00000010¥P3 00000020¥U噺本大系△第十八巻 00000030¥G 00000040G1△△△△△△△△通油町 00000050G2/福種(ふくのたね)/笑(わらふ)/門松(かとまつ)△上△△G 00000060G3△△△△△△△△つたや 00000070¥T/福種(ふくのたね)/笑(わらう)/門松(かどまつ)〔題簽〕 00000080¥Y 00000090M3寛政二年刊 00000100M4山東京伝序 00000110M5喜多川歌麿画 00000120M6つたや板 00000130M7中本二巻二冊 00000140M8都立中央図書館東京誌料蔵 00000150¥Y叙 00000160M12/夫(それ)、/種(たね)あり。人の心の/種(たね)をまきてハ/言(こと)の/葉艸(はくさ)となり、/桜木(さくらき) 00000170M13の種をうえてハ、よし野を花の山ともなす。さりや、/化之= 00000180M14介(けしの=すけ)も種のなきしなだまハつかハれぬとこそいへり。/物(もの)とし 00000190M15てしからざるといふことなし。今や/何某(なにがし)、/笑(わら)ひの/実(ミ)をとら 00000200M16ん事を思ふ。/是(これ)にも/咄(はなし)のたねなくてハと、その種を/乞(こ)ふて 00000210M17二/冊(さつ)のうちにまきつくし、とんに/題(だい)して、笑ふ/門(かど)なる/福(ふく)の 00000220M18/種(たね)といふ 00000230M19△△△△△△△△△△△△△△△△山東京伝述(一オ) 00000240¥P4 00000250¥G 00000260¥T1 00000270¥N1¥J 00000280¥X絵師 00000290M3大名のとこの間に、鷺をかきたる絵有しを、画師見て、大 00000300M4きにわらひ、さても下手な絵かな。かんじんの鷺のかたち 00000310M5ハひとつもない。我等が家のさぎハ、又かふした物でハな 00000320M6いと、じまんしてゐる所へ、にハの泉水へ、まことのさぎ 00000330M7をりしかバ、(一ウ)そバなるをとこ、そんなら、あのやう 00000340M8なさぎでござろうといへバ、イヤ、まだ+、あのやうな 00000350M9ものでもないのさ(二オ) 00000360G1〔絵詞〕Sそれ、やぼのむだハ、いきの心をまねとして、こミづのこ 00000370G2△△とのはとハなれりける 00000380¥P5 00000390¥G 00000400¥N2¥J 00000410¥X山家 00000420M3木曽の山家へ用事ありて、りよ宿したりしに、つい立の絵 00000430M4に浪を書て、その中に、まきのもへさしのやうなるものあ 00000440M5り。どふもがてんゆかず。モシ、御ていしゆ。あの絵ハな 00000450M6んで(二ウ)ござるといへバ、ハテ、おまへハ御江戸の衆だ 00000460M7が、あれをしらしやらぬか。あれハかつをぶしといふさか 00000470M8なさ(三オ) 00000480G1〔絵詞〕Sはんのとまりでハ、ちと女郎かいと出やう。しかし、道中 00000490G2△△の女郎ハ、ひなたくさいであやまる;むかふからくるたび人ハ、 00000500G3△△ひげがあると、そうぎほうしといふものだ;てんぐのつめをも 00000510G4△△つて、さいじやうじのかないんをうるといふものだ 00000520¥P6 00000530¥G 00000540¥N3¥J 00000550¥X色紙 00000560M3小道具屋のミせに、見しりの有金紙のしきし、桐の箱に入 00000570M4てあり。よく+ミれバ、てまへのしゆせきなり。扨ハお 00000580M5れが手ハ、よほどよいとミへて、うり物に出たり。何とい 00000590M6ふか、ねをつけてミんと立より、モシ、あの色紙ハいかほ 00000600M7どで(三ウ)ござるといへバ、ハイ、五匁にして上ませうと 00000610M8いふに、是ハと心によろこび、ナント御亭主。百ばかりに 00000620M9売しやれといへば、ていしゆ、おまへもめつそふな。あの 00000630M10金紙ハむかし物で、十匁に買ふとおつしやつてもござりま 00000640M11せぬ。ひつきやう、哥がかいてあればこそ(四オ) 00000650G1〔絵詞〕ゑらふたんのつよい事いふわろじや 00000660¥P7 00000670¥G 00000680¥N4¥J 00000690¥Xすミかね 00000700M3むすこ、わきざしを持、あハたゞしく二かいへ上る。親父、 00000710M4のぞひてミれば、腹へ十文字にすミをするゆへ、何たハけ 00000720M5をするととがめけれバ、何をかくしませう。私がなじミの 00000730M6女郎が二百両で受出されます。それがざんねんさに、切そ 00000740M7こなハぬやうに、すミをして切腹いたしますといふに、た 00000750M8ハけ者めが。それしきな事にしぬ事が有ものか。二百両や 00000760M9るから、われ、うけ(四ウ)出せと、百両なげいだすと、も 00000770M10う百両なければなりませぬ。おやぢ、あとハばんにでもや 00000780M11らうから、まづたてのぼうを一ほん、けしてをけ(五オ) 00000790G1〔絵詞〕ゐづゝや久蔵;ふしのすそのへ下つた天人か、此中も小のさ 00000800G2△△んの所へ、ひだらをもつてきやした 00000810¥P8 00000820¥G 00000830¥N5¥J 00000840¥X咄 00000850M3一ざの客来りて、扨、夜ハながくなつた。女郎かいハ今か 00000860M4らだといへバ、ひとりが、しかし、あさかへりのさむひに 00000870M5ハこまるとはなせバ、女郎、ぬしたちハ此ころハ朝、仲の 00000880M6町をたばこをのミながら、かへりなんすねへ。客、何、の 00000890M7ミハしねへ。うそや。口からけむを出しなんすハ(五ウ) 00000900G1〔絵詞〕おまへのおあいかたハ、うつくしいものた。わ/つ((ママ))あも、しめ 00000910G2△△の小きんごとしたい。千本桜じやアあるめへし;おちかつきの 00000920G3△△ため、はゞかりを申ませふ 00000930¥P9 00000940¥G 00000950G1△△△△△△△△通油町 00000960G2/福種(ふくのたね)/笑(わらふ)/門松(かどまつ)△下△△G 00000970G3△△△△△△△△つたや 00000980¥T1 00000990¥N1¥J 00001000¥X鯨 00001010M3せきがきに、くじらのゑを書てゐるを見て、はながミを出 00001020M4し、私にも書て下されといへば、くじらハ大魚なれバ、こ 00001030M5んなちいさなかミへハ、かゝれませんといふに、そんなら 00001040M6百匁バかり、おたのミ申ます(六オ) 00001050¥P10 00001060¥G 00001070¥N2¥J 00001080¥X子僧 00001090M3はいかいしの所へ、こぞうを置けるに、けふハ会日にて大 00001100M4ぜいあつまり、はいかいもはじまりけるに、こぞうハかつ 00001110M5てに居て、ミながあつまつて何をするかと思ひしに、大ぜ 00001120M6いが句をあんじるとて、くびをかたむけて、ひとりが、そ 00001130M7こへいたしませうといふ。又いたしませうといつてあらそ 00001140M8ふゆへ、子僧、のぞひて見(六ウ)れども、何もせず。ハテ、 00001150M9がてんのゆかぬ事と思ひなから、すハつてゐれば、又ちつ 00001160M10とすると、ハツア、おもしろひ。これハできました。なる 00001170M11ほど、おもしろい+といふから、又のぞひてミれば、を 00001180M12もしろくもなし。ヱヽ、人ぢらしな(七オ) 00001190G1〔絵詞〕わたくしハどうぞたんさくをねがいたい;こゝへあふぎを一 00001200G2△△本ねかいます;せんめんさい+はなあいにたりだ 00001210¥P11 00001220¥G 00001230¥N3¥J 00001240¥X旅僧 00001250M3しほり戸の外に、たび僧が立て、どふぞ一夜の宿をねがひ 00001260M4ますといへバ、内より、十六ばかりの娘立出て、ひとりた 00001270M5びハとめられませぬと、つこどなくいふ。内のあるじ、そ 00001280M6のやうに、じやけんにいふな。こうぼう様だもしれねへ。 00001290M7たび僧、これをきいて、しすましたりと、なむさん。あ 00001300M8(七ウ)らわれたといへば、あるじ、さても+ふとひぼう 00001310M9ずめだ。こうぼうさまのきになつて、いゝくらゐな事をい 00001320M10ふとしかれハ、なむさん。又あらわれたそうな(八オ) 00001330G1〔絵詞〕Sかゝる山がに、ひなむすめ;Sやどをかさぬ御うらミもな 00001340G2△△く、うたをゑいしてかへらしやんすハ、ゆかしいおかたしやわ 00001350G3△△いな 00001360¥P12 00001370¥G 00001380¥N4¥J 00001390¥X小むすめ 00001400M3若き医者、出入場に十三四の娘有て、うつくしき生れつき 00001410M4なり。行度にそバへきて、やさしく物をいふゆへ、医者、 00001420M5さてハもはやいろ気つきて、おれにきがあると思ふゆへ、 00001430M6ずいぶんかハゐがり、あるよ行しに、あたりに人ハなし。 00001440M7むすめ、やがて小かげへまねくゆへ、行てミれバ寐どころ 00001450M8なり。さてハせうちの事と思ひ、手をにきれバ、(八ウ)む 00001460M9すめ、もしへ。わたしハおまへにおねがひがあるが、どふ 00001470M10もいハれませんといへば、何さ、かふなつて、ゑんりよぶ 00001480M11かい。そんならと、小ごへになり、どふぞ、につけいをた 00001490M12んとおくれ(九オ) 00001500G1〔絵詞〕ぬしハ丁子やのめい山といふはたけだ。まんさらてもねへ; 00001510G2△△おさんとハめしたき女のやふな名だの。したが、めんかハまぶ 00001520G3△△い 00001530¥P13 00001540¥G 00001550¥N5¥J 00001560¥Xからとし 00001570M3三庄大夫が内に、あんしゆひめ、つし王丸、今ハしバかり、 00001580M4しほくミと成ておハしけるが、ならハぬ下しよくゆへ、人 00001590M5なミにできねバ、大夫、大にいかり、正月なれども、から 00001600M6としをとらせんといふ事を、所の山がつ(九ウ)、しほくむ 00001610M7あま、いたハしき事に思ひ、からどしとあれバ、さだめて 00001620M8何もくハずにゐるであらうとて、ミな+、もちなどやき 00001630M9てもちゆきしに、ふたりながら何かくつてゐるゆへ、何を 00001640M10くふぞときけバ、アイ。きらづさ(十オ) 00001650G1〔絵詞〕Sドロ+++トツケツコウ+;S命ハおたすけ+ 00001660¥P14 00001670¥G 00001680¥N6¥J 00001690¥Xたばこ 00001700M3お戌か原のかんかうばいともいふべきたばこを、ミへぼう 00001710M4にト、あげぎせるでのミながら、とふだ+。にほふか 00001720M5+といへば、よしやれ。又すかしたな 00001730G1〔絵詞〕是に梅ぼしかへへると、ふくぢやのやふだ 00001740¥Q 00001750M8△△△△△△△△△△△△△△△◇山東京伝作◇ 00001760M9△△△△△△△△△△△△△△△△△△うた麿画 00001770M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十ウ) 00001780¥P15 00001790¥U噺本大系△第十八巻 00001800¥G 00001810G1△△△△△△△△大伝馬 00001820G2新版/新作(しんさく)/徳盛(とくせい)/咄(はなし)△上△G榎本 00001830G3△△△△△△△△三丁目 00001840¥T/新作(しんさく)/徳盛(とくせい)/噺(ばなし)〔題簽〕 00001850¥Y 00001860M3寛政二年刊 00001870M4ホコ長作 00001880M5勝川春泉画 00001890M6榎本板 00001900M7中本二巻二冊 00001910M8都立中央図書館東京誌科蔵 00001920¥T1 00001930¥N1¥J 00001940¥X恵比須講 00001950M12さるおゝや、たなちんハより、見せのあきないハはんじや 00001960M13うして、めでたい正月なれバ、ゑびすこうをもよふし、く 00001970M14ミあいのいへぬしたちをよび、はやうりかいになりて、わ 00001980M15つ+と、てをうつてゐるところへ、さきほどハおひとを 00001990M16とて、てうないのばんにんくる。Sヤレ、おそかつた。マ 00002000M17アなんなりと、てめへもかやれといへバ、Sイエ、わたく 00002010M18しハそんなことハそんじませぬといふ。Sそんなら、うり 00002020M19てになりやれと、むりやりに、ばんたろうをつきだし、こ 00002030¥P16 00002040¥G 00002050M1のやきものをといへバ、はたから、もふごぜんのものハう 00002060M2れましたといわれて、Sそんならミかんにでもしよふ。こ 00002070M3のミかんハいくらたといへバ、Sアイ。二もんでござりま 00002080M4す(一オ) 00002090¥N2¥J 00002100¥X相の山 00002110M7わかひもの、おゝぜいしてしやれてゐるところへ、こきう、 00002120M8さミせんにて、ものもらひ、かとにたつ。ひとりのわかひ 00002130M9もの、コリヤアありがてへ。あいのやまのふじあさまとき 00002140M10ているといふ。ともだち、こいつハきついまちかひだ。ソ 00002150M11リヤア、おすぎおたまだハナといへバ、Sナニ、かたきう 00002160M12ちじやアあるめへし(一ウ) 00002170¥N3¥J 00002180¥X寒見舞 00002190M15いしや、だいしのでいりばのゐんきよじよへ、かんミまい 00002200M16にゆき、おさたまりのれいぎをのべけれバ、Sイヤわしも、 00002210M17めハうとくなる、はハぬける。もふかゝつたことでハござ 00002220M18りませぬといふ。いしやSアヽこれ、わたくしがそくさい 00002230M19なめやはを、あげましとふぞんじますが、これハわたくし 00002240M20がてぎわでまへらぬことで、ざんねんにござります。マア 00002250¥P17 00002260¥G 00002270M1ずいぶんおひへなされますナ。しからバおいとまといふ。 00002280M2いんきよSモフおかへりなされますかと、たがひにじぎをす 00002290M3るとて、はちあわせをせしが、ゐしやSあたまをかゝへて、 00002300M4こつちのこぶになれ+(二オ) 00002310¥N4¥J 00002320¥X酒もり 00002330M7さいつおさへつ、さかもりをしていたりしが、ひとりのお 00002340M8とこ、コレせいさん。そんなにがぶ+と、のんでばかり 00002350M9いずと、ちつとあびてミせなせへといふ。Sげんこう。ソ 00002360M10リヤアなにをあびるのだ△Sおめへハ、さけをあびるとい 00002370M11ふひやうばんだから、おれにもあびて見せなせへよ。とふ 00002380M12ぞ、あびてミせな+と、やたらにのそむゆへ、Sソリヤ 00002390M13ア、おれがあんまりのむから、それでさけをあひるといふ 00002400M14のだといへバ、Sウヽそんなら、おれがことをバ、さぞ、 00002410M15さかなをあびるといふであろう(二ウ) 00002420¥N5¥J 00002430¥Xしごとし 00002440M18二八あまりのむすめよりあい、やくしやのはなしをして 00002450M19ゐるのを、しごとしがきいて、いつのまにか、おしろいを 00002460M20かつてきて、これ、おめへたちやア、よると、宗十郎だの 00002470¥P18 00002480¥G 00002490M1門之介だのといふが、あのてへゝハおしろいをなするから 00002500M2だ。おれもいま、いろおとこになつて見せやうと、かのお 00002510M3しろいをへしにぬれバ、むすめ、そのかほをミて、おや 00002520M4+、たかでおしろいがのりもしねへと、ミな+どつ 00002530M5+とわらへバ、しごとし、大きにあつくなつて、かのお 00002540M6しろいやへゆき、このぬすつとめらア。なぜ、はぢをかゝ 00002550M7しやアがつたと、おしろいをぶつゝけてあばれる。Sうち 00002560M8このもの、てあまして、それでハわけかしれませぬ。マア 00002570M9わけをといゝつゝ、かほを見て、ヱヽ、このおしろいがの 00002580M10らんとでも、おつしやりますのかといへバ、Sヲヽさ。の 00002590M11らねへとやらだ。ナゼよくのるこやのかるいのを、うりや 00002600M12がらねへよ(三オ) 00002610¥N6¥J 00002620¥X角力 00002630M15はじめてすまふけんぶつして、大きにはらをたてたかほを 00002640M16してかへりしゆへ、となりのていしゆきて、八兵へさん。 00002650M17だれぞ、ひゐきなものでもまけやしたかといへバ、Sイヱ 00002660M18サ、すまふハはじめて見たから、ひゐきハなしだが、まけ 00002670M19てもそれにとんじやくハねへが、マア吉兵へさん、きひて 00002680M20くんなせへ。やつこめがでやあがつて、かぶりものをとか 00002690¥P19 00002700¥G 00002710M1つしやい+とぬかして、せにをだして見るのに、ほうか 00002720M2ぶりもさせおらねへ。これではらがたゝねへで、とふする 00002730M3ものか。Sナニサ、そりやア、ごけんしのやくにんしゆへ、 00002740M4りよぐわいたからといへバ、八兵Sデモ、すもふハはだ 00002750M5かでせへとりやす(三ウ) 00002760¥N7¥J 00002770¥X役者付 00002780M8やくしやのむすめ、あきんどのむすめのなかにまじわりて、 00002790M9やくしやづけを見てあそんでいたりしが、あきんどのむす 00002800M10め、めばやくもんをミつけて、おや+、おたつさん。お 00002810M11まへのおとつさんハ、すミつこに、くびばかりだしていな 00002820M12さるよ。なぜ、だん十郎やもんのすけのやうに、まんなか 00002830M13にハいなさんねへのを。なぜ、いなさんねへの/を((とカ))いへバ、 00002840M14かのむすめSてうづにこまるからサ(四オ) 00002850¥N8¥J 00002860¥X大あんどう 00002870M17ふたりつれにて、てんわうの大あんどうをミて、これハよ 00002880M18くにた。ウヽよくかひた。これほどよくできたのに、なが 00002890M19かいてねへが、おふかた、しゆんしやうだろふといへバ、 00002900M20ひとりハ、インニヤ、しゆんこうたろふと、ふたりしてあ 00002910¥P20 00002920¥G 00002930L11らそつてゐるうしろから、ナニサ。あれハ三じやうサ(四ウ) 00002940¥N9¥J 00002950¥Xよあそび 00002960L14つきよのことなれバ、こども大ぜひあつまりて、サア、お 00002970L15にわたしをしてあそぼうといへバ、ひとりのこども、まだ 00002980L16もくさんかこねへから、よんでこよふと、かのうちへゆき、 00002990L17もくさんハヱヽといへバ、もくがおふくろ、もふよるハだ 00003000L18しませんといふ。もく、かたてをひろげて、かゝさん。五 00003010L19ツまであそんでこよふわナ。Sそんなにひさしくハ、なを 00003020L20ならぬとしかりつけれバ、Sおやゆびをおつて、そんなら 00003030M1四ツまで(五オ) 00003040¥N10¥J 00003050¥X寐ぼう 00003060M4よの八ツじぶんともおもふころ、あるうちより、なにやら 00003070M5しよつて、ひそかにでゝゆくを、そばきりうり見つけて、 00003080M6かのうちを、やれ+と、こへをかきりにおこしけれバ、 00003090M7おともさたもなきゆへ、はいつてミれバ、おとこ、たつた 00003100M8ひとり、たわひなくねいつてゐるゆへ、ミヽのそばへより 00003110M9て、どろぼうがはゐつたから、おきなさへ+と、けハし 00003120M10くよバれバ、Sヱヽ、こやかましいといゝつゝ、またねて 00003130M11ゐるゆへ、そばうりハ、どろほうが、なにかぬすんでにけ 00003140M12ていくから、はやくおきなさへ+と、またもおこせバ、 00003150M13Sよふ+めをあいて、そんならよんでくだせへ(五ウ) 00003160¥P21 00003170¥G新板/新作(しんさく)/徳盛(とくせい)/噺(はなし)△下△G榎本 00003180¥T1 00003190¥N1¥J 00003200¥X祭礼 00003210M3わかいもの、まつりからかへりて、アノてんま丁のだし、 00003220M4しうげつとやらがさいくだそふだが、きついもんだ。かん 00003230M5ことりがいきているやうだなどゝ、ひやうばんをしてゐる 00003240M6を、としたけたおとこきゝつけて、ぐず+とわらひなが 00003250M7ら、わいらとしたことが、アノとりをかんこだといつて、 00003260M8わらわれるナといふ。Sそれでも、おだやか/た((ママ))によがおさ 00003270M9まつたゆへ、かんこといふとりが、じんだいこにとまつて、 00003280M10それをだしにしたといふことだから、かんことりさ△Sわ 00003290M11いらハもんもうなものだぞ。こどもさへしつてゐるのに、 00003300M12ばか+しい△Sヱヽ、そんなら、かんことりてなくて、 00003310M13なんといふとりたへといへバ、Sアレカ。あれハさるとり 00003320M14(六オ) 00003330¥N2¥J 00003340¥X御まじない 00003350M17きつねにばかされぬまじないといた、たいそうなかんば 00003360M18んを見て、さらバまじないをうけんとて、げんくハんから、 00003370M19たのミませうといへバ、どふれいといふて、とりつぎがで 00003380M20ゝ、まつこちらへと、おくさしきへとをし、ずいぶんきを 00003390¥P22 00003400¥G 00003410M1しづめて、おうけなされませといふ。やゝあつて、はるかむ 00003420M2かふのふすまがあくと、しらがのほうゐん、かミなが+ 00003430M3として、しろむくにねづミのころもをたまだすき、すいし 00003440M4やうのじゆづをもつて、ちかふ+とあるゆへ、はいつく 00003450M5ばつて、そバによれバ、ずいぶんしんじんをして、あをぬ 00003460M6いていろといふ。S一ツしんふらんに、てをあわせてあを 00003470M7ぬいていれバ、やがてまゆげにつハをべつたり(六ウ) 00003480¥N3¥J 00003490¥X物知り 00003500M10わかいものあつまりて、しバゐのはなしをしてゐるところ 00003510M11へ、ものしりづらのおやち、しやしやりでゝ、おらがわか 00003520M12ひときに、大ゑひぞうがしバらくて、大たにりう左衛門が 00003530M13うけをした。またそのはるハ、そう三郎がくどうで、けう 00003540M14だいハせうてうに、おぎのい三郎。このときが、しバらく 00003550M15やそがきやうげんのはじまりで、大あたりであつた。しか 00003560M16も、つうちじへいといふさくしやが、つくりだしたことだ 00003570M17といふ。Sヱヽ、そんならアノかほをゑどるのや、せりだ 00003580M18しハ、だれがつくりだしたことだへといへバ、Sウヽ、あ 00003590M19れハこうぼうさまのしておかしやつたことサ(七オ) 00003600¥P23 00003610¥G 00003620¥N4¥J 00003630¥X御能 00003640M3さるおだいめう、ごしうきにつきて、のふやくしやをめさ 00003650M4れ、のふをおほせつけられけれど、おりしも六月とようの 00003660M5ことにて、やくしや、あきまでのひのべをねがひけれバ、 00003670M6との、大きにおんいかりあそバし、ミがことバをそむくかと 00003680M7おほせける。Sあまりしよきつよきゆへと申けれバ、Sナ 00003690M8ニ、はなハだしよきゆへにつとまらんとハ、/大(たい)ぎしやと申 00003700M9のか。ふとゞきなやつと、なをもごりつふくあそバされけ 00003710M10れバ、Sかつもつて、さやうなぎにハござりませぬといふ。 00003720M11Sシテ+、なにゆへあつて、あつさにハのふがならぬと 00003730M12おほせけれバ、Sまふそバから、わるくなります(七ウ) 00003740¥N5¥J 00003750¥Xしバらく 00003760M15ていしゆ、かほミせきやうげんを見てかへり、女ぼうには 00003770M16なししてきかせけれバ、女ぼう、ついぞしバゐをミたこと 00003780M17なきゆへ、そのしバらくとやらハ、どんなものゝことをい 00003790M18ゝやすへといふ。Sしハらくといふのハ、しバらく+ 00003800M19++といつてでるのことサ△Sソシテ、うけだのひつ 00003810M20たてだのとわへ△Sうけといふハ、しバらくとハヱヽトう 00003820¥P24 00003830¥G 00003840M1けるから。またひつたてとハ、しバらくをひつたてにでる 00003850M2からサ△Sウヽ、そんならアノ、あかつつらとやらわへ△ 00003860M3Sソレハ、つらをあかくぬつたやつのことをいつたものだ 00003870M4といへバ、Sほんに、よくいつたものだねへ(八オ) 00003880¥N6¥J 00003890¥X百度参 00003900M7あるむすこ、ほりのうちへくわんほどきにゆきけれバ、ぢ 00003910M8ないのちや屋にて、おゝい+とよびかけるゆへ、ふりか 00003920M9へつてミれバ、しる人ふたり。むすこたちかへりて、これ 00003930M10ハよふこそおまへりと、ずつとはいつて、わたしハおひや 00003940M11くどにまゐりやした。ほんに、よいところでおめにかゝり 00003950M12やしたといゝつゝ、さしをかつて三つにわり、かの二人リ 00003960M13にさづけ、たのミけれバ、二人リのおとこ、いやともいわ 00003970M14れず、ぜひなく、さしをもつていで、イヽサ、五六ほんづ 00003980M15ゝもなげこめと、こゞへにていひあわせ、やたらむせうに 00003990M16ふちこミけれバ、たちまち四五ほんになり、一人のさしを 00004000M17ミれバ、まだ二十本からあるゆへ、ふたりのもの、かほミ 00004010M18やあせ、てめへがいふからこふハしたが、あんまりさきへ 00004020M19しまつたらと、ミなまでいわさず、そこにぬかるものか。 00004030M20たゞあるひてゐるわな(八ウ) 00004040¥P25 00004050¥G 00004060¥N7¥J 00004070¥X女郎買 00004080M3あそびのかへりに、ともだちのうちへよりて、げんこう、 00004090M4きひてくだせへ。ゆふべハかりたくへゐつて、めうな、び 00004100M5なものをかつたヨ。Sソリヤア、どふゆふもんだの△Sマ 00004110M6アずつと、めはなだちが、はまむらやサ。こへがらから、 00004120M7しこなしぶり、てのあるところが、ずぶとじやくて、せい 00004130M8かつこうが、むら二郎サ△Sソリヤア、いゝところばかり 00004140M9にてゐるの△Sサアそれがおゝもてよ。すつぱりぬいで、 00004150M10じんじやうなはらのすべ+するまつしろなとこが、マア 00004160M11まんきくサ。そしてかわいらしいちよんぼりとしたへそが 00004170M12といふ。Sへそもだれぞに、にてゐるかといへバ、Sヲヽ 00004180M13サ、すばしりにそのまんまだ(九オ) 00004190¥N8¥J 00004200¥X寒土用 00004210M16かじけつほう、さむさのあまりに、なんと、このかんだの、 00004220M17どようだのといふものハ、なんのいらずともいゝことだと 00004230M18しゆつくわいをいゝけれバ、としたけたおとこきゝ、八さ 00004240M19ん、そふいわぬものた。このかんとようといふものハ、た 00004250M20いてい、めてたいものでハねへ△Sヱヽそりやアなせ△ 00004260¥P26 00004270¥G 00004280L11Sはて、どこのまつりにもつかふからサ△Sなに、かんど 00004290L12ようか、まつりにつか/い((ママ))れるものか。とんだことを△Sハ 00004300L13テ、それたから、かたとつてはやしにいるが、きがつかぬ 00004310L14か△Sヱヽそりやア、とふはやしやすといへバ、Sおてこ 00004320L15がやるそうといふと、たいこを、どよん+かん+とた 00004330L16ゝく(九ウ) 00004340¥N9¥J 00004350¥X寒念仏 00004360L19かんのうち、ゆきのふるばんに、しゆつけ、ねんぶつをも 00004370L20ふしてかどにたつ。そのうちのろうじん、てのうちをいれ 00004380M1て、ヤレ+、このおゝゆきに、さぞおさむかろふ。マア 00004390M2はいつて、ちやでもまいらしやれと、うちへいれて、ちや 00004400M3ほやとちそうしながら、かふしてゐてさへさむいのに、さ 00004410M4ぞおさむかろうに、ごきどくなことといへバ、Sイヱ、こ 00004420M5れでもいつそ、ほか+とあたゝかでござります△Sウヽ、 00004430M6それがすなハち、れんげのうへのおかげでかなあらふとい 00004440M7へバ、Sイヽエ、ありよふハぼたんのうへのおかげサ(十オ) 00004450¥N10¥J 00004460¥X川越し 00004470M10どうしや、おゝいかハへつき、かわこしに、いくらでこす 00004480M11といへバ、S九十二文くだせへとゆふ。Sそれハこうじき 00004490M12だの。六十ばかりてやるめへか△Sだんな。きついとこを 00004500M13ねぎらつしやるぞ。いのちづくのことだ。きよくやつてこ 00004510M14しなせへし。そんでへに、わしらがかたへのつちやア、き 00004520M15づけへなしだ。ほんにいふじやアねへが、おやふねがあき 00004530M16れていやサア△Sそんなにミそをあけて、ながしてくださ 00004540M17んなといへバ、Sハテ、ながしやア、ぜにハとりやしねへ 00004550¥Q 00004560M19△△△△△△△△△△△△△△△△△◇ホコ長作◇ 00004570M20△△△△△△△△△△△△△△△△△春泉画(十ウ) 00004580¥P27 00004590¥U噺本大系△第十八巻 00004600¥G 00004610G1△△△△作者△桃栗山人 00004620G2△△△△校合△鹿杖山人 00004630G3上/青楼育(さとそだち)/咄雀(はなしすゞめ) 00004640G4△△△△△△浅くさ茅丁 00004650G5△△△△△G板元秩父屋 00004660¥T/青楼育(さとそだち)/咄雀(はなしすゞめ)〔題簽〕 00004670¥Y 00004680M3寛政五年正月刊 00004690M4桃栗山人作 00004700M5歌川豊国画 00004710M6秩父屋板 00004720M7中本二巻二冊 00004730M8都立中央図書館加賀文庫蔵 00004740¥Y序 00004750M13むかし+ありつるとなん、おうぢハ山へ、うばハ川に/桃(もゝ) 00004760M14のなかれてよりこのかた、その花さかせ/爺(ぢゝ)、/夭&(よう+)として、 00004770M15そのはなしのたね、/蓁&(しん+)たり。そのほか、竹になく/雀(すゞめ)、あ 00004780M16なにすむ/狸(たぬき)のはなしをきけハ、したきりの/鋏(はさミ)ひきもきらず、 00004790M17/兎(うさき)の/手柄(てから)、あげてかぞへがたくぞあるべき。力をもいれず 00004800M18して、人のあぎとのかけかねをはづし、めに見へぬ/鬼神(おにかミ)お 00004810M19も、百物/語(かたり)にかんせしめ、なく子と/地頭(ぢとう)の/顔(かほ)おもやわらけ、 00004820M20たかきおいらんの心/お((ママ))も、やすからしむるハはなしなり。 00004830¥P28 00004840¥G 00004850M1此はなし、いつそやうちの/日待(ひまち)のむしろ、ひらきそめし時 00004860M2より、いできにけり。(一オ)/抑(そも+)おれ、われ、なれにかた 00004870M3らんとハ、かしこき/聖(ひじり)の/教(おしへ)にして、かくのことく/我(われ)きくと 00004880M4ハ、/有(あり)かたき/仏(ほとけ)の/道(ミち)なるべけれど、見ぬ京ものかたりのこ 00004890M5ゝちし/侍(はべ)れバ、伊勢や/日向(ひうか)のひがことをつたへんより、年 00004900M6ごろうかれめのいゝありしことのはを、一つ二つかいつけ 00004910M7れバ、はや/十九(つゞ)のかずとハなりけらし。/是(これ)やおもき/葛篭(つゝら)の 00004920M8おも口より、かろきつゞらの/軽(かる)口といふべけれバ、日本一 00004930M9の/契情(きミ)たちの/集(あつま)りし/廓(くるハ)の/全盛(ぜんせひ)、/篭中(こちう)の/鳥(とり)のたとへを/和(やわ)らげ、 00004940M10/青楼育(さとそたち)はなし/雀(すゞめ)と/題(だい)するのミ 00004950M12△△△寛政五△△△△△△△△△桃栗山人 00004960M13△△△△丑の初春△△△△△△△△柿発斎戯述G 00004970M14△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一ウ) 00004980¥P29 00004990¥G 00005000¥T1 00005010¥N1¥J 00005020¥Xまんさい 00005030M3ある/客(きやく)、正月の/初買(はつかい)に、しんそう大ぜいはなしの中に、ホ 00005040M4ンニ、アノまんさいといふものハ、あしなもんだ。太夫と 00005050M5才蔵と国がちがふて、大晦日に才蔵市といふがあつて、い 00005060M6ろ+おかしい事をいつてゐるを、太夫かきいて、中で上 00005070M7手な才蔵をやくそくして、正月からつれて出るといふ事じ 00005080M8やといへバ、◇女郎◇そんなら、アノゑぼしをかふつた人が見 00005090M9立て、つれてくるのかへ。どふせふねへ。下手な才蔵どん 00005100M10ハ、お茶ひいたら、正月どこにねんす(二オ) 00005110¥N2¥J 00005120¥Xといしかミそり 00005130M13あるところの女郎、わかいものに、といしとかミそりをか 00005140M14つてくれとたのんでも、まにあわず。ちややのおとこが江 00005150M15戸へでるとき、かつてもらい、◇女郎◇コレ、長介どん。こん 00005160M16たに、とふからたのんでも、かつてくれねいから、かミそ 00005170M17りもといしも、かづさやのおとこ衆に、かつてもらつたヨ 00005180M18◇若者◇アイ、わたしもわすれハしやせんが、めつたにかつて 00005190M19も、かミそりとといしがあわねバ、きれませぬ△◇女郎◇ムヽ、 00005200M20そんなら、そふして見よふと、たんすのひきだしから、か 00005210¥P30 00005220¥G 00005230M1ミそりといしをだしてあわせ、ホンニ、これハきれんすま 00005240M2い。◇若者◇なせへ△◇女郎◇これほどミじかい(二ウ) 00005250¥N3¥J 00005260¥X千両富 00005270M5女郎のざしきで、たいこもちがいふよふ、モシ、とんだ事 00005280M6がありやす。おしつけ、あさくさで千両とミができるとさ。 00005290M7一分付て、千両とるこつたもの、こいつハはやろふ。なん 00005300M8でもわたしが二三まいかつて、あたると、きゝらきんだ。 00005310M9其時ハどふいふもんでござりやせふといふを、◇女らう◇モシ、 00005320M10利八さん。正月ばかり、つきんすのかへ△◇たいこ◇ナニサ。 00005330M11まい月+一どつゝ十二月迄さ△◇女郎◇そんなら、千両つゝ 00005340M12月に一ど、ミんなじや、十二千両じやね(三オ) 00005350¥N4¥J 00005360¥X/伴頭(ばんとう)/新造(しんぞう) 00005370M15此ごろ、ばんとうしんぞうになつた女郎を、そのおいらん 00005380M16へゆくきやくが、おめへハコレ、此ざしきのこかうの/臣(しん)だ 00005390M17によ、ずいぶんたのむ。おいらハなまゑいの事なれバ、し 00005400M18よじこかうのしん+としやれるを、其しんぞうの茶やへ 00005410M19いふにハ、おかさん。きいておくんなんし。おいらのきや 00005420M20く衆が、なんぼわつちらがようなしんざうたといつて、あん 00005430¥P31 00005440¥G 00005450M1まりなぐさミなんす。◇茶や◇それハなんとおつしやりました 00005460M2◇新造◇きいておくんなんしな。新ンならしんでよふおつすハ 00005470M3な。男じやアあるめへし、ととうのしん+(三ウ) 00005480¥N5¥J 00005490¥Xらんま 00005500M6ある大工のとうりやう、/作(さく)事ふるまいに大ぜいつれ、女郎 00005510M7のしたくの内、ざしきにて、しんぞうハ火をおこしてゐる 00005520M8内、ほう※見まハして、けつかうなぞうさくだとほめて、 00005530M9ついせうばいじミて、コレごろふしろ。らんまハよくした。 00005540M10此くミものハむづかしい。/工(く)かつがかゝつたろう。◇大工◇さ 00005550M11ようさ。十五人でハできますまい。おやしきだと、廿人ハ 00005560M12かゝりますといふをきいて、◇新造◇ナニ、そんなにハかゝり 00005570M13んせん。たつたふたりきて、まいにち+(四オ) 00005580¥N6¥J 00005590¥Xみゝのあか 00005600M16あるいへのおいらん、ミヽのあかをとつている所へ、やり 00005610M17てがきて、これハおいらん。ミヽくそをおとりなさるか。 00005620M18ずいぶんおとりなんしへ。わたしがわかいとき、とるがき 00005630M19らいて、うつちやつておいたら、どふもなつてなりませぬ 00005640M20から、人をたのんで、やう+とつてもらいましたら、お 00005650¥P32 00005660¥G 00005670L11きゝなさい。大きくむしのよふな物がでました。ある物を 00005680L12しつた人がいふにハ、うつちやつておくと、/虻(あぶ)になると申 00005690L13しんした。ホンニこハい事といふ内、かほを見ていたが、 00005700L14◇女郎◇(四ウ)そりやほんにかへ。そりやあぶとやらかへ。そ 00005710L15りやアおめへのミヽの中のぬしでおつせう 00005720¥N7¥J 00005730¥Xかぶろのはなし 00005740L18かぶろ二三人、火ばちにあたつて、はなしをしている所へ、 00005750L19下タから布子をきたかふろが、コレ、ちかのどん。今ぜげ 00005760L20んどんがきて、内証のおかミさんにいふにハ、ちどりどん 00005770M1のかゝさんが、ゆふべしんだとよ。そりよきくとの、ちど 00005780M2りどんが、いつそなきだしたヨ。わつちやきのどくだから、 00005790M3こゝへきいした。◇ちかの◇きくのどん。ほんにかへ△◇きくの◇そ 00005800M4れさ△◇むめの◇わつちもしつていんす。とつさんハなくて、 00005810M5かゝさんひとりたとよ。かわいそふだ(五オ)ねへ△◇かのも◇ 00005820M6コレ、梅のどん。かわいそふたといわつしやるな△◇梅の◇な 00005830M7ぜ△◇かのも◇コレ、かハいそふだといふと、とりつくと 00005840¥N8¥J 00005850¥Xかゞミとぎ 00005860M10はしごのわきで、かゞミとぎが、かゞミをといでいる所へ、 00005870M11しんぞう大ぜいきて、ミている中に、ひとりが、コレ、か 00005880M12ゝミとぎどん。こんたのうちハとこだ。◇かゞミとき◇わしかへ。 00005890M13わしがところハ加賀△◇新造◇ヱヽ、そんならはやくかへらつ 00005900M14しい。モウ日がくれる(五ウ) 00005910¥P33 00005920¥G 00005930G1△△△△作者△桃栗山人 00005940G2△△△△校合△鹿杖山人 00005950G3下青楼育咄雀 00005960G4△△△△△△浅くさ茅丁 00005970G5△△△△△G板元秩父屋 00005980¥T1 00005990¥N1¥J 00006000¥Xかけ物 00006010M3ある客、よし原へ行ながら、なミ木のどうぐやで、/親和(しんな)の 00006020M4かゝれたかけ物をかつて、新造をあげて、コレ、此かけ物 00006030M5を、そこへしまつてくんなさい。◇新◇ドレ、お見せなんし。 00006040M6なんといふ/字(じ)だへ△◇きやく◇これハ/寿命(じゆめう)の/寿(じゆ)の字た。べつし 00006050M7てよくできた△◇新◇たれがかきんしたへ△◇客◇三井のしんな 00006060M8さ△◇新◇そんなら、わつちもこんど、かいてもらおふ△◇客◇ 00006070M9てめへ、ちかつきか△◇新◇ちかづきでハおつせんか、おいら 00006080M10かの所へ、あすこの内のでばんがきなんす(六オ) 00006090¥N2¥J 00006100¥Xのしめ 00006110M13両国かり/宅(たく)の内、二かいから松の内、人どをりのにぎやか 00006120M14さに、女郎が見ていると、下を武家がたのねんれい。あれ、 00006130M15見なんし。上ミ下モをきて、嶋の袖かハりのきものをきて、 00006140M16あるきなんす。けさから、いくたりも+。此ころのはや 00006150M17りかね。◇きやく◇あれハのしめだ△◇女郎◇なんぼのしめでも、 00006160M18おんなしきれがありそふなものたに、しまのきれをつぐと 00006170M19ハ、見とうもない(六ウ) 00006180¥P34 00006190¥G 00006200¥N3¥J 00006210¥Xふとう 00006220M3ひる見せに女郎より合、身のうへのねがい、まち人をうら 00006230M4なふてもろふ。法印のいふよふハ、モシ、おめへハ酉の年 00006240M5で、一代の守り本ぞんハふとう。ずいぶん御しん※をな 00006250M6されませといへハ、◇女郎◇守り本ぞんハふどうさまでおすか。 00006260M7こわらしいね。なぜあんな火を、せなかにしよつたり、な 00006270M8わやけんをもつて、にんそうのわるい、すかねへかほをし 00006280M9ていなんすへ△◇法印◇あれハほうべんといふもの。ほかに、 00006290M10ふんぬのそうをげんし、ないしんにしひをもつて、あくま 00006300M11こうふくのかたちさ△◇女郎◇あくまかうぶくとハへ△◇法印◇あ 00006310M12くまとハ(七オ)人の願のじやまをしたり、やまいでいへバ、 00006320M13おこり、やくびやうをはらふといふ事さときいて、そバに 00006330M14ゐるふりそで新造が、おいらんへ。だいどころのまゝたき 00006340M15どんがね、しつをおいごんで、からだがいたいといふを、 00006350M16田まちのいしやさんがミて、コリヤア、ほねへからんでむ 00006360M17つかしいとて、此ごろハ、そのごうぶくをのミんす 00006370¥N4¥J 00006380¥X紋の大きサ 00006390M20◇商人◇モシ、おいらんへ。此中のくろじゆすに金糸で、さく 00006400¥P35 00006410¥G 00006420M1らさうのぬいのうちかけハできましたが、もんの大きさが 00006430M2しれませぬ。どれほどにいたしませふ△◇女郎◇アイ。わつち 00006440M3がもんの大/サ((キカ))さハ、おはり衆が、一寸二分といゝした△◇商人◇ 00006450M4ハイ。それハかねでごさりますか、くじらかね△◇女郎◇はか 00006460M5らしい。かねでもくじらでもおつせん。竹のものさしで 00006470M6(七ウ) 00006480¥N5¥J 00006490¥Xようかん 00006500M9ある女郎、左リむきの/牛(うし)をもらいて、小ふとんをこしらへ、 00006510M10なでゝいる。きやく、これをミて、さ、そのうしハなでゝ 00006520M11ばかりいてハ、きとうにならぬ。なんそあげるかいゝ。 00006530M12◇女郎◇おミきてもあげるのかへときかれ、このきやく、下戸 00006540M13なれバ、ナニサ。ようかんを二タさほはかりあげたがいゝ。 00006550M14◇女郎◇それをしまいに、とうしんす△◇きやく◇ハテ、ミんなが 00006560M15よつてくわふハ△◇女郎◇けしからねへ。わつちらか、うちぢ 00006570M16うでたべても、一トさほでもあまりんせう△◇きやく◇ナニ、 00006580M17うちぢうなめたばかりでも、ひとさほやふたさほハなくな 00006590M18る。てめへ、なんだとおもふ△◇女郎◇つきの間をゆびざして、 00006600M19アノながもちて、ふたさほかへ(八オ) 00006610¥P36 00006620¥G 00006630¥N6¥J 00006640¥Xいせゑび 00006650M3きやく二三人づれ、市のミやげもの、いろ+もつてきて、 00006660M4女郎にやり、ヤレ+、けふハごふてきにくたびれた。い 00006670M5つはいのもふと、さけになり、此かざりゑびハ、ねこにと 00006680M6られぬよふに、しまつてくんな。◇女郎◇ほんに、大きなゑび 00006690M7でおざんす△◇きやく◇されバサ。何のやくにたゝぬものでも、 00006700M8江戸中ばかりでも、すさまじいついへだ。うミからでる物 00006710M9も、だいぶんあるもんだ。かつほてもまぐろでも、サアと 00006720M10れるだんになると、一日に千本も万本も。イヤ又、てうし 00006730M11のはまで、いわしがとれるときにハ、一めんにうミのいろ 00006740M12がちがふそふだといふ事だ△◇女郎◇此ゑびも、そこでとれん 00006750M13すかへ△◇きやく◇ナニサ。こりやアいせゑびだ△◇女郎◇そんな 00006760M14ら、いせでとれるときにハ、うミがさぞ、見事にまつかで 00006770M15おさんせう(八ウ) 00006780¥N7¥J 00006790¥Xいんぎん 00006800M18女郎といふものハ、/里(さと)ことばとハいゝながら、いんぎんな 00006810M19ようでも、ぞんざいなこともある。ぬしハモウきさつした 00006820M20かの、ゆかしつたのと、あじなもんだと、客のはなしをき 00006830¥P37 00006840¥G 00006850M1いて、あるおいらんが、きやくをむりに、けふハいなんし。 00006860M2きやく衆がおちあつた時ハ、わつちもきがもめる。さしあ 00006870M3いのない日がよふおつす。◇きやく◇コレ、そんなてめへかつ 00006880M4てな事ばかりいふ。おれもけふハ、おふくろが、どこへか 00006890M5ゆくといつた。おやしきの御用もある。そして内とのもの 00006900M6ゝめへもわるいから、かへらねハならぬ△◇女郎◇それ、ミな 00006910M7んし。こふいへハこふいふと。おめへハかつてなこと斗リ 00006920M8(九オ) 00006930¥N8¥J 00006940¥Xりうきう人 00006950M11◇客◇きのふ高/輪(□わ)まで、七つからおきて、りうきう人を/見(けん)ぶつ 00006960M12にいつた。大きにかへりにおされて、くたひれだ。なんの 00006970M13おもしろくもなんともない△◇女郎◇モシ、りうきう人とやら 00006980M14のなりハ、どふでおざんすへ△◇きやく◇やつはりとうじんだ 00006990M15から、まつりのとうじんのようなものさ。あれより、とし 00007000M16ま丁のまつりのとうじんが、りつぱだ△◇女郎◇としま丁とや 00007010M17らのまつりにでるのが、よふおざんすかへ。どうしたモン 00007020M18タねへ。りうきうじんとやらハ、とうじんがせうばいでい 00007030M19ながら(九ウ) 00007040¥P38 00007050¥G 00007060¥N9¥J 00007070¥X/凧(たこ)/蛸(たこ)のまちがひ 00007080L13ある人、よんどころなく、つきあいに行、女郎かい。おれ 00007090L14ハむつかしくない。なんでもさけをのんでさわぐがいゝと、 00007100L15わかいものにいへハ、心へましたと、つれてきたをミれバ、 00007110L16大きにふとつた丸がほで目の大きい女郎衆。さすがいやだ 00007120L17ともいわれず、一チ二ど行、もふあた名をつけてやつて、 00007130L18たこににたと、友たち仲間のふてうによひ、さけをのませ 00007140L19ながら、コレ、たこせんせい+と、ミな+がよべハ、 00007150L20ばからしいといゝなから、はらもたゝす。きのよいものた 00007160M1と、一さもきやうになり、さてとこがおさまると、きやく 00007170M2がねているところへ女郎がきて、すいつけて出して、モシ、 00007180M3ねなんしたか。よくくちをきゝなんす。したがね、おめへ、 00007190M4どんな事をいゝなんしてもよふおつすが、アノたこ+と、 00007200M5ミんなのまへで、はつかしい事ハいひなんすな(十オ) 00007210¥N10¥J 00007220¥Xかけ/地(ぢ)の/絵(ゑ) 00007230M8ざしきのかけ物に、ふくろくしゆのかいたるを、きやくが 00007240M9ミて、これハよいゑた。名のりがないが、さだめて/狩野(かのゝ)筆 00007250M10でかなあろふ。女郎Sよく見なんした。これをくれたきや 00007260M11く衆が、めつたにないゑたといゝした。名ハその、かの 00007270M12ふだとさ△きやくSそんなら、こほうげんであろう△女郎 00007280M13Sばからしい。こほうけんが、とうかきゑへやしやう△ 00007290M14Sきやくそんなら、たれだな△S女郎おやほうけんさ 00007300¥Q 00007310M16△△△△△△△△△△△△△△桃栗山人戯作 00007320M17△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十ウ) 00007330¥P39 00007340¥U噺本大系△第十八巻 00007350¥G 00007360G1G@新板新作|咄の絵合@/三才(さんさい)/智恵(ちゑ)上△G 00007370¥T@新板新作|咄の絵合@/三才(さんさい)/智恵(ちえ)〔題簽〕 00007380¥Y 00007390M3寛政九年刊 00007400M4桜川慈悲成作 00007410M5歌川豊国画 00007420M6永寿堂板 00007430M7中本二巻合一冊 00007440M8大東急記念文庫蔵 00007450¥Y 00007460M10三才の童子をあつめて云。夫、長ひ咄ハ天より鬼がふんと 00007470M11しをさげたり。又ミじかきはなしハ、一寸法師かかハほり 00007480M12はをりをきてあるく。こわひ咄ハ、じゆばんに百がのりを 00007490M13くつゝけしそ。其のりのこつて、すゞめ、かのばアさまに 00007500M14/に((に衍))きらるゝ。此あとはなせバとんでゆくと、おとし咄のあ 00007510M15い狂言に、罷り出たる太郎くハじや、一つおはなしもふそ 00007520M16うと、はりひぢでヱヘン+(壱オ) 00007530¥P40 00007540¥G 00007550¥N1¥J 00007560¥X/龍宮(りうぐう) 00007570M3西のうミへばけもの出てけれバ、あまたの小魚おそれをな 00007580M4して、いつかふしけなりけり。このぶんにハすておきかた 00007590M5くとて、うをども、りうじんへこのよしをねかひにいでけ 00007600M6る。りうじんきこしめし、いかやうのものいでけるぞと、 00007610M7たづねさせけれハ、うをもふすやう、いつかうすがたハ見 00007620M8へもふさず候へども、よにいりて、ちくらがおき、ことの 00007630M9ほかにあれ、さらり+++と、いかにもものすごく 00007640M10なり候。それゆへにばけものゝなを、さらり+ともふし 00007650M11ならハし候と、りうじんへ申上けれバ、りうじん、かしら 00007660M12をかたげ給ひ、たゞさらり+となるばかりか。うをSさ 00007670M13やうでごさります△りうじんSさらり+となるか△うを 00007680M14Sさやうでござります△りうじんSそれハ人のせつぶんじや 00007690M15ろう(壱ウ・二オ) 00007700¥P41 00007710¥G 00007720¥N2¥J 00007730¥X/仲人(なかうど) 00007740M3大こく伝兵へとあだなのあるおとこあり。きハめてにんそ 00007750M4うよく、あさゆふわらひくらしけるか、いまたひとりミな 00007760M5れバ、ねんごろの人きたりて、女ほうのせハをはなしけれ 00007770M6ハ、大こく、大きによろこび、とふぞはやくせハしてくだ 00007780M7され。さりながら、しるとをりのことなれバ、あまりたい 00007790M8そうな所からハもらわれませぬといへバ、せハする人、い 00007800M9や+、こちらもほんのはだかしやが、まつなによりハ、 00007810M10にんそうのよい女じや。それゆへ、きさまにせハをする。 00007820M11きさまハ大こくといふゐミやうのある人じやに、にんそう 00007830M12のわるひおんなでハ、せハができぬでハないか。だいこく、 00007840M13それハなによりしや。はやくはなしあいをしてくだされと 00007850M14いへバ、かの人、それならバそうだんしてきようと、たつ 00007860M15てかどぐちへでかけながら、これ、大こく。ちときのどく 00007870M16な(二ウ)ことがある。大こくSきのどくとハなんじや△仲人 00007880M17Sとしよりのおふくろがひとりあるといへハ、大こくSお 00007890M18つと、それハわしかしよいもの(三オ) 00007900¥P42 00007910¥G 00007920¥N3¥J 00007930¥Xてつちのはなし 00007940M3どうらくむすこ、あそひすこし、うちへはいりにくく、ま 00007950M4ぐついているおりふし、うちのてつちにあい、うちのしゆ 00007960M5ひをきけハ、てつちのいふ。おまへさんのことを、となり 00007970M6のちゝいとばゝアかきて、たいていわるくいふことしやこ 00007980M7ざりやせん。むすこSなんとわるくいふ△てつちSとなりの 00007990M8ばゝアがいふにハ、わかだんなも、ミなみへはつかりおい 00008000M9でだそうしやといへハ、またちゝいか、北へもおいてなさ 00008010M10るそうじや。南とハちかつて、北ハものゝいりがゞおゝい 00008020M11から、おためにならぬと、おまへのことを、北へゆくの南 00008030M12へゆくのと、わるくいゝます△むすこSそんならおれを、 00008040M13北へゆくの南へゆくのとわるくいふか△でつちSアイ。そ 00008050M14うわるくいゝながら、うぬらハネ、西方ゆきたかるやつさ 00008060M15(三ウ・四オ) 00008070¥N4¥J 00008080¥Xめがね 00008090M18ゐんきよ、めかねをかけて、ほんをよんでゐる。うちので 00008100M19つち、おもてにいたづらをしてさわぐゆへ、ゐんきよ、や 00008110M20かましく、本よミのじやまになりけれバ、こぞうヨ+と 00008120¥P43 00008130¥G 00008140M1よびける。こぞう、いつかうきゝつけす、さハきけれバ、 00008150M2きんじよの人でゝ、こぞう。ゐんきよさまがおよびなさる 00008160M3といへバ、こぞうとんでかへり、ゐんきよのかほを見て、 00008170M4ゐんきよさまハ、めかねをかけておよびなさるから、きこ 00008180M5へるものでハない(四ウ) 00008190¥N5¥J 00008200¥X/彫物(ほりもの) 00008210M8きおひ、なんぞうでへほりものをしたいか、なんそつよひ 00008220M9ものがあろうか。友だちSべんけいをほれ△Sぼうつハい 00008230M10やた+△友S八ぼう。そんならくハんうにしろ△八Sと 00008240M11うじんもいやだ+△友Sそんなら一ばんつよい、わたな 00008250M12べにしやれ△八Sわたなべハつよいか△友Sわたなべハご 00008260M13ふせいにつよいハヱヽ△Sそんならわたなべにしやうか、 00008270M14まつとつよいものかありそうなものだ△Sそんならきんひ 00008280M15らさ+△Sきんひらハわたなべよりつよいか△Sちつと 00008290M16ハつよいのサ△八Sそんなら、きんひらがわたなべのつら 00008300M17へくらひついたところをほろう(七オ) 00008310¥P44 00008320¥G 00008330¥N6¥J 00008340¥X/咄上戸(はなししやうご) 00008350M3おとしはなしがめしよりすきじやといふて、そこれちうを 00008360M4はなししてあるく。日がくれてかへるとき、おとしはなし 00008370M5がすぎたやうにて、うちへよろ++とよろけこミけれ 00008380M6バ、Sかミさま、大きにはらをたち、たいがひにはなしも 00008390M7したがいゝ。そのやうにすぎてハ、ミのためにならぬとい 00008400M8ふくちの下から、ていしゆSけろ+とはく。ミヽだらい一 00008410M9ぱいに、ちゝイばゝアのはなし、かにとさるのかたきうち、 00008420M10もゝ太郎、した切すゞめ、したゝかはきだし、すこしそで 00008430M11にかゝれバ、ていしゆ、ぬからず、これハふるいはなしの 00008440M12せんだくしてもらいたい(七ウ) 00008450¥N7¥J 00008460¥X/長尻(ながしり) 00008470M15きやく、ながはなしをしてゐる。かミさま、なんどへゆき 00008480M16て、ほうきをたてけり。ほどなくきやく、かへりしたくに 00008490M17なる。かミさま、はうきのまじないがあたりしと、よろこ 00008500M18んでゐるところへ、げじ+がはいでけれバ、かミさま、 00008510M19きミわるがりて、はうきをもちだして、げぢ+をはきだ 00008520M20す。きやくもそう+かへりかゝる。かミさま、うれしが 00008530¥P45 00008540¥G 00008550M1りて、はうきをなげだせバ、きやくSはうきがよこになつ 00008560M2たらバ、もちつとはなししませう(五オ) 00008570¥N8¥J 00008580¥X/五段目(ごだんめ) 00008590M5しやうめんくろまく、まつなミき。じやうはりのかゞミを 00008600M6かざり、ちのいけ・はりのやま、ミなものすごく、なかに 00008610M7中じまミをゑもんとおぼしきかほにて、ゑんまわうざし給 00008620M8ひ、右王左王・ごづめづ、そのしたにハあかおに・くろお 00008630M9に、あをおに・しろおに、ひぢをはつてゐならぶところ 00008640M10へ、しやばより与一兵へといふもうじやきたり、ごくらく 00008650M11をねがふ。さいこのはなし、あわれなれハ、ゑんま王、ご 00008660M12くらくへやり給ふ。そのあとへまた、さだ九郎といふもふ 00008670M13じやきたる。ゑんま王、定九郎をミ給ひ、これ、定九郎と 00008680M14やら。ごくらくへやらふが、おのれ、さいこのようすをは 00008690M15なせと、の給ひけれバ、定Sわたくしハ、てつぱうてなく 00008700M16なりました(五ウ)△ゑんまSなに、てつほうとハ△定九郎 00008710M17Sはらをたゝき、てつほうかあたりましてといへバ、Sあ 00008720M18かおに、くろおにのひざをついて、これ、ふぐハめつたに、 00008730M19くハれねへわへ(六オ) 00008740¥P46 00008750¥G 00008760¥N9¥J 00008770¥Xかんしやく 00008780M3せんしやく、かんしやく、きしやくハやうござりますかと、 00008790M4はこに入てうつてあるくゆへ、めつらしいあきんどかきた。 00008800M5よんで見やうと、しやくうりをよび、せんしやくがあるか 00008810M6といへバ、はこよりきてこしらへししやくをいたす。これ 00008820M7がせんしやくてござります。ていしゆSこれハくけのもつし 00008830M8やくじや。これてやまひがなをるか△あきんどSこれをむね 00008840M9へあてると、じきになをります△ていしゆSいくらじや△ 00008850M10S三百文サ△Sこれハたかいものじやが、なをるならかい 00008860M11ませうと、ねができる。女ほうSわたくしにも、かんしや 00008870M12くを一本おくれ△商Sはいと、又はこ£出す。女Sこれハ 00008880M13いくらた△商Sこれハ四百でこさります△女Sとんだ高い 00008890M14ものたか、ほんとうになをるかへ△商Sなに、女中方をた 00008900M15ますものでござります△女Sほんに、うそでハないかへ 00008910M16商Sけしきをかへてふミ折、これてもかんしやくてないか 00008920M17(六ウ・八オ) 00008930¥P47 00008940¥G 00008950¥N10¥J 00008960¥X/狐(きつね)つき 00008970M3むすこ、そらきちかいをはしめ、ねから、わからぬことを 00008980M4いふ。おやたち、なんでもきつねかついたろうと、きんじ 00008990M5よの山ふしをよんで、きたうをする。山ふし、これハきつ 00009000M6ねがつきましたと、やミくもにいのれハ、むすこ、ぬから 00009010M7ぬつらで、こん+といふ。母Sそばから、なに、きつね 00009020M8てハない。あれハ日ころ、ねこをむこくしたから、ねこの 00009030M9おもひたといへバ、山ふしSなるほと、ねこでござります 00009040M10と、又いのる。Sかしらをあげて、にやア△Sさてこそ、 00009050M11ねこたといへバ、Sなに、ねこでハござらぬ。この間ねす 00009060M12ミのすをとりだして、ねこにくハせなされたから、きつと 00009070M13ねづミの思ひがとりつきました△山ふしSそふしや+。 00009080M14ねつミの思ひじやと、またいのる。むすこSちう+と、 00009090M15ねつミのまねをする。おやしSこいつハいろ+のまねを 00009100M16しをるから、ねつミやねこのわざでハない。たしかに人 00009110M17げんのおもひがとりついているもしれぬ△山ふしSさやう 00009120M18+。わたくしも、にんけんの思ひかとりついておいでな 00009130M19さるとぞんじます△おやじSそんなら、その心でひといの 00009140M20り、いのつてミてくだされ(八ウ)△山ぶしSかしこまりま 00009150¥P48 00009160¥G 00009170M1したと、じゆずおしもミ、大ごへあげていのれバ、Sきち 00009180M2がひ、あたまをかきなから、にんげんのなきこへにハこま 00009190M3つたぞ(九オ) 00009200¥N11¥J 00009210¥X/高尾丸(たかをまる) 00009220M6よりかねかう、三うらやのたかをゝミうけして、さんやよ 00009230M7りふねにのせ、三ツまたへこぎ出しけり。かぢのすけ申や 00009240M8う、かよふになりたるうへハ、きミのおこゝろにしたがひ 00009250M9たまへ。たかをのきミともふせバ、たかをSどふもいやで 00009260M10ござんす△鳴神Sこれハどふしたものじや。そのやうなこ 00009270M11とをいわずと、きミのおこゝろに(九ウ)/た((ママ))たかひ給へ△高 00009280M12Sいやでござんす△かぢの介Sとふあつても、きミの御心に 00009290M13したかふことハいやか△高Sいやでござんす△鳴かミSほ 00009300M14んにいやか△高Sいやさ△Sま事にいやか△高Sいやてご 00009310M15ざんすといへバ、よりかね公、あふきをもつて、うたい 00009320M16Sなびけ+三浦の高尾の君、なびき給へやア引と、あふ 00009330M17ぎにてひやうしをとりて、ハアハアト引。高尾Sつんと立 00009340M18て、イヤア引(十オ) 00009350¥P49 00009360¥G 00009370¥Q 00009380M1△△△△△△△△△△△△◇芝桜川慈悲成作◇ 00009390M2△△△△△△△△△△△△△△△△△△とよ国画 00009400M3△△△△△△△△△△△△△△△△△△△永△寿△堂 00009410M4△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十ウ) 00009420¥P50 00009430¥U噺本大系△第十八巻 00009440¥G 00009450¥T@落△噺|三番叟@/福(ふくの)/種蒔(たねまき) 00009460¥Y 00009470M4寛政十三年正月刊 00009480M5十偏舎一九作・画 00009490M6村田屋板 00009500M7中本二巻合一冊 00009510M8国立国会図書館蔵 00009520¥Y 00009530M10/此(こゝ)に/声変(こへかハり)のしたる/中(ちう)ぐらゐの/童子(どうし)あり。/狂名(きやうめう)を/遠唐(とうからの)/沖人(おきんど) 00009540M11と云。/蓼(たで)くふ/虫(むし)も/好(すき)の道とて、/此一篇(このいつへん)をつゞりて、予に/校= 00009550M12合(けう=がう)せよと乞ふ。/鳴呼(あゝ)、/其志(そのこゝろざし)は/竹(たけ)の/皮(かハ)に/包(つゝ)む、なんでも/四= 00009560M13文(し=もん)の/撰取(ゑりどり)/噺(ばなし)、さつま/芋(いも)のふかしき事ハなけれ共、/古(ふる)いやつ 00009570M14には/天麸羅(てんふら)の/衣(ころも)をかけ、今/出来(でき)たてのほや+物。/笑(わら)ふ/門(かど) 00009580M15へは/大福(だいふく)もちのやたい/店(ミせ)、ちよと/下卑(げび)ぞうの/口(くち)をひらきて、 00009590M16十偏舎一九しるす 00009600M17△△△酉△晋陽△(一オ) 00009610¥P51 00009620¥G 00009630¥T1 00009640¥N1¥J 00009650¥Xかミ入 00009660M3コレ、かミいれをこしらへた。コリヤアミんな、いわくの 00009670M4あるきれだよ。Sドレ、ほんによさそふだ。このぎんいれ 00009680M5のきれハ、めづらしいの△Sめづらしいはづだ。よしつね 00009690M6がひたゝれのきれだ△Sハテノ、こちらハどふだ△Sそり 00009700M7やア、べんけいがぢんばをりのきれよ。これがらいこうの 00009710M8山入のしやうぞくのきれ。そちらが、つな、きんときのき 00009720M9ものゝきれだとはなす。Sハテ、めづらしいきれをよくあ 00009730M10つめた。しかし、こりやアどこにあつたといへバ、Sイヤ 00009740M11サ。おらがとなりのにんぎやうやにあつた(一ウ) 00009750¥N2¥J 00009760¥X唐人 00009770M14とう人、つうじをよんで、さて+、わしも丸山の女郎に 00009780M15あしをつけかけて見たが、どふもできぬ。つうじSソリ 00009790M16ヤア、おめへのあしハつきやせん△Sなぜだ△Sハテ、あ 00009800M17の女郎衆のうしろつきを御ろうじたか。あひるのよふなし 00009810M18りつきさ汝Sあひるなら、あしハつかぬか△Sおめへさん 00009820M19がたが、あしをつけよふとおもいなすつても、さきでハい 00009830M20つかうおとりあげなしさ△Sソリヤアどふして△Sハテ、 00009840¥P52 00009850¥G 00009860M1おめへがたにやア、かゝとがない(二オ) 00009870¥N3¥J 00009880¥Xかたり 00009890M4きのふしばいへいつたが、なるほど、あらし三八ハしぶと 00009900M5いかたきだ。かねをひやくりやう、かたりとつたきやうげ 00009910M6んで、それを大ぜいでせんぎするに、いわぬの。ところで、 00009920M7おつな事ハ、うしろにかげをうつているこうけんが、その 00009930M8かたりを見あらわしたとはなせバ、Sこいつハおかしい。 00009940M9どふして又、こうけんが見あらわした△Sイヤ、かた/((き脱カ))三八 00009950M10がいふにハ、おらアさむらいだ。かたりなんどゝハけがら 00009960M11ハしい。そんなおぼへハねへおとこだといつてりきむと、 00009970M12うしろでかげをうつおとこが、Sイヤ、かた+、かたり 00009980M13+(二ウ) 00009990¥N4¥J 00010000¥Xよめいり 00010010M16ねずミのむすめ、よめいりしてまもなく、さとへかへり、 00010020M17もふあそこのうちハいやだといふ。ふたおや、むすめをし 00010030M18かり、あんなよいうちハない。そしてむこどのもきりやう 00010040M19よし。なにがきにいらいで、でゝきたといへハ、ねずミのむ 00010050M20すめSアイ。なんにもわるいことハないが、たつたひとつ、 00010060¥P53 00010070¥G 00010080M1どふもいやなことがござります△ふたおやSそれハなにが 00010090M2いやだ△むすめSあのゝ、しうとめごのねこなでごへが 00010100M3(三オ) 00010110¥N5¥J 00010120¥X長まつ 00010130M6おやぢ、おふくろをはじめ、む/((す脱カ))こもむすめも、つらりとな 00010140M7らんで、あさめしさいちう。いつちばつしのてうまつ、な 00010150M8にかだゞけだすを、おやぢにらめつけ、おのれ、いゝかげ 00010160M9んにめしもくらつたなら、はやくてならひにいきやアがれ。 00010170M10まだこゞとぬかすか。きり+と、ししやうさまへいかぬ 00010180M11かと、大きにしかられ、てうまつ、ふくれつらしてでゝ行 00010190M12ながら、Sコウ、そんなにしかると、おいらア、ゆんべの 00010200M13ことを、ミんなにいふせへ(三ウ) 00010210¥N6¥J 00010220¥Xしり尾 00010230M16ぬゑ、しりをのへびにむかひ、Sコレ、けふハこのさむい 00010240M17のに、なぜ、てめへハそんなにのろ+とでゝいる。かぜ 00010250M18でもひかふ。ひつこんで、きものをかぶつていやといへバ、 00010260M19へびSけふハどふも、そとへでゝいにやアなりませぬ△ぬ 00010270M20えSなぜだ△へびSさつき、おやかたハごうぎにむぎめし 00010280¥P54 00010290¥G 00010300M1をくハしつた(四オ) 00010310¥N7¥J 00010320¥Xらう人 00010330M4このせつきハ、もふうそのつきよふがねへから、おれがし 00010340M5んだぶんにして、かけとりにいゝわけをいへと、女ぼうに 00010350M6いゝふくめ、大ミそかになると、らうにんもの、びやうぶ 00010360M7をひきまハしねている。かけとりがくると、女ぼう、そら 00010370M8なきしながら、うちでも、しやつきんをくにして、ゆふべ 00010380M9なくなられましたといふ。かけとり、なんりやう一つだし 00010390M10て、さて+それハおきのどくだ。これハ少しながら、ほ 00010400M11とけさまへとさしいだす。女ぼう、きのとくにおもい、あ 00010410M12なたへはらひもせぬうへに、これハいたゞかれませぬとも 00010420M13どせバ、かけとり、ひらにおうけ下さりませと、やつつか 00010430M14へしついふを、らう人もの、びやうぶをあけて、あのよふ 00010440M15におつしやるから、いたゞいておいたがよい(四ウ) 00010450¥N8¥J 00010460¥Xふミづかい 00010470M18コレ、ぬしのあいかたハ、よくたび+ふミをよこすが、 00010480M19おいらがあいかたハ、ついどふミをよこしたことがねへと 00010490M20いへバ、ともだちSそりやアそのはづよ△Sなぜ、そのは 00010500¥P55 00010510¥G 00010520M1づだ△Sハテ、ぬしの女郎ハ、てがないからさ(五オ) 00010530¥N9¥J 00010540¥Xでつち 00010550M4だんな、こぞうをよびつけ、おれがこのあいだから、よる 00010560M5ハてならひをしろといふのに、ねつからしおらぬ。あんど 00010570M6うがでると、いねふりばつかりしていやあがる。そう+ 00010580M7てならひをはじめろとしかられて、ミせへいで、いま+ 00010590M8しい。おらがだんなハ、なんぞといふと、てならひをしろ 00010600M9+とおつしやる。おれにおもいれ、てならひをさせて、 00010610M10ばんとうにでもしよふとおもつて。イヤ、そのてハくハぬ 00010620M11(五ウ) 00010630¥T1 00010640¥N1¥J 00010650¥Xすもふ 00010660M14おらがところの三すけめハ、すもふをめうによくとる。な 00010670M15んでも、やつとたちあがると、あいてのかたへてをかけて、 00010680M16むしやうにかたをつかミやす。それから又、からだぢうを 00010690M17もむよふにとると、あいてがあんまをとつてもらふきにな 00010700M18つて、心もちがよくなるところをミすまして、とつてなげ 00010710M19やす。それだから、いちばんもまけた事がござらぬ。Sソ 00010720M20リヤアそのはづだ。あんまハじやうず、ころぶハおへた 00010730¥P56 00010740¥G 00010750M1ゞ(六オ) 00010760¥N2¥J 00010770¥Xてうちん 00010780M4ゆミはりてうちん、はこでうちんのかたへきたり、さて、 00010790M5どなたにもおかハりもなしか。ときに、おだハらでうちん 00010800M6を久しく見かけねへの。Sイヤ、あれハせんじつ、やけど 00010810M7をしてから、ほねをいためてわづらつている△Sヲヤ、し 00010820M8らなんだ。ミまいにいかさあなるめへと、それよりおだハ 00010830M9らてうちんかたへ行、あんばいがわるいそふだが、どふだ 00010840M10といへバ、おだハらてうちん、かもいにつるさがつていて、 00010850M11コレ、このとふり、まだぶら+としていやす(六ウ) 00010860¥N3¥J 00010870¥Xはと 00010880M14あるわかとのさま、お下やしきへいらせられけるに、ごも 00010890M15んに、はとおほくいたり。御きんじゆのしう申上けるハ、 00010900M16このはと、せんこく、ごもんばん、てをだしましたれバ、 00010910M17すぐさま、てのうへゝのりましたと申上る。わかとの、御 00010920M18てをだしたまい、トヽヽヽヽヽとおゝせけれ共、はとハミ 00010930M19むきもせず。御きんじゆたち、ミなてをだして、トヽヽヽ 00010940M20ヽヽといへ共、はとハこず。かの御もんばんをよびいだし、 00010950¥P57 00010960¥G 00010970M1このはと、そのほうがてのひらへハのるが、なぜほかのも 00010980M2のゝてへハこぬと、御たづねありけれバ、御もんばん、 00010990M3Sおそれながら、わたくしがてをごろふじませ。このとふ 00011000M4りのまめだらけ(七オ) 00011010¥N4¥J 00011020¥Xにんぎやう 00011030M7あるどうぐミせに、ふるひなかず+ある。わとうないの 00011040M8にんぎやうあり。これハいくらだ。Sハイ。わとうないだ 00011050M9から、三〆でごさります△Sそれハたかい。むかしハ三〆 00011060M10でもあろふが、こうと、五十ぐらいにまけさつせへ△Sと 00011070M11んだことを。三〆のものを五十につけるとハ、人をてうす 00011080M12のかと、どうぐや、大きにはらをたてれバ、かいてSハテ、 00011090M13このにんぎやうもあたまのはげあんばいでハ、五十ぐらい 00011100M14のところでござるよ 00011110M15△△△△△△△△△△△△△△◇@遠唐沖人作|校合十偏舎@◇(七ウ) 00011120¥N5¥J 00011130¥Xかうまん 00011140M20あるところに、とんだかうまんなかミさまがあつて、きり 00011150¥P58 00011160¥G 00011170M1やうのいゝのを、はなにかけ、とかくおとこを、ぐつとめ 00011180M2のしたにミて、ひとりかうまんばかりいふ。てんぐ、これ 00011190M3をにくミ、ひつさらつていじめんと、かの女ぼうがミせさ 00011200M4きにいるをミすまし、そらよりとびおりると、かの女、 00011210M5Sヲヤ+てんぐさんかへ。よふおいでなんしたと、せな 00011220M6かをとんとうつ。てんぐSヱヽ、このたつつけめが(八オ) 00011230¥N6¥J 00011240¥Xぬす人 00011250M9あるうちのやじりをきりかけるに、どふもきれず。ぬす人、 00011260M10大あせになつて、やう+とかべをきりやぶり、はいつて 00011270M11ミたところが、なんにもとるものが、ひとつもなし。ぬす 00011280M12人、がつかりとして、あきれはているところに、ていしゆ、 00011290M13めをさまし、ヤレ、ぬす人よとはねおきれバ、ぬす人Sあ 00011300M14まりおさわぎなされますな。ちとやすんでから、でゝゆき 00011310M15やす(八ウ) 00011320¥N7¥J 00011330¥Xまをとこ 00011340M18ていしゆ、なんでもまをとこを、まつ二つにしてくれんと、 00011350M19ぬきミをさげて、びやうぶのうちをそつとのぞきてミれバ、 00011360M20女ぼうとまおとこ、ねいりいるまくらもとに、小ばんが八 00011370¥P59 00011380¥G 00011390M1まい、ならべてある。ていしゆ、きつとしあんして、そつ 00011400M2とつぎのまへ出、女ぼうをよぶ。女ぼうSなんだへと、お 00011410M3きてくれバ、ていしゆSてめへのはりばこへ、おれがかねを 00011420M4二ぶいれておいたから、ちよつとだしてくだせへ(九オ) 00011430¥N8¥J 00011440¥Xふるまい 00011450M7きのふ、おやぶんの小ぞうが、いわいだとつて、よばれて 00011460M8いつたが、とんだちそうよ。まづしるが、さかなのミばか 00011470M9りすりつぶしたやつよ。ひらがまつたけとくわゐとゑびに、 00011480M10せりかなにか、あをいやつがとんだうまかつたとはなせバ、 00011490M11一人リのおとこ、Sそれじやア、ひらが四いろだ。まだ一 00011500M12いろあつたろふといわれて、しばらくかんがへ、まだあつ 00011510M13た+。Sなにがあつた△Sはい、とりもちをまるくした 00011520M14やつが(九ウ) 00011530¥N9¥J 00011540¥Xでんじゆ 00011550M17コレ、きさまハたびへゆくそふだが、せんべつにおしへて 00011560M18やることがある。水におぼれぬでんじゆをおしへよう。 00011570M19Sそれハありがたふござります。わたくしハぜんてへ、川 00011580M20へはいることがすきでござりますから、どふぞおねがひ申 00011590¥P60 00011600¥G 00011610M1ますといへハ、こゝろへたと、あしをまくらせ、ひざのと 00011620M2ころへ、すミにてすじをつけて、Sコレ、かならずこれよ 00011630M3りふけへところへ、はいらしやんな(十オ) 00011640¥N10¥J 00011650¥Xかしだな 00011660M6あるところのおほや、よる四つをうつと、ろじを〆て、な 00011670M7がやのかど+へ、かしだなのふだをはる。けふこしてき 00011680M8たたなこ、きもをつぶし、Sモシ+大やさま。わたくし 00011690M9ハこんばん、もふひつこしましたに、なぜわざ+かしだ 00011700M10なのふだをおはりなされます△大やSだまつてござれ。あ 00011710M11すのあさハめくります△Sあさ、おへがしなさるものを、 00011720M12今又なぜ、おはりなさる△Sこふしておくと、どろぼうが 00011730M13はいりませぬから(十ウ) 00011740¥P61 00011750¥U噺本大系△第十八巻 00011760¥G 00011770G1△△△△△六冊懸 00011780G2△△△△△徳用草紙△上 00011790G3△△△△△△△通油町 00011800G4馬琴作△△△△△$屋板 00011810¥Y/五大力三図訓読序(ごだいりきミつのよみこゑじよ) 00011820L1/禍福大門(くわふくおほもん)なし。/只客(たゞきやく)の/招(まね)く/所(ところ)に/通(かよ)ひ/来(く)る。/日本堤(にほんづゝミ)も/唐天竺(からてんぢく)も 00011830L2。/恋(こい)ゆゑに/躬(ミ)をやつし/事(ごと)。/古人訥子(こじんとつし)が/名(な)を/止(とど)む。/五人切= 00011840L3粉(ごにんきり=こ)のミせ/煙草(たばこ)。さつま/国府(こくぶ)も上/州館(しゆだて)も。のめやうたへや 00011850L4/浮世(うきよ)ハ/車(くるま)。まハらぬ/筆(ふで)の/長烟管(ながぎせる)。/吸(すひ)つけて/出(だ)す/格子先(こうしさき)。 00011860L5/洒落(しやれ)なんすなが/身(ミ)にしみ+。/口(くち)と/中(なか)とハしら/雪(ゆき)と。/是(これ) 00011870L6/墨附(すミつき)の十五/張(ちやう)。ちと/珍(めづ)らしく/老実(まじめ)に/綴(つゞ)りぬ 00011880L7△△△△壬戌春帝端月 00011890L8△△△△△△△△△△著作堂馬琴述 00011900L9△△△△△△△△△△△△△△GG 00011910¥T/六冊懸(ろくさつがけ)/徳用草紙(とくようぞうし)〔題簽〕 00011920¥Y 00011930M4享和二年正月刊 00011940M5曲亭馬琴序・作 00011950M6北尾重政画 00011960M7蔦屋板 00011970M8中本三巻合一冊 00011980¥Y/売切(うりきれ)/申候(まうしそろ)/切落咄(きりおとしばなし)/序(しよ) 00011990M12/夫(それ)はなすこと/難(かた)し。/勘平(かんぺい)が二つ玉、/武智(たけち)が大/筒(つゝ)、時として 00012000M13猶あたり/外(はづ)れあり。/和泉(いづミの)三郎が/空鉄炮(からてつほう)ハ、/五斗(ごと)兵衛が/寐耳(ねミヽ) 00012010M14を/貫(つらぬ)き、/戯作者(けさくしや)のあてづゝほうハ、子供衆の目を/覚(さま)す。/明(あけ) 00012020M15の/烏(からす)の元日から、/今茲(ことし)も/替(かハ)らす/筆(ふで)をとる、/多(おほ)くの/中(なか)で此/作(さく) 00012030M16の、/落(おと)し/咄(ばなし)や口合の、おもしろいやらわるいやら、しらぬ 00012040M17が/仏(ほとけ)の/方便品(ほうべんほん)、/嘘(うそ)ハしやうちの/忘語戒(もうごかい)、/破(やぶ)つて/揉(もん)でその/后(のち) 00012050M18ハ、/紙屑篭(かミくずかご)に入るゝもまゝよ 00012060M19△△△壬戌正月△△△△△△△△△△曲亭子G(一オ) 00012070¥P62 00012080¥G 00012090¥Y六/冊掛(さつがけ)/徳用草紙(とくようぞうし)のよみよう 00012100M3四文ぜにを三文にうれバ、一文そんがゆく。四文ぜにを四 00012110M4文にうれバ、かひてがなし。こゝをもつてやつがれ、此は 00012120M5るのしゆこうといつパ、さうし三さつにて六さつにむかふ 00012130M6徳用のしんさく也。そのよミようハ、まづ上のまきから下 00012140M7のまき迄、うへのだんをよんでしまい、またくりかへして、 00012150M8上のまきより下のおハりまで、下たのだんをよむなり。上 00012160M9のだんと下のだんを、かならずいつ所によミつこなし。よ 00012170M10むとじきに、おとつさんへいつつけてやらあ△△以上 00012180¥T1◇切落はなしの上の巻◇ 00012190¥N1¥J 00012200¥X開帳 00012210M15四五人よりあつまり、きよねんさがのしやかのかいてうハ、 00012220M16ごうせいにはんじやうしたじやアねへか。しかし、さがの 00012230M17しやかのかいてうどしハ、とんだあついが、あれハどふし 00012240M18たことだろう。◇しつたふう◇それハしれたことだ。しやかハて 00012250M19んぢくの人だ。てんぢくハねつこくだ(一ウ)から、おしや 00012260M20かゞござるとあつひのさ△◇いぜんの男◇ハテナ。あついことハ 00012270¥P63 00012280¥G 00012290M1ねつこくといふが、そしてさむいくにハ、なんといふ△ 00012300M2◇しつたふう◇さむいくにハ、かんこくさ△◇ひとりの男◇ひやつこ 00012310M3いのハ△◇しつたふう◇れいこくといふハ。ソレ、れいとハ、ひ 00012320M4へるとかくじやアねへか△◇一人の男◇またつせへよ。れいこく 00012330M5がひへるなら、そのくにの人ハ/冬(ふゆ)もふんどしなしたらう 00012340M6(二オ) 00012350¥N2¥J 00012360¥Xろうにん 00012370M9あるろうにん、おてらへごをうちにゆきて、だん※とり 00012380M10いり、ちかごろむしんのいたりにござれど、此度せつしや、 00012390M11しゆうどりをいたし、いつかどのちぎやうにありつきます。 00012400M12それにつき、せう+したくもいりますれバ、金子四五百 00012410M13両しやく用いたしたし。これハせつしやがいへぢうだいの 00012420M14かたな、まさ宗でござる。身にもかへがたき品にハ(二ウ) 00012430M15ござれど、金子へんさいまで、おあつけ申シませう。ぶし 00012440M16のたましひをあづけおくうへハ、すこしもそうゐなしとい 00012450M17ふに、◇和尚◇かふりをふり、いや+、それをあづかつてハ、 00012460M18金をかすことハさておゐて、そつちから二三百疋もとらね 00012470M19バなりませぬ。◇らう人◇それハまた、なぜでござる△◇和尚◇てら 00012480M20でたましいをあづかると、ほうじりやうがいります(三オ) 00012490¥P64 00012500¥G 00012510¥N3¥J 00012520¥Xむすめ 00012530M3はゝおや、ひさしくぶら+とわづらひてゐれど、もとよ 00012540M4りまわらぬしんだいなれバ、としたけたむすめをまひあさ、 00012550M5くすりとりにやりしに、それからたん+のうらくになつ 00012560M6て、とう+おなかゞ大きくなり、二タ月三月ハそでたも 00012570M7とでかくせしかども、もはや五つきからハかくしがたく、 00012580M8これハまい日、大めしをくつて、はらのはつたようにミせ 00012590M9るがよいと、むすめ、三(三ウ)どのめしを八九はいづゝして 00012600M10やるゆへ、おふくろ、きのどくに思ひ、◇はゝおや◇此子ハばか 00012610M11らしい。こなたのはらにハやどなしでもいるそうだ△◇むすめ◇ 00012620M12やどなしハいねへがの△◇母おや◇そして、何がいるのだ△ 00012630M13◇むすめ◇てゝなし子がたつたひとり(四オ) 00012640¥P65 00012650¥G 00012660¥N4¥J 00012670¥Xいろおとこ 00012680M3いろおとこ、さるはこ入りむすめをミそめ、とう+てに 00012690M4いれて、たがいにふかきなかとなりしが、しよせん此よで 00012700M5ハそハれぬふたりがなかなれバ、かけおちして、しんぢう 00012710M6とでかけんと、あるよしめしあハせ、そのしたくをしたり 00012720M7しが、◇むすめ◇おめへ、これまでいゝかハしたことを、わす 00012730M8れハしなさるめへね△◇いろ男◇そりやアいわずとしれたこと 00012740M9さ△◇むすめ◇ふたりがさいごハびぢがハら、ミらいハ一つは 00012750M10ちすじやぞ(四ウ)へ△◇いろ男◇そりやアいわずとしれたこと 00012760M11さ△◇むすめ◇しかし、おめへ、わたしをだまして、うつてし 00012770M12もふこゝろじやアねへかへ△◇いろ男◇そりやアいわずとしれ 00012780M13た事だ(五オ) 00012790¥P66 00012800¥G 00012810¥N5¥J 00012820¥Xけんじゆつ 00012830M3ごふくやのわかいもの、けんじゆつのでしいりをしけれバ、 00012840M4しせう、まづりうぎのかたをつかひわけてミせ、これハお 00012850M5もて、これハうら、此てがさへれバ、大げさにきれ申スと 00012860M6おしゆれバ△◇ごふくや◇いかに、わたくしせうばいがごふくや 00012870M7でも、うらのおもての大げさのとハ、おなぶりとそんじま 00012880M8すといふ。◇しせふ◇かべにゆびさし、あのとふりといふを、 00012890M9◇ごふくや◇よく+ミれバ、はりふだを出して、けんじゆつ、 00012900M10かけねなし(五ウ) 00012910¥T1◇切落咄の中のまき◇ 00012920¥N1¥J 00012930¥Xものわすれ 00012940M15ものおぼへのわるいおとこ、つかひにゆき、さきの人のあ 00012950M16てなをわすれ、大きにこまつている。むこうから、バあさ 00012960M17まがくるゆへ、◇つかい◇もし+、わしがゆく所ハどつちで 00012970M18ござります△◇ばあさま◇こなたのゆくところがしれるくらゐな 00012980M19ら、わしもまごついてハいませぬ△◇つかい◇そんなら、おめ 00012990M20へも、ゆくさきがしれませぬか。そしておめへハ、どふな 00013000¥P67 00013010¥G 00013020M1さるつもりでござります△◇ばあ様◇わしハこれから、うらな 00013030M2いをおいてミます(六オ) 00013040¥N2¥J 00013050¥Xばけ物やしき 00013060M5あるちうつぱらな男、ばけ物やしきへゆきて、ミ/こ((ママ))とゞけ 00013070M6んと、さけさかなをとゝのへ、よいからひとりさけをのん 00013080M7でたのしんでいると、ほどなく八ツのかねがごん※とな 00013090M8るやいな、そバなる戸せうじ、たゝミハいふにおよバず、 00013100M9あんどん、なべかま、はこ小ばちにいたるまで、のこらず 00013110M10おどり出し、いろ+のしよさごとをする。これハめづら 00013120M11しいたけだからくりをミた。なんでもよがあけたら、此ふ 00013130M12るど(六ウ)うぐをもつてかへり、両ごくへミせものにだし 00013140M13て、かねもふけをせんと、よのあけるをまつほどに、いつ 00013150M14しか、ひがしがしら※としらミて見れバ、はいりくちに 00013160M15ふだをさげて、御手つけ三日ぎり(七オ) 00013170¥P68 00013180¥G 00013190¥N3¥J 00013200¥Xゆうれい 00013210M3◇せんさく好キ◇ゑにかいたゆうれいをミれバ、ミんなこしから 00013220M4しもかないが、なせ、とももりのゆうれいはかり、あしか 00013230M5かひてあるだろう△◇ゑかき◇あれハうミで打じにした人たか 00013240M6ら、たこになりかゝつたゆへ、ゆうれいてもあしがある△ 00013250M7◇せんさく好◇そんなら八ほんありそうなものだに、やつハり二 00013260M8ほんあるハ、どういふわけだ△◇ゑかき◇そこがたこになりか 00013270M9ゝつたところだ△◇せんさく好◇またつせへよ。平(七ウ)けの大 00013280M10将ハたしか、かにになつたせ△◇ゑかき◇イヤ+、たこにな 00013290M11つたにちげへハねへ△◇せんさく好◇たこになつたといふせうこ 00013300M12でもあるのか△◇ゑかき◇ソレ、ひよ/りど((ママ))りごへて、ミんない 00013310M13つばいくつたむくゐだ(八オ) 00013320¥P69 00013330¥G 00013340¥N4¥J 00013350¥X上戸 00013360M3そこぬけ上戸、ある所にて、しゆ+ちそうになり、大き 00013370M4にゑいて、ぶら+かへるミち、さけどんやのまへにきか 00013380M5かり、またさけのにほひをかいで、こたへかたく、そつと 00013390M6さかぐらの中へはいり、かゞミをぬいて、がぶ+のんで 00013400M7ゐる所を、ばんとふ見つけて、こハさけぬす人よ、とたち 00013410M8さハぐを、◇上戸◇ぜんざい+。われハこれ、このくらの 00013420M9うちの(八ウ)さけをまもるかミなり。われきのふ水あげを 00013430M10した酒をきいてミて、そうばをよくうらせんと思ふ也。な 00013440M11んぢ、あやまつて、われをうたがふことなかれ△◇ばんとふ◇そ 00013450M12れハありがたふぞんじます。しかしそれハあまりそまつな 00013460M13しあハせ。べつにおミきおそなへでも△◇上戸◇イヤ+、お 00013470M14ミきももふのめぬ。おそなへハなをくハれぬ△◇ばんとふ◇そな 00013480M15なら何をそなへませう△◇上戸◇もし、しん※こゝろあら 00013490M16バ、もふこのうへハ、しほちやをいつぱい(九オ) 00013500¥P70 00013510¥G 00013520¥N5¥J 00013530¥Xぢしつ 00013540M3あるむすめ、ぢしつをわづら/ら((ら衍))いて、いたミたえがたく、 00013550M4さつそくいしやをよんで、やうだいを見せけれバ、いしや、 00013560M5とつくりとやうすをミて、およそ、ぢに五ぢとて、出ぢ、 00013570M6いぼぢ、はしりぢなどあれど、それがし、いましりご玉の 00013580M7やうすをミるに、おはらハたてられな、まつたくかさのわ 00013590M8(九ウ)ざでござる。◇むすめ◇くるしきこハねにて、ナニ、か 00013600M9さじやアねへ。かつぱのわざだ(十オ) 00013610¥P71 00013620¥G 00013630¥N6¥J 00013640¥Xゆかた 00013650M3ていしゆ、壱分弐朱にて、ゆかたをかつてきて、女ぼうに 00013660M4ミせ、これ、ミさつせへ。いきなしまだろふ。◇女ほう◇とふ 00013670M5じはやりのごはんじまだね△◇てい主◇うんにや、こりやアせ 00013680M6うぎばんじまだよ△◇女ほう◇ごばんとせうぎばんハ、どこで 00013690M7ちかひますへ△◇てい主◇ねだんでちがふのさ△◇女ほう◇そりやア 00013700M8どふいふわけでござります△◇てい主◇銀三つでまかしてきた 00013710M9(十ウ) 00013720¥T1◇切落咄の下の巻◇ 00013730¥N1¥J 00013740¥X客 00013750M14ながしりの客をはやくかへさんと、小僧、ほうきをさかさ 00013760M15まにたてゝをき、もはや、かへるじぶんなりと、そつとの 00013770M16ぞいてミれバ、きやくハざしきにたわいなくねているゆへ、 00013780M17これハふしぎと、ほうきをたてゝおいたところへいつてミ 00013790M18れば、いつかほうきが、よこにどつさり(十一オ) 00013800¥P72 00013810¥G 00013820¥N2¥J 00013830¥Xふもんごん 00013840M3むひつのおやぢ、むすこに手紙をかゝせ、だん+もんご 00013850M4んをこのむ。◇おやぢ◇せんじつ御さうだん仕候間、いよ+ 00013860M5さきかたへも申つかハし候あいだ、たいがいせうちと相ミ 00013870M6へ候間、此だん御しらせ申候間と、やミくもに、あいだと 00013880M7いふもんごんをこのむゆへ、◇むすこ◇きのどくに(十一ウ)お 00013890M8もひ、Sそれでハあんまり、もんごんにあいだがありすぎ 00013900M9ませう△◇おやぢ◇ぬからぬかほで、Sいそがぬようじだから、 00013910M10いくらあいだがあつても、だいじない(十二オ) 00013920¥P73 00013930¥G 00013940¥N3¥J 00013950¥Xけんくわ 00013960M3さけのミにて大せいけんくわをはじめ、うつゝ、たゝいつ、 00013970M4きつゝ、はつゝの大さわぎ。相手五人まであたまのはちを 00013980M5わられけれバ、きん所のてやい出あい、そうほうを引わけ、 00013990M6だん※わたりをつけて、わびけれども、あたまのはちを 00014000M7わられた五人、中+とくしんせず。さいにんもぜひなく、 00014010M8ミなてをひゐたあとへ、(十二ウ)ごせんかごをかつひだお 00014020M9とこきかゝり、さうほうへ口をそへければ、はちをわられ 00014030M10た五人、さつそくりやうけんして、ことゆへなくすミけれ 00014040M11ば、はじめにかゝつたさいにん、あまりふしぎにおもひ、 00014050M12あとから口をそへた人のしやうばいをきけバ、せとものや 00014060M13きつぎ(十三オ) 00014070¥P74 00014080¥G 00014090¥N4¥J 00014100¥Xぬす人 00014110M3ていしゆのるすに、どろぼうはいりしを、女ほうミつけ、 00014120M4こゑをたてんとするところを、ぬす人、そバなる火入をな 00014130M5げつけしが、その火入、女ぼうのむねへあたり、はつとい 00014140M6ふて目をまハしたところへ、ていしゆ立かへり、ぬす人を 00014150M7とつておさへ、◇てい主◇おのれ、よくとるものにことを(十三 00014160M8ウ)かいて、人の女ぼうのいのちをとろうとしたな。これ、 00014170M9人のいのちが、しちにもおかれるものかときめつくれバ、 00014180M10◇ぬす人◇それだから、まだぶちころしきりハしませぬ(十四オ) 00014190¥P75 00014200¥G 00014210¥N5¥J 00014220¥Xはんごんこう 00014230M3かねてふかくいゝかわせし女、ふとわづらいてむなしくな 00014240M4りければ、男ハあるにもあられずこいこがれ、せめて今一 00014250M5どかほがミたく、もろこしのはんごんこふ、ちかくハあさ 00014260M6まがたけの上るりを思ひ出し、日ごろとりかわしたるふミ 00014270M7をあつめ、火ばちの中へうちこめバ、ばつと、きなくさい 00014280M8けふりハたてど、なんにもでず。もふ出さうな(十四ウ)も 00014290M9のと、火ばちの中をのぞひてミれバ、火の中で、ふす+ 00014300M10いぶつてゐるものがあるハ、まさしくゆうれいが、でかゝ 00014310M11つているにちがひなしと、火ばしをもつて、火ばちのそこ 00014320M12をかきまハしてミた所が、よいにくべたさつまいも(十五 00014330M13オ) 00014340¥P76 00014350¥G 00014360¥N6¥J 00014370¥Xかけもの 00014380M3◇むひつ◇正月かけようと思つて、かけものをかつてきた△ 00014390M4◇友だち◇どれ、なんだ。ひとつぱもよめねへ。こりやアなん 00014400M5といふじだ△◇むひつ◇なんといふじだか、おれにもよめねへ 00014410M6◇友たち◇とてものことに、よめるのをかつてくれバいゝ△ 00014420M7◇むひつ◇ばかをいふぜ。よめるとじきに/直(ね)がしれてわりひ 00014430¥Q 00014440M9△△△△△△△△△△△△△△△◇曲亭馬琴作◇ 00014450M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十五ウ) 00014460¥P77 00014470¥U噺本大系△第十八巻 00014480¥G 00014490¥T@新板|流行@はなし/亀(かめ)〔表紙〕 00014500¥Y 00014510M3享和四年刊 00014520M4十口舎富久助作 00014530M5鶴屋金助板 00014540M6中本一冊 00014550M7大東急記念文庫蔵 00014560M9△△△△△△△△△△△△△△G 00014570M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(見返扉) 00014580¥N1¥J 00014590¥Xかんどう 00014600M13どらなむすこをかんどうしたところが、五つばかりのまご 00014610M14があつて、とつさんハどふした+とたづねるゆへ、へん 00014620M15くつおやじもこれにこまりはて、とゝうハかんどうしたか 00014630M16ら、これ、ぢいさんがかわいがるぞ。おれが、ばんにハり 00014640M17やうごくで、あかのてうちんをかつてやろうぞ。◇小僧◇ナニ、 00014650M18おらアとうろふがいゝ△◇おやぢ◇はて、ちやうちんがいゝヨ 00014660M19◇小僧◇ナニ、とうろふがいゝ△◇おやぢ◇アヽ、うぬもかんどう 00014670M20せねバならぬ(一オ) 00014680¥G 00014690G1G板元鶴屋金助 00014700G2△△△△△(見返扉) 00014710¥P78 00014720¥G 00014730¥N2¥J 00014740¥Xしろいづくし 00014750M3しろかね丁に、しろたへといふちや屋ができて、しらかハ 00014760M4や四郎兵へといふ、しろいのれんに、しろあがりのそめこ 00014770M5ミ。サアおもしろいと、ミな+ゆきけれハ、しらかべつ 00014780M6くりに、ごふんぬりのふすま、しらきのぜんわん、しろい 00014790M7せともの、おちつきか、しろミそでしらいおのすいもの。 00014800M8なんでもいつさい、しろいづくしのこんだて。しらはしも 00014810M9いとゞしらげにミへけれバ、さあはじめようと、しろのて 00014820M10うしをとりあげ、ついだところが、しろざけ。いや、こい 00014830M11つ/わ((ママ))きめう。しら川やのしろい(一ウ)つくし、しろうとの 00014840M12おもしろがるしゆかう。とてものことに、たぼを一まいい 00014850M13れて、のミハどうだ。はい。さやうなら、おしもさんかお 00014860M14ゆきさんをきゝにつかハしませうと、よびにやり、さてき 00014870M15たところが、しらきのしやみせんばこ、しらきのこまげた、 00014880M16ばたり+、しろちりめんのおこそづきん、しろどんすの 00014890M17大はゞのおび、しどけなく、ずつとはいりながら、どなた 00014900M18もよう御いでなさりやしたねといゝながら、づきんをとれ 00014910M19バ、八十あまりのしらがばゝア(二オ) 00014920¥P79 00014930¥G 00014940¥N3¥J 00014950¥Xかミなり 00014960M3ぐハら++びしや+++と、かしらがまへに、 00014970M4かミなりかおちた。◇かしら◇これヱ、かつこうのわるい。な 00014980M5ぜおらがうちのまへゝおちた。はやくいけヱ++。げ 00014990M6ヱぶんがわりイハヱ△◇雷◇ハイ+、ふせうしなんし。つい 00015000M7ふミはづしておちたから、いまくもがくると、のつてまへ 00015010M8りやす△◇かしら◇サアはやくいつてくれヱ。おれがぐハいぶ 00015020M9んがわりイわヱ。サアいけ+△◇雷◇アイ+、いまいきま 00015030M10すと、くもにのり、こしをさすりながら、てんぢくへあが 00015040M11りかゝると、あとにたいこが、ひとつのこつた。◇かしら◇こ 00015050M12れ+、たいこが一つあらア。これももつていけヱ△◇雷◇た 00015060M13てひきだア。むすこにやつてくんねヱ(二ウ) 00015070¥N4¥J 00015080¥Xからす 00015090M16ぢまハり、Sなんのからすがゐぢわるでかハいおとこの 00015100M17めをさます、とうたつてとおる。からす、大にはらをたち、 00015110M18ひつきやう、おらがはやくないてやるから、きやくがはや 00015120M19くかゑつて、しくぢらぬといふものだ。なんでもあいつ、 00015130M20かへりをまちうけて、ぶちのめそうと、大ぜいのからす、 00015140¥P80 00015150¥G 00015160M1いゝあわせてまつてゐると、かのぢまハりが、Sなんのか 00015170M2らすがゐぢわるでかハいおとこのめをさます、とうたひ 00015180M3+くる。◇からす◇それ、ぶちのめしてやれと、ばら+と 00015190M4とびいでしが、さきのからす、いつさんににけいだす。あと 00015200M5のからすが、これ+、なぜにげる+といへバ、◇からす◇ 00015210M6よせ+。ミんなてつぽうのきやくだ(三オ) 00015220¥N5¥J 00015230¥Xうづら 00015240M9よくなじんだうつらがある。ひとがよつて、いろ+ほめ 00015250M10る。となりのちいさいのが、おらもいつてミたいと、あね 00015260M11さんにだかつてきて、うづらをミせな。◇女房◇サアおミと、 00015270M12そバへよせると、いまゝでしづかにしてゐたうづらが、に 00015280M13わかにはねまハる。◇女房◇きのどくがり、これ+、てまへ 00015290M14ハこどもしゆハきらいかといへハ、◇うづら◇ちゝつくさい 00015300M15(三ウ) 00015310¥N6¥J 00015320¥Xくふうのかめ 00015330M18うミのなかへ、大きなかめをいけておくと、そのなかへ、 00015340M19たこかいくつも+はいつてゐるところを、ひき上る。く 00015350M20るひも+、たこをおびたゝしくとりけれバ、さるひとか、 00015360¥P81 00015370¥G 00015380M1これハめうだとハおもつても、かめをかうもとでハなし。 00015390M2せつゐんのかめをほりだし、そつといけておいた。さてあ 00015400M3くるひ、上ケてミたところが、たつたいつぴきゐる。ハテ、 00015410M4なぜかすくないと、またつぎひもやらかしたところが、ま 00015420M5たいつぴき。これハどうた。ハテ、ふしぎな事だと、そつ 00015430M6とかくれてミていた。すると、大きなたこがいつぴき、か 00015440M7めの中へ、ずる+とはゐると、またあとから、中だこか 00015450M8いつびききた。サアしめたと、ミてゐる。さきへはいつた 00015460M9たこが、ヱヘン+(四オ) 00015470¥N7¥J 00015480¥Xまつり 00015490M12かんだのさくま丁、いつもりうじんのしゆかうで、ミな 00015500M13+あたまへさかなをのせて、ぎやうれつをたゞしくとお 00015510M14れバ、丁ないのきどをしめきつて、まつりのさいちうに、 00015520M15しめきりの木戸へきて、モシ+、ちよつと、りうくハん 00015530M16丁へ/行(ゆく)ものでござります。おとうしなされてくださりまし 00015540M17といふと、ぐつときゝちがへて、ナニ、りうぐうぜうへゆ 00015550M18くとか。そして、なんのやうだ。ハイ、うへじまや太郎べ 00015560M19いどのへゆきとうござります。又きゝちがへて、うらしま 00015570M20太郎べいどのに、なんのやうだ。ハイ、たまたばこをもつ 00015580¥P82 00015590¥G 00015600M1てゆきます。又きゝちがへて、ナニ、たまてばこをもつて 00015610M2ゆくか。いや、それハまことのりうぐうだ。何、こゝハお 00015620M3まつりのつくりものさ(四ウ) 00015630¥N8¥J 00015640¥Xかんろ 00015650M6つまらんこくのへんちき大わう、むせうにながいきをした 00015660M7がつて、かんろをなめると、いのちがながいといふ事をき 00015670M8ゝたまひ、ぎんのさらをこしらへ、五月五日のばんに、そ 00015680M9らへとゝくやうなうてなのうへに、かのさらをだしておい 00015690M10た。さて、よがあけると、くわんにんがうてなのうへにの 00015700M11ぼつてミたところが、とろりとしたミづがたまつてあるゆ 00015710M12へ、さつそく大わうへさしあげると、これこそハかんろ 00015720M13+と、大わうハ、かのミづをぐつとのミたまへバ、やね 00015730M14にとまつたとんびが、おれがハアしやうべんも、くすりに 00015740M15なるとミへた(五オ) 00015750¥N9¥J 00015760¥X六ぶ 00015770M18六ぶ、よミちをゆき、おいはぎにであい、◇おいはぎ◇サア、か 00015780M19ねがあらバ、ミんなよこせ△◇六ぶ◇ハイ+、かねハござり 00015790M20ませぬ△◇おいはぎ◇いや、あるだろう。サアだせ+。おそい 00015800¥P83 00015810¥G 00015820M1とばらすと、二尺八寸をひねくりけれバ、◇六ぶ◇さやうなら、 00015830M2たつた一チぶござりますから、これで御かんにんなさりま 00015840M3しと、小つぶを一チぶさしだすを、◇おいはぎ◇一ぶをとつて、 00015850M4六ぶをかハへざんぶりとなげこむと、六ぶハ、いちぶとら 00015860M5れた/□□((不明))水の中へ、ごぶ+++(五ウ) 00015870¥N10¥J 00015880¥X/富士(ふし)の/夢(ゆめ) 00015890M8めしたきの三助どの、六月のついたちのよ、ゆめにふじさ 00015900M9んを、いくつも+ミた。そのうへに、そのふじさんが、 00015910M10のこらず、わがはらへおさまるとおもふと、めがさめた。 00015920M11サアめでたい。しやわせがなおるハと、こゝろいわひに、 00015930M12さけをかい、かれこれとおごつた。すると、そのひ、めし 00015940M13がしたゝかのこつて、じふんがらで、にほひがついたゆへ、 00015950M14三ンかくなむすびをこしらへ、しかたなく、ひがな一日、 00015960M15くつた(六オ) 00015970¥N11¥J 00015980¥X/忠臣蔵(ちうしんぐら) 00015990M18ちうしんぐら御ちやづけといふかんばんをいだし、かおよ 00016000M19きにばなに、かうのものゝうであしをいたゞくたこざかな、 00016010M20ちやわんものハさぎさかにかんぺい、あんばいハおいし、 00016020¥P84 00016030¥G 00016040L11あぢわいハうまのぜう。ていしゆハいちもんじや才兵へ、 00016050L12にようぼうハおかる、けぢよハりん、でつちハいご。あき 00016060L13ないハにち+に、なおよし+と大はんぜう。おりふし、 00016070L14てつほうあめの大ゆうだち。くろはぶたへにしりはしより、 00016080L15しゆざやの大小、五ぶさかやきで、ずつとはいり、ぢやの 00016090L16めのかさをなげだし、サア、ちやづけをだせといゝつけ、 00016100L17はらへりゑもんだ。大めしくいやと(六ウ)しやれながら、 00016110L18いくらも+かわりをだせ+と、むしやうにくいのめし、 00016120L19ふところより、しまのさいふをとりいだし、かねがありや 00016130L20こそくらへ、かねがなけれバなんのいのと、四十九はいや 00016140M1五十ぜん、あハせてひやくぜん、ひやくにんまへ、したゝ 00016150M2かくつたそのうへで、さゐふをとつてくびにかけ、のそり 00016160M3+といでゝゆく。あハやとミおくるわかいもの、もし+、 00016170M4だいをくださりまし。イヤ、おれハものたゞくろうだ 00016180M5(七オ) 00016190¥N12¥J 00016200¥Xふくすけ 00016210M8むすこ、としこしのばんに、ふくすけさまをひろいかへり、 00016220M9さて+おやぢさま。こんばん、としこしに、ふくすけさ 00016230M10まをさづかりました。いや、それハめでたい+。とかく、 00016240M11かないにこやかにするが、ふうきのさうじや。まづ、ふと 00016250M12んをかさね※ふくとくを御さづけなされ、とかくねがい 00016260M13こと何によらず、かなうふくすけさま。サア、おぬしもわ 00016270M14らやれ。おれもわらひましよ。ハヽヽヽ、へヽヽヽ、ホヽ 00016280M15ヽヽ、アハヽヽ、ヱヘヽヽ、ヲホヽヽと、わらふさいちう、 00016290M16かとぐちより、やくはらひが、おやこわらひましよ 00016300¥Q 00016310M18△△△△△△△△△△△△△△△△◇十口舎富久助作◇ 00016320M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(七ウ) 00016330¥P85 00016340¥U噺本大系△第十八巻 00016350¥G 00016360¥T/落噺(おとしばなし)/常々草(つねづねぐさ)〔目録題〕 00016370¥Y 00016380M4文化七年頃刊 00016390M5桜川慈悲成作 00016400M6歌川豊国画 00016410M7中本三巻合一冊 00016420M8都立中央図書館加賀文庫蔵 00016430¥Y/落噺(おとしばなし)/常々草(つね+くさ)△△△△△△△△△△△△桜川慈悲成 00016440M13△○/初夢(はつゆめ)△@めでたばなし|りくつおち△@△△○/二日(ふつか)/灸(きう)△@せハはなし△△|おちひやうしに|かゝり△△△△@ 00016450M14△○/腹(はらの)/曲(きよく)馬△@まんはちばなし|はりあいおち△@△○/志賀(しが)/団七(たんしち)△まぬけおち 00016460M15△○/徒然草(つれ+ぐさ)△@まちかひばなし|けんきおち△△@△○/二十四孝(にじうしかう)△@まちかひおち△|りくつにおとす@ 00016470M16△○/芝居好(しばゐずき)△@こハいろはなし|ひやうしまく△@△○/傘(からかさ)/伝(でん)△@りくつらしく△|はなし小こへに|おちをいふ△△@ 00016480M17△○/餅搗(もちつき)△@せハはなし△△△|かんがへておとす@△○/小田原町(をたわらてう)△@にきやかはなし△|そう+しくおと|す△△△△△△△@ 00016490M18△○/無筆(むひつ)△@いきすきはなし|はりこミおとし@△○/酒好(さけすき)△@せハはなし△|はりあいおち@ 00016500M19△○/五右衛門(こへもん)△@かうしやくかゝり|おちながく引△△@△○/源頼政(ミなもとのよりまさ)△@かうしやくかゝり|ちくちをち△△△@ 00016510M20△○/大喰(おゝぐらい)△@まんはちはなし△|おち大ざつまを△|かたりてびやうし@△○/松之内(まつのうち)△@つうにばなし△|のちまろけ△△|りくつをち(一オ)@ 00016520¥P86 00016530¥G 00016540¥T1 00016550¥N1¥J 00016560¥X初夢 00016570M3福徳屋の徳右衛門、なんでも初夢によい夢をミやうと、た 00016580M4のしんでねる。とろ+とする。けしからぬ事、ほうらい 00016590M5さんへのぼつて、まことにこれハほうらい山じやと、あた 00016600M6りをミれバ、ひかりかゝやき、いづくともなく、ふくろく 00016610M7しゆ、たからをもちきたりて、徳右衛門にさつけ給ふ。ほ 00016620M8てい、しゆらうしん、べんてん、大こく、ひしやもんさま 00016630M9のこらす、たからをさづけ給ふ。徳右衛門、まことにあり 00016640M10がたく、うれしさのあまり、けら++とわらひけるを、 00016650M11女ぼう、だんなハきよねんのくたひれで、またねてござる。 00016660M12あんまりだ。どれ、おこしもふさう。モシたんなへ。おさ 00016670M13うにをあかりませとおこせバ、Sていしゆめをさまして、七 00016680M14ふく神様か御壱人、おミへなさらぬと、ねほけかほであた 00016690M15りをよく+見て、たらぬはづ。これにおいでなされたと、 00016700M16ぞうにを見れハ、S女ほうなんだへ△Sていしゆハテ、ぞう 00016710M17にのぜんか、ゑびすせんじや(一ウ・二オ) 00016720G1〔絵詞〕たからをさづけてやらうぞ;たからをとらせてやるぞ。うれ 00016730G2△しいか+;そりや、たからをやるぞ;此たからもやるぞ;これ 00016740G3△ハ+ありかたい事てござりまする。ハイ+ 00016750¥P87 00016760¥G 00016770¥N2¥J 00016780¥X腹曲馬 00016790M3てうくハらうが、ひやうたんからよくこまをだすを、てつ 00016800M4かい仙人そねミて、てうくハらうかいへにしのひいり、か 00016810M5のひやうたんをぬすミけれとも、なか+おもくてもたれ 00016820M6ぬゆへ、てつかい、つく+かんかへ、とふた、八兵衛ハ 00016830M7むまをのんたから、むまものめさふなものと、ひやうたん 00016840M8の口へくちをあてれハ、むまハてつかいか口へとひこミけ 00016850M9るか、てうくハらうかすかたか、はらの中にあつて、その 00016860M10むまにのつてさハぐゆへ、てつかい、むまをのんて、大き 00016870M11にこまる。なにかてつかいかはらの中て、きよくはをのる 00016880M12とのひやうはんゆへ、おひたゝしく仙人けんふつにきたり、 00016890M13てつかいかはらの中へ、まめほとになつてとひこミ、きよ 00016900M14くばをけんふつするうち、はらのなかて仙人とうし、けん 00016910M15くハをはしめて、はらの中、大さハきなれハ、そう+は 00016920M16らで打たしのたいこかなるゆへ、仙人、てつかいかくちか 00016930M17ら、ミなとひたして(二ウ)てつかいどの。きさまのはらの 00016940M18なかハ、大けんくハであつたとはなすうち、又はらでけん 00016950M19くハをはじめるゆへ、仙人どもくち+に、まだはらにな 00016960M20まゑひか二人リのこつて、けんくハをするとしらせるゆへ、 00016970¥P88 00016980¥G 00016990M1てつかい、おもひついて、はんごんたんをしたゝかのめバ、 00017000M2げろ+とはく。そのなまよひをよく+ミれバ、/李白(りはく)/淵= 00017010M3明(ゑん=めい)(三オ) 00017020G1〔絵詞〕こいつハたきのミよりも、のミにくひ;むまくハねへといふ 00017030G2から、のむものたらふか。なるほと八兵へハ、よくのんたぞ 00017040¥N3¥J 00017050¥Xつれ+草 00017060M8和哥ずきの人四五人よりあひ、かしよをとりひろげて、い 00017070M9ろ+はなしをしてゐる所へ、なんでもしりがほなまんは 00017080M10ちおとこきたり、コレハきさまたちハ、何をはなしてい給 00017090M11ふぞ。友たちSわしらハいま、/古今(こきん)をミてゐました△万八 00017100M12Sこきんハとふしても、よほどいろがよひやうじや△友た 00017110M13ちSインニヤ、そのこきんでハない。きさまのところに、 00017120M14こげつしやうハないか△万八Sこげつハよし町にありさ△ 00017130M15友たちSそれハ大きなまちがひだ。したが、おもしろいも 00017140M16のハ、つれ※ぐさじや△万八Sなるほど+。つれ+ 00017150M17くさハ、うつくしいはなじや△友たちSこれ+、その事 00017160M18でハない。よしだのけんかうがさくの(三ウ)ほんの事よ 00017170M19万八Sムウ、よしだのけんかうこれさだ様の事か△友たち 00017180M20S吉田のけんかうこれさた様といふものがあるものか。き 00017190¥P89 00017200¥G 00017210M1さまのハよしだのせう+これさだ様であらうといへハ、 00017220M2万八Sせう+のまちがひハ、かんにんしてください(四オ) 00017230G1〔絵詞〕おつと、それもしやうちのまく。なんでもやつかれがしらぬ 00017240G2△事ハ、なしの木さいづちさ;おや+どふしやう;なんにもし 00017250G3△らずに、よくしつたりぶりをする人の 00017260¥N4¥J 00017270¥X芝居好 00017280M8しバゐずきのていしゆ、とかくうちのやうむきも、しバゐ 00017290M9のまねにていゝつける。女ぼうども、こたつのひがぬるい 00017300M10+。いつこくもはゆく、たどんをいけたらよかろう。し 00017310M11かと申つけたぞと、こハいろをつかいながら、こたつへ両 00017320M12あしをだして、きんたまを両てにとらまへ、ひつはりなが 00017330M13ら、しバいのたてを、きんたまでする。こハいろSくせもの 00017340M14(四ウ)うごくな△Sそこのいてとふせ。ガタ+と、きん 00017350M15たまを人ぎやうつかふよふにひねくりまハす。こぞう、た 00017360M16どんをこたつへいれるとて、ふとんをまくるもしらずに、 00017370M17きんたまでしハいをしている。こそう、これを見て、Sさ 00017380M18て+おもしろい。いまおやだまがでたハ。イヨ市川。と 00017390M19んだおゝきいぞとほめけるに、ていしゆ、きもをつぶして、 00017400M20Sこぞうか△Sだんなさまと、たがひにかほを見あハせる 00017410¥P90 00017420¥G 00017430M1と、こぞう、ふとんをおろしながら、チヨチヨン++ 00017440M2+とひやうしまく(五オ) 00017450G1〔絵詞〕こぞう。きり+しやらぬか。どふしたものだ。らちのあか 00017460G2△ぬ;がた++。どつこい;おもしろい+。きんたまがたて 00017470G3△をする。とんたいゝところだ 00017480¥N5¥J 00017490¥X餅 00017500M8としのくれに、女ぼうゆにゆく。いつもなかゆなれバ、て 00017510M9いしゆSおらがひきすりハ、このいそがしいのに、まだゆ 00017520M10からかへらぬか△下女Sひきずりとハ、となたの事でごさ 00017530M11ります△ていしゆSかゝあが事よ△下女Sあのおかミ様のお 00017540M12なをハ、ひきずりともふしますかへ△ていしゆSハテ、ひき 00017550M13ずりだから、ひきずりといふのよ△下女Sおかミ様のおな 00017560M14を、はしめてうけたまハりました。けふつきやがまいりま 00017570M15したが、もちハいつ、とこでおねりなされます△ていしゆ 00017580M16Sことしハひきつりにつかせるつもりだ△下女Sおかミさ 00017590M17んにマア、どふしてつけるもんでごさります(五ウ) 00017600G1〔絵詞〕せはしないから、そふしておかふよ;だんなさん。とんだ事 00017610G2△△ばつかり 00017620¥T1 00017630¥N1¥J 00017640¥X無筆 00017650¥P91 00017660¥G 00017670M1きさまハてならいをしたか。Sてならいどころか、からい 00017680M2/を((とカ))ても、わやうでも、なんでもかきます△Sどふやらうそ 00017690M3らしいが、きさま、大の字をかきゑへるか△Sかきゑゝる 00017700M4+△Sそんならかいて見せなへか△Sムヽ、かいてみせ 00017710M5よふ+と、七といふじや八といふ字をかく。Sソレミや 00017720M6れ。/ナ((大カ))の字もしらぬ。文字をしらぬものハちくせうだとい 00017730M7へば、大きにはらをたつて、そんなら大の字をかい/((て脱カ))ミせや 00017740M8うか。Sサア+かいてミやれ△Sかゝねへでハちくしや 00017750M9うたといハれたかくやしい。かいてミせよふと、大の字を 00017760M10かき、わきへてんをうつて、サア+、これてもちくしや 00017770M11うか(六オ) 00017780G1〔絵詞〕どふた。大のじてあらうがの;これハおかしいぞ+ 00017790¥N2¥J 00017800¥X石川五右衛門 00017810M15石川五右衛門ハ羽柴久吉公の御しんじよへしのびゐり、か 00017820M16のちどりのかうろうを、しよくかうのぢんばをりにをしつ 00017830M17ゝミ、立かへらんとするところを、ねづのものども、五右 00017840M18衛門をとらへける。そのあらそいのとき、五右衛門、ぢん 00017850M19ばおりより、ちどりのかうろうをとりをとしけるに、その 00017860M20ときちどりのかうろう、ねをだしたから、つい五右衛門が 00017870¥P92 00017880¥G 00017890M1(六ウ)いけとられました。Sさて、そのちどりのかうろう 00017900M2ハ、なんとねをだしたときけバ、Sハテ、Sてつぺんかけ 00017910M3たかと、ねをだした。その時かけたらう△Sそれハほとゝ 00017920M4きすのかうろうだ。ちどりのかうろうハ、なんとねをだし 00017930M5/だ((ママ))Sほうほけきやうとだした△Sそれハうぐひすのかう 00017940M6ろうしや。ちどりのかうろうハ、なんとねをだしたよ 00017950M7Sちどりか△Sちどりよ引△Sちどり、ハイ引と、ねをだ 00017960M8した(七オ) 00017970G1〔絵詞〕そこのいてとうすまいか。石川五右衛門さまといふ、おどろ 00017980G2△ほうさまだぞ;くせものめ、うごくな。おどろぼうさまもきがつ 00017990G3△よひ 00018000¥N3¥J 00018010¥X大喰 00018020M14これ+、むかふのむすこハ大めしじや。十三やまちに、 00018030M15ちやづけを十三ばいくいました。Sインニヤ、そんなこつ 00018040M16ちやアない。廿六やに、ならちやを廿六ばいくつた△Sな 00018050M17に+、そんなことか。八十八やによんだら、二八のそは 00018060M18八十八はいくいました△Sそれハかるいこつた。おらが所 00018070M19の子そうがくいぞめに、あづきめしを百十ぱいくいおつた 00018080M20S百十盃ハてがるい。二百十日によんたら、ちやづけを二 00018090¥P93 00018100¥G 00018110M1百十ぱいくいました△Sそれハ(七ウ)また+くいやうか 00018120M2たらぬ。おらかせんぞの三百年きによんたら、めしを三百 00018130M3ばい、しるを三百ばい、つがう六百ばいくいましたとはな 00018140M4すに、ある人、これハめつらしい大めしじや。よんでくハ 00018150M5せて見やうと、うちへよんで、めしをおもいれ、しいてく 00018160M6ハせけれハ、四万六千はいくいけり。あまりふしきにおも 00018170M7い、おにかときけば、大めしSいんにやアと、かふりをふ 00018180M8る。ていしゆS人かときけハ、大めしSうゝゑヱ△ていしゆ 00018190M9Sさてハ△大めしSあたごけんなん、こはやしのあさいな 00018200M10たア、もふ三ばいくうぞ(八オ) 00018210G1〔絵詞〕てうど四万六千ばいくつたがまだ+;いやはや、つがもな 00018220G2△いはらた。あのはらにハ、やどなしの壱万人もゐるであらう;は 00018230G3△か+しい 00018240¥Y口上 00018250M16/下手(へた)の/長物語(なかものかた)リ。みなさま御たいくつにもとぞんし、しば 00018260M17らく中入リを仕、また+せハ人しゆうのおはなしに仕ま 00018270M18す。まづハ中入リさやうに&&&&(八ウ) 00018280G1〔絵詞〕サア+、此内、御しゆにでもなさりまし 00018290¥P94 00018300¥G 00018310¥N4¥J 00018320¥X二日灸 00018330M3けふハ二日きうしや。たましてこぞうに、せなかへすへて 00018340M4やらつしやれと、ていしゆ、もぐさをほごすを、こぞう見 00018350M5て、あたしハいやだ+と、だゝをいふを、女ぼうつらまへ、 00018360M6よひものをやるから、一つすへやれと、きものをぬがせけ 00018370M7れバ、いやだ+とにげいだす。はだかてかぜをひくとわ 00018380M8るい。はやくとらまへさつしやれな。女ほうSどうもとら 00018390M9まりません△ていしゆSハテ、ちゝをのますのだといつて、 00018400M10だますがいゝわな△女ほうSぼうや+と、りやうほうの 00018410M11ちゝを、てにもつて、ハアちゝ、ハアちゝてまいろ+と 00018420M12はやせバ、にげながら、こぞうSハ、ゆだんハいたさぬ 00018430M13+(九オ) 00018440G1〔絵詞〕ぼうや。いゝものやろふ。こゝへきや;あかだんごハいや+ 00018450¥P95 00018460¥G 00018470¥N5¥J 00018480¥X志賀団七 00018490M3志賀団七、さかど村をとをりけるとき、百せう与太郎がむ 00018500M4すめ、田の草をとつてなげしが、団七がのばかまへ土をは 00018510M5ねかけけれバ、団七、大きにはらをたて、与太郎をてうち 00018520M6にせんとひしめきける。与太郎ハいろ+わびことすれ共、 00018530M7とくしんせす。すでに二尺八寸すらりとぬいてふり上ケけ 00018540M8る。此とき与太郎がこゝろハ、けふ与太郎がからだころさ 00018550M9れやうとハ、ゆめにもしらず。それゆへゆふべ、ぬけいで 00018560M10ゝ寺へもゆかず。今きられる所へ、うかとでたら、こゝろ 00018570M11もまつ二つにされてハならぬと、与太郎がはらのなかで、 00018580M12こゝろがぐや+さハぎける。しかも金性にて、こゝろが 00018590M13七つ、けがせぬやうにと、ぐや+するうち、団七、与太 00018600M14郎をけさがけにきれバ、七つのこゝろが一度に、ぽん+ 00018610M15+++といづる。団七、びつくりして、たまや+ 00018620M16+(十オ) 00018630G1〔絵詞〕きつた+。しう+しウ引ヽヽ。ヤア、ちのはしるおとが、 00018640G2△もくぎよをたゝくぼう様のよふだ;ヤレ+、うちだしをミるや 00018650G3△うだ。けうちうのひやうばん+;ミづいれへミずをいれるよふ 00018660G4△だ。めう+ 00018670¥P96 00018680¥G 00018690¥N6¥J 00018700¥X二十四孝 00018710M3廿四かうハゆきのなかで、竹の子をほり、こをりの上にね 00018720M4て、うをゝゑたるためしあり。うらの川にこほりがはつた。 00018730M5さらバ母人に、うをゝとつてしんじやうと、おもいれさけ 00018740M6をのんで、たらふく孫左衛門になりて、こほりのうへにこ 00018750M7ろりとねている。なまゑひのあたゝかミで、ぎち+とこ 00018760M8ほりがくだけだしけれバ、かのなまゑい、ぢしんじや+ 00018770M9ときもをつぶし、たちあがるとて、こをりをふミくだき、 00018780M10かハへどんぶりとおつる。此ついでに、うをゝとらんとて、 00018790M11手をいれてかきまハして、とらまへて引だしてミれバ、大 00018800M12きななまづ(十ウ) 00018810G1〔絵詞〕アヽまんざいらく+;ずぶ++ 00018820¥T1 00018830¥N1¥J 00018840¥X傘 00018850M16おしせう様。アノからかさハ何をかたどつてつくりました 00018860M17ものてごさります。師Sあれハ松だけをミてつくつたもの。 00018870M18初ハほそく、うろにうたれてひらきまする。からかさもそ 00018880M19のとをり、あめのときひらきます。なんでもぬれてひらく 00018890M20ものハ、ミなまつだけさ。それじやによつて、かの松だけ 00018900¥P97 00018910¥G 00018920M1もぬれてからひらきます△きゝ人Sなるほど、わかりまし 00018930M2た。そんならあミがさも、松だけをミてつくりましたか△ 00018940M3師Sいんにや、あミがさハ松たけでハない。あれハちがひ 00018950M4ます△きゝ人Sそふしてなんでこさりますか。しせう、み 00018960M5ゝへ口をあてて、あれハおんなの(十一オ) 00018970G1〔絵詞〕たいせつのくけつじや。たかくハいわれぬ;ヘヽヽヽ、なる 00018980G2△ほど+ 00018990¥N2¥J 00019000¥X小田原町 00019010M10小田原町のはんだいの中に、たいがよりあいて、いろ+ 00019020M11はなしごへのするをきけバ、きさまハ此十日ゑびすにハ、 00019030M12十万両かものハある。なに、おれよりぬしハ十八万両。い 00019040M13や、おのしハ廿万両さ。きさまハ百万両。いや+万&両 00019050M14じや。そこもとハとち万両、いや、とちをく、とち万両万 00019060M15両+万&両と、手をうつて、事のほかのにぎやかさ。は 00019070M16んだいのわきにあるてうしかごのなかから、ふぐ、かほを 00019080M17たして、こいつらハいけさう※しいやつらだ。せけんに 00019090M18さかなも(十一ウ)ねへやうに、とほうもねへと、かのたい 00019100M19のゐるはんだいのなかへとびこんで、これやい、うぬらア、 00019110M20とぶろくによつたしほふきをミたよふに、まつかなつらを 00019120¥P98 00019130¥G 00019140M1しやあがつて、いけごたへそふなことをぬかすが、おれを 00019150M2たれたとおもふ。ちうツぱらじやアねへが、もちやのおぢ 00019160M3いや、すゝはきのやとひツとにいたるまで、なをきいても 00019170M4おぢおそれるとらふぐさんたぞと、おもいれあバれちらし、 00019180M5そバなる小たいを二三まひ、はんだいのそとへなけたせハ、 00019190M6中たいが、こいつハにくいやつとはねかゝるを、ふぐハこ 00019200M7とゝもせつ、中だいをとらまへて、たゝきのめすゆへ、の 00019210M8こりのたいども、ふぐにおそれて、にけながら、人ごろ 00019220M9し+(十二オ) 00019230G1〔絵詞〕ねつからねつかれねへ;わや+びちや++;こいらハ 00019240G2△あんまりやかましい。うをゝうつむけにした、はか+しい。い 00019250G3△ゝかとおもやアかつて;かまうな+;とんだやつかきたぞ 00019260¥N3¥J 00019270¥X酒好 00019280M15あさからばんまで、げこならぬこそおとこハよけれといつ 00019290M16てハさけをのミ、まい日なまゑひでゐる人あり。女ぼう、 00019300M17いろ+ゐけんしてもきゝいれす。げこならぬこそ男ハよ 00019310M18けれ。もふ壱しやうのミたいに、女ぼう、そんなにのんで 00019320M19ハなりやせんと、又ゐけんすれハ、ハテ、げこならぬこそ 00019330M20男ハよけれじやとのミくらし、はやとしのくれになり、 00019340¥P99 00019350¥G 00019360M1(十二ウ)大晦日にかけ取がくれども、大なまよいにて、な 00019370M2んても春の事+としやれてゐるゆへ、かけとりもきもを 00019380M3つぶしてかへれバ、なんと、かゝアどん。げこならぬこそ 00019390M4おとこハよけれたの。かけとりか、なまゑいだとかんにん 00019400M5してかゑつたと、かうまんをしている。はや元日になれバ、 00019410M6おもてへはんすだれをかけて、かみに、今日もなまゑいに 00019420M7て候と、かいてはつておく。酒屋のていしゆがれいにきた 00019430M8り、すだれにかミがはつてあるのをミて、此さかや、むひ 00019440M9つゆへ、きもをつぶし、なむさん。こゝのていしゆハしん 00019450M10だそうだ。四〆五百かしがあるが、とふ+かうでんにな 00019460M11りにけりといへバ、ていしゆSすだれからかほをだして、こ 00019470M12れハお年玉、ありがたふ/□□((厶るカ))(十三オ) 00019480G1〔絵詞〕なむさん、これハとんためにあつた。たいじのとくゐをうし 00019490G2△なつた;はや+とかたじけない 00019500¥N4¥J 00019510¥X頼政 00019520M17兵庫頭頼政ハ、頼光五代の孫子仲正の嫡子なり。射をよく 00019530M18す。仁平二年四月、勅によつて禁裏にて闇夜に雲中の化鳥 00019540M19をゐる。家臣猪早太、かの化鳥を取ておさへ、すでにさし 00019550M20ころさんとせしが、そく+かんがへ、(十三ウ)あつたら、 00019560¥P100 00019570¥G 00019580M1けてうをさしころすハ、大きなそんだ。いけとりにして両 00019590M2ごくへミせものにたしたら、つい金の百両や二百両ハてが 00019600M3るいと、よくがでゝ、てづらまへにしやうと、くんずほぐ 00019610M4れつ、さハぎまハる。けてうハにげんとする。はやたハい 00019620M5けどつて金にしやうと、よくばかりはつてゐるうち、けて 00019630M6うのしりをがついぬけて、そらへあがる。はやた、なむさ 00019640M7んぼう。とりにがせしかと、うゑをミれバ、けてうのしつ 00019650M8ほが、ゐのはやた、あんまりよくをかハくな。はやたSう 00019660M9へを見て、なぜ+△へびSうへを見れバ、ほうずがない 00019670M10(十四オ) 00019680G1〔絵詞〕をぬけのからのうす衣、光げんじにミせたいな;ひよめきを 00019690G2△おしなさんな。いたい+;しめたそ+。はやくしバれ+。 00019700G3△なんなら、いせやへやつてしバれ+ 00019710¥N5¥J 00019720¥X松の内 00019730M16初春仲の町ハ、おびたゞしきけんふつ。そりやあさから、 00019740M17大こくまひがきたといへハ、ばら+と人がかける。こち 00019750M18らへ何やのおいらんが今でたといつてハ、又人がはら+ 00019760M19とかけまハるうち、松葉屋のおいらんが、つがもなく大そ 00019770M20ふななりて、今てた+といふゆへ、中の丁の人立とまり、 00019780¥P101 00019790¥G 00019800L11こゝのよこ丁からでるとミてゐる。ほどなくおいらん、新 00019810L12ぞう四五人、かぶろが大キなはごいたをもつてくれバ、け 00019820L13んぶつのなかから、いなかものがかけだして、わかいもの 00019830L14に、もし+、あのちいさなお女郎がかついてござるの 00019840L15ハ、なんだアなアもし。わかいものSあれハはご板さ△いな 00019850L16かSはご板といふものでごさるの△わかいものSはご板さ△ 00019860L17いなかSわしハ/昼三王(ちうさんわう)とかいてあると思ひました(十五オ) 00019870G1〔絵詞〕ちつとものがきゝたふござります;あのめんなご様のおつか 00019880G2△ゝへめさつたハ、あんちうもんだアな;いなかしゆハがてんがゆ 00019890G3△くまい;みどりどう、ちつとかハらつしやい(十四ウ) 00019900M1むかし+のしバかるぢゝいハ、おとしはなしのしおりと 00019910M2なり、ばゝアハ川のせんたく、そのミなもとたへずして、 00019920M3今や三才のわらべも、しんさくのおとしはなしをする。さ 00019930M4れバ、予も桃太郎のもゝのたねをかぢるさるの人まねなが 00019940M5ら、ゑんこうが月まち日まちのはなしのたねにもと、三ツ 00019950M6四ツかきつくれバ、さいわい、かれきにはなさくらぎにも 00019960M7のせんとあるを、おつとのミこミ、おかしばなしつね+ 00019970M8草とあらハし、午のはつはる、おわらひぞめと、しゆびよ 00019980M9くまいれバ、めでたくかしく 00019990G1〔絵詞〕一夜あくれバのび+と、さて+いゝはるだぞ。またきが 00020000G2△かわつて、ゆふ+としてはなせる+ 00020010¥Q 00020020M13△△△△△△△△豊国画△◇芝桜川慈悲成作◇ 00020030M14△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十五ウ) 00020040¥P102 00020050¥U噺本大系△第十八巻 00020060¥T/落咄(おとしばなし)/屠蘇機嫌(とそきげん)〔序題〕 00020070¥Y 00020080L4文化十四年正月刊 00020090L5十返舎一九序・作 00020100L6彩霞楼国丸画 00020110L7仙鶴堂板 00020120L8中本三巻合一冊 00020130L9国立国会図書館蔵 00020140¥G 00020150¥Y/落咄(をとしはなし)/屠蘇機嫌(とそきけん)/序(じよ)△△△△△△△◇仙鶴堂上梓◇ 00020160M3/大晦日(おゝミそか)に/迯足(にげた)らずして、元日へもちこしたる/掛取(かけとり)の/長追(ながを)ひ 00020170M4にこまりはて、/御慶(ぎよけい)申入ますと出かけたるハ、是も又/留守(るす) 00020180M5をつかふ/手便(たより)ならん。されと/永日(ゑいしつ)の/時(とき)をも/期(ご)さす、ひつか 00020190M6けたる/屠蘇酒(とそざけ)のいきほひにハ、たちまち/太平楽(たいへいらく)をうたひは 00020200M7じめて、/春(はる)のこゝちとなりて、/例(れい)の大/福(ぶく)の/茶(ちや)なることを、 00020210M8/書初(かきぞめ)の/筆(ふで)びやうしに、/咲(さか)する/梅(むめ)のはなし本。/笑(わら)ふ/門(かど)に/福寿= 00020220M9草(ふくしゆ=さう)の/黄表紙(きびやうし)をかけて、/春風(はるかぜ)の/袋入(ふくろいり)となしたるハ、お子様が 00020230M10たへのお/年玉(としだま)、わざとばかり 00020240M12△△△うしの初春△△△△△△△十返舎一九誌G 00020250¥Y凡例 00020260M13近頃のおとし咄にハ、其道行の内長く、興あることをのミ 00020270M14専として、をちの所さしたる事もなき歟多し。是、大人の 00020280M15はなす咄にして、子どもしゆの口にあハず。これにハ、そ 00020290M16の両やうをかねて、道行長く興あるも、又ミじかくて、お 00020300M17ちの所を詮としたるも、またはなし上手の仕かた・身ぶり 00020310M18を加へなバ、かくべつに面白からんと思ふもあり。すべて 00020320M19咄ハ、よミてもおもしろきと思ふも、咄して左まてもなき 00020330M20事有物なれば、よく此界を味ひて見たまふべし 00020340M21△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一オ) 00020350¥P103 00020360¥G 00020370¥T1¥J 00020380¥X(無題) 00020390M3いちやあくれバ、たちまちそらのけしきもうらゝかに、は 00020400M4つ日のかげともろともに、ぎよけい申入ますのこゑ、家 00020410M5+にいさましけれバ、あるものずきのおとこ、めしつか 00020420M6ひの三介をまねきよせて、◇男◇ナント三助。ミなねんれいに 00020430M7くるに、いろ+さま※のとし玉をもつてくるが、中に 00020440M8ハなんのやくにもたゝぬものをもつてくるものがおほひで、 00020450M9おれハことしくふうをして、なんでもむかふのしやうばい 00020460M10によつて、じきにてうほうになるものを、とし玉にくばら 00020470M11ふとをもつて、コレミやれ、いろ+とかいあつめておい 00020480M12た。まづとなりハこめやだから、このさしをとし玉にやる 00020490M13と、じきにたハらをさすさしたから、用にたつてよろこぶ 00020500M14だろう△◇三介◇なるほど、米やへさしハ、むかふでうれしが 00020510M15りませう。◇だんな◇そこでそのとなりのし(一ウ上)たてやへ 00020520M16ハ、はりをやる。ナント、これもよろこぶであらふ。それ 00020530M17からそのとなりのいしやどのへのとしだま、これがおもし 00020540M18ろい。なんでもいしやのよろこぶものと、いろ+くふう 00020550M19して、コレ、かやてうで、わとうないのにんぎやうをかつ 00020560M20てきた。いしやといふものハ、人がわづらハないと、ぜに 00020570¥P104 00020580L1にならぬせうばいだから、そこをいハつて、はちまきをし 00020590L2ている人ぎやうハおもしろからふ。人がわづらいにハ、よ 00020600L3くはちまきをするものだから、これハいしやがよろこぶだ 00020610L4らふと、わとうないのにんぎやうをだして見せると、三助、 00020620L5手にとつて、とてものことにと、かのにんぎやうをとつて 00020630L6打つけ、あたまをぶちこハすと、だんな、きもをつぶし、 00020640L7◇だんな◇コリヤ、きずものになつてハわるい。なぜ人形のあ 00020650L8たまを打こハした△◇三助◇これでよふござります△◇だんな◇そ 00020660L9れハなぜに△◇三助◇あのおいしやさまハ、ほんだうよりげく 00020670L10わのほうが、おこうしやでござります(二オ上) 00020680G1〔絵詞〕Sなるほと、おゐしやさまへ、わとうないのはちまきをして 00020690G2△いるところを、びやうにんとミたてゝのとし玉ハ思ひつきでござ 00020700G3△りますが、そのおいしやさまのおとなりハ石やでござりますが、 00020710G4△この石やへのおとし玉ハせきたうでもつかハされますか;Sおて 00020720G5△らへねんとうにお出のときハ、わたくしをおともにおつれなさり 00020730G6△ませ。わたくしハさけをたべると、なきぜうごでござりますから、 00020740G7△おてらてハいわつて、おもいれ、なきませう(一ウ下);Sきよ 00020750G8△ねんのくれにハ、おれも大きにくめんがわるくて、かけハ一もん 00020760G9△もはらハずに、ことわりをいつてしまつたが、それでもよの中に、 00020770G10△をにハないもので、米やでもさかやでも、ミなねんれいにハきて 00020780G11△くれたが、よく+おもつて見ると、あれハかけとりのあきれが 00020790G12△れいにきたのであつた(二オ下) 00020800¥N2¥J 00020810¥X◇さくらひめ◇ 00020820M3いなかしばゐにて、せいげんさくらひめきやうげんのとき、 00020830M4あかむらはなの助といふ女がた、さくらひめになりたるす 00020840M5がたを、いなか大じんミそめて、大きにしうしんをおこし、 00020850M6かねのいるぶんハいくらいつてもかまわぬから、あの女が 00020860M7たをとりもちしてくれよと、しばゐものをたのむにつけ、 00020870M8此男もかねもふけとよろこびて、さつそくはなの助のとこ 00020880M9ろへゆきて、此よしをたのむと、◇はなの助◇それハのミこミま 00020890M10したが、おざしきばかりつとめる事ならまいりませう△ 00020900M11◇芝居もの◇イヤ、それでハさきが、ふとくしんでござります。 00020910M12どふぞして、おねまの所がなけれバ、おかねになりませぬ 00020920M13から、そこをごせうちなされて、お出くださりませ△◇はな◇ 00020930M14それハどふも。はづかしい事だが、わたしのおいどにハ、 00020940M15あまりけがたくさんで、それがどふもはづかしい△◇芝ゐもの◇ 00020950M16そのけをぬいてござりませぬか△◇はな◇めつそふな。ちつと 00020960M17ばかりでハなし、それをいち+ぬかれるものか。ぬかれ 00020970M18てからが、五日や十日でハぬきつくされまい△◇芝ゐもの◇そん 00020980M19ならよい事がござります。見ますれば、とこのまにほてい 00020990M20のおきものがミへます。あのほていのあたまへ、とりもち 00021000¥P105 00021010¥G 00021020M1をべつたりぬりまわして、それへおまへがおいとをまくり 00021030M2なされて、ほていのつむりへこしをかけるやうに(二ウ上) 00021040M3してあてがつてござつて、ずつとおたちなされたら、とり 00021050M4もちへけがくつついて、めり+といちどきにぬけそふな 00021060M5もの。それだといたいめも、たつたひとおもひでよさそふ 00021070M6なものだといふゆへ、なるほどこれハよからふと、さつそ 00021080M7くとりもちをかいにやつて、とこのまにあるやきものゝほ 00021090M8ていのつむりへ、べつたりとぬりまわし、たゆふ、しりを 00021100M9まくつてまたがり、ほていのつむりへをしつけてずつとた 00021110M10てバ、めり+とおとがして、けがのこらずぬけてしまふ 00021120M11と、たゆふ、かほをしかめて、さてもきめうにミなぬけま 00021130M12した。そんならしたくして、すぐにゆきませうか。◇芝ゐもの◇ 00021140M13イヤ、とてものことに、さきのおこのミハ、やはりさくら 00021150M14ひめのなりできてもらいたいとのこと。きいて、なんでも 00021160M15かねになることならと、たゆふ、かづらをつけて、さくら 00021170M16ひめのぶたいゐしやうをのこらずきかざり、出かけようと 00021180M17すると、かのおきものゝほていがゆるぎだして、◇ほてい◇さ 00021190M18くらひめヤアイ+(三オ上) 00021200G1〔絵詞〕Sわしハげいがよいうへに、うつくしいといふもんだから、 00021210G2△女中がたのひゐきしてくださるハうれしいが、そのかハりなんぎ 00021220¥P106 00021230¥G 00021240G3△なことにハ、いちねんの内に、たゝミのおもてがへを二三どほと 00021250G4△づゝせねばならぬにハこまりはてる。なぜといふに、わたしのあ 00021260G5△いきやうが、ぼと+とこほれて、たゝミかよごれてなりませぬ 00021270G6△わいな;Sそんなおきやくより、どふぞかねもちのうつくしいご 00021280G7△けさまがあるなら、(二ウ下)せわをしてとりもつて下され。も 00021290G8△しもきにいつて、おかねでももらつたなら、其ときハそのかねの 00021300G9△わけくちハ、きつとおまへがたへハやりますまいから、せわをして 00021310G10△下さりませ;S太夫さまハうつくしいうへに、ふりそでをきてご 00021320G11△ざるから、いつでもおわかくミへますが、此あいだきけバ、あなた 00021330G12△の弟御さまが、五十の賀をおいわゐなされたと申ス事でござりま 00021340G13△すが、もふ其くらいの弟御をもつてござる太夫さまのおとしでハ、 00021350G14△なるほどおとこのおつとめハできますまい。しかし、かうやへお 00021360G15△出なさると、まだ+おつとめざかりでござります(三オ下) 00021370¥N3¥J 00021380¥X◇ゆふてふもの◇ 00021390M13ばんとう、よなかにしゆじんのねどころへきたり、◇ばんとう◇ 00021400M14モシ+だんなさま+△◇しゆじん◇やちうにあハたゞしい。 00021410M15何事じや△◇ばんとふ◇ほかの事でもござりません。三助めか事 00021420M16でござります。どふも三助めハ、まいばん+よあそびに 00021430M17でまして、よふけてかへりましても、とかく戸じまりをぞ 00021440M18んざいにいたして、どふもなりませぬ。ちとおしかりなさ 00021450M19れませ△◇主◇それハわるいことだ。戸じまりハかんじんのこ 00021460M20とだに。そして三助ハこんやもあそびにでたか△◇ばん◇さや 00021470¥P107 00021480L1うでござります。こんばんも出まして、せんこくかへりま 00021490L2した△◇主◇かへつて、よくしまりをしてねたか△◇ばん◇かけが 00021500L3ねもかけずにふせりました△◇主◇それでハとろぼうがはいる 00021510L4であらふ△◇ばん◇イヤ、とつくにどろほうハはいつておりま 00021520L5す△◇主◇それハどこ(三ウ上)に△◇ばん◇だい所に、ミな+し 00021530L6よくじをいたしております△◇主◇ナニ、めしをくつている。 00021540L7そりやひやめしでわるからふ△◇ばん◇イヱ、ちやづけにして 00021550L8たべております。今にめしがすミませうから、すんだらわ 00021560L9たくし、どろぼう+とわめきませうとぞんじますから、 00021570L10其ときあなたも、此かなだらいをおたゝきなされて下さり 00021580L11ませ。こゝへぢさんいたしましたといふ内、どろぼう、つ 00021590L12ぎのまにあくびをしながら、Sもし、ばんとふどの。そこ 00021600L13がすんだら、くらのかぎをだして下さい(四オ上) 00021610G1〔絵詞〕Sなんと、おいらがこうして出た所ハ、かうらいやといふ身 00021620G2△ぶりだろう。をれが此おとこふりて、やくしやだと、せかいぢう 00021630G3△に女だねがつきるであろふと、いらざるつミつくりせうよりハと、 00021640G4△わざとやくしやにハならずにいるが、しろうとでもまんざらのお 00021650G5△とこでないもんだから、ほれるものがひとりもない;Sどろほう 00021660G6△といふと、なぜか人がこハがつてならぬ。そのうち、やろうども 00021670G7△のこハがるのハ、いくらこハがつてもとんぢやくハないが、女の 00021680G8△こわがるがきのどくでならぬから、いつそをれもせうばいがへを 00021690G9△しようとおもふ。はて、どろぼうせずともすぎていくものハ、せか 00021700G10△いにいくらもあるから(三ウ下);Sなんだ、どろぼうがはいつ 00021710G11△たか。おれがうちにハ何もとるものがなくて、それハきのどくせ 00021720G12△んばんな。いゑばかり大きくて、こゝのうちにハなんにもないと、 00021730G13△どろぼうにおもハれるも、ぐハいぶんがわるい。なんぞとらせて 00021740G14△かへしたいものだが、なんにもないから、もしもほかからとつて 00021750G15△きたものがあらバ、をいていつて下せへと、どろぼうにそふいつ 00021760G16△たがよい;Sどろぼうたちが、だい所にめしをくつてゐるか。そ 00021770G17△れハひやめして、きのどくだ。ちよつとおれもあいさつに出ずハ 00021780G18△なるまいか;Sだんなさま。どろぼうがはいりましたから、わた 00021790G19△くしもさつそくをきて、かなだらいでもたゝかうかとぞんじまし 00021800G20△たが、今どろぼうどもハだい所にめしをくつておりますから、め 00021810G21△しなかばに、どろぼう+ともいハれますまい。めしがすんだら 00021820G22△わめき出しませうから、さやうおぼしめして下さりませ(四オ下) 00021830¥N4¥J 00021840¥X◇まちがひ◇ 00021850M13あるところのながやで、かミさまがとんしをしたところが、 00021860M14ていしゆがたこくをして、るすのうちなれども、かへるま 00021870M15でほとけをかゝへてもいられまいと、たなうけとそうだん 00021880M16して、ながやぢうがよつてかゝつて、ほとけのとりしまつ 00021890M17して、おてらへかつぎこミ、ゆくハんばへもちこミ、ゆく 00021900M18わんをしてしまい、おこうずりをぼうさまへたのむと、こ 00021910M19のぼうさま、はやおけのなかをのぞき、大きにおどろき、 00021920M20◇ほうさま◇コレ+、このほとけハ弥次郎兵へどのゝないぎで 00021930¥P108 00021940¥G 00021950M1ハないか。ないぎにしてハ、どうも男のやうで、がてんが 00021960M2いかない。そしてほとけのくびがない。むなひげがはへて 00021970M3あるからハ、男のしがいにちがいハない。なんにしろ、く 00021980M4びのないものハ、おこうすりハできませぬ。そしてどふも 00021990M5あやしいほとけで、ほうむる事がなりにくい。これハどふ 00022000M6したものでござるといふに、ながやのものども、きもをつ 00022010M7ぶし、弥次郎兵へのかミさまにちがひもなけれバ、おとこ 00022020M8であろうはつもなし。そして、たつたいまゆくハんするま 00022030M9でハあつたくびが、どふしてないことがあるものだ。この 00022040M10ぼうさまハとんだことをいわつしやると、ミな+たちよ 00022050M11り、おけの中を見ておどろき、なるほど、くびが見へぬ。 00022060M12これハ(四ウ上)どふしたものだ。今まであつたくびがどこ 00022070M13へいつた。そこらへとりおとしハせぬか。いかにしてもふ 00022080M14しぎなことだ。モシ+、おほやさま+。ちよつときて 00022090M15下さりませ。ほとけがくびがござりませぬといふゆへ、お 00022100M16ほやどの、かけてきたり、はやおけのなかをのぞき見て、 00022110M17◇おほや◇イヤ、くびハあるぞ+△◇ながやのもの◇あるとハどこに 00022120M18あります△◇おほや◇ひつくりかへして見さつしやい。これハ 00022130M19ほとけをさかさまにいれたのだ(五オ上) 00022140G1〔絵詞〕Sそのほとけをおてらへほうりこんで、かへりによしハらを 00022150¥P109 00022160¥G 00022170G2△ひやかしとしよふ。なんならそのほとけ、どこぞそこらへうつち 00022180G3△やつてもよい。とむらいハよいが、そのはやおけをかついでいか 00022190G4△ねばならぬにハあやまる。いつそのこと、てらからとりにきても 00022200G5△らへバよかつた;Sはやおけをかつぎ出しハかつぎ出したが、ど 00022210G6△このてらへやるのであつたか、さきのなをわすれてしまつた。ぬ 00022220G7△したち、しつているか。なに、みなしらない。そいつハつまらね 00022230G8△へ。どふしたものだろう(四ウ下);Sはこねサア、はちりハな、 00022240G9△あゝんへヱ、どふした+、してこい+;Sやつちやい、こ 00022250G10れハさ、やつちやい+;Sナニばかなことをいふ。こんなそふ 00022260G11△れいに、さきのあてがあつてつまるものか。どこのてらでもとん 00022270G12△ぢやくハねへ。ほうりこんで、かへるぶんのことだ;S此ほとけ 00022280G13△も、ひごろこんじやうハいけないやつであつたが、そのかハりつ 00022290G14△らハさつぱり、ふためとも見られぬつらであつた。しかしをれも、 00022300G15△やどろくめがるすに、ちよいとつまんだこともあつたから、しん 00022310G16△でミると、かあいそうだ。てらへもつていくもめんどふだから、 00022320G17△どこぞそこらの川へでも、たゝきこんでかへろう(五オ下) 00022330¥N5¥J 00022340¥X◇はやのミこミ◇ 00022350M16◇ある男◇此あいだ、わしハうへのゝはな見にいつて、うたを 00022360M17いつしゆよミやしたといふと、◇友だち◇イヤ、きさまがうた 00022370M18とハおかしい。なんとよんだ△◇男◇うへのゝさんもんまへの 00022380M19はなを見ながら、さけをのんで、べんとうをくひにけるか 00022390M20な、とよんだ△◇友◇そんななまながいうたかあるものか。う 00022400¥P110 00022410L1たといふものハ、三十一もじにきハまつたものだに△◇男◇ハ 00022420L2テ、そんなら三十一もじにきめて、ながくよむでハないの 00022430L3か。よし+、のミこんだ。もふやつた。よふ、でハさつ 00022440L4そく、こゝのとこのまのかけぢで、三十一もじによんだ△ 00022450L5◇友◇/ど((ママ))このかけぢといへバ、七ふくじんのゑで、あれハはな 00022460L6ぶさいつてうがかいたのだが、あれでよんだとハ、なんと 00022470L7よんだ△◇男◇とこのゑにじゆろじふくろにゑべてこく△ほて 00022480L8にびしやべてはなふいちよふで(五ウ上) 00022490G1〔絵詞〕Sおれがをどりハこれでも、のりものてうのふぢまおよしに 00022500G2△ならつたおどりだから、どこへ出してもひけをとるのでハねへ; 00022510G3△Sごろうじませ。わたしのうちでハなまゑいになりますと、あの 00022520G4△やうにばかをつくしてあるかれますが、どふもほかにあきらめや 00022530G5△うハござりませぬから、わづらふよりハましかとおもつてをりま 00022540G6△す;Sばかをいふな。こふしておどつてあるくのも、ありやう 00022550G7△ハ、かゝあどのへのおけいはくだ。なぜといふに、おもいれ、ね 00022560G8△れたところをさしあげやうとおもつてさ;Sきざきのはら※、 00022570G9△まつハいとしとのごのかげかくす、この+++やつとせ 00022580G10△(五ウ下) 00022590¥T1 00022600¥N1¥J 00022610¥X◇上方もの◇ 00022620L19上がたの人、はじめて江戸へきたり、なんでもゑどゝいふ 00022630L20所ハ、大ぜい入りごミのところにて、とちうをあるくにも、 00022640M1すこしもゆだんのならぬ所と、かねてきゝいたる事なれバ、 00022650M2とものおとこに、ふろしきつゝミをもたせいづるとて、 00022660M3◇だんな◇コレ三助。お江戸ハゆだんのならぬ所じや。ふろし 00022670M4きづゝミをとられぬやうに、きをつけてこいと打つれ出、 00022680M5とちうにて、◇だんな◇よい+。なるほど、お江戸ハはんじ 00022690M6やうの所じや。三助、つゝミハまだもつておるか△◇三助◇も 00022700M7つております△◇だんな◇こんなに人だちのゑらいところでハ、 00022710M8きをつけたがよい。さてもにぎやかな事じや。三助、つゝ 00022720M9ミハまだもつておるか。どふもわしハそれがきにかゝつて 00022730M10ならぬ△◇三助◇もふしわけもござりませぬ。ツイ今のさき、 00022740M11とられました△◇だんな◇ナニ、とられたか。それでよう+ 00022750M12きがおちついた(六オ上) 00022760G1〔絵詞〕Sなるほど、おえどハひろい、にぎやかなところでこざりま 00022770G2△す。そのかハり、女ハわしどものくにの女のほうがよいかとおも 00022780G3△ひます。なぜといふに、お江戸の女ハきれいな事ハきれいだけれ 00022790G4△ど、むぎやこめをつかせてハ、わしどものかゝあなどにハかない 00022800G5△ますまい。いつとやにとハ、あさめしまへについてしまいますが、 00022810G6△おえどの女ハできますまい;Sなるほど、きさまがそふいへバ、 00022820G7△わしのとこのかゝしゆも、こめだハらをさつ+とかつぐから、 00022830G8△女にかけてハ、おえどより、わしどものくにのほうが、よつほど 00022840G9△ましだ(六ウ下) 00022850¥P111 00022860¥G 00022870¥N2¥J 00022880¥X◇まんぢううり◇ 00022890M3いなかもの、しよ+をけんぶつしてあるくうち、まんぢ 00022900M4うをうるいゑのかどへたちより、◇いなか◇わしハいなかもの 00022910M5でござるが、どふも江どへくると、いなかものハ、えてハ 00022920M6だまされることがあるから、なんでもうつかりとハかわれ 00022930M7ませぬ。このまんぢうをかいたいが、うまくござるか△ 00022940M8◇まんぢうや◇うまいとも+。ひとつあがつてごろうじろ△ 00022950M9◇いなか◇イヤ、そふいわつせへても、くつたあとでハうまく 00022960M10なくても、ぜにをとらつしやるであらふ。うまいかうまく 00022970M11ないか、きさまがくつて見せさつせへ△◇まんちうや◇そんなら 00022980M12ひとつくつて見せませふと、まんぢうをとつてくいながら、 00022990M13◇まんぢうや◇アヽうまい+△◇いなか◇うまいか+△◇まんちうや◇う 00023000M14まいとも+。さあ+おかひなされ△◇いなか◇イヤ+、 00023010M15きさまがうまいといふも、あてにハならぬ。ほんとうにう 00023020M16まくござるか△◇まん◇うそハつきませぬ。ほんとうにうまい 00023030M17◇いなか◇もふひとつ、くつてミせさつせへ△◇まん◇ハテうたが 00023040M18ひぶかひ。そんならもふひとつくつて(六ウ上)見せませう 00023050M19と、又一つくふ。◇いなか◇どうもがつてんがいかない。ほん 00023060M20とうにうまいか、もつとくつて見せさつせへ△◇まん◇おふる 00023070¥P112 00023080L1まいなら、いくらでもくつて見せませう△◇いなか◇もつとく 00023090L2つて見せさつせへ△◇まん◇くいますとも。それ又一つ、あゝ 00023100L3うまい+△◇いなか◇もつと+△◇まん◇いくらでもくいませ 00023110L4う。それ又くひますぞ。これハしたり。ミなくつてしまつ 00023120L5た。まんぢうのだいもつを下さい△◇いなか◇きさまのくつた 00023130L6ものを、おれハしらない△◇まん◇こなたがふるまいだから、 00023140L7それでミなくつたのだ。ぜひとも、だいもつをとらねばな 00023150L8らぬ△◇いなか◇イヤ、いなかものだとおもつて、とんだこと 00023160L9をいわつ/せ((ママ))る。こなたのくつたを、わしハしらないと、い 00023170L10ひすてゝにげ出すと、まんぢうや、はらをたて、おつかけ 00023180L11やうとすると、◇となりの見世から◇もし、なんでござりやす。く 00023190L12いにげでもしやしたか△◇まんちうや◇イヤ、くハずにげにあい 00023200L13やした。いま+しい(七オ) 00023210G1〔絵詞〕Sわしハこのまんぢうがきついすきで、まんぢう/□□□((空白))あそ 00023220G2△んでいるから、いつでもまんぢうあつてぜにたらず、まんぢうし 00023230G3△ごくの身になつても、とかくくいたくてならねへが、ぜにがねへ 00023240G4△から、まんぢうやさん、ほどこしに、たゞくわせなさい。たとへ 00023250G5△にも、せんぞうくよう、まんぢうくをふといつて、大きにくどく 00023260G6△になること。こつちもまた、くいどくになることだ;S此間から、 00023270G7△まんぢうをくいつゞけて、もふ見るもいやになつたが、しかしま 00023280G8△た、なんぞあつさりとしたまんぢうがあるなら、ひとつくいたい 00023290G9△;Sひやうばんで+、これハうまいものゝおや玉、いち川まん 00023300G10△ぢうろう。ひとつあがつてごろうじろ。アヽつがもねへ(六ウ下) 00023310¥N3¥J 00023320¥X◇あてちがひ◇ 00023330M4あるおてらへ、だんほうよりつかひの男きたり、◇つかひ◇ご 00023340M5めん下さりませ。わたくしハとんちきやのとん太郎、まい 00023350M6りました。とん太郎さい、やぜん、なんさんをいたしまし 00023360M7てなくなりました。めうにちさうれい、四ツときにいたし 00023370M8とうござります。よろしくおたのミ申上ますと申ことでご 00023380M9ざります△◇おせう◇ヤレ+、どん太郎どのないぎがしなれ 00023390M10ましたか。さて+おきのどくな。おちからおとしでござ 00023400M11ろう。おつかいのとふり、せうちいたしたとつたへて下さ 00023410M12れと、つかひの男をかへし、あとにて、◇おせう◇さて+め 00023420M13でたい+。われらこの寺へ、やう+じゆいんした所。 00023430M14じゆゐんさう+、そうれいがくるといふハ、此やうなめ 00023440M15でたい事ハない。此てらハなぜか今までハふしあわせで、 00023450M16だんほうがどれも+たつしやで、のこらずながいきだと 00023460M17きいたが、これからハ、だんほうミな+わかじにをして、 00023470M18てらはんじやうのずいそう。こんなめでたいことハない。 00023480M19まへいわゐに、さけでもとりにやれと、でしのぼうさまた 00023490M20ちをあいてに、さかもりをはじめ、とんちきやのしんだい 00023500¥P113 00023510¥G 00023520M1でハ、うちば(七ウ上)につもつて、これ+ハてらへおさま 00023530M2ると、むなさんようでよろこんでいるところへ、またとん 00023540M3ちきやより手代、はしりきたりて、◇てたい◇とんちきやから 00023550M4まいりました。しゆじんないぎ、なんざんにてしきよいた 00023560M5したと、せんこくおしらせ申ましたが、たゝ今またよミが 00023570M6へりましたから、そうれいハやめにいたします。それゆへ、 00023580M7おことわりにまいりましたといふ。おせう、きもをつぶし、 00023590M8やつきとなりて、◇おせう◇コレ+、おつかひ。このほうで 00023600M9も、せつかくそのしたくをいたしたところ。よミがへつた 00023610M10とおことわりにあづかつてハ、はなハだめいわくな。ぜひ 00023620M11ともそふれいハめうにちになされといつて下され△◇手代◇イ 00023630M12ヤ、それでもいきたものをそうれいハできますまい△◇おせう◇ 00023640M13ハテ、なんのよミがへらずともよいことに、よみがへつた 00023650M14ハその人のかつてづく。ぜひ+そうれいハ、めう日にい 00023660M15たされよ△◇てだい◇さやうでハござりますが、いきたものを 00023670M16どふも、さやうにハなりますまい。しかし、もふすこしお 00023680M17まち下さりませ。しゆじんないぎハ、いたつてのびやうし 00023690M18んもの。其上ことのほか、ちのミちけでござりますから、 00023700M19いきた所が、どふもながくハもちますまい。今に又しなふ 00023710M20もしれませぬから、そうれいハもふすこしおまち下さりま 00023720¥P114 00023730¥G 00023740M1せ△◇おせう◇そふしていつ迄まつのでござる△◇てだい◇イヤ、か 00023750M2くべつあいだもござりますまい。ないぎハたつしやになり 00023760M3ましたが、その生れ子ハ相はてましたから、まつ、それを 00023770M4てつけにさし上ておきます(八オ上) 00023780G1〔絵詞〕Sとかくこちのだんほうハ、どれもしにがたくて、そうれい 00023790G2△のないにハこまりはてます/ます((ます衍))から、どふぞだんほうぢうへそう 00023800G3△だんして、しにそうなとしよりのあるうちから、そうれいのまへ 00023810G4△がりをいたさうとぞんじてをりますところに、さいわいの事だ。 00023820G5△きこうおやかたのないぎがしなれたとハ、めでたい+。そうれ 00023830G6△いにもいろ+ある。おきやうをよむにも、こゑのよいぼうずば 00023840G7△かりたのめば、それだけ、せもつもはりこんで下されねばならぬ。 00023850G8△ぜにしだいで、われらのいんどうをわたすにも、おのぞミならバ、 00023860G9△やくしやのこわいろで、いんどうを(七ウ下)わたしませう;S 00023870G10△おやかた申付ました。ずいぶんぜにのかゝらぬやうにいたしたい 00023880G11△との事でござります。もしもだんほうさまがたのうちで、しにか 00023890G12△ゝつているごびやうにんでもござるなら、もちつとまちまして、 00023900G13△そうれいもいつしよにいたしたら、おふせもわりあいまして、ち 00023910G14△つともやすあがりになりませうから、そのよふなくちハないか、 00023920G15△うけたまわつてこいと申付ました(八オ下) 00023930¥N4¥J 00023940¥X◇おくびやうもの◇ 00023950M19あるおとこ、友だちとけんくわをして、大きにぶたれてう 00023960M20ちへにげかへると、その女ぼう、とんだきのつよい女に 00023970¥P115 00023980L1て、大きにはらをたて、◇女ぼう◇コレ、おまへもおとこのや 00023990L2うにもない。そのやうにぶたれて、あいてにきずもつけず、 00024000L3にげてかへるといふことがあるものか。すぐに今からそこ 00024010L4へいつて、ぶつたやつらを、ミなぶちきつてしまいなさい。 00024020L5あいてハたれだへ△◇ていしゆ◇おれもくやしい事ハくやしい 00024030L6が、あいてハ太五ゑもんと三太郎とだんべいのやらうで、 00024040L7どいつもちからのあるつよいやつらだから、にげてかへつ 00024050L8た◇女ほう◇にげてかへるといふことがあるものか。くわいぶ 00024060L9んがわるい。どいつでもよいから、きりころしてきなさい。 00024070L10それがてきないと、わしにいとまを下され。そのやうなこ 00024080L11しぬけ男につれそつているハ、ぐわいぶんがわるい。それ 00024090L12とも今打(八ウ上)はたしにいつて、見事しかへしをしてきな 00024100L13さるか△◇てい◇これハめいわくな事をいふ。そんならしかた 00024110L14がない。今からあいつらがところへしかけて、打はだして 00024120L15こようか。しかし、おれひとりでハいやだ+△◇女◇わたし 00024130L16がついていきませう△◇てい◇ヲヽ、こなたがいつしよにいつ 00024140L17てくれると、それこそ千人りきだ。しかしけふハ日がわる 00024150L18い。あしたの事にしよう△◇女◇そんなばかをいひなさんな。 00024160L19日のよしあしに、なんのとんぢやくがあるものか。さあ+ 00024170L20此わきざしをさしなせへ△◇てい◇これをさしてどふする△◇女◇ 00024180M1はて、これできつてしまいなさい。わしハこのほうてうを 00024190M2もつていく。さあ+はやくと、むりにていしゆをすゝめ 00024200M3て、太五ゑもんのかたへゆくと、◇てい◇モシ、ちとごめんな 00024210M4さい。太五ゑもんさまハおやどにかへ△◇女◇ヱヽじれつてへ。 00024220M5めといゝなさい。さまといふことがあるものか△◇てい◇イヤ、 00024230M6それでもきのはやいおとこだ。めといつたら、はらをたて 00024240M7るだろうと内へ入て見た所、るすなれば、又三太郎の所へ 00024250M8ゆき、◇てい◇三太郎さまハおうちにか。ちとおめにかゝりと 00024260M9ふござりますといふに、これもうちにをらす。◇女◇なぜ、さ 00024270M10まつけにいゝなさる。三太郎めのばかやらうめといへバよ 00024280M11いに△◇てい◇るすだから、あのやうにいつたのだ。内にをる 00024290M12と、めといふところが、あのやろうめ、ずた+にきりさ 00024300M13いなんでくれうものを、ごうはらな△◇女◇ヲヽ、そうだとも 00024310M14+。よくいゝなさつた。これからどこだ△◇てい◇だんべい 00024320M15のうちへいく。こゝだ+。こんどハおもひきつて、めと 00024330M16いつてやろう。ヤイ、だんべいめのはつつけやらうめ。内 00024340M17にいるかと、すつとはいると、◇内のもの◇だんべいハけさほど 00024350M18から出まして、やどにおりませぬときひて、此男、むねを 00024360M19(九オ上)なでおろし、ためいきをつきて、Sムヽ、これで 00024370M20おちついた(八ウ下) 00024380¥P116 00024390¥G 00024400G1〔絵詞〕S男のやうにもない、やくにたゝず。わしハこなたのはなを 00024410G2△めあてに、こゝへよめいりをしてきたに、おもひのほかの人で、 00024420G3△あいそがつきた。此わしのやうなうつくしい、くひざかりの女ぼ 00024430G4△うをもつていながら(八ウ下);Sもふ+ごめん+。とかく 00024440G5△女ハかたれぬ。ばんからきさまのいふとをりにするから、もふ 00024450G6△りやうけんして下さい。たのむ+(九オ下) 00024460¥N5¥J 00024470¥X◇くちあいつくし◇ 00024480M8◇ある男◇きのふ、わしハいなかからもとりましたが、ミちで 00024490M9めづらしいことをミました。まづ、犬とさるとかいるとへ 00024500M10びと、それにとんびとがあつまつて、なにかそ/ん((ママ))たんする 00024510M11やうなていを見ましたが、なんと、めづらしいことでハご 00024520M12さらぬか△◇友だち◇それハなるほどめづらしい。そしていぬ 00024530M13とさると、またかいるとへびハ、ミな中のわるいどしとい 00024540M14ふが、なにも中のわるい事ハ見へませなんだか△◇男◇さして、 00024550M15そのやうなていもミへませなんだ。このものどもが、何か 00024560M16そうだんのていでごさつたから、わしハしまいまでミてい 00024570M17ましたが、ミなそこをかへるときに、てん※にくちあい 00024580M18をいつて、しやれてかへりましたが、おもしろうござつた 00024590M19◇友◇それハなんとしやれてかへりました△◇男◇まづ、とびがい 00024600M20ふにハ、おの+ハこれにござれ。わしハもふこのおざし 00024610¥P117 00024620L1きをとび出しますといつた△◇友◇ハヽア、とびがしやれに、 00024630L2とび出しますハあたりまへだの△◇男◇それからいぬが、わた 00024640L3しもすこし用があるから、もふいぬるでござろうといつて、 00024650L4かへりました△◇友◇かいるハ大かた、わたくしももはや、か 00024660L5いるでござろうといつたろう△◇男◇ソレ+、それからまた 00024670L6さるめが、さやうならバ、われらもはやこのおざしきをさ 00024680L7るでござろうといつてかへりましたが、なんとおかしいじ 00024690L8やアこざ(九ウ上)りませぬか△◇友◇それから、まだ何があつ 00024700L9た△◇男◇ヤイ、もふそれぎり△◇友◇イヤ+、まだ何か。ヲヽ 00024710L10それ+、へびがのこつている。へびハなんといひました 00024720L11◇男◇ほんにへびが。そのへびハ、アヽ何とやら。それ+、 00024730L12へびがいふにハ、おの+ももはやござるが、わしもこれ 00024740L13から京へのぼりますといゝました△◇友◇なぜ、へびが京へハ 00024750L14のぼるの△◇男◇大かた、へびりがきれたと見へました(十オ上) 00024760G1〔絵詞〕Sこいつハめづらしい。さるといぬと、へびとかいるハ、中 00024770G2△のわるいどしだが、むつましそふに、はなしをしているハ。おも 00024780G3△しろいねづミとねこの見せものがあつたが、こいつらもどふか、ぜ 00024790G4△にもふけになりそうなものだ;かいるSわしもめばかりぱちS 00024800G5△していて、なにもゑてたことハないが、すもふならいちばんと 00024810G6△ろう。あいてにきらいハない。(九ウ下)かハずがけでとつてなげ 00024820G7△る;へびSわしハのむばかりで、なにもげいハない。このうちで 00024830G8△げいしやハさるどのばかりだ。ちと、おしゆん伝兵へのしうげん 00024840G9△のさかづきでもやつて見さつせへ;犬のいふSこのやうに、から 00024850G10△ばなしてもつまらねへ。さるでもおいらでも、もゝ太郎どのゝと 00024860G11△ころへいつて、ちよつとおにころしでもはたらいてこよふから、 00024870G12△とんびハなんぞ、さかなざもさらつてきさつせへな(十オ下) 00024880¥N6¥J 00024890¥X◇ぬすびと◇ 00024900M7ある家へ、やちうにどろぼうがはいりしを、かないのもの 00024910M8見つけて、ヤレ、どろぼうよとさハぎたつに、どろぼう、 00024920M9そこらをにげまハり、おひつめられてせんかたなく、にハ 00024930M10の石どうろうのかけへかくれていると、ていしゆおつかけ 00024940M11て来り、見付たりしが、さても+、どろぼうするにハに 00024950M12あハぬあさはかなやつ。あの大きなからだを、とうろうの 00024960M13かげで見へまいと思つているそふな。こいつ、ちとなぶつ 00024970M14てやろうとおもひ、◇ていしゆ◇此石どうろうのかげにをるやつ 00024980M15ハ、どろぼうかとおもつたに、こりやいぬだそふな。しか 00024990M16し、いぬならなきそふなものだといふと、◇どろぼう◇わん+ 00025000M17◇てい◇イヤ+、よく見れバいぬでもない。にわとりだそふ 00025010M18な。にハとりならバ、なきそうなものだ△◇どろ◇とつてんこ 00025020M19う+△◇てい◇イヤ、にハとりかとおもふたりや、しりやあた 00025030M20まをかいているハ、さてハさるだな+△◇どろ◇きやつ+ 00025040¥P118 00025050¥G 00025060M1+△◇てい◇さてこそ、さるにちがひハないと、心におかし 00025070M2く、こんどハいちばんこまらせてやろうとおもひ、◇てい◇イ 00025080M3ヤ+、これハのこらずめちがいをした。よく+ミれバ、 00025090M4とりでもさるでもない。たいだ+。たいなら、ひれをふ 00025100M5りそうなものだといふと、ぬす人、両そでをふり+する。 00025110M6◇てい◇ひれをふつたら、なきそふなものだと、盗人こまり、 00025120M7だまつている。◇てい◇おのれ、たいめ。なかずハぶちころす 00025130M8ぞ△◇とろ◇ハイ+。さやうなら、たい+++(十ウ) 00025140¥T1 00025150¥N1¥J 00025160¥X◇たびの道つれ◇ 00025170M11たびハ道づれよハなさけといふが、なるほどこうしてはな 00025180M12しながらあるくと、一里や二りハ、なんのくもなくあるき 00025190M13ます。おまへ、おくにハどこでござります。◇道つれ◇わたく 00025200M14しハ、ゑんしうでござります。あなたのおくにハ△◇道つれ◇わ 00025210M15しハおまへのおくにのとなりぐに、すんしうでござりま 00025220M16すが、そつちらのおかたのおくにハ、どこでござります△ 00025230M17◇道つれ◇ハイ、わたくしのくにかへ。わたしのくにハ、つけ 00025240M18しうでござります△◇道つれ◇つけしうといふハ、ついにきい 00025250M19たこともないくにだが、どこのことをつけしうともふし 00025260M20ますといへバ、その◇男◇ハイ、わたくしハにかわのくにでご 00025270¥P119 00025280¥G 00025290M1ざります(十一オ上) 00025300G1〔絵詞〕Sこんやハなんでも、よいたぼのあるやとへとまりませう。 00025310G2△そのかハり、はたごハいくらやすくともかまハぬ;Sゆふべのと 00025320G3△まりやどのおじやれめが、わしにとんだほれをつて、どふぞのち 00025330G4△に、よばいにきてくれろといひをつたによつて、いかふとおもつ 00025340G5△て、さきへぜにを二百つゝんでやつたら、これさへいたゞきます 00025350G6△と、もふよばいにお出にハをよびませぬとぬかしをつた;Sわし 00025360G7△ハまたゆふべかつた女郎に、とほうもなくもてらかされたが、そ 00025370G8△のかハり、けさよく見たら、六十ばかりのばゞあであつた。いま 00025380G9△+しい(十一オ下) 00025390¥N2¥J 00025400¥X◇下手りやうじ◇ 00025410M12さる所のていしゆ、しやくきにてなやミけるゆへ、きん所 00025420M13のこゝろやすきはりいしやをよびにやると、さつそくきた 00025430M14りて、病人をうかゞひ、これハことのほかにとりつめた。 00025440M15なか+ひとゝをりのはりでハきゝませぬと、五寸くぎ見 00025450M16るやうなふときはりを出して、びやうにんのはら/え((ママ))つきた 00025460M17てる所、びやうにん、ぎやつといつてくるしむひやうしに、 00025470M18しやくのむしがはりへまきついて、そのはり、いつこうに 00025480M19ぬけず。ゐしや、いろ+にしてミてもぬけず。◇いしや◇こ 00025490M20れハこまつたものだ。どふもはりがぬけませぬ△◇女ほう◇く 00025500¥P120 00025510L1ぎぬきでもぬけますまいか△◇ゐしや◇イヤ、くぎぬきでぬい 00025520L2たらいたミませう。これハやはりぬかずにおいたらよかろ 00025530L3う。ごていしゆハせんきもちだから、ひよつときん玉でも 00025540L4大きくなつたとき、ふくろにいれてくびにかけるよりハ、 00025550L5このくぎのやうなはりへ、ひもをひつかけてをくなどハお 00025560L6もしろかろう△◇病人◇しやれ所でハござらぬ。(十一ウ上)どふ 00025570L7もいたんてなりませぬ。はやくぬいて下さりませと、せつ 00025580L8くゆへ、いしや、いろ+にかんがへ、◇いしや◇きづかいさ 00025590L9つしやるな。じきにぬいてしんぜませう。そのかハり入用 00025600L10のものがある。まづおやわんひとつと、もとゆひがいちわ、 00025610L11きりがいつぽんいります。この品&をもつてござれ。はり 00025620L12をぬいてしんぜませう△◇女ほう◇ヲヤ、はりをぬくに、そん 00025630L13なものがいりますか△◇いしや◇いるとも+。はやくもつて 00025640L14ござれといふゆへ、そのしな※をそろへて出すと、ゐし 00025650L15やうけとりて、まづをやわんのいとぞこへきりにてあなを 00025660L16あけ、もとゆひをとをしたて、病人におびをとかせて、は 00025670L17りのたつてある所へおやわんをかぶせ、もとゆひにて、お 00025680L18やわんのおちぬやうにうしろへまハして、元ゆひをしばり 00025690L19つけ、夫よりおびをさせ、さてつふりへかさをきせ、つへ 00025700L20をもたせて、さあ+ござれと、ひやうにんの手をとつて 00025710M1ひつたつる。女ぼうおどろき、◇女ほう◇はりもぬかずに、こ 00025720M2れハとこへつれてござります△◇いしや◇こうしてわしがはり 00025730M3をならつたししやうのところへつれていつて、ぬいてもら 00025740M4をふとおもつてさ(十二オ上) 00025750G1〔絵詞〕Sあのすんはくさまにかゝつたひやうにんに、よくなつたハ 00025760G2△ひとりもないといふことだが、なるほど、きこへた事がある。此 00025770G3△あいだ、こちのおてらのおせうさまが、なんでもびようきといつ 00025780G4△たら、すんはくろうにかゝらつしやいといわれたが、よめた+。 00025790G5△よく人をころすゐしやどのだから、おてらのためにハふくの神だ 00025800G6△;Sおまへハわしを、とんだめにあハせさつしやる。どふぞはや 00025810G7△くはらのはりをぬいて下さりませ。ぬかずにおいても、ものをひ 00025820G8△つかけてをくにてうほうでよかろうといわつしやるが、なに、は 00025830G9△らのまんなかへかけてをくものがあるものか。おびをする(十一 00025840G10△ウ下)のに、とふもしやまになつてなりませぬ;Sきづかいさつ 00025850G11△しやるな。今にぬいてやります。わしのとなりのごていしゆが、 00025860G12△いせさんぐうしたるすのうち、かミさまへたてゝやつたはりがぬ 00025870G13△けなくてこまつたが、とう+ぬいてしまつたことがありました 00025880G14△;Sなるほど、はらへたてたはりがぬけずにいてハ、ほかになん 00025890G15△ぎな事ハあるまいが、ごないほうがこまるであろうから、さつそ 00025900G16△くぬいてしんぜませう(十二オ下) 00025910¥N3¥J 00025920¥X◇むさしぼう◇ 00025930M19むさしぼうへんけいが、いまだようせうのとき、はりまの 00025940M20くにしよしやさんのてらにのぼり、でしとなり、手ならい 00025950¥P121 00025960¥G 00025970M1がくもんを、しのぼうのおしへ給ふをいやがり、何とぞこ 00025980M2のおやまをかけをちせんとこゝろがけ、あるとき、しのぼ 00025990M3うのるすをさいわいと、いつさんにてらをかけいだし、お 00026000M4つてのかゝらぬうちに、いづかたへもにげのびんと、あし 00026010M5にまかせて山ミちをはしりけるが、あまりにこゝろせきて 00026020M6道にふミまよい、山なかをあつちこつちとかけあるき、む 00026030M7ちうになりてはしりゆくむかふに、さも大きなるうハばみ、 00026040M8あんとくちをあきているを、べんけいハこゝろせきたるま 00026050M9ゝ、それにもきがつかず、いつさんに、かのうハばミのく 00026060M10ちのなかへとびこミ、はらのなかをかけある/□((きカ))けるが、な 00026070M11にか、いわあなのなかへでもはいりたるやうにて、ほうが 00026080M12くしれず。べんけい、これハけしからぬ所へきた。何にも 00026090M13せよ、たゞごとでハないと、こしにさしたるたんとうをひ 00026100M14きぬきて、そこらあたりをふりまわせバ、うハばみくるし 00026110M15がりて、ころ+ところげまわれバ、べんけいもはらのな 00026120M16かにて、おなじやう(十二ウ上)にころけまハり、やミくもに 00026130M17たんとうにてつきまハせバ、ついにうハばミハ、はらのな 00026140M18かをさん※にきられて、のたうちまわりしゝたりける。 00026150M19ところのものども、うハばみのしがいを見つけて、これハ 00026160M20めつらしい大きなものだ。なににしろ此ミちばたにしんで 00026170¥P122 00026180L1いられては、わうらいのさまたげ。とりかたづけんとおも 00026190L2へども、たいそうなるうハばミ、しんまくができかね、さ 00026200L3いわゐ山にゐあわせしこびきをたのミ、よいごろにひきき 00026210L4りて、とりかたづけすべしとて、こびきをたのめば、さつ 00026220L5そくきたりて、うハばミのどうなかを、こびきの大のこぎ 00026230L6りにてひききつてしもふと、きりくちから、べんけい、く 00026240L7びをぬつと出して、Sもし、ひめぢへハどふまいります 00026250L8(十三オ上) 00026260G1〔絵詞〕Sさて+大きなうハばみもあるものだ。わしのうわばミも 00026270G2△人にしられた大きなものだが、このうハばミにハかなわぬ。しん 00026280G3△でいるときさへ、このくらいだものを、これがいきたら、どふだ 00026290G4△ろう;Sこのうハばみをかばやきにするにハ、まづ百けんばかり 00026300G5△のあなをほつて、そこへかたずミの二三千びやうもうちあけて、 00026310G6△火をおこして、そのそばへまた井戸をひとつほつて、そのゐどへ 00026320G7△せうゆの七八十たるもぶちまけておいて、うハばミをさすくしに 00026330G8△ハ、四五けんもながさのあ(十二ウ下)るまるたにさして、せう 00026340G9△ゆのあるゐどのなかへ、しやちでまきながら、つつこんでハやき、 00026350G10△しつこんでハやきせずハなるまい;Sなるほど大きなうハばミだ。 00026360G11△こいつにのまれたら、しりへぬけるまで二日ぢもかゝるだろう; 00026370G12△Sさだめてこれまで、おほくの人をくつたやつたろうとハおもふ 00026380G13△が、しんでミれバまたかわいそふだ。ねんぶつでももふしてやろ 00026390G14△う。うハばミだんぶつ+(十三オ下) 00026400¥N4¥J 00026410¥X◇てんぐのさいなん◇ 00026420M3金太郎があそびあいてのくまやさるを、てんぐがいぢめる 00026430M4ときいて、きん太郎はらをたて、かのてんぐをひつとらへて、 00026440M5はなばしらをひつつかミ、のこぎりにてはなを引きり、お 00026450M6ひはなしけれバ、かのてんぐ、はなをきられてハ、てんぐ 00026460M7なかまのまじハりできず、何とぞはなをとりかへさんとハ 00026470M8おもへども、金太郎のゆうりきにおそれ、しよせん、ちか 00026480M9らづくにてハとりかへす事なるまじ。たばかりて、うばい 00026490M10かへさんと思ふところに、きん太郎、てんぐのはなをきり 00026500M11し事、山うばきゝて、ほかのいたづらと事かハり、てんぐ 00026510M12ハまじんにて、つうりきじざいのものなれバ、いかなるた 00026520M13ゝりをなすもしれずと、金太郎を(十三ウ上)そとへ出さず。 00026530M14かのてんぐのはなを、いしのかろうとへいれて、きつとま 00026540M15もりいたるところへ、てんぐハ金太郎のおぢなりといつハ 00026550M16り、身をやつしきたりて、そのほうてんぐのはなをきりと 00026560M17りたるよし。何とぞ、われにミせよといふ。金太郎、なに 00026570M18心なく、きりとりたるはなを出して見せけれバ、うれしや、 00026580M19これこそわがはななりとて、そのまゝひつたくり、くもを 00026590M20かすみとにげいだし、きん太郎のおつかけくるならんと、 00026600¥P123 00026610¥G 00026620M1いちもくさんにはしりて、きたのゝくハいろうのまへなる 00026630M2水ちや屋のかとにて、ほつと大いきをつき、かのうばひか 00026640M3へせしはなを、きられたるきりくちへつぎて、りやうてに 00026650M4ておさへ、スウ+とためいきつきていると、その水ちや 00026660M5屋のうちから、Sごむようでござります(十四オ上) 00026670G1〔絵詞〕Sおのれ、よくおいらがたこをあげるたんびに、すぎの木か 00026680G2△らとび出して、じやまをしをる。そのかハり、おのれがこのはな 00026690G3△をきつて、たいこのぶちにしてやるハ;Sまつひらごめん下さり 00026700G4△ませ。かんじんのはなをきられてハ、かんばんがなくなつてしま 00026710G5△います。はながをちてハ、か印でもあるかと、かゝあになりてが 00026720G6△ござりませぬから、こればかりハおゆるし+(十三ウ下);Sも 00026730G7△し+、あなたのおふくろさまが、ふだんわたくしのはなをごら 00026740G8△うじて、さてもこのましいはなだと、ことのほかごしやうびにあ 00026750G9△づかる、わたくしのはなでござりますから、これをおきりなされ 00026760G10△たら、おふくろさまが、あつたらことをしたと、さぞおなげきで 00026770G11△ござりませうから、もふごめんくださりませ(十四オ下) 00026780¥N5¥J 00026790¥X◇だい+こう◇ 00026800M17いなかもの、いせさんぐうにゆき、おしのうちへとまりけ 00026810M18るが、をりふし、そのとなりのをしのところにて、ゑどか 00026820M19うぢうのだい+ありて、がくのおと、にぎやかにきこへ 00026830M20けれバ、かのいなかもの、をしの手代にむかひ、◇いなか◇もし、 00026840¥P124 00026850¥G 00026860M1おとなりそふなが、あのふへのねやたいこのをとがします 00026870M2が、あれハなんでござります△◇をしのてだい◇あれハだい+ 00026880M3こうでござります△◇いなか◇なるほど、たい※こうといふ 00026890M4こと、きゝおよんでおります。これハいづれにぎやかて、 00026900M5ありがたいことだときゝおよびました。わしもおいせさま 00026910M6へまいつたしるしに、だい+こうをおたのミ申たいが、 00026920M7(十四ウ上)できませうかな△◇てだい◇イヤ、それハごきどくな 00026930M8ことでござります。おのぞミならバ、じきにできます△ 00026940M9◇いなか◇さやうならバ、おたのミもふしますと、ぜに二百文 00026950M10つゝミてさしいだす。をしの手代をかしく、◇てだい◇イヤ、 00026960M11だい+こうともふすものハ、かやうな事でハできませぬ。 00026970M12いたつて金子のすくないのか二十両・三十両、其上ハおの 00026980M13ぞミしだい、五十両・百両のだい+こうハ、いくらもご 00026990M14ざります。どふもてうもく二百文ぐらゐでハ、だい※こ 00027000M15うハうてませぬといふと、◇いなか者◇さやうならバ、これでだ 00027010M16い※こうハできませぬ事ならバ、ぜひがなひ。しかしせ 00027020M17つかく、わしの心ざしでござるから、これでだい※こう 00027030M18がなりませずハ、ミかんこうでも、きんかんこうでも、お 00027040M19たのミもふします(十五オ上) 00027050G1〔絵詞〕Sさてもおいせさまハごはんじやうなことだ。かへりにハみ 00027060¥P125 00027070¥G 00027080G2△やげに、まんきんたんをかつてかへりませう。ミやうけんまちの 00027090G3△山原が、いつちよいといふことだ;Sこれからミやめぐりをして、 00027100G4△ばんにハふる市のちつかやへとまろうか、たゞしハびん十へとま 00027110G5△ろうか。いつその事、げくうまへのきちんやどへとまりませふ; 00027120G6△Sゆふべわしハふる市で大きにもてた。どふしてもわしハいろ男 00027130G7△だが、おしい事にハ、ぜにをださぬとほれてがない(十四ウ下) 00027140G8△;Sこうしておいせさまだい+をうつも、ほかでハない。わし 00027150G9△がだいじの女ぼうが、そくさいゑんめいをいのるばかりのことだ 00027160G10△;Sたとへにも、いせこじきとわるくちを申すが、われらのきせ 00027170G11△うハ、さやうのひれつなものでハござらぬ。いせものでハござれ 00027180G12△ども、なか+ぜにかねには、めをかけぬおとこでござるから、 00027190G13△おさいせん、おはつをも、われらのぜにばこへ、たくさんにおさ 00027200G14△まるよう、おたのミ申ます(十五オ下) 00027210G1△△△△わらふ門にふく春風の和らきて 00027220G2△△△△△家内ゆたかにむつミ月かな 00027230G3△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△五返舎半九 00027240¥Q 00027250M5◇ちよと例の御ひろう申上候◇ 00027260M6下谷上の町ひたちや甚兵衛方にて、一九あんじのしんがた御ひと 00027270M7へ物地、当ねんも数+仕入置候間、相かわらず、御用向被仰付 00027280M8被下候やう、願上たてまつり候。これハ一九の口上さやう 00027290M10/笑府(おとしばなし)/賀羅久多(がらくた)/道具(どうぐ)△@近刻△△|△全一冊@十返舎一九撰G 00027300M11△家内の諸道具より合、その心いれを 00027310M12△めい+にはなすおとしばなしなり。 00027320M13△近日出来△△△△△十返舎一九著△彩霞楼国丸画G 00027330M15△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十五ウ) 00027340¥P126 00027350¥U噺本大系△第十八巻 00027360¥G 00027370¥T/落咄(おとしばなし)/福寿草(ふくじゆそう)〔題簽〕 00027380¥Y 00027390M4文政二年正月刊 00027400M5紀尾佐丸作 00027410M6葛飾北斎画 00027420M7丸屋文右衛門板 00027430M8中本一冊 00027440M9東大国文研究室蔵 00027450¥Y序 00027460M14/世(よ)に/噺(はな)し/上手(ぜうず)の/聞(きゝ)べたあれば、/又(また)はなし/下手(べた)のきゝ上手あ 00027470M15るべし。はなすと聞とを/考(かんが)ふるに、はなすもの、かならず 00027480M16かたく、きく人/必(かな)らす/易(やす)し。/因之(これによつて)/早野(はやの)/勘平(かんへい)がふたつ/玉(だま)も、 00027490M17/定(さた)九郎と/打(うち)あやまちしハ、/是(これ)/鉄炮(てつほう)の/咄(はな)し下手といゝつべし。 00027500M18かゝる/作者(さくしや)の/御心(おこゝろ)なしは、いつてもからしのきゝ下手とや 00027510M19いわん(一オ) 00027520¥P127 00027530¥G 00027540¥N1¥J 00027550¥X/対面(たいめん) 00027560M3わかひもの五六人あつまり、けふハ初子だから、茶ばんで 00027570M4もはしめやうとさうだんきハまり、きやうげんハたいめん 00027580M5にて、まくの内に、まくあきまへ、おこし、まんぢう、よ 00027590M6しか+とうりきたる。一人、工藤のこしらへにて、一つ 00027600M7くだツしととる。また五郎、十郎つらを出し、おれにもと、 00027610M8くわしをくらふ。くわしうりS御勘定を△三人Sいまにやる 00027620M9ハといハれ、ハイ+といつて、がくやへはいる。見へい 00027630M10よ+本ぎまりのまくあきにて、左衛門すけつね、座にな 00027640M11ほる。(一ウ)五郎・十郎、あたりまへのせりふにて、たちま 00027650M12ハりのところへ、せんこくのくわしうりいできたり、Sサ 00027660M13ア+、工藤左衛門さんも十郎さんも五郎さんも、さつき 00027670M14のかんちやうを、どうしてくんなさるといふ所へ、がくや 00027680M15より、あさいないできたり、Sこれさ。どうしたものだ。 00027690M16おつこてへろ+トとめる。工藤Sくわしをくハれてくや 00027700M17しいか△くわしうりSさんぞうろう△工藤S工藤左衛門すけ 00027710M18つねハ、三ケのしやうのだい大名。かハづにくつたおぼえ 00027720M19ハねへぞ△くわしうりSおぼえねへとハいハれめへ。ひきや 00027730M20うミれんな左衛門すけつね△工藤Sして、かんぢやうハ 00027740¥P128 00027750¥G 00027760M1くわしうりS工藤三文、五文ときむね、十文すけなり。三人 00027770M2かほ見合せ、ハテはづかしい、たいめんじやなア(二オ) 00027780¥N2¥J 00027790¥X/将棊(しやうぎ) 00027800M5へぼしやうぎあつまりたる中に、さつばりしらぬもの二三 00027810M6人、このてあひ、きゝとりぼうもんのきいたふうにて、し 00027820M7らぬといふこときらいゆゑ、ごん八Sどうだ。いちばんさ 00027830M8ゝぬかといへバ、太郎兵へSよからうといふ。そこでべた 00027840M9+とならべ、ごんSどりや一ばんおせへてやらう△太郎 00027850M10Sなんの、しりもしねへくせに△こんSへヽヱ、いまに見 00027860M11たがいゝ。せつちんへやるぞ。ソレよしか。まてなしだぞ 00027870M12ト、たん+でほうだいにさしちらし、ごんSそれ王手△太 00027880M13郎Sこりやアひとつまたつし△ごんSいや+、またれね 00027890M14へ。そつちから、まてなしときめてあらア。それ王手△じ 00027900M15よごんSそれじやア王手にやアならねへ△こんSなぜ△じよご 00027910M16んSそれでも王の(二ウ)あたまへ桂をうつて、なに王手な 00027920M17ものか△ごんSだまつて見てゐさつし△太郎Sソレ見たか。 00027930M18おれがしらねへとおもつてゐても、てんとう様が見てゐら 00027940M19アトいふに、どつちもしらねへどうしゆゑ、じよごん、ひ 00027950M20つこんで見てゐると、太郎S王のそバへぎんをうつて、ソ 00027960¥P129 00027970¥G 00027980M1レどうだ。ごんSそうかな。それでつミか。いや、またつ 00027990M2しよ。たしかきんハよこへハ、きかなんだらう。ヲヽそう 00028000M3+、きかねへ+△太郎Sそんなら引くス。これでつミ 00028010M4だ△ごんSなるほど、おさがんなされバ、ぜひがない(三オ) 00028020¥N3¥J 00028030¥Xかげま 00028040M7とりめの坊さまと、どうらくむすこ二三人づれにて、かげ 00028050M8まをかひにゆきしに、だん+とさかづきもすミ、とこへ 00028060M9まハりしに、坊主のあひかた十四五なるが、むしやうにな 00028070M10きいだしてゐるゆゑ、むすこ、何ごとゝたちいでゝ、むす 00028080M11こSこれ、おしやう。なんだ、おめへ。けへぶんのわりい。 00028090M12ナニ、十二や十三の(三ウ)子どもをつかめへて、むりなこ 00028100M13とをいうからだ。コレ、なぜなくのだ△かげまSどうも申 00028110M14されません△むすこSウヽきこへた。てめへでハまにあハ 00028120M15ぬのか。そんならとりかへるがいゝ△かげまSイヽヱ、そ 00028130M16んなことじやアございません△むすこSそしてなんだ△か 00028140M17げまSアノおきやくさんが、へをひれ+とおつしやりま 00028150M18す△むすこSばか+しい。これ、おしやう。何をいふの 00028160M19だ。つまらねへことをといへバ、おしやうSそれでも、おれ 00028170M20ハとりめだから、どうもあてがしれねへからよ(四オ) 00028180¥P130 00028190¥G 00028200¥N4¥J 00028210¥Xしんかほミせ 00028220M3年+さい+あいかわらす、/堺(さかい)丁のかほミせ、こと+ 00028230M4くにぎおふ中ニ、/壱(いち)人のいなかものどん八、十六文の切落 00028240M5しに、ちとせのよわいをのぶるといへども、イヤ大きいぞ、 00028250M6こまかいのと、やくしやをほめるが、きがしれず。となり 00028260M7のおとこにたづぬれは、あれハやくしやのおもいれで、 00028270M8しうちをこまかくする事さ。また大きいとほめたのハ、ぶ 00028280M9たいをにぎやかにつとめるやくしやを(四ウ)ほめたのさと 00028290M10きいて、どん八、こゝろによろこび、しばいをいてゝ国元 00028300M11へほどなくかへれば、ちんしゆのさいれい。むらのせなア 00028310M12があつまりて、ほかにハしらぬ忠臣蔵はじまりけるときく 00028320M13よりもさつそく、扨こそこゝでほめんものと、しばゐにい 00028330M14りてミてあれば、かをよ御前とおぼしき男、ふところより 00028340M15ハ火うち石、ほくちをだして、カチ+うちつけ、一ツふ 00028350M16くのんで、手のひらへはたくをまちかね、◇とん八◇アヽこま 00028360M17かいぞ+(五オ) 00028370¥P131 00028380¥G 00028390¥N5¥J 00028400¥Xさとうの御尤 00028410M3さる市といふ/坐頭(ざとう)、出世せしざとうのいわいによばれて、 00028420M4はら一ぱいのミくいして、大なまゑいとなりながら、とか 00028430M5くわしハけちな事がきらいじや。なんでも大ふうにおごる 00028440M6所てなくてハ、きても酒ものめませぬが、こゝのいぬ市ハ、 00028450M7どふもけちな人さ。わしなどハ内にいても、こんなまづい 00028460M8ものハくひませぬと、どんとうけさせている所へ、◇迎いの者◇ 00028470M9はい、さる市のむかいで厶り舛△◇さる市◇どうした。てうち 00028480M10んをもつてきたか△◇迎の者◇いへ、わすれました△◇さる市◇それ 00028490M11ハよくきがついた(五ウ) 00028500¥N6¥J 00028510¥X見立 00028520M14もし、おやぢさま。おまへもそのやうに、しゆもく杖をつ 00028530M15いて、身のお/□((もカ))いところハ、つりがねといふもんでござり 00028540M16ますね。Sさやう見へませう。Sはや、むすこも、てうち 00028550M17んになりました(六オ) 00028560¥P132 00028570¥G 00028580¥N7¥J 00028590¥X音曲 00028600M3なんと、此一座てしやれやうしやアねへか。なんぞしつて 00028610M4ゐるか。S外にしつた事もなへが、料理の名を、おならに 00028620M5出して見せやしやう△皆&Sきたなへナ。しかし珍らしい。 00028630M6きゝませうと、耳をすましてゐると、かの男、はじまり 00028640M7+と、はらをたゝいてなでおろし、息をこめて、うんと 00028650M8いふと、かんひやう。ウン。なすひ。ウン。わらび。ウン。 00028660M9ごぼふ。皆&Sこう+、精じんもの斗じやア気にかゝる。 00028670M10魚るいも出しなへ△Sウヽ、もちろんといゝながら、Sウ 00028680M11ン。あわび。ウン。ゑび。ウン。はうぼう。ウン+ト、は 00028690M12をむき出してゐると、びち+++。皆&S其おとハ 00028700M13なんだ△S納めだから/□((なカ))しこくしやうのすいものさ(六ウ) 00028710¥N8¥J 00028720¥X役者ひいき 00028730M16二三人打よりて、なんでも此はる狂言ハ、ミつ扇があたり 00028740M17たといへバ、イヽヤ、それよりやア、いやミのないかさね 00028750M18あふぎが、壱本つかいになつたと、たかいにあらそふとこ 00028760M19ろへ、おふくろ、ふすまをあけて、お袋Sナニサ。とし玉 00028770M20ハ扇より、やつはり鼠半切にしておきやれ(七オ) 00028780¥P133 00028790¥G 00028800¥N9¥J 00028810¥X礼者 00028820M3礼しや、三人よつてはなしをするうち、一人の礼者Sおらが 00028830M4出入の御やしきに、さくら木さんといふ女中があるが、と 00028840M5んだ気だてのいゝお人さ。年礼に上てさへ、たゞハかへさ 00028850M6れぬ。花の咲/き((くカ))迄あたゝめよと、炭を一俵下さつたぜ△一 00028860M7人Sはて、よくにた事も有もんだ。おらが御屋しきにやア、 00028870M8わか松さんといふ女中があつて、十かへりも酒をかハれる 00028880M9切手をもらひやした△一人Sコイツアきめうだ。おれが方 00028890M10の御殿にやア、梅かえさんといふおかたかあつて、日比し 00028900M11んせつな人さ。此中年礼に上た所が、にほひふくろを下さ 00028910M12つたから、うちへかへつてひらいてミると、中ハミな○印 00028920M13た△二人Sウヽ、なんといつても、ミのなる木ハ、花から 00028930M14しれる(七ウ) 00028940¥N10¥J 00028950¥X帯 00028960M17おわかさん。おまへハいつでもおかほいろがわるいね。だ 00028970M18れにか、こかれてだの。Sヲヤ、とんだことをいゝなはる 00028980M19よ。わたしや生れ付て、こしのひへる持病だからさ△Sソ 00028990M20レナラ、じきに直る事を、をしへてあげやしよふ△Sそれ 00029000¥P134 00029010¥G 00029020M1ハなんのおくすりだね△Sナニ、くすりじやアねへヨ 00029030M2Sどふするがいゝね△Sこしのひえるにやア、あついたの 00029040M3帯を〆なさい(八オ) 00029050¥N11¥J 00029060¥X傾城買 00029070M6吉公。おれが此ころかつた女郎ハ、よつほど遠州流だぜ。 00029080M7S吉なぜ△Sはて、かつて見にやアわからねへトいへバ、 00029090M8S吉、なにかおもしろい手のありさうな事だと、直にかね 00029100M9を工面して、行てミても、遠州流らしき事さら+なし。 00029110M10さてハきやつめ、おれを一はひだましたなと思ひながら、 00029120M11女郎の顔をよく+ミれバ、道理こそ、/歯(は)が皆ねぢれて、 00029130M12はなもゆがんで有やつさ(八ウ) 00029140¥N12¥J 00029150¥X御幣かつぎ 00029160M15ちよつとしても、ゑんぎをいはふ人、さる呉ふくやへ、の 00029170M16ぼりを壱本あつらへにゆき、いろ+もやうをこのミたる 00029180M17うへ、めでたきものにきハまる。S呉ふくや時に、しやうき 00029190M18のぼりハ、いかゞいたしましやう△S客ナニ、ゑんきのわ 00029200M19るい。やめにしてくんナ△Sコフクなぜてごさります 00029210M20S客おれが定もんが、鬼つただから(九オ) 00029220¥P135 00029230¥G 00029240¥N13¥J 00029250¥X料理 00029260M3二三人づれにて、むかふしまへ行、座しきへ上り、気のき 00029270M4いたかほをして、手をたゝく。女中出来りて、女Sよふ御 00029280M5出なさいました△客Sいつも+きれいな事ね△女Sヲヤ、 00029290M6お上手斗りおつしやります。申/□((不明))るハ△客Sなんでものめ 00029300M7るものがいゝね△女Sはい+と、勝手へゆき、段々いろ 00029310M8+持くる内、例の洗い鯉も出る。Sきやくわりかけのは 00029320M9しをミて、客Sこいつア大わらいた。壱本はして、ものが 00029330M10くへるものか△一人の客Sこう+、くわいぶんのわりい。 00029340M11しづかにしねへナ。こゝアいつでも此はしだといふヲ、女 00029350M12中きゝて、皆ふき出して笑ふと、客人、はらをたてゝ、大 00029360M13音に亭主を呼つけ、是、こゝの女めらハ、笑てはつかりい 00029370M14やアがるといへハ、亭主Sへい+。お気にハさへられま 00029380M15すな。所のめい物、わらい声てごさり升(九ウ) 00029390¥N14¥J 00029400¥X七福神 00029410M18なんと、弁天のやうな女房をよんで、大こくのふくろにか 00029420M19ねをいつはひもつて、そしてぬす人のこぬやうに毘沙門の 00029430M20鑓をかざつて、毎日ゑびすの鯛をくつて、夏ハほていのう 00029440¥P136 00029450¥G 00029460¥Q 00029470L11文政二已卯年文寿書堂△文△新彫草子目録 00029480L12/狭野八橋■鉢植(さのやつはしねびきのはちうへ)△全八冊△@曲亭馬琴作|歌川国貞画@ 00029490L13@/千瀬川(ちせがハ)|/五暁(ごきやう)@/増補虎之巻(ぞうほとらのまき)△全六冊△@柳亭種彦作|歌川国貞画@ 00029500L14△△△△△△△△△△△△△△柳亭種彦校 00029510L15@/於花半七(おはなはんしち)|/因縁物語(いんえんものかたり)@/狐挙之濫觴(きつねけんのはじまり)△全三冊△茗溪庵作 00029520L16△△△△△△△△△△△△△△歌川国安画 00029530L17@/故事(こじ)|/通計(つけ)@/塩梅餘詩(あんばいよし)△△全三冊△@文尚堂虎圓作|勝川春亭画@ 00029540L18各不残出板売出し候間不相替御評判宜敷御求御覧被下様奉希候 00029550L19△△△△△△△江戸神田弁慶橋通北 00029560L20△地本問屋△文寿堂△△丸屋文右衛門 00029570M1ちわにすゞしくくらし、寿老人のよわいをたもちたいね。 00029580M2Sソンナラ、ふくろくじゆハいらないか△Sウヽ、いらな 00029590M3い△Sなぜ△Sだい一、途中ころんでも、きうにおきられ 00029600M4ない△Sナニサ。そのくらいな事ハあつてもよかろ△Sイ 00029610M5ヽヤ、まだある。茶のゆざしきへゆかれない(十オ) 00029620¥N15¥J 00029630¥X小僧 00029640M8ちよつとつかいに出ても、あそんでゐて、やくにたゝぬで 00029650M9つち、あさくさのくわん音の地内へ、/楊枝(やうじ)をかひにつかハ 00029660M10しけるに、口中りやうじ源水がこまをまわすを見てゐて、 00029670M11たそがれごろ迄かゝり、親かた、大きにはらをたてゝ、お 00029680M12のれ、一日何をしてゐたのた。狐にばかされたかといへバ、 00029690M13Sでつちいへ+、はぬきでござりました(十ウ) 00029700¥P137 00029710¥U噺本大系△第十八巻 00029720¥G 00029730¥Tおとぎばなし〔題簽〕 00029740¥Y 00029750M4文政五年正月刊 00029760M5志満山人作 00029770M6歌川国信画 00029780M7岩戸屋喜三郎板 00029790M8中本三巻三冊 00029800¥Y 00029810M10/教化(きやうけ)の/書物(しよもつ)にハ、/彼貝原先生(かのかいばらせんせい)の/大和俗訓(やまとぞくくん)、/家道訓(かどうくん)、/和&(やハ+)と 00029820M11して、/極(ごく)上&の/其味(そのあぢハ)ひ、/漢土(から)の/咄(はな)しハちんふんかん、/我朝(こつち) 00029830M12の/咄(はな)しハ/昔&(むかし+)/爺(ぢゞ)ハ/山(やま)えの/草双紙(くささうし)、/手柄咄(てがらばな)しにハ、/兎(うさぎ)の/耳(ミヽ) 00029840M13の/永(なが)キ/春(はる)の/日(ひ)も、おへそをかゝえて/笑(わら)ふ/程(ほど)の、/狸(たぬき)のはらつ 00029850M14ゝミも、/打(うつ)て/替(かハ)つた/流行(りうかう)ハ、/口合(くちあい)も/秀句(しうく)となり、/又(また)ぢくる 00029860M15とも/云(いふ)べし。されバ/落(おと)し/咄(ばな)しも、/元(もと)ハ/勧善(くハんぜん)の/志(し)/一(いち)ならんか 00029870M17文政五@壬△|△午@年春新絵草紙△△△△△△志満山人誌G 00029880¥P138 00029890¥G 00029900G1志満山人作△G 00029910G2歌川国信画 00029920G3/於(お)と/義波奈之(ぎはなし) 00029930G4△△△△△△横山町二丁目 00029940G5△文政五年△△△△岩戸屋 00029950G6△△午初春新刻△△△△喜三郎板 00029960¥T1 00029970¥N1¥J 00029980¥X◇江の/島(しま)/弁才天(べんざいてん)/開帳(かいてう)◇ 00029990M3ゑのしまべんざい天のかいちやうにて、あまたのさんけい 00030000M4おゝかるなかに、こぶろしきをかたにかけたる一人の男、 00030010M5七里がはまにて、はからずも百両のかねをひろいけるゆへ、 00030020M6大きによろこび、これひとへに弁天さまのおかげなりと心 00030030M7によろこび、わがにもつのふろしきにつゝミ、道をいそぎ、 00030040M8あるちや屋にやすミいたりしに、ごまのはいハ、さいぜん 00030050M9七里がはまにて、かねをひろいしを見つけ、あとよりつけ 00030060M10来りて、いつのまにかハ、かの百両のかねをぬすミとり、 00030070M11そのあとへ、かたハらのくさむらのなかにゐあハせたるへ 00030080M12ひをとらへて、入れおきけるに、かのおとこハかゝること 00030090M13のありとハしらずして、その夜ハゆきのしたにとまりて、 00030100M14かの金をあらため見るに、こハいかに、金にハあらずして、 00030110M15へびなりけるゆへ、しばらくかんがへて、Sハヽア、これ 00030120M16がまことの、ミになる金だろう(一オ)(二ウ・三オ目次絵) 00030130¥P139 00030140¥G 00030150¥N2¥J 00030160¥X○/初会(しよくわい) 00030170M3△¢▲/盆(ぼん)のとうろうの頃、初会のきやくが/来(きた)りて、きやくSこれ 00030180M4わかいしゆ。おれハさけのさかなに水くハしがすきだから、 00030190M5なんぞとつてくれろト、壱分なげいだせバ、わかいものハ 00030200M6なんでもめずらしいものをとかけまハり、やう+と/柿(かき)を 00030210M7十ヲばかりかい出し、はなたか※ともちいだせバ、これ 00030220M8ハめづらしいと、又壱分はなをやれバ、わかいものハあい 00030230M9さつしてたつてゆく。きやくハ(三ウ上)かきを一ツくひか 00030240M10け、これハしぶいと、又一ツとつて、これもしぶいといふ。 00030250M11女郎ハきのどくさふにたつて、わかいものをこかげへよび、 00030260M12あのやうなしぶいものを出してハ、うらにハござるまい 00030270¥N3¥J 00030280¥X○/鉢(はち)の/木(き) 00030290M15▲おやじ、/子(こ)がうたひをきゝて、Sコレ、わがうたひハ、 00030300M16ほをあげてといふところがよくない△子Sとつさんハなん 00030310M17にもしらぬくせに、やれうたひやうがはやいの、おそいの 00030320M18といふけれども、/師匠(しせう)さまでならつたとふりにうたふのに 00030330M19おやSなに、おれがしらぬことがあるものか。なんでもし 00030340M20つている△子Sそんなら、けふならつたうたひをあてゝ見 00030350¥P140 00030360¥G 00030370M1なされ△おやSそんならうたへ△子Sいでそのときの(四オ 00030380M2上)はちのきハ、むめさくら松にてありしよな。子Sさア 00030390M3これハなんだ△おやSしれたこと、すがハらだ 00030400¥N4¥J 00030410¥X○/茶釜(ちやがま) 00030420M6▲そさうもの、ちやがまのふせてあるを見て、なにかこゝ 00030430M7にくろいものがある。Sアイ。それハちやがまでござりま 00030440M8す△S此ちやがまにハ、なぜ口がない△Sはて、ふせてお 00030450M9いたのでござりますといへバ、ひつくりかへして見て、 00030460M10Sそこもない(三ウ下) 00030470G1〔絵詞〕Sしゆんゑんぎやくゑんともにぼだいしん、なむあミだぶつ 00030480G2△+(三ウ下);Sわれうたれしときゝ給ハば、父うへつねもり 00030490G3△/卿(けう)やはゝうへのなげきが、おもひすごされて、おんいたハしい 00030500G4△△(四オ下) 00030510¥N5¥J 00030520¥X○/客(きやく) 00030530M17▲/丁子(てうじ)やの二かいさしきハ、大さハぎにさハぎちらすに、 00030540M18となりざしきハしんぞうあげて、さミしくしてゐるゆへ、 00030550M19しんぞう、きやくにむかひ、女郎Sもし、あのやうにさハ 00030560M20ぐに、おまへ、なんぞいゝなんし△きやくSおいらハなん 00030570¥P141 00030580¥G 00030590M1にもしらぬさかなやだ△女郎Sそれでも、なんでもいゝな 00030600M2んしな△きやくS大がつほ++△女郎Sこりやアあたら 00030610M3しひ 00030620¥N6¥J 00030630¥X○/下女(げちよ) 00030640M6▲あるあき人のいゑに、ほうこうしたるやまだしの下女、 00030650M7うちのむすめをいだき、きんじよへ出けれバ、ミな+う 00030660M8ちよりて、Sヤレ、よいお子じやとほめそやし、此お子ハ 00030670M9女郎のお子かへといへバ、下女Sいへ+、しろうとのお 00030680M10子サ(四ウ下) 00030690¥N7¥J 00030700¥X○/石橋(しやくきやう) 00030710M13▲きくの/丞(ぜう)がいたしましたしやつきやうを、ごろうじまし 00030720M14たか。おまへさまに、しやうで(四ウ上)ござりました。 00030730M15Sわたしハミなんだが、にたとハ、きりやうがかへ△Sい 00030740M16へ+△Sふうぞくがかへ△Sいへ+△Sそして、どこ 00030750M17がにてゐたね△Sかミのけのあかいところが 00030760¥N8¥J 00030770¥X○/魚売人(さかなうり) 00030780M20あるろうにん、さかなうりをよび、ろう人Sコレ+、そ 00030790¥P142 00030800¥G 00030810M1のたこハ、あたへ、なにほどじや△さかなやSハイ。そくが 00030820M2れんにしてあげませう△ろう人Sなんのことじや。つうじ 00030830M3のいらぬやうに、鳥目でいへ△さかなやSさやうならバ、百 00030840M4八十文にしてあげませう△ろう人Sヤレ+、よくうそを 00030850M5いふやつしや。たつた今、百五十じやといふたでハないか 00030860¥N9¥J 00030870¥X○/籏頭(はたかしら) 00030880M8▲/熊谷直実(くまがへなをざね)ハ、/士(し)の/党(とう)のはたがしらだといふが、/敦盛(あつもり)ハな 00030890M9んのとうだろう。Sあれハさいごまで、あをばのふゑをも 00030900M10つてゐたから、ふきのとうてあらう(五オ) 00030910G1〔絵詞〕Sおつと、いたづらハなりません。サア+、てうち+で 00030920G2△もなさりませ;○せんきの大ミやうやくあたへ一トつゝミ七十 00030930G3△二孔△板元岩戸屋にて売弘メ申候(五オ下) 00030940¥N10¥J 00030950¥X○/孔明(こうめい) 00030960M16▲きよねんのくれにハ、大のふしまひ。だん※のどらゆ 00030970M17へに、おほはいぐんいたしました。所でわたくしが、ちゑ 00030980M18をだしました。Sとうしたね△Sおきゝなされまし。かけ 00030990M19とりども大ぐんにておしよせました所を、わたくしがやね 00031000M20へあがつて、/琴(こと)をたんじました 00031010¥P143 00031020¥G 00031030G1〔絵詞〕△Sやねごとないても、こゝは一きよく、しらべずハなるま 00031040G2△い;Sころりんちやんでハなくて、けろりんかんとして、やねで 00031050G3△まつのだ 00031060¥N11¥J 00031070¥X○/呉座(ござ) 00031080M6▲もんぜんござや、ともござや、花ござや、しんござとよび 00031090M7ながらゆく。むかふからさむらい、ともをつれきかゝり、 00031100M8はらたちがほにて、/新五(しんこ)左とハなんのことた。Sハイ。こ 00031110M9とし/仕入(しいれ)ましたのでごさりますといへバ、そんならかんに 00031120M10んしてやらうとゆけバ、やつこSともござといふときかぬぞ 00031130¥N12¥J 00031140¥X○二/月(ぐわつ) 00031150M13▲きさまハわるひくせで、二月のことを、にん月といふが、 00031160M14人なミに二月といやれ。Sなぜ△Sハテ、/文字(もじ)にあたらぬ 00031170M15Sなに、あたる△Sそんなら、どふかく△Sそれ、びくに 00031180M16んのにんの/字(じ)だ(五ウ) 00031190¥N13¥J 00031200¥X○/料理人(りやうりにん) 00031210M19▲なにやらひらいて、つぶ+よんでゐるゆへ、うしろか 00031220M20らのそひて見て、Sコレ、おぬしハむひつだといふか、な 00031230¥P144 00031240L1にをよむ△Sハイ、こんたてをよミます△Sそれハだれに 00031250L2ならつた△Sわたくしハ子ともの時に、手ならゐかきらひ 00031260L3て、おやたちがきつく、せハをやかれましたが、ならハぬ 00031270L4事ゆへ、かくことハなりませぬが、すこしならつたおかげ 00031280L5ゆへ、此やうなかなまじりハよめます△Sそんならよんで 00031290L6きかせや△Sハイ、心やすい事でござります。これがまづ 00031300L7めし。これがなます、ひらめ、うど、きんかん。ハヽア、 00031310L8しやれをかきました△Sなんとかいた△Sおつけの/汁(け)の/字(じ) 00031320L9はかりかきました 00031330G1〔絵詞〕Sさて+むつかしくかきおつたな 00031340¥N14¥J 00031350¥X○/歳(とし)/鑿穿(せんさく(ママ)) 00031360L13▲おまへハいくつになりなさる。S五十ちかくさ△Sその 00031370L14五十ちかいもひさしいもんだ。ほんのとしハいくつだへ△ 00031380L15Sまことハ五十三サ△Sそれでハ六十にちかいでハないか 00031390L16Sハテ、五十のほうへちかい(六オ) 00031400¥N15¥J 00031410¥X○/禿(かむろ) 00031420L19▲しんざんのかむろを、おゐらんよびて、Sコレ、よしの 00031430L20や。あの下のたんすから、たばこをもつてきやア△Sあい 00031440M1い引とたつてゆき、ほどなくきたりて、かむろSもし、お 00031450M2ゐらん。たんすにハこざりませんよといふに、女郎ハ大き 00031460M3にしかり、Sコレ、手めへハしんざんだけれど、此ぢうも 00031470M4おしへた。下のたんすといつたら、/下(□も)の町のたばこやへい 00031480M5つてかつてくるもんだによう。又きやくじんのあるとき、 00031490M6かならずまちがひまいよと、くれ+いひつけおいたりし 00031500M7に、あるとき、きやくのきたりしとき、又下のたんすへい 00031510M8つて、たばこをもつてきやといへバ、Sアイといつて、し 00031520M9ばらくすぎてきたりしが、Sもしへ、おゐらんへ。下のた 00031530M10んすハもふねんした(六ウ上) 00031540G1〔絵詞〕Sおいらんへ。あのね、もし+、あのね、もし、なんたか 00031550G2△わすれんした。たしか、たばこのことざいます 00031560¥N16¥J 00031570¥X○/書状(しよぜう) 00031580M15▲となりの男、手がミをもちきたりて、これをよんでくだ 00031590M16さりませといへバ、ていしゆSこゝろやすい事と、ふうをき 00031600M17りて、/一筆啓上(いつひつけいぜう)けいだつなりとよめバ、Sハテ、かハつた 00031610M18もんごん、もふ一ツへんよんで下さりませ△Sいつぴつけ 00031620M19い上けいだつなり。一ぴつけい上けいだつなり△となりの男 00031630M20Sとこまかせてよいとこなり 00031640¥P145 00031650¥G 00031660¥N17¥J 00031670¥X○/遺言(ゆいげん) 00031680M3▲あまの/邪鬼(じやき)のやうなるむすこゆへ、おやぢ、/病中(びやうちう)ながら 00031690M4つく+おもふやう、ゆひごんハそむけていつておくがよ 00031700M5ひとおもひて、むす子をよびよせ、もはやいとまごひじや。 00031710M6死んでもかならず、ものいりするな。こもにつゝミ川へす 00031720M7てよといふて(七オ)なくなりけれバ、むす子おもふやう、 00031730M8さて+、これまでハおやのおふせにいち+そむきしが、 00031740M9もはやこれぎりにて一代いちごのことなれバ、こればかり 00031750M10ハもちゐすハなるまい(六ウ下) 00031760¥N18¥J 00031770¥X○/古郷(ふるさと) 00031780M13▲なかのぼりして、ひさしぶりにておばにあひ、よろこび、 00031790M14おばSゑどにハなにもかわつたことハないか△Sハイ。な 00031800M15にもかハりましたこともござりませんが、此ごろハ大ぶん 00031810M16こハいろがはやります△おばSハテな。おいらがゐたじぶ 00031820M17んハ、きついてうじちやがはやりであつた 00031830¥N19¥J 00031840¥X○/目利(めきゝ) 00031850M20▲おゝかミと山いぬとのめきゝがしれぬものだといへバ、 00031860¥P146 00031870¥G 00031880M1Sそれハぞふさもないこと。おぼへていなさい。まづむか 00031890M2ふからほへてくるとき、わきさしをぬいて、ぐつとつきか 00031900M3けると、山いぬならバにげてゆく。おゝかミならバくらい 00031910M4つく(七ウ) 00031920¥N20¥J 00031930¥X○あさがほ 00031940M7▲おんこのミしだい、あさがほさかせどころと、かんばん 00031950M8を出してありしゆへ、内へはいり見て、Sるりこんがのぞ 00031960M9ミでござります△Sなるほど、おめにかけませうと、はち 00031970M10うへのつぼミを出すと、ぢきにひらく。Sこれハきめう。 00031980M11むらさきとあかとハ。なるほどと、又さかせる。Sけんぼ 00031990M12うとゆうぜんぞめハ△Sそれハあさつて 00032000¥N21¥J 00032010¥X○/煙艸入(たばこいれ) 00032020M15▲たばこ入れをわすれたほど、ふじゆうなものハないもの 00032030M16じや。どれ、おまへのたばこ、やハらかくバ二三ぶく下さ 00032040M17れ△Sイヤ、わたくしのハきつうござります△Sそんなら 00032050M18五六ふく下され(八オ) 00032060¥N22¥J 00032070¥X○いさミ 00032080¥P147 00032090L1▲ともだちをよびて、Sなんと、おれがくふうのしんたく 00032100L2だ。見てくりやれ△Sなるほど、よくできた。たるきを竹 00032110L3でしたところが、どふもいへぬいゝあんじた。しかし、竹 00032120L4のふしをぬいたか△Sイいや、ぬかぬが、なせだ△Sやけ 00032130L5るとき、はねてわるい 00032140G1〔絵詞〕Sミんなきてくれるか。そいつアありがてへ。そんならおれ 00032150G2△も、かうしてもいられめへ;Sミんながおしつけ、くるつもりだ 00032160G3△から、ぬしにまア、さきへいつてはなしておけと、吉がいひやした 00032170¥N23¥J 00032180¥X○/途中(とちう) 00032190L11▲となり丁までいつてくるのに、今までかゝるとハ、きつ 00032200L12いひまのとりやうだ。Sイヤ、おきゝなされませ。こちら 00032210L13からまいるに、むかふから人がきて、ゆきあたるゆへ、よ 00032220L14けれバ又よけるほうへついてよけるゆへ、大きにてまをと 00032230L15りました△Sハテ、われハどんなやつだ。すべてほうがあ 00032240L16つて、ひだりへよけるものだとおしへられ、又つかひにゆ 00032250L17く。とちうにて人にゆきあひけるが、こんどハこゝろえて、 00032260L18ひだりへよれバ、(八ウ上)むかふもよけてゆくゆへ、Sハ 00032270L19ヽア、きさまもしたちかあるわへ 00032280¥N24¥J 00032290¥X○/悔(くやミ) 00032300M1▲うまれついておかしがるおとこありしが、くやミにゆく 00032310M2に、おもひつきにて、さんしよをふくミゆき口上をのべけ 00032320M3れバ、ごけハいろ+のくどきこといゝけれハ、そのあい 00032330M4さつト、さんしよのからミでくちへつを引、しこくのてき。 00032340M5こけハなきしづミゐるを、/舌(した)うちして、アヽよいきミだ 00032350¥J25¥J 00032360¥X○/游(およぎ) 00032370M8今大川て見ましたが、あのやうにおよがれるものでハこさ 00032380M9りますか。うつむけになつて身うごきもせず十/((丁脱カ))ばかり。そ 00032390M10れからおきのほう/((へ脱カ))ましたゆへ、めかおよひませぬから見 00032400M11すてゝかへりましたか、あのやうなおよきの上手もあるも 00032410M12のでござるか。S大かた、それハ土左衛門てござりませう 00032420M13(九オ上) 00032430¥N26¥J 00032440¥X○/風呂(ふろ) 00032450M17▲ゐしや、せんとうへゆき、ふろのうちにて、ちかづきの 00032460M18ものにあひけれバ、その人こへをかけて、Sおゐしやさま。 00032470M19今日ハたいぶおそくおいでなされました△Sイヤ、けふハ 00032480M20おほミちをあるきました。四ツ谷から赤さか、あざぶへま 00032490M21ハり、久しぶりで東里山人のところへよつて、それから本 00032500¥P148 00032510¥G 00032520M1所の五ツめ、くに貞せん生のほうへまハつてかへりました 00032530M2Sそれハさぞ、おくたびれでこざりませうといふうち、又 00032540M3すミのほうで、Sけふハとほうもないおほミちをあるいた。 00032550M4(八ウ下)きいてくたつし。四ツ谷からあさふ、それから本 00032560M5所五ツ目まて、ときいて、ゐしや、おれがまねをする、に 00032570M6くいやつとすかし見れバ、くすりはこ/((も脱カ))ち(九オ下) 00032580¥N27¥J 00032590¥X○/夜鷹(よたか) 00032600M9▲つるやのたちばなハ、大じんに百両もらふたといふこと 00032610M10を、よたかゞきゝて、じふんももらハんとおもふ所へ、心 00032620M11あてのなじミきやくがきたりしゆへ、Sもし、いひにくい 00032630M12が、金を百両下さんせといふに、きやくハきもをつぶし、 00032640M13Sおれハ百両といふかねハ見た事がないが、なんにする△ 00032650M14Sアイ。五十両ハかゝさんにやり、のこりの四十六両ハ小 00032660M15つかひにしやす 00032670G1〔絵詞〕Sモシお里さんへ。そのなれそめハこそのあきと、だれぞか 00032680G2△たつてくれてがありそふなもんだねへ;Sかうした所ハおれもよ 00032690G3△つぼどいろ男だわへ。すこしめとくといふしうちだらう 00032700¥N28¥J 00032710¥X○/自身番(じしんばん) 00032720¥P149 00032730¥G 00032740M1▲おほや三四人、じしんばん所につめてゐたるなかに、一 00032750M2人のちかつきのゐしやさま、とふりかゝり、Sこれハこば 00032760M3ん、ごくろう。いつもよくおつとめなされます△Sこれハ 00032770M4かたじけないこあいさつ。わたくしのばんハ、丁どあなた 00032780M5のおくすりとおなじことでこさります△Sそれハ又なせな 00032790M6Sハテ、よくまハります△Sこれハお口あひ。どふもいへ 00032800M7ませぬと(九ウ上)わかれゆけバ、そばなる家主これをきゝ、 00032810M8なんてもおれもいひたひものと、かねてちかづきのゐしや 00032820M9のとふれかしとこゝろかけしが、あるとき、ちかづきのゐ 00032830M10しや、いそがしげにとふりけるを、Sもしちよつと、おめ 00032840M11にかゝりませうといへバ、たゞ今きうびよう人がござりま 00032850M12すとてしらせまいりしゆへ、いそぎます。Sイヤ+、お 00032860M13手まハとらせぬ△Sさやうならバ、はやくおゝせきけられ 00032870M14下され△Sイヤ、ほかのぎでもござりませぬ。わたくしの 00032880M15ばんバ、おまへのおくすりとおなしごと△Sそれがどふぞ 00032890M16いたしましたか△Sハテ、よくあたります(十オ上) 00032900¥N29¥J 00032910¥X○/大力(だいりき) 00032920M19▲ちからをたのミに、よるの一人リたび。むかふより小山 00032930M20のやうなるおとこ十人ばかり。さか手をおいてゆけと、ぬ 00032940¥P150 00032950¥G 00032960L11つといつれハ、Sイヤ、さかてがあるなら、よミちハある 00032970L12かぬ。とりためかあらふから、こつちへよこせ。すこしお 00032980L13それぬありさまに、たゝめ+とこへかけて(九ウ下)おつ 00032990L14とりまけバ、あたりにありおふおほ石を、なんのくもなく 00033000L15さし上ケて、うちつけんとおもひしが、イヤ+、なけつ 00033010L16けたらバ、あたつたものハかたつかんが、のこりのやつば 00033020L17らにげようと、かのいしをこわきにかいこミ、ひつちぎり 00033030L18+なげつけた(十オ下) 00033040¥N30¥J 00033050¥X○/女(をんな)の/子(こ) 00033060M1▲をんなの子ともハ、ちよつとよつても口まめにて、おま 00033070M2へのとつさんハ、まい日+くるまを引て、どこへゆくの 00033080M3たへ。ちかいところへはかりかへ。Sいへ+、とふくへ 00033090M4もゆくわいな△Sそれても、それ、そこた+といつて、 00033100M5お引たものを△Sなにさ。あれハくるまをたますのサ 00033110G1〔絵詞〕おつかさんか、わたしにハ横山町二丁目のいわとやでうる肝 00033120G2△涼円といふむしのくすりをのませたから、それでわたくしハ此や 00033130G3△うにたつしやたとおいひたよ。あすこのくすりハまことに、むし 00033140G4△にハよくきくことさ 00033150¥N31¥J 00033160¥X○/歯(は)がた 00033170M12▲むしやうに見へをしたかるゐんきよ、われとわがうでを 00033180M13くいかき、コレ見やれ。としハよつても気かほれたそうて、 00033190M14かのなじミめがくいつきおつた。S此はがたハ、をんなに 00033200M15してハ、たいふ大きいね△Sそのはづよ。わらひなからヨ 00033210M16△△○わろうかとにハふくきたるも、めてたし++ 00033220¥Q1 00033230M18△△△△△△△△△△◇国信画G志満山人補綴G◇ 00033240M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十ウ) 00033250¥P151 00033260¥G 00033270G1志満山人作△G 00033280G2歌川国信画 00033290G3おときはなし 00033300G4△△△△△横山町二丁目 00033310G5文政五年△△△岩戸屋 00033320G6午初春新板△△△△喜三郎板 00033330¥T1 00033340¥N1¥J 00033350¥X/義太夫(ぎだゆふ) 00033360M3▲なんと、ぎ太夫のさミせんハ、なぜふとざほといゝます 00033370M4ときけバ、ひとりのおとこSされバでごさります。大かた、 00033380M5とりさしのもつのハもちざほで、むすめがもつだけ、ふと 00033390M6ざほでござりませう△Sいよ+ゑらい。さんしずります 00033400M7Sうまいこと大あたり、此ほんといふものだ(十一オ)(十一 00033410M8ウ・十二オ目次絵) 00033420¥N2¥J 00033430¥X○/気点者(きてんもの) 00033440M11▲きてんのきいたるけらいをおきつけけるが、はんじによ 00033450M12くようのたりたるものにて、あさハおきると、そのまゝて 00033460M13うづをくんで、はミがきにようじをそへておき、てうづを 00033470M14つかふうちに、きせるをそうじしてたばこぼんに火をいけ 00033480M15て、ちやをくんでぶつだんへとうミやうをあげておき、手 00033490M16がミをかかうとおもふと、ぢきにすゞりにすミをすつて、 00033500M17かミをそへて、のりまでそへてだすといふきてんものなり 00033510M18しが、けさハきぶんのあしきに、うちにいぬとハ、どこへ 00033520M19ゆきしにやとおもふところへかへりきたりしゆへ、そちハ 00033530M20あさからどこへいでしぞととへバ、Sやぜんから、おかほ 00033540¥P152 00033550¥G 00033560M1もちがわるふ見へますゆへ、おゐしやさまをよびにまいり 00033570M2ましたトいへバ、Sこれハできたとよろこび、四五日もく 00033580M3すりをのめども、さらにげんも見へずして、しだいにやま 00033590M4ひおもり、けふハとりわけあんばいもわるく、ようじもた 00033600M5くさんなるに、かのけらいのおらぬゆへ、いつくへゆきし 00033610M6にやと、ひとりつふやきいたる所へたちかへりけるゆへ、 00033620M7そちハ(十二ウ上)いづくへゆきしやとたづねけるに、Sきの 00033630M8ふより、だいぶんごようすのわるく見へますゆへ、おてら 00033640M9へしらせにまいりました 00033650¥N3¥J 00033660¥X○/人相(にんそう)/悪(わる) 00033670M12▲あるにんそうのわるい女郎、けふにかぎつて大ぶんにん 00033680M13そうのよいハ、かてんがゆかぬ。さだめしかねでも、きや 00033690M14くにもらいしならんと、ほうばいの女郎よびかけ、けふの 00033700M15きやくじんハ、きまいのよさそうな人だが、金でもくれん 00033710M16したかへ。Sあいさ△Sいくらもらいなんした△Sミヽを 00033720M17そろへて二ぶ 00033730¥N4¥J 00033740¥X○/開帳(かいちやう) 00033750M20▲おぢ、おいのところへ来りて、Sコレこん太郎。いまお 00033760¥P153 00033770¥G 00033780M1れがこちらへくるとて見れバ、ことしも大ぶん、しよ+ 00033790M2にかいちやうがあるとて、かいちやうふだもたくさんに見 00033800M3へるが、そちハいかにわかいとて、おほざけのんだり、き 00033810M4ほひあるくが、ちときをつけて、おふくろの心のやすまる 00033820M5やうにしたがよい。又おふくろもいつまでいきるものても 00033830M6ないほどに、ちとるすをして、かいちやうへでもまいらせ 00033840M7たり、てらまいりてもさせたりして、ごしやうをねがハせ 00033850M8るがよい△Sアイ、さやういたしませうが、もしへ、おぢ 00033860M9さん。アノかいちやうのほんぞんさまハ、いつてもかいち 00033870M10やうぶつとて、へつのやうにきゝましたが、さやうでござ 00033880M11りますか△おぢSなるほど、かいちやうのほんぞんさまハ、 00033890M12べつだんで、やつはりおまへたちといふものさ△おいSそ 00033900M13れでハかいちやうぶつさまハ、わつちらがともだちたね 00033910G1〔絵詞〕ばんとうSはてハまづなんにしろ、はやくゆきたい+。と 00033920G2△んたりはねたりかハつたり;Sばんとうさん、つれ+ぐさのは 00033930G3△なしについて、ちつときゝたいことがこざります(十三オ) 00033940¥N5¥J 00033950¥X○/異見(いけん) 00033960M19▲/兄弟(けうだい)二人をよびて、おやのいふやうハ、/惣領(そうりやう)ハほかにい 00033970M20ひぶんハなけれども、とかく人のいるい、かミ入、きせる、 00033980¥P154 00033990¥G 00034000M1なにを見ても、ねうちをするがわるいくせじや。ずいぶん 00034010M2きをつけたがよい。わきできいてゐても、きのどくなもの 00034020M3じや。また/弟(をとゝ)ハ、ぢぐちとやらがすきて、おもき人のまへ 00034030M4にてもはバからず口をきゝ、又ハ大/事(じ)のそうたんのなかへ 00034040M5も、ぢぐちをいふわるいくせ。かならずともに二人ながら 00034050M6きをつけて、くせのでぬやうにこゝろがけたがよいと、ゐ 00034060M7けんすれバ、惣りやうハ手をつき、ありがたいごきやうく 00034070M8ん。たゞいままでこゝろつかずにおりましたが、おぼしめ 00034080M9しのだん、ありがたふござります。たとへにも、ごゐけん 00034090M10五両かんにん十両と申ますれど、此ごゐけんハどうやすく 00034100M11つもつても三百両がものハごさりますと、じきにくせのね 00034110M12うちをいへバ、弟もこらへかねて、あにき。三百両とハゐ 00034120M13けんのかねか 00034130¥N6¥J 00034140¥X○/猫(ねこ) 00034150M16▲あふきやだいところにて、ねこがあかがいにあしをはさ 00034160M17まれ、むしやうにかけまハりしが、(十三ウ上)やがて二かい 00034170M18をかけあがるおとに、やりてかめをさまし、げたをはいて 00034180M19あがるのハだれだ 00034190¥P155 00034200¥N7¥J 00034210¥X○/徒然草(つれ+ぐさ) 00034220L3▲四五人の/連中(れんぢう)あつまりて、はいかいをしてたのしむとこ 00034230L4ろに、てつち/小僧(こぞう)、しやくしながら、たんなさま。つれ 00034240L5+草に、月花ハさのミめに見るものかハ、とござります 00034250L6が、あれハなんのことでごさります。Sハテ、われハこし 00034260L7やくなことをきゝおるな。まづ月ハ十五日がまん月とて、 00034270L8丸くミへるなれども、十六日からハかける。又花ハさくも 00034280L9のこらず、ちりもはじめずといふ時が、さかりなれども、 00034290L10らくくわとて、しだいにちるなり。山ものぼれバくだらね 00034300L11バならず、人げんもそのとふり、ろうすいとて、としよれ 00034310L12バおとろへるほどに、身にひきうけて見よ、月にめで花に 00034320L13たハむれ、さけをのミ、心をよろこばせるばかりでハない 00034330L14といふことじや△Sこれハありがたふござります。がてん 00034340L15がまいりました。そして月とはなとハ、どちらがたのしミ 00034350L16でござります△Sはて、いろ+な事をきくやつじや。そ 00034360L17んなことハ、見せのばんとうにでもきけといハれて、ちや 00034370L18うばへきたり、ばんとうさま。つれ+ぐさにある、月は 00034380L19なの/語(ご)を、だんなさまにうけ給ハりましたが、おもしろい 00034390L20事なれども、月と花とハ、いづれがたのしミでごさります 00034400M1と申ましたれバ、おまへにきけとおつしやりますトいふに、 00034410M2ばんとう、小くびをかたむけ、Sそれハ月がたのしミさ 00034420M3Sなせでござります△Sハテ、ちやうちんがいらぬ(十四 00034430M4オ) 00034440G1〔絵詞〕Sまことにおそれいりまめに、ひいらぎやあかいわしのかハ 00034450G2△りに、わたくしハ、すりこ木をさしまして、へヽヽ、けつこうな 00034460G3△ばかでござります(十三ウ下) 00034470¥N8¥J 00034480¥X○/麁相者(そそうもの) 00034490M10▲きうびよう/家(か)へゆくとて、あるゐしや、わきざしととり 00034500M11ちがへ、すりこ木をさしてゆきけるゆへ、かのゐしや、 00034510M12て、かのすりこ木を見かけてわらいけるゆへ、かのゐしや、 00034520M13めんぼくをうしなひ、いとまごひもそこ+にして、はや 00034530M14くわかやへ立かへり、女ぼうのきをつけざるをしからんと、 00034540M15いそひでかへり、わがうちととりちがへ、となりのうちへ 00034550M16はいり、そのいゑの女ぼう、ぬいものしてゐるところを、 00034560M17おのれ、につくひやつ。わきざしをとりちがへさしたるを、 00034570M18しらぬかほに見なし、まんざのなかにて、はぢをあたへし。 00034580M19ごんごの(十四ウ上)ふとゞきものめと、しかりつくれバ、 00034590M20これハしたり。/家満井(やまい)/養仙(ようせん)さま。なにをおつしやりますと 00034600¥P156 00034610¥G 00034620M1いふを見れバ、となりのかミさまゆへ、これハそさう申ま 00034630M2したと、わが/家(や)へとんでかへり、女ぼうのまへに手をつき 00034640M3て、たゞ今ハそさう申ました 00034650¥N9¥J 00034660¥X○/田舎者(いなかもの) 00034670M6△ゑどハひろいといふことだが、/日本(につぽん)ほどあらうかねとい 00034680M7ふに、ひとりの男、とんだ事をいふ。日本ハゑどの二ツが 00034690M8け 00034700¥N10¥J 00034710¥X○/煙艸(たばこ) 00034720M11△おにハにたばこか見へますが、おうへなされましたか。 00034730M12又ハなへでも、おまきなされましたか。Sイヤ、さやうで 00034740M13もござりませぬ。おほかた、そうじのとき、すいがらでも 00034750M14おとしたでござりませう(十四ウ下) 00034760¥N11¥J 00034770¥X○/紋所(もんどころ) 00034780M17△もんといふものも、ミんなそれ+にいわれのあるもの 00034790M18だと申ます。Sさやうさ。ミんなそれ+にいわれがござ 00034800M19りやす。まづともへなどハ花火にある、ミけんしやくから 00034810M20でたものさ。又やくしやのもんなぞハ、そのとき+でつ 00034820¥P157 00034830¥G 00034840M1けやす。団十郎なんぞハ、今はやるから、それを見ぬもの 00034850M2ハ、はぢのやうに人が申ますから、そこで団十郎を、ミま 00034860M3す+と申ますゆへ、もんもミますをつけます 00034870¥N12¥J 00034880¥X○こぶし 00034890M6△ごまミそをすつているゆへ、Sちつと、あんばいをしや 00034900M7うと、こぶしをいだす。Sいやだよと、はねつけられ、 00034910M8Sそんなら、此手をねぢつて見ろ(十五オ下) 00034920G1〔絵詞〕Sあゝらあやしやなア(十四ウ下) 00034930¥N13¥J 00034940¥X○/髪結床(かミゆひどこ) 00034950M12△ぐつとねをつめて下さい。Sアイ、かしこまりました。 00034960M13これでようござりますか△Sもつとつめて下さい△Sこれ 00034970M14でようござりますかと、こんりんざいひつつめられ、だん 00034980M15+あをのき、Sこれでよし+といひながら、かゞミを 00034990M16かりて、あたまへかざし、Sまづかうして、ぞうりをはい 00035000M17たものさ 00035010G1〔絵詞〕Sこれハいたい+。いたいわれらハミやこのうまれハどふ 00035020G2△だ 00035030¥P158 00035040¥N14¥J 00035050¥X○/題目(だいもく) 00035060L3△いさミ、だいもくのかけものをかつてきて、Sこれ五郎、 00035070L4見やな。おらアほんぞんさまがないから、ねんぶつをかつ 00035080L5てきた△Sどれ+見せや。ヲヤ+、ねんぶつハ六じだ 00035090L6が、これハ七つあるじやアねへか△Sそんなら、なむあミ 00035100L7だぶつさまだろふ 00035110¥N15¥J 00035120¥X○ぶせうもの 00035130L10△つまミなうり、よびこまれ、ミれバぶつてうづらのおと 00035140L11こ、いろ+のどうぐをとりちらしゐたるゆへ、こいつ、 00035150L12たゞものでハあるまじとおもひ、三もんといふを十文ばか 00035160L13りのねほどおけバ、Sそれほどハいらぬ。すこしおけとい 00035170L14ふゆへ、Sハテ、わきとハきついちがいといへバ、Sそろ 00035180L15へるがめんどうだ(十五ウ) 00035190¥N16¥J 00035200¥X○/豆腐(とうふ) 00035210L18△/下女(げちよ)だん※としゆつせして、めしたきをつかふやうに 00035220L19なり、たいどころへいでゝ、Sコレさんや。なにやらしろ 00035230L20いものが/半丁(はんてう)のせてあるが、それハなんといふものだ 00035240¥N17¥J 00035250¥X○/釣(つり) 00035260M3△わたしハ此あいだ、つりに出て、かねを五十両つりてき 00035270M4たとはなせバ、そんならおれもでゝ、かねをつつてこよふ 00035280M5と、よくしんまん+たるおとこ、品川おきへ出て、大き 00035290M6ないなをつりあげ、はりをぬいて、うミへなげこミ、いま 00035300M7+しい。うぬじやアない 00035310¥N18¥J 00035320¥X○きほひ 00035330M10けつきのおとこ、おほ手をふりて、はなうたでゆく。むか 00035340M11ふよりも、ごぶさかやきのいさミ、手ぬぐひをかたにかけ、 00035350M12ふところ手にてきたるを、ゆきちがひさま、したゝかに 00035360M13くらハせバ、Sアイタヽヽヽ。なぜくらアしやアがつた 00035370M14Sばかめ。いまはやるがしらぬか△Sナニ、はやる。こん 00035380M15ないたいことハ、ながくハはやるまい 00035390¥N19¥J 00035400¥X○/金(かね) 00035410M18△壱分の金を二分にするでんじゆをうけた。Sそれハてう 00035420M19ほうな事だ。壱分だすから、二分/((に脱カ))してくれ給へ△Sヲイ。 00035430M20ぢきになる。しかし、ことわつておくことがある△Sなん 00035440¥P159 00035450¥G 00035460M1だ△Sあとでつかハれぬ(十六オ) 00035470¥N20¥J 00035480¥X○/願人(ぐわんにん) 00035490M4△ぐわんにんぼうづ三百人ばかり、ゑんまのまへに引すへ 00035500M5られけれバ、大わう、しやくとりなをし、いかに、おのれ 00035510M6らハしやばにて、わがひそうのしやうづかのばゞを引ずり 00035520M7あるきたるつミによつて、かまいりにして、あび大ぢごく 00035530M8へおとすべしとのおふせに、ごづめづのおにども、/三途川= 00035540M9原(さんづが=ハら)へやらいをゆひ、来ル廿三日ざいにんども、かまいりと、 00035550M10たかふだをたつれバ、ミな+とう日にいたり、さぞおも 00035560M11しろからふとゆきて見れバ、ことハりがきあり。/薪(まき)/高直(かうぢき)ニ 00035570M12付/暫(しバらく)/延引(ゑんにん) 00035580¥N21¥J 00035590¥X○なぞ 00035600M15△ていしゆたちいでゝ、たゞ今おすいものを申つけました 00035610M16が、わたくしほうより、なぞをかけませうほどに、御はん 00035620M17じなされ、めし上られ下さるべしといへば、大ぜい、それ 00035630M18ハよふござり(十六ウ上)ませう。さよふならバと、すいも 00035640M19のをいだし、これハ五十四ぐんをひとくゝりと申ますなぞ 00035650M20でこざります。ごはんだんのうへ、おすいなされませとい 00035660¥P160 00035670L1へバ、Sこれハおもしろそふなこと。なんであらうと、大 00035680L2ぜいしあんしてもしれず。なかにひとりが、むつでござり 00035690L3ませう。Sこれハよふごはんだんなされました。サアおす 00035700L4いなされませ。又あげませうと、ちやわんもりをいだして、 00035710L5こんどハ正月の一のかざりものと申ます。これハ+、べ 00035720L6つしておめでたくおもしろさうなこと。ミなさま、おはん 00035730L7じなされませと、大ぜいしあんしてもしれず。またせんの 00035740L8おとこが、どふかしれましたよふでござります。申ちがひ 00035750L9ましたら、ごめん下さりませ。正月の一のかざりものなら 00035760L10バ、まつだけでこざりませう。Sなるほど、さやうでござ 00035770L11りますといへバ、そばのおとこSアヽざんねん。すこしのち 00035780L12がい。かちぐりとまでハはんじました(十七オ上) 00035790¥N22¥J 00035800¥X○/修復(しゆふく) 00035810L15△大ぶつの/寺(てら)の/院主(いんしゆ)、大ぶつさまのまへに出て、こんどハ 00035820L16ごしゆふくについて、百五十七くわん三百目かゝりました 00035830L17ほとに、おはらひなされて下されましといへバ、そのくら 00035840L18ゐのはらひなら、はやミちのをつかつておけ 00035850G1〔絵詞〕Sヤアれ引たりな。なんかのつなともいゝ一との(十六ウ下) 00035860G2△;Sおいらハまたほうずだけ、ひくやほとけのミてのいととやる 00035870G3△△△つもりだ(十七ウ下) 00035880¥N23¥J 00035890¥X○/生酔(なまえい) 00035900M4△おやぢ、さけにゑいてかへり、Sコリヤせがれ。おのれ 00035910M5かあたまハ、三つ四つある。そんなものに、あとハゆつら 00035920M6れぬといへバ、むすこもさけにゑいていたりしゆへ、Sな 00035930M7んのことだ。こんなにまハるいゑハいらぬ 00035940¥N24¥J 00035950¥X○まり 00035960M10△いなかもの、けまりを見て、これハなんであらう。大か 00035970M11たやなぎのみであらう 00035980¥N25¥J 00035990¥X○/雪(ゆき) 00036000M14△小ぞうよ。にハのゆきハ、どれほどつもつた。ものさし 00036010M15でさしてこい。Sア+と、口こゝとをいひ+、さして 00036020M16くる。Sどふだ。しれたか△Sアイ。ふかさハ一尺四五寸。 00036030M17はゞハとふもしれません(十七ウ上) 00036040¥N26¥J 00036050¥X○/始末(しまつ) 00036060M20△しわいおやぢ、りんじうのゆいごんに、かならずものい 00036070¥P161 00036080¥G 00036090M1りすな。夜のうちに、てらへやりてくれろといふことなれ 00036100M2ども、しんるいあつまりて、そふハなるまい、かうハなる 00036110M3まいといへバ、おやぢ、おきなをり、そんならもふしなぬ 00036120M4+ 00036130¥N27¥J 00036140¥X○/捨物(すてもの) 00036150M7△たことうなきとはなしをしてゐるところへ、わきざしの 00036160M8ひきはだをおとしてゆく。うなき、ひろいとりしを、たこ 00036170M9Sおれにくりやれといへば、うなぎSおぬしハなんにする 00036180M10たこSもゝ引に△うなぎSとんだ事をいふ。八ほんのあし 00036190M11を、一ほんばかりいれても、つまるまい△たこSそしてお 00036200M12ぬしハなんにする△うなぎSかばやきの時の/火事(くハじ)ばをり 00036210¥N28¥J 00036220¥X○/高輪(たかなハ) 00036230M15△たかなハの茶やにて、いづれも気げんのうハてうし。さ 00036240M16けのさのじハさかやのさのじ、のんでゆらるゝゆらの介、 00036250M17なぞとうたへバ、又かた+にて、あさきたくミのゑんや 00036260M18どの、口おしきをんふるまいと、かたりいだせハ、むすめ 00036270M19口をおさへて、Sモシ、せんかくじがちかふござります 00036280M20(十八オ) 00036290¥P162 00036300¥G 00036310G1〔絵詞〕Sなんだ、やかましい。さけをのまふより、としよりそふお 00036320G2△うに、くすりてものめ。いま時かつたるくすりか、のめるものか。 00036330G3△しかし横山町二丁目のいわとやでうる小児のむしぐすり/肝涼円(かんりやうゑん) 00036340G4△ハ、きおう丸よりハ百ばいもきゝかいゝといふことさ。それにま 00036350G5△た、せんきのくすりがあるが、アノせんきのくすりハおれがのん 00036360G6△たが、それゆへ今でハせんきの(十七ウ下)ねをきつてしまつた 00036370G7△と見へて、こんなにたつしやになつた。アヽつがもねへ。たれぞ 00036380G8△なりたやでも、一めへつかつてくれれハいゝ。おもしれへ+ 00036390¥N29¥J 00036400¥X○/仲(なか)の/町(てう) 00036410M11▲おやぢつく※しあんし、とかくいのちあつてのものだ 00036420M12ね。一ツときのゑいぐわに、ちとせをのふるとやらいへバ、 00036430M13ちつとがんぜんこくらくへいつて見やうと、にハかにくろ 00036440M14あぶらでつくりたて、七ツすぎよりどて八丁、ゑもんさか 00036450M15をおりて中の丁へゆく所へ、むかふからむすこ、女郎のか 00036460M16たへもたれかゝり、よききげんにてきたりしゆへ、おやぢ 00036470M17もせんかたなく、Sコレせがれ。はくちハならぬぞよ(十 00036480M18八ウ) 00036490G1〔絵詞〕Sあのお人ハさねもりのうハ手をいくこゝろもちと見へて、 00036500G2△びんひけをかつらでかくし、わかやいできなんした;Sそんなに 00036510G3△わるくいふな。あれハおれがおやぢだ 00036520¥P163 00036530¥N30¥J 00036540¥X○土用 00036550L3▲けふのとようハ、なん時にいりますの。巳の上こくさ。 00036560L4Sそふ申ても、あちこちいたしますと、つい九ツになりま 00036570L5せう 00036580¥J31¥J 00036590¥X○/頓死(とんし) 00036600L8▲おらかうちへくるとうしんほうが、しんたそふたの。 00036610L9Sアノかんふつなおとこか。そしてきのふまで、きたてハ 00036620L10ないか△Sされバさ。けさまでなんともなくつてゐました 00036630L11か、ついとんししたとさ。かねて人のせハにならぬやうに 00036640L12しにたいとのねがひであつたが、さぞいきてゐたら、うれ 00036650L13しからう 00036660¥N32¥J 00036670¥X○/新無間(しんむけん) 00036680L16▲ぬす人、女郎かいにゆき、かへりかけに、なんぞぬすま 00036690L17んとこゝろがけ、ちいさきかなたらいのありしを、そつと 00036700L18はをりのしたへ入れて出るに、女郎ハおほもんまでおくつ 00036710L19ていで、Sまたいつきなんすへと、せなかを一つたゝくと、 00036720L20くわんとなるゆへ、ヲヽこハ。なんてありんすへトいわれ 00036730M1て、ぬす人、ぬからぬかほで、Sあふてわかるゝかねのこ 00036740M2へだ(十九オ) 00036750¥N33¥J 00036760¥X○/見立(ミたて) 00036770M5▲三人つれにてふか川へゆき、さしきあがりゐたるところ 00036780M6へ、なじミの茶やの女ぼうきたりて、今あちらへいつて見 00036790M7てまいりましたか、どなたさまもおつくりさいちうでござ 00036800M8りますが、しんそうしゆうになされますか。Sイヤ、わた 00036810M9しハちつとのぞミがありやす。こゝのうちか、たかさごや 00036820M10といふものたから、ちとかたすぎるが、うたひにして/揚貴= 00036830M11妃(ようき=ひ)をあげたいね△Sイヤ、これハおもしろうごさります。 00036840M12さやうなら、うつくしいのをおよび申ませうといへハ、ひ 00036850M13とりかSおれハ猩&△Sさけをあかるのかへ△Sイヤ、き 00036860M14ついことだハへ△Sあなたハ△S/俊寛(しゆんくわん)△Sそんならしつ 00036870M15ぶかな、あしすりをしてなく子どもしゆかへ(十九ウ上) 00036880M16Sイヤ+、そふでない。むかひのかゝらんのを 00036890G1〔絵詞〕Sゆふべハきんさんか、ひさしぶりでおいてなつたか、めづ 00036900G2△らしくおとつてミせなんした;Sほんにそうかい。わたしもその 00036910G3△はなしがあつたから、ちよつとこつちをはづしていつて見やうと 00036920G4△おもつても、れいのふさがきていたはつかりに、見そくなつたか、 00036930G5△くやしいね 00036940¥P164 00036950¥G 00036960¥N34¥J 00036970¥X○/掛乞(かけごひ) 00036980M3▲おほミそかのばんかたとなりぬれハ、Sたのミます 00036990M4Sだれだ△Sこめやでござります△Sるすだ△Sはて、さ 00037000M5つきもるすたといふたが、たしかていしゆのこへだとおも 00037010M6ひ、しやうじにあなをあけて、のぞひて見れバ、ていしゆ、 00037020M7こたつにあたつてゐるゆへ、もし、おまへハるすだとおつ 00037030M8しやりますが、そこにござるでハないかといわれて、てい 00037040M9しゆ大きにはらをたち、しやうしに、なせあなをあけた。 00037050M10かりにもおれがしやうくわくだ。これハふてうほう。あな 00037060M11をふさいであけませうと、よくつくろひ、ハイ。よくなを 00037070M12りましたといふ。Sそれならもふ見へぬか△Sハイ。ミへ 00037080M13ませぬ△Sそんならるすじや(二十オ) 00037090¥N35¥J 00037100¥X○/万歳(まんざい) 00037110M16▲いつもかハらず、ミかハのくにから、はつはるのごしう 00037120M17ぎに、まんざいきたりて、かどぐちよりいハひこめバ、/才= 00037130M18蔵(さい=ぞう)もおなしくあとから、才Sまんざい△万Sなんじや△才 00037140M19Sまんざい△万Sなんじや△才Sまんざい△万Sなんじや 00037150M20才Sまんざい△万Sなんじや△才Sまんざい△万Sなんじ 00037160¥P165 00037170¥G 00037180L12や。そのやうに、わしが/名(な)をよんで、どうするのじや△才 00037190L13Sこれでまことの、ごまんざいじや 00037200G1〔絵詞〕Sはつはるのことぶきハ、いづくのはてもかハらぬ。めでた 00037210G2△い++ 00037220¥Q1 00037230L17△△△△△△△△△△国信画△◇志満山人補綴◇ 00037240L18△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二十ウ) 00037250¥G(中巻表紙) 00037260¥P166 00037270¥G 00037280G1志満山人作△G 00037290G2歌川国のふ画 00037300G3おとぎはなし画 00037310G4△△△△△よこ山町二丁め 00037320G5交政五年△△△岩戸屋 00037330G6午の春新板△△△△喜三郎板 00037340¥T1 00037350¥N1¥J 00037360¥X 00037370M1○つね+大こくさまをしん※なすものゝありけるが、 00037380M2あるとき、ゆめまくらにあらハれ給ひて、かの男に打手の 00037390M3小づちを下され、此小づちより、なんぢがほしきものをふ 00037400M4りいだすべしとのありかたきおふせをかふむりけるゆへ、 00037410M5ていしゆ、大きによろこび、つく+かんがへミるに、ま 00037420M6づ/大((ママ))一になくてかなハぬハこめなり。さらバまづ米をふり 00037430M7いださんとて、小つちを打ふりて、こめ出ろ+++ 00037440M8いひぬれバ、たちまち/数(す)百俵のこめ出て、わが家のむねに 00037450M9もつかへぬるゆへ、これハ+あまりたくさん出したるゆ 00037460M10へ、かへつてこまるなり。さらバまづ二三百へうハはらハ 00037470M11んとて、ほどちかきこめやをまねぎ、こめを見せてねだん 00037480M12をきめんと思ふに、こめやハ米さしを出して、あなたこな 00037490M13たといろ+にこめをいだしてあらため見て、これハいか 00037500M14にもけつこうなるこめなり。なか+ミのまいにても、か 00037510M15ゝるよきこめハえたる事もなし。これハどこまいなるやと 00037520M16きかれて、ていしゆ、しばらくかんがへて、それハ大こく 00037530M17まいでごさります(二十一オ)(二十一ウ・二十二オ目次絵) 00037540¥N2¥J 00037550¥X○/画工(ゑかき) 00037560M20▲くじらのゑをかいてゐるを見て、わたくしにもかいて下 00037570¥P167 00037580¥G 00037590M1さりませと、はなかミをいだせバ、Sくしらハ/大魚(たいぎよ)なれバ、 00037600M2このやうなちいさなかミへハかゝれませんといへバ、Sそ 00037610M3んなら五十/両((匁カ))ばかりても、かいておくれ(二十二ウ) 00037620¥N3¥J 00037630¥X○/大師(だいし) 00037640M6▲たいしさまにつのゝはへたハ、とふゆふわけだらうと、 00037650M7ぼうさまにきけバ、此ぼうさま、なにもしらず。Sあれハ 00037660M8たかくハいわれませぬが、うしのうまれかハりだと申ス事 00037670M9でこざります 00037680¥N4¥J 00037690¥X○/幽霊(ゆうれい) 00037700M12▲ある男、ばくちにまけて、まるはだかとなりてかへりし 00037710M13ゆへ、女ぼうハあハせ一つにてゐたりしが、そのあハせを 00037720M14引ほどき、うらをバていしゆにきせて、おもてばかり、ぢ 00037730M15ぶんがきながら、Sもふばくちハやめにして下さんせ。此 00037740M16さむいのに、ひとへもの一つで、どふ命がつゝきませう。 00037750M17もしもこれで死にてもすると、わたくしハゆうれいになつ 00037760M18て出ます△Sなに、きものもなくつて△Sはて、此引とき 00037770M19をきてさ△Sはて、ひんほうなゆうれいだ。そしてなんと 00037780M20いふ△Sアヽら、うらほしやナア引 00037790¥P168 00037800¥G 00037810¥N5¥J 00037820¥X○/医師(ゐし) 00037830M3▲へたなゐしや、ひよう/家(か)からかへると、さじをおがむゆ 00037840M4へ、女ぼうふしぎにおもひ、なにゆへにさしを、そのやう 00037850M5におがミ給ふといへバ、ハテ、ばかな事をきかつしやる。 00037860M6これがなけれバ、とふにげしにんになります 00037870G1〔絵詞〕Sはるになると、日ののひたが、めつきりとしれる。そのは 00037880G2△つじや。にハとりさへも、あくびをします 00037890¥N6¥J 00037900¥X○やつこ 00037910M11▲やつこ、しな川へんへつかいにゆきしに、あさはやく立 00037920M12出しとて、とちうにて、きうにひだるくなりけるゆへ、な 00037930M13んでもよいからくいたいとおもふところへ、のりうりかと 00037940M14ふりかゝりしまゝ、ひめのりを五十ものがくつて、まつこ 00037950M15れにて(二十三オ)ひだるいのもなをりしと、そろ+ゆく 00037960M16うちに、日があたつてきたりけれバ、からだがしやきばり、 00037970M17手もあしもうごかされバ、いかゞハせんとなんぎのおりか 00037980M18ら、ゐしやのとふりかゝりけるゆへ、よびかけて、ようだ 00037990M19いをはなし、くすりをのぞミけれバ、Sムウ、よし+と、 00038000M20やがてきものをぬがせ、川へざんぶりとひたし、やつこに 00038010¥P169 00038020¥G 00038030M1きせるやつさ 00038040¥N7¥J 00038050¥X○くわんをんまいり(二十三ウ上) 00038060M4▲わたしハけふ、くわんのんさまへまいつてきましたとい 00038070M5へバ、ていしゆSコレ、くわんのんくわんのんといふが、 00038080M6くわんのんでハない。くわんをんといふものた。そしてだ 00038090M7いぶんおそかつたが、どこそへまハつたか△Sいゝへ。ど 00038100M8こへもよらぬが、ぎのんどうふで、ごぜんをたべました 00038110¥N8¥J 00038120¥X○/鶏(にハとり) 00038130M11▲つんぼうのおやぢ、はるさき、にハをなかめてゐたりし 00038140M12が、にハとりのときをつぐるを見て、むすこをよび、Sい 00038150M13かさま、ながひ日でハないか。にハとりさへもたいくつを 00038160M14したか、あくびをします 00038170¥N9¥J 00038180¥X○/角力(すまう) 00038190M17▲なんと、すまうとりさん。ものごとハそのミち+でな 00038200M18けれバしれぬといひますが、むかし、ミなもとのよりとも 00038210M19公さまが、いつのくにゝながされてござつたとき、いづさ 00038220M20がミのわかとのばらが、よりともさまをなぐさめんとて、 00038230¥P170 00038240¥G 00038250M1すまうをはじめさしつた所が、またのゝ五郎といふ人に、 00038260M2だれもかつものかなかつた所へ、かハつの三郎といふ人が 00038270M3てゝ、かつたといふことだが、さやうかねと、すまうとり 00038280M4にきけバ、Sさやうさ。そのすまうのとき、かハづの三郎 00038290M5があしがらをかけて、またのをなけました。それゆへに今 00038300M6でもなかまで、かハづかけといふ/□((手カ))をとります。わたくし 00038310M7とももたび+そのかハづがけでかち(二十四オ上)ました。 00038320M8まづ京とのすまうで三ど、大坂のとりくミで五たび、江戸 00038330M9でハ八たび、長さきで十たびかちましたといへバ、Sおや 00038340M10+、おまへハそれでハすまうのたびにかつてばかりいな 00038350M11さつて、まけた事ハないかいといへバ、すもうとりSなに、 00038360M12わたしのまけたのハ、さきではなします(二十三ウ下) 00038370G1〔絵詞〕Sかげひさとのにハ、お手ゐしやとやられるか;Sさて+ 00038380G2△ひとくなげおつた。とれ+、おミやくでもうかがつてやらう。 00038390G3△ヲヽあるハ+。まつ+ミやくもたしかで、あんしんいたした 00038400¥N10¥J 00038410¥X○/倹約(けんやく) 00038420M18▲かございくをはじめとして、いろ+さま+のさいく 00038430M19もの、又ハちからもち、手づまつかいなど、いろ+のも 00038440M20の、京大坂より江戸へ下りて、大あたりをなし、金もふけ 00038450¥P171 00038460L1をするものおゝかりけるゆへ、さらバ一くふうしてかねも 00038470L2うけせんと、ある男のおもひつきにて、京の女を江戸へよ 00038480L3びて、げいしやさするもめづらしからすと、京のものこと 00038490L4にたまかなる所よりおもひつきにて、京のをんなを江戸へ 00038500L5よんて、けんやく/指南(しなん)どころといへるかんはんをかけてお 00038510L6きけれバ、日にましにもんていもふへて、たいふんはやり 00038520L7ける所へ、ある日ひとりのおとこきたりて、わたくしも、 00038530L8けんやくでハよほど心をくるしめました所、せんせいの御 00038540L9かうめいをしたひてまいりました。これハはじめてのしる 00038550L10しまでにと、わらしべ十ぽんを、◇@しん上△△△|御きせる通し@◇として、よほ 00038560L11どかうまん心にてさしいだせバ、Sコレハ+、おびたゞ 00038570L12しいちやうほうなる(二十四ウ)しなをいたミいりまする。 00038580L13わたしじやとて、さのミへつに、けんやくといふこともこ 00038590L14ざりませぬか、まづこれほどのしなでハ、五十けんぐらゐ 00038600L15のしんもつハできます△Sそれハどふいたしてな△Sこの 00038610L16わらしべを二三ぶばかりにきつて、此かミに、かうつゝミ 00038620L17まして、◇@しん上△|しびれ薬@◇ 00038630G1〔絵詞〕Sせつしやがくふうのしんもつにハ、なんぼ京のちゑしやさ 00038640G2△んでも、おそろかんしんでござんせうと、かうやぼにむかししや 00038650G3れとしておくのさ;Sなんであろと、おまいさんの此しんもつに 00038660G4△ハ、とつとゑらいもんじやといひたいが、まだゑゝちゑがあるわ 00038670G5△いな 00038680¥N11¥J 00038690¥X○/道心坊(だうしんほう) 00038700M5▲おもてをどうしんぼうがとふるを見て、女ぼうSさて 00038710M6+きたないぼうずしやといへバ、ていしゆSめつたなこ 00038720M7とをいふまい。このごろハ/弘法(かうぼう)さまがおまハりなさるとい 00038730M8ふことだから、かうぼうさまだもしれぬといふを、だうし 00038740M9んぼうきゝつけて、ぼうずハ立とまり、ぼうずSなむさん、 00038750M10あらハれたといふゆへ、ていしゆSさて+、ふといほうず 00038760M11だ。弘法さまだもしれぬといふたれバ、あらハれたとぬか 00038770M12しおつたといわれて、ぼうずSまたあらわれた(二十五オ) 00038780¥N12¥J 00038790¥X○/天狗(てんぐ) 00038800M15▲てんぐ、よしハらへひやかしにゆきけるが、とかくどの 00038810M16見せをのぞいても、かうしへはながつかへて、ろくに見へ 00038820M17ぬゆへ、ぜひなくかうしのあいたへ、はなを入れてのぞひ 00038830M18てゐると、かむろが見つけて、Sもし、そさうな。こゝハ 00038840M19小よう所でハありんせん 00038850G1〔絵詞〕Sもう一へん、まハり+のかうぼとけハ、なんでせいがひ 00038860¥P172 00038870¥G 00038880G2△くいな。おいらがはなハ、なんでこんなにたかいなア。これから 00038890G3△二丁めをひやかさふわへ;S木のはくミのやつらハ、どこへいき 00038900G4△やアがつたか、おゝかた、山なかすミ丁のほうへでもまハつたら 00038910G5△う(二十五ウ下) 00038920¥N13¥J 00038930¥X○/会合(くわいがう) 00038940M6▲三人よつて一人がいふ。さて+、おれハめづらしい火 00038950M7事にあふた。うろこがたの。Sそりやとこで△Sふか川の 00038960M8さんかくやしきで、といふに、Sイヤ+まだ+。おれ 00038970M9ハおはなごまといふ火事にあいました△Sそれハいづくて 00038980M10S京の六かくどうのとび火て、といふに、あとの男、それ 00038990M11ハめづらしくない。わたしハわちがいの火事にあいました。 00039000M12Sこりやめつらしい。どうして△Sまるやけに二ど(二十五 00039010M13ウ上) 00039020¥N14¥J 00039030¥X○/古道具屋(こだうくや) 00039040M16▲ぬす人、どうくやの見せへきて、大小をぬすんてさし、 00039050M17いつさんににげいだすを、となりのていしゆが見つけ、し 00039060M18らせけれバ、どうぐやのていしゆハおつかけゆき、しばら 00039070M19くすぎて、すご+とかへりけるゆへ、となりのていしゆ 00039080M20立出て、ぬす人ハにげましたかといへバ、Sイヱ+、二 00039090¥P173 00039100¥G 00039110M1三丁でおひつきましたが、さきもさぶらい。めつたな事ハ 00039120M2いわれません 00039130G1〔絵詞〕Sこゝまでござれ。あまざけのかハりに、とぶろくでものま 00039140G2△せよう;Sさて+あしのはやいやつだ。ヲヽイ+とこへをか 00039150G3△けちやア、定九郎のようで、まがわるひ。そのうへ、あつちに大 00039160G4△小をさしてゐるから、おひついたら、おゝかた、だてにやアさゝ 00039170G5△ねへ、二尺八寸ずばりとぬかれると、おれが刀で、おれがきられ 00039180G6△るやつさ 00039190¥N15¥J 00039200¥X/看経(かんきん) 00039210M11ほつけしうとぜうどしうと一しよに、じゆすをくるに、と 00039220M12かくほつけしうのほうか、かつとりがはやくなるゆへ、は 00039230M13てふしきな事とおもひ、ほつけしうにたづぬれバ、ほつけ 00039240M14Sまづきさまハ、どふくらしやるとたづぬれバ、しやうど 00039250M15Sわたしらハ、なむあミだふつ+とくりますといふ。 00039260M16ほつけSそれでおそひ。わたしらハ、なむミやうほうれん 00039270M17げきやうと一つとなへ、それからあとハ、おなじく+ 00039280M18+++(二十六オ) 00039290¥N16¥J 00039300¥X○/口上(かうぜう) 00039310M20▲此ごろとなりやしきでハ、よく口上をいふけらいをかゝ 00039320¥P174 00039330L1へたといふ事だが、なんと、きゝにゆかふと、二三人いひ 00039340L2あハせゆきけれバ、Sコレハ+ようこそおいでなされま 00039350L3した。さだめてけらいがことを、おきゝおよびなされしゆ 00039360L4へのおいでなるべし。さいわい、たゞ今つかひにつかハし 00039370L5たれバ、おしつけかへりまして、へんじを申でござりませ 00039380L6うといふ所へ、けらいかへりていふやう、今日ハよふおつ 00039390L7かいを下されまする。おゝせ下されますとふり、たん※ 00039400L8れいきにおもむきまする。いよ+ごべつぜうもござりま 00039410L9せす、おめでたくぞんじます。今ばんハしんそばとござつ 00039420L10て、わたくしまでめしよばれ、かたじけのふぞんじまする。 00039430L11それへまいつておれいを申ませうと、さだめておつしやる 00039440L12でござりませうが、(二十六ウ上)今日ハおるすでござります 00039450G1〔絵詞〕Sかうして状ばこをだしたところハ、きうのおつかい、ミつ 00039460G2△じのごぜうといひてへが、そういつても、よもや力弥のやうだと 00039470G3△ハいふものもあるまい。やつはりあたりまいの三文やつこだが、 00039480G4△しかしおほきくかいてくれたのか、/画工(くハこう)のはたらきであらう 00039490¥N17¥J 00039500¥X○/野(の)がけ 00039510L18▲さるお大/名(めう)のわかとのさま、おともあまためしつれられ、 00039520L19のがけにおいでなされしところ、きうに日かてりあがり、 00039530L20あつくなりけれバ、わかとのさまが、かさをはやく+と 00039540M1ぎよいあそばされけれども、にハかの事ゆへ、ありあハね 00039550M2バ、おとものめん+も大きにこまり、いかゞハせんとお 00039560M3もふとき、おんそばさらずの/石部(いしべ)/治部(じぶ)左衛門、ごぜんへい 00039570M4で、トしかたをして、御ほうかむりを 00039580¥N18¥J 00039590¥X○/富樫(とがし) 00039600M7▲むかし、よしつねどのがつくり山ぶしとなつて、おうし 00039610M8うへくだらんとせしとき、あたかのせきといへるにて、お 00039620M9うらいをあらためんとて、/富樫(とかし)の/左衛門(さへもん)といへるが、しん 00039630M10せきをかまへていたりし所へ、よしつねどのしゆうじうき 00039640M11かゝりしが、べんけいがはからいにて、しゆびよくとふり 00039650M12て、おうしうへくだられしとのこと。とがしの左衛門ハ、 00039660M13かまくらどのゝごれんしなるよしつねどのゝことゆへ、見 00039670M14しらぬことハ、よもあるまいが、べんけいにはかられてと 00039680M15ふしたか。たゞしハしつても、なさけでとふしたか、がて 00039690M16んのゆかぬといへバ、そばのおとこ、小こへになり、Sさ 00039700M17たハないことじやが、じつハしつてとふしたといふことで 00039710M18ござる(二十七オ) 00039720¥N19¥J 00039730¥X○/団扇売(うちハうり) 00039740¥P175 00039750¥G 00039760M1▲うちハうり、あるおやしきのまど下をとふりしに、女中 00039770M2たち大ぜいにてよびこミけるゆへ、おやしきへはいりて、 00039780M3いろ+のうちハをいだして見せけるに、大ぜいの女中た 00039790M4ちが、とうじはやりのやくしや、きく五郎にだん十郎とさ 00039800M5がしけるに、折ふしだん十郎のうちハ一ツほんのミなかり 00039810M6けるに、わたくしもだん十郎、わたくしもだん十郎と、一 00039820M7本ンのうちハをばいとり、はてハたがひにあらそひけれバ、 00039830M8うちハやハきのどくにおもひ、Sあいにくに今日ハ、だん 00039840M9十郎のがすくなふござりますゆへ、おきのどくでござりま 00039850M10す。明日ハたくさんもつてまいりませうといへバ、一人リ 00039860M11の女中が、なに、そのやうにきのどくがる事ハない。(二十 00039870M12七ウ上)これがほんの、うちハのけんくわサ 00039880G1〔絵詞〕Sさつきさんハだん十郎のうちハが、そのやうにほしいかへ。 00039890G2△おまへもほしくバ、アイ、わたしもほしうござります。おまへ、 00039900G3△そのやうにひいきなら、だん十郎の所へおいでなさいまし。まこ 00039910G4△とにかんしんだのふ;Sわたくしも、まことに+かんしんだの 00039920G5△う;Sおまへさんのおつしやるのハ、ミんなごもつともでござり 00039930G6△ます。もうなんにも申ませんよ 00039940¥N20¥J 00039950¥X○/思案(しあん) 00039960M20▲/老人(ろうじん)、はしをとふりかゝり、板のすきめへ、つゑをつき 00039970¥P176 00039980¥G 00039990M1こミ、はつとおもふはづミに手をはなしけれバ、つゑハ川 00040000M2へおちけるゆへ、これにとうわくなし、しばらくしあんを 00040010M3なし、こしよりあふぎをぬきて、かのあなへいれて、手を 00040020M4はなして、Sハヽア、此おつじやな 00040030¥N21¥J 00040040¥X○きほひ 00040050M7▲とむらひに、おいがせしゆにたちて、しやうかうのとき 00040060M8おせうのまへにゆき、Sアイ、おせうさん。ごくろうでご 00040070M9さりやすと、あいさつして、こしのまへにすハり、これ、 00040080M10おぢご。おいといつちやア、いつでもおれひとりだ(二十八 00040090M11オ) 00040100¥N22¥J 00040110¥X○/息子(むすこ) 00040120M14▲すゞりばことでばほうてうをもつて、むすこがあハたゞ 00040130M15しく二かいへあがるを、おふくろがのそひて見れバ、はら 00040140M16へ十もんじにすミを引けるゆへ、おふくろがこへかけて、 00040150M17Sなにをするととがめけれバ、むすこSなにをかくしませ 00040160M18う。わたくしかなじミの女郎か、百両でこんどうけだされ 00040170M19ますゆへ、あまりざんねんさに、きりそこなハぬやうに、 00040180M20すミを引て、はらをきるつもりでこざりますといへハ、お 00040190¥P177 00040200L1ふくろSなに、それしきなことに死ぬ事があるものか。わ 00040210L2しがごもんぜきさまへあげようとおもふてためておいたる 00040220L3金がある。それをやるから、おのしが身うけしやと、五十 00040230L4両わたせバ、Sもふ五十両なけれバなりませぬといへバ、 00040240L5Sあとハばんでもやらうから、まづたてのぼうをいつぽん、 00040250L6けしておきやれ 00040260G1〔絵詞〕Sどふでいきてゐて、人にわらわれようより、はら十もんじ 00040270G2△にきるつもりで、しるしにかいた十もんじ、とめずときらせて下 00040280G3△さりませ;Sしなねハならぬことなりとも、此はゝにひととふり 00040290G4△はなしたうへで、十文字廿八でもとめハせぬ 00040300¥N23¥J 00040310¥X○/店越(たなごし)(二十八ウ) 00040320L13▲きほひ、うらだなをかり、引こし、たなまハりをしける 00040330L14が、となりにろうにんのゐたりしが、此人、はなハだおほ 00040340L15へいなるあいさつゆへ、きほひハ大きにはらをたちけれと 00040350L16も、引こしそう+けんくわもならす。せんかたなさに、 00040360L17おほ屋のところへきたりて、S申、おほやさん。わつちら 00040370L18がとなりのろうにんどのハ、おほへいなやつでござりやす 00040380L19ね。それゆへ長屋のしうも、はらをたつていられますが、 00040390L20あのやうな人を長屋へおいてハ、おめへさんのおためにも 00040400L21なりやすまいから、はやくたなたてをしておやんなさいや 00040410M1しといふに、大やSはて、まゝにしておかつしやりませ。 00040420M2ことばてもおほへいにいわねバ、こじきとまがいます 00040430¥N24¥J 00040440¥X○/浅草(あさくさ) 00040450M5▲江戸をいつかうしらぬもの二人して、○Sなんと、あす 00040460M6か山ハさだめてさいちう、はなざかりであらうといへバ、 00040470M7□Sあのあすか山のはなハ、日本一じやといふことじや△ 00040480M8○Sあさくさハとふであらうといへバ、一人リの男、あさ 00040490M9くさをしらぬゆへ、あいさつにこまり、○Sあさくさハ死 00040500M10んだといふことじや△□Sハテ、おしいすまふをころした 00040510¥N25¥J 00040520¥X○そばや 00040530M14▲かつぎがてんびんぼうを上へそらし、あとへけんどんば 00040540M15こをひつかけて(二十九オ)いそぎゆくをよびとめて、S吉 00040550M16や。てめへ、なぜそのやうにいそぐ。しづかにかついでゆ 00040560M17かつし。人ごミのなかでハ、おとして、とうぐでもそんじ 00040570M18らかしたら、おや方にしかられるだらう。それともいそが 00040580M19ねバそはてものひるか。かつぎSいんにや△Sそれでも、 00040590M20ソレ、いそぐじやアねへか△かつぎSそばがかけだ 00040600¥P178 00040610¥G 00040620¥N26¥J 00040630¥X○女/連(づれ) 00040640M3▲女づれにて、しばゐけんぶつにゆき、打だしてかへるさ、 00040650M4茶やのわかひものが、ちやうちんさげてさきにたちゆけハ、 00040660M5女づれのうちにて、としかさまさりたる女のいふやう、わ 00040670M6たしハかほミせのはんにきてミやうとおもふ(二十九ウ上) 00040680M7けれども、大ぜいのこミあいのなかへ女がくると、人にゆ 00040690M8きあたられたり、おされたりして、かうがいををるやら、 00040700M9かんざしをおとすやらして、つミものやかざりものハさつ 00040710M10はり見ることハできぬといふことだが、そうかへときくに、 00040720M11わかいものSそれハもふこミあいますから、こんさつハいた 00040730M12しますが、わたくしどもがおつき申ますれバ、そのやうな 00040740M13ことハござりませんと、はなしの折から、むかふより大ぜ 00040750M14い長ちやうちんにて、Sよい+++と、おしきたる 00040760M15ゆへ、女つれのものハおどろき、Sそりやこそ、かほミせ 00040770M16のばんがきた。はやくにけな(三十オ) 00040780¥N27¥J 00040790¥X○/不二山(ふじさん) 00040800M19▲いち夜あけてのはつはるのそらもはれわたり、お見世の 00040810M20まへから、ふじがよく見へます。わたくしハきよねん、ふ 00040820¥P179 00040830¥G 00040840M1じへまいりましたが、とんと此とふりでござります。Sな 00040850M2んと、あの山のうへからハ、わたくしが見せさきも見へま 00040860M3せうね△Sとんだことをおつしやります。あの山から、こ 00040870M4ゝかどふして見へませう△Sハテネ、ごらんのとふり、見 00040880M5せさきから、ふじハよく見へ 00040890G1〔絵詞〕Sめてたし+++;S赤本のほんにめでたし+と 00040900G2△又板行のあら玉のはる△△△志満山人 00040910¥Q 00040920M9△△△△△△△△◇国信画G志満山人補綴G◇ 00040930M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(三十ウ) 00040940¥P180 00040950¥U噺本大系△第十八巻 00040960¥G 00040970¥T新作はなしのいけす△〔表紙〕 00040980¥Y 00040990M3文政五年正月刊 00041000M4欣堂間人序・作 00041010M5一円斎国丸画 00041020M6森治板 00041030M7中本三巻合一冊 00041040M8国立国会図書館蔵 00041050¥Y@当年|新作@△落し噺 00041060M14△△△△△△△△△△△△斜久志屋△欣△堂 00041070M15△△△△△△△△△△△△はんもと△森△治 00041080M16△△△△△△△△△△△△浮世画師△國△丸 00041090M17△当ル午ノ正月元日£馬喰町二丁目、錦森堂ニおゐて 00041100M18△凡三百六十日の間、流行仕候△△△△大入叶 00041110M19△△△△巻中目次△@大あたりニ付|又&夜なべ△@ 00041120M20△△△○開帳△△△△△△○てんぷら 00041130¥P181 00041140L1△△△○居つゞけ△△△△△○間ちがひ 00041150L2△△△○ちやづけ△△△△△○ゆき過 00041160L3△△△○茶ばん△△△△△△○将棊 00041170L4△△△○西行△△△△△△○おしやべり 00041180L5△△△○ふくろく寿△△△△○酒てんどうじ 00041190L6△△△○家主△△△△△△○こん礼 00041200L7△△△○ミち行△△△△△△○しわん坊 00041210L8△△△△△△△△△△△△△通計△十六種 00041220L9△△△△△△△△△△△△△目次畢(見返扉) 00041230¥G 00041240¥Y 00041250M1/落語(おとしばなし)てふものゝ/鼻祖(はじまり)ハ/知(し)らねど、/往古(いにしへ)より/行(おこなハれ)つるよし 00041260M2ハ、ものにもミへたり。/百年(もゝとせ)に/余(あま)れる/元和(げんハ)年中の安楽/庵策(あんさく) 00041270M3伝、/元禄(げんろく)の/休慶(きうけい)、/鹿野(しかの)武左衛門、/伽羅(きやら)四郎/斎(さい)、伽羅小左衛 00041280M4門など、各その比の/冠(くわん)たりと/雖(いへども)、たゞ/席(せき)上の/慰(なぐさミ)のミ。近き 00041290M5/天明年間(てんめいねんかん)、かつしかの/庵崎(いほざき)において、/焉馬(えんば)のうしを/催主(さいしゆ)と 00041300M6して/咄(はなし)の/会(くハい)あり。その/后(のち)も、/狂哥(きようか)/詠(よミ)給ふ人&の/戯(たハ)むれに/作(つく) 00041310M7りまふけて、/披口(ひこう)ありしものなりけるに、/三笑亭(さんしやうてい)/可楽(からく)、 00041320M8/朝寐坊(あさねばう)/夢羅久(むらく)などいへる名人たち、/世(よ)にあらハれてより、 00041330M9/寄(よせ)とか/呼(よべ)る家さへ、年&に/多(さハ)になりつ。/依(よつ)て/談洲楼(だんじうろう)のぬし 00041340M10を、此/道(ミち)/中興(ちうこう)の/開山(かいさん)と/称(しよう)すと、/誰(たれ)にか聞けり。こたび、/錦= 00041350M11森堂(きん=しんどう)の/主人(あるじ)、/予(よ)に/落語(おとしばなし)の/小冊(せうさつ)をものせよと/乞(こふ)。/素(もと)より知 00041360M12らぬ道なれど、/需(もとめ)に/応(おふ)じて、めくら/蛇(へび)、筆おつとつて/出(で)た 00041370M13らめに、/此様(こんな)ことでもよからふかと、/記(しる)せしかづハ十ヲあ 00041380M14まり、むつまし月のわらひ/初(ぞめ)に、/葉南志廼(はなしの)/■(いけす)と/題(だい)して/送(おく)る 00041390M16△△△壬午のはる△△△△△△△△欣堂間人誌 00041400M17△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一オ) 00041410¥P182 00041420¥G 00041430¥T1 00041440¥N1¥J 00041450¥X○/開帳(かいてう) 00041460M3かまくらはんえいのころ、ゑからてんじんのしやないにて、 00041470M4七ふくじんのかいてうありけれバ、よくのよの中とて、さ 00041480M5んけい、ことにおびたゞし。その中に、くまでや何がしと 00041490M6いへるもの、七日だんじきしていのりけるハ、Sなむ七ふ 00041500M7く尊神ン。わたくしこと、ずいぶんせうばいに身を入レ、 00041510M8なりたけ、ついへをはぶいてくらしまするが、かせぐにお 00041520M9ひつびんぼうありで、どうもかねがまうかりませぬ。何 00041530M10とぞこりやくをもちまして、ふつきの身と(一ウ)相なりま 00041540M11するよう、御ンまもりくたされよと、いつしんふらんにき 00041550M12ねんなしけるが、七日まんずるあかつきに、大こく天、ま 00041560M13くらがミにあらわれたまひ、Sぜんざい+といつてハ、 00041570M14もちのようなり。よきかな+といつてハ、和やうをほめ 00041580M15るようでわるいから、ぐつとぞくに、サテくまでやのおや 00041590M16かた。しんせうをよくしようとおもつて、だんじきまでして、 00041600M17われ+をいのらるゝだん、しごくきどくなれども、ふく 00041610M18をさづけることハ、ちとむづかしい。きのどくだが、こと 00041620M19わりをいふがよかろうと、仲間でもいうから、おれがさう 00041630M20めうだいにあらハれたほどに、さう思つて、かへつたがよ 00041640¥P183 00041650¥G 00041660M1い△Sへヱ、それハはや、力のおちましたるぎでござりま 00041670M2すが、どういうことで、またふくをバおさづけくだされませ 00041680M3ぬ△Sどういふことトいつて、よくつもつてもミるがいゝ。 00041690M4てまへたちにさづけるふくがあるくらいなら、はる※の 00041700M5ところを、もとでをいれて、かいてうにハこぬハ(二オ) 00041710¥N2¥J 00041720¥X○てんぷら 00041730M8さるところの居候、ていしゆのるすに、ひとりごとをいふ 00041740M9をきけバ、Sやどろくめが、けへらねへうち、さつきの酒 00041750M10をはじめてやろう。おらがやどろくほど、いけつちわいも 00041760M11のもねへものだ。人をバさん※はたらかせておきながら、 00041770M12ついしかさけを一ぱい、こゝろよくのましたことがない。 00041780M13かういうとき、くらつてやるべいト、茶わんへなミ+と 00041790M14つぎ、ぐつとほして、Sホウ、いゝきミだ。とてものこと 00041800M15に、なんぞさかなが。ヲヽあるぞ+。やしよくにくうと 00041810M16つて、しまつておきおつた此てんふら。イヤ+、これを 00041820M17くつたら、夫こそ大さわぎだろう。しかし、さかながなく 00041830M18ツちやア(二ウ)きがねへ。まてよ。いゝことがあるト、か 00041840M19のてんふらをのこらずくつてしまひ、となりのうちにて、 00041850M20このごろうまれたるねこか子をいつぴき、そつとぬすミ、 00041860¥P184 00041870¥G 00041880M1なさけなくも〆ころし、跡へ入レ置、そしらぬふりにてい 00041890M2るところへ、ていしゆかへりきたり、戸だなをミれバ、と 00041900M3つて置たるてんふらハミへず、ねこの子が死んでいるに、 00041910M4きもをつぶし、どうしたものだと、たつねけれバ、居候ハ 00041920M5ましめにいゝまぎらしている処へ、ともだち二三人きたり、 00041930M6Sコウ八さん。門之介のどうじやう寺が、でへぶいゝとい 00041940M7うことだが、今ツから、ひとまくつき合ねへかトいふに、 00041950M8そんならと打つれだちて出て行、芝居へはいり、けんぶつ 00041960M9するに、だん+と狂言もすゝミ、どうじやう寺のしよさ 00041970M10ことにて、かね入の段になり、いのりにつれて、かねがあ 00041980M11がると、すさまじきじやたいとかわり、しゆもくをふり上 00041990M12ケ、はつたトにらめバ、Sコウ、どういうわけで、アノう 00042000M13つくしいむすめが、あんなにこわくなつたろう。ふしぎな 00042010M14ことだ△Sナニ、ふしぎなことがあるもんか。ありやアし 00042020M15つとの一ねんで、じやになつたのさ△Sさうさ。しつとの 00042030M16一ねんで、じやになるのハ、女のせまいりやうけんから、 00042040M17ずいぶんありそふなことだか、それよりふしぎなのハ、し 00042050M18まつておいたてんぷらが、ねこになつた(三オ) 00042060¥N3¥J 00042070¥X○居つゞけ 00042080¥P185 00042090L1Sどうだ、先生。おゆかりさまのたれを、久しくうけねへ 00042100L2が、さためて、ちんせつがたまつているだろう。チトはな 00042110L3したまへ△Sイヤ、もう久しく大いそへもいかねへから、 00042120L4のろけもなしさ。シタカ、こなひだ、さるまじりへいつて、 00042130L5何山とかいうざしきをかひやした。するとそのばんが大も 00042140L6てで、きんねんのあたりサ。そこでかへろうといういちだ 00042150L7んになると、あめがしきりにふつてきたと思ひねへ。さう 00042160L8すると、てきめがいふにハ、このあめをミかけて、おかい 00042170L9ん(三ウ)なんすこともねへじやアありませんか。わるどめ 00042180L10ハしいせんが、うちさへよくば、モウ一チ日おいでなんし 00042190L11といふものを、イヤ、それでもと、やぼつたくけへられも 00042200L12せず、さそふ水のうきくさで、てあつくうらなじミになり 00042210L13の、チトにぎやかに、けんばんてもよばふといつたら、こ 00042220L14んどのことに仕なんしととめる。そんなら内のをといつて 00042230L15も、それもつうえだと、よばせねへ。ハテおつりきだと思 00042240L16ふうち、ひるになつたから、うなぎ/((に脱カ))しよふか、だいにしよ 00042250L17ふかといつたら、モシヱ、かならずはらをおたちなんして 00042260L18ハわるうさんすが、ぬしをほそくながく、よび申てへりよ 00042270L19うけんさんすから、むだなことハえんりよなくおとめ申い 00042280L20すから、そのつもりでつき合ておくんなんし。おひるのお 00042290M1かづハ、わつちがいゝものをあげんすと、子どもにあぶら 00042300M2げをかいにやりの、つけやきのめしをくわせた。あんまり 00042310M3きめうだから、こゝろうれしく、うちへけへるとさう+、 00042320M4ともだちにそのしまつをはなしてのろけると、その人がい 00042330M5うにハ、そりやアそのはづだ。アノ女郎ハ生ついて、しや 00042340M6ミせんが大きらい。またやまひのように、油げがすきだと 00042350M7ぬかした(四オ) 00042360¥N4¥J 00042370¥X○/茶漬(ちやづけ) 00042380M10Sコウ、田まちの中ほどへ、とうせいちやづけといふがて 00042390M11きたが、なんと、くつてミようじやアねへか△Sよかろう 00042400M12+。とうせい茶づけなら、さだめてちよつぴりした、い 00042410M13きなものをくわせるだろうト、ふたりづれにて、かの茶つ 00042420M14けやへは入、Sヲイ、二ぜんだしてくんなト、あつらへけ 00042430M15れバ、ほどなくぜんをすへる。さだめていきなことだろう 00042440M16とミてあれバ、なが皿に大きなにうめがふたつあるばかり。 00042450M17(四ウ上)ちよくがしそまきのうめぼし、小ざらへちよいと 00042460M18つけたものが、さとうけのないうめびしほ。両人ハあんに 00042470M19さういして、Sとうせい茶つけといふから、なんぞまたひ 00042480M20ねつたしゆかうでもあることかと思つてきたに、うめぼし 00042490¥P186 00042500¥G 00042510M1でくふくらいなら、内でもくふわへト、もつての外のはら 00042520M2だちに、ていしゆたちいで、Sマアおしづかになさいまし。 00042530M3このうめぼしばかりであがるのが、とうせいちやづけさ。 00042540M4ハテ、うまいものもまづいものも、舌三寸ンのうちばかり。 00042550M5せちがしこいこのよのなか、ぜにをつかつてハいきません。 00042560M6わたくしのミせハ、まづいかわりにハ、せにがいりません。 00042570M7そこがとうせいじやアありませんか。おまへがたも、さだ 00042580M8めて女郎かいでこざりやせうが、いま申たとをり、もんひ 00042590M9ものびも三どにいちど、むしんのようなことも五たびにい 00042600M10つへんと、うろぬかねへじやアつゞきやせん。名をとろう 00042610M11より、とくをとれだ。かういつちやアどうか、うぬが田へ 00042620M12水をひくようだが、くるわへおはいんなさるたびに、わた 00042630M13しがところのうめぼし(五オ)ちやづけをば、ぜひあがつて 00042640M14おいでなさりやし△Sソリヤアまた、なぜだね△Sハテ、 00042650M15きりはらいのためにサ(四ウ下) 00042660¥N5¥J 00042670¥X○/茶(ちや)ばん 00042680M18ある男、大のちやばんすきにて、その席とさへいへば、い 00042690M19たらずといふことなかりけるが、こんどハたち茶ばんにて、 00042700M20とうぞくのやくにあたり、かきぬきをうけとり、まいにち 00042710¥P187 00042720¥G 00042730M1けいこしけるが、あるよ/あるよ((衍))、ふつと目がさへてねられ 00042740M2ぬまゝに、はしめハ口のうちにてふくしいたりしが、のち 00042750M3にハだん+とのりがきて、ねどころをたちいで、身ぶり 00042760M4をしながら、大きな声にて、Sじやまなおやぢハぶつはな 00042770M5し、おくのどざうへしのび入り、うばいとつたる山ぶきい 00042780M6ろ、でへぐわんじようじゆう、かたじけねへトいふこゑ、 00042790M7ねミヽにふつとおやぢハきゝつけ、Sばゞアどん。くらの 00042800M8かぎハそこにあるかへ(五ウ) 00042810¥T1 00042820¥N1¥J 00042830¥X○/西行(さいぎやう) 00042840M11さいぎやうほつし、あづまくたりの道すがら、ふじさんの 00042850M12ふもとをとほりたまふ。うしろより、Sまて。たびそうト 00042860M13声かけられ、ふりかへりてミたまへバ、くもつくごとき大 00042870M14おのこ。Sコリヤぼうすよ。われがふところに、かねなら 00042880M15てうど五十両、しまのさいふに入レてあるか入レてないか 00042890M16ハしらねへが、ろぎんのありだけ、こゝへまけだせ△Sコ 00042900M17ハけうかるおのこかな。いつしよふぢうのそれがしが、む 00042910M18さくろしき金銀を、たくわへもつべきいはれなし。ミちを 00042920M19ひらいてとほされよとのたまへども、きゝ入ず。Sださず 00042930M20ハこれでと、だんびら引ぬき、きれどもつけども、コリヤ 00042940¥188 00042950¥G 00042960M1どうじやトあき/((れ脱カ))るぬすびと。西行ハ、さもありなんと、ゆ 00042970M2う+とえもんつくろひ、ゆきすぎ給ふ。ぬす人ハ、ふし 00042980M3ぎなぽうずと、よく+かんがへてミれバ、きれぬもこと 00042990M4わり。Sふじミ西行(六オ) 00043000¥N2¥J 00043010¥X○/福禄寿(ふくろくじゆ) 00043020M7ふくろくじゆ、なじミの女郎のかたへ行、十日ばかりの居 00043030M8つゞけに、やりて、わかいものもほつとこまり、これでハ 00043040M9勤がかゝらないから、うらのしうぎもとりそこなふ。その 00043050M10うへ、ふくじんなかまへたいしても、あまりながくいさし 00043060M11つたら、よくあるまい。何にしろ、こまつたものだ。おゐ 00043070M12らん。ぬしが、はらをたゝつしやらぬように、よくさう申 00043080M13て、おかへし(六ウ)なさるが、ようごぜへすとのいゝぶん 00043090M14に、あいかたの女郎、ふくろくじゆにむかひ、Sモシヱ、 00043100M15ぬしやアそんなにおながしなんしちやア、お仲間のしゆび 00043110M16がわるふざんせうから、けふハおかいんなんして、二三日 00043120M17のうちに、またおいでなんしナ△Sてめへ、そんなにけへ 00043130M18したがるこたアねへ。たゞし、いろ男がくるやくそくでも 00043140M19あるのか△Sちよつとミなんし。なんぞといふと、いろ男 00043150M20+と。さうじやアおざんせんが、ぬしのためをおもつて 00043160¥P189 00043170¥G 00043180M1さ△Sフウ、よろしくだ。さういやア、いぢにかゝつて、 00043190M2まだめつたにやアけへらねへぞ△Sぬしもこまりもんだね 00043200M3へ。いつおいでなんしても、いつそ、しりがなかうおすよ 00043210M4Sべらほうめ。とんだことをいふ。なに、尻がながいもの 00043220M5か。おらアあたまがながい(七オ) 00043230¥N3¥J 00043240¥X○/家主(いへぬし) 00043250M8かまくら雪の下うら町のろじ口に、九尺二けんかし店とい 00043260M9ふ札を目あてに、ひとりの男、そのうらにいたり、かの店 00043270M10をミて、いへぬしかたにいたり、Sモシ大屋さん。あのお 00043280M11たなをおかり申たいものでござりますが、いくらいたしま 00043290M12すね△Sしゆくちんハ十三匁づゝだが、きさま、何しやう 00043300M13ばいだ△Sハイ。これと申せうばいもござりやせぬが、あ 00043310M14りようハ、こんどしんじよたいもちで、きわものでもうる 00043320M15つもりさ△Sそいつおもしろい。それでハさだめて、いさ 00043330M16うろうもおくだろうし、なぐさミもやりかねハしめへ。ま 00043340M17た、きさまの相をミたところが、いたつて女ずきらしい。 00043350M18まをとこなぞもしかねぬようす。かりたものハかへすまい 00043360M19し、店ちんなぞも、ミそか+にハきつとかんぜうしさう 00043370M20も(七ウ)ない人とミうけたが、いよ+そのとほりなら、 00043380¥P190 00043390¥G 00043400M1店うけにもおよばねへから、かつてしだいにひきうつるが 00043410M2よいとのあいさつに、いとま乞しておもてへいで、あるう 00043420M3ちへはいり、Sごめんなさい。チトおきゝ申たいことがご 00043430M4ざります△Sハイ。なんでござりますへ△Sイヱ、ほかの 00043440M5ことでもござりやせんが、わたくしやア、こんどおながや 00043450M6へ引こしてくるものでございますが、このうらの大屋さん 00043460M7ハ、あれでも、じつていな人でござりますか(八オ) 00043470¥N4¥J 00043480¥X○/道行(ミちゆき) 00043490M10Sゆくへさためぬたびの空、いづくをあてに雲のあし、か 00043500M11へる雁ありくるつばめ、なれにし軒をふりかへり、ミかへ 00043510M12る皃もほうかふり、つねの姿をそのまゝに、いまきてミれ 00043520M13バたびごろも、あい+がさハかたミづゝ、ぬれるをまた 00043530M14もたのしミの、一寸さきハやミの夜に、小でうちんさへ人 00043540M15目をバ、かくせどそれとうめ川が、帯ももすそもかいしよ 00043550M16なき、どろよりいでしかきつばた、いづれあやめとてをひ 00043560M17けど、またもつまづくかちはたし△Sモヲシ忠兵へさん。 00043570M18うらやましいハおすわさん、わるういうても女房なりや、 00043580M19まくらならべていさんすかと、たゝミざんやらつぢうらや 00043590M20ら、りんきぶかいとかけごとに、いわれるようなやぼにな 00043600¥P191 00043610¥G 00043620M1り、うかぬざしきのむりじいに、のぼりつめたる茶わん酒、 00043630M2それがやまひとなりわひも、ながれわたりのさの川に、た 00043640M3とへこの身ハしづむとも、とまり+の(八ウ)めうとづれ、 00043650M4わしやうれしいがこなさんハ、さぞやかなしうあろけれど、 00043660M5これもさだまるえんづくと、もうあきらめてもろともに、 00043670M6しんでやいのとすがりつき、なミだも雨とふりかわり、あ 00043680M7かつきつぐるかねの声△Sアレ、あのかねハもうあけむつ。 00043690M8アレ+あそこへ小でうちん、人あしおほきつゝミづたい 00043700M9Sよしない人にとがめられ、死におくれてハはぢのはぢ 00043710M10Sとてもおそくなりついで△S忠兵へさん△Sうめ川 00043720M11Sヱ△Sもういちにち、のばさうか(九オ) 00043730¥N5¥J 00043740¥X○/間違(まちがひ) 00043750M14こゝにひとりのどらものあり。女ずきなるのミならず、大 00043760M15の酒らんにて、おやさへミかぎるほどのおとこなりけれバ、 00043770M16いつけしんるいハもちろん、ともだちといへどもうとミは 00043780M17てゝ、たれひとりよせつけるものもなかりしが、あるとき、 00043790M18ほうとうなかまのところへいたり、金二分かしくれよとの 00043800M19たのミに、その男いゝけるハ、きさまのことなれバ、ずい 00043810M20ふんといゝたひが、しつているとほり、おれもふしあわせ 00043820¥P192 00043830¥G 00043840M1がつゞいて、いまでハびたきなかのさいくかくもむづかしい 00043850M2から、きのどくだが、おことハりだ△Sさうじやアあろう 00043860M3けれど、おれもかんどうの身で、はなハだ(九ウ)せつねへ。 00043870M4よく+こまつたからきたのだ。どうぞさんだんしてもら 00043880M5ひてへト、いろ+いへどもきゝ入ざれバ、すこしやつき 00043890M6となり、Sそんならいゝわへ。たのもしくもねへトいゝす 00043900M7てゝ、はやあしにたちかへりしが、間もなくかたなをいつ 00043910M8ぽんさし、酒きけんにて目をすへ、ひよろ+といりきた 00043920M9りけれバ、さてこそ、いまのことを根にもち、さけのいき 00043930M10ほひをかりて、われ+を切にきたりしならんと、うろた 00043940M11へまわり、うら口よりにげんとすれバ、かのなまゑひ、き 00043950M12うに引とめ、Sコレサ。そんなにこわがるこたアねへ。こ 00043960M13の刀をあづかつて、ちよつと二分かしてくだせへ(十オ) 00043970¥T1 00043980¥N1¥J 00043990¥X○/行過(ゆきすぎ) 00044000M16さるところのむすこ、大きにつかひすぎて、おやのいけん 00044010M17ももちひねバ、とうぶんおしこめとさうだんきわまり、一 00044020M18トまへ入おき、いつすんもそとへださず、友たちにもあわ 00044030M19せねバ、なじミの女郎の文のかよいぢもたへ、たゞうつ 00044040M20+とくらしいたりしが、おりしもやよひなかば、のどか 00044050¥P193 00044060L1なるそらのけしきに、うへの、あさくさの花もおもひいだ 00044070L2され、ことにハくるわのさくら、まつさかりなるべく、さ 00044080L3ぞくんじゆすることならん。きよねんの花にハ、かう+ 00044090L4のもよをしをなし、大さわぎにおもしろかりしなど、こし 00044100L5かたのことをかんがへれバ、やもたてもたまらず、せめて 00044110L6ハきものでもきかへて、にわさきをあるいて、こゝろやり 00044120L7にせんと、よそ行にきかへ、せつたをはきて、にわのうち 00044130L8をあちこちとあるく。折しも此家のてだい、むすこのざし 00044140L9きにミへざるにおどろき、にわさきをたづぬるに、ばつた 00044150L10りと行あひけれバ、むすこハはつと、かほうちあかめ、 00044160L11Sこれハしたり。コウ善六や。こゝであつたことハ、かな 00044170L12らず、さたなしにしてくりやれ(十ウ) 00044180¥N2¥J 00044190¥X○/将棊(せうぎ) 00044200L15わかいもの二三人より合、せうぎをさしているところへ、 00044210L16どうき相もとむるともだち、おひ+にあつまり、たのミ 00044220L17もせぬぢよごんに、どれがあひてやらわからず。入かわり 00044230L18たちかわりたゝかふうち、越平といふおとこト栄介トいふ 00044240L19男ト、たがいにひじゆつをつくすかつせんさいちう、おも 00044250L20てをとほるひとりの男が、Sハアヽ、へぼめらがまたなら 00044260M1べるわへ。どれ+、ちつとおせへてやろうといゝながら、 00044270M2さしのぞき、Sヤア、これハらんくんとなつたナ。かうい 00044280M3く、かうくる。ウヽきめう+。コレサ、栄かう。ぬしも 00044290M4やぼなものだぜ。それじやアいかねへ。そののト、すでに 00044300M5ぢよごんをいわんトするを、越平のおやかた、ものをもい 00044310M6わず、かの男をはりたほせバ、おき直つてやつきとなり、 00044320M7Sコノむほうものめが。ぢよごんもいわねへうちに、ナゼ 00044330M8くらわしやアがつたトはらをたてバ、Sべらほうめ。いつ 00044340M9た跡でぶつちやア、やくにたゝねへ(十一オ) 00044350¥N3¥J 00044360¥X○おしやべり 00044370M12Sどうだ、お吉さん。でへぶあつくなつたが、ミなおかわ 00044380M13りもなしかね△Sヲヤ新蔵さん。どうなすつた。きついお 00044390M14ミかぎりさ。マアこつちへおあがんなさいナ。○ヱ、あね 00044400M15さんかへ。あねさんハほかのうちへさそハれて、けさはや 00044410M16アくまゐりました。つれかへ。アノつれハネ、お六さん、 00044420M17おかくさん、おやすさん、おひろさんと、つがう十人でい 00044430M18きましたヨ△Sしのたけさん、かんぴようさんハ、いつし 00044440M19よじやアなかつたかの△Sヲヤいやよ。それだから、もう 00044450M20++さミしくつてならないところさ。くち蔵どん。お 00044460¥P194 00044470¥G 00044480M1にばなをしかけてくんなえ。もし新さん。久しく舟へでな 00044490M2いね。○ヱ、さようさ。アノまんまさ。あの時ハおもしろ 00044500M3うございました(十一ウ上)ねヱ。かづさやからのつて、はし 00044510M4まですゞむつもりを、国さんトきんさんが、湯へはいつて 00044520M5からのことと、あをやぎへつけさせて、五人いちざでふろ 00044530M6ばへゆくト、くれがたで、すこしくらいに、くわ金さんが 00044540M7大ヲどつちりで、水ぶねへかたあし入レて、がうぎにわい 00044550M8たぜへト、まじめなかほもおかしかつたねへト、ひとりで 00044560M9しやべるゆゑ、さすがの新蔵、むだもいわれず、おもしろ 00044570M10くなきゆゑ、ぐつとぢれがきて、Sアイ。さようならト、 00044580M11いとまごひしててゝゆくに気もつかず、火ばちのはいをな 00044590M12らしながら、(十二オ上)Sそれからまた大酒となつて、チ 00044600M13トすゞみませうといつてのりだすと、十さんがいふにハ、 00044610M14橋間やすハ、さう※しくつていやだから、松の方へ行う 00044620M15と、だゞをいふを、ミなさんが、ばか※しいトおつしや 00044630M16つたが、きうばらで大おこり、なまえひの気にさからつち 00044640M17やアわりいト、松へつけたところが、あたりに舟いつそう 00044650M18もなし。まことにまつくらで、チトきひがわるくなつてく 00044660M19ると、いつの間におかひだか、うろ+舟のかミなりぼし 00044670M20を、十さんがざちうへなげたして、ソリヤへびがでた(十 00044680¥P195 00044690¥G 00044700M1一ウ下)にハ、とかがかいらねへばかりでございましたねヱ 00044710M2といゝかけて、ふつと気がつき、Sヲヤ、新さんハどこへ 00044720M3おいでだ△Sモウおか/入((ママ))なんさいました△Sいかなこつて 00044730M4も、あいさつもせずにサ。くち蔵どんもくち蔵どんだ。ナ 00044740M5ゼおとめ申さねへ。さうして、いつおけへんなすつた 00044750M6Sハイ、たしか、ミなさんが湯へはいつてお成なさるうち 00044760M7に、おかいんなさいました(十二オ下) 00044770¥N4¥J 00044780¥X○酒てんどうじ 00044790M10大江山のどうじ、くびになつても酒をのむことがやまず。 00044800M11くもにのつてひぎうなし(十二ウ)酒屋とミるとまひ下り、 00044810M12Sもゝんくわアと、こふうにおどして、酒屋をたふしける 00044820M13ゆゑ、上ミがたすぢハたいてい引つくし、かほをしられて、 00044830M14きつてがきかず。よんどころなく、くわんとうへとひくだ 00044840M15り、とある酒やへまひくだり、ぴんとしたところを五六升 00044850M16はやくかんをしろ。もゝんぐわアといふゆゑ、さかやのも 00044860M17の、ミな+色をうしなひ、さう+かんをつけてもちき 00044870M18たり、Sサアあがんなさいといへバ、Sべらぼうめ。くび 00044880M19ばかりだハト、大きな口をあくゆゑ、せんかたなく、こわ 00044890M20※升へあけてのませけれバ、Sホウいゝきびだ。とても 00044900¥P196 00044910¥G 00044920M1のことに、あたまをひとつ、たゝいてくりやれ(十三オ) 00044930¥N5¥J 00044940¥X○こん礼 00044950M4芝居ものゝところへ、よめがくるつもり。しかし、あまり 00044960M5しよどうぐがないゆゑ、どうぐだてをかりてならべたて、 00044970M6とりつくろひおきしに、まもなくなかうど、女ぼうをとも 00044980M7なひきたり、さかづき事もすミ、なかうどハひらく。跡に 00044990M8ふたりハひとね入しけるが、女房目をさまし、てうづに行 00045000M9んと(十三ウ)おきいづるはづミ、けこミへつまづけバ、た 00045010M10ちまち、どてとなるにきもをつぶし、ミかへるとたんに、 00045020M11からかミはづれて、まつばらとかわれバ、ます+おどろ 00045030M12き、たちいでんとする折から、ていしゆ、ねとぼけ、女房 00045040M13のすそをとらへて、Sかミさん。もうひとまく、ミていき 00045050M14ねへ(十四オ) 00045060¥N6¥J 00045070¥X○しわんぼう 00045080M17こじきばしといふところに、いけぬややつ兵へといへるか 00045090M18ねもちおやぢ、あるがうへにもためたがる、こゝんどつほ 00045100M19のしわんぼうにて、月ハ引まどもふるひとて、つき+高 00045110M20利をむさぼり、小ばんをならべて、きくのはなミだトうれ 00045120¥P197 00045130¥G 00045140M1しがるやつなりけるが、あるとき、何を思ひいだせしやら、 00045150M2かないをつれて、きうに芝居へ行キ、げいしやも二三人よ 00045160M3びての大じやれに、うちぢうのもの、きもをつぶし、うま 00045170M4れて芝居なぞをミたことのない人が、けふのおごり。ざつ 00045180M5とむなづもりにして十両あまり。気でもちがひハせぬかと、 00045190M6芝居ハミずに、おやぢのかほばかりミているくらい。ほど 00045200M7なくうちだしのたいことともに、ちや((や脱力))へもどりて、はまむ 00045210M8らやのたいふをよバんとのいゝぶんに、(十四ウ上)かない、 00045220M9ます+あきれたけれども、そのことばにまかせけれバ、ほ 00045230M10どなく太夫入りきたる。おやぢハあたりの人をとほざけ、 00045240M11さしむかひにてはなしたきことあるよし。ふしぎながら、 00045250M12ミな+そのざをはづせバ、かのおやぢ、小ごへになり、 00045260M13Sわしハこのように、ぜにかねをつかう身ぶんのものでハ 00045270M14ないが、きさまにでんじゆしてもらひたいことがあつて、 00045280M15それでかくのしあわせじやトいへバ、S何かようすハぞん 00045290M16じませぬが、わたくしに(十五オ上)でんじゆしてくれいと 00045300M17おつしやるハ、しよさごとのふりででもこざりますか。そ 00045310M18のことならバ、ミじゆくながら、ごさうだんも申(十四ウ 00045320M19下)ませうトこたへけれバ、かのおやぢ、まじめになり、 00045330M20Sイヤ、そのことでハない。むけんのかねハ、どうつきま 00045340¥P198 00045350¥G 00045360M1す(十五オ下) 00045370M3△△△いく/千代(ちよ)も△はなしにしげれ△うめの/花(はな) 00045380G1〔絵詞〕Sアヽつがもなく、めでたし+ 00045390M5△△△△△右△談洲楼焉馬 00045400¥Q 00045410M7△△△△△△△◇一円斎国丸画G|欣堂間人戯作G◇ 00045420M8△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十五ウ) 00045430¥P199 00045440¥U噺本大系△第十八巻 00045450¥G 00045460¥G 00045470¥T絵本/戯(おどけ)/忠臣蔵(ちうしんぐら)/噺(はなし)〔題簽〕 00045480¥Y 00045490M7文政頃刊 00045500M8大坂△綿屋喜兵衛等板 00045510M9中本二巻二冊 00045520¥Y 00045530M11/此書(このしよ)は、/御子達様(おこたちさま)までもよく/御(ご)ぞんじの/忠臣蔵(ちうしんぐら)/大序(だいぢよ)£大切 00045540M12/迄(まで)の/画面(ゑめん)をあらハし、其/上(うへ)に、/新作(しんさく)のおとしばなしをかき 00045550M13そへ、/男童様(ぼんさん)・/女児様(いとさん)のおとぎ/草紙(そうし)と申もをこがましけれ 00045560M14ども、たゞ/長吉(てうきち)殿のいねむりの/目(め)さましにならんかとおも 00045570M15ふのミなり(上ノ壱オ) 00045580¥P200 00045590¥G 00045600¥T1 00045610¥N1¥J 00045620¥X忠臣蔵大序△/鶴(つる)が/岡(をか)のだん 00045630M3つるが/岡(をか)におゐて、ゑんや/判官(はんぐハん)の/御台(ミだい)かほよ/御(ご)ぜん、よし 00045640M4/貞(さだ)のかぶと/実檢(じつけん)のやくをかふむり、/来(き)かゝるむかふへ、/高(かう) 00045650M5の/師直(もろなを)出きたり、かねてかほよに心をかけ/居(ゐ)たりしが、 00045660M6/幸(さいわひ)のよひしゆびと、むたいにくどきけれバ、かほよ御ぜ 00045670M7んも/初(はしめ)のほどはかたかりしが、女のくせ(一ウ)として、お 00045680M8かしい/気(き)になりて、/幕(まく)の/内(うち)へ引ずりこまれ、/師直(もろなを)とたのし 00045690M9むる所へ、/来(き)かゝるゑんや/判官(はんぐハん)がせきばらひに、びつくり 00045700M10し、今さら/出(で)るにも出られず、ふたりハ心をすへて、だき 00045710M11ついたまゝそらねいりして/居(ゐ)たりしが、判官、つまかほよ 00045720M12をさがしかね、もしやと心つき、/幕(まく)のうちをのぞいて見た 00045730M13れバ、/二人(ふたり)ともグウ+とそらいびき。判官、ぬからぬ/顔(かほ) 00045740M14で、ハヽア、かほよハ/□□((空白))ゆめでも見ているそふだ(二オ) 00045750¥P201 00045760¥G 00045770¥N2¥J 00045780¥X○弐段目 00045790M3もゝの井/若狭(わかさ)之介ハ、きのふ/鶴(つる)が/岡(をか)にて、/高(かう)の/師直(もろなふ)にはじ 00045800M4しめられ、その/無念(むねん)やミがたなく、おのれ師直、明日/殿中(でんちう) 00045810M5にて/一討(ひとうち)と、むねをすへ、/家老(からう)の本蔵をよび出し、右のよ 00045820M6うすかたり、われハすぐさませつぷくすれバ、あとのこと 00045830M7ども、よきにはからへを申わたされけれバ、本蔵ハ是を聞 00045840M8より一/大事(だいじ)と思へども、いつてつたんりよの御/生(むま)れなれバ、 00045850M9中+御かんげん(二ウ)申たとて、/所詮(しよせん)御きゝ入ハあるま 00045860M10いと、しう※/一世(いつせ)のわかれに時をう/((つ脱カ))し、とのハおくへ 00045870M11入給ふ。本蔵/□((はカ))あとにもろ手をくミ、お/家(いへ)の一たいじなれ 00045880M12バ、何とぞ/今宵(こよひ)/一夜(いちや)のうちに、/主人(しゆしん)のたんきのしづまるく 00045890M13ふうがありそふなものと、いろ+心をくだくうちに、ふ 00045900M14とおもひ出しけるお/出入(でいり)の/町人(てうにん)、/辻(つぢ)うら屋/三四(ミよ)右衛門は、 00045910M15何ごとにてもまじなひにてなをすと、かね+きけバ、か 00045920M16れをたのんで見んと、すぐさま/早馬(はやむま)ニて/城下(じやうか)なる三四右衛 00045930M17門が/宅(たく)へぞかけ出しける。ほどなく(三オ) 00045940¥P202 00045950¥G 00045960M1/辻(つぢ)うらやへつきけれバ、/三四(ミよ)右衛門出むかひ、おくざしき 00045970M2ニ通し、さま※ともてなしける。本蔵ハ右のようすをこ 00045980M3ま※とかたり、/御家(おいへ)の/一大事(いちだいじ)なれバ、何とぞ/貴公(きこう)のまじ 00045990M4なひにて、/今宵(こよひ)のうちに/主人(しゆじん)のたんきのしつまるよふに、 00046000M5まじなひをしてくれまいかと、ひたすらたのミけれバ、三 00046010M6四右衛門うけたまハり、しばし/小(こ)くびをかたむけ居たりし 00046020M7が、なるほど、せつしや御ぞんじ(三ウ)のとふり、まじな 00046030M8ひにてなんびやう、きちがひ、あるひ/((は脱カ))うせもの、はしり人、 00046040M9なんでもまじなひでなをらんといふことはなけれども、せ 00046050M10つかくあなた様の/御頼(おたの)ミと申、又ハながらくお出入の/殿(との)さ 00046060M11まの/一大事(いちだいじ)の御ことなれバ、何とぞしてまじなひでなをる 00046070M12ことなれバ、わたくし、ぢよさいはござりませねど、これ 00046080M13ハましなひではなをりませぬ。本Sそれハどふして。しか 00046090M14らバ/何(なん)としたものであらふといへバ、三四Sまじなひより、 00046100M15やはりまいないが、よふござります(四オ) 00046110¥P203 00046120¥G 00046130¥N3¥J 00046140¥X三つ目 00046150M3ゑんや/判官(はんぐハん)は、むまれつきたんきゆへ、物ごとなにゝよら 00046160M4ずせわしく、/別(べつ)して/夏(なつ)などハきびしくあつさによハり、ど 00046170M5ふそ手ばやに/下(しも)やしきへ/堀(ほり)をほらし、/水(ミづ)のながるゝやうな 00046180M6/仕(し)よふハないかと、ふしん/奉行(ぶぎやう)/原(はら)/郷(がう)右衛門をめされ、そう 00046190M7だんすれバ、郷右衛門申上けるは、いづれ/水(ミづ)はどこからな 00046200M8りとも/引(ひき)やうハござりますれど、ほりをほらせまする/日(ひ)か 00046210M9ずが、およそ三十日もかゝるでござりませふ(四ウ)といへ 00046220M10バ、/判官(はんぐハん)、イヤ+、それでハ/夏(なつ)も大かた、しまいになつ 00046230M11て、あつさをしのく/間(ま)にハあハぬ。ハテ、どふがなとしあ 00046240M12んのていに、そばに/聞居(きゝい)るおの九太夫すゝミ出て、イヤ、 00046250M13それにハよいしあんがござりまする。此かまくら中のふる 00046260M14/井戸(ゐど)をミな/買(かい)あつめて、つぎあハしたら、どふでござりま 00046270M15せふナ(五オ) 00046280¥P204 00046290¥G 00046300¥N4¥J 00046310¥X同三つ目切 00046320M3/殿中(でんちう)にて/判官(はんぐハん)、/師直(もろなを)にあつかう/言(いわ)れ、にんじやうにおよび、 00046330M4その/日(ひ)のそうどう、おゝかたならず。よふ+くれかたニ 00046340M5おさまりて、/仲間(ちうげん)小/者(もの)にいたるまで、/夜(よ)に入て、おのが/部= 00046350M6屋(へ=や)にいりて、/休足(きうそく)している/仲間(ちうげん)の/所(ところ)へ、となりの仲間出来 00046360M7り、さて+けふハ/大(おゝ)きなそうどう。たがひに/御(ご)くろうで 00046370M8あつた。ときに、けふのけんくわの/悪口(あつかう)ニ、(五ウ)もろな 00046380M9ふが/判官(はんぐハん)をとらへて、いなだ+いな/侍(ざむらい)たといハれたから 00046390M10おこつたけんくわだないかといへバ、ひとりの/仲間(ちうげん)、めつ 00046400M11そふな。そりやゑらいまちがひだ。あさねして判官どのゝ 00046410M12/来(き)よふがおそなつたゆへ、ふかじや+ふかざむらひだと 00046420M13いふて、はぢしめたから、おこつたのじやといへバ、イヤ、 00046430M14そりやきさまのいふのか、ちごている。いながほんまじや。 00046440M15イヤ+、ふかじや。イヤ、いなじや++。イヤ、ふ 00046450M16かじや+といふて、せりあふている/所(ところ)へ、又となりの/仲= 00046460M17間(ちう=げん)が出てきて、さつきニからきいてゐたが、どちらもちが 00046470M18ふている。ほんまハ/鯉(こい)からおこつたことじや(六オ) 00046480¥P205 00046490¥G 00046500¥N5¥J 00046510¥X○四段目 00046520M3ゑんや/判官(はんぐハん)の/家中(かちう)は、むねんながら/薬師寺(やくしじ)治郎左衛門へ/城(しろ) 00046530M4をあけわたし、すご+立のくうしろより、薬師寺はじめ 00046540M5/家来(けらい)/迄(まで)、/大音(だいをん)にて、いろ+とあつかういひのゝしりけれ 00046550M6バ、/千崎(せんざき)・竹もりをはじめ、ミな+きしミかゑつて、/口(くち) 00046560M7をしがれバ、/由良(ゆら)之介、/判官(はんぐハん)がさいごのたんとうを(六ウ) 00046570M8見せ、おの+をしづめけれども、/一向(いつかう)に/聞(きゝ)いれす。そこ 00046580M9で大ぼしも大きにもてあまし、ハテ/扨(さて)、おの+がたは何 00046590M10ゆへ、それがしが申/事(こと)を聞いれられぬぞ。弥五郎Sハア、 00046600M11/御尤(ごもつとも)の御いかりながら、あのあつかうを/聞(きゝ)ましては、いよ 00046610M12+われ+ハ/酒(さけ)のミのぼたもちでごさるといひけれバ、 00046620M13ゆらSイヤ、此ばニおよんで、さようなむたくちはおかれ 00046630M14い。シテまた、何ゆへにさけのミのぼたもちでこさるそと 00046640M15いへハ、ミな+、こへをそろへて、むねんの/上(うへ)へ(七オ) 00046650¥P206 00046660¥G 00046670M1あのあつこうを/聞(きい)ては、いつそ/此(この)むねがやけ申すゆへ 00046680¥N6¥J 00046690¥X○五段目 00046700M4/早(はや)のかん/平(ぺい)、てつぽうのかハりに、見ことにさいたる/梅(むめ)の 00046710M5/枝(ゑだ)をかたげ、/妻(つま)平といふ見へにて/来(く)ると、/向(むか)ふから定九郎 00046720M6が/来(きた)り、たがひにかほ見ハせ、定Sヲヽ/勘公(かんこう)か。/此(この)あいだ 00046730M7はとんとあハぬが、けふハどつちへ。シテマア、見ごとな 00046740M8梅を(七ウ)かたげて△かんSアイ。こりやこちの/背戸(せど)に/咲(さい) 00046750M9たのじやが、マアそのもとハどつちへ△定Sイヤ、もふお 00046760M10りや、どこのかのといふわけハねへ。山へいたり/里(さと)へもい 00046770M11たり、/宿(やど)なし/団(だん)七サ△勘Sそんなら、おかるが/所(ところ)までつき 00046780M12あひハどふだ△定Sヨウ、かのぎをん/町(まち)へか。なんぞよい 00046790M13ことなら、ずいぶんつきあハふか△勘Sイヤ、/別(べつ)によいこ 00046800M14とといふではなけれど、/此(この)あいだかゝめが(八オ) 00046810¥P207 00046820¥G 00046830M1/状(じやう)をおこして、/背戸(せど)の/梅(むめ)が/咲(さい)たら、もつて/来(き)てくれ。その 00046840M2かハりにハ、おまへが/好(すき)なふぐ/汁(じる)をくハそふといふておこ 00046850M3したから、わざ+此梅の/枝(ゑだ)をもつてゆきやんす△定Sこ 00046860M4りやまためづらしい。ちしや/汁(しる)くひに梅の/花(はな)といふ/句(く)はあ 00046870M5るが、ふぐ/汁(じる)くひに梅の花と、いまだあたらしいが、おり 00046880M6や、よしにせふ△勘Sムウ、そんならきらひか△定Sイヤ、 00046890M7ふぐ/汁(しる)ハ/大好(だいすき)だが、おりや、ちと(八ウ)かまふ△勘Sそり 00046900M8やまた、なぜな△定Sハテ/扨(さて)、おれにてつぽうは、大いミ 00046910M9ものた 00046920¥N7¥J 00046930¥X○六段目 00046940M12母Sコレおかるや。むこの/勘(かん)平どのと、ずいぶん中よふし 00046950M13てたもや。そふしてどふじや。きげんはよいかや。かなら 00046960M14ず/女夫(めうと)げんくわをしやんなや△おかるSアイ+、ずいぶ 00046970M15ん/夫婦(ふうふ)中ハよいけれど、とかく/寐所(ねところ)へは入てから、くだん 00046980M16のことにかゝると、いつでも小ごとが出やんす。わしやそ 00046990M17れが、くになつてならぬわいなア△母S/苦(く)になる(九了オ) 00047000¥P208 00047010¥G 00047020M1とハ/気(き)づかひな。そりやまた、どんな/小(こ)ごとをいわしやる 00047030M2ぞいのふ△おかるSアイ、勘平どのがいわしやんすにハ、 00047040M3わがミのハゑらい下で、あぢがわるいてゝ△母Sナニ、そ 00047050M4んなことを/苦(く)にやむことハない。コレ、こんどから勘平ど 00047060M5のがそんな事いハしやつたらハ、/□((ちカ))やつとあしのきびすで、 00047070M6/耳(ミヽ)のあな、おさへて/居(い)や(九了ウ) 00047080¥P209 00047090¥G 00047100¥G 00047110¥T1 00047120¥N1¥J 00047130¥X○七段目の口 00047140M3さる/所(ところ)の/門口(かどくち)へ、ある/夜(よ)、/軒付(のきづけ)にこじきが、/忠臣(ちうしん)ぐらの七 00047150M4つ目、/長(なが)+とかたるゆへ、内から、とふれ+といへど 00047160M5も、/一(いつ)かふかまハず。そこで/番頭(ばんとう)が長吉をよんで、/一(ひと)つか 00047170M6ミやつて/早(はや)ふいなせといへバ、長吉、ハイ+といひさま 00047180M7一トつかみ/米(こめ)をにぎり、門の戸をぐハら+とあけて見た 00047190M8所が、たれも居ぬゆへ、かてんゆかず。たつた/今迄(いままで)かたつ 00047200M9て居たものが、どふしたやらと、/西(にし)を見、/東(ひがし)を見てもいぬ 00047210M10ゆへ、長吉はぬからぬかほで、ハアヽ、くだハもふ、いな 00047220M11れたそふな(下ノ一オ) 00047230¥P210 00047240¥G 00047250¥N2¥J 00047260¥X○七段目の切 00047270M3/当秋(とうあき)は/京都(きやうとう)にて、ことのほか/御所柿(ごしよがき)が、よい/直(ね)にうれると 00047280M4いふうハさを/聞(きゝ)つけ、ばゝとそうだんして、おかるがてゝ 00047290M5/親(おや)与市兵へハ、/背戸(せど)に/出来(でき)たる/御所柿(ごしよがき)をずつしり取て、/一= 00047300M6荷(いつ=か)にして、/京(きやう)へもつてのぼりしところが、/折(おり)よく/朔日(ついたち)のこ 00047310M7となれバ、人どふりもしげく、(下ノ一ウ上)これハよい/時(とき)も 00047320M8つて来たぞ。/定(さだ)めてけふハよくうれるで有ふと、よろこび 00047330M9+ぎをんの/一(いち)りきへきたり、今日ハかやう+のことで 00047340M10まいりました。どふぞしバらくの/間(あいた)、(二オ)お/店(ミせ)さきをお 00047350M11かしなされて/下(くだ)されとたのむゆへ、店にいるせんかうばん 00047360M12して居る/男(をとこ)が、男Sムヽ、これハたれじやと思へバ、(下ノ 00047370M13一ウ下) 00047380¥P211 00047390¥G 00047400M1与一兵へさん。サア+お/安(やす)いこと。すいふんとお出しな 00047410M2されといふに、与一Sさよふなら、どふそむしろを一まい 00047420M3/御(ご)むしん申たふござりますといふゆへ、/庭(にハ)に居るおとこに 00047430M4いひ/付(つけ)、/納屋(なや)よりむしろを一まい出してあてがへバ、与市 00047440M5兵衛、大きによろこび、すなハち/一力(いちりき)の/店(ミせ)さきへひろげ、 00047450M6かの/柿(かき)をならべて/売(うつ)て居る所へ、/一力(いちりき)のていしゆ/徳(とく)右衛門、 00047460M7ぎをんさまより/帰(かへ)り、徳Sヲヽ、これハ与一兵へか。よく 00047470M8こそ△与Sハイ+、これハだんな様。今日ハお見せさき 00047480M9を/御無(ごむ)しん申上ました△徳Sハアやすいことじや+。ち 00047490M10と内へはいつてお/茶(ちや)でもまいれと、心よくいひつゝ内へは 00047500M11いりて/店(ミせ)の男をよび、徳Sコリヤ(弐ウ)/金(きん)八。/今(いま)ぎをんへ 00047510M12まいつた所が、/由良(ゆら)大じんが二けん/茶(ちや)屋にこざつて、おつ 00047520M13つけこれへお出じや。/店先(ミせさき)が見ぐるしてハわるい。ことに 00047530M14おかるのかたミにもかゝれバ、コレ、よ市兵へも大のつち 00047540M15ゆへ、はらを/立(たゝ)ぬよふにあんばいよくいふて、/少(すこ)し西の方 00047550M16へよつてもらへといひ/付(つけ)られ、金八は/門(かど)へ出て、金Sコレ 00047560M17与市兵へさん。せつかくそこへ店を出しなんしたけれど、 00047570M18/追付(おつつけ)こゝへ/大事(だいじ)のおきやくがお出じやよつて、だんながそ 00047580M19ふいふてじや程に、(三オ) 00047590¥P212 00047600¥G 00047610M1どふぞきのどくじやけれど、/向(むか)ひも/西(にし)の/方(ほう)も、こつちの/借= 00047620M2家(しやく=や)じやによつて、ちいと/店(ミせ)を/引(ひい)てもらへとのことで厶んす。 00047630M3じやまじやあらふけれと、ちよぼらんとひいて下されとい 00047640M4へバ、へんくつ/親父(おやぢ)の与市兵へ、たちまちきねを/起(おこ)して、 00047650M5たつた今、たんなどのハ心よふいふて下されたに、/貴(き)さま、 00047660M6何でそんな/意地(ゐぢ)のわるいことをいふぞ。ヱイワイ、いま 00047670M7+しいとほやきて、(三ウ)/柿店(かきミせ)を/片(かた)づけ、むしろを/一力(いちりき) 00047680M8の内へほりこみ、/柿(かき)をになひ/帰(かへ)らんとして、フツト/格子(かうし)か 00047690M9らのぞいて居るおかるとかほ見あハせ、与Sそこに居やる 00047700M10ハおかるじやないかといへバ、おかるSアイ、うらさんか、 00047710M11といふた 00047720¥N3¥J 00047730¥X○八段目道行 00047740M14/加古川(かこがわ)本蔵の/妻(つま)となせ、むすめ小なミをいざなひ、はる 00047750M15※と江戸より京へちやくせしが、/何角(なにか)のしたくとゝのへ 00047760M16て、いよ+あしたハ(四オ) 00047770¥P213 00047780¥G 00047790M1山しなの大ぼし/由良(ゆら)之介殿方へ、よめいりにつれてゆくと 00047800M2て、まひのばんに、/母(はゝ)となせ、/娘(むすめ)小なミをひざちかくよび 00047810M3よせ、となせSコレ小なミ。あすは/力弥(りきや)どのとしうげんの 00047820M4さかづきをさすか、うれしいか+。したが、今まてとハ 00047830M5ちかふて、おつとのある/身(ミ)はこゝろをくばり、ことに大ぼ 00047840M6し/親子(をやこ)の/衆(しう)は、ものがたいお人なれバ、かならずきんじよ 00047850M7の/若(わか)い/衆(しう)や、または/出入(でいり)の人が見へても、わがミのもちま 00047860M8への/汐(しほ)の/目(め)は、とんとやめたがよいぞや。そりやもふ(四 00047870M9ウ)人さんのお/出(いて)たときハ、あいそなら、すいぶん/大事(たいじ)は 00047880M10ないけれど、/出(で)しほの/目(め)は、してもだんないけれど、かな 00047890M11らず/引(ひき)しほの/目(め)は、しやらぬがよいぞやといひけれバ、 00047900M12小なミSかゝ様。心得ましたが、今おつしやつた引しほの 00047910M13目は、なぜ/出来(でき)ませんへとたづねけれ/((バ脱カ))、となせSハテ、し 00047920M14れたこと。/引(ひき)しほには、ゑて/貝(かい)をとられるわいのふといふ 00047930M15た(五オ) 00047940¥P214 00047950¥G 00047960¥N4¥J 00047970¥X○九段目 00047980M3大ぼし/由良(ゆら)之助は、/山(やま)しなの西の山村といふ所に/閑居(かんきよ)して、 00047990M4かね※/茶(ちや)の/湯(ゆ)をこのミけるゆへ、いろ+とめづらしき 00048000M5/道具(どうぐ)をあつめ/楽(たの)しミける。ある/日(ひ)も/出入(でいり)の/小道具屋(こどうぐや)、あん 00048010M6ないしておくへ通り、道ぐやSだんな。今日もよろしきお 00048020M7天/気(き)でござります。さておもしろい/一軸(いちゞく)がござりますゆへ、 00048030M8お/目(め)にかけにさんじました。どふぞおめし下されとさし出 00048040M9せバ、/由良(ゆら)之介、/手(て)に(五ウ)とりあげて、由Sトレ+、 00048050M10ハヽアこりや/大燈国師(たいとうこくし)だな。見事そふなが、しかし/意地(いぢ)の 00048060M11わるい/姑(しうと)ときて居わいの△道Sそりやまた、なぜてごさり 00048070M12ます△由Sちと、よめにくいハへ△道Sイヤ、/姑(しうと)のかハり、 00048080M13大ふん/直(ね)うちものでござります△由Sムウ、そんならこれ 00048090M14は、もとめて/置(おか)ふ△道Sイヤ申、お/次手(ついで)にだんな、此はぎ 00048100M15の/茶(ちや)わんも、おもとめ下されませぬか△由Sドレ+と手 00048110M16にとつて、イヤ、これはいかぬ。しうとめハまだかんにん 00048120M17がなりもするが、此/茶(ちや)わんハ、(六オ) 00048130¥P215 00048140¥G 00048150M1こりやおつつけ、よめいりして/来(く)る/小(こ)なみときて居るわい 00048160M2道Sヱヽ、そりやまたなぜてござりますへ△由Sサイヤイ、 00048170M3もふわれてある 00048180¥N5¥J 00048190¥X○十段目の口 00048200M6おそのゝてゝ/親(をや)、ゐしや/了竹(りやうちく)。/天河(あまかわ)屋の/門(かど)口から、了S/此= 00048210M7間(この=あいだ)はいそがしいので、ねつからよふ見まわぬが、義平どの、 00048220M8/風(かぜ)ハさめたかのと、たづねに/来(きた)りしかバ、義平立いで、義 00048230M9Sヲヽしうと/殿(どの)。(六ウ)此間からまつて居ました。もつと 00048240M10ねつがとれません△了Sそふかな+。わしもそふであら 00048250M11ふと/思(おも)ふて居たれども、いつかうびやうかゞたんとあつて、 00048260M12いそがしいゆへ、マア/一家(いつけ)ハついうちすてゝおきました 00048270M13義Sハテナア、おまへのよふなゐしやでも、はやるかいな 00048280M14ア△了Sはやるとも+。あちらからもこちらからも、 00048290M15ひきずり/引(ひつ)ぱり。そしてわしをミな人が、めいぶつゐしや 00048300M16+といふわい△義Sそりやまた、どふしてめいぶつとい 00048310M17ふじやあろなア△了Sハテ、しれた事じや。めいぶつ+ 00048320M18といふもどふり。さかゐ/中(ぢう)でじやよつて(七オ) 00048330¥P216 00048340¥G 00048350¥N6¥J 00048360¥X○十段目の切 00048370M3由良之介、義平にうちむかひ、由Sだん+/貴殿(きでん)の/御厚志(ごかうし) 00048380M4のほど、/千万(せんばん)かたじけなし。イヤもふ、/武士(ぶし)のおよバぬあ 00048390M5つぱれのたましい、かんずるにあまりあり。/此(この)ほどの/御(ご)し 00048400M6んぱい、/御礼(おれい)はことばにつくしがたし。何をがな御礼とぞ 00048410M7んずれども、(七ウ)/浪人(ろうにん)の/身(ミ)の心にまかせず、ほんの/御礼(おれい) 00048420M8のしるしまで。ソレ+/竹森(たけのもり)どのと、さしづにしたがひ、 00048430M9/喜多(きた)八ハ義平がまへに、/何(なに)かちいさい/小風呂敷(こふろしき)につゝミし 00048440M10まゝさしおけバ、由良之介、いんぎんに手をつかへ、お礼 00048450M11と申もおこがましけれど、われ+どもが/寸志(すんし)、いざ+ 00048460M12/御受納(ごじゆのふ)下されと、きいて天川屋義平は、これハ+ぞんじ 00048470M13もよらぬ/御音物(ごいんもつ)。しかしながら町人ふせいに、このたびの 00048480M14/御用(こよう)おゝせ下されしハ、ミやうがにかなひし/身(ミ)のしあわせ。 00048490M15お/礼(れい)うけるいわれはなけねど、おこゝろざしの/此(この)つゝミ、 00048500M16いたゞき(八オ) 00048510¥P217 00048520¥G 00048530M1ますと、手にとりあげ、シテ、/此(この)中の/品(しな)ものハ。由S/明日(あす) 00048540M2のひよりでござる△義Sムウ、スリヤこの/風呂敷包(ふろしきづゝミ)が/明日(あす) 00048550M3のひよりとな。その御心ハな△由Sハテ/扨(さて)、/明(あけ)て見にや、 00048560M4わからぬ 00048570¥N7¥J 00048580¥X○十一段目△@大切△△|かたき討@ 00048590M7扨も/高(かう)の/師直(もろなを)のやしきへ、大ほし由良之介、同じく力弥、 00048600M8あるひは千/崎(ざき)、竹もりをはじめとして、四捨七人の/義士(ぎし)、 00048610M9/夜討(ようち)に/込(こミ)いり、めい+おもひ+の(八ウ)/道具(どうぐ)をたづさ 00048620M10へ、あたるをさいわひ、きりたてなきたて、またはうちく 00048630M11だき、めざすハ/師直(もろのふ)たゞ一人と、/家内(かない)をたづねるそのきび 00048640M12しさに、師直ハむまれてからはしめての/大(おほ)うろたへにて、 00048650M13やう+としば/部屋(べや)の小すミへかくれて居たりしが、天の 00048660M14/助(たす)けにや、四十七人のめん+、ほう+をさがしけれど 00048670M15も、此しば(九了オ) 00048680¥P218 00048690¥G 00048700G1△絵本二冊物目録△△△△△同一冊物目録 00048710G2仮名手本忠臣蔵△伊賀越道中双六△@おはん△|長右衛門@かつら川 00048720G3妹背山婦女庭訓△碁太平記白石噺△@おそめ|久まつ@歌さいもん 00048730G4日吉丸稚桜△△△御とぎ目出度草△大和往来 00048740G5源平八島合せん△△△△△△△△△かりがね染 00048750G6忠孝貞女鑑△△△△△△△△△△△@おしゆん|伝兵衛△@河原立引 00048760G7合書童子訓△此書は手習ひ子の入べきことを残ず 00048770G8△△△△△△△△△△集る絵をましへ御とし玉ニよろしき本也 00048780G9本屋むしおさへ△御求驚天の御霊楽小児むし八切 00048790G10△△△△△△△△△△万病よし第一のミよきゆへのますせハなし 00048800G11書林△大阪心斎橋通南四丁目△△△綿屋平兵衛 00048810G12△△△同△△△北堀江市ノ側△△△綿屋喜兵衛 00048820¥P218 00048830¥G 00048840M1/部屋(べや)の事/気(き)がつかず。四十七人のめん+は、師直をうち 00048850M2もらし、むねん+とあせれども、せんかたなく、むなし 00048860M3く此ばをかへりける。師直はあまの/命(いのち)をひらひ、/翌日(よくじつ)、/家= 00048870M4来(け=らい)をミな+めしよせて、さて+、ゆふべは/手(て)ひどいめ 00048880M5にあふた。わいらもおどろいたであらふ。/此(この)のちは、かた 00048890M6きうちハきつと/御法度(ごはつと)じやぞ(九了ウ) 00048900¥P219 00048910¥U噺本大系△第十八巻 00048920¥G 00048930¥T/延命(えんめい)/養談数(ようだんす)〔題簽〕 00048940¥Y 00048950M3天保四年正月刊 00048960M4桜川慈悲成作 00048970M5香蝶楼国貞画 00048980M6山本平吉板 00048990M7中本二巻四冊 00049000¥Y自序 00049010M11まかり/出(いで)たる/某(それがし)ハ、/当年(たうねん)つもつて七十二/才(さい)、/野良頭(やらうあたま)ハ/青本(あをほん)、 00049020M12イヽヤ/赤本(あかほん)の/戯作者(けさくしや)、むかしおもへバしのだの/狐(きつね)、一日 00049030M13/両国(りやうこく)大のしの/楼上(ろうせう)にて、五ツ目の/色男(いろをとこ)と/角久(かどきう)の/親方(おやかた)と、 00049040M14/狐拳(きつねけん)の/大酒盃(おほさかづき)の/数(かず)/山(やま)となり、/噺(はなし)ハたえぬ/瀧水(たきすい)に、せんた 00049050M15くものゝ/夫(それ)ならで、/仕立(したて)おろしの/即席咄(そくせきはなし)、一/夜(や)/明(あけ)ての/神風(かミかぜ) 00049060M16や、/伊勢縞(いせじま)の/布子(ぬのこ)から、/黒羽二重(くろはふたへ)の上&迄、/御意(ぎよい)にかなふ 00049070M17て/行丈(ゆきたけ)の、/短(みじか)い所は/御眼長(おんめなが)に/古物老人(こぶつろうじん)の/新作(しんさく)、大江戸の/御= 00049080M18贔屓(ご=ひいき)、/能(よく)/出来(でき)たとハ/当世(たうせい)/流行言葉(りうこうことば)と、/御評判(ごひやうばん)を/楽(たの)しむものハ、 00049090M19△△△天保四巳ノ初春△△△△△△芝桜川慈悲成咄 00049100M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(壱オ) 00049110¥P220 00049120¥G 00049130G1/延命(ゑんめい)△△△△△△△△@桜川慈悲成作|香蝶桜国貞画@ 00049140G2/養談(やうだん)△△△△△△△△天保四発巳年 00049150G3/数(す)△△△△△△△△△盂春吉日開鐫 00049160G4全四冊△△△△△△△△△△江戸よし町親父橋角 00049170G5上之巻△△△△△△△△△△△山本平吉梓 00049180¥T1 00049190¥N1¥J 00049200¥X/年礼(ねんれい) 00049210M3ねんれいのともやとひの金助、大ゑひにて、とし玉のふろ 00049220M4しきつゝミハ、だんなのくびにかけさせ、だんなどの、き 00049230M5ん助をかたにかけて、もつともだ+と(壱ウ上)だまし 00049240M6+かへらるゝ。金助Sコレだんな。まアしづかにいきな 00049250M7せヱ。ぬしもぬしだ。あのいせやのうちへ礼にいくハいゝ 00049260M8が、わざとおいハひといふのハ、さきのあたりめへのせり 00049270M9ふだア。又ゑいじつ+、まづこんにちハとにげるが、礼 00049280M10しやのあたりめヱのせりふだ。それをおめへ、なんだ。さ 00049290M11やうなら、ちよつと一ぷくと、ざしきへとほつて、そして 00049300M12なんだ、おもしろくもねへ、ふゆとしばなし。そのうちに 00049310M13さかづきのでるハしれた事だア。これだんな。ぬしハあの 00049320M14いせやのこんだ来たかミさんがうつくだから、べん+と 00049330M15はなしているだらう。その内にすひものだらう。だんな。 00049340M16てめへ、のむハいゝが、わがミつめつて(二オ上)人のいた 00049350M17さをしつたがいゝ。此きん助ハさむい見せのはなに、こし 00049360M18をかけてゐるハ、よしかつらいね。それでもいせやのこん 00049370M19だきたかミさんが、おれをかハいゝとおもつたか、よし又 00049380M20おれにほれたか、おともの人、おひもしからうといつてく 00049390¥P221 00049400¥G 00049410M1れるのを、だんな、ぬしハなにさ+、おかまひなさるな 00049420M2と、なぜおれをまアあのやうに、つれなくとりおこなつた。 00049430M3これだんなどん。此いなやのおへんじ、どですか、いかゞ 00049440M4ですといふものゝありてヱ。ときに、だんな。かういふり 00049450M5くつだ。おめへをまつてゐるうち、とし玉ものゝつゝミを 00049460M6見せへあつけて、むかふのゆとうふで、四文壱合やらかし 00049470M7て、見せへかへると、見せのばんしうが、おとものだんな、 00049480M8おさむからう。一ぱいと、かすの子を三つ四つに、ちやわ 00049490M9んをそへて、あつがん一トちやうし。手しやくで四つ五つ 00049500M10のんだところへ、うちの女が出て、ちやうしぎりのミねへ。 00049510M11わたしが/わたしか((ママ))ついでやらうといつたから、たほのしや 00049520M12くじやア又いゝと(壱ウ下)ちやうしぎりやつてしまつたが、 00049530M13だんな、おらアゑひハしねへよ+と、ぐら++。だ 00049540M14んな、金介が手を引てかへりかけ、S小ぞう。こゝの松む 00049550M15らちくあんさまへ、ちよつと礼によらねバならぬが、なま 00049560M16ゑひがとし玉をおとして、何もあげるものがない△小ぞう 00049570M17Sお手札になされまし△S手札でもあるまい。なんぞあげ 00049580M18たいものじやといへバ、小ぞう、利こうなかほをして、 00049590M19Sだいじなとくゐば、手ふだ一まいでもござりますまい 00049600M20だんなSさうさ+と、あたまをかけバ、小ぞう、きのつい 00049610¥P222 00049620¥G 00049630M1たかほにて、Sそんならおもひきつて、手ふだの二十四五 00049640M2まいも、おあげなさりまし(二オ下) 00049650¥N2¥J 00049660¥X/初松魚(はつかつを) 00049670M5今ハむかし。はなの三月、かまくらゆひがはまに、たいり 00049680M6やうあり。ことにめづらしきはつかつを、あがりけれバ、 00049690M7ゆひがはまのりやうしども、これハまづはつものなりとて、 00049700M8うだいせうへこれをけんぜうす。はまべのとしよりつきそ 00049710M9ひ、御てんへもちきたり、とりつぎやくにんばんばの右太、 00049720M10半ざハ六郎へ、めづらしき初かつを、おん大せうへけん上 00049730M11とねがひけれバ、ばんば、はんざハ、これをうけとりて、 00049740M12きミ御まんぞくならん。かぢハらどの、はたけ山どのより 00049750M13御ぜんへさし出し申さんと、ひろまへもちゆき、ゆひがは 00049760M14まのりやうしどものねがひ申あげけれバ、かぢハら、はた 00049770M15け山、これをごぜんへさしいだし、(二ウ上)御らんに入る 00049780M16ゝ。よりとも公これを御らんありて、これハめづらしきう 00049790M17をなり。さつそくほうちやう申つけよとありけれバ、かぢ 00049800M18ハらすゝミいで、はゞかりながら、きミへ申あげたてまつ 00049810M19る。よし田のけんこうなるもの、つれ+ぐさに、かまく 00049820M20らのうミにかつをといふどくぎよあり。かしらハ下人もく 00049830¥P223 00049840L1らハずと申たれバ、このうを、きミの御ぜんぶにハ相なら 00049850L2ず。この義、かぢハら御ことわり申あげると、かむりをふ 00049860L3りけれバ、はたけ山しげたゞも、なるほど、かぢハらの申 00049870L4さるゝとほり、きミの御ぜんぶにハあげられず。このしげ 00049880L5たゞ、てうだいつかまつり、とくとおどくミいたし、ごに 00049890L6ちにいかほども御ぜんぶにさしいだし申べく、まづしげた 00049900L7ゞてうだいと、しらきのだいに手をかくれバ、かぢハらし 00049910L8つかとおさへ、これしげたゞ。どくぎよでさしあげまいと 00049920L9申あげたハこのかぢハら。そのしり馬にのつて口出してて 00049930L10うだいせんとハ、そりやならぬ。てうだいしてよきハ此か 00049940L11ぢハら。たうじ(三オ上)はのきくかぢハらが、からしミそ 00049950L12でおどくミするハ。Sイヤ、からしみそでハおさまらぬ。 00049960L13はたけ山がはたけの引たてだいこおろしで、めしのさいに 00049970L14どくミするハ△Sイヤ、はつかつをげこにくハるゝくちを 00049980L15しさ、と人もまうせバ、めしでハむごいはつかつを。この 00049990L16かぢハらがたきすいでどくミする△Sイヤ、しげたゞ(二 00050000L17ウ下)がと、たがひにりやうこのあらそひ。大せう、これ 00050010L18を御らんありて、そのうををたがひに、せんぢんごぢんと 00050020L19/と((衍))あらそふしさいぞあらん。かたれ+とありけれバ、か 00050030L20ぢハら、はつと手をつき、おそれながら、此はつかつを、 00050040M1下部で、わがきミさまじやと申ます。大せう、おんきゝあ 00050050M2りて、なに+、そのうをを此よりともとハいかに。しげ 00050060M3たゞ両手をつき、此はつかつをハ、あたまから大きなねだ 00050070M4んでござります(三オ下) 00050080¥N3¥J 00050090¥X/姫路革(ひめぢかハ) 00050100M7ばん州ひめぢにてせいする、ごく上かハを/姫路革(ひめぢかハ)といふ。 00050110M8/書損(しよそん)也。/姫痔革(ひめぢかハ)とかくべし。なんてんぢくに長じやあり。 00050120M9一人の(三ウ上)むすめありて、うつくしきこと玉のごとく、 00050130M10せいしもおよばぬきりやうにて、ことに長じやのあいしに 00050140M11て、あらきかぜにもあてずそだてけるが、一つのやまひあ 00050150M12りて、つねにこのやまひにくるしむ。このやまひ、いハゆ 00050160M13る痔也。さま※にりやうぢすれども、よろしからず。て 00050170M14んぢくのめいい、これを見て、こしのひへよりおこる、ぢ 00050180M15といふやまひなり。こしをよく+あたゝむるものならバ、 00050190M16しぜんとぢすべし。よきかハをよく+火にてあたゝめ、 00050200M17とりかへ+こしにまくべしと申けれバ、てうじやのこと 00050210M18ゆへ、そまつなるかわにてハまかず、あたひたつときかわ 00050220M19をもつて、ひめのこしまきと(四オ上)なす。日をへて、ひ 00050230M20めのぢ治しけれバ、これハめいよのかハなりとて、人+ 00050240¥P224 00050250¥G 00050260M1これをしやうびして、ひめのぢかハといふを、のちにひめ 00050270M2ぢかハといふ。ぢもんにからまつ、きくのやうなる極印あ 00050280M3るハ、これ、ひめのおしりのきくざなりと目きゝすべし。 00050290M4出痔いらず、かうとうなるかハなり。てんぢくに(三ウ下) 00050300M5ラツ/虎(こ)といふけものあり。もしラツコかといへば、またあ 00050310M6る人まうさるゝにハ、おひめさまの/痔(ぢ)へ、だつこのかハは、 00050320M7ごむよう+(四オ下) 00050330¥N4¥J 00050340¥X夢の市郎兵衛が噺 00050350M10むかし、ゆめのいちろ兵衛といふものあり。これハ小ふろ 00050360M11しきをせおひて、まち+を、ゆめかハう+とて、わめ 00050370M12きあるきけり。あるいへにて、かれをよび入れ、ゆめうら 00050380M13うといへバ、そのいへに入りぬ。いへの(四ウ上)あるじ、 00050390M14ゆめかひに、さて+めづらしきせうばいなり。きさま、 00050400M15ゆめをかふて、そのゆめを何にして、よわたりするぞとと 00050410M16へバ、いちろべい、ゆめをかひまして、またそのゆめをほ 00050420M17しがるかたへ、利をつけてうります。此間もさるかたでか 00050430M18ひましたゆめが、おつなゆめでござります。まづゆめのは 00050440M19じまりが、ふうふげんくわで、御ていしゆ、はらをたちて、 00050450M20はら立まぎれに、はおりをぶちころして女郎かひにゆきま 00050460¥P225 00050470¥G 00050480M1したところが、ずいぶんをとこぶりもよいが、そのばん、 00050490M2よくもない女郎におもいれふられ、いま+しい女郎めだ 00050500M3と、やけをおこし、よふけてかへり、大おんじまへでおひ 00050510M4はぎにあふて、まつぱだかにされて、さむいが身にしミ、 00050520M5めがさめてかぜをひいたといハれましたから、はだか八く 00050530M6わんもんにかひましたが、もつてあるいたらバ、(五オ上) 00050540M7りやうごくへんて、山師らしき人が此ゆめをほしがるから、 00050550M8三両にうりました。そのときわたくしが、このゆめを何に 00050560M9なさるときゝましたら、よくもない女郎にふられ、かへり 00050570M10がけにおひはぎにあふとハ、よく+のごうさらし。よい 00050580M11見せものにするきだといハれましたとはなせバ、あるじ、 00050590M12わしもうりたい。ゆふべ、ぼたもちでたゝかれるゆめを見 00050600M13ました。からだぢうがべた+して、さて+わるいこゝ 00050610M14ろもち。めがさめると大あせをかきました。いくらでもよ 00050620M15し、かふて(四ウ下)下さいといへバ、ゆめかひ、ぼたもち 00050630M16いのことはんじて、十匁にかひませうと、ぜにをわたし、 00050640M17ふろしきへ何やらつゝむやうにして出てゆくを、あるじ、 00050650M18よびかへして、そのゆめハ、どちらへうらしやるといふに、 00050660M19ゆめかひ、これハやハらかなゆめじやによつて、内のばく 00050670M20+おやぢにくハせます(五オ下) 00050680¥P226 00050690¥G 00050700¥N5¥J 00050710¥X/能因(のういん) 00050720M3のういんほうしハきのかるい人にて、みちのくへうたまく 00050730M4らとこゝろざしけるが、よく+かんがへてミれバ、なか 00050740M5+ながたび、くたびれぞんとぶせうをおこしいられける 00050750M6が、もミぢしてけり白川のせき、とうたができてみれバ、 00050760M7みちのくへめぐらんといハれてハ是もをかしなものと、ふ 00050770M8とこゝろづき、わがかほの日にやけたらバ、人も長たびし 00050780M9たるとおもふべしと、いほりのまるまどから、まいにちか 00050790M10ほをだして、日にやけられける。かほハあかくなつてよろ 00050800M11しけれど、いまだうしろのかた、日にやけの見えざれバ、 00050810M12うしろむきになりて、おもふまゝに日にあてゝゐられける。 00050820M13をりふし人とほりかゝりて、このかぼちやハいくらぢやと 00050830M14まうしけれバ、のういん、あたまをまどへ引こめて、やれ 00050840M15+うれしや。よくなれたそうじや(五ウ) 00050850¥N6¥J 00050860¥X/大力(だいりき) 00050870M18/孔子(こうし)のおでしのうち、しろといふハ、きのかるき人。その 00050880M19うへ、ごうりきにて、をり+こうし御たいくつのせつハ、 00050890M20たハらのきよくもち、大石なぞをかつぎて、こう/子(し)に御ら 00050900¥P227 00050910¥G 00050920M1んに入るれバ、こう子おんよろこびあつて、おもしろや 00050930M2+と、ふだんおほせ候まゝ、おもしろと名をくだされけ 00050940M3り。子ろ、ある日ゆふぐれに、こう/子(し)の御ふちまいなるか、 00050950M4米四五ひやうをせおひて山をくだりける。あとより人二三 00050960M5人きたり、あれ見よ。つよきものなり。たゞ+たハらの 00050970M6あゆミゆくやうなり。たゞものにハあらず。はしりついて 00050980M7見んと、はやあしにゆけども、子ろハおもにをことともせ 00050990M8ず、すた+とゆくにおひつかず。壱人申けるハ、あのた 00051000M9つしやハ、たしかにこう子のおでし子ろならんと、一人か 00051010M10けりゆきて、せおひゆくたハらをたゝきて、子路なるか、 00051020M11しろなるかといへバ、しろ、ふりむきもせず、まだくろご 00051030M12めじや、くろ米じや(六オ) 00051040¥N7¥J 00051050¥X/無筆(むひつ) 00051060M15こゝにわかさかりのふうふあり。なかよすぎて、あさから 00051070M16ばんまでやきもちけんくわ、しやうばいのやうにせいいだ 00051080M17し、まいにち+なかうどをよびつけ、こまらせけれバ、 00051090M18仲人もあきれはて、こんどよびによこしたら、かんにんぶ 00051100M19くろのををきらし、さうだんしてわけてしまうがよいとお 00051110M20もふてゐるところへ、またけんくわだと人がくる。けふこ 00051120¥P228 00051130L1そと、なかうど、そう+きたり、さて+こまつたもの。 00051140L2わしがなかうどして、よめによこしたその日からのけんく 00051150L3わ、一日もやすミなく、三十日が三十日、わしをよびによ 00051160L4こさぬ日ハ一日もなし。これでハわしもあしがすりこぎ。 00051170L5わしがあしのすりこぎハよいが、けんくわのたび事、此やう 00051180L6にすりばちをうちこハしてハ、すりばちばかりでも、しん 00051190L7せうだによつて、ふうふさうだんづくで、わかれるがよか 00051200L8ろうと(六ウ上)いへハ、むこ、わたくしもおまへにさうだ 00051210L9んいたして、りえんいたすこゝろでござりますといふ。女 00051220L10ばうも、どうぞさうだんづくで、さとへかへりたいといふ。 00051230L11仲人、よし+とうなづき、さうだんづくなら、それがま 00051240L12しだ。そんならバむこどの、ざつと一トふでかいて、かミ 00051250L13さんにわたすがよい。これが御ぢやうもく、さりでうかく 00051260L14がいゝといへバ、むこ、大きなすゞりにすミをすり、とう 00051270L15しをいだして二つにきり、ざゞらざつとゑをかく。なかう 00051280L16ど、これハなんじやときけバ、さるがひきやくにゆく所、 00051290L17さるがでうをもつてゐるから、さるでうでござるといふ。 00051300L18なかうど、あきれはて、さて+べらぼうなをとこだ。こ 00051310L19れだからけんくわがたえぬ。かミさん。おまへも(七オ上) 00051320L20のきでうをかいて、ていしゆにわたすがいゝとすゝむれバ、 00051330M1女ばう、そんならわたしも、のきでうをかきませうと、の 00051340M2こつた半ぶんのとうしへ、これもざつとのき口へぢやうを 00051350M3おろしたゑをかく。なかうど、これハまアなんだといへバ、 00051360M4女ばう、/軒(のき)口へぢやうをおろしたゑだから、のきでうさ。 00051370M5よしかヱと、(六ウ下)しさいらしいかほをしていへバ、なか 00051380M6うど、あきれはてゝ、りゑんさうだんハまア、/画師(ゑし)にして 00051390M7しまうがいゝ(七オ下) 00051400¥N8¥J 00051410¥X/曽我物語(そがものがたり) 00051420M10さるおやしきのきんばんべや。どうやくのさむらひ、しん 00051430M11がいあら次郎、せんせい、おやどかとたづねくる。大藤内 00051440M12なりかげ、これハ+あら二郎、おいでか。こん日ハわれ 00051450M13ら八ツ時ばんにて、ひるすぎまでハ用なし。ちとはなし給 00051460M14へ。さてさくじつハ、なにか御たのしミのよし。こんてう 00051470M15御所のくろ弥吾より、つぶさにせうちいたした。さだめて、 00051480M16なんこくれいが所へ御入ならん。きミハ相かハらず御さか 00051490M17んなるべしといへハ、あら二郎S大人、おさつし、おそれ入 00051500M18る。さくじつ蒲田のうめさかりならんとぞんじ、御所のく 00051510M19ろ弥吾、同白弥吾、われらと六合まで、きしやがさかりば 00051520M20てたちにてのりきり、ま事にうつさんいたしたり。さて、 00051530¥P229 00051540¥G 00051550M1こゝに大わらひの事いできたり。(七ウ上)その義ハみちに 00051560M2てさるかたのゆミのほうゆうにあひ、これものりきり。む 00051570M3かふハゆきがけ、此方ハかへりがけ。はま川にてあひ、わ 00051580M4れら三人ハせう+やくそくありて、かのさがミろうに引 00051590M5かゝり、すこんのうへ、むほんのくハだてあり。それハみ 00051600M6ちにてであひしさむらひを、此ざしきに引こミ、めれんに 00051610M7せんと、わかいものきすけに申付、のりきりのさむらひと 00051620M8ほらバよびこめよと申おく。まもなくかへるところをむり 00051630M9に引あげ、とらといふ四十八手ハおろか大の手とり、これに 00051640M10のろけさせんとおもふに、かのさむらひ、大のしわんぼう 00051650M11にて、(八オ上)とらが手のあること、かねてしりしや、わ 00051660M12れらにひそかに申スハ、さて+こんにちハざんねんしご 00051670M13くなり。めうてう、たんなとぜうゆへ、われらともあたり 00051680M14にて、いそぎまかりかへらねバならず。おしきおてきとす 00051690M15まふもとられず、ざんねん+。すまふハ/俣野(またの)御げんと川 00051700M16津に、さう+またのりきりてかへりおつた。三人ハはか 00051710M17りごとくひちがひ、はなはだしんがいにぞんじたが、こゝ 00051720M18におもしろきはなしあり。こんてうきけバ(七ウ下)しわひ 00051730M19やつ。俣野御げんと/河津(かハづ)ににげたハよいが、たかなわまで 00051740M20のりきつてゆくと、たかなわでなじミのげいしやに見つけ 00051750¥P230 00051760¥G 00051770M1られ、わかいものにおつかけさせ、むりに引もどされて、 00051780M2ぜひなくたかなわにらく馬して、げいしやも大ぜいになり、 00051790M3ゆふべふけるまで大のミ、けさかへりしといふはなし。な 00051800M4じミのげいしやに、したはらの毛まで見ぬかれたと見へま 00051810M5すといへバ、大藤内、それハたしかに、あふミ屋か八わた 00051820M6屋であらう(八オ下) 00051830¥N9¥J 00051840¥X/怪談(くわいたん) 00051850M9これハむかし、よしハら江戸町に、かづさや何がしとて、 00051860M10ふうきにくらす人あり。只こうしよくものにて、中あふミ 00051870M11やのはなざとといふ女郎を身うけして、みのわにかこひお 00051880M12きける。かづさやの女ぼう、ほのかにしりて、しつとのこ 00051890M13ゝろふかく、何とぞはなさとをなきものにせんといのりけ 00051900M14る。はなさとも此事をしりて、ほんさいなくハ、われ女ば 00051910M15うにならんと、その女ばうをねたミ、いのりけるが、たが 00051920M16ひにいのり、かちまけなくて、むざんや両人相はてたりし 00051930M17その夜より、大おんじまへゝ火の玉二ツいでゝうちあひけ 00051940M18る。此事ひやうばんつよく(八ウ上)なりけれバ、かづさやの 00051950M19あるじ、これハ女ばうとはなさとかしうねんならんと、ど 00051960M20うしんにたのミ、まいよ大おんじまへにて、いろ+くよ 00051970¥P231 00051980L1うしけれども、さらにそのしるしなく、どうしん、ていし 00051990L2ゆにまうすハ、さくやも大おんじまへゝまゐり、うしミつ 00052000L3までねんぶつ申ゐたるに、両はうよりゆうれいいできたり、 00052010L4たがひに何やらいふ事わからず。かほをよく+見れバ、 00052020L5両人此間くらやミにてでかけ、むかふ見へず、つきあたり 00052030L6てはちあハせしたると見へて、ふたりのゆうれい、ひたい 00052040L7にだんごのやうなるこぶあり。あんずるに、たがひのしう 00052050L8ねん、こぶ+といふ事ならん。こんやハ御ていしゆまゐ 00052060L9られて、そのわけをとくと申され、けうだいぶんにえんを 00052070L10むすんで、中よく両人うかむやうに申されよとすゝめけれ 00052080L11バ、ていしゆこゝろへ、さらバこんやとうけて、大おんじ 00052090L12まへゝでかけ、まてど(九オ上)くらせど、なに事もなし。 00052100L13たいくつしはてたる所に、みのわのかたより、火の玉ころ 00052110L14げくる。ていしゆ、たいくつのところなれバ、その火の玉 00052120L15にて、きせるとり出し一ぷくのんでまつてゐれバ、又よし 00052130L16ハらのかたより、火の玉一ツきたる。それよりていしゆ、 00052140L17御両人おそろひなら、一トとをりおはなしもふさう。たが 00052150L18ひにうらみのしうねん、むりとハさら+おもハね共、あ 00052160L19んまりながいもやぼらしい。ふたりながら、おれかわいゝ 00052170L20と(八ウ下)思ふなら、今とくどうして、中よくけふだいぶ 00052180M1んとなり、こゝろよくうかんでもらひたい。なんとかゝあ、 00052190M2そうじやアねへかと、又一ふくすひつけると、女ばうの火 00052200M3の玉、ふつゝときへて、よしなさい。わたしのでハおいし 00052210M4くあるまい(九オ下) 00052220¥N10¥J 00052230¥X/名画(めいぐわ)の/徳(とく) 00052240M7うししまのほとりにすまひける、うとくなるちやじん、け 00052250M8ふハ釜日なりとて、あさとくおきられ、にハそうじをしも 00052260M9べに申つけ、あるじハざしき、水屋のあたりをそうじに、 00052270M10ほうきをもちて見まわりけれバ、水やのいたじき、はいだ 00052280M11らけになりてあり。これハいかゞいたしたることやと、あ 00052290M12たりを見れバ、はいほうろくもうちわれて(九ウ上)そめつ 00052300M13けのミづさしもこわれ、ちやわんも二つ三つそんじてあり。 00052310M14なにものゝしわざなるやとあきれはててゐられける。女ば 00052320M15うもともにぼうぜんとして、ものもいハず、ふしぎの事と 00052330M16いひながら、ざしきの小ぶすまのはりまぜゑを見るに、/祖= 00052340M17仙(そ=せん)のかきたるさると、/応挙(おうきよ)のかいたる犬のあしに、はいつ 00052350M18きてゐけれバ、あるじ、これを見て、さてハめいぐわぬけ 00052360M19いでて、水やのミづをのミ、そのうへ中わるき犬とさるの 00052370M20いさかいして、かくのごとく、どうぐハそんじたるや。む 00052380¥P232 00052390¥G 00052400M1かしもこほうげんのかきたる馬、よな+ぬけいでて田は 00052410M2たをあらしたるためしありと、ことのほか、よろこびゐら 00052420M3れける。をりから、でいりのどうぐやきたりけり。あるじ 00052430M4ハどうぐ屋にみぎのしまつをはなされけるが、どうぐ屋、 00052440M5かほをしかめて、めいぐわのふしぎとハ申ながら(十オ上) 00052450M6大事のおどうぐ、ミづさしからおちやわん、大金でござり 00052460M7ます。さるめ、おのれ祖仙もない事をしたなといへバ、女 00052470M8ばう、あのいぬも/応(おゝ)きよなめにあハせてやりますといふを、 00052480M9うちのこがひのまへがミ小ぞう、これをきゝてゐけるが、 00052490M10ある日、あるじのるすに、ちやざしきへしのび、けふも釜 00052500M11日と、ぎやまんの(九ウ下)くわしいれに、いろ+くわしの 00052510M12入れあるをとりいだし、むしやり+としたゝかしめこミ、 00052520M13ごくじやうのちゑとざしきを見まハし、さるのわざにしや 00052530M14うか、犬のわざにしやうかとおもふうち、ふつとこゝろづ 00052540M15き、とこのかけものハ一休ぐわさんのだるま也。これよし 00052550M16と、おのれがくひかけのねりようかんを(十オ下)だるまの 00052560M17くちへすこしつけておきける。あるじかへりて、ざしきを 00052570M18見れバ、くわしばちにくわし一つもなし。また+犬さる 00052580M19のわざかと見れども、そのけしきなし。とこのだるまを見 00052590M20れバ、口にようかんあり。あるじ、だるまにむかひ、ちし 00052600¥P233 00052610¥G 00052620M1きのおん身にて、いかにおひもじけれバとて、ぬすミぐひ 00052630M2とハぞんじもよらぬ。さて+いやしきミこゝろかなと、 00052640M3なミだをこぼしてまうしけれバ、かけものゝだるま、かし 00052650M4らをふり、口をだして、ふきやアがれ、おきやアがれ 00052660G1〔絵詞〕S吉れい口上。せけんむるい御かほのくすり、おしろい、美 00052670G2△ゑん仙女香、一トつゝミ四十八文。おなじくむるい、しらがそめ 00052680G3△くすり、黒あぶら美げん香、一トかい四十八文。相かハらず御ひ 00052690G4△やうばんのうへ、おんもとめ下さるべく候。江戸京ばし南壱丁目 00052700G5△ひがしがハ四ツ角さか本氏せいす(九ウ中) 00052710¥Q1 00052720M11△△△△△△△△△△△◇国貞画△慈悲成作◇ 00052730M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十ウ) 00052740¥P234 00052750¥G 00052760G1慈悲成作 00052770G2国貞△画 00052780G3延命養談数下之巻 00052790G4△△△△△△△書行 00052800G5癸己の春新梓△△栄久堂 00052810¥T1 00052820¥N1¥J 00052830¥X/居候(ゐそうろう) 00052840M3ゐ候に、あるじのゐけん。Sこれ、ぬしハまいにち+あ 00052850M4そんでゐてもつまらぬもの。なんぞあんじて、せうばいを 00052860M5はじめ、小つかひぜにでもとるかいゝ。今どきハおどりを 00052870M6おどつても、あめのうれるものだ。なんぞおほへたげいが 00052880M7あるか。あるなら、そのげいをだしたがいゝ。げいハあるか 00052890M8Sすこしないでもござりません△Sおもしろい。なんだ、 00052900M9じやうるりか、それハ義太夫か、ふんごか、しんないぶし 00052910M10か△Sイヱ+、そんな事ハしりません△Sそんならバ三 00052920M11味せんか、つゞミか、たいこか、尺八でもふくか△Sどふ 00052930M12して、そんなけいをしるものでござります△Sはてナ、そ 00052940M13んならうたでもよむか。それともはなでもいけるか△Sな 00052950M14にさ+△Sちやでもするか△Sいゝヱ、そんなこめんど 00052960M15うな事ハしりませんか、手に入たげいかあります。あんま 00052970M16り人のいたさぬげい。かう申てハいかゞでござりますが、 00052980M17よほどじまんでごさります△Sじまんするほどのげいをも 00052990M18つてゐて、あそんでゐることハない。手に入たしまんする 00053000M19げいハなんだ。きゝたいといへバ、ゐ候Sハイ。うなぎな 00053010M20ら三分でも壱両でもくひます(十一オ) 00053020¥P235 00053030¥G 00053040¥N2¥J 00053050¥X/薄雲(うすくも)が/猫(ねこ) 00053060M3京町のねこかよひくるあげやまち、といひしころハ、よし 00053070M4ハらの女郎、すべてねこをかひしと也。わけて三うらやの 00053080M5うすくもハ、ねこをたいじにし、ねこもうすくもにつかの 00053090M6間もはなれす、つきそひける。そのころ、くらまへの何と 00053100M7かいふきやくじん、ことのほかうぬぼれの見へおとこあり 00053110M8て、うすくもにかよひけれども、大じんふうのいやミ男な 00053120M9れバ、うすぐも、心そます。さりながら、うすぐもハうき 00053130M10かハ竹のくがいをしりて、あしからずもてなし、たゞ一ト 00053140M11とほりに、さしきばかりハつとめの身とおもひゐける。あ 00053150M12る日、又きやくじんきたり、さしきハたいこ、まつしやに 00053160M13とりはやされて、だゞら大しん、われなりと、れいのうぬ 00053170M14ぼれけれバ、しんぞう、かむろまでも、此きやくじんのし 00053180M15こなしをにくミて、たがひにさゝやき、ゆびざししける。 00053190M16何とかしけん、うすぐもがねこ、うすぐもがひざををり 00053200M17て(十一ウ上)ざしきにあそぶ。きやく人、ねこハきらひな 00053210M18れども、うすぐもへけいはくに、ねこをほめて、くわしな 00053220M19どやりけれバ、ねこ、やかてきやくじんのひざにあがる。 00053230M20きやくじん、ひざよりとりのけなバ、うすくもあしくおも 00053240¥P236 00053250¥G 00053260M1ハんと、いや+ながら、よきねこかな+と、ねこのか 00053270M2しらをなでゐけれバ、ねこ、かしらをあげて、きやくじん 00053280M3のかほへ、かしらをすりつける。きやく、身のけたつほど 00053290M4いやなれども、うすくもがかほを見ながら、たまよ+と 00053300M5なでながら、きやくじん、あまりにうぬぼれいひけれバ、 00053310M6ねこ聞かねて、口なめる。きやくじん、今ハたまりかねて、 00053320M7そのねこをひざよりとりのけたり。ねこハそう+うすぐ 00053330M8もがひざへゆく。うすぐも、うがい+といひけれバ、し 00053340M9んぞう、(十二オ上)かむろをよんで、はやくうがひちやわ 00053350M10んをもつてきやといふを、きやくじん、なほうぬほれて、 00053360M11なにさ+。うがひにハおよはぬ。おいらんのくちをなめ 00053370M12るねこだから、おれがくちをなめても、だいじなし。うが 00053380M13ひハいらぬ。(十一ウ下)むよう+といへバ、しんそう、 00053390M14ぬしじやアおつせん。ねこのくちをあらつてやりんす(十 00053400M15二オ下) 00053410¥N3¥J 00053420¥X/祇園(ぎおん)の/火灯(ひともし) 00053430M18しらかハのいんのおんとき、ぎおんによことてぞおハしま 00053440M19しける。あるとき、しのひのみゆきありしに、によごのし 00053450M20ゆくしよちかくに、あやしのひかりものあり。みかど、お 00053460¥P237 00053470L1どろき給ひけれバ、おんともにありけるたひらのたゞもり 00053480L2とびかゝりて、むづとくミとめけれバ、かのもの、おどろ 00053490L3き申スやう、それがしハぎおんの火ともしなり。あめつよ 00053500L4くふるゆへに、小むきのからをたばねて、かさとしたるが、 00053510L5そのひかりならんといふ。たゞもり、火ともしならバ、あ 00053520L6ぶらつほ、ともし火などこそ用いあらんに、右の手にかな 00053530L7つち、左リの手にハくぎざるさげたるハ、あやしきくせも 00053540L8のなりと、なほつよくくミとむれバ、ほうし、せんかたな 00053550L9く、ゆるし給へ。おやしろの火ともしとハいつわり。まこ 00053560L10とハゑいざんのどうらくほうし也。われ、ぎおん町にふか 00053570L11くいひかハしたるげいこありて、それがゆへにだらくして、 00053580L12今此ありさま。このほときけハ、その女ほかにおとこをこ 00053590L13しらへ、二世までのやくそくしたりときゝて、にくさもに 00053600L14くし、とりころしてくれんずと、ぎおんのしんぼくへ、こ 00053610L15よひくきうちにしのびまゐりし也。見ゆるして、くぎをう 00053620L16たせ、その女をころさせてくだされと申せハ、たゞもりき 00053630L17ゝて、ほうしの身にも、こひのおもひ、さもあるらんか。 00053640L18またいたしかたもあらん。こゝろをしづめて、とくとかた 00053650L19れ。なんぢがうらむ、そのぎおんまちのげいこハ、なにや 00053660L20のたれそとたづぬれバ、ほうしいふやう、ぎおん(十二ウ) 00053670M1まちにて、さかひ屋のおてつといふげいこなりといへバ、 00053680M2たゞもりきゝて、それならよしやれ。おてつにくぎをうつ 00053690M3と、なを+たつしやになる(十三オ) 00053700¥N4¥J 00053710¥X廿四/孝(かう) 00053720M6こゝに百せうよこ蔵とて、のミだふれのをとこあり。百せ 00053730M7うのわざハ、おやと女ぼにほねをらせ、そのうへ、いちに 00053740M8んのおやにも、ふこうなれども、おやハよこぞうをいとを 00053750M9しがりて、なに事もよこぞうの申ス事、よし+とわがま 00053760M10ゝにすておきける。ある大ゆきふりける日に、おやぢ申け 00053770M11るハ、けふハゆきにて、ことのほかさむし。よこぞう。う 00053780M12らのやぶに、たけのこあらん。とつてこよ。わが身のすき 00053790M13な、たけのこじるして、さけのまさうとあまやかせバ、よ 00053800M14こぞう、大のまなこにおやぢをねめつけ、ばか+しい。 00053810M15此大ゆきに、たけのことりにゆかるゝものか。さけなら、 00053820M16ゆどうふにしておくがよい。とうふかうてござれ。おやぢ 00053830M17どのと申スを、よこぞうが女ばう(十三ウ上)きゝかね、お 00053840M18やのいふことそむかず、竹のことりにゆかしやれとすゝめ 00053850M19けれバ、おなじやうにばかいふな。よこぞうハゆきのさむ 00053860M20さでぢがおこり、一トあしもゆく事ならず。いたやの+。 00053870¥P238 00053880¥G 00053890M1おやぢどの。こしもんで下されと申せバ、おやハ、やれい 00053900M2たかろ+と、よこぞうがこしをもむ。女ばう見かねて、 00053910M3こゞとをいへどきゝ入れず。よこぞうハすやり+とねい 00053920M4りける所へ、となり村の百せうぢひ蔵きたり、なに事をま 00053930M5ふされけると、女ばうにとへバ、女ばう、じひぞうに、よこ 00053940M6ぞうがきまゝをはなしけれバ、ぢひぞうきゝて、さて+ 00053950M7きのどく。ぢがいたくてハ竹のことりにゆかれもせまひ。 00053960M8さりながら、竹のことりにゆかねバふこうなり。よし+。 00053970M9わしがやぶへいつて、竹のことつてきてやりませうと、み 00053980M10のかさきて(十四オ上)いでゝゆく。よめもおやも、さても 00053990M11+ぢひぞうどのハ、じひぶかい人とうわさしてゐるとこ 00054000M12ろへ、くわをかつぎてかへり、これ+おぢいさん。たけ 00054010M13のことりにゆきましたが、いくらほつても、竹のこハいつ 00054020M14ほんもなく、やミくもにほつたれバ、こんな/釜(かま)をほり出し 00054030M15たと見せれバ、女ばう、まじめになりて、そんなら、よこ 00054040M16ぞうどのゝ/痔(じ)も、おまへにかまをほられたのじや(十三ウ 00054050M17下) 00054060¥N5¥J 00054070¥X/楠正成(くすのきまさしげ) 00054080M20大とうの宮、よしのゝ御なんハ、しよくにうゑ給ひ、御な 00054090¥P239 00054100¥G 00054110M1んぎなりといひしを、くすのきにしたがひし兵のうち、口 00054120M2かしこきものありて申スやう、一チめいをすてゝたゝかひ 00054130M3にのぞむもの、二日三日しよくせざれバとて、何ほどの事 00054140M4あらんと、みやをあざけりけれバ、まさしげふりかへり、 00054150M5此ぶしをにらみつけ、おのれハあさめしのおそきをもくら 00054160M6ひしことなきえやうもの。わがまゝにそだちたるやつ也。 00054170M7ことにのぞむものゝはらへりてハ、はたらき(十四ウ)がた 00054180M8きことをしらぬ大ばかものなり。ともにハか/□□((たるカ))まじとて、 00054190M9そのざよりかんだうせられしといふ、むかしがたりあり。 00054200M10なるほど、くうふくにてハなにごともできず。そのうへひ 00054210M11だるいはらかゝへて、ゑんはうへゆけバ、きつとものおと 00054220M12し、あるひハかミ入れ、きんちやくのやうなるもの、ぬす 00054230M13人にとらるゝものじやとはなしけれバ、かたいぢなる人あ 00054240M14りて、あざわらひ、それハこゝろしまらぬのじやといふを、 00054250M15人また、いや+、ひだるきはらにてあるけバ、口など大 00054260M16きくあきて、きぬけのやうになるもの。そのときぬす人に 00054270M17もあひますと申せバ、かたいぢなる人、さやうなら、わた 00054280M18くし、めう日一日しよくせず、くちをあきて、ゑんはうあ 00054290M19るきいたし、御らんに入れん。はながミいちまいでも、ぬ 00054300M20すびとにあふ事なし、ぬすまるゝハこゝろおろかよりおこ 00054310¥P240 00054320¥G 00054330M1る事なりと、いぢをはり、よくじつあさめしまへより出か 00054340M2け、まづほりのうちから王子、うへのゝへん、あさくさ、 00054350M3ますさき、すミだ川どてを、ぶら+大口をあきてあるき、 00054360M4これよりかめゐどゝ、ひるめしもくわづ、ふか川八まん、 00054370M5まだ日がたかしと、しばのしんめい、をり+くわいちう、 00054380M6こしのあたりをさぐり見れども、何もおとしものもなく、 00054390M7ぬすまれもせねバ、(十五オ)人のいふ事みなそらごとゝ、ひ 00054400M8とりつぶやき、はや日もくれて、きのとほくなるほどはら 00054410M9がへり、そばの一つもくハふか、いや+、こゝでくつて 00054420M10ハをとこがたゝぬと、ゆもちやものまず、ぶらり+とか 00054430M11へりくるむかふへ、手代がちやうちんともして、むかひに 00054440M12くる。Sだんなさま。今おかへりなされましたかといへバ、 00054450M13ていしゆSばんとうか。たいぎ+。さて+人ハよくうそ 00054460M14をつくものだ。一日しよくせず大口をあいて、ゑんはうを 00054470M15あるいたが、なにもおとしものもせず、ぬす人にもあハぬ。 00054480M16なんと、おれがやうにこゝろたしかなれバ、かくのとほり 00054490M17といへバ、ばんとうSまづはやくおかへりなされ。大ごとが 00054500M18ござります。ていしゆおどろき、なに事じやといへバ、ば 00054510M19んとう、だんなのみゝへくちをあてゝ、もしだんな。うち 00054520M20のおかミさまを、いつものこまものやがつれてにげました 00054530¥P241 00054540L1とはなせハ、ていしゆ、かんしんしたかほにて、人のいふ 00054550L2こと、あらそハれぬものじや(十五ウ) 00054560¥N6¥J 00054570¥X/寐酒(ねさけ) 00054580L5ふうふなかよく、ねさけのミながらのはなしに、女ばうい 00054590L6ふやう、となり丁のさか屋のむすめハしあハせだ。よいと 00054600L7ころへよめにいかるゝそうな。ていしゆきゝて、さうさ。 00054610L8けさかミゆひどこできいたが、此ごろばゞさまが、あさく 00054620L9さのかいてうへむすめをつれてゆかれた。そのとき、とち 00054630L10うでぶげんしやのむすこどのか見そめて、もらひたいと人 00054640L11をかけてのたのミ。たちまちえんだんできて、此あひだに 00054650L12こんれいだそうな。それについて、かミゆひどこの半次め 00054660L13ハ口あひのよいをとこだ。むすめかいてうへいつて、はな 00054670L14よめとなるといひをつた。おもしろいでハないか。おらが 00054680L15ところのおちよまなんぞハ、うまれつきがあのふきりやう。 00054690L16そのうへにあのおもいほうそうで大あばた。はなよめどこ 00054700L17ろか、むこをとるもちとむづかしい、おてんばのいろけな 00054710L18し。なんにつけても、子どもハくろうなものだのふ、かゝ 00054720L19あどんといへバ、女ばう、ていしゆのみゝに口をあてて、 00054730L20これ+きゝなさい。このごろうハさにきけバ、おちよま 00054740M1もいろおとこができたそうで、そハ+してなりませんと 00054750M2はなせバ、ていしゆきゝて、につこりわらひ、かほのいも 00054760M3ゝうハきになるじせつがきたか(十六オ) 00054770¥N7¥J 00054780¥X/芝居(しばゐ) 00054790M6こゝにけしわり小兵衛とて、けしをも二ツにわつてつかう 00054800M7ほどのしわんぼうあり。女ぼうハしばゐすきにて、かほ見 00054810M8せ、はるきやうげんのせつハ、ていしゆにしばゐをねだり 00054820M9けれども、しわんぼうの小兵へ、なか+せうちせず。お 00054830M10れハむかしからしばゐ見たことなし。むだなこと+。し 00054840M11ばゐへいつてかねつかふより、日ごろのぞミのおびでもこ 00054850M12しらへるがよからうといへバ、女ぼう、しわいおとこ、な 00054860M13か+しばゐハ見せまじと、わなてんのおびをねだる。て 00054870M14いしゆせんかたなく、せうち+といへバ、女ばう、これ 00054880M15からしばゐハふつつりおもひきつて見ませんから、はやく 00054890M16おびをとねだる。ねものがたりに、おさなごねかねて、ぐ 00054900M17す+なきけれバ、女ばう、ぼうや。もゝんぢいがあそこ 00054910M18にゐるよ。だまつてねんねしなよ。もゝんぢいが、あれ 00054920M19++、(十六ウ上)だんな。ぼうハおとなしいから、もゝ 00054930M20んぢいをあつちへおひだして下さりましといふに、あるじ 00054940¥P242 00054950¥G 00054960M1小兵衛、せうじをあけてえんがハにいでゝ、にハのあまど 00054970M2をドロ++とたゝき、をかしなこゑをして、なくもの 00054980M3つれてゆかうと、あゝらあやしや、今つまとねものがたり 00054990M4に、ぼつちがねそびれ、だゞいふにつけこミ、なくものと 00055000M5つてくハんといふ。そもまづ(十七オ上)おのれハなにもの 00055010M6ぞ。なんぢしらずや。われこそハかめやまのみねにとしふ 00055020M7る、ごろにやんといふかめ山のおばけだア引。なくものハ 00055030M8あたまからしほつけてくらハふ引。一文ぜにかなまづめか、 00055040M9けしわりといふしわひ男の介あるともしらず、うかゞひ 00055050M10(十六ウ下)よつたるごろにやんめ。しわんぼうでもくらハ 00055060M11ぬうち、きり+きえてなくなるめへか。イヤどつこい、 00055070M12カタ++。なむさん、とりにがせしか。ざんねん+。 00055080M13女ばうよろこべ。おばけハ山へいつたハヱヽと、ひとり大 00055090M14あせながしてさハげバ、女ばうねかしつけて、よぎからは 00055100M15ひだし、もし+こちの人。おまへハしばゐを見た事ハな 00055110M16いといひなさるが、まことに+おじようず。ひさしぶり 00055120M17で、しばゐを見たやうなこゝろもちでござりますといへバ、 00055130M18小兵衛、そんならバ、あすのばんもして見せやうから、お 00055140M19びハまづ御ゑんにんになされ(十七オ下) 00055150¥P243 00055160¥G 00055170¥N8¥J 00055180¥X/法談(ほうだん) 00055190M3むかしあるかたに、うとくものゝいんきよさま、としハ百 00055200M4才にすこしたらぬめでたき御いんきよ。しかも一かうしう 00055210M5にて、たりきのしん※、みゝにしミこミ、一心ンに只あり 00055220M6がたきゐんきよにて、世の人、このいんきよを、によらい 00055230M7さま+と申ける。むすこもおなじく法義よろこぶ人にて、 00055240M8おやこともにわきひら見ぬ法義しやなり。あるとき、ゐん 00055250M9きよ、むすこに申けるハ、いつも+申ス事ながら、によ 00055260M10らいさまのおじひハこうだいの事。此わしがやうな何ひと 00055270M11つしらぬものでも、ぐわんも行もによらいさまのかたにあ 00055280M12るを、そのまゝこのおやぢにあたへ下さる、そのおぢひを 00055290M13わきめふらずに一心ン一向に、あらありがたやトよろこぶ 00055300M14を、そのまゝにによらいさまハ(十七ウ上)くわうめうのう 00055310M15ちにおさめとりたまふ。わしハあすにもしれぬ御じやうど 00055320M16まゐり、ありがたい事でハないか。それについておのしに 00055330M17たのむハ、おじやうどへゆくにハかねが入ります。ぢよさ 00055340M18いハあるまいが、此かねのよういハしておくがよいと申け 00055350M19る。むすこ、今までこんな事いハぬおや。これハ御本ンざ 00055360M20んの御ほう加の事とおもひて、その義ハぢよさい御ざりま 00055370¥P244 00055380L1せん。御本ざんの義、そりやくにハつかまつりませぬ。お 00055390L2こゝろづかひなされますなといへバ、いんきよ申スやう、 00055400L3此あひだわしハよそで、おさめしん七といふおふミさまを 00055410L4てうもんしたが、きかしやれ。そのおさめといふ女と、し 00055420L5ん七といふおとこがしんぢうして、けつこうなおじやうど 00055430L6へゆくとき、そのおさめが、なんといつたとおもハしやる。 00055440L7おじやうどへゆけバ、あの世のまちにいへたてゝ、三づの 00055450L8川もあるならバ、ぐぜいのふねのさほかりて、くもらぬく 00055460L9にのさいはうで、あミださまやおしやかさまの小そでぬふ 00055470L10たりちんしごと、おもふまゝなるせたいして、ふたり中よ 00055480L11うくらすと。ありがたい事でハないか。わかいおさめやし 00055490L12ん七でさへ、あの世へいつてもあそんでハゐませぬ。よい 00055500L13としをして、なんぼけつこうな、あつくなしさむくもなし、 00055510L14何ひとつふそくないおじやうどで、あそんでばかりゐたら 00055520L15バ、あのおやぢハなまけものじやと、又によらいさまに御 00055530L16くらうかけるハ(十八オ上)もつたいなし。そこであの世の 00055540L17まちへいへたてて、なんぞしませう。それにつき、いへた 00055550L18てるにも此世のざいもく、まつ、すぎとハちがひ、ぼだい 00055560L19じゆじやの、たがやさんの、せんだんのと、たかいざいも 00055570L20くばかりで、いへたてるにものが入りますといふ。むすこ、 00055580M1いへをおたてなされて、なにをなされます。いんきよ、け 00055590M2いこじよでもだしますといへバ、むすこ、たゞいままでう 00055600M3たひハ(十七ウ下)なさらず、じやうるりハおきらひ、三み 00055610M4せんもおしりなさらず、なにのけいこじよをおだしなさる 00055620M5ときけバ、いんきよ、おもてのかうしへりつぱにかけふだ 00055630M6を出します。むすこ、なんとおだしなされます。Sハテ、 00055640M7ゐんきよ一せうしなん所と出します(十八オ下) 00055650¥N9¥J 00055660¥X/縁日(えんにち) 00055670M10やげんほりの御えんにち、うゑ木屋の松兵衛が、なかまの 00055680M11うめ右衛門に、なんきんのはち五郎がうわさをはなし、 00055690M12Sうめさん。あのなんきんのはちがかゝあをしつてゐるか。 00055700M13アノかゝあハ大のはたらきものよ。おれがこんほんからし 00055710M14つてゐるが、あれハ京のしまばらで、都の丞といつたぜん 00055720M15せいの太夫。なんきんのはちめが、かミ方へいつたとき、 00055730M16しまばらのすミ徳のにハの手つだいにいきをつて、都の丞 00055740M17とちゝくりあひ、はちめハすばやいやつで、都の丞をつれ 00055750M18てにげ、とう+ゑどまでつれてきハきたが、一文なしよ。 00055760M19それからがつてんづくでよしハらへ、わづかなねんて三十 00055770M20両とうゑかえた。よしハらの丁子屋で、ながしまといつて 00055780¥P245 00055790¥G 00055800M1ぜんせいよ△Sそんなら、あのはちがかゝあの(十八ウ上) 00055810M2おもとハもと京の女郎か△S京の女郎よ。それからきゝね 00055820M3へ。よし原をくらがへして、ふか川とうゑなほし、江戸の 00055830M4水がしミこんで人がわるくなつて、むらさきおもとゝいつ 00055840M5て、じめへをかせいで、たいそうきやくじんがあつて、お 00055850M6もいれとりこんだが、なんきんのはちといふていしゆのあ 00055860M7ることがしれて、だん+きやくがへり、とりおもとにな 00055870M8つてくらがいといふにほひもなく、(十九オ上)今でハうち 00055880M9へ来てあのざまだア。うめさん。女といふものハそんなも 00055890M10のだ。あのくらゐをとこだいじにかせいだおもと、このご 00055900M11ろハはちめがあきたそうで、まいにち+けんくわばつか 00055910M12りしてゐらア。けんくわもいゝが、かわいそうに、おもと 00055920M13をふんだりけたりたゝきのめしたり、おもとハ(十八ウ下) 00055930M14かほもからだもあざだらけ。はちめもあんまりなぎりしら 00055940M15すじやアねへかとはなせバ、うめゑもんSまつさん。それハ 00055950M16はちめがりこうだから△Sナゼ+△Sハテサ。おもとが 00055960M17からだをふいりにして、金にする気だらう(十九オ下) 00055970¥N10¥J 00055980¥X/団十郎(たんじうらう)/贔屓(ひいき) 00055990M20さるとのさま、ことのほ/が((ママ))だん十郎御ひいきにて、おざし 00056000¥P246 00056010¥G 00056020M1きむき、すべておんものずき、だん十郎このミの御しゆか 00056030M2うなり。おんなぐさミに、ふとしばゐあそばしたきおぼし 00056040M3めしにて、やくにんをめし、おほせつけられけるやう、身 00056050M4ハきうにしばゐをいたしたくおもふによつて、いそぎひろ 00056060M5にハへぶたいをつくらせよ。それにつき申つけるハ、さく 00056070M6じ出いりの大工にもふしつけるとも、いづれ木場にてきり 00056080M7くミいたさせよ。ぶたいハ三げんに両はなミちをつけ、ま 00056090M8たぶたいまんなかへもはなみちをつけさせよ。はなミちも、 00056100M9なり田屋このミの三すぢ也。どまハなり田やがうし。はん 00056110M10でうハ松かわびし、(十九ウ)ふとんハつたなりにもふしつ 00056120M11けよ。はなミちのさゆう、ぼたんのくわだん。いけへハこ 00056130M12ひをたくさん入れおいて、たきをしかけ、たきのぼりいた 00056140M13すやうにせよ。けんぶつハふくの神。又なんぢらハかきの 00056150M14上下にて、目を大きくいたしてけんぶつせよ。べんたうハ 00056160M15いづミや、たまきやへまうしつけ、やきめしハつるひしに 00056170M16うちぬき、ひやうたんのすひづゝに、ふどうのけんびしを、 00056180M17すなごしにして三舛づゝつめて、江戸の花といふ。アヽつ 00056190M18がもねへ、大さかづきをつけてだせ。げこもあるべきなれ 00056200M19バ、くわしハぼたんもち、大ふくもち、引まくハまひつる 00056210M20寿の字、そうたい、なにもかも、だん十郎このミに申つけ 00056220¥P247 00056230¥G 00056240L11よ。お入用いかほどいるとも$$ぬ+。そしておれ 00056250L12がきやうげんするとき、あしびやうしハ親かた++ 00056260L13うつやうにいたせ。又&申つけることもあらんが、まづあ 00056270L14らましそのとほり。さう+ぶたいとりかゝるやう申つけ 00056280L15よとあれバ、やく人ン、これハおもしろき御しゆかう。さ 00056290L16てとのさまおきやうげんハ、何のおやくをなさりますと申 00056300L17あぐれバ、とのさま、まづしばらく、助六、矢の根、五郎 00056310L18すけつね、かげきよ、男の介、大つめがなり田のふどう、七 00056320L19代目といふこゝろで、七やくハいたすつもりじや。やくにん 00056330L20Sさて+よくおこゝろがおつきあそばしました。三舛の 00056340M1もんから、たきのぼり、ふくぼたん、ひやうたん。なにも 00056350M2かもおそろへあそばしました。(二十オ)さて、七やくなさ 00056360M3れますれバ、おかづらが七つ入ります。これをまづ、はや 00056370M4う申つけるでござりませうと申あぐれバ、とのさま、なに 00056380M5さ+。かつらハなんぢ、かうもりへいつて、かつてまゐ 00056390M6れ(二十ウ下) 00056400¥Y 00056410M8△△△○目出たきはるをむかへけりと、かういふ身でゐる 00056420M9△△△△ところハこふうだが、こゝが山だ。むかしも今も、 00056430M10△△△△かハらぬおやぢだ。本所のおやかた、似かほにか 00056440M11△△△△いてくだせへ。かうもあらうか。 00056450M12△△△△△△よいとしをしても子供と同じやうに 00056460M13△△△△△△△団十郎と正月がすき 00056470¥Q 00056480M16△△△△△△△◇香蝶楼国貞画G芝桜川慈悲成作◇ 00056490M17△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二十ウ上) 00056500¥P248 00056510¥U噺本大系△第十八巻 00056520¥G 00056530¥T落噺/百歌撰(ひやつかせん)〔表紙〕 00056540¥Y 00056550M4天保五年正月刊 00056560M5林屋正蔵作 00056570M6五雲亭貞秀画 00056580M7永寿堂板 00056590M8中本二巻合一冊 00056600M9国立国会図書館蔵 00056610¥Y外題の源氏の絵に酒樽の力持を取合せたる即席咄 00056620M12S源氏の/湖月(こけつ)ハ六十巻。此三樽の目方ハ八十貫の余。しか 00056630M13も印に/胡蝶(こてふ)あれバ/若紫(わかむらさき)、又竹の丸の/竹川(たけかハ)、光源氏の/情(なさけ)あれ 00056640M14ば、是ハ/銘酒(めいしゆ)の/名酒(なさけ)なりといふ時、そばの人Sおまへハ/学力(ちから) 00056650M15のある人じや。定めて/近衛(このゑ)様の講釈てあろふ△Sイヽヱ、 00056660M16/此絵(このゑ)の咄でござり升 00056670M18△△△林屋正蔵作△△△△△上之巻 00056680M19△△△五雲亭貞秀画△△△△△△△△△永寿堂新刻 00056690M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△〔見返扉〕 00056700¥P249 00056710¥G 00056720¥Yまじめな口上 00056730M3/今(いま)より/四捨(しじう)/年(ねん)ばかりむかし、/寛政(くわんせい)はじめのころ、/山東京= 00056740M4伝(さんとうきやう=でん)、/芝全交(しばせんかう)/両先生(りやうせんせい)の/合作(がつさく)にて、/百人一首(ひやくにんいつしゆ)おどけ/講釈(こうしやく)とい 00056750M5ふおもしろい/草双紙(くさぞうし)がござりました。/又(また)/其後(そのゝち)、/信友(しんゆう)三笑亭 00056760M6可楽が/作(さく)に、/小倉山(をぐらやま)/曲輪(くるわ)の/大詰(おほづめ)と申ス/咄(はなし)がござりますを、 00056770M7/是(これ)をとり/彼(かれ)を/補(おぎな)ひ、又/今年(ことし)の/新板(しんはん)といたしまして、/噺好(はなしずき)の 00056780M8/御方様(おんかたさま)へ/高覧(かうらん)に/入(い)れますと、/高座(かうざ)で申ス/通(とほ)り、わかり/安(やす)く 00056790M9申上ます。そのため口上さやう 00056800¥Q 00056810M13△△△△△◇五雲亭貞秀狂画◇ 00056820M14△△江戸大道具大仕掛;怪談つゞき物語ほん家 00056830M15△△△△扇屋岸野;帯屋長三 00056840M16△△/怪談(くわいだん)/桂(かつらの)/川浪(かハなミ)△△全二冊 00056850M17△△右うり出し申候;御ひやうばん+ 00056860M18△△△△△◇林屋正蔵戯作◇(一オ) 00056870¥P250 00056880¥G 00056890¥Y 00056900M1永代はしの高尾のやしろへ参詣すれバ、御宮がめいどう 00056910M3するゆゑ、よく+見れば、さいせんの中に$ 00056920M4△△△△△△△△△△△△△△△△△(一ウ・二オ挿絵) 00056930¥Q 00056940M6△/雪(ゆき)の/詩(からうた)に、/近江(きんごう)の/鷺(さぎ)ハ/見(ミ)がたく、/八朔(はつさく)の/祝義(しうき)に寄(二ウ) 00056950M7△/白(しろ)きハ/美艶(びゑん)/仙女香(せんぢよかう)、/黒(くろ)きハ/油(あぶら)の/美玄香(びけんかう)、/好人(すきひと)の/客人(きやくじん)に/寄(よす)、 00056960M8△/雪(ゆき)の/詩(し)に、/遠樹(ゑんじゆ)の/烏(からす)ハ/見(ミ)やすし 00056970M9△△右之両品△京橋銀座二丁目木戸際△坂本氏精製(三オ) 00056980M11西両国広小路御上リ場前定席ニおゐて、晴雨ニかゝハらず、 00056990M12毎日朝四ツ時£夕方迄、連中かハり+出席仕り、今むか 00057000M13し物語、くさ※のはなし披講仕候。御通行の節、御休息 00057010M14ながら御来駕の程奉希上候と、よくばつて申ス 00057020M15△御目印 00057030M17△△△△△@元△祖|大道具|大仕掛@/妖怪(ばけもの)ばなし 00057040M18△△△△△△△△△△△△林屋正蔵 00057050M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(三ウ) 00057060¥P251 00057070¥G 00057080¥T1 00057090¥N1¥J 00057100¥X○/廓(くるわ)がよひ 00057110M3今ハむかし、/足利(あしかゞ)/頼兼公(よりかねこう)ハ、三うらやの/高尾(たかを)がもとへ日ご 00057120M4とにかよひ給ふに、やはり/本格(ほんかく)のともまハりで/行(げう)れつあり 00057130M5ける。そのころのぞめき/客(きやく)、あとよりつきそひ、Sどなた 00057140M6さまでござります。@おさへ、大|きなこへで、@Sあしかゞよりかね/公(こう)引ト、 00057150M7/殿(との)のお/名(な)をきくよりみな+、さても+、大そうな御ど 00057160M8うぜいじやとゆきすぎるあとへ、御きんじゆ一人きたり、 00057170M9Sコレ+おさへ。どういたしたものじや。/高尾(たかを)のかたへ 00057180M10おかよひの事なれバ、うかつにお/名(な)を申スものでハない。 00057190M11/常(つね)のぎやうれつとハちがふぞ。かさねて申スな△おさへ 00057200M12Sハイ+、かしこまりました。それならそうと、おやし 00057210M13きを出ぬうち、いふたがよい。まことにこり+した。こ 00057220M14んどからハいふまい+ト、つぶやきながらゆくところへ、 00057230M15又/町人(てうにん)が一人、Sどなたさまでござります△おさへSこり 00057240M16た。いハん△町人Sさて+、大そうな/医師(いしや)さまだ(四オ) 00057250¥N2¥J 00057260¥X○そゝうもの 00057270M19/一向宗(いつかうしう)ハにくじきさいたいとハいひながら、/殊(こと)に/魚(さかな)ずきの 00057280M20/和尚(おせう)、をり+どぜう/汁(しる)をくひけるが、又/今日(けふ)も、れいの 00057290¥P252 00057300¥G 00057310M1どぜうをとりにやるに、大はちのるいにてハ/人目(ひとめ)もありと 00057320M2よく+かんがへ、Sコレ+ごん介。けふも又どぜうを 00057330M3とりにゆくのじやが、/鉢(はち)のるいでハ人目にたつゆゑ、さか 00057340M4屋のつかひのやうに、とくりをさけてゆきやれ。とんと/酒(さけ) 00057350M5かひのやうで、せけんもよし。がてんかトいひつけれバ、 00057360M6ごん介こゝろ/得(え)て、とくりをさげ、まづどぜうを一/疋(ひき)+ 00057370M7口より入れてもちかへる道にて、/近所(きんじよ)の/子(こ)どもが、Sコレ 00057380M8+ごん介どん。/酒(さか)屋のつかひか△権Sヲヽさかやとも 00057390M9+。此とほりとくりをさげている△子Sその中をあてや 00057400M10うか△権Sどうして+、こればかりハあたらねへ△子 00057410M11Sさけか△権Sいゝや△子Sせうゆか△権Sいゝや△子 00057420M12Sみりん/酒(しゆ)か△権Sまだ+△子S/酢(す)だろう△権Sどうし 00057430M13てしれるものか。これをあてたら、/此(この)中のどぜうを壱ぴき 00057440M14やるべい(四ウ) 00057450¥N3¥J 00057460¥X○/阿房(あほう)の口上 00057470M17/京阪(かミがた)のかくし/詞(ことば)に、あほうをさして十のしまといふハ、十 00057480M18の/字(じ)と、のの字とあハせて、あの字となり、又しの字をへ 00057490M19んにして、まの字をつくりにすれバ、ほの字となる。あほ 00057500M20うをつめてあほといふ/方言(はうげん)なり。大坂の上町へんに、五間 00057510¥P253 00057520¥G 00057530M1見せをひらいて、茶/器(き)をあきなふ人あり。/有楽庵(うらくあん)/善介(ぜんすけ)とて、 00057540M2れき+の出入場おほくありて、家内ハ小ぜいなれど、世 00057550M3をゆたかにくらしけり。此家へ、けふ目見への奉公人笑太 00057560M4郎とて大のあほう。見世さきに、しやにかまへゐるゆへ、 00057570M5亭主Sコリヤ+笑太郎よ。ほかの事でハないが、今にも 00057580M6仲間の道具やが見へて、(五オ)此あいだの品ハどふでござ 00057590M7りますと、かしかりの事いふて見へたその時、わしが自身 00057600M8おうたいのならぬ事があるゆへ、そのはうに取次さすが、 00057610M9その口上のうけとりわたしが、一々でけますか△笑Sヤア 00057620M10だんなさま。むかひからくるものが神や仏じやあろまいし、 00057630M11人間のいふ事、人げんにでけぬといふ事ハござりませぬ。 00057640M12今にも見へたら、味好やつて見せませう。奥へいて、だま 00057650M13つてきいてゐたが、よふござります。あほらしい△亭Sそ 00057660M14れならゑゝハ。なんなとたのミますトおくへゆく。あとに 00057670M15笑太郎只一人リ、つくねんとしてゐる所に、道具やていの 00057680M16男Sチトおたのミ申ます。善介さまハおやどでござります 00057690M17か△笑Sだんなハ内らじやが、なんなと口上のうけとりわ 00057700M18たしハ、この(五ウ)笑太郎じや。そこでいふたり+△遣 00057710M19ひSこれもゑらい十のしまじやな△笑Sわしが着てゐるハ、 00057720M20たてじまじや△遣Sハイ、さやうならヱ引、わたくしハ新 00057730¥P254 00057740¥G 00057750M1町のかゞや佐七方からまいりました。此間、内平の町中が 00057760M2ひの弥市がとりつぎいたした、(六オ)ふるいけや/蛙(かハず)とびこ 00057770M3む水のおとと申まする、ふうらぼう/正筆(せうひつ)のかけもの、なら 00057780M4びに/自在(じざい)ハわうばく山ンの金/鈴竹(れいちく)、遠/州(しう)/宗甫(そうほ)のきハめの/銘(めい)、 00057790M5いんげん/禅師(ぜんじ)の二字/横(よこ)もの、/沢庵(たくあん)おせうのおしまづき、/徂= 00057800M6徠(そ=らい)・/真淵(まぶち)の石ずりまで、此五品ハとうでござりますか。ち 00057810M7やつときいて下さりませ△笑Sヤ、なんといふぞ。テモは 00057820M8やい口じやなア。サア、まあ一ぺんいふたり+△遣Sお 00057830M9まへ、是がでけませぬか。あほ(六ウ上)らしい。かしこそ 00057840M10うにいふて、此くらゐな事がでけぬかいナ。コレ、ようき 00057850M11ゝいや。わたくしハ/新町(しんまち)のかゞや佐七かたからまいりまし 00057860M12た。/此間(このあいだ)、内ひらの町中がひの/弥市(やいち)が/取次(とりつぎ)いたしました、 00057870M13/古(ふる)いけやかハづとびこむ/水(ミづ)の/音(おと)と申まするふうらぼう正ひ 00057880M14つのかけもの、/并(ならび)に/自(じ)ざいハ/黄(わう)ばく山ンの/金鈴竹(きんれいちく)、/遠州(ゑんしう)/宗= 00057890M15甫(そう=ほ)のきハめの/銘(めい)、いんげんぜんじの二/字(じ)よこもの、/沢庵(たくあん)お 00057900M16せうのおしまづき、/徂徠(そらい)・/真渕(まぶち)の石ずりまで、此五しなハ 00057910M17どうでござります△笑Sテモはやい口じや。まア一ぺんい 00057920M18ふたり+△遣Sいやじや+、のどがいたいハいの。是 00057930M19で三/度(ど)じやぞへ。ようきゝイなトあらそふ所へ、/女房(にようばう)たち 00057940M20いで、Sこれハ+御くろうでござります。ながい事をよ 00057950¥P255 00057960¥G 00057970M1うおほせられ(七オ)ました。此をとこハ今目見へにミへて、 00057980M2とつと事がわかりませぬ。御かんにんなされや。コレ笑太 00057990M3郎。なんの/事(こつ)ちやぞいの。ゑらひ事いふて、此口上のうけ 00058000M4とりわたしがでけませぬか。わしがかげで一寸きいてさへ、 00058010M5大ていでけるに、あほうらしい。そつちやへ引こんでゐイ 00058020M6な。ホヽヽヽヽホホ。御くろうながら、まア一ぺんおふせ 00058030M7られまし△遣Sハイ+、あのおかたハ、とつともう(六 00058040M8ウ下)なんじややらわかりませぬ。おまへさまなりや、わけ 00058050M9ハござりませぬ。かうでござります。わたくしハしん町の 00058060M10かゞや佐七かたからまいりました。此間、うち/平(ひら)の町/仲(なか)が 00058070M11ひの弥市がとりつぎいたしました、/古池(ふるいけ)やかハづとびこむ 00058080M12水のおとゝ申まする/風羅坊(ふうらぼう)正ひつのかけもの、/并(ならび)に/自在(じざい)ハ 00058090M13わうばく山のきんれい/竹(ちく)、/遠州(ゑんしう)/宗甫(そうほ)のきハめのめい、/隠元(いんげん) 00058100M14ぜんじの二/字(じ)/横(よこ)もの、たくあん/和尚(おせう)のおしまづき、/徂徠(そらい)・ 00058110M15まぶちが/石摺(いしずり)まで、此五品ハどうでござります。ちよつと 00058120M16きかせて下さりませ。のどがいたむハいの△女ばうSよう 00058130M17ながい事をおふせられました。御くろうながらまア壱ぺん 00058140M18遣Sヱツ、なさけない。又かいなア。もうおゆるしなされ。 00058150M19いやじや+△女Sそれならアノ、中がひの/弥市(やいち)が、じざ 00058160M20いへ引かゝつて△遣Sイヽヱ、さうでハござりませぬトあ 00058170¥P256 00058180¥G 00058190M1らそう所へ、(七ウ)/奥(おく)より/下女(げぢよ)が、Sまうし+お/家(ゑ)さま。 00058200M2だんなさまがよんでゞござりますトいふゆゑ、わからぬな 00058210M3がらおくへゆく。亭Sコレ+、きくよ+。ちやつとこ 00058220M4ゝへおぢや。コレ、なんの/事(こつ)ちやぞいの。アノあほうハと 00058230M5もかくも、わが身にその口上がわからぬといふてハ、/外聞(ぐわいぶん) 00058240M6がわるいハいの。なんといふて見へたのじや△女Sハイ、 00058250M7たいていわかりました△亭Sシテ、どういふ口上じや△女 00058260M8Sなかゞひの弥市が、/遠州(ゑんしう)や/宗兵衛(そうべゑ)のめいを女房にきハめ 00058270M9て、/古池(ふるいけ)へとびこんだといふて、それから/自(じ)ざいへ引かゝ 00058280M10つてたすかつて、いんげんさゝげが/横(よこ)たばで/沢(たく)あんのおし 00058290M11まずかして、(八オ)/水(ミづ)あげかぬるそら/豆(まめ)が、/石(いし)ですつたハ 00058300M12どうじやといふて、大てい口上、此やうなわからぬ事でご 00058310M13ざります△亭Sなんのこつちややら、とつとわかりませぬ。 00058320M14/外(ほか)のことハともかくも、/遠州(ゑんしう)やのめいとふたり、ふる/池(いけ)へ 00058330M15とびこんだとハ、/心中(しんちう)ざたでもあろかいの。そのやうな 00058340M16事とハしらず、アノ/弥市(やいち)めに、/雪舟(せつしう)のかけものと/利久(りきう)のき 00058350M17ハめの茶杓をかしておいたが、/買(かふ)やら/買(かハ)んやら、らちハな 00058360M18いハい△女Sイヱ+、どふで/買(か)ふ/気(き)ハござりますまい 00058370M19亭Sわが/身(ミ)のしつた事かいのふ。そりやまたなぜに△女 00058380M20Sハイ。かわづに/飛込(とびこミ)ました(八ウ) 00058390¥P257 00058400¥G 00058410G1〔絵詞〕S/雲(くも)をおゝふて丈たかく、大きいばかりで、やくたいな。い 00058420G2△づれあほうか/阿房宮(あほうきう)(五オ);S/鹿(しか)を馬とハ/馬鹿(ばか)のはじまり。ち 00058430G3△かごろの方言に、ばかをさして、はね物とハ、これらの事よりい 00058440G4△ひ出しけん(五ウ);どうぐやSおまへ、此口上がでけませぬか。 00058450G5△あまりあほらしい。これで三度じやぞへ。ようきゝいナ。ゑらい 00058460G6△十のしまのへげたれじや(七ウ);あほうSそないにいハんすな。 00058470G7△わしがきてゐるきるものハ、たてじまじや(八オ) 00058480¥N4¥J 00058490¥X○/風雅(ふうが)なあそび 00058500M10ある/髪(かミ)ゆひ/床(とこ)で、客Sコレ金さん、きゝねへ。此間八/朔(さく)に、 00058510M11かのおいらんの所へゆきやした△金Sそれハおうら山しい。 00058520M12何ぞおもしろいおあんじがござりませう△客Sべつに/趣向(しゆかう) 00058530M13もござりやせんが、八朔だから、よしハらハみな白いなり 00058540M14さ。是ハいハずとも御せうち、よしか。そこでわたしがあ 00058550M15んじハ/黒仕立(くろじたて)よ。まづ黒羽ぶたへのひとへものに、くろ糸 00058560M16で/縫紋(ぬひもん)、くろ/絽(ろ)のはおり、/黒(くろ)はかたの/帯(おび)、もちろん黒らし 00058570M17やの紙入、くろのごろふくりんのたばこ入、/赤銅(しやくどう)のきせ 00058580M18るへ黒のらうをすげて、しやくどうごしらへのわきざし、 00058590M19/黒鞘(くろさや)にくろいとのつか。もとよりせつたハ、/八幡黒(やハたくろ)の/二重(ふたへ) 00058600M20ばなを。丁/度(ど)道で関とり/衆(しゆ)に出あつたが、こゝがきめうよ。 00058610M21黒岩さんに黒雲さん、黒柳さんに黒鉄さんとハ、いゝ/顔(かほ) 00058620¥P258 00058630¥G 00058640M1だの。まア何にしろ、(九オ)仲の丁のなべぶたいせやで一 00058650M2ぱいやりやせうと、みんな/一所(いつしよ)に九郎介いなりへまいつて 00058660M3きて、おいらんハもとより$山がたにまつ黒ほしばか 00058670M4り、たいこ持がもと£げいハ黒/極(ごく)上&といふものが、大 00058680M5ぜいそろひの、その日ハ酒も九ねんしゆの黒いやつ、肴ハ 00058690M6なすのごま汁のすいものに、そのほかすゞりふた、/鉢(はち)ざか 00058700M7なまでくろ/仕立(したて)、にざかなのかれいも、目のある/方(はう)のくろ 00058710M8い所の/背(せ)の方を見せ、/飯(めし)もくろ米でたかせ、みんなくろ/椀(わん)、 00058720M9くろ茶わん、黒仕立ハ見せたかつた△金Sモシだんな、をし 00058730M10いことをいたしました。/私(わたくし)ハ又七月の晦日のばんのくらい 00058740M11のに、てうちんももたず、/空(そら)ハ(九ウ)くもつて、まつくろな 00058750M12くもが出てゐますと、かまハずお/客(きやく)がござりまして、/急(きう)に 00058760M13よびにまいつたゆへ、あさくさ/黒船町(くろふねてう)のむさしやの/仙吉(せんきち)、 00058770M14あれハむかふ/嶋(じま)のむさしやごん三が出見せで、チトいかゞ 00058780M15なはなしでござりますが、/下直(げじき)でうまくくハせまする。も 00058790M16と£/料理(れうり)ハまつくろなふる/狸(たぬき)、八/丈敷(でうじき)の/間(ま)ハいくらもござ 00058800M17ります。そこで/夜(よ)あかしをいたしました。あなたのくろい 00058810M18思ひつきなら、/黒舟町(くろふねてう)からすぐにまいれバよかつたに、お 00058820M19しい事+、何もかも/黒(くろ)とハ/実(じつ)にきゝめう+、ありかた 00058830M20山のかんがらすだ△客Sかんがらすとハ/黒(くろ)くほめたの。そ 00058840¥P259 00058850¥G 00058860M1こできゝねへ。こつちが黒じたてに(十オ)おいらんの/方(はう)が 00058870M2/白仕立(しろしたて)よ。とんと/碁石(ごいし)のやうな/座敷(ざしき)よ。そこでおいらんの 00058880M3このミで、/義太夫(ぎだいふ)かたりをよんで、/白石(しらいし)/噺(ばなし)の七ツ目/富本(とミもと)の 00058890M4ぶんごで、おきく/幸助(こうすけ)の白山さまへぐわんかけてのくどき、 00058900M5/長(なが)うたハさぎむすめ。こつちも/義太夫(ぎだいふ)をこのんで、/衣川(ころもかハ)/黒= 00058910M6鳥(くろ=とり)/合戦(かつせん)の三/段(だん)めに/忠臣(ちうしん)ぐらの十一段め。まつくろな/夜討(ようち)の 00058920M7/段(たん)と、/風(ふう)の/替(かハ)つたかたりもの、女げいしやが六/段(たん)をひくと、 00058930M8又/男(をとこ)げいしやが/外記(げき)ぶしの/源氏(げんじ)十二/段(だん)、まけずおとらぬ/座= 00058940M9敷(ざ=しき)のさハぎ、どんなもんであつたろう。又此あいだに、一 00058950M10トしゆかふしやせうトしやべりちらしてかへるあと、そば 00058960M11の人、白と黒とで/碁(ご)いしのやうなあそびをして、六/段(だん)だの 00058970M12又十二/段(たん)だのと、あの人ハ/何(なに)ものでござります。金Sその 00058980M13はづさ。御/宅(たく)が九/段(たん)の/上(うへ)じや(十ウ) 00058990¥P260 00059000¥G 00059010G1咄本数品目録△△△江戸馬喰町弐丁目 00059020G2升おとし△△△△△△△△西村屋与八梓 00059030G3△△△△△△△△下の巻 00059040G4笑話の林 00059050G5$の$ 00059060G6笑冨林 00059070G7△△△△△△△△正蔵作 00059080G8百歌撰△△△△△貞秀画 00059090¥T1 00059100¥N1¥J 00059110¥X○うそつき/弥次郎(やじろう) 00059120M3若イ者Sどふだ弥二郎兵へ。此間ハねつからあハぬが、ど 00059130M4こぞへ/行(いつ)たか△弥S日かず十日ほどかゝつて、日本むしや 00059140M5/修行(しゆげう)、/所&(しよ+)/嶋&(しま+)をまハつてきた△若Sそれハうそであらう。 00059150M6日かず十五日に、どうしてそのやうにあるかれるものか 00059160M7弥Sさうでない。てんきのよい日なぞハ、十万五千/里(り)ぐら 00059170M8ゐあるくハ。見せたいハ手/長(なが)/嶋(じま)。此/国(くに)の女ぼやむすめが、 00059180M9せんたくやはりものをして、サアほすハといふ所で、くも 00059190M10つてくると、天上まで手をのばして、/雲(くも)をみなかきちらし、 00059200M11たちまち/日天(につてん)さまがかほを出して晴天となる。そこで夕/方(かた) 00059210M12となり、お日さまか西のはうの山へ入りにかゝると、モウ 00059220M13ちつとこちらへ出てほして下さりませと大ぜいの手でつか 00059230M14ミ出し、まん/中(なか)へちやんとおくハいゝが、手をやけどして 00059240M15これにハこまる。/又(また)/足長(あしなが)/嶋(しま)がぬかるミへ(十一オ)/足(あし)をふミ 00059250M16こみ、とふ+ぢごくまでとゞくと、ゑんまの/冠(かんむり)をふミこ 00059260M17ハす。したからゑんまが、だれだといつて、あしをとらよ 00059270M18うとするを、にげるはづミに/鬼(おに)の/角(つの)でふミぬきをする。そ 00059280M19れから/小人(こびと)/嶋(じま)△若S手ながじま・足なが嶋から小人じまま 00059290M20で、その/間(あいだ)ハいくらほどある△弥S大てい舟路三万五千里 00059300¥P261 00059310¥G 00059320M1ぐらゐサ△若Sとふか、うそらしい△弥Sうそでハない、 00059330M2きゝなせへ。その(十一ウ上)/小人(こびと)/嶋(じま)で、につぽんのようか 00059340M3んをすいてくらふが、こしらへやうをしらぬゆゑ、/日本(につぽん)か 00059350M4らわたしてやるを、/巾(はゞ)五/分(ぶ)ほど/永(なが)さ五寸ほどのものを、/長= 00059360M5持(なが=もち)にして五六十人かゝつて、ゑい+とかつぎあるく。そ 00059370M6こで日本でもようかんの事を、一トさほ二さほといふハ、 00059380M7是からはじまつた。すべて/家居(いへゐ)ハ/独活(うど)をもつてつくるゆゑ、 00059390M8うどの/大木(たいぼく)とハ此くにのことばじや。/他国(たこく)にてハかゝるう 00059400M9どの大木をよごしにしてくふそうじやと、此国の人ハつね 00059410M10におそれてゐる。/肴(さかな)うりなぞがよぶこゑをきくに、めだかの 00059420M11たちうりや、ぶゑんのぼうふりや+、/橋(はし)ぎわなぞであん 00059430M12どうを出して、なめくじらなべやきといふハ、山くじらの 00059440M13心もちで、なめくじらが/一疋(いつぴき)出やうものならバ、かりうど 00059450M14があつまり、/鉄炮(てつはう)五十てうぐらゐでぶちころす。又たこく 00059460M15でびんぼうゆすりをするが、此国へひゞきてぢしんとなり、 00059470M16/火(ひ)うちがまのひかりハ、此国でいなびかりと見て、すりば 00059480M17ちのおとをきくと、そりや大がミなりじやといふ△若Sと 00059490M18んだちいさい国だの。それからどこへいつた△弥Sそれに 00059500M19引かへ/大人(たいじん)/国(こく)。これハ又大きいとも+。今うまれたあ 00059510M20か/子(ご)と(十二オ上)いふが二/丈(でう)六尺ぐらゐ。としをとると二 00059520¥P262 00059530¥G 00059540M1十丈三十丈。せいのたかい人などハ、たれもその人のかほ 00059550M2を見た事なし。/雲(くも)のなかへはいつて、よくよくせいてんだ 00059560M3といふ日に、その人のひげがちいつと見へるばかり。/肴(さかな)う 00059570M4りなどの/売(うり)こへが、くじらじやこやくじらじやこ。此国の 00059580M5なすびの大きい事△若Sどんなだの△弥Sなんでも一つそ 00059590M6こにあると、(十一ウ下)くらやミにへたをつけたやうだ。 00059600M7それから日本のぐつと/北(きた)のすミの国へいつた所が、/大寒(だいかん)こ 00059610M8くで/氷(こふ)るとも+。あめがこほつてふる。そこで/雨(あめ)なぐり 00059620M9ぼうといふをもつて、ふり出すとそのぼうで、あたまのう 00059630M10へをはらひ+あるく。又小べん/所(じよ)へ/行(ゆく)と、かなづちが一 00059640M11本づゝつるしてある△若Sそれハどういふものだの(十二オ 00059650M12下)△弥Sハテ、小べんをする時、しやつと出たまゝで、 00059660M13すぐにこほりつき、あとのがでぬゆゑに、口の所をかなづ 00059670M14ちでかちりとかくと又あとがでるが、ながい/小用(こよう)の人ハ 00059680M15三十六/度(ど)ぐらゐ、かち+とやらねバ用ハたりぬ。さて、 00059690M16をかしいハ/火(ひ)が/氷(こほ)るハ△若Sコレ+、火がなんの氷る 00059700M17ものか。是ばかりハうそだ△Sマア+きゝねへ。/火(ひ)がも 00059710M18へるハ。上から/水(ミづ)をかけると、じきにこほつて、/色(いろ)があか 00059720M19くて$此やうななりに(十二ウ上)なつたを、江戸へ 00059730M20もつていて、さんごじゆにしてうれバ、大そうな/金(かね)もふけ 00059740¥P263 00059750L1じやと、/山師(やまし)がついて/馬(うま)につけて、そのかん国を引たした 00059760L2所が、/他(た)こくハだんきてあたゝかいゆへ、その火のこほり 00059770L3がとけて、/馬(うま)がやけどをして△若Sコレ+弥二郎、よい 00059780L4かげんにしろ。あんまりうそだ△弥Sうそならいつて見ね 00059790L5へな△弥Sだれがそこまでゆくものか△Sそこでまだをか 00059800L6しいが、/鳥(とり)のさぎよ。/田(た)の中にゐると、/夜(よ)のうちに/足(あし)がこ 00059810L7ほりついて、夜があけてもとぶことハできず、はねをばた 00059820L8+する所を、百/姓(せう)かかまで、あしを三寸ほどのこしてか 00059830L9りとりてかへり、いろ+にして/酒(さけ)の/肴(さかな)にする。又あしの 00059840L10/切口(きりくち)の(十三オ上)/残(のこ)りが田の中にあると、/春(はる)になりあたゝ 00059850L11かになると、そのきり口から/芽(め)がふいて/白(しろ)い/花(はな)がさく。さ 00059860L12ぎ/草(そう)といふハ、みな此くにから/諸国(しよこく)へ/渡(わたつ)たのだ。又諸国を 00059870L13/廻(まハつ)てきて、はなしませうとかへりしあとにて、みな+Sナ 00059880L14ント、うそもほうづがあるものだ。あいつがからだに/刄(は)もの 00059890L15一本なくて、どうして/武者(むしや)しゆぎやうに(十二ウ下)でられる 00059900L16ものかトいへバ、そバの人Sさうもいハれぬ。/刄(は)ものがそろ 00059910L17つてある。べら+しやべる/口(くち)ハかミそりのやうで、はい 00059920L18てきた/草(ぞう)りハ/長刀(なぎなた)。その上、/飛道具(とびどうぐ)をもつてゐる△Sそれハ 00059930L19又なんじや△Sハテ、いふ事がみな、てつぽうじや(十三オ下) 00059940G1〔絵詞〕小人Sこれハ+大そうな風だ。にげろ+。内のかゝしゆ 00059950G2△があんじられるとハ、故人十返舎一九のくてうじや(十二オ中) 00059960¥N2¥J 00059970¥X○/曲輪(くるわ)の/大詰(おほづめ) 00059980M3/小倉(をぐら)の/山荘(さんせう)ハ百人の/外(ほか)ハゑらバず。/櫓(やぐら)の/半鐘(はんせう)ハ/番人(ばんにん)のほか 00059990M4ハのぼらず。/水道(すいどう)じりに/黒塀(くろべい)あれバ、大門口に四郎兵へあ 00060000M5り。百人一/首(しゆ)の/哥(うた)の中に/鴬(うぐひす)のないと、/廓中(くわくちう)に/鶏(にハとり)のないを 00060010M6/鳥合(とりあハ)せ、/芝居仕立(しばゐじたて)の/時代(じだい)せわ、いでもの見せんと夕ざくら、 00060020M7たそととふて、かれとこたふころ、/筆頭(ひつとう)の/天智天皇(てんぢてんわう)、/当時(たうじ) 00060030M8の/流行(りうかう)一分もすかぬこしらへにて、天S今から/青楼(せいろう)夕さく 00060040M9らといふ所だか、おらが/連(れん)でだれも、しやれる人がどうも 00060050M10ねへよ。まだ/喜撰(きせん)ハきこふる/宇治(うぢ)の/茶人(ちやじん)だが、みやこの/辰= 00060060M11巳(たつ=ミ)といふ/哥(うた)をよんでから、/深川(ふかゞハ)へばかりはまるし、まだ/猿= 00060070M12丸(さる=まる)だらう。マア此人この人トひとりごとして、ほどなくさ 00060080M13る丸の/草庵(そうあん)へおとなひ、天S/御在庵(ございあん)かね△さるSヤ、天さ 00060090M14ん。/何(なん)とおぼしめして△天Sモシ丸さん。是からすぐに/青= 00060100M15楼(せい=ろう)夕ざくらと出かける/気(き)だが、とうでごぜへす△さるSい 00060110M16づれ、りんげんハそむ(十三ウ)かぬが、此あいだハまこと 00060120M17にじミきつて△天Sそうでもござりやすめへ△さるSじつ 00060130M18/楼(ろう)に/登(のぼつ)て/房(ぼう)にいらずだ△天Sこんなうそな事ハねへ。(十 00060140M19四オ)サア+御したく+△さるSいやといへハ/違勅(ゐちよく)の/罪(つミ)。 00060150M20なんぼ世をすてゝも、此なりでもゆかれやすめへ。鳥渡身 00060160¥P264 00060170¥G 00060180M1ぶるいをしやせうト、何か/小紋(こもん)ちりめんのおなじいろの小 00060190M2そで三つかさねて、おなんどの/有栖(ありす)川おりの帯に、黒なゝ 00060200M3この羽おり、ふすべのはなをのせつたをはき、/草庵(そうあん)を立い 00060210M4で、さるSこれハ+おまちどほ。時におちや屋ハ△天S大 00060220M5坂やサ△さるSひさしい見せだね。かの御/愛妾(あいせう)ハ△天S三 00060230M6うら屋のうす雲サ。両三度ゆきやして、此あいだマアなじ 00060240M7ミのしるしをして、/例(れい)の(十四ウ上)通しや何かで、なんだ 00060250M8かたいこもちやげいしやが出たりはいつたりて、/北(きた)のかた 00060260M9のひたひへ、/角(つの)が一本半見へやすが、是にもだねへ△さる 00060270M10Sイヱ+、その/勅(ちよく)ハ手まへがつてサ。北の方のやくのか 00060280M11/花(はな)だね。そしておかミさんの/角(つの)ハ、/薬屋(くすりや)て/直(ね)をよく/買(かひ)やす。 00060290M12たんとためて/売(うつ)ておやりなさりまし△天Sナニ、女/房(ぼ)のつ 00060300M13のをかふものか△さるSかふとも+。おかミさんの/角(つの)だ 00060310M14から、/妻角(さいかく)と/号(なづけ)てうりやす△天S丸さん。いつも/気(き)ハかる 00060320M15いねト、はなしもてゆく(十五オ上)むかふより、ふぢハら 00060330M16の/道信(ミちのぶ)に/光孝(くハうこう)/天皇(てんのう)ふたりづれ。道Sコレサ光孝さん。マア 00060340M17けふハかへつて、又いつでもでられるハな△こうSイヤ 00060350M18+、おれハ是から立かへり、又も此子にあとをひき、な 00060360M19ほおもしろいせかいがありやすトあらそふ所へ、天Sヤ、 00060370M20これハ道のぶさんに/光孝(くハうこう)さん。どこいへ△道S天さん。め 00060380¥P265 00060390¥G 00060400M1んぼくしだいもねへ。光こうさんにさそハれて、/桜(さくら)けんぶ 00060410M2つに/来(き)やしたが、桜も(十四ウ下)まだそだのやうで、ちつ 00060420M3とことしハ/季(き)かおそうござりやす△さるSナゼ今じぶんか 00060430M4へりなさる△道Sデモ日がくれると、とふもそこが△さる 00060440M5Sカウ、道のぶさん、おめへさんにもにあハねへ。是から 00060450M6だハな。(十五オ下)あけぬれバくるゝものとハしりながら。 00060460M7さう日のくれるをおそれる事もねへ△天Sくわうこうさん。 00060470M8だいぶけんきだね△こうSそのはづサ。今かへりがけに、 00060480M9/足曳(あしびき)の山屋どうふで/左(ひだり)をきめて来やした△天Sそれハ/柿本(かきのもと) 00060490M10の人わるだね。サアそのきげんで、立かへりハどふだ+ 00060500M11こうSわたしハさそう/水(ミづ)あらバいなんとそ思ふサ△道Sコ 00060510M12レサ、/光(くわう)こう/天(てん)のう、きミがためだ。かへらつせへ+ 00060520M13こうSコレサ+。さう両/方(はう)てすゝめちやア、もミぢのに 00060530M14しきかミのまご+だ△さるSサア道のぶさん、どふだへ 00060540M15道Sあひミての(十五ウ上)のちのこゝろにくらぶれバか。ゆ 00060550M16きやせうト、四人づれ大門口をはいれバ、げに/欲界(よくかい)の/仙= 00060560M17境(せん=きやう)と/唐人(とうじん)のねごとにいふ/名花(めいくわ)/傾国(けいこく)、二つならんで、いづれ 00060570M18を花と、むれくる人のたましひとうり天をつきぬき、イヨ/玉= 00060580M19屋(たま=や)の/暖簾(のうれん)に、をりめたゞしく/$(しつけかた)を/見(ミ)せすがゞきも/家= 00060590¥P266 00060600¥G 00060610M1&(いへ=+)の/弾方(ひきかた)ちがふを、ぞめき/客(きやく)しるもしらぬも大坂やの見せ 00060620M2さき。内の女房が、女Sヤ、だんなさま、いらつしやいま 00060630M3し。/只今(たゞいま)もおうハさを申ました。/兼輔(かねすけ)や+△かねSハイ 00060640M4+、ヤ、これハみなさま天Sどふだ、かね/輔(すけ)。けふだれ 00060650M5ぞ見へたか△かねSハイ、/菅家(くわんけ)さまと、モウおひとり、お 00060660M6なハしつねんいたしましたが、ネヱおかミさん△女Sさ 00060670M7やうサ。わたくしも/情(ぜう)のない。ついお/名(な)をわすれましたが、 00060680M8/久(ひさ)しいあとにいらつしやいました。アノ/紀(き)のなにとか申ス 00060690M9おかたでござります△天Sムヽ、/紀貫之(きのつらゆき)か△女Sさやう 00060700M10+。どういたしませう。やう+思ひ出しました△光 00060710M11Sぜんていアノ男ハ、/紀(きの)/実定(さねさだ)といつて、そゝつかしい人て、 00060720M12/紫宸殿(ししんでん)で/冠(かむり)をおとしたが、じよせへねへ男だから、/即座(そくざ)の 00060730M13/狂哥(きやうか)に、今よりハ紀貫之とめさるべし実定ともにかむり 00060740M14おとせバ、ト/哥(うた)をよミて、それから/改名(かいめい)よ。(十六オ上)まだ/名(な) 00060750M15びろめハせぬが、あら+かくのとふりサ△女Sさそくの 00060760M16いゝ事でござりますねへ△さるSかねすけや。くわん/家(け)ハ 00060770M17かねSこれハつるやのすがハらさまでござります△さるSつ 00060780M18らゆきハ△かねSあふぎ屋で/新造(しんそう)しゆでござります△こう 00060790M19Sしんぞうかひとハ、ちときのつらゆきだの。そんならお 00060800M20ぬしハつるやへいつて、おいらたちが(十五ウ下)こゝにゐ 00060810¥P267 00060820¥G 00060830M1る事をそういつて、ちよつとあひてへからきてくれろとよ 00060840M2んでくだせへ△女Sかね/輔(すけ)ヤ。おいらんへおしらせ申な△ 00060850M3かね+かしこまりましたトかけゆくあと、男女のげいしや 00060860M4のみだれ酒。肴ハ山をなしにけり。(十六オ下)大ぜい引つ 00060870M5れ、三うら屋のうす/雲(くも)、大さかやの見せさき。見るより女 00060880M6ぼう、むすめぶんげいしや、たいこが、おいらん。おはや 00060890M7う+++。こまSくわうこうさん。一つあげませ 00060900M8う△こうSひさしぶりで、おこまがしやくか。コレサ、つ 00060910M9よいしやくだぜ△道Sそう※しい男だぜへ△こうSそれ 00060920M10でも、まろがひざを酒だらけにした△道Sいゝハな。ぬれ 00060930M11にぞぬれしいろハかハらじだ△こうS大きにいろがかハつ 00060940M12たしんせうだハへ△天Sコウ、くわん/家(け)ハまだか。(十六ウ 00060950M13上)こぬ人をまつをのうらの夕なぎさん。ちよつとつれて 00060960M14きてくんねへ△夕Sおとめどん。一所においでなんし△天 00060970M15Sコウ+、おとめのすがたしばしとゞめんだ。手めへが 00060980M16ゆくなら、くわんけにさういつてくれ。くるともこぬとも、 00060990M17/僧正(そうぜう)へんじをしてくれろと△こうSモシ/天(てん)さん。それでハ 00061000M18よくねへから、おれがいつて引ずつてきやせうトかけ出し 00061010M19て、つる屋の見せさき。こうSどうでごぜへす、しの/原(ハら)さ 00061020M20ん。みなさんがはやくあがつて、おまへばかり、あまり 00061030¥P268 00061040¥G 00061050M1てなどか人のこひしきだの△しのSさつしておくんなんし 00061060M2こうSいつみてもうつくしいね。お/茶(ちや)をひいて、ころもか 00061070M3たしきひとりかもねんといふ所へむぐりこみてへ。したが、 00061080M4かういふ大ぶたいだからいゝが、/下直(けぢき)な女郎/衆(しゆ)なら、かた 00061090M5ぶくまでの月を見しかなといふばんだ。ときにわかいしゆ。 00061100M6くわん/家(け)をよんでくんねへトいふうち、二かいより/新造(しんぞう)か 00061110M7むろがついて、くわんけハ/下(した)へおりる。くわんSヤ、くわ 00061120M8うこうさん。これハ+(十七オ上)おそれいる△こうSど 00061130M9うだ、/色(いろ)をとこ。ちよくし三/度(と)におよぶハな△くわんSサ 00061140M10アまいりませうト、大ぜいつれてつる屋をいで、ほどなく 00061150M11大さか屋の見せさき。くわんSヤ、これハみなさんおそろ 00061160M12ひで△天Sくわん家さん。いくたびつかひをやつても、今 00061170M13こんといひしばかりのながつちりだの△くわんSおつかひ 00061180M14がまいると、ぬさもとりあへず△天Sナニ、うそばつかり。 00061190M15サア+一つけんじやせう。おまへに(十六ウ下)とゞけも 00061200M16のがあるから、お/目(め)にかけやうとおもつて、(十七オ下)さ 00061210M17だめし御せうちだろう△くわんSその/手紙(てがミ)がどうしてあな 00061220M18たの手へ△天Sところが/入(い)つたね。さる丸さん、御ひこう 00061230M19+△さるSようござりますかへト、/文(ふミ)おしひろげ、さる 00061240M20S/時代(じだい)にさや/形(がた)に/天地金(てんちきん)の/奉書(ほうしよ)とハ、むかしを思ひだすね。 00061250¥P269 00061260¥G 00061270M1しかも/松花堂(せうくわどう)で、ヱヽなんだト、よみくだす。 00061280M2◇今ハたゞおもひたへなんとばかりを、人づてならでもみぢふ 00061290M3む、鹿の命もなが+しくも、山鳥のへだつうらミを、一筆ち 00061300M4らしまいらせ候。御しんにおぼへ、有明のつれなく見へしわか 00061310M5れより、しづ心なく此ほどハ、ほさぬ袖だにあるものを、恋に 00061320M6くちなん身の上も、今一たびのあふ事もと、もみぢのにしき神 00061330M7+へ、ばちもおもハずちかひてし、そのせいしさへみなあだ 00061340M8と、あらハれわたる(十七ウ上)うき名さへ、いろに出にけり我 00061350M9恋ハ、物や思ふとないせうで、いハでせかるゝ瀧川の、われて 00061360M10もすへにあハちしま、かよふ千鳥のなくこゑハ、いくよねざめ 00061370M11のきぬ+に、末の松山末かけて、いく野の道のとほくとも、 00061380M12かならずこよひ御かよハせのやう、神かけいのりまいらせ候◇ 00061390M13といふぶんめんでハ、きミがためをしからざりしいのちさ 00061400M14へだね△くわんSわすれじのゆくすへまでハ、おぼつかね 00061410M15へ事サ△女Sモシだんなさま。どなたさまも、ちと二かい 00061420M16ハどふでござります△天S二かいがよからふ。サア+ト 00061430M17のこらず二かいへあがりしあと、ひとりのこりしたいこも 00061440M18ちのどん六、あたり見まハし、くわい/中(ちう)より/色紙(しきし)一まい 00061450M19(十八オ上)とりいだし、どんSさいぜん/紀貫之(きのつらゆき)がとりおと 00061460M20したる/定家(ていか)のしきし。ナニ+。見わたせバ/花(はな)ももミぢも 00061470¥P270 00061480¥G 00061490M1なにハなる/浦(うら)のとま屋の/秋(あき)の夕ぐれ。こりやいゝものが 00061500M2手に入た(十七ウ下)ハへトいふうちに、にハかにきこへる 00061510M3とほよせたいこ。ありや+ありやと大ぜいおしよせ、中 00061520M4にも、さるSヤア、さいぜんより、がてんゆかずとおもふ 00061530M5ゆへ、けいりやくをもつてさぐるところ、(十八オ下)あん 00061540M6にたがハぬたいこのどん六。/本名(ほんめう)なくてかなハぬやつ。サ 00061550M7アじんぜうに、大ぜいSなのるまいか△どんSこれハ又だ 00061560M8ん那さまがた、どうしたものでござります。たかゞたいこ 00061570M9の此どん六。/本名(ほんめう)とやらハぞんじませぬ(十八ウ)△天Sヤ 00061580M10ア、なんぢが所持なすそのしきし、定家の筆としつたるハ、 00061590M11たゝものならぬなんぢがすぜう△大ぜいSサアじんぜうに、 00061600M12名のつた+△どんSたとへ色紙をもちませうが、名のる 00061610M13名ハもちませぬ△つら之Sまだあらがふか。さいぜんおと 00061620M14せししき/紙(し)のうたハ、見わたせバ/花(はな)ももミぢもなにハなる 00061630M15と、何ものが直せしか、定家にはぢをあたへんけいりやく。 00061640M16まことの哥ハ、見わたせバ花ももミぢもなかりけりうら 00061650M17の苫家のあきの夕ぐれ。まことの品ハこれにあり。なんぢ 00061660M18が所持なすそのしきしハ、まつかいなにせものなるハ△ど 00061670M19んSさてハ是ハにせものなるか。いめへましい△こうSも 00061680M20はやかなハぬ。本名なのつて、つミにふくせよ△大ぜい 00061690¥P271 00061700¥G 00061710L11Sサア+++、どふだヱヽ△どんSなのるまじとハ 00061720L12おもへども、うぬらがせつなるこゝろにめで、今ぞ名の 00061730L13るぞ。よツくきけ。/英雄(ゑいゆう)/四姓(しせい)とわかれしより、源平とへだ 00061740L14ゝり/藤橘(とうきつ)とあらそふハ、世のならいとハいひながら、(十九オ) 00061750L15/大中臣(おほなかとミ)の/臣(しん)あまつこやねのびやうゑい、/累&(るい+)たる藤原も、 00061760L16時に時平いでしより、/菅家(くわんけ)の事にてむほんとよばれ、ねい 00061770L17かんじやちといハるゝむねんサ。今この式紙ををとりにし 00061780L18て、定家/貫之(つらゆき)にはぢをあたへ、主人のおめいを/清(きよ)めてのち、 00061790L19ふたゝび/栄(さか)ふときハ、木にからむちすじのふぢハら氏、時 00061800L20千代丸とハ、おれが事だハ△大ぜいSさてこそなア(十九ウ 00061810M1上)△Sおくのかたにて、大ぜいの女のこゑ。Sとつた 00061820M2+++トいふゆゑ、/襖(ふすま)をあけて見たれバ、/哥(うた)かるた 00061830¥N3¥J 00061840¥X○/掛物(かけもの)のほめことば 00061850M5ばかSだんなさま。アノお/床(とこ)の間の/掛(かけ)ものハ、なんでござ 00061860M6ります△旦Sあれハはせをの賛じやトきゝて、(二十オ上) 00061870M7又外のうちへいつて、ばかSあなたさまのうちの/掛(かけ)ものゝ 00061880M8/賛(さん)ハ、だれが/書(かき)ました△亭Sあれハ(十九ウ下)元章の/詩(し)で 00061890M9ござりますトきいて、又立いで外の家へゆき、Sおまへの 00061900M10うちのとこの間の/詩(し)ハよろしうござります△女ほうSアノ 00061910M11かけ物ハ一休の/悟(ご)でござります(二十オ下)△ばかSさやうか 00061920M12ね。又此あいだにトたちいでゝ、きもをつぶし、Sコレ、気 00061930M13のつかぬ事をした。三四五と一ツづゝあげるのだ。こんど 00061940M14ハ万ふく屋のだんなのところへ/行(いつ)て、六とほめれバ大丈夫 00061950M15だト、おもてよりほめながら、ばかSおかけものゝ六ハけ 00061960M16つこう+トいへバ、亭Sイヽヱ、これハ七福神の/掛物(かけもの)サ 00061970¥Q 00061980M18△△△△△△△△△△△△△◇林屋正蔵戯作 00061990M19△△△△△△△△△△△△△五雲亭貞秀狂画◇ 00062000M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二十ウ) 00062010¥P272 00062020¥U噺本大系△第十八巻 00062030¥G 00062040¥T/落噺(おとしばなし)/年中行事(ねんちゆうぎようじ)〔扉〕 00062050¥Y 00062060M6天保七年正月刊 00062070M7林屋正蔵作 00062080M8五雲亭貞秀画 00062090M9西村屋与八板 00062100M10中本二巻二冊 00062110¥Q 00062120M13◇ねんちう行事よせて木木ます 00062130M14はくろ町二丁目にしむらはん◇ 00062140M15◇天保七@丙△|△申@年△林屋正蔵作 00062150M16陽△春△発△兌△五雲亭貞秀画◇ 00062160M17△△△△△△△△△△△△△(見返扉) 00062170¥Y 00062180M18△△△はなし本目録 00062190M20/升(ます)おとし△@源氏五十四帖の目録をとり合たる|おもしろき文句入の長ものかたり@ 00062200¥P273 00062210¥G 00062220M1/笑話(はなし)の/林(はやし)@世のぞうだんさま※の中に△|おそろしき怪談ものをしるせり@ 00062230M3/$(たいこ)の/$(はやし)@はなし数あまたある中に、鯉と鰹の|達引にて魚づくしの文句入り△△△@ 00062240M5/笑富林(わらふはやし)@是ハ暦の中の上段下段十二のえと、よき日とり|あらゆる事をあつめたるおとぎさうし△△△△@ 00062250M7/百歌撰(ひやくかせん)@当時名高きかぶきの役者、百人一首に|見立、花街に遊ぶ芝居掛り(壱オ上)@ 00062260M9△△△△△△△△△△◇林屋正蔵作G◇ 00062270¥Y口上 00062280M12年久しく作いたします咄しの本の初りにハ、わたくしの親 00062290M13正蔵が、いつとても御目見へいたしますが、当年ハめうだ 00062300M14いに娘のわたくしが、ぶてうほうな口上を申上ます。子供 00062310M15のことでござりますれバ、何事も御かんにんなされ、評判 00062320M16よろしうなしくだされ、十二ケ月のつゞきはなしと御たづ 00062330M17ね被遊、たんと御求のほどねがひあげます。そしてこわい 00062340M18はなしの本もうりだしました。そのため口上さよふ 00062350M19△△△△△△△△△△◇五雲亭貞秀画G◇(壱オ下) 00062360¥P274 00062370¥G 00062380¥T1 00062390¥N1¥J 00062400¥X◇@三十年のむかし+|上方にて流行せし@絵咄の仕様◇ 00062410M3はなしのしやうハ、たとへバ町人一人、ひがしのかたより、 00062420M4このやうなまげをしてゆくといふて$@如此|かき、@又に 00062430M5しのかたより町人一人$このやうなまげをして 00062440M6来り、ゆきちがひにこうろんになつたといふて、$ 00062450M7@如此向ひて|二つかく。@さてそのきんじよの男だての町人見かねて、又 00062460M8$このやうなまげにて出、あいさつするといふ 00062470M9て$@如此三ツ|になす。@そのあいさつにて丸ふすんだれバトい 00062480M10ふて、その中へ$をかいて、$もとのごとく 00062490M11になつたとおとすなり。余ハ是にならひてしるべし(壱ウ) 00062500M12△△真中挨拶漢 00062510M13△△相手隔東西 00062520M14△△争果為五徳 00062530M15△△沸茶諸客臍 00062540M18△△△△△△微雨舎題G(二オ) 00062550¥P275 00062560¥G 00062570¥N2¥J 00062580¥X◇正月△万歳らく◇△@万ざいのよみくせ、/片仮名(かたかな)に|気をつけ、御覧可被下候△△@ 00062590M3万ざいSせいよふヲがあらアたまアる、としとるはじめエ 00062600M4のあしたにわア、みづウもわかやぐ、きのめがさア+さ 00062610M5かゑると、とウみハしきりにくる△Sこれからそろ+め 00062620M6でたい所でまいろう△Sまいるとやもうさアばや、おかね 00062630M7がまいる。おかねともうさアバ、佐渡のウ国のウかなやア 00062640M8まア、たんばア・たんごヲ・たじまアでヱハ、たんざくか 00062650M9ねかア、すなかアねか、ぞろりやそろりやぞろ+ぞつと 00062660M10ヲまいるト、万才のはやすこゑを、うばがきゝつけ、だん 00062670M11+うかれいだし、だいてゐるおさな子をたゝきつけてね 00062680M12かしながら、万才のひやうしにて、Sねん+ころろやね 00062690M13ん+よ。あすウハとふからおひんなれや、あアかのまん 00062700M14まにとゝそゑて、ざんぶざんぶとあげまんしよ。ぼうさん 00062710M15かわいさかきりイなアし、やアまできのかずかやんのかず 00062720M16ト、われをわすれて、つゞミのかわりにおさなごをたゝく 00062730M17ゆゑ、だかれてゐるちのミ子が、Sばゞアや、いたいよ 00062740M18+△うばSいたいといふて、この子ハまアた、どこんが 00062750M19まアた、いたいのだ△ちのミ子Sぽんぽんが(二ウ上) 00062760¥P276 00062770¥G 00062780¥N3¥J 00062790¥X○目出たい好の/亭主(ていしゆ) 00062800M3/扇子(あふぎ)屋へとしだまをかひにゆきて、Sなんぞめでたいもよ 00062810M4うハ△Sござります+。竹に千とせの松、つるが二は、 00062820M5万年のかめが三つゐるのが△Sヲヽそれ+、それにしま 00062830M6せふ。まづかめが三つで三万年、つるが二は、竹が二本で 00062840M7四千年、松が一本二本三本、どふもわからぬ。ばんとう、 00062850M8そろばんをかさつしやい(二ウ下) 00062860¥N4¥J 00062870¥X◇二月△初午の行灯◇ 00062880M11銭屋の金埓が哥にSなには津をならふたまでのをさな子も 00062890M12筆の匂ひハ青ぢくの梅、と菅家の筆法。御伝じゆの永字と 00062900M13ともに、ながき日の上る手跡のわらんべが、ふでよすゞり 00062910M14よすミ紙と、こゝろつくゑに樽肴、弟子入子どものさハぐ 00062920M15ころ、町内のわかいもの大ぜいあつまり、中に年かさ熊右 00062930M16衛門Sヤイみんな。おらが内へきやな。此間もいふとふり、 00062940M17町内のいなりさまへ、此はつ午ハ大あんどんに地口。こり 00062950M18やアいはねへでもしれた事だ。そこでゑかきハだれかれと 00062960M19いハふより、いそがしからうが貞虎がうちへいつて、たの 00062970M20まふじやアねへか。又てん※にひゐきびゐきがあるもの 00062980¥P277 00062990L1だから、むりとハいはねへ。まアゑんりよなしにいつてみ 00063000L2やな△Sよかろふ+。いづれ五渡亭の弟子ハみんな上手 00063010L3だから、だれでもみんなひゐきよ△Sそんなら今から大ぜ 00063020L4いつれて、いかふじやアねへか。サアみんな、きやな+。 00063030L5ほどなくさだとらが門口。Sハイごめんなせへ。先生ハ内 00063040L6かね△Sハイ、やどにおります△Sおめさん、おみかけ 00063050L7申たよふだが、おかミさんかね△Sわたくしハ下女でござ 00063060L8ります△S下女にしてハいゝ女だ。ちらとでたい△Sべら 00063070L9ぼうめ。下女といろをするなら、おかミさんにきいてしろ 00063080L10(三オ)Sそりや又なぜ△Sむかしからたとへのとふり、女 00063090L11ぼうきいて下女をしろ。此ぢぐちハどふだ△Sサア+ど 00063100L12なたもおあがりなされませ△Sおめへさんがおかミさんか 00063110L13へ。こりやアはじめておめにかゝりやした。此はじめにゐ 00063120L14やすが、むかふ見ずの吉と申やす。おこゝろやすふおたの 00063130L15ん申やす。むかふみずといつて、けんくわのときハおやわ 00063140L16んへ山もりにしてくふから、めしでむかふが見へやせん。 00063150L17そこてむかふ見ずさ△Sこれさ熊。いゝかげんにしやな。 00063160L18げへぶんがみつともねへ△Sそのつぎがべか安。三ばんめ 00063170L19がよい+ごん太。それからあのはなくそをいじつてゐる 00063180L20が、でび亀にがり+久次。そのつぎが孫きまと申やすハ 00063190M1きまぐれの孫だが、ひつくりかへして孫きま△Sなにをい 00063200M2ふ。いゝかげんにしやへれなといふうち、Sサア二かいへ 00063210M3お上りなされませ△S大ぜいうちつれ二かいへ上り、Sお 00063220M4いそがしい中へ心なくめへりやした。どふぞ大あんどんと 00063230M5地口を五百ばかり、おたのん申たうござりやす△Sこれハ 00063240M6+おわかいしゆさまがた、まことにありがたうござりま 00063250M7す。此とふりしよ方のあつらへで、まことにいそがしいゆ 00063260M8へ、右の手の筆ばかりでハまハらぬゆへ、左リへもふでを 00063270M9もちまして、両筆でかいてをるくらゐな事じやが、せつか 00063280M10くのおたのミ、どふともいたしませふ。して、どふいふお 00063290M11もひつきだね(三ウ上)△Sマアそがのやくわりにいたしたふ 00063300M12こさりやす△Sそれハおもしろからうが、どふもこちらで 00063310M13地ぐちをかんがへたり、ゑをかいたりハできません△Sそ 00063320M14りやアみんながかんがいてござりやす。マアかういふのハ 00063330M15どふでござりやせふ。ふどうさまがきつねのめんをかぶつ 00063340M16てゐて、狐ふどうなんさア、どふだね△Sよふござります。 00063350M17そのつぎハね△Sわつちのハ、てふ+が二ひきで、けや 00063360M18いをする所△Sこれ+かめ、何をいふ。にわとりじやア 00063370M19あるめへし、何てふ+がけやいをするものか。ばかをい 00063380M20へ△Sてふ+だつて、けやいをしねへことがあるもんか 00063390¥P278 00063400L1Sさういふが、てふ+のけやつたを見た事がねへ△Sそ 00063410L2んなら又、われがいつた、ふどうさまのきつねのめんをか 00063420L3ぶつたを、おらアまだ見ねへ△Sわれが見ねへでも、おら 00063430L4アみた。いくらもあるハ△Sイヽヤ、ねへハへ△Sあらア。 00063440L5此やらうめヱ△Sなに、此いきどまりめトたゝきあふゆへ、 00063450L6Sマア+どなたもおしづかに。どふでもいゝハな。両方 00063460L7ながらあるになさるがいゝ△Sなんの此やらうめヱ。おれ 00063470L8にいゝちぐちをいハれたとおもつて、そねみやアがる。か 00063480L9まわずとかいておくんなさいやし。(四オ上)てふ+がけ 00063490L10やつてゐて、坂をかいて、けやい坂のてふ+ハどふだ。よ 00063500L11からう△Sそのつぎハね△Sわつちハかうでごぜへす。奴 00063510L12あたまで、ひたいへあかいすぢのある人が、かばやきのお 00063520L13かもちをもつて、うしろのあんどんに和田とかいてある所 00063530L14のゑをおたのん申やす。地口が、かばやきのおかいなハど 00063540L15ふだ。いゝかね(三ウ下)Sヤ、これハおそれいつた。いづ 00063550L16れどなたもよいが、おまへのハきついものじや。和田と 00063560L17いふあんどんがどふも(三ウ中)△Sいゝはづさ。きよねん 00063570L18よそのあんどんで見たのだ△Sわつちハ目の大きいこぞう 00063580L19をかいて、大目のごぞうだ△Sもし、かういふのハどふで 00063590L20ござります。わだのよしもりと、ほうでふ時まさがあくび 00063600M1をしてゐる所をゑにかいて、わだほうでふハごたいくつハ 00063610M2どふだね。これハ口上いひのあんどんのつぎへだしたい。 00063620M3なが口上ハごたいくつときこへませうか△Sいゝねへ。こ 00063630M4りやアいゝ。此こゝろもちでやつつけべい。(四オ下)もし 00063640M5貞とらさん。おめさんの所へくるばけものはなしをする、 00063650M6はやし屋正蔵をながくかいて、なが正蔵ハごたいくつハど 00063660M7ふだ△Sもし+先生。そこで大あんどんハ、おもての方 00063670M8へ何をかいておくんなせへやし。あのそれ、よくあるゑだ。 00063680M9をのゝ小町が石のうへにたつて、からだからごくわうがさ 00063690M10してゐると、両方のわきに、かうそつたかさをかふつてゆ 00063700M11ミ矢をもつて、そがの五郎十郎が小町をいりころさうとい 00063710M12ふ所を△Sどふもさういふづハござりませんが、それハ小 00063720M13町でハない、玉ものまへたらう。そして両方にゐるハ三う 00063730M14ら・かづさの両介だ△Sヘヱ、あれが両介さんかね△Sイ 00063740M15ヽヤ、両介といふ人でハない。三うらの介かづさの介とい 00063750M16ふから、二人リあハせて両介さ△Sヱなるほど。もう一人 00063760M17リつけて、せんとうで水をくむのが三介かね△Sこれ、し 00063770M18やれるな。そこで先生、うしろの方へしつぽの九本ある狐 00063780M19を、一ぱいにおたのん申やす。いよ+夜ミやのあさとり 00063790M20にめへりやすと、大ぜいハ立かへり、それより当日のにぎ 00063800¥P279 00063810¥G 00063820M1ハひ、いふばかりなく、大ぜいの若いものがそろいのきも 00063830M2のをみれハ、ちりめん・はぶたへ・らしや・にしきの(四 00063840M3ウ上)おもい+のつき+の小そでゆへ、どふいふおも 00063850M4ひつきときいたれハ、おれき+ハごぞんじあるまいが、 00063860M5此つぎ+をばけものしたてといふ。そのはつよ。お岩い 00063870M6なりのおまつりだ 00063880¥N5¥J 00063890¥X◇三月△雛の集会◇ 00063900M9三月の二日の夜中に、かざりおいたる六哥仙の人形の内、 00063910M10大伴の黒主がなり平にむかつて、Sまろがさつきにから見 00063920M11てゐれバ、人のまへともはゞからず、すこしのすきにハ、 00063930M12小町とのとたきついたりひつついたり。たしなまつせへ 00063940M13Sこれハ+黒ぬしどの。おほへもない事おふせらるゝが、 00063950M14ヱヽきこへた。こりやごしゆきげんかな△Sこれ、なり平。 00063960M15もしきこう、いつ酒をもらしつた。酒たべてもたべいでも、 00063970M16つとめる所ハきつとつとめる。ひなたなの二だんめに、し 00063980M17やくをかまへてしやちこはり、たへたいくわしやすゞりぶ 00063990M18た、かけばんのおぜんのこんだて、ひしもち、いまさか、 00064000M19なまさゞい、はまぐり、白酒見たばかり。こなたのように 00064010M20人の見ぬまにつまみぐひ、いハゆる、とうぞくかいぞくと 00064020¥P280 00064030¥G 00064040M1ハ、こなたの事だ△Sあまりといへバ黒主との。此なり平 00064050M2をとうぞくかいぞく、あくごんもことによる。なんてとう 00064060M3ぞくかいぞくとハ△Sおはらハたてられな。小町とのハお 00064070M4ろかな事、そばにあれハ、ちよつとまめのつまみくひ、は 00064080M5まくりしゞめのきらいなく、貝をつまんであがるゆへ、豆 00064090M6をぬすむをこれ豆そく、貝をぬすむかいぞくたハ。世の 00064100M7ことわさにも、こなたをハ豆男といふてハないか。着たま 00064110M8ゝの丸寐ゆへ、木の丸どのと世のぞうせつ。小町とのをあ 00064120M9ひてに、さゑつおさへつ白さゝの酒もり。ちいさいおわん 00064130M10でほし大こんのおしる、おひとへのやきもの、ゐなかめい 00064140M11たざいごちうせう、ひなたにそたつたひなさむらひ△S此な 00064150M12り平をひなさむらひとハ△Sこれ、そのひなといふにも二 00064160M13色ある。三月せつくの(五オ上)御ちんきやく。われらハす 00064170M14うのひな人形。同じひなでもこなたハゐなか、いやしい/在(ざい) 00064180M15五の/鄙(ひな)さむらひ、ひなゑへひなゑへ△Sヤ、/鄙(ひな)さむらひゑ 00064190M16イ△S黒ぬしどの、本せうでおいやつたか△S本せうでい 00064200M17へばどうする△Sかうすると、つかミつくを、喜せん法師、 00064210M18そう正へんぜう、文屋のやすひで、小町もともにとりすが 00064220M19り、マアかんにんかんにんといふうち、家内も目をさまし、 00064230M20Sそれ、もつてゐるしやくが、むねへつつぱつた。(四ウ下) 00064240¥P281 00064250L1くすりハないか。ひなのくすりハないかよ△Sはい。こゝ 00064260L2に、せうのふがごさります(五オ下) 00064270¥N6¥J 00064280¥X◇四月△ほとゝぎす◇ 00064290L5夜をかさねまちかね山のほとゝきすくも井のよそに一こ 00064300L6ゑぞきくと、うたよむ人ハはつ音をしたひ、又画師ハすが 00064310L7たをせううつしにせんと、紙と筆のよういして、かの山中 00064320L8へ夜をこめて、今や+とそらをバながめ、ねらひすまし 00064330L9て、Sこれハ+はやい鳥だ。もうちつとまつてくれ。そ 00064340L10の+はがひのところが、ヱヽもうじれつたい。まて+。 00064350L11せんのハとんではしつても、またあとからとんでくる。こ 00064360L12れこそと見つめても、一向すかたをみせぬゆへ、ゑをかく 00064370L13人ハはらをたて、Sいにしへの古法げんすら、東かい道の 00064380L14すゞかこへの山に筆をすて、又相州の金沢にて松をうつす 00064390L15に筆をすて、今の世まても筆すて山・筆すて松と古せきに 00064400L16のこる。ヱヽむねんや。われもこゝにて筆をすてるかと、も 00064410L17つたる筆をなけすてれハ、あちらこちらの木の枝にて、ほと 00064420L18ゝきすか△Sせんせいかけたか、せんせいかけたか(五ウ) 00064430¥N7¥J 00064440¥X◇五月のかぶと人形◇ 00064450M1地ぬしさまの初のせつ/句(く)に、なが屋中からかぶと人形をつ 00064460M2かひものにしようと思ふが、何がよかろふ、かがよかろふと 00064470M3さうだんがきまらぬ所に、大屋がいふにハ、神功皇后がめ 00064480M4でたいと申やすが、ようござりやせうか。おめへさんハも 00064490M5のしりだからきゝにきやしたが、おうけやいかね。ものしり 00064500M6Sこれハ+お見たてにあづかりいたミ入る。なるほど、 00064510M7此人形ハめでたい事のうへなしじや△Sどういふわけだね。 00064520M8みんなこゝにゐるぞくぶつどもにも、きかせたふござりや 00064530M9す。ごくろうながら、おたのミ申ます△Sさうござらバは 00064540M10なしませう。此神功皇后といふハ、人皇十四代仲哀天皇の 00064550M11御后にて、/気長(いきなが)の宿祢の御むすめ、人皇十五代のひめみか 00064560M12どにて、百十二才までながいきなされた。又此ぢいさまの 00064570M13だいてゐるうまれ子が、十六代応神天皇といふて、これも 00064580M14百十一才までながいきなされて(六オ)今八まん宮といふハ 00064590M15此御子の事。又此ぢいさまが武内のすくねといふて、景行 00064600M16天皇より仁徳天皇まで六代きんりさまへつかへた、うへも 00064610M17ないめでたい人で、年三百十六までいきたとある△Sとん 00064620M18だめでたい人だね。そしてつよいかね△Sつよいどころか、 00064630M19此武内のすくねかねみちが、大/ど((ママ))もの黒ぬしの馬の尾づゝ 00064640M20をむづととり、ゆくをやらじとあらそふたり。そのわけと 00064650¥P282 00064660¥G 00064670M1いふハ、大ともの黒ぬしが小野の小町へゐこんをふくみ、 00064680M2まかなくもなにをたねとてうきくさのなミのうね+お 00064690M3ひしげるらん、とかきくハへ、あらふそうしの夢の蝶、われ 00064700M4がおれで、おれがわれでと、二人リの奴が/似(に)たりやにたり 00064710M5かきつばた、あやめのまへをきんていより下されし頼まさ 00064720M6ハ、そらをながめて、ほとゝぎすなをもくもゐにあぐるか 00064730M7なあとよりはるゝのぢの/村雨(むらさめ)、松風ハゆき平の中なごん 00064740M8のすまのだいりハあわてさわぎ、むくわんの太夫あつもり 00064750M9がうミへざつぷとのり入れて、ゆくうしろより一人リのむ 00064760M10しや、おゝい+とかけきたり、馬のはるびがのび候。くら 00064770M11かへされてけかあるなとよバハるこゑ※、ふねにゐあハ 00064780M12すひだのさゑもん、とびかゝつてもぎとらん、いゝやはな 00064790M13さじと女の一チねん、ひだか川をわたり、どうぜう寺へか 00064800M14け入しが、つりがねのおちしこそふしんなれと、大力を 00064810M15あらハして、べんけいこれを三井寺へ引あげしが、いらぬ 00064820M16ものと、又山上よりなげおろさんとする所へ、さなだの与市 00064830M17とをりかゝる。うへより弁けいなげおとすを、下タにて与 00064840M18いちがちやつとうけ、思ハず両のうでくびで、かねをゑら 00064850M19ふつかんだとハ、なんと、めでたいはなしであらふが△Sへ 00064860M20ヱヽ、おまへさまのハさま※の事がまぜごぜだが、それ 00064870¥P283 00064880¥G 00064890M1ハ/講釈(こうしやく)でござりますか(六ウ)△Sイヽヤ、これハ/表白(ひやうはく)じや 00064900M2(七オ) 00064910¥N8¥J 00064920¥X◇六月△京の祇園会◇ 00064930M5京都三条どふりのよひ山を見あるき、Sこれ+吉兵。あ 00064940M6このうちのきんびやうぶ、なんじややら唐人がたきの水で 00064950M7みゝをあらふてけつかるを、うしかひがわらふてゐるが、 00064960M8あれハなんじやい△Sわしもろくにわけハしらんが、さる 00064970M9ものしりのいハれたにハ、むかし唐の/尭(げう)の代の王さまが、 00064980M10許由といふ内もない人に代をゆづらふと(七ウ)いふたとき、 00064990M11そのわろが/賢人(けんじん)とかへんじんとかいふ人で、王さまをゆづ 00065000M12られてハ世の中のいろ+の事をきかねバならず、又くら 00065010M13ゐについて大きなつらをするもいや。金銀ハもとよりいや 00065020M14で+ならぬといふて、れいせんのたきでみゝをあらふて 00065030M15けつかる所へ、そうふといふ人がうしをひいてきて、これ 00065040M16を見て、許由、なにをするぞととふたれバ、今の事をはな 00065050M17して、とつとけたいなこときいたゆゑ、けがれたみゝをあ 00065060M18らふときいて、そないな事きいたみゝをあらふた水なら、 00065070M19わしがいさぎよい牛にハのませぬといふて、内へかへつた 00065080M20といふ事じやげな。サア又これから三でふ室町のかたへゆ 00065090¥P284 00065100¥G 00065110M1きませうとゆきすぎる。三条小ばしのあきんどのむすこ、 00065120M2かも川へ出て、みゝへをあらふてゐる所へ、京中の色ぐるひ 00065130M3がしたらいで、大坂までも手をのばすどうらくむすこがこ 00065140M4れを見て、Sこれ+由さん。何するぞい△Sヲヽ/巣(そう)さん 00065150M5か。きいておくれい。わしが内のおやさんがいふにハ、わ 00065160M6が身ももうはたちのうへをこへて、お山一つかふた事もな 00065170M7し、げいこだてした事もないとハ、さりとてハなさけない。 00065180M8わかいものハ若いように、ちと東へでもいて、友だちの中 00065190M9でもはなしでもでけるようにするがよい。そうしてゐると、 00065200M10やまひがでるとのこわゐけん。(八オ)わしがもちまへきら 00065210M11ひな事をぐど+といはれたゆへ、けがれたみゝを今あら 00065220M12ふてゐるハいなアときいて、/巣(そう)五ハかけもどり、又どびん 00065230M13をもつてきて、そのミづをすくふゆゑ、Sこれ+巣さん。 00065240M14その水をどふなさるといふたりや、S内へもどつて、わし 00065250M15が/親父(おやぢ)にせんじてのませる 00065260¥N9¥J 00065270¥X◇七月七夕まつり◇ 00065280M18むかし+もろこしに、ゆうしはくようといふふうふあり。 00065290M19あけくれ月をねんじつゝ、つひに天上にくわをうけて、/牽= 00065300M20牛(けん=ぎう)しよく女の二星とあらハれしとハ、富本のむしうりの文 00065310¥P285 00065320L1句にげんぜんたり。七月の六日の夜ハ、どふいふわけか、 00065330L2たつた一夜のとまりがけ、一年一度の大もん日、天上にあ 00065340L3らゆる星たち、今夜ハ節句の御しう義に、おりひめの所へ 00065350L4いて、じやまにならぬ所にて、よひのうちの大酒もり。さ 00065360L5かなハてうと天の川へひやしておいたひやそうめんとくる 00065370L6ま座になり、おりひめのしやくに色けをそへにけり。かゝ 00065380L7るさいちう、かどの戸をたゝくゆへ、Sだれた+△Sほ 00065390L8しだ+△Sほしハたいがいこゝにゐるが、だれだ+ 00065400L9Sこゝをあけれバわかる。なんぼとしよりだといつて、じ 00065410L10やまにする事ハねへ。ずいぶんすいな(八ウ)ものだよとい 00065420L11ふゆゑ、戸をあけて見れバS梅ぼし。S又そのあとハいか 00065430L12つがましく、Sあけろ+。あけねへと此戸をバふミこわ 00065440L13すそ△S大そふにあばれる。だれだ+△Sかミなりぼし 00065450L14だ△Sそのほかに二ツどもへハ大ぼし、むしぼし、かきの 00065460L15あまぼしとならんだ中に、七曜星のうち、けんさきが一人 00065470L16リみへぬが、又ふりまハして、けんくわにでもゆきハせぬ 00065480L17かへ△Sあんじハない。友だちの三ツぼしへたのまれ、ね 00065490L18ぶとのさきをきりにいつた△Sサアこれからが大さかもり。 00065500L19けんぎうがきたならバ、みないちとうにおひらき+とい 00065510L20ふ所へ、牛をひいてけんぎうがかど口から、Sこれハ+ 00065520M1みなさまおそろいでありがたい。これおりひめ。なんぞご 00065530M2ちそう申すがよいといふうちより、みな+が、Sもうお 00065540M3いとま、Sもうおいとまとつれだちてゆくを、しよく女も 00065550M4けんぎうも、これさ。まだよひのうち。もうちつとととゞ 00065560M5むるもきかす、つれだち立かへる。/牽牛(けんぎう)もなにかこゝにお 00065570M6ちつかず、おりひめや。おれもどふやら、かへりたくなつ 00065580M7て来た。Sなんじやいなア。年に一度のうれしいあふせ。 00065590M8そんなにわたしをじらさずと、まあ+内へといふうちに、 00065600M9うしもおのづとたちかへる。けんぎうもうしとともに、お 00065610M10もてのかたへいでゝゆく。しよくぢよ、ふしぎとあたりを 00065620M11見れバ、かへるこそどふりなれ、ほうきぼしがさかさまに 00065630M12たつてゐるゆゑ、S申+けんぎうさん。たれかこゝへま 00065640M13じないのほうきぼしめを、さかさまにたゝしておいて、お 00065650M14まへまでかへさうといふわるだくみ。せんぎをして下さり 00065660M15ませと(九オ)いふをきくより、けんぎうもはらたちまぎれ 00065670M16ひつとらへ、Sヤイほうきぼしめ。だれにたのまれ、大ぜ 00065680M17いのほしをかへして、そのうへにおれまでをかへさうとハ、 00065690M18うぬ、にくいやつ。だれにたのまれて、こゝにゐたほうき 00065700M19ぼしSハイ、よばひぼしに 00065710¥P286 00065720¥G 00065730¥N10¥J 00065740¥X◇八月△放生会◇ 00065750M3世のことわざに、いわしのあたまもしん※がらとハあや 00065760M4まりならんと正蔵がかんがへ。是ハせつぶんの日、門口へ 00065770M5さす赤いわしのかしらをとりてたしなみおきて、婦人の産 00065780M6の気のつきたる時、これをせんじて、すこしばかり口中へ 00065790M7入るれバ、あんざんなすといふ。/産前(さんぜん)よりたしなミおくゆ 00065800M8ゑ、いわしのあたまもさんぜんからとのまちがひか。かん 00065810M9がへミるに、せつぶんハ一陽はつし、家+におにやらひ 00065820M10のこゑたか※と、/貴(き)となく賎となくどなりちらし、その 00065830M11門口へさす。しかもあたまハむかふへばかりすゝむものな 00065840M12れバ、出産のまじなひとするも、その利なきにもあらず。 00065850M13又老人が(九ウ)さげものゝねつけへひやうたんをつけるも、 00065860M14ころばぬまじない。たとへつまづきころびても、けがをせ 00065870M15ぬとて、下駄あしだのこくいんに、ひやうたんをもちゆる 00065880M16も同じこゝろ。とかく老人ハ/咽(のと)はしやき、むせるものゆゑ、 00065890M17/食事(しよくじ)の時ぜんの上へ、さいくものゝはとをおきてのミくひ 00065900M18すれバ、むせることなきといふハ、はとハよくのんどをつ 00065910M19うずる鳥ゆへなりと。此ゆへに、はとのつゑとて今も折+ 00065920M20老人のつきあるくを見た事あり。今ハむかし、八月十五日 00065930¥P287 00065940L1の八まんのまつりにハ、いづれの神社にても、はとのつゑ 00065950L2とてうりひさぐものありしが、今ハたゑたり。そのころの 00065960L3あきんどのうりこゑ。Sはとのつゑめさんか、はとのつゑ 00065970L4めさんか。二本つくにハおよびませぬ。右と左のきらひな 00065980L5く、かつ手な方へたゞ壱本、壱ついいらぬとく用もの。か 00065990L6たつぽうぽう、かたつぽう、はとのつゑの本家本元ハこれ 00066000L7でございと、かまびすしく大ぜいのうりこゑ。そのところ 00066010L8へゑん国さむらひ一人きたり、Sこや+あきんど。わい 00066020L9ども壱本もとめようが、此木のせうハ、なんちうものだ△ 00066030L10Sハイ、これハかしの木でござります△Sなんぞ此ほかに、 00066040L11したん・こくたん・たがやさん・黒がき・すはう・こう木 00066050L12のたぐひ、唐木めいたるちんぼくハないか△Sおまへさま 00066060L13のおつしやるハ、なんだかわかりませぬ。もう一ペんおつ 00066070L14しやりませ△Sなんぞ(十オ上)此つゑのほかに、ちんぼく 00066080L15ハないか△Sぜうだんばかりおつしやります△Sなに、ぜ 00066090L16うだんちうがあるものか。ちんハ/珍(めづらしい)、ぼくハ木で、此ほ 00066100L17かに/珍木(ちんぼく)ハないか△Sへヱ、めづらしいきで、ちんぼくか 00066110L18ね。わたしハ又わるくきゝまして、おかしうござりました。 00066120L19そのようなのハござりません△Sいよ+ないか。それで 00066130L20わいどもも、あんどいたした。もしあれバとて、それをもと 00066140M1めるだけのもちあハせがない。(十オ下)そのうへまだ足ハ 00066150M2たつしやなれバ、つゑハいらぬ。ほか+のものへうりや 00066160M3れさ。さらバ+△Sなんの事だ。とんだひやうたくれだ 00066170M4といふ所へ、又壱人のばアさまが、Sぜうぶさうなを壱本 00066180M5おくれ△Sこれがようござります。はとのさいくといひ大 00066190M6ぜうぶ。おまけ申て百五十文にしてあげませふ△Sそれで 00066200M7ハたかい。もうちつとおまけな△Sまアつけてごらうじま 00066210M8せ△Sかうと、六十一文にハならんか△Sおかしい直段の 00066220M9おつしやりよう。もうちつと、おかひなされませ△Sそん 00066230M10なら六十二文かへ△S壱文つゝでハらちあきませぬ。/丁度(てうど) 00066240M11におかひ下さりませ△S丁度とハいくらの事へ△Sこれハ 00066250M12わたくしがわるふござりました。お女中がたハごぞんじな 00066260M13いが、十ヲとつばまり、又百とつばまることを、てうどと 00066270M14申まする。どふぞ百におかひ下さりまし△Sなるほど、そ 00066280M15れでわかりました。百文にかひませう。壱本あれバいつま 00066290M16でもあるものを、二月はつ牛のとき、まごにねだられ、四 00066300M17つにきつて、たいこのばちにするといふから、それでハわ 00066310M18たしがこまるといふたら、なに、まだおばアさんハたつし 00066320M19やだから、つゑハいりませぬといふをきくと、まんざらに 00066330M20くゝもなし。そんならおつかひと、とう+とられました。 00066340¥P288 00066350¥G 00066360L11それからおまへ、つゑなしに今までがまんしてゐましたよ 00066370L12Sそれハごふじゆうでござりましたらう。二月から八月ま 00066380L13でハなゝ月のあひだ、よくごしんぼうなされました△Sそ 00066390L14れも今としの二月でハないよ△Sいつの事でござります 00066400L15Sなにおまへ、そのまごといふが、もうことしで五十三に 00066410L16なる△Sヱツ、そしてあなたのおとしハへ△Sわたしがと 00066420L17しハいくつやら、わすれたが、そのまごが七つのとし、わ 00066430L18たしハ九十であつた△Sそれでハとうねん百三十六七ぐら 00066440L19ゐにおなりなされます。それにしてハ、おぐしなどがまつ 00066450L20くろ、おかほにしわもみへず、中+百才のうへとハ見へ 00066460M1ませぬ△Sそしておまへハいくつへ△Sこんなせうばいを 00066470M2いたしますから、としよりハふけて見へますが、あてゝご 00066480M3らうじませ△Sかうと、廿八か九かヱ△Sきついものでご 00066490M4ざります。/丁度(てうど)になりま△Sなに、丁度とハ百かヱ 00066500M5Sなに、てうどといふハ、此丁度でござりますと、Sゆび 00066510M6を三本だして見せ、〔図〕これでござります。ばアさまSヲ 00066520M7ヤ+三百かヱ。さて+/若(わか)い人だ 00066530G1〔絵詞〕S八月の十五日、いけるをはなすほうぜうゑと、むかしから 00066540G2△のならハせだが、鳥をはなすはいがあるから、又うるやつがあつ 00066550G3△て、とらへて鳥をくるしませる。それにひきかへ、らうじんのあ 00066560G4△しをたすけるはとのつゑや+はとのつゑ;Sこれハ+大そふ 00066570G5△なさんけいしや。壱まんや二まんでハない。(九ウ下)おまつりだ 00066580G6△け、八まんの人だらう;ばアさまSわかく見へるはづさ。京ばし 00066590G7△銀座二丁目の木戸きわ、坂本氏のかほのくすり美艶仙女香を、若 00066600G8△いときから、たやさずもちひて、又つむりへハ黒油の美玄香をつ 00066610G9△けるから、此とふりまつくろさ。薬のこうのうハありがたいね。 00066620G10△ときに、このつゑを、もうちつと直だんをおまけな(十オ下) 00066630¥Q1 00066640M17△△◇是より九月の初り林屋正蔵戯作@此祝儀咄|に似たる@永寿堂版◇ 00066650M18△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十ウ) 00066660¥P289 00066670¥G 00066680G1△△△天保七丙申年 00066690G2△△△陽春発兌 00066700G3おとしはなし 00066710G4△△△年中行事 00066720¥G 00066730G1即席御料理仕出し仕候 00066740G2浅草御蔵前通リ 00066750G3△△黒舟町■寺の向 00066760G4△△△むさしや仙吉 00066770¥T1 00066780¥N1¥J 00066790¥X◇九月△明神まつりの茶番◇外の品を交す喰物ばかりの景物 00066800M3さて、わたくしハ九月のまつりの茶はんにあたりました。 00066810M4長うた・つゞみうたのかはりに、長ふた・すゞりぶたをお 00066820M5めにかけます。此どせうのなべが、おとり子でごさります。 00066830M6地ばしりハすばしりのやきもの。さて引ものハ事ゑびのち 00066840M7からで、鯛のうしをつけて引せます。あとハさつばりと酢 00066850M8のものをさしあけます。中に酢のおすきのお方もござりま 00066860M9せふ。これが鮓すきに月の見たてゞごさります△Sそれハ 00066870M10武蔵野のだしかね△Sヤツパリ武蔵屋の仕出しでござりま 00066880M10す(十一オ) 00066890¥N2¥J 00066900¥X◇十月△真間の紅葉見物◇ 00066910M14江戸のはんくわハいふもさらなり、あまりにきやかけすぎる 00066920M15から、ちとかんせいな所も又気がかはつてよからふと、三 00066930M16十くらゐの男の二人リつれ。櫨の木のこうよう、蔦のてり 00066940M17葉もまんざらてもねへ。これからいつそ葛飾の真間のてこ 00066950M18なのやしろから、弘法寺のもミぢ見物。それからすへハこ 00066960M19ふのたい、かへりハいづれ青桜へ一夜とまりと心にもくろ 00066970M20ミ、まつ市川のわたし舟、のり合の中に、廿四五の女房さ 00066980¥P290 00066990¥G 00067000G1武士の 00067010G2△もみちに 00067020G3こりす 00067030G4△女とは 00067040G5△秋色 00067050M1かり、黒ちりめんのうらもやうの小そで、下着ハ名物形の 00067060M2ちりめんむく二つ着て、せうはおりのおびに古わたりさら 00067070M3さのこし帯、つむりのものもよほどの直うち、十八九の下 00067080M4女壱人つれて、あまりゑんはうの人とも見へず。うらつけ 00067090M5のせつたをはき、二人リつれにて、ふねの中にゐたりしが、 00067100M6どふかのはつミに、ふたりつれの男のかたを見るともなし 00067110M7に、ゑミをふくミ、何か下女にみゝうちして、又男を見る 00067120M8はつミ、つい男と目と目を見あハせ、そのまゝに舟より上 00067130M9り、真間のつぎはしの方へゆきすきしを、あとの男ハなこ 00067140M10りおしそふに見おくり+、弁Sカウ吉さん。今のとしま 00067150M11ハいゝ女だの。色白で黒目かちで、はなすぢとふり、どこ 00067160M12にかあいきやうがあつて、せいハすらりと中せい中にく。 00067170M13あんな女ぼをもつてゐるていしゆのつらがみてへ。吉弁こ 00067180M14う。おめへも大きにおせわだハな。それがほんのほうかい 00067190M15りんきといふものだ。したが、あまり遠方の女とハみへぬ 00067200M16が、かゝるひなびた所にも、又美人ありだの。此近所のさ 00067210M17うおふの人の女房だらう。カウ、おつな目つきをして、お 00067220M18れを見たぜ。Sカウ吉こう。うぬぼれのかいさん、ゑん次 00067230M19郎の元祖、手めへかつてのこん本こんけん、それがおめへ 00067240M20ハわるいハな。何、おめへをミるものか。おらアいひたく 00067250¥P291 00067260L1ハねへが、おめへのほうからいふからおれもいふが、あれ 00067270L2ハおれをミたのだハな△Sいゝや。おれがほうだよ△Sい 00067280L3ゝや、此吉さんだよとあらそふところへ、いぜんの下女が、 00067290L4いきもすた+かけきたり、下女S申+、あなたがたを一 00067300L5べんたづねておりました。さきほど舟でおでやい申たとき、 00067310L6手まへの主人の女ぼうか、あなたを一寸見るよりも、あゝ 00067320L7いふおかたがあさゆふに、おそばにおいであそばしたらと、 00067330L8うわさたら※いたすうち、こうのたいのぬけ道、人とふ 00067340L9りのない所で、おたのミ申たい事がある、まだそこらにな 00067350L10ら、おつれ申てくれとの事。さだめてもみぢ見の御ゆさん、 00067360L11ごめんどうにハおぼしめさうが、お見かけ申ておねがひ申 00067370L12たいとの事。どふぞあれまで御くらうながら、おいでなさ 00067380L13れて下さりませ。Sハイ+、これハ+おやすい御用。 00067390L14とふでひまな二人リつれ。今夜ハ内へかへつてもかへらね 00067400L15へでもかまひませぬか、あなたがたハどちらでござります 00067410L16(十一ウ)(十二オ挿絵)下女Sじき此市川のむかふの百せうの 00067420L17女房でござりますが、此きんじよのしんるいへまいります、 00067430L18まだゆきがけでござります△Sそれハどふでもよふござり 00067440L19ますか、御てい主さまへしれましてハ、どふもそこがのふ、 00067450L20吉さん△Sカウ弁さん。いゝかげんな事をいひねへ。な 00067460M1んだかまだしれもせぬうちから、ていしゆの事をいふもの 00067470M2があるかな。そして二人リのうち、とちらでござります 00067480M3下女S弁さんとやらでハごさりません。こちらの吉さんと 00067490M4やらでござります△Sそれ見ねへ、弁こう。一人リのミこ 00067500M5みで、うぬほればかりいふか、おみだしにあつかつたか、 00067510M6くもらぬかゞミ。十目のみる所十指のゆびさす所たと、せ 00067520M7いじんものたまハく、たまつてそつちへより、玉子のふわ 00067530M8+にこゞる所を、わきから見なせへ。ハイ+、さつそ 00067540M9くおまへと御一所にまいりませふ△下女Sさやうならバ、 00067550M10こめんたうながら△吉S何、めんだうな事があるものか。 00067560M11コウ弁さん。(十二ウ)ちつとこゝにまつてゐさつし△弁Sお 00067570M12らアいやだ。こんなさミしい所に、だれが一人リゐるも 00067580M13のか。内を二人リづれで出て、女にたのまれた用があると 00067590M14いつて、しりもしねへ人の事で、友だちをはぐらかすハ、 00067600M15吉こう、あんまりすけべいも事による△下女Sイヱ+、 00067610M16あなた、そのようにはらをおたちあそばしてハ、おきのど 00067620M17くでごさります。やはりごいつしよにおいでなさりませ 00067630M18吉Sなに、わたくし一人リでようござります。ぜんたい、 00067640M19あいつハうぬぼれのかいさん、ゑん二郎の元祖、てまへが 00067650M20つてのこん本こんげんでござります。弁こう、おめへ、そ 00067660¥P292 00067670¥G 00067680M1こにゐな。じやまになる。あばよ△下女Sそのような事を 00067690M2おつしやらずと、女房もまちかねてをりますれバ、ちつと 00067700M3もはやく人のこぬまに、サアあなたも御いつしよにと、二 00067710M4人リをともなひ、下女ハいきせき、道はたの木の間のかげ 00067720M5に草おりしきやすらひゐたる女ぼうを、下女ハ見るより、 00067730M6S申+おかミさま。よう+の事でおともいたしました。 00067740M7サアこちらの御方へ、あなた、よいようにといふに、女ぼ 00067750M8ハひざまづき、はづかしそふにうつむいて、Sこれ、おぬ 00067760M9し、よいようにいふてとばかり、さしうつむく、びんのほ 00067770M10つれのかほへかゝり、とりみだしたる小袖のつま、草葉の 00067780M11つゆをいとふありさま。吉五郎ハうつゝなく、なんのいひ 00067790M12にくい事がござりませふ。とくより何もせうちのうへじや 00067800M13が、とかくじやまになるハわたしがつれ。(十三オ)コウ弁 00067810M14さん。そこらへいつてあそんできねへな。きのきかねへ△ 00067820M15Sやかましいわへ。助兵へやらうめ。おれハこゝにゐて、 00067830M16どこまでもしやまをする△Sア、これ+、あなたもこゝ 00067840M17にいらしつても大事ござりません。さて吉さんとやら。は 00067850M18じめておめにかゝりまして、なれ+しい、こんな事を申 00067860M19まするもどふか、おさげすミもいかゞでござり(十三ウ上) 00067870M20まするが、申てもようござりませふか△Sサア+ごゑん 00067880¥P293 00067890¥G 00067900M1りよなしに△下女Sさようならバ、かうでござります。こ 00067910M2れにおる女房が大のしやくもちで、おり+おこりました 00067920M3時ハ、はりも薬もきかぬ事がござります。その時にハ、ど 00067930M4うこのふたか、やくわんなりと、あかがねをなめますれバ、 00067940M5すぐにしやくがおさまります。只今これへまいる道で、い 00067950M6つものとふりさしこみましたが、ごらんのとふり此山中、 00067960M7百せう屋とてもごさりませず。いかゞいたしたものであろ 00067970M8ふと、まことにたうわくいたした所、さきほと舟であなた 00067980M9のおつむりをみました所が、とんとやくわんのようなはげ 00067990M10あんばい。心ゆかしに、やくわんとおもふてなめたいと此 00068000M11御むしん。どふぞそのおつむりを、すこしの間なめさせて 00068010M12下さりませといふうちよりも吉五郎、あつけにとられて、 00068020M13ことばなし。弁二郎ハ手をうちて、Sそれ、ざまを見ろ。 00068030M14いゝきミだ。あんまりうぬぼれをぬかすからだハ。アヽよ 00068040M15いきミよいきミ。ハイ+、申女中さん。ごゑんりよなし 00068050M16に、こいつがあたまをおなめなさい+。しやくの薬にな 00068060M17ることハ、わたくしがうけあひ△吉Sおらアいやだ+△ 00068070M18弁Sいやでもおうでも、おれがなめさせると、いやがる吉 00068080M19をひつとらへ、女房になめさせれバ、女ハしやくに(十四 00068090M20オ上)とぢられて、くるしいまぎれに、あたまへとりつき、 00068100¥P294 00068110L1なめまハし+、やがてあたまへくらひつき、かじりつけ 00068120L2バ、吉Sアヽいたい+。なめるハよいが、くひつくハご 00068130L3めんだ。たしかあたまへきずがついたようだ。コウ弁さん。 00068140L4見てくだつし(十三ウ下)△弁Sムウ、ちつとばかりきずがつ 00068150L5いたが、あんじることハねへ。もるきづかひハなし、もる 00068160L6きづかひなし(十四オ下) 00068170¥N3¥J 00068180¥X◇十一月△酉のまち◇ 00068190L9浅くさの鳥こへ明神の鳥居まへに、鳥かひや鳥右衛門とい 00068200L10ふ富家のむすこに、鳥の介とて古今の鳥すき。けふハしも 00068210L11月の初のとりの日ゆゑ、わし大明神へさんけいしてかへり 00068220L12足に、よし原の仲の町若つるやの見せ先、門口からSどふ 00068230L13だ、此ごろハ△女ぼうSこれハ+鳥さん。今日ハ初とり 00068240L14ゆへ、大かたおたちよりがあらうとぞんじて、心まちをし 00068250L15てをりました。マア+こちらへ。これ、とりや+。お 00068260L16ちやをおあげ申な。もしだんなへ。今日のわたくしがこし 00068270L17らへをごらうじて下さりませ△S上着が山はとねずミのち 00068280L18りめん、もんがかりがね、下着がうぐひすちや、中がたの 00068290L19ちりめん、おびがからす羽しゆすとハありがてへ△Sあな 00068300L20たのおきにあふとりすきの太夫が、きのふひろめをいたし 00068310M1ました△Sそれハめうだの。よんでくんねへな△Sこれ、 00068320M2とり助や。とりすきの太夫さんを、さういひな。マアおさ 00068330M3かづき一つ、めし上りまし。おさかなをはやくよといふう 00068340M4ちに、おもてへきたる黒出たちの太夫げいしや。Sヘイ、 00068350M5これハだんなさま。はじめてのおめ見へ。からすかん左衛 00068360M6門と申まする。これからほそくながく(十四ウ)御ひいきを 00068370M7おねがひ申あげまする△Sおまへも鳥すきだね△Sさよう 00068380M8にこざります△女Sおまへのひたいに、こふができたが、 00068390M9どふぞおしかへ△Sおかミさんへ。おきゝなさいまし。今 00068400M10つるやのうらをとふると、土蔵のしゆふくで、左官がさい 00068410M11とりほうで、下からつちをたしてゐました。そのわきのほ 00068420M12うを、ひようとりがとふりかゝりまして、その左官のつち 00068430M13か、ひようとりのかほへかゝりますと、サアりやうけんし 00068440M14ませぬ。あらそひとなるところへ、わたくしかとふりまし 00068450M15て、さいとりとひようとりの中人が、とりすきのわたくし。 00068460M16とたんのひやうしに、さいとりほうかあたつて、こぶがで 00068470M17きました。あら+こふのいんねん、かくのとふりでござ 00068480M18ります。とりといへバ、わたくしがちかづきの人が、きじ町 00068490M19へ見せをたしましたが、家内がのこらすとりすきさ。Sま 00068500M20づうりものが鴬なめしもふるいからと、ほとゝぎす菜めし 00068510¥P295 00068520¥G 00068530M1といふをたしました△Sほとゝぎすなめしハいゝね△Sい 00068540M2ゝへ、てつぺんから、かけになりました。そこてこんどハ 00068550M3とんびむぎめしといふをはじめました△Sとんひむぎめし 00068560M4とハへ△Sとろゝでくハせるといふこゝろさ。肴ハなすの 00068570M5しきやき、はまくりの千鳥やき、かつをのきしやき、みそ 00068580M6さゝい、酒ハ本所一ツ目溜屋のおほとり、女房が三十二三 00068590M7だか、ちとふけて、ちよつと見ると四十から、はゝおやか 00068600M8とりあげて、おやぢがりやうりはんの手間とりさ△Sそれ 00068610M9ハ本のことかへ△勘Sのこらずうそでござります(十五オ) 00068620¥P296 00068630¥G 00068640¥N4¥J 00068650¥X◇十二月△ことおさめ◇ 00068660M1Sことはじめ、ことおさめとハなんのことじや△きいたふう 00068670M2Sあれハむかし、ゑんきのみかどさまの御子に、せミ丸け 00068680M3んぎやうといふ御方があつて、大坂町の関た屋のとなりへ 00068690M4琴のけいこ所を出して、二月八日かけいこはじめ、十二月 00068700M5八日かけいこおさめ。そこで琴はじめ・琴おさめといふハ 00068710M6Sせみ丸さまハ/盲人(もうじん)かの△きいたふうS大坂町のせきだやで、 00068720M7/往来(ゆきき)の人を見たといふから、目あきさ。そのせうこハ、琴 00068730M8はじめ・琴おさめに、屋ねへ高くざるを出すハ、目のある 00068740M9といふ/看板(かんばん)だ 00068750¥Q1 00068760M10△△△△△△△△◇貞秀画正蔵戯作◇(十五ウ) 00068770¥T1 00068780¥N1¥J 00068790¥X◇国々の所自慢◇ 00068800M15S/京都(きやうと)ほど/諸品(しよしな)/安(やす)い/所(ところ)ハない。/東山(ひかしやま)で/名代(なだい)の/八坂(やさか)の/塔(たう)が/五= 00068810M16重(ご=しう+)じやが△Sさういひないな。/大坂(おほさか)にも安いものといふた 00068820M17ら、/仏法(ふつほう)/最初(さいしよ)の/御寺(みてら)、/聖徳太子(しやうとくたいし)の/御建立(ごこんりう)/天王寺(てんのうじ)か/山門(三文)じや 00068830M18Sわしハ/西国(さいこく)ものじやが、それよりもまだ/安(やす)いハ、/平家(へいけ)の 00068840M19/大将(たいせう)/清盛(きよもり)・/重盛(しげもり)・/宗盛(むねもり)・/友盛(とももり)・/維盛(これもり)・/敦盛(あつもり)・/経盛(つねもり)、これを/合(あハ)せて 00068850M20/一門(壱文)じや△Sこれ+/西国(さいこく)の/御方(おかた)。その/平家(へいけ)ハ(十六オ) 00068860¥P297 00068870¥G 00068880M1/安(やす)ふても、/今(いま)ハない人、やくたいじや。/当時(たうし)/御繁昌(こはんせう)の/源氏(けんじ) 00068890M2の/御代(ミよ)、わしが/国(くに)といふたら/津(つ)の/国(くに)じや。/初(はじめ)て/源氏(げんし)の/性(せい)を 00068900M3/賜(たまハ)りし/六孫王(ろくそんのう)/経基(つねもと)さまの/御嫡男(ごちやくなん)、これより安いハござりま 00068910M4せぬ(十六ウ上)△京の人S壱文より安いハなんじや△S/多田(ただ) 00068920M5の/満仲(まんぢう)じや 00068930¥N2¥J 00068940¥X◇大坂の達引はなし◇ 00068950M8S大道せましとかたひぢいからし、/赤((ママ)#あい)い/着(き)ものにあかい/帯(おび)、 00068960M9/赤(あい)い/頭巾(づきん)に/朱(しゆ)さやのわきさし、/朱(しゆ)ぬりの/下駄(げた)に朱のはなを、 00068970M10つらハまつかな/男達(をとこだて)、/新町橋(しんまちはし)を/行(ゆき)すぎる。うしろの方より、 00068980M11黒Sあかいの+。ちよつと/待(まつ)てもらハふかい△赤Sあか 00068990M12いのと/呼(よん)だハ/誰(たれ)じや△黒Sわしでごんす。ヲヽ/己(おれ)じや△赤 00069000M13Sフム、見れバこなんハまつくろ/黒(くろ)の/黒(くろ)でたち、(十七オ上) 00069010M14うハさに/聞(きい)た/黒船(くろふね)の/忠(ちう)右衛門△黒Sあか/舟(ふね)の/赤(あか)右衛門。ハ 00069020M15テゑゝ/所(ところ)で/逢(あつ)たなア。ときに/赤(あか)いの。こなんの/赤(あか)いハそれ 00069030M16ぎりか△赤Sアイヤ、まだ/此上(このうへ)に/赤(あか)いといふたら、これ此 00069040M17わきざしの/身(ミ)を/見(ミ)いと、(十六ウ下)すらりと/抜(ぬけ)ば、黒Sあ 00069050M18かいわしか。まア+/納(おさめ)た+△赤Sこれ/黒舟(くろふね)。こなたの 00069060M19/黒(くろ)いハそれぎりか(十七オ) 00069070¥P298 00069080¥G 00069090M1黒Sアイヤ、此わきざしの/身(ミ)を見やれと、/同(おな)じくぬいて/目(め) 00069100M2さきへ出せバ、赤Sコリヤなんじや。さつても/黒(くろ)い/鯨身(くじらミ)じ 00069110M3や△黒Sさうよ。しかも/蒔絵(まきゑ)で/一首(いつしゆ)の/歌(うた)。人きれバわしも 00069120M4/死(し)なねバなりませぬそこで/御無事(ごぶし)なくじら/身(ミ)をさす△赤 00069130M5Sムヽおもしろい。マアおさめさんせ。そこでわしが/鼻紙(はながミ) 00069140M6を/見(ミ)い。/赤(あか)い/紙(かミ)じや(十七ウ)黒Sヤ、わしがはな/紙(かミ)も/黒(くろ) 00069150M7い紙じや△赤S所で/又(また)、此/赤(あか)い/紙(かミ)ではなをかむハ、これ見 00069160M8さんせ。/出(で)たのハ/鼻血(はなぢ)じや。なんと/黒舟(くろふね)。こればかりハか 00069170M9なふまい。わが/身(ミ)、/黒(くろ)いはなが/出(で)るかよ。サアどふじやい 00069180M10黒Sサア、その黒いはなハ△赤Sサアどふじやい△黒S/出(で) 00069190M11るとも+。十二月十三日、すゝはらひまでまつてくれ 00069200M12(十八オ) 00069210¥P299 00069220¥G 00069230¥N3¥J 00069240¥X◇/古事附(こじつけ)むすこ◇ 00069250M3親父Sヤイ/忰(せがれ)め。にくいやつしやな。人中てはつかしくな 00069260M4いように、ちつとハ/本(ほん)のはしも/読(よま)せたに、又しても/女郎(ちようろ)か 00069270M5ひ。/裸(はたか)になつてうせいと/誨(おしへ)たか、どうらくになれと/学文(がくもん)ハ 00069280M6させぬハ。/夕(ゆふ)べも/町(てう)の/番(ばん)をかこつけに女郎や/通(がよ)ひで/裸(はだか)にな 00069290M7り、そのような事/教(おしへ)ハせぬハ△むすこSないともいハれませ 00069300M8ぬ。(十八ウ上)/大学(だいがく)にござります。/町(てう)の/番(ばん)のれいにいハく、 00069310M9/日々(ひゞひゞ)にはだかにして又/日&(ひゞひゝ)に/裸(はだか)なり△親Sやかましいハ。 00069320M10此間も/中(なか)たんぼで、/御武家(おぶけ)さまに/慮外(りよぐわい)をして、その/御方(おかた)が 00069330M11/短気(たんき)もので、ぬき/身(ミ)でおのれを/追(おつ)かけ、/吉原(よしハら)までつけこん 00069340M12だを、大ぜい/出(で)てとめるうち、うぬハどこへか/迯(にげ)たといふ。 00069350M13そんな事が/学問(がくもん)にあるかよむすこS/一人(いちにん)たんぼでぬけバ/北= 00069360M14国(ほつ=こく)/乱(らん)をなす△親Sなんても/口(くち)のへらぬやらうだ。/隣(となり)のむす 00069370M15こなどハ/遊(あそ)びに/行(ゆけ)バとて、/夜(よる)そつと/行(ゆく)ハ。うぬハよる/昼(ひる) 00069380M16の見さかひなしたハ△むすこSそれも/論語(ろんこ)に(十九オ上)ご 00069390M17ざります△親Sなんといふてある△むすこSゆくものハ/如= 00069400M18斯(かくの=ごとく)、/昼夜(ちうや)をすてずとあるハ。どふだ、おやぢ△親Sそのな 00069410M19まものしりが、なをわるいハ。(十八ウ下)さつきもかげで 00069420M20/聞(きい)てゐれバ、おれが事をやかましい/親父(おやぢ)だ。まことに/恐(おそ)れ 00069430¥P300 00069440¥G 00069450M1る、(十九オ下)/地震(ぢしん)・/雷(かミなり)・/鍛冶屋(かぢや)/親父(おやぢ)と、なぜぬかした 00069460M2むすこSおまへさまハ/歌(うた)をよくおよミなさるから、/雷(かミなり)と/同(おな) 00069470M3じことで、/雲(くも)の/上人(うへひと)といふ心さ△親Sかぢやとハ△むすこ 00069480M4S/家(いへ)の/司(つかさ)の人じやから、/家司(かじ)と申ました△親Sぢしんとハ 00069490M5むすこS哥の/徳(とく)にハ/天地(あめつち)もうごくゆへ/地震(ぢしん)。/其上(そのうへ)、お/前(まへ)の 00069500M6/背中(せなか)に/汗歴瘍(あせなまづ)があるから(十九ウ) 00069510¥N4¥J 00069520¥X◇目出たいはなし◇ 00069530M9/乗(のり)そめよしと、/七福神(しちふくじん)たち、いつもの/宝船(たからふね)よりハ/今年(ことし)ハし 00069540M10やれて、/屋形船(やかたふね)としようと、みな+/相談(さうだん)きまりて、/酒肴(さけさかな) 00069550M11の/仕度(したく)をすれバ、うしろの/方(かた)にて、それでハおれが/乗(の)られ 00069560M12ぬといふゆへ、/皆&(ミな+)ふりかへり見れバ、S/福禄(ふくろく)寿 00069570M14△◇たから船屋根なくてこそ福禄寿△白猿◇ 00069580M15△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二十オ) 00069590¥P301 00069600¥G 00069610¥Q手前勝手な口上 00069620M1江戸両国西の方広小路落噺物語、私定席之儀ハ、去ル文化 00069630M2十四丁丑年正月吉日£相始メ、年々歳々繁昌仕、当天保六 00069640M3乙未年迄拾九年ニ相成申候。猶此上出精仕、若人の噺家を 00069650M4相撰、音曲声色沢山、大仕掛怪譚色々、取替御聴ニ入申候。 00069660M5此上共に末永久御光来の程、大江戸ハ不申及、日本国中之 00069670M6御客様、隅から角迄奉希上候 00069680M7△△△△△△△△△△△△△△△林屋正蔵敬白 00069690M8△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二十ウ上) 00069700M9@扇屋岸野|帯屋長三@怪譚桂の川浪△@全部四冊△△△|国貞画・正蔵作@ 00069710M10すこいようなおかしい本、御評判+ 00069720M11拾ケ年以前£出板仕候落はなし、小袋入いろ+の本、数多仕入御座候。 00069730M12最寄の本屋にて御求、御高覧之程、奉願上候と、板元永寿堂にかハりて、 00069740M13欲ばつて申ス 00069750M14△△△△△△△△△△△林屋正蔵戯作 00069760M15△△△△△△△△△△△五雲亭貞秀狂画 00069770M16△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二十ウ下) 00069780¥P302 00069790¥U噺本大系△第十八巻 00069800¥G 00069810G1伸斎 00069820G2英松画 00069830G3@新作@昔はなし 00069840G4司馬 00069850G5龍生 00069860G6当ル午ノ春売出シ申候 00069870G7大入叶△@なに|ハ丁@G 00069880¥T新作/昔(むかし)はなし△〔表紙〕 00069890¥Y 00069900M4弘化三年正月刊 00069910M5司馬龍生作 00069920M6伸斎英松画板 00069930M7上総屋久蔵板 00069940M8中本一冊 00069950¥Y 00069960M10文△治△△馬△生△△圓△生 00069970M11新△語△△清翁坊△△談△志△△△遠山の 00069980M12文△楽△△扇△橋△△馬の助△△△紅葉のいろの 00069990M13さん馬△△馬△勇△△勝治郎△△△うつらふて 00070000M14鉄△扇△△金△馬△△柳△枝△△△真赤にうそを 00070010M15柳△橋△△龍△生△△玉△輔△△△つきしゆふ暮 00070020M16正△蔵△△鱗△蝶△△郷之輔△△△△△△△△△龍生G 00070030M17あゐ玉△△龍△蝶△△扇太郎 00070040M18ゑん玉△△圓太郎△△馬△風△△△△△△△△△△(一オ) 00070050M19しん生△△りう馬△△可△楽 00070060¥P303 00070070¥G 00070080¥N1¥J 00070090¥X 00070100M1△うらだなもミやこハいへの立つゞき、三でう五でうに 00070110M2すまゐして、あさめしまへのやきもちげんくわ。いへぬし、 00070120M3じきにとんできて、ふうふをなだむれバ、にようばう、こ 00070130M4ゑをふりたてて、大やさん。きいてくださりまし。わしが 00070140M5小ぐらのべつそうに、ほうこういたしてをりますとき、こ 00070150M6の人がわたしをつらまへまして、きりやうが小町をミるや 00070160M7うだの、おめへのやうな女を/西行(さいぎやう)にすると、おれも一トし 00070170M8んぼうをする、させもがつゆハどうだらうと(一ウ)いひま 00070180M9すから、こりやアわたしにきが/在原(ありハら)と、/僧上(そうじやう)/遍照(へんぜう)いたし 00070190M10ましたが身のあやまり。いまじやア/天智天皇(てんぢてんわう)あきはてて、 00070200M11ほうぺたが/赤人(あかひと)だの、うぬがつらを見ると/謙徳(げんとく)公がわりい 00070210M12と、一チどや二どや/三条院(さんでうゐん)じやアござりません。この/猿丸さるまる) 00070220M13やらうめ。ていしゆSこのあまめ。/貞信(ていしん)公にむかやアがつて、 00070230M14/恵慶(ゑけい)なたハことをつきやアがらア。まさ/房(ふさ)くらハしておき 00070240M15やアいゝハヱ△女Sいつくわした。/行平(ゆきひら)のなかを見ろ。/光= 00070250M16孝(くわう=かう)/天皇(てんわう)のきれツぱしばかりだ△いへ主Sこれさ+。/柿本(かきもと) 00070260M17からとりのたつやうに、まアいゝハな。なく子と/持統(ぢとう)にや 00070270M18アかなハねへ。またきさまもよくねへ。いつが/伊勢(いせ)まで女 00070280M19郎をかつてゐるのだ。にようばうだつて、ひとりかもねん 00070290M20とまつて居るものを、/家持(やかもち)もやけるハな。いふことも/蝉丸(せミまる) 00070300¥P304 00070310¥G 00070320M1あらうが、マア/仲麻呂(なかまろ)にさつせへ△Sイヽヱ、しやうちが 00070330M2できませんと、にようばうをつらまへて、あたまをうつお 00070340M3と/古今(こきん)+(二オ) 00070350¥N2¥J 00070360¥X 00070370M5△きミが代やありがたやまのふるだぬき。はらつゞミう 00070380M6つはんじやうハ、かねのなるきのうゑどころ、つちいつし 00070390M7やうのぢめんにも、たちつゞきたるいへなミの、かんだ八 00070400M8丁ぼり十三丁めに、たうせいやいき四郎、かない十二三人、 00070410M9あるじハかねにありあまり、びしゆちんぜんにあきはてて、 00070420M10むしのねきゝに日ぐらしや、けふハあすかとしやれかけれ 00070430M11バ、ミやうミまねのばんたうも、ちやうをつけるにしよう 00070440M12くわだう、かつてのおさんのこひぶミも、かなくぎまじり 00070450M13のぼうさいふうを、かきちらしたるひゞきのそうざい、で 00070460M14つちのつまみぐひも、をがさハらでしてやれバわたられず、 00070470M15なまぎゝぞろひのぜいたくじんしやう。ころしもきさらぎ 00070480M16のうめがゝにほふころとかよ。はるさめしめやかにふりし 00070490M17が、そのよぬす人はいつて、やうちのさハぎなれども、つ 00070500M18ねがつねなれバ、てだいハゑきろをふりたてて、人+を 00070510M19(二ウ上)よひおこせバ、小ぞうハかなだらいをひつさげて、 00070520M20まちあいへとびこミ、ときにとつてのきてんのなりもの。 00070530¥P305 00070540¥G 00070550M1ばんたうハぬす人をとりおさへ、すりあしをして、にじり 00070560M2ぐちよりかこへゝとをり、しゆじんへかくとゑんずれバ、 00070570M3ていしゆハひとねのうへにざをまうけ、きくしよくだいを 00070580M4手にもつて、つく※とすかしミて、S/白鼠(はくそ)せんせい。お 00070590M5手がらでげす。なれども、つゞミのしらべてむすんだやつ 00070600M6ハ、はなやかすぎて、ふうがゞありやせん。モウ一ぺイい 00070610M7きてへね。ならうなら、ゑんしうごのミの三ンぶ、さなだ 00070620M8でいきてへ。ゴホントせきばらひをして、ぬす人にむかひ、 00070630M9大人ンかうたけてのこらいりん、かんしんでげす。こしれ 00070640M10へがごくきにいつたト、あたまをミて(三オ上)友九郎がボ 00070650M11ツしの百日といふやつアうけやしたが、わたしどものうち 00070660M12へではりをするどろぼうだけあつて、すべてこつたものだ。 00070670M13めうでげす+。(二ウ下)そしてかほにふるびがきていや 00070680M14す。よほどのじだいものと見へる。手ずれてゐていゝ△ぬ 00070690M15す人Sモウ百ねんめでごさります(三オ下) 00070700¥N3¥J 00070710¥X 00070720M17△とがのを/妙恵(めうゑ)上人ハ、うまのあしをあぢときゝたがへ、 00070730M18しやうぎさし、/下馬(げば)ふだを/$(けいま)とよみ、ふられた人、 00070740M19ざぜんまめのかんばんを、させんまめとよみ、もり一チか 00070750M20け一チをきいて、なかまかとざ/ど((ママ))うハおもい、ながやの月 00070760¥P306 00070770¥G 00070780M1ぎやうじ、なまいわし大いわし、おながやのしゆう、大や 00070790M2のしゆうきゝたがへしも、おのれがきのよるところなるべ 00070800M3し。しばゐがへりのごてんぢよちう七八人、もミぢさん。 00070810M4いつ見ても、かゞミ山ハおもしろうござい(三ウ)ます。そ 00070820M5れにおとハやのいわふじハ、まことに+かんしんでござ 00070830M6ります。Sさやうでござります。とじやくのおはつハどう 00070840M7いたしまして、あゝかハいらしくできませう。それにまた、 00070850M8おちやのまのおきよどんに、そつくりなをんながたがあり 00070860M9ました。ほんに+よくいたします。よくいたすでおもひ 00070870M10出しましたが、をハりやのきん六のうちハ、いつもきやく 00070880M11をよくしますねへ。おくにハを、もういちど見たうござり 00070890M12ますト、むちうになつてうかれくる。あとより、よあきう 00070900M13人のこゑして、Sおはつのまるあげ△Sつぼねのつけやき 00070910M14(四オ) 00070920¥N4¥J 00070930¥X 00070940M16△むかし+、ぢゝいハ山へくたばりに、ばゝアハかわ 00070950M17いやたゞひとり、与一べゑの一ト七日に、むら中のかりう 00070960M18人なかまをあつめ、百まんべんをして、ちやをのませなど 00070970M19して、いろ+のくやミをうける。なかにも、たぬきのか 00070980M20くべゑハ、六だんめでも人のしつたをとこゆへ、すゝミで 00070990¥P307 00071000L1て、かくSノお、ばアさま。おかるぼうハうられてしまひ、 00071010L2ぢゝいどのハころされ、むこどのハはらをきり、せなアハ 00071020L3うちにゐず、ひとりでこまるべヱ△Sハイサ。ぜんてへ、 00071030L4おやぢどのがよくねへ。百せうの(四ウ上)むすめを/大名(でへめう)ぼ 00071040L5うこうにたして、おごりをミせたから、いろごとをして、 00071050L6あんなはやましろいやくざ男のむこをとり、かせぎハう 00071060L7とし、しすぐちのこうまんばかりきいて、むらぢうのにく 00071070L8まれもので、こまりきりました。せなアの平めハ大めしば 00071080L9かりくつて、はう※のたくりあるいて、うちへハ、/□((一カ))文 00071090L10もすけたことハなし。いんぐわをミるハわしばかりだア。 00071100L11けんぶつにやアにくがられ、かん平がはらをきるときだつ 00071110L12て、こゝろなしの二人リのさむらいめが、きのこのばけも 00071120L13のをミるやうに、あミがさをかぶつて、四十九日や五十り 00071130L14やう、あハせて百りやう百ケ日と、こんさつなかでしやれ 00071140L15かけやくざのより/合(ゑへ)だアモシ△Sさうさ。むこどのも、く 00071150L16ちじやアたいそうをいふが、ハヤ五だんめで、やミのよに 00071160L17てつぽうをはなし、ばかのてつぽうをはなしたといふハこ 00071170L18のことだア。こゝに弥八あにイがゐるがノヲ、あのをとこ 00071180L19ハしゝどこじやアねへ。ねこでも(五オ上)ぶてねへ。ハヽヽ、 00071190L20をかしくつて、ひつくりけへらア△ミな+Sひつくりけへ 00071200M1るはづだ。かくべゑがしゝのはなしをしたものを(四ウ下) 00071210¥N5¥J 00071220¥X 00071230M3△ふんどしへやなぎしぼりがあかで/出来(でき)、といふ/川柳(せんりう)が 00071240M4あるが、なんでもおやまかひハ、下タおびがむさうてハ、ト 00071250M5ツトあかん。そのはいであらうかへ、六ねんあとに、いせ 00071260M6のまつざかでかふたのじや。けたいくそのわるいにほひが 00071270M7するわい。なんじやか、六年もはだミはなさず、しめたと 00071280M8おもへバ、すてるもあまりこゝろもちがゑゝものじやない。 00071290M9なむあミだぶつと、おはなしうなぎをミるやうに、中つぼ 00071300M10へすてると、かぜがもてくるしんざしきにハ、ゐなかざむ 00071310M11らい二人、あいかたの女郎こども五六人のさかもりさいち 00071320M12う。Sイヤ源太夫どの。きでん、おあついうち、くちをお 00071330M13つけなされ。しからバ、こめんくだされと、あいのひらの 00071340M14ふたをとり、うすかす汁のつバり/と((不明))(五ウ)ミへる。べロ 00071350M15++。これハうまい+。ちんちやう+と、したつ 00071360M16ゞミをうつところへ、かのふんどし、ひらのなかへはいつ 00071370M17たをしらず、べロ+++。しほハせう+からめな 00071380M18れど、うまいハヱ。べロ+++、クン++、ゲ 00071390M19ツ+++。これハ大へん。どうやく、ごらうじてく 00071400M20だされ。のどへなにかひつかゝりもうした△Sヲヤ+、 00071410¥P308 00071420¥G 00071430M1おまはんのおくちから、ひもがぶらさがりいした△Sナニ、 00071440M2ひもがさがつたヱイ引、ゲヱ引、これハなんじや。ヱヽむ 00071450M3さい。ゑつ中ふんどしじや。わかいものをよべ++ 00071460M4Sヘイ+、なにごようでござります△Sなにもかもいら 00071470M5ん。なぜミどもに、ふんどしのすひものをくハせた。ふら 00071480M6ちものめ△Sなに、かうでありまさアね。いまぬしがたべ 00071490M7るとき、このふんどしがれんじのはうから(六オ)ふつたの 00071500M8で厶りまさアね△Sナニ、ふんどしがふりましたヱ。そん 00071510M9なにくもつてもをりませんが△Sなにをぬかす。さつする 00071520M10ところ、二かいのやつらのしうちとミへる。そのはう、二 00071530M11かいへあんないいたせ。さむらいをてうろういたすやつば 00071540M12らをきんミいたすと、うへを下へとこねかへすゆへ、ぬか 00071550M13るミへでたかいるのなりでわびるといへども、がつてんせ 00071560M14ず。ぜひなく、わかいもの二かいへかけ上り、ざしき+ 00071570M15へことハるやう、たゞいま、これへふんどしあらためのお 00071580M16やく人が(六ウ上)おいててござりますトいへバ、そやこそ、 00071590M17わざハひハ下からおこるふんどしさハぎとおきあがり、ま 00071600M18つまほどなく二人のさむらい、あとにつきそふわかいもの 00071610M19をにらめつけ、Sおのれにハようハない。かつてしだいに、 00071620M20とくおりろ△Sおまちなされへ、源太どの。おのれ+、 00071630¥P309 00071640¥G 00071650M1きやくなれバ、女郎女郎がぐるになり、かくそうもはから 00071660M2れず、一人+にひきまくり、またあらためてたゞしてく 00071670M3れんとて、おきろ+とよびおこせバ、Sなんであります 00071680M4とヱ、ばからしい。ゆもじのねへきやくなぞハ、とつたこ 00071690M5とハありませんヨ。てへげへにしなましといハれてせきた 00071700M6つ二人のさむらい。ミれバ、なんぢ一人まくらのかずが一 00071710M7ツおゝい。このきやく人ハどこへうせた△Sソリヤ、けふ 00071720M8ゐのこりをしたきやくでおざんす△Sナニばかな。わかい 00071730M9もの、あたりにきをつけろとミれども+、ゆもじをみな 00071740M10+しめてをりけれバ、こゝでもないと、あなたこなたと 00071750M11たづねあるき、このざしきこそうさんなり。いで、ふんご 00071760M12んでといへば、うちにハきずもつあしかのふんどしのきや 00071770M13く(七オ)なれバ、いきをころしてゐる。ゆぐを引まくり 00071780M14て、サアだせといハれてぶる+。Sわたくしハやどへふ 00071790M15んどしをわすれてまいりました。どうぞ、ごめんくだされ 00071800M16ましといへバ、Sサア、たう人がわかつた。しやう人のちや 00071810M17やをよびにやれわかいものSイヽヱ、おちややハござりま 00071820M18せん。こらんのとをり、ふりのきやくでござります(六ウ下) 00071830¥N6¥J 00071840¥X 00071850M20△/八朔(はつさく)やところミなれぬ二日ゑひト、むら中がほうねん 00071860¥P310 00071870¥G 00071880M1まんさく、しバゐたいこのおと、ドコドン++。きど 00071890M2まへのわかいもの、あかねもめんのねじりはちまき、大ご 00071900M3ゑにて、はだツたア、おしこめ+。けんぶつのこゑ、山 00071910M4おろしににて、大入のまくのうちで、ひやうしぎのおとカ 00071920M5ツチ+。なかうりのこゑ。ひえだんごよしかナ、ごかぼ 00071930M6うよしかナ。しりからげしたわかいもの、きやく人のとこ 00071940M7ろへきて、コレハ+せうやのごしんぞさま。よくごけん 00071950M8ぶつ。モウまくのヲひらきもうしますから、いまのうち、 00071960M9ばりのヲこかつしやりましも、ところがらとて、をかしく 00071970M10もなし。また+カツチ+。とうぜへ+、これより口 00071980M11上のことハりをもつてつげます。やくだくの江戸うた、し 00071990M12ほくミをミせべヱト、こいたご二ツかりもうしたところが 00072000M13がらまちがひました。そのわけハ(七ウ)まつかぜになりま 00072010M14するやくしや、どんどろざかの兵ざへもん、ゑぼしのヲう 00072020M15らのまつのきへくゝつておきましたが、なにがはや、その 00072030M16なかへはちがすをくつて、かぶるベヱとすると、どたまア 00072040M17はちにさゝれもうして、うなつてをりますしぎゆへ、さし 00072050M18けへまして、しんきやうげんいもせ山のふかしたて山のだ 00072060M19んを見せます。大伴内になりもうすが、へびづかのじやこゑ 00072070M20もん、さだかゞまごのかん太、こがの介が定使のまご八、ひ 00072080¥P311 00072090¥G 00072100M1な鳥がへごたれむらの甚ゑもん、そのため口上。けんぶつ、 00072110M2わあイ++引カツチ+++カチリト、だん+ 00072120M3きやうげんなかバになり、どういふはづミか、ひなどりが 00072130M4二ぢうからぶたいへころげおち、あをのけになり、きんた 00072140M5まをだしけれバ、けんぶつハこれを見つけ、一チどうにふ 00072150M6き出し、じんざへむがきんたまア出した。ひなどりがきん 00072160M7たまア出した。ひなどりにきんたまがあるかといへば、お 00072170M8きあがり、アニハア、ひな鳥のおすだア(八オ) 00072180¥N7¥J 00072190¥X 00072200M10△むかし+そんぞ、そうしうきりがやつに、あくせく 00072210M11や/世加(せか)四郎といふざいもくどひやあり。かない十七八人、 00072220M12たち家、あかがね、どぞうまでぬりちらしたる、ごないぎ 00072230M13のとし、まだはたちのさかを二つ三つこしたる、はこねの 00072240M14たまくしげ小田原なぬしの一人むすめ、二タとせ三とせそ 00072250M15ふといへども、まだ子さへなきうまづめのミづぎハたつて 00072260M16(八ウ上)ミへにけり。しかるにせか四郎、/頼朝(よりとも)公より、つ 00072270M17るがをかの八まんぐうむなぎのはしら、おこのミにつき、 00072280M18だいきんにハかゝハらず見つけしだいといふおほせゆへ、 00072290M19やどへかへるやいなや、たゞにようばうとばんとうへ、か 00072300M20ないのことをいひつけて、いづくともなくたびだちぬ。し 00072310¥P312 00072320L1かるにやう+にして、ひごのくにあその山なかにぞかゝ 00072330L2りける。かゝるところへむかふより、とし四十ゆうよのを 00072340L3とこ、すがたハそまとミへけるが、よろめき+きかゝり 00072350L4いふに、われハこの山にすめるそまにて候が、けふむかふ 00072360L5だににて、はからずもだいじやにいてあひ、そのどくき、 00072370L6身にまハりてかくのしあハせ。ねがハくハ、たすけ給ハれ 00072380L7かしといふをきゝて、ふびんにおもひ、そまのいるいをき 00072390L8りほどき、おのれがいるいをきせかへ、もときしみちへか 00072400L9へりけり。しかるに、きりがやつのあくせくやの内にハ、 00072410L10一チねんごし、あるじのたよりなけれバ、あんじくらしい 00072420L11たりけるが、あるひひきやくきて、わたくしハひごのくに 00072430L12からまいりましたが、こゝの内のだんなどのが、山中にて 00072440L13いきだをれになられ、ところのだいくわんより(九オ上)け 00072450L14んしをうけてから、さつそくこちらへひきやくをたてられ 00072460L15たのでござります。そのしやうこハすげがさのうらに、そ 00072470L16うしうきりが谷あくせくやせか四郎、またこめいるいのか 00072480L17たそで、おぼへがござりませうといハれて、にようばうも 00072490L18ばんとうもあきるゝばかり、ばうぜんたり。かくても(八 00072500L19ウ下)あらざれバ、しんるいそうだんして、ひきやくとと 00072510L20もに、ひごのくにへゆきミれバ、まがふかたなきしゆじん 00072520M1のなきがら。いるい、すげがさハさら也、もちろん日かず 00072530M2もよほどふるまゝに、めんていくづれてしれざれども、さ 00072540M3うゐなきむね、むらやく人へとゞけ、ところのてらへ、い 00072550M4つぺんのけふりとなし、かまくらへたちかへりけるが、に 00072560M5ようはうのなげきいかばかり。その人のなきたまたなをい 00072570M6となミて、めにちら+と、そのすがたのこるあつさと、 00072580M7かいめうにそなへるいもがずいきのなミだ、まだ子さへな 00072590M8きミなしじる、すくハせ給へあミだ仏、(九オ下)たつせん 00072600M9かうのけふりより、はやきハ月と日のくわういん、はやつ 00072610M10ぎのとし七月ハ一ツしうきなれバ、しんるい一チどうそう 00072620M11だんして、ばんとうと/内義(ないぎ)とミやハせんといへバ、やう+ 00072630M13なつとくし、一しうきをこんれいの日とさだめけれバ、こ 00072640M14ぞにかハるこのあきハ、人のこゝろもはなミづばし、ゆき 00072650M15の下ある出ミせから、/魚(うを)一トをり酒一荷、あるひハよろこ 00072660M16ぶかつをぶし、またそのあとよりいりくるハ、さうじをと 00072670M17るがとくゐの百せう、わしらハゐなかでござりますから、 00072680M18あにもハアござり申さぬけれども、これハしんやとわしら 00072690M19がはたけざかゐへできましたじねんじよが、うなぎになり 00072700M20かゝり(九ウ上)ましたのでござりまウす。もちろんどたま 00072710¥P313 00072720¥G 00072730M1がうなぎで、しつぽがいも。しうぎぶしうぎ一チどなる、 00072740M2だんなさまの一しうき、こんばんのこんれい、まづおめでた 00072750M3く、ごしうしやうでござりますといへバ、ミな+どつと 00072760M4わらひのまゆのかほをなをして、はやしうげん、三+九 00072770M5どならぬうち、モウとこ入りと、なかうど/ぎ((ママ))てん。四かい 00072780M6なミかぜおさまりて、あとハらくざの大さかもり、どよめ 00072790M7きわたるそのなかへ、ミせでハミな+大ごゑにて、そり 00072800M8やゆうれいよ、ばけものよと、ばら+おくへにげいるに 00072810M9ぞ、ふうふハとこよりでてミれバ、せか四郎がゆうれいな 00072820M10り。ふうふハこしをうちぬかし、ねんぶつのほかハなし。 00072830M11やう+ばんとうハくびを(十オ上)あげ、だんなさま。その 00072840M12おうらミハごもつともでござりますれど、わたくしとても、 00072850M13ふぎいたづらなわけでハ(九ウ下)ござりません。おまへさ 00072860M14まが、ひごのくにあその山なかでおなくなりなされてより、 00072870M15もふこん日が一ツしうき。しんるいぢうがよつてたかつて、 00072880M16このやのあとめにおなをしなされて、こよひのしうげん 00072890M17も、もそつとはやいとおまにあひましたが、たゞいまおと 00072900M18こがすんだばかり。ノウおミきヤ。イヱ、おかみさんとい 00072910M19へバ、にようばう、かほをあげ、(十オ下)わたくしとても 00072920M20おなしこと。おまへさまがごぞんめいなりや、なんのこん 00072930¥P314 00072940¥G 00072950L11なばんとうと、ひとつねハいたしません。もうかうなつて 00072960L12ハしかたもなし。うかんでじやうぶつなされましといへバ、 00072970L13せか四郎あきれがほ。これ、てめへたちハきがちがつたか。 00072980L14なに、ゆうれいじやと。よくミろ。あしも二ほんそろつて 00072990L15ゐるハヱ。もちろん、きよねんたびだちしてより、しよ+ 00073000L16はう※めぐれども、これぞとおもふ木もなけれバ、ろよ 00073010L17うをそんにいまハしく、いそいでかへつてきてミれバ、ヤ 00073020L18レゆうれいじやのばけものじやのと、きゝたくでもねへハ 00073030L19ヱといハれて、ばんとう、こわ※すかしミて、さやうな 00073040L20ら、ヒウドロでハござりませんかと、ぬかしたひざをやう 00073050M1+して、びつしよりかいたあせ。じゆばんとすげがさを 00073060M2とりいだし、おまへさま、たびだちしてから一チねんごし、 00073070M3ついに一チどのたよりのないが一トつのふしん。又、ひご 00073080M4のやまなかでおなくなりなされたと申スも、一トつのふし 00073090M5ん。そのしんだる人が、こんやおかへりなさるゝも、一ト 00073100M6つのふしん。てうどふしんが三つかさなりましたといへバ、 00073110M7そんならモウ一ぺん、木をかひにでやう。 00073120M8Sだん+あとにて、ことわけわかり、ひごにてどくにあ 00073130M9りし人にめぐミせしより、此間ちがひになり、けふりをた 00073140M10てるしんせつより、このこんれい。わしも女房より、とし 00073150M11もうへなれバゐんきよして、きさまたちに世をおくるべし 00073160M12と、また+こんれいになり、一ツけしんるいのよろこび 00073170M13大かたならず、めでたし++++ 00073180¥Q 00073190M15△△△△△△△△△△△△△◇司馬龍生作 00073200M16△△△△△△△△△△△△△伸斎英松画 00073210M17△△△△△△△△△△△△△上総屋久蔵板◇ 00073220M19△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十ウ) 00073230¥P315 00073240¥U噺本大系△第十八巻 00073250¥G 00073260¥T/俳諧(はいかい)/発句(ほつく)/一題噺(いちだいばなし)〔題簽〕 00073270¥Y 00073280M6嘉永四年正月刊 00073290M7空中楼花咲爺作 00073300M8五雲亭貞秀画 00073310M9錦橋堂板 00073320M10中本二巻二冊 00073330¥Y 00073340M12/故人(こじん)/可楽(からく)、/三題噺(さんだいばなし)といへることを/工風(くふう)して、/世(よ)に/流行(りうかう)し、 00073350M13/其糟粕(そのそうはく)をねぶる/者(もの)すくなからず。/小唄(こうた)にさへ/作(つく)り、/三弦(さんげん)に 00073360M14あハせてもてあそふ。又/近頃(ちかごろ)/俳諧(はいかい)の/発句(ほつく)おこなハるゝこと 00073370M15/甚(はなはだ)しく、/児婦(ぢふ)/童蒙(どうもう)もいハざるはなし。こゝに/於(おい)て/耳(ミヽ)にとま 00073380M16れる/名吟(めいぎん)を/題(だい)とし、/拙作(せつさく)の/落語(らくご)を/附会(ふくわい)して/上梓(しやうし)す。/昔&(むかし+)、 00073390M17/爺(ぢゞい)ハ/山(やま)へ/草双帋(くさぞうし)、/婆(ばゝア)&ならねど/洗濯(せんたく)し、ひつかく/筆(ふで)も/三本(さんぼん) 00073400M18たらぬ/猿智恵(さるちゑ)にて、/横(よこ)に/這(は)ふ/蟹同前(かにどうぜん)、/口(くち)を/糊(のり)する/業(わさ)にハあ 00073410M19らねと、/勧学院(くわんがくいん)の/雀(すゞめ)にもおとり、/蒙求(もうぎう)も/囀(さへづ)らず。/余(あま)りべち 00073420M20やくちや/多弁(しやべつ)たら、にくまれて/舌(した)をちよつきりやられぬ/用= 00073430¥P316 00073440¥G 00073450G1俳諧発句△△△△△G 00073460G2一題噺上△△△G 00073470G3△G 00073480G4△△空中桜花咲爺作 00073490G5△△歌川貞秀画 00073500G6嘉永四年新版△△江北堂梓 00073510M1心(よう=じん)、たゞ/小童衆(こどもしゆ)の/徒然(いたづら)よけになれかしと、こひねがふもの 00073520M2は/誰(た)そ。/名(な)もなき花咲爺が誌△G 00073530M4△△嘉永四年辛亥正月(一オ) 00073540¥P317 00073550¥G 00073560¥T1 00073570¥N1¥J 00073580¥X 00073590M1△△Sうごくのは人の心や弓はじめ△△△△△一具 00073600M3○ゆミはじめに、ミなうちそろひて、かハり※にゐるに、 00073610M4こゝろのふれぬゆゑか、ひとつもあだやハなく、のこらず 00073620M5あたりけれバ、はつはるからこのやうにあたるといふハ、 00073630M6めでたいとよろこび、しかし、かうあたることもめづらし 00073640M7いといへバ、まとばのばんにんが、みなあたるはづ。こゝ 00073650M8ハふだんハたどんのほしばでござりますから(一ウ) 00073660¥N2¥J 00073670¥X 00073680M9△△S万歳や習ハぬふりもありと見る△△△△尾村 00073690M11○まんざい、ほう※にてちそうになり、よほどのさけき 00073700M12げんにて、わしがうちへきてハ、あしもともしどろもどろ 00073710M13に、せう※のやうにまひ、いつもよりかへつておもしろ 00073720M14いことであつた。そのうへ、八人でまつたから、かくべつ 00073730M15にぎやかであつたといふをきゝ、七人せう※といふハ、 00073740M16くわんじんのうて見たが、八人まんざいハはなしにもきか 00073750M17ぬ。どうしてそういちどきにおちやつた。いゝへ、おちや 00073760M18つたのでハないが、まんざいもよつたり、さいぞうもよつ 00073770M19たりだ(二オ) 00073780¥P318 00073790¥G 00073800¥N3¥J 00073810¥X 00073820M1△△S江にむいてあるひと畑や梅の花△△△△季鳴 00073830M3○すいへんの梅ハかくべつけしきもよく、人もうれしかる 00073840M4から、さだめし、うめの木のこゝろでハ、なんぼさくらか 00073850M5うつくしいとじまんしても、おれにハおよぶまい。だいい 00073860M6ち、あれハさむがりぼうで、けふこのごろハいぢけてゐる。 00073870M7そしてさいたところも、うハきらしい。梅ハ/実(ミ)もちもよし、 00073880M8なんといつても、はなのあにだと、つんとして、にほひの 00073890M9よいのを、花にかけるやうすだ(二ウ) 00073900¥N4¥J 00073910¥X 00073920M10△△Sふかれ+堤へ出たり月と梅△△△△△青府 00073930M12○はる風のそよ+と、よひざめのかほへかゝるもこゝろ 00073940M13もちがよいから、であるくもおもしろい。そしてどてをあ 00073950M14るくところハ、かとうぶしのすけ六のもんくのやうだ。そ 00073960M15ういへバすけ六ハぬれことしといふから、からかさやげた 00073970M16ハもたずとよさそうなものだが、やつぱりふられたときの 00073980M17ようじんと見へた(三オ) 00073990¥N5¥J 00074000¥X 00074010M19△△Sうくひすや啼のこる音の有て飛ぶ△△△丁知 00074020M20○ねぎしのべつそうにいんきよして、うき世をせがれにゆ 00074030¥P319 00074040¥G 00074050M1づり、にハのけしきもこゝろとともにひろ※とくらし、 00074060M2くさ木やとりのこゑをたのしむに、うぐひすのきてなくを、 00074070M3いまひとこゑと、せうじをそつとあけれバ、ちよいととび 00074080M4のくに、そつと又にハへおりて、あとをしたへば、またち 00074090M5よいととぶに、又したひゆき、われをわすれてふミはづし、 00074100M6いけの中へころげこミ、ヤレたすけてくれと、おもハず大 00074110M7ごゑをたてるに、をとこどもきゝつけかけきたり、ひきあ 00074120M8げて、なにものがあなたをこのいけへつきこミましたとと 00074130M9へバ、そのあひてハ、うぐひすめじやハやい(三ウ) 00074140¥N6¥J 00074150¥X 00074160M11△△Sのぼるまに春ハ見えたり海の月△△△△春峨 00074170M12○ふゆのけしきにひきかへて、月もなにとなくゆるやかな 00074180M13やうすに見へるに、たまうさぎがとびだして、なミのうへ 00074190M14をはしり、ひのからすのねぐらへきてたゝきおこし、きゝ 00074200M15なさい。おらがだんなのお月さまハ、このごろはるけでき 00074210M16うでんへのぼりつめ、天にんをそうあげにして、さへきつ 00074220M17ておいでなさるをよい事にして、かミなりがたいこをもち、 00074230M18風のかミかあをるから、かへるそらハない。そこでわたし 00074240M19がほうきぼしをたのんで、さかさまにたつてもらつたら、 00074250M20やう+おかへりなされた。きこうのだんなのにちりんさ 00074260¥P320 00074270¥G 00074280M1まにきこへたら、おひかりなさるであらう。はれてハいハ 00074290M2れぬが、くもつたものだ(四オ) 00074300¥N7¥J 00074310¥X 00074320M4△△Sさへづりとばかりや鳥の名もいハず△△祖郷 00074330M5○はたけつゞきのばびろいところだから、いろ+のとり 00074340M6がきてさへづるけれども、どれがなんだか名がしれぬから、 00074350M7とりずきの人にきいたら、はねのいろでわかるとをしへた。 00074360M8そうして見れバ、いましがたきたちやいろのとりハ、ほう 00074370M9じろだろう(四ウ) 00074380¥N8¥J 00074390¥X 00074400M11△△S未だ風をいとふ坐敷やあぶりのり△△△拙誠 00074410M12○おかミさま、下女に、きのふのしけでハ、けふハさかな 00074420M13やもこまいから、おひるのおさいハこれにでもしておくが 00074430M14よいと、としだまにもらつたのりのつゝミをだす。手にと 00074440M15りながら、あめかぜのつよいときハ、ひゞもいたミませう。 00074450M16まあそんなことをいハずと、はやくそののりをあぶるがよ 00074460M17いといふのを、となりのかミさまがしやうじのそとにきい 00074470M18てゐて、おせんたくものかへ(五オ) 00074480¥P321 00074490¥G 00074500¥N9¥J 00074510¥X 00074520M1△△Sつち取てあとの田になる柳かな△△△△範成 00074530M3○つちをとり+、だん+としんでんをこしらへる。あ 00074540M4たりのやなぎ、これハうか+してハゐられまいと、川や 00074550M5なぎのところへそうだんにゆき、わけをはなし、おれもぬ 00074560M6かれるやうになつたら、どうかこゝらへおいてくれまいか 00074570M7といへバ、川やなぎが、なに、あんじることハない。めつ 00074580M8たにぬきハしまいと、ちからをつけれバ、それでもおれハ、 00074590M9いまほられるか、いまにほられるかとおもつて、木が木で 00074600M10ハない(五ウ) 00074610¥N10¥J 00074620¥X 00074630M12△△Sはつ午や世はかくもあるはづながら△△松舟 00074640M13○りくつくさいおやぢ、さて+よの中がよいと見へて、 00074650M14此はつむまのにぎやかなことをごらうじろ。これといふも 00074660M15みな、にんじやうにゆきわたりがよいからでござる。子ど 00074670M16ものたゝくたいこのおとにも、ふたおやをしたいますのハ、 00074680M17しぜんなものでこざるといふに、それハどうしたことでご 00074690M18ざりますととへバ、しれたこと。とゝかゝ+とたゝきま 00074700M19す(六オ) 00074710¥P322 00074720¥G 00074730¥N11¥J 00074740¥X 00074750M1△△S野のいろのさだまつてまふ雲雀哉△△△乕角 00074760M3○野中のくさもあを+とするころ、ひばりがそらへたか 00074770M4くあがるを見て、あのやうにあがつても、よくまちがへず 00074780M5に、もとのところへおりたものだといふ。そばで、いへ 00074790M6+、あれもをりふしハまちがへる事がある。此まへ、ひ 00074800M7ろをのはらから風にふかれておりたところが、かうじ町の 00074810M8井どの中のふかいところへ、どこまでもおりて、水ぎハで 00074820M9きがつき、これハとんだところへおりたと、なわつるべに 00074830M10とりついてあがると、水をくむものがとらへて、井どの中 00074840M11のふなが、とりになつてあがつたと、ながやぢう大さわぎ。 00074850M12ふながよもやとりにハなるまい。イヤ、ふなのしようこに 00074860M13ハ、つられてあがつた(六ウ) 00074870¥N12¥J 00074880¥X 00074890M15△△S雪どけやすゞめのあさるこぼれ米△△△一碩 00074900M16○ふるい狂哥に、山&のいちどにわらふゆきどけにそこ 00074910M17ハくつ+こゝハげた+、といふのがあるが、よくよん 00074920M18だでハないかといへバ、人のいふ事をけなすがくせの人、 00074930M19ナニ、それがよいものか。なんぼきようかでも、うたハう 00074940M20たらしくよまねバならぬ。それでハあだくちといふものだ。 00074950¥P323 00074960¥G 00074970M1そこがきようかだからよいのさ。ナニ、わるいとあらそふ 00074980M2のを、こぼれごめをひろふすゞめがきて、ちう+(七オ) 00074990¥N13¥J 00075000¥X 00075010M4△△S出なほして行気になりぬ春の山△△△△不黒 00075020M5○山水のけしきハいふ事ハなけれど、ぶら+とあるくに 00075030M6ハ、はるの山がよい。なつハくさぶかく、あきハつゆしげ 00075040M7く、ふゆハものすごいやうだ。なんでも山ハはるのことさ 00075050M8といふ。そばにゐたる人、どうりでこのごろ、おかいてう 00075060M9が大あたりだ。それハなぜだ。はて、山ハはるのことだと 00075070M10いひなさるから(七ウ) 00075080¥N14¥J 00075090¥X 00075100M12△△S鴈の居たあたりと見るやゆきし跡△△△波鴎 00075110M13○がんが来て、いつもむぎばたけをあらすゆゑ、百せうは 00075120M14らをたち、もちなわにてとらへんとするに、がんがいふに 00075130M15ハ、これ+おやかた。ことしハわしらがふるさとのとき 00075140M16わのくにから、金ぎんをよこすはづだから、むぎをあらし 00075150M17ただけをだいにつもり、きつとかんじやうします。かなら 00075160M18ずはらをおたちなさるなといハれて、百せうもとくしんし 00075170M19てまつうち、はるになれども、なんのさたもなきゆゑ、さ 00075180M20いそくすれバ、かり+といふてたつてかへりけれバ、は 00075190¥P324 00075200¥G 00075210M1たけにのこりしあしあとを見て、なむさん、あいつにふま 00075220M2れたそうだ(八オ) 00075230¥N15¥J 00075240¥X 00075250M4△△Sすそ野ふく風の夜あけやほとゝぎす△△在爾 00075260M5○大いそのあげや、まひづるやのでん三、わたくしハほと 00075270M6ゝぎすのこゑをきくと、ふじのすそのでかたきをうつたそ 00075280M7がきようだいのことをおもひ出して、ぞつといたします。 00075290M8なぜまた、ほととぎすのこゑをきくと、そがきようだいを 00075300M9おもひだして、ぞつとするヱ。イヘサ。そのわけハ、わた 00075310M10くしかたへおいでのあるせつも、あのびんぼうゆゑ、てつ 00075320M11へんからかけでござりました(八ウ) 00075330¥N16¥J 00075340¥X 00075350M13△△S露ハちり花はこぼれてけし畠△△△△△象雄 00075360M14○十六七のむすめ二三人、けしのはたけを見て、うつくし 00075370M15い花でござりますが、ちりやすいでハござりませぬかとい 00075380M16ふと、ひとりが、はなにおくつゆもうつくしいが、ちりや 00075390M17すいね。なんでもうつくしいものハ、はかなくちりやすい 00075400M18やうだといへバ、またひとりが、それでハわたくしも、ゆ 00075410M19だんをいたしますまい(九オ) 00075420¥P325 00075430¥G 00075440¥N17¥J 00075450¥X 00075460M1△△Sのびとまる迄ハ葉もなしことし竹△△△亀丈 00075470M3○いつのまにか、竹のこがおやよりもせいがのひた。竹と 00075480M4いふものハ、いろ+のようにたつものだ。ゆミにもなり、 00075490M5矢にもなり、花いけにも茶しやくにも、そのほかまいにち、 00075500M6ようにたつ事ハかぞへられぬ。それだから、わたしハ竹の 00075510M7子ハくハずに、みなたけにしますといへバ、それでも、お 00075520M8まへハさゝがおすきで、たべなさるでハないか(九ウ) 00075530¥N18¥J 00075540¥X 00075550M10△△Sはれてゆく空たゞよふやかきつばた△△東洲 00075560M11○かどのながれに、かきつばたをうゑし百せう、はたけへ 00075570M12ハべにのはなをつくりしが、あさはやくつミにでゝみれバ、 00075580M13人につまれて、はなひとつもなし。大きにあきれてゐると 00075590M14ころへ、きんじよのものがきて、それハ人のしわざでハご 00075600M15ざるまい。むらさきのあけをうバふといふ事があるから、 00075610M16おまへのところのかきつばたがぬすミましたらうときいて、 00075620M17やつきとしてかへり、ながれのかきつばたをきりとるに、 00075630M18うちでハ竹のつゝへでもさすのかとおもひ、おさしなさる 00075640M19かと、つゝをいだせバ、いや+、ぬすミごゝろがあるか 00075650M20ら、きりずてにする。いけてハおかれぬやつだ(十オ) 00075660¥P326 00075670¥G 00075680¥N19¥J 00075690¥X 00075700M1△△Sかさねぎの人もまじるや夕涼ミ△△△△驥龍 00075710M3○なじミのふなやどで、川ひらきにハぜひきてくれといふ 00075720M4から、ゆかねバならぬが、かうすゞしくてハふねどころで 00075730M5ハない。しかし、かほづくでやめにもされぬ。松こうでも竹 00075740M6こうでもよびにやり、おごりハこちらでまかなふといつて、 00075750M7つれてゆかう。おれひとり、さむいめをすることもない 00075760¥Q1 00075770M8△△△△△△△△△△◇貞秀画花咲作◇(十ウ) 00075780¥T1 00075790¥N1¥J 00075800¥X 00075810M11△△S鳥ひとつ見ぬ日もくれて竹ふ人△△△△亀友 00075820M12○けふのやうなあつい日ハない。すゞめさへこないほどで 00075830M13あつたが、よるハ此ちくふじんをだいてねるとすゞしくて、 00075840M14どうもいへぬ。うまれつきがまつすぐで、しなやかだなど 00075850M15ゝひとりごとにほめれバ、ちくふじん、にようぼうきどり 00075860M16にて口をきゝ、そういひなさつても、いまにあきかぜで、 00075870M17こたつに見かへて、すてなさるだらうといふに、ナニ、そ 00075880M18のときハすてハしない。火にたいてあたるといふと、ちく 00075890M19ふじん、火のやうにあつくなり、さアたつたいま竹、竹 00075900M20(十一オ) 00075910¥P327 00075920¥G 00075930¥N2¥J 00075940¥X 00075950M1△△S七夕や身をなでゝ見て寐にもどる△△△三沼 00075960M3○せつくの夜、ひとへものゝつゆにしめるころまであそび、 00075970M4たなばたさまハ、ごていしゆハうしをひき、おかミさまハ 00075980M5はたをおり、ふうふしておかせぎなさるから、ごしんしや 00075990M6うがよからうといへバ、そばから、いや+、そうである 00076000M7まい。お子さまがたが一どに千人づゝおできなさるといふ 00076010M8から、やつかいおほてくらしがはり、おくめんのよいとこ 00076020M9ろでハあるまい。かへつてしやくきんがたくさんおありな 00076030M10さるだらうといふのを、たなばたさま、おきゝなされて、 00076040M11なむさん、ほしをさゝれた(十一ウ) 00076050¥N3¥J 00076060¥X 00076070M13△△S朝がほやしぼむじぶんもかねがなる△△白起 00076080M14○いまなるかねハ四ツと見へて、もうあさがほがしほれた。 00076090M15をしいことに、さかりのみじかい花だ。しかし百じつこう 00076100M16や千にちこうハ、人がうれしがらぬから、やつはりこれか 00076110M17いゝのだとハいふものゝ、おれがやうなねぼうハ、よいと 00076120M18ころを見ることハならぬ。又かうねむいのも、たゞことで 00076130M19ハない。さきのよで、むけんのかねでもついたそうで、い 00076140M20つでもあさめしがひるになる(十二オ) 00076150¥P328 00076160¥G 00076170¥N4¥J 00076180¥X 00076190M1△△S屋敷しゆの手がミハながしいきミ玉△△兎年 00076200M3○いきミたまのしうぎに、さしさばをもらひしが、あつさ 00076210M4のつよいので、くされたやうすゆゑ、これハくハれまいと 00076220M5いふを、つかひにきたものがきいて、それハおよしなさい 00076230M6まし。わたくしのかたでもくハれぬから、よそへやるがよ 00076240M7いと申て、こなたへよこしましたといふに、どうりで手が 00076250M8ミのもんごんに、御もちひすてくだされたくそろとかいて 00076260M9ある(十二ウ) 00076270¥N5¥J 00076280¥X 00076290M11△△Sつゆの香や二百十日の翌桧△△△△△△得蕪 00076300M12○二百十日のやくひもおだやかで、くさや木につゆがおく 00076310M13やうにてめでたい。そういふうちにも、あすならうにハか 00076320M14くべつ、つゆがおいたやうだが、このやうにしめつてハ、 00076330M15とてもひの木にハなりえハしまいといふと、そばにゐる人 00076340M16か、そんなにたきつけぬがよい(十三オ) 00076350¥P329 00076360¥G 00076370¥N6¥J 00076380¥X 00076390M1△△Sものかげのなくて花野の日くれかな△△禾丈 00076400M3○くさ花のさかりに見とれて、うか+と秋の日のミじか 00076410M4きもわすれ、いつのまにか日がくれかゝり、いへのあると 00076420M5ころへハ、どちらもとほきはら中ゆゑ、これハつまらぬ。 00076430M6おひはぎでもでねバよいと、いそぎあしにゆく、あとから 00076440M7もはやあしにくる人ありておひつき、どうぞおつれになさ 00076450M8れてくださりまし。かういふところで日がくれてハ、きミ 00076460M9がわるうござりますといハれ、てうどよいつれとおもひな 00076470M10がら、ナニ、わたしとあるきなされバ、こわいことハない。 00076480M11此まへもおほかミを四五ひきふミころしたといふに、つれ 00076490M12のをとこが、なんぼおほかめでも、あなたのてつぽうにハ 00076500M13かなひますまい(十三ウ) 00076510¥N7¥J 00076520¥X 00076530M15△△S旅に居て旅人見るも肌寒し△△△△△△清耳尼 00076540M16○たとへにも、かハゆい子にハたびをさせろといふが、な 00076550M17るほどよくいふたものだ。せけんのいきわたりがよくなる 00076560M18のも、しぜんのどうりだとはなすそばに、ゑんごくものが 00076570M19きいてゐて、たびをすれバ、なにがとくがありますとたづ 00076580M20ねれバ、ほかでもないが、おもひやりができるのさ。ゑん 00076590¥P330 00076600¥G 00076610M1ごくもの、それでハわしがとのさまもかわゆひ子と見へま 00076620M2して、はつのごにうぶのとき、おもいやりがたくさんでき 00076630M3ました(十四オ) 00076640¥N8¥J 00076650¥X 00076660M5△△Sよびあるくものや夜寒のうすけふり△△杉暁 00076670M6○此ごろまで、うりやすいくわのよの中でゐたるが、もう 00076680M7あつたかいものをこのむやうになり、おでんあんばいよし 00076690M8を、たちぐひとでかけしに、をりあしくぜに入レをわすれ、 00076700M9こしのまハりをさがしてもなし。これハつまらぬとおもひ 00076710M10ながら、くひにげもぐわいぶんがわるいと、ぢびたのすな 00076720M11をつかんで、それとわたせバ、あきんど、きもをつぶし、 00076730M12なにをじやうだんなされますといへバ、ハテ、こんにやく 00076740M13ハすなはらひだ(十四ウ) 00076750¥N9¥J 00076760¥X 00076770M15△△S半ぶんハくふたあとなりいも畠△△△△珠弓 00076780M16○つれ※草にも、いもくひのそう正といふがあるが、い 00076790M17もほどうまいものハないと、ほつてハくひほつてハくひし 00076800M18てくひへらし、このあとハもうほるまい。二どの月見にも 00076810M19おことにも、すゝはきにもおせちにもつかハねバならぬと 00076820M20おもひながら、どうもくハずにハゐられず、だん+ほり 00076830¥P331 00076840¥G 00076850M1つくし、とう+はたけにひとつもないやうにして、これ 00076860M2ハつまらぬことをした。まことにいもハしあんのほかだ 00076870M3(十五オ) 00076880¥N10¥J 00076890¥X 00076900M5△△S初月やみなが出て見る河原まで△△△△閑雅 00076910M6○四五人ではつ月をおがミに川ばたへ出て見て、おや+、 00076920M7お月さまハおそろしくおやせなされたと、ひとりがいへバ、 00076930M8そのはづさ。あとげつからのやミあがりだ。なるほど、そ 00076940M9れでハしよくにきをおつけなさらずハなるまい(十五ウ) 00076950¥N11¥J 00076960¥X 00076970M11△△Sそらに目をつける日なミやわたり鳥△△なほ女 00076980M12○鳥がもうわたるかと、ひよりのよさにそらをながめてゐ 00076990M13ると、ばら+と小とりがむれてくる。小がらなどハわか 00077000M14いから、とほみちをきてもくたびれもせまいが、四十から 00077010M15ハまだしも、五十からハたいぎだらう。こずともよさそう 00077020M16なものだといふのを、鳥がきいて、はねがあるから、こず 00077030M17にハゐられませぬ。はねがかたきのよの中じや(十六オ) 00077040¥P332 00077050¥G 00077060¥N12¥J 00077070¥X 00077080M1△△S波たつやしぐれ見おくるくもの下△△△松什 00077090M3○ふうがにあそぶ人、うちよりてそらを見るに、だん+ 00077100M4うミのほうへはれてゆく、しぐれのけしき、どうもいへぬ、 00077110M5べつなものだ。それにつけても、じうぐわつとかいて、し 00077120M6ぐれ月とよむももつとも。しも月ハしもがふるのハあたり 00077130M7まへだが、十二月とかいて、まごつきとよませそうなもの 00077140M8だ(十六ウ) 00077150¥N13¥J 00077160¥X 00077170M10△△S子をつれてひまどる道や御命講△△△△涼花 00077180M11○たなむきの手だい、だんなの子をつれて、おめいこうへ 00077190M12まいりしが、日がくれてうちへかへり、ほうばいにいふに 00077200M13ハ、けふおぼうさんのおともして、ぞうしがやへいつたと 00077210M14ころが、みち+、あれを見やうの、これをかつてくれろ 00077220M15のとだゞをおいひなさつたので、大きにひまどつたゆゑ、 00077230M16かへるとだんながおしかりなされたが、とんだありがたい 00077240M17事であつた。ほうばいきいて、なぜ、しかられたのがあり 00077250M18がたい。ハテ、ありがたいのさ。おそし+とおしかりだ 00077260M19から(十七オ) 00077270¥P333 00077280¥G 00077290¥N14¥J 00077300¥X 00077310M1△△S口切やこのミてものゝわびつくす△△△花外 00077320M3○茶のゆといふものハ、よくゆきとゞいたものだ。此ごろ 00077330M4くちきりによばれて、こい茶をのむとき、上きやくがちや 00077340M5わんの中へ、入レばをおとしたところが、しらぬふりで、 00077350M6つぎへまハすと、又つぎのきやくがひとくちのんでつぎへ 00077360M7まハし、とゞつめにゐたものがこまつて、茶をのミながら 00077370M8口へふくんでゐて、かへるときに上きやくへ、さきほどの 00077380M9品をおかへし申ませうとわたしたら、あいさつが、これハ 00077390M10はゞかりでござります(十七ウ) 00077400¥N15¥J 00077410¥X 00077420M12△△S日なミよしゆくて+の大根引△△△△万古 00077430M13○江戸もの、川口のぜんくわうじへまゐるミちにて、たく 00077440M14わんたいこをひくのを見て、これほどの大こんか、みな江 00077450M15戸へ出るから大きなものだといへバ、つれが、おほきなも 00077460M16のといへバ、おまへの大こんも大きいが、これほどハある 00077470M17まい。ばかをいひなさんな。うまでハあるまいしといふを、 00077480M18はたけの人がきいて、こゝからハふねでだします(十八オ) 00077490¥P334 00077500¥G 00077510¥N16¥J 00077520¥X 00077530M1△△Sいまといふ鐘もこゑして寒の入△△△△言山 00077540M3○むかしから寒の入ルときハ、かねがかんとなるといひつ 00077550M4たへたから、きまりがよいが、かんあけにハきつかけがな 00077560M5いから、はつきりわからぬと、ものしりにとへバ、かんあ 00077570M6けにもきつとしるしがあるのさ。入ルときハかんとなり、 00077580M7あけるときハかねがごんとなるのさ。それても入ルときの 00077590M8かんハわかつたが、あけるときのごんがきこへぬと、おし 00077600M9ていへバ、それハおまへのみゝのとほいのだ(十八ウ) 00077610¥N17¥J 00077620¥X 00077630M11△△S明る夜のひとたてくらしなく千鳥△△△功甫 00077640M12○朝風にふかれるのもいとハす、はねだのうミのちどりを 00077650M13きゝにゆき、ミやげに、いかしてもつてかへりたいと、あ 00077660M14ミをうたせ、とれたのをかごに入レもつてかへり、ともだ 00077670M15ちのところへやると、大きにはらをたて、なんだ、つまら 00077680M16ぬ鳥をよこしたといふに、つかひのもの、それハちどりで 00077690M17ござりますといへバ、いよ+はらをたち、あまり人をば 00077700M18かにしたことだ。もつてかへるがいゝ。つかひ、なぜでご 00077710M19ざります。いや、一羽や二羽ハなにもならぬ。半ぶんにし 00077720M20ても五百羽ぐらゐハよこさねバならぬ(十九オ) 00077730¥P335 00077740¥G 00077750¥N18¥J 00077760¥X 00077770M1△△Sたきぼこりはらふてハまたおき頭巾△△為山 00077780M3○としがよると、なにもかもものおぼへがわるくなつてわ 00077790M4すれるが、此づきんをかぶることばかりハわすれぬと、ひ 00077800M5とりで大ゐろりをだいてゐるところへ、かどぐちをのぞき 00077810M6こむ人あり。ぢゝいどの、いつもたつしやでよいの。まご 00077820M7たちハみな大きくなつたらうの。むすこやよめによくいつ 00077830M8てくださいとかへる。あとにて、はて、いまの人ハなんで 00077840M9も見た人にちがひハない。こちらのこともよくしつてゐる 00077850M10から、はい+とあいさつをしたが、どうもだれだかおも 00077860M11ひだされぬ。はてなはてなとしばらくかんがへ、やうやく 00077870M12おもひだした。となり村のなぬしどのであつたと、かぶつ 00077880M13てゐたづきんをとる(十九ウ) 00077890¥N19¥J 00077900¥X 00077910M15△△Sすゝはきのまねでおきけり艸の庵△△△寒流 00077920M16○よをすてた身のうへハ、ぞくとハちがひ、としのくれに 00077930M17すゝもはかずと、たゞまねことですまして、きらくなもの 00077940M18だといふをきいて、しかしだるま大しさへ、すゝはきをな 00077950M19さると見へて、手にはたきをもつておいでなさる。イヤ、 00077960M20あれハはたきでハない。ほつすといふものだ。ナニ、だる 00077970¥P336 00077980¥G嘉永四辛亥春新版目録 00077990G1△京山作 00078000G2/品定五人娘(しなさだめごにんむすめ)@初編|二編@△@源氏雨夜の品さだめに習ひ△△|五人のむすめおの+心※に|世をわたる事をおもしろくかき|つゞりたる草ざうしなり△△△@ 00078010G3△豊国画 00078020G4△京山作 00078030G5/雛鶴笹湯寿(ひなづるさゝゆのことぶき)全一冊△@べにずり大形本はうさうをかろ△△|くしあげあでたくさゝゆを使ふまで|の事をおもしろくかさたる本なれバ|御みあげにハ上&吉なり△△△ 00078040G5△△@ 00078050G6△豊国画 00078060G7/教草女房形気(をしへぐさにようばうかたぎ)@十編|十一編@△@山東庵京山作|一陽斎豊国画@ 00078070G8/寝小便(ねしやうべん)の/大奇薬(だいきやく)@いかはど年久し△△|き病症ニても大△△|人小児男女とも△△|一包ニて治る良方也@△@清浄|精製@/白砂(しろさ)△△@此御薬あらひ 00078080G8ニハいか程|色黒き方ニてもぬかぶくる|の中へ少しづゝ入し用たれバ|色白くなること雲のごとし@ 00078090G9△一包代△三百銅△△△△△△△△△△△一包代三二銅 00078100G10△△△△△△△△△東都中橋広小路 00078110G11△G△錦橋堂△△△山田屋庄兵衛板 00078120M1まがすゝをはらふものか、大みそかにかりさへはらハぬ。 00078130M2それハまた、なぜだね。しれたこと、おあしがないから 00078140M3(二十オ) 00078150¥N20¥J 00078160¥X 00078170M5△△S戸明れバ月も出てありとし忘△△△△△南汀 00078180M6○すこしおろかな男、ともだちのところへきて、おれハゆ 00078190M7ふべ、ふくとく屋のとしわすれによばれていつたが、上る 00078200M8りやらこハいろやら、をどるやらで、とう+月のでるぢ 00078210M9ぶんまでさわいで、みなかへるとき、こんばんハよいとし 00078220M10わすれをいたしましたと、れいをいつてかへつたが、おれ 00078230M11ばかりハとしをわすれないから、れいもいハずにかへつた 00078240M12といふに、ともだち、どうして又、おまへばかり、としを 00078250M13わすれないのだ。イヤ、わすれないはづだ。ぜんたい、お 00078260M14ぼへぬから。 00078270M15△△めでたし++++ 00078280¥Q 00078290M17△△△△△△△△△◇貞秀画花咲爺作G◇ 00078300M18△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二十ウ)