとこぢつけだが、とうざ/漬(づけ)が三きれ。つむ 00068140L3ぎといふ/銘(めい)で麦飯。こいつハ当世だと(十三オ)(十三ウ・十四 00068150L4オ挿絵)/土瓶(どびん)をつぐと、/茶(ちや)の色あけ 00068160¥N9¥J 00068170¥X○中車江戸下り 00068180L7△△本舞台三間のかざり付のごとく、箱根権現の宮居先、からす 00068190L8△△のむらがるを見ながら、六部と順礼来り、顔見合し、(十四ウ) 00068200L9/(じゆんれい)△一△貴殿ハ浅尾為十郎どのでハござらぬか 00068210L10/(ろくぶ)△一△さいふ貴殿ハ市川八百蔵殿 00068220L11/(両人)△一△ハテ、かわつた所であいましたなア 00068230L12△△トこなしあり。松の根にこしかけ、 00068240L13△一△さてマア、何からはなそうやら。江戸(十五オ)に居 00068250L14△△るうち、/種(しゆ)+にこゝろをくだきしが、人気に叶わぬ 00068260L15△△我/天運(てんうん)。或ハやつし/偽(にせ)上/使(し)、狂言さま※手をつくせ 00068270L16△△ど、安い+と見らるゝ/無念(むねん) 00068280L17/(じゆんれい)△一△イヤ、あつぱれの/達敵(たてがたき)、一天四海を(十五ウ)くつが 00068290L18△△へさん/勇気(ゆうき)ハ、まさに貴殿のこつから。我も諸国をめ 00068300L19△△ぐるうち、仕内ハさま※なりしぞや。今本国へ帰る 00068310L20△△折から、/箱根権現(はこねごんげん)に納めある友切丸の一/腰(やう)、曽我狂言 00068320M1△△のしゆこうの(十六オ)/種(たね)と、/参詣(さんけい)せんとなす折から 00068330M2/(ろくふ)△一△おもわづ出おふた/東(あづま)のお/同者(どうじや) 00068340M3/(じゆんれい)△一△あぢな/難波(なには)のお/修行者(しゆぎやうじや) 00068350M4/(ろくぶ)△一△イデ友切丸を△△/(しゆんれい)△一△シイ 00068360M5△△ト松のかげより、くもすけ飛出、 00068370M6/(くもすけ)△一△さいぜんよりよふすハのこらず(十六ウ)聞た+。 00068380M7△△この通り/訴人(そにん)して、ほうびの金 00068390M8△△ト、しりひつからげ、飛がごとく 00068400¥N10¥J 00068410¥X○助六 00068420M11江戸つ子のきつすい、よく/加藤(かとう)ぶしをかたり、心ハむらさ 00068430M12きのはち(十七オ)まきもする/気性(きしやう)なれども、このごろ茶屋 00068440M13のかけにさしつかへて/遠慮(ゑんりよ)ゆへ、/頭巾(づきん)のうへからほうかぶ 00068450M14りをして大門をはいれバ、相かたの/揚巻(あげまき)ハもん日のやくそ 00068460M15くがあると見へて、茶屋の/椽(ゑん)ばなにこし(十七ウ)うちかけ 00068470M16ての/全盛(せんせい)。助六ハこそ+と/伏見(ふしミ)町のかたへきれし跡へ、 00068480M17/井筒(いづゝ)屋久兵衛といふ佐野あたりの/旅人(たびうと)、ふくれかゑつた気 00068490M18のきかぬなりにて、かんてら門兵衛といふたいこもちを 00068500M19(又十八オ)つれて大門を入来るを、しんぞうかぶろ、きせ 00068510M20るを出しながら、井久さん。ござんしたかへ 00068520¥P196 00068530¥N11¥J 00068540¥X○しんぞう買 00068550L3さるいしやにて大男、なでつけにて、やまぶしのよふなる 00068560L4つらがまへ(又十八ウ)ゆへ、どこでもすかねいといわるゝ 00068570L5風なり。/今宵(こよい)もものがあつて、大きな女郎屋の廻り/部屋(べや)に、 00068580L6のつゝそつゝ。よふ+引過に、合方のふり袖しんぞう、 00068590L7おもふさまわるくいつてわらつて居た(十八オ)顔を、つん 00068600L8として来り、/床(とこ)へはいると、/有無(うむ)なしにいびきゴウ+。 00068610L9こいつ、たゝでハをきぬと思ひ、ありをふ/銚子(てうし)をぐつとひ 00068620L10つかけ、/吐息(どいき)をほつとつき、アラ/苦(くる)しや。/熱湯(ねつとう)をのむ、た 00068630L11へがたなや。イデ/芝(しば)のあ(十八ウ)たごへいつてとまろう/が((ママ))、 00068640L12大山へいかふか、/最上寺(さいじやうじ)にしやうか、いつそ/日光(につこう)へとぼう 00068650L13か、思ひきつてさぬきのこんぴらへ立帰らんと、すつくと 00068660L14たつ@ト、しんぞう、ためいき|をつき、ふるへごゑて、@まだ早ふおざんす(十九オ) 00068670¥N12¥J 00068680¥X○/勘合(かんごう)の/印(いん) 00068690L17かたくなゝおやじ、/道具(だうぐ)屋におふて、わしハけふ、がく屋 00068700L18/新道(しんミち)できめうな物をひろひましたが、なんでござろうと、 00068710L19/金(きん)の/丸龍(まるりやう)をおいた、/赤(あか)きもミのきれにつゝん(十九ウ)たも 00068720L20のを出す。道具屋あけて見て、これハ/芝居(しばい)でつかう、ぐん 00068730M1ぜいさいそくの/勘合(かんごう)の/印(いん)と申ものでござります。Sおやじ 00068740M2ハテ/気(き)のどくな。座もとか/金主(きんしゆ)が/落(おと)したろう(二十オ) 00068750¥N13¥J 00068760¥X○遠目がね 00068770M5/薬研堀(ヤげんぼり)の不/動(どう)へまいりかけ、村松町で三分出して、しやう 00068780M6のよい/遠目(とふめ)がねをかひ、両ごくの/橋(はし)のうへにて、/観音(くわんのん)の/塔(とう) 00068790M7を見やうと、らんかんへよりかゝり、(二十ウ)遠目がねを 00068800M8のぞくと、あづまばしを、/貸(かし)のあるやつが、しりをはしよ 00068810M9つて、さつさ+と通る。まつかせと、しりひつからげし 00068820M10が、今一度見さだめんと目がねを見て、Sハアヽなむ三 00068830M11(二十一ノ二オ)ぼう。だら+おり、ソレ、こつち/側(がわ)を通る 00068840M12ハ。ヱヽ、目はしのきかぬ/銭(ぜに)とりだ。又二もん、かすりお 00068850M13つた。くやしいと、目がねを/川(かわ)へポツカリ 00068860¥N14¥J 00068870¥X○其二(二十一ノ二ウ) 00068880M16人の気のつかぬ事が、世の中にハだいふあるものね。せん 00068890M17じつ/待乳(まつち)山の/聖天(しやうでん)で、ふつと遠目がねを出して見やしたが、 00068900M18是まて人のしらぬことね。もつともよく晴た日でごぜい 00068910M19(二十三オ)したが、なんても南のほうを見ると、河奈川の 00068920M20/岱(だい)の茶屋が見へやす。その中に江戸屋いふ茶屋の/看板(かんばん)がか 00068930¥P197 00068940L1けてある/懸釘(かけくき)の中をけんとうに、目がねをあてると、モシ 00068950L2(二十三ウ)/釜山海(ふさんかい)の/湊(ミなと)が見へやした。Sハテ、聞イておこ 00068960L3う事の 00068970¥N15¥J 00068980¥X○化物 00068990L6/化物屋敷(ばけものやしき)ときゝ、なに今時、そんなばかな事があるもんだ。 00069000L7おれが見とゞけよふと、/一人(ひとり)(二十四オ)明屋敷にいたり、 00069010L8定てある/格(かく)の/一眼(ひとつまなこ)か大入道が、/茶(ちや)でもくんで出るだろう 00069020L9と待かまへて居る。/程(ほど)なく夜もしん+とふけ渡り、/二階(にかい) 00069030L10をミち+。さてこそ、もゝんがわとおどすだ(二十四ウ) 00069040L11ろう。/何条(なんじやう)おどろくものかと、をりるを見れバ、手の有さ 00069050L12ふなおいらんの姿にて、ヲヤばからしいと、につことわろ 00069060L13う。Sおきやあかれ。気のきいた化物ハ、足をあらつてひ 00069070L14つこむ/時分(じぶん)に、二階からおり(二十五オ)て、てうづにゆく 00069080L15ふりで、/色男(いろおとこ)の所へよこをしに来たのか。ねづが見付ぬう 00069090L16ち、早くきへてなくなれ+と、おもふさましやれつけら 00069100L17れ、ばけ物ハどうしやうのうと、ようじをつかいながら二 00069110L18階へあがる。(二十五ウ)こんだハよつぽとこわかろうと、 00069120L19こい/口(ぐち)しめして待所へ、二階をミち+。こん度ハきいた 00069130L20ふうな/通(とを)り者とばけて来る。S朝帰りのおそくなつたおや 00069140M1じの顔ほどは、こわくねい。もちつと/案(あん)じなせい。(二十六 00069150M2オ)いつこうなすじだ。化ものゝこわくねいハ、ぶにんそ 00069160M3うな。しんそうにハおとりだによと、いつぱいにてうされ、 00069170M4わるい/地口(じぐち)をいわれたりして、化物ハ大にふさいで二階へ 00069180M5あがり、夫より/一向(いつこう)おりて来ねバ、まちた(二十六ウ)いく 00069190M6つして、そつとはしごを上つて見れバ、/狸(たぬき)、はらばいにな 00069200M7つて、/新板(しんばん)の草ざうしを見ながら、S/近年(きんねん)の草ざうしハ、 00069210M8ひつとつも手本にハならぬ 00069220¥N16¥J 00069230¥X○其二(二十七オ) 00069240M11/雨夜(あまよ)のお物がたり。/築山(つきやま)に/毎夜(まいよ)/妖怪(ようくわい)が出るとのとり/沙汰(さた)。 00069250M12殿様、たれにても/打留(うちとめ)たるものハほうびとらせんとの/御意(ぎよい) 00069260M13に、/綱(つな)が/羅生門(らしやうもん)に引かへ、大ぜい築山のこゝかしこにしの 00069270M14び、/一人(ひとり)ハ/大胆不敵(だいたんふてき)と見せ(二十七ウ)て化物をつり出さん 00069280M15手だて、ほうびハやまわりの/相談(そうだん)づくなり。扨も/丑(うつ)ミつの 00069290M16頃、すつくと出る/異形(いぎやう)の化物。/得(ゑ)たりと切り付、出合+ 00069300M17と/呼(よバ)われバ、大ぜい飛いで、/松明(たいまつ)をてらして/血(ち)のこぼれた 00069310M18る/跡(あと)をしたひ、二、三(二十八オ)てう山おくへ入て、松か 00069320M19/根(ね)の/穴(あな)のもとにて血とまりたり。扨こそと、松明をてらし 00069330M20て見れバ、穴のぐつと/奥(おく)に大キなむじな、かた口からすを 00069340¥P198 00069350L1うをこぼしながら、S申、こゝまでござれ。あま酒しんじ 00069360L2よ(二十八ウ) 00069370¥N17¥J 00069380¥X○箱根のやぼ 00069390L5/箱根(はこね)の山おくに、やぼと化物より/集(あつま)り、大入道Sこのごろ 00069400L6ハ江戸にやぼがはやるそうだから、ちつと出て見さつせい。 00069410L7貴様の様子によつて、おいらも出ようとすゝめられ、やぼ 00069420L8ハすぐに仕度して、江戸へ(二十九オ)おもむき、/高輪(たかなわ)で日 00069430L9がくれ、/通(とを)りをだん※/来(き)ながら、/成程(なるほど)、/通人(つうじん)ハなくなつ 00069440L10たそうで、いつも通り/筋(すじ)ハ/夜(よる)になると、/吉原細見(よしわらさいけん)の/絵図(ゑづ)を 00069450L11よんで通るがとおもふ/向(むか)ふから、S旦那がしやれゝバ、お 00069460L12かミさまもしやれる。おんばさま(二十九ウ)もしやれる。 00069470L13しやれけんのゑづ 00069480¥N18¥J 00069490¥X○蒲焼 00069500L16うなき、/親子(おやこ)づれにて大川筋をだん※およぎ、/駒形(こまかた)の前 00069510L17へ来ると、子うなぎSとつさんや。ぷん+と/味(むま)ひにほいが 00069520L18するから、かつてくん(三十オ)ねいとねだるを、親うなぎ、 00069530L19あれハ/蒲焼(かばやき)といつて、/泣子(なくこ)を/醤油(しやうゆ)のつけ焼にするのだ。早 00069540L20くだまれと、だましながらをよぐうち、子うなぎ、/子心(こごゝろ)に 00069550M1/味(むまい)ものかしらんと、しつぽをぺろりとしやぶつて見て、た 00069560M2まらず(三十ウ)だん+くひ+して、あたまばかりにな 00069570M3り、Sとつさんや。アヽいたい+となき出すと、おやじ 00069580M4Sそれ見やあがれ。いつそ/猫(ねこ)にでもくわしてしまへ 00069590¥N19¥J 00069600¥X○おんバ(三十一オ) 00069610M7だまつておよりませんと、おとつさんがまた、あたゝをな 00069620M8さる。アレ、はやくおだまり。もゝんがわがまた、/昼(ひる)まの 00069630M9よふに、おちんこをたべますよ。Sおかゝちやんや。おん 00069640M10ばがの、どうもいろをしたがつて、ねかしてならねいよ 00069650M11(三十一ウ) 00069660¥N20¥J 00069670¥X○ぢゞいばゞあ 00069680M14むかし+ちゞいとばゞあとあつたとさ。ちゞいハ山へ/柴(しば) 00069690M15かりに、ばゞあハ川へせんたくにいたら、/桃(もゝ)が一つながれ 00069700M16てきたとさ。ばゞあハそのもゝをとつて、がりゝとやると、 00069710M17むし(三十二オ)だらけ。Sいま+しい。はなしのよふな 00069720¥N21¥J 00069730¥X○桃太郎 00069740M20/桃太郎(もゝたろう)さん+。おまへのこしにつけて有ハ、なんといふ 00069750¥P199 00069760L1もんでござります。S桃太郎これハ日本一のきみ(三十二ウ) 00069770L2だんご△Sきじ一つくだせい。おとももうそ△S桃太郎そ 00069780L3れやると、だんごを/渡(わた)す。きじ、手のひらにうけて、S桃 00069790L4太郎さん。でいふちいさくなりやしたね 00069800¥N22¥J 00069810¥X○舌切雀(三十三オ) 00069820L7弥五太夫がけつこう/人(じん)、ばゞあどのゝとふよくもの。/雀(すゞめ)が 00069830L8のりをなめしを、はさミで/舌(した)を/切(きつ)てはなしけれバ、弥五太 00069840L9夫ハせめてばゞあが/罪(つミ)ほろぼしと引つれて、舌切雀おやど 00069850L10ハどこた。チヨツ++とさがしに出る。よふ+(三 00069860L11十三ウ)すゞめの/隠里(かくれざと)へたづねあたりて、いろ+もてなさ 00069870L12れ、/葛篭(つゞら)ふたつへ/宝(たから)も/((の脱))をつめてくれる。ばゞあハおもいほ 00069880L13うをとり、ぢゞいハ/軽(かる)いほうをしよいて、うちへ帰り、ば 00069890L14ゞあハつゞ/((ら脱))をあけて見れバ、中からもゝん(三十四オ)がわ 00069900L15が出たとさ。ぢゞいハつゞらをあけて見れバ、/質(しち)をとつて 00069910L16/貸(かし)た/証文(しやうもん)と/家質(かじち)の手がた 00069920L17△△◇作者曰◇これでいちがさかいたとさ 00069930L18△△△/此談(このはなし)、/勧善懲悪(かんぜんてうあく)ならん 00069940¥N23¥J 00069950¥X○/下主(げす)の/噺(はなし)ハしりへおちやす(三十四ウ) 00069960M3/親(おや)の/敵(かたき)を付ねらひ、/諸国(しよこく)をめぐれとも、/元来(かんらい)だいの/遠目(とうめ)。 00069970M4S敵もまただいの/近目(ちかめ)にて、/或(ある)日、/高輪(たかなわ)をぶらり+と八 00069980M5つ山へかゝる/頃(ころ)、S遠目、/石橋(いしばし)/万屋(よろつや)の/前(まへ)あたりで見かけ、 00069990M6親の敵のがさぬ、やらぬ。/帰(かへ)し合して/勝負(しやうぶ)+(三十五オ) 00070000M7と/呼(よび)かける/声(こへ)に、S敵ハおどろき、しりをひつからげて、 00070010M8さつさ+とにけ出す。S遠目ハおいつくと見うしなうゆ 00070020M9へ、おいつかぬよふにおつかける。両人@ヤツサツサ++|コラサツサ++@ 00070030M10@++++++++|++++++++@S敵ハ/昼夜(ちうや)にけ通しに、/長崎(なかさき) 00070040M11の/海(うミ)(三十五ウ)はたまでいたり、せん方つきて/尻(しり)ひきまく 00070050M12り、こゞんで居る所へ、S遠目ハおいつき、尻へ/鼻(はな)が行/当(あた) 00070060M13り。こゝハマアどこだ。/朝鮮(てうせん)かしらん。S敵ハこらへかね 00070070M14て、せつなべをSプウ△S遠目$ハアヽ、もう 00070080M15/異国(いこく)の(三十六終オ)/風(かぜ)がふくわへ 00070090¥Q 00070100M17△△△△△△△△△△△△振鷺亭主人戯輯 00070110M18△△△△△△△△△△日本橋四日市 00070120M19△△△△△△△△△△△△△△△上総屋利兵衛 00070130¥P200 00070140L1四方の好子新作あらハ、南総館まて 00070150L2艸稿御さし出可被下候。追&梓に行申候 00070160L3△△△△△△△△△△△△△△△△(三十六終ウ) 00070170¥P201 00070180¥U噺本大系△第十二巻 00070190¥T@/和良(わらう)|/嘉吐(かど)@/冨貴樽(ふつきたる)〔内題〕 00070200¥G 00070210¥Y 00070220L14寛政四年正月序 00070230L15曼鬼武序・作 00070240L16難浅窓主人跋 00070250L17蔦重板 00070260L18小本一冊 00070270L19東大国文研究室蔵 00070280¥Y/自序(ししよ) 00070290M3/牛(うし)の/小便(しやうべん)/十八町(じうはつちやう)に/限(かぎり)、/馬士(むまかた)の小べん/無限(かきりなく)/長(なが)し。予ものろ 00070300M4+だら+と/考(かんがへ)、一小冊の/落咄(らくとつ)を/篇(あむ)。/瞽(めくら)に(序オ)/見(ミ)せ/聾(つんぼ) 00070310M5に聞かせバ、アツト/云而(いつて)可感歟。/是(これ)や/遊人(ゆうじん)/閑居(かんきよ)して、/手(て) 00070320M6煎を/為(なす)事、/茶(ちや)のことし 00070330M8△△寛政四つ△△△△△曼鬼武△G 00070340M9△△△△子のはる日△△△△△△△△△△△△(序ウ) 00070350¥P202 00070360¥T1@/和良(わらう)|/嘉吐(かど)@/冨貴樽(ふつきたる) 00070370¥N1¥J 00070380¥X/猫(ねこ)/鼠(ねつミ) 00070390L5/大黒(だいこく)/信心(しん※)の人ありて、/毎月(まいげつ)/子(ね)の日+には大黒をかざり、 00070400L6/大根(たいこん)をあけて/置(おく)を、いつも/鼠(ねづミ)ハ/附込(つけこ)ミ、此大根を引て行け 00070410L7るが、また/今宵(こよい)も子の日にて、/例(れい)の(三オ)大根があがつて 00070420L8ゐるゆへ、鼠ハ人の/寐(ね)しつまつたころをかんがへ、そろり 00070430L9+としのび出、かの大根を引にかゝる。うしろには/此家(このや) 00070440L10の/飼猫(かいねこ)、/始終(しじう)のやうすをそつと付て見るともしらず、とう 00070450L11+鼠ハ大こんをしよしめ、あたりを/見(ミ)まハしおしいたゞ 00070460L12き、◇鼠◇大根/常住(じやうぢう)(三ウ)かたじけないト、引くわへて行にか 00070470L13ゝる。猫つけてまハり、鼠の/尻尾(しつぽ)を手でおさへ、くせもの 00070480L14うごくにや。◇鼠◇チイともさハかず、/喰(く)ハへた大根で、ねこ 00070490L15の/顔(かほ)を、ヱイとあてる。◇猫◇にやア引 00070500¥N2¥J 00070510¥X/火燈(ひともし) 00070520L18ある男、からだのうちへ/灯(ひ)をとも(四オ)す事をおほへ、/所= 00070530L19&(しよ=+)のざしきへよバれ、あるひハあたまへ火をとほしたり、 00070540L20手のひらへとほしたり、/腹(はら)へともしたりして見せる事ゆへ、 00070550M1大/評判(ひやうはん)にて大キにはやり、だん+金をもうけ、びんぼう 00070560M2なりしが、おやぢをもらくにくら(四ウ)させるやうになり、 00070570M3/次第(しだい)にかねもちとなれバ、そろ+女郎買をはじめ、/外(ほか)か 00070580M4らよひに来ても/毎晩(まいはん)うちに/居(ゐ)ず。おやぢは大キにはらをた 00070590M5ち、いろ+ゐけんをして、やう+坐敷へ出し、/扨(さて)/例(れい)の 00070600M6火をとほす所が、(五オ)さつはりとほらず。一坐のきやく 00070610M7もしらけて、/是(これ)ハどうだといふト、かの男、ハヽア、とほ 00070620M8らぬはづでこさります。Sそれハなぜ△Sイヱ、/今朝(けさ)おや 00070630M9ぢにあぶらをとられました 00070640¥N3¥J 00070650¥X/夜這(よばい) 00070660M12むすこと下女と/色事(いろごと)にて、九ツの(五ウ)かねを/相図(あいづ)にしの 00070670M13びこむやくそくをして、その/時刻(じこく)にもなれバ、そろり+ 00070680M14と下女の/部(へ)屋へ/這(は)ひかけ、目さすもしれぬくらやミをさぐ 00070690M15りまハり、下女二三人/並(ならん)でねてゐる中で、やう+かの下 00070700M16女にさくりあたれハ、◇下女◇/若(わか)だんな様か(六オ)◇むすこ◇おふ 00070710M17くかといふひやうしに、ブツと/屁(へ)をひる。◇下女◇シイ。お/屁(へ) 00070720M18が高ひ 00070730¥N4¥J 00070740¥X/間違(まちがい) 00070750¥P203 00070760L1/夕部(ゆふべ)、/花扇(はなあふぎ)と七こしと一/坐(ざ)で、/坐(さ)しきへ/安和(あわ)太夫をよんだ 00070770L2が、なるほど、またあわの/豊後(ぶんご)ふしハちがつたものた。/別(べつ) 00070780L3して、出しが(六ウ)/能(よ)くきこへると/咄(はな)せハ、ともだち、ナ 00070790L4ニ、それより/土佐(とさ)のかつほぶしハ、なを、だしがよくきゝ 00070800L5ます 00070810¥N5¥J 00070820¥X/鹿(しか)/兎(うさぎ) 00070830L8/下谷(したや)の/兎(うさぎ)茶屋のうさぎ、/浅艸(あさくさ)の/鹿(しか)ちや屋の鹿の所へ見まひ 00070840L9に行。わしもひよんな事で、/人間(にんげん)に(七オ)とらまつて、山 00070850L10にゐるとハちがつてきうくつで、どうもこまります。きさ 00070860L11まハおれとハ/違(ちが)つて気も/長(なか)し。そして又、おしつけ秋もく 00070870L12れバ、もミぢなどのたのしミもあるからよからふといへ 00070880L13バ、◇鹿◇なんのたのしミがあるもんだ。こゝにももふたい 00070890L14くつ(七ウ)して、おれが心にハとうから、あきが/来(き)て/居(い)ま 00070900L15す 00070910¥N6¥J 00070920¥X/角力(すまふ) 00070930L18/鬼風(おにかぜ)といふすまふとり、ついにまけた事がないといふはな 00070940L19しの所へ、/壱(ひとり)人来て、イヤ、鬼風もきのふひどくなげられ 00070950L20たといふ/沙汰(さた)だ。(八オ)Sそれハたれにまけたの△Sあげ 00070960M1/巻(まき)にひどくなげられたさふサ△Sハテナ、それハ/終(つい)にきか 00070970M2ぬすまふ取だが、どこのかゝへの角力だの△Sナニサ、/三= 00070980M3浦(み=うら)屋のかゝへの女郎さ 00070990¥N7¥J 00071000¥X/桃(もゝ)太郎 00071010M6むかし+桃太郎、/鬼(おに)がしまへ(八ウ)もふ一ツへん/行(ゆ)かふ 00071020M7とおもひたち、こんどハきひ/団子(だんご)もふるひと、もろこし団 00071030M8子をこしらへ、/腰(こし)に付てぶらり+と山道を/行(ゆく)と、/例(れい)のさ 00071040M9るがむかふから来かゝり、/是(これ)ハ桃太郎さま。どちらへ御出 00071050M10でござるといへバ、桃太郎も、又おにが(九オ)嶋へ行とは 00071060M11なせバ、さるハかのきび団子をまた/下(くだ)さつたら、お/供(とも)申さ 00071070M12ふといふゆへ、こんどハきび団子ては無ひが、壱つ/喰(く)つて 00071080M13見ろ。とんだうまひはづだと、かのだんごを壱つ/遣(や)ると、 00071090M14猿ハむしや+くらひ、ねつからうまくも無ひやうす(九 00071100M15ウ)なれど、桃太郎ハ/自慢(じまん)にて、何ンと、あんじの団子ハ 00071110M16こいつも日本一だらう。◇猿◇ナニ、もろこしだ 00071120¥N8¥J 00071130¥X/田舎者(いなかもの) 00071140M19いなかもの、/芝居見物(しバゐけんぶつ)行キ、やく/者(しや)をほめるにも名をしら 00071150M20ねバ、イヨ/役者(やくしや)+とほめる。/側(そバ)のおとこ(十オ)/袖(そで)を引キ、 00071160¥P204 00071170L1モシ、江戸でハ役者とほめると、役者が/腹(はら)をたちます。/夫(それ) 00071180L2では/誉(ほめ)るのではなくて、かへつて/無礼(ぶれい)でござるとおしへら 00071190L3れ、/早呑込(はやのミこミ)にて、/今度(こんど)ハ、イヨ、お/役者(やくしや)ア引 00071200¥N9¥J 00071210¥X/桃■香(とうゑんかう) 00071220L6/見得(ミゑ)をするやつ、/馬道(むまミち)の/岡本(おかもと)/源(げん)次郎(十ウ)が所の桃■香と 00071230L7いふ/名代(なだい)の/油(あぶら)をつけて/髪(かミ)をゆひ、おもいれあたまを/匂(にほ)ハせ、 00071240L8まづ/友(とも)だちの所へ行キ、あたまをふり立+はなして居れ 00071250L9ども、にほひをほめるものもなけれバ、もふこたへられず、 00071260L10手まへから、ナント、とんだヱヽ匂ひがするだらふ(十一オ) 00071270L11といふと、◇友達◇またぶしやれな事をしたなト、はなをつま 00071280L12む 00071290¥N10¥J 00071300¥X/和尚(おしやう)/親仁(おやぢ) 00071310L15/放蕩和尚(とうらくおしやう)の/吉原通(よしハらかよ)ひを、/旦家(だんか)のおやぢ、大きにはらを立、 00071320L16/真黒(まつくろ)になつて/寺(てら)へ行キ、和尚の/居間(ゐま)へずつと/通(とを)ると、和尚 00071330L17ハうなぎの(十一ウ)かばやきて/酒(さけ)を/呑(のん)でいる。おやぢいよ 00071340L18+はらを立、/出家(しゆつけ)のあるまじき、うなぎのかばやきなど 00071350L19を/喰(く)ハつしやるハ、どういふ事てござるときめかけれバ、 00071360L20和尚ハ大の/平気(へいき)にて、/是(これ)ハさかなでハござらぬ。◇旦那◇それ 00071370M1ハまた、なぜでござる◇和尚◇ハテ、(十二オ)元ハ山のいも 00071380M2から、うなぎになるものゆへ、やはり/精進(しやうじん)物でござる。今 00071390M3こそなまぐさものゝやうでも、/性(しやう)が山のいもじやから、く 00071400M4るしふござらぬ◇旦◇/夫(それ)ハそれで/能(よい)にもいたさうが、また此 00071410M5ほど、おり+女郎買をなさるとの事。/是(これ)ハいかゞの思し 00071420M6召でござる(十二ウ)◇和◇是もうなぎと同じやうなどうりで、 00071430M7/変生男子(へんじやうなんし)と申事もござれバ、男も/同然(どうぜん)でござる◇旦◇イヤ、 00071440M8しじうハへんじやうなんしにて男になるにもいたせ、/当時(とうじ) 00071450M9女でおるからハ、御出家のおもとめなされては/済(すミ)ますまひ 00071460M10和Sイヤ、よしハらのけいせいハ、やハり/当時(とうじ)(十三オ)も 00071470M11男/同前(とうぜん)でごさる◇旦◇それハどうして◇和◇ハテ、いきなんし 00071480M12見なんしといひます 00071490¥N11¥J 00071500¥X/考(かんがへ) 00071510M15さるかたへ/客(きやく)三人よハれて行く。/盃(さかつき)も/段(だん)+/廻(まハ)り、また/吸(すい) 00071520M16ものが出ると、/亭主(ていしゆ)かいふにハ、此吸もの(十三ウ)わんの 00071530M17中に、もやうがごさるが、是ハおかんがへなされて、あて 00071540M18ゝごろうじろといわれて、これハ一ツ/興(けう)と、まづ吸もの/椀(わん) 00071550M19のふたを見れバ、小の川と/銘(めい)あり。Sハテなト、ミな+ 00071560M20かんがへ、◇@壱人|の男@◇是ハ中のもやうが、関屋の/家根(やね)に、にハと 00071570¥P205 00071580L1りの時を/告(つけ)る(十四オ)所の画でごさらう△◇亭主◇それハとう 00071590L2いふ御こゝろでござる△◇客◇イヤ、小野川とあるゆへ、やハ 00071600L3り/関(せき)とりと申心でござる△◇客◇いかさま、これハ能ひ御あん 00071610L4じ。あなた方ハどうでござります△◇@今△|一人@◇/拙者(せつしや)ハ馬の画であ 00071620L5らふとそんじます(十四ウ)◇亭◇その御こゝろハな△◇客◇ハテ、 00071630L6小の川ゆへ、はねがつよひと伸心で、そこて馬とそんしま 00071640L7す△◇亭◇なるほど、かんしんいたしました。此中ハ馬の絵で 00071650L8ごさると、ふたをとれハ馬のもやう。ミな+、是ハとか 00071660L9んしんしてほめると、あとの壱人の男もだま(十五オ)つて 00071670L10もいられずと思ひ、いかさま、馬とハよく御あてなされた。 00071680L11◇亭◇そして貴さまも御かんかへなされたか△◇客◇なるほど、/拙= 00071690L12者(せつ=しや)も、/狼(おゝかめ)とまではあんじました 00071700¥N12¥J 00071710¥X/女郎買(ぢよろうかい) 00071720L15うぬほれなやつ、おれが買ふ女(十五ウ)郎が、どうもほれ 00071730L16てうるさくてならねへと/咄(はな)すと、/友(とも)だちが、それハめづ 00071740L17らしひ事だ。女郎のまことがあると、むかしハ/鶏卵(たまご)の四角 00071750L18が有つたげなとのせられ、Sウヽそれもある+。其おれ 00071760L19が女郎のかほが玉子のやふで、そして四角なかほだよ 00071770L20Sフウ、そん(十六オ)なら/晦日(ミそか)に月も出るはづだがといへ 00071780M1ハ、まけぬ気で、Sヲヽそれも有ル+。八ツ/朔(さく)から出す 00071790M2つもりで、晦日に/突出(つきだ)しの/仕度(したく)をして/居(い)た 00071800¥N13¥J 00071810¥X/独(ひとり)もの 00071820M5ひとりものゝとなりに、/兄弟(けうだい)つれにて/店(たな)をもち、/至(いた)つて/姉(あね) 00071830M6を大(十六ウ)/切(せつ)に致す事/神妙(しんべう)なりとて、/御褒(ごほうび)美下されけれ 00071840M7バ、となりの独りものもうら山しく、金がほしさにつく 00071850M8※かんがへ、おれも姉があらバほうびをもらハふに、ア 00071860M9ヽそれに付ても姉がほしひナア 00071870¥N14¥J 00071880¥X/化(ばけ)もの(十七オ) 00071890M12/吉原(よしハら)のたいこ/持(もち)、/湯治(とうぢ)のかへりにはこね山を/通(とを)ると、/杉(すぎ)の 00071900M13/木立(こだち)の中から、三つ/眼(め)大入道がぬつと出て、目をぐつと見 00071910M14ひらひておどすと、こつちハ大の/平気(へいき)にて、イヤ、/是(これ)ハ三 00071920M15つさん。お/久(ひさ)しう御ざりますといわれて、三つ目も、Sど 00071930M16ふしておれをしつて居る△◇たいこ◇これハ(十七ウ)モシ、どふ 00071940M17でごぜへます。たいこもちの/冨(とミ)八さ。御見わすれなさつた 00071950M18かとのせられ、三つ目もしらぬといつては/野暮(やぼ)だらうと、 00071960M19しつたふうに、なるほど、冨八どんなら、ずいふん/知(し)つて 00071970M20ゐるものをなどゝ合ハせれバ、冨八ハしめた物とおもひ、 00071980¥P206 00071990L1だん+(十八オ)/咄(はなし)をしかけ、/何(なん)でも江戸へつれて行て見 00072000L2せものにせふといふ山にて、いろ+はなしかけられ、三 00072010L3目ハそろ+/不気味(ふきミ)になり、/脇(わき)を/向(む)ひて/何(なに)かするを見れバ、 00072020L4そつと/眉毛(まゆげ)へつわを付ケる 00072030L5△△△/私(わたくし)ニ曰、此/化(ばけ)もののぬつと出たるとき、/通例(つうれい)のものならバ、キヤ 00072040L6△△△ツともいふべき所なれども、平気なるハ(十八ウ)たいこもちだけ 00072050L7△△△なり。へいぜい/色(いろ)&のばけものをとりあつかふしやうばいなれハ、 00072060L8△△△三つめくらゐを見てハ、びつくりせぬハ、もつともなるべし 00072070¥N15¥J 00072080¥X/馬鹿男(ばかおとこ) 00072090L11/此盆(このぼん)まへのはらひハどうたつた。Sイヤ、大がいすんだが、 00072100L12中にハうさんくさひ/掛(かけ)とりの来たぶんハ、ぶつそうだから、 00072110L13/払(はらひ)をしねへでやつたト、見へを/咄(はな)すと、(十九オ)◇馬鹿◇ウヽ、 00072120L14/随分(ずいぶん)うさんくさひかけ取もありさふな物だ。おらが内へハ、 00072130L15ふたん/糞(くそ)くさひこへとりが来る 00072140¥N16¥J 00072150¥X/料理(れうり) 00072160L18四五人より合、しつた/自慢(じまん)に、どこの料理が能くする、イ 00072170L19ヤあそこが安ひのと/咄(はな)すうちに、壱人が、ナント、ゑびす 00072180L20町の(十九ウ)大こく屋ハ、料理を能くして喰ハして、その 00072190M1うへに/極(ごく)/直(ね)が安ひの。ウヽヨ、娘がまたりこう者よ。そし 00072200M2てとんだかたひ娘で、石のやうだぜへ。Sハヽア、どうり 00072210M3でおれが/歯(は)が/立(たゝ)なんだ 00072220¥N17¥J 00072230¥X/鳶(とび)/烏(からす) 00072240M6鳶、からすとけんくわをはじめ、鳶が/云(いふ)(二十オ)には、か 00072250M7らす。手めへハ/馬(むま)や人のほねのすてゝあるを/喰(く)らつたり、 00072260M8そしていらざるきいたふうで、鵜のまねをして水をのんで 00072270M9くるしむ事などもあるから、何ンといつても、おらにハ/羽= 00072280M10根(は=ね)ハならべられねへといへハ、◇からす◇うぬこそ/虱(しらミ)をたけた 00072290M11り、人のあぶらけを/盗(ぬすん)だりして、人にいやがられる/悪鳥(あくてう)だ 00072300M12ト、(二十ウ)たがいに云イ合、/鳶(とび)ハぐつとせきこんで、こ 00072310M13しやくな事をいやアがる、ヒイヤロウメといへハ、からす 00072320M14もまけぬ気で、アホウ++ 00072330¥N18¥J 00072340¥X/掛(かけ)もの 00072350M17/俳席(はいせき)などへかけるに、しごくいきな絵の掛ものがはらひ物 00072360M18に来たが、おもとめなさらぬか。Sハテナ。それハ何ンの 00072370M19/画(ゑ)たナ。/唐画(たうくわ)かな(廿一オ)Sナニ、かぼちやの絵サ 00072380¥P207 00072390¥N19¥J 00072400¥X/子傳(こもり) 00072410L3/乳母(うハ)、子ともの小便をやるに、どうもないてこまるゆへ、 00072420L4アレわん+が、ソレ鳥がと、だましてもきかねバ、そば 00072430L5にある/銅(かな)たらいをたゝひてまぎらすつもりニて、/手水鉢(てうづはち)の 00072440L6ひしやくを取つて、かなたらいを(廿一ウ)グワアン。Sト 00072450L7ヽトヽヽヽヽヽヽヽ 00072460¥N20¥J 00072470¥X/芋好(いもすき) 00072480L10壱/軒(けん)の女郎屋にて、女郎十四五人いもすきゆへ、毎日いも 00072490L11を/買(か)つて/喰(く)ひ、とかく/客(きやく)の坐しきで/屁(へ)をひつて/成(なら)ず。客も 00072500L12あいそをつかして、だん+/少(すくな)くなれハ、是では/済(す)まぬ事 00072510L13と、二/階(かい)中(廿二オ)の女郎へ、芋を/喰(く)ふなと/内所(ないしよ)から云ひ 00072520L14わたし。若ひものハ二/階(かい)をおり+廻り、客のある女郎の 00072530L15部屋の口+ニて、/屁(へ)の用心さつしやりませう引 00072540¥N21¥J 00072550¥X/忍術(しのびしゆつ) 00072560L18/忍(しのび)の術しなん所といふかんばんを見て、弟子入に行ケハ、 00072570L19師/匠(しやう)のいふにハ、(廿二ウ)/拙者(せつしや)の/術(じゆつ)ハ七日でハ/丈夫(じやうぶ)にしの 00072580L20バれます。まづ一ト廻りけいこなされといわれ、七日/通(かよ)へ 00072590M1バ、モウ是ではどこへしのんでもよふござるが、/迚(とて)もの 00072600M2事に、モウ一ト廻りけいこなされバ、どこへしのバしつて 00072610M3も見付かる事てハござぬといわれ、又七日/通(かよ)ひ、二廻り 00072620M4けいこすれバ、もう是であんじハごさらぬ。まづ(廿三オ) 00072630M5ためしに、/隣(となり)の/柿(かき)をとりに行て見さつしやれ。見つかる事 00072640M6でハ無ひといわれ、手まへの心にも、もはや二廻りのけい 00072650M7こだから、人に見付かる事でハ有るまひと、隣の柿をぬす 00072660M8ミにはいり、かきの木へのぼつて、さつ+と取つてゐる 00072670M9と、男が見付、ヤレどろぼうヨとよひ/立(たて)、さん※(廿三ウ) 00072680M10ぶちのめされ、かの男きもをつぶし、これほどしのびのじ 00072690M11ゆつをけいこしたから見付らぬはづだが、何ンでも/聞(きい)て見 00072700M12やうと、カノミつけた男に、モシ、おまへハマアどなたで 00072710M13ごさりますと聞けハ、◇かの男◇おれハ此やしきの/見廻(ミまハ)りのも 00072720M14のだSハヽア、(廿四オ)どうりで見付つた。おれハ二タ 00072730M15廻りだつた 00072740¥N22¥J 00072750¥X/病人(びやうにん) 00072760M18能ひ町人のむすめ、むかふ/嶋(しま)へ行、かへるとしやく/気(け)にて 00072770M19くるしむゆへ、さつそく/医者(いしや)をよんで見せる。◇医◇ようだい 00072780M20を見て、コレハ(廿四ウ)何ンぞあがりものがわるふこざつ 00072790¥P208 00072800L1たらふ◇親父◇今日むかふしまで、/鯉(こい)にうなぎなどをたへさ 00072810L2せましたが、是でもあたりましたかもしれませぬ◇医◇それ 00072820L3でしれました。その鯉があたりましたと見へます。是ハす 00072830L4なハち、こいわづらひでごさる(廿五オ)◇親◇なるほど、こゝ 00072840L5ろ付ませなんだ。鯉ハおなごのしやくのたねだナア 00072850¥N23¥J 00072860¥X/雷(かミなり) 00072870L8此間大かミなりがおちて、/隣(となり)の三介ハ/臍(へそ)をとられましたと 00072880L9見へて、/即死(そくし)いたしましたとはなセバ、ハテ、それハ気の 00072890L10どくせんはん。(廿五ウ)せつしやも、アノかミなりで/肝(きも)を 00072900L11つぶしましたが、命にハさわりませぬ 00072910¥N24¥J 00072920¥X/魚(うを) 00072930L14魚ども大ぜいより合ひ、いろ+のはなしをして、/水底(ミつそこ)に 00072940L15/遊(あそ)んで/居(い)ると、おもひかけなく、うへから(廿六オ)/投網(とうあミ)を 00072950L16さつぷりとうたれると、◇魚◇/南無網(なむあミ)だア 00072960¥N25¥J 00072970¥X/狂哥(きやうか) 00072980L19/魚(うを)のほねを口のはたへ立、どうまじないをしてもぬけぬと 00072990L20ころへ、/浮木(うハき)の/早秋(はやあき)といふきやう/哥師(かし)見まひて、トレ、お 00073000M1れがましなつて(廿六ウ)やろふと、何か/紙(かミ)にかき付てなで 00073010M2まハすと、/直(ぢき)にとけがぬける。ミな+、これハ/奇妙(きめう)と、 00073020M3かの/書(かい)たかミをひらひて見れバ、一/首(しゆ)の哥、 00073030M4△△Sことハりやのどもとならばたちもせめ 00073040M5△△△△さりとてハまた/鼻(はな)の下とは(廿七オ) 00073050¥N26¥J 00073060¥X/雪(ゆき) 00073070M8/扨(さて)大/雪(ゆき)でござります。しかしゆきハ/豊年(ほうねん)のミつぎものだの。 00073080M9Sイヱ、わたくしは/寒(さふ)がりの/方(ほう)で、四つ/着物(きもの)を着ておりま 00073090M10す 00073100¥N27¥J 00073110¥X/夫(ふう)婦けんくわ 00073120M13また/隣(となり)でふうふけんくわを(廿七ウ)はじめたそうだ。こま 00073130M14つたものだ。/毎日(まいにち)+のふうふけんくわに、モウとりさへ 00073140M15に行もめんどうだ。ぜんたい、もとがやきもちからおこる 00073150M16事だらうといへバ、ナニサ。けふは/酒(さけ)からおこつたさうさ 00073160¥N28¥J 00073170¥X/神道者(しんとうじや)(廿八オ) 00073180M19/神道者(しんたうじや)、女郎/買(かい)に行、大もてニて、女郎ハいろ+手を出 00073190M20してつとめる。神道者もさるものにて、◇神道者◇此うへ、お 00073200¥P209 00073210L1れをよんでくれる気か◇女郎◇ぬしが来ておくんなんす心な 00073220L2ら、とうともしておよび申シいす◇神◇そのやうな事をいつ 00073230L3て◇女◇どう(廿八ウ)したへ。@折ふし/内所(ないしよ)の/神棚(かミたな)の|/鈴(すゞ)ガラ+と鳴る。@◇神◇わらひた 00073240L4まへ、くるめてたまへと申ス 00073250¥N29¥J 00073260¥X/手長(てなが) 00073270L7ナント、/権兵衛(ごんべい)ハ見かけによらねへ、/気(き)のながひ男たの。 00073280L8Sウヽヨ。しかし見かけによらぬものと見へて、おらがと 00073290L9なりのむすこも、見た(廿九オ)所ハちいさな男で、おれが 00073300L10目にはどうも見へねへが、ミんなが手が長ひといひやす 00073310¥N30¥J 00073320¥X女郎の/屁(へ) 00073330L13女郎、/初会(しよくわい)のきやくの/床(とこ)へ来て、モシ、おやすミなんした 00073340L14かへと、おこして見ても、/客(きやく)ハ/寐(ね)たふりをして、(廿九ウ) 00073350L15だまつて/居(い)るゆへ、/夜着(よぎ)の中へはいり/寐(ね)るひやうしに、ブ 00073360L16ウツと大キな/屁(へ)をひとつひると、きやくハおかしさをこた 00073370L17へ、/息(いき)をつめている。女郎ハはづかしく、ほんとうにねて 00073380L18居れバよひが、もしそらねいりかと、ほそ/目(め)にそろ+あ 00073390L19いて(三十オ)見る。きやくも女郎もかほを見よふとおもひ、 00073400L20そろり+と目をあいて見れども、うすくらくて見へず。 00073410M1@/此所(このところ)/双方(そうほう)△|/無言(むこん)なり。@女郎もだん+/首(くひ)をもちあげて、きやくのかほ 00073420M2をミると、両ほう目と目をてうど見あハせる。◇女郎◇ヲヤ 00073430M3◇客◇(三十ウ)@そばのあんどうをふつと/吹(ふき)けす、|其きつかけに引ケのひやうし木、@△チヨン+チヨン 00073440M4++++++ 00073450¥A右落咄三十一篇△曼鬼武戯作 00073460M8△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(三十一オ) 00073470M9△△△まつ花の 00073480M10△△△△△△わらひ始や 00073490M11△△△△△△△△△△福寿草(三十一ウ) 00073500¥P210 00073510¥Y跋 00073520L3/三十一篇(さんじういつへん)の/集(しう)、/首尾能(しゆびよ)ふ/成就(じやうじゆ)/仕(つかまつ)りますれハ、まづ/今年(こんねん)ハ 00073530L4/是切(これきり)でこざります。/跡(あと)ハ/来春(らいはる)/来歳(らいねん)の/噂(うハさ)ハ、/鼠(ねづミ)が/和良嘉吐(わらうかど)/其= 00073540L5子(その=ね)のとしの(三十二オ)/冨貴樽(ふつきたる)。/曼鬼武(まんおにたけ)が/尾(お)に/尾(を)をつけ、/新= 00073550L6作咄(しん=さくはなし)の/証人(しやうにん)ハ、/予(よ)が/請合(うけあい)の/長口上(なかこうじやう)。/則(すなハち)/跋(ばつ)とも/成(な)るならバ、 00073560L7/御見物(ごけんふつ)の/口悪(くちわる)に、/跋(はつ)があたるといゝツこなし 00073570L9△△△△△△△△△△△△△△△△△難浅窓主人識 00073580L10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(三十二ウ) 00073590¥Q 00073600M1珍らしき新板諸品追&出来 00073610M3申候御求メ御覧可被下候 00073620M8△△△江戸通油町 00073630M9△書林△△△△蔦屋重三郎 00073640¥P211 00073650¥U噺本大系△第十二巻 00073660¥T/笑(わらい)の/初(はじま)り△〔序〕 00073670¥G 00073680¥Y 00073690L18寛政四年正月序 00073700L19桜川慈悲成序 00073710L20小本一冊 00073720¥Y序 00073730M3むかし+其昔、祖父とばゝアとあつたとさ。祖父ハ山へ 00073740M4桜狩、ばゝアハ川へ船ゆさん。其船鬼ケしまへなかれしに、 00073750M5ばゝア様とちゝ(序一オ)くりやい、生た其子のかつこうハ、 00073760M6頭がさるで、からだがいぬ、尻尾ハつま乞雉子也。是ハ珍 00073770M7らし+と、老若男女おしあいへしやい見物を、ばゝア 00073780M8(序一ウ)あくしんで、よくの河端よしづばり、お茶をあが 00073790M9つて珍物を御らんなされの銭もふけとハ、耳ヲ取て鼻はだ 00073800M10口から出まかせの落咄のまへ狂言、春の(序二オ)はしめの 00073810M11笑イの初り、笑てそんしたためしなし。さあ+おわらひ 00073820M12+と、ホヽうやまつて 00073830M13△△△△△△△△△△△△△△桜川慈悲成述 00073840M14△△△寛政四/子(ねつミ)ノこわ色△△△△△△△△△△G 00073850M15△△△△△よくに太郎月 00073860M17△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序二ウ) 00073870¥P212 00073880¥N1¥J 00073890¥X岩井半四郎 00073900L3S今度/杜若(とじやく)を、/木挽(こひき)丁から/抱(かゝ)へよふ、堺丁からもかゝへよ 00073910L4ふと、双方大いざこざに成り、杜若も大きにてこすり、イ 00073920L5ヤ+、そふ言事なら、今年ハ先(1オ)休ミませふと芝居 00073930L6を休ミ、山下へ茶屋見せを出し、店にハ前だれ掛ケの若イ 00073940L7者を/置(おき)、その身ハ奥座敷にズツトたばこを呑ンで居る。見 00073950L8せの若イ者杜若を御らうじてお茶あがれ(1ウ) 00073960¥N2¥J 00073970¥X花鳥茶屋 00073980L11四五人連で浅艸へ参り、帰りに花鳥茶屋へ寄り、名鳥を詠 00073990L12メ茶を呑んで見て居ると、おらんだのほとゝぎす二羽有。 00074000L13壱羽が、トツケチヤアと鳴ク。コイツア(2オ)妙だ。おら 00074010L14んだの時鳥は、なきよふ迄違ふと言と、又壱羽が、テツへ 00074020L15ンカケタと鳴。なんの事だ。日本のとおなし事たといへば、 00074030L16てい主あれハ通事でござります(2ウ) 00074040¥N3¥J 00074050¥X/晴(せい)天の/雷(かミなり) 00074060L19ナント能イ日和ではなひかと、大勢イ噺して居る。俄にぐ 00074070L20わら+ぴつしやりと壱つ鳴つて落る。大勢イなれば、さ 00074080M1つそくつらまへ、につくひ(3オ)雷め。/都(そうじ)而雷と言者ハ、 00074090M2あめでもふるか、遠方から段&と鳴て来る物だに、たつた 00074100M3壱つて落て、ナセ大勢にきもを潰させたと言へば、カミナ 00074110M4リ今でハ、なりにもふりにもかまわぬのサ(3ウ) 00074120¥N4¥J 00074130¥X/馬鹿(ばか)むすこ 00074140M7三吉や。あしたハ元日だか、大屋様へ上下をきて御礼にゆ 00074150M8くたよ。Sヲヤ、何と言て△S此子ハばかな。御慶で御め 00074160M9てたうこざりますといつてこい△Sアヽイ(一オ)ト言て、 00074170M10はやく/起(おき)て大屋へ行、道&御慶をいゝなからゆく。大屋、 00074180M11門口で礼に出かけニ行合、Sホイ三どの。御慶でこざる 00074190M12S三こいつハめうだ(一ウ) 00074200¥N5¥J 00074210¥Xつば 00074220M15去れき+の御侍、やなぎ原の干見世にて鍔を見給ひ、近 00074230M16習に、直をきけと仰らるゝ。S此鍔ハいかほどしや△Sハ 00074240M17イ。百十文仕ります△S御前の御もとめなさる(二オ)のし 00074250M18や。もつと高く云へといわれ、商人、大キなこゑて、百十 00074260M19文 00074270¥P213 00074280¥N6¥J 00074290¥Xわきざし 00074300L3こん日の花見にハ、何ンそめづらしいしゆかうで行かふと、 00074310L4いろ+あんじ、十人ばかり、ミんなわき(二ウ)さしを右 00074320L5へさして、キン+出たちで、三めぐりの茶屋へ寄て休ん 00074330L6でいると、あとから、いしやのやうな坊さまかきて、同し 00074340L7く腰をかけ、よく+見て、きもをつぶし、右のかたへさ 00074350L8しかへる(三オ) 00074360¥N7¥J 00074370¥X年号 00074380L11八とんや。年号か替つたか、しつたか。Sイヽヤ。何とか 00074390L12わつた。寛政と。Sナニ、くわんせい。ハテ云にくい名だ。 00074400L13十介とか一介とか附れハいゝに。(三ウ)てい主ハテ、そん 00074410L14な年号か有物かへ。Sヤレ、そふでない。むかし、文治と 00074420L15いふと元禄といふか有つたよ 00074430¥N8¥J 00074440¥X芝居 00074450L18お国家のさむらい、さかい丁へゆき、ぶら+とあるく。 00074460L19木戸、(四オ)モシ+。たゝいまが市川団十良工藤で、兄 00074470L20弟たいめんのところ。御らんなされませといふ。侍、ずつ 00074480M1とはいり、一目見てきもをつぶして、こしをかゞめいる。 00074490M2そバのけん物もし、さすがお江戸の一でこざるといふ。(四 00074500M3ウ)侍いかさま、御大身でこさる。そしてお高ハ何万石で 00074510M4ござるな 00074520¥N9¥J 00074530¥X娘 00074540M7十六七のひとりむすめ、ふら+やまひにて食も進ず。と 00074550M8ふか気のやまひなれハ、二おやの(五オ)あんじ、大かたな 00074560M9らす。おやぢ、Sとなり町のいしやの所へ、手紙を書て遣 00074570M10る。S弥無御替珍重に在候。随而むすめ事、とかくと、娘 00074580M11Sヲヤ、おとゝさん。とんだうそ斗つり(五ウ) 00074590¥N10¥J 00074600¥X見物 00074610M14いなかきやくに江戸見物させんとて、先さかい丁へつれて 00074620M15行。コレきやく人。これかさかい丁といふのたとおしへる。 00074630M16Sきやくやぐらをつく+なかめて、何うそをいふ人た。 00074640M17たつ(七オ)いてうだ 00074650¥N11¥J 00074660¥X孫 00074670M20もし、ちいさんや。おねんふつよりあくひか有かたいの。 00074680¥P214 00074690L1▽何、はかなやつだ。おねんふつより、ありかたいものか 00074700L2有ものた。孫それてもあくびの(七ウ) 00074710¥N12¥J 00074720¥Xたこ 00074730L5たこ、あまりあつさに、はしの下へ出て、ひるねをしてゐ 00074740L6る。S猫見付、足を七本くい、一本のこしておく。たこ、 00074750L7目をさまし、Sなむさん、足をくわれた。かなしやと、向 00074760L8ふを(八オ)見れハ、ねこ、そらねゐりをしてゐる。タコ、 00074770L9川へまきこまんと、一本の足てちやらす。S猫その手ハく 00074780L10わん(八ウ) 00074790¥N13¥J 00074800¥X稚心 00074810L13めしたきの三助、風をひき、食事いけぬゆへ、たんな、コ 00074820L14レ三助。まずくともがまんしてくや。めいハしよくにある 00074830L15そといへば、むす子きいて、もしとゝさんや。三助か国ハ 00074840L16(九オ)そんなら、からかへ 00074850¥N14¥J 00074860¥Xおび 00074870L19八ヤ。おらアおめひかけねヱ金壱分ばかりもふけたから、 00074880L20こはくのおびを買ふとおもふ。▽アヽそりやよさつせい。 00074890M1○ナセ。▽ちりだらけになる(九ウ) 00074900¥N15¥J 00074910¥X力ぢまん 00074920M4年寄たち二三人集り、おらかわかひ時にハ、とんたつよか 00074930M5つた。おいらもわかひときハ力かあつて、四斗俵三俵つゝ 00074940M6ハかるかつた。それて(十オ)人に馬といわれた。▲壱人の 00074950M7おとこきゝかねて、おらアそんなこつちやねヱ。わかひ時 00074960M8ハうしといわれた。▲ホヽ、そんならまた力か有たか。 00074970M9▲朝いつそ気ぶせうて、埓かあかなんだ(十ウ) 00074980¥N16¥J 00074990¥X凧 00075000M12つんとした女ほう、でつちをつれて通るうしろへ、凧かお 00075010M13ちたを、しらぬふりて行、今落たハ何ンだ。ハイ、凧でご 00075020M14さります。ムヽ、おれハ又(十一オ)仙人かとおもつた 00075030¥N17¥J 00075040¥X道心 00075050M17おもてを道心坊か通るを見て、内義、さて+きたない坊 00075060M18主しやといふ。S主めつたな事をいふな。弘法さま(十一 00075070M19ウ)たもしれぬといふをきゝ、S坊主立とまり、なむ三、 00075080M20顕れたといふ。S主扨も+ふとい坊主た。弘法さまだも 00075090¥P215 00075100L1しらぬといふたりや、あらわれたとぬかしたといわれ、 00075110L2(十二オ)S坊主又顕れた 00075120¥N18¥J 00075130¥X皿 00075140L5無筆なるいんきよ、なんきん皿をかひ、孫の三吉を呼、コ 00075150L6レ、おれハよめぬから、この箱へ、かなて、なんきんさら 00075160L7(十二ウ)と書ておけ。アイと△S三吉ふてをとり、かなに 00075170L8て、なんきんと書しに、下かつまりしゆへ、字て皿と書け 00075180L9れバ、Sこれ+、書判には及ハぬ 00075190¥N19¥J 00075200¥X唄(十三オ) 00075210L12馬士かつれ立て行なから、コウ、きのふかうし町を通つた 00075220L13らア、三ミせんを引て、うたをうたつたア。Sハテ、とん 00075230L14な事をいつたア△S何ンたか、こひハくせものだアと(十 00075240L15三ウ)いつたア。それから又聞たら、恋はいなかのさくの 00075250L16たねといつたア 00075260¥N20¥J 00075270¥X番人 00075280L19店もの、さる所で遊ひすこし、内の首尾をあんし+、帰 00075290L20り(十四オ)ながら、モウ何時か、聞て見やふと、番所/□((へカ))立 00075300M1よると、番人戸を明、あくびしなから、モウ何時でこさり 00075310M2ます 00075320¥N21¥J 00075330¥X店越 00075340M5きほひ、裏店へ引越、店廻りを(十四ウ)しける。隣に浪人 00075350M6居られしか、此人はなはた大へいなる挨拶。きほひ、以の 00075360M7外はらヲたてども、引越と早&けんくわもならず。しはら 00075370M8く居なしみ、大やの所へ行、もし大家さん。隣の浪人(十 00075380M9五オ)殿、あふへいな人ゆへ、長やの者か腹を立て居ます。 00075390M10あのやふな人を置てハ御まへの御ためになりませぬから、 00075400M11早&店を御たて被成たら、よふ御坐りませふといふ。S大 00075410M12やはて、侭にしてをかつしやれ。詞でも(十五ウ)大へいに 00075420M13いわねハ乞食とまかひます 00075430¥N22¥J 00075440¥X医師 00075450M16下手な医師殿、病家から帰ると、さしを拝む。女房、ふし 00075460M17きにおもひ、何ゆへさしを拝ミ給ふといふ。はて(十六オ) 00075470M18馬鹿な事をいわつしやる。是かなけれハ、とふに解死人に 00075480M19なります(十六ウ) 00075490¥P216 00075500¥U噺本大系△第十二巻 00075510¥T/拍子幕(ひようしまく)〔題簽〕 00075520¥G 00075530¥Y 00075540L16寛政四年頃序 00075550L17麻布光交序 00075560L18小本一冊 00075570L19東大国語研究室蔵 00075580¥Y序 00075590M3東西+、高ふハ御座りませんから、おん求メなさりまし。 00075600M4扨+当年は別而飛切り大極上&吉、正札附の落し噺を取 00075610M5組、御覧に入れ舛るやうニござりますゆへ、(序オ)また 00075620M6+いつに替らず、御評判の程を希ます。先は口上さよふ 00075630M7に 00075640M9△△△鼠ノとしお正月 00075650M10△△△△△△△△△△△△△△△麻布光交誌 00075660M11△△△△△△△△△△△△△△△△GG 00075670M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序ウ) 00075680¥P217 00075690¥N1¥J 00075700¥X子ぞうがあめ 00075710L3てうしのはまでいわしがとれるといふて、あめを売てくれ 00075720L4ハ、屋敷のまどより、いわしよ+と、あめうりの事をし 00075730L5やれてよべバ、先へ行さかなうり、あとをふりか(壱オ)へ 00075740L6り、何へ、いわしでハごせへやせん。ひしこで御ざりやす 00075750L7が、それてもよしかへ。Sやしきのまと△Sいゝゑ、あめう 00075760L8りのことさ+△Sさかなうりばか+しい。いまごろ、あ 00075770L9ミがあるものか 00075780¥N2¥J 00075790¥X/鹿(しか)茶屋(壱ウ) 00075800L12Sばか二三人、浅草へまいり、かへりに鹿茶屋へつつとは 00075810L13いりて、何かきよろ+見廻シて、まごつきて居る所へ、 00075820L14子ぞう、茶をくんでもつてくれバ、Sばか是+、山くし 00075830L15らを出シてくんなといへハ、子ぞう、くつ+とハらい、 00075840L16(二オ)もしへ、山くじらと申ハ、鳥で御ざりますかときけ 00075850L17バ、Sばかべらぼうめ。山くじらをしらねへか。ソレ、ぼ 00075860L18たんのすいものよといふゆへ、子ぞうもあきれて、もし、 00075870L19そんなものハ御ざりませんと、おかしがつていへハ、Sば 00075880L20かウヽないか。なくバかんばんにしやう(二ウ) 00075890¥N3¥J 00075900¥Xおぢいがあめ 00075910M3おぢひがあめ、芝いへ行、かゑつて見たれバ、どろぼうが 00075920M4はいつて、いるひ、なべかま、ほうろくまでとつて、たゝ 00075930M5ミ、すりこぎをはこぶ所へ、Sおぢい帰り、是ハどふした 00075940M6事だと、うろた(三オ)へてきよろ+として、近所を見て 00075950M7いれバ、Sどろぼうども、あとをふりかへり+見て行け 00075960M8バ、Sおぢい、どろほうをよびかけて、是+、水かめも 00075970M9ある(三ウ) 00075980¥N4¥J 00075990¥Xつんぼ 00076000M12Sかなつんぼ、芝いのるすにたのまれて、となりへ行てい 00076010M13たりしが、おもてのほうで、たのんませう+といふを、 00076020M14ていしゆ一人きゝ付て、是+、おもての口に、たのんま 00076030M15せうがあるから、出てくれろ(四オ)と、つんぼにしかたを 00076040M16して見せければ、つんぼ、大ごへにて、どふれといふてだ 00076050M17い所へ出、とつちから御出なさりましたといへば、つかひ 00076060M18の者、ハイ+。私ハ多田すけ兵衛かたからさんじました 00076070M19が、けさほどハせつかく芝いへ御さそ(四ウ)ひなされまし 00076080M20たが、折せつ、内きやくをゑまして、ざんねんながらまい 00076090¥P218 00076100L1りませんと長口上をいふかいわぬ先に、つんぼハ口上のま 00076110L2ん中比にて奥へはいつて、もし御ていしゆ。あのとふり 00076120¥N5¥J 00076130¥X/馬鹿(ばか)(五オ) 00076140L5Sばか、本所へつかいに行て帰り、Sもし旦那様。こん日 00076150L6両ごくで、めうな物を見ました△Sウヽ、それハなんだ△ 00076160L7Sばかアイ。さかさまになつて、うごかずにおよいて行ま 00076170L8した△S主人ばかめ。それハ/土(ど)左衛門だろう△Sばかヘイ。 00076180L9あなたの御近付でござりますか(五ウ) 00076190¥N6¥J 00076200¥Xゑほう参 00076210L12是、作兵衛どの。此正月ハどこの内へゆきても、もちと酒 00076220L13かたくさんな。世の中がよくなりました。是から、だん 00076230L14+なにもかもさがり、くらしかたも(六オ)いたしよくな 00076240L15りませう。きのふゑほうまいりに行て、小判百両を廿四文 00076250L16でかつてきた。大きにやすくなりました。しよじか此通り 00076260L17にさがるて御ざりましやう。(六ウ)友たち手まへハどんな 00076270L18事をいふ。小判百枚ハ六十〆する。それを廿四文や三十二 00076280L19文にうるべらぼうがあるものか。あんまりな、たハけなこ 00076290L20とをいふな。ちつとたしなめ。ヲヽ、そのよふにいぢ(七 00076300M1オ)めるなよ。是ハな、ほうねんのねごとだ 00076310¥N7¥J 00076320¥X八ツ山 00076330M4奥州のじゆんれい、八ツ山を見て、扨、爰ハ山を引うけ、 00076340M5海を見はらし、けいのよい、おもしろい(七ウ)所で御ざり 00076350M6ます。此所にくつたくなくすむ人ハ、誠にごくらくた。う 00076360M7らやましい。やと引おまへ達ア、爰の如来様をおがまつし 00076370M8やつた/が((ママ))。イヽヱ。まだて御ざる。宿引そんならおがミな 00076380M9さい。ずつ(八オ)(八ウ・九オ挿絵)とむかふの奥に見へるが 00076390M10如来様。両わきのがべんてん様。よくおがんでおきなさい。 00076400M11道者ありがたふ御ざります。誠の生如来、是でハ定仏をい 00076410M12たすで御ざりませふと、なミだをこぼして(九ウ)おがむ内 00076420M13に、いづくともなく鬼ども罷出、定仏するといふが、まだ 00076430M14是でハならぬ。定仏と申者ハ、万ほうそろうてからの事。 00076440M15まだかけた事がある。道者なにがかけました。(十オ)鬼爰 00076450M16にハぢごくがない 00076460¥N8¥J 00076470¥X戸人 00076480M19雪ふりに、流人者はなはだくらしかたにこまり、二三日食 00076490M20もくわず、いかゞせんとしあんじて居る所へ、たのミませ 00076500¥P219 00076510¥G(八ウ・九オ) 00076520M1ふと中間がくる。遠(十ウ)ゑんの所より、暮の餅一かざり、 00076530M2こまめ一袋来ル。なにも喰ものゝなき、しあんの所へ大悦 00076540M3び。あいさつもつと+にし、なんぞな、うつりをといゝ 00076550M4なから、先重箱に紙を入ンとさがす。もとより紙もなし。 00076560M5アヽ(十一オ)折わるいといゝながら、附木をさがす。これ 00076570M6も又ひとさきもなし。アヽこまつたといへば、亭主此よふ 00076580M7な目出たい時のうつりにハ、まづたく山にふる雪がよひ 00076590M8(十一ウ) 00076600¥N9¥J 00076610¥Xむけんのかね 00076620M11ゑんま王の前へ、ごくそつども罷出、さて親方。此ごろハ 00076630M12かまをハちんもちにかしてやるし、鉄ぼうハしちにおき、 00076640M13商売をやすんでいてつまらぬもんだが、どふし(十二オ)た 00076650M14らよふ御ざらふ。ゑんま王又よい事もあらふから、しんぼ 00076660M15うをしやれ。ごくそつども其様な先のしれぬ事をまつている 00076670M16よふな、ゆるやかしい事でハない。いつそしやばへいつて、 00076680M17むけんのかねでもつくべい(十二ウ) 00076690¥N10¥J 00076700¥X子おろし 00076710M20横丁に子おろしができた。きけば、うつくしい者だといふ。 00076720¥P220 00076730L1いつて見よふと二人で行けバ、子おろしのとなりより、友 00076740L2だち出る。これ八よ。此子おろしハ(十三オ)どこから来た。 00076750L3そしてうつくしいげな。ほんの事か。◇八◇こりや、あの手ま 00076760L4へたちもしつていよふ。当麻の中将ひめた。二人ウヽ、そ 00076770L5の中将姫といふハ、はすの糸とつた人か△◇八◇ウヽ、その中 00076780L6将姫だ(十三ウ)から、中条流のくわんそた。そこで、たへ 00076790L7まからこつちへ見せをだした女いしやの元とよ。二人そん 00076800L8ならきミのわるいもんだ。なんぼいつても、あまでハ子を 00076810L9うんだ事ハあるまいし、しらふ(十四オ)とだによつて、き 00076820L10ミがわるい。命にかゝわるりやうじ、あぶないもんだと、 00076830L11高ごへのはなし。内からきゝ付て、中将ひめ、せうじを明 00076840L12て、私だとて、まんだらでもねい(十四ウ) 00076850¥N11¥J 00076860¥X大雪 00076870L15大雪のふる日、ていしゆ、かゝをよんで、たんすの引だし 00076880L16をおもてへ出して、あの雪をたんとしまつておきやれ。女 00076890L17房おまへハきがちがひなさつたそうな。そん(十五オ)なに 00076900L18雪をしまつておいて、どうするへ。ていしゆもふ日がねい 00076910L19ハ。正月ものゝわた入にする。女房それハ思ひ付だか、春 00076920L20の日のあたる所をきて行たら、すそから雨だれが落よふ。 00076930M1ていしゆじよさいが(十五ウ)あるものか。とい竹をすそま 00076940M2ハしにする(十六オ) 00076950¥P221 00076960¥U噺本大系△第十二巻 00076970¥T/笑府(おとしばなし)/衿裂米(えりたちこめ)△〔序題〕 00076980¥G 00076990¥Y 00077000L15寛政五年正月序 00077010L16曲亭馬琴序 00077020L17北尾政美画 00077030L18蔦屋重三郎板 00077040L19中本一冊 00077050L20国立国会図書館蔵 00077060¥Y/笑府(おとしはなし)/衿裂米(ゑりたちこめ)叙 00077070M3/中街(なかのてう)の/夕鯵(ゆふあぢ)、江戸前の/活(あたらし)きといへども、/河岸(かし)を三/篇(べん)/廻(まわ)る 00077080M4に/及(およ)んで、/既(すで)にこれを/腐(ふる)しとせん。/今也(いまや)/新作(しんさく)のおとし/咄(はなし)と 00077090M5いへとも、/今日(こんにち)見たる人ハ、/明日(めうにち)/必(かな)らす/古(ふる)しと/せ(いわ(ママ))ん。/小田= 00077100M6原河岸(おだ=ハらかし)の/天明(しら+あけ)も、/富沢丁(とびさハてう)の/虞渕(なゝつすぎ)も、/古(ふるき)ハ古をよしとし、 00077110M7/新(あたらしき)ハ新をよしとす。/黒羽二重(くろはぶたゑ)の/年数(ねんすう)ものより、/寧(むしろ)/生木綿(きもめん) 00077120M8の/切立(きりたて)ニハしかずと、しつけ/苧(そ)の/糸(いと)もて/綴(つゞ)りし/仕立(したて)おろし 00077130M9の/赤本(あかぼん)となすことを、曲亭馬琴◇@馬|琴@◇がいふ 00077140M12△△癸丑のとし青梅しまの風光るあした 00077150M13△△△△遠山小もんの山わらふ日(一オ) 00077160¥P222 00077170¥G(一ウ・二オ) 00077180¥N1¥J 00077190¥X御慶 00077200M3ねんしの礼ニ、元日のあけ七つじぶんからでかけて、ぎよ 00077210M4けい+といつてあるけど、どこのうちでもおきす。のち 00077220M5にハじれがきて、むりやりニ戸をあけてはいらうとすれバ、 00077230M6うちでハきもをつぶし、うちから戸をおさへてゐる。外で 00077240M7ハはいろうとするはづミに、戸がばつたりはつれ、たがい 00077250M8ニかほを見あわせて、あけましてハおめでたう(一ウ) 00077260¥N2¥J 00077270¥X長しり 00077280M11ながしりのきやく、よのふけるもしらずはなしてゐれバ、 00077290M12女ぼう、ぐつとたいくつして、ほうきをたてゝ、かへるま 00077300M13じなひをすれバ、そろ+きせるをしもふ。ヤレうれしや。 00077310M14もふかへるそふだとおもふところニ、ほうきが/で((ママ))たりころ 00077320M15ぶと、又きせるをだす。女ぼう、大ニせきこミ、ほうきを 00077330M16たてれバころび+すれバ、きやくもきせるをだしたりい 00077340M17れたり+(二オ) 00077350¥P223 00077360¥G(二ウ・三オ) 00077370¥N3¥J 00077380¥X開帳 00077390M3かいてうまいりのばあさまふたりゆきあひ、ヤレ+久し 00077400M4ぶりでおめにかゝりました。わたしハモウ六十じやが、お 00077410M5まへハおいくつだへ。Sわたしもてうど六十一さ△Sそん 00077420M6なららいねん、わたしハおなひどしだ(二ウ) 00077430¥N4¥J 00077440¥X角力 00077450M9つんぼう、はじめてすもうけんぶつニゆき、とりくミを見 00077460M10てけんくわとこゝろへ、そろ+べんとうばこをしまひ、 00077470M11にげじたくをするうち、とう+ひとりのすもうがなげら 00077480M12れ、ぎやうじがうちわをあけると、けんぶつがどつとほめ 00077490M13れバ、つんぼう、けげんなかほをして、ハテ、はやいなか 00077500M14なをりた(三オ) 00077510¥P224 00077520¥G(三ウ・四オ) 00077530¥N5¥J 00077540¥X仁王 00077550M3もしへ、つかぬことでおすが、あの仁王さんのわきにいゝ 00077560M4すふたりの子供ハ、なんでおすねへ。あれハこんがらどう 00077570M5じ、せいたかどうじといつて、ちやうど女郎しゆのふたり 00077580M6かむろを見るよふなものよ。Sムヽ、それでわかりいし 00077590M7た。そんなら大きくなると、仁王さんになりいすかねへ 00077600M8(三ウ) 00077610¥N6¥J 00077620¥X上戸 00077630M13さけずきのきやくじん、おれハ人とちがつて、さけをのむ 00077640M14ニ、おさへるの、ひかへるのといふがきらいだ。それハい 00077650M15つそさつはりしてようごさります。又あいをたのむもきら 00077660M16いだ。それハ又あんまりさつはりとなされすぎますといへ 00077670M17バ、ありつきり、ひとりでのむがいゝ(四オ) 00077680¥P225 00077690¥G(四ウ・五オ) 00077700¥N7¥J 00077710¥X芝居の馬 00077720M3しばいずき大ぜいあつまり、しばいといふものも、ほんの 00077730M4きやうけんだとハおもひなから、ぜうずのしうちをミれバ、 00077740M5なミだがこぼれる。そのぜうずのあるなかで、馬のあとあ 00077750M6しになるほと、おちのこぬやくハあるまひといへバ、ひと 00077760M7りの男が、Sナニサ、しばいの馬も、おり+ハはねやす 00077770M8(四ウ・五オ) 00077780¥N8¥J 00077790¥X長者 00077800M11あるてうじや、ようかんをもらひ、大ぜいのけらいニくわ 00077810M12せけれバ、ミな+くちをそろへて、この/長餅(なかもち)ハよいなが 00077820M13もちでごさりますといふ。てうじや、そのほうたちハもの 00077830M14をしらぬ。これハながもちといふものでハない。ようかん 00077840M15といふものじや。けらいそれでも此もちニかぎつて、一ト 00077850M16さほ、ふたさほと申シます(五ウ) 00077860¥Q◇北尾政美画◇ 00077870¥P226 00077880¥G(五ウ・六オ) 00077890¥N9¥J 00077900¥X年礼 00077910M3あるおとこ、だんなでらへねんれいニゆき、はなしのつい 00077920M4でに、モシおせうさま。よのことわざに、百日のせつほう 00077930M5へ一つとまふしますが、へを一つひりますれバ、せつほう 00077940M6にもむかひますかな。Sイヤ+、それハこゝろへちがひ。 00077950M7へと申ものハ、きついほとけのおきらいなさるゝことじや。 00077960M8そこてほとけニはむかふものをハ、へのおとゝおなじこと 00077970M9だといふこゝろで、ぶつてきと申スてや(六オ) 00077980¥N10¥J 00077990¥X神主 00078000M12けふハとしのはじめとて、初そらもゆたかに、かすミのし 00078010M13めなわ引はへたるハ、おのづから神代のこゝちせらる。何 00078020M14かしとよハれぬるかんぬし、日ころよりそゝかしきおのこ 00078030M15なりしが、元日のことなれハ、ゑほししやうぞくあらため、 00078040M16おのがだんなばへねん礼に出し道にて、ふとこゝろやすき 00078050M17おとこにあひ、かのおとこ、こしをかゞめて、Sミやもり 00078060M18さま。あけましてハよいはるてごさりますといへバ、かん 00078070M19ぬし、あわたゝしく、ゑぼ(六ウ)しをおさへ、Sごめんな 00078080M20さい。かぶつております 00078090¥P227 00078100¥N11¥J 00078110¥X四もん屋 00078120L3八もんつゝのものをうつて、八もんじやといふがあるから、 00078130L4四文つゝの物をうつて四文屋ハどふてあらふ。これハよか 00078140L5ろうと、四もんつゝの物をうれバ、ことのほかはやり、こ 00078150L6ゝへも四もん、あそこへも四文と、かいてがくる中に、さ 00078160L7ばのやいたのを一トくしくださいと、たつた弐文おいてか 00078170L8つてゆけハ、うり/人(て)大にはらをたて、Sおまへもマアばか 00078180L9+しい。四文屋とかいてあるに、二もんの(七オ)ものが 00078190L10あるものでごさりやすかときめつくれバ、かいて、少しも 00078200L11さハがす、Sわしハ又四文やといふから、弐もん/鯖(さば)もある 00078210L12かと思ひました 00078220¥N12¥J 00078230¥X河原崎 00078240L15かわら崎の座元、大にはらをくだし、なやミけれバ、いろ 00078250L16+りやうぢをするに、つんぼう程もきかず、これハどふ 00078260L17したものであろうと、あるゐしやによふすを見せるに、ゐ 00078270L18しや、ミやくをうかゞひ、これハ世にいふ金くそをひると 00078280L19いふびやうきてごさるといへハ、ミな+きも(七ウ)をつ 00078290L20ぶし、それハどふしたわけでごさりますといへハ、いつた 00078300M1いきよねん、半四郎かあたりました 00078310¥N13¥J 00078320¥X大黒 00078330M4りちぎなる男、あさ草の市で、大こくをぬすめバしあわせ 00078340M5がよいといふことをきゝ、いろ+くろうをして、よう 00078350M6+一つ大こくをぬすんだところを、うり/人(て)に見つかり、 00078360M7あとからおつかけられ、とう+つかまれバ、大こくのあ 00078370M8たへ六十四文やりて、よう+いひわけをして、うり(八 00078380M9了オ)てをかへし、まづ大こくが大事じやと、ふところへ 00078390M10手をやつてミれハ、大こくハおつかけられた時におとした 00078400¥N14¥J 00078410¥X野干 00078420M13わかき人+、手ならひの師匠の所へゆき、モシおしせう 00078430M14さん。つかぬことだが、きつねの事をやかんと申やすハ、 00078440M15どふいふわけでごさりやす。しせう、しバらくかんがへ、 00078450M16Sやはり天狗をどびんといふとおなじことさ(八了ウ) 00078460¥Q 00078470M18△通油町 00078480M19G△蔦屋重三郎板 00078490¥P228 00078500¥U噺本大系△第十二巻 00078510¥T/軽口(かるくち)/四方(よも)の/春(はる)〔内題〕 00078520¥G 00078530¥Y 00078540L18寛政六年正月刊 00078550L19京△梅村伊兵衛等板 00078560L20半紙本五巻五冊 00078570¥T1/軽口(かるくち)/四方(よも)の/春(はる)巻之壱 00078580¥N1¥J 00078590¥X/京(きやう)ひいき 00078600M5/近江(あふミ)の/百性(ひやくせう)、十三になる/子息(むすこ)を/知恵(ちへ)/付(つけ)のため、/京(きやう)へ/奉公(ほうこう)に 00078610M6/出(だ)しけるに、/暫(しば)らくハ/勤(つとめ)けるが、/間(ま)に/合(あわ)ず/迚(とて)/戻(もど)されけれど、 00078620M7/兎角(とかく)に/京(きやう)の/気(き)/止(やま)ず。/何(なに)を見ても、/京(きやう)の/様(やう)にないという。/親(おや) 00078630M8つね※しかれど、いひ/止(やま)ず。ある/時(とき)/月夜(つきよ)の/晩(ばん)、/親(おや)とつれ 00078640M9だち/近(きん)(一オ)/所(じよ)へみちで、/扨(さて)+、/今夜(こんや)の/月(つき)ハよい/月(つき)じや 00078650M10と/親(おや)がいへば、京でみた/月(つき)ほどにないといふ。/親(おや)はらを/立(たて) 00078660M11て、あたまをしたゝかはれば、イヤ+、/是(これ)も/京(きやう)ではられ 00078670M12た/程(ほど)はこたへぬ 00078680¥N2¥J 00078690¥X/座頭(ざとう)のちか/付(づき) 00078700M15/町(てう)のまん/中(なか)で、/座頭(ざとう)と/座頭(ざとう)、ほうと/行(ゆき)あたり、おのれ。/座= 00078710M16頭(ざ=とう)に/行当(ゆきあた)るといふ/事(こと)かある/物(もの)か。くそ、おれも/座頭(ざとう)じや。 00078720M17そふいふ(一ウ)/声(こへ)は/米市(こめいち)でないか。そふ/云声(いうこへ)ハ/菊市(きくいち)でない 00078730M18か。けりやう/行当(ゆきあた)つたれバこそ、/久(ひさ)しぶりで/逢(あふ)た 00078740¥N3¥J 00078750¥X/娘(むすめ)の/病気(びやうき) 00078760¥P229 00078770L1/金持(かねもち)のひとり/娘(むすめ)、どふやら/気(き)のかたの/様(やう)にぶら+と/煩(わづ)ら 00078780L2ひ/出(いだ)せば、ふた/親(おや)の/案(あん)じ。うばをひそかに/呼(よん)で、/命(□のち)/有(あつ)ての 00078790L3/事(こと)。/娘(むすめ)が/気(き)に入た/男(おとこ)があるならバ、/入聟(いりむこ)にとつて(二オ)や 00078800L4ろ。そち、ひそかに/問(とふ)て見よといへば、うばハ/娘(むすめ)を/一間(ひとま)へ 00078810L5つれて/行(ゆき)、お/前(まへ)ハ/心(こゝろ)に/思(おも)ひの/有(ある)やうす。かくさずと此/姥(うば)に 00078820L6/云(いゝ)なされ。/若(もし)も/隣(となり)の/息子(むすこ)の/勝之介様(かつのすけさん)じやないか。イヽヤ。 00078830L7そんなら/向(むか)ひの源十郎さんじやないか。イヽヤ。お/医者(ゐしや)さ 00078840L8んの/主馬(しゆめ)さんでハないか。イヽヤ。そんならたれさんじや 00078850L9へ。/娘(むすめ)、そでを/顔(かほ)にあてゝ、/有(あり)やうハ、たれでも(二ウ) 00078860¥N4¥J 00078870¥X/掛物(かけもの)のほめよふ 00078880L12/何(なん)にもしらぬ/男(おとこ)、よそへ/行(ゆき)て/掛物(かけもの)を見て、/扨(さて)+、見事そ 00078890L13ふな/絵(ゑ)でござります。/上(うへ)な/四角(しかく)な/文字(もじ)は、なんでござりま 00078900L14す。アレハ/賛(さん)でござりますと/云(いう)。それより/又(また)/外(ほか)の/家(いへ)へゆき、 00078910L15/右(ミぎ)の/通(とを)りに/問(とひ)けれバ、アレハ/詩(し)でござりますといふ。/又(また)ほ 00078920L16かの/家(いへ)へ/寄(より)てとふたれバ、アレハ/仏家(ふつけ)の/語(こ)でござりますと 00078930L17いふ。/扨(さて)ハ/三四五(さんしご)といふ(三オ)(三ウ・四オ挿絵)からハ、/今= 00078940L18度(こん=ど)ハ六であらふと思ひ、/又(また)/外(ほか)の/家(いへ)へゆきて、/今度(こんど)ハこちら 00078950L19から、アノ/掛物(かけもの)ハ六でござりませふといへば、/亭主(ていしゆ)、いへ 00078960L20+。アレハ/質(しち)の/流(なが)れを/買(かい)ました 00078970¥N5¥J 00078980¥X/腰(こし)もとの/評判(ひやうばん) 00078990M3/客(きやく)と/亭主(ていしゆ)と/寄(よつ)て、/客(きやく)のいふには、/今度(こんど)こゝにおいた/腰(こし)もと 00079000M4ハ、きやうといよい/器量(きりやう)じやといへば、/亭主(ていしゆ)が/云(いう)やう、も 00079010M5そつと/鼻(はな)(四ウ)の/下(した)が/短(ミじか)ひといふを、/腰(こし)もと/立(たち)ぎゝをして 00079020M6/居(ゐ)たか、しばらくして、/鼻(はな)の/下(した)を/力(ちから)一ツはいにのばして、 00079030M7モシ、お/茶(ちや)上ケましよ 00079040¥N6¥J 00079050¥X/松茸(まつたけ)の/見(ミ)たて 00079060M10/爺(てゝ)おやと/娘(むすめ)と/出(で)て、/松茸(まつたけ)を/買(か)ふて/居(ゐ)るところへ、/孫(まご)が/出(で)て 00079070M11/来(き)て、/半(はん)びらきの/茸(たけ)を/持(もつ)て、かゝ/様(サ)ン。/是(これ)はなにゝ/似(に)たへ 00079080M12と/問(と)へば、/母親(はゝおや)もこまりて、/是(これ)は/地蔵(ぢぞう)さんに/似(に)たわい(五 00079090M13オ)のといへば、てゝ/親(おや)が、ハテ、もつたいない 00079100¥N7¥J 00079110¥X/旦那(だんな)のそそう 00079120M16/旦那殿(だんなどの)、/日(ひ)くれに/気(き)をせいて、/座敷(ざしき)にある/火鉢(ひばち)にゆきあた 00079130M17り、/丁稚(でつち)を/呼(よん)で、わるひくらがりに/物(もの)ををくゆへに、/大(おゝ)き 00079140M18に/足(あし)を/怪我(けが)したと、さん※にしかり/付(つけ)、はよふあんどを 00079150M19/燈(とも)してこいと/云(いわ)るれハ、/丁稚(でつち)、あんどに/火(ひ)をともして、う 00079160M20ろ+ともつて(五ウ)/廻(まハ)つてゐるゆへ、ナゼニ/下(した)へ/置(おか)ぬと 00079170¥P230 00079180¥G(三ウ・四オ) 00079190M1いへば、アノ、くらがりに/置(おい)ても、/大事(だいじ)ござりませぬか 00079200¥N8¥J 00079210¥X/和尚(おしやう)の/取(とり)ちがへ 00079220M4さる/旦那(だんな)、/寺参(てらまい)りをしられけるが、/折節(おりふし)/和尚(おしやう)、/台所(だいどころ)にて/鰹= 00079230M5節(かつを=ぶし)をかき/居(ゐ)られけるが、/思(おも)ひがけなく/旦那(だんな)、/表(おもて)より/来(きた)られ 00079240M6しゆへ、/和尚(おしやう)あハてゝ/小柄(こづか)をうしろへかくし、/鰹節(かつをぶし)を/差出(さしいだ) 00079250M7して、/此(この)/小刀(こがたな)を/此中(このぢう)もとめ(六オ)ましたといわるれば、コ 00079260M8レハ/土佐(とさ)の/守(かミ)そふにござります 00079270¥N9¥J 00079280¥X/無筆(むひつ)の/米屋(こめや) 00079290M11/女夫(めうと)ぐらしの/米屋(こめや)あり。/二人(ふたり)ともに/無筆(むひつ)なり。/近江屋(あふミや)の/左= 00079300M12兵衛様(さ=へいさま)へ/白米(はくまい)五/斗(とう)/持(もつ)てゆく。/嚊(かゝ)。/覚(おぼ)へて/居(ゐ)や。とんだや伊 00079310M13兵衛様へ/米(こめ)三/斗(どう)やるぞや。アイ。おぼへましたと、/嚊(かゝ)を/帳(てう) 00079320M14の/替(かわ)りにしける。/極(きわ)(六ウ)になると、/越後屋(ゑちごや)/伝兵衛(でんべい)様から 00079330M15/米(こめ)/壱石(いちこく)代/来(き)たぞや。かゝ、それ、わすれたり 00079340¥N10¥J 00079350¥X/文珠(もんじゆ)への/願参(ぐわんまいり) 00079360M18おろかなる/男(おとこ)、/黒谷(くろだに)の/文珠(もんじゆ)へ/七日(なぬか)/参(まい)りを/始(はじ)めけるを、/友達(ともだち) 00079370M19/聞付(きゝつけ)て、/何(なん)のぐわんをかけやつたといへば、どふぞあなた 00079380M20の/智恵(ちへ)をかろふと/思(おも)ふてといへば、イヤ+、そなた£も 00079390¥P231 00079400L1そつと/利口(りかう)な/者(もの)が/願(ねが)ふても、なか+(七オ)/借(かさ)つしやる事 00079410L2でハない。サア/夫(それ)で、おれハせめてあなたの/無分別(むふんべつ)なりと 00079420L3かろとおもふて 00079430¥N11¥J 00079440¥X/肴屋(さかなや)のきてん 00079450L6さかな/屋(や)を/呼(よび)よせ、こちの/鰒(ふぐ)もどきを/喰(くい)たい/程(ほど)に、けふ/店(たな) 00079460L7でこちを/取(とつ)て/来(き)てくれと/云付(いゝつけ)てやりたり。/昼(ひる)すぎに/肴屋(さかなや)/来(きた) 00079470L8りて、/今日(こんにち)ハこちは一/疋(ひき)もござりませぬゆへ、ふぐを/取(とつ)て 00079480L9/参(まい)りました。イヤ+、(七ウ)おれはふぐをくふ/事(こと)ハいや 00079490L10じや。サア是を、こちもどきになされませ 00079500¥N12¥J 00079510¥X/肝癪(かんしやく)のむすめ 00079520L13/肝積(かんしやく)な/娘(むすめ)、/夜(よ)る/昼(ひる)はら/立(たて)てばつかりうちにゐるゆへ、/母親(はゝおや) 00079530L14もせんかたなく、ほんに/今宵(こよひ)は/上(かミ)の/町(てう)に/踊(おどり)が/有(ある)げな。/隣(となり)の 00079540L15おはや/様(さん)をさそふてゐて/踊(おど)つておじやと、/帷子(かたびら)/着(き)かへさし、 00079550L16/帯(おび)もしてやりて、/漸&(やう+)と(八オ)(八ウ・九オ挿絵)/仕立(したて)てやり 00079560L17しが、/間(ま)もなくおこりちらしてもどれバ、/何(なん)と/仕(し)やつたと 00079570L18/云(いへ)ば、わしや/尻(しり)つめらりよとて、/踊(おど)りやせぬわへ 00079580¥N13¥J 00079590¥Xすもふの/道(ミち)づれ 00079600M1/相撲(すもう)/戻(もど)りが/道(ミち)づれに/成(なり)て、もし、お/前(まへ)ハ/大坂(おゝさか)のお/人(ひと)じやそ 00079610M2ふなが、/最前(さいぜん)から/見受(ミうけ)まするが、アノ/室町(むろまち)の/近江屋(あふミや)/五兵衛(ごへい) 00079620M3とハ、いかい御/懇意(こんゐ)そふなが、どふした/事(こと)のお/近付(ちかづき)でござ 00079630M4ります。フン、(九ウ)あれか。/晴天(せいてん)十日のこんゐサ 00079640¥N14¥J 00079650¥X/替(かハ)つた/産(さん)/噺(ばなし) 00079660M7/太郎兵衛(たろべい)、/聞(きか)しやれ。こちの/上(かミ)の/町(てう)の/嚊(かゝ)が、まつ/黒(くろ)な/石(いし)の 00079670M8やうな/物(もの)を/産(うん)だハいの。イヤ、こちの/横町(よこてう)にハ、/石塔(せきとう)の/赤(あか) 00079680M9い/信女(しんによ)が/子(こ)を/産(うミ)ました 00079690¥N15¥J 00079700¥X/伊達(だて)もさま※ 00079710M12/若(わか)いものが/寄(よつ)て/壱人(ひとり)がいふには、/女(おなご)もあんまり/白粉(おしろい)ぬつた 00079720M13/伊達(だて)はいけぬぞや。イヤ+、(十オ)/夫(それ)よりハ/口(くち)びる/一(いつ)ぱ 00079730M14いに、/紅粉(べに)ぬつた/伊達(だて)がいけぬといへば、/一人(ひとり)わかい/者(もの)が、 00079740M15モウいふ/事(こと)はなく、イヤ+、/夫(それ)より/起請(きせう)の/伊達(だて)に/血(ち)をた 00079750M16んとぬつたのが、いつちいけぬ 00079760¥N16¥J 00079770¥X/富士(ふじ)のせり/合(あひ) 00079780M19/江戸下(ゑどくだ)り/二(ふたり)人づれ、あれを見や。/兼(かね)て/音(おと)に/聞(きい)た/富(ふじ)士じやと 00079790M20いへば、それでも/西行(さいぎやう)が/居(ゐ)ぬ/物(もの)といふ/所(ところ)へ、/黒衣(くろころも)/着(き)た/出家(しゆつけ) 00079800¥P232 00079810¥G(八ウ・九オ) 00079820M1が/出(で)て/来(き)て、(十ウ)/扨(さて)+、/小便(せうへん)する/隙(ひま)もない 00079830¥N17¥J 00079840¥X/猿(さる)に/似(に)た/使者(ししや) 00079850M4さる/大名(だいめう)より/大大名(おゝだいめう)へ/使者(ししや)をやりたり。/其使者(そのししや)の/顔(かほ)、/猿(さる)に 00079860M5/其侭(そのまゝ)なりけり。/大大名(おゝだいめう)の/家中(かちう)にも、/同(おな)じく/猿(さる)に/正真(しやうじん)の/侍(さふら)イ 00079870M6あり。これを/取次役(とりつぎやく)に/出(だ)したり。/来(き)た/使者(ししや)の/挨拶(あいさつ)に、/久(ひさ)し 00079880M7ぶりで/鏡(かゞミ)を見たこゝろがいたします(十一オ) 00079890¥N18¥J 00079900¥X/大(たい)めうの/葬礼(そうれい) 00079910M10/大名(だいめう)の御/葬礼(そうれい)とて、やらいを/結(ゆひ)まハし、げんぢうに/構(かま)へし 00079920M11/中(うち)へ、/旅(たび)の/者(もの)/一人(ひとり)、やらいの/中(うち)へ/這入(はいり)、うろ+して/居(ゐ)れ 00079930M12バ、/大(おゝ)キにしかり、/外(そと)へ/追出(おいだ)したり。/又(また)/暫(しバら)くして、/垣(かき)の/中(うち) 00079940M13へはいれバ、/何(なに)ゆへにこりもせずはいりしといへば、つゐ 00079950M14に/大名(だいめう)の/火(ひ)にくばつたを見ませぬ(十一ウ) 00079960¥N19¥J 00079970¥X/奥様(おくさま)の/野遊(のあそ)び 00079980M17れき+の/奥様(おくさま)、/野遊(のあそ)びに/御出(おいで)なされた/時(とき)、きつう/顔(かほ)もち 00079990M18/悪(あし)く見へけれバ、/腰元(こしもと)どもあんじて、どこぞおわるふはな 00080000M19いかと/尋(たづぬ)れバ、イヤ+、どこも/悪(わる)ふはないが、うらむき 00080010M20へ/行(ゆき)たいとおつしやる/故(ゆへ)、そんなら/爰(こゝ)にある/野(の)/雪隠(せつちん)へなり 00080020¥P233 00080030L1ともお/出(いで)なされとすゝむれバ、/這入(わいる)とぢきに/出給(でたま)へば、な 00080040L2ぜにと/問(とへ)バ、/下(した)に/大(おゝ)きなばゞがして(十二オ)ある。/跡(あと)で/人(ひと) 00080050L3が、わしがのじやと/思(おも)へばおかしい。/腰元(こしもと)がいふハ、/夫(それ)な 00080060L4らバ、/下(した)へのべ/紙(がミ)をたんと/蒔(まき)ちらして/置(をい)て、/其上(そのうへ)へなされと 00080070L5いへば、/成程(なるほど)とてはいり、/暫(しばら)くして、ことの/外(ほか)/済(すま)ぬ/顔(かほ)して 00080080L6/出(いで)たまへば、/腰元(こしもと)、いかゞととへば、いやるとをりにした 00080090L7が、/紙(かミ)の/上(うへ)へしたわしがばゞハ、/下地(したぢ)のよりマダ/大(おゝ)きかつ 00080100L8た 00080110¥Y1軽口四方の春巻之壱終△(十二ウ) 00080120¥T1軽口四方の春巻之二 00080130¥N1¥J 00080140¥X/鳶(とび)のじまん 00080150M5/鳶(とび)と/烏(からす)と/飛(とび)くらへをするに、/鳶(とび)ハ/得物(ゑもの)ゆへ、/自由(じゆう)に/空(そら)へ/上(あが) 00080160M6る。/烏(からす)も/負(まけ)じととんだれど、/次第(しだい)に/羽根(はね)/草臥(くたびれ)て、/中空(ちうぞら)/£(より)/落(おち) 00080170M7て、/紺屋(こうや)のもがり/竹(だけ)につきさゝれてしんだり。/鳶(とび)、うへか 00080180M8ら見おろして、どふでも/黒(くろ)い/物(もの)はよわい(一オ) 00080190¥N2¥J 00080200¥X/乞食(こじき)の/追従(ついしやう) 00080210M11/団蔵(だんぞう)/居宅(いたく)の/表(おもて)へ、/乞食(こじき)が二人きて、/扨(さて)こんどの/大星(おゝぼし)の/役(やく)が 00080220M12ら、/市紅殿(しこうどの)£/外(ほか)に、また/仕手(して)は/有(ある)まい。今での/親玉(おやだま)じやと 00080230M13めつたに/誉(ほめ)るゆへ、/団蔵(だんぞう)も心うれしく、なんぞやらそふと 00080240M14/勝手(かつて)へ出れど、/折節(おりふし)/人(ひと)もなし。/自身(じしん)やらんと、さる/戸(ど)をあ 00080250M15けて、モウ九太ハ/逝(いな)れたそうな(一ウ) 00080260¥N3¥J 00080270¥X/珍(めづ)ら/敷(しき)/古(ふる)もの 00080280M18/有徳(うとく)な/道具(どうぐ)/好(ずき)の/所(ところ)へ、/茶道具屋(ちやどうぐや)きたり、/扨(さて)/珍(めづ)ら/敷(しき)/道具(どうぐ)が/出(で) 00080290M19ましたゆへ/持参(ぢさん)仕りましたと、/嶋桐(しまぎり)の/二重箱(にぢうばこ)より/紫(むらさき)ふくさ 00080300M20に/包(つゝミ)たるを/取出(とりいだ)し、/是(これ)ハ/利休(りきう)の/糞(ふん)でござります。/旦那(だんな)つく 00080310¥P234 00080320¥G(三ウ・四オ) 00080330M1※と見て、/成(なる)ほど、/是(これ)は/正真(しやうじん)違(ちが)ひは/有(ある)まいと/息子(むすこ)を/呼(よべ)バ、 00080340M2とつくりと見て、/誠(まこと)に/古物(ふるもの)でござりますか、/此赤小豆(このあかあづき)ハ 00080350M3(二オ)/跡(あと)からじやあろ 00080360¥N4¥J 00080370¥X/火事(くわじ)のきてん 00080380M6ドン+、/火事(くわじ)。/合点(がつてん)じやと/馬挑灯(ばてうちん)/引(ひつ)さげ、とんで/出(で)る。 00080390M7/侍(さむらひ)にほうど/行(ゆき)あたれバ、/憎(につく)きやつと、/刀(かたな)するりと/抜(ぬき)はな 00080400M8し、/馬提灯(ばてうちん)/切(きつ)て/落(おと)し、かへす/刀(かたな)に/首(くび)はつしと/打(うち)/落(おと)せバ、/心= 00080410M9得(こゝろ=へ)たりと、/打落(うちおと)されたる/我首(わがくひ)の/元(もと)どりを/引(ひつ)さげ、/馬提灯(ばてうちん)に 00080420M10して、ハイ+(二ウ) 00080430¥N5¥J 00080440¥Xすつぽんのまちがひ 00080450M13/黒舟(くろふね)の忠右衛門、/今(いま)ハ/男(おとこ)だても/止(やめ)て、すつぽんやとなり、 00080460M14/夜(よ)見世を/出(だ)さんと、/行灯(あんど)に/火(ひ)をともしゐる/所(ところ)へ、すつぼん 00080470M15/買(かい)がきて、一ばいを三百文に/直(ね)がなり、/料理(りやうり)せんとて/思(おも)ひ 00080480M16いだし、/忘(わす)れてきた/庖丁(ほうてう)を/取(とり)にはしる。すつぼん/買(かい)ふつと 00080490M17/思(おも)ひ/付(つき)、/買(かう)たより/少(すこ)し/大(おゝ)きなのをすりかへてをく/所(ところ)へ、忠 00080500M18右衛門はしりかへり、(三オ)(三ウ・四オ挿絵)/庖丁(ほうてう)もつて/料= 00080510M19理(りやう=り)にかゝれバ、すつぼん、/首(くひ)をくるりとねぢ/向(むい)て、ソリヤ、 00080520M20おれで有まいがの 00080530¥P235 00080540¥N6¥J 00080550¥X/奴(やつこ)のぶねん 00080560L3さる/浪人(ろうにん)、/家来(けらい)とふたり/暮(くら)し/居(い)る。/日(ひ)くれに/成(な)りたれバ、 00080570L4ヤイ/可内(べくない)。もはや/灯(ひ)をともせ。ハイ。/附木(つけぎ)を/買事(かうこと)をとんと 00080580L5/忘(わす)れておりました。/浪人(らうにん)/大(おゝ)きにしかり、/武士(ぶし)のいへに/不用= 00080590L6心(ふやう=じん)/千(せん)(四ウ)/万(ばん)なといひつゝ、/納戸(なんど)へ/走(はし)り/入(いり)、/刀(かたな)をひつさげ 00080600L7とんで/出(いで)て、/刀(かたな)するりと/抜(ぬき)はなせば、/真平御免(まつぴらごめん)。/命(いのち)ハお/助(たす) 00080610L8ケ下さりませと/大地(だいち)へひれ/伏(ふせ)バ、さやの/中(なか)から、ソリヤ/附= 00080620L9木(つけ=ぎ) 00080630¥N7¥J 00080640¥Xけんくわの/胴(どう)ぎり 00080650L12ソリヤ/喧嘩(けんくわ)といふやいな、/胴切(どうぎり)にして/相(あいて)人ハ/迯(にげ)てしもふ。 00080660L13/町中(てうぢう)が/出(で)て、/外料(ぐわいりやう)を/呼(よん)で見せれど、どふも/切(き)レはなれたゆ 00080670L14へに/継(つが)れぬといふ。/夫(それ)ゆへ(五オ)いろ+と/相談(そうだん)して、/腰(こし) 00080680L15より/下(した)ハ/麩屋(ふや)へふを/踏(ふミ)にやり、/腰(こし)より/上(かミ)を、/江戸(ゑど)の/火(ひ)の/見(ミ) 00080690L16やぐらへ/有(あり)つけたり。/其後(そのゝち)に/江戸飛脚(ゑどびきやく)、/麩屋(ふや)へきて、/江戸(ゑど) 00080700L17へ/何(なに)も/言伝(ことづけ)はなきかといへぱ、あんまりたび+/茶(ちや)をのま 00080710L18しやんな。/京(きやう)で/小便(せうべん)がしげうてこまる 00080720¥N8¥J 00080730¥X/座頭(ざとう)の/麁相(そそう) 00080740M1/勘当(かんどう)しられたる/息子(むすこ)、はゝ/親(おや)£/内証(ないせう)で(五ウ)/銀(かね)を/貰(もら)ひ、よ 00080750M2ほどの/紙(かミ)見せを/出(だ)しゐる/所(ところ)へ、ざとうのかゞ/市(いち)、/尋来(たづねきた)れバ、 00080760M3/息子(むすこ)がいふやうは、サテモ/袴(はかま)から/羽織(はをり)まで、/結構(けつかう)な/物(もの)を/着(き) 00080770M4たな。ハイ。/此間(このあいだ)かね/持(もち)の/田舎大尽(いなかだいじん)からもらひました。ソ 00080780M5リヤそふと、おれハ/近所迄(きんじよまで)/行(ゐ)て/来(く)る。ちつとの/間(あいだ)、/留主(るす)し 00080790M6てくれと/出(で)てゆく。/座頭(ざとう)、そこら/棚(たな)をさがして、コレハ/杉= 00080800M7原(すぎ=はら)そうな。コレハ/奉書(ほうしよ)そうな。コレハ/小半帋(こばんし)。さいわい/鼻= 00080810M8紙(はな=がミ)がきれたか、した(六オ)たか/折(をつ)て/懐(ふところ)へいれる/所(ところ)へ、/息子(むすこ) 00080820M9もどり、たい/屈(くつ)であろと/酒徳利(さけとくり)/持(もつ)て/出(で)て、/茶碗(ちやわん)へつぎかく 00080830M10れば、/酒(さけ)はこぼれて、そこらあたりへ。/座頭(ざとう)、/最前(さいぜん)の/帋(かミ)を 00080840M11/出(だ)して/畳(たゝミ)をふけば、コリヤ、はな/紙(がミ)にあか/紙(がミ)とハあんまり 00080850M12おごりじや 00080860¥N9¥J 00080870¥X/妾(てかけ)のひやう/判(ばん) 00080880M15四五/町(てう)のうちにも/又(また)とない/器量(きりやう)のよい/女房(にようぼう)を/持(もつ)たる/男(おとこ)、此 00080890M16ごろ/外(□か)に/妾(てかけ)をかこふと(六ウ)/聞(きい)て、/友達(ともだち)が/寄(よつ)ていふにハ、 00080900M17あんな/女房(にようぼう)を/持(もつ)て/居(ゐ)て、また/囲(かこ)ふてをく/妾(てかけ)ならば、さぞお 00080910M18もひやらるゝ。/誰(たれ)ぞマア/行(い)て見てこいといふ。おれが/先(まづ)見 00080920M19て/来(こ)ふと、/所(ところ)を/聞合(きゝあハ)せて/尋行(たづねゆき)て、/路次(ろじ)のうちへ/案内(あんない)すれば、 00080930M20/幸(さいわい)にてい/主(しゆ)/居合(ゐあハ)せ/噺(はなし)するに、/女(おなご)が/茶(ちや)やたば/粉盆(こぼん)を/持(もつ)て/来(く) 00080940¥P236 00080950¥G(八ウ・九オ) 00080960M1るを、/友達(ともだち)もまちかねて、/取(とつ)て/置(をき)のおかたに、ちよとお/近= 00080970M2付(ちか=づき)になろふといへば、イヤ、/最前(さいぜん)から(七オ)/茶(ちや)、/田葉粉盆(たばこぼん) 00080980M3もつて/出(で)たのがそふじやといふゆへ/肝(きも)を/潰(つぶ)し、そう+に 00080990M4/帰(かへ)り、/噂(うハさ)して/居(ゐ)る/処(ところ)へ/右(ミぎ)の/男(おとこ)/来(きた)れば、/行(い)てきた/友達(ともだち)がいふ 00081000M5ハ、ぶしつけながら/御内証(ごないしやう)様と、アノお/妾(てかけ)と/競(くらべ)て見れば、 00081010M6すつぽんとお/月(つき)様ほど/違(ちが)ふてあるといへば、サア、お/月(つき)様 00081020M7とすつぽんとは、どちらがうまい 00081030¥N10¥J 00081040¥X/碁(ご)の/助言(ぢよごん)(七ウ) 00081050M10/打寄(うちよつ)て/碁(ご)を/打(うつ)て/居(い)る/所(ところ)へ、/一向(いつかう)に/碁(ご)をしらぬ/男(おとこ)がきて、さ 00081060M11ながら/碁(ご)をしらぬともいわれず、/傍(そバ)に見て/居(ゐ)るうち、/傍(そば)か 00081070M12ら、コリヤおさへずばなるまいといへば、イヤ+、/切(きつ)て 00081080M13しまへといふ。かの/男(おとこ)、なんでも/強(つよ)い/事(こと)をいふが/能(よい)そうな 00081090M14と/思(おも)ふて、イツソ、ふミくだゐてしまハしやれ 00081100¥N11¥J 00081110¥X/息子(むすこ)のうろたへ(八オ)(八ウ・九オ挿絵) 00081120M17/友達(ともだち)/二人(ふたり)つれにて/遊所(ゆうしよ)へ/遊(あそ)びに/行(ゆき)しに、/居続(ゐつゞけ)して三日/遊(あそ)び、 00081130M18/一人(ひとり)の/友(とも)がいふハ、/親父(おやぢ)が/剛(こわ)ふて/逝(いな)れぬと/云(いう)。ソリヤよい 00081140M19/仕(し)よふが/有(ある)と/云(いう)て、/馬(むま)のくそを五つ六つ/紙(かミ)に/包(つゝミ)、/是(これ)をあづ 00081150M20き/餅(もち)じやと/云(いう)て/持(もつ)て/逝(いん)で、/狐(きつね)に/化(ばか)された/振(ふり)をせい。ヲツト 00081160¥P237 00081170L1よしと/持(もつ)ていぬれば、/親父(おやぢ)が/十面顔(ぢうめんがほ)で、あがり/口(くち)にゐる。 00081180L2/息子(むすこ)どまくれて、コレ、/馬(むま)のくそ、しんじよ(九ウ) 00081190¥N12¥J 00081200¥X/五郎(ごらう)の/役割(やくわり) 00081210L5きつふ/下手(へた)なる/女(をんな)がた、/兼(かね)てお/目(め)かけらるゝ/旦那(だんな)の/方(かた)へ/来(きた) 00081220L6り、サテ/私(わたくし)も此/二(に)の/替(かハ)りにハ、/曽我(そが)の五郎の/役(やく)が/渡(わた)り/相= 00081230L7勤(あい=つとめ)ます。/初日(しよにち)にハお/出(いで)下さりませといへば、ソレハそちに 00081240L8/似合(にあハ)ぬ/大役(たいやく)が/廻(まハ)つて/目出度(めでたい)。/祝(いわ)ふて、つミものをせずばな 00081250L9るまいと/大(おゝ)きに/張込(はりこミ)、/扨(さて)/初日(しよにち)には/上桟敷(うハさじき)/二軒続(にけんつゞき)にて/御来臨(ごらいりん)。 00081260L10/早速(さつそく)に/楽屋(がくや)へ/斯(かく)としら(十オ)すれば、/角前髪(すミまへがミ)かづらにて、 00081270L11/顔(かほ)ハ江戸ふうに/紅(べに)にて/彩色(さいしき)して、/溶衣(ゆがた)がけにて/桟敷(さじき)へ/来(きた)り、 00081280L12/追付(おつつけ)/私(わたくし)が/役(やく)でござりますれば、/後(のち)ほどゆるりとさんじま 00081290L13しよと/楽屋(かくや)へゆき、/扨(さて)/序(じよ)の/幕(まく)/明(あく)れば、/正面(しやうめん)にハ/右大将(うだいしやう)/頼= 00081300L14朝公(より=ともこう)、/右(ミぎ)の/座(ざ)にハ/畠(ばたけ)山/重忠(しげたゞ)、/左(ひだ)りにハ/梶原景時(かぢわらかげとき)、/其外(そのほか)/諸大(しよだい) 00081310L15めう/烈(れつ)をたゞして/並居(なミゐ)る。かゝる/所(ところ)へ/本田(ほんだ)の/次郎近常(じろうちかつね)、/御= 00081320L16前(ご=ぜん)へ/罷出(まかりいで)、/曽我兄弟(そがきやうだい)の/義(ぎ)(十ウ)/仰(おゝせ)にまかせ、/斯(かく)のごとく/計(はから) 00081330L17ひしと/首桶(くひおけ)のふたをとれば、カノ/役者(やくしや)、/首(くひ)ばつかりの/五郎(ころう) 00081340¥N13¥J 00081350¥Xこへのあきなひ 00081360L20/道(ミち)をあるく/内(うち)、しきりに/厠(かハや)へゆきとうなれど、そこら/辺(あた)り 00081370M1に/雪隠(せつちん)ハなく、/是非(ぜひ)なく/鼻紙(はながミ)/有(あり)たけへ、したゝか/包(つゝミ)/捨(すて)るも 00081380M2おしく、たもとへ入レ/歩(あゆ)む/処(ところ)、さいわい、こへ/買(かい)/来(きた)れば、 00081390M3ねだん弐拾〆に/売(うり)たるが、こへ/買(かい)、こゝろに(十一オ)/思(おも)ふ 00081400M4やう、かわつたこへを/買(かう)たりとおもひ、ふり/返(かへ)つて、コレ 00081410M5/旦那(だんな)。あとで/尻(しり)ハこぬかな 00081420¥Y1軽口四方の春巻之二終△(十一ウ) 00081430¥P238 00081440¥T1/軽口(かるくち)/四方(よも)の/春(はる)巻之三 00081450¥N1¥J 00081460¥X/駕(かご)ぬけの/上手(うハて) 00081470L5/今度(こんど)の/駕(かご)ぬけハ見にいかしやれ。/若(わか)い/男(おとこ)が、/駕(かご)をば/鳥(とり)のや 00081480L6うに/飛(とん)でぬけるといへば、/何(なん)のそれが/珍(めづ)らしい/事(こと)。けさも 00081490L7となりの/親父(おやぢ)のしらミの/皮(かハ)が、/駕(かご)にのつて/行(い)た 00081500¥N2¥J 00081510¥X/女房(にようぼう)のしまつ(一オ) 00081520L10/器量(きりやう)このミする/男(おとこ)、よう+と/仲人(なかうど)、/器量人(きりやうじん)の/嫁(よめ)を/聞出(きゝいだ)し、 00081530L11/首尾能(しゆびよく)しうげんもあいすミけり。/一月(ひとつき)ばかりして/嫁御(よめご)、 00081540L12なかふどの/所(ところ)へ/来(きた)り、どふでも/聟様(むこさま)がわしハ/気(き)に/入(い)らぬそ 00081550L13うな。/嫁(よめり)入した/晩(ばん)から/一向(いつかう)/一(いつ)しよに/寐(ね)た/事(こと)ハないといふゆ 00081560L14へ、/仲人(なかうど)/大(おゝ)きに/驚(おどろ)き、そう+/聟(むこ)の/所(ところ)へ/行(い)て、どふ/云(いう)/事(こと)で、 00081570L15アノ/嫁(よめ)が/気(き)にいらぬといへば、イヤモ、ずいぶん/気(き)に/入(いつ) 00081580L16(一ウ)たといふ。/夫(それ)なれバなぜに/一所(いつしよ)に/寐(ね)やしやれぬ。イ 00081590L17ヤ、あんまりおれに/過(すぎ)た/嫁(よめ)じやに/寄(よつ)て、/正月(しやうぐハつ)からおろそと 00081600L18/思(おも)ふて 00081610¥N3¥J 00081620¥Xつり/鐘(がね)のより/合(あひ) 00081630M1/京中(きやうぢう)の/釣(つり)がね、/春(はる)そう+/参会(さんくわい)を/催(もよふ)して、/所(ところ)は/大仏(だいぶつ)がよか 00081640M2ろふと、/大仏(だいぶつ)の/芝(しば)へミな+あつまりたり。/釈迦如来(しやかによらい)、 00081650M3あまり/外(そと)が/騒(さわ)がしいと、/窓(まど)よりのぞき見給ひ、(二オ)サテ 00081660M4+/早(はよ)ふ/土筆(つく※し)がはへた 00081670¥N4 00081680¥X/白人(はくじん)の/願(ねが)ひ 00081690M7はやらぬ/白人(はくじん)、なにとぞ/繁昌(はんじやう)するやうにと/毘沙門天(びしやもんでん)に/願(くわん)を 00081700M8かけしに、/多門天(たもんでん)もふびんと/思召(おぼしめし)、/白人(はくじん)にのたもふよふは、 00081710M9わがつかハしめの/一寸百足(いつすんむかで)を、/汝(なんぢ)にあとふる/間(あいだ)、/是(これ)を/臍(へそ)の 00081720M10したへ/紙(かミ)にて/張付(はりつけ)おくべしと/仰(おゝせ)有けれバ、/其通(そのとを)りにいたし 00081730M11ければ、(二ウ)ことの/外(ほか)はやり出しけり。ある/夜(よ)、/百足(むかで)/迯(にげ) 00081740M12て/戻(もど)りしかバ、/毘沙門(びしやもん)のたもうやうハ、/今(いま)/暫(しばら)くはやらして 00081750M13やれと/仰(おゝせ)あれバ、イヤ、たび+のつばけにこまります 00081760¥N5¥J 00081770¥Xほんの/仲人(なかふど)ぐち 00081780M16/田舎(いなか)にて/宿這入(やどばいり)せし/男(おとこ)、/女房(にようぼう)をぎんミせしに、/仲人(なかふど)きて、 00081790M17/扨(さて)そうをうな/嫁(よめ)が/有(ある)と/咄(はな)せバ、/男(おとこ)いふには、/田舎(いなか)の事なれ 00081800M18ば、/外(ほか)の(三オ)(三ウ・四オ挿絵)/事(こと)/何(なに)せいでも/大事(だいじ)ないが、 00081810M19はたを/織(をり)さへすればよいといふ。/仲人(なかふど)がいふやう、モ、は 00081820M20たを/織(をる)/事(こと)ハ/鵜(う)じやといふゆへ、/夫(それ)ならば/呼(よぼ)ふと/相談(そうだん)/出来(でき)、 00081830¥P239 00081840¥G(三ウ・四オ) 00081850M1/呼(よび)むかへしに、/何(なに)をさせても一つもらち/明(あか)ず。されども、 00081860M2はた/織(をる)/事(こと)ハ/鵜(う)じやといふたれバ、/是(これ)一つがとりへとおもひ、 00081870M3はたを/織(をら)して見れバ、/一向(いつかう)よう/織(をら)ず。/男(おとこ)、/大(おゝ)きに/腹(はら)を/立(たて)て、 00081880M4/仲人(なかうと)を/呼付(よびつけ)て、ねだりけれバ、(四ウ)/仲人(なかうど)がいふには、/鵜(う) 00081890M5がいつ、はた/織(をつ)た事がある 00081900¥N6¥J 00081910¥X/夏(なつ)の/火燵(こたつ) 00081920M8ゑようのあまりに、/夏巨燵(なつこたつ)を思ひつき、/尾張屋(をわりや)へびいどろ 00081930M9の/矢倉(やぐら)を/誂(あつら)へ、すびつを/錫(すゞ)にて/拵(こしら)へ、/中(なか)へ/水(ミづ)を入レ、/上(うへ)へ 00081940M10ねりのふとんをかけ、/手足(てあし)を/冷(ひや)したのしミゐる/所(ところ)へ、ほう 00081950M11/友(ゆう)/来(きた)りけれバ、サア/先(まづ)こたつにおあたりといへば、/是(これ)はど 00081960M12ふもいへぬとほめ(五オ)ければ、こしもとに/炭(すミ)をつげと/云= 00081970M13付(いゝ=つく)れば、アイと/云(いう)て/手桶(ておけ)に/水(ミづ)を入レ、/中(なか)へ/鯉(こい)を入て/持(もつ)てい 00081980M14で、/火燵(こたつ)の/中(なか)へうちあくれば、/鯉(こい)、ヒイ+とはね/出(いづ)れバ、 00081990M15コリヤ、/川(かわ)での/事(こと)、わすれたか 00082000¥N7¥J 00082010¥X/子息(むすこ)の/名代(めうだい) 00082020M18/両替屋(りやうがへや)の/息子(むすこ)、/遊所(ゆうしよ)にもん/日(び)を/約束(やくそく)をしておきしが、/其日(そのひ) 00082030M19にかぎつて/用事(ようじ)おほく(五ウ)/夜(よ)に/入(いれ)ば/出(で)る事かなハず。よ 00082040M20う+と/思案(しあん)を/出(いだ)し、/手代(てだい)のうちに/物(もの)まねの/上手(じやうず)あるゆへ、 00082050¥P240 00082060¥G(七ウ・八オ) 00082070M1とくとのみこませ、/寐所(ねどころ)のうちへ/手代(てだい)を/寐(ね)させ、/若(もし)/親父(おやぢ)が 00082080M2なんぞいわれたら、おれが/声色(こわいろ)で、たいがいに/返事(へんじ)してく 00082090M3れといふて/抜(ぬけ)て/出(いで)けり。/手代(てだい)、/息子(むすこ)の/寐所(ねどころ)へ/這入(はいつ)て/居(ゐ)る/所(ところ) 00082100M4へ、/親父(おやぢ)がいわるゝハ、けふの/為替(かわせ)の/金(かね)の/戻(もど)つたハ、どふ 00082110M5したといわるゝゆへ、むす/子(こ)のものまねで、(六オ)あすの 00082120M6/事(こと)になされませといへば、イヤ+、/余(よ)の/事(こと)とちがふて。 00082130M7/何所(どこ)に/置(おい)たと、/寐所(ねどころ)のそばへわせらるれば、/手代(てだい)、/今(いま)ハ/詮(せん) 00082140M8かたなく、/夜着(よぎ)を引ツかぶつて、わたアした 00082150¥N8¥J 00082160¥X/息子(むすこ)の/座敷篭(ざしきろう) 00082170M11むす/子(こ)、/余(あま)りに/金(かね)を/遣(つか)ひ/過(すご)し、/親(おや)父、/大(おゝ)きに/立腹(りつぷく)して、/二= 00082180M12階(に=かい)へおい/上(あげ)ケて/置(をい)て、/一寸(いつすん)も/外(そと)へ/出(だ)さず。/息子(むすこ)せいを/尽(つか)し、 00082190M13/二階(にかい)のうちを、(六ウ)/東(ひがし)山のこゝろもちにて、そこらをあ 00082200M14るき、/先(まつ)此たんすの/有所(あるところ)がぎをんよ。此/屏風(びやうぶ)の/所(ところ)が/安井前(やすゐまへ)。 00082210M15是からそろ+/清水(きよミづ)へ/参(まい)る心もちになり、是が/三年坂(さんねんざか)よと、 00082220M16はしごのそばへゆく/所(ところ)へ、/手代(てだい)、/用(やう)が/有(あつ)て、/楷子(はしご)へ上れバ、 00082230M17/息子(むすこ)、コリヤ、かならず/爰(こゝ)で/逢(あ)ふたと/云(いう)てくれな 00082240¥N9¥J 00082250¥X/芝居(しばい)ずきの/娘御(むすめご) 00082260M20/芝居(しばゐ)ずきのむすめ/御(ご)、/物参(ものまい)りハ/一向(いつかう)きらひ、(七オ)(七ウ・ 00082270¥P241 00082280L1八オ挿絵)/子供(こども)のうちより/外(ほか)へは/行(ゆか)ず。/余(あま)りな/事(こと)とて、むり 00082290L2に/野遊(のあそ)びにつれてゆきしに、/稲村(いなむら)を見て、ヤレ、こわひも 00082300L3のが/有(ある)といふ。ナンノ、あれがこわひものといへば、アリ 00082310L4ヤ/追剥(おいはぎ)のがく屋じやもの 00082320¥N10¥J 00082330¥X/敵(かたき)うちの/間(ま)ちがひ 00082340L7/親(おや)を/討(うた)れ、/敵(かたき)をうちに/出(で)ねばならず。まだ/年若(としわか)な/小腕(こうで)でハ 00082350L8/中(なか)+/討(うた)れまじと、(八ウ)/劔術者(けんじゆつしや)/大(おゝ)ぜいかゝへて/付(つけ)てや 00082360L9りたり。/間(ま)もなく/国(くに)へ/帰(かへ)りけれバ、/母(はゝ)ハ/悦(よろこ)びて、/出(で)かしや 00082370L10つた。はよふ/敵(かたき)を/討(うつ)て/戻(もど)りやつたといへば、イヱ+、/助= 00082380L11太刀(すけ=だち)に/喰(くゐ)つぶされて、/中戻(なかもど)り/致(いたし)ました 00082390¥N11¥J 00082400¥X/風呂屋(ふろや)の/喧嘩(けんくわ) 00082410L14/江戸侍(ゑどさむらひ)、/風呂(ふろ)に入りけり。/風呂(ふろ)のうちにて、けんくわを 00082420L15/仕出(しいだ)し、/風呂(ふろ)よりとんで/出(で)て、(九オ)/喧嘩(けんくハ)のあい/手(て)の/声(こへ)を 00082430L16/聞知(きゝしつ)たり。/一人(ひとり)づゝ/是(これ)へ/出(で)よといふゆへ、ひとり+/声(こへ)を 00082440L17かへて/出(で)てくれバ、まだ/中(うち)にゐるとて/合点(がてん)せず。/風呂(ふろ)やの 00082450L18/亭主(ていしゆ)いふハ、/最早(もはや)一人も/居(ゐ)ませずといへば、/侍(さむらひ)が/下(した)へいか 00082460L19きを/当(あて)ておゐて、つめをぬいて見ろさ 00082470¥N12¥J 00082480¥X/元三大師(ぐわんざんだいし)の/御影(ミゑい) 00082490M3/何(なん)でも/物(もの)しりじまんの/男(おとこ)あり。ある/時(とき)(九ウ)/友達(ともだち)とつれだ 00082500M4ちて/歩行(あるき)しに、ひとりの/友(とも)が、/門口(かどぐち)に/角大師(つのだいし)の/御影(ミかげ)の/張(はつ)て 00082510M5あるを見つけ、あれハなにを/書(かい)た/物(もの)じやととへば、かの/男(おとこ)、 00082520M6アレハなで/牛(うし)が/座禅(ざぜん)してゐる/図(づ)じや 00082530¥N13¥J 00082540¥X/元服(げんぷく)のいわひ 00082550M9コリヤ/長(てう)松。まへ/髪(がミ)おろしたな。ドリヤ/祝(いわ)ふと、あたまを 00082560M10くわんとはられ、あひたしこと/迯行(にげゆく)さきへ、/又(また)/近付(ちかづき)の/男(おとこ)が 00082570M11/来(き)て、コリヤ/目出(めで)たい(十オ)と、くわんとはられ、あちら 00082580M12でハ/擲(たゝか)れ、こちらでははられ、/最早(もはや)/詮(せん)かたなく、ある/寺(てら)へ 00082590M13かけ/込(こん)で、/何(なに)とぞ/私(わたくし)をおかくまひなされてくださりませ。 00082600M14あたまが/皆(ミな)になります 00082610¥Y1軽口四方の春巻之三終△(十ウ) 00082620¥P242 00082630¥T1/軽口(かるくち)/四方(よも)の/春(はる)巻之四 00082640¥N1¥J 00082650¥X/唐画(とうゑ)の/誉(ほめ)ちがひ 00082660L5/旦那(だんな)、ざしきにて/唐絵(からゑ)の/山水(さんすい)を/書(かい)てゐらるゝ/所(ところ)へ、/此季(このき)か 00082670L6ら/来(き)た/腰(こし)もと、つく+見てゐて、モシ、此ような山/坂(さか)ハ、 00082680L7いかふかき/憎(にく)い/物(もの)じやげにござりますといへば、/旦那(だんな)、そ 00082690L8ちハ/功者(こうしや)な/事(こと)をいふが、/我(われ)が/親(おや)は/絵(ゑ)かきか。イヱ、/駕(かご)かき 00082700L9でござります(一オ) 00082710¥N2¥J 00082720¥X/大工(だいく)の/心(こゝろ)きゝ 00082730L12/大工中間(だいくなかま)が/寄(よつ)て、/太子講(たいしかう)を/始(はじ)めしに、/膳(ぜん)の/段(だん)に/成(なつ)て、あん 00082740L13どうでハ/暗(くら)いと、らうそくに/仕替(しかへ)たり。/暫(しばら)くして/客(きやく)、/火(ひ)が 00082750L14/暗(くら)イ。しん/切(きり)を/持(もつ)てこいといへど、/真(しん)きりハなし。/気転(きてん)の 00082760L15/大工(だいく)、/釘(くぎ)ぬきを/持(もつ)て/出(で)て、チヨイ 00082770¥N3¥J 00082780¥X/珍(めづ)らしい/霊宝(れいほう) 00082790L18きのふから山/科(しな)によい/開帳(かいてう)が/有(ある)げなと、(一ウ)二三人づれ 00082800L19にて/早朝(そうてう)に/参詣(さんけい)せしに、/余(あま)りはや/過(すぎ)て、まだ/縁起(ゑんぎ)ときも/居(い) 00082810L20ず。/一(いつ)ぺん/霊宝(れいほう)を/見廻(ミまハ)る/中(うち)に、/大(おゝ)きなる/長(なが)き/青竹(あをたけ)あり。あ 00082820M1まりふしぎさに、そこらに/居(い)たる/小僧(こぞう)に/尋(たづ)ぬれバ、コレハ 00082830M2/雨戸(あまど)をはづした/弓(ゆミ)でござる 00082840¥N4¥J 00082850¥X/村方(むらかた)のより合 00082860M5さる/村(むら)の/庄屋(しよや)、/勝手(かつて)よき/願(ねが)ひを/工夫(くふう)しだし、(二オ)/近在(きんざい)の 00082870M6/庄(しよ)屋をよび/集(あつ)め/相談(そうだん)せしに、みな+いふにハ、/何(なん)として 00082880M7此ねがひハ/叶(かな)うまいといへば、かの/庄屋(しよや)、/蚤(のミ)のいきさへ/天(てん) 00082890M8へ/上(のぼ)るといへバ、/又(また)/叶(かな)ふまいものでもないとりきめバ、/浦= 00082900M9方(うら=かた)の/庄(しよ)屋が、なるほど、/仰(おゝせ)らるればそんなもの。/海士(あま)の/屁(へ) 00082910M10ハ百/尋(ひろ)うへで、/泡(あわ)に/成(なり)ます 00082920¥N5¥J 00082930¥Xいれぼくろの/早(はや)/似(に)せ 00082940M13/女郎(ぢよらう)が/来(き)て、けふハやくそくで/来(き)たがな。アノ(二ウ)/田舎= 00082950M14客(いなか=ぎやく)ハどふでものく/心(こゝろ)じやそふで、此/中(ぢう)ハめつたにせりふを 00082960M15/仕(し)かけて、とふもならぬ。/知(しつ)ての/通(とを)り、/今(いま)とりはなしては 00082970M16/節句(せつく)まへの/工(く)面がわるいといへば、/花車(くわしや)が、ハテ、/高(たか)が/土(つち) 00082980M17じや。/古(ふる)けれど/私(わし)がよいやうに/仕(し)てやろと、/藍(あい)らうを/取出(とりだ) 00082990M18して、めつたに/両方(りやうほう)のかいなに/入(いれ)ぼくろの/似(に)せをしてやり、 00083000M19/是(これ)へくゝりなんせといふ/所(ところ)へ/客(きやく)が/来(き)て、/又(また)いつものやうに 00083010M20(三オ)(三ウ・四オ挿絵)せりふを/仕(し)かくれバ、お/前(まへ)ハそういふ 00083020¥P243 00083030¥G(三ウ・四オ) 00083040M1/心(こゝろ)でも、わしやいつ迄も/遁(のか)ぬ心で、是見てくれなんせと、 00083050M2/両方(りやうほう)の/腕(かいな)をぬいて見すれば、/田舎客(いなかぎやく)が、コリヤ/青(あを)いうそじ 00083060M3や 00083070¥N6¥J 00083080¥X/離縁(りゑん)のまちがひ 00083090M6/友達(ともだち)が/寄(よつ)て、/聞(き)きやれ。喜兵衛が/女(によう)ぼうをさつたといの。 00083100M7/器量(きりやう)ハよし/気立(きだて)ハよし。/皆(ミな)/行(い)て、いけんして/取戻(とりもど)さそては 00083110M8/有(ある)(四ウ)まいかと、みな+つれ/立(たつ)て入り/来(きた)り、きけバ、 00083120M9そなたハ/内義(ないぎ)をさつたげなが。あんな/女房(にようぼう)ハ/呼(よび)たいといや 00083130M10つても、/最(も)一人とはないぞや。ゑくぼ/斗(ばかり)にも、よつほどの 00083140M11/直打(ねうち)があるといへば、サアおれが/目(め)にハ、ゑくぼがすぐち 00083150M12に見へる 00083160¥N7¥J 00083170¥X/誉(ほめ)ずきの/旦那(たんな) 00083180M15/何(なん)でも/誉(ほめ)ることのすきなる/旦那(だんな)あり。ある/時(とき)(五オ)/小刀(こかたな)と 00083190M16ぎを/呼(よん)で、はさみを/磨(とが)してゐるをみて/居(ゐ)られしが、/誉(ほめ)とふ 00083200M17て+ならねど、/何(なん)にも/誉(ほめ)ることハなし。そなたはいかう 00083210M18/商売(しやうばい)にせいの/出(で)る人じやそうなと/云(いわ)るれバ、イヱ+、/私(わたし) 00083220M19ハのら物で、たま+はかとぎにハ/出(で)ませぬといへば、ど 00083230M20ふも/誉(ほめ)やうもなく、イヤ+、商売(しやうばい)に心がけがよいと見へ 00083240¥P244 00083250¥G(七ウ・八オ) 00083260M1て、キツウさびたなりじや(五ウ) 00083270¥N8¥J 00083280¥X/学者(がくしや)の/心中(しんぢう) 00083290M4/学文(がくもん)ずきの娘と/隣(となり)の/儒者(じゆしや)と/念(ねん)ごろをして/居(ゐ)たりしが、どふ 00083300M5でもそわれぬ/義理(ぎり)になり、/心中(しんぢう)に/出(で)かけしが、とてもなら 00083310M6/唐(から)めいた所で/死(しの)ふと、わざ+/黄(おう)ばく迄/行(ゐ)て、サア/爰(こゝ)で/死(しな) 00083320M7ふと、/儒者(しゆしや)ハ/腰(こし)より/劔(つるぎ)をぬき/出(いだ)し、是は/先年(せんねん)、/朝鮮人(てうせんじん)/来朝(らいてう) 00083330M8の/時(とき)/買(かう)て/置(おい)たといへば、むすめがいふには、/刄物(はもの)でしん 00083340M9(六オ)でハ/跡(あと)がむさい。/幸(さいハい)此/池(いけ)へ/身(ミ)を/投(なげ)ふといへば、/夫(それ) 00083350M10も/尤(もつとも)と、あたりの/石(いし)を/拾(ひろ)ふて/袂(たもと)に入ふとすれバ、娘がい 00083360M11ふやう、そんな/俗(ぞく)な事が/有(ある)物か。とふから/用意(ようい)して/置(おい)たと、 00083370M12たもとから/蝋石(らうせき)を出した 00083380¥N9¥J 00083390¥X/夫婦(ふうふ)づれの/宿這入(やどばいり) 00083400M15/夫婦(ふうふ)一ツしよに/宿這入(やどばいり)をしたる/所(ところ)へ、きん/所(じよ)より、/茶碗(ちやわん)と 00083410M16酒とくりとを/貰(もら)ひければ、(六ウ)ひとつに/釜(かま)へいれて/煮(に)て 00083420M17ゐる所へ、/大(おゝ)きな/水溜(ミづため)の/壷(つぼ)を/貰(もら)ひたり。/嚊(かゝ)がいふにハ、此 00083430M18大キな/壷(つぼ)ハなんで/煮(に)よふと、くつたくすれば、/亭主(ていしゆ)がいふ 00083440M19にハ、/気遣(きづか)ひすな。/晩(ばん)に/風呂(ふろ)屋へゆくときニかたげてい 00083450M20こ 00083460¥P245 00083470¥N10¥J 00083480¥X/駕(かご)かきの/驚(おどろ)き 00083490L3/大坂(おうさか)もの、/駕(かご)をからんといふ。/直(ね)の/相談(そうだん)できて、/駕(かご)にのせ 00083500L4たり。かの/客人(きやくじん)、わろきくせにて(七オ)(七ウ・八オ挿絵)/駕(かご) 00083510L5のさゆうへつばをしきりにはくゆへ、かごかきいふやうハ、 00083520L6もし/人(ひと)にかゝれバ/喧嘩(けんくわ)のもと。お/止(やめ)なされといふうち、/向(むか) 00083530L7ふよりくる/侍(さむらひ)の/羽織(はをり)にかゝりけれバ、侍、/腹(はら)を/立(たて)、其/駕(かご)お 00083540L8ろせといふゆへ、/駕(かご)かきおそれて、駕をおろして二/町(てう)ほど 00083550L9わきへ/迯(にげ)てゆきたり。しバらくありて/旅(たび)人二人づれにて、 00083560L10/駕(かご)かきの/傍(そバ)を/咄(はな)してゆく/様(やう)、扨+/大(おゝ)坂ものハ/手者(てしや)じや。 00083570L11(八ウ)侍と切り/結(むす)んでおるといふてゆく。其あとへ、とう 00083580L12+侍ハ/迯(にげ)おつたといふ。/夫(それ)でよふ+と/安堵(あんど)して、/駕(かご)の 00083590L13/傍(そば)へ/行(い)て見れバ、大さか/者(もの)、駕に/乗(のつ)てゐるゆへ、/覗(のぞ)いて見 00083600L14れバ、/首(くび)がなし。一人の/駕(かご)かきハふるひ/出(いだ)せバ、一人の駕 00083610L15かきいふようハ、/極(きハ)めの所迄かいていこ。モウつばけをは 00083620L16く/気(き)づかひハない 00083630¥N11¥J 00083640¥X/馬士(むまかた)のくやミ(九オ) 00083650L19/馬士(まご)ども/寄合(よりあふ)て、八蔵が所の小ぼうずが/死(しん)だとやい。ソリ 00083660L20ヤ/悔(くや)ミにいかざなるまいと、八蔵が所へ行、/聞(きけ)バ、/爰(こゝ)の市 00083670M1松が/死(し)んだげなの。ヲヽかわひゝ事をして/退(のけ)たわい。ハテ 00083680M2/子供(こども)の事じや。/了簡(りやうけん)してやれ 00083690¥N12¥J 00083700¥X/蛸(たこ)のつかひ 00083710M5/蛸薬師(たこやくし)、/蛸(たこ)を/呼(よび)出し、/急(きう)なるやうじ有間、/奈良(なら)大仏迄いそ 00083720M6ぎ/参(まい)るよし/仰(おゝせ)(九ウ)有けれバ、/心得(こゝろへ)しとて、/勝手(かつて)へゆきし 00083730M7所ニ、/余(あま)り/隙(ひま)入りしかバ、/薬師(やくし)待かね給ひて、どふじや。 00083740M8まだ/拵(こしら)へハ/出来(でき)ぬかとの給へば、イヤ、まだわらんづを、 00083750M9やう+五本の/足(あし)にはきました 00083760¥N13¥J 00083770¥X/馬士(むまかた)の/魚釣(うをつり) 00083780M12/桂川(かつらがハ)にて、うをゝつりて/居(い)るうしろへ、/馬士(まご)/来(きた)り、/余念(よねん)な 00083790M13く見てゐるゆへ、/釣(つ)り人の(十オ)いうハ、あまり/面白(おもしろ)そふ 00083800M14なに、/釣竿(つりざほ)を/借(かそ)ふ/程(ほど)に/釣(つゝ)て見ぬかといへば、/大(おゝ)きに悦び、 00083810M15ついに/釣(つゝ)て見た事がござりませぬと、/竿(さほ)を/借(かつ)て/釣(つゝ)て/居(い)るう 00083820M16ち、はへがかゝつて、びく+と/引(ひき)けれバ、ドウ+ 00083830¥Y1軽口四方の春四之巻終△(十ウ) 00083840¥T1/軽口(かるくち)/四方(よも)の/春(はる)五之巻 00083850¥N1¥J 00083860¥X/黒舟(くろふね)の/出入(でいり) 00083870L5/野出(ので)の庄兵衛、/新町橋(しんまちばし)の/喧嘩(けんくわ)の/仕(し)かやしに、/黒舟(くろふね)の/所(ところ)へき 00083880L6て、此/辺(へん)で/勝負(しやうぶ)すれば人立でじやまな。いつそ/外国(よこく)のはな 00083890L7れ/嶋(じま)へゆかふと、二人一しよに/舟(ふね)にとり/乗(のり)、/艫(ろ)を/押切(おしきつ)て/北(きた) 00083900L8へ+とこいで/行(ゆく)。其あとへ/野出(ので)の/女房(にようぼう)がきて、/夫(おつと)+が 00083910L9/勝負(しやうぶ)、見とゞけず(一オ)にハおかれぬと、二人の/女房(にようぼう)も 00083920L10/同(おな)じく舟に/乗(のり)、あとをおふてこいで/行(ゆく)。/北国(ほつこく)/寒風(かんぷう)つよけれ 00083930L11バ、二人共/嶋(しま)のうへに/凍付(いてつき)こゞり、/男達(おとこだて)の/立(たち)ずくミに/成(なつ)て 00083940L12/居(ゐ)たり。ふたりの女房、きてんをきかし、あたりの/柴(しば)を/集(あつ) 00083950L13め、そバにてめつたに/焚(たけ)バ、しだい+に/凍(いて)が/解(とけ)て、ぐに 00083960L14や+とつくばい、サア、したにゐたが、なんでありや 00083970L15(一ウ) 00083980¥N2¥J 00083990¥X/侍(さむらひ)の/社参(しやさん) 00084000L18りつばなる侍、/供(とも)廻り/召(めし)つれ、/元日(ぐわんじつ)に/氏神(うぢがミ)へ/社参(しやさん)し、/礼拝(らいはい) 00084010L19のうち、/烏(からす)が上下へふんを/仕(し)かけたれば、ソレ/挾箱(はさミばこ)のかへ 00084020L20上下といふて/取出(とりいだ)させ/拝(はい)するうち、又/着物(きもの)へふんしかくれ 00084030M1バ、ソレ/替衣裝(かへいしやう)とて/取(とり)いたさせ、/着(き)かへて/拝(はい)せらるれバ、 00084040M2/今度(こんど)/と((ママ))ハあたまの/上(うへ)へふんを/仕(し)かけけれバ、/刀(かたな)するりとぬ 00084050M3き、(二オ)/我手(わがで)に/首(くび)をかき切て、ソレかへ/首(くび) 00084060¥N3¥J 00084070¥X思ひ+の/商売(しやうばい) 00084080M6/田舎(いなか)より/身代(しんだい)をかせぎに/登(のぼ)りしもの、/久(ひさ)しぶりにて/道(ミち)にて 00084090M7/行合(ゆきあひ)、サテ+/久(ひさ)しうあハなんだが、/貴様(きさま)、今ハ/何所(どこ)に何 00084100M8/商売(しやうばい)をしているといへば、おれハ三条/新(しん)町に/苧(お)屋して/居(ゐ)る 00084110M9といふ。イヤ、おれハ/錦通(にしきどを□)に/納(な)屋して居る(二ウ) 00084120¥N4¥J 00084130¥X/仕合(しあわせ)な/盗人(ぬすひと) 00084140M12/盗(ぬす)人、やう+と/塀(へい)を切りやぶり、/内(うち)へはいつて見れバ、 00084150M13/広(ひろ)ひうちにむすめが一人/寐(ね)ているゆへに、あんどを/提(さげ)て娘 00084160M14の/顔(かほ)を見れハ、いろはを少しやせさしたやうな/面(おも)さし。/盗(ぬす) 00084170M15人もぞつとして、うつとりと/枕(まくら)もとに/立(たつ)て居る/中(うち)、娘ハ/目(め) 00084180M16を/覚(さま)して見れバ、/来(らい)助からつりとりそうな/男(をとこ)が、すつくり 00084190M17と立ている。娘ハ(三オ)(三ウ・四オ挿絵)さわがず、お/前(まへ)ハ 00084200M18たれさんじやへ。おれは/盗(ぬす)人といへば、ナアニ、/啌(うそ)ばつか 00084210M19り 00084220¥P247 00084230¥G(三ウ・四オ) 00084240¥N5¥J 00084250¥Xおどりずき/療治(りやうぢ) 00084260M3わかい/息子(むすこ)、をどりずきにて、/毎夜(まいよ)さおどりに/出(で)るゆへ、 00084270M4/親父(おやぢ)だん+いけんすれどもきゝ入ず。ぜひなく/名医(めいい)にり 00084280M5やう/治(ぢ)を/頼(たの)ミけれバ、/黒焼(くろやき)をこされたり。一/服(ぷく)もちゆると 00084290M6其/晩(ばん)より、とんと/踊(をど)りに/行(ゆか)ず。(四ウ)あまりふしぎさに、 00084300M7/医者(いしや)の所へ行てとふたれバ、アレハ/根芋(ねいも)の/黒(くろ)やき 00084310¥N6¥J 00084320¥X/浪人(らうにん)のこしつけ 00084330M10/浪人(らうにん)の/所(ところ)へ、きわに/掛(かけ)とりが/来(き)て、コリヤ、まだ/門(かど)がしめ 00084340M11てある。いつでも/極(きハ)+に/戸(と)のしめてない/事(こと)ハない。しか 00084350M12しどふやら/内(うち)に人おとがする/様(やう)なと、/障子(せうじ)にゆびで/穴(あな)をあ 00084360M13け/覗(のぞ)いて見れバ、うちに/浪(らう)人がゐるゆへ、どふぞ/掛(かけ)を(五オ) 00084370M14くださりませといへば、/浪(らう)人/大(おゝ)きにいかり、此家ハ/武士(ぶし)の 00084380M15/城廓(じやうくハく)も/同前(どうぜん)。もとの/通(とを)りにせよといふゆへ、/鼻帋(はながミ)を出し、 00084390M16つばけで/元(もと)のとをりにはれバ、もう見へぬかといふ。ねつ 00084400M17から見へませぬといへば、ソンナラやつはり/留主(るす)じや 00084410¥N7¥J 00084420¥Xうを/釣(つり)の/指南(しなん) 00084430M20/二条(にでう)かけあがりに、/魚(うを)つり/指南(しなん)という(五ウ)かんばんあり。 00084440¥P248 00084450¥G(七ウ・八オ) 00084460M1/珍(めづ)らしき事と/案内(あんない)をこへバ、/亭主(ていしゆ)立/出(いで)、よふこそ御いで。 00084470M2さらば/指南(しなん)をいたさんと、/釣竿(つりさほ)をもたせ/二階(にかい)へ上、サア/釣= 00084480M3針(つり=ばり)をおろしたといへば、/二階(にかい)の/上(あが)り/口(くち)より/針(はり)をおろせバ、 00084490M4/亭主(ていしゆ)、其/針(はり)をもち、下より引ツぱり、サア是がはへの引の 00084500M5じやが、/手(て)に/答(こた)へましよがの。今引のがむつでござる。サ 00084510M6ア今/竿(さほ)を上ケて見た。イヤ(六オ)どふも、/竿(さほ)が上りませぬ。 00084520M7サア是が、ごもくにかゝつた/時(とき)じや 00084530¥N8¥J 00084540¥X/女郎(ちよらう)のしらみ 00084550M10/女郎(ぢよろう)、/客(きやく)と/咄(はな)しして/居(い)て、しらミを壱疋つかまへ、/仕様(しやう)ハ 00084560M11なく、そつとかんでしもふうちに、/客(きやく)もまた一/疋(ひき)とらまへ、 00084570M12そバなる/火鉢(ひばち)へくべれバ、/女郎(ぢよろう)、ヱヽきたない事なんすと 00084580M13いへば、/客(きやく)、イヤ、おれは(六ウ)/生(なま)でハゑゝくわぬ 00084590¥N9¥J 00084600¥X/女郎買(ぢよろうかい)の/異見(いけん) 00084610M16/少(ちと)まへめなる/男(おとこ)、そろ+/茶(ちや)屋ぐるひをはじめければ、/友= 00084620M17達(とも=だち)きのどくにおもひ、/女房(にようぼう)を/女郎(ぢよろう)と思ふて、/内(うち)で酒事をし 00084630M18て遊バしやれと/異見(いけん)をしたれバ、/尤(もつとも)と/呑(のミ)こミ、酒さかなを 00084640M19/買(かう)て/来(き)て、/嚊(かゝ)に/衣裝(いしやう)を/着(き)かへさせ、さいつおさへつ酒をの 00084650M20み(七オ)(七ウ・八オ挿絵)あげくに、せりふをしかくれバ、 00084660¥P249 00084670L1/嚊(かゝ)あほうらしく、上り/口(くち)をおりんとすれバ、コリヤ、もふ 00084680L2/跡(あと)は/詰(つめ)てやつた 00084690¥N10¥J 00084700¥X/大仏(だいぶつ)の/大風(おゝかぜ) 00084710L5/大風(おゝかぜ)にて/京(きやう)の大/仏(ぶつ)様、御/目(め)の/玉(たま)とびいで、/行方(ゆきがた)しれず。御 00084720L6/境内(けいだい)ハもちろん、ほか+御尋候へども/知(しれ)ず。それゆへ、 00084730L7/仏師(ぶつし)へ入札の/義(ぎ)仰付られ、金百両又ハ七拾両なんし五(八ウ) 00084740L8拾両三拾両と、だん+入札ある中に、大工と思しき親父、 00084750L9一人たゞ三両ニ而/元(もと)の/通(とを)りに致べくと申もの有り。/早速(さつそく)そ 00084760L10れへ仰付られ、いつ/何日(いつか)と申/日(ひ)になり候へば、其うハさ、/京= 00084770L11中(きやう=ぢう)へしれ、大/仏(ぶつ)様の御目、たゞ三両ニ而/元(もと)のとをりに致す 00084780L12よし。/余(あま)り/下直(げちき)なるもの、いかゞ致し候やと/諸見物(しよけんぶつ)、/朝(あさ)よ 00084790L13り大仏へ/詰(つめ)かけ/待居(まちい)ける/所(ところ)に、/右(ミぎ)の大工、/長(なが)きはしご/継合(つぎあわせ)、 00084800L14/鉄槌(かなづち)、かすがいやうの物たずさへ、(九オ)はしご£御/目(め)の 00084810L15/中(なか)へはいり候ゆへ、いかゞして/元(もと)の/通(とを)りにするやと見る/中(うち) 00084820L16に、御骸の中に有しか、/元(もと)の/如(ごと)くはめ、かすがいにてうち 00084830L17付る/音(おと)するゆへ、諸/見物(けんぶつ)、扨+/発明(はつめい)なる事かな。大風に 00084840L18て御目ハとび出しと/斗(ばかり)存居候に、/内(うち)ニおちて有し事/知(しり)て/受= 00084850L19取(うけ=とり)しハ、りかうなる致かた。そして御目の中へはいり、い 00084860L20づくより出る事やとあんじ、しばらく見てゐるうちに(九 00084870M1ウ)御/鼻(はな)の/穴(あな)より出、もとのはしごへ下り/来(きた)れば、/見物(けんぶつ)人、 00084880M2さて+/賢(かしこ)い思ひ/付(つき)じやといへば、/傍(そば)なる/老人(らうじん)、アレハこ 00084890M3ちの/近所(きんじよ)の人じやが、/日比(ひごろ)から、/目(め)から/鼻(はな)へぬける/様(やう)な人 00084900M4じや 00084910¥Y1軽口四方の春五之巻終△(十オ) 00084920¥Q 00084930M10寛政六年とらの 00084940M11△△△△△△正月 00084950M15△京都書林 00084960M16△△△△△御幸町三条上ル町 00084970M17△△△△△△△△△△梅村伊兵衛 00084980M19△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十ウ) 00084990¥P250 00085000¥U噺本大系△第十二巻 00085010¥T/滑稽(こつけい)/即興噺(そつきようばなし)△〔題簽〕 00085020¥G 00085030¥Y 00085040L17寛政六年十一月刊 00085050L18山東京伝閲 00085060L19大坂△河内屋屋太助等板 00085070L20半紙本五巻五冊 00085080¥Y 00085090M3山東京伝閲△△G 00085100M6@当時|流行@/滑稽(こつけい)/即興噺(そくきやうばなし)@全部|五冊@ 00085110M9/這即興咄(このそくきやうはなし)ハ/東武(とうふ)の/流行京摂(りうこうけいせつ)の/珍話(ちんわ)すべて 00085120M10/滑稽(こつけい)なる/噺(はなし)を/精選(せいせん)して/四方(しはう)の/君子(くんし)に/布(しく)ハ/春日(しゆんじつ) 00085130M11/秋夜(しうや)/噺盡(はなしつき)て/後(のち)/噺(はなし)を/成(な)す/一助(いちしよ)ともならんかと/梓行(しこう)する/者也(ものなり) 00085140M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(見返扉) 00085150¥P251 00085160¥Y/滑稽(こつけい)/即興噺(そつきやうばなし)/序(じよ) 00085170L3/昨日(きのふ)の/即席料理(そくせきりやうり)は、/今日(けふ)の/即席噺(そくせきばなし)。/此節(このせつ)/江戸(ゑと)のはやり/物(もの)、 00085180L4/専(もつぱら)/浪速(なにハ)に/流行(りうかう)のからくり/的(まと)に、さも/似(に)たり。/何(なに)が/出(で)よや 00085190L5ら(序オ)しれなゐの/舌巻(したまき)たてゝ、/腹(はらわた)を/耕(たかや)す/道(ミち)もすきの/道(ミち)、 00085200L6くわをぬかして/咄(はな)ス/夜(よ)の/長(なか)ひは/燈心(とうしん)、/庚申(かうしん)の/晩(ばん)に+と/言(いひ) 00085210L7のばした、/鼻毛(はなけ)にあらぬ/噺(はなし)のかづ+、/書林(しよりん)/何某(なにがし)/書輯(かいあつめ)し/京= 00085220L8摂(けい=せつ)の/珍(ちん)(序ウ)/話(わ)とりまじへ、/耳(ミヽ)とつてかみたる/鼻紙(はなかミ)のはし 00085230L9に、かゐつけ/送(をく)る/事(こと)しかり 00085240L10△△△寛政六甲寅年冬/煙草包(たばこいれ)/舗(ミせ)におゐて、/京橋(きやうはし)の/息= 00085250L11△△△子(むす=こ)これを/書(しよ)して、六日/限(きり)の/便(たより)に/附(ふ)す(一オ) 00085260¥Y1/目次(もくろく) 00085270M3△△△/真顔(まがほ) 00085280M4△△△/家元(いへもと) 00085290M5△△△/二王(にわう) 00085300M6△△△/足事(たること)をしれ 00085310M7△△△/道成寺(どうじやうじ) 00085320M8△△△/三(ミ)つ/子(ご) 00085330M9△△△/丹波(たんば)おとこ(一ウ) 00085340¥P252 00085350¥T1/滑稽(こつけい)/即興噺(そつきやうはなし)巻之壱 00085360¥N1¥J 00085370¥X/真顔(まがほ)@此はなしハ、ある人/下駄(げた)さいて/傘(かさ)はかにやならぬ|とぜつくせし、京伝即興に/製(せい)す。すべて此/例(れい)也△@ 00085380L5/本郷辺(ほんこうへん)のさるおれき+、/春(はる)の日のつれ+、/物見(ものミ)に出、 00085390L6/往来(わうらい)を見給へバ、/実(げに)/尽(つき)しなき人通り、百万/石(ごく)もけんべきも 00085400L7と、/城木(しろき)屋の/浄(じやう)るりにいふた通りのはんくハの/地(ち)、是ハ一 00085410L8ツ/興(けう)と、/殿(との)ハかたづをのんで見給ふ内、東南より/雲(くも)をこり、 00085420L9どふやら一トしきりふり出しそうな/雨(あま)もよふ。/袴羽織(はかまはをり)で男 00085430L10つれた町人がそらながめ+、コリヤ三助。どふでも此/雨(あめ) 00085440L11ハ/来(き)そうな。(二オ)/傘(かさ)はいて/下駄(げた)さゝにやいかれぬ。一ト 00085450L12はしりいんで取てこいと/言付(いひつけ)るを/聞(きゝ)給ふて、/殿(との)ハ/大(おゝい)に/腹筋(はらすじ) 00085460L13をより給ひ、あまりのおかしさに、其まゝ/御殿(ごてん)へかへり給 00085470L14へども、なを御/笑(わら)ひやまず。/近習(きんじゆ)がそばから、/御前(ごぜん)にハ何 00085480L15をお/笑(わら)ひあそばす。殿イヤ、けふハあまり/退屈(たいくつ)したから、 00085490L16/物見(ものミ)て/世中(よのなか)の/往来(わうらい)を見よふとなかめていたれハ、はかまは 00085500L17をりで/供(とも)つれた男が、供にいひつけるハ、どふやら/雨(あめ)がふ 00085510L18りそふなから、/下駄(げた)はいて/傘(かさ)さゝにやいかれぬ。はやくい 00085520L19んで取てこいといひ付た。何と、おかしいで(二ウ)ないか。 00085530L20近習ヘイ。殿/下駄(げた)はいて/傘(かさ)さゝにやならないとハ、おかし 00085540M1いてないか。近習ヘイ。殿どふしや。げせぬか。近習イヤ、 00085550M2/随分(すいぶん)げしてをりまする。殿げせたらおかしからふ。/次(つぎ)て/笑(わら) 00085560M3へ 00085570¥N2¥J 00085580¥X/家元(いへもと) 00085590M6ある/夜(よ)、/都(ミやこ)/薮(やぶ)の/内(うち)の何がし、/室(しつ)にあつて一ト人/茶(ちや)をてんじ 00085600M7居られしが、/暮(くれ)かたより/殊(こと)の外/寒(かん)じて、ちら+/雪(ゆき)ふりけ 00085610M8るが、いつの間にやら、/庭(にハ)一チめんに/音(おと)もせす、/香(か)もせず 00085620M9ふりつもる/雪(ゆき)のしろたへ、其(三オ)/景色(けしき)いわんかたなけれ 00085630M10バ、いざさらバ/雪見(ゆきミ)にころぶ所までと、/夜半(やはん)の/鐘(かね)の/音(おと)づる 00085640M11ゝもいとわす、/僕(ぼく)八助をおこし、てうちんをともさせ、ま 00085650M12づ/吉田(よしだ)がよかろふとこゝろざし、/社檀(しやだん)にこし打かけ、/境内(けいだい) 00085660M13を打見るに、とふもいへぬけしき。何と八助。おもしろふ 00085670M14/積(つも)つたでないかといへバ、/僕(ぼく)ハふるひあがるほどの/寒(さむ)さな 00085680M15れど、/主(しう)と/病(やまひ)に/是非(ぜひ)なく、供に付来りし事ゆへ、何の是が 00085690M16おもしろい事がある。あたつめたいとぼやくうち、あなた 00085700M17より/雪(ゆき)/踏(ふミ)わける/足音(あしをと)。/家元(いへもと)ハ(三ウ)眼をそばめて打見れバ、 00085710M18/四十(よそじ)ばかりの男、/対尺(ついたけ)の/長合羽(なかがつぱ)に/革(かハ)のかけた/下駄(げた)、/雪(ゆき)つも 00085720M19る/傘(からかさ)をさしながら立どまつて、是も/境内(けいたい)の/雪(ゆき)見る/風情(ふぜい)。い 00085730M20かなる/雅人(かじん)やらとゆかしく、/詞(ことバ)をかけふと思ふうち/行過(ゆきすぐ)れ 00085740¥P253 00085750¥G(四ウ・五オ) 00085760M1バ、/家元(いへもと)、/僕(ぼく)にむかひ、今/爰(こゝ)を/通(とを)つた男は何で有ふな。ハ 00085770M2イ。今ころに/爰(こゝ)らへくるやつなら、大かた/茶師(ちやし)か/盗人(ぬすびと)てご 00085780M3ざりませふ 00085790¥N3¥J 00085800¥X/二王(にわう) 00085810M6/去山寺(さるやまでら)の二王/(もん)るいしやうせしゆへ、/和尚(おせう)、方+を(四 00085820M7オ)(四ウ・五オ挿絵)/勧化(くハんげ)して、どふやらかふやらもとの通り 00085830M8こんりうできしが、所の/庄屋(しやうや)いふやうハ、/時節(じせつ)がらなれバ、 00085840M9二王の目へ入る/玉眼(ぎよくかん)をかんりやくして、びいどろてしまふ 00085850M10たがよかろふといひ出されけれバ、/和尚(おしやう)ハ/不承知(ふせうち)ながら所 00085860M11のたばねをする庄屋の詞、ことにハ一チの/旦家(だんか)なれバ、ま 00085870M12んざらつぶされもせず。/玉眼(ぎよくかん)をしまつして、びいどろであ 00085880M13つらへけるが、すでに二王できあがりけるゆへ、二王/門(もん)へ 00085890M14たて、ミな+打より見る所、さすがハ庄屋どのゝ/智恵(ちへ)。 00085900M15たつから見てもよこから見ても、とんと/玉眼(ぎよくがん)に(五ウ)かわ 00085910M16つた事ハないと/咸心(かんしん)して居るうち、二王の/鼻(はな)から/風(かぜ)が/通(とを)つ 00085920M17て、ポペン 00085930¥N4¥J 00085940¥X/足事(たること)をしれ 00085950M20大坂本町/辺(へん)のうらに、/隠居(ゐんきよ)でもなく、しもたやでもなく、 00085960¥P254 00085970L1しやう事なしのやまめぐらしと見へて、へつらわす/餝(かざ)らす、 00085980L2/世(よ)をらくにすむ/隠者(ゐんじや)の所へ、/近所(きんじよ)の/呉服(ごふく)屋の/息子(むすこ)が来て、 00085990L3南のげいこにいろのあるのを/親仁(おやし)がきいて、まゝにさゝぬ 00086000L4/述懐(しゆつくわい)。/主(あるじ)つく※きいて、ソリヤ/親仁(おやぢ)どのがミなもつと 00086010L5も。なるほど/若(わか)い/時(とき)の/水(ミつ)の/出(で)ばな。(六オ)其/芸子(げいこ)を女ぼう 00086020L6にもたねバ、/世間(せけん)へ/顔出(かほだ)しのできぬやうに思ふ事もある事 00086030L7なれど、/手(て)にとるなやはり/野(の)にをけげんげ/花(ばな)といふ/句(く)がよ 00086040L8い/異見(ゐけん)。どのやうにうつくしいものも、内へつれてもとつ 00086050L9てハおもしろふないもの。其上一トあいに五両づゝの小づ 00086060L10かひとハ、此うへもない/親御(おやご)の/了簡(りやうけん)。いかに/若(わか)いとて、/足= 00086070L11事(たる=こと)を/知(し)らしやりませ。/私(わたくし)もまへかた、京都にをります/時分(じふん) 00086080L12に、てしまの/講釈(かうしやく)にこりましたが、とかく/人間(にんげん)ハとりおき 00086090L13が/第(だい)一、あんじんがわるけれバ、/金持(かねもち)も/貧乏人(びんぼにん)におとりま 00086100L14す。(六ウ)こふしてわづか廿/畳(でう)にたらぬ手せまいうちに、 00086110L15ひとり/住(ずミ)いたしてをりますれど、/家内(かない)にハ六十/余州(よしう)のもの 00086120L16が取よせてござります。マアびんごおもてに、あふミの/布(ぬの) 00086130L17べり。いせ/合羽(がつぱ)のたばこ入に、/阿波(あハ)たばこ。きせるハ/仙台(せんだい) 00086140L18のうきばり。米ハ/肥後米(ひこまい)。わり木ハ/土佐(とさ)。/菜(さい)といへば/大和(やまと) 00086150L19のそら/豆(まめ)、/紀州(きしう)の/高野(かうや)どうふ、/出羽(でわ)の/最上(もがミ)のぜんまい、/下= 00086160L20野(しも=つけ)の/日光(につかう)とがらし。/醤油(しやうゆ)ハびぜん、/塩(しほ)ハ/赤穂(あこ)。/平生(へいぜい)何も用 00086170M1ハなし。/丹波(たんは)やきの/茶(ちや)びんふろに、/伊豆(いづ)やきの/土瓶(どひん)かけて、 00086180M2/山(やま)しろの/宇治(うぢ)の/茶(ちや)いれて、/松(まつ)(七オ)/前(まへ)の/昆布(こぶ)でもしがミ、 00086190M3しかし/酒(さけ)ハやつぱり/津(つ)の/国(くに)の/伊丹酒(いたミさけ)。さかなハ/丹後(たんご)の/金太= 00086200M4郎(きんた=ろ)いわしか、/五嶋(ごとう)するめ、/甲州(かうしう)むめ、/若狭王余魚(わかさがれ)やうの物。 00086210M5ひぜんも三ねんに一チ/度(ど)ハかゝさず、こしの/長門(ながと)ゐんらう 00086220M6にハ/富山(とやま)のはんごん/丹(たん)か、あさまの/万金丹(まんきんたん)。あんどハやつ 00086230M7ぱりゑんしうあんど。/美濃紙(ミのがミ)ではるが/徳(とく)、/加賀笠(かゞがさ)にかゞ/蓑(ミの)。 00086240M8しきものハさぬき/円座(ゑんさ)。/夏(なつ)むきハ/奈良(なら)ざらしかゑちごのつ 00086250M9ゝミ。/冬(ふゆ)ハうへしたとも/河内(かハち)はぶたへ、/帯(おび)ハぶぜんの/小(こ)く 00086260M10ら、/淡路(あハぢ)もめん一ツ/反(たん)かふてハ、/越中(ゑつちう)ふんとし。此うへ 00086270M11(七ウ)にもおごりがましいが、/高麗(かうらい)ばしで/朝鮮沓(てうせんぐつ)一ツ/足(そく)/買(か) 00086280M12ふたら、/太閤(たいかう)さまも/同(おな)し事じや 00086290¥N5¥J 00086300¥X/道成寺(どうぜうし) 00086310M15/百日(ひやくにち)あまりの日でりに、/在(ざい)かた大になんきにて、/雨乞(あまごひ)して 00086320M16もいつかうふらす。/庄屋(しやうや)とのゝいわるゝハ、/此度(このたひ)、/仙助(せんすけ)の 00086330M17/能(のう)のあるも/幸(さいわ)ひ、むかしから/道成寺(どうしやうし)にハ/雨(あめ)がふるときゝつ 00086340M18たへた事なれバ、仙助をたのんて/舞(まわ)さんと/相談(そうだん)きわまり、 00086350M19さつそく仙助かたへ、右のやうすをかたれバ、/委細(いさい)かし 00086360M20こまり候へ共、此/節(せつ)道成寺の/道具(とうく)、/殊(こと)の/外(ほか)(八オ)/破損(はそん)仕り 00086370¥P255 00086380¥G(九ウ・十オ) 00086390M1ましてござりますれど、お/急(いそき)の事なら間にあいまするやう、 00086400M2かりにこしらへ/興行(こうきやう)仕りませうと/支度(したく)もてき、道成寺を 00086410M3はじめけるが、なかば/過(すぎ)より、/俄(にわか)に/空(そら)かきくもり、/雷(かミなり)/大(をゝき) 00086420M4になり出せバ、/百性(ひやくせう)/咸心(かんしん)して、仙助を/氏神(うぢがミ)のやうに/夕立(ゆふたち)か 00086430M5ながせかと小/踊(おどり)りして/悦(よろこ)べハ、うたひおもへバ此/鐘(かね)うらめ 00086440M6しやとて、りうづに手をかけ引よと見へしが、鐘がをちる 00086450M7とたんに、又もなり出す大がミなり。ぐわら+ぴしやり 00086460M8とをちかゝれバ、/見物(けんぶつ)の/百性(ひやくしやう)、ミな+/正気(せうき)を/失(うしな)ひ/乱(らん)さわ 00086470M9ぎ。(八ウ)やう+そらはれけれバ、あたりの人来りて/介= 00086480M10抱(かい=ほう)に/気(き)がつき、ヤレ/鐘(かね)の下に仙助がおわすると、鐘を/引(ひき)あ 00086490M11げ見れバ、/中(なか)にもくねんとして/別条(べつでう)なきてい。是ハふしぎ 00086500M12と人&おどろき、よく+見れば/道理(どうり)、/鐘(かね)が/蚊帳(かや)てはつて 00086510M13あつた 00086520¥N6¥J 00086530¥X三つ/子(ご) 00086540M16まづしき/夫婦(ふうふ)中に、三つ子をうミけるが、二人ハ/男(おとこ)、ひと 00086550M17りハ/女(おなこ)也。夫婦/大(をゝき)に/悦(よろこ)ひ、さても+、三つ子を/産(うむ)とハ/出= 00086560M18世(しゆつ=せ)の/瑞相(ずいさう)。きゝおよぶ、三つ子をうめバ/舎人(とねり)に(九オ)(九ウ 00086570M19・十オ挿絵)/仰付(おゝせつけ)らるゝよし。/扨(さて)+有がたき事とよろこふ 00086580M20/折(をり)ふし、/近所(きんしよ)の人、/安産(あんさん)をよろこびに来りいふやうハ、三 00086590¥P256 00086600L1つ子を/舎人(とねり)とハ、三人/男(おとこ)そろふての事。/爰(こゝ)のハ一人ハ/女(おなこ)じ 00086610L2やによつて、/舎人(とねり)にハならぬ。親仁/大事(だいじ)ござらぬ。めろの 00086620L3がきハ、/豆腐(とうふ)の/御用(ごよう)にやります 00086630¥N7¥J 00086640¥X/丹波男(たんばおとこ) 00086650L6ある/儒者(じゆしや)、/放蕩(ほうとう)にてけしからぬしやくせん。/節季(せつき)一ツ/向(かう)つ 00086660L7まらねバ、此/季(き)丹波よりをきたる/山出(やまだ)しの男に、けふハ/誰(たれ) 00086670L8がこふとまゝ、/旦那(たんな)ハ/他行(たぎやう)といへといひつけ、(十ウ)其/身(ミ) 00086680L9ハ二/階(かい)へあがりかくれ居けるが、しばらくすると、おもて 00086690L10の/簣戸(すど)をぐわら+。男どなた。ハイ。木屋でござります。 00086700L11お/事(こと)/多(をゝ)ごさりませう。男/旦那(たんな)ハ/他行(たきやう)。木や/左様(さやう)なら、/後(のち)か 00086710L12たさんじませうといぬ。又すどをぐわら+。男どなた。 00086720L13ハイ。本屋てこさります。お事をゝこさりませう。男たん 00086730L14なハたぎやう。本やさやうなら、わたくしハ/遠方(ゑんほう)でこさり 00086740L15ますゆへ、/過(すぎ)ましてからさんじます。おたのミ申ますとい 00086750L16ふていぬ。又すどをくわら+。男となた。ハイ。/呉服(ごふく)屋 00086760L17でござります。(十一オ)お/事(こと)/多(をゝ)ござりませふ。男旦那ハ他 00086770L18行。ごふくやさやうなら、/晩(ばん)かたさんじませふといぬ。又 00086780L19すどをくわら+。男どなた。ハイ。/肴(さかな)屋でござります。 00086790L20お事をゝこさりませう。男旦那ハ他行。しはらくして肴や、 00086800M1ハイ。お事をゝござりませふ。男旦那ハ他行。しばらくし 00086810M2て肴や又、ハイ。お事をゝこさりませふ。男旦那ハ他行。 00086820M3肴屋、もじ+して、もし、/他行(たぎやう)とハ何の事でごさります 00086830M4へ。男他行とハ、二/階(かい)に/寐(ね)てゐる事 00086840¥Y1/滑稽(こつけい)/即興噺(そつきやうはなし)巻之一/終(おわり)△(十一ウ) 00086850¥P257 00086860¥Y1/滑稽(こつけい)/即興噺(そつきやうばなし)巻之弐 00086870L4△△△△△/目次(もくろく) 00086880L5△△△/紅毛(おらんだ)のうくひす 00086890L6△△△/見(ミ)たて 00086900L7△△△/里(さと)なまり 00086910L8△△△/江(ゑ)戸もの 00086920L9△△△/峯入(ミねいり) 00086930L10△△△/反魂香(はんごんかう)(一オ) 00086940¥T1/滑稽(こつけい)/即興噺(そつきやうばなし)巻之二 00086950¥N1¥J 00086960¥X/紅毛(おらんだ)の/鴬(うぐひす)△@此はなしハおらんだの鳥かごに、鴬二羽|入レありしを見て即興△△△△△△△△@ 00086970M5江戸に名高き/大医(たいゐ)、おらんだの/学問(がくもん)をこのミ、/毎年(まいねん)/石丁(こくてう)の 00086980M6/長崎(ながさき)屋へ/来(く)る/紅毛人(おらんだじん)に/手(て)すじをもとめ、いろ+の/奇説(きせつ)を 00086990M7たゞし、/珍物(ちんぶつ)をもとめ、/調合(てうがう)の/間(ま)にハ/机(つくへ)から/額(がく)かられんか 00087000M8ら、/器物文宝(きぶつぶんぼう)のたぐひ、フラスコの/書付(かきつけ)まで/紅毛(おらんだ)づくしに 00087010M9て、アボストロンツメイキルなど、ゑしれぬ事を/書(かき)ならべ、 00087020M10/客(きやく)の/来(く)るごとにハめづらしき/道具(どうく)をならべ、(二オ)/是(これ)が源 00087030M11内が/致(いた)したヱレキテルと申て、人の/身中(ミうち)から火をとる物。 00087040M12是がカヽンブと申て/火鼠(ひねづミ)て致した物で、火にくべましても 00087050M13/焼(やけ)ませぬ。是がおらんたの/蛇(じや)の/子(こ)、是が/空行船(そらゆくふね)、是がボウ 00087060M14トル、これが/裝束(しやうぞく)に/付(つけ)まするボタンでござるなどゝ、いろ 00087070M15+の物を出して見せる。/客(きやく)よりハ/主人(しゆじん)が/奇妙(きめう)がれバ、客 00087080M16も/珍(めづ□)しき物ゆへ、はじめハ一つ+びつくりせしが、あま 00087090M17り/沢山(たくさん)ニ出すゆへ、/後(のち)にハたいくつして、あくひをちぎつ 00087100M18てハほかし+/感心(かんしん)すれバ、主人ハ/段(だん)&+と/乗(のり)が/来(き)て、(二ウ) 00087110M19まだお目にかける物があると、/弟子(でし)をよび、おくのゑんに 00087120M20あるうくひすを持てこいと/言(いゝ)つくれバ、弟子かしこまり、 00087130¥P258 00087140L1丸いかごを/目八分(めはちぶん)にうや+/敷(しく)/持(もつ)てくるゆへ、立より見れ 00087150L2バ、まづ竹とも何ともしれず、みどりに/光(ひか)る/葭(よし)のやうなる 00087160L3物にてくんだる/鳥篭(とりかご)。/中(なか)にハうくひすが二/羽(わ)入てあつて、 00087170L4/餌入(ゑいれ)ハやきものゝ何ともしれぬ/奇妙(きめう)な物なれバ、/客(きやく)ほめか 00087180L5たニ/途(ど)をうしなひ、ため/息(いき)ついで見る内、主人何と/御覧(ごらふ)じ 00087190L6たか。何でも/違(ちが)ふてありそふで、とんと/日本(につぽん)ニ/替(かわ)らぬ(三 00087200L7オ)/物(もの)ハうくひす。是がきめうとふしぎかる。其内一羽の 00087210L8うくひす、/羽(はね)つくろひして、チヤンビウアボカ+といふ 00087220L9と、/跡(あと)の一羽もはねづくろひして、ほうけきやう+。主 00087230L10人、/則(すなわち)/跡(あと)から/啼(なき)ましたが、/通辞(つうじ)でござる 00087240¥N2¥J 00087250¥X見たて 00087260L13御/田(だ)をだしに、おやまけいこを/引(ひき)つれての/船(ふな)あそひ。/内川(うちかハ) 00087270L14ハおもしろうない。/沖(をき)へやれとの/気(き)まゝ大尽。/次第(しだい)にちか 00087280L15づく/青海原(あをうなばら)、/帆(ほ)を十/分(ふん)にまき、あまたのはしり船。たいこ 00087290L16の権八/旦(だん)しう。/向(むか)ふをはしる帆かけ舟。(三ウ)見たて/尽(づく)し 00087300L17ハどふ有ふ。旦こりやよかろ。/誰(たれ)からなりと見たてい+。 00087310L18たいこの林八しや+り出、りちきな/丁稚(てつち)の/急使(きうづかひ)とハどふ 00087320L19有ふ。旦心ハどふしや。林八わき目もふらず、まつすぐに 00087330L20さんじます。旦/次(つぎ)ハたれじや。げいこの小作が、はつかう 00087340M1の女中さんとハどふあらふ。林八心ハ+。小さくかぜに 00087350M2なひいて/居(い)てじやわいな。たいこの権八、手びやうしで、 00087360M3コリヤ/法師(ほうし)の/重箱(ちうばこ)とハどふあらふ。旦心ハどふじや。権八 00087370M4ミづにはしるといふ心。コリヤのめるハと大さわぎ。/最前(さいぜん) 00087380M5からともに/寐(ね)ころんでゐた/船頭(せんどう)、何おもひ(四オ)けん、さ 00087390M6しのぞき、ナント/旦那衆(だんなしゆ)。/見立(ミたて)ても/大事(だいじ)なくバ、わしにも 00087400M7ちつと見立さして下さりませ。コリヤよかろ。サア+ど 00087410M8ふじやとすゝめられて、おづ+とかしこまり、/膝行(いざり)の/火= 00087420M9事(くハ=じ)見まひとハ、どふでごんせふの。旦こりやおもしろそふ 00087430M10な。其心ハどふじや。ハテ、/居(ゐ)ながら走りやんすによつて 00087440¥N3¥J 00087450¥X里なまり 00087460M13ある/大尽(だいじん)、/春(はる)のうらゝかなる日、太夫かぶろ、/仲(なか)居たいこ 00087470M14もちを引つれ、うかむ/瀬(せ)で大立のうへ、/清水(きよミづ)のぶたい(四ウ) 00087480M15から/遠見(ゑんけん)。北にハ大坂を一目に見おろし、西南にハ/海原(うなばら)見 00087490M16へて/帆(ほ)ばしらつつく+/霞(かすミ)こめたる/風景(ふうけい)。太夫やかぶろハ 00087500M17おもしろがつて、/遠目(とふめ)がね見てハ、/霞(がすん)で見/へ((ママ))ぬゆへ、しん 00087510M18きがる/内(うち)、/大尽(たいじん)ハぶたいから/下(した)を見おろし、/平生(へいぜい)/清水(きよミづ)の/舞= 00087520M19台(ぶ=たい)から/飛(とん)だと思ふてと、/誰(たれ)かれなし/口(くち)くせにいふ事じやが、 00087530M20/誰(たれ)がひとり、とんだものがない。一/番(ばん)とんで見よふと身こ 00087540¥P259 00087550¥G(五ウ・六オ) 00087560M1しらへ。申、あぶなふおますと、太夫がとめるも聞ず、ら 00087570M2んかんへ/上(あが)り、/下(した)を見れバ、はるかの事ゆへ、ぞつとハす 00087580M3れど、/負(まけ)(五オ)(五ウ・六オ挿絵)おしミでおりられもせず、 00087590M4思ひ/切(きつ)てとんだ所、ひはらを打て其まゝ/気絶(きぜつ)。ソリヤ/旦那(だんな) 00087600M5か目がまふたと、ミな+下へかけをり、きつけよ、水よ 00087610M6と/介抱(かいほう)いろ+すれども、/性根(じやうね)/付(つか)ず。太夫もつけな/顔(かほ)して、 00087620M7ソレ見なませ。しになましたハな 00087630¥N4¥J 00087640¥X江戸もの 00087650M10江戸もの、大坂/見物(けんぶつ)のため、/船場(せんば)の北わきに/逗留(とうりう)して、ま 00087660M11づ/天満天神(てんまてんじん)に/参詣(さんけい)せんと/旅宿(りよしゆく)を出、/浪花橋(なにハばし)にさしかゝれバ、 00087670M12/東(ひがし)にハお/城(しろ)、京橋、八けん屋、天満の(六ウ)/御堂(ミどう)、/市(いち)のかハ、 00087680M13/鍋(なべ)しまの/舟入(ふないれ)から/大江橋(をゝへばし)、/山崎(やまさき)のはな、せんたの木ばし、 00087690M14/淀屋(よとや)ばし、/西国(さいこく)橋まで一めんに見へわたる/絶景(ぜつけい)。/橋(はし)の/数(かず)さ 00087700M15へ十六見ゆる/名所(めいしよ)なれハ、どふもいへないと、橋のらんか 00087710M16んにもたれ見わたすうち、どふしたはづミやら、/雪踏(せつた)かた 00087720M17し川の中へ/踏(ふミ)をとし、/南無(なむ)三、八百で/買(か)つたせきだ、しま 00087730M18つたと川の中を見れバ、/浅瀬(あさせ)にうぽ+ういてあれバ、つ 00087740M19いはいつたらとれそふな物とハ思ひながら、案内(あんない)しらぬ川 00087750M20なれバ、うかつに/飛(とひ)こまれもせず、(七オ)こまつてゐる。 00087760¥P260 00087770L1/片(かた)わきに/乞食(こじき)が、/亀(かめ)はなしてやらしやんせぬか。/放(はな)し/亀(がめ) 00087780L2+。江戸者コリヤ、アノ/雪踏(せつた)、取てくれないか。乞食ど 00087790L3こへはまつたのでごんす。江戸者/向(むか)ふさ。こじきどれ+ 00087800L4と見やり、/旦那(だんな)、なんぼくだんす。江戸廿四文やるべい。 00087810L5こじきめつそうな。アノせつたが廿四文やそこらでとれる 00087820L6ものか。江戸そんなら卅二文やるハ。イヱ+、/亀(かめ)二つ/売(うつ) 00087830L7たら、其くらいハもふけやんすと/相手(あいて)にならぬうち、/段&(だん+) 00087840L8/汐(しほ)がさして、せつたがながれるやうす。なむ三、あれをな 00087850L9がしたら八百(七ウ)わるいきとあせり、アレサ/流(なか)れる。/早(はや) 00087860L10くとつてくれろ。四十八文やるハ。こじきイヱ+。江戸そ 00087870L11んなら七十二文やるハ。こじきイヱ+。江戸よいハ。とん 00087880L12で百文はづむハ。こじきイヱ+。江戸ハテ、しびとい。百 00087890L13廿四文でハどふだ。こじきイヱ+。江戸百四十でもいや 00087900L14か。こじきイヱ+。そんならゑいハ。マアかたしはめて、 00087910L15三百やるべい 00087920¥N5¥J 00087930¥X/峯入(ミねいり) 00087940L18コレ、もじの太夫ハちつと心よいか。イヱ+。/段&(たん+)/悪(わる)ふ 00087950L19(八オ)ござります。フム、/夫(それ)ハ/気(き)のどく。/痢病(りびやう)といふ物ハ、 00087960L20つい直らぬ物じや。そしてくだるか。ハイ。たゞし又けつ 00087970M1しるか。ハイ。わがミハ/始終(しぢう)そばに/居(い)やるじやないか。ど 00087980M2んなやうすじや。ハイと/斗(はかり)てハわからぬ。/禿(かふろ)、もぢ+い 00087990M3ひにくそふに、ハイ。おゐどでからゑづきばつかり 00088000¥N6¥J 00088010¥X/反魂香(はんごんかう) 00088020M6/去両替屋(さるりやうがへや)のむすこ、北の/新地(しんち)の/芸子(げいこ)になじミ、あんどう 00088030M7見ねハ/寐(ね)られぬかよひ/路(ぢ)も、/若(もし)/添(そ)ハれ(八ウ)ねハ/死(し)ね/死(し)の 00088040M8ふの/合対(あいたい)。/番頭(ばんとう)の/忠義(ちうぎ)もの、外にて此事をきゝ、もしもの 00088050M9事あらバ/家(いへ)の/疵(きづ)と、/不承知(ふせうち)な/両親(りやうしん)をたゝきつけ、/芸子(けいこ)の/親(をや) 00088060M10にわたり、/妾宅(せうたく)ともいハず、/出入(でいり)の/医者(ゐしや)をとり親にして、 00088070M11/表向(おもてむき)のよびむかへ、ひろめもすんて両人がねかひの通り、 00088080M12/寐所(ねどころ)から手をたゝかぬを/本望(ほんもう)の二人か/添寐(そひね)、/偕老同穴(かいらうとうけつ)とち 00088090M13ぎりけるが、しはらくすると、/嫁(よめ)ハぶら+/労咳(らうがい)をわづら 00088100M14ひ、思ひもよらぬ/無常(むじやう)のわかれ。むす子ハ一所について行 00088110M15たいなけきも/煙(けふり)に/添(そ)ハれぬ(九オ)/旅(たび)のかなしさ。/旦那寺(たんなでら)へ 00088120M16/石塔(せきとう)をたてゝ、七日+の/香花(かうはな)も、さすがハ/家内(かない)の手まへ 00088130M17を/恥(はぢ)、しのび+の/墓参(はかまい)り。思ひ出す/恋(こひ)のはじめハ中町の 00088140M18おとり、其ばんハ/住次(すミじ)でどふで、/夫(それ)から/三丸(ミまる)屋でかふでと、 00088150M19ばちぶくろしてやつた事から、ひよく/紋(もん)の/紙入(かミいれ)のぬいまで 00088160M20思ひ出してやるせなく、/反魂香(はんごんかう)をたけバ、ふたゝび/死(し)んた 00088170¥P261 00088180L1ものにあハれると、/芝居(しばい)の/引事(ひきこと)から思ひ付て、人にもいわ 00088190L2ず、ひそかに/薬(くすり)屋を/吟味(きんミ)しけれバ、あるものゝ/手次(てつぎ)にて、 00088200L3やう+少&ばかり/手(て)に入より(九ウ)はやく、/旦那寺(たんなてら)へゆ 00088210L4き、/石塔(せきとう)の/前(まへ)へ直り、たもとから/用意(ようい)の/香炉(かうろ)を出して、/件(くだん) 00088220L5の/香(かう)をたけハ、ふん+と、ゑならぬ/薫(かほ)りくんじわたる。 00088230L6/烟(けふり)を見つめ、/亡者(もうじや)がもふ出るか+と/待(まつ)うち、はや/香(かう)がす 00088240L7がりになれバ、又つぎたせハ、やう+/香(かう)の/奇特(きどく)見へて、 00088250L8/地(ち)ひゞきして/石塔(せきとう)がゆさ+うごき出す有さま。むすこハ 00088260L9/奇意(きい)の思ひをなし、もふ/幽霊(ゆふれい)が出るか+と、両の手を/合= 00088270L10掌(がつ=しやう)して/念仏(ねんぶつ)を早めるうち、/香(かう)のけむり立きれると、/石塔(せきとう)が 00088280L11うこきやむと/一時(いちどき)。(十オ)是ハしたりと/香包(かうづゝミ)を見れバ、は 00088290L12や香ハなし。此くらいきどくのある事なら、もそつと/買(かふ)て 00088300L13来たらよかつたと/後悔(かうくわい)しながら、しかたもなく、何てもあ 00088310L14したハ/沢山(たくさん)に香を買て来て/亡者(もうじや)にたいめんせふと、/夫(それ)をち 00088320L15からにすご+内へもとれバ、/番頭(ばんとう)がいふやうハ、/若旦那(わかだんな)。 00088330L16さいぜんの/地震(ぢしん)ハ、どこでおあひなされました 00088340¥Y1/滑稽(こつけい)/即興(そつきやう)/噺(はなし)巻之弐/終(おわり)△(十ウ) 00088350¥Y1/滑稽(こつけい)/即興噺(そつきやうはなし)巻之三 00088360M4△△△△△/目次(もくろく) 00088370M5△△△/丁髪結(てうかミゆひ) 00088380M6△△△/松(まつ)ふく/風(かぜ) 00088390M7△△△/平家蟹(へいけがに) 00088400M8△△△かんたん 00088410M9△△△/好物(かうぶつ) 00088420M10△△△/空(そら)うで 00088430M11△△△もはや/用心(ようじん)(一オ) 00088440¥P262 00088450¥G(四ウ・五オ) 00088460¥T1/滑稽(こつけい)/即興噺(そつきやうはなし)巻之三 00088470¥N1¥J 00088480¥X/町髪結(てうがミゆひ)△@此はなしハ丁がミゆひ大/通(つう)したてにして通ルを|見て、ある/妾宅(せうたく)ニて京伝即興△△△△△△△△@ 00088490M5江戸/本町(ほんてう)へんの/丁衆(てうしゆ)、/丁稚(てつち)を供につれて、/浅草(あさくさ)のくハん/音(おん) 00088500M6へさんけい。/蔵(くら)まへにてむかふへゆく人を見れバ、/数寄(すき)屋 00088510M7ちゞミの/帷子(かたひら)に/黒絽(くろろ)のもんつきのはをり、おびハはかた、 00088520M8/足袋(たび)ハ/玉子(たまご)、/髪(かミ)ハきん+と、/八(や)わた黒のうらつけはいて 00088530M9あゆミゆけバ、なんでもよし/原行(わらゆき)とすいりやうし、どこの 00088540M10むすこで有ふと思ふうしろすがた。どふやら見おぼへある 00088550M11やうにもありと、すこし(二オ)あしをはやめ、よく+見 00088560M12れハ、/丁内(てうない)を/廻(まハ)るかミゆひの源七め。イヤ+、よもやあ 00088570M13いつがあんな/形(な)りハせまいと、/供(とも)につれし/定吉(さたきち)ニ、見とゝ 00088580M14けてこいといひつくれバ、かしこまりはしりゆきて、/顔(かほ)を 00088590M15のそきもとり、ハイ、源七どんにちがひハこさりませぬ。 00088600M16/呼(よび)ませふかといふゆへ、イヤ+、よんでハけつく、こま 00088610M17るであらふと/丁稚(てつち)をせいし、/跡(あと)よりそろ+ゆかれけるが、 00088620M18ゆくさきハひとつの/浅艸(あさくさ)なれバ、(二ウ)/跡(あと)へのこらふ+ 00088630M19と見あハすも/気(き)ぜいが/尽(つき)れハ、イヤ+定吉。やつはり源 00088640M20七をよべ。ハイと/跡(あと)からはしり行て、/丁稚(でつち)、/髪結(かミ)どん+。 00088650¥P263 00088660L1どこへいかしやる。イヤ、/猿(さる)がしまへ/敵打(かたきうち)に 00088670¥N2¥J 00088680¥X/松(まつ)/吹(ふく)/風(かぜ) 00088690L4太夫ふたりわづらひ、めい+の/禿(かぶろ)、かん/病(びやう)しけるが、/吉= 00088700L5弥(きち=や)、/薬(くすり)をせんじ、あげしなにやけとして、/薬鍋(くすりなべ)を取をとし、 00088710L6薬をミな+こぼしけれと、そういへばしかられる。/部屋(へや) 00088720L7からハ/薬(くすり)を/早(はよ)う/持(もつ)ておじやと(三オ)/呼(よハ)れる。ぜひなく、し 00088730L8づ江にむかひ、わがミの太夫様ンのくすりをかしてたもと 00088740L9いふゆへ、しづ江めつそうな。/病(やまひ)がべち+じやによつ 00088750L10て、/薬(くすり)がちがふてある。吉弥それでも、お/医者(いしや)さんハひと 00088760L11つじや 00088770¥N3¥J 00088780¥X/平家(へいけ)がに 00088790L14/橋(はし)のうへを/通(とを)る人、/持(もち)たる/扇(あふぎ)を川の中へ取をとして、/南無(なむ) 00088800L15三ぼうと、川ばたへかけをりて見れバ、/早(はや)/船頭(せんどう)がひらひあ 00088810L16げている。ヲヽイ+、其あふぎハおれが/落(をと)したのじや。 00088820L17どふぞもらひかへして(三ウ)下されといへば、船頭つかふ 00088830L18どに、/流(なかれ)て/来(き)たによつてひろふたじや。もどす事ハならぬ 00088840L19わいといふ/内(うち)、/船(ふね)ハはるかに行すぐる。をとした男ハせん 00088850L20かたなく、/舟(ふね)をにらミて立かへる。せんどうハかの/扇(あふき)を/船(ふな) 00088860M1はりにほしてをきひろげて/絵(ゑ)を見んとおもへバ、とぢつい 00088870M2てあかねバ、/眉(まゆ)にしわよせ、テモ/執心(しうしん)ハこわい物じや 00088880¥N4¥J 00088890¥X/邯鄲(かんたん) 00088900M5大坂/平野(ひらの)町へんの/豪家(がうか)へ、/伏見(ふしミ)町の/疋田(ひきだ)、/得意(とくい)(四オ)(四ウ・ 00088910M6五オ挿絵)まわりしけれバ、/主人(しゆじん)いふやうハ、何と/疋田(ひきだ)、/唐(から) 00088920M7へかんたんの/枕(まくら)の/注文(ちうもん)ハやられまいかの。疋田ハイ。/随分(ずいぶん) 00088930M8申てハ/遣(つかハ)されまするが、何に/遊(あそ)ハします。主人サア、きそ 00088940M9う/皇帝(くわうてい)の/鷹(たか)や/文(ぶん)てうめいの/書(しよ)ハいくらもあれど、かんたん 00088950M10の/枕(まくら)ハ日本へわたつた/沙汰(さた)をきかぬ。どふぞ/注文(ちうもん)がとゝの 00088960M11へバ、毎日五十年の/夢(ゆめ)を見る、此うへもないたのしミ。少 00088970M12&高ふても大事ないとのあつらへ。/疋田(ひきだ)もよいまふけ物と、 00088980M13さつそく/長崎(なかさき)へ/状通(でうつう)して、其年の/唐船(とうせん)にいひ/遣(つかハ)し、/翌年(よくねん) 00088990M14(五ウ)/吟味(きんミ)して/持(もち)わたる/約束(やくそく)なれど、/唐(から)でも有にくいやら、 00089000M15/一両年(いちりやうねん)/延引(ゑんいん)して、やう+四年めに/注文(ちうもん)とゝのひ、大坂へ 00089010M16くるやいな、/疋田(ひきだ)よりさつそく/持参(ちさん)。/主人(しゆじん)ハ/高金(かうきん)の物、さ 00089020M17ためてけつかうなにしきでもあろふかと思ひの外、うるし 00089030M18でぬつた/革(かハ)まくら、何千何百年になるやら、けしからぬむ 00089040M19しにてぼろ+してあれバ、とふやら/心得(こゝろへ)ず、/目利者(めきゝしや)ニ見 00089050M20せけるに、たかゞかんたんの/市(いち)で、あわのめしくふほどの 00089060¥P264 00089070¥G(九ウ・十オ) 00089080M1/身代(しんだい)のもの、/革(かハ)まくらが/相応(さうをう)/正真(しやうじん)(六オ)であろふといふ事 00089090M2ゆへ、/主人(しゆじん)大によろこひ、なんでもゑらいゆすりをとらま 00089100M3へた。まづこゝろミに/寐(ね)て見やうと、/召(めし)つかひに/床(とこ)をとら 00089110M4せ、此/枕(まくら)をしてねられけるが、/夢(ゆめ)ともなくうつゝともなく、 00089120M5其/身(ミ)ハミぢんほどになつて、/朝夕(あさゆふ)/青(あを)くさい物を/食(しよく)してゐる 00089130M6と思ふ内、/次第(しだい)に/手足(てあし)大きうなり、/自由(しゆう)にかなひ、あるい 00089140M7て見れバ、すさまじい/大木(たいぼく)にすんでゐるを、よく+思へ 00089150M8バ其/身(ミ)がちいさいからにて、/仰山(きやうさん)に思ひしハ、ちさの/葉(は)の 00089160M9すまい。(六ウ)どふやら其身ハなむしに/生(うま)れかわつたやう 00089170M10す。其/時(とき)ハ其時の心になつて、/朝夕(あさゆふ)/露(つゆ)をすひ、/菜(な)の/葉(は)をく 00089180M11ふがたのしミ。/頃(ころ)しも三月のあたゝかなる日、/葉(は)おもてに 00089190M12ひなたぼこりしている内、かぜにさそわれて、/身中(ミうち)がかる 00089200M13うなつたやうなゆへ、是ハふしぎと見かへれバ、いつの間 00089210M14にやら、なむしが/蝶(てう)にへんじて、そこらあたりのなたね/畑(はた) 00089220M15からむぎ/畠(ばたけ)、/塀(へい)のかハ、いぢのかハ、/垣根(かきね)、のきした、や 00089230M16ぶのかげ、いづくさためす/飛(とび)めぐるおもしろさ。折しも/咽(のど) 00089240M17がかわけバ、(七オ)/花(はな)のつゆすハんと、/山吹(やまぶき)のかげへ/飛(とひ)め 00089250M18ぐる所へ、十二三な女コの/子(こ)がはしつてきて、扇でぴつし 00089260M19やり。はつと思ふて、/夢(ゆめ)がさめて、とんとがてんゆかず。 00089270M20五十年の/栄花(ゑいぐハ)のゆめを見るはつじやがと、つく※あんじ 00089280¥P265 00089290L1て、もしや/荘子(そうじ)が/枕(まくら)と/間(ま)ちかふてハないかしらぬ 00089300¥N5¥J 00089310¥X/好物(かうぶつ) 00089320L4あなたハ小/鳥(とり)ばかりがお/好(すき)かと存ますれバ、/此/節(せつ)/河鹿(かしか)を 00089330L5お/飼(か)ひなされてござるげな。わたくしハついに見ました事 00089340L6がこさりませぬ。何とそ/拝見(はいけん)/致(いたし)たう(七ウ)存じます。それ 00089350L7ハお/安(やす)いこと。お目にかけませう。則これが/河鹿(かしか)でござり 00089360L8ます。世/間(けん)で多く/杜父魚(かじか)、/河鹿(かしか)と/二種(にしゆ)ござれど、此/蛙(かいる)の方 00089370L9か、なく/音(ね)がいたつて/清亮(せいりやう)にござるゆへ、/河(かハ)の/鹿(しか)と申心で、 00089380L10かじかと申ます。/下拙(げせつ)ハとかく小/鳥(とり)にかぎらす、/鹿(しか)、/虫(むし)、 00089390L11/蛙(かハづ)のたぐひ、何ンでも、なく物がきつい/好物(かうぶつ)でこさるとい 00089400L12へハ、客いかさま、さやうそうにござりますといひ+ 00089410L13/内義(ないぎ)の/顔(かほ)を 00089420¥N6¥J 00089430¥X/空腕(そらうで)(八オ) 00089440L16/奥(おく)の/間(ま)の/侍客(さむらいぎやく)に/仲居(なかゐ)が、申、お/床(とこ)とりました。おやすミ 00089450L17なされませといへば、侍身ハ/鼠(ねづミ)が/大(だい)きんもつじや。/殊(こと)にけ 00089460L18ふハ/爰(こゝ)にもちをついたそうな。/鼠(ねつミ)が/出(て)おろふ。/身(ミ)が/座敷(さしき)へ 00089470L19こぬやうにたのむといへば、仲居とつてをります。シタガ、 00089480L20其やうにおつしやつても、/御主人(ごしゆじん)様のまへでハどふなされ 00089490M1ます。侍なんの+、/乱世(らんせい)の/時(とき)ハ何万といふ/大軍(たいぐん)の中へ、 00089500M2一人かけ入て手がらをあらわすそれがし。/鼠(ねづミ)こそきらひな 00089510M3れ、/人間(にんげん)ハどのやうなつよいやつでも何ンとも(八ウ)ない 00089520M4と、/太平楽(たいへいらく)いふて/女郎(ぢよろう)とねまへ入ル。/家内(かない)も/餅(もち)つきのくた 00089530M5びれに、はや/子(ね)もすぎ、うしミつごろ、/宵(よひ)よりしのび居た 00089540M6る/盗人(ぬすびと)、/時分(しぶん)ハよしと/戸(と)だなへかゝり、/錠(でう)まへコチ+。 00089550M7/音(をと)に/家内(かない)ハ/目(め)をさまし、ヤレ/盗人(ぬすびと)よ+と大/声(ごへ)にてわめく 00089560M8に、/盗賊(とうぞく)ハ/恟(びつく)りしてにけかへる。おやま、/奥(おく)より出て来て、 00089570M9お/客(きやく)様が見へませんといふに、/家内(かない)おどろき、/爰(こゝ)かしこた 00089580M10づぬれバ、/椽(ゑん)の下にかゞミ居る。皆+申+。もふ盗人 00089590M11ハにげました。早うお出なされませといへハ、/侍(さむらい)、心をち 00089600M12付、(九オ)(九ウ・十オ挿絵)何もとられいで目出たい+。家 00089610M13内おかしく、/宵(よひ)におつしやつたお/詞(ことバ)とハ/違(ちが)ひ、/盗人(ぬすひと)をきつ 00089620M14うこわがりなさるなア。侍それハ其はづ。/盗賊(とうぞく)ハ/国(くに)のねづ 00089630M15ミといふからさ 00089640¥N7¥J 00089650¥Xもはや/用心(ようじん) 00089660M18/先生(せんせい)、お/宿(やど)に/歟(か)。ヲヽ是ハ/花夕子(くわせきし)。よふお出。何と思ふて 00089670M19おこしなされた。イヤ/先生(せんせい)。今日ハ/天気(てんき)もよし、花もさか 00089680M20りなれば、御供いたしませうと存じて。是ハ+御しんせ 00089690¥P266 00089700L1つにかたしけない。/私(わたくし)ハ何事も(十ウ)/遊山(ゆさん)にハ/得(ゑゝ)参りませ 00089710L2ぬ。是ハ又お/好(すき)の事。何と致して。イヤモ、/去年中(きよねんぢう)ハ何も 00089720L3かも参りましたが、ろくな事ハこさらなんた。マア天王寺 00089730L4から/河堀(こぼり)へ/螢狩(ほたるがり)に参つた所が、何が/池(いけ)へはまり、なんきい 00089740L5たしました。それから/髪切(こぎり)へほとゝきす/聞(きゝ)にまいつて、是 00089750L6も又/山道(やまミち)にふミまよひ、めいわくいたす。月見に参れハ、 00089760L7ひよんな/所(ところ)へこけこむ。/紅葉(もミぢ)見にゆけバ、/時雨(しぐれ)にあふてひ 00089770L8たぬれになる。/雪(ゆき)見にゆけバすべりこける。どふでもおも 00089780L9(十一オ)しろい/風景(ふうけい)を、たくさんそふに見ますれバ、めう 00089790L10がにつきるとぞんじ、それからとんと+やめに致しまし 00089800L11たてい。花夕何をおつしやる。それハ/皆時(ミなとき)のまんでかなご 00089810L12ざりませふ。マア今日ハおいでなされ。/花(はな)にハけがのない 00089820L13物じや。ぜひ御ともいたしませう。イヤ+、よしに致そ 00089830L14ふ。ひよつと/馬(むま)でもはねたらわるい 00089840¥Y1/滑稽(こつけい)/即興噺(そつきやうはなし)巻之三/終(をわり)△(十一ウ) 00089850¥Y1/滑稽(こつけい)/即興噺(そつきやうはなし)巻之四 00089860M4△△△△△/目次(もくろく) 00089870M5△△△/商売(しやうばい)だこ 00089880M6△△△/神(かミ)ごゝろ 00089890M7△△△/仏檀(ぶつだん) 00089900M8△△△/遠目鏡(とをめがね) 00089910M9△△△正月十日 00089920M10△△△/初(はつ)なすび 00089930M11△△△はまぐり(一オ) 00089940M12△△△/花(はな)たちはな(一ウ) 00089950¥P267 00089960¥G(六ウ・七オ) 00089970¥T1/滑稽(こつけい)/即興噺(そつきやうばなし)巻之四 00089980¥N1¥J 00089990¥X/商売(しやうばい)だこ△@此はなしハ大坂あし川にて/船(ふね)/紛失(ふんしつ)せし|うわさをきゝ、ある人即興に製す△△@ 00090000M5/日本聖代(につぽんせいたい)にて/戸(と)さゝぬ/御代(ミよ)となり、/盗人(ぬすびと)ども一ツかうはた 00090010M6らきならす。是でハつまらぬと/皆&(ミな+)/相談(そうだん)して、いつその事 00090020M7/唐(から)へわたらふと、/兵庫(ひやうご)にて/大船(をゝふね)一ツそう/盗(ぬすミ)、ミな+此/船(ふね) 00090030M8にのり、はりまなだ、びぜんをき、/周防(すわう)なだこへて、/下(しも)の 00090040M9/関(せき)、/小倉(こくら)から/玄海(げんかい)へかゝるに、/海上(かいしやう)の事ハしろとなれバ、 00090050M10/日和(ひより)を見そんじ、/玄海(げんかい)のまん中で、にハかに/風(かぜ)がかわつて 00090060M11大じけ。/船(ふね)ハゆさ+/大山(をゝやま)のやうな/波(なミ)(二オ)をこり、/段(たん) 00090070M12+てひどく、/後(のち)ハ/梶(かぢ)をれ/帆(ほ)ばしらくだけ、/船(ふね)くる+ま 00090080M13へバ、さしも/肝(きも)のふとき/盗人(ぬすひと)とも+、大にうろたへ、/皆(ミな) 00090090M14+/舟(ふな)はたにむかひ、/念仏(ねんぶつ)たのミますぞ+ 00090100¥N2¥J 00090110¥X/神(かミ)ごゝろ 00090120M17/厄(やく)はらひませふ、おとしませふと、/節分(せつぶん)の/夜(よ)のにぎハしさ。 00090130M18/馬屋(むまや)町の久右衛門も、/仕舞事(しまいこと)/片付(かたづけ)て、/置(おき)手ぬぐひで/銭湯(せんとう)か 00090140M19ら/戻(もどつ)て、たばこぼん引よせ、ふといきせるを/横(よこ)ニくわへ、 00090150M20(二ウ)わいらに/言(いひ)付ておいた事ハ、ミな片付たかよ。ヲイ。 00090160¥P268 00090170L1馬屋のそうじもする、しめ/餝(かざ)りもして、/神(かミ)だなも/清(きよ)めて、 00090180L2お/神酒(ミき)も上ケやんしたわいの。ヲヽそりや/太義(たいぎ)じやあつた。 00090190L3ミな/休(やす)め+。サアこれからハとしとるばかりしや。/豆(まめ)ハ 00090200L4はやした/□□((二字空白))もふよごんす。そんなら/祝(いわ)へ+。松よ。わ 00090210L5りやいくつに/成(なる)ぞい。おりや/明(あけ)て十九じや。八ハもふ廿一 00090220L6でごんすと、豆をかミ+/腹(はら)ばひになつて/四方山(よもやま)の/咄(はな)し。 00090230L7(三オ)/松(まつ)ハじろ+/荒神(かうじん)さま/灯明(とうめう)を見て、コレ/親方(おやかた)。/来年(らいねん) 00090240L8ハ何でも/拍子(ひやうし)がよごんしよわいの。ソリヤ何として。アレ、 00090250L9/中乗(なかのり)の/丁子(てうじ)見やんせ 00090260¥N3 00090270¥X/仏檀(ぶつだん) 00090280L12さる/豪家(かうか)のむすこ、新町の太夫にこつて、/毎(まい)はんの/通(かよ)ひ/路(ち)、 00090290L13うたひのけいこも、はいかいのつけ合も、そふ+ハくわ 00090300L14ぬ/親父(おやし)のりつふく。/名(な)まへ切かへて、かんどうせふとわめ 00090310L15くを、/親類中(しんるいぢう)より/合(あい)て/段(だん)+なだめ、いつそ思ふものを内 00090320L16へ入てやつたら、しまるであらふ。(三ウ)/肉身(にくしん)の子を/勘当(かんどう) 00090330L17して、此/身代(しんだい)を/他人(たにん)にやるが見めでもないと、不/承知(せうち)な/親= 00090340L18仁(をや=じ)をたゝきつけ、かの太夫をねびきにして/内(うち)へ入レてやれ 00090350L19ハ、/神(かミ)ハ/正直(せうぢき)、大にしまつて、/二月(ふたつき)あまりハ/朝(あさ)をきして/夜(よ) 00090360L20あそびをやめ、二/親(をや)もことのほかあんど、大によろこばれ 00090370M1る内、又もへくいに火ハ付やすく、/誰(たれ)にそゝなかされてや 00090380M2ら、南かよひの/夜(よ)とまり日とまり。どふしたものと、/親類= 00090390M3中(しんるい=ぢう)/寄(よつ)てたかつて/段&(だん+)と/異見(いけん)すれバ、むすこ、うらめしそふ 00090400M4に、おまへがたハ、わたくしはかり其やうにお(四オ)しか 00090410M5りなさるが、/親仁(をやじ)どんもちつと/異見(いけん)して下さりませ。此間 00090420M6も二百両で/仏(ふつ)だん/買(かい)ながら、やつはり/毎朝(まいばん(ママ))、△/御堂参(ミどうまい)りを 00090430M7さつしやる 00090440¥N4¥J 00090450¥X/遠目(とをめ)かね 00090460M10/嶋原(しまばら)の/桔梗(きゝやう)屋のかぶろ、/目(め)をわづらひしを、/親(おや)かた/言(いひ)つけ、 00090470M11/清水(きよミづ)のくわん/音(のん)へ/願(ぐわん)をかけさせしに、/誠(まこと)に/大悲(たいひ)のちかひ有 00090480M12がたく、/早速(さつそく)/両眼(りやうがん)あきらかに/全快(ぜんくわい)せしゆへ、是くわん/音(のん)の 00090490M13御/利生(りしやう)と、/出入(ていり)の/者(もの)をつけてお/礼(れい)まいりさせけるに、何 00090500M14が/平生(へいぜい)くるわの外見ず、/珍(めづ)らし(四ウ)けれバ、おもしろが 00090510M15りかけめぐるうち、/出入(でいり)のものを見うしない、そこよ/爰(こゝ)よ 00090520M16とさがせともしれず。されども年ハ十三四なれバ、さすが 00090530M17ハ/子供(こども)のやうに/泣(なき)もせず、うろ+/尋(たつね)るうち、ふと/清水(きよミづ)の 00090540M18ぶたいより/遠目(とをめ)がね見せている/親仁(おやじ)を見つけ、コレおつさ 00090550M19ん。わしは/迷子(まいご)になつた。どふぞ其/遠目(とをめ)かねて、こちの方 00090560M20を見せておくれといふゆへ、/遠目(とをめ)がね見いても、/町所(てうところ)さへ 00090570¥P269 00090580L1おほへていれバ、ついしれる。どこじや。禿イヤ、何とい 00090590L2ふ所じや、おぼへぬけれど、目しるしが有によつて、(五 00090600L3オ)其/遠目(とをめ)がね見せておくれたら、ついしれるといふ/故(ゆへ)、 00090610L4サアそんなら見たりとあてがひ、親仁まづ/向(むか)ふに見ゆるが 00090620L5二/条(でう)のお/城(しろ)。いのくま、大ミや、/千本通(せんほんとをり)、それより/西(にし)ハに 00090630L6しの京、おむろ、うづまさ、/妙心寺(めうしんじ)、/北野(きたの)の/天神(てんしん)、ごばん 00090640L7丁。どふじや。此内にハないか。禿イヱ+。親仁/扨(さて)こな 00090650L8たハ/船岡山(ふなおかやま)、/平野(ひらの)、/平岡(ひらおか)、/金閣寺(きんかくし)、/嵯峨(さか)ハしげつた/森(もり)の/中(なか)、 00090660L9のつほり/高(たか)いハあたご山。どふじや。此内でハないか。禿 00090670L10イヱ+。親仁さて又こなたにれい+と、/棟門(むねもん)/高(たか)き/大内= 00090680L11裏(だい+=り)、ついぢのうちに(五ウ)/建(たち)つゞく/堂上方(とうしやうかた)の御/屋敷(やしき)、東 00090690L12ハ/寺(てら)町/今出川(いまでがハ)。何と、此あたりでハないか。禿イヱ+。 00090700L13親仁さて又/東(ひがし)にかうだいし、/八坂(やさか)、/大谷(をゝたに)、/双林寺(そうりんじ)、きおん、 00090710L14/丸山(まるやま)、ちをん/院(ゐん)、なんぜんじハ/豆腐(とうふ)の/名所(めいしよ)、こちらがだん 00090720L15のふ/大和(やまと)ばし、/四条(でう)の/芝居(しばい)、きおん町、木屋町あたりハ/貸(かし) 00090730L16ざしき、三/条通(てうとをり)ハミな/宿(やど)屋。何と、此あたりでハないか。 00090740L17禿イヱ+。親仁/向(むか)ふが/大仏(だいぶつ)/正面通(しやうめんとをり)、五/条(でう)の橋ハ千人/切(ぎり)、 00090750L18こなたが六条じゆずや町。おもておうらの/両御堂(りやうミどう)、七条通 00090760L19たんば/道(ミち)、西に見ゆるか/東寺(とうじ)の/塔(とう)。(六オ)(六ウ・七オ挿絵) 00090770L20どふじや。此内でハないか。禿イヱ+といひ+、/遠目(とをめ) 00090780M1かねをためつすがめつ、コレ+おつさん。アノ/高(たか)い/塔(とう)の 00090790M2あちらに/柳(やなぎ)の木のある所が、こちの/内(うち)しや。親仁ドレ+ 00090800M3と見て、ムウ、アノ/柳(やなぎ)のある所がうちか。ハテナア、/花屋(はなや) 00090810M4の/娘(むすめ)にや、ませたもんじや 00090820¥N5¥J 00090830¥X正月十日 00090840M7/北(きた)のはくじん、京から/仕(し)かへにきて大はやり。/縁(ゑん)ハいなも 00090850M8のにて、八つ/時分(じぶん)に/屋敷(やしき)のつんぼ/客仕(きやくし)まふて、/料理人(りやうりにん)にお 00090860M9くつてもろふた其/夜(よ)から、せりふが/付(つい)て、ちよこ(七ウ)ち 00090870M10よこ三丁めでの/出合(であい)。ある/時(とき)、はるさめのしめやかなる日、 00090880M11/件(くだん)のつんぼ/客(きやく)来りて、/昼仕(ひるじ)まひ/買(か)ふて、たてなしのすぐ/寐= 00090890M12間(ね=ま)。つんぼでもはなしか出来るやら、/昼仕(ひるじ)まひから/宵(よひ)じま 00090900M13ひ、つぎたしての/長床(ながとこ)ぼう、思ひ出し/次第(しだい)とつけもない事 00090910M14をいふを、よふ/聞(きゝ)こんで/仕方(しかた)のうけこたへ。どふがつてん 00090920M15がいたやら、つんぼのわらひごへ。/料理人(りやうりにん)ハ/色(いろ)の事なれバ、 00090930M16/片心(かたこゝろ)にかゝり、もふいぬるか+と、はつて/居(い)れどいなぬ 00090940M17ゆへ、/屏風(べうぶ)のそとから、そつとうかゞへバ、/笑(わら)ひごへハ/中(なか) 00090950M18+ついやちよつと(八オ)でハいなぬあんばい。ちつとハ 00090960M19小ばらたてハ、/衛門(ゑもん)さん。きつうもてますな。おやま忠助 00090970M20さん。コレナア、おまへにいふ事があるハいなア。料理人 00090980¥P270 00090990L1フウ、いふ事があるもすざましい。/戎(ゑびす)さんに、きつうのり 00091000L2が来たそふな。おやまヱヽ何いひじや。此つんぼがいつかう、 00091010L3しんきでならぬわいなア。料理人しんきなはづじや。/奥(おく)さ 00091020L4んにならふと思ふても、まゝならぬさかいじや。おやまヱ 00091030L5ヽ、おもしろそふに何イひじや。こちや、そんなきげんじ 00091040L6やない。/夕部(ゆうへ)いふた事で、いつそ/気(き)をもんでいると、しん 00091050L7きな/顔(かほ)すると、(八ウ)つんぼが、どうぞしたかと/問(と)ふゆへ、 00091060L8おやまヱヽじやまなと思ひながら、/返事(へんじ)せねバならぬゆへ、 00091070L9/耳(ミヽ)のはたへ/口(くち)をよせて、ハイ。しやくがをこりました。つ 00091080L10んほ何じや。/客(きやく)がおこつたとハどこの/客(きやく)じや。料理人それ、 00091090L11きつう/戎(ゑびす)さんが御しんせつにおつしやる。おやまヱヽ、も 00091100L12ふいふてをくれなと、/両方(りやうほう)の/手(て)を/耳(ミヽ)へあてる。つんぼふし 00091110L13ぎな/顔(かほ)して、何ンじや。/雷(かミなり)でもなるかな 00091120¥N6¥J 00091130¥X/初(はつ)なすび 00091140L16/妾(てかけ)申、/旦那(だんな)さん。ちやつと御らふしませ。旦那どれ+ 00091150L17(九オ)何ンじや。/雪(ゆき)か。妾ハイ。/初雪(はつゆき)でござります。とふ 00091160L18そつもつたらよいにナア。旦那ハテ、あの人わい、/雪(ゆき)さへ 00091170L19ふるとよろこびやる。夫レほど/雪(ゆき)が/好(すき)なら、/北国(ほつこく)へ/行(ゆき)やる 00091180L20とよい。妾申、/北国(ほつこく)といふ所ハ、たんと/雪(ゆき)がござりますか 00091190M1へ。旦那すざましう大/雪(ゆき)のふる所じや。マア/土用(とよう)/仕(し)まふと 00091200M2/直(すく)に/初雪(はつゆき)がふる。妾なぜ其やうに/早(はや)う/降(ふり)ますへ。旦那ハテ、 00091210M3/爰(こゝ)よりはるか/北(きた)じやによつて/早(はや)ふふる。/爰(こゝ)ハ又/南(ミなミ)だけで、 00091220M4今ごろにふる。まだ/段(だん)+南へよるほど、/雪(ゆき)の/降(ふり)やうがお 00091230M5そひ。妾かわつた物てござります。(九ウ)わたしらが/目(め)に 00091240M6ハ、どつこでも/上(うへ)から/降(ふる)やうに見へます 00091250¥N7¥J 00091260¥X/蛤(はまぐり) 00091270M9/台所(だいどころ)に長吉と長太郎せり/合(あふ)てゐるゆへ、御/寮人(りやうにん)出て、コレ、 00091280M10わかミ/達(たち)ハ何を其やうにせりあやる。とゝさんが/昼寐(ひるね)して 00091290M11ござるによつて、又やかましいといふて、お/呵(しかり)なさろ。長 00091300M12吉イヱ、長太郎が/片意地(かたいぢ)からおこつた事でござります。/私(わたくし) 00091310M13が/魚(うを)ハ/夜(よ)る/寐(ね)る/時(とき)、/目(め)をあいてねるであろふか、目をふさ 00091320M14いでねるであろふかと申ましたら、長太郎が申ます事にや、 00091330M15めつそふな、/魚(うを)が/夜(よ)ル/寐(ね)て(十オ)たまる物かと申ます。夫 00091340M16レでもわたしがよさり、いねぶつてをりますと、旦那さん 00091350M17が、/鱶(ふか)のやうないびきかいてをるといふて、おしかりなさ 00091360M18つてゞござります。ナア御/寮人(りやうにん)さん。/魚(うを)ハよるねますナア。 00091370M19長太郎イヱ御/寮人(りやうにん)さん。/魚(うを)ハよる/寐(ね)や致しませんしやうこ 00091380M20ハ、/月夜(つきよ)の/晩(ばん)に、うらの/泉水(せんすい)の/金魚(きんぎよ)を見ますに、いつでも 00091390¥P271 00091400L1くる+くる+とあるいてをります。又/鯛(たい)や/鯉(こい)の/目(め)を/御= 00091410L2覧(ご=ろ)じやれ。びいどろはつたやうな目でこさります。どふし 00091420L3てあれがふさかれる物でといへば、御/寮人(りやうにん)、/暫(しばら)く/思案(しあん)して、 00091430L4(十ウ)大かたそりや/寐(ね)る方が/勝(かち)じやあろ。長吉そりや何ン 00091440L5でゝこさります。御寮人サア、こちの/床(とこ)の間の/掛物(かけもの)に、は 00091450L6まぐりさへ/夢(ゆめ)見ている 00091460¥N8¥J 00091470¥X/花橘(はなたちはな) 00091480L9イヤ申、御/隠居(ゐんきよ)。おしんとうハこざりませんか。隠居イヱ 00091490L10+、また/住(すミ)よし迄ハ/楽(らく)でござります。つれハテ、お/達者(たつじや) 00091500L11な事。イヤ、わたしハまた/汐干(しほひ)ハ/初(はじめ)てゞござります。/常(つね)で 00091510L12さへ/浦(うら)のけしき、ことに今日ハ/天気(てんき)ハよし、ひとしほでご 00091520L13ざります。隠居サア、アノ/浜辺(はまべ)から/淡路嶋(あハちしま)迄一チ/面(めん)の/干潟(ひかた) 00091530L14ニ(十一オ)/成(なり)ます。夫レて/女子供(おなごこども)がミな/蛤取(はまぐりとり)にはいりま 00091540L15す。マア+ごらふし。夫レハ+けしからぬ/風景(ふうけい)とはな 00091550L16す内、/駕篭(かご)かきが、申、/旦那(たんな)。かご入リませぬか。/住吉(すミよし)迄 00091560L17のつてござりませぬか。隠居イヤ、いらぬわいの。かこかき 00091570L18申、/安(やす)うして/参(まい)りますが。隠居ハテ、いらぬといふのに。 00091580L19つれ申、御/隠居(ゐんきよ)様。かごかりて/淡路(あハぢ)へのらん/汐干(しほひ)かなと、 00091590L20/昔(むかし)の人も/賞翫(しやうくハん)いたしました。のつてお出なされませ。隠 00091600M1居かごハきらひてこさる。かごかきぼやきぼやき、/棒組(ほうぐミ)よ。 00091610M2とふでも/銭(ぜに)まふけハ/前(まへ)の事じやあつた 00091620¥Y1/滑稽(こつけい)/即興噺(そつきやうばなし)巻之四/終(おわり)△(十一ウ) 00091630¥P272 00091640¥Y1/滑稽(こつけい)/即興噺(そつきやうはなし)巻之五 00091650L4△△△△△/目次(もくろく) 00091660L5△△△/最明寺(さいミやうじ) 00091670L6△△△/横道(わうだう)なし 00091680L7△△△/画馬(ゑま) 00091690L8△△△/其(その)二 00091700L9△△△/枝川(ゑたがハ)こミ/汐(しほ) 00091710L10△△△ふの/字(じ)づくし(一オ) 00091720¥T1/滑稽(こつけい)/即興噺(そつきやうばなし)巻之五 00091730¥N1¥J 00091740¥X/最明寺(さいミやうじ)△@此はなしハ/豪家(がうが)の/庭(にハ)なる梅松桜の/鉢(はち)うへニ/雪(ゆき)|つもりしを見て、古人/桂山人(かつらさんじん)即興△△△△@ 00091750M5/越後(ゑちご)より/下総(しもふさ)へ/通(とを)る/所化(しよけ)の/僧(そう)、しなの/路(ち)の大/雪(ゆき)に、あとへ 00091760M6もさきへも行がたく、やどりもがなと/夕顔(ゆふがほ)の、それにハあ 00091770M7らぬ/風雅(ふうが)の/家(いへ)。あるしハ/福有(ふくゆう)と見へて、/立物(たちもの)から/庭(にハ)のこの 00091780M8ミ、/雪折竹(ゆきおれだけ)のあげ/簀戸(すど)まで、よつほと物の入たすまい。ひ 00091790M9さしの/雪(ゆき)をかきをとす女コまでが、/紬(つむぎ)の小そてに、もうる 00091800M10の/帯(おひ)、何てもよいとまりと、一チ/夜(や)の/宿(やと)をたのめど、ある 00091810M11しが/留主(るす)なれ(二オ)ばとめられぬとのことわり。/旅僧(たひそう)もこ 00091820M12まつて、たゝずんでゐる所へ、もどつてくるあるじハ女と 00091830M13見へて、八/丈(でう)の小/袖(そで)うちかさね、/蛇(じや)の/目(め)の/傘(からかさ)手もゆらに、 00091840M14びろどはなをのぬり/下駄(けた)まて、物このミの有さま。是こそ 00091850M15あるじならんと/宿(やど)をたのめと、十八丁あなたに/宿屋(やどや)がある 00091860M16とうけがわず、すげなふ内へ入けるが、どふした物やら、 00091870M17しばらくすると、ヲヽイ+、のふ+/旅人(たびびと)。お宿まいら 00091880M18そふのふ。とハ/忝(かたしけな)しと、わらぢとく+いろりのはたへ 00091890M19打通れバ、/出来合(できあい)のあわの(二ウ)もちに/太白(だいはく)のさとうたつ 00091900M20ぷりかけた/風味(ふうミ)、どふもいへぬあんばい。また其上へ/菓子(くわし) 00091910¥P273 00091920¥G(四ウ・五オ) 00091930M1を出すか、/酒(さか)屋へ/名酒(めいしゆ)を取にはしるか、/夜(よ)ハ/次第(しだい)に/更(ふけ)ゆけ 00091940M2ど、いろりの/焚火(たきび)に/寒苦(かんく)をしらず。/庭(にハ)を見れハ中+/梅(むめ)/松(まつ) 00091950M3/桜(さくら)ぐらいでハなく、/鉢(はち)うへすさまじく、/植木(うへき)屋の/庭(にハ)ほどな 00091960M4らべしに、こと+く/雪(ゆき)もつけしき、何でも/由緒(ゆいしよ)ある人と 00091970M5見へて、/床(とこ)の/間(ま)にハきらびやかなるひをどしの/鎧(よろひ)をかざり、 00091980M6なけしにハこかねづくりの/長刀(なきなた)一トえだ。/折(をり)ふしうらの方 00091990M7に、いなゝき聞へけれバ、/馬(むま)も/飼(か)ふて(三オ)あるそうなと、 00092000M8そつとむまやをのぞけハ、けしからず見事にこへふとつた 00092010M9/連銭(れんぜん)あし/毛(げ)。/旅僧(たひそう)、見る/物毎(ものごと)にひとつ+あきれて、夕部 00092020M10のとまりとハきついちかひじや 00092030¥N2¥J 00092040¥X/横道(わうだう)なし 00092050M11/新町(しんまち)の/仲居(なかい)、一チ日いとまをもらひ、さそひ/合(あハ)して/大師(だいし)め 00092060M12ぐり。通りすじ/東口(ひかしぐち)へ出て、しんさいばしあたりへくると、 00092070M13お/霜(しも)いふやう、コレお/柳(りう)。けふ/大師(だいし)めくりにかこつけて来 00092080M14たハ、ちつとあてのあることじや。どふぞわしハ(三ウ)や 00092090M15つてくれんか。おりうサアわしも其つもりしや、おしもそん 00092100M16ならあふたりかなふたりじや。いにしなにさへつれ立てい 00092110M17ねバよい。なんでもくれまへに、どちらでもはやい方が、 00092120M18ゑひす/橋(ばし)の/角(かど)の、アノ/役者(やくじや)の/扇(あふぎ)のある所てまつて/居(い)よふと、 00092130¥P274 00092140¥G(九ウ・十オ) 00092150M1たがひにやくそくして、めい+/色(いろ)の所へわかれ行けるが、 00092160M2お/霜(しも)ハかのいろと/南地(なんち)のぼんやにて/出合(であい)、ついくれまへに 00092170M3なれハ、もふ/別(わか)れにやならぬと、いちやこちや/暮※(くれ)にな 00092180M4つて、是ハしたり。おりうがはら/立(たて)てゐよふと、とつパか 00092190M5ハ/戎橋(ゑひすばし)の(四オ)(四ウ・五オ挿絵)/角(かど)へ出てくれバ、おりうも 00092200M6/向(むか)ふからくるてい。てふどよかつたとつれ立て、さきへ行、 00092210M7おしもに、おりうそれ、つとがひしやげてある。ゑらふ/波(なミ) 00092220M8があらかつたそうな。おしも何ぬかすやらといひ+、つ 00092230M9と/直(なを)して、ときに/大師(だいし)さんを出しにして、こんなりでいぬ 00092240M10るも、とふやらきミがわるひ。せめて三つ寺へなと/参(まい)つて 00092250M11いのふと、二人つれにて三つ寺の/寺内(じない)へはいり、/大師(だいし)さん 00092260M12のまへて手を合して、/南無大師遍照金剛(なむだいしへんせうこんがう)+。今日ハあな 00092270M13たを出しにいたしましてござります。何事も(五ウ)すいな 00092280M14あなた。お/目長(めなが)にごらうじて、大ゆう寺や/小(を)ばせや寺町の 00092290M15御れん中へよろしう 00092300¥N3¥J 00092310¥X/画馬(ゑま) 00092320M18ある/百性(ひやくせう)、/親子(をやこ)づれにて/年貢(ねんく)の米をうしにつけ、お/代官(だいくわん)へ 00092330M19おさめ、/戻(もど)りかけに、となり/村(むら)の/明神(めうじん)の/杜(もり)へはいり、/絵馬= 00092340M20堂(ゑま=どう)にこしかけ、/火打(ひうち)コチ+。むすこハうろ+/絵馬(ゑま)を見 00092350¥P275 00092360L1まわり、/司馬温公(しバおんこう)が/壷(つぼ)/破(わつ)てゐる/絵(ゑ)を見て、がてんゆかねバ、 00092370L2とさん+。アノちつちやい/唐子(からこ)が、つほわつてゐるゑん 00092380L3まハ何じやヤ。(六オ)親仁どれ+。ウヽあれか。ありや 00092390L4/唐(から)の/十夜(じうや)の/晩(ばん)じや 00092400¥N4¥J 00092410¥X其二 00092420L7二人づれで/金毘羅(こんひら)さまへ参り、いろ+かけてある/絵馬(ゑま)を 00092430L8見て、ひとりの男が、此/碇(いかり)を/喰(く)てゐるのハ何じやあろの。 00092440L9/連(つれ)ノ男夫レハ/歯(は)のいたミに/願(くわん)かけたのが、おかげで此やう 00092450L10に/歯(は)が/丈夫(じやうぶ)になりましたと、お/礼(れい)の絵馬じや。こちらにあ 00092460L11るハ、/乳(ちゝ)の出なんだが、此やうにはんぞうにたまるほどに 00092470L12なりましたといふお礼の/画馬(ゑま)。/子(こ)どもの/月代(さかやき)ぎらいのなを 00092480L13つたも(六ウ)あり、ばくち打やんだ絵馬に、/酒(さけ)をのミやむ 00092490L14絵馬。ミなそれ+の/絵(ゑ)が/書(かい)てあるとはなすうちに、コレ 00092500L15+/爰(こゝ)に又、はまくりの中から/宮殿(きうてん)/楼閣(ろうかく)のけつかうなを出 00092510L16しているハ何てあろの。それハ大かた、いやしいものが/大= 00092520L17名(だい=めう)の/妾(てかけ)になつたお/礼(れい)の/絵馬(ゑま)しやあろふ 00092530¥N5¥J 00092540¥X/枝(えだ)川こミ/汐(しほ) 00092550L20長吉申、お/家(へ)さん。あんまさんよびにさんじましたら、/夜= 00092560M1前(や=ぜん)ハお人を下さりましたが、/私(わたくし)も此間ハ目に/借銭(しやくせん)が/出来(でき)ま 00092570M2して、/宵(よい)から/休(やす)んで居ましたゆへ、/得(ゑ)さんじませなんだ。 00092580M3(七オ)/追付(おつゝけ)さんじませうと申されました。お/家(へ)さん。アノ 00092590M4目にも/借銭(しやくせん)が/出来(でき)ますものでこさりますかいナア。お/家(いへ)お 00092600M5かしく、コレ長吉。/目(め)の/借銭(しやくせん)といふハの、/夜(よ)のふけた事が 00092610M6つもり+すると/寐(ね)むとふなるゆへ、こけるとつい、ねい 00092620M7るによつての事じやわいの。長吉ヘヱ、それで/合点(がてん)がさん 00092630M8じました。此/間(あいた)の/晩(ばん)に、おりんどんがよふねいつてしや所 00092640M9へ、/旦那(たな)さんが/借銭乞(しやくせんこひ)に 00092650¥N6¥J 00092660¥Xふの/字(じ)づくし 00092670M12/船井(ふない)のやしきに、/福岡(ふくおか)/福(ふく)太夫といふ/譜代(ふだい)の/古(ふる)うゐる(七ウ) 00092680M13ものか、ふつとめで、ふ/埓(らち)ものゆへ、ふきけんていとまか 00092690M14出、ふ/仕合(しあわせ)になつたれど、ふだんに二タこしでゆすつた身 00092700M15の上、まんさら/富士(ふし)のしろ/酒(さけ)もうられず、川ばたのふしの 00092710M16こハ、らちのあかぬ/商売(しやうはい)、ふのり/問(とい)屋もがさつ也。/古道具(ふるどうぐ) 00092720M17屋が小きれいなと、/伏見町(ふしミまち)て/家(いへ)かつて、/古道具(ふるどうく)はしめた所 00092730M18が、フイト/風来者(ふうらいもの)が、/不白(ふはく)が/風呂(ふろ)の/茶(ちや)に/遣(つか)ふた/道具(とうく)じやと 00092740M19いふて、/普化禅師(ふけせんし)の/一行物(いちぎやうもの)に、/藤村庸軒(ふぢむらようけん)の/舟(ふね)の/花生(はないけ)、/古田= 00092750M20織部(ふるた=おりへ)が/茶杓(ちやしやく)に、/不審庵(ふしんあん)のなつめ、其外/不見斎(ふけんさい)の/茶(ちや)わんに、 00092760¥P276 00092770L1ふくべしやのふち/棚(たな)の/菓子(くわし)ぼん(八オ)じやの、/風呂先(ふろさき)の/屏= 00092780L2風(びやう=ぶ)のといふやうな、ミな/不白(ふはく)のふミのそふた、ふたしかで 00092790L3ないものゆへ、ふんこんて/買(か)ふた所、/盗物(ぬすミもの)で、ふ/時(し)か入そ 00092800L4ふなゆへ、ふけらにやならぬと、/船町(ふなまち)でふかあミ/笠(がさ)/買(か)ふて、 00092810L5/船津(ふなつ)ばしこへて、ふきやのかど/通(とを)り、/藤(ふぢ)の/野田(のだ)へいて、ふ 00092820L6んへつした所が、/福(ふく)しまのふくせんじうらに、ふるいなじ 00092830L7ミがあるゆへ、ふくしまへ行、/深(ふか)江屋の/福(ふく)蔵といふハとこ 00092840L8しやといふてきけハ、そこな/普請場(ふしんば)から二つ目の/分銅(ふんどう)の/紋(もん) 00092850L9の/印(しるし)のある/深(ふか)いうらじやといふたゆへ、福せんじうらへは 00092860L10いり、/深(ふか)江屋といふ/札(ふだ)のうつてある(八ウ)所を、ふし/穴(あな)か 00092870L11らのぞいて見れバ、/夫婦(ふうふ)ながら/内(うち)ニゐるゆへ、ふ/仕合(しあハせ)でふ 00092880L12けるものじや。/二日(ふつか)/三日(ミつか)かくまふて下されとたのんたれバ、 00092890L13/夫婦(ふうふ)がふく/病(びやう)やんで、ふせう+にあしらふゆへ、ふるい 00092900L14なじミじやのに、ふしんせつな人じやと、ふりかへつて、 00092910L15ふそくのたら※いひ、どふでも此やうにふ/仕合(しあわせ)なハ、ふ 00092920L16たおやにふ/孝(かう)にしたばちか、/神(かミ)+にふ/信心(しん+)にしたゆへで 00092930L17有ふと、にわかにふ/動(どう)を祈つた所が、ふじつをせいといふ 00092940L18おつげかあつた。そこでふじつにかゝつた所が、ふきつけ 00092950L19るほとに+、/福喜(ふつき)/円満(ゑんまん)ふくに(九オ)(九ウ・十オ挿絵)なつ 00092960L20た。まづ/冬(ふゆ)になつたら、ふだんにふくたいを/着(き)て、/鰒汁(ふぐじる)を 00092970M1ふんだくに/喰(くわ)ふと/楽(たのし)んているうち、又ふじつにふ/時(じ)が入て、 00092980M2方+がふ/義理(ぎり)になり、ふミとめて居られず、ふし見に/双= 00092990M3子山(ふた=ごやま)/富士(ふじ)之助といふ/角力取(すまふとり)のふしがあるによつて、/伏見(ふしミ)へ 00093000M4いてたのまうと、/船宿(ふなやど)へ/船(ふね)いふてやり、/縁金(ふちきん)の/弁当(べんとう)ふつき 00093010M5んてふき、ふくさめしにして、/麩(ふ)やふきのにしめに、/藤(ふぢ)づ 00093020M6かに/太身(ふとミ)のわきざしをさし、/船宿(ふなやど)へ出た所が、どふかふり 00093030M7そふなゆへ、/古(ふる)ない/笘(とま)ふつさりふいてくれいとたのミ、/船(ふね) 00093040M8へのり、ふとんきてねて居るうち、(十ウ)ふしミへ/船(ふね)がつ 00093050M9き、すくに/船宿(ふなやど)へあがり、/風呂(ふろ)へ入た所が、ふら+とふ 00093060M10らつくゆへ、ふつてハならぬと、/不換金(ふかんきん)をふり出しにして 00093070M11のんだ所が、ふらつきもなをつたゆへ、/婦人(ふじん)でもふづくろ 00093080M12ふと、/伏見(ふしミ)の/船(ふな)つきをそめけハ、/藤(ふじ)屋といふのうれんのか 00093090M13ゝつた所から、ふとりしゝな女がまねくゆへ、ふらてんじ 00093100M14やが/遊(あそ)んでも/大事(たいじ)ないかといへハ、/藤野(ふじの)さんといふてよび 00093110M15をると、/筆(ふて)/持(もつ)て/文(ふミ)かいている/風(ふう)のよいおやまが、/藤色(ふじいろ)ぢり 00093120M16めんのいしやうに、ふせんてうのもん、ふうつうの/帯(おび)して、 00093130M17ふきわけに/髪(かミ)いふて(十一オ)/居(い)る。ふり/袖(そで)/二切(ふたきり)あそぼと、 00093140M18ふしミ銭ふたすぢ出して、/襖(ふすま)/明(あけ)てはいれハ、ふり/袖(そて)がちや 00093150M19んとふとんの上へすわつて居るゆへ、すぐにふせりましよ 00093160M20と、ふとんの内へはいり、ふり/袖(そで)の/太股(ふともゝ)へ、/福(ふく)左衛門がふ 00093170¥P277 00093180L1ともゝをさへると、ふり/袖(そで)が、フイトふりはなして/起(おき)て、 00093190L2もしお/客(きやく)さん。かならずおまへをふると思ふておくれな。 00093200L3わたしや此間から、ふ/浄(じやう)があつて、ふし+が/痛(いたミ)ますと、 00093210L4ことわりいふたも/道理(どうり)、/麩(ふ)のふといので有た 00093220¥Y1/滑稽(こつけい)/即興噺(そつきやうばなし)巻之五△大尾△(十一ウ) 00093230¥Q 00093240M2寛政六寅歳十一月吉日 00093250M4△△△△江戸通油町 00093260M5△△△△△△蔦屋重三郎 00093270M6△△△△大阪北久太郎町心斎橋筋 00093280M7△△△△△△河内屋惣兵衛 00093290M9△△△△同△唐物町心斎橋筋 00093300M10△△△△△△河内屋太助 00093310¥P278 00093320¥U噺本大系△第十二巻 00093330¥Tわらひ/鯉(ごい)〔序〕 00093340¥G 00093350¥Y 00093360L15寛政七年正月序 00093370L16山旭亭序 00093380L17とよ丸画 00093390L18小本一冊 00093400L19尾崎久弥氏蔵 00093410¥Y叙 00093420M3春の山+ハ紋日のやりてにひとしく、笑ひをもよふし、 00093430M4/田甫(たんぼ)の水に住/蛙(かハづ)ハ、/居続(いつゞけ)の時をしらせ、床花になくハ(一 00093440M5オ)/鶯茶(うぐひすちや)きし/傾情(おいらん)、/新(しん)もようの新板に、/序文(じよぶん)のついへを 00093450M6いとわす、二丁三丁五町まちの、すいど/尻(じり)をつまんで仲の 00093460M7町/花(はな)におつゝけ、いか(一ウ)なる石部金太夫も、腹すじを 00093470M8かんぜんよりによらん、わらひ鯉をいけすの中より/撰(えり)出し 00093480M9て、まなばしならぬふんてをとり、ほそつくりにして(二 00093490M10オ)ふたはしミはし、其あんばひをしらせはやと、山旭亭 00093500M11のあるじ、ミす帋のはしへしるす 00093510M13△△△夘の春△(二ウ) 00093520¥P279 00093530¥N1¥J 00093540¥X/雷(かミなり) 00093550L3雷の子、吉原へ女郎かひにゆき、三日四日いつゞけをして 00093560L4内へかへり、おや雷に大きにしかられ、Sおやおふかたつ 00093570L5れがあろふ。だれがつれていつた。はやくいへ△S子アイ。 00093580L6たいこがつれていきやした(三オ) 00093590¥N2¥J 00093600¥X/芋(いも) 00093610L9通人二三人より合、一つのもうといゝ、こん夜ハぞくな肴 00093620L10にしよふとおもひ、いも、ごほう、こんにやくなどをにつ 00093630L11け、酒もりをしている所へ、ともだち来り、S皆+こり 00093640L12やアきゆうさん。いゝ所へきなすつた。もち合た一つあけ 00093650L13よふとさし、(三ウ)肴ハなんにもねへ。いもばかりになり 00093660L14やしたが、それを一つおとんなせへ。Sきゆういもハたん 00093670L15のとくだからくへねへ△S皆+一つくらいハよかろふ△ 00093680L16Sきゆう、外になにもなきゆへ、一つくわんとおもひ、は 00093690L17しにてさゝんとすれと、いも、ころ++ころけてさせ 00093700L18んゆへ、Sきゆう、少しじれこみ、おれにさせんと(四オ) 00093710L19いふ事がある物かといへバ、Sいもアイ。わつちやアたん 00093720L20のどくさ 00093730¥N3¥J 00093740¥X百物/語(がたり) 00093750M3五六人ニて百物がたりをはじめ、たん+しまいになり、 00093760M4もはや一人になりしゆへ、皆+よきふとんなそをかぶり、 00093770M5ちいさくなつていれと、ゆう+とおち(四ウ)つき、たば 00093780M6こなぞのミいるゆへ、S皆+、一つはなして、けしねへ 00093790M7といへバ、よう+とたち、小便をしてきてけそうと、う 00093800M8ら口の戸をあけれバ、ばけ物ども、大あくびにてまつている 00093810¥N4¥J 00093820¥Xいさみ 00093830M11八や。こんどおらアいなか/い((ママ))いつたが、いな(五オ)かハぞ 00093840M12ろつへいでおもしろい。やミといろ事が出来る。そして町 00093850M13ハにぎやか。山ハはなざかりで、さくらかさくやら、ぼた 00093860M14ん、水仙、もみじハかうようしているしといへバ、S八権。 00093870M15わりやアめつほうけへもねへ、うそをつくもんだ。なつふ 00093880M16ゆの花が、いつしよニさいて、つまる物か△S権そこがい 00093890M17なかハそろつへいだ(五ウ) 00093900¥N5¥J 00093910¥X金かし 00093920M20金かしのところへ行、あけましてハよい春などゝ、いちれ 00093930¥P280 00093940L1いのべ、とふぞ金子千両かりたきよしをいゝけれバ、S金 00093950L2かし/随分(ついふん)おやすい御用で御さります。いつ/頃(ころ)おかへし下さ 00093960L3る△S客二月下旬にハへんさい致ませうとて、証文をかき 00093970L4(三オ)千両かり行、ほどなく二月下旬にいたり、金子千両 00093980L5もちゆき、かへしけれバ、S金これハどうでござります。 00093990L6/利足(りそく)もおつけなさらんでといへバ、S客さて+、当ねん 00094000L7ハ/寅(とら)としでこさるゆへ△S金かし寅としにハりそくハつけ 00094010L8ぬ物かへ△S客はて、寅としゆへ、千両かりて千両かへす 00094020L9(三ウ) 00094030¥N6¥J 00094040¥X/客(きやく) 00094050L12客二三人ありしが、ていしゆいろ+はなしいたしおりし 00094060L13が、かつてより女/来(きた)り、ミなさま。御せうじんでこざりま 00094070L14すかといへハ、S皆+いゝや。せうじんハ/一人(ひとり)もないと 00094080L15いふ。S女、はいと、かつてへはいりける。やゝあつて、客 00094090L16かへらんとするを、S亭主まづ(四オ)おまちなさい。なに 00094100L17か/上(あげ)るそうだとて、女をよび、なんぞ上るか。S女いゝへ。 00094110L18なんともおつしやいませんから、あけません△S亭なぜ、 00094120L19そんならさつき、せうじんかとてきいた△S女あれハ/茶釜(ちやがま) 00094130L20のなかへ、かいじやくしをおとしました 00094140¥N7¥J 00094150¥Xいなかもの(四ウ) 00094160M3いなかもの、蔵前を通りしが、番/所(どころ)へきたり、つきあたり 00094170M4けれバ、はん人、おそろしくしかりけれバ、Sいなかものあ 00094180M5い。つきあたつて右へまがります 00094190¥N8¥J 00094200¥Xけいづくし 00094210M8龍宮にて、魚ともより/合(あい)、てん※にげいをし、たらなぞ 00094220M9ハ上下をきて、あけ(五オ)ましてハよいたらてこさります 00094230M10なぞといゝ、たこなぞも足をなけだし、さアごさい+ 00094240M11+なぞとしやれる。赤貝、そバにいたりしが、どこへか 00094250M12にげたゆへ、ミな+つかまへ、げいをしろとてせめけれ 00094260M13バ、S赤貝、/一間(ひとま)へはいり、からかみをあけて口をあき、 00094270M14およんなんし(五ウ) 00094280¥N9¥J 00094290¥Xミへぼう 00094300M17だいのミへほうな男ありけるが、客来りけるとき、私ハ生 00094310M18れついてよごれたものを、ついにきた事なし。せんたくす 00094320M19る、それぎり人にやつてしまうといふ所へ、S仕立やはい。 00094330M20お上下のあらひはりがてきましたと、もち来る。S客今き 00094340¥P281 00094350¥G(七ウ・八オ) 00094360M1さまは(六オ)あらつたものハきぬといつたが、其上下ハど 00094370M2うしたものだといへバ、Sこれハねまきだ 00094380¥N10¥J 00094390¥Xかつぱ 00094400M5かつぱ二三びきより、S一ぴきのかつぱ、きさまたちハ両 00094410M6国のかつぱがわづらつているが、見舞にいつたか。いゝや。 00094420M7それ(六ウ)ハミまいにゆこふと、二三びきづれにてゆき、 00094430M8どうだ。びやうきだそうだが、ちつともいゝか。しよくじ 00094440M9はどうだ。S両国このとおりとて、あこでめだかをおつて 00094450M10いる 00094460¥N11¥J 00094470¥X目かけ 00094480M13/旦那(だんな)、めかけとふたりにて、/酒(さか)も(七オ)(七ウ・八オ挿絵)り 00094490M14をはじめ、いろ+なうま事なとをこしらい、たのしみい 00094500M15る。Sめかけ、/肴(さかな)に/玉子(たまご)をはさめバ、S旦那おれは玉子よ 00094510M16り、くわへがいゝといへバ、S目かけくわへハおよしあそ 00094520M17ばしまし。どくでござりますといへバ、Sくわへおれより 00094530M18/手(て)めへがどくた(八ウ) 00094540¥P282 00094550¥N12¥J 00094560¥X礼者 00094570L3鶴亀屋万右衛門、年始の御祝義申入レますといゝながら、 00094580L4先キへ行、とし玉をおいたかといへバ、S家来つい、おと 00094590L5しました△S旦那そゝつかしい。とし玉をおとす物が、と 00094600L6この国にある物か。ちつときを付たかいゝと(三オ)いへハ、 00094610L7S家来ありやアおとしてもよふ御座ります△S旦那とし玉 00094620L8をおとしていゝといふがある物かと、おもいれにしかれバ、 00094630L9S家来ついぶんおとしてもいゝわけが御座ります△S旦那 00094640L10それハどふいふわけだ△S家来それても、おとし玉と申 00094650L11ます(三ウ) 00094660¥N13¥J 00094670¥Xいきすぎ 00094680L14とちうにてともたちにあい、/安(やす)こう。どこへ行。S安おゝ、 00094690L15きんこうか。ぬしアとこへ行△S金おらア九段坂へ行 00094700L16S安ときにきんこう。うしがふちへ、まいばん+いろ男の 00094710L17ゆうれいが出るそうだか、きいたか△S金うんにや。そり 00094720L18やアおゝかた/主(ぬし)たろう△S安なニ、(四オ)おれじやアねへ 00094730¥N14¥J 00094740¥X吉原 00094750M1女郎やの/亭主(ていしゆ)たち/寄合(よりあい)、むかしハ女郎が/客(きやく)をくるめて/金(かね)を 00094760M2つかわしたが、今ハ客か、女郎にかねをつかハせるさんだ 00094770M3んばつかりするから、よし原がひまだ。なんでも女郎をく 00094780M4るめる客ハ、/大門(おうもん)£内へハ(四ウ)とめるかいゝといへバ、 00094790M5Sばつさよりすゝミ出て、そんなら大門え札をたてるがい 00094800M6ゝといふ。S大セイそして、なんとしてたてるのた△Sは 00094810M7て、しれたことよ。/御用之外(ごようのほか)くるめ/留(とめ)さ 00094820¥N15¥J 00094830¥Xかいる 00094840M10/小僧(こそう)、/銭(せに)をぬすミ、うらの/明地(あきち)え穴をほり、銭をむめ、お 00094850M11れかきら銭、人が(五オ)きたらかいるになれといゝなが 00094860M12ら、むめておく/所(ところ)を見つけ、銭をとりだし、あとへかいる 00094870M13をおもいれつらまへ、むめておけハ、S小そう、やかて銭 00094880M14入用ニて、かの所をほれバ、かいるとび出。これ、おれた 00094890M15よ+といへともかまハず、かいるの/子供(こども)とひ出れバ、な 00094900M16むさん。/小銭(こせん)のさしがきれた(五ウ) 00094910¥N16¥J 00094920¥Xかづさ 00094930M19八や。おらアかづさへいつてきたが、かつさの女ハかしも 00094940M20とがづるい。男せへゆけバやりばなしだとはなせバ、S八 00094950¥P283 00094960L1そんならおれもゆかふと、さつそくたびじたくにて出かけ、 00094970L2きさらす/舟(ふね)にのり、さつそくかつさへ行ば、むかふよりい 00094980L3きな女がくるから、こいつ(六オ)よくした物と、しつかり 00094990L4たきつけハ、S女に大きにはじしめられ、S八ほい、まだ 00095000L5/上総(かつさ)しやアねへそうだ 00095010¥N17¥J 00095020¥Xかむろ 00095030L8あるおいらん、/至(いたつ)てひんゆへ、たはこのかひおきもならず、 00095040L9ひごろかむろにいゝつけ、中の/引(ひき)出シのたばこを出してき 00095050L10やといふなら、おわしを出シて、/水戸(すいど)じりへ(六ウ)いつて 00095060L11とつてきやといゝつけておく。あるとき/客人(きやくじん)、ひけ/過(すぎ)に/来(きた) 00095070L12り、S女郎、なむさん。たばこがないとおもひ、これ/千鳥(ちとり) 00095080L13や。中の引出シの/煙草(たばこ)を出シてきやといへバ、S禿、アイ 00095090L14トたち、やがてかへり、もしおいらんへ。中の引出シアも 00095100L15ふねへしたよ 00095110¥N18¥J 00095120¥X宿なし(七オ) 00095130L18/宿(やと)なし二三人/寄合(よりあい)、八や。きゝやれ。/権(ごん)めへ、とんだくめ 00095140L19んたぜ。S八はてな。なにをきていた△Sずつと下ぎか/花(はな) 00095150L20こざよ△S八はでゝいゝ△Sあいぎかりうきうよ△S八ぢ 00095160M1ミでぢやうぶで、とふもいへねへ。そしてうわぎハ△Sう 00095170M2ハぎか△S八うゝ△Sうハぎハうすべりよ△S八うゝいゝ。 00095180M3しかし(七ウ)うらゑりであやまるぜ 00095190¥N19¥J 00095200¥X座敷持 00095210M6ちよぼ一といふ/座頭(ざとう)、/吉原(よしハら)へ/遊行(あそびにゆき)、/座敷持(ざしきもち)の女郎をかい、 00095220M7しげ+かよへど/大(おゝ)キニふられ、あるとき、S女郎、座頭 00095230M8の目をはれバ、S座頭、大キニはらをたち、なぜ目をはつ 00095240M9たといへバ、S女郎ぬしアちよぼ一さんと(八オ)(八ウ・九 00095250M10オ挿絵)いふから、ねへめをはりやす△S座頭、げにもつと 00095260M11もとおもひ、又女郎の目をはり、おらアあきめをはるとい 00095270M12へバ、S女郎、一ごんもなく、これより大キニもて、ある 00095280M13日、しつぽりとたつきやつて/寐(ね)ている/所(ところ)を、Sとなり座敷 00095290M14の客見つけ、うまいな+といへバ、S座頭、ぬからぬか 00095300M15ほで、あたまをもち(九ウ)あけ、むまいはつだ。座敷もち 00095310M16にざとふだ 00095320¥N20¥J 00095330¥X粉薬 00095340M19ある女郎、いろ/男(おとこ)をまつところへ、すかぬ/客人(きやくしん)/来(きた)り、/大(おゝ)キ 00095350M20ニふさぎ、とうそかへしたくおもひ、/料理番(りうりはん)へはなしけれ 00095360¥P284 00095370¥G(八ウ・九オ) 00095380M1バ、S料理はんもしおいらん。それにハよい/薬(くすり)(十オ)が御 00095390M2さります。そのかわり壱分て御ざります△S女郎かへりさ 00095400M3へすれバ、いくらでもいゝわな△S料理はんそんならと、 00095410M4にはなをこしらひ、/懐中(かいちう)より/粉(こ)薬を出し、にはなへいれの 00095420M5ませる。S客、きうに用事を思ひ出シかへりけれバ、じき 00095430M6さまあとへ、かの/色(いろ)男来り、S女郎、やれうれしやとおも 00095440M7ひ、(十ウ)S色男、きうにかへろふといへバ、S女郎、な 00095450M8むさんと、/又(また)料理番へはなす。S料理番そんならとめてや 00095460M9りやせう。とめるのハ弐分でこざりやす△S女郎そりやア、 00095470M10とまりさへすれバ、いくらでもいゝハナ△S料理番そんな 00095480M11らと、又くわい中より粉薬を出し、れいのことくのませけ 00095490M12れバ、S色男、くびをひねつて、いゝや、(十一オ)けふで 00095500M13なしといゝといへバ、S女郎、うれしく思ひ、ほんにきめ 00095510M14うなくすりだ。ありやアまアなんといふくすりだ。かへし 00095520M15たのハ、なんでありんす。S料理番かへしたのかへ。あり 00095530M16やアしろぼうきの黒やきさ△S女郎そしてとめたのハ 00095540M17S料理番とめたのかへ。ありやアあさいなの黒やきさ(十一 00095550M18ウ) 00095560¥N21¥J 00095570¥X羽織 00095580¥P285 00095590L1三人づれニ而女郎/買(かい)にゆかふとそうだんすれバ、/二人(ふたり)/羽織(はほり) 00095600L2があつて、/一人(ひとり)ハはおりがないゆへ、おらアいやたといへ 00095610L3バ、S二人そんならいゝちゑがあると、ふくさをもつて来 00095620L4り、よくたゝミ、こしへはさませ女郎買にゆけバ、S女郎、 00095630L5てん※(十二オ)の/客(きやく)のはおりをたゝめバ、S一人の女郎、 00095640L6こしにはさミし、かのふくさをとつてひろげ、おや、ばか 00095650L7らしい。ぬしアてがおつせんよ 00095660¥N22¥J 00095670¥Xひかさ 00095680L10あるかミさま、/小僧(こそう)にひかさをもたせ/通(とほ)りけれバ、にハか 00095690L11にあめがおちてくれバ、Sかミゆひ/床(とこ)に、わかいしゆいや 00095700L12ハ(十二ウ)せ、あのひかさハかりものたから、さすことが 00095710L13ならねへといへバ、S小僧、ひがさをひつさばき、これて 00095720L14もかりものか 00095730¥N23¥J 00095740¥X女郎 00095750L17おいらん、/浅草(あさくさ)の/観音(かんおん)さまへまいり、ミちニて女こぢきに 00095760L18つかれ、やりてがやるか+とおもつていてもやらぬゆへ、 00095770L19こらへ(十三オ)かね、/懐中(くわいちう)より/南鐐(なんりう)を出してやれバ、Sや 00095780L20りて、/大(おゝ)きにしかり、ばか+しい。わたしさへやらねへ 00095790M1に、しろとじやアあるめへし、やることがあるものか。 00095800M2S女郎そふいわつしやんな。ながくつかれりやア、やらに 00095810M3やアならねへ 00095820¥N24¥J 00095830¥Xたいめん(十三ウ) 00095840M6/土用(どよう)のうち、/勘左衛門(かんざゑもん)/類焼(るいしやう)にあいしゆへ、いもふと、しさ 00095850M7しくうちたへしに此せつと、見まい物なとをもち、よう 00095860M8+とやけわらへたづねきたり、/兄(あに)さんか。S勘左衛門い 00095870M9もふとか。なつかぢがあつた 00095880¥N25¥J 00095890¥X奥女中(十四オ) 00095900M12ある/女中(じよちう)、御/奉公(ほうこう)もしびよく/下(さが)り、そうおうな/所(ところ)へかたづ 00095910M13きしに、まいばん+/門(かど)口へきて、わしをよくふりすてゝ 00095920M14かたづいてきさしつたと、うらみをいへバ、S亭主、これ 00095930M15をきゝ、大きにいかり、/女(によう)ほうをせんぎすれども、S女ほ 00095940M16ういつかふぞんぜんといふ。S亭主、ふしぎに/思(おも)ひ、(十 00095950M17四ウ)あくるばんなり、せうたい見とゞけんと、/門(かと)口にま 00095960M18ちかまへし所へ、あんのごとく来レバ、しすましたりと、 00095970M19まつぷたつにきりけれハ、すかたハきへてのりだらけ。さ 00095980M20つそくてうちんをとぼし、のりをしたい、だん+とゆけ 00095990¥P286 00096000L1バ、女ほうの/里(さと)ゆへ、/家内(かない)をせんぎすれとも、ておひ(十五 00096010L2オ)し物一人もなし。いよ+あやしくおもひ、女ほうの 00096020L3/道具(どうぐ)を一&さがしミれバ、一つのきりの/箱(はこ)、ちだらけゆへ、 00096030L4中をあけてミれバ、はりかたをまつぷたつ 00096040¥N26¥J 00096050¥Xねほう 00096060L7いしやほうづ、女郎/買(かい)に/行(ゆき)、しげ+(十五ウ)かよひしに、 00096070L8ねほうにて/一朝(ひとあさ)もおくつて出ぬゆへ、ごうはらがり、どう 00096080L9してくりやヲとおもひ、あるときゆき、やはりたわいなく 00096090L10ねいりしゆへ、女郎をぼうづにして/早&(そう+)かへりけれバ、 00096100L11S女郎、やかてめをさまして、あたまをなでゝ、ばからし 00096110L12い。ぬしア(十六オ)またいなんすか 00096120¥N27¥J 00096130¥Xこんや 00096140L15こんやのもがりへ、さぎとからすがいつしよにとまり、ほ 00096150L16どなくからす、もがりよりおちてしねハ、Sサギ見/付(つけ)、と 00096160L17ふても/黒(くろ)イ/物(もの)ハよハい 00096170¥N28¥J 00096180¥Xあんま(十六ウ) 00096190L20いなかもの、女郎かいに行、女郎やのにかいニてあんまを 00096200M1よべバ、あんま来り、Sあんまおにかいへあかりますれバ 00096210M2ふたすじ、下でハ一すしでこさりますといへハ、Sいなか 00096220M3ものそんなら/庭(にハ)へおりて、たゞもませう 00096230¥N29¥J 00096240¥Xせんせい(十七オ) 00096250M6あるいんきよのところへ/仕事(しごと)し/来(きた)り、いんきよさん。おさ 00096260M7むう御さへすといへバ、Sいんきよこれハ+。ときにせ 00096270M8んせい。ちとおたのミがある。はいふきをすてゝ/下(くた)せへ△ 00096280M9S仕事しなに、せんせいだ。おれがせんせいなら、うぬア 00096290M10はつつけだ 00096300¥N30¥J 00096310¥X大鞁(十七ウ) 00096320M13つきや、女郎かい/行(ゆき)、てがまめだらけゆへ、なんといつた 00096330M14らよかろふといろ+しあんし、/大鞁(おゝどう)のしせうといおふと 00096340M15おもひ、やかてとこへまハり、S女郎ぬしアなにしやうば 00096350M16いでおつすへ△Sつきや大鞁のし/や((ママ))うだといへバ、S女郎も 00096360M17し、わつちもちつとならいんした。あの田村より(十八オ) 00096370M18/諏訪(すハ)ハうちにくうおつすねへ△Sつきやなに、田村や諏訪 00096380M19より、/南部仙台(なんぶせんたい)がつきにくい 00096390¥P287 00096400¥N31¥J 00096410¥X密夫 00096420L3/亭主(ていしゆ)、まおとこをまつ二つに切り/殺(ころ)す。S女ほうわたしも 00096430L4共に切つてくんなせへと言。S亭主、かぶりをふり、まづ 00096440L5(十八ウ)そふハいたすまい。S女ほう、手をあわせ、ぢひ 00096450L6じや。殺てくんなせへといへば、S亭主いゝや、ころさぬ。 00096460L7あの世でそハせてハならぬ 00096470¥N32¥J 00096480¥X女曲馬 00096490L10/諸所(しよ+)のきよく/馬共(ばとも)より合、なんと思ひやる。/段(たん)+あつく 00096500L11ハなるし、ほ(十九オ)ねの/折(おれ)レる/役(やく)めだ。Sヲヽサ。また 00096510L12しあわせ物ハ、蔵まへばかしだ△Sくらまへの馬なぜ、おら 00096520L13ア仕合だ△Sヲノシヤア女をのせるからよ△S蔵前の馬な 00096530L14に、はらへてものせハしまいし 00096540¥N33¥J 00096550¥X大橋 00096560L17/髪(かミ)をみだしたる女、いきを切つて/大橋(おゝはし)へかけ/来(きた)り、壱文な 00096570L18げてとふり(十九ウ)けれバ、S橋番これ+あねさん。弐 00096580L19文だよといへバ、S女ふりむき、わたしや橋のまん/中(なか)/迄(まで) 00096590¥N34¥J 00096600¥X大釜 00096610M3/味噌(ミそ)やの/内(うち)へ、ある/夜(よ)/盗人(ぬすびと)はいり、かざいハおろか、/着(き)て 00096620M4ねた夜着迄とられ、/今夜(こんや)ハきてねる物ハなし。/幸(さいわい)あの/大釜(おゝがま) 00096630M5こそ/大切(たいせつ)のせうばい/道具(どうぐ)と大釜の(二十オ)中へねる。 00096640M6Sやがて盗人、ゆうべのあじをしめ又はいつた/所(ところ)がなん 00096650M7にもなし。此大釜こそよきかねめとひつかつぎて、さつさ 00096660M8と/迯(にけ)れバ、釜の中て大いびき。是ハふしぎと、/畑(た)の中へ釜 00096670M9をおろせバ、S亭主、ぬつとめをさまし、なむさん。/家(いへ)を 00096680M10ぬすまれた(二十ウ) 00096690¥N35¥J 00096700¥X拍子木 00096710M13はん太郎、女郎/買(かい)に/行(ゆき)、したぢハすきなり/御意(きよい)ハよしと、 00096720M14さへつおさへつ、とつちり/孫左衛門(まごさゑもん)になり、とろ+とね 00096730M15へりし所へ、S女郎来り、もし、おきなんしといへハ、 00096740M16S番、めをふつとあき、ひけ四つをかち+とうてバ、き 00096750M17もをつふし、/拍子木(ひやうしぎ)(二十一オ)がない+とうろ+する 00096760M18を、S女郎見つけ、はからしい。どうしなんした。S番う 00096770M19ゝ、まつりのゆめを見た 00096780¥P288 00096790¥N36¥J 00096800¥X香 00096810L3/香(こう)しなん所といふかんばん/出(で)ている/所(ところ)へ、/仕事(しごと)し/通(とふり)りかゝ 00096820L4り、香しなん、こいつおもしろそうな物と、づいとはいり、 00096830L5(二十一ウ)ちとおたのミ申やす。御きん所の物で御さりや 00096840L6すが、ちと御しなん、おたのみ申やすといへハ、Sしせう 00096850L7さアこちらへと、おくのまへつれゆき、弟子たちとならべ、 00096860L8だん+と香をきく。まつ一人、これハあもをきけますと 00096870L9ゆふ。今一人、わたくしハかろふきけますといふ。やかて 00096880L10仕事/((し脱))のはんになり、Sシコトシ(二十二オ)香ろうをほうり 00096890L11出シ、こいつらアあまいのからいのといつて、おれにア大 00096900L12キニやけとふさせやアかつた 00096910¥N37¥J 00096920¥X按摩 00096930L15/肩(かた)をひねらせけるに、/大(だ)イのへたゆへ、/是(これ)ほうさん。こな 00096940L16さんより、おらがおしながはるか/上手(ぢやうづ)たよ。Sあんま、/胸(むね) 00096950L17をおさ(二十二ウ)へ、やかて/頭(つむり)をもミ、それより/耳(ミヽ)のあた 00096960L18りをもミ、/爰(こゝ)ぞいしゆかへしと、耳へゆひをおしこミ、は 00096970L19つつけやろうめ 00096980¥N38¥J 00096990¥X灸 00097000M3こし/元(もと)、/旦那(たんな)に/灸(きう)をすへ、たび+おとすゆへ、たんなに 00097010M4しかられ、次の間へ/来(きた)り、お/春(はる)との。わたしか/替(かハ)り(二十三 00097020M5オ)にいつてくんな。Sなせへ△Sきゝなさい。しわい旦 00097030M6那だ。/度(たひ)+おとすからすへるなと。一かわらけおとして、 00097040M7/高(たか)が四文だ 00097050¥N39¥J 00097060¥X四十七人 00097070M10四十七人の/者(もの)ども、かたきもろのふを/尋(たつね)れともしれぬゆへ、 00097080M11ミな+爰で/切腹(せつふく)せんとおもひ/定(さだ)める。S大高(二十三ウ) 00097090M12すゝミ出、少しの心あてが御さります。しばしとゝまり/給(たま) 00097100M13へといゝ、/頓(やか)て/炭部屋(すミへや)へゆき、/鑓(やり)おつとりのべ、もろのふ 00097110M14+といへば、Sすミの方てどふれ 00097120¥N40¥J 00097130¥X茶の湯 00097140M17/四畳半(よじやうはん)の/座敷(さしき)/出来(てき)、早&ちん/客(きやく)を(二十四オ)まねき、/亭主(ていしゆ) 00097150M18/茶(ちや)をたてゝ/出(いだ)す。S上座の客、おしいたゝき/呑(の)むひやうし 00097160M19に水はなをたらしこミ、つぎの客へ/渡(わた)す。/次(つき)のきやく、 00097170M20にか+しい/顔(かほ)にて、はなのある/所(ところ)を/向(むかふ)へ/吹(ふき)、一口のんで 00097180¥P289 00097190L1つぎへ渡す。それより/段(たん)+じゆんに廻しければ、/末(はつ)座に 00097200L2いるのミじまい(二十四ウ)の客人、おしいたゞき、目をふ 00097210L3さいで、なむあミだぶつ 00097220¥N41¥J 00097230¥X夫婦喧嘩 00097240L6あるていしゆ、女郎/買(かい)にゆきければ、S女房、おふきには 00097250L7らをたち、やきもちをやけば、S亭主、女はうにむかい、 00097260L8どうも/地物(ぢもの)ハくさい。女郎ハくさ(二十五オ)くないといへ 00097270L9ハ、S女ぼう/ば((ママ))らをたち、Sくさいのくさくないのと/大(おゝ)け 00097280L10んくわ。S下女、かまのまへにてよふすをきゝ、やがてま 00097290L11たくらへゆびをいれ、かいで見て、おかミさん。まけ+ 00097300¥N42¥J 00097310¥X借店 00097320L14此うらにかし/店(だな)有りとはり/紙(かミ)(二十五ウ)をして/置(おく)。いつの 00097330L15まにやら/度(たひ)+はがして取。S大ヤ、/是(これ)でハならぬと/考(かんが)へ、 00097340L16/木札(きふた)に書付、/五寸釘(こすんくき)にて/打(うち)付、S大ヤ是でハ四五年もこた 00097350L17へやう 00097360¥N43¥J 00097370¥X草履取 00097380L20/侍(さむらい)、両国ばしを通り、S家来いかふきん/着切(ちやくきり)が見へます。 00097390M1/随分(すいふん)/御由断(ごゆだん)/遊(あそハさ)れ(二十六オ)ますな△S旦那/心得(こゝろへ)た。われ 00097400M2も気を付ろといふ。S家来、又旦那へ、巾着切が/殊(こと)の外お 00097410M3ります。御由断被成ますなといへば、S旦那おれハ気を付 00097420M4て行。われに持せた/鳥目(てうもく)に気を付ろといへば、S八介もは 00097430M5やとつくに、とられました(二十六ウ) 00097440¥P290 00097450¥U噺本大系△第十二巻 00097460¥T/軽口(かるくち)/筆彦(ふでひこ)/咄(ばなし)〔内題〕 00097470¥G 00097480¥Y 00097490L15寛政七年正月序 00097500L16悦笑軒筆彦作 00097510L17鈍句斎八哉序 00097520L18京△めとぎ屋儀兵衛等板 00097530L19半紙本五巻五冊 00097540L20大東急記念文庫蔵 00097550¥Y軽口筆彦咄序 00097560M3虎渓の三笑ハ、大笑ひの水上といへとも、李白、杜子美、 00097570M4人丸、赤人、其余名たる詩人歌人のつらね言も、是みな笑 00097580M5ひ草の種なるへし。其たね、つたへ+て今の世までもは 00097590M6びこり、/貂(てん)となり/鼬(いたち)と変じて、日&夜&笑ふにいとまあら 00097600M7ず。去ば爰に悦笑軒筆彦といへる筆墨を商ふ(一オ)おのこ 00097610M8ありけり。浪華江南の辺に仮居をかまへ、起居やすく暮せ 00097620M9しか、ふしぎ成かな、元筆の毛ハ鹿の縁にやよりけん、春 00097630M10日明神の霊夢を蒙り、藤のかづらに這ひまとわれて、よれ 00097640M11つもつれつ腹筋をよぢらすべき悦笑の一つなるへきを、今 00097650M12の世上を見れハ、十面づらの/野棒(やぼ)作多し。汝、是をやわら 00097660M13ぐへしと、給る所一ふりの鎌おしいたゞきしと見れば、 00097670M14(一ウ)一陣の風と成て夢ぞさめぬ。夫よりして神慮をとう 00097680M15とみ、諸方諸人の十面を切なびけつゝ、其名唐天竺までも 00097690M16ひゞきぬ。実やかれが咄しの弁舌は、とう+たる事、立 00097700M17板に流水を下すがごとく、聞人/臍(へそ)の宿替させ、或は無心の 00097710M18画面たる達磨の白眼迄もほそ目となし、風なくなびく草木 00097720M19の悦ひ笑ふ軒の号、天帝よりも給ハること(二オ)こそとな 00097730M20りぬ。時にかれが口拍子を聞書したる草稿のひらひあつめ 00097740¥P291 00097750L1て、桜木に物して春の永き日に御伽草帋と、しかつべらし 00097760L2く序するものハ 00097770L3△△△△△△△△△△△△△△△/鈍(とん)句斎 00097780L4△△△△△△△△△△△△△△△△八哉戯書 00097790L5△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二ウ) 00097800L6抑天地開而より寛政七つとし迄、八百億余年の間に、いつ 00097810L7となく新話はしまり来り、諸人何にかたとへん、大悦の有 00097820L8さま。予楽しミといふは是にこす事や有んと、幼年£耳覚 00097830L9あるひはうみ出其数、かすへるに暇あらず。時に此度御笑 00097840L10をかへりみず、廿四通の弁と部分のうち、随分耳にふれ安 00097850L11き部、或は筆に放れよき所を一句宛并(三オ)新十二月、ま 00097860L12たハ題付キ三冊ものニて御覧を願ふ。尚咄し落は六通にし 00097870L13て、聞違、思い違、見立、口合、文字、道理。またハ声に 00097880L14下タ中音、乗テ言。是等により口伝多し。先初春に、正月 00097890L15よりの咄し本御覧の間、祖父さん祖母さまも小児迄、悦ひ 00097900L16笑ふ縁をすぐに 00097910L17△△△△△△△△△△△△△△△悦笑軒筆彦撰 00097920L18△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(三ウ) 00097930¥T1軽口筆彦咄巻之一 00097940¥N1¥J 00097950¥X新十二月正△身いわひ 00097960M5/非人(ひにん)、/元朝(ぐわんてう)にあたらしき/着(き)ものきて、うたひをうたふて/往= 00097970M6来(わう=らい)しけるを、Sある家の下女、ざうにのあつまりを/持(もち)、コ 00097980M7レ+とよびける。非人Sけふハ出ませぬ 00097990¥N2¥J 00098000¥X二△馬のふん 00098010M10/初午(はつむま)いなり参りにぎ+しく、いろ+のあきないミせ。 00098020M11中にももちやのおもひ付にて、きらず玉をもちにつきまぜ、 00098030M12外&のよりハ大きにあんつけ(四オ)うりけるに、きつねの 00098040M13子、いなりのさいせんぬすミ、みせに立かゝり、おつさん。 00098050M14アリヤミなもちかへ。もちやS左様+。かいなされ。ゑ 00098060M15らふうまいといふ。狐の子Sムウヽといひながら、まゆに 00098070M16つわつけた 00098080¥N3¥J 00098090¥X三△/永(ゑい)代の/徳(とく) 00098100M19せかいもおい+じゆふじざい、水でつぽうも四人がゝり 00098110M20を一人してもちあるく/様(やう)なをこしらへるか、又たばこのけ 00098120¥P292 00098130¥G(五ウ) 00098140L13づりだいか/出来(できる)やら。こゝにしわきおやじ、三月のかみひ 00098150L14な、さくらたちばな/迄(まで)も/書(かき)て(四ウ)あれバ、モウ此上ハし 00098160L15やうハないが、ヲリヤ、まごのはつぜつくに一ぷくあつら 00098170L16へるなら、つゐでに三ぼうに、ひしのもちも/書(かき)そへてもらふ 00098180¥N4¥J 00098190¥X四△上にうへ 00098200L19夘月(うつき)八日にハ、天とう/花(ばな)をさほ/長(なが)く、われ一にする。有人 00098210L20さほ十本ばかり、なわにてくゝり、こちのハ一ばんと、た 00098220M1かく/上(あげ)/有(あり)しが、S天ぐ行あたり、是ハとうつむいたれバ、 00098230M2はなのさきが、地へ二三尺もはいつた(五オ)(五ウ挿絵) 00098240¥N5¥J 00098250¥X五△/孫(まこ)にほそ目 00098260M5さる/至(いたつ)てしわきおやじ/成(なり)しが、一人のまごできれバ大き 00098270M6によろこび、/初(はつ)ぜつくまへに/唐(とう)もめんを三/反(だん)かふて、こん 00098280M7やへ行、コレ+、そめちんハ十〆目まで出す。ナンゾい 00098290M8きほひの人ぎやう、そめて下されといふ。こんやS日ごろ 00098300M9の/気(き)をさつしいてヒツクリシ、/旦那(だんな)。それハおまへ様、し 00098310M10やうきかへ 00098320¥N6¥J 00098330¥X六△ミかげ/先生(せんせい) 00098340M13はま/仲(なか)しゆのおやじ、わかゐもの共をよびよせ、(六オ)サ 00098350M14テ此月ハねりもの、だんじり、山ほこ等出るものじやが、 00098360M15ずいぶんわゐらも出すならだせじやが、かならずコリヤ、 00098370M16カンニンの四字をわすれな 00098380¥N7¥J 00098390¥X七△かわりましよ 00098400M19/盆(ぼん)の廿九日のひる、こんのかんばんきたる/奴(やつこ)が大家のうち 00098410M20へきて、ナント、おらハすこし入用の事ができた。銭十〆 00098420¥P293 00098430L1かして下されといふ。手代Sじせつなら金百両の/証文(せうもん)でも 00098440L2ほぐになれバ、成ほど御用だちましよと、心よく出しわた 00098450L3す。(六ウ)奴S忝なしと立かへつたが、あくる日、かどぐ 00098460L4ちから、よいなりして、ちうげんの御礼申ます 00098470¥N8¥J 00098480¥X八△口上ヱイ 00098490L7/彦(ひこ)兵へさん、とこへ。S八まん/山(さん)へさんけい△Sそれハき 00098500L8つゐはやい事△彦S此へんから七八里を二日かゝつた 00098510L9S二日が五日十日でもはやゐ。かりそめながら、百度まゐ 00098520L10りでさへ一日ハかゝる。八まん/参(まいり)じやないか 00098530¥N9¥J 00098540¥X九△居ながら 00098550L13さてS高おSつう天、今がさい中。チトもみじへ(七オ)と 00098560L14出かけましよかい。旦那Sサア申。又二三日もつぶれじや 00098570L15丁稚Sカタワキヨリ、だなさん。そのようにゑんぽうへ御出 00098580L16なされいでも、此よこ町のふやへいたら 00098590¥N10¥J 00098600¥X十△/毛(け)のない/供(とも) 00098610L19旦那さん。よゐしゆの御ともハ、ミなぼうずにしてあるが、 00098620L20アリヤどふしたものでござります。旦那S一年のうちに、 00098630M1べつして此月ハ、ヨヲあめのふるものじや。/惣(そう)してかみを 00098640M2あめでぬらすと、のちにハしらみがわく。ソコデぼうずに 00098650M3して(七ウ)ある△丁稚Sフウヽ、それで此月を、かミな月 00098660M4といひますか 00098670¥N11¥J 00098680¥X十一△立はなれ 00098690M7いなかからはい出の下女、大坂へほうかうにきて、どうと 00098700M8んぼりのかほ見せの、ふねからのりこミを見てもどり、 00098710M9S申、おへさん。わたしのとゝさんが、大坂ハあらい所じ 00098720M10やといふてゞあつたが、まことにこんばんも、女中さんが 00098730M11/上下(かミしも)きて、わきざしさいて、ふねから出ました 00098740¥N12¥J 00098750¥X十二△入レ合せ△(八オ) 00098760M14さるないぎ、きつゐきれいづき。ふとべうき出て、一月あ 00098770M15まりしてくわゐきなりしが、それよりとんとどうらく、一 00098780M16かうたゝみもはかず。旦那Sさんようしもつて、きたない 00098790M17たゝみじや。チトふいたりはいたりしやゐの△Sおまへさ 00098800M18ん。先日のべうきに物いり。其うへあきなひひまゆへ、そ 00098810M19ろばんもつて、ほこりものこらぬとおつしやつたゆへ(八 00098820M20ウ)(九オ挿絵) 00098830¥P294 00098840¥G(九オ) 00098850¥N13¥J 00098860¥Xにん+の気 00098870L15/彦(ひこ)兵へさん。/桃仁(とうにん)とハ何てござります。彦Sもゝのさね△ 00098880L16S/梅仁(ばいにん)とハへ△彦Sアレハむめのさね。すべてさねのある 00098890L17ものを/仁(にん)といひます△Sムヽ、それて女/子(ご)をによにんとい 00098900L18ふのか 00098910¥N14¥J 00098920¥X両ねがけ 00098930M1コレ八兵へ。よこ町のごけハ、/浄(しやう)るりかうたひ、/正伝(せうでん)ぶし、 00098940M2なんぞ一だんおぼへが有と、つゐなびく。八兵へSおれく 00098950M3らゐな浄るりでもおちるか△Sおちるくらい+(九ウ)八 00098960M4兵へSそりやぢやうか△Sイヤ、かぎじや 00098970¥N15¥J 00098980¥X高びく 00098990M7やまゐようせんといふゐしや、/至(いたつ)てせいちいさく、おとこ 00099000M8ハ三助とて大のおとこ、ともにつれ、ミち中にて、ようせ 00099010M9んのあたまへつわかける。いしやS大きにいかり、ともの 00099020M10身ぶんにて、ぞんざいせんばんとしかる。三助S御めんな 00099030M11さりませ+。いつもハこすのに 00099040¥N16¥J 00099050¥Xせんとられ 00099060M14/紺(こん)やのおやじが、コリヤ長吉。チトとくゐまわり(十オ)し 00099070M15てこい。まゐ日きいてゐる様に、モシ先から、いつできる 00099080M16といふたら、あさつて+といへ。こうやあさつてといふ 00099090M17ならわしじや。丁稚Sハイといふて、方※へ行。下女 00099100M18Sこれ+でつちさん。わたしのまへたれ、そめにやなら 00099110M19んが、コチへあさつてお出といへば、丁稚Sおまへもすい 00099120M20+ 00099130¥P295 00099140¥N17¥J 00099150¥Xわらひがらす 00099160L3/毎日(まいにち)/酒(さけ)をのむくせに、五合つゝはか、よふかわぬ旦那あり。 00099170L4ある日ざしきでのみける所へ、からす(十ウ)一/羽(は)きかゝり、 00099180L5ゴンゴ+となく。又あけの日も五合のさけ、やつこどう 00099190L6ふでのむ/折(おり)から、S又からすきて、ゴンゴ+となく。 00099200L7Sハヽア、おれが五合はか、ゑかハぬゆへ、からすがわら 00099210L8ふと/覚(おぼ)ゑ、よく日くめんして一升もとめ、これミよがしに 00099220L9のみゐる。からすSきて、又ゴンゴ+となく。旦那Sヤ 00099230L10イ、今日ハ一升しやわい△からすSがをれ+ 00099240¥N18¥J 00099250¥Xはらのかへし 00099260L13/権(ごん)兵へさん。あんばいわるいか。権Sアイ。はらがいたい。 00099270L14(十一オ)Sフウ、はらがいたくバ/吉野(よしの)へ御ざれと、いふて 00099280L15いなれる。権S大にいかり、おのれ、べうきのせつにと、 00099290L16まつていらるゝ。Sかのおとこ、ある日はらいたみ、ねて 00099300L17いる。権Sどふじやの△Sとんとけさから、おなかゞいた 00099310L18ゐといふ。Sおなかゞいたくバ、行所ハない 00099320¥N19¥J 00099330¥Xわびのくせ 00099340M1村のあるきが、ハイ。只今はんもつてお出。ばくちのふれ 00099350M2でござります。八兵へSコレかゝ。わかみ、持ていておじ 00099360M3や△女S持参しけれバ、庄やSけふハ大事の申渡(十一ウ) 00099370M4事かある。八兵へ、じきにござれ△女Sハイトかへり、八 00099380M5兵へさん。じきにこいといふてじや。行なされ△八Sゑゝ 00099390M6めんどうなと、ぼやき+行けるに、庄屋年より、れつを 00099400M7ならべいるゆへ、八Sハイ。御たのミ申ますと、判を手に 00099410M8て二三べんふり出すゆへ、庄Sこれハしたり、八兵へど 00099420M9の。此御はつとのばくゑきのふれの判に、はんの出しやう、 00099430M10きにいらぬ。出しナヲシヤとさし出す。八Sハイトいふて、 00099440M11又二三べんふりてほれバ、庄Sコレハけしからぬ人としか 00099450M12る。八Sなんべんふりなをし(十二オ)ても、判ハはんじや 00099460¥N20¥J 00099470¥X三月の比 00099480M15はゐかいともだち二人づれにて、清水寺のぶたいより、は 00099490M16なを見おろしたのしみ、サアいにましよとのきしなに、八 00099500M17兵へきもの、らんかんにひつかゝり、かぎざきする。ホイ、 00099510M18コレハ+++といひけれバ、一人S何を/貞室(ていしつ)めかそ 00099520M19まい 00099530¥P296 00099540¥N21¥J 00099550¥X馬ハむまづれ 00099560L3馬かた、女ぼうとせり合、コリヤ、ひまやる。出てゆ(十 00099570L4二ウ)け。女Sヲヽまつているのじや。まい日だちんハも 00099580L5つてもどつた事ハなし△マゴSヲヽ、おのれも/年中(ねんぢう)まおと 00099590L6こにかゐぐい。出てうせふ△女Sさり/状(ぜう)かゝしやれ△マゴ 00099600L7Sヲヽ、おれが字かゝぬとおもふてぬかすか。マテ+と 00099610L8ふでとつて、ヱヽ、去状のさハ、あさきのさ。又りハちり 00099620L9のりのじと、かみ一ぱいにかき、ソリヤ持ていね。女S見 00099630L10て、コリヤ何じや。さり状といふは、/三(ミ)くだり半。コリヤ 00099640L11/紙中(かミぢう)が/字(じ)じや。此やうな/わ((ママ))見た事ないと、つきもどせバ、 00099650L12Sヱヽ、おのれハおれよりおい/女房(にようバう)(十三終オ) 00099660¥T1軽口筆彦咄巻之二 00099670¥N1¥J 00099680¥Xミだれ/髪(がミ) 00099690M5有家へ入むこして、ふうふ中よくくらしけるが、/近所(きんじよ)の人 00099700M6のうわさに、おまへの女ぼうしゆハ、きを付て見なされ。 00099710M7アリヤ此/世(よ)の人てないといふ。亭主Sわたくし事、此間よ 00099720M8り此/家(や)へきたり、なにもわけしらず△八兵へSこゝのない 00099730M9ぎハ、/夜半(やはん)のころより、まいばん+さんまいとはかのへ 00099740M10んに行、/死人(しふと)をほり出し取くらふなり。/気(き)を付たまへとい 00099750M11ひかへる。亭主Sまこと(一オ)によふ人のいふ、/死(し)人のは 00099760M12いにて口へかね付るとはげぬとやら。さやうな事でハない 00099770M13かと、其夜きげんよくねたかほにてうかゞふ。夜半になれ 00099780M14ば、ないぎ、ていしゆのはないきをうかゞひ、しろきすが 00099790M15たで出て行。亭主S跡より見へがくれ、ハタシテ、さんま 00099800M16いへ行、あまたの死人をほりおこし、かたはしからなめり 00099810M17+してくらハず、明六つまへには、わが家へかへりした 00099820M18くす。亭主Sさきへかへり、なに事もいわず。又あくるば 00099830M19ん、まいよ+かくのごとく、七日(一ウ)八日してから、 00099840M20Sていしゆ、さんまいへ/行(ゆき)、/死(し)人を見るに、のこらず其ま 00099850¥P297 00099860L1ゝ。ハテサテ、かわつた事。なぜにじやゝら。/女房(にようぼう)ハおに 00099870L2にちがゐハないが、死人のかわほねも其まゝと、あたりを 00099880L3さがせば、一まいのとうばあり。書付に、 00099890L4△△△おにならバすぐにとらへてくふべきが 00099900L5△△△△はなしならこそなめるなりけり 00099910L6と有た 00099920¥N2¥J 00099930¥X/気(き)の/用心(ようじん) 00099940L9やせがれたおやじ、目をぎろ+として、/養(よう)せん(二オ)と 00099950L10いふ/医者(いしや)へきて、なにとぞわたくしへ、/腎(じん)のへるくすり二 00099960L11三ぶく下されませといふ。医S助兵へどの。こなたハめハ 00099970L12大けく、手あしハやせ、よろ+していながら、じんのへ 00099980L13るくすりとハ、いかなる事ぞ。/気(き)がちがやせぬかといふ。 00099990L14助Sふるいごへにて、もつてかへり、/妻(さい)めにのませます 00100000¥N3¥J 00100010¥Xよび出し 00100020L17さるせつゐんに、一人入て用事とゝのへて(二ウ)いらるゝ 00100030L18うち、/丁稚(でつち)、つか+とあけんとする。うちよりきつとと 00100040L19らへているゆへ、丁稚Sおうばとのかととふに、/音(おと)せず。 00100050L20又Sおさんどのかといへども、こたへず。又S三助どのか 00100060M1ととへど、おとせず。丁稚Sきゝすまし、ハアヽ、旦那さ 00100070M2んか△旦那Sムウ+ 00100080¥N4¥J 00100090¥X/座頭(ざとう)の/都名(いちな) 00100100M5ある/盲人(もうじん)、かねをよほどため、これまでハ土めくら。何 00100110M6とぞ/都名(いちな)になりたゐが、何がよかろ。八兵へSかす/都(いち)△ざ 00100120M7Sいや、酒やからくばりにくる△八Sそれ(三オ)(三ウ挿絵) 00100130M8なら三ごく一△ざSいや、ふじの山のようでわるい△八 00100140M9Sちよぼ一△ざSめつそふな事いわしやれ。ソリヤ/第(だい)一の 00100150M10御/法度(はつと)じや△八Sそんならよいのが有。いつそ天下一ハど 00100160M11ふじや△ざSけたいな、/鏡(かゞミ)のよふな/名(な)じや△八兵へSチト 00100170M12よふ見へてよかろ 00100180¥N5¥J 00100190¥Xあわんもふしぎ 00100200M15/去(きよ)年ハ/寅(とら)のとし、よふてりつづきましたが、ことしハ又ふ 00100210M16りつゞきましよかの。八兵へSなにをいわしやるやら。天 00100220M17さいの事ハ、われらがおよぶ(四オ)所でござらぬ△Sイヤ 00100230M18+、それでもきかしやれ。正月/元朝(ぐわんてう)から/夘年(うどし)といふが、 00100240M19一年のあいだ 00100250¥P298 00100260¥G(三ウ) 00100270¥N6¥J 00100280¥X/李太白(りたいはく) 00100290L15百/性(せう)一人すぎのきさんじ。けふハ/野(の)がけにきバらしせふと、 00100300L16ひやうたん/酒(さけ)をもち、/野道(のミち)にかゝれバ、きん/辺(へん)の山に、か 00100310L17すみが山の中どふりを一すじにたなびく有さま、コリヤた 00100320L18まらぬけいしよくと、ミちばたに/休(やすミ)いふやう、もろこしの 00100330L19/白楽天(はくらくてん)が/詩(し)に、/青苔(せいたい)ころもをおひて/岩(いわ)ほの/肩(かた)にかゝり、は 00100340L20く(四ウ)/雲(うん)/帯(おび)に/似(に)て山の/腰(こし)をめぐる、とハ此事なりと、/酒(さけ) 00100350M1のみたのしみけるが、白さぎ一/羽(ハ)、松のゑだにとまる。 00100360M2Sハヽア、又&/青(あを)き/葉(は)に/白(しろ)きハけしからぬぜつけい、とな 00100370M3がめいる。/程(ほど)なくゆきがちら+。Sヤア、此ゆき、大に 00100380M4ふつてハわるけれど、ちら+ハヨイトいふうちに、ゆき 00100390M5もやミ、さぎもとび、むらくもゝいづく共なくきへけれバ、 00100400M6ひやうたんをふりて見れバ酒もなし。S山を目がけて、 00100410M7ヱヽ、付合のわるい 00100420¥N7¥J 00100430¥X/聞(きい)たり/語(かたつ)たり(五オ) 00100440M10/軍法(ぐんハう)ふじミ/西行(さいぎやう)を/浄(じやう)るり/芝居(しバい)にせぬかと、/待(まち)こがれている 00100450M11うち、有しばいにかんばん出す。何が見合せ、/休日(きうじつ)にしば 00100460M12いへ行、今何だんめじや。おもて方S/茶(ちや)やバ+△Sそれ、 00100470M13よい所と、札かふて/走(はし)り入バ、出てくる/客(きやく)ハせむし大じん、 00100480M14うつし/絵(ゑ)が手をとかたる。Sイヤ、こゝ大/事(じ)とけんぶつす 00100490M15るうち、ゆだんを見て、きんちやくきり、かみ入をとらん 00100500M16としけるを、なか+すかさぬおとこにて、ヂラノ/手(て)をじ 00100510M17つととりながら、(五ウ)おもわず浄るり声にて、此手のぢ 00100520M18んじよな事わいの。ヂラSうろたへ、ほそござりますかと 00100530M19たづねたら、Sイヤ、ゑらふ長い 00100540¥P299 00100550¥N8¥J 00100560¥X/新宅悦(しんたくよろこび) 00100570L3/類(るい)せうの跡にて、あたらしき家たて、新たくふれまひ致さ 00100580L4るゝ所へ、こんゐのきやく二三人くる。中にも八兵へが、 00100590L5旦那。これハけしからぬ御ふしん、よくできました。材木 00100600L6ハもへ立やうなとほめる。旦那Sこれハ八兵へさん。類せ 00100610L7うにこりてゐるのに(六オ)と、かほしかめる。八兵へS是 00100620L8ハわたしかわるかつたといひつゝ、にわまわり、/店(ミせ)のかゝ 00100630L9り、中&申事もなくよふできたが、入口がチトせばい。旦 00100640L10那Sデモ、チヨウドまなかござる△八兵へSイヤ+、是 00100650L11てハかないのふかうのとき、とむらゐのこしがでぬ△旦那 00100660L12Sおこり、ハテサテ+八兵へ。いろ+の事をいわるゝ 00100670L13といかりけれバ、八兵へSおつと、そんなら出る+ 00100680¥N9¥J 00100690¥X今/様人(ようじん) 00100700L16かに、おやのかたきをうたばやと、きびだんご(六ウ)をこ 00100710L17しに付ゆく先に、あまたのはさみひきうすばけもの共、 00100720L18Sかにどの+、どこへいてじや△かにSさるがしまへか 00100730L19たきうちに△S御こしのものハ△かにS日本一のきびだん 00100740L20ご△S一つ下され、御/供(とも)申と手にうけて、まへかたとハち 00100750M1ゐさく成たと、こゞといふてくてしまい、あとでSかにど 00100760M2の。おまへひとり、いてござれ 00100770¥N10¥J 00100780¥X/御法度(ごはつと) 00100790M5アルおちよぼといふ女に、だん※なにやかやら(七オ)お 00100800M6くり、/大(おゝ)かたにけいやくして、/明晩(めうばん)とさだめる。八兵へS忝。 00100810M7なんぞ/慥(たしか)な、/是(これ)ぞといふわがみのせうこをたもれといへバ、 00100820M8女Sこれハ大事の/銀(ぎん)のかんざし。しかもおちよぼのチヨボ 00100830M9がほりつけてある。これをおまへにあぎよ△八兵へS忝な 00100840M10しと立わかれ、かへるみちにて/友達(ともだち)にあふ。友Sとふじや。 00100850M11げんさいハ△八兵へS上あんばい。明ばんなりといふ。 00100860M12友Sなんぞせうこがあるか△八兵へSぎんのかんざし、出 00100870M13して見せる。友Sこれ/恋(こい)/成就(ぜうじゆ)せずといふしるしなり。八兵 00100880M14へSビツクリシテ、なぜに。友S(七ウ)とうじさゝれぬ 00100890¥N11¥J 00100900¥X/湯(ゆ)かげん 00100910M17/非人(ひにん)が二人づれにて、大晦日まへに、よほどかねひろい、 00100920M18二人わけどりして、何がゐせうから、たび、/手(て)ぬぐひまで 00100930M19かいそろへ、/髪(かミ)さかやきなどして、ナント/岩(いわ)よ。/爰(こゝ)十日ほ 00100940M20どハ/楽(たの)しもぞよ。まづ/風呂(ふろ)へゆかふじやが、コリヤかなら 00100950¥P300 00100960¥G(九オ) 00100970L13ずくせ出すなよといひ合せ、ふろやへ行、二人ともゆに入 00100980L14けるが、あまりあつさにこらへかね、S旦那さん+。/水(ミづ) 00100990L15(八オ)が有なら、チトうめて下サイといへバ、岩が、Sコ 00101000L16リヤ+とせなかをたゝゐて、だまつていても、下さる/時= 00101010L17分(じ=ぶん)には下さる 00101020¥N12¥J 00101030¥X/金(かね)のつる 00101040L20手代が、/去丑(きようし)年のさんようが五千貫目/余(あま)り/延(のび)ある所へ、又 00101050M1/当寅(とうとら)のとしのたなおろしが一百〆目。此わりなら、/夘(う)年の 00101060M2/棚(たな)おろしまでにハ三百〆目。まづ/爰(こゝ)七八年にハ、よほどの 00101070M3金ができますが、どふいたしましよ。旦那Sされば(八ウ) 00101080M4(九オ挿絵)此ようにおごつても、金がふゑる。これハまあ、 00101090M5どふしたらよかろ。あんじがほ。次手代S旦那さん。せめ 00101100M6てそれほどのふしやうハなされませ 00101110¥N13¥J 00101120¥X/江戸(ゑど)ねごと 00101130M9/丁稚(でつち)、ひるの/哥(うた)をうたひし其ねごとを、ふとんのうちにて、 00101140M10大きい/声(こへ)にて、さまよふヲヽといひけれバ、旦那Sめをさ 00101150M11まして、ベラボメ。さまよがどふしたといわれた 00101160¥N14¥J 00101170¥Xけん/芝居(しばい)(九ウ) 00101180M14二人づれで/芝居(しばい)の/場(ば)をかゐ、/見物(けんぶつ)する所に、上さじきより、 00101190M15あたまへ/水(ミづ)かゝる。八兵へ。なんじや。かざ、かいでくれ。 00101200M16八兵へS酒くさい△Sムウ、おれがあたまを、とさんにし 00101210M17をつた。引出さんと、上さじきの五はんを明て見て、八兵 00101220M18へにいふやう、武士ゆへ、コリヤ、りやんじや+。八 00101230M19Sりやんでも大事ない△Sそれよと、コリヤりやんといへ 00101240M20バ、武士Sヤイ、/武士(ぶし)のゐる所をはまつて、チヱぜいらし 00101250¥P301 00101260L1い。すねふみこんでも、すむゆふとおもふかとゝらへられ、 00101270L2ゴウサイ++とあやまる/声(こへ)、ぶた(十オ)いより/扇子(あふぎ)ひ 00101280L3ろげて、Sとふらい+ 00101290¥N15¥J 00101300¥X口につめ 00101310L6とうぞく、/表(おもて)の/戸(と)をこぜかゝれバ、内より、ぶてといふゆ 00101320L7へ、わきへのく。又こせかゝれバ、ぶてといふ。又のき、 00101330L8うかゞへバ、ぶてといふ。盗人Sうかゞひて、ハアヽ、ね 00101340L9ごとなりと切かゝる。Sぶて++△盗人Sなんのいの 00101350L10と、なんなくこじあけ見れバ、/丁稚(でつち)がめふさぎ、ぶてとい 00101360L11ふ。盗人S手下にいふやう、わゐらハおくへ行ケ。こいつ 00101370L12に口へつめせぬとやかましいと、口へ/紙(かミ)入れバ、丁稚Sし 00101380L13り(十ウ)よりフントおなら。盗人Sコリヤたまらぬと、口 00101390L14のかみをしりへ入れバ、S又ぶてといふ。S口へ入れバブ 00101400L15ンといふ。口へいれたり、しりへいれたりする度に、ぶて 00101410L16ぶん+といふおとに、/家内(かない)めをさまし、Sこれがおどり 00101420L17こみか(十一終オ) 00101430¥T1軽口筆彦咄巻之三 00101440¥N1¥J 00101450¥Xぶせうもの 00101460M5あるいたつてぶしやうなるおとこ有けるが、/近辺(きんへん)におなじ 00101470M6其まゝのぶしやうもんあり。/或時(あるとき)一人がいふにハ、きさま 00101480M7もぶしやうもの、われらもぶしやうものじやが、ナント、 00101490M8ぶしやうくらべ、しよかいのといへバ、一人Sヲリヤ、モ、 00101500M9そんな事ハめんどうな 00101510¥N2¥J 00101520¥X大坂咄/廻(まハ)りミち 00101530M12おたまさん。此間どこへゆきた。かほ見なんだな。(一オ)女 00101540M13Sサア申、いせまいり致しました△男Sムウヽ、それハヱ 00101550M14イ。/長谷(はせ)/越(ごへ)かへ△女Sいゝへ△男Sそれなら/伊賀(いが)越かへ女 00101560M15Sいゝへ△男Sそれなら/名張(なばり)越かへ△女Sいゝへ△男Sど 00101570M16こじやいな。わつさり/笠置(かさぎ)越かへ△女Sいゝへ△男Sそれ 00101580M17なら/青越(あをごへ)じやあろ△女Sゐゝへ。とんと口へ出そふで、わ 00101590M18すれたわいな△男Sそれなら/田丸(たまる)越かへ△女Sいゝへ△男 00101600M19Sどこであらふぞ。/本海道(ほんかいどう)か△女Sヲヽヽ、その本海道+ 00101610M20男Sやれ+、しんどや。よふ+本海道へ出た(一ウ) 00101620¥P302 00101630¥N3¥J 00101640¥X/養老(ようらう) 00101650L3ざいしよのおやじ、/土用(どよう)のうちにくさかりせんと、ひやう 00101660L4たんに/酒(さけ)を入、こしにさげ、/田端(たばた)に出て見れバ、今をさい 00101670L5中、/池(いけ)のミづぶつ+とわきあるゆへ、これへひやうたん 00101680L6をつけ/置(おけ)ば、かんもできるであろと、池へつけ、田のくさ 00101690L7取、まづしバらくと池へ立より見れバ、ひやうたんの/口(くち)が 00101700L8ぬけて、酒ハなく、おもわずいけへ、ゆびをつけてなめら 00101710L9れた(二オ) 00101720¥N4¥J 00101730¥Xしつた/顔(がほ) 00101740L12さても/天王寺(てんわうじ)に、一/舎利(しやり)二舎利といふハあるが、三舎利と 00101750L13いふハないの。Sイヤ+、有わいの△一人Sでも、つゐ 00101760L14に見た事も/聞(きい)た事もなゐが△S其はづじや。すハ、四天王 00101770L15寺に一大事の/相談(そうだん)でも有とでるけれど、かなしい事ハ、三 00101780L16舎利出ると、おしこみ+するゆへ 00101790¥N5¥J 00101800¥X/無筆(むひつ)の/帳合(てうあい) 00101810L19一/字(じ)もしらぬ/材木(ざいもく)屋有けるが、/町内(てうない)の(二ウ)/角(かど)より二/軒(けん)め 00101820L20から、/材木(ざいもく)を取にきたれば/相(あい)わたし、/直(しき)に/板(いた)にのこぎりを 00101830M1もつて、一本/成(なれ)バ一つ、三本なら三つ、切目をつけおく。 00101840M2ある時/夕(ゆふ)ぐれに/筆(ふで)やからじやとて、板/□((不明))まいほど取にくる。 00101850M3ハイトわたし、右の板にすじ/□((不明))ヲこて+付ていらるゝ。 00101860M4ないぎがSコレ+、くらがりで/帳合(ちやうあい)して、/手(て)をきるまい 00101870¥N6¥J 00101880¥X/逆(さか)うつり 00101890M7/世間(せけん)に風がはやると、わらにて/人形(にんぎやう)こしら(三オ)へ、風の 00101900M8/神(かミ)と/送(おく)りける。/近(きん)年ハ/川(かハ)へちりあくた、ながす事ならぬゆ 00101910M9へ、/若(わか)い/男(おとこ)二三人より合、/隣(となり)町やぶ田ようせん、あいつが 00101920M10くすり、ねからきゝめがなかつた。イツソあゐつのおもて 00101930M11にもたせおかんと、いしやの/門口(かどぐち)に立かけかへる。/然(しか)るに 00101940M12Sいしや、/家内(かない)はなしに、今門口にてわらひよつたが、か 00101950M13べにてんがうても/書(かき)おつたか。娘Sイへ+、風がはや 00101960M14るゆへ、風の神でも門さきにおいたのじやあろ。いしや 00101970M15Sいや+、大かたどろでもぬつた(三ウ)のじや有ふと、 00101980M16内にていろ+そしりければ、S門の風の/神(かミ)が、くつしや 00101990M17め+ 00102000¥N7¥J 00102010¥X/役(やく)ハそれ+ 00102020M20下村大丸屋といふごふく/店(ミせ)、ふしんはなハだようでき、サ 00102030¥P303 00102040L1ア見せびらきと有て、/見物(けんぶつ)がてらおゝくのかゐて。中にも 00102050L2/子供(こども)をつれて/内(ない)義が、あれよこれよと/反(たん)物見るあいだに、 00102060L3子供もたせしまんぢう、竹のかわより引出し、/店(ミせ)中あんに 00102070L4てよごす。/程(ほど)なく/買(かい)物おわり、内義(四オ)が、サアぼん。 00102080L5かへろ。コレハしたり。たゝみをよごして。大丸手代Sイ 00102090L6ヱ+、大事ござりません。ナニ、あんとり+ 00102100¥N8¥J 00102110¥X/盗賊(とうぞく)のけん 00102120L9有ふうきなる家を/盗(ぬす)人こぜければ、ていしゆ目をさまし、 00102130L10まことに盗人こぜる時ハ、/家内(かない)になゐ/名(な)までよべバよいと、 00102140L11亭主Sコリヤ万兵へ、千右衛門、百兵へ、ミなおきよ△盗 00102150L12人Sかわつた/名(な)をよびおる。万千百と/段&(だん+)下へよびおる。 00102160L13コレハ/家内(かない)になゐんと、/頭分(かしらぶん)せいたし、こせる。亭主S(四 00102170L14ウ)ミなおきよ。十兵へ、九兵へ、八兵へ、七兵へといへ 00102180L15バ、盗人Sいよ+心をすまし、めり+とこぢる。亭主 00102190L16Sヤイ六兵へ、五兵へ、四郎兵へ、さんなぱまちゑといとう 00102200L17らいといへバ、盗人ミなにげる。盗人かしらが、コリヤヤ 00102210L18イ、ミなのもの。なんでにげる。Sイヤサ。あのけんにハ 00102220L19おそれる 00102230¥N9¥J 00102240¥X/幾千代(いくちよ) 00102250M3/去(さる)ひのへ/午(むま)の年の女、いづくへ/嫁(よめ)入しても、/先(さき)のおとこを 00102260M4ころすと有バ、モウとんと嫁入せぬと居くらす。有時、な 00102270M5かふどがきて、ナント、/先(さき)(五オ)のおとこが、かのへ/申(さる)じ 00102280M6やによつて大事有まいと、かきよせての引事。そんならと 00102290M7嫁入して、もふ子四人まで/生(うま)し、/亭主(ていしゆ)ハ/死去(しきよ)。Sあとに/内(ない) 00102300M8義が年六十才に成た事ハおもわず、どふでもわしハ、ひの 00102310M9へ/午(むま)じや 00102320¥N10¥J 00102330¥X江戸の/呑(のミ)だおれ京の/着(き)だおれ 00102340M12/田舎(いなか)の人、大坂へはじめていて、さても/聞(きゝ)しにちがわず、 00102350M13大坂ハ/肴(さかな)や、/菓子(くわし)や、酒や、もちや。まことにくひだをれ 00102360M14といふがこれなりとおもひ、(五ウ)そこ/爰(こゝ)と/見物(けんぶつ)するうち 00102370M15に、日もくれければ、町&にわり竹引て、ひいの用心+ 00102380M16とふれければ、田舎人Sさてこそな 00102390¥N11¥J 00102400¥Xおてゝこてん 00102410M19げんきさかんなる/男(おとこ)、山ミちにて/追(おい)はぎに出合、/尻(しり)をたゝ 00102420M20かれたと/覚(おぼへ)、其ばをにげて十丁ばかりこなたにて、六十ば 00102430¥P304 00102440¥G(六ウ) 00102450L13かりの/老人(ろうじん)に行合けるが、Sモウシおやじさん。わたしの 00102460L14しりハ、どふぞ成てござるかととふ。親父S一目見て、 00102470L15(六オ)(六ウ挿絵)/尻(しり)の/血(ち)にびつくり、目をまわす。げんきもの 00102480L16Sコレおやじどの。/気(き)をたしかにもたしやれ+ 00102490¥N12¥J 00102500¥Xたる事をしれ 00102510L19なんと、/関東(くわんとう)ハ/先達(さきだつ)てやけたとうけたまわりましたが、も 00102520L20はやふしんハそろひましたか。権兵へS/左様(さよう)でござります。 00102530M1なんと申ても、御大/名(めう)のたくさん有所で、御大名ハ金ハと 00102540M2んだ有。少しの間に、ふしんハできますが、私共ハ町人で、 00102550M3とんとこまり入ますといへバ、Sイヤ+、其/様(よう)に(七オ) 00102560M4ぎな+おもひなさんな。私どもハ三十/畳敷(でうじき)/借宅(しやくたく)してゐ 00102570M5ますれども、心ハ天下様もどうぜん△権Sハアヽ、天下様 00102580M6もどふぜんとハ、どふでござります△Sマア見なされ。す 00102590M7わつてゐるたゝみがびんごおもて、へりが/丹波(たんば)ぬの、/尻敷(しりしき) 00102600M8がさぬきゑんざ、/着(き)てゐるきものが河内もめん、/帯(おび)がちく 00102610M9ぜんのはかた、かゐているまわしが越中をかゞのきぬでし 00102620M10てゐます。/足袋(たび)がゑんしうはま松のさしたび、/武蔵(むさし)の国江 00102630M11戸がねの(七ウ)せつたで/往来(わうらい)します。/腰(こし)にさげてゐる/長門(ながと) 00102640M12ゐんろうを/明(あけ)て見ると、いせあさま万金丹、/相州(そうしう)/小田原(おたハら)の 00102650M13うゐろう、越中/富山(とやま)はんごんたん、かゞのくまのゐ、つし 00102660M14まの/干牛(ひぎう)丸、/和泉(いづミ)の安松やげどく丸まで入て有。/庭(にハ)にハ御 00102670M15らんのごとく/日向炭(ひうがずミ)が三俵、びぜんしやうゆうハ/樽(たる)で有、 00102680M16/紀州(きしう)/粉(こ)川の/酢(す)が、とくりに入て有。/去(きよ)年ハ/尾州(おハり)大/根(こん)をとり 00102690M17よせ、/播(ばん)州/赤穂(あこ)の/塩(しほ)で/香(かう)のものつけましたら、それハ+ 00102700M18(八オ)ようできました。又/夏(なつ)になりますと、/越後(ゑちご)ちゞみの 00102710M19よそ行一、/近江晒(あふミざらし)の/常住着(じやうぢうぎ)も二つ有。アノ/膳棚(ぜんだな)の中にハ、 00102720M20/越前(ゑちぜん)の/海鼠(うに)を/到来(とうらい)して有バ、わかさがれいが二まい、/土佐(とさ) 00102730¥P305 00102740L1のかつほぶしが三本、/阿波(あわ)のらうそくが紙袋に一ぱい、/甲= 00102750L2州(かう=しう)の/梅干(むめぼし)が一合ほど、/伊(い)よの大/豆(づ)でみそをこしらへて、び 00102760L3ぜんすりばちですつた/成(なり)にほりこみましたら、/鼠(ねずミ)がつゐて、 00102770L4どふもならぬゆへ、/石見(いわミ)銀山/鼠取薬(ねづミとりぐすり)でふせぎました。 00102780L5(八ウ)時に私、ひぜんも三年に一度づゝかきます。元私ハ 00102790L6/大和(やまと)町におりまして、ゑちご町へ/宿(やど)がへ。それから近江町、 00102800L7/駿河(するが)町、/豊後(ぶんご)町から/日向(ひうが)町、/淡路(あわぢ)町までこしましたが、此 00102810L8上ハ高/麗(らい)ばしへ/越(こへ)て、/朝鮮(てうせん)ぐつ一/足(そく)かふたら、/太閤関白(たいかうくハんばく)/同= 00102820¥G(十オ) 00102830M1前(どう=ぜん) 00102840¥N13¥J 00102850¥X/水(ミづ)のかわり 00102860M4有/茶(ちや)やへ、/仙台(せんだい)うまれのしのぶといへる/女郎(じよろう)を、きも入よ 00102870M5り/相談(そうだん)しかけて有ゆへ(九オ)つれきたる。S内義が、ムウ、 00102880M6此間の御はなしのハこれか。さあ+こちへとよびよせ、 00102890M7/兄弟(けうだい)ハ此江戸にかへ。しのぶSはい△内義Sそして、どこ 00102900M8もわるふハなゐかへ△しのぶSいゝへ△S旦那どの、二かゐ 00102910M9にいらるゝ。さあ目見へ/相談(そうだん)もしたしと、はしごへ上りか 00102920M10ける。しのふSチツトうらへ行たふござりますと、せつゐ 00102930M11んへ行、しバらく有て二かゐへ上りかけると、しのぶS又 00102940M12とふやらせつゐんへ行たふなりました。さて、二かいへ上 00102950M13りてハ、どふでも/水(ミづ)のかわりかして、サアまた(九ウ)(十オ 00102960M14挿絵)行たふなつたと、/尻(しり)もぢ+。内義Sこれハしたり。 00102970M15さつきにいひなさると、/薬(くすり)を/遣(つか)わすと、あか/原(はら)ハたれさゝ 00102980M16ぬものを 00102990¥N14¥J 00103000¥X/寒水石(かんすいせき) 00103010M19女郎共四五人あつまり、ナントことしハ、去冬にせつぶん 00103020M20が有たゆへか、どふでも/暖気(だんき)と見へて、/福寿艸(ふくじゆそう)がはやふひ 00103030¥P306 00103040L1らいた。一人の女郎が、S取はづしてかいなア 00103050¥N15¥J 00103060¥X/闇(やミ)のミち(十ウ) 00103070L4さる字しらぬ/無助(むすけ)といへる/男(おとこ)、/色(いろ)の所へ/状(じやう)一本やりたし、 00103080L5此間も二三度状を/遣(つかハ)すに、一兵へも仁兵へも三九郎も/頼(たの)ん 00103090L6だ。今度ハお/前(まへ)、/書(かい)て下され。Sこれハまあ、其/様(よう)にやる 00103100L7たびごとに、手がかわるとわるかろといへバ、無助Sイヤ、 00103110L8/先(さき)もわが/手(で)にハよふよみませぬ(十一終オ) 00103120¥T1軽口筆彦咄巻之四 00103130¥N1¥J 00103140¥X/臆病(おくべう)もの 00103150M5ある町の/年寄(としより)、わが町内を一/軒(けん)+たづねけるハ、コレ、 00103160M6ちよん兵へどの。/爰(こゝ)のうちにハ/抜(ぬけ)ものなどハなゐか。ちよ 00103170M7んSイヱ+、/決(けつ)してござりませぬ△年寄Sそれがよい 00103180M8+と、となりへはしり入、コレ/寒(かん)助どの。爰の内にハ不 00103190M9/正(せう)物ハないかといへバ、寒介S私が内にハ、ぶしやうもの 00103200M10がござります△年Sそれハ/寒(さむ)いによつてじや。なんぼうも 00103210M11(一オ)有。それでハないと、だん+あらためて、/角(かど)の/八= 00103220M12百(や=お)や半兵へといふへはいり、/庭(にハ)を見て、大こんかぶらをた 00103230M13んと/買(かふ)てゞあつたのといへバ、八百やS左ようでござりま 00103240M14す。くきや/香(かう)のもの、/時分(じぶん)でたんと/買(かい)ました△年S大こん 00103250M15かぶらハ大事ないが、かならずねんじん/買(かふ)まゐぞや△八百 00103260M16やSお年/寄(より)さん。私が/軒(のき)下に、さつまが/打明(うちあけ)てつんで御ざ 00103270M17りますが、いふて出ませうかな 00103280¥N2¥J 00103290¥Xたんきもの(一ウ) 00103300L20/古道具(ふるどうぐ)や見せに、うす/雲(ぐも)の/茶(ちや)入有。/往来(わうらい)人、アノ茶入、何 00103310¥P307 00103320L1ほどいたすととへバ、店ノ人Sハイ。金壱歩で御ざります 00103330L2往S二/朱(しゆ)にまけなされ△店Sそふハなりませぬ△往Sマア 00103340L3壱匁上ましよかな△店Sまだちがひますといへバ、往来人 00103350L4も行すぎる。内より旦那出て、コレ藤兵へ。今茶入をなん 00103360L5ぼといやつた。藤Sハイ。壱歩と申ました△旦Sめつそふ 00103370L6なものじや。アリヤ五両壱歩じや。よふかわせなんだ。ま 00103380L7あはいつて、めしくふて(二オ)(二ウ挿絵)おじやと、旦那が 00103390L8見せばんの所へ、往来の人立かへり、そんならマア壱匁か 00103400¥G(二ウ) 00103410M1いましよ。/都合(つがう)九匁五分になるぞへ。旦那Sアレハ大きに 00103420M2ちがひます△往Sなんの、金壱歩といふてのを九匁五分じ 00103430M3やわい△旦Sあれハ五両壱歩で御ざります△往Sなにをい 00103440M4わしやるやら。/爰(こゝ)の旦那どのが壱歩といふてゞ有た。コレ 00103450M5旦那どの+と、大/声(ごへ)にてよぶ。旦Sはいや。旦那といふ 00103460M6ハ私で御ざります。先ほどゐましたハ、手代で御ざり(三 00103470M7オ)ます△往S何のマア、壱歩といふたが旦那どの。/跡(あと)か 00103480M8らね上るこなたが手代じや△旦Sいや、私が旦那じや△往 00103490M9S旦那じやない△旦Sいや、旦那じやわい△往Sゐや、旦 00103500M10那じやない△旦Sいや、旦那じやと、たがいにせり合けるが、 00103510M11旦那がSとふしたらよかろと、くやしさのあまり、旦那、 00103520M12茶入を石の上にてうちわり、Sこれでも旦那じやないか 00103530¥N3¥J 00103540¥X/待(まち)かね 00103550M15ひとり/子息(むすこ)、茶やぐるひ。/夜(よ)どまり/日(ひ)どまり。(三ウ)おや 00103560M16じ、内のものどもに、おもての戸を/明(あけ)る事なかれといひ付 00103570M17おく。子S立かへり、おもての戸、ひそ+にたゝくに、一 00103580M18人も明に出ず。何とぞおやじの目のさめぬうちにと、しき 00103590M19りにたたく。親Sおくより、おのれ、とらまへ、ゐけんす 00103600M20べしと、そろ+/庭(にハ)へおりる。子Sイヤア、たれぞ明にく 00103610¥P308 00103620¥G(七オ) 00103630L13るそふな。はやふはいらんとうかゞふ。親S戸をひよいと 00103640L14明れば、子Sしめたとはいる。親じS何ぬかす。/明(あけ)たのじ 00103650L15や(四オ) 00103660¥N4¥J 00103670¥X/孔子(こうし) 00103680L18孔子、川のほとりに立ていわく、行ものハかくのごとくか、 00103690L19/昼夜(ちうや)をすてずと有が、とんとわけが/聞(きこ)へぬ。サレバ+と 00103700L20二三人くびをかたむけいらるゝ所に、中に一人、物しりが 00103710M1ほして、成ほど尤な事で御ざります。二三人S/合点(がてん)が/参(まい)り 00103720M2ましたか△物しりSさやうで御ざります。孔子、川のほと 00103730M3り立ていわく、/行(ゆく)ものハかくのごとくか、ちうやをすてず。 00103740M4Sあれじやによつて、/常(しやう)(四ウ)/悦(ゑつ)のむほんがあらわれた 00103750¥N5¥J 00103760¥Xそうし 00103770M7/荘子(そうし)、/夢(ゆめ)のうちに、たましひぬけ出、かたへのなたねの/畑(はたけ) 00103780M8に/蝶(てう)と成てたわむるゝ所へ、/往来(わうらい)の/旅人(りよじん)通りかゝり、Sハ 00103790M9アヽ、今さい中なたねの花ざかりに蝶たわむるゝ有さま、 00103800M10どふもいへぬ。まことに思ひ出せしはうた有と、なたねハ 00103810M11蝶の花しらず△/蝶(てう)ハなたねのあじしらず、とうたひけれバ、 00103820M12そうじ(五オ)/夢(ゆめ)の中、Sちゝよを+、ゑらい+ 00103830¥N6¥J 00103840¥X/良子(りやうし) 00103850M15良子/語(ご)に、大/道(どう)すたれて/仁義(じんぎ)おこると有が、先生(せんせい)ハ物しり 00103860M16じやが、どふした事で御ざりますとたづねる。Sアレハず 00103870M17つと/昔(むかし)の其むかしハ、/誠(まこと)に人の心もいたつて大道じや有た。 00103880M18まづ銭がお手前に一〆文あるなら、かし給へといへバ、安 00103890M19い事なりと出す。その/借(かり)たもの、此銭/返済(へんさい)するまで、私が 00103900M20しやうこ(五ウ)なりと、/蛤(はまくり)の/貝(かい)を其かずほどわたし、か 00103910¥P309 00103920L1し/主(ぬし)、これにハおよばずといへども、かりぬしが/夫(それ)でハと 00103930L2/無理(むり)にあづけ、其後銭できしだい/持参(じさん)して、/先達(さきだつ)而の御/返= 00103940L3済(へん=さい)、なを此方よりのはまぐりのかい御わたしと、/証文(せうもん)どう 00103950L4ぜんに/貝(かい)を取なやむ。其後/仁義礼智信(じんぎれいちしん)はじまりてより、御 00103960L5手前の/名(な)を書付、下にはんをおし下されと、/段(だん)+二人三 00103970L6人の/判(はん)さし、/既(すで)にさゐそくしても、かり主が/無(ない)ものがどふ 00103980L7/成(なる)(六オ)と、ふりくついふやうに成ました。其事をもつて 00103990L8大道すたれて/仁義(じんぎ)おこる。とんと/昔(むかし)ハはまぐりのかいが/宝(たから) 00104000L9のかわりで有た。今でも其しやうこハ、/寳(たから)といふ/字(じ)、/読(よん)で 00104010L10見なされ。うかむりに王しめす貝と書まして/宝(たから)といふ字。 00104020L11とかく、/貝(かい)がはなれぬといへバ、聞人&Sテモ、めつぽう 00104030L12かいな事じや 00104040¥N7¥J 00104050¥Xはのじ/尽(づくし) 00104060L15/播磨(はりま)の国、はるかはなれ/在所(ざいしよ)はま村の(六ウ)(七オ挿絵)はし 00104070L16から八/軒(けん)目、/初瀬氏(はつせうし)八兵へといふ人、母を見/送(おく)り八年/後(のち)、 00104080L17はじめて大坂へはつのぼりして、/橋本(はしもと)町はまがわ、はりま 00104090L18や/初(はつ)次郎といふはりやに、廿日あまり/逗留(とうりう)して、其後はつ 00104100L19せ町のはしやへ入こみ、八十日ほど/奉公(ほうかう)して八丁へだて、 00104110L20はぎ/原(ハら)半兵へがせわで、八/間(けん)八尺間口の家をもとめ、/針(はり)や 00104120M1して段&はんじやうして、/伯州(はくしう)/羽倉(はくら)半左衛門といふ人のむ 00104130M2すめお/春(はる)を、荷八荷にてはな/嫁(よめ)に、八月八日によび取、 00104140M3(七ウ)あくる年のはるに、コレおはる。八介にはつを/連(つれ)て、 00104150M4八丁目寺町/半入寺(はんにうじ)のはかへ/参(まいつ)てござれ。ハイトいふて、八 00104160M5ばん目のたんすから八丈じまの/着(き)もの、はぶたへのはつか 00104170M6け付、花いろのはかたの/帯(おび)、はでなはなよめ、花やにて花 00104180M7を/買(かへ)といふ。ハツトこたへてはしりより、花を/買受(かいうけ)、はか 00104190M8へはかどらすとはしる/道(ミち)ばた、半兵へといふはまぐりやが、 00104200M9八升八合八勺ばかりのはまぐりをにない、ハツアヽよい内 00104210M10義と行/過(すき)る。はる取あへず、(八オ) 00104220M11△△△はつ春にはでな/姿(すがた)で/蛤(はまぐり)や 00104230M12△△△△にはかの道にてあふもはつかし 00104240M13と哥よみける。これハ/寄妙(きめう)と、はまぐりやがはだしに成て、 00104250M14はちかつてわらふ/声(こへ)までSハヽヽヽヽヽヽヽ 00104260¥N8¥J 00104270¥X聞はつり 00104280M17おうばが、ぼんさん。しばいしませふ。サアよしつねに成 00104290M18なされ。わたしがべんけい。ぼんSおりや、いくさ事いや 00104300M19うばSそんなら/道行(ミちゆき)いたそ。おまへハおはん、わたし長右 00104310M20衛門△Sおりや/心中(しんぢう)(八ウ)事いや△うばSそんなら、いも 00104320¥P310 00104330L1せやまいたそ。おまへ、ひなどりなされ△ぼんSいや△うば 00104340L2Sひなどりなされ△ぼんSいや△うばSおまへ、ひなどり 00104350L3なされいなあ△ぼんSいやじや+。おりやいやじや 00104360L4Sうば、大きにおこり、なぜにいやじや+いひなさる。 00104370L5ぼんSひなどりすると、しゝたれる(九終オ) 00104380¥T1軽口筆彦咄巻之五 00104390¥N1¥J 00104400¥Xするづくし 00104410M5それ、おごり/過(すぎ)する/者(もの)は、天かならず/罪(つミ)するによつて、家 00104420M6/滅(めつ)するの道理。人ミな/察(さつ)する所也。/爰(こゝ)にきんらい/富貴(ふうき)する 00104430M7もの有り。/人道(にんどう)第一にする/故(ゆへ)、人ミなこれを/愛(あい)するによつ 00104440M8て、ます+はんじやうする。下人にれんみんする/故(ゆへ)、い 00104450M9たつて/忠節(ちうせつ)する。時に一子ありて、てう/愛(あい)する事/限(かぎり)なし。 00104460M10サア/成人(せいじん)するにしたがい、/手習(てなら)ひ(一オ)する、/読(よミ)ものする、 00104470M11うたひのけいこする、/能狂言(のふきやうげん)する、/茶(ちや)のけいこする、/花(はな) 00104480M12のけいこする、/友達(ともたち)をでかする。是らに付合するゆへ、/後= 00104490M13&(のち=+)にハ/長過(てうくわ)する。初寺参りするといふてハ行、/住吉(すミよし)参りす 00104500M14るといふてハ行、ちやらくらするゆへ、後にハ/居(い)つゞけす 00104510M15る/様(やう)になると、/太夫(たゆふ)も/大事(だいじ)にする様に成て、たがひにふか 00104520M16ふ成て、きせうする様になる。/親(おや)じもかんにんする/程(ほど)ハす 00104530M17るが、サアしあんする気に成、それもしらずに/身受(ミうけ)する/相= 00104540M18談(そう=だん)する(一ウ)と、中/居(い)がとりもちする、太/夫(ゆふ)たのしみにす 00104550M19る、/親(おや)かたもはりあわそふとて、/急(きう)にせかする。まづでき 00104560M20ぬとかくごするといふて、たがひにくぜつする、けんくわ 00104570¥P311 00104580L1する、おまへ/女房(にようバう)にするといふて、わたしをたまさんする 00104590L2か。たましたらどふする。イヤ、かふするとたゝことする。 00104600L3まけまいとする、はたからハあぶ+する、ミな+あい 00104610L4さつする。太夫さんをひゐきするでハないが、わしがもら 00104620L5いまするといふて、中なをりする。そんならゐんで/積(つも)り 00104630L6(二オ)するといふ所へ、手代がきて、すた+いきする、 00104640L7/顔(かほ)を見てびつくりする、ミな+はつとする。/訳(わけ)/聞(きい)てとう 00104650L8わくする、内のぶしゆびのはなしする、むりに引立、いの 00104660L9ふとする。太夫ハはなすまいとする、かれこれするまに、 00104670L10/夜(よ)がふけまするといふてつれかへる。親じ、大に/立腹(りつぷく)する。 00104680L11コリヤヤイ、おのれ、是ほどのしんだいにするのハ、/虱(しらミ)の 00104690L12かわ八つはぎにする様にしたを、あいつがミなにするのを、 00104700L13なんとするもの、かんどうする。内にハ/養子(ようし)する(二ウ)と 00104710L14いふて/評定(へうぜう)する、一家中がとまつてやめさする、みな+ 00104720L15あいさつする、よふ+とくしんする、/彼(かれ)これと一家がす 00104730L16るので、/子息(むすこ)どの/帰宅(きたく)するに成、とかふする内に、よめの 00104740L17せんさくする。/幸(さいわ)ひ又出入をする/針医(はりい)かこんいにする所の、 00104750L18きりやうもよし、ぬいものもよふする、/所帯(しよたい)もよふする、 00104760L19おするといふ、年ごろもそふわふするむすめをいふてくる。 00104770L20まつ見/合(あい)する、/談(たん)かふする、日を見て/結納(ゆいのふ)する、/嫁(よめ)入する、 00104780M1/祝言(しうげん)する、/床(とこ)入する、五日(三オ)(三ウ挿絵)かへりする、花 00104790M2かへりする。両/親(しん)をたいせつにする、/子息(むすこ)どのゝ気に入ル 00104800M3ようにする、たがひに中よふするがゆへに、くわいたゐす 00104810M4る。ばゝに見する、おひの/祝(いわ)ひする、よふじやうする、/親= 00104820M5達(おや=たち)ハゐんきよ、ほつ/躰(たい)する。りんげつに成と其よふゐする、 00104830M6けがつゐてしかみづらする、はゝよひよする、/腰(こし)だかする、 00104840M7ついする+とあんさんする、/男子(なんし)がたんぜうする。月入 00104850M8する、/帯(おび)しめさする、かいほうする、一家中へしらする、 00104860M9六日だれする、ばゝへ礼(四オ)する、餅つかする。/程(ほど)なく 00104870M10此子をてう/愛(あい)する、/成人(せいじん)する、ちよち+する、ゑがほす 00104880M11る、かぶり+する、つむりてん+する、あばゞする、 00104890M12ぜゝかこする。此子/代取(よとり)にする、マ一人よとりせんとて、 00104900M13まいばんハ三ばんづゝもする、まだ此/外(ほか)にする事もいかゐ 00104910M14あれども、/長(なが)ふするとたゐくつするゆへ、此ぶんでおさめ 00104920M15とする 00104930¥N2¥J 00104940¥X子持山うばこのじづくし 00104950M18さる大ミなとに、/甚(はなハ)だ/長者(てうじや)有けるが、きん/辺(べん)に(四ウ)/妾宅(せうたく) 00104960M19をこしらへ、下女四五人付おき、さも/風雅(ふうが)なる下やしき。 00104970M20四五人の下女も日&にいろ+のたのしみ。/四方(よも)山の/芝居(しバい) 00104980¥P312 00104990¥G(三ウ) 00105000L13ばなしも長の日ゆへいひつくし、何がな/楽(たの)しみなんと、く 00105010L14びをながふ/待(まち)ける所へ、お出入のごふくやが、今日ハヨイ 00105020L15お天き。何も御用事ハ御ざりませぬかとは入けれバ、下女 00105030L16S口&に、ごふくやさん、御出なされ。まつておりました。 00105040L17ナンゾ咄しを聞しなされ。/呉(ご)Sハイ。わたくし、咄しがき 00105050L18つい/上手(ぜうず)。ヱヽぢゝハ山へしバかりに、ばゝ(五オ)ハ川へ 00105060L19せんだくに△下女Sコレハシタリ。何いひなさる。それハ 00105070L20ゑらふふるい△呉Sふるいによつて、せんだくします△下 00105080M1女Sイヱ+、それもひらかなのしばいで聞ました。何ぞ 00105090M2新ばなしなされ△呉S左様なら新ばなし。/鵜(う)川をはしると 00105100M3いふ新ばなし△下女S夘の年に、う川をはしるといふハ、 00105110M4本新はなし。それハどふじやへ△呉S何が有川の中に、/鵜(う) 00105120M5が小/魚(うを)をとらんと、あなたこなたとはしりまわる其折ふし、 00105130M6そこ£川うそ、鵜を取てくらわんと、はねにくひ付、(五ウ) 00105140M7うハ一はたき/羽(は)たゝきして、川うそをつきのける。又より 00105150M8かゝる川うそを、/鵜(う)がチヨイトくわへて、じやぶ++ 00105160M9とはしりけれバ、此あらそいをミている人&、これらが本 00105170M10はなしで有ふといわるるゆへ、ナゼとわたしがいふたらバ、 00105180M11うがうそくわへてじやぶ+はしるからハ、Sうそじや 00105190M12+といひけれバ、下女Sそれハとんとおもしろふない。 00105200M13コチヱ御ざる筆彦といふ人ハ、/尽(づくし)ばなしをたんとしらるゝ 00105210M14呉Sそれハわたしもします。まづするづくし、(六オ)丸づ 00105220M15くし、はるづくし、かうやくづくし、国尽、玉尽、/紋(もん)でな 00105230M16いもんづくし。さて、いの/字(じ)からやのじまでといひけるを、 00105240M17下女四五人がSイヱ+、其ぶんハミな筆彦がはなしてし 00105250M18や。何ぞアノ人がせんのをと口&いへバ、呉S左様なら/帰(かへ) 00105260M19りまして書てみましよと立帰つた。其後五六日してから、 00105270M20サア+できました。下女S何づくしじやへ△呉Sすなわ 00105280¥P313 00105290L1ちごふくやのごのじのにごりをとつて、このじづくし△下 00105300L2女Sそれハまだ聞ぬ。咄しなされ△呉Sさて、こちらのあ 00105310L3たりからこう(六ウ)つ九のすしほど、こつちにあたつて、 00105320L4こ川町こま物やこう左衛門とて、こぎれいにくらす、こう 00105330L5し付の家へ、こんのかんばん/着(き)たるやつこをつれて、わげ 00105340L6めのかつこふの長い人が、ヅヽトきたらバ、これハ+が 00105350L7つこふ様、こふ御通り被成ませと、ていしゆこう上をのべ 00105360L8た。がつこう、こゞしかゞめて、こうらいべりのたゝみを 00105370¥G(八オ) 00105380M1通りすぐる。/亭主(ていしゆ)もこしやくものとあつて、とこの間を見 00105390M2れバ、/関(くわん)こうのかけもの、/蜀(しよく)こうのにしきのへり、けつ 00105400M3(七オ)こうな/表具(ひやうぐ)、こ/堀(ぼり)ゑんしうこうの茶がまに、まへの 00105410M4こうろうに/名香(めいこう)はんごんこうをくゆらせ、こゝんこまかに 00105420M5/念(ねん)を入られたるこ/座敷(ざしき)にて、なんとそんこう。こんどの/角(かど) 00105430M6と中の/芝居(しバい)ごらんなされたか。はこう、/市(し)こう、りこう、 00105440M7/魚(ぎよ)こう、らんこう、一こうよふできますが、此二のかわり 00105450M8は何で有ふ。こくせんやか、こもち山うばか、こせんじや 00105460M9うか、こめやの入た二つ/蝶&(てう+)か、/但(たゞ)しこさん金五郎で有ふ 00105470M10か亭主Sイヤ+、こさん(七ウ)(八オ挿絵)金五郎とハ、こ 00105480M11/芝居(しハい)、ちんこかする事。時に去年からことしへ掛り、よふ 00105490M12はやる物が、いせこう、たのもしこう。/何(なん)とあたごこう、 00105500M13丸市こう、ゑひすこう、本山たたみこう、ちうそくこう、 00105510M14花こう、燈/明(めう)こうといふよふな、こうをむすんで、こなた 00105520M15とこの方と、このあたりのこぎれいなこ茶やにおいて、こ 00105530M16/鯛(たい)のなんはに、こもちばせにこせうのこふつて、/硯(すゝり)ふた、 00105540M17こちのふぐもどき、このものこさいぐらいで、こゝのつ/時= 00105550M18分(し=ふん)まで、こつてりこのみ(八ウ)あかそふ△Sこゐつハヱイ 00105560M19亭主Sこりや、こ吉よ。おたばこ/盆(ぼん)に火を入よ。こべん。 00105570M20こゐ茶を/持(もて)よと、かれこれするうち、八ツ/鳥(どり)がうたふ/声(こへ)ま 00105580¥P314 00105590L1で△Sこつかこふといふうち、下女S口&に、マダ+お 00105600L2まへ、いつち大事のこが/落(おち)ました△呉Sハア、大事のこと 00105610L3ハ、ムウヽきこへた。ししこか、ちんこか、おめこかと、 00105620L4こまたとられて、下女Sコリヤへいこう△呉S何で御ざり 00105630L5ます△下女Sねんぶつこ△呉Sおきなされ。/念仏(ねんぶつ)こうとハ、 00105640L6女中一人を男が大ぜいよつてなぶるのじや。おまへ/方(がた)の様 00105650L7に、女中四五人の(九オ)中へ、ごふくや一人ゐるのハ、一 00105660L8心寺のうらで御ざります△下女S一心寺のうらとハどふじ 00105670L9やへ△呉Sハテ、茶うすこう△下女Sこいつハゑらい、ゑ 00105680L10らしこいと、こゞしをふりての大さわぎ。こゝんかたなき 00105690L11このじ/尽(づくし)。こりや/誰(たれ)がこしらへたへといへバ、呉Sおもわ 00105700L12す、やつぱり筆彦といふた 00105710¥Y1筆彦咄五大尾(九ウ) 00105720¥Q 00105730M2怪談暗の大筒△△未刻 00105740M4軽口筆彦咄後編△未刻 00105750M6△△△△△△△△△寺町通三条下ル△めとぎ屋儀兵衛 00105760M7△△△△△△△△△同町△同△△△△宗八 00105770M8△△△京都書林△△同誓願寺通角△同△△△△甚助 00105780M9△△△△△△△△△松原通寺町東入△清水林蔵 00105790M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十終オ) 00105800¥P315 00105810¥U噺本大系△第十二巻 00105820¥T/鳩潅(きゆうかん)/雑話(ざつわ)△〔内題〕 00105830¥G 00105840¥Y 00105850L16寛政七年正月序 00105860L17虫所の聾人序 00105870L18坂東岩止跋 00105880L19京△菱屋孫兵衛等板 00105890L20半紙本四巻四冊 00105900¥Y/鳩観(きうくわん)/雑話(ざつわ)序 00105910M3/行程(かうてい)百三十/余里(より)/駅路(ゑきろ)五十三/亭(てい)、/行(ゆき)ゆけば/東都(とうど)の/濶計(くわつけい)。まづ 00105920M4/肝(きも)のつぶるゝ物ハ、/四里(より)四/方(ハう)の/広大(こうだい)なる、大/名(めう)屋/敷(しき)の/立派(りつパ) 00105930M5なる。/珍(めづ)らしきものハ、/子規(ほとゝぎす)の/降(ふる)ほど(一オ)/鳴(なく)と、/団(だん)十郎 00105940M6が/鼻(はな)。すさまじきものハ、/大下馬(おゝげば)の/登城日(とじやうび)、/梅若(むめわか)の/忌日(きにち)。 00105950M7きつとしたものハ、/女中方(じよちうかた)の/代参(だいさん)、/吉原(よしハら)の/八朔(はつさく)。うつとし 00105960M8き物ハ、/大通(だいつう)のあたま、/蔵造(くらづくり)の/家(いゑ)。/多(おほき)ものハ、/狂哥師(きやうかし)と、 00105970M9/犬(いぬ)のふん。はやるものは、/能嚊(よいかゝ)のある/茶店(ちやミせ)、/阿蘭陀学問(をらんだがくもん)。 00105980M10(一ウ)/涙(なミだ)の/盈(こぼ)るゝものは、/地女(ぢおんな)のきたなき、四十七/士(し)の/石= 00105990M11碑(せき=ひ)。たのしきものハ、/深川(ふかかわ)/品(しな)川/新吉原(しんよしハら)の/風流(ふうりう)と、/年(ねん)&の/洒= 00106000M12落本(しや=れほん)、/赤本(あかほん)。山のごとく/岡(おか)のごとく、/我浪華(わがなには)に/交易(こうゑき)して、 00106010M13/専(もつハら)/大通(だいつう)の/化(くわ)/行(おこな)ハれ、/丼(どんぶり)ハ/越川(ゑちかわ)が/縫目(ぬいめ)を/競(きそ)ひ、/煙草入(たばこいれ)は 00106020M14(二オ)/京伝(きやうでん)が/極印(こくいん)を/改(あらた)め、/袖(そで)の/梅(むめ)に/頭痛(づつう)をはらひ、/最中(もなか)の 00106030M15月につれ※を/解(とく)。/不侫(やつがれ)/頤(おとがひ)をとひて、/頻(しきり)に/流行(りうかう)を/解(とく)も、 00106040M16江/戸(ど)を見ねバ/話(はなし)がならないといふ/諺(ことハざ)をもつて、/這草帋(このさうし)の/序(じよ) 00106050M17にこぢつけんと、/摂南(せつなん)にうさんなる(二ウ)/虫所(むしどころ)の/聾人(りやうじん)しる 00106060M18す 00106070M20△△△寛政七夘のはつ春△(三オ) 00106080¥P316 00106090¥Y/目次(もくろく) 00106100L3初△巻△/水(ミづ)の/新話(しんわ)ハ/浪華(なには)の/風俗(ふうぞく) 00106110L4二△巻△/東(あづま)の/即興(そくけう)ハ/当時(たうじ)の/流行(りうかう) 00106120L5三△巻△/鷺(さぎ)の/滑稽(こつけい)ハ/不易(ふゑき)の/奇談(きだん) 00106130L6四△巻△/美(くび)の/奇説(きせつ)ハ/洛東(らくとう)の/風流(ふうぞく)(三ウ) 00106140¥T1/鳩潅(きうくわん)/雑話(ざつわ)一 00106150¥N1¥J 00106160¥X/水(ミづ) 00106170M5/浪花(なにハ)の/西脇(にしわき)に、/誰(たれ)しらぬものもなき/雁平(がんへい)といふ/判官(ハうぐわん)、京/武(ぶ) 00106180M6/身調斎(ミてうさい)、/江南(かうなん)/恵美須(ゑびす)などいへる/当時(とうじ)/高名(かうめい)の/弁慶(べんけい)を/随(したが)へ、/道= 00106190M7頓堀(どう=とんぼり)の/青楼(ちやや)にうかれ、/芸妓(げいこ)、/牽頭持抔(たいこもちなど)十四五人/引連(ひきつれ)、/新清= 00106200M8水(しんきよ=ミづ)うかむ/瀬(せ)にあそぶに、/鶴(つる)のあゆミといふ/春(はる)の日うららか 00106210M9に、/北(きた)にハ大坂を一目に見/渡(わた)し、/西南(せいなん)に/夕陽(ゆふひ)をうけて、 00106220M10(一オ)/海上(かいしやう)/遥(はるか)に/霞(かすミ)の/中(うち)に/帆(ほ)ばしらをこめたる/風色(ふうしよく)。清水、 00106230M11/今宮(いまミや)、/合邦(がつほう)が/辻(つじ)あたりハ目のしたに見おろして、/非人(ひにん)小屋 00106240M12に/虱(しらミ)とる/風情(ふぜい)まて/隈(くま)なく見へ/渡(わた)れバ、/是(これ)ハ/逸興(いつけう)なりと、/銘(めい) 00106250M13&/床(とこ)にある/遠眼鏡(とうめがね)を/奪取(ばいとり)/引合(ひきあふ)に、今一つらつぱ見るやうな、 00106260M14/少(すこ)し/異風(ゐふう)なものあり。是ハ/何(なん)であらふと、皆+ふしんが 00106270M15れハ、/恵美須(ゑひす)/言(いふ)やう、是ハ/紅毛(おらんだ)のルウフといふものにて、 00106280M16三/丁(てう)も五(一ウ)/丁(てう)も/先(さき)へ/行(ゆく)人を/呼(よぶ)に、/耳(ミヽ)のはたでよぶやう 00106290M17にきこゆる/彼地(かのち)のさゝやき竹なりと、/伏見町(ふしミまち)の/受売(うけうり)。/是(これ)ハ 00106300M18めづらしいと、又/銘(めい)&引合て、/合邦(かつほう)が/辻(つじ)/通(とを)つている/者(もの)を、 00106310M19アホよなどいふと、/振(ふり)かへつてきよろつくゆへ、こいつハ 00106320M20ゑらいと、/皆(ミな)+/興(けう)にいるうち、/江南(かうなん)、ふと/遠目鏡(とうめがね)で/今宮(いまミや) 00106330¥P317 00106340L1の/角(かど)のあわ太郎、ゑんばなに/足(あし)の/爪(つめ)とつているを見つけ、 00106350L2/判官(ハうぐわん)に見せる。/雁平(がんへい)、/遠(とう)(二オ)/眼鏡(めがね)にて見渡し、アノ/親父(おやぢ) 00106360L3め。こう人をこまらす事が/上手(じやうず)で、/自身(じしん)/終(つゐ)にこまつた事の 00106370L4ない/親父(おやぢ)め。/幸(さいわゐ)ひ此ルウフ、よもや気ハつくまい。/悪口(わるくち)を 00106380L5/言(いふ)て見いと/下知(げぢ)有/故(ゆへ)、/江南(かうなん)、ルウフを取て、/河童(がわたろ)よ+と 00106390L6いへバ、親父思よらねバ、きよろつく有/様(さま)、さしものあわ 00106400L7太郎も是にハこまりおると、しきりにルウフにてわる口を 00106410L8いひ、どつと/興(けう)に入うち、/京武(きやうぶ)、遠目鏡を取て見れバ、い 00106420L9つの/間(ま)にやら/椽(ゑん)がわの/障子(せうじ)を(二ウ)/建(たて)、大文/字(じ)にて何やら 00106430L10/書(かい)て有をミれハ、 00106440L11△△△うかむせでうか+/遊(あそ)ぶたわけ/者(もの) 00106450L12△△△△やがて/身代(しんだい)しづむ/瀬(せ)としれ 00106460L13と/即答(そくたう)のわるくち。さりとハぬからぬおやじ、/誰(たれ)やら二/階(かい) 00106470L14より遠目鏡にて、うかむせの/方(かた)を見せて/置(おく)/様子(やうす)。さしも/眼(め) 00106480L15/口(くち)かハきものどもも、此親父にハ/閉口(へいかう)して、/夫(それ)より/再(ふたゝび)/酒= 00106490L16宴(しゆ=ゑん)を/設(もうけ)、/銘(めい)&の/芸(げい)/尽(づく)しに、はらわたをより、/早(はや)/夕暮(ゆふぐれ)に/及(およ)べ 00106500L17バ、いざ(三オ)/帰(かへ)らんと、ミな一/同(とう)に/浮無瀬(うかむせ)をうかれでる。 00106510L18/中(なか)にも/身調斎(ミてうさい)/言(いふ)やう、/斯(かく)一/騎当千(きとうぜん)のものども/斗(ばかり)/打(うち)よつてゐ 00106520L19ながら、あわ太郎おやじに/負(まけ)じまひにせしこと、きつくわ 00106530L20いなり。此十四五人の/人数(にんじゆ)、/今(いま)よりあわ太郎/方(かた)へどしこみ、 00106540M1/薄茶(うすちや)を/所望(しよもう)せバ、いつも/定釜(でうがま)ハかけて/置(おか)ねバ/大(おゝい)にはいもう 00106550M2するで/有(あろ)ふといふ/故(ゆへ)、コリヤおもしろいと、/雁平判官(がんへいハうぐわん)大き 00106560M3にのり、/同勢(どうぜい)(三ウ)を/随(したが)へ、あわ太郎かたへ/案内(あんない)するに、 00106570M4ぬからぬおやじなれハ、かふいふ事もあらふかと、ちやん 00106580M5と/炉(ろ)に/炭(すミ)をして/待(まち)もふけたるやうす。さしもの/手(て)/つが((ママ))ひ、 00106590M6又ぐりはまとなれど、/遉(さすが)ハ/雁平(がんへい)ぬからず、わたくしハ/癇性(かんせう) 00106600M7で/挽(ひき)茶をたべると、/夜中(やちう)ふせりにくし。なにとぞ/煎(せん)じ/茶(ちや)を 00106610M8/仰(おほせ)付られよと、まだこまらすしかけ。あわ太郎、さやう 00106620M9ならバ、おくへおとをりなされと、此十四五人の/人数(にんじゆ)を 00106630M10(四オ)(四ウ・五オ挿絵)/奥座敷(おくざしき)へとをすに、ちやんと/大和(やまと)/風= 00106640M11呂(ぶ=ろ)に/唐製(とうせい)の大きびしよをかけて、/湯(ゆ)のたぎりあるやうす。 00106650M12皆+/座(ざ)に/着(つく)と、/召使(めしつか)ひ、ぬり盆の/大(おゝ)きなるに/萩焼(はぎやき)の/茶碗(ちやわん) 00106660M13廿ほどのせて/持出(もちいで)、/汲(くミ)出す其/端香(はなが)、てつきり/信楽(しがらき)の/霜(しも)の/花(はな)、 00106670M14とらやのもろこしを/銘(めい)&/盆(ぼん)にて/残(のこ)らず/引(ひき)し手まハし。/是(これ)も 00106680M15又手をとられて、/皆(ミな)+/顔(かほ)/見合(ミあわ)してあきるゝ/所(ところ)へ、太郎右 00106690M16衛門、/何(なに)くわぬ/顔(かほ)にていで、(五ウ)/御酒(ごしゆ)の/口(くち)へあまいものハ 00106700M17どふ有ふか存ぜぬが、くるしからねバおかへなされと、/何(なに) 00106710M18一つぬけめなきしかけ。/雁平(がんへい)もさあらぬ/顔(かほ)で、此御/茶(ちや)ハ/霜(しも) 00106720M19の/花(はな)と見へまする。どふでも/煎茶(せんちや)ハ/信楽(しがらき)の事でござります。 00106730M20清水ハどふやら/宇治橋(うぢはし)の三ンの/間(ま)のやうにごさりますが、 00106740¥P318 00106750¥G(四ウ・五オ) 00106760M1やつはりお/所(ところ)の/増井(ますゐ)でごさりますかと、/呑自慢(のミじまん)の水/仙人(せんにん)に 00106770M2つゝかゝるが/例(れい)のかた/気(ぎ)。めつそふな。増井(六オ)が/日(ひ)なた 00106780M3くそふて、/呑(のま)るゝものでハごさりませぬ。又宇治橋の三ン 00106790M4の間も、/近年(きんねん)/煎茶呑(せんちやのミ)どもが申出しまして、世/間(けん)でよいと申 00106800M5まするゆへ、/取(とり)よせて呑で見ましたが、どふやらそやそふ 00106810M6ごさります。/左様(さやう)なら、此お水ハどこてごさりますと/尋(たづね)に、 00106820M7イヤ、/是(これ)ハ/井堰(ゐで)の/玉水(たまミつ)でこさります。もふ/川水(かハしも)の玉川へ/落(おち) 00106830M8ましてハ、/泥(どろ)くそふ/成(なり)ます。/凡(およそ)/日本(にほん)の水の/最上(さいじやう)ハ、/玉水(たまミづ)か 00106840M9と/存(そんじ)(六ウ)ます。/私(わたくし)も/大概(たいがい)/呑(のん)で見ぬ水もごさりませぬが、 00106850M10/糺(たゞす)や/醒(さめ)が/井(ゐ)ハ水くさし。/大堰川(おゝいがわ)ハするど/過(すぎる)る。/布引(ぬのびき)や/養老(やうろう) 00106860M11ハあらし。/清瀧(きよたき)や/音羽(おとハ)ハこなれず。/富士(ふじ)の/雪解(ゆきとけ)ハ/口中(かうちう)があ 00106870M12れる。/朧(おぼろ)の/清水(しミづ)ハなまぬるし。/豊楽(とよら)の/榎(ゑ)のは/井(ゐ)ハ/古(ふる)くさし。 00106880M13/出羽(てハ)の/最上(もがミ)から/肥後(ひご)の/求摩(くま)まで/取寄(とりよせ)ましたが、どふでも/井= 00106890M14堰(ゐ=で)が、いつちよいかと/存(そんじ)ます。水ハ/目(め)の/軽(かるい)がよいと申ます 00106900M15るが、/掛(かけ)たばかりでハ水の(七オ)はだがしれませぬ。/風呂(ふろ) 00106910M16にたてさせて/入(いつ)て見るが、いつちよふごさりますと/言(いふ)ゆへ、 00106920M17雁平も/肝(きも)をつぶし、さやうなら、おまへハ玉水で風呂をお 00106930M18たてなされますかといへバ、さやうでごさります。風呂/斗(ばかり) 00106940M19でハごさりませぬ。/平生(へいぜい)の/手洗水(てあらいミづ)から、ちよつと/足(あし)をそゝ 00106950M20ぎまするも、外の水ハこゝろわるふごさりますと、世/界(かい)を 00106960¥P319 00106970¥G(八ウ・九オ) 00106980M1一ト/呑(のミ)にした水のゆすりに、雁平もまけぬ/気(き)て、(七ウ)イ 00106990M2ヤ、私も此廿七日に/茶(ちや)を/致(いたし)まするが、/木津(きづ)の/淀(よど)へ/落口(おちくち)を/取(とり) 00107000M3に/遣(つか)ハしませうと存ますといふ/先(さき)/折(おつ)て、イヤ+、木津の 00107010M4落口も/口中(かうちう)があれまする。やつはり/玉水(たまミづ)がよふごさります。 00107020M5何しろちつと/持(もた)して/上(あけ)ませうかと、/湯(ゆ)の/咄(はなし)から水の/約束(やくそく)し 00107030M6て、さりとハゑらいおやじめと、茶よりハ/親父(おやぢ)にゑふて/立= 00107040M7出(たち=いで)、ミな+/別(わかれ)/帰(かへ)りぬ。其/翌晩(よくばん)、/雁平(がんへい)の/表(おもて)を/叩(たゝく)もの/有(ある)ゆへ、 00107050M8/店(ミせ)(八オ)(八ウ・九オ挿絵)の/者(もの)/聞付(きゝつけ)、どなた。ハイ、/今宮(いまミや)あ 00107060M9わじや太郎右衛門から/参(さん)じました。お/約束(やくそく)のミづを/上(あけ)ます 00107070M10と/言(いふ)/故(ゆへ)、/先(まづ)/大戸(おゝど)をひらき、此よし/旦那(だんな)へ/告(つぐ)る。雁平/飛(とん)で/出(いで)、 00107080M11/是(これ)ハお約束を/違(たがへ)られず、/千万(せんばん)/有難(ありがた)い。ソレ、其水ハ/井堰(ゐで)の 00107090M12玉水じや。そまつにならぬやうに、/水壷(ミづつぼ)をかいだして入い 00107100M13と/言(いひ)付るに、/久三(きうざ)、水をあけ、/担桶(たんご)を/渡(わた)す。雁平、/直(ぢき)に/厚(あつ) 00107110M14ふ/礼(れい)をいふて/帰(かへ)すに、しばらく有て、又/表(おもて)の(九ウ)/戸(ど)を/叩(たゝ) 00107120M15く。/内(うち)より、どなた。ハイ、今宮あハじや太郎右衛門から 00107130M16/参(まい)りました。お/約束(やくそく)の水を/上(あげ)まするといふ/故(ゆへ)、ソリヤ又水 00107140M17じやと大/戸(ど)をひらき、/是(これ)ハ/沢山(たくさん)にと/礼(れい)を/言(いふ)て/帰(かへ)す。しばら 00107150M18くすると又表を/叩(たゝく)。内より、どなた。ハイ、今宮あわじや 00107160M19太郎右衛門からまいりました。お約束の水を上ますと/言(いふ)ゆ 00107170M20へ、大戸をひらき、水をあけかへす。又/表(おもて)を/叩(たゝ)く。内より、 00107180¥P320 00107190L1どなた。ハイ。今宮あハ(十オ)じや太郎右衛門から/参(さん)じま 00107200L2した。お約束の水といふ/故(ゆへ)、/家内(かない)もあきれ、なんぼう/結構(けつかう) 00107210L3な水でも、こふ/沢山(たくさん)にハいらぬものとつぶやく/内(うち)、/追(おい)+ 00107220L4三/荷(が)五/荷(か)になひこめバ、/水壷(ミづつぼ)から/桶(おけ)/小桶(こおけ)、/大釜(おゝがま)からなべ/釜(かま)、 00107230L5きりばんから/箱風呂(はこふろ)まで、なむ+と水だらけ。もふよも 00107240L6やと/思(おも)ふうち、又/表(おもて)をたゝく。/内(うち)より、どなた。ハイ。今 00107250L7宮あわじや太郎右衛門から、お約束の水をと/言(いふ)(十ウ)故、 00107260L8家/内(ない)ハ/大(おゝい)にこまり、/旦那(だんな)にお断おつしやれとすゝむれど、 00107270L9雁平ハ、きのふこまらしにいた、かへした断いふも/無念(むねん)な 00107280L10と、ひるまずあけさせて/帰(かへ)す。跡より/段(だん)+になひこめバ、 00107290L11家内ハ/持(もち)あぐミ、いんだ/跡(あと)を/手(て)早にしめる/間(ま)もなく、又表 00107300L12を/叩(たゝく)。内から、どなた。ハイ。/今宮(いまミや)あわじや太郎右衛門か 00107310L13ら/参(さん)じました。お/約束(やくそく)の/水(ミづ)をといふゆへ、まんざらあけず 00107320L14にもおかれず、あくれバ(十一オ)になひこむ。水ハ十/荷(か)や 00107330L15ら廿/荷(か)やら三十荷やら五十荷やら、/後(のち)にハ/旦那(だんな)にもしらさ 00107340L16ず、/中(ちう)でいろ+/断(ことハり)いへども/聞(きか)ず。/猶(なを)になひこむ水ハ百荷 00107350L17二百荷。つゐにハさしもに/広(ひろ)き/雁平(がんへい)の家内も、/中国(ちうごく)の/水攻(ミづぜめ) 00107360L18見るやうに、/一面(いちめん)の水びたし、/次第(しだい)にすさまじく、になひ 00107370L19こむ水ハ、/最早(もはや)五百荷とも千荷とも/数(かず)しらず。/段(だん)++ 00107380L20/打(うち)あけ/帰(かへ)る/故(ゆへ)、/家内(かない)へ水がつきて(十一ウ)/大勢(おゝぜい)が/迯(にげ)まどひ、 00107390M1二/階(かい)へ/段(だん)&にげ/上(あが)るに/随(したか)ひ、九つばしごハ/川端(かハばた)のがんぎの 00107400M2つかるやうに水/増(まし)て、/最早(もはや)二/階(かい)へぞろ※水がこせバ、/雁= 00107410M3平(がん=へい)ハ/大(おゝ)きによハり、また/何(なん)ぼほどくる事じやと、/物干(ものほし)より 00107420M4/火(ひ)の/見(ミ)へあがり、今宮のかたを見/渡(わた)せば、/難波橋(なんばばし)から/道頓= 00107430M5堀(どうとん=ぼり)、九郎右衛門/町(てう)、/長(なが)まち九丁につゞき、今宮あわ太郎 00107440M6/入口(いりくち)よりになひ出す水ハ、/凡(およそ)何百万/荷(が)とも/数(かず)(十二オ)しれ 00107450M7ず。さしもの雁平も、/是(これ)ハどふなろと、うん+うめく/所(ところ) 00107460M8へ、/妾(てかけ)が/来(き)て、コレ申、/旦那(だんな)さん。きつうおそハれなさる 00107470M9と/起(おこ)した 00107480M10△△○/楠牙道人(なんかどうにん)/曰(いわく)、/近世(きんせい)/摂南(せつなん)今宮に、/真(しん)に/這畸人(このきじん)あり。/高行(かうかう)/奇蹤(きしやう)、 00107490M11△△△/普(あまね)く/人口(じんかう)に/膾炙(くわいしや)する/処(ところ)、/戯(たハむれ)に/是(これ)を/品目(ひんもく)せバ、/黄檗(わうばく)の/庭(にハ)に 00107500M12△△△てなれこ/舞(まひ)をするに/等(ひと)し 00107510¥Y1鳩潅雑話一終△(十二ウ) 00107520¥P321 00107530¥T1/鳩潅(きうくわん)雑話△二 00107540¥N1¥J 00107550¥X/扇屋(あふぎや) 00107560L5△△○/売話郎(ばいわらう)/曰(いわく)、/這話(このはなし)ハ/東都(とうど)の/知己(ちき)より/文通(ぶんつう)ニ而/至(いた)る。/則(すなハち)/当時(とうじ) 00107570L6△△△/専(もつはら)/彼地(かのち)の/流行(りうかう)にして、/凡(すべ)て/其席(そのせき)の/模様(もやう)を、/即座(そくざ)に/話(はなし)とし 00107580L7△△△て/興(けう)とす。/這(この)話は山東京伝/心易(こゝろやす)く/行(ゆく)/豪家(ごうか)の/室(しつ)、其/元(もと)/吉原(よしハら)の 00107590L8△△△/傾城(けいせい)なる/故(ゆへ)、人の子を/偖(もふける)を/羨(うらや)ミ、/浅草観音(あさくさくわんおん)へ/告子(もうしご)せしを、 00107600L9△△△/即席(そくせき)に/製(せい)す。/尤(もつとも)/精選(せいせん)ならざるハ、/即興(そくけう)/文通(ぶんつう)の/侭(まゝ)なれバな 00107610L10△△△り(一オ) 00107620L11/新吉原(しんよしハら)/扇(あふぎ)屋の/傾城(けいせい)、/本町(ほんまち)へんの/有徳(うとく)なる/丁人(てうにん)に/請(うけ)出され、 00107630L12むつましく/暮(くら)すといへども、/一子(いつし)のなきをなげき、/浅草観= 00107640L13音(あさくさくわん=おん)へ/告子(もうしご)をせしに、御/霊夢(れいむ)をかふむつて、ほどなくにんし 00107650L14んとなり、/既(すで)に月みちて/早(はや)りん/月(げつ)になれバ、/産所(さんじよ)の/仕度(したく)を 00107660L15とゝのへて/出生(しゆつせう)を/待(まつ)に、/虫(むし)けづきけれバ、ソリヤ/追付(おつつけ)じや 00107670L16と、とり/上(あげ)ばゝアへ人を/走(はし)らせ、/家内(かない)かたづをのんで/待(まつ)う 00107680L17ち、ほどなくうまれけるハ、/赤子(あかご)にてハ(一ウ)なく、/存(ぞん)の 00107690L18/外(ほか)/意気(いき)な/大通(だいつう)の/小忰(こせがれ)うまれける。其なりを見るに、あいさ 00107700L19びの/帷子(かたびら)に、/黒絽(くろろ)の/紋付(もんつき)の/羽織(はおり)、/帯(おび)ハはかた、/足袋(たび)は/玉子(たまご)、 00107710L20/髪(かミ)ハ/本田(ほんだ)にゆひたてゝ、/紙入(かミいれ)たばこ入ハ/越川(ゑちがハ)、さげものハ 00107720M1/光琳(かうりん)の/印篭(いんろう)に、むすこべやの/巾着(きんちやく)、おしめハ/鳳点(ほうてん)のぐミな 00107730M2り、/根付(ねつけ)ハ/秋月(しうげつ)がだるま、/何(なに)ひとつあだな物もなく、さめ 00107740M3ざやのお/太刀(たち)をちやんときめ、/八(や)わたぐろのうらつけまで 00107750M4はいて/産(うまれ)けれバ、(二オ)とりあげばゝアも/肝(きも)をつぶし、/家= 00107760M5内(か=ない)も/是(これ)ハと/横手(よこで)をうつ所に、かの/産子(うまれこ)、すら+と/玄関(げんくわん)に 00107770M6/出(いで)、/表(おもて)のかたへ出/行(ゆけ)ハ、/主人(しゆじん)/驚(おどろい)て/番頭(ばんとう)に申/付(つけ)、/忰(せがれ)がいつ 00107780M7かたへかまいるそふな。/怪我(けが)させぬやう、つき/参(まい)れと申付 00107790M8けれバ、/番頭(ばんとう)、/是(これ)ハと/跡(あと)をしたひ行に、/先(まづ)/浅草(あさくさ)見つけの/方(かた) 00107800M9へむいて/出行(いでゆき)けれバ、番頭思ふやう、/観音(くわんおん)の申子/故(ゆへ)、観音 00107810M10へ御/参詣(さんけい)なさるゝそふなと、/段(だん)+/跡(あと)を(二ウ)したひける 00107820M11に、観音の/雷門(かミなりもん)へ/這(はいり)入けれども、観音へハ手も/合(あわ)さず、す 00107830M12ぐに/矢大臣門(やだいじんもん)をぬけ、/馬道(むまミち)の/方(かた)へあゆミ行バ、是ハしたり。 00107840M13観音でもないそふな。/但(たゞ)し観音と御/一躰(いつたい)なれバ、/市(いち)の/権現(ごんげん) 00107850M14へ御/参詣(さんけい)かと、あやぶミ/行(ゆく)うち、是もさハなくて、/田町(たまち)の 00107860M15/方(かた)へ/歩行(あゆミゆけ)バ、いつかう/合点(がてん)ゆかず。/段(だん)&としたひゆくに、 00107870M16/土手(どて)へあがり、/吉原(よしハら)をさして行けるが、/早(はや)/衣紋坂(ゑもんざか)も/過(すぎ)て/大= 00107880M17門(だい=もん)を/這入(はいら)んとする/故(ゆへ)、/番頭(ばんとう)(三オ)是ハとあきれ、/何(なん)ぼふ/親= 00107890M18旦那(おや=だんな)が/大通(だいつう)じやと/言(いふ)て、/今日(けふ)うまれた/若旦那(わかだんな)にかね/遣(つか)わせ 00107900M19てハなるまひとかけより、申+/若(わか)旦那。どれへごさりま 00107910M20すと/声(こへ)を/懸(かけ)けれバ、かの大/通(つう)のうまれ子、ふりかゑつて、 00107920¥P322 00107930L1あふぎやア+ 00107940L2△△○兵山人/曰(いわく)、/東都(とうど)に/於(おゐ)て/頤(おとがひ)を/解(とく)もの三つ。京伝が/洒落(しやれ)、/馬谷(ばこく) 00107950L3△△△が/講釈(かうしやく)、/竹邑(たけむら)の/洋羮(ようかん)(三ウ) 00107960¥N2¥J 00107970¥X/犬(いぬ) 00107980L6△△○/這話(このはなし)ハ、/両国(りやうごく)へ/人面犬(にんめんけん)見せものに出たる日、/即席(そくせき)に/製(せい)す。 00107990L7△△△/作者(さくしや)ハ/嘉(か)六といふ通人。/吉原細見(よしハらさいけん)に、/吾妻路(あづまぢ)/都太夫(ミやこだゆう)としる 00108000L8△△△す 00108010L9江戸/本郷(ほんがう)へんの屋/敷(しき)に、べく/内(ない)といふ/仲間(ちうげん)、/独寐(ひとりね)のつれ 00108020L10※、/白(しろ)き/牝犬(めいぬ)を/女房(にようぼう)/同様(どうやう)に/可愛(かあい)がり、/毎晩(まいばん)だき寐に/致(いたし)け 00108030L11るゆへ、此/犬(いぬ)、/程(ほど)なくはらミて、/人面犬(にんめんけん)を/生(せう)ず。其犬の/面(おもて)、 00108040L12べく/内(ない)に/似(に)て、/足手(あして)ハ/犬(いぬ)にて、/尾(お)ハな(四オ)し。あまりめ 00108050L13づらしきものなれバ、/大(おゝい)に/評判(ひやうばん)あるを、見せ物/師(し)、/早(はや)/聞(きゝ)付、 00108060L14金百両に/買(かう)て/両国(りやうごく)へ出し見せけれバ、けしからぬ/大当(おゝあた)り。 00108070L15/或中間(あるちうげん)、べく/内(ない)が/大金(おゝがね)を/得(ゑ)たる/事(こと)を/聞(きゝ)、なんでもよい事を 00108080L16して、かねになる事、こんなよい事ハない。をらも犬を/連(つれ) 00108090L17て/来(き)て、/人面犬(にんめんけん)をはらませ、五十/両(りやう)に/売(うり)申べくといふて、 00108100L18/白犬(しろいぬ)を/女房(にようぼう)にする。又ある/仲間(ちうげん)、此よしを/聞付(きゝつけ)けれハ、べ 00108110L19く/内(ない)が(四ウ)/真似(まね)をして、/白犬(しろいぬ)を女房にして、人面犬をう 00108120L20ませ、五十両に/売(うろ)ふとハすバやいやつ。此/時節(じせつ)に、なんで 00108130M1も/結構(けつかう)な/金(かね)もふけ。なにしたとて/是(これ)に/増(ます)事ハ/有(ある)まいと、お 00108140M2なじく白犬を/連(つれ)てきて、其又/半分(はんぶん)二十五両に/売(うり)申べくとい 00108150M3ふて、女房にする。又/外(ほか)の/仲間(ちうげん)、此よしを聞付、十二両二 00108160M4/歩(ぶ)ても/大事(だいじ)ないと、白犬を/連(つれ)てきて女房にする。此よしを 00108170M5又外の仲間ども/段(だん)+と/聞(きゝ)付、(五オ)(五ウ・六オ挿絵)五両 00108180M6でもよい三両でもよい一両でもよいと、/我(われ)も+と白犬を 00108190M7/吟味(ぎんミ)して/女房(にようぼう)にする事はやり、/屋敷中(やしきぢう)の仲間/残(のこ)らず、犬に 00108200M8のミかゝりて、御/用等(ようとう)の/間(ま)にあわねば、/組頭(くミがしら)/大(おゝい)にこまり、 00108210M9/当職(とうしよく)の/家老(かろう)へ此よし申/上(あげ)けるに、御/家老(かろう)、此事を/聞(きか)れて大 00108220M10きに/驚(おどろ)き、さて+なげかわしき事かな。/日本神国(にほんしんこく)の/所(ところ)、 00108230M11/畜生(ちくしやう)国/同前(どうぜん)の/所業(しよげう)。ことに屋敷の/風義(ふうぎ)かよふになりてハ、 00108240M12/殿(との)の御(六ウ)/恥辱(ちぢよく)にも相/成義(なるぎ)。/早速(さつそく)/停止(てうじ)申付べしと/仰(おゝせ)られ 00108250M13けるが、さのミ/死罪(しざい)/流(る)罪と申ほどのとがでもなしと、/咎(とがめ)の 00108260M14申付かたにこまり、いかゞいたすべくと、/役人中(やくにんぢう)いろ+ 00108270M15/評義(ひやうぎ)いたすといへども、/唐倭(からやまと)の/記録(きろく)にもなき/仕置(しおき)/故(ゆへ)、御/家= 00108280M16老(か=ろう)申さるゝハ、/右(ミぎ)のやからをとらへ候ても、咎の申付かた 00108290M17にこまれバ、/何(なん)でも/触書(ふれがき)にてやめさせるがよいと/仰(おほせ)られけ 00108300M18れバ、御尤と役人中/打寄(うちより)、(七オ)/触書(ふれがき)を認めけるに、犬を 00108310M19/致(いた)すべからずと/書(かい)てハわからず、犬を仕るまじきものなり 00108320M20と書てもわからず、/甚(はなはだ)こまりいる/所(ところ)へ、御/家老(かろう)/出有(いであつ)て、 00108330¥P323 00108340¥G(五ウ・六オ) 00108350M1どふじや。触書ハ/出来(でき)申たかとお/尋(たづね)に、役人/中(ぢう)、されバ其 00108360M2/義(ぎ)に/当惑(とうわく)いたしまする。/犬(いぬ)を致ましくと/書(かい)ても、犬を仕る 00108370M3まじくと書ても、わかりかねまするやうにごさりますとい 00108380M4へバ、御家老、なるほど、そふ書てハわか(七ウ)るまい。 00108390M5/何(なに)とぞ/書(かき)やうが/有(あり)そふなものと、しばらく御/案(あん)じ有て、/近= 00108400M6比(ちか=ごろ)当江戸/表(おもて)の/通言(つうげん)に、/女(おんな)を/犯(おか)す事を、とぼすと申でハない 00108410M7かと/仰(おほせ)に、/左様(さやう)でござります。とぼすと申ますと申/上(あぐ)れハ、 00108420M8サア/夫(それ)なれハ、其とぼすでかくがよいと仰あるゆへ、左様 00108430M9なら、犬をとぼすべからずとかきませふかといへバ、イヤ、 00108440M10/夫(それ)でハわかるまい。/拙者(せつしや)が申とをりしたゝめられよと、/祐= 00108450M11筆(ゆう=ひつ)に(八オ)ふてをとらせ、御家老仰られ候ハ、たとへくら 00108460M12/闇(やミ)ひやわいたりとも、/両足(りやうそく)の/外(ほか)四足とぼすべからず 00108470M13△△○山東京伝/曰(いわく)、/両国(りやうごく)へ人面犬の見せものが出た/時(とき)、/嘉(か)六か 00108480M14△△△/這話(このはなし)をしやしたを、/■舌楼(てうじや)へいつて、わつちが/馴染(なじミ)の/女郎(じよろう) 00108490M15△△△に/咄(はな)してきかせやしたら、女郎/感心(かんしん)して、ヲヤ、ヱイ/咄(はなし) 00108500M16△△△てをつす。おふれがきハきついもんてをさんすといつたゆ 00108510M17△△△へ、京伝感心したか、/畜生(ちくせう)(八ウ)めと/背中(せなか)を/叩(たゝけ)バ、ヲヤ 00108520M18△△△+/馬鹿(ばか)らしい。畜生なら、こんやアわつちをおとぼしな 00108530M19△△△んすな 00108540M20△△○這/即席話(そくせきはなし)、/古来(こらい)より/我浪華(わがなにハ)になきにしもあらず。/事旧(ことふり)たれ 00108550¥P324 00108560¥G(十ウ・十一オ) 00108570M1△△△バ、/其題(そのだい)ハ/失亡(しつぼう)せしが、其/話(はなし)ハ、 00108580M2/去豪家(さるがうか)の/台所(だいどころ)に、長吉と長太郎とせり/合(あい)/居(ゐ)る/故(ゆへ)、/御寮人(ごりやうにん)/出(いで) 00108590M3て、コレ、/我身達(わがミたち)ハ/何(なに)を其やうにせりあやる。とゝさん 00108600M4が/昼寐(ひるね)してござるによつて、又やかましい(九オ)といふて 00108610M5おしかりなされうといへバ、長吉、イヱ。長太郎が/片意地(かたいぢ) 00108620M6からおこつた事てごさります。/私(わたくし)が、/魚(うを)ハ/夜(よる)/寐(ね)るとき/眼(め)を 00108630M7あいて/寐(ね)るであらふか。ふさいで寐るてあらふかと申まし 00108640M8たらバ、長太良が申ます事にや、めつそふな。/魚(うを)が/夜(よる)寐て 00108650M9たまるものかと申ます。それでも/私(わたし)かよさり、いねふつて 00108660M10おりますと、/旦那(たんな)さんが、/鱶(ふか)のやうないびきかいておると 00108670M11いふて、おしか(九ウ)りなさつてゞござりますといへバ、 00108680M12イヱ、御寮人さん。魚ハよる寐やいたしませんな。私かよ 00108690M13さり、月/夜(よ)の/晩(ばん)に/裏(うら)の/泉水(せんすい)の/金魚(きんぎよ)を見ますのに、いつでも 00108700M14くる+++とあるいております。そふしてアノ/鯛(たい)や 00108710M15はもの/眼(め)でも、ミなびいどろはつたやうな眼でござります。 00108720M16あれがどふしてふさがれるものでと、長太良か理/屈(くつ)/有(ある)こと 00108730M17バに、/御寮人(ごりやうにん)しばらく/小首(こくび)かたふけ、/思案(しあん)して、(十オ)(十 00108740M18ウ・十一オ挿絵)/大(おゝ)かたソリヤ/寐(ね)る/方(はう)が/勝(かち)じやあらふと/仰(おほせ)に、 00108750M19長太良せきこミ、ソリヤ/何(なん)でゝござりますへ。サアよふ/思= 00108760M20案(し=あん)して見れバ、こちの/床(とこ)の間の/掛物(かけもの)に、/蛤(はまぐり)さへ/夢(ゆめ)見ている 00108770¥P325 00108780L1といわれた 00108790L2△△○/這話(このはなし)ハ/則(すなハち)/先年(せんねん)久太良町の/何某(なにがし)、/順評(じゆんひやう)の話を/会(くわい)せし/時(とき)、/勝(かち) 00108800L3△△△に/出(いで)しと、/或(ある)人/楠牙道人(なんがどうにん)の/寓居(ぐうきよ)、/呑秋庵(どんしうあん)に来て/説者(とくもの)あり。 00108810L4△△△/這時(このとき)/和尚(おしやう)/沈酔(ちんすい)に/乗(ぜう)して、/即興(そくけう)に/此(この)話に(十一ウ)/次(つい)で、話を 00108820L5△△△/設(まうけ)しと/舌(した)を/捲(まい)て/曰(いわく)、 00108830L6さて長吉と長太良がせり合、御寮人がさばかれたを、/出入(でいり) 00108840L7の/医者(いしや)が/来(き)かゝり、コリヤ御/尤(もつとも)じやと/感心(かんしん)するこへ、/耳(ミヽ) 00108850L8へ/入(いつ)たか、/旦那(だんな)が/眼(め)を/覚(さま)して、ヤ、/是(これ)ハ/養伯老(ようはくろう)御/出(いで)。/何(なに)や 00108860L9らきつい御/感心(かんしん)の/様子(やうす)じやが、どふ/致(いたし)た事じやと/尋(たづね)に、/養= 00108870L10伯(よう=はく)、イヤ。/只今(たゞいま)/参(まいり)りかゝつて、長吉と長太郎のせり合を 00108880L11/承(うけたまハ)つております所へ、/御寮人(ごりやうにん)がお出なされ、御/掛物(かけもの)の 00108890L12(十二オ)/唇気楼(しんきろう(ママ))の/画(ゑ)を、/蛤(はまぐり)が/夢(ゆめ)見て/居(ゐ)るとハきつい/出(で)きじ 00108900L13やと、一/部始終(ふしじう)はなせば、/旦那(だんな)も/腹(はら)すじをより、ときに養 00108910L14伯老。其蛤が/夢(ゆめ)見ると申事ハ/実説(じつせつ)でござるかと/尋(たづね)に、/左様(さやう) 00108920L15でござります。/則(すなハち)/博物志(はくふつし)と申/書物(しよもつ)に、/春夏(しゆんか)の/間(あいだ)とござつ 00108930L16て、二三月/比(ごろ)にハ/海辺(かいへん)にハまゝある事でござりますと、/受= 00108940L17売(うけ=うり)の/即答(そくたう)に、/主人(しゆじん)ものりが/来(き)て、/夫(それ)ハ/面白(おもしろ)そふな事じや。 00108950L18いつそ只今から見てまい(十二ウ)ろふといふに、/養伯(ようはく)、イ 00108960L19ヤ+、只今ハ/寒気(かんき)の/砌(ミぎり)、/中(なか)+二三月/比(ごろ)てなけれバござ 00108970L20りませぬといふを、/何(なに)さ。正月に/初鰹(はつがつを)が/出(いて)、/暑気(しよき)見/舞(まい)に/里= 00108980M1芋(さと=いも)をいだす/時節(じせつ)、/何(なん)ぼふ/寒中(かんちう)じやとて、はしりがないと申 00108990M2事ハ/有(ある)まい。/冬(ふゆ)/蛤(はまぐり)の/夢(ゆめ)を見るが/景物(けいぶつ)じやと、養伯を/無理(むり) 00109000M3にいざなひ、/海辺(かいへん)と/有(ある)ハなんでも/西(にし)じやと、まづ/安治川(あぢかわ)を 00109010M4さして/出行(いでゆき)、九/条(でう)あたりへ行バ、大/分(ぶん)/磯(いそ)ばた(十三オ)に/洲(す) 00109020M5があるゆへ、なんでもあの/砂(すな)つぱの/内(うち)に、蛤が夢見てゐる 00109030M6であらふと、/洲(す)をつたひ行バ、/向(むか)ふにハツト/気(き)がたつて有 00109040M7ゆへ、/間近(まぢか)く/立寄(たちより)てよく見れバ、どふしたものか、/楼台(ろうたい)で 00109050M8ハなくて、ざつとした/在所(ざいしよ)/住居(すまゐ)。/麦藁(むぎハら)で屋/根(ね)がふいて有て、 00109060M9へいから/寒紅梅(かんこうばい)が/今(いま)をさかりと/咲(さき)いでゝある内に、ゴボリ 00109070M10+と米ふむ/音(おと)がきこへる。両人、コリヤどふじやとあき 00109080M11れ、さてハ/漢(から)の(十三ウ)蛤/故(ゆへ)、/楼台(ろうたい)を夢に見る。/日本(にほん)の蛤 00109090M12なれバ、/在郷(ざいがう)げしき見るかと/早合点(はやがてん)して、夢のもとへ/立寄(たちより)、 00109100M13/砂(すな)つぱをかきわけミたれバ、/蜆貝(しゞミがい)が/昼寝(ひるね)をしてゐた 00109110M14△△○/已(すで)に/是(これ)/浪華(なには)の/即話(そくわ)。/蛤(はまぐり)を/蜆(しヾミ)に/転(てん)じたる/当意即妙(とうゐそくめう)ハ、/和尚(おしよう)の 00109120M15△△△/例(れい)のはいかいなりと、/各(おの+)/感心(かんしん)するうち、さて又其/次(つぎ)をつ 00109130M16△△△ぐべし。/舌(した)をひるがへして、 00109140M17さて/両(りやう)人、此/体(てい)を見て、つく※/思(おも)へバ、(十四オ)此/所(ところ)ハ 00109150M18九/条(でう)ゆへ、/蛤(はまくり)ハないはづ。/蜆(しゞミ)の/夢(ゆめ)を見しハ/尤(もつとも)。/誠(まこと)蛤の夢を 00109160M19見よふならバ/住吉(すミよし)の/浜(はま)じや。とてもなら/脇釜(わきがま)でハ/面白(おもしろ)ふな 00109170M20いと、夫より/寺嶋(てらじま)へ/渡(わた)り、/穢多村(ゑたむら)の/方(かた)から住吉の/浜(はま)へ/出(いづ)れ 00109180¥P326 00109190L1バ、/折節(おりふし)/汐(しほ)が/干(ひ)て/一面(いちめん)に/洲(す)になつてあるやうす。/朝夕(あさゆふ)に見 00109200L2るといふ/淡路嶋(あわじしま)山も一ト目に見へて、どふもいへぬけしき。 00109210L3なんでも此洲のうちにこそ、蛤が夢見て/居(ゐ)るであらふと 00109220L4(十四ウ)両人/息(いき)をもつがず、洲をつたいゆけバ、/案(あん)に/違(たが)わ 00109230L5ず、ハツト/気(き)の/立(たつ)て/有(ある)。蛤の夢/本釜(ほんがま)ハ/是(これ)じやと、/間(ま)ぢかく 00109240L6/立寄(たちより)ミれバ、/珊瑚(さんご)の/柱(はしら)、/馬脳(めのう)のうつばり、/璃理(るり)のかハら、 00109250L7ギヤマンの/欄干(らんかん)、/錦(にしき)の戸/帳(ばり)まで、/夕日(ゆふひ)に/映(ゑい)ずる有さま。/誠(まこと) 00109260L8に/国性爺(こくせんや)の/道具立(どうぐだて)を五/色(しき)/目鏡(めがね)で見る心/持(もち)。どふもいへぬと 00109270L9見とれるうち、どふしたものやら、/俄(にハか)に/地震(じしん)がゆり出し、 00109280L10/珊瑚樹(さんごじゆ)のはしらが(十五オ)ゆがむと、/璃理(るり)の/瓦(かハら)がぐわた 00109290L11+とおちかゝり、/楼台(ろうたい)がくづれかゝる/有(あり)さま。両人/驚(おどろい)て、 00109300L12又/砂(すな)つぱをかきわけミれバ、/蛤(はまぐり)がのびして/居(ゐ)た 00109310L13△△○和尚の/滑稽(こつけい)、/是(これ)/当(まさに)/韓信(かんしん)が/兵(へい)を/用(もちゆ)るの/機変(きへん)、/益(ます+)/奇(き)にして益 00109320L14△△△/妙(めう)なり 00109330¥Y1鳩潅雑話二終△(十五ウ) 00109340¥T1/鳩潅(きうくわん)雑話△三 00109350¥N1¥J 00109360¥X/鷺(さぎ) 00109370M5大坂/天満(てんま)しんぽ/町(てう)に、/権助(ごんすけ)といふ/日傭(ひよう)かせぎするもの、/平= 00109380M6生(へい=ぜい)てつくわを/好(このミ)ける。/時(とき)しも/極(ごく)月廿四五夜ごろ、けしから 00109390M7ず/打(うち)まけて、/寒中(かんちう)に/繻絆(じゆばん)いつてんになり、/昼(ひる)もどるも/外聞(ぐわいぶん) 00109400M8わるく思ひ、/暮(くれ)てからそつと/内(うち)へ/戻(もど)るに、/勿論(もちろん)/場末(ばすへ)の事な 00109410M9れば、とをるに/気(き)のへるやうな/細長(ほそなが)ひろじの/奥(おく)の/角(すミ)。/独身(ひとりミ) 00109420M10の(一オ)すミかにたいそうなるハ、/鼠(ねづミ)のあれる/音(おと)のミ。ろ 00109430M11くに/火(ひ)をたかぬ/内(うち)のしるしハ、/歯(は)の根にこたゆる/寒(さむ)さに、 00109440M12繻絆一まいのひつてん、もとよりかり/蒲団(ふとん)の/其日過(そのひすぎ)。/斯(かく)/敗= 00109450M13軍(はい=ぐん)の/今(いま)に/及(およ)んで、/米櫃(げびつ)の/底(そこ)ハさて/置(おき)、/炭(すミ)とりから/紙屑篭(かミくづかご)の 00109460M14底まで/払(はらい)きつた/落城(らくじやう)。/漸(やうやく)/竃(へつい)の/下(した)にたき/残(のこつ)た/薪(たきゞ)を/巨達(こたつ)のす 00109470M15びつで/焚(たい)て、/今日(けふ)の/寒(さむ)さハしのげども、あすのうき/身(ミ)はい 00109480M16かにせん。人が来れバ/外聞(ぐわいぶん)がわるいと、内(一ウ)から/■(かけかね)を 00109490M17かけて、とつをいつ思案の処へ、十兵衛といふ/友達(ともだち)、権助 00109500M18がまけこけたといふ/噂(うわさ)、どうしていると/尋来(たづねき)て、/表(おもて)の/戸(と)を 00109510M19トン+と打/叩(たゝ)き、権助。内に/居(ゐ)るか+といふ/声(こゑ)ハ、/腹(はら)の 00109520M20あふた/友達(ともだち)なれバ、戸を/引明(ひきあけ)て内へ入れる。権助が/風(かせ)の/神(かミ) 00109530¥P327 00109540L1のやうななりに、十兵衛/肝(きも)をつぶし、/段(だん)+/様子(やうす)を聞に、/一= 00109550L2向(いつ=かう)つまらぬ/次第(しだい)。/何(なに)よりハこの寒中に繻絆いつてんにてハ、 00109560L3/翌日(あす)から/■(かせぐ)事もなら(二オ)ねバ、/瓦屋橋(かハらやばし)の/伯父貴(おぢき)に/無心(むしん)い 00109570L4ふて見いと/気(き)を/付(つけ)てやれバ、そんな事にぬかりハない。伯 00109580L5父貴にも此間、/銭(ぜに)三貫/借(かつ)てまけてしまひ、まだ其上、/梶木(かぢき) 00109590L6町の/塩(しほ)屋におる/妹(いもと)めに、/紬嶋(つむきしま)の/着物(きるもの)と/黒繻子(くろじゆす)の帯とをかつ 00109600L7て、/夫(それ)もまげて/負(まけ)てしもふた。それが正月にいるといふて、 00109610L8/毎日(まいにち)/丁稚(てつち)が付ているやら、ちかづき内ハかりだらけ、/不義= 00109620L9理(ふぎ=り)だらけ。内ハこのてい、からだハ此なり。/行先(ゆくさき)の/大節季(おゝぜつき) 00109630L10より、/翌(あすの)(二ウ)/朝(あさ)の/茶粥(ちやがゆ)の米さへ/才覚(さいかく)ならぬ/仕合(しあわせ)。/所詮(しよせん)/覚= 00109640L11期(かく=ご)ハきハめていると、心からとハいひながら、/大(だい)の/男(おとこ)が 00109650L12/涙(なミだ)ほろりとしほれた/覚期(かくご)に、十兵衛も思わず涙が/胸先(むなさき)へつ 00109660L13ゝかゝるを/呑込(のミこミ)、ハテ、/一寸延(いつすんのび)りや/広(ひろ)のびるじや。かなら 00109670L14ず/短気(たんき)おこすな。/夫(それ)ほどの/難義(なんぎ)の事なれバ、/忽(たちまち)/銭(ぜに)が五六 00109680L15貫/出来(でき)る/思案(しあん)が/有(ある)が、かしてやらふかといふ/故(ゆへ)、権助/力(ちから)を 00109690L16得、それハどふした思案じやと/問(と)ふに、十兵衛/言(いふ)やう、/是(これ) 00109700L17(三オ)ハ人にいふ事でハないが、/汝(われ)が/一生懸命(いつせうけんめい)の/場(ば)じやに 00109710L18よつて、いふてきかす。おれもおとゝしの十月に、てうど 00109720L19われがやうに/負(まけ)こけ、/仕(し)やうハなし。/其年(そのとし)の八月に/鴻池(かうのいけ)の 00109730L20/下屋敷(しもやしき)に、/前栽(せんざい)の/普請(ふしん)が/有(あつ)て/日傭(ひやう)にやとハれ、/池(いけ)に/鷺(さぎ)がす 00109740M1さまじう/飼(かう)て有たを思ひ出し、わるい事とハ思ひながら、 00109750M2/背中(せなか)に/腹(はら)。其/晩(ばん)にそつと/忍(しの)びこんで、/鷺(さぎ)三ン/羽(ば)せしめて/来(き)て、 00109760M3/鳥(とり)屋/町(まち)へ/売(うつ)たれば、一/羽(は)か二貫づゝ(三ウ)になつて六貫に 00109770M4/売(うり)、其/銭(せに)で/取(とり)ついて、どふやらかふやらけふ/迄(まで)しのいでゐ 00109780M5る。われも/夫程(それほど)つまつた事なら、/幸(さいわ)ひ/闇(やミ)の事。又夜も/更(ふけ)て 00109790M6/有(あり)。/今(いま)から/鴻池(かうのいけ)の/下屋敷(しもやしき)へいて、/鷺(さぎ)二三ン/羽(ば)/盗(ぬす)んでこいと 00109800M7いふゆへ、権助/大(おほい)に/悦(よろこ)び、十兵衛/忝(かたじけな)ひ。/汝(われ)が/深切(しんせつ)ハ/一生(いつせう) 00109810M8/忘(わすれ)れぬと、其まゝかけいだそうとせしが、其身ハ/繻絆(しゆばん)いつ 00109820M9てん、とりわけはげしき/寒夜(かんや)なれバ、身を/切(き)るよふで/外(そと)へ 00109830M10ハ出られず。(四オ)(四ウ・五オ挿絵)又是にも/行当(ゆきあた)つて、十 00109840M11兵衛をはだかにして/焚火(たきび)にあておき、其/着物(きるもの)を/着(き)て/行(ゆく)/思案(しあん)。 00109850M12/蛙(かいる)ハ/口(くち)から。十兵衛もいやとハいわれず、ふせう※に/脱(ぬぐ) 00109860M13より/早(はや)く/引(ひつ)かけ/帯(おび)/引(ひき)むすび、してこいと/北野(きたの)をさしてかけ 00109870M14ゆく。/元(もと)よりあいろも見へぬ/真(しん)の/闇(やミ)、どふやらかうやら/下= 00109880M15屋敷(しも=やしき)のうら/門(もん)までハ/来(きた)れども、/何処(どこ)が/門(もん)やら/何(なん)じややら、 00109890M16あいろもわからず。すかして見れバ、/塀(へい)のうへになにやら 00109900M17/有(ある)を、とつくり(五ウ)ミれバ、見こしの松なり。/元(もと)より/日= 00109910M18傭(ひ=やう)のことなれバ、これ/屈竟(くつけう)と、/帯(おび)/引(ひつ)かけつたいあがり、/前= 00109920M19栽(せん=ざい)へおりるに、/蜘(くも)の/巣(す)だらけの/植込(うへごミ)へ、/漸(やう+)出た/所(ところ)が/真(しん)の 00109930M20/闇(やミ)。/一向(いつかう)/何(なん)にもわからず。どこらに/泉水(せんすい)があるとすかして 00109940¥P328 00109950¥G(四ウ・五オ) 00109960M1見れバ、どふやら/向(むかふ)がきら+と/光(ひか)るやうな/故(ゆへ)、さてハ/泉= 00109970M2水(せん=すい)ならんと、さぐり+/行(ゆく)うち、/水(ミつ)の/中(なか)へ、がハと/踏(ふん)ごめ 00109980M3バ、さてこそ泉水なりとおもふに、/何(なに)やらざハ※するゆ 00109990M4へ、/是(これ)こそ/鷺(さぎ)よと/心(こゝろ)(六オ)に/笑(ゑミ)をふくミ、ぬきあしして/行(ゆく) 00110000M5ほど、/向(むかふ)へにげる/鷺(さぎ)も、/同(おな)しく/眼(め)ハ見へず。うろたへるを 00110010M6/漸(やう+)一チ/羽(ハ)とらへて、/先(まづ)二貫しめたと/腰(こし)にひつはさミ、と 00110020M7う※三/羽(ば)とりあふせて、なんでも六貫、/忝(かたじけな)しと/戻(もどろ)ふと 00110030M8して、よく+思案してミれバ、/綿入(わたいれ)からどんざ/羽織(ばおり)の/質= 00110040M9受(しち=うけ)に/凡(およそ)二貫、/妹(いもと)が/着物(きるもの)と/帯(おび)を/受(うけ)るが四貫五百、もふ/是(これ)でも 00110050M10五百たらぬ/算用(さんやう)。/米(こめ)から/木(き)から/炭(すミ)から、正月の/餅(もち)もかけも 00110060M11ちなと(六ウ)/買(かハ)ねバならず、/願(ねがハ)くバ/蒲団(ふとん)も/受(うけ)だし、/隣(となり)で/借(かつ) 00110070M12た四百の/銭(せに)から、置てやつた/質(しち)を/取込(とりこん)だ/算用(さんよう)までして見る 00110080M13と、中+三ン羽や五羽でハ/届(とゞ)かず。是より/欲心(よくしん)/増(まし)て、一 00110090M14寸きられるも二寸きられるも同事と、又池に/立戻(たちもど)つて、/腰(こし) 00110100M15へはさまれるたけとよくぼり、とう※八羽/盗(ぬす)んで、二八 00110110M16十六貫、なんでもしめたとあたりを見れバ、/幸(さいわ)ひ見/咎(とがむ)る/者(もの) 00110120M17もなく、心/静(しづか)に/裏門(うらもん)の/切戸(きりど)をしめ、/飛(とぶ)がごとく/宙(ちう)を(七オ) 00110130M18かけるやうに/走(はし)るに、/腰(こし)なる八羽の/鷺(さぎ)うろたへ、/羽子(はね)ばた 00110140M19きに/寒風(かんふう)ふくミ、思わず/空(そら)へあがるもしらず、走る+と 00110150M20思ふ中、/屋根(やね)のうへゝあがれハ、/初(はじめ)て心付て、是ハとあき 00110160¥P329 00110170L1るゝうち、次第に羽かぜはげしく、そらを一チ/文字(もんじ)に北へ 00110180L2行か/南(ミなミ)へ/飛(とぶ)か、/方角(はうがく)もしれぬ/闇(やミ)の夜。/下(した)へ/落(おちよ)ふ+とあせ 00110190L3るうち、五/丁(てう)十/丁(てう)またゝく間、/遥(はるか)のしたに/野末(のずへ)の小屋の 00110200L4/灯(ともしび)/幽(かすか)に見おろせば、もはや大坂ハはなれ(七ウ)たが、是 00110210L5ハ/情(なさけ)ない。/唐(から)へ/往(ゆく)やら/天竺(てんぢく)へ/落(おちよ)ふやらしれぬと、心も/空(そら)に 00110220L6じだんだ/踏(ふむ)うち、/何(なに)やらぐわつたり/行当(ゆきあた)るを、是/幸(さいわ)ひとひ 00110230L7んだくうち、/鷺(さぎ)ハ/皆(ミな)&/飛(とぼ)ふ+とあをつ。権助ハとりはづ 00110240L8したら/仕舞(しまい)じやと、/一身(いつしん)の力を出してりきむひやうし、/腰(こし) 00110250L9の鷺四羽ほど/飛(とん)で仕舞、/少(すこ)しからだ/楽(らく)になりし/故(ゆへ)、とても 00110260L10の事と、左の手をのばして/腰(こし)へまわし、/跡(あと)四羽もはなして 00110270L11やれバ、其身ハどふやら(八オ)かふやら屋/根(ね)の上にとゞま 00110280L12り、/行当(ゆきあた)りしものをさぐり見れば、/九輪(くりん)のやうなもの。さ 00110290L13てハ/塔(たう)の上なりとハ心つけど、/闇夜(やミのよ)の事なれバ、したに/何(なに) 00110300L14が有やら、どこじやゝらしれず。今おりて/怪我(けが)せうよりハ、 00110310L15もふ夜のあけるに間もあるまいと/待(まつ)うちに、どこやら/幽(かすか)に 00110320L16聞ゆる/拍子木(ひやうしぎ)ハ、まだ七つ。/空(そら)ほどはげしい/寒風(かんふう)に、身う 00110330L17ちハ屋/根(ね)の上に/凍(いて)付て、/氷(こほ)らぬものハ心ばかり。今や(八 00110340L18ウ)東がしらむかと待一ト/時(とき)ハ、さりとハとけしない/冬(ふゆ)の 00110350L19夜 00110360L20△△○売話郎/曰(いわく)、/這奇談(このきだん)、いまだ/央(なかバ)に/過(すぎ)ず。/次(つぎ)の/回(くわい)を/見(ミ)て、/始末(しまつ) 00110370M1△△△をしるべし。権助が/薄命(ひつてん)、十兵衛が/情好(よしミ)、/別荘(しもやしき)の/闇夜(くらきよ)に鷺 00110380M2△△△の/一奇事(いつきじ)。/聴(きく)人、/唾(つ)を/呑(のん)で/段落(だんらく)を/待(まつ)。/一時(いちじ)の/辛苦(しんく)一時の/娯= 00110390M3△△△楽(ご=らく) 00110400¥N2¥J 00110410¥X/鷺(さぎ)の/次(つぎ) 00110420M6/扨(さて)又十兵衛ハ、じゆばんいつてんにて、しんぽ町の/裏(うら)に、 00110430M7/怪書(かるがき)の/最明寺(さいめうじ)見るやうに(九オ)/焚火(たきび)にあたり、権助がもふ 00110440M8/戻(もど)るか+と待うち、/纔(わづか)の/割木(わりき)なれバ焚つきて/一倍(いちばい)の/寒(さむ)さ。 00110450M9風もる/透穴(すきあな)より/毛(け)の穴たちて、/盗(ぬすミ)にいた鷺より/長(なが)ふなつた 00110460M10/首(くび)もすくミかへる寒、権助が/宙(ちう)を/飛(とぼ)ふとハ/元(もと)より/釈迦(しやか)も/御= 00110470M11存(ご=ぞんじ)ない事。/夜半(よなか)ハ/待(まち)八つハ/案(あん)じ、七つの/鳴(なる)に/胸(むね)/轟(とゞろき)て、ど 00110480M12ふやら心/済(すま)ず。/仕損(しそん)じて見/咎(とがめ)られハせぬか、おまハりの手 00110490M13にでも/逢(あい)ハせぬか。/但(たゞ)しハ盗そこのふて、戻(九ウ)つても 00110500M14つまらず、もしや/首(くび)でも/括(くゝ)りハせぬかと/案(あん)じるさ/中(なか)へ、心 00110510M15なくぐわんとつきだす/寒山寺(かんざんじ)。/南無三(なむさん)/夜明(よあけ)と/肝(きも)/冷(ひいや)り、/次第(しだい) 00110520M16にしらむ/戸(と)の/透影(すきかけ)、/烏(からす)ハカア+/雀(すゞめ)ハちやハ+、/向(むか)ひの 00110530M17朝/起(おき)戸をぐわらり、かけ出そふにも繻絆一まい、心ばかりが 00110540M18あせつているうち、/近所(きんじよ)に/火打(ひうち)の/音(おと)コチ+。/長家(ながや)に子/供(ども) 00110550M19が/泣(なき)だせば、隣にハ/早(はや)/朝飯(あさめし)の/箸(はし)おくこたま、/耳(みゝ)にひゞいて 00110560M20はらげつくり。ないとハしれど人(十オ)/情(ごゝろ)、/覗(のぞい)て見る/米櫃(げびつ) 00110570¥P330 00110580L1ハかん+/坊(ほう)、/綴(つゞ)る/虫(むし)より/臓腸(はらわた)をかむ虫/養(やしな)ひ、/膳棚(ぜんだな)からか 00110590L2き/残(のこ)りの/鰹節(かつをぶし)をひき出してかぢつてゐるうち、/鉢坊主(はちぼうづ)やら 00110600L3/経山寺(きんざんじ)、松や山/草(ぐさ)/宝楽(ほうらく)+、/売声(うるこゑ)のせわしなきハ/師走(しわす)の/人= 00110610L4気(ひと=ぎ)。向ひの嚊が/湯気(ゆげ)のたつ/声(こゑ)で、おつやさん+。権助さ 00110620L5んハいつでもこちらよりハ/早(はよ)ふ/起(おき)てじやのに、けさハどふ 00110630L6して/遅(おそ)いと、/内(うち)から/居(ゐ)ながらどやけバ、/隣(となり)の/嚊(かゝ)が、サア不 00110640L7思(十ウ)/義(ぎ)な事じや。/大(おゝ)かたどこぞわるいので/有(あろ)ふ。/尋(たづね)て 00110650L8あげなされと、/銘(めい)&/立合(たちあい)て、権助さん+と/戸(と)を/叩(たゝ)く。/返= 00110660L9答(へん=たう)したらあけねバならず、/是(これ)も又/気(き)をひやしながら、だま 00110670L10つていれバ、/此位(このくらい)/叩(たゝ)くのに/返答(へんたう)のないハ/頓死(とんし)じやないか 00110680L11と、/評定(ひやうでう)/半(なかバ)へ/戻(もどつ)てくる/隣(となり)の/亭主(ていしゆ)、此よしを/聞(きゝ)て、ほつてハ 00110690L12/置(おか)れぬ。戸をこぢあけいといふ/声(こゑ)に、/内(うち)にハはいもう。/表(おもて) 00110700L13から/戸(と)をこぢ/明(あけ)て、どや※と/這(は)入バ、(十一オ)権助でハ 00110710L14ないしらぬ/顔(かほ)。/是(これ)ハとあきるゝばかりに、ぜひなく、権助 00110720L15がばくちにまけたやうすハ/噺(はな)せど、さすがは/鷺(さぎ)ぬすミにや 00110730L16つたともいわれず、/着物(きもの)かつて/伯父貴(おぢき)の/所(ところ)へ/無心(むしん)にいた/間(ま) 00110740L17ニ/合(あい)、/今(いま)まで/戻(もど)らぬハなんでも/只(たゞ)事でハないと、/吐息(といき)つい 00110750L18で十兵衛が/噺(はなし)に、/皆(ミな)&も/気遣(きづか)ひがり、かゝりあふた不/肖(せう)、 00110760L19/御苦労(ごくろう)ながら、おまへ/尋(たづね)てあげなされといふた所がはだか。 00110770L20しよふハ(十一ウ)なし。おれが/着替(きがへ)とつてこいと/亭主(ていしゆ)がさ 00110780M1しづに、/隣(となり)の/嚊(かゝ)せんだくもんのしつけとり※/着(き)せてくれ 00110790M2る/綿入(わたいれ)ハ、/居風呂(すへふろ)へ/這入(はいつ)た/心持(こゝろもち)。気がゆりてふるいだすひ 00110800M3ざぶし/踏(ふミ)しめて、/一礼(いちれい)そこ+、/先(まづ)心/当(あたり)の/所(ところ)を/尋(たづね)に/出行(いでゆく)。 00110810M4さて又権助ハ、もふ/明(あけ)るか+と/待(まつ)一ト/時(とき)のとけしなさも、 00110820M5どふやらかうやら/東雲(しらミ)かゝる/嬉(うれ)しさ、ほんのりなるに/随(したが)ふ 00110830M6て、はつきりと見へ/渡(わた)れバ、まづ(十二オ)/何処(どこ)ぞと見おろ 00110840M7すに、世/界(かい)ハ/遥(はるか)したにあつて、のつほりと/空(そら)にある/塔(たう)の/屋= 00110850M8根(や=ね)、すさまじひ/高山(たかいやま)とあきれながら、/何所(どこ)じやと/合点(がてん)ゆか 00110860M9ず。なんでも/高野(かうや)か/金剛山(こんがうせん)か。/但(たゞ)しハ/吉野(よしの)の/蔵王堂(ざわうだう)でハな 00110870M10いかと、あたりを見れバ山もなし。/遥(はるか)のしたに/建続(たてつゞい)たる/人= 00110880M11家(じん=か)に、きよろりと/高屋根(たかいやね)の二つあるハ、どふやら大坂の/両= 00110890M12御堂(りやう=ミだう)見るやうなと、つく※見/渡(わた)せバ、/其身(そのミ)ハ/天王(てんわう)(十二ウ) 00110900M13/寺(じ)の塔の屋/根(ね)にとゞまつていれバ、大きに/肝(きも)をつぶし、/飛(とん) 00110910M14でおりたらからだはミぢん。此/侭(まゝ)いれバ/干死(ひじに)より、まあこ 00110920M15ゞへて/仕舞(しまう)と/思(おも)ふと、/俄(にハか)にうろたへがきて、/死(しの)ふと思ふ/覚= 00110930M16期(かく=ご)も今になつておしうなつた/命(いのち)。たすけ/舟(ぶね)+と/泣(なき)わめく 00110940M17こゑを、/吹(ふき)おろす/寒風(かんふう)、/一人(ひとり)が/聞(きゝ)つけ/二人(ふたり)か見付、塔のう 00110950M18へに人があがつて/居(ゐ)ると、天王寺ハ人の山。どふして/上(あがつ)た 00110960M19ものじやと、とり※(十三オ)/評判(ひやうばん)も/仕舞(しまい)のつかぬ権助が 00110970M20身のうへ心ならず。十兵衛ハ/方(はう)※とさがすうち、/将碁嶋(しやうぎしま) 00110980¥P331 00110990¥G(十四ウ・十五オ) 00111000M1に/土(ど)左衛門があるといふ/噂(うわさ)、そふでハないかと/往(い)て見れバ、 00111010M2そふでもなし。/若(もし)やおまわりの手にあひハせぬかと、八/軒(けん) 00111020M3屋を/西(にし)へ/松屋町(まつやまち)を/南(ミなミ)へはしるに、/向(むか)ふからくる人/毎(ごと)に、あ 00111030M4の/高(たか)ひ/処(ところ)へどふしてあがつたのて有ふ。イヤ、あゝして/置(おい) 00111040M5たら今のうちに/凍(こゞへ)て/死(し)ぬのと、とり※いふてくるを/聞(きゝ) 00111050M6(十三ウ)/付(つけ)、/耳(みゝ)にかゝつて、申、/何(なん)でこさりますると/尋(たづぬる)に、 00111060M7されバめづらしい事じや。天王寺の/塔(たう)のうへに、三十四五 00111070M8なあらじまの/布子(ぬのこ)/着(き)た/男(おとこ)があがつて/居(ゐ)るが、どふして/上(あがつ)た 00111080M9ものじやと、天王寺ハすさまじい人だかりじや。いて見い 00111090M10とハどふやらあふた/注文(ちうもん)。/何(なん)ンでも/合点(がてん)ゆかずと、/夫(それ)より 00111100M11天王寺へかけゆき、/塔(たう)の/方(かた)へ/行(ゆく)に、/早(はや)/西門(さいもん)から/崩(くづる)る人の山、 00111110M12/段(だん)&おし/分(わけ)てまへゝ出て、塔を(十四オ)(十四ウ・十五オ挿絵) 00111120M13見あぐれバ、まがいもなき権助。たすけてくれい+とい 00111130M14ふ/斗(ばかり)で、さけべとなけど/甲斐(かひ)もない/他人(たにん)△あゝして/置(おい)たら 00111140M15/今(いま)の/間(ま)に/凍(こゞへ)てしもふといふものばかりで、/誰(たれ)が/一人(ひとり)どふせ 00111150M16うといふものもなく、十兵衛/気(き)をもんで、しぼりだした/知= 00111160M17恵(ち=ゑ)ハ、/四隅(よすミ)から/蒲団(ふとん)を/引(ひつ)はつて、上からとばす/思案(しあん)。こい 00111170M18つハゑらいと/村役人(むらやくにん)が/立(たち)あふて、/塔中(たつちう)へ人をはしらせ、/取(とつ) 00111180M19て/来(き)た/蒲団(ふとん)を/調子(てうし)づいて/引(ひつ)はりてだら(十五ウ)け、どふや 00111190M20らかうやらもみくじにして、/当(あたつ)た四人が、どんなものじや 00111200¥P332 00111210L1とうでまくりして/蒲団(ふとん)を/持行(もちゆく)を、/傍(そば)からある老人が/鳩(はと)の/杖(つへ) 00111220L2をつつはりながら見て/居(ゐ)て、さりとハ/貴(き)さまたちハ/命(いのち)しら 00111230L3ずじやといふ/故(ゆへ)/聞(きゝ)とがめ、コレ親仁どの。おかしい事をい 00111240L4わんす。どふしてをいらが命しらずじやと/尋(たづぬ)れバ、/老人(らうじん)/言= 00111250L5様(いふ=やう)、されバ、まへかた京の/東寺(とうじ)に/塔(たう)の/普請(ふしん)の/有(あつ)た/時(とき)、/足代(あししろ) 00111260L6をとつた/跡(あと)に、どふうろたへたやら(十六オ)/日傭(ひよう)が一人/残(のこり) 00111270L7ていたを、/去(さる)る/案者(あんしや)が、てうど其やうに/四隅(よすミ)から/蒲団(ふとん)をひ 00111280L8つはらして、うへからとばしたが、いかにも/飛(とん)だものハ 00111290L9/助(たすかつ)つたが、四隅から蒲団をひつはつている/者(もの)の/手(て)がはづ 00111300L10れるとたんに、四人の/天窓(あたま)が/一時(いちどき)にかちあふて/死(しん)で/仕舞(しまふ)た。 00111310L11其/証拠(せうこ)ハ、今に/東寺(とうじ)に/四塚(よつづか)といふ/古跡(こせき)が/残(のこつ)て/有(ある)と、/物識(ものしり)の 00111320L12/親仁(おやじ)の/詞(ことバ)に/舌(した)を/巻(まい)て、四人ながらあとじより。しかし此/侭(まゝ) 00111330L13/捨(すて)てもおかれず、/夫程(それほど)(十六ウ)/故事来暦(こじらいれき)しつた/物識(ものしり)の/親仁(おやじ) 00111340L14どの、/定(さだめ)て人の/怪我(けが)せぬやうな、よい/分別(ふんべつ)が/有(ある)であらふと 00111350L15/取巻(とりまい)てのたのミ。親仁うかめた/顔(かほ)で、サア/助(たすけ)る/分別(ふんべつ)がない 00111360L16でもないが、/少(ち)と/費(ついべ)がゆくと/言故(いふゆへ)、/村役人(むらやくにん)/言(いふ)やうハ、あれ 00111370L17があのなりで/置(おい)て/凍(こゝへ)て/死(し)なば、/足代(あししろ)かいて/御倹使(ごけんし)/願(ねがハ)にやな 00111380L18らぬ。そふなると、よつぽどの/物入(ものいり)。/大概(たいがい)な事で/助(たすか)る事なら、 00111390L19/夫程(それほど)/結構(けつかう)な事ハない。/人間(にんげん)/一人(ひとり)助けるハ/仏(ほとけ)/千体(せんたい)/造(つく)る/功徳(くどく)と、 00111400L20/惣(そう)※の(十七オ)/頼(たのミ)に、なるほど其/物入(ものいり)さへ/得心(とくしん)なら/陰徳(いんとく) 00111410M1にもなる事、いかにも/知恵(ちゑ)かして/進(しん)ぜふ。ハテ/秘事(ひじ)ハまつ 00111420M2げじやいふてしまへバ、なんでもない事。アノ/塔(たう)のまへゝ 00111430M3/囲(かこゐ)をして、其中へほくちを二三百/俵(ひやう)、/損料(そんりやう)で/借(かつ)て/来(き)てうち 00111440M4あけ、其/上(うへ)へとばしたら、人も/損(そん)ぜす、/上(うへ)の人もぶ/難(なん)て/助(たすか) 00111450M5る。/跡(あと)のほくちハ、へりも/損(そん)じもせねバ、/何(なに)にも/費(つゐへ)の/行事(ゆくこと) 00111460M6ハないと、/遉(さすが)/老人(らうじん)の/分別(ふんべつ)。/皆(ミな)&/感入(かんじいり)て、/何(なに)をいふても/凍(こゞへ)て 00111470M7(十七ウ)/死(しん)だ/跡(あと)でハせんのない事と、/丸太(まるた)をとりに/走(はし)るや 00111480M8ら、/板(いた)やら/釘(くぎ)やら/方(はう)※へ/手配(てくバり)して、/先(まづ)さきへ/問(とい)屋へ/走(はしつ)た 00111490M9/人数(にんじゆ)が、/追(おい)&ほくちの/俵(ひやう)をかたげこむうち、/早(はや)/出来上(できあが)つた 00111500M10/囲(かこゐ)の/中(うち)へ、/段(だん)+に/打(うち)あくれハ、/時(とき)の/間(ま)に/百足山(むかでやま)見るやう 00111510M11な山が出来、/是(これ)ハうまいと一/等(どう)の/安堵(あんと)、/助(たすけ)てやるわい。と 00111520M12べやい+と/皆(ミな)&手をたゝきわめくと、権助ハうへから此 00111530M13/体(てい)を見て、さも/嬉(うれ)しそふに身づくろひして/飛(とん)だ(十八オ)と 00111540M14ころが、/眼(め)から/火(ひ)が出て、/焼死(やけしん)でしもふた 00111550M15△△○売話郎/曰(いわく)、/鹿(しか)をさして/馬(むま)といひしも物かハ、/鷺(さぎ)に人を/乗(の)す 00111560M16△△△る/滑稽(こつけい)。/故人(こじん)/桂(かつら)、/常(つね)に此/話(はなし)を/説(とい)て/絶妙(ぜつめう)を/感(かん)ず。/作者(さくしや)ハ/明和(めいわ) 00111570M17△△△の/頃(ころ)、世に/鳴(なり)し/唐綱(からつな)といふ/雅人(がじん)なるよし、/物換(ものかハり)/星移(ほしうつり)し/事(こと) 00111580M18△△△なれバ、/其詳(そのつまひらか)なる事を/知(しら)らず 00111590¥Y1鳩潅雑話三終△(十八ウ) 00111600¥P333 00111610¥T1/鳩潅(きうくわん)雑話△四 00111620¥N1¥J 00111630¥X/美(くび) 00111640L5/洛東(らくとう)/祇園町(ぎおんまち)/辺(へん)に/住居(ぢうきよ)する/井上(ゐのうへ)/何某(なにがし)といふ/画師(ゑし)、/当時(たうじ)/河東(かわひがし)に 00111650L6て、/美(くび)と/称(せう)ずる/妓芸妓(おやまげいこ)の/姿画(すがたゑ)を/写(うつ)し/出(だ)すに、/元(もと)より/紅毛(おらんだ)の 00111660L7/人物(じんぶつ)をかき/得(ゑ)たるものなれバ、/能(よく)/精神(せいしん)を/備(そな)へ、/艶気(ゑんき)/人情(にんじやう)を 00111670L8/動(うご)かせバ、京大坂/近国(きんごく)の/雅人等(がじんら)、/専(もつハ)ら此/画(ゑ)を/賞翫(しやうくわん)して、/買(かう) 00111680L9人、/洛東(らくとう)に/市(いち)をなしける。其/頃(ころ)/西国(さいこく)て(一オ)/大諸侯(おゝだいめう)の/家中(かちう) 00111690L10/宍戸(しゝど)/権(ごん)左衛門といふ人、/録(ろく)五千/石(ごく)を/領(りやう)じて/家系(かけい)も/正(たゞ)しく、 00111700L11/年(とし)も/初老(しよろう)を/過(すぎ)、/物(もの)の/道理(どうり)をも/弁(ハきま)ゆる/人物(じんぶつ)なれバ、/一家中(いつかちう)の 00111710L12/用(もちひ)も又/軽(かろ)からず。ときに/或(ある)人、此/井上(ゐのうへ)/何某(なにがし)が/写画(うつしゑ)を/携(たづさへ)/来(きた) 00111720L13つて、此/節(せつ)此/画(ぐわ)、/専(もつぱ)ら京/都(と)にて/流行(りうかう)するよし申/故(ゆへ)、権左衛 00111730L14門/是(これ)を見るに、うるハしき/女(おんな)の/姿画(すがたゑ)にして、/両眼(りやうがん)の/精神(せいしん)/唇= 00111740L15舌(しん=ぜつ)の/紅潤(うるほい)、一チ/美人(びしん)の/面俤(おもかげ)に/細蜜(さいミつ)を/尽(つく)したる(一ウ)/筆妙(ひつめう)、 00111750L16/誠(まこと)に/活(いけ)る/如(ごと)くなれバ、/大(おゝい)に/感心(かんしん)して、此/画(ゑ)ハ/何者(なにもの)をか/写(うつ)し 00111760L17/出(いだ)すと/問(と)ふに、/則(すなハち)/当時(たうじ)京/都(と)/祇園町(ぎおんまち)に/於(おい)て、/美(くび)の/随一(ずいいち)と/賞(しやう) 00111770L18す/木(き)屋のわさといふ/芸妓(げいこ)の/姿画(すがたゑ)にして、/容色(ようしよく)の/艶(ゑん)なる/斗(ばかり)に 00111780L19あらず、こゝろばせも又/高(たか)し。/先年(せんねん)/故(ゆへ)ありて/嶋原(しまバら)の/廓(くるハ)に/謫(なが) 00111790L20されしとき、 00111800M1△△△/罪(つミ)なくてうきしまはらや/夏(なつ)の月 00111810M2といふ/句(く)あり。此/発句(ほつく)、/都鄙(とひ)に/伝(つた)へて、/聴人(きくひと)(二オ)/歎賞(たんしやう)せ 00111820M3ざるハなし。/高名(かうめい)ます+たかく、/田舎(いなか)より/登(のぼる)/道者(どうしや)も、先 00111830M4/祇園(ぎおん)/清水(きよミづ)とハ/言(いは)ず、此/女(おんな)を/一見(いつけん)せんと/競(きそ)ふなりと、つぶさ 00111840M5に/次第(しだい)を/物語(ものがた)れバ、権左衛門ため/息(いき)ついて、さて+/後世(こうせい) 00111850M6/恐(おそ)るべし。加/賀(が)の/千代尼(ちよに)、/一代(いちだい)に/秀逸(しういつ)/多(おゝ)しといへども、此 00111860M7うきしまバらほどの/高調(かうてう)なし。/真(まこと)に/艶色(ゑんしよく)といひ/高雅(かうが)と/言(いひ)、 00111870M8いにしへの/小町(こまち)、/衣通姫(そとをりひめ)にもおとるまじと/大(おゝい)に/心(こゝろ)を/動(うごか)して、 00111880M9いたづらに/画(ゑが)ける/女(おんな)(二ウ)に/迷(まよ)ひ/初(そめ)けるこそ浅ましけれ。 00111890M10されども/役柄(やくがら)に/恥(はぢ)、年に恥、さあらぬ/体(てい)にて此/姿画(すがたゑ)を/所望(しよもう) 00111900M11し、/朝夕(あさゆふ)/座右(ざゆう)に/掛置(かけおき)、/是(これ)を/詠(なが)むれバ、/艶色(ゑんしよく)/日(ひ)※に/弥増(いやます)や 00111910M12うに/思(おも)ひ、/斯(かゝ)る女を/閨(けい)中の花と/詠(なが)めてこそ、人たる/身(ミ)の/過= 00111920M13報(くわ=ほう)ともいふべしと、/是(これ)より二十/年(ねん)/添(そひ)し/妻女(さいじよ)の/顔(かほ)ハ見るもう 00111930M14るさく、/生涯(せうかい)に大坂蔵屋敷か京/都(と)御用にて上方へ/罷登(まかりのぼり)、 00111940M15此女と/因(ちなミ)て、/手枕(たまくら)の/契(ちぎ)りなりともかわしたしと、/俄(にハか)に(三 00111950M16オ)/神(かミ)に/誓(ちか)ひ、/仏(ほとけ)にいのり、/役人(やくにん)に/賄路(まいない(ママ))して、京/摂(せつ)の/役付(やくづき) 00111960M17を/願(ねが)ひけるが、/神仏(かミほとけ)の/奇特(きどく)ハしらず、/黄金(わうごん)の/光(ひかり)、/忽(たちまち)/輝(かゝやき)、 00111970M18大坂/留主居(るすゐ)に/撰(ゑら)はれて/登(のぼ)りけるが、/大役(たいやく)の事/故(ゆへ)、御用しげ 00111980M19く/閑暇(ひま)を/得(ゑ)ねバ、/俄(にハか)に/虚病(きよびやう)を/構(かま)へ、/有馬(ありま)/入湯(にうとう)と/披露(ひろう)して、 00111990M20五十日の/暇(いとま)を/願(ねが)ひ、/蜜(ひそか)に上京して/木(き)屋町に/借(かし)座敷をかり、 00112000¥P334 00112010¥G(四ウ・五オ) 00112020M1出入の御/服所(ふくしよ)をバかたろふて、祇園町に/遊行(ゆうかう)せんと/思(おも)へど 00112030M2も、/名(な)たゝたる/井筒(いづゝ)/一(いち)チ/力(りき)、/扇(せん)九などハ/大青楼(おゝぢやや)(三ウ)の事 00112040M3/故(ゆへ)、目だちてハ大坂/蔵(くら)屋/敷(しき)へ/聞(きこ)へもあると、/蜜(ひそか)なる/川端(かハばた)の 00112050M4/小青楼(こぢやや)を/求(もと)め、/呉服所(ごふくしよ)を/同伴(どうはん)して/登(のぼ)りけるが、/先(まづ)/出立(でたち)ハ/鳶= 00112060M5絽(とび=ろ)の/紋付(もんつき)の/羽織(はおり)に、かたびらハゑちごじまのひんぬき、 00112070M6/紫柄(むらさきづか)の/大小(だいしやう)/尻下(しりさが)りに、二/階(かい)へ/打通(うちとを)れバ、おしきせのと 00112080M7さん/盃(さかづき)おさかなよりハ、マア人を/走(はし)らす/木(き)屋の/先生(せんせい)ハ、/外(ほか) 00112090M8の/楼(ろう)へ/請(せう)ぜられて、/跡(あと)からの御/返事(へんじ)。おのぶ/様(さん)か、/来(き)三さ 00112100M9んか、/夫(それ)が/間違(まちが)ふたら来ゑるさんが(四オ)(四ウ・五オ挿絵)よ 00112110M10いと/仲居(なかゐ)がさしこミに、/追(おい)+/入(いり)くる花やか/座敷(ざしき)。/頃(ころ)しも 00112120M11/水無月(ミなづき)/末(すへ)つかた、/炎暑(ゑんしよ)の/時(とき)なれバ、二/階(かい)の/障子(しやうじ)/悉(こと※)くあけ 00112130M12/放(はな)すに、/西(にし)山の/斜日(しやじつ)いらかに/映(ゑい)じて、/洛中(らくちう)に/照付(てりつけ)る/夕(ゆふ)ばへ 00112140M13も、/次第(しだい)につれなく/暮(くれ)てゆく/河原(かハら)の/風景(ふうけい)、/東西(とうざい)の/楼頭(ろうとう)、/南= 00112150M14北(なん=ぼく)の/人影(じんゑい)、/数万(すまん)の/灯(ともしび)/星(ほし)のごとく、/川浪(かハなミ)に/揺動(ようどう)して一チ/輪(りん) 00112160M15の/明月(めいげつ)、/空中(くうちう)に/澄(すミ)/登(のぼ)るけしきすべて/遠(とを)く、見るものに/余情(よじやう) 00112170M16ふかふして、/涼風(りやうふう)一チ/面(めん)に(五ウ)/吹来(ふきく)る/有様(ありさま)、/誰(たれ)か心を 00112180M17よろこバしめぬものもなきに、/権(ごん)左衛門ハ心にかゝる山の 00112190M18/端(は)あれハ、/都(ミやこ)の/涼(すゞミ)ミもおもしろからず、一チ座の/艶色(ゑんしよく)も/土(つち) 00112200M19くれのやうに/思(おも)ふて、/追(おい)+やる七/度半(どはん)の/使(つかい)に、/漸(やう+)/只(たゞ)今 00112210M20わささん御/出(いで)との/返事(へんじ)ハ元朝のあけ/烏(がらす)、はんなりするげた 00112220¥P335 00112230L1の音ハころりかつぷり、/胸(むね)のどう気の/栞(しほり)して、とん+と 00112240L2のぼるはしごも/早(はや)九つの/店仕舞(ミせじまい)、らうそくが何ぼで/雑用(ざうよう)が 00112250L3いくらいる(六オ)やら、/案内(あんない)しらぬ座敷も又かいな、お/間(あい)、 00112260L4ソレ/鉢(はち)水。お/吸(すい)物ハまだか。/摺(すり)もん/貰(もらい)ひたか。はやり/哥(うた)覚 00112270L5たわへ。/陽気(ようき)じやげな。こちらはしゆミかたカイナ。プ 00112280L6ウンなどハお定りのもやう。小ぎくて/額(ひたい)ふく、ゑりつくろ 00112290L7ふ、/眉毛(まゆげ)なでる、/楊枝(やうじ)で/歯(は)せゝるなどハ/客方(きやくかた)の/臭気(しうき)。さて 00112300L8又/遊女(ゆうじよ)のつらのかハの/厚(あつ)きハ、/始(はじめ)ての/客(きやく)にもおめず/億(おく)せず、 00112310L9ヨウ+/美(くび)さん。きついきしましやうなどゝ、/仲居(なかゐ)が/誉詞(ほめことば) 00112320L10のおだてを(六ウ)/片頬(かたほ)でうけて、しれた事といふやうなな 00112330L11めた所に、/水際(ミづぎハ)のたつ/都(ミやこ)の/風俗(ふうぞく)。ほれた/者(もの)が/来(く)ると、むし 00112340L12やうにめいるが/愡(ほれ)られたい心/配(はい)、/向(むか)ふに/気(き)のない事に/骨折(ほねおり) 00112350L13て、/茶(ちや)やからさしこんだ/女郎(じよろう)を/閨中(けいちう)へもいれず、きたなぶ 00112360L14れぬきたなさか、あハれ/千万(せんばん)なものなり。さて権左衛門ハ 00112370L15わさの/容色(ようしよく)、/画(ゑ)に百/倍(ばい)すれバ、そゞろ/執心(しうしん)/弥増(いやま)せども、ま 00112380L16んざら一チげんからくどかれもせねバ、/翌日(よくじつ)又/楼(ろう)へ(七オ) 00112390L17/登(のぼ)り、/花車(くわしや)に/腹心(ふくしん)をあかせバ、あのお/子斗(こばかり)ハそんな/相談(さうだん)ハ 00112400L18/出来(でき)ませぬと、すげない/詞(ことバ)が/猶(なを)/床敷(ゆかしく)、/首尾(しゆび)さへ/調(とゝの)へバ二百 00112410L19両や三百両ハいとハぬと、かねてつらはる/田舎大尽(いなかだいじん)、/殊(こと)に 00112420L20五十日といふ/限(かぎり)ある/遊興(ゆうけう)なれバ、どふぞかけやうがありそ 00112430M1ふなものと、眼のさやぬけし花車が/采配(さいばい)。まづわさに/吹(ふき)こ 00112440M2んで、いやといふを/地合(じあい)ばかりと/叩(たゝ)きつけるが、てづまの 00112450M3はじまり。/芝居(しばゐ)のさじき(七ウ)からけん/会(ぐわい)の/畳(たゝミ)、/芸妓(げいこ)の/惣= 00112460M4揚(そう=あげ)、/舞子(まいこ)の/大集(おゝよせ)、/生洲(いけす)の/夜喰(やしよく)、二/軒(けん)/茶(ぢや)屋の/朝(あさ)めし、さ阿/弥(ミ) 00112470M5でハ/俄(にハか)の/仕出(しだ)し、/北(きた)さのでハ/踊(おどり)の/稽古(けいこ)。/夫(それ)から/粋(すい)に/実(ミ)が入 00112480M6り、/芙雀(ふじやく)/園枝(ゑんし)と/知己(ちき)になるか、松屋丁を/呼(よび)にやるか、八百 00112490M7蔵の娘がお/龍(りう)て、庄次郎の娘ハおうた、/粋(すい)か川ハ/亭我(ていが)の/述= 00112500M8作(じゆつ=さく)、そろまハ淀吉が/箱(はこ)、/井筒(ゐづゝ)の/主人(しゆじん)の/和哥(わか)、/自仙坊(じせんぼう)の/茶会(ちやのゑ)、 00112510M9四つ井へは/西阿弥(さいあミ)が/往(ゆく)の、/笛田(ふへだ)へハ/大村(おゝむら)屋が/出「で)いり(八オ) 00112520M10/浪華(なには)の津/浜(はま)が京/住(ぢう)になつて、/竹林寺(ちくりんじ)のとせが大坂へ/嫁入(よめいり)し 00112530M11た/噂(うハさ)まで、わけ/登(のほ)る/麓(ふもと)の/道(ミち)ハ/多(おゝ)けれど、つゞまる/所(ところ)ハお/敵(てき) 00112540M12へ/当(あて)にゆくいやミの一ツ/方(はう)。どふしても/根(ね)が山の/芋(いも)で、と 00112550M13れぬ/土気(つちけ)ハ/芝居(しばゐ)でする/田舎侍(いなかざむらい)の/地合(ぢあい)、引のばしたからくり 00112560M14の/糸(いと)も、もふ十日ほどにせまつて五十日のおいとま、/花車(くわしや) 00112570M15が/取(とり)あつかひがもどかしなつて、わさに/直談(ぢきだん)のべたくどき 00112580M16も、/気味(きミ)やい(八ウ)のない/田舎者(いなかもの)なれど、かゝつた/義理(ぎり)ハ 00112590M17つらい/人情(しんじやう)。まんざらつきはなしてもしまわれねバ、おま 00112600M18へさまの御/深切(しんせつ)ハきつと/受(うけ)ていますけれども、こちらにち 00112610M19つと/引(ひつ)かゝつた事がと/言(いひ)のばすが、/爰(こゝ)までござれのむさし 00112620M20/野(の)ゝ/迯水(にけミづ)。どつこまでも/追(お)ふて/行(ゆく)/侍(さむらい)のそうげんに、わさ 00112630¥P336 00112640¥G(九ウ・十オ) 00112650M1もこわげたち、それから/病気(びやうき)にして/再(ふたゝび)あわぬけふの/細布(ほそぬの)。 00112660M2/胸(むね)せまき権左衛門が/通路(かよひぢ)、けふも/病気(びやうき)、/翌(あす)も(九オ)(九ウ・ 00112670M3十オ挿絵)病気、とふ※五十日の/日切(ひぎり)のきた/身(ミ)の/切(せつ)ぱ、/始(はじめ) 00112680M4てだまされたと心ハ/付(つけ)ども、/最早(もはや)つかひこんだ/仕過(しすご)しハ二 00112690M5千/両余(りやうよ)。/所詮(しよせん)/退役(たいやく)してから申/訳(わけ)ハないと、/腹(はら)一つに/極(きハ)めた 00112700M6/覚期(かくご)も/手枕(たまくら)さへかハさぬ/心外(しんぐわい)、人の/花(はな)に/詠(ながめ)さすもねたまし 00112710M7と、ふつとおこる/悪念(あくねん)、/姿画(すがたゑ)一/枚(まい)から/棒(ぼう)にふる五千/石(ごく)、/追(おい) 00112720M8+大坂/蔵(くら)屋/敷(しき)へ此やうすがしれ、/迎(むかい)にくる/役(やく)人ハミな/懇= 00112730M9意(こん=ゐ)の/朋友(ほうゆう)。/家柄(いゑがら)を/言(いひ)たてゝの/異(ゐ)(十ウ)/見(けん)に、/其身(そのミ)も/面目(めんぼく)な 00112740M10く、/先祖(せんぞ)を/思(おも)ひ/妻子(さいし)を思ひ、一ト/先(まづ)大坂へ/下(くだ)るべしと、/旅= 00112750M11宿(りよ=しゆく)をかた/付(づけ)、/荷物(にもつ)ハ/追(おい)+/伏見(ふしミ)へ/出(だ)して、其/身(ミ)ハ/袷(あわせ)にぶつ 00112760M12さき/羽織(ばおり)、/大小(だいしやう)しやんと/一僕(いちぼく)に/狭箱(はさんばこ(ママ))をもたせ、/竹田街道(たけだかいどう)を 00112770M13/伏見(ふしミ)へ/出(で)ると/思(おも)ひしに、どふしたものやら、うか+と/川= 00112780M14東(かわ=ひがし)へ/来(き)て、四/条(でう)の/板橋(いたばし)を/渡(わた)るに、/始(はじ)めて/性根(しやうね)つき、/建仁寺(けんにんじ) 00112790M15/町(まち)を/下(しも)へさがらんと、四/条(でう)の/角(かど)をまがりとで、/木(き)屋のわさ 00112800M16に(十一オ)はたと/行逢(ゆきあへ)へバ、すさまじう/仰天(げうてん)して、/詞(ことば)さへ 00112810M17かけず、/其侭(そのまゝ)/引(ひつ)かへして/迯行(にげゆく)に、ぐつと/肝積(かんしやく)さしこミ、お 00112820M18のれのがさじと、/人体(じんたい)/捨(すて)て/追(おつ)かくる/故(ゆへ)、わさハ/祇園(ぎおん)町のう 00112830M19ら/茶(ぢや)屋へ/迯込(にげこミ)、/侍(さむらい)が/来(き)たら/隠(かく)してくれいと/言(いひ)、二/階(かい)へ/迯(にげ)あ 00112840M20がる/故(ゆへ)、/家(か)内ハ/何(なに)事やらんと/肝(きも)つぶす/間(ま)もなく、権左衛門 00112850¥P337 00112860L1/追来(おいきた)りて、/只今(たゞいま)此所へ迯込し女を出せ。かくすに/於(おゐ)てハ/言= 00112870L2分(いひ=ぶん)ありとのゝしるを、(十一ウ)/亭主(ていしゆ)いろ+ちんずれども 00112880L3/聞(きか)ず。権左衛門ハ二/階(かい)のぎしつくに/眼(め)を/付(つけ)、あがろふとす 00112890L4るを/引(ひき)とめる亭主を/真(まつ)二つ、びつくりしにげる/嚊(かゝ)をけさ/切(ぎり) 00112900L5やら、/掴(つか)ミかゝる/料理人(りやうりにん)を/段(だん)はしごから/胴切(どうぎり)にして、二/階(かい) 00112910L6へあがる/物音(ものおと)。/押入(おしいれ)に/隠(かくれ)るわさハきもたましひもあらず、 00112920L7がた※ふるふにありかしれて、/南(ミなミ)からあける/押入(おしいれ)の/襖(ふすま)、 00112930L8/北(きた)へぬけて/迯(にげ)てあがる/物干(ものほし)、すかさず/帯(おび)の(十二オ)/端(はし)をと 00112940L9られし。一/生懸命(せうけんめい)わさハ、アレイと/叫(さけ)びながら、/物干(ものほし)から 00112950L10/下(した)へ/飛(とび)おりるを、のがさじと権左衛門も、/続(つゞい)て物干から/飛(とん) 00112960L11だと/思(おも)ふて、/目(め)がさむれバ、/在(あり)しに/替(かハ)らぬ/国(くに)の/閨中(けいちう)。思ふ 00112970L12事を/夢(ゆめ)に見る/都(ミやこ)の/一件(いつけん)ハ、/年(とし)たけても/替(かハ)らぬ/色情(しきじやう)の/意気地(ゐきぢ)、 00112980L13/必竟(ひつきやう)/夢(ゆめ)なれバこそ/馬鹿(ばか)+/敷(しい)事と、/己(おのれ)に/恥(はぢ)るも/知命(ごぢう)にち 00112990L14かき/人柄(ひとがら)、/鶏(とり)のうたふハ七つでもあらんかと/思(おも)(十二ウ)ふ 00113000L15うち、/戸(と)の/透(すき)間よりしら+/明渡(あけわた)れバ、/雨(あま)戸/押(おし)やるに、あ 00113010L16さがほハ/垣(かき)根にはなのひもときて、白蓮ハ/涼(すゞ)しくも/池(いけ)にさ 00113020L17かりを見するを、やゝ/見(ミ)とれ、其/侭(まゝ)/水(ミづ)やに/設(もふけ)し/琉球風(りうきうぶ)呂の 00113030L18/炭(すミ)をなをし、/独腹(とくふく)の/薄茶(うすちや)にはらわたを/洗(あら)ふ/折節(おりふし)、/用人(ようにん)/罷= 00113040L19出(まかり=いで)て、御/役所(やくしよ)より御/出仕(しゆつし)/有(ある)べき/旨(むね)、御/触状(ふれでう)/参(まい)りしと/差出(さしいだ)せ 00113050L20バ、/何事(なにごと)やらんと/直(ぢき)に/髪月代(かミさかやき)申付、/上下(かミしも)ため付て、御役/所(しよ) 00113060M1へ(十三オ)罷出たる所、此度御/国(くに)の/姫君(ひめきミ)、/去(さ)る/堂上方(とうぜうがた)の御 00113070M2/簾中(れんちう)に/定(さたま)り、右に付て京都/御殿(ごでん)御/普請(ふしん)/并(ならび)に御買物方/兼帯(けんたい)の 00113080M3/役付(やくつき)ハ、権左衛門が/多年(たねん)の/念願(ねんぐわん)、/喜悦(きゑつ)のまゆをひらいて/上(じやう) 00113090M4京する/迄(まで)が、/這話(このはなし)の/発端(ほつたん)。此/続(つゞき)、/巻数(くわんすう)四巻を/積(つめ)バ、/後扁(こうへん) 00113100M5として/次(つぎ)に出す 00113110¥Y1鳩潅雑話四△大尾△(十三ウ) 00113120¥P338 00113130¥Y乍憚口上 00113140L3扨どなた/様(さま)へも申上まする。/近年(きんねん)ぼれておりまする/私(わたくし)に、 00113150L4御/贔屓(ひゐき)とござりまして、/此跋(このばつ)を/書(かけ)よとおつしやつて/下(くだ)さり 00113160L5ますれど、ぶがんにない/時(とき)でさへ/文盲(もんもう)な/私(わたくし)、/顔(かほ)見世の口上 00113170L6ならバ、チヽチン+の/無間(むけん)の/鐘(かね)でも/語(かた)りませうけれど、 00113180L7とんと/何(なん)にも/才(さい)かくが/出(で)きませぬが、/漸(やう)+/若(わか)ひとき/聞(きゐ)て 00113190L8/置(おき)ましたゑらいゑい/噺(はなし)を、一つ/思(おも)ひ/出(いだ)しました。(十四オ)お 00113200L9/御苦労様(ごくらうさま)ながら、/夫(それ)なと/書(かい)て/置(おか)しやつて/下(くだ)さりませ。ヱヽ 00113210L10/扨(さて)其はなしは、 00113220L11△△○あんどうの/下皿(したさら)が、/上皿(うハさら)に/向(むか)ひ申まするやうハ、/是迄(これまて)/数年(すねん)、 00113230L12△△△下/皿(さら)の/役(やく)もつとめて、あいたによつて、/是(これ)から/相談(さうだん)して、 00113240L13△△△一トよさ/替(かは)りに、上/皿(さら)にならふと申ますれバ、上/皿(さら)申ます 00113250L14△△△るやうは、/扨(さて)+不/埒(らち)な/事(こと)をいふものじや。おのしハ下/皿(さら) 00113260L15△△△と言から下に/居(ゐ)ねバならぬといふを、サア(十四ウ)/夫(それ)ハ 00113270L16△△△/尤(もつとも)じやが、そこが/日頃(ひころ)の/懇意(こんゐ)づくじや。なんでも一ト/夜(よ) 00113280L17△△△さかはりにせにやならぬ。イヤならぬと、/是(これ)か/互(たがい)にいゝあ 00113290L18△△△がりになつて、こは/高(たか)にせり/合(あひ)まする/処(ところ)へ、/引出(ひきだ)しが/出(で)て、 00113300L19△△△コリヤわいらハ/何(なに)をさハぐ。こちの/内(うち)に/燈心衆(とうしんしう)がいやしや 00113310L20△△△るぞよと、しづめますれどきゝませぬゆへ、/下(した)でハすまさ 00113320L21△△△れぬと、あんどう/美濃(みの)の/紙(かミ)へ/願(ねか)ひ/出(で)ましたれバ、あんどう 00113330M1△△△/殿(どの)、(十五オ)/此(この)よしを/御聞届(おきゝとゞけ)あつて、/双方(さうほう)とも/言訳(いゝわけ)ではく 00113340M2△△△らい+。かきたてゝ/晩(ばん)に/出(で)やれ。あかりを/立(たて)てやろふト 00113350M3△△△ハ、/不調法(ぶてうはう)ハヽヽヽヽヽ 00113360M5△△△△△△△△△生年七十一歳 00113370M6△△△△△△△△△△△△坂東岩止跋(十五ウ) 00113380¥Q 00113390M11△△寛政七夘歳 00113400M13△△△△京都御幸町御池下ル町 00113410M14△△△△△△△△菱屋孫兵衛 00113420M15△△△△大坂心斎橋筋南久宝寺町 00113430M16書林△△△△△△勝尾屋六兵衛 00113440M17△△△△同 00113450M18△△△△△△△△塩屋長兵衛