00000010¥P3 00000020¥U噺本大系△第十七巻 00000030¥G 00000040¥T/絵本軽口福笑(えほんかるくちふくわらい)〔序題〕 00000050¥Y 00000060M5明和五年正月刊 00000070M6義笑作・臥仙序 00000080M7京△菱屋治兵衛板 00000090M8半紙本二巻合一冊 00000100M9国立国会図書館蔵 00000110¥Y絵本軽口福笑序 00000120M13/果報(くわほう)ハ/子(ね)の/初春(はつはる)、/大福(おほぶく)の/茶(ちや)のミ/噺(はなし)をかし。御/臍(へそ)が/茶(ちや)をわか 00000130M14すハ、これがほんのぶん/福茶釜(ふくちやがま)ならん。はや/下(した)から/毛(け)がは 00000140M15へたといふ/題(だい)すに/向(むか)ひ、/義笑子(ぎしやうし)か/手(て)まへにて(序オ)/書(かき)たて 00000150M16し/軽口(かるくち)の/今(いま)むかし、あまり/茶(ぢや)に/福(ふく)あり、/笑(わら)ふ/門(かど)に/福(ふく)/来(きた)ると、 00000160M17/軽口(かるくち)/福笑(ふくわら)ひと/号(なづ)く 00000170M19△△△戊子初春△△△△△△△△臥△仙△題△G(序ウ) 00000180¥P4 00000190¥G 00000200¥N1¥J 00000210¥X 00000220M1△日比酒ずきなおやぢ有しが、有とき/友達(ともだち)来り、はなし 00000230M2してゐるうち、女房、さかづき、てうし持出、さゝ一つ、 00000240M3あがりませといひけれハ、おやち、/肝(きも)のつぶれたるかほに 00000250M4て、酒をのミはじめ、/客(きやく)をもてなし、さて客かへりて、女 00000260M5房にいひけるハ、今の酒ハどふしてとゝのへしぞと尋けれ 00000270M6ハ、女ぼうのいふ様、されハこなさまの友だち、久しぶり 00000280M7にて見えしに、/愛(あい)そがなさに、わたしが/髪(かミ)を半分かもじに 00000290M8/売(うり)、それで酒をとゝのへましたといへバ、ていしゆおとろ 00000300M9き、さて+/貞心(ていしん)なわろじやと、つふりを見て、こりや、 00000310M10も一度のが有といはれた(上一オ) 00000320¥P5 00000330¥G 00000340¥N2¥J 00000350¥X 00000360M1△/旅(たび)の/僧(そう)、かミゆひのとこへ来て、さかやきをすらしけ 00000370M2れハ、/髭(ひけ)をのこしてすらす。かのぼうず、ひげをなでゝ、 00000380M3此ひげをすつて下されといへハ、此中やつこのひげをすつ 00000390M4て、大きにめいわくいたしたといふてすらず。せり合いる 00000400M5所へ、おやぢ来り、なむ三、/今度(こんど)ハやつこを坊主にしたさ 00000410M6ふな(上一ウ) 00000420¥N3¥J 00000430¥X 00000440M9△りちきなるおやぢ、むすこに尋けるハ、やうずとハ何 00000450M10をいふと尋けれハ、やうずとハ南より/吹(ふく)風てこさる。此風 00000460M11ハ物にあたりてわるい風、人にもどく。/魚(うを)ハたちまちくさ 00000470M12りますといへバ、下より、きやくのぼりてつきける。てい 00000480M13しゆ出むかひ、これハ+御のぼりて御ざります。まつ御 00000490M14そくさいて、おめでたうござりますとあいさつすれハ、さ 00000500M15れハ此度ハ/南風(なんふう)に出合、なんぎいたしたといへハ、さてハ、 00000510M16さかながくさりましたかといハれた(上二オ) 00000520¥P6 00000530¥G 00000540¥N4¥J 00000550¥X 00000560M1△/遠国(えんこく)より/座頭(さとう)ども、/官(くハん)あがりに大勢つれたち通りけれ 00000570M2ハ、子ども、あまた遊ひ/居(い)たりけるか、一人の子申ハ、い 00000580M3かゐざとうかなといへバ、座頭申ハ、ゆふべの雨てはへた 00000590M4ハといひけれバ、中にもこざかしき子が申ハ、目もなふて、 00000600M5どふしてはへたぞといふた(上二ウ) 00000610¥N5¥J 00000620¥X 00000630M8△有人、久しぶりにて出合、是ハ御/法体(ほつたい)なされましたか。 00000640M9扨/法名(ほうめう)ハ何と申ます。/宗円(そうゑん)と申ますといへハ、宗ハむね、 00000650M10えんハ/丸(まる)いてこざるかといへハ、いや、円ハ/板(いた)じやといは 00000660M11れけれハ、是ハふしきな/字(し)てごさると/笑(わら)ふてかへりし。跡 00000670M12にてむす子きのどくがり、おやぢ殿。しらずハしらぬて済 00000680M13事。ゑんハ板とハ何でごさるとしかれバ、何をぬかす。こ 00000690M14ちのゑんハ竹ゑんじやゆへ、丸いハしつて居れとも、ぐハ 00000700M15いふんを思ふて、ゑんハいたじやといふた(上三オ) 00000710¥P7 00000720¥G 00000730¥N6¥J 00000740¥X 00000750M1△大坂より京へのぼり船、/乗合(のりあひ)たがひに咄し合中に、す 00000760M2まふとりのはなし出て、大山二郎右衛門ハせいか六尺一寸 00000770M3有たといへハ、いや、/相引(あいびき)も六尺二寸あつたと、とり+ 00000780M4はなしして、とかく町にハ其やうな人ハないといへバ、わ 00000790M5きよりそさうな男、わたくしがおやどもハ、六尺ござりま 00000800M6す。それハすまふにても出やしやるかといへバ、いや、ゐ 00000810M7しやののりものかきでこざるといふた(上三ウ) 00000820¥N7¥J 00000830¥X 00000840M10△まハりどをな/箱(はこ)屋のおやぢ、風のふくをよろこび、か 00000850M11ゝ。/商売(しやうばい)がはやるそ。酒かふてこいといへハ、それハとふ 00000860M12していそかしいぞといへハ、はて、此風て人の/目(め)へほこり 00000870M13が入と、目をわづらふので、さミせんを/習(なら)ふによつて、さ 00000880M14みせんの/筥(はこ)が大ふんうれるといはれた(上四オ) 00000890¥P8 00000900¥G 00000910¥N8¥J 00000920¥X 00000930M1△さる/後生(こしやう)ねかひのおやち、我たのミ寺のおしやうを/仏(ほとけ) 00000940M2のやうにたのミて/信(しん)心しけるに、あるとき、ふと寺へ参り 00000950M3ける。/住持(ちうじ)立出て、よう参らせられた。まづ御無事て、ち 00000960M4んてう+。さあ上らせられよと、あいさつすれハ、おや 00000970M5ぢ申けるハ、ちと御寺に、おたづね申たいことこざつて参 00000980M6りました。此比御寺へ/大黒(だいこく)か御入なされたとうけ給ハりし 00000990M7か、まことてこさるかととひけれバ、おしやう、ぎよつと 00001000M8した皃つきして、小声になり、たゝ今かミゆふてをります 00001010M9といハれた(上四ウ) 00001020¥N9¥J 00001030¥X 00001040M12△/皷(つゝミ)うちに、うら/皮(かハ)をさい+ぬらすくせありしか、友 00001050M13たちよりあひ、/今(こん)夜壱/番(はん)の中にて、三/度(ど)ハゆるす。もし四 00001060M14たびぬらさハ、此連中ふるまひをさす。三度てしまやつた 00001070M15ら、こちからふるまをと、やくそくして打ける。やう+ 00001080M16三度しまひけれど、今一度ぬらしたく、つゞミをまたにひ 00001090M17つはさミ、近所を見合て、そつとぬらされた(上五オ) 00001100¥P9 00001110¥G 00001120¥N10¥J 00001130¥X 00001140M1△しわいわろが、今/夜(や)ふぐ/汁(じる)をしてくハんとこしらへけ 00001150M2る所へ、人来りて、/長(なか)ばなししていなざりけれハ、ていし 00001160M3ゆせいて/庭(にハ)へをり、うぢ+として/相手(あいて)にならねども、此 00001170M4わろもかざをかいで、いよ+はなししかけけれバ、てい 00001180M5しゆきのどくかり、これにござりませといへハ、客人、こ 00001190M6れ+、/追付(おつつけ)夜しよくができますといわれた(上五ウ) 00001200¥N11¥J 00001210¥X 00001220M9△ある/家(いへ)より、/豆腐(とうふ)を買ふと、内よりよべと、きかざり 00001230M10けれバ、下女はしり出て、是のふ、とうふ。あの人ハみゝ 00001240M11ハないかいのといへバ、豆腐屋、へらす口にて、みゝハ/内(うち) 00001250M12にござりますといふた(上六オ) 00001260¥P10 00001270¥G 00001280¥N12¥J 00001290¥X 00001300M1△/遠国(をんこく)のもの、上がたへのぼり、/宿(やど)をかり、二かいへお 00001310M2あがりなされといへハ、つゐにあがりし事なきゆへ、いか 00001320M3ゞせんとさうだんする中に、猫来りて二かいへ上るを見て、 00001330M4みな+/合点(がてん)し、ねこのごとくあがりけれども、おりる事 00001340M5に又こまりけるが、中にもこざかしき男、さいぜんのねこ 00001350M6を/追(おひ)おろしけれハ、ねこハおそれて、さかさまにおりるを 00001360M7見て、われもしたと、さかさまにおりける(上六ウ) 00001370¥N13¥J 00001380¥X 00001390M10△/四(し)の/字(じ)をきらふ/旦那(たんな)あり。てつちをかゝへけるとき、 00001400M11いひ付られしハ、こちの内ハ四の字をきらふほとに、四の 00001410M12字をいふたら、三貫文くハたいをとる。又おれがいふても、 00001420M13くハたいをやるといはれけれバ、でつち、りこう者/もの((ママ))に 00001430M14て、かしこまりましたと受合、何とぞ旦那どのに三貫文出 00001440M15させんと思ひ、/使(つかひ)に行てもとりに、申、たんなさま。けふ 00001450M16かハつた物、見て参りました。何をミたぞ。されバ、木の 00001460M17かまで、まゝをたいていましたといへバ、それハしりがこ 00001470M18ぎよかといわれけれバ、たんな、三貫いたしませふ(上七 00001480M19オ) 00001490¥P11 00001500¥G 00001510¥N14¥J 00001520¥X 00001530M1△ある人、たばこ入のじまんして居られけるに、友たち 00001540M2来りて、是ハよいたばこ入てこさるとほめけれバ、されバ 00001550M3此たばこ入ハ、/鳥羽車(とバくるま)といひますといへバ、心ハ。はて、 00001560M4うしなふてハならぬといふ。なるほど、聞へましたといへ 00001570M5ハ、出入の男、/合羽(かつハ)の古きたばこ入を出して、是ハ/花車(はなくるま)と 00001580M6申ます。心ハ何と。うしなふて大事ない(上七ウ) 00001590¥N15¥J 00001600¥X 00001610M9△/律義(りちぎ)なるおやぢども、/灸(やいと)をすへんとて、/医者(いしや)どのに尋 00001620M10けれバ、上りじやほどに、ふじに/灸(きう)をすへよといハれたけ 00001630M11れど、道がとをいゆへにやめた。貴さまハどふじや。おれ 00001640M12も/冷(ひへ)しやほどに、/亀(かめ)の/尾(お)に灸をせいといはるゝゆへ、/池(いけ)へ 00001650M13亀をとりにやつた(下一オ) 00001660¥P12 00001670¥G 00001680¥N16¥J 00001690¥X 00001700M1△せつぶんに、/福(ふく)ハ内鬼ハ外と、豆打するおとに/驚(をどろ)き、 00001710M2鬼あらはれ出れバ、ていしゆ見付て、いよ+豆を打けれ 00001720M3バ、鬼うろたへ(下一ウ)廻り出ざれバ、ていしゆとがめ、 00001730M4何とて出ぬといひけれバ、いや、をもてにやくはらひが、 00001740M5酒にゑふてあばれてゐまするゆへ、出られませぬといへバ、 00001750M6ていしゆ聞て、こりや尤じや。しバらくまて。やがてせう 00001760M7きになるといひけれハ、鬼、/肝(きも)をつふし、/厄(やく)はらひがせう 00001770M8きになつてハたまらぬと、跡をも見ずして、にげ行ける 00001780M9(下二オ) 00001790¥P13 00001800¥G 00001810¥N17¥J 00001820¥X 00001830M1△/海上(かいしやう)にハかにくもりて、雨風つよくしけれバ、船頭う 00001840M2ろたへ、いかりをあまたおろし、さハきけるに、/乗人(のりて)の内 00001850M3一人、舟のおもてへ出、/浄(しやう)る/理(り)本を取出し、高&と義太夫 00001860M4ぶしを/語(かた)れバ、のり合の人しかりて、此なんぎに、上るり 00001870M5所じやあるまいといへバ、/彼者(かのもの)、いや、/芸(けい)ハ身をたすくる 00001880M6といはれた(下二ウ絵)(下三オ) 00001890¥P14 00001900¥G 00001910¥N18¥J 00001920¥X 00001930M1△/去(さる)りちぎなるおやぢ、子供四人つれて天神へ参り、水 00001940M2茶屋へはいりて茶をのミいたりしが、そバにゐる人いひけ 00001950M3るハ、これハ其元の御/子息(しそく)たちかと尋けれバ、(下三ウ)お 00001960M4やぢきいて、さてハ子ともを何そくといふものならんと思 00001970M5あんして、されハ、二そく子形てこさり、今二そくハ女か 00001980M6たてこさるといはれた(下四オ) 00001990¥P15 00002000¥G 00002010¥N19¥J 00002020¥X 00002030M1△/堂上(とうしやう)がたへ御出入するけんげう、いなかものをかゝへ、 00002040M2正月の礼をつとめ、下人に申付けるハ、爰ハ御所の内なれ 00002050M3ハ、/裝束(しやうぞく)なされたおかたが御通りなされふ。むかふから御 00002060M4出なさるならバしらせよ。おじきをせねバならぬといへハ、 00002070M5心へましたと、あれこれをしへ、じぎをいたし、通りける。 00002080M6それ+、また御/二人(ふたり)御出と、をしへけれバ、かたよりて 00002090M7じぎをいたし、けんげういひける。御とももなさそふな。 00002100M8(下四ウ)どのやうな御裝束めして御ざつたと尋けれバ、た 00002110M9ち花の御/紋(もん)で、御手にハつゞミをもつて御さりましたとい 00002120M10へバ、なむさん、それハ/大和(やまと)まんざいしや(下五オ) 00002130¥P16 00002140¥G 00002150¥N20¥J 00002160¥X 00002170M1△心やすき/友(とも)だちあつまり、はなしのうへ、貴さまのま 00002180M2ゆハ、まそつとほそくバ、なりひら男じやとなぶりけれバ、 00002190M3かのをとこ、まゆをほそくして、是でハよいかといへバ、 00002200M4いや+まだふといといひけれハ、/今度(こんど)ハすつへりとすり 00002210M5て、これでハどふじやといへバ、これハしつかい、なりじ 00002220M6やといへバ、へらず口にて、すいめ、/平(ひら)をおとしをつたと 00002230M7いはれた(下五ウ)(下六オ絵) 00002240¥P17 00002250¥G 00002260¥N21¥J 00002270¥X 00002280M1△久しぶりにて/近(ちか)づきに出合、これハ+御そくさいて 00002290M2珍重。さて今ハ何をして御ざる。只今ハしちと酒屋てござ 00002300M3るか、其もとハ何をなさるゝぞと/問(とハ)れて、手まへも同しこ 00002310M4とでごさる。それハ御仕合といへハ、いや、わたくしのハ、 00002320M5おいてハのミ+いたしますといはれた(下六ウ) 00002330¥Q 00002340M7明和五年子正月吉日 00002350M9△△△△△△△△△大伝馬町三丁目 00002360M10△△東都書林△△△△△△△△鱗形屋孫兵衛 00002370M12△△尾州書林△△△△△△△△菱屋久兵衛 00002380M14△△△△△△△△△△△寺町松原上ル町 00002390M15△△帝都書林△△△△△△△△菱屋治兵衛板 00002400¥P18 00002410¥U噺本大系△第十七巻 00002420¥G 00002430¥T/絵本(えほん)/珍宝艸(たからぐさ)〔題簽〕 00002440¥Y 00002450M6明和頃刊 00002460M7半紙本一冊 00002470M8香川大学図書館神原文庫蔵 00002480¥N1¥J 00002490¥X 00002500M11△▲/祇園(ぎおん)の/藤(ふじ)さかりの/頃(ころ)、/見物(けんぶつ)おほく、/茶(ちや)ミせに/腰(こし)かけ 00002510M12てながめゐる所へ、ぼく/性(しやう)成男、やがて/懐(ふところ)より/鼻紙(はながミ)を出し、 00002520M13引さいて、しばししあん/顔(がほ)して、花にくゝり付てかへるを、 00002530M14若い衆が見て/居(ゐ)て、人はかつかうによらぬものじや。ちか 00002540M15頃もんもうななりで、あぢをやりおる。/何(なん)とよんだ。見や 00002550M16うと取ツて見れば、/白紙(しらかミ)なり。是ハどふじやとふしぎがり、 00002560M17/定(さだ)めてふかいこゝろが有てあらふ。/追(おつ)かけていて聞ふじや 00002570M18有まいかと/走(はし)り出し、よふ+と追付て、そこもとハ藤の 00002580M19花にむすび付さつしやつた/紙(かミ)ハ、/定(さだ)めし/面白(おもしろ)い心がござら 00002590M20ふ。いふて聞さつしやれといへば、イヤ、わしハなんにも 00002600¥P19 00002610¥G 00002620M1しらぬによつて、旦那によまそとおもふて、あれハ哥のは 00002630M2どりをしておいたのでござる(壱オ) 00002640¥N2¥J 00002650¥X 00002660M3△▲ある町内に、けしからぬだて/娘(むすめ)有。あまりどこでも 00002670M4/評判(ひやうばん)有しゆへ、町のお/宿老殿(しゆくらうどの)、その娘の/親(おや)につげて、ちと 00002680M5ゐけんさつしやれとあれば、おやたちが、なか+親のい 00002690M6ふ事、/用(もち)ひるやうなやつでござりませぬ。どふぞ御せわな 00002700M7から、お/寄合(よりやい)の折から、およびなされ、ちとゐけんなされ 00002710M8て下されませと/頼(たの)まれて、/尤(もつとも)に思ひ、よびにやらるれば、 00002720M9ひぢりめんのぢばんの/袖(そで)口を五六寸も出して、三がいの銀 00002730M10の/露(つゆ)打のざうりはいて/来(き)た所、お宿老もあきれながら、/去(さり) 00002740M11とハそなたハめつそうな作りやう。ぶんさうをうかよいと 00002750M12いハれて、かの娘、ぴんとして、私が身でだてをするのに、 00002760M13いかいお/せゝ((ママ))のと、そらさぬ顔。/宿老(しゆくらう)/重(かさね)て、そなたのや 00002770M14うな人ハ、エテ、/芝居(しばい)にするそやといへば、ハテ、芝居に 00002780M15したとて、おまへのかまいにハ成まいと打こめハ、イヤ成 00002790M16とも+。そなたハどうで八重八か富十郎などがすれど、 00002800M17おれをばのこずめがしますわいのといハれた(壱ウ) 00002810¥N3¥J 00002820¥X 00002830M18△▲さる/若(わか)い人、/友達(ともたち)の所へゆきて、かわつたこともご 00002840M19ざらぬか。わしハ是から/庚申(かうしん)まいりせふとおもふて、/貴様(きさま) 00002850M20をさそひによりましたが、参らしやれぬかどふじやといふ 00002860¥P20 00002870¥G 00002880M1しな、あかり口に/腰(こし)かける。てい主も、成程参らふ。まづ 00002890M2たばこなどいふて、一つ二つはなしの内に、かの若い人の 00002900M3はなぢが出ければ、いろ+として見れども、とまらぬゆ 00002910M4へ、ていしゆがふつと思ひ付て、かのわろのくびすじのけ 00002920M5を三すじ引ぬかるれば、たちまちはなぢハとまつたれど、 00002930M6きのどくハ、/顔(かほ)を見たれば、いつの間にか、さるになつて 00002940M7いられたもふしぎ+(二オ) 00002950¥N4¥J 00002960¥X 00002970M8△▲此たび/長楽寺(ちやうらくし)にて、/太子(たいし)様のかい/帳(ちやう)におびたゝしき 00002980M9/参詣(さんけい)に、ある所のばさま、/昼(ひる)ハせき合とおもひ、/朝(あさ)とふ参 00002990M10られけるが、三日めの朝、太子様のまへでさめ※とない 00003000M11て/居(ゐ)らるゝを、そば成人見かねて、/爰(こゝ)なば様ハ、なんでな 00003010M12かしやるととへば、/私(わたくし)ハけふで三日参りますが、太子様の 00003020M13おかほをはつきりと/拝(おが)ミ付られませぬゆへ、/罪(つミ)がおそろし 00003030M14さになきますといへば、御出家衆がきゝ給ひ、これ+ば 00003040M15さま。今ハ/参詣(さんけい)がすくないさかいでといます。こなたハ何 00003050M16ンぞわるいしやうばいかな、さしやるものであらふといわ 00003060M17れて、かのばゝが、アヽやくたいもない。もつたいないこ 00003070M18とおつしやれ。はつかしながら、わたしがしやうばいハ四 00003080M19十年このかた、のりやをいたしておりますといへば、御出 00003090M20家もぬからぬ顔で、ムヽそんならしれた。/道理(だうり)でたいしに 00003100¥P21 00003110¥G 00003120M1のりやハさしあひじやといハれた(二ウ) 00003130¥N5¥J 00003140¥X 00003150M2△▲ある所のおやち、旦那衆へきやくが有りしゆへ、か 00003160M3つてへ取もちに/居(ゐ)たれば、/嚊(かゝ)きゝや。お内義かすいものゝ 00003170M4かげん見て、/桐(きり)の/木(き)+といハれたによつて、われらとん 00003180M5とたべつけぬことゆへに、いつそとへと思ふて、桐の木と 00003190M6おつしやる心ハととふたれば、内義が、さればいな。こと 00003200M7によいといふこゝろてござんすといハれたが、あのやうな 00003210M8きやしやなことをいふ女房を/持(もつ)といふハ/仕合(しやわせ)じやといへば、 00003220M9まけぬ/気(き)な/嚊(かゝ)しゆで、そのくらいな事を、わしじやとてい 00003230M10ひかねましよか。いつなつと人をよぶをりに、なんなつと 00003240M11是かけんを見やといふてさし出さしやれと、やくそくをし 00003250M12てをき、あるとき四五人/客(きやく)のありしとき、是嚊。かげんミ 00003260M13やといふてさし出せハ、すふて見て、桐の木+といへハ、 00003270M14きやくが聞て、心ハどふしやととへハ、/嚊(かゝ)がとりちがへ、 00003280M15げたによいといふた(三オ) 00003290¥N6¥J 00003300¥X 00003310M16△▲/唐人(たうじん)どもよりあひ、此たび/日本(につほん)へわたるに、日本の 00003320M17/者(もの)どもニ、ちつと/目(め)をおとろかすやうな事ハ有まいかと、 00003330M18だん+せんきのうへ、ふつと思ひつきのよいものあつて、 00003340M19何と、くろんぼ、一ト嶋有たけおともにつれられませんか 00003350M20と申上れば、是ハ今までないづ。よかろと極り、いそぎく 00003360¥P22 00003370¥G 00003380M1ろんぼの嶋へつかひを立、そのよし、いひ聞せけれハ、嶋 00003390M2のものども大きによろこび、めづらしい/日本(につほん)をはいけんい 00003400M3たすことの忝なやと、今や+とまちいたる所に、またに 00003410M4わかにさうだんかハり、せんれいにないことをして、もし 00003420M5もとがめられんことあらハ、よろしからず。へんがへの/使(つかひ) 00003430M6をつかハしければ、くろんぼども、のこらずよりあつまつ 00003440M7て、まつしろになつて、はらをたてた(三ウ) 00003450¥N7¥J 00003460¥X 00003470M8△▲さるお屋敷の/梅(むめ)のはな、見事にさきしを、/高塀(たかへい)ごし 00003480M9に、となりよりわりばさみで折とらんとするものあり。折 00003490M10ふし、屋敷の/旦那(だんな)が此/躰(てい)見付、ざうり取の/角内(かくない)をよんで、 00003500M11となりより何ものか、花を折とらんとするやつあり。/急度(きつと) 00003510M12せんぎせよとあれば、角内、一/腰(こし)ぼつこんて/尻(しり)引からげ、 00003520M13につくいやつ。/腕(うで)切おつておめにかけんと、高へいへはし 00003530M14ごをかけ、つか+と上り、そのまゝとなりを見こすと、 00003540M15うつくしき二八ばかりのむすめの子が、かのわりばさみを 00003550M16/持(もつ)て見上らるゝを、角内が/主(しう)のいひ付もどこへやら、あね 00003560M17様。どのゑだ折て上ませふといふた(四オ) 00003570¥N8¥J 00003580¥X 00003590M18△▲ありあけの/火(ひ)がなけねハきかぬといふ/浪人衆(らうにんしゆ)ありけ 00003600M19るか、有/時(とき)ふつと/目(め)をさまされしに、火がきへて有ければ、 00003610M20/其(その)まゝ/起(おき)上り、下人をせハしなくよびをこし、かねていひ 00003620¥P23 00003630¥G 00003640M1付ケをくに、/中(なか)+てもない。はやう火をともせとしから 00003650M2るれば、下人びつくりして、/気(き)をせいて、かち+と火を 00003660M3打、つけ/木(ぎ)をさがせと、なければ、火打/箱(ばこ)一ツはいに火か 00003670M4なれば、/旦那(たんな)、大きにりつふくし、/扨&(さて+)たしなみのわるひ 00003680M5やつ。/金銀(きん※)の入事てハなく、/高(たか)で一/銭(せん)か二せんでたくさん 00003690M6なものをと、きつといからるれハ、下人、いかゞおもひけ 00003700M7ん、/我部(わがへ)やへとんで行、やにハに一/腰(こし)もつて出て、ぬかん 00003710M8+としけるを、/旦那(たんな)がすかし見て、ヤイ、おのれハ今い 00003720M9ふたをむねんに思ひ、くらがりで/主(しう)にてむかひか。イヤ、 00003730M10てむかひハ仕らぬが、たしか此なかに一まいハと、気をせ 00003740M11いていふた(四ウ) 00003750¥N9¥J 00003760¥X 00003770M12△▲口合なわかいしゆよつて、いつでも/開帳(かいてう)に参らふな 00003780M13らハ、かうだいしじやといふ。一人が聞て、いかさま、/景(けい) 00003790M14のよい所でハ有といふ。いや+、そればかりでない。/先(まづ) 00003800M15たれでも参つた/者(もの)ハ、/達者(たつしや)ものに成といへは、りくつなわ 00003810M16ろが、どふしたわけで、そくさいに成ぞととへば、さして 00003820M17むつかしいことでもない。まづ天神さまから、だん+お 00003830M18かみめぐりて、おくゑゆくと、たれがまいつても、みなや 00003840M19まへぬけるにちがいないといふた(五オ) 00003850¥N10¥J 00003860¥X 00003870M20△▲/有(ある)とき、せいくわんじの/如来(によらい)、/風呂(ふろ)をいひ付させら 00003880¥P24 00003890¥G 00003900M1れしが、/蛸薬師(たこやくし)へもしらせと有しゆへ、よびニやれば、忝 00003910M2しと/早速(さつそく)/来(ら□)りんあつて、風呂ばへ入んとし給ひしニ、ひぢ 00003920M3りめんのゆもじがさほにかけて、/湯(ゆ)をつかふおとのすれば、 00003930M4ちやつと立もどり、如来にむかひ、たゞ今よひにこされし 00003940M5ゆへ、すぐにいらふとそんじ、ふろ口へまで参りしが、め 00003950M6づらしいおきやくかな有てか、どこの/女(によ)しやうでござりま 00003960M7すぞとうかゞひ給へは、/如来(によらい)こたへてのたまわく、もちろ 00003970M8ん是に女人のきたおぼへなし。ほかに、ヱヽそれよ+。 00003980M9さいぜん、となりのいづミしきぶがわせたが、それでかな 00003990M10ござらふとおほせられた(五ウ) 00004000¥N11¥J 00004010¥X 00004020M11△▲/旅僧(りよそう)一人、追わけへんをとぼ+と、夜もふけ/気(き)味 00004030M12わるなから/通(とを)らるれば、あんのてう、/盗賊(とうそく)二人出来り、コ 00004040M13レ/坊(ぼ)様。/酒(さか)てをくたしやれ。/金(かね)かなか、わんぼをぬぐのか。 00004050M14どふじや+といへども、へんたうもなしに、すぐにぬい 00004060M15でやり給へば、盗人もどふやら、あまりにはりやいなさ。 00004070M16こなたハ何ンといふ人ぞととへば、おれハきせん/法師(ほうし)とい 00004080M17ふものじや。それでぬいでやろと、はだかに成て行過る所 00004090M18へ、又出家一人来りければ、くだんの盗人、是&、/御坊(ごほ)様。 00004100M19有たけぬいでいかしやれといへば、さいぜんのとちがひ、 00004110M20いつかなと何ンにもやることならぬと、つよくいへば、ひ 00004120¥P25 00004130¥G 00004140M1とりの盗人こらへかね、ながぜりふせすと、ヱヽ、ばらし 00004150M2てしまへと、すぐにぬいて切付るに、すこしもさハがず、 00004160M3きれども+さあらぬ/躰(てい)。さしもの盗人、がを折て、扨も 00004170M4きめうな。そなたハなんといふ人ととハれて、かの僧、お 00004180M5れハふじみさいぎやうじやといハれた(六オ) 00004190¥N12¥J 00004200¥X 00004210M6△▲お/霜月(しもつき)に/御門跡(こもんせき)へ、いなか/衆(しゆ)参りけるが、/立花(りつくわ)の見 00004220M7/□((不明))りに、/梅(むめ)のはなあしらい有ければ、ひとりのわろが、/扨(さて) 00004230M8も+あれをミや。梅の花がもふさいた。これハふしぎな 00004240M9ことかなとながめ入れバ、そば成人、あれもそのまゝにし 00004250M10て木にあれば、なか+いまじふん、あのやうに見事にハ 00004260M11さきませぬが、あれハずんどちゑなものがあつて、むろの 00004270M12/中(なか)へいれてあたゝめるゆへに、あのやうにはやふさきます 00004280M13といふてきかせバ、いかなおんごくなしゆでも、手をうつ 00004290M14てかんじけるが、又おしやうばんに出る衆が、まんざいゑ 00004300M15ぼしに、すわふちやくして出られければ、かの/遠国(おんこく)の/衆(しゆ)か 00004310M16見て、あれを見なされい。むろざきのまんざいが、たんと 00004320M17出たといはるゝもおかし+(六ウ) 00004330¥N13¥J 00004340¥X 00004350M18△▲/京(きやう)の/報恩寺(ほうをんし)の一の/重宝(てうほう)、その外れいほうものあまた、 00004360M19大坂での御/開帳(かいてう)ありしゆへ、/貴賎(きせん)くんじゆ有けるが、れい 00004370M20ほうあまたの中にも、人&聞及びし/狩野(かの)/古法眼(こほうけん)の/書(かゝ)れし/虎(とら) 00004380¥P26 00004390L1の/絵(ゑ)。此絵のふしき、/名筆(めいひつ)のしるし、そのいにしへハ夜ご 00004400L2と+になきしゆへ、今にこれを、なき/虎(とら)と申て、ためし 00004410L3すくなき/宝物(ほうもつ)でござると、/縁記(ゑんぎ)をときけるが、あさの間/参= 00004420L4詣(さん=けい)うすき内、心安き人を頼、しばし外へ行れしゆへ、たの 00004430L5まれた男しさいらしく、忝くも名筆ゆへ、此虎、よな+ 00004440L6なきましてござるといふていられける所、/理屈(りくつ)な/侍(さふらい)か参詣 00004450L7して、何じや。此虎がないたとや。男、いかにもなきまし 00004460L8たといへば、かの侍が、そりや、なんといふてないたととハ 00004470L9れて、へんとうにこまり、うろたへて、此とらが夜な+ 00004480L10三井寺へいのふ+といふてなきましたといふた(七オ) 00004490¥N14¥J 00004500¥X 00004510L11△▲大/雨(あめ)のふる時、ある人、そとより帰りがけ、道にて 00004520L12小でまり程な玉子を一つひろいて、是ハかハつたなりな玉 00004530L13子じや。あたゝめてみんと、二三日おかれければ、かの玉 00004540L14子われて、中よりちいさい/神鳴(かミなり)の子出、せなかにしほらし 00004550L15いたいこが有。是を出してハおかれまいと、とりかごへい 00004560L16れおき、扨四五日もしてから、ちやせんに水をそゝぎ、ぱ 00004570L17つ+とかけゝれば、/鳥(とり)かごのうちを、ごろ++とま 00004580L18ハりける。いかな/者(もの)でもめづらしがり、よこ町の太郎兵へ 00004590L19が所に神鳴のひよこが有と、ゑん引もとめて、おびたゝし 00004600L20いけんぶつ。ある時、すいらしい/内義(ないぎ)が、かごのそばへよ 00004610M1り、ながめて、たばこのけふりをかの神鳴の子に、ふつと 00004620M2ふきかけられければ、ふいと、かのけふりにつれて、いづ 00004630M3くともなくうせにけり(七ウ) 00004640¥N15¥J 00004650¥X 00004660M4△▲ある人、友/達(たち)の所へ夜ばなしに行、うか+と夜の 00004670M5ふける迄/居(い)て、もはや帰らふといひしな、うぢ+とゐに 00004680M6かねる。友たちが、どこぞわるひかととへハ、いや+、 00004690M7とこもわるひことハないが、いにしなに、いつでも犬めが 00004700M8おどしをるにこまるといふ。/友達(ともだち)が、それにハずんどよい 00004710M9ことおしへてやらふ。それハ忝けない。どふするがよいの 00004720M10ととへば、/先(まづ)おどしかゝらぬさきに、四つばいになりて、 00004730M11わん+と、こちからいへば、いかな犬でも、せんをこさ 00004740M12れて、よふおどさぬといへは、かのわろ、よろこびて、是 00004750M13ハよい事をいふて下さつたと、すぐにかへりがけにやつて 00004760M14見れば、犬がにげた。扨もよいことをおほへたと思ひ、あ 00004770M15くるばん、又外へ行、帰りに犬のいるあたりで、四つはい 00004780M16になりて、わん+といハれしを、きかぬ/気(き)な犬めにて、 00004790M17わん+といひしな、かのわろのふともゝをかミついたれ 00004800M18ば、うろたへて、きやおん+といふてにげられた(8オ) 00004810¥K〔本書絵詞は省略した〕 00004820¥P27 00004830¥U噺本大系△第十七巻 00004840¥G 00004850¥G 00004860¥T/新軽口恵方宝(しんかるくちえほうたから)〔題簽〕 00004870¥Y 00004880M5明和頃刊 00004890M6花月亭祐代画 00004900M7京△菊屋喜兵衛板 00004910M8半紙本一冊 00004920M9香川大学図書館神原文庫蔵 00004930¥N1¥J 00004940¥X 00004950M11△ねこ、子をたんとうみけれハ、さる人、そなたの所に 00004960M12ハ、ねこか子をうんだけな。よけがあるなら、一疋たもら 00004970M13ぬかといへば、イヤ+、おれが所のハ、三毛ばかりじや 00004980M14といふた(一オ) 00004990¥P28 00005000¥G 00005010¥N2¥J 00005020¥X 00005030M1△ある所のかミ様、寺まいりとて、こしもとに、つゝみ 00005040M2もたせ出られけるに、道にて、つゝミほとけけれは、ぎお 00005050M3ん町のミせをかりて、つゝみをなをさせけるに、その家の 00005060M4子を、うば、いたきて門口に立ゐけるに、(一ウ)かみ様も、 00005070M5みせをかりしついしやうに、さて+よいお子や。/上臈(しようろう) 00005080M6のお子でござりますかと、とハれけれバ、うば、うろたへ 00005090M7て、イヱ+、これはお/客(きやく)の子てござりますといふた(二 00005100M8オ) 00005110¥P29 00005120¥G 00005130¥N3¥J 00005140¥X 00005150M1△/唐土(もろこし)へ、/水風呂桶(すいふろおけ)ながれ行けるが、唐人ども、よりあ 00005160M2つまりて、これハめづらしいものがながれてきた。これは 00005170M3何といふものじやと、ひやうき、まち+成けるが、(二ウ) 00005180M4中にも、ことをしりたるものいふやう、これハ日本で水風 00005190M5呂桶といふて、水を湯になして、その中へ入て、身をあら 00005200M6ふものなりといへバ、さらば、水をくミてはいれとて、水 00005210M7をこすほど入て中へいり、さて、下よりたきて、とふじや。 00005220M8よひものかととへバ、ヲヽ、中+よいものじやが、湯に 00005230M9成まてハ、さて+、さむいものしやといふた(三オ) 00005240¥P30 00005250¥G 00005260¥N4¥J 00005270¥X 00005280M1△しらぬことを、しりたるやうにいふ人、ある座敷へ行 00005290M2て、/床(とこ)を見れば、(三ウ)/龍虎(りやうこ)のかけ物、かけありけれバ、 00005300M3さて+、見事なことでござりますといふて、そばな人に、 00005310M4見事ハ見事じやか、ねこハよふ書たが、からざけがわるい 00005320M5といへバ、そばな人、きのどくがり、これ+、あれハそ 00005330M6ふでハない。龍虎じやといひけれバ、さりとハ、おやにに 00005340M7ぬ子じやのふといわれた(四オ) 00005350¥P31 00005360¥G 00005370¥N5¥J 00005380¥X 00005390M1△ある所に、ぢいとばゞとありけるが、この/親父(おやち)、殊の 00005400M2外、/火桶(ひおけ)すきにて、しばしもはなさず、なでさすりけれバ、 00005410M3ばゞ、はらをたてゝ、ぢいがるすのまに、火桶をうらへ持 00005420M4いで、すいもへはめけるに、(四ウ)火桶、ヂイヽヽいひけ 00005430M5れバ、おのれ、そのなりでも、また、ぢいとぬかすかとに 00005440M6らんだ(五オ) 00005450¥P32 00005460¥G 00005470¥N6¥J 00005480¥X 00005490M1△さる所の/大工(だいく)、/祇園町(きおんまち)へ遊ひに行て、ぜい八百いふて 00005500M2さわぎけるが、/亭主(ていしゆ)いふやう、おまへ様ハ、何を御しやう 00005510M3ばいになされますととへバ、わしハ/呉服(こふく)をあきなふものな 00005520M4りといふに、(五ウ)さらバ、/今度(こんと)おいでなされますとき、 00005530M5もみのきれを四五尺、くださりませといひけれバ、フヽ、 00005540M6どこに/棚(たな)をつるのじやといふた(六オ) 00005550¥P33 00005560¥G 00005570¥N7¥J 00005580¥X 00005590M1△ある/田舎(いなか)もの、/哥舞伎芝居(かふきしばい)へゆきて、帰りけるに、 00005600M2(六ウ)やどやにて、みな+いふやう、けふハ何を芸にし 00005610M3たととへバ、イヤ+、けふハ/宝物(たからもの)のせんさくと色事で、 00005620M4中+げい所ではなかつたといふた(七オ) 00005630¥P34 00005640¥G 00005650¥N8¥J 00005660¥X 00005670M1△ある所に、/殊(ことの)の外しさいなる/親父(おやぢ)、/杖(つへ)をつきて、はし 00005680M2を/渡(わた)りけるが、ふしあなへ/杖(つへ)を/落(おと)しけれバ、(七ウ)/腰(こし)なる 00005690M3/扇(あふき)をとり出して、かのふしあなへあふぎを/落(おと)して見て、ハ 00005700M4ヽア、この/理(り)じやのとなめた 00005710¥Q 00005720M6△△△△△△△△△△画△工 00005730M7△△皇△都△△△△△△△△花月亭祐代G 00005740M8△△△△△△△△△△京寺町通松原下ル町 00005750M9△△△△△△△△△△△△△△菊屋喜兵衛板 00005760M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(8オ) 00005770¥P35 00005780¥U噺本大系△第十七巻 00005790¥G 00005800¥T/新軽口(しんかるくち)/初商(はつあきな)ひ〔題簽〕 00005810¥Y 00005820M6明和頃刊 00005830M7京△きく屋喜兵衛板 00005840M8半紙本一冊 00005850¥N1¥J 00005860¥X 00005870M11△▲ある/奥(おく)様、だてしまんで、けふハ四条の芝居をけん 00005880M12ぶつにゆかふと、/腰元(こしもと)をつれて出られしが、此腰元も同じ 00005890M13くきついだてこきにて、おく様にまけず/作(つく)り立、びらりし 00005900M14やらりと、/縄手(なわて)の/大和(やまと)ばし/辺(へん)にて、/若(わかい)イ男衆が二三人通り 00005910M15がけに、なんと+、見事な/者(もの)でないかといふて、そばを 00005920M16/行(ゆき)ちがひければ、/奥(おく)さまふりかへり、コレ、りんヤ。今の 00005930M17ハなんといふたぞいのと、/腰元(こしもと)にとい給へば、かの腰元が、 00005940M18いへ+、おまへの事でハござりませぬといふた(初一オ) 00005950¥P36 00005960¥G 00005970¥N2¥J 00005980¥X 00005990M1△▲ある人、/極月(ごくけつ)の/末(すへ)つかた、/稲荷(いなり)へとこゝろざし、何 00006000M2とぞわたくしに、ふくをあたへて下されませと、毎日七つ 00006010M3おきして参られけるが、有ルあさ、ふしきや、いまだあけ 00006020M4ざるうそぐらいうち、/鳥居(とりゐ)のわきよりも、/白髪(はくはつ)のおきな、 00006030M5/稲(いね)をになふて/出(いで)給ふゆへ、/扨(さて)こそ/我(わか)ねんぐハんの/通(つう)せしに 00006040M6や、是こそ稲荷大明神の、かりに/顕(あら)ハれ、/我等(われら)にふくを給 00006050M7ハるさふなと/悦(よろこ)ひ、三/度(ど)も四度もらいをして、おきなの/跡(あと) 00006060M8について、そろ+と/下向(げかう)せられしが、五条通の橋をこへ 00006070M9ると、ほどなく夜もあけければ、かのおきな、/声(こへ)をあげて、 00006080M10かざりわら+と、/売(うり)てゆかれた(初一ウ) 00006090¥N3¥J 00006100¥X 00006110M11△▲四条川原すゞみの比、/長雨(なかあめ)ふりつゞきて、大/水(ミづ)出け 00006120M12れば、/縄手筋(なわてすじ)、ほんと町、ミな+二/階(かい)よりけんぶつして 00006130M13居る所へ、出入のたいこもちの/座頭(ざとう)一人/来(きた)りて、だんな様。 00006140M14おやどにござりますかといふ。/粕都(かすいち)か。此ころハミへぬと 00006150M15いへば、アイ。わたくしは/前(まへ)から見へませぬ。こいつハ/口= 00006160M16合(くち=あひ)をいふと心へて、なんと/粕都(かすいち)。そなたハ何しに/来(き)たぞ。 00006170M17お見まいにまいりました。ムヽ、そなたハ/目(め)もミへぬ形り 00006180M18をして。されば、それで、ミづ見まいでござります(二オ) 00006190¥N4¥J 00006200¥X 00006210M19△▲当世風の女中、/姿(すかた)しまんにて、ばつとした/模様(もやう)に/絹(きぬ) 00006220M20かづき/着(き)て、/品(しな)をやり、/腰元(こしもと)/中居(なかい)つれて、ゆたかにとをら 00006230¥P37 00006240¥G 00006250M1れけるに、/子共(こども)、/紙鳶(いか)を上ケてゐたりしが、/俄(にわか)にかぜ/吹(ふき)、 00006260M2かの女中のかづきの/裾(すそ)へ/落(おち)しを、こしもと取てのけ、しづ 00006270M3かにお/供(とも)してゆきけるに、/一丁(いつてう)あまりもすぎて、女中、/腰= 00006280M4元(こし=もと)に、今のかづきの/裾(すそ)へ/落(おち)たハ、なんであつたぞ。アイ。 00006290M5/子供衆(こどもしゆ)の/紙鳶(いか)のぼりを/落(おと)されまして、おかづきへかゝつた 00006300M6でござりました。ムヽ、おりやまた、/仙人(せんにん)かとおもふた 00006310M7(二ウ) 00006320¥N5¥J 00006330¥X 00006340M8△▲去ところのお寺に、/本堂(ほんだう)を/建立(こんりう)せんとて、/講中(こうちう)から 00006350M9さま※のかき付、/幟(のほり)にだしを思ひ付、はや/地築(ちつき)はじめけ 00006360M10り。/参詣(さんけい)のくんじゆありしが、外の/売物(うりもの)なしに、/飴売(あめうり)ばか 00006370M11りおほく有ゆへ、ある人ふしぎに思ひて、寺のぼんさまに 00006380M12たづねられけるハ、かゝるおびたゝしき参詣に、外の/商人(あきんど) 00006390M13ひとりもなしに、飴売ばかりおき給ふ心はいかにととひけ 00006400M14れば、ぼんさま、もとより口あひずきて、ハテ、しれたこ 00006410M15とをとわしやる人かな。まへからたとへにいふとをりで、 00006420M16飴うれば地かたまるといふでハござらぬかと、いわれたも 00006430M17おかし(三オ) 00006440¥N6¥J 00006450¥X 00006460M18△▲あね川新四郎、/芝居(しはい)をはやくしまふて、けふハうつ 00006470M19まさの太子様/開帳(かいてう)。さいわい/嵯峨(さか)へも参らんと、人をもつ 00006480M20れず、あちこちとほう+へ参しゆへ、やう+と日くれ 00006490¥P38 00006500¥G 00006510M1じぶんに、かたびらが/辻(つぢ)へかへる所に、/気味(きミ)のわるひ/非人(ひにん) 00006520M2ども四五人取りまハし、だんな。壱文下され+と/寄(より)そふ 00006530M3ゆへ、つくな+といへハ、そんなら/酒(さか)てをいたそふと取 00006540M4かゝるを、やがてあて/身(ミ)をくらハせ身がまへし、取りつく 00006550M5やつをとつてハなげ+ほうりちらして、いつさんにわが 00006560M6/家(や)へかへり、扨&思ひもよらぬやつらに/出合(でやい)ぬれとも、/日= 00006570M7比(ひ=ころ)からかやうな事にハずんど/油断(ゆだん)せぬゆへ、しゆびよふけ 00006580M8がもなしにかゑつたと、じまんはなしをかたりければ、女 00006590M9ぼう聞て、それハあぶない。まあおてがら。しかし、はを 00006600M10りハどふなされしととへは、新四郎、なむさん、ぶたいか 00006610M11と思ふて、/羽織(はおり)ハうしろへほつたといわれた(三ウ) 00006620¥N7¥J 00006630¥X 00006640M12△▲ぼたんと/朝(あさ)がほ、かきつばた/寄合(よりやい)、もはや/咲(さく)じぶん 00006650M13じやが、何ぞうたふて/貰(もら)ふて/咲(さい)たら、ひやうしが有て/面白(おもしろ) 00006660M14かろふじや有まいか。いかにも+。/先(まづ)ぼたんから、ひら 00006670M15かしやれ。しやつきやうの哥でやろ。それハ/御苦労(ごくろう)。さあ 00006680M16+/頼(たの)ミますといへハ、/声(こへ)を/揃(そろへ)て、/獅子(しゝ)の/座(ざ)にこそなをり 00006690M17けれとうたひけれバ、はつと/開(ひら)き、扨も+せいが有て/咲(さき) 00006700M18よい。さあかきつばたもさかつしやれ。うたを+。水に 00006710M19一ふでかきつはたとうたひければ、そのまゝ咲て/悦(よろこ)べば、 00006720M20/朝皃(あさがほ)かまちかねて、わしもはやふ/咲(さき)たい。何なりとうたふ 00006730¥P39 00006740¥G 00006750M1てくだされとせがめバ、アヽきさまにハ何をうたをふぞと 00006760M2しあんすれば、さあ+とせがむゆへ、やう+におもひ 00006770M3つきて、くち※に、かあ+といひければ、夜あけかと 00006780M4おもふてひらいた(四オ) 00006790¥N8¥J 00006800¥X 00006810M5△▲ある/酒好(さけずき)な/親父(おやぢ)、/目(め)をわづらひ、/目医者(めいしや)のかたへ行、 00006820M6見せければ、是ハよ程むつかしい。とかく酒をとんとやめ 00006830M7になさるゝなら、どふぞなをしてしんじよといわるゝゆへ、 00006840M8/然(しか)らバもはや、今からやめに致しましよといふて/帰(かへ)りたれ 00006850M9ども、どふも/呑(のミ)たふて/堪忍(かんにん)がならぬゆへ、/隠(かく)して/茶碗(ちやわん)で二 00006860M10三/盃(はい)/呑(のミ)、あくる/日(ひ)又見せにゆかれたを、/医者(いしや)とのか見て、 00006870M11是ハ酒を参つたか、きつふわるふなつた。りやうしがなら 00006880M12ぬ。外へ見せさつしやれといわれて、せんかたなく、アイ、 00006890M13ちとばかりハ/呑(のミ)ましたが、/私(わたくし)ハいかふよいと存まする。そ 00006900M14のせうこにハ、あれ+、かどをありがはうも見へますと 00006910M15いへば、ゐしやどのが聞て、なにをいゝさつしやる。あれ 00006920M16ハくるまうしでござるわいの(四ウ) 00006930¥N9¥J 00006940¥X 00006950M17△▲ある所に、ごふく屋をよびよせ、/染(そめ)かたびらいろ 00006960M18+とりひろげさせ、/買(かふ)てゐらるゝ所へ、となりより、し 00006970M19まつ/第(だい)一に心がけるおやぢ来りて、コレお内義。かたびら 00006980M20をかふなら、/冬(ふゆ)かふが、どふでもやすい。きわめて/夏(なつ)かゑ 00006990¥P40 00007000¥G 00007010M1ば、たかふござる。さふ心へさつしやれといハれて、内義、 00007020M2いかさま、そんな事もあろふかと、らうそくをひるかいに 00007030M3やりましたが、思ひのほか、やすうないものといわれしも 00007040M4おかし(五ノ八オ) 00007050¥N10¥J 00007060¥X 00007070M5△▲さる寺に、見事成/桜(さくら)有。此/花(はな)見んと大/勢(せい)/来(きた)るを、 00007080M6/住寺(ぢうじ)、大しわんぼうにて、/内(うち)より/作(つく)り/声(ごへ)をして、/今日(こんにち)ハる 00007090M7すといふ。ちかづきの/客(きやく)なれば/腹(はら)を立て、そのまゝ/帋(かミ)に、 00007100M8S/咲(さい)た/桜(さくら)になぜ/留主(るす)つかふ、と/書(かい)て/枝(ゑだ)に付けり。住寺、是 00007110M9を見て、又そのゑだニ、S/客(きやく)がいさめばものがいる、とか 00007120M10いて付られた(五ノ八ウ) 00007130¥N11¥J 00007140¥X 00007150M11△▲/春(はる)の/野(の)に/出(で)て、わか/草(くさ)どもあそびたわふれける/中(なか)に、 00007160M12つく※し、/嫁菜(よめな)のそばへよりそひて、わしハお/前(まへ)がいと 00007170M13しゐと、はづかしそふにかたれば、/嫁菜(よめな)もいまだ/初(はつ)こひの、 00007180M14さも/嬉(うれ)しげに打ゑミて、お/心(こゝろ)ざしハかたじけのふござんす 00007190M15れど、こなさんハいつでも/袴(はかま)を/着(き)て、/色(いろ)ごとハうつらん。 00007200M16/袴(はかま)もとらんせといふ/折(おり)ふし、/醤油(せうゆ)うり、此所を通りかゝり 00007210M17しに、になひし醤油が/声(こへ)として、なんぼふたりが思ひよつ 00007220M18ても、わしがいざ/水(ミつ)くさかろ(九オ) 00007230¥N12¥J 00007240¥X 00007250M19△▲/京(きやう)のあきんど、あかしへ/下(くだ)りて、/嶋(しま)ちゞみ/買(かい)いれ、 00007260M20/荷物(にもつ)を二丸こしらへ/置(おき)けるに、その/夜(よ)、/盗人(ぬすびと)はいり、一丸 00007270¥P41 00007280¥G 00007290M1とりゆく。大ぶんの/銀高(きんだ)カゆへ/了簡(りやうけん)しがたく、ところの/地= 00007300M2頭(ぢ=とう)へ御/願(ねが)ひ申上る所に、/早速(さつそく)とらハれて、その/荷物(にもつ)、あき 00007310M3んどへ下さる。あきんど/悦(よろこ)び、此上ながら御/慈悲(じひ)の上、ぬ 00007320M4す人の/命(いのち)、御/赦免(しやめん)と申上る。/地頭(ちとう)/聞(きこ)しめし、願ひ、さるこ 00007330M5となれども、その/荷物(にもつ)、ミな+とらバ/助(たすく)る/品(しな)もあるべけ 00007340M6れと、此あかしのうらで一丸とりしゆへ、のがれぬ。すな 00007350M7わち、/明日(あす)のあさぎりにするとおほせらるれば、/盗人(ぬすひ□)かな 00007360M8しがり、しまかくれゆくわがくびをしぞおもふ(九ウ) 00007370¥N13¥J 00007380¥X 00007390M9△▲さるところに、ものいわひして、/万事(はんじ)/気(き)にかけるお 00007400M10やぢ有り。二条通烏丸へんに/新(しん)見せを出し、/初売(はつうり)せんとま 00007410M11つ所へ、十七八の/腰元(こしもと)、しろざとう/買(かい)に来る。手代、女子 00007420M12を見とれて、はかりを取/落(おと)し打をりける。此/手代(てだい)、はつと 00007430M13おどろき、/気(き)にかけ/居(い)るところへ、/旦那(だんな)/聞(きゝ)つけ、よいぞ 00007440M14+。S/女来(によき)+とあまひもふけハおればかり、とほつく 00007450M15して、いわひなをしせられた(十オ) 00007460¥N14¥J 00007470¥X 00007480M16△▲さるてらに、/相麁(そさう(ママ))なる/住寺(ぢうじ)有。だんな/参詣(さんけい)して、/四= 00007490M17方(よ=も)やまのはなしして、此寺にお大/黒(こく)ありと聞しばかり、と 00007500M18れにござるぞといへば、住寺取ちがへ、是ハめいわく。も 00007510M19つとも、わかい/時(とき)にハさやうな物もござつたれど、/只(たゝ)今で 00007520M20ハ手をきつて、らち/明(あ)ケましてござると/と(と衍)いへば、/旦那(だんな)、 00007530¥P42 00007540¥G 00007550M1ちやくとがてんして、その大こくでハござりませぬといへ 00007560M2ば、/住寺(ぢうじ)、いよ+取りちがへ、さては今のも、しつてご 00007570M3さるかといハれた(十ウ) 00007580¥N15¥J 00007590¥X 00007600M4△▲となりのでつち来りて、お大じの/金槌(かなつち)、かたじけな 00007610M5ふぞんじます。又/御無心(こむしん)ながら、/階子(はしご)をおかし下されませ 00007620M6といひければ、/亭主(ていしゆ)、あまり/度&(たび+)のことゆへ/腹(はら)を/立(たて)、けふ 00007630M7ハ此方にも入用にござる程に、はしごかいるなら、手前へ 00007640M8きてつかハしやれといや。アイト/立帰(たちかへ)り、そのよしを/旦那(だんな) 00007650M9にいへば、/殊(こと)の/外(ほか)はらを立、/扨&(さて+)しわいわろじや。まて 00007660M10+。此方へ何ぞかりにきた時、へんほうせんといふ所へ、 00007670M11となりの下男来りて、/主人(しゆじん)申されます。御無心ながら、/水= 00007680M12風呂桶(すい=ふろおけ)をかしてくだされませといへば、ムヽ、そちのハど 00007690M13うぞ。イヤ、手前のハ殊の外もります。ムヽ、こちにも今 00007700M14夜つかふゆへ、かす事ハならぬ程に、こちへきていらしや 00007710M15れといハれた 00007720¥Q 00007730M17寺町通松原下ル町東側 00007740M19△△きく屋喜兵衛板 00007750M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十一オ) 00007760¥P43 00007770¥U噺本大系△第十七巻 00007780¥G 00007790¥G 00007800¥T/絵本(えほん)/初春咄(はつはるはなし)の/種(たね)〔題簽〕 00007810¥Y 00007820M7安永頃刊 00007830M8半紙本一冊 00007840M9東大国文研究室蔵 00007850¥N1¥J 00007860¥X/風車(かせくるま) 00007870M14/伯父(おぢ)さん。アノ風といふ物ハナ、とこから/吹(ふく)ものじやヱ。 00007880M15S風といふ物ハ、天から/吹(ふく)ものじや△Sフン、夫が/本真(ほんま)か 00007890M16へ。それでもナ、此間/私(わし)が/所(ところ)へ、よそのおぢさんが/来(き)てナ、 00007900M17/今日(けふ)もかハらず、/東風(こち)のかぜじやといふてゞあつた 00007910¥X2¥J 00007920¥X/敗毒散(はいどくさん) 00007930M20申し/旦那(だんな)。あなたのやうに、/涕紙(はながミ)を一度+お/捨(すて)(咄壱オ) 00007940¥P44 00007950¥G 00007960M1なされまするハ、/勿体(もつたい)ないことで/御(ご)ざります。主人イヤ、 00007970M2おれハかんだ/紙(かミ)でかむ事ハ、/甚(きつい)きらひじやによつて、一度 00007980M3+/捨(すて)るのじや。男さ/様(やう)ならハ、/私(わたくし)、あなたの/後(あと)から/従(つい)て 00007990M4/参(まいり)まして、其/紙(かミ)/拾(ひら)ひましよと、ちよと主人の出るにも/従行(つきあるき)、 00008000M5主、フウンとかめバ、男、そつと/拾(ひら)ひ、フウンとかめハ、 00008010M6ちよつと取、/毎(まい)日+/如此(かくのことく)する/故(ゆへ)、/後(のち)にハ/段&(だん+)/上手(じやうず)に/成(なり) 00008020M7て、フウンとかめバ、ちよい(咄壱ウ)と/受(うけ)、フウンとかめハ、 00008030M8ちよいとうけ、フウンチヨイ、フウンチヨイ、フウンチヨ 00008040M9イと受行にぞ、主人たまりかね、/懐(ふところ)より紙一折出して、ア 00008050M10ヽせわしない。マア是なとつかへ 00008060¥N3¥J 00008070¥X/簀戸(すど)に/鈴(すゞ) 00008080M13コレ喜兵衛。太義なから、さかいの/向泉寺(かうせんじ)へ/往(い)て、/方違(ほうちがひ)の 00008090M14/御札(おふだ)を受て来てたもらんか。Sハイ。とこぞ御ふしんでも 00008100¥P45 00008110¥G 00008120M1なされますか△Sイヤ、ふしんてもなけれど、(二オ)そな 00008130M2たも/連(つれ)ていたこともある、ソレ、/絃妓(げいこ)の小大を/引(ひ)かして、 00008140M3マアとうぶん/置(おく)つもりじや。マア、ざつと/妾宅(せうたく)のやうなも 00008150M4のじや△Sハア、それなれバ、さかいへ/行(いく)までもない。/門= 00008160M5口(かど=くち)の上に/銀杏(いてう)の/葉(は)を御釣なされ 00008170¥N4¥J 00008180¥Xねずミ/算(ざん) 00008190M8/婆(ば)さん。/無事(ぶし)にごんすか。此/須磨(すま)の/景色(けいしよく)、/忘(わすれ)られぬ故、又 00008200M9/来(き)ました。/孫(まご)も/成人(せいじん)じやの。Sハイ。わやくで/困(こまり)ます。孫 00008210M10ばさん。あれハ/何所(どこ)の/衆(しゆ)じや。Sあれハナ、/毎年(まいねん)月見に御 00008220M11出る大坂の/旦那(だんな)衆じや。孫/今朝(けさ)/去(いん)だハ、京の人じやのヲ。 00008230M12Sヲヽ(二ウ)S京の人や大坂の人や、たんと月見に/来(く)るの 00008240M13ふ△Sヲヽ。孫京や大坂ハ、お月さんの/無(な)い所かや 00008250¥N5¥J 00008260¥X/似菩薩(にぼさつ) 00008270M16京女郎の/優風流(やさふうりう)なる事、三ケの/津(つ)にて/勝(すぐれ)たれとも、其/意= 00008280M17向(こゝろ=いき)の/締方(しまりかた)も/亦(また)、/他(よそ)に/超(こへ)たりとかや。/爰(こゝ)に/室(むろ)町/通(とをり)の/表(おもて)がしや 00008290M18に/妾宅(せうたく)あり。此/妾(せう)、こつてり/化粧(ミじまひ)の大/名人(めいじん)、しかも大の/美= 00008300M19婦(び=じん)にて(三オ) 00008310¥P46 00008320¥G 00008330M1小町・/西施(せいし)も手本に/仕(し)さふなくらひなれども、/容色(ミへ)ばかり 00008340M2の/尤凌■(ゑらけんかい)。ある時、/格子(かふし)の/間(ま)£/往来(わうらい)を/眺(ながめ)ゐたりしが、近在 00008350M3の百姓、ねぶかで/小便(しやうべん)シヨウ+と/通(とを)りけるを、かの妾、 00008360M4/最(いと)やさかたな/鴬(うぐひす)ごへにて、コレ、/尿(しゝ)+と二/言(こと)三/言(こと)/呼(よび)けれ 00008370M5ども、/令鳥声(いろとりごへ)の聞へねハ、/徒(たゞ)、ねぶかシヨイ+と行過る。 00008380M6妾、/稍(すこし)/声(こへ)を/高(あげ)、コレ、シヽイと/呼(よべ)ども、/絶(いつかな)/及(とゞか)ねば、妾、 00008390M7大に/怒(はらをた)て、くそ、アノばりかへめがと、しやうじピツシヤリ 00008400¥N6¥J 00008410¥X大ごし 00008420M10出入の角力取ひいきすれ共、(三ウ)毎日+/負(まける)ゆへ、少し 00008430M11/恥(はぢ)しめの/為(ため)、/居風呂(すへふろ)をたき、コレ/関(せき)取。今日ハ風呂をたい 00008440M12た/程(ほど)に、風呂へ入り、きのふの/砂(すな)も/洗(あら)ひ/落(おと)し、/身(ミ)を/清(きよめ)て/勝(かた) 00008450M13たしやれ。関取それハ忝ふこんすと、風呂/場(ば)へ/行(ゆき)、風呂へ 00008460M14/片足(かたあし)入し所、居風呂の/底(そこ)ぬけ、/湯(ゆ)/残(のこ)らずもる。関取、居風 00008470M15呂の/縁(ふち)を/捕(とらへ)、ヨイヤマカシヨ 00008480¥N7¥J 00008490¥X/我身(わがミ)わすれて 00008500M18新町/店付(ろくじ)の女郎が/寄合(よりあひ)、なんと、ミなさん。/毎(まい)ばん、アノ 00008510M19/格子(かふし)の/先(さき)へ立てゐる人を、/何(なん)ぞに見立ふでハあるまいか。 00008520M20コリヤよかろと、/小首(こくび)かたふけ/思案(しあん)の内、一人が、わたし 00008530¥P47 00008540¥G 00008550M1や/節句(せつく)(四オ)まへの/人形店(にんぎよミせ)と思ふハへ。其心ハへ。ハテ、 00008560M2/彼(あちら)/買(かハ)ふか、/此(こちら)/買(かハ)ふかとおもふハへ。コリヤよい見立じやが、 00008570M3わしや又、/蚊帳(かや)の/外(そと)の/蚊(か)と/見(ミ)立たハへ。其心ハへ。ハテ、 00008580M4/外(そと)てもや+してゐて、/終(どこぞで)ハはいるハへ。コレモおもしろ 00008590M5いナア。おまへハ又どうじやへ。わしかへ。わしやナ、 00008600M6/格子(かふし)の/先(さき)で、チヤチヤクチヤ+いふて/居(ゐ)るのハ、/放生会(ほうぜうゑ) 00008610M7まへに/売(うり)に/来(く)る/篭(かご)の/雀(すゞめ)/見(ミ)る/様(やう)な 00008620¥N8¥J 00008630¥X/流石(さすが)は 00008640M10さる御大名様、(四ウ)大坂/蔵屋敷(くらやしき)にて、一日/御逗留(ことうりう)の/積(つもり)に 00008650M11て/伏見(ふしミ)£/陸道(くがじ)、大坂/近(ちかく)にて/夕立(ゆふたち)。御/乗物(のりもの)ハ/勿論(もちろん)、御道具ま 00008660M12で/桐油(とゆ)をかけ、八軒家へ御/着(つき)、/向(むか)ふの/軒下(のきした)に/飴(あめ)の/鳥(とり)や、/雨= 00008670M13舎(あま=やどり)しけるを、/殿(どの)/御(ご)らん有、/近習(きんじゆ)を召れ、アレハ何なるそ。 00008680M14近習ハア、あれハ/飴(あめ)の鳥と申物でござります。とのナニ、 00008690M15/飴(あめ)の鳥とナ。ハテ、手ぎれいな物だね。是へよべと、御/意(ゐ) 00008700M16£/早(はや)く、/飴(あめ)や、御乗物のそばへ(五オ) 00008710¥P48 00008720¥G 00008730M1/呼(よび)よせる。殿、一&御らん有、是か鳥だね、きせる/猿(さる)。イ 00008740M2ヤ、是ハ中&いい/細工(さいく)なものだ。/国(くに)元へ/土産(ミやげ)に/持(もた)ふぞ。あ 00008750M3めやイヱ+、そんな物じやごさんせん。其上、今雨にあ 00008760M4ふたゆへ、ツイ/損(そこね)やんす。殿ハテサテ、不仕がくナ、なぜ 00008770M5/雨具(あまぐ)/持(もち)ハつれないぞ 00008780¥N9¥J 00008790¥X/凾谷関(かんこくくハん) 00008800M8ある/判官(ほうぐハん)、/弁慶(べんけい)/召具(めしつれ)、/欠落(かけおち)/忍(しのび)の/旅(たび)といひ、本£/得(ゑ)手なれバ、 00008810M9/昼(ひる)ハ/寐(ね)て/夜道(よミち)を行けるニ、さる/関所(せきしよ)へ夜深に/着(つき)ければ、/関(せき) 00008820M10の/戸(と)/堅(かた)く/鎖(とざし)たり。/叩(たゝ)くこともならず。(五ウ)あとへ/戻(もど)るも 00008830M11/宿(やど)ハ/遠(とを)し。いかゞハせんと/相談(さうだん)しけるに、一人のたいこが、 00008840M12/急度(きつと)ちへが出ました。/私(わたくし)におまかせ候へと、/扇(あふぎ)にて/羽(は)たゝ 00008850M13きのまねし、/鶏(にハとり)の物まねを二/声(こへ)三/声(こへ)しければ、/関(せき)の内£、 00008860M14/通(とを)れ。Sサアしてやつたと、よろこび/居(ゐ)けるに、戸をひら 00008870M15く音もせず、/余(あま)り/待遠(まちどを)さに、また三こゑ四/声(こへ)つゞけてやり 00008880M16ければ、物見の/窓(まと)から、銭一文/投(ほつ)てくれた 00008890¥N10¥J 00008900¥X/青黄赤白黒(せうこうしやくひやくこく) 00008910M19/爰(こゝ)に/五色(こしき)を/好(このむ)人有。/衣類(ゐるい)ハ/勿論(もちろん)、小道具・さげ物、三度の 00008920M20/食(くひ)物も五色/全(そろハ)ねバくハぬ/位(くらい)也。(六オ)此頃/表(おもて)がしや五軒た 00008930¥P49 00008940¥G 00008950M1て、是も五色にかし付んと、まづ一軒は八百や、一軒ハべ 00008960M2にや、綿や、ゆばやと四軒ふさかり、一軒/格子作(かうしつくり)の家、ま 00008970M3だふさがらす、あれ是かりに/来(く)れ共、/商売(しやうばい)を/問(とふ)てかさず。 00008980M4其内に早、かし/附(つけ)たり。/先(さき)にかりに/来(きた)りし人&のいふハ、 00008990M5我&かかりに参りしに、五色/揃(そろ)ハいでハならぬといはしや 00009000M6つたが、/黒(くろ)い/商売(しやうばい)とも見へぬが、但し内/分(ぶん)で、こそ+で 00009010M7もするやうな事か。(六ウ)さやうなくてハ、ゑこひいきな 00009020M8家のかしやうとねだれば、かの人、/随分(ずいふん)/黒(くろ)い/縁(ゑん)かこざる。 00009030M9沙汰ハ御無用。/去人形(さるにんぎやう)つかひの/妾(てかけ)じや 00009040¥N11¥J 00009050¥Xゐどのよざかり 00009060M12あつい+。どふもたまらぬ。長吉。あをげ+。ハイと 00009070M13/団(うちハ)の/柄(ゑ)のしやげるほど/握(にぎり)つめ、ちからにまかせてあをぎけ 00009080M14る。ヲヽもふよい+。/涼(すゞし)うなつた。ヤレ+、/汗(あせ)は/何所(どこ) 00009090M15へやらいた。長吉ハイ。ミな/私(わたくし)へさんじました 00009100¥N12¥J 00009110¥X/浅黄裏(あさきうら)(七オ) 00009120¥P50 00009130¥G 00009140M1/敵(かたき)ハほろびる。/宝(たから)ハ手に入、めでたい。此/場(ば)ハお立。トン 00009150M2カラ+++++と/果(はて)だいこ。見物人ミな出る。 00009160M3みかんの/皮(かわ)、/紙(かミ)くず/拾(ひら)ふ/場(ば)に、一人うろ+して居る。木 00009170M4戸コレ、何してゐるのじや。きり+出やんせんか。田舎 00009180M5人イヤサ。/身共(ミども)が/紙入(かミいれ)が/紛失(ふんじつ)した。木戸夫が今/頃(ころ)に有物か。 00009190M6きり+出やんせ。田舎人、うそ+/表(おもて)の/勘定場(かんでうば)へ上り、 00009200M7コレ/若(わか)い人。身共が/紛失(ふんじつ)した紙入を、けふぶたいに/居(ゐ)たよ 00009210M8い男を/頼(たの)んで、/明日(あした)中に(七ウ)せんぎしておくれやれ 00009220¥N13¥J 00009230¥X負おしミ 00009240M11/放生会(ほうぜうへ)/参(まいり)の/下向(げかう)、二三人つれにて/陸(かち)を下るに、/乗合(のりあい)の下舟 00009250M12を見付、あほうよ+といひかくれば、舟よりも、ヤイ、 00009260M13おのいらハ/銭(ぜに)がなふて、船にゑのらぬか。ふびんな事じや 00009270M14なア。何ぬかすぞい。いざりめと、まけすおとらず口をた 00009280M15ゝき行に、/陸(おか)のものハ、舟バかり見て行バ、大きな馬のふ 00009290M16んをふミけれバ、舟よりこれを見付、ワハアイ、馬のくそ 00009300M17をふミくさつた。ワアイ++。陸の者何ぬかす。/強(つよ)な 00009310M18るわい(咄終オ) 00009320¥P51 00009330¥U噺本大系△第十七巻 00009340¥G 00009350¥T/春(はる)みやげ〔内題〕 00009360¥Y 00009370M4安永三年正月序 00009380M5青木宇千輯・大簡堂主人序 00009390M6大簡堂板 00009400M7小本一冊 00009410M8大東急記念文庫蔵 00009420¥Y春土産序 00009430M13春の〔鳥〕の林に/啼(ナキ)、/秋(アキ)の〔虫〕の/野(ノ)に/吟(キン)するも、時ニ/逢(アウ) 00009440M14てなくもの。サレハ、/咄(ハナシ)も/亦(マタ)其/寄(ヨル)処有て、〔重々しく〕と 00009450M15いふ身て咄ば、〔退屈〕といふ顔。又サラ+++と 00009460M16(一オ) 00009470¥P52 00009480¥G 00009490¥G 00009500M1軽く一口はなせば、衆人皆〔笑ひて〕/臍(ヘソ)に/波(ナミ)うたして月に 00009510M2けり 00009520M4△△△△△△△△△△△△△△△△△△大簡堂主人 00009530M5△△△安永三年午正月(一ウ) 00009540¥T1春みやげ@仕形咄|三△編@ 00009550¥A東都△△青木△宇千輯 00009560¥N1¥J 00009570¥X/物(もの)いまひ 00009580M16侍衆、〔供〕一人つれて通られしに、〔道具屋店先を見て〕 00009590M17アレ、あの/徳利(とくり)の/直段(ねだん)ハ何ほどするか。/可内(べくない)。聞てミろ。 00009600M18(二オ) 00009610¥P53 00009620¥G 00009630¥G 00009640¥G 00009650M1可内立より、/直(ね)を/聞(きけ)バ、四匁といふを、/例(れい)の/旦那(だんな)の物いま 00009660M2ひじやゆへ、三匁二十五りト申ますといへば、S厶&、か 00009670M3のにあぶないナア 00009680¥N2¥J 00009690¥Xこわいろ 00009700M6/次(つき)に出まするハ、/嵐(あらし)七五郎、三升屋平十郎、/元祖(くわんそ)大谷/広次(ひろじ)。 00009710M7コレハ+(二ウ)/古人(こじん)そろへ、めづらしい/声色(こハいろ)つかいと、 00009720M8/外(そと)から〔覗けば〕内には〔三人車座〕 00009730¥N3¥J 00009740¥X/気付(きつけ) 00009750M11三、ヤイ。てめへがおやぢか気をうしなつて(三オ) 00009760¥P54 00009770¥G 00009780¥G 00009790M1内ハ〔絵〕かふだ。Sホイトいふて、欠てかへり、ヲヤヂ 00009800M2の/耳(ミヽ)に口あてゝ、ヲヽイ、モセ申へ、ヱ&是、ヲヤチどの 00009810M3+といふても、/返事(へんじ)がなひ。〔絵〕ヱ&&、はなしの/様(やう) 00009820M4ナおやぢ殿だ 00009830¥N4¥J 00009840¥X(無題) 00009850M7〔奴、来り〕一つ頼モかい。ハイ。おもミなされませと、 00009860M8サラ+(三ウ)そつた。S奴〔もみ上げ落し〕サア+、 00009870M9コリヤ、とんた事を仕でかしたハ。モミ上ケを剃て仕まつ 00009880M10た。是がなくてハ、/鑓持(やりもち)のかぶハ上つたりた。コリヤ/済(すま)な 00009890M11ひ+と、段&やかましくなり、/親(おや)方がなくやうにいふて、 00009900M12わび金五両で、やう+済た。あくる日、/禅僧(せんそう)が来て、一 00009910M13つ頼ミましよ。ハイといふて、しゆびよく(四オ) 00009920¥P55 00009930¥G 00009940¥G 00009950M1そつた所が〔もみ上げ残す〕。コレハふせうな人じや。奴 00009960M2でハ有まいし、もミ上ケをそつて下され。イヱ+、もミ 00009970M3上ケハ、メツタニそられませぬ。デモ、コレばか+しい。 00009980M4ドレ+、/鏡(かゞミ)と見て〔顔を写し〕コレハ貴様、おらをなぐ 00009990M5さむのだと、また段&やかましくなつた。/親方(おやかた)聞付て、内 00010000M6え/早&(さう+)/帰(かへ)つて、サア+、大事だ++。(四ウ)けふの 00010010M7がホンノ、しんだいじまひだ。S女房、ナントさつしやつ 00010020M8た△Sナンノかのと/咄(はなし)の様ナ。/坊主(ほうず)を/奴(やつこ)にして/仕廻(しまつ)た 00010030¥N5¥J 00010040¥X/劔術(けんしゆつ) 00010050M11/先(まづ)/劔術(けんじゆつ)の/極意(ごくい)、/肝要(かんよう)の要といへば、心にゆたんなきを第一 00010060M12とすトハ、/友(とも)だち、/親類(しんるい)にかぎらず、かやうに/座(ざ)をならべ 00010070M13(五オ) 00010080¥P56 00010090¥G 00010100¥G 00010110M1ものがたる内にも心をゆるめず、ソレ+、/茶(ちや)を参るにも、 00010120M2ソウ/呑(のむ)ハ/甚(はなは)た不/用心(ようじん)といふから、茶もグツトやつて/仕廻(しまい)、 00010130M3タバコも早&/呑(のん)で/仕廻(しま)ひ、あまりのたい/屈(くつ)さに、〔ウウツ〕 00010140M4とあくひをすると、/師匠(しせう)、〔やにわに〕/弟子(でし)を/取(とつ)て/投(なけ)たれ 00010150M5バ、アヽ申+。是ハ(五ウ)何と被成ます。Sシセウおれ 00010160M6ハ又、貴様がくらひ付かと思つた 00010170¥N6¥J 00010180¥X夜/盗(とう) 00010190M9一人ものと見へて、能ねいつたやうす。仕すましたりと、 00010200M10先たんすに手をかくれバ、コリヤ/壁(かべ)だ。ハテふしきと、/押(おし) 00010210M11入を明ニかゝれバ、コレモ壁た。コレハへんだと能見れば、 00010220M12ミな(六オ) 00010230¥P57 00010240¥G 00010250¥G 00010260¥G 00010270M1/絵(ゑ)に/書(かい)た諸道具也。〔盗人〕ハテ、がつてんのゆかぬ。何 00010280M2やつだヤイ。Sていしゆ〔寝たままで〕/芝居(しばい)の/道具(どうく)番サ 00010290¥N7¥J 00010300¥X〔徳利〕 00010310M5とつくり子が/病気(ひやうき)じやとて、/方&(ほう※)から/医(い)者よんで見せても、 00010320M6/脉(ミやく)の見よふがなひから、薬もやられぬと、皆手をはなした 00010330M7ゆへ、とふ(六ウ)で/養生(やうじやう)も/叶(かな)ふまいといふて居る所へ、近 00010340M8所のびんぼ/医者(いしや)が来てくれたゆへ、亭主が、とてもモウご 00010350M9ざりますまいといふたれば、〔医者、どく+〕トふつて 00010360M10見て、マダある+ 00010370¥N8¥J 00010380¥X〔ちんば〕 00010390M13けふはロクナ女は/一疋(いつひき)も/通(とふ)らないが、(七オ) 00010400¥P58 00010410¥G 00010420¥G 00010430M1あぢな日じやなへか。アレ+、そこへ/来(く)る女はどふだ。 00010440M2コイツア、おそろしいハい。アヽしかし、ちんばださうな。 00010450M3おしいことだ。ナニサ。かハいさふに、ちんばといふほと 00010460M4の事じやなひが、いか様、ちつと/片足(かたし)ミじかい。Sドレ 00010470M5+、どんな女だ。〔絵〕アヽイヤ+、チイツトばかり 00010480M6左リがながひ(七ウ) 00010490¥N9¥J 00010500¥Xきせかと思ひ 00010510M9床の/置物(おきもの)に/致(いた)しんすから、銀の/猫(ねこ)をとねたられ、/痛事(いたこと)なが 00010520M10ら/請合(うけあふ)て/帰(かへ)り、銀でハ/高(たか)く上るから、めつきにして/誂(あつら)へ、 00010530M11でき上つて/持(もつ)ていたれハ、女郎、うれしそふに、そばに/置(おい) 00010540M12て、つく※ながめ、ヲヽこハ。此猫ハ人をにらミんすと 00010550M13いふて、/畳(たゝミ)(八オ) 00010560¥P59 00010570¥G 00010580¥G 00010590¥G 00010600M1/い((のカ))へりで、/鼻(はな)をこすつてミた〔絵〕 00010610¥N10¥J 00010620¥X〔絵〕 00010630M4かの/頃日(このごろ)、/美童(ひどう|ワカシユ)、此世を/去(さつ)て、ゑん/王(ま)の前え出たれは、サ 00010640M5スガのゑんまも、〔にこやかに〕みとれ入て、ぢごく/極楽(こくらく) 00010650M6といわふよりハ、マア+/当分(とうふん)ハこゝに/置(おか)ふと、/上意(せうい)あれ 00010660M7ハ、/前鬼後鬼(おにとも)がすゝミ出、/劫(ごう)のはかりにかけましたれば、 00010670M8(八ウ)きつう/罪(つミ)がおもうござるから、地ごくへつかハされ 00010680M9ませといへば、ゑんまが、Sハテ扨、おもいはづ。〔絵〕 00010690M10コレが金じやもの 00010700¥N11¥J 00010710¥X〔大黒〕 00010720M13/大黒、/若党(わかとう)・/草履取(ざうりとり)(九オ) 00010730¥P60 00010740¥G 00010750¥G 00010760M1/立派(りつぱ)につれて行るゝ。向ふから、〔貧乏神来り〕、コレハ 00010770M2+、御き/嫌(げん)ようと、/互(たがい)ニしバらく/挨拶(あいさつ)してわかれ/行(ゆけ)ば、 00010780M3若党モシ、あれハカノびんぼう神さふにござりますか、か 00010790M4れら/躰(てい)のものに、お/詞(ことバ)をかけられますハ。(九ウ)イヤ+、 00010800M5是ハ/刄向(はむき)といふもので、時&にしたがふならひだ。キヤツ 00010810M6ハ今ハ、おれき+へひろくお出入申スから 00010820¥N12¥J 00010830¥X/候(そうろ) 00010840M9おらアきのふな、能を見にいつた。Sドウダ。どんなもの 00010850M10だ△Sイケナヰものよ。(十オ) 00010860¥P61 00010870¥G 00010880¥G 00010890M1マヅ/花道(はなミち)から/面(めん)をかぶつて、〔えいやつ〕トやり上つて、 00010900M2ナンノ事ハない、とんびだこよ。ソロウリソロウリ、ヱイ 00010910M3やつと、/舞台(ぶたい)のまんなか/頃(ころ)迄/這(はう)やうにして来て、S急候ほ 00010920M4どに 00010930¥N13¥J 00010940¥Xあふない/芸(げい) 00010950M7きのふ三つまたで、めづらしい/軽(かる)わさを(十ウ)見た。マヅ 00010960M8氷のやふな/劔(つるぎ)をバ、/梯(はし)の子ニして、/高(たか)い所へのぼり、/其刄(そのは) 00010970M9ものゝ上で/居合(いあい)をぬいた。〔絵〕Sソレが何の/珍(めづら)しい事が 00010980M10/有(ある)(十一オ) 00010990¥P62 00011000¥G 00011010¥G 00011020M1〔絵〕Sハテ、あふない事をよくするハサ△Sイヤサ。そ 00011030M2れよりハ酒の上で、けんくわさへする(十一ウ) 00011040¥N14¥J 00011050¥X/雪隠(せつちん) 00011060M5ウヽントきばる。となりにも人がゐて、何やらいふを聞バ、 00011070M6ソレ、よく取付てサ、/足(あし)をからんて、/肩(かた)え取付といふを聞 00011080M7て、コイツ、/昼中(ひるなか)ニ出合とハ/太(ふとい)やつ。ナンデモ/顔(かほ)を見てや 00011090M8ろと、ズツト出て、となりノ戸をヒヨイ/明(あけ)て見れは(十二 00011100M9オ) 00011110¥P63 00011120¥G 00011130M1〔猿廻しと猿〕 00011140¥N15¥J 00011150¥X右 00011160M4今日の花見にハ、なんぞめつらしいかたのない/趣向(しゆかう)をと、 00011170M5/色&(いろ+)あんじて、/友(とも)だち(十二ウ)十人斗いゝあわせ、/皆(ミな)/腰(こし)のも 00011180M6のを右に差、キン+出立て、ミめくりの茶屋え寄て、休 00011190M7んでゐたれば、跡から一/僕(ぼく)の医者らしい/坊(ぽん)様が来て、同し 00011200M8く/床几(せうぎ)に/腰(こし)かけ、たばこ呑ながら、フト見れバ、以前の/客(きやく) 00011210M9人、腰のものを右に差てゐるを、サテモそゝうな人と、お 00011220M10かしく思ひなから、其/次(つぎ)の人を(十三オ) 00011230¥P64 00011240¥G 00011250¥G 00011260M1見れバ、/是(これ)も/同(おな)しく右に/差(さい)て/居(ゐ)る。ハテめんよふなと、だ 00011270M2ん+見まハせバ、/残(のこ)らず右に/差(さし)て居る。/医者(いしや)〔絵〕/暫(しバら)く 00011280M3かんがへ、ソツト〔刀を〕右へさしかへ 00011290¥N16¥J 00011300¥X/声艶(こハいろ)(十三ウ) 00011310M6/芝(しは)での一チ人、/神田(かんだ)て一人、/深川(ふかかわ)、/浅草(あさくさ)で二人か三人かと、 00011320M7/指折(ゆひをり)のこハ/色(いろ)つかひ。両国の見はらしで/大寄(おゝよせ)の/会(くわい)。くんじ 00011330M8ゆ/市(いち)をなす所に、いなかどうじや十人斗来て、しバらく 00011340M9〔格子から覗き〕見て居たが、(十四オ) 00011350¥P65 00011360¥G 00011370¥G 00011380M1くんじゆをおしのけ+見て居る故、コレ、貴様たちハ、 00011390M2/其様(そのやう)に見たがつても聞たがつても、何だやら/訳(わけ)はしれまい 00011400M3が。Sハイ、左様でござる。/是(これ)ハマア、何といふ/医者(いしや)様だ 00011410M4か。これほとの/気違(きちかい)が、なをる事でござるかの 00011420¥N17¥J 00011430¥Xのぞミ(十四ウ) 00011440M7〔絵〕手前、品川で六百えいくげな。大な/損(そん)だよ。四百へ 00011450M8いきやれ。トント/同(おな)し事だ。同じ/狂言(きやうげん)で、一度に弐百づゝ 00011460M9ちかふハサ。二度で四百か、三度で六百、四度て八百。/行(ゆけ) 00011470M10バ/行(ゆく)ほどもふかる。/精出(せいだ)して行やれ(十五オ) 00011480¥P66 00011490¥G 00011500¥G 00011510¥N18¥J 00011520¥X/行合(ゆきあい) 00011530M3ナゼ身共に泥をかけた。かんにんならぬ。コイツ、/虚(うそ)をい 00011540M4ふやつだ。こつちから赦さぬと、双方つのめだつて、イザ 00011550M5ぬけ+と、〔刀ひきよせ〕つめよすれは、こなたもおと 00011560M6らず、〔絵〕足袋引ぬいで、こしにクイト引はさみ、下駄 00011570M7を(十五ウ)手にもつて、一ツさんに/迯出(にげた)して〔行く〕。/跡(あと)に 00011580M8/残(のこ)りし男、アヽ、是でおち付た 00011590¥N19¥J 00011600¥Xもとくらし 00011610M11/夫(おとこ)ハたびからたびの/旅商内(たびあきなひ)、女ぼうハ(十六オ) 00011620¥P67 00011630¥G 00011640M1/留守(るす)の間に、こつてりやつて居る所へ、/亭主(ていしゆ)が帰り、/一方= 00011650M2口(いつほう=ぐち)て/迯(にが)しやうハなし。さそくに思ひ付て、はだかのまゝで 00011660M3〔尻に灯〕とやつてゐたれば、亭主、ジロ+ながめて、 00011670M4コレハあぢな物をともしたな。Sアイ。夫ハ/有馬(ありま)とうだい 00011680M5と申/仕出(した)しでござんす△Sムウ、シテこれハ又(十六ウ)〔絵〕 00011690M6ナンダ△Sソレハかき立ぼうサ△Sハテ、/太(ふとい)イかき立木だ 00011700M7ナといへば、/密夫(まをとこ)もおかしさに、ふき出しそうになると、 00011710M8/尻(しり)いきが/上(のほつ)て、フウといふと、火ハきへた。亭主ハヽア、 00011720M9よくした物だ。火もひとりでにきへるナ。Sシカシ、アヽ 00011730M10/魚油(きよとう)じやそふな〔と鼻をつまむ〕(十七オ) 00011740¥P68 00011750¥G 00011760¥N20¥J 00011770¥X〔鎗持〕 00011780M3カタアヅケ+と/振(ふつ)てくれバ、子供が手をたゝいて/拍子(ひやうし)と 00011790M4り、トノサマお/馬(うま)、トノサマお馬とはやせハ、鑓/持(もち)〔はつ 00011800M5た〕とにらめバ、S子どもが鑓持もお馬(十七ウ) 00011810¥P69 00011820¥U噺本大系△第十七巻 00011830¥G 00011840¥G 00011850¥T/和漢咄会(わかんはなしかい)〔内題〕 00011860¥Y 00011870M4安永三年四月序 00011880M5安永四年正月刊 00011890M6青木宇千輯・大簡堂主人序 00011900M7大簡堂板 00011910M8小本一冊 00011920M9大東急記念文庫蔵 00011930¥Y/和漢咄会(わかんはなしくわいの)/序(じよ) 00011940M12張儀説六国諸候事秦党之。サレバ〔絵〕/笑止(おとしはなし)も 00011950M13/亦(また)/能弁(のうへん)なる/者(もの)を/以(もつ)て/為興(きやうとす)。/今(いま)〔/唐(から)〕/倭(やまと)の/笑止(おとしはなし)(初オ) 00011960¥P70 00011970¥G 00011980M1を〔熊手〕と/輯(あつめ)て〔耳〕といふ〔耳〕といふ/耳(ミヽ)にふれて 00011990M2/希奇(めつらしき)を〔撰〕となし、〔和漢咄会〕と/題(だい)し〔丁〕と/開(ひらい)て、 00012000M3うちわてあふいで、(初ウ下)/採覧(さいらん)に/備(そなふる)のミ 00012010¥Y目録 00012020M8唐ばなし△酒のミ(初ウ上)△そそう△けいせい△らう人△ 00012030M9そそう△ほりもの△しまつ△ほたる△そゝう△ふくろくし 00012040M10ゆ△夫婦けんくわ△あてもの△日まち△いんぎん△子ども 00012050M11碁△しま△早がてん△しわんぼう△つんぼ△おかめ(一オ) 00012060¥P71 00012070¥G 00012080¥G 00012090M3馬にも相口△伽羅△はと△雷の手間取△おさへ△はりばん 00012100M4女郎かい△たゝミ△奇方△ほうじ△物しり△わたまし△酒 00012110M5〔絵〕△酒△すて子△落咄会処△へ△さかやき△〔絵〕 00012120M7△△△△△△△△△△△△△△△△△大簡堂主人 00012130M18安永三年午四月既望(一ウ) 00012140¥T1和漢咄会 00012150¥A東都△青木△宇千輯 00012160¥N1¥J 00012170¥X兌銭 00012180M16中夜命僕兌銭。僕持銀之兌鋪 00012190M17誤扣轎夫門。轎夫応曰、為誰。曰、 00012200M18我欲銭。轎夫曰、吾亦欲銭久矣(二オ) 00012210¥P72 00012220¥G 00012230¥G 00012240¥G 00012250¥N2¥J 00012260¥X渡江 00012270M3見渉水者没両乳後至者皆解 00012280M4衣及褌而、渉至於中流而、水曽 00012290M5不過膝、已及岸視向渉者乃躄者也 00012300¥N3¥J 00012310¥X/仙人(センニン) 00012320M8一婦人行橋上。風飄飄揚裳。適(二ウ) 00012330M9風鳶絶絲而隕。婢視怪之。婦人 00012340M10曰、是久米仙人尸解者耳 00012350¥N4¥J 00012360¥X酒 00012370M13酒を〔一升〕くだされ。S酒屋/何(な)んにしやる。つかい物/が((ママ)) 00012380M14S/呑(のミ)ます。〔一升グイ〕と、やらかして仕まつた。S番頭コ 00012390M15レハ(三オ) 00012400¥P73 00012410¥G 00012420M1あまりミ/事(こと)。/今(いま)〔一〕升ふるまい申スと言ハ、是ハありか 00012430M2たし。又〔一升〕/呑(のん)で/仕(し)まつた。Sテイ主、是を/聞(きい)て、お 00012440M3く£/飛(とん)で出で、酒やはしめて、この/様(よう)なのミてハない。わ 00012450M4しが一升ふるもふから、/呑(のん)で被下。是ハ御ちそう。又のん 00012460M5た。〔升をあけて〕是でちと、よいました(三ウ)と言て帰 00012470M6りしに、S内ノ者あまり大酒をふるもふたから、八助、/後(あと) 00012480M7から、いて見ろ△Sかしこまりましたと言て、/後(あと)よりいて 00012490M8/見(ミ)れバ、/坂(さか)のおり/口(くち)ニて〔よろよろ〕といふ身をする。 00012500M9S三助、サテコソ/大(おふ)きによつて、今たおれるかと、うしろ 00012510M10から、コリヤあぶないと、/声(こへ)かければ、(四オ) 00012520¥P74 00012530¥G 00012540¥G 00012550¥G 00012560M1S酒のミナニ、あぶないとハ/何(なん)の事だ△Sマダあたまがよ 00012570M2わぬ 00012580¥N5¥J 00012590¥Xそゝう 00012600M5〔遠目鏡で〕/吉原(よしハら)を見て、あそこが卍や、あそこが〔扇〕 00012610M6やと、たのしんでいる/処(ところ)へ、にわかに〔遠目鏡〕(四ウ)を/捨(すて) 00012620M7て、/座(ざ)しきのすミへかくれるを、/皆(ミな)+、コリヤ、どふし 00012630M8たといえば、Sイヤ、/大門(おふもん)で/親父(おやじ)にあつた 00012640¥N6¥J 00012650¥X/傾城(けいせい) 00012660M11女郎がむかふ〔歯〕、かけているを見て、S客コリヤ、お 00012670M12のしわ、なぜ入ばを/仕(し)ね(五オ) 00012680¥P75 00012690¥G 00012700¥G 00012710M1ゑS〔女郎〕アイ。わたしや、/石(いし)でハいやでありんす 00012720M2Sソンナラよい物があるといひ、/銀(ぎん)を/出(だ)し、はのなりにこ 00012730M3しらゑて入てやれバ、S女郎わたしがすきの入ばでごさん 00012740M4す△Sヲヽ、それでおれとよいと/言(いふ)てかへり、/亦(また)十日ほど 00012750M5すぎて、/彼客(かのきやく)、女郎にあい、おのし(五ウ)の入ばハどふし 00012760M6たときけハ、Sアイ。此間、きんちやく切が口をすいまし 00012770M7た 00012780¥N7¥J 00012790¥X/浪人(らうにん) 00012800M10お/手前(てまへ)さまには、御浪人とごさるハ、ヱヽ、どなたさまの。 00012810M11ハア、拙者義ハ、かの御/聞(きゝ)/及(およ)び、武士/主従(しうじう)三百人ほどあり 00012820M12しか、さんぬる比、二十人斗リ夜うちにミだれ(六オ) 00012830¥P76 00012840¥G 00012850M1入り、それ故かくのてい。S/&扨((ママ))、左様でこざるか。/数多(あまた) 00012860M2の御家来を、御ふちなしおかれつらんに、わつか二十人/有= 00012870M3余(ゆう=よ)の小/勢(ぜい)に、やミ+と討れ給ひし事、むくいとハ申なか 00012880M4ら、御家中の/武備(ふび)/志(こゝろさし)のうすさ。/既(すでに)/昌俊(しやうしゆん)/堀川夜討(ほりかハようち)に/鎌倉= 00012890M5勢(かまくら=ぜい)を引て、不/意(い)を/討(うつ)たるさへ、/義経(よしつね)、/武蔵(むさし)、/亀(かめ)井なん(六ウ) 00012900M6ど、漸主従四五人の/微(ひ)勢をもつてさへ、追ちらしたるため 00012910M7し/めし(めし衍)も有ものを、主を/討(うた)せて、おめ+と。アヽさて 00012920M8+とさミせられて、Sイヤサ、其事さ。かの〔弁慶、亀 00012930M9井、駿河〕此様なやつが二十人(七オ) 00012940¥P77 00012950¥G 00012960¥G 00012970¥N8¥J 00012980¥Xそそう 00012990M3向からくる人が〔こんにちは〕とれいをした。Sハテ、誰 00013000M4であつたかしらん。かんかへなから二三間行。先おらが/町= 00013010M5内(てう=ない)の大屋しゆでなしと、中間の衆てなしと、Sヲヽそれ。 00013020M6地主様だと〔頭の〕つきんをぬぐ@二三間ゆ|きてぬぐ@(七ウ) 00013030¥N9¥J 00013040¥Xほり物 00013050M9三。ヤイ、おれを見ろ。〔腕のわかまつの彫物を見せ〕ゆ 00013060M10んへ吉原へいつて、これ、何んとむまかろ。S何に、うそ 00013070M11ばつかりいうやつだ△Sインヤ、ほんた+△Sナンタ。 00013080M12ほんなら女房にいつ付に△Sさん。やい、〔おがむ〕これ 00013090M13だ+。言てくれるなと言/処(ところへ)、〔女房〕来て、是、おまへ 00013100M14ハゆうべ、どこへいかしやつた。〔腕をとらえ〕此彫物ハ。 00013110M15Sイヤ、コリヤ(八オ) 00013120¥P78 00013130¥G 00013140¥G 00013150¥G 00013160M1ゆんべ御寺で、/は((ママ))いミやうを付てもらた△Sナントよミま 00013170M2す△S/若松(しやくしよう|わかまつ)さ△〔女房〕ハテ、かなでも、じやくしよう 00013180M3かな 00013190¥N10¥J 00013200¥Xしまつ 00013210M6女房がめつたに化せうをするゆへ、Sテイ主其様につくり 00013220M7てハ物入して、とうもならぬといへは、Sとなりの女房が、 00013230M8〔開帳〕(八ウ)参リにいくと、さそいにきた。S女房、二か 00013240M9いゑあかり、〔目〕のまハりばかり白粉を付て、二階より 00013250M10おりれば、Sテイ主見付て、おのしが〔目の〕まわりハな 00013260M11んだ。化物と言もんだ。S女房ハテサ。是でよふこさんす。 00013270M12〔頭巾で顔をかくし〕これで見えませぬ 00013280¥N11¥J 00013290¥Xほたる(九オ) 00013300¥P79 00013310¥G 00013320¥G 00013330M1夕部〔友達〕こいつに聞たが、文光子ハ此ごろ、親ぢにお 00013340M2しこめられているげな。なんと、〔皆で〕おやちをおたて 00013350M3に/行(いこう)と言身て、さそいに/行(いく)。Sおやぢ〔ぶつてう〕つらで 00013360M4あいさつをすれば、Sイヤ若、今日ハ名主の石部金右衛門 00013370M5さまや片山/イ((へん))兵衛さまと同&して、螢/狩(がり)(九ウ)に参ります 00013380M6とすゝめられて、〔親父〕殿もせひなく、むすこをよひ出 00013390M7し、Sコリヤ、今日ハあなた方が、たつておつしやるから 00013400M8Sマアやるが、螢斗とつて、S/日(ひ)のくれぬ内に帰れよ 00013410¥N12¥J 00013420¥Xそそう 00013430M11何が/出(しつ)世のたねにする気て、殿様、/夜(よ)(十オ) 00013440¥P80 00013450¥G 00013460¥G 00013470M1咄の時、S八/歳(さい)におなりなさる/若殿様(わかとのさま)が、大殿様の御伽な 00013480M2さるゝ。ソレハ+御/孝行(こう+)。アヽ、下+とちがいまして 00013490M3とかんしんする折から、殿様、御咳を遊せば、S若殿、チ 00013500M4ヤツトお背中をおさすりなさるゝを見て、Sアヽ、おしほ 00013510M5らしい。是を〔よくよく〕思バ、人/間(げん)、ものをしらぬ(十ウ) 00013520¥N13¥J 00013530¥X福禄寿 00013540M8/弁(べん)天に火事が有と聞て、〔毘沙門〕見舞に行れた。道で火 00013550M9事も消た。〔毘沙門〕弁天に見まい言れたれば、Sコレハ 00013560M10おかたしけ。私ハ夕部巳待で、方&願ひ聞くたひれたから 00013570M11寐ておりまして、一向に存じましなんだ△Sコレハ+、 00013580M12あれ(十一オ) 00013590¥P81 00013600¥G 00013610¥G 00013620¥G 00013630M1/程(ほと)の火事をしらぬとハ△Sイヤ、なるほと、うつゝの様に 00013640M2〔はしご〕よ〔水〕よと申たから、大かたS〔福禄寿が〕さ 00013650M3かやきでもそらるゝとぞんじました 00013660¥N14¥J 00013670¥X/夫婦(ふうふ)けんくわ 00013680M6Sナント〔お前ほど〕よくふうふ〔けんくわ〕する者ハあ 00013690M7るまい△Sソシテ、いつても(十一ウ)女房にしかられたり 00013700M8Sイヤ、三右衛門を見やれ。/年中(ねんぢう)女房のしりにしかれてい 00013710M9る。ヲエナイばかだ△Sヲヲ、此〔きせる〕がどくとなれ、 00013720M10ことし五十になるが、Sアトニモ/先(さき)にも、/去(きよ)ねん/始(はじめて)て〔女 00013730M11房に頭を〕はられた 00013740¥N15¥J 00013750¥Xあて/物(もの)(十二オ) 00013760¥P82 00013770¥G 00013780¥G 00013790M1〔家来〕おまへの/留守(るす)に、人が参ました。Sたれであろふ。 00013800M2それハあばた/有(あつ)たか△Sアイ△Sせいハ高いか△Sアイ△ 00013810M3Sいろハ/黒(くろい)か△Sアイ△S三十ばかりか△Sアイ△S人か 00013820M4らかよいか△Sアイ△Sやせきすか△Sアイ△Sハテ、た 00013830M5れてあらうな 00013840¥N16¥J 00013850¥X/日待(ひまち)(十二ウ) 00013860M8日まちに上るか有て、/聞(きい)ていた/客(きやく)が、ミんなかへりた。 00013870M9〔小僧〕/独(ひとり)、/太夫(たゆふ)のまへに/居(い)るゆゑに、S太夫△てまへハま 00013880M10だちいさいが〔浄瑠璃〕がすきだな。ミんなか/帰(かへ)りたに、 00013890M11よく/聞(きい)ているな△Sインヤ、おまへのいる/処(ところ)が、をれがね 00013900M12るところた(十三オ) 00013910¥P83 00013920¥G 00013930¥G 00013940¥N17¥J 00013950¥Xいんきん 00013960M3昔かるい者、/俄(にハか)に大金もちになつて、物事いんきんすきて、 00013970M4/家来(けらい)にも向て、/今宵(こよい)/御月様(おんつきさまハ)、御/昇(あがり)なされたかと、家来に/尋(たつね) 00013980M5けれは、S家来、/夫(それ)ハあんまり御いんきんで/御座(ござ)りますと 00013990M6申上るハ、Sなるほど、/心得(こゝろへ)ました。(十三ウ)あす又〔家来 00014000M7を〕よびたして、Sコレ、こよいハ月ハ/出(で)たはづじやがと 00014010M8言。S/家来(けらい)へヱ△Sして、/星(ほし)めらハ 00014020¥N18¥J 00014030¥X/子供(こども) 00014040M11人の/処(ところ)へ/行(ゆか)ハ、先の子をほめるが/よ((よ衍))よいと〔耳に〕はさん 00014050M12だ。Sナニが/隣(となり)長/屋(や)の/凹(へく)内さまの/処(ところ)へ行て、先の子(十四オ) 00014060¥P84 00014070¥G 00014080¥G 00014090M1Sコレハ+よいおじようぶな△Sホンニ、よふ〔坊やの〕 00014100M2おあたま迄おこへ被成たとほめれバ、S凹内、大きにはら 00014110M3を立、是ほど、かんのむしをわづら/((つ脱カ))てやせたを/見(ミ)て、人を 00014120M4/馬鹿(ばか)にした人だ〔と、なぐり〕つけれバ、Sハテ、あの細 00014130M5いのどて、/頭(あたま)〔がよく〕こたへてござる(十四ウ) 00014140¥N19¥J 00014150¥X/碁(ご) 00014160M8〔碁〕を/打(うつ)て/居(い)ル/処(ところ)へ、Sそハから、ひとり/助言(しよごん)をいゑば、 00014170M9/碁打(こうち)、はなハだ〔腹〕たち、よこつらをしたゝかに〔ぶ 00014180M10つ〕。S助言した人、ふたれると其まゝ、ずいと立て、/手前(てまい) 00014190M11内へ帰。〔傍の人〕ハア、あの人ハ、/聞(きけ)ハ、/元(もと)ふしだ(十五 00014200M12オ) 00014210¥P85 00014220¥G 00014230¥G 00014240¥G 00014250M1といふた。/内(うち)へかへりたから、大/方(かた)/仕度(したく)して、/死相(しにお)ふ/気(き)と 00014260M2見へる。Sミナ+、なる程と言処へ、かの人、〔鎧兜を〕 00014270M3きて/来(き)た。Sサア、此うゑハおれも、いくらぶたれてもよ 00014280M4い 00014290¥N20¥J 00014300¥X/嶌(しま) 00014310M7アノ四茂平ハ、なん〔風〕て吹流され(十五ウ)てから、四 00014320M8年ぶりて/帰(かゑり)たろう。Sソウサ+。したが、あいつ此/比(ころ)、 00014330M9/小(こ)ぬすミをして、どうもならぬ△Sムヽまてよ。あいつが 00014340M10/吹流(ふきなかされ)たしまハ、〔手長〕しまであらふ 00014350¥N21¥J 00014360¥X/早(はや)かてん 00014370M13/女房(によぼ)、かミ/結(ゆ)ふとて、二かいえ/上(あが)りし(十六オ) 00014380¥P86 00014390¥G 00014400¥G 00014410M1なに、/亭主(ていしゆ)の/肩(かた)をおさへて上りしか、/日比(ひころ)、ものいまひす 00014420M2る/人(ひと)ゆへ、肩をおさゑたが、気ニかゝれバ、わるいと/思(おも)て、 00014430M3またはしごをおりて〔ちよい〕と、かたをつまめバ、Sば 00014440M4かいふな 00014450¥N22¥J 00014460¥Xしわんほう 00014470M7/年(とし)の内に、/春(はる)まさにいたらんと(十六ウ)す。/家毎(やごと)+のい 00014480M8そかしさ。/女房(かゝ)ハ春の/小袖(こそで)に火のしあてたり、/亭主(ていしゆ)ハ/年(とし)と 00014490M9くの/棚(たな)をつるとて、/松板(まついた)をけつるとて、Sコリヤ+、長 00014500M10吉よ+。となりへいて、/御無心(ごむしん)なから、ちつとの間〔鉄 00014510M11槌〕をおかしなされて被下と/言(いふ)て、/借(かり)てこい。〔長吉〕と 00014520M12な(十七オ) 00014530¥P87 00014540¥G 00014550¥G 00014560M1りへいていふたれバ、となりのてい/主(しゆ)がいうやう、〔鉄槌〕 00014570M2を何んにするのじや。S長吉アイ。たなつりますSとなり 00014580M3のていしゆ/何(な)んしや、たなつる。そんなら/釘(くぎ)を/打(うつ)であろ。か 00014590M4なつちて/釘(くぎ)/打(うつ)て、たまるものか。ない+。いんで、ない 00014600M5と/言(いや)れ△S長吉、其通をいうたれバ、Sていしゆあい(十七 00014610M6ウ)つがやうなしわいやつハない。こじきのよふなやつじ 00014620M7や。せうことがない。内のを〔鉄槌〕出してつかへ 00014630¥N23¥J 00014640¥Xつんぼ/老人(ろうじん) 00014650M10ことし八十になれども、まだ+。アヽ〔わしが〕わかい 00014660M11ときハ、貴様たちのよふな事でハなかつた。今ど(十八オ) 00014670¥P88 00014680¥G 00014690¥G 00014700M1きの若衆ハ、むかしの/病(ひやう)人よりよハい。人間ばかりでハな 00014710M2い。〔犬猫〕迄其通と、高まんのさいちう、〔鶏〕が/耳(ミヽ)をつ 00014720M3きぬくよふに、Sコケコウ+△S/老人(ろふじん)アレ+、/昔(むかし)ハな 00014730M4いたが、今ハ/身(ミ)ばかりなくミで、Sこへハ根から出ぬ(十 00014740M5八ウ) 00014750¥N24¥J 00014760¥Xおか/眼(め) 00014770M8こもかぶりがより合て、ナント〔万屋の〕よふな金もちが 00014780M9あるに、をらがよふな、きのふ〔喰つた〕まんまでいる者 00014790M10が有に。Sイヤサ、そういうな。ミかけとハちかふた者だ。 00014800M11きのふおれがもらいにいたれバ、おいらが事を(十九オ) 00014810¥P89 00014820¥G 00014830¥G 00014840¥G 00014850M1しらミが一升もあるべいといやアヽがつたが、帰りて見た 00014860M2りや、Sタツタ一合 00014870¥N25¥J 00014880¥X/馬(むま)も合口 00014890M5〔馬が子供にがぶり〕と喰ついて、ふりまハしけれバ、/近= 00014900M6所(きん=しよ)の/衆(しゆ)/欠付(かけつけ)、いろ+すれ共はなさぬ/処(ところ)へ、〔折介〕と言 00014910M7男が来て、〔刀〕をぬひて(十九ウ)馬のまへにてふりまハせ 00014920M8ば、子をはなし、たすけけれバ、皆人〔パチパチ〕と拝ミ 00014930M9けれバ、S〔折介〕さたハない事。馬にもあいくち 00014940¥N26¥J 00014950¥X/伽羅門(きやらもん) 00014960M12伽羅すきな人が門を通れば、めつたに匂ゆへ、〔鼻〕是で 00014970M13やう+(二十オ) 00014980¥P90 00014990¥G 00015000¥G 00015010M1〔門を〕かぎだして、もし+と言バ、何んの御用で御座 00015020M2ります。Sイヤ、此御家から、よき匂がいたします。定て 00015030M3こなたで御座ろう△Sイヤ+、私方で/左様(さよふ)な覚ござりま 00015040M4せぬ△Sデモ匂ます△Sイヱ+△Sデモ++。こわ 00015050M5高になりけれハ、〔門番〕どつかとすわつて、匂ふは(二十 00015060M6ウ)づ。Sおらが親なをまかふくさい 00015070¥N27¥J 00015080¥Xはと 00015090M9〔狩人〕こよいハ寒がら〔す〕めをつらまへて、ぞうすい 00015100M10とでよふ。〔主〕よかろふ。〔はとを〕とつかまへた。Sト 00015110M11レ※、おれが毛をひきましよ。〔ぐつ〕と、毛を引て、 00015120M12まないたのうへにおけば、(二十一オ) 00015130¥P91 00015140¥G 00015150¥G 00015160¥G 00015170M1彼はと、まだ死ずして、Sヒヨイト飛で〔枝にとまる〕。 00015180M2Sハトナクコヱ△ヲ&サムイ++〔絵〕 00015190¥N28¥J 00015200¥X雷の手間取 00015210M5〔浪人〕かふ力をたのミ申スと、門に/立(たつ)てもらいけれバ、 00015220M6S〔亭主〕△Sモシ+、そなたハ何売買をしやつしやる 00015230M7(二十一ウ)△S/拙(せつ)者ハかミなり中間の/手間(てま)とりてこざる。い 00015240M8つも夏の/内(うち)ハ、口すぎも/出来(でき)ますが、冬ハとんとひまて、 00015250M9Sホンノ/天竺浪人(てんしくろうにん) 00015260¥N29¥J 00015270¥Xおさえ 00015280M12きのふハ/口塩(くちしを)のたら、/今日(けふ)ハ〔寿老〕/人(しん)/双六(すころく)、あすハな 00015290M13んの何かし様へ/出(て)キあいの〔年礼の〕わかとふ。あさつ 00015300M14(二十二オ) 00015310¥P92 00015320¥G 00015330¥G 00015340M1/つ((つ衍))てハ例年のやとい〔供〕おさへになつて、高もゝ立。た 00015350M2れそ/名(な)を/尋(たづ□)たら、高+もやつてくりよと思ふて/居(い)れと、 00015360M3/御(ご)小身ゆへ尋る人もなし。だん+行ハ、両国はしのひろ 00015370M4かうじ。こゝでハ誰ぞといそふなものと思ふ所へ、Sどな 00015380M5たさまてと、(二十二ウ)△Sおさへチトそふだろふ△S尋た人 00015390M6〔解せぬ顔で〕ハテ、聞なれぬ。/木戸(きと)/宗(そふ)太郎様とハ 00015400¥N30¥J 00015410¥Xはり/番(はん) 00015420M9おのれ、今夜こそおそく/帰(かへ)つたら、ふちのめして思ひしら 00015430M10すぞ。四つがなつたら内え入ぬぞと、〔親父〕大しやう(二 00015440M11十三オ) 00015450¥P93 00015460¥G 00015470¥G 00015480M1こつた晩にも、又五つ/過(すき)ても/帰(かへ)らぬ。ヤツパリこんやも、 00015490M2九つ/時分(しふん)に帰りをるか。サテ++にくいやつと思へど 00015500M3せんかたなく、ヨシ+、今から張番して、/帰(かへ)つたらぶち 00015510M4のめしてくれよと、/門(かと)の/戸(と)クワラリト〔細く〕明け、/貫木(くわんのき) 00015520M5つへに、つゝハリかゑつて、おやぢ(二十三ウ)が五つ半/迄(まて) 00015530M6まつて居るを、むすこか帰りて見れバ、/門(かど)の戸明て有を/見(ミ) 00015540M7て、/此様(このよう)にあけひろげて〔盗人〕てもはいつたら、とふさ 00015550M8ツしやると、むす/子(こ)に先をとられて、S〔親父〕たわけぬか 00015560M9すな。マダ五つ/過(すき)だ 00015570¥N31¥J 00015580¥X/坊主(ぼうす)女郎かい(二十四オ) 00015590¥P94 00015600¥G 00015610¥G 00015620M1品川へいて、アチコチまよふて、/漸&(よふ+)にきまりしに、女郎 00015630M2が〔坊主〕かきらいニや、/ざ((ママ))ん+ふつてふり/付(つけ)られ、せ 00015640M3うことなしに、ねたふりして/居(い)たれハ、女郎ハぐいねをし 00015650M4て/居(い)をるを/幸(さいわい)、思ひしらせんと、女郎をクルリトそりて 00015660M5(二十四ウ)やつた。其まゝズイト帰た。ほとなく夜が/明(あけ)て、 00015670M6/坊(ぼん)さまを/早(はや)くかへさんと、〔女郎〕S我あたまを、モシ+ 00015680¥N32¥J 00015690¥Xたゝミ 00015700M9殿/様(さま)、御/畳(たゝミ)の/表(おもて)かへを/御覧(ごらん)/被成(なされ)て、コレハ+、一々にし 00015710M10かへるもついゑなと(二十五オ) 00015720¥P95 00015730¥G 00015740¥G 00015750M1/と((衍))/裏(うら)がへしたらバよかろふとの/御意(きよい)。〔家老〕罷出て、武 00015760M2士のうらかゑると申スハ、いミことでござりますと申上た 00015770M3れバ、Sイヤ、高か五百/畳(でう)か六百畳のことしや。そなたの 00015780M4いふハ、千畳の上の事しや 00015790¥N33¥J 00015800¥X/奇方(きほう)(二十五ウ) 00015810M7/杢左衛門殿(もくさへもんどの)。モシおらが〔牛〕めか、きのふからどこへい 00015820M8きましたか、ふたゝび帰り申サなひ。S〔主〕夫ハきめう 00015830M9な薬が、おらか/方(ほう)にござるから、一ふく/進(しん)せうから、今か 00015840M10ら/呑(のん)で見さつしやい△Sナニサ、モシ/飼牛(かいうし)のなくなつたに 00015850M11Sサレバサ。夫が薬て帰り申ス。ひらに/呑(のま)つしやい。(二十 00015860M12六オ) 00015870¥P96 00015880¥G 00015890M1合して呑したれバ、扨きめう。其日の夕方に、/件(くだん)の〔牛〕 00015900M2がどこからか、子うしをつれて山から帰た。コレハこれハ 00015910M3てんこちもない、ふしぎな薬と、礼にいたれバ、又も有事 00015920M4だから、方を伝授しませう。 00015930M5△△△/牽牛子(けんごし|ひいてうしのこ)△△△/山帰来(さんきらい|やまをかへりきたる)(二十六ウ) 00015940M6ハア、これ、りけつでおじやるとかんしんして帰り、/段&(たん+) 00015950M7ふいてうして、人が聞キつたへてくる。あるい日、侍の/浪(ろう) 00015960M8人か/来(き)て、久&古主へ帰参の願ひてござる。トウゾお薬を。 00015970M9Sナルホド+、一ふくで/叶(かない)ますると、合してのました。 00015980M10/忽(たちまち)/願(ねかい)のとふりにいた。あまりふしぎてござる。御(二十七 00015990M11オ) 00016000¥P97 00016010¥G 00016020¥G 00016030¥G 00016040M1薬ハと聞ハ、ぶし、きこく 00016050¥N34¥J 00016060¥X〔釜から幽霊〕 00016070M4ツク※ミれハ、/幽霊(ゆうれい)でハない/が((ママ))。Sナルホド、わしハゆ 00016080M5うれひでこさります。〔亭主〕ハテめんよふな。/幽霊(ゆうれい)の/出(で) 00016090M6る/覚(おほへ)がないか、マア何んの(二十七ウ)/為(ため)ニ出やつだぞ。い 00016100M7ゝたい事でも有のか。Sほうじか前た 00016110¥N35¥J 00016120¥Xモノシリ 00016130M10けふハ/節句(せつく)の〔礼〕。はやくふろを/焚(たけ)と云付たが、またか。 00016140M11イヤモウ、たれか入ておりますそふな。ハテ、おれがマダ 00016150M12入もせぬに、たれたナ。お三。(二十八オ) 00016160¥P98 00016170¥G 00016180¥G 00016190M1いて見て/来(こ)い。Sハイトいふて、いてミれバ、下男の八介、 00016200M2うつかりと、旦那より先え/湯(ゆ)ニ/入(いり)、せんきの/声(こへ)に、Sナム 00016210M3三と、/湯殿(ゆとの)のすミのくらかりに、〔顔を手拭で隠して立つ〕。 00016220M4S旦那お三。/誰(たれ)だ。ハイ。顔ハとふも見へませぬかト、 00016230M5〔まらを〕見て、大方八介殿 00016240¥N36¥J 00016250¥Xわたまし(二十八ウ) 00016260M8〔友〕/家(いへ)/見(ミ)に/来(き)たで+。コリヤゑい所だ。第いち、座敷 00016270M9へついか/近(ちか)くて、〔煙管を〕はたくニ/勝手(かつて)が能。しかし入 00016280M10口が壱本戸たから、あんまりせまくて、お/主(ぬし)が/死(しん)だら/棺(くわん)が 00016290M11出まい。Sべらほうめ。家見に来上つて、ケチ(二十九オ) 00016300¥P99 00016310¥G 00016320¥G 00016330M1いめへましい。棺か出ないとて、われがせハにハならない 00016340M2わい△Sヲヽ、コリヤ/腹立(はらたて)るが尤。おれかあやまり。Sイ 00016350M3ヤ、/気遣(きづかい)しやるな。出るよ+ 00016360¥N37¥J 00016370¥X/酒(さけ) 00016380M6〔膝枕〕とたのしミかけてゐる処へ、友だちがトツチリニ 00016390M7なつて(二十九ウ)来て、/亭主(て□しゆ)のそバて女房にしなづくを、 00016400M8Sテイ主、ムツトシテ〔顔をしかめ〕にか+しくしてい 00016410M9るから、さすが/生(なま)ゑひもスコシ〔間が悪くなり〕、てれて早 00016420M10&かへれば、跡で亭主が、あいつがよふな酢の過たものハ 00016430M11ないといへば、女房がSナニサ。/酒(さけ)か/過(すき)たものさ(三十オ) 00016440¥P100 00016450¥G 00016460¥N38¥J 00016470¥X〔きつね〕 00016480M3/狐(きつね)のむすめがふら+と/煩(わづら)ふゆへ、親きつね、色+と/養= 00016490M4生(よう=じやう)すれども、よくなひから、/医者(いしや)に聞ハ、/労(ろふ)かいのしたじ 00016500M5といふ。〔親狐〕大キニおどろき、とも立たのんで、なん 00016510M6ぞ思ふことでも有かと、内しようきかせたれば、Sこ(三 00016520M7十ウ)の/比(ころ)、/唖(をし)をしらすに取付て、イツソ気をつめた〔と 00016530M8娘狐がいふ〕(三十一オ) 00016540¥P101 00016550¥G 00016560¥N39¥J 00016570¥X女郎かひ 00016580M3Sズイト、りうもんの羽おりに/黒羽二(くろはぶた)へ、八丈のあいぎ、 00016590M4はかたの/帯(おび)、/細(ほそ)ミのおたち、/頭(あたま)ハ〔本田〕、/銀(きん)きせる、小/菊(ぎく) 00016600M5はなかミで、女郎やへスイトあがり、/座敷(さしき)かすミ、それか 00016610M6ら〔お引け〕(三十一ウ)と/言(いう)バ/場((ママ))になり、〔床入する〕。女郎、 00016620M7うしろむひて、しらぬかほ。Sモシ、わちらかよふな者た 00016630M8とて、さうハしねへもんだ△Sわたしや、そちらか向きた 00016640M9けれど、お前ニ(三十二オ) 00016650¥P102 00016660¥G 00016670¥G 00016680M1飛んたほれて/居(い)る人がありんす。それでわつちハむかれや 00016690M2せん△Sソリヤ/亦(また)、たれかわたしにほれやしたへ△Sおめ 00016700M3へニほれた/者(もの)ハね△Sたれだ△Sおまへさ 00016710¥N40¥J 00016720¥X/書(かき)なをし 00016730M6候べく候を、/好(すき)でかく人かあつて、(三十二ウ)つい/書(かき)そくな 00016740M7つた。〔手紙に〕此候へく候ハ、/書(かき)そこないの候へく候ニ 00016750M8御座候可候間、そばの候可候か、ほんの候へく候ニて候へ 00016760M9く候(三十三オ) 00016770¥P103 00016780¥G 00016790¥N41¥J 00016800¥X(無題) 00016810M3新五左衛門、品川へいて、ズイト/上(あかつ)た。S若者ハイ、御/出= 00016820M4遊(いて=あそバ)し。ハイ、お/腰物(こしのもの)をおあつけ△Sナンダ。/侍(さむらい)がこしの物 00016830M5を/渡(わた)して、つまる者か△Sソレテモ所の/習(ならい)でこざります。 00016840M6/是非(せひ)御/渡(わたし)/被成(なされ)イ△Sソンナラ〔と大刀を渡し〕ところのな 00016850M7らわせと聞ば、ぜひもない△Sわきざし(三十三ウ)もおあ 00016860M8づけ被成ませ△Sこれもよこせとか。是ハならぬ△S/左様(さよう) 00016870M9なら、おかへり被成ませ△Sウヽ、さふ/言(いわ)れてハならぬ。 00016880M10よし+。そんならハあづけよふと〔小刀を〕/渡(わた)すと、た 00016890M11すきをかけて〔身づくろい〕、是からやハらだ(三十四オ) 00016900¥P104 00016910¥G 00016920¥N42¥J 00016930¥X(無題) 00016940M3/一人(ひとり)者、金をため、/置(おき)所にこまり、/長竿(なかさほ)の/先(さき)に、さいふ/結= 00016950M4付(ゆい=つけ)て、〔絵〕ゑんの/下(した)へつき/込(こ)ミ、毎日/帰(かへ)ると、出して見 00016960M5てハ御座る。(三十四ウ)又出る時につき/込(こん)てハいき、/帰(かへつ)てハ 00016970M6引出シて、御座る/哉(かな)とおちつくを、/隣(となり)の/亭主(ていしゆ)見付て、/留主(るす) 00016980M7をねらい〔まんま〕とぬすんだ。S所へ/帰(かへつ)て、引出しだ/所(ところ) 00016990M8か、ない。〔亭主〕ウヽ、/是(これ)でせわがぬけた(卅五オ) 00017000¥P105 00017010¥G 00017020¥G 00017030¥N43¥J 00017040¥X屋/根(ね)や 00017050M3やね屋、せきだ/直(なを)しと段&はなし。〔絵〕扨、手まへほど、 00017060M4ひくいしよう/買(ばい)ハない。おれハ又(卅五ウ)飛んだ高い 00017070M5/売(しよう(ママ))ばいだ。/雲泥万(うんでいバん)里とハ此事だ。S何にさ+。まだひく 00017080M6いのが御/座(ざ)ります△Sナンダろう△S井戸/堀(ほり)さ 00017090¥N44¥J 00017100¥X/晒落咄(しやれはなし) 00017110M9せわしないしやれ人〔絵〕が、スイト向ふから/来(く)ると、(三 00017120M10十六オ) 00017130¥P106 00017140¥G 00017150¥G 00017160M1/主(ぬし)ハ芝居へいつたそふな。チヨビトはなしやれ。Sソンナ 00017170M2ラ一/幕(まく)、はなさふか。/先(まつ)天幸、/例(れい)の色まつさを、物すご女 00017180M3しめころしの、金ふつたくりの、ぐいにけの、ぐいにらミ。 00017190M4おや玉〔絵〕とんで出の、くび(三十六ウ)/切(きり)のちよん+ 00017200M5まくさ 00017210¥N45¥J 00017220¥X/髪(かミ) 00017230M8/役者(やくしや)ハかづらて、/皃(かほ)のしハか/無(なく)なると/聞(きゝ)て、髪/結床(ゆいどこ)へ/行(ゆき)、 00017240M9Sコレ、めつたむしようにつめてゆハせ、〔絵〕やしきの 00017250M10/物見(ものミ)の/前(まへ)へ行と、女の/声(こへ)にて、あれ+、しうくわく(三 00017260M11十七オ) 00017270¥P107 00017280¥G 00017290¥G 00017300M1にとんと其まゝだと言。Sスイト/通(とを)りけれと、又とつて/帰(かへ) 00017310M2すと、Sあれでにらむと、なをよいと/言(いハ)れて、〔ぐい〕と 00017320M3にらむと、/曲(まげ)かほつたり。ていねいなへ(三十七ウ) 00017330¥N46¥J 00017340¥X(無題) 00017350M6よそへ出るとて、/先(まづ)たはこ入/在(あり)、きせるよし。はな/紙(がミ)、や 00017360M7うしさし、/小遣(こつかい)、/手拭(てぬぐい)あり。ふんどしハせず〔絵〕(卅八オ) 00017370¥P108 00017380¥G 00017390¥G 00017400¥N47¥J 00017410¥X/酢(す)のミ 00017420M3/酢(す)を/好(すい)て〔のめ〕ハ身が/軽(かるく)なつて、/仙人(せんにん)になると/聞(きい)て、/長= 00017430M4命(なが=いき)/仕(し)たさのまゝ、/明(あけ)てもくれても酢をのミけるが、よつほ 00017440M5ど/軽(かるく)なつて〔屋根から〕ひやあいゑ/落(おち)た。Sヤレ、/泥坊(どろほう) 00017450M6(卅八ウ)とさわぎ、ぶて、しバれと/棒(ぼう)が〔めつたやたら 00017460M7に〕/降(ふ)る。Sヤレまて+。〔絵〕仙人のす立た 00017470¥N48¥J 00017480¥X/色(いろ)おとこ 00017490M10Sスイトいきな/風(ふう)のいろ/男(おとこ)が(三十九オ) 00017500¥P109 00017510¥G 00017520¥G 00017530M1〔きん+〕とした/身(ミ)で、五丁まち中を、あちこちをそゝ 00017540M2り、/閑家(ひま)な/見(ミ)せに/立(たつ)て/見(ミ)れハ、Sアレ、ミなんし。/飛(とん)だよ 00017550M3い男がちらつく△Sホンニ、助六を/見(ミ)る/様(よ)ふたネヱ。うそ 00017560M4ハあ(三十九ウ)りんせん△S何さ、きつい/道風(とうふう)さ。なぜへ。 00017570M5Sハテ、かわづに見とれてさ 00017580¥N49¥J 00017590¥Xうそつき 00017600M8よくうそをつく男が/咄(はな)しに、きのふ/布麻(ぶあざ)へいたれハ、ぽん 00017610M9とゆふ声に、〔はつ〕としたが、(四十オ) 00017620¥P110 00017630¥G 00017640¥G 00017650¥G 00017660M1あれハなんだ。S何んだやら。Sマタ此男ハ/鉄鉋(てつほう)を/言(いう)だろ 00017670M2う△S是ハほんの事さ 00017680¥N50¥J 00017690¥Xふじの山 00017700M5おれハ此六月ハ〔富士山〕へ参るきだ。Sよしやれ。なん 00017710M6のおもしろくも/無(ない)△Sそう/言(い)やんな。あの(四十ウ)/頂(てう)+ 00017720M7のほると、とんだ物だと言事だ△Sナニサ。うゑへあかり 00017730M8てよけれハ、〔西行〕ハ/下(した)にハいぬ 00017740¥N51¥J 00017750¥Xまおとこ 00017760M11/亭主(ていしゆ)見付、〔刀で〕/間夫(まおとこ)を、ま二つに切た。(四十一オ) 00017770¥P111 00017780¥G 00017790M1/女房(によほう)、おし入の/中(うち)へはいつて、内からおさゑて/居(い)る。Sサ 00017800M2ア+、かゝめ、てろ+△Sいんゑ。出ると、わつちを 00017810M3切から、いや△S何に切もんだ。手めへをころして、つま 00017820M4る物か△Sソンナラ切なさるなよと言て、〔女房、押入か 00017830M5ら〕出る所を(四十一ウ)くびをぱつたり切/落(おと)すと、/其首(そのくび)、 00017840M6〔きつ〕として、なぜきり/な((ママ))つた(四十二オ) 00017850¥P112 00017860¥G 00017870¥G 00017880¥N52¥J 00017890¥X犬ぎらい 00017900M3おれハ/犬(いぬ)がきつひきらいだ。トント、夜るハあるかれぬ。 00017910M4Sテメエハ犬かきらいか。/若(もし)、犬ニ取まかれたならハ、四 00017920M5つばいにはやれ。トントいぬハくいつかぬとおそわつて、 00017930M6/夜(よ)るおそく/通(とほり)りけれハ、犬が/取(とり)まい(四十二ウ)た。そこで 00017940M7〔四つ這〕とやつた。うしろから犬が、あしを喰ひつくと、 00017950M8Sキヤン++ 00017960¥N53¥J 00017970¥X駕かき 00017980M11女郎/買(かい)、四五丁も行と、Sカゴ+。(四十三オ) 00017990¥P113 00018000¥G 00018010M1スイトのつた。Sナント/棒組(ほう□ミ)。きのふの/旦那(だんな)ハ、とんだ人 00018020M2しやなア△Sウ&ソウサ。酒を三/度(ど)ニ、其上、なら茶の/吸(すい) 00018030M3物のおつしやつて、/銭(せに)まで/増(まし)て下されて、チトおれがおり 00018040M4てかつがふかと言しつた。あんな旦那に相たいもんだと 00018050M5言ハ、〔客〕スウ++。(四十三ウ)しばらくして、駕の 00018060M6内て目を覚し、これ、/駕者(かごのもの)。/聞(きゝや)れ。きのふのつたかごの者 00018070M7ハ、おれに酒をふるまつて、其上、駕ちんもとらなんだと 00018080M8言バ、〔駕かき〕△Sスウ+(四十四オ) 00018090¥P114 00018100¥G 00018110¥G 00018120¥N54¥J 00018130¥X/新宿(しんじく)女郎 00018140M3四ツ谷の新しくへ/遊(あそ)びに行て、おれハ〔鰹の〕さしミか/喰(くい) 00018150M4たひと言。S女郎まだ/鰹(かつほ)ハ/取(と)れやせん△Sナ/□((ニカ))、とふに出 00018160M5た。今も/道(ミち)て/喰(くつ)て/来(き)た△S女郎きついうその△Sハテサテ、 00018170M6今喰て来た△Sウソ+△Sなせ、そう(四十四ウ)/言(いう)。 00018180M7S女〔客の顔を見て〕ハテ、それても/顔(かほ)かあかくない 00018190¥N55¥J 00018200¥X/子供(こども) 00018210M10/子(こ)に/新敷(あたらしき)/着物(きもの)をきせて、/開帳(かいてう)参に行ける道ニて、向ふよ 00018220M11り(四十五オ) 00018230¥P115 00018240¥G 00018250¥G 00018260M1能着物の子供/来(く)るを見て、Sトツサン。おれもあの様な/小= 00018270M2袖(き=もの)かほしい△Sイヤハヤ、/其様成(そのよふなる)事言ぬものだ。あれより 00018280M3よいわ/能(よい)のを見たら、又ほしいと言じやろ。と/角(かく)、/上(うへ)ハ見 00018290M4ぬ/物(もの)じや。下をミて/歩(あるきや)と/言(いわ)れて、両国〔橋〕へ。(四十五ウ) 00018300M5〔遊山舟を見て〕S子アレ、したもよい 00018310¥N56¥J 00018320¥X鼻かけ 00018330M8是ハ+、見違た。お主の/鼻(はな)〔四十六オ) 00018340¥P116 00018350¥G 00018360¥G 00018370M1ハどうして/能(よく)なつた。Sサレハ、赤坂ニ〔ある療治処で〕 00018380M2此鼻を見せたら、りやうじして/早(さつ)ぱり、本の通ニ/入(いれ)てもら 00018390M3つた。Sイヤモウきついもんだと〔自慢げに〕言と、又/袂(たも) 00018400M4とから(四十六ウ)赤き鼻を出す。S夫ハ何んじやと/聞(きけ)ば、 00018410M5是ハ酒に/酔(よつ)た時のさ 00018420¥N57¥J 00018430¥X/雪駄(せきだ) 00018440M8川岸を通、せつたを片&、川の中へ/落(をと)し、〔絵〕ハテ、と 00018450M9ふしよふと(四十七オ) 00018460¥P117 00018470¥G 00018480¥G 00018490M1思所へ、向から〔絵〕リン++と言て来た。△Sコレ 00018500M2+、あのせきだを四文て取て呉ねへか△S六文でなけれ 00018510M3ハなりませぬ△Sソンナラ、モヲ/片(かた)&/落(おと)して、九文やろふ 00018520¥N58¥J 00018530¥X/泥坊(とろぼう)(四十七ウ) 00018540M6盗人はいり、そこかしことうろつくを、内の者目をさまし、 00018550M7〔絵〕ヤレ、どろほうめ。追欠しニ、どろぼうも、い/気(き)が 00018560M8切(四十八オ) 00018570¥P118 00018580¥G 00018590¥G 00018600M1追欠る者も、いきが切、道ニて〔二人ながら〕水留/桶(をけ)のミ 00018610M2づをすくつて呑。Sサア、よくハ/追欠(をいかける)そ△Sトロさらバに 00018620M3げませふ(四十八ウ) 00018630¥N59¥J 00018640¥Xけん/好(すき) 00018650M6けんの好な二人/連(つれ)にて、よ道しけるに、〔夜なきそばやの〕 00018660M7あかりがミへると、たちなから〔じやんけん〕、梅りやん 00018670M8といへバ、辻ばんから(四十九オ) 00018680¥P119 00018690¥G 00018700¥G 00018710M1〔辻番〕Sとをれい 00018720¥N60¥J 00018730¥X/店(たな)/借(か)り 00018740M4/店(たな)をかり、/初(はじめ)て長屋廻りをするとて、どぶへ〔片足すと 00018750M5ん〕と(四十九ウ)/落(おち)て、いま+敷けちな/長(なが)やだ。くその 00018760M6様な路じだと、あくたいを、大屋聞付、/初(はじめ)て/移(うつつ)て、最/早(はや)あ 00018770M7のよふに、あくたいを言てハ/借(かさ)れまいとて、/急度(きつと)店たてを 00018780M8申付バ、〔手をつき〕此度からはいりますまい(五十オ) 00018790¥P120 00018800¥G 00018810¥G 00018820¥N61¥J 00018830¥X(無題) 00018840M3文もうなる/親父(おやぢ)、/子(こ)を二人持。/弟(おとゝ)、〔暦〕/見(ミ)て、/兄(あに)に聞ニ 00018850M4ハ、三月があとか、五月が先かの。Sナニ、五月か先の事 00018860M5も有、又三月か/跡(あと)の/時(とき)も、/暦(こよミ)ニよつて/違(ちか)ふ〔親父が聞いて〕 00018870M6Sおらか内も、/兄(あに)がいねハ、やミだ(五十ウ) 00018880¥N62¥J 00018890¥Xはたご屋 00018900M9はたご屋をふいと思ひ/付(つい)て、なんでも/泊(とまつ)たたひ人ニ、/茗荷(めうが) 00018910M10をたんと喰せて、もつて来た〔行李や〕こんな物をわすれ 00018920M11させて/徳(とく)せんと、〔飯〕も〔汁〕も茗荷。なにもかもめう 00018930M12がすくめニして、(五十一オ) 00018940¥P121 00018950¥G 00018960¥G 00018970¥G 00018980M1/喰(くわ)せけれバ、あくるひ、/何(なに)をわすれると、気を付て見れバ、 00018990M2かんじんのはたご/銭(せん)を忘ていんた〔は思惑はづれ〕 00019000¥N63¥J 00019010¥X化者 00019020M5はけ/者(もの)の/子(こ)、〔絵〕とふだましても(五十一ウ)大だゞニて、 00019030M6どふもたまらぬ/故(ゆゑ)、/親(おや)ばけ/者(もの)、おどしたら、/黙(だまる)かと/思(おも)ひ、 00019040M7/其様(そのよふ)ニ/泣(なく)と、つれていて、/金時(きんとき)ニやるぞ 00019050¥N64¥J 00019060¥X/井戸堀(いどほり) 00019070M10/若(もし)、大屋さん。おめへの/裏(うら)をかしておくんなんし。S/売= 00019080M11買(しよふ=バい)がらハ(五十二オ) 00019090¥P122 00019100¥G 00019110¥G 00019120M1なんじしや△Sアイ。わつちハ/井(い)ど/堀(ほり)さ△Sソレハならぬ。 00019130M2/家(いへ)かそんじる△Sトンタ事をいゝなんす。/外(そと)で井戸を/堀(ほ)る 00019140M3ニ、とふして家にさわるもんか△Sフウ、/出来合(てきあい)ハせぬか 00019150M4〔絵〕(五十二ウ) 00019160¥Q 00019170M6大△尾 00019180M8△安永四年△正△月 00019190M10△△△△△△△△△△△△△△△大△簡△堂△△蔵 00019200M12一△龍△宮△船△△△@諸国ニあらゆる怪談の△△△△|正説を集△△△△△△△全四冊@ 00019210M14一△絵本江戸みやげ△@江戸名処を絵ニ書△△△△△△|いわれを示ス△△△△△全三冊@ 00019220M16一△泉州信田白狐伝△@あべの晴明出生よりの事△△△|并△白狐のいわれ記ス△全五冊@ 00019230¥P123 00019240¥U噺本大系△第十七巻 00019250¥G 00019260¥T/春遊機嫌袋(はるあそびきげんぶくろ) 00019270¥Y 00019280M4安永四年正月刊 00019290M5恋川春町作・画 00019300M6鱗形屋板 00019310M7中本二巻合一冊 00019320M8国立国会図書館蔵 00019330¥Y序 00019340M12それ、/詩歌(しか)に/六義(りくぎ)あり。/所謂(いわゆる)る/風賦比興雅頌(ふうふひきやうがしやう)、これなり。 00019350M13/落(おと)し/咄(はなし)にまた/是(これ)あり。/昔&(むかし+)躰、/化物(はけもの)躰、/馬鹿聟(ばかむこ)躰、/行過(ゆきすぎ)躰、 00019360M14/仕形(しかた)躰、/下懸(しもかゝ)リ躰、いわるこのたぐひなり。/近世(このころ)、/家(いへ) 00019370M15+にあらわす所の/咄(はな)し/本(ほん)、まことに/梁(むなき)に/満(ミ)ち、/牛(うし)に/汗(あせ)す 00019380M16るといへとも、/偶(たま)+一二/片(まひ)の/絵(ゑ)入ニして、/曽(かつ)て/児童(こども)の/眼(め) 00019390M17を/歓(よろこバ)し、かつ/耳(ミヽ)をおどろかすにいたらす。よつて、/此春(このはる)の 00019400M18なくさみと、此一冊を/頓考(ずいあんじ)の/頓写(ずいがき)と書かけぬ。こひ/願(ねかハく)くハ 00019410M19四方の/令子(おこさまかた)、しまひハ/坐右(おやどの)/腰張(こしバり)にと/爾云(しかいふ)。 00019420M20△△△△△△△△△△△△画工△恋川春町G△(上ノ一オ) 00019430¥P124 00019440¥G 00019450¥T1 00019460¥N1¥J 00019470¥X/宝船(たからふね) 00019480M3正月二日、こんやハはつ/夢(ゆめ)、/例(れい)のとをり/福神(ふくじん)たち、たから 00019490M4ふねへより合、さて、ことしも(上ノ一ウ)あいかハらず、 00019500M5おたかいニほつ年いたし、めでたうごさる。こんやも、ま 00019510M6くらのしたへしかれて、諸人によひゆめを見せましやう。 00019520M7まづ、いわゐニ一はひのみかけ山。なんと、さかなハある 00019530M8まいか。Sゑびす様おゝ、あるとも+。わしか日ころの 00019540M9たしなみも、こんなときの用心。ミそずと出かけやうと、 00019550M10わきのしたのたひをおろし、まな板ニのせて、こけをふく 00019560M11と、下か木地(上ノ二オ) 00019570¥P125 00019580¥G 00019590¥N2¥J 00019600¥X/大黒(だいこく) 00019610M3神+かより合て、サテ、例ねん正月とて、われ+へ、 00019620M4家+でミな、そなへ餅をくれるか、いつでも大こくどの 00019630M5ゝつかわしめのそつはか、ミな引てしまつて、おらか口へ 00019640M6ハ入ませぬ。よつて、ことしハ此わけを大こくへことわり 00019650M7ましやうと、ミな+(上ノ二ウ)神+そろつて、大こく 00019660M8へいつつけられました。S大こく、大きにはらをたち、日 00019670M9ほんこく中のねつミをよびあつめ、さて+にくきやつら。 00019680M10わいらかおかけて、大きにしりをくつたと、日ほん国中の 00019690M11ねづミを、ミんな宮のうちへ入て戸をしめ、外ニ大こく様、 00019700M12ばんをなさつて、もふかゝみびらきかすんだから、さらば、 00019710M13久しぶりてたハらへのらうと、戸をひらき、鼠をぼい出し、 00019720M14たハらへこしをかけると、べつたりとからもの(上ノ三オ) 00019730¥P126 00019740¥G 00019750¥N3¥J 00019760¥X/龍宮(りうくう) 00019770M3近ころ、龍くうの水ミちか、ことのほかひきくなつて、道 00019780M4ぶしんをいゝつかり、うろくづどもより合、りうくうぢう 00019790M5の井戸から水をくみあけ、ひくいところへおくけれども、 00019800M6さミづで、ねつからまぢらず。とびのふぐ八かさいかくで、 00019810M7にがしほを一へんしいて、そのうへ一へんミづ、またにが 00019820M8しほをしひてハ、またミづをおき、なんなくミづ(上ノ三ウ) 00019830M9道をつきあけ、サアこれから、どうづきのだんと、かめの 00019840M10こもつてきて、ひとつおろすと、づふ++。これでハ 00019850M11ならぬ。どうしやう、こうしやうと、ひやうきさいちうニ、 00019860M12おやぶんのなまだこ、かうするかよひと、まをのけさまニ 00019870M13ねて、八ほんのあしをのばすSところを、大ぜひで引ツは 00019880M14つて、さんよ++(上ノ四オ) 00019890¥P127 00019900¥G 00019910¥N4¥J 00019920¥Xうたゝね 00019930M3雨おちのきしやごなかま、つか+とは入て、これ、てい 00019940M4もふほんよみのずいねか。おきたまへ+と、ゆすりおこ 00019950M5され、ていしゆ、あくびましくら、ヱヽいま+しい。ゑ 00019960M6ゝゆめを見て居たものヲ。S友立能ゆめとは、どうした△ 00019970M7Sていしゆマア(上ノ四ウ)ききやれ。北こくへ、ずひいきと 00019980M8出かけたところか、きついきまり△S友たちそして、おら 00019990M9かてきハどふした△Sていしゆのこらずきて、きついうら 00020000M10み。ナゼつれだつて来てくんなんせんと、どふぞあしたノ 00020010M11ばんといつた△Sそして、どうした△Sていしゆそこてお 00020020M12れかいふニ、口てばかりてハしやうこがねふといつたれハ、 00020030M13そんなら文をあけんしやうから、とゞけてといふところを、 00020040M14ぬし立かおこした△S友たちヱヽ、おしひことを。そんな 00020050M15らまたねて、文をもつてきてくりやれ(上ノ五オ) 00020060¥P128 00020070¥G 00020080¥N5¥J 00020090¥X立うす 00020100M3きねと臼より合て、なんと、このくれハつゞきますまい。 00020110M4こうまい日、もち米をつかれてハ、おたかいニめいわく。 00020120M5一はいのみかけてねましやうと、ふたりでしたたか、ぐひ 00020130M6のみ、ぶんずいニなつて、このまゝでハまたみだされると、 00020140M7むしろをかぶり、ねたところか、ふたりながらゑひきげん。 00020150M8むしろもいつかふミぬき、うつゝこゝろニ、なんと、きね 00020160M9どの。しんしゆのせひか、だいぶまくらかおとると、目を 00020170M10さまして見たれハ、いつのまにか米つきか、ウヽ、ヘン 00020180M11+(上ノ五ウ) 00020190¥T1 00020200¥N1¥J 00020210¥X物おほへ 00020220M14草履とりの八助ハ、さて+ものおぼひのよひ男。まい日 00020230M15くる礼者の名を、そらでおぼへていふ。礼帳紙のいらぬば 00020240M16かりも大どく。酒でものましやうと、/銚子(てうし)ともにあてかへ 00020250M17ハ、ちやわんでぐひのみ、八助、とつちりものニなつて、 00020260M18へどをはひたところか、ミんな礼者の名ばかり(下ノ一オ) 00020270¥P129 00020280¥G 00020290¥N2¥J 00020300¥X/試毫(かきそめ) 00020310M3若/旦那(だんな)、かき初をなさります。/嘉辰令月(かしんれいげつ)もふるしと、/唐詩= 00020320M4選(とうし=せん)でだん+書はしめ、酒泉の大守と(下ノ一ウ)かきかゝ 00020330M5る所へ、出入の/福都(ふくいち)、御慶申あけます。シテ、なんのおも 00020340M6よをし。ソバノ見物若だんなの/書初(かきそめ)サ。ふく市して、なんと 00020350M7いふ字へ。ソバデ、だれもかも/好(すき)な字サ。ふく市ウヽ、例こ 00020360M8くといふ字か+(下ノ二オ) 00020370¥P130 00020380¥G 00020390¥N3¥J 00020400¥X/万歳(まんざい) 00020410M3三河から、万ざいか江戸へくだります。道中の松ハらで、 00020420M4おひはきか出て、コレ、万ざい。酒手をおひてゆけ。S万 00020430M5さい今江戸へ下りかけ。なにも御ざりませぬ。なにもさう 00020440M6だん。江戸へさい蔵になつて出てくだされ。とりためたら 00020450M7は、あけましやう△Sヲイハキこれハよかろう。(下ノ二ウ) 00020460M8そんなら、文句をおしへもらおう△S万ざい、扇をひらい 00020470M9て、とく若に胡摩のはいしは△Sをいはぎ太夫どの。そり 00020480M10やまた、まんざらた+(下ノ三オ) 00020490¥P131 00020500¥G 00020510¥N4¥J 00020520¥Xねわすれ 00020530M3きん+風の/息子(むすこ)、あそびニゆき、ねわすれておそくかへ 00020540M4る。道すから、たしかにおやぢかおきて居て、けさはたい 00020550M5ていの事ではなひと、頭つう八百、あんじくらして、土手 00020560M6をかへる。むかうから手代か、すた+。モシ、若たんな 00020570M7様。どうした事でごさります。おやぢ様か大こと。Sむす 00020580M8こなんだ。はらをたつてか△S手代いゝへ。ゆふべ(下ノ三 00020590M9ウ)から御大びやうて、けさ、こつくりおはてなされまし 00020600M10た△Sむすこそれであんど(下ノ四オ) 00020610¥P132 00020620¥G 00020630¥N5¥J 00020640¥Xはつ湯 00020650M3うら町のお内義、はつゆニ出かけるとて、八丈のかわりし 00020660M4まニ、金しもん、両こくおりのはゞひろをしめかけ、内も 00020670M5ゝまておしろいをぬりかけ、そと八もんじニあるきかけら 00020680M6るれハ、通りの人、あれ見やれ。とほうもねふ、しろいこ 00020690M7との。黒田様の上やしきのよふだとのわる口。(下ノ四ウ)と 00020700M8もの/調市(てつち)、きもをつぶし、うろつくひやうしニ、石にけつ 00020710M9まずひて、内義のすそへばつたり。S内ぎ、ふりかへつて、 00020720M10長まつや。今のはなんだ。S長松アイ。わたくしか、けつ 00020730M11まずひて、ころびました△S内ぎムヽ、おれハまた、仙人 00020740M12かとおもつた(下ノ五オ) 00020750¥P133 00020760¥G 00020770¥Y 00020780M1年&歳&花あひ似たる趣向も、いとふるめかしく、こゝに 00020790M2歳&年&人同しからぬ、恋川春町の筆をかりて、春雨の御 00020800M3なくなみニそなへ侍りぬ。なをおひ+、出板いたすへく 00020810M4候 00020820¥Q 00020830M6△△△安永四歳△△△△△△板△元 00020840M7△△△△△未正月△△△△△△△△鱗△形△屋△G 00020850M8△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(下ノ五ウ) 00020860¥P134 00020870¥U噺本大系△第十七巻 00020880¥G 00020890¥T風流はなし/亀(かめ)〔題簽〕 00020900¥Y 00020910M5安永四年刊 00020920M6迂才序 00020930M7富川吟雪画 00020940M8奥村屋板 00020950M9中本二巻二冊 00020960M10都立中央図書館加賀文庫蔵 00020970¥Y序△△△△△△△△△△△△¥A迂△才△G 00020980M14/万代(はんだい)の/亀(かめ)ものいわば、/古実者(こじつしや)に/口(くち)はあかせじ、/能(よく)もむくち 00020990M15てもつたものなり。/古(ふる)ひ+と/言(いゝ)けさずと、/取(とり)てハはなし、 00021000M16/放(はな)してハとり、/跡(あと)より/追&(おひ+)めづらしき、はなし/亀(かめ)の/尾引(をひき)、 00021010M17ひきもちきらず、/御覧(こらん)にそのふるのミ(壱オ) 00021020¥P135 00021030¥G 00021040¥T1 00021050¥N1¥J 00021060¥X/手(て)びやうし 00021070M3おとしばなしのくわいしよへあつまり、なんと、此うちに、 00021080M4いろことせぬものハあるまいの。Sされバの△Sあじな事 00021090M5がある。いろごとをしたものハ、/手(て)をたゝいてもならぬ。 00021100M6まづミんながたゝいてミな△Sどれ+と、ちよん+と 00021110M7うてば、ひとりのおとこ、うたず。Sこれ、きさまもうた 00021120M8ぬかといわれ、Sしやうことなしに、ちよん+と打。け 00021130M9つくよくなる 00021140G1〔絵詞〕なんそあたらしいはなしがきゝたいの;ふるいのなら、いく 00021150G2らもあるが△(壱ウ) 00021160¥N2¥J 00021170¥X/天王(てんわう)さま 00021180M14むかしから、かわらぬものハ/子(こ)どもあそび。つちなぶりの 00021190M15あとがてん王さま、できあがると、あふぜいにて、Sよい 00021200M16+わい+よい+わい+と、もちあるけバ、Sひと 00021210M17りあとの/子(こ)が、ひつかり+++ひつかり 00021220G1〔絵詞〕よい++;わい+++(二オ) 00021230¥P136 00021240¥G 00021250¥N3¥J 00021260¥Xせいごん 00021270M3なじみもかさなると、はらのたつ事もでき、くるよりはや 00021280M4く、もふかへるといへハ、Sもふし、おまへハどふしなん 00021290M5した△Sどふもしなへ△Sなにを、はらをたちなんした。 00021300M6このぢうも、いゝんしたとをりてありんす。まだうたぐり 00021310M7なんすなら、くまのゝぢおうをのミんしやう 00021320G1〔絵詞〕なせかへりなんす;なぜたか△(二ウ) 00021330¥N4¥J 00021340¥X/州(しう)ごう 00021350M11ひとりたびもくにもならず、三人ながらひとりたび。S申、 00021360M12おまへのおくにわへ△Sわたしハ、せいしうで御ざります 00021370M13Sおまへわな△Sハイ。わたくしハ、せつしうで御座りま 00021380M14す△Sおまへハとつちへ△Sこの/男(おとこ)、しうごうを知らす。 00021390M15やう+かんがへて、つけしうで御座ります。Sつけしう 00021400M16とハ、ついにきかぬ。どこのことへ△Sミかわさ 00021410G1〔絵詞〕江戸へまいります;とつと、くたひれた△(三オ) 00021420¥P137 00021430¥G 00021440¥N5¥J 00021450¥X/座当(さとう) 00021460M3/男世帯(おとこせたい)のかミや、これ、きさま。ざとうでも見せにいれハ 00021470M4よいといわされ、Sおまへ、どこへゆくの△Sちよつと、 00021480M5/浦(うら)へゆくのじや△Sはやくいつておいでと、見せにすわり、 00021490M6ふとでき心。/棚(たな)のかミをなでて/見(ミ)て、はんしらしきを/一= 00021500M7状(いち=じやう)ぬすミ、しらぬかほしていれハ、Sホイ、おせわ△Sそ 00021510M8れからとなりへゆき、はなをかめバ、あかいかミ 00021520G1〔絵詞〕これハミのかミしや△(三ウ) 00021530¥N6¥J 00021540¥X/井戸(いど)がい 00021550M12/長屋中(ながやちう)にて井戸がい。おなじ/店(たな)なれども、らう人にていら 00021560M13れけれバ、さたなしにしけれバ、S是、そのほうたちハ、 00021570M14なぜこのほうへハしらさぬ△Sあなたハよろしう御座りま 00021580M15す△Sいや、おれもかへやふと、井戸ばたへもたれ、しつ 00021590M16けぬ事ゆへ、井戸へおちれハ、S大ぜいより、きのどくが 00021600M17り、はしごをだして、さあ、おあがりなされませ。Sイヤ、 00021610M18めんぼくない。是からたちのきます 00021620G1〔絵詞〕ミともへハなぜしらせぬ;このほうていたします△(四オ) 00021630¥P138 00021640¥G 00021650¥N7¥J 00021660¥X/水仙(すいせん) 00021670M3/鉢(はち)うへの水仙、見せのゑんへおき、たばこのミながら見て 00021680M4いれバ、S/道心者(とうしんじや)、かね/打(うち)やめ、つく※と見ていれハ、 00021690M5Sていしゆきさまも、おすきじやの△Sはて、是ハめづら 00021700M6しうござります△Sそふでもござるまひ△Sこのやふなね 00021710M7ぎハ、はじめて見ました 00021720G1〔絵詞〕きさまもすきじやの;はて、めつらしい△(四ウ) 00021730¥N8¥J 00021740¥X/金(かね)がかたき 00021750M11ぬしハまあ、なんとおもふ。/世(よ)の/中(なか)の/金(かね)ハかたきだと、お 00021760M12れハおもふ。Sいかさま、/能事(よいこと)もあれ、わるい事もあれだ 00021770M13Sおれハ見ると、つかつてしまうよ△Sそれハよいりやう 00021780M14けんた△Sしかし、ひさしくかたきにめぐりあわぬ 00021790G1〔絵詞〕やぼにひがながいの;うそハない△(五オ) 00021800¥P139 00021810¥G 00021820¥N9¥J 00021830¥Xせつた 00021840M3/橋(はし)のうへから、/子(こ)どものせつた、かた+おとし、いかゞ 00021850M4ハせんとおもふ/折(おり)ふし、さいわいのこじき。コレ、あのせ 00021860M5つた、とつてくれ。/銭(せに)壱文やろふ。Sたつた壱文でハ、ど 00021870M6うして△Sそんならバ、二文やろふ△Sいゝへ△S三文か 00021880M7Sいゝへ△Sめんどうな。りやうほういれて、七文か 00021890G1〔絵詞〕しほハひいている 00021900¥Q1◇絵師△富川吟雪画◇ 00021910M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(五ウ) 00021920¥P140 00021930¥G 00021940¥T1 00021950¥N1¥J 00021960¥X/鯛(たい) 00021970M3/新(あたら)しき/鯛(たい)/壱枚(いちまい)もらひ、ていしゆ/留守(るす)ゆへ、まちやわせ、か 00021980M4へりしまゝ、Sもふし、だんな。むかふからまいりました 00021990M5Sあたらしいの△Sにてあがりますか、うしほにてもなさ 00022000M6りますか△Sにたがよい。うしをでハ、またさいかちのめ 00022010M7を、かわねハならぬ 00022020G1〔絵詞〕あたらしうこさります;やるところハないかな△(六オ) 00022030¥P141 00022040¥G 00022050¥N2¥J 00022060¥X/鑓(やり) 00022070M3とうぞくがはいりましたといへば、Sこゝろへたと、なげ 00022080M4しにかけたる/鑓(やり)おつとり、いでむかへば、/跡(あと)を見ず、にげ 00022090M5てゆく。Sどろぼう、とつてかへし、さて+、おどろき 00022100M6いつたおてきハ。あやまりいりました。ちと、うけたまわ 00022110M7りたいぎが御座ります。たゞいま二ほんゆびて、やりをお 00022120M8つかいなされましたが、あれハ、なに御りうぎで御座りま 00022130M9す。Sあれかな。あまりよごれておるから 00022140G1〔絵詞〕わたくしもいぜん、ふしてござります;それハきのとくな 00022150M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(六ウ) 00022160¥N3¥J 00022170¥X/色事(いろごと)しなん 00022180M14ばんじ、その/道(ミち)によりてかしこし。こゝに、いろ事しなん 00022190M15と、かんばんをかけおきけれハ、もんじん、くしのはをひ 00022200M16くごとく/来(く)る。Sまふし、せんせい。ちと、おはづかしい 00022210M17が、わたくしがうちの/下女(けぢよ)に、ちときがござるが、いかゞ 00022220M18いたしたら、できましやうな△Sそれハまづ、/二分(にふ)やつて 00022230M19ごろふじろ 00022240G1〔絵詞〕ます、やつて見ませう;それてハてきませう△(七オ) 00022250¥P142 00022260¥G 00022270¥N4¥J 00022280¥Xさとうづけ 00022290M3けこへちそうハむづかしく、おりふし、ながさき£もらい 00022300M4し、みかんのさとうづけ/有(ある)ゆへ、ちやくわしにいたせば、 00022310M5Sこれハよいふうミでござるといへば、となりの/男(おとこ)、まち 00022320M6かねて、つぼへ/手(て)をいれければ、いつこうぬけず。Sてい 00022330M7しゆ見つけて、きのどくがり、つぼをこわしてもよふござ 00022340M8るといふゆへ、ぶちこわせバ、Sミかんを三つ、にきつて 00022350M9いる 00022360G1〔絵詞〕こわしても、よふござります;いたミハせぬか;くつと、ひ 00022370G2つたくらされ△(七ウ) 00022380¥N5¥J 00022390¥X/馬(むま)かた 00022400M14/雨(あめ)ふりあがりの/下(くだ)り/坂(ざか)、むしやうにずる+とすべるゆへ、 00022410M15ドウヽヽ、それ+、ちくしやうめ。ドウヽヽヽヽと/言(いゝ)な 00022420M16がら、/手(て)まへがずるりとすべつて、見やあがれ、こうだわ 00022430G1〔絵詞〕トウヽヽ、ちくせうめ△(八オ) 00022440¥P143 00022450¥G 00022460¥N6¥J 00022470¥Xとうふや 00022480M3/親子(おやこ)ながら、むひつにて、てうめんもなく、あきないをす 00022490M4ると、のこぎりて、/壱(いつ)ツ/丁(てう)/二(に)てうを、まきへきずをつけて 00022500M5おく。きのへねなれば、いそがしく、だいぶんにうれたれ 00022510M6ば、大かまのまへに、むすこのいるを、Sおやぢわれハ、 00022520M7そこで/何(なに)をする△S/帳(てう)をつけます△S/日暮(ひぐれ)た。けがをする 00022530M8な 00022540G1〔絵詞〕まつひをとぼせ;もふしまいた△(八ウ) 00022550¥N7¥J 00022560¥Xなまよい 00022570M12したぢの/有(ある)ところへ、大キにしいて/酒(さけ)をのませ、のちにハ 00022580M13もてあまし、かごにのせてかへそうとおもへど、かごもな 00022590M14きゆへ、S権介。たいぎながら、おふつてゆけ。めいわく 00022600M15ながらおふい、たちしなに、かもへにて大キにあたまをう 00022610M16ち、Sしたの男のあたまをなでゝ見て、それてきづハつか 00022620M17ぬ 00022630G1〔絵詞〕きついおとの;いたい+△(九オ) 00022640¥P144 00022650¥G 00022660¥N8¥J 00022670¥Xむひつ 00022680M3さるおやしきのししや、/一札(いつさつ)をのべければ、S/其元様(そのもとさま)のご 00022690M4けミやうを、ちよつとおしるし/下(くだ)されませ△Sおはづかし 00022700M5ながら、わたくしハむひつでござる。きこうさま、おたの 00022710M6ミ申△Sいや、わたくしもむひつでござる△Sこれハごあ 00022720M7いさつ。ついちよつと、くる+となされませといわれ、 00022730M8しやう事なしに、ふでをとり、くる+とかけは、Sそれ 00022740M9ほどなされながら 00022750G1〔絵詞〕さよふなら、したゝめませう△(九ウ) 00022760¥N9¥J 00022770¥X/御膳(ごぜん) 00022780M13しん※の/世(よ)の中、/所(ところ)てくちもきゝそうな男、かいてうへ 00022790M14まいり、おせわながら、こぜんあげておくんなんせと、こ 00022800M15ろりと百たせば、Sごぜんハ、金/百疋(ひやくひき)てござります△Sそ 00022810M16んなら、おちやづけでも 00022820G1〔絵詞〕おたのミ申;おきとくな△(十オ) 00022830¥P145 00022840¥G 00022850¥N10¥J 00022860¥X/三(さん)すくミ 00022870M3ゑんがわに出て、ていせんをながむるおりから、大キなる 00022880M4くちなわ、かわずをのまんとす。かたへを見れバ、なめく 00022890M5じ一ツひきいたり、げにや、ことわざにいふ三すくミ、こ 00022900M6れならんと、わきめもふらず、ながめいければ、そろ+ 00022910M7と、へびハにげゆく。またなめくじも、おなしくのたりゆ 00022920M8く。これハとうした事と、おもひいれは、Sかいるハ跡に 00022930M9のこり、まつ今日ハ是きり 00022940G1〔絵詞〕これから、たん+あたらしいはなしを、こらんにいれませ 00022950G2う 00022960¥Q◇絵師△富川吟雪画◇ 00022970M15△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十ウ) 00022980¥P146 00022990¥U噺本大系△第十七巻 00023000¥G 00023010¥T/今様咄(いまようはなし)〔題簽〕 00023020¥Y 00023030M6安永四年頃刊 00023040M7鳥居清経画 00023050M8伊勢治板 00023060M9中本二巻二冊 00023070M10東洋文庫蔵 00023080¥T1 00023090¥N1¥J 00023100¥X 00023110M13△もゝ太郎、あまりひまゆへ、なぐさミがてら、むかし 00023120M14のごとく、きミだんごこしらへ、こしにつけ、はまべをと 00023130M15をりかゝりしに、むかふより、むかしのさる、きたりける。 00023140M16もゝ太郎いふよう、おにがしまへもせつせつゆきて、たか 00023150M17らものも、もはやとりつくしたれバ、こんとハ気をかへて、 00023160M18りうぐうへ、たからをとりにゆかん。ともをせいといひけ 00023170M19れバ、さる、こくびをかたげ、あゝ、りうぐうハきがない 00023180M20(壱オ) 00023190¥P147 00023200¥G 00023210¥N2¥J 00023220¥X 00023230M1△ばかなむすこがありけるが、てゝをやにむかひ、とつ 00023240M2さんや+。このごろハてんぢよくに、丸いあなが大きく 00023250M3あいたよ。Sべらぼうめが。あれはお月さまといふものだ 00023260M4Sはてのふ。これ、とつさんや+。あのゝおほしさまハ、 00023270M5あめのふるあなかとおもふよ△S大べらぼうめが。ばかに 00023280M6ハつけるくすりがない。はあ、とつさんや。あつたら、た 00023290M7かゝろうの(壱ウ) 00023300¥N3¥J 00023310¥X 00023320M10△極月廿八日のことなるが、人ミな、ふどうへせいぼま 00023330M11いりに、日くれまへ£ハ、べつしてさんけい、をびたゝし 00023340M12くきたる。ふどう、かたはだぬき、けんをもちたるても、 00023350M13ばくのなわをもちたるても、ひへこほりけれども、さんけ 00023360M14いくんじゆゆへ、さむさをこらゑ、すきをミあわせ、こま 00023370M15のひにあたらんと、四ツ前になり、しんせんをそつとぬけ 00023380M16いで、けんもなにも、そばへほうりなけて、ごまのひにあ 00023390M17たり給ひけれバ、くわゑん、このていをミて、しんぜんよ 00023400M18りたちいで、ふどうのせなかをたゝき、こゝなせうわるめ 00023410M19(二オ) 00023420¥P148 00023430¥G 00023440¥N4¥J 00023450¥X 00023460M1△あるときに、きつねとつるとりやう人、十二/支(し)の方へ 00023470M2きたり、なにとぞ、わたくしどもりやう人を、十二/支(し)の御 00023480M3なかまになされ下されと、ねがひける。ねづミいふよう、 00023490M4むかしより、十二支ハきまつてござるに、そこもとりやう 00023500M5人をいれてハ、/字(じ)あまり也といふ。Sきつねいふやうハ、 00023510M6そこはわれらがべんせつをもつて、いひまわしまする。 00023520M7Sねづミ、それハいかにといひけれバ、ハて、きつねイう 00023530M8しとらう、たつる巳といふ(二ウ) 00023540¥N5¥J 00023550¥X 00023560M9△あるとき、御月様とお日様と、ふたりつれだち、京都 00023570M10へのぼりたまふ。かミなりも、きやうとへのぼらんと、ミ 00023580M11ちにて出あい、これハ+、おそろひなされて、どこへの 00023590M12御らいりんでござりまする。Sいや、京都へ△Sわたくし 00023600M13も御いつしよに御とも申さんと、かミなり、月日とミちづ 00023610M14れになりけるが、日月、かミなりめをまかんと、やど屋へ 00023620M15ないしやうにていひ合、よの九ツ立にせんと、かミなりの 00023630M16ねいりしうちに、やどをいでたまふ。あけ六ツじぶんに、 00023640M17やう+かミなり、めをさまして、これ+、ていしゆ 00023650M18+。わしがつれのしゆハ。Sあなたがたハ、九ツ時にお 00023660M19立でござりました。はてさて、月日のたつハはやいものだ 00023670M20(三オ) 00023680¥P149 00023690¥G 00023700¥N6¥J 00023710¥X 00023720M1△あるひと、せんじゆへんへやうじありて、三やの土手 00023730M2をとをりけるが、ともだちに出あい、これハ八ぼう。どこ 00023740M3へ。Sおれか。おれハ吉原へ女郎かいといふはらだ△Sア 00023750M4、人をちやにした。ひる吉原が、ある物か。これハおれが 00023760M5あやまつた(三ウ) 00023770¥N7¥J 00023780¥X 00023790M8△ゑんやはんぐわんの忠臣、大ぼしゆらの介をはじめ、 00023800M9四十余人の人+、なんなくかたき、かうのもろなふのや 00023810M10かたへしのび入、げんくわん、ながや、さむらいべや、す 00023820M11いもん、ものをき、しばべやまて、たづねけれども、もろ 00023830M12なふがゆくへしれず。大ぼしをはじめミな+、すでにせ 00023840M13つふくせんとする。せんざき弥五郎、しばしととゝめて、 00023850M14もろなふのねやをさぐり、いまだねま、あたゝかなれバ、 00023860M15間もあるまじ。げにもと、みな+、すミべやがあやしし 00023870M16と、やりにてつけバ、やりのしほくびに、ちしほつきたり。 00023880M17さてこそ、しれものごさんなれとて、ゆらの介、すミべや 00023890M18の口にて大ごへあげ、もろなふ+。どふれ(四オ) 00023900¥P150 00023910¥G 00023920¥N8¥J 00023930¥X 00023940M1△ある日くれあいの事なるが、十六七のげいこ、さる御 00023950M2やしきへひまちによバれけるが、やしき町へさしかゝり、 00023960M3にハかにしやうようにゆきたくなりて、これ八助どの。わ 00023970M4つちハしゝにゆきたいよ。Sはて、おまへも、そんなら町 00023980M5屋でそういひなされバよいのに。ひのくれたから、ミるも 00023990M6のもない。そこらへなさい△Sそんなら、こゝへしてもよ 00024000M7かろうかの。これ八介どんや。そしての、かミをわすれた 00024010M8よ△Sはあ、おまへも、らちもない子じやと、さミせんば 00024020M9こより、けいこ本のふるきうハびやうしをやぶりて、やう 00024030M10をたさせ、やしきをつとめ、あくるあさ、やしきよりかへ 00024040M11る。これ八介どの。夕べのしやうようした所ハ、こゝらで 00024050M12あらふの。このかミが、そでござります。(四ウ) 00024060¥N9¥J 00024070¥X 00024080M15△ある日、いしべ金吉、丹右衛門りやう人、かうをきゝ 00024090M16て、たのしミいたる所へ、権兵へといへるものもんもうな 00024100M17るおとこ、あそびにきたる。りやう人いふようハ、これハ 00024110M18+権兵へ殿。よいところへ御出。われら、かうをきゝた 00024120M19のしミおる。ちと、きでんもきゝ給へといふ。Sいや、わ 00024130M20れら、さやうの人がらなることハそんぜす。御めんといふ。 00024140M21Sいや、さしてむつかしいこともなし。われらがしうちを、 00024150¥P151 00024160¥G 00024170M1ミならひたまへと、S金吉、かうをきゝていふようハ、ハ 00024180M2ア、これハすこしあましといふ。丹右衛門、同しくきゝて、 00024190M3これハあまくハなし。すこしからしといふ。いざ権印、き 00024200M4ゝ給へ。権兵へ、同かうをとりあぐるとミへしが、かうろ 00024210M5をなげ出し、大きにはらたて、からいのあまいのと、人に 00024220M6ハ大きに、口をやけどさせた(五オ) 00024230¥N10¥J 00024240¥X 00024250M9△あるとき、唐人、日本へ来りて、とかく、日本人とす 00024260M10もうとつてミたいとのぞミける。一ぞに、日本人ととりく 00024270M11ミけるが、唐人、大りきゆへ、日本人をなげいだす。日本 00024280M12人、きをうしなひけるゆへ、唐人、大にんじんをとりいだ 00024290M13し、くちへいつはいほうばらせ、ミづをふきこミ、きをつ 00024300M14ける。日本人、いきふきかへし、ミれバ、くちににんじん 00024310M15いつぱい、ほうばつたれバ、よくしんいで、これハよくし 00024320M16たものだと、また唐人とすもうを取て、こんとハわざとま 00024330M17くる。唐人、また気をうしないしと、こんどハにんじんハ 00024340M18のませずして、もくさを大きくして、きうをすへる(五ウ) 00024350¥P152 00024360¥G 00024370¥T1 00024380¥N1¥J 00024390¥X 00024400M1△さる所に日まちありて、さかなもくひあらしけれバ、 00024410M2ゆどうふとでかけんとて、とうふをかいにやらんといふ。 00024420M3はや、よも四ツ半すぎなりければ、こよひのあそびに、き 00024430M4やくのうち、くじとりにて、とうふやへやらんと、くしを 00024440M5いだすところに、すもふ取しやがだけにくじあたりける。 00024450M6Sサアせきとり。かいにゆきたまへ。しやかゞだけ、しや 00024460M7う事なしに、とうふやへゆき、戸をたゝき、Sこれ、とう 00024470M8ふをくだんせ。とうふや、ミせのとをあけて、とうふなら、 00024480M9下のとをたゝかしやれ(六オ) 00024490¥P153 00024500¥G 00024510¥N2¥J 00024520¥X 00024530M1△ある所に、ぬす人しなん所と、かんばんをいたしける 00024540M2に、廿三四のおとこ、きたりて、なにとぞ、きでんの御し 00024550M3なん、うけたしとねがふ。なるほど、しなん仕らん。Sま 00024560M4づ、よとうに入らんとするときハ、ゑびのあたまも、かぢ 00024570M5りならハねバならぬ。ねいきをかんがへ、とぐちにて、ゑ 00024580M6びのからなどかぢれハ、いぬじやとおもふてねいるうち、 00024590M7はいるなり。ばんにハ、こつちのうちのそとへきてから、 00024600M8ゑびのからを、まづかぢつてミさつしやれさ。そのよ、し 00024610M9しやうの戸ぐちにきたり、けいこのため、ゑびのからをか 00024620M10ぢる。ししやう、ミヽをそばだて、Sおつと、したにゐて 00024630M11かちつた(六ウ) 00024640¥N3¥J 00024650¥X 00024660M14△ある/夜(よ)、白しやうぞくにて、くろかミをミだし、かな 00024670M15わにろうそくを立てかぶり、うしミつのころ、しんほくへ 00024680M16きうをすへる。ところのひやくしやう、これをミて、Sこ 00024690M17れ+女中。こなさんハ、うしのときまいりじやないか△ 00024700M18Sあい、さやうでござんす△Sそんなら、きうより、くぎ 00024710M19のほうがきゝそうなものだ。されバでござんす。さきが、 00024720M20ぬかやでござんす(七オ) 00024730¥P154 00024740¥G 00024750¥N4¥J 00024760¥X 00024770M1△ふうが人ありけるが、二けん茶やへゆきて、ちよびと 00024780M2うまこと、千両ばかりでたのミたしといふ。Sこれハだん 00024790M3な。けしからぬ。千両で、おいくたりまへの御りやうりで 00024800M4ござりまする△Sいや、ひとりまへのりやうり也といふ。 00024810M5Sそれハできますまい△Sそんなら、両ごくのわたやかわ 00024820M6かもりか、ふきや丁がしの五井やへゆかうとて、それより 00024830M7すた+と、ふきや丁かしの五井屋きたりて、なんと、て 00024840M8いしゆ。金子千両で、壱人まへのりやうりをとのぞむ。Sて 00024850M9いしゆ、なるほど、いたしてあけんといふ。それハどういふ 00024860M10りやうりじや。まづ、おめしの下をきやらでたかせ、Sう 00024870M11にかうるの御すいもの、/人参(にんじん)のおひたしを上ます(七ウ) 00024880¥N5¥J 00024890¥X 00024900M14△弐朱きん、ふか川やぐらへ、あそびにゆかんと出かけ 00024910M15ける。ミちにて四文ぜににゆきあい、これハぜにほう。ど 00024920M16こへいや。これハぎんこう。よいところであいしるしだ。 00024930M17S四文ぜにいふやう、これ、こよひハねづへゆかうでハな 00024940M18いか。Sいや、おれハやぐらへきがある。いや、やぐらよ 00024950M19り、ねづハやすじるしだによ。弐朱ぎん、しあんして、い 00024960M20や、おれもねづへゆきたいが、それでハミをくづさねバな 00024970M21らぬ(八オ) 00024980¥P155 00024990¥G 00025000¥N6¥J 00025010¥X 00025020M1△しんとうじやのやちに、ふかうがありけるが、きんじ 00025030M2よのもの、くやミにきたりて、Sさて+、いかいおちか 00025040M3らおとし。申/□((さカ))うやうもない。Sしかし、だんなも、たか 00025050M4まがはらへ御いでゞござりませうといふ。Sとなりのてい 00025060M5しゆ、ミヽをそばだて、Sしんとうじやのくやミといふも 00025070M6のハ、あじなことをいふものだと、おれもなんでも、あの 00025080M7とをりをやつてのきやう。となりのていしゆ、くやミにき 00025090M8たり、さて+、いかいおちからおとしでござりませう。 00025100M9しかしだんなもさためて、うねめがはらへおいでゞこざり 00025110M10ませう(八ウ) 00025120¥N7¥J 00025130¥N 00025140M13△いぬども、よりあいて、なんと、このごろハきついも 00025150M14のだ。おあまりなんどゝいふ物ハ、ゆめにもミたこともな 00025160M15い。あいだに、なまぐさいものなげだす。おもへハさざい 00025170M16がらやあわびかいばかり。こうくひものがなくてハ、こま 00025180M17つたものと、しろとくろとはなしする所へ、Sながやより、 00025190M18しろこい+といふ。Sくろがいふよう、白、ま/だ((ママ))おのし 00025200M19だ。はやいきやれ。しろ、いつさんにかけてゆきしか、か 00025210M20いでミて、しほ+とかへる。Sどうした。なんだSな 00025220M21に、しよんべんだ(九オ) 00025230¥P156 00025240¥G 00025250¥N8¥J 00025260¥X 00025270M1あるとき、つんぼうとざとうとよりあいける。おりふ 00025280M2し、にわかに天きあしくなり、大あめ大しやじく、大がミ 00025290M3なり、しきりになりける。Sつんぼういふようハ、これざと 00025300M4うどの。かミなりでもなるそうで、だいぶんひかる。ざと 00025310M5う、ミヽをおさへて、ひかるそうで、だいぶんなる(九ウ) 00025320¥N9¥J 00025330¥X 00025340M8ある夜、七八人いち座にてあそびにゆきて、ミな+ 00025350M9しよくわいの大いち座。わかいもの新八、ざしきへいで、 00025360M10つとめいるおりから、太夫とおぼしき女郎、ようおいでな 00025370M11さんしたと、すわりながら、へをぶつとひりて、わかい物 00025380M12にかづけ、Sアヽ、此人ハばからしい。太夫のあいかた、 00025390M13新八、これハできたと、壱分ひらりとなげいだす。これハ 00025400M14ありかた山のはなざかりときた。女郎、らうかへいで、こ 00025410M15れ新八どん。はたらいてやつたぞよ(十オ) 00025420¥P157 00025430¥G 00025440¥P10¥J 00025450¥X 00025460M1△めしたきの六兵へといふ物、釜の下をたきつけ、だい 00025470M2こんじるせんとする。Sうら口£となりのめしたきばゝき 00025480M3たり、六兵へどん。こなたハよいだいこんかつたの。おつ 00025490M4けにするか。Sおふ、こればゝアどんや。こなたハあのお 00025500M5せんをミたか。おゝミたが、わしハおせんより、いてうが 00025510M6よいとおもふよ。Sいや+、ミんなそふいふけれども、 00025520M7おせんにハかなわぬ、イヤ、おせんより、どうても、いて 00025530M8うがよいと、ふたりしてあらそふ。女ぼう、せうじからり 00025540M9とあけ、これ、六兵へや。いてう£おせん£、わぎりにし 00025550M10ておきやれ 00025560¥Q鳥居清経画 00025570M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十ウ) 00025580¥P158 00025590¥U噺本大系△第十七巻 00025600¥G 00025610¥T/書集津盛噺(かきあつめつもりばなし)〔題簽〕 00025620¥Y 00025630M6安永五年刊 00025640M7鳥居清経画 00025650M8鱗形屋板 00025660M9中本二巻合一冊 00025670M10都立中央図書館加賀文庫蔵 00025680¥T1 00025690¥N1¥J 00025700¥X▲こしまき 00025710M14おどぞうが、りつぱによふできました。時に此こしまきハ、 00025720M15とほうもないたかさ。いかさま、五六尺/斗(ばか)リでござりませ 00025730M16う。Sなるほど、五尺八寸でござります△Sせけんのハ、 00025740M17たいがい二尺がつこう。なぜたかふなされました△Sされ 00025750M18ばさ。そうじてミな、やけのこるのハ、このこしまきでご 00025760M19ざる(壱オ) 00025770¥P159 00025780¥G 00025790¥N2¥J 00025800¥X▲こよミ 00025810M3いせのおしが、かどぐちから、御きげんよふござりますか。 00025820M4れいねんのとをり、おはらひをしんせますると、だいにの 00025830M5せ出せバ、これハかたじけないが、しかし、ことしから、 00025840M6ちつとそんじよりもござれバ、御とさんものしも、うけま 00025850M7すまい。イヤ、それだが、ねんがうがかハつたから、こよ 00025860M8ミハもらハずハなりますまい。そのかハりに、今までのこ 00025870M9よミを下にやりますから、とりかへて下さりませ。Sおし、 00025880M10まがほになつて、それハめいわくでござります(壱ウ) 00025890¥N3¥J 00025900¥X▲岡ば所 00025910M13しんしゆくがはやつて、とんだうつくしいが出るときいて、 00025920M14どんな女郎がでるかとおもふて、あそびにゆき、おもいれ 00025930M15にふざけて、とこへまわれバ、女郎もうちとけかほ也。 00025940M16Sどふかぬしやア、見たやうだ。今までハどこにゐなさつ 00025950M17た△S女郎わつちかへ。吉原にゐやした△Sヲヽそふかの。 00025960M18どうりてミたやうだ。そして丁ハどこにござつた。わつち 00025970M19やな、江戸丁の三丁めにゐやした(二オ) 00025980¥P160 00025990¥G 00026000¥N4¥J 00026010¥X▲物わすれ 00026020M3おさへにやとハれ、どなたでござるととわれ、との様のお 00026030M4名をわすれ、きうに出ねバ、きかぬかほにてゆくを、おつ 00026040M5かけきて、どなたさまでござります。Sなんじや△Sいや、 00026050M6となたさまでござりますな△Sあてゝミろ(二ウ) 00026060¥N5¥J 00026070¥X▲うに 00026080M9あるいしやとのへミまひけるに、これハ+よふこそと、 00026090M10ざしきへ通し、さかつきをいだし、ちそうしける。さかな 00026100M11に、ゑちぜんのうにをいたしける。もし、これハ何でござ 00026110M12りますな。うにでござる。Sハテ、けつかうなおさかなで 00026120M13ござります。ふうミと申、おめづらしい△Sサレバサ、や 00026130M14う+もらひました。ときに、此つのハきついどくけしさ 00026140M15(三オ) 00026150¥P161 00026160¥G 00026170¥N6¥J 00026180¥X▲けぬき 00026190M3ミなよつてはなしてゐるところへ、ともたちきたり、今ひ 00026200M4げぬきをこふてきた。ミてくりやれといふ。これハよいけ 00026210M5ぬきじや。いくらでかつた。S三十弐文さ。それハやすい 00026220M6ものだといひながら、ひげをぬいてミて、こりやいつこう 00026230M7くハぬ。Sされバ、それをきずにしてかつた(三ウ) 00026240¥N7¥J 00026250¥X▲つり 00026260M10せんどうや。けふハなぜ、このやうにくわぬ。されバ、が 00026270M11てんがゆきやせぬ。ヲヽそれ+、けふハりうぐうのゑひ 00026280M12すこうで、うをどものこらずよバれてまいりました。わる 00026290M13ひ日におとも申、きのどくといふうち、なにかかゝつたと 00026300M14つり上ミれバ、大金ぎよ。やれめでたいと、これをしほに 00026310M15やどへかへり、おかもちのふたをあけれハ、しほさいふぐ 00026320M16がのびをしながら、アヽ大きによふた(四オ) 00026330¥N8¥J 00026340¥X▲しわいやつ 00026350M19いせぢんめハしわいやつだ。あの男のところへいつて、つ 00026360M20いぞ、何もくハせた事がないといひながらも、用があつて 00026370¥P162 00026380¥G 00026390M1ちよつとミまへバ、いせぢんたちいで、これハ+よふお 00026400M2いでなされました。まあおあかりなされませと、上へあげ 00026410M3て、さて、おものとをでござります。コレかゝ、久しうて 00026420M4おいでなされたに、なんぞ上ましたいの。女房きいて、あ 00026430M5いさ。なんぞ上たいものじやが、此ころハきついしけでと、 00026440M6れいのくわせぬあいさつするところへ、おもてを、かつほ 00026450M7+と、さかなうりのこへかすると、女ほうきいて、あれ、 00026460M8もうし、あんなわる口を(四ウ) 00026470¥N9¥J 00026480¥X▲梅枝 00026490M11とのさま御ひそうの梅を、となりやしきより、たび+ゑ 00026500M12だをおるゆへ、もつてのほかの御りつふく。ミつけしだひ 00026510M13手うちにするとのぎよゐ。おそばしゆ、たつておなだめ申、 00026520M14わたくしぎ、よろしく取はからい申べきとおうけ申、梅の 00026530M15ゑだへのぼり、らうぜきあらバとまちゐたり。ゑだをおら 00026540M16んとさし出ス手を、じつととらへてミれバ、十七八のうつ 00026550M17くしきむすめなり。とのゑだがおのぞミだ(五オ) 00026560¥N10¥J 00026570¥X▲まりばこ 00026580M20むすこ、まりをすいてけれバ、おやぢ、きにいらず。大き 00026590¥P163 00026600¥G 00026610M1にしかり、此まりといふものハ、きにんこうゐのあそばす 00026620M2もので、此ほうどもがもてあそぶものでハない。九そん一 00026630M3とくとて、はらのへるばかりがとくじやげな。それがなん 00026640M4のとくな事。九そん一そんといふものじや。たび+やめ 00026650M5ろといふに、とかくやまぬそうな。まりかあれバこそけた 00026660M6くなる。いつそうちやつてしまへと、にか+しくむすこ 00026670M7をしかる。むすこ、しほ+となつて、それからのちハ、 00026680M8おやぢのるすばかりにだしてける。ある時、むすこのるす 00026690M9に、おやぢ、ゑんがわにて、まりばこをミつけ、まだやめ 00026700M10ぬそうなと、そばへより、りやうてゞ、そつとふたをあげ 00026710M11てうちをミて、ハア、すておつたそうな(五ウ) 00026720¥T1 00026730¥N1¥J 00026740¥X▲おやゆび 00026750M14土手のかごかき、これ、ぼうぐミ。きいてくりやれ。ゆふ 00026760M15べ、ゆびをひろいました。Sハテナ△Sなんでも女郎にう 00026770M16つて金もうけせうと、もつていつたれバ、小ゆびならかふ 00026780M17が、おやゆびハいらぬとぬかすとはなせバ、わきにこもか 00026790M18ぶりがきいてゐて、それをおぢひに下されませといふ。何 00026800M19にするときけバ、ゑをすげて、しらミをつぶします(六オ) 00026810¥P164 00026820¥G 00026830¥N2¥J 00026840¥X▲せつふく 00026850M3らうにん、くれのしまひにこまり、まづ大屋へ行、たなち 00026860M4んのことわり。Sイヤ+、へいぜいとハちがひます。こ 00026870M5のくれハまたれませぬといへバ、しからバ、こゝでせつふ 00026880M6くいたしますと、おしはだぬけバ、はらに十文じにすミび 00026890M7きしてあり。大やもあきれ、そんならはるまで、まつてし 00026900M8んぜませう。それハおきゝすミ、かたじけなふござると、 00026910M9すミを一すじけす。Sもし、よこの一すじがきへませぬと 00026920M10いへバ、Sイヱ+、これハまた米屋でけします(六ウ) 00026930¥N3¥J 00026940¥X▲三味線 00026950M13大きにじまんするむすこ、三みせんをこしらへたといへバ、 00026960M14ともだちにくみ、又れいのミそ、ちとなぶつてやらんと、 00026970M15おまへの三味せんなら、さぞよくできましつら。何ほどか 00026980M16ゝりました。S三百両のよ△Sそれハさぞけつこう。シテ 00026990M17どうハくわりんかへ△Sくわりんとも+。しかもたうく 00027000M18わりん。さほハしたん、かなものハゆうじやうの高ぼり△ 00027010M19Sさだめて、かハヽ八つぢかの△Sイへ+、八つぢハや 00027020M20すいから、いんでん(七オ) 00027030¥P165 00027040¥G 00027050¥N4¥J 00027060¥X▲水うち 00027070M3なつの夕けしき、かどへ水をうつてゐるところへ、としま 00027080M4がけしきどつてくるゆへ、うちかゝつた手おけを、ひだり 00027090M5へふりまハし、まかんとするところへ、きれいなふりそで 00027100M6がきかゝる。これへもかゝつてハと、こちらへふりむけバ、 00027110M7としまがまぢかくくるゆへに、せんかたなさに、手をけを 00027120M8さしあげて、てまへのあたまから、ざぷり(七ウ) 00027130¥N5¥J 00027140¥X▲御そく位 00027150M11とびのもの、大屋へきたり、大屋さん。アノ御そくゐとい 00027160M12ふハ何ンの事でござりますの。Sヲヽ、あれハきんりさま 00027170M13のおくらゐにおつきなさる事じや。そして、きんり様の御 00027180M14手にもつてござる、木でこしらへたものハ何ンじやいのと 00027190M15いへバ、大屋、しばらくかんがへて、ムヽアレか。あれハ 00027200M16御そくゐをおすへらさ(八オ) 00027210¥P166 00027220¥G 00027230¥N6¥J 00027240¥X▲見たて 00027250M3芝ゐもの五六人にて、あそひにゆき、ひとり+見たて、 00027260M4さてさかつきなかばに、ミたてちがひの大げんくわ。アノ 00027270M5女郎ハおれがミたてた。S何サ。おれがと、たがひにあら 00027280M6そふ。コレヱイ、なんぼそふいつてもな、とび色もんつき 00027290M7ハ、おれがはやくこへをかけた(八ウ) 00027300¥N7¥J 00027310¥X▲言ばとがめ 00027320M10ゐんきよ。うちにか。Sこのさむいに、うちにゐずに、そ 00027330M11とにゐらるゝものか△Sヱヽ、ことばとがめも久しいもの 00027340M12よ。それハそうと、きつうひへに、みかいつたの△Sひへ 00027350M13のはなハ、いつさいたの(九オ) 00027360¥P167 00027370¥G 00027380¥N8¥J 00027390¥X▲ぞうりとり 00027400M3せいのひくいいしやに、せいたかのぞうりとり、だんなの 00027410M4あたまごしに、つばきをするとて、だんなのあたまへ、し 00027420M5たゝかしかける。いしや、大きにはらたち、しゆじんのあ 00027430M6たまへつばきをしかけるとハ、とちうといひ、ごんごとう 00027440M7だん、にくいやつめと、ことのほかのりつふく。Sまつひ 00027450M8ら御めん下されませ。まつたくしかけハいたしませぬ。わ 00027460M9きへいたしましたが、かぜのふきまわしでかゝりましたと 00027470M10あやまり入。然バ、じこんをたしなめと、さきにたつてゆ 00027480M11く。ぞうりとり、こごへになつて、ハテ、いつもよくとび 00027490M12こすが(九ウ) 00027500¥N9¥J 00027510¥X▲ふじ山 00027520M15わかいしゆ、大ぜいよつて、おやま参りのはなしに、おら 00027530M16ハ/せ((ママ))つちうのたて山へいつてミたい。おらハまた、ゆどの 00027540M17も大ミねものほつてミたけれども、まあそれよりハたい一、 00027550M18さんごく一のめいざんといふするがのふじへのぼつてミた 00027560M19い。Sナアに、おきねいよ。あがつてよけれバ、西ぎやう 00027570M20がしたにハいぬハの(十オ) 00027580¥P168 00027590¥G 00027600¥N10¥J 00027610¥X▲みちがひ 00027620M3大いもがほのむすめ、となりのむすめも同じく大あばたに 00027630M4て、あそびにきてゐるところへ遊ひにゆき、ぶじをとふ所 00027640M5に、むすめが、おちや、あがりませとさし出すをミれバ、 00027650M6見ちがへるほどのせいじん。さて+きつい御せいじんと 00027660M7いへば、Sていしゆいへ+、それハとなりのむすめごで 00027670M8ござります△Sはて、よふにてござります。とんと、ゆづ 00027680M9を二つにわつたやうだ(十ウ) 00027690¥P169 00027700¥U噺本大系△第十七巻 00027710¥G 00027720¥T/頓作(とんさく)/万八(まんぱち)/噺(ばなし)〔題簽〕 00027730¥Y 00027740M6安永五年頃刊 00027750M7鳥居清経画 00027760M8鱗形屋板 00027770M9中本二巻合一冊 00027780¥T1 00027790¥N1¥J 00027800¥X▲万八 00027810M14さかなや万八、出入のだんなへきたり、申シ、だんな。お 00027820M15あつらへのさかなを、もつてまいりました。ヤア、私ハゆ 00027830M16ふべ、より合ニまいりまして、よいはなしを、かいだして 00027840M17まいりました。うつて上ませうか。Sソリヤおもしろかろ 00027850M18ふ△Sふるいかハぞんじませぬがといへば、内義出て、ふ 00027860M19るくてハ、つかひものにならぬ(壱オ) 00027870¥P170 00027880¥G 00027890¥N2¥J 00027900¥X▲いてう 00027910M3とうぞとゝ様。ゆもじに、めづらしいもやうを、そめてほ 00027920M4しうござんす。Sそれハやすいこと。何がよかろふ。フン 00027930M5+、いてうがよい△Sイヤ、わたしや、いてうハいやで 00027940M6ござります△Sテモ、いてうがよひ△Sナゼ、とゝ様、そ 00027950M7のやうに、いてう+とハおつしやりますへ△Sイヤサ。 00027960M8むしがつかいでよいて(壱ウ) 00027970¥N3¥J 00027980¥X▲せつぶん 00027990M11ふくハうち、おにハそとへと、まめうちおさめて、さけの 00028000M12んでゐる所へ、かどの戸、ぐわらりとおしあける。ミれバ、 00028010M13あかおになるゆへ、まめをとつて、うたんとすれバ、Sお 00028020M14にこれ+、ちつとの内じや。/置(おい)て下され。今そこへ、な 00028030M15まよひがきます△Sハテ、らちもない。おにともいわるゝ 00028040M16ものが、なまよひをこハがつてすむものか△Sおにいや、 00028050M17そうでない。さめると、せうきニなる(二オ) 00028060¥P171 00028070¥G 00028080¥N4¥J 00028090¥X▲しつと 00028100M3とのさま、おめかけを御てうあい。おそばにばかりおき給 00028110M4へバ、おく様、りんきのあまり、あるよ、にハの木へ、く 00028120M5ぎをうち給へば、かのめかけ、いろつやせい+として、 00028130M6なを+きがるになりしゆへ、ひとしほ、ぎよゐに入けれ 00028140M7バ、おくさま、ふしぎにおぼしめし、にハにうちしくぎ、 00028150M8よく+御らんあれは、そてつ(二ウ) 00028160¥N5¥J 00028170¥X▲もゝ太郎 00028180M11むかし+のもゝ太郎ハ、/鬼(おに)がしまへ渡り、もとでいらず 00028190M12に、おゝくのたからをとつてきたけな。これ程、手ミぢか 00028200M13なしことハない。しかし、いぬとさるときじがともをした 00028210M14とある。おれもきやつらをこまづけるがよいと、かの日本 00028220M15一のきびだんこをこしらへ、こしにつけゆく。向のいわば 00028230M16なにさるかゐる。してやつたりと、/件(くたん)のたんごをぶらつか 00028240M17せゆく。さる、よびかけ、どこへこざる。おれハおにがし 00028250M18まへ、たからをとりにゆく。Sこしにつけたハ何てござる 00028260M19Sこれか。これハにつほん一のきびたんごじや△Sさる、 00028270M20うかぬかほにて、アヽこいつ、うまくないやつだ(三オ) 00028280¥P172 00028290¥G 00028300¥N6¥J 00028310¥X▲ゑびすふくのかミ 00028320M3むすめ、おとこの所へ、きせうをかいてやるとて、ゆびを 00028330M4きつた所が、かミがなし。さあ、しまつた。ちをふくかミ 00028340M5がない。なむ、ゑびすのかミ、金三百両あたへ給へと、ね 00028350M6んじたれハ、ふしきや、ゑびすのかミ、あらわれ給ひて、 00028360M7金三百両とかいたるかミをあたへ給ふ。Sこれハ申シ、か 00028370M8ミてこざります△Sヲヽサ。/福神(ふくかミ△|ふくのかミ)じや(三ウ) 00028380¥N7¥J 00028390¥X▲かミなり 00028400M11けふハどうやら、なりそうなそらと、あんじながらのしよ 00028410M12きミまひ。御かしらのやしきちかくへくると、大つぶな/雨(あめ)、 00028420M13ばらつき出し、門にいたれバ、ひかりとひかつてなり出す 00028430M14かミなり。もんをかけてはいりながらのくわんをんぎやう。 00028440M15うんらいくせいでんととなへながら、下ざしきのきわへゆ 00028450M16くと、げんくわ£とりつぎおりて、手をつく。かミなりハ 00028460M17きびしくなるに、ごうばくぢうだいうととなへながら、し 00028470M18にミになつてひれふせバ、とりつぎきいて、ひろまの長つ 00028480M19けの方へふりむき、ごうばく十太夫さま、おいで(四オ) 00028490¥P173 00028500¥G 00028510¥N8¥J 00028520¥X▲あさがほ 00028530M3あさとくをきて、やうじつかひながら、かきのすきまから、 00028540M4となりをのぞけバ、ねミたれすがたのむすめ、ゑんかハに 00028550M5こしかけ、あさがほのはなをながめてゐる。これハかハゆ 00028560M6らしいと、いきもせず、のぞきゐたるに、にわにをり、る 00028570M7りにさいた一りんをちきり、てのひらへのせてミる/風情(ふぜい)、 00028580M8とうもいへず。うたでもあんするよと、いよ+ゆかしく 00028590M9ミてゐるに、こんどハはを一つちぎりたり。何にするぞと、 00028600M10ミてゐたれバ、チントはなをかんてすてた(四ウ) 00028610¥N9¥J 00028620¥X▲しながわ 00028630M13しながわへ二人壱分てあそびにゆき、かへりに百で、ふね 00028640M14にのるとて、 00028650M15△△Sほの+としな川おきのあさがへり 00028660M16△△△△百かくれゆくぜにおしぞおもふ 00028670M17とよんだ。S女郎これハおもしろい哥でござんす。それハ 00028680M18なんといふほんにあり/□□□□((んすそへカ))△Sきやくこれか。これハ 00028690M19/百弐朱(ひやくにしゆ)にあるて(五オ) 00028700¥P174 00028710¥G 00028720¥N10¥J 00028730¥X▲とら 00028740M3からより、とらがわたるゆへに、ミちすじへ、ちそうに、 00028750M4あきまもなく竹をうへて、そのなかをとうしけるに、とら 00028760M5がなまけて、一かう道ばかゞゆかぬゆへ、Sとらつかい虎ハ 00028770M6千里いて千里もどるといふのに、なぜ此やうに、なまけさ 00028780M7つしやるぞ△Sとらあゝ、竹によつた(五ウ) 00028790¥T1 00028800¥N1¥J 00028810¥X▲あがりかぶと 00028820M10町内でも、のろま+といわるゝばかむすこ、こゝんのぬ 00028830M11けさく。四月のはじめより、二かいへこもり、何するかし 00028840M12れず、五月のせつくまへにおりて、せんとから、ちつと斗 00028850M13リさいくをいたしました。これをうつて、小づかい/に((ママ))せに 00028860M14をなされませと、うつくしいきれではりぬいた、あがりか 00028870M15ぶと。二おやもきもをつぶし、人にもふいてうし、ひごろ 00028880M16ハたらぬやつと、おもひのほかそうゐと、ほめちきる。そ 00028890M17のあがりかぶとも、じせつのものとて、さつそくにうれ、 00028900M18おもひよらぬぜにもうけ。きく人、したをふるひける。又 00028910M19八月のはじめから、二かいごもりしてゐる。人&、こんど 00028920M20ハなにをこしらへて、ぜにもうけするぞとお/((も脱カ))ひてゐるとこ 00028930¥P175 00028940¥G 00028950M1ろに、九月せつくまへに、又でゝきて、せんどからこしら 00028960M2へましたもの、おめにかけませうといふゆへ、こんどハな 00028970M3んじや。はやうミたいといふに、出した所が、又あがりか 00028980M4ぶと(六オ) 00028990¥N2¥J 00029000¥X▲よし町 00029010M7とびのもの、はじめてやらうをかい、とこになり、わかし 00029020M8ゆにむかつて、Sモシ、ちつと大屋へでも、あづけやせう 00029030M9か(六ウ) 00029040¥N3¥J 00029050¥X▲くわんう 00029060M12くわんう、しんでちごくへゆき、ゑんまわうじやうをせめ 00029070M13おとし、ミづからゑんま王になつたゆへ、おにども、ぢこ 00029080M14くぢうをふれてまわる。とうじんさまのおゑんま+(七 00029090M15オ) 00029100¥N4¥J 00029110¥X▲たばこ入 00029120M18こだいの切にて、たばこ入をかす+こしらへ、ミそをあ 00029130M19げるものあり。のぞんてミれバ、いかにもおもしろき切あ 00029140M20り。まづ此にしきハいかふけつこうな切そうにござります。 00029150¥P176 00029160¥G 00029170M1これハいつごろのきれでござります。Sそれハ実盛がにし 00029180M2きのひたゝれの切さ△Sいかさま。また此てうのちら+ 00029190M3ミへますハ△Sそれハ曽我の五郎がはんぎりのきれでござ 00029200M4る△Sして又、此しらぢのきれ、あかい所のミへますハ△ 00029210M5Sそりや、うし若の大くちのきれ。そのあかい所、いがき 00029220M6のきれた所でござる△Sさてまた、よく此やうにおあつめ 00029230M7なされました。なか+、かやうな古だいの人たちのちや 00029240M8くされたきれともハ、当せいにハない事でごさります。ま 00029250M9づどうして、此やうにハおあつめなされましたぞ△Sイヤ、 00029260M10ミんな人ぎやう町てもらつてきました(七ウ) 00029270¥N5¥J 00029280¥X▲小便 00029290M13ゆきの夜なか、せうべんつまりてめさめ、おきてたちいで、 00029300M14とをあけにかゝつたところが、こほりついて、いかな事あ 00029310M15かず。しかたなけれバ、よしと思ひ、しきゐへかゞんて小 00029320M16べんたれかけ、さてあけてミれバ、こほりとけて、くわら 00029330M17りとあいたり。まづよしといひなから、そとへ出たところ 00029340M18が、なんにも用なし(八オ) 00029350¥P177 00029360¥G 00029370¥N6¥J 00029380¥X▲まり 00029390M3まりにはまつたむすこへ、おやぢ、とをまわしのゐけん。 00029400M4いかな事きゝ入ず。あるときよびつけ、あぶらをとりて、 00029410M5九そん一とく、なんのやくにたゝぬげいじや。きやうこう、 00029420M6ふつつりやむへし。まりがあれバ、けたくなる。そのまり、 00029430M7うつちやつてしまへといふに、むすこ、しほ+とまりを 00029440M8出して、手代をよびていふよふハ、いままでもてあそんだ 00029450M9此まり、むげにすつるも、あんまりじや。せめて、にハの 00029460M10すミをほつて、うづめて、しるしに、やなぎをうへてくり 00029470M11やれ(八ウ) 00029480¥N7¥J 00029490¥X▲三つまた新地 00029500M14江戸まえうなぎ、大かいへおもむき、此度三つまたに新ち 00029510M15ができまして、ことのほか、にぎ+しうござりますから、 00029520M16おむかいにまいりました。Sたいそれハおもしろからうと、 00029530M17うをなかまをさそひ、大がめせんせいも、行給ハぬか△S大 00029540M18がめかふりをふり、いやだ+。Sなぜ、せんせいハすゝ 00029550M19まぬ△S大がめおれがこうらを、山しのめにかゝつてミや 00029560M20れ。ちミせでもたてよふといふであらふ(九オ) 00029570¥P178 00029580¥G 00029590¥N8¥J 00029600¥X▲くそ 00029610M3古人のくそをあつめるやつあり。しうしんのきやく、きた 00029620M4つて、一らんをこふ。ていしゆ、よろこびて、かうばこや 00029630M5うのもの、いくらともなく、とりいたし見するに、一つ 00029640M6+にミて、Sさて+、おどろき入ました。めつらしい 00029650M7くそともでござります。せつしやも年久しうすきまして、 00029660M8大かいハめきゝもいたしまする。ちとあてゝミませうかな 00029670M9といへば、Sそれハおたのもしい義でござります。せつし 00029680M10やもしゆぎやうのため、いざ、おめきゝをうけ給ハりまし 00029690M11たい△Sまつこのくそハ、じだいおよそ六七百年、しかも 00029700M12ゆうある大しやうのくそ。しかし、たびにくるしんたそう 00029710M13がこされバ、(九ウ)大かた源のよしつねのくそてこさらふ 00029720M14やと存ます△S成ほと、よしつねのくそでござります。お 00029730M15めきゝ、いや、しんのごとし△Sさて、このくそハさむら 00029740M16いかとぞんずれハ、ぼうずくさい所もミへ、これもつわも 00029750M17のゝくそ。じたいも、よしつね同じたいとミへます。これ 00029760M18ハ弁慶がくそでハござりませぬか△S弁慶でござります。 00029770M19御功者のほど、かんしんいたしました。とてものことに、 00029780M20此くそもうけ給りましたい△Sハアヽ、これハむつかしい。 00029790¥P179 00029800¥G 00029810M1ちと、しれかねます△S夫ハ此方でも色&吟味いたします 00029820M2が、しれませぬ。これも弁慶同様て、出家と武士とひりま 00029830M3ぜ、いかうくらいがあつて、うづ高なくそ。少シけづつて 00029840M4ミましてハ。Sそつともくるしうござりませぬ△Sしから 00029850M5ばとけづり、扨こそ、しれました+。これハさいめうじ 00029860M6のくそでござります。Sしてまた、それハなにとしてしれ 00029870M7ました△Sハテ、けつつてミた所が、ちら+と、中にあ 00029880M8わがミへます(十了オ) 00029890¥N9¥J 00029900¥X▲女郎のへ 00029910M11女郎、とこのうちにて、おならをして、せんちやうさんへ。 00029920M12おまへハわたしがかわゆふありんすかへ。Sおふさ。かわ 00029930M13ゆふなくて、くるものか。そんなら、今のしぞこないを、 00029940M14おつれさんに、はなしなんすなへ。S大せいもん。はなす 00029950M15こつちやない。きづかいし給ふべからす△S女郎おゝかわ 00029960M16いと、いふくちのしたから、また、ぶいとのしぞこない。 00029970M17Sきやくまじめになりて、はて、此女郎ハうたぐりぶかい 00029980¥Q清経画 00029990M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十了ウ) 00030000¥P180 00030010¥U噺本大系△第十七巻 00030020¥G 00030030¥T〔新咄/買言葉(かいことば)〕 00030040¥Y 00030050M6安永六年頃刊 00030060M7鳥居清経画 00030070M8鱗形屋板カ 00030080M9中本二巻二冊 00030090M10都立中央図書館加賀文庫蔵 00030100¥T1 00030110¥N1¥J 00030120¥Xいがくり 00030130M14二三人より合、これ、おぬしハ国ハどこだ。おらあ、たん 00030140M15ばた。そんなら、大きなくりが有だろうな。たいてい、大 00030150M16きいのがあるこつちやねへ。どれほどある。これほどある 00030160M17と、りやうのてをひろげてミせる。き様もとほうもねへ。 00030170M18そん/そん((そん衍))なのが、どこにあるもんだ。いんにや、これほど 00030180M19あると、てをよせる。なに、まだ大きなうそだ+。そん 00030190M20なら、これほどあるよ。いや、まだ+うそしや+。はて、 00030200¥P181 00030210¥G 00030220M1そんなに手をよせると、いがで手をつゝくハいの(上一オ) 00030230¥N2¥J 00030240¥X女郎買 00030250M4此中かふた女郎の所へ、いきとふハおもへども、あとにき 00030260M5ていつたものも、きていかれハせまい。きるものゝうらを、 00030270M6ひつくりかへしてきていき、ちよん上りのなじミ有、なに 00030280M7さんといへば、わかいものこゝろへ、もし、なにさんと、 00030290M8こへかけて下へおりると、やがて女郎がきて、おや、おめ 00030300M9へ。けふハうらにきなんしたの。なにさ。おらハこのやう 00030310M10なきものハ、いくらもある(上一ウ) 00030320¥N3¥J 00030330¥X女夫 00030340M13めうと、さしむかいの所へ、となりより、もち三つもらひ 00030350M14けるが、一つつゝくふて、あと一つをにらミ合てゐたりし 00030360M15が、ていしゆいふ/□((やカ))う、かゝ、そなた、こゝへよめ入てき 00030370M16てから、何年になる。はて、しれた事。/□□((二十カ))年になります。 00030380M17ムヽそんなら、此一つハおれがくを(上二オ) 00030390¥P182 00030400¥G 00030410¥N4¥J 00030420¥X御しきせ 00030430M3コレ長吉。そなたのしきせハ、何としてやろふぞと、たつ 00030440M4ぬれば、長吉、ないぎのみゝへ口をよせ、ちいさいこへを 00030450M5して、ハイ。わたくしのハ、ねづミ小もんにして下さりま 00030460M6せ。何、それをさゝやく事があるものか。Sイヤ、それで 00030470M7もあすこに、ねこがきいております(上二ウ) 00030480¥N5¥J 00030490¥X和中散 00030500M10権介、下女にむかひ、こなたハうりものをよぶにも、とふ 00030510M11ふやさん、油やさんといわしやるが、きゝにくい。町がた 00030520M12とハちがふから、ほうばいしゆをも、どの付にさつしやい 00030530M13としかる。あるとき、はらがいたいといふて、ねてゐるゆ 00030540M14へ、くすりでもまいらぬかといへば、アイ。そんなら権介 00030550M15どん。わしがはりばこに、むめのきのわちうどんがあるか 00030560M16ら、出して下さい(上三オ) 00030570¥P183 00030580¥G 00030590¥N6¥J 00030600¥Xいけん 00030610M3のらむすこを、おやぢよびつけ、ヤイ、おのれも、人のい 00030620M4けんをいふうちに、ちつとりやうけんしおれ。わがやうな 00030630M5あほうでハすまぬ。おれもいつまで、そく才てゐるものだ。 00030640M6あすが日、おれがしんだなら、まあ、なんでめしをくわふ 00030650M7とおもふ。むすこかう+で(上三ウ) 00030660¥N7¥J 00030670¥Xすいふろ 00030680M10すいふろがあいてゐる。いまおれがでたあとだが、はいら 00030690M11んかといへば、おい、それハよかろうと、まつぱたかにな 00030700M12つて、すいふろへかたあしいれて、おゝあついと、あしを 00030710M13ひく。ヱヽおくびやうな。そんなにあつくもないに、こた 00030720M14へてはいり給へ。いや、うめてくれなさい。おらあ、きつ 00030730M15いねこあしだよ(上四オ) 00030740¥P184 00030750¥G 00030760¥N8¥J 00030770¥Xこゑの薬 00030780M3げんくわかまへに、金かんばんいだして、こへのたつくす 00030790M4りとかいてある。かとぐちへ行て、たのミませうといへば、 00030800M5大きなこへで、どうれといふ。Sもし、こへのたつくすり 00030810M6を下さいませ。あの今、とうれとおつしやつたよふに、こ 00030820M7へがたちますかといへば、とりつぎのおとこ、こへをひく 00030830M8うして、またこのやうにも、もうされます(上四ウ) 00030840¥N9¥J 00030850¥X二どのかけ 00030860M11Sもゝ太郎、おにがしまのてがらにあぢをしめ、又おもひ 00030870M12たつたびころも、こんどハりうぐうへでもいつてミんと、 00030880M13こしにハれいのきびたんご、すがりに入てさげてでるミち 00030890M14にて、さるに出あへバ、もゝ太郎様+。どこへござる。 00030900M15Sりうぐうへ、たからとりにまいる。こしにつけたハ、な 00030910M16んでござる。日ほん一のきびだんご。ひとつください。お 00030920M17とももうさう。もゝ太郎、すがりより、ひとつだして、と 00030930M18らせけれバ、さる、手にとりて、つく+とミて、申シ、 00030940M19ちいさくなりやしたの(上五オ) 00030950¥P185 00030960¥G 00030970¥N10¥J 00030980¥X初かつほ 00030990M3Sはつかつほをおこらんと、一はいしかける所へ、きんじ 00031000M4よから、きうにおめにかゝりたい。ちよつと+と、よび 00031010M5にくる。なむさん、けいどう。こりや、六介よ。此まゝお 00031020M6いてゆくぞ。きをつけよと、いひすてゝいでゆく。六介も 00031030M7そこらをかたつけるうちに、ねこめがさしミをはんぶんほ 00031040M8ど、してやる。六介おどろき、ねこをおしのけ、とてもの 00031050M9事に、のこりもねこにかづきやうと、二はし三はし、した 00031060M10うちすれバ、そばからねこめが、ふう+(上五ウ) 00031070¥T1 00031080¥N1¥J 00031090¥Xなかうど 00031100M13いたつてふきりやうなむすめ、ゑんどをくて、おやたちも 00031110M14こまりける。心やすきいしや、たいあん殿おいで。色&は 00031120M15なしのついで、むすめもとしころにもなりますれハ、いつ 00031130M16かたへ成とも、つかハさずハなりますまい。ほう+ひろ 00031140M17くおあるきなされますれバ、おきゝあわせなされて下さり 00031150M18ませといへば、たいあん、これにハこまり、成ほど、心へ 00031160M19ました。すいぶんと心がけませうが、またよじんにも、お 00031170M20たのミなされい(下一オ) 00031180¥P186 00031190¥G 00031200¥N2¥J 00031210¥Xりやうけん 00031220M3とつさんや+。かめさんのおぢさんも、まんさんのおぢ 00031230M4さんも/おぢさんも((衍))、ミんなめがあるが、おまへにばかり、 00031240M5なぜめがない。なるほど、これハもつともじや。おれハな、 00031250M6わいらがしぶんにハめがあつたが、かんといふやまひか出 00031260M7て、それで、めがつぶれた。わいらもすいぶん、わつらわぬ 00031270M8やうにしろ。そんならおまへも、ちいさいときハめがあつ 00031280M9たかへ。なくてハさ。どうりて、めのあとがあるの(下一ウ) 00031290¥N3¥J 00031300¥X銅の鳥ゐ 00031310M12女ぼう、大なんざん。ていしゆ、こらへかねて、はだかに 00031320M13なり、井戸ばたへとんていで、ミづをさんふりとあびて、 00031330M14なむ、せきそん大ごんげん。なにとぞあんざんいたすやう 00031340M15に。おれいにハ、からかねの大とりゐをさし上ませうほと 00031350M16にと、いのる。さんふきゝ付て、もし、こちの人へ。わし 00031360M17があんざんしたとて、どふまあ、かねの鳥居がてきるもの 00031370M18ぞ。つがもないことばかりといへば、ハテ、やかましい。 00031380M19おれがせきそんさまをたますうちに、はやくうミたまへ 00031390M20+(下二オ) 00031400¥P187 00031410¥G 00031420¥N4¥J 00031430¥Xとだな 00031440M3ぐわら+ぴつかり+。ソリヤなるわと、ていしゆ大の 00031450M4きらい。コレ+かゝあ、かやハぶちころしてしまふ。と 00031460M5うせうな。アレまた、ばち+ばちとなつてくる。コリヤ 00031470M6もふたまらぬと、とだなをあけてかけこむ所へ、小ぞうが、 00031480M7そとからかけてきて、おやぢがとたなにかくれるを見て、 00031490M8かゝさんや+。あすもまたおせつくかへ(下二ウ) 00031500¥N5¥J 00031510¥Xしらぬどし 00031520M11みながしやうぎをさすが、おれもさしたいものた。なにさ。 00031530M12ぞうさハない。おれがおしへてやろう。まづこう、こまを 00031540M13むしやうにならべておいて、向ふのほうへつゝかけてあた 00031550M14りやうと、そのこまをとつて、またあいたところへはるが 00031560M15よいと、たがいにさしかゝりて、御手にハなにがあるな。 00031570M16Sわうが二まい。ホヲヽ、それハいやなものだ(下三オ) 00031580¥P188 00031590¥G 00031600¥N6¥J 00031610¥X(かなものずき) 00031620M3ある人、かなものをすいてなめたかり、さま+のかなも 00031630M4のをなめてたのしむか、いまた、とうの上の玉をなめて 00031640M5ミす。五重のとうのきほうしをなめてミたいのそミ。やう 00031650M6+として、五重のとうへあししろをかけ、てつへんのき 00031660M7ほうしをなめてミて、たねんののそミ、たつしたりとよろ 00031670M8こひける。どうした、とうのきほうしをなめて。とのやう 00031680M9なものた。おもふたほとにもこさりませぬ。はしのきほう 00031690M10しの、しほけのないものさ(下三ウ) 00031700¥N7¥J 00031710¥Xたち物 00031720M13おれハどふも物わすれをしてならぬ。とふかしやうハある 00031730M14まいか。それハ天神様へたちものをして、ぐわんをかけや 00031740M15れ。そふすると、おほへがよくなる。たちものとハ、何を 00031750M16たとふ。むめがよいハ。まちやれよ。おれハうまれついて、 00031760M17梅が大かうふつだから、とふもたちものにハならぬ。そん 00031770M18なら、たばこでもたつたがよひ。いんにや、たばこも大か 00031780M19うふつだ。そんなら、ちやにしやれさ。ちやもきついすき 00031790M20だ。それでハしかたがない。何ンぞきらいなものを、たち 00031800¥P189 00031810¥G 00031820M1ものにしたいものたが、そのくせ、きらいな物がない。 00031830M2よし+、たつものがあるぞ+。なんだ。かミなりをた 00031840M3ちものにしよう(下四オ) 00031850¥N8¥J 00031860¥X九太夫 00031870M6大星ゆらの介、斧九太夫にむかい、何ンとおもわるゝ。わ 00031880M7れ+此しろに有ながら、おめ+とあけわたすもくちお 00031890M8しし。花+しく一はたらきして、しろをまくらに、うち 00031900M9じにいたそうとそんずるといへば、九太夫、にがいかほし 00031910M10てゐる。大星、これほどに申に、にがいかほて、あちらむ 00031920M11かるゝハ、ヱヽきこへた。かねてのふかつてゆへ、しちに 00031930M12でもお入なされて、ぐそくてもござらぬか。イヤ、それハ 00031940M13ござる。それならハ、ゆミやのるいかこさらぬか。それも 00031950M14ござるて。してまあ、なにがござ/ざ((ざ衍))らぬぞ。気がこさらぬ 00031960M15(下四ウ) 00031970¥N9¥J 00031980¥Xきんちやく 00031990M18きんちやく、おこりをふるひ、わつらひけれバ、かミより 00032000M19おぢめ、ミまひに下りいふやう、とふじや。きぶんハちと 00032010M20よいか。ハイ。けふハちと、ねつけがさりました。何ンじ 00032020¥P190 00032030¥G 00032040M1や。ねつけがさつた。ハヽア、そんならおつつけ、おちる 00032050M2であらふ(下五オ) 00032060¥N10¥J 00032070¥X徳兵衛 00032080M5おはつとく兵へ、二人つれにて心中にいでけれハ、よめの 00032090M6おきた、心ならずたづねゆき、又むかふより、久左衛門も、 00032100M7てうちんとぼしてたづね来り、行ちがひさま、おきたにゆ 00032110M8きあたり、おきた、こけけれバ、久左衛門、てうちんにて、 00032120M9とつくとミて、ヤア、そなたハよめのおきたでないか。イ 00032130M10ヽヱ、わしや、こけたハいな 00032140¥Q清経画 00032150M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(下五ウ) 00032160¥P191 00032170¥U噺本大系△第十七巻 00032180¥G 00032190¥T/青楼(せいろう)/吉原(よしわら)/咄(はなし) 00032200¥Y 00032210M6安永七年十一月序 00032220M7墨蝶亭可立序 00032230M8蔦重板 00032240M9中本四巻合二冊 00032250M10東大国語研究室蔵 00032260¥Y序 00032270M14曇りなき空も心も晴わたり、初音も清き梅かえや、千もと 00032280M15の花の色と香に、いづれおとらぬ青楼の、君+連のよそ 00032290M16ほひこそ、芳野ゝさかり今爰に、ふりさけ見たりうらゝか 00032300M17さ、ひとしほ夏の夕げしき、水際の立衣がへ、青葉若葉の 00032310M18しげりこそ、日に+まさる全盛の、君が勢ひ雲の井に、 00032320M19こかれて啼や子規、秋そゆかしき星合の、空に涼しき天の 00032330M20川、もミちの橋や鵲の、渡せる名こそ恋しさの、ほに出に 00032340¥P192 00032350¥G 00032360M1けりすゝき野に、桔梗の花や女郎花、咲乱れたる百千ぐさ、 00032370M2ことさら冬の初しぐれ、春の夢見し帰花、うつる氷の鏡ミ 00032380M3ハ、雪のしろたへおし鳥の、にしきあらそう美しさ、四季 00032390M4折+のたへなるハ、五つの丁の遊君の、詠めにもるゝ事 00032400M5あらじと、いとたのしく思ひ侍りぬ 00032410M7△△△安永なゝの冬△△△△△△△墨蝶亭 00032420M8△△△△△△霜降月日△△△△△△△△△可△立G 00032430M9△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一オ) 00032440¥T1 00032450¥N1¥J 00032460¥X○小玉銀 00032470M14色客のかたへ女郎より、弐三匁有小玉銀十四五、文へそへ 00032480M15てよこせしゆへ、其夜ゆきて、客Sけさ文をよこしたが、 00032490M16なぜ、銀をそへてよこしたぞ。女郎ハヽ、とゞきいしたか 00032500M17へ。あれハ夕べ、あの文かいていゝしたら、客人がめをさ 00032510M18ましいしたよつて、わつちハ此ごろ、かゝさんが久しうび 00032520M19やうきだから、文かいてやりんす。いつそくろうでなりい 00032530M20しん。わつちハくがいの身也。(一ウ)心にまかせず、こま 00032540¥P193 00032550¥G 00032560M1りんすといゝんしたら、それハさそ、心づかいたろふ。そ 00032570M2んなら、これをそへてやれと、くれんしたから、おまへの 00032580M3とこへやりんした△客Sなぜ又、おいてつかわぬぞ△S女 00032590M4郎インヱ、あんなはやらないかねハ、いりんせん(二オ) 00032600¥N2¥J 00032610¥X○/豆腐(とうふ) 00032620M7国侍、細見をくりかへし+ミて、甘露梅、巻せんべい、 00032630M8袖の梅、山屋のとうふ、よく覚へ、扨江戸のよし原、こよ 00032640M9ひこそ行てミんと、江戸町より、よミせ見ハじめ、すミ町 00032650M10へかゝり、こハ+若い者に名を聞、(二ウ)あがりけれバ、 00032660M11若者お茶屋ハといへば、客茶やハない。若者然らハ大小、 00032670M12お預り申ませう。客武士が大小渡してハ。若者イヤ、此く 00032680M13るわのおきてといふに、ぜひなく大小わたすはずミに、さ 00032690M14やばしりたるを見れバ、さび切たる赤いわし。あまり気の 00032700M15どく、おかしさに、若者旦那。これでも物がきれますか。 00032710M16客ヲヽサ。切れる物が、此よし原のうちにあるさ。若者何 00032720M17かへ。客山屋のとうふが(三オ) 00032730¥P194 00032740¥G 00032750¥N3¥J 00032760¥X○吸物 00032770M3いなかもの、江戸にてハ、鹿をもみぢの吸物といふ事、は 00032780M4なしにきゝ、よくおほへて、初てよしハらへゆき、盃事の 00032790M5うち、すいものいでる。S若い者、かむろに、もみぢ。(三ウ) 00032800M6おすい物をといふに、とつて、きやくへすへ、Sかふろも 00032810M7し、ちとおすいなんし△S客いや、四足ハたべませぬ 00032820M8(四オ) 00032830¥P195 00032840¥G 00032850¥N4¥J 00032860¥X○弐朱銀 00032870M1女郎、かぎをたづぬるとて、引だしあけれバ、弐朱銀三四 00032880M2十、さら+とうちこぼれたり。客なぜ、そのやうに、ぞ 00032890M3んざいにしておく。よくからげておくがいゝと、はなかミ 00032900M4ひき(四ウ)さきてやる。女郎こりやなんだ。きミのわるい 00032910M5ものでありんす。どのきやくしんも、これをくれいんすと 00032920M6いひ+、からげるをミれハ、八まいつゝ(五オ) 00032930¥P196 00032940¥G 00032950¥N5¥J 00032960¥X○奥州者 00032970M3永道中、宿&の女ともに呼留られ、泊り+のかずつもり、 00032980M4七つ過ころに千住へきたり、今宵ハ江戸入、ばくろ町が泊 00032990M5りと、あし早にあゆミくるに、道とりちがへ、三のわ通り 00033000M6£江戸丁がしのたんぼへかゝりけるに、かうしより、なじ 00033010M7ミの客の通るをミて、手をたゝき、まねくをミて、田舎者 00033020M8はたごハいくらだ(五ウ) 00033030¥T1 00033040¥N1¥J 00033050¥X○米相場 00033060M11下野より、いせ町の問やへ米をおくり置、初て登り、とい 00033070M12やへ落つき、相庭ハどうだな。S石五升なら、仕切ませう 00033080M13Sそれてハうられぬ+。ときにまづ、よしハらへいつて 00033090M14ミたい△S御どう+と、ていしゆつれ立、道すから、は 00033100M15じめての事なれバ申ます。吉原ハはまるとむつかしい。ま 00033110M16づ、ちよ+らてあやなしたり、あわせたり、よくそうば 00033120M17を申ますとはなすを、たゝむちうにきゝ、相庭といふ事斗 00033130M18リ、みゝへとまり、京町へあがり、さかつき事のうち、は 00033140M19しごにて、さがりんす+のこへを聞て、田舎客、といや 00033150M20にむかい、石五升て仕切て下され(二ノ一オ) 00033160¥P197 00033170¥G 00033180¥N2¥J 00033190¥X○角力取 00033200M3吉原ハよく客をなけるといふ事を聞、なんでもなげられま 00033210M4いとやうじんして、初て吉原/□((へ脱カ))あがり、へやもちをかい、 00033220M5床入して待てゐる。ひけまへに女郎きて、よきへはいりな 00033230M6がら、ねなんしたかへと、かたへ手をかけけれバ、客、お 00033240M7きなおり、いあいごしになつて、いや、その手でハいかん 00033250M8ぞ(二ノ一ウ)(二ノ二オ絵) 00033260¥P198 00033270¥G 00033280¥N3¥J 00033290¥X○誹詣すき 00033300M3女けいしや二人ある。一人ハ此比ゐつゞけのきやく、毎日 00033310M4毎ばんつとめはんじやう。おやかた、さミだれの句をあん 00033320M5じなから、ちよや。松やの客人ハ。Sあい。夕べ、ひけま 00033330M6へまてつとめんした。けふもまた、いなへすが、おなじも 00033340M7のばかりてハと、けふハおわり屋で、おいわさんと、おひ 00033350M8てさんをよびなんした。けさハあちらのきしにさき、とい 00033360M9へば、S扨&てまへハ、はいきがてきて(二ノ二ウ)おもし 00033370M10ろいか、梅ハもんもうで、其上、中の丁で、いきミんたん 00033380M11といふ客にハ、ころぶといふひやうばんだ。おれにはぢを 00033390M12かゝせるなよといへバ、梅是もはいきでありんす。Sなせ。 00033400M13梅はて、いざさらばいきミにころぶところまで(二ノ三オ) 00033410¥P199 00033420¥G 00033430¥N4¥J 00033440¥X○かける女郎 00033450M3壱丁目小ミせへ、うらにゆきてミんと、七つまへより中の 00033460M4町へきて、女郎の気せうやうすを、内義に尋けれバ、Sす 00033470M5いぶんとよき御気ぜん。あんまりはつめい過て、よくかけ 00033480M6る+とひやうばんいたしいすとのはなし。御出と、若イ 00033490M7者、ともとして女郎屋へゆき、かね四ツしぶんにかへり、 00033500M8門がやかましい。かへらんと、したくの所へ、やしきより 00033510M9(二ノ三ウ)むかい来る。お国もとへ殿様急御用。ときなし 00033520M10のひきやく、遣ハされます。治部右衛門様に、よくかける 00033530M11人をきんミさせ、ひきやくにつかハされとの御意と、きく 00033540M12よりいそぎ立出る。茶屋おかへり遊ハしますか。Sぶざ立 00033550M13かへつて、たのんでミよう(二ノ四オ) 00033560¥P200 00033570¥G 00033580¥N5¥J 00033590¥X○まり 00033600M3いなかもの、江戸へのぼり、二三日まへより、やくそくに 00033610M4て松葉やへ来りけるに、女郎、まりばにて、まりをけてゐ 00033620M5るを、ひとめ見るより気にいり、じきにミうけのそうだん。 00033630M6茶や、大きによろこび、鳥大じん(二ノ四ウ)此かたの仕合 00033640M7と、内証へかけ合、お身うけハ千両といへば、客あのかご 00033650M8ぐるミか(二ノ五オ) 00033660¥P201 00033670¥G 00033680¥N6¥J 00033690¥X○文 00033700M3部屋持まわりの女郎、新ぞうよりあつまり、やりてがあま 00033710M4りいろごとのせつかん、きめごまかにやかましくいふをに 00033720M5くがり、なぐさんでやらんと、ありおふくわんおんきやう 00033730M6を二つにおり、ふミのやうにこしらへふうじて、御もと様 00033740M7上る、御存£と、うハがきして、らうかにすておきけれバ、 00033750M8やりてひろい、どいつがふミか、せんぎのたねとひらきミれ 00033760M9バ、ふもんぼんなり。どふもわからず、ないきにミせけれバ、 00033770M10内義これ、十七日十八にハ、ゆだんせまいぞ(二ノ五ウ) 00033780¥T1 00033790¥N1¥J 00033800¥X○太刀打 00033810M13ぶざ三人つれにて、大門より江戸町木戸きわへくると、二 00033820M14丁目より、女郎きたるをミるより、あれにしやう+と、 00033830M15三人一度にほれけり。おらハあれをといへば、いや、きで 00033840M16んより身どもがさきへほれたと、三人がせり合つのり、さ 00033850M17らハ、しんけんにてとらんと、三人ぬき合たゝかいけれバ、 00033860M18かの女郎、茶やより、きやくをさきにたて、たちうちをお 00033870M19それもせず、ゆふ+ときやくとつれだちかへるをミて、 00033880M20三人一どに、ヤア、ひけひけひけ(三ノ一オ) 00033890¥P202 00033900¥G 00033910¥N2¥J 00033920¥X○かたきうち 00033930M3女郎、ようせうのとき、親、やいばにかゝりはてしゆへ、 00033940M4たつきなく、よし原へうられしかど、なんてもおやのかた 00033950M5きをうたんとの一念たへず。ある夜、ふとあがりし客、は 00033960M6つよりかわゆく、きやくもくびたけ。あいぼれの水ももら 00033970M7さぬなかとなり、しげ+あふほど、いとしさまさり、す 00033980M8へハ此人とおもひつめて、ある夜、身のうへ、かたきの一 00033990M9だいじをも、くわしくはなしけれバ、きやく、きもをけし、 00034000M10ものをもゑいわず、なミだをながし、(三ノ一ウ)さて+、 00034010M11おもひもよらぬ事をきくものかな。そのかたきハおれじや。 00034020M12いかなるいんぐわにて、なれそめしぞ。これが本のあくゑ 00034030M13んならん。此よのいとま、これかぎり。サアはやく、かた 00034040M14きをうちやれと、かくごのてい。女郎こわばからしい。と 00034050M15うしやうの(三ノ二オ) 00034060¥P203 00034070¥G 00034080¥N3¥J 00034090¥X○弐朱銀 00034100M3女郎、こようにゆきしあとにて、きやく、女郎のこゝろひ 00034110M4きミんと、かミいれの弐朱銀二三まい、まくらもとにまき 00034120M5おきけるを、女郎かへり、よぎへはいりしま、あしへあた 00034130M6るをミれバ、弐しゆぎんなり。おや、すゞりばこのかなも 00034140M7のがといひ+、ひき出しへしまひおきける。よふけ、女 00034150M8郎ねいりしうち、そつととり、さて+、(三ノ二ウ)女郎 00034160M9にゆだんのなるものでハないと、かミ入へしまいおく。女 00034170M10郎、きやくのかへりしあとにて、ひきたしをあけて見るに、 00034180M11なけれハ、さて+、きやく人に、ゆたんのなるものでハ 00034190M12ない(三ノ三オ) 00034200¥P204 00034210¥G 00034220¥N4¥J 00034230¥X○屏風 00034240M3女郎、そう金のびやうぶをこしらへ、いろのきやくに、竹 00034250M4にすゞめを、すミゑにてかいてもらひ、よくできしとうれ 00034260M5しきおりから、ふざきやく、きたりけれバ、女郎もしへ、 00034270M6わつちハびやうふをこしらへんした。ミておくれなんし。 00034280M7竹にすゝめをよくかきいした。(三ノ三ウ)ふさいや、これハ 00034290M8へたなえさ。このとりハすゝめてハあるまい。むりなとい 00034300M9ひなんす。すゞめでありいすもの。ふそれでも、しなよく 00034310M10とまつていない(三ノ四オ) 00034320¥P205 00034330¥G 00034340¥N5¥J 00034350¥X○きのへ子 00034360M3きのへ子にあへば、ゑんふかくなるとの事ゆへ、女郎、い 00034370M4ろのきやくをよひにやり、こよひもはやくるや+と、ま 00034380M5ちこかれいる所へ、まつ屋よりしらせにくる。女郎よろこ 00034390M6び、かたろをよひ、はやくつれ申てきやと、かふろをむか 00034400M7いにやる。わかいもの、きゝちがひにて、しもまつやより、 00034410M8しミ+いやなふさきやくを、かふろ、つれかへる。(三ノ 00034420M9四ウ)女郎、大きにちからをおとし、ざしきへもおそう出 00034430N10て、ぶにんさうにすわりながら、かぶろをよび、たつや。 00034440M11あの大黒様、すててきや(三ノ五オ) 00034450¥P206 00034460¥G 00034470¥N6¥J 00034480¥X○いけん 00034490M3むすこ、おやぢがてらまいりせしるすに、内をぬけいで、 00034500M4ゆふくれに、いそき大もんをはいれハ、むかふより、おや 00034510M5ぢか、かぶろに手をひかれて、女郎、しんぞうにおくられ、 00034520M6大もんさしてかへるに、はたと、むすこにゆきあいけれハ、 00034530M7おやぢこりや、ゐつゞけハならぬぞ(三ノ五ウ) 00034540¥T1 00034550¥N1¥J 00034560¥X○かけ乞 00034570M10女郎、大晦日、しやくきんのしかたなけれバ、新ぞうにさ 00034580M11ミせんひかせ、三百両いのり出さんと、むけんのかねのさ 00034590M12い中に、かけこい、おい+きたる。ばんとう新ぞう、す 00034600M13ゞりとりよせ、おゝもじにかいて、はしごのくちへはりお 00034610M14きけれハ、かけこいとも、ミてハミな+かへる。あまり 00034620M15ふしぎさに、よんでミれバ、大入、明日御出可被下候 00034630M16(四ノ一オ) 00034640¥P207 00034650¥G 00034660¥N2¥J 00034670¥X○格子 00034680M3女郎、茶屋のわかいものに、きやくの文をわたし、これ、 00034690M4あにさんへ。けふ、ぬしにあいなんしたら、よくそふいふ 00034700M5てくれなんし。いくど文やつても、(四ノ一ウ)きもしなん 00034710M6せず、返しもしなんせん。あした、きなんせんけりや、お 00034720M7まへのとこのかうしまでいきんすと、いふてくれなんし 00034730M8(四ノ二オ) 00034740¥P208 00034750¥G 00034760¥N3¥J 00034770¥X○うたい 00034780M3江戸はじめてのぶざきやく、なじんで五六度めなれハ、わ 00034790M4かいもの、壱分もらわんと、さかな出しけれど、ぶざ、き 00034800M5がつかず。あまりざしきながくなるゆへ、若者もし、ちと 00034810M6あちらへ。ふざなぜ。若者いや、おとこをとります。ふさ 00034820M7それ+ねてはなやろうといへば、わかいもの、とこで 00034830M8くれる事と心へ、それより(四ノ二ウ)ぶざ、とこへ入けれ 00034840M9バ、わかいもの、いろ+はなしなぞして、もふくれるか 00034850M10+とまつている。ぶざ、たいくつして、うたひ、やなぎ 00034860M11ハみとり、はなハくれないと、うたひけれバ、若者ハイ。 00034870M12そんなら、おやすミなされませ(四ノ三オ) 00034880¥P209 00034890¥G 00034900¥N4¥J 00034910¥X○絵 00034920M3女郎、つまり+て、しちのおきくさなく、ざしきあきが 00034930M4らになりけれバ、くふうして、かけもの、はないけ、やう 00034940M5だんす、くしげきやうたい、なにもかもべた+と、ミな 00034950M6絵にかゝせ、ひるもあまと、すこしたてかけ、とぐらくし 00034960M7ておく。ある夜、はつのきやくあがり、ざしきへなをり、 00034970M8つく+ミるに、とうぐ、かざりもの、あじにミへければ、 00034980M9ふしぎさに、なでゝミる。かぶろ、およしなんし(四ノ三ウ) 00034990M10といふうち、女郎きたり、なにをしなんすへ。かふろぬし 00035000M11ハさきから、およし/なんと((ママ))いふに、よつひし、たんすをな 00035010M12でたり、かけぢをいぢつたりしなんすハな。女郎ムヽ、そ 00035020M13んなら、ぬしハしばゐがすきじやもんだろう(四ノ四オ) 00035030¥P210 00035040¥G 00035050¥N5¥J 00035060¥X○ゆふれい 00035070M3きやく、女郎にのぼりつめ、しゆじんのまへ大かぶり、と 00035080M4う+つけのぼうになり、こかれじにゝしに、ゆふれいに 00035090M5て女郎のかたへ、まいばん+くる。女郎、すこしもおそ 00035100M6れず、よいかげんにだまし+してかへせバ、まいよくる 00035110M7ゆへ、うるさくおもひ、こぬやうにせんとくふうして、あ 00035120M8るよ、れいのごとくあらわれいでけれハ、女郎まいばん 00035130M9+心かハらす、かよふてくれなんす御心の程、うれしう 00035140M10ありんすか、わつちもおまへか、まい(四ノ四ウ)ばんきな 00035150M11んすゆへ、ほかのきやく人ハミんなきやんせんから、此せ 00035160M12つくまへ、はらひのかねも、つけがねも、せつくのきもの 00035170M13も、しまひも、おまへにしてもらハねバなりいせん。そし 00035180M14てやぐも、かハがへもせにやなりいしん。これもおまへよ 00035190M15りほかに、あてハなし。ふるくなつて、こんなにわたがで 00035200M16へすハなと、わたをくいとひきたし、ミせけれバ、ゆふれ 00035210M17い、ふつときへて、それきりこぬ(四ノ五オ) 00035220¥P211 00035230¥G 00035240¥N6¥J 00035250¥X○いんす 00035260M3よしハらハ、いんすりんすのなくてならぬ所なれバ、これ 00035270M4をきまゝにいわぬねがひをたて、会所もたて、うりものに 00035280M5せハ、よき金もふけならんと、ねかいかないけれハ、大き 00035290M6なるかんばんいたし、りんすいんすうり所と、うり物にし 00035300M7けれバ、まい日うれる事おひたゝし。ことに大晦日ハ、り 00035310M8んすいんすたくさん入用ならんと、しこミおきけれバ、あ 00035320M9んのことく、こまりんすが大きくうれ、よふけにうれきれ 00035330M10たり。しにんすうれだし、これも大かたうりきれる。おり 00035340M11からむかふのかうしより、しんぞうが、むかふの人。しに 00035350M12んす一つ、もつてきて下さい。さつはりうりきれ。今たつ 00035360M13た一つのこつてこざりやすが、ねたんたかふこさりやす。 00035370M14たかくてもいゝハの。二分ても三分てもいゝ。いんへ、そ 00035380M15んな事しやない。百両てごさりやす。おや、はからしい。 00035390M16百両のかねあれハ、しにんすハいらぬ 00035400¥Q 00035410M17△△△△△板△新吉原 00035420M18△家標△△△蔦屋重三郎 00035430M19△△△△△元△大門口 00035440M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(四ノ五ウ) 00035450¥P212 00035460¥U噺本大系△第十七巻 00035470¥G 00035480¥T@はなしの|ほや+@/自在餅(じざいもち)〔題簽〕 00035490¥Y 00035500M6安永末年頃刊 00035510M7松村弥兵衛板 00035520M8中本二巻合一冊 00035530M9国立国会図書館蔵 00035540¥T1 00035550¥N1¥J 00035560¥X○/堂(とう)/建立(こんりう) 00035570M13こうぼう大しハ、所&にどうたうをこんりうして、一/夜(や)の 00035580M14内に/出来(でき)たといふが、なんと、大きな事でハないか。Sそ 00035590M15れがなんの大きな事であらふ。ちつといけむと、/蛤(はまぐり)でさへ 00035600M16(一オ) 00035610¥P213 00035620¥G 00035630¥N2¥J 00035640¥X○うば 00035650M3うちつゞくながあめに、でつち、うばさうだんして、もち 00035660M4でもかつてこずハなるまい。たれゆけ、かれゆけといふに、 00035670M5うばが年かさなれバ、さしづめ、うば、かのもちをとりか 00035680M6へれバ、人+これを見て、アノ、おうばとした事が、大 00035690M7きな切もちばかりかつてきてからといへば、うばSこもち 00035700M8にこりたものだ(一ウ) 00035710¥N3¥J 00035720¥X○うらなひ 00035730M11状ばこもちたるちうけん、やなぎわらを通りながら、さて 00035740M12+けさからさがすが、おやしきがしれぬ。たしかこのへ 00035750M13んだときいたが、もしまちがひハしなんだか。ハア、イヤ 00035760M14さいわゐ、こゝにさんおきがゐる。ドリヤ一つ、うらなつ 00035770M15てもらハふと、かミたばこ入から十二銅ひねつてさし出せ 00035780M16バ、さん置、小くびをかたむけ、ひれハ/急(きう)なおつかいとミ 00035790M17へる。S成程、さやうでござります△Sかハつた八けのお 00035800M18もでがあらわれた△Sなんとこさります△Sヱへン+、 00035810M19さきのつぢばんでとうべしとある(二オ) 00035820¥P214 00035830¥G 00035840¥P4¥J 00035850¥X○あたまはり 00035860M3はなうたをうたひ通る。ゆきちがひに、したゝかあたまを 00035870M4はる。大きにはらをたち、すいさん千万。ゆミや八まん、 00035880M5ゆるさぬと、とびかゝるを、きさまハたとへをしらぬ男だ。 00035890M6Sなんだ△Sハテ、てるくびうたるゝといふハさ(二ウ) 00035900¥N5¥J 00035910¥X○/問答(もんとう) 00035920M9なまこ、かにゝとうていわく、ゆくがかへるか、かへるが 00035930M10ゆくか。かに、またなまこにとうていわく、しりがかしら 00035940M11か、かしらがしりか(三オ) 00035950¥P215 00035960¥G 00035970¥N6¥J 00035980¥X○金がかたき 00035990M3おはうちからしたらう人あり。かミこばをりに、やぶれは 00036000M4かま、竹ミつか何かしらぬが/朱(しゆ)ざやの大小、めつたに利う 00036010M5んばつても、晦日+の店ちんにおわれ、大屋をミると、 00036020M6むしやぶるひ。大やもきのどくがり、あまりにくよ+お 00036030M7ぼしめすな。かねがかたきと申て、あまりに金もよいもの 00036040M8でハない。Sらう人、なミだをながして、Sよつくぶうん 00036050M9につきたそうな。かたきにひさしくめぐりあねぬ(三ウ) 00036060¥¥N7J 00036070¥X○ほうらいさん 00036080M12ほうらいさんと名をつけたかやがある。ソレハさぞよいか 00036090M13やであらふとゆきてミれバ、松竹のもやうをそめたもじの 00036100M14かやなり。よさハよいが、大ぶんやぶれが見へる。Sハテ、 00036110M15そこがほうらいのしるしだ。なぜといへば、Sつるとかめ 00036120M16がゐる(四オ) 00036130¥P216 00036140¥G 00036150¥N8¥J 00036160¥X○/黄金(こがね)の/釜(かま) 00036170M3もろこしのくわくきよハ、こがねのかまをほり出して、廿 00036180M4四かうの中ま入。さらば、われらもほつてみんと、/乳(ち)のミ 00036190M5ごをたきながら、/門(かど)くちを、ふたくわ三くハほれバ、何か 00036200M6がつきり。これハとミれば、ごとうがハらけ(四ウ) 00036210¥N9¥J 00036220¥X○むけん 00036230M9米つき、とせいにゆきつまり、十両あまりのしやくきんゆ 00036240M10へ、あとへもさきへもゆきがたく、たちうすをつく+な 00036250M11がめ、むかし菊之丞ハてうずばちにて、むけんのかねをつ 00036260M12き、三百両といふ大かねをつき出した。十両ばかりハなん 00036270M13のそのと、もつたるきねをひしやくとなし、一うすつけば、 00036280M14くわつたりと、ふしぎやたちまち小判三両、むしがへしに、 00036290M15も一つつけば、小ばんハくだけて、たつた壱分。是ハした 00036300M16り、つきべりかした(五オ) 00036310¥P217 00036320¥G 00036330¥N10¥J 00036340¥X○ひがん 00036350M3ひかんといふものをミたか。Sこれ、おのしハとんだこと 00036360M4をいふ男だ△Sイヤ+、たしかにミた△Sそれはどんな 00036370M5ものだ△Sなんだかしらぬが、にハをむく+するから、 00036380M6まきわりをもつてとびおりたら、おふくろが、これ+、 00036390M7ひがんたぞ+(五ウ) 00036400¥T1 00036410¥N1¥J 00036420¥X○/新宿(しんしゆく) 00036430M10しんじゆくの女、たんすからぜにを五百なげだし、これで 00036440M11なんなとうまい物をかつてきてくんなんし。Sわかいものこ 00036450M12れハきついおごりなさりよふ。おめでたふ存ますといへば、 00036460M13女Sほんに、ゆめをミたやうに。夕べのきやくしゆに、み 00036470M14ゝをそろへて弐分(六オ) 00036480¥P218 00036490¥G 00036500¥N2¥J 00036510¥X○/寺侍(てらさむらい) 00036520M3さむらいほうこう人、二人出合、イヤア新五。貴様ハどこ 00036530M4にゐる。S四こくのさるやしきに。ソシテきさまハどつち 00036540M5にすんだ。やなかの/道楽寺(とうらくし)に。S寺にハなんぞ、おもしろ 00036550M6い事でもあるか△Sあるとも+。小ぞうハ今川をよむ。 00036560M7おしやう/を((ママ))いろはへゆく(六ウ) 00036570¥N3¥J 00036580¥X○ばけもの 00036590M10はけものやしきへ、ミとゞけに行しに、いろ+のばけも 00036600M11の出る。此男、すこしもおくするけし/((き脱カ))もなく、もふげいつ 00036610M12くしハそれぎりかとせめられ、ばけものもこまり、そのの 00036620M13ちハ出ず。さて+たけのしれたばけものめといふうち、 00036630M14しのゝめのそら、からすがかあ+。まもなく日も出れバ、 00036640M15さらばかへり、此おもむきを申上、御ほうびをもらひ、此 00036650M16やしきくるミ、してやらんとよろこびいさミて、そとへい 00036660M17つると、まつくらになり、ほしつきよ。これハひとあしも 00036670M18ひかれぬといへハ、ばけもの、なんと、あたらしいか+ 00036680M19(七オ) 00036690¥P219 00036700¥G 00036710¥N4¥J 00036720¥X○うらしま 00036730M3うら嶋太郎、乙ひめにむかひ、こきやうこひしく候ゆへ、 00036740M4ちよつとかへりましたれバ、これ、此やうにとしがよりま 00036750M5した。何とも申かねたが、玉てばこをも一つ下されかしと 00036760M6いへば、乙ひめうなづき、さやうならハ、これをもつてお 00036770M7いでと、れいの玉てばこをわたされしかハ、うらしま太郎 00036780M8ハ、なんでも此たびの玉てばこハ、さだめてわかくなるは 00036790M9こであらふと、かい上へうかむやいなや、ふたをひらけば、 00036800M10こハいかに、あつちから/三下(みくだ)りはんのさり状さ(七ウ) 00036810¥N5¥J 00036820¥X○/硝子(びいどろ) 00036830M13/中洲(なかず)の/新(しん)ちに、ひゐどろさいくがあるといふが、どふだ。 00036840M14Sイヤハヤ、きれいなさいくだ。ちやうどよいむすめを、 00036850M15さかさまにつるしたやうだ(八オ) 00036860¥P220 00036870¥G 00036880¥N6¥J 00036890¥X○しんたく 00036900M3しんたくへ引うつり、三介がはきそうじの所へ、ちかごろ 00036910M4御むしんながら、せつちんをかしてたもれ。三介おやすい 00036920M5事ながら、けふはじめて引うつり、まだあるじもまいらぬ 00036930M6内でござれバ、御断り申ます。さむらいも仕方なく、しり 00036940M7もぢ+して出て行。だんな聞付、三介をしかり、跡より 00036950M8おいかけて、おかし申ませうといハれ、ほうきをうちすて、 00036960M9やう+おいつき、だんなにしかられました。ひらにおか 00036970M10へりなされ、御用おたしなされといへば、さむらい、すこ 00036980M11しはらをたち、かへつてそう申てくりやれ。たれたも同前 00036990M12でござる(八ウ) 00037000¥N7¥J 00037010¥X○/風(かぜ) 00037020M13らう人、かみこはをりに、あかいわしを壱本きめてあるく。 00037030M14あとから、もし+、おわきざしに、そりが打てござりま 00037040M15す。らう人、ハアヽ、今のかぜでた(九オ) 00037050¥P221 00037060¥G 00037070¥N8¥J 00037080¥X○とうらん 00037090M3どうらん、おこりをふるひ、やせおとろへてゐけるおりふ 00037100M4しに、おじめ、ミまひにきて、とうじや。食ハなりますか。 00037110M5けふハ大ぶんよくて、ねつけがとれました。ハア、そんな 00037120M6らおちませう(九ウ) 00037130¥N9¥J 00037140¥X○綿くづ 00037150M9小僧が、もし旦那様へ。おまへのかたに、しらミがおりま 00037160M10すと、つまミてとれバ、Sコリヤばかつつらめ。そんなこ 00037170M11とを、大きなこへでいふものじやないとしかれバ、小ぞう、 00037180M12こへをひくくして、ハイ。これハわたくづてござりました 00037190M13(十了オ) 00037200¥P222 00037210¥G 00037220¥N10¥J 00037230¥X○/瓦(かハら)けむ 00037240M3両ごくばしのうへを、はでな女中がとふる。ミな立とまつ 00037250M4てミをくり、アレハやしきであらふ。イヤ、町であらふと、 00037260M5とり+ひやうばんする所へ、ばんにんがきて、イヤ、ア 00037270M6レハかわらけむじや(十了ウ) 00037280¥P223 00037290¥U噺本大系△第十七巻 00037300¥G 00037310¥T/富久和佳志(ふくわかし)〔題簽〕 00037320¥Y 00037330M6安永末年頃刊 00037340M7松村弥兵衛板 00037350M8中本二巻合一冊 00037360M9大東急記念文庫蔵 00037370¥T1 00037380¥N1¥J 00037390¥X/毛(け)ほり 00037400M13はて、/能(よい)きせるの。どれ、ちと御見せ。/是(これ)ハ四つばしばり、 00037410M14きついことだの。ときに、らうにけぼりとハ、きついやぼ 00037420M15のと、いゝつゝ見て、/両国(りやうごく)の/図(づ)を/毛(け)ぼりとハ、これハおも 00037430M16ひつきか。Sそれが、つまらぬまじない(一オ) 00037440¥P224 00037450¥G 00037460¥N2¥J 00037470¥X/丁稚(でつち) 00037480M3おらかおやかたハ、人づかゐのわるい人。日がな一にち、 00037490M4ともにつれてあるき、かえるとつかひにやる。大かた用を 00037500M5しまつたとおもへは、手ならひをしろとぬかしをる(一ウ) 00037510¥N3¥J 00037520¥X開帳 00037530M8はやらぬ/開帳(かいてう)、参りハすくなし。いゝ/立(たて)のぼうさま、ゐね 00037540M9ぶりを/仕(し)ながら、これに立せ給ふ、かうぼう大し一/刀(とう)三/礼(れい) 00037550M10の御さく、十一めんくわんぜおんぼさつ、/霊(れい)げんあらたな 00037560M11るそんざう。又と開帳ハかないませぬ。ちかふよつて、御 00037570M12ゑんを/結(むす)ばれませふといふて、目をひらき見れば、一人も 00037580M13ゐず。のし、くわんおんさま(二オ) 00037590¥P225 00037600¥G 00037610¥N4¥J 00037620¥Xきやん 00037630M3権めハ/切(きり)見世へばかり行から、こんや新地へ、むりにつれ 00037640M4てゆかふと、二三人でひつはりつれてゆく。権も/是非(ぜひ)なく 00037650M5あがりて、きてうめんニかしこまつてゐれば、つれのせん 00037660M6せい、これ権や。ろくにゐやれな。よしハらでハあるまい 00037670M7し(二ウ) 00037680¥N5¥J 00037690¥X無宿 00037700M10やどなし、ふら+あるく。むかふからなかまが/来(き)て、ど 00037710M11ふた。四五日あハなんだ。見れば大/分(ぶん)いろがわるい。どふ 00037720M12ぞしたか。ヲヽヨ。さん※だ。/第(だい)一、くいものがまずく 00037730M13てならぬ。ソレハこまつたものだ。なんぞ口にあうものを 00037740M14もらつてくやれ(三オ) 00037750¥P226 00037760¥G 00037770¥N6¥J 00037780¥Xいせものがたり 00037790M3かゝさん。わたしや今川も百人一/首(しゆ)もあけたから、いせ物 00037800M4がたりをかつてくんな。Sもし、だんなへ。いせ物がたり 00037810M5がほしいとさ△Sヲヽ、かつてやれさ。女のことなれば、 00037820M6さんくうハならず(三ウ) 00037830¥N7¥J 00037840¥X/腐(くされ)/儒者(じゆしや) 00037850M9/予(よ)がごとき、/清(きよ)き/意(こゝろ)をもつて、かゝる/愚盲(ぐもう)どもにハまじハ 00037860M10られずと、/書物(しよもつ)を/抱(いだ)き、/深山(しんざん)に/引込(ひきこミ)、たゞ/独(ひとり)、心をすまし 00037870M11がほに、/日夜(にちや)/書(しよ)を/読(よミ)ゐる所へ、大キなる/狼(おゝかミ)/来(きた)り、/儒者(じゆしや)を/書= 00037880M12物(しよ=もつ)ぐるミ、/只(たゞ)一口に/喰(く)ふとひとしく、へどをつき、なやミ 00037890M13ゐる所へ、/仲間(なかま)の/狼(おゝかミ)来り、何ゆへになやむぞととへば、 00037900M14/腐(くさつ)たものをくつた(四オ) 00037910¥P227 00037920¥G 00037930¥N8¥J 00037940¥X浅くさ 00037950M3廿/軒(けん)ぢや屋にひらきなをつてゐる所へ、おやぢか通りかゝ 00037960M4つて、おのれハこゝに何してゐるとしかるを、とぼけたか 00037970M5ほで、これハ御ひさしうごさります。S何、ばかつくす。 00037980M6けさ内であふたハい△Sハテ、おまへにこゝであへば百ね 00037990M7んめ(四ウ) 00038000¥N9¥J 00038010¥Xぢごく 00038020M10大の/悪女(あくじよ)、やきもちげんくわの上、とんしをして、/地(ぢ)ごく 00038030M11へ/落(おち)、ゆうれいとなり、おつとへうらミをなしたく、ゑん 00038040M12ま王へねがひければ、ゑんま/王(わう)御らんじ、なんぢ、其ふき 00038050M13りやうにて、ゆうれいのねがひ、かなハぬとの御しかり。 00038060M14/鬼(をに)ども、女のそでを/引(ひき)て、ばけものとねがへ+(五オ) 00038070¥P228 00038080¥G 00038090¥N10¥J 00038100¥Xしらぬ同士 00038110M3/皆(ミな)がせうぎをさすが、おれもさしたいものだ。S何さ。ぞ 00038120M4うさハない。おれがをしえてやらふ。/先(まづ)かふこまを、むせ 00038130M5うにならべて/置(おい)て、むかふの方へつゝかけて、あたりあふ 00038140M6と、そのこまをとつて、又あいたところへはるがよいと、 00038150M7たがいにさしかゝりて、御手にハ何+。S/王将(わう)が二まい 00038160M8(五ウ) 00038170¥P229 00038180¥G 00038190¥T1 00038200¥N1¥J 00038210¥X見ちがひ 00038220M3大いも/顔(がほ)のむすめ、となりの/娘(むすめ)も、おなじく大あバたにて、 00038230M4あそびに来てゐる所へ、見まひに行、/無事(ぶじ)をとふに、むす 00038240M5め、御ちや上りませと、さし/出(だ)すを見れば、見ちがへるほ 00038250M6どのせいじん。さて+、きつゐ御せいじんといば、 00038260M7Sイヱ+、それはとなりのむすめ/御(ご)でござります△Sは 00038270M8て、よふ/似(に)てござります。とんと、/柚(ゆず)を二つにわつたやう 00038280M9だ(六オ) 00038290¥P230 00038300¥G 00038310¥N2¥J 00038320¥X釣 00038330M3/船頭(せんどう)や。けふハなぜ此やうに/喰(くハ)ぬ。されば、/合点(がてん)が/行(ゆき)やせ 00038340M4ぬ。ヲヽそれ+。けふハりうぐうのゑびすかうで、/魚(うを)ど 00038350M5も、/残(のこ)らす/呼(よば)れて/参(まい)りました。わるい日に御/供(とも)申、きのど 00038360M6くといふうちに、何か/懸(か□)つたと、つり上見れば、大きんぎ 00038370M7よ。ヤレめでたいと、/是(これ)をしほに/宿(やど)へかえり、おか/持(もち)のふ 00038380M8たを/明(あけ)れば、/塩(しほ)さいふぐ、のびをしながら、アヽ、大きに 00038390M9/酔(よつ)た(六ウ) 00038400¥N3¥J 00038410¥Xゐんぎん 00038420M12ぬす人はいりけれバ、/家内(かない)目をさまし、ヤレどろぼうよと、 00038430M13こへかけられ、二かいから/物干(ものほし)へ出、にげんと思へど、/足(あし) 00038440M14もとうろ+してゐる。ていしゆ、下より、どろぼうめハ 00038450M15にげたかといへば、二かいのわかゐもの、いゝへ、まだ/物= 00038460M16干(もの=ほし)においでなされます(七オ) 00038470¥P231 00038480¥G 00038490¥N4¥J 00038500¥Xものわすれ 00038510M3/押(をさ)へにやとハれ、となたでござるととハれ、/殿(との)の御/名(な)をわ 00038520M4すれ、きうに/出(で)ねバ、きかぬ/顔(がほ)にて行を、をつかけ来て、 00038530M5どなたさまでござります。S何じや△Sイヤ、となたさま 00038540M6でござりますな△Sあてゝ見ろ(七ウ) 00038550¥N5¥J 00038560¥Xくわげん 00038570M9てうせん人、二人かけおちして日本へわたり、/家(か)げうなけ 00038580M10れば、たどんうり、今一人ハ/麩(ふ)をあきなふ。道にまよハぬ 00038590M11やうに打つれ立、/麩(ふう)++と、ふえのひやうしでよべば、 00038600M12一人ハたいこのひやうしで、たどん+(八オ) 00038610¥P232 00038620¥G 00038630¥N6¥J 00038640¥X/夜(よ)たか 00038650M3/広沢流(くハうたくりう)の/唐(から)やう/書(かき)、やミの/夜(よ)に/両国(りやうごく)へんをとふる。おしろ 00038660M4いをべた+とぬつた女、よりなんしと/袖(そで)をつかめバ、/唐(から) 00038670M5やう/書(かき)、きもをつぶし、なんじハいしずりの女よな(八ウ) 00038680¥N7¥J 00038690¥Xあんばい 00038700M8ある/太夫(たゆふ)女郎、/不快(ふくハい)ゆへにくすりをのむ。あのいしやさん 00038710M9のくすりハ、あまくてならぬといふ。又かぶろが、御くす 00038720M10りあがれとさし/出(いだ)す。一ト口のんで、ばからしい。此くす 00038730M11りハ/塩(しほ)がからいといふ。それでもおまへ、あまひ+とい 00038740M12ゝなんすから、/醤油(せうゆ)をさしやした(九オ) 00038750¥P233 00038760¥G 00038770¥N8¥J 00038780¥X遊所 00038790M3いなかもの、あそびに/行(ゆき)、かへりにわかひもの、うらに御 00038800M4出なされませといふ。Sおれがはらのくだるを、どふして 00038810M5しつた(九ウ) 00038820¥N9¥J 00038830¥X番太郎 00038840M8一つ/町内(てうない)に二人のばん人、ひとりのゑちぜん者。くハんと 00038850M9う/者(もの)の方へ来り、町内に/捨子(すてご)めがある。S/捨米(すてこめ)とハ、よい 00038860M10ものがあるの△Sイヤサ。/赤子(あかご)めじやハいの△Sあか/米(ごめ)で 00038870M11も、つけバ白ふなるハいの△Sはて、人じやハい△S四/斗(と) 00038880M12なら、二/斗(と)づゝわけやう(十オ) 00038890¥P234 00038900¥G 00038910¥N10¥J 00038920¥X/了簡(りやうけん) 00038930M3とつさんや+。亀さんの/伯父(おぢ)さんも、万さんのおぢさん 00038940M4も、ミんな目が有に、おまへニばかり、なぜ目がない。 00038950M5Sなるほど、是ハ/尤(もつとも)じや。おれハな、わいらがじぶんにハ 00038960M6目が有たが、かんといふやまひが出て、それで目がつふれ 00038970M7た。わいらもずいぶん、わづらハぬやうにしろ△Sそんな 00038980M8ら、おまへもちいさいときハ目が有たか△Sなくてハさ△ 00038990M9Sどふりて、目の/跡(あと)がある(十ウ) 00039000¥P235 00039010¥U噺本大系△第十七巻 00039020¥G 00039030¥T新作落咄/笑上戸(わらいじようご)〔題簽〕 00039040¥Y 00039050M6天明四年刊 00039060M7村次板 00039070M8中本二巻二冊 00039080M9大東急記念文庫蔵 00039090¥T1 00039100¥N1¥J 00039110¥Xあさかほ 00039120M14あさかほハさきますか。Sまだ△Sさて、おそいことた。 00039130M15いまさかすハ、大かた、八月あたりでなくハさくまい。お 00039140M16らかうちのハ、五月からさく△S五月からなら、なに、は 00039150M17やいものた。おらかのハ、二月あたりからさき、ミかこぼ 00039160M18れて、あれほとになりました△Sそれかおそいといふのた。 00039170M19こほれてミのはなハいつころじや。それハきよねんの九月 00039180M20あたりのことさ(一オ) 00039190¥P236 00039200¥G 00039210¥N2¥J 00039220¥Xなばたけ 00039230M3わたしや、ながきついすきさと、うらのせうじをあけて見 00039240M4せれば、きやく人、なるほと+。あを+といたしてよ 00039250M5いものた。こちらに見へますなはたけもわたくしの、あち 00039260M6らに見へるもわたくしのと、見するゆへ、さて+、たく 00039270M7さんなことで、なせまた此よふに、おびたゝしくおつくり 00039280M8なされました。あれでもゆでますと、わつかになります 00039290M9(一ウ) 00039300¥N3¥J 00039310¥Xまちかい 00039320M12なまこのほしたのを、くしこといふが、なぜじや。てまへ 00039330M13ハしらぬか。いんにや、おらしらぬが、それよりせんと、 00039340M14あわびのふくらにを出して、つまミなよ(二オ) 00039350¥P237 00039360¥G 00039370¥N4¥J 00039380¥X/鼠(ねづミ) 00039390M3この/比(ころ)ハわしが/内(うち)へ、鼠がだいぶん出てこまる。それハ/直(じき) 00039400M4にたやしやうがある。それハとうして。S/先(まづ)/粉糠(こぬか)をよくい 00039410M5つて、/餅(もち)のりとすりまぜ、わさびおろしのうらおもてへぬ 00039420M6つて、/棚(たな)へあげて/置(おく)のさ△S夫ハまじないかへ△Sイヱサ。 00039430M7そうしておくと、ねづミがきてハなめ、きてハなめして、 00039440M8のちには/尻尾(しつぽ)/斗(はかり)になります(二ウ) 00039450¥N5¥J 00039460¥X/水(ミづ) 00039470M11/水(ミつ)しなん/所(ところ)へ行き、とふすれハおよがれますといふと、は 00039480M12だをぬがせ、へそのとおりをなわでむすぶ故、これハなん 00039490M13てござりまするときけバ、Sこれよりふかく、はいらつし 00039500M14やるな(三オ) 00039510¥P238 00039520¥G 00039530¥N6¥J 00039540¥Xふんどし 00039550M3三助。もふよがあけた。おきやれ+とおこされ、はい。 00039560M4今おきやす。ふんどしだから、よのあけたをさかしており 00039570M5ます(三ウ) 00039580¥N7¥J 00039590¥X二百十日 00039600M8二百十日ハいつたの。S何、とふにすきたらふ△Sなに、 00039610M9またすきるものか△Sインヱ、それても四万六千日ハ、い 00039620M10イつかすきた(四オ) 00039630¥P239 00039640¥G 00039650¥N8¥J 00039660¥Xはつたけ 00039670M3わしかいなかの山にハ、とんた大きなはつたけかでるて。 00039680M4Sどのくらいこさる△Sまづ大かた、ひらいた所か、さし 00039690M5わたして、五六尺もあろう△Sとんだてつほうをいふ人だ。 00039700M6そのやうなはつたけか、あるものか△Sイヤ、うそてハな 00039710M7いこと。あめがふるときハ、からかさのかハりにします 00039720M8(四ウ) 00039730¥N9¥J 00039740¥X/芝居(しばい) 00039750M11人ぎやうしはいの木戸ばん、二かいのはしこよりおちた。 00039760M12Sそれハまづとふしたと、見まいともたちゆきしに、むミ 00039770M13やうゑんやら、うち身のくすりよとさハく。これ+、き 00039780M14さまハあふないことだ。どこからおちた。三たんめ+ 00039790M15(五オ) 00039800¥P240 00039810¥G 00039820¥N10¥J 00039830¥X茶人 00039840M3ふか川へんへ出かけしか、りつはな住居あり。しほり戸か 00039850M4あいてあるゆへ、あんないなくすつとはいれハ、四でう半 00039860M5に、ろもたちてあり。ミれハたれもいず。すつとざしきへ 00039870M6上り、まづちやをのむ。小僧ミつけて、モシ、旦那さま。 00039880M7あれをのそひてごろうしませ。とんたやつかまいりました。 00039890M8とろほうてこさりましやう。ぶちのめしてやりませふか。 00039900M9Sイヤ、まづまてといふうち、かのやつ、手を二つたゝく。 00039910M10Sイヤ、とほふもないやつた。まあとふするか、いつてミ 00039920M11ろ。小僧ハ、かのやつかまへに手をつきて、はいといふ。 00039930M12Sこれ、かつてかさわかしい(五ウ) 00039940¥P241 00039950¥G 00039960¥T1 00039970¥N1¥J 00039980¥Xよしハら 00039990M3此ころハひさしくおいてなんせん。またほかに、よいこと 00040000M4かてきんしたかといふ。イヽヤ、こゝろかハりでハないが、 00040010M5さん※/痔(ぢ)かおこつて、それてこなんだ。Sそれハさそ、 00040020M6おこまりなんしたてありんしよ。でじか、いぼじか、はし 00040030M7りぢかと、いろ+きけハ、おれかのハ、そんな/痔(じ)てハな 00040040M8い。Sそして、なんでこさりんすへ。おれか/痔(じ)おやぢた 00040050M9(六オ) 00040060¥P242 00040070¥G 00040080¥N2¥J 00040090¥X御いんきよ 00040100M3もし+、御ゐんきよ様。内へぬす人かはいりました。お 00040110M4きておさがしなさい。ナニサ、ばかな。うつちやつておい 00040120M5たがよい。すゝはきにハ出よう(六ウ) 00040130¥N3¥J 00040140¥Xてうちん 00040150M8夜はなしのかへり、ミち+、けらいとはなしなからもと 00040160M9れハ、けらいもはなしつきて、もし旦那。此てうちんにハ 00040170M10なぜ、くさりをつけたものてこざります。Sそれハひよつ 00040180M11と、りふじんなものがきつたとき、きれはなれぬようじん 00040190M12じや。シテ、そのときハたれがもちます(七オ) 00040200¥P243 00040210¥G 00040220¥N4¥J 00040230¥Xゆふだち 00040240M3ゆふたちや+と、うつて通る。これハめつらしいあきん 00040250M4どしやといふうちに、むかふのむすめが出て、これ+、 00040260M5三文かゆふだちをくたさい。Sそれハあんまりすくない。 00040270M6なにゝなさるといへば、さくら草へかけてやる(七ウ) 00040280¥N5¥J 00040290¥Xどく 00040300M9四五人/寄合(よりあい)、/隣(となり)の/女房(にやうほう)ハ、/顔(かほ)は/美(うつ□)しいか、/風(ふう)が/悪(わる)ひ。/向(むこ)ふ 00040310M10の/内義(ないき)ハ、/風(ふう)もかほも/能(いゝ)が、しりかおふきい。とかく、い 00040320M11ゝのがなひものじやといへば、いゝや、女房ハわるいのが 00040330M12いゝ。美しいのをもつと、/若死(わかじに)をする物じやと/云(い)へバ、中 00040340M13/能(いゝ)女房を/持(もつ)た/男(おとこ)、/顔(かほ)をしかめ、さゆをくりやれという。 00040350M14Sとふぞしたか△Sなんだか、/気分(きふん)がわるく/成(なつ)た(八オ) 00040360¥P244 00040370¥G 00040380¥N6¥J 00040390¥Xつんぼ 00040400M3つんぼの/親子(おやこが)/有(あり)。/親仁(おやぢ)、むすこにむかつて、/今(いま)/来(き)たハ、武 00040410M4兵衛でハないか。S/何(なに)さ。あれハ武兵衛さ△Sヘヱ、おれ 00040420M5ハ武兵衛かとおもつた(八ウ) 00040430¥N7¥J 00040440¥Xばかむすめ 00040450M8なんぼばかでも十七なれバ、そでとめてやつたかよいと、 00040460M9そてとめた日、近所のわかゐしゆきて、こりやおむす。そ 00040470M10てとめ、めてたい。とりや、ミたいといへは、Sむすめ、 00040480M11右の手をあぐる。Sこりや、どふもいへぬといふとき、 00040490M12Sむすめ、ひたりの手をあけて、こつちやも(九オ) 00040500¥P245 00040510¥G 00040520¥N8¥J 00040530¥Xやぶいしや 00040540M3やふ竹とんちうの所へゆき、かね+おねかいの義ニつき 00040550M4てまいりました。Sそれハミヽより。はやく御きかせ被成 00040560M5ませ△S日比見たいと御たのミなされました、万やのてい 00040570M6しゆかまいり、内義かわつらいますから、よいいしやを引 00040580M7つけて下されとたのミ。さいわいの事、かのうつくしい内 00040590M8義を御らんしろといへは、それハさいわい。直ニ貴こうと 00040600M9御同道いたそふと、万やへ行けるか、てい主、女ほうのね 00040610M10まへつれいき、Sいしや、ミやくよりかほをよくなかめ、 00040620M11これハかせのつよいかじやが、しやくかつよいといへは、 00040630M12Sていしゆとてもの義ニ、おはりをなされて下されといへ 00040640M13は、いしやそれハかたしけない(九ウ) 00040650¥N9¥J 00040660¥Xこんれい 00040670M16これ+長六よ。こん夜ハたんなさまの所へ、御こんれい 00040680M17御ふるまいによはれた。かならす、かへるの、御いとま申 00040690M18ませうと、いふものしやないそ。かへりにハ、御ひらき申 00040700M19ませうといやれと、母おやおしへけれハ、のミこミました 00040710M20といふて、ふるまいにゆき、たん+長さしきになり、た 00040720¥P246 00040730¥G 00040740M1いくつし、もし旦那様。わたくしハもう、かけおちをいた 00040750M2しませう(十オ) 00040760¥N10¥J 00040770¥Xうらない 00040780M5ひろこうしに、御うらない所と、かんはんを出しあるまへ 00040790M6て、子とも大せいあつまり、あそひけり。Sこれ+、子 00040800M7供衆。こゝに上手の占ハとこしやととへば、子共、ゆひを 00040810M8さし、あれ、むかふのか上手しやといふをきゝつけ、そハ 00040820M9のうらない、とんて出、これ、かきとも。見せさきをふさ 00040830M10くさへあるに、しやうはいのしやまをする。おやたちへこ 00040840M11たへにやおかぬ。内をいへ+ときめる。子とも、そんな 00040850M12ら、あてゝミな(十ウ) 00040860¥P247 00040870¥U噺本大系△第十七巻 00040880¥G 00040890¥T新作落咄/徳治伝(とくぢでん)〔題簽〕 00040900¥Y 00040910M6天明七年刊 00040920M7泉昌有画 00040930M8西宮新六板 00040940M9中本二巻二冊 00040950M10大東急記念文庫蔵 00040960¥Y 00040970M12むかし+、ぢいハ山へ草かりに、ばゞハ川へせんたくも 00040980M13のにハあらず、仕立おろしのごふくやの、うそつかぬかほ 00040990M14でうそつくを、おろかな人のことバをあつめ、はらすじ昔 00041000M15集と題すのミ(一オ) 00041010¥P248 00041020¥G 00041030¥T1 00041040¥N1¥J 00041050¥X歌 00041060M3上方物Sなんと、哥がはやりますか△江戸Sはやるだんか。 00041070M4それだけれど、ふうこうがなくなつてから、すこしねいつ 00041080M5たよふだか、それでもまだ+、女も男も、外の者よりハ 00041090M6哥さ。何と、かミ方も哥がはやりますか△Sイヤ、かミハ 00041100M7おしなべて、ミな哥でござります△Sそして、何といふ人 00041110M8が上手でござります△Sまづ上がたでハ、まづ九重さまサ 00041120M9(一ウ) 00041130¥N2¥J 00041140¥Xゐしや長ばなし 00041150M12女房Sもし、あの久ゑつさんの様に、長ばなしをして、あ 00041160M13んないやな人ハねへ△てい主Sこんどくると、おれがはや 00041170M14くかへして見しやうといふ所へ、ゐしやS久ゑつ、お見ま 00041180M15い△ていしゆSいや申、此ころハ大ぶんぶつそうで、おひ 00041190M16はぎがはやります。此中も通町で、ゐしやがはがれたげな。 00041200M17又こゝのまへでも、ゆふべはがれました△ゐしやSおいと 00041210M18ま申ます△てい主S何と、ちゑか+といふ所へ、おもて 00041220M19をたゝく。Sたれだ+△S久悦でござる。はだかでさむ 00041230M20い。こゝ明て下され△+これハしたり。それ、御らふじろ 00041240¥P249 00041250¥G 00041260M1ゐしやSそれだによつて、はだかできました(二オ) 00041270¥N3¥J 00041280¥X/四季句(しきく) 00041290M4きおひ、おやぶんの所へゆき、おやかた。わしが四季の句 00041300M5をしましたが、まア春ハ、梅の香やとしやしたが、これよ 00041310M6りハ夏がいひ。夕すゞみといふだいに、つき出ふねとしや 00041320M7したが、これ£ハ秋にしよふ。秋ハむさしのといふだいだ 00041330M8が、これよりハ冬にしよう。S是、大きなのろまだ。うぬ 00041340M9がやうなやつの事だ。すでにもろこしにも、アヽ何とかい 00041350M10つたつけ(二ウ) 00041360¥N4¥J 00041370¥Xどじやう 00041380M13さるところに、おろかなる小僧ありけるが、有とき内義、 00041390M14どじやうをにるとて、にへたるしるの中へ打こミけれバ、 00041400M15申、おかみ様。おまへハむこい事をなされますといへハ、 00041410M16女房Sいや、此やうな物ハ、ころされて人にくハれるとう 00041420M17かむといひけれバ、はねたるどぜう、しバらくして、なべ 00041430M18の内にて、おとやミたれバ、かの小ぞう、申、おかミ様。 00041440M19どじやうハもふ、うかみましたか(三オ) 00041450¥P250 00041460¥G 00041470¥N5¥J 00041480¥X/不思議(ふしぎ) 00041490M3ざとう、浅艸のくハんおんへ一七日、だんじきにてこもり 00041500M4けれバ、ふしぎや、七日めに、両がんあきらかなりけれバ、 00041510M5大きによろこび、いそぎやどへかへらんと、道へ出けれバ、 00041520M6ほうがくしれず。とまどいたるこゝちして、しバらく立と 00041530M7まり、目をふさぎ、かんがへ見れバ、ハヽア、くらまへだ 00041540M8(三ウ) 00041550¥N6¥J 00041560¥Xどうらくむすこ 00041570M11どふらくなむすこありけるが、二おやハいふにおよバず、 00041580M12一家一もんよりやいて、ゐけんしけれ共、もちひず。だん 00041590M13+どふらくやまざるゆへ、おやたちのまへによび付て、 00041600M14水盃をしてかんどうしけれバ、しほ+立て表ニ出、小石 00041610M15をひろい、たもとへ入けれバ、母親、是を見、おどろき、 00041620M16人を付見せけれバ、ゆやえはいり、かち+++(四オ) 00041630¥P251 00041640¥G 00041650¥N7¥J 00041660¥X/御能(おのう) 00041670M3けふ大屋様のかわりに、御のうはいけんにいつたよ。Sそ 00041680M4いつハいゝな。おのうといふものハ、どんな事をする 00041690M5Sたいてい、おもしろいものでハない。先しよてに、ひか 00041700M6る上ミ下モをきて出て、マア何のかの+といつてはいる 00041710M7と、又ひかる万ざいを見るよふな人か出て、何のかの+ 00041720M8といふと、うしろのほうにならんでいた五六人の人が、な 00041730M9んのかの+(四ウ) 00041740¥N8¥J 00041750¥X鮒 00041760M12こゝに何事に付ても物しりがほする、にハかゐしやありけ 00041770M13るが、心やすきゐんきよ、ふなのこぶまきをふるまいけれ 00041780M14バ、かのゐしや、此ふなと申内にも、あふミの権五郎ふな 00041790M15と申ハ、かくべつ又ちがいます。むかし権五郎が弥三郎に、 00041800M16まなこに矢をいられ、其てきをゐておとし、其目をあらひ 00041810M17たるちにて出たるゆへ、近江の権五郎ふなといへバ、ゐん 00041820M18きよ、大きにわらひ、それハきさまのいふハ、かまくらの 00041830M19源五郎が事であらふ(五オ) 00041840¥P252 00041850¥G 00041860¥N9¥J 00041870¥X棟あげ 00041880M3仕事し、二三人よりやいて、なんと、此ながやのむねを、 00041890M4こちらのはじから向ふのはじ迄、手ばなしでかけられるか 00041900M5といへば、一人、おれがかけて見せうが、壱升買ふか。ヲ 00041910M6ウ、向ふまでわたるなら、かうべいといふ。かの男、がつ 00041920M7てんだと、むねにあがり、さつ+とかけ、まん中までゆ 00041930M8きて、どふも向ふまでハゆかれぬと、あとへかけもどす 00041940M9(五ウ) 00041950¥P253 00041960¥G 00041970¥T1 00041980¥N1¥J 00041990¥X不筆 00042000M3物しり顔にかけじを見て、あのかけものハ、さんでござり 00042010M4ますといへバ、ていしゆ、いへ、あれハ/詩(し)でござる。又ほ 00042020M5かへ行、かけ物を見て、あれハ四でござりますかといへバ、 00042030M6ていしゆ、いへ、あれハごでござります。かの男、これハ 00042040M7何でも一つづゝ上をいふがよいとこゝろへ、こんど又、か 00042050M8けものをかけたるところへゆき、とこの間を見て、申、あ 00042060M9のかけものハ、ろくでござりますかといへバ、ていしゆ、 00042070M10いへ、あれハしちのながれをかいました(六オ) 00042080¥P254 00042090¥G 00042100¥N2¥J 00042110¥Xぬけ参り 00042120M3二人ある家来、一人八介といふ男、ぬけ参りしけれバ、主 00042130M4じん、大きにいかりけるが、ほどなく立かへりけれバ、ほ 00042140M5うばいの男、まづめしなどくわせける。主人、家ふうにそ 00042150M6むきしやつと、にハへよびよせ、手打ニしけれバ、又八介、 00042160M7いせ£かへりけれバ、こハいかにとおどろき、もし切たる 00042170M8ハ太神宮様の身がハりにやあらざるかと、しがいをきよめ、 00042180M9あらごもなどすき、うやまひけれど、やはり切たるハ八介 00042190M10なり。こハいかにと、あとより来りし八介を見れバ、だい 00042200M11所にて、けんおはらいめしをくつてゐる(六ウ) 00042210¥N3¥J 00042220¥Xぬす人 00042230M14ぬすびとを見つけ、やれ、どろほうよ、よバヽりけるほど 00042240M15に、ながやの者出合、大ぜいにておひまハしけるに、こん 00042250M16やのはりばありけるが、そのくいのかげにかくれてゐける 00042260M17を、やれ、くいのかげにゐるといへバ、いや、あれハくい 00042270M18だといふ。いや、どろぼうだ。いや、くいだとあらそふう 00042280M19ち、どろぼう、くるしさのまゝ、くい(七オ) 00042290¥P255 00042300¥G 00042310¥N4¥J 00042320¥Xつゞら 00042330M3ある家に、ぬす人はいりけるが、見まハせど、何もとるベ 00042340M4きものもなし。此内のおやぢ、さむきとて、あきつゞらの 00042350M5中へはいり、ねてゐけるを、ぬす人、しろものとこゝろへ 00042360M6取出けれど、何やらうごくやうなれバ、道にてふたをひら 00042370M7き見れバ、ゐるいにてハなく、おやぢなり。きもをつぶし、 00042380M8道にてすてける。おやぢ目をさまし、つゞらをせおいて内 00042390M9へかへりけれバ、内にてきもをつぶし、やれ、おやぢ様。 00042400M10よふおかへりなされました。おやちSいや、わいらハわか 00042410M11いとて、おれがぬすまれるもしらぬといふ事が有ものか。 00042420M12ひつきやう、おれが目さとければこそ(七ウ) 00042430¥N5¥J 00042440¥Xつゝみうち 00042450M15あるとき、ひとりかんきよのうさをはらさんと、つゞミを 00042460M16しらべてゐたりけれバ、またしやうじのそとにて、同じく 00042470M17つゞミのおとする。何ものなりとこへをかけけれと、あい 00042480M18さつもなく、うちてはやめバ、そとにもはやめて打けれバ、 00042490M19しバらくあつて、おとせず。しやうじをひらき、うかゞひ 00042500M20見れバ、たぬき、はらをうちやぶり、かたいきにて、ぼん 00042510¥P256 00042520¥G 00042530M1++(八オ) 00042540¥N6¥J 00042550¥Xさゞい 00042560M4いわし、さゞいの所へあそびにゆきけるが、どふだ、さじ 00042570M5るし。おかハりもないか。いつミても、やぼにたつしやな 00042580M6がかほだぞ。おらハこふしてゐても、今にもくじらでもく 00042590M7ると、一ト口にのまれるが、きさまハそのやうな事もない 00042600M8といふうち、いわしのこへせず、人ごへのおびたゞしくし 00042610M9けれバ、ふしぎと、くびをのバして見れバ、小田原町な 00042620M10り(八ウ) 00042630¥N7¥J 00042640¥Xはね鼠 00042650M13かゝり人、何もせず、ぶら+してゐるゆへ、ていしゆ、 00042660M14何と、きさまハおぼへたしやうばいハないか。かゝりうど 00042670M15Sいへ、何もしりませぬが、わしハたつたひとつ、おぼへ 00042680M16た事があります。アノわたのねずミをこしらへます△Sそ 00042690M17んなら、もとでをかそふ。それより十日ほどかゝり、よう 00042700M18+出、ていしゆよろこび、廿八日やげん堀ふどうのまへ 00042710M19にて、口上をのべ、さて、わたの鼠がはねますといつてだ 00042720M20しても++、一つもはねず。ていしゆ、大きにはらを 00042730¥P257 00042740¥G 00042750M1たち、かの鼠をはこの内へ入かへり、したゝかにこゞとを 00042760M2いひ、はこをなげると、箱の内にて、ぱつち+++ 00042770M3(九オ) 00042780¥N8¥J 00042790¥Xかなぼう 00042800M6いなかもの、かなぼうを見て、あれハ何だ。一人の男、あ 00042810M7れハくぼう様の火ばしさ。火ばしなら二本あるはづだが、 00042820M8なぜ一ぽんあるな。さあ一本ハたらぬゆへ、あゝしてたづ 00042830M9ねてあるくのさ(九ウ) 00042840¥N9¥J 00042850¥X/力(ちから)くらべ 00042860M12両国ばしにて、大力なる男とやハらとりと、けんくハをし 00042870M13けるが、何とかしけん、やハらとり、大力に目よりもたか 00042880M14くさし上られける。大力Sおのれ、にくいやつ。是£右の 00042890M15方へなげこむぞ△Sヲヽ右へなげると、うぬが右のあばら 00042900M16をけおるぞ△Sそんなら、左へなげる△Sヲヽ左リへなげ 00042910M17ると、左リのあばらをけおる。むこふへなげると、むねの 00042920M18あばらだ。大力、さしあげていて、こまりはて、人ごろし 00042930M19+(十尾オ) 00042940¥P258 00042950¥G 00042960¥N10¥J 00042970¥Xうそつき 00042980M3申、おきゝなされませ。此中わたしが風のふくとき、から 00042990M4かさをさして出たれバ、風がふうとふくと、だん+ふか 00043000M5れて、あがるほどに+だん+あがつて、はつたりと 00043010M6つかへたから、手を出して、いぢつて見たれバ、/星(ほし)がさら 00043020M7++ 00043030¥Q泉昌有画 00043040M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十尾ウ) 00043050¥P259 00043060¥U噺本大系△第十七巻 00043070¥G 00043080¥T落咄/下司(げす)の/智恵(ちえ)〔題簽〕 00043090¥Y 00043100M6天明八年刊 00043110M7市場通笑作 00043120M8北尾政美画 00043130M9西村与八板 00043140M10中本二巻合一冊 00043150M11都立中央図書館加賀文庫蔵 00043160¥T1 00043170¥N1¥J 00043180¥Xはなさきおとこ 00043190M14むかしのはなさきぢゝイハ、はいをまいて、はなをさかせ 00043200M15たといふこと。それよりハぐつとめつらしい。へをひつて、 00043210M16はなをさかせる。それハけんぶつことだと、よひよせたと 00043220M17ころが、かのおとこ、にハのむめのきのもとへゆき、しり 00043230M18をまくつてひると、むろざきなとハおもひもないこと、一 00043240M19めんにはながさいた。ミな+、これハ+きめうなこと 00043250M20だといへハ、かのおとこ、こればかりでハない。このはな 00043260¥P260 00043270¥G 00043280M1のあとを、おめにかけよふといへバ、そバから、コレ+、 00043290M2ミハごめんだ(壱オ) 00043300¥N2¥J 00043310¥Xはいかい 00043320M5Sそうせう。モシアノ、しんりんの、きよしよのと申るい 00043330M6ハ、なんのことでござりまする△S宗まづじんりんとハに 00043340M7んけんのこと、きよしよとハいへ、もん、へい、まどのた 00043350M8ぐひ、すいへんとハすべてミづのなかれ、したいとハにん 00043360M9けんのからだのうちにそなハつたもの、そびきものとハく 00043370M10も、ミつ、けふりのたぐひでこさる△Sそれでわかりまし 00043380M11たと、きゝおほへでかへり、だん+いまきいたことを思 00043390M12ひだしていると、かとくちへひとがたつて、せうべんをし 00043400M13て、へをふつとひつてゆく。うちよりとんででゝ、Sヤイ、 00043410M14じんりんまて。じんりんのきよしよのまへて、したいをい 00043420M15だし、すいへんをなかすのミならず、あとのそびきものハ、 00043430M16なにごとじや(壱ウ) 00043440¥N3¥J 00043450¥X/下司(げす) 00043460M19Sおいらハよく+げすにむまれたそふだ。どふもへがひ 00043470M20りたくてならぬが、これからミれは、たんなしゆハ、よく 00043480¥P261 00043490¥G 00043500M1へをひらないもんだナア△Sばかなことをいやれ。だんな 00043510M2しゆだとつて、へをひらぬものか。Sすいぶんひるのサ 00043520M3Sそれてもついに、だんなしゆのひつたを、きかないそや 00043530M4Sナニ、ひりやアひるか、だんなしゆのハ、くさくないわ 00043540M5ナ△Sとんだことをいつたものだ。だんなしゆのへだとつ 00043550M6て、くさくないことかあるものか△Sハテ、そふいやんな。 00043560M7アノしゆのハ、はぶたいこした(二オ) 00043570¥N4¥J 00043580¥Xともたちどふし 00043590M10Sでんぼうや。おれがいまへをひるから、なんと、とらま 00043600M11へて見ないか△Sがつてんた。ひつつかまへて見せふと、 00043610M12うしろへまわり、はちまきにうでまくり、いきほひこんで 00043620M13まちかけている。こちらもしりをまくり、ぶつとひる。ぐ 00043630M14つとおさへる。Sしめたぞ+△Sどふた。おさへたか 00043640M15+△Sヲヽサ。おやハにがしたが、こをとらまへた(二ウ) 00043650¥N5¥J 00043660¥X/表座敷(おもてざしき) 00043670M18Sしよくわいのざしきにて、女郎、きうにへがひりたくな 00043680M19り、どふもしよふがなさに、そつとひつて、すぐにつゝミ、 00043690M20なにくハぬかほにて、れんじのあいだから、むかふへうつ 00043700¥P262 00043710¥G 00043720M1ちやると、ひさしをころ+ところけて、かどぐちのてん 00043730M2すいおけのうちへおちて、ブク+++(三オ) 00043740¥N6¥J 00043750¥X/医論(いろん) 00043760M5しせ/□((う脱カ))Sせうかんろんのこうしやくをしてゐる。まとのし 00043770M6たて小へんをしてとおつた。そのおとをきいて、せんせい 00043780M7の/代((不明))いわく、いまのせうすいのおとを、いづれもにハ、い 00043790M8かゞきかれた。Sでしいかさま、せうすいにしきりがあつ 00043800M9て、いきほひのこざらぬハ、らうじんと見へまする△S今 00043810M10一人イヤ+、いまのハたしか、りんびやうとおもわれま 00043820M11す△S今一人せつしやハまた、らうしやうであらふとおも 00043830M12ひます△S先生こゝがいろんのたいじ。いつれものゐあん 00043840M13も、もつともながら、あれハすこしちがひます△Sでしミな 00043850M14+して、せんせいのおぼしめしにハ△S先生あれハ、は 00043860M15らにへをもつたものでござる(三ウ) 00043870¥N7¥J 00043880¥X/初(しよ)くわい 00043890M18Sとこのうちて、女郎、ふいととりはづして、はづかしそ 00043900M19ふに、もし、ぬしやアさぞ、ざつなとおもひなんせうか、 00043910M20わつちやア、かゝさんのひやうきのぐわんに、しよくわい 00043920¥P263 00043930¥G 00043940M1のきやくしゆのまへで、つきに一どづゝ、はぢをかこふぐ 00043950M2わんだてをしんしたによつて、それでいまのよふに、はつ 00043960M3かしいことをしんしたから、かならす、ひとにいつてくん 00043970M4なんすなといふくちのしたから、また一つ、ぶつとやれバ、 00043980M5ヲヤ、うれしいのふ。らい/((げつ脱カ))ぶんまですミんした(四オ) 00043990¥N8¥J 00044000¥Xなじみ 00044010M8Sなしミのとこで、ぶつとのとりはづし。女郎、ぬからぬ 00044020M9かほで、かならすわらいなんすな。わつちやア、ぬしをき 00044030M10やくしゆだとハおもひんせぬ。やつはり、ていしゆだとお 00044040M11もいんすによつて、こんなはづかしいことをしんした。か 00044050M12ならすあしく、おもつてくんなすな。Sなに、おれがわ 00044060M13るくおもふものか。そふこゝろにへだてのないが、やつぱ 00044070M14りありかたいわな△Sそふいつてくんなんすりやあ、わつ 00044080M15ちもうれしいけれとゝ、いふくちのしたから、またふつと 00044090M16ひれハ、S客ハテ、うたかひぶかい(四ウ) 00044100¥N9¥J 00044110¥Xおいらん 00044120M19Sちどりや。てめへハざつなもんたのふ。おきやくのざし 00044130M20きて、おならをするといふことがあるものか。たしなんた 00044140¥P264 00044150¥G 00044160M1がいゝSどふも、それでもこらへられんせんものヲ 00044170M2Sコレ、そのときハの、おいどへかゝとを、コヲあてゝの、 00044180M3しつかりとかふおさへてと、おしへながら、おいらんが、 00044190M4ぶつととりはづして、ミや。はづれると、こふだ(五オ) 00044200¥N10¥J 00044210¥Xどろぼう 00044220M7Sこんやのうちへはいつたところが、うちのこぞうがはい 00044230M8だしたゆへ、しゆびわるしと、にハの大かまのうちへかく 00044240M9れている。うバ、めをさまし、そのこに、せうよふをやり 00044250M10ながら、うバ、ぶつととりはづせハ、S小そうヲヤ、ばゝ 00044260M11アがへをひつたよウといへバ、Sうバヱヽ、このおこハ。 00044270M12わたしじやござりませぬ。いまのハよそのどろぼう/((と脱カ))いへバ、 00044280M13かまのうちにて、これハめいわく(五ウ) 00044290¥P265 00044300¥G 00044310¥T1 00044320¥N1¥J 00044330¥X/丸(まる)の/内(うち) 00044340M3Sいなかもの、まるのうちをとをり、きうにくそがひりた 00044350M4くなり、せつちんをたづねてもしれぬゆへ、かミをたして 00044360M5ひり、すぐにつゝミて、たもとへいれてゆく。むかふへこ 00044370M6ひとりがとをりけれバ、Sいなかこれ+、こゝにちつと 00044380M7ばかりあるが、かつて下されと、だしてやれバ、Sこひと 00044390M8りモシ、ないせうものハかわれませぬ(六オ) 00044400¥P266 00044410¥G 00044420¥N2¥J 00044430¥X/茶人(ちやじん) 00044440M3Sふるいとうぐをあつめるときひて、めつらしいものをも 00044450M4つてて、うりにきた。まづ見たところが、ふるたおりべの 00044460M5たびに、せきしうのゑつちうふんどし、ゑんしうこうのせ 00044470M6つちんのふミいた。だん+めつらしいものまた一つ、二 00044480M7じうのはこにいれ、はぶたへのふくさに、ふたへにつゝん 00044490M8だハ、せんのりきうのくそ。これハめづらしいものと、よ 00044500M9く+見て、いかさま、ふるびよふハいゝ。りきうにさう 00044510M10いもあるまいと、こぐちのほりをミて、しかし、あつきハ 00044520M11あとのものとおもハるゝ(六ウ) 00044530¥N3¥J 00044540¥Xあくたい 00044550M14Sばかなつらじやねへか。くそのにへたもしらねへで 00044560M15Sうぬハ、そしてくそのにへたをしつているか△Sしらね 00044570M16へで、とふするもんだ△Sそりやハどふして△Sたまごの 00044580M17ふわ+で(七オ) 00044590¥P267 00044600¥G 00044610¥N4¥J 00044620¥X/主従(しうじう) 00044630M3Sだんな、せつちんへゆき、ひりかけたところが、とんだ 00044640M4かたい、ふといながいやつがでゝ、いきんでもおりず。ど 00044650M5ふもしよふがなく、かくない+とよびよせ、そのほうハ 00044660M6しゆじんにちうぎをそんじておるならバ、こゝへきて、お 00044670M7れがくそをひきだしてくれい。Sかく内かしこまりました 00044680M8と、またぐらへてをやり、もろてをかけて、ひいてミても、 00044690M9いつかなうごかず。こんかうりきをだして、ひだりへねじ 00044700M10れバ、だんなハひたりへむく。ミぎへねじれバ、またミぎ 00044710M11へむく。すこしやハらいだとき、したへひいたり、ゆかめ 00044720M12たりするたびに、だんなのくびか、がつてん+(七ウ) 00044730¥N5¥J 00044740¥Xたんれん 00044750M15S八せんから、にうばいぢうつゞいてのながあめ、このせ 00044760M16つハけんじゆつのけいこも、すこしはなについて、てしと 00044770M17もあつまりて、よはなししけるうち、ひとり、せつちんへ 00044780M18ゆきてかへり、さて、こんや/ハ((とカ))いふこんやハ、ひごろしゆ 00044790M19れんのはや+わざをあらハしたといへバ、ミな+、そ 00044800M20れハきこうおてがら。シテ、いかやうなことでこざる。 00044810¥P268 00044820¥G 00044830M1Sされバのこと。まづせつちんのとをひらいて、うちへい 00044840M2り、まくり、またぐ。ひる。はねる。ひらく(八オ) 00044850¥N6¥J 00044860¥Xまちぶせ 00044870M5Sこのころ、おくながやへひきこしてきたかミさま、こも 00044880M6ちでハあれど、とんだうつくしいもの。なんでもあいつハ 00044890M7うつちやつておかれず、しめてやろふと、よひやミをさい 00044900M8わい、さうせつちんにはいつてまつてゐると、あんのぜう、 00044910M9おくながやのほうから、こまげたのおとがする。たしかに 00044920M10あいつだが、なんでもうちへはいつたら、だきついてくり 00044930M11やふと、いきをつめて、まちうけてゐる。そのおんなが、 00044940M12せつちんのそとで、ヱヘンとせきばらいをする。こゝぞと、 00044950M13じつといきをころしていれバ、そとからのびあがつて、お 00044960M14かハをざつぷり(八ウ) 00044970¥N7¥J 00044980¥Xながや 00044990M17Sいへぬしりやうけんならぬ+△S店中モシ+、りよう 00045000M18けんなされて下さりませS家イヤ+、りようけんなり 00045010M19ませぬ。いへぬしをもしてゐるわしを、このおとこか、く 00045020M20そともおもわぬといゝましたS店それハいへぬしさまの 00045030¥P269 00045040¥G 00045050M1おはらだちハ、ぢう+こもつとも。これまあ、きさまハ 00045060M2おゝやさまを、くそともおもわぬといふようなことがあら 00045070M3ふか。けふハわしどもがわひこと、りやうけんしてもらい 00045080M4ますほとに、このすへハおゝやさまを、くそとおもわつし 00045090M5やれ(九オ) 00045100¥N8¥J 00045110¥X/異見(いけん) 00045120M8Sしんぞう、せつちんへはいつてゐる。あね女郎が、これ、 00045130M9ミちしバさん。ぬしやアこのごろ、ミせへてなんして、一 00045140M10ざのきやくしゆをふるといふやうなことがあるものておす 00045150M11か。それじやアわつちが、なじミのきやくしゆへ、たちん 00045160M12しないわな。こんどからきつと、たしなミなんせと、しか 00045170M13つても、ものもいわず。Sきつと、たしなミなんし。こん 00045180M14とこんなことかあると、ないせうへことわるによといつて 00045190M15も、たんまり。あね女郎はらたて、ヱヽぬしア、わつちに 00045200M16ばつかりものをいわせて、なぜへんじをしなんしない。き 00045210M17つとたしなミなんしよと、きつくいふと、うちにていきん 00045220M18だこへて、Sかしこまりました(九ウ) 00045230¥P270 00045240¥G 00045250¥N9¥J 00045260¥X/考所(かんじよ) 00045270M3Sせつちんをかんじよといふことハ、どふしたもんだの。 00045280M4あれハしづかなところで、わきへきがちらぬによつて、な 00045290M5んぞかんかへるにハ、いつち、せつちんがよいふんべつが 00045300M6てるものだ。それてかんじよといふのさ。Sそんなら、ふ 00045310M7んべつハせつちんでするがよかろうと、せつちんへはいり 00045320M8て、ひさしくでずにいる。あんまりひさしいから、あとか 00045330M9らいつてミて、どふだ。よいふんべつがでたかといへハ、 00045340M10Sふんハでたか、べつハまだゝ(十オ) 00045350¥N10¥J 00045360¥Xたとへ 00045370M13Sにんげんといふものハ、せかいとおなじことたの△Sそ 00045380M14りやアなせ△Sハテ、りやうほうのめハ、にちりんがちり 00045390M15ん、かミのけがそうもく、つめがいし、くちハうミ、はな 00045400M16ハやま、すべて、せかいとおんなしことよ△Sいかさま、そ 00045410M17ふいやれバおなしこつたの。へハかぜでもあろふし△Sそ 00045420M18うさ。小べんハあめの△Sくそハまた、なんだろう△Sア 00045430M19レカ。あれハゆきさ△Sまちやれよ。ゆきならバしろそふ 00045440M20なものだ△Sハテ、そこがぼんぶのあさましさだ(十ウ) 00045450¥P271 00045460¥U噺本大系△第十七巻 00045470¥G 00045480¥T/百福茶大年咄(ひやくふくちやおゝとしはなし)〔題簽〕 00045490¥Y 00045500M4天明九年正月序 00045510M5万季序 00045520M6恋川春町画 00045530M7鱗形屋板 00045540M8中本三巻合一冊 00045550M9大東急記念文庫蔵 00045560¥Y序 00045570M13/土(つち)も/木(き)も皆大やさま/有物(あるもの)を、/何処(いづく)か/己(おれ)が/栖(すミ)か成べきと/自得(じとく) 00045580M14して、当世/鬼(き)ハきを通し、節分の豆をも待ず福神と入替り、 00045590M15西の海へさらり+の、朝雲を/掴(つかむ)/怪(ばけ)物/捜(さがし)、火をも水に言な 00045600M16す落咄の戯言、道成寺の金にせんと、鱗が/梓(あづさ)にちりばめけ 00045610M17る。其/来由(はじめ)を斯のごとく申て、序なりと/言(いふ)ことしかり 00045620M19△△△天明九酉ハ 00045630M20△△△△△初音の鴬ころ△△△△△△△△△G△(一オ) 00045640¥P272 00045650¥G 00045660¥N1¥J 00045670¥X▲市帰り 00045680M3二三人つれにて、くわん音の市へゆき、帰りに北こくと出 00045690M4た所が、大のもて印。内へ帰つて、どうもこたへられす。 00045700M5あくる日そう+、つれをさそい、うらに行たら、又初会 00045710M6£かくべつおもしろく、女郎が、どなたも、よふおいでな 00045720M7んしたといふて、座に付て大あぐらをかいている。きやく、 00045730M8きもをつぶし、いかにおいらがやぼたとて、吉原に有まし 00045740M9き仕内といへば、S女郎それてもぬしたちハ、いちのうち 00045750M10においでなんしたから、こつ(一ウ)ちも立引ろくにおりや 00045760M11す 00045770¥N2¥J 00045780¥X▲市 00045790M14くハん音の市へ行、いろ+かい物をして、日がくれて、 00045800M15内へさつ+と帰ると、月夜ざしに見こし入道が、うしろ 00045810M16からみこす所が、月かげにミへけれバ、きもをつぶし、い 00045820M17ちもくさにかけて行と、やハり跡から、みこし入道がおつ 00045830M18かけてくるゆへ、南無三と、目をねむつて、内迄かけ付、 00045840M19くゝり戸をあけ、内へかけ込にかゝると、せなかにさした 00045850M20しやくしがつかへて、まをのけさまにたをれた(二オ) 00045860¥P273 00045870¥G 00045880¥N3¥J 00045890¥X▲すゝはき 00045900M3けふハ日よりもよし、れい年のとふり、すゝをとらふと、 00045910M4家内大さハぎ。よい+で琴をもち出す十三日と、川柳の 00045920M5付合のごとく、めでたくしまつた所か、へつついのうへに、 00045930M6大きなすゝがぶらさがつてある。これハとんだ事をした。 00045940M7とらずバなる(二ウ)めへといへバ、としより、そばから出 00045950M8て、なに、うつちやつておくがいゝ。どふで又、らいねん 00045960M9とるもんだから、そのときとるがいゝ(三オ) 00045970¥P274 00045980¥G 00045990¥N4¥J 00046000¥X▲石とうろう 00046010M3此ごろ、弁てんの石どうろうが、こハいろをつかふとの大 00046020M4ひやうバん。すさまじいきゝてゆへ、こんや、おいらもい 00046030M5つてきいてきやうと、行た所が、こんやハつかわれませぬ 00046040M6とのことハり。大ぜい、聞及でせつかくきたものを、なぜ 00046050M7つかハぬといへハ、S石どうろう夕部風を引まして、こゑが 00046060M8たちませぬ△S大せいばか+しい。石どうろうが風をひ 00046070M9いて、つまる物かといへバ、Sイヱ+、それでも、あた 00046080M10(三ウ)まがおもくつて、これ、みなさへ。からだ中が、さ 00046090M11めはだになりやした 00046100¥N5¥J 00046110¥X▲しわんぼう 00046120M14しわい女ぼう、もしだんなへ。今夜ハ巳まちだから、弁天 00046130M15様へ参つてきやすと、けせうをして出た所が、おしろいを 00046140M16鼻のさきへ斗りぬつているゆへ、ていしゆ、きもをつぶし、 00046150M17てめへもミとうもねへ。なぜ、はなへ斗り、おしろいをぬ 00046160M18つていやるといへバ、これでやうごさりやす。おこそつき 00046170M19んをかぶつて、つい行てきやすから(四オ) 00046180¥P275 00046190¥G 00046200¥N6¥J 00046210¥X▲もちつき 00046220M3ひん/か((ほカ))うな人、しハすになつても、もちをつく事ならねバ、 00046230M4大こんを切て、切もちそなへのやうにこしらへて、まに合 00046240M5せ、正月元日に、大こんをぞうにゝして、いわひている所 00046250M6へ、大こくふを見さいなと、こじきかおどりてくれバ、大 00046260M7きにはらをたち、おれが大こんをくふに、われがせわにな 00046270M8る物かといへバ、Sこじき、きもをつぶし、わたくしハあ 00046280M9なたの大こんを(四ウ)あがるのハぞんじませぬ。これハ吉 00046290M10れいに、いわつてまいるのでごさります。しかし、かう申 00046300M11ても、おきにかゝりませうから、も一つ、いわひなをしま 00046310M12せうと、小つちをふり上ケ、大こくうまいを見さいな 00046320M13(五オ) 00046330¥P276 00046340¥G 00046350¥N7¥J 00046360¥X▲ことバとがめ 00046370M3松や+とうつてくる。これ松よ。いくらだ。Sハイ、百 00046380M4五十でこさりやす△S百にまけさつせへ△Sイヽヱ、まか 00046390M5りやせんと、かついで行バ、Sそんなら、もふ廿四文やろ 00046400M6う△Sハイ。もふ少しの事だ。おかいなさりやし△Sしれ 00046410M7た事だ。Sモヲ少しだからかふ。はるになつて買て、なん 00046420M8にするものだ 00046430¥N8¥J 00046440¥X▲/臼杵(うすきね)寄合 00046450M11ナント臼どの。このやうにあけてもくれても、もち米斗り 00046460M12つかれ(五ウ)てハ、からだかつゞかねへでハごさらぬか 00046470M13S臼なるほど、杵どのいわるゝ通り、つゞきませぬ。き付 00046480M14に一ツはい、のもふでハあるめへか。よからうと、二人が 00046490M15ちやわんでくいのミ。とつちりものになつて、サア一トね 00046500M16入いたそう。またつきやが見付て、つくでこざろうと、そ 00046510M17バのむしろを引かけ、一トね入ねて、しバらく過、これ杵 00046520M18どの。たいぶ、あたまがおどるでハござらぬか。さやふさ。 00046530M19目をさまして見さつせへといゝながら、目をあいて見ると、 00046540M20いつかつきやがきて、ズイ+(六オ) 00046550¥P277 00046560¥G 00046570¥N9¥J 00046580¥X▲ぐわん人坊主 00046590M3トヲ+どう行でこざい+と、ぐわん人坊主がまつぱだ 00046600M4かになつてくると、コレ+、てめへたちやア、此さむい 00046610M5のに、はだかであるくとハ、とんだきでうな事だといへバ、 00046620M6Sぐわん人ナアニ、そんなにさむくもござりやせん、惣身 00046630M7をかほだと思ふと、すミやす(六ウ) 00046640¥N10¥J 00046650¥X▲こつじき 00046660M10どうらくもの、乞食になつた所が、道風のかんどうばのや 00046670M11うに、立はにまよひぬれ、さきのごとくうろ+している 00046680M12と、はふばいのこじき、コレ、てめへ。そのやうにうろた 00046690M13へてゐてハつまらぬから、おれと一ツしよに、せきぞろに 00046700M14でやれ。せけんにハ他人ばかりハねへもんだといへバ、な 00046710M15るほど、そうしやせうと、二人でせきぞろにでた所が、ミ 00046720M16んな壱もん(七オ) 00046730¥P278 00046740¥G 00046750¥N11¥J 00046760¥X▲ものしり 00046770M3ものといふ物ハ、よくかんがへて名を付た物だ。中にも、 00046780M4はま弓なぞハ、/魔(ま)を/破(やぶ)るといふ心で、はま弓と名を付た物 00046790M5だ。Sハテナ。そんなら、べつかつこうとハ、なぜいふの 00046800M6Sアレカ。あれハ一ツ/体(たい)が人げんとハ、かつかうがべつだ 00046810M7から、それで/別格好(べつかつこう)といふのさ(七ウ) 00046820¥N12¥J 00046830¥X▲せいぼ 00046840M10やともちの手代、だんなの所へせいぼに、かれの魚を四枚、 00046850M11だいにのせやりけれバ、旦那、大きにりつふくし、かの手 00046860M12代をよび、五まいくれそうなさかなを、かづわるふくれる 00046870M13こゝろハ、どふした事といへバ、手代かしこまり、くれの 00046880M14お四まいも/四(よ)かれといふ心で上ケましたといへバ、フウ、 00046890M15おれハまた、よび付て/四(し)かれといふ事かとおもつた(八オ) 00046900¥P279 00046910¥G 00046920¥N13¥J 00046930¥X▲/獅子(しゝ) 00046940M3大かぐらのしゝを、とんだこわがる子どもありて、しゝさ 00046950M4へくると、こわい+といつてにげる。ある時、母おや、 00046960M5おめしをくわせるとて、けふのめしハ、とんだこわいとい 00046970M6へバ、/子(こ)Sナアニ、獅子でハあるまいし(八ウ) 00046980¥N14¥J 00046990¥X▲たび売 00047000M9ふくろたび、さしたびと、うつてゆくと、コレ+、たび 00047010M10を一そく下さい。Sなにを上ケます△Sねづミがいゝ。あ 00047020M11いとうつてやると、又となりで、おれもねづミを一ツそく 00047030M12かをうといへバ、むかうの内からも出て、ここへも一ツ足、 00047040M13十文のねづミを下さいといふゆへ、さて+、きつい鼠の 00047050M14すきな所だ。こゝハ何といふ所でござりますときけバ、こ 00047060M15ゝハ、ゑこういんまへ(九オ) 00047070¥P280 00047080¥G 00047090¥N15¥J 00047100¥X▲だい+ 00047110M3だい+、より合をつけ、なんと、年+江戸へ出ても、 00047120M4くしにさゝれ、かざりの上へに、かんざらしになつてゐて 00047130M5ハたいぎだから、ことしハ申合て、江戸のものをこまらせ 00047140M6てやりませうと、国にひつこんで出ず。江戸にてハ、くハ 00047150M7ん音の市に行ても、四日市にも、だい+が一つもなけれ 00047160M8バ、大きにこまり、おもてのかざりにハ九ねんぼをつけ、 00047170M9内のかざりにハミかんを付て、まに合(九ウ)せけれバ、此 00047180M10さた、ほのかにだい+ハきゝおよび、大きにあきれ、わ 00047190M11れ+がなけれバ、くねんほやミかんがいつぱいをする/た((ママ)) 00047200M12ふだ。なんでも江戸へおしかけて、九ねんぼをひきずりお 00047210M13ろしてやろうと、一みして江戸へおしかけけれバ、あんの 00047220M14ごとく、おもてかさりハくねんぼ、内のくいつミハみかん 00047230M15ゆへ、まづおもてのくねんぼを引おろさんとするところへ、 00047240M16ゑびが、しばらく(十オ) 00047250¥P281 00047260¥G 00047270¥N16¥J 00047280¥X▲そば切 00047290M3そばを申付た。サア+あがれと、ふたをとつて、ていし 00047300M4ゆもすこしくふて見、これハどうしたやら、こん夜のハき 00047310M5ついきれやう。せつかくおふるまひ申て、おそれ入ツたと 00047320M6いへバ、Sきやくどうもいへませぬ。やどでハこれより、 00047330M7きれためしさへ下されます(十ウ) 00047340¥N17¥J 00047350¥X▲せつぶん 00047360M10どもり、とし男にたのまれ、豆をまくとて、ゑほうにむか 00047370M11ひ、一つかミ、ばらりとまいて、おにやアといつた所が、 00047380M12あとがつかいて、きうにです。たゞ、おにやア+とばか 00047390M13りいつてゐれば、おもてに鬼がいくらもゐて、どうだ+。 00047400M14でるのか、はいるのか(十一オ) 00047410¥P282 00047420¥G 00047430¥N18¥J 00047440¥X▲りくつ 00047450M3ものにハいんねんといふて、いやといわれぬ事があるもん 00047460M4だ。三味せんハねこのかわてはるから、ひざへあがる。た 00047470M5いこハ馬のかわだから、かわになつてもたゝかれる。つゞ 00047480M6みハさるのかわだから、かたへ上る。Sそして大つゞミハ、 00047490M7わきのしたへはさむが、あれハなんのかわだ△Sあれか。 00047500M8あれハ/鯛(たい)のかわだ(十一ウ) 00047510¥N19¥J 00047520¥X▲とし忘れ 00047530M11五郎。夕べノヤ、旦那の所で年忘れがあつて、おどり子が 00047540M12大ぜいきて大さハぎよ。Sハテナ、それハおもしろかつた 00047550M13らふ。なんぞおどりをミたか△Sイヤモウ、いかいことミ 00047560M14た。まづはじめが、どうせうじ、それから、うしろめん、 00047570M15それから、ゑぼしをかぶつて、ごへいをさして、まいをま 00047580M16つたが、なんとかいつたつけよ。ヲヽそれ+、ほうろく 00047590M17/舞(まひ)とよ(十二オ) 00047600¥P283 00047610¥G 00047620¥N20¥J 00047630¥X▲せつぶん 00047640M3コレ+折介。こん夜ハせつぶんだから、あかいわしをか 00047650M4つておけと、旦那いゝ付けれバ、S折介イエ+、此けん 00047660M5やくの世の中に、其やうな物をおかいなさるハ、きついご 00047670M6いらへでござります。わたくしがわきざしで、おまに合せ 00047680M7なされますが、ようござります。Sそれでも。これ、ごろ 00047690M8うじまし。さやがひいらぎで、/身(ミ)があかいわしでござりま 00047700M9す(十二ウ) 00047710¥N21¥J 00047720¥X▲せつぶん 00047730M12おはうちからせししんとうじや、せつぶんの夜に、しゆ行 00047740M13にあるいたら、やふやく二三文しらもらハず。せんかたな 00047750M14く内へかへり、鬼うちまめをかうにも、あたいがなけれバ、 00047760M15豆にゑんあれバとて、とうふのからを二文がかい、内中へ 00047770M16まきけれバ、ゑんのしたから、子どもの鬼がいくつも出て、 00047780M17ゆきこん+よ(十三オ) 00047790¥P284 00047800¥G 00047810¥N22¥J 00047820¥X▲忠臣くら 00047830M3四方都、どうだ。どうだ所じやアごさりやせん。夕部もろ 00047840M4のふさまのおやしきへとまりやしたら、夜はんじぶん、ゑ 00047850M5んや様の御けらい四十七人とやらが、かたき打にをしこみ、 00047860M6大ことよ。やう+わたしも、やねへにげて命をたすかり 00047870M7やした。Sそれハどうもがつてんのゆかぬ。ゑんの下へに 00047880M8けそうな物を、めくらのざいに、やねへにげたとハすまぬ 00047890M9Sサレバサ、ゑんの下ハ、ミな御家中(十三ウ) 00047900¥N23¥J 00047910¥X▲ざとう 00047920M12けんぎやうのむすこ、どうらくにて、おやじがたんせいし 00047930M13てためるかねを、たん+ぬすミ出してつかふゆへ、けん 00047940M14ぎやう、大キにはらをたち、せがれをひさもとへよび付、 00047950M15ヤイ、おのれハおやにふこうなやつだ。おれがかふやつて 00047960M16ゐる内ハ、どうかこうかしてゆくが、あすが日ひよつと、 00047970M17おれが目をぱつちりとあいたら(十四オ) 00047980¥P285 00047990¥G 00048000M1(十四ウ) 00048010¥N24¥J 00048020¥X▲植木や 00048030M4うへきやの内へ、かけ取が二三人行た所が、おもてにむろ 00048040M5ざきのむめが、いくらもならべてありけれバ、かけ取いふ 00048050M6よふ、S申、だんな。むめがよくさいてこざります。梅と 00048060M7いふ物ハ、はるでなけれバさかぬものが、とふしてこのよ 00048070M8ふに、さいた物でござりますといへバ、ていしゆSイヤ、 00048080M9これハむろのはやざきといふて、むろの中へ入ておきます 00048090M10から、室のあたゝかミで、此やうに咲た物さといへバ、 00048100M11Sハテナ。それハよいあんばいにした物だ。なんとわたし 00048110M12を、そのむろの中へ入ておミせなされぬかといへバ、ていし 00048120M13ゆSやすいことだ。入てミなさいと、室の中へ入たところ 00048130M14が、しはらくしてもあからず。いまのかけとりハどうした。 00048140M15むろの中からあからぬが、たれそ、ミてこいと、(十五オ) 00048150¥P286 00048160¥G 00048170M1ていしゆいゝつけ、むろ中から、かけとりを引あげたとこ 00048180M2ろが、こハいかに、/上下(かミしも)すがたで、あけましてハよひはる 00048190M3でごさります(十五ウ) 00048200¥P287 00048210¥U噺本大系△第十七巻 00048220¥G 00048230¥T落咄/新米牽頭持(しんまいたいこもち)〔題簽〕 00048240¥Y 00048250M5天明九年刊 00048260M6清遊軒序 00048270M7北尾政美画 00048280M8蔦重板 00048290M9中本二巻二冊 00048300M10大東急記念文庫蔵 00048310¥Y序 00048320M14むかし+/爺(ちゝい)と/婆(ばゝア)の/歯無(はなし)より、/舌切雀(したきりすゝめ)を/放(はなし)出し、/枯木(かれき)に/咲(さか) 00048330M15せし/花師(はなし)の/説(せつ)、/歯無歟(はなしか)、/放歟(はなしか)、/将(はた)花師/歟(か)、元より/根(ね)のなき 00048340M16/葉(は)なしの/文字(もじ)、とくと/考(かうか)へ侍るに、何がなんだかしれぬ成 00048350M17べし。/爰(こゝ)に/撰(ゑらべ)る所の噺は、咄のやうなはなしにして、お/菓= 00048360M18子(くわ=し)くつて、御/臍(へそ)てわかせしお茶てもあかる席の、一興なら 00048370M19んといふ事をしるすのミ 00048380M20△△△△△△△△△△△△清遊軒誌G(一オ) 00048390¥P288 00048400¥G 00048410¥T1 00048420¥N1¥J 00048430¥X飴宝引 00048440M1サア、ごさい+と、表へあめ宝引がくる。子ども、おや 00048450M2ぢにむかい、おれにも、ぜにをくんな。親ぢ○よせ+。 00048460M3あれハそんなものた。ナニ、一文で廿四文かものをとるか 00048470M4ら、とくなものだ。どふしてとれる物だ。○きつととれる。 00048480M5モシ、おれにあたらねへでも、だれかしら、あたりハあた 00048490M6る(一ウ) 00048500¥N2¥J 00048510¥X手まり 00048520M9はるハとかく、子ともにあをそらをミせるかくすりた。そ 00048530M10れだから、ソレ、たこをあけさせるか、そして女の子にハ 00048540M11まつ、羽この子をつかせるか、なんと、いゝつもりにした 00048550M12物だろふと、一はいにはなすを、そばから、そんなら、ア 00048560M13ノまりハ地斗ミせるが、あれハどふした物だ。ムヽ、アレ 00048570M14もぜんたい、足でけあけて、空をミせるが、ほんの事だ 00048580M15(二オ) 00048590¥P289 00048600¥G 00048610¥N3¥J 00048620¥X若水 00048630M3コレ三介。わか水をくんでこい。ハイと、くミに行所を、 00048640M4コレ+、上下を着てくまねハならぬと、すくに出してき 00048650M5せけれハ、三助ハさつそく、わか水をくんて来り、手ぬく 00048660M6いを出して手をふきしまい、かたへかけそふにして、モシ 00048670M7旦那。この手ぬくいハ、とこへ置ませふ(二ウ) 00048680¥N4¥J 00048690¥X丸のゝ字 00048700M10手ならい子、大せいある中に、ひとり、丸のゝじをよくか 00048710M11く子がある。アレハかきにくい字だか、おやのちすじたろ 00048720M12ふといふ。そばから、そんなら、アノ子の親ハ、よく手を 00048730M13かゝれますか。イヱ+、無筆でこざりますが、丸のゝじ 00048740M14斗を、毎日ひあたりてかくが、しやうばいでござります。 00048750M15ソレハなんのしやうばいときいたら、うるしかき(三オ) 00048760¥P290 00048770¥G 00048780¥N5¥J 00048790¥X年礼 00048800M3大ミへぼうなやつ、年礼に出るつもりにて、龍紋のこり 00048810M4+する地に、あんじの小もんを、ひらきひだに仕立た上 00048820M5下を、外へ出た所が、ごわり+とおとかして、どふもい 00048830M6へぬ。さぞ通りの人がほめるだろふと、外八もんじに一日 00048840M7あるき、くたひれて内へかへつたところか、礼ハ一けんも 00048850M8つとめす(三ウ) 00048860¥N6¥J 00048870¥Xあふき箱 00048880M11大がまんなやつ、しよたいをもちける。初の正月、友だち、 00048890M12何をかな、とし玉にやらんと思ふ所へ、扇+と売にくれ 00048900M13ハ、あれもはしめての正月だからと、しやれずに、あふき 00048910M14箱を年玉に持ていけバ、かのがまんもの、大きにはらを立、 00048920M15なんぼ、おれがあらしよたいだとつて、是がはし箱になる 00048930M16物か(四オ) 00048940G1〔絵詞〕あふぎにおせわだ 00048950¥P291 00048960¥G 00048970¥N7¥J 00048980¥X十二支 00048990M3たいこもちが、モシ、をいらんへ。をめへさんの十二支の 00049000M4もよふのうちかけの中に、ナゼ、とらか見へませぬが、ど 00049010M5ふしたものだねといへば、おいらん、ハテ、とらハ仙人の 00049020M6やぼとやらにすむから、入やせん(四ウ) 00049030¥N8¥J 00049040¥X大黒舞 00049050M9つる市、よし原へ大こくまいにいり、なんでも一ばん、女 00049060M10郎をはるきて、へつたりとおしろいをつけ、衣しやうをは 00049070M11り込やした。マア上下が宝尽し、上ハきがたハらの小口、 00049080M12どうもいへぬしゆかうと、女郎にほめそやされ、すつと大 00049090M13こくの面をとつたところが、つらがねすミいろ(五オ) 00049100¥P292 00049110¥G 00049120¥N9¥J 00049130¥X長持 00049140M3ひときやむご右衛門といふ道具やに、女郎の長持をあつら 00049150M4へけるに、かねてあたしけなくつもりあけ、できあかつて 00049160M5から引とるとき、中へ床のかさり付け調度なとを入て、か 00049170M6つき込と、たちまちそこがぬけけるゆへ、早そく道具やを 00049180M7よび、小ことをいへば、ナニサ。物を入ぬばづの長持でご 00049190M8ざります(五ウ) 00049200¥P293 00049210¥T1 00049220¥N1¥J 00049230¥X突だし 00049240M3しんぞうのつきだしがあつて、中の丁に、どんとつミ物が 00049250M4あるを、かふろ、つく+とミて、アヽ、いつそうらやま 00049260M5しい。おいらも早く大きくなつたら、出るだろふ。はやく 00049270M6出たいといへば、わかいもの、ナセ、つきだしになるがう 00049280M7ら山しい。かふろ、イヽヱ、わつちやア、あのまんぢうを 00049290M8ひとりでたべやせうとおもつてさ(十一オ) 00049300¥P294 00049310¥G 00049320¥N2¥J 00049330¥X留守居 00049340M3しんぞう、おいらんにむかい、モシへ、花あふきさんのき 00049350M4やく人も、あやめさんのきやく人も、夕はへさんのきやく 00049360M5人も、より合にきなんすおかたハ、ミんな、るすい衆+ 00049370M6と申すか、あのやうにあそんていなんしてハ、内にいなん 00049380M7すまわ、おさんすめへ。ソレでも、るすい衆かねへ(十一ウ) 00049390¥N3¥J 00049400¥X新ぞう 00049410M10よしハらのやけ時、まつばやも丁子やも、ミのわのりやう 00049420M11へたちのいているとき、丁子やへ行きやくが、松ばやのり 00049430M12やうへミまいにきたを、丁子やの女郎かミつけ、外につけ 00049440M13ていて、つかまへやうといふ事を、松はやのしんそうかき 00049450M14ゝ、ヲヤ、はからしい。丁子やの女郎衆ハ、江戸へ出てい 00049460M15ても、やつはりあんな事をしなんす(十二オ) 00049470¥P295 00049480¥G 00049490¥N4¥J 00049500¥Xはしご 00049510M3よし原のやけじぶん、両国の料りちややの二かいを、つる 00049520M4やがかりている。下を岡もとがかりている。岡本のきやく 00049530M5人、ふきけんにて、あくるばん、二階のつるやへあそびに 00049540M6くると、岡もとの女郎かきいて、はらをたち、新そうしゆ、 00049550M7あすのあさ、はしごへつけて、ぬしをつかめへなんし(十 00049560M8二ウ) 00049570¥N5¥J 00049580¥Xひとり言 00049590M11なんでも吉原では、女ぼうがあるといふと、ふられるから、 00049600M12女ぼうハないといふかいゝと、ずつと大門をはいるかいな 00049610M13や、をれハ女ほうハなし+といつて行と、ちややへ出て 00049620M14いる新そう、おや+といふ。おやもなしと、なを大きな 00049630M15こへていふ。きもをつふし、ヲヽこハといへば、子ハもち 00049640M16ろんなし(十三オ) 00049650G1〔絵詞〕ほへたりして、いつそ狼のよふでありいした;めつらしく玄 00049660G2黄さんがミへやす。おゝかた、むかふじまの鯉と出かけなんしたらふ 00049670¥P296 00049680¥G 00049690¥N6¥J 00049700¥X水かけ 00049710M3かうまんな娘、向ふ嶋へ出かけ、道にて、どんな女をミて 00049720M4も、あれもはなかひくいの、色かくろいのと、うぬほれを 00049730M5いひ+行道にて、秋はのいけへ、わが顔かうつつたをミ 00049740M6て、また、あれもほんの、いゝのじやアねへ(十三ウ) 00049750G1〔絵詞〕かうらいやかはま丁のべつそうで、なめしでんがく、よこく 00049760G2わへのしやれハ有がたかつた 00049770¥N7¥J 00049780¥X雨天 00049790M11あまりつゞいて雨がふるから、なぜだろふと、けんじゆつ 00049800M12のしせうさまにきいたら、かつせんのうちだといふ。また、 00049810M13つゝミ打にきいたら、ちつほうくれだろふといふ。評義一 00049820M14けつせぬゆへ、かけまにきけば、この日よりのわるいのわ、 00049830M15けつかわりじや(十四オ) 00049840¥P297 00049850¥G 00049860¥N8¥J 00049870¥X大通 00049880M3通人、女郎かいに行、ものいひなしのやにさかりで、はな 00049890M4しかけてゐると、すい口から、やにかだら+と口へはい 00049900M5る。かつといつてはき出せハ、女郎、おや+、ぬしハう 00049910M6がひでもしなんし。さぞからふおつせふといへは、何さ 00049920M7+。これをしんほうせねば、大通にハなられねへ(十四ウ) 00049930¥N9¥J 00049940¥Xほう引 00049950M10子とも大せい、ほうひきやをとりまひて、ふんどうをミせ 00049960M11さつせへといへど、ミせぬゆへ、むりにむくり込て、ふん 00049970M12どうハこゝだ+と、きん玉をまちかへてひつはれハ、一 00049980M13人のこぞうが、めはやくミつけて、コレ+、おちさん。 00049990M14をれかあたつたら、その松たけをとらせな(十五了オ) 00050000G1〔絵詞〕ミんなかこゝへ木戸やがやゑも+いゝ子だぞ 00050010¥P298 00050020¥G 00050030¥N10¥J 00050040¥X異見 00050050M3コレ、むすこ。ゆふべもいつたそうだか、ちとたしなまつ 00050060M4せへ。そのやふに、むだつかつて、つまるものか。イヤ 00050070M5+、おれハむた金ハつかわねへ。夕べも、まつ女郎が三 00050080M6分か、茶やが壱分か、弐分かげいしや、弐分か若イものと 00050090M7はゝア、二朱がかこちん、弐百が行かけのちよき、百が小 00050100M8きくとたはこ。なんと、むだハあるめへとはなせハ、そふ 00050110M9きけハ、成ほと、むたハ一文もねへ 00050120¥Q◇北尾杉皋政美画◇ 00050130M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十五了ウ) 00050140¥P299 00050150¥U噺本大系△第十七巻 00050160¥G 00050170¥T落咄/炉開(ろひらき)/噺口切(はなしのくちきり)〔題簽〕 00050180¥Y 00050190M5天明九年刊 00050200M6うき世伊之介序 00050210M7うた麻呂画 00050220M8蔦重板 00050230M9中本二巻二冊 00050240M10大東急記念文庫蔵 00050250¥Y序 00050260M14此/噺(はなし)ハ、いつぞや下の/日待(ひまち)の/夜(よ)、/旦那(たんな)さん/方(かた)、/芸者衆(けいしやしう)/多(おほ)く 00050270M15の中で、/落(おち)の来るを、/側(そは)からすくに/摘喰(つまミく)ひ、/鉢(はち)の/肴(さかな)のゑら 00050280M16みに/撰(ゑらミ)、/銚子(てうし)の口合(くちあい)たら※、ちよつくらちよつと、 00050290M17気をかう/持(もつ)て、わらひ/男(おとこ)となつくるにそ 00050300M18△△△△△△△△△△△△うき世 00050310M19△△△△△△△△△△△△△△△伊之介題G 00050320M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一オ) 00050330¥P300 00050340¥G 00050350¥T1 00050360¥N1¥J 00050370¥Xゑほうまいり 00050380M3そゝうなおやち、ゑほう参りに出かけるところ、こよミも 00050390M4ミねば、どつちかゑほうが、さつはりしれず。大かた、こ 00050400M5つちでありそふな事と、上のゝ方へ、さつさと行ハ、向ふ 00050410M6から、お大名か、ゑほう+。おやち、ぬからぬ顔で、そ 00050420M7りやこそな(一ウ) 00050430¥N2¥J 00050440¥X梅に鴬 00050450M10梅の木、やぶのうくひすにむかい、なんぼ、やぶに斗いる 00050460M11とつて、ぬしもやぶなものだ。おいらなんさア、よしハら 00050470M12ハつうよ。まつ、ミなんし、きゝなんしなとゝいふことば 00050480M13ハ、ミんな、おれかはしめた。そして、かんろ梅やそでの 00050490M14梅もあんじだとはなせハ、うくひすハたゞ、ホヽ+と笑 00050500M15つている。梅ハ猶+かつにのり、花をやるといふも、お 00050510M16れかはじめた事だ。すいか+とはなせハ、うくひす、あ 00050520M17くひをしなから、ホウ引(二オ) 00050530¥P301 00050540¥G 00050550¥N3¥J 00050560¥Xはかまこし 00050570M3松たてわたしたるとしのあした、空ものとかに、ドリヤ、 00050580M4年礼に出てこよう。長松。ともせいと、上下を引かけ、外 00050590M5へ出たところが、モシ+、旦那。はかまごしか、ねぢれ 00050600M6ておりますといわれ、ソレハそゝうな事と言なから、ひも 00050610M7をとき、また一つねぢる(二ウ) 00050620¥N4¥J 00050630¥Xきつね 00050640M10さる山伏、きつねつきのきとうをたのまれ、何でも一ばん 00050650M11あてるきで、きつねを一疋、はさミ箱へいれ、きとうの仕 00050660M12まいきわ、ざしきへおい出し、それ、きつねかおちたとい 00050670M13ふつもりに、供ニいゝきかせて行、さつさといる。モウ 00050680M14いゝ時分と、とものやつこ、はさミはこのふたをあけてミ 00050690M15れハ、きつねがしんでいる故、しかたなく、しり尾をさけ 00050700M16て、かつてへまハり、モシ、おぼんお一まい、おかしなさ 00050710M17れませ(三オ) 00050720¥P302 00050730¥G 00050740¥N5¥J 00050750¥Xどうらく 00050760M3むすこ、あまりあそびすこすゆへ、おりへいれて置ども、 00050770M4やつはり毎ばん+ぬけて行けれハ、おやぢ、大きにはら 00050780M5をたち、なんてもばんから、おれがだいてねると、ぐつと 00050790M6そばへ引つけてねる。よふけにそつとぬけて行、惣花をま 00050800M7きちらし、むだ口をきいて、一はいに床へ入て、しやれて 00050810M8いれバ、親父、めをさまし、だまつてふさろふ(三ウ) 00050820¥N6¥J 00050830¥X屁 00050840M11かふろ、きやく人のまへて、へをひりけれハ、やりて、大 00050850M12きにはらをたち、あまり不行義な。下へおろして、しやう 00050860M13きをせねばならぬ。サア+、下へおりろ+と、むりに 00050870M14引すりおろすとて、やりても一つ、ブツとひりけれハ、サ 00050880M15ア、おれもいつしよにおりよふ(四オ) 00050890¥P303 00050900¥G 00050910¥N7¥J 00050920¥X茶人ゆ 00050930M3茶のゆの師匠、せんとうへくる。ミな人、きをつけてミて 00050940M4いれハ、手ぬくひでふくささはきをしながらしぼる。なる 00050950M5ほど、茶人ハかくへつなものと、ミなほめそやしてミてい 00050960M6る内、ふいてあかりけれハ、ばんとう、ずつとすゝミ出、 00050970M7ちと、御道具をはいけんいたしませふ(四ウ) 00050980¥N8¥J 00050990¥X茶のゆ 00051000M10さるところへ茶によばれて行けるに、上きやくが、老くち 00051010M11たるちゝむさおやぢ。ちやわんの中へ、よだれをなかして 00051020M12まわしけれハ、つきの人、よだれのあわを、むかふへ吹て 00051030M13のんで廻す。だん+末ざへなると、よたれのあハはかり 00051040M14になると、のむ人、くつと目をふさいで、なむあミだふつ 00051050M15(五オ) 00051060¥P304 00051070¥G 00051080¥N9¥J 00051090¥Xたび 00051100M4ていしゆのるすに、女房、たびをかつて置。そのゝち、て 00051110M5い主、よそへ行とて、き物をきかへ、たびをはきてミるに、 00051120M6ちいさくてはいらす。大きにはらをたち、このやふなちい 00051130M7さなたびか、何のやくにたつものだと、くつとほうりちら 00051140M8せハ、女ぼう、まとめなから、何のやくにもたゝぬ、足は 00051150M9かり大きくて(五ウ) 00051160¥P305 00051170¥G 00051180¥T1 00051190¥N1¥J 00051200¥Xもゝ太郎 00051210M3もゝ太郎、おにがしま£かへり、よくにかきりなき人こゝ 00051220M4ろ、また+りうくうへ、たからをとりにゆくきになり、 00051230M5きしにさうたんすれハ、すいふんせうち。いぬも、もちろ 00051240M6んせうちなれハ、さるにまたさうたんすれハ、さる、りう 00051250M7くうへハきかない(六オ) 00051260¥P306 00051270¥G 00051280¥N2¥J 00051290¥Xきせる 00051300M3ほりからずつと、ふねにのりやした。さつさとこきたすと 00051310M4き、きやく、はたくひやうしに、きんきせるのかんくひを、 00051320M5かわへおとす。とこだ、そこた、こゝたといつていると、 00051330M6せんとう、こゝかへ。よし+と、ふねのこへりへ、つは 00051340M7きて、しるしをつける(六ウ) 00051350¥N3¥J 00051360¥X其二 00051370M10どうしても、いまのきせるがしれぬゆへ、ちへをいたし、 00051380M11人のかわへおちたときにハ、とりをといたにのせてだすと、 00051390M12しかいのあるところのうへで、ときをつくる。そのかくに 00051400M13して、さかすかいゝと、にハとりをといたへのせてたすと、 00051410M14かんくひのあるところの上て、とつけへへヱ引(七オ) 00051420¥P307 00051430¥G 00051440¥N4¥J 00051450¥Xほうひき 00051460M3わたしが、ミやうなほうびきをあんじやした。むしんほう 00051470M4ひきとなつけて、ソレ、いくつもふんどんをつける。まつ、 00051480M5ほんくしかいつものとふり、たい+。りやうそでかミか 00051490M6ん。うちとめがくねんぼう。Sムヽ、そしてはなハ△Sき 00051500M7んかん+(七ウ) 00051510¥N5¥J 00051520¥Xめくり 00051530M10よつて、めくりをしているところへ、いろおとこきたり、 00051540M11くつているむすめのそばへきたり、ふところへ、ずつと手 00051550M12をいれると、むすめ、めくりなから、おゝ、すべた(八オ) 00051560¥P308 00051570¥G 00051580¥N6¥J 00051590¥Xきやく 00051600M3にわかニきやくかある。なになしと、ちやづけてもあけや 00051610M4うと、せんをだしたところか、めしがたらぬから、かへろ 00051620M5ともなんともいわす、しらぬふりていると、きやく、わん 00051630M6の中がむかふへミへるやうニ、これハよいおわんてごさる 00051640M7とほめると、てつち、めしひつの中のきやくにミへるやう 00051650M8に、これといつしよにかいました(八ウ) 00051660¥N7¥J 00051670¥Xわかミつ 00051680M11おやぢ、わかミづをくまんといふ。下女、いへ+、おあ 00051690M12ぶなふこざります。わかミつだから、わかいものか、くミ 00051700M13ませふ。そんなら、としよりハなにをくむものた。Sひや 00051710M14ミつを、おくミなされまし(九オ) 00051720¥P309 00051730¥G 00051740¥N8¥J 00051750¥Xたひ立 00051760M3おやかたか、たびへたつ。ミな+、しなかわまでおくり 00051770M4にゆき、さためてちややておごつて、わかれるだろふとお 00051780M5もつていれハ、ちややのまへをすぐとをり、そんなら、こ 00051790M6れてあそんでゆけと、かねのにしゆづゝもくれるたらふと 00051800M7おもへハ、なんのさたなしにて、さめつで、そんならミな、 00051810M8ごふしてござれと、わかれてゆく。あとニて、ミな+は 00051820M9らをたつたるかほにて、なに、ふしでいるものた(九ウ) 00051830¥N9¥J 00051840¥Xつる 00051850M12つるといふとりハ、めいてうた。おんとりが、つうといふ 00051860M13と、めんとりか、るうといふといふはなしをきゝて、ちき 00051870M14にはなしやす。Sさて、つるといふとりハ、めいてうだ。 00051880M15なせ。Sおんとりが、つうるうといゝやす△Sめんとりハ、 00051890M16なんといふ△Sだまつている(十オ) 00051900¥P310 00051910¥G 00051920¥N10¥J 00051930¥Xがくもん 00051940M3しんミちをずつとゆくと、さびたものすきのうちに、わか 00051950M4いおとこが、かくもんをしている。ハテ、わかひににあわ 00051960M5ぬきとくな人と、おもいなからゆきすき、ゆふかた、また 00051970M6かへりにとふりかゝつてミれハ、かのおとこ、のびをしな 00051980M7から、アヽ、いちぶほしい 00051990¥Qうた麻呂画 00052000M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十ウ) 00052010¥P311 00052020¥U噺本大系△第十七巻 00052030¥G 00052040¥T新作落咄/比文谷(ひもんや)/噺(ばなし) 00052050¥Y 00052060M6天明九年刊 00052070M7石部琴好作 00052080M8長喜画 00052090M9中本一冊 00052100M10都立中央図書館加賀文庫蔵 00052110¥N1¥J 00052120¥Xひもん谷 00052130M14Sあさ草・うへのゝ仁王より合ひ、此度、ひもんやの仁王、 00052140M15きついはやりだが、/黒(くろ)い仁王と言ハめづらしい。何れ、赤 00052150M16いものにきハまつたに、あの仁王ハ黒いから、仲間にハ入 00052160M17れられまいといふを、ちらときいて、比もん谷の仁王、ま 00052170M18つしろになつて、はらをたつ(一オ) 00052180¥P312 00052190¥G 00052200¥N2¥J 00052210¥X比もん谷 00052220M3S仁わふ、本尊くわんおんのまへをとふれバ、くわんおん、 00052230M4うしろより、これ+、のミにゆくなら、いつしよにゆこ 00052240M5ふといへば、にわふいゑ+、しうしちがひさ(一ウ) 00052250¥N3¥J 00052260¥Xだん食 00052270M8あるしわき人、せに金のびるよふにと、ひもんやの仁王へ 00052280M9七日だんじきにて、がん、しやうじゆして、内へかへり、 00052290M10友だち、見まいに行、どふた。がんかけをして、ちつとの 00052300M11びたかといへハ、ナアニ、きつい事ハない。七日くハぬが 00052310M12のびた(二オ) 00052320¥P313 00052330¥G 00052340¥N4¥J 00052350¥Xわらじ 00052360M3S仁王、品川へそゝりと出かけ、道にて、比もん谷の仁王 00052370M4にあひ、是ハめづらしい。さぞいそがしかろふに、どこへ 00052380M5いきやるといへば、けふハひばんだから、わらじをうりに 00052390M6出たかへりさ(二ウ) 00052400¥N5¥J 00052410¥X仁わふ 00052420M9S品川の女郎、比もん谷の仁王へさんけいして、仁わふを 00052430M10おがミながら、この仁わふさんハ、なぜいろがくろふあり 00052440M11んすのといふをきひて、仁王此ごろハさんけいがおゝいゆ 00052450M12へ、/湯(ゆ)にいかぬ(三オ) 00052460¥P314 00052470¥G 00052480¥N6¥J 00052490¥Xおしやう 00052500M3ひもん谷のおしやう、あまり仁わふがはやるについて、近 00052510M4所のさしものやへゆき、おふき成るかまのふたをあつらへ、 00052520M5出きあかりて、とりに行ハ、ていしゆ、もし、此よふにお 00052530M6ゝきい釜のふたを、何になされますといへハ、おしやうさ 00052540M7めぬうちに、ふたをします(三ウ) 00052550¥N7¥J 00052560¥X目くろ不動 00052570M10Sひもんやの仁わふ、目黒ふどふえ咄にゆき、このごろは 00052580M11こもりてがおゝくて、ほんに目が出るよふだといへバ、ふ 00052590M12どう、目が出たら、おれにくりやれといへバ、仁王なんに 00052600M13する。ふどふおじめにする(四オ) 00052610¥P315 00052620¥G 00052630¥N8¥J 00052640¥X井戸の水 00052650M3Sある人、ひもんやの仁王へ、たんじきのうち、井戸の水 00052660M4をのむと、はらがいつばいに成るときいて、手おけをかつ 00052670M5いで、さつ+といけバ、むかふから、近所の者か来かゝ 00052680M6り、是これ、権兵へ。おのしやア、手おけをかついで、ど 00052690M7こへ行。権兵へ、ひもんやの仁わふへいつて、水をとつて 00052700M8くる。それに手おけハいらぬ。竹づぼへもらつてくるがい 00052710M9ゝといゑハ、権兵へ、インニヤ、おれハめしのかわりにす 00052720M10る(四ウ) 00052730¥N9¥J 00052740¥Xくわんおん 00052750M13ひもん谷の仁王、ほん尊くわんおんへゆき、まづこれまで 00052760M14さんけいもつきましたが、どふもふどうえまいるついでに 00052770M15くるよふで、わるふ御ざります。どふぞ不動をおつぶしな 00052780M16されて、私ばかりになされて下されましといへバ、くわん 00052790M17おん、それも不動の目のくろいうちばかりさ(五オ) 00052800¥P316 00052810¥G 00052820¥N10¥J 00052830¥X品川 00052840M3Sコレ+、きさまはけふハどこへいつたといへバ、わし 00052850M4ハ目ぐろから、しな川のほうへい/ぎ((ママ))やした。そんなら、さ 00052860M5だめてひもん谷へもいつたであらふのといへバ、インヤ、 00052870M6ゑてものゝ松坂よ(五ウ) 00052880¥N11¥J 00052890¥X仁王 00052900M9Sいろ男、ひもん谷の仁わふへゆき、何とぞわたくしに、 00052910M10むかふの八百屋の娘をおとりもちなされて下さりませと、 00052920M11いつしんになつておかむと、仁わふさま、目をほそくして、 00052930M12とふそ、おれにも(六オ) 00052940¥P317 00052950¥G 00052960¥N12¥J 00052970¥X年始 00052980M3S上野の仁王、ひもん谷へ年始に行、御けい申入ますとい 00052990M4へバ、これハ是ハ、ゑんほうをよふこそお出と、あいさつ 00053000M5するうち、女仁王、さかつきをもちいで、わざと御酒をひ 00053010M6とつといへハ、上野の仁王、イヱ+、御酒ハこむよふに 00053020M7なされましといふ。女仁王、わきであがつたそうで、だい 00053030M8ふ、おいろがいゝ 00053040¥Q 00053050M10石部琴好作 00053060M11△△△△△長喜画 00053070M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(六ウ) 00053080¥P318 00053090¥U噺本大系△第十七巻 00053100¥G 00053110¥Tかるくち△かたいはなし 00053120¥Y 00053130M5天明九年刊 00053140M6子龍画 00053150M7西与板 00053160M8中本二巻合一冊 00053170M9国立国会図書館蔵 00053180¥T1 00053190¥N1¥J 00053200¥X○やうじ 00053210M13むすこ、たま+はやおきして、ゑんばなにこしをかけ、 00053220M14やうじをつかつている。むかふより、うつくしきむすめ、 00053230M15けいこほんをてにもち、むすこのかほをしろ+見て、ゆ 00053240M16きすきしか、もち+してたちかへり、モシ、とうぞその 00053250M17やうしを、わたしにおくれ。Sこれハわたしがつかひかけ。 00053260M18あたらしいのをあげやせう△Sイヱ、どうぞそれをおくれ 00053270M19Sアイ。そんならと、さしだせバ、うれしそふにいたたい 00053280M20て、ふりかへり+ゆくうしろすがた。むすこ、見るやう 00053290¥P319 00053300¥G 00053310M1て見ぬやうにしていれバ、かのむすめ、そのやうじを二つ 00053320M2におつぺしよつて、こまげたのむかふはなをへはさんで、 00053330M3アヽ、これであるきいゝ(壱オ) 00053340¥N2¥J 00053350¥X○浪人 00053360M6うなぎやのとなりにすむらうにん、ねんぢう、となりのに 00053370M7ほひにて、からめしばかりくひける。うなぎやのていしゆ、 00053380M8モシ、おまへハうなぎのにほひで、うまくおめしをあがつ 00053390M9てこさるから、わしがほうへ、せめて一ねんに二百づゝも 00053400M10つかハさりませ。Sいかさま。これハごもつともと、たん 00053410M11すより二百文とりいだし、どつ/ざ((ママ))りとしたにおく。ていし 00053420M12ゆ、これハごきんとふととらんとすれハ、ろうにんSアイ 00053430M13ヤ、おとばかり、ごぢさんなさい(壱ウ) 00053440¥N3¥J 00053450¥X○通 00053460M16なんと、からやてんぢくにも、大つうがあろふかの。Sあ 00053470M17るとも+。まづ、からでハこうし、てんぢくにハしやか 00053480M18Sアノ十六らかんといふも、つうかね△Sこつちの十八つ 00053490M19うといふものサ△Sしやか、こうしとハ、ひやうとくかの。 00053500M20どふいふこゝろで、つけたなだろう。どふもげせねへハ 00053510¥P320 00053520¥G 00053530M1Sそのくれへなことのわからぬおめへでもあるめへ。ちつ 00053540M2とばかりかんがへて、Sムヽ、なるほど(二オ) 00053550¥N4¥J 00053560¥X○息子 00053570M5むすこ、大かぶりにて、うちハあしどめ。となりのていし 00053580M6ゆ、きのどくにおもひ、わしがあづかつてゆけバ、きづか 00053590M7いハないと、ふたりつれにてでかける。むかふのでごうし 00053600M8まとのうちに、むすこ、四かくなもじのほんをミてゐる。 00053610M9Sアレ、見さつし。あのやうに、かくもんはかりしてゐる 00053620M10むすこもあるにと、まどのほうをミかゆれバ、まとのうち 00053630M11のむすこ、のびをしながら、アヽ、一ぶほしいナア(二ウ) 00053640¥N5¥J 00053650¥X○国家老 00053660M14おくにかろう、こきげんうかゞひとしてさんちやく。との 00053670M15さま、ごきけんうるわしく、ぢぶのしん。ミも、わかをも 00053680M16ふけたわい。コリヤ、わかをともなへヨ。このほどハ、ひ 00053690M17にまして、あいくろしい。サア、あやして見い+。Sか 00053700M18しこまりたてまつりました。きよゐおもけれバ、はゞかり 00053710M19をもかへりミず、おそれながら、ばあア(三オ) 00053720¥P321 00053730¥G 00053740¥N6¥J 00053750¥X○門ト札 00053760M3おらかたんなほと、ものおぼへのわるい人もねヱ。ひころ、 00053770M4め見へにくるほうこう人のなを、二ども三どもきいて、ま 00053780M5だおほへられぬそふで、かきつけておくやつサ。Sイヤ、 00053790M6こつちのだんなハ、そんなことてハねヱ。てめへのなをわ 00053800M7すれるそふで、いたへかいて、おもてのもんへ、ぶつゝけ 00053810M8ておく(三ウ) 00053820¥N7¥J 00053830¥X○まり 00053840M11むすこ、まりにこつてゐるを、おやぢ、まりといふものハ、 00053850M12はらのへつて、そんなものだ。やめろ+と、せいとうに、 00053860M13むすこ、かくしてもてあそびしが、あるとき、まりばこを 00053870M14見つけて、おやぢ、まだやめおらぬかと、まりばこのふた 00053880M15をとつて見て、ムヽ、やめおつたそうだ(四オ) 00053890¥P322 00053900¥G 00053910¥N8¥J 00053920¥X○寒こへ 00053930M3なんてもかんこへさへつかへバ、こへハよくなるときいて、 00053940M4あるこめつき、りやうごくはしへきて、まいばん+、ず 00053950M5ウ+と、かんこへをつかつているを、はしばん人、きゝ 00053960M6とがめ、てうちんをともし、かけきたり、なにものだ。 00053970M7Sわしハこめつきサ。かんこへをつかふのサ△Sそんなら 00053980M8いゝ。ばんしよできくと、ちやうど、はしぐいをぬくやう 00053990M9だ(四ウ) 00054000¥N9¥J 00054010¥X○さるぢゑ 00054020M12とのさま、りやうごくはしのうへより、とりはつして、大 00054030M13せつのこつかをおとし給ひ、いかゞしてとりゑんと、いろ 00054040M14+ひやうぎありけるとき、一人すゝミいで、ひゐとろに 00054050M15て、はこをこしらへ、つなをつけて、そのなかにいつて、 00054060M16すいちうを見るときハ、たちまちあいしれ申べしと、さつ 00054070M17そく、びゐとろのはこもできあかりしかバ、はしのうへよ 00054080M18り、かハへおろし、しバらくしてひきあげ、どふだ。ある 00054090M19か。Sこざります△Sなぜとらぬ△S見へハ見へますか、 00054100M20てがだされませぬ(五オ) 00054110¥P323 00054120¥G 00054130¥N10¥J 00054140¥X○心中 00054150M3にんぽんだと、つうげんをきくさへもいやかるほとに、か 00054160M4らのことをしたひ、さかやきそらず、ひけすらす、はア 00054170M5+とかなんとかいつてくらす人あり。また、あるさとに、 00054180M6からのことをすく女郎あり。たかひにほれつほれられて、 00054190M7げんそう・やうきひのあそびなどゝ、たわけのつまりハ、 00054200M8しんちうして、こんどハからへうまれんと、一せのはれの 00054210M9とうじんしたて、わうばくでらのもんせんにて、すでにさ 00054220M10いこと、ぬきはなしたところがわきざし。これほどにした 00054230M11くをしても、わきさしてしんでハ、につほんのとうく。た 00054240M12からといつて、ほかにしやうハなしと、しハしかんがへ、 00054250M13ヲヽそれよ。ミをなけてしぬかいゝと、あたりのこいしを 00054260M14ひろいあつめて、たもとへいれしが、まてよ。これもらう 00054270M15せきでなくつちやア、やつぱりにつほんだ(五ウ) 00054280¥T1 00054290¥N1¥J 00054300¥X○和尚 00054310M18てらまいりにゆくミちのうなぎやに、おてらのおとこ、ぢ 00054320M19うばこにうなぎをかつてゐる。てらまいりて、おせうと、 00054330M20よもやまのはなしのうちに、ゆりのねや、ながいもばかり 00054340¥P324 00054350¥G 00054360M1のすゞりふたにて、かたいさかもり。なんと、しやうにん 00054370M2さん。これでハどふも、のめやせん。かのをおだしなさり 00054380M3ハ、どふあらふねへ。Sかのとハナ△Sモシ、わたしども 00054390M4におかくしハ、おうらミだ。ソレ、かの、れいこくさ 00054400M5Sそふいわつしやるを、たつてかくすも、ふつうのいたり。 00054410M6コレ、でゝ、おちかづきにならつせへヨ(六オ) 00054420¥N2¥J 00054430¥X○物いまひ 00054440M9かミさま、はしごをおりるとて、ていしゆのかたへ、てを 00054450M10つきけれバ、ひごろのものいまひで、きにかけさつしやろ 00054460M11うと、ものほしゑ、ふとんをほしにゆきしな、はしごをの 00054470M12ほりながら、こんどハていしゆのかたを、ちよひとひつた 00054480M13てけれバ、ていしゆSこのひとハ、ひる日なか、ばか+ 00054490M14しい(六ウ) 00054500¥N3¥J 00054510¥X○見へ 00054520M17われが/で((ママ))に、ひだりのてを、おもいれくひついて、あとを 00054530M18つけ、そのあくるひ、ともだちのところへきて、しよろう 00054540M19かいはなし。コレ、しんこう。ゆんべ、つきゑゝで、さる 00054550M20とこへいつたら、ひさしいあとに、むこくしておいたじよ 00054560¥P325 00054570¥G 00054580M1ろうに、おもひがけなくめぐりあいの、ないたりわらつた 00054590M2りして、こんなにくれヱつきやアがつた。友だち見て、でへ 00054600M3ぶおゝきなあとだの。Sそのはづよ。わらつてくつゝいた 00054610M4よ(七オ) 00054620¥N4¥J 00054630¥X○雪の夜の小便 00054640M7ひとりもの、小べんのつまつたをこらへかねて、はねおき、 00054650M8かとのとを、ひけどしやくれど、あかざるハ、この大ゆき 00054660M9にて、こほりついたるものならんと、しきいゑ、小べんを 00054670M10しかけて、こほりをとかし、かどのとをあけて、どぶのは 00054680M11たへしやがんだところが、でる小べんハなし(七ウ) 00054690¥N5¥J 00054700¥X○座頭 00054710M14あるざとう、いろ+こゝろをつくして、このころうつく 00054720M15しきにようぼうもつ。まもなく、まおとこをしてかけおち。 00054730M16さとう、はなハだくやしがり、さるやしろへ、このめのあ 00054740M17きますやうにと、につさんせしに、かミものふしゆましま 00054750M18せしか、りやうがんともにあきらけく、サア、これからあ 00054760M19いつらがゆくへをたづねて、見かけしだいに、かさねてお 00054770M20いて四つにせんと、やつハりめくらのふりにて、まいにち 00054780¥P326 00054790¥G 00054800M1ほう※たづねしに、かのにようぼう、まおとことふたり 00054810M2つれにて、思ひがけなくゆきあいけれバ、さう+よこて 00054820M3うへかくれる。座頭、ほそめに見て、ハテ、いまのおんな 00054830M4ハ、いゝおんなだ(八オ) 00054840¥N6¥J 00054850¥X○浪人 00054860M7ものわひたるごろうにんかとぐちへ、ハイ。おしひに、お 00054870M8あまりをくださりましといへバ、ものもらいのかほを、じ 00054880M9ろりと見て、ひげをなでながら、あまらぬ(八ウ) 00054890¥N7¥J 00054900¥X○むしん 00054910M12じよろう、きやくのところへ、きうにいりやうがあるから、 00054920M13ひやつひきはかり、かねをかしてくれろとのむしん。モシ 00054930M14ヱ、おへんじかまいりました。それハうれしうおつすねと、 00054940M15ふミをひらけバ、なかに一ぶ、ふうじこんであるをミて、 00054950M16ヲヤ、ばからしい。たつた一ひき、よこしいした(九オ) 00054960¥P327 00054970¥G 00054980¥N8¥J 00054990¥X○好物 00055000M3しんざんのおとこ、一りやうがまきを、はんにちにわつて 00055010M4しまいけれハ、たんな、おとこをよび、そうかい※しく 00055020M5なけれバ、おれがきにハいらぬ。ほうばいどもへのよいて 00055030M6ほん。ほうびをやらふが、まづ一ばん、おのしがすきなも 00055040M7のハなんじや。Sハイ△Sハテ、いへよ△Sハイ△Sハテ、 00055050M8ゑんりよなしに、いへよ。ハイ。二ばんに、さけでござり 00055060M9ます(九ウ) 00055070¥N9¥J 00055080¥X○てれ 00055090M12げぢよ、さとうミそをすつてゐるところへ、八すけきたり、 00055100M13コレ、おさきどん。ちつとばかりくださいと、てをたせバ、 00055110M14Sよさつせへよ。すくなくなると、だんなさまにしかられ 00055120M15る△Sハテ、ちつとばかり△Sならねへよ。八助、てれき 00055130M16つて、そんなら、このてを、ねしつてミろ(十オ) 00055140¥P328 00055150¥G 00055160G1こうさん、もつとおもしろいはなしをしてきかせな。たゞ 00055170G2のはなしハおもしろくないから、ばけものゝおとしばなし 00055180G3をしなよ。あんじだして、らいねんのはる、はなしてきか 00055190G4せやう。これから三百六十ほどねると、またお正月だ。ア 00055200G5レ、大かぐらがきた。まわしてミせやう。よんできな。 00055210¥Y 00055220M8こどもをあいてにはなしたるおとしはなしを、すぐに二つ 00055230M9のまきとなし、おこさまがたのおなくさミとなしまいらせ 00055240M10候。以上 00055250¥Q子龍画 00055260M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十ウ) 00055270¥P329 00055280¥U噺本大系△第十七巻 00055290¥G 00055300¥T/春(はる)の/伽(とぎ)〔柱記〕 00055310¥Y 00055320M6天明頃刊 00055330M7北尾政演画 00055340M8中本二巻合一冊 00055350¥T1 00055360¥N1¥J 00055370¥X○/隠居(いんきよ) 00055380M12女郎かいのいんきよ、手もちなけれハ、たもとからじゆす 00055390M13をたして、このたまハさんこじゆ、これがこはく、これが 00055400M14めのふ、これハきん、これハぎんと、ひからかせバ、S女 00055410M15郎わつちに、そのじゆすをおくんなんし△Sいんきよさて 00055420M16+、けしからぬものをほしかつたものだ。もらつて、な 00055430M17んにする△S女郎しちにやりんす(一オ) 00055440¥P330 00055450¥G 00055460¥N2¥J 00055470¥X○/火(ひ)の/見(ミ) 00055480M3Sきさまハ火の見やくらのばんをなさるから、さためし、 00055490M4おかうしやであらうが、これ、まつさきいなりへハまいる 00055500M5がようごさらふ△Sまつさきへおいでなされますにハ、ま 00055510M6づこのどぞうのかどから、あさくさみつけのしやちほこを 00055520M7ミきへとつて、まづくわんおんのとうの九りんへつきあた 00055530M8つて、すこしみぎへ、かわらけむのうしろさ(一ウ) 00055540¥N3¥J 00055550¥X○/井戸(いと) 00055560M11おくらまへえ井戸をほつたれバ、よにいり、ものしづかに 00055570M12なると、ミつのおとが、テテチンテンツンツヽナチントン 00055580M13などゝなるハ、あまりふしぎと、/井戸(いと)ほりをよんてはなせ 00055590M14バ、なるほど、さような事もござりませう。それハ/三(さ)みせ 00055600M15んぼりからさしミづさ(二オ) 00055610¥P331 00055620¥G 00055630¥N4¥J 00055640¥X○しん中 00055650M3どうあつてもしなねバならぬきりづくになつて、しんちう 00055660M4する事にきわめ、とてものことに、この二かいをけがそう 00055670M5より、くるハをぬけいで、かけかまいのないところでしの 00055680M6うと、やう+しのひ出て、まつくらなみちを、小でうち 00055690M7んでたどりゆきしが、男、てうちんをふきけし、女、男の 00055700M8手をつかまへ、かうなつてにげよふとハ、さりとハ水くさ 00055710M9いト云ハ、はて、此ばになつて、にける物だ。らうそくが 00055720M10はんぶんのうへとぼつたから。S女郎それでけしなんした 00055730M11かへ△Sいや、とほし切てハ、おれが壱人りかゑるに、き 00055740M12ミがわるい(二ウ) 00055750¥N5¥J 00055760¥X○/中上(なかのほ)り 00055770M15さあ+、わらんぢでもとひて、ゆるりとはなしやれと、 00055780M16中のぼりハべつして、はゝおやのよろこひ。それよりだん 00055790M17+よも山のはなしになり、Sさて、江戸でハ今は何がは 00055800M18やりますの△Sむすこたゞいまハ、こわいろがはやります 00055810M19S母はての、わしらがわかいじぶんハ、ちやうじちやがは 00055820M20やつた(三オ) 00055830¥P332 00055840¥G 00055850¥N6¥J 00055860¥X○/浪人(らうにん) 00055870M3めいよに、あのらうにんどのハ、どれでも子ともをたくさ 00055880M4んひきつれてあるきますが、とかく、子をもたぬらう人ハ 00055890M5ない物かなといへバ、そうてもないが、あれハあわれにミ 00055900M6ゑるやう、三日いくら、一ト月いくらと、せにをいだして 00055910M7かりて出ます。あれはいろのあをい、ひやうしんさうな子 00055920M8ハ、又ちんせんかたかい。又いまさいちうほうそうしてい 00055930M9る子ハ、かりるにも五両も六両もでるのさ(三ウ) 00055940¥N7¥J 00055950¥X○/西瓜(すいくわ) 00055960M12すいくわのあんどうをみて、コレ御ていしゆ。すいくわや 00055970M13のあんどうハ、あかいかみに、きわまつたものだが、まあ 00055980M14あをかみとハめつらしいが、なんといふあんじだといへバ、 00055990M15Sていしゆアイ。わたしがうちでハ、ミんなまるであきな 00056000M16います(四オ) 00056010¥N8¥J 00056020¥X○/朝顔(あさかを) 00056030M19こゝのあさがをハ、さきますかの。Sまだ、さきやせん 00056040M20Sさておそひ事だ。いまさかずハ、大かた、八月じふんてな 00056050¥P333 00056060¥G 00056070M1くてハさくまい。おらが内のハ、五月からさきます△S五 00056080M2月からさくのが、なにはやいものた。おらがうちのハ、二 00056090M3月あたりからさき、やかてそのミがこほれて、あれほどに 00056100M4なりましたのサ△Sそれがおそいといふのだ。おらが内の 00056110M5ハ五月からさくといふと、みがこぼれてはへた、二ばんば 00056120M6へさ△Sしてまた、そのこぼれたミのはなハ、いつごろさ 00056130M7きやしたねへ△Sそれハもう、きよねんの九月じぶんのこ 00056140M8とさ(四ウ) 00056150¥N9¥J 00056160¥X○/神木(しんほく) 00056170M11うしみつころ、あたまへらうそくをともして、あしだをは 00056180M12き、ちらしがミにて、おうじいなりのしんぼくのあたりを、 00056190M13ぐるり+とまハつてあるくところを、ミやまもりがみと 00056200M14かめて、コレ、人をのろハヽ、くぎをうちそふなものたが、 00056210M15なぜまた、その木のあたりをまわつてござると、とかむれ 00056220M16バ、おんな、アイサ。わたしや、かなづちのあたまをおと 00056230M17しやした(五オ) 00056240¥P334 00056250¥G 00056260¥N10¥J 00056270¥X○/素一分(すいちぶ) 00056280M3アイ、おつとめと、わかいものが/来(く)れバ、ヲイといふて、 00056290M4かミ入から壱分だしてわたす。かねてわかひものも、いま 00056300M5+しいやつとおもふゆへ、これハちつと、みにくいかひ 00056310M6でこさりますといへハ、かけかへのかねハなし、いかゝせ 00056320M7んとくふうして、そんならちとまつてくれと、五丁町ぢう 00056330M8をかけあるきて、よふ+せにゝしてきてわたせバ、若イ 00056340M9もの、イヤ、わたくしのところでハ、ついニつとめを、ぜ 00056350M10にてとりましたことハごさりません。きやく、かねハとら 00056360M11ず、ぜにハとらんといふし、といつてこめハなし(五ウ) 00056370¥T1 00056380¥N1¥J 00056390¥X○/土手(とて) 00056400M14しきりにゆきたけれど、かねハなし。やう+四つじふん 00056410M15に内をぬけていて、しちやへ行、このはおりを二ぶかして 00056420M16くたされといへバ、ひとへばおりハニふハかされませぬ。 00056430M17そのわきざしなら、二ぶかしませう。それハこつちもがつ 00056440M18てんだが、此ごろハたいふんふつそうだといふから、まる 00056450M19こしてハどうもこゝろほそひ。そんなら、一ぶでもかりて 00056460M20ゆかふと、はおりで一ぶとり、はやあしに、どてえかゝれ 00056470¥P335 00056480¥G 00056490M1バ、うしろから大男がひつこぬいて、かたさきをどつさり。 00056500M2かつてんと、わきざしへ手をかけたれど、ふかでゆへ、ぬ 00056510M3くことかなわず。ハイ、かうとしつたなら、やつぱりわき 00056520M4さしばかりで弐分かりるに(六オ) 00056530¥N2¥J 00056540¥X○/徳利(とくり) 00056550M7おまへをなかすで、きのふちろりとミかけた。Sきさまも 00056560M8ほんに、ちろりとみたとハ、なんのことだ。ちらりとミた 00056570M9とこそいふに△Sハテ、ちろりがほんとうさ△Sハテ、じ 00056580M10やうのこわい人た△Sハテ、ちらりとミた事を、ちろりと 00056590M11いふいわれハ、よくみたことを、とつくりとみたといふわ 00056600M12さ(六ウ) 00056610¥N3¥J 00056620¥X○/菜畑(なばたけ) 00056630M15ていしゆハ、きついながすき/((で脱カ))ござりますと、うらのせうし 00056640M16をあけてミせれバ、なるほど、あを+として、よい物て 00056650M17ござるとのあいさつに、ていしゆ、あのむかふにミゑます 00056660M18もわたくしのなばたけ、こちらも私の、あれ、あそこのも 00056670M19わたくしと、見するゆへ、さて+、たくさんななばたけ。 00056680M20なぜ又、此やうにおひたゝしくおつくりなされましたとい 00056690¥P336 00056700¥G 00056710M1へバ、あれでもゆでると、わずかになります(七オ) 00056720¥N4¥J 00056730¥X○小まち 00056740M4もし、若だんな。よいむすめがこざります。なんと、おか 00056750M5こひなさるきハなしかへ。アイ。大ありといふ。ごふくや 00056760M6さ、しかし、きりやうハとふだの。イヤモウ、きりやうの 00056770M7事ハ、ろかうにとじやくをこねまぜ/だ((ママ))しろ物タ。とんと、 00056780M8いまでの小まちてござります。S若だんなといやる。 00056790M9小まちときいてハ、かんじんのところがあるまひ(七ウ) 00056800¥N5¥J 00056810¥X○/真木(まき) 00056820M12一日に壱分弐朱がまきをわつたといへバ、だんなも、それ 00056830M13ハおふてからだ。八すけをよべと、そはちかくまねき、そ 00056840M14のほうがすきなものをおまそうほとに、ゑんりよなく申と 00056850M15あれバ、八助、ハイ+とばかりいつて、云ず。たんなさ 00056860M16て+、ゑんりよぶかいやつだ。まづ一ばんに、なにがか 00056870M17うぶつだよ。ハイ。まづ二ばんにハ、さけでこざります 00056880M18(八オ) 00056890¥N6¥J 00056900¥X○まんぢう 00056910¥P337 00056920¥G 00056930M1平助ハまんぢうをこわかるから、だましてやらうト、二三 00056940M2人より合て、ふかしたてのまんぢうを二三十かつて、あき 00056950M3だなへいれ、平介をむりやりニあきだなへおしこみ、おも 00056960M4てからとをしめ、かんかへていてもさたがなし。さてハあ 00056970M5まりこわくつて、めでもまハしハせぬかと、二三人づれに 00056980M6てそつと、とをあけれバ、まんぢうハなくて、したうちを 00056990M7しているゆへに、まんぢうハときけバ、まんぢうはあまり 00057000M8こわくならぬ。ツイテニ、ちやも二三ばいこわい(八ウ) 00057010¥N7¥J 00057020¥X○/箒(ほうき) 00057030M11友たちの所に、四五人咄ている所へ、新五左衛門、おミま 00057040M12い申と、ざしきへとをれハ、ていしゆ、あのおきやくハ今 00057050M13にかゑるから、ミなあそんでい給へと、ざしきえ出て咄し 00057060M14ているに、いつまてもかへらず。つぎの間の四五人、さて 00057070M15ながひきやくだ。はやくかへしたひと、はふきをたつねれ 00057080M16とも、ミゑず。一人リがにわへおりて、たけぼうきをミつ 00057090M17け、こいつハよしと、しばかきえさかさまに立ておくと、 00057100M18ほどなくきやく、げんくわへいづる。そりや、ほうきがき 00057110M19いたとさゝやけバ、きやく、とものおとこをよんで、われ 00057120M20ハさきへかゑれ(九オ) 00057130¥P338 00057140¥G 00057150¥N8¥J 00057160¥X○/初会(しよくわい) 00057170M3さむらい、女郎をミたて、二かいへ上ル時、まわしかたが、 00057180M4おこしの物を御わたしなされませ。イヤ、ぶしがこしのも 00057190M5のをわたしてなる物か。イへ+、所のおきてゆへ、どな 00057200M6た様でもおあづかり申ます。ところのおきてとあれバ、せ 00057210M7ひがないといつて、かたなをわたす。おわきざしもつかわ 00057220M8されませ。これもとり上ルかと、わたしてしまつて、つの 00057230M9大しのよふにかしこまつて、サアこれからハ、やわらだぞ 00057240M10(九ウ) 00057250¥N9¥J 00057260¥X○/色事(いろごと) 00057270M13いろことしなんと、かんばんをだしておけば、門人、くし 00057280M14のはをひくことく、門ぜんにいちをなす。ひろざんのはお 00057290M15りに、同しけのぬのこをちやくした、ばんとうとおほしき 00057300M16おとこ来て、なんと、せんせい。わたくしかたの下女に、 00057310M17ちときかござりますが、とふもとくしんいたしませぬ。こ 00057320M18れハいかゞいたしたものでごさらふといゑバ、せんせい、 00057330M19すこしかんかへて、まづそれハ、壱分やつてごらふまし 00057340M20(十オ) 00057350¥P339 00057360¥G 00057370¥N10¥J 00057380¥X○/居続(いつゝけ) 00057390M3となりざしきで、もうかんにんがなりんせん。あんまり/○((ママ)) 00057400M4ありんすとうらむこへ。ふすまのすきまからのぞひてミれ 00057410M5ば、かゝミにむかひ、手まへのむなくらをとり、あかすじ 00057420M6はつてのひとりごと。いつゝけのきやく、こゑをかけ、し 00057430M7げ山さん。何をしなさるといゑハ、コハかならす、人にい 00057440M8ふてくんなんすな。うそをふくしていやんす 00057450¥Q◇北尾政演画◇ 00057460M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十ウ)