00000010¥P3 00000020¥U噺本大系△第十六巻 00000030¥T新作/笑話(はなし)の/林(はやし)〔題簽〕 00000040¥G 00000050¥Y 00000060L16天保二年正月刊 00000070L17林屋正蔵作 00000080L18歌川豊国画 00000090L19西村屋与八板 00000100L20中本一冊 00000110¥G(壱オ) 00000120¥Y 00000130M12S/御客様方(おきやくさまがた)え、/当年(たうねん)も/相替(あひかハ)らず/亦&(また+)/有難(ありかた)ひ/御目通(おめどほ)りを/仕(つかまつり) 00000140M13まする。/私事(わたくしこと)/両三年跡(りやうさんねんあと)より/合巻(がふくわん)/又(また)は/落咄(おとしはなし)の/本(ほん)、/色&(いろ+)/著= 00000150M14作(ちよ=さく)いたしまして/高覧(かうらん)に/備(そな)へまするところ、/御(ご)ひゐきあつく、 00000160M15ヤレ/売(うれ)るハ、/流行(はやる)ハとござりまして、/板元(はんもと)の/誂(あつらへ)に、/今年(ことし)ハ 00000170M16/一番(いちばん)/工夫(くふう)いたして、/怪談(ばけものばなし)に/可笑咄(おかしひはなし)、またはおぼえにくい 00000180M17むづかしい咄を、かず+/取集(とりあつ)めまして、/丁数(ちやうかず)ハ/纔(わづか)なれど、 00000190M18/御読被成(およミなされ)て/徳用向(とくようむき)。なんぼ/咄家(はなしか)でも、/是斗(こればかり)ハうそでハござ 00000200M19りません(壱オ) 00000210¥P4 00000220¥N1¥J 00000230¥X山わらふ 00000240L3/初春(はつはる)ハ日ものび+と世間かまわぬ高はなしの大わらい。 00000250L4Sそれに付、わたしがとなりの旦那そゝつかしいといふハ、 00000260L5此としこしの日に釜の下をたくとて、まきがもへぬ+と 00000270L6/小言(ここと)をいゝながら、吹つける火吹竹のいきが出ぬといふを 00000280L7みれハ、火吹竹をさかさまに口へあてゝふくゆへ、口のは 00000290L8たへまつくろく$こんな/輪(わ)を付て居る顔のおかしさ。 00000300L10まきのもへぬのでハなくて、間違て、へつついへ/牛房(ごぼう)をく 00000310L11べてたいて居る。それから/御(お)かミさんか、茶がまをあらつ 00000320L12てふせてあるを見て、おらが内に見なれぬ黒い物がある。 00000330L13なんだときくゆへ、それハちやがまさ。Sなぜ此ちやかま 00000340L14ハ口がない△Sハテ、ふせておいたといへバ、S引くりか 00000350L15へして見て、そこもない。S又わたしが内の(壱ウ)そゝつ 00000360L16かしいもあんまりさ。去年のなつ、よそへ行とて、かむり 00000370L17かさを出せといふから、上り口へ出しておくと、出る先へ 00000380L18たつて、笠ハどふした+といふゆへ、今おまへがいしつ 00000390L19ておいでなされたト見れハ、笠をかふつて居るゆへ、おま 00000400L20へのつむりにあると申たら、Sなぜこんな所へあけておく。 00000410M1まことにこまりはてるといふを、せうしのかけにきいて居 00000420M2て、S又人のうわさをいふ。サア+、年礼に出ねハなら 00000430M3ぬ。長吉+、子僧よ+。それ、したくをしろ。三尺手 00000440M4拭をはいて、もゝ引をかぶつたか。久介+。それ、扇箱 00000450M5の中へはさみはこをいれろト、上下ため付、そう+した 00000460M6くをして向の内へ行、御慶申入ます。Sハイ。はや+と 00000470M7かたしけのふこざり升が、(弐オ)モシ旦那、おまへのさし 00000480M8て御いでなさるハ、わきさしでハない。すりこ木じや 00000490M9Sヱ、にツくい女房め。かよふな事を気をつけべき事なる 00000500M10にと、そう+立かへり、我内とこゝろへ、隣の内の内義 00000510M11かきものをたゝんで居る所へ行、Sヤイ、につくいやつ。 00000520M12わきさしと取違、すりこ木をさしたるをしらぬがほにして、 00000530M13向ふの内ではぢをかいたハ。/た((ママ))んことうたん、じんじきう 00000540M14用、ふとゝきものめとしかれバ、Sこれハしたり、徳兵へ 00000550M15さん。何をおつしやります。こゝハとなりでこざりますト 00000560M16いふを、見れハちかひしゆへ、是ハそゝうと我家へとんで 00000570M17帰り、女房のまへえ手をついて、S只今のふてうほう、ま 00000580M18つ平御めん(弐ウ) 00000590¥N2¥J 00000600¥X大わらひの/眼(め)△△△△△△△△△△¥A可上作 00000610¥P5 00000620L1/初春(はつはる)の/笑(わら)ひはじめに、お/亀(かめ)のやうにわらふ/目(め)を御らんに/入(いれ) 00000630L2ます。てい主S二日のばんの/初(はつ)ゆめに、/鷹(たか)と/茄子(なす)を/見(ミ)まし 00000640L3たが、ナント/目(め)でたからうがト/笑(わら)ふ/処(ところ)へ、/年玉(としたま)にお/亀(かめ)のめ 00000650L4んをもらふたゆゑ、/是(これ)ハなほ/目(め)でたい。そばの人Sコウ、お 00000660L5/亀(かめ)といふ/女(をんな)ハ、いつでも/年(とし)が(三オ)十六七で、にこ+し 00000670L6て、/黛(まゆ)をつけて/下髪(さげがミ)で、/定(さだ)めてみや/仕(づかへ)でもして/居(ゐ)て、/高(たか)い 00000680L7/人(ひと)/歟(か)、ひくい/人(ひと)か△きいた風Sあれハ/高(たか)い/人(ひと)サ。ハテ、/富= 00000690L8士額(ふ=じひたひ)だもの 00000700¥N3¥J 00000710¥Xにわ/鳥(とり)の/眼(め)△△△△△△△△△△△¥A可上作 00000720¥G(三オ) 00000730M1/川柳風(せんりうふう)に、S/関取(せきとり)も/親(おや)にハまけて/見事(ミごと)なり」とあれバ、/鳥類(てうるい) 00000740M2にいたるまでも、/親(おや)のいふ/事(こと)をきくハ/習(ならひ)としるべし。/是(これ)ハ 00000750M3/鶏(にハとり)の/雛鳥(ひよつこ)、/兄弟(けうだい)にて/虫(むし)をくハへあらそふ/目(め)でござります。 00000760M4Sひよつこ、/菜(な)の/葉(は)をくハへ、/是(これ)ハ/七草(なゝくさ)の/菜(な)の/葉(は)、/何(なに)より 00000770M5トくハへあるく。/又(また)/一羽(いちハ)のひよつこ、/鑷虫(はさミむし)をくハへ、/是(これ)ハ 00000780M6さつそく/七草(なゝくさ)/爪(つめ)をとるに/能(よい)ト、たの(三ウ)しみくハへ/居(ゐ)る/所(ところ) 00000790M7へ、弟のひよつこSそれをよこせトいひながら/追(おひ)かける。/一= 00000800M8羽(いち=ハ)ハやらじと/迯(にげ)る。/互(たがひ)にくハへ/合(あひ)あらそひしが、やがて/親= 00000810M9鳥(おや=とり)こゑをあげて、Sとつけつこうヲヽヽ引(四オ) 00000820¥G(四オ) 00000830¥P6 00000840¥G 00000850¥N4¥J 00000860¥X相かハらず今年も仙女香のはなし 00000870L11/京橋(きやうばし)の/南(ミなみ)てんま町/坂本氏(さかもとうぢ)の/仙女香(せんぢよかう)といふ/顔(かほ)の/薬(くすり)をつかふと、 00000880L12/日(ひ)ましに/色(いろ)が/白狐(びやつこ)のやうに/白(しろ)くなり、/顔(かほ)のつやが/玉(たま)のやう 00000890L13になる。きく人Sそれハ/其筈(そのはづ)の事よ。/弘所(ひろめどころ)がいなり/新道(しんミち) 00000900L14じや 00000910¥Q 00000920L16◇△/美艶仙女香(びゑんせんぢよかう)△△△△△△△△△△一包△四十八銅 00000930L17右ハせけんむるい御顔の薬おしろい、相かハらず御ひやうばんよ 00000940L18ろしく御求被成可被下候 00000950L19△△京ばし南伝丁三丁目いなりしん道△△△△坂本氏製◇ 00000960L20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(四ウ) 00000970¥N5¥J 00000980¥X/賎(しづ)の/睦言(むつごと) 00000990M3むかしよりこゝろなき/草木(そうもく)またハ/鳥獣(とりけだもの)のるいが、/人間(にんげん)と 00001000M4/通(つう)じて/子(こ)を/生(せう)ぜしこと、まゝある/中(なか)に、/地神五代彦火火出= 00001010M5見尊(ぢじんごだいひこほほで=ミのミこと)ハ/龍女豊玉姫(りうによとよたまひめ)をめとりて、/鵜(う)がやふきあハせずの/尊(ミこと)を 00001020M6/一夜(いちや)に/生(うみ)給ふ。そのゝち/水江(ミづえ)の/浦嶋(うらしま)が/子(こ)は/亀(かめ)を/妻(つま)とし、/阿= 00001030M7部(あ=べ)の/保名(やすな)ハ/葛(くず)の/葉狐(はきつね)をちよろまかして/晴明(せいめい)をこしらへ、/横= 00001040M8曽根(よこ=そね)の/平太郎(へいたらう)ハ/柳(やなぎ)のせいをだき/寐(ね)して、みどり/丸(まる)をうませ 00001050M9たト、/斯(かう)/引言(ひきごと)を申あげて、/是(これ)からが/本(ほん)もんのはじまり。い 00001060M10つの/頃(ころ)にかありけん、/江戸(えど)の/片(かた)すミに、/小庭(こにハ)/少&(せう+)/持(もち)し/人(ひと)、 00001070M11すこしの/畑(はたけ)をこしらへ、/茄子(なす)の/苗(なへ)を/植(うえ)て、(五オ)はやく/大(おほ)き 00001080M12くなれ。わしがさいにするぞと、まい/日(にち)/水(ミつ)をくれてかわゆ 00001090M13がりけれバ、その/茄子(なす)の/精(せい)、しぜんと/人情(にんじやう)につうじて、あ 00001100M14る/夜(よ)きたりて、サア、さいにしてくだされと、/男(をとこ)のそばへ 00001110M15より/添(そひ)て、しぎ/焼(やき)にハあらねども、/油(あぶら)(五ウ)とろりとくし 00001120M16をさし、/紫色(むらさきいろ)の/単物(ひとへもの)に/黒繻子(くろじゆす)の/帯(おび)をしめ、/黒歯(かね)くろ※ 00001130M17となすびさね/顔(かほ)、その/美(うつく)しさいハんかたなく、しなだれよ 00001140M18る。/男(をとこ)も/元(もと)より/岩木(いハき)ならねバ、/菜(さい)と/妻(さい)のまちがひも/時(とき)のは 00001150M19づミについ/一寸(ちよつと)、一ト/口(くち)なすがえんのはし、/月日(つきひ)かさなり、 00001160M20/今(いま)ハはや/女房(にようぼ)の/腹(はら)ハぼてれんと、(六オ)/巾着(きんちやく)なすのはりき 00001170¥P7 00001180¥G(五ウ・六オ) 00001190M1るばかり。さつそく/近所(きんじよ)のやぶ/医師(いしや)に、げんぱくといふ/人(ひと) 00001200M2あり。/容躰(ようだい)を/見(ミ)てもらへバ、/月&(つき+)のなさけのかたまり。/世= 00001210M3間(せ=けん)の/人(ひと)ハ/白(しろ)なすと思ひの/外(ほか)、あそこ/爰(こゝ)で/評判(ひやうばん)まち+。か 00001220M4の/男(をとこ)ハめんぼくなく、/一通(いつつう)の/書置(かきおき)して、/行方(ゆきがた)しらずなりに 00001230M5けり。/女房(にようぼう)ハせんかたなく、からし/漬(つけ)のなみだせきあへず、 00001240M6まい/日(にち)+/泣(なき)くらし、/元(もと)のはたけへかへりけり。それより 00001250M7/一年(いちねん)ほどすぎて、かの/男(をとこ)ハさすがに/古郷(こきやう)したハしく、/又(また)/愛= 00001260M8情(あい=じやう)に/引(ひか)されて、/或夜(あるよ)/畑(はたけ)のあたりを/通(とほ)りしに、とゝ/様(さま)+と 00001270M9よぶゆゑ、がてんゆかずとすかし見れバ、/一人(ひとり)の/稚子(をさなこ)まと 00001280M10ひつき、とゝ様+といふゆゑ、男Sさてハ/我(わが)(六ウ)/子(こ)か。 00001290M11/可愛(かわい)やなア△をさな子Sとゝ/様(さま)、あひたかつた。うれしい 00001300M12+△男Sヲヽどうり+。さるにても/母(はゝ)ハどふしたトと 00001310M13へバ、をさな子(こ)、/目(め)をすり+、Sアイ。かゝさまハお/屋= 00001320M14敷(や=しき)へ/香&(かう+)に/行(ゆき)ました 00001330¥N6¥J 00001340¥X/目出度(めでたい)すき 00001350M17/世(よ)の/諺(ことわざ)に、/物事(ものごと)/気(き)にかける/人(ひと)を、/御幣(ごへい)かつぎといふ。/爰(こゝ)に 00001360M18/死(し)の/字(じ)をきらふ/親父(おやじ)ありけり。その/息子(むすこ)、/芝居(しばゐ)へ/行(ゆか)んと思 00001370M19ひしが、/親(おや)のいふにハ、なんでもしの/字(じ)を、よの/字(じ)にいへ 00001380M20と、かねていひけれバ、きつと思ひついて、息子Sモシとつ 00001390¥P8 00001400¥G(七ウ・八オ) 00001410M1/様(さま)。けふハ/よばゐ(芝居)へまゐりますトいへば、おやぢSけふハお 00001420M2れが/よば(芝)の/よんめい(神明)/前(まへ)の/よんるい(親類)から、/よんばし(新橋)の(七オ) 00001430M3/よがらき(信楽)。それから/四(よ)つ/谷(や)の/よん(新)/宿(じゆく)へ/行(ゆか)ねバならぬが、/友(とも) 00001440M4だちにさそハれたらバぜひがない。/行(ゆく)がよいトいふゆゑ、 00001450M5/息子(むすこ)、それより/出(いで)て/行(ゆき)ぬ。その/日(ひ)もくれて、五ツを/打(うて)ど四 00001460M6ツをうてどかへらぬゆゑ、(七ウ)/両親(りやうしん)うち/寄(より)、/親父(おやぢ)、/女房(にようぼ)に 00001470M7むかひ、せがれめが/今日(けふ)、/よばい(芝居)へ/行(ゆき)たいといふたからや 00001480M8つたが、/今(いま)に/帰(かへ)らぬ。/大(だい)ぶんおそい。/よばゐ(芝居)と/云(いふ)て、/よよ= 00001490M9原(吉(よし)=ハら))へでも/行(ゆき)、/女郎買(ぢようろかひ)か、/又(また)ハ/よな(品(しな))川でげいしやでもあげて 00001500M10ゐをるだらう。にくいやつじや。いまに/帰(かへ)つたら、こなた 00001510M11も/よか(呵(しかる))らつしやい。おれも/よか(呵)らう(八オ)(八ウ・九オ挿絵) 00001520¥N7¥J 00001530¥X/七福神(しちふくじん) 00001540M14/七福神(しちふくじん)よりあひ給ひ、/居風呂(すえふろ)をわかして、サア/大黒(だいこく)。/入(い)り 00001550M15給へといへバ、イヤ、おれが/入(い)ると/湯(ゆ)が/黒(くろ)くなる。それな 00001560M16ら/弁天(べんてん)。イヱ、わつちが/這入(はい)ると、ぬか/袋(ぶくろ)で/湯(ゆ)がよごれる。 00001570M17そんなら/恵比寿殿(ゑびすどの)。イヤ、われらが/入(い)ると/鮮(なまぐさ)い。/寿老(じゆろう)ハ/老= 00001580M18人(ろう=じん)、/福禄寿(ふくろくじゆ)ハせいがひくし。びしや/門(もん)ハどうだ。イヤ+、 00001590M19/我等(われら)が/這入(はいる)にハ、/此装束(このせうぞく)をとるに/手間(てま)がかゝる。ヱヽやか 00001600M20ましい。それならおれがはいろうと、/布袋和尚(ほていおせう)、ずつと/這= 00001610¥P9 00001620¥G(八ウ・九オ) 00001630M1入(は=いつ)て、/肩(かた)へ/湯(ゆ)が/付(つく)と、ぶく+++(九ウ) 00001640¥N8¥J 00001650¥X/怪談因果物語(ばけものばなし) 00001660M4@げいしや△|さわぎうた@Sしゆびの/松風(まつかぜ)ひらきにうけて、ヱヽさつさ+、 00001670M5さつてもうかれたうてうてん、てんてつとん、てとすとん 00001680M6と、もちこめ/色桜(いろざくら)、/今(いま)を/盛(さかり)の/花(はな)の/香(か)を、ちらす/小馬(こうま)のつら 00001690M7にくや、わしじやござらぬ/新田(しんでん)の、/兄(せな)が/鼻紐(はづな)のゆるむのは、 00001700M8/背戸(せど)のおせろか/付手紙(つけてがミ)、うかれ+てつないだ、わしがい 00001710M9さめバ/花(はな)がちる△客Sイヨ+/妙&(めう+)。その/文句(もんく)を/書(かい)てもら 00001720M10ひてへ△かむろSモシおいらんで。いゝかげんに/酒(さけ)をのみ 00001730M11なんし。そしてあのウはなしがござりつから、ざしきもい 00001740M12ゝかげんに、あのウ++はやくおいでなんしト、/座敷(ざしき) 00001750M13をちゞめて/傾城(けいせい)の/床(とこ)いそぐ(十オ)(十ウ・十一オ挿絵)のハ申 00001760M14さずとも、/登(のほ)り/詰(つめ)たる/天満屋(てんまや)の/初花(はつはな)といふ/座敷持(ざしきもち)。モウ/来= 00001770M15月(らい=げつ)ハ/年季(ねんき)が/明(あき)、/引(ひき)とる/人(ひと)ハ/平野(ひらの)や/徳兵衛(とくべゑ)。/内(うち)の/女房(にようぼ)ハお/房(ふさ) 00001780M16とて、/三年越(さんねんごし)の/長煩(ながわづら)ひ、/足腰(あしこし)たゝぬ/風(ふう)しつの、/病(やまひ)にぐつと 00001790M17/愛相(あいそ)がつき、/内(うち)を/外(そと)なる/徳(とく)兵へハ、三日三/夜(や)の/居(ゐ)つゞけに、 00001800M18/初花(はつはな)と/内証(ないせう)ばなし。/末(すゑ)ハかうしてあゝしてと、なごりハつ 00001810M19きじの/我(わが)内へ、かへる/夕方(ゆふかた)、/女房(にようぼう)ハいざりまハりて/闇(くら)まぎ 00001820M20れ、やう+とり/出(だ)す/火打箱(ひうちばこ)、はかなきものハ/石(いし)の/火(ひ)の、 00001830¥P10 00001840¥G(十ウ・十一オ) 00001850M1あるかと/思(おも)へバ/又(また)/消(きえ)て、さぐる/手先(てさき)の/硫黄木(いわうぎ)を、さいて/付(つけ) 00001860M2ても/身(ミ)のうへを、/悔(くやミ)てハ/泣(なき)又あきらめて、つゝむ/涙(なミだ)に/火口(ほくち) 00001870M3さへ、しめりがちなる/雨(あま)もやう。徳兵へS今かへつた△ふ 00001880M4さSたゞ/今(いま)おかへりかへ。/今日(けふ)ハまことに(十一ウ)あんば 00001890M5いハわるし、わたしひとりで心ぼそい。もう+/今夜(こんや)ハど 00001900M6こへも/行(ゆか)ず、いやであらうが/内(うち)に/居(ゐ)て、/便(たより)になつて下さり 00001910M7まし△徳兵へSおれもそばに/居(をり)たいが、せう/買(ばい)で/外(そと)あるき、 00001920M8/段&(だん+)内ハまハつて/来(く)るし、一日でも/休(やすま)れぬ。/物入(ものいり)のうへの 00001930M9/余計(よけい)だが、おぬし/一人(ひとり)も/置(おか)れまいと、/横町(よこてう)の/口入(くちいれ)にたのん 00001940M10でおいたやとい/女(をんな)、あすの/朝(あさ)ハつれて/来(く)る。/何(なに)かの/事(こと)をい 00001950M11ひ/付(つけ)て、そばで/遣(つか)ふがよからふよ△ふさSそれハうれしい 00001960M12おまへのしんせつ。わたしも/今度(こんど)ハ/全快(よく)ハあるまいトなミ 00001970M13だぐめハ、徳兵へSやくにもたゝぬ事をいハずと、/薬(くすり)を/飲(の) 00001980M14んではやく/能(よく)なるがよいト、しんせつらしくいたハりて、 00001990M15/口入(くちいれ)といひ/合(あハ)せ、あくる/日(ひ)に/来(く)るやとひ女ハ、/天満(てんま)やの/初= 00002000M16花(はつ=はな)。/下女(けぢよ)のふりしてまめ+しく、(十二オ)/水仕(ミづし)わざして 00002010M17はたらけど、どこぞハしれるそれしやのはて。ふさS徳兵 00002020M18へさん。/何(なに)も/彼(か)も/知(し)つてゐる。わしが見るまへもはゞから 00002030M19ず、そのちハぐるひ。/夜(よ)るもわしが/枕元(まくらもと)で、いふもくやし 00002040M20い。(十二ウ上)ヱヽうらめしい++△徳兵へSヱヽ、や 00002050¥P11 00002060¥G(十二ウ・十三オ) 00002070M1かましいハへ。くらふ/物(もの)を/喰(くらつ)てだまつてゐろ。おれがしん 00002080M2せつでおいて/遣(やつ)たやとひのお/初(はつ)、ゆびでも/付(つけ)て見やアがれ。 00002090M3ふみ/倒(たふ)すぞトとびかゝり、たぶさ/掴(つか)んで(十三オ上)うちた 00002100M4ゝく。ふさSヱヽあんまりだ。ころせ+ト此いさかひ/毎= 00002110M5日(まい=にち)にて、/夫(それ)より/徳(とく)兵へハ、どふぞしてお/房(ふさ)を(十二ウ下)はやく 00002120M6ころし/度(たく)、ある/時(とき)/病(びやう)人の/枕(まくら)もとへ、/釜(かま)に/煮湯(にへゆ)を(十三オ下) 00002130M7/持来(もちきた)り、/小便(てうず)が/仕(し)たくバさせてやらふト/抱上(だきあげ)て、/怪我(けが)のふ 00002140M8りにてお/房(ふさ)をとらへ、/釜(かま)の/中(なか)へかしらを/突込(つきこミ)、/焼(やけ)たゞれる 00002150M9のもいとハずに、/上(うへ)よりおし/込(こミ)おさへ/居(ゐ)る。ふびんやお 00002160M10/房(ふさ)ハ、/目口鼻耳(めくちはなみゝ)へ、にへ/湯(ゆ)のせうねつ/地獄(ぢごく)、ぎやつともす 00002170M11うともいふことならず、/足手(あして)をもがきくるしみて、あへな 00002180M12くいきハたえにけり。/引(ひき)あげ見れバ、どこに一つの/疵(きず)もな 00002190M13く、/髪(かミ)の/毛(け)ハみなぬけて/赤肌(あかはだ)となり、/眼(まなこ)とび/出(いで)、/顔(かほ)たゞれ、 00002200M14見るもいぶせきなきからハ、たのミ/寺(てら)へも/遣(やら)すして、/夜(よる)/人(ひと) 00002210M15しらぬをさいハひに、/川(かハ)へ/打込(うちこミ)かへりけり。/夫(それ)より五十日 00002220M16/程(ほど)/過(すき)て、/徳兵衛(とくべゑ)ハ/夜分(やぶん)、なにとなく/起上(おきあが)り、Sアヽかしら 00002230M17があつや。アレやけるハ+。/己(おれ)が/居処(ゐどこ)がのこらずにえ/湯(ゆ) 00002240M18だ。アヽあつや(十三ウ)といふ/中(うち)に、/髪(かミ)の/毛(け)ハ/見(ミ)るまへに 00002250M19/抜(ぬけ)、/狂(くる)ひ/死(じに)に/死(し)したり。此とき、お/初(はつ)は/懐胎(くわいたい)なりしが、お 00002260M20そろしき事に思ひ、七日+を/吊(とむら)ひて、/一人(ひとり)/淋(さみ)しくくらし 00002270¥P12 00002280¥G(十四ウ・十五オ) 00002290M1けるが、ある/時(とき)、/髪(かみ)を/洗(あら)ハんと、たらゐへ/湯(ゆ)を/取(と)り/櫛(くし)とり 00002300M2あげて、/湯(ゆ)を/付(つけ)てとかしけるに、その/櫛(くし)の/歯(は)に/髪(かミ)の/毛(け)/付(つき)て、 00002310M3ぞろ※とぬけけれバ、こハ/不思議(ふしき)と、/又(また)/櫛(くし)のはに/湯(ゆ)を/付(つけ) 00002320M4てとかせバ、あやしや、/頭(かしら)の/髪(かミ)のこらす/抜(ぬけ)て、/赤(あか)はだとな 00002330M5り、/余(あま)りの事の/悲(かな)しさに、その/侭(まゝ)そこに/泣臥(なきふし)て、たらゐの 00002340M6/中(なか)へ、おもハずしらず/顔(かほ)を/入(いる)れバ、/皃(かほ)ひきつりて/焼(やけ)たゞれ、 00002350M7ワツトばかりに/泣(なき)いだす。/此時(このとき)、/仏壇(ぶつだん)の/中(うち)より、思ひしつ 00002360M8たか+ト、かや+と/笑(わら)ふ/声(こゑ)、おそろしなどもおろか也。 00002370M9ふびんや、お/初(はつ)ハ/生(うま)れもつかぬ/片(かた)わとなり、はや/産月(うミづき)とな 00002380M10りけれバ、(十四オ)/相借屋(あひじやくや)の/女(によう)ぼうたち、/皆(ミな)/世話(せわ)をやき、 00002390M11/安&(やす+)とうまれおちたる/赤子(あかご)を見れハ、/産毛(うふげ)/一本(いつぽん)あらバこそ。 00002400M12うきが/中(なか)にも女の/手(て)ひとつ、二三才までそだてしが、/頭(かしら)の 00002410M13/毛(け)ハ/生出(はへいで)ず、お/初(はつ)ハつく+思ひ/廻(めぐら)し、かゝる/因果(いんぐわ)も(十四 00002420M14ウ)やくそく事、せめてハ/後世(ごせ)を/願(ねが)ハんと、/稚子(おさなご)/連(つれ)て/頼寺(たのミてら)、 00002430M15/本所(ほんじよう)へはせ/行(ゆき)て、/和尚(おせう)に/願(ねがひ)、/弟子(でし)となり、/毎日(まいにち)/町&(まち+)を/修行(しゆぎやう) 00002440M16して、/稚子(おさなご)を/抱(だき)ながら、S/本所(ほんじやう)/五(いつ)ツ/目(め)/親子(おやこ)やくわん(十五オ) 00002450¥N9¥J 00002460¥X/御能見物(おのうけんぶつ) 00002470M19/御上(おかミ)に/御祝儀事(ごしゆうぎごと)ありて、/町人(てうにん)どもへ/御能(おのう)/拝見(はいけん)、/御免被下(ごめんくだされ)、 00002480M20ありがたく/拝見(はいけん)いたし、/帰宅(きたく)して、/一向(いつかう)/物(もの)の/差別(しやべつ)なき/人(ひと) 00002490¥P13 00002500L1Sサテ、/能(のう)といふものハわからぬものじやトいふに、そ 00002510L2バの人S何の/能(のう)じやトとへバ、見物S何かしらぬが、/先(せん)に/法= 00002520L3花坊主(ほつ=けぼうず)が/出(で)た/跡(あと)から、/女(をんな)の/面(めん)をかぶつたやつが/出(で)て、/初(はじめ)の 00002530L4ほつけ/坊主(ぼうず)が/何(なん)のかのと/云(いふ)たりや、女が/何(なん)のかのといふ、 00002540L5/後(うしろ)に/大(おほ)ぜい/居(ゐ)て、なあのかの+といつた 00002550¥Y千龝万歳大叶 00002560¥Q 00002570L8△△△咄の作者△林屋正蔵著 00002580L9江戸 00002590L10△△△浮世絵師△歌川豊国画 00002600L12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十五ウ) 00002610¥Q文政十四年辛卯春新刻稗史標目 00002620M1むかし+/歌舞妓(かふき)物がたり△/(二日目)怪談三島おせん@柳亭種彦作|歌川国貞画@ 00002630M2△@袋入二冊一日ぎりの書きりに候間初日御らん△△△△△△|あそばさぬ御方にも二日目ハ二日目ばかりにてわかり申候@ 00002640M3/正本製両面鏡(しやうほんしたてりやうめんかゝミ)△/彩色摺(さいしきずり)△柳亭種彦作△歌川国貞画 00002650M4△@一枚ずりりやうめんにて梅川忠兵衛の二番目狂言と見え候新工風にて|絵ざうしとことかはりさいしき摺なれバ御年玉などにハ見事ニてよし@ 00002660M5江の島鎌倉大山/往来雙六(わうらいすごろく)△前北斎為一画△柳亭種彦撰 00002670M6△@為一翁かの地に往来のとき/真累(しんけい)を/写(うつ)しおかれしに柳亭子/国図(こくづ)および△△|老へ間の宿村名に里数まで/正(たゞ)されたれバ子のもてあそびのミにあらずこ 00002680M6れを|ひらきて見給へバその地に遊ぶこゝちして興あるべき双六なり△△△△△△@ 00002690M7国字水滸伝九編目より追&出板△柳亭種彦訳歌川国芳画 00002700M8@近松本△|曽我物語@/蝶鵆綴之錦(てふちどりつゞれのにしき)△八冊△@柳亭種彦作|歌川国貞画@ 00002710M9/正本製(しやうほんじたて)十二編△袋入二冊△@柳亭種彦作|歌川国貞画@ 00002720M10江戸書林地本問屋馬喰町二丁目永寿堂西村屋与八 00002730¥P14 00002740¥U噺本大系△第十六巻 00002750¥T/十二支紫(えどむらさき)〔序題〕 00002760¥G 00002770¥Y 00002780L15天保三年正月刊 00002790L16嘯月亭主人序・芙蓉亭文雄跋 00002800L17三笑亭可楽作 00002810L18香蝶楼国貞・文雍画 00002820L19山口屋藤兵衛板 00002830L20中本一冊 00002840¥G(見返扉) 00002850¥Y/十二支紫(えとむらさき)の/序(じよ) 00002860M16/春霞(はるかすミ)/棚引(たなひき)そめし/朝(あした)より、/吉(きち)++と/三笑亭可楽(みたびわらふてたのしむべし)とハ、 00002870M17/彼福神(かのふくじん)の/詑言(たくせん)にて、/当時(とうじ)/流行(りうかう)/新説(しんせつ)の/魁(さきがけ)、/言葉(ことば)の/華(はな)の/爛漫(らんまん)た 00002880M18る、/是(これ)や大江戸の/花(はな)也と、ミな人ごとに/云(いひ)「/綿(わた)の/鼠(ねづミ)」、げ 00002890M19に、/茶番仕(ちやばんし)の/座頭(ざかしら)に「/すへもの(陶物)ゝ/牛(うし|大人)」「/張(はり)この/虎(とら)の」うなづ 00002900M20くハ、/四方(よも)の/受(うけ)よき/吉兆(きつちやう)ニ而、/幾星霜(いくせいさう)の/年月(としつき)を、ふみかた 00002910¥P15 00002920L1めたるかたおや/父(ぢ)も、/瀬川(せがハ)(壱オ)/五暁(ごきやう)の/雪(ゆき)の/場(ば)には、/耳(みゝ)ひ 00002930L2/つたて(◇雪の兎◇)ゝ/兎(うさぎ)の/如(ごと)く、/後(あと)をたのむの/妙智力(ミやうちりき)。「/虎渓(こけい)の/橋(はし)の/高= 00002940L3名(かう=めい)ハ、/三国一(さんごくいち)の/不二土産(ふじみやげ)、「/麦(むぎ)わら/細工(さいく)の/大辰(おほろち)」、その/乾徳(けんとく) 00002950L4も/在田之龍(ざいでんのりう)/大人(たいじん)に/見(まミゆ)るに/利(り)ありとハ、/雲上様方(おくげさんがた)・/御大名様(おやしきさん)、 00002960L5/多(おほ)くの/席(せき)の/賜(たま)ものハ、/巳(ミ)/になる(◇金物の巳◇)/金(かね)の/余光(よくわう)にて、/酒楼(◇しゆろの馬◇#しゆろう)に/登(のぼ)つ 00002970L6て/甜(うま)ものぐひ、/滑稽(こつけい)の/開語(かいご)にハ、/駟(し)も/及(およ)ばずといへども、 00002980L7/意(こゝろばえ)の/香(かん)ばしきハ、持皷郎の/類(たぐひ)に/入(い)らず、(壱ウ)/実(じつ)に/風流(ふうりう) 00002990L8の一/奇人(きじん)なり。たま+/余(よ)が/書屋(しよおく)ニ/来(きた)つて、/茶話(はなしちやばん)の/新題(しんだい) 00003000L9をもとめに/応(おう)じて、/雑毛(@◇象牙の羊◇|ぞうげ@)の/水筆(すいひつ)、/屠所(としよ)の/羊(ひつじ)にあらねども、 00003010L10はこばぬふでに十二/支(し)へ、/かさ(笠)を/付(つけ)たる「きれの/$(さる)」 00003020L11/結(むす)びあハせし「/糸細工(いとさいく)、/呼&(アヽ)/鷄(にわとり)」のおもしろし 00003030L12おけつこふじやとおだてられ、その/図(づ)にのりぢで/序(じよをかく)を、 00003040L13/世上(せけん)の/博覧(がくしや)にうたれたら、/顔(かほ)から/火(ひ)の/出(で)る「/石(いし)の/犬(いぬ)」たゞ 00003050L14あや(二オ)まつて/蹲踞(ハつつくばい)申上升。そのあとハこのさし/画(ゑ)こ 00003060L15そ、/五渡亭(ごどてい)と/文雍大人(ぶんよううし)の/筆(ふで)なれバ、「/画(ゑ)の/猪(ゐ)」いところを 00003070L16/御賞翫(ごしようくわん)、こゝへ/十巻(十干)かしこへもと、/十二支紫(えとむらさき)の/御評判(ごひやうばん)、 00003080L17よろしくねがひたひまつるは 00003090L18△△△△△△△△△△江戸茶番紫連の 00003100L19△△△△△△△△△△△△△△嘯月亭主人G(二ウ) 00003110¥Y○はなしもくろく 00003120M3わたの/鼠(ねづミ)△△△△△△△しゆろのうま 00003130M4△つちのうし△△△△△△ぞうげのひつじ 00003140M5△△はりこのとら△△△△△きれのさる 00003150M6ゆきのうさぎ△△△△△/糸(いと)さいくのとり 00003160M7△むぎわらの/蛇(じや)△△△△△△いしのいぬ 00003170M8△△かな物のへび△△△△△△/画(ゑ)のゐのしゝ(三オ) 00003180¥G(三ウ) 00003190¥P16 00003200¥N1¥J 00003210¥X○わたのねづミ 00003220L3/白鼠(しろねづミ)、/綿(わた)のねづミにあふて、Sコレ、きさまの事をせけん 00003230L4の人が、はねものじやといふげな。わしハありがたいこと 00003240L5にハ、/大黒屋(だいこくや)の/伴頭(ばんとう)しろねづミといハれて、ついに一チ/度(ど) 00003250L6わるい/尻尾(しつほ)を見せた事もなし。またをり+は、/青(あを)びやう 00003260L7しのはしも見かぢつてゐるから、/忠(ちう)といふことをわすれず。 00003270L8/笑(わら)ふときには/吉(きち)++と/祝(しゆく)して、人をよろ(四オ)こばせ 00003280L9るが、そこもとハかミなり/門(もん)で、かめ山のお/化(ばけ)と一チ/座(ざ)を 00003290L10して、にかハのおかげで、とんだりはねたりも、あまり/出(で) 00003300L11かさんわけじやトそしれバ、わたのねづミSイヤそのかハり、 00003310L12きさまハなんぼみそをあげても、/大黒(だいこく)さまひとりにつかハ 00003320L13れるが、おれハ/綿(わた)の/鼠(ねづミ)だけに、○/五(ご)ふく共つき/合升(あひます) 00003330¥N2¥J 00003340¥X○つちのうし 00003350L16一ツ/目(め)の/土屋(つちや)の/川岸(かし)に/若(わか)いもの四五人あつまり、(四ウ)/一= 00003360L17盃(いつ=ぱい)きげんの/悪地口(あくぢぐち)。○あらきだにおもきがうへのさよごろ 00003370L18も△わが/砂(すな)ならで/砂(すな)なかさねそ○/舟(ふね)ヤアイ△友だちSそりや 00003380L19/本所(ほんじよう)でお/い(云)やつたか△S/本所(ほんじよう)でいやアなんとする△Sほん 00003390L20じようでいやア/斯(かう)ト、/腰(こし)にさしてゐるきせるを/抜(ぬい)てすひつ 00003400M1けながら、○なんとまアおなじ/荒生土(あらきだ)でも、/己(おれ)がかついで 00003410M2ゆくのハ、/職人(しよくにん)の手にかゝつて、/茶(ちや)のゆざしきや、/御大名= 00003420M3様(おだいめう=さま)のお/居間(ゐま)にもつかハれるが、おぬしの(五オ)かついでゆ 00003430M4くのハ、/今戸(いまど)へ/行(いつ)て/牛(うし)になるとハ、/土(つち)のこゝろでも、さぞ 00003440M5/口(くち)をしからう△Sさう/云(い)やんな。/牛(うし)になれバ、ちうさん/買(かひ) 00003450M6のやうに、/重布団(かさねふとん)のうへにねころんで、あだなげいしやヤ 00003460M7うつくしいおいらんに/撫(なで)られ、/娘子(むすめこ)どもにまでもてはやさ 00003470M8れるが、おぬしのかついでゆくのハ、どこへ/行(いつ)ても、○か 00003480M9べにされる 00003490¥N3¥J 00003500¥X○はりこのとら(五ウ) 00003510M12/張子(はりこ)の/虎(とら)、やき/芋(いも)にむかつて/曰(いハく)、Sコレおさつどの。きさ 00003520M13まとおれハ、おなじばん太郎の/店(ミせ)にゐて、おなじ/黄(き)いろで、 00003530M14/生国(せうこく)も/朝鮮(てうせん)とりうきうで/隣国(りんごく)なれど、おれが/皮(かハ)ハ/唐(から)もの/屋(や) 00003540M15の見せのお/職(しよく)の/坐(ざ)におかれるが、/貴(き)さまの/皮(かハ)ハよし/原(ハら)・ふ 00003550M16か川・/芝居町(しばゐまち)などのしやれた所に/住(す)むいぬハ、/犬(いぬ)でも/喰(くハ)ね 00003560M17へ△さつSいゝヨ。大きにおせわだ。わたしは/斯(かう)見えても、 00003570M18ふけさへしないと、/水道(すいどう)の/水(ミづ)をうぶ/湯(ゆ)に(六オ)あびて、/酒(さか) 00003580M19しほや/鰹(かつを)ぶしで、どんなお/方(かた)の/菜(さい)にでもなられるが、お/前(めへ) 00003590M20ハ/面(つら)の/皮(かハ)までむかれて、やゝともすれバ、/油(あぶら)を/取(と)られるじ 00003600¥P17 00003610¥G(七ウ・八オ) 00003620M1やアねへか△Sこれ+おさつどん。そのかハり、おれハ 00003630M2一ツ/時(とき)に/千里(せんり)いつて千里もどるが、きさまハ/何(いつ)でもたつた 00003640M3八里/半(はん)だトあらそへバ、/今戸(いまど)やきの/仲間(なかま)から、Sこれ+、 00003650M4あまり大そうをぬかすと/生捕(いけどり)にするぞトいふから、ふり/向(むい) 00003660M5て見たら、○/かとう(火燈)サ(六ウ) 00003670¥N4¥J 00003680¥X○ゆきのうさぎ 00003690M8あほうSアノネ、/本(ほん)とうの/兎(うさぎ)に十五/夜(や)の/月(つき)を見せると、な 00003700M9くなるといふことだが、/違(ちげへ)ござりやせん。わたしらが/内(うち)の 00003710M10/前(めへ)へ、/雪(ゆき)のうさぎが/出来(でき)たが、/天(てん)とうさまア見せたら、 00003720M11○きえてしまいやした 00003730¥N5¥J 00003740¥X○むぎわらの/蛇(じや) 00003750M14六月/朔日(ついたち)の吉れいもめでたく/済(す)んで、/上気蛇(うハきじや)が(七オ)(七ウ 00003760M15・八オ挿絵)/笹(さゝ)のきげんで/世間(せけん)の/噂(うハさ)。蛇Sナント見やれ。/川= 00003770M16柳点(せん=りうでん)に、○かとうぶしめかすほどにハ/出来(でき)ぬなり○といふ。 00003780M17よしハら/通(かよ)ひのはんくわ/通(つう)が、はいふきからおいらが出る 00003790M18やうなほらをふいてゆくぜ△Sちげへねへ。○/通(とほ)りものざ 00003800M19るをかぶつて/嬉(うれ)しがり○といふはたけだ。あれでもわかい 00003810M20ものややり/手(て)にハ、/御祝義(ごしうき)ハおいらの/舌(した)といふもんで、く 00003820¥P18 00003830L1れないといふしやれだらうト、○/斯(かう)なにも人の/噂(うハさ)をして、 00003840L2口を(八ウ)すつぱくすることもねへ。今からふたりが/雲井(くもゐ) 00003850L3とかうす/雲(くも)とか、しやれやうじやアねへかトいへバ、/一人(ひとり) 00003860L4の/蛇(じや)が、Sおいらばかりならどこへでも/上(あが)るが、一つはた 00003870L5けのから/麦(むぎ)がいつしよに/行(いき)たがるから、せいがつきるテ△ 00003880L6Sナンノ、あんな/百性(ひやくせう)ハ/田甫(たんぼ)あたりで、○/蒔(まく)が/能(いゝ) 00003890¥N6¥J 00003900¥X○かな物のへび 00003910L9どうくやSわたくしどもの見世で、此たばこ入れのやうな 00003920L10口の/遠(とほ)い(九オ)のハござりません。御いん/居(きよ)さん。/御覧(ごらう)じ 00003930L11て下さりまし△いんきよSハヽアなんだ。/金物(かなもの)が/蛇(へび)か。こ 00003940L12れでハなるほど/客人(きやくじん)が、○かわずであらう 00003950¥N7¥J 00003960¥X○しゆろのうま 00003970L15S/蝿(はい)うつと/知(し)らバやうじをしゆろ一ト/葉(は)○といふ/句(く)もある 00003980L16が、おなじしゆろの/木(き)に/生(うま)れても、/菷木(はうき)ハ/長尻(ながつちり)のまじない 00003990L17にでもなるが、/大森(おほもり)あたりの/馬(うま)になつて、こえ/取(とり)(九ウ)ご 00004000L18ときに、/畜生(ちくせう)よばハりをされるとハ、さて+/歎(なげか)ハしい 00004010L19事じやトいへバ、うまSモシ+だんな。あまりこえとり 00004020L20+と/安(やす)くなされますな。/菷(はう)木じやとても、○そうじの/役(やく) 00004030M1ハのがれません 00004040¥N8¥J 00004050¥X○ぞうげのひつじ 00004060M4根付ほりS百なりや/蔓(つる)一トすぢのこゝろより○と申ス/句(く)も 00004070M5ござりますが、おなじ/象牙(ぞうげ)でありながら、/羊(ひつじ)になつて、人 00004080M6(十オ)さまの/腰(こし)へつくのもあれバ、又べつ/甲(かう)屋の手にかゝ 00004090M7つて、/櫛(くし)になるのもあり。人げんもやはり此とほりでござ 00004100M8り升トいへバ、見る人Sしかし/何(いづ)れにしても、○かみをす 00004110M9くものじや 00004120¥N9¥J 00004130¥X○きれのさる 00004140M12/木(こ)の/実(ミ)をバ/猿(さる)にくわせて此/身(ミ)をバ△猿に/喰(くハ)せてもらうさる 00004150M13/曳(ひき)○といふ/哥(すた)もあれど、ひつじにハ/叶(かな)ふまい。ナゼといふ 00004160M14て、見やれ。ひつじにハ、ひつじ/稲(いね)といふ/米(こめ)がてきるが、 00004170M15(十ウ)おさるいねといふ/米(こめ)ハできまい。さるSイヱ、でき 00004180M16ぬとも申されません。おさるの/子(こ)めハ/赤(あか)いきれでこしらへ 00004190M17て、あハしまさまの/前(まへ)にぶらさがつており升△Sフウ、シ 00004200M18テ、そのこめハ/喰(くハ)れるか△さるSイヱ、みんなまだ、○も 00004210M19みでござり升 00004220¥P19 00004230¥N10¥J 00004240¥X○/糸(いと)さいくのとり 00004250L3とのさまSハヽアなるほど、/きぬ(衣)※の/別(わか)れを/告(つぐ)るによつ 00004260L4て、糸/細工(さいく)とハおもしろい。/諌皷(かんこ)/苔(こけ)ふかうして/鶏(とり)おどろか 00004270L5ずとは(十一オ)申せども、その/方(はう)のさい/工(く)にハ/驚(おどろ)き入た。 00004280L6とさかが/猩(せう)※/緋(ひ)で、/爪(つめ)が/琴(こと)の/糸(いと)とハかんしんじや。シテ、 00004290L7その/尻(しり)のはうの/長(なが)い/羽根(はね)ハ△さいく人Sヘイ、そこハ、○/を(苧) 00004300L8でござり升 00004310¥N11¥J 00004320¥X○石のいぬ 00004330L11しよく人S此あまいぬ・こまいぬといふものハ、もとハ三/韓(かん) 00004340L12の/王(わう)さまだといふことだが、/昔(むかし)のその/神功皇后(じんごうこうがう)さんとやら 00004350L13にやすませられて、今じやアよんぢりして、/明神(めうじん)さまや八 00004360L14/幡(まん)さまの(十一ウ)/めへ(前)に、申上升といふ/身(ミ)でつくばつてゐ 00004370L15るとハ、いゝちくしやうじやアねへか。これがほんの/業(ごう)つ 00004380L16くばいだトいひながら、/玄応(げんのう)で/鼻(はな)づらのあたりをたゝいて 00004390L17ゐると、/犬(いぬ)が、Sヲイ/兄(あに)い。そんなことをいつてくださん 00004400L18な。/おら(己)ア、○/顔(かほ)から/火(ひ)が出る 00004410¥N12¥J 00004420¥X○画のゐのしゝ 00004430M1Sハヽア、此お/掛軸(かけぢ)の/画(ぐわ)ハ/嵩谷(すうこく)でござりますナ。とんとモ 00004440M2シ/生(いき)てをるやうでござります。ナントモシ/旦那(だんな)。/此猪(このしゝ)があ 00004450M3れる(十二オ)ときにハ、人を/牙(きば)でかけると申升が、さやう 00004460M4でござり升カナトはなしてゐると、/猪(しゝ)が/目(め)をはつちりあい 00004470M5て、Sイヱ+、それハあちらこちらでござり升。此/前(まへ)/成= 00004480M6田屋(なり=たや)のおやかたの/男(をとこ)の/助(すけ)のけいこを/見物(けんぶつ)にまゐりましたら、 00004490M7あらしゝに、○/きば(木場)でかけられました 00004500¥N13¥J 00004510¥X○御しう義 00004520M10/七福神(しちふくじん)の/中(なか)にて/大黒天(だいこくでん)ののたまふやう、S/此間(このあいだ)/甲子(きのえね)の(十 00004530M11二ウ)/晩(ばん)に、/高麗屋(かうらいや)の/内(うち)へいつたれバ、/床(とこ)の/間(ま)に、/当時(たうじ)/日(ひ) 00004540M12の出の/先生(せんせい)たちのかゝれた一/不尽(ふじ)二/鷹(たか)三なすびの/掛物(かけもの)が/有(あつ) 00004550M13つたが、あれハどういふわけであらう△寿ろうSハヽア、 00004560M14それハ/親子(おやこ)三人を/祝(しゆく)したものであらう。此まへ、あのおや 00004570M15かたが/名護(なこ)やの/芝居(しばゐ)で大あたりをいたされたとき、/表(おもて)の/木= 00004580M16戸(き=ど)へ大きく/$(はな)をかいて、○/日本(につぽん)の/鼻(はな)はしらなり/夏(なつ)のふ 00004590M17じ○とかいて、はられた事があつたから、ふじハ/幸(こう)四郎、 00004600M18/鷹(たか)ハ/高(たか)といふ心で(十三オ)/高麗蔵(こまぞう)の/高(こう)の/字(じ)、/茄子(なす)ハ/内儀(ないぎ)を 00004610M19/祝(いハ)ふたものじや。かつ+/坊(ばう)の/句(く)に、○ちぎりたやおはぐ 00004620M20ろどきの/初(はつ)なすび○といふ句もあり。又しぎやきになれバ、 00004630¥P20 00004640L1くしもさしたり/油(あぶら)もつけたり、まだそのうへに三人の/寿命(しゆめう) 00004650L2を/祝(しゆく)したものじや。ナゼトのたまへ、○なすはせんざいで 00004660L3ござる 00004670¥N14¥J 00004680¥X○其二 00004690L6びしや門Sさういへバ、/柳嶋(やなきしま)の大太夫の所にも、その/通(とほ)り 00004700L7のかけ物が(十三ウ)あつたが、あれハいかゞのわけであら 00004710L8う△寿ろうSそれもやはり、おや子三人をいわゐといふ心 00004720L9であらう。/紫連(むらさきれん)の/喜仙(きせん)といふ人の/団扇(うちハ)にかゝれた、○そ 00004730L10のいろも/江戸紫(えどむらさき)や初なすび○といふ/句(く)があるから、なす 00004740L11びハ/紫若(しじやく)、/粂(くめ)三郎ハ/親(おや)にも/二鷹(にたか)、ふじ山ハ/半(はん)四郎じや△び 00004750L12しや門Sそりや又なぜ△寿ろうSハテ/日本一(につほんいち)の、○おやまで 00004760L13ござる 00004770¥N15¥J 00004780¥X○其三 00004790L16ほていSイヤ、半四郎といへバ、わしも此間、/洲崎(すさき)の/弁天(べんてん) 00004800L17が所からかへりに、(十四オ)/永木(ゑいき)の/大和屋(やまとや)へよつて/小宝(こだから)を 00004810L18さづけやうといふたら、をりふし/三津(みつ)ゑもんどのがをられ 00004820L19て、○イヱ+、手まへおやかたハ/沢山(たくさん)/子宝(こだから)がござり升。 00004830L20さりながら、せつかくのおぼしめしてござり升から、さや 00004840M1うならバ、しつぽう・ふんどん・かくれ/笠(かさ)・/鍵(かぎ)と、まきも 00004850M2のばかりでよろしうござり升ト申スから、そりやどういふ 00004860M3わけじやと/問(とふ)たれバ、○みのヤ/玉(たま)ハ内にござり升トサ 00004870¥N16¥J 00004880¥X○@ぎんざ|二丁目@坂本うじの御ひろう(十四ウ) 00004890M6娘の子Sをばさん+。わたくしの所の/おつかさん(母様)ハ、/化= 00004900M7粧(け=せう)の/たんび(度)に/仙女香(せんぢよかう)をつけましたら、まことに/美(うつく)しくなつ 00004910M8て、トントはま村やのやうになりましたから、それからお 00004920M9とつさんもまけぬ/気(き)になつて、/美玄香(びげんかう)でしらがをそめまし 00004930M10たら、まことに若(わか)+となつて、/成田屋(なりたや)か/音羽屋(おとハや)か/源(げん)の/助(すけ) 00004940M11といふやうな/能男(いゝをとこ)になりましたをばSヲヤ+、それで 00004950M12ハさぞおつかさんが、○/黒(くろ)うなさるであらう 00004960M13△△此とき/紫連(むらさきれん)の/喜仙(きせん)、/喜鶴(きくわく)、/仲雍(ちうよう)といへる三大人の御いでに 00004970M14△△て、/在下(やつがれ)へのおみやげにハ、大和屋の/瀧水(たきすい)、/忰(せがれ)/馬士(まご)三郎にハ 00004980M15△△/瀬戸(せと)(十五オ)/物町(ものてう)の/町田(まちだ)の/将棊(せうぎ)らくがんを/御持参(ごぢさん)にて、/扨(さて)/可= 00004990M16△△楽子(か=らくし)。(以下四行ほど空白)この大和屋の瀧水とせうぎの/駒(こま)で、 00005000M17△△ちよつと三たいばなしを/聞(きゝ)たいネ 00005010¥N17¥J 00005020¥X○/三題(さんだい)ばなし 00005030M20うそつきS此あいだモシ、をかしい事がござりました。/三= 00005040¥P21 00005050L1升連(み=ますれん)のおきやくの所へ/鯉(こい)をもつていつたら、/瀧水(たきすい)を/三升(さんじやう) 00005060L2/下(くだ)すつたから、/芝翫連(しくわんれん)(十五ウ)/中(ぢう)のお/客(きやく)の所へいつて、/金(きん) 00005070L3を一チまい引とらうと思つて、なりこま屋をほめると、小 00005080L4づかひを/四貫(しくわん)くださる。これからなんでも/肴(さかな)をほめ出して 00005090L5へもんだと思つて、かつミ/連(れん)の/しゆう(衆)の所へいつて、思入 00005100L6れ/簔(みの)さんをほめたあとで、モシだんな。大和屋のおやかた 00005110L7のあばたハ、まことに女の/惚(ほれ)る、あれがほんの/愛(あい)きやうあ 00005120L8ばたでござりますとほめたら、大そうに/嬉(うれ)しがつて、さか 00005130L9なを/奢(おご)るから、おやぢ/橋(ばし)まで/あいべ(歩行)と/云(いハ)つしやる(十六オ) 00005140L10から、ハヽア/先生(せんせい)、/女川(めがハ)のあなごをおこる/気(き)だなと、だん 00005150L11+ゆくと、山がた屋へいつて、○/ばんどう(八文)の/いも(芋)サ△△ 00005160L12三大人Sばんどうのいもはありがてへ。/目出度(めでたく)一ツ〆やし 00005170L13やう。シヤン++シヤン++シヤン++、/大= 00005180L14極(おほ=きま)りシヤン。ト 00005190L15△△△△△△△△三笑亭可楽即考G 00005200L17(十六ウ) 00005210¥Y/后叙(こうじよ) 00005220L20/漢国(からくに)の/史(ふミ)に、/滑稽伝(こつけいでん)をのせたれども、まはり/遠(とほ)きがおほか 00005230M1るを、/三笑亭(さんせうてい)のあるじ/世(よ)に/出(いで)て、みなそのおもむきをしる 00005240M2事とはなりぬ。このごろ/編(あま)れたる十二/支(し)のものかたりは、 00005250M3こと/葉(ば)たくミなれバ、/淳于■(じゆんうこん)・/東方朔(とうはうさく)も/迯(にげ)かくれて、/居(ゐ)あ 00005260M4はせざりしにや。おのれに、これがはしかきせよと(十七 00005270M5オ)あるにぞ、およバぬわざとはおもひながら、/兎(と)にかく 00005280M6いなみかたければ、/千里(せんり)にはしれる/渓(たに)の/名(な)の、/虎(とら)の/威(ゐ)をか 00005290M7りて/狐(きつね)の/毛(け)のまじれる/筆(ふで)とりつゝ、そのゆゑよしをかきつ 00005300M8けて、/人(ひと)おぞかしをなすものにこそ 00005310¥A△△△△△△△△△△△△△芙蓉亭文雄G 00005320M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十七ウ) 00005330¥Q天保三年壬辰春錦耕堂新版目録 00005340M11△△△山東京山作△△△△△十返舎一九作 00005350M12/徒然草玉盃初編(つれ※ぐさたまのさかづきしよへん)全六冊△/結神末松山(むすぶかミすゑのまつやま)全六冊 00005360M13△△△歌川国芳画△△△△△五渡亭国貞画 00005370M14△△△十返舎一九作△△△△十返舎一九作 00005380M15/義経越路松(よしつねこしぢのまつ)△△全六冊△/化皮太鼓伝(ばけのかハたいこでん)全六冊 00005390M16△△△五雲亭貞秀画△△△△歌川国芳画 00005400M17△△△十返舎一九作△△△△九返舎一八作 00005410M18/忠臣店請状(ちうしんたなうけぜう)△△全四冊△殺生石秋七草全四冊 00005420M19△△△五雲亭貞秀画△△△△歌川国芳画 00005430M20△△△恋川春町作△△△△△△△立川焉馬作 00005440M21/忠臣再講釈(ちうしんにどのこうしやく)△△全六冊△@梅由兵衛|芸子長吉@/花兄魁綴冊(はなのあにさきがけぞうし)全六冊 00005450M22△△△五雲亭貞秀画△△△△△△歌川国貞画 00005460M23△△△板東蓑助作目録之通不残出板仕候間御求御高覧可被下候 00005470M24/向人廓山彦(むかゐのひとくるわのやまひこ)△△全六冊△地本錦絵問屋 00005480M25△△△五渡亭国貞画△△△江戸馬喰町弐丁目北側 00005490M26△△△△△△△△△△△△△山口屋藤兵衛板 00005500¥P22 00005510¥U噺本大系△第十六巻 00005520¥T/落噺笑富林(おとしばなしわらふはやし)〔見返扉〕 00005530¥G 00005540¥Y 00005550L16天保四年正月刊 00005560L17林屋正蔵作 00005570L18北尾重政画 00005580L19西村屋与八板 00005590L20中本二巻二冊 00005600¥G(上下巻表紙) 00005610¥P23 00005620¥G(1オ) 00005630¥Q/噺本(はなしほん)/目録(もくろく) 00005640L13/生鯖船(いさばふね)△@柳亭種彦校合|玉虹楼一泉作|柳川△重信画@△/〔図〕(たいこ|G)の/〔図〕(はやし|G)△@同△△△作|同△△△画@ 00005650L16/舛(ます)おとし△@林屋△正蔵作|歌川△豊国画@△/巳の春新作△/笑冨林(わらふはやし)△@林屋正蔵作|北尾重政画@ 00005660L18/笑話(はなし)の/林(はやし)△@同△△△作|同△△△画@△△同後編△わらふ林△@同△△△作|同△△△画@ 00005670L19△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(1オ上) 00005680¥Y口上 00005690M3当年も相かハらず新作を高覧に入まする。わたくし愚作の 00005700M4はなしハ、下掛り、いやらしい事ハ少しもなく、御親子御 00005710M5兄弟の中にて御覧あそばしても、ヲヤいやだよなどと被仰 00005720M6候事ハ無御座候。御みやげ物等ニ沢山御求メの程、奉願上 00005730M7候。当年ハとりわけ出精仕、高座にて咄す通りに作仕候。 00005740M8日本国中の御客様方、先&御評判+ 00005750M9△△△△△△△△△西両国の定席ニおゐて 00005760M10△△△△△△△△△△△△△△△△林屋正蔵作 00005770M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(1オ下) 00005780¥T1 00005790¥N1¥J 00005800¥X 00005810M14/白猿(はくゑん)が/秀句(しうく)に、いざさらハ梅/見(ミ)に/辷(すべ)るところまで。/香(か)にさ 00005820M15そハれてうか+と、/庵(あん)の/主(あるじ)ハしらねども、せうぎにこし 00005830M16かけ、アヽよく/咲(さい)た+。是がいハゆる、/主人(しゆじん)/不相識(あいしらず)/偶坐(ぐうざ) 00005840M17/為林泉(りんせんのためなり)といふ。をりから庵の/小女(こをんな)が、/名物(めいぶつ)の/梅干(うめぼし)をおめ 00005850M18しなされませ。十ヲで八せんでござります。客Sおれも/唐(から) 00005860M19うたを/吐出(はきだ)すからハ、梅ぼしの/直(ね)だんも、/十ヲ四銭(唐詩選)ンにま 00005870M20けやれ(口オ) 00005880¥P24 00005890¥G(1ウ・口オ) 00005900¥N2¥J 00005910¥X 00005920M2△△△/七重八重(なゝへやへ)/花(はな)ハさけども/山吹(やまふき)の 00005930M3△△△△/実(ミ)の一ツだになきぞかなしき 00005940M4此/哥(うた)をきいて、なんでも/夕立(ゆふたち)が/降(ふつ)て/来(き)て、/雨具(あまぐ)を/借(か)せとい 00005950M5ふものがあつたら、/哥(うた)を/読(よまう)+といふうち、大夕立ふりき 00005960M6たり、/友(とも)だちがかけこミ、/傘(かさ)でもきるものでも、/雨具(あまぐ)をか 00005970M7してくれろといふゆゑ、/八百屋(やほや)の/亭主(ていしゆ)、/白瓜(しろうり)と/丸漬(まるづけ)と/茄子(なすび) 00005980M8をならべて、哥に、S丸づけやなすび白瓜ある中に△今 00005990M9一ツだになきぞかなしき△友Sこの中に/胡瓜(きうり)がねへの 00006000M10亭Sハイ。/胡瓜(かつぱ)ハござりませぬ(一オ) 00006010¥N3¥J 00006020¥X○/御加増(ごかぞう) 00006030M13西の/国(くに)にて百万貫御取あそばす御方、殊の/外(ほか)いひにくき事 00006040M14を/好(このミ)給ひ、/御家来(ごけらい)に早口/豆(まめ)右衛門といふもの、/御意(ぎよい)に入ツ 00006050M15て、何事も此ものなくてハならぬやう也。/初春(はつはる)の事なりし 00006060M16が、豆右衛門/御前(ごぜん)へ出、豆Sたゞ今御/玄関(けんくわん)へ(一ウ上)しよ 00006070M17しや山ンのしや/僧正(そうぜう)、こうやの/山(やま)のおこけらこぞう、/年頭(ねんとう) 00006080M18の/賀儀(がぎ)にまかり/出(で)ましたゆへ、とるものもとりあへず、/小= 00006090M19米(こ=ごめ)のなまがミ、ここん小ごめのなまがみ、/親(おや)も/嘉兵衛(かへゑ)/子(こ)も 00006100M20/嘉兵衛(かへゑ)、/親(おや)嘉兵へ、/子嘉(こか)兵へ、/子(こ)かへ(二オ上)おやかへをも 00006110¥P25 00006120¥G(口ウ・一オ) 00006130M1つて、/取次(とりつき)をたのミ候所、/今日(こんにち)規式の御/料理(りやうり)、なにがよか 00006140M2ろと相/談(だん)さいちう、ぼんごめ・ぼんまめ・ぼんごぼう、つ 00006150M3ミたで・つミまめ・つミさんせう、/京(きやう)の/生鱈(なまだら)・なうな/ま((きカ))・ 00006160M4まなかつを、煮ても(一ウ下)/焼(やい)ても/喰(くハ)れぬものハ、ごとく 00006170M5/鉄(てつ)きう・かなくまどうじ、中にもとうじのらせうもんハ、 00006180M6/茨木童子(いばらきどうじ)がうでぐり/五合(こんがふ)つかんでおむしやるかの/頼光(らいくわう)の、 00006190M7ひざもと(二オ下)/去(さら)ず、ふな・きんかん・しいたけ・さ 00006200M8だみつ、ごだんハそばきり・そうめん・うどんなんどが 00006210M9よろしからんと、/献立(こんだて)さいちうゆへ、/私(わたくし)すぐに申上ます。 00006220M10殿Sホヽヲ、できた+。その/早口(はやくち)のほうびとして、/田(た)一 00006230M11/反(たん)に/茶(ちや)一/斤(きん)、/田(た)二/反(たん)に/茶(ちや)二/斤(きん)、/田(た)三/反(たん)に/茶(ちや)三/斤(きん)、/田(た)四/反(たん)に 00006240M12/茶(ちや)四/斤(きん)、/田(た)五/反(たん)に/茶(ちや)五/斤(きん)、/田(た)六/反(たん)に/茶(ちや)六/斤(きん)、/田(た)七/反(たん)に/茶(ちや)七 00006250M13/斤(きん)、/田(た)八/反(たん)に/茶(ちや)八/斤(きん)、/田(た)九/反(たん)に/茶(ちや)九/斤(きん)、/田(た)十/反(たん)に/茶(ちや)十/斤(きん)と 00006260M14らするぞ△豆Sハツア、ありがたい/仕合(しあハせ)ト@さつそく/宿(やど)へ|立かへれば、@女房 00006270M15S御かぞうのやうすを/承(うけたま)ハりました。おめでたう/存(ぞんじ)ます。 00006280M16此/歓(よろこ)びついでに、ねだりたいものがござりますが△豆Sな 00006290M17んなりといふたり+△女Sほしひものハ、/繻子(しゆす)/緋(ひ)じゆす 00006300M18・すゞしゆちんの/帯(おひ)に、こんぎやくざおりの/黒小袖(くろこそで)、/菊桐(きくきり) 00006310M19きくきり/三菊桐(さんきくきり)、/合(あハ)せてきくきり/六菊桐(むきくきり)の/紋(もん)を付て、/拵(こしらへ)て 00006320M20下さりませ△Sやすい事+。/拵(こしらへ)てやらうハさ△むすこ 00006330¥P26 00006340¥G(一ウ・二オ) 00006350M1Sおとつさん。/私(わたくし)にハぶぐばぐぶぐばぐ/三(さん)ぶぐばぐ、/合(あハせ)て 00006360M2/武具(ぶぐ)/馬具(ばぐ)/六(む)ぶぐばぐを/拵(こしらへ)て下さりませ豆Sやすい事+△ 00006370M3女Sモシ/旦那(だんな)へ。此やうに/外郎(うゐらう)のせりふでねだりますが、 00006380M4/此相談(このさうだん)ハできますかへ△@豆右衛門△△|笑ひながら、@豆S/小田原(をだハら)だ(二ウ) 00006390¥N4¥J 00006400¥X○/牛(うし)の/講釈(こうしやく) 00006410M7こゝに/大坂(おほさか)上町/辺(へん)に/伊勢屋(いせや)/伝右衛門(でんゑもん)といふ人ありしが、/其= 00006420M8忰(その=せがれ)に/伝(でん)二郎とて、とり所もなきあほう。/表(おもて)よりかへり、で 00006430M9ん二Sとつさん。今かへりました△伝Sあほうよ。/何(なに)して 00006440M10ゐたのじや。ひる/食(まゝ)でも/喰(く)てしまへ△でん二Sとつさん。 00006450M11此あかいひけのある/肴(さかな)ハなんじやい△伝Sそれハ/海老(ゑび)じや 00006460M12でん二Sゑびハあかいものかい△伝Sゑびハ/黒(くろ)いものじや 00006470M13が、ゆてると/赤(あか)うなるハ△でん二Sとつさん。此いぼ+ 00006480M14のあるあかいハなんじやい△伝Sそれハ/鮹(たこ)じや△でん二 00006490M15Sたこハあかいものじやな△伝Sそれも/白(しろ)いものじやが、 00006500M16ゆでると/赤(あか)うなるハ△でん二Sなんでもいでると/赤(あか)うなる。 00006510M17此うらの/稲荷(いなり)の/鳥居(とりゐ)、あれも/赤(あか)いが、いでたのか△伝Sあ 00006520M18ほうぬかすな。/鳥居(とりゐ)をゆでるやうな、ゑらい/釜(かま)ハないハ△ 00006530M19でん二Sないともいハれぬぞへ。今/一(いち)のかわで、/巴太夫(ともへたいふ)が 00006540M20かたりくさる/浄(じやう)るり、あいごのわかの山の/段(だん)で、やかたを 00006550¥P27 00006560¥G(三ウ・四オ) 00006570M1いでゝひへの山といふたが、やかたさへゆでる/釜(かま)があるハ 00006580M2伝Sそれがおのれ、あほうじや。どふぞこれ、人に/賢(かしこい)とい 00006590M3ハせたいが、/親(おや)の/欲(よく)じや。それ+、/東(ひがし)の/叔父(おぢ)の所で、よ 00006600M4う/普請(ふしん)がでけたさかい、(三オ)今から/行(い)て/賞(ほめ)て/来(き)や。まづ 00006610M5/天井(てんぜう)が/薩摩(さつま)のうづらもく、/座敷(ざしき)の/床(とこ)の/間(ま)の/掛物(かけもの)ハ/探幽(たんゆう)の/山= 00006620M6水(さん=すい)、その/外(ほか)あちこち(三ウ上)/庭廻(にハまハ)り、/目(め)につきしだいほめ 00006630M7まハり、だい/所(どころ)へ出ると、/正面(せうめん)の/柱(はしら)に/節穴(ふしあな)が一ツあるハ。 00006640M8おぢきがゑらふ/気(き)にかけてゐるさかい、おぢさま、何も/気(き) 00006650M9にかける事ハござりませぬ。/座敷(ざしき)とちがふて/台所(だいどころ)じや。ア 00006660M10ノふし/穴(あな)へ御札を一チまい、はつておかんせ。アノ穴ハ見 00006670M11へませんといふて見イ。/賢(かしこい)ものじやと賞られますハ△でん 00006680M12二Sヤ、ゑゝ事/聞(きい)たなア。ドレいて/来(こ)よト@かけ出て、/早速(さつそく)東のお|ぢの所へゆき、ことの@ 00006690M13@ほかほめられ|て立かへり、@でん二Sとつさん+、おまへのいふた通りほ 00006700M14めたら、おぢさんが/賢(かしこい)もんじやといふた。まつとどこぞに 00006710M15(四オ上)/普請(ふしん)ハあろまいか。この/裏(うら)の/雪隠(せつちん)ぶしんがでけた 00006720M16が、/行(い)てほめやうか。/雪隠(せつちん)のかけものも/探幽(たんゆう)の/山水(さんすい)△伝 00006730M17S何をぬかすぞい。まだ+/我身(わがミ)をほめさせるハ、/南(みなミ)のざ 00006740M18いのぢいが所で/牛(うし)を/買(か)ふたハ。これから(三ウ下)/行(い)て、/牛(うし) 00006750M19を/賞(ほめ)てこい△でん二S牛の/天(てん)ぜうも/薩摩(さつま)のうづらもくか△ 00006760M20伝Sだまつてきゝいな。まづうしを/賞(ほめ)るハ、/天角(てんかく)/地眼(ぢがん)/一黒(いちこく) 00006770¥P28 00006780¥G(五ウ・六オ) 00006790M1/直頭(ろくとう)/耳小(にせう)/歯違(はちがふ)と/賞(ほめ)るハ。/角(つの)ハうへに(四オ下)むかひ、/目(め)ハ 00006800M2/下(した)を見るがよい。/惣身(そうしん)ハまつ/黒(くろ)が一チばん、かしらハまん 00006810M3ろく、/耳(みゝ)ハ/小(ちいさ)いがよい。そこて/歯(は)ハくひちがふがよい。此 00006820M4わけいふて、ほめてこい。かしこいものじやと、ぢいがほ 00006830M5めるハト@いハれて、其まゝ/南(ミなミ)をさし|て出行しが、かど口から、@でん二Sぢいさん+。/牛(うし) 00006840M6をほめに/来(き)ました△ぢいSようわせたナ。まア+あがれ 00006850M7+△でん二Sいへいへ、/牛(うし)ハどこじや△ぢいSうしハせ 00006860M8どの/小家(こや)にゐるハ。さあ+せどへまハれト@そのまゝうらへ|出て、牛を引出@ 00006870M9@し見せると、あほう|つく※と見て、△@でん二S天かく/地(ぢ)がん一チこくろくとうに 00006880M10せうはちがふじや△ぢいS伝二郎。そのわけ、しつてほめ 00006890M11るか△でん二S天かくとハ/角(つの)が/上(うへ)へむいてゐる。ぢがんハ 00006900M12/眼(まなこ)が下を見てゐる。一チにまつ/黒(くろ)、/頭(かしら)がまんろく、/耳(みゝ)の/小(ちいさ) 00006910M13いがにせう、/歯(は)ハくひちがつてゐますゆへじや。ナント/爺(ぢい) 00006920M14さん。ゑらいものであらふがの△ぢいSヤアかしこい+ 00006930M15ト@ほめてゐるうち、牛|がふんをするゆへ、@ぢいSなんぼ/牛(うし)が/能(よう)ても、こないに/糞(ふん)を 00006940M16しくさる。とつとこれにハこまるハへ△でん二Sぢいさん。 00006950M17なんの/困(こま)る事ハない。/此穴(このあな)へ/御札(おふだ)を一チまい/張(はつ)ておかんせ 00006960¥N5¥J 00006970¥X○/暦(こよミ)づくしの/中直(なかなほり) 00006980M20/京生(きやううま)れの/夫婦(ふうふ)、/母親(はゝおや)ひとりをつれて御江戸のはんくわを 00006990¥P29 00007000L1したいて/下(くだ)りしが、(四ウ)/次第(しだい)にしんせうもしあげ、/此頃(このごろ) 00007010L2ハちと/奢気(おこりき)が出て、/亭主(ていしゆ)の/色事(いろごと)ざんまい。こよミを出して、 00007020L3/爪(つめ)とりよしと、にこ+/笑(わら)ふを、女房Sよい御きげんじや 00007030L4の。おまへハこよみ見て男をしあげるが、/私(わたくし)ハ/胸(むね)がふさが 00007040L5りじや△亭Sなんで/胸(むね)がふさがりじや。ぜうだんぬかせ 00007050L6女Sイヽヱ、/暦(こよミ)の/上段(ぜうだん)じやござりませぬ。/此方(このかた)/万(よろづ)よしと、 00007060L7/嫁入(よめいり)してきたじぶんハ、/甲(きのへ)の/小袖(こそで)も/沢山(たくさん)もつてゐたを、お 00007070L8まへが/乙(きのと)くながら一ツかせ二ツかせと、わしが/きもん(鬼門)も/皆(ミな)、 00007080L9こなざんが◇とるやぶる◇其うへとなりの◇おさん◇とひめはじ 00007090L10め、◇あやぶなる◇/色情(いろごと)。わしがそとに◇たつのぞく◇ともしらず、 00007100L11あつかましい/云(いひ)やう。/天社(てんしや)にあらバ/丁(ひのと)の/酉(とり)、/地火(ちくわ)にあらバ 00007110L12れんりの/支(ゑと)、どふぞかうして八十八/夜(や)ハおろか、二百十日 00007120L13もくつついてゐたいを/聞(きい)たら、/私(わたし)がむねにくろふ日ハ三百 00007130L14六十よかん/日(にち)、/閏月(うるふづき)までたえません。こちハしんせう大せ 00007140L15つと、/夜(よ)なべにも人の/丁(ひのと)をしたゆへに、今でハ/誰(たれ)に/金(かね)を/辛(かの) 00007150L16といふても/借(から)るゝし、ずいぶんあきないはじめなるやうに 00007160L17したも、此やうに/金神鬼(ごんじんき)の(五オ)やうにしまつした/深切(しんせつ)も、 00007170L18みな/壬(ミづのへ)のあわじやそへ。/癸女房(みづのとにようばう)をやしなふが/男(をとこ)のはたら 00007180L19きじや。ゆどのはじめのしうぎハおろか、ゆせんの/八専(はつせん)も 00007190L20みな/私(わたし)が/手(て)から/出(いだ)します。/三度(さんど)の/食(まゝ)の(五ウ上)/歳下日(さいげしき)しま 00007200M1つをするに、/能(よう)人に天一天上見せたな△亭Sなんじやい。 00007210M2おのれハ十二/支(し)なミのきりやうでもないくせに、/ゑ(支)と思ふ 00007220M3てゐるかい。なんぞといふと大明日の/奥勤(おくつとめ)、/神(かミ)よしをはな 00007230M4にかけ、人の事いふ。おのれが/小遣(こづかひ)、月に/十幹(じつかん)でハたりま 00007240M5せぬ。大/復日(ふくにち)あつたかいといふをきくとかふてくひ、けふ 00007250M6ハ富の月/徳日(とくにち)、ないせうで札かふて(六オ上)/損(そん)をしてハ、 00007260M7/跡(あと)でハ/凶会日(くゑにち)しるまいと思ふてか、/往亡(わうまう)のへんとう/帰忌日(きこにち)、 00007270M8これでもおのれが/己巳(ミまち)がよいか。サアどふしや△女Sなん 00007280M9じやいな+。むせうに人を/子(ね)めつけて、/丑(うし)つけながら、 00007290M10/寅(とら)まい所もないおまへ。/夘(う)ちの事ハ/辰(たつ)にならふかよこに 00007300M11(五ウ下)ならふが/巳(ミ)やりもせす、/色(いろ)があるゆへ、/午(うま)やる 00007310M12+と/未(ひつじ)ないあいそつかし。/申(さる)ならさらんせ。ひま/酉(とり)て/戌(いぬ) 00007320M13るわ/亥(ゐ)△亭Sイヤ、おのれハ十二の/支(ゑと)、ミなぬかしたな。 00007330M14おれハなんにも/入梅(にうばい)+と思ふてゐれど、(六オ下)サア/彼= 00007340M15岸(ひ=がん)きになつてきたぞ。うしの方のもう+++、おの 00007350M16れにハあきの方じや。/出(で)てうせうト@せりあふ中へ、|母おや立いで、@母Sモウ 00007360M17よいかげんにしたがよい。/聞(きい)てゐると、むすこどのが/皆(ミな)わ 00007370M18るい。/私(わし)ハなんにも、見まいきくまいいふまいと思ふてゐ 00007380M19れど、よめハわしへの/庚申(かうしん)。其大せつな人を/去(さ)る事ハ、わ 00007390M20しがさせぬ。モウよいじぶんじや。/中(なか)なほりして、/親(おや)子三 00007400¥P30 00007410L1人むつましひ/盃(さかづき)事、/寒(かん)をつけふとおもふても、/折(をり)わるふ 00007420L2/酒(さゝ)ハなし。ハテどふせうト@いふ所へ酒屋|の子ぞうが、@S/土用(どよう)ハよろしふご 00007430L3ざい 00007440¥N6¥J 00007450¥X○/年玉(としだま)の/趣向(しゆかう) 00007460L6◇作者曰◇/朋友(ほうゆう)/故人(こじん)むらく、/一年(ひとゝせ)/初春(はつはる)年玉に、/何(なん)ぞ思ひ付ハあ 00007470L7るまいかと、/下拙(やつがれ)に/相談(さうだん)せしとき、/下拙(やつがれ)、/奉書(ほうしよ)紙を二ツ切 00007480L8にして、たたふ紙にをり、/表(おもて)に絵をかきて/遣(つか)ハせし、その 00007490L9/写(うつ)し、/左(さ)の如し。 00007500L10△△/諸君子(しよくんし)へ/解(とく)。/小袖(こそで)の/折(をり)め所&ふすぼりて/横(よこ)すぢの/跡(あと)あ 00007510L11△△るを、古手屋の/詞(ことば)に、やりもちといふ/方言(はうげん)あり。御れ 00007520L12△△き+ハ御ぞんじあるまい(六ウ) 00007530M1◇△△朝寐房むらく△△△△△△△△△林屋正蔵画 00007540M2/御慶(ぎよけい)申入ます。/当年(たうねん)ハ本/格(かく)で御礼に上りました。/御覧(ごらん)の 00007550M3とほり、/去暮(きよくれ)£/頬(ほう)がほていさまのやうにはれまして、は 00007560M4さミ箱、小そでハ折め+がやり/持(もち)、/供(とも)のぞうり取が、 00007570M5当年十ヲになりまして、ばかでこざります。/則(すなハち)、やりは 00007580M6さミ箱ばかとうぞうりとり、四人/供(とも)で上りました△Sむ 00007590M7らくさん。本かくハいゝが、両こしが見へませぬ△むら 00007600M8くSハイ。大小ハ内にござりますG◇ 00007610M10此はなしをよみて、/畳帋(たたふがミ)を/開(ひら)くと、中に/懐(くわい)中/暦(こよミ)の大小あり。 00007620M11此年玉を/両人(りやうにん)して思ひつき、/方々(はう※)へ/配(くば)りしも、はや廿八年 00007630M12の/昔(むかし)となりぬ。思ひ出せしまゝ、こゝに/写(うつ)しぬ(七オ) 00007640¥N7¥J 00007650¥X○/狩人(かりうど) 00007660M15/甲州辺(かうしうへん)の山にて、/狩人(かりうど)、山へ/行(ゆき)、/猪(しゝ)をうち/歩行(あるく)。その/跡(あと)へ 00007670M16/付廻(つきまハ)り、猪を/買(か)ふ者あり。ある/日(ひ)/向(むか)ふの山の/根(ね)にて、しゝ 00007680M17一/疋(ひき)を見/付(つけ)、ぽんと/放(はなす)やいなや、此しゝ/仆(たふ)れける。此/鉄鉋(てつぽう)、 00007690M18しゝの下/腹(はら)をかすりて、/向(むか)ふの山へあたる。/臆病(おくびやう)なるしゝ 00007700M19ゆへ、鉄鉋にあたりたると思ひ、/気絶(きぜつ)したり。其所へ/狩= 00007710M20人(かり=うど)も、ほんまに/打(うち)しと(七ウ上)/心得(こゝろえ)、たづね/来(きた)る。/跡(あと)より 00007720¥P31 00007730¥G(七ウ・八オ) 00007740M1/買人(かひて)付/来(きた)り、しゝの/鼻(はな)の所へ手をやりてかいで見て、かい 00007750M2てSアヽくさや+。此しゝハ/打(うつ)て四五日にもなるべし。 00007760M3だいぶふるい△かり人S今うつたばかりじや。なんぼ/安(やす)く 00007770M4/買(かひ)たいとて、ふるいとハあんまりのこと。/是(これ)見るがよいト 00007780M5@てつぽうでいぢりまハせバ、もとよりしなぬしゝなれ|バ、むつくとおきて一さんに山をさしてかけのぼる。@かり人Sあれで 00007790M6も/古(ふる)いか+トいへば、かひてSかけ/出(だ)す/足(あし)ハ/新(あたら)しいが、 00007800M7どうぼねがふるかつた(八オ上) 00007810¥N8¥J 00007820¥X○/儀(ぎ)太夫/好(すき)の/亭主(ていしゆ) 00007830M10亭S/帳合(てうあひ)にかゝつても、/文句(もんく)の所で/帳(てう)をつけ、相の手の所 00007840M11で判をおすその/拍子(ひやうし)のよさ。上るりSそりやきこへませぬ 00007850M12才/三(ざ)さん。チンチント(七ウ下)/判(はん)を二つおす。それより/昼(ひる) 00007860M13ごろになれバ、/台所(だいどころ)へいでゝ、上るりSなんぞそこらに/昼= 00007870M14食(ひる=めし)の/菜(さい)ハないかと、/鼠入(ねすミい)らずをおしひらけバ、こぶにしろ 00007880M15/豆(まめ)、ひじきのおあい、(八オ下)さつてもうましと/舌(した)つゞミ、 00007890M16たんぽ+したしにまぐろのきり/身(ミ)、これでハ/喰(くへ)ぬとよばハ 00007900M17つたり。その/夜(よ)もすでに/明(あく)る/朝(あさ)、はや/東雲(しのゝめ)の/明烏(あけがらす)、/納豆(なつとう)か 00007910M18ハんと/立出(たちいで)て、コリヤ+あきんど。/叩(たゝい)てあるか。たゞし 00007920M19又つぶのまんまで/うり(売)やるのか。/豆腐(とうふ)のさいのめ、/青菜(あをな)の 00007930M20ぎく+、きざんで/用意(ようい)ハしてあらん。知れた事だがねん 00007940¥P32 00007950¥G(八ウ) 00007960L12の/為(ため)、/返答(へんたう)/聞(きか)ん。なゝなんと/納豆(なつと)+と/呼(よば)ハつたり。@あき△|んど、@ 00007970L13@口さミせ|んにて、@あきんどSチンチツンツン、つぶでござい△亭Sそ 00007980L14の/三味線(さミせん)ハ、ヨイ/糸引(いとひき)じや(八ウ) 00007990¥Q国貞画 00008000M2△△△△△△△落噺笑富林 00008010M4G△△△△△△林屋正蔵作 00008020M6△△△△△△△北尾重政画 00008030M8△△△△△△△江戸馬喰町弐丁目 00008040M9徳者堪忍△△△△西村屋与八板 00008050M10五万歳 00008060¥Q 00008070M13いそかずハぬれましものを夕立の 00008080M14△跡よりはるゝ堪忍の二字△/(先の)焉馬 00008090M15△△△△△△△落噺笑富林 00008100M16△△△△△△△林屋正蔵作 00008110M17△△△△△△△北尾重政画 00008120M18△△△△△△△永寿堂与八板 00008130M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△(上下巻見返扉) 00008140¥P33 00008150¥G(九ウ・十オ) 00008160¥T1 00008170¥N1¥J 00008180¥X○/読(よミ)ちがひ 00008190M3むかし/御大名(おだいめう)、/御国年(おくにとし)なりしが、いつも/鎌倉表(かまくらおもて)の/御用(ごよう)きゝ 00008200M4より、御つむりの/煉油(ねりあぶら)を差上し所、/此節(このせつ)/道中(どうちう)/川支(かハつかへ)にて、/飛= 00008210M5脚(ひ=きやく)/到着(とうちやく)/延引(ゑんいん)せし/故(ゆへ)、/御国元(おくにもと)のねり/油(あぶら)、/御意(ぎよい)にかなハず、 00008220M6御ぐしあげのたび+に、/香(にほひ)あしきとて御きげんあしく、 00008230M7/役人衆(やくにんしゆ)も/種&(しゆ※)/評議(ひやうぎ)のうへ、江戸/表(おもて)£御つれなされし/医師(いしや)/何= 00008240M8某(なに=がし)に/掛合(かけあへ)バ、いしやSしよせん御国元のねり/油(あぶら)ハ香あしし。 00008250M9それ£ハ/御領分(ごりやうぶん)の山に/沢山(たくさん)ある/玄及桂(げんきうかづら)の/皮(かハ)を引むき、/香(にほひ)水 00008260M10にひたして、其ぬめりにて御ぐしをあげるが/宜(よろし)うござりま 00008270M11すト@いふゆへ、さつそく村やく人どもへ申付ける。尤かきつ△|け、下&へハわかるまいと、/平仮字(ひらかな)にてしたゝめつかハす。@/其書(そのかき)ぶ 00008280M12り、/斯(かく)の/如(ごと)し。 00008290G1◇△△御用 00008300G2げんきうかつらのか 00008310G3ハを引むき今日中に 00008320G4差出可申もの也 00008330G5△月△日△役人中 00008340G6△△△村役人共え◇ 00008350M13G○@此とほりのかき付下りしゆへ、村やく人共|よりあつまり、ひやうぎまち+。大ぜいが@ 00008360M14村やくSさて+なんぎな/御用(ごよう)じや。 00008370M15なか+/今日中(けふぢう)の/間(ま)にハあハぬ。こ 00008380M16れハ/斎藤(さいとう)/玄久(げんきう)といふいしやのつらの 00008390M17/皮(かハ)をむくのだんべい。/念(ねん)の/為(ため)、/今(いま)一 00008400M18/度(ど)よんで見たがゑゝ△同Sげんきう 00008410M19がつらのかわを引むき、今日中に/差= 00008420M20出(さし=いだし)可申もの也ト@玄久かづらのか|の字を上ヱの△@(九オ) 00008430¥P34 00008440¥G(十ウ・十一オ) 00008450M1@/字(じ)へ付て、/玄久(けんきう)が○つらのかわとよ|ミしゆへ、こんさつ大かたならず。@村Sげんきうがつらの/皮(かわ)を引 00008460M2むき、/何(なん)の/御用(ごよう)になる事やら。/御上(おかミ)の事ハしれぬもの。又 00008470M3玄久もふびんながら、/御用(ごよう)なれバしかたがない。/些(ちつと)もはや 00008480M4く引むくがよかんべい。これ+/権蔵(ごんぞう)。玄久かたへ/行(いつ)て、 00008490M5/只今(たゞいま)村/役人方(やくにんかた)まで来さつせへと/呼(よん)で/来(こ)い。/仮(かり)にもむくこと 00008500M6ハいふなト@いひふくめ、よひにやり、そのあとにて小刀をとき、/用意(ようい)し|てゐる。此事を玄久が/甥(おひ)の久太郎といふもの、内+きくや@ 00008510M7@いなや、いきもすた|+かけきたり、△@久Sコレ+おぢき。ちつともはやく(九 00008520M8ウ上)にげさつせへ△玄S久太郎か。そりや又なぜ△久Sわ 00008530M9けハしらぬが、にしがつらのかわをむくといつて、大ぜい 00008540M10でまつてゐる。/命(いのち)あつてのものだねじや。はやくこゝをに 00008550M11げたがよいト@いふゆへ、玄久ハさう+いづくへかかけおちして、ゆ|きがたしらずなりにけり。役所にてハ、一日まてども、@ 00008560M12@そのさたなきゆへ、明ル日さう|+村役人を役所へよび出し、@役人Sコレ、お/上(かミ)の(十オ上)御用 00008570M13の/品(しな)、なぜさつそく差上ぬ△村Sハイ。/昨日(さくじつ)/早速(さつそく)さし上 00008580M14ますはづの所、/玄久儀(げんきうぎ)ハかけおちをいたしまして/当惑(たうわく)仕り 00008590M15ます△役Sコレ、わからぬことをいふ/奴(やつ)だハへ。いくらも 00008600M16/御領分(ごりやうぶん)の山又ハ/野辺(のへん)にあるものだハ△村Sイヱ+、松尾 00008610M17村に一人しかござり(九ウ下)ませぬ。/斎藤(さいとう)/玄久(げんきう)と申ス/医者(いしや)の 00008620M18つらの/皮(かわ)を△役S何だか/分(わか)らぬ事を申スが、/昨日(さくじつ)の/書付(かきつけ)を 00008630M19ぢさんいたしたか。よくよんで見ろ(十オ下)△村Sハイ+、 00008640M20是にござります。/御用(ごよう)。げんきうが。つらのかわを引むき、 00008650¥P35 00008660¥G(十一ウ・十二オ) 00008670M1今日中に/差出(さしいだし)可申もの也と御ざりますが、/人間(にんげん)のつらの/皮(かハ) 00008680M2をお/提物(さげもの)にでもなされますか。@役人ども、大|わらひして、@役Sばかな/奴(やつ)だ。 00008690M3そうてハないハへ。/玄及(げんきう)かづらのかわを引むくのだハ△村 00008700M4Sヘヱ、げんきうが。つらのかハ△役Sそうでハない。/玄及(げんきう) 00008710M5かづらト@あらそふ所へ、江戸|のいしやたちいで、@いしやSコレ+/甚右衛門(じんゑもん)。それ 00008720M6ハ/了簡(りやうけん)ちがひだハ。玄及かづらといふハ、/俗(ぞく)に/美男(びなん)かづら 00008730M7といふて、是に/生(せう)ずる/実(ミ)を/五味子(ごミし)といふ。/漢名(かんめい)/玄及(げんきう)、/和名(わめう) 00008740M8さね/蔓(かづら)といふ。/百人一首(ひやくにんしゆ)の/三条(さんでう)の/右大臣(うだいじん)の/歌(うた)に、/名(な)にしおハ 00008750M9ゞあふさか山のさねかづら△人にしられてくるよしもがな 00008760M10とある、そのさねかづらをむくのだハ△村Sヘヱ、それハ 00008770M11女のアノ+△役S何を申ス。/玄及(げんきう)かづらだハ△村Sそれ 00008780M12でわかりました。/早速(さつそく)さし上まする。此まへ/豊年(ほうねん)おどりの 00008790M13時/用(もち)ひましたがござりますト@早&/宿(やど)へかへり、もちきたるを見れバ、|あさぎ/木綿(もめん)のぼうずのあたまなり。△@ 00008800M14役Sこれハ何じやトとへバ、村Sハイ。/椀久(わんきう)かづら(十ウ上) 00008810¥N2¥J 00008820¥X○/持余長者(もちまるてうじや) 00008830M17/草木(さうもく)/心(こゝろ)なしといへども、/主人(あるじ)の心にて、/庭(にハ)の/樹木(じゆもく)/草花(くさはな)に/暑= 00008840M18寒(しよ=かん)の/用意(ようい)、うつ/水(ミづ)も/四季(しき)をり+に/気(き)をつくれバ、/自(おのづか)ら 00008850M19/勢(いきほひ)もよく、あるじの/徳(とく)をしたひてや、ある/日待(ひまち)の/夜(よ)、/園= 00008860M20庭(その=にハ)/植込(うへごミ)きらひなく、思ひ+の/俄(にわか)の/趣向(しゆかう)。@まづはじまり|ハ/太皷(たいこ)の/音(おと)。@Sど 00008870¥P36 00008880¥G(十二ウ・十三オ) 00008890M1どんどどんよい++、どどん+。@此おとに、あるじ目を|さまし、こよひの日ま@ 00008900M2@ちハみなさわぎくたびれてねてゐるに、たれならんと、庭をのぞいて見れ|バ、植木どもゆへ、大きにおどろき、早速下男をよびて見とゞけさせる。@ 00008910M3下男Sだん那さま。今のどどん+ハ/植込(うへごミ)の/榊(さかき)でござりま 00008920M4すト@いふうちに、せうじのそと|へ十六七の娘のこゑにて、@S此やうに/身(ミ)おもになつて、お 00008930M5とつさんやおつかさんにいひわけがござりませぬ。どうぞ 00008940M6して下さりませト@いふゆへ、下男|出て見れバ、△@S/葉(は)らんだ。男Sこれハし 00008950M7やれてゐるト@いふうち庭の△|すミの方にて、@ウタイS是ハ/美濃(ミの)の/国(くに)より/出(いで)た 00008960M8るものにて候。いまだみちのくを見ず候/間(あいだ)、此たび(十一オ 00008970M9上)思ひ/立(たち)、/一見(いつけん)せバやとぞんじ候。あか+と日ハつれな 00008980M10くも/秋(あき)の/風(かぜ)ト(十ウ下)@いふゆへ、△|出て見れバ、@S/芭蕉(ばせう)の/葉(は)。男Sこれはお 00008990M11もしろいト@よろこぶうちに、|/黄色(きいろ)なこゑにて、@Sモシ、/弁慶(べんけい)といふ/野暮(やぼ)ものが、 00009000M12女ハ/生涯(せうがい)に/一度(いちど)であきらめたといふが、この/世(よ)に(十一オ下) 00009010M13あらんかぎり、女ほどいゝものハごぜへせん。/三浦屋(みうらや)の/薄= 00009020M14雲(うす=くも)になじんで、/夜具(やぐ)から/手道具(てどうぐ)、/飼猫(かひねこ)のふとん、/鰹節(かつほぶし)まで 00009030M15しおくりして、五/年(ねん)かよふ/間(あいだ)に、五千両ほどつかひやした 00009040M16/所(ところ)で、さる/色男(いろおとこ)のはうへとられるし、/其後(そのゝち)/揚巻(あげまき)が(十一ウ上)所 00009050M17へ三年かよふ内、/紫(むらさき)ちりめんの/反物(たんもの)がほしいの、/黒羽二重(くろはぶたへ) 00009060M18に/牡丹(ぼたん)の/紋(もん)の小袖をこしらへてくれの、/傘(かさ)の/下駄(げた)のとねだ 00009070M19りこと。女郎の身にハいらぬものと思つたが、こしらへて 00009080M20やりやした。/所(ところ)がそれハみんな色男へのしおくりもの。か 00009090¥P37 00009100¥G(十四ウ・十五オ) 00009110M1んじんの女房にしよふといふときハ、助六のはうへ/行(いき)やし 00009120M2た。その/外(ほか)、/地(ぢ)もの・町げいしや・/後家(ごけ)・/尼(あま)・人の女房に 00009130M3まで金をつかつた(十二オ上)その/跡(あと)ハ、いつでもねがへり 00009140M4つきだされ、なんと/妙(めう)でごぜへすねヘト@ならべたてる△|をよく見れば、@/石燈= 00009150M5篭(いしとう=ろう)のSこけであつた。/其跡(そのあと)からハにぎやかに/三味線(さミせん)つゞミ 00009160M6のうちはやしハ、たんぽ+にぺん+/草(くさ)、/風(かぜ)に/柳(やなき)の/吹(ふく)まゝ 00009170M7にとかたるハ(十一ウ下)/富本桜草(とミもとさくらさう)、/琴(こと)のしらべハ松/吹(ふく)風、/杜= 00009180M8若(と=じやく)の身ぶりハかきつばた、/牡丹(ぼたん)ハお/株(かぶ)の団十郎、/坂東一(ばんどういち)の 00009190M9/若武者(わかむしや)と(十二オ下)かたる/文句(もんく)ハ/庭(にハ)の/梅ケ枝(うめがえ)、とうりこそ、 00009200M10ぶんごであつた。/扨(さて)このたびの/軽(かる)わざハ、/綱(つな)を手ばなし、 00009210M11両/足(あし)でぶらり+と/下(さが)ります。どつと/賞(ほめ)たり+といふハ、 00009220M12やつぱり下り/藤(ふぢ)、/松柏(せうはく)しげる/東(ひかし)の方、/阿武(あふの)松に/柏戸(かしハど)じやア 00009230M13イ、どどんが+どん+ハ、/一面(いちめん)しげる/角力草(すまふくさ)、はや/明= 00009240M14方(あけ=かた)の(十二ウ上)/東(とう)天/紅(こう)と/時(とき)をつくるハ/鶏頭花(けいとうげ)。かゝる所へ/庭(にハ) 00009250M15の/真(まん)中、がら+となる/音(おと)におどろき、/家内(かない)/出(で)て見れバ、 00009260M16千両/箱(ばこ)を十ヲつんで、/上(うへ)にのせたる/染付(そめつけ)の/鉢(はち)の/植木(うえき)ハなん 00009270M17だ+。S万両でござります 00009280¥N3¥J 00009290¥X○/御祝儀(ごしうぎ)/目出度噺(めでたばなし) 00009300M20/多良福屋(たらふくや)/孫左衛門方(まござゑもんかた)の年わすれに(十三オ上)よばれし/客(きやく)ハ、 00009310¥P38 00009320¥G(十五ウ) 00009330L12一/間(ま)+に/組(くミ)を/分(わけ)ての(十二ウ下)大ふるまひ。/料理(りやうり)ハ/浅草(あさくさ)/黒= 00009340L13船町(くろ=ふねてう)むさしや/仙(せん)吉が手をつくしたる/仕出(しだ)しのけつこう、三 00009350L14十/畳(でふ)の/書院(しよいん)の/床(とこ)の/間(ま)、/常信(つねのぶ)のほうらいの/掛物(かけもの)。/爰(こゝ)ハ一トむ 00009360L15れ(十三オ下)/老人客(ろうじんきやく)つらりと/居(ゐ)ならび、/本膳(ほんぜん)すぎ、/薄茶(うすちや)・/口= 00009370L16取(くち=とり)それ+に、是からあぐら/無礼講(ぶれいこう)、からかさ屋の六郎兵 00009380L17衛が、六Sモシ、/絵草紙屋(ゑさうしや)の旦那ハおいくつへ△画S年かね。 00009390L18/商売物(せうばいもの)の/道中双(どうちうすこ)六、五十三サ△六Sいくつだと△画S五百 00009400L19五十三サ△六Sヤ、おわかい+△画Sそういふおまへハ 00009410L20六Sからかさ屋のろくろく三十六サ△画Sそのうへハ△六 00009420M1S六百三十六△画Sわかいね△六Sわかいはづサ。お手/前(まへ) 00009430M2でもおうりなさる/京橋(きやうばし)/銀座(きんさ)二丁目の/美玄香(びけんかう)の/黒油(くろあぶら)でめかす 00009440M3からサ△画Sどうりでおぐしが/真黒(まつくろ)だ。こちやかなやせぬ 00009450M4六Sヤ、お/口合(くちあひ)だの△画Sわたしも商売もので付るが、 00009460M5五百才の上をこして、此/通(とほ)り/白髪(しらが)一本もなしサ。わたしが 00009470M6/弟(おとゝ)ハ十六むさしで五百十六、ときに/合羽屋(かつぱや)のおかミさん、 00009480M7/旦那(だんな)はおいくつへ△合Sしやうばいものゝ合羽六十四サ 00009490M8六S上ヱハへ△S六百六十四サ。わたくしハつれ/合(あひ)に十ヲ下 00009500M9タでござります△Sいゝ/御夫婦(ごふうふ)たね△Sハイ、/仕合(しあハせ)と/子(こ)ど 00009510M10もハ三十人、/孫(まご)が六十人、ひこが八十人ン、やしや子が百人。 00009520M11両国橋や日本はしその/外(ほか)、/江戸中(えどぢう)の/橋(はし)のわたり/初(ぞめ)ばかりも、 00009530M12/幾度(いくたひ)したか/知(し)れま(十三ウ)せん。/今(いま)ハ/孫(まご)ひこが/名代(めうだい)しんぞ 00009540M13う、わたしハつんとおしよくのりやうけん、本の/楽隠居(らくいんきよ)サ△ 00009550M14六Sそれハめでたい+。それにしてハ髪も/黒(くろ)し、/顔(かほ)もつ 00009560M15や+と、しわなどハちつとも/見(ミ)へぬハ、/髪(かミ)が白くて顔の 00009570M16わかいを、/白髪童顔(はくはつどうがん)といふハあるが△画Sなにをいひなさ 00009580M17る。きうりとかもうりを見るやうに△六Sナゼヱ、おかミ 00009590M18さんの/皃(かほ)の事をほめるを、きうりとかも/瓜(うり)とハヱ△画Sか 00009600M19つぱトとうがんかね△六Sヤ、これは口合、だまされた。 00009610M20としより/洒落(じやれ)とハおもハれぬ。おかミさんハ髪は黒し、/顔(かほ) 00009620¥P39 00009630L1はつや+。さぞ/旦那(だんな)が気がもめるだろうね△合Sさやう 00009640L2サ。内も/若(わか)うござりますが、是もやつぱり坂本氏の仙女香 00009650L3をたえず/用(もち)ひて、美玄香の/黒(くろ)油の/功能(こうのう)サ△画Sヤ、どうり 00009660L4できれい+。/奇麗(きれい)といへば/横(よこ)町の/黒文字(くろもじ)ね、よくなつた 00009670L5ね。ちよつと一/段(だん)/稽古(けいこ)と/出(で)たい△六Sそれよりハ新/道(ミち)の大 00009680L6/福(ふく)屋のおかこ、此間とほりすがいに、わたしにおつな/目付(めつき) 00009690L7をしたが、あれハゆるされぬ△Sイヤ、(十四オ)またわし 00009700L8は/年中(ねんぢう)いろの事でばかり気をもんでおります。きのふはよ 00009710L9し/原(ハら)のいろの事、けふハ/町内(てうない)の/娘(むすめ)のいろ事。まいにち+ 00009720L10いひわけばかりしてあるきます△合Sとしよりの(十四ウ) 00009730L11くせに/大(たい)そうな事をいひなさる。お/前(まへ)の/御内(おうち)ハヱ△S/紺屋(こんや) 00009740L12でござります△大せいSハヽヽヽ、これハだまされた。大 00009750L13わらひだト、此はなしのうち、/後(うしろ)の/床(とこ)の/間(ま)にて/大(おほ)きなこゑ 00009760L14で、Sなるほど、/二才(にさい)めらハとしよりと(十五オ)ちがつて 00009770L15/浮気(うハき)なものだトいふゆゑ、五百六/百(ひやく)になるものを/二才(にさい)とい 00009780L16ふハたれならんと、/後(うしろ)を見れバ、S/掛物(かけもの)の/鶴(つる)と/亀(かめ)(十五ウ) 00009790¥N4¥J 00009800¥X○しやれもの 00009810L19/年(とし)の/暮(くれ)に、なんぞしやれた事で/掛取(かけとり)のいひわけをして/返(かへ)さ 00009820L20んと思ひ、主人Sこれ+、久助や△下男Sハイ、/旦那(だんな)さ 00009830M1ま。あんでござります△主Sいつもくる/薪屋(まきや)ハ何かすきだ 00009840M2下Sあれモノ角力かヱラすきで、/昔(むかし)から今の/番附(ばんづけ)をのこ 00009850M3らずもつてゐて、/朝(あさ)からばんまで、すまふの事ばかりいつ 00009860M4てゐます△主Sそんならあれハ/角力(すまふ)でいひわけをして/返(かへ)そ 00009870M5ふといふ所へ、かどくちから、まきやSハイ、薪やでござ 00009880M6ります。/御払(おはらひ)を下さりませ△主Sヤ、これハ+まきやさ 00009890M7ん。御きのどくだが、/今夜(こんや)ハどふもむづかしい。どふぞ春 00009900M8まで/待(まつ)てもらひたい△まきやSナニ、春までヱ。よくでき 00009910M9たね。これ、九月/前(まへ)も十月も、ウンといつておいたハ、ぜ 00009920M10ひ/今夜(こんや)ハ/取(とら)ねへじやアならねへ。どふする+△主Sコレ 00009930M11/薪(まき)屋。そんなに/顔(かほ)へ/◇稲妻◇(いなづま)を出して、ぴん+と物を/◇荒馬◇(あらうま) 00009940M12に/云(いつ)て、/◇緋威◇(ひおどし)をくれる事ハねへ。そちハ/◇柏戸◇(かしハど)、こつちハ 00009950M13/借(かり)が/◇璞◇(あらたま)だから、/◇越ケ浜◇(こしがはま)を/◇鏡岩◇(かゞミいわ)にして/◇綾川◇(あやかわ)でゐるじや 00009960M14アねへか。/己(おれ)も/◇鳴滝◇(なるたき)/◇粂川◇(くめがハ)をして見たが、どふも此暮ハ/◇陣幕◇(ぢんまく) 00009970M15においねへ。/実(じつ)に/◇黒岩◇(くろいわ)ばかりしてゐるハな。是が/◇九紋龍◇(くもんりゆう) 00009980M16十(十六オ)万両かりがありハしめへし、/高(たか)が/◇錦◇(にしき)か/一分(いちぶ)の 00009990M17ことだ。おれもおめへに/◇大浜◇(おほはま)ハ/面目(めんぼく)ねへ。/◇岩戸山◇(いハとやま)の/◇関戸◇(せきのと) 00010000M18も、一チ/夜(や)あけれバ鳥かなく、/◇東関◇(あづまぜき)の/東(あづま)ツ(十六ウ上)/子(こ)だ。 00010010M19じきに/持(もた)せて/◇揚羽◇(あげは)にする/◇小柳◇(こやなぎ)のすなほに、春まで/◇待乳山◇(まつちやま) 00010020M20にしてハくれめへか△まきやSこいつハ/土俵(どひやう)もなく(十七オ 00010030¥P40 00010040¥G(十六ウ・十七オ) 00010050M1上)おもしろい/云分(いひわけ)だ。ぜんてい/己(おら)が内ハ/◇桟◇(かけはし)にハしねへ 00010060M2が、/持(もつ)てくるたび、おいてゆけ/◇追手風◇(おいてかぜ)がたまりて、/是程(これほと)の 00010070M3/◇高砂◇(たかさご)/◇小町山◇(こまちやま)の九十九/夜(よ)かよつても、/少々(せう+)の内/取(とり)もなく、 00010080M4九月/前(まへの)/◇秋津風◇(あきつかせ)も/◇越海◇(こしのうミ)、ぜひ+けふハ/◇阿武松◇(あふのまつ)で一番と 00010090M5ろふと、/関(せき)にせいてきた所が、そふ/◇琴浦◇(ことうら)をわけて/◇岩滝◇(いわたき)し 00010100M6やア、たつた今/◇頂◇(いたゞき)共いハれめへ。/◇雷電◇(らいでん)の事をいふと/鼠(ねすミ) 00010110M7がわらふ/中相中前頭(ちうあいちうまへがしら)から/断(ことわつ)た。その時、内を/◇出水川◇(でミづかわ)るす 00010120M8たといふ引手ハくハぬ、/御払(おはらい)が勧進元だよ△主Sありがて 00010130M9へ+。先のやふに/物(もの)を/◇荒井崎◇(あらゐさき)にいふと、ついこつちも/◇武= 00010140M10蔵川◇(む=さしかわ)の江戸ツ子だ。どふ/◇友綱◇(ともづな)かつてにしろと、/横綱(よこづな)にで 00010150M11る事もあるが、(十六ウ下)是でたがひに物いひなし、今これ 00010160M12て引/分(わけ)かへ。@掛取すまふたいこ|のよびこゑにて、@まきやSこんばんハこゝの内 00010170M13ハ/払(はらひ)ハ/出(で)ませぬぞやア。/薪(まき)のかけ取の大せり/合(あひ)じやアイ。 00010180M14@/供(とも)の男、口に|てたいこの音。@供Sどでとるどふでとる+△主S久介や。 00010190M15とふ+だましてかへしてしまつた。是から米屋だ。あれ 00010200M16ハ何が/好(すき)だ△久Sアノ米屋ハ/三川(みかハ)の者で、/万才(まんざい)がすきだが 00010210M17主Sそんなら、万才でたましてかへさふ。その/紙入(かミいれ)の/外(そと)入 00010220M18を/斯(かう)かぶつて、此ふろ/敷(しき)を斯かたから/掛(かけ)て/素袍(すハう)にして、ど 00010230M19ふだ+△久Sいゝあんばいだね。/御(ご)万才と見へまする。 00010240M20/今夜(こんや)ハ/何(いつも)の物前より/云分(いひわけ)がおもしろい。夜どふし/掛取(かけとり)がく 00010250¥P41 00010260¥G(十七ウ・十八オ) 00010270M1れバいゝ。何なら/隣(となり)の掛取も/呼(よん)でこべいか△主Sばかをい 00010280M2へト咄の/最(さい)中、こめやSこめ屋でござります。/御勘定(ごかんでう)をお 00010290M3ねがひ申ます△主Sアヽよくウふかア+、/御(ご)ヲ勘定とハ。 00010300M4/亭主(ていしゆ)ハなんぎに/侍(さふら)ひける。/矢立(やたて)のふでンの(十七オ下)くちイ 00010310M5に/加(くハ)へ、かけヱの/扣(ひかへ)を手に/持(もつ)て、/払(はらひ)を/残(のこら)ず/取(とら)ふなどゝハ、 00010320M6さつてもふといこめンや殿。コレもちつと/待(まつ)てもらいたい。 00010330M7もちつと/延(のば)してもらいたい△こめやSまつてやろ+。かや 00010340M8う申スかけヱ取が万才かお/好(すき)なら、旦那さまもお好だ。待 00010350M9てやろ+といふからにやア、三月前と待べいか△主S三 00010360M10月なんぞハ/雛(ひな)のヲ/棚(たな)の/小鍋(こなべ)ヱだて。/豆(まめ)いる音ががら+が 00010370M11ら+、ひしもちなんぞの/重(かさね)ヱ+物入だらけで、/中(なか)+そ 00010380M12こじやア/払(はらひ)ハできねへ△こめやSそんならまアた五月なんぞ 00010390M13ハどふだんべい△S五月なんぞハのぼりの音がアびら+、 00010400M14/柏餅(かしハもち)がアねんばりくつさり、上りイかぶとの/面目(めんぼく)ねへが、 00010410M15/所詮(しよせん)ができねへ△こめやS七月なんぞハ払ふだんべい△主 00010420M16Sぼん前なんぞハおぼつかねへ(十七ウ上)こめやSいつその 00010430M17こヲと/一(いつ)足とび、/来年(らいねん)まで/待(まつ)べいか。大/晦日(ミそか)にハできるだ 00010440M18んべい△主Sなかア+まだア+できねへ△米Sそんなら 00010450M19又さらい年の大みそか。これでハどふだんべい△主Sまだ 00010460M20ア+そこウらアじやアできねへ米Sひイきイぶんに大 00010470¥P42 00010480¥G(十八ウ) 00010490L11のばし、十年べいもまつべいか△主S十/年(ねん)たつてもおぼつ 00010500L12かねへ・△こめやSそれでハいつまでもできねへ。そしてい 00010510L13つはらふのだ△主Sアヽラ、/百万(ひやくまん)年までまつてくれろ 00010520¥N5¥J 00010530¥X○/福茶番(ふくちやばん) 00010540L16/初(はつ)春の/日待(ひまち)に、七福神が茶ばんをはじめて、まづ一番に大 00010550L17/黒(こく)が/鼠(ねずミ)をあげます。S折+(十八オ上)かぢりまして、その 00010560L18あとでよくひきますト/云(いつ)て、/景物(けいぶつ)が/三味(さミ)線。二ばんハびし 00010570L19やもん。景物ハ/密柑(ミかん)を山盛つんで出して、/皮(かわ)ハむかで上ま 00010580L20す。三番四ばんハ/寿老人(じゆろうじん)に(十七ウ下)/福禄寿(ふくろくじゆ)。こがねの/釣瓶(つるべ) 00010590M1を出して、これで/若水(わかミづ)をつると、亀の/甲(かう)ハ/井戸(ゐど)ばたでごら 00010600M2うじろ。五ばんハゑびす。弐/朱銀(しゆぎん)と四文/銭(せん)を山のごとくつ 00010610M3んで、一/首(しゆ)の/狂哥(きやうか)。S/真鍮(しんちう)のその/波銭(なミせん)の/海(うな)原に△/魚(うを)つりと 00010620M4るやにしの宮/人(ひと)△S/扨(さて)六番ハほてい/和尚(おせう)。/大笑(おほわら)ひの/袋(ふくろ)を上 00010630M5ますと、/永寿堂(ゑいじゆだう)の/笑富林(わらふはやし)の/袋入(ふくろいり)。サア七ばんハ/弁(べん)天さん。 00010640M6どこへ/行(いつ)た。はやく+弁天さん+。(十八オ下)△Sハイ、 00010650M7/只今(たゞいま)まゐりますよ△ミな+Sべんてんさん+。何をし 00010660M8てゐなさる。みんながこんなに思ひ付をするのに、又Sへ 00010670M9びをつかつてゐなさるか 00010680M10△△○/千龝万歳(せんしうばんぜい)めでたく筆を/試(こゝろミ)の春 00010690M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△清書△谷△金川 00010700¥Q 00010710M13江戸△林屋正蔵戯作△△G 00010720M14同△△北屋重政狂画△△G 00010730¥Y 00010740M16/此類(このるい)のおとし/噺(ばなし)又ハ/続物語(つゞきものがたり)、/怪談奇談(くわいだんきだん)、/毎年(まいねん)正月二日より/年中(ねんぢう) 00010750M17/休(やすミ)なく、/西両国(にしりやうごく)/広小路(ひろこうぢ)/御上場(おあがりば)まへ/定席(ぜうせき)にて、/惣連中(そうれんぢう)まかり出、/昼(ひる) 00010760M18四ツ時より夕七ツ/半時(はんとき)まで/披講(ひこう)仕候。/御通行(ごつうかう)の節ハ/御失念(ごしつねん)なく、 00010770M19/御立寄(おんたちより)被遊可被下候。大江戸ハ不及申、/日本国中(につほんこくちう)の/御客様方(おんきやくさまがた)、先= 00010780M20&(さき=※)/御評判(ごひやうばん)、/先&(さき+)/御評判(ごひやうばん)(十八ウ) 00010790¥P43 00010800¥U噺本大系△第十六巻 00010810¥T/東海道中滑稽譚(とうかいどうちゆうこつけいたん)△初編△〔内題〕 00010820¥G 00010830¥Y 00010840L16天保六年秋序 00010850L17花山亭笑馬撰 00010860L18笠亭仙果閲 00010870L19渓斎英泉画 00010880L20中本一冊 00010890¥Y叙 00010900M3/在原(ありハら)の/中将(ちうじやう)と/西行法師(さいきやうほふし)ハ、/吾嬬(あつま)へ/下(くだ)り、/登(のぼ)りし/評判記(ひやうバんき)なく、 00010910M4/痺(しびり)と/坐頭(ざとう)ハ/京(きやう)へ/登(のぼ)りて、/下(くだ)れるお/沙汰(さた)なし。/夫(それ)に/引(ひき)かへ/今(いま) 00010920M5ハまた、/中村(なかむら)/梅玉(ばいぎよく)、/大井川(おほゐかハ)の/川越(かハごし)に、/下帯(ふんどし)の/惣祝儀(そうばな)(序一オ) 00010930M6を/散(ちら)らしゝより/尓来(このかた)、/業平菱(なりひらびし)の/登(のぼ)り/下(くだ)り、/顔(かほミ)見世の/看板(まねき)に 00010940M7/高(たか)く、/富士見(ふしミ)/西行(さいぎやう)の/義太夫(じやうるり)、@大阪@/粟座(あハざ)、@江戸@/結城坐(ゆふきざ)に/人(ひと)の/知(し)る 00010950M8/処(ところ)となれり。/偖(さて)/野夫(やぼ)の/事(こと)ハ/暫(しバらく)いはす、/筥根(はこね)から/東(さき)に/妖物(ばけもの)を 00010960M9しらざりし/人(ひと)さへ、/五十三駅(ごしふさんつぎ)の(序一ウ)/化粧(おばけ)に/愈(いよ+)/音羽屋(おとハや) 00010970M10の/名人(めいじん)なる/事(こと)を/見届(ミとゞけ)たるも、/実(げに)/難在(ありがた)き/大江戸(おほえど)の/繁昌(はんじやう)と、/大= 00010980M11地(おほ=ち)を/慕(した)ひて、笠亭仙果ぬし、/此春(このはる)の/東下(あつまくだ)りを/送(おく)れる/時(とき)、ト 00010990M12ツチリとんだ/祝酒(ほぎさけ)に、そんなら/帰(かへり)ハ/吃度(きつと)だよと、/契(ちぎ)りし/詞(ことば) 00011000M13を/反古(ほぐ)にハ(序二オ)せじと、/想(おも)ひ/発(おこ)しゝ/待受会(まちうけくわい)ハ、おのれ 00011010M14が/社中(しやちう)の/馬同盟(うまであひ)、よしはね毛のといはゞいへ、/何(なに)とて/只(たゞ)に 00011020M15/過(すご)すべきと、/自身(おのれ)をお/先(さき)の/馬頭人(うまとうにん)、/思(おも)ひ+の/心(こゝろ)の/駒(こま)、お 00011030M16つこち/安(やす)き/口&(くち+)に、/咄(はな)し、/連(つれ)たる/惣連中(そうれんちう)、/出迎(いでむか)ひ(序二ウ)た 00011040M17る笠亭あるじハ、/健(まめ)で/戻(もど)れるいそぎあし、イヨ/踏出(ふミだ)しのま 00011050M18め/男(をとこ)め 00011060M20△△天保六とせ未の初秋 00011070¥P44 00011080¥G(序三ウ・序四オ) 00011090M1△△出向ひの惣連中にかはりて 00011100M2△△△△△△△△△△△△花山亭笑馬識G 00011110M3△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序三オ) 00011120¥Y 00011130M6/此書(このしよ)ハ笠亭仙果/主人(ぬし)、大江戸よりの/帰路(かへりぢ)を/待(まち)うけ、/東海(たうかい)/街(どう(ママ)) 00011140M7に/出迎(いでむか)ひたり。/然(しか)るを/岐蘇街道(きそかいだう)を/帰(かへ)られしハ、主人よし/町(てう) 00011150M8/好(ずき)にあらふとは思ひきや。/去(さる)にても/思(おも)ひ/発(おこ)しゝ/事(こと)なれハ、 00011160M9/彼一(かのひ)ト/頃(ころ)の/飴売(あめうり)ならねど、あめながかねて/契(ちぎ)りし/待受(まちうけ)、お 00011170M10/豆(まめ)で/帰(かへり)をいはひつゝ、/只(たゞ)よし+とことほぎて、/其侭(そのまゝ)に/披= 00011180M11露(ひ=ろう)をなすものなり 00011190M12△△△△△△△△△△△△△江戸風調戯作者 00011200M13△△△△△△△△△△△△△△△△△花山亭笑馬述 00011210M14△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序四ウ) 00011220G1△〔口絵中の歌句〕 00011230G2△ひとゝせ朋友にわかるゝとき 00011240G3△△△高縄に別れの酒をのミ過て 00011250G4△△△△日もやつ山にかゝりけるかな△△△笑馬△渓斎英泉画 00011260¥P45 00011270¥T1@笠亭主人|待受一会@東海道中滑稽譚 00011280¥A花山亭笑馬撰 00011290¥A笠亭△仙果閲 00011300¥N1¥J 00011310¥X日本橋△△△△△△△△△△△△¥A花川亭水馬作 00011320L7笠亭のあるじ、江戸の/珍(めづ)ら/敷(しき)/咄(はな)しを/聞(きゝ)ためてミやげにせむ 00011330L8と、/珍話(ちんわ)といふ珍話の/参会(さんくわい)を/催(もよほ)し、/会席(くわいせき)ハどこがよからふ。 00011340L9/両国(りやうごく)の/万八(まんぱち)はあまりぬき/捨(すて)らしくてわるし。(一オ)やはり 00011350L10/日本橋(にほんばし)のきミ/団子(だんご)もゝ/川(かは)こそ、/昔(むかし)を/失(うし)なはぬ/道理(だうり)だとか/相= 00011360L11談(そう=だん)きまり、/扨(さて)、/会日(くわいじつ)にハめづらしき/咄(はなし)といふはなしをおも 00011370L12いれ/喰(くひ)ためられ、/帰(かへり)りにハ咄しの/大(おほ)なま/酔(えい)。こゝは/日本橋(にほんばし) 00011380L13/酔(よつ)たいちなどゝわるくしやれながら、橋をこゆるとて咄し 00011390L14の/犬悦(けんゑつ)、/連(つれ)の/人(ひと)のあたまからからだへかけてゲロ++ 00011400L15+。連の男Sコレハ大へん。いつたい、咄しの/参会(さんくわい)にも 00011410L16ゝ川とハ(一ウ)/種彦(たねひこ)さんの/御門人(ごもんじん)だけよかつたが、/浮世小= 00011420L17路(うきよせう=ぢ)だから、/咄(はな)しの/食傷横丁(しよくせうよこてう)でもありやせうといへバ、今一 00011430L18人Sナニサ+。ふるひ咄しが/交(まじ)つてゐて、あたつたので 00011440L19あらふといへバ、笠亭Sおどろくまひ+。/古(ふる)ひ/咄(はな)しの/犬= 00011450L20悦(けん=ゑつ)なら、すぐに/洗(せん)だくをして/用(もち)ひやす 00011460¥N2¥J 00011470¥X品川△△△△△△△△△△△△¥A花楽亭乗馬作 00011480M3/品川(しながハ)に/泊(とま)つて/見(ミ)れバ、/又(また)/気(き)がかはつて、どふ(二オ)も/旅(たび)の 00011490M4こゝろになるうちがいゝ。しかし/今夜(こんや)ハどふいふ/晩(ばん)か、/女(をんな) 00011500M5がさつぱりよりつかねへぜ。/時(とき)におとなりのお/世界(せけへ)ハ/如何(いかゞ) 00011510M6ス。●Sわつちらの/女(をんな)ハ/宵(よひ)から、せん/場(ば)の/牛(うし)の/子(こ)をミたや 00011520M7うに、ねづめのこはいろ、チウともいひやせん。/品川夜船(しながはよふね) 00011530M8といふしやれで、/帆(ほ)ばしらをたてゝ夜をあかすも、あんま 00011540M9りやんやとハいへやせんといへバ、Sそれだか、/双六(すころく)で見 00011550M10ても、こゝ(二ウ)ハまづふりはじめのあたりだ 00011560¥N3¥J 00011570¥X川崎△△△△△△△△△△△△¥A花洛亭双馬作 00011580M13/万年屋(まんねんや)の/茶漬(ちやづけ)も、むかしとハちがつて、/近頃(ちかごろ)/大(おほ)きにもりが 00011590M14わるくなりやした。わつちらがわかひじぶんなんざア、大 00011600M15どんぶりへ/山(やま)もりにして、ざつと/六郷(ろくがう|△△合△)わたしきりさ 00011610¥N4¥J 00011620¥X川崎の次△△△△△△△△△△△△¥A二亭垂穂作 00011630M18五月の末、仙果、江戸を立て/鶴見(つるミ)あたりを(三オ)/来(きた)るころ、 00011640M19をり+の/雨(あめ)ゆゑ、/馬入(ばにう)・/酒勾(さかハ)川などのつかへを/案事(あんじ)、つ 00011650M20れの男とそのことのミ/咄(はな)し/合(あひ)いそぎ来る。あとから/白(しろ)のゆ 00011660¥P46 00011670L1かた、白のはゞき、/金剛杖(こんがうつえ)をつき、あるひハ/納(をさ)め/太刀(たち)など 00011680L2をかつぎたる/石尊(せきそん)詣の江戸同者、サンゲ+にて来る。江 00011690L3戸ものSおめへさんがたハけしからずお/急(いそ)ぎだの。名古屋 00011700L4のおかたとおミかけ申やしたが、さふでござりますか△仙 00011710L5果Sアイ。/宮(ミや)で(三ウ)ござりやす△江戸Sハテネ、/宮(ミや)とき 00011720L6けバおなつかしい。/去年(きよねん)の/春(はる)、/太&(だい+)で/伊勢(いせ)へまゐりやした 00011730L7とき、/河戸(がうど)とかなんとか/駿河(するが)屋とかの/座(ざ)しきの/大一坐(おほいちざ)、お 00011740L8もしろひことでありやした。けしからず/繁昌(はんぜう)の/土地(とち)ね。そ 00011750L9してあなたがたハなぜ、そんなお/急(いそ)ぎなさりやす△仙Sア 00011760L10イ。六月五日ハ/土地(とち)の/大山(おほやま△△△△|宮宿神事ノ名ナリ)ゆへ、此やうにいそぎますトき 00011770L11ゝて、/此手合(このてあひ)、ふしぎさうなかほをして、江戸Sわつちら 00011780L12ハ/宮(ミや)(四オ)ハ/海(うミ)ツぱただと見うけやしたが、/大山(おほやま)もありや 00011790L13すか。此やうな/太刀(たち)などもをさめやすか 00011800¥N5¥J 00011810¥X仮名川△△△△△△△△△△△△△¥A花園小馬作 00011820L16いろのことをわすれやうと/旅(たび)へ出たのに、/此(この)かな川の/台(だい)で 00011830L17のミかけて、/又(また)/江戸(えど)のことをおもひ/出(だ)した。●Sぬしやア 00011840L18とかく、ちミちかさだまらぬのだ。/男(をとこ)ハふんぎりが/第一(だいいち)だ。 00011850L19こゝに/仮名(かな)がは/黒薬(くろくすり)といふがあるから、のむがいゝ△◆ 00011860L20Sベら/坊(ぼう)(四ウ)め、/深川苦労薬(ふかかハくろうくすり)なら、/一(ひ)トまはりのむべへ。 00011870M1なんの、かまふことアねへ。やらかせ+と、げいしやを 00011880M2あげて、のむやらおどるやら大さわぎ。Sモシ+、お/浮= 00011890M3雲(あ=ぶ)なふござります。そんなにはしへお出なすつてハ、此/台(だい) 00011900M4から/海(うミ)へ、Sヲツト、/おつこちる(流行コトバ)ことハ、いさゐせうちス 00011910¥N6¥J 00011920¥X程ケ谷△△△△△△△△△△△¥A好客亭須賀笠作 00011930M7●Sコウ、/台(だい)の/茶(ちや)屋の/少女(あま)めハ、なんぼ口が/軽井(かるゐ)(五オ)/沢(さは) 00011940M8でも、/上(あげ)たり/下(おろ)したり、しぼふ/馬鹿(ばか)にしやアがつたぜとい 00011950M9つたら、ぬしにやアわかるめへ。しぼふといふは、/追分(おいわけ)/近= 00011960M10所(きん=じよ)の/村(むら)の/名(な)だ△◆Sあんまり/注解(ちうかい)がくはしすぎて、/郷在(ごうぜへ)の 00011970M11おさとがしれるぜ。ときに一ト/休(やす)ミハ△●Sやすミもほど 00011980M12が谷のあるものだ。マア此/宿(しゆく)ハずい/行(ゆき)の、/権太坂(ごんださか)をずい/打= 00011990M13越(うち=こし)の、/境木(さかいぎ)の/牡丹餅(ぼたもち)にしなせへ△◆Sとかく/下戸(げこ)の/界(かい)へお 00012000M14としたがるにはこまる。よし+、(五ウ)なさけの/為(ため)つき 00012010M15/合(やつ)てやるべへ。じつにあすこの/山口(やまくち)やの/地蔵娘(ぢぞうむすめ)ハ、/綽号(あだな)の 00012020M16とほり/化粧(ぬつ)てゐの△●Sそふよ。/白(しろ)いもていげへほど、れ 00012030M17へのあつたもむだぜ。又わらふもよく/笑(わら)ふの△◆Sちげへ 00012040M18ねへ。しかし/笑(わら)ふからいゝが、/真黒(まつくろ)になつて/腹(はら)をたつてみ 00012050M19な。/株(かぶ)じめへだハ△●Sまゆをおとしたから、もう/亭主(ていし)を 00012060M20もつたらうが、あのやうな/笑(わら)ひ/女(をんな)でも、りんきハするだアら 00012070¥P47 00012080L1うか△◆Sそりやア(六オ)やつぱりひどからうよ。/焼餅阪(やきもちざか) 00012090L2の辺だハ 00012100¥N7¥J 00012110¥X戸塚△△△△△△△△△△△△¥A浅紅楼仙雪作 00012120L5今はむかし。/戸塚(とつか)の/在(ざい)、/舞岡(まうをか)といふ所に、/疝気疾(せんきやミ)の老人あ 00012130L6りしが、/段&(だん+)/睾玉(きんたま)大きくなり、/活業(よわたり)もならず、坊主になり 00012140L7て/駅中(ゑきちう)へ/出(いで)て、かの/隠嚢(たま)の上に/鉦(かね)をすえ、チン+たゝき 00012150L8て念仏申、/往来(ゆきゝ)の/哀憐(あはれミ)をうけけるに、世に珍らしき/卵(たま)ゆへ 00012160L9に、/立(たち)とゞまりて見るもの/多(おほ)く、(六ウ)年月を経て/追&(おひ+)/貰(もらひ) 00012170L10もふえ、なか+豊にくらしけり。扨ある/外科医者(げくわいしや)の所へ 00012180L11かの者きたり、どうぞ此たまの/最卒土(もそつと)大きく/成(なる)やうな/御療= 00012190L12治(ごれう=ぢ)はできますまいか。/狸(たぬき)の/八畳(はちでふ)にはおよばずとも、せめて 00012200L13/四畳半(しでふはん)でようござりますといふに、/医師(いしや)、/不審(いぶか)しミて、/楽(らく) 00012210L14になるやうに、/小(ちいさ)くしたいといふならバ/聞(きこ)えたが、四畳半 00012220L15とハとんだもの/好(すき)だとわらへバ、Sハイ。(七オ)わたくし 00012230L16も小がねハできるし、此/上(うへ)ハ/釜(かま)でもかけて、/娯(たの)しまうと/存(そんじ) 00012240L17ます 00012250¥N8¥J 00012260¥X藤沢△△△△△△△△△△△△¥A古詩庵大福作 00012270L20唄藤沢でらの門前に、しばらく/車(くるま)をとゞめけり。●Sヤン 00012280M1ヤ+。ほんのことだか。此豊田なんざア、此宿での/大屋= 00012290M2台(おほや=たい)。/妓婦(こども)も/仇(あだ)で/人柄(ひとがら)で、中にもすぐれて、このお/紫房(むらぼう)なん 00012300M3ざア、/深川(たつミ)の/者(しや)てもおよばねへ△◆Sコウ+、/足下(そこ)ハ/女(をんな) 00012310M4を見ると、やつたら(七ウ)にほめるが、さつきからのおれ 00012320M5がをどりも、ちと/喝釆(ほめ)てくんな。是からハ/石橋(しやつきやう)の/髪(かミ)あら 00012330M6ひ、/芝翫(しくわん)+とほめたり+△●/四貫(しくわん)どころか、四文の 00012340M7/直打(ねうち)もなくつて△◆Sヘン、そねむな+。団蔵が/荵売(しのぶうり)の 00012350M8手も、ぜんてへおれが/教(をし)へたのだト、むやミにをどりちら 00012360M9し、/汐汲(しほくミ)を/千秋楽(せんしうらく)のうちどめで/草臥(くたびれ)はて、つい/転寐(ころびね)の帯も 00012370M10とかいで/眠(ねむ)りしが、/清浄光寺(しやう※くわうじ)の/暁(あかつき)の/鐘(かね)に、/皆(ミな)&(八オ)お 00012380M11き出る。◆Sおれハよく+/躍(をどり)くたびれたさうで、/今朝(けさ)は 00012390M12さつぱり/腰(こし)がたゝねへぜ。アイタ+△●Sハヽヽヽヽ、 00012400M13/躄(いざり)に/御報謝(ごほうしや)と/出(で)かけねへ△◆Sえんぎでもねへ。どつこい 00012410M14+、アイタヽ、やつぱりたゝれねへ△●Sホンニ、こり 00012420M15やア/大変(たいへん)だ。/車(くるま)をつくつてのせて、そして/役不足(やくふそく)でハあら 00012430M16うが、/宵(よひ)に/三味線(さミせん)をよくひいたお紫に/綱(つな)をとらせ、ひとひ 00012440M17き/曵(ひけ)ば/千僧供養(せんそうくやう)△◆Sおきやアがれ△●Sそれでもお(八 00012450M18ウ)めへがをどりの判官に、おむらが三味せんをひくから、 00012460M19テレテン/姫(ひめ)さ 00012470¥P48 00012480¥N9¥J 00012490¥X平塚△△△△△△△△△△△△¥A櫨廼屋花白作 00012500L3S曲亭の/小説(よミほん)をよむと、よく/名詮自性(ミやうぜんじしやう)とかいふ事があるが、 00012510L4/争(あらそ)はれねへ。/下(くだ)りの時ハ/水替(ミづかは)りで/腹(はら)が/瀉(くだ)り、またこんどの 00012520L5/上(のぼ)りにハ/暑(あつ)ひせへか、/逆上(のぼせ)てならねへ。ミちをいそぐから、 00012530L6いよ+のぼせて、/藤沢(ふぢさは)のとんちきハ/腰(こし)がぬけたが、おれ 00012540L7ハ(九オ)又/耳(ミヽ)が/遠(とほ)くなつた。イヤハヤ、とんだ/三人畸(さんにんがたハ)だ。さ 00012550L8つきにも/飴(あめ)をうる/小児(こざう)に、こゝハとこだときけバ、/団子(だんご)の 00012560L9松原だとぬかす。よく/聞(きけ)ば、なむごの/間違(まちが)ひさ。モウ/馬入(ばにふ)も 00012570L10こしたから、/先(さき)の/宿(しゆく)までハ/近(ちか)からうと聞たら、先の小僧の 00012580L11いふにハ、/雪花菜(きらず)、/揚豆腐(あげとうふ)ハねへといふ。これも/聞間違(きゝまちが)ひで、 00012590L12/平塚(ひらつか)まで/遠(とほ)くハないといふのだ。イヤ、たび+聞間違へ 00012600L13るに/込(こま)りきる。そしてつん(九ウ)ぼうだ+と人がいふが、 00012610L14何も/耳(ミヽ)のきこえぬまでゝ、/聾(つんぼう)でハねへものを、ヲツトもう 00012620L15/平塚(ひらつか)の/棒端(ぼうばな)へきた。だいぶはらがきた。/茶(ちや)づりとせうか。 00012630L16マテ+、うつかりはいると、めしばかりでひら/塚(つか)ずなど 00012640L17ゝしやれられてハうまらぬト、大坂屋長蔵が/店(ミせ)に/腰(こし)をかけ 00012650L18る。◆Sヲイ、おまんまのさいハ何がありやす△S/五色茶= 00012660L19漬(ごしきちや=づけ)がござります△◆Sなんだと。なんぼおれがしミたれた 00012670L20なりをすればとて、/乞(こ)(十オ)/食(じき)茶漬がくはれるものか 00012680¥N10¥J 00012690¥X大磯△△△△△△△△△△△△¥A名茶園松蘿作 00012700M3/水無月(ミなつき)や/雪(ゆき)やゝきゆる/廿山(はたちやま)。/廿里(にじふり)へだつ大磯ハ、まだら鹿 00012710M4の子の下紐に、/浴衣(ゆかた)のしぼり/舞鶴(まひづる)や、/額(ひたひ)の富士もつくろは 00012720M5ぬ、素顔うつくし/薄化粧(うすけしやう)、白きを後の/絵襖(ゑふすま)を、おしひらき 00012730M6つゝつれ+と、/海辺(うミべ)を見やるひとりの/法師(ほうし)。●S/富士一= 00012740M7覧(ふじいち=らん)の/其序(そのつひで)、ふと此辺まて/遊歴(いうれき)し、此大磯に(十ウ)かり/枕(まくら)、 00012750M8/鴫立沢(しぎたつさは)の/風雅(ふうが)のけしき、/心(こゝろ)にしミて/一首(いつしゆ)の哥。こゝろなき 00012760M9/身(ミ)にもあはれと/詠(えい)ぜしも、もはや三とせの秋すぎて、ふた 00012770M10ゝびこゝに/旅寐(たびね)の/夢(ゆめ)、/遊君(ゆうくん)/妓女(ぎじよ)に/交(まじハ)るも、かれらをぼだひ 00012780M11に/導(ミちび)く/方便(ほうべん)。/隨縁真如(ずゐえんしんによ)の/浪(なミ)/清(きよ)く、こゝろすゞしきながめぢ 00012790M12やよナア。@下手ののうれん|おしあけて、△@立出るふたりのわかもの。祐S/西= 00012800M13行法師(さい=ぎやうほうし)の/御止宿(こししゆく)ときひて、御ン目にかゝりたく/推参(すゐさん)したる 00012810M14/曽我(そか)(十一オ)の十郎△五Sおなじく五郎/時致(ときむね)△●Sなんと 00012820M15いふ。すりや二人のものハ/建久時代(けんきうじだい)に名をかゞやかしゝ曽 00012830M16我兄弟よな△二人Sさん候+△Sハヽヽヽヽ、時代こと 00012840M17ばは/暫(しばら)くあづかり、/大(おほ)かたぬしたちハ江戸の/貧家(ひんか)を夜/迯(にげ)に 00012850M18せし、祐兵衛・時蔵であらふがナ△祐Sそふいやア西行 00012860M19法師もミたやうだぜ△時S成程しつたかほだ。ヲヽそれ 00012870M20+、/咄家(はなしか)/圓生(ゑんせう)の弟子の△祐S/円囲(ゑんゐ)じやアねへか△時Sい 00012880¥P49 00012890L1つの間にやら(十一ウ)/坊主(ぼうず)となり、今じやアどこをまごつ 00012900L2くのだ△●S/見顕(ミあら)ハされてハ/百年目(ひやくねんめ)。/上方筋(かミかたすぢ)で/姿(すがた)をかへ、 00012910L3おどけ談議で/世渡(よわた)りせしが、此/舞鶴(まひづる)屋のおふじといふは、 00012920L4江戸にてふるいなじみのをんな、こゝへくらがへされたと 00012930L5きゝ、西行法師の名をかたり、/忍(しの)び入て/夜毎(よごと)の/契(ちぎり)、/悪縁(あくえん)と 00012940L6て/切(きつ)てもきれぬ。/是(これ)こそ/名(な)におふ/不死身(ふじミ)西行△祐Sおきや 00012950L7アがれ。今にはじめぬのろ(十二オ)け西行。こちらの/噺(はなし)も 00012960L8うけてくんな。かの/建(けん)久の/五月闇(さつきやミ)、それにはかはる正月下 00012970L9旬、おもひがけなき/廓(くるハ)の/災難(さいなん)。それよりうつす/隅田(すだ)の/西岸(さいがん) 00012980L10時S/家(や)なミの/挑燈(てうちん)、夜店の/賑(にぎハ)ひ、うかれの/蝶&(てふ+)/川千鳥(かハちどり)、さ 00012990L11つと立名もいとはゞこそ、/通(かよ)ひ+し身のはてハ、つひに 00013000L12江戸にもすみがたく、かねがかたきのかたき討△祐S/虎少= 00013010L13将(とらせう=しやう)の跡をたづね△時Sどら/少&(せう+)の/路用(ろよう)も(十二ウ)なくて△ 00013020L14祐Sまた大磯の居続遊ひも、/昔(むかし)をわすれぬ此/一品(ひとしな)ト@とり出|せハ、@ 00013030L15@其まゝ△|ひらき、@西Sコリヤこれ/仮宅(かりば)の/絵図(ゑづ)△祐S大ミせまじり半 00013040L16まがきしるす/$(やまがた)/二(ふた)ツ/星(ぼし)△時S/三蓋(さんがい)松はさのまつや△祐 00013050L17S/槌(つち)ハさのづち大こくや、/卍(まんじ)ハひさき中まんじ△時 00013060L18S/角海老(かどゑび)・/丸(まる)海老・姿海老△祐S/額(がく)ハ松葉や、/倉田(くらた)ハ/分銅(ふんどう)、 00013070L19/角玉(かどだま)/弥玉(やたま)/岡本(おかもと)や△時Sひきはなれたる/五明文楼(ごめいぶんろう)、/一(ひ)ト目に 00013080L20見するかりばのありさま△西Sこれ(十三オ)に/付(つけ)ても/祐兵= 00013090M1衛(すけべ=い)/時蔵(ときざう)△二人S/円囲坊(ゑんゐぼう)△西Sこの所であはふとハ△二人 00013100M2Sハテ/珍(めづ)らしい/細見(さいけん)じやヨナア 00013110¥N11¥J 00013120¥X小田原△△△△△△△△△△△△¥A翦燭斎髭叟作 00013130M5江戸から上る人、/東海道中(とうかいどうちう)その所&の/名物(めいぶつ)を、のこらず買 00013140M6あつめ/土産(ミやげ)にせんと、/段(たん)+/買(かひ)ひ来り、/小田原(をだはら)へきて、こ 00013150M7ゝで名/高(たか)い物ハ小田原/外郎(ういらう)、小田原/挑灯(てうちん)、小田原/評定(ひやうぢやう)な 00013160M8り(十三ウ)と/心得(こゝろえ)、まづ外郎をかい、/次(つぎ)に/小間物店(こまものミせ)へ入て 00013170M9/挑燈(てうちん)を/買(か)ひ、扨/御亭主(ごていしゆ)。/評定(ひやうぢやう)ハどこがよくござるといへ 00013180M10バ、/先(さ)キの/立場(たてば)になされませといふゆへ、そのまゝ/立場(たてば)の 00013190M11/茶(ちや)屋へはいり、/支度(したく)をしながら、評定をちとくだされとい 00013200M12へば、茶や亭主S/当地(たうち)の評定は、ちつとでハにへきりませ 00013210M13ぬ 00013220¥N12¥J 00013230¥X筥根△△△△△△△△△△△△¥A花王田佳丈作 00013240M16●Sコウ/道中(だうちう)をするならバ、おいらのやうに/風流(ふうりう)(十四オ) 00013250M17にしてへものだ△◆Sどんな風流だ△●Sソリヤア/聞(きく)もの 00013260M18見るものにつけて、/詩(し)を/賦(ふ)し/歌(うた)を/詠(よむ)ハさ△◆Sハヽヽヽヽ、 00013270M19おめへハからつきり/膝栗毛(ひざくりげ)の弥次郎兵衛だ△●Sナニ、弥 00013280M20二郎兵衛なんぞとハ、/席(せき)をおなしうして/語(かた)るべからずだ。 00013290¥P50 00013300L1おいらがのハ/本当(ほんたう)の/狂哥(きやうか)さ△◆Sほんたうの狂哥をきゝや 00013310L2せう△●Sきかせてつかはす。/慎(つゝしん)で/聞(きく)がいゝ△◆Sどうだ、 00013320L3出来たか△●Sそんなに/早(はや)く/出(で)きるものか。/考(かんが)へ(十四ウ) 00013330L4るまがあるハな。コウト、/筥根(はこね)だから、まづ/初五文字(はつごもじ)を/箱= 00013340L5根山(はこ=ねやま)とおいて△◆Sはれたとてお江戸が△●Sコウ、まぜ 00013350L6ツかへしちやアいけねへ。コウツト、はじめに筥根山とい 00013360L7つちやア/句続(くつゞ)きがわるひ。箱根路をとやらう△◆S箱をね 00013370L8ぢるとくずれるぜ△●Sナンノ、/俗物(ぞくぶつ)が/邪魔(しやま)をしやうとお 00013380L9もつても、/苦(く)にハしねへ。御/出詠(しゆつゑい)あそばされた。ヱヘン 00013390L10+。筥根路を暁はやく/登(のぼり)(十五オ)きてあけかたに見る 00013400L11ふたご山かな△◆Sコウ+、おめへの/哥(うた)は/縁語(えんご)をつゞけ 00013410L12る/斗(ばか)りで、哥がひつたゝねへ。こゝの/権現(ごんげん)さまへ/願(ぐわん)をかけ 00013420L13て、哥のひつたつやうに/祈(いの)りねへ△●Sナンノこのやろう。 00013430L14いざりの/仇討(あだうち)じやアあるめへし△◆Sそれでも、おめへの 00013440L15哥をだれでも、こしをれだといはア 00013450¥N13¥J 00013460¥X小田原追加△△△△△△△△△¥A万楽亭諸居作 00013470L18/小田原(をだはら)に/名(な)の/立(たち)し/提燈(てうちん)ども、/火(ひ)の/元(もと)/用慎(ようじん)の(十五ウ)/為(ため)に/講(かう) 00013480L19をむすび、/遠州(ゑんしう)/秋葉(あきは)の/権現(ごんげん)へ/参詣(さんけい)せんと、三拾/張(はり)ばかり/一= 00013490L20群(ひと=むれ)に/出(で)かけしが、/提灯のことゆゑ、/日(ひ)の/暮(くれ)てより/宿所(しゆくしよ)を/立(たち)、 00013500M1思ひ+の/雑談(ざうだん)をいひながら、箱根山を/登(のぼ)り/行(ゆ)く/中(なか)に、/一(ひ) 00013510M2ト/張(はり)のてうちんがいふにハ、●Sこんど江戸の/木挽丁(こびきてう)の/芝= 00013520M3居(しば=ゐ)で、/長谷川(はせがは)/勘兵衛(かんへい)といふ/細工人(さいくにん)が/一世一代(いつせいちだい)の/工夫(くふう)、/大道= 00013530M4具(おほだう=ぐ)大/仕掛(しかけ)の/幕(まく)なし/忠臣蔵(ちうしんぐら)をするさうだが、イヤ、/大造(たいそう)な/仕= 00013540M5懸(し=かけ)だと(十六オ)いふことだ。まづ/四段(よだん)目の/喧嘩場(けんくわば)がすむと、 00013550M6/御殿(ごてん)の道/具(ぐ)ががんだうがへしで、/大手(おほて)の/門(もん)に/替(かは)る/所(ところ)などが 00013560M7いゝ仕懸だそうだ。/又(また)七段めハ/舞台(ぶたい)を/一面(いちめん)にせり/上(あげ)る時、 00013570M8両方の/高土間(たかどま)に見物/居(すはつ)てゐるまゝで、/舞台(ぶたい)と/一緒(いつしよ)にせりあ 00013580M9げる/所(ところ)が/妙(めう)だといふことだ。/大切(おほきり)にハ/平土間(ひらどま)を/左右(さいう)へひき 00013590M10わけて、/中(なか)から/両国橋(りやうごくばし)を/一面(いちめん)にせり/出(だ)にせり/出(で)し、その/上(うへ)を/役者(やくしや)が 00013600M11/夜討(ようち)のなりで/行列(ぎやうれつ)をして、/本舞(ほんぶ)(十六ウ)/台(たい)へゆくといふこ 00013610M12とだが、イヤモウ、けしからぬ/道具建(だうくたて)だそうよ。/役者(やくしや)も団 00013620M13蔵かゆらの介と本蔵、坂三ツが/師直(もろなほ)、沢村訥升が判官に勘 00013630M14平、平右衛門。玉三郎がおかる。役者も/揃(そろつ)てゐるから、/大= 00013640M15評判(おぼ=ひやうばん)、大入ださうだ。見たいものだの。◆Sぬしやアそん 00013650M16な/噺(はな)しをだれにきいた△●Sおれといつしよにゐたのが、 00013660M17江戸のてうちん/問屋(どいや)へうられていつたが、そのうちのもの 00013670M18が/一(ひ)トはり、五段めの与一兵へが/提(さげ)て/出(で)るのに/買(かは)(十七オ) 00013680M19れて、それがところからいつてよこしたから、うそのない 00013690M20/噺(はな)しさ△◆Sそれしやア/啌(うそ)ハあるまい。おいらも遠州から 00013700¥P51 00013710L1/上方(かミがた)へいつて、/芝(しば)ゐが見たいものだ△今壱張▽Sおいらハ 00013720L2芝居より/女郎買(じようろかひ)の方がおもしろい。京都へいつて/祇園町(ぎおんまち)と 00013730L3やらの女郎を/惣揚(そうあげ)にして、/一張(ひとはり)前に七八人つゝもだいてね 00013740L4て見たいものだ△●S/一張(ひとハり)まへに七八人も/抱(だい)て寐たいとハ、 00013750L5なんぼてうちんでも、そんなにとぼすことハできまい。ま 00013760L6づだい一(十七ウ)ぬしなんぞハ/常(つね)がつねだから、がつかち 00013770L7めいてとりのぼせ、それこそてうちんで/餅(もち)を/搗(つく)やうだらう 00013780L8▽Sそりやアおめへたちのやうなはり/替(かへ)ものとハちがひや 00013790L9す。こつちア/張立(はりたて)のばき+してゐるのだトわや+いふ 00013800L10を、中でも一ト張大きなのが、Sコレサ、あんまり/騒&(さう※)し 00013810L11い。しづかにしねへ。/大相(たいさう)なことばかりいふから、小田原 00013820L12+と人に/笑(わら)はれるハな。ちと/気(き)をつけねへ△▽Sヲツト 00013830L13せうち。おいらハあんまり口をきいたせへ(十八オ)か、/蛇(じや) 00013840L14ばらがへつたやうだトいへハ、今一張Sおいらハ/蝋(らう)そくが 00013850L15くたびれた 00013860¥N14¥J 00013870¥X其二筥根追加△△△△△△△△△△△△¥A同作 00013880L18▽Sコウ+、ぶら+してこかすとこまるぜ。しんび 00013890L19やうにあるくがよいト、ふたをあけて提灯の/口(くち)+にい 00013900L20ひもてゆくに、はや/箱根(はこね)の/御関所(おせきしよ)に来る。●Sモフ御関所 00013910M1だ。/門(もん)が/〆(しま)つてゐるの△▽Sしれたことよ。/夜(よ)るだもの 00013920M2●Sどふして/通(とほ)つたものであらふ△▽Sどふもかふも(十 00013930M3八ウ)いらねへ。門をたゝけ+ト、/扉(とびら)をトン+たゝき 00013940M4ちらすと、関所の/下役人(したやくにん)、/棒(ぼう)をついて出きたりて、役S/掟(おきて) 00013950M5きびしき此/御関所(おせきしよ)の/御門(ごもん)を、/夜中(やちう)にきたりて/理不尽(りふじん)にたゝ 00013960M6くハ/不届千万(ふとゝきせんばん)。何ものだ△▽Sハイ。わたくしどもハ小 00013970M7田原のてうちんでこざります。/遠州(ゑんしう)の/秋葉(あきは)へ/参詣(さんけい)をいたし 00013980M8ますが、/提灯(てうちん)のことゆゑ、/昼(ひる)ハ/遠慮(ゑんりよ)して、/夜(よる)ばかりあるき 00013990M9ます。どふぞ御関所をお/通(とほ)し/下(くだ)さりませ△役人Sナニ、 00014000M10小田原(十九オ)てうちんだ。/昼(ひる)ハ/遠慮(ゑんりよ)して夜あるくも、 00014010M11てうちんのことなれバ/尤(もつとも)なることゆゑ、/通(とほ)してやるまいも 00014020M12のでもないが、/講(かう)の/組名(くミな)ハなんと/申(まをす)△▽Sハイ。小田原の 00014030M13/儀(ぎ)でござりますから、講の組名も、ういろう同様△役人 00014040M14Sなんだと▽Sやはり、/てうちんかう(|唐沈香) 00014050¥N15¥J 00014060¥X三嶋△△△△△△△△△△△△¥A喜四楼延広作 00014070M17/私(わたくし)は/三島(ミしま)女郎衆と申/茶番(ちやばん)の/題(だい)をとりました。/先(まづ)とりあへ 00014080M18ず差出しまするが、三嶋女郎衆で(十九ウ)/厶(ごさ)り/升(ます)ト@いひなが|ら、坂本@ 00014090M19@氏くすり|おしろい@$仙女香@十つゝミ|いだし、@扨/富士(ふじ)の/白雪(しらゆき)/朝日(あさひ)でとけて、三 00014100M20しま女郎衆の/化粧(けせう)の/水(ミづ)と申すところから、趣向を 00014110¥P52 00014120L1いたしました。/則(すなハち)これが/富士(ふじ)の白雪でも厶りませうか。十 00014130L2包已上だから、みなさま御ぞんじの/通(とほり)、/景物(けいぶつ)の役者、/画賛(ぐわさん) 00014140L3のあふぎ、是をちよいと$さかもとにいたしますと、 00014150L4富士のかたち、みしまもござり升。扇の/天地金(てんちきん)をさ 00014160L5へ出せバ、自由に/成田(なりた)屋、女郎もぬしのまゝに/三升(さんしやう)の/賛(さん)が 00014170L6ござり升。/尤(もつとも)/瓢単(へうたん)だ(二十オ)け、/ぬまづ(ナマヅ)の/辺(へん)でもござり 00014180L7ませうか。女の名ハ三しまに/名高(なたか)ひ、お/仙女香(せんじよかう)で厶り升 00014190¥N16¥J 00014200¥X沼津△△△△△△△△△△△△¥A荒毛舎馬埓作 00014210L10/東路(あづまぢ)に/爰(こゝ)も/名高(なたか)き/沼津(ぬまづ)の/里(さと)、ふじミ/白酒(しろざけ)/名(めい)物を、一ツめせ 00014220L11+/駕篭(かご)にめせ。Sおいらハ上戸だから白酒ハいやだ。此 00014230L12あしの/達者(たつしや)でハ、かごもいらねへト行過る。/稲村(いなむら)のかげよ 00014240L13り、七十余りの/雲助(くもすけ)おやぢ。親仁S旦那モシ、お泊りまで 00014250L14参りませうかい。イヤ申、(二十ウ)どふぞもたせて下さり 00014260L15ませ。何とぞおじひトいひかけられ、Sそんなら/此荷(このに)なり 00014270L16とも、かついでくだつし△親/二((ママ))Sコレハかたじけない。サ 00014280L17アお出なさりませ。ヤツトまかせト、/声(こえ)ばかりいきほひよ 00014290L18けれど、なさけなや、/一肩(ひとかた)いれて立とまり、二タ/足(あし)ゆきて 00014300L19はヤツトコセ。Sコウ、おれハ/呉服屋(ごふくや)の重兵衛ではないが、 00014310L20おぬしハまるで平作といふもんだ。荷ハかるいが、その棒 00014320M1のさきへかけさせた大ひやう(二十一オ)たんがおもからう。 00014330M2酒が一升五六合もはいつてゐるから親二Sハヽア、旦那 00014340M3さまハ/御酒(ごしゆ)がおすきと見え升△Sそふさ+。よい酒のあ 00014350M4る所でハその通り、ひやうたんにかつてもつて来て、道 00014360M5+のむのさ△親二Sそれハよひおなぐさミでござります。 00014370M6ドツコイ、これハトいきせい+。のちハ木の根につまづ 00014380M7きて、ひよろ++とこけかゝり、又ぬかるミへのめり 00014390M8込を見かねて、Sモウ+よしてくれ+。(二十一ウ)どふ 00014400M9もあぶなくて見てゐられないハ△親二Sそんならこのひや 00014410M10うたんを、あなたもつてくださりませ。これさへなけれバ、 00014420M11のめる/気(き)づかひはござりませぬ△Sなぜ+△親二Sソリ 00014430M12ヤアひやうたんでぬまづてござります物を 00014440¥N17¥J 00014450¥X原△△△△△△△△△△△△△△△¥A駅路駒業作 00014460M15可Sモシ+、あなたは原郷右衛門さま。ふしぎな所でお 00014470M16目にかゝりました△郷Sムウ、そちハ加古川本蔵の(二十二 00014480M17オ)/召仕(めしつかひ)の/可内(べくない)でハないか。ハテめんぼくもない此/姿(すがた)。さ 00014490M18りながら、はふ/武士(ぶし)も原ではへと/譬(たとへ)のとほり、/御家(おいへ)の/騒働(そうだう)、 00014500M19/家中(かちう)ハちり※。この郷右衛門も此原宿はもと/生(うま)れ/在所(ざいしよ)ゆ 00014510M20ゑ、/当時(たうじ)此ところのわびすまゐ。イヤ、これにつけてもぬ 00014520¥P53 00014530L1しがしつたことでもないが、おぬしが/主人(しゆじん)本蔵が、なんの 00014540L2だきとめねいでもいゝものを、主人/判官(はんぐわん)どのをとめだてし 00014550L3て、/今更(いまさら)/残念(ざんねん)千万。(二十二ウ)それハそふと、おぬしハまた 00014560L4どふしてこゝらをぶらつくのだ△可Sさればでごわります。 00014570L5主人のむすめ御/案内(あんない)の/小(こ)な/印(じるし)を、こんど山/科(しな)にござる大星 00014580L6さまのむすこどの力弥さまへのおしてのよめ入。その御供 00014590L7で御わりまするが、いまおつしやつた、はふむしのたとへ、 00014600L8すこしはらがきたゆゑに、四文/こな(二台)からひだり/富士(ふじ)、少し 00014610L9/気分(きぶん)もうきしまが原、とかく/浮世(うきよ)ハ酒のこと(二十三オ)でご 00014620L10わります△郷Sハテナ。あの/恨(うらミ)ある本蔵の娘、大星力弥の 00014630L11/許(もと)へ/嫁入(よめいり)とハ△可Sサレバそこでござります。主人本蔵ど 00014640L12のも/如在(じよさい)ない/勘考(かんかう)で、/判官(はんくわん)さまをだきとめたかはり、こん 00014650L13どハ娘小波をバ△郷Sどふしたと△可S力弥さまに/一(いち)ばん 00014660L14たきとめさせる/了簡(りやうけん)さ 00014670¥N18¥J 00014680¥X吉原△△△△△△△△△△△△¥A貧道堂馬人作 00014690L17●Sコウ/駕篭(かご)や。吉原までハモウ/遠(とほ)くハあるめへ(二十三ウ) 00014700L18から、ちといさミに、コウ+のかけこゑでやつてもらい 00014710L19たい。いづれけふハ/紋日(もんひ)で、あちらでもまつてゐるだアら 00014720L20ふから。そして/茶亭(ちやや)は/升(ます)ミなとだから、チト/飲(のミ)に来さつし 00014730M1駕ごかきSモシ+旦那。それハ何をおつしやります。こ 00014740M2ゝハ道中の吉原でござります△●Sハテサ、道中で礼に/出(で) 00014750M3るなじミの/老蘭(をいらん)を直に/茶(ちや)屋へひきあげの、/妓婦(げいしや)ハいづれお 00014760M4春におふじ、男げいしやハ林蔵でもよんで、ひさし(二十四 00014770M5オ)ぶりで、/狸(たぬき)の/腹(はら)つゞミでも見やう△棒組Sイヤハヤ、 00014780M6あきれたもんだゼ△駕S旦那ハどふか/寐言(ねごと)でもおつしやる 00014790M7のだアらふ。モシ+旦那へ。おめをおさましなさい。お 00014800M8あぶなふござります△●Sヲイ+、ヤレあぶないこと。 00014810M9/既(すで)におれ/一人(ひとり)で、おつこちになる所であつた。ハテナ。/今(いま) 00014820M10あとの/立場(たてば)の酒で、ツイとろ+とやるうちに、江戸の吉 00014830M11原の/夢(ゆめ)を、こゝの吉原で見るもふしぎだ△駕Sモシ旦那。 00014840M12その/筈(はづ)でござり(二十四ウ)ます。/芝居(しばゐ)でごらんなすつても、 00014850M13/夢(ゆめ)には/蝶(て□)が、おさだまりでござります 00014860¥N19¥J 00014870¥X吉原追加△△△△△△△△△△△¥A先春堂主人作 00014880M16/雪蹄舎(せつていしや)とは/号(なの)れども、/雪(ゆき)ふるころハ/乗掛(のりかけ)の、/馬(うま)のあとさへ 00014890M17まれ+に、店もしづかな甲州屋、入/来(く)るはところの/浪人(らうにん)。 00014900M18●Sヲイ/姉(あね)ご。いつも+せわしくて、/繁昌(はんじよう)する/酒店(しゆてん)なれ 00014910M19ど、マア/霜枯(しもがれ)から冬のうちハ、ちつと皆の/息(いき)やすめ△▲Sヲ 00014920M20ヤ、/多田(たゞ)の/蔵人(くらうず)(二十五オ)さん。おはいりなすつてゆるりつ 00014930¥P54 00014940L1と△●Sおせ/話(わ)やき/過分(くわぶん)+。ミどもゝ/源氏(げんし)の/嫡流(ちやくりう)なれど、 00014950L2時にあはねバ/浪&(らう+)の/身(ミ)、/多田(たゞ)/蔵人(くらうず)とあぢな名をつけても、 00014960L3めつたに銭出さずに、人のものをたゞくふごとでハない。 00014970L4なんぞうまい/肴(さかな)があらバ、五合/燗(つけ)てくだされよ△▲S忠臣 00014980L5蔵御茶漬なら、たゞ九郎とも出さふなお名なれど、此お 00014990L6はなしには/構(かま)ひません。そしてよいお肴がござります。 00015000L7/富士沼(ふじぬま)でとつた/取(とり)(二十五ウ)たての/鴨(かも)を/料(れう)つてあげませう 00015010L8●Sそれハ/重畳(ちようでふ)。はやふ+。やゝあつて、かもなんばこ 00015020L9しらへてもちいづるに、/蔵人(くらうず)ハ是を/喰(くら)ひ、酒を/喫(きつ)して居た 00015030L10りしに、酔てころりとひぢまくら、とろ+とねぶりしが、 00015040L11しばらくあつてついとたち、あやしき身ふりこわづくり、 00015050L12おの+おどろきたちよれバ、きつとにらんで両袖を、 00015060L13はた++とはねづくろひ。S我を何とかおもふらん。 00015070L14富士/沼(ぬま)に(二十六オ)年をへし、/鴨(かも)の/鳥(とり)の/精霊(せいれい)なり。思ひ出れ 00015080L15バひな鳥の、/未(まだ)わかゝりしその昔、治承四年の/半(なかバ)、/平家(へいけ)の 00015090L16/軍勢(ぐんぜい)七万余騎、富士川に/屯(たむろ)して、源氏の/勢(せい)をまちかけたり。 00015100L17をりふし冬の事なれバ、富士沼にあつまりける、/数千羽(すせんば)の 00015110L18水鳥が、ものに/驚(おどろ)き一同に、ばつとたつたるその羽音、天 00015120L19地もうごくがごとくなり。/臆病神(おくびやうがミ)の/平家方(へいけがた)、すハこそ源氏 00015130L20の夜うちぞと、あハてさわぎて我さきに、こけ見まろ(二 00015140M1十六ウ)びミにげうせて、一人とゞまる者もなし。是より源 00015150M2氏は/軍(いくさ)の/度(たび)+/勝利(しようり)を得て、しバらくが/間(あいだ)に/一統(いつたう)し給ふハ、 00015160M3もと水鳥の/功(こう)なるを、源氏の血すぢの/蔵人(くらうず)が、たま+今 00015170M4まで年をへて、つがひはなれずふじ沼の、水もらさじとち 00015180M5ぎりし中のその一羽、むざんにも/肴(さかな)にくふとハそもやそも、 00015190M6しらぬことゝハいひながら、うらみははれぬ多田のくらう 00015200M7ず。おもひしれやとのゝしりて、(二十七オ)さん※にくる 00015210M8しめれバ、有合ふ人&大におそれ、/名僧(めいそう)をよびよせて、ね 00015220M9んごろに鴨鳥のあとをとハせたりけれバ、蔵人はやう+ 00015230M10/正気(しやうき)になり、/一(ひと)いきほつとつぐをりしも、/放(はな)し鳥を/売(うり)ゆく 00015240M11/者(もの)あり。此うへのくどくにと、よびいれてあちこち見て、 00015250M12S水鳥ハもつて居ねへか。いくらてものこらず/か(買)ハう 00015260M13S水鳥ハ一羽もありません。よしハらだから、やつぱりす 00015270M14ゞめになさりませ(二十七ウ) 00015280¥N20¥J 00015290¥X蒲原△△△△△△△△△△△△¥A筆硯舎馬蹄作 00015300M17●Sとかく道中をするなら、名所/古跡(コせき)をよく/訂(たゞし)たいものだ 00015310M18ぜ。此辺に吹上の/浜(はま)といふがあるが、そこに六本松といつ 00015320M19て、/浄(じやう)留里/姫(ひめ)といふたぼの/塚(つか)がありやす。/足下(そこ)なんぞハし 00015330M20るめへ△▲Sソリヤアひところ、江戸で/名高(なたか)ひお三とかい 00015340¥P55 00015350L1つた女の儀太夫かたりぢやアねへか△●Sイヤ、べら坊な 00015360L2男だぜ。おれがざつときかしてやらふ。/昔(むかし)、/矢矧(やはぎ)の宿に 00015370L3(二十八オ)なんとかいふ長者のむすめに、浄瑠理をよくか 00015380L4たる娘があつて、それを/判官(はうぐわん)どのとかいふ人が、ちよろま 00015390L5かしておきざりにして、江戸の方へ/夜迯(よにげ)と出かけたもんだ 00015400L6から、その娘があとをしたつて、こゝ迄おつかけて、/爰(こゝ)で 00015410L7/亡(なく)なつたそふさ。そこでこゝらのものがよりたかつて、し 00015420L8るしに松をうゑたといふことだ。そこでその/追(つひ)善に、小の 00015430L9ゝお/通(つう)とかいふ女が、十二段のはしごを(二十八ウ)こしらへ 00015440L10て△▲Sコウ+、ぬしハ人がしらねへとおもつて、それ 00015450L11こそお/通(つう)はぐらかすぜ。いつてへ、まづ十二段のはしごを 00015460L12何の為にこしらへたのだ。なむぼ海道だとつて、のぼり下 00015470L13りの人の為にもなるめへ△●Sハテサ、だまつてきかつし。 00015480L14それがもと浄るり姫が判官どのにのぼせて、あとをしたひ、 00015490L15こゝまでくだつたのだハ 00015500¥N21¥J 00015510¥X由井△△△△△△△△△△¥A獏屋文彬作(二十九オ) 00015520L18ワキ一セイS風早の三保のうらハを漕船の、うら人さわぐ浪 00015530L19路かな△S/是(これ)ハ三保の/松原(まつばら)に、はくれうと申/漁父(ぎよふ)にて候。 00015540L20なぜおれが名をはくれうといふなれバ、ぜんてへ江戸にゐ 00015550M1た時分、/箔商売(はくせうばい)をして/良蔵(りやうぞう)といつたから、/今(いま)でも、はくれう 00015560M2+と人がよびやす。むだハよしにして、けふはトまづ/釣= 00015570M3竿(つり=さほ)をかついで/出(で)たハでたが、/扨(さて)/魚(うを)がさつぱりつれない。ど 00015580M4ふよくなかゝアの手まへもめんぼくないから、(二十九ウ)由 00015590M5井の宿へでもいつて、/買(かつ)てなりとかへりやせう。ハテナ、 00015600M6こゝの/松(まつ)にとんだものがかけてあるぜ。ハテ、ミなれぬ女 00015610M7の/二布(ふんどし)だ。あたりに人ハなし。こいつハいちばんとつてか 00015620M8へり、内の/嫁(かゝ)アにも見せ、/〆(しめ)させやうと存候ツト、松にあ 00015630M9るふんどしをはづして/行(ゆき)にかゝると、松かげから、女、ま 00015640M10へに/手(て)をあて出、女Sコウ、/にし(主)やア/人(ふと)のいもじのウさら 00015650M11つて、/何(あん)とするのだア△箔Sなんだと。こりやアひろつた 00015660M12ふん(三十オ)どしだから、もつてけへるハ△女Sアニハア、 00015670M13たまげた/人(ふと)だア。それハいま/汐(しほ)にぬれたから、そこにほし 00015680M14ておいたのだハ。こちらへ/戻(もど)さつせへ。海へつつツぺへる 00015690M15あまおとめにハ、それがなくてなるもんか△箔Sそんなら 00015700M16なぜ、ふんどしの/番(ばん)をしてゐねへのだ。なんにしろ、ひろ 00015710M17つたのだから、かへすこたアならねへ△女Sヤレハア、む 00015720M18ごつちけねへこんだア。/昨日(きんのう)/〆切新田(しめきりしんでん)の/背(せ)なアに、かつて 00015730M19もらつた/一(ふ)トすぢの(三十ウ)/下紐(ふんどし)。それがなくちやア/家業(かげう) 00015740M20の/道(ミち)もたえるくれへだア。ぜうだんいはねへで、どふぞけ 00015750¥P56 00015760L1へしてくれさつせへ。まづ/第一(でへいち)、すつぱだかでハ、ぶざま 00015770L2であるひて帰ることが出きねへハ△箔Sそんならおれもた 00015780L3のミがあるが、きいてくれねへか。ぬしやア、をどりが/銘= 00015790L4人(めい=じん)だといふことだか、/一(いち)ばんをどつてミせねへな△女Sソ 00015800L5リヤはア、をどるめへもんでもねへが、此なりじやアをど 00015810L6られねへから、まづ/そりよ(夫)を(三十一オ)けへさつせへトとり 00015820L7にかゝる。箔Sドツコイ+、その手をくふものか。こ 00015830L8れをけへしたら、をどりもをどらねへで/迯(にげ)るだアらふ 00015840L9女Sアニハア、そんなことをすべへ。ソリヤハア、にした 00015850L10ちのうまれのお江戸でハそふだんべへが、こちらでハそん 00015860L11な/ちく(虚)なんざアいはねへハ△箔Sなるほど、こいつハ一ば 00015870L12んあやまつたト、/二布(ふんどし)をわたせバ、さつそく〆て、女Sサ 00015880L13ア見さつせへ。をどつて見せべへ。唄Sおまへハ/浜(はま)のお/奉= 00015890L14行(ぶ=げう)さん。/汐風(しほかぜ)に(三十一ウ)ふかれて、おいろのくろさハ、コ 00015900L15チヤふかれておいろのくろさハ△下略△ヤレハア、こつぱ 00015910L16づかしいこんだア。しかし、このふんどしハ、/うら(己)がため 00015920L17にハ/天(あま|海人)の羽衣だハ△箔Sナゼ+△女Sこれを〆ると、/自= 00015930L18由自在(じ△=ゆうじ△ざい|△△=△△△△ぜへ)に、たちはたらきが/出(で)きるから 00015940¥Y1道中滑稽談初編終△(三十二オ) 00015950¥Q 00015960M5花山亭笑馬大人撰 00015970M6@笠亭|待請@道中滑稽譚二編 00015980M7△△△興津£宮宿迄のをかしミたつふり 00015990M8△△△近刻売出申候 00016000M9△△△△△△△△△△△△△△△△△△版元敬白 00016010M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(三十二ウ) 00016020¥P57 00016030¥Y東海道中滑稽譚跋 00016040L3江戸から尾張へ/戻駕(もどりかご)。/吾嬬(あづま)・/浪華(なには)の/自慢競(じまんくらべ)のまねらしけれ 00016050L4と、東海道と/岐蘇路(きそぢ)の/勝景(しようけい)・/名品(めいひん)を、一番/相撲(すまう)に合せ見れ 00016060L5ば、/先(まづ)/支那川(しなかハ)の/繁昌(はんじやう)に、板橋は/組(くミ)にくゝ、/筥根(はこね)(一オ)に/碓= 00016070L6氷(うす=ひ)も/叶(かな)はねど、/清水種(しミづだね)の大根は、大/杜(もり)の/海苔(のり)にをさ+/劣(おと) 00016080L7らし。/絵(え)の/嶼(しま)・/鎌倉(かまくら)に、善光寺・/戸隠(とがくし)を/対(むか)ハせ、/妙義(めうぎ)・/榛= 00016090L8名(はる=な)は大山や龝葉山を/相手(あひて)とせは、/勝負(しやうぶ)はつかて、/飲(のま)する水 00016100L9の/流(なかれ)の女は海道だけ、/山路(やまぢ)(一ウ)はいつれ/負(まけ)なるへけれと、 00016110L10/岡崎女郎衆(をかざきしよろしゆ)の/歌(うた)はふりても、/追分節(おいわけぶし)は今なほ/廃(すた)らす。五井 00016120L11や赤阪・吉田がなくバ、ゆこか塩尻、もどろか/洗馬(せば)へ、山 00016130L12でも海でも/恋(こひ)は/曲者(くせもの)、/色(いろ)より/食気(くひけ)ハ/須原(すはら)の花漬、/蒲田(かまだ)の/楳= 00016140L13干(うめ=ぼし)・/梅醤(うめひしほ)、(二オ)/鞠子(まりこ)の/薯蕷(とろゝ)汁、/安陪川餅(あべかハもち)。これらはすぐ 00016150L14れし/名物(めいぶつ)ながら、ねざめ/蕎麦(そば)の/一種(いつしゆ)には/及(およ)ばじ。/三野(ミの)の/上= 00016160L15品(しやう=ぼん)、/木曽(きそ)の/麻衣(あさぎぬ)、どんな物か/知(し)らざれハ、まづ/有松(ありまつ)の/絞(しぼり)を 00016170L16/買(かふ)べし。/紫(むらさき)/匂(にほ)ふ八橋は、/妻(つま)しあればの/折句(をりく)にしるく、/顔(かほ) 00016180L17/青(あを)(二ウ)ざむる/桟道(かけはし)は、/命(いのち)をからむの/発句(ほつく)を/残(のこ)せり。/背合(うしろあは) 00016190L18せの/寒(さむ)さより、/秋(あき)の/夕暮(ゆふぐれ)/鴫立沢(しぎたつさは)、あしもたゝぬか/小栗(をぐり)か/車(くるま) 00016200L19は、/藤沢(ふぢさは)の/寺(てら)に/轟(とゞろ)き、/八重墻姫(やへがきひめ)が/兜(かぶと)の/光(ひかり)は、/諏訪(すは)の/湖(うミ)にう 00016210L20つりもすべし。その/神渡(かうわたり)の/狐(きつね)の/神変(じんべん)、/虎(とら)が/石(いし)の(三オ)/不思= 00016220M1議(□し=ぎ)はしらす、/石(いし)にたつ/矢(や)は/百合稚(ゆりわか)が/射抜(いぬき)の/穴(あな)に、人穴は/仁= 00016230M2田(に=たん)の四郎の/勇(ゆう)を/称(しよう)す。されば/勇(ゆう)でも智でもゆかぬは、大井 00016240M3川の/河留(かはどめ)にて、/其患(そのうれひ)ハ/岐岨(きそ)になけれど、/浅間(あさま)の/煙(けふり)を/莨艸(たばこ)に 00016250M4/薫(かを)らせ、/横目(よこめ)て/不二(ふじ)の/裙(すそ)を/行(ゆく)、/面白(おもしろ)(三ウ)さにはかへがた 00016260M5く、/帰(かへり)も同し東海道と、/宇都(うつ)の/団子(だんこ)の/十(とを)に/九(こゝの)ツ、さだめし 00016270M6故に花山亭の/哥&(あにき)も、かやうの一小冊/催(もよほ)しはせられけれど、 00016280M7お六櫛のろく+に、さやうの/事(こと)のあるともしらず、/俄(にハか)に 00016290M8木曽から/帰(かへ)りし故、/実(じつ)は此(四オ)書と/相違(さうゐ)したり。/其縁(そのよし)を 00016300M9かいしるして、四方の君子に/告(つげ)奉るになむ。されど、/僕(やつかれ)、 00016310M10此書を/見(ミ)れは、あちらをあるいて、こちらからも/帰(かへ)りし/心= 00016320M11地(こゝ=ち)のするにつけ、思へは/一挙両得(いつきよりやうとく)にて、/錯誤(あやまり)の/僥倖(さいはい)と/是(これ)を 00016330M12いふべし 00016340M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△笠亭仙果記 00016350M14△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(四ウ) 00016360¥P58 00016370¥U噺本大系△第十六巻 00016380¥T/笑語(おとしばなし)/草(くさ)かり/篭(かご)△〔内題〕 00016390¥G 00016400¥Y 00016410L16天保七年正月序 00016420L17山東京山序 00016430L18司馬斎次郎作 00016440L19歌川国直画 00016450L20中本一冊 00016460¥Y 00016470M1/墨■斉(ぼくかんさい)、/嘗(かつ)て/謂(いへること)あり。/古今来(ここんらい)/話(はなし)に/非(あらざ)ること/莫(な)し。/経書子= 00016480M2史(けいしよし=し)ハ/鬼話(きわ)なり。/詩(し)/文章(ぶんしやう)ハ/談話(たんわ)なりと。/宜哉也(むべなるかなや)、/昨日(さくじつ)の/事(こと) 00016490M3ハ/今日(こんにち)の/話(はなし)也。/今日(こんにち)の/事(こと)も/又(また)明日の/話(はなし)となる。/仮宅(かりたく)ひけ 00016500M4てよし原の/話(はなし)となり、/顔(かほ)ミせはてゝ/春(はる)/狂言(きうげん)の/話(はなし)となる。お 00016510M5はなし四文ハ四文の/話(はなし)、はなし/亀(かめ)・はなし/鰻(うなぎ)・はなし鳥も 00016520M6/話(はなし)の/柄(たね)也。むかし+あつたとさ。/老漢(ぢゝい)ハ山へ/草刈篭(くさかりかご)、/話= 00016530M7柄(はなし=のたね)を/此篭(このかご)に、/釆■集(ひろひあつめ)し/一小冊(いつせうさつ)、/花咲(はなさき)ぢゝいが/桜木(さくらぎ)にのぼし 00016540M8て、人の/話柄(はなしのたね)とする。これも一ツの/話(はなし)なるへし 00016550M10△△天保七申の春△△△△応需△山東京山題G 00016560M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(1オ) 00016570¥P59 00016580¥G(1ウ・2オ) 00016590¥Y 00016600M1/紫(むらさき)の/朱(あけ)をうバふを/悪(にく)ミ、/鄭声(ていせい)の/雅学(ががく)を/乱(ミだ)る/事(こと)をにくむと 00016610M2ハ、/古昔(むかし+)、/祖父(ぢゝい)と/婆々(ばゝあ)のいと/不通(やぼ)なる/言(こと)の/葉(は)にて、さぞく 00016620M3さかろふの/屁(おなら)の/如(ごと)く、/御客様方(おきやくさまがた)、/鼻(はな)を/撮(つま)んで/御意(ぎよい)に/入(い)らず。 00016630M4/今(いま)/流行(りうこう)のうかれぶし、/音曲入(おんぎよくいり)やどゞ/一(いつ)の、/噺(はなし)の/落葉(おちば)かき/集(あつ) 00016640M5め、/題(だい)せし/草(くさ)かり/篭(かご)に/入(いれ)て/出(だ)す。/是(こ)ハ/聖人(こじん)の/金言(ことば)を/謗(そし)り、 00016650M6/己(をの)が/田(た)へ/曳(ひく)/水調子(ミづてうし)、/手前勝手(てまへがつて)の/節付(ふしづけ)と、/四方(よも)の/君子(くんし)、/笑(わら)ひ 00016660M7/玉(たま)ハず、よろしく/御評(ごひよう)ばん、/偏(ひとへ)に奉願上ます 00016670M8△△△△△△△△△△△△△△△△司馬斉次郎述△G 00016680M9△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(1ウ) 00016690G1△△吾なりハひとせるこつけいさへ、今流行にあは雪の、とけて 00016700G2△△流るゝなぞ+も、水の如く弁のまいらん事をいのりて、 00016710G3△△△△△△△△△△△△△△△△△△△斉次郎題 00016720G1△△△和子達をすかすはなしの枯枝も 00016730G2△△△△見事に花を咲すしら雪 00016740G3△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(2オ) 00016750¥P60 00016760¥G(2ウ・3オ) 00016770G1△◇/連中(れんぢう)/集会(しうくハい)/五節句(ごせつく)/即席(そくせき)にわかの/図(づ)◇ 00016780G1○正月万歳才蔵の身ぶり△◇金光◇◇龍斎◇ 00016790G2Sコウ、なつとうゑぼしを下たでした内が大笑だ;Sそれ 00016800G3だから、ミなさまが、げた+おわらひなさるハ; 00016810G4△△S一ひようしぬけた皃なる才蔵の 00016820G5△△△△/打(う)てるつゞミもほんと聞えつ△司馬龍生(2ウ) 00016830G1○三月紙びなの身ぶり◇馬橋◇ 00016840G2△△/紙(かミ)びなや/女夫中(めうとなか)よき/箱(はこ)のうち△深やぐら下東やなべ 00016850G1○五月あがりかぶとの身ぶり◇新口◇ 00016860G2Sかぶとへ火打石をつけたのハ、いゝりくつだの;ナゼ 00016870G3+△Sハテ、火バなをちらして、たゝかふだろう(3オ) 00016880G1○七月夜ばいぼしの身ぶり◇斎寿◇ 00016890G2Sこれじやア夜ばいぼしがかへるようだの△Sそのはつよ。 00016900G3はうきぼしが、さかさにたつているハ 00016910G1○九月菊に蝶の身ぶり◇しん馬◇ 00016920G2/盃(さかづき)に蝶も/来(き)て/呑(のめ)/菊(きく)の/酒(さけ)△桜川喜蝶(3ウ) 00016930¥P61 00016940¥G(3ウ) 00016950G1〔挿絵中の歌句〕 00016960G2△たちよりてあなのあくほとなかめはや 00016970G3△△小町桜の花のさかりを△△△山東庵 00016980G4△数せんにん客の相手に茶屋娘 00016990G5△△むまくも出すひやうたんの酒△△△春東霞山 00017000G6△梟のねさめのころやちるさくら△△△江柳(七ウ) 00017010G7△生酔のくれ残りたるさくら哉△△△山桜 00017020G8△生酔に拳をうたせて桜かり 00017030G9△△しやうきの背負ふ鬼の角樽△△△斉次良(八オ) 00017040¥T1/笑語(をとしばなし)/草(くさ)かり/篭(かご) 00017050¥A司馬斎次郎作 00017060¥N1¥J 00017070¥X三番双 00017080M7S/八文(はちもん)に/三把(さんば)そうなる/鈴菜(すゞな)こそ△まことにもつてやすふ 00017090M8/候(そうらふ)フ△亭主Sヲヤ/祖父(とつ)さん。おつうしやれたの。/延喜(ゑんぎ)が 00017100M9いゝ。/買(かつ)てやるべい。そりやアいゝが、/春(はる)とハいふものゝ 00017110M10まだ/寒(さむ)いのウ△八百やSさやうで/厶(ござ)り/升(ます)。どふも/立(たち)きれま 00017120M11せん。あまり/寒(さむ)ウ/厶(ござ)り/升(ます)から、/此通(このとを)り/水鼻(ミづゝばな)が/出(で)ます。ハ 00017130M12ヽヽ△Sヲヤ、/下婢(げび)たる/事(こと)を/吐(いふ)ぜ。それこそ/千柳点(せんりうでん)で/云(いわ)ふ 00017140M13(壱オ)なら、此翁とふ+たらり/水鼻(ミづゝばな)だろう△Sハヽヽ、 00017150M14どふもよふ厶り升。そんなら落る所を、こふおふさへ+ 00017160M15じやア/紋切形(もんきりがた)だから、/一(いち)ばんしやれて、/売買(しやうばい)の/青物(あをもの)づくし 00017170M16なら、Sじゆん/菜(さい)+/松露(せうろ)/昆布(こぶ)/有(あり)や+、/零余(ぬか)子の/野老(ところ)よ 00017180M17り、/腐皮(ゆば)へハからしと/芋(いも)をは、どふで厶り升△亭主Sハヽ 00017190M18ヽ、ありがてへ。それじやア/翁千歳(おきなせんざい)でハなくて、おつな/千= 00017200M19菜(せん=ざい)だ 00017210¥P62 00017220¥N2¥J 00017230¥Xかミなり 00017240L3とつちりとんS/夏(なつ)の/夕立(ゆうだち)それいな/妻(づま)が、そりやこそがら+ 00017250L4ぴつしやりと、おへそをめがけてひかりやす。/雲(くも)のすき/間(ま) 00017260L5をふミぬいて、/屋根(やね)(壱ウ)や木の枝きらひなく、そこらあ 00017270L6たりへおつこちて、こしの/骨(ほね)をバぶんぬいた。大坂丁の名 00017280L7ぐらで、一寸なをつた△いなづまS時に先生、光男で厶り 00017290L8升。一寸お見舞申。おいたミハいかゞへ△かミなりSコレ 00017300L9ハ+/光男子(くハうだんし)。よくこそお見舞下すつた。いやも、/希(け)有な 00017310L10るめに合やした。しかしもはや、すつぱり/全(ぜん)くわいさ△ 00017320L11いなSそれハ恐悦で厶りやす。時に、/降里(ふるさと)へ/帰国(きこく)ハ/何頃(いつごろ)へ△ 00017330L12かミSそうさ。/明後日(あさつて)あたりの夕立にでもするつもりさ△ 00017340L13いなS/夫(それ)ハ/近&(きん+)だね。モシおいたミかよくば、国への/土産(ミやげ)に、 00017350L14/仮宅(かりたく)へひとばんおもむく気ハ(二オ)有りやなしやの隅田川 00017360L15まで小舟でいきの、すぐに/大江楼(たいこうろう)で/一盃(いつぱい)/呑(のミ)の若草といふ 00017370L16しやれで、/夕陽(せきやう)/西(にし)にかたむくころより立出て、かうしをぞ 00017380L17めきのすぐ上りときめやせう△かミSおもしろし+。/朕(ちん) 00017390L18も其心とふより有さ。仮宅を目前に見て、むなしく国へ/帰(かへ) 00017400L19るハ、/宝(たから)の山に入ながらだ。すぐに/行(いき)やせう。しかし、舟 00017410L20も/駕篭(かご)もめんどうだね。/君(きミ)/買(かひ)に行時ハ/駕(が)を/待(また)ずして行だ。 00017420M1おかぶらで出かけやせう△いなSよう厶りやす。/然(しか)しなが 00017430M2ら、二/騎(き)でハ/余(あま)り小勢だね。味方をもふひとり(二ウ)ほし 00017440M3いね△かミSそれにこそよき/加(か)勢有。内の太/鼓(こ)を/連(つれ)ていき 00017450M4やせう△いなSおもしろし+△かミS時に/光男子(くハうだんし)。/爰(こゝ)に 00017460M5一の/難(なん)儀有だ。先/刻(こく)より/薬(やく)代に入上て、/嚢(のう)中をのづから/銭(せん) 00017470M6なしだが、金の所ハいゝかへ△いなSヲツト、皆までの 00017480M7たまふな。其儀ハりういんか用心の天水/桶(おけ)じやアねへが、 00017490M8むねに有さ△かミSむねに金が有ちやア、千日参りのやう 00017500M9だね△いなSハヽヽやかましい。どふもならねへ△かミ 00017510M10Sもし金不/足(そく)なる時ハ、わたしが持まへのかり++さ 00017520M11ミな+Sハヽヽ△いなSイヤ、先生なぞハきんぜんととり 00017530M12きまると、/威(ゐ)有て/猛(たけ)からずと云人/品(ひん)だから、大もて(三オ) 00017540M13うたがひなしさ。/偕老(かいらう)同/穴(けつ)のちぎり/浅(あさ)からずして、女/良(らう)た 00017550M14ちまち、おつこちさ△かミSイヤ、おつこちたにハこり 00017560M15+した。ハヽヽ、サア出かけやせう。コレ太/鼓(こ)。支度ハ 00017570M16いゝか△たいこSへヽ、よう厶ります。モシ旦那へ。/仮(かり)宅 00017580M17へ行て、女に/肌(はだ)をぬるさせて、定めしあなたのお/好(すき)な/臍(へそ)を 00017590M18おとんなさるおつもりかへ△かミSべらぼうめ。そんなや 00017600M19ぼな物をとるものか△たいこSそしてどこをおとんなさる 00017610M20へ△かミSハテ、しれた事よ。臍の下をとるつもりだ 00017620¥P63 00017630¥N3¥J 00017640¥Xおなしく(三ウ) 00017650L3S/雷(かミなり)、仮宅へおつこち、大なまけにて、天上へも帰らす、 00017660L4ます+遊楽する事聞えけれバ、天/道(とう)、其つミを/悪(にく)ミ、雷 00017670L5并に/稲(いな)妻を勘当なし玉ふ。両人ハ夢のさめたる心地にて、 00017680L6せんかたなく/蔵(くら)前あたりをうろ+しながら、かミSコウ 00017690L7/光(くハう)男子。寔にさいもんの発語ときて、あはれなるかやだノ 00017700L8ウ△いなSさやうさ。下世話に云ふ、しゝ喰たむくひさ。 00017710L9先/勘(かん)当の身とハなりにけりだね。寔につまらねへ。是がほ 00017720L10んの天宿/浪(らう)人だ△かミSハヽヽちげへねへ。どふも仕方が 00017730L11無さ。是から雷門へ行て、/食(しよく)客となりやせう△いなSそし 00017740L12てどふなさる(四オ)おつもりだへ△かミSハテしれた事。 00017750L13当時ころついていやせう 00017760¥N4¥J 00017770¥X開/張((ママ)) 00017780L16S酒ハ只呑ねば/須(す)磨の浦淋し△過せばあかし浪風ぞ立。又 00017790L17時/珍(ちん)が本草に、酒ハ百/薬(やく)の長なり。大く/喰(くら)へば命をたつと 00017800L18云。古語にも、人酒を呑、酒酒を飲、酒人を呑と有て、あ 00017810L19まり過す時ハ/病(やまい)の/基(もとい)なるべし。/杜康(とかう)が初て/造(つくり)し時、/禹(う)王甚 00017820L20うとミしも、此故ならん。然ハあれど少し呑ば、気/血(けつ)を廻 00017830M1らし/欝(うつ)気を/散(さん)する事、此右に出る物なし。故に上戸ハ是を 00017840M2/神(しん)仏よりも高ふに(四ウ)/信心(しんじん)す。/爰(こゝ)に美録(びろく)年中、名酒/山(さん)/満= 00017850M3願寺(まん=ぐハんじ)におゐて、/酒呑如来(さけのミによらい)の開帳有。参/詣(けい)の/老若(らうにやく)/引(ひき)もきら 00017860M4ず、おびたゞし。/境内(けいだい)にハさま※の見せ物、/我(われ)おとらじ 00017870M5と/呼立(よびたつ)る/声(こへ)、いとかまびすし。かるわざ口上Sサテ++、 00017880M6/此度(このたび)のかるわざハ、いよ+/太夫(たゆう)、/綱(つな)の/中(なか)ばへさし/掛(かゝり)ます 00017890M7れば、あちらへひよろり、こちらへひよろり、/目先(めさき)ちらつ 00017900M8き、ぐる+/廻(まハ)ると/見(ミ)えまする。是を/名付(なづけ)て、うどのなま 00017910M9すの水車。/次(つぎ)がおなかの/一献(いつこん)すぎじや。アリヤ++△ 00017920M10見せ物Sサア+いけよつた+、/旦那(だんな)の酒から/酔(よつ)て/来(き)た、 00017930M11/大(おゝ)酒にてハ/大(おゝ)どんぶり、よふたアにてハ(五オ)/四合(しがふ)がハり、 00017940M12/常(つね)ハちろりのかんざまし、おてうしにてハつぎやせうの酒 00017950M13におゐて、おしやうばんにあづかりました。ソリヤぼうだ 00017960M14らじや+△いゝ立S/抑(そも+)、/是(これ)に/燗(かん)し/奉(たてまつ)る/損亡(そんぼう)ハ、/大食乱(たいしよくらん) 00017970M15こもたれ/公(こう)/御(ご)ひそう有し、/宮戸川(ミやとがハ)より/出現(しゆつげん)まし+たる/所(ところ) 00017980M16の/大分功者(だいぶんこうしや)、/酒呑如来(さけのミによらい)、/生徳大酒(しやうとくたいしゆ)の/御酒(おんさけ)なり。一樽/愛(あい)する 00017990M17/輩(ともがら)ハ、/悪血(あくち)・さいなん・けんのんをのがれ、/苦労不知(くろうふち)・ 00018000M18/弁当両役(べんとうりようやく)を守らせ給ふとの/御製燗(ごせいかん)なれば、いこう/酔(よつ)て、/五= 00018010M19盃(ご=はい)上りませう。大きな声でSれいほうハ/左(ひだ)りキヽ+(五ウ) 00018020¥P64 00018030¥N5¥J 00018040¥X日蓮宗 00018050L3とつちりとんSもしも此子が/法花宗(ほつけしう)の子なら、/題目自我経(だいもくじがぎやう)な 00018060L4らハせて、妙見七面両ぼさつ、不動/愛染(あいぜん)鬼子母神、堀の内 00018070L5へハ月参り、/武州(ぶしう)/池上(いけがミ)本門寺、其外/房州(ほうしう)/小湊(こミなと)か、それより 00018080L6/法花宗(ほつけしう)の/一本寺(いちほんじ)、/身延久遠寺(ミのぶきうをんじ)へ参りますアトツチリトン+ツ 00018090L7だんなS是、子ぞう。そりやア此ごろ/流行(はやる)、つゞきさハぎ 00018100L8の/唱唄(うた)だな。てめへ、よくおぼへた。おれの内ハ代々日蓮 00018110L9宗だが、いや、/御祖師(おそし)さまハ有がたいて、/念仏(ねんぶつ)が有がたい 00018120L10の、大(六オ)師が有がたいのと云が、/法花宗(ほつけしう)の目から見る 00018130L11と、/犬(いぬ)の/屎(くそ)/同様(どうやう)だ。それだから/日蓮様(にちれんさま)が、/念仏(ねんぶつ)むけん・/禅= 00018140L12天魔(ぜん=てんま)だとおつしやつた。/念仏(ねんぶつ)をとなへると、むけん/地国(ぢごく)へ 00018150L13おちるとよ。こわい事+△子Sヘヱヽ、それじやア/法花= 00018160L14宗(ほつけ=しう)ばかりうかんで、外の/宗旨(しうし)ハうかまれませんか。それに 00018170L15してハ、ゆうれいがすけのふ/厶(こざ)りますね△だんなSべらぼ 00018180L16うめ。/出(で)るゆうれいと/出(で)ないゆうれいが有ハ△子Sそれじ 00018190L17やアゆうれいが/内(ない)かう/致(いた)しておりますのかね△だんなS/何(なに)、 00018200L18/幽霊(ゆうれい)が内かうするものか△子Sハヽヽ、私が(六ウ)/去(さる)人に/聞(きゝ) 00018210L19ましたが、ぜんたい諸/宗(しう)を/譫る事ハ、/日蓮さまがおつしや 00018220L20つたのでハないそうで厶り升ツサ。/京都(きやうと)/東福寺(とうふくじ)の/開山(かいさん)/聖= 00018230M1一国師(しやう=いつこくし)といふ/主坊(ずぼ)てきが、/日公(にちこう)におしへたので、/法花宗(ほつけしう)を 00018240M2/弘(ひろ)めるにハ、たゞでハいかないから、むやミに外の/宗旨(しうし)を 00018250M3/悪(わる)くいふがいゝ。/其(その)/悪(わる)く/言(いひ)やうハ、/念仏無間(ねんぶつむけん)・/禅天魔(ぜんてんま)・/真= 00018260M4言亡国(しん=ごんぼうこく)・/律国賊(りつこくぞく)・/諸宗無得道(しよしうむとくどう)とおそハつて、夫から初て鎌 00018270M5倉/雪(ゆき)の下におゐて、/朝(あさ)日にむかひ/題目(だいもく)を/唱(とな)へしより、/諸人(しよにん) 00018280M6こぞつて/信心(しん※)なすとさ。/夫(それ)を/知(し)らねいで、/今(いま)の/生(なま)ぐさ/坊主(ぼうず) 00018290M7めらが、(七オ)(七ウ・八オ挿絵)諸宗を/呰(そし)る事、@少し三津右衛門|の気どりにて、@ 00018300M8かた/腹(はら)いたき事に非ずや。いかに/各(おの+)、何とそふでハ厶さら 00018310M9ぬかツ。いよ、あらくまア。アヽいきが/切(きれ)た。どふぞ水を一 00018320M10/盃(ぱい)下さりまし△だんなSヱヽふざけるな。てめへが何と/言(い) 00018330M11つても、有がたいに/相違(そうゐ)ねへハ。それ、/音色(こハいろ)で思ひ/出(だ)した。 00018340M12/芝居(しはゐ)のゆうれいを/見(ミ)ろ。ミんな/念仏宗(ねんぶつしう)だハ。そこへ出ると、 00018350M13/南無(なむ)ゆうれいとんしやうぼだい、うかんでくれろ。/南無阿= 00018360M14弥陀(なむあ=ミだ)仏+△子S/音羽(おとは)やア△だんなSヱヽまぜつけへすな、 00018370M15へらぼうめ。それ、ゆうれいが出ると、いつでもなむあミ 00018380M16だぶつだ。/南無妙法蓮華経(なむめうほうれんけきやう)と(八ウ)いふ/者(もの)ハ、ひとりもな 00018390M17いハどふだ△子Sそれだからお/前(まへ)さんハ、/何(なんに)もしらない/俗= 00018400M18物(ぞく=ぶつ)だと/云(いふ)ンダ。/芝居(しバゐ)のゆうれいだつて、/外(ほか)の/宗旨(しうし)の/者(もの)ばか 00018410M19りハないけれど、/念仏(ねんぶつ)でなくてハうかばないから、なむあ 00018420M20ミたぶつといひます。/法花(ほつけ)でハうかびません。なぜなら、 00018430¥P65 00018440¥G(七ウ・八オ) 00018450M1その/証拠(しやうこ)が/有(あり)ます。それ、/成駒屋(なりこまや)でも/大和屋(やまとや)でも、/皆(ミん)な/法= 00018460M2花宗(ほつ=けしう)だけれど、ゆうれいが/出(で)ると、いつでも/念仏(ねんぶつ)を/唱(とな)へま 00018470M3す。/法花(ほつけ)が/有(あり)がたいなら、やつぱり/題目(だいもく)を/唱(とな)へそうなもの 00018480M4で/厶(こざ)りますな△S@チトあつくなり、ひ|たいへすじを出し、@だんなSヱヽ(九オ)べら 00018490M5ぼうめ、そういふ/分(わか)らぬ事を/云(いふ)ハ。/法花宗(ほつけしう)でうかまぬ事が 00018500M6/有(ある)ものか。/日(にち)れんさまが、/鵜飼川(うかひがハ)で/鵜遣(うつか)ひの/亡魂(ぼうこん)をうかめ 00018510M7たハ、あんまり/有(あり)がたいことだから、/芝居(しバゐ)て/持遊(もちあそ)びにしな 00018520M8いハ。/念仏(ねんぶつ)ハ有がたくないから、ざらつぴやうしに/翫弄(もちやあそび) 00018530M9にするハ。/屎(くそ)つたれめ△子S/念仏(ねんぶつ)だつて、/祐天様(ゆうてんさま)が/累(かさね)の/亡= 00018540M10魂(ぼう=こん)をうかばせましたね△だんなSヱヽ、あれハ/不動(ふどう)さまの 00018550M11お/影(かげ)だハ。/何(なん)でもかでも/法花(ほつけ)ハ/有(あり)がたいに/相違(そうい)ないハ。そ 00018560M12れだから/皆(ミんな)が/信心(しん※)するハへ。/大(おゝ)べらぼうめ、/大(おゝ)だハけめ 00018570M13(九ウ)ト、@やつきとなり、大きなこゑにて子そうを△|いひふせる。子ぞうまけなから、へらず口@子Sイヨごう 00018580M14じやう。/勝(かち)カチ+++ 00018590¥N6¥J 00018600¥Xおなじく 00018610M17千柳点S/祖師大根(そしだいこ)/全(まつた)く/法花(ほつけ)/聞(き□)ちがひ△かいてSどうも/千柳= 00018620M18風(せんりう=ふう)ハ/能(いゝ)事を/言(いふ)よ。ほんとうにこつて見ると、/其(その)くれへなも 00018630M19のだ。すでに/将碁(しやうぎ)の/好(すき)な人が、/大手(おゝて)を/王手(わうて)と/聞(きゝ)ちがへ、/下= 00018640M20馬札(け=ばふだ)を/桂馬(けいま)と/読(よん)だり、/風流気(ふうりうぎ)の有人ハ、/船(ふね)の/艫音(ろおと)を/雁(かり)の/声(こゑ) 00018650¥P66 00018660L1かと/聴(きゝ)、ふられた/客(きやく)が/座禅豆(ざぜんまめ)を、させん/豆(まめ)と/読違(よミちが)へるなぞ、 00018670L2/皆(ミん)な夫に/凝(こつ)てゐるからだて。ナア/八百(やを)やさん△八百やSさ 00018680L3やうで(十オ)/厶(ござ)り/升(ます)。/時(とき)に/此(この)/祖師大根(そしだいこ)を、/日(にち)れんお/召下(めしくだ)さ 00018690L4りまし△かひてSハヽヽ、/己(おれ)が/法花宗(ほつけしう)だから、/日蓮買(にちれんかへ)ハ/有(あり) 00018700L5がてへ。/本(ほん)に/一連(いちれん)、/買(かひ)やしやう。/何(なに)ハお/題目(だいもく)ハ/南無妙(なんめう)だへ 00018710L6八百Sヘヱ、おまけ申て、/三十番神(さんじうばんじん)と/致(いた)しやしよう△かい 00018720L7てSそりやア/高直(かうちよく)/日蓮(にちれん)/大(だい)ぼさつだの。チト/引面(ひきめん)/大(だい)ぼさつ 00018730L8としなせへ△八百Sさやうなら、おいくらでよう/厶(こざ)ります△ 00018740L9かいてSハテ、/自我経(じがぎやう)で、/本代拾六文(ほんたいじうろくもん)にまけな 00018750¥N7¥J 00018760¥X/化物(ばけもの) 00018770L12S/怪(くわい)を/見(ミ)てあやしまざれば、/其怪(そのくわい)、/自(ミづか)ら/破(やぶ)るゝと/古語(こご)(十 00018780L13ウ)にも/在(ある)が、/何(なん)と/福介(ふくすけ)さん。化物も/此方(こつち)の/止驚(どきやう)が/落付(おちつい)て 00018790L14/居(ゐ)たら、/向(むか)ふでよわつて/仕舞(しまふ)だろうかノ△福Sそうさ。そ 00018800L15れだからたとへにも、こわゐ+と/思(おも)へバ/薬鑵(やくわん)も/天狗(てんぐ)に/見(ミ) 00018810L16へるといふハな。/何(なん)でもこつちの気してへだテ△いきすぎ 00018820L17Sモシ、そりやアちげへ/厶(ごさ)りやせんぜ。/私(わつち)が/此間(このあいだ)、/夜(よ)の/八= 00018830L18ツ時分(や=つじぶん)さね、/内(うち)へ/帰(けへ)つて/来(き)やした/所(とこ)が、/行燈(あんどん)がぼんやりし 00018840L19て、/何(なん)だかうすつ/気味(きミ)の/悪(わる)ひ/晩(ばん)さね。こわい+と/思(おも)つて 00018850L20/方&(ほう※)/見(ミ)やすと、お/聞(きゝ)なせへ。むかふの/隅(すミ)に/大(おゝ)きな/首(くび)が、ひ 00018860M1よつくり/有(ある)と/思(おも)ひなせへし。/然(しか)も(十一オ)/口(くち)をすてきと/大(おゝ) 00018870M2きく/開(あい)て、/私(わつち)の/面(つら)を/見(ミ)て、げた+と/笑(わら)ひやした。/其時(そのとき)の 00018880M3こわさ、/何斗(いかばかり)りか、/御推量(ごすいりやう)あれ、/各&方(おの+がた)ツ△ミな+S/大(たい) 00018890M4そう/六ケ舗(むづかしく)/言(いつ)たの。/夫(それ)からとふした△いきすぎSモシお/聞(きゝ) 00018900M5なせへ△ミなSイヽサ、/聞(きい)て/居(ゐ)るよ△いきすきSいんにやさ、 00018910M6/只(たゞ)の/人(ひと)ならね、おめへさん、/即席(そくせき)に/目(め)を/廻(まハ)す/所(ところ)だアさ。そ 00018920M7こア/私(わつち)たね△ふくSこう+、ぱつちだか/股引(もゝひき)だか/知(しら)ねへ 00018930M8が、/足下(そつち)もあんまり/銭(ぜに)の/出(で)た/男(おとこ)でもねへぜ。/何(なん)ぞと/云(いふ)と、 00018940M9たゞの/人(ひと)なら+と。/聞悪(きゝにく)いわな△いきSまあ/交(まぜ)ずにお/聞(きゝ) 00018950M10なせへ。/夫(それ)からぱつちも、ヱヽつり/込(こま)れていかねへ。/何(なに)さ、 00018960M11わつちも/爰(こゝ)(十一ウ)ぞと/止驚(ときやう)を/居(すへ)て/克&(よく+)/見(ミ)たら、モシ、/首(くび) 00018970M12だと/思(おも)つたハぶら/提燈(でうちん)さ。/口(くち)をあいたやうに/見(ミ)へたやつハ、 00018980M13/下(した)の/方(ほう)の/破(やぶ)れた/所(ところ)さ。/大笑(おゝわら)ひじやア/厶(ござ)りやせんか△ミな+ 00018990M14Sハヽヽ△いきSコウ、そりやアそうと、お/聞(きゝ)なすつたか 00019000M15しらねへが、/横丁(よこてう)の/仕立(したて)やへ/毎晩&(まいばん+)/化物(ばけもの)が/出(で)やすとさ△ふ 00019010M16くSハア、/何(なに)が/出(で)るの△いきSモシ、/仕立(したて)やだから/物差(ものさし)の 00019020M17/化(ばけ)たのさ。/天窓(あたま)が/火熨斗(ひのし)で、/針(はり)の/様(やう)な/毛(け)が/生(はゑ)て/居(ゐ)るつさ。 00019030M18そして/袖口(そでくち)をぱつくり/開(あい)てね△ミな+S/何(なん)と/言(いつ)て/出(で)るの 00019040M19いきSやつぱり/袴(はかま)から/紐(ひも)を/付(つけ)て/縫(ぬ)ふぞさ(十二オ) 00019050¥P67 00019060¥N8¥J 00019070¥Xおなじく 00019080L3つれSコウ、/横丁(よこてう)のとうふやへ/化物(ばけもの)が/出(で)るそうだの△いさ 00019090L4ミSそりやア/面白(おもしれ)へ。/行(いつ)て/見(ミ)べい△つれS/何(なん)の、よせへ。 00019100L5/臆病(おくびやう)なくせに△いさミSべらぼうめ。/化(ばけ)ものくれへ、こわ 00019110L6い/物(もの)か。どふせ/今夜(こんや)ひやかしに/行(ゆか)ア。/廻(まハ)つて見べい△つれ 00019120L7Sあつちを/廻(まハ)つちやア/遠(とを)いぜ△いさS/何(なに)、/豆腐(とうふ)でもいゝ。 00019130L8たつた/小半丁(こはんてう)ばかりた。/何時(なんどき)に/出(で)ると△つれSやつぱり/焼= 00019140L9時分(やき=じぶん)に/出(で)るそうだ△いさSそうか。/今夜(こんや)/見届(ミとゞ)けて、/魂玉(きもつたま)の 00019150L10つよい/所(ところ)を、/臆病(おくびやう)めらにお/目(め)にかけてくれべい。/主(ぬし)も/一所(いつしよ) 00019160L11に/行(いか)つし△つれSウヽいこうと、/弐人(ふたり)リ/言合(いひあハせ)、/彼(か)の/豆(とう)(十二 00019170L12ウ)腐屋の/表(おもて)に/彳(たゝず)ミ、わづかなる戸のすき間よりかいま見て、 00019180L13今や出ると/待(まつ)おりしも、/早(はや)/四更(しかう)の/鐘(かね)ハ物すごく/耳(ミヽ)にひゞき、 00019190L14/雨戸(あまど)を/打(うつ)/風(かぜ)の音に、/気(き)も/魂(たましゐ)もきゆるばかり、/驚動(おそろ)しくきこ 00019200L15ゆる/折(おり)しも、何やらん物音して出たる化物あり。すハ/爰(こゝ)ぞ 00019210L16と、両人心をしづめて/能&(よく+)見れバ、目も/鼻(はな)もなく/四角(しかく)なる 00019220L17化物、いとほそやかなる/声(こへ)を出して、あぶらげS五文かア 00019230L18+△いさミSコウ金太、見や。/希代(けたい)けてれつ、/妙(めう)ちきり 00019240L19きな化物が出たぜ。そして/変(へん)な事を言て出たぜ△つれSそ 00019250L20うよ。へんてつ(十三オ)だよ。昔から化物の/言(いひ)ぐさア、も 00019260M1ゝんがアと言ふのがあたりめへだぜ。夫に、五文がアとハ、 00019270M2どふ云/訳(わけ)だろふ△いさミS/聞(きい)て見べい。やい、/化(ばけ)てき、コレ 00019280M3化/印(じるし)ツ。/昔(むかし)から、化物の言ぐさア、もゝんがアが/名題(なでへ)ど 00019290M4こだア。/夫(それ)にうぬア、五文かアトぬかしやアがるが、それ 00019300M5でも化物か+△あぶらげS何、わたしハ/揚物(あげもの)さ 00019310¥N9¥J 00019320¥X御祝儀 00019330M8どくろSざるやミそこし、/竹柄杓(たけびしやく)に/桐(きり)びしやく、おさゝら、 00019340M9さい箸、/灰(はい)ならし、おもちやの/手桶(ておけ)に/荒神(くハうじん)ぼうき、しろだ 00019350M10わし、茶(十三ウ)かまのわ、/大(おゝ)すりこ木にこすりこぎ 00019360M11Sヲイ、ざるやさん。何ても/御祝義(こしうぎ)だから、/延喜(ゑんぎ)のよい/丈= 00019370M12夫(じやう=ぶ)なざるを一ツくんなせへ△ざるやSハイ+、/左様(さやう)なら、 00019380M13/爰(こゝ)に亀の/子(こ)ざるが厶り升。/是(これ)ハ万年も/持(もち)ませう△Sそりや 00019390M14有がてへ。/然(しか)しもふちつと、/丈夫(じやうぶ)にしてへ△ざるやSさや 00019400M15うなら、/廻(まハ)りを鶴でお/巻(まき)なさりまし△Sそうすると/何(なん)年/持(もつ) 00019410M16へ△ざるやSハイ、もう千年持ます 00019420¥Q◇司馬斎次郎作歌川国直画◇ 00019430¥Y東西+ 00019440M19○是より/即席(そくせき)なぞ+合、あふむがへし初まり、さやう。尤 00019450M20△/仮名(かな)違ひ、こじ付の儀ハ即席故、御用捨之程、奉願上ます 00019460M21△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十四オ) 00019470¥P68 00019480¥U噺本大系△第十六巻 00019490¥Tはなしの/種(たね)〔内題〕 00019500¥G 00019510¥Y 00019520L17天保十年正月刊 00019530L18安遊山人作 00019540L19二水遊人校 00019550L20小本一冊 00019560¥G 00019570¥Y亥の春大新板 00019580M12△安遊山人作 00019590M14/銀留(ぎんどめ)の/色事(いろごと)△同/御輿太鼓(ミこしたいこ)△/百人一首(ひやくにんいつしゆ) 00019600M15娘の/碁(ご)/将棊(しやうぎ)△/天狗(てんく)の/御辞儀(おじぎ)△ぶしやう/者(もの) 00019610M16でつちのこまた/取(とり)△ぬすびとの/高塀(たかべい) 00019620M17/鳶(とび)の/通取(かよひと)り△/日蓮宗(にちれんしう)の娘△/尉(ぜう)と/姥(うば)/婚礼(こんれい) 00019630M18中村玉助めいどの/抜道(ぬけミち)△△△目録終 00019640M19△二水遊人校 00019650M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(見返扉) 00019660¥P69 00019670¥T1はなしの/種(たね) 00019680¥N1¥J 00019690¥X/銀(ぎん)どめの/色事(いろごと) 00019700L5さる御/医者(いしや)の/書生(でし)、/近所(きんじよ)のごふくやの娘を見そめ、ふミを 00019710L6/付(つけ)しに、へんじ/来(きた)れバ、ヤレ+うれしやと/明(あけ)て見たれバ、 00019720L7ぎんのかんざしが壱本入てあれバ、いろ+かんがへても 00019730L8わからず。よんどころなく、/師匠(ししやう)の(一オ)/前(まへ)へ/持(もち)出、うち 00019740L9明てはなしして、此心ハ/叶(かな)ふてござり升かとたづねけれバ、 00019750L10師匠の申されるにハ、此/恋(こひ)ハかなハぬ。でしが、それハど 00019760L11ふいふものでござり升といへバ、ハテ、このごろきびしい 00019770L12ぎんどめ、/一統(いつとう)にさすことならぬとあれバ、かなハぬ/印(しるし)と 00019780L13/明(あき)らめよと申されけれバ、おく様がでゝきて、/私(わたし)ハ此こひ 00019790L14(一ウ)てつきりかなふてあるとぞんじ升。それハなんで。 00019800L15サア、としの/行(ゆか)ぬ間ハ、銀どめでも人の目かほをしのびか 00019810L16くしても、さしたい+ト/思(おも)ひ升から、此こひハ/叶(かな)ふて有 00019820L17といハれた 00019830¥N2¥J 00019840¥Xぎんどめの/御輿太鼓(ミこしだいこ) 00019850L20此たび/銀(ぎん)どめニつき、丁内中のきせるかんざしを、のこら 00019860M1ず/会所(くわいしよ)へ/取(とり)あつめし所、(二オ)大町にて、/殊(こと)の外/沢山(たくさん)にあ 00019870M2りけれバ、丁の/若(わか)いしゆハおしがり、どふぞこれでみこし 00019880M3だいこ/拵(こしら)へ、もちあるき、其上にて/御番所(ごばんしよ)へ/持(もつ)て上り/度(たし) 00019890M4ト、/年(とし)よりへ/頼(たの)ミけれバ、いろ+/評定(へうでう)のうへ、わかいも 00019900M5のゝ申にまかせ、早&みこし/太鼓(たいこ)をこしらへさせてかきあ 00019910M6るき、御/番(ばん)しよのまへにて、どでそん++(二ウ)ゑさ 00019920M7+、ゑらいそんじや+。どでそんどでそん+、どゑ 00019930M8らいそんじや+。/年(とし)より五人ぐミが、ぬからぬかほで、 00019940M9さしあげい++トいふた 00019950¥N3¥J 00019960¥X百人一/首(しゆ) 00019970M12はるの花ざかりを見んと、さる所の/旦那(だんな)、/弁慶(べんけい)・げいこ・ 00019980M13たいこ/持(もち)大ぜいつれて、/猫(ねこ)(三オ)/間(ま)川/辺(へん)へ行しに、あるぜ 00019990M14ん寺の/庭(にハ)に見ごとの/桜(さくら)ありけれバ、内へは入りたく思へど、 00020000M15門前ニ、/酒肉不許入(しゆにくいることをゆるさず)と、きびしくしるしありけれバ、下 00020010M16男をたのミ、/銭(ぜに)百文/遣(つかハ)し、よう+/庭前(にハさき)へ廻り、酒もりに 00020020M17なりてより、又&男に/酒(さけ)をのまし、/壱朱(いつしゆ)一ツつかハし、げ 00020030M18いこに/三味(しやミ)せんひかし度よしいゝけれバ、(三ウ)男しゆハ 00020040M19ゑつぼニ入、けふハ/和尚(をしやう)さんがるすゆへ、私まかせ。サア 00020050M20+おはじめと、/夫(それ)より大さハぎ。折ふし/院主(いんじゆ)もどつて、 00020060¥P70 00020070L1此ていを見て大にはらをたて、きびしくとがめけれバ、ミ 00020080L2な+にげかへる。あとにて和尚、下男に向ひ、此寺ハぜ 00020090L3ん/宗(しう)ゆへ、門ぜんニ、酒肉不許入と/立石(たていし)ある。/詩人(しじん)又ハ哥 00020100L4(四オ)でもよむといふやうな/者(もの)ならバ、くるしからねど、 00020110L5あのやうな/酒狂人(しゆきやうじん)、何ゆへ門内へ入しとしかりけれバ、男 00020120L6が、あれでも/哥(うた)をよミました。そりやどふいふ哥じや。へ 00020130L7イ。はなのいろハうつりにけりないたづらニ△/我身(わがミ)よにふ 00020140L8るながめせしまにト。ヤイ+、それハ百人一/首(しゆ)の哥じや 00020150L9と、おしやう(四ウ)がいふたら、ハイ。さやうでござり升。 00020160L10門ぜんで百もんもらいまして、又壱朱もらひましたよつて、 00020170L11つがふ百ニ一/朱(しゆ)でござります 00020180¥N4¥J 00020190¥X/娘(むすめ)の/碁(ご)/将棊(しやうぎ) 00020200L14うとくにくらす/丁家(てうか)に、娘ふたりあり。てゝおやがちやう 00020210L15あいのあまり、じぶんの/の((衍))娘なれバ、/気(き)づまりにもならん 00020220L16かと、(五オ)/店(ミせ)さきにて/針(はり)しごとさせ、おやじも共ニはな 00020230L17し/合(あふ)てゐる。店さきへこじきがきて、まへをまくり、じや 00020240L18+と小べんして/行(ゆき)けれバ、おやじハはらを/立(たて)、いま+ 00020250L19しいこじきめ。ぶさほうなやつと、さん※にひかり付け 00020260L20れバ、/姉娘(あねむすめ)ハ、おとつさん。おはらおたてなされ升な。わた 00020270M1しハあれを(五ウ)/碁(ご)じやとぞんじ升。それハどふして。ハ 00020280M2テ、あちらの/石(いし)へ/仕(し)かけたり、こちらの石へ仕かけました。 00020290M3/成(なる)ほど、こりやおもしろいト、おやじのきげんが/直(なを)る。/妹(いもと) 00020300M4むすめがいふにハ、わたしハ又、あれを/将棊(しやうぎ)とおもひ升。 00020310M5/夫(それ)ハどふしたものじや。サア今見ましたら、/金(きん)の上に/桂(けい)が 00020320M6ござりました。(六オ)なるほど、是ももつともじやト、/親= 00020330M7仁(おや=じ)ハよろこんでゐる。でつちが/横(よこ)から、/旦那(だんな)さん。わたし 00020340M8ハ又すご六かとぞんじ升。それハどふして。サア今のこじ 00020350M9きがうち/明(あけ)て、/筒(つヽ)をぶら+さげてかへりました 00020360¥N5¥J 00020370¥X/天狗(てんぐ)のおじぎ 00020380M12こんど/聖護院(しやうごいん)の御宮、大ミね山上へ(六ウ)はじめての御山 00020390M13入ゆへ、吉野・/高野(かうや)・くまの/辺(へん)のてんぐども/寄集(よりあつま)り、御/通= 00020400M14行(つう=こう)の節おじぎするに、ミなはな高ゆへ、なんぎなれバ、ミ 00020410M15な+いひ合し、/地上(ちしやう)に/前以(まへもつ)て/多(おゝ)くの/穴(あな)をほりおきて相ま 00020420M16ちゐるに、ほどなく宮さまの御/通(とほ)りなれバ、/一統(いつとう)ニおじぎ 00020430M17するに、ミな+はなの/先(さき)、/土中(どちう)ニ(七オ)は入り、見へざ 00020440M18りけれバ、/宮(ミや)さま、ふしんニおもひ、てんぐども。ミなは 00020450M19なハどふしたと/仰(おほせ)られけれバ、てんぐが/其時(そのとき)、あなた、は 00020460M20なが見たけりや、よしのへござれといふた 00020470¥P71 00020480¥N6¥J 00020490¥Xでつちのこまた/取(とり) 00020500L3さる町家に、こまたとる/丁稚(でつち)ありしが、(七ウ)これ岩松。 00020510L4/今日(けふ)ハ/祝(いは)ひ日じやほどニ、/随分(ずいぶん)物ニ/念(ねん)を入、そまつになき 00020520L5やうに、/何(なん)ても御の/字(じ)つけて申せといひつけけれバ、へイ 00020530L6+、かしこまりました。さやうなら御/旦那(だんな)さま。お/家(いへ)さ 00020540L7まにわたしがお岩松と申升ふか。ヱヽ、われの/名(な)ニまで御 00020550L8の/字(じ)ハいらぬ。とかく、こまた/取(とり)やつで(八ノ九オ)こまる。 00020560L9/土蔵(どざう)へゐて、すひ物わんとつてこいと申/付(つけ)けれバ、へイと、 00020570L10くらへ/行(ゆき)しが、折ふし/庭(にハ)さきに/棒(ぼう)立てありしが、こけけれ 00020580L11バ、申+、御ぼうがこけました。ヤイ+、ぼうに御の 00020590L12字ハいらぬわいト、/店(ミせ)へつれ行、さて+、/我(われ)ハいま+ 00020600L13しいやつじや。今おれがへをこくほどに、とりにがさぬ 00020610L14(八ノ九ウ)やうにつかまへい。/畏(かしこま)りましたと、うしろへまハ 00020620L15る。/旦那(たんな)、ぶんとへをこくと、岩まつ、だんなの金玉とへ 00020630L16のこをにぎり/〆(しめ)る。旦那、大にはらをたて、おのれ、へを 00020640L17つかまへずに、なんでいたいめに合しおるといへバ、岩松、 00020650L18ぬからぬかほで、/親(おや)べをとりにがしましたゆへ、への子を 00020660L19つかまへ(十オ)ました 00020670¥N7¥J 00020680¥Xぶしやうもの 00020690M3ぶしやう/者(もの)の/職人(しよくにん)ありしが、/内義(ないぎ)が、これ、こちの人。お 00020700M4まへハ/気(き)のおもい人じや。けふハ/日和(ひより)ハよし。/弁当(べんとう)でもし 00020710M5てあげるよつて、住よしへなと参つてお/出(いで)とすゝめ、てい 00020720M6しゆのかたへ/背(せ)おハせ、サヽ、(十ウ)/行(い)ておいでとすゝめ 00020730M7られ、よう+内をいで南へむけて/行(ゆき)、天下茶やも打すぎ、 00020740M8住よし/四社(ししや)の/明神(めうじん)へもそこ+ニ参り、/浜(はま)へ/出(いで)、高どうろ 00020750M9うの/辺(へん)もうろ+いたしけるが、/弁当(べんとう)くうも、/背(せ)おふて/居(ゐる) 00020760M10/風呂敷(ふろしき)ほどくがめんどうト、ぶしやう心に/通(とほ)りすじへ出、 00020770M11北へ向て、だん+ト(十一オ)なんば御/蔵(くら)まへまでもどつ 00020780M12て思ふニハ、せつかく/女(によ)ぼうがこしらへてくれた此/弁当(べんとう)。 00020790M13此まゝにもつていんだら、定めてやかましういはん。これ 00020800M14ハどふしたものと、しあんの所へ、北£/紀州(きしう)/商人(あきんど)、引まハ 00020810M15しニ三/度(ど)がさにて此所を/通(とほ)りかゝる。是もいたつてぶしや 00020820M16うものにて、/笠(かさ)のひもの(十一ウ)ゆるミしを/結(むす)ぶのも手を 00020830M17だすがじやまと、おとがいのばし、/口明(くちあい)て来る。しよく人 00020840M18ハこれを見て、口明てくるハ/定(さだ)めて飯でもくひた/((い脱カ))のであろ 00020850M19う。この/弁当(べんとう)をあの人ニやろと、/是&(これ+)、口あいてゐる人。 00020860M20此べんとうをくうてくれぬかといふたれバ、たび人が、あ 00020870¥P72 00020880L1ほういふな。/飯(めし)くうひまがあれバ、手(十二オ)を出して、 00020890L2笠の/紐(ひも)をむすぶわい 00020900¥N8¥J 00020910¥X/盗人(ぬすびと)の/高塀(たかへい) 00020920L5さる所の/儒者(じゆしや)、夜/更(ふけ)て本よみ居候所へ、うらの高へいをこ 00020930L6して、ぬすびと、/抜身(ぬきミ)にてづか+そばへ行キ、おりや、 00020940L7ぬす人じや。金を/出(だ)せ。ださな、ぶちころすトおどしけれ 00020950L8バ、儒者が、ずいぶん金やろふ(十二ウ)。しかし其方の/名(な) 00020960L9ハ何といふぞ。盗人が、権べいと/言(いゝ)やんす。儒者がいふに 00020970L10ハ、/卒土浜(そつとのひん)/王土(わうど)に/非(あらず)といふことなし。権べいでハあるまい。 00020980L11/権兵衛(ごんびやうへ)であろふ。/殊(こと)ニ又ぬすとゝ申事ハない。ぬす/人(びと)であ 00020990L12ろふ。ヱヽモ、めんどうな。/金(かね)を早ふといらちけれバ、今 00021000L13金/遣(やら)ふ。しかし/夜(よ)ぶかに、どこから(十三オ)しのび入しぞ 00021010L14とたづねけれバ、ぬす人ハうろたへて、うらの/高(たか)ひやうゑ 00021020L15をこへて来ました 00021030¥N9¥J 00021040¥Xとんびの/通(かよひ)とり 00021050L18これ、よし松どん。/横町(よこまち)のとうふやへいて、/油(あぶら)あげ五ツと 00021060L19つてきておくれ。ヘイ、かしこまりましたト、/通持(かよひもつ)てとう 00021070L20ふやへ(十三ウ)いて、かへり道、とんび、中ぞら£/飛(とび)下り、、 00021080M1あぶら上ゲ、通ひとも引さらへ、とび上りけれバ、由松、 00021090M2なく+内へもどりけれバ、/下女(げじよ)が、よし松どん。今まで 00021100M3どこでひまを入て/いゝた((ママ))といへバ、へイ。道でとんびに/油(あぶら) 00021110M4あげをとられた。下女が、そふいふことなら、なんでぜう 00021120M5だんせずと、早ふもど(十四オ)らんのじやいなアいふたら、 00021130M6よし松ハぬからぬかほで、/通(かよ)ひも一しよにとられたゆへ、 00021140M7すぐにとうふやへいて、とんびが/通(かよ)ひでとりにきても、か 00021150M8ならずわたしてくれなと、こたへておきました 00021160¥N10¥J 00021170¥X/日蓮宗(にちれんしう)二人娘 00021180M11さる所に、日蓮宗/信(しん)こうの人、娘弐人(十四ウ)ありしが、 00021190M12あるときたのミ/寺(てら)のゐんじゆへいふにハ、/私娘(わたくしむすめ)、せめて 00021200M13ひとりハ/男(おとこ)なれバと申けれバ、/院主(いんじゆ)も/気(き)のどくにおもハれ、 00021210M14其やうにおもふことならバ、わが/法力(ほうりき)にて男にいたし/遣(つかハ)す 00021220M15べしといわれけれバ、おやじよろこび、夫より/姉(あね)娘を/毎日(まいにち) 00021230M16+寺へゆけど、男にならねバ、是ハ/仏縁(ぶつゑん)なし。(十五オ) 00021240M17妹を/遣(つかハ)すべしと、夫より妹を又まい日/寺(てら)へゆけど、/一向(いつかう)男 00021250M18にならず。/両親(りやうしん)も力おとしけれバ、ふたりの娘がいふにハ、 00021260M19あれハならぬはづでござり升。両親、夫ハ/何(なに)ゆへ。サイナ。 00021270M20おしやうさんが毎日+、竹の子をさかさまに/植(うへ)てゞござ 00021280¥P73 00021290L1りました 00021300¥N11¥J 00021310¥X玉助めいどの/抜道(ぬけミち)(十五ウ) 00021320L4浪花やくしや親玉といはれし中村玉介/往生(わうじやう)せしよし、/聞(きこ)へ 00021330L5けれバ、何ぶん立やくしやの事なれバ、ちとゆすつて金に 00021340L6せんと、/青鬼(あをおに)/赤鬼(あかおに)/雲鬼(くもおに)ども、道中すじに/網(あミ)をはつて/待(まつ)てゐ 00021350L7る。玉介、ゆだんなくずつとぬけ道をかけぬけて、さんづ 00021360L8川へいでゝ/乗合(のりあひ)をまち(十六オ)合せゐたりしに、此川のわ 00021370L9たしハ、めん+/死(しに)ようにてわたし/銭(ぜに)に高下あるよしいへ 00021380L10バ、玉介もおもしろきことにおもひきゝゐるに、第一ばん 00021390L11にわたる人が、とんし百文。それハどふしたもの。ハテ、 00021400L12ころりハ百もん。つぎハ/若(わか)き/男(をとこ)、娘をつれて/心中(しんぢう)、わたし 00021410L13ちん八文。是ハ/安(やす)い。どふ(十六ウ)したものじや。ハテ、 00021420L14二四が八文。三ばん目ハ/天満(てんま)の大やけのとき、四九八九と 00021430L15くるしミしんだれバ百拾二文。これハどふして。ハテ、四 00021440L16九が三十六文、八九が七十弐文、合して百十弐文と、それ 00021450L17よりいろ+ありて、/皆&(ミな+)わたりけれバ、玉介も/素人(しろふと)ニ/交(まじ) 00021460L18り、御/関所(せきしよ)をいつわり、通りぬけんとする(十七オ)を、ゑ 00021470L19んま大王/目(め)ばやく見つけて、ヤイ+、なにハの/立役者(たてやくしや)中 00021480L20村玉介。なんじ、/多(おほ)くの女をまよハせしふかきつミのあり 00021490M1ながら、此所を/通(とほ)りぬけんとするハにつくいやつ。それ、 00021500M2/人呑鬼(にんどんき)。玉介をのんで仕まへ。畏りましたといふより早く、 00021510M3人どんきハ玉介を/引(ひつ)とらへ、/何(なん)のくもなく(十七ウ)一ト/息(いき) 00021520M4にぐつと/呑(のミ)こミけり。さて、しバらくあつて、/人呑鬼(にんどんき)、大 00021530M5にはらいたミけれバ、/医者(いしや)をまねき見せしに、ゐしやが/云(いふ) 00021540M6にハ、これハ日本にひゞきわたりし名人、/当(あて)どふしの/役者(やくしや) 00021550M7玉介をのミしゆへ、とても薬ハきかぬと、ことわりいふて 00021560M8かへりけれバ、人どんきハ大きにこまり、ゑんまさんに 00021570M9(十八オ)ねがふて、よい/薬(くすり)でももらハんと、おく/殿(でん)へいて 00021580M10見れバ、大王ハ/酒(さけ)にゑふて、たわいもなくねてゐられけれ 00021590M11バ、人どんきハ大王のそばへより、ゆすりおこせど、一向 00021600M12せうたいなけれバ、人とん/鬼(き)ハ/腹(はら)を立、いつそ/毒(どく)くハヾさ 00021610M13らとやら。ゑんまものまんと、大/口(くち)あいてのまんとする。 00021620M14大王ハ此とき目(十八ウ)をさまし、びつくりし、おのれ、 00021630M15/主(しゆ)に向ふてのまんとする、につくいやつととがめられ、人 00021640M16どんきがいふにハ、さつきに/御(ご)ぜんのいひ付にて、玉介を 00021650M17のミしが、あとにてはらいたミてたへがたけれバ、今の/仕= 00021660M18合(し=あハ)せでござり升といふたら、ゑんまが、それでおれをのん 00021670M19で、ひかつてもらふと(十九オ)おもふてか。いゝへ、大王 00021680M20のんで、くだしてしまふとおもふて 00021690¥P74 00021700¥N12¥J 00021710¥X/尉(じやう)と/姥(うば)のこん礼 00021720L3さる大/家(か)にこんれいありて、/色(いろ)直し、ねまの/盃(さかづき)もすんで、 00021730L4/聟(むこ)さんがよめをとらへ、ゑらいちやつきにて、のちにハ/屏= 00021740L5風(べう=ぶ)を引廻して仕まへバ、とこの/間(ま)ニ(十九ウ)かざつてあり 00021750L6しぜうとうバが、けなりがり、おばゝ。なんと/若(わか)いあいだ 00021760L7はよいものじやのウ。そなたもちとこちらへおじや。ヱヽ 00021770L8おやじどの。じやら+と/何(なに)いわんすやら。人が見たらよ 00021780L9いとしをしてとわらハるゝわいのうと、これもいちや+ 00021790L10+いふてゐると、亀が、(二十オ)つる+とよぶゆへ、 00021800L11/鶴(つる)が、なんじやといへバ、亀が、今のぜうとうばのいちや 00021810L12つきをぎひたか。/若(わか)いものハよいものじやなア 00021820¥Yはなしの種(二十ウ) 00021830¥P75 00021840¥U噺本大系△第十六巻 00021850¥T/新作可楽即考(しんさくからくそつこう)△〔表紙〕 00021860¥G 00021870¥Y 00021880L18天保十三年刊 00021890L19三笑亭可楽作 00021900L20中本一冊 00021910¥G 00021920¥Y 00021930M12おのれ/一夕(いつせき)、さる御やしきへめされ候/節(せつ)、/当時(たうじ)りうかうの 00021940M13/神(しん)。/玉(ぎよく)。/水(すゐ)といへるくすりを/出(いだ)し給ひ、此ミつの/文字(もじ)を/題(だい) 00021950M14にして、かの一分せんかうの/間(あひだ)に/即考(そくかう)せよとありけれバ、 00021960M15◇可楽◇@まゆに八の字のしハをあらハし、/湯(ゆ)を一ト|口のんで、ヱヘントせきばらひしながら、@ 00021970M16△△△まづかミといふ/字(じ)のはなし 00021980¥N1¥J 00021990¥X○神 00022000M19/神主(かんぬし)の/家(いへ)にめしつかハるゝしもべ◇五へい◇おらが/内(うち)(一オ)じ 00022010M20やア、見さつせへ。十月の/中(なか)の十日に心なしをつかふな、 00022020¥P76 00022030L1といふたとへせへあるに、/朝(あさ)から大ぜいあつまつて、/加茂(かも) 00022040L2だの/祢宜(ねぎ)だのと、口にもろ+のふじやうを/喰(くら)つて、げい 00022050L3しやなんどをよんでハ、ヤレ、/顔(かほ)ハきよくきよらかなれど 00022060L4も、百疋でハ、チト/高間(たかま)が/原(はら)で、おそれミ+を申スなど 00022070L5ゝ、/毎日(めへにち)+ひうとろんこのなまゑひへヱできますが、し 00022080L6めへにやアハア、つるぎのめへでも、はじめるだんべい 00022090L7◇きく人◇そのやうにしやれちらかして、よく(一ウ)やかま 00022100L8しく、たれもいハねへの◇五へい◇そのはづさ。十月いつペ 00022110L9い、/かミ(神)さまア、るすでござりやす 00022120¥N2¥J 00022130¥X○玉 00022140L12みがいたらミがいたたけハ/光(ひか)るべし△しやうね玉でも何の 00022150L13玉でも。玉と/名(な)のつくれん中ハ、のこらず玉庄の/亭(てい)にあつ 00022160L14まり、酒ハ玉川の/調布(てうふ)をとりよせ、玉子のあつやきをさか 00022170L15なにして、たまものまへのをどりを見ながら、玉とりひめ 00022180L16に(二オ)しやくをとらせ、玉のさかづき、さへつおさへつ 00022190L17するうちに、人だまのあとひき上戸ハ、まつさをになつて、 00022200L18玉子のやうにふハ+しながら、コレ+、そこにゐるの 00022210L19ハ/屁(へ)のたまじやアねへか。こつちへはいらつせへなトいへ 00022220L20バ、◇屁◇アイ。わたしやア、こゝにすかして見てゐやす 00022230¥N3¥J 00022240¥X○水 00022250M3近年、あつたかい大ふくもちハ、八里半におされ、ひやつ 00022260M4こいこほり水ハ、一ぱい四文のむきゆにおさ(二ウ)るゝゆ 00022270M5ゑ、江戸中のほりぬき井戸があつまつて、/水神(すゐじん)さまへうつ 00022280M6たへ、むぎゆどもをたゝきつぶさんといへバ、むぎゆども 00022290M7ハ又、/湯殿山(ゆどのさん)へ此よしをねがひて、さて+、ひや水ども 00022300M8が、わたくしどもをあまく見まして、まつくろになつてさ 00022310M9わぎたち、いろ+/胡椒(こしやう)を申ますといへバ、◇ゆどのさん◇よい 00022320M10+。ひや水どもがまつくろになつてさわぎたつなら、手 00022330M11出しをせずと、じつとしておけ。Sひとりでに、すむであ 00022340M12らう(三オ) 00022350¥N4¥J 00022360¥X○おしやべり上戸 00022370M15/此神玉水(このしんぎよくすゐ)を用ひて、口中の/爽(さハやか)になつた男、/声色(こハいろ)つかひの 00022380M16◇万公◇@左りの手にかのはこ入の水ぐすりをさげて、いちり|んさくらに、富本とかいたしやうじをあけながら、@Sアヽよつた 00022390M17+。今まで大坂町の/佐野万(さのまん)で/呑(のん)でゐやした。いゝ/顔触(かほぶれ)じ 00022400M18やアねへか。まづ/大(たい)しやうが/東金(あづきん)さんで、江戸/芸(げい)がよし町 00022410M19のお万に、かやば町のお直、/堀江(ほりえ)町のお/哥(うた)に、/長谷川(はせがハ)町の 00022420M20/亀文字(かめもじ)なぞといふ/美(うつく)し/揃(ぞろ)ひで/大飲(おほのミ)サ。コウ、おはりさん。 00022430¥P77 00022440L1/茶(ちや)わんへあつウい/湯(ゆ)を(三ウ)一ツぱいくんねへ。りうかう 00022450L2の神玉水をもちひて、チト酒をげすといふ/法(ほう)にしねへけり 00022460L3やアならねへ。ナニ、このくすりか。こりやアそれ、此間 00022470L4となり/町(ちやう)の/芝居(しばゐ)で、成田屋の/親方(おやかた)が/伴左衛門(ばんぜへむ)で/弘(ひろ)めた田所 00022480L5町の神玉水ヨ。/当時(とうじ)マア、くさやのひものに千六本のおつ 00022490L6けで、内田の/宮戸川(ミやとがハ)を/呑(のま)うといふ/通(とほ)り/者(もの)ハ、此神玉水を用 00022500L7ひねへじやア、/折紙付(をりかミつき)の/大通(だいつう)とハいハれねへ。お菊ぼうや 00022510L8お山ぼうが/湯(ゆ)から/帰(けへ)つたなら、おしろいをつけたあとで、 00022520L9(四オ)此水ぐすりを/手(て)のひらへあけて、むらなく/顔中(かほぢう)へ付 00022530L10させてみな。きめをこまかにして、顔のつやががうぎによ 00022540L11くなつて、/水晶(すゐしやう)の玉をあざむく、そのかうのう、/神(しん)のごと 00022550L12しサ。そこで神玉水といふのヨ。すこしひりつくのハ、お 00022560L13どろくべからずサ。そのうへにまだきめうなことにハ、此 00022570L14くすりををり+もちいると、口中のかをりがよくなる事 00022580L15がきめうだ。そしてあの子たちハざしきへでれバ、ツイむ 00022590L16りな酒ものむものだから、そんな時にハ(四ウ)内へ/帰(けへ)つた 00022600L17ら、此くすりを水の中へ半ぶんほどいれてのミなといひね 00022610L18へ。第一、酒にあてられねへで、いつ/生(しやう)りういんになる/気(き) 00022620L19づかひがねへ。そら+、うハさをいへバかげがさすとや 00022630L20らだ。二人リながらおかへりだ。イヨ、はま+、やま 00022640M1++ツ。なぜナ。かういつてほめてもいゝじやアねへ 00022650M2か。おめへハ/菊(きく)といふから、はま+ヨ。こちらハお山と 00022660M3いふから、やま+ツサ。なにもおめへたちが、/路考(ろかう)に/粂= 00022670M4三(くめ=さ)郎といふ気でほめたのじやアねへ。きついせと物いきす 00022680M5ぎだ。(五オ)さりながら、此ゆあがりゆかたハ、とんだい 00022690M6ゝ。おれが二上りいたこと/取(とり)かへねへか。またおきくさん 00022700M7が、何をかおもひ出したぜヱ。フウ、松のすしと/船(ふな)ばし 00022710M8やのうば玉をもつてこよふといつたのか。アリヤアうそ 00022720M9よ。おすぎとお玉ハ山下、お菊とお山ハだましたト申す 00022730M10が、わたくしのお/茶番(ちやばん)さ。コウあねご。なぜおめへ、だま 00022740M11つてゐる。なんだ、/気(き)がふさぐ。コウ+、その気のふさ 00022750M12ぐ時、此くすりをすこウし、あつがんの酒の中へいれての 00022760M13んでみな。たち/所(どころ)にげん気を(五ウ)いだすこと、とこやミ 00022770M14に/天(あま)の/岩戸(いハと)をひらけるがごとし。はじめてのおかたハ、一 00022780M15ト口あがつておためしなさい。なか+/弁舌(べんぜつ)や口上をもつ 00022790M16て御ひろういたす、通り一ツへんの/売薬(ばいやく)とハちがふ。もし 00022800M17もおためしのうへ、なるほどこれハきたいのめうやくじや 00022810M18とあつて、御用とござらバ、大門通り田所町/紫屋(むらさきや)のとな 00022820M19り、/高原(たかハら)/尚賢(しやうけん)様と申すが/本元(ほんもと)。その外諸方に取次もござ 00022830M20る。婦人ちのミち、ひえしやうの方ハ男女にかぎらず、一 00022840¥P78 00022850L1度ヅヽハおためし(六オ)なさい。酒屋のかどに三年三月九 00022860L2十九日おたちなさいても、のまぬ酒にゑうたためしがない。 00022870L3山/寺(でら)の/鐘(かね)も千町万町万&町にひゞきわたるといへども、ど 00022880L4うじ/来(きた)つてしゆもくをあてざれバ、そのねいろがわからぬ。 00022890L5まつた、百くわんでかふたる/鷹(たか)も、こぶしをきつてはなさ 00022900L6ねバ、鶴をとるやら、こうもりをつかむやら、そのゐとく 00022910L7かわからぬのどうり。もしも御用とあつて本元をおたづね 00022920L8のせつた、かならず/黒塀(くろべい)の内の松か御めしるし。しかし 00022930L9(六ウ)ふし/穴(あな)からおのぞきなさいても、さかさまにハうつ 00022940L10らんツ。アヽのどがひつつくやうだ。おれもよつぽど、す 00022950L11いきやうものだ。何も人のくすりを、コウひたいへすぢを 00022960L12だして、いひたてをする事もねへ。/先(さき)じやア大きにおせわ 00022970L13だといふだらう。おきくさん。おちやをいつぱいのませね 00022980L14へ。なんだ、おちやをのませるから、うなぎをおごれ。へ 00022990L15ン、/高(たか)いおちや代だ。しかし、おいらア江戸まへのすぢも 00023000L16のだ。そしてねんぢう、のらくらしてゐるから、うなぎハ 00023010L17あたり(七オ)めへだ。かうせう。おきくさんにハ/菊屋(きくや)のう 00023020L18なぎ、お山さんにハ山庄のうなぎ。あねごにハやつぱりあ 00023030L19なごがよからう。/一寸(ちよつと)徳兵衛をばくろ町のちとせまでたの 00023040L20まう。ついでに、よこ山町のきくやへ、すぢを一分が。イ 00023050M1ヤ+、けふハうなぎハよそうよ。ひよつとしよくしやう 00023060M2でもして、しのうものなら、百疋づゝで、かい/名(ミやう)をいたゞ 00023070M3かせて、おしやうがてらをひらいて、花やが/地(ぢ)めんをかつ 00023080M4て、よし原と二丁町ハげい(七ウ)しやのなミだで、つなミ 00023090M5がいるハな。いんにやヨ。うなぎのくへねへといふわけハ、 00023100M6あんまりしやべつたから、口がすつぱくなつたからヨ 00023110¥Q坂本氏の御ひろう 00023120M9△△△御顔にもちひて美艶仙女かう 00023130M10△△△お江戸京はしいなりしんミち(八オ) 00023140¥Q 00023150M11△△△△△△△△△△△毎日出席連中 00023160M12東両ごく定席において△△△△△里楽 00023170M13△△△△△△△△△△△△△△△亀楽 00023180M14△毎月一六ノ日△△△△△△△△左楽 00023190M15新作はなし集会△△△△△△△△古楽 00023200M16△△作者△三笑亭可楽△△△△△東里 00023210M17△△△△△△△△△△△△△△△○ 00023220M18△△△△△△△△△△△催主△可楽 00023230M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(八ウ) 00023240¥P79 00023250¥U噺本大系△第十六巻 00023260¥T/面白艸紙噺図会(おもしろぞうしはなしずえ)〔表紙〕 00023270¥G 00023280¥Y 00023290L16天保十五年正月刊 00023300L17柳下亭種員作 00023310L18歌川国芳画 00023320L19錦彩堂等板 00023330L20中本一冊 00023340¥Y 00023350M1△△柳下亭種員戯作△△△△錦彩堂梓G 00023360M2△朝桜楼国芳画図 00023370M3面白 00023380M4草紙 00023390M5噺 00023400M6図△△△△△△△△△△△△△△甲辰の春 00023410M7△会△△△△△△△△△△△△△△△△新板 00023420M8△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(表紙) 00023430¥Y 00023440M12おもしろ△△△初編 00023450M13△△ざうし 00023460M18柳下亭種員作 00023470M19歌川国芳画 00023480M20△△△△△△△△錦彩堂梓(見返扉) 00023490¥P80 00023500¥G(一ウ・二オ) 00023510¥Y自序 00023520M3次第行衛さだめぬ道なれバ+、越方もいづくならまし。 00023530M4それは/鉢(はち)の/木(き)、これハ/又(また)/戯作(けさく)のミちに/初旅路(うひたびじ)。/古人(こじん)の/狂句(きやうく) 00023540M5を/道中記(ミちしるべ)、/諢話(おとしはなし)を/趣向(しゆかう)の/路用(ろよう)に、/先(まづ)/綴出(かきだ)して/三輪(ミわ)が/崎(さき)、 00023550M6/佐野(さの)の/馬(うま)より/文(ぶん)ははしらず、かすれる/禿(ちび)ふで/切草鞋(きれわらじ)、/道行(すじ) 00023560M7に/倦(うん)じた/川止(かハどめ)あれば、/仮名(かな)に/迷惑(まごつく)/山(やま)ミち/有(あつ)て、/最明寺殿(さいミやうじどの)が 00023570M8/雪(ゆき)の/日(ひ)ならねど、/後(あと)へも/前(さき)へもまいりかねたを、ナウ+ 00023580M9/御宿(おやど)まうさうと、いわぬばかりの/画工(ぐわかう)が(一オ)/助(たすけ)で、やう 00023590M10+/歩行(あるき)つくゑのうへ、/則(すなハち)/出来(でき)た/稿本(かうほん)ハ、/本領(ほんりやう)/安堵(あんど)のお 00023600M11もひにひとしく、/彼女房(かのにようばう)がおしへたる、/山(やま)もとゝかいふ/里(さと) 00023610M12にハ/替(かわ)りて、/十八町(じうはつてう)より/聊(いさゝか)おほき、/廿丁(にじつてう)を/一編(いつぺん)とハなしぬ 00023620L14△△△天保十五甲辰孟陬△△△△△柳下亭種員識 00023630G1△△△ゆきの夜の折焚柴の(一ウ)はひにまた 00023640G2△△△△袖うちはらふ佐野の宿かな△△たねかづ 00023650G3△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二オ) 00023660¥P81 00023670¥G 00023680G1△△△/鉢(はち)の木がないと戸/棚(だな)を/焚(たく)ところ 00023690G2△△〔絵詞〕△Sおれがかう/鉢(はち)うへをならべてすハつたところハ、丸で口上 00023700G3△△ちやばんのけいぶつをだすといふ/身(ミ)だ;Sうちの人も、こんやのたき 00023710G4△△ものハはちの木でまにあつたが、あしたハなにをたかつしやるか、か 00023720G5△△んかへると、木のへるりくつだ;Sイヨ、ごしゆかうでござりますな 00023730G6△△ぞとほめてゐるさいめうじどのも、なか+しやれたぼうさまなり 00023740G7△△(二ウ) 00023750¥N1¥J 00023760¥X/鉢(はち)の/木(き) 00023770L20◇或人◇/兎角(とかく)、/人(ひと)ハつねの/心(こゝろ)がけがかんじんでこざる。/佐野(さの)/源= 00023780M1左衛門(げん=ざゑもん)ハ/雪(ゆき)の/夜(よ)のつもるはなしに、/西明寺(さいめうじ)どのをもてなさ 00023790M2うと、/粟(あハ)の/飯(いひ)をふるまひ、/焚火(たきび)にあたらせんと、ひさうの 00023800M3/鉢(はち)うへを/三本(ミもと)まで/焚(たい)た。その/心(こゝろ)ざしの/節(せつ)なると、/忠孝(ちうかう)の/厚(あつ) 00023810M4きを/感(かん)じて、/梅松(うめまつ)さくらをたひたゆへ、/加賀(かが)に/梅田(うめだ)、/越中(ゑつちう) 00023820M5に/桜井(さくらゐ)、/上野(かうつけ)に/松枝(まつゑた)、/此三ケ(このさんが)の/荘(しやう)をたまハるハ、/常世(つねよ)/夫婦(ふうふ) 00023830M6か/心(こゝろ)がけがよいゆへでこさる△◇聞人◇/成程(なるほど)、/善人(ぜんにん)ハ/自然(しぜん)と/天(てん) 00023840M7の/恵(めぐミ)がござります。/併(しかし)まだ/一(ひと)ツ/貰(もら)ひのこした/物(もの)が/有(あり)ます△ 00023850M8Sハア、/何(なん)でござるナ△S/粟(あハ)の/飯(いひ)を/振廻(ふるまひ)ましたが、/安房(あハ)ハ 00023860M9もらひましナンダ(三オ) 00023870¥G 00023880¥P82 00023890G1△△△/鵠(こう)の/巣(す)で/藜(あかざ)の/家根(やね)をおもひ出し 00023900G2△△〔絵詞〕△らい公、そつちのつらがまんなかにあつて、まハりにたいこ 00023910G3△△のならんだところハ、やねがハらがひやくまんべんをはじめるやうダ 00023920G4△△ゼ;さういふきさまハ、なんの事ハない、せつぶんのおにが、やくは 00023930G5△△らひと二タやくつとめるやうダ。ときにだいぶたいくつした。ちとせ 00023940G6△△おつてゐる物をおろして、おく山でもごろつかうか。/連皷(れんこ)おろさバ、 00023950G7△△てがるくおろせといふぢぐちハ、あんまりわるいかの(三ウ) 00023960¥N2¥J 00023970¥X/雷神門(らいじんもん) 00023980L10/爰(こゝ)のくわんおんさまハ、むかし/宮戸川(ミやとがハ)からりやうしか/網(あミ)で 00023990L11ひきあげたを、/草苅(くさかり)に出た/子供(こども)が、/竹(たけ)の/柱(はしら)に/藜(あかざ)で/家根(やね)を/葺(ふひ) 00024000L12て/入(いれ)ておいたのが、今でハ/筥棟(はこむね)へ/鵠(こう)が/巣(す)をつくる。又川か 00024010L13らあがらしつた/因(ゑん)か、/人(ひと)の/波(なミ)をうつほどの/参詣(さんけい)が年中たへ 00024020L14ぬ。/私(わし)も/夫(それ)について/妙(めう)ナ/思(おもひ)つきがある。/表(おもて)門に/雷神(らいじん)があ 00024030L15るので、かミなりおこしといふが有から、/今度(こんど)/風(かぜ)の神おこ 00024040L16しといふのを/売(うる)つもりダ。Sそれハ/能(いゝ)おもひつきだが、ど 00024050L17んな/菓子(くわし)ダネ△Sマア、ふきよせ松風の/類(るい)サネ△Sそして 00024060L18入物ハヱ△S/白(しろ)い/袋(ふくろ)へ入るつもりだ△S白い袋でハ、/気(き)に 00024070L19かけて/買(かい)てが有まひ△Sかひてがなけれハ、/帋(ふくろ)を/背負(しよつ)て/居(い) 00024080L20る(四オ) 00024090¥G 00024100G1△△△さうしハ/白(しろ)く/黒主(くろぬし)は/赤(あか)くなり 00024110G2△△〔絵詞〕△Sさうしをあらふなら、/天機(てんき)をよくうかゞつて、/勅(ミことのり)といふ 00024120G3△△のりをつけるがいゝゼ;Sこのせんたくも、ろんがひないから、おこ 00024130G4△△つた事サ(四ウ) 00024140¥N3¥J 00024150¥X/小野(おのゝ)/小町(こまち) 00024160M18さうし/洗(あら)ひに/黒主(くろぬし)に/勝(かち)、/神泉苑(しんせんゑん)の/雨乞(あまごひ)といゝ、こと/更(さら)すぐ 00024170M19れし/美人(びしん)ゆへ、小町を/恋慕者(こひしたふもの)おびたゞしくあつて、その 00024180M20/艶書(つけぶミ)ハ山のごとく/溜(たま)り、/仕様(しやう)がないから/払物(はらひもの)にすると、/紙(かミ) 00024190¥P83 00024200L1くず/屋(や)/大勢(おほぜひ)/立会(たちあひ)、/入札(いれふだ)をして、/落札(おちふだ)の/人(ひと)、/車力(しやりき)をやとひく 00024210L2るまに/積(つミ)、/引出(ひきいだ)さんとするに、いつかなうごかず。/人(ひと)を/増(まし) 00024220L3て/押(おし)て見れ/共(ども)、なか+/行(ゆか)ず。/是(これ)ハ/不思儀(ふしぎ)と、ミな+あ 00024230L4きれて/居(い)る/所(ところ)を、/老人(ろうじん)/通(とほ)りかゝり、/此様子(このやうす)を見て、◇老人◇コ 00024240L5レハうごかぬはづヂヤ△◇車力◇なぜでこざります△◇老人◇ハテ、 00024250L6/恋(こひ)の/重荷(おもに)でござる(五オ) 00024260G1△△△/湖(ミづうミ)になると一チ/夜(や)に/山(やま)をあげ 00024270G2△△〔絵詞〕△Sだるまさん。けしてぐちをいゝなさんな。だるま・ミヽづ 00024280¥G 00024290G3△△くと、ついにされるのハ、やつはりどぜう・くじらと、ひとつかんば 00024300G4△△んにかゝれるやうなものダ;Sなんと、ミヽづく。おれも/禅家(ぜんけ)でハす 00024310G5△△こぶるものだが、なぜにうんがわるくて、きさまとついにされたり、 00024320G6△△にまめやのかんはんにばつかり出てゐる。それもしかたがないが、そ 00024330G7△△ばやでくひにげをしたといふうハさをするさうだが、これにハさすが 00024340G8△△のおれも、ほつすをなげタ(五ウ) 00024350¥N4¥J 00024360¥X/痘瘡(ほうそう) 00024370M8Sけふ、わしハめづらしい/物(もの)を見て/来(き)た△S/何(なに)を見なすつ 00024380M9た△S/木兎(ミヽづく)の/生(いき)てゐるをミやしタ△S/何(なに)、それがめづらし 00024390M10いことが/有(ある)ものか。/木兎(づく)まハしといつて、ミヽづくを/媒鳥(おとり) 00024400M11につかつて、/小鳥(こ)をとる/事(こと)さへある△Sハア、さう/沢山(たくさん)に 00024410M12あるものかね△S/有(ある)ぐらゐか。わたしなぞハいつでも見や 00024420M13す。/木兎(ミヽづく)の/生(いき)たのが、たんとある、わりをすると、/達摩(だるま)の 00024430M14/生(いき)たのハ、/思(おも)ひの/外(ほか)/少(すくな)ひものだ(六オ) 00024440G1△△△/篝(かゞり)の/火焔(くハゑん)/鵜(う)につけた/縛(ばく)のなハ 00024450G2△△〔絵詞〕△Sかうさかなかとれなくつちやア、うづかひより、こづかひ 00024460G3△△にこまる;/鵜(う)が/曰(いう)。Sせつかく/鮎(あゆ)をとつても、のどにわがはめてある 00024470G4△△から、のむことがならぬ。ひどいめにあふものダ。あいのくわれぬひ 00024480G5△△どうぼさつといふしやれハ、あまりくるしがりかしらん(六ウ) 00024490¥P84 00024500¥G 00024510¥N5¥J 00024520¥X/鵜飼(うかひ) 00024530L12Sなるほと、/此作者(このさくしや)もよつぽとこじつけがすきだ。/鵜飼(うかひ)の 00024540L13/道具(だうぐ)を/明王(ミやうわう)の/持物(もちもの)に/見立(ミたて)るもいゝが、かんじんの/劔(けん)ハどこ 00024550L14にあるネ△◇作者◇/鮎(あゆ)にさびると/申(もうす)ことがござりますから、け 00024560L15んにすこしハ/縁語(ゑんご)も/有(あり)ませう。まだ其うへにとれます魚に 00024570L16ハ△Sどうしたネ△S/大小(だいせう)不/同(どう)でござります(七オ) 00024580G1△△△/竹(たけ)の/朝皃(あさがほ)/倶利伽羅(くりから)のやさすがた 00024590G2△△〔絵詞〕△あさかほ/云(いふ)。Sおれも、つるへとられてもらひミつ、といハ 00024600G3△△れたときハよかつたか、井戸がへにハむごくふミちらされタ(七ウ) 00024610¥G 00024620¥N6¥J 00024630¥X/朝(あさ)がほ 00024640M14S/見(ミ)なせへ。/妙(めう)な/看板(かんはん)があるぜ。/御好次第(おんこのミしだい)あさがほ/咲(さか)せ/所(どころ)。 00024650M15コイツハ/希代(きたい)なかんばんだぜ。は入て見やうと/ト((ママ))、@二人りつ|れにて内@ 00024660M16@へは入|ルト、@◇亭主◇S/御好(おこのミ)の/形(かたち)と/色(いろ)ハ、/何(なに)がよろしうござります△ 00024670M17◇客人◇S/先(まづ)/瑠璃(るり)の/茶台(ちやだい)を/御見(おミ)せなサイ△◇亭主◇Sハイ。かしこ 00024680M18まりましたト、@おくよりはちうへの|つぼミをもち来り、@/御代(おだい)ハ/前銭(まへせん)で/願(ねが)ひます。 00024690M19@/見物(けんぶつ)いふとほり/料(れう)をはらふと、た|ちまちこのミのはなをひらかせる。@◇客人◇S/是(これ)ハ/奇妙(きめう)だ。/今度(こんど)ハ/浅= 00024700M20黄(あさ=き)と/紫(むらさき)の/孔雀(くじやく)が見たいト@いへば、すぐにその|はなをひらかせる。@◇客人◇Sまことに 00024710¥P85 00024720L1/不思儀(ふしぎ)ダ。そんなら/極(ごく)めづらしく、/兼房小紋(けんぼうこもん)と/幽禅染(ゆうぜんそめ)の/花(はな) 00024730L2が/見(ミ)たい△◇亭主◇Sそれハ、あさつて/入(い)らつしやイ(八オ) 00024740G1△△△/七人連(しちにんづれ)で/杉山(すぎやま)を/洞(うろ)うろし 00024750G2△△〔絵詞〕△かぢはらSコノうろから鳩がとびだしたのハ、はとにハたれ 00024760G3△△もいぬといふのか。なにゝもせよ、鳩こゝろへぬ/洞(うろ)んなことじやナア 00024770G4△△;よりとも公Sおれのかぶとハ、べつにおほきいから、うろのなかで 00024780G5△△ハはなはだ、とりまハしがわるい(八ウ) 00024790¥N7¥J 00024800¥X/石橋山(いしばしやま) 00024810¥G 00024820M1/漸(やゝ)とほざかる/鯨波(とき)のこへ、/谷(たに)の水/音(おと)/響(こたま)して、/鳥(とり)の/声(こへ)さへ/幽(かすか) 00024830M2なる、/所(ところ)ハ/何国(いづく)/伊豆(いづ)の/国(くに)、/土肥(とひ)の山/路(じ)の/奥深(おくふかく)く、/頼朝公(よりともこう)ハ 00024840M3/主従(しうじう)/七騎(しちき)、/石橋(いしばし)山の/軍(いくさ)に/打(うち)まけ、此/杉(すぎ)山の内へにげ入り、 00024850M4/隠(かくれ)どころを/見(ミ)つけて/歩行(あるく)と、/幾年(いくとせ)/経(ふり)し/杉(すき)の/樹(き)の/空(うつろ)になつて 00024860M5有を見て、天の/助(たすけ)と七人が、此うろの中へは/入(い)り/忍(しの)ぶと、 00024870M6/程(ほど)なく/平家(へいけ)の/武士(ものゝふ)、/大勢(おほぜい)にて/山中(さんちう)へ/尋来(たづねきた)り、/仲(なか)にも/梶原(かぢはら)/先(さき) 00024880M7に/進(すゝ)んで、◇かぢ原◇Sナンでもこの/杉(すぎ)の/樹(き)があやしいと、う 00024890M8ろの口へ手をかけて入らんとするト、うろの/中(なか)で、◇頼朝公◇ 00024900M9Sヱヘン(九オ) 00024910¥G 00024920¥P86 00024930G1△△△/曽我(そが)へふるほど/書出(かきだ)しと/虎(とら)がふミ 00024940G2△△〔絵詞〕△Sこのゑぐミにハ、ぜひ月小夜がゐるはづだが、なぜゐぬか 00024950G3△△しらん。ハヽアわかつた。おほかたミそかだから、それでつきさよが 00024960G4△△でぬとミへる;S弓はりてうちんで、やのさいそくをしても、こんや 00024970G5△△かけをくだされぬと、とんとまとがはづれたやうなものでござります 00024980G6△△(九ウ) 00024990¥N8¥J 00025000¥X/曽我(そが) 00025010L8◇むかでや◇Sモシ/新左衛門(しんざゑもん)さま。/来(く)る年もくるとしも、まつて 00025020L9くれにハ/恐(おそれ)ます。/工藤(くどう)/申(もうす)におよびませねど、十八年のその 00025030L10/間(あひだ)、一チ年ましに/貸(かし)がふへ、/途中(とちう)で/御目(おめ)にかゝつた時、御 00025040L11/催促(さいそく)まうしたら、/定(さだ)めしおかほが/赤沢山(あかざハやま)、/恥(はぢ)をおかゝせ申 00025050L12より、/団三(だうざ)かうざ、/体(てい)よくして/返(かへ)しておもらひ申さうと、/富= 00025060L13士(ふ=じ)のやまほどいゝぐさのあるのを、何とも申ませぬ。/外(ほか)に 00025070L14かり/場(ば)が/有(ある)ならバ、わたくし/方(かた)の/貸(かし)金ハ/御返(おかへ)しなされて/下(くだ) 00025080L15さりませト@かねかしむかでや金兵衛か、とんだしやれ|たさいそくに、おにわうものりがきて、△@◇鬼王◇S/尤(もつとも)なる 00025090L16其さいそく。こよひハかへす/筈(はづ)なれど、/手前(てまへ)方にもなん/義(ぎ) 00025100L17ハ/様&(さま+)。/十良(じうろう)さまハ/大磯(おほいそ)にて、/昼夜(ちうや)をわかたぬ/酒(さけ)びたし、 00025110L18おあるきなさるも/千鳥足(ちとりあし)。/箱王(はこわう)さまにハあら(十オ)/気(き)な/御= 00025120L19生(お=うまれ)、/園(その)の/胡蝶(こてふ)の/羽(は)づくろひ、今にも/飛出(とびだ)す/若気(わかげ)の/御短慮(ごたんりよ)。 00025130L20それゆへにこそはこねを/下山(けさん)、かてゝくハへて/鎧(よろひ)の/質(しち)うけ、 00025140M1/友切丸(ともきりまる)の/紛失(ふんじつ)まで、/曽我(そか)中村のなか+に、/打越(うちこし)かぬる年 00025150M2の/関(せき)。ながふハいハぬ/松過迄(まつすぎまで)、ぜひ/共(とも)/待(まつ)て/貰(もら)ひたい△◇百足や◇ 00025160M3S/常(つね)ハ/格別(かくべつ)/大晦日(おほミそか)、こよひハ/所詮(しよせん)/待(まて)ませぬト@いひハけきか△|ねハ新左衛門、@ 00025170M4◇鬼王◇Sしからハ/拙者(せつしや)もぜひがない。/切腹(せつふく)/致(いた)して/借(かり)のいひわ 00025180M5け。/金兵衛(きんべゑ)。/夫(それ)で/見分(けんぶん)しろト@もろはだぬけバ、かくごとミへて、は|らにすミにて十もんじ。あハやとミれ@ 00025190M6@ハきんべい|あハてゝ、@◇百足や◇Sあなたが/切腹(せつふく)なされてハ、/猶更(なをさら)/貸(かし)ハとれ 00025200M7ませぬ。其うへこれが/私(わたし)のかゝり/合(あい)に/成(なつ)てハ/大変(たいへん)。けふの 00025210M8所ハ/待(まち)ませう△◇鬼王◇Sきゝハけるなら/自害(じがい)ハせぬ。/死(しな)ぬ/印(しるし) 00025220M9ハ此とほりト@たてにひいたすミを|ふいてしまへバ、△@◇百足や◇Sモシ、まだよこの墨 00025230M10がきへませぬ△◇鬼王◇S/是(これ)ハ/米(こめ)やが/来(き)た/時(とき)けす(十ウ) 00025240¥G 00025250¥P87 00025260G1△△△/其角(きかく)の/高名(かうミやう)かめゐ/戸(ど)ハぬかぬ/太刀(たち) 00025270G2△△〔絵詞〕△Sよしのゝさくらハ、山くちから咲そめ、すミだ川のさくら 00025280G3△△もちハ、この山もとのいへでうりそめて、いまハ江戸中さかりにはや 00025290G4△△りやス(十一オ) 00025300¥N9¥J 00025310¥X/向嶋(むかふじま) 00025320L8/咲花(さくはな)も/若葉(わかば)とかハり、それさへも/早(はや)/繁枝(しげりえ)と/夏樹立(なつこたち)、/時鳥(ほとゝぎす)ハ 00025330L9/水源(ミなかミ)にとほく/啼(なき)、/都鳥(ミやことり)は/堤(つゝミ)に/近(ちか)き/波(なミ)に/漂(たゞよふ)/向(むかふ)じまの/夕(ゆふ)げし 00025340L10き。/二(ふた)人リ/連(づれ)にて、/長命寺(てうめいじ)まへの/桜餅(さくらもち)の/茶店(さてん)から/四方(よも)を/見(ミ) 00025350L11わたし、/一人(ひとり)がいふ。Sおまへハ/何(なに)を/見(ミ)せても/能(よく)けなす/人(ひと) 00025360L12だが、/此三囲(このミめぐり)で、/宝井其角(たからゐきかく)が、ゆたかといふ/三字(さんじ)の/折句(おりく)で、 00025370L13/忽(たちまち)雨をふらせたといふが、なんと、/是(これ)ハ/感心(かんしん)するだらふ△ 00025380L14S/何(なに)、それがふし/義(ぎ)なものか。/夕立(ゆふだち)の/仕(し)やうといふまへに、 00025390L15/其発句(そのほつく)を/吟(よん)だのハ、いわゞ/其角(きかく)が/間(ま)のいゝのダ△Sそんな 00025400L16ら、まへの/流(ながれ)を/見(ミ)ネヱ。/東(あづま)に/名(な)におふすミ/田川(だがハ)、/歌人(かじん)も/愛(めづ) 00025410L17る、/詩人(しじん)もたのしむ。こんな/名所(めいしよ)は/外(ほか)にハあるまひ(十一 00025420L18ウ)S/爰(こゝ)の/川(かハ)のよかつたも、はるか/昔(むかし)の/事(こと)だハナ。わたし 00025430L19/守(もり)が/奴袴(さしぬき)を/着(き)て、/日(ひ)ハ/暮(くれ)ぬ、/船(ふね)に/乗(のれ)と/催促(うながし)た/時分(じぶん)の/事(こと)サ。 00025440L20/今(いま)でハ/人家(じんか)も/建(たて)こんで、/一向(いつかう)はなせぬ/俗地(ぞくち)になつタ△Sそ 00025450M1んなら/北(きた)の/山(やま)を/見(ミ)ねヱ。S/雪(ゆき)は/申(もう)さず、/先(まづ)/紫(むらさき)の/筑波山(つくばやま)、 00025460M2/男躰(なんたい)・/女躰(によたい)二ツの/峯(ミね)の/聳(そひへ)た/所(ところ)は、わるくハ/有(ある)まひ△Sつく 00025470M3ばの/遠見(とをミ)もわるくハないが、おしい事に/此土手(このどて)の/通(とほ)りて、 00025480M4ミへる/所(ところ)と見へぬところがあるからいかねヱ△S/偖(さて)/其次(そのつぎ)ハ、 00025490M5/西(にし)の/方(かた)/琵琶湖(びハこ)を/出(いで)し/山(やま)なれバ、/則(すなハち)/四筋(よすじ)の/登(のぼ)り/口(ぐち)、/東海(とうかい)の 00025500M6/天(てん)/芙蓉峯(ふようほう)、/亦(また)ハ/名(な)づけて/二十(はたち)やま。/是(これ)ぞ/世(よ)にいふ/三国一山(さんごくいつさん)、 00025510M7/形(かたち)といひ/高(たか)さといひ、/富士(ふじ)の/山(やま)にハ/非点(ひてん)は/打(うて)まひ△S/何(なに)サ。 00025520M8あの/山(やま)も/見(ミ)かけハ/高(たか)いやうだが、/雪(ゆき)をはらふと、アノ/半分(はんぶん) 00025530M9になつて/仕(し)まふ(十二オ) 00025540¥G 00025550¥P88 00025560G1△△△/小林(こばやし)の/朝(あさ)ひなミんな/苗字(ミやうじ)なり 00025570G2△△〔絵詞〕△Sこゝをしきつてかうせめて、なぞといふと、なんの事ハな 00025580G3△△い。おしいれへおいこんだねづミをとるやうダ;S二人りで画図をミ 00025590G4△△てゐるところハ、九だんめのゆらのすけと、りき弥といふものダゼ 00025600G5△△(十二ウ) 00025610¥N10¥J 00025620¥X/鎌倉画図(かまくらゑづ) 00025630L8/雨(あめ)のつれ※、さし/向(むか)ひで/鎌(かま)くら画図を/披(ひろげ)て、Sコレごら 00025640L9うじろ。鎌倉にハ/朝(あさ)ひなの/切通(きりとほ)しといふ/所(ところ)がいく所も/有(ある)が、 00025650L10これハ/小林(こばやし)が/勇力(ゆふりき)で/拵(こしらへ)たとも、また/朝(あさ)ひなが/屋舗跡(やしきあと)だとも 00025660L11いふが、どちらがほんとうだらうね△Sされバ、それハ/私(わたし) 00025670L12も/弁(わきまへ)ぬが、/東鑑(あつまかゞミ)といふ本を見たら、/早(はや)く/知(し)れませう。/成(なる)ほ 00025680L13ど、是ハ/分(わか)りさうな物。/御隣(おとなり)の/先生(せんせい)の所で、さき/達(だつ)て見か 00025690L14けました。/一寸(ちよつと)/御借申(おかりもふし)にやりませうト@でつち△|をよび、@S/長松(てうまつ)よ。/御= 00025700L15隣(お=となり)へいつて/東鑑(あづまかゞミ)をかりてこひト@いゝつけれバ、て△|つちとなりへゆき、@◇でつち◇Sだ 00025710L16うぞ東鑑をおかしなすつて/下(くだ)さいまし△◇隣先生◇S東鑑を/何(なに) 00025720L17におつかひなさるナ△◇でつち◇Sなんにつかうか、わたくし 00025730L18ハ/知(し)りませんが、/朝比奈(あさひな)のはなしをして、/夫(それ)からあづま/鑑(かゝミ) 00025740L19をかりてこひと申ましたから、/大(おほ)かた/髭(ひげ)でも/抜(ぬく)のでござり 00025750L20ませう(十三オ) 00025760¥G 00025770G1△△△つい/伝(で)に/利(り)もとかげ/季(すへ)が/虫(むし)のよさ 00025780G2△△〔絵詞〕△Sむけんのかねをつくと、くひものが蛭になるといふが、う 00025790G3△△ちのあさめしハ、いつでも/昼(ひる)になるやうダ(十三ウ) 00025800¥N11¥J 00025810¥X/無間(むけん) 00025820M16/深切(しんせつ)なる/老人(ろうしん)、/若(わか)イ/男(おとこ)/二人(ふたり)にむかつて、◇老人◇Sおまへ/方(かた)ハ 00025830M17おとつさんの/代(だい)から/心(こゝろ)やすいから、/遠慮(ゑんりよ)なく/御異見(ごいけん)も申が、 00025840M18/千(せん)さんハわるひ/癖(くせ)で、/兎(と)かく/人(ひと)の/持物(もちもの)・/着(き)るいまで、/見(ミ)る 00025850M19と/直(ね)をふむが、あれハお/止(やめ)なさい。/先(さき)の/人(ひと)へ/至(いたつ)て/不仕附(ぶしつけ)に 00025860M20あたる。/又(また)/梅(うめ)さんハ/秀口(ぢぐち)が/好(すき)で、/大事(たいし)な/相談(そうだん)でも/重面(まじめ)な/話(はなし) 00025870¥P89 00025880¥G(十四ウ・十五オ) 00025890M1でも、/側(そハ)からすぐに/地口(ぢくち)にしなさるが、どちらもわるひ 00025900M2くせだから、/必(かならず)およしなさいト@ごくまじめにいけんをする△|と、千のすけハてをついて、@ 00025910M3◇千◇S/御(ご)しんせつなごいけん、/有(あり)がたう/存(そんじ)ます。/世(よ)のたとへ 00025920M4にも、/堪忍(かんにん)五両/異見(いけん)三両と申まするが、なか+/只今(たゞいま)の/御= 00025930M5異見(ご=いけん)などハ、三両や十両でハ/安(やす)イ/物(もの)。/直(ね)うちにいたしたら、 00025940M6三百両がものハこざりませうト@いふと、△|そハから、@◇梅◇Sイヨ、/異見(いけん)の 00025950M7/金(かね)に三百両ハありがてヱ(十四オ) 00025960G1△△△けしからぬ物に/業平(なりひら)ことをとひ 00025970G2△△〔絵詞〕△なり平Sむかふへふねがつくと、ハたしせんをやるのだが、 00025980G3△△そこにおあしのでたのがありやなしやなどゝ、仕丁にことをとふ、と 00025990G4△△んだげびたおくげ也;Sたび人にうめわかづかのはなしをするので、 00026000G5△△口がすくなる。しかしどてゞうる、たにしのでんがくのやうに、まん 00026010G6△△ざらよこぐハへなこともはなされめへス(十四ウ) 00026020¥N12¥J 00026030¥X/業平(なりひら) 00026040M16S/芥川(あくたがハ)の/一件(いつけん)で/名(な)がよこれたから、/無拠(よんどころなく)、/東下(あづまくだ)りと/出(で)か 00026050M17け、八ツ/橋辺(はしへん)へ/来(き)た/時分(しぶん)ハ、なり/平(ひら)も/足(あし)にまめ/男(おとこ)であつた 00026060M18らふと@しやれると、|そバの人、△@Sそれにつひて/別(わか(ママ))らぬ/事(こと)がある。/東(あづま)の/果(はて) 00026070M19に/居(い)る/鳥(とり)を、なぜ/都鳥(ミやこどり)といふだらう△Sハテ、ミやこ人を、 00026080M20/在五中将(ざいごちうじやう)といふやうなものダ(十五オ) 00026090¥P90 00026100¥G 00026110G1△△△/神田(かんだ)は/公家(くげ)/悪成田(あくなりた)にハあら/事師(ごとし) 00026120G2△△〔絵詞〕△Sあんまりあついから、ちと風をいれやう。せいたかやこん 00026130G3△△がらもすゞミに出たとミへるハヱ。しかし、ふどうのくわゑんをとつ 00026140G4△△たのと、かけとりのいんぎやうをわすれたのハ、まのわるいもんだ 00026150G5△△(十五ウ) 00026160¥N13¥J 00026170¥X/不動(ふとう) 00026180L18/或家(あるいへ)の/亭主(ていしゆ)、不動/尊(そん)/信心(しん※)にて、/木像(もくざう)の/不動様(ふどうさま)を/刻(きざ)ませ、/厨= 00026190L19子(づ=し)/戸帳(とてう)三ツ/具足(ぐそく)と/追&(おひ+)/出来(でき)て、御/移徒(わたまし)とて、/近辺(きんへん)へ茶飯を 00026200L20/配(くバ)ると、/隣(となり)の/女房(にようほう)/礼(れい)に/来(きた)り、◇隣女房◇S/先程(さきほと)ハ有がたう/存(ぞんし)ま 00026210M1ス。今日ハ/何(なに)ゆへ、お/料理(りやうり)か出来たのでござります△◇女房◇ 00026220M2Sアレハ/宿(やど)で不/動(とう)さまか/信心(しん※)で、/去年(きよねん)/拵(こしらへ)ましたお/像(ざう)を入 00026230M3ますづしから、御/道(たう)具迄/漸(やう+)/建立(こんりう)が/出来(でき)上りましたから、 00026240M4今日ハおわたましを致したのでござります△◇隣女房◇S/夫(それ)ハ 00026250M5お目出/度(たい)/事(こと)でござります。/私(わたくし)も/拝(おが)んで参りませうト@木ぞう|をはい@ 00026260M6@し△|て、@なるほど、御りつはに出/来(き)ました。先/達(だつ)て/迄(まで)のやうに 00026270M7/只(たゞ)/棚(たな)の/隅(すミ)にあつた/時(とき)とハ/違(ちが)ひ、/種&(いろ+)お/道(だう)具か出/来(き)ましたか 00026280M8ら、かく/別(べつ)おありがたくミへます。かうして見ますれハ、 00026290M9◇女房◇Sだう致しました△◇隣女房◇S/馬士(まご)にも/衣装(いしやう)でござりま 00026300M10す(十六オ) 00026310¥G 00026320¥P91 00026330G1△△△/天狗(てんぐ)でかたる/利生記(りせうき)の/三(さん)の/切(きり) 00026340G2△△〔絵詞〕△上るりS/胡(こ)てふハ/御(ミ)のり、こゝハ又はなちる里といひなから、 00026350G3△△須磨のすまひもはしひめが、名をハほたるとあらためて△Sけんじつ 00026360G4△△くしのもんくもいゝが、あんまりあこぎなぢくりやうだ(十六ウ) 00026370¥N14¥J 00026380¥X/浄瑠理(じやうるり) 00026390L7S/夕部(ゆふべ)/他(よそ)へよバれて、/義太夫(ぎだゆふ)を/聞(きゝ)やしたが、なるほどおな 00026400L8じ/音曲(おんきよく)のうちでも、/義太夫節(ぎだゆふぶし)の/文句(もんく)ハ/感心(かんしん)なものだ△Sイ 00026410L9ヤ、/文句(もんく)ばかりではない。/趣向(しゆかう)でも/人(ひと)の/名(な)でも、よく/縁(ゑん)を 00026420L10とつた/物(もの)で、/千本桜(せんほんさくら)の/三(さん)の/口(くち)に、/三位(さんミ)/惟盛(これもり)の子が/椎(しひ)を/拾(ひろ)ふ 00026430L11と、/母御(はゝご)の/名(な)ハ/立樹(たちき)に/因(ゑん)のある/若葉(わかば)の/内侍(ないし)だ△Sイヤ+、 00026440L12まだそれよりハ/二(に)の/切(きり)で、/渡海屋(とかいや)の/銀平(ぎんへい)がはげると、/本= 00026450L13名(ほん=ミやう)ハ△Sなんだ△S/新中納言(しんちうなごん)た(十七オ) 00026460G1△△△/雷電(らいでん)になるも/角力(すまう)の/子孫(しそん)なり 00026470G2△△〔絵詞〕△Sこのお宮にハ、なぜかきいれがないかしらん。ハヽア、わ 00026480G3△△かつた。中にてんじんねてござるのだらう(十七ウ) 00026490¥N15¥J 00026500¥X/在郷者(ざいごうもの) 00026510¥G 00026520M12S/三太(さんた)ヨ、/見(ミ)やれ。/己等(おらら)が/方(はう)の/山中(さんちう)とハゑら/違(ちがつ)て、/爰(こゝ)ナア 00026530M13/天神(てんじん)さまア/外(げへ)に/盛(さかる)だんべヱ△◇三太◇Sとつさま+。/物(もの)こゝ 00026540M14ナア/門(もん)の/両脇(りやうハき)に/矢(や)ア/持(もつ)て/居(い)るのハ、あんちう/物(もの)だ△◇おやぢ◇ 00026550M15Sヱラでけへ/声(こへ)のふして、そんげな/事(こた)アきかねへもんだ。 00026560M16/人(ふと)が/聞(きい)たら/笑(わら)ふだんべヱ。あれサア、/矢大臣(やだいじん)・/左大臣(さだいじん)チウ 00026570M17もんだ△◇三太◇Sどつちナガ/左大臣(さだいじん)で、とつちナガ/矢大臣(やだいじん)だ△ 00026580M18◇おやぢ◇Sヱラ/面倒(めんどう)なきゝやうをするやつだ。おしへてやる 00026590M19からわすれンなよ。/矢大臣(やだいじん)でない/方(はう)が/左大臣(さだいじん)、/左大(さたい)じんで 00026600M20ない/方(はう)が/矢大臣(やだいじん)だ(十八オ) 00026610¥P92 00026620¥G 00026630G1△△△/笑(わら)ふ/山(やま)/靨(ゑくぼ)に/残(のこ)る/去年(こぞ)の/雪(ゆき) 00026640G2△△〔絵詞〕△そうしやうS京ばしのげこかぢりけりあめやくわし。こんな 00026650G3△△めい句ハ、/其(き)かくにもよまれまい;Sせんせいのくぶりでハ、こから 00026660G4△△しの/言水(ごんすい)ハ、こまゝハしのげんすいと、しやれさうだ(十八ウ) 00026670¥N16¥J 00026680¥X/俳人(はいじん) 00026690M7/初心(しよしん)の人、/俳諧(はいかい)の/宗匠(そうしやう)へ/行(ゆき)、S/先生(せんせい)。うかゞひたい事がご 00026700M8ざります△S/何(なん)でござるナ△S/季(き)よせを見ましたら、/春(はる)の 00026710M9/部(ぶ)に、山わらふと/申(もうす)/題(だい)がござりますが、あれハ/何(なん)の/事(こと)でご 00026720M10ざりますナ△S/冬(ふゆ)の山を/眠(ねむ)るといひ、/春(はる)の/山(やま)を/笑(わら)ふとまう 00026730M11すが、/則(すなハち)/題(だい)の/意(ゐ)でござる△S/何様(いかさま)、それで/分(わけ)が/別(わか(ママ))りまし 00026740M12た△Sだうわかりましたナ△S/余程(よほど)/以前(いぜん)も、/信濃(しなの)なる/浅間(あさま) 00026750M13ハ、ふつとふき/出(だ)しました(十九オ) 00026760G1△△△/琵琶(びハ)のどゞ/一(いつ)/福神(ふくじん)が/巳待(ミまち)の夜(よ) 00026770G2△△〔絵詞〕△Sわしが/月代(さかやき)をするのと、ひきまとのひもをとりかへるにハ、 00026780G3△△いづれはしこがさきへたつやつサ(十九ウ) 00026790¥N17¥J 00026800¥X/七福神(しちふくじん) 00026810M20S/摂州(せつしう)/西(にし)のミやの/恵比寿様(ゑひすさま)へ、/六福神(ろくふくじん)が/寄合(よりあい)て/酒宴(さかもり)をする。 00026820¥P93 00026830L1◇大こく天◇S/鳴戸(なると)にちかひ/桜鯛(さくらだい)、/御近所(ごきんじよ)の/伊丹(いたミ)の/諸白(もろはく)、/淡路(あハじ)へ 00026840L2かよふ/千鳥焼(ちとりやき)まで、まことに/御(ご)ていねいな御/馳走(ちそう)でござり 00026850L3ます△◇ゑひす◇Sコレハ+/御挨拶(ごあいさつ)で/痛入(いたミい)ります。/毎度(まひど)おな 00026860L4じ/物(もの)ばかりさし/上(あ)ケますから、今日ハせめて/冠(かむつ)ております 00026870L5/烏帽子魚(ゑぼしうを)のおさし身とも/思(おも)ひつきましたが、/兎角(とかく)わたくし 00026880L6が/釣棹(つりざほ)へハ、たひばかりかゝります△◇福ろく寿◇Sホンニ、/翌= 00026890L7日(あ=す)は/巌島(いつくしま)の/弁天(べんてん)が/所(とこ)へ/巳待(ミまち)に/呼(よバ)れ(二十オ)たから、ミんなが 00026900L8/揃(そろつ)てゆきませう△◇布岱◇S/御同道(ごどう※)は/能(いゝ)が、わたしハ/肥(ふとつ)て/居(い)る 00026910L9から、/御一同(ごいつしよ)に/急(いそ)ぐと、/股(もゝ)がすれていけない△◇寿老人◇S/歩= 00026920L10行(ある=き)にくけりやア/私(わたし)の/鹿(しか)へ/乗(のつ)ておいでなさい△◇大こく◇S/時(とき) 00026930L11に、いつでも/毘沙門(びしやもん)は/仕度(したく)が/永(なが)くて人を/待(また)せるが、あすハ 00026940L12チト/手廻(てまハし)をさつせヱ△◇毘沙門◇Sおれがしたくハぢきに/出来(でき) 00026950L13るが、/供(とも)が/草鞋(わらじ)をはくので、いつもおそくなる(二十ウ) 00026960¥Q 00026970M2作者△△△△柳下亭種員G 00026980M4画工△△△△朝桜楼国芳G 00026990M6天保十五甲辰年春正月発行 00027000M7△△△△△△下谷池之端仲町 00027010M8△△△△△△△△上州屋金蔵 00027020M9東都書肆△△本所表町 00027030M10△△△△△△△△錦彩堂虎松 00027040¥P94 00027050¥U噺本大系△第十六巻 00027060¥T/古今(ここん)/秀句(しゆうく)/落(おと)し/噺(ばなし)△〔内題〕 00027070¥G 00027080¥Y 00027090L16天保十五年正月序 00027100L17一筆庵英寿序 00027110L18一筆庵英寿画 00027120L19本屋又助版 00027130L20中本一冊 00027140¥Y 00027150M5落し 00027160M6△△噺 00027170M7△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(表紙) 00027180¥G(見返扉) 00027190G1俳諧雨夜之友@元緑年中|印本△△@△△△△△@三|国|一@あま酒 00027200G2△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△わんハ 00027210G3/廓(さと)の/花(はな)△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△ござらぬ 00027220G4もう△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△ちやハンで 00027230G5△見て△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△あがれ 00027240G6△かへる 00027250G7/早坊主(ちやぼうず) 00027260G8△△搗布 00027270G9あま/酒(ざけ) 00027280G10△うりの 00027290G11△いぬにつまづく△△△△△わん++ 00027300G12△△△△△△調松 00027310¥P95 00027320¥Y 00027330L2/西遊記(さいゆうき)の/三蔵法師(さんぞうほふし)に/基(もとづき)し、/桃太郎(もゝたらう)が/鬼(おに)が/嶌(しま)へ/宝物(たからもの)を/取(とり)に/行(ゆき) 00027340L3し/昔咄(むかしばなし)、/宇治拾遺物語(うぢしういものがたり)の/瘤(こぶ)の/翁(おきな)から/思(おも)ひ/付(つい)たる/花咲爺(はなさかぢゝい)と、 00027350L4/譬(たとへ)て/言(いへ)バ/彷彿(さもにたり)。/口(くち)ハ/禍(わさハひ)の/門(かど)なりと/戒(いまし)むる/舌切雀(したきりすゞめ)、/輪廻応報(りんゑおうほう) 00027360L5の/理(ことハり)を/示(しめ)すかち+/山(やま)、/兎(うさぎ)の/忠義手柄咄(ちうぎてがらばなし)ハ/勧善(くわんぜん)の/一助(いちじよ)、/狸(たぬき) 00027370L6に/積悪(せきあく)の/報(むくひ)ハ/懲悪(ちやうあく)の/一端(いつたん)也。/猿蟹(さるかに)の/合戦(かつせん)も、/素(もと)ハなんだら 00027380L7/法師(ぼふし)の/柿(かき)の/種(たね)に/起(おこ)りしハ、/堪忍(かんにん)を/守(まも)らざる/怠(おこた)り、/鼠(ねずミ)の/娵入(よめいり) 00027390L8/睦(むつ)ましきハ、/和合(わがふ)の/道(ミち)の/教(おしへ)と/云(いふ)べし。/昔&(むかし+)/在(あつ)た/土佐絵(とさゑ)の/巻= 00027400L9物(まき=もの)も、/一期(いちご)/栄(さかへ)た/咄(はなし)を/絵(ゑ)に/書(かき)、/童蒙(こども)の/眠(ねむ)(序オ)/気(け)を/覚(さま)せしに、 00027410L10/星霜(せいさう)/移(うつり)て、/唐土(からくに)の/話(はなし)を/和語(わご)に/翻訳(ほんやく)して/落(おと)し/咄(ばなし)と/云事(いふこと)の/盛(さかん)に 00027420L11/成(なり)しハ、/延宝(ゑんほう)/天和(てんな)、/鹿野(しかの)/武左衛門(ぶさゑもん)/瓢箪(ひやうたん)かしく、/近(ちか)く/渉(わたり)て、 00027430L12/焉馬(ゑんば)・/宗叔(そうしゆく)・/慈悲成(じひなり)・/可楽(からく)、/名人(めいじん)/多(おほ)く/出(いで)てより、/流行(りうかう)の/話= 00027440L13草子(はなし=ぼん)、/新奇妙案(しんきめうあん)、/年毎(としごと)に/不絶(たへず)、お/臍(へそ)で/涌(わか)す/分福茶釜(ぶんぶくちやかま)、/腹(はら)を 00027450L14/抱(かゝへ)て/笑(わら)ふ/門(かど)にハ/福(ふく)/来(きたる)と/云(いふ)、/是(これ)も/延喜(えんぎ)の/一小冊(いつせうさつ)、/表紙(へうし)の/梅(うめ)の 00027460L15/笑顔(わらひがほ)、/一枚(いちまい)/開(ひらい)て/春(はる)の山+/笑(わらひ)給へと/云事(いふこと)を、/販元(はんもと)の/需(もとめ)に/応(おう) 00027470L16じ、/作者(さくしや)に/代(かハり)て/即席(そくせき)に、/楓川(もミぢがハ)の/市隠(しいん) 00027480L18△△甲辰の春△△△△△△△△△一筆庵/序(じよ)ばかり/誌(しるす) 00027490L19△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序ウ) 00027500¥G(一オ) 00027510¥T1/古今(ここん)/秀句(しうく)/落(おと)し/噺(ばなし) 00027520¥N1¥J 00027530¥X○/富士(ふじ) 00027540M17/青空(あをそら)や/不二(ふじ)ハ/日本(にほん)のたて/烏帽子(ゑぼし)」といふ/句(く)があるが、ナン 00027550M18トあんな/大(おほ)きなゑぼしが/有(あつ)たなら、/嘸(さぞ)/装束(しやうぞく)にこまるだらう 00027560M19トいへば、そばに/居(ゐ)る/一人(ひとり)の/男(おとこ)、Sそんな/気(き)のせめへ/事(こと)を 00027570M20いひなさんな。/国(くに)ひとつで、/周防(すハう)といふ/所(ところ)がある 00027580¥P96 00027590¥G(三ウ・四オ) 00027600¥N2¥J 00027610¥X○/梅見(うめミ) 00027620M3S/春風(しゆんふう)さん。なんと/春(はる)ハ/梅見(うめミ)の事でイスね。もう/桜(さくら)とな 00027630M4ると、(一ウ)/世界(せかい)の/野人(やじん)/出(で)かけるで、イヤモウうるさい事 00027640M5+△春S/柳糸先生(りうしせんせい)のたまハく、/可哉(かなるかな)、/春夏秋冬(しゆんかしうとう)いつハあ 00027650M6れど、/春(はる)の/梅見(うめミ)にしくべからずサ。されバこそ/其角(きかく)も五/元= 00027660M7集(げん=しう)に、「梅が/香(か)や/乞食(こじき)の/家(いへ)も/覗(のぞ)かるゝ」といふ/名句(めいく)を/載(の)せ 00027670M8やした△柳糸S時に、その乞食の家でおもひ出しやしたが、 00027680M9此間/乞食(こじき)小屋のまへに、/宿(やど)なしが二三人/寄合(よりあつ)て/咄(はな)すを/聞(きゝ)や 00027690M10したが、一人の/宿(やど)なしがいふにハ、八や、/聞(きか)ツし。/権(ごん)めへ、 00027700M11とんだいゝくめんだぜ△八Sハテナ。/春着(はるぎ)ハなんだナ。あ 00027710M12いつの事だから、七ツ/梅(うめ)や/菊(きく)の/紋(もん)つき(二オ)でもあるめへ 00027720M13Sずつと/下着(したぎ)が/吉原格子(よしハらがうし)サ△八Sハテナ。/花(はな)ござとハはで 00027730M14だな△Sそして/間着(あいぎ)がりうきうヨ△八Sなる程、ぢミで/丈= 00027740M15夫(じやう=ぶ)で、どうもいゝのう。それで上/着(ぎ)ハ△Sゑむしろ/織(おり)のう 00027750M16すべりよ△八Sそれで事こわしだ△Sなぜ+△八Sなぜ 00027760M17もねへ。うすべりの/裏(うら)ゑり/付(つき)ぢやア、げびるハナ 00027770¥N3¥J 00027780¥X○/桜(さくら) 00027790M20/抱一上人(ほういつしやうにん)の/句(く)に、「花びらの山をうこかす/桜(さくら)かな」トいふ 00027800¥P97 00027810L1が/通句(とほりく)で、/誰(たれ)しらぬものハないが、此方一人/不承知(ふしやうち)だ。な 00027820L2んぼ/句作(くさく)(二ウ)だからといつて、/桜(さくら)の/花(はな)びらが、よもや/山(やま) 00027830L3をうごかしもしめへ。Sなにさ+。さうもいハれめへ。 00027840L4/西行桜(さいぎやうざくら)といふハ、むかし/哥(うた)をよんだ/桜(さくら)、/小町桜(こまちざくら)ハ/美人(びじん)な 00027850L5り。/楊貴妃桜(やうきひざくら)ハ/唐(から)の/女(をんな)、/墨染桜(すミぞめざくら)ハ/関(せき)の/戸(と)で、/其精霊(そのせいれい)を/今(いま)も 00027860L6見る△Sなるほど、/桜(さくら)にもいろ+な/奴(やつ)があるものだ。そ 00027870L7れぢやア/大(おほ)かた/抱一(ほういつ)さんの/花(はな)びらの/山(やま)をうごかした/桜(さくら)ハ、 00027880L8/朝比奈(あさひな)か/礬■(はんくわい|(ママ)△)の/精霊(せいれい)だらう 00027890¥N4¥J 00027900¥X○/吉原(よしハら) 00027910L11/天和(てんわ)二年千春/撰(せん)の◇俳諧武蔵曲◇といふ/集(しふ)に、「やミの/夜(よ)ハ(三 00027920L12オ)(三ウ・四オ挿絵)/吉原(よしハら)ばかり/月夜(つきよ)かな」トいふ/其角(きかく)の/句(く)を 00027930L13/潤色(じゆんしよく)したが、ちけへねへ。どうも/吉原(よしハら)の/傾城(けいせい)ハ/誠(まこと)があつ 00027940L14ていゝといへバ、一人の/同友(どうゆう)、Sやミの/夜(よ)で/傾城(けいせい)の/誠(まこと)ある 00027950L15事を御/勘考(かんかう)ハちと/解(げ)しかねますね△Sハテ、/野暮(やぼ)をいひな 00027960L16さんな。/女郎(ぢよろ)の/誠(まこと)と/玉子(たまご)の/四角(しかく)あれバ、/晦日(ミそか)に/月(つき)が/出(で)ると 00027970L17いひやす 00027980¥N5¥J 00027990¥X○/松竹梅(しやうちくばい) 00028000L20/南無天満(なむてんまん)/大事(だいじ)の/木(き)なり/松(まつ)と/梅(うめ)」とハ、/立甫(りうほ)の/句(く)だが、おら 00028010M1アむづかしい事ハ/知(し)らねへけれど、/菅原(すがハら)の/狂言(きやうげん)を見ると、 00028020M2/牛(うし)かひの/舎(とね)(四ウ)/人(り)ハ/三(ミ)ツ/子(ご)の三人、/梅王(うめわう)・/松王(まつわう)・/桜丸(さくらまる)だ 00028030M3が、なぜ/菅丞相(くわんしやう※)が/大事(だいじ)の/木(き)なら、/桜(さくら)ハいれねへだらうな 00028040M4ア。Sハテ、ばかをいふまい。/桜丸(さくらまる)ハ/腹切(はらきつ)て/枯(かれ)ました 00028050¥N6¥J 00028060¥X○/骸骨(がいこつ) 00028070M7/先生(せんせい)なぞハ/遊里(ゆうり)の/方(はう)ハ/御不得手(ごふえて)と/見(ミ)へますが、このあいだ 00028080M8/仲之町(なかのちやう)で、さるげいしやを/見(ミ)ましたが、よほど/美(うつ)くしいも 00028090M9のでございました。いかさま、あのやうな/美婦(びふ)を見てハ、 00028100M10/粂(くめ)の/仙人(せんにん)も/雲(くも)をふミ/外(はづ)して、おつこちとなりそうな事でご 00028110M11ざります。(五オ)先生Sまつたくさやうなものでハござらぬ。 00028120M12/貴公(きこう)のやうなお/若(わか)い/内(うち)ハ、/美(うつく)しい/婦人(ふじん)を見てハ、さやうに 00028130M13もおぼしめさうが、そこが/迷(まよ)ひといふものでござる。/男女(なんによ) 00028140M14の/婬楽(いんらく)ハ/互(たがひ)に/臭骸(しうがい)を/抱(いだ)くと、/東坡先生(とうばせんせい)も申されたが、/金言(きんげん) 00028150M15でござる。また/近(ちか)く/解(げ)さんにハ、/鬼貫(おにつら)の/句(く)に、「/骸骨(がいこつ)の/上(うへ) 00028160M16を/粧(よそ)ふて/花見(はなミ)かな」と申がござるが、まづ/是等(これら)がよいをし 00028170M17へでござる。/紅粉(こうふん)を/粧(よそほ)ひて/美(うつ)くしうハ/見(ミ)ゆれども、/一皮(ひとかハ)む 00028180M18けバ、あなめ+/白骨(はくこつ)のさまとなる。よきもあしきも/只(たゞ)/皮(かハ) 00028190M19/一重(ひとへ)の/粧(よそほひ)でござれバ、/小町(こまち)でも/楊貴妃(やうきひ)(五ウ)でも、/皆(ミな)/骸骨(がいこつ) 00028200M20が/面(めん)をかぶつて/居(ゐる)と/思(おも)へバ、/少(すこ)しも/迷(まよ)ふ事ハござらぬ。/悉= 00028210¥P98 00028220¥G(六ウ・七オ) 00028230M1皆(しつ=かい)/美女(びぢよ)ハ/骸骨(がいこつ)+△Sなるほど、/美女(びぢよ)ハがいこつでござり 00028240M2ませう。どうりでその/芸者(げいしや)も、/洒落(しやれ)ておりました 00028250¥N7¥J 00028260¥X○/大晦日(おほミそか) 00028270M5/五元集(ごげんしう)に「/大晦日(おほミそか)ねいつたうちが/年忘(としわす)れ」といふ/句(く)がある 00028280M6が、こりやアちつと/其角(きかく)も/吐(はき)ちげへたでハござらぬか。ハ 00028290M7テ、なぜトいつてごらうじろ。ねいつたうちに、もし/掛取(かけとり) 00028300M8に/責(せめ)られる/夢(ゆめ)をミたなら、どうしたものだらう。/大年(おほとし)のこ 00028310M9んさつに、/掛取(かけとり)にせめ/付(つけ)られる/様(やう)ナ(六オ)/夢(ゆめ)を見てハ、/中(なか) 00028320M10+/年忘(としわすれ)でもござるまいといへバ、かたハらに/居(ゐ)る人、 00028330M11Sハテ、やぼをいふ人もあれバあるもの。そこが/名句(めいく)サ。 00028340M12/其角(きかく)だけ/有(あつ)て、きついものさ△Sナゼ+△Sなぜもねへ。 00028350M13/掛取(かけとり)に/責(せめ)られる/夢(ゆめ)を/見(ミ)れバ、こつちが/責(せめ)て/金(かね)を/取(とる)のだ。ハ 00028360M14テ、ゆめハさかゆめといふでハないか 00028370¥N8¥J 00028380¥X○/不二(ふじ)/筑波(つくば) 00028390M17ふじハおきて/先(まづ)/紫(むらさき)の/筑波山(つくばやま)」。これハ/嵐雪(らんせつ)の/句(く)だが、/紫(むらさき) 00028400M18の/筑波山(つくばやま)よりか、ふじ/山(さん)へ/朝日(あさひ)のさしのぼる/所(ところ)ハ、どうも 00028410M19いゝといへバ、又一人が、ナニ+、ふじの/朝日(あさひ)よりか/筑= 00028420M20波山(つく=ばやま)の/紫(むらさき)がいゝ。Sナニ、ふじの/朝日(あさひ)の/方(はう)がいゝの/上(うへ)なし 00028430¥P99 00028440L1だ。すべて/赤(あか)いものハなんでも/花(はな)やかでいゝ△Sナニ+、 00028450L2なんといつても、/筑波(つくば)の/紫(むらさき)にやア(七オ)かなハねへ。それ 00028460L3ハ又ナゼネ。Sハテ、むらさきハ/紅(あけ)をうばふといひやす 00028470L4(六ウ) 00028480¥N9¥J 00028490¥X○/蛙(かハず) 00028500L7/古池(ふるいけ)や/蛙(かハず)/飛込(とびこむ)/水(ミづ)の/音(おと)」といふハ、/翁(おきな)の/句(く)だが、どうもいゝ。 00028510L8/蛙(かハず)/飛(とび)こむとハ/有(あり)がたい。イヤどうも、/蛙(かハず)の/飛込(とびこん)だところが 00028520L9けしきだ。/句作(くつく)りハかうありてへものだ。/諸事(しよじ)/蛙(かハず)の/句(く)にと 00028530L10ゞめたり。イヨ/蛙(かハず)+蛙、(七ウ)/有(あり)がてへと、しきりに/翁(おきな) 00028540L11の/句(く)をほめて/出(で)でゆくと、あとにて一人の/男(おとこ)、S/吉(きち)や、/聞(きい) 00028550L12たか。こちとらにやア/何(なん)だかわからねへが、あの/野郎(やらう)めへ、 00028560L13べら/坊(ぼう)と/蛙(かハず)の/句(く)をひとりのミ/込(こん)でいきやアがつた。どうい 00028570L14ふわけか、さつぱり/解(げ)せねへトいへバ、吉Sあの/野郎(やらう)が/蛙(かハず) 00028580L15の/句(く)を/呑込(のミこん)で/行(ゆく)はづさ。あいつア目くら/蛇(へび)だものう 00028590¥N10¥J 00028600¥X○/雪(ゆき) 00028610L18雪の/日(ひ)や/不孝者(ふかうもの)めが/居所(おりどころ)」と、ホンニ+この/大雪(おほゆき)の/寒空(さむそら) 00028620L19に/薄着(うすぎ)して、/風(かぜ)ひきやつても/薬用(やくよう)の/手当(てあて)するものも/有(ある)まい。 00028630L20(八オ)/盗(ぬすミ)する/子(こ)ハかハゆうて、/縄取(なハとり)がうらめしいと/世間(せけん)の 00028640M1たとへにいふ/通(とほ)り、まだ/年若(としわか)なアノ/伜(せがれ)。/友(とも)だちがそゝのか 00028650M2し、/悪(わる)い事おしへずバ、のらかハきハせまいもの。/女郎狂(ぢよらうぐる) 00028660M3ひも/若気(わかげ)のうち、すりやせまいものでもない。/親仁(おやぢ)どのも 00028670M4親仁どの。/勘当(かんどう)とハ/情(なさけ)ない。/焼野(やけの)のきゞす/夜(よる)の/鶴(つる)、/生(いき)とし/生(いけ) 00028680M5る/人情(にんじやう)に、/子(こ)をおもハぬものハない。ましてやたつた/一個(ひとり) 00028690M6の伜、どこにどうしてゐやれうと、/思(おも)ひまハせバまハす/程(ほど)、 00028700M7この/胸(むね)が/一(いつ)ぱいで、/夜(よ)の/目(め)もろくにいねられぬ。アレ+、 00028710M8ふつたるこの雪かな。/嘸(さぞ)さむからう、こゞへてゐよト/案(あん)じ 00028720M9わづ(八ウ)らふ/母親(はゝおや)のかたへ/聞(ぎゝ)せし/一人(ひとり)の/男(おとこ)、Sモシお/袋(ふくろ) 00028730M10さま。/若旦那(わかだんな)の事でごぜへますなら、/決(けし)て/御苦労(ごくらう)になされ 00028740M11ますな。/此大雪(このおほゆき)にも、お/寒(さむい)めハなさいません△母Sすりや 00028750M12アノこなさんが、/伜(せがれ)の身のうへ、よう/知(しつ)てか。/偖(さて)+うれ 00028760M13しや+。この/寒(さむ)さにもまけやらで、/辛抱(しんぼう)をしやるとか。 00028770M14わしやいつぞやの/噂(うわさ)でハ、/冬枯(ふゆがれ)にむかつても、/単物(ひとへもの)/一枚(いちまい)で 00028780M15うろ+してゐるとの/咄(はな)し。それにひきかへ、この/雪(ゆき)の寒 00028790M16さにもまけやらで、ぬぐとうしてゐやるとハ、/先(まづ)もつて/一= 00028800M17安堵(ひと=あんど)。シテまアこのごろハ、どのやうな/身(ミ)なりで、どこに 00028810M18ゐやるぞいの△男Sへイ。ちと申上(九オ)かねやすが、や 00028820M19つぱりそうろうでごぜへやす△母Sそうろうとハ、なんの 00028830M20/事(こと)かわからぬ。イヤサ、あれハいかゞいたし候か△男Sイ 00028840¥P100 00028850¥G(十ウ・十一オ) 00028860M1ヱサ。御/住居(じうきよ)ハ/大師(だいし)さまサ△母Sナニ、大師さまとハ/西新= 00028870M2井(にしあら=ゐ)の/方(はう)かいのう。大師/河原(がハら)でハ/遠(ゑん)方でござるのう△男Sイ 00028880M3ヤ、あなたハさとりのお/悪(わる)い事。そんならしらで申ますが、 00028890M4単物一枚で/方&(はう※)/居(ゐ)候サ△母Sヤア++、/何(なに)いやるぞい 00028900M5の。たつた/今(いま)、/此雪(このゆき)にも寒くなうして/居(ゐ)やるといふたでハ 00028910M6ないか。/但(たゞ)しわしを/偽(いつハ)りやつたのかいの△男Sどういたし 00028920M7まして、/中&(なか+)あなたをお/偽(いつハ)り申スやうな事ハ申ませぬ△母 00028930M8Sそれ(九ウ)ぢやてゝ、/単物(ひとへもの)/一枚(いちまい)/着(き)てゐやつてハ、/寒(さむ)うて 00028940M9+こらへられるものぢやあるまいがな△男Sイヱどうし 00028950M10て、お/寒(さむ)さハ/随分(ずいぶん)おしのぎなされます△母Sはて/此人(このひと)ハわ 00028960M11かりのわるい。/薄着(うすぎ)でハ/寒(さむ)いはづぢやがな。/最前(さいぜん)の/咄(はな)しの 00028970M12やうすでハ、/辛抱(しんぼう)もしやつたらふと、/嬉(うれ)しう/思(おも)ふてゐたも 00028980M13のを、/寒(さむ)いめをしやるやうでハ、まだ/辛抱(しんぼう)ハ見とゞけませ 00028990M14ぬ。/酒(さけ)もやめ、/遊(あそ)びもやめ、それでなけれバ、/中&(なか+)/勘当(かんどう)の 00029000M15/詑(わび)ハできませぬ△男Sきつと/受合(うけあい)の/御辛抱(ごしんぼう)でござい升△母 00029010M16Sシテ、どうして/寒(さむ)さをしのいで/居(ゐ)るぞい△男Sヘイ。/河= 00029020M17豚汁(ふ=ぐじる)で、(十オ)あつがんをひつかけてござります 00029030¥N11¥J 00029040¥X/杜若(かきつばた) 00029050M20/茶(ちや)に/開(ひら)く/拭茶(ふくさ)さばきも/杜若(かきつばた)」といふ/看板(かんばん)を/出(いだ)し、/私見世(わたくしミせ) 00029060¥P101 00029070L1の/煎茶(せんじちや)ハ/湯(ゆ)をにたて御/入(いれ)なされ候へバ、/湯気(ゆげ)の/中(なか)より/杜若(かきつばた) 00029080L2の/花(はな)/顕(あらハ)れ、/一(ひと)しほ/座興(ざきやう)に/相成(あいなり)申べくと、/書(かき)しるしたる/引札(ひきふだ) 00029090L3を/廻(まハ)しける/茶店(ちやてん)、/見世開(ミせびら)きなしけれハ、/或人(あるひと)さつそく/茶(ちや)を 00029100L4もとめ/煎(せんじ)けるに、こハいかに、/杜若(かきつばた)ハ/出(いで)ずして、/女(おんな)の/幽霊(ゆうれい) 00029110L5/出(いで)けれバ、/是(これ)ハいかにとおどろき、かの/茶店(ちやてん)へ/行(ゆき)て、Sヤ 00029120L6イ+/亭主(ていしゆ)。(十ウ)こゝの/内(うち)の/茶(ちや)をせんじれバ、/杜若(かきつばた)が/出(で) 00029130L7るとの事。/是(これ)ハ/奇妙(きめう)と/煎(せん)じたるに、/杜若(かきつばた)ハさておき、思(おも)ひ 00029140L8もよらぬ/過去(すぎさり)し/母(はゝ)の/幽霊(ゆうれい)が/出(で)たり。いかに/銭(ぜに)がほしいとて、 00029150L9/人(ひと)と/偽(いつハ)るのミならず、とんだものをいださせたる、にツく 00029160L10い/男(おとこ)とやりこむれバ、/亭主(ていしゆ)ぬからぬ/顔(かほ)をして、Sナニ、/杜= 00029170L11若(かきつ=ばた)が/出(で)ませいで、/御母公(ごぼこう)の/幽霊(ゆうれい)が/出(で)ましたとか。ハヽアき 00029180L12こへました。そりやアおまへの/ほうじ(焙△|法事)の/悪(わる)いのだ(十一オ) 00029190¥N12¥J 00029200¥X○/柳(やなぎ) 00029210L15/気(き)に/入(い)らぬ/風(かぜ)もあらうに/柳(やなぎ)かな」とハ、よくいつた。いや 00029220L16な/風(かぜ)にも/吹(ふか)れてなびく/柳(やなぎ)ほど、すなほなものハないトいへ 00029230L17ば、Sイヤ+、さう/斗(ばかり)もいハれぬ。/気(き)にいらぬ/風(かぜ)にハ/随= 00029240L18分(ずい=ぶん)さからう/柳(やなぎ)もござる△Sハテ、ばかな事をいひなさんな。 00029250L19/譬(たとへ)にも/柳流(やなぎなが)しといつて、/風(かぜ)にさからう/柳(やなぎ)が/有(ある)ものか△Sイ 00029260L20ヤ+、/気(き)にいらぬ/風(かぜ)ハ/気(き)にいらぬやうに、/正直(しやうぢき)におもふ 00029270M1/柳(やなぎ)も/有(ある)とミへて、わしがうちのハ、いつ(十一ウ)でもすね 00029280M2て/居(お)ります 00029290¥N13¥J 00029300¥X○/柿(かき)の/花(はな) 00029310M5/人(ひと)になる人ハすくなし/柿(かき)の花」とハ、ホンニよく/味(あぢハ)つた/名= 00029320M6吟(めい=ぎん)だ。柿ハあだ花が/多(おほ)く、人ハ人でも/人面獣心(にんめんじうしん)が多い。わ 00029330M7しがうちの/女房(にようぼ)なぞも、人でハなくて/鬼(おに)でござるといへ 00029340M8バ、かたハらに/居(ゐ)る人、Sナニうそ+。/貴公(きこう)の御/内君(ないくん)の 00029350M9やうなお/心(こゝろ)よしで、あのやうな/美婦(びふ)が、/何(なん)として鬼でござ 00029360M10らふ。それこそ/羅城(らしやう)門の/葉唄(はうた)の/通(とほ)り、鬼ぢやないもの人ぢ 00029370M11やものといふのでござる△Sイヱ+、どういたして、あ 00029380M12ゝミへ(十二オ)ても、やつぱり/鬼(おに)でござる△Sそれハまた、 00029390M13いかな事△Sハテ、いつでも/角(つの)をはやします 00029400¥N14¥J 00029410¥X○/夕立(ゆふだち) 00029420M16夕立や田をミめぐりの/神(かミ)ならバ」といふ/其角(きかく)が/名句(めいく)の/徳(とく)に 00029430M17ハ、/雨(あめ)のふつたといふ/咄(はな)し。此夕立の/俄(にハか)雨でハ、/嘸(さぞ)人がこ 00029440M18まるであらふ。/傘(かさ)かりに、ついよられても徳ハいかぬ。ド 00029450M19レ+/奥(おく)へとぢこもりませう。ヤイ+/権助(ごんすけ)。/誰(たれ)ぞ見へた 00029460M20らよいやうにあしらふて、/必(かなら)ず/隠居(いんきよ)へ/沙汰(さた)せまいト、隠居 00029470¥P102 00029480¥G(十三ウ・十四オ) 00029490M1ハ/奥(おく)へ/這入(はいる)やいな、/門口(かどぐち)から/大(おほ)(十二ウ)きな声にて、Sサ 00029500M2テ/御無沙汰(ごぶさた)をいたしました。/時(とき)に/権助(ごんすけ)どの。この夕立で/難= 00029510M3儀(なん=ぎ)いたすが、ナント/傘(かさ)を一本御/無心(むしん)が申たい△権Sソリヤ 00029520M4はア、げへに/気(き)の/毒(どく)なこんだが、かす事ハでき申シない。 00029530M5この夕立がなんぎ+で、傘のウかすべゑなら、傘屋ア/伯= 00029540M6父(お=ぢ)でもおつかない。わし/共(ども)にやア傘アふとつもござんない。 00029550M7かいらツせへ+トすげなくいハれて、あきれかへれバ、 00029560M8/隠居(いんきよ)ハ/奥(おく)より/顔(かほ)を出し、Sコレ権助。こなたハ+、/余(あま)り 00029570M9といへば/弁(わきま)へのない男だぞ。/此後(このゝち)もある事だ。もし傘をか 00029580M10りにきたなら、/偖(さて)お気の毒でこさるが、傘ハ(十三オ)(十三 00029590M11ウ・十四オ挿絵)/此頃(このごろ)ほねがおれて、/紙(かミ)もほねもばら+ゆ 00029600M12ゑ、/縄(なハ)でからげて/棚(たな)のすミへあげ/置(おき)ました。お/役(やく)にたゝい 00029610M13で/残念千万(ざんねんせんばん)と、/此(この)やうに申すものぢや△権Sハアのミ/込(こん)だ。 00029620M14こんどきたなら、さういひますべへといふをりから、又/門= 00029630M15口(かど=ぐち)から、Sヘイ、ごめんなさいまし。お/大事(だいじ)のお/道具(だうぐ)でご 00029640M16ざいますが、/此頃(このごろ)/鼠(ねづミ)が/出(で)てこまりますが、とうぞおうちの 00029650M17/猫(ねこ)を/少(すこ)しかして下さいまし△権Sそりやアハアおやすい/御= 00029660M18用(ご=よう)だが、/猫(ねこ)ハ此ごろ、ほねがおれて、/紙(かミ)もほねもばら+ 00029670M19になりくさつて、/縄(なハ)でからげて、/棚(たな)のすミへうちあげまし 00029680M20た。お/役(やく)にたゝいで/残(のこ)り/多(おほ)いこんてござるト(十四ウ)いへ 00029690¥P103 00029700L1バ、Sイヤもう、とんだ事をいふ人だ。/隠居(いんきよ)が/留主(るす)でハわ 00029710L2からぬト/挨拶(あいさつ)もせず、立かへれバ、隠居ハまた/奥(おく)から/皃(かほ)を 00029720L3出し、Sヤレ+/権助(ごんすけ)ハこまつたものだ。ほねも/紙(かミ)もばら 00029730L4+とハ/傘(かさ)をかりにきた時の挨拶だに、/猫(ねこ)を/縄(なハ)でからげて、 00029740L5/棚(たな)のすミへあげて/置(おく)うちがあるものか。もしや猫をかりに 00029750L6きたらバ、/偖(さて)猫ハこの/頃(ごろ)ふんしが/悪(わる)さに、/裏(うら)の/物置(ものおき)へつな 00029760L7いでござります。猫ハ/一疋(いつひき)/有(あり)ながら、お/役(やく)にたゝいで/残念(ざんねん) 00029770L8千万といふものぢやトいひふくむる/其所(そのところ)へ、又門口から、 00029780L9Sヘイ、ごめんなさいまし。/宿(やど)の/主人(しゆじん)が申まする。お手間 00029790L10ハおとらせ申ませぬ。とうぞ御隠居に、(十五オ)ちとお/顔(かほ) 00029800L11をかして下さいまし△権Sハア、隠居ハ此/頃(ごろ)ふんしがわる 00029810L12さに、/裏(うら)の物/置(おき)へつねへでござる。隠居ハ/一疋(いつひき)/有(あり)ながら、 00029820L13お役にたゝいで/残念(ざんねん)なこんだ△Sヤアこの人ハとんだ事を 00029830L14いふ。御隠居がふんしがわるい。隠居が一疋だのと、イヤ 00029840L15はや、とんだ人だ。/一向(いつかう)はなしがわからねへ。ドレ+か 00029850L16へりませう+ト立かへれバ、隠居Sヤイ+/権助(ごんすけ)。又し 00029860L17ても/困(こま)り/者(もの)だ。/隠居(いんきよ)に顔をかせとあるならバ、おやすい御 00029870L18用でハこさりますれど、隠居ハこの頃/疝気(せんき)がおこり、ある 00029880L19く事ができませぬと、此やうに/断(ことハ)りを申ものぢやトいふを 00029890L20りから、又/門口(かどぐち)を/這入(はいる)やいなや、(十五ウ)Sヘイ、御/無心(むしん) 00029900M1ながら、/蚊(か)いぶしをいたしまする/火鉢(ひばち)をおかし/下(くだ)さいまし 00029910M2権Sそりやはア/易(やす)いこんだが、/火鉢(ひばち)ハこの/頃(ごろ)/疝気(せんき)がおこつ 00029920M3て、あるく事ができましねへ△Sヤアそりや/大(たい)へん。こ 00029930M4ゝの内の/火鉢(ひばち)ハ、/大方(おほかた)、/狸(たぬき)か/狐(きつね)の/化(ばけ)たのだらう。ヲヽこわ 00029940M5+と/出(で)てゆけバ、隠Sヤイ+/権助(ごんすけ)。おのれハ+、そ 00029950M6のやうな事ですまふとおもふか。/何(どこ)の/国(くに)にか、/蚊(か)いぶし/火= 00029960M7鉢(ひ=ばち)が/疝気(せんき)がおこつてあるかれぬとハ、とほうもない。イヤ 00029970M8はや、あきれてものがいハれぬトしかりつけられ、/権助(ごんすけ)/真= 00029980M9顔(ま=がほ)にて、Sなにはア、それがあきれるもんだア。あの(十 00029990M10六オ)/火鉢(ひばち)も/疝気(せんき)のウおこるこんだア△隠Sヤイ+、ば 00030000M11かをぬかすも/程(ほど)がある。/火鉢(ひばち)に疝気がおこるといふハ、/縁(ゑん) 00030010M12もゆかりも/有(ある)ものか△権Sイヤ、そうもいハれましねへ。 00030020M13あれもきんたま/火鉢(ひばち)といひ申すから、疝気のうおこるべへ 00030030¥N15¥J 00030040¥X○/花(はな)の/山(やま) 00030050M16亭主Sこれハ/薮井(やぶゐ)さま。/入(い)らせられまし。/先刻(せんこく)から/誠(まこと)にお 00030060M17まちかね申ました△薮Sまづ/久&(ひさ※)うちたへました。/愚老(ぐらう)/近= 00030070M18年(きん=ねん)/病家多(びやうかおほ)で、とんと/寸暇(すんか)を/得(ゑ)ませぬ。/時(とき)に/御主人(ごしゆしん)、いかゞ 00030080M19なされた△亭Sイヤモ、おは(十六ウ)なし申も、ばかげた/義(ぎ) 00030090M20でござりまするが、/昨日(さくじつ)むかふ/嶋(じま)へ/花見(はなミ)と/出(で)かけましたが、 00030100¥P104 00030110L1/急(きう)に/小便(せうべん)がつかへまして、/雪隠(せつちん)も/間(ま)に/合(あひ)ませず、さる/桜(さくら)の 00030120L2もとへ、/立(たち)しよぐりといたしました/所(ところ)が、/俄(にハか)に/男根(なんこん)がはれ 00030130L3まして、イヤはや、/痛(いた)い事と申ハ、どうもこたへられませ 00030140L4ぬ。そこであなたを/願(ねが)ひました△薮Sハテ、それハめんよ 00030150L5うな。ハヽア/聞(きこ)えました。/大方(おほかた)それハ/虫類(ちうるい)へ/小用(こよう)をかけら 00030160L6れたとミえますかな△亭Sイヱ+、なんといたして。/決(けし) 00030170L7て/虫(むし)なぞのおりそうな/所(ところ)でハござりませぬ。/至極(しごく)きれいな 00030180L8/庭(にハ)でござりま(十七オ)した△薮Sイヤ+、よく/考(かんが)へてご 00030190L9らうじろ。/何(なん)でも/是(これ)ハそのたゝりでござりませう△亭Sな 00030200L10にもおぼえハござりませぬが、ハテこゝろあたりと申てハ 00030210L11/何(なに)もござらぬが、はゝアわかりました。/桜(さくら)の/木(き)のもとに、 00030220L12「/此所(このところ)/小便(せうべん)無用花の山」と/書(かい)た/札(ふだ)が/立(たつ)て/居(おり)ました。その/札(ふだ) 00030230L13へ小便を/仕掛(しかけ)ました。/大方(おほかた)ばちでござりませう△薮Sハヽ 00030240L14アそれでよめました。/其(その)小便/無用(むよう)の札が、/定(さだ)めし/蚯蚓書(みゝづがき)で 00030250L15あつたらう 00030260¥Y/古今(ここん)/秀句(しうく)/落(おと)し/噺(ばなし)終(十七ウ) 00030270¥Q 00030280M2@/金剛(こんがう)|/表裏(おもてうら)@/相撲取組図絵(すまふとりくミづゑ)@立川焉馬撰|歌川国貞画@@相撲三役の国事横綱の■△△△|■四十八手裏表の手さばき△△|をくハしく図 00030290M2にあらハし是まで|ありふれたる角力の図のあやま|りをただしたる新刻なり△△△@ 00030300M3△△△校合△木村庄之助 00030310M4@/人間一生(にんげんいつしやう)|/獨案内(ひとりあんない)△@/善悪道中記(ぜんあくだうちうき)@一筆庵戯作|溪斎英泉画@@人間の一生を道中記になぞ△|らへ子孫衆の教訓となるべ 00030320M4き|勧善懲悪を第一となせし△△|滑稽のおかしきさうしなり△@ 00030330M5△△△△△△中本一冊 00030340M6/七福人堪忍袋(しちふくじんかんにんぶくろ)@一枚摺|袋入△@一筆庵戯作@士農工商を七福人に見たて△|身をおさむる教訓をおかしく|つゞりたる一枚ずりなり△△@ 00030350M8@/成田銚子(なりたてうし)|/鹿嶋香取(かしまかどり)@/道中獨案内(だうちうひとりあんない)@一枚摺|袋入△@@下総の国十一郡を郡をわけ成田不動参詣△△△△△△|てうしいひぬま 00030360M8観音かしまかどりいきすまでの△△△|順路里数をくハしくしるし獨たびに有益の図之@ 00030370M9△△△△△△△△△△京橋南伝馬町壱丁目 00030380M10△東都書肆△頂恩堂△△本屋又助版 00030390¥P105 00030400¥U噺本大系△第十六巻 00030410¥T/噺(はなし)の/魁(さきがけ)二編△〔内題〕 00030420¥G 00030430¥Y 00030440L17天保十五年頃刊 00030450L18蓬莱文暁作画 00030460L19大坂△大和屋清兵衛板 00030470L20中本一冊 00030480¥G(表紙) 00030490¥Y 00030500M10落し 00030510M11△噺 00030520M16△はなの△△二編 00030530M17△△△えくぼ 00030540M19△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(見返扉) 00030550¥P106 00030560¥G 00030570L11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二オ) 00030580¥T1噺の魁二編 00030590¥Y 00030600M3/花(はな)に/遊(あそ)ぶはなし/鳥(どり)、/水(ミづ)に/住(すむ)はなし/亀(がめ)、いづれかはなしをよ 00030610M4ろこばざらんや。/目(め)に見へぬ/鬼(おに)が/島(しま)の/物語(ものがたり)に、たけきしか 00030620M5つべ/親仁(おやじ)の/渋面(しぶつら)をもやわらぐ。されバ/昔噺(むかしばなし)の道ハ/浮世(うきよ)のあ 00030630M6らを/種(たね)として、/言(こと)の/葉(は)/繁(しげ)き/笑(わら)ひ/草(くさ)とハなりけらしと、たし 00030640M7か/古今(こきん)の/序(じよ)とやらに/有(ある)やら/無(ない)やら/知(し)らねども、/夫(それ)と/聞(き)かせ 00030650M8て/己(おの)が/田(た)へ、/水引事(ミづひきこと)も/得手勝手(えてかつて)、かの/柳樽(やなぎたる)の/悪口(わるくち)に、/噺家(はなしか) 00030660M9ハ/世上(せじやう)のあら/伝(で)めしを/喰(くひ)と。/当時(とうじ)ハ/噺(はなし)が/六(むつ)かしく、(序一オ) 00030670M10/物真似(ものまね)・/人情(にんじやう)・/続(つゞ)き/物(もの)、六文/払(はら)ふたきど/愛楽(あいらく)、/善悪邪正(ぜんあくじやしやう)ハ/言= 00030680M11語(ごん=ご)でわけ、/身振(ミぶり)でさとす/長(なが)ばなしも、/頗(すこぶる)/土産(ミやげ)に/成(なり)かぬれ 00030690M12バ、/一口落(ひとくちおとし)の/御伽種(おとぎぐさ)、/初日(しよにち)を/出(いだ)せし/噺(はなし)の/魁(さきがけ)、/夫(それ)に/後(おく)れず/乗= 00030700M13出(のり=いだ)す/二番手(にばんて)の/勢揃(せいぞろへ)、しだひに/繰出(くりだ)す/噺(はなし)の/数&(かず+)、/近頃(ちかごろ)/流行(はやり)の 00030710M14/即席三題(そくせきさんだい)、/画作(ぐわさく)を/兼(かね)た/引唄(ひきうた)ひ、どゝいつ/鈍(どん)なとつちり/頓作(とんさく)、 00030720M15/早(はや)ひが/勝(かち)じやと/書肆(ふミや)の/催促(さいそく)、/先生(せんせい)おたてに/乗(のり)が/来(き)て、/又(また)こ 00030730M16りづまに/噺(はなし)の/二編目(にへんめ)、/辱(はぢ)をも/知(し)らでかきもち/茶(ちや)、三/文(もん)ほど 00030740M17の/智恵(ちゑ)をふるふて 00030750M19△△△△△△△△△△松尾屋文暁誌GG 00030760M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序一ウ) 00030770¥P107 00030780¥G(二ウ・三オ) 00030790¥N1¥J 00030800¥X/真似(まね)れバまねる/枕(まくら)ことハ 00030810M3/勧学院(くわんがくいん)の/雀(すゞめ)ハ/蒙求(もうぎう)をさへつる。/雲井(くもゐ)にちかき/九重(こゝのへ)ハ、すへ 00030820M4※の/賎(いや)しき物うりまて、/風月(ふうげつ)の/情(じやう)ありて、/枕(まくら)ことバをつ 00030830M5けて売あるく。鳥うりS/霜(しも)がれのあし/鴨(かも)ハ+、/足引(あしひき)の山 00030840M6どり+△青物うりS/沢辺(さハべ)のねぜりハ、あらがねの/土(つち)(二ウ 00030850M7上)/生姜(しやうが)ハ。ある/御所(ごし□)がたより、/白張(はくてう)/着(き)たる/中間(ちうげん)出て、/商人(あきんど) 00030860M8をよぶ。鳥うりSヘイ。/足(あし)引の山/鳥(どり)が入ますか△中間Sイ 00030870M9ヤ、それでハない青物うりSあらかねの/土生姜(つちしやうが)が/御用(ごよう)か 00030880M10な△中間Sイヤ+、/夫(それ)でもない。おれハ又、ちハやふる 00030890M11かミくずかひかとおもふた(三オ上) 00030900¥N2¥J 00030910¥Xひやめし大工 00030920M14大工さん。きのふ/釣(つゝ)てもらふた/棚(たな)がおちました。大工Sハ 00030930M15ヽア、それハなんぞ/上(うへ)へあげたのであらふ 00030940¥N3¥J 00030950¥Xかべに/耳(ミヽ) 00030960M18/岩松(いはまつ)どん。こちのばんとうハよふしかる人じや。/長吉((ママ))Sわ 00030970M19しや、目をむきおつても、/屁(へ)ともおもやせん△Sばんとう 00030980M20たちぎゝして、大ひにはらをたて、とんでいでゝ、(二ウ下) 00030990¥P108 00031000¥G(三ウ・四オ) 00031010M1おのれ、何をぬかすトいへバ、/長吉((ママ))Sハイ+。これから 00031020M2/屁(へ)とおもひます 00031030¥N4¥J 00031040¥X/将棊(しやうぎ)ばんじま 00031050M5S此間、/将棊(しやうぎ)ばんじまのたばこ入をひろうた△Sドレ見せ 00031060M6なされ。ハヽハヽ、コリヤごばん島じや△Sイヤ+、ご 00031070M7ばんじまより目があらひ。それにせうぎばんじやとおもふ 00031080M8事がある。/金(かな)物が/駒(こま)で、ひろうた所が大手で有た(三オ下) 00031090¥N5¥J 00031100¥Xにくからぬ花ハ/実盛(さねもり) 00031110M11さるお大/名(めう)、草木の花をお/好(すき)被成けるが、路次にて手/塚(つか)太 00031120M12郎介をおかご近くめされ、Sあの見せ/店(だな)のせきだいなるハ、 00031130M13さつきそふなが、/黒(くろ)い花ハ珍らしい。あたへいかほどにて 00031140M14もとらせ、もとめ参れ△Sハツ、かしこまりましたと/植(うへ)木 00031150M15やへかけ合、金十両にてもとめ、/太郎((ママ))Sして、花の/銘(めい)ハ、 00031160M16何と申△花うりSその札を御らうじませ。/実(さね)もりと申ます 00031170M17といふ。さて花をもちかへらせ、御/庭前(ていぜん)めかれぬながめと 00031180M18(三ウ上)なりしが、日をそへて、/花(はな)の色白ふなる。是ハふ 00031190M19しんと、/花檀奉行(くわたんぶぎやう)/樋口(ひくち)次郎八をめされ、お尋ねある。/樋(ひ)口 00031200M20一ト目見て、これハごんごどうだん。すみにてそめました 00031210¥P109 00031220L1物でござり升と申。太郎介、/近頃(ちかごろ)ぶねん也。早&/価(あたひ)を/取(とり)か 00031230L2へし来れとある。太郎介、其まゝうへ木や行、Sヤア大が 00031240L3たりめ。白い花をすミにそめていつわるだん、ふとゞき也△ 00031250L4Sされバそれゆへ、さねもりと申升。うたひニ、ひんひげ 00031260L5をすミに染とござるハ、ごぞんじでハこざらぬか△Sなる 00031270L6ほど、しからバ五両もどせ△Sそりや又なぜな△Sハテ、 00031280L7おなじうたひニ、近年ごりやうニつけられてとある(四オ 00031290L8上) 00031300¥N6¥J 00031310¥Xゐけんの升目 00031320L11Sコレおばゝ。そなたハ何ンとおもふか知らぬが、せがれ 00031330L12ハこまつたものじや。どふぞ一升/人(ひと)二升とおもへど、おれ 00031340L13が/信心(しん※)する三升参りさへようせずニ、ごくどうバかりつく 00031350L14し、なんぞといふと、ごて+と四升バかりぬかしおつて、 00031360L15五升ごゝろとてハミぢんもなし。とても六升なものにハな 00031370L16るまい。(三ウ下)モウ+七升までのかんどうじや。此う 00031380L17ハさニむすこ、つぎのまて、S/八九升(はつくしやう)引 00031390¥N7¥J 00031400¥X/聞(きゝ)たがひ 00031410L20三だん目で、大/石(いし)がくろして、しろをわたすといふはなし 00031420M1をきゝ、Sモシ、/碁打(こうち)かな△Sソレハ十一だん目じや(四 00031430M2オ下) 00031440¥N8¥J 00031450¥X大仏のせいくらべ 00031460M5/奈良(なら)の大ぶつが、せかいにおれほど大きいものハあるまい 00031470M6といふと、くまのうらのくじら是をきゝ、さらバせいくら 00031480M7べせんと、大ぶつの(四ウ上)まへえぬつくとたつ。大仏、 00031490M8なに、ちよこざいなと立あがると、くじらのほうが二寸な 00031500M9がい。そのはづ。S大仏ハかねじや 00031510¥N9¥J 00031520¥X/空鉄炮(からてつほう) 00031530M12こゝに/後藤(ことう)や又兵へといふ人あり。ある御やしきにて、/恐= 00031540M13悦(けう=えつ)の御酒てうだいに大/酔(すい)し、内へもどるやいな、袴もとら 00031550M14ず打ふし、大いびきのをりしも、/表(おもて)をどもりのすつぽんう 00031560M15りが、Sす、す、すゝゝゝゝすぽんといふをきゝつけ、か 00031570M16の生ゑひ、むつくとおき、Sハテこゝろえぬ。今打してつ 00031580M17ぽうハ/陰(いん)にはづれ、やうニはなれ、筒におとあつた。さき 00031590M18におとなし。さてハ玉なきからでつぽうよな。又おもての 00031600M19すつぽんうり△Sす、す、すゝゝゝゝゝといへバ、そバニ 00031610M20でつちがゐて、Sモウ、まくじやそうな(五オ上) 00031620¥P110 00031630¥G(四ウ・五オ) 00031640¥N10¥J 00031650¥X/九段目(くだんめ)の/新文句(しんもんく) 00031660M3/素人連中(しろうとれんちう)、九だん目の/掛(かけ)合をかたる。となせSそなたひと 00031670M4りハころしハせぬ。母も/追(おつ)付ケあとからゆくサ。かくごハ 00031680M5よいか△小なミSなむあミだ/仏(ぶつ)といへ共、お石をかたる人、 00031690M6酒ニゑひ、ゐねふりをはじめ、ごむようと、こへかけず。 00031700M7となせのやく、まがぬけるゆへ、すぐに、S又ふり上る/刀(かたな) 00031710M8のしたといへども、こへかけず。いよ+まがぬけるゆへ、 00031720M9いつそめんどうニなり、Sくびハ(四ウ下)まへにぞおちに 00031730M10けりとやらかすをきゝつけ、おいしのやく、ふつと目をさ 00031740M11まし、びつくりせしが、これもさそくに、S今とゞめんと 00031750M12する内に、気のせわしない、となせどの。くびきらせてハ 00031760M13手はづがちがふ。おつとの心もミづのあわ。マアもとのと 00031770M14ほりにさしやんせと、ゐたけだかにつめよせれバといふに、 00031780M15となせのやくもでたらめに、Sそれじやといふて、どふマア 00031790M16これが△お石Sさつきニアヽハいふものゝ、めうとにしや 00031800M17うと此さんぼうかわらけ、少しの/間(ま)にてふびんのありさま 00031810M18となせSそふいふことゝハつゆしらず、かわいや/手(て)にかけ 00031820M19はかないさいご。コリヤマアどうせう、とうせうぞいナア 00031830M20ヽヽヽヽとなきおとし。上るりハわやニなり、本蔵をかたる 00031840¥P111 00031850¥G(五ウ・六オ) 00031860M1人もあほらしくなり、やけからこれもでほうだいニ、本蔵 00031870M2Sその/首(くび)ついでしんじやう△おいしSムウ、シテこへかけ 00031880M3たそなたハ/外科(げくわ)か。イヽヤ、本どうでこざる(五オ下) 00031890¥N11¥J 00031900¥X/千本桜(せんぼんざくら)ハよしのゝ花がつほ 00031910M6園原やはゝきゞならでありとミし、よしのやのむすこ常吉 00031920M7のいひなづけおしづが、浄るり(五ウ上)ひく/三味(しやミ)せんの/音(ね) 00031930M8につれて、下男の/忠(たゞ)七、用さへ/得(え)せず、よねんのてい。お 00031940M9しづがばちにて、はたとうつ。たゞSなにとがあつてだま 00031950M10しうち。うたるゝおぼへ、かつてなし△しづSこのほどより 00031960M11のあやしいやうす。にせ忠七の、サア/白状(はくじやう)。いはずバかう 00031970M12していはすると、三味せんとつてチヤン++。女のか 00031980M13よハきばちさきにひきすへられて、はアはつとあやまり入 00031990M14て、あをなニしほ+、見すぼらしげに手をつかへ、Sけ 00032000M15ふが日までかくせしが、御ふしんのうへハぜひもなし。申 00032010M16上るはじまりハ、さいつころ政太夫のこのミにて、/牝猫(めねこ)/牡(を) 00032020M17猫の生がハにてはつたる其三味せんの、はつ春ごとのひき 00032030M18ぞめニ用ゆるを、はつねの三味となづけ給ふ。其三味せん 00032040M19ハ私のおや、わたくしめハ(六オ上)その三味せんの子でこ 00032050M20ざり升△しづSフウ、三味せんの子といやるからハ、さて 00032060¥P112 00032070L1ハそなたハ子/猫(ねこ)じやの△Sハツア、なるほどおやをとられ 00032080L2た其ころハ、くびだまのすゞのねさへ、わきまへなきまだ子 00032090L3ねこ、おやのない身のうろ+あるき、六万四千の/猫(ねこ)の/下= 00032100L4座(げ=ざ)、たゞのらねことさげしまれ、アヽ/孝行(かう+)がつくしたいと、 00032110L5その/三味(しやミ)せんをしたふてきました。おしづさまにハかわら 00032120L6ぬ三味の/音色(ねいろ)と聞ゆれども、此ミヽへハ二おやに、ゴロニ 00032130L7ヤア+とよバるゝこゝち。よびかへされていくたびか、 00032140L8もどつた事もござりました△Sフウ、そんならそなたハき 00032150L9つねじやなうて猫/忠(たゞ)七。とりもなほさず、内ハ/吉(よし)つね、わ 00032160L10たしハさしづめしづかじやが、そふ※しくて/似合(にあふ)まいと 00032170L11いふを聞て、忠七かぶりをふり、ずいぶん、Sにやう+ 00032180¥N12¥J 00032190¥Xかたちのない/化物(はけもの) 00032200L14物事/間(ま)ニ合せをいふおとこ、(五ウ下)/四方(よも)山の咄のついで、 00032210L15此頃なんばの辺を夜中にとほつたが、さても+おそろし 00032220L16いばけ物ニあふた。Sとのやうなばけものじや△Sイヤモ、 00032230L17なにかハしらず、大入道の目ハ/皿(さら)ほどあつて、かミを四方 00032240L18へふりミだして、くびばかりとびまわつたが、なか+す 00032250L19さまじかつた△Sなんと大/入道(にふだう)のくびに、かミがあるもの 00032260L20かといへば、Sイヤ、あたまハろくニ見なんだ(六オ下) 00032270¥N13¥J 00032280¥X/前編(ぜんへん)/夜舟(よふね)のつゞき 00032290M3いづかたをさしてゆくらんほとゝぎす。よどのあたりをま 00032300M4だよぶかきに、/乗合(のり□ヒ)の人※ハなぞ+にねぶけをわすれ、 00032310M5わらひをもよふし、大坂Sマひとつかけませう△江戸Sな 00032320M6んと+△大Sかけがね@ミな+か△|んがへしが、@Sあげませう+△大 00032330M7Sこれを大ぶねととく△S心ハ△Sミな戸につく△京Sわ 00032340M8たひも、かけがねとかけませう△ミな+Sハテナ、あげま 00032350M9せう+△京Sこれをおそバさらずの御/家来(けらい)△S心ハ△京 00032360M10Sとのさんニつく△江戸Sおれもかけがねだ△ミな+Sイ 00032370M11ヤア、こりやおもしろい。これもとけん。あげませう。江 00032380M12戸Sこれを夜ふけのひや酒とときやす△Sムウ、シテ心ハ 00032390M13な△Sハテ、ひツかけてねる△ミな+Sハヽヽヽヽ、で 00032400M14けた+。おもしろい+△大坂Sときに、ちとふうをか 00032410M15へて、ほかの事にしませう。コウツ、ソレ+何によらず、 00032420M16んの字のおほく入た事を言ツことして、んの字一つへ、と 00032430M17らやをひとつヅヽはづミましやうと、まんぢうをげうさん 00032440M18に(六ウ上)出す。ミな+Sいやおもしろい+。イヤおもし 00032450M19ろなつておいでたよ。サツサコラ+++(七オ上) 00032460M20大Sマア+しづかにさんせ。サアたれぞいわんかへ 00032470¥P113 00032480¥G(六ウ・七オ) 00032490M1京S京のきだほれで、/南京木綿三反半(なんきんもんめんさんだんはん)△大Sぢきにでけた 00032500M2ナ。ソリヤまんぢう七ツ△大坂Sくひだほれで、/南蛮温飩= 00032510M3三膳半(なんばんうんどん=さんぜんはん)△大Sヤレ+きたない。又大坂もの(六ウ下)Sわしや 00032520M4/書林(しよりん)じやさかひ、/寛文年間新板本(くわんぶんねんかんしんばんぼん)ト、七ツくひます△江戸 00032530M5Sちと/武(ぶ)ばつた所で、/信玄謙信先陣乱(しんけんけんしんせんちんらん)△大Sミな七ツづゝ 00032540M6しや。ソリヤ七ツ。/丸散丹円金看板(ぐわんさんたんゑんきんかんばん)△大Sよう+でける 00032550M7+△京の男Sわたしハ京/智恩院(ちをんいん)まへじやさかい、あさば 00032560M8ん、ちをんいんのはんしやうが、ぢやん+ぢやん+ぢ 00032570M9やん++++++ぢやん++いひながら、 00032580M10まんぢうミなくうてしまふた(七オ下) 00032590¥N14¥J 00032600¥X/跡(あと)へのこす/一首(いつしゆ)のうた 00032610M13/豆腐(とうふ)を/角(かく)に/切(きり)、/水(ミづ)にひやしくらふを、/奴(やつこ)どうふといふハあ 00032620M14やまり也。/野狐(やこ)どうふなり。たかずとくろうハ/野狐(のきつね)の/所業(わざ) 00032630M15に/似(に)(七ウ上)たるゆへとぞ。江戸にてハ是を/煮(に)たるを、に 00032640M16やつこといふ。より所なし。/関東(くわんとう)のもの、とうふ茶やに入、 00032650M17かのにやつこにて酒をのミ、是をくひあらし、又ひやし奴 00032660M18にてやりかけしが、ふとおもひ出せハ、/銭(ぜに)ざいふをわすれ 00032670M19きたる。大にとうわくし、Sモシ、此かんでうハなんぼに 00032680M20なるやらしらぬが、あまりいそいで、さいふをわすれてき 00032690¥P114 00032700¥G(七ウ・八オ) 00032710M1たが、とつてくるうち、かしてハ下さるまいか△Sイヱ 00032720M2+、たとへ御こんゐのおかたでも、かけにハいたさぬ 00032730M3Sそれならおれがなじミがない。おれハ此/近所(きんじよ)にゐるから、 00032740M4それまでとりにやらつしやい。所がきを其/帳面(てうめん)へかいて下 00032750M5さい△Sハイと、筆をとる。Sまづ○只のミや△Sへヱと 00032760M6かく。Sしかもにやつこハあれにしを○ひやかしながらの 00032770M7やこどうふかな△Sコリヤこれ、一/首(しゆ)の/地口(ぢぐち)うた。シテお 00032780M8/名(な)まへハ△Sのミ人しらずとしてくりやれ(八オ上) 00032790¥N15¥J 00032800¥X/商売(しやうばい)がら 00032810M11四ツ/手(で)かごハ江戸の/名物(めいぶつ)なり。かごやむすめ、ぶんごぶし 00032820M12をならひ、本やへ行、かごやのむすめSもどりかごのほんを 00032830M13おくれ△本やS上下かへ△むすめSイヽヱ、かたミち 00032840¥N16¥J 00032850¥Xねち/上戸(じやうこ) 00032860M16ひよろ+もので、/薬種(やくしゆ)やへ入、Sミれバ/万病円(まんびやうえん)といふか 00032870M17んばんがあるが、/病(やまひ)ハ四百四病ときひたり。其外にもまだ 00032880M18あるか。よもやない事ハあるまい。一+きかせてくりや 00032890M19れ。四百四病ハおれも/承知(せうち)じや。その外ハ△Sこれハめい 00032900M20わく。しかし、ないことハござりません。一つの病で名の 00032910¥P115 00032920¥G(八ウ・9オ) 00032930M1/多(おほ)いがござります△Sソリヤなんじや△Sまづ、せんしや 00032940M2く(七ウ下)△Sフウなるほど。さすれバ千四百四病△Sせん 00032950M3き△Sいかさま。これで二千四百四病△S子どもの百日ぜ 00032960M4き△S二千五百四病△S女のさんぜんさんご△Sたいぶ大 00032970M5たバがあるわへ。まて+。そろばんをかさつしやれ。か 00032980M6うじやよつて、二千五百四病に三千入る。〆五千五百四病。 00032990M7マダ+四千四百/六病((ママ))たらぬ△Sイヤ、おまちなされ。た 00033000M8つた一ツで、かつけ四万と申がござり升(八オ下) 00033010¥N17¥J 00033020¥X/搗屋(つきや)むけん 00033030M11江戸つきといふ/米(こめ)つき、/年貢(ねんぐ)のとゞこほり、三十両の事に 00033040M12て、国のおやじなんぎのよし、(八ウ上)/状(じやう)きたりしに、/殊(こと) 00033050M13の外/心配(しんはい)して、/箸(はし)のあげおろしに、アヽ卅両の/金(かね)がほしい 00033060M14+と口づけにいひけるが、なか+/工面(くめん)の手がゝりもな 00033070M15く、Sアヽこれ、/親(おや)ゆへなら、しんどをするもいとハねど、 00033080M16/出来(でき)ベヱようもねへ三十両の金。もはや権介がいのる神も 00033090M17ほとけもないか。○ヲヽそれよ。つたへきく、梅がへハむけ 00033100M18んの/鐘(かね)をついて三百両を得たるためし。おれハわづか三十 00033110M19両。おもひつめたるおらかねん力。此/立臼(たてうす)をかねとなぞら 00033120M20へ、こゝろざす所ハむけんのかね、朝めしがひるになると 00033130¥P116 00033140L1も、だんない+だいじない。/海(うミ)山にすたれるかね一ツ所 00033150L2へよせ給へ、むけんのかねと/杵(きね)ふりあげ、ヘンズイ+と 00033160L3つきけるが、つきやの/親(おや)かた、ふひんにおもひ、二かいの 00033170L4/障子(しやうじ)をさらりとあけ、其かねこゝにとなげ出す。深山おろ 00033180L5しに山ふきの花ふきちらすごとくにて、こゝに三両かしこ 00033190L6ニ五両、ひろいあつめて廿四両。Sコリヤ六両たらぬハ。 00033200L7ハヽア、大かた二わりハつきべりだらふ(9オ上) 00033210¥N18¥J 00033220¥Xさそくの/請太刀(うけたち) 00033230L10/麩(ふ)やのていしゆ、/剣術(けんじゆつ)をならひ、/自(じ)まんばなしニ、Sけん 00033240L11じゆつハ、/一眼(いちけん)二さそくと云て、さそくがかんじんじや。 00033250L12あるけんじゆつしやの所へ/商(あきな)ひにゆくと、/先生(せんせい)、おれの/太= 00033260L13刀(た=ち)すじを心ミんと、やりを持て、おれのきうしよをねろう 00033270L14てきた。そこがさそくじやな。持ていた/商売(しやうばい)物で、ちやツ 00033280L15と受ると、其まゝやりをすてゝかんしんしやした△Sハテ、 00033290L16それハどういふもので△Sサレバ、物ハりづめじや。やり 00033300L17できんをねらふたゆへ、ふであいまをしたのじや(八ウ下) 00033310¥N19¥J 00033320¥Xけうがる僧 00033330L20よねんなく/碁(ご)を/打(うつ)を、/田舎(いなか)の/出家(しゆつけ)/見物(けんぶつ)してゐたりしか、/碁(ご) 00033340M1のことバに、あるひハ/目(め)をつぶさうの、うつて/取(とら)ふの、ま 00033350M2たハはねかけふの、ころそうのといひけれバ、かの出家、 00033360M3ごハしらねとも、なんぞあいそをいひたくおもひ、とかく 00033370M4/碁(ご)ハあらひことバさへいへバよいと/思(おも)ふうち又、Sこゝを 00033380M5きりませふといふとき、かの出家、Sマアまたしやれ。/切(きら) 00033390M6うより、その/石目(いしめ)をふミたほさつしやれ(9オ下) 00033400¥N20¥J 00033410¥X/口(くち)の/広(ひろ)き/秀句詰(しうくつめ) 00033420M9江戸下谷/辺(へん)ニ/筍斎(しゆんさい)と言/医師(いし)ありしが、薬ののミ/手(て)ハなし。 00033430M10/俳諧(はいかい)などして、/秀句(しうく)かる口の上/手(ず)なりしが、あるおどけも 00033440M11の、/筍斎(しゆんさい)をとうわくさせんと、/作病(さくびやう)をこしらへ、/万(よろづ)/秀句(しうく) 00033450M12にして、Sわたくしハ、うんすん/町(てう)から/参(まい)りましたといわ 00033460M13せも(9ウ上)はてず、筍斎Sさてハ目ひとつかんたの人か 00033470M14Sへイ。お薬を申うけたい○わたくし/持病(じびやう)に、むかしの/掟(おきて) 00033480M15がござる△Sせんきがあるじやな△Sふとんまくらをわづ 00033490M16らひ升△Sハア、よこねがでたか△S/筏(いかだ)をよほどのミまし 00033500M17た△Sイヤ、くだしバかりでハなをるまい△Sイヤ、あき 00033510M18かぜでござり升△Sふきでるものじや△S此ごろハぬまづ 00033520M19とよし原の間が/不用心(ふようじん)でこざる△Sはらこゝろがわるいか 00033530M20Sやゝもすれバ、さるに/木(こ)の/実(ミ)をミせたやうにござる 00033540¥P117 00033550¥G(9ウ・10オ) 00033560M1Sいかにも。とき※きあがりのするものじや△Sこのご 00033570M2ろハ/系図(けいづ)をかんがへます△Sハア、すぢが引つるかと、一 00033580M3+/当話(とうわ)しけれバ、Sさて+、へたのかハの/名人(めいじん)かな。 00033590M4わたくしのハ、ミなうそのかハでござるといふてにげた 00033600M5(10オ上) 00033610¥N21¥J 00033620¥X/持丸(もちまる)の/戎(ゑひす)まいり 00033630M8大がねもちの善右衛門、戎の/宮(ミや)へさんけいして、/福(ふく)とくを 00033640M9いのりけれバ、/社段(しやだん)の内より、わらひごへにて、S善右衛 00033650M10門、じやら+とおだてな+ 00033660¥N22¥J 00033670¥X/手(て)ならひかゞミ 00033680M13てら子や/師匠(しせう)、だん+内のくめんあしくなり、もはや/手(て) 00033690M14と/身(ミ)とになりけれバ、日ごろ大/切(せつ)にする天神様の木ぞうを 00033700M15取いだし、もはや今日かぎりに候へば、しばらく/質屋(しちや)のく 00033710M16らへおもむかせたまへかしと、なミだながらに申シあげけ 00033720M17れバ、(9ウ下)/天(てん)じんうなづき玉ひ、いかにも/質屋(しちや)におも 00033730M18むくべし。さりながら、かならずながしてたもんな 00033740¥P118 00033750¥G(10ウ・11オ) 00033760¥N23¥J 00033770¥Xしすまし/面(めん) 00033780M3Sけふのお/客(きやく)ハ、そうめんがすきじやよつて、/地素麺(ぢそうめん)をか 00033790M4ふてこい△Sかしこまりましたととんでゆき、やゝあつて 00033800M5もとり、Sモシ/旦那(だんな)さん。/地蔵(ちざう)めんがございませんゆへ、 00033810M6/般若面(はんにやめん)をかふてきました(10オ下) 00033820¥N24¥J 00033830¥X/言葉(ことば)に/咲(さく)/黄金(こがね)の/花(はな) 00033840M9/鵬(ほう)といふ/鳥(とり)、/摶(はうつ)ときハ其/翅(つばさ)九万里ありとかや、/荘子(そうし)が筆 00033850M10にしるしたれど、/昔(むかし)からミたといふ/いふ((衍))ものなし。江戸ツ 00033860M11子のぽん+いふ男、はじめて上方へのぼり、銭をかへんと、 00033870M12ある両がへやにいたる。/折(をり)しも門を、/鯛(たい)はもなどゝよびて 00033880M13/魚(うを)うり/通(とほ)りけれバ、Sなんと御ていしゆ。こゝでハ(10ウ 00033890M14上)どのくらゐなを大きい/鯛(たい)といひ升な△Sされバ大きい 00033900M15と申せバ、壱尺七八寸ないし三尺£大きいハございません 00033910M16Sおまへハ江戸を見なさつたか△Sイヤ、まだミませぬ 00033920M17Sイヤ、江戸をミせたい。江戸で大きい/鯛(たい)といふと一丈 00033930M18四五尺、ちいさいといふても六七尺、今/売(うつ)てとほつたやう 00033940M19な弐尺ばかりのハ、/雑喉(ざこ)のうちにいくらもある。ていしゆ 00033950M20はらをかゝへ、Sめづらしい鯛かな。お江戸ハ/万事(ばんじ)おほき 00033960¥P119 00033970L1いと申すが、いちどハ下りましたいといへバ、いよ+/図(づ) 00033980L2にのり、てんびんの上のふんどう/の((をカ))とり、Sこれハ(11オ 00033990L3上)/Sこれハ((衍字))こゝもとでハいかほどつかふな。/両(りやう)がへやも 00034000L4まけん/気(き)で、Sふんどうをごろうじませ。弐十両とほりつ 00034010L5けてごさります。S江戸でなら弐百目サ 00034020¥N25¥J 00034030¥X/鬼(おに)に/似(に)たハ/鬼子母神(きしぼじん)の/利生(りしやう) 00034040L8/鬼子母神(きしぼしん)へ参り、何とぞわたくしへ、/金銀(きん※)を御さづけ下さ 00034050L9れと、一/心(しん)にいのりけるに、ふしぎや右に金ンの/角(つの)、左リ 00034060L10へ銀の角はへければ、こハありがたし。此銀の方一本にて 00034070L11も、よほどの/金目(かねめ)とよろこび、とらんとすれども中&とれ 00034080L12ず。こりやこのまゝにおいてハ/宝(たから)のもち(10ウ下)ぐさりと、 00034090L13早そくきしぼ神へ/参詣(さんけい)し、/何(なに)とぞ此きん※の内、どちら 00034100L14にてもとれますやうにとねんず。ときに/内陣(ないじん)のとびら、さ 00034110L15つとひらけ、/神躰(しんたい)を/現(げん)じたまひ、さも/尊(こう)&しき御こへにて、 00034120L16Sその/金銀(きん※)がとりたくバ、はなの下へ/桂馬(けいま)をうちやれ(11 00034130L17オ下) 00034140¥N26¥J 00034150¥X/武蔵坊(むさしぼう)のつかミ/料理(れうり) 00034160L20九郎/冠者(くわんじや)源よしつね公ハ、一の谷ひよどりこへを/攻(せめ)おと 00034170M1さんと、/主従(しゆ※)七十余人、ミねをつたひ谷をわたり、からう 00034180M2じて一の谷のうしろの方へ廻り出、/間道(かんどう)をさがし/求(もとめ)てすゝ 00034190M3ミ給ふ。此とき/郎等(らうどう)ハ/皆(ミな)おくればせニなり、おそバにハむ 00034200M4さしぼう/弁慶(べんけい)一人ぞ/引(ひつ)そひける。よし経公ハ/息(いき)をもつがず 00034210M5すゝミしかバ、のどかわきてたへかたく、Sイカニべんけ 00034220M6い。水にても一ツ得させよ。のんと/甚(はな□)だかハきたりとの給 00034230M7へバ、へんけい心得、あちこちと水をもとめけれども、/清= 00034240M8水(し=ミづ)とても(11ウ上)なし。いかゞハせんと見合すに、一つの 00034250M9大こん/畠(ばたけ)を見/見((衍))出しけり。これ、くつけうと一本をひきぬき、 00034260M10此まゝにてハよも上らし。わさひおろしのようゐハなし。 00034270M11べんけい、さそくを出し、大口あいて、だいこんをさく 00034280M12+とかミくだき、扇の上へさつとふきだし、/義経(よしつね)の御前 00034290M13へさし出シ、/是(これ)にて/咽(のんど)をうるほし給へ。Sよし経ハかほを 00034300M14しかめ給へと、たへがたきまゝ、それをくひつゝ、S弁け 00034310M15い。こうもあらふか。弁けいがさそくのれうりむさし坊 00034320M16弁けい、とりあへずSそれをしりつゝくろう/判官(ほうぐわん)(12オ上) 00034330¥N27¥J 00034340¥X/散財(さんざい)の四段目 00034350M19三木やといふのミやの二かいにて、/客(きやく)Sかまくら山の/八重(やへ) 00034360M20/九重(こゝのへ)、いろ+さかなとりよせて、見やるとほりのはらご 00034370¥P120 00034380¥G(11ウ・12オ) 00034390M1しらへ△三木やSモシ、口合所じやござりません。モウ四 00034400M2ツ過で、ミせもしまい升。どうぞ/勘定(かんでう)なされて、おかへり 00034410M3下されまし△客Sイヤ、さつき/一所(いつしよ)に来た永楽やの助七ハ、 00034420M4そちハしつてゐるじやあろ。あの男がたてるといふてきた 00034430M5よつて、助がくるまでまつてくれ。きたうへではらハねバ、 00034440M6おれが/地(ぢ)ばらをきるハさ△Sそれハめいわくなと、つぶ 00034450M7(11ウ下)やきながら/下(した)へおりる。ほどなく助きたり、下に 00034460M8てなにやらごて+いふてゐるゆへ、やうすをきかんと、 00034470M9客S三木や+△Sハツ△客Sゑらの助ハ△Sハツ。○ア 00034480M10ヽいまだ/勘定(かんでう)仕りませぬ 00034490¥N28¥J 00034500¥X/破(やぶ)れぬ/白衣(はくえ)ハ/法(のり)のとく 00034510M13/何宗(なにしう)かしらず/僧(そう)二人、Sなんと、/一向宗(いつかうしう)ハ同じ/坊主(ぼうず)でも/肉= 00034520M14食(にく=じき)をするに、/愚僧(ぐさう)いまだ/魚(さかな)の/味(あぢ)をしらず。一/度(ど)ハくひたき 00034530M15ものと、きつと/思案(しあん)を出し、れうりやへは入、/愚僧(ぐそう)ハ一向 00034540M16宗じやが、なになりとも、むまい物を出すべしと申つける。 00034550M17てい主Sハイ+、かしこまりましたと、だん+/肴(さかな)を出 00034560M18すニ、ミな/精進(せうじん)ものなれバ、/僧(そう)、てい/主(しゆ)をよび、僧Sこの 00034570M19方、一向宗といふたが、/聞(きゝ)ちがへたのか△てい主Sハイ。 00034580M20けふハ二十八日(12オ下) 00034590¥P121 00034600¥G(12ウ) 00034610¥N29¥J 00034620¥X/天狗(てんぐ)の/羽衣(はごろも) 00034630L14/遠国(をんごく)もの、京ほり川の/古(ふる)道具に、/冠(かんむり)のうしろに、ひらりと 00034640L15したる/嬰(えい)といふものばかりあるを見て、Sさても/都(ミやこ)ほどあ 00034650L16る。天人の羽衣のきれそうな△つれの男Sイヤ+、これ 00034660L17ハ天/狗(ぐ)のはねであらふと、両人せんさくしながら、/内裏(だいり)さ 00034670L18まをおがまんとゆきしに、/参内(さんだい)の/公家衆(くげしゆ)、こしよりおりら 00034680L19るゝを見て、かのせんさくする嬰、おなじことなれバ、ひ 00034690L20そかにともの者に、S今あのこしの内からでられたハ、な 00034700M1んと申シます△供先Sわしの/尾(を)どのとこたへけれバ、/遠国(をんごく) 00034710M2もの、手をうつて、しらぬ事ハとふたがよひ。天/狗(ぐ)のはね 00034720M3でも天人の/羽(は)ごろもでもない。わしの尾といふものであつ 00034730M4たといへバ、ひとりのつれが、Sおらゝも、とびの尾とま 00034740M5でハ/気(き)がついた 00034750M6△△△△△△△△△△△△△△△蓬莱文暁聞書△G 00034760M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(12ウ下) 00034770¥Q 00034780M12錦画類@大形小形|極上摺£|並ニ至迄|△いろ+@△絵本類@中本小本△|粉色入上物|墨摺並物等|△いろ+@ 00034790M14歌本@江戸歌はうた△△△△|新内さいもんよしこの|火都画ぶしえ類△△△|当時はやり歌いろ+@△一枚摺@諸国絵図△|△△番附類|当時新板△|△△いろ+@ 00034800M16右之外折手本状袋のし紙千代紙いろ+ 00034810M17仕入御座候尤代呂物吟味仕リ直段精之相はたらき 00034820M18奉差上候間多少ニかぎらず御注文之程伏而奉希上候 00034830M19万本類△大阪天満天神鳥居ノ内 00034840M20@絵草紙|颪小売@△△△大和屋清兵衛 00034850¥P122 00034860¥U噺本大系△第十六巻 00034870¥T/落噺千里薮(おとしばなしせんりのやぶ)△〔内題〕 00034880¥G 00034890¥Y 00034900L15天保十二年・月亭生瀬序 00034910L16弘化三年・楠里亭其楽序 00034920L17花枝房円馬作 00034930L18歌川貞升画 00034940L19大坂△播磨屋新兵衛板 00034950L20半紙本五巻五冊 00034960¥Y 00034970M2立川円馬作 00034980M5/絵本千里薮(ゑほんせんりのやぶ) 00034990M7△△△全部五冊 00035000M9△△△△文宝堂梓 00035010M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(見返扉) 00035020¥Y序 00035030M13/物(もの)に/名(な)あれバ/由来(ゆらい)あり。むかし+あつたとさ、/爺(ぢゝい)は/山(やま)へ 00035040M14/柴(しば)かりに、/姥(ばゝ)ハ/川(かハ)へ/洗濯(せんだく)と、/両老(ふたりのおひ)に/歯(は)がなけれバ、/是(これ)をは 00035050M15なしの/始(はじめ)ときゝしに、/或日(あるひ)/書肆(しよし)、/東都(とうど)/円馬大人(ゑんばたいじん)/著述(ちよじゆつ)の/落(おとし)ば 00035060M16なしを/携来(たづさへきた)り、/予(よ)に/序語(じよご)をもとむ。はなしは/花(はな)の/枝(えだ)なり 00035070M17とて、/自(ミづから)/花枝房(はなしばう)と/称号(なのり)、はなしを/見台(けんだい)の/上(うへ)に/催(もよほ)し、/笑(わら)ひ 00035080M18を(ロノ一オ)/千里(せんり)の/外(ほか)に/響(ひゞか)す。/貝(かひ)/鉦(がね)/太鼓(たいこ)よぶ/子(こ)の/笛(ふへ)、なり/物(もの) 00035090M19ばなしの/大将(たいしやう)なるぞ。/鎧(よろひ)のはら/帯(おび)/兜(かぶと)の/緒(を)をしめ、/臍(へそ)の/宿(やど)が 00035100M20へ、/頤(おとがひ)のはづれぬ/用心(ようじん)なしたまへと、/此書(このしよ)を/閲(けミ)する/諸君子(しよくんし) 00035110¥P123 00035120¥G(ロ二ウ・ロ三オ) 00035130M1へ/群令(ぐんれい)を/告(つぐ)ること、/仍(よつ)而/如件(くだんのごとし) 00035140M2△△△丙午の△△△△△△△浪華江南市隠 00035150M3△△△△△はる日△△△△△△△△△楠里亭其楽 00035160M4△△△△△△△△△△△△△△GG 00035170M6△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(ロノ一ウ) 00035180¥Y惣目録 00035190M8巻之一△@たから舟|名高き橋@△△△△巻之二△@辻うらよし△|いすかのはし|ね耳の水△△|的はつれ△△@ 00035200M12巻之三△@好の道筋△△|下くゝる水△|理の当然△△|切株の芽出し@△@雪の鷺△△△蛇ハ一寸|鎌倉海道△△粟津原|薫る二葉△△秋津洲|蔭裏の花△△乳母懐@ 00035210M17巻之四△@夢物語り△△|虎の子渡し△|出雲帳はづれ|法の一心△△|冨士浅間△△|葉狩りの松△@△巻之五△@恋の思ひ|山道講釈@ 00035220¥P124 00035230¥G(ロ三ウ・ロ四オ) 00035240¥Yはなし/角力(すもふ)/故実(こじつ) 00035250M3/東西(とうざい)+、たハら/一面(いちめん)しばらくおしづまり/下(くだ)さり升ふ。す 00035260M4べらぎの/御代(ミよ)/豊(ゆたか)ニ、/万民(ばんミん)/喜悦(きえつ)の/眉(まゆ)ひらく/折(をり)から、はなし 00035270M5/角力(すもふ)/興行(こうきやう)仕候処、/賑&(にぎ+)しく/御入来(ごじゆらい)被下、/有(あり)がたき/仕合(しあハせ)に 00035280M6/奉存(ぞんじたてまつり)ます。/随而(したがつて)はなし角力の/故実(こじつ)といつぱ、S東西 00035290M7+、/則(すなハち)/噺(はなし)といふ/文字(もし)ハ、/口片(くちへん)に/新(あたら)しきをよしとす。ま 00035300M8つた、/口(くち)へんをこうとよミ、あたらしきの/文字(もじ)を/新(しん)とよミ、 00035310M9/是(これ)/則(すなハ)ち/噺(はなし)ハこうしんの/夜(よ)とハ此いはれ也。まつた、/咄(はなし)の字 00035320M10を三字にかけバ、はの/字(じ)ハ八の字にて、/角力(すもふ)の八十八/手(て)を 00035330M11(ロノ五ウ)ひやうす。なの/字(じ)ハ七ツの/数(かす)にて、七の/字(じ)を/用(もち)ゆ 00035340M12る。/是(これ)/則(すなハ)ち、七/福神(ふくじん)に/表(ひやう)し、/只(たゞ)にこ+と/笑(わら)ふことを/司(つかさ)と 00035350M13る也。まつた、しの/字(じ)ハ四ツの/数(かず)にて、/持国(じこく)・/増長(さうてう)・/広目(くわうもく) 00035360M14多/門(もん)の/四天王(してんわう)をひやうすなり。はなしとハ八七四と/書(か)く 00035370M15をもつて、/唐土(もろこし)にてハはなしを八七四と申す也。/則(すなハち)、ハマ 00035380M16チヱスウを/書(かき)とめたる/本(ほん)をのせるゆへに、まへなる/台(だい)をバ 00035390M17けんたいとハ申也。はなし/角力(すもふ)の/故実(こしつ)、あまたござり升れ 00035400M18と、いかゞしたやら、/故実(こじつ)に/毛(け)がはへて、ミな/故実毛(こじつけ)でご 00035410M19ざり升れバ、/略(りやく)仕りまして、/追&(おひ+)/新手(あらて)を/組合(くミあハ)せます(ロノ 00035420M20六オ) 00035430¥P125 00035440¥G(ロ四ウ)・ロ五オ) 00035450¥Y凡例 00035460M3△△△/噺(はなし)のはなし 00035470M5/落(おと)し/咄(はなし)のはじまりハ、/詳(つまびら)かならずといへども、/東都(ゑと)の/本(ほん)に、 00035480M6/天正(てんしやう)/元和(げんわ)の/頃(ころ)に、/安楽庵(あんらくあん)/策伝(さくでん)といふて/咄(はなし)の/上手(じやうず)、/茶(ちや)の/妙手(めうしゆ) 00035490M7あるといへり。/是(これ)/其頃(そのころ)大坂の/曽呂利(そろり)/新左衛門(しんざゑもん)の/類(たぐ)ひにて、 00035500M8おとし/咄(ばなし)の/作者(さくしや)にして、/誹諧(はいかゐ)の/芭蕉翁(ばせうおう)、/其角(きかく)のるいにして、 00035510M9/風流(ふうりう)の/翫(もてあそ)びなり。是より百/余年(よねん)を/経(へ)て、/元禄(げんろく)の/頃(ころ)、/鹿野(しかの)/武= 00035520M10左衛門(ぶ=ざゑもん)、/仕形(しかた)咄をはじめるといへり。/浪花(なにハ)にてハ/漸(やう+)/延享(えんけう) 00035530M11の/頃(ころ)、仕かた(ロノ七オ)はなしある中にも、/大万(だいまん)といへる人 00035540M12/名高(なだか)し。/噺家(はなしか)ハ/寛政(くわんせい)の頃、/松田(まつだ)弥助・/桂(かつら)文治に/始(はじま)る。/文化(ぶんくわ) 00035550M13二三年の頃、/鳴物道具(なりものだうぐ)入の/始(はしま)るハ、/是(これ)/渡世(とせい)になるべきやう 00035560M14の/工風(くふう)仕たるもの也。/流行(りうこう)の/素人咄(しろふとばなし)ハ、江戸の/安楽庵(あんらくあん)。/浪= 00035570M15花(なに=は)の/曽呂利(そろり)の/流(なが)れにて、/風流(ふうりう)のたのしミ/先生家(せんせいか)のなす所の 00035580M16/業(わざ)なれバ、/鳴(なり)ものを/加(くわ)へず、/素(す)ばなしにていたし/度(たき)ものな 00035590M17り。/然(しか)しながら、/当時(とうじ)の/流行(りうこう)ハ/鳴(なり)もの入なれバ、/衆人(しゆじん)これ 00035600M18を/専(もつぱ)らとす。されど/噺(はなし)の/筋(すじ)ハ/通(とほ)したきもの也。おとし/咄(ばなし)ハ 00035610M19/啌(うそ)のかたまりといへど、/筋通(すじとほ)らざるハ/聞(きゝ)くるしき(ロノ七ウ) 00035620M20ゆへに、/初代文治時代(しよだいぶんぢじだい)に、/去咄師(さるはなしし)のいへる/文句(もんく)に、S長吉 00035630¥P126 00035640¥G(口六ウ) 00035650L12よ。われハ/雪隠(せつゐん)へ/這(は)入と/小便(せうべん)でせんち/虫(むし)をおとしてゐるが、 00035660L13/此(この)/日(ひ)のミじかいに、ならずめがと」いひしを、文治/聞(きひ)て曰、 00035670L14日のミじかい/時分(じぶん)にハ、/雪隠(せつゐん)虫ハなしと/笑(わら)ふたり。はなし 00035680L15ハ此やうなる/所(ところ)へ/気(き)を/付(つく)べし。又文治を/行司(ぎやうじ)といたし、/角= 00035690L16力噺(すも=ふばなし)といふを/始(はじむ)る。/咄角力(はなしずもふ)などにハ、/別(べつ)してかやうなるに 00035700L17心をつくべし。/亦(また)角力噺に/禁言(きんげん)あり。/尽(つく)し物とまへ/口上(こうしやう)な 00035710L18り。/前(まへ)口上ハ/噺家(はなしか)の/用(もち)ゆるものなれバ也。/角力(すもふ)咄ハ/風流(ふうりう)の 00035720L19もてあそびゆへ、/前(まへ)口上を/禁言(きんげん)にせしハ、/遉(さすが)の(口ノ八オ) 00035730L20文治なりといひしとかや。今/滑稽(こつけい)のおとし/咄(はなし)に心を/寄(よ)せた 00035740M1まふ/諸君(しよくん)へ、是をさゝげんとかいへり 00035750M3△△天保十二辛丑はつ春 00035760M4△△△△△△△△△△△△△月亭生瀬謹識 00035770M5△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(口ノ八ウ) 00035780¥P127 00035790¥T1/落噺千里薮(おとしばなしせんりのやぶ)巻之壱 00035800¥A浪華△△△@花枝房円馬作|月亭生瀬校@ 00035810¥N1¥J 00035820¥X/宝船(たからぶね) 00035830L7/大黒天(だいこくでん)ハ/大己貴(おほあなむち)の/命(ミこと)と申て、/素盞雄命(そさのをのミこと)/第(だい)一の御子にて、 00035840L8/一名(いちめう)を/大国主命(おほくにぬしのミこと)と申奉る。/比叡山(ひえいざん)の/伝教大師(でんげうだいし)の/最澄(さいてう)とい 00035850L9ひしとき、/此(この)御/神(かミ)をいのりけれバ、かの/僧(そう)の内にある/俵(たハら)の 00035860L10上に/出現(しゆつげん)まします。是より御/姿(すがた)を/画(ゑ)にかゝせ、/大黒天(だい□くてん)と/崇(あが) 00035870L11め奉り、/則(すなハ)ち/叡(えい)(一オ)/山(さん)の/鎮守(ちんじゆ)/山王権現(さんわうごんげん)是なり。かの/大黒= 00035880L12様(だいこく=さま)、くらまの/毘沙門(びしやもん)さまの/方(かた)へゆきて、大Sなんと、びし 00035890L13やもんさま。/此頃(このごろ)ハよい/日和(ひより)でハないか△毘Sそうとも 00035900L14+。/時分(じぶん)ハよし△大Sイヤモウ此せつの/世間(せけん)のにぎハひ。 00035910L15チトとまりがけに、どこぞへいたらよいナア△毘Sどこと 00035920L16いふたら、/大坂(おほさか)じや△大Sナント大坂へゆくなら、/仲間(なかま)う 00035930L17ち/皆(ミな)つれて/行(ゆか)ふ△毘Sそれもよからふ。/寿老(じゆらう)もよびにやる、 00035940L18/外宝(げほう)も/呼(よび)にやり、/伏見(ふしミ)の/中(ちう)でうじまの/弁天(べんてん)ハ、アリヤ/出好(でずき) 00035950L19じやよつて、/何時(なんどき)でも/行(ゆく)といふ△大Sしかし、/女子(をなご)といふ 00035960L20ものハ、/漿(かね)が/付(つけ)てないの、(一ウ)/髪(かミ)が/結(ゆハ)ずにあるのといふ 00035970M1ものじやによつて、/先(さき)へさそひに/遣(やつ)ておこふ。其/使(つかひ)にハお 00035980M2まへの所の/百足(むかで)をかしておくれ。/敵(てき)なれバ/足(あし)が/多(おほ)ひよつて、 00035990M3/使(つかひ)ハはやかろと/一筆(ひとふで)かひて/遣(や)り、毘Sそんなら是から/宮川(ミやがハ) 00036000M4丁の/戎(ゑびす)を/誘(さそふ)て、それから/黄(わう)ばくの/布袋(ほてい)をさそふて、/中(ちう)でう 00036010M5じまへさして/行(い)たらよいと、/段&(だん+)さそひ合して、/中正(ちうじやう)じま 00036020M6へいた所が、よふ+/髪(かミ)を/結(ゆふ)て/仕(し)まひ、/身(ミ)じまひしてゐる 00036030M7所へ、布Sヱヽ、まだミじまいか。たいがいにして/置(おく)がよ 00036040M8い。/出(で)ると/直(ぢき)に/船(ふね)にのるのじやと/待(まち)合す/内(うち)に、三十/石(こく)屋へ 00036050M9/遣(つかハ)しめの/鼠(ねづミ)を(二オ)はしらせ、/船(ふね)一そうかりきり、/宝(たから)の/数= 00036060M10&(かす=※)をつかハしめどもに/運(はこ)ばせ、/下(くだ)りなれども/船(ふね)に/帆(ほ)をかけ 00036070M11させ、/早速(さつそく)のたから/船(ぶね)となりけれバ、/空(そら)にハ/鶴(つる)がまひ、/河(かハ) 00036080M12の/中(なか)よりハ/亀(かめ)がうきける。/其内(そのうち)/身(ミ)じまひも/出来(でき)上り、ミな 00036090M13+ふねへ/乗(の)り/艪綱(ろづな)をときけれバ、S舟うたはやしコイ合 00036100M14げほうSナント、のどかでよいのう△戎S早いものじや。 00036110M15あれハ/八幡(やはた)山。ノウ大黒どの。/八幡(はちまん)どのハたつしやなカノ 00036120M16大Sずいぶん/達者(たつしや)ナ。おりや/鳩(はと)の/月(つき)あふた△弁S又大黒さ 00036130M17んが/口(くち)あひかいナアト、たん+と/枚方(ひらかた)まで下ると、くら 00036140M18わんか/船(ぶね)(二ウ)が/来(き)て、くSサアくらハんか。/汁(しる)ハどふじ 00036150M19や。/酒(さけ)/呑(のま)ぬかといふてゐる/所(ところ)へ、/布袋(ほてい)さんが/居(ゐ)ねぶつてい 00036160M20たら、くらわんかゞ、/隠居(いんきよ)。おきんかいの。○哥/雁(かり)とつば 00036170¥P128 00036180¥G(三ウ・四オ) 00036190M1めハどちらがかわいゝ△やゝをそだつる/燕(つばめ)がかわい。合/花(はな) 00036200M2を見すつるかりがねならバ△/文(ふミ)のたよりを又たのむ△そう 00036210M3かいな△ヱヽそふじやいナト、/手(て)おどりして大わらひする 00036220M4ゆへ、外Sヲイ+/布袋(ほてい)どの+。/目(め)をさますとおもしろ 00036230M5そうにおどつて、あとが大わらひ。/何(なに)がおかしうて/笑(わら)ふの 00036240M6じや△布Sイヤ、何もおかしいことハないけれど、/甘(あま)から 00036250M7やによふ/似(に)たこゑで(三オ)(三ウ・四オ挿絵)おこしたよつて、 00036260M8/難波新地(なんばしんち)かとおもふた△Sハヽヽハヽヽヽト、ミな+/笑(わら) 00036270M9ふ。弁Sコレ+/布袋(ほてい)さん。今おこしたは、くらわんかじ 00036280M10やわいナア△布Sヱヽ、いろ+なものに/目(め)を/覚(さまさ)れた。コ 00036290M11リヤくらわんか。くらふて/遣(やら)ふが、/腹(はら)に一ぱいだけ/代呂(しろ)も 00036300M12のがあるか△くSマア/一寸(ちよつと)ミせなされ布Sサア見おれ。 00036310M13こんなはらじや△くSヲヽゑらい/腹(はら)じや。コリヤモウひら 00036320M14かた/中(ぢう)のくらハんかゞよつても、あの/腹(はら)に一ぱいの/代呂物(しろもの) 00036330M15ハないわへ。時に/隠居(いんきよ)。おまへのおなかへ、/酒(さけ)がなんぼほ 00036340M16どは入ます△布S酒ハ/立(たつ)てゐるわい△くS酒屋の/壷(つぼ)のはた 00036350M17に(四ウ)/立(たつ)てゐるのかへ△Sイヤ+、/酒(さか)やのつぼのはた 00036360M18でハない。/備前徳利(びぜんとくり)のへつこんだ所に/立(たつ)てゐる人じや。あ 00036370M19んな人ニ/商内(あきない)せうと/思(おも)ふたら、/造(つく)り酒やが弐三げん、/尻(しり)お 00036380M20してくれにや/商(あきな)ひハできぬ。サア+いの+と、くらハ 00036390¥P129 00036400L1んか/船(ぶね)ハいんで/仕(し)まふト、/戎(ゑびす)さんが、ヱヽ、もちつと/酒(さけ)も 00036410L2/餅(もち)もして/遣(やら)ふと思ふていたのに、/迯(にげ)ていにおつた。寿Sど 00036420L3ふじや、くらわんかの/物(もの)ハうまいかの△戎Sイヤモ、かび 00036430L4くさいお/神酒(ミき)や、あんのついてないおかゞミからミると 00036440L5うまひ△寿S其/味(うま)いついでに、おまへがむまいこと/舞(まふ)げな 00036450L6が、/其(その)(五オ)/舞(まい)がミたいナア+△戎Sヲヽ見せう+。 00036460L7/一寸(ちよつと)三/社(じや)かほ/見世(ミせ)、三じやのかハりに/金(かね)もちさんじや。 00036470L8サア+はやせ+。○ハヤシ三社Sそう+/御舟(ミふね)を/清(きよ)め 00036480L9+△合くらの/戸(と)おし/明(あけ)ミれば/金(かね)の山、/弐朱(にしゆ)でも/何(なん)でもそ 00036490L10れふへて、/是(これ)すミ※にふへる/金(かね)の、あまつてこへ上るた 00036500L11いそな/小玉(こだま)△合かしハ/借(かし)でもそれハ/取立(とりたて)ぬ。とん+どゑ 00036510L12らい/分限(ぶんげん)しやじや。/長銀(てうぎん)をそろへて、チヤンチキ++ 00036520L13+、チヤンチキ++。おもしろやおもしろや、/表広(おもてひろ) 00036530L14やの/金持(かねもち)ハヱロ、/小判(こばん)あるや+、いのれバ/福(ふく)をあたよよ 00036540L15ろづ/世(よ)の中さかえ+はん(五ウ)/昌(じやう)じや+。はんなやか 00036550L16な/内(うち)ぞゆたかに、/金(かね)かさなりていかひ/納(おさめ)た△Sヨウ+ 00036560L17++△大Sなんと/住(すミ)のハ/三社(さんしや)、/住(すミ)よしハ/四社(ししや)△S四し 00036570L18やの/社(やしろ)に/栄(さか)へ+し/松葉紙(まつばがミ)△Sそこへ/我等(われら)ハ/福(ふく)の/神(かミ)、ふく 00036580L19かミといへバ/小杉(こすぎ)が/延(のべ)がミ△S又/紙(かミ)づくしでしやれるのか。 00036590L20さしづめ/我等(われら)ハ/戎(ゑびす)がミ△大Sわれらハ/大黒(だいこく)ゆへ、/俵(たハら)の上へ 00036600M1すつくりとたとふがミ△毘S此/毘沙門(びしやもん)ハくらまの山の/天狗(てんぐ) 00036610M2ぜう△布S/布袋(ほてい)のお/腹(なか)ハ大すぎハら△弁S此/弁財天(べざいてん)ハ/巳(ミ)の 00036620M3日/神(かミ)ゆへミの/帋(がミ)+△外S又此/外宝(げほう)もあたまハたけ/長(なが)がミ 00036630M4寿Sまた此/寿老(じゆらう)ハ/酒(さけ)を/呑(のん)でくだ(六オ)を/巻(まき)がミ+。/吉兆(きつてう) 00036640M5になる。○/我(わが)/日(ひ)の/本(もと)ハ/紙(かミ)の/国(くに)○/命(いのち)も/延(のべ)や/小杉(こすぎ)がミ○コリヤ 00036650M6どこやらを/福(ふく)のかミ○/壱歩(いちぶ)/小判(こばん)し大/判(ばん)し○/紙屋(かミや)の/軒(のき)の/笹事(さゝごと) 00036660M7に○くだ/巻(まき)がミやうだ+と○/年(とし)も二八でかわいらし○モ 00036670M8ウ/間(ま)に/合(あひ)の/娘子(むすめご)が○/一筆(ひとふで)しめす//画半切(ゑはんぎり)○ミれバうつくし/紋(もん) 00036680M9ミのや○大すき+やすきかへし○しのび+て大/鷹(たか)と、 00036690M10/陽気(やうき)なことのミなと/紙(かミ)○/奉書(ほうしよ)なら/宵(よひ)の/口(くち)じや+++。 00036700M11Sいろ+/晒落(しやれ)るうちに、大坂八けんやへ/船(ふね)が/着(つき)けれバ、 00036710M12/大黒天(だいこくでん)か、サア+大坂へ/着(き)た。(六ウ)/是(これ)から/行道(ゆくミち)のりハ 00036720M13コウじや。/松(まつ)ハ/千年(ちとせ)のものなれバ、/松屋町筋(まつやまちすじ)を/南(ミなミ)へ/行(ゆき)、/玉(たま) 00036730M14ハ/宝(たから)なれバ/生玉(いくだま)へ/行(い)て、玉屋の/蕎麦(そば)をくて、/鍵(かき)も/宝(たから)なれバ、 00036740M15かぎやでうどん/喰(く)て、/福屋(ふくや)でどつとさんざいするハ。/夫(それ)か 00036750M16ら/長町(ながまち)へ/出(で)て、/毘沙門(びしやもん)さまの/仲間内(なかまうち)の長町の/毘沙門(びしやもん)で/今夜(こんや) 00036760M17ハ/泊(とま)りで、/明日(あす)ハ/新町(しんまち)へ/行(い)て、/吉田(よしだ)ハ/神(かミ)のよる所なれバ吉 00036770M18田屋で/遊(あそ)んて、/扇(あふぎ)ハ/末広(すへひろ)、/槌(つち)ハ/宝(たから)なれバ扇屋・つちやの/太= 00036780M19夫(た=ゆふ)をよんで、マア+/今夜(こんや)ハ長町の/毘沙(ひしや)もんで/泊(とま)ろと、た 00036790M20ん+/道筋(ミちすち)を/行(ゆき)よる所へもよりして(七オ)/長町(ながまち)へ/泊(とま)りしが、 00036800¥P130 00036810L1/戎(ゑびす)が、アヽくたびれた。あんまを/呼(よん)でくだされト、/按摩(あんま)を 00036820L2よんで/貰(もらふ)て、もまして/居(ゐ)られたが、なに/思(おも)ひけん、/戎様(えびすさま)が 00036830L3大/声(ごへ)にて、/毘沙門(びしやもん)+。こゝは長町かナ。毘S戎どの。長 00036840L4町のびしや/門(もん)の/内(うち)じやがの△戎Sイヤ+、此/様(やう)に/背中(せなか)た 00036850L5ゝくあんばいでハ、/今宮(いまミや)じやないか 00036860¥N2¥J 00036870¥X/名高(なだか)き/橋(はし) 00036880L8なんと/源兵衛(げんべい)さま。つきもないことじやが、/町&(てう+)にも/名(な)が 00036890L9あり、/橋&(はし※)にも/名(な)があるが、アリヤどういふ/所(ところ)から、つけ 00036900L10升のじや。源Sソリヤ/喜兵衛(きへい)さん。/何(なん)でもない事を/付(□け)るの 00036910L11(七ウ)じやわいな△喜Sアノ/天満(てんま)ばしハ、/何(なに)をかた/取(どつ)て/付(つけ) 00036920L12ましたへ。あれが天満のまん/中(なか)にある/橋(はし)なら、天満ばしと 00036930L13いひそふナもの。なるほど/北(きた)ハ天満しやけれど、/南(ミなミ)ハ/上町(うへまち) 00036940L14じやぞへ。天満ばしと/計(ばかり)にせずと、/上天(うへてん)はしといへば、わ 00036950L15かつてある△源Sなるほどそふじやけれど、/天満(てんま)にあるよ 00036960L16つて天満/橋(はし)でハないぞへ。あれハはじめてアノ橋をかける 00036970L17に、橋のかけやうが/知(し)れぬところから、大/船(ぶね)のてんまをあ 00036980L18つめて、/橋(はし)のとほりにならべて人をわたしたよつて、てん 00036990L19ま橋といふのじや△喜Sそんなら/天神(てんじん)(八オ)ばしハ△源 00037000L20Sそれハ/天満(てんま)に/三味(しやミ)せんやがあつた。そこな/息子(むすこ)が、/三(しや)ミ 00037010M1せんの/天柱(てんぢ)の/直(なを)しものを/上町(うへまち)へゆくのに、此はしわたりぞ 00037020M2めの/夜(よ)じや。/始(はじ)めて此はしをわたりしに、いろ/事(ごと)してゐる 00037030M3/乳母(うば)にあふたじや。そこからかの/乳母(うば)を、はしのうへで/夜(よ) 00037040M4るでハあるし、一チ/番(ばん)/遣(や)つたじや。それ、/橋(はし)の/上(うへ)で/天柱(てんぢ)も 00037050M5ちながら、うバをしたよつて、/天柱乳母仕(てんぢうばし)じや△喜Sそん 00037060M6ならなには/橋(ばし)ハ△源Sあれハはじめて/橋(はし)のかゝつた/時(とき)にハ、 00037070M7/壱人(ひとり)まへに/銭(ぜに)壱もんヅヽ/取(とつ)た。そのとき/北野(きたの)からまびき 00037080M8(八ウ)売りにゆく/者(もの)が/通(とほ)りかけたら、/銭(せに)が入ルといふよつ 00037090M9て、/弐把(にハ)壱文のまびきを/銭(ぜに)のかわりに/置(おい)て/行(い)たよつて、/菜= 00037100M10弐(な=に)わばしじや△喜Sそんなら東/横(よこ)ぼりの/南(ミなミ)の/橋(はし)を/上大和(かミやまと)は 00037110M11しといふは、どふしたものじや△源Sあれハ/道(だう)とんぼりの 00037120M12/芝居(しばゐ)で、/近日(きんじつ)佐&木がんりう/島(しま)をする、其/道具立(だうぐだて)がほして 00037130M13あつたら、西風が/吹(ふい)て、かの/道具(だうぐ)だてが/橋(はし)の/上(うへ)までとんで 00037140M14/来(き)た。/紙(かミ)ではつた山を/飛(とば)した所じやよつて、/紙(かミ)やまとはし 00037150M15じやといふのじや△喜Sそんなら天満の/今度(こんど)(九オ)かゝつ 00037160M16た/女夫(めうと)ばしハへ△源Sあれハ/毎年(まいとし)六月廿五日に/天神(てんじん)まつり 00037170M17じや。此ときだんじりを/出(だ)して/来(く)る。此所でハ/彼檀尻(かのだんじり)を/妙(めう) 00037180M18に/飛(とば)しよる。それで/妙飛(めうとば)しじやわいノウ△喜Sおまへさん 00037190M19の/啌(うそ)も是でしれた。アノ/女夫橋(めうとばし)といふは、女夫/池(いけ)といふ池 00037200M20がある。此池ハ/誠(まこと)にほれあふた/女夫(めうと)のものが、/姑(しうとめ)のゑぐい 00037210¥P131 00037220L1のにかゝつて、あかぬ/別(わか)れをするとき、/生(いき)てゐるもかひな 00037230L2しとて、女夫が此池へ/身(ミ)をなげた。/是(これ)によつて此池を女夫 00037240L3池といひ、その/傍(そハ)なる/町(まち)を女夫町といひ、又/其所(そのところ)へ(九ウ) 00037250L4かゝつた/橋(はし)ゆへ、/女夫(めうと)ばしといふのじや。なんとようおも 00037260L5ひこんだ/女夫(めうと)じやないかトいへば、源Sそふかして、/橋(はし)の 00037270L6うへから/川(かハ)をミて、よふほれたナアトいふた 00037280¥Y1落噺千里薮巻乃一△終△(十オ) 00037290¥T1/落噺千里薮(おとしばなしせんりのやぶ)巻の二 00037300¥A浪△速△△△@花枝房円馬作|月亭生瀬校@ 00037310¥N1¥J 00037320¥X/辻(つぢ)うら/吉(よし) 00037330M7ほんに/徳兵衛(とくべい)さん。おまへさんハ/若(わか)いとき、げい/子(こ)を/色事(いろごと) 00037340M8をして、どふしたこふしたとおはなしなされたが、/芸子(げいこ)の 00037350M9/色事(いろごと)ハ、どふいふ/所(ところ)から/出来(でき)ましたな。Sそりやどういふ 00037360M10こともないけれど、マアおつとつていふて/見(ミ)やうならバ、 00037370M11/茶(ちや)やへいつて/遊(あそ)ぶ(一オ)にも、おれがあげてゐる/芸子(げいこ)じや 00037380M12といふやうな/顔(かほ)をせずと、/随分(ずいぶん)おとなしう/遊(あそ)んで、/茶(ちや)やに 00037390M13もあんばいようおもハれ、/芸子(げいこ)の/気(き)に/入(いる)やうなことさへい 00037400M14ふてゐりや、ひとりと/向(むか)ふからほれる/道理(だうり)じやわいナ 00037410M15Sげいこのすいた/事(こと)とハヱ△Sマア/芸子(げいこ)じやの茶やしやう 00037420M16ばいは、とかくぎゑんをいはふよつて、ぎゑんのよい/事(こと)を 00037430M17いひなされ△Sそりやどのやうなこといふたらよいか、/聞(きか) 00037440M18しなされ△Sそんならいはふが、いつたいおまへハ、茶屋 00037450M19ハどれへ/行(いき)なさる△Sわたしや/始(はじめ)から(一ウ)ばゝさきへ/行(ゆき) 00037460M20ます△Sそんならこうするがよい。/金(かね)を五六/両(りやう)もつて茶屋 00037470¥P132 00037480¥G(三ウ・四オ) 00037490M1へゆき、サテあね/貴(き)。いつもしゆミけんじやけれど、けふ 00037500M2ハはり安の/店(ミせ)のげい子をミなよんでおくれ。/其(その)かはり、げ 00037510M3んがきんだと/呼(よ)んできたら、ずいぶん/三味線(しやミせん)をひかさぬや 00037520M4うにして、/芸子(げいこ)のきげんとる/様(やう)にして、/一朱(いつしゆ)一トツづゝで 00037530M5も/遣(やつ)て、サアモウとつておくれ。時に/姉貴(あねき)、入ばな一ぱ 00037540M6い/呑(のま)してんかトいふと、/茶(ちや)やハ大きによろこぶ。茶やとい 00037550M7ふものは、/花(はな)が/入(いつ)て/来(こ)にや/銭(ぜに)もふけにならぬよつて、/入花(いればな) 00037560M8と(二オ)いや、/実(じつ)によろこんで、/粋(すい)なおかたじや、よい人 00037570M9じやといふのが、いつとなく/芸子(げいこ)に/聞(きこ)へて、げい子もよい 00037580M10/客(きやく)じやと/思(おも)ふ。そうして/一時(いつとき)に/芸子(げいこ)をいなして/置(おい)て、/引(ひつ)つ 00037590M11ゞいてはり安の/門(かど)へゆき、まだ芸子ハミせにゐる/所(ところ)へ/行(い)て、 00037600M12ナント/出花(てばな)一ぱい/呑(のま)してんかといふと、/芸子(けいこ)ハ大よろこび。 00037610M13なぜなれバ、芸子ハ/花(はな)で出て/行(ゆか)にや/銭(ぜに)にならぬよつて、/出= 00037620M14花(で=ばな)をよろこぶ。ソコデわたしのも/呑(のん)でおくれ被成+と、 00037630M15/皆(ミな)がくんで/来(く)る。/夫(それ)をまたならべておいて、いふ事がある。 00037640M16こういふ(二ウ)のじや。ナント、コウ/見(ミ)うけさへしたらよ 00037650M17いよつて、/引(ひい)てんかトいふと又大よろこびじや。それ/芸子(げいこ) 00037660M18ハ、/身(ミ)うけしられて/引(ひく)を/手(て)がらじやよつて、コウ/見(ミ)うけさ 00037670M19へしたらよい、引てんかといふと、よろこぶわいナ△Sな 00037680M20るほどゑらい。今から/行(い)て/来(き)升△Sアヽコレ+、/間(ま)ちが 00037690¥P133 00037700L1ふて芸子の/方(はう)で、/入花(いればな)といふまいぜ。/気(き)を/付(つけ)イや△S/夫(それ)よ 00037710L2りカノいろごとごりハ、ばゝさきへはしり、ある/茶(ちや)やへず 00037720L3つと/這(は)入り、Sどふじや、あね/貴(き)△Sヲヽ、これハよふお 00037730L4/出(いで)被成たナア△S時に/姉貴(あねき)。いつもしゆミけんじやが、そ 00037740L5のかわりに(三オ)(三ウ・四オ挿絵)げんがきんじや。はり安 00037750L6の/店(ミせ)の/芸子(げいこ)をミんな/呼(よび)に/遣(や)つて△Sはい、かしこまりまし 00037760L7たと、/芸子(げいこ)をよびにやり、此内/酒(さけ)も/出(で)て、二ツ三ツ/呑(のミ)かけ 00037770L8てゐる/所(ところ)へ、おい+芸子も/出(い)できたり、S姉さん、/今日(こんにち) 00037780L9ハ+++といふてすハる。Sおう+、おひ+と 00037790L10おそろひじや。サアひとつのミんか△げいSおいたゞき申 00037800L11升ヱ。モシちよつと/参(まい)りますヱト、/盃(さかづき)あちらこちらと/廻(まハ)る 00037810L12内、/三(しや)ミせんを/出(だ)して、トツチリトンを/引出(ひきだ)す。Sおい/芸= 00037820L13子(げい=こ)さんがた。おれが此間いなりへはなしを/聞(きゝ)にいた所が、 00037830L14/円馬(ゑんば)といふのが、トツチリトンを(四ウ)うたふた△Sサア 00037840L15それをうたひなされ△Sアソレ+ト、とつちりとん餅つ 00037850L16くし。S/雲(くも)の/上(うへ)人サテやかもちで、/鬼(おに)を/退治(たいち)た/維茂(これもち)や、/花(はな) 00037860L17のミやげハさくら/餅(もち)、/情(しやう)のないのハ/女房(によはう)もち、/佐世(さよ)の中山 00037870L18/飴(あめ)のもち、/腰(こし)をかゝめる/疝気(せんき)もち、さわいであるく/砂持(すなもち)に、 00037880L19はなしきたないかねもちを、むやミにおだてるたい/子(こ)もち 00037890L20イヽ引△けいSハソレ+、めう+ト大さハぎになり、/扨(さて) 00037900M1さんざいも/仕(し)まひかけ、いまのとふりに茶屋のかゝに、入 00037910M2レ/花(ばな)のましてんかで大によろこばし、/芸子(けいこ)をいなして、/引(ひつ) 00037920M3つゞひてカノはり安トいふ(五オ)/店(ミせ)へゆきけれバ、/芸子(けいこ)ハ 00037930M4まだ/皆&(ミな+)/店(ミせ)にいて、けいSヲヽお/客(きやく)さん。/只今(たゝいま)ハ大ひに/有(あり) 00037940M5がたふぞんじ升。/粋(すい)さま、すいの/親玉(おやたま)さま。チトお/這(は)入な 00037950M6されませトいふに、うまい+と/内(うち)に入り、○S時に/出花(ではな) 00037960M7一ツぱい/呑(のま)してんかトいへバ、/芸(げい)子ミな+悦び、わたし 00037970M8の出/花(はな)ものんでおくれ被成。申、わたしのも++トな 00037980M9らべたら、カノ/色事(いろごと)ごりは、かんじんの/見(ミ)うけさへしたら 00037990M10よい、/引(ひい)てんかといふのをわすれて、○S芸子さんたち、 00038000M11ミんなお/茶(ちや)引ておくれんか(五ウ) 00038010¥N2¥J 00038020¥Xいすかのはし 00038030M14表の見世の間に/丁児(でつち)弐人/寄(よつ)て、岩Sコレ長吉どん。けふは 00038040M15/夘(う)の/日(ひ)しやナア△長Sそふしや。/此跡(このあと)の/卯(う)の日にハ、/旦那= 00038050M16様(だんな=さま)のおともで/住(すミ)よし参りで、/新家(しんけ)の戎/屋(や)で/御馳走(ごちそう)くて、ま 00038060M17た/道(だう)とん/堀(ぼり)までもどると、/鰻(う)て/茶漬(ちやつけ)をくはすとおつしやつ 00038070M18て、大与で御ちそう。まことにその時の/味(うま)さ、/得(え)わすれぬ。 00038080M19わしや鰻ハ大/好(すき)じや△岩Sそりやアしれた/事(こと)。わしらても 00038090M20うなきハすきじやトいふ内、旦S岩松+。けふは住よし 00038100¥P134 00038110L1へ/参詣(さんけい)(六オ)するによつてこしらへヱイ。此あとハ長吉を 00038120L2つれていてやつたよつて、けふはそちを/連(つれ)ていてやろ△岩 00038130L3Sヘヱ、/夫(それ)や大きにありがたふぞんじ升△長S岩松どん、 00038140L4/味(うま)いな。うなぎで/茶&(ちや+)づけ△岩Sそふじや。わしハ大すき 00038150L5じや。/何(なん)でも/生(いけ)洲のかどを/通(とほ)ると、しばらく/立(たち)どまつて、 00038160L6かざかいでゐるわいナア△長Sいやしい/事(こと)いはずと、マア 00038170L7/参(まい)つてお/出(いて)ト、おともして/参(まい)りけるに、/新家(しんけ)でハ/土産(ミやげ)/買(かふ)た 00038180L8ばかりにて、どこへも/這(は)いらず。道とん/堀(ぼり)まで/戻(もと)ると、や 00038190L9う+/春日野(かすがの)一せんくてかへり、/楽(たの)しミの/鰻(うなぎ)の茶&漬(六 00038200L10ウ)のあてが/違(ちが)ひけれバ、ブツ+ぼやき+かへりける。 00038210L11内へ/帰(かへ)ると、ミやげを/持(もた)して、コリヤ岩松。となりさんへ 00038220L12いて、是ハおミやげで/御座(ござ)り升といふて/持(もつ)ていておじや。 00038230L13岩Sハイ+もふせう※にて/隣(となり)へゆき、これは/今日(こんにち)の御 00038240L14/土産(ミやげ)でござり升△隣Sヲヽ、是ハ+よい物。ようお/参(まい)り 00038250L15なされたナア。して、けふハ/夘(う)かいナア△岩Sイヱ+、 00038260L16よふ+と/春日野(かすがの)でござり升 00038270¥N3¥J 00038280¥Xねミヽの/水(ミづ) 00038290L19/妾(てかけ)うらと/名(な)の/付(つい)た/裏(うら)ありけるが、此うらにハ/妾(しやう)(七オ)/宅(たく)が 00038300L20三四/軒(けん)もあり。その内にお/梅(うめ)といふて、とし/頃(ごろ)廿四五にて 00038310M1大のうつくし物なり。これへ/旦那(だんな)かたより、でつち/衆(しゆ)がお 00038320M2/使(つかひ)に/来(き)て、あまりねぶたさに、/妾宅(しやうたく)にてしばらくねさして 00038330M3もろふてゐる/所(ところ)へ、きん所のおきくといふ/妾宅(しやうたく)が/来(き)て、キ 00038340M4Sお梅さん。/今日(こんにち)ハだいぶんあたゝかに/御座(ござ)り升△Sヲヽ 00038350M5おきくさん。お/出(いで)なされ。サアマお上り。大/分(ぶん)あたゝかに 00038360M6なりました。もうしお/菊(きく)さん。きのふといふ/昨日(きのふ)ハ、あな 00038370M7たの/旦那(だんな)さんのおかほを、とつくりと見ました。ナント申 00038380M8よい/男(をとこ)ナア(七ウ)△キSお/梅(うめ)さんの、/何(なに)おつしやるやら 00038390M9梅Sイヽヱヽナア。こゝに子ども/衆(しゆ)が/寐(ね)てゐてじやが、大 00038400M10きな/声(こゑ)でハ/言(いは)ぬことじやけれど、わたしの所のだんなさん、 00038410M11/見(ミ)なされ。丸でもぐさでした/猿(さる)ミたやうなハへ。モアノ/旦= 00038420M12那(だん=な)さんとつれだつてあるいて/居(ゐ)るとき、/友達衆(ともだちしゆ)に/逢(あ)ふと、 00038430M13まことにきへたいわいナ。モアノ/旦那(だんな)さまとハ、どふぞ/早(はや) 00038440M14ふ/手(て)切つて/仕(し)まふて、よいおかたにかゝりたいわへトいふ 00038450M15てゐるうち、/丁児(でつち)ハおきて、マアおいとま申升。梅Sコ 00038460M16レ+岩吉どん。今わたしがいふた/事(こと)、きひてかへ。ハイ。 00038470M17ミんな/聞(き)き(八オ)ました。梅Sコレ、かならず/旦那(だんな)さまに 00038480M18いふておくれなへ。/其(その)かハり是を上るよつて、たもとへ/入(い) 00038490M19れて、いんでたべ被成△岩Sハイ+。/是(これ)ハおかたじけな 00038500M20ふござり升。おまへさまの/悪(わる)くちを、/何(なん)のわたしがいひ升 00038510¥P135 00038520L1ものでいナアトよろこんで/帰(かへ)りけれバ、/旦那(だんな)が、旦Sコリ 00038530L2ヤ+岩吉よ。いつでもお梅の所への/使(つかひ)ハそちが/行(ゆく)が、な 00038540L3んぞお梅ハ、わしの事いふていやせぬか△岩Sイヱ、何も 00038550L4いふてじやござりませんけれど、/旦那(だんな)さまハゑらいよい/男(をとこ) 00038560L5じやよつて、わしやほれていると申てゞござり升△旦S岩 00038570L6吉よ。そりやマア(八ウ)ほんまかいやい。うれしや+。 00038580L7あれがおかしいするのハ、おれをきろふてかと思ふたに、 00038590L8そふでハないかト、/男(をとこ)といふものハ/僮(おろか)ナもので、うぬぼれ 00038600L9して、岩吉よ。わしゆゑなら、ゆびでもきるといふて/居(ゐ)よ 00038610L10ふがナ。岩Sまだ+、もつとゑらい/事(こと)いふてゞござり升。 00038620L11/指(ゆび)きる所じやござりません。アノ/旦那(だんな)さまとハ、はやふ/手(て) 00038630L12がきりたいといふてゞござり升 00038640¥N4¥J 00038650¥X/的(まと)はづれ 00038660L15/扨(さて)せんば/辺(へん)に/富屋(とミや)/何某(なにがし)とて、/下積(しもづミ)の/問(とひ)屋あり(九オ)けるが、 00038670L16/商(あきな)ひの大きな事ハ/世間(せけん)にならびなく、/日(ひ)ましに/繁昌(はんじやう)いたし 00038680L17けるに、/御子息(ごしそく)を/福(ふく)三郎といふて、廿四五才にてよい/男(をとこ)ぶ 00038690L18りなり。/殊(こと)にひとり/息子(むすこ)なれば、/親(おや)たちもてうあいしてい 00038700L19られしが、/此(この)福三郎ハ/手打(てうち)がすきにて大手/連中(れんぢう)へ入、/毎年(まいとし) 00038710L20はりこんで手打に出られけるが、ことしハ/爺親(てゝおや)が/町内(てうない)の年 00038720M1よりになられけれバ、/今年(ことし)だけハ/手打(てうち)に/出(で)る事を/止(やめ)てくれ 00038730M2と/爺公(てゝご)が申されけるゆへ、/出(で)る事かなハず、/春(はる)からぼつ 00038740M3+/稽古(けいこ)いたしたるがむだになると、大キに/精(せい)を(九ウ)お 00038750M4とし、/殊(こと)に/嶋(しま)の/内(うち)の/富栄(とミえい)といふ大/美(うつく)しものゝげい子あり。 00038760M5/是(これ)にのろけて/居(ゐ)られけれバ、かの/富栄(とミえい)にも見せたしと/楽(たの)し 00038770M6んでいたも、すかくらひけり。/夫(それ)よりいろ+と/思(おも)ひ/付(つき)た 00038780M7る所が、/嶋(しま)の内の/茶(ちや)にて/顔(かほ)ミせすることを思ひつき、/芸= 00038790M8子(げい=こ)を/女形(をんなかた)にして、たいこ/持(もち)を/立役(たちやく)にするハ、はやし/方(かた)をや 00038800M9とふて、/手打(てうち)ハおれひとりですれバよいと/定(さだ)め、それより 00038810M10/嶋(しま)の内の茶や河作かたへゆきけれバ、/大事(だいじ)の御/客(きやく)ゆへ、い 00038820M11つものごとく/槌(つち)で/庭(にハ)をはくやうにもてなしける。/福(ふく)三郎申 00038830M12けるハ、(十オ)さて/今日(けふ)ハこうじや。/爰(こゝ)の内で/顔(かほ)ミせの/通(とほ) 00038840M13りをするのじやよつて、/芸子(げいこ)たいこ/持(もち)ハ/勿論(もちろん)、/男衆(を□こしゆ)から/料= 00038850M14理人(れう=りにん)まで、その/心(こゝろ)になつてくれ。コリヤいかさまも/顔見(かほミ)世 00038860M15らしい事を/仕(し)よつたといふ/様(やう)なことがあつたら/褒美(ほうひ)じや 00038870M16+△てい主Sそれハうれしうござり升△福Sサア+座 00038880M17つきに/出(だ)さにやならぬよつて、/芸子(けいこ)廿人ばかりと、たいこ 00038890M18/持(もち)廿人ばかりとよんでくれ。げいこの内でも/富栄(とミえい)ハぜひ 00038900M19+いれてくれ。余/所(そ)へいてゐるなら/貰(もら)ふてくれ。どふし 00038910M20ても/出来(でき)ずバ、/顔(かほ)ミせハ/翌(あす)のばんにするといはれ(十ウ)け 00038920¥P136 00038930L1るゆへ、かの/富栄(とミえい)さまへ壱/番(ばん)に人をはしらせけるが、富栄さ 00038940L2まハ/出来(でき)るときゝ、/亭主(ていしゆ)もよろこび、福三郎もうれしく、 00038950L3そりやゑらい+。おれがことし/顔(かほ)ミせに出たら、百両と 00038960L4百五十両ハ入る。それを/今夜(こんや)つかふとおもや事ハすむとう 00038970L5かれかゝれバ、亭S申/旦那(だんな)さま。まづ/奥(おく)のはなれ/座敷(さしき)、/芝= 00038980L6居(しば=ゐ)の内といたし、此/座(ざ)しきを/連中場(れんぢうば)といたし升といふてゐ 00038990L7る内、/芸子(げいこ)たいこ/持(もち)四十人ばかり、はなれ/座敷(ざしき)へあつまり、 00039000L8いろ+と/評義(へうき)して、/役者(やくしや)の所へ/坐(ざ)つきの/上下(かミしも)をかりに/遣(や) 00039010L9りける(十一オ)が、又ハ/衣裳(いしやう)やへ/走(はし)らすものもあり、こしら 00039020L10へ/仕(し)てゐる内に、/料理人(れうりにん)や/男衆(をとこしゆ)のおもひ付にて、うらのせ 00039030L11んざいへ/炭(すミ)の/俵(たわら)をつミ立かざり物するもあり、/割木(わりき)をつむ 00039040L12もあり、こも/樽(だる)の/明(あき)たのをつむもあり。/少(すこ)しの/間(ま)にせんざ 00039050L13いハ/道(だう)とんぼり/側(がハ)のごとくになりける。男衆の内に/気(き)のき 00039060L14いた/男(をとこ)ありて、/長(なが)ゑりのかゝつたる/着物(きもの)にひらたい/帯(をび)を/〆(しめ)、 00039070L15/木戸(きど)といふすがたにて、男S申福丸さま。/連中廻(れんぢうまハ)りの藤吉 00039080L16で厶り升△福Sヲヽ藤吉か。そりやそろへの/手拭(てぬぐひ)、コリヤ 00039090L17/祝儀(しうぎ)じやと、金弐歩ほり出して(十一ウ)やりけるが、男S申 00039100L18+福丸さま。大/木戸(きど)が申升。どふぞ三/番(ばん)を入レさして下 00039110L19さりませと申升△福Sイヤ+、まだ入れられぬ。人かそ 00039120L20ろはぬなぞと/顔見世(かほミせ)めかしてゐる所へ、/料理人(れうりにん)が/急(きふ)にもへ 00039130M1/黄(ぎ)のてつほう/繻絆(しゆばん)を/縫(ぬ)ハし、/紙(かミ)にて大手/笹瀬(さゝせ)の/紋(もん)をほりて 00039140M2ひつ付かたはだ/脱(ぬい)で、かのてつほう/繻絆(じゆばん)出して、料S申福 00039150M3丸さま。大/木戸(きど)でござり升。此間ハ/相(あい)かハらず、そろへを 00039160M4おありがたふ。時に三番を入さしてもらひませにや、どふ 00039170M5もなりません。/今晩(こんばん)ハまた大手さまの/手打(てうち)じやといふて、 00039180M6(十二オ)ゑらい大入でござり升△福Sそんなら三/番(ばん)入て/三= 00039190M7番叟(さん=ばさう)で少し/引(ひつ)ぱつてくれ。そうしてしころ/台(だい)も/床机(しやうぎ)も、あ 00039200M8んばいよふしてあるか、いつもの/通(とほ)り、大ふとん下へ/敷(しか)し 00039210M9てくれ△料Sかしこまりました△福S大/木戸(きど)、一ツのめと 00039220M10金壱両ほり/出(だ)せバ、料S是ハありがたいといふよりはやく、 00039230M11ふんどしに/巻(まい)て/料理場(れうりば)へはしり/来(く)る。/煎(いり)方の男が見て、是 00039240M12も/長(なが)ゑりの/着物(きもの)にて、そろへの/手拭(てぬぐひ)こしにさげて、申ふく 00039250M13丸さま。/粋(すい)で御座り升。福Sヲヽ/竹公(たけこう)か。何をしにきたの 00039260M14じや△煮Sモウ三番/打切(うちきり)(十二ウ)ました。/頭巾筥(づきんばこ)からそろ 00039270M15+/芝居(しばゐ)へ/持(もち)こミ升ふか、/座(ざ)ふとんも/拍子木(へうしき)入もわすれぬ 00039280M16やうに。/粋公(すいこう)+、/貴(き)さまハ/腰(こし)にさげ/物(もの)がなふてわるかろ。 00039290M17是を/遣(やる)ハへ。/是(これ)をさげてト、壱両弐三/歩(ぶ)もかゝつてありそ 00039300M18ふな/南艸(たばこ)入もらひける。/内(うち)にハ大/勢(ぜい)、/表(おもて)かたのすがたにて、 00039310M19表Sおむかひに/参(まい)りました。モウ三/番(ばん)/仕(し)まひましてござり 00039320M20升。/御苦労(ごくろう)さまながら、御/這(は)入下されませ。もふおはやし 00039330¥P137 00039340¥G(十三ウ・十四オ) 00039350M1も/場所(ばしよ)へ/這入(はいつ)てゞ厶り升△福Sそふか。いかざなるまいと、 00039360M2/黒羽二重(くろはぶたへ)に大手の/紋(もん)の/付(つい)た/着(き)(十三オ)(十三ウ・十四オ挿絵)/付(つけ) 00039370M3に、/茶(ちや)きんらんの/帯(をび)を/〆(しめ)、/頭巾下(づきんした)の/手拭(てぬぐひ)をほうかむりして、 00039380M4ふところ/手(で)にて、そろ+ゆこかと大/勢(ぜい)あとさきへ大手の 00039390M5しるしの/付(つい)た丁ちんにて/取(とり)まき、表S/頼(たのミ)ますぞ+、/御連= 00039400M6中(ごれん=ぢう)じや。もつとそつちへよらんかへと、/誰(たれ)もいもせぬせん 00039410M7ざいを、/芝居(しばゐ)の/門口(かどぐち)のやうにもてなし、おく/座(ざ)しきへとも 00039420M8なふと、/皆(ミな)の/者(もの)へそろへの/手拭(てぬぐひ)と/金弐歩(きんにぶ)ツヽ、/祝義(しうぎ)いたし 00039430M9ける。それより/打場(うちば)へは入り、/舞台(ぶたい)にハ/芸子(げいこ)廿人ばかり、 00039440M10/若女形(わかをんながた)の/姿(すがた)にてならぶ。たいこ/持(もち)ハ/立役(たちやく)のすがたにて/並(なら)び、 00039450M11/万燈(まんどう)の(十四ウ)ごとく/蝋燭(らうそく)をともし、/外(ほか)のたいこ/持(もち)二人ハ 00039460M12/口上(かうじやう)いひ、三四人ハ/後見(こうけん)。又中にも/舞子(まひこ)と見へて、十一二 00039470M13才/斗(ばか)リの/女(をんな)の/子(こ)、/座本(ざもと)といふ/姿(すがた)にてまん中にすハると、/両= 00039480M14方(りやう=はう)の口上いひが、口上S寅のとし/顔見世(かほミせ)、/座本(ざもと)中村や/小哥(こうた) 00039490M15めしかゝへましたる/新参古参(しんさんこさん)の/役者(やくしや)、御/目(め)見へ/引(ひき)合セを仕 00039500M16り升。アリヤ++++ト、シコロニ成。 00039510M17△△△/手打三番叟(てうちさんばさう)△△△△△△△/笹瀬連中(さゝせれんぢう)/東柵調(とうさくしらべ) 00039520M18@△かしら笛△|△△出△は@△@三味線|鞁大小|たいこ@△@/九変化(くへんげ)/石橋(しやくきやう)|の出はの/通(とう)り@△/出(で)は/打(うち)上ケレト(十五オ) 00039530M20詞S春かすミたな/引(びき)にけり/梅(うめ)の/花(はな)△哥二上リS梅のゑがほ 00039540¥P138 00039550L1もほゝゑミて、/所千代(ところちよ)まで/若竹(わかたけ)の、われらも/千秋(せんしう)/翁艸(おきなぐさ)、此 00039560L2/顔見世(かほミせ)の/式(しき)三番。哥の間、大笛大たいこ、がくはやし 00039570L3S/男鹿(をじか)のなく/音(ね)むしの/声&(こへ※)、/神無月(かミなづき)しぐれても、/色(いろ)かへぬ 00039580L4/松(まつ)の/枝(え)の、みどりうづめる/白雪(しらゆき)ハ 00039590L5謡Sとう+たらり、たらりら、たらりあがりらゝりとふ 00039600L6つゞミ哥S瀧のしら/玉(たま)/千代(ちよ)の/数(かす) 00039610L7詞Sおふさへ+。/悦(よろこ)びありや+、/我(わが)此/所(ところ)£/外(ほか)へハ、や 00039620L8らじとおもふ(十五ウ) 00039630L9木Sチヨンチヨンチヨチヨ、おんは丁丁チキチ+ヒヒヒ 00039640L10丁チキチ 00039650L11ヱイ+丁丁丁ン+、ヲヒヤリコヒウリヤリ+ 00039660L12ヲヒヤ・イテレツク天天、テヽ天+++、天ツヽ天ト 00039670L13ヽトン+ 00039680L14コリヤサ、アリヤサ、サヽサ+ホロロンヤ 00039690L15コロリンシヤン 00039700L16ホンツタチリカラ、ツタホツタ+++ホン+ヱイ 00039710L17ウン+コリヤサ、カン++、カンチキチ 00039720L18チキチン+++(十六オ) 00039730L19コロ+++スウトン+。さあらバ/鈴(すゞ)をまいらそ 00039740L20シヤンゴ+シヤゴヤ+、/千両(せんりやう)じや/万両(まんりやう)じや+ 00039750M1アリヤ+++、アリヤセヱヨイ 00039760M2口上S座本中村や/小哥(こうた)でござり升。いよ+御ヒイキトい 00039770M3ふと、小哥S私シハ/中村(なかむら)や/小哥(こうた)と申まして、/色事(いろごと)もなんに 00039780M4もしらぬ大/無調法(ぶてうほう)ものゝ/舞子(まひこ)でござり升。すミからすミの 00039790M5お/茶(ちや)やまで、いよ+御ひいきトじぎしては入ルト、アリ 00039800M6ヤ+++ト、シコロ。 00039810M7△△△手打/浪花(なには)/名所(めいしよ)○△△△△△大手連中/鯉石調(りせきしらべ)(十六ウ) 00039820M8出大津八丁のかへ哥二上リ 00039830M9S/当地(とうち)はん/栄(えい)/芝居(しはゐ)の/繁昌(はんじやう)、/諸国(しよこく)きん所かほ/見世(ミせ)見よとて/打(うち) 00039840M10つれて、ついでに/名所(めいしよ)もけんぶつしよ 00039850M11木S来たるつい/手(で)に/見物(けんぶつ)を、/嶋(しま)の/内(うち)から/北(きた)ほり江、あミだ 00039860M12が/池(いけ)とのさし/図(づ)にて、/出合(であひ)/砂場(すなば)ハうどんげの、/花(はな)の/新町(しんまち)九 00039870M13けん丁、/松(まつ)のくらゐの/揚屋(あげや)入リ 00039880M14△はやしSあのや/君(きミ)さまハ、いつのいつからあひもせで、 00039890M15△合/沖(をき)のふねほどこかれやせん、よいにや/来(き)もせで/夜(よ)なか 00039900M16△にあはぬ(十七オ) 00039910M17木S名も/国&(くに※)へ/通(とほ)り/筋(すぢ)○いなり/座摩(さま)から/両御堂(りやうミだう)、/弥陀(ミだ)より 00039920M18/光(ひか)る/御霊人(ごりやうにん)、大ふり/袖(そて)の/下(した)の/方(はう)に、とらやまんぢうが二ツ 00039930M19ある、/所(ところ)がまたの/蔵(くら)やしき、このもしいやら大江ばし、わ 00039940M20たりてミれバ/遊山(ゆさん)ぶね 00039950¥P139 00039960L1△はやしふか川Sふけや/川風(かハかぜ)あがれやすだれ、/中(なか)の/小(こ)うたの 00039970L2△かほミたや 00039980L3木Sすくひ上ケたる/堂(だう)じまハ、/所(ところ)もすいな/梅(うめ)バちや、/天神(てんじん) 00039990L4さまの御やしろ、/神楽(かぐら)の/音(おと)のいさぎよや△S@かぐらはやし△|此はやしニ合ス@△ 00040000L5木S/爰(こゝ)ハ/日本市(につほんいち)のかハ、/淀川(よどがハ)すぢや八/軒(けん)や、/実(げ)におも(十 00040010L6七ウ)しろい大坂と、/名(な)にも/高津(かうづ)や/生玉(いくたま)の、玉ばつかりに 00040020L7/顔(かほ)ミせを、見に/清(きよ)ミづや天王寺、/五重(ごぢう)の/塔(たふ)のとうからと、 00040030L8やぐらたいこのはじめより、はやしSかぐら下ル大入リじや 00040040L9ヨイ△口上S若女がた中山やの小とくでござり升。いよ 00040050L10+御ひいき△小とくS私ハ中山やの小/徳(とく)と申まして、/何(なん) 00040060L11にもぞんじませぬ/不調法(ぶてうほふ)ものでござり升。おゝそれながら、 00040070L12/角(すミ)からすミまでずいと、/日(ひ)がらを御たのミ申升 00040080L13△トアリヤ+++ト、シコロニ成。 00040090L14△△△手打/越後獅子(ゑちごじゝ)○△△△△△大手連中/東六調(とうろくいらべ)(十八オ) 00040100L15出哥Sこし/路(ぢ)がたお/国名物(くにめいぶつ)さま※なれど、/田舎訛(いなかなま)りの/片= 00040110L16言(かた=こと)まぜり。木Sぼたんもたねと/富貴(ふうき)ハおのが/姿(すがた)にさかせ、 00040120L17/打(うつ)たり/舞(まふ)たりはやした。是£合の手/芝居(しばゐ)か大入リゆへ、入リ 00040130L18の/付(つ)くことおもひだした。シヤギリ入。三番入リ。/大序木(だしじよき) 00040140L19が/入(いり)、/相方(あひかた)しの入リ、/出(で)は入かしゆく入、シヨチ入リ。/道= 00040150L20成寺(だう=じやうじ)かね入ヨイ+、/松王(まつわう)の/息子(むすこ)ハ/寺入(てらいり)か、/頼光(らいくわう)山入リ、 00040160M1/二代鏡土俵(にだいかゞミどひやう)入リ、五右衛門/釜(かま)入、うらしま/龍宮(りうぐう)入、/黒(くろ)ふね 00040170M2の/出(で)入リハ、/紙(かミ)入レ入レこまれヨイ+、/入(いつ)て/来(き)たヨイ 00040180M3+、/夏(なつ)まつり/宮(ミや)入。ふか七/入鹿(いるか)へ入こんだ。/無(む)(十八ウ) 00040190M4/三四(さし)ハ/風呂(ふろ)入リ、むこ入リしうと入、/箱(はこ)入よめ入。/本気(ほんき) 00040200M5に入で/昼(ひる)も/床(とこ)入リ。夜に入りや/猶(なほ)/床(とこ)入リする、入レつゞけ 00040210M6じや+。/朝(あさ)おきるにハ/隙(ひま)が入、/目(め)をすり+ぱい一チ入 00040220M7ル。/鯛(たい)のいり付ケ、/鯨(くじら)の/酒(さか)入リ、せうがいり、からころ入リ、 00040230M8/昆布(こんぶ)まき/丸(まる)入リ、/粟(あわ)の/岩(いは)/太白(たいはく)入、ごま入けし入あづき/餅(もち)、 00040240M9/土用(どよう)の入かんの入、そりやこそはるに入、/嫁子(よめご)やぶ入/仕(し)な 00040250M10されて、/芝居(しばゐ)を見に/行(ゆ)キヤ/忠臣(ちうしん)ぐら、/大序(たいじよ)のかほよ/兜(かぶと)見入、 00040260M11/桃(もゝ)の/井(ゐ)ハかんしやく/筋(すぢ)入、本蔵こまり入、/師直(もろなを)りきミ入、 00040270M12きられて/迯(にげ)て入、ゆらの介(十九オ)ひまが入リ、/判官(はんぐわん)ハこ 00040280M13がれ入リ、/石堂薬師寺(いしだうやくしじ)/上使(じやうし)御入、/与(よ)一兵衛ヱツサツサ/夜(よ)に 00040290M14入リ、一ト人リ加入、/勘平(かんぺい)/連(れん)ばん入リ、/力弥(りきや)/月(つき)の入リ、小 00040300M15なミよめ入リ、一チ/夜(や)の/寐間(ねま)入リ、由良の介/長持(ながもち)入リ、四 00040310M16十七人ミだれ入リ、/師直(もろなを)/柴部(しばべ)やへおは入リで、はて/太皷(たいこ)ト 00040320M17ンカラ+、とん+ひやうしで、コリヤまた大入じや。 00040330M18/仕打(しうち)ハくら入、/目出(めて)たいナア、アリヤセヱヨイ△S若女/形(がた) 00040340M19八はたや/富栄(とミえい)でござり升。いよ+御ひいき△富Sわたく 00040350M20しハ中村や富栄と申まして、といふ/顔(かほ)がまことにかハらし 00040360¥P140 00040370L1いて+どうもならぬ。もとより(十九ウ)/首(くび)だけほれてゐ 00040380L2る/富栄(とミえい)なれバ、此/座(ざ)つきになんぞやつたら、すいな人じや 00040390L3とおもふて、わしに/忙(ほれ(ママ))そふなものと/思(おも)ひ、しばらく+と 00040400L4いふておき、/河作(かハさく)の/台(だい)どころへ/這(は)入りける。/此(この)富栄さんハ 00040410L5二三日の内に引て、/好(すき)の/男(をとこ)と/女夫(めうと)になる/約束(やくそく)あるに、福三 00040420L6郎ハ/夢(ゆめ)にもしらず、何ぞ/遣(やつ)てほれさしたいと、/台所(だいどころ)でうろ 00040430L7+/見廻(ミまハ)しけれバ、河作の内/一家(いつけ)のこんれいに、/遣(つか)ひ物せ 00040440L8うとこしらへて/置(おい)た/小袖(こそで)わた五十/把(は)、/扇子箱(あふぎばこ)をそへて、/台(だい) 00040450L9にのせてあつた。しかも/書(かき)付にハ/扇(あふぎ)小袖わた五十/枚(まい)、/花聟(はなむこ) 00040460L10さま花よめ(二十オ)さまとかいてある。/夫(それ)をもつて/出(で)て、 00040470L11/富栄(とミゑい)さんのまへにおき、/打(うち)ましよシヤン+、モ一ツセ、 00040480L12シヤン+、いはふて三/度(ど)、おしやシヤンのシヤンといふ 00040490L13たら、富栄さんハ/台(だい)のもの/手(て)にとり上ケてミた所が、/花(はな)む 00040500L14こさま花よめさまと/書(かい)てあるをミて、富Sヲヽすかん。わ 00040510L15たしをいやがらそてゝ、/今夜(こんや)のあそびを/思(おも)ひつき被成たか 00040520¥Y1落噺千里薮巻の二△終(二十ウ) 00040530¥T1/落噺千里薮(おとしばなしせんりのやぶ)巻之三 00040540¥A浪△華△△△@花枝房円馬作|月亭生瀬校@ 00040550¥N1¥J 00040560¥X/好(すき)の/道筋(ミちすぢ) 00040570M7/去(さ)ル/舟場辺(せんばへん)の/大家(たいけ)の/別家衆(べつけしゆ)の/息子(むすこ)どのに、/万様(まんさま)と申がござ 00040580M8りましたが、/父公(ちゝご)にハ十三才の/時(とき)おくれ被成て、/近頃(ちかころ)まで 00040590M9/本家(ほんけ)へ、でつちがわりに/参(まい)り、/内(うち)は/本家(ほんけ)よりやしなひをも 00040600M10らひけれども、カノ/息子(むすこ)どの、廿才にもなりけれバ、/去年(きよねん) 00040610M11より/内(うち)へ/引(ひき)、/本家(ほんけ)へかた入レ(一オ)にて、/母公(はゝご)と二人に/下= 00040620M12女(げ=ぢよ)壱人を/遣(つか)ひ、/安楽(あんらく)になされけれバ、/何(なん)の/事(こと)もなきに、フ 00040630M13ト/素人芝居(しろふとしばゐ)のれん/中(ぢう)へ入、/金(かね)を/費(つひや)しけるに、/母公(はゝご)も大きに 00040640M14/心配(しんぱい)、/此度(このたび)/菅原(すがハら)の/芝居(しばゐ)/出来(でき)るに付、/宿祢(すくね)太郎の/役(やく)をとり、 00040650M15/稽古(けいこ)もかくしていたし、いよ+いつを/定日(でうじつ)にせんと/相談(さうだん) 00040660M16するに、かの万太郎申けるハ、わしハ/内(うち)へないしようじや 00040670M17といふて、此まへ/芝居(しばゐ)/仕(し)たとき、大きにやかましい、/髷(かづら)も 00040680M18大小もミなとり上られ、/蔵(くら)の/長持(ながもち)の中に入てあるゆへに、 00040690M19/取出(とりだ)すことがむつかしい。/所(ところ)が廿一日にハ、いつも/母者人(はゝじやひと) 00040700M20が/大(だい)(一ウ)/師廻(しめぐ)りをなさる。/其(その)あとで/蔵(くら)より/取出(とりだ)し、かつ 00040710¥P141 00040720¥G(三ウ・四オ) 00040730M1らも/結(ゆハ)さにやならぬよつて、廿一日でなくバならぬと申け 00040740M2れバ、/入用(いりよう)/請(うけ)こミの万太郎様のいふことゆへ、/定日(でうじつ)ハ廿一 00040750M3日ときまりける。かの/母公(はゝご)ハ/毎(いつ)も廿一日にハ/下女(げぢよ)をつれ、 00040760M4大師めくりをなさる。/道(だう)とん/堀(ぼり)まで/来(く)ると、/三津(ミつ)でらを壱 00040770M5/番(ばん)のこして一ト/切(きり)ミるかたのしミにて、/毎月(まいつき)大師めぐりな 00040780M6されける。よふした物じや。いつにても/御霊(ごれう)さま£うちは 00040790M7じめ、/道(だう)とんぼりまで/来(く)ると、/三津寺(ミつでら)を/残(のこ)して一ト/切(きり)、此 00040800M8日も/下女(けぢよ)をつれていそ+と/出(で)被成ましたゆへ、(二オ)/息= 00040810M9子(むす=こ)どのハうれしく/蔵(くら)へは入り、かのかづら大小を/取(とり)いだし、 00040820M10かねてやとひ/置(おい)たる/男(をとこ)に/持(もた)せ、/出(で)かけける所へ、/母公(はゝご)ハ/数= 00040830M11珠(じゆ=ず)を/忘(わす)れしゆへ/取(とり)にもどりしが、かのかづら大小を/見(ミ)てお 00040840M12どろき、それより/母公(はゝご)ハ/大師(だいし)めぐりの/道筋(ミちすぢ)、またハ/大師(だいし)さ 00040850M13まの/寺&(てら+)の/名(な)づくしにて、いけん被成ける。母S/我(わが)ミも十 00040860M14六や十七ならまだしもじや。モウ廿一日にもなつていれバ、 00040870M15/世帯(せたい)でもひかへて、/身(ミ)を/大師(だいし)にめぐらさにやならぬのに、 00040880M16いつまでもうか++と、コレ、そなたのごくどうの/始(はじま) 00040890M17りをゆふてきかそうか。五両の/金子(かね)から(二ウ)じやぞや。 00040900M18/御霊(ごれう)がはじまりで、それから/北(きた)へ/行出(ゆきだ)して/淀屋(よどや)ばし、アノ 00040910M19よどやとやらで/遣(つか)ひはじめ、/内(うち)はなんにも/知(し)らず、そのば 00040920M20んにも四ツが/鳴(なつ)ても/夜半(よなか)になつても/戻(もど)らぬ。サアねられぬ 00040930¥P142 00040940L1と、おいへの/真中(まんなか)の/嶋(しま)へ/居(すハ)り、つく※との/思案(しあん)にハ、/堂= 00040950L2島(だう=じま)せう、まうしましよと、/蜆(しゞミ)ばしほどな/女(をんな)の心から、いつ 00040960L3そこつぽりの/伯父(をじ)をよんで/来(き)て、/長池(ながいけ)んでもしてもらおふ 00040970L4か。/但(たゞ)し/新(しん)やしきでも/立(たて)て/入(い)れて/置(おこ)ふか。イヤ+、それ 00040980L5でハそばに/剛(こわ)いものがないと、/段&(だん+)きもが/不動尊(ふどうそん)に/成(なつ)て、 00040990L6/太(た)ゆふ/寺(じ)を/内(うち)へ入れるの、/天(てん)(三オ)(三ウ・四オ挿絵)/神(じん)を/請(うけ) 00041000L7だすかと、そんな/気(き)にでも/成(なつ)たら/本家(ほんけ)へ/済(すま)ぬといろ+/心= 00041010L8配(しん=ぱい)。それに/我身(わがミ)ハ/何(なん)でも/親(おや)のいふことハよそへほり川、/戎(ゑびす) 00041020L9さまのやうに/聞(きか)ぬかほする、/気(き)なしてら町。/何(なに)をいふても 00041030L10/権(ごん)げんこんにやく/辛度(しんど)が/利(り)じやよつて、モウいはぬ。どふ 00041040L11で/仕(し)まひハ/長町(ながまち)で、てん+/天満(てんま)ばしと、あとさしてねる 00041050L12/気(き)じや/有(あら)ふ。わがミのやうに/番場(ばんバ)+としてハ、/附合(つきあひ)が/広= 00041060L13小路(ひろ=こうじ)に/成(なつ)て、ツイ/茶屋(ちやや)へつれ/立(たつ)て/行(ゆ)き、トンドロ+いは 00041070L14してミや。/何(なん)ぼかねが/有(あつ)ても、ツイ/尻(しり)へぬけ/大師(だいし)、/親(おや)ハ壱 00041080L15もんの/銭(ぜに)も/始末(しまつ)して、/安(やす)いもの/さに((ママ))(四ウ)ミると、/興徳寺(こうとくじ) 00041090L16も/仕(し)まひハそなたに/餌(ゑ)さし/町(まち)、/世間(せけん)を大きな/観音寺(くわんおんじ)である 00041100L17かそふと/思(おも)ふてゐるに、/此(この)ごろの/身(ミ)もちゆへ、/伯父(をじ)も/小橋(をばせ) 00041110L18もあいそうをつかしてゐるからは、/野中(のなか)に/花(はな)ハかへられぬ。 00041120L19わしらハ/段&(だん+)/顔(かほ)にしハがより、/塩漬(しほづけ)にした/梅(うめ)やしき、/重(かさな)る 00041130L20としハ/相生(あいをひ)のまつ、ひよつと/本家(ほんけ)をしくじつたら、/五条(ごでふ)の 00041140M1/宮(ミや)か六でふ/敷(しき)の天王寺/屋(や)のうらへでも、/逼塞(ひつそく)せにやならぬ。 00041150M2そふなつたら、/我身(わがミ)も/東門(とうもん)に/恥(はぢ)じやよつて、/塔(たふ)ぞ此うへハ 00041160M3/御本家(ごほんけ)を/太子(たいし)にかけて、わるい/金堂(こんだう)を入レかへ、/講堂(こうだう)から 00041170M4/精出(せいだ)し、/親(おや)の(五オ)/亀井(かめゐ)をミづにせぬやう、/心得(こゝろえ)さんせや。 00041180M5それが/孝行(かう+)のかゞミの/池(いけ)、わしもつむりをまるめて/尼寺(あまでら)と 00041190M6成り、/西照(さいしやう)から/庵(あん)へ/這(は)入て、/参(まい)り/下向(げかふ)に/生玉(いくだま)大/師(し)さまや/地(ぢ) 00041200M7ざう/院(ゐん)さまをねがふがかんよう。モウ/今日(けふ)らのやうに、は 00041210M8じを/覚園院(かくをんゐん)もいとハず、/口(くち)から/持宝院(じほうゐん)だいに大きな/声(こへ)して 00041220M9/異見(いけん)するのも、わがミが/南(ミなミ)の/坊(ぼう)へ/足(あし)を/向(むけ)るを/止(やめ)さしたさ。 00041230M10コレ、わしの/持明院(ぢミやういん)のちゞまるのハ、/我身(わがミ)のあんだらゐん 00041240M11から。/然(しか)しこんな/遍照院(へんじやういん)こんがうを/医王(いわう)ゐんよりハ、いは 00041250M12ぬがまし、しんどの/真蔵(しんざう)ゐんじやとおもふてゐるけれ(五 00041260M13ウ)ど、その/内(うち)にも/親(おや)のいふことを/桜本坊(さくらもとばう)じやとおもやつ 00041270M14たら、その/身(ミ)の/仕合(しあハせ)。けれどそちが/此間(このあいだ)もいふてゐる事を 00041280M15/聞(きけ)バ、此/会(くわい)に/出(で)ぬと、わしの/観音院(くわんおんいん)にかゝわる。/報恩(ほうおん)ゐん 00041290M16へ/聞(きこへ)て/外聞(ぐわいぶん)がわるい。此度バかり/衣裳(いしやう)にせずと、/自性院(じせういん)を 00041300M17こしらへて/着(き)て/出(で)るといふてゐるが、/僮(あほ)あそびも/高津(かうづ)のあ 00041310M18るもの、/何(なん)でもわがミのいがんだ/坂(さか)をすつばり/放(はな)れて、ご 00041320M19くどうが/大和(やまと)ンとばしか、/今(いま)/返事(へんじ)を/嶋(しま)之/内(うち)、/爰(こゝ)がせうりの 00041330M20/堺筋(さかひすじ)、/日本橋(につほんばし)を/南(ミなミ)へわたりて/思案(しあん)しや。ぐず+いふうち 00041340¥P143 00041350L1/日(ひ)が/竹田(たけだ)の/芝居(しばゐ)、いかに/年(とし)が/若太夫(わかたゆふ)じやテヽ(六オ)あんま 00041360L2りじやト、/此(この)なが+の/異見(いけん)もうハのそらで、カノ/息子(むすこ)ど 00041370L3のハ、ウツカリト/箱(はこ)よりかづらを/取出(とりだ)してかふり、大小を 00041380L4さして/身(ミ)ぶりを/仕(し)かけたら、/母公(はゝご)が見て、/其(その)すがたハ/何(なん)じ 00041390L5やいノトいへば、/息子(むすこ)が、/母(はゝ)さま。/大師(だいし)めぐりの/道筋(ミちすじ)のい 00041400L6けんも、/日本橋(につほんばし)の/南詰(ミなミづめ)まで/来(き)ました。ナント、/三津寺(ミつでら)さま 00041410L7を/残(のこ)して、一ト/切(きり)ミて、いになさらんか 00041420¥N2¥J 00041430¥X/下(した)くゞる/水(ミづ) 00041440L10/長崎(ながさき)より/唐(から)へ/便船(びんせん)をかりて/行者(ゆくもの)四五人あり。/船中(せんちう)にてのは 00041450L11なしに、おまへさまハどれへお/出(いで)なされます。(六ウ)Sわ 00041460L12たしハ/唐(から)の/千里(せんり)の/薮(やぶ)へ/行(ゆき)升△S千里の竹へ/何用(なによう)あつてゆき 00041470L13被成升△Sハイ。/私(わたし)ハ/鳥(とり)さしてござります。/日本(につぽん)ハひまゆ 00041480L14へ、/唐(から)の/千里(せんり)の竹へ/行(ゆき)て/雀(すゞめ)をさして来ます△Sなるほど、 00041490L15千里も竹のある所ゆへ、/雀(すゞめ)も/沢山(たくさん)でござりませう。/時(とき)にお 00041500L16まへさまハ△Sハイ。わたしも/唐(から)へ/行(ゆき)升△S唐ハどの/辺(へん)へ 00041510L17お/出(いで)ぞ△Sハイ。千里が/竹(たけ)へ行キます△Sおまへさまも/鳥(とり) 00041520L18さしかへ△Sイヽヱ。わたしハ/八百屋(やほや)で厶リ升が、/日本(につぽん)で 00041530L19ハ/竹(たけ)の子がことしハきつう/高直(かうぢき)に厶り升ゆへ、/千里(せんり)の/竹(たけ)へ 00041540L20Sなるほど、/千里(せんり)も竹のある/所(ところ)なれバ、竹(七オ)の/子(こ)も/沢= 00041550M1山(たく=さん)である。/商売(しやうばい)とてよふかんがへたものじや。/然(しか)しあなた 00041560M2ハどれへ△Sわたくしも/唐(から)へ△S何ンじや。びんぼう/人(にん)の 00041570M3たのもしミたよふに、からばつかりじや。シテ、/唐(から)はどの 00041580M4/辺(へん)へおこし被成ます△S千里が/竹(たけ)へ△Sハヽア、おまへさ 00041590M5まも/八百屋(やをや)さまかへ△Sイヽヱ△Sそんなら/鳥(とり)さし△Sイ 00041600M6ヽヱ△S何やさまでござり升△Sハイ。/私(わたし)ハ大坂かうらい 00041610M7ばし/虎屋(とらや)の/若(わか)いものでござり升△S夫レなら知れてある。 00041620M8おほかた/虎(とら)を/持(もつ)て/戻(もど)つて、/店(ミせ)のかんばんニなさるのじやあ 00041630M9らふ△Sイヽヱ、あの/辺(へん)へ竹のかわひらいに/行(ゆか)升(七ウ) 00041640¥N3¥J 00041650¥X/理(り)の/当然(とうぜん) 00041660M12/生(うま)れおちるより/貧苦(ひんく)にくらせし人、/俄(にハか)に/運(うん)がきたりたるに 00041670M13や、/一家(いつけ)より/紀念分(かたミわけ)として/銀(ぎん)壱〆目/貰(もら)ひ、/夜(よ)ハ/寐(ね)てゐる/間(あいだ) 00041680M14に/銀(かね)を/取(と)られふかと/夜通(よどほ)し、/昼(ひる)は/寡(やもめ)のことなれバ、/懐(ふところ)へ入 00041690M15レあるきけるに、/友達(ともだち)に/仲仕(なかし)をするもの、/向(むか)ふより/来(きた)りて、 00041700M16/弥兵衛(やへい)。ねむたそふな/顔(かほ)してどこへゆく。シテ、/懐(ふところ)に/何(なに)を 00041710M17入ているのじや。弥Sイヤ、/一家(いつけ)より/紀念(かたミ)わけに/銀子(かね)を壱 00041720M18〆目/貰(もら)ふたが、ねている/間(ま)にぬす/人(びと)がとるか、/昼(ひる)も内に/置(おい) 00041730M19て/出(で)たら、/留守(るす)の内が/気(き)がゝ(八オ)りと、/昼夜(ちうや)/銀子(かね)のばん 00041740M20で/働(はたら)きにハゆけず。モウ/向(むか)ふへ/節季(せつき)ハミへてあり。この/銀= 00041750¥P144 00041760L1子(か=ね)に/手付(てつけ)るハおしゝ、せつきになつたら此かね/持(もつ)て/欠落(かけおち)せ 00041770L2うか/知(し)らんと/思(おも)ふてゐる△仲Sヱヽ、/銀(かね)もつてつまらぬと 00041780L3いふことがあるかへ。そのやうに/邪摩(じやま)になる/銀(かね)なら、おれ 00041790L4が/行(ゆく)/親(おや)かたへ/預(あづ)けるがよい。こゝで/十年(じうねん)あづけたら、/壱= 00041800L5貫目(いつ=くわんめ)のかねが/利足(りそく)に利足をかけると、/弐貫目(にくわんめ)になつてもど 00041810L6るハへ。早ふいふてミると、/奉公(ほうこう)に/遣(や)るやうなものじや。 00041820L7ソレ、/十(と)ヲのとしに奉公に/遣(や)りて十/年(ねん)/立(たつ)と、廿才に/成(なつ)ても 00041830L8どつて/来(く)る。(八ウ)それと/同(おな)じことじや△弥Sそんなら/親(おや) 00041840L9かたさまをたのんでくれるか△仲Sよし+、/頼(たの)んでおく 00041850L10よつて、ひるからでも/持(もつ)て/行(ゆか)しやれト/別(わか)れけれバ、かの/男(をとこ) 00041860L11ハ壱貫目の/銀(かね)を/懐(ふところ)へ入レ、/仲仕(なかし)に/頼(たの)んでもろふた/方(ほう)の/店(ミせ)へ 00041870L12/行(ゆき)、○/御(ご)めん被成。旦那Sハイ、あなたハいづれから御/出(いで) 00041880L13被成ました△弥Sハイ、/奉公人(ほうこうにん)をつれて/参(まい)りました△旦 00041890L14S奉公人ハいふてない/筈(はづ)じやが。しかしひとり/有(あつ)てもよし。 00041900L15そふしてその/奉公人(ほうこうにん)ハ/大人(おとな)か、/子(こ)どもでござり升か△弥 00041910L16S小/玉(だま)でござり升△旦Sどこにゐます。つれてお/出(いで)被成た 00041920L17か△弥Sハイ、ふところに/這(は)入て(九オ)おり升△旦Sめつ 00041930L18そふな。/懐(ふところ)にいるものが/奉公(ほうこう)をするものか△弥Sハイ。/仲= 00041940L19仕(なか=し)の久兵衛にたのんで/置(おき)ました/奉公人(ほうこうにん)といひさま、壱〆目 00041950L20の/銀子(かね)を/財布(さいふ)に入れたまゝ/出(だ)したら、Sハヽア/此事(このこと)か。/是(これ) 00041960M1なら/聞(きひ)ていますト/言(いひ)さま、/財布(さいふ)より/出(だ)し、/旦那(だんな)ハ/天秤(てんひん)であ 00041970M2らためてミて、よし+。一つもかんハないといふたら、 00041980M3弥Sハイ。/何(なに)を申升も、そのやうなかんのないやつでござ 00041990M4り升。よろしう御/頼(たの)ミ申升といふたら、/旦那(だんな)がはかりを/出(だ) 00042000M5して、/案(あん)じなさるな。ずいぶん/目(め)をかけてつかひ升(九ウ) 00042010¥N4¥J 00042020¥X/切株(きりかぶ)の/芽出(めだ)し 00042030M8/去(さる)かたの/息子(むすこ)どの、/疾病(しつ)をやミけるに、のんど/首(くび)すじ、か 00042040M9たのあたり/腫物(しゆもつ)が/出来(でき)、それより/四国(しこく)へまいりしに、大/師(し) 00042050M10さまのおかげにて/病気(びやうき)/全快(ぜんくわい)いたしけるが、のんど/首(くび)すぢ、 00042060M11かたのあたりの/腫物(しゆもつ)もいへてけるが、しかしまへの/代呂物(しろもの) 00042070M12ハおちけれど、/疾(しつ)の/方(ほう)ハさつぱりよしと/悦(よろこ)びゐる/内(うち)、/少(すこ)し 00042080M13/胸(むね)いたミ/出(いだ)しけれバ、あんじ/居(ゐ)けるに、/折(をり)ふし/友達(ともだち)が/来(き)て、 00042090M14どふじや、夘兵衛。/四国(しこく)からいつもどつた△夘Sよふ+ 00042100M15/此間(このあいだ)/戻(もど)つたが、有リがたいことじや。/大師様(だいしさま)の(十オ)お 00042110M16かげで、/病気(びやうき)ハさつぱり。/其(その)かわり、のんど/首筋(くひすじ)、かたの 00042120M17あたり/穴(あな)だらけ△友S何ぼ/穴(あな)ハあつても、/達者(たつしや)になりさへ 00042130M18すりやよい△夘Sけれども、/肝心(かんじん)のまへの/物(もの)をないやうに 00042140M19した△友Sそれもない/方(ほう)が/銭(ぜに)が入らいでよいわへ△夘Sソ 00042150M20リヤマアよいが、/此節(このせつ)むねがいたいわへ△友Sそれハわる 00042160¥P145 00042170L1いが、/胸(むね)いたにハ/松脂(まつやに)がよいといふよつて、/呑(のむ)がよいと/別(わか) 00042180L2れければ、カノ夘兵衛、/松(まつ)やにハまつの/木(き)より/出(いづ)るものと 00042190L3/心得(こゝろえ)けれバ、松の木の/下(した)へ/行(ゆき)、まつ/脂(やに)とハ/何(なに)がまつやにじ 00042200L4やしらぬとおもふている/所(ところ)へ、/上(うへ)より松のちゝりが一トツ 00042210L5おちしを(十ウ)取り上ケて、コリヤ、ちゝりじやとむしつ 00042220L6てミる内、/種(たね)が三/粒(りふ)四りふ。是が/松脂(まつやに)じやと松のたねを/呑(のミ) 00042230L7しが、/気(き)は心とやらで、むねいたハ/直(なを)りしが、/翌年(あくるとし)の/春(はる)、 00042240L8/腰(こし)がかゞミにくうなり、/腹(はら)の中に何か/棒(ぼう)のごとくなるもの 00042250L9/有(ある)やうにおもひけるが、六日七日とだん+うつむきにく 00042260L10うなり、又二日三日/立(たつ)と、かたや/首筋(くびすじ)の/穴(あな)から/枝(えだ)が/出(で)て、 00042270L11はらの中にまつの/木(き)がはへたとミへて、日に+/枝(えだ)/栄(さか)へけ 00042280L12れバ、/丸(まる)で/荒神松(くわうじんまつ)の/化(ばけ)ものとおもひけれども、/寡(やもめ)のことな 00042290L13れバ/遣(つか)ひはんに出るに、/春(はる)の/事(こと)なれバ/子供(こども)が/凧(いか)をのぼ(十 00042300L14一オ)してひつかける。夘Sいたい+。/凧(いか)引ツかけてど 00042310L15ふするのじや。/其(その)やうに引ツぱると、/穴(あな)のきわがいたいわ 00042320L16へトいふ/内(うち)に、かの/松(まつ)に/鶴(つる)が/巣(す)をくミけれバ、/近所(きんじよ)にハい 00042330L17かいこと、のかけ/茶(ちや)屋/出来(でき)て、朝から人トくんじゆ。/我(われ)も 00042340L18+と茶を/呑(のん)で、夘兵衛のつかひに/出(で)るを/待合(まちあハ)しける。サ 00042350L19ア/寡(やもめ)の夘兵へ、/門(かど)へ/出(で)ると、/見物人(けんぶつにん)のヨウ+の/声(こゑ)、五丁 00042360L20も七丁もひゞき/渡(わた)りける。それで一ぱい/鶴見物(つるけんぶつ)人も/得心(とくしん)を 00042370M1して、/茶店(ちやミせ)を立かへりしが、またあとへ/来(く)る人、そのごと 00042380M2くにて/待合(まちあハせ)ける。/日(ひ)ごとに此/通(とほ)りなりしが、/鶴(つる)も/子(こ)をうミ、 00042390M3/巣(す)だちを(十一ウ)して/仕舞(しまひ)ける。はや/夏(なつ)なれバ、/植(うへ)ごミに 00042400M4/蚊(か)の住しならひなれバ、かの/松(まつ)がえで/蚊(か)/多(おほ)く、/夜(よ)ハ/蚊(か)で/寐(ね) 00042410M5にくしと/昼寐(ひるね)をすると、/蝉&(せミ+)のこゑでねられず。/是(これ)ハ/難儀(なんぎ) 00042420M6なりと/日&(にち+)にぼやきていましたが、/早(はや)/秋(あき)になりしに、/尻(しり)の 00042430M7あなより松の/根(ね)が/出(いで)けり。すハることもならぬやうになる。 00042440M8/是(これ)にハ夘兵衛も大きに/困(こま)りしが、どふぞまへからふんどし 00042450M9にてかくしても、/常住(じやうぢう)ちんぽが/立(たつ)てあるやうに見へて/見(ミ)ぐ 00042460M10るしいと/案(あん)じていたら、よふしたものじや。/秋(あき)の/事(こと)ゆへ、 00042470M11ちんぽがおちた/跡(あと)から、松たけができ(十二オ)ました 00042480¥N5¥J 00042490¥X/雪(ゆき)の/鷺(さぎ) 00042500M14/霜月(しもつき)の/中旬(ちうじゆん)の/事(こと)なりしが、大坂/南(ミなミ)のミどうきん/辺(へん)に、/長(なが)さ 00042510M15きや/長兵衛(てうべい)といふ人ありけるに、/世(よ)の人が長兵衛の/名(な)を、 00042520M16/長命(てうめい)+といひける。長命といふももつともなり。/今(いま)の/世(よ) 00042530M17とりといふが五十四才にて、/其親公(そのおやご)は九十三才なり。世と 00042540M18りの/母公(はゝご)の/方(ほう)ハ九十一才、/年病(としやまひ)ニてかくれけれども、/泣(なく)も 00042550M19の壱人もなし。/只(たゞ)めでたい+といふものばかり也。此人 00042560M20の/在所(ざいしよ)は/東多田村(ひがしたゞむら)にて、/権(ごん)(十二ウ)右衛門と申、是も九十 00042570¥P146 00042580L1/余(あま)りなり。此方へ早速に/知(し)らせけるに、/忰(せかれ)の権右衛門ハ/親(おや) 00042590L2のかわりに/来(きた)りけるか、内にも/在(ざい)から/来(きた)るを/待(まち)かねたる事 00042600L3なれハ、権右衛門の/顔(かほ)をミるより、いろを/着(き)てもろふて/葬= 00042610L4礼(さう=れい)を/出(た)しける。/墓所(はかしよ)ハ千日なれども、/諸方(しよハう)より葬礼来り、 00042620L5いづれも/白(しろ)き/着(き)ものをきたる人/多(おほ)けれハ、/間(ま)ちがふて/外(ほか)の 00042630L6いろに/付(つい)てかへりける。此/葬礼(そうれい)ハ/高津新地辺(かうつしんちへん)なれバ、所ハ 00042640L7大きにちかひける。内の人ハミないろぬぎて/仕(し)上ケ/喰(く)ひ、 00042650L8かへる人ハ/帰(かへ)りしか、権右衛門壱人ハいろもきたなりにて 00042660L9いられけれバ、家(十三オ)/内(ない)のものも/先(さき)の/内(うち)ハこんざつに 00042670L10て目にかけざりけれども、いまハ/見(ミ)とがめて、申おまへさ 00042680L11まハ。権Sハイ。わたしハ東/多田村(たゞむら)/権右衛門(ごんゑもん)と申升△Sそ 00042690L12んなおかたハ/私(わたし)の/方(ほう)にハござりませんが、ソリヤ/内(うち)が/間(ま)ち 00042700L13がひましたのじや。しかし、どれの/葬礼(そうれい)に御/出(いで)なされまし 00042710L14たといへば、此権右衛門ハ大とくじつもので、/百性(ひやくしやう)また山 00042720L15かせぎ/一(いち)まきより/外(ほか)ハしらず、/他所(たしよ)といへば/池田(いけた)より/外(ほか)へ 00042730L16行たことなき/男(をとこ)なれバ、かいもくわからず。Sどのやうな 00042740L17/所(ところ)といへば、/南(ミなミ)の/御坊(ごほう)さまの/近所(きんじよ)といへば、それハ/爰(こゝ)をこ 00042750L18う/行(い)て、こう/行(ゆか)しやれ(十三ウ)とおしへて/出(いた)せしハ、はや 00042760L19/初夜(しやや(ママ))まへなり。是£うろ+とあるきしか、/北(きた)の/新地(しんち)の/方(かた) 00042770L20へゆくときハ/夜半(やはん)ごろなりしか、/是(これ)ハつまらぬと始ておも 00042780M1ひ、人に/問(とひ)しに、此人ハばゝさきの人にて、あの/辺(へん)まで/用= 00042790M2事(よう=し)あつて/行(い)た人の/戻(もと)りかけにたづねけるに、/深切(しんせつ)なる人に 00042800M3て、/南(ミなミ)の/御堂(ミとう)の/辺(へん)まで/送(おく)りて/来(きた)りけれども、/行(ゆく)さきしれさ 00042810M4れハ、/座摩(さま)さんのまへにて、/何(なん)でも/此辺(このへん)じやよつて、夜の 00042820M5あけるまでこゝに/居(ゐ)被成といふて/帰(かへ)りけるか、/早(はや)/夜(よ)も/明(あけ)か 00042830M6たになりけれバ、/霜月(しもつき)の/事(こと)ゆへ、/袴着(はかまぎ)のぼんさまを/肩(かた)にの 00042840M7せ(十四オ)て/初参(ういまい)りしけれバ、カノ/権(こん)右衛門、/白(しろ)き/着(き)もの 00042850M8にて/立(たつ)ているゆへ、/神主(かんぬし)の/下部(しもべ)と/心得(こゝろえ)、ざまの/社(やしろ)ハいまた 00042860M9/〆(しま)つてあれバ、/神楽料(かぐられう)をかの権右衛門にたのミ/帰(かへ)りける。 00042870M10/程(ほど)なく/座摩(ざま)さまも/門(かど)を/男衆(をとこしゆ)が/明(あけ)けるに、権右衛門ことづか 00042880M11りし/御神楽料(おかくられう)を/渡(わた)しける。男Sめつそうな。そうれいに/行(い) 00042890M12た人じやないか。/夫(それ)に/神楽料(かぐられう)をことつかるとはあんまりじ 00042900M13やが、いつたいおまへハどふしたのじや△権Sかやう+ 00042910M14とかたりけるに、/幸(さいわひ)と/男衆(をとこしゆ)の/知(し)るべゆへ、/委(くわ)しくおしへ 00042920M15ていなしけるに、権右衛門よふ+/長崎(ながさき)かたへ/戻(もど)りけれバ、 00042930M16(十四ウ)/内(うち)ハ/夕部(ゆふべ)より/帰(かへ)らざりしゆへ、/直(すぐ)に/多田(たゞ)へ/帰(かへ)られ 00042940M17たか、それにしても、いろハ/脱(ぬい)で/去(いに)そふなものと、ふしぎ 00042950M18/立(たて)ていたりける。権右衛門、はじめからの/事(こと)/一&(いち+)かたりけ 00042960M19れば、/家内(かない)大わらひ。それより/座摩(ざま)さんにて御/神楽料(かぐられう)をこ 00042970M20とづかりし/事(こと)を申けれバ、主Sそれハ大かたどこぞの/袴着(はかまぎ) 00042980¥P147 00042990L1でござり升ふ。此/霜月(しもつき)にハ/朝&(あさ+)に/袴着(はかまぎ)ハいくたりも/参(まい)り升 00043000L2といへば、権Sそんなら/墓(はか)まぎれハ、いかいことあるもの 00043010L3とミへ升ナア 00043020¥N6¥J 00043030¥X/鎌(かま)くら/街道(かいどう)(十五オ) 00043040L6旦那S長吉。そちハどこへつかひに/遣(やつ)ても、内からいひ/付(つけ) 00043050L7たとふりに/口上(かうじやう)いふてこぬよつて、物が/間違(まちが)ふてどふもな 00043060L8らぬ。/是(これ)からよふ/呑(のミ)こんで/行(ゆか)ふぞ△長Sハイ。/中呑(ちうのミ)こミで 00043070L9/行(ゆき)升と、よふ/覚(おぼ)へていて、/御内(おうち)からおつしやつた/通(とほ)り申升 00043080L10けれど、あんまり/呑(のミ)こんでいけ+といひなさるよつて、 00043090L11/呑(のミ)こミすぎて、/尻(しり)へぬけ升 00043100¥N7¥J 00043110¥X/薫(かほ)る/二葉(ふたば) 00043120L14おミつさんわへ、/琴(こと)のけいこにおいでんか。ミつSハイ 00043130L15+。今まいりますと/爪(つめ)の/筥(はこ)をふところへ。コレ、おきよ 00043140L16ハいやらん(十五ウ)か。そんなら長吉。/送(おく)つてたも。サア 00043150L17/参(まい)りましやうと/日笠(ひがさ)をさげ、あなた、/此月(このつき)へ入ツてから/何= 00043160L18&(なに=+)上ゲなされた。Sハイ。/私(わたし)ハきぬ※と/四(よつ)ツの/袖(そで)ときれ 00043170L19づくしと、三ツ上ケましたハへ△ミつSそれハマア、たん 00043180L20と上ケ被成た。わたしはやう+/名古(なご)や/帯(おび)とひとつ/夜着(よぎ)と、 00043190M1たつた二ツはか、よふ上ケんわいナアとはなしを/聞(きひ)て、で 00043200M2つちの長吉びつくりして、モシいとさま。それハマア、ど 00043210M3このごふくやでござり升 00043220¥N8¥J 00043230¥X/陰裏(かげうら)の花(十六オ) 00043240M6うきよの/事(こと)ハ/打(うち)わすれ、/家内(かない)の/用事(ようじ)に/目(め)もやらずして、/参(まい) 00043250M7り/下向(げかふ)にばかりこつてゐるかた/親父(おやじ)。/方丈様(はうじやうさま)の/直御勧化(ぢきごくわんけ)ハ 00043260M8ありがたいと、/後生(ごしやう)ばなしの/最中(さいちう)へ、七ツばかりな/孫(まご)が、 00043270M9コレ、/祖父(ぢい)さまの/紙(かミ)入レに、此やうなかんざしが/入(い)れてあ 00043280M10る。コレ、わしにおくれやといへバ、だい/所(どころ)にて十七八ナ 00043290M11/下女(げぢよ)が、べかこう 00043300¥N9¥J 00043310¥X/蛇(へび)ハ一寸ン 00043320M14/墨筆御用(すミふでごよう)と/寺(てら)※まハるあきんど、/和尚様(おしやうさま)。おあつらへの 00043330M15/筆(ふで)が/出来(でき)ましたと/箱(はこ)より/出(だ)す。/小僧(こざう)も/手習(てなら)ひ(十六ウ)/筆(ふで)/買(かハ) 00043340M16んとさがす内、おはぐろ/筆(ふで)を/見付(ミつけ)、これハなんじやへ。/筆(ふで) 00043350M17や、ニコ+/笑(わら)ふてゐる。小僧Sコレ壱本、わたしにおく 00043360M18れんか△筆やSハイ+、上ケ升ふ△和尚Sイヤ+、/遣(やら) 00043370M19しやんな。/今(いま)からだんに 00043380¥P148 00043390¥G(十七ウ・十八オ) 00043400¥N10¥J 00043410¥Xあはづが/原(はら) 00043420M3これハお早ふ御/出(いで)被成ました。サア/内(うち)に/居(ゐ)ても/暑(あつ)いゆへ、 00043430M4/爰(こゝ)の/店(ミせ)へ/来(き)たら、チト/涼(すゞ)しからふと/思(おも)ふて。マダ/先生(せんせい)ハミ 00043440M5へぬかナ。席元Sハイ、もふ見へ升。こゝが/涼(すゞ)しうござり 00043450M6升と、/講釈場(かうしやくば)の/店(ミせ)のかたわきへ/菓子(くわし)を/直(なを)(十七オ)(十七ウ・ 00043460M7十八オ挿絵)せバ、こゝはよい/風(かぜ)がくる。席元Sハイ、それ 00043470M8で/直(なを)して/置(おき)ますと、/竹(たけ)の/皮(かハ)にとりもちの/付(つい)たのを、カノ/菓= 00043480M9子(くわ=し)の上へおくと、/直(ぢき)に/蝿(はい)が/引(ひつ)つき、キウ+いふを、/詠(なが)め 00043490M10入たるゐんきよ、ハテさてナア。/木曽(きそ)どのハ/難儀(なんぎ)しられた 00043500M11はづじや 00043510¥N11¥J 00043520¥X/秋津洲(あきつす) 00043530M14/家内(かない)の/事(こと)ハ/番頭(ばんとう)まかせ、/年若(としわか)な/旦那(だんな)、/身持(ミもち)ふらちにて/昼夜(ちうや) 00043540M15わかたず/曲輪(くるわ)がよひ。/番頭(ばんとう)/手代(てだい)うちより、/段&(だん+)/異見(いけん)するに、 00043550M16/旦那(だんな)ハ/肝癪(かんしやく)おこし、/鍵(かき)/帳(てう)めんをひつさらへ、/蔵(くら)の内へ/這(は)入 00043560M17り、/戸(と)を/立(たて)きり/出(いで)ざれバ、/家(か)(十八ウ)/内(ない)の/者(もの)/戸口(とぐち)にむかひ、 00043570M18/様&(さま※)かやうに被成てハ、一かう/闇(やミ)でござり升と、いろ+ 00043580M19/言訳(いひわけ)すれど/聞(きゝ)入レなく、こまり入たる所に、壱人の/手代(てだい)、 00043590M20/新町(しんまち)へ人を/遣(つかハ)し、なじミの太夫/芸子(けいこ)をよびよせ、/蔵(くら)のまへ 00043600¥P149 00043610L1にて/三味線(さミせん)たいこにて、大さやしにて大うかれ。あまりの 00043620L2/面(おも)しろさにこたへかね、/戸(と)をひらけバ、/太夫(たゆふ)見るより、お 00043630L3なつかしやと/抱(いだき)つくを、手代ハ/手(て)を/打(うつ)て、どうでも/神国(しんこく)じ 00043640L4やナア 00043650¥N12¥J 00043660¥X/乳母(うばの)/懐(ふところ) 00043670L7治郎兵衛さん。此せつは/夜(や)ぶんハ/用心(ようしん)がわるい。/一向(いつかう)(十 00043680L8九オ)はぎますゲナ。さやうじや。/夜分(やぶん)ハはぎそうなもの 00043690L9じや。此間/北(きた)の/鬼子母神(きしぼじん)さまへ/参(まい)りまして一つたべました 00043700L10ら、/余(よ)ほどはがれました 00043710¥Y1落噺千里薮巻の三△終(十九ウ) 00043720¥T1/落噺千里薮(おとしばなしせんりのやぶ)巻の四 00043730¥A浪△華△△△@花枝房円馬作|月亭生瀬校@ 00043740¥N1¥J 00043750¥X/夢(ゆめ)ものがたり 00043760M7ナント/徳兵衛(とくべい)さま。/夜(や)ぜんおかしい/夢(ゆめ)を/見(ミ)ましたが、夢と 00043770M8いふものハ/取(とり)しまりのないものじや。しかし/夕部(ゆふべ)の/夢(ゆめ)ハ、 00043780M9よい夢かわるい/夢(ゆめ)か、きいておくれなされ。マアわたしが 00043790M10/住(すミ)よし/参(まい)りするつもりで、/長町(ながまち)のびしや/門(もん)さまをうらへぬ 00043800M11けた/所(ところ)が、御あんないの/通(とふ)り、長町(一オ)うらじや。所が、 00043810M12/駕(かご)が/壱挺(いつてう)きた。此/駕(かご)に/親仁(おやじ)ひとり/付(つい)ていたが、/跡(あと)より九郎 00043820M13兵衛といふ/男(をとこ)が/来(き)て、此/駕(かご)まつてくれといふと、/駕(かご)かきが 00043830M14いふにハ、/罷(まか)り/出(いで)たる/者(もの)ハ、/東(あづま)の/与四郎(よしろう)と申かごかきにて 00043840M15候といふたら、/片棒(かたぼう)ハ/浪花(なには)の治郎/作(さく)かと/問(とふ)たら、/駕(かご)の/甚兵= 00043850M16衛(じんべ=い)といふ/名(な)じや。そんなら/外(そと)が/東(あづま)じやない。/乗(のつ)てゐる/女(をんな)が 00043860M17あづまじやあろと/覗(のぞい)てミたら、/中(なか)にハ/勘平(かんへい)の/女房(によばう)おかるが 00043870M18/売(うら)れて/行(ゆく)のじや。その/所(ところ)へ/平井(ひらゐ)ごん八といふまへがミが/来(き) 00043880M19て、あまたの/悪者(わるもの)を/相手(あいて)にする。/駕(かご)の中(一ウ)より、ばん 00043890M20ずい長兵衛といふ人が/出(で)て、あつぱれじやといふて/連(つれ)てい 00043900¥P150 00043910¥G(三ウ・四オ) 00043920M1んで/仕(し)まひ、それからだん+/今宮(いまミや)から南へ/行(い)て/野(の)へ/出(で)た 00043930M2ら、/乞食(こじき)がいろ+ゐる。/車(くるま)に/乗(のつ)てゐるが/飯沼(いゝぬま)/勝(かつ)五郎とい 00043940M3ふこじき、/引(ひい)てゐるがはつ花、/小家(こや)の内に入ルハ/春藤(しゆんどう)治郎 00043950M4右衛門といふこじき。/女子(をなご)ふたりの/順礼(じゆんれい)のこじきハ、/宮(ミや)ぎ 00043960M5のゝ/妹(いもと)しのぶと十郎兵衛の/子(こ)おつる。あまりいじらしさに、 00043970M6/銭(ぜに)を/遣(やら)ふとおもふて/財布(さいふ)を/出(だ)したら、兵助といふ/者(もの)が/来(き)て、 00043980M7此さいふハあさひなの/藤兵衛(とうべい)といふ人に/渡(わた)さにやならぬと 00043990M8いふ。又八蔵と(二オ)いふ/男(をとこ)が/来(き)て、此さいふを/取(とり)合ふ所 00044000M9へ、/与市(よいち)兵へといふ/親仁(おやじ)が/来(き)ていふにハ、此/財布(さいふ)ハあとの 00044010M10/在所(ざいしよ)で、はした/銭(ぜに)を/出(だ)しましたといふ。それからさいふを 00044020M11/引(ひつ)たくつて、南へさして/迯(にげ)だして天下/茶屋(ちやや)まで/行(い)たら、/乳= 00044030M12母(う=バ)が子をつれて、申シ/輝若(てるわか)さま。此あとの大坂といふ/在所(ざいしよ) 00044040M13で/問(とふ)たらバ、きし野の/里(さと)へハモウ一/里(り)といふたら、子が、 00044050M14コレ/乳母(うバ)。千ン松よりハおれがつよいのふトいふと、うバ 00044060M15が、/小僧(こざう)+と/守口(もりぐち)づれの/足(あし)に、かゝるうき目が/情(なさけ)なやと 00044070M16いふと、子が、/昼(ひる)は/馬追(うまお)ひ、/夜(よる)ハわらんじ/造(つく)り、とゝさま 00044080M17かゝさま/養(やしな)ひ升と(二ウ)いふ/所(ところ)へ、/人形(にんきやう)や幸右衛門といふ 00044090M18人が/助太刀(すけだち)で、かたき/討(うち)があるといふよつて、こゝらにま 00044100M19こ+して/怪我(けが)したらわるいと、住よし/新家(しんけ)までいたら、 00044110M20三文じやから/仲居(なかゐ)か二人リ/出(で)て、マア+おは入り被成と、 00044120¥P151 00044130L1むりに/引込(ひつこ)む。一人リの/仲居(なかゐ)ハまん/野(の)といふ。ひとりの仲 00044140L2居ハ/淀与惣(よどよそ)右衛門の/女房(によはう)のお舟といふもの。此二人に/案内(あんない) 00044150L3さして、/座敷(さしき)へ/通(とほ)つた/時(とき)に、一ツぱいこしらへてくれと/待(まつ) 00044160L4てゐるうちに、となりざしきに/琴(こと)、/三味線(しやミせん)、つゞミにたい 00044170L5こ、/笛(ふへ)のおと。それゆへ/隣(となり)ざしきをのぞいてミたら、/三絃(しやミ)引 00044180L6ているハ(三オ)(三ウ・四オ挿絵)/きゝ((きくカ))/野(の)に小はるに/与(よ)治郎の/母(はゝ) 00044190L7に、たばこや源七、/袖萩(そではぎ)。/琴(こと)ハあこやに/朝(あさ)がほ、/伊勢(いせ)物が 00044200L8たりのしのぶ、/唐土(もろこし)の/孔明(こうめい)。/皷(つゞミ)うつてゐるをミると、/藤屋(ふじや)伊 00044210L9左衛門に/静(しづか)ごぜん、/笹市(さゝいち)松太郎の/祖父(ぢい)さま。/笛(ふへ)/吹(ふい)てゐるが 00044220L10/牛若丸(うしわかまる)に/敦(あつ)もり公、/唐土(もろこし)の/玄(げん)宗/皇帝(くわうてい)。此笛でふか七が/入鹿(いるか) 00044230L11を/亡(ほろ)ぼすといふて、かれこれする内、/酒(さけ)を/出(だ)したよつて/呑(のん) 00044240L12でいたら、/侍(さふらひ)が/来(き)て、/間(あひ)をするといふよつて、/呑(のま)して/蛸(たこ)を 00044250L13/肴(さかな)にはさんだら、/侍(さふらひ)が手を/出(だ)して/足(あし)をいたゞく/蛸(たこ)肴といひ 00044260L14おつた/上(うへ)に、此肴でハ/呑(のめ)ぬ+。/鶏(にハとり)を/〆(しめ)、/鍋(なべ)やきさせ(四 00044270L15ウ)なそとぢわいぬかす。/相手(あいて)になつたらせり/合(あハ)にやなら 00044280L16ぬとおもひ、/仲居(なかゐ)にそつと/金(かね)をはらひ、/立(たつ)て/仕(し)まふて/南(ミなミ)へ 00044290L17/行(ゆ)き、/鳥居(とりゐ)のそばへ/行(い)たら、/岩藤(いはふじ)/尾上(をのへ)に/逢(あ)ふた。あとから 00044300L18/佐野(さのゝ)源左衛門と/三浦(ミうら)/荒次郎(あらじろう)と/出(で)て/来(き)た。/岩藤(いはふじ)ハ/草履(ざうり)の/事(こと)で 00044310L19ポン+いふてゐる。荒次郎ハ/鶴(つる)の/事(こと)でまゆ/毛(げ)を立てゐる。 00044320L20かほよ/御前(ごぜん)ハ/兜(かぶと)を斗リあらためているし、おかしいない/所(ところ) 00044330M1から、なにはやの松を見に/這(は)入たら、/松(まつ)の/木(き)の上にハ/船頭(せんどう) 00044340M2の松右衛門がいるし、本蔵が/来(き)て/松(まつ)の/枝(えだ)を切りおとす。コ 00044350M3リヤ/大事(だいじ)の松を(五オ)/切(きつ)たら、かゝり/合(あひ)に/成(なら)ふもしれぬと、 00044360M4/南(ミなミ)へさして/行(ゆく)と、/堺(さかい)の/大和(やまと)ばしじや。三七/信孝(のぶたか)が千両/筥(ばこ)付 00044370M5た/馬(むま)を/引(ひい)ていると、/黒船(くろふね)/忠(ちう)右/衛門(ゑもん)が/来(き)て、コレ/若(わか)いのと/呼(よ) 00044380M6びかへす。また/喧嘩(けんくわ)がはじまりそふなよつて、/足(あし)ばやに橋 00044390M7をわたつたら、/藤吉(とうきち)といふちいさいがきめが、/何(なん)でおれの 00044400M8/足(あし)をふんだ。だまつて/通(とほ)ると、けんくわ/仕(し)かけよる所へ、 00044410M9/弁慶(べんけい)が千人ぎりをするといふて/橋(はし)の/上(うへ)へ出て/来(く)る。/俵藤太(たハらとうだ) 00044420M10が此はしの上から/百足(むかで)を/射(ゐ)るといふて/出(で)て来る。また/河中(かハなか) 00044430M11にハ/船(ふね)が/何艘(なんざう)もつないである。(五ウ)一そふの/船(ふね)にハ、/瀬(せ) 00044440M12の/尾(を)ノ太郎ト/丹(たん)左衛門と/乗(のつ)てゐる。また一/艘(そう)のふねにハ、 00044450M13/仙台(せんだい)の/殿(との)さまが/高尾(たかを)をバさげぎりにしている。こちらの/船(ふね) 00044460M14にハ/唐土(もろこし)の/白楽天(はくらくてん)が詩をよんでいる。又こちらの/船(ふね)にハ玉 00044470M15むしといふ女が、/竹(たけ)の/先(さき)に/日(ひ)の丸の/扇(あふぎ)を/付(つけ)て/立(たつ)てゐる。け 00044480M16れども、こんなことを/見(ミ)てゐてハはてしがないから/堺(さかひ)へい 00044490M17て、まづ大/寺(てら)へ/行(ゆき)ました。大/寺(てら)にハ/御案内(ごあんない)の大きな/柳(やなぎ)の木 00044500M18がある。/其(その)柳のもとで御/公家(くげ)さまが/鞠(まり)をけつて/居(ゐ)なさる。 00044510M19それをミていたら/日(ひ)がくれた。日くれると柳の/下(した)へ/惣(そう)(六 00044520M20オ)/嫁(か)が/立(たつ)。そのあとへ/幽霊(いうれい)が出る。/雨(あめ)が/降(ふつ)て/来(き)たら、/小= 00044530¥P152 00044540L1野道風(を=のゝたうふう)といふ人が/傘(からかさ)さして/下駄(げた)はいて/来(き)て、/蛙(かいる)を見てゐ 00044550L2る。/所(ところ)がだん+/雨(あめ)がゑらふなつたゆへ、天川やの/義平(ぎへい)さ 00044560L3まの所へ/傘(かさ)かりによつたら、義平/言(いふ)にハ、/傘(からかさ)のよいのハ/壱= 00044570L4本(いつ=ぼん)、/小野(をのゝ)の/道風(たうふう)にかす。また壱本ンハ/八陣(はちじん)の/加藤(かとう)にかした。 00044580L5大/丸(まる)のかさハ/南艸(たばこ)切リの三吉にかした。そんなら/破(やぶ)れた/傘(かさ) 00044590L6でもよいといふたら、やぶれた傘ハ/定九郎(さだくろう)にかした。そふ 00044600L7いふ内に/夜(よ)がふけると、/段&(だん+)/戻(もど)つて/来(き)ました所が、/堺(さかい)の/北(きた) 00044610L8のはしあたりで、/盗人(ぬすびと)に(六ウ)/出合(てあ)ふた。その/名(な)がいなば 00044620L9/幸蔵(こうざう)といふ。此ぬす人が/刀(かたな)をぬき/切(きつ)てかゝるを、/其刀(そのかたな)を引 00044630L10たくりて幸蔵をころして仕まふた。あとへ/木場(きば)のおさいに 00044640L11三しまのおせん、弐人の/女盗賊(をんなとうぞく)。是も何ンの/苦(く)もなく/打(うち)取 00044650L12た。三人のふところを/改(あらた)めた所が、/金(かね)が六七百両ある。ヤ 00044660L13レ/嬉(うれ)しやと、その/金(かね)をおれがふところへ入てもどりかけた 00044670L14ら、あとへ/日本(にほん)左衛門といふ/盗(とう)ぞく。/是(これ)も一ト/刀(かたな)にうち/取(とつ) 00044680L15た。ふところミたら/金(かね)が三百両ばかり。/夫(それ)も取てもどりか 00044690L16けたら、/跡(あと)へ/柿(かき)の木金助に/自来也(じらいや)、(七オ)弐人とも/切(きつ)てか 00044700L17ゝるを/打(うち)とつた。/懐(ふところ)をミた/所(ところ)が、二人の中に/金(かね)が四百両あ 00044710L18まり。/夫(それ)も/取(とつ)てもどりかけたら、あとへ/石川(いしかハ)五右衛門。こ 00044720L19いつも何ンの/苦(く)もなく/打取(うちとつ)た。ふところ/見(ミ)た/所(ところ)が、/金(かね)が五 00044730L20百両。それも/取(とつ)た。何ンても弐千両の/金(かね)をふところへ入た 00044740M1/夢(ゆめ)じやが、此夢を/貴公(きこう)に/遣(や)るよつて、/富(とミ)の/札(ふだ)を/買(か□)ぬか。/其(その) 00044750M2かわり千両/当(あた)つたら、/貴公(きこう)とわしと二つわけにしよう。/何(なん) 00044760M3と、よい夢で/有(あら)ふがナ。Sイヤ+、よしにしよう。/大和(やまと) 00044770M4はし£こつちで、/盗人(ぬすびと)にあふたのでハ/役(やく)にたゝぬ△Sそり 00044780M5やまたな(七ウ)ぜに△Sヱヽ、なんぼ/金(かね)もふけた/夢(ゆめ)ても、 00044790M6/堺(さかい)夢がやくに/立(たつ)ものか 00044800¥N2¥J 00044810¥X/虎(とら)の/子(こ)わたし 00044820M9/彦兵衛(ひこべい)や。/若(わか)いときハミな/色事(いろごと)にこるが、いろごともよい 00044830M10/加減(かげん)にせんならぬものじや。おれが/今(いま)からだのわるいのハ 00044840M11/色事(いろこと)ゆへじや。オレガいろごと/仕(し)ていたげんさいが/死(しに)よつ 00044850M12た。その/死霊(しれう)が/付(つい)ているのじやそふナ。よふ+此あいだ、 00044860M13たつとい/出家(しゆつけ)さんにミて/貰(もろ)ふたら、そふじやけな。彦Sヱ 00044870M14ヽ、/気(き)のよわい/事(こと)をいふナ。/死霊(しれう)が(八オ)はらの/中(なか)でわざ 00044880M15すりや、ツイほり/出(だ)してやるわへ△Sムヽト、/死霊(しれう)をはら 00044890M16ひ/出(だ)す/工風(くふう)があるか△彦Sあるくらい+。/死霊(しれう)といふと 00044900M17/亡者(もうじや)じや。/此(この)もうじやといふやつは、/鬼(おに)をこわがるよつて、 00044910M18/鬼(おに)をのんだくらいなら、もうじやハたちまちはらひ/出(だ)す 00044920M19S/夫(それ)でハ同じことじや。/鬼(おに)があとへ/残(のこ)るがナ△彦Sサア、 00044930M20その鬼をはらひ/出(だ)す工/風(ふう)がある。/鬼(おに)の/残(のこ)つてゐる所へ、/鍾= 00044940¥P153 00044950L1馗(しよう=き)をのますと、鬼ハたちまちはらひ/出(だ)せるじや△Sヤツパ 00044960L2リ/同(おな)じことじや。それでハ/鍾馗(しようき)があとへ/残(のこ)るが、鍾馗をは 00044970L3らひ/出(だ)すものが(八ウ)あるかナ△彦Sハテ、/鍾馗(しようき)はらふの 00044980L4にハ、びわえふ/湯(とう)を/呑(のむ)がよい 00044990¥N3¥J 00045000¥X/出雲(いづも)の/帳(てう)はづれ 00045010L7/北国(ほくこく)の山おくに/大蛇(うハばミ)/住(すミ)けるが、/日(ひ)ごとに人をとつてくらい 00045020L8しゆへ、人/通(どほ)りたへて、五六日も/喰(くハ)ずに/居(ゐ)たりしが、だん 00045030L9+ひだるうなり、/最早(もはや)こらへかね、そろ+と/往来(わうらい)へ/出(いで) 00045040L10けるに、/梺(ふもと)のかたより、/女(をんな)壱人はしり/来(く)るをミて、ヤレ 00045050L11+/食付(くひつい)たと、/口(くち)をあき/待居(まちゐ)たるに、/女(をんな)ハ/何(なに)ごゝろなく、 00045060L12うはバミの/口(くち)の/内(うち)へはしり入けるに、/大蛇(うハばミ)ハ(九オ)はら大 00045070L13きうなり、うれしげに、はな/哥(うた)で/帰(かへ)りかけるに、又ひとり、 00045080L14/梺(ふもと)の/方(かた)より/男(おとこ)はしり/来(きた)れバ、ヲヽ、ひん/僧(そう)のかさねどきと 00045090L15ハ此/事(こと)じや。/食(しよく)たいするかハしらねども、あるときに今壱 00045100L16人、/呑(のん)でおきましようと、又/口(くち)を/明(あい)て/待(まつ)てゐる。/男(をとこ)ハなん 00045110L17にも/知(し)らず、うハばミの口の中へはしりこミ、/腹(はら)のうちへ 00045120L18/這(は)入リけるに、かの女を/引(ひつ)とらへ、男Sコリヤおのれ、/男(をとこ) 00045130L19のつらへヨウ/泥(とろ)をぬつたナ。/遠(とを)からおかしいそぶりじやと 00045140L20ハおもふたれど、/今日(けふ)といふけふは/手(て)しやうをおさへたト、 00045150M1/女(をんな)のたぶさを/引掴(ひつつか)ミ、(九ウ)おもふまゝ/打擲(てうちやく)するゆへ、う 00045160M2ハばミハ/腹(はら)をいたむと大きにくるしミをして、ヤレ+、 00045170M3/女(をんな)ばかりでおいたらよかつたに、/男(をとこ)を/呑(の)んだがあやまりじ 00045180M4や。コリヤ、きく/様子(やうす)が/間男(まをとこ)のせりふとミゆる。/刃物(はもの)ざん 00045190M5/ば((ママ))いなぞしられたら、なんぼはらを/痛(いた)めんならんやらしれ 00045200M6ぬ。/誰(たれ)ぞあいさつ人を壱人リのミたいものじやが、コウ 00045210M7ツ、いまこゝらでの/顔(かほ)やくハ、/東村(ひかしむら)の/茂助(もすけ)さんじや。マア 00045220M8あの人を/頼(たの)んでこうと、/梺(ふもと)へくだり、/茂助(もすけ)が/方(かた)へゆき、申シ 00045230M9茂助さまと、此やうにいふてゐる/内(うち)も、はらが(十オ)いたん 00045240M10でなりません。/其(その)わけといふは、/此間(このあいだ)からくハずにゐるゆ 00045250M11へ、/往来(わうらい)へ/出(で)て/女(をんな)壱人のミました所が、/跡(あと)へ/男(をとこ)が/来(き)ました。 00045260M12/少(すこ)し/喰(くひ)すぎるとおもふたけれど、また男を/呑(のミ)ましたが、は 00045270M13らの中で/間男(まをとこ)のせりふ。どふぞおまへ行、あいさつ/仕(し)て/遣(やつ) 00045280M14ておくれなさらんか。茂Sおれも今まで/挨拶(あいさつ)ごともいろ 00045290M15+/頼(たの)まれたけれど、うハばミのはらの中へ、あいさつに 00045300M16は入た/事(こと)ハ、こんどはじめてじやが、マア+/口(くち)をあかん 00045310M17せ△Sそれハ大キに/御(ご)くろうさまでござり升ト口を/明(あき)けれ 00045320M18バ、茂助ハ(十ウ)うハばミの/口(くち)の/中(なか)へとびこミ、/腹(はら)の内へ 00045330M19/行(ゆき)、/両方(りやうほう)をミれバ、まんざら/知(し)らぬ/顔(かほ)でもなく、/引(ひき)わけて、 00045340M20マア+/何(なに)ぶん、おれに/預(あづ)けてくれトいへば、男Sヲヽ茂 00045350¥P154 00045360L1助さま。おまへさまのいひ被成ことなら、どふともいたし 00045370L2升。/御(お)あづけ申ますが、いづれ/隙出(ひまだ)し升。どふもアノかゝ 00045380L3を/持(もつ)てゐてハ、/友達(ともだち)へかほが/出(だ)されぬ△茂Sサヽ、/夫(それ)なら 00045390L4それでよい。/手(て)ぎれいに/隙遣(ひまや)るがよいじやないかトいふ/内(うち) 00045400L5にも、うハばミハ弐人でさへ/腹(はら)が大きすぎるに三人にな 00045410L6り、大きにこまり入、ヲヽイ+/茂助(もすけ)さま。(十一オ)どふ 00045420L7ぞ/早(はや)う/片(かた)づけて/出(で)ておくれんか。くるしうてならぬわへ。 00045430L8茂Sもうゑい+。かゝハきれいに/隙(ひま)やるになつたトいふ 00045440L9たら、うわばミ、そんなら茂助さま。/紙(かミ)とすゞり/筥(ばこ)と/呑(のも)か 00045450¥N4¥J 00045460¥X/法(のり)の/一心(いつしん) 00045470L12/玉造辺(たまつくりへん)のやしき/町(まち)を/通(とほ)りけるに、/鳥(とり)さしが/雀(すゞめ)をさしかけて 00045480L13いると、/出家(しゆつけ)壱人/来合(きあハ)し、/口(くち)の/内(うち)にて/念仏(ねんぶつ)をもふしけれバ、 00045490L14かの/雀(すゞめ)ハ/迯(にげ)さりける。又/右(ミぎ)のごとく念仏をもふし、/雀(すゞめ)五六 00045500L15/疋(ひき)/助(たすけ)ける。鳥さしハ(十一ウ)またさしかける。/出家(しゆつけ)/念仏(ねんぶつ)も 00045510L16ふしけるに、此/鳥(とり)さゝれける。/出家(しゆつけ)ハふしぎにおもひ、そ 00045520L17ばへよりて、とくとミたらバ、ねんぶつでハ/行(い)かぬはづじ 00045530L18や。/鴬(うぐひす)じやあつた 00045540¥N5¥J 00045550¥Xふじあさま 00045560M1/去隠居(さるいんきよ)さま、/狂哥(きやうか)にこつて/居(ゐ)なされしに、/町内(てうない)の/若(わか)いもの 00045570M2弐三人ン/来(き)て、若S申シ御いんきよさま。/今日(こんにち)ハよろしい 00045580M3お/天気(てんき)さまでござり升△隠Sヲヽ/若(わか)いしゆ。何/用事(ようじ)でお/出(いで) 00045590M4たノ△若Sハイ。/友達(ともだち)がたばこや/店(ミせ)を(十二オ)/出(だ)しました 00045600M5ので、かざりものを/仕(し)て/遣(や)りますのでござり升。それに/狂= 00045610M6哥(きやう=か)がつけて/遣(や)りたふござり升。どふぞ御たのミ申升△ゐん 00045620M7Sよし+。/家名(いへな)はなんといふ△/いん((ママ))S/信濃屋(しなのや)と申ます 00045630M8ゐんSしなのやか。そんなら、コウして/遣(や)らしやれ。哥/店(ミせ) 00045640M9びらき/信濃屋(しなのや)なれバあさまから△/買人(かひて)は山のけふり/草(ぐさ)と 00045650M10ハ△若Sイヤモ、はやいがめうじや△いんS是ハ/今(いま)やう 00045660M11の/狂哥(きやうか)とハよミかたがちがふけれど、万ン人に見せるの 00045670M12ハ、コウいふ/能(よく)わかるのがよいわいノ△若Sさやうでござ 00045680M13り升。/然(しか)し/付(つき)もないことじやが、/南艸(たばこ)やの(十二ウ)かんば 00045690M14んに、アノ/四角(しかく)な/筥(はこ)の/張(はり)たるやうな物がつりさげ升が、 00045700M15何を/仕(し)たものでござり升△ゐんSあれは/切篭(きりこ)に仕たものじ 00045710M16や。今たばこけづり/台(だい)といふ物ハ、/安永時代(あんえいじたい)にできたもの 00045720M17で、それまでハミな/切(きつ)たものじやよつて、/南艸(たばこ)の/惣名(そうめう)を 00045730M18/切粉(きりこ)といふよつて、切リ/篭(こ)をかんばんにするのじや△Sわ 00045740M19たしやまた、/四角(しかく)のハせんだい/銭(せに)に/仕(し)たもので、/仙(せん)だいと 00045750M20いふ/南艸(たばこ)のかんばんか/知(し)らぬとおもひました△いんSめつ 00045760¥P155 00045770¥G(十四ウ・十五オ) 00045780M1そふな。それでハ/一色(ひといろ)のかんばんになるトいふ/内(うち)、/連(つれ)の/若(わか) 00045790M2いものか、/隠居(いんきよ)さん。(十三オ)/昆布屋(こんふや)のかんばんに、ふじ 00045800M3の山を/出(だ)し升るハ、なにゆへでござり升。いんSあれハ/昆= 00045810M4布(こ=ぶ)を/水(ミづ)からといふ所が、/昔(むかし)/孝霊天皇(かうれいてんわう)さまの御/時(とき)に、/一夜(いちや)の 00045820M5内に/近江(あふミ)の/地(ち)さがりて水うミと成り、/駿河(するか)の/地(ち)が上りてふ 00045830M6じの山となる。それで/水(ミづ)うミから/出(で)たる山じや、水からじ 00045840M7やといふよつて、こんぶやの/看板(かんはん)に、ふじの山を/出(だ)すのじ 00045850M8やわい△Sふじの山といふのハ、/三国(さんごく)にまたがつてあると 00045860M9申升ナ△ゐんSイヤ、あれハ三国一のふじの山といふを/取(と) 00045870M10りちがへて、三/国(ごく)にまたがつてあるといふけれど、/四国(しこく)へ 00045880M11(十三ウ)またがつてゐるわいノ△S年ン中/雪(ゆき)のある山じや 00045890M12よつて、どふでもひへるから、ひゑわづらふて/四国(しこく)へ/行(ゆき)ま 00045900M13したかナ△いんSイヤ、四国へまたがつたとハ、/遠江(とほ+ミ)、/駿= 00045910M14河(する=が)、/甲斐(かひ)、/伊豆(いづ)と、/四国(しこく)へまたがつてあるのじや△Sぜん 00045920M15たい/富士(ふじ)の山のぜつてうまで、なんぼほどござり升△いん 00045930M16S九/里(り)八丁ある△Sゑらいものじや。三/朱(しゆ)からがものじや 00045940M17ナ△いんSふじの山を三朱からのものとハ△S/夫(それ)でもいつ 00045950M18ぞや、おもやさまへ九月につかひ物に/仕(し)ましたが、/壱升(いつしやう)が百 00045960M19六十四文ヅヽ。/栗(くり)八升なら、おまへさま、三/朱(しゆ)ほどのものじ 00045970M20やぞへ△いんSヱヽ、/道法(ミちのり)が(十四オ)(十四ウ・十五オ挿絵)九 00045980¥P156 00045990L1/里(り)八丁じや△S九里八丁でござり升か。わたしやまた/栗(くり)八 00046000L2/升(しやう)かとおもふた。しかし九里八丁上りまして、うへに何ン 00046010L3ぞござり升かナ△ゐんS上に/大日如来(だいにちによらい)といふけれど、/神道(しんとう) 00046020L4にてハ/此花咲屋姫(このはなさくやひめ)の/命(ミこと)さま、これを/浅間(せんげん)の/神社(じんじや)といふ 00046030L5Sなるほど、さくや/姫(ひめ)にせんげん、二のかわりではやりま 00046040L6した中村/梅花(ばいくわ)の/死(しに)しなの/狂言(けうげん)、/梅玉(ばいぎよく)もよかつた。さくや姫 00046050L7もよけれバ、せんげんも△ゐんSそれハ/桜姫(さくらひめ)に/清玄(せいけん)じや 00046060L8Sふじの山にハ/年中(ねんぢう)/雪(ゆき)があると申升が、/本真(ほんま)でござり升か 00046070L9ゐんSあるくらい。(十五ウ)/古哥(こか)に、Sふじの/根(ね)にふりつ 00046080L10む/雪(ゆき)ハミな/月(づき)の△/望(もち)にけぬれどその/夜(よ)ふりけり、トあるわ 00046090L11いのう△Sその/哥(うた)にハ/餅(もち)でけづらといふてござり升が、ヤ 00046100L12ツパリ/鯛(たい)の/塩(しほ)やきか、つくり/身(ミ)かなんぞ、すふものがさつ 00046110L13ぱりと/仕(し)たものがよいナ△ゐんSおまへハふしん/方(かた)じやよ 00046120L14つて、そんなこといふわいノウ。/餅(もち)でけづるのんじやない。 00046130L15/望(もち)にけぬれどじや。/望(もち)とハ/月(つき)の十五日を/望(もち)といふわいノウ。 00046140L16/水無月(ミなづき)とハ六月じや。六月十五日ハふじの/神(かミ)さまのおまつ 00046150L17りじや。それで六月十五日にハ、/雪(ゆき)ハミなきへて、その/夜(よ) 00046160L18(十六オ)さり、またふりてつもるのじや。/望(もち)にきへぬれど 00046170L19を、/望(もち)にけぬれどゝいふたのじや。それでわしの所へ/来(く)る 00046180L20人がよんだ/狂哥(きやうか)がある。/何(なに)をよんだなら、/向(むか)ひうらのおふ 00046190M1じさんが/夏(なつ)の/頃(ころ)かたをぬいで、ろうじ/口(ぐち)へ/出(で)たを見て、哥 00046200M2にS三ン/国(ごく)の一とやいはんおふじさん△/六月(ミなづき)にミる/雪(ゆき)のは 00046210M3だへを、トよんだ△若Sむかひうらのおふじさんとハ、/方= 00046220M4&(はう=※)の/妾宅(しやうたく)になつたりする/子(こ)。アリヤ雪のはだへじやトいふ 00046230M5うち、又壱人の/友達(ともだち)が、/隠居(いんきよ)さん。九り八丁も/登(のぼ)つて、九 00046240M6里八丁また/下(くだ)るハ、よつぽどゑらい/道(ミち)で(十六ウ)ござり 00046250M7ますナア。ゐんSイヤ、/登(のぼ)りさへ/仕(し)たら、くだりハ/円坐(ゑんざ)と 00046260M8いふて、/板(いた)の/間(ま)によふ/敷(しい)てある物かある。あれを/上(うへ)に/売(うつ)て 00046270M9/居(ゐ)るじや。/夫(それ)を/尻(しり)にあてゝずり/下(お)りるのじやよつて、/半時(はんとき) 00046280M10もかゝりやせんといノ△若Sそんなら/向(むか)ひうらのおふじさ 00046290M11んを、/富士(ふじ)の山に/見立(ミたて)たうたハ、よふ/出来(でき)ました。アノお 00046300M12ふじさんに、/横町(よこまち)の/両(りやう)がへ屋のだん那がうつゝになつて、 00046310M13いろ+/着物(きもの)もこしらへて/遣(や)ります。それにかためて/金(かね)の 00046320M14十両も/遣(や)つたりすることがある。そりや/長(なが)ぢばん、ソリヤ 00046330M15/湯(ゆ)まき、べつこうのくし(十七オ)から、さんごうじのかん 00046340M16ざし。九/里(り)八丁じやないが、/頂上(てう※)へのぼりつめて/居(ゐ)ました 00046350M17が、/皆(ミな)/仕(し)まひにや、ずりおろされて/仕(し)もふた 00046360¥N6¥J 00046370¥X/葉狩(はがり)の/松(まつ) 00046380M20/近江屋(あふミや)/銀兵衛(ぎんべい)さまとて、/大家(たいか)の/旦那(だんな)ありけるが、/将棊(しやうき)がい 00046390¥P157 00046400L1たつて/好物(こうぶつ)なるが、/其(その)くせとして、/大下手(だいへた)まけ/将棊(しやうぎ)。たい 00046410L2ていの人に/金銀(きん※)でもまけるゆへ、近江や銀兵衛を、きん/銀(ぎん) 00046420L3+といひけるが、あまり/下手将棊(へたしやうき)にこりかたまりけるゆ 00046430L4へに、/別家(べつけ)の/内(うち)にはつ(十七ウ)めいなる/者(もの)が、/是(これ)やめさせん 00046440L5とおもひて/来(き)て、申シ/旦那様(たんなさま)。あなたさまハひどいきれい 00046450L6/好(ずき)でござり升が、/夫(それ)にまた/将棊(しやうぎ)にこり被成のが、ふしぎで 00046460L7なりません。旦Sおかしいことをいふものしや。/将棊(しやうき)ハ/上= 00046470L8&(うへ=+)様までもおさしあそばされて、きれいな/物(もの)じやが△S将 00046480L9棊をきれいなと/思(おぼ)し/召(めす)ハ、大きに/心得(こゝろえ)ちがひでござり升。 00046490L10/駒(こま)の/内(うち)でも、/王将(わう)さん、/尾(を)にたとへたものでござり升。尾 00046500L11ハいづれ/尻(しり)の/穴(あな)のうへに/付(つい)てあつて、/常住(じやうぢう)/屁(へ)またハ/屎(くそ)な 00046510L12ぞのかざかいて/居(ゐ)ます。また/飛車(ひしや)ハ、/子供(こども)の/小便(せうべん)にたとへ 00046520L13(十八オ)たもの。ソレ/子供(こども)に/小便(せうべん)を/遣(や)るとき、シイと/出(で)る。 00046530L14/是則(これすなハ)ち、シイシヤでござり升。また/角行(かく)ハ、ふんどしに/見= 00046540L15立(ミ=たて)たものゆへ、カクと申シます。/駒(こま)の/行(ゆき)やうで、ふんどし 00046550L16にかゝるもあり、せんちへは入る/時(とき)もござり升。/将棊(しやうぎ)ばん 00046560L17は、女のまへのものにたとへた/物(もの)で、ばんといひ升。あま 00046570L18りひるする物じやないよつて、/盤(ばん)といふてある。また一ば 00046580L19んさゝんか、よし、さそなぞと申升△旦Sなる/程(ほど)そふじや。 00046590L20今までうか+とこつていたわいノ△Sやめなされませ。 00046600M1/歩兵(ふへう)・/香車(きやうしや)・/桂馬(けいま)なぞハ、/男(をとこ)のまへのもの、ちんぽにかた 00046610M2(十八ウ)/取(とつ)たものよつて、/歩(ふ)といひ升。これ/則(すなハ)ち、まらの 00046620M3事。/香車(きやうしや)ハやりと申升。それ/今(いま)の所を/突(つく)の/心(こゝろ)。/桂馬(けいま)のけい 00046630M4ハ/毛(け)の事、/馬(ま)ハまらのまの/字(じ)。/毛(け)とまらの事で/桂馬(けいま)と申シ 00046640M5升のじやといへバ、/旦那(だんな)が、なるほど、そふいや、ちんぽ 00046650M6にたとへた/証拠(しようこ)がある。ひつくりかへしてミると、/裏(うら)の/方(ほう) 00046660M7ハミな/金(きん)じやわいノ 00046670¥Y1落噺千里薮巻の四△終(十九オ) 00046680¥P158 00046690¥T1/落噺千里薮(おとしばなしせんりのやぶ)巻の五 00046700¥A浪△華△△△@花枝房円馬作|月亭生瀬校@ 00046710¥N1¥J 00046720¥X/恋(こひ)の/思(おも)ひ 00046730L7/相応(さうおう)なるくらし/仕(し)て/居(ゐ)らるゝ所の/若旦那(わかだんな)、とかく/色(いろ)ぐるひ 00046740L8にて/遣(つか)ひ/過(すご)しけれバ、/親父(おやじ)大ひにいかり、/一家親類(いつけしんるい)をよび 00046750L9/寄(よ)せ、ずらりとならべて/置(おい)ての/異見(いけん)。親Sコリヤヤイ/忰(せがれ)。 00046760L10/親(おや)ハナ、よいがうへにもよふして/遣(やら)ふと/思(おも)ふて、われが七 00046770L11ツの/折(をり)から/寺子屋(てらこや)へ/遣(や)り、(一オ)/学問(がくもん)などハ/町家(てうか)でハいら 00046780L12ぬ/事(こと)とハおもへども、/人中(ひとなか)でわらハれぬよふにと/思(おも)へばこ 00046790L13そ、よけいなもの入リをして/稽古(けいこ)をさせ、是ほどまで/親(おや)ハ 00046800L14/子(こ)をおもへど、おのれハ/親心(おやごゝろ)子しらずとたとへにいふて 00046810L15ある/通(とほ)りだぞよ。いくら/異見(いけん)しても、/蛙(かいる)のつらへ/水(ミづ)じや。 00046820L16サアどふじや。ごく/道(だう)がやむかやまぬか△忰Sイヤモウ、 00046830L17/只今(たゞいま)までハまことに/心得(こゝろえ)ちがひいたし升てござります。/是(これ) 00046840L18からハたましいを入れかへて、/辛抱(しんぼう)いたします△親類Sあ 00046850L19の/通(とほ)りいはるゝことゆへ、よもや/間(ま)ちがひもござり升まい 00046860L20から、今/一度(いちど)/御(ご)かん(一ウ)べん下されといふゆへ、/親父(おやじ)も 00046870M1/是非(ぜひ)なく、S/店(ミせ)へ/出(で)て/帳合(てうあひ)でもしておれとしかるを、/幸(さいわ)ひ 00046880M2とミせへ行、/内(うち)の/事(こと)を/出精(しゆつせい)して、しんぼうして/居(ゐ)けるが、 00046890M3あるとき、また少&/持病(ぢびやう)がおこつて、/一夜(ひとよ)ばかりハ/知(し)れも 00046900M4せまいと/内(うち)をぬけ出、/色町(いろまち)へ/行(ゆ)き、あくるあさもどり、内 00046910M5の/首尾(しゆび)ハと、うら/口(ぐち)の/障子(しやうじ)へ/穴(あな)をあけ、そつとのぞきミれ 00046920M6バ、又/一家(いつけ)どもあつまり/居(ゐ)るゆへ、なむさん。/弥&(いよ+)こんど 00046930M7ハ/勘当(かんどう)の/相談(さうだん)で/有(あら)ふ。どふぞ/様子(やうす)をきゝたいと/思(おも)ふをりに、 00046940M8/飯(まゝ)たき/出(で)て/来(きた)りしゆへ、忰Sこれ、内の/首尾(しゆび)ハどふじや 00046950M9+(二オ)△飯焚S夕部、/旦那(だんな)さんが/頓死(とんし)なされました 00046960M10忰Sヲヽ、それでおちついた 00046970¥N2¥J 00046980¥X/山道(やまミち)の/講釈(かうしやく) 00046990M13ある/所(ところ)の/息子(むすこ)、/勘当(かんどう)をうけ、とかくあかの/他人(たにん)の所に/居候(ゐさふらふ) 00047000M14すれバ、かる※/敷(しく)されねバならず、きもよけいにづゝな 00047010M15しとて、いろ+と/思案(しあん)したる所、わが内に/已然(いぜん)/勤(つとめ)て/居(ゐ)た 00047020M16る/番頭(ばんとう)ふうふ、かけ/向(むか)ひにて小ていにくらし/居(ゐ)けるを/思(おも)ひ 00047030M17/出(だ)し、ある/日(ひ)ぶら+と吉兵衛かたへ/行(ゆ)き、かど/口(ぐち)より、 00047040M18息子Sはい、ごめん△吉Sどなた。(二ウ)そこ/明(あけ)ておはい 00047050M19り△息Sどふで/明(あけ)ずにハはいられんといひつゝ/内(うち)へは入り、 00047060M20どふじやナ。吉Sイヨ、どなたかとおもふたら/若旦那(わかたんな)か。 00047070¥P159 00047080L1モシ此/間(あいだ)、おまへ/様(さま)のお/宿(やど)へまいりました所が、お/母(ふくろ)さま 00047090L2のおはなしにハ、又おまへさん、/内(うち)をとび/出(だ)したといふ/事(こと) 00047100L3たが、そふかへ△息Sイヽンにや△吉Sそれでもお/母(ふくろ)さま 00047110L4が、そふおつしやりました△息Sイヤ、とび/出(だ)しハせん。ヤ 00047120L5ツパリ/内(うち)を/出(で)るときハゆつくり/出(で)た△吉Sまだそんな/事(こと)を 00047130L6いふて/居(ゐ)なさる。そして/今度(こんど)ハいよ+/勘当(かんどう)じやときゝま 00047140L7したが、そふかへ△息Sそふサ。あんまり/親父(おやじ)(三オ)とし 00047150L8がよつて/愚痴(ぐち)になつて、ごて+ぬかすよつて、いま+ 00047160L9しいから/勘当(かんどう)した△吉S親をかんどうするものが、どこに 00047170L10あるものか。おまへさんが/勘当(かんどう)されたのじやあろ△息Sコ 00047180L11ウわかれ+になつたら、どつちやこつちやいふのも、お 00047190L12んなじことだ△吉S何をいひなさるのじや。そしてけふハ 00047200L13なんと/思(おも)つて△息S権八と/遣(やら)ふとおもつて△吉Sごん八と 00047210L14/名(な)をかへなさつたのか△息Sイヤ、/居(ゐ)候の/権(ごん)八やる/気(き)じや 00047220L15が、おまへ、おく気があるかどふじや/知(し)らんが、おれハい 00047230L16るきじや△吉Sおまへさん。/居(ゐ)候のおしつけに(三ウ)ござ 00047240L17つたな。それハ/随分(ずいぶん)/置(おい)てあげまいものでもないが、しんぼ 00047250L18うが/出来(でき)ますかナ△息Sこんどハきつと/辛(しん)ぼうするから、 00047260L19どふぞおいてくれといはれて、此/日(ひ)より/吉兵衛(きちべい)の/内(うち)に/居= 00047270L20候(ゐ=さふらふ)をしてゐれど、はじめ五六日ハ/随分(すいぶん)/朝寐(あさね)もせず、こま 00047280M1+そこらを/手(て)つだい、/家内(かない)のうけもよかりしか、十日十 00047290M2五日二十日と/居(ゐ)なじむにしたがつて、ぶしやうになり、/朝(あさ) 00047300M3もお/日(ひ)さんが/上(あが)つても二階にねてゐておきず。めし/時分(じぶん)に 00047310M4いつしよに/食(くふ)ことなし。/居(ゐ)候もこうなると、/家内(かない)の/気(き)に/入(い) 00047320M5らぬやうになり、(四オ)ある/日(ひ)/女房(によばう)、ていしゆの/前(まへ)へ/来(き)て、 00047330M6女房Sもし、こちの人。/世(せ)けんに/居(ゐ)候もたんとあれども、 00047340M7わたしの/内(うち)の居候ミるやうな/居(ゐ)候ハ、マアあんまり/有(あら)ふと 00047350M8ハおもハぬハ。おまへは/毎日(まいにち)+/商売(しやうばい)に/出(で)なさることゆへ、 00047360M9/内(うち)の/事(こと)ハしらずにじやけれど、わたしハ/朝(あさ)からばんまで、 00047370M10あの人と/顔(かほ)/見(ミ)やつて/居(ゐ)るゆへ、あの人のあらすそがミてハ 00047380M11ゐられハせんな。マア、おとゝさま。おとゝいとて、おま 00047390M12へは/朝(あさ)から/出(で)て/仕(し)まひなさると、わたしハおてん/気(き)がよい 00047400M13ゆへ、一チ日はりものやら/洗濯(せんだく)やらでうろ+してゐるゝ、 00047410M14/日(ひ)の/夕(ゆふ)(四ウ)ぐれになつたよつて、/飯(まゝ)ハとふじや知らんと、 00047420M15おひつのふたとつて見れハ、あやにくに/飯(まゝ)がたりないナ。 00047430M16マアおまへとわたしばかりなりやア、おまへに/上(あが)るだけあ 00047440M17げて、/残(のこ)りの一チぜんか/半(はん)ぜんのおめしたへて、あとハう 00047450M18どんの一つも/買(かふ)てすましてもおかれるけれど、/他人(たにん)が一人 00047460M19ゐてハもふそうハならず。/寒(さむ)いのに/井戸(ゐど)ばたへ/行(い)て/米(こめ)をと 00047470M20ぎ、まゝを仕かけてたいてゐる。そして/一度(いちど)+におさい 00047480¥P160 00047490L1もこしらへると、しん/上(しやう)のためにもわるし、めんどうにも 00047500L2ありと/思(おも)ふて、/豆(まめ)をたいておかふと、/鍋(なべ)に(五オ)/仕(し)かけて 00047510L3たいてる。またあつたかい/飯(まゝ)のときにハ、しるをたけ、お 00047520L4つけをしろと、おまへが/言(いゝ)なさるゆへ、/是(これ)もてい/主(しゆ)のすき 00047530L5なことゝ、せわしないにはしりへいつて、/摺鉢(すりばち)へおむしを 00047540L6入レ、ごり+とすつて、モウすれたから/水(ミづ)をいれよふと、 00047550L7/水(ミづ)つぼの中へ/手杓(ししやく)を/入(いれ)てミれバ、あいにく水ハなし。/汲(くミ)に 00047560L8ゆく/内(うち)にハおまゝハこげるだらふし、どふしたらよからふ 00047570L9と、あの人の/方(はう)をミれバ、あの人ハ/火鉢(ひばち)のまへになをしが 00047580L10大/仕事(しごと)するよふに、ぢよらをくんで、川どめの唐/人(しん)をミる 00047590L11やうに、たばこばかりスツパ+と(五ウ)すつてゐるでハ 00047600L12ないか。なんとそんな/時(とき)にハ、/水(ミづ)の/一(ひと)つりぐらいは/汲(くん)でく 00047610L13れても、ばちもあたるまいとおもふがどふじやい。あんま 00047620L14りでハないか。もふ+わたしハ/何(なに)も/言(いふ)まいとおもふても、 00047630L15いはずにハ/居(ゐ)られず。あんな人を/世話(せわ)せにやならぬことな 00047640L16ら、わたしハ/爰(こゝ)の内にハ/辛抱(しんぼう)ができぬゆへ、けふといふ/今= 00047650L17日(け=ふ)ハいひだすからの/事(こと)ゆへ、わたしをひまやりなと、あの 00047660L18/人(ひと)をたゝき/出(だ)しなと、二ツに一ツのかたをつけておくれ△ 00047670L19吉Sやかましいわい。/我(われ)が/様(やう)にぺろ++と、/油紙(あぶらがミ)へ/火(ひ) 00047680L20の/付(つい)たやうにとハその/事(こと)だハへ。(六オ)/女(をんな)さかしうて/牛(うし)う 00047690M1れずといふは。それハわれがいはいでも、どふで/若(わか)い/衆(しゆ)の 00047700M2/事(こと)ゆへ、いふことも/気(き)のつかぬ事もあるで/有(あら)ふ。われが大 00047710M3きな声でそふいふから、爰(こゝ)へよんで/異見(いけん)やこゞとをいふて 00047720M4ミろ。ハヽア、/今(いま)かゝめがいふたよつてじや。めん/鳥(どり)すゝ 00047730M5めてをん鳥の/時(とき)をつくるとやらだなんぞと、/世間(せけん)へいつて 00047740M6いはれんならん。/我(われ)がゐたらいゝにくい。どこぞへいつて 00047750M7/遊(あそ)んでこいトいはれて、/女房(によばう)、きせるたばこを/持(もち)でゝ/行(ゆく)。 00047760M8あとにててい/主(しゆ)も/不性(ぶしやう)とミへ、/箒(ほうき)をさかさまにもち/二(に)かい 00047770M9うらをつゝきながら、(六ウ)吉Sヲヽイ++△息Sな 00047780M10んじやへ+△吉S/用(よう)があるからおきなされ△息Sおき 00047790M11てゐる△吉Sすんならおりてお/出(いで)△息Sおりよふと/思(おも)ふた 00047800M12りおりたり、/一度(いちど)にハできぬ△吉S何をいふのじやヱ。/早(はや) 00047810M13ふおりて/来(き)なされ△息Sなんなら、そちらから/上(あが)つた/方(ほう)が 00047820M14はやからふ△吉Sコレ、うだ+いはずと、はやくおりな 00047830M15されトいはれて、ふしやう※に/下(お)りてきて、息Sサアお 00047840M16りて/遣(やつ)たが、どふじやナ△吉S下りて/遣(や)つたとハなんじや。 00047850M17コレ/若旦那(わかだんな)。おまへさん、わたしの内なれバこそ、そんな 00047860M18ことでも/済(すん)であるが、あかの/他人(たにん)の/所(ところ)でハ(七オ)かた/時(とき)も 00047870M19それでハゐられませんぞへ。/私(わたし)とあなたハどふでもよいが、 00047880M20/女房(によぼう)ハ/他人(たにん)でござり升ゼ△息Sそれハ/知(し)れた事。/兄弟(きやうだい)づれ 00047890¥P161 00047900L1で/夫婦(ふうふ)になれバちく/生(しやう)じやが△吉Sそんなことをしつて/居(ゐ) 00047910L2なさるなら、/他人(たにん)の/女房(によばう)にハ、ちつとハ/気(き)がねをして/遣(やつ)て 00047920L3おくんなすつてもよかろふと/思(おも)ふが、どふじやい△息S/気(き) 00047930L4がねをしてゐるがな△吉Sそんなら/朝(あさ)もおなじやうにおき 00047940L5て、/飯(めし)ぐらゐハいつしよにたべなさつても、ばちもあたり 00047950L6升まいが△息Sコレ+、それもずい/分(ぶん)/承知(しやうち)してゐるけれ 00047960L7ど、こんな/事(こと)をいふと、きたない(七ウ)よふじやが、こゝ 00047970L8の内へ/来(き)て、はら一ばい/飯(めし)も/食(く)たことハないぜ△吉Sあが 00047980L9れな△若Sイヤ、くへぬナ△吉Sナゼ△息Sおいらは/初手(しよて) 00047990L10の/内(うち)ハ/朝(あさ)も/一(いつ)しよにおきて/膳(ぜん)へすハつてミたが、おまへの 00048000L11/女房(によばう)といふものハ、/誠(まこと)にひにくものだ。ナゼトいふてミい。 00048010L12おまへの/膳(ぜん)にも、かゝのぜんにも、/飯(めし)もしるも/香(かうの)物もつけ 00048020L13てあつて、おれが/膳(ぜん)にハなんにもなし。どふも/居(ゐ)候のかな 00048030L14しさゆへ、/茶碗(ちやわん)をもつてうろ+してゐると、おまへのか 00048040L15ゝのいふことにハ、モシ、こちらへおだしといふから、/憚(はゞか) 00048050L16りじやがと/出(だ)すと、茶わんを/取(とつ)て、もしお(八オ)/茶(ちや)か、お 00048060L17めしかとぬかすナ。はじめから茶を/呑(の)むやつがあるか。イ 00048070L18ヱ、お/飯(めし)でござり升といふと、ふしやう※におひつのふ 00048080L19たをとり、あたゝかな/飯(めし)を、しやもしで/力(ちから)ニまかせておさ 00048090L20へつけ、つウとすくうて/茶(ちや)わんへうつし、サアお/上(あが)りとい 00048100M1ふて/出(だ)す。ちよいとミると/人目(ひとめ)ハよい。うへから/茶漬(ちやづけ)とか 00048110M2/汁(しる)かけめしとかいふと、/中(なか)ハがらんどう、びしや+。お 00048120M3まへがたが/一膳(いちぜん)くう/内(うち)にハ、わたしの/方(はう)ハ二/膳(ぜん)も三膳もく 00048130M4へる。どこの/内(うち)でも/茶(ちや)づけといふと、さく++とくう 00048140M5が、あたりまへじやが、こゝの/内(うち)のハ、さくりといふと 00048150M6(八ウ)なくなる。さくり切りの/飯(めし)をくふハはじめてだ△吉 00048160M7Sそんな/事(こと)をいふて、かゝとゐせいあらそひを/仕(し)なさると、 00048170M8ながとくおせハか/出来(でき)ませぬぜ△息Sそふサ。此/様子(やうす)でハ、 00048180M9ゐてやり/度(たく)もいらせそふもない△吉S居て/遣(や)りたいとハな 00048190M10んじやい。そんな口ごうはいな/事(こと)いゝなさつて、わたしが 00048200M11/見(ミ)はなしたら、こまんなさるであろふ△息Sナニ、こまる 00048210M12ものか。こゝの/内(うち)を/出(で)れバ、/講釈(かうしやく)でめしを/食(く)ツて見せるハ 00048220M13吉Sおまへさんの/講釈(かうしやく)のきゝ/人(て)があるくらいなら、/燕旭堂(えんきよくだう) 00048230M14や/呑■(どんきやう)ハ、大坂中へ/蔵(くら)をたて升ハ。ばか+(九オ)(九ウ・ 00048240M15十オ挿絵)しい。そんなことが/出来(でき)るなら、どこへなといつ 00048250M16て/遣(や)つてミなされ。きゝてがあるか△息Sヲヽ、やらいで 00048260M17かいと、/少(すこ)しのふろしきづゝミを/持(もち)/出(で)かけしか、はら立ま 00048270M18ぎれに、むやミとあるきしゆへ、ある山ミちへふミかゝり 00048280M19し所、/日(ひ)ハ/暮(くれ)かゝる、/人家(じんか)ハなし。だん+さむしき所ゆ 00048290M20へ、息Sアヽ、なんたらさミしい所だナア。こんなめにあ 00048300¥P162 00048310¥G(九ウ・十オ) 00048320M1ふといふも、/親(おや)のはちじや。ヲヤなんじやい。くらがりニ 00048330M2/星(ほし)のやうなぴか+/光(ひか)るものがある。なんじや/知(し)らんト、 00048340M3すかしミれバ、/狼(おゝかめ)なり。ハア引、おゝかミじや。こりやど 00048350M4ふしやうといふたてゝ、仕かたもなし。(十ウ)モシ、そこ 00048360M5にならんでござる/狼(おゝかめ)さまたちに、チトお/願(ねが)ひがござり升る 00048370M6トいへば、狼Sヲヽヲ引△息Sハイ+、/外(ほか)の事でもござ 00048380M7りませんが、わたしハ/身(ミ)のおき/所(どころ)なき/者(もの)でござり升れど、 00048390M8あなたがたハどふやら/仕(し)たら、くひころそふトおぼしめし 00048400M9て、そう/遣(やつ)て/出(で)ばつてござるハ/御尤(ごもつとも)ながら、こう/遣(やつ)てゐ 00048410M10ながら、/手(て)や/足(あし)からぽつ+とくわれましてハどふもたま 00048420M11りませんから、/私(わたし)の/好(すき)の/道(ミち)ハ/講釈(かうしやく)。それをおまへさまがた 00048430M12の/前(まへ)でやり升から、/中(なか)ほどで/夢中(むちう)ニなりかゝつたときに、 00048440M13かミなりとくひ/付(つき)なりと、なされて(十一オ)下されまし 00048450M14狼Sヲヽヲ引△息Sハイ+、/御承知(ごしやうち)でござり升か。さや 00048460M15うならやりまするでござりませふト/講釈(かうしやく)。/扨(さて)/頃(ころ)ハ/治承四年(ぢしやうよねん)、 00048470M16/後白河(ごしらかハ)の/法王(はふわう)より/前右兵衛佐(さきのうひやうへのすけ)/源(ミなもと)ノよりともへ、/平家追討(へいけついたう) 00048480M17の/院宣(ゐんぜん)をたまハりしゆへ、/安達(あだち)/判官(はんぐわん)/盛長(もりなが)、/軍勢(ぐんぜい)/催促(さいそく)す。/味= 00048490M18方(ミ=かた)に/集(あつま)るめん+にハ、/土肥(どひの)/実平(さねひら)、同ク/遠平(とほひら)、佐&木四郎 00048500M19/高綱(たかつな)を/始(はじ)めとして/其勢(そのせい)三千ン/余騎(よき)、/石橋(いしばし)山へと/出陣(しゆつぢん)せり。 00048510M20是を/討(うた)んと/大場(おほばの)/景近(かげちか)を大将として、/股野(またの)の五郎/景久(かげひさ)、/梶原(かぢはら) 00048520¥P163 00048530L1/平蔵(へいざう)/景時(かげとき)なり。/頃(ころ)ハ/皐月(さつき)の/中旬(ちうじゆん)、/関東(くわんとう)の/軍勢(ぐんぜい)ナ(十一ウ)五 00048540L2万三千/余騎(よき)を/引卒(いんぞつ)したる大将ハ、/紺糸(こんいと)おどしの大/鎧(よろひ)、/同(おなじ)/毛(け) 00048550L3に五/枚(まい)しころ、/鹿(しか)の/角(つの)打ツたる/兜(かぶと)を/居首(ゐくび)にいたゞき、/嵐鹿= 00048560L4毛(あらしか=げ)と/号(なづけ)たる所の/駿足(しゆんそく)に/打(うち)またがり、/敵中(てきちう)に/無二無三(むにむざん)にふん 00048570L5ごんで、大/音上(おんじやう)に/呼(よば)ハりけるハ、/城中(じやうちう)のともがら、よつく 00048580L6/承(うけたま)ハれ。/我(われ)こそハかねて/駿遠三(すんえんさん)にさる/者(もの)ありとしられた 00048590L7る、/関八州士(くわんはつしうし)の/党(とう)のはたがしら、/常陸坊(ひだちぼう)/僧正遍昭(そうじやうへんじやう)/弁慶(べんけい)な 00048600L8り。/我(われ)と/思(おも)ハんものハ/打(うち)とつて/高名(かうめう)にせよと、/高(たか)ん※に 00048610L9/呼(よば)はりけり。/城中(じやうちう)/是(これ)をきくよりも、/憎(にく)きはん/額(がく)女が/高言(かうげん)か 00048620L10な。(十二オ)われ/討(うち)とらんと、/大手(おゝて)の/門(もん)ナ八/角(かく)に/開(ひら)き、/根(ね) 00048630L11ノ/井(ゐ)大弥太行重、/主馬(しゆめ)ノ助、/酒田(さかたの)金ン時、/北条泰時(ほうでうやすとき)其外七 00048640L12ノ/組(くミ)の/番頭(ばんがしら)。/引続(ひきつゞ)いて/和田(わだ)が三ン/男(なん)/小林(こばやし)の/朝比奈(あさひな)、たき口 00048650L13/上野(かうづけ)、/日本(にほん)/駄(だ)右衛門、/稲葉(いなば)小蔵、中村歌右衛門、/手柄(てがら)山に 00048660L14/立神(たてがミ)、/蕭荷(しやうが)、/陳平(ちんへい)、/韓信(かんしん)、/張良(てうりやう)、/行徳(ぎやうとく)/篤眼寺(とくげんじ)の/和尚(おしやう)なん 00048670L15ど、/得(え)もの+をたづさへて/打(うつ)てかゝるといへども、/本多(ほんだ) 00048680L16壱人に/追立(おつたて)られ、/秋(あき)の/木(こ)のはのちるごとく、ちり+ぱつ 00048690L17と/迯(にげ)さりける。きたなき/敵(てき)のふるまひかな。/揚(あげ)まき/見(ミ)する 00048700L18/法(はふ)やある。/引(ひつ)かへして(十二ウ)/勝負(しようぶ)あれといふ/声(こへ)を、たれ 00048710L19なるらんとふり/返(かへ)り見れバ、/春(はる)のあしたの/河風(かハかぜ)に、さそふ 00048720L20くつはの/音(おと)ハりん+、是/熊(くま)がへの次郎/直実(なをざね)なり。/望(のぞ)む/所(ところ) 00048730M1の/相手(あいて)ぞと、/馬上(ばじやう)ながらにむんづと/組(くミ)、しばしが/間(あいだ)もミ/合(あひ) 00048740M2しが、/両馬(りやうば)があいにどふとおつ。/熊(くま)がへ、かなハじとやお 00048750M3もひけん、いち/足(あし)/出(だ)して/迯(にげ)ゆくを、/本多(ほんだ)、/熊(くま)がへがしころ 00048760M4をつかんで、ヱイと/引(ひく)。たがひのちからに、しころ三/枚(まい)引 00048770M5キちぎり、しり/居(ゐ)にふしたる。その/隙(ひま)に/熊(くま)がへ、/浜辺(はまべ)をさ 00048780M6して/迯参(にげまい)る。さてこゝに一つのふしぎなるハ、/年(とし)の/頃(ころ)二八 00048790M7/余(あま)りの(十三オ)女、さげ/髪(かミ)にいたし、/緋(ひ)の/袴(はかま)を/着(ちやく)し、/白(しろ)き 00048800M8/絹(きぬ)をあらひおり升る。/熊(くま)がへもあまり/不思議(ふしぎ)におもひ升る 00048810M9ゆへ、女ハ/何(なに)ゆへきぬをあらふぞやととひ升ると、/女(をんな)なミ 00048820M10だはら+と/打(うち)ながし、/是(これ)にこそ/悲(かな)しき/物(もの)がたりの候。わ 00048830M11れこそハ/坂東(ばんとう)一の/勇士(ゆうし)とよばれたる/毛谷村(けやむら)の六助が/女房(によほう)お 00048840M12安にて候。わがつま六助どのハ、大江山/酒呑童子(しゆてんどうじ)がために 00048850M13引キさかれ候ト/物(もの)がたる。さてハ六助が/女房(によぼう)お安にてあり 00048860M14しか。/我(われ)もものがたれば、四年/已前(いぜん)/鬼(き)かいが/島(しま)へながされ 00048870M15し/鎮西(ちんぜい)八郎/為朝(ためとも)也。(十三ウ)/四年(よねん)/已前(いぜん)の/物(もの)がたりハ此/船中(せんちう) 00048880M16にていたさんと、/両人(りやうにん)/船(ふね)にうち/乗(のつ)て、はるかあなたへ、十 00048890M17/町(てう)ばかりこなたに/敵(てき)の/声(こへ)あつて、ヤアその/女(をんな)こそ/源氏(げんじ)がた、 00048900M18/白(しら)はたかくし/持(もつ)たるぞ。うばひとれや、ばいとれと/呼(よは)ハる 00048910M19/声(こへ)を、/船(ふね)にあり/合(あ)ふひだの左衛門、きくよりも/友綱(ともづな)どふと 00048920M20/打(うち)きつて、/海(うミ)のふかミへ/飛(とび)こんだり。むかひのきしにハ/乱= 00048930¥P164 00048940L1杭(らん=ぐひ)さかもぎ、それへわたらせたまふハ、/桓武天皇(くわんむてんわう)/九代(くだい)の/後= 00048950L2胤(こう=いん)/新中納(しんちうな)ごん/平(たいら)の/知(とも)もり/公(こう)にて候ハずや。/馬(むま)のはるびが/延(のび) 00048960L3候。くらかへされて、けが/有(ある)(十四オ)なといはれてはつと 00048970L4/心(こゝろ)づき、/馬(むま)のはるびに/諸手(もろて)をかけ、ゆりあげ/引(ひき)あげしつか 00048980L5としめ、たとへ/此(この)まゝうろくずのゑじきとなれバとて、此 00048990L6/川(かハ)わたらで/置(おく)べきかと、/一念(いちねん)ナ/廿尋(はたひろ)はかりの/大蛇(だいじや)となつて、 00049000L7/日高川(ひだかかハ)をやす+と/打(うち)こへ、/道成寺(たうじやうじ)にぞ/着(つい)たりける。/鐘楼= 00049010L8堂(しゆろう=だう)のかねのおりたることふしぎなりと、/七(なゝ)まき/半(はん)に/巻(まき)、 00049020L9/尾(を)を/持(もつ)て/打(うち)たゝけバ、/後陣(ごじん)に/扣(ひか)へし/清盛入道(きよもりにふたう)、につくき/大= 00049030L10蛇(だい=じや)のふるまひかな。/誰(た)そあらん。いで/討(うち)とれといふ/声(こへ)に、 00049040L11かしこまつて候と、/下野(しもつけ)の/国(くに)の/住人(ぢうにん)/奈須(なす)の(十四ウ)/与市(よいち)、 00049050L12五人ばりに十五/足(そく)、きり+きりと/引(ひき)しぼり、ひやうどき 00049060L13つてはなてば、あやまつて/三上山(ミかミやま)にある/所(ところ)のむかでのあた 00049070L14まに、はつしとたつ。ごめん候ふへ。/手(て)がらハ/仕(し)がち。/播= 00049080L15州赤穂(ばん=しうあこ)の/城主(じやうしゆ)/塩谷判官(えんやはんぐわん)/高貞(たかさだ)の/家来(けらい)/早野(はやの)/勘平(かんぺい)/光興(みつおき)、/行年(ぎやう 00049090L15ねん)つも 00049100L16つて廿九/歳(さい)の/初陣(ういぢん)と、山こすしゝに/出合(であ)ひ、二ツ/玉(だま)の/露(つゆ) 00049110L17/薬(くすり)きつてはなせば、あやまたず、/野田(のだ)の/城(しろ)にある/所(ところ)の/武田(たけだ)/ 00049120L18/春信(はるのぶ)/入道(にふだう)/謙信濃守(けんしなののかミ)/信玄(しんけん)が/胸(むな)いたに、ぱつしとあたる。その 00049130L19/物音(ものおと)に/驚(おどろ)いて(十五オ)/松浦(まつら)佐/世姫(よひめ)、おつとをしたひ、なす 00049140L20のゝ/原(はら)にて/殺生石(せつしやうせき)となる/所(ところ)へ、/沢庵和尚(たくあんおしやう)かけ/来(きた)り、いそが 00049150M1ずバぬれまじものを/旅人(たびゝと)の△あとよりはるゝ/野路(のち)のむら 00049160M2さめと/詠(ゑい)じける。此うたに/敵(てき)も/味(ミ)かたもかんしんして、/左= 00049170M3右(さ=いう)へずいと/引(ひい)て/仕(し)まふ。此/跡(あと)ハ/大星由良之助(おほぼしゆらのすけ)、/曽我(そが)の五郎 00049180M4/時宗(ときむね)、はんくわいと/達摩大師(だるまだいし)の/組(くミ)うちをおきゝに入れると、 00049190M5/夢中(むちう)になつてしやべつてゐるト、/狼(おゝかめ)ミな+、こそ+と 00049200M6/谷(たに)の/方(はう)へにげゆく。狼の/親(おや)かた、ヤイ。わいらハなんで、 00049210M7/人間(にんげん)一人リ(十五ウ)ぐらゐにしやべられて/迯(にげ)てきた。いつ 00049220M8て/喰殺(くひころ)してこいトいへば、/狼(おゝかめ)の/小(こ)かた、あれハどふもくわ 00049230M9れません。Sナゼ、くわれんぞ△Sハイ。/口(くち)からゑらふ/鉄= 00049240M10炮(てつ=ほう)を/吐(はき)ます 00049250¥Y1落噺千里薮巻の五△大尾 00049260¥Y 00049270M14△△○此外/後編(こうへん)/新作(しんさく)/道具(だうぐ)ばなし、/或(あるひ)ハなりもの入等、/新(しん)ば 00049280M15△△△なし、/追&(おひ+)/出板(しゆつぱん)仕候間、御もとめ/御覧(ごらん)可被下候 00049290M16△△△△△△△△△△△△△△△△△△△花枝房円馬作 00049300M17△△△△△△△△△△△△△△△△△△△歌川貞升画 00049310M18△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十六オ) 00049320¥P165 00049330¥Q 00049340L2絵本千里薮後篇△@近&△|△出板@ 00049350L4△△△△立川円馬作 00049360L5絵本怪談はなし△△△△全五冊 00049370L6△△△△△△△近&出板 00049380L8△浪花書林△△播磨屋新兵衛 00049390L12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十六ウ) 00049400¥P166 00049410¥U噺本大系△第十六巻 00049420¥Tしんさくおとしばなし△〔表紙〕 00049430¥G 00049440¥Y 00049450L17弘化頃刊 00049460L18東里山人作 00049470L19歌川貞房画 00049480L20中本一冊 00049490¥G(見返扉) 00049500¥N1¥J 00049510¥X/長庚星(よいのミやうじやう) 00049520M14つむぢ/風(かぜ)にまきあげられて、/天(てん)ぢくにいたり、/月宮殿(げつきうでん)/近(ちか)く 00049530M15よれバ、/下(した)に/居(ゐ)ろ+といふハ、/宵(よひ)の/明星(めうぜう)さまのお/上(あが)りな 00049540M16り。これハめづらしきものを/拝(をが)むとおもつて/居(ゐ)ると、/又(また)/掃(はき) 00049550M17おれ+といふハ、ほうき/星(ぼし)さま(一オ上) 00049560¥N2¥J 00049570¥X/雀(すゞめ) 00049580M20むかし/舌(した)をきられし/性懲(しやうこり)もなく、/雀(すゞめ)がきてハ/粘(のり)を/嘗(なめ)しゆへ、 00049590¥P167 00049600¥G(一オ・ウ) 00049610M1/婆&(はゝ)が/案(あん)じに、/山椒(さんしやう)の/粉(こ)を/粘(のり)の/中(なか)へ/交(まぜ)ておきしをしらず、 00049620M2おもいれ/嘗(なめ)て/飛(とん)で/行(ゆく)とき、/舌(した)ひり/雀(すゞめ)(一オ下) 00049630¥N3¥J 00049640¥X/富士山(ふじさん) 00049650M5/三国一(さんごくいち)のおや/玉(たま)、/年中(ねんぢう)/白無垢(しろむく)にくるまつて、/筑波(つくば)でも/浅間(あさま) 00049660M6でも、とてもおよばぬといへバ、ハテ、/見(ミ)かけにハよらぬ。 00049670M7/今(いま)に/鉢料(はちれう)の/穴(あな)が/埋(うま)らぬ(一ウ上) 00049680¥N4¥J 00049690¥X/猿猴(ゑんかう) 00049700M10おのれが/手(て)のながきをたのミに、/木(き)の/枝(えだ)よりさがり、/流(なが)れ 00049710M11にうかむ/月(つき)の/影(かげ)をとらんとするを、お/月(つき)さまが見て、コレ、 00049720M12ゑんこう/御苦労(ごくらう)(一ウ下) 00049730¥N5¥J 00049740¥X/如来(によらい) 00049750M15/下座見(けざミ)が/死(し)んで/極楽(ごくらく)へゆきけれバ、さつそく/東門(とうもん)の/番人(ばんにん)と 00049760M16なる。/生酔(なまゑい)た+といふハ/酒呑如来(さけのむによらい)、/甘(あま)いだ+といふハ 00049770M17/飴(あめ)だによらい、むせうにげら+/笑(わら)つて/通(とほ)るハ/馬鹿如来(ばかによらい)か 00049780M18とおもつたら、/■子如来(あほうによらい)(二オ上) 00049790¥N6¥J 00049800¥X/傾城(けいせい) 00049810¥P168 00049820¥G(二オ・ウ) 00049830M1/遊(いう)女とも/傾城(けいせい)とも/戯女(たハれめ)とも、/女郎(ぢようろ)とも/傀儡女(くゞつめ)とも/左古子(さふるこ)と 00049840M2も/太夫(たいふ)ともおゐらんともいふ。/大(おほ)むかしハ/白拍子(しらひやうし)、/舞(まひ)ひめ 00049850M3といひしとある。/馬鹿野郎(ばかやらう)が/聞(きい)て、そのやうに、いかい事 00049860M4名があつてハ、/目(め)をまハした/時(とき)、/大(おほ)まごつきだ(二オ下) 00049870¥N7¥J 00049880¥X/布袋(ほてい) 00049890M7/金山寺布袋(きんざんじほてい)、/菓子(くわし)をくつて/大笑(おほわら)ひにわらひ/出(だ)しけれハ、/唐= 00049900M8子達(から=こたち)/肝(きも)をつぶし、/何(なに)がをかしうておわらひなされます。お 00049910M9/菓子(くわし)/喰(くつ)て/布袋(ほてい)られぬ(二ウ上) 00049920¥N8¥J 00049930¥X/弾三狸(だんざたぬき) 00049940M12/戸塚(とつか)の大じん、/佐渡(さど)の/弾三狸(だんざたぬき)に/金子(きんす)/千両(せんりやう)/借(か)らんといひこミ 00049950M13けれバ、さすが/金(かね)かしの/弾三(だんざ)もあきれはてゝ、コイツア/大(おほ) 00049960M14キなきん/玉(たま)だ(二ウ下) 00049970¥N9¥J 00049980¥X/懦ツ子(だゝこ) 00049990M17/乳母(うば)がお/菓子(くわし)をあげませうと/出(だ)せバ、こればかりでハいや 00050000M18じや。もつとたんとくれろと/啼(なく)。モウ+ござりません。 00050010M19いやじや+と/啼(なく)ゆへ、/今川了俊(いまがハれうしゆん)ハおよし/遊(あそ)ばせといふを、 00050020M20/旦那(だんな)がきいて、それハなんの/事(こと)だ。ヘヽヽヽイ、/不足長啼(ふそくながなき) 00050030¥P169 00050040¥G(三オ・ウ) 00050050M1(三オ上) 00050060¥N10¥J 00050070¥X/異見(いけん) 00050080M4おのれがやうな/陸(ろく)でなしに、/此(この)しんだいハゆづられぬ。/今= 00050090M5月(こん=げつ)も/丁度(てうど)十/両(りやう)ばかり/穴(あな)をあけおつた。にくいやつめ。ハテ、 00050100M6さうおもふなら、ゆづる/時(とき)に、さし引がいゝ(三オ下) 00050110¥N11¥J 00050120¥X/蘿蔔(だいこん) 00050130M9/大根(だいこん)、/上下(かミしも)を/着(き)て/蕎麦屋(そばや)へいたれバ、/亭主(ていしゆ)たち/出(いで)て、/御役= 00050140M10味(おやく=ミ)/御苦労(ごくらう)(三ウ上) 00050150¥N12¥J 00050160¥X/鬼蜻蛉(おにとんぼ) 00050170M13/盲(めくら)の/杖都(つえいち)が/墓(はか)から、/鬼(おに)とんぼがいくらともなく/飛(とん)で/出(で)ます。 00050180M14それハ/大(おほ)かた/千疋(せんびき)/出(で)るだらう。なぜでござります。ハテ、 00050190M15やんま/千疋(せんびき)(三ウ下) 00050200¥N13¥J 00050210¥X/鷄(にハとり) 00050220M18/鶏(にハとり)、/蹴合(けあい)にまけけれバ、おぬしのやうな/弱(よハ)い/鶏(にハとり)を/飼(かつ)てお 00050230M19くも、/腹(はら)がたつ。いま+しい。/出(で)てうしやアかれと/追出(おひだ) 00050240M20されて、にハとり、/何処(とこ)へ/行(い)かう(四オ上) 00050250¥P170 00050260¥G(四オ・ウ) 00050270¥N14¥J 00050280¥X/鳶(とんび) 00050290M3/油揚(あぶらげ)だとおもつてさらツたら、これア/紙(かミ)たばこ/入(いれ)だ。いま 00050300M4+しいトいひながら、/売(うら)う+と/啼(なけ)バ、むかふの/屋根(やね)で 00050310M5/烏(からす)が、/買(か)ハふ+(四オ下) 00050320¥N15¥J 00050330¥X/鴬踊(うぐひすをどり) 00050340M8/山王(さんわう)さまのおまつりに、/雀(すゞめ)をどりをよして、/鴬(うぐひす)をどりハ/何= 00050350M9処(ど=こ)から/出(で)ます。ヲホ/桶町(おけちやう)(四ウ上) 00050360¥N16¥J 00050370¥X/雷盆(すりばち)/雷槌(すりこぎ) 00050380M12/世(せ)かい/中(ぢう)で/夫婦(ふうふ)のやうにおもひますが、すりばちハたなで 00050390M13もかりて/居(ゐ)ますが、/此(この)すりこき/野郎(やらう)ハ、/年中(ねんちう)/懸(かゝ)りう/人(ど)だ 00050400M14(四ウ下) 00050410¥N17¥J 00050420¥X/正月(しやうぐわつ)の/飾物(かざりもの) 00050430M17/今年(ことし)ハ/神馬藻(ほんだハら)が/至(いた)つてすくない。/橙(だい+)・ところ・うらじろ・ 00050440M18/根(ね)まつ・/薮(やぶ)かふじもあり、/神馬藻(ほんだハら)ばかり、どこぞに/有(あり)さう 00050450M19なもんたといふを、/江戸方角(えどはうがく)を/習(なら)ふばかゞきいて、/夫(それ)ハ/青= 00050460M20山(あを=やま)にあります(五オ上) 00050470¥P171 00050480¥G(五オ・ウ) 00050490¥N18¥J 00050500¥X/唐画工(からゑかき) 00050510M3アヽ、/山(やま)ハおそろしくかきにくひとはなすを/聞(きい)て、/此人(このひと)も 00050520M4/唐画(からゑ)にハくるしんだと/見(ミ)へると、あとに/付(つい)て/行(いつ)て見れバ、 00050530M5/駕篭舁(かごかき)(五オ下) 00050540¥N19¥J 00050550¥X/鯉(こい)の/瀧登(たきのぼり) 00050560M8/此(この)かけ/物(もの)ハ/鰡(ぼら)の/画(ゑ)だね。コレ、馬鹿をいふな。/鯉(こい)のたきの 00050570M9ぼりだ。ハヽア、/鯉(こい)にしろ/鰡(ぼら)にしろ、/素麪(そうめん)を/喰(く)ふいきほひ 00050580M10がいゝ(五ウ上) 00050590¥N20¥J 00050600¥X/硯石(すゞりいし) 00050610M13くろうするすミ△そのこい/中(なか)は△/筆(ふで)とおまへが△しるばか 00050620M14り。それハなんだ。ぶんごか、しんないか、わからぬ。コ 00050630M15レハ/硯(すゞり)ぶしだ(五ウ下) 00050640¥N21¥J 00050650¥X/酒好(さけずき) 00050660M18おれハ/酒(さけ)がすきだから、/酒(さけ)さへあれバなんにもいらぬ。/誠(まこと) 00050670M19に/酒(さけ)ハ/命(いのち)だ。/花(はな)もさけ+といひ、/月(つき)もさします+。ゆ 00050680M20きのおつもりハちと気がないが、みな酒で事ハすむ。/神(かミ)に 00050690¥P172 00050700¥G(六オ・ウ) 00050710M1もさゝのむみことゝいふがある。/仏(ほとけ)にハ/大(だい)ぶんこうしや、 00050720M2/酒(さけ)のむによらいだ(六オ上) 00050730¥N22¥J 00050740¥X/娘(むすめ) 00050750M5/強気(がうぎ)につん+して/娘(むすめ)が/行(いく)ぜ。あれア/三味線(さミせん)やの/娘(むすめ)で、ペ 00050760M6ん+ペん/天(てん)さまだト、みんながいふぜ。/何(なに)、あれがへん 00050770M7/天(てん)さまか。/変(へん)てんさまが/聞(きい)てあきれる。コレ、そんなにわ 00050780M8るくいふと、/撥(ばち)があたる(六オ下) 00050790¥N23¥J 00050800¥X/鎗持(やりもち) 00050810M11/暦(こよミ)の/中(うち)に、〔図〕とあるハ、アレハなんだの。ハテ、あれ 00050820M12ハ/鎗持(やりもち)の/日(ひ)だ。ハヽア、そして●ハなんだ。アレハ/灸点(きうてん)を 00050830M13おろす/日(ひ)だ(六ウ上) 00050840¥N24¥J 00050850¥X/雛(ひな)さま 00050860M16三月の/節句(せつく)に、/紀州(きしう)/名草(なぐさ)の/郡(こほり)/加田(かだ)/淡嶌大明神(あハしまだいめうじん)といつて、/門(かど) 00050870M17に/立(たて)バ、/雛(ひな)さまがその/声(こゑ)をきいて、アレハ/人買(ひとかひ)じや(六ウ下) 00050880¥N25¥J 00050890¥X/茶碗酒(ちやわんさけ) 00050900M20/今夜(こんや)ハ/輪懸鉄(わかけがね)だといつて、とつくりをさげて/行(いつ)たが、どう 00050910¥P173 00050920¥G(七オ・ウ) 00050930M1も/解(げ)せぬと、そつと/内(うち)をのぞいてミると、/茶(ちや)わん/酒(さけ)をして 00050940M2やるゆへ、それがわかけかねかといへハ、ハテ、ひつかけ 00050950M3てねる(七オ上) 00050960¥N26¥J 00050970¥X/敵討(かたきうち)の/次第(しだい) 00050980M6/高倉院(たかくらのいん)、/御勝利(ごしやうり)を/失(うしな)ひ給ひしとき、そのあらましを/板行(はんかう)し 00050990M7て/売(う)りました。ハヽア、/何(なん)といつて/売(うつ)たらう。/笠木落(かさきおち)の/次= 00051000M8第(し=だい)をごらうじろ(七オ下) 00051010¥N27¥J 00051020¥X/女房(にようぼ)の/噂(うハさ) 00051030M11お/屋(や)しきに/奉公(ほうこう)してゐるうち、/文(ふミ)のとりやりが/媒人(なかうど)となつ 00051040M12て、それから/夫婦(ふうふ)になりました。ハヽア、それじやア/筆(ふで)づ 00051050M13くで/持(もつ)た/女(によう)ばうだナ(七ウ上) 00051060¥N28¥J 00051070¥X/田舎(いなか)もの 00051080M16/出来秋(できあき)の正月/祝(いわ)ひに、/村中(むらちう)がよつて/上(じやう)るりの/太夫(たいふ)をよび、 00051090M17/大(おほ)きにしやれました。それハめでたい事。/何(なに)を/語(かた)りました。 00051100M18/粟(あわ)のなるこを/引(ひき)ました(七ウ下) 00051110¥N29¥J 00051120¥X/大黒(だいこく) 00051130¥P174 00051140¥G(八オ・ウ) 00051150M1/大黒(だいこく)さまへしつかり/御馳走(ごちそう)申せといへバ、イヤ、モウ/何(なに)も 00051160M2/喰(くハ)れぬ。ハテ、さうおつしやらずに、どうぞめしあがつて 00051170M3/下(くだ)さりませ。イヤ+、おれハ/大腹(おほはら)くちの/命(ミこと)だ(八オ上) 00051180¥N30¥J 00051190¥X/亀(かめ)の/齢(よハひ) 00051200M6/万年(まんねん)/生(いき)るものハ、/恐(おそ)らく/世界(せかい)にあるまいといへバ、おまへ 00051210M7より/強気(がうぎ)な/長命(ながいき)がござります。それハ/何処(どこ)に。正月まいり 00051220M8ます/五万才(ごまんざい)(八オ下) 00051230¥N31¥J 00051240¥X/櫛払(くしはらひ) 00051250M11/素人茶(しろうとちや)ばんに、/朝比奈(あさひな)の/役(やく)まハり。さしづめ/髭(ひげ)にこまり、 00051260M12/能(いゝ)あんじがあると、/櫛屋(くしや)へかけ/付(つけ)、くし/払(はら)ひを二ツくださ 00051270M13い。はやく+。/朝比奈(あさひな)の/髭(ひげ)だといへバ、くしはらひに/赤(あか) 00051280M14いのハこざりません(八ウ上) 00051290¥N32¥J 00051300¥X/隠居(いんきよ) 00051310M17/食焚(めしたき)のおさんどのが、ゆふへから/見(ミ)へません。/何処(どこ)を/探(さが)し 00051320M18ても、どうも/知(し)れませんといへハ、うつちやつておけ。/煤= 00051330M19払(すゝ=はき)にハ/出(で)るだらう(八ウ下) 00051340¥P175 00051350¥G(九オ・ウ) 00051360¥N33¥J 00051370¥X/凧(たこ) 00051380M3/四谷(よつや)/鳶凧(とんびだこ)、/赤坂(あかさか)が/奴(やつこ)だこ、/市谷(いちがや)が/上(じやう)るりだこ、/下谷(したや)が/三味= 00051390M4線(さミ=せん)だこ、みんな/江戸(えど)の/名物(めいぶつ)だ。ハヽア、さミせんだこハむ 00051400M5せうにひいてもゐませうが、/上(じやう)るりだこハどうします。ハ 00051410M6テ、/空(そら)てうなつてゐる(九オ上) 00051420¥N34¥J 00051430¥X/猿桃(さるもゝ) 00051440M9/何処(どこ)からか/毎日(まいにち)、/猿(さる)が/来(きた)りしゆゑ、ある日、/桃(もゝ)をやりけれ 00051450M10バ、/拘(かゝ)へてうれしがり、それより/暫(しバ)らく/来(きた)らず。どうした 00051460M11事といふ/所(ところ)へ/来(きた)りけれバ、さるにむかひ、なぜこぬといへ 00051470M12バ、へヽヽ、/猿桃(さるもゝ)ハ/日&(ひゞ)に/疎(うと)し(九オ下) 00051480¥N35¥J 00051490¥X/干物屋(ひものや) 00051500M15/漉身(すきミ)や/干鱚(ひぎす)、/室鯵(むろあじ)や/真鯵(まあじ)にござる、あんぽんたんと、/豊後(ぶんご) 00051510M16ぶしで/呼(よび)かけれバ、イヨ、/干物町(ひものちやう)(九ウ上) 00051520¥N36¥J 00051530¥X/葛西舟(かさいふね) 00051540M19/船頭同士(せんどうどし)、/喧嘩(けんくわ)をはじめ、/悪(あく)たいをつきあひ、/屎(くそ)でも/喰(くら)や 00051550M20アがれといふを、/葛西(かさい)の/舟(ふね)/聞(きい)て、/汲(くミ)たてハよしかへ(九ウ下) 00051560¥P176 00051570¥G(十オ・ウ) 00051580¥N37¥J 00051590¥X/張篭達磨(はりこのだるま) 00051600M3おまへの/目(め)ハいつでも/真白(まつしろ)だ。えん/付(づか)ぬうちハ/目(め)の/玉(たま)の/出= 00051610M4来(で=き)ねへも、/大笑(おほわら)ひだといへバ、おきやアがれ(十オ上) 00051620¥N38¥J 00051630¥X/神酒徳利(みきとくり) 00051640M7/酒(さけ)をのむが/一徳(いつとく)といふハちがひなし。/此間(このあひだ)、/太神宮(だいじんぐう)さまへ 00051650M8お/神酒(ミき)をあげて、それからさげていたゞかうとおもつて、 00051660M9お/神酒(ミき)どつくりから/明(あけ)て/見(ミ)ると、/徳(とく)++といつた(十 00051670M10オ下) 00051680¥N39¥J 00051690¥X/年徳尊神(としとくそんじん) 00051700M13正月元日、/年徳(としとく)さまが/御登城(ごとじやう)なさるとき、さき/箱(はこ)が、/恵方(ゑはう) 00051710M14+ト/声(こゑ)をかけて、その/跡(あと)が、/明(あ)キへよれ+(十ウ上) 00051720¥Q 00051730M16△△△△△△△△△△△△△△△◇東里山人作◇ 00051740M17△△△かたい事ハかミわけられぬ年よりの 00051750M18△△△△ぐまい作者がはなしなりけり 00051760M19△△△△△△△△△△△△△△△◇橘庵貞房画◇ 00051770M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十ウ下) 00051780¥P177 00051790¥U噺本大系△第十六巻 00051800¥T/噺大全(はなしたいぜん)〔題簽〕 00051810¥G 00051820¥Y 00051830L18嘉永初年頃刊 00051840L19尾州△永楽堂東四郎板 00051850L20半紙本一冊 00051860¥Q 00051870M1尾張東壁堂蔵板画譜画手本目録 00051880M2福善斎画譜△北斎画譜△■斎略画 00051890M3一筆画譜△同△中編△同略画苑 00051900M4両筆画譜△同△下編△■琳漫画 00051910M5英勇画譜△名家画譜△北溪漫画 00051920M6鴬村画譜△同弐編△北雲漫画 00051930M7金氏画譜△■斎麁画△北斎漫画 00051940M8道中画譜△同△弐編△従初編十二編迄 00051950M9浮世画譜△文鳳麁画△出板十三編 00051960M10同△弐編△神事行燈△近日売出仕候 00051970M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(見返扉) 00051980¥N1¥J 00051990¥X/昔質気(むかしかたぎ) 00052000M14/結納(ゆいのう)も/首尾(しゆび)よふおさまる。/婚礼(こんれい)の日/柄(がら)をお/定(さだ)メ下されと/媒= 00052010M15人(なこ=と)のことハニ、/暦(こゆミ(ママ))とり出し、くりかへし見て、十六日が天 00052020M16/赦(しや)日、婚礼の日柄ニ定めふかといわるれハ、そバから/乳母(むば) 00052030M17が、申+、旦那さま。十六日に御婚礼ハ宜ふごさりませ 00052040M18ぬ。まだとしもゆかぬいとさまを、天赦日しやとて。ソレ、 00052050M19上の方に、/馬(むま)やふるとかいてござりますや(一オ) 00052060¥P178 00052070¥G(一ウ・二オ) 00052080¥N2¥J 00052090¥X○ 00052100M3コレ、おさわどん。/旦那(たんな)さんへ、おふろめしませひと申た 00052110M4ら、今ハ(一ウ)お/客(きやく)がある。のちニ入るとおつしやるそや。 00052120M5そんなら、おく様ニ申上さんせいの。イヤ、おく様も、御 00052130M6客があるてゝ(二オ) 00052140¥P179 00052150¥G(二ウ・三オ) 00052160¥N3¥J 00052170¥Xさゝがに 00052180M3是ハ旦那さま。昨日ハ御ちそうニあつかりましたと、小/腰(こし) 00052190M4かゝむれハ、ヲヽ長兵衛か。きのふハ/太儀(たいぎ)。くたびれてあ 00052200M5ろとあいさつして別るれハ、つれの男か、長兵衛。なんじ 00052210M6や、しさいらしいこといふたナ。さいやい、あれハおれが 00052220M7おもやの旦那とんじや。われやおれかあいさつなら、きの 00052230M8ふハ/馳走(ちそう)じやナといふハ。旦那とんハ(二ウ)むつかしい。 00052240M9ソコデ昨日ハといわねハならぬ。また、まひといき、むつ 00052250M10かしい/屋敷(やしき)方のおるすゐなとにあいさつすると、一昨日ハ 00052260M11といふハ(三オ) 00052270¥P180 00052280¥G(四ウ・五オ) 00052290¥N4¥J 00052300¥Xしな玉 00052310M3うら/借屋(しやくや)にひとり/住(すミ)の男、近所あるきに/夜(よ)をふかして内へ 00052320M4もとれハ、やれ、ぬす人よ/盗賊(とうそく)よと立さわくを、盗人ハと 00052330M5こへはいりましたと/問(とへ)ハ、コレ+権兵衛様。おまへの内 00052340M6へはいつたそやと聞てびつくり、内を見廻し、おし入をあ 00052350M7けて、扨+、とふよくなぬ/((す脱カ))人め。此つゝらに二朱か七両 00052360M8弐部と/銭(ぜに)が八〆余り。おく島の/着尺(きしやく)三/反(たん)ひつさらへていに 00052370M9おつたと、わめきちらせば、近所の衆、それハ大ふんのか 00052380M10ねめ。あすハそふ+/代官(たいくわん)所へとゝけねハならぬと/評定(ひやうじやう) 00052390M11/最中(さいちう)、/元来(くわんらい)此ぬす人、一/方(ほう)口の/表(おもて)よりはゐりしを見付ケら 00052400M12れ、せん方なさに、すのこの下にかゝんてゐたりしか、あ 00052410M13るじの男の/大言(をゝこゑ)を聞、かんにんならす。下よりとんて出、 00052420M14(三ウ)イヤ、おれハ今はいつた/盗人(ぬすひと)じやか、近所の衆も聞 00052430M15てもらおふ。此内へはいつて、何そ/銀(かね)めな物はなひかとさ 00052440M16かしてゐる内ニ見付ケられ、一いろもとらぬ盗人を、二朱 00052450M17銀しやの、おくじまのと/大平楽(たいへいらく)。おれニむしつを云かける。 00052460M18此侭て/済(すま)されぬ。/代官(たいくわん)所へ申上、きつと御きんみ/願(ねかひ)ほと 00052470M19に、近所の衆ハせうこ人、たいきなからお出下されと、盗 00052480M20人からさかねたり。近所の衆も大キにこまりけれは、盗人 00052490¥P181 00052500L1のが尤至極。ぜんたい、とられもせぬものを、/仰山(きやうさん)にかれ 00052510L2これいふハ、/爰(こゝ)な権兵衛やがわるい。日比の気にも/似(に)合ぬ 00052520L3と、よつてかゝつて/恥(ハぢ)しむれハ、あるしの権兵衛、ぬから 00052530L4ぬかほて、イヤモ、ついほんの出来心てござります(四オ) 00052540L5(四ウ・五オ挿絵) 00052550¥N5¥J 00052560¥X/奉納何某内(ほうのうなにかしうち) 00052570L8/猿(さる)を/生(い)ケ取にするハ、なんでもなひものしや。のりものに 00052580L9くろゝをこしらへ、山へ/持(もち)ゆき、扨其中へはいりて、/栗(くり)や 00052590¥G(六オ) 00052600M1/柿(かき)の類をむまそふに喰てゐるを、/樹(き)の上からさるが見る。 00052610M2そこで/乗(のり)物の戸を明て出てもとる。猿がそれをまねして、 00052620M3乗物の中へはいり、戸をたてると、くろゝが落る。そのく 00052630M4ろゝを上ケる事を得知らぬところを、のりものを其侭かい 00052640M5て戻る。なんと心安ひものてあろふがといふに、イヤ+、 00052650M6それハ大そふな。それより心安ふ猿を取ハ、何の子細もな 00052660M7い。とりもちをだんごのやうに丸め、木の枝にひつ付ケて 00052670M8おくハ。猿か食物じやとおもふて、かた手でつかむと、其 00052680M9手にひつ付ク。また、かた手にてとらんとする。其手もひ 00052690M10つ付ク。是ハしたりと、かたあしをかけて取ル。其あしも 00052700M11ひつ(五ウ)つく。またこちらのあしを出して、はなして見 00052710M12る、そのあしも同しくひつく。そこをしつかに/片木(へぎ)にのせ 00052720M13て、/庚申(かうしん)さま/奉納(ほうのう)するは(六オ) 00052730¥P182 00052740¥G(六ウ・七オ) 00052750¥N6¥J 00052760¥X夜明のからす 00052770M3コレばゝや。毎度いふ事しやが、/兄(あに)めがまだ、のらがやま 00052780M4ぬ。今に/茶(ちや)の/湯(ゆ)の/生花(いけはな)のと、かね持のゐんきよ様見るよふ 00052790M5な身もち。最前もそなたへむけて手紙おこして、ろくなこ 00052800M6としやあるまひ。よんて見やれと手紙ほり出す。ばゝ、手 00052810M7紙とり上ケて見れハ、/嫁女(よめしよ)よりの/名(な)当ニ、ひらひて見れは、 00052820M8△△△△△口△上 00052830M9△△いよ+御ふたりとも御機嫌ニ御入らせのよし、うれ 00052840M10△△しくそんしまいらせ候。としてぬしことも、此程ハと 00052850M11△△んと+遊げいもやめニいたし、(六ウ)あさゆふ家き 00052860M12△△やうのミせいいたしゐられ候。御しんもう安くおほし 00052870M13△△めし可被下候。扨ハ毎+申かね候へ共、此きハヽ閏 00052880M14△△月も御座候へは、何角と物入多く、是のミこまり入ま 00052890M15△△いらせ候。ぬしもたん+此事をあんしゐられまいら 00052900M16△△せ候。毎度なから、盆せつきをよろしく御願申上まい 00052910M17△△らせ候。めて度かしく 00052920M18△△△△△母さままゐる 00052930M19とよみ上れハ、親仁、ソレ+、此時節からに、/盆石(ぼんせき)とこ 00052940M20ろかい(七オ) 00052950¥P183 00052960¥G(七ウ・八オ) 00052970¥N7¥J 00052980¥X/中庸(ちうよう)はたらき 00052990M3ヤレ+、同しめしたき奉公でも、こんなつとめにくい内 00053000M4ハなひぞ。こわいめしたきや、こわいとてしからるゝ。や 00053010M5らこふたけは、和らこひとてやかましゝ。此上ハよいかけ 00053020M6んニたくより、しよふかない(七ウ) 00053030¥N8¥J 00053040¥X正札附キ 00053050M9こけたらハ/砂(すな)てもつかミたかるしわんぼうの/親仁(をやじ)、/道中(どうちう)に、 00053060M10せに百文/落(をち)てあるを、うれしやと、ひろい上ケて見れハ、 00053070M11壱匁代九十八文といふ札か、くゝり付てあるを見て、しか 00053080M12けせには、ひろわれぬハいナ(八オ) 00053090¥P184 00053100¥G(八ウ・九オ) 00053110¥N9¥J 00053120¥X○ 00053130M3おとなりのかしやを、とふそ御かしなされて下されぬかと 00053140M4いへハ、ハア、とふていつれへなりとかしませねハならぬ 00053150M5が、御前さまの御商買ハと尋ねられ、イヤ、私ハひものや 00053160M6でこさります。フウ、/干物(ひもの)屋といわしやつても、とふで/棒(ぼう) 00053170M7たらやかづの子のよふなつけ物もあるであろと、うさんな 00053180M8/顔(かほ)付。イヤ+、その干物屋てハござりませぬ。私ハ/桧物(ひもの) 00053190M9屋て、/曲(まげ)物の類をいたす、アノ/杓屋(しやくや)でこさりますといへば、 00053200M10(八ウ)家主ひつくり、しやくにかしたら、おもやとられる 00053210M11(九オ) 00053220¥N10¥J 00053230¥X/引道(いんとう)かね 00053240M14/貧困(ひんこん)に暮す/婆(バ)&、年久しく/連添(つれそい)し/夫(おつと)ニはなれ、/力落(ちからおと)しのあ 00053250M15まり、とふそ御/骨(こつ)を本山へ納めたいと、ならぬ中から金二 00053260M16部工面して、三十石のり合にしての京のほり船中、用心の 00053270M17ためとて骨の中へ金子を入レ、はた身はなさす伏見へ付キ、 00053280M18そろ+と/知恩院(ちおんいん)へ参り、そのよし云入レハ、同宿の僧壱 00053290M19人立出、/御経(おきやう)/読誦(とくしゆ)し、骨もこつ堂へおさめ、はゝハ(九ウ) 00053300M20一礼のへて門前まて出しが、フトおもひ出してかけ戻り、 00053310¥P185 00053320¥G(九ウ・十オ) 00053330M1先の僧ニあひて、今納し骨の中ニ/路銀(ろきん)を入レて、その侭ニ 00053340M2納めました。近頃御/面倒(めんどう)なから、今の骨をちよつと出して 00053350M3下されと、涙ぐんでたのむニ、その僧、少ししあん顔ニて、 00053360M4ばゝさま。それハきのとくじやか、一たん納た骨を二度出 00053370M5すといふ事ハない。此/骨堂(こつどう)へはいつたら、モウ/地獄(ちこく)じやわ 00053380M6いの(十オ) 00053390¥Q 00053400M11大日本国郡全図@彩色摺|筋入△@△全二冊 00053410M12/此(この)六十/余州(よしう)の/全図(ぜんづ)ハ/一(いつ)にハ/経国(けいこく)の/大業(たいげう)に/志(こゝろ)ある/人(ひと)をして/地(ち)の/理(り)を/知(し)ら 00053420M13しめ/或(あるい)ひハ/遊歴(いうれき)の/客(ひと)/廻国順拝(くわいこくじゆんはい)の/人&(ひと※)/勝概古跡(めいしよこせき)を/探(さぐ)り/神社佛閣(じんじやぶつ 00053430M13どを 00053440M14/尋(たづね)るに/必用(ひつよう)の/書(しよ)にして/頃年(としごろ)/東谿翁(とうけいをう)の/撰(えらミ)にてその/志(こころざし)/海内(かいだい)に/公(おふやけ)に 00053450M14) 00053460M15を/計(はか)り/累年(るいねん)の/工夫(くふう)をもて/終(つひ)に/大成(たいせい)せしなり/其各国(そのくに※)の/郡縣村落山(こほりあざむら+やま) 00053470M16/河(かハ)にいたるまで/盡(こと※)く/著色(さいしき)をもて/分(わか)ち/一覧(いちらん)するに/易(やす)からしめ/其分明(そのふんミやう)なる事 00053480M17/恰(あたか)も/暗中(あんちう)に/燭(ともしび)を/得(え)てたゞちに/掌中(てのひら)を/照(てら)すがことく/詳(つまびらか)にして/乾坤(はうがく)を/知= 00053490M18事(しる=こと)/眼下(まのあたり)に/歴然(れきぜん)として/寔(まこと)にこれ/一奇書(いつきしよ)なりかの/仙家縮地(せんかしゆくち)の 00053500M19/術(じゆつ)も/是(これ)には/及(しか)ざるべき/歟(か)/戸(いへ)を/出(いで)ずして/天下(てんか)をしるといへる/古= 00053510M20語(こ=ご)も/嘗(かつ)て此/冊子(ほん)の/為(ため)にいふなるべし 00053520M21△△書肆△△@尾州名古屋本町通七丁目△|江戸日本橋通本銀町二丁目@△@永楽屋東四郎|同△△出△店@ 00053530¥P186 00053540¥U噺本大系△第十六巻 00053550¥T/落(おと)しばなし△〔表紙〕 00053560¥G 00053570¥Y 00053580L17嘉永三年正月刊 00053590L18五返舎半九序作 00053600L19橘蝶楼貞房画 00053610L20中本一冊 00053620¥Y 00053630M4/落(おと)し 00053640M6ばなし 00053650M8梅亭金鵞作△△△庚戌 00053660M9橘蝶楼貞房画△△△△△春 00053670M10△△△△△△△△△△新版 00053680M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(表紙) 00053690¥P187 00053700¥G(一ウ・二オ) 00053710¥Y 00053720M1/落語(らくご)の/記原(おこり)ハ、/唐土(もろこし)の/開巻一笑(かいくハんいつせう)、/笑林広記(せうりんくハうき)、/五雑爼(ごさつそ)、/笑府(せうふ) 00053730M2の/類(たぐひ)を/和解(わげ)して/説(と)く/故(ゆへ)に、/昔(むかし)はなしと/号(なづく)。されば、はじめ 00053740M3/其(その)一二を/載(あげ)て、/末(すへ)に/新作(しんさく)の/落語(らくご)を出すといへども、今日の 00053750M4御見物、明日必古しといわん。小田原町の/天明(しら+あけ)も/柳原(やなぎハら)の 00053760M5/虞刻(なゝつすぎ)も、新らしきハ新しきをよしとし、古きハ古きをよし 00053770M6とす。黒羽二重の/年数(ねんす)ものより、/寧(むしろ)/生木綿(きもめん)の切立にしかず 00053780M7と、仕立おろしの/合巻(がうくハん)となして、御評判のほどを願ふ事然 00053790M8り 00053800M10△△△△初春△△△△△△△△△五返舎半九述G 00053810M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一オ) 00053820¥Y 00053830M13五返舎の大人、昔はなしの草紙を出して、口絵の歌よめと 00053840M14ありけれバ、人のはなしの先を折るに似たれと、かくよめ 00053850M15る。 00053860M16△△△桃太郎鬼か島屋の番頭の 00053870M17△△△△しりへにあらぬ口絵され歌 00053880M18△△△△△△△△△△△△△△△△△△△総団的丸 00053890M19△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一ウ・二オ) 00053900¥P188 00053910¥G(二ウ・三オ) 00053920¥N1¥J 00053930¥X◇/五雑爼(ごさつそ)◇ 00053940M3/唐土(もろこし)に/艾子(がいし)といへる/先生(せんせい)、/弟子(でし)をあつめ、こうしやくをは 00053950M4じめけるに、/周(しう)の/文王(ぶんわう)、/■里(ゆうり)にとらハれとなりし/処(ところ)を/講(かう)ぜ 00053960M5らるとて、/国王(こくわう)より/艾子(がいし)をめさるゝとてつれて/行(ゆき)ける。あ 00053970M6とにて、/弟子(でし)たち、おい+と/泣(なき)かなしミける故、/艾子(がいし)の 00053980M7つま、ミな/様(さま)ハなぜ泣給ふといへバ、/周(しゆう)の/文王(ぶんわう)ハせいじん 00053990M8也。/夫(それ)がとらハれとなつてハかなしうござる。Sつまがい 00054000M9ふ。はて、夫でもすゑにハゆるされ給ふから、よいでハご 00054010M10さりませんかといへバ、ミな+、さやうでもありませう 00054020M11が、さしあたつて、こんや一トばんハ、らうの/中(なか)でおくる 00054030M12しミなさるたらう(二ウ) 00054040¥N2¥J 00054050¥X◇/家宝全書(かはうぜんしよ)◇ 00054060M15ある/人(ひと)、/客(きやく)によばれけるか、とうふの/料理(れうり)をすゝめけるゆ 00054070M16ゑ、/客(きやく)ていしゆにむかひ、あなたにハとうふがおすきとみ 00054080M17えますといへバ、ていしゆいふやう、われらハとうふハい 00054090M18のちでござるといふ故、その/後(のち)、/此(この)ていしゆをよび、いろ 00054100M19+さかなのちそうの/中(なか)へとうふを/出(だ)すに、とうふハくは 00054110M20ず、さかなばかりくふ故、あなたハ/先日(せんじつ)、とうふハ/命(いのち)だと 00054120¥P189 00054130¥G(三ウ・四オ) 00054140M1申されたが、/今日(こんにち)ハなぜとうふハあからぬのしや。Sハテ、 00054150M2さかなを/見(ミ)てハ、/命(いのち)もすてる/気(き)でござる(三オ) 00054160¥N3¥J 00054170¥X/年礼(ねんれい) 00054180M5つんぼのぢいさま、見世ばんをしてゐるところへ、/年礼(ねんれい)来 00054190M6りて、御しうき申ます。Sつんぼ、かたじけなうこさりま 00054200M7す△Sまた一人きたりて、御しうぎ申ます。Sつんぼ、かた 00054210M8じけなうござりますといふ。夫からいくたりもくる。Sつ 00054220M9んぼ、いづれもその/通(とほ)りにあいさつしてゐる/所(ところ)へ、/道(ミち)をき 00054230M10く/人(ひと)/来(きた)り、Sあさくさへハどうまいります△Sつんぼ、か 00054240M11たじけなうござります(三ウ) 00054250¥N4¥J 00054260¥X/和藤内(わとうない) 00054270M14/和藤内(わとうない)、ねんしに/来(きた)り、/門口(かどぐち)にて、ハイ、/御慶(ぎよけい)申上ます。 00054280M15/今日(こんにち)ハよいおてんきで、きこらい+、けつこうな/春(はる)でパ 00054290M16ア+、ちんぷうかんとおめでたうござりますといふ故、 00054300M17はて、おまへハおかしな事をいふ人だ。からのことばと/日= 00054310M18本(につ=ほん)のことばとごたまぜにして、どういふわけでごさるとき 00054320M19けバ、/和藤内(わとうない)、Sはて、わしハ/父(ちゝ)ハもろこし、/母(はゝ)ハ/日本(につほん)で 00054330M20ござります(四オ) 00054340¥P190 00054350¥G(四ウ・五オ) 00054360¥N5¥J 00054370¥X◇/開巻一笑(かいくわんいつせう)◇ 00054380M3もろこしの/張丞相(ちやうしやう※)といへる人、/好(このん)で/草書(さうしよ)をよくかけり。 00054390M4あるとき、/龍(りよう)の/飛(とふ)かごとしといふだいの/詩(し)をかきしが、/艸= 00054400M5書(さう=しよ)にてすら+とかきしゆゑ、/人(ひと)にハよめがたき/所(ところ)まゝあ 00054410M6りしゆへ、/張丞相(ちやうしやう※)のうちへもちゆき、/先生(せんせい)。これハ/何(なん)と 00054420M7申/字(じ)でござりますと/聞(きゝ)けれバ、/張丞相(ちやうしやう※)これを見て、おま 00054430M8へハ/書(かい)たときに/持(もつ)てござれバよいに、/今(いま)となつてハ、わし 00054440M9にもわかりません(四ウ) 00054450¥N6¥J 00054460¥X/浪人(ろうにん)もの 00054470M12らうにんもの、/何(なに)も/手(て)しよくハしらず。あきないハできず、 00054480M13こんきうしてゐるゆゑ、/隣(となり)のていしゆのせわで、井/戸(ど)やの 00054490M14つな引にたのまれしが、かたくるしき/男(をとこ)なれバ、さやうし 00054500M15からバにて、つな/引(ひき)に出、つなの/先(さき)をもつ/役(やく)にあてられ、 00054510M16/仕事(しごと)にかゝると、/井戸(ゐど)の/中(なか)で、それ/引(ひい)たりしよといふと、 00054520M17らう/人(にん)ものハ、/皆(ミな)のものにもくれいして、ごめんくだされ。 00054530M18わたくしハお/先(さき)へさんじます(五オ) 00054540¥P191 00054550¥G(五ウ・六オ) 00054560¥N7¥J 00054570¥X/阿漕(あこぎ)が/浦(うら) 00054580M3あこぎが/浦(うら)に、しつこい/村(むら)といふ/所(ところ)がありて、こゝに/殺生(せつしやう) 00054590M4ごめんの/池(いけ)あり。/平三(へいざ)といふもの、/夜(よ)る+しのび/来(きた)り、 00054600M5/大(おほ)きなる/鯉(こゐ)をはなすゆへ、/所(ところ)の/代官(だいくわん)よりいひつけ、その/平= 00054610M6三(へい=ざ)ハふとゞきでも/何(なん)でもないやつなれバ、/召捕(めしとり)におよばず。 00054620M7馳走をしてほうびをやれと/下知(げぢ)あれバ、/平三(へいざ)ハ、ハイ+。 00054630M8/私(わたし)ハ一人の/母(はゝ)の/為(ため)でもなく、/鯉(こゐ)をはなしました。ほうびハ 00054640M9ごめんなされて/下(くだ)さりまし。さぞ/母(はゝ)がをかしがるでござり 00054650M10ませう。ハヽヽヽと/笑(わら)ふが、ほんのあこぎのうらをかいた 00054660M11のだ(五ウ) 00054670¥N8¥J 00054680¥Xぜんまい/人形(にんぎやう) 00054690M14/此(この)たび、/大坂(おほさか)おもてよりさし/下(くだ)しましたる/竹田近江(たけたあふミ)がつも 00054700M15り/細工(ざいく)。/誠(まこと)に/一世一代(いつせいちだい)の/新工夫(しんくふう)。/人形(にんぎやう)のはたらき、お/目(め)の 00054710M16さめまするやう、とり/仕組(しくミ)、御らんに/入(い)れ/奉(たてまつ)ります。まづ 00054720M17ハ/人形(にんぎやう)がくやのはやしにつれまして、いさゝかの/所作事(しよさごと)を 00054730M18御らんにいれます。テンカラ++と/太皷(たいこ)をたゝけども、 00054740M19/人形(にんぎやう)うごかず。/細工人(さいくにん)、いろ+/気(き)をもミ、これハよい/見(ミ) 00054750M20せものでござります(六オ) 00054760¥P192 00054770¥G(六ウ・七オ) 00054780¥N9¥J 00054790¥Xまうし/子(ご) 00054800M3おらがむすめが、/近所(きんじよ)のわかいしゆといつしよに、なりた 00054810M4さまへさんけいして、はらんで/帰(かへ)つたが、あれハ/成田(なりた)のま 00054820M5うし子にちがひあるまい。しかし、ねんのため、ゑなをあ 00054830M6らつて見やうといひつゝ、ゑなをあらつて見たら、/奉納(ほうなう)/当= 00054840M7所(たう=しよ)/若者中(わかいものぢう)(六ウ) 00054850¥N10¥J 00054860¥Xたいこ/持(もち) 00054870M10/此(この)あひだ、/大(だい)ふくやのだんなが/来(き)たから、/金(かね)の/一両(いちりやう)ももら 00054880M11ハふと/思(おも)つて、おぢぎをして、だんな。ありがた/山(やま)ぶきい 00054890M12ろと、こつちから/気(き)をつけてやつたが、まだ/気(き)がつかねへ 00054900M13やうだから、むせうに、だんな。ありがた/山(やま)ぶき/色(いろ)と何べ 00054910M14んもやらかしたが、あんまり/山(やま)ぶき/色(いろ)といつたせへか、だ 00054920M15んながとう+/茶(ちや)にしてしまつた(七オ) 00054930¥P193 00054940¥G(七ウ・八オ) 00054950¥N11¥J 00054960¥Xすゞみ/舟(ふね) 00054970M3すゞミ/舟(ぶね)で、きせるをたゝいたら、がん/首(くび)を/川(かハ)へたゝき/落(おと) 00054980M4したが、とりやうハあるまいかといへバ、あるとも+。 00054990M5なんのざうさもない事だ。まづにはとりを/一羽(いちハ)、/戸板(といた)にの 00055000M6せて、そのおとした/近所(きんじよ)へながすと、ぢきにしれる。/身(ミ)な 00055010M7げなぞをさがすに、そのとほりだといふゆへ、その/如(ごと)くに 00055020M8すれバ、にハとりハ/戸板(といた)にのりてながれ+、やがて、か 00055030M9のがんくびのあたりへゆくと、Sとつけへべゑ(七ウ) 00055040¥N12¥J 00055050¥X/龍宮(りうぐう) 00055060M12りうぐうで、さかなが/大(おほ)ぜいあつまり、/皆(ミな)+もちまへの 00055070M13みそをあげるに、かつをハ、さしミハおれが事だといふ。ふ 00055080M14ぐハ、なべやきハおれにとゞめをさすといふ。たこハ、/桜= 00055090M15煮(さくら=に)ハだれにもできめへといふ。いわしハ、/酢(す)いりハおれが 00055100M16一ばんだと、てん※に/高(かう)まんをいつてゐるところへ、た 00055110M17ひが/出(で)て、だれが/何(なん)と/言(いつ)ても、さかなでハおれにこすもの 00055120M18ハあるまいと、りきミちらせバ、ミな+、さうさ。Sく 00055130M19さつても、おまへだ(八オ) 00055140¥P194 00055150¥G(八ウ・九オ) 00055160¥N13¥J 00055170¥X/金(かね)まうけの守 00055180M3かねのまうかるおまもりをいたゞかせてやらうと、/紙(かミ)にか 00055190M4いたものをくれたから、/中(なか)をあけて見たら、/鈴(すゞ)といふ/字(じ)が 00055200M5かいてあるゆへ、これハなぜ/金(かね)まうけのおまもりでござり 00055210M6ますときけば、/鈴(すゞ)といふ/字(じ)ハ、かねへんに、せしめるとか 00055220M7いてあるハさ(八ウ) 00055230¥N14¥J 00055240¥Xしわんほうになる/伝(でん) 00055250M10これ、きさまハ/銭(ぜに)つかひがあらいから、しわくなる/方(はう)を/教(をし) 00055260M11へてやらう。まづ、この/榎(えのき)へ/木(き)のぼりをして、ずつとほそ 00055270M12い/枝(えだ)へつかまつて、ぶらさがつて、かた/手(て)をはなすのたと 00055280M13をしへる故、/其通(そのとほ)りにして、/是(これ)からどうしますといふと、 00055290M14/先生(せんせい)/下(した)に/居(ゐ)て、その/手(て)がはなせるか。Sとうして。この/手(て) 00055300M15をはなすと、/直(ぢき)に/落(おち)て/死(しに)ます。アヽたまらぬ+。はやく 00055310M16をしへて下さりませといへバ、Sこんどから、/銭金(ぜにかね)をもつ 00055320M17たら、その/心(こゝろ)もちで/居(ゐ)さつしやい(九オ) 00055330¥P195 00055340¥G(九ウ・十オ) 00055350¥N15¥J 00055360¥X/柿盗人(かきぬすびと) 00055370M3若いもの二人いひあハせ、こんやハ/闇(やミ)だから、となりの/柿(かき) 00055380M4の/木(き)をはたき/落(おと)して、もつてくるつもりだが、おれが/木(き)の 00055390M5/上(うへ)にのつて/落(おと)すから、きさま/拾(ひろ)ひ/役(やく)だと、きめひきして、 00055400M6やがてかの/木(き)へのぼり、/棒(ばう)をもちたゝくと、/柿(かき)がごろ+ 00055410M7おちる。/下(した)でひろふ/男(をとこ)ハあハてゝ、どぶへおちてあかられ 00055420M8ぬゆへ、おちた+。S/上(うへ)の男おちるはづよ。おとすから 00055430M9だ△S/下(した)の/男(をとこ)おちた+△Sおちるハしれた事だ。はやく 00055440M10ひろへ△S/下(した)の/男(をとこ)いやさ。どぶへおちたよ。/上(うへ)の男どぶへ 00055450M11おちたのハすてゝおけ(九ウ) 00055460¥N16¥J 00055470¥X/声(こゑ)の/出(で)る/薬(くすり) 00055480M14声の出るくすりにハ、なめくじをのむといゝが、はらにあ 00055490M15たるとわるいから、あとでかいるをのむ。かいるがのこれ 00055500M16バ、きじをのむ。きじがのこれバ、きつねをのむ。きつね 00055510M17がのこれバ、かりうどをのむ。かりうとがのこれバ、庄や 00055520M18をのむ。庄やがのこれハ、こんとハ鬼をのむ。/鬼(おに)が庄やを 00055530M19くつてしまふ。そこて腹の中で、/鬼(おに)があれるとわるいから、 00055540M20おにころしの/酒(さけ)を/一合(いちがふ)のむがいゝ(十オ) 00055550¥P196 00055560¥G(十ウ・十一オ) 00055570¥N17¥J 00055580¥X/好古家(ふるものすき) 00055590M3/何(なん)でも/古(ふる)ものゝすきな/人(ひと)、ちぎれたごさを/買(かひ)とり、/是(これ)がむ 00055600M4かしもろこしの/伏羲(ふつき)がしいたこざといふて、/地面(ちめん)を/売(うつ)て/是(これ) 00055610M5をもとめ、また/神農(しんのう)さまのついた/杖(つえ)だといつて、是ハ/家(いへ)を 00055620M6/売(うつ)てもとめ、又/黄帝(くわうてい)のめしを/喰(くつ)たおやわんだといつて、 00055630M7/着類(きるい)をのこらす/売(うつ)てもとめしが、地面も/家(いへ)も/着(き)るいもない 00055640M8から、かのこもをきて/杖(つえ)をつき、おや/椀(わん)を一ツもち、これ 00055650M9で何ものぞミハないが、/秦(しん)の/始皇(しくわう)があぼう/宮(きう)を/建(たて)たときの 00055660M10半両の/古(こ)せんを一/文(もん)くたさりませ(十ウ) 00055670¥N18¥J 00055680¥X/忠臣蔵(ちうしんぐら)/四段目(よだんめ) 00055690M13ゑんや/判官(はんぐわん)、せつぶくをおほせつけられ、/石堂(いしだう)/右馬(うま)の/丞(じやう)、 00055700M14/薬師寺(やくしじ)/次郎左衛門(じろざへもん)の/前(まへ)へいでゝ/一礼(いちれい)をして、これハ+御 00055710M15くらうせんばん。/何(なに)ハともあれ、/御酒(ごしゆ)一ツさしあげんとい 00055720M16ふ/所(ところ)へ、/由良(ゆら)の/助(すけ)、はた+にてかけ/来(きた)り、/由良(ゆら)の/助(すけ)よし 00055730M17兼、たゞ/今(いま)/参上(さんじやう)つかまつりましたといへば、/判官(はんぐわん)Sゆらの 00055740M18/助(すけ)か。まだはやかつた(十一オ) 00055750¥P197 00055760¥G(十一ウ・十二オ) 00055770¥N19¥J 00055780¥X/羊羮(ようかん) 00055790M3ようかんをみやげにもらひ、/家内(かない)のものにきつてくハせる 00055800M4と、かないのもの、これハうまいもちでござります。そし 00055810M5てほそながいもちでござりますといふゆへ、これハもちで 00055820M6ハない。ようかんといふものだ。Sイヱ+、ほそながい 00055830M7から、ながもちでござります△Sなぜ、これがながもちだ 00055840M8といへバ、Sそれでも、一トさほ/二棹(ふたさほ)と申ます(十一ウ) 00055850¥N20¥J 00055860¥Xながツ/尻(しり) 00055870M11おもしろくないはなしをするぢいさまきたり、いつまでも 00055880M12+べん+とはなしをしてゐるゆへ、/女(によう)ばういやがりて、 00055890M13しゆろぼうきを/障子(しやうじ)のかげへたてると、ぢいさまハそろ 00055900M14+きせるをしまひかゝる。その/時(とき)ほうきが/横(よこ)にたふれる 00055910M15と、/又(また)ぢいさま、きせるを/出(だ)しかけるゆへ、/女(によう)ばうハあハ 00055920M16てゝほうきをたてる。ぢいさま、きせるをしまふ。/又(また)ほう 00055930M17きがたふれる。ぢいさま、きせるを/出(だ)す。/又(また)ほうきがたほ 00055940M18れるから、おこせバたふれ、ぢいさま、きせるを/出(だ)したり 00055950M19/入(い)れたり、/出(だ)したり/入(い)れたり(十二オ) 00055960¥P198 00055970¥G(十二ウ・十三オ) 00055980¥N21¥J 00055990¥X/慾(よく)しん 00056000M3しわんぼうのおや/子(こ)、/田舎(ゐなか)へ/用事(ようじ)ありてゆきけるが、おや 00056010M4ぢ/川(かハ)へ/落(おち)しゆへ、むすこあハてゝ/引(ひき)あげんとするに、すべ 00056020M5りてあがらず。まご+してゐる/所(ところ)へ/人(ひと)が/来(き)て、むすこさ 00056030M6ん。/百(ひやく)/出(だ)しなせへ。あげてやらうといふ。むすこハ七十二 00056040M7文にまけろといふ。イヤ、百でなけれバあげぬと、たがひ 00056050M8にろんじ/合(あつ)てゐると、/川(かハ)の/中(なか)でおやぢが、がぶ+しなが 00056060M9ら、そうだ+。おれが/死(しん)でもいゝから、/百(ひやく)ハ/出(だ)すな(十 00056070M10二ウ) 00056080¥N22¥J 00056090¥X/学者(がくしや) 00056100M13/学者(がくしや)、あすか/山(やま)へ/行(ゆき)て見れバ、山の中に/碑(ひ)が/立(たて)てあり。こ 00056110M14ゝにわかい/男(をとこ)/立(たつ)てゐて、あちらへまハり、こちらへまハり 00056120M15/見(ミ)てゐるゆへ、/学者(がくしや)ハ、きどくな/若(わか)いものじやとおもひ、 00056130M16そばへゆきて見れバ、かのわかい/者(もの)、たれの/石(せき)たふだかし 00056140M17らぬが、ばか+しく/長(なが)い/誡名(かいミやう)だ(十三オ) 00056150¥P199 00056160¥G(十三ウ・十四オ) 00056170¥N23¥J 00056180¥Xいひなづけ 00056190M3かたく/約束(やくそく)した/女(をんな)が/死(しん)だから、/高野山(かうやさん)へのほつて/坊主(ばうず)にな 00056200M4つて/見(ミ)たが、モウ三/年(ねん)もたつたから、そろ+/下山(げさん)して/女= 00056210M5房(によう=ばう)でももちませうと思ひ、/下山(げさん)にかゝると、やぶの/中(なか)より 00056220M6/蛇(へび)が/出(で)て/来(き)て/足(あし)へからむゆへ、/是(これ)ハ/女(によう)ぼうのおんねんなり 00056230M7と/心(こゝろ)をいれかへ、またのぼらんとするを/蛇(へび)はほとけて、や 00056240M8ぶに/入(い)る。モウよしと思ひて、下山にかゝると、またへび 00056250M9が/出(で)る。のぼらんとする。へびハひつこむ。ばうずハ/上(あが)ツ 00056260M10たりおりたり、/蛇(へび)ハ/出(で)たり/引込(ひつこん)だり。いくたびとなくして、 00056270M11たがひに、アヽくたびれた(十三ウ) 00056280¥N24¥J 00056290¥X/皿(さら)やしき 00056300M14おきくの/亡魂(ばうこん)、/古井戸(ふるゐど)より出て、ひとさら、ふたさらとか 00056310M15ぞへて、九さらといつて、わつとなきごゑするゆへ、たび 00056320M16/僧(そう)きたり、さて+/不便(ふびん)なるとおもひ、すいしやうのじゆ 00056330M17ずを出し、ぞく/名(ミやう)おきく、とんしやうぼだい、なんまいだ 00056340M18+といへバ、おきくのばうこん、あらハれいでゝ、どう 00056350M19/勘定(かんぢやう)しても、/九(く)まいでござります(十四オ) 00056360¥P200 00056370¥G(十四ウ・十五オ) 00056380¥N25¥J 00056390¥X/地震(ぢしん) 00056400M3ぢしんがひるねをしてゐる/時(とき)、かミなりがなりだして、/地(ち) 00056410M4へひゞくゆへ、ぢしんが/頭痛(づゝう)もちになり、にくいかミなり 00056420M5だ。おちて/怪我(けが)でもすれバよいとおもふねんりきがとゞき 00056430M6てや、かミなりハほりぬき/井戸(ゐと)へ/落(おち)しゆへ、ちしんハ/悦(よろこ)び、 00056440M7いゝ/気味(きミ)だと思つたが、/頭痛(つゝう)もちのうへに/聾(つんほ)になりました 00056450M8(十四ウ) 00056460¥N26¥J 00056470¥X/大名(だいミやう) 00056480M11/今(いま)/四(よ)ツ/角(かど)で/大名(だいミやう)にでツくわせて、お/先(さき)が、ほう+といふ 00056490M12から、/左(ひだ)リへよつたら、また左リの/方(はう)からも大名が/来(き)て、 00056500M13ほう+といふ。こんどハうしろへよけたら、またうしろ 00056510M14から大名が/来(く)る。/前(まへ)へよけれバ、まへからくる。これがま 00056520M15ことに、ほう+なめにあつたのだ(十五オ) 00056530¥P201 00056540¥G(十五ウ・十六オ) 00056550¥N27¥J 00056560¥X/下駄(げた) 00056570M3けふハ六/文屋(もんや)のはうへついでが/有(あつ)たから、/下駄(げた)を/買(かつ)て/来(き)た 00056580M4が、/見(ミ)てくんなといへバ、/友(とも)だち、/下駄(げた)を見て、/手(て)めへも 00056590M5やぼなものだ。/今(いま)ハこれハはやらねへ。下駄を/買(かふ)なら、お 00056600M6れにさうだんすれバいゝのに、ぬかつた事をしたといへバ、 00056610M7ハテ、ぬかつたから、下駄を/買(かつ)たのだ(十五ウ) 00056620¥N28¥J 00056630¥X/天(てん)/知(し)る/地(ち)/知(し)る 00056640M10おれがふミを見てゐたら、/地(ち)の/下(した)で、どうろく/神(じん)さまが見 00056650M11つけてよむし、/天(てん)でハ/天人(てんにん)が/見(ミ)つけてよんだが、/是(これ)が天/知(し) 00056660M12る/地(ち)しるといふのだといへバ、/友(とも)だちがきいて、うそをい 00056670M13へ。なに、天人が/手(て)めへたちのめに見へるものかといふ。 00056680M14イヤ、おれもしらずに/居(ゐ)たが、かんざしを/落(おと)したので/気(き)が 00056690M15ついた。/其(その)かんざしが、ぎんのかんざしで、天からひか 00056700M16+とひかつて、/風(かぜ)にしたがつておちてきたが、天人ハそ 00056710M17のかんざしををしさうに、あれ++、/風(かぜ)にひかつてゐ 00056720M18るわいなア(十六オ) 00056730¥P202 00056740¥G(十六ウ・十七オ) 00056750¥N29¥J 00056760¥X◇/笑府(しやうふ)◇ 00056770M3ある人、ひろき/野(の)にて/白骨(はくこつ)をひろひ、/是(これ)をうづめてかへり 00056780M4しに、/其夜(そのよ)、/門(もん)をたゝくものあり。たそととへバ、/妃(ひ)なり 00056790M5といふゆへ、/門(もん)のうちへ/入(いれ)るに、/楊貴妃(やうきひ)の/霊(れい)なり。/白骨(はくこつ)を 00056800M6うづめ/□((しカ))/礼(れい)をのべて、/其夜(そのよ)、まくらをともにして/帰(かへ)りぬ。 00056810M7また/野(の)にて、白骨をひろひうづめしが、其夜又門をたゝき、 00056820M8われハ/飛(ひ)也といふ故、/嬉(うれし)くおもひ、門を/明(あけ)れバ、/三国志(さんごくし)の 00056830M9/張飛(ちやうひ)の/霊(れい)/来(きた)り、白骨の礼をのべ、こよひハ/枕(まくら)をともにして、 00056840M10/嶋(しま)やのばんたうをきめたうござる(十六ウ) 00056850¥N30¥J 00056860¥X/瀬戸物(せともの) 00056870M13/茶漬(ちやづけ)ちやわんを一ツください。Sハイ+。これハどうで 00056880M14ござります△Sこれハいくらだ△Sハイ。五/匁(もんめ)でござり升 00056890M15Sそれハたかいものだサ。四文にハまかりませんかといへ 00056900M16ば、せとものやの/男(をとこ)、すこしはらをたてゝ、まかりません 00056910M17といひながら、その/茶(ちや)わんをすぐにしまひにかゝるひやう 00056920M18しに/落(おと)して、みぢんにこわすと、/買(かひ)にきた人、Sかハない 00056930M19で/仕合(しあハ)せ。まけるとおれのはうで、こわれるのだ(十七オ) 00056940¥P203 00056950¥G(十七ウ・十八オ) 00056960¥N31¥J 00056970¥Xうなぎや 00056980M3/此間(このあひだ)、/横丁(よこちやう)のうなぎやのをどりこむすめが/色(いろ)をしたので、 00056990M4おやぢにほねをぬかれたが、それからさゝかしの/権(ごん)といつ 00057000M5しよになつて、ぐた+としてゐたが、うなぎやのおやぢ 00057010M6がはらを/立(たつ)て、あいつ、しゞうなべの/中(なか)へいれてしまハね 00057020M7バならぬといつたが、かわいさうな事だ。Sなにさ、うな 00057030M8ぎやのをどりこなら、もとがどろ/水(ミづ)そだちだから、あんじ 00057040M9もあるめへ(十七ウ) 00057050¥N32¥J 00057060¥X/京都(きやうと) 00057070M12/江戸(えど)ツ/子(こ)、京へかけおちしてゆき、/公家(くげ)のうちの/居(ゐ)さうら 00057080M13ふと也、くげの/名代(ミやうだい)にたのまれ、かむりしやうぞくにて/行(ゆき) 00057090M14ける/道(ミち)にて、江戸の/親分(おやぶん)、やまとめぐりに/来(きた)りとて、/三条(さんでう) 00057100M15の/大橋(おほはし)て行あひしが、おやぶんミかけ、これ、/手(て)めへ、/公= 00057110M16家衆(く=げしゆ)になつたか。だいぶ/出世(しゆつ)したといへバ、Sハイ。けふ 00057120M17ハ公家衆にたのまれやしたトかんむりへ手をあて、かぶつ 00057130M18てをります。ごめんなせへ(十八オ) 00057140¥P204 00057150¥G(十八ウ・十九オ) 00057160¥N33¥J 00057170¥Xやぶいしや 00057180M3やぶいしや、ある/所(ところ)の/居候(ゐさふらふ)をもりころしけるに、おやぶん、 00057190M4はらをたて、/貴(き)さまがもりころしたから、/寺(てら)へもつていけ 00057200M5といはれ、ぜひなく/死人(しにん)を/桶(おけ)にいれ、ひとりでハゆかれぬ 00057210M6ゆへ、十一ばかりのむすこをつれきたり、二人してになひ 00057220M7/行(ゆき)けるが、むすこハおもたいとて、/道(ミち)+やすミながら、 00057230M8かたをいたがりて、さすりながら、コレとつさん。こんど 00057240M9かられうぢをするなら、/子供(こども)がいゝよ(十八ウ) 00057250¥N34¥J 00057260¥Xむすめ 00057270M12十七八のむすめ、ふたりよりて、いろ+はなしをしてゐ 00057280M13たりしが、/一人(ひとり)のむすめ、おまへハことしいくつにおなり 00057290M14だといへば、アイ。わたしハことし十七さ。お/前(まへ)ハいくつ 00057300M15だへ。Sアイ。わたしハ十八さ△Sそれでハらいねんハ、 00057310M16わたしもおまへとおないどしになるよ(十九オ) 00057320¥P205 00057330¥G(十九ウ・二十オ) 00057340¥N35¥J 00057350¥X/凧(たこ) 00057360M3たこがそばやのあんどうへひつかゝつておちたが、おほか 00057370M4た、しり/尾(を)がなわだから、だれぞなわをたぐつた人がある 00057380M5だらうといへバ、なんぼそばやでも、なわをたぐるといつ 00057390M6てハ、げひんないひやうだから、人がらよく、/麺(めん)くらツて 00057400M7/落(おち)たのだ(十九ウ) 00057410¥N36¥J 00057420¥Xかけ/取(とり) 00057430M10もし、/酒屋(さかや)でござります。どうぞおはらひをいたゞきたう 00057440M11ござり升。Sなんだ。はらひがもらひたい。コレ、/手(て)めへ 00057450M12のそのつらハなんだ。ひよつとこのめんのやうなつらで、 00057460M13おはらひもきがつよい。やる事ハいやだ+△Sモシ、き 00057470M14のふやけふのかけでハなし。ちやうど三/年(ねん)ごしになります。 00057480M15わたしがひよつとこのめんのやうなら、なほの事、めはな 00057490M16をあけてくださらねバ、いきがでません(二十オ) 00057500¥P206 00057510¥G(二十ウ) 00057520¥N37¥J 00057530¥X/宝舟(たからふね) 00057540M3/七福神(しちふくじん)、たから/舟(ふね)をこぎ/出(だ)して、/四方(よも)をながめ、さて+ 00057550M4おだやかでよい/春(はる)じや。/是(これ)でハことしもほうねんであらう。 00057560M5これがまことにせいじんの/御代(ミよ)といふのだといへば、舟の 00057570M6ともの/方(かた)にて、せいじんの/代(よ)になると、おれハきゝんだか 00057580M7らつまらぬといふ/声(こゑ)がする故、/大黒天(だいこくてん)はらをたち、/何(なに)もの 00057590M8なれバ、せいじんの/代(よ)をきゝんといふといへバ、/舟(ふね)のとも 00057600M9に/獏(ばく)がゐて、ハテ、せいじんに/夢(ゆめ)なしでござります 00057610¥Q 00057620M11△△△△△△△△△△△△△△◇五返舎半九作◇ 00057630M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二十ウ) 00057640¥P207 00057650¥U噺本大系△第十六巻 00057660¥T/落噺笑種蒔(おとしばなしわらいのたねまき)〔序題〕 00057670¥Y 00057680L17安政三年正月序 00057690L18金龍山人谷峩序・作 00057700L19歌川芳盛画 00057710L20中本一冊 00057720¥Y/落噺笑種蒔(おとしばなしわらいのたねまき)初編の序 00057730M3/清(しん)の/墨■斎(ぼくかんさい)か/著(あら)ハせし/笑府(せうふ)を、/其(その)まゝ/鴬(うくひす)の/倭名(かなくら)に/解(とい)て、/梅(むめ) 00057740M4ならぬ/桜木(さくらぎ)に/上(のほ)せんといふ/梓元(はんもと)の/随意(まにまに)/抄(もの)しつ。/折(おり)も/恵方(ゑはう)の 00057750M5/筆(ふで)はじめ、/運(うん)ハ/耳(ミヽ)たぶ/長(なか)やかに/利潤(まうけ)て、/土蔵(くら)を/辰(たつ)の/年(とし)、い 00057760M6ちはん/笑府(せうふ)と/明(あけ)の/春(はる)さき、/初商(はつあきな)ひの/售(うり)ものに/寿(ことぶ)く 00057770M8△△△安政三丙辰歳初春 00057780M9△△△△△△江戸△△△△△△△金龍山人戯述G 00057790M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一オ) 00057800¥P208 00057810¥G(一ウ・二オ) 00057820¥N1¥J 00057830¥X○たかさご 00057840M3/尉(しやう)と/姥(うば)がおよばねをついてゐるをミて、Sモシ、おまへが 00057850M4たハとしよりのくせに、そんなにほねを/折(おつ)て、はねをたか 00057860M5くついてゐなさるが、それがおもしろいのかね△Sイヱ、 00057870M6これもおやくて、しかたが厶りませぬ△Sハテネ。おめへ 00057880M7がたのおやくハ、はうきとくまでをもつて、さうじをして 00057890M8ゐな/た((ママ))りやア(一ウ上)いゝのじやアねへかへ△Sイヱ、さ 00057900M9うても厶りませぬ△Sなせね△Sハテサ。たかはごのちゞ 00057910M10いばゞアと申升 00057920¥N2¥J 00057930¥X○ほうらい 00057940M13ちよいとおむめさん、ごらん。あすこへゆくのハ、かめさ 00057950M14んとおつるさんじやアないかね△Sアヽそうだよ。おかし 00057960M15いねへ。はやしてやろふじやア(二オ)ないか。おまつさん 00057970M16もおたけさんもおはやしよ△Sほうらいほう+(一ウ下) 00057980¥P209 00057990¥G(二ウ・三オ) 00058000¥N3¥J 00058010¥X○ふじの山 00058020M3Sけふハにつぽんばれで厶り升。モシごらうじまし。ふし 00058030M4のやまが、てにとるやふにミへます△Sなるほど、/三国一(さんごくいち) 00058040M5の/名山(めいさん)といつて、めうななりにできたものだね。まるです 00058050M6りばちをうつむけたやうさね△Sしかし、あんなすりばち 00058060M7があつたら、すりこ木にこまりやせう△Sそりやアおめへ 00058070M8のくちでたくさんだ△Sなぜ、/私(わたし)のくちがすりこぎだらう。 00058080M9たとへすりこぎにしたところか、こんなじんぜうな(二ウ) 00058090M10くちが、なんであのすりばちがすれませうぞ△Sインヤ、 00058100M11ずいぶんまにあふだらふ△Sなぜね△Sせけんぢうのごま 00058110M12せへするじやアねへか(三オ下) 00058120¥N4¥J 00058130¥X○/上酒(じやうしゆ) 00058140M15あるのんだくれ、ゆめに/上酒(じやうしゆ)をもらひけれバ、かぎりなく 00058150M16よろこび、かんをせんと、かんどくりへうつし、どびんへ 00058160M17いれしが、ちやがおゝくありてふきこぼれ、チウプウ引。 00058170M18このさわぎにおどろきて、たちまちゆめさめて、おゝいに 00058180M19くやミ、Sチヨツ、いめへましい。かうとしつたら、ひや 00058190M20でのんでしまへバよかつた(三オ上) 00058200¥P210 00058210¥G(三ウ・四オ) 00058220¥N5¥J 00058230¥X○いゝだこ 00058240M3/飯蛸(いゝたこ)かにて、ねづミいらずにいれてあるを、こぞう、ない 00058250M4しよにてつまミぐひをするところを、おかミさんがだしぬ 00058260M5けにせうじをあけて、S/長松(ちやうまつ)。なにをしてゐるといはれて、 00058270M6こぞうびつくりするはづミに、つまミかけたいゝだこをこ 00058280M7ろ+とおとせバ、なむさん、あらハれたりとおもひなが 00058290M8らも、ぬからぬかほ。ころげたいゝだこをとつて、そとへ 00058300M9ほうりだし、Sおとゝいこい(三ウ) 00058310¥N6¥J 00058320¥X○がくしや 00058330M12あるへつぽこせんせい、かハと/河(かハ)の/別字(べつじ)あるを、でしにお 00058340M13しえんとて、まづ/川(かハ)といふじ/意(い)をたづねに、じしよをしき 00058350M14りにくれども、さらにミあたらず。たちまち/三(さん)のしをミだ 00058360M15して、そのところをはたとうち、いくらたづねてもないは 00058370M16づた。こゝにねくさつているものを(四オ) 00058380¥P211 00058390¥G(四ウ・五オ) 00058400¥N7¥J 00058410¥X○いしや 00058420M3おいしや+となばかりおいしや△さぢがきらひで△コラ 00058430M4おどりがすきだトはやりうたをうたひ、おどりながらある 00058440M5くなまゑひ、わうらいのやぶいしやにつきあたれバ、やぶ 00058450M6いしや、いたくはらをたち、こぶしをあげてうたんとする 00058460M7に、なまゑひおどろき、てでうたるゝより、あしでふんで 00058470M8れうけんしてくだされとわびるを、かたハらのひといぶか 00058480M9り、Sなぜ、ぶたるゝより、ふまるゝはうがよいのじや 00058490M10Sハテ、あのおいしやのてにかゝりてハ、いきることハで 00058500M11きませぬ(四ウ) 00058510¥N8¥J 00058520¥X○あほう 00058530M14あるひと、ばかむすこをるすにおいてたびだつことありけ 00058540M15れバ、そのこにむかひ、Sおれのるすにひとがきて、おや 00058550M16じとのハときいたら、よんどころないことで三四日たびへ 00058560M17でましたといへよトいゝつけしが、わすれんかとおもひ、 00058570M18これをかきつけてわたせバ、ばかハたもとへいれておきし 00058580M19が、そのゝち三日たてども、きやくひとりもこざれハ、か 00058590M20きつけがミハいりようなしとおもひ、/灯(ひ)へかざしてやきす 00058600¥P212 00058610¥G(五ウ・六オ) 00058620M1てぬ。そのよくちやうきやくありて、おとつさんハどこへ 00058630M2トきかれて、ばかハあハてゝたもとをさかせども、あらざ 00058640M3れハ、Sなくなりました△Sきやくひつくりし、ヱ、いつ 00058650M4へ。とんだこつた△Sゆうべ、やきました(五オ) 00058660¥N9¥J 00058670¥X○よくばり 00058680M7コウ八や。てめへ、むやミとぜにかねをほしかるが、いの 00058690M8ちをうつてもかねがほしいか。Sほしいどころじやアねへ。 00058700M9たいきんにありつくことなら、こんないのちの一ツや二ツ 00058710M10ハおしくねへ。ころされてもほんもうたトいふを、おゝか 00058720M11ねもちのだんなきゝつけて、Sそんなら、/千両(せんりやう)やるから、お 00058730M12れのおもふぞんぶんにぶたれてしぬかトいはれて、しばし 00058740M13かんがへ、Sナント、ものハそうだんた。おめへさんもせ 00058750M14んりやうおだしなさるのハついへだから、わたしをマアは 00058760M15んごろしにして、/五百両(ごひやくりやう)おくんなせへ(五ウ) 00058770¥N10¥J 00058780¥X○びやうにん 00058790M18ししてぢごくへおちしものあり。しやはのつミによりて、 00058800M19うまとなりしが、ちからよわくてやくにたゝざれバ、ゑん 00058810M20わうそのかたちをかへし、たましひをしやハへかへし給ひ 00058820¥P213 00058830¥G(六ウ・七オ) 00058840M1しかバ、そのひと、いきかへりしか、ぢこくよりきうにに 00058850M2げかへりしことなれバ、いちもつハまだむまのまゝなるに 00058860M3ぞ、Sこれでハなミはつれで、くわいぶんがわりい。もう 00058870M4いちどぢごくへいつて、ゑんまさまにたのんで、もとのと 00058880M5うりにしてもらハずハなるめへトいへバ、にようぼうSナニ、 00058890M6それにハおよばないわね(六オ) 00058900¥N11¥J 00058910¥X○ミそかを 00058920M9あるひと、となりのにようぼとミつゝうせしおり、そのて 00058930M10いしゆかへりきて、とをたゝくゆへ、ふたりハおどろきう 00058940M11ろたへつゝ、からのしとだるをミつけて、おとこをそのう 00058950M12ちへいれ、ふろしきをかけおき、ていしゆにきかれたら、 00058960M13たきつけだといつておかうとやくそくし、やがてとをあけ 00058970M14れバ、ていしゆうちへはいり、しとだるにふろしきのかけ 00058980M15たるをミて、Sありやアなんだト。にようぼ、ぶる+も 00058990M16のもいへず。ていしゆいぶかり、すでにふろしきをあけて 00059000M17ミんとするゆへ、なかにて、Sたきつけ+(六ウ) 00059010¥N12¥J 00059020¥X○まぶ 00059030M20ゆんべすミ/町(てう)へまがると、くらやミにたつてゐるやつが、 00059040¥P214 00059050¥G(七ウ・八オ) 00059060M1づきんまぶかで、かほハしれねへけれど、こいつあやしい 00059070M2やつと、あんにたがわず、どこのじようろだか、きやくを 00059080M3おくつたかへりにでも、しゆびしたとミへて、かけてきて、 00059090M4そのやろうとこそ+ばなしヨ。いづれにかいをせかれた、 00059100M5うまいなかにちげへねへが、あすこいらが、じようろのま 00059110M6ことだなア△Sそいつハきのもめたことだつけの。しかし 00059120M7くらやミでよく、しようろのまことがあるのがしれたのふ 00059130M8トいへバ、Sコウ、やぼをいゝなさんな。じようろのまこ 00059140M9ととたまごのしかくがあれバ、ミそかにせへつきがでる 00059150M10せ(七オ) 00059160¥N13¥J 00059170¥X○あかゑい 00059180M13コウ、いまあかゑいをもらつたから、うまにとしるにして、 00059190M14いつぱいのまうじやアねへか。Sさうか。そりやアずいぶ 00059200M15んいゝが、おらアあんまりすかねへ。やつぱりいわしのし 00059210M16ほやきがいゝ△Sフン、げすのくちハそんなものかへ。お 00059220M17らたちとハせかいちがひだから、つきあひハできねへ 00059230M18Sできてもできなくつても、いわしにあかゑがかなふもの 00059240M19か。そのしようこにハ、いわしのことをむらさきといふだ 00059250M20ろふ△Sさうヨ。それがどうした△Sハテサ。むらさきハ 00059260¥P215 00059270¥G(八ウ・九オ) 00059280M1あかゑをうばふといゝやす(七ウ) 00059290¥N14¥J 00059300¥X○じようろかい 00059310M4もちやのていしゆ、よしわらかよい。うちにハちつともい 00059320M5つかず。たゝなしミのしらたま+とばかりいふゆへ、に 00059330M6ようぼハだいふくもちほどふくれて、もちまへのやきもち。 00059340M7Sおまへハ+よくかんかへてもミなせへ。じようろハお 00059350M8もてをかざるもの、わたしハこんなおたふくでも、ミめよ 00059360M9りこゝろハうちをだいじにしてゐるに、おまへハかたてお 00059370M10ゝどらやき。なんぼわたしがひきずりもちでも、このこと 00059380M11ばかりハいはねバならぬ。ホンニサ、まいあさちよき/舟(ふね) 00059390M12で、ふとんぐるりのかしハもち。それがていしゆのミもち 00059400M13かへ△Sかしわもちハあたりめへよ。せいろうでよをふか 00059410M14す(八オ) 00059420¥N15¥J 00059430¥X○いけどり 00059440M17よしのやまにて、しづかごぜんをめしとり、かまくらへお 00059450M18くるとちう、めしうとかつぎのにんそく、Sコウ+、う 00059460M19つくしいおんなにしてハ、がうせいくわんめがあるぜ。お 00059470M20らアもうかたがめりこミさうだ。ぜんてへ、おんなといふ 00059480¥P216 00059490¥G(九ウ・十オ) 00059500M1ものハ、しりでよつぽとめをもつかしらん。ウントコトツ 00059510M2コイ、たまらねへ+トいふを、けいごのさむらい、Sコ 00059520M3レ、いまさらこぼすにハおよバねへ。てんからくわんめの 00059530M4あるハしれてゐることさ△Sハア、なぜね△Sよしつねさ 00059540M5まのおもひものだ(八ウ) 00059550¥N16¥J 00059560¥X○かやり 00059570M8なつのつきかをきずにして/五百両(ごひやくりやう)トいふ、きかくのくがあ 00059580M9るが、ちげへねへ。いゝつきよだからすゞもうとすれバ、 00059590M10かゞぶん+くうし、かやをつれバうるさし。しかたがね 00059600M11へ。Sそんなにかがゐるなら、こねへやうにすれバいゝの 00059610M12に△Sこねへようにしてへといつたつて、こればかりハし 00059620M13ようがあるめへ△Sさうちゑがねへからいかねへ。かうす 00059630M14るだ。ひのくれがたから、どん++とゑぶしをかける 00059640M15と、かがくるしかつて、ミんなにかいへにげていくわさ。 00059650M16ソラそこで、はしごをひきなせへ(九オ) 00059660¥N17¥J 00059670¥X○ねづミ 00059680M19コウ、おらがとこへハねずミがあれてこまりきるぜ。Sさ 00059690M20うか。それじやアおれがばんにいつて、そのねずミのとり 00059700¥P217 00059710¥G(十ウ・十一オ) 00059720M1やうをおしえてやろうト、そのばんにきたり、わさびおろ 00059730M2しのめへ、めしつぶをよくならべてぬりつけ、かうしてね 00059740M3づミのでるところへおくと、こんやねづミがでて、このめ 00059750M4しをくふたびに、はなづらをこすり+して、よどほしこ 00059760M5するハ。あすのあさ、ミなせへ。のこるものハ、をはかり 00059770M6じや(九ウ) 00059780¥N18¥J 00059790¥X○どろぼう 00059800M9びんぼうにんともしらず、そのいへゝぬすびとしのびいり、 00059810M10はう※をたづねけれども、さらにもちゆくべきもの、ひ 00059820M11としなもなけれバ、ぬすびとハあきれかへり、Sいけばか 00059830M12+しい。むだぼねをおらせやアがつたとつぶやきながら、 00059840M13たちいでんとせしを、びんぼうにん、ねてゐながら、Sモ 00059850M14シ、どろせんせい。おかへりなら、あとのとをよくしめて 00059860M15いつておくんなせへトいへバ、どろぼうわらひだし、Sな 00059870M16んのために(十オ) 00059880¥N19¥J 00059890¥X○あさがほ 00059900M19ミるひとのこのミにおうじて、そのいろのはなをひらくあ 00059910M20さがほありしかバ、ひと※めづらしがりて、あさよりお 00059920¥P218 00059930¥G(十一ウ・十二オ) 00059940M1ゝぜいけんぶつにきて、ひとりがつぼミにむかひ、Sむら 00059950M2さきトいへバ、むらさきのはなひらき、またひとりが、く 00059960M3ろといへバ、くろいはながひらき、あいしぼりといへバ、 00059970M4そのとおりにひらくゆへ、ミな+きもをつぶせしが、な 00059980M5かにひとり、つぼミにむかい、Sモシ、わたしハぢかゑび 00059990M6いろでネ、やつれミそこしのちらしを/裾(すそ)もやうにして、も 00060000M7んはいつとこといふこのミだトいへバ、あさかほ、はんひ 00060010M8らきになりて、Sあさつておいでなせへまし(十ウ) 00060020¥N20¥J 00060030¥X○こいうり 00060040M11こいやこひとうりあるくを、Sヲイ+、/鯉魚(りぎよ)や、りぎよ 00060050M12やトよべども、こひやハきゝつけす、さつ+とゆきすぐ 00060060M13るにぞ、Sコレ、りぎよや+トよびながら、よう+に 00060070M14よびとゞめ、Sさつきからよんでゐるのに、てまへハつん 00060080M15ぼか△Sハア、りきよやとおよびなさるのハ、わたしのこ 00060090M16とかへ△Sさうヨ。こひとハりぎよといふわへ。こひもり 00060100M17ぎよもおなじことだハ。これしきのことをしらねへとハ、 00060110M18マアてまへのおやのつらをミてやりてへ。ドレ+、これ 00060120M19ハいくらだ△Sそのちいせへのかね。そりやアがれんにし 00060130M20ておきやしよふ△Sヱ△Sがれんにさ△Sがれんとハ 00060140¥P219 00060150¥G(十二ウ) 00060160L12Sコレしきのことをしらねへとハ、おまへのおやのつらを 00060170L13ミてやりてへ(十一オ) 00060180¥N21¥J 00060190¥X○おゝぐい 00060200L16はじめてちかづきになりしひととつれだち、しゆろうへの 00060210L17ぼり、のミくひするに、そのひと、はなはだたいしよくに 00060220L18て、くふことまことにすミやかなれバ、しんちうにおどろ 00060230L19きあきれて、Sおまひさんハなんのおとしで厶り升へ 00060240L20Sわたくしかへ。わたくしハいぬのとしで厶り升△Sハア、 00060250M1いぬのおとしで、そのくらひでハ、もしとらのとしなら、 00060260M2わたしぐるミしてやられるだらう(十一ウ) 00060270¥N22¥J 00060280¥X○天神記 00060290M5/南無天満(なむてんま)/大事(だいじ)の/木也(きなり)/松(まつ)と/梅(むめ)△立甫トいふくがあるが、ちと 00060300M6げせねへ。かのうしかいのさんにんのきようだいハ、まつ 00060310M7わう・むめわう・さくらまるだから、まつとむめばかり、 00060320M8くわんしやう※がだいじといふわけもあるめへ。さくら 00060330M9まるもなか+ちうしんものじやアねへか。いろのとりも 00060340M10ちから、ことおこつたものゝ、それもわりいきでしたこと 00060350M11でもあるめへ。それだに、さくらまるをはぶいちやアおか 00060360M12しい△Sハテ、ばかをいふな。さくらまるハはらきつて、 00060370M13かれたじやアねへか(十二オ) 00060380¥N23¥J 00060390¥X○せつぶん 00060400M16せつぶんのよ、にわかあめふりいだせハ、/主(あるじ)、Sかんろか 00060410M17ふる。めでだい+。あめハまんねん、ふるハせんねんじ 00060420M18や。ヲヽ+、うらぐちへふりこむ。トレ+、うらしめ 00060430M19太郎ハ八千ざい、とせうじのごしうぎ+、トいはひなが 00060440M20ら、とじまりをすれバ、おとこのこ、やがてどまのふミい 00060450¥P220 00060460L1しのうへゝしやうべんをしながら、Sいしのうへゝたらり 00060470L2+。にようぼ、やぐとだなより、よぎをひきずりおろし 00060480L3て、Sおやこわらひましよ、やぐおとし。めでたし+ 00060490L4++ 00060500¥Q 00060510L6△△△△△△△△△△△△◇谷峩著芳盛画◇ 00060520L7△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十二ウ) 00060530¥P221 00060540¥U噺本大系△第十六巻 00060550¥T/三都寄合噺(さんとよりあいばなし)〔題簽〕 00060560¥G 00060570¥Y 00060580L16安政四年正月序 00060590L17鶴亭秀賀作 00060600L18歌川芳虎画 00060610L19菊屋幸三郎板 00060620L20中本二巻二冊 00060630¥G(上下巻表紙) 00060640¥P222 00060650¥G(一ウ・二オ) 00060660¥Y自叙 00060670M3/夫(それ)、/滔&(たふ+)たる/懸河(けんが)の/弁(べん)ハ有ども、/富楼那(ふるな)ハ不流行。/当時(たうじ)の 00060680M4情態、たゝ/新奇趣向(しんきしゆかう)を/宗を((ママ))穿事ハ、何れの道も同じけれど、 00060690M5/什(そ)が中に/落噺(おとしはなし)の耳馴ハ、あつたら耳に風邪や引すべし。 00060700M6されバ、噺の口片に新のその字、/書(かく)なるべけれど、遠きは 00060710M7なしの/濫觴(らんしやう)は、むかし+/爺(ぢ□)ハ山へ/柴苅(しはかり)に、/姥(ばゝ)ハ川へ/洗濯(せんたく) 00060720M8の、すでに元祖も有なれバ、/金幸堂(きんこうどう)のもとめに/応(おう)し、三/都(と) 00060730M9の/新話(しんわ)をつゞらんと、一世の智恵を/古布子(ふるぬのこ)、/洗(あらい)さらせし/張(はり) 00060740M10/替(かへ)もの、/夜(よ)なべ/仕事(しごと)に/漸&(やう+)と、仕立直せし/襤褸着(ぼろき)もの、つ 00060750M11ぢつまあわせ/出頬題(ではうだい)、/筆(ふで)にまかせて/掻付(かきつけ)しを、幸ひに/愛看(あいかん) 00060760M12あらせ給へと、/□((記カ))しはべるになむ 00060770M13△△△安政四丁巳春△△△△△△鶴亭秀賀戯誌G 00060780M14△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一オ) 00060790¥N1¥J 00060800¥X◇江のしま◇ 00060810M18ことしハ/巳(ミ)のとし。/江(え)のしまの/開帳(かいちやう)、おびたゞしいくんじ 00060820M19ゆ。さんけいのものしバらく。さて+、/弁天(へんてん)さまのうつ 00060830M20くしいこと。それに十五どふじとやらいふて、いゝお/子(こ)も 00060840¥P223 00060850¥G(二ウ・三オ) 00060860M1ちだ。そしてミんな、おなじくらい。どふいふもんだらう。 00060870M2とし子(一ウ)でもあるまい。おほかた、一/年(ねん)に二どづゝも、 00060880M3おうミなさるかしらん。そバの/男(おとこ)Sナニサ。一/年(ねん)に五六度 00060890M4くらい、おうミなさるだらう△Sそれハまた、どふいふわ 00060900M5けだ△Sイヽサ、一月おきに、ミまちにおなりなさるから 00060910M6さ(二オ) 00060920¥N2¥J 00060930¥X◇立場◇ 00060940M9S/吉野(よしの)や/常(つね)次郎といふ/男(おとこ)、/風流(ふうりう)なるものにて/立場居(たてハゐ)さけを 00060950M10はじめ、/女房(にようぼ)おしつ(二ウ)/夫婦(ふうふ)/中(なか)よく/家(か)ぎやう/出精(しゆつせい)しける。 00060960M11/四季(しき)をり+の/花(はな)をうへ、また/哥川(うたかハ)/芳虎(よしとら)に、/屏風(ひやうふ)からかミ 00060970M12かべのはりつけまで、さくらをかゝせたりけれバ、たれい 00060980M13ふとなく、よしつね/千本桜(せんぼんさくら)の/酒(さか)やとハいひなしける。ある 00060990M14とき、わかきさふらひ来り、Sコレ+/亭主(ていしゆ)。うまいもの 00061000M15があるなら、/何(なん)なりと、たんとだせ。/泉川(いつミかハ)か/猿若(さるわか)を一升、 00061010M16かんをつけてだせと申つけ、/十分(じふぶん)にのミ、さつ+と/出(で)て 00061020M17ゆく。/女房(にようぼ)しづ、とんで/出(いで)、Sモシ+お/侍(さむらい)。おまへハど 00061030M18なたかハしらぬが、/勘定(かんぢやう)なしにのミにげハなりませぬ。ど 00061040M19このおやしき。そのぶんにハなりませぬ。お/名(な)ハなんとい 00061050M20ひ升ときめつけると、侍Sムヽ、おれハたゞのむだ(三オ) 00061060¥P224 00061070¥G(三ウ・四オ) 00061080¥N3¥J 00061090¥X◇江戸◇ 00061100M3Sやミの/夜(よ)もよし/原(はら)ばかり月よかなとハ、よくいゝやした。 00061110M4まづ/大門(おほもん)はいれバ/仲(なか)の丁、/軒(のき)のあんどう、きらほしのごと 00061120M5く、じつに/別世(へつせ)かいサ△Sそれハいゝが、おそれることに 00061130M6ハ、へんに/城廓(じやうくわく)ばつて、大門うちへハのりこませぬから、 00061140M7わづかなところも、あるくのが/面倒(めんだふ)サ。しかし/当時(とうじ)ハ仮宅 00061150M8(三ウ)だからいゝ。ずつと何やへても、のりつけるハサ 00061160M9Sヘン、あるくが/面倒(めんだふ)も、おしがつよい。いつでもあるい 00061170M10て/行(ゆく)くせに△Sとふして+、/女郎買(ちようろかい)にゆくに、/歩行(かち)でい 00061180M11つたことなぞハ一/度(と)もねへ△Sハヽヽヽ、それじや/簣(もつこ)にて 00061190M12も、のつて/行(いく)のか△Sナニ、いつでも、おんぶで/行(いき)やす 00061200M13(四オ) 00061210¥P225 00061220¥G(四ウ・五オ) 00061230¥N4¥J 00061240¥X◇京都◇ 00061250M3六月十四日ハ/祇園(きおん)のおまつりで、/四条河原(してうかハら)へかりばしがか 00061260M4ゝりて、/御輿(ミこし)がわたる。かつぐものハ、/先例(せんれい)で、/大坂(おほさか)から 00061270M5/来(き)やすが、そのはしのうへで、/御輿(ミこし)をかつきながら、(四ウ) 00061280M6あし/拍子(ひやうし)をそろひて、/七(なゝ)くさをふミやすが、/見事(ミこと)なことさ。 00061290M7サ、あれハどこにもありやすめへ。Sそのとき、/唐土(とうど)のと 00061300M8りのわたらんさきにトうたふて、/仮(かり)ばしをわたるであらう 00061310M9Sまぜつけへしてハいけねへハナ△Sそれでも、七くさを 00061320M10はやすじやアねへか(五オ) 00061330¥P226 00061340¥G(五ウ・六オ) 00061350¥N5¥J 00061360¥X◇大坂◇ 00061370M3Sナント、/高(かう)らいはしのとら屋のまんぢうハ、日本一の/名= 00061380M4物(めい=ぶつ)さねへ。きめうなことにハ、あつさのじぶんから九月ご 00061390M5ろまでおいても、すこしもわるくなるの、あんがすくなる 00061400M6のといふことがねへハふしぎサ。むかし、とら屋の/亭主(ていしゆ)が、 00061410M7/唐(から)の/千(せん)里の/薮(やぶ)へ/竹(たけ)の(五ウ)/皮(かハ)をひろいに/行(いつ)て、/虎(とら)に/秘法(ひほう)を 00061420M8/伝(でん)じゆしてもらつたのだとよ。それで、とら屋といふさう 00061430M9だ△Sなるほど、それじや/虎(とら)やのまんぢうハ、/御秘蔵(こひさう)の/一(ひと) 00061440M10人リ子へおどかしのお/灸(きう)ときてゐるな△S大そうになかい 00061450M11/前(めへ)おきだ。ナゼ+△Sハテ、すへたことがねへ(六オ) 00061460¥P227 00061470¥G(六ウ・七オ) 00061480¥N6¥J 00061490¥X◇江戸◇ 00061500M3S/田舎(いなか)の三太郎、はじめて/江戸(えど)へ/来(き)て、/湯(ゆ)やへ/行(ゆき)しところ、 00061510M4/風呂(ふろ)のなかにハ、はうた、ドヽ一、とつちりとん、さもお 00061520M5もしろくうたふをきゝて、/田舎(いなか)のすへ/風呂(ふろ)とハことかハり、 00061530M6のつけに/魂消(たまげ)て、コハ、いかゞして入るべきものと、あん 00061540M7じわづらひしか、/他人(たひと)のはいるやうになさバよろしからん 00061550M8と、まづはだかになりて、/跡(あと)よりゆくに、その人、ざくろ 00061560M9/口(ぐち)をはいりながら、Sハイ、ごめんなせへ。/冷物(ひへもん)でござい 00061570M10トいふをきゝて、おなじく、Sハイ、ごめんなさい。三太 00061580M11郎でござい(六ウ)(七オ絵) 00061590¥P228 00061600¥G(七ウ・八オ) 00061610¥N7¥J 00061620¥X◇京都◇ 00061630M3S/花(はな)ハよしのといゝやすが、なんでもミやこのことサ。そ 00061640M4れ、ミやこぞ/春(はる)のにしきなりけりで、/其内(そのうち)にも、/地主(じしゆ)の/桜(さくら) 00061650M5より/右近(うこん)のばゝより、/鞍馬山(くらまやま)ハ/実(じつ)に日本一の/名桜(めいさくら)だぜ 00061660M6Sナニ、そんなに鞍馬山に(七ウ)/桜(さくら)があるものか△Sあり 00061670M7やすとも。/鞍馬(くらま)のうちでも、/僧正(そうじやう)が/谷(たに)なぞハ、ひら一/面(めん)さ 00061680M8くらがありやす△Sばかいゝねへ。あすこハむかし、/牛若= 00061690M9丸(うしわか=まる)が/天狗(てんぐ)さまより、けんじゆつをならふたといふ、ものす 00061700M10ごいところで、いはゆる/深山幽谷(しんさんゆうこく)だもの。今でも/天狗(てんぐ)のす 00061710M11ミかサ△Sそれだから、はながたかいといふことよ(八オ) 00061720¥P229 00061730¥G(八ウ・九オ) 00061740¥N8¥J 00061750¥X◇大坂◇(八ウ絵) 00061760M3Sコウ吉さん。大坂にハ、なにかおもしろいこともなかつ 00061770M4たか△Sそふよ。べつたんかわつたこともなかつたか、/日= 00061780M5本仏法(につ=ほんふつはう)のさいしよ天王寺へまゐつて、御門のうへて、つゝ 00061790M6れのにしきをおるところをミてきやしたか、なんと、やす 00061800M7いもんしやねへか。五文て、にしきをおるとハ△Sナニ、 00061810M8それてハおめへ、また/山伏(やまぶし)のゆふ/立(たち)て、貝かふりたせ 00061820M9Sヘン、/鎌倉(かまくら)じたいのしやれだ。そしてナセ、/貝(かい)かふりた 00061830M10Sそれハ三もんだものを(九オ) 00061840¥P230 00061850¥G(九ウ・十オ) 00061860¥N9¥J 00061870¥X◇江戸◇ 00061880M3Sあるとし、むかふじまの牛のごぜんお/開帳(かいちやう)ありけるが、 00061890M4そのにぎわひ、いわんかたなく、/老若(らうにやく)の/男女(なんによ)あゆミをはこ 00061900M5び、おひたゞしくくんじゆなしけるか、去る/有徳(うとく)のいんき 00061910M6よ、大しんじんにて、につさんをなしけるか、/老眼(ろうがん)ゆゑ、 00061920M7なんぶん、しかと/御本体(ごほんたい)おがまれさるゆゑ、/寺僧(しそう)におほく 00061930M8/布施(ふせ)などしてたのミ、御/正体(しやうたい)をてにとり、おがミけるに、 00061940M9コハいかに、まきゑをなせし三/方(ばう)のうへに(九ウ)とふふの 00061950M10からを三文ばかりのせてあり、ほかにものなけれハ、ふし 00061960M11んにおもひ、Sモシ、これが/御本体(ごほんたい)でこさり升か△Sハイ。 00061970M12これが/牛(うし)のご/ぜん(|膳)でござります(十オ) 00061980¥P231 00061990¥G(十ウ) 00062000¥N10¥J 00062010¥X◇京都◇ 00062020L14Sぼんの十六日に、二/条河原(てうかハら)で/見(ミ)ると、/東山(ひかしやま)の大の字や、 00062030L15/妙法(ミやうはう)といふ/字(じ)や、/帆(ほ)かけふねが、ほう※のやま+へ一 00062040L16ぱいに、火であらわれやす△Sハテ、それじや、いろは四 00062050L17十八もじも、あらわれやしよふ△Sイヤ、そんな/字(じ)ハあり 00062060L18やせん△Sそれでも、/弘法(こうはう)のやまへあらわれるしやねへか 00062070¥Q1 00062080L19△△△△△△△△△△△△◇芳虎画秀賀作◇ 00062090L20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十ウ) 00062100¥Q 00062110M2東都地本問屋馬喰町二丁目菊屋幸二郎蔵板稗史目録 00062120M3/天神七代記(てんじんしちだいき)△/地神五代記(ちじんごだいき)△十返舎△一九作 00062130M4/勧善青砥譚(くわぜんあをとものかたり)△△△△△△@藤本吐文作|歌川豊国画@ 00062140M5/大悲妙智達磨一軸(だいひのめうちだるまのいちぢく)△△△@右△同△作|右△同△画@ 00062150M6/源平和漢染分(げんへいわかんのそめわけ)@初編£|六編迄@△@曲亭馬琴作|歌川国安画@ 00062160M7/大入的正本製(おほあたりしやうほんしたて)@初編£|十二編迄@△@柳亭種彦作|歌川豊国画@ 00062170M8/三国妖婦傅(さんごくえうふでん)△△△△△△@五柳亭徳升作|歌川国安画△@ 00062180M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(上巻奥付) 00062190¥P232 00062200¥G(十一オ) 00062210¥N1¥J 00062220¥X◇大坂◇ 00062230L14S/新町(しんまち)の/太夫天神(たゆうてんじん)ハ見せてへ、うつくしいぜ。そして、さ 00062240L15かつきを/廻(まハ)すところが、どふも/奇(き)さネ。それにちかごろ、 00062250L16/九軒(くけん)の揚やのまへゝ/桜(さくら)をうゑやしたが、/花(はな)のさかりハかく 00062260L17べつの/詠(ながめ)サ△Sモシ、その天神さまハ/矢(や)ツ/張(はり)、/装束(しやうぞく)で、し 00062270L18やくをもつておいでなさるかねへ△Sさようサ。/積(しやく)ハとき 00062280L19+おこしやす(十一オ) 00062290¥Q 00062300M1△△△/清凉香(すゞしかう)@御かほのくすり|あせぼの妙楽△@△@もみの袋入△△△|△△△△七十二銅@ 00062310M2一此/清凉香(すゞしかう)ハ/世(せ)にたぐひなき/奇法(きほう)也第一/寒暑(かんしよ)に/限(かぎ)らず御/湯上(ゆあが)りの/後(のち)御はだへ 00062320M3△につけすり/込(こめ)バはだへ/凉(すゞ)しく/汗(あせ)をとめまた日にやける事なく/股(もゝ)のすれたゞれる事 00062330M4△なしあせぼにハ/別(べつ)して/妙(めう)なり 00062340M5一御女中様方/毎(まい)日御/手水(てうづ)つかひの/後(のち)に御用ひ被成候へバ御肌 00062350M6△こまやかに御/顔(かほ)の/艶(つや)うるハしく/色白(いろしろ)くなる事/妙(めう)也御/子供(ことも) 00062360M7△がたハさかやきの/後(のち)御つけ被成候へバのぼせを/引(ひき)さげ/風(かせ)ひかず 00062370M8一/高貴(こうき)の御/前(ぜん)へ/出(で)るときか又はれなる/座(さ)しきを/勤(つと)むる御/方(かた) 00062380M9△あるひハ/乱舞琴三絃(らんぶことさミせん)その/外(ほか)諸藝御たしミの御方御たくハへおかれ事に 00062390M10△/望(のぞ)ミて/大(おほ)に/益(えき)あり第一/汗(あせ)をとめ/躰(たい)をすゞしくし/腋(わき)より/出(いづ)る/汗(あせ)の/悪臭(あしきか)をさり 00062400M11△/惣身(そうミ)/汗(あせ)くさきをとゞむ/常(つね)に用ひて/匂(にほ)ひ/袋(ふくろ)の/替(かハ)りとなる/重宝(ちやうはう)の/要薬(えうやく) 00062410M12△/尤(もつとも)前にもいふ/如(ごと)く/暑(あつ)さ/寒(さむ)さに/限(かぎ)らず用ひて/種&(さま※)の/能(のう)/右(ミぎ)にいふ如し 00062420M13△△△△△△△△△△△△△△馬喰町二丁目 00062430M14△江戸賣弘所△△△△△菊屋幸三郎 00062440¥Q 00062450M15△△△/清温香(せいうんかう)△△@きめのよくなる薬△△△△△|△△△黄きぬ袋入△七十二銅@ 00062460M16/此薬(このくすり)ハ/世(よ)にたぐひなき/奇法(きはう)にして/御顔(おんかを)のあれ/手足(てあし)のきめあしき御/方(かた)ハ 00062470M17この/薬(くすり)をよき/酒(さけ)にひたし/置(おき)御/顔(かを)にても/手足(てあし)にても/其(その)さか/水(ミづ)を/顔(かを)に 00062480M18ほた+と御つけなされしバらく 00062490M19ありてあつき/湯(ゆ)にてそろ+御あらひ 00062500M20なされ候/得(え)ばたちまちすへ+となりて 00062510M21きめのよくなる事/妙(ミやう)也 00062520M22また/手足(てあし)ならばこの/酒水(さかミつ)をよく+ぬり/付(つけ)/火(ひ)にてあたゝめ二三 00062530M23/度(と)もぬりつけまた+/火(ひ)にてあたゝめあつき/湯(ゆ)にてよく+あらひ候 00062540M24得ばきめこまやかになり/手足(てあし)ほた+とうるほひある事/妙(ミやう)なり 00062550M25△△△△△△△△△△△△△△馬喰町二丁目 00062560M26△江戸元祖調合所△△△菊屋幸三郎 00062570M27△△△△△△△△△△△△△△△△△△(上下巻見返扉) 00062580¥P233 00062590¥G(十一ウ・十二オ) 00062600¥N2¥J 00062610¥X◇江戸◇ 00062620M3S/湯(ゆ)やの三介、ひさしく/辛抱(しんぼう)なして、/小金(こかね)ものこりけれバ、 00062630M4/暇(いとま)をとり、/国(くに)もとへのはなしのミやけにせんと、/仮宅(かりたく)へゆ 00062640M5きけるに、つれの/男(おとこ)、口くせに、/番頭(ばんとう)+といふゆゑ、三 00062650M6介のあらハれんと、/手水場(てうづば)へゆき、よく+口どめなして、 00062660M7又もとの(十一ウ)ざしきへ/来(き)て、/酒(さけ)をのミいたりしに、ま 00062670M8たうか+、/番頭(ばんとう)といふゆゑ、/目(め)でしらせけれバ、こゝろ 00062680M9つき、ぬからぬ/顔(かを)にて、Sコウ、/坂東銭(ばんどうぜに)ハないかといふこ 00062690M10とヨ△Sハヽヽ、八/文(もん)ばかり/何(なに)にするのだ△Sナニ、/湯(ゆ)に 00062700M11行のサ△Sウン、なるほど。モウひまをとつたから、湯に 00062710M12/銭(せに)を/出(だ)さゞアなるめへ(十二オ) 00062720¥P234 00062730¥G(十二ウ・十三オ) 00062740¥N3¥J 00062750¥X◇京都◇ 00062760M3S/四条河原(してうかハら)ハ/江戸(えと)の/両(りやう)ごくのとほりで、/夏(なつ)むきハ/夕(ゆふ)すゝミ 00062770M4で/大(たい)さうにぎはひやす。/川(かハ)の/中(なか)へハかけ/茶(ちや)やがあり、また 00062780M5ハ/楊弓(やうきう)/見(ミ)せにうちわ見せ、そのほか/諸国(しよこく)の/諸(しよ)あきうど、まる 00062790M6で/大津絵(おほつゑ)の/文句(もんく)サ。そこであちこちと、ぞめき(十二ウ)あ 00062800M7るいたところが、のどかかハいたから、/西瓜(すいくわ)のたちうりを 00062810M8くふとて、一ツ/酒落(しやれ)やした。Sコウ、/西瓜(すいくわ)やさん。おめへ 00062820M9のうちハ/五条(ごでう)の/橋(はし)のうへかトいへば、Sイヱ+、どふい 00062830M10たして、わたくしハそんな/橋(はし)ばんでハございませんトいふ 00062840M11から、Sナニ、その/西瓜(すいくわ)を/見(ミ)なせへ。/薄赤丸(うすあかまる)だツサ(十三オ) 00062850¥P235 00062860¥G(十三ウ・十四オ) 00062870¥N4¥J 00062880¥X◇大坂◇ 00062890M3S/大坂(おほさか)ハごうぎな/町人(ちやうにん)が、/大(たい)そうあるところヨ。まづ、/鴻= 00062900M4池(こうの=いけ)だの/天王寺(てんのうじ)やだのハ、まい日/金(かね)を、一/斗(と)ますではかるそ 00062910M5うだ。ソレ、そふいふところだから、/夜番(よばん)ハきびしいぜ。 00062920M6ときまわりが/太皷(たいこ)をうつてあるくと、(十三ウ)/半廻(はんまハ)り、/小= 00062930M7半廻(こ=はんまわ)りが/鉦(かね)とさゝらとばん/木(き)ヨ。三四人でひやうしをとつ 00062940M8て、/町中(まちぢう)をあるくが、これハ/余国(よこく)にハねへことサ△Sハテ 00062950M9ネ。それじや、その/夜(よ)はんをする人ハ、/豆(まめ)がすきであろふ 00062960M10Sナゼ+△S/町中(まちぢう)/太皷(たいこ)うつてまわるじやねへか(十四オ) 00062970¥P236 00062980¥G(十四ウ・十五オ) 00062990¥N5¥J 00063000¥X◇江戸◇ 00063010M3/田舎(いなか)のあねさん、/江戸(えと)にて/奉公(はうこう)なさんと出きり、/口入所(くちいれところ)へ 00063020M4ゆき、/口(くち)をたづぬるに、/口入(けいあん)もこのせつハひまなれハ、な 00063030M5ぐさミ/半(はん)ぶんにて、Sあねさん、お/国(くに)ハどこだネ△S/私(わしら)ハ 00063040M6/川越在(かハこえざい)の/鳩豆村(はとまめむら)でござりやす△S/両親(りやうしん)ハあるかネ△Sハア、 00063050M7ありますつけイ△S/幾年(いくつ)だネ△Sとつさんハ六十八、(十四 00063060M8ウ)/嚊(かゝ)さんハ七十六でござりやす△Sハヽヽヽ、それじや、 00063070M9/兄妹(きやうだい)もあるかネ△Sハア、ありやすとも△Sいくつだネ 00063080M10S/兄(あに)が三十一、/舎弟(しやてい)が十八、/姉(あね)サアハ廿一でありましツけ 00063090M11イ△S/姉(あね)が廿一でハ、/妹(いもと)ハ△Sハア、わしでござりやす(十 00063100M12五オ) 00063110¥P237 00063120¥G(十五ウ・十六オ) 00063130¥N6¥J 00063140¥X◇京都◇ 00063150M3Sさすが/都(ミやこ)の/生(うま)れとて、ある/人(ひと)、やさしくも/歌(うた)よまんと、 00063160M4/井出(いで)の/里(さと)へゆき、/蛙(かハず)の/鳴(なく)こゑをきゝて、しきりにかんがへ、 00063170M5よふやく一/首(しゆ)うかミしかバ、いくたびもぎんずるに、/蛙(かハず)の 00063180M6クツ+ト/鳴(なく)を、/我(わが)うたのあしきゆゑ/笑(わら)ふなるべしと、/大(おほい) 00063190M7にはらをたち、すぐにかへり/来(き)て、/以来(いらい)ハ/歌(うた)よむまじとお 00063200M8もひきりしが、(十五ウ)またほとゝぎすの/鳴(なく)ころになりし 00063210M9かバ、さすがすきの道とて、すてもやられず。またあると 00063220M10き、/音羽山(おとハやま)へわけのぼり、ほとゝぎすのこゑをきゝて、し 00063230M11きりにかんがゆれど、なんぶんよき/趣向(しゆかう)もうかまず、いた 00063240M12づらにたんざくと/筆(ふで)をもちて、そらをながめいたりしかバ、 00063250M13ほとゝぎすSかけたか+++(十六オ) 00063260¥P238 00063270¥G(十六ウ・十七オ) 00063280¥N7¥J 00063290¥X◇大坂◇ 00063300M3Sとかく/何(なに)ことにても、しつた/顔(かを)をなすくせのおとこあり 00063310M4けるが、あるとき、/大坂(おほさか)のはなしいづれバ、Sさうよ。大 00063320M5坂ハいゝ所サ△Sおめへ、大坂をしつてゐるか△Sなさけ 00063330M6ねへ。大坂をしらねへやつがあるものか△Sそれじや、/道= 00063340M7頓堀(だう=とんほり)へいつたことがあるか△S道頓堀ハ、ちやうど(十六ウ) 00063350M8/自己(おいら)のいつたときにや、/堀(ほり)さらひであつたつけ△S/江戸(えど)よ 00063360M9り/大坂(おほさか)のやぐらハたいそうなものさネヱ△Sさうよ。さす 00063370M10が/太閤(たいかう)の/城(しろ)だけあつて、いゝ/要害(やうがい)のかまへさノウ△S/馬鹿(ばか) 00063380M11いゝねへ。お/城(しろ)のことじやねへ。/道頓(だうとん)ほりの/芝居(しバゐ)のやぐら 00063390M12のことだぜ△Sさうよ。/芝居(しバゐ)で/大閤堀(たいかうほり)ざらいのところを/見(ミ) 00063400M13たのよ(十七オ) 00063410¥P239 00063420¥G(十七ウ・十八オ) 00063430¥N8¥J 00063440¥X◇江戸◇(十七ウ絵) 00063450M3Sコウ、しんに/聞(きゝ)ねへ。/色男(いろおとこ)にハうまれるものじやねへ。 00063460M4どこへいつても、/袖(そで)つまをひかれるにハこまるぜ。そのか 00063470M5ハり、おもひつめて死ふといふのなぞハ、いくらもたすけ 00063480M6てやるから、/後生(ごしやう)にハなるのサ。それに/浅草(あさくさ)なぞへ/行(いく)と、 00063490M7三/社(じや)の/権現(ごんげん)さまが、/大(たい)そううれしがりなさるといふことだ 00063500M8Sナセ+△Sそれ、おれがゆくと、/水茶(ミつちや)やのお/多福(たふく)ども 00063510M9が/出(て)て、テンテコ/舞(まひ)をしやす(十八オ) 00063520¥P240 00063530¥G(十八ウ・十九オ) 00063540¥N9¥J 00063550¥X◇京都◇ 00063560M3Sコウ、/聞(きゝ)ねへ。おかしい/咄(はなし)かあるぜ。/自己(おいら)が三/条(てう)に/宿(やと)を 00063570M4とつていると、/近所(きんしよ)の/小供(こども)が五六人よりあひて、なにかは 00063580M5なしをしてゐるから、/耳(ミヽ)をすまして聞てゐると、/何所(いづく)もお 00063590M6なじ、/噺(はなし)の/元祖(くわんそ)、むかし+あつたとさ、(十八ウ)/祖父(ぢゝ)ハ 00063600M7/山(やま)へ/柴(しハ)かりに、/祖母(ばゝ)ハ/川(かハ)へせんたくにと、はなしてゐると、 00063610M8だれだか/門口(かどくち)から、Sそれでハちがふ。ちゝハ川へせんた 00063620M9くに/行(いつ)たのじやといふから、Sたれしやと、戸をあけて見 00063630M10たら、/八瀬小原(やせおはら)のくろ/木(き)うりてあつた(十九オ) 00063640¥P241 00063650¥G(十九ウ・廿オ) 00063660¥N10¥J 00063670¥X◇大坂◇ 00063680M3S/芸子(げいこ)ハ/北(きた)のしん/地(ち)のことサ。/女(おんな)がきれいで、/第一(たいゝち)、こと 00063690M4バやさしくつて、/衣装(いしやう)がよくつて、きやくを/大切(たいせつ)にするか 00063700M5ら、ソレ、はやるの/流行(はやる)ないのじやねへ。/名(な)ある/女衆(おやま)でも、 00063710M6/芸子(けいこ)にハかなハねへハサ△Sモシ、げいしやのことをナセ、 00063720M7/京坂(あちら)でハ(十九ウ)/芸子(けいこ)といゝやす△S/左(さ)やうサ。あちらの 00063730M8/芸子(げいこ)ハ、づぶ/子供(ことも)見たやうだからサ△Sナゼね△Sまだあ 00063740M9るきならいの/幼子(ねんねへ)見たよふに、じきころびやす(廿オ) 00063750¥P242 00063760¥G(廿ウ) 00063770¥N11¥J 00063780¥X◇江戸◇ 00063790L14S/自己(おいら)ハふねがきらいなせへか、ぐら+していけねへ。 00063800L15ヲヤ+、/三(ミ)めぐりの土手がうごきだしたぜ△S/馬鹿(ばか)いゝ 00063810L16ねへ。これハふねがうごきだしたのサ。三めぐりの/土手(どて)ハ、 00063820L17やつぱりあすこに、いなりだわな 00063830¥Q 00063840L19△△△△△△△◇鶴亭秀賀作G◇◇歌川芳虎画◇ 00063850L20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(廿ウ) 00063860¥Q 00063870M1@絵|本@江戸みやげ二編△△一立斉広重真写 00063880M2これハ/初編(しよへん)の/続(つゞき)にして。/豊(ゆたか)なりける/富(とミ)が/岡八満宮(をかつはちまんぐう)の/宮居(ミやる)に/始(はじま)り。/同所(とうしよ) 00063890M3三十三/間堂(げんどう)。/洲崎(すさき)の/社(やしろ)/新大橋(しんおほはし)。/三俣佃(ミつまたつくだ)の/白魚舟(しらをふね)に。/焼(たく)や/篝(かゞり)の/浪( 00063900なミ)をやく。 00063910M4/清見(きよミ)が/関(せき)の/故事(こじ)にも/似(に)たる。/風景(ふうけい)さながら。/他(た)に/類(るい)なし。夫より/高輪(たかなわ)/品川(しなかハ)/最= 00063920M5寄(も=より)。/賑(にぎ)ハふ/花(はな)の/御殿山(ごけんやま)。/鮫頭(さめづ)/大森(おほもり)/蒲田(かまだ)の/梅(うめ)/匂(にほ)ひも/四方(よも)にかくハしき。/ 00063930M5名= 00063940M6勝(めい=しやう)の/地(ち)を/擇(えり)ぬきたれバ。/実(じつ)に/江戸土産(えどミやげ)の/冠(くわん)たるものなり 00063950M7@絵|本@江戸みやげ三編△△全 00063960M8これまた/二編(にへん)の/地続(ちつゞき)にて。/調布(たつくり)さらす/多摩川(たまガハ)の/流(なが)れの/末(すゑ)の/六郷川(ろくごうかハ)/厄= 00063970M9除大師(やく=よけだいし)/羽田(はねだ)の/濱(はま)/或(ある)ひハ/池上新田(いけガミにつた)の/社(やしろ)/目黒(めぐろ)の/餅(もち)に/花(はな)がさく。/色(いろ) 00063980M9も/赤坂(あかさか)/煎(せん)じ 00063990M10/茶(ちや)の。/渋谷(しぶや)の/里(さと)の/富士見茶(ふじみちや)や。/三保(ミほ)にハあらぬ/一本松(いつほんまつ)/常(つね)にみどりの/青山(あをやま)に。/新日暮(し 00064000M10ひぐらし) 00064010M11の/風景(ふうけい)あり/霞(かすミ)が/関(せき)をかへる/雁(かり)。/日吉山王溜池(ひよしさんわうためいけ)の。/蓮(はす)ハ/則(すなハち)/妙法蓮華(めうほふれんけ)/名 00064020M11高(たか)き/祖= 00064030M12師(そ=し)ハ/堀(ほり)の/内(つち)十二/所(しよ)/権現(ごんげん)/井(ゐ)の/頭(かしら)。すべて/漏(もら)さず/巨細(こさい)に/図(づ)したり 00064040M13△△△△△△△△△△△△△△△馬喰町二丁目 00064050M14△△△△東都△△金幸堂△△菊屋幸三郎板 00064060M15△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(下巻奥付) 00064070¥P243 00064080¥U噺本大系△第十六巻 00064090¥T/春色三題噺(しゆんしよくさんだいばなし)/初編(しよへん)〔内題〕 00064100¥G 00064110¥Y 00064120L16元治元年刊 00064130L17春迺家幾久輯 00064140L18山々亭有人校合 00064150L19一恵斎芳幾画 00064160L20中本三巻合一冊 00064170¥Y春色三題噺序 00064180M3/昔(むかし)+のある/爺(ぢい)が/枯木(かれき)に/花(はな)を/咲(さか)せしより、/噺(はなし)の/種(たね)といふも 00064190M4の/残(のこ)りて、/耳(みゝ)の/底(そこ)にひたしありしを、/舌(した)の/鋤鍬(すきくわ)すきかへし、 00064200M5/其一粒(そのひとつぶ)を/松本(まつもと)に/蒔(まき)そめしより、/柏木(かしハぎ)や/柳(やなき)のもとに/花(はな)を/開(ひらき)て、 00064210M6/今(いま)/又(ゝた)/興笑(きやうしやう)の/園(その)に/繁茂(はんも)せり。/其種(そのたね)/三粒(ミつぶ)を/植(うゑ)て(1オ)/花(はな)ひと 00064220M7つにひらき、しかもその/色(いろ)しな、さま※にして、/長(なが)きあ 00064230M8り/短(みじか)きあり。/題(だい)に/恋(こひ)あり、/神祇(じんぎ)/有(あり)。/神祇(じんぎ)あれば/仏(ほとけ)もあり。 00064240M9/仏(ほとけ)あれば/衆生(しゆじやう)あり。衆生あれバ/聴衆(きゝて)もありて、柳の/楼(にかい)の/天= 00064250M10幕(てん=まく)ハ、みどりにしの/字(じ)の/丸(まる)の/花(はな)ハくれなゐのいろ+。さ 00064260M11れど/流行(りうかう)ハ/鳥影(とりかげ)にひとしく、/飛(と)んだ(1ウ)うがちと思ひし 00064270M12も、きのふの/晒落(しやれ)ハけふに/古(ふる)しと、いつもあら玉の/春(はる)のや 00064280M13/大人(うし)、此ごろの/新作(しんさく)に/実(ミ)のある/物(もの)を/撰集(ゑりあつ)めて、ひとつの/袋= 00064290M14入(ふくろ=いり)となして、/又(また)/後(のち)の噺の/種(たね)にせむとになん 00064300M16△△△△△△△△△おなし畠の作男 00064310M17△△△△△△△△△△△△△△△綾岡の岸雄述G 00064320M18△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(2オ) 00064330¥P244 00064340¥G(2ウ・3オ) 00064350¥T1/春色三題噺(しゆんしよくさんだいばなし)初編上巻 00064360¥A東△都△△△△△△@春迺家幾久輯|山々亭有人校合@ 00064370¥N1¥J 00064380¥X/辻占(つぢうら)△/初雁(はつかり)△/菱垣船(ひがきふね)△△△△△¥A菊の屋柳美作 00064390M7/菱垣(ひがき)の/大津屋(おほつや)/鉄(てつ)の/助(すけ)といへる/船頭(せんどう)。いづれも/新造(しんぞう)にて/急(いそ)ぎ 00064400M8の/荷積(につミ)をなして、/出船(しゆつせん)いたさんとせし/時(とき)、/傍(かたハら)に/何(なに)やらちら 00064410M9かりてある/故(ゆへ)、/手(て)にとりて見たるに、/辻(つぢ)うらせんべいのか 00064420M10けて/有(ある)のなれバ、/水主(かこ)の/者(もの)を/呼(よび)て、Sコウ、こんなものが 00064430M11/有(ある)が、どうしたのだ(一オ)△水主Sさやうサ。/覚(おぼへ)ハござりま 00064440M12せんが、/今朝(けさ)がた/初雁(はつかり)を/聞(きゝ)ましたが、/空(そら)を見あげる/時(とき)、/顔(かほ) 00064450M13へ/何(なに)かちら+あたるやうに/思(おも)ひましたが、そのとき/雁(かり)で 00064460M14もおとしたのでござりませう△おや方S/何(なん)にしても/不思議(ふしぎ) 00064470M15だ。/爰(こゝ)に/有(あら)うはづがない。/披(ひらい)て見るがよいと、/件(くだん)の/辻(つぢ)うら 00064480M16を披見れバ、辻うらSおまへが/一番(いちばん)だよト見るに、いづれ 00064490M17も/悦喜(えつき)して、/又(また)も/一(ひと)つを/披見(ひらきミ)れバ、辻うらSはやくおいで 00064500M18なねへ△おや方Sコイツハ/宜(いゝ)/辻占(つぢうら)だ。/今年(ことし)も/綿番(わたばん)ハ/能(いゝ)ハへ。 00064510M19コウ、ひとつしめてくれト、シヤン++。おや方S/物(もの) 00064520M20ハ/祝(いハ)ひがらだ。/是(これ)を/皆(ミん)ナ/集(あつめ)て/三宝(さんぽう)へのせ、/船玉様(ふなだまさま)へ/備(そな)へて、 00064530¥P245 00064540¥G(3ウ・4オ) 00064550M1/神酒(ミき)を(一ウ)あげて/呉(くれ)といふと、/若(わか)い/者(もの)が、S/雁(かり)の/玉章(たまづさ)と 00064560M2いふことハ/有(ある)が、雁の/辻(つぢ)うらとハめづらしい。/誠(まこと)に/天(てん)から 00064570M3の/御告(おつげ)で、コンな/目出度(めでたい)ことハござりません。/御守(おまもり)にいた 00064580M4しますから、一ツ二ツ/下(くだ)さいと/言(いひ)さま、/一人(ひとり)が/手(て)を/出(だ)せバ、 00064590M5われも+と/手(て)を/出(だ)すにぞ、おや方Sコウ+、まだ/入船(にふせん) 00064600M6もしねへうちに、そうはしけちやアいけめへぢやアねへか 00064610¥N2¥J 00064620¥X@/芋(いも)の/露(つゆ)△/恋(こひ)の/歌(うた)△u廻(まハ)し/屏風(びやうぶ)|/碁(ご)がたき△/口(くち)よせ△/早稲苅(わせかり)@△△△¥A雪松園ミさほ作 00064630M9さる/田舎(ゐなか)に/一人(ひとり)の/僧(そう)ありけり。/至極(しごく)の/碁好(ごこのミ)なるが、をりふ 00064640M10し(二オ)/早稲苅(わせかり)どきにて、/草庵(さうあん)を/訪(と)ふ/人(ひと)もなく、/夫(それ)さへ/有(ある) 00064650M11に/秋雨(あきさめ)/降(ふり)つゞき、/徒然(つれ※)なるまゝ、 00064660M12△△△/隠(かく)れ/家(が)によしなき/罪(つミ)ハつくらねど 00064670M13△△△△/四(よ)ツ/目殺(めごろ)しの/囲碁(ゐご)の/楽(たのし)ミ 00064680M14△△△/囲(かこ)む/碁(ご)に/深(ふか)く/心(こゝろ)を/杣人(そまびと)の 00064690M15△△△△/気(き)をとりて/唯(たゞ)/打(うち)くだくなり 00064700M16など/吟(ぎん)じて、碁がたきもがなとおもふ/折(をり)、この/辺(ほとり)に/住(す)む/巫= 00064710M17女(ミ=こ)にて、/此僧(このそう)の碁かたきありて、/雨(あめ)のつれ※をとひ/来(きた)れ 00064720M18り。/僧(そう)大きによろこび、 00064730M19△△△いき/死(じに)を/相碁(あいご)と/契(ちぎ)る/中手(なかて)さへ 00064740M20△△△△/人目(ひとめ)の/関(せき)にたちきられつゝ(二ウ) 00064750¥P246 00064760¥G(4ウ) 00064770M1トいたしけれバ、/女(をんな)、 00064780M2△△△/小首(こくび)をバかたぶけながら/夫(それ)ぞとも 00064790M3△△△△しらぬ/木陰(こかげ)の/芋(いも)の/葉(は)の/露(つゆ) 00064800M4/又(また)/僧(そう)のよみける。 00064810M5△△△よそへ/吹(ふく)/風(かぜ)にかぶりをふる/畑(はた)の 00064820M6△△△△いもが/心(こゝろ)の/露(つゆ)もなびかぬ 00064830M7ト/言(いひ)ながら、/女(をんな)にしなだれかゝれバ、 00064840M8△△△/折(をり)あしく/月(つき)のさわりにさすのミニ 00064850M9△△△△せめてハ口を/寄(よす)るばかりぞ 00064860M10ト女申けれバ、/僧(そう)、/絶(たへ)かねてやありけん、あやしき/屏風(びやうぶ)た 00064870M11て/廻(まハ)し、すでにこふよと見へし/処(ところ)に、いかゞしたりけん、 00064880M12/彼巫女(かのミこ)(三オ)(三ウ・四オ挿絵)/大(おほ)きに/怒(いか)り、/清僧(せいそう)とハ/仮(かり)のこ 00064890M13と。かく/有(あら)んと/思(おも)ひしゆへ、/恋哥(こひか)に/調子(てうし)をあハせしなり。 00064900M14/本名(ほんめう)なのれ。/何所(どこ)の/坊主(ばうず)だ。僧S/我(われ)をしらぬか。/本淫坊(ほんいんばう)だ 00064910¥N3¥J 00064920¥X/七色唐(なゝいろたう)がらし△/楠正行(くすのきまさつら)△/捨扇(すてあふぎ)△¥A柳ばし小春作 00064930M18/御蔵前(おくらまへ)にて、/七色唐(なゝいろたう)がらしの/見世(ミせ)へ、いさミな/男(をとこ)まいり、 00064940M19七色唐がらしの/小袋(こぶくろ)を、/沢山(たくさん)/求(もと)め/帰(かへ)り行あとへ、/扇子(あふぎ)が/一= 00064950M20本(いつ=ほん)/捨(すて)てありしを、/集(あつま)り/居(をり)し二三人、是を/見付(ミつけ)、/今(いま)の/客人(きやくじん)が 00064960¥P247 00064970¥G(三ウ・四オ) 00064980M1扇を捨て/往(い)つたと/言(いひ)ながら、/件(くだん)の扇を/披(ひら)き見れバ、(四ウ) 00064990M2△△△S/見(ミ)て/笑(わら)へ/赤穂(あかほ)かろうの/唐(たう)がらし△△正行 00065000M3ト/書(かき)しるしあるゆへ、/人&(ひと※)/此扇(このあふぎ)を見て、今の人ハ/黒舟丁(くろふねてう)の 00065010M4/男達(をとこだて)にて、/今(いま)/正行(まさつら)といふ/智者(ちしや)だ。アノ唐がらしハ、大かた 00065020M5目つぶしにでも/遣(つか)ふのだらうヨ。Sイヽヤ、/夫(それ)ほどでもあ 00065030M6るめへ。扇の/句(く)ハ七代目/白猿(はくゑん)のよんだ/句(く)だ。夫へ/正行(まさつら)と/書(かく) 00065040M7くらゐの/仁(ひと)だから、大かた/猿(さる)の/入智恵(いれぢゑ)だらう 00065050¥N4¥J 00065060¥X/稲荷社(いなりやしろ)△/水茶屋(ミづちやや)△/摺鉢(すりばち)△△△△¥A冬の屋嘉遊作 00065070M10永代橋へ通りかゝりし/二人連(ふたりづれ)の男。S/今日(けふ)ハ/午(むま)の/日(ひ)だから 00065080M11(五オ)/高尾稲荷(たかをいなり)へ/参詣(さんけい)して/往(いか)うといへバ、/一人(ひとり)の/男(をとこ)Sそんな 00065090M12ら/自己(おいら)も参詣/仕(し)やうと、/二人連(ふたりつれ)だち/件(くだん)の稲荷へ/参(まい)りしが、 00065100M13ひとりの男、かたわらの/手水鉢(てうづばち)を/見(ミ)て、Sヤア、/爰(こゝ)の手水 00065110M14洗鉢ハ/摺(すり)鉢だなア△S/左様(さう)ヨ。/疾(とう)に/奉納(あがつた)のだが、大きなも 00065120M15のだナアトつぶやきながら参詣なし、/拝(をがま)んとなす/時(とき)、くだ 00065130M16んの男、手が/開(ひら)かざるゆへ、/連(つれ)の男大きにおどろき、Sど 00065140M17うしたのだ+△S/今(いま)/財布(さいふ)へ手を/入(い)れて、さいせんをあげ 00065150M18やうと/思(おも)つたら、/急(きう)に手がひらかなくなつたのだ△S/夫(それ)ハ 00065160M19/何(なん)にしても/困(こま)つたものだト、夫(五ウ)より/表(おもて)の水茶屋へい 00065170M20たり、在し/次第(しだい)を/物(もの)がたりて、近所の人&を呼よせ、/無体(むたい) 00065180¥P248 00065190L1に手をひらかせて見たるに、/彼(かの)さい/銭(せん)のうちに、/仙台通宝(せんたいつうほう) 00065200L2がござりました 00065210¥N5¥J 00065220¥X/大江(おほえ)の/広元(ひろもと)△/献上博多(けんじやうはかた)△/雨夜(あまよ)の/鐘(かね)△¥A藤本楼内△小松作 00065230L6むかし+大江の広元/公(こう)の/御領(これう)分にて、雨ふりの夜、鐘の 00065240L7/音(ね)/聞(きこ)ゆるを、人&雨夜のかねと/号(なつけ)たり。いつしか広元公の 00065250L8御聞に入り、御近侍へ、見/届(とゞ)け/参(まい)るやうに御/沙汰(さた)ゆへ、/早= 00065260L9速(さつ=そく)村役人へ申/付(づけ)、/件(くたん)の/場所(ばしよ)を人/足(そく)にほらせ候ところ、石の 00065270L10(六オ)かろうと出たり。やがて/蓋(ふた)を/取退(とりのく)れバ、/老人(らうじん)の/僧(そう)、 00065280L11/鐘(かね)を/叩居(たゝきをり)候ゆへ、人&、/何者(なにもの)なると/尋(たづ)ぬれバ、Sやつがれ 00065290L12ハ/清僧(せいそう)にて、/入定(にふぢやう)いたし候者に候へ共、入定の/節(せつ)、/年(とし)の/頃(ころ) 00065300L13十八九才の/美女(びぢよ)、しめてをりました/博多(はかた)の/腰帯(こしおび)を、此中へ 00065310L14/投入(なけい)れしか、/其姿(そのすがた)/眼前(めのまへ)にのこり、此こし帯こそ煩/悩(のう)の/種(たね)に 00065320L15て、いかにとも/往生(わうしやう)いたしかね、今に/鉦(かね)を/叩(たゝい)て居まする。 00065330L16此/度(ど)大守の御/情(なさけ)にて、/再度(ふたゝび)世に出まするハ、有がたき仕合 00065340L17に/存(そん)じたてまつります。/恐(おそ)れながら、此博多のこし帯、/大(たい) 00065350L18守へ献上たてまつ(六ウ)れバ、もはや/此世(このよ)に/用(よう)なき/愚僧(ぐそう)。 00065360L19/御前(ごぜん)よろしく/御執成(おんとりなし)と、/泪(なミだ)とともに/物(もの)がたれバ、役人Sそ 00065370L20れハあハれなものがたり。/併(しかし)、/何(なに)ゆへ/雨夜(あまよ)ばかり/鉦(かね)をたゝ 00065380M1くぞ△僧Sハイ。ぬれて/見(ミ)たさの/一心(いつしん)でござりました 00065390¥N6¥J 00065400¥X/高利貸(かうりかし)△/東雲(しのゝめ)△/昼寐(ひるね)△△△△△¥A梅の屋鶴寿作 00065410M4/浅草(あさくさ)の/薮(やぶ)から/奥山(おくやま)へ、/東雲(しのゝめ)と申/水茶(ミづちや)屋を/出(いだ)してをる/娘(むすめ)がご 00065420M5ざりますが、/此(この)おふくろがわるい/奴(やつ)でござりまして、しの 00065430M6ゝめと申名から/思(おも)ひついたでもござりませんが、/猿若(さるわか)(七 00065440M7オ)(七ウ・八オ挿絵)/町(てう)の/茶屋(ちやや)へ/烏(からす)をかしてをります。/是(これ)ハ/朝(あさ)、 00065450M8/客(きやく)の/皃(かほ)を見て/貸(かし)つけ、/刎(はね)まへに/帳場(ちやうば)の/前(まへ)へすハり/込(こん)で/取(と)つ 00065460M9てまいるのが、なへての/習俗(ならハし)にて、/夫(それ)を/面倒(めんどう)だとぞんじて、 00065470M10/翌日(あした)へのこして/帰(かへ)りますと、/利(り)ハあがりましても/元(もと)が帰り 00065480M11ませんから、/夜(よ)が/更(ふけ)ましても/取(とり)たてますので、夫ゆへ/此(この)お 00065490M12ふくろが/昼寐好(ひるねずき)で、/毎日(まいにち)/昼飯(ひるはん)を/喰(たべ)ますと、昼寐をしてをり 00065500M13ます。/今日(けふ)もその/隣(となり)の/女房(にようぼう)が/表(おもて)の/障子(しやうじ)を/明(あけ)ながら、Sおツ 00065510M14かア。まだおよつてかへ。きまりだね△Sヲヤ、お/長(ちやう)(八ウ) 00065520M15さん、お/出(いで)か。けふハ/些(ちつ)と/寐(ね)すごしたがね。/夕部(ゆふべ)/夜(よ)が/更(ふけ)た 00065530M16のでぐツつり/寐(ね)だヨ。/疾晩(はやいばん)もあるが、/座敷(ざしき)が/長(なが)いと/勘定(かんぢやう)の 00065540M17/下(さが)るまで/待(まつ)て/寐(ゐ(ママ))なけれバならないから、よわるハネ。つい 00065550M18て/居(ゐ)ると、/茶(ちや)屋じやア/小蝿(うるさ)がるし、/左様(さう)いつて/帰(かへ)れハせず。 00065560M19/夕部(ゆふべ)も/茶屋(ちやや)のかゝアが、/此節(このせつ)ハ/何(なに)から何までたかくなつて、 00065570M20/誠(まこと)に/難渋(なんじう)だと/言(い)つてこぼすから、/吾儕(わたし)が言ふにやア、/他(ほか)の 00065580¥P249 00065590¥G(七ウ・八オ) 00065600M1/物(もの)ハ/高(たか)くなつても、/吾儕(わたし)の/利(り)ハ高くハしねへ。/此間(このあいだ)も/中見(なかミ) 00065610M2せで、/烏万度(からすまんど)を見りやア、烏の/足(あし)が三/本(ぼん)(九オ)あらア。ア 00065620M3ヽして見ると、/一貫(いつくわん)二百ハ/取(と)つても/能(いゝ)のだ。/今夜(こんや)のやうに 00065630M4/所作(しよさ)が/出(で)るので、おそくなつても/利(り)ハ/踊(おど)りやアしねへト/言(い) 00065640M5つたら、/欲張(よくばり)きつてる。おめへの/口(くち)にやア/叶(かな)ハねへと/言(いふ)か 00065650M6ら、どうで/烏(からす)ハ/口(くち)ゆへ/憎(にく)まれるのサト/言(い)つてやつた△隣の 00065660M7女房Sちげへねへ。しかしおつかアなんざア、/其様(そんな)につい 00065670M8て/居(ゐ)なくつても、/芝居町(しばゐまち)でハ/通(とほ)つて居る/顔(かほ)だから、/翌日(あした)/往(い) 00065680M9つてもよこそうぢやアねへか。/早(はや)く/帰(かへ)つてお/休(やす)ミならいゝ 00065690M10に△おふくろSわたしの/寐(ね)るのハ/勝手次第(かつてしだい)だが、/茶(ちや)やでね 00065700M11られてたまるものか(九ウ) 00065710¥N7¥J 00065720¥X/野山(のやま)の/色(いろ)△/穴蔵(あなぐら)△/三浦(ミうらの)/大助(おほすけ)△¥Aよし町布袋やお粂作 00065730M15/三浦(ミうら)の/大助(たいすけ)百八/才(さい)になりしが、百八/煩悩(ぼんのう)の/心(こゝろ)おこり、/頭(かしら)に 00065740M16/霜(しも)を/置(おく)とも、/野山(のやま)の/色(いろ)と申ことあり。/何歳(いつく(ママ))になつても、/此= 00065750M17色道(この=ミち)のはなれることなきを、/是(これ)まで/捨置(すておき)しハ、/大輔(だいすけ)が/誤(あや)ま 00065760M18りト、/後悔(こうくわい)/爰(こゝ)にあらハれて、/夫(それ)よりしてハひたすらに、そ 00065770M19の/道(ミち)にのミ/心(こゝろ)を/掛(かけ)て/居(ゐ)給ひしが、/下(しも)ざまの/口調(くてう)に、/婦人(ふじん)の 00065780M20ことを/穴蔵(あなぐら)といひ、/月(つき)しばりといふことハ、けいわんより 00065790¥P250 00065800L1/口入(くちいれ)をいたすといふことを/聞(きゝ)いだし、/殊(こと)の/外(ほか)の/悦(よろこ)びにて、 00065810L2それより(十オ)/早速(さつそく)、/忍(しの)びのすがたにて/町(まち)へいで、/奉公人(ほうこうにん) 00065820L3/口入(くちいれ)としるせし/暖簾(のふれん)のうちへまいり、/此辺(このへん)によき/穴蔵(あなぐら)ハな 00065830L4きかと/尋(たづね)候へ/共(ども)、これなくと申ことゆへ、/又(また)一二/軒(けん)/尋(たづね)候 00065840L5/処(ところ)、やはりこれなくとのことゆへ、/是非(ぜひ)なく/戻(もど)る/道(ミち)すがら、 00065850L6/風与(ふと)ある/新道(しんミち)に、/穴蔵附売居(あなぐらつきうりすへ)とある/家(いへ)を/見付(ミつけ)、/大(おほ)いによろ 00065860L7こび、/其家(そのいへ)の/隣(となり)にて/聞(きゝ)たるに、/家主(いへぬし)の/方(かた)へお/出(いで)あるやうに 00065870L8とのことゆへ、/早速(さつそく)/家主(いへぬし)へ/参(まゐ)り、/穴蔵(あなくら)を/拝見(はいけん)いたしたしと 00065880L9いへバ、いへ主S/穴蔵(あなぐら)ハ/御覧(ごらん)なくとも、/此辺(このへん)ハ/地所(ぢしよ)/高(たか)く候 00065890L10ゆへ、/野郎(やらう)にハ候へ/共(ども)、/水(ミづ)ハ(十ウ)/一向(いつこう)無之候といふに、 00065900L11/大輔(だいすけ)不/興気(きやうげ)に、大Sシテ/是迄(これまで)の/持主(もちぬし)ハ△いへ主S/嶋屋(しまや)と申 00065910L12/宅(うち)でござりました 00065920¥N8¥J 00065930¥X/近眼(ちかめ)△/負(まけ)をしみ△/夕暮(ゆふぐれ)△△△△△¥A鱗堂伴兄作 00065940L15さる/近眼(ちかめ)のおやぢありしが、いたつて/負(まけ)をしミつよく、あ 00065950L16る/日(ひ)/入相(いりあい)つぐる/頃(ころ)に、/其近所(そのきんじよ)に/質両替(しちりやうがへ)をいたす/伊勢(いせ)や/吉(きち)兵 00065960L17へと申/者(もの)、/何(なに)か/用(よう)ありて、/暫時(しばらく)さゝやき/合(あひ)てもどりしが、 00065970L18/此吉兵衛(このきちべゑ)ハ、/襟(ゑり)に大きなるたん/瘤(こぶ)ありしが、おやぢハ/近眼(ちかめ) 00065980L19のことゆへ、/女房(にようほう)に/向(むか)ひ、Sいつの/間(ま)にか/吉(きち)兵へさんハ、 00065990L20いゝ/子持(こもち)に(十一オ)なんなすつたの△女S/貴君(あなた)、/串戯(じやうだん)ばか 00066000M1り。/吉(きち)兵へさんハおかミさんもないもしないものを△Sそ 00066010M2れじやア/余所(よそ)の/子(こ)か/知(し)らん。/今(いま)おぶつて/来(き)たのハ△女S/貴= 00066020M3君(あな=た)。ありやア/襟(えり)のたんこぶですハナ△Sナニ、たんこぶな 00066030M4ものか。/子(こ)をおぶつて/来(き)たに/違(ちげ)へねへ△女Sまたそんな/負(まけ) 00066040M5おしミを/被仰(おつしやい)ます。/此間(このあいだ)も、/火打石(ひうちいし)をかた/餅(もち)と/違(ちが)へて、/前= 00066050M6歯(まへ=ば)を/一本(いつぽん)かいてお/仕舞(しまひ)なさいました△S/夫(それ)ハ/間違(まちがひ)かも/知(し)れ 00066060M7ねへが、/今(いま)のハ/子(こ)に/違(ちが)ひねへ△女S/馬鹿(ばか)+しい。/吉兵衛(きちべゑ) 00066070M8さんのたんこぶのあるのハ/誰(だれ)でもしつて/居(をり)ますハネ△S/夫(それ) 00066080M9じやア(十一ウ)/権助(ごんすけ)でも/聞(きゝ)にやらうト、/夫(それ)より権助を聞に 00066090M10/遣(つか)ハせしに、ほどなく/帰(かへ)りて、Sヘイ。/往(いつ)て/参(さん)じました 00066100M11Sさうして/子供(こども)か、たん/瘤(こぶ)か△Sヘイ。/大(おほ)かた/子供衆(こどもしゆ)でご 00066110M12ざりませう△Sナゼ△Sこのせつハ/虫(むし)ぼしで、/質(しち)屋の/方(はう)が 00066120M13/世話(せわ)しいといふた 00066130¥N9¥J 00066140¥X/夜這(よばひ)△/湯河原(ゆがハら)△/紅葉(もミぢ)△△△△△△¥A木しら雪作 00066150M16Sもし、がうぎな/色(いろ)が/出来(でき)たそうだね。/勘定(かんぢやう)してもいゝじ 00066160M17やアないか△Sいづれ/勘定(かんぢやう)すじだが、/斯(かう)いふわけサ。/横丁(よこてう) 00066170M18の/湯河原(ゆがハら)へ、ヲツな/年増(としま)が/来(く)るといふから、どんな/女(をんな)だか 00066180M19/見(ミ)たいものだと(十二オ)(十二ウ・十三オ挿絵)/湯(ゆ)へ/這入(はいり)にいつ 00066190M20たら、/清元(きよもと)の/師匠(しせう)で/意気(いき)な女サ。/丁度(てうど)/折能(をりよく)ひとつ/風呂(ふろ)へ/這= 00066200¥P251 00066210¥G(十二ウ・十三オ) 00066220M1入(は=い)つた/所(ところ)から、/足(あし)をつけ、/直(すぐ)に/弟子入(でしいれ)に/行(いつ)た/所(ところ)が、/極(ごく)/受(うけ)が 00066230M2よくつて/調子(てうし)をあハされ、/梅(うめ)の/春(はる)や/落人(おちうど)ぐらゐハ/聞覚(きゝおぼ)へに 00066240M3しつてゐるから、/先(まづ)/夜這星(よばひぼし)をはじめ、/宅(うち)ハ/湯河原(ゆがハら)を/出(だ)しに 00066250M4/遣(つか)つて、/毎晩(まいばん)+いつた/処(ところ)が、ある/夜(よ)おそくなつて、/雨(あめ)ハ 00066260M5/降出(ふりだ)す。泊れといふを/幸(さいはひ)に、/今夜(こんや)こそ/本望(ほんもう)をとげやうと、 00066270M6そこへ/泊(とま)り、おふくろの/寐入(ねい)るのを/待(まち)、/丁度(てうど)けいこをして 00066280M7ゐる/夜這星(よばひぼし)と/出(で)かけやしたが、/首尾(しゆび)よく/紅葉(もミぢ)の/橋(はし)を(十三 00066290M8ウ)わたり、/牽牛織女(けんぎうしよくぢよ)の/中(なか)となつたを、/女房(にようぼう)が/聞出(きゝだ)して、 00066300M9/気(き)を/紅葉(もミぢ)ばのあつくなり、しかも/角(つの)をはやして大やきも 00066310M10ちサ△Sしかし/此月(このつき)ハ/紅葉月(もミぢづき)だから、/当座(たうざ)の/色(いろ)だらうね 00066320M11S/所(ところ)が、/誰(だれ)にも/楓(かへで)で/惚(ほれ)たから、/歯(は)がなくなる/迄(まで)サ 00066330¥N10¥J 00066340¥X/千本桜(せんぼんざくら)△/向嶋(むかふじま)△らうのすげ/替(かへ)△¥A河竹其水作 00066350M14/羅(ら)うのすげ/替(かへ)、/向嶋(むかふじま)を/呼(よび)ながら/通(とふ)るを、ある/寮(りやう)の/下女(げぢよ)/声(こゑ)を 00066360M15かけ、/長(なが)らうの/女(をんな)ぎせるをすげ/替(かへ)て/呉(くれ)といだすを、/彼(かの)すげ 00066370M16替、/手(て)に/取(とり)て、Sこれハ/結構(けつかう)な御きせるでござり/升(ます)が、/御= 00066380M17新造様(ご=しんぞうさま)(十四オ)のでござりますか△下女Sイヱ、/夫(それ)ハおめ 00066390M18かさんのでござります△Sヘヱ、/夫(それ)でハこなたハ/御別荘(こべつさう)で 00066400M19ござりますな△下女Sアイ。/大和丁(やまとちやう)のよし/野(の)やの御/別荘(べつさう)で 00066410M20ごさりますトいふに、すげ/替(かへ)ハきせるの/掃除(さうぢ)をしながら、 00066420¥P252 00066430L1Sよし/野(の)やさんの/御別荘(ごべつさう)でござりますか。イヤ、これも/縁(えん) 00066440L2でござりますナ。お/庭(にハ)から/堤(とて)を一ト/目(め)に/千本桜(せんぼんざくら)を/御覧(ごらん)なさ 00066450L3れ、/江戸(えど)と/違(ちが)つて/静(しづか)な、/実(じつ)によしつねでござります△Sヲ 00066460L4ヤ、おつう/洒落(しやれ)る/羅(ら)うやさんだ。ホンニ/土佐坊(とさぼう)じやアない 00066470L5が、お/前(まへ)の/尻馬(しりうま)に/乗(の)つて/言(いへ)バ、/土手(どて)の/向(むか)ふが/堀川(ほりかハ)だ(十四 00066480L6ウ)から、/一寸(□よつと)/小舟(こぶね)で/川越(かハごへ)とすれバ、/翌日(あした)といハず/郷(きやう)の/君(きミ) 00066490L7に、なんでも/彼(か)でも/用(よう)が/弁(べん)じ、/舟都合(ふなつがふ)のよいのが/鳥居(とりゐ)サ 00066500L8Sイヤ、お/前(まへ)もなか+/唯(たゞ)の/狐(きつね)でハない。/爰(こゝ)ハ一/番(ばん)/忠信(たゞのぶ)の 00066510L9/押(おし)もどしで、わたしが/言(いへ)バ、/先(まづ)/枝折戸(しをりど)の/竹網代(たけあじろ)ハ/亀井町(かめゐちやう)と 00066520L10/思(おも)つたら、/細工(ざいく)の/極(ごく)みがき。/塀(へい)が/大物(だいもつ)の/舟板(ふないた)で、/風除(かぜよけ)に/椎(しゐ) 00066530L11の/木(き)を/植(うゑ)、すしやにあらぬ/数寄屋拵(すきやごしら)へ。/窓(まど)から/隅田(すだ)の/川(かハ)づ 00066540L12らを/見(ミ)て、/鴬(うぐひす)の/初音(はつね)を/居(ゐ)ながら、ご/殿(らん(ママ))に居るより/余(よ)ツ/程(ほど)よ 00066550L13いが、おめかさんハ/何(なに)ものだね△Sなんだか/当(あて)て/御覧(ごらん)ナ 00066560L14Sまづ(十五オ)/堅(かた)さうな/御宅(おうち)だから、すしやの/口入(くにふ)で/生娘(きむすめ) 00066570L15か、/ないし(内侍)としまのけだものか。トンダ/梶原(かぢハら)の/陣羽織(ぢんばおり)だが、 00066580L16/内(うち)やゆかしき+だ△Sなんのお/前(めへ)さん、/大違(おほちが)ひサ。たか 00066590L17ゞ/宿場(しゆくば)の/女郎(ぢようろ)だハネ△Sヘヱ、/惟盛(これもり(ママ))でハない/飯(めし)盛かへ。/夫(それ) 00066600L18でハ/大(たい)がいお/里(さと)もしれたト/咄(はな)しながら、/羅(ら)うをすげ/替(かへ)、モ 00066610L19シ、/此雁首(このがんくび)の/疵(きず)ハ、/先(せん)からでござりますよトわたせバ、と 00066620L20つて、Sアイ。それハ/錠前(ぢやうまへ)を/叩(たゝ)いた/疵(きず)さト、/件(くだん)の/下女(げぢよ)ハら 00066630M1うを/見(ミ)て、ヲヤ+、/此羅(このら)うハ/大(たい)そういがんでゐる。/能(よく)す 00066640M2げ/替(かへ)ておくれナ。Sイヱ、もうらうがござりませんから、 00066650M3/権太(ごんた)(十五ウ)/来(き)た/時(とき)すげ/替(かへ)ませう△S/夫(それ)じやアしかたがな 00066660M4い。/釣(つり)をおくれト百/銭(せん)を/出(だ)せバ、S廿四/文(もん)で/釣(つり)ハ/真平(まつぴら)だと、 00066670M5/不肖(ふせう)ぶせうに/釣(つり)を/渡(わた)すと、/下女(げちよ)がかぞへてミて、Sヲヤ、 00066680M6/新(しん)銭だと/思(おも)つたら、/文銭(ぶんせん)がまじつて/居(ゐ)るヨ△Sハイ。その 00066690M7小せんハ、ミ/替(がハり)で厶り/升(ます) 00066700¥Y1/春色三題噺(しゆんしよくさんだいばなし)/初編上巻終△(十六オ) 00066710¥P253 00066720¥T1/春色三題噺(しゆんしよくさんだいばなし)初編中巻 00066730¥A江△戸△△△△△△@春廼屋幾/人((ママ))輯|山々亭有人校合@ 00066740¥N1¥J 00066750¥X/軽葛篭(かるいつゞら)△/剛力(がうりき)△/鞠場(まりば)△△△△△△△△¥Aとし女作 00066760L7/大和国(やまとのくに)/吉野(よしの)の/宿屋(やどや)にて、/富有(ふくゆう)の/者(もの)ありしが、/爺(ぢゝい)、/殊(こと)の/外(ほか)ひ 00066770L8そうの/孫娘(まごむすめ)、いつまでも/内(うち)に/置(おき)、/世間(せけん)しらずの/篭(かご)の/鳥(とり)にて 00066780L9/成長(おいたゝ)んより、/奉公(ほうこう)をさせんと、/当人(たうにん)にも/云聞(いひきか)せしに、/同(おな)じ 00066790L10/奉公(ほうこう)なさんにハ、/都(ミやこ)へ/往(ゆき)たしと/望(のぞミ)けれバ、/夫(それ)より/手(て)つゞき 00066800L11を(一オ)/求(もと)めて、さる/堂上方(たうしやうがた)へ/奉公(ほうこう)に/出(いた)し、/其時(そのとき)ハ/衣類(いるい) 00066810L12も/相応(さうおう)に/有(あり)しゆへ、/重(おも)ゐ/葛篭(つゞら)を/剛力(がうりき)に/背負(せおハ)せていだせしが、 00066820L13/流石(さすが)/都(ミやこ)ハ/男(をとこ)も/品姿優美(しなかたちゆうび)なれバ、/此娘(このむすめ)、/風与(ふと)/笹葉(さゝは)のやうな/青= 00066830L14侍(あを=ざふらひ)と/鞠場(まりば)にてちゝくり/合(あひ)、/粘(のり)でつけたるやうなはなれぬ 00066840L15/中(なか)となり、いつしか/鞠(まり)のやうなお/腹(なか)となりし/所(ところ)が、/古郷(ふるさと)に 00066850L16てハ/件(くたん)の/爺(ちゝい)しきりに/案事(あんじ)、/顔(かほ)/見(ミ)たく/思(おも)ひしゆゑ、/吉野葛(よしのくず)を 00066860L17/持(もち)、/尋(たづ)ねにまいりし/処(ところ)、/顔付(かほつき)もわるし。なにやらやうすも 00066870L18/可異(をかしい)とぞんじ、/夫(それ)より/薮入(やぶいり)をねがひ、/段(だん)※/調(しら)べ(一ウ)ま 00066880L19すと、/右(ミぎ)のわけゆへ、/其侭(そのまゝ)/置(おか)れもせず、/親(おや)の/病気(ひやうき)と/直(すぐ)に/御= 00066890L20暇(お=いとま)をねがひ、/剛力(がうりき)をつかハし/荷(に)を/下(さげ)ますと、/身重(ミお□)になつた 00066900M1/故(ゆへ)か、/葛篭(つゞら)が/軽(かろ)くなりました 00066910¥N2¥J 00066920¥X/霜除(しもよけ)△/俳人(はいしん)△/会席(くわいせき)△△△△△△△¥A山衣細道作 00066930M4ある/会席茶屋(くわいせきぢやや)に、/正風(しやうふう)の/俳諧(はいかい)の/開巻(くわいくわん)ありしが、/其日(そのひ)/席上(せきじやう)の 00066940M5/床(とこ)の/軸(ちく)ハ、/五老井(ごらうせい)/許六(きよろく)が/筆(ふで)なり。/句(く)ハ/秀逸(しういつ)と/聞(きこへ)たる、/青海= 00066950M6苔(あをの=り)も/和光(わくわう)の/塵(ちり)のひとつかな。これを/見(ミ)て、れん/中(ぢう)いろ+ 00066960M7/閑談(かんだん)に/及(およ)びける/中(なか)に、Sはせを/十(じつ)(二オ)/哲(てつ)の/内(うち)でも、/晋其= 00066970M8角(しんき=かく)と/此許六(このきよろく)ぐらゐ、/多能(たのう)の/者(もの)ハ/有(ある)まい。/其中(そのなか)に/許六(きよろく)ハ/画(ぐわ)に 00066980M9/秀(ひいで)て、/翁(おきな)も、/画(ぐわ)ハ/許六(きよろく)に/学(まな)び、/誹諧(はいかい)ハ/許六(きよろく)に/教(おし)へしとかい 00066990M10ふ。/五老井(ごらうせい)ハ/師(し)と/許(ゆる)す/事(こと)、/六(むつ)あると/言心(いふこゝろ)から/許六(きよろく)と/号(なづけ)たと 00067000M11いふことだと、ひとりが/咄(はな)せバ、/又一人(またひとり)が、Sしかし、/末(すへ) 00067010M12ハよからぬ/病(やまひ)をわづらひ、ろく+/訪(と)ふ/人(ひと)もなかつたとい 00067020M13ふ/事(こと)だ△Sナニ、/癩病(らいびやう)をわづらつたのハ、/病(やまひ)だから/是非(ぜひ)が 00067030M14ない。すでに/大谷刑部(おほたにぎやうぶ)ほどの/人(ひと)でも、/此病(このやまひ)をわづらつたと 00067040M15いふことだ。しかし、/名(な)ハ/千(せん)ざいのゝちまでも/芳(かう)ばしく、 00067050M16/許六(きよろく)が/異名(いめう)も、(二ウ)/菊阿仏(きくあぶつ)といふたそうだ△S/号(がう)を/菊阿= 00067060M17仏(きくあ=ぶつ)と/言(いつ)たわけがある△Sナゼ△S/艸庵(さうあん)も/霜除(しもよけ)ほどだといふ 00067070M18た 00067080¥P254 00067090¥G(三ウ・四オ) 00067100¥N3¥J 00067110¥Xこいとり△/江戸紫(えどむらさき)△/孑孑(ぼうふり)△¥A柳ばし△岡本屋お幸作 00067120M4さる/大家(たいけ)にて、/進物(しんもつ)に/鯉(こひ)を/貰(もら)ひ、/池(いけ)の/中(なか)へはなしますと、 00067130M5/彼鯉(かのこひ)、/緋鯉(ひごひ)にむかひ、Sコウ、/貴様達(きさまたち)ハ/年中(ねんぢう)、/金魚屋(きんぎよや)の/目= 00067140M6高(め=だか)とまじわつて、/気(き)がねへじやアねへか。/此方等(こちとら)ハ/江戸川(えどがハ) 00067150M7そだちの/紫鯉(むらさきこい)だ。/何所(どこ)へ/往(いつ)ても、/引(ひけ)を/取(とる)のじやアねへト、 00067160M8/尾(を)に/尾(を)をつけてゑばるゆへ、/緋鯉(ひごい)もにくらしく/思(おも)ひ、(三 00067170M9オ)(三ウ・四オ挿絵)Sその/紫(むらさき)の/色(いろ)がお/前(めへ)の/疵(きず)だ。/濃汁(こくしやう)にされ 00067180M10たり、/洗(あら)ひにされたり、/余(あんま)りほめた/咄(はな)しじやアねへ。/己達(おいらたち) 00067190M11ハ/赤生(あかくうま)れたお/陰(かけ)にやア、/金魚(きんぎよ)なんとゝまじハつて、/世(よ)を/安= 00067200M12楽(あん=らく)に/送(おく)つて/居(ゐ)らア。お/前(めへ)の/仲間(なかま)ハ、その/紫(むらさき)の/色(いろ)があれバこ 00067210M13そ、/庖丁(ほうてう)のうれひもあると、/緋鯉(ひごい)の/言所(いふところ)、いかにも/一利(いちり)あ 00067220M14れバ、Sなる/程(ほど)、/言(いハ)れて/見(ミ)りやア、/手前(てめへ)の/言(いふ)のがいかにも 00067230M15/理屈(りくつ)だ。なんと、/己(おれ)を/仲間(なかま)へ/入(いれ)ちやア/呉(くれ)めへか△Sずいぶ 00067240M16ん/仲間(なかま)へ/入(いれ)てやるめへもんでもねへ△Sさうして/赤(あか)くなる 00067250M17/工風(くふう)ハあるめへか△S/随分(ずいぶん)/無(ねへ)こともあるめへ。/先(まつ)/赤孑孑(あかぼうぶり) 00067260M18(四ウ)を/呑(のん)で/見(ミ)ねヘト/教(をし)へしまゝ、まづ/試(こゝろ)ミに/赤孑孑(あかぼうふり)をのん 00067270M19で/居(をり)ますト、/庭(にハ)の/外(そと)で/下女(げぢよ)の/声(こゑ)にて、下女Sもし、さうじ 00067280M20やさん。/刎(はね)ないやうに/取(とつ)て/下(くだ)さいヨ△さうしやS/此方(こちら)の/御= 00067290¥P255 00067300L1宅(お=うち)のハ/水(ミづ)が/多(おほ)いから、ツイ/刎(はね)ますと、/此咄(このはな)し/声(ごゑ)を/池(いけ)の/中(なか)の 00067310L2/緋鯉(ひごひ)/聞付(きゝつけ)、/彼進物(かのしんもつ)の/鯉(こひ)にむかひ、Sヲイ+/紫(むらさき)さん。/疾(はや)く 00067320L3/藻(も)の/中(なか)へ/隠(かく)れねへ△Sナゼ△Sこい/取(とり)が/来(き)た 00067330¥N4¥J 00067340¥X/土蔵普請(どざうぶしん)△/二(に)の/足(あし)△/江戸(えど)の/水(ミつ)△¥A福井扇夫作 00067350L6ある/人(ひと)、/友達同士(ともだちどし)にてさゝやくやう、S/本町(ほんちやう)の/式亭(しきてい)ハ/年来(ねんらい) 00067360L7(五オ)/江戸(えど)の/水(ミづ)を/売(うつ)て、/大分(だいぶ)/金(かね)をもうけやした。/所(ところ)で/此度(こんど) 00067370L8/大(たい)そうな/庫(くら)を/建(たて)るさうだが、/己(わたし)も/些(ちと)ばかり/金(かね)が/出来(でき)たが、 00067380L9この/金(かね)を/貸(かし)て/利(り)を/見(ミ)やうか。/何(なん)ぞいゝ/商売(しやうばい)をして/沢山(たんと)もう 00067390L10けた/上(うへ)で、/大(おほ)きな/蔵(くら)でも/建(たて)やうかと、/二(に)の/足(あし)を/踏(ふん)でゐるが、 00067400L11どうしたものだらう△Sそりやア/二(に)の/足(あし)を/踏(ふむ)にも/及(およ)ばず、 00067410L12/江戸(えど)の/水(ミづ)といふやうな、/意気(いき)な/物(もの)でも/売(うつ)て/見(ミ)なせへ。/庫(くら) 00067420L13/処(どころ)でハねへ。/金持(かねもち)になること、/自己(おれ)が/請合(うけあひ)だ。うなぎ/昇(のぼり)な 00067430L14ぞといふのろ+した/事(こと)でハない。/二(に)の/足(あし)どころか、/一足= 00067440L15飛(いつそく=とび)/烏飛(からすとび)(五ウ)だハ△Sナゼ△S/夫(それ)でも/大蔵(おほくら)の/建(たつ)たのハ、/三= 00067450L16番(さん=ば)だといふから 00067460¥N5¥J 00067470¥X/餅(もち)つき△/今戸焼(いまどやき)△/契情(けいせい)△△△△¥A駄茶連芳幾作 00067480L19ふぢや/伊左衛門(いざゑもん)といふ/人(ひと)が、/冬編笠(ふゆあミがさ)の/師走浪人(しはすらうにん)で、/吉田屋(よしだや) 00067490L20の/表(おもて)へまいりますと、/丁度(てうど)/餅(もち)つきさハぎでござりますゆへ、 00067500M1/伊左衛門(いざゑもん)/立(たち)とゞまり、S/喜三右衛門(きざゑもん)、/宿(やど)にか。/喜三(きざ)+/何卒(どうぞ) 00067510M2/逢(あハせ)てくれと申ますと、/若(わか)イ/者(もの)Sナニがきざダ。/此様(こん)な/目(め)に 00067520M3/逢(あハ)せてやると、/大勢(おほぜい)うちかゝりますのを、/喜三右衛門(きざゑもん)おし 00067530M4とゞめ、Sコレハ/藤屋(ふぢや)の/若旦那(わかだんな)。まづ+こちらへと/二階(にかい) 00067540M5へ/通(とふ)しまして、いつもの(六オ)(六ウ・七オ挿絵)/夫婦次(ふうふつぎ)へま 00067550M6いり/升(ます)る。/伊左衛門(いざゑもん)ハ/唯一人(たゞひとり)、ぼうぜんとして/居(をり)ましたが、 00067560M7/傍(かたへ)にある/今戸焼(いまどやき)の/猫火鉢(ねこひばち)を、/蒲団(ふとん)の/中(なか)へ/入(いれ)まして/寐(ね)て/居(をり)ま 00067570M8すと、やがて/夕霧(ゆふぎり)/参(まい)りまして、Sもし/伊左衛門(いざゑもん)さん。/目(め)を 00067580M9/覚(さま)して/下(くだ)さんせと、ゆりおこしますと、/伊左衛門(いざゑもん)、目を/覚(さま) 00067590M10し、S/契情(けいせい)の/心(こゝろ)の/底(そこ)と/猫(ねこ)の/鼻(はな)ハつめたいものと、/世間(せけん)のた 00067600M11とへ。/此猫火鉢(このねこひばち)も/火(ひ)が/消(きへ)たと見へて、つめたい+。そな 00067610M12たのやうな/万歳契情(まんざいけいせい)に/用(よう)ハない△Sナニ、/万歳契情(まんざいけいせい)とハ 00067620M13Sウヽ、/万歳契情(まんさいけいせい)のいハれしらずか。/知(し)らずバ/言(い)ツ(七ウ) 00067630M14て/聞(きか)さうか。/今(いま)のやうな/侍(さむらい)に/蹴(け)られたり、/踏(ふま)れたりするを、 00067640M15/万歳契情(まんざいけいせい)といふハ。/侍(さむらい)/蹴(け)れバ/町人(ちやうにん)も/蹴(け)る。この/伊左衛門(いざゑもん) 00067650M16も/蹴(け)るハ+と/拍子(ひやうし)に/乗(の)り、/猫火鉢(ねこひばち)を/蹴(け)ますと、/奥座敷(おくざしき)の 00067660M17/方(かた)へころ+とこけまする。/扨(さて)/奥座敷(おくざしき)に/居(をり)ました/阿波(あハ)の/大= 00067670M18尽(だい=じん)、/立腹(りつぷく)なし、おれが/座敷(ざしき)へ、こんな/物(もの)を/投(なげ)こんだのハ/何= 00067680M19者(なに=もの)だと、/座(ざ)を/立(たつ)て/参(まい)りまするゆへ、/伊(い)左衛門/蒲団(ふとん)を/冠(かむ)り、 00067690M20/狸(たぬき)をして/居(をり)ますと、/阿波(あハ)の/大尽(だいじん)ふとんをまくり、S/己(おれ)の/座= 00067700¥P256 00067710¥G(六ウ・七オ) 00067720M1敷(ざ=しき)へ/灰神楽(はいかぐら)をあげたのハ/己(おのれ)であらう△Sイヱ+、/此通(このとふ) 00067730M2り(八オ)/寐(ね)て/居(を)りましたゆへ、/一向(いつこう)ぞんじませぬ△Sイヤ 00067740M3+、ぞんじて/居(い)るであらう△S/左(さ)やうなら、/猫(ねこ)けたので 00067750M4ござりませう 00067760¥N6¥J 00067770¥X/玉虫(たまむし)△/願(ぐわん)ほどき△/菜畑(なはたけ)△△△△△¥A綾岡岸雄作 00067780M7/源平盛衰記(げんへいせいすいき)に、/待賢門院(たいけんもんいん)の/后立(きさきたち)の御とぎ、/千人(せんにん)の/中(なか)より/一= 00067790M8人(ひと=り)/撰(えら)ミ/出(いだ)せる。さうしの/名(な)に/負(おハ)せし/玉虫(たまむし)ハ、むしの/中(なか)にも 00067800M9うつくしいすがた。/知家卿(ともいへきやう)の/歌(うた)にも/詠(よま)れ、/長嘯子(ちやうしやうし)が/虫(むし)の 00067810M10/歌合(うたあハせ)にハ、あまたの/虫(むし)どもの/恋哥(こひか)あり。/虫(むし)といふむしハ/皆(ミな) 00067820M11この/玉虫(たまむし)におもひを/掛(かけ)、/文(ふミ)を/送(おく)り/歌(うた)をよせ、また/打(うち)(八ウ) 00067830M12つけにくどくもあれど、/皆(ミな)その/姿(すがた)の見にくきゆゑにや、/恋(こひ) 00067840M13の/返事(へんじ)なきものから、さらバ/神(かミ)に/祈(いの)らんと、おもひ+に 00067850M14/願(ぐわん)がけをする/中(なか)にも、/蝉(せミ)ハ/連理(れんり)の/松(まつ)に/経(きやう)をよミて/声(こゑ)をから 00067860M15し、/螢(ほたる)ハ/岩本(いハもと)のやしろにこがるゝおもひをなげき、/蛙(かわづ)ハ/住(すミ) 00067870M16よしに/哥(うた)をさゝげ、/蜈蚣(むかで)ハ/志貴山(しきざん)に/百度(ひやくど)を/踏(ふミ)、/鈴虫(すゞむし)ハすゞ 00067880M17かの/明神(ミやうじん)の/杜(もり)に声をふりきり、/蟻(あり)ハ/観音(くわんおん)まいりに/群集(くんじゆ)なす 00067890M18こと、はやる/開帳(かいちやう)よりおびたゞしきことなり。ある/時(とき)ミな 00067900M19+、/菜畑(なばたけ)の中により/合(あひ)をつけ、こん/礼(れい)の/折形(をりがた)に(九オ)な 00067910M20る/蝶(てふ)と、/夫婦(ふうふ)に恋の/叶(かな)ふ/智恵(ちゑ)を/借(かり)に/集(あつま)りて、おのかさま 00067920¥P257 00067930¥G(十ウ・十一オ) 00067940M1※/恨(うら)ミをのべるうしろより、Sおめへがたも、よくもの 00067950M2を/考(かんがへ)て見給へ。/玉(たま)むしのひかる姿におもひをかけるミんな 00067960M3のかたちが、/自分(じぶん)の/眼(め)にハ見へぬのか。さりとハうぬ/惚(ほれ)な 00067970M4こと。/斯(かく)いふ/我等(われら)などハ、すがたも玉/虫(むし)に/類(るい)し、身にひか 00067980M5りもありて、/系図(けいづ)をたゞせバ、玉虫とハいとこ同士の/己(おれ)で 00067990M6さへ、まだ願ほどきハせぬものをといふゆへ、皆&/胆(きも)をつ 00068000M7ぶし、/誰(たれ)ならんとふり/帰(かへ)り見れバ、S/屁(へ)ツひりむし(九ウ) 00068010¥N7¥J 00068020¥X@/小野(をのゝ)/道風(たうふう)△/芸子(げいこ)△/道具屋(だうぐや)|/二月堂(にぐわつだう)△かんな/屑(くず)△仲人@△△△△△¥A山&亭有人作 00068030M10/小野(をの)の道風ハ/本朝三筆(ほんてうさんぴつ)の/一人(いちにん)なり。ある/時(とき)、/柳(やなぎ)の/枝(えだ)に/蛙(かハづ)の 00068040M11/飛(とび)つくを/見(ミ)て、/橘(たちばな)の/速成(はやなり)が/反逆(ほんぎやく)をさとり、/普天(ふてん)の/下(した)/率土(そつと)の 00068050M12ひん、/何条(なんてう)/彼等(かれら)が/力(ちから)をもて/天下(あめがした)を/覆(くつがへ)さんこと、/思(おも)ひも/寄(よら)ず 00068060M13ト、/心(こゝろ)の/油断(ゆだん)あやまつたり。/速成(はやなり)が/及(およ)ばぬ/願(ねが)ひ、この/蛙(かハづ) 00068070M14にひとしきと、/怒(いか)れるまゝに/思(おも)ハずも、/件(くだん)の/蛙(かハづ)を/握(にぎ)りつぶ 00068080M15し、その/侭(まゝ)/家(いへ)に/帰(かへ)りけれバ、/出入(ていり)の/道具屋(だうぐや)/御目見(おめミ)へを/願(ねが)ひ 00068090M16(十オ)(十ウ・十一オ挿絵)/度(たく)と申/入(いれ)けれバ、/道風(たうふう)さつそく/対面(たいめん) 00068100M17なし、/何用(なによう)じや。Sヘイ、/外(ほか)でもござりませんが、/先日(せんじつ)お 00068110M18/召仕(めしつかひ)のお/咄(はな)しがござりましたが、/丁度能(てうどよい)のがござりますか 00068120M19ら、お/仲人(なかうど)いたそうとぞんじまして△Sハヽア/何者(なにもの)だ 00068130M20Sヘイ。/嶋(しま)のうちへ/此度(こんど)/弘(ひろ)めをいたす/芸子(げいこ)てござりますが、 00068140¥P258 00068150L1/実(じつ)に/季妃(きひ)・/李夫人(りふじん)もあざむくばかり△Sなんと/見(ミ)たいもの 00068160L2だが、どうだらう△S/幸(さいハ)い/明晩(めうばん)、/奈良(なら)の/二月堂(にぐわつだう)へ/参詣(さんけい)いたす 00068170L3とのこと。/御供(おとも)を/仕(つかまつ)りませう。/御前(ごぜん)も/被為入(いらしつて)ハ/如何(いかゞ)でござ 00068180L4りませう△S/予(よ)も/参詣(さんけい)いたしたいとぞんじた/処(ところ)、/丁度(てうど)(十 00068190L5一ウ)よい。/彼(かの)井戸へ/若狭(わかさ)より水の/来(く)るといふも、/咄(はな)しに 00068200L6のミ/聞(きい)て/実(じつ)を/知(し)らぬ。さらバ/妹許(いもがり)かけて出かけやうと、/夫(それ) 00068210L7より/道具屋(だうぐや)と/連立(つれだち)しが、わすれ/物(もの)をいたせしとて、/道(ミち)より 00068220L8道具やを/返(かへ)し、/一人(ひとり)ぶら+/伏見街(ふしミかい)道へ/来(き)かゝりしが、/何(なに) 00068230L9やら/物(もの)に/突(つき)あたりけれバ、/道風(たうふう)にハ/何(なに)ならんと/見(ミ)てあれバ、 00068240L10/大坊主(おほばうず)の/窓(まど)より/首(くび)を/出(だ)してありしが、Sコレ、/拙僧(せつそう)が/天窓(あたま) 00068250L11へ/突(つき)あたり、一/言(ごん)の/挨拶(あいさつ)もないハ/何者(なにもの)だ△S/予(よ)ハ/杢頭(もくのかミ)/道風(たうふう) 00068260L12じやア。/往来中(わうらいなか)へ/首(くび)を/突出(つきだ)してゐる/己(おのれ)ハなんだ△S/能因法= 00068270L13師(のうゐんほう=し)じやが、/都(ミやこ)をバ/霞(かすミ)と(十二オ)ともに/立(たち)しかど△/秋風(あきかぜ)ぞ/吹(ふく) 00068280L14白川の/関(せき)、といふ/秀歌(しうか)を/詠(よん)だ。/願(ねが)ハくバ/実地(じつち)を/踏(ふん)で/詠度(よミたき)/歌(うた) 00068290L15とおもひ、人にハ/奥州(おうしう)へ/往(ゆき)しと/披露(ひらう)し、/斯(かく)のごとく/窓(まど)にて 00068300L16/首(くび)を/晒(さら)して/居(ゐ)ると/聞(きい)て、/道風(たうふう)せゝら/笑(わら)ひ、S/能因法師(のういんほうし)ハ/当= 00068310L17代(たう=だい)/名誉(めいよ)の/歌仙(かせん)。かゝるたハけた/事(こと)をなすべきや。/誠(まこと)能因と 00068320L18いふ/証拠(しやうこ)があるか△Sせうこといふハ/則(すなハち)これだト、/懐中(くわいちう)よ 00068330L19り/長柄(ながら)の/橋(はし)のかんなくずを/出(いだ)し、Sシテ/己(おのれ)、道風といふせ 00068340L20うこがあるか△S/証拠(しやうこ)といふハ/此蛙(このかハづ)。/昨日(きのふ)はからず/東山(ひがしやま)に 00068350M1と、ありし/次第(しだい)を/物(もの)がたるに、能因ハ/居眠(ゐねむり)を/致(いた)して、(十二 00068360M2ウ)/果(はて)ハ/高(たか)いびきに/寐込(ねこミ)しゆへ、Sコウ+、人に/物(もの)をい 00068370M3ハせて、/舟(ふね)をこぐとハどういふものだト/言(いハ)れて、/能因(のういん)/眼(め)を 00068380M4さまし、Sナニ、/歌(うた)が白川だから 00068390¥N8¥J 00068400¥X/蜜柑(ミかん)△/附文(つけぶミ)△/金時(きんとき)△△△△△△¥A春の屋幾久作 00068410M7/羅生門(らしやうもん)にて/渡辺(わたなべ)の/綱(つな)、手がらをいたし候を、/坂田(さかた)の/金時(きんとき)、 00068420M8/浦山(うらやま)しくおもひ、何か手/柄(がら)をせんと、/夜&(よる+)/方&(はう※)を/歩行(あるき)ます 00068430M9が、さして/化物(ばけもの)にも/出合(であハ)ず。S/咽(のど)が/乾(かハ)き候ゆへ、何か/呑(のむ)も 00068440M10のとぞんじ候処、/大(おほ)きやかなる/密柑(ミかん)の/木(き)あり。これ/幸(さいハ)ひと 00068450M11(十三オ)/三(ミ)ツ/四(よ)ツ/取(とつ)て/喰(しよく)し/居(をり)ますと、かつぎを/冠(かむり)候/女(をんな)/参(まい)り、 00068460M12/金時(きんとき)のたもとへ/文(ふミ)を入候間、/金時(きんとき)Sお/前(まへ)ハ/何人(なにびと)にて候。さ 00068470M13だめし/粂(くめ)の/平内(へいない)と/間違(まちが)ひ候やと申せバ、S/金時(きんとき)さんと/見(ミ)て 00068480M14/附文(つけぶミ)をいたし候△Sシテ、おまへハ何といふ/女(をんな)だ△Sハイ。 00068490M15/茨木(いばらぎ)と申ます△S茨/木(ぎ)ハ/綱(つな)の/情人(いろ)でハないか△Sイヱ、/其= 00068500M16綱(その=つな)さんにハ手を/切(きら)れました 00068510¥N9¥J 00068520¥X/姫(ひめ)はじめ△/辻占(つぢうら)△/傘(からかさ)△△△△△¥A仮名垣魯文作 00068530M19ある/人(ひと)、/道(ミち)のかたハらにてさゝやくやう、S/昨日(きのふ)ハ二日の 00068540M20姫はじめに、/郭(てう)へ/初買(はつがひ)と出かけやした△Sそりやアすじだ 00068550¥P259 00068560L1つた。/相変(あいかハ)らず上(十三ウ)/出来(でき)でごぜへやしたらう△S/所(ところ) 00068570L2をとんちんかんで、/極(ごく)の/不(ふ)の/字(じ)サ△Sハテネ。ぬしにねへ 00068580L3/世界(せかい)だツけ△Sナニサ、/辻占(つぢうら)がわるかつたからサ△Sそり 00068590L4やアどういふ/理屈(りくつ)だね△S/聞給(きゝたま)へ。/目(め)ざす/楼(らう)へのぼらんと 00068600L5/欲(ほつ)すると、/仲(なか)の/町(ちやう)の/門錺(かどかざり)が/背中合(せなかあハ)せで、その/上(うへ)/降(ふ)られる/訳(わけ) 00068610L6がありやす△Sナゼ△S/傘(からかさ)がさしてあつた 00068620¥Y1/春色三題噺(しゆんしよくさんだいばなし)初編中巻終△(十四オ) 00068630¥T1/春色三題噺(しゆんしよくさんだいばなし)初編下巻 00068640¥A東△都△△△△△△@春廼屋幾久輯|山々亭有人校合@ 00068650¥N1¥J 00068660¥X/多情(たじやう)△/橋番人(はしばんにん)△/野分(のわき)△△△△△¥A功阿弥陀仏作 00068670M7/両国(りやうごく)の/水茶屋(ミづちやや)に、/千種屋(ちくさや)のお/花(はな)と申/娘(むすめ)ありしが、/至(いた)つて/多= 00068680M8情(た=じやう)にて、/其上(そのうへ)/欲(よく)ぶかく、/吹(ふ)ツかけ/方(かた)がひどいゆへ、/直(ちき)にあ 00068690M9きら/ら((衍))れて/替(かハ)るゆへ、/色(いろ)か/覚(さめ)て/枯(か)れ※になつてハぶツ/倒(たふ) 00068700M10されるト申ので、/野分(のわき)の/風(かぜ)のやうだといふ/所(ところ)が、どういふ 00068710M11ことやら、さる/橋番人(はしばんにん)、(一オ)/此娘(このむすめ)に/引(ひつ)かゝりましたが、 00068720M12/此番人(このばんにん)ハ/信州(しんしう)の/者(もの)で、/国(くに)でハ/相応(さうおう)な/者(もの)ださうでござります。 00068730M13これも/色(いろ)にハ/成(なり)ましたが、/吹(ふ)ツかけられるので/立(たち)きれなく 00068740M14なりました/所(ところ)から、これへ/国許(くにもと)から/公事(くじ)に/出(で)て/居(をり)ます/名主(なぬし) 00068750M15が/尋(たづ)ねてまいり、その/度(たび)+お/花(はな)の/所(ところ)へ/連(つれ)て/参(まい)つて、/大橋(おほはし) 00068760M16か/丸竹(まるたけ)のもので/呑(のま)してかへします。/処(ところ)で/名主(なぬし)の/間(ま)ぬけなの 00068770M17を/見(ミ)かすめて、/色(いろ)でゐるのハ/隠(かく)して、お/花(はな)に/能(よく)/吹(ふき)こミ、/此= 00068780M18番人(この=ばんにん)が/橋(はし)をわたして、/件(くだん)の/名主(なぬし)をくつ/付(つけ)ました。/所(ところ)が/公事(くじ) 00068790M19もすミ/帰村(きそん)となつた/所(ところ)で、/彼是(かれこれ)申て、この(一ウ)/番人(ばんにん)が/悪= 00068800M20法(あく=ほう)で、だんまりと/金(かね)をしめたと申/事(こと)でござります。/今(いま)まで 00068810¥P260 00068820L1/此番人(このばんにん)のやうに、お/花(はな)と/切(き)れずに/長(なが)く/持(もつ)てをるのハござり 00068830L2ませんゆへ、/不思議(ふしぎ)にぞんじまして、/近所(きんじよ)の/者(もの)が/番人(ばんにん)に/向(むか) 00068840L3ひまして、Sモシ、おまへハ/遠国(ゑんごく)の/者(もの)だトおもつて、あな 00068850L4どつて/居(ゐ)たが、/中(なか)+/及(およ)ばねへ。アノお/花(はな)にかゝつて/倒(たふ)さ 00068860L5れねへものハないが、おまへハ/長(なが)+/持(もち)こたへてゐる/所(ところ)が 00068870L6きつい。アノ/名代(なだい)の/野分(のわき)/枯(から)されねへうちが/実(じつ)にゑらいヨ 00068880L7番人Sわたしハ/先(せん)ころ、しつかり/金(かね)を/取(とつ)てやつたけれども、 00068890L8けして/野分(のわき)にハさせねへ(二オ)△Sそして/其金(そのかね)ハ△S/山分(やまわけ)サ 00068900¥N2¥J 00068910¥X/時鳥(ほとゝぎす)△/温泉(おんせん)△/妬(ねたミ)△△△△△△△¥A浪花さん京作 00068920L11Sモシ/助(すけ)さん。/聞(き)けバ/有馬(ありま)の/湯治(たうぢ)へ/行(ゆき)なさるそうたが、/有= 00068930L12馬(あり=ま)ハ/喰物(くひもの)に/困(こま)るから、/干物(ひもの)てもたくわへて/行(ゆか)すハいけまい 00068940L13と/思(おも)つて、/赤貝(あかがひ)と/瀬戸貝(せとがひ)を/煮(に)つけて/持(もつ)て/来(き)た△Sそれハ/近= 00068950L14頃(ちか=ごろ)/有難(ありがた)し。しかし/細(こま)かく/切(き)つて/有(あり)ませうが。/誠(まこと)に/御存(ごぞんじ)の/通(とふ) 00068960L15り、/妻(さい)が/悋気(りんき)ぶかいから、/赤貝(あかゞひ)や/瀬戸貝(せとがひ)を/買(かひ)ますと、/殊(こと)の 00068970L16/外(ほか)/悋気(りんき)をいたします△Sヘイ。/御内儀(ごないぎ)ハそんなに/悋気(りんき)を 00068980L17(二ウ)なされますか△Sイヤモウ、/悋気(りんき)/所(どころ)でハない。女/猫(ねこ) 00068990L18/抱(だい)てもやかましいのを/言(いひ)ますし、/荒神松(くわうじんまつ)でも女松ハ/買(かい)ませ 00069000L19ぬ△S/夫(それ)ハ/御迷惑(ごめいわく)でござりませう。しかし夫ならハ、/能薬(いゝくすり) 00069010L20がござります。/時鳥(ほとゝぎす)の/黒焼(くろやき)を/呑(の)ませると、/直(ぢき)に/治(なを)ります 00069020M1Sさうして、夫ハ何所にあります△S左様サ。時鳥ハ/一心= 00069030M2寺(いつしん=じ)か/茶臼山(ちやうすやま)の/辺(へん)に多い△Sイヤ、よしませう△Sナゼ 00069040M3S茶臼山で取ると/聞(きい)たら、又/腹立(おこり)ませう 00069050¥N3¥J 00069060¥X/大磯(おほいそ)の/虎(とら)△/鵜飼(うかひ)△/楊弓場(やうきうば)△△△△△¥A光阿弥作 00069070M6大磯の虎、此/程(ほど)より/病気(びやうき)にて/留飲(りういん)の/甚(はなハだ)しいのゆへ、主の 00069080M7(三オ)長も/案(あん)じまして、花水ばしの川つゞきに/別荘(べつさう)がござ 00069090M8りますゆへ、是へ出/養生(やうしやう)に/遣(つか)ハしましたが、此/隣(となり)に楊弓場 00069100M9かござりまして、毎日竹の下/孫(まご)八左衛門だの、/新貝(しんかひ)の/荒(あら)次 00069110M10郎だのと言/野暮(やぼ)ばかり参りまして、/高声(たかこゑ)に/咄(はな)しをいたした 00069120M11り、ドンかちりの/音矢箱(おとやばこ)のならんでをる所が、大きらいナ 00069130M12げぢ+の/紋(もん)に似てをりますゆへ、/疳(かん)に/障(さハ)つて成ませぬゆ 00069140M13へ、/越料(こしれう)を出して/他所(よそ)へ引て/貰(もら)ひましたが、矢場がなくな 00069150M14りましてさば+したから、/追(おひ)+よさそうなものでござ 00069160M15りますが、どうもよく(三ウ)ござりませぬ。/湯(ゆ)でも/薬(くすり)でも 00069170M16/呑(のん)だものを、/皆(ミな)/吐(はい)て/仕舞(しまひ)まして、/段&(だん+)/労(つかれ)がまいりますゆへ、 00069180M17あれこれよいと申/事(こと)を人のすゝめます。/中(なか)に/建長寺(けんちやうじ)の長/老(らう) 00069190M18が/誠(まこと)に/大徳(だいとく)で、かやうに手/余(あま)した/病人(びやうにん)の/障(さハ)りでもあれバ見 00069200M19てくれますと申ことゆへ、/早速(さつそく)/若者(わかいもの)と/遣手(やりて)とまいりまし 00069210M20て、/委細(いさゐ)病/気(き)のやうすを申て/願(ねが)ひました/所(ところ)が、長老が/合掌(がつしやう) 00069220¥P261 00069230¥G(五ウ・六オ) 00069240L1をいたし、目を/閉(とぢ)て/暫(しばら)く/考(かんが)へ、/扨(さて)申にハ、Sこれハ/親(おや)の/罪(つミ) 00069250L2が子にむくふので、/虎(とら)ハもと/相模川(さかミがハ)の/鵜飼(うかひ)の/娘(むすめ)で、それゆ 00069260L3へに/浮河竹(うきかハたけ)の/流(なが)れに(四オ)/沈(しづン)で/呑(のん)だ/物(もの)を/吐(はく)といふのも、/皆(ミな) 00069270L4親の鵜飼の罪だ△若者Sハテ、/因縁(いんえん)といふものハこわいも 00069280L5のでござります。/夫(それ)ばかりでハござりません。/為(ため)になる/客(きやく) 00069290L6も/沢山(たくさん)ござりますが、間夫がござりまして、/残(のこ)らず夫へい 00069300L7れあげて/仕舞(しまひ)ます。/大体(たいてい)にして/切(き)れてしまつたらよさそう 00069310L8な物でござります△長老Sインにや、切れられます。/都(すべ)て 00069320L9鵜飼ハ、鵜のはなれぬやうに手/縄(なわ)をつけてはたらかすもの 00069330L10ゆゑ、/虎(とら)も/愛情(あいじやう)のきづなにからめられて、/取(と)つた物を皆吐 00069340L11せらるゝト見へる。/篝火(かゞりび)の/影(かげ)に色づくといふものハ、より 00069350L12(四ウ)/来(く)るものだから、/大(おほ)かたその/情人(いろ)といふのも、/暮(くれ)て 00069360L13から/明(あか)りのかげに/来(く)るであらう。アヽ、/間夫(まぶ)でハ/苦労(くらう)をす 00069370L14るのう△若者Sイヱ、/間夫(まぶ)ハ/苦労(くらう)ぐらゐでハござりません。 00069380L15/十郎(じうらう)でござります 00069390¥N4¥J 00069400¥X@/棚(たな)の/達磨(だるま)△おし/鳥(どり)△/柳(やなぎ)の/虫(むし)|/姑姥(しうとばゝ)ア△/月(つき)の/八日(やをか)△/移香(うつりが)@△△△△¥A露の屋梅我 00069410作 00069420L18/富沢町辺(とミざハてうへん)に/津嶋(つしま)や/某(なにがし)と申、/質両替(しちりやうがへ)に/古手(ふるて)をいたします/富家(ふか) 00069430L19がござりますが、/其横町(そのよこちやう)に/又(また)/湯ケ原(ゆがハら)の/娘(むすめ)ありて、/近辺(きんへん)/名代(なだい) 00069440L20の/美女(びぢよ)にてありしが、/彼津嶋(かのつしま)やの/若主人(わかしゆじん)と(五オ)(五ウ・六 00069450¥P262 00069460L1オ挿絵)いつしか/深(ふか)き/中(なか)となり、/阿漕(あこぎ)が/浦(うら)で/引(ひく)/網(あミ)も/度重(たびかさな)れバ 00069470L2あらハるゝト、/両親(りやうしん)の/耳(みゝ)にも/入(いり)しが、/忰(せがれ)の/気(き)に/叶(かな)ひし/娘(むすめ)な 00069480L3れバ、/何者(なにもの)にもせよむかへ/取(とら)んと、/段&(だん+)/聞合(きゝあハ)せし/所(ところ)、/殊(こと)の 00069490L4/外(ほか)/気(き)だてもやさしきとの/事(こと)ゆゑ、さつそく/吉日(きちにち)を/撰(ゑら)ミて/娵(よめ) 00069500L5にいたし候/所(ところ)、/至(いた)つてその/中(なか)/睦(むつま)しく、/近所(きんじよ)でハ/鴛鴦&&(おしとり+)と 00069510L6いふ/仇名(あだな)をつくるほどゆへ、/両親(りやうしん)も/大(おほ)きに/安堵(あんど)なし、/内= 00069520L7外(ない=ぐわい)とも/身帯(しんだい)を/忰(せがれ)にゆづり、/浅草辺(あさくさへん)に/隠居(いんきよ)いたし候/処(ところ)、/親(おや)な 00069530L8きのちハ/何角(なにかと)/出(で)用/多(おほ)く、その/頃(ころ)/柳(やなぎ)ばしに/名(な)うての(六ウ)/吉= 00069540L9岡屋(よし=おかや)おミつといふ/唄女(げいしや)ありしが、/風雅(ふうが)を/好(この)ミて/太棹(ふとざほ)を/能(よく)な 00069550L10し、/茶(ちや)ハ/素(もと)より/香花(かうはな)まで、/是一(これひと)つ/出来(でき)ぬといふことなき/件(くだん) 00069560L11のおミつと、またもわりなき/中(なか)となり、/烏(からす)の/啼(なか)ぬ日ハあれ 00069570L12ど、/逢(あハ)ぬ日とてハなき/程(ほど)なれバ、/内(うち)を/外(そと)なる/不身持(ふミもち)に、/妻(つま) 00069580L13ハおのれが身をかこち、/案(あん)じ/暮(くら)し/泣(なき)あかし、/終(つひ)にぶら+ 00069590L14/病(やま)ひとなり、ある日おのれが/部屋(へや)に/篭(こも)り、/何(なに)やら/長(なが)+/敷(しく) 00069600L15/文(ふミ)を/書(かい)て/居(をり)ますゆへ、/忠義(ちうぎ)の/番頭(ばんとう)/善七(ぜんしち)、/是(これ)を/見付(ミつけ)、Sモシ 00069610L16おかミさん。/此程(このほど)よりの/御心配(ごしんはい)。/御察(おさつ)し申ます。(七オ)/必(かなら) 00069620L17ずくよ+おぼしめすな。お/身体(からだ)の/毒(どく)でござります△女房 00069630L18S/御深切(ごしんせつ)に/有難(ありがた)う。しかしお/前(まへ)もしつての/通(とふ)り、おし/鳥(どり)の 00069640L19/夫婦(ふうふ)といハれた/私(わたし)が、/今(いま)さら/捨(すて)られましたと/言(い)つて/里(さと)へハ 00069650L20/帰(かへ)れず。とても/存命(いき)てハゐられぬこの/身(ミ)。ト申て/今(いま)わたし 00069660M1が/死(しん)だらバ、/直(すぐ)にお/光(ミつ)さんが/跡(あと)へ/直(なを)らうかと、/夫(それ)がくやし 00069670M2くつて/死(し)ぬにも死なれず。いつそお光さんを/喰殺(くひころ)してゞも 00069680M3/仕舞(しまひ)たい△S/夫(それ)ハ御もつともにハござります。/先&(まづ+)/私(わたくし)に 00069690M4お/任(まか)せ/下(くだ)さい。/店(たな)の/達磨(だるま)を/呼(よび)にやり、/兎(と)も/角(かく)もいたし(七ウ) 00069700M5ませう。/此店(このたな)の達磨といへるハ、/本家(ほんけ)の/抱(かゝ)へ/金太(きんた)と申ス/鳶(とび) 00069710M6の/者(もの)、/胸(むね)一ツぱいに/達磨(だるま)の/彫物(ほりもの)あるゆへ、達磨金と/異名(ゐめう)い 00069720M7たし/升(ます)が、/別家(へつけ)その/外(ほか)/出入(でいり)の/者(もの)ハ、/店(たな)のだるまと/呼(よび)なせり。 00069730M8/程(ほど)なく/彼達磨(かのだるま)まいり、S/何(なに)か/御用(ごよう)でござりますか△S外で 00069740M9もないが、/旦那(だんな)に/柳(やなぎ)の/虫(むし)がついたから、/夫(それ)を/頼(たの)むのだ 00069750M10S柳の虫とハ/何(なん)のことでごぜへやす△Sナアニ/斯(かう)だハねへ。 00069760M11柳ばしのお/光(ミつ)といふ/虫(むし)が/旦那(だんな)について、/夜(よる)も/昼(ひる)も/宅(うち)へハち 00069770M12つとも/落(おち)つかず。/私(わたし)やア/慈母(おつかア)さんにすまないから、いつそ 00069780M13/死(し)なうとおもひ(八オ)ますハ△金S/夫(それ)ハとんでもねへ/事(こと)で 00069790M14ござりやす。ト申て/旦那(だんな)のいろだから、/此方等風情(こちとらふぜい)がむや 00069800M15ミに/引(ひき)さかふと/言訳(いふわけ)にやアめいりやせん△番Sどうか/工風(くふう) 00069810M16ハ/有(ある)めへか△金Sこりやア/斯(かう)なせへ。/板橋(いたばし)の/縁切榎(えんきりゑのき)を/呑(のま)せ 00069820M17てお/仕舞(しまひ)なせへ。/一番(いちばん)/早手廻(はやてまハ)しだ。さうして/旦那(だんな)へハ、/尊= 00069830M18女(あな=た)か/御工風(ごくふう)をなすッて、お/呑(のま)せなさへ。お/光(ミつ)さんハ/坐敷(ざしき)へ 00069840M19/出(で)る/人(ひと)だ。/呑(のま)せるナアざうさア/有(あり)やせん。/是(これ)から/直(すぐ)に/板橋(いたばし) 00069850M20へ/往(いつ)て/取(と)つてまいりませうト、/夫(それ)よりすぐに/板橋(いたばし)へとりに 00069860¥P263 00069870L1まいりしが、/主人(しゆじん)ハ/一向(いつこう)ぞんじませず。/柳(やなぎ)ばしより/帰(かへ)り、 00069880L2S/今日(けふ)ハ(八ウ)月の八日。/古手仲間(ふるてなかま)の/月次寄合(つきなミよりあひ)だから、そ 00069890L3つちの/羽織(はおり)を/出(だ)してくれ。/古手(ふるて)ハ/目(め)の/利(きく)やうにと、八日を 00069900L4寄合/定日(ぢやうじつ)にして、/薬師様(やくしさま)へまいるのもおかしいじやアね 00069910L5へかト/言(いひ)ながら/出(いで)てゆく。/跡(あと)へ/又(また)/番頭(ばんとう)/来(きた)り、番S/今日(こんち)ハ/茅= 00069920L6場町(かや=ばちやう)の/伊勢太(いせた)だから、お/帰(かへ)りもおはやうござりませう△女 00069930L7Sお帰りになつたら、/例(れい)のものをお/茶(ちや)へ/入(い)れるか、/御寐(およる)とき 00069940L8/御酒(ごしゆ)へ入れるとか/被成(なされ)ましト、その/内(うち)/日(ひ)も/暮(くれ)るゆへ、/子供(こども) 00069950L9を/迎(むか)ひに/出(いだ)し、/程(ほど)なくいせ/太(た)もひらきなり。子供ハ/提灯(ちやうちん)を 00069960L10つけて/先(さき)にたち、(九オ)子Sモシ/旦那(だんな)さま。/今晩(こんばん)ハおうち 00069970L11へお/帰(かへ)りになつても、/何(なに)も/喰(あがり)ますナ△旦Sナセ△子Sさつ 00069980L12きおかミさんと/番頭(ばんとう)さんと、/小座敷(こざしき)で何かちいさな/声(こゑ)で/咄(はな) 00069990L13しをして/居(ゐ)ますのを/聞(きゝ)ましたが、/茶(ちや)に/入(い)れて/呑(のま)せるの、/酒(さけ) 00070000L14に/入(い)れて/呑(のま)せるのと申てをりましたから、/何(なん)でも/毒(どん)に/違(ちが)ひ 00070010L15ハござりません△Sなるほど/貴様(きさま)ハ/忠義(ちうぎ)ものだ。/何(なに)かほう 00070020L16びを/遣(やろ)うト/言(いひ)ながら、むつとして/内(うち)へ/戻(もど)りしが、/女房(にようばう)ハ/何= 00070030L17気(なに=げ)なく、女S/今晩(こんばん)ハ/大(たい)そうお/早(はや)うござりますトいひながら 00070040L18/茶(ちや)を/出(だ)す。旦Sこの/茶(ちや)ハ/何(なん)だかうつり/香(が)がする。(九ウ)/手(て) 00070050L19めへ、/呑(のん)で見ろ△女Sどうしてこれが△旦S/手(て)めへ/呑(のま)ねへ 00070060L20か。さうであらう。/己(おれ)も/呑(のミ)たくねへ。/気色(きしよく)がわるい。はや 00070070M1く/燗(かん)をつけろ△女Sお/燗(かん)が/出来(でき)ました△旦Sこの/酒(さけ)もうつ 00070080M2り/香(が)がする。/貴様(きさま)/呑(のん)で見な△女Sナニわたくしハ△旦S/酒(さけ) 00070090M3も/呑(のめ)ねへ。/夫(それ)じやアどつちも/呑(のめ)ねへのだナ。コウ/能(よく)/聞(き)け。 00070100M4/手(て)めへ、/姑(しうと)が/否(いや)だといふから、/品(しな)よく/外(ほか)へ/隠居(いんきよ)をさせてや 00070110M5り、/何(なに)から何まで/不足(ふそく)のねへやうにと、/大概(たいげへ)/気(き)をつけてや 00070120M6るのに、/己(おれ)に/毒(どく)を/呑(のま)せるとハ、ふてへ/女(あま)だ。/是(これ)にハきつと 00070130M7した/尻(しり)おしがあるだらう。/此上(このうへ)ハ/出(で)る/所迄(ところまで)/出(で)て、あかりを 00070140M8(十オ)(十ウ・十一オ挿絵)/立(たて)なけりやアならねへト、/腹立(はらたち)まぎ 00070150M9れに/表(おもて)の/方(かた)へ/出(で)てゆく/跡(あと)で、/女房(にようぼう)ハつく※と/思案(しあん)をなし、 00070160M10女S/毒(どく)と/疑(うたが)ひうけたるうへハ、とても/言解(いひわけ)/立(たち)がたし。さハ 00070170M11さりながら、/罪(つミ)もなき/善(ぜん)七に/悪名(あくミやう)つくること、/返(かへ)す※も 00070180M12/気(き)の/毒(どく)なれバ、/事(こと)の/子細(しさい)を/書置(かきおき)して、/死(し)ぬより/外(ほか)に/思案(しあん)な 00070190M13し。さうじや+と/筆(ふで)/取(とつ)て、やがて/書(かき)おき/認(したゝ)め/居(ゐ)る。/言(いひ)あ 00070200M14ハさねど/善(ぜん)七も、/主人(しゆじん)が/咄(はな)しをもれ/聞(きゝ)て、/外(ほか)に/尻(しり)おし、わ 00070210M15しが/事(こと)より/他(ほか)にハない。/縄(なわ)にかゝりてうき/恥(はぢ)を見るより、 00070220M16いつそ/書置(かきおき)なし、(十一ウ)/御内宝(おかミさん)に/貞女(ていじよ)を/立(たて)させ、/死(し)ぬよ 00070230M17り/外(ほか)に/思案(しあん)ハなし。さうじや+と/書置(かきおき)/認(したゝ)め、/内(うち)で/死(し)ん 00070240M18でハ/後(あと)までも、/主人(しゆじん)に/難儀(なんぎ)をかくるの/道理(だうり)と、やがて/二階(にかい) 00070250M19の/格子(かうし)をはづし、/出(で)やうとなすを、/女房(にようぼう)ハ/盗賊(とうぞく)なりとおも 00070260M20ふものから、やがて/小庭(こにハ)へ/立出(たちいて)て、/松(まつ)の/小(こ)かげに/身(ミ)をよ 00070270¥P264 00070280¥G(十ウ・十一オ) 00070290M1せて、しばし/伺(うかゞ)ひ/居(ゐ)たりしに、/件(くだん)の/善(ぜん)七、/二階(にかい)より/松(まつ)をつ 00070300M2たハり/塀(へい)の/外(そと)へ/出(いで)んとなすを、/女房(にようぼう)が、/Sそこへ/行(ゆく)のハ/善(ぜん) 00070310M3七どのか△善Sさういふ/声(こゑ)ハ御/内宝(かミ)さんでハござりませぬ 00070320M4か△女S/毒(どく)とうたがひかゝりし/此身(このミ)。/生(いき)てうき/目(め)を/見(ミ)るよ 00070330M5り(十二オ)も、いつその/思(おも)ひに/死(し)ぬ/覚悟(かくご)△番Sわたくしと 00070340M6ても/其通(そのとふ)り。/毒(どく)とうたがひかゝりしうへハ、/生(いき)て/言訳(いひわけ)/立(たち)が 00070350M7たし。/夫(それ)ゆへにこそ死ぬ/覚悟(かくご)△女Sおまへといつしよに死 00070360M8んだとて、/書置(かきおき)を/残(のこ)したれバ、/心中(しんぢう)にハなりますまい△番 00070370M9Sこれもさだまる/約束(やくそく)ごと△女S死ぬすべしらぬ/女(をんな)の/身(ミ)。 00070380M10死ぬる/所(とこ)まで/一所(いつしよ)にといふに、/善(ぜん)七さらバやと、/恋(こひ)にハあ 00070390M11らぬ/貞(てい)と/忠(ちう)。/二人(ふたり)/手(て)に手をとりかわし、/隅田(すた)の/提(つゝミ)に/来(き)かゝ 00070400M12りしに、/出茶屋(でぢやや)ありしに、/是(これ)さいはひと/女房(にようぼう)ハ、/腰帯(こしおび)ひき 00070410M13ほどき、/桜(さくら)の/枝(えだ)にむすびつけ、やがて/涼台(すゞミだい)をその/下(した)にすへ、 00070420M14/双(さう)(十二ウ)/方(ほう)一所に/足(あし)をはづすといふ/趣向(しゆこう)にて、かたちの 00070430M15ごとくなしたれと、/男(をとこ)と女とハ目方の三四貫めも/違(ちが)ふこと 00070440M16ゆへ、女ハ上の方へつるしあがり、男ハ/下(した)へ落、何事もな 00070450M17かりしかバ、/善(ぜん)七ハつく※/考(かんが)へ、たとへ/毒(どく)といハりやう 00070460M18とも、/達磨金(だるまきん)といふ/証人(しやうにん)があれバ、/今(いま)さら/死(し)ぬにハ及ばぬ 00070470M19と、/御内宝(おかミさん)ハ/覚悟(かくご)のことながら、/己(われ)ハ死ぬのを止にせんと、 00070480M20やがて/件(くだん)の/輪(わ)をはづし、そろ+/迯(にげ)出しますと、/女房(にようぼう)も/下(した) 00070490¥P265 00070500L1へ落たるゆへ、/命(いのち)にハ/別条(べつでう)なし。/風(ふ)と女房も、かの達磨金 00070510L2のことを/思(おも)ひ出し、これも死ぬのが/否(いや)になり、あたりを 00070520L3見れバ、/彼(かの)(十三オ)/番頭(ばんとう)そろ+/迯(にげ)いだすゆへ、女Sコレ 00070530L4+、善七どの。/何所(どこ)へ/行(ゆく)のじやトいはれて、番頭、びつ 00070540L5くりなし、Sちよつと小/用(よう)に△女Sイヱ+、/一旦(いつたん)/約束(やくそく)を 00070550L6して、/小便(しやうべん)ハならぬ 00070560¥N5¥J 00070570¥X/不二詣(ふじまうで)△/織部焼(おりべやき)△/其角(きかく)△△△△△△¥A遊阿弥作 00070580L9さる/旦那(だんな)の/所(ところ)へ、/茶道具屋(ちやだうぐや)がまいりまして、まづ一通りの 00070590L10あいさつが/済(すミ)まして、お/座敷(ざしき)を見/廻(まハ)して、旦那。どちらへ 00070600L11そ/御旅行(ごりよこう)でござりますか。旦Sアノサ。不二へ/誘引(さそハれ)て一/度(ど) 00070610L12/行(ゆか)ぬのも/馬鹿(ばか)、二度行も馬鹿といふから、/利口(りこう)のうちへ/這= 00070620L13入(は=い)らうと思つて、/参詣(さんけい)いたし(十三ウ)やす△道Sいつおた 00070630L14ちでござりやす△旦Sあんまり/暑(あつ)いから、/今日(けふ)/夕立(ゆふだち)にして、 00070640L15/新宿(しんじゆく)か/高井戸(たかゐど)まで/出(で)ておかうと/思(おも)つて/支度(したく)をしてゐる/所(ところ)サ 00070650L16道S/夫(それ)ハお/急(きう)なことで。さやうな/事(こと)とハ/存(ぞ)んじませず、 00070660L17/先程(さきほど)/久松(ひさまつ)町の/吉田宗匠(よしだそうせう)の/所(ところ)へあがりまして、/宗匠(そうせう)のお/差図(さしづ) 00070670L18で/持参(ぢさん)いたした/品(しな)がござります△旦Sそりやア/拝見(はいけん)いたし 00070680L19/度(たい)の。どんなものだ△道Sへイ。/織部(おりべ)の/平茶碗(ひらぢやわん)でござりま 00070690L20す。/一寸(ちよつと)かいつまんで、その/来歴(らいれき)をお/咄(はな)し申ませうト/言(いひ)な 00070700M1がら、/件(くだん)の/茶碗(ちやわん)をいだしまして、/爰(こゝ)に/此青薬(このあをぐすり)がちよいとご 00070710M2ざりますので、/銘(めい)を/夏山(なつやま)と申たので(十四オ)ござりますを、 00070720M3いつの/頃(ころ)のことか、/夫(それ)を/取落(とりおと)して、/箱(はこ)も/損(そん)じ、かやうにか 00070730M4んにうが/出来(でき)ましたを、/持主(もちぬし)がつくろハせて/箱(はこ)も/直(なほ)して、 00070740M5その/頃(ころ)/宝井其角(たからゐきかく)と/懇意(こんい)にいたして/居(を)つたゆへ、/箱書(はこがき)つけを 00070750M6/頼(たのミ)ました/所(ところ)が、/夏山(なつやま)を/夕立(ゆふだち)と/書直(かきなほ)してくれました。/勿論(もちろん)/三(ミ) 00070760M7めぐりて/雨乞(あまごひ)の/評判(ひやうばん)が、ばつといたしてをつた/頃(ころ)の/事(こと)でご 00070770M8ざりませうが、/持主(もちぬし)にも/呑(のミ)こめませんゆへ、/先生(せんせい)、これハ 00070780M9どういふわけでござりますと/聞(きゝ)ました/所(ところ)が、/其角(きかく)の申にハ、 00070790M10されバサ。/此青薬(このあをぐすり)が/夏山(なつやま)のやうに/見(ミ)へる/所(ところ)へ、かんにうの 00070800M11/粉(ふん)つくろひをしたのが、/稲妻(いなづま)の/形(かたち)に/光(ひか)つて見へる。(十四ウ) 00070810M12/夫(それ)に/織部(おりべ)の/苗字(めうじ)が、/古田(ふるた)といふ/所(ところ)で/夕立(ゆふだち)といたしたのサト 00070820M13/言(いハ)れて、/持主(もちぬし)がうぎと/喜(よろこ)びまして、/秘蔵(ひさう)いたして/生涯(しやうがい)/持(もつ)てを 00070830M14りましたさうでござりますが、/当主(たうしゆ)ハ/茶(ちや)も/俳諧(はいかい)も/嫌(きら)ひゆへ、 00070840M15/不用(ふよう)だと申ますが、/私(わたくし)もおなじことなら、/江戸座(えどざ)の/俳諧(はいかい)を 00070850M16なさる/茶人(ちやじん)へゆづり申たら、/先生(せんしゆ)の/意(い)にも/叶(かな)ひませうかと、 00070860M17/夫(それ)ゆへこなたへ/持参(ぢさん)いたしました△旦S/夫(それ)ハ/面白(おもしろ)いものだ。 00070870M18/織部焼(おりべやき)なら/晋子(しんし)の/正筆(しやうひつ)といゝ、/有(あり)がたい。しかし、/鑒定(かんてい)を/頼(たの) 00070880M19ミてへが、ナンと/置(おい)て/居(ゐ)つて/呉(くれ)といつた/所(ところ)が、しばらく/留= 00070890M20守(る=す)にハなるし、/今(いま)/極(きめ)てやらずハなるまいの△道Sさ(十五 00070900¥P266 00070910¥G(十五ウ・十六オ) 00070920M1オ)(十五ウ・十六オ挿絵)やうでござります。/長(なが)くハ/延(のば)してお 00070930M2けません△旦Sさうしていくらだ△道Sさして/高金(かうきん)のもの 00070940M3でもござりませんが、/貴君(あなた)の/思召(おぼしめし)を/被仰(おつしやつ)て/御覧(ごらうじ)まし△旦 00070950M4S/夫(それ)でハ/千疋(せんびき)ぐらゐでハどうだらう△道Sまさか/夫(それ)でもい 00070960M5けますまい△旦Sそれじやアもう/一両(いちりやう)やらうか△道Sまだ 00070970M6いけません△旦S/夫(それ)じやア/五両(ごりやう)ならよからう△道S/夫(それ)でも 00070980M7/参(まい)りませぬ△旦Sはてナ。そんなら/思(おも)ひきつて、/金一枚(きんいちまい)なら 00070990M8/言(いひ)ぶんあるまい△道S/夫(それ)でもいけません△旦S/夫(それ)じやア八 00071000M9/両(りやう)ヨ△道Sまだいけません。/旦那(だんな)も/少(すこ)しむつとして、Sコ 00071010M10ウ、/己(おれ)が/方(ほう)で/今(いま)/夏山(なつやま)へ、/夕立(ゆふだち)にして/立(たゝ)うといふ/所(ところ)だといつ 00071020M11て、さう/足元(あしもと)を(十六ウ)/見(ミ)ることハねへ。/不二(ふじ)へ/行(ゆく)といつ 00071030M12て、/吉田(よしだ)の/口(くち)で/持(もつ)て/来(き)たといつて、/段&(だん+)あがりに、/高(たか)ねま 00071040M13であがりきつた/所(ところ)だ。コウ、つもつて見ねへ。八両と/言(い)や 00071050M14ア/頂上(ちやうじやう)だらうじやアねへか 00071060¥N6¥J 00071070¥X/雀屋(すゞめや)△/桃太郎(もゝたらう)△/節分(せつぶん)△△△△△△△△¥A柳左作 00071080M17ある/老夫婦(おひふうふ)、/子(こ)のなきをうれひて、/神(かミ)に/祈(いの)りしが、ある/時(とき) 00071090M18/川(かハ)へいでゝ/洗(せん)たくせしに、/大(おほ)きなる/桃(もゝ)の/流(なが)れ/来(きた)りしゆへ、 00071100M19/件(くだん)の/姥(ばゝ)アひらひて、/家(いへ)に/帰(かへ)りて/割(わつ)て/見(ミ)たるに、/玉(たま)をあざむ 00071110M20くばかりの/男子(なんし)いでしゆへ、/殊(こと)の/外(ほか)/喜(よろこ)び、/名(な)をなんと/付(つけ)ん 00071120¥P267 00071130L1といひしに、ある/人(ひと)、(十七オ)/昔(むかし)のまゝに/桃太郎(もゝたらう)とつける 00071140L2がよからんとて、/則(すなハち)/桃(もゝ)太郎と/名付(なづけ)たり。/此子(このこ)、/成長(せいちやう)なす 00071150L3にしたがひ、/至(いた)つて/臆病(おくびやう)にて、/夜(よる)ハ一人にて/小用場(ごようば)へも/行(ゆか) 00071160L4れぬくらゐ。されども/老(おい)ての子なれバ、/唯(たゞ)/手(て)のうちの/玉(たま)と 00071170L5いつくしミ、/彼桃太郎(かのもゝたらう)十六/才(さい)のとき、/父母(ちゝはゝ)にむかひ、/私(わたくし)、 00071180L6/何卒(なにとぞ)/鬼(おに)が/嶋(しま)へ/参(まい)つて、/宝物(たからもの)を/取(とつ)て/来(き)たしといひけれバ、/両= 00071190L7親(りやう=しん)もはじめの/程(ほど)ハとゞめしかど、/何分(なにぶん)/聞(きゝ)入ねバ、まづ+ 00071200L8/供人(ともびと)を/尋(たづ)ねんと、/雀屋(すゞめや)へまいり、/此(この)よしを/言入(いひい)れしに、 00071210L9Sさやうでござります。/雉子町(きじちやう)からまいるけん吉と申スの 00071220L10がござりますが、/夫(それ)と(十七ウ)/猿屋(さるや)町からまいる/男(をとこ)がござ 00071230L11りますが、とかく/此(この)男ハ一人でかき/廻(まハ)したがります。その 00071240L12/癖(くせ)、三本/毛(け)のたらぬやうな、ほんとした/処(ところ)もござります。 00071250L13/夫(それ)より/件(くだん)の男をよこしけれバ、/夫婦(ふうふ)も/殊(こと)の/外(ほか)よろこび、/先(まづ) 00071260L14/黍団子(きびだんご)をこしらへ、/鬼(おに)が/嶋(しま)へつかハせしに、以/前(ぜん)の/桃(もゝ)太郎 00071270L15と/違(ちが)ひ、いたつて/弱(よわ)むしなれバ、/供(とも)の男もことの外/心配(しんぱい)い 00071280L16たし、日/数(かず)つもりて鬼が嶋へ/至(いた)りしに、/彼(かの)鬼やしきへ桃太 00071290L17郎ハ/真(ま)ツ/先(さき)に/踏(ふミ)こミたれバ、供人これを見て、今/迄(まて)よわむ 00071300L18しなりし桃太郎の、/今日(けふ)ハわれ+に先だつて、鬼の(十 00071310L19八オ)/住居(すまゐ)へ/踏込(ふミこミ)しハ/不思儀(ふしぎ)なりと、/供人(ともびと)も/来(き)て見れバ、/其= 00071320L20夜(その=よ)ハ/節分(せつぶん)にて、鬼ハ/皆(ミな)/留守(るす)なり 00071330¥N7¥J 00071340¥X/錦木(にしきぎ)△/橋番人(はしばんにん)△/天保銭(てんほせん)△△△△△△¥A楽之作 00071350M3/奥州(おうしう)の/産(さん)にて、/関(せき)の/戸(と)の門人に、/錦木(にしきゞ)といふ/相撲取(すまゐとり)ありし 00071360M4が、ある/時(とき)/両国(りやうごく)をわたりながら、橋番/屋(や)にてうなぎを十六 00071370M5文ばかりはなし、天保銭をいだして/釣(つり)を/取(と)りしに、六文ほ 00071380M6ど/不足(ふそく)なれバ、Sヲイ、/爺(ぢい)さん。/銭(ぜに)が/足(たら)ねへぜ△Sナニ、 00071390M7足りない/筈(はづ)ハござりませんが△Sそれでも/勘定(かんぢやう)して見たが、 00071400M8八九文/足(たり)まへじやア(十八ウ)ねへか△Sヘイ、/夫(それ)ハ/百銭(ひやくせん)で 00071410M9ござりますから、ひけを/取(とり)ましてござります△Sべら/棒(ぼう)め。 00071420M10ひけをとつたにしても、八文の九文のといふ/引(ひけ)があるもの 00071430M11か△S/夫(それ)じやア/勘定違(かんぢやうちが)ひでござりませうが、/丸(まる)で/違(ちが)つても 00071440M12八文か九文でござります。おまけを/被成(なさい)なト/聞(きい)て、/錦木(にしきゞ)/烈= 00071450M13火(れつ=くわ)のごとくに/怒(いか)り、Sヤイ、おれハ/天下(てんが)の/力士(りきし)だ。まけろ 00071460M14とハなんの/事(こと)だ。/此(この)くたばりそくないめ。ホンとにはなせ 00071470M15ないべらぼうだ△Sヲイ、お/角力(すまふ)さん。おまへにまけろと 00071480M16/言(い)つたのも/悪(わる)からうが、/此身(おれ)もはなして/貰(もら)ふのか/家業(かぎやう)だ。 00071490M17はなせねへとハ/何(なん)の事だ(十九オ)△S/此親父(このおやぢ)めト、すてに 00071500M18/飛(とび)つかふといたすゆへ、/往来(わうらい)の/人(ひと)/見(ミ)かねて、/錦木(にしきゞ)をなだむ 00071510M19る/中(なか)に、/兼(かね)てにしき/木(ぎ)を/知(し)る人ありけれバ、Sマア+/関= 00071520M20取(せき=とり)。/腹(はら)も/立(たゝ)うが、/相手(あいて)ハ/高(たか)が/橋番人(はしばんにん)、/了簡(れうけん)して/遣(や)ンねへ 00071530¥P268 00071540L1Sたとへ/橋番(はしばん)でも、/誤(あや)まれバ/了簡(れうけん)もしますが、アノ/通(とふ)り/放= 00071550L2言(てへへ=いらく)を/言(いひ)ますから△Sナニ、/先刻(さつき)からあやまつてゐらアな 00071560L3Sイヱ、/誤(あや)まりやアしません△Sそれでも/先(さき)で、/引(ひけ)をとつ 00071570L4たと/言(いつ)たじやアねへか 00071580¥Y1/春色三題噺(しゆんしよくさんだいばなし)初編下巻終△(十九ウ) 00071590G1△〔挿絵中の句詞〕 00071600G2△ある人のとし忘れせしを 00071610G3△△△梅までかわらふや三つのわすれもの△△あや岡 00071620¥P269 00071630¥U噺本大系△第十三巻 00071640¥T@追善|落語@/梅屋集(うめのやしゆう)〔題簽〕 00071650¥G 00071660¥Y 00071670L16慶応元年六月序 00071680L17石橋静舎序 00071690L18春の屋幾久序 00071700L19柴田是真・一恵斎芳幾画 00071710L20中本一冊 00071720¥Y 00071730M1京極黄門の藤河百首ハ、三つよつの題を結合せて、一首の 00071740M2歌によませたまへるかめてたく、しかもいとたやすからぬ 00071750M3わさにしあれハ、世には難題百首なとゝもよふとかや。そ 00071760M4はたとへは、夜梅薫袖といへるハ、夜と梅と袖と、題三つ 00071770M5あるか如し。其流をくむとにハあらねと、似つかハしから 00071780M6ぬ物三つを取合せて、題になすらへ、今や、かのさとひた 00071790M7る戯物語を作出るか興ありとて、もてはや(序一オ)せるを、 00071800M8わか友なりし梅屋鶴寿翁ハ、わきて上手なりしかは、後の 00071810M9業の一種にと、友たちのつとひて、かくいとなみ集めたる。 00071820M10見れハ、すゝろに無き人の口つき思ひ出られて、関の藤河 00071830M11せきとめかたき涙の水に筆さしぬらすになむ 00071840M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△石橋静舎 00071850M14△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序一ウ) 00071860¥P270 00071870¥G(序三ウ・序四オ) 00071880¥Y追福三題咄序 00071890M3/歌舞(かぶ)の/菩薩(ぼさつ)を/見連(けんれん)の/大智識(だいちしき)、/梅屋鶴寿居士(うめのやかくしゆこじ)、六十五/歳(さい)の/浮= 00071900M4世(うき=よ)の/大詰(おほづめ)に、まづ/今生(こんじやう)ハ/是切(これぎり)と、/娑婆(しやば)をしやぎりて、/極楽(ごくらく) 00071910M5の/蓮(はちす)の/台(うてな)の/高座(かうざ)に/上(あが)り、/過去(くわこ)/現在(げんざい)/未来(ミらい)の/三題咄(さんだいばなし)を/催(もよほ)し、/猥= 00071920M6褻嫌忌(わい=せつげんき)を/戒(いま)しめて/趣向(しゆかう)に/文殊(もんじゆ)の/智恵(ちゑ)ハ/借(か)らねど、/方便(はうべん)(序 00071930M7二オ)/風話(ふうわ)の/能弁(のうべん)にハ、/富婁那(ふるな)も/舌(した)を/巻(ま)くなるべし。/結跏= 00071940M8趺坐(けつか=ふさ)して、/七宝(しつはう)の/美景(びけい)に/眦(まなじり)を/垂(た)るゝ/羅漢(らかん)も、/偏袒右肩(へんだんうけん)して、 00071950M9/紫雲(しうん)の/天幕(てんまく)を/張(はり)こむならん。/狂言綺語(きやうげんきぎよ)ハ/讃仏乗(さんぶつじやう)の/因(いん)なれど、 00071960M10/滑稽洒落(こつけいしやらく)に/見物衆(けんふつしゆう)の/論(ろん)ハなし。されバ/仏在世霊鷲山(ぶつざいせりやうじゆせん)の/大寄(おほよせ) 00071970M11にも、/遥(はるか)に/勝(まさ)る/群集(くんじゆ)の(序二ウ)/聴聞(ちやうもん)も、/欠伸(あくび)の/声(こゑ)/絶(た)えて、 00071980M12/鑷子(けぬき)を/手(て)に/取(と)る/者(もの)/無(な)からむと、/遠(とほ)く/彼西方浄土(かのさいはうじやうど)の/世界(せかい)を/思(おも) 00071990M13ひやりて/序(じよ)す。/嗚呼(あゝ)、/此居士(このこじ)は/今年(こんねん)正月十二日が/楽(らく)なりき 00072000M15△△△慶応元年六月△△△△△春の屋幾久述G 00072010M16△△△△△△△△△△△△△△△△△梅素漫書 00072020M17△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序三オ) 00072030¥P271 00072040¥G(序四ウ) 00072050¥N1¥J 00072060¥X題△芝居△狂哥△あくび△△△△△¥A麟堂伴兄 00072070M3/哥舞妓狂言(かぶききやうげん)づくしといふけれど、今ハ/能(のう)狂言のやうにをか 00072080M4しミを/専(もつパ)らにはせず、又/狂哥(きやうか)といふ物も、今ハ/風躰(ふうてい)がかハ 00072090M5つて、大ぶんむづかしく、/狂(きやう)の/字(じ)の/義(ぎ)にとんとかなハず、 00072100M6狂哥ハ/天明調(てんめいてう)の事だ。芝居といふは、もと/芝生(しバふ)の上に/居(ゐ)て 00072110M7見物したゆゑの名なれど、今でハ/桟敷(さじき)だの/土間(どま)だのとて、 00072120M8芝ハ/土手板(とていた)の/書割(かきわり)に/残(のこつ)てゐる。芝居茶屋といふから、茶ば 00072130M9かり/呑(のま)せてこそ茶屋なれ、/料理(れうり)ハ/余計(よけい)の/仕事(しごと)だ。なんでも 00072140M10狂言狂哥といふからハ、/腹(はら)をかゝへ/頤(おとがひ)を/解(とか)ねバ/本意(ほんい)でねへ 00072150M11ト、わればかり物しりのやうにならべてゐると、/聞人(きくひと)あく 00072160M12びをして、Sなるほど、狂哥やきやうげんハをかしいもの 00072170M13と見えます。おはなしばかりでさへ、あごの(一オ)かけが 00072180M14ねがはづれさうだ 00072190¥N2¥J 00072200¥X題△よしの山△梅△毛ぬき△△△△¥A柳亭左楽 00072210M17紅梅やきS梅ハ/諸木(しよぼく)の花の兄といふ。そのかたちを/製(せい)した 00072220M18る/見(ミ)ことな/茶(ちや)ぐわしにもなる/身(ミ)のうへ。手めへハよしの/氷(こほり) 00072230M19といふから、/桜(さくら)にえんがあるが、/花(はな)でゐてもくわしになつ 00072240M20ても、おれが/兄(あに)だナア△よしの氷S/馬鹿(ばか)をいへ。/花(はな)といへ 00072250¥P272 00072260L1バさくらにかぎる。てめへの/方(はう)が/弟(おとうと)だとけんくわの所へ、 00072270L2だしぬけに、けぬきSこれ、そんなつまらねへ事をいひな 00072280L3さんな。おれもくうのくハぬのと人にいはれるから、/同(おな)じ 00072290L4くひもの/仲間(なかま)のいふ事だから、おれにまかして、なかをな 00072300L5ほしなせへ△Sそうして/手(て)めへハ、とこから/出(で)て/来(き)た△け 00072310L6ぬきSいまきやうでへの/中(なか)から/出(で)てきた(一ウ) 00072320¥N3¥J 00072330¥X題△芝居△狂哥△あくび△△△△¥A葛飾桜酔軒 00072340L9/或若旦那(あるわかだんな)、大の芝居ずき。/自分(じぶん)も/役者気(やくしやき)どりにて、/眉毛(まゆげ)も 00072350L10/細(ほそ)くして、ありやなしやの/都鳥(ミやこどり)、/業平男(なりひらをとこ)/光氏(ミつうぢ)といハるゝ 00072360L11より、/家橘旦那(かきつだんな)とよバるゝがうれしく、/薄化粧(うすげしやう)のいや/身(ミ)た 00072370L12つぷり。/手代(てだい)、でつちをあつめ、/土蔵(どざう)の/二階(にかい)で/芝居事(しバゐごつこ)をし 00072380L13て、おかるになつてはしごからおつこち、七段目から/落(おち)た 00072390L14といふむかしの/噺(はなし)もうそでなく、/親達(おやたち)ももてあまして/居(ゐ)る 00072400L15と、/叔父(をぢ)さんハ/梅屋(うめのや)大人の門人、糸/巻(まき)の/管成(くだなり)といふ本町/側(がハ) 00072410L16の/一人(いちにん)。もよふしでもあると、くる+まハつて/世話(せわ)をす 00072420L17る/狂哥好(きやうかずき)。あるとき/甥御(をひご)にむかひ、S芝居といふものも、 00072430L18/天(あま)の/岩戸(いハと)の/神楽(かくら)からはじまつて、/尊(たつと)きものなれども、役者 00072440L19のまねなどハ(二オ)/不見識(ふけんしき)で、/日本魂(やまとだましひ)とハいハれぬ。/哥道(かだう) 00072450L20へはいつて、/風雅(ふうが)のあぢハひをおぼえるがよい。狂哥の/美= 00072460M1味(び=ミ)ハ芝居どころじやアねへ。もちろん/戯場(けぢやう)の/脚色(しくみ)も狂哥か 00072470M2ら出た事で、早いはなしが弐丁目の/一休(いつきう)も、/聞(きゝ)しより見て 00072480M3おそろしき/地(ぢ)ごくかな、といふ所が/根元(こんげん)。其一休は狂哥で 00072490M4/悟道(ごだう)した/和尚(おしやう)さまだ。三丁目のかけ/皿(ざら)も、ぼんさらや皿て 00072500M5ふやまにゆきふりて、の狂哥が/趣向(しゆかう)のたね。されバ芝居を 00072510M6すくなら、狂哥をよまねバ太鼓にぶちのないやうなものだ。 00072520M7五代目/白猿(はくゑん)、又/近頃(ちかごろ)の/海老蔵(ゑびざう)も、/皆(ミな)狂哥をよくよんだもそ 00072530M8のわけだ。芝居を/好(すい)ても狂哥をしらねバ/天下(てんか)のむだゞと、 00072540M9/老人(らうじん)でもはやりことばをつかハるゝハ、/老(おい)こまぬれうけん。 00072550M10/名(な)のとほり、くだをまかれて、/若(わか)だんなハ(二ウ)せつなさ 00072560M11うにあくびを/吐息(といき)にまぎらし、S何もわたくしハ内で芝居 00072570M12などハいたしませぬ△Sイヤ+、いまおめへがのミこん 00072580M13だあくび/千里(せんり)の/諺(ことハざ)で、かくすよりあらハるゝハなしサ。く 00072590M14どい事だが、/古今集(こきんしう)の/序(じよ)に、/誰&(たれ+)もしつてゐるとほり、/力(ちから) 00072600M15をもいれすして/天地(あめつち)をうこかし、/目(め)に見へぬ/鬼神(おにかミ)をもあハ 00072610M16れとおもハせ、/男女(をとこをうな)の/中(なか)をもやハらげ、たけき/武士(ものゝふ)のこ 00072620M17ゝろをなぐさむるハ/哥(うた)なりとあつて、哥のとくハ大そうな 00072630M18物よ。/本歌(ほんか)ハ/悟格(ごかく(ママ))だの/手尓(てに)を/波(は)だの、/大工(だいく)でハないが、か 00072640M19ンなづかひからむづかしいけれど、狂哥ハ/俗物(ぞくぶつ)でもできる。 00072650M20はじめねへ+△Sをぢさんへ。芝居でもそれほどの/徳(とく)ハ 00072660¥P273 00072670¥G(三ウ・四オ) 00072680M1ございませう。/鬼(おに)のやうなやりてばゝアも、しうたん/場(ば)で 00072690M2ハなミだをながし、/紙治(かミぢ)のおさんのやうな/貞女(ていちよ)の/仕打(しうち)を 00072700M3(三オ)(三ウ・四オ挿絵)/見(ミ)たり、/四谷怪談(よつやくわいたん)のお岩でも見ると、 00072710M4女房ハ大事にするがよいと/気(き)がつき、/猛(たけ)きお武家さまも/腰(こし) 00072720M5さげに$の/金具(かなぐ)をお付なさるゝハ、太夫元ひゐきで 00072730M6もございませう△Sなるほど、男女の中/猛(たけ)きものゝふ、/鬼= 00072740M7神(おに=かミ)も/感(かん)ぜしむるであらうが、天地をうごかす/力(ちから)は、よもあ 00072750M8るまい△Sあります+△Sなにが△Sがんどうがへしの 00072760M9/時(とき)にサ 00072770¥N4¥J 00072780¥X題△芝居△狂哥△あくび△△△△¥A仮名垣魯文 00072790M12Sモシお/哥(うた)さん。マアきいておくれ。わたしの/所(とこ)のしうと 00072800M13ほど、口やかましい根性わるハありやアしないよ。きのふ 00072810M14も/銭湯(おゆう)へ/行(ゆき)がけに、ぬか/袋(ぶくろ)をだれかゞなくなしたと/小言(こごと)を 00072820M15いふから、/出際(でぎハ)に/一寸(ちよつと)/縫(ぬつ)てやると、/是(これ)ぢやア大きいのちひ 00072830M16さいのと、いろ+なねつをふいてサ。/夫(それ)から(四ウ)/湯(ゆ)へ 00072840M17一所に行て、上り湯をくんでやりア、/桶(をけ)のかずがすけない 00072850M18の、この/桶(をけ)ハたがゝはぢけかゝつてゐるのと、むりな事を 00072860M19いふのを、やなぎにうけてハゐるものゝ、しまひにやアか 00072870M20んにんぶくろの/緒(を)がきれらアネ△Sそりやアはらもたとう 00072880¥P274 00072890L1が、/爰(こゝ)にある/教訓図会(けうくんづゑ)といふ/本(ほん)に、/狂哥(きやうか)が/書(かい)てあるからご 00072900L2らん。Sあらそハぬ風の柳の糸にこそ△/堪忍袋(かんにんぶくろ)ぬふべかり 00072910L3けれ△S木に竹の/無理(むり)をいふとも/そこ(底)が/親(おや)△いハして/おけ(桶) 00072920L4よ/たが(箍)笑ふらむ。此とほりだから、しんばうおしヨ△Sし 00072930L5んばうをしても、たまに/芝居(しバゐ)へでもゆかれると/張合(はりあひ)がある 00072940L6けれど、/年(ねん)ぢうあくせくして、こんなにいそがしいめをし 00072950L7てゐるばつかりたから、つまらないハ△Sヲヤ、大さうい 00072960L8ゝ/着物(きもの)が/出来(でき)るねへ△Sアノこりやア、/店(たな)のおかミ(五オ) 00072970L9さんが、あした弐町目へ/着(き)て/行(ゆく)のだから/是非(ぜひ)/間(ま)に/合(あハ)せて/呉(くれ) 00072980L10と、ぬひによこしたのだが、あくびばかりでて、さつぱり 00072990L11/埒(らち)が/明(あか)ないハ△Sそれでも/大畧(たいがい)、ぬひあがりのやうだね△ 00073000L12Sナアニ、/出来(でき)たのハふき/計(はか)りサ△Sヲヤ、だうりこそ、 00073010L13/あきた(秋田)のたよ 00073020¥N5¥J 00073030¥X題△よしの山△梅△毛ぬき△¥Aかつしか猿里 00073040L16/時(とき)に/息子(むすこ)、/造(つく)り/花(ばな)の梅ばかりこしらへるね。/天王(てんわう)さまかへ。 00073050L17むすこSイヽヱ。/是(これ)ハ四月廿五日ハ/菜種(なたね)の/御供(ごくう)とて、天神 00073060L18さまのお/祭(まつり)のよ△Sしかしながら、此せつハ/紙(かミ)がたかいか 00073070L19らおこまりだらうね△むすこSさやうサ。その内でもよし 00073080L20のかミが、きれものでこまりきり升。わたしハ/此間(このあひだ)うち、 00073090M1せう+/都合(つがう)がよかつたから、よしのをやまほど/仕込(しこ)んで 00073100M2おいた(五ウ)から、大キに/助(たすか)りサ△Sコヲ、おめへのつか 00073110M3つてゐるのハ、/竹(たけ)の/毛抜(けぬき)かへ△Sばかをいひねへナ。これ 00073120M4ハ花のしべを/付(つけ)る/道具(だうぐ)よ△Sそれぢやア竹のけぬきぢやア 00073130M5ねへのか△Sしかしながら、竹の毛ぬきても/能(い)イのサ。花 00073140M6の毛をぬくから/花鑷(はなけぬき)でもいゝのサ△Sそんなにせいだして、 00073150M7又ミんな、よしハらの/生(いき)てゐる/花(はな)へはこバねへがいゝぜ△ 00073160M8Sそれハ/大丈夫(たいぢやうぶ)サ△Sナニ、あやしいぜ△Sそんな事ハね 00073170M9へ。かんがへても見ねへ。せつ+いつてミねへナ。しや 00073180M10うばいものゝはなでもおとしちやア、くへねへハナ。又第 00073190M11一、つくり花だから、ミがもてやせん 00073200¥N6¥J 00073210¥X題△芝居△狂哥△あくび△△△¥A古鳥羽南麻呂 00073220M14/物事(ものごと)を/気(き)にかける/俳優(やくしや)、一の/谷(たに)に/熊谷(くまがへ)の/役(やく)が/付(つき)、/陣屋(ぢんや)の/場(ば) 00073230M15(六オ)/惣浚(そうざらひ)の/時(とき)、/家根(やね)うらから/鼠(ねづミ)のふんがあたまの上へ/落(おち) 00073240M16升と、/例(れい)の大かんぺきにて、モウ/帰(かへ)ると申シ升ゆへ、/本(ほん)を 00073250M17/扣(ひかへ)てゐた/作者(さくしや)、Sモシ/親方(おやかた)。/惣浚(そうざらひ)に/座頭(ざがしら)のあたまへ/鼠(ねづミ)のふ 00073260M18んの/落(おち)たのハ、めで/度(たい)でハ厶り升ぬか。/去殿様(さるとのさま)が正月/御登= 00073270M19城(ごと=じやう)の時、/直垂(したゝれ)へ/鼠(ねづミ)が/小便(せうべん)をかけ/((ま脱カ))した所が、/殿(との)にハ/殊(こと)の/外(ほか)/気(き) 00073280M20にあそバすと、/彼蜀山人(かのしよくさんじん)が、/鼠(ねづミ)めが/天井人(てんじやうびと)の/真似(まね)をして 00073290¥P275 00073300L1したゝれかゝる/四位(しゐ)の/少将(せう+)、ト/詠(よミ)ましたが、はたして/其暮(そのくれ)、 00073310L2/四位(しゐ)の/少将(せう+)に/昇進(せうしん)あそバしたとの事。/糞(ふん)にハこやすといふ 00073320L3/訓(くん)もあり、すこぶる/吉瑞(きちずゐ)で厶り升と、大/油(あぶら)にきげんも/直(なほ)り、 00073330L4けいこにかゝりて、十六年ハ一トむかしといふ所で、おは 00073340L5やしがあくびを致升と、又+大はらだちにて、ぜひ+ 00073350L6/帰(かへ)ると申升ゆへ、/例(れい)の/狂言方(きやうけんかた)が、(六ウ)Sモシ、これも/吉= 00073360L7瑞(きち=ずゐ)で厶り升。あくびにハ/南無阿弥陀仏(なむあミだぶつ)といふがつきものゆ 00073370L8へ、/発心(ほつしん)の/場(ば)にあくびハ/打(うつ)て/付(つけ)。/川柳点(せんりうでん)にも、クサメには 00073380L9/悪(あく)たくあくびにハ/念仏(ねぶつ)、とか申ので厶り升と、/此利(このり)に/少(すこ)し 00073390L10きげんも/直(なほ)りしところ、/彼狂言方(かのきやうげんかた)がクサメをして、くそ 00073400L11をくらヱ。此時/座頭(ざがしら)ぬからぬ/顔(かほ)で、S又こやしにでもなり 00073410L12升か 00073420¥N7¥J 00073430¥X題△よしの山△梅△毛ぬき△△△¥A山閑人交来 00073440L15●S目に/青葉(あをば)/山時鳥(やまほとゝぎす)/初松魚(はつがつほ)。/何(なん)といゝやうきに成たぢやア 00073450L16げへせんか△▲S時に/袷(あハせ)をこしらへやうと/思(おも)ふが、三ツ井 00073460L17や/大丸(だいま)でもありやすめへ。/鳥渡(ちよつと)した/下直(げちよ□)な見せハありやせ 00073470L18んかネ△●Sさやうサ。仲町のよしのやハどうでごぜへス△ 00073480L19▲Sモウ四月となつちやア、よしのやでもありやすめへ。 00073490L20花がねへの(七オ)●Sそこが山サ。花があつちやア/俗人(ぞくじん)が 00073500M1/多(おほ)ふげす。/葉桜(はさくら)も又ひねりでごぜへす△▲Sなるほど、公 00073510M2のいふとほりだ。夫ぢやアよしのゝ事ト、仲町にいたり、 00073520M3よしのやにていろ+/反物(たんもの)を見て、●Sどうも/縞縮緬(しまち)もき 00073530M4ざでげす。あめりか/唐桟(たうざん)もおそるべだ。めいせんでもねへ。 00073540M5そこへでたのハ/何(なん)でげす。なんだ、/青梅(あうめ)だへ。こりやアい 00073550M6ゝ。/青(あを)イといふのハ、こつちのはたけにやアねへが、梅ハ 00073560M7すゐといふから/青梅(あうめ)ときめやせう。/裏(うら)ハお/定(さだま)りの花色/絹(きぬ)サ。 00073570M8そこで仕立ハ/極(ごく)/念(ねん)をいれてくだつし。/着物(きもの)の/仕(し)たてがわり 00073580M9いと、/気(き)のきかねへものだ。一寸あそびにいつても、/相方(あひかた) 00073590M10に/鼻毛(はなげ)をよまれぬやうな/仕立(したて)にたのミやすト、あつらへて 00073600M11/帰(かへ)りけるが、一両日/過(すぎ)て仕立出来上り、よしのやの/子僧(こぞう)/持= 00073610M12参(ぢ=さん)なしけれバ、よく+見て、(七ウ)Sこりやアよくでき 00073620M13やした。しかし、なんぼ/袷(あハせ)でも/裾(すそ)のふきがすこしも/出(で)ねへ 00073630M14の△子Sさやうで厶り升。はな毛をよまれぬやうにとの事 00073640M15で厶り升から、/裾(すそ)ハ/毛(け)ぬきあハせにいたし升た 00073650¥N8¥J 00073660¥X題△よしの山△梅△毛ぬき△△△¥A甘&坊凹得 00073670M18S/腕(うで)へとげをたてたが、/貴(き)さまの/毛抜(けぬき)を一寸かしてくんな 00073680M19せへ△Sハイ+、おやすい御用で厶り升。どうなされて 00073690M20お立被成升た△S/庭木(にハき)をかりこまふとしてサ△Sさぞいた 00073700¥P276 00073710L1ミ升うねへ△Sどうもちく+してならぬ△Sモシ、うで 00073720L2がいたくバよしのへござれサ△Sハヽヽヽ、それハなんと 00073730L3いふしやれのつもりだ△S梅が見たくバトいふ事サ△Sこ 00073740L4れハけしからぬ。よしのやまに梅があるものか△Sそれ 00073750L5てハ、/腕(うで)がいたくバ/龍田(たつた)へござれ、かね△Sこれハ/大変(たいへん)な 00073760L6(八オ)くひちがひやうだ△Sくひちがふなら、ほかの毛ぬ 00073770L7きをつかふてごらんなされ 00073780¥N9¥J 00073790¥X題△芝居△狂哥△あくび△△△△¥A福阿弥扇夫 00073800L10S芝居の/見功者(ミごうしや)に/見連(けんれん)といふのハ、どんな人たちで厶り升△ 00073810L11Sあれハの、梅の屋さんが/世話(せわ)をして、おもに/狂哥(きやうか)の御連 00073820L12中サ△S/随分(ずゐぶん)いろ+きまりがあつて、見物するのでごさ 00073830L13い升うね△Sそりやアいろ+/規定(ぎぢやう)もあるし、殊に芝居を 00073840L14しんけんで見るから、役者も/一生懸命(いつしやうけんめい)だハナ。/実(じつ)に其御 00073850L15連中で、狂言中にあくびの一つもしやう物なら、/舞台(ぶたい)でそ 00073860L16ゝる人でも、かくべつ気をいれませう△Sイヤモ、もちろ 00073870L17んの事サ。高嶋やなんぞのやうに、/楽(らく)の日迄ましめに狂言 00073880L18をする人でも、その日ハ(八ウ)なほさらほねを/折(をる)さうだ 00073890L19Sさやうかね。そしてあの人ハ/骨(ほね)も/折(をり)ますし、わかい役者 00073900L20を大さうひきたてるでハございませんか△S引立るとも。 00073910M1/夫(それ)だから二丁目の太夫元なんぞハ、/近頃(ちかごろ)ぐつとうり/出(だ)した 00073920M2ハナ。そのうちにも/出来(でき)のよかつたのハ、ソレこゝが江戸 00073930M3といふ/名題(なだい)の明ぼの源太ヨ。/別段(べつだん)な事であつたぜ△Sモシ、 00073940M4アヽいふ役の時ハ、/定(さだ)めていろ+とをしへませうね 00073950M5Sをしへる所でハねへ。実にあのとき高嶋やの喜三郎ハか 00073960M6たうでになつたさうた 00073970¥N10¥J 00073980¥X題△芝居△狂哥△あくび△△△△△¥A田卜吟造 00073990M9芝居の/見物(けんぶつ)/打出(うちだ)して、中菊の/表二階(おもてにかい)。御宿下りの女中を/上= 00074000M10客(じやう=きやく)にして、/親類(しんるゐ)をさそひあハせし/大人数(たいにんず)の其中に、/役者(やくしや)、 00074010M11/木戸芸者(きどげいしや)、(九オ)/土地(とち)の/酌人(しやくにん)/打交(うちまじ)り、下女と子僧ハ次の間 00074020M12と、/爰(こゝ)もかしこもざゝめく中に、●Sモシ、とうしてもこ 00074030M13ちらと三丁目ハ、/若手(わかて)ぞろひで/景気(けいき)がよふござい升ね。け 00074040M14ふハ/見連(けんれん)の/見物(けんふつ)で、だいぶあなたのおちか付の/方(かた)がミへま 00074050M15したね△▲Sイヱ、見連も/私(わたくし)共の/親父(をやち)が/糸巻連(いとまきれん)で、/判者(はんじや) 00074060M16/披露(ひろう)もいたし、見連へも出て/居(ゐ)ました。夫で私も狂哥ハち 00074070M17つとづゝ出しましたのサ△◆Sヤ、ほんにさうでござい升 00074080M18たね。けふハ/酔中(すゐちう)の又/玉詠(ぎよくえい)をなんぞ/願(ねか)ひませう△▲Sイヱ、 00074090M19もうよめません。しかしおわらひぐさだ。なんぞ芝居に花 00074100M20とかなんとか/兼題(けんだい)を下さい。兼題をおだしなさいトしきり 00074110¥P277 00074120L1にすゝめると、次の間にゐる/子僧(こそう)が心のうちで、ヤレ+、 00074130L2せつかくミなさんがおあそびなさつてゐるのに、おれがだ 00074140L3んなハまた/義太夫(きだいふ)を(九ウ)かたるさうだ。にが+しいト、 00074150L4おもハず子僧ハあくびをする。わるひとたんに/旦那(たんな)ハふり 00074160L5むき、▲Sヤイ+長吉。なんでおのれハあくびをするの 00074170L6だ。けふハ/本店(ほんだな)はじめ/皆(ミな)さまも、このとほりお出なさるに 00074180L7/失礼(しつれい)千万。主人に/面皮(めんぴ)をかゝせをると、やつきとなつてお 00074190L8こる。子僧ハ手をつき、子Sハイ、/真平御免(まつぴらごめん)なさいまし。 00074200L9先こくから旦那さまがけんだいをだせ+とおつしやつて、 00074210L10又お/浄(じやう)るりが/出(で)ませうと思ひましたら、皆さまの/思召(おぼしめし)をさ 00074220L11つし升て、そこで/私(わたくし)がわれしらず、ヘイ 00074230¥N11¥J 00074240¥X題△芝居△狂哥△あくび△△△△¥A木のしら雪 00074250L14S御/隠居(いんきよ)さん。梅のやさんがなくなつたさうでござい升ね 00074260L15Sさうよ。をしい/狂哥師(きやうかし)をなくしてしまつた△S久しい芝 00074270L16居見で厶り升たが。/見(けん)れんも(十オ)あの人かぬけてハ、/古= 00074280L17実(こ=じつ)をいふものがございませんね△S/私(わたし)もよく梅のやとハ狂 00074290L18哥を/論(ろん)じたが、/詞敵(ことハかたき)をなくなし升た△S狂哥といへバ、 00074300L19/近(ちか)い/頃(ころ)どこの芝居を見ましても、/斯(かう)も/有(あら)うかといふ/引込(ひつこミ)の 00074310L20狂哥が/廃(すた)り升たね△Sとき+のはやりで/近年(きんねん)狂哥がすた 00074320M1つたゆへ、ミんな芝居でも/云(いひ)升ぬ△Sやくしやなそでも狂 00074330M2哥をよむのハ、/木場(きば)の/親方(おやかた)ばかりで厶り升たね△Sおまへ 00074340M3なぞハしんなさらないが、/向嶋(むかふじま)の/隠居(いんきよ)ハ狂哥がすきだつた 00074350M4S/是(こりや)アうまかつたじやア厶りませんか△S五代目ハほん 00074360M5ものサ。/花道(はなミち)のつらねといつて、/蜀山(しよくさん)・/真顔時分(まがほじぶん)の狂哥師 00074370M6だつた△Sぶたいでよんだ事があつたぢやアござりません 00074380M7か△Sそりやア向島へ隠居してから、六代目団十郎がさか 00074390M8い丁で/座頭(ざがしら)になる時、口上だけいひに出て、/毎日(まいにち)ぶたいで 00074400M9(十ウ)狂哥を/詠(よん)だ△Sそりやアどんな哥で厶り升た△S先 00074410M10/評判(ひやうばん)の哥が、/牛嶋(うしじま)をもう/出(いで)まじとおもひしに△/引出(ひきだ)され 00074420M11たるはなの/皃(かほ)ミせ△Sなるほど、これハおもしらう厶り升 00074430M12な△Sところが、すこぶる/長(なが)口上で、その跡が狂哥ゆへ、 00074440M13ある日ぶたいばんの/留場(とめば)がうつかりとあくびをして、ひや 00074450M14めしに成た事があつた△S芝居であくびハ/禁物(きんもつ)ゆへ、こり 00074460M15やアしくじりましたらう。其狂哥をよミましたのハ、/莚(むしろ)と 00074470M16いふ/字(じ)をかくはくゑんで厶り升か△Sナニ、むしろといふ 00074480M17/字(じ)を書のハ、そりやア二代目の/柏莚(はくゑん)。五代目のはくゑんハ、 00074490M18なんにもしらざると/書(かく)/向島(むかふじま)の/白猿(はくゑん)サ△Sヘヽヱ、向嶋の/猿(さる) 00074500M19で厶り升か。それじやアあくびを/仕(し)升たはづだ△Sそりや 00074510M20アなぜに△Sとめ/場(ば)も/秋葉(あきは)で厶り升たらう(十一オ) 00074520¥P278 00074530¥N12¥J 00074540¥X題△よしの山△梅△毛ぬき△△△△△¥A金星 00074550L3大和屋の/暖簾(のれん)を/認(したゝめ)て、よしのゝ花/盛(さかり)をおもひ/出(いで)し、/大雅(だいが)の 00074560L4/風流(ふうりう)を/平常(へいぜい)にしたふ/隠者(いんじや)あり。Sすゝとらず/門松(かどまつ)たてずも 00074570L5ちつかず△かゝる/家(いへ)にも/春(はる)ハ/来(き)にけり、と/一人(ひとり)/机(つくへ)のもとに 00074580L6ておこなひすまし、/小鏡(こかゞミ)に/打向(うちむか)ひ、/鼻毛(はなげ)を/抜(ぬい)てゐたりしが、 00074590L7ふと/鏡(かゞミ)の/裏(うら)を見やるに、梅の/花(はな)を/鋳(い)たるなれバ、S人しら 00074600L8ぬ/春(はる)や/鏡(かゞミ)のうらの梅。時ハ/少(すこ)しく/杉田(すきた)の/盛(さか)り。見すごさん 00074610L9ハ/本意(ほんい)なしと、/俄(にハか)に梅見る/心(こゝろ)になり、鏡と/毛抜(けぬき)を/持(もつ)たるま 00074620L10ゝ杉田にいたり、/茶店(さてん)に/休(いこ)へバ、茶やのあるじSこれハ江戸 00074630L11の先生さま、/当春(とうねん)もよくお/早(はや)く御見物でござい升△Sイヤ 00074640L12サ。今年ハかれこれの/俗用(ぞくよう)で、大きに/遅(おそ)く成升た。アノ久 00074650L13しぶりで/鼻毛(はなげ)を(十一ウ)/抜(ぬい)たせへか、/匂(にほ)ひが/別段(べつだん)じや。こ 00074660L14りやア/香(か)にむせて/鼻(はな)の/穴(あな)がむづ+するハ△Sモシ、其は 00074670L15づでござい升△Sなぜへ△Sまいねんあなたのお/噂(うハさ)をいた 00074680L16すじぶんにハSどうしたね△Sてうど/草芽(くさめ)が出升からさ 00074690¥N13¥J 00074700¥X題△よしの山△梅△毛抜△△△△¥A南阿弥芳幾 00074710L19/餅花(もちばな)や/鼠(ねづミ)の/目(め)にハよしの山、といふ/句(く)があるが、/斯(かう)/錺(かさ)つた 00074720L20/所(ところ)ハどうだ。Sしかし、こちらのはうハ、/鼠(ねづミ)の/目(め)にハ梅の 00074730M1花と見へ升△Sそりやア梅でもさくらでもいゝが、ねづミ 00074740M2につかれぬやうにようじんをしろと、/其夜(そのよ)ハふせりました 00074750M3が、/夜中(よなか)にがた+いたし升ゆへ、そりやこそついたぞ。 00074760M4/生捕(いけどり)にしろと、やう+つかまへ升たか、/殺(ころ)すのもかあい 00074770M5さうだから/迯(にが)してやらうが、此ひげハをしい物だ。(十二オ) 00074780M6これをとつてうるし/筆(ふで)にするといゝから、毛ぬきを/持(もつ)てこ 00074790M7いと、毛ぬきをとりいだし、右の/鼠(ねつミ)のひげを/抜(ぬき)ましたが、 00074800M8四五ほんぢやアしかたがねへ。もう二三疋ほしいものだ。 00074810M9又こん夜も餅花へかゝるだらう。Sイヤ、こんやハ餅花で 00074820M10ハとれ升めへ△Sなぜへ△Sねづミを取て筆にするなら、 00074830M11/まきゑ(蒔絵)がよからう 00074840¥N14¥J 00074850¥X題△芝居△狂哥△あくび△△△△△¥A河竹其水 00074860M14講釈場の定連▲Sモシ/先生(せんせい)。きのふハどこへお出だつた△● 00074870M15Sきのふハ/黒表紙連(くろびやうしれん)で、壱町目を/見物(けんぶつ)に/行(ゆき)ました△▲S天 00074880M16一/坊(ばう)ハいゝさうだね△●S高嶋やにおいてハ申ぶんハない 00074890M17が、/作者(さくしや)の/書手(かきて)がわるいから、/常覚院(じやうがくゐん)などハ/欠(あく)びが出升 00074900M18▲Sかうしやくやはなしのたねハ、芝居でするはうがぐツ 00074910M19と(十二ウ)おもしろくないものサ△●Sなんでも、だれこ 00074920M20ミさうなところへハくすぐりをいれて、あくびをさせねへ 00074930¥P279 00074940¥G(十三ウ・十四オ) 00074950M1やうにしなくつちやア、芝居ても/講釈(かうしやく)でも/客(きやく)をよぶ事ハ/出= 00074960M2来(で=き)ねへ△▲Sこの天一坊ハ、先生の心やすい河竹が/書(かい)たの 00074970M3だね△●Sわたしがをしへてやつたのだが、とうもかきか 00074980M4たが/気(き)にいらねへ△▲S先生ハ芝居からたのまれて、/作者(さくしや) 00074990M5になるといふ/噂(うハさ)があつたが、まだ/出勤(しゆつきん)をなさらないのかへ 00075000M6●Sならうかとおもつたが、まんぞくなもので/作者(さくしや)になる 00075010M7も/気(き)がきかねへから、よしました△▲Sまんぞくでハな 00075020M8られませんか△/▲((ママ))Sなられぬ事もないが、/先(まづ)/当時(たうじ)三座の/立(たて) 00075030M9ざくしやといふ/如皐(ぢよかう)が/鼻(はな)が/赤(あか)し、今/桜田(さくらだ)が/目(め)がをかしく、 00075040M10河竹ハ/吃(どもつ)て口がきけず、/左交(さかう)がつんぼうに成かゝりで/耳(ミヽ)が 00075050M11/遠(とほ)し。/一人(ひとり)としてまんぞくな(十三オ)(十三ウ・十四オ挿絵)も 00075060M12のかねへ△▲Sなるほど、はなに/目(め)に口に/耳(ミヽ)、よくそろひ 00075070M13升たね△●Sそこで作者をやめにして、梅の屋が/死(し)ンで/狂= 00075080M14哥師(きやう=かし)がないといふから、/近日(きんじつ)/狂名披露(きやうめいひろう)をして、狂哥師にな 00075090M15るつもりだ△▲Sほんに、先生ハ狂哥がうまいさうで厶り 00075100M16升△●S/番附(ばんづけ)に出る/程(ほと)だから、おさつしなせへ△▲Sどう 00075110M17か一ツしゆ、おもらひ申たいものだ△●Sあいにく一朱の 00075120M18持合せがないが、今席から/割(わり)をとつてきた/銭(ぜに)があるから、 00075130M19/上端(うハは)を付てあげ升う△▲Sナニ、お金ぢやアない。狂哥を 00075140M20/一首(いつしゆ)おもらひ申たいのだ△●Sそりやア/何(なに)よりお/安(やす)い御よ 00075150¥P280 00075160L1うだ。きのふ芝居を見てゐて/詠(よん)だのをあげませう△▲Sど 00075170L2ういふので厶り升△●S先芝居の作者ハ/医者(いしや)と/同(おな)じ事で、 00075180L3/古狂言(ふるきやうけん)を/調合(てうかう)して、見物にあくびをさせないやうに、/誰(たれ)ハ 00075190L4これ/彼(かれ)ハあれと、/利(きゝ)さうな/役(やく)をもる(十四ウ)ので、/生(いか)しも 00075200L5すれバ/殺(ころ)しもするのサ。そこてかういふ狂哥を/詠(よミ)升た。/医= 00075210L6者(い=しや)に/似(に)た下/手(た)な作者か手をかけて△やくしやをころす/匕(さち)と 00075220L7/筆先(ふでさき)。なんと、役者をかなで/書(かい)て/薬種(やくし)やとよませる所か、 00075230L8/宝井風(たからゐふう)/一家(いつか)の/口調(くてう)。/魯文(ろふん)・/有人(ありんど)などもやりますが、遠くお 00075240L9よバないことサ△▲Sなるほど。これハおもしろふ厶り升 00075250L10が、をしい事に、下手の手の字と、手にかけての手の字と 00075260L11/同字病(とうしひやう)で、やまひが厶り升な△●Sそのやまひがあるから、 00075270L12上の五文字に/医者(いしや)を/附(つけ)て/置(おい)たのだ 00075280¥N15¥J 00075290¥X題△芝居△狂哥△あくび△△△△¥A大笑坊銀尊 00075300L15芝居ものSネヱ申、/旦那(たんな)。三河屋の/親方(おやかた)の/一休(いつきう)ハゑらい物 00075310L16で厶り升。また/悟(さと)りの/哥(うた)などにハ、おもしろいのがあると 00075320L17いふ事でござり升。(十五オ)/夫(それ)でおもひ/出(だ)し升たが、/大千= 00075330L18住(おほせん=じゆ)の女郎てよく狂哥を/詠(よ)む女郎があり升て、/誰(たれ)いふとなく 00075340L19/名(な)を/宿(やと)屋の/飯盛(めしもり)と付て、大そうはやるといひやすが、ちよ 00075350L20つとしやれに、一トばん/哥修行(うたしゆぎやう)ハとうでこざいませう△旦 00075360M1Sそいつハ/妙(めう)だ。すぐにゆかふかと、/同道(とうだう)にて大千住の中 00075370M2/程(ほど)、かねてきゝおよびし/遊女屋(ゆうぢよや)へ上りければ、若いもの 00075380M3Sこれハよくいらツしやいました。おなじミさまで厶り升 00075390M4か△芝Sなアに、なじミぢやアねへが、こつちのうちに狂 00075400M5哥をよむ/女郎衆(ちようろしゆ)があるといふが、なんと/云(いふ)女郎衆だ△わか 00075410M6Sヘイ。おうたさんと申升△芝Sどうぞ其子を出してハく 00075420M7れめへか△若Sあひにく/用事(ようし)で/引込(ひつこん)でおいでなさいます 00075430M8芝Sか印てか△若Sイヱ、/風邪(かせ)で厶り升が、一つ/聞(きい)て見ま 00075440M9せうト下へおりて、よせ/場(ば)へゆき、(十五ウ)若Sモシおう 00075450M10たさん。よささうなおきやくで厶り升が、一ツ/出(で)てくださ 00075460M11いませんか△うたSおまへ、しつてゐるじやアないか。/風(かぜ) 00075470M12を/引(ひい)たうへ/血(ち)のミちで、あくびハ出(で)る。まして/初会(しよくわい)の座敷 00075480M13であくびが/出(で)ちやア、/客人(きやくじん)に/不興(ふきやう)だアネ。おまへ、いゝや 00075490M14うに/断(ことハ)つておくれな△若Sハイ、/畏(かしこま)り升たと/二階(にかい)へゆき、 00075500M15若Sまことに御/気(き)の/毒(とく)でハ厶り升が、かぜのうへならず、 00075510M16/血(ち)の/道(ミち)で/欠(あく)びが/出(で)升し、夫ゆへお/初会(しよくわい)でハ御不/興(きやう)にも/成(なる)か 00075520M17らと申シ升ゆへ、お/断(ことハ)り申升△旦Sそりやアこまつた物だ 00075530M18芝Sモシ/旦那(たんな)。/斯(かう)したらどふで厶り升う。なんぞ/即席(そくせき)に狂 00075540M19哥を書て/貰(もらひ)升て、夫をおミやげとハどうでこざいませう 00075550M20旦Sなるほど、それがいゝ。しかし/題(だい)を/出(たさ)ざアいけめへ。 00075560¥P281 00075570L1/題(たい)をきめやう。ハテ、なんにしたら(十六オ)よからう。珍 00075580L2らしい/題(かほ(ママ))がいゝ。ハテナ+。かんかへてゐるそばから、 00075590L3若いものSうなぎめしにでもなさいまし 00075600¥N16¥J 00075610¥X題△芝居△狂哥△あくび△△△△¥A菊の屋柳美 00075620L6/$(いとまき)/側(かハ)の見物/連(れん)、/幕(まく)の/間(あひた)の/雑談(さうたん)に、Sモシ/鰒(ふく)のやさん。 00075630L8/当時(たうし)の/狂言作者(たてつくり)ハ/脚色(しぐミ)ばかりぢやアなく、/万事(ばんじ)に心を用ひ 00075640L9ねへぢやア成やせんね。すべて役者にやくをふるにも、/六気(ろつき) 00075650L10の/配当(はいたう)をさだめておいて、/此者(このもの)ハ/赤口(しやつこう)が/得意(とくい)たとか、/彼者(かのもの) 00075660L11ハ/仏滅(ふつめつ)を用るとかいふことをせんさくして、その日に役を 00075670L12/持込(もちこむ)から、をさまらねへ役でも、先をさまるといふものサ。 00075680L13なんとこつたものぢやアねへか△Sイヤ、どうもほねのを 00075690L14れたものサ。ついて此/頃(ころ)ハ芝居/通(つう)が、はまらねへ役を/悪日(あくにち) 00075700L15(十六ウ)だといひやすが、そこらからでた/通言(つうげん)だらうね 00075710L16Sさやう+。時に今の高嶋やの役ハ、チトはまらねへぢ 00075720L17やアないか△Sわたしもさう思ひやした。大キに/悪日(あくひ)だね 00075730L18ト/咄(はな)しのきつかけに、中ぎくのわかいもの、Sヘイ、御た 00075740L19いくつさま 00075750¥N17¥J 00075760¥X題△よしの山△梅△毛ぬき△△△¥A春の屋幾久 00075770M3ある/客人(きやくじん)、/円朝(ゑんてう)の/所(とこ)へ/来(き)て/鮨(すし)をくひながら、客Sコウ、こ 00075780M4のさゝまきの寿しハ、けぬき寿しといふ/名(な)だが、/笹(さゝ)まきが 00075790M5とほり名になつて、/誰(だれ)もしつたものがない△円Sぜんた 00075800M6い、すしにけぬきといふ名ハ、どうしてつけましたらう 00075810M7客Sこりやア大かた、/喰味(くひあぢ)がよいといふのでつけたのだら 00075820M8う△円Sなるほど、そんな事でござい升うか△客Sツイ口あ 00075830M9たりがいゝ(十七オ)から、二ツ三ツやつたら、めつぽうはら 00075840M10がいたくなつてきた△円Sたべ合せてもわるくハ厶りませ 00075850M11んか△客S今しがた/鮒治(ふなぢ)で/飯(めし)をくつて/来(き)たが、たしか/鰻(うなぎ)と 00075860M12/鮨(すし)ハくひあハせだつた△円Sナニ、うなぎにわるいのハ/梅= 00075870M13酢(うめ=ず)で厶り升。すしの/酢(す)ハかまひ升ぬ△客S梅ハきらいだか 00075880M14ら、くつた事がない△円Sあんまりきらいな事もござい升 00075890M15まい。梅吉さんとさしで、/舟(ふね)といふのがあつたじやアござ 00075900M16いませんか△客Sマア、そんなはなしハ/跡(あと)にして、/熊(くま)の/胆(ゐ) 00075910M17でもかひにやつてくんねへ△円Sそれぢやア、ほんとうに 00075920M18いたう厶り升か。○ぽん太や+ト/円朝(ゑんてう)がよべバ、ぽん太 00075930M19といふ/弟子(でし)/出(いで)てきたり、ぽんSお/師匠(しせう)さん。なんだへ△円 00075940M20S/薬種屋(きくすりや)へいつて/熊(くま)のゐをかつておいで△ぽんSアイ+ 00075950¥P282 00075960L1トいひながら、/客(きやく)のそバへ/来(き)て、ぽんSどうしたのだへ 00075970L2客Sはらが(十七ウ)いたくつていけねへ△ぽんSなに、は 00075980L3らがいたいへ。はらがいたくバよしのへ厶れ。客ハあきれ 00075990L4て、ぽん太がかほをミて、客Sなるほど、はらがいたくハ 00076000L5よしのへござれと、でかしかほにいふ所ハ、じつにこれハ 00076010L6+とばかりだ△円Sこゝがぽん太の山でござり升 00076020¥N18¥J 00076030¥X題△芝居△狂哥△あくび△△△△△¥A可紫好以 00076040L9Sあすこの/旦那(たんな)のはなし/相手(あひて)にゆくのもいゝが、芝居と狂 00076050L10哥の/天狗(てんぐ)だから、/芍薬亭(しやくやくてい)の/撰(ゑら)んだ/時分(じぶん)の芝居/百首(ひやくしゆ)の手がら 00076060L11/咄(ばな)しを、いまだに/時&(とき※)うけさせられるのにハ、いつもなが 00076070L12らおそれやす。しかし、この頃ハふところも/世話場(せわば)なり、 00076080L13/其請(そのうけ)ちんの/腮(あご)がいゝからゆくものゝまくなしに/書抜(かきぬき)を/繰(くら)れ 00076090L14るので、/度&(たび+)/欠(あく)びをのんで(十八オ)/仕舞(しまふ)のも、くるしいも 00076100L15のサ。/実(じつ)にしやぎるか/御(お)くらにしてへ時があるヨ△Sさう 00076110L16いひなさんな。あくびがいくら/出(で)ても、むかふ/腮(あご)ハはづさ 00076120L17れめへ 00076130¥N19¥J 00076140¥X題△芝居△狂哥△あくび△△△△△¥A立川談志 00076150L20/春狂言(はるきやうげん)の大入に、西の下/桟敷(さじき)七八あたりに、/御殿風(ごてんふう)の見物 00076160M1三人/連(づれ)にて/扇(あふぎ)をひらき、S/是(これ)をよんで/御(ご)らうじろ。/右(ミぎ)をむ 00076170M2きひだりを/向(むい)て見物の△/入(いり)といふ/字(じ)に人といふ/文字(もじ)。なん 00076180M3と、/理(り)つめな狂哥でハござりませんか△となりの見物Sコレ、 00076190M4/茶屋(ちやや)の/若(わかい)イ/衆(しゆ)。となりの女中づれハ、しきりにしやべつて 00076200M5扇を出して、狂哥だの/理(り)づめだのと/言葉(ことば)もへんでわからね 00076210M6へ事ばかりいつて、そのくせ/幕(まく)が/明(あい)てもあくびをしてゐる 00076220M7が、アノ女連ハどこの客だか、/舞台(ふてへ)へさハるぜ△若Sアノ 00076230M8御/客(きやく)ハ中/菊(きく)の/御客(おきやく)で、(十八ウ)たしか佐/竹(たけ)の女中。御/国(くに)づ 00076240M9めのお/方(かた)さうに厶り升△見物Sナニサ、たゞの/国(くに)ものか。 00076250M10だうりで芝居がわからぬから、そこでミんなが/欠(あく)びをする 00076260M11のだ△連レSさうでハねへ。佐竹の客だから、あくびハく 00076270M12せだ△Sなぜ△Sミんな/秋田(あきた)だ 00076280¥N20¥J 00076290¥X題△芝居△狂哥△あくび△△△¥A仙阿弥みさを 00076300M15/或人(あるひと)/友達中(ともだちなか)カあしき所、/其頃(そのころ)市村座に/に((に衍))て、/橘薪水(きつしんすゐ)の/中直(なかなほ) 00076310M16り/舞台(ぶたい)にていたせしゆへ、/取扱(とりあつかひ)の人、右芝居見物にて、 00076320M17/双方(さうはう)/睦(むつま)しくせんとて、/催(もよほ)しの/当日(たうじつ)、/新幕(しんまく)にて大キに手間ど 00076330M18り、/皆(ミな)+退屈(たいくつ)致シ/居(ゐ)ると、仲人になりし/親父(おやぢ)、/先(せん)こくよ 00076340M19りやたらに/喰(く)つてばかりゐしが、これも大あくびをいたし、 00076350M20此間に狂哥/一首(ひとつ)いたしませうト、(十九オ) 00076360¥P283 00076370L1△△△是までのたんまりのまく/引返(ひきかへ)し 00076380L2△△△△/気(き)も/相肩(あひかた)のもとの/棒組(ぼうぐミ) 00076390L3△△△/膝(ひざ)とひざ/能(よい)/中(なか)むらの下さじき 00076400L4△△△△二けんつゞきのへだてたになし 00076410L5Sモシ、/夫(それ)ハ/真顔(まがほ)と/飯盛(めしもり)のむかしので厶り升といふト、又 00076420L6大あくびをして、Sそれゆへ、わしハ/食滞人(しよくたいじん)だ 00076430¥N21¥J 00076440¥X題△よしの山△梅△毛ぬき△△△¥A興阿弥有人 00076450L9/去富家(さるふか)の/隠居(いんきよ)、/春雨(はるさめ)に/降(ふり)こめられ、ある/軒下(のきした)に/彳(たゝづ)ミしに、 00076460L10/内(うち)より/皃(かほ)よき女房が、Sにハか/雨(あめ)にて、さぞかしおこまり。 00076470L11先こちらへと、上へ/通(とほ)し、やがて/薄茶(うすちや)をいだし升たが、其 00076480L12手まへ、なか+/拙(つたな)からず。/隠居(いんきよ)もほとんど/感(かん)ふくなし、 00076490L13S/失礼(しつれい)ながら、よしあるおかたの/隠(かく)れ/家(が)か。何にもせよ、 00076500L14おゆかしい/貴婦(あなた)の/名前(なまへ)、/御連夫(おつれあひ)の御名前をも/承(うけたまハ)りたいト 00076510L15(十九ウ)/問(とひ)かけられ、くだんの女ハ、ツト/立(たつ)て/庭(にハ)に/咲(さい)たる 00076520L16梅を/手折(たをり)、/鴬(うぐひす)のトいひかけて隠居が/前(まへ)へ/差(さし)出せバ、隠居も 00076530L17しバし/打(うち)あんじ、アヽわかり升た。/宿(やど)ハととハヾいかゞこ 00076540L18たへん、ト/仰(おほせ)らるゝ事か。そしてお前のお名前なりと、く 00076550L19るしからずバうけたまハりたいトいふに、女ハそこ/爰(こゝ)の引 00076560L20出しさぐりて、/毛抜(けぬき)を十ヲ隠居の前へ/差出(さしいだ)せど、其/意(ゐ)を/得(え) 00076570M1ずして/家(いへ)にかへり、/彼(かの)本/阿弥(あミ)/光悦(くわうゑつ)に有し/次第(しだい)をものがたれ 00076580M2バ、光Sそれこそ御/子息(しそく)/重孝(しけたか)どのゝ/隠(かく)れ/家(が)にて、其女こそ 00076590M3吉野太夫なりと/聞(きい)て、隠居/紹益(しやうゑき)ハ、Sさてこそ主人の名前 00076600M4をきいたとき、いかゞこたえんとのなそをかけた。しかし 00076610M5女の名を聞た時、毛抜を十ヲならべたのハ、どういふわけ 00076620M6であらう△光Sそれハ/毛抜(けぬき)の/十(と)ヲと(二十オ)いふなぞにて、 00076630M7よし野といふ事で厶り升う△Sさて+見あげた女だと、 00076640M8それより家/居(ゐ)も/立派(りつぱ)にしつらへ、/髪(かミ)のかざり、/衣類迄(いるゐまで)/眼(め)を 00076650M9おどろかすばかりなれば、/近所(きんじよ)のひやうばんに、Sあのま 00076660M10ア/枯木(かれき)/同(どう)やうにくすぶつてゐたよしのに、ふたゝび花を/咲(さか) 00076670M11せたのハ/誰(だれ)だらう。また外に/旦(だん)でも出/来(き)たのか△Sイヽヤ、 00076680M12/灰(はい)屋のをやぢたといふ事だ 00076690¥N22¥J 00076700¥X題△よしの山△梅△毛抜△△△△¥A綾阿弥岸雄 00076710M15/元禄(げんろく)の/頃(ころ)の/連(れん)中に、/暑(しよ)中に/雪(ゆき)の/会(くわい)を/催(もよほ)し、/寒(かん)中に/涼(すゞ)ミの/遊(あそび)。 00076720M16又/木(こ)がらしの頃に杉田へ/会合(くわいがう)す。其中の梅干/親父(をやぢ)のいふに 00076730M17は、/杉田(すぎた)の/梅見(うめミ)もおもしろかつたが、又こんど吉野山のさ 00076740M18くらハどうだらうと/企(くハだて)る人ありけれども、よしのハ/遠(ゑん)路な 00076750M19り。しかしながら(二十ウ)せつかく思ひ付た物だから、/英(はなふさ) 00076760M20/一蝶(いつてふ)の/名筆(めいひつ)にて、/木枯時分(こがらしじふん)のよし野の気色を/書(かい)てもらひ、 00076770¥P284 00076780L1是を/詠(なが)めて、おの+/桧笠抔(ひのきかさなと)/旅支度(たびしたく)のこしらへにてうちよ 00076790L2り、哥なとよまんト/直(すぐ)に一蝶のもとにゆき、此事をたのミ 00076800L3けるに、一蝶も/誠(まこと)に/当惑(たうわく)ハしたれども、何かおもひ付たる 00076810L4事ありて、筆をとり、/画(ゑ)きぬへ大きな/毛抜(けぬき)を一つ書てつか 00076820L5ハしたか、連中これを見て、おの+合点ゆかず、/此意(このゐ)を 00076830L6一蝶に/問(と)ふもざんねんなりとて、/其角(きかく)にこれを/問(とひ)けれバ、 00076840L7其角一ト/眼(め)見て、Sハヽア、これハおもしろいといふゆへ、 00076850L8Sどういふ心でござりませうときけバ、其S/木(こ)がらしじぶ 00076860L9んだから△Sへヱヽ△Sはなけハないといふ事でござらう 00076870L10(廿一オ) 00076880¥N23¥J 00076890¥X題△芝居△狂哥△あくび△△△△¥A春風亭柳朝 00076900L13Sサテ、/此間(このあひだ)の芝居によせる狂哥/合(あハせ)。どふぞ今日/御出詠(こしゆつゑい)を 00076910L14ねがひ升△Sイヤ、/朝(あさ)からつくへにかゝつてかんかへてゐ 00076920L15るが、どうも/案(あん)じがつきませんで、とんとこまり升テ。そ 00076930L16れにとういふ事か、かんがへやうとすると、/兎角(とかく)/持病(ぢびやう)のあ 00076940L17くびか出て成ません△Sだうりこそ、/催主(もよほしぬし)が/貴君(きくん)の事を、 00076950L18/寐(ね)ぼけ口/調(てう)だと申升た 00076960¥N24¥J 00076970¥X題△芝居△狂哥△欠び△△△△△△△¥A夜梅 00076980M1/風雅(ふうが)な/友達(ともだち)が/寄合(よりあひ)まして、▽S梅の屋大人か/故人(こじん)になり、 00076990M2をしい事をしたノ。しかしあのくらゐ名を/得(う)ツてゆけハい 00077000M3ゝノ△○Sうつたとも。そして/現在(げんざい)の/時(じ)ぶんにハ芝居がす 00077010M4きたツけのう△▽Sすきどころか(廿一ウ)/大好(だいすき)だつた。/皆(ミな) 00077020M5人がしつてゐらア△○Sこんどハじふんがお/名残(なこり)に/成(なつ)たと 00077030M6いふもんだの△▽Sさうよ。そこで/辞世(じせい)の狂哥を/聞(きい)たが 00077040M7○Sウンニヤ、しらねへ。なんといふのだ△▽Sおれもき 00077050M8ゝかじりだから、ほんとうにハおぼえねへが、たしかかう 00077060M9だつた。 00077070M10△△△つまづいた/最期(さいご)この/世(よ)を/暇乞(いとまこひ) 00077080M11△△△△駒のひま/行(ゆく)おくり/狼(おほかミ) 00077090M12とかいふのだ△○Sさうか。さすがハ大人だ/げ((ママ))あつて、し 00077100M13やれたものだの△▽Sまだ+しやれてゐる事ハ、りんじ 00077110M14うぎハも、よまい事をいはずに、おほあくびをしたぜ△○ 00077120M15Sさうか。それでなんでしやれてゐるのだ△▽Sしやれて 00077130M16ゐるだらうじやアねへか。/考(かんがへ)て見ねへ△○Sさつぱりわか 00077140M17らねへ。なぜだ△▽Sモウ七十にもなるから、/此世(このよ)にあき 00077150M18たのだ(廿二オ) 00077160¥N25¥J 00077170¥X題△芝居△狂哥△あくび△△△△△¥A深川梅園 00077180¥P285 00077190L1芝居がへりの二人づれ、くらまへ/通(どほ)りを/咄(はな)しながら、▲Sど 00077200L2うも弐丁目ハよく/大入(へゝる)でハねへか。あの/座組(ざくミ)なら、今年ハ 00077210L3なにをしてもいゝ。そのうへ/作者(さくしや)が/河竹(かハたけ)ときてゐるから、 00077220L4/鬼(おに)に/鉄棒(かなぼう)た△●Sそこで又ゑんまと/鬼(おに)の/浄(じやう)るりを/出(だ)したの 00077230L5だらう。しかしありやア/多分(たふん)おくらだらうよ。アノ/一休(いつきう)さ 00077240L6まが、/聞(きゝ)しより見ておそろしき/地(ぢ)ごくかな、トいふと、音 00077250L7羽屋がなんとかいつたツけなア△▲Sいき/来(く)る人もおちざ 00077260L8らめやハサ△●Sよくおぼえて/来(き)たなア。ありやア/狂哥(きやうか)と 00077270L9いふのか△▲Sナニ、あれハさとりことばで、おめへたち 00077280L10にやアわからねへ△●Sさうか。おめへハ/禅(ぜん)かくとか/田楽(でんがく) 00077290L11とかをかぢるさうだが、なんぼ一休さまでも/肴(さかな)を/喰(くつ)たり 00077300L12(廿二ウ)/女郎(ちようろ)かひをしていゝといふ事ハ、ありさうもねへ 00077310L13ものだ△▲Sそりやア/凡夫(ぼんぶ)とハちかハアト、此男、/禅学(ぜんがく)を 00077320L14すこしやると見えて、いろ+むづかしき事をなが+ト 00077330L15はなしかけるゆへ、相手の男、大きによはり、あくびをし 00077340L16てゐると、▲Sそれ、かういふわけだからするのだ。一休 00077350L17さまが/無理(むり)ハあるめへトいへバ、又一ツあくびをして、● 00077360L18Sぢごくごもつともだ 00077370¥N26¥J 00077380¥X題△芝居△狂哥△あくび△△△¥A愚阿弥愚生 00077390M1S/素人(しろうと)芝居狂言へさそハれてまゐり升たか、あくびが出て 00077400M2/困(こま)りました。そのうち/新口村(にのくちむら)の/浄(じやう)るりで、/不斗(ふと)梅鶴翁(ばいくわくおう)の/両(りやう) 00077410M3ごくの狂哥合に、 00077420M4△△△S/桟橋(さんばし)に廿日/余(あま)りのそこり/汐(しほ) 00077430M5△△△△△二分/程(ほど)のこる梅川の/河岸(かし) 00077440M6トいふ狂哥を思ひ出して、/感(かん)に/堪(たへ)たか、/欠(あく)びが/止(とま)り升た 00077450M7(廿三オ) 00077460¥N27¥J 00077470¥X題△よしの山△梅△毛ぬき△△△△△¥A大辰 00077480M10Sコウ、よしの山へさくらを/見(ミ)に来たが、一本もねへナア。 00077490M11そしてばらばかりだア。せめて梅でもありやアいゝが、ば 00077500M12らじやアとげがたつよ△Sそりやアぬくつもりよ。とうし 00077510M13て。Sハテ、/毛抜(けぬき)があらア 00077520¥N28¥J 00077530¥X題△よしの山△梅△毛抜△△△△△△¥A一徳 00077540M16/風流人(ふうりうじん)、/吉野(よしの)の/花(はな)を見んと、/友(とも)一人をさそひ、よしのいた 00077550M17つて外よりはやきゆへ、三月はじめに/彼地(かのち)へ/至(いた)り、/桜本坊(さくらもとばう) 00077560M18の/案内(あんない)にて、/蔵王堂(ざわうたう)・/如意輪寺(によいりんじ)・/西行(さいぎやう)のとく+の/清水(しミづ)、 00077570M19/其外(そのほか)しよ+を/見廻(ミまハ)る/所(ところ)、一ト目千本のよしのハまだ一向 00077580M20花ハ見えず。こゝやかしこの/山蔭(やまかげ)に梅の花ハ今を/盛(さか)り。両 00077590¥P286 00077600L1人きもをつぶし、▲Sなんと(廿三ウ)ばか+しい。/今年(ことし) 00077610L2ハ/時候(じこう)もわるいけれど、さくらハまだ/首(くび)だしもしねへで、 00077620L3梅のさかりだ△Sしかし、梅とさくらハとなり/同士(どうし)、/紙(かミ)一 00077630L4ト/重(ゑ)といふやうなものだ△Sハヽア、それじやアやつはり、 00077640L5けぬき/合(あハせ)といふやうなものか 00077650¥N29¥J 00077660¥X題△よしの山△梅△毛ぬき△△△△¥A深川羽扇 00077670L8/骨董集(こつとうしう)に、/耳(ミヽ)の/垢取(あかとり)といふ事が厶り升が、/其(その)頃京の人の思 00077680L9ひ付にて、/鼻毛(はなげ)、/襟(ゑり)の/生際(はへきハ)をぬくと申事を/工風(くふう)いたした/愚= 00077690L10人(ぐ=しん)がござり升たが、/兎角(とかく)/群集(くんしゆ)のところでなふてハ/行(ゆか)ぬと、 00077700L11四条三条/辺(へん)をうながしてあるき升が、/丁度(てうど)/其頃(そのころ)、/嶋(しま)バらへ 00077710L12梅をうゑた事か厶り升たが、/雅(が)となく/俗(ぞく)となく/見物(けんぶつ)のやま 00077720L13を(廿四オ)なし升ゆへ、/例(れい)の/鼻毛抜(はなげぬき)も、ぶら+島バらへ 00077730L14出かけてゆくと、/全盛(ぜんせい)ならびなきよしの太夫、/早(はや)くも見付 00077740L15て、/客(きやく)の/鼻毛(はなげ)はよむのが/業(なりハ)ひなれど、わが/身(ミ)の/鼻毛(はなげ)ハ/終(つい)/夫(それ) 00077750L16なり。どうぞ/抜(ぬい)てもらひたいと、/流石(さすが)ハしやれたよしの太 00077760L17夫、鼻毛を抜てもらハんといふゆへ、毛ぬきの男もあまり 00077770L18のうれしさに、ツイ手がふるへて/肉(にく)をはさミしゆへ、よし 00077780L19のSアイタヽヽヽトいふにおどろき、/附添(つきそふ)人&、S此へげ 00077790L20たれめが。/何(なに)しくさる。/大切(たいせつ)の太夫さんに/疵(きず)を付をつたと、 00077800M1くち※にのゝしるを、よしのSイヱ+、さハいでおく 00077810M2れイなア。このきすをもとめたハ、毛をぬいたゆへじやト 00077820M3いふた(廿四ウ) 00077830¥P287 00077840¥U噺本大系△第十六巻 00077850¥T/雨夜(あまよ)のつれ※/三題咄(さんだいばなし)〔題簽〕 00077860¥G 00077870¥Y 00077880L16明治初年頃刊 00077890L17文福社著述 00077900L18長谷川小信画 00077910L19大阪△富士屋政七板 00077920L20中本一冊 00077930¥G(見返扉) 00077940¥P288 00077950¥G(一オ) 00077960¥N1¥J 00077970¥X○/曲水宴(きよくすいのえん)△○/癪(しやく)△○/茶碗酒(ちやわんざけ)△△△¥A秋廼家月丸 00077980M3○S/今日(けふ)は/曲水(きよくすい)のゑんをもよふすから、/其方(そのハう)も、てうだい 00077990M4いたすがよかろふ。/又(また)/盃(さかづき)はめんとうだから、/茶碗酒(ちやわんざけ)での 00078000M5め。/一寸(ちよつと)おさやうか△▽Sイヤ、これハ+ありがたいお 00078010M6しやくぢや。落Sいたミ/入(いり)升(一オ) 00078020¥P289 00078030¥G(一ウ・二オ) 00078040¥N2¥J 00078050¥X○/朝寐(あさね)△○/金(かね)△○/浄(じやう)る/理(り)△△△△△△¥A湖水 00078060M3S/先生(せんせい)。お/前(まへ)さまハ/朝寐(あさね)をして、/人(ひと)にはすこしのかし/付(つけ)で 00078070M4もなさい升が、/上(じやう)るりばかりで、/金子(かね)が/出来(でき)升かヱ△先生 00078080M5落Sナニ、/方&(ほう※)で/語(かた)つてくるのヨ(一ウ) 00078090¥N3¥J 00078100¥X○/水(ミづ)△○/武家(ぶけ)△○/暦(こよミ)△△△△△¥A数寄家△ろ竹 00078110M8/水茶屋(ミつぢやや)に/御武家(おぶけ)さまがこしをかけながら、侍Sコリヤ+ 00078120M9/亭主(ていしゆ)。ちよいと/暦(こよミ)をかしてくれぬか△亭Sヲヤ+、あや 00078130M10にく/持合(もちあハせ)ハこざいやせぬ△侍Sヲヽ、そりや/困(こまつ)た。ときに 00078140M11/今日(けふ)は廿九日か晦日かトたづねられて、/亭主(ていしゆ)、ハアハヽヽ 00078150M12と/笑(わろ)ふ。侍Sコリヤ+、/何(なに)を/笑(わろ)ふノダ△落Sそれでも、 00078160M13/御武家様(おぶけさま)が/大小(だいせう)わすれたもの(二オ) 00078170¥P290 00078180¥G(二ウ・三オ) 00078190¥N4¥J 00078200¥X○/夢(ゆめ)△○/三味(さミ)せん△○/軽(かる)わざ/師(し)△¥A長谷川小信 00078210M3妹S/姉(ねへ)はん。わたしや/夕部(ゆうべ)、/悪(わる)ひゆめを/見(ミ)ました△姉Sヲ 00078220M4ヤ、どんな/夢(ゆめ)じやヱ△妹Sだんなはんが/軽業師(かるわざし)になつて、 00078230M5わたしに/三味線(さミせん)/引(ひけ)といゝなさるのヨ△姉Sそりや/縁義(ゑんぎ)がい 00078240M6ゝわナ△妹Sそりやなぜナ△姉落S/客(きやく)か/身(ミ)を/軽(かる)くして、お 00078250M7/前(まへ)を/引(ひか)せるのヨ(二ウ) 00078260¥N5¥J 00078270¥X○/隅田川(すミたかハ)△○むらさき△○/亡魂(ぼうこん)¥A文廼家かしく 00078280M11○S/今度(こんど)/角(かど)の/芝居(しばゐ)に、/隅田川花御所染(すミだがハはなのごしよそめ)といふ/切狂言(きりきやうげん)に、/市= 00078290M12川(いち=かハ)/右団次(うだんじ)に/女清玄(おんなせいげん)。どふもうつくしひだねへカ△▽Sアノ 00078300M13/紫(むらさき)の/衣(ころも)をきたうつくしひ/尼(あま)さんが、なぜ/亡魂(ぼうこん)になるだろ 00078310M14ウ△○Sアリヤ/吉田屋(よしだや)の/松若(まつわか)といふおつこちに、ほれたか 00078320M15らヨ△落Sそれぢや/色(いろ)ゆへだネ(三オ) 00078330¥P291 00078340¥G(三ウ・四オ) 00078350¥N6¥J 00078360¥X○さんご/珠(じゆ)△○/焔魔(ゑんま)△○/近江八景(あふミはつけい)△¥A光林堂玉員 00078370M4禿Sおゐらん。なぜそんなにおふさぎなさい升△女Sこの 00078380M5/間(あいだ)、/主(ぬし)とかたい/約束(やくそく)をはな/瀬田(せた)に、/今(いま)に/粟津(あわづ)だから△禿 00078390M6Sヲヤ+、それぢや/其玉(そのたま)のかんざしを、/一寸(ちよいと)おかしト 00078400M7/畳算(たゝミざん)をして、禿Sコリヤ、/内(うち)の/焔魔(ゑんま)が/上方(かミがた)から/帰帆(きはん)だから、 00078410M8それで/主(ぬし)も、/夕鐘(ゆうしやう)を/聞(きひ)ちや/雪(ゆき)たいと/思(おも)ひ、/文(ふミ)にかき/雁&(かり+)も 00078420M9/届(とゞけ)たいといふ/気(き)だから、しつぽり/松(まつ)がいゝヨ△女Sヲヤ、 00078430M10なぜそんなにわかるのだヨ△禿落Sソリヤ/八景(はつけい)を/見(ミ)るもの 00078440M11(三ウ) 00078450¥N7¥J 00078460¥X○/大名(だいめう)△○/摺鉢(すりばち)△○/糊(の)リ△△△△¥A四季亭花悦 00078470M14/仙台(せんだい)さまの/奥御殿(おくごてん)に、/政岡(まさおか)がすり/鉢(ばち)で/糊(のり)を/摺(すつ)ていたるを、 00078480M15/家老(かろう)ハ/見(ミ)つけて、/政岡(まさをか)どの。それハ/何(なに)をしていさつしやる 00078490M16のぢや。/鶴千代君(つるちよきミ)にでも/上(あが)るのか。政Sインヱ、このお/日= 00078500M17和(ひ=より)に、/御殿中(ごてんぢう)へぬりつけ升のじや△▽Sそれは/又(また)なぜナ 00078510M18政落Sこれも/御家(おいへ)の/立(たつ)やうに(四オ) 00078520¥P292 00078530¥G(四ウ・五オ) 00078540¥N8¥J 00078550¥X○/辻占(つぢうら)△○/心(こゝろ)△○/風(かぜ)の/神(かミ)△△△△¥A珊瑚亭枝玉 00078560M3Sわつちもまア、/能(よい)お/客(きやく)がついて、/身(ミ)を/抜(ぬい)てやろうといふ 00078570M4たが、とんと/向(むか)ふの/心(こゝろ)がしれぬので、/此辻(このつぢ)うらではんだん 00078580M5して/見(ミ)たら、ヲヽうれし、こりや/引(ひか)せてくれるにちがひは 00078590M6なひ。そりやなぜといふたら、落S/風(かぜ)の/神(かミ)としてあるもの 00078600M7(四ウ) 00078610¥N9¥J 00078620¥X○/禿(かむろ)△○/酒(さけ)△○/蜆汁(しゞめじる)△△△△△△¥A比翼庵双蝶 00078630M10▽Sけふ/桑名(くわな)で、/蛤(はまくり)で一ぱいやつて/居(ゐ)るところへ、/禿(かむろ)と/見(ミ) 00078640M11へて、うつくしひ/女(をんな)が、わつきに/恋(こい)を/仕(し)かけたから、おら 00078650M12は、/蛤汁(はまぐりじる)なら/好(すき)だけれど、かむろはいやだといふに、○ 00078660M13Sなぜ、おいやでござい升ネ△▽落Sハテ、/蜆汁(しゞめじる)だから/骨(ほね) 00078670M14がおれる(五オ) 00078680¥P293 00078690¥G(五ウ・六オ) 00078700¥N10¥J 00078710¥X○/永代(ゑいたい)△○/走(はし)り/駕(むま)△○/釈迦(しやか)△¥A忍亭△宇加礼 00078720M3▽S/昨(きの)ふ/深川(ふかゝわ)から、/三(さん)まい/肩(かた)で/走(はし)らしたが、/一人(ひとり)の/駕屋(かごや)ハ 00078730M4/天窓(あたま)の/毛(け)がちゞんでいるから、/仇名(あだな)を/釈迦(しやか)と/付(つけ)られた/奴(やつ)た 00078740M5が、/永代(ゑいたい)まで/来(く)ると、/駕(かご)をおろして/酒手(さかて)をぐづるに、/仕方(しかた) 00078750M6なく一/朱(しゆ)/壱(ひとつ)ツ/出(だ)してやつたら、それを/取(とら)ずに/迯(にげ)おつたテ 00078760M7○Sソリヤ壱朱なら、/大禁物(だいきんもつ)だ△▽Sなぜダヨ△○落Sハ 00078770M8テ、/釈迦(しやか)におだい/場(ば)ぢやないカ(五ウ) 00078780¥N11¥J 00078790¥X○/堤(つゝミ)△○/異国人(ゐこくじん)△○/凧(いか)△△△△△¥A冠傾舎李舛 00078800M11▽S/今(いま)むかふの/堤(つゝミ)で、/異人(ゐじん)が/凧(いか)の/切(きれ)てとぶのを/見(ミ)るより、 00078810M12むやミにかけたして/迯(にけ)やしたヨ△○Sソリヤそのはづサ 00078820M13▽Sナゼだネ△○落S/紙風(かミかぜ)にちらさりや、おそれだヨ(六オ) 00078830¥P294 00078840¥G(六ウ・七オ) 00078850¥N12¥J 00078860¥X○/化物(ばけもの)△○/虱(しらミ)△○/仲人(なかうと)△△△△△△¥A薫庵梅里 00078870M3▽S/浅草(あさくさ)のおく山で、しらミと/亀井(かめゐ)のちよん/平(へい)と/大間違(おほまちがひ)が 00078880M4出来て、/花川戸(はなかハど)の/助六(すけろく)が/仲人(ちうにん)に/這入(はいつ)ても、しらミはなか 00078890M5+/承知(せうち)しないから、▽Sコウ、しらミ。/手前(てめへ)ハナゼ、そ 00078900M6んなにいばるのだトいへバ、○落Sしれた/事(こと)サ。/親分(おやふん)の/地= 00078910M7内(ち=ない)ダ(六ウ) 00078920¥N13¥J 00078930¥X○/天狗(てんぐ)△○/朝戻(あさもど)り△○/梅(うめ)の/木(き)△¥A不両劔竹丸 00078940M10S/天狗(てんぐ)は/女郎買(ぢよろうかい)に/居(ゐ)て、/朝戻(あさもど)りと見へて、ぶら+/帰(かへ)る/道(ミち) 00078950M11にて、/塀越(へいごし)に/梅(うめ)の/花(はな)の/出(で)てあるを/見(ミ)て、/俄(にハか)に/迯出(にげだ)したが、 00078960M12あんなに/梅(うめ)がこわいのカ。ハヽン、/其(その)はづサ。落/花(はな|鼻△)の/兄貴(あにき) 00078970M13だもの(七オ) 00078980¥P295 00078990¥G(七ウ・八オ) 00079000¥N14¥J 00079010¥X○/吉原(よしハら)△○/赤衿(あかゑり)△○/大仏(だいぶつ)△△△△¥A御重亭鯛& 00079020M3S/大仏(だいぶつ)さまが/東京(とうけい)/吉原(よしハら)へかよひつめ、/赤衿(あかゑり)になじミけれバ、 00079030M4/殊(こと)に/奈良男(ならおとこ)といひ、/田(た)もやろ、/畦(あぜ)もやろ、/土産(ミやげ)にはさらし 00079040M5たくさん。落S/南都(なんとう)いゝお/客(きやく)ダ(七ウ) 00079050¥N15¥J 00079060¥X○/吃(ども)△○/煙草盆(たばこぼん)△○/番頭(はんたう)△△△△¥A朝日庵主鶴 00079070M8/爰(こゝ)に/芝居好(しばいずき)の/内(うち)へ、/吃(ども)のすつぽん/売(うり)が/来(き)て、▽Sスヽヽヽ 00079080M9ヽヽポントいふ。/番頭(ばんとう)はこれを/聞(きひ)て/身(ミ)をかまへ、○S/今(いま)う 00079090M10ちし/鉄炮(てつぽう)な、/陰(いん)にはづれ/陽(よう)にはなれ、/筒(つゝ)に/音(ね)あつて/向(むかふ)に/音(おと) 00079100M11なしト、かぶき/詞(ことバ)にいふと、/吃(ども)は/番頭(ばんたう)の/顔(かほ)を/見(ミ)て/指(ゆび)をさし、 00079110M12▽Sスヽヽヽトいふたりや、/丁児(でつち)が/煙草盆(たばこぼん)を/持(もつ)て、落S/岩(いわ) 00079120M13に/水(ミづ)からばん/附(づけ)(八オ) 00079130¥P296 00079140¥G(八ウ・九オ) 00079150¥N16¥J 00079160¥X○/竹筏(たけいかだ)△○/猩&(せう※)△○/哥(うた)△△△△△¥A養生庵瀧人 00079170M3▽Sコフ、/珍(めづ)らしひ/事(こと)があるヨ。/猩&(せう※)が/竹筏(たけいかた)に/乗(のつ)て、/沖(をき)へ 00079180M4/漕(こぎ)出して/哥(うた)をよんだのサ△○Sなんといふ/哥(うた)ダ△▽S/田子(たご) 00079190M5の/浦(うら)にうち/出(いで)てミれバ/白(しろ)たへの△○Sナニ、/馬鹿(ばか)いふ/奴(やつ)だ 00079200M6ネ△落Sテモ、/赤(あか)い/人(ひと)だもの(八ウ) 00079210¥N17¥J 00079220¥X○/奴(やつこ)△○おゐらん△○/鳥(とり)△△△△¥A東京亭紫光 00079230M9奴S/御旦那(おだんな)が、おゐらんをお/屋敷(やしき)へつれだちてもどれとの 00079240M10/事(こと)ゆへ、/只今(たゞいま)/御(お)むかいに/来(き)ました△おいらんSコレ/奴(やつこ)さん。 00079250M11ぬしのことだから、/往(いき)たくて/飛(とび)たつやうにハおもへども、 00079260M12いけなひヨ奴Sなぜだネ△落S/篭(かご)の/鳥(とり)じやもの(九オ) 00079270¥P297 00079280¥G(九ウ・十オ) 00079290¥N18¥J 00079300¥X○/鶏(にわとり)△○/昼寐(ひるね)△○すげ/笠(がさ)△△△¥A不破の家△里関 00079310M3/講中(かうぢう)/打寄(うちより)、/去(さる)ル/妾(てかけ)の/内(うち)へは/入(いり)、/鳥渡(ちよつと)/御頼(おたのミ)申升。アヽこりや、 00079320M4/昼寐(ひるね)と見へる。モシ+。妾Sハイ+、どなた/様(さま)で厶り 00079330M5升△講中Sこの/度(たび)/太神宮(だいじんぐう)へ/鶏講(にハとりこう)を/仕(つかまつ)り升/故(ゆへ)、/御近所(ごきんじよ)/御一= 00079340M6統(ごいつ=とう)の/事(こと)なれバ、/宜(よろ)しふ/御頼(おたのミ)申升。/此(この)すげ/笠(がさ)ハ/講元(かうもと)の/目印(めじるし)で 00079350M7厶り升。/又(また)/御一人前(ごいちにんまへ)がかねハ百/疋(ひき)で厶り升△妾Sそれハ/折= 00079360M8角(せつ=かく)ながら、/御断(おことハり)申し升△講Sなんでじや△落Sハイ、/鶏(にハとり)と 00079370M9かねとには、モフ+これ/迄(まで)にこりました(九ウ) 00079380¥N19¥J 00079390¥X○/夜桜(よざくら)△○/法師(ほうし)△○/鎗(やり)△△△△△¥A弥生亭花人 00079400M12/西行法師(さいぎやうほうし)が、いに/調子(でうし)にて、ウタS/夜(よ)ざくらや、うかれ 00079410M13+てとうたふた/所(ところ)が、/聞人(きゝて)が/鎗(やり)をいれやがつたなれど、 00079420M14/中(なか)+こたへネイ。ウタSすいもぶ/酔(すい)もと、やりかけるか 00079430M15ら、なぜだろうとたつねたら、/鎗(やり)はこたへぬはづサ。落 00079440M16Sふじ/身(ミ)だもの(十オ) 00079450¥P298 00079460¥G(十ウ・十一オ) 00079470¥N20¥J 00079480¥X○/鏡台(きやうだい)△○/丁児(でつち)△○/出替(でかハ)り△△△¥A松寿亭道丸 00079490M3女Sコレ/岩松(いわまつ)とんへ。/御気(おき)のどくたネ。おまへばかりに/鏡= 00079500M4台(きやう=だい)を/持(もた)せて△丁稚Sナニ、これはあたりまへだヨ。/鏡台(きやうだい|兄△△弟△)ハ 00079510M5/他人(たにん)のはじまりだから、かまハぬヨ△女Sソリヤはゞかり 00079520M6ヨ。そして/向(むかふ)にのぼりの/立(たつ)てあるのハ、/何(なに)さまだヨ△丁稚 00079530M7Sありや、おきよどん。/稲荷(いなり)だヨ△女落Sアヽよい/親方(おやかた)だ 00079540M8ネ(十ウ) 00079550¥N21¥J 00079560¥X○/仙人(せんにん)△○/須磨琴(すまごと)△○/猿(さる)△△△△¥A梅花堂雪芳 00079570M11○Sきのふ山へ/往(い)た/所(ところ)が、むかし/猿(さる)が/嶋(しま)にて/敵討(かたきうち)をした/桃= 00079580M12太郎(もゝ=たろう)が/仙人(せんにん)と/成(なつ)て、/岩(いわ)の/上(うへ)に/須磨琴(すまごと)をかきならして/居(ゐ)たか 00079590M13ら、お/前(まへの)やうに/長生(ながいき)をするハ、なせたといつたら、不/老(ろう) 00079600M14不/死(し)の/喰物(くいもの)が有といふから、一ツくれといふたら、一ツは 00079610M15やられぬ。/半分(はんぶん)やろといふから、/手(て)に/取(とつ)て見れバ、きひ/団= 00079620M16子(だん=ご)であつた△▽Sソリヤよゐ物をもろふた△○Sナゼ△落 00079630M17S/日本一(につぽんいち)だ(十一オ) 00079640¥P299 00079650¥G(十一ウ・十二オ) 00079660¥N22¥J 00079670¥X○/無縁経(むゑんぎやう)△○/振袖(ふりそで)△○わらび△¥A餘光亭藍光 00079680M3▽S申、お/正(しよう)さんへ。お/久(ひさ)し/振(ぶり)か。/中山参(なかやままい)り、さぞ/気(き)がは 00079690M4れてお/嬉(うれ)しふ厶ろうノウ△○Sヘイ+、そりやモフ+ 00079700M5/嬉(うれ)しひ/段(だん)ぢや厶り升ぬ△□S申、おぢやう/様(さま)へ。/日傘(ひがさ)をめ 00079710M6しませぬカ△○Sイヤ、/日傘(ひがさ)はうつとしうて、きらひじや 00079720M7わいナ△□Sそれでもあなたの/額(ひたへ)をごろうじませ。たいそ 00079730M8うやけて厶り升といふたら、/嫁(よめ)がぬからぬ/顔(かほ)して、落Sま 00079740M9たわらびきりにゆく(十一ウ) 00079750¥N23¥J 00079760¥X○/紫(むらさき)△○/遊女(ゆうぢよ)△○/都鳥(ミやこどり)△△△△△¥A菊慈堂真水 00079770M12/爰(こゝ)に/色修行(いろしゆぎやう)なす/藤兵(とうべい)へといふ/者(もの)、/去(さる)ル/青楼(ちやゝ)ニて、/尼出(あまで)の/遊= 00079780M13女(ゆう=ぢよ)と/立合(たちあい)なしけるに、/此(この)尼、/紫(むらさき)のぼうしなぞ/着(き)て、/中(なか)+ 00079790M14/手者(てしや)らしく見へけるゆへ、/色(いろ)修行の/男(おとこ)まがわるく、そつと 00079800M15/灯(ひ)を/消(け)しけれバ、尼Sけふハまことにお/寒(さむ)ひといふに、/彼= 00079810M16男(かの=おとこ)は、男Sそりや/其筈(そのはづ)よ。/是(これ)からくらがりにして、落S/水(ミづ) 00079820M17とりぢやもの(十二オ) 00079830¥P300 00079840¥G(十二ウ・十三オ) 00079850¥N24¥J 00079860¥X○/三味線(さミせん)△○/学者(がくしや)△○/犬(いぬ)△△△△¥A極道舎常楽 00079870M3▽S/今日(けふ)は/御日和(おひより)が/能(よい)から、/上野(うへの)へいつた/帰(かへ)りがけに、/湯= 00079880M4島(ゆ=しま)の/集(よせ)で、/兜軍記(かぶとぐんき)三ノ/口(くち)を/聞(きひ)てきましたヨ△○Sそれハ/妙= 00079890M5&(ミやう=+)。/其文句(そのもんく)はなんと申升△▽Sさやうサ△上るりS/三味線(さミせん) 00079900M6の/胴(どう)なる/事(こと)かしらねども、/思(おも)ひ/込(こん)だる/操(ミさほ)の/糸(いと)△○S/三曲(さんきよく)で 00079910M7/善悪(ぜんなく)がわかるとハ、/大(たい)へんな/学者(がくしや)だ。それにナゼ、/岩永(いわなが)が 00079920M8いばり升ヨ△落Sアリヤ/頼朝(よりとも)の/犬(いぬ)だもの(十二ウ) 00079930¥N25¥J 00079940¥X○/柳(やなぎ)△○/弁当(べんたう)△○/三番叟(さんばさう)△△△△△¥A旭亭弥鶴 00079950M11ぬき出し/両輪(りやうわ)の/柳(やなぎ)ごし、/別品(べつぴん)のお/家(いへ)さんが、Sこれ+お 00079960M12/喜代(きよ)。さううつむいたら、/弁当(べんたう)からお/汁(つけ)がたる。ヲヽいや 00079970M13らし。落Sまたしゝか(十三オ) 00079980¥P301 00079990¥G(十三ウ・十四オ) 00080000¥N26¥J 00080010¥X○/戎(ゑびす)△○ふぐ△○/夫男(まおとこ)の/子(こ)△△△△¥A小梅庵柳 00080020M3/子供(こども)が/集(あつま)りてあすんでいたる/所(ところ)に、/一人(ひとり)の/子(こ)、▽Sコウ/吉= 00080030M4公(きち=こう)。/手前(てまへ)がもつている/画草紙(ゑざうし)を/見(ミ)せな。なんだ。/戎(ゑひす)さまか 00080040M5ふぐを/釣(つり)ているネ△○Sソウサ。/手前(てまへ)と/一所(いつしよ)だ△▽Sなぜ 00080050M6ダ△落Sハテ、とゝがちがつている(十三ウ) 00080060¥N27¥J 00080070¥X○/芸者(げいしや)△○/葛家(くづや)△○/砂糖(さとう)△△△△¥A春廼家芝乃 00080080M9▽Sヲヤ、おまへも/指折(ゆびおり)の/芸者(げいしや)だが、/今(いま)ぢや/砂糖屋(さとうや)の/旦那(だんな) 00080090M10に/引(ひか)されて、けつかうなおくらしだと/聞(きゝ)やしたが、/見(ミ)りや 00080100M11/葛(くづ)やぶきで、/山家(やまか)の/住居(すまゐ)か、こりやどふしたわけだネ 00080110M12○Sその/旦那(だんな)がうるさくてならねへヨ△▽Sなぜだネ△落 00080120M13Sハテ、さとの/景(け□)をはなれて/居(ゐ)升ヨ(十四オ) 00080130¥P302 00080140¥G(十四ウ・十五オ) 00080150¥N28¥J 00080160¥X○/梅(うめ)の/花(はな)△○/荒神松(かうじんまつ)△○/二日酔(ふつかゑい)△¥A子日庵小松 00080170M4/梅(うめ)の/花(はな)と/荒神松(かうしんまつ)と/寄合(よりあい)て、/一盃(いつぱい)/呑(のも)ふと、/両人(ふたり)が/酒(さか)もり。/夜(よ) 00080180M5あかし/仕(し)た/所(ところ)が/二印(にじるし)ゆへ、梅Sときに/松(まつ)さん。/大(たい)さう/酔(ゑう)て 00080190M6もてなひから、/気(き)ばらしに/高津(かうづ)へいて、/湯豆(ゆどう)ふ/向(むか)い/酒(ざけ)と/出(で) 00080200M7かけうか△松S/梅(うめ)さん。わつちはいやヨ。テモ/貴(き)さまハ、 00080210M8/咲(さく)や/此花(このはな)と/難波(なには)の/顔役(かほやく)だから/面白(おもしろ)かろふが、わつちや/常(つね)に 00080220M9くすぼつて/斗(ハか)りゐて、とんとつまらねイ△梅Sヲヤ、/木公(きこう) 00080230M10は/位(くらい)ある/君(きミ)だ。/御製(ぎよせい)をしらないか。落S/高(たか)い/棚(たな)にあかつて 00080240M11いれバ/煙(けふり)たつ△たき火のかまとにぎわしひこと(十四ウ) 00080250¥N29¥J 00080260¥X○/雑巾(ぞうきん)△○/土瓶(どひん)△○/客煙管(きやくぎせる)△△△¥A鴬宿亭梅主 00080270M14Sある/大家(たいか)の/台所(だいどころ)に、/雑巾(ぞうきん)・/土瓶(どひん)・/客煙管(きやくきせる)の/色咄(いろはな)しを/立聞(たちぎゝ) 00080280M15したが、雑Sわたしらは/見付(ミつき)はきたなひけれど/巾相(ふくさう)ぢや。 00080290M16/此間(このあいだ)も/旦那(だんな)がつまんでゝおましたトいへバ、/土瓶(どひん)はあつう 00080300M17なつて、土Sそれがほんまなら、/御寮人(ごりやうにん)に/焚付(たきつけ)て/茶&(ちや+)/入(いれ)て 00080310M18こまそト、りんきするゆへ、きせるSわたしら、きれいに 00080320M19そうじ/仕(し)てあるけれど、落Sお/手(て)もかゝらせぬ(十五オ) 00080330¥P303 00080340¥G(十五ウ・十六オ) 00080350¥N30¥J 00080360¥X○/糸桜(いとざくら)△○/美人(びじん)△○お/多福(たふく)△△△¥A梅花庵小升 00080370M3▽S糸ざくらの/咲(さい)たところハ、なんと/美人(びじん)のすがたゞネ 00080380M4○Sヲヤ+、わちきヤおたふくダとおもふヨ△▽Sそり 00080390M5やなぜだヨ△○落Sよく/見(ミ)さんせ。どう見ても/花(はな)のひくい 00080400M6もの(十五ウ) 00080410¥N31¥J 00080420¥X○/下馬札(げばふだ)△○/合羽持(かつパもち)△○/湯豆腐(ゆどうふ)△¥A千歳庵鶴丸 00080430M10/下馬先(げばさき)で/合羽持(かつぱもち)が、あんかけ/豆腐(どうふ)を/買(かい)ながら、あやまつて 00080440M11/取落(とりおと)し、▽Sヲヤ+/大変(たいへん)だ。しかし此まゝに/捨(すて)おくも、 00080450M12もつていネイト/喰(くひ)かけるを、○Sコレサ。/手前(てめへ)も江戸ツ子 00080460M13でねへカ。そんな/気(き)まづい事をするから、/合羽(かつパ)/野呂(やろう)トいは 00080470M14れるノヨ△▽Sナニ、/爰(こゝ)ぢやかまハナイ△○Sナゼダ△▽ 00080480M15落S/知(し)れた事。/殿(との)さまでも、おひらいになる所ダヨ(十六 00080490M16オ) 00080500¥P304 00080510¥G(十六ウ) 00080520¥N32¥J 00080530¥X○/山吹(やまぶき)△○けんくわ△○/大弓(だいきう)△△△¥A鯱亭金羽 00080540L15▽Sけし合の大弓を引に/往(ゆき)やんしたら、どこだかしらぬ男 00080550L16にまけたので、/直(すぐ)と山吹いろの二歩金を/出(だ)したれバ、コリ 00080560L17ヤ国金だから、いけねイトいひやがるから、けんつくくわ 00080570L18したら、表の見ている/衆(しゆ)が、アリヤけんくわダ△○落Sナ 00080580L19ニサ、ゆひ/合(あハせ)だ(十六ウ) 00080590¥Q 00080600M2御折手本類@越前奉書より△|並奉書ニ至まて|画入永手本類|数品御座候@△錦絵類@極上物より并ニ|至までいろ+|取揃御座候△△@ 00080610M4御のし紙△@極上大形小形|并ニ切のし△|年玉物いろ+@△@絵半切|△状袋@△@波厂奉書|△いろ+@ 00080620M6絵本類△△@子供衆手遊物|歌本続きもの|小形本中形△|いろ+△△@△@其外千代帋江戸うた△△△|歌かるた色&仕入御座候間|多少二不限御用向奉希上候@ 00080630M7△△大阪心斎橋安堂寺町北へ入 00080640M8△△△△△△△冨士屋政七板 00080650¥P305 00080660¥U噺本大系△第十六巻 00080670¥T/昔咄(むかしばな)し△〔表紙〕 00080680¥G 00080690¥Y 00080700L17明治三年秋序 00080710L18さくら坊光斎序 00080720L19歌川小芳盛画 00080730L20中本一冊 00080740¥Y 00080750M1さて申上升。/相(あい)も/替(かハ)らず、/戯化(たわけ)ましたる義をちよつと一ト 00080760M2口つゝ/御聞(をんきゝ)に/入(い)れ/升(ます)るハ、/東(ひがし)のかたより$かや 00080770M4うなるまげのいさミ/衆(しう)がまへり升と、また/西(にし)のかたよりも 00080780M5$かやうなるまげの/人(ひと)がまへり升たる/所(ところ)が、/何(なに) 00080790M6かごど※といふ/内(うち)、けんくわになりましたゆへ、そのき 00080800M7んじよの/見世(ミせ)ハ/戸(と)を/引(ひく)やら、かふしをたてるやら、/大(おほ)さわ 00080810M8ぎとなりましたるところ、/南(ミなミ)のはうよりまた$ 00080820M10こんなまげの人がきまして、二人リの/中(なか)へはいり、さうは 00080830M11うをなだめ、やう※とあつかひ、(一オ)かくの$ 00080840M12ごとくに/丸(まる)くすミました 00080850M13△○これはずんど※/又(また)ずんどずいふん/古(ふる)きひいばアさんのその 00080860M14△△/婆(ば)アさんから、むかし+あつたとサの/次(つぎ)に/流行(はやり)し/仕方咄(しかたばな)し 00080870M15△△を、/寐物語(ねものがたり)に/聞(きゝ)しまゝを、序文にかへて/記(しる)すとしかいふ 00080880M17△△△△△△△△△△△△忍ケ岡市隠 00080890M18△△△庚午秋日△△△△△△△△さくら坊光斎述 00080900M19△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一ウ) 00080910¥P306 00080920¥G(二オ) 00080930¥N1¥J 00080940¥Xばけもの 00080950M3あるよ、ことのほかさむしきばん、てらまちへんを、ふへ 00080960M4をふき、あんまアピイ引ととふりけるが、かきねのうち、 00080970M5ざハ※といごき、大きなるにうどう、あんまのめのまへ 00080980M6にいでしところ、いさいかまわず、ピイ引とふへをふいて 00080990M7とふるゆへ、ばけものが、ヲイ、あんまさん。ミこしにう 00081000M8どう、ミこしだよトいゝけれバ、あんまきゝて、ヨイ+ 00081010M9ワイ+(二オ) 00081020¥P307 00081030¥G(二ウ・三オ) 00081040¥N2¥J 00081050¥Xゑしの先生 00081060M3かのうなにがしといふせんせい、ある日、ミはらしのよき 00081070M4山へゆき、けふハほとゝぎすのとぶ/所(ところ)をせううつしせんと、 00081080M5うちでしをつれて、べんとうなどやういなし、あさはやき 00081090M6よりまちたるところ、ひるすぎまでいちはもとバざるゆへ、 00081100M7おゝきにまちくたびれ、べんとうをとり(二ウ)いだし、 00081110M8はしをとると、あちらよりもこちらよりも、ほとゝぎすと 00081120M9びかふゆへ、こゝなりと、はしをおき、ふでをとるまに、 00081130M10もはやいづれへかとびゆきしゆへ、ヱヽざんねんなりと、 00081140M11またはしをとると、しきりになきわたる。いそいでふでを 00081150M12とるまに、ミうしなふたり。こんどハぜひうつさんと、い 00081160M13つしやうけんめいにそらをミつめいけるが、いちはもとふ 00081170M14らず。よつてたんそくなし、アヽ、むかしかのゝこはうげ 00081180M15んハ、すゞかの山にてふでをすてたるためしあり。われも 00081190M16こゝにてすてるとて、もちしどふぐをすてる/時(とき)、○せんせ 00081200M17いかけたか+(三オ) 00081210¥P308 00081220¥G(三ウ・四オ) 00081230¥N3¥J 00081240¥Xほとゝぎす 00081250M3コレさんや。アノうぐひすハどこ/ゑ((ママ))をいた。さんSうんに 00081260M4や、おごひすちうものハしりましない△女ぼうSあのせつ 00081270M5かいのことサ△さんSハア、わしらアとりのことだアとお 00081280M6もひ申たもの。それへこねへだ、けつけづりに、ばりばへ 00081290M7もつていにましたアから△女ぼうSヲヤまア、いかなこつ 00081300M8たとて、あきれた(三ウ)ものだのう、ヲホヽヽヽ。それで 00081310M9ハおとなりへいつて、ちよつとおかり申てきなトいわれて 00081320M10いでゝゆき、さんSハアゆるしなさろ。ちくとんべい、ほ 00081330M11とゝぎすちうものヲかしてくんせへ△Sなに、ほとゝぎす 00081340M12とハどんなものだへ△さんSソレ、しやくしのはんぶんに 00081350M13したもんだア△Sヱヽ、それハうぐひすのことだらう△さ 00081360M14んSうんにや、ほとゝぎすサ△Sなせ、ほとゝぎすだへ 00081370M15さんSそれでもミなさろ。てつぺんにかけてあるからサ 00081380M16(四オ) 00081390¥P309 00081400¥G(四ウ・五オ) 00081410¥N4¥J 00081420¥Xまんざい 00081430M3ミかハのくにより、うばぼうかうにいでたるをかゝへしに、 00081440M4こどもをねかしつけるに、しじうまんざいのふしにて、う 00081450M5ばSコノこハ、ゑアこだ、ねんねしな。それ、ねんねがも 00081460M6ほりイハ、どうけへゐた。あのやまこへて、さとへヱた。 00081470M7ハアねんころ+ねんねしな。このやごいへのたからもの 00081480M8ヲ、やれまつ(四ウ)しやらこや、まつしやらこ。ゑヱつ 00081490M9ぽんのはしらハゑちのヲミンや。にヱヽぽんのはしらハ二 00081500M10イのんミイやア、ヲヤ三ぼんのはしらハさんのヲミイやア、 00081510M11四ほんのはしらハ四イのんミイやア。五ほんのはしらハご 00081520M12づてんわう。ヲヤまつちやらこや、まつちやらこ△こSば 00081530M13ゞアや、いたいよ+△うばSいたいといふて、どこがよ、 00081540M14ヤレどうごがよ△こSぽん+が(五オ) 00081550¥P310 00081560¥G(五ウ・六オ) 00081570¥N5¥J 00081580¥Xミづやのまちがひ 00081590M3とりさしのめいじん、すゞめぶへをふいて、一ツしやうけん 00081600M4めいにすゞめをねらつたるところへ、こいとりがきかゝり、 00081610M5こいSヲヽワイ引△とりSヤイ、こいとり。なせ、をれが 00081620M6さしかゝつたすゝめを、にがしてしまつた△こいSアニ、 00081630M7をれがしりますものか。にしがへただアから、つんにけた 00081640M8アのた△とりSこいつ、ふざけたことをいやアがる。(五ウ) 00081650M9そんならてめへにさせるか△こいSアニ、をれへ、とりぐ 00081660M10れへさすに、をんでもねへことだア△とりSそんならさし 00081670M11てミろ。させたらバ、このさほハてめへにやらア△こい 00081680M12Sすんなら、さしそんじたアら、このせんぞでへ※もち 00081690M13つたへたたごのう、にしらにやるべいトいゝながら、をな 00081700M14じやうにすゞめぶへを、クス++と(六オ) 00081710¥P311 00081720¥G(六ウ・七オ) 00081730M1ふきながらねらふゆへ、そばにてとりさしが、ワイ+ト 00081740M2大きなるこへにてどなれとも、ふしぎや、いまこいとりが 00081750M3ねらいたるすゝめ、はねをすくめて、とぶことあたわず。 00081760M4なんなくさゝれけるゆへ、とりさしハきもをつぶし、いか 00081770M5なるじゆつやとをどろけバ、(六ウ)こいとりハにこ+ト、 00081780M6こいSソレミなさろ。やくそくだアから、このさほハわし 00081790M7らがもちていぐぞトいゝながら、かのとりさしのさほを、 00081800M8わがこいたごをけといつしよにもちて、いさいかまわずゆ 00081810M9きすぎけるが、あるうちのまどより、女ぼうらしきもの、 00081820M10かほをいだして、ゆきすぎたるかのこいとりをミかけて、 00081830M11女ぼうSヲイ+ミづやさん。いつかいれておくれ(七オ) 00081840¥P312 00081850¥G(七ウ・八オ) 00081860¥N6¥J 00081870¥X三味せん 00081880M3さるごたいしん、うたのかミさまと申御かた、おめしのを 00081890M4んうまをおもとめなされ、うたSコレ金太夫△きんSハヽ 00081900M5アごぜん。なにごやうトおんひざもとへひかへけれバ、う 00081910M6たSコレ、そちもぞんじてのとふり、このたび、よがもと 00081920M7めたるむまのなを、いろ+とかんかういたしたるところ、 00081930M8よいながあるわへ△きんSごぜん。(七ウ)いかゞをつけあ 00081940M9そバしました△うたSさればサ。さミせんくりげとつけた 00081950M10ハどうじや△きんSハテ、かハつたなでごさり升な△うた 00081960M11Sサテ+わからぬものじやな。だいいち、むまをしかる 00081970M12に、どう+と申でハないか△きんSなるほど△うたSこ 00081980M13まといふなもあるてな△きんSなる+△うたSどうかけ 00081990M14といふこともある△きんSなる+△うたSそしてまへの 00082000M15どうぐハ、ふとざほでハないか△きんSイヤはや、おそれ 00082010M16いりました△うたSよがのりりやうじやによつて、うたが 00082020M17のるハ。またそちがのると、Sばちがあたるハ(八オ) 00082030¥P313 00082040¥G(八ウ・九オ) 00082050¥N7¥J 00082060¥X/地(ぢ)ごく 00082070M3さるうちのわかごけ、ふとやうしとなれそめ、だん※ふ 00082080M4かくなり、つひにたゞならぬミとなり、ほんだなのてまへ、 00082090M5またハせけんのくちのはにかゝり、いまハかうしてゐるに 00082100M6もゐられず、いつそのことに、二人リしんじうとでかけ、 00082110M7ミらいハかならずふうふぞと、(八ウ)ふら+あのよへで 00082120M8かけしが、ついにミちをバふミまよひ、ぢごくのとうもん 00082130M9へつきけれバ、なかより、ごづ・めづいできたり、めづSわ 00082140M10いらハなんだ△二人リSわたくしどもハをやこのしんじ 00082150M11うでござりますが、やうしにもらいしそのときから、ふか 00082160M12くいゝかハしましたなかゆへ、どうぞふうふにならうと思 00082170M13ひましても、せけんのてまへがごさいますゆへ、そうにも 00082180M14そハれず、よんどころなく、しんじういたして(九オ) 00082190¥P314 00082200¥G(九ウ・十了オ) 00082210M1まいりま((し脱カ))た。どうぞはすのうてなのあらせたいがもちたふ 00082220M2ございますから、はすのあきだながあるなら、どうぞおか 00082230M3しなすつてくださいまし△めづSこいつ、いゝたいよまい 00082240M4ごとをいふナ。ごくらくとちがい、そんなじゆうなことが 00082250M5できるものか。そしていろになつたのも、ことによる。ぜ 00082260M6んたい(九ウ)おやことなつてゐながら、ふといやつらだ。 00082270M7しかし、それほどそいたいと思つてしんじうをしてきたの 00082280M8だから、はすのはハならねへが△二人リSそして、どうな 00082290M9すつてくださいます△めづSしかたがねへ。おやこくつゝ 00082300M10きだから△二人リSヘイ+△めづSいものはへのれ 00082310¥N8¥J 00082320¥Xめでたいはなし 00082330M13こゝに六十一、ほんけがへりのうへの人たち、さる大けの 00082340M14ゑびすかうにまねがれ、大ぜいよりあい、ときに、ふくと 00082350M15く(十了オ) 00082360¥P315 00082370¥G(十了ウ) 00082380M1やのおとつさんハ、をいくつへ。Sわたしハまだ八十さ 00082390M2Sつるやのおぢさんハ△Sをれハ八十八よ△Sかめやのお 00082400M3ぢいさんハへ△Sたつた九十九サ△Sこれハいゝおとしだ 00082410M4ト、はなしのうしろに、Sまごどもが、なにかいふハトい 00082420M5ふゆへ、ふりかへりてミれバ、かけものゝつるとかめ 00082430¥Q 00082440M7△△△△△△△△△△△△△△△△△△△小芳盛画 00082450M8△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十了ウ) 00082460¥P316 00082470¥U噺本大系△第十六巻 00082480¥T@開化|新作@/一口(ひとくち)ばなし△〔題簽〕 00082490¥G 00082500¥Y 00082510L17明治十三年秋序 00082520L18永島福太郎著 00082530L19竹林舎虎重序 00082540L20中本一冊 00082550¥G(見返扉・口一オ) 00082560¥P317 00082570¥G(口一ウ・口二オ) 00082580¥Y東京△△△△△△△△△△△△永島福太郎録 00082590M3/秋(あき)の/夜長(よなが)の/徒然(つれ※)に、/高直(たかき)/油(あぶら)を/費(つひや)して、/工風(くふう)こんたん/兎(と)や/角(かく) 00082600M4と、/智恵(ちゑ)の/袋(ふくろ)の/底(そこ)を/払(はら)ひ、/彼方此方(かなたこなた)へ/押付(おしつけ)ても、/有合切(ありあひぎれ)に 00082610M5て、つぎにハ/成(なら)す。/長(なが)し/短(ミぢ)かし/六ツケ敷(むづかしき)、/浮世(うきよ)の/穴(あな)の/詮索(せんさく) 00082620M6も、/下手(へた)の(口一ウ)/考(かんが)え/休(やすむ)に/似(に)たり。/労(らう)して/功(かう)なき/気(き)づか 00082630M7れに、/我(われ)を/忘(わす)れて/一睡(いつすい)の、/仮寐(かりね)の/夢(ゆめ)を/驚(おどろ)かす、/文屋(ふみや)の/使者(つかひ) 00082640M8に/糶立(せりたて)られ、/未(ま)ダ/眠(さめ)やらぬ/眼(まなこ)をこすり、/夢(ゆめ)と/寐言(ねごと)を/取合(とりあハ)せ、 00082650M9/婦女子(ふぢよし)の/笑草(わらひぐさ)に/供(そな)へんのミ 00082660M11△△△△辰の末秋△△△△△△△△△竹林舎虎重述 00082670M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(口二オ) 00082680¥P318 00082690¥G(口二ウ・一オ) 00082700¥N1¥J 00082710¥X 00082720M1△S/浅草(あさくさ)の/分署(ぶんしよ)へかう/引(いん)された/人(ひと)ハどうしたへ△S/五方= 00082730M2面(ごはう=めん)に/成(なり)ました 00082740¥N2¥J 00082750¥X 00082760M3S/馬車(ばしや)の/馬(うま)が/小便(てうづ)をしたよ△Sバシヤ++ 00082770¥N3¥J 00082780¥X 00082790M4Sうつかりとして、/川(かハ)へ/落(おと)しました。/何(なに)を。Sガバン 00082800M5(口二ウ) 00082810¥N4¥J 00082820¥X 00082830M6△S/下駄(けた)やと/靴屋(くつや)の/親方(おやかた)ハきげん/上戸(じやうご)で、/二人(ふたり)して/酒(さけ)を 00082840M7/呑(のむ)と、/商売(しようばい)の/自漫(じまん(ママ))ばなしをしてハ、S/下駄(げた)+/靴(くつ)+/笑(わらつ)て 00082850M8/居(を)り升 00082860¥N5¥J 00082870¥X 00082880M9△S/極(ごく)ひどひ/貧乏人(びんぼうにん)の/内(うち)へ/盗賊(どろぼう)が/這入(はいつ)たら、/金(かなけ)ケ/所(どころ)が/何(なに) 00082890M10/一(ひと)ツ、とらんとするものなく、/主人(あるじ)と/見(ミ)へ、/蒸餅(せんべい)の/様(やう)ナ/薄(うす) 00082900M11い/損料(そんりやう)ぶとんにくるまつて/寐(ね)て/居(ゐ)るにぞ、/盗賊先生(どろぼうせんせい)もあま 00082910M12りのことにあきれかへり、/出(で)て/行(ゆか)んとすると、/主人(あるじ)が/目(め)を 00082920M13/覚(さま)し、/跡(あと)をよく/〆(しめ)て/行(いつ)ておくれ。/盗(どろ)ぼう/振(ふり)かへり、Sなん 00082930M14の/為(ため)に(一オ) 00082940¥P319 00082950¥G(一ウ・二オ) 00082960¥N6¥J 00082970¥X 00082980M1△Sつきちの/異人館(ゐじんくハん)で/焼死(やけし)んだ/人(ひと)ハ、サゾ/苦(くる)しかつたら 00082990M2う△Sホテル 00083000¥N7¥J 00083010¥X 00083020M3△S/異人館(ゐじんくハん)の/小(こ)づかひハ、/居眠(ゐねむ)りが/好(すき)で、/間(ま)がなすきか 00083030M4な、Sコツク+ 00083040¥N8¥J 00083050¥X 00083060M5△S/秋葉(あきは)さまのお/札(ふだ)とおまハりさんハ、/家&(いへ+)のためにな 00083070M6り升ス△Sどちらも、/三尺坊(さんじやくぼう)で/守(まも)り升のサ(一ウ) 00083080¥N9¥J 00083090¥X 00083100M7△S/神田(かんだ)のよろづ/代(よ)ばしハ、まつすぐかへ△Sイヽヱ、 00083110M8/筋違(すぢかひ) 00083120¥N10¥J 00083130¥X 00083140M9△S/坊(ぼう)さんがころんだとサ△S/毛(け)がなくてよかつた 00083150¥N11¥J 00083160¥X 00083170M10△Sとなり/村(むら)の/屁五介(へごすけ)とのが、/西洋種(せいようだね)をもらつて/畑(はたけ)へま 00083180M11いたら、こんなものが/出来(でき)たが、/何(なん)といふものだんベヱ 00083190M12Sコリヤアわしにも、/根(ね)から/葉(は)からわかんねへ(二オ) 00083200¥P320 00083210¥G(二ウ・三オ) 00083220¥N12¥J 00083230¥X 00083240M1△Sある/両替屋(りやうがへや)で、このあいだ/銭(せに)の/定額(あたへ)がくるふ。/大(おふ)も 00083250M2うけを/仕(し)やうと、/文久銭(ぶんきうせん)を/穴蔵(あなぐら)へ/一(い)ツぱい/仕舞(しまひ)こみ、サア 00083260M3/銭(ぜに)が/上(あか)つたと/聞(きい)て、その/銭(ぜに)を/出(だ)して/見(ミ)ると、アヽラふしぎ 00083270M4ヤ、ミんなたにしに/成(なつ)たさうだ△Sたにしに/成(なる)はづ。/青銭(あをせん) 00083280M5がばいになつたからサ 00083290¥N13¥J 00083300¥X 00083310M6△/人力車夫(しんりきやさん)がゑぞうし/屋(やへ)/来(き)まして、ときわづのせきの/戸(と) 00083320M7の/本(ほん)をくんナ。Sヘイ+、/上下(しやうげ)あげますかナ△Sナアニ、 00083330M8/片道(かたミち)てよいヨ(二ウ) 00083340¥N14¥J 00083350¥X 00083360M9△S/片田屋(かたゝや)の/主人(あるじ)ハ、/石山(いしやま)のやうな/堅(かた)い/男(おとこ)だが、/三井寺(ミゐでら) 00083370M10の/和尚(おしやう)さんから/雁金(かりがね)をして、/元手金(もとできん)にした/所(ところ)が、もうける 00083380M11ことを/比良(ひら)ぬ/人(ひと)ゆへ、/何商法(なにしやうほう)をしてミな/粟津(あハづ)、/損毛(そんもう)のミつ 00083390M12ゞいて、いくら/心(こゝろ)/矢(や)ばせにはやらせても、/瀬田(せた)いにおハれ 00083400M13るので、/気(き)をもミ+、Sとう+/膳所(ぜ※)を/失(うし)なひました 00083410¥N15¥J 00083420¥X 00083430M14△S/鍛冶屋(かぢや)の/親方(おやかた)が/今朝(けさ)/仕事(しごと)をして/居(ゐ)たが、/急病(きうびよう)でひつ 00083440M15くりかへり、あさつぱらから/大(おほ)さわぎサ△S/大方(おほかた)、/持前(もちまへ)の 00083450M16てんかんだらう(三オ) 00083460¥P321 00083470¥G(三ウ・四オ) 00083480¥N16¥J 00083490¥X 00083500M1△S/桃太郎(もゝたらう)が/鬼ケ島(おにがしま)へおもむかんと、/犬(いぬ)・/雉子(きじ)・/猿(さる)の/三= 00083510M2個(ミ=たり)を/従(したか)へ、/山中(さんちう)へ/差(さし)かゝると、いと/大(おほ)きなる/大蛇(うハばミ)、ぬる 00083520M3+と/出来(いできた)り、わしも/供(とも)を/仕(し)ませうといふにぞ、/桃太郎(もゝたらう)、 00083530M4こしにさげたる/袋(ふくろ)より、きミ/団子(だんご)をとり/出(いだ)し、/一(ひと)ツやると、 00083540M5うハばみ/見(ミ)て、にがい/顔(かほ)をし、Sのむ/口(くち)へだんごハごめん 00083550M6だ 00083560¥N17¥J 00083570¥X 00083580M7△S/新吉原(しんよしハら)江/戸丁(とてう)の/杉戸屋(すぎとや)といふ/貸(かし)ざしきへ、/遺恨(ゐこん)があ 00083590M8つて、じゆんささん/切(きり)こミ、/主人(あるじ)から/若(わか)い/衆(しゆ)に/女郎(ぢようろ)と、/都= 00083600M9合(つ=がう)七人きられたとサ△Sそれハ/生死(しやうし)ナはなし(三ウ) 00083610¥N18¥J 00083620¥X 00083630M10△Sアノ/文久橋(ぶんきうばし)ハ/商法(しやうほう)にこしらへたと/言(い)ふことだが、た 00083640M11いしたことにもなるまい。そうして/見(ミ)ると、/橋銭(はしせん)をとりに 00083650M12/毎日(まいにち)/雇(やとハ)れて/居(ゐ)る/人物(じんぶつ)ハ、/猶更(なほさら)いくらにもなるまいが、どう 00083660M13し/暮(くら)しがつくだらう△Sつまらねへ/苦労(くらう)しねへものだ。チ 00083670M14ヤワンと/橋(はし)で、飯(めし)をくふのサ 00083680¥N19¥J 00083690¥X 00083700M15△Sあさくさのくハんのんさまで、/鳩(はと)を/盗(ぬす)んで/懐(ふところ)へかく 00083710M16したところが、はとがおしへたので、/直(すぐ)につかまつたサ 00083720M17Sヘヱヽ、はとがなんとか/口(くち)をきいてかへ。はとぽつぽと、 00083730M18おしへ/升(まし)たとサ(四オ) 00083740¥P322 00083750¥G(四ウ・五オ) 00083760¥N20¥J 00083770¥X 00083780M1△Sからだのわるいにハ、/宝丹(ほうたん)が/一(いち)ばんよいと/医者(ゐしや)さま 00083790M2がおしへてくれましたから、どういふ/訳(わけ)だと/聞(きゝ)ましたら、 00083800M3Sハテ、しれたことサ。/宝丹(ほうたん)よハひにのむがよひ 00083810¥N21¥J 00083820¥X 00083830M4△Sにハとり。てめへ、しやもから/大層(でへぶ)/道具(だうぐ)を/引(ひき)とつた 00083840M5そうだが、/買(かつ)たのか、もらつたのか△Sナアニ、とつけへ 00083850M6ツかうしたのサ 00083860¥N22¥J 00083870¥X 00083880M7△S/横丁(よこてう)のめしやへ、/夕辺(ゆうべ)どろぼうがはいつたとサ 00083890M8Sさだめし、めしとられたらう(四ウ) 00083900¥N23¥J 00083910¥X 00083920M9△S/焼芋屋(やきいもや)のおかミさんハ、/亭主(ていしゆ)が/美麗(きれい)ナおとこを/抱(かゝ)へ 00083930M10てかあひがるさう。/朝晩(あさばん)ごた+するといふが、/実説(ほんとう)かね 00083940M11Sかまで/焼(やく)のだらう 00083950¥N24¥J 00083960¥X 00083970M12△Sいせ丁の/米問屋(こめどひや)て、さいとりが/来(き)ても、/決(けつ)して/茶(ちや)ハ 00083980M13/出(だ)しませんとサ△Sヘヱヽ、それじやアさゆでも/出(だ)すのか 00083990M14へ△Sナアニ、/口銭(かうせん)サ(五オ) 00084000¥P323 00084010¥G(五ウ・六オ) 00084020¥N25¥J 00084030¥X 00084040M1△S/夕辺(ゆうべ)/講訳(かうしやく(ママ))を/聞(きゝ)に/行(いつ)たら、かうしやく/師(し)が/安宅(あたか)の/関(せき)の 00084050M2/山伏問答(やまぶしもんどう)を/読(よミ)ました。あんなに/大層(たいそう)であつたのかねへ 00084060M3Sナニサ、/半(はん)ぶんハほらだらうヨ 00084070¥N26¥J 00084080¥X 00084090M4△S/成田山(なりたさん)で/今度(こんど)ふしんをするので、/多(おほ)くの/金(かね)を/借(かり)るさ 00084100M5うだが、/何(なん)ぞしつかりとした/抵当(ていとう)か、/受人(うけにん)でも/有(ある)のかへ 00084110M6S受人ハしらないが、/引当(ひきあて)ものが/大丈夫(だいじやうぶ)サ△Sナンダへ 00084120M7S不/動(どう)さんよ(五ウ) 00084130¥N27¥J 00084140¥X 00084150M8△S/道祖神(だうそしん)の/所(ところ)へ/嫁(よめ)が/来(き)たそうだが、とかくしつくり/行(ゆか) 00084160M9ず、まいにち/喧嘩(けんくハ)ばかりして/居(ゐ)るさうダ△Sアレルだらう 00084170M10ヨ△Sナゼネ△S/山(やま)の/神(かミ)だから 00084180¥N28¥J 00084190¥X 00084200M11△S/与一兵(よいちべ)へが/山崎街道(やまざきかいどう)へ/飯屋(めしや)を/出(だ)して/居(ゐ)ると、/浪人(らうにん)も 00084210M12のが/来(き)て、/思(おも)ひの/侭(まゝ)に/食事(しよくじ)をして、/代銭(だいせん)を/払(はら)ハずに/行(ゆく)から、 00084220M13よび/戻(もど)して、Sごかんじやうを/下(くだ)さい△S/馬鹿(ばか)をいへ。お 00084230M14れハものたゞ/九郎(くらう)ダ(六オ) 00084240¥P324 00084250¥G(六ウ・七オ) 00084260¥N29¥J 00084270¥X 00084280M1△S/坊(ぼう)ハのゝさんが/出来(でき)て、やかましくてこまりきり升 00084290M2Sほうさうかへ 00084300¥N30¥J 00084310¥X 00084320M3△S/草履屋(さうりや)の/小僧(こぞう)ハ/何(なに)をさせても、Sつツかけだよ 00084330¥N31¥J 00084340¥X 00084350M4△S/清正公(きよまさかう)の/兜(かぶと)ハ、/鉄(てつ)か/赤銅(しやくどう)かへ。イヽヱ、S/白金(しろかね)(六 00084360M5ウ) 00084370¥N32¥J 00084380¥X 00084390M6△Sアノマア/慾(よく)兵さんハいやじやアないか。なんぼお 00084400M7/金(かね)に/成(なる)からいゝといつて、/十人並(じうにんなミ)の/娘(むすめ)を/持(もち)ながら)、/養子(やうし)で 00084410M8もすれバいゝに、アノ光チヤンに、/地(ぢ)ごくをかせがせると 00084420M9サ△S/親馬鹿(おやばか)らしいねへ 00084430¥N33¥J 00084440¥X 00084450M10△S/髪結床(かミゆひどこ)の/親方(おやかた)ハ、/毎日(まいにち)/信心参(しん※まい)りだといつて、出ある 00084460M11ひて/居升(ゐます)ねへ△Sホンニ、かミいぢりさ(七オ) 00084470¥P325 00084480¥G(七ウ・八オ) 00084490¥N34¥J 00084500¥X 00084510M1△S/餅屋(もちや)でハ/法事(ほうじ)の/蒸(むし)ものを、三千三百三十三人前の受 00084520M2合たところ、その/蒸(むし)ものをすやされて/困(こま)つて/居(ゐ)るとサ 00084530M3Sサゾ/夫(それ)ハまんぢうだらう 00084540¥N35¥J 00084550¥X 00084560M4△Sどんたく日にハ/諸官省(しよやくしよ)ともお/休(やすミ)かへ△Sミな/日曜(にちよう)サ 00084570¥N36¥J 00084580¥X 00084590M5△S/薪屋(まきや)のむすこハあそぶことハ/大嫌(だいきらい)で、かせぐ/一方(いつぱう)だ 00084600M6よ△S/堅木(かたぎ)+(七ウ) 00084610¥N37¥J 00084620¥X 00084630M7△S/店子(たなこ)の/者(もの)が/宿賃(しゆくちん)をとゝこほらしてならぬとて、/差配= 00084640M8人(さはい=にん)が/工風(くふう)をして、タナチン+と/長家(ながや)中/鉄棒(かなぼう)を/引(ひい)て/催促(さいそく)を 00084650M9してまハつて/歩(ある)くと、店子のものが/負(まけ)ぬ/気(き)に/成(なつ)て、そのあ 00084660M10とから/割竹(わりだけ)を/引(ひい)て、Sカリ++ 00084670¥N38¥J 00084680¥X 00084690M11△Sおいらの/内(うち)ハどうも/蚊(か)が/多(おほ)くて困るぜ△S/蚊(か)の/出(で)ね 00084700M12へ/工風(くふう)があるぜ△S/何(どう)したら/居(ゐ)なく/成(なる)だらう△S/蚊(か)をなく 00084710M13すのハざうさもねへことだ。蚊が出て/来(き)たら、どん※ゑ 00084720M14ぶしナせへ。そうすると/蚊(か)かミんな/二階(にかい)へ/上(あが)つてしまふだ 00084730M15らう。Sソリヤ、そこて/階子(はしご)を/引(ひき)ナ(八オ) 00084740¥P326 00084750¥G(八ウ・九オ) 00084760¥N39¥J 00084770¥X 00084780M1△S/物置(ものおき)で/咄(はな)し/声(こゑ)がするから/覗(のぞい)て/見(ミ)ると、うハ/臼(うす)と/下(した)う 00084790M2すがはなしをして/居(ゐ)るゆへ、/戸(と)の/外(そと)から/聞(きく)と、/下(した)うすが、 00084800M3S二人りして/斯(かう)/毎日(まいにち)かさなり合て居たら、さぞ、Sよい/子(こ) 00084810M4が/出来(でき)ませう 00084820¥N40¥J 00084830¥X 00084840M5△Sたぬ/公(かう)かいゝ/座(ざ)しきをこしらへたそうだか、いく/畳(じやう) 00084850M6ぐらひだへ△S/八畳(はちじやう)しきだとサ(八ウ) 00084860¥N41¥J 00084870¥X 00084880M7△S/指物屋(さしものや)の/親方(おやかた)ハ、/何(なに)をさせてもきやうな人たねへ 00084890M8S/気(き)とりがうまひ 00084900¥N42¥J 00084910¥X 00084920M9△S/車屋(くるまや)の/娘(むすめ)ハ/仕合(しあハせ)ものじやアないか。/官員(くハんいん)さんの/権妻(ごんさい) 00084930M10になつたので、/両親(りやうしん)が/左(ひだ)り/団扇(うちわ)だとサ△Sゑんダうんダ 00084940¥N43¥J 00084950¥X 00084960M11△S/粉名屋(こなや)の/前(まへ)に/捨子(すてご)があるといふから、/行(いつ)て/見(ミ)たら、 00084970M12S/唐土(もろこし)の/子(こ)(九オ) 00084980¥P327 00084990¥G(九ウ・十オ) 00085000¥N44¥J 00085010¥X 00085020M1△Sとなりのお神さんハたび※/沢庵(たくあん)を/貰(もら)ひに/参(まい)り升 00085030M2Sおしのつよひ 00085040¥N45¥J 00085050¥X 00085060M3△Sかミさかやきをしたら、/男振(おとこぶり)があがつたよ△S/髭(ひげ)へねへ 00085070¥N46¥J 00085080¥X 00085090M4△S/炭団(たどん)やの/夫婦(ふうふ)ハ、めかしもせずに/稼(かせ)ぎ升ス△Sまつ 00085100M5/黒(くろ)になつて 00085110¥N47¥J 00085120¥X 00085130M6△Sかみなりさまハこわいねへ△Sなるほど(九ウ) 00085140¥N48¥J 00085150¥X 00085160M7△S/息子(むすこ)が/内(うち)を/外(ほか)にして、/酒(さけ)びたしに/成(なつ)て/遊(あそ)び/歩(ある)くゆへ、 00085170M8/親父(おやぢ)が/忰(せがれ)にしんしやうを/呑(のミ)つぶされるくらひなら、おれも 00085180M9/呑(のま)なくてハつまらねへと、やけ/酒(ざけ)をのんで/居(ゐ)る/所(ところ)へ、/息子(せがれ) 00085190M10がづぶろくによつて/帰(かへ)つて/来(く)ると、/親父(おやぢ)がにらみつけ、て 00085200M11めへのやうな、/顔(かほ)が六ツにも七ツにも見へるやうナやつに 00085210M12ハ、此身正ハゆつられぬぞといふと、/息子(むすこ)がせゝら/笑(わら)つて、 00085220M13こんナくる+まハるうちハ、ほしくないといゝ升とサ 00085230M14(十オ) 00085240¥P328 00085250¥G(十ウ・十一オ) 00085260¥N49¥J 00085270¥X 00085280M1△S/豆腐屋(とうふや)のおばアさんハ、/朝(あさ)もはやく/起(おき)て、/若(わか)いもの 00085290M2もおよバないほど、くる+/働(はたら)くとサ△Sソレハほんに/豆(まめ) 00085300M3な/人(ひと)だねへ 00085310¥N50¥J 00085320¥X 00085330M4△S/愚昧(おろか)なものが/二人寄(ふたりより)、/一人(ひとり)か、/燈辛(とうしん)ハ/何(なに)からとれる 00085340M5か/知(し)つて/居(ゐ)るかと/云(いふ)と、/畳(たゝミ)のえごからとれるのだと/言(い)ふと、 00085350M6そうでハない。/山吹(やまふき)のしんから/出(で)るのだと、/互(たが)ひに/争(あらそ)つて 00085360M7/居(ゐ)る/所(ところ)へ、また/一(ひと)人リ/来(き)て、S/山吹(やまぶき)から/出(で)るのでもなし、 00085370M8えごから/出(で)るのでもない△Sどこから出るへ△Sあんとん 00085380M9の/引出(ひきだ)しから(十ウ) 00085390¥N51¥J 00085400¥X 00085410M10△S/御飯(ごぜん)を/何所(どこ)でたべませう△S/勝手(かつて)にしなせへ 00085420¥N52¥J 00085430¥X 00085440M11△S/千住(せんぢゆ)の/先(さき)まで/行(いつ)て/参(まい)りました△S/草加(さうか) 00085450¥N53¥J 00085460¥X 00085470M12△S/布団(ふとん)と/夜着(よぎ)と/角力(すもう)をとつて、Sふとんと/投(なげ)て/夜着(よぎ)やサ(十一オ) 00085480¥P329 00085490¥G(十一ウ・十二オ) 00085500¥N54¥J 00085510¥X 00085520M1△Sコリヤ/道具屋(だうぐや)。この/刀(かたな)の/名(めい)ハ/何(なん)と申ナ△S/曽我打丸(そがうちまる) 00085530M2と申升△Sシテ、/価(あたひ)ハ/何程(なにほど)じやナ△S/兄(あに)の/十郎(じうらう)でござい升。 00085540M3/弟(おとゝ)の五郎にハまからんか。S/朝日奈(あさひな)の/商(あきな)ひゆへ、/虎少将(とらせう+)も 00085550M4/引(ひけ)ません△S/夫(それ)でハ/河津(かハづ)に/行(いか)ふ 00085560¥N55¥J 00085570¥X 00085580M5△S/人形屋(にんぎやうや)のむすめハ、/大層(たいそう)/立派(りつぱ)だねへ△S/箱入(はこいり)ものだ 00085590M6から(十一ウ) 00085600¥N56¥J 00085610¥X 00085620M7△S/昔(むかし)ハ/吉備大臣(きびだいじん)も/蜘蛛(くも)があつておしへたゆへ、/野蛮題(やはだい) 00085630M8の/詩(し)を/読(よミ)ましたが、/今(いま)でハ/学校(がくかう)が/出来(でき)て/勉強(べんきやう)するので、/野= 00085640M9婆題(や=ばだい)の詩でも、S/苦(く)もなくよめます 00085650¥N57¥J 00085660¥X 00085670M10△S/八百(やを)やで/福禄寿(ふくろくじゆ)を/止(とめ)て、/頭(あたま)が/長(なが)いので、/家内(うち)へはい 00085680M11らず、/頭(あたま)の/先(さき)を/外(そと)へ/出(だ)して/寐(ね)かすと、お/客(きやく)が/来(き)て、/唐瓜(とうぐハ)と 00085690M12まちがへ、/是(これ)ハいくらだへ。Sそれハふくろくじゆうでス 00085700M13Sまかりませんかへ△Sハイ、/曲(まが)るくらひなら、/内(うち)へ/入(いれ)て 00085710M14/寐(ね)かします(十二オ) 00085720¥P330 00085730¥G(十二ウ) 00085740¥N58¥J 00085750¥X 00085760M1△S/或所(あるところ)に、/向(むか)ふ/合(あつ)て、ひわい/人(ひと)が/有(あつ)たが、/片&(かた+)の/内(うち)が 00085770M2/類焼(るいしやう)したのをさいわひ、/片&(かた+)の/内(うち)から/子僧(こぞう)に/言付(いひつけ)、/消炭(けしずミ)を 00085780M3/貰(もら)ひにやつた/所(ところ)が、/頓(やが)て/子僧(こぞう)が/立(たち)かへつて、/旦那(だんな)。/沢山(たくさん)/有(あり) 00085790M4なから、くれませんといふのを/聞(きい)て、Sけちナやつだ。そ 00085800M5う/云(い)ふ/了簡(りやうけん)なら、おれの/家(いへ)が/焼(やけ)たら、/火(ひ)の/子(こ)もやるな 00085810¥N59¥J 00085820¥X 00085830M6△S/車屋(くるまや)のうちハ、/銭(ぜに)まハりがわるくなつたさうだ 00085840M7Sしんぼうがくるつたのだらう 00085850¥N60¥J 00085860¥X 00085870M8△S/横丁(よこてう)の/髪結(かミゆひ)のおなをさんハ、/腕前(うでまへ)がゑらいとて、/方= 00085880M9&(はう=※)から/呼(よび)に人がキテ、S/櫛(くし)の/歯(は)をすくごとく(十二ウ) 00085890¥P331 00085900¥U噺本大系△第十六巻 00085910¥T@開化|新作@/落語(らくご)の/吹寄(ふきよせ)△〔題簽〕 00085920¥G 00085930¥Y 00085940L16明治十八年九月刊 00085950L17落語家連中作 00085960L18国利画 00085970L19長谷川忠兵衛梓 00085980L20中本一冊 00085990¥Y 00086000M1/扨(さて)はや、/御子様方(おこさまかた)いつもごきげんよく御いて/遊(あそ)ハし/升(まし)て、 00086010M2/有難(ありかた)ひ/仕合(しあハせ)にぞんじ奉り升。/是(これ)まて/地本屋仲間(れんしういちとう)、/替(かわる)る+ 00086020M3にときわつ・清元・はうた・/都&一(どゝいつ)・手品とふ、/出板(おんきゝ)に/致(たつ) 00086030M4し/升(まし)たるところ、いつも+大入/大繁昌(おほはんしやう)、/御高評(おほめ)に/預(あつか)りま 00086040M5して、有かたい/仕合(しあハせ)にそんします。さて/長谷(わたくし)ことも、何か 00086050M6/御看見新(おミみあた)らしいことをと、いろ+/工風(くふう)いたしまして、/開= 00086060M7化新作(かい=かしんさく)の御/落語(はなし)を/数多(かずおゝ)く/出板(おんきゝに)/致(たつ)しますれハ、/何卒(なにとぞ)/仰(おゝせ)合さ 00086070M8れまして、/初編(しよにち)より/毎板(まいはん)+/永当(ゑいとう)+の/御買求(おんはこび)の/程(ほど)、ひと 00086080M9へに/希上奉(ねがひあげたてまつり)り升ス(一オ) 00086090¥P332 00086100¥G(一ウ・二オ) 00086110¥N1¥J 00086120¥X/狂言(きやうけん)の/買冠(かいかぶり)△△△△△△△△△△△¥A三遊亭円朝 00086130M3Sへイ、今日ハ。八百やでこさい△Sナニ、八百やか。け 00086140M4ふハ/肴(さかな)やか/惣菜(そうさい)をおいていたから、まづイヽネ△S旦那。 00086150M5そうてもこさいませうか、八百や半兵衛かきやうげんしろ 00086160M6物をたくさんもつて/来(き)ましたから、なんぞ/買(か)つてください 00086170M7ナ△Sナニ、八百や半兵衛が狂言しろものた。そいつハあり 00086180M8かたい。/買(か)いませう+。/何(なに)がありますね△Sヱヽ、まづ 00086190M9猿若座の/開業式(くわいきやうしき)で、ことふきのとう、二十四孝の竹の子、 00086200M10/山門(さんもん)五三のきりぼし、薄ゆきの三人わらび、/太十(たいじう)のあ/皐月(さつき)、 00086210M11/政右(まさゑ)ヱ/門(もん)のたゝみいわし、なぞト云ところでございます 00086220M12S成ほど、イヤかんしん+。/皆(ミな)かいませう。そこへおかつ 00086230M13し+△Sありがとふございます△Sシテ、/跡(あと)ハなんだね 00086240M14Sへイ。あとハチト、しぶいものでございます△Sナニ、 00086250M15しぶいものとハなんだね△Sへイ。成田屋のコンくわゐで 00086260M16ござります(一ウ)△Sナニ、こんくわゐハありがてへ。シ 00086270M17テ、/下(した)のハなんだね△Sへイ、/下(した)のハいもせ山の/橘(たちはな)ひめて、 00086280M18きぬかつきといふ/芋(いも)てこさいます△S成ほと、いもゝくわ 00086290M19ゐもおいてゆかつし。其外に何かまた、なほしものか見へ 00086300M20るじやアねへか△Sへイ。あれハ助高やもので、大たばの 00086310¥P333 00086320¥G(二ウ・三オ) 00086330M1/若菜(わかな)ひめてこさい升ス△S成ほど、わかなひめけつこう。 00086340M2/爰(こゝ)へ/出(だ)さつし△Sヘイ+、/是(これ)て厶り升△Sイヤ、これハ 00086350M3助高屋ものて、きれいことたと思つたら、ごミとかれつぱ 00086360M4て、/梅幸(おとわや)か/世話場(せわは)てつかいそうた△Sへイ。そのかわりに、 00086370M5ごくやすうございますア△Sイヤ+、安くツてもかんし 00086380M6んしねへ△Sそこかきやうげんで△Sハテネ、是が狂言と 00086390M7ハネ△Sされハ/安菜(やすな|゜△゜)たから、/くすの葉(△△△は|゜゜゜゜)もあります(二オ) 00086400¥N2¥J 00086410¥X/角觝(すまう)の/顔触(かほふれ)△△△△△△△△△△△¥A三遊亭新朝 00086420M10Sイヤ、是ハ若旦那、お/久(ひさ)しふりでごぜへやしたナ△S/誰(たれ) 00086430M11かと思つたら、たいこの/欲八(よくはち)か。ひさしく/逢(あ)ハなんだが、 00086440M12いつもたつしやでいゝナ△Sイヤ、/達者斗(たつしやはか)りで、ふけいき 00086450M13なのにハまことにこまりきりやすて。トキニ旦那。/久(ひさ)しく 00086460M14/廓(なか)のすじの/所(とこ)へも、おいでがないそうですが、/取(とり)つかれや 00086470M15すぜ△Sどうして+、此せつハ/女郎買(あそひ)/所(ところ)か、/場所(はしよ)がはじ 00086480M16まつて/居(い)るので、からだにちつともすきのねへやつさ 00086490M17Sへイ、それじやア此せつハ角力で。そいつアすてきてこ 00086500M18せへやすネ。すまふと/聞(き)いちやアこてへられやせん。いつ 00086510M19たい旦那ハすまふかおすきで。ナニ、四十八手も/御存(こそん)じな 00086520M20の。そいつアふしきた。とふてけすへ。是からわちきかと 00086530¥P334 00086540L1もの平て、すく/廓入(なかい)りハとふてけす。そうくると、わつち 00086550L2もすツとはなが高千ほたから、/玉垣(たまかき)から/新造(しんそう)を呼出して、 00086560L3おいてのことをしらせやす。そうすると/待(まち)こがれているお 00086570L4いらんのこつたから、ヲヤ/嬉(うれ)しいねへと(二ウ)すぐ柏戸の 00086580L5/鼠(ねつミ)なきと/来(き)やさア△Sムヽなるほど△S所て、わつちがお 00086590L6いらんを劔山でせかせたうへ、旦那を上汐といふのたから、 00086600L7おさしきのうちハ、てきかすつかり/下手(したて)にくんで/腰(こし)へつい 00086610L8たらはなれやせんぜ。わちきやアそこらにいつさいかまハ 00086620L9ないで、れいの角力ちんくて、おほやうきにうかれやすか 00086630L10ら、どんな千羽かたけてもおやんなせへ。ちつとつらいが 00086640L11高見山でおりやさア。しかし/座敷(さしき)の/顔(かほ)ふれより、床のとり 00086650L12くちがかんじんでけすぜ。なんでも久しふりだから、きつ 00086660L13とくせつか大鳴門で、さきから十ぶん/仕(し)かけやせう。なん 00086670L14でも/組(く)んだらふるのが一の矢ですぜ。向うがとふ緋縅とあ 00086680L15せるので、だん※に/勢(いきほひ)イかぬけ、双方つかれた時分に、 00086690L16行司のわつちが水をいれやすから、夫からとつちてもきゝ 00086700L17手をおさしなすつて、持まへの/腹(はら)やくらで西の海へといふ 00086710L18やうに、投石とおやんなせへ。勝負あつたと/団扇(うちわ)があがれ 00086720L19バ、手柄山しやアありやせんか△Sコウ+、おりやアそ 00086730L20の大たてにやア、のらねへよ(三オ) 00086740¥N3¥J 00086750¥X/井端(いどばた)の/会儀(せけんはなし)△△△△△△△△△△¥A三遊亭円橘 00086760M3Sヲヤ、おとなりのおかミさん。もふしかけてこさいます 00086770M4か△Sヘヱ、いつてもよふにおわれて、くれあいになりま 00086780M5すのサ△Sほんとふに子ども/((が脱カ))おふいと、ごどふぜんさまに、 00086790M6すこしのひまもございませんよ△Sさよふサ。おゆへもお 00086800M7ち+はいつておられませんのサ。いそがしいことをかん 00086810M8がへますと、子のないかたがほんとふにうらやましうこざ 00086820M9いますねヱ△Sそう所ぢやアありません。子かあつちやア 00086830M10おしまいです。子さへなけりやア、それ、しん道のおとり 00086840M11さんのやうに、すきなまねかてき升わね△Sへヱヽ、おと 00086850M12りさんハどふかなさいましたか△Sヲヤ、こそんじこざい 00086860M13ませんか。あのかたハおむこさんが気にいら(三ウ)ないと 00086870M14か、はたらきがないとかいつて、此あいだごりゑんになり 00086880M15ましたか、まもなくたいそうよい所から、あのかたをこん 00086890M16さいにほしいといつて来た所かあるとかで、ツイ四五日あ 00086900M17とに、いきなすつたそうてす△Sヲヤマアそうてすか。あ 00086910M18のかたハけんふくをなすつたでハありませんか△Sハアそ 00086920M19うてすが、しまだにゆいなをしたら、とんたかわゆらしく 00086930M20おなりでしたのサ△Sそうてしたか。アノこんさいとかに 00086940¥P335 00086950¥G(三ウ・四オ) 00086960M1ハ、しらはでなくつちやアいけないじやアありませんか 00086970M2Sそこハあすこのおつかさんがそれしやだから、さだめし 00086980M3/かね(|゜゜)はすつかり/とつて(|゜゜゜)やりましたろふ(四オ) 00086990¥N4¥J 00087000¥X/馬車(ばしや)の/運転(かけひき)△△△△△△△△△△△¥A橘屋円太郎 00087010M6チン+ぐわら++ハア++ア△Sそれ、くるま 00087020M7ハア+△Sおはアさん、あぶない、ハア++ア△Sな 00087030M8んとよいおてんきでこざいますねへ△Sさよふサ。いゝあ 00087040M9んばいにつゝきますてサ△Sなんでもこのよふすでハ、と 00087050M10ふぶんふるこつちやアありますまいよ△Sイヤ、なにごせ 00087060M11うばいてもふられちやア、わうせうてございますが、その 00087070M12うちにも、さかりはハ大ちかひたそうですから、なんでも 00087080M13おてんきのつゝくほうが、ようこさいますのさねへ△Sさ 00087090M14よふ+。なんてもふつてよいせうばいといふ/わ((ママ))、たんと 00087100M15ハありませんのさ。ときにあなたハとちらへ△Sへイ。ち 00087110M16よつと馬ミちまで△Sさよふでこさいますか。わたくしハ 00087120M17くわんおんさまへ。ハヽヽヽ△Sイヤもふ、浅くさ下谷へ 00087130M18んの用たしは、(四ウ)此/馬(ば)しやにかぎりますやうで△Sお 00087140M19つしやるとふり、いちばんでございませう△Sコレ+長 00087150M20松。ひよこ+して、おきやくさまがたのおミあしでもふ 00087160¥P336 00087170¥G(四ウ・五オ) 00087180M1んでハならぬぞ。ちやんとこしをかけていないか△Sへヱ、 00087190M2それてもむかふから馬車がきましたから△Sヱヽ、だまつ 00087200M3ていろ△Sガリ+++△Sそをら、車がはづれた 00087210M4Sヱヽ、しづかにしないか△Sそれでもはづれたから、わ 00087220M5たくしもて/つだう(|゜゜゜)つもりで△Sヱヽ、主人を/馬車(はしや)にするな 00087230M6へ(五オ) 00087240¥N5¥J 00087250¥X/安劇(とんてう)の/誹難(わるくち)△△△△△△△△△△△△¥A林家正楽 00087260M9Sモシ吉さん。此ごろじやア芝居ハいかゞでございますね 00087270M10Sイヤモウ、すきな芝居へもふけいきなので、久しくごぶ 00087280M11さたです△Sそいつアたいそうごしんほうですね△Sナニ、 00087290M12いつて見たい/わ((ママ))やま+でごせへますが、どこでも惣たい 00087300M13たかくなつているので、ツイいけやせんのサ△Sして見る 00087310M14と、なんでもやすく見せなくツちやアいかねへと見へて、 00087320M15ふけいきににあハねへ。どんてう芝居ハ何所も大そうはい 00087330M16るといゝ升せ△Sイヤ、そのうちにも芝の盛元座なんざア、 00087340M17団升を(五ウ)入れたので大入だそうで、たいそう金主ハ鼻 00087350M18を高くしているといゝますぜ△Sイヤ、そのことさ。いく 00087360M19ら金をもふけたか、しれやアしねへか、団升なんざアふと 00087370M20ゞきサネ△Sヘヱ、何がふとゞきですねヱ△S何がといつ 00087380¥P337 00087390¥G(五ウ・六オ) 00087400M1て、かりそめにも松本錦升といふ名まへをついで居ながら、 00087410M2物まねへでるとハ、はなのたかいかうらいやも名物の鼻を 00087420M3ひくゝするといふもんだア△Sそれでもミんな入りのある 00087430M4ので、はなを高くしているといゝ升ぜ△Sイヤ+、いく 00087440M5ら入りをとつたといつて、はなを高くハ/出来(でき)ねへわけがあ 00087450M6りやさア△Sへヱ、そりやアまた、どふいふわけでね 00087460M7Sサ、そこだて。どんてうにやアどこでも、/はなミちがな= 00087470M8い(|゜゜゜゜゜゜=゜)からサ(六オ) 00087480¥N6¥J 00087490¥X/開化(くわいくわ)の/高慢(かうまん)△△△△△△△△△△△¥A三笑亭芝楽 00087500M11S新兵衛君、どちらへ△Sヤ、これハおミそれまふしまし 00087510M12た。おまへさんのなりがかわつたゆへ、くわんいんさんか 00087520M13とおもひました△Sそうてございませう。なんでもとうし 00087530M14ハ、よふふくにかきりますて。まづまんてるづぼんに高シ 00087540M15ヤツポとくりやア、どんなみたをしのふるかねやでも、は 00087550M16んにんくわんとハキツト見やすのサ△Sそうどころじやア 00087560M17ありません。まいにちおめにかゝるわたしでさへ、そうお 00087570M18もひますものを△Sイヤ、そうでございませう。まだそれ 00087580M19ばかりじやアない。だいゝちきものゝすそをきるうれいが 00087590M20なし、/祝義(しうぎ)ぶしうぎハまふすにおよバづ、身がるだから火 00087600¥P338 00087610¥G(六ウ・七オ) 00087620M1事などにハ(六ウ)はたらきよし。それにはいておるくつな 00087630M2ぞも、/買(か)う時ハチト高いやうですが、下駄や駒下駄、日よ 00087640M3り下駄と、さま※の品かずをかんがへると、実にやすいも 00087650M4のサ。/買(か)う時に二円金もだせバ、二年ハはけませう。それ 00087660M5に当せつハ諸かんしやうハまふすにおよバず、/何所(いづ)かたへ 00087670M6御用で/出(で)ても、たびはだしにならづともよし。又とちうで 00087680M7あめにふられても、下駄をかうさんざいもいらず、いづれ 00087690M8にしても、つがふのいゝはきものサネ△Sなるほと、こい 00087700M9つハよつほど、いゝり/くつ(|゜゜)だわへ△(七オ) 00087710¥N7¥J 00087720¥X/女湯(おんなゆ)の/集会(よりあい)△△△△△△△△△△△△¥A桂△文治 00087730M12Sヲヤおまつさん。おはやいお湯でございますネ△Sハア、 00087740M13いまがたまいりましたハ△Sヲヤそう、嬉しいねへ。おつ 00087750M14るさん、はやくおはいんナさいよト、年ごろ十七八の娘二人、 00087760M15風呂へはいる。/外(そと)なる一人リの娘ハ/洗(あら)いかけていたるぬか 00087770M16/袋(ふくろ)を/桶(おけ)のふちへのせ/置(おき)、小桶へ/湯(ゆ)をくミ/来(きた)る。此うち風呂 00087780M17より二人リの娘が/出(いで)るを見、Sサアお竹さんもおつるさん 00087790M18も、こゝへお/湯(ゆ)をくんで/置(おき)ましたから、おつかいなさい 00087800M19Sヲヤ、これハありがとふ。はゞかりさまト/云(いゝ)ながら、両 00087810M20人もあらひながら、S一寸おつるさん、ごらん。お松さん 00087820¥P339 00087830¥G(七ウ・八オ) 00087840M1の/髪(おぐし)のよくできたこと△Sホンニねへ。/毛(け)のいゝせへか、 00087850M2まことにいゝかつこうじやアないか△Sイヽヱ、いけない 00087860M3のサ。/洗(あら)つてから/結(ゆお)ふと思つていたら、/急(きう)にあした/千歳座(ちとせざ) 00087870M4へゆくのだから、くせのついたまんま/結(ゆつ)たのだものヲ 00087880M5Sヲヤ、千歳座へ。いゝことねへ△Sそれでもミなさんハ 00087890M6このあいだ(七ウ上)いらしつたじやアありませんか△Sソ 00087900M7リヤアいきましたが、でそろハないうへにねヱ、(八オ上) 00087910M8/内(うち)の/兄(にい)さんだのお竹さんの/所(とこ)のおぢさんが、/団十郎(なりたや)ばかり 00087920M9ほめて、/我童(まつしまや)や福介をちつともほめておくれでないから、 00087930M10つまらなかつたハ△Sソリヤアあなたのにいさんやおたけ 00087940M11さん/所(とこ)のおぢさんばかりじやアありま(七ウ下)せんやネ。 00087950M12わたしの/所(とこ)のおとつさんも、/開業式(かいぎやうしき)につれていつてもら 00087960M13つたらバ、成田屋ハしぶいトいつて、やつぱり団十郎ばか 00087970M14りほめて/居(い)升から、なにがしぶいのだト申てきゝましたら、 00087980M15成田屋ハ/親(おや)/代&(だい+)/裃(かミしも)が/柿(かき|゜△)だと(八オ下) 00087990¥N8¥J 00088000¥X/競艚(きやうそうの)/評論(うわさ)△△△△△△△△△△△¥A春風亭柳枝 00088010M18Sヲヤ+新ちやん。おとつさんとごいつしよにどちらへ。 00088020M19ナニ、向じまへ。それハ+おたのしミ△Sイヤ、どこへ 00088030M20でもゆきたがつて、まことにこまりきりますのサ△Sイヽ 00088040¥P340 00088050¥G(八ウ・九オ) 00088060M1ヱ、どこのもさやうでございまさア。わたくしどものなぞ 00088070M2も、けさからゆきたがつておいたものですから、となりの 00088080M3おぢいさんが、つれていつてくれましたが、なにを申も人 00088090M4ごみといゝ、年よりのことですから、ヤツパリかぎやうを 00088100M5やすんで、あとからまいらなけりやアなりませんで、どこ 00088110M6でも子どもゆへに、よけいナひまつかきにハ、じつにこま 00088120M7りますねへ△Sサヨウ+。それに(八ウ)けふハ/日(にち)ようで 00088130M8学校がおやすミたから、どこのもかきいれにしております 00088140M9のサト、はなしながら東ばしへ/来(きた)り、Sごらんなさい。た 00088150M10いそうな人じやアございませんか△Sなるほど、コリヤア 00088160M11向ふまでゆくにハ、なか+おほさわぎだ△Sサヨウサね 00088170M12へ△大炮の音Sドーン△Sアレ源兵衛さん、ごらんナせへ。 00088180M13きやうそうとかゞはじまりましたぜ△Sなるほど、白だの 00088190M14赤だのゝかぶりものをしたのが、こぎはじめましたねゑ 00088200M15Sさよふサ。まだあとにもたくさん/居(い)ますぜ△Sいつたい 00088210M16あのてやいわ、どこから来ましたのだろう△Sされバサ、 00088220M17ミんな/すいふ(|・・・)だといゝますから、おふたかた/水戸(ミと|・・)でありませ 00088230M18う(九オ) 00088240¥P341 00088250¥G(九ウ・十オ) 00088260¥N9¥J 00088270¥X/競馬(うまかけ)の/講釈(こうしやく)△△△△△△△△△△△¥A三遊亭円遊 00088280M3Sコウ源次。見や。大ヘンナ人じやアねへか△Sそふよナ 00088290M4ア。/銭(ぜに)がでねへもんだから、人がヱラクでらア△Sちげへ 00088300M5ねへ。いつたひなんのために、こんなことをするのだろふ 00088310M6Sなんのためだかしらねへが、せうこんしやのおまつりだ 00088320M7から、それでこんなことをするンだ△Sそうかナア。さぞ 00088330M8のる人ハほねがおれるだろふナ△Sソリヤアあたりめへよ。 00088340M9そのかわり、かつたものへハたいそうナほうびがでるとい 00088350M10ふことだア△Sそうかナア。どふりでミんナ、いつせうけ 00088360M11んめいだと思つた△Sこれを見るにつけても、なんでもら 00088370M12くじやア、うめへぜにもふけハねへよの中だア△Sほんと 00088380M13だナア。まだ(九ウ)このかけツこばかりでなく、いつか見 00088390M14た時にやア、つなを引ぱつて飛くらをしたぜ△Sそふよ。 00088400M15ありやアまた、はなれわざだア△Sあれでもやつぱり馬か 00088410M16けかなア△Sばかアいへ。ありやアちかわア△Sへヱそう 00088420M17か。よくてめへ、しつてるのヲ△Sそりやアやくしよへし 00088430M18ごとにいつたとき、すつかり/聞(きい)ておいた△Sへヱヽ、そん 00088440M19ならなんといふのだ△Sまづ馬のはらアけるのを/角(かく)を入る 00088450M20といふから、/飛(とぶ)のハおゝかた/けいば(|゜゜゜)だろう(十オ) 00088460¥P342 00088470¥G(十ウ・十一オ) 00088480¥N10¥J 00088490¥X/紙幣(さつ)の/苦情(くぜう)△△△△△△△△△△△¥A麗々亭柳橋 00088500M3Sヲヤおばさん。どこへ△Sどこへツて、きまつていらア 00088510M4ね。わたしのゆくのハ男まわりサ△Sヲヤマアきらくだね 00088520M5へ△Sきらくでもいつていなくツちやア/年(とし)とつてつまるも 00088530M6のかね△Sほんとふにそふですよ。それでもおばさんハい 00088540M7つでもげんきだからいゝけれども、わたしのとこのおつか 00088550M8さんなんぞハいんきだから、くろうばかりしていていけま 00088560M9せんよ△Sそれだから、おまへがはやくいゝ旦那でもつか 00088570M10まへて、らくをさしておあげナ△Sヲヤいやですねへ。わ 00088580M11たしのやうナおたふくに、何がつかまるものですか△Sそ 00088590M12うでないやねへ。横町のおたいさんなんぞをごらん。たい 00088600M13そうな人をつかまへたアネ△Sヲヤ、そうですかへ。あの 00088610M14かたハいつたい上ひんなのに、どこやらうまミがあるから、 00088620M15いゝ旦那がつきま(十ウ)せう。シテ、どこのかたへ△Sナ 00088630M16アーニサ、/通(とふ)りの両がへやの旦那サ△Sヘヱヽ、あのゑ 00088640M17ひすやの△Sアヽそうサ△Sマアあんないゝおかミさんが 00088650M18あるのにねへ△Sそれだからわたしにも一円わからないの 00088660M19サ。大かたアノ/子(こ)が/喰(く)わせもんだから、うまくやつたと見 00088670M20へるが、アノかたい旦那があつくなつて、たいそうさつび 00088680¥P343 00088690¥G(十一ウ・十二オ) 00088700M1らをきつたとサ△Sへヱヽ、あのとふり、さつのなかへす 00088710M2わつたぎりで、いつでもにこ+と/勘定(かんじやう)ばかりしていた旦 00088720M3那をつり/出(だ)すとハ、ごうぎナうでゞすねへ。しかしよくお 00088730M4かミさんに/知(し)れませんねヱ△Sそうサ。まだ/知(し)らないそう 00088740M5だが、おたいさんが江戸ツ子でぴんときているのに、あす 00088750M6このごふうふが/かミ(|゜゜)がただといふから、どふでしまい/わ((ママ))、 00088760M7/もめる(|゜゜゜)だろうヨ(十一オ) 00088770¥N11¥J 00088780¥X/両国(りやうごく)の/花火(はなび)△△△△△△△△△△△¥Aかつら文楽 00088790M10Sおつかア、おほきにごぶさたアしました△Sヲヤ旦那。 00088800M11おめづらしう。まことにお久しぶりですねへ。まいにちお 00088810M12うわさをいたしておりましたが、よくまアいらつしやいま 00088820M13したねヱ△Sイヤ、ちよつとこよふと思つたけれども、社 00088830M14中にすこしごた+があつたので、ちつともからだにひま 00088840M15がないから、こぶさたサ。それにとりひきぜうで、よんど 00088850M16ころなく上州へいつて、ついおとゝひかへつたばかりだが、 00088860M17あんまりひさしくこつちへこねへから、けふハいのちのせ 00088870M18んたくをするつもりだから、内のをつれて、ぶら+/出(で)か 00088880M19けたが、/〆吉(しめ)チヤンハ内にいるかへ(十一ウ)△Sそりやア 00088890M20ありがたふごさいますが、まことにいけませんねヱ。どふ 00088900¥P344 00088910¥G(十二ウ・十三オ) 00088920M1したらよふごさいませう。せつかくいらしつたのに、あい 00088930M2にくけふハ二時ごろからでましたが、よるてなけりやアあ 00088940M3きますまい。まことにおきのどくさまでございますねへ 00088950M4Sヲヤ、おさしきかへ。それハざんねんだ。けふハミんな 00088960M5がうちにいねへが、/何所(どこ)かの/会(くわい)でもあるのか△Sヲヤあな 00088970M6た、どふなすつたのですねヱ。けふハ川びらきでサアネ 00088980M7Sなるほど。とふりでどこの玉もミんな/あげづめだ(|゜゜゜゜゜)(十二 00088990M8オ) 00089000¥N12¥J 00089010¥X/親爺(おやぢ)の/失策(しくじり)△△△△△△△△△△△△¥A立川談志 00089020M11内のやうすをうかゞひ、そつと/腰(こし)せうじをあけ、S今けへ 00089030M12ツたト、何くわぬかほでずつとはいる/宿六(やどろく)を/待(まち)かまへたる 00089040M13/女房(によふぼう)ハ、Sヘン、今けへツたもすさまじいやア。はげあ 00089050M14たまアかゝへて、わけへものといつしよに女郎/買(かひ)たア、あ 00089060M15んまりあきれて、ものがいへねへ。ばかもてへがへにつく 00089070M16すがいゝやア。もふろくぢゞいめ△Sナニ、もふろくとぬ 00089080M17かしやアかつたナ△Sそうよ。はげあたまアかかへて、よ 00089090M18どまり、ひどまりをするから、もふろくしたにちがへねへ 00089100M19(十二ウ)△Sナンダ。女郎/買(かひ)の一ツや半ぶんしたとつて、も 00089110M20ふろくよばわれをされてたまるものか。此引ずりおたふく 00089120¥P345 00089130¥G(十三ウ・十四オ) 00089140M1メが△Sヘン、引ずりた。引ずりなりやアこそ、こんな/所(とこ) 00089150M2に/居(い)てやるんだ。此子でもなくツて見ろ。とふに/立派(りつぱ)な/所(とけ) 00089160M3へいつて/居(い)らア。居てやるのをありがてへと思つていやア 00089170M4がれ。此大ランプめ△Sナニ、ランプだとぬかしやアがつ 00089180M5たナ。Sそばにあるキセルをとつて打てかゝるゆへ、/子供(こども) 00089190M6ハ/泪(なミだ)をすゝりながら、Sヲイおつかア△Sナンダよ△Sそ 00089200M7んなにわるいちやんなら、/売(うつ)て/仕(し)まいねへナ△Sコレナ、 00089210M8ちやんをだれが/買(か)うものかナ△Sそれでもさつき/表(おもて)へ/親ラ= 00089220M9ンプのおはらひ(|・・=・・・・・・・)を/買(かひ)に/来(き)たゼ(十三オ) 00089230¥N13¥J 00089240¥X/酒癖(さけのうへ)の/侘言(わびこと)△△△△△△△△△△△¥A柳家小さん 00089250M12S辰さん。/一昨日(いつさくじつ)ハとんだ花見でおきのどくでございまし 00089260M13た△Sナアニ、わたくしよりやア、おまへさんがサゾおこ 00089270M14まりでしたろふ。イアはや、ごどふよふに、げこれんハそ 00089280M15こへいつちやアつミハありませんね△Sほんとふにそうで 00089290M16ございますよ。熊さんもふだんハいゝ人ですが、すこしや 00089300M17りすぎると、あれが十八ばんでこまりますのサ△Sトキニ 00089310M18熊さんハかへりましたか△Sきのふおゝやさんが引とりに 00089320M19いつて、やつと/屯(たむろ)からけへツたそうです△Sイヤ、そいつ 00089330M20アとんださわぎになりましたツけねへ△Sさやうサ。あん 00089340¥P346 00089350¥G(十四ウ・十五オ) 00089360M1なさわぎをさせまいと思つて/土手下(どてした)のつりぼりへ引ぱりこ 00089370M2んだら、飛だして/仕(し)まつて、団子やへあばれこんで(十三 00089380M3ウ)とふ+屯のごやつかひサ△Sなにサ。酒のミにやア 00089390M4ありうちですよ△Sヘイ、ごめん下さゐ△Sヲヤ、/噂(うわさ)をす 00089400M5れバかげとやらだ。サア熊さん。おはいんナせへ△Sごめ 00089410M6ん下さい。イヨ金さんもこちらでしたか。/只今(たゞいま)ちよつとお 00089420M7れいにあがりました△Sそりやアおそれいりやした。トキ 00089430M8ニどふなさいました△Sイヤ、どふのこふのといつて、め 00089440M9んぼくしだいもございません。なんでもだんごやへとびこ 00089450M10んだハしつていますが、そのあとハメチヤ+。よひがさ 00089460M11めたら、たむろにおつたから、びつくりいたしました。マ 00089470M12ア何ハともあれ、昨日ハいろ+ごやつかいになりました 00089480M13Sモシ熊さん。ありやアきのふじやアありませんぜ△Sホ 00089490M14ンニさやう。アノだんごやハ、/ことゝひ(|・・・・)でした(十四オ) 00089500¥N14¥J 00089510¥X/職人(しよくこう)の/花見(はなミ)△△△△△△△△△△△¥A団柳楼燕枝 00089520M17ヤア+酒をつがせて来たばつかりに、一ト船/乗(の)りおくれ 00089530M18た。Sマヽヨ、/仕(し)かたがねへ。いつぷくやろふト、三人連 00089540M19の大工さんハ/土堤(どて)の/出(で)茶やへ/腰(こし)をかけ、Sトキニ/爰(こゝ)の下の 00089550M20つりぼりハ、たいそうつれて、さかなのかたが、よそのよ 00089560¥P347 00089570L1りすてきにいゝぜ△Sおらアつりよりか、すしがめつぽう 00089580L2/味(うま)かつた△Sソヲヨ、花見のすしにやア、上等すぎるくれへ 00089590L3だ△S上等といやア、此/景色(けしき)ハなんと上等じやアねへか 00089600L4Sソヲヨ。向じまハ竹屋の/川岸(かし)を見わたした所が一ばんだ 00089610L5といふが、どふもすてきだナア△Sそうよ。/爰(こゝ)だナア。か 00089620L6さゝぎやなぜ橋かけぬ隅田川トワ/名句(めいく)だナア△Sヘン吉公 00089630L7め。おつう/晒落(しやれ)やアがつたナ△Sそこハ吉五郎先生だ 00089640L8Sおきやアがれ△Sコヲ+、そりやアいゝが、今吉公が 00089650L9(十四ウ)ハしといつたんで思ひだしたが、こんと永代のわ 00089660L10た/((し脱カ))ハへくいなしに長イはしがかゝるとよ△Sフウ、そいつ 00089670L11アごうぎだが、持ばなしにかゝる木口があるめへ△Sそり 00089680L12やア天朝のことだものを。木曽山へ木口/見分(けんぶん)の/官員(くわんいん)方が御 00089690L13立になつているとよ。/夫(それ)よりごうぎなのハ、其橋を/一時間(いちじかん) 00089700L14てつたいの/請負(うけおひ)をした/者(もの)があるとよ△Sへヱヽそりやアど 00089710L15この/者(□の)だ△Sナニ、つい永代向ふのちくまたとよ△Sそい 00089720L16つアちくまだろふが、だれだろふが、できツこハありやア 00089730L17しめへ△Sイヤ、ちくまなら/出(で)きるだろう△Sナゼ+ 00089740L18S夫でも/乳熊一時(ちくまいつとき|・・・・)の/橋(はし)といふわサ(十五オ) 00089750¥N15¥J 00089760¥X/商人(あきうど)の/気転(きてん)△△△△△△△△△△△¥A春風亭柏枝 00089770M1Sこれハ旦那。久しうお目にかゝりませんナ△Sイヤ、た 00089780M2れかと思つたら、/唐物店(とうぶつや)の番しう。ホンニ久しうあひませ 00089790M3ん△Sイヤ、久しふりとまふせバ、先日御らんに入れまし 00089800M4た/手袋(てふくろ)ハ/御意(ぎよい)に叶ひましたか△Sヲヽそうだつた。あれハ 00089810M5たいそうぐわいがいゝから/求(もとめ)て置ましよヲ△Sヘイ、それ 00089820M6ハありがたふ△Sトキニ/昨日(きのふ)/急(きう)に大ふろこうとが入用ゆへ、 00089830M7おまへの見世までゆかふと思つたけれと、社用がおほいの 00089840M8で、よんどころなく、ぎんざのとうふつやでかいやしたか、 00089850M9どんなものだネ△Sなる程、大そうよいのをめしましたナ。 00089860M10どのくらゐでございました△Sソヲサ。おまへのとこでハ 00089870M11たいがいどんな相場たネ△Sへヱさやうサ。たいかい廿四 00089880M12五円でおもとめになりましたか△Sイヤ、そいつア大ちが 00089890M13ひだ。三十六円サ(十五ウ)△Sへヱ、それハだいぶよいお 00089900M14直段でござゐました△Sおほかたそうだろふと思つたが、 00089910M15何ぶんミせハくらし、此とんびのうへゑガラスをかけてあ 00089920M16つたから、大そうよく見へたゆへ、トンダ/かいか(|・・・)ぶりをし 00089930M17た。ハヽヽヽ△Sさやうでございます。どういたしても、 00089940M18れんかのあきんどにハ叶ひませんて。わたくしもかへりま 00089950M19したら、すぐにぎんかうとんびなぞへハ、ガラスをかけて 00089960M20/直(ね)うりをいたしませう△Sコレサ+。それじやアあんま 00089970¥P348 00089980¥G(十五ウ・十六オ) 00089990M1りおれのかいかぶりをわらふようなものた△Sイヱ、さや 00090000M2うでハございませんが、それがほんとうのことてござい升 00090010M3Sヲヤ、なぜね△Sそれでも/とんびがらす(|・・・・・・)と申升(十六オ) 00090020¥N16¥J 00090030¥X/頑固(くわんこ)の/年寄(としより)△△△△△△△△△△△¥A三遊亭円馬 00090040M6Sこれハ御隠居さん。とちらへ御出でございます△Sヲヽ 00090050M7誰かと思つたら、御差配の欲兵衛さん。いつもおたつしや 00090060M8でけつこうだね△Sイヤモウ/有難(ありかたい)イ事にハ、風ひとつ引ま 00090070M9せんが、イヱ、びんぼうひまなしとやらで、からだのせわ 00090080M10しいにハこまりきります。それゆへぞんぐわいごぶさたを 00090090M11いたしました△Sナニ+、おいそがしいのハ何よりけつ 00090100M12こう。シテけふハどちらへ。ナニ、/区役所(くやくしよ)へ。それハこく 00090110M13ろうせんばん△Sイヱ、おそれいり升。あなたハどちらへ 00090120M14Sハイ、わしかネ。わしハとしよりのやくだから、/一寸(ちよつ)と/観= 00090130M15音(くわん=おん)様へ/御参(おまい)りに△Sなる程、今日ハ御/茶(ちや)とうひでございま 00090140M16したつけ。イヤ、こしんじんナことで△Sイヤ、そのおか 00090150M17げか、どつこともいゝませんのサ△Sじつに/若衆(わかいもの)ハ(十六 00090160M18ウ)かなひません。お年に/似合(にあハ)ず、/杖(つへ)ひとつおつきなさら 00090170M19ぬのハおそれ入りますゼ△Sイヤそのこと。忰があぶなが 00090180M20つて、杖をついてくれといゝ升が、なんだか杖をつくと、 00090190¥P349 00090200¥G(十六ウ・十七オ) 00090210M1あまり/老(おい)ほれたやうに見へますからいやだト申たら、忰が 00090220M2こんなものをこしらへてくれました△Sヘイ。これハカウ 00090230M3モリ/傘(がさ)で△Sイヱ+そうでないのサ。にぎりのまがつた 00090240M4/杖(つへ)へ/切(き)れをまき、其うゑへかふもりの/袋(ふくろ)をかふせ、かふも 00090250M5り傘と見せた/趣向(しゆかう)ハ、何と/妙案(めうあん)たろうネ△Sイカサマ、こ 00090260M6いつア/ステツキ(|゜゜゜゜)だ(十七オ) 00090270¥N17¥J 00090280¥X/珍菓(ひくわし)の/風味(ふうミ)△△△△△△△△△△△¥A五明楼玉輔 00090290M9S金兵衛さん。まいどてますのだから、けつしておかまい 00090300M10下さるナ△Sイヱ、おかまいまふしハいたしません。まづ 00090310M11とりあらしましたくわしだが、一ツおとり下せへ△Sイヤ、 00090320M12いつでもおまへさんのおたしなミにハ、かんしんいたし升 00090330M13のサ△Sどういたして。なんぞめづらしいくわしとぞんじ 00090340M14升が、あまいものにハべつにかわつた風味もないものでナ 00090350M15Sイヱモウあがるたびごとに、いろ+とめづらしいおく 00090360M16わしをごちそうになりますが、じつにお茶といゝおくわし 00090370M17といゝ、よくおたくわへでございますねへ△Sイヤ、/下戸(けこ) 00090380M18といふものハ/意地(いぢ)のきたないもので/厶(ごさ)りますのサ。ハヽヽ 00090390M19ヽ。とかくたべるものにばかり気をもんでおります。ハヽ 00090400M20ヽ△Sサ、たべるものと申せバ、このあいだ中橋の松屋の 00090410¥P350 00090420¥G(十七ウ・十八オ) 00090430M1まへを通りましたら、りつぱナおきやくが、/新(しん)せいの/風船(ふうせん) 00090440M2といふくわしをかつておりましたら、まわりへけんぶつが 00090450M3いつはい(十七ウ)たかつておりましたが、あのくわしもい 00090460M4つか、つきじのはらであげた風船のやうに、うへゝでもあ 00090470M5がるしかけでもあり升かネ△Sイヤ、なか+そんな/仕(し)か 00090480M6けハできますまいて△Sそれでハなんであんなに見ていた 00090490M7ろう△Sイヤ、それハくわしが風船だから、おゝかたミん 00090500M8な/くうき(|゜゜゜)だろう(十八オ) 00090510¥N18¥J 00090520¥X/娼妓(おいらん)の/全盛(けいき)△△△△△△△△△△△¥A春風亭伝枝 00090530M11Sへイ、今日ア△Sヲヤ八さん。おいでなさい△Sヘイ、 00090540M12すこしおきゝもふしたいことがあつてめへりやした△Sハ 00090550M13ア、人別かネ△Sイヽヱ、人別ハあれでおさまりやしたが、 00090560M14おめへさんハなんでもごぞんじだからお聞もふしにめへり 00090570M15やしたが、此間から横丁の師匠の所へけいこにいきやすが、 00090580M16アノー、君ハ今駒かたあたりといふはうたのなかに、三ツ 00090590M17また川の船のうち心のたけをおんさつし、といふもんく 00090600M18がありやすが、ありやアなんのこつてごぜへやせう△Sハ 00090610M19ヽアさやうかネ。わたしハとんと、はうたなぞハぞんじま 00090620M20せんが、おゝかたそれハ仙だいのとのさまか、高尾といふ 00090630¥P351 00090640¥G(十八ウ・十九オ) 00090650M1おいらんのもとへおかよいなすつたが、その高尾が殿様の 00090660M2/御意(ぎよい)にしたがハぬ所から、むりに身うけを遊バして、船で 00090670M3芝のおやしきへおつれかへりになるとちう、大川の三ツま 00090680M4たで高尾をお手うちになつたといふことをかいた本かあり 00090690M5升から、おほかたそれを(十八ウ)はうたとやらにつくつた 00090700M6ものでせう△Sへヱ、そうでごぜへやすか。シテ見ると、 00090710M7此間金太のやろふがはなした、たいそうはやる女もやつぱ 00090720M8り高尾といふそうだが、なんでも女郎ハ高尾といふのがい 00090730M9ゝと見へやすネ△Sされバサ。高尾と名を付るおいらんハ、 00090740M10ぜんせいでなけりやアならぬとかいゝ升ヨ△Sどこだつけ 00090750M11か、うちも所も忘れやしたが、たいそうはやつて、四五日 00090760M12まへからいゝこんでおかなけりやアねへそうです。それで 00090770M13も十四五人ぐらへ、まわしがあるといゝやす△Sハヽア、 00090780M14そんならそのおいらんハおほかた、/ねず(|゜゜)だろう(十九オ) 00090790¥N19¥J 00090800¥X/米商(こめやまち)の/変事(さわぎ)△△△△△△△△△△△¥A柳亭燕路 00090810M17S源こう。/仕(し)ごとか△Sウム、米や町よ△Sナニ、米や町 00090820M18だ。コウ、米やまちツていやア、てめへのとくいばハ、ゆ 00090830M19うべの/大嵐(あれ)で、かべがどさりと来たぜ△Sそうか。そいつ 00090840M20ア大事だ△Sおれもそうだろうとおもつたのよ△Sまだて 00090850¥P352 00090860¥G(十九ウ) 00090870M1めへ、手をひかねへうちだから、てまをいくらかそんをす 00090880M2るいつけんだな△Sナアーニ、手まをそんしてたまるもの 00090890M3か△Sそれでも手をひかねへうちにおちたかべだから、し 00090900M4なをしハてまぞんだろう△Sイヽヤ、そうでねへのよ。勘 00090910M5定ハきつととれらア△Sへヱヽ、どういうかけあいだ 00090920M6Sどうもこうもねへけれど、どさりとおちたア/てんさい(|゜゜゜゜)だ 00090930M7ものヲ 00090940¥Q◇国利画◇ 00090950¥Q 00090960M11◇御届△明治十八年九月二日△△△定価八銭 00090970M12@編輯兼|出版人@△△△△△@神田カヂ町六番地△△△|△△△△長谷川忠兵衛梓@◇ 00090980M15△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十九ウ)