00000010¥P3 00000020¥U噺本大系△第十九巻 00000030¥T/即当(そくとう)/笑合(えあわせ)〔題簽〕 00000040¥G 00000050¥Y 00000060L16寛政八年秋序 00000070L17舎楽斎作 00000080L18赤蘿序 00000090L19半紙本四巻四冊 00000100¥Y序 00000110M3一生の間は、白駒の隙を過るか如し。口を開ひて咲こと、 00000120M4真に幾回そやと、むだことゆつて、度&腸の洗濯してこそ、 00000130M5太平の御代の民とハいはめ。(序一オ)斯る時ならてハなら 00000140M6ぬからとて、唐くにのしかた話しまても書集めて、当世の 00000150M7おとかひを解んと擬する耳 00000160M9△丙辰秋日△△△△△東都△△△△△△△△赤蘿識 00000170M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序一ウ) 00000180¥P4 00000190¥G(一オ) 00000200G1〔絵詞〕 00000210G2△△おもひつきをあんじをして、しこたま、こだんとかねもふ 00000220G3△△けをしてやろう 00000230¥T1/即当(そくとう)/笑合(ゑあわせ)巻之一 00000240M3△△△△△△△△△△△△△△△¥A東都△舎楽斎述 00000250¥N1¥J 00000260¥X/愛染(あひぜん) 00000270M6/愛染王(あいせんめうわう)の/手(て)のおちたるを/補(つくろ)ひけれは、王の/喜(よろこひ)、おほか 00000280M7たならず。曰、何にても/好(この)む所のものを与へんとありける 00000290M8に、そのおとこ、いはんとす。王の曰、アヽ是、/金(かね)ハなら 00000300M9ぬぞ 00000310¥N2¥J 00000320¥X/問嫂(あによめにとふ) 00000330M12/嫁入前(よめいりまへ)のむすめ、/私(ひそか)に/其嫂(そのあによめ)に/問(とふ)て/云(いハ)く、此事よつほど 00000340M13(一オ)/楽(たの)しミになるものかへ。嫂の/曰(いハく)、けしからぬ楽しミ 00000350M14さと。/娘(むすめ)、嫁入して/後(のち)、/里帰(さとかへ)りのとき、嫂を見て/恨(うら)めしそ 00000360M15ふに、コノうそつきめ 00000370¥N3¥J 00000380¥X/問歳(としをとふ) 00000390M18/賈人(あきんと)、/娼(おやま)を/買(か)ふ。その歳を/問(と)ふ。十八といふ。其明年、又 00000400M19問ふ。十七といふ。又其明年問ふ。十六といふ。賈人、こ 00000410¥P5 00000420L1れを聞て、なミだを流す。娼、其わけを問ふ。賈の曰、/尓= 00000430L2(わかミ=の)/歳(とし)も、おれのかねじや 00000440¥N4¥J 00000450¥X/性呆(はかもの) 00000460L5/呆婿(ばかむこ)、/妻(つま)とつれだちて、/泰山(しうと)へ/修謁(ミまふ)。/丈人(しうと)、/歓(よろこん)で/■待(ちそう)する。 00000470L6(一ウ)/其席(そのせき)に/生柿子(なまがき)のあるを見て、/彼(かの)むこ、/拿(とつ)て/皮(かハ)もむか 00000480L7すにむさ+くふ。/妻(つま)、/套房(なんど)からのぞいて見て、こらへ/兼(かね) 00000490L8て/嘆(たん)じて/云(いハ)く、/晦気(にが+しや)&&と。/呆人(ばか)/答(こたへ)て/曰(いハく)、/苦(にが)くハないが、 00000500L9チトしぶいよ 00000510¥N5¥J 00000520¥X/遺劔(かたなをわする) 00000530L12/医人(いしや)、/劔(わきさし)とすりこ木と/取(とり)ちがへて、/病家(びやうか)に/行(ゆく)。病家、大に 00000540L13/笑(わら)ふ。/赤面(せきめん)して、是も/荊婦(ぐさい)がそれ+の所におかぬ故、か 00000550L14ゝる/恥(はぢ)をかきますと、/急(きう)に/立(たつ)て/返(かへ)り、/我家(わかいへ)をとりちがへて 00000560L15/隣(となり)へ入、隣の妻を大に/鞭(むちう)つ。コレハしたりと、我内へ返つ 00000570L16て、/先刻(せんこく)ハ/麁相(そゝう)いたしてごさる(二オ) 00000580¥N6¥J 00000590¥X/過橋嚏(はしなかのくつさめ) 00000600L19/郷人(ざいがうもの)、/城中(まち)から帰て/妻(つま)にはなす。/我(おれ)ハどふいふ事か、け 00000610L20ふ/城裏(まち)て/無数(したゝか)、/噴嚏(くつさめ)か/打(で)たと。妻のいはく、/皆(ミな)/我(わたし)が/家(うち)に/在(ゐ) 00000620M1て、/尓(おまへ)の事を/想(おも)ふからさと。/他日(あるひ)、/糞(こやし)を/挑(かづい)て、/危橋(まるきばし)を/過(わた)る 00000630M2とて、/連(つゞけ)て/嚏(くさめ)が打て、/失足(けつまづい)て、/幾乎(すでのこと)に/落(おち)よふとする。ソ 00000640M3コデぐつとして/罵(しかつ)ていはく、/験花娘(ものしらず|(騒カ)△)め。我を思ひおるから、 00000650M4此やうな目にあハす 00000660¥N7¥J 00000670¥X/似茸(まつたけににたもの)(二ウ) 00000680M7/医(いしや)、/一婦人(あるおんな)を/療(りやうじ)す。/禁物(どくいミ)を/問(と)ふにおよんで、/松茸(まつたけ)ハいかゝ 00000690M8と。医の曰、さればとよ、松茸ハ害なし。松茸に/似(に)たもの 00000700M9ハこれ大/毒(どく) 00000710¥N8¥J 00000720¥X/不準(ふつりあひな) 00000730M12/婦人(おんな)と/男子(をとこ)と/両口(ふたり)ではなす。/婦(おんな)、/男(おとこ)の/鼻(はな)の大きひを見て、 00000740M13/戯(おと)けて曰く、/尓(おまへ)のその/鼻(はな)では、/物(かのもの)もさぞ大きからふ。/男(おとこ)、 00000750M14/婦人(おんな)の/嘴(くち)の小さひを見て、また/戯(おどけ)て/曰(いハ)く、/尓(おまへ)の/其口ては、 00000760M15/陰(かのところ)もさぞせまからふと。/両口(ふたり)ともについ(三オ)/動情(きがわるく)なつ 00000770M16て、/■■(とう+)/雲雨(やらか)す。/婦(おんな)/曰(いハ)く、/尓(おまへ)の/的(もの)ハ/鼻(はな)とハ/准(つりあ)ハぬと。男の 00000780M17/云(いハ)く、尓の/的(もの)もまた、/嘴(くち)とハ/不准(つりあハぬ) 00000790¥N9¥J 00000800¥X/賭(かけの)/謎(なぞ) 00000810M20/初(はし)め十/金(りやう)を/賭(かけ)て/曰(いハく)、/両角(ふたつのつの)/四足(よつのあし)、/重(おもき)を/負(せおふ)て/遠(とほき)に/行物(ゆくもの)ハ何 00000820¥P6 00000830¥G(一ウ・二オ) 00000840M1そ。曰、/牛(うし)。/次(つき)に百金を賭て曰、四足、/乗人(ひとをのせて)、百里に/行(ゆく) 00000850M2者ハ何そ。曰、/馬(むま)。次に千/金(りやう)をかけて曰、/八足(やつのあし)八/頭(かしら)八/翼(はかひ) 00000860M3の物ハ何そ。曰、天下に/豈(どふして)かゝるものあらんや。曰、/不然(そうでない)。 00000870M4/是(こりや)、/怪物(はけもの)しや 00000880¥N10¥J 00000890¥X/公直老人(しやうじきもの)(三ウ) 00000900M7/嫡妻(ほんさい)と/次妻(てかけ)と/平常(つね※)、/争風(やきあふ)てどふもならず。/丈夫(おつと)のいはく、 00000910M8/我(われ)が/ごとし((ママ))/那個(どちら)へか一人に/就(かゝつ)たならバ、/偏愛(かたびいき)ともいはふが、 00000920M9/今夜(こよひ)は/手(て)をかへて、/我(われ)が/仰(あをのけ)に/臥(ね)て/居(ゐ)やうから、/尓們(そちたち)の/造化(しあハせ) 00000930M10にまかせて、/我的(おれがもの)の/向(むか)つた/方(はう)を/憑(せうこ)にして、/就(つれ)て/去(いつ)て/幹事(してやらふ)と。 00000940M11/両人(ふたり)ともに/領(のミこん)で、たがひに/陽物(へのこ)を/摸(なで)たり/弄(さすつ)たりすると、/一= 00000950M12時(たち=まち)/興起(おこつ)て、/檣■(ほばしら)のやうになる。/丈夫(おつと)、大ひに/笑(わらふ)ていはく、 00000960M13この/公直老人(しやうじきもの)(四ノ五オ) 00000970¥N11¥J 00000980¥X/読(よミ)/■(くさし) 00000990M16ひきやく、/書(じやう)のとゞけ所を/忘(わす)れ、/途中(とちう)/医者(いしや)に/逢(あひ)、書の/標名(なあて) 00001000M17を/請(ミてもら)ふ。/医(いしや)、/読(よむ)ことあたハす。わざとそらさぬ/皃(かほ)にて、/是(これ) 00001010M18まて誰ぞに見せたか。ハイ。そふかして、よみくさして、 00001020M19モフよめぬ 00001030¥P7 00001040¥N12¥J 00001050¥X/陰陽生(おとこはんぶんおんなはんふん) 00001060L3三人/同舟(どうせん)する。一ツの/尸(しかい)の/流(なが)れて/来(く)るを見る。一人/問(とふ)て曰 00001070L4く、あれハ男か/女(おなご)かと。一人/答(こたへ)て/曰(いハく)、/覆(うつむく)は男、/仰(あを)くハ女 00001080L5と。/其尸(そのしがい)、/側(よこ)に/流(なが)れる。アレハ/何(なん)じや。/答曰(こたへいハく)、/男女(おとこおんな) 00001090L6(四ノ五ウ) 00001100¥N13¥J 00001110¥X/■奠(かのところのたむけ) 00001120L9/夫(おつと)/死(し)して/妻(つま)、/未亡人(ごけ)と/称(しやう)し、日々/寺中(ちちう)の/墓(はか)へ/拝(まいり)、/哭(しやうこう)す。 00001130L10/其状(そのありさま)、/■(かのところ)を/出(だ)して/墓側(はかのそは)に/踞(うつくま)ること久ふす。/主僧(ぢうじ)、/訝(あやしん) 00001140L11て其/解(わけ)を問。/残花(こけ)の曰、/生前(げんぜ)に/好(このミ)し者を/奠(たむけ)れば、/鬼(もふじや)、必ず 00001150L12/饗(うける)ときく。/亡夫(おつと)の/嗜(このむ)ところ、是よりふかきハなし。されば 00001160L13/奠(たむけ)さふらふと。/主僧(ぢうじ)、/頷(うなつひ)て曰、/大然(さやうとも+)。四十九日か/経(すき)たら 00001170L14バ、寺へ/上(あけ)さつしやれ(六オ) 00001180¥N14¥J 00001190¥X姦■ 00001200L17/老者(おやじ)、/孫(まご)を/領(つれ)て/市(まち)へ出る。/一妓者(けころや)の/門首(かどぐち)をぶら+とあり 00001210L18くから、/妓(けころ)が、モシ茶を/吃(あが)れと。/老者(おやじ)、きかぬふりして/進= 00001220L19去(ゆき=すぎ)る。孫、/公&(ぢいさま)に問ていはく、アノ/■子(むすめご)ハ/誰(たれ)じやと。/公(ぢい)の 00001230L20いはく、アレハ是/娼婦(けいせい)。孫の曰、デモ/尓(おまへ)を/請(よん)で茶を/吃(のめ)とい 00001240M1ふに、ナゼ/去(ゆか)ぬと。公のいはく、/他(あれ)ハ/我(おれ)を請で茶を/吃(のま)せる 00001250M2でハない。/我(おれ)と/他(あれ)と/雲雨(ぼゞ)させて、/我(をれ)が/東西(もの)を/騙(だま)さふとする 00001260M3のだと。孫、/牢(かた)く/記(おぼ)へて/忘(わす)れず。(六ウ)/家(うち)へかへると、母 00001270M4親が茶を汲で/公&(ぢいさま)に/吃(のま)せるを見ると、/手(て)を/拍(たゝい)て、/我(おれ)は/暁得(しつてゐる) 00001280M5よ。/母親(かゝさま)が公&と雲雨させて、公&の/東西(もの)を/騙(だま)さふと 00001290¥N15¥J 00001300¥X/盗(ぬすひとの)/盗(ぬす人ようじん) 00001310M8ぬす人、/金(かね)を/別(わけ)んとて、おゝぜひ手下の盗をあつめけるに、 00001320M9/忽(たちま)ち百両の/包(つゝみ)うせたり。さま※/尋(たつ)ね/索(さか)せとも、ミへす。 00001330M10/盗魁(おかしら)きつと/衆盗(でし)をにらんで、ハテサテ、こふよつたうちに、 00001340M11盗ミする人あらんとハおもわさりき。(七オ)これからハ/油= 00001350M12断(ゆ=たん)ハならぬ 00001360¥N16¥J 00001370¥X/陞官(りつしん) 00001380M15/一官(あるやくにん)、/陞職(やくがへ)して、/其妻(そのつま)に/向(むかつ)て、/我(おれ)が/官職(おやく)ハ/前(まへ)から/比(くら)べて 00001390M16は/更(かへつ)て大きひと。妻の/曰(いハく)、官が大きくなれバ、/此物(かのもの)もまた 00001400M17大きくなるでハないか。官の曰く、/自(おのづから)そのはづさと。/行= 00001410M18事(やら=かす)におよんで、/妻(つま)、ふしぎをたてゝ、是ハやつはり/故(もと)の/通(とふ) 00001420M19りに/小(ちいさ)い。官がいはく、大きふなつたことは/許多(よつほど)だけれど、 00001430M20/尓(そなた)が覚へぬのじやと。妻の曰、(七ウ)/如何(とうして)覚へがない。官 00001440¥P8 00001450L1の曰、/難道(なんと)、/老爺(だんな)が/陞職(りつしん)するに、/■&(おくさま)が/照旧(もとのとほり)でバなるま 00001460L2い。/我(をれ)が/的(もの)ばかりでハない、/尓(そなた)の/的(もの)も/大(ひろ)くなつた 00001470¥N17¥J 00001480¥X/国学(わかく) 00001490L5/或人(あるひと)、/国学先生(わがくのせんせい)に/問(とふ)て曰、/妻(つま)より/夫(おつと)をさしても/君(きミ)といひ、 00001500L6夫より妻をさしても/亦(また)、君といふ。これハ/如何(いか)なることぞ。 00001510L7曰、いざなぎのキと、いさなミのミとを/合(あわ)して、/男(おとこ)/女(おんな)の 00001520L8/恋路(こひぢ)にハ、/互(たがひ)に君といふなり。ハヽアそれですめた。男女 00001530L9互につまとふも、/■(つひ)のツと/茎(まら)のマと合したものか(八オ) 00001540¥N18¥J 00001550¥X/有理(りかある) 00001560L12/問官(くじかたやくにん)、いたつて/貪(むさぼ)る。/一日(あるひ)、/対鞫(ミづかけくじ)をもちだす/原告(かけくじ)、五 00001570L13十両の/金子(きんす)を/餽(つかふ)。/被告(うけくじ)/聞(きゝ)て、/倍(ばい)にして百両を/賄托(まいなふ)。さて/審(ぎんミ) 00001580L14のときにいたつて/官(やくにん)、/情由(わけ)/聞(きか)ず、/籖(ミくじ)をふつて、まづ/原告(そせうかた)を 00001590L15打のめす。/原告(そせうかた)、/手(て)をあげて/五指(ごうさい)をなして/曰(いハく)、/小的(わたくし)ハ/理(り)で 00001600L16ござりませふと。/官(やくにん)、/手(て)を以て/覆(かざし)ていはく、/奴才(にくいやつ)め。/尓(おのれ)、 00001610L17理がありといふやと。又こちらを/一(ちよと)/仰(まねい)て、/他(あれ)ハ/尓(そち)に/比(くら)べ 00001620L18ては、よつほど/理(り)がある 00001630¥Y1笑合一之終(八ウ) 00001640¥T1/即当(そくとう)/笑合(ゑあわせ)巻之二 00001650M3△△△△△△△△△△△△△△△¥A東都△舎楽斎述 00001660¥N1¥J 00001670¥X/両坦(ふたりのおとこ) 00001680M7/男(おとこ)ゑらびの/女(むすめ)、/適(おりふし)、/両家(にけん)から/並求(いひこむ)。東の家ハ/郎(おとこ)/醜(わる)くて/家(しんだい) 00001690M8/富(よし)。西の/家(いゑ)は/郎(おとこ)が/美(よく)て/貧(まづ)しひ。/父母(ふぼ)/問(とふ)て/曰(いハく)、/誰(たれ)が処へ/適(ゆき)た 00001700M9いと。/女(むすめ)の/曰(いはく)、どちらへも。/其故(そのわけ)ハ。/答(こたへ)て/曰(いハく)、/我(わたし)が(九オ) 00001710M10/愛(すき)なら、/東(ひがし)の家で/飯(まゝ)を/吃(たべ)、西の家で/眠(ね)たい 00001720¥N2¥J 00001730¥X/待詔(かミゆひ) 00001740M13/志賀(しが)のおとこ、/待詔店(かミゆひとこ)へゆきければ、外のおとこをさしお 00001750M14きて、先、しがからさき、といふ。外のおとこの曰、一ト 00001760M15つまつのか 00001770¥N3¥J 00001780¥X/両来船(りやうらいせん) 00001790M18両方から/行(ゆき)ちがふ/船(ふね)あり。/一人(あるひと)、/檻(てすり)の/外(そと)へ手を出して、/指(ゆび) 00001800M19を/夾(はさま)れて/傷(きず)になり、/帰(かへり)て/妻(つま)に/訴(はな)す。妻、/嘆息(ためいき)をつぎながら、 00001810M20/嘱(たのミ)ます。/今後(これから)其やうな事があらバ、/切(きつし)りと(九ウ)/記(おぼ)へて/居(ゐ) 00001820¥P9 00001830¥G(巻一の二ウ・三オ) 00001840M1て、かならず/小解(せうべん)をひりなさるな 00001850¥N4¥J 00001860¥X/毬(まり) 00001870M4/一漢(あるおとこ)、/遺毬(まり)を/拾(ひろ)ふ。何物たることをしらず。/医(いしや)に/間(とふ(ママ))。医も 00001880M5/亦(また)しらず。/譜牒(ゑほん)を/案(ぎんミ)して、/掌(て)を/拍(うつ)て曰、ハヽアしれた+。 00001890M6是ハ/古(むかし)の/柳樹子(やなぎのミ)/矣(じや) 00001900¥N5¥J 00001910¥X/属牛(うしのとし) 00001920M9/一官(あるぶぎやう)、/生辰(たんじやうび)に/遇(あふ)。其/吏(したやく)、/官(かしら)の/生年(うまれどし)、/鼠(ねずミ)に/属(ぞく)する事を 00001930M10/聞知(きゝしり)て、/乃(すなハ)ち/黄金(こがね)の鼠を/鋳(ゐ)て/寿(しうぎ)を/祝(いは)ふ。官(十オ)/甚(はなハ)だ/喜(よろこ)び 00001940M11て曰、/汝等(そちたち)ハ/■&(おく)が/生辰(うまれとし)の/目下(まのあたり)にある事を/知(しつ)て/居(ゐ)るやと。 00001950M12/衆吏(ミな+)がいはく、存じませぬ。何の年の御生れで御座ります 00001960M13と。官の曰、/我(おれ)より一ツ/小(わか)くて、/丑(うし)の年の生れサ 00001970¥N6¥J 00001980¥X/蠎(うははミの)/泄(はら+) 00001990M16/医(いしや)、/疲(つか)れて大木の下に/憩(やす)む。/蠎(うはハミ)、木の上より/来(き)て医を/呑(の)む。 00002000M17医、すかさず/備急円(くだしくすり)を出して、/腸(はらわた)にぬる。蠎、大に/洞泄(はら+)し 00002010M18て、医、出ることを得たり。/而(しか)るに/腹(はら)の内に(十ウ)薬/匣(ハこ)を 00002020M19/遺(わす)れたり。モフ一/度(と)呑でくれぬか。イヤ+、医ハ/毒(とく)じや 00002030¥P10 00002040¥N7¥J 00002050¥X/家属(かぞく) 00002060L3/官(ぶぎやう)、/堂(ひろま)へ出る。/衆役(しよやくにん)つらりと/列(ならん)だ/中(うち)に、/■(ぶうツ)と/屁(へ)を/撒(ひる)も 00002070L4のあり。官/即(すなハ)ち、/拿(とらへ)て/来(こ)いと云つける。/隷(あしがる)ども/禀(もうし)ていはく、 00002080L5/老爺(とのさま)。/屁(へ)は/是(これ)/一陣(いちぢん)の/風(かぜ)、/吹散(はつ)といたして/影踪(あとかた)なし。/如何(どうして)、 00002090L6/小的(わたくし)どもが/拿得(とらへえ)ん。官、/怒(いかつ)ていハく、/巳(すで)に/是(これ)/声(こへ)あり。いか 00002100L7んぞ/踪影(あとかた)なからんや。/是非(ぜひ)+/拿(とらへ)て/来(きた)るべしと。/■(あしがる)、いか 00002110L8んともする事なく、/只得(ぜひなく)/乾(かハひ)たる(十一オ)/屎(くそ)を取て/回(かへ)り、/老= 00002120L9爺(との=さま)へ/禀(もうし)上ます。/正犯(とうにん)ハ/走(にげ)ましたから、/家属(かない)のものを/拿(とら)へて 00002130L10/参(まい)りました 00002140¥N8¥J 00002150¥X/釣鯉(こいをつる) 00002160L13鯉を釣にいて、一日/魚崎(つりば)に/坐(ざ)して、/一鱗(いつひき)をも得ず。/帰(かへ)らん 00002170L14とおもふころ、何やらかゝつて/引(ひき)上てミれは、/金嚢(かねさいふ)也。/喜(よろこ) 00002180L15んで又/竿(さほ)を/投(なぐ)れバ、三尺/余(よ)の鯉を得たり。/擲(ほつ)て曰、ヱヽ何 00002190L16でもなかつた 00002200¥N9¥J 00002210¥X/謝周公(しうこうにおれいいふ) 00002220L19/女(むすめ)、/初(はじめ)て/嫁(よめり)して、/嫂(あによめ)の/前(まへ)に/哭(ない)て曰、/姻礼(こんれい)ハ/何人(なにもの)が/制(つくり)初め 00002230L20(十一ウ)しぞ。/嫂(あによめ)の/曰(いハく)、/周公(しうこう)と。/女(むすめ)、周公を/大(さん+に)/罵(いひ)なす。 00002240M1/程(ほと)経て/里(さと)かへりして、嫂にとふ。周公ハ/何処(どこ)に/在(こざ)るぞ。嫂 00002250M2のいふ。/他(あれ)ハ/古(むかし)の人。/他(それ)を/尋(たづね)て/甚(なに)にすると。/女(むすめ)のいはく、 00002260M3/我(わたし)ハどふぞ/雙鞋(おはきもの)でも/製(こしらへ)て、/謝(おれい)をまふそふと思ふて 00002270¥N10¥J 00002280¥X/借盃(さかつきをかる) 00002290M6/東家(ひかしのいへ)、/梯(ハしご)を/西家(にしのいへ)にかる。西家の曰、/今(いま)/急(きう)な/事(こと)で/登(のぼつ)ている 00002300M7が、/急(きう)ならバ来てのほりや。東家、大に/怨(うら)むで/返報(へんぼう)せんと 00002310M8す。/一日(あるひ)、西家、盃を/借(かり)に/来(きた)る。東家の曰、今、/宴(さかもり)して/居(い) 00002320M9る。急なら/来(き)てのミや(十二オ) 00002330¥N11¥J 00002340¥X/糸瓜(へちま) 00002350M12武官、/征伐(せいはつ)を/奉(うけたまハ)りて、/敵(かたき)と/戦(たゝかふ)て、したゝか敗れる処へ、 00002360M13/奇(あや)しき/武者(むしや)、/助陣(かせい)して/反(かへつ)て大に/勝(か)つ。/武官(たいしやう)、/叩頭(へいふく)して、/神(しん) 00002370M14の/姓名(なミやうじ)を/問(とふ)。神の/曰(のたまハ)く、/我(われ)ハ是、/■子(あづち)なり。官のいはく、 00002380M15/小将(それがし)、何の/徳(とく)ありて、/■子尊神(あづちミやうじん)に/御苦労(こくらう)をかけ、/御救(おんすく)ひを 00002390M16/蒙(かふむ)るや。神/答(こたへ)て曰、是、/汝(そのはう)が/平昔(へいじつ)、/教場(けいこば)へ出て、/曽(かつ)て/一箭(ひとや) 00002400M17も我に/傷(きず)つけぬを/感(かん)じてさ 00002410¥N12¥J 00002420¥X/似尓(きさまににた)(十二ウ) 00002430M20/異哉(かわつたことじや)。/尓(そなた)に/似(に)た人が、/途(ミち)に/斃(たほれ)て/居(い)る。コレハシタリと、 00002440¥P11 00002450L1/飛(とん)で行て見た所が、/乞児(こじき)じや。/帰(かへ)つて曰、ヨフ/知(しら)せて下さ 00002460L2つたれど、ヨフ見て/来(き)たが、斃て居る者ハ、おらでハない。 00002470L3乞児そふな 00002480¥N13¥J 00002490¥X/発迹(りつしん) 00002500L6/一人(あるひと)、/出事(ほうこ)のために、/僕(けらい)をつれて京へ/赴(おもむ)く。/行&(ゆく+)/曠野(ひろの)へ出 00002510L7ると、/忽(たちま)ち/狂風(おほかぜ)になつて/頭巾(づきん)を/吹下(ふきおと)す。/僕(けらい)が/後(あと)から大きひ 00002520L8/声(こへ)で、モシ/落(おち)ました。/主人(だんな)、/不悦(ふきげん)にて(十三オ)/嘱(いひつけ)ていはく、 00002530L9今から/落(おち)たと云ずに、/只(たゞ)/発迹(りつしん)といへと。/僕(けらい)、/領(のミこん)でいふ。 00002540L10イヤモ/向来(これから)ハ、/尓(おまへ)か/用意(きをつけ)て/走去(おいてなさる)から、/再(もはや)/発迹(りつしん)する事は/御(ご) 00002550L11ざりませぬ 00002560¥N14¥J 00002570¥X/夢(ゆめ) 00002580L14どふして、/此盲(このめくら)に/拾(ひら)ハれた/金(かね)ぞ。/夢(ゆめ)か/真(ほん)か+++。 00002590L15/盗(ぬすひと)、かたハらよりこれを/聞(きい)て/攫(ひつたく)る。/盲(めくら)、/手(て)を/拍(うつ)て曰、ソ 00002600L16リヤコソ夢で有た 00002610¥N15¥J 00002620¥X/親嘴(くち+) 00002630L19/女(むすめ)、/初(はじめ)て/嫁(よめり)して、/次(つぎ)の/早(あさ)、/新郎(むこ)、/背(うしろ)へ立てゐると、/婦(よめ)、そ 00002640L20の(十三ウ)/嘴(くち)をかゝへて、メツタに/連(すふ)。親/郎(むこ)大に/怒(はらたて)て、コ 00002650M1ノ/恥(はぢ)しらすめと。/婦(よめ)、/声(こへ)の下から、コレハシタリ。/一時(ふと)/認= 00002660M2錯(とり=ちがへ)ました。ホンニ/尓(おまへ)で/有(あつ)たもの 00002670¥N16¥J 00002680¥X/貧神(びんほかミ) 00002690M5/児(こ)、/爺(とゝ)に/問(とふ)て曰、/貧鬼(ひんぼかミ)は何を/嫌(きら)ふ。/爺(おや)の曰、不/孝(かう)をなすと 00002700M6/来(く)る、孝をすると/去(いぬ)。児の曰、/爺(おまへ)も不孝に有たか 00002710¥N17¥J 00002720¥X/糸瓜(へちま) 00002730M9/妻(つま)、/夫(をつと)に/煩(たのん)て/糸瓜(へちま)を/買(かハ)せる。夫、/門外(そと)へ立て/俟(まつ)てゐると 00002740M10(十四オ)/韮売(にらうり)が来て、/勧(すゝめ)て買せる。夫のいはく、/糸瓜(へちま)を買 00002750M11と思ふ。韮売が曰、糸瓜ハ/痿陽(じんのどく)、/韮菜(にら)ハ/興陽(じんのくすり)。ナゼ/興陽(じんやく) 00002760M12を/買(かい)なさらぬ。妻、/聞(きゝ)つけて/高声(おほきなこへ)で、糸瓜はマタ/来(こ)まい 00002770M13から、マア韮にしよふ 00002780¥N18¥J 00002790¥X買亀 00002800M16/亀寿(かめハ)/万年(まんねん)、/吉祥之物(めてたいものじや)。サア/買(かわ)んせ。買て銭/遣(や)ると、亀/死(し)し 00002810M17たり。コヽナ/天殺奴(かたりめ)。イヤ+、ソノ亀ハ、万年/前(まへ)に生た 00002820M18のさ 00002830¥P12 00002840¥N19¥J 00002850¥X借牛(十四ウ) 00002860L3/尺素(てがミ)を/走(つかハし)て、/富翁(かねもちおやぢ)に/牛(うし)を/借(か)る。/翁(おやぢ)、/客(ひ□)のまへで/字(じ)を/識(しら)ぬ 00002870L4といふ事が/諱(きらひ)だから、/偽(わざと)、/緘(ふう)を/啓(ひらい)て/見(ミ)て、/使来(つかひのもの)に、/知= 00002880L5道(ぞんじて=ゐる)。/少刻(おつゝけ)/自去(まいらふ) 00002890¥N20¥J 00002900¥X奇痒 00002910L8何なと、/尓(わがミ)、/欲(ほ)しい者ハ、イヤ何でもやろ。ソンナラ/背(せなか)に 00002920L9/書(かく)ぞへ。/錦衣一襲(にしきのうはぎ)、/綾帯一条(あやのおび)がほしい、とかく。/客(きやく)、/俄(にわか)に 00002930L10身をもんで曰、/奇痒(こそばい)+++ 00002940¥N21¥J 00002950¥X薑字塔(十五オ) 00002960L13富翁、/薑(はじかミ)の/字(し)は、/如何(どう)/写(かく)と/問(とふ)から、/草(くさ)の/字(じ)を/頭(かふり)にして、そ 00002970L14れから一の/字(じ)、それから/田(た)の字、又一の字、また田の字、 00002980L15又一の字。/其人(おや)、/写(かい)て見るに、■一田一田一。/写訖(かきしまふ)て、/探= 00002990L16頭(ため=つ)/探脳(すがめつ)/玩(いじり)まわしてグツトして/詈(のゝしつ)ていはく、ヤイ/天殺的(はつつけ)め。 00003000L17どふいふ事で、/我(おれ)を/誑(なぶ)る。/分明(ミへ)てゐる。/是(これ)、/我(をれ)に/宝塔(たう)を/造= 00003010L18成(こん=りう)させるつもりだあらふ 00003020¥N22¥J 00003030¥X健忘 00003040M1/善(よふ)/忘(わす)れる/漢(おとこ)あり。何事ても/掌(て)に/書付(かきつけ)て、おぼへとす。(十 00003050M2五ウ)/一日(あるとき)、/婦(にようぼ)の/名(な)を書付て/居(い)るを人にミられて/恥(はづ)かしが 00003060M3る。/田夫(ひやくしやう)あり。曰、ソリヤまだの事。おらが村の/医(いしやどの)ハ、 00003070M4/己(おのれ)が名を忘れるかして、/平生(つねに)書付て、/門(もん)に/貼(はつ)て居らるゝ 00003080¥N23¥J 00003090¥X/先生(せんせひ) 00003100M7ある人、/穏婆(とりあけばゝ)の/姿色(きりやう)の/美(よい)を見て、ナンデモ/誘(しめ)てやらふと、 00003110M8/乃(すなハ)ち/婦人(おんな)の/産(さん)をする/形(かた)に/粧(つくろ)ひ/仮(にせ)て、どふそ/収生(とりあげ)てもらひた 00003120M9いといひやると、/穏(とりあげ)婆が来て、/此物(かのもの)を/摸(なで)て、/胆(きも)をつぶし、 00003130M10/我(わたし)は/多年(ひさしく)この/収生(とりあげ)をいたします。/先(まづ)/頭(あたま)から(十六オ)先へ/生(うま) 00003140M11れるハ/順生(ほんとう)で、/脚(あし)から生るハ/倒生(さかご)といひ、/手(て)からさきへ生 00003150M12るをバ/横産(よこざん)と申せど、コノマア/■(へのこ)からさきへ生れたは、/実(ほん) 00003160M13に見た事もない 00003170¥N24¥J 00003180¥X/没入神田(しやりやうをとりあけん) 00003190M16/祝(かんぬし)、/債(しやくせん)を/償(はら)ハす。銀主、/官(こうぎ)へ/訴(うつたふ)。/官(やくにん)、祝を/召(めし)て、問(とふ)其 00003200M17故(ゆへを)。祝か曰、/某(それがし)か/借(かり)しにあらず。神の債なり。故に/券(てがた)も神 00003210M18の名あり。某か名に/非(あらず)といふ。官の曰、よし。/帰(かへつ)て神に/謂(い) 00003220M19へ。神ハ/正直(しやうちき)なる者ときく。(十六ウ)もし七日の内に償ハ 00003230M20すんバ、是、神に/非(あら)す。/我(われ)、其/社領(しやりやう)を/没入(とりあげ)んと。祝、大に 00003240¥P13 00003250¥G(巻一の三ウ・四オ) 00003260M1/窘(こまつ)て、/遂(つい)に償ふ 00003270¥N25¥J 00003280¥X/没坐性(ながいせぬ) 00003290M4/夫婦(ふうふ)/臥(ね)てから、/婦(にようぼう)、夫の/陽具(もの)を/握(にぎつ)ていはく、人ハすべて/表= 00003300M5号(ひやう=とく)があるに、/此(この)ものばかりは/美称(よいな)がない。なんとか/号(つけ)てや 00003310M6りなされと。/夫(おつと)のいはく、/仮者(はりかた)は/角先生(つのせんせい)といへバ、/真(ほん)のも 00003320M7のハ/角(つの)の/字(じ)を/去(とつ)て、先生と/呼(よぼ)かいと。婦そこで、コレ+ 00003330M8先生。/館(おさしき)ハ此にあり。ちと御入なされませと、(十七オ)/遂(つい) 00003340M9に/雲雨(やらかし)てしまふ。/次(つぎ)の/早(あさ)、/妻(つま)、/鷄子酒(たまごさけ)をこしらへて/啖(のま)せる。 00003350M10夫のいはく、/是(これ)は/尓(そなた)が先生への/謝(おれい)てあらふ。シテ、先生は 00003360M11どふであつた。妻のいはく、先生ハよし。/只(たゞ)/嫌(にく)ひ事は、 00003370M12/畧(ちよく+)と/軟(ぐにやり)となつて、どふも/坐性(ながゐ)か出来ぬ 00003380¥Y1笑合二之終(十七ウ) 00003390¥P14 00003400¥T1/即当(そくとう)/笑合(ゑあわせ)巻之三 00003410M3△△△△△△△△△△△△△△△¥A東都△舎楽斎述 00003420¥N1¥J 00003430¥X/桂馬(けいま) 00003440L7/一漢(あるおとこ)、/歳季(せつき)に/官粗(ミしん(ママ))/私券(しやくせん)の/乗積(つもりたる)に/堪(た)へず、/国社(うぢミや)の神に/斎(さんろう) 00003450L8して、七日七夜、/富(ぶんけん)を/祈(いのり)しが、/帰(かへ)る/路(ミち)にて、/忽(たちまち)、/金(きん)一/片(りやう)、 00003460L9/銀(きん)一顆を/拾(ひろ)ふ。是ハ神の/恵(めくミ)、/難有(ありかた)やと、/両手(りやうて)にとりて/戴(いたゝき) 00003470L10けれは、/金銀(きん+)/忽(たちまち)、両の/額(ひたい)に/粘着(ひつつい)て、取んとすれは、大ニ 00003480L11/疼(いたむ)。/帰(かへつ)て、/婦(にようほ)に/謀(さうだん)し(一オ)て曰、金銀のどれぞ一ツ取 00003490L12なは、節季の/禍(なんぎ)ハ/遁(のか)れるにナア。婦の曰、/易々耳(やすひこと+)。/鼻頭(はなのうへ) 00003500L13に桂馬をうたんせ 00003510¥N2¥J 00003520¥X/中酒(ふつかよい) 00003530L16/教(けふ)を/設(たて)て/居(ゐ)る/師(せんせい)あり。/徒(でし)から/問(とふ)。/大学之道(たいかくのミち)とは、どふ/講(すます)が 00003540L17よいと。師、/佯酔(よふたふり)して、/汝(きさま)ハ/酔(よふ)た時を/揀(ゑつ)て/来(き)て、物を/問(きく)と、 00003550L18どふやらかふやら/言(いひ)ぬけて、帰て/妻(つま)に/言(はな)す。/妻(つま)の/曰(いハく)、大学 00003560L19とハ/書(しよ)の名、之道とは/其中(そのなか)の/道理(だうり)と。(一ウ)師、/領(のミこん)で明日 00003570L20其/徒(でし)に/見(あふ)て、/汝輩(きさまがた)ハわきまへもなく、/昨日(きのふ)/我(おれ)が/酔(よつ)たを/乗(ミこん)で 00003580M物を/問(きく)。今日我が/醒(さめ□)に、ナゼ来て問ぬ。ソシテ汝が昨日問 00003590M2たハ何の/義(ぎ)だと。/対(こたへ)て、大学之道。師、妻が/云(いつ)たやうに/釈(とひ) 00003600M3て聞せる。弟子又問。しからバ明明徳を承りたい。師、/遽(にハか) 00003610M4に/額(ひたい)を/捧(なで)て、/且住(まあまて)。まだ酒て/中(あた)つて居る 00003620¥N3¥J 00003630¥X/擬郎(くびくゝりの)/縊(まね) 00003640M7/芸(げい)のありたけ/仕尽(しつく)して、サア/錫杖(しやくぢやう)を/出(だ)せ。/乞食(こじき)(二オ)のま 00003650M8ねをせんとひしめけバ、/娼(おやま)の曰、アヽコレ何のまねじやいな。 00003660M9アタけたひな。/客(きやく)の曰、/不然(そうでない)。これは/尓(わがミ)の/父(おや)のまねだぞ。 00003670M10娼、/大(おゝい)に/怒(いかつ)て、/引手(ほそおび)/繦(かけ)て/経(くびれ)んとす。客、/遽(あわたゝしく)/止(とめて)曰、じやら 00003680M11+と、コリヤ何のまねだ。これハ/尓(おまへ)が/歳季(せつき)のまねじや 00003690¥N4¥J 00003700¥X/掘荷花(はすのはなほり) 00003710M14ある/師(せんせい)、/外(たび)へ出る。/妻(にようぼう)が/私通(まおとこ)を/慮(あん)じて、/頓(やが)て/牝戸(あなの)上へ/荷= 00003720M15花(はすの=はな)一/朶(えだ)を/画(かい)て、/記号(めじるし)にして出る。/年終(おしつめ)て帰て/験(ミる)に、/已(もはや)(二 00003730M16ウ)/落(おち)て/痕迹(あとかた)もない。/因(そこ)て大に/怒(おこつ)て、/責治(いざこざ)ができる。妻の 00003740M17曰、コレハ/汝(おまへ)の/了簡差(れうけんちがい)さ。/是物(かのもの)をこそ/画(かく)ところを、ナンノ 00003750M18/荷(はす)の花にかぎつた事か。ナント/暁得(すいりやう)しても見なされ。荷の 00003760M19花の/下面(した)には、/藕(れんこん)があり。そこで/来往(ゆきゝ)の人が、/好歹(よしあし)に/■(かま)ハ 00003770M20ず、/那(あそこ)の/個(もの)も来てハ/掘(ほり)、/這(こゝ)の/個(もの)も来てハ/掘(ほり)、/都(すべ)て/他們(そのものども)が 00003780¥P15 00003790L1/乾淨(さつはり)と掘ました。/我(わたし)が/干(しつ)た事ではない 00003800¥N5¥J 00003810¥X雷同漢 00003820L4/此寒(このさむ)さでハ/山北(さんほく)ハ/大雪(おゝゆき)ならんといふを/聞覚(きゝおほへ)て居て、/夏(なつ)の日 00003830L5(三オ)此/暑(あつさ)でハ山北ハ、といひて、/何(なん)ともいふべき/詞(ことハ)なく、 00003840L6大/火(くわじ)で有ふと云タ 00003850¥N6¥J 00003860¥X/好郎中(よいむすこ) 00003870L9一人、/医者(いしや)のところで、春/(の)/薬(くすり)を/買(かふ)て/吃(のむ)。まだ/半路(はんぶんミち)へも 00003880L10/行(ゆか)ぬに、薬の/性(き)か/発作(まハつ)て、/此物(れいこく)、/翹然(しやつきり)となる。/捧(もろて)で/住(かへ)へて 00003890L11/賛(ほめ)ていはく、/好郎中(よいむすこじや)+ 00003900¥N7¥J 00003910¥X/願尓去(とふそおまへもいんていな) 00003920L14/医(いしや)、かね+おもふ/娘(むすめ)の、きふびやうなりとむかひに/来(く)る 00003930L15を/幸(さいはい)にゆきけるに、/父兄(ちゝあに)/左右(そは)に/居(い)て/介抱(かいほう)す。/既(すて)に/診(しん)しおわ 00003940L16りて、/女(むすめ)の曰、とゝさん、おくへいてたべと。又、兄にも 00003950L17/厨(かつて)へゆかす。医、/心旌(むねか)/揺&(だく+)して(三ウ)/不已(たまら)れす。女の曰、 00003960L18おまへにちつといひたひことがあるけれとも、どふもはづ 00003970L19かしいと。医、いよ+ほれ+として、/強(しゐ)てそのわけを 00003980L20とふ。女の曰、そんなら、おまへもいんでたべ 00003990¥N8¥J 00004000¥X/迷婦薬(ほれくすり) 00004010M3一/方士(じゆつしや)、/専(もつハ)ら/迷婦薬(ほれくすり)を/売(う)る。/婦(おんな)の/身(ミ)にさへ/着(つけ)バ、/自然(しせん)と人 00004020M4に/私合(させる)と。一日、/軽浪(うハき)な/子弟(むすこ)か来て、薬を買ふといふ。 00004030M5/適(をりふし)、/方士(ていしゆ)、/他(ほか)へ出て、/妻(ないぎ)が薬を出して/付(わた)す。ソコデ/子弟(むすこ)、 00004040M6薬を/妻(ないき)に/弾(はじき)かけ、其まゝ/随(つい)て/房(へや)へはいる。婦、/只得(ぜひなく)/交合(させる)。 00004050M7方士帰て(四オ)から、妻が有のまゝに/告(はな)す。方士/怒(せい)て曰、 00004060M8/誰(たれ)がゆるして/他(ひと)に/就(させ)た。妻が/云(いハ)く、/我(わたし)がもし/不従(いや)といへバ、 00004070M9/尓(おまへ)の薬の/不霊(きかぬ)ところか/顕(あらハ)れるから 00004080¥N9¥J 00004090¥X米 00004100M12姦夫の匿し所なくして、嚢に盛てさげおきけるを、夫見付 00004110M13て、アレハ何じやと問。婦、窘りて、もぢ+しければ、 00004120M14姦夫、嚢の中より、米だ+ 00004130¥N10¥J 00004140¥X/屁(へ)(四ウ) 00004150M17/医者(いしや)、/患病(ひやうにん)の/脈(ミやく)を/看(ミ)ていはく、薬を/吃(まいつ)てから定て/腹(はら)の中が 00004160M18/響(ひゞく)でござらふ。/大便(たいよう)に/去(ゆく)べし。/不然(そうなく)バ定て/屁(おなら)が/撒(で)ませうと。 00004170M19/少頃(しばら□)して、/坐中(そこら)で/■声(ぶうつ)といふ。/医者(いしや)の曰、ナントどふだ。 00004180M20/客(ミまひの人)の曰、/唯今(たゞいま)のハ/小的(それがし)が/撒(ひり)ました。医の曰、/也(それでも)よし 00004190¥P16 00004200¥G(巻一の四ウ・五オ) 00004210¥N11¥J 00004220¥X/拒虎(とらをふせく) 00004230M3/虎(とら)、/客(ひと)を/攫(つかま)んとす。/客(ひと)、/謝(ことハり)して曰、/我(われ)、/振会(たのもし)をなさんとす。 00004240M4/幸(さいはい)に成らバ、/帰(かへ)りて/子(そのほう)が/為(ため)に/死(し)せんと。虎、大ニ/恐(おそ)れて 00004250M5曰、/然(そんなら)バ/半口(はんくち)も/否(いや) 00004260¥N12¥J 00004270¥X/願脚■(あしてけてもらひたい)(五オ) 00004280M8/樵夫(きこり)、/柴(しば)を/■(かる)とて、/誤(とりはづ)して/医士(いしや)に/触(あた)る。医、/怒(はらたて)て、/揮拳(くらハさう)と 00004290M9する。/樵夫(きこり)の曰、/寧(それより)ハ/脚(おあし)で/■(ふん)でもらひませふ。/尊手(おて)を/動(おろ)さ 00004300M10るゝには及びませぬと。/傍(そば)の/人(もの)、/訝(ふしぎ)がる。樵者の曰、/■(ふまれ)て 00004310M11ハまだ/死(しに)ハせねど、/他(あれ)が/手(て)に/経(かゝつ)てハ、/定然(ぜつひ)/活(いき)られぬ 00004320¥N13¥J 00004330¥X/是(こりや)/吾手(おれかて) 00004340M14/■家(かなひ)、/寒宵(さむそら)に/炉(こたつ)を/擁(とりまい)て居る。一人/外(よそ)より/来(き)て/炉(こたつ)に/倚(より)、/女= 00004350M15手(むすめの=て)を/握(にきる)とて、/誤(とりちかへ)て/其父(そのおや)の/手(て)を/握(にき)る。父/驚(おとろ)ひて、コリヤど 00004360M16ふするのだと。/人(おとこ)うろたへて、(五ウ)おのれが手を/摸(なで)て、 00004370M17コリヤ、おれが手だ+ 00004380¥N14¥J 00004390¥X屁打弾 00004400M20一人の/尼(あま)、/慾心(したひき)がどふもならず。/陽(れいこく)の/代(かハ)りに/蘿蔔(だいこん)を以て、 00004410¥P17 00004420¥G(巻一の五ウ・六オ) 00004430M1/肆(むしやう)に/抽送(ぬきさし)して、/所欲(おもいれ)を/暢(はら)す。/太(あま)りに/力(ちから)を/用(いれ)て、/猛(ふと)其/半截(はんぶん) 00004440M2が内で/折(おれ)る。いろ+/■(かきさがし)ても出ず。/漸(だん+)に/腫脹(はれ)るから、/医= 00004450M3者(い=しや)を/延(よん)んで/看(ミ)てもらふ。医者、両手で/陰傍(あなばた)をあちらこちらへ 00004460M4/按捺(おす)と、/良久(しばらく)して/突(ぴよい)と出る/剛(はづミ)に、医者の/瞼上(かほ)へぴつしやり 00004470M5と/打(ぶつゝか)る。医者/嘆(たん)じて曰、/我(おれ)もまた(六オ)千人も万人も/医(れうぢ)し 00004480M6たが、まだ/■(つび)に此やうに/弾(はぢ)かれた/事(こと)がない 00004490¥N15¥J 00004500¥X/不孝子(ふかうもの) 00004510M9不/孝(かう)の/子(こ)あり。人、これを/規(いけん)して曰、/父母(ちゝはゝ)一トたび/死(し)して 00004520M10ハ、たとひ/千金万両(せんりやうまんりやう)の/宝(かね)ありとも/購(かふ)べからす。/故(されば)、ずひ 00004530M11ぶん/孝養(たいせつに)し給へと。子のいはく、/大然(さやう+)。/然(けれども)/亦(また)、今父母 00004540M12を/貨(うりもの)にして見(六ウ)れバ、只三/銭(もん)の/価(ねうち)もごさらぬ 00004550¥N16¥J 00004560¥X/■様(めのかんばん) 00004570M15/生平(つね※)まだ/女色(あんばい)を/未進(しらぬ)ものありて、/陰物(ぼゝ)ハ/何様(どのやう)な/範(なり)のものか 00004580M16と人に/問(きけ)バ、/就(すなハ)ち/一隻眼(ひとつまなこ)に/像(に)て、/睛(めたま)が/竪(たて)にあると。此人/牢(かた) 00004590M17く/記(おぼ)へてふくんでゐる。/一日(あるひ)、しきりに/嫖興(じよらうかい)の/気(き)が/発(で)た 00004600M18れど、/妓館(じよらうや)ハ/何(どこ)にあるか、しらず。/遂(とう+)/街頭(まち)へ出て、/撞(つきあたり)に 00004610M19/眼科(めいしや)の/招牌(かんばん)がある。それに/眼様(いろ+のめ)が/隻(ひとつ)ヅヽ/画(かい)てあるから、 00004620M20/模放(なんでも)/妓家(じよらうや)に/差(ちがひ)ハないと内へ/進(はいつ)て、/来意(わけ)を(七オ)/道(はな)す。/医者(いしや)、 00004630¥P18 00004640L1大に/怒(おこつ)て/逐(おひ)だす。其人のいはく、これ/妓館(じよらうや)でなくハ、/為何(なぜ) 00004650L2/這(この)やうに、/許多(いくら)も/■様(つびがた)を/擺(ならべ)て、/外面(そと)に有ル 00004660¥N17¥J 00004670¥X/頭扇(あたまあふき) 00004680L5/吝(しハ)きおのこあり。/平生(つね+)/摺扇(あふき)をバ/嚢(ふくろ)に入てもちありき、若し 00004690L6/扇(あほか)んとおもへハ、扇の/幣(やふれ)んことをおそれて、扇を/開(ひらい)て、お 00004700L7のれが首をもてあをぐ 00004710¥N18¥J 00004720¥X/包活(よミかへり)(七ウ) 00004730L10/医者(いしや)、人の/児(こ)を/医死(もりころ)す。/主家(ていしゆ)、/詬(のゝしつ)て曰、/汝(きさま)、此/児(こ)をよいや 00004740L11うに/殯■(とりをけ)。/否(そうない)と/官(こうぎ)へ/訟(ねがふ)と。医者、/許(せうち)して/帯(つれ)て帰る。/処置(しかた)に 00004750L12こまつて、/屍(しがい)を薬箱の中へ/匿(かく)す。/中途(かへりミち)で又/一家(いつけん)から/邀(むかい)に来 00004760L13て/行(ゆく)。ソコデ箱を/啓(あけ)て薬を/用(も)る。/誤(とりはづ)して/児(こ)の/屍(しがい)が/露(あらハ)れる。 00004770L14/主家(ていしゆ)、/驚(おどろい)て/意故(わけ)を問。医者のいはく、/這(これ)ハ/別人(よのもの)が/医死(もりころ)して 00004780L15ござれど、/我(せつしや)が/帯(つれ)て/去(いつ)で、/包活(よミかへら)せます 00004790¥N19¥J 00004800¥X/雌黄(しわう) 00004810L18/客(きやく)に/対(たい)して、/此程(このほど)は/鱗物(ぎよるい)、/更(とりわけ)てふじゆう(八オ)なる/咄(はな)しの 00004820L19/半(なか)バへ、/鮮魚(ふゑん)を/売(うつ)て門を/通(とほ)る。主人、ぬからぬかほにて、 00004830L20アノ/悪(わる)口をお/聞(きゝ)なされ 00004840¥N20¥J 00004850¥X/小児■(しやうにくわ) 00004860M3/小児科(せうにいしや)の妻ハ、/大方(ほんだう)家の/女(むすめ)などゝ、/毎&(つね※)たがいに/譏(わるくち)/誚(いひ)あ 00004870M4ふ。/一夜(あるよ)、婦が夫の/陽具(もの)を/執(にぎつ)て、是ハ何だと問。夫の曰、 00004880M5/大方(ほんだう)の/脈(ミやく)と。また/牝戸(ぼゞ)を/指(ゆび)ざして、これハ何だ。婦の曰、 00004890M6/這(これ)ハ/小児(せうに)の/■(す) 00004900¥Y1笑合三之終(八ウ) 00004910G1〔挿絵中の歌句〕 00004920G2△松茸ハ生て喰ても大事ない 00004930G3△△病人ハなをにたものハどく(一ウ・二オ) 00004940G4△嬉しいとはつかしいとを一荷にて 00004950G5△△まつ荷ハ出来た嫁入相たん(二ウ・三オ) 00004960G6△女房のミさほハ丸き丸木ばし 00004970G7△△ふミはつしつゝはまり損ひ(三ウ・四オ) 00004980G8△黒焼をふりかけて見るほれ薬 00004990G9△△ほれぬくすりハ女からふる(四ウ・五オ) 00005000G10△茶屋しやとて遊ひに来たるまなこ玉 00005010G11△△違ひを直す医者とのゝ家(五ウ・六オ) 00005020G12△寐たうちの目を盗とハ是ならん 00005030G13△△それて仕廻ハめかたきといふ(六ウ・七オ) 00005040¥P19 00005050¥T1/即当(そくとう)/笑合(ゑあハせ)巻之四 00005060L3△△△△△△△△△△△△△△△¥A東都△舎楽斎述 00005070¥N1¥J 00005080¥X罵 00005090L7/医者(いしや)、病人を/許(うけあ)ふ。病家/多(おほ)くの/金(かね)を/費(ついやし)て、/竟(とう+)/起(なを)らず。/因(そこで) 00005100L8/甚(はなハ)だ/恨(うら)ミて、/僕(けらい)を/遣(やつ)て/罵(きめ)させる。/少頃(しばらく)して帰る。どふだ、 00005110L9/罵(きめ)たか。曰、イヽヱ。/何以(なぜ)/罵(きめ)ぬ。答曰、罵やふと云、/打(ぶた)ふ 00005120L10といふ人が/緊得(きつしり)と/那裡(あそこ)に/有(ゐ)て、中+/挨擠(おしわけ)られる事(九オ) 00005130L11ではござりませぬ 00005140¥N2¥J 00005150¥X/貧鬼(びんぼがミの)/縦観(かいちやう) 00005160L14/貧鬼(びんほかミ)縦観しけるに、一人も/来(まい)るものなし。/因(よつ)て/富鬼(ふくのかミ)に/謀(はか) 00005170L15る。富鬼の曰、/易々耳(やすひこと+)。ふだを/建(たて)て其/面(おもて)ニ/題(だい)せんにハ、/其= 00005180L16方(その=ハう)よりさんけひなくんバ、此ハうよりいかふ、とかきやれ 00005190¥N3¥J 00005200¥X/賠(げしにん) 00005210L19/医者(いしや)、人の/児(こ)を/医死(もりころ)す。/主家(ていしゆ)、/訟(ねがふ)と云から、いろ+して、 00005220L20/己(てまへ)の子を/賠(かハり)にやつてすます。一日、人の/僕(けらい)を/医死(もりころ)す。(九 00005230M1ウ)/止(たつた)一人の/僕(けらい)を/賠(かハり)にやる。/夜間(よなか)に又/門(と)を/叩(たゝい)て、/娘&(おかミさま)の/産(さん) 00005240M2がむつかしうござるから、/煩(ごくろう)ながら御出下されと。/医者(いしや)、 00005250M3/私(ひそか)に/妻(つま)に/謂(いつ)ていはく、かならず/看(ミ)やれ。/那家(あそこ)では/尓(そなた)が/中= 00005260M4意(きにいつ=た)と見へる 00005270¥N4¥J 00005280¥X/似(あなたに)/尓(にた) 00005290M7/娼(おやま)、/客(きやく)を/指(ゆひさ)して、/猿(さる)に/似(に)てあると/笑(わら)ふ。客/怒(いか)る。娼か曰、 00005300M8/是(これ)、/尓(あなた)の/■聴(きゝちかひ)。猿が尓に似て/居(ゐる)といふことさ 00005310¥N5¥J 00005320¥X/木匠(だいく)(十オ) 00005330M11/匠人(だいく)、/門(もん)の/閂(くわんぬき)を/装(つけ)る。/誤(どうし)たか、門の/外(そと)へ/装(つけ)る。/主人(ていしゆ)/罵(のゝし□) 00005340M12て、コノ/瞎賊(どうめくら)め。/匠(だいく)の曰、/尓(きさま)が/便(やつは)り瞎賊さ。主人怒て、/我(おれ) 00005350M13ハ/如何(どうし)て/瞎(めくら)だ。匠の曰、尓がもし/眼(め)があるなら、我がやう 00005360M14な/匠人(だいく)を/請(よび)ハせぬ 00005370¥N6¥J 00005380¥X/叩門(とん++) 00005390M17/僕(やつこ)、/兌舗(りやうかへ)を/誤認(とりちかへ)て、/其隣(そのとなり)のひきやく屋の戸を/叩(たゝ)ひて、/銭(せに)が 00005400M18ほしゐといふ。内からひきやくが、おれもほしい 00005410¥P20 00005420¥N7¥J 00005430¥X/頭嫩(やハらかなつふり)(十ウ) 00005440L3/待詔(かミゆひ)、人の/頭(あたま)を/剃(そ)る。/纔(ちよつと)、手を/挙(あげ)ると/傷(きず)だらけにする。/乃(すなハ) 00005450L4ち、/刀(かミそり)を/停(ひかへ)ていはく、この頭、まだ/嫩(やハらか)で、刀が/下(あて)られませ 00005460L5ぬ。/且(まあ)しばらくして、/老&(かたまつ)てから、/再(また)/剃(そり)ませふ 00005470¥N8¥J 00005480¥X/疝鬼(せんき) 00005490L8/医(いしや)、/疝鬼(せんき)に/問(とふ)。/尓(おのし)か/好悪(すききらいハ)/如何(なんじや)。鬼か日、/好河漏(そはをすき)、/悪蕃= 00005500L9椒(とうからしを=きらふ)。/一日(あるとき)、疝を/治(りやうぢ)するに、/婦(にようほ)に河漏を/喫(くわ)せ、/夫(おつと)の口を/連親(すわ) 00005510L10す。鬼、/忽(たちま)ち婦に/移(うつ)る。/因(よつ)て/胡椒(こせう)/蕃椒(とふからし)を/与(あた)ふ。鬼、/隠嚢(きんたま)に 00005520L11/匿(かく)れんとして、ふミはづして/終(つゐ)に出去ぬ(十一オ) 00005530¥N9¥J 00005540¥X/酸酒(すさけ) 00005550L14/一酒家(さかや)、/招牌(かんばん)に/写(かい)て、酒/毎斤(いつしやう)八厘、/醋(す)毎斤一分と。/両人(ふたり)づ 00005560L15れて/店(ミせ)へ/入(はいり)て、酒を/沽(か)ふところが甚だ/酸(す)し。一人が/咤(したうち)して 00005570L16/眉(まゆ)を/攅(しか)め、/如何(どうして)こんな酸い酒があるものか。醋と/錯(とりちがへ)て/拿(もつ) 00005580L17て/来(きた)であらふ。友/人(だち)、/忙(あハて)て/腿(もゝ)/捏(つい)て、/■子(あほう)め、だまつて 00005590L18いろ。招牌の/写着(かきつけ)が/看(ミ)へぬか。醋の方が、酒に/比(くら)べては、 00005600L19/更(かへつ)て/貴(たか)い 00005610¥N10¥J 00005620¥X/願賜銭(ぜにかほしい)(十一ウ) 00005630M3/女(むすめ)、めしつかひの/丁稚(でつち)に/甘心(しうしん)かけ、なんぞ/尓(そなた)のいるものハ 00005640M4なひか。尓のことなら、なんでもやろと。長吉/答(こたへ)て曰、さ 00005650M5やうならバ/銭(せに)を賜なさりませ 00005660¥N11¥J 00005670¥X/黄鬚(きなひけ) 00005680M8/鬚(ひげ)の/黄(きいろ)な/漢(おとこ)が有て、/毎(つね)に/妻に/誇(じまん)して、黄鬚(きひげ)に/弱(よハ)ひものハな 00005690M9い。一生人に/欺(ばか)にされぬと。一日、外へ出て、/殴(ぶた)れて帰る。 00005700M10/妻(つま)、/前言(いつものこと)を引て/笑(わら)ふ。夫の曰、/那(それ)で/暁得(すいりやう)した。/那人的(あちのやつ)の 00005710M11/鬚(ひげ)ハ、/通紅(まつかい)であつた 00005720¥N12¥J 00005730¥X/願尓死(おのしをしなせたい)(十二オ) 00005740M14/債(かけ)を/討(こふ)。曰、/姑(まあ)/且(しバし)/待(まち)ろ。/心期(こゝろあて)がないてもなひといふ。そ 00005750M15の心期ハどふだ。されば、尓が/死(しん)だら、すもふかと思てゐ 00005760M16る 00005770¥N13¥J 00005780¥X/吃螺(さゝいをくふ) 00005790M19/盲子(めくら)、/暑月(なつ)、/螺(にし)をくふ。/失手(とりはづし)て/地(した)へ/堕(おと)す。さま※/尋摸(なでさがし)て 00005800M20/誤(とりちがへ)て、/鷄(にハとり)の/屎(くそ)を/■(とつ)て、/口裏(くち)へ/放(いれ)て人に/向(むか)つていはく、い 00005810¥P21 00005820L1かに/熱(あつ)いとて、/東西(もの)をちつと/地(した)へ/落(おと)すと、はや/這等(このやう)に/臭(くさ)ミ 00005830L2がつく 00005840¥N14¥J 00005850¥X/不択婿(たれでもけんなひ)(十二ウ) 00005860L5こひやミに/日数(ひかす)を/経(へ)て、/労症(らうかひ)とならんとす。/父母(ふたおや)、/乳母(うば)をし 00005870L6て、したふところのおとこを/問(と)ハしむ。/女(むすめ)の曰、/誰(たれ)てもよひ 00005880¥N15¥J 00005890¥X/瞎眼(めをミひ) 00005900L9口の/臭(くさ)いものが、人に/臭(くさ)ミを/治(なを)す/良方(めいはう)が有ふかと/問(きく)から、 00005910L10/大蒜(にんにく)を/吃(くへ)バ、しごくよいと。問人が/訝(ふしき)がる。答ていはく、 00005920L11/大蒜(にんにく)ハ/臭(くさ)けれど、/還(かへつ)て/臭得(くさミ)が/正路(しやうろ)た(十三オ) 00005930¥N16¥J 00005940¥X/借書(しよをかる) 00005950L14/一書生(あるじゆしや)、寺をかりて書を/読(よむ)。/一日(あるひ)、/弟子(でし)に、書をとり/来(きた)れ 00005960L15といふ。/書経(しよきやう)を/出(いた)す。/下(ひく)しといふ。/詩(し)経を出す。まだ下し 00005970L16といふ。/主僧(ちうぢ)、其/高才(ゑらい)/博雅(ごうけつ)を/賞歎(しやうたん)す。書生ノ曰、/吾(おれハ)、枕に 00005980L17するのさ 00005990¥N17¥J 00006000¥X/瞎眼(めをミい) 00006010L19兄弟二人、/河(かハ)へ出て/洗澡(あらひもの)する。/忽(たちまち)、/小蛇(こへび)か来て、/兄(あに)の/主茎(かりくび) 00006020M1を/咬(くハ)へて/放(はな)さず。弟、/小刀(こかたな)をもつて/■(きり)わけやうとす。兄の 00006030M2いはく、/忙(さわ)く事ハなひ。/仔細(とつくと)/見分(ミわけ)て(十三ウ)小刀を/入(いれ)よ。 00006040M3/彼眼(かのめ)のあるやつは/蛇(へび)、/眼(め)のなひやつハ/肌巴(へのこ)だよ 00006050¥N18¥J 00006060¥X/招牌(かんばん) 00006070M6十二/銭(もん)出して、手の/理(すじ)を見せた所か、サツテモよくあふか 00006080M7ら、あしをも見せんとおもひ、足の招牌を/尋(たつね)出して/懇(たのミ)けれ 00006090M8ば、たびやの/亭主(ていしゆ)、/尺(しやく)をもつて足を/度(ハかり)ていはく、おまへハ 00006100M9こゝのもんじや。アヽこれハ目ちがひ+。おらハ九州だ 00006110¥N19¥J 00006120¥X卓面■ 00006130M12一人、/客(きやく)の/倍(しやうばん)をする。/偶(ふと)、/屁(へ)を/撒(ひ)る。/愧(きのどく)でならず、/掩= 00006140M13飾(まぎらか=さふ)と(十四オ)/欲(おもふ)て、/指(ゆび)の/頭(あたま)で、/卓子(しつぼくだい)の/面(うち)を/擦(すつ)て、/■(ぐふと)云 00006150M14せる。/客(きやく)のいはく、なるほど、/第一声(はじめのへ)に/好(よく)/像(に)ました 00006160¥N20¥J 00006170¥X/詰招牌(かんばんをなじる) 00006180M17/軽率(そ□つ)なるおとこ、/薬肆(やくしゆや)の招牌て/頭(あたま)をうち、きつと見あぐれ 00006190M18バ、/止疼湯(いたミとめくすり)のかんばんなり。/詰(なしつ)て曰、これハ大なうその 00006200¥P22 00006210¥G(巻一の六ウ・七オ) 00006220¥N21¥J 00006230¥X/折枝(あんま) 00006240M3/老翁(おやぢ)、/続(のちづれ)に一人の/嫗(ばゝ)を/娶(よぶ)。その/子(むすこ)、/夜(よる)そつと/往(いつ)て、/聴(きゝミヽ)して 00006250M4/居(ゐ)るに、アヽ/快活(よいきミ)+といふ/声(こへ)が/聞(きこ)へるから、(十四ウ)子、 00006260M5大に/喜(よろこん)で、/父(おやじ)ハもはや/高年(よいとし)だに、まだ此やうな/精力(せいりき)がある 00006270M6から、/寿(ながいき)の/徴(しるし)だろふと、/再(また)よく+/察(かんがへ)て見たところが、や 00006280M7つはり/嫗(ばゞ)に/折枝(あんま)をとらせるのだ 00006290¥N22¥J 00006300¥X/灸淋(りんびやうのきう) 00006310M10/淋(りん)を/患(うれ)ふる者あり。/或(ある)人/教(おし)へて、/陰茎(かのもの)を/引上(ひきあけ)て/其(その)/届(とゝ)く所に 00006320M11/灸(きう)せしむ。/既(すて)に/癒(いへ)て/声(こゑ)/出(いで)ず。/吟味(きんミ)すれハ、/咽(のど)に/灸(きう)して/居(い)タ 00006330¥N23¥J 00006340¥X/理旧恨(いしゆはらし) 00006350M14/婆(にようぼう)を/怕(こハが)るもの、婆/死(しゝ)て其/画像(ゑぞう)が/柩(ひつぎ)の/側(そバ)に/懸(かけ)て(十五オ)あ 00006360M15るを見て、是までの/恨(うらミ)をおもつて、/拳(にぎりこぶし)でチヨイトやる/形(かた) 00006370M16をする。/偶(おりふし)、/風(かぜ)が/吹(ふい)て/軸(じく)がさら+といふと、/忙(うろたへ)て手を/縮(すく) 00006380M17め、/胆(きも)をつぶし、我ハ/取笑(おどけ)に/■(じやれ)たのだよ 00006390¥N24¥J 00006400¥X/慎将来(いごをたしなめ) 00006410M20/店(ミせ)に/棒(ぼう)さげて子ともの/帰(かへ)りを/待(まつ)。/兄(そうりやう)か先へかへる。父/怒(おこつ) 00006420¥P23 00006430L1て/問(とふ)。/何処(どこへ)/去(いた)。曰、/算(そろばん)を/学(ならい)ました。父、いよ+/声(こへ)を/■(はげま)し 00006440L2て曰、算てあるまい。/将来(いご)を/慎(つゝ)しめ。/弟(おと+)、後に帰る。父 00006450L3/問(とふこと)、兄かごとくす。弟か曰、/娼家(おやまやへ)/去(いき)ました。父、大に 00006460L4怒て曰、/娼家(おやまや)であるまい(十五ウ) 00006470¥N25¥J 00006480¥X/夜壷(しびん) 00006490L7妻の/吃醋(やきもち)に/病(よハ)るものありて、/友人(ともだち)に/訴(はな)す。/我(せつしや)が内でハ、/婢(げじよ) 00006500L8を/買(かゝへ)ても/容(をく)事がならぬと。一人の曰、/賎荊(こちのやつ)ハ/更(かへつ)て/甚(きつふ)こざる。 00006510L9下女どころではない。/美僕(まへがミ)でも/置(をく)事かなりませぬと。又一 00006520L10人のいはく、/両位(おの+)がたの/令正(ごないしやう)ハ/還(まだ)、/算得(つもつ)てミれバ/賢(よう)ござ 00006530L11る。/只(たゞ)こらふじろ。/我(せつしや)が/房下(さい)、/婢僕(げじよ)ハさておき、/夜壷(しひん)も/擅(ミだり) 00006540L12には買せませぬ 00006550¥N26¥J 00006560¥X/両夫(りやうふ)(十六オ) 00006570L15/書生(しよせい)、/妾(てかけ)を/買(おく)。/妻(つま)/恚(おこつ)て曰、/尓是学究(おまへハがくしやでないか)。ふたりの女房/持(もつ) 00006580L16ハ、何の/経典(しよ)に出てある。/夫(おつと)の曰、/孟子(もうじ)に見へたり。/斉人(せいひと) 00006590L17/有一妻一妾(いつせいいつしやうあり)といふ/是也(のじや)。曰、/然(そんな)らバ、わらハも/姦夫(まおとこ)せふ。 00006600L18/大学(たいかく)に曰、/河南(かなんの)/程氏(ていし)/両夫(りやうふう) 00006610¥N27¥J 00006620¥X/姦夫(まおとこ) 00006630M1/姦夫(まおとこ)、/親夫(ていしゆ)の帰つたを聞て、/急(きう)に/遁(はづ)さふとする。/婦(にようほう)、や 00006640M2つはり/床(とこ)に/睡(ね)たふりをさせて/置(をく)。/夫(ていしゆ)来て、/床上(とこ)に/寐(ね)て居 00006650M3る人をきく。妻のいはく、だまつて居なされ。アレハ/隔壁(となり) 00006660M4の大/爺(だんな)。/老娘(おかミさま)に/打(たゝ)き/出(だ)されて、ちつとの/間(ま)(十六ウ)/避(はつ)して 00006670M5/此(こゝ)へ来てさと。夫/笑(わらつ)て云、この/烏亀(くそだハけ)め。/老婆(にようぼう)かなんの/怕(こハ)い 00006680M6事があろふ 00006690¥N28¥J 00006700¥X/射虎(とらをいる) 00006710M9/吝(しわ)きおやぢあり。/一日(あるとき)、/虎(とら)にあふ。虎、おやぢをくわへて 00006720M10/走(はし)る。其子、弓をつがふて虎を/射(い)んとす。おやち、/銜(くわへ)られ 00006730M11ながら、其子におしへて曰、虎の/足(あし)を射て、/皮(かわ)に/傷(きずつけ)な 00006740¥N29¥J 00006750¥X/熱翁(やけおやち) 00006760M14/老翁(いんきよ)、/冬(ふゆ)の夜/酔(よつ)て/臥(ね)る。/脚炉(あんくハ)を/被(よぎ)の中へ入て置、し(十七 00006770M15オ)たゝか/腿(もゝ)をやく。/早起(あさおき)て/合家(かないぢう)を/罵(わめい)て、我ハ/老人家(としよりのミ)。ち 00006780M16と酒がすぎて/睡(ね)れバ、/自(てまへ)でも/知(し)れぬ。/尓們(わいら)ハ/這班(このやう)な/後生(わかい)な 00006790M17りをして、/一声(ひとこへ)も/喚醒(よひさま)さず、/難道(なんと)、人が/焼(やけ)て/臭(くさ)いもしら 00006800M18ぬか 00006810¥Y1笑合四之終(十七ウ) 00006820¥P24 00006830¥U噺本大系△第十九巻 00006840¥T/臍(おへそで)/煎(わかした)/茶呑噺(ちやのミばなし)〔表紙〕 00006850¥G 00006860¥Y 00006870L14寛政十二年序 00006880L15十返舎一九序・画 00006890L16永寿堂作 00006900L17西村屋与八板 00006910L19中本二巻二冊 00006920L20大東急記念文庫蔵 00006930¥G(上巻題簽) 00006940¥Y序 00006950M13/春雨(はるさめ)のつれ※、/茶(ちや)にうかさるゝ/高(たか)はなしも、/豆(まめ)いりの/口(くち) 00006960M14まめにて、かき/餅(もち)のかびくさい/古噺(ふるはなし)を、/節分(せつぶん)の/鬼(おに)の/留主(るす)に 00006970M15/洗濯(せんだく)したる、/永寿堂(ゑいじゆだう)の/主(あるじ)にかハりて、十偏舎一九しるす 00006980M17△△△申はつ春(一オ) 00006990¥P25 00007000¥G(一ウ・二オ) 00007010M1よの中に、つきはなのたのしミより、こゝろあふたる友の 00007020M2うちむれて、四方山のむかしがたりに、たかわらひのはめ 00007030M3をはづすハ、まことにふらうふしのくすりより、ちやばか 00007040M4りのんでも、せんざいのいのちをのぶるたのしミ。こゝに 00007050M5万八といふもの、わかきときより、くに+をかけまわり 00007060M6て、ところ※のめづらしきことども、(一ウ上)らうごの 00007070M7たのしミに、人さへミつけると、つかまへてはなしける。 00007080M8るいをもつてあつまるならい、おなじ万八ばなしのすきな 00007090M9てやい、けふもこゝによりあつまり、サア+、こよいも 00007100M10はなしやせうと、まづざがしらの万八から、とほうもない 00007110M11はなしをはじめる(二オ上) 00007120G1△△〔絵詞〕△S万八さんのはなしハ、いつでもミヽをとつて、はなをかむ 00007130G2△△よふなはなしだ;Sまん八いんきよハうそをつくことがきらいのかわ 00007140G3△△り、ほんとうのこともいハねへおとこた;しかし、はなしハうそでな 00007150G4△△けれバ、おもしろくねへ(一ウ下);Sわしらがわかいときハ、かミ 00007160G5△△なりがなつたが、きんねんハひかりばかりで、ねつからならぬ。そし 00007170G6△△てにハとりも、ちかごろハあくびばつかりして、ときをつくらぬハ、 00007180G7△△とふしたもんだとハ、このおやぢ、ハヽア、つんぼうだな(二オ下) 00007190¥N1¥J 00007200¥X 00007210M21△万八がいふ。さて、よにハめづらしいことがあるもん 00007220M22だ。まへどわしがしつたおとこに、あたまのまんなかに、 00007230¥P26 00007240¥G(二ウ・三オ) 00007250M1さくらの木がはへて、はなさきましたが、なるほど、はな 00007260M2ミじらミといふことが、このときがつてんがいきました。 00007270M3なにがそのおとこのあたまのうへにまくをはつて、のミや 00007280M4しらミがまいにち、はなミにでかけて、ひくやらうたふや 00007290M5ら大さハぎをやりましたが、このおとこ、あまりさハがし 00007300M6さにこまりはて、そのさくらの木をぐつとほりだして、う 00007310M7つちやつてしまつた。ところが、おきゝなさい。さくらの 00007320M8木をほつたあとへあめがたまつて、いけになりました。そ 00007330M9うすると、またのミやしらミがどこからやら、ふねをひい 00007340M10てきて、あたまのいけへ、ふなゆさんに(二ウ上)でかけ、 00007350M11とつちりつん+とさハぐやら、よるはなびをあげて、イ 00007360M12ヨ、あたまやア引とほめる。このおとこ大きにかなしミ、 00007370M13いかなるいんぐハにや、あたまにさくらがはへて、やかま 00007380M14しさにこいですてれバ、又あとがいけとなりて、いよ+ 00007390M15やかましきとて、やくハんもかぶられずしよ、いきはぢを 00007400M16さらさんよりハと、ついにあたまのいけへ、われとわがで 00007410M17にミをなげてしなれましたとはなせバ、きく人おかしく、 00007420M18それハ又どふして、あたまのいけへミをなげました。ハテ、 00007430M19きせるづゝをぬふよふに、しりからぼうをいれて、ひつく 00007440M20りかへして、ミをなげました。ハヽヽヽヽ(三オ上) 00007450¥P27 00007460¥G(三ウ・四オ) 00007470G1△△〔絵詞〕△Sあたまのはちうへもめづらしい;Sいつそミめぐりのかい 00007480G2△△てうのさくらあハせに、ミちよりさんをたのんででたらバよかつた 00007490G3△△(二ウ下);Sこれもやはり、木のたかぶつたといふごびやうきでご 00007500G4△△ざる;Sまだしも、いつぽんでよふござります。あのさくらがふへま 00007510G5△△すと、いきたよしのやまといふものでござります(三オ下) 00007520¥N2¥J 00007530¥X 00007540M8△今ひとりのおとこがいふ。わしもくに+をたいがい 00007550M9あるきましたが、かわつたこともないものでごさるが、た 00007560M10んばの山おくで、大きなるうハばミをとつたをミました。 00007570M11うハばミのあたまが、さかやの五しやくおけを三ツばかり 00007580M12もいつしよにしたくらい。まなこさへすいふろおけほどあ 00007590M13つて、くちの大きさ、ほらあなのごとく、いやもふ、ずつ 00007600M14とでたときハ山がうごくよふでごさつたが、そのうハばミ 00007610M15を、なんのくもなくいけどりました。けつきさかんの(三 00007620M16ウ上)おとこが、大きなまるたの中ほどへつなをつけたる 00007630M17をひつかついで、かのうハばミがひとのミにせんと、あん 00007640M18とくちをあくところへ、くだんのおとこ、ひよいとくちへ 00007650M19とびこミ、かのまるたを、うハばミがうハあごとしたあご 00007660M20へこうばりにかつて、そとへいで、ヤアひいたりとこへを 00007670M21あいづに、大ぜいかけより、かのつなをゑんや+と、と 00007680M22う※うハばミを山からひきずりだしました。うハばミも 00007690¥P28 00007700¥G(四ウ・五オ) 00007710M1かなハぬ所とかくごしたかして、うハばミだんぶつ+と 00007720M2申ました(四オ上) 00007730G1△△〔絵詞〕△アヽひだるい+。いまにがつぷりとやらかしてくれふ(三 00007740G2△△ウ下);Sうわばミのかばやきを久しくくハねへ;Sあのうハばミハ 00007750G3△△ぶしやうものとミへて、とんだこうちうのいきがくさい(四オ下) 00007760¥N3¥J 00007770¥X 00007780M8△一人又いふ。わしハなにもはなしのたねなしだが、い 00007790M9ちどこわいめにあつたことがある。わしがわかいとき、人 00007800M10にたのまれて、かミがたへひきやくにいつたことがあるが、 00007810M11なにかあしハたつしやなり、いそぎのひきやくたから、ヨ 00007820M12イさつさ+とかけだして、はこね山をとをるとき、むか 00007830M13ふにとほうもない大かミが、あんとくちをあい/た((てカ))いたを、 00007840M14こつちハいそぐはりやいで、むちうになつてかけだしてゆ 00007850M15くゆへ、おほかミもめにかゝらす、よいさつさ+といつ 00007860M16たところが、きゝなさい。わたしも(四ウ上)そゝつかしい。 00007870M17おほかミのくちのなかへついとびこんで、これハおかしい、 00007880M18うそくらいひよりになつたとおもいながら、それにもかま 00007890M19わず、よいさ+とゆくと、又おほかミのしりのあなから、 00007900M20ひよつくりととびだして、よいさつさ+とゆくと、かの 00007910M21おほかミが、ヱヽくやしい。けふにかぎつてふりでいたと 00007920¥P29 00007930¥G(五ウ) 00007940L12いふこへに、きがつきふりかへつて見れバ、とんだ大きな 00007950L13おほかミでごさつた。まことにそのときハ、いのちをひろ 00007960L14つたとぞんじました。きく人、はてなア+(五オ上) 00007970G1△△〔絵詞〕△Sヱヽいのちめうがなひきやくめだ(四ウ下);どうちうすご 00007980G2△△ろくなら、せうのいしやくしといふところだ;よつや・あかさか・こ 00007990G3△△うじまち、たら+おちるおちやの水。さゝまめこ+よいさつさ 00008000G4△△++(五オ下) 00008010¥N4¥J 00008020¥X 00008030L21△又ひとりがいふ。なるほど、おほかミもおそろしいが、 00008040L22わしらがくにでハ、なんでも山よりハ大きなからだに、し 00008050M1とだるのよふなめが二三十あつて、つのがざいもくのよふ 00008060M2につく+と、これも三十本ばかり。くちが八ツあつて、 00008070M3ミヽが十ばかり、あしがむかでを十ぴき斗よせたよふだか 00008080M4ら、はやいといつてハ、たちまち百りや二ひやくりハたば 00008090M5このむまにかけだしてくる、けだものゝよふなもの/が((ママ))、で 00008100M6いぶ人がとられましたといふ。きく人、それハげうさんな 00008110M7ものだが、ついどきかぬけうなものでござるが、なハなん 00008120M8と申ものでござるときけバ、されバさ。たしか、ばけもの 00008130M9とかいふものでござつた(五ウ上) 00008140G1△△〔絵詞〕△Sにげるときハ、くハばら+といふもんくよりほかハでね 00008150G2△△へ;Sヤレおそろしや。にげろ+。おれがいのちハおしくハねへが、 00008160G3△△かゝあどんをごけにするがきのどくだ(五ウ下) 00008170¥P30 00008180¥G(下巻題簽・六オ) 00008190¥N5¥J 00008200¥X 00008210M1△今ひとりのおとこいふ。わしハおわりのものだが、い 00008220M2やまた、わしらがくにの大こんハ、とほうとてつもないも 00008230M3のでごさる。いつちちいさい大こんでも、ながさハ十四五 00008240M4けん廿けんばかり、まるミのさしわたしが二けんくらい、 00008250M5ずいぶんござる。はたけで大こんをひくにハ、しやちでま 00008260M6いて、大ぜいにんそくがかゝります。たいぼくのきりくち、 00008270M7ふといのねときている大こんでござるとはなせバ、そバか 00008280M8ら、さて+、それハたいそうな大こんでごさる。さだめ 00008290M9てそのはハ、また大きなものでござろふといへバ、こりや 00008300M10アほんのはなしでごさる。ハヽヽヽヽハヽヽヽヽヽ(六オ 00008310M11上) 00008320G1△△〔絵詞〕△Sこのいつぽんでたばこにしよふ;Sこふしたところハ、ミ 00008330G2△△めくりにある、おしゑのゑまといふもんだ;S大きなだいこだ、ゑん 00008340G3△△やらさ。そこらでわかいしゆ、たんのミだ、ゑんや+++;そ 00008350G4△△こらでたのミだ、ゑいやらさ、やんやゑん(六オ下) 00008360¥N6¥J 00008370¥X 00008380M18△かたすミのおとこ、さて+大きなはなしがでやした。 00008390M19そのはなしでおもいだした。あのかミなりといふものハ、 00008400M20ちいさなたいこ、せなかへしよつてたゝきたてるといふこ 00008410M21とだが、それにしてハおとが、とんだすさまじい。なか 00008420M22+ちいさなたいこぐらいのおとでハないとぞんじておつ 00008430¥P31 00008440¥G(六ウ・七オ) 00008450M1たが、おとゝし、につこうでかミなりのたいこをミました 00008460M2が、いやはや、とほうもない大きなものでござる。まづま 00008470M3るさハさしわたし十けんあまりもござろふ。いぼ+(六 00008480M4ウ上)がすいふろおけほどツヽこさる。それをくもの上へ 00008490M5ころかしだして、かミなりが大ぜい、てころのざいもくを 00008500M6もつてくらハせますから、そこで大きなおとがいたします 00008510M7と申す事だといふ。そバから、そのたいこハきこへたが、 00008520M8そのまたかハヽ、なんのかハではつたものでござろふ。イ 00008530M9ヤ、それハうそのかハさ(七オ上) 00008540G1△△〔絵詞〕△コレ、てめへばかりたゝかずと、おれにもちつとたゝかせや 00008550G2△△な(六ウ下);どん+つく+どんつくどん(七オ下) 00008560¥N7¥J 00008570¥X 00008580M14△サアはなしがだん※大きくなつてきたと、ひとりの 00008590M15おとこ、これも大きなはなをひこつかしていふ。わしらが 00008600M16くにハうミばたでござるが、二三ねんあとに、とんだ大き 00008610M17なおけがうミへながれてきました。大人こくとやらで大ぜ 00008620M18いいちどきにはいるすいふろおけだといふことだが、いや 00008630M19はや+、とほうもない大きなもの。そのおけのぐるりを 00008640M20まハるにさへ、よつくいちにちかゝりますといふ。きく人、 00008650M21大人ごくのすいふろおけなら、そふでござろふ。しかし、 00008660¥P32 00008670¥G(七ウ・八オ) 00008680M1おけハどのよふにも大きくできよふが、そのたがにするた 00008690M2けがよくあつたものでござるといへバ、さやう+。わた 00008700M3くしもそふおもいました(七ウ上)から、てならひのしせう 00008710M4さまにきゝましたらバ、てんぢくにハとんちくといつて、 00008720M5とんだながいたけがはへると申事さ。そのたけハどふいふ 00008730M6たけときけバ、なにがずん※とのびるにしたがつて、て 00008740M7んまでとゞくと、くもにつかへて、たけのさきがまがると、 00008750M8又それがだん※したのほうへのびる。やがて又ちへつか 00008760M9へると、うへのほうへまがつて、又そらへずん※とのび 00008770M10る。なんのことハない。たけがてんへいつたりきたりして 00008780M11のびるもんだから、とほうもなくながいたけになります。 00008790M12そのたけが、たいじんごくのすいふろおけのたがになると 00008800M13きゝましたが、こればつかりハうそでハないといふことで 00008810M14ごさる。はての+(八オ上) 00008820G1△△〔絵詞〕△S大きなまるいものがながれてきた;Sハヽア+これハ 00008830G2△△+;Sハヽア+これハ+;これハ+;Sハヽアこれハ+; 00008840G3△△これハ+(七ウ下);ハヽア、これハ+(八オ下) 00008850¥N8¥J 00008860¥X 00008870M20△サア+、はなしがとんだしり/ば((ママ))りになりましたから、 00008880M21わたしもひとつ、大きなはなしをいたしませふと、ひとり 00008890¥P33 00008900¥G(八ウ・九オ) 00008910M1の男いふ。まへかた、われら京へはじめてまいつたとき、 00008920M2かねて大そうにきゝおよんだ大ぶつへまいつて見ましたが、 00008930M3なるほど、はなしにきいたよりハ大きなもの。すわつてこ 00008940M4さるれんげのはなひとつが、三げんぐらいのたかさ、おて 00008950M5のひらへ八でうもし/か((けカ))るよふな大そうに大きなもの。おは 00008960M6なのあなから、かさをさして、人がでは(八ウ上)いりする 00008970M7ほとの事。なるほど、いやはやとんだもの。こんな大ほと 00008980M8けを、よくもつくつた。あまりのことにあきれはてゝ、け 00008990M9んぶついたしましたが、かへりにほんどうのわきに、すて 00009000M10ごがござつた。ふびんにぞんじてひろいあげ、けらいにし 00009010M11よわせてかへりましたが、やどへついて見ましたれバ、す 00009020M12てごでハなくて、五十ぐらいのこじきぼうずでごさりまし 00009030M13た(九オ上) 00009040G1△△〔絵詞〕△ヱヽ、けたいなほてつぱらめじやわいな。きり+とあるき 00009050G2△△くされ(八ウ下);Sなるほど、大きなものだ。しな川の大ふつより、 00009060G3△△ほんだなハかくべつ(九オ下) 00009070¥N9¥J 00009080¥X 00009090M19△ばつせきのおとこいふ。さきほどから、ミなのおはな 00009100M20しハどれも万八ばなしだか、わしハうそハつくことがきら 00009110M21いだから、ほんとうの事をはなしませう。めづらしい事も、 00009120M22よにハたくさんあるものでごさるが、わしハりやうのかる 00009130¥P34 00009140¥G(九ウ・十オ) 00009150M1わざをミました。どなたもゑにかいたをごらうじたかハり、 00009160M2ほんとうのりやうハごぞんじあるまい。なか+おんとう 00009170M3なもの。たゆふくろくもりやうのすけ、たゞ今おめ見へと 00009180M4いふと、のたり+とでかけて、それからいつぽんたけか 00009190M5らつなわたり。いやはや、とんだおもしろいことでごさつ 00009200M6た。それかられんだいのうへにてしやちほこだち、のなか 00009210M7のいつぽんすぎ。やんや+とはやしたつるひやうしに、 00009220M8どこをどふしたやら、このりやうがれんだいのうへから(九 00009230M9ウ上)どつさりとおつこちたところが、はなばしらをした 00009240M10ゝかうつて、はなぢがおびたゞし/て((くカ))、たきのことくにいで 00009250M11ゝ、いつこうとまらず。いろ+してもとまらぬところに、 00009260M12けんぶつのうちから、ひとり出て、さて+きのどくなこ 00009270M13とでごさる。そのはなぢハ、わしがとめてしんぜませうと 00009280M14いふから、どふするぞと見ていましたれバ、かのりやうの 00009290M15ぼんのくぼのうろこをさんまい、ひきぬきました(十オ上) 00009300G1△△〔絵詞〕△さて+、このつぎのかるわざハのぼりりやう、くだりりや 00009310G2△△う。すへにいたれハ二しゆのなんりやう、かりるハそんりやう、こゝ 00009320G3△△にさんりやう、かしこに五りやう、ひろいあつめて三ひやくりやう。 00009330G4△△イヨ+、どつとほめたり+(九ウ下);おれがれんだいにのると、 00009340G5△△よい+わい+とかつがれそふだ;てんから+てつてんから(十 00009350G6△△オ下) 00009360¥P35 00009370¥G(十ウ) 00009380¥N10¥J 00009390¥X 00009400M1ことしおいたしなのものが、だいどころからはいいで 00009410M2ゝ、どなたおはなしもおもしろいが、わしらがくにゝハ、 00009420M3よこくにないことがごさります。ことのほかのかんこくで 00009430M4十月ころからゆきがつもつて、ひへこをりますが、そのう 00009440M5ちおかしい事ハ、正月のれいしやなどが、かミしもをきた 00009450M6なりに、たちすくミになつてこをりついています。やう 00009460M7+三月ごろあたゝかになると、れいしやもとけて、それ 00009470M8から、ねんしのごしうぎ申ますといつてあるきます(十ウ 00009480M9上) 00009490G1△△〔絵詞〕△めでたい+ 00009500¥Q 00009510M11△△△△△△△△△△△△△△△◇永寿堂自作◇ 00009520M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△一△九△画 00009530M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十ウ下) 00009540¥P36 00009550¥U噺本大系△第十九巻 00009560¥T/画(え)ばなし/当時梅(とうじばい)△〔題簽〕 00009570¥G 00009580¥Y 00009590L15文化七年十二月刊 00009600L16浪花一九選著 00009610L17桃田三笑画 00009620L18大坂河内屋喜兵衛等板 00009630L19半紙本一冊 00009640¥G(見返扉) 00009650¥Y 00009660M10あめつちひらきそめしおゝん代じらい、柴かり洗濯の祖父 00009670M11はゝのむかしはなしも、庚申の夜のさんし虫のわらひを見 00009680M12んと、はまの真砂を絹ふるひにかけて、正木のかつらの細 00009690M13き処を持て、盆石のさゝら浪を打やうに、画はなしてふも 00009700M14のを催し、一九かぬし、是を袖にして、愚評をこひ(1オ) 00009710M15たもふ。いなむもおこましく、禿筆をとりて、画はなし当 00009720M16時梅とあれかしも、一陽来福の/□((例カ))しにならひ、春のあした 00009730M17のわらひ艸ともなれかしと思ふ斗 00009740M18△△△文化七のとし仲冬△△△△△△△△市受庵其道 00009750M19△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(1ウ) 00009760¥P37 00009770L1今の世のあたらしきをこのむて、流行にうつり行事ハ、飛 00009780L2鳥川のふち瀬はものかハ、淀川の早すしより早く、ものこ 00009790L3との日&にあらたにして又日&にあたらしく成行ハ、当時 00009800L4門徒の寺院の如く、新町の新建に似て、新川に新地のふえ 00009810L5るたくひなるへし。こゝに今宵、諸君子の描き給ふ名画や、 00009820L6古人の詞に、詩は声あるの画、画はかたちあるの詩といへ 00009830L7るをうちあハせ、声もかたちもおかしミもましえて、(2オ) 00009840L8画はなしと名付たるもの也けり。当世あたらしき事の最第 00009850L9一ならすや。是をのしこし山におへる松茸に聞かさハ、た 00009860L10ちところに挑灯と変し、山水天狗の高き鼻も、たちまちに 00009870L11ひしけぬへし。奇也+と感して評するものハ誰そ。浪華 00009880L12城南の住人、微雨舎といへる狂夫なり(2ウ) 00009890¥Y凡例 00009900L16一△/此画冊子(このゑさうし)ハ、/新(あらた)に/工夫(くふう)し、画と/弁舌(べんぜつ)を/以(もつ)て/話(はな)す/落(おと)し/噺(はなし) 00009910L17△/也(なり)。こたび/好士(かうづ)の/作(さく)を/集(あつ)め、/予(よ)が/亭(てい)にて/会莚(くわいゑん)をひらき、 00009920L18△/衆評(しうひやう)にかけて/梓(あづさ)にのぼせり。/故(ゆへ)に/作者(さくし□)の/自画(じぐわ)にして名を 00009930L19△あらわす 00009940L20一△/噺(はなし)/仕様(しやう)/盤(ハ)、たとへバ、/去(さる)/富貴人(ふうきじん)/某町(なにまち)を/東(ひがし)へ、/如是(こんな)/髷(わげ) 00009950M1△をして/行(ゆく)といふて、$@如此|かき@、/又(また)/同(おな)じ/体(てい)なる/人(ひと)、 00009960M3$/如是(こんな)/髷(わげ)(3オ)にて/西(にし)へ/行(ゆく)とて、/行違(ゆきちか)ひに/口論(かうろん) 00009970M4△に/成(な)ツたトいふて、$@如此前後△△|二ツになる。@/扨(さて)/其辺(そのへん)の/富貴人(よひしゆ)、/是(これ) 00009980M6△を/見兼(ミかね)て/又(また)$こんな/髷(わげ)にて/出(いで)、/挨拶(あいさつ)をするトいふて、 00009990M7$@如此三ツ|になす。@/其挨拶(そのあいさつ)ニて/丸(まる)う/済(すん)だれバ、@トいふて|其中へ△@$ 00010000M9△をかいて$@如是△|なし、@/元(もと)のごとくに/成(な)ツたト/落(おと)す/也(なり)。/餘(よ)ハ 00010010M11△/是(これ)にて/知(し)るべし 00010020M12一△/本文(ほんもん)ハ/詞(ことば)の/多(おほ)きをいとひて、/毎(こと※)く/文(ふん)を/略(りやく)す。/話(はな)す/人(ひと)の 00010030M13△/利口(りかう)を/以(もつ)て/文(ぶん)を/延(の)べ、/弁舌(べんせつ)おかしく/興(きやう)すべし(3ウ) 00010040M14一△たとへ/本評(ほんひやう)/秀逸(しういつ)の/噺(はなし)たりとも、/文(ぶん)の/多(おほ)き、/又(また)は/画(ゑ)の 00010050M15△/細密(さいミつ)なるものハもらせり 00010060M16一△/発端(ほつたん)/画(か)き/堂(た)る/画(ゑ)も、/終(おわり)の/一筆(ひとふで)にて、/大(おほ)きに/像(かたち)の/変(へん)する 00010070M17△もの/有(あり)。/落合(おちあい)に/至(いた)る/迄(まで)、/夫(それ)と/悟(さと)らせぬ/様(やう)に/描(ゑか)くへし。い 00010080M18△つれ/話(はなす)/人(ひと)の/功者(こうしや)に/有(あ)るへし 00010090M19△△△△△△△△△△△△△△△浪華一九△G 00010100M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(4オ) 00010110¥P38 00010120¥G 00010130¥N1¥J 00010140¥X 00010150M2G 00010160M3真中挨拶漢 00010170M4相手隔東西 00010180M5争果為五徳 00010190M6沸茶諸客臍〔絵〕 00010200M7△△△△△△△△△△△△△△△△徴雨舎画題△GG 00010210M8△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(4ウ) 00010220¥N2¥J 00010230¥X 00010240M11こたび、一九ぬしのあつミ給ふ画はなしてふ巻に、 00010250M12当時梅の題をおくり侍るとて、狂哥に、 00010260M13△△鴬もはなして見たや古寿画より 00010270M14△△△にほふ当時の梅は初もの△〔絵〕¥A秋六 00010280M15△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△¥A秋六 00010290M16△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(5オ) 00010300¥P39 00010310¥G 00010320¥N3¥J 00010330¥X 00010340M2△△△あしあとに梅画かきけり霜の犬〔絵〕¥A一九 00010350M4△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(5ウ) 00010360¥N4¥J 00010370¥X 00010380M6/伊弉冊尊(いざなミのミこと)、/天(あま)の/浮橋(うきはし)を/修復(しゆふく)せんと、/橋普請功者(はしぶしんこうしや)の/大工(だいく)を/頼(たの) 00010390M7ミ給ふ。/則(すなハ)ち大工、白雲に/乗(の)ツて/空中(くうちう)に上り、カノ浮橋を 00010400M8見るに、〔絵〕其/広大(くわうたい)なる事、いふ斗なし。大工のいふ。 00010410M9橋の下に/雲(くも)有り。甚だ橋の/弱(よわ)ミなり。/剰(あまつさ)へ橋/杭(ぐい)なし。まづ 00010420M10両/詰(つめ)を/髪結床(かミゆいどこ)〔絵〕又ハ/商人(あきんど)にかし、橋杭ハ/随分(ずいぶん)/態(しげ)く〔絵〕 00010430M11此様ふに入/給(たま)へば、さのミ高ふハ付き升まい。くし+思 00010440M12ひ給ふな〔絵〕¥A一九 00010450M14△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(6オ) 00010460¥P40 00010470¥G 00010480¥N5¥J 00010490¥X 00010500M1どふぞ江戸が見度ひものじや。/道法(ミちのり)ハどふいふものじや知 00010510M2らぬ。Sマア/草津(くさつ)から/分(わ)かれる。〔絵〕右へ行バ/東海道(とうかいとう)、 00010520M3品川から這入る。左りへ行ケバ〔絵〕/木曽海道(きそかいどう)。/板橋(いたばし)から 00010530M4這入ル。マア/半月(はんつき)の/道中じやSハア、はねがほしひナア 00010540M5〔絵〕¥A慶山 00010550M7△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(6ウ) 00010560¥N6¥J 00010570¥X 00010580M9/汐干(しほひ)に/蛤(はまくり)取りに安治川へ出て、〔絵〕此様ふに、ぐるり 00010590M10+と廻り、/〔絵〕(カノ)鎌で/〔絵〕(蛤一ツ)、チヨイと取ツたが、尻なし 00010600M11で有ツた〔絵〕¥A一九 00010610M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(7オ) 00010620¥P41 00010630¥G 00010640¥N7¥J 00010650¥X 00010660M1〔絵〕/瓢単(ひやうたん)の花生ケに、先生、此様ふな〔絵〕柳を入レる。 00010670M2門弟見て、能ふいかりました〔絵〕¥A一九 00010680M4△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(7ウ) 00010690¥N8¥J 00010700¥X 00010710M6/釣鐘堂(つりがねどう)の/幽霊(ゆうれい)を見届んと、/棒(ぼう)持ツて待ツて居る。〔絵〕釣 00010720M7かねの下より、モヲヽヽヽシイ、モヲヽヽヽシイといふ所 00010730M8を、〔絵〕で、御無用と、とやした〔絵〕¥A慶山 00010740M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(8オ) 00010750¥P42 00010760¥G 00010770¥N9¥J 00010780¥X 00010790M1/越瓜(しろうり)の売/仕舞(しまい)、〔絵〕此様ふな壱ツ、〔絵〕此様ふな壱ツ、 00010800M2二ツ五文に売ツた。是でハ/煙草(たばこ)代も無ひ〔絵〕¥A一九 00010810M4△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(8ウ) 00010820¥N10¥J 00010830¥X 00010840M6墨いろを見て、もらひに行。〔絵〕此よふに書ハ、Sハヽ 00010850M7ヽ是ハ商ばいハ悪るい。職をなされ。おまへの性分ハ、/堅(たつ) 00010860M8からミても横から見ても、うらから見ても表からミても、 00010870M9同し十の字。〔絵〕くるりから、よいよふに丸めてしもふ。 00010880M10Sハヽヽヽ、くつわ/重宝(ちやうほう)な物じや〔絵〕¥A慶山 00010890M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(9オ) 00010900¥P43 00010910¥G 00010920¥N11¥J 00010930¥X 00010940M1〔絵〕此よふな月夜に、釜をぬかれた。Sハヽヽア、貴様 00010950M2もアノさへた月夜にSイヽヤ、かふ〔絵〕霞がかゝつて 00010960M3有ツた。しかし、ふたはのこしおつた〔絵〕¥A丁子園 00010970M5△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(9ウ) 00010980¥N12¥J 00010990¥X 00011000M7〔絵〕此よふな天神橋にて、廿五日に、/師匠(ししやう)、寺子をつれ 00011010M8〔絵〕参詣すると、むかうから又〔絵〕師匠、寺子/連(つ)レ下 00011020M9向と見へ、行違ひに日ころの口論。すでに先生同士に相な 00011030M10る処、まん中に人相見、此よふな〔絵〕/天眼鏡(てんがんきやう)持ツて、 00011040M11あいさつする。Sさし出た事じやが、出入りハ五部+ 00011050M12〔絵〕¥Aきくの屋△籬 00011060M15△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(10オ) 00011070¥P44 00011080¥G 00011090¥N13¥J 00011100¥X 00011110M1むかしから人のしつた/古鼠(ふるねづミ)、$$と出る。こ 00011120M2ちの/〔絵〕(のら)ねこめが、手がらしおつた〔絵〕。Sなんぼのら 00011130M3でも、/鼠(ねづミ)はカナワ〔絵〕△〔絵〕 00011140¥A一九 00011150M5△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(10ウ) 00011160¥N14¥J 00011170¥X 00011180M7/昨日(きのふ)亀井戸へいつたが、〔絵〕/如斯(こんな)/帽子(ぼうし)を着ツて向ふへ行 00011190M8女中さん、とんとおめへさんの/風俗(ふう)で有ツた。物を/言(いおゝ)ふと 00011200M9思つたら、ケイ見/失(うし)なつた。なんでもイヽ女房だろ。Sヲ 00011210M10ヤ+、わたしでネ〔絵〕 00011220¥A江戸△/鑿墨曲尺(ノミノスミカネ) 00011230M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(11オ) 00011240¥P45 00011250¥G 00011260¥N15¥J 00011270¥X 00011280M1此/間(あいだ)京へ/登(のぼ)り、なんでも田がくを/飽程(あくほど)/喰(く)ふて見よと、東 00011290M2山で〔絵〕/幾串(いくくし)も出す。/喰(く)ふて/仕舞(しま)ふ。又出す。くふて仕 00011300M3まふ。又出す。/喰(く)ふてしまふ。八千八/串(くし)/喰(く)ふた。/後(の)ちには 00011310M4/矢(や)かずに有ツた〔絵〕 00011320¥A後雛丸 00011330M6△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(11ウ) 00011340¥N16¥J 00011350¥X 00011360M8〔絵〕/高貴(かうき)、/大峯(おゝミね)入の時、のぞきへ〔絵〕/釣(つ)りおろすげな。 00011370M9〔絵〕/前鬼(せんき)/後鬼(こき)めされて、/行(きやう)/相(あい)/済(すん)で、〔絵〕ツウヽヽヽと御 00011380M10/下向(げかう)被成たが、かねかけじやといふ〔絵〕 00011390¥A本利 00011400M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(12オ) 00011410¥P46 00011420¥G 00011430¥N17¥J 00011440¥X 00011450M1/昼(ひる)休ミに、道とん堀へいた。/咽(のど)がかわくゆへ、弐ツ井戸 00011460M2へはしり付、井戸の中を見れば、〔絵〕/釣(つる)へが/落(おち)て有る。 00011470M3〔絵〕こちらをのぞいても/仕(し)様ふが無い。/日中(につちう)で/咽(のど)がヒイ 00011480M4+いふた〔絵〕 00011490¥A丁子園 00011500M6△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(12ウ) 00011510¥N18¥J 00011520¥X 00011530M8申、/此間(このあいた)の/〔絵〕(まる)/印(しるし)の事、〔絵〕こちらからも申ており升。 00011540M9〔絵〕此様ふにもつれてこざります。おまへさまが/〔絵〕(なか) 00011550M10へはいり、〆くゝりして、どふなります。しらべて御ろう 00011560M11じませ〔絵〕 00011570¥A馬宥 00011580M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(13オ) 00011590¥P47 00011600¥G 00011610¥N19¥J 00011620¥X 00011630M1/縁(ゑ)ンの/事(こと)は/親(おや)のまゝにもならぬ。〔絵〕にすじめ、〔絵〕に 00011640M2/身上(しんしよう)、/聟(むこ)の/気(き)の〔絵〕まつすぐな人じやが、どふしやる。 00011650M3ハイ、/私(わた)しや〔絵〕これ/次第(しだい)〔絵〕 00011660¥A一雄 00011670M5△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(13ウ) 00011680¥N20¥J 00011690¥X 00011700M7〔絵〕よしやばしへ花火を見にいたが、チトくめんかわる 00011710M8い。/其(その)かわりに、人がおさいですゝしい事ジヤ。Sそのは 00011720M9づじや。ふきぬきじや〔絵〕 00011730M10△△一△ヨシヤハシ△△二△ヒカシボリ 00011740M11△△三△一ノカハ△△△四△八ケンヤ 00011750M12△△五△シヨギンコ△△六△ヒゼンシマ 00011760M13△△七△テンジンバシ 00011770¥A一九 00011780M15△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(14オ) 00011790¥P48 00011800¥G 00011810¥N21¥J 00011820¥X 00011830M1〔絵〕/玉子(たまご)を/皮(かハ)/口切(くちきる)といふ事じやが、/此間(このあいた)切ツて見たら、 00011840M2われた。料理人Sソリヤ/下(した)ニ/真綿(まわた)コウ引〔絵〕Sなる/程(ほど)、 00011850M3もちハもちやじや〔絵〕 00011860¥A慶山 00011870M5△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(14ウ) 00011880¥N22¥J 00011890¥X 00011900M7あわの家中、大井川で〔絵〕水/練(れん)に仕そんじ、国元へ帰り、 00011910M8〔絵〕丸二年程、/凝(こつ)て/稽古(けいこ)したが、剛ひものじや。〔絵〕丸 00011920M9三年目にハ、/一家中(いつかちう)での玉になつた〔絵〕 00011930¥A一雄 00011940M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(15オ) 00011950¥P49 00011960¥G 00011970¥N23¥J 00011980¥X 00011990M1/蕎麦(そば)/振舞(ふるまい)に〔絵〕かくわんで喰した。膳ハ又結構な〔絵〕 00012000M2/角(すミ)丸で有ツたが、上方で出来たのとわミゑん。東国の仙台 00012010M3ぜんかしらぬ〔絵〕 00012020¥A里丸 00012030M5△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(15ウ) 00012040¥N24¥J 00012050¥X 00012060M7/頼家(よりいへ)公、/坂本(さかもと)に/居城(きよしよう)し給ふ。佐&木ハ〔絵〕/魚鱗(ぎよりん)の/備(そな)へ、 00012070M8〔絵〕右ハ/後藤(ごとう)、〔絵〕左りハ/義村(よしむら)、/後陣(ごじん)ハ/造酒頭(ミきのかミ)〔絵〕 00012080M9長/蛇(じや)の備へ、〔絵〕/遠巻(とうまき)に/責(せめ)よせる。いち時にどんぐハん 00012090M10+〔絵〕 00012100¥A一九 00012110M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(16オ) 00012120¥P50 00012130¥G 00012140¥N25¥J 00012150¥X 00012160M1/貴様(きさま)ハ〔絵〕丸いものジヤが、ひがしの友たちが、〔絵〕 00012170M2此様ふにゆかんて居る。にしの友だちも、〔絵〕此様ふに 00012180M3ゆかんでゐる。あんな友達に/附合(つきあふ)ゆへ、親父が/〔絵〕(いち)いれ 00012190M4る、母じやが〔絵〕ふくれる。〔絵〕親父かふくれる。マ 00012200M5ア徳利と、しあん召れ〔絵〕 00012210¥Aイヨ友 00012220M7△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(16ウ) 00012230¥N26¥J 00012240¥X 00012250M9やもめ住の人、住吉へ参詣するに、あべの/海道(かいどう)/経(へ)て、そり 00012260M10橋を渡りて、堺筋から戻ツたが、/足(あし)がすりこぎになつた 00012270M11〔絵〕 00012280M12△△本カイドウ△△内 00012290M13△△アベノカイドウ△△ソリハシ 00012300M14△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(17オ) 00012310¥P51 00012320¥G 00012330¥N27¥J 00012340¥X 00012350M1/注連(しめ)の内、/店(ミせ)の子供〔絵〕/橙(だい+)をふぐりにして、/宝(ほう)引を初め 00012360M2る。〔絵〕/紐(ひも)を付ケて、サア/皆(ミな)引ケといふ処へ、旦那見付 00012370M3ケて、コリヤ、勝負事ハ御法度ジヤ。/余所(よそ)へ/聞(きこ)へてハなら 00012380M4ぬ。Sいへ+。くるりと〔絵〕内わてござり升〔絵〕 00012390¥A丁子園 00012400M6△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(17ウ) 00012410¥N28¥J 00012420¥X 00012430M8〔絵〕/如是(こんな)/皮鯨(かわくじら)買ふてくれといふ。今の/皮鯨(かハくしら)ハ/喰(く)へん。 00012440M9Sイヤ、/味(むま)ひ事ハ/受合(うけあい)ます。丸でいやなら、〔絵〕/半(はん)分て 00012450M10も切りませうかS半分もマア〔絵〕よしにしよ〔絵〕 00012460¥A慶山 00012470M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(18オ) 00012480¥P52 00012490¥G 00012500¥N29¥J 00012510¥X 00012520M1〔絵〕ふとん/着(き)て寐た/姿(すがた)なら東山。/西(にし)大谷から清水、八坂、 00012530M2〔絵〕此様ふにかけ廻り、/霊山(れいざん)、丸山、/祇園(ぎおん)、〔絵〕此/辺(へん)を 00012540M3ぐる+/歩行(あるき)、知恩院の/家根裏(やねうら)見て、〔絵〕/縄手(なわて)迄すいと 00012550M4出た〔絵〕 00012560¥A一雄 00012570M6△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(18ウ) 00012580¥N30¥J 00012590¥X 00012600M8住吉/下向(げかう)に、/庚辛(かうしん)へ/参詣(さんけい)せんと、天王寺へ行道で、小便ン 00012610M9が仕たさに、道ばたの〔絵〕/土坪(どつほ)へ立よる所へ、子ども大 00012620M10勢/縄(なわ)で〔絵〕ぐるりと取/巻(ま)く。コリヤどふすると、S/道祖= 00012630M11神祭(どろく=じんまつり)じや。銭くれといふ。銭ハ無いといふ所へ、又大ぜい 00012640M12〔絵〕ぐる+と取りまいた。/庚辛(かうしん)さんで、さるとハこま 00012650M13つた〔絵〕 00012660¥A丁子園 00012670M15△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(19オ) 00012680¥P53 00012690¥G 00012700¥N31¥J 00012710¥X 00012720M1/歯(は)ぬきやに〔絵〕年付/歩行(あるい)たが、何ンにも覚へた事がない。 00012730M2やふ+〔絵〕/博多(はかた)ごまの/細工(さいく)を/仕覚(しおぼ)へ、どふやらかうや 00012740M3ら、此/頃(ごろ)では〔絵〕ト、ゆがんだなりに親を/養(やしな)ひます。マ 00012750M4ア手しよくになりました〔絵〕 00012760¥A秋六 00012770M6△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(19ウ) 00012780¥N32¥J 00012790¥X 00012800M8のりやのむすこ、〔絵〕イものジヤが、/孝行(かう+)物。となりの 00012810M9持〔絵〕/長者(てうじや)へ貰われ、跡とりになつたが、〔絵〕の目が 00012820M10ねといふものは〔絵〕 00012830¥A秋六 00012840M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(20オ) 00012850¥P54 00012860¥G 00012870¥N33¥J 00012880¥X 00012890M1〔絵〕此様ふな大きななめくじらががわいたが、来てミやん 00012900M2せ。〔絵〕/角(つの)が二またになつて、〔絵〕/尾(おが)チヨイとミへる。 00012910M3〔絵〕/耳(みゝ)がでける、あしがある。見ている間に、なめくじ 00012920M4らが山くしらになつた〔絵〕 00012930¥A一九 00012940M6△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(20ウ) 00012950¥N34¥J 00012960¥X 00012970M8旦那S長吉よ。さいぜんいふた、二階な笠をおろして置た 00012980M9か△長吉Sハイ。おろしにさんじましたが、〔絵〕笠ハ〔絵〕 00012990M10鼠のふんじややら、〔絵〕蜘の巣しややら。そふして〔絵〕 00013000M11此様ふなせんべいのよふなものも、引てごさりました。旦 00013010M12那Sソリヤ朝日山であろ〔絵〕 00013020M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(21オ) 00013030¥P55 00013040¥G 00013050¥N35¥J 00013060¥X 00013070M1夜光の玉を弐十両の質に取ツたが、晩に光るかしらん。か 00013080M2ぶらにや能ひが〔絵〕 00013090¥A慶山 00013100M4△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(21ウ) 00013110¥N36¥J 00013120¥X 00013130M6/流星(よまいぼし)は火じや。〔絵〕ツイと/往(い)て/消(き)へる。〔絵〕/星(ほし)もやハり 00013140M7火じや。/月(つき)は/陰(いん)で水じや。ソコデ三ケ月で、雨を/占(うらな)ふ。 00013150M8〔絵〕すいくハの/形(かたち)〔絵〕 00013160¥A一九 00013170M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(22オ) 00013180¥P56 00013190¥G 00013200¥N37¥J 00013210¥X 00013220M1〔絵〕六面の内へ、〔絵〕同寸の/率(すい)を/容(いれ)る。是に一三五を 00013230M2/乗(じやう)じて、/塞割(さいわり)となる〔絵〕 00013240¥A一九 00013250M4△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(22ウ) 00013260¥N38¥J 00013270¥X 00013280M6/亭主(ていしゆ)、毎夜出/歩行(あるく)を、内儀、〔絵〕此様ふな廻り気になる 00013290M7中から出て行。〔絵〕内義、/角(つの)をはやす。亭主こまつて、 00013300M8/最(も)ふでん+といふた〔絵〕 00013310¥A一九 00013320M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(23オ) 00013330¥P57 00013340¥G 00013350¥N39¥J 00013360¥X 00013370M1町内にて花火焚事無用と有るを、子ども集ツて、花火を 00013380M2〔絵〕シユヽヽヽヽシユヽヽ焚たら、お宿老から、尻リが 00013390M3来た〔絵〕 00013400¥A一雄 00013410M5△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(23ウ) 00013420¥N40¥J 00013430¥X 00013440M7/七浦(なゝうら)うかむといふ、/何(なん)ぼ程ちいそふても、〆目からの銀子 00013450M8じや〔絵〕 00013460¥A小児の作 00013470M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(24オ) 00013480¥P58 00013490¥G 00013500¥N41¥J 00013510¥X 00013520M1〔絵〕/如此(こんな)/木瓜鍔(もつかうつば)、何ほじやと/問(と)ヤ、四両三歩じやといふ。 00013530M2弐歩に/買(かを)ふといふたりや、〔絵〕かこして、/持(も)ツていんだ 00013540M3〔絵〕 00013550¥A我宿 00013560M5△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(24ウ) 00013570¥N42¥J 00013580¥X 00013590M7此間、久しぶりで国元へいんで来た。/海(うミ)の中へ〔絵〕如此、 00013600M8/綛(かせ)が打ツて有る。又/手前(てまへ)にも〔絵〕此様ふに打ツて、/其間(そのあい) 00013610M9だ、〔絵〕/縄(なわ)ばりがして、是だけが/田地(でんち)になるといふが、 00013620M10〔絵〕じやないか知らん〔絵〕 00013630¥A慶山 00013640M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(25オ) 00013650¥P59 00013660¥N43¥J 00013670¥X 00013680M1十三/峠(とうけ)、/始(はじめ)て/越(こへ)たが、西の方ハ〔絵〕此様ふにゆがんで有 00013690M2る。今度から/下(おり)る時は、まつすぐに〔絵〕すいとおりたい 00013700M3ものじや。Sソリヤあぶない。そふおりたりや、ことじ 00013710M4や〔絵〕 00013720¥A一九 00013730M6△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(25ウ) 00013740¥N44¥J 00013750¥X 00013760M8/常悦(じやうゑつ)むほん/露顕(ろけん)の時、〔絵〕/椀(わん)の〔絵〕/湯気(ゆげ)を見て、はけ、 00013770M9めんやふな〔絵〕 00013780¥A慶山 00013790M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(26オ) 00013800¥P60 00013810¥G 00013820¥N45¥J 00013830¥X 00013840M1/蟇(かいる)の子ども、/親(おや)の/敵(かたき)うたんと、/四疋(しひき)申合、〔絵〕此様ふに 00013850M2/備(そな)へを立テて待ツてゐる。/蛇(へび)ハ/蟇(かいる)の/勢(いきほ)ひにおそれ、〔絵〕 00013860M3にげ出す。子ども是を見、/如是(こんな)〔絵〕石を打付ケると、じ 00013870M4だんだふんだ〔絵〕 00013880¥A慶山 00013890M6△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(26ウ) 00013900¥N46¥J 00013910¥X 00013920M8かたくろしひ〔絵〕箱さしたよふな人じやが、〔絵〕こん 00013930M9な/勝(かつ)山にかよひ出し、〔絵〕さしもの〔絵〕かふてやり、 00013940M10いろ+としても、/今(いま)だに二の上でツン+じや〔絵〕 00013950¥A本利 00013960M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(27オ) 00013970¥P61 00013980¥G 00013990¥N47¥J 00014000¥X 00014010M1〔絵〕/如此(こんな)/古(ふる)イ/短冊(たんざく)、/何程(なんぼ)じやと/問(と)や、六分でござり升と 00014020M2いふ。〔絵〕文ニさんせ。まかりません。そんなら、マア 00014030M3〔絵〕文買ふか。Sこまかいな〔絵〕 00014040M4△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△G 00014050M5△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(27ウ) 00014060¥N48¥J 00014070¥X 00014080M7〔絵〕久吉公、/瓢覃(ひようたん)の/馬印(むましるし)の下ニ〔絵〕加藤の/紋所(もんところ)ミて、 00014090M8/敵(てき)の/軍勢(ぐんぜい)、Sまた、はかり事ニかけるのじや〔絵〕 00014100¥A我宿 00014110M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(28オ) 00014120¥P62 00014130¥G 00014140¥N49¥J 00014150¥X 00014160M1/私(わ)しが紋ハ為十郎めく。丸を/角(かく)にしてハ〔絵〕どふ有ふ。 00014170M2S友だちそりやわるい。笑ふ事は/膳(ぜん)の/上(うへ)のはしジヤ〔絵〕 00014180¥A後雛丸 00014190M4△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(28ウ) 00014200¥N50¥J 00014210¥X 00014220M6浦賀問屋の手代、番船を今や+と待ツてゐる。〔絵〕此 00014230M7様ふな印の帆ミゆると、ソリヤ一チじやといふ内、又〔絵〕 00014240M8波を切ツて来る。何れが一番といふ内、ハヤ帆綱を〔絵〕 00014250M9トおろしかける。手代、旦那の前へ出て、目出度ふ着岸仕 00014260M10りました〔絵〕 00014270¥A慶山 00014280M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(29オ) 00014290¥P63 00014300¥G 00014310¥N51¥J 00014320¥X 00014330M1植木屋の棚に、〔絵〕此様ふな鉢に、/檀特花(だんどく)が咲て有る。 00014340M2〔絵〕あまり/珍(めづら)ら/敷(しい)、/廉直(れんちよく)な花ゆへ、直だんハ何程じやと 00014350M3問ふたら、三両弐歩ジヤといふ。/唐(から)ものか、なんぞのよふ 00014360M4に、人をうつむけにした〔絵〕 00014370¥A慶山 00014380M6△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(29ウ) 00014390¥N52¥J 00014400¥X 00014410M8/内義(ないぎ)の/奇麗好(きれいず)き、/朝(あさ)ハほこりはらふ、あをぎ出す、/団(うちハ)かゞ 00014420M9ミのよふな〔絵〕 00014430¥A帋丸 00014440M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(30オ) 00014450¥P64 00014460¥Y抜△△△△△△△△△△△△△一九祝画述 00014470L3△△△千年の松よりもまだ/高燈篭(たかとうろう) 00014480L4△△△△/〔絵〕(うミ)船見れば/沖(おき)の/片(かた)かな 00014490L5ト詠ハ、それハ画咄してハない。文字じや。Sイヤ、是も 00014500L6目出度、墨の画しや〔絵〕(30ウ) 00014510¥G 00014520M1絵の事ハ、/素人(しろと)/美工(くろと)によらす、はなしは古きをもつて新し 00014530M2くあやなす趣向。これ一九老人か一/工夫(くふう)なり。かくて四方 00014540M3の/滑稽(ちやり)人こそり集り、まと居して、舌切らぬ雀のちや+ 00014550M4くちやとはなし合ひしか、終には/空言(うそ)も一冊の本とハなり 00014560M5ぬ。けに百物かたりの仕舞際には(31オ)見こし入道の首の 00014570M6長きか出るものなれと、夫はむかしに古狸、新咄五六十の 00014580M7奥のはしに、三日坊主か短かくも筆をとりはへる 00014590M8△△△おさめの庚申の晩△△△△△△△△△ひな丸 00014600M9△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(31オ) 00014610¥Q 00014620M10△△△△△浪華一九選著 00014630M11文化七午年臘月発行 00014640M12△△△△△△△北久太郎町三丁目 00014650M13△△△△△△△△△△△△大和屋佐吉 00014660M14△△△△△△△内本町松屋町 00014670M15摂陽書林△△△△△△△△正本屋利兵衛 00014680M16△△△△△△△心斎橋北久太郎町 00014690M17△△△△△△△△△△△△河内屋喜兵衛 00014700¥P65 00014710¥U噺本大系△第十九巻 00014720¥T/身振噺(みぶりばなし)/寿賀多八景(すがたはつけい)△〔尾題〕 00014730¥G 00014740¥Y 00014750L14文化十一年正月刊 00014760L15臥龍園序 00014770L16三笑亭可楽作 00014780L17歌川美丸画 00014790L18村田屋治郎兵衛等板 00014800L19中本一冊 00014810¥Y 00014820M1/可楽丈(からくしやう)か/作意(さくい)ハ、あるか中の市川と/誉(ほめ)て、/噺家(はなしか)の/座頭(さかしら)とよ 00014830M2はれ、/三笑亭(さんしやうてい)の/家号(かこう)は、三/升(しやう)の/清濁(せいたく)より/発(おこ)りて、団十良 00014840M3とゝもに/其名(そのな)/高(たか)し。/今(いま)/著(あらは)す/身振姿八景(ミふりすかたはつけい)は、(序1オ)/世(よ)に/成= 00014850M4田屋(なり=たや)か/大当(おほあた)りをかねたり。これを/本屋(ほんや)の/本舞台(ほんふたい)として、か 00014860M5さりつけのさくら木にえるに、/見物(けんふつ)しきりにあくかれて、 00014870M6/戯場(しはゐ)の初日を/待(まつ)かことしと、/書肆(ふミや)かはなしを(序1ウ)その 00014880M7まゝ/狂言綺語(きやうげんききよ)の/序幕(しよまく)にしるす 00014890M8△△△△△△△△△△△△△△△△葛飾隠士△臥龍園 00014900M9△△△戌孟春 00014910¥G(序2オ) 00014920¥P66 00014930¥G(序2ウ・口一オ) 00014940¥Yたいこ持△@鶴松|亀六@ 00014950M4うたSどう※どつとはげしき/夜(よ)すがら△もうしうの/雲(くも)に 00014960M5まぎれてうせに引ケヱヽリ引△三ミせんSチヤン△Sやんや 00014970M6ア引。サテチトいたゞきましやう。/時(とき)にもし、/此間(このあいだ)/御蔵(おくら)び 00014980M7らきにハ、/甚孝(じんかう)と/羅月(らげつ)さんが上りましたそうでこざります。 00014990M8(序2ウ)イヤ、またじつに甚孝がSざとう△Sなまゑひと 00015000M9申ものハ、どうもかんしんでござります。羅月さんの/五節句(ごせつく)、 00015010M10はな/毛(げ)のばしなぞといふものハ、/別(べつ)なものでござります。 00015020M11/私(わたくし)もめくらへびで、此せつ、すがた/八景(はつけい)と申スのをあんじ 00015030M12ましたが、ちよつと二ツ三ツ、おめにかけましやう(口一オ) 00015040¥Y/寿賀多八景(すがたはつけい) 00015050M14△△△△△目録△△△△△△△△△三笑亭△可楽述 00015060M15△△きをひの/年礼(ねんれい)△△△△おかみさんに/成始(なりはじめ) 00015070M16△△/料理茶屋(りやうりちやや)の/娘(むすめ)△△△△/婆(ば)アさん/小桶(こをけ)の/一曲(いつきよく) 00015080M17△△あさかへり△△△△△/金持(かねもち)に/成始(なりはじ)め 00015090M18△△/談笑家(はなしか)に/成(な)り/始(はじめ)△△△/辻君(つじきミ) 00015100¥Q◇@後篇|身振@/寿宇仁都喜(じゆうにつき)△△△来亥春出板◇ 00015110M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(口一ウ) 00015120¥P67 00015130¥N1¥J 00015140¥X◇きをいの/年礼(ねんれい)◇ 00015150L3/出立(いでたち)三十四五、/目(め)くり+とした大がらの/男(をとこ)なり。もつとも/剃(すり)た 00015160L4てあたまの/丸(まる)びたい、さかやきの/中(なか)に/三ケ月(ミかつき)なりの/疵(きず)あり。/衣(い)し 00015170L5やうつきハ/紺(こん)みぢんの/布子(ぬのこ)、/山形(やまがた)に/四角(しかく)な/字(じ)のついた/革(かわ)ばをり、 00015180L6/手綱(たづな)ぞめの/三尺(さんじやく)をしめ、/朱革(しゆかわ)のさげたばこ入に、/粉(ふん)で/角(かく)つなぎを 00015190L7きめこんだやつ。かなものハ/鉄(てつ)の/棒(ぼう)で、/根付(ねつけ)ハ/狼(おふかミ)のうハ/腮(あご)を黒ぬ 00015200L8りにしたの也。そろばんしぼりの手ぬぐひをねじつてつかミ、/中(なか) 00015210L9じきりの/障子(しやうじ)をあけて、ぶちかへりそうにかしこまり、すこしま 00015220L10き/舌(した)にて、(一オ) 00015230¥G 00015240M1Sヘイ、だんな。あけましてハけつかうな/春(はる)でござります。 00015250M2びろうながら/御慶(ぎよけい)申上ます。此/凧(たこ)ハおぼうさんへおとし/玉(だま) 00015260M3でござります。おぼうさんハ/画(ゑ)のハおきらいだから、/字(じ)だ 00015270M4こにいたしました。御らうじまし。おやぢ/橋(ばし)の/金蔵(きんざう)でござ 00015280M5ります。/是(これハ)/忠臣蔵(ちうしんぐら)の/忠(ちう)の/字(じ)だと申ますから、/直段(ねだん)ハ四十七 00015290M6文で/能(よか)らうと申ましたら、そんなら忠ウ(一ウ)ぱらの忠の 00015300M7字なら五十五〆に/買(かい)なさるかと、口のへらねへやつさ。イ 00015310M8ヤ、おじやうさんにもおとし玉をあげましやう。御らうし 00015320M9まし。此くさ/双紙(そうし)ハ/豊国(とよくに)か/画(かい)たので御ざります。おぢいが 00015330M10よんでおめにかけましやうね。此ソレ、大の字があの字を 00015340M11くどいております/所(とこ)へ、久の字がかゑつてきて、おゝきに 00015350M12はぢをかゝせますから、そこで大の字めが、こいつを(二 00015360M13オ)ねはに/思(おも)つて、それ、ごろうじまし。こちらをあける 00015370M14と、/田甫(たんぼ)で大の字と八の字が、久の字を/切(きり)ころしてにげま 00015380M15すと、/其跡(そのあと)へうなぎといふ字かかけつけて、すてきとくや 00015390M16しがります。ネヱ、もし/旦那(だんな)。コリヤア、うなぎと申す字 00015400M17でござりますネ。○ヘヱ、/奴(やつこ)と申字かね。それでもすわ町 00015410M18のうなぎ屋ののれんに、こんな字が書てござります。ヲイ、 00015420M19お/茶(ちや)か。これハ(二ウ)御ちそうだの。おさんどん。こんた 00015430M20にゑゝてへばつかりで、わざ+きた。しかし/其手(そのて)じやア 00015440¥P68 00015450L1あやまるぜヱ。こんたもまだ/徳平(とくへい)と/中(なか)たげへハできねへな。 00015460L2せい/出(だ)してはたらかつせへ。三月ハ/女房(にようぼう)にしますなア。ネ 00015470L3ヱ、おじやうさん。ヱヽ、うそでございます+。さんを 00015480L4つれていつちやアおいやかね。さんハおめへさん、/国(くに)に/言= 00015490L5名(いゝ=な)づけがござります。ナニ、うそなものか。おれがしつて 00015500L6る。/〆切新田(しめきりしんでん)の(三オ)/勘太(かんた)どんだろう。しかも/媒介(なかうど)ハ/田(た)ツ 00015510L7はたの/源(げん)ねむさまだろう。アレ、御らうじまし。ちけへね 00015520L8へそうで/笑(わら)つております。イヤ、/子僧(こぞう)どん。あさつてハお 00015530L9/礼(れい)の/御供(おとも)ハきさまだろう。ことしやアあんまり/糀町(かうじまち)で、ぞ 00015540¥G 00015550M1うにをくわねへがいゝぜへ。/去年(きよねん)ハふんどんいせ屋で、 00015560M2べらぼうにぞうにを/喰(く)ツたもんだから、/帰(けへ)りにせつちんへ 00015570M3/行(い)きてへツて、/大(おゝ)きにこまるやつさ。ぞうにと(三ウ)申せ 00015580M4バ、/旦那(だんな)、/去年(きよねん)の/暮(くれ)ハちん/餅(もち)にかゝりましたが、いかんや 00015590M5つでござります。/胸(むね)ばつかしやけて、よし町の/外科医者(げくわいしや)を 00015600M6見たよふに、/毎日(まいにち)/釜(かま)ばかり、にやつけへにしておりました。 00015610M7わつちらん/野郎(やらう)が、いゝ事を申ました。おとつさんハよそ 00015620M8のばつかりついて/居(ゐ)るツサ。イヤ、ほんに/旦那(だんな)。二三日の 00015630M9/内(うち)に、/戸前口(とまへぐち)をバおあけなさりまし(四オ) 00015640¥N2¥J 00015650¥X◇/料理茶屋(れうりちやや)の/娘(むすめ)◇ 00015660M12/女(をんな)の/帯(おび)と/着(き)ものをかりて、/野郎(やらう)あたまへてぬぐひをかぶり、/右(ミぎ)の 00015670M13/手(て)に/長(なが)ひきせるをもち、/左(ひだり)の/手(て)の/甲(かう)を/口(くち)へあてゝ、(四ウ) 00015680M14Sヲヤ+/山(やま)さん。おまへさん、マアどふなさいましたへ。 00015690M15きついお/見(ミ)かぎりでございますね。さぞおまへ/様(さん)、/嚏(くしやミ)をな 00015700M16さいましたろう。いかな/日(ひ)でも、おまへさんのおうわさの 00015710M17/出(で)ない日ハござりません。ほんに、/高尾(たかを)じやアございませ 00015720M18んが、わすれねバこそ/思(おも)ひいださずそうろうさ。アレまア、 00015730M19あんなにくい事をと、@うしろをふ|りむいて、@おつかさん、ごらんな。/私(わたくし) 00015740M20の/事(こと)を/宿(やど)なしのしらミといふもんで、(五オ)口さきでころ 00015750¥P69 00015760L1すツサ。いつまア、おまへさんハそんなわる口におなんな 00015770L2さいましたへ。ヲヤおまへさん、ほんにせじじやアござい 00015780L3ませんよ。/此間(このあいだ)の/晩(ばん)も、おまへさんのおいでなすつた/夢(ゆめ)を 00015790L4ミて、ミんなにおゝきになぶられました。その/夢(ゆめ)がおかし 00015800L5いのさ。おまへさんとわたくしと/哥(うた)かるたを取ツておるゆ 00015810L6めさ。あれがやつぱり、/身(ミ)をつくし(五ウ)てもあわんとぞ 00015820L7おもふと申す/私(わたく)しのこゝろいきさ。しかし、山さんハじや 00015830L8うなしといふものだから、/私(わたく)しにハ、あハで/此世(このよ)をすぐし 00015840L9てよとやと、おつしやるおこゝろいきでござりましやう。 00015850¥G 00015860M1ヲヤ、/哥(うた)かるたと申せバ、/先(せん)だつてハ/二階(にかい)の/袋戸(ふくろど)を、/大(おゝ)き 00015870M2にありがたふございます。まことにおつかさん。山さんハ 00015880M3御きよふだ(六オ)ねへ。なか+おまへさん、/経師屋(きやうじや)が/張(は) 00015890M4ツても、あのよふにきれいにハできません。マアちつと、 00015900M5おあがんなさいましな。イヽヱ、おまへさん。二かいで/騒(さわ) 00015910M6いておるなア、お/客(きやく)じやアございません。ミんな/内(うち)のもの 00015920M7でございます@ト二かいのほうを△|△むいて大キナ/声(こゑ)で、@コレサ、梅ヤ、梅ヤ三ヤ。 00015930M8リヤンだな。ちつとしづかにしねへな(六ウ) 00015940¥N3¥J 00015950¥X◇/朝(あさ)がへり◇ 00015960M11あたら/夜(よ)のあけてくやしき/玉手箱(たまてはこ)。たま+ことの/里通(さとかよ)ひ、/翁(おきな) 00015970M12+とおこされて、ねぼけたつらのありさまハ、ぼたんにたわむ 00015980M13れ/仁朱(にしゆ)の/客(きやく)、/色(いろ)の/黒(くろ)いハゆるしても、口ゆへ人ににくまれもの、 00015990M14/稽古所(けいこじよ)の/障子(しやうじ)をあけて、(七オ) 00016000M15Sイヨウ、/是(これ)ハ/不男(ぶおとこ)の/参会(さんくわい)がはじまつたの。こふ見た/所(ところ)ハ 00016010M16/夏芝居(なつしばい)の/累(かさね)といふもので、とふなすやかぼちやに、めはな 00016020M17がついてるやふだ。うしろにゐるなアだれだ。/鬼安(おにやす)さんか。 00016030M18どふしても、おせわやきが/不男(ぶをとこ)といふものだから、/同気(どうき)あ 00016040M19いもとむるの。イヤ、又ひとりきた。/是(これ)ハはや、いつれを 00016050M20見ても/山家(やまが)そだち。/菅秀才(くわんしうさい)のお/身(ミ)かわりに/立(たて)よふといふ/首(くび) 00016060¥P70 00016070L1ハ、(七ウ)/一(ひ)ツとつもねへ。したが、/各(おの)+/婦人(ふじん)の/方(ほう)ハ/思(おも) 00016080L2ひ切たと見へて、手ぬぐひも、それハうハきな/水(ミづ)あさぎた 00016090L3アいかねへの。なんだ。フウ、/新橋(しんばし)でそめ出した$$ぬ 00016100L4か。こりやアはや、かまつた/所(ところ)が/女(をんな)のほうでかまわぬだろ 00016110L5う。イヤ、女といへば、こんど/表(おもて)のさがミやへ/来(き)た/女中(じよちう)ハ、 00016120L6べらぼうに/身(ミ)をしてあるくの。あいつもくどいたら、たて 00016130L7にかぶりをふるたちだ。そして(八オ)つらが/芋(いも)だらけで/栗(くり) 00016140L8+とふとつて、おまけに/鼻(はな)が/団子(だんご)のよふだ。あいつアお 00016150L9ゝかた、お月さまの/告子(もふしご)だろう。ほんにはらアたちなさん 00016160L10な。/安(やす)さん。おめへを女にすると、づぶあれだによ。ノウ 00016170L11仙こふ。よつぽどよく/似(に)ている。とてもあやめかきつばた 00016180L12とハいかねへが、まことに/柚(ゆず)を二ツに/割(わ)らずに其まゝだ。 00016190L13そら+、またあば七さんが/来(き)た。/段(だん)+ぶ男の/講中(こうぢう)が 00016200L14(八ウ)あつまる。なんと、七こうがあたまもひどくはげた 00016210L15の。とんと/薬鑵(やくわん)に/目鼻(めはな)をつけたよふだ。これて/手桶(ておけ)やてう 00016220L16ちんにめはながつきやア、いよ+/累(かさね)のおんりやうにうた 00016230L17がいなしだ。ヤ、ホンニかさねといへバ、/夕部(ゆうべ)/音(おと)べヱが/買(かう) 00016240L18/女郎(じよろう)を見たが、べらぼうに/大(おゝ)キな女だの。あれで/新内(しんない)がす 00016250L19きとハ、チトふとゞきだ。大ざつまで/出(で)よふといふなりだ。 00016260L20あいつもよつ/程(ほど)/茶人(ちやじん)だ。(九オ)どふいふ/気(き)で/音(おと)べヱにほれ 00016270M1たろう。やつぱりいつぞやしたの/日待(ひまち)の/夜(よ)、/落(おと)し/噺(ばなし)や口あ 00016280M2いで、ぶちころしたのか。ちくしやうづらめ。ほんに/仙(せん)こ 00016290M3う、こんど/一(い)ツしよにいつたら見さつし。/音(おと)べヱとあの女 00016300M4郎とならんで/居(ゐ)るとこア、ずぶ/原庭(はらには)のめうと石よ。ヤ、/今= 00016310M5朝(け=さ)のなりがどふもイヽ。おくつて/出(で)やるはだうすのすがた 00016320M6を見れバ、/船(ふね)いつぺへさ。(九ウ)あいつアやつぱり女郎を 00016330M7やめて、/碁盤(ごばん)でらうそくの/火(ひ)をけすほうが/銭(ぜに)になる。そし 00016340M8てまた、/音(おと)べヱもあの女郎も、ごふぎに/喰(くら)ふぜヱ。/夕部(ゆふべ)も 00016350M9/馬(むま)の/小便(しやうべん)をミるよふな/酒(さけ)をがぶ+がぶ+、やがて/一斗(いつと) 00016360M10ぢかくも/喰(くら)ツたろうよ@トうわさをしてゐる|△折しもおもてゞ、@八九/升(せう)+@トくさめを|△しながら@ 00016370M11@/這入(はい)るハ/一寸(ちよつと)さ|しかへまして、@(十オ) 00016380¥N4¥J 00016390¥X◇/談笑家(はなしか)に/成(なり)はじめ◇ 00016400M14/衣(い)しやうつき/黒(くろ)つむき、七ツ/時分(じぶん)、じゆばんハ/両袖(りやうそで)ばかりやわら 00016410M15かく、もつともすゝたけに/釜(かま)しき、/梅(むめ)ばちの/中(ちう)かた、うらハもへ 00016420M16たゝぬよふな一ト/粒(つぶ)/鹿(か)の子、/帯(をび)ハ二ぢうどんすの/二重(ふたへ)、まわりを 00016430M17むすばずにちよいとはさみ、/中(なか)をれのぞうり/下駄(けた)で、/三馬(さんば)が/所(ところ)の 00016440M18はミがきをつかいながら、かみゆい/床(どこ)の/障子(しやうじ)をあけて、(十ウ) 00016450M19Sヨ、これハこみ山町三丁目だの。まづ上りの/天神(てんじん)さまと 00016460M20しよふ。サア、上りハあがつたが、やぶれた/的(まと)だの。いる 00016470¥P71 00016480¥G 00016490L12/所(とこ)がないときこへやすか。/仙公(せんこう)、おめへの/床(とこ)も、せめてモ 00016500L13ウ三尺ひろいといゝ。どうもチツトふつつりりんきだぜヱ。 00016510L14せまいぞといふ/洒落(しやれ)さ。ヲヤ、だれだとおもつたら/下駄(けた)や 00016520L15さんだの。ほんに、おめへに/去年(きよねん)のがちつとはかりあつた 00016530L16つけ。二三日(十一オ)ぢうにこゝまで出しておこう。此せ 00016540L17つは、はらい/扇(あふぎ)ばこか。おめへもいろ+に/身(ミ)をやつすの。 00016550L18それほどしんらうなされても、いまだ/本望(ほんもう)ハとげたまハづ 00016560L19かの。とんだかたきうちがあつたもんだツ。/金(きん)さん。でへ 00016570L20ぶねむそうの/尺八(しやくはち)ときているね。きのふ/大師(だいし)さまでお/見(ミ)か 00016580M1け申したつけ。/今(いま)おかへりかへ。さだめしやぜんハ、あり 00016590M2がたい(十一ウ)お/開帳(かいてう)の/二度(にど)もおがんておいでなすつたこ 00016600M3つたろう。/諸事(しよじ)/世(よ)の/中(なか)ハモシ、/豆大師(まめだいし)てなけりやアさへね 00016610M4へが、しかし、おかミさんがチト、つのだいしでござりや 00016620M5しよう。仙こう。おめへ、おらん/地主(ぢぬし)さまのおぼうさんを 00016630M6しつているの。ムヽ、そうよ。/柳(りう)さんよ。おぼうさんな事 00016640M7もねへすのう、/顔(かほ)をにきびだらけにして。きかつし。あの 00016650M8子が此ごろ、/新(しん)ミちの/文字(もじ)(十二オ)ばかに、すこしほれの 00016660M9うちのお/祖師(そし)様て、/毎日(まいにち)いつちやアはりごふうにしている 00016670M10そうだが、/太郎(たらう|△銭△)があるといふもんだから、むかふもまんだ 00016680M11らじやアあるめへよ。おいらアそんな事ハ/七面(しちめん)どうだとい 00016690M12ふ/気(き)が/有から、とんといかねへ。とこふ、/何(なに)もあさつぱら 00016700M13から、お/祖師(そし)さまづくしてしやれる事もねへす。ちよつと 00016710M14/其毛(そのけ)ぬきをかしな。/髭題目(ひげだいもく)でも(十二ウ)ぬかうツ。なんと 00016720M15仙さん。その/元結(もとい)くずをかつていつて、なんにするのう。 00016730M16ハア、あふぎの/地紙(ぢがミ)になるかの。なるほど、/世(よ)の/中(なか)に/一(いつ)せ 00016740M17つすたるものハねへの。さきばしのけへりが/杉(すぎ)よふじにな 00016750M18る。/黒(くろ)ざとうの/樽(たる)ハ、/中廓(なかミせ)で/売(う)る/天神(てんじん)さまや/紋(もん)づくしのは 00016760M19んこうになるし、/白(しろ)ざとうのはこハ、そうりげたのうらに 00016770M20なる。そうかとおもやアまた、(十三オ)げたのうらをぶつ 00016780¥P72 00016790L1かいたやつが、ろくしやうでぬつて/破魔弓(はまゆミ)の/岩(いわ)になる。そ 00016800L2れよりサ、たばこ/箱(ばこ)の/穴(あな)をくりぬいたやつが、/持遊(もちあそ)びのく 00016810L3るまになるなぞハ、かんしんなものだての。あれから見り 00016820L4やア、/古(ふる)ぼねのへがしが/飛脚(ひきやく)屋へ/行(ゆく)なぞハ、はるか口も 00016830L5とだの。そして/今(いま)じやアつかハねへが、むかしハ/厄(やく)はらい 00016840L6の/豆(まめ)が二もんうり、壱文+の/豆(まめ)いたになつた(十三ウ) 00016850L7そうだの。サア+、わりい/炭(すミ)をくべたから、べらぼうに 00016860L8はねる。此/次(つぎ)はだれた、金さんか。久さん、おめへハだん 00016870L9※/毛(け)かぬけるの。ハア、/痔(ぢ)のせへかの。おらアまた、/坊= 00016880L10主(ぼう=ず)をなしくづしにするのかと/思(おも)つた。おめへの/子供(こども)の/時分(じぶん) 00016890L11にハ、/若衆(わかしゆ)ぶりが/能(よく)ツて、/度&(たび+)/大屋(おゝや)へ。ヤ、/弁(べん)さん、お/帰(かへ) 00016900L12りかへ。おぢさんによろしく。弁こうがあたまも、べらぼ 00016910L13うに(十四オ)おく/行(ゆき)の/長(なげ)ヱあたまだ。/揚弓場(ようきうば)にすれバいゝ。 00016920L14よつぽどうしろへ/出(で)はつているのウ。おゝかた/台(だい)どころだ 00016930L15け/建(たて)たしたろう@トうへ△△|△を見て、@此さみせんのばちも、いぜんハい 00016940L16きな/座敷(ざしき)へも/出(で)たやつだが、今かミゆひ/所(とこ)の/垢(あか)とりとなつ 00016950L17ちやア、ぐつと/世(よ)をすてた/気(き)で/居(い)るだろう。なんの事あねへ、 00016960L18/解蔵(とけぞう)が/浜村屋(はまむらや)の/墓(はか)もりになつた(十四ウ)よふなもんだの。 00016970L19ヲイ、なんだ、あにい。ちらしをはりに/来(き)たのか。ムヽ、 00016980L20のべの札か。ぜんてへ、のべのちらしなら/黄紙(きかミ)へかけばい 00016990M1ゝ。/赤(あけ)ヱ/紙(かミ)ハ/夜(よる)なんざア字がわからねへ。なんだ、/極(ごく)ざい 00017000M2しきうつしゑ。/細工(さいく)人/都楽(とらく)か。こちらハ/新作(しんさく)はなし/初(ぞめ)か。 00017010M3いゝ/手(て)だが、こふ/書(かい)ちやア目にたゝねへ@ト口のうちで|△よみながら、@なん 00017020M4だ、/夢羅久(むらく)・/扇橋(せんきやう)・/東里(とうり)・/錦太郎(きんたろう)・(十五オ)/正三(しやうざう)・/鬼丸(きぐわん)・ 00017030M5/里楽(りらく)・/円生(ゑんしやう)・/寿楽(じゆらく)ツ。ごふぎにうざ+出るの。一トばんス 00017040M6ケにいつて、きもをつぶさせてやろうかしらん。ナニ、/可= 00017050M7楽(か=らく)が三だい/噺(はな)しかへ。ありやアたわへもねへものさ。可楽 00017060M8なんざアよつほどかんげへてはなすが、わたしらア/高座(かうざ)で 00017070M9すぐにはなしやす。此ちうも、/唐人(とうじん)にいもに/燭(しよく)だいと云/題(だい) 00017080M10が/出(で)たから、すぐにはなしたら、ミんなあきれて、(十五ウ) 00017090M11かんにたへたそうで、/顔(かほ)ばかり見ていやした。その/時(とき)のは 00017100M12なしかへ。なんのぞうさもねへ。/唐人(とうじん)がいもを/喰(く)ツて、し 00017110M13よくたいをしたといふ/落(おち)さ。ゆふべもどうだろう。五百/疋(ひき) 00017120M14になるざしきを、とふ+ぶんながして、九ツ/過(すぎ)まで/魚文(ぎよぶん) 00017130M15にのんで居たア。ほんに魚文といへバ、仙さん、/此頃(このごろ)に/妙(ミやう) 00017140M16なとけへ一チ日/呑(のミ)にあいばねへか。おらん/友達(ともだち)の(十六オ) 00017150M17/豆徳(まめとく)といふものが、チヨツヒリした/会席(くわいせき)をはじめたが/妙(ミやう)さ。 00017160M18ヲイ、おれか。やう+お/盃(さかづき)がまわつたの@トしたへ|△おりて、@ヲイ、/熊(くま) 00017170M19こう。その/薬鑵(やくわん)を/取(と)ツてくだつし。おゝ+、/是(これ)ハひなた 00017180M20/水(ミづ)のよふだ。/大一座(おゝいちざ)へぢいさまがまじつたよふに、みんな 00017190¥P73 00017200L1がやくわんをじやまにするから、どうもならねへ。ヲイ、 00017210L2/伊(い)のべヱ。/元結(もとい)をちよつと/切山(きりやま)三りやうとしてくだつし。 00017220L3(十六ウ)コウ、ぬしがしらくもは、まだなをらねへの。お 00017230L4れが此ぢう、おしへたまじないをやつて見さつし。ほんに 00017240L5めうだぜヱ。なんのぞうさもねへこつた、いきているどじ 00017250L6やうをしらくもの上をころがして、/跡(あと)をうめてやるのさ。 00017260L7ウンニヤ、まじねへばつかりハあらそハれねへものだ。/咽(のど) 00017270L8へとげをたつたのに、きん玉を/力(ちから)一ツぱいに、/両(りやう)ほうの/手(て) 00017280L9で(十七オ)ひつぱつていて、大キな/咳(せき)を一ツしやうものな 00017290¥G 00017300M1ら、そりやアもう、くじらのほねでもぬける。ヱ、女かへ。 00017310M2女なら/乳(ちゝ)をきつくひつぱつて、/咳(せき)をせくのさ。ほんにさ、 00017320M3/笑(わ)らいごつちやアねへ。/私(わた)しがいふからうそだと/思(おも)ひなさ 00017330M4るが、ものハためしだから、まアやつて見なせへ。こんな 00017340M5事ア、人におしへてやつてもためになることだ。(十七ウ)ヲ 00017350M6イ+、/伊(い)のべヱ。口をきかずに/剃(すら)ツし。なけなしな/鼻(はな)で 00017360M7もすりおとされちやアならねへ。なんだ。はなを/切(き)りやア 00017370M8/三分(さんぶ)やる。こいつアおもしれへ。きると、うぬ三分とるぞ。 00017380M9アイタヽヽヽひよれひやアがれ。ひやなを、ひりおとひや 00017390M10アはつた。ほのやろうめへ、ひやんぶよこせ+(十八オ) 00017400¥N5¥J 00017410¥X◇おかミさんに/成(なり)はじめ◇ 00017420M13/年(とし)の/頃(ころ)ハ二十三四とミへ、/手(て)あしぶとうにして、すこしあから/顔(かほ) 00017430M14なり。いつもあらひがミなれど、なか+/鬼坊主(をにぼうず)もほれぬたちな 00017440M15れど、まだしも/髪(かミ)のちゞれたところがとりえとミへて、おかミさ 00017450M16んに/歴上(へあが)り、/旦那殿(だんなどの)のきよいに入、此ごろやう+/弘(ひろ)めもすミけ 00017460M17れば、モウすこしのさばりかける、/湯(ゆ)より/帰(かへ)り、あまへたれた/言= 00017470M18葉(こと=ば)にて、(十八ウ) 00017480M19Sさんや、おちやアくりや。そしていぶさねへよふにしや。 00017490M20手めへに火をたかせると、/内(うち)ぢうまつくらになる。ぜんて 00017500¥P74 00017510L1へ、てめへハ/火(ひ)の/焚(たき)よふがへたゞ。みじかいのを一ツ本よ 00017520L2こにわたして、へつついの/中(なか)をすかすよふにしてみやな。 00017530L3そしての、きやうだいもこゝへ出そうし、かミいさん/所(とこ)へ 00017540L4もいつて/来(き)や。ヲヤ、どふしやう。ゆうやへ/浴衣(ゆかた)をわすれ 00017550L5てきた。ちよつと(十九オ)/子僧(こぞう)、とつてきや。アレ/旦那(だんな)。 00017560L6子ぞうがべつかつこふをいたします。なんだと此つのだい 00017570L7しめヱ。ゆかたを/持(もち)つけねへからたア。だれにいふ口上だ。 00017580L8口のはたアつめられやアがんな。ざまア見やアがれ。それ、 00017590L9しかられたハ。アレ/旦那(だんな)、また/舌(した)を出します。ちつとひど 00017600¥G 00017610M1いめにあわしておやんなさいまし。けさも/私(わたくし)がおまんまア 00017620M2たべておれバ、てうあしの(十九ウ)ぜんハ/高(たか)くツてたべに 00017630M3くかろうのなアんのと申ます。なんだと、此やろうめへ。 00017640M4大キな/声(こへ)ていやアがれ。いつ、おれがへをひつた。はやく 00017650M5いつて/来(き)やアがれ。/目(め)くされめへ。うぬこそやたい見せで、 00017660M6てんふらアくう/とこ(所)を、かみいどんに見つかさつて、いつ 00017670M7つけられやアがつた。なんだと。うつちやツておきやアが 00017680M8れ。あれ、ごろうじまし。わたくしの口まねを(二十オ)い 00017690M9たしまさアな。ヲヤ、さんや+。いつそきミのわりい/虫(むし) 00017700M10が/出(で)た。そつちへうつちやツてくりやナ。まことにむしハ 00017710M11きらいだよ。そしてぬれたぞうきんでちよつとあしのうら 00017720M12をふいてくりや。ア、ソレ、こつちのほうをもつとよくふ 00017730M13きやな。ヱヽ、モ、ぞんせへな。よくふきやな。アレ、い 00017740M14たいハな。しづかにふきやな。そしての、/徳平(とくへい)が/来(き)たら、 00017750M15ひとつとつておいてくりやよ(二十ウ) 00017760¥N6¥J 00017770¥X◇とほけた/婆(ば)アさん/小桶(こをけ)の一ツ曲◇ 00017780M18/煎湯(せんたう)の/趣向(しゆかう)ハ、本町二丁目ゑんしゆ/丹(たん)の/主人(しゆじん)、/浮世風呂(うきよぶろ)にうがち 00017790M19すへたれバ、/爰(こゝ)にハ/一寸(ちよつと)ばあさまの/身(ミ)ぶりをお/目(め)にかけますト、 00017800M20ついたてのかげより、/二重(ふたへ)になつて、/片手(かたて)に/小桶(こをけ)をもち、にしめ 00017810¥P75 00017820L1たよふな/手拭(てぬぐひ)でまへをかくし、/目(め)をしよぼ+しながら、(廿一オ) 00017830L2Sヲヤ、さかなやのおばさん。よくきなすつたの。おめへ 00017840L3ハいつもおたつしやでうらやましい。おらアもう、/苦労(くろう)す 00017850L4るせへか、二三ねんこつちへよわくなつて、らちやアあか 00017860L5ねへヨ。それにおめへ、/陸(ろく)けんぼりへかたつけた/姉(あね)ヱどの 00017870L6をなくしたで、がつかりよ。/本(ほん)に/兄弟(きやうだい)三人のうちでも、あ 00017880L7の子が一ばん/心(こゝろ)もすなをで、そしてわたしよをいてへけに 00017890L8してくれたわな。それに/引(ひき)けへて、なかつせへのだゝツ子 00017900L9めハ、/大(おふ)(廿一ウ)ふでかしよ。/はなしよ(噺)を/聞(きゝ)なすつたでも 00017910L10あらうが、/地主様(ぢぬしさま)へ/遊(あそ)びに/来(き)イ+した。ソレ、おめへ、 00017920L11/白茄子(しろなす)といふ/三味(しやミ)せんひきと。/聞(きゝ)なせへ、がらゝつん/迯(にげ)た 00017930L12ハ。それからおめへ、おらンぢいさまがおこつての、むづ 00017940L13かしく/言(い)ツたのヨ。すると/聞(きゝ)な、おばさん。/其白(そのしろ)なすめが 00017950L14ふてへやつよ。おらが/内(うち)へふりこんで/来(き)たハ。そうすると 00017960L15おめへ、/近所(きんじよ)の/若(わか)イしゆが(廿二オ)よつてたかつて、ぶつ 00017970L16のたゝく、らんちきさわぎになつたハ。そういふ/所(とけ)へ、/下= 00017980L17駄(げ=た)やの/政(まさ)ゑむさんも、/草履(ざうり)やの/権蔵(ごんぞう)さんも/来(き)て、マア、と 00017990L18もかくもおいらにあづけなせへとつれていつた/所(とこ)がまた、 00018000L19あまツてうハあまツてうで、/白(しろ)なすめが/所(とけ)へ/行(いか)にやア/成(な)ら 00018010L20ねへといふ。ほんに/内(うち)ぢう/乱(らん)さわぎよ。ヲヤ、此/姉(あね)さんハ 00018020M1しづかにおし。人のあたまへ/小桶(こをけ)を(廿二ウ)ぶつつけて。 00018030M2コレ、見なせへ。/瘤(こぶ)が/出来(でき)たハ。なんぼわたしが/八百(やを)やで 00018040M3も、しらがこぶハ/御(ご)めんだ。なんだ、/顔(かほ)が/梅(むめ)ぼしだ。ほん 00018050M4に、/口(くち)のへらねへあ/な((ママ))さまだ。そういへバ、どふか口が/酢(す) 00018060M5ツぱくなつたよふだ。はなしをやめて、ドリヤ、/一風呂(ひとふろ)は 00018070M6いりましやう。なんまみだ+ 00018080¥N7¥J 00018090¥X◇/金持(かねもち)に/成(なり)はじめ◇ 00018100¥Q 00018110M9◇作者旅行ニ付艸稿延引故 00018120M10後篇ニ御目にかけ可申候◇ 00018130M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(廿三オ) 00018140¥N8¥J 00018150¥X◇/辻君(つじきミ)の/身(ミ)ぶり◇ 00018160M13あかるいうちはいて/来(き)た/東下駄(あづまげた)ハ、/縄(なわ)で/結(ゆわ)へて/妓夫(ぎふ)にもたせ、じ 00018170M14ぶんハひやめしぞうりをはき、くり/色(いろ)になつたおこそ/頭巾(づきん)をかぶ 00018180M15り、/尻(しり)をはしよつて、てんすい/桶(をけ)で手をあらひながら、(廿三ウ) 00018190M16Sヲヽ/今夜(こんや)アめつそうさぶいばんだ。/丁子(てうじ)やさん。/信田(しのだ)ア 00018200M17あるか。そいつアきめうだ。あつくして一ツおくれ。お/百(ひやく)さ 00018210M18ん。一ツペへつき/合(あい)ねへな。すてきにいゝぜ△百Sおその 00018220M19さんか。おめへ、でへぶはやくはねたの。そのみねへ、又 00018230M20ごろつきよ。ほんにじれつてへじやアねへか。せんどの/首(くび) 00018240¥P76 00018250¥G 00018260L12くゝりから百日あまり/休(やす)んでサ。よふ+/数佐部(かづさべ)やの/親方(おやかた) 00018270L13や/猪(い)の/熊治郎(くまじろ)さんの廿八日のばんから、たつよふになつた 00018280L14と(廿四オ)/思(おも)ふと、/大根小屋(だいここや)のあかりが/邪魔(じやま)になつて、か 00018290L15らツきしいけねへだろう。それから此五六日/跡(あと)に、大根小 00018300L16屋が/引(ひ)ケたとおもふと、又こんやのごろだアな。こりよう 00018310L17/思(おも)ふと、そんりやうやのおばさんとこでかけへた/大坂(おふさか)が、 00018320L18/田毎(たごと)ある中にもつらき/辻君(つじきミ)の△/顔更科(かほさらしな)のうんの月かげ、ト 00018330L19いふ/狂哥(きやうか)とやら、せつちんとやらを/読(よ)んだが、ほんに人間 00018340L20のするしやうべいじやアねへよのふ。したが、/是(これ)も/貞女(ていぢよ)、 00018350M1/忠孝(ちうこう)の/為(ため)に、/肌身(はだミ)をけがすとおもやア、さのミつらくもね 00018360M2へが、なに(廿四ウ)しやうべへでも、おいこんじやアいか 00018370M3ねへ。お百さんのめへだが、おいらも七八ねん跡まじやア、 00018380M4/賀家寺(かやでら)、/栄鯛(ゑいたい)、/三能下(さんのうした)、/待居町(まついてう)、/此四ケ所(このしかしよ)より/外(ほか)に、たつ 00018390M5た事アなかつた。ほんにいくらあがき/廻(まわ)ツても、日+の 00018400M6/掛(かけ)せんに/追(をい)たをされるから、いげハあがらねへ。ヲイ、丁 00018410M7子やさん。モウ一ツへへくんな。あつくつてとんだいゝ。 00018420M8ヱヽ、/水(ミづ)ツはながでる。ヲイ、/先(さき)へゆくなアだれだ。お/鼻(はな) 00018430M9さん、おちよさん、まちな。一ツ所にいかう+ 00018440¥Y身振噺寿賀多八景畢(廿五終オ) 00018450¥P77 00018460¥Q三笑亭家製品目 00018470L2△△△△七小町御かきもち 00018480L3△△△△御口とり 00018490L4△△△△△△きみあられ 00018500L6△△△△@新|製@吉野かちん△@是ハ当二月£|売出し申候△@ 00018510L7△△△△△△△△△△△△△△△△△△△中橋上槙町△可楽店 00018520L9文化十一甲戌年△△△△横山町壱町目△村田屋治郎兵衛 00018530L10春正月発兌△△△△本所緑町四町目△愛智屋善兵衛 00018540L12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(廿五終ウ) 00018550¥G 00018560¥P78 00018570¥U噺本大系△第十九巻 00018580¥T/百面相(ひやくめんそう)/仕方(しかた)ばなし△〔題簽〕 00018590¥G 00018600¥Y 00018610L16天保十三年正月刊 00018620L17土橋亭りう馬・扇好作 00018630L18一勇斎国芳画 00018640L19藤岡屋彦太郎板 00018650L20中本二巻二冊 00018660¥G(上下巻表紙) 00018670¥P79 00018680¥G(見返扉) 00018690G1△鯉かん△むらく△扇橋△銕橋 00018700G2△圓喬△文里△圓生△馬石 00018710G3△扇太郎△小龍△可上△柳枝 00018720G4△馬六△里ん馬△歌六△晴我 00018730G5△さん馬△都橋△馬風△金次郎 00018740G6△扇歌△文治△左楽△可楽 00018750G7国よし画△りう馬作△上冊 00018760G8△寅の春新板△本郷五町目藤彦版 00018770¥G(二オ) 00018780¥T1〔上之巻〕 00018790¥Y 00018800M2/日本書(やまとふミ)に/云(いふ)、/日本(わがくに)の/鈿女命(うすめのミこと)ハ/天(あま)の/可玖山(かぐやま)に/登(のぼ)り、つたかづ 00018810M3らを/頭(かしら)にいたゞき、/面(おもて)を/色(いろ)どり/舞(まひ)しより、/面白(おもしろし)といふこと 00018820M4ばも出たり。また/唐土(からくに)の/聖人(せんせい)も、/面(おもて)を/見(ミ)ては/吉凶(ぜんあく)をわかち、 00018830M5/仏(ほとけ)も/外面女菩薩(げめんによぼさつ)とほめ、/皆(ミな)/面相(めんざう)を/当富(たうとミ)て、/善(よき)も/悪(あしき)も/勇(ゆう)ある 00018840M6も、そこになさけの/有(ある)人も、三十二/相(さう)おしなべて、/五百(ごひやく) 00018850M7の/羅貫(らくわん)/中(ちう)ヨリも、/一勇斎(いちゆうさい)が/画面(ぐわめん)の/百八(ひやくはち)、/四角四(しかくし)(一オ)/面(めん)ナ 00018860M8/水滸伝(すゐこでん)、/其義勇(そのごうけつ)もすいになり、/時代(じだい)を/世話(せわ)のたい/面(めん)に、/百= 00018870M9面相(ひやく=めんそう)の/工風(くふう)もホドヨシ、うでは/銕棒鬼(かなてこおに)の/面(めん)、/観音(くわんおん)サツタハ 00018880M10十一/面(めん)、我レも十/面(めん)つくろふて、いなめど/板本(ふミや)が/望(のぞミ)にて、 00018890M11/書(かき)したゝ/面(めん)ニも御ぞんじの、口はまハれど/筆(ふで)さきハ、/帳面(てうめん) 00018900M12さへも/引(ひきし)シ/面(めん)、/九面(くめん)ハいつも出キかねて、カヽアのつらハ 00018910M13はんにや/面(めん)、とち/面(めん)さへも/舞(まひ)かねて、ヒヨツトコ/面(めん)のつぼ 00018920M14口して、/御面(ごめん)+と云人は、土橋亭りう馬(一ウ) 00018930¥N1¥J 00018940¥X◇万才◇ 00018950M17○雪ちら+門ド万才のもやいがさ。万才▽モウ二間ンま 00018960M18ハるのじや。もつといそいでゆけ。才蔵□こんなにゆきイ 00018970M19ふつて、さむくつてなんねへ。コレ此とをり、ぶる※ふ 00018980M20るへまさア。▽ふるへるもどうりだ。二人リながら万才楽 00018990¥P80 00019000¥G(二ウ・三オ) 00019010M1といふハ。□ばかアいハつしやイ。こつちハ才蔵くるしミ 00019020M2だ。此ゆきにしよいものをしたり、げたをさげたり、つゞ 00019030M3みをもつたり、なんのことハござりましねへ。/忠(たゞ)のぶどの 00019040M4が気のふれたやうだア。ゑらくあしがつめてへ+。いま 00019050M5+しい雪だ。▽ばかをいふな。雪ハほうねんのみつぎと 00019060M6いつて、又ことしも万作だ。人としてよろこバぬものハな 00019070M7い。心なき犬さへよろこぶハ。□何よろこぶべヱ。わしハ 00019080M8はだしだア。▽そのかハり、人に/下駄(げた)+わらハれる(二オ) 00019090¥N2¥J 00019100¥X◇はねつき娘◇ 00019110M11○つくばねや一イ二ウ三イ四ウいつも春。句にもとづいて、 00019120M12男▽ヲヤおふくさんかへ。つくばねじやな。どうりでかほ 00019130M13がふじびたひで、ヤ、ゑらい+。娘□いやだヨ。なんで 00019140M14もよいハ。▽なるほど、よつぽどよい子じや。/五(い)ツヨに六 00019150M15ツくり、うまそなお子じやぞ。一イ二ウたべたい、三イれ 00019160M16バ見るほど、さつてもよい+、四ツよだれのでるよなお 00019170M17むすじや。アイタヽヽアイタヽヽ、コレ++、なぜこ 00019180M18のやうにわしがおとがいをはらふたのじや。アヽいたや 00019190M19+。はねをつかいで、おとがいをつくものが、どこのせ 00019200M20かいにあらうぞへ。これがほんの、あごいたじや(二ウ) 00019210¥P81 00019220¥G(三ウ・四オ) 00019230¥N3¥J 00019240¥X◇めしつぶをふむ◇ 00019250M3○わたし場へ手がミとゞきつはるの風。やう+五本かい 00019260M4てがつかりした手がミを、ヲヤ+何かふんづけた。ヱヽ 00019270M5きミがわりい。ヲヤ+、今のめしつぶだ。アヽきミがわ 00019280M6りい。めしといふものハ、たべてハまことにしやう※な 00019290M7ものだが、ふんつけてハ犬のふんどうやうだ。てうど子ど 00019300M8もがいろけからできて、ヲギヤア+なかれると、いろけ 00019310M9のねへやうなもので、ふんづけてハおしまいだ。コレ+ 00019320M10こまや。ギヤア+なかずと、これをくつてくつてくれ。 00019330M11アヽ此ちくしやうめ、おごつたやつだ。なまぐさがねへと 00019340M12くハねへな。それ、おれがあしにすハりだこと、うをの目 00019350M13がある。これもついでにくつてくれ(三オ) 00019360¥N4¥J 00019370¥X◇こしかけだいのひつくりかへり◇ 00019380M16○武左衛門のゐるハにぎハしすゞミだい。カウ、なんでも 00019390M17おらアこハいはなしがだいすきだ。今まで何もこハいとお 00019400M18もつたことハねへが、かたもちとまちがへて火うち石をく 00019410M19つたのと、ひとへものへ六百がのりをつけた時ばかり、あ 00019420M20んなこハいことハなかつた。アハヽヽヽヽ、なんだと。ウ 00019430¥P82 00019440¥G(四ウ・五オ) 00019450M1ム、それからお岩がばけて出る。ウヽおもしろい。ナニ、 00019460M2なんだかしろいものが。ありやア犬だ。わんとでもいつて 00019470M3見ろ。ヱヽおれだ。よせ+、おどかすな。びつくりする 00019480M4ハ。ナニ、なんでもこハくねへといつた。べらぼうめ、そ 00019490M5んなにこしかけだいをゆすぶつてはなすばけ物ばなしがあ 00019500M6るものか。よせヨ+。すゞミでへがこハれるハ。これさ 00019510M7+、あツタヽヽヽ、アヽいてへ+。それ見ろ。とう 00019520M8+すゞミでへをひつくりかへした。コレ++、ヲイ 00019530M9++。おれひとりおいて、みんなにげてしまつた。い 00019540M10ま+しい。しかし、今のはなしがお岩だから、おれをい 00019550M11なりにしたもむりハねへか(三ウ) 00019560¥N5¥J 00019570¥X◇髪のできわるくじれる◇ 00019580M14○うぐひすやかゞミへうつる花ハ何。ヲヤ、又こんないゝ 00019590M15ざまをしたよ。ふけいきな。あれほどねをあげて+とい 00019600M16ふに、どうしたのだらう。そしてこんなにあぶらをつけて、 00019610M17ヱヽきミのわりい。まア此いゝやうハなんだらう。一チが 00019620M18上ツて、二がさがツて、三が上るとハなんだ。ほんに、て 00019630M19うしのあハねへ、かミのふうだ。モウ++、あの人に 00019640M20ふたゝひいツてもらやアしねへ。こんなあたまで、どこへ 00019650¥P83 00019660L1いかれるものか。ヱヽじれつてへ。ひつかきこハしてしま 00019670L2へ。ヱヽ+++。アヽこれでさつばりした。ヲヤ 00019680L3++、わたしとした事が、かミをこハしたとおもつた 00019690L4ら、かゞミをきずだらけにしたヨ(四オ) 00019700¥N6¥J 00019710¥X◇はりめどをとほす◇ 00019720L7○ほころびのまゝ着るのちのあハせかな。モウ+仕事ハ 00019730L8いやだ+。サア+はりをなくしたヨ。ぼうや、あぶな 00019740L9い。のきなヨ+。ヱヽモウうるさい。ソレ見な。こゝに 00019750L10あつた。ヲヤどうせう。こりやアつまやうじだ。ヱヽどう 00019760L11したらう。ヲヽヤツトこゝにあつた。あぶない事+。ヱ 00019770L12ヽモウ日くれで気がせいて、めどがとほらない。どうせう 00019780L13のふ、じれツたい。かういふときハまじないの哥がいゝ。 00019790L14Sきよ水のおとハのたきのつきるとも△うせたるはりのい 00019800L15でぬことなし。ヲヤ、これハなくした時のうただよ。ヱヽ、 00019810L16うろたへてなんたらうねへ。まことに、あながしれなくな 00019820L17つたヨ。ヲヽそのはづた。今の歌が小町だつけ(四ウ) 00019830¥N7¥J 00019840¥X◇大工ケントウ◇ 00019850L20○すゝとりにおのがたなつる大工かな。アヽ+、モウけ 00019860M1ふハしごとがむてへできねへ。ゆふべ、太子こうへいつた 00019870M2くづれが、女郎かひとでかけて、おほけづりにけづツて、 00019880M3それからせへ工場を二人ンとたてつけたもんだから、なん 00019890M4だかさつぱりけんとうがしれねへ。まア一ツぷくやらかさ 00019900M5う。しかし、あの女ハよつぽどほどよしだぜ。そしておれ 00019910M6をかたぎと見て、べらぼうにつとめやアがつたぜ。なんで 00019920M7もあいつハおつりきだ。ヤレ、おめへさんハしよけへのや 00019930M8うじやアねへ。きがおかれねへでいゝの。ヤレ、気のあつ 00019940M9たきやくじんだのといやアがつた。よくかんがへて見りや 00019950M10アそのはづよ。おれが大工に、あの女がいたがしらだもの 00019960M11を(五オ) 00019970¥N8¥J 00019980¥X◇とんびにあぶらげ◇ 00019990M14○鳶のわをまひなくしけりあげひばり。ヲイ+まちねへ。 00020000M15いつしよにいかねへか。なかのおかねが、ヤレこりやサ、 00020010M16きイにかアかる。ヤ、いせやのぶちと四/方(も)のあかがつるミ 00020020M17やアがつた。白ヤ、アヽウシ。しろやア、ウシ。そら、か 00020030M18まれた。やアヽウシ+++。ヲヤ+++、大 00020040M19へんだ++。とんびにあぶらげをさらハれた。ちくせ 00020050M20うめ。あんなにとんでいきやアがらア。どろぼう+。ひ 00020060¥P84 00020070¥G(五ウ・六オ) 00020080M1るひなか、人のかつてきたものをぬすミやアがつた。いま 00020090M2+しいぬすつとだ。ながざほをもつてきて、はたきおと 00020100M3してくれうか。アレ+、あすこにとんでゐながら、くら 00020110M4やアがらア。ヱヽありやア、とんびだこがべかアつくのだ 00020120M5やつサ(五ウ) 00020130¥N9¥J 00020140¥X◇ほどよし◇ 00020150M8○人ハたゞ柳よやなぎいつも春、とハ、七代目のおや玉が 00020160M9名吟にて、たゞ人ハ、ヲヤ吉さん。わたしハゑび蔵だと思 00020170M10つたよ。ホンニサ、いやミがなくつて、どんなににておい 00020180M11でだろう。ナニ、せじでもなんでもないヨ。ヲヤ、おくま 00020190M12どんか。まアおあがり。ヲヽぼうさん。かん+ができて、 00020200M13ウツツイべゞをきて、いゝねへ。おやへや。おちやみをみな 00020210M14さんにおあげヨ。なんだ、ちやわんをこハしたと。ものゝ 00020220M15ふへるのハいゝものだよ。ヲヤ、どびんをひつくりけへし 00020230M16たよ。へいかぐらの上るもめでたいねへ。コレサ、くまさ 00020240M17ん。わたしのまへをすぐとほりハならないよ。おつこちが 00020250M18できる。ソレ、さうつん+するものサ。おまへのこのし 00020260M19まハいゝねへ。まことによくおにやいだヨ。そのはづ。着 00020270M20てがいゝからサ。ドレ、わたしハゆへいつてくるから、み 00020280¥P85 00020290¥G(六ウ・七オ) 00020300M1なさんおはなしよ。ヲヤ、ゆハ月なミでやすミだヱ。チヨ 00020310M2ツ、ヲヤうれしいねへ(六オ) 00020320¥N10¥J 00020330¥X◇おひやり◇ 00020340M5○かミ下を舟でたゝんで初卯かな。モシ、じだいのいしや 00020350M6うをぬぎすてゝ、せわのこしらへとハありがてへ。うごか 00020360M7ねへミぶの女方だ。そのおなりでハきざなしだ。今から/町(てう) 00020370M8とハいかゞでござります。おいやかへヱヽ引。ふか川、ナ 00020380M9ニ、おいや。そんならちよいと一ト口かうしませう。ちう 00020390M10しん亭とハいかゞ。おいや。むかふへいつて梅を見てから 00020400M11の事にしませうか。それもお心にかなハず。ハテナ、ゆふ 00020410M12べけでござりますな。そんならおか本でうな。それもおい 00020420M13や。そんならもくぼ寺のおいも。それもいや。そんならす 00020430M14な村のとうなす。それもいや。ナニ、おあんべいがわりい。 00020440M15そんならおやくゑんへ、おともいたしませう(六ウ) 00020450¥N11¥J 00020460¥X◇しばゐもの◇ 00020470M18○かほ見せやよるの芝居ののきにしき、とハおそらく千名 00020480M19吟なり。モシおちやうずへおいでなさりませんかへ。ヘイ 00020490M20++、いたゞきます。モシ、じやうさんへ。此まくが 00020500¥P86 00020510¥G(七ウ・八オ) 00020520M1あきますと、御ひいきの羽左衛門が出ます。おうれしうご 00020530M2ざりませう。わたくしどものおやかたと、だんまりの場ハ 00020540M3大できでこさります。ハイ、はゞかりながら、あなたへさ 00020550M4し上ます。ヘイ+、どういたしまして。さやうにかさね 00020560M5てハいただきません。ハイ+、ござります。これハいた 00020570M6ゞきます。御しんぞさま、よろしく。ヘイ、だんなさま、 00020580M7さし上ます。ハイ、きりハはやうござります。モウこんど 00020590M8ハあかりをいれずでござりますから、ハイ、大きりハ上る 00020600M9りでござります。ハイ、清元でござります。ゑいじゆ太夫 00020610M10がごうぎにひやうばんがようござります。それだから、は 00020620M11ねがはやいのでござります。清元大せつ/□((にカ))つき、はやじま 00020630M12い(七オ) 00020640¥N12¥J 00020650¥X◇のどへとげ◇ 00020660M15○目にあをば山ほとゝぎす初がつを、といゝ句だぞ。なん 00020670M16でもかつをがでねへじやア、はじまらねへ。さしミでいつ 00020680M17ぱいやらかして、なかおちハにつけだ。うまい+。ナニ、 00020690M18ごうぎにしやぶる。しやぶらねへでサ。ほねについた身が 00020700M19うまい。ヱヘン++、ゲイ+++。アヽとげを 00020710M20たつた。ヱツヘン+、ゲヱヽイ++、うののど+ 00020720¥P87 00020730L1+、まだぬけねへ。めしつぶものんだよ。ゲヱヽイ+ 00020740L2+。コレサ、文字ねこさんの所へいつて、ぞうげのばち 00020750L3をかりて。アヽいら+していかねへ。ナニ、ぞうげのば 00020760L4ちハねへ、すいぎうだと。ムヽ、すいぎうで思ひだした。 00020770L5すいてん宮さまのお札ハねへか。あるへ。そりやアきめう 00020780L6だ。はやく水はつほで、いただかしてくんな。ゲイ+ 00020790L7++、なむすい天宮さま+。そりやぬけた。まこと 00020800L8にふしぎにありがてへ。かうもはやくぬけるものか。その 00020810L9はつヨ。おやしきの御もん所が、/$(くぎぬき)だ(七ウ) 00020820¥N13¥J 00020830¥X◇水ぎやう◇ 00020840L12○こがらしやゑんの小角がすミし山。なるほど名句だ。そ 00020850L13のながれをくんで、みづをあびるのだが、ことしはじめて 00020860L14やつて見たが、まことにたちきれねへ。ヲヽつめてへ+。 00020870L15のうまくさんまんだ。じいさんだ、ばアさんだアのはうが 00020880L16よつぽどぜにゝなる。なんでもふゆよりなつがいゝ。アヽ 00020890L17さむい+。はやくあまちやをあひせるじせつになれバい 00020900L18ゝ。まことにはのねもあハねへ。モウ+こり+した。 00020910L19あすからハミづぎやうハやめだ。これをおもへバ、ほんに 00020920L20ふどうさまより、すミよしさまのはうがよつほどありがて 00020930M1へ(八オ) 00020940¥N14¥J 00020950¥X◇釘うちそこなひ◇ 00020960M4○神の木へくぎ打おとか冬の月。ヱヽこいつらハぶきよう 00020970M5なやつらだ。此くぎが一本ンうてねへか。ドレ、どけヱ。 00020980M6おれがうつてやらう。ソレ+、ヲヤ+、これハ釘がな 00020990M7まだ。ナニ、きりざんしよだ。ナゼ、こんな所へおくのだ。 00021000M8べらほうめ。はやくくぎをとつてよこせ。それ見ろ。此か 00021010M9なづちをまつすぐにあたるやうにうたねバいかぬハ。ソレ 00021020M10どふだ。ヲヤ+、釘かまがつた。こりやアかなづちのわ 00021030M11りいせへだ。ナンダ、こいつらアわらやアがつて。ナニ、 00021040M12このくらゐなものができねへものか。いまに大工をよんで 00021050M13きて、こしれへて見せるハ(八ウ) 00021060¥N15¥J 00021070¥X◇だいかぐら◇ 00021080M16○金獅子の大ぐちあいて梅の花、とハ、一茶の名吟。その 00021090M17まひざまもはなやかに、ヲツトドツコイ、むすめとちやわ 00021100M18んハどうでもあぶない。しづかに+。あたまがやくわん 00021110M19で、のせたがちやわんた、中のハ水だぞ、ヤレソレどつこ 00021120M20い、こぼせバつめたい、やんわり+、テレツク+。こ 00021130¥P88 00021140¥G(八ウ・九オ) 00021150M1れよりちやわんハ二ツじや+。これをなづけて、ひよく 00021160M2の茶わん。下なるちやわんハ手もとへまねき、うへなる茶 00021170M3わんハてうじよにおとまり。これを名づけて獅子のこがへ 00021180M4し。アラ+あぶない。テレツク+テレツク+。ハイ、 00021190M5おめでたうござります。サアこれから、おかめにいたしま 00021200M6せう。おいや。さやうなら、おぼうさんにハかしまおどり。 00021210M7ナニ、いや+かへ。さやうなら、かごまり。それもおい 00021220M8や。さやうなら、あハもち。おいや。さやうなら、ぼんの 00021230M9きよく。おいや。さやうなら、きん獅子。おいや。さやう 00021240M10なら、わらべ獅子。おいや。さやうなら、つるぎのまひ。 00021250M11おいや。さやうなら、てんてこまひ(九オ) 00021260¥N16¥J 00021270¥X◇たこを上ル◇ 00021280M14○季吟の句に、凧はつて風のふく日ハなかりけり。そらも 00021290M15はるめくいかのぼり。その人ごとに、ヤイ+、たこをあ 00021300M16げるから、いとめをもつていけ。コレ、そんなもちやうを 00021310M17すると、いとめがこぐらかる。しやんともつていけ。よし 00021320M18+、コレ+いとをふむな。ヱヽあんまさん。もつとつ 00021330M19ゑのほうへよんなよ。ソラいゝぞ。どつこい+、とう 00021340M20+上ツた。ごうぎに風がふいてきたから、はりがつよく 00021350¥P89 00021360¥G(九ウ・十オ) 00021370M1なつてきた。ヤアあのたこが、ををすくひにきやアがつた。 00021380M2うぬらにすくハせるものか。見ろ。此画ハ国芳のでしにた 00021390M3のんでかいてもらつたのだ。ごうぎだらうが。コレ、此ゑ 00021400M4ハなんだか、しつてゐるか。ナンタ、にたんの四郎がしゝ 00021410M5をたいじる所だと。べらぼうめ、こりやア勘平を真でかい 00021420M6たのだハ(九ウ) 00021430¥N17¥J 00021440¥X◇しうとばゞ◇ 00021450M9○にくまれてながらへる人冬のはひ。コレ+、なにをま 00021460M10ご+するのしや。はやくそうぢをしてしまハんか。ヱヽ 00021470M11モ+、おねんぶつのしやまばかりしをるぞ。アヽなむあ 00021480M12ミだらしのないやつらだ。ソレ、そこにはさミが出てゐる。 00021490M13又よめン女のつかひばなしか。此あひだも、わしがあしへ 00021500M14ふミつけて、けがをしましたぞ。ナゼつかつたら、かたづ 00021510M15けない。ヱヽせわのやけた。アヽ、なむあミだす事ハ出し 00021520M16ても、しまふすべをしらぬ。ほんにいちから十まで、せわ 00021530M17のやけたことだ。せけんでハよめをとつてらくをするとい 00021540M18ふに、わしハよめをとつて、よけへにくをもとめた。アヽ 00021550M19これにつけても、きよねん死なれたせんとく信士さまがう 00021560M20らやましい。アヽ/苦(く)のしやばだぞ。はやくごくらくまいり 00021570¥P90 00021580¥G(十ウ) 00021590M12がしたい。なむあアミイ。コレ+++、そんなぞん 00021600M13ざいなことをさつしやるな。めんどうなら、わしがします。 00021610M14さうしておかつしやい。モウわしがことハかまつてくださ 00021620M15るな。なむあミだぶつめたい+。ヲヤ、はな水が出たの 00021630M16だ。ほんにせわをやくので、はなをかむ事もわすれた。ヲ 00021640M17ヤ、はな水で思ひたした。ほとけさまへ水をかへて、お花 00021650M18をあげやう(十オ) 00021660¥N18¥J 00021670¥X◇蚊をやく女◇ 00021680M1○ふでかさをたいてまつ夜の/蚊(か)やりかな。アヽモウねぐる 00021690M2しいばんだ。とろ+すると蚊めがくやアがる。まことに 00021700M3かゆくつてならねへ。かう蚊がはいつてハたまらねへ。ど 00021710M4こからこんなにはひるかしらん。チヨツ、ふけへきなかや 00021720M5だぞ。ほんにふしぎだ。ほうらい山ンとやらを見たやうだ。 00021730M6つると蚊めがまふハ。オホヽヽ、コレお文さん。もつとこ 00021740M7つちへおよりヨ。よくそうねられるねへ。ソレまたゞヨ。 00021750M8ソレ、コんなにゐるハ。アヽいゝきミだ。ソレ又こゝに。 00021760M9ヲヤ、にがしてしまつた。ホイ、又にがした。ヲヽ+、 00021770M10おぶんさん。おまへのひとへものへ、べた一チめんとりつ 00021780M11いてゐるヨ。じつとしておいで。やいてあげるから。ソレ 00021790M12+++、ひとつもにかさずに、みんなやけるヨ。ヲ 00021800M13ヤ、どうせうねへ。蚊だと思つたら、こんがすりのひとへ 00021810M14ものを、あつちこちこがしたヨ。ねぼけきつてゐるじやア 00021820M15ねへか/□((ねカ))へ(十ウ) 00021830¥P91 00021840¥G(見返扉) 00021850G1△歌女吉△龍蝶△金馬△牡丹 00021860G2△龍太郎△可録△小銕△勝次郎 00021870G3△圓蝶△馬龍△圓玉△正蔵 00021880G4△歌橋△里ん正△龍斎△馬勇 00021890G5△宗しく△東里△里ん蝶△馬丈 00021900G6△馬生△雛太郎△雛輔△歌次郎 00021910G7里う馬作△国芳画△下冊 00021920G8天保十三年壬寅新板△藤岡屋彦太郎板 00021930¥G(十一オ) 00021940¥T1〔下之巻〕 00021950¥Y 00021960¥N1¥J 00021970¥X◇礼者のなまゑひ◇ 00021980M4○年玉がものゝへつらひはじめにて。/▽(とも)モシだんなへ。ま 00021990M5ア、はだアおいれなさい。かたぎぬがおちます。/□(だんな)ナニ、 00022000M6おれだア。うつちやつておけへ。▽まだ一/間((ママ))ン礼がすミま 00022010M7せぬ。□すまふがすむめへが、おれがしやうちしねへぞ。 00022020M8サアどふでもして見ろ。▽まアいゝから、はだをいれてお 00022030M9いでなさい。人が見ます。□ムヽおもしろい。見たやつが 00022040M10あひてだ。▽コレサ。わたしにつらまつておいでなさい。 00022050M11あぶなふございます。又ごうぎにあがつたもんだ。□酒ハ 00022060M12のむべしあびるべした。のまねへでサ。てめへものんだか。 00022070M13▽わたくしハ御ぞんじのとほり、下戸でございますから、 00022080M14此せつハざふにばツかり。□そんなにもちがすきだから、 00022090M15くれの内ハ引ずりもちに出て、春ハ礼しやのはこもちヨ。 00022100M16これから道具もちになつて、町内をもちヱヽ候をやめて、 00022110M17内をもち、かゝアをもちヱヽヱヽ。▽ソレ++、あぶ 00022120M18ない+。□アヽ、おれもしりもちをついた(十一オ) 00022130¥P92 00022140¥G(十一ウ・十二オ) 00022150¥N2¥J 00022160¥X◇茶ばん◇ 00022170M3○今こゝに団十郎やおにハそと、といふ其角の句のとふり、 00022180M4あら事ハゑび蔵にかぎる。サア吉こう。いせ源でする茶ば 00022190M5んを一チばんさらえう。ナニ、そこハ大和やでいく。よし 00022200M6+、サアこい。ゑび▲Sてうどところもさつたごえ。杜若 00022210M7●Sさゞいのからをふミわけて。▲Sさきへ立ツたる一人 00022220M8リのじゆん礼。●Sえりがミとつて引もどし、おはたを目 00022230M9がけし一人のしゆぎやうじや。ヲイ+民公。きん玉が出 00022240M10たぜ。▲Sでゝもよい。つゝめバなくなる。●Sさツても 00022250M11きたいなめい玉じやなア。何ハともあれ、その玉こつちへ。 00022260M12▲S何をこしやくな。●Sちよつとかうして。▲Sアヽい 00022270M13たい+。はなせ+。●Sいゝや、はなさぬ。はなしや 00022280M14せぬ。▲Sイヤ、ところをかうして。●Sアヽ、いたい 00022290M15+。おそろしい事をする。うでをくひついたゼ。▲Sく 00022300M16ひつくはづヨ。ゑび蔵をきどつて、木場をたつたのだ(十 00022310M17一ウ) 00022320¥N3¥J 00022330¥X◇でつちの髪◇ 00022340M20○てゝらぬいでさかやきそつて桃の花。アヽいてへ+。 00022350¥P93 00022360¥G(十二ウ・十三オ) 00022370M1しづかにとかしてくんねへ。ナニ、ねぞうがわりいからだ。 00022380M2わるくハねへ。おめへがひどくするのだ。ナニ、おしやか 00022390M3だと。なぜ+。ちゞれツけだからか。あんまり人をあま 00022400M4ちやにするな。アヽそんなに、ぐい+してハいてへ+。 00022410M5これサ、しら/雲(くも)をひツかくと、目からあめがふるぜ。ナン 00022420M6ダ、いめへましいあたまだ。そんなにいばりなさんな。銭 00022430M7もこつちのものなら、しろものもこつちのものだ。アヽい 00022440M8てへ+。ナニ、ゆふうちハおめへのあたまだと。それで 00022450M9もいてへのハ、おれがあたまだ(十二オ) 00022460¥N4¥J 00022470¥X◇ひげぬく人◇ 00022480M12○あさひなのひげうらゝかやけさの春。ヲヤ+、大そう 00022490M13のびた。ムヽ、のびたでおもひ出したがノ。竹公、松のや 00022500M14らうハ、やなかの女にひどくのびてゐるぜ。いけばか+ 00022510M15しい。そつちハ見たかしらねへが、なんだらう、小便じよ 00022520M16のあんどんを見るやうなつらだ。ナゼなら上へがあかるん 00022530M17で、下タがくさい。アハヽヽヽ。それから見りやアおれが 00022540M18女ア、ひとつ内だが、見せてへぜ。ほんのこつたが、かほ 00022550M19があだぽくつて、そしてひとがらで、すんしなしだ。まア此 00022560M20あひだのせけへをきかせてへぜ。ナニ、けぬきがさかさま 00022570¥P94 00022580¥G(十三ウ・十四オ) 00022590M1だ。ヘン、さかさまハせうちだ。女郎かひののろけにハ、 00022600M2ひつくりけへしが、いたくなくつていゝ(十二ウ) 00022610¥N5¥J 00022620¥X◇ふねぎらひ◇ 00022630M5○やばせのるよめよむすめよ春の風。ヱヽもう+ふねに 00022640M6ハこり+した。ケヱイ+。それだから、わたしハある 00022650M7くがいゝといふに、だんながのれ+とおつしやる。なん 00022660M8でものることハだいおすきだ。アヽ、づつうがして、目が 00022670M9ぐる+まハつて、舟と川ばかりになつたやうだ。どうせ 00022680M10う+。アヽくるしい。はやくあげておくれヨ。ナニ、も 00022690M11うじツきだへ。アレ、むかふの土手に、ふねのつくところ 00022700M12がいくらもあるでハないかへ。はやくつけておくれヨ。ナ 00022710M13ニ、わたしが目まひがするから、いくつにか見へるとヱ。 00022720M14上り口ハひととこだへ。ナニ、あれが三めぐりのがんぎた 00022730M15と。どふりで三ツ口に見へた(十三オ) 00022740¥N6¥J 00022750¥X◇角力ずき◇ 00022760M18○角力とりならぶや秋のからにしき、とハ、嵐雪の名吟だ 00022770M19が、なるほど、どひやうの上へあげたばかりでたくさんだ。 00022780M20りつぱなものだせ。イヤ、おらがせきとり、たのミます。 00022790¥P95 00022800L1アレ見なせへ。いゝからだだ。だいばんじやくだア。つよ 00022810L2いすまふヨ。イヤ、せかずに+。ぎやうじの大人たのミ 00022820L3ます。まつた+。ばんまでかゝつてとつてもいゝぞ。見 00022830L4るのハ此角力ばかりだ。イヤ、そらたつた。どつこい、ど 00022840L5ふして。イヤ、それ四ツになつた。アレ、上手なものだ。 00022850L6こしをふつて、三ツへ手をかけさせねへ。イヤ、どつこい。 00022860L7おしきれ+。そうハいかねへ。おれがついてる。ソリヤ 00022870L8あとがねへ。ソレそうだ。のこつた。ウムヽヽヽヽ、おし 00022880L9きれ+。ナニなんだ、だまつて見ろと。べらぼうめ、お 00022890L10れがくちで、おれがきくのだ。おいてくれ。なんだ、つば 00022900L11きがはねる。はねねへでヨ。この角力ハせきとせきだもの 00022910L12を(十三ウ) 00022920¥N7¥J 00022930¥X◇こびき◇ 00022940L15○/大鋸(おが)くずのしめりがちなり春のあめ。アヽ+、いくら 00022950L16かせいでも、かゝアが引クから、おれがひいても、みんな 00022960L17しやくせんにひかれる。ま事につまらねへ。アヽ、もうが 00022970L18つかりした。いま+しい。こんなかたい木もねへもんだ。 00022980L19まことにほねがをれる。廿四孝でも一トくさりかたりなが 00022990L20ら、ゆるりとやらかさう。ヱヘン+。上るりS杉にも松 00023000M1にもたのしミハ、/四方(しはう)の/柾(まさ)に/楠朴(くすほう)を、引イたハまうけとな 00023010M2つたるが、テン、どこをどうしてゆす/樫(かし)で、/手(て)をバいため 00023020M3ハせしことぞ、つが/椎(しい)かつら/栴檀(せんだん)、ヲヽ/名花(めいくわ)の/桜(さくら)も/春(はる)なら 00023030M4バ、ヤ、テン+。アヽモウ口までくたびれた。ちつとや 00023040M5すまう。しかし、おれが上るりをやめたら、ひの木板やう 00023050M6に、さミしくなつた(十四オ) 00023060¥N8¥J 00023070¥X◇やど引◇ 00023080M9○よきやどをとりあてゝ見つふぢの花。ヱヽコレ、もし 00023090M10++。あなたがたハ、のべつゞけの道中でハござりま 00023100M11すまい。いづれおとまりでござりませう。ヘイ。てまへハ 00023110M12中じゆくの角やでごさります。内もひろうござります。ま 00023120M13づさくらの/間(ま)が十六でう、柳の間が十でう、たぬきの間が 00023130M14八でう、小だぬきの間が四でう半。アハヽヽヽ、いたつて 00023140M15きれいでござります。いへハふしんのしたて、やぐハこし 00023150M16らへたて、ぜんわんハぬりたて、おちやハいれたて、ちや 00023160M17わんハきつたて、御ぜんハうつしたて、よめハもらいたて、 00023170M18ばアさんハしにたてでごさります(十四ウ) 00023180¥P96 00023190¥G(十四ウ・十五オ) 00023200¥N9¥J 00023210¥X◇まけせうぎ◇ 00023220M3○蚊にくハれくハれてはさミせうぎかな。イヤ、宗/桂(けい)ハち 00023230M4がつたもんだ。$で大手か。けいけの/軍(ぐん)ぜい、おそ 00023240M5れハしねへ。カウひらいて、大ひらしつぽくとしよう。ハ 00023250M6テ、そう$をなつたか。ハテナ、かくなりはてるう 00023260M7へからハ、チヨイと$あいさつとしよう。ヲヤ、 00023270M8$で大手か。さつぱり気がつかなんだ。まつてくん 00023280M9ねへ。コレサ、いく手もじやアねへ。たつた二タ手だ。ま 00023290M10ちねへといふに、いやといふのハ、あんまりわからねへ。 00023300M11此手ハぜひ一チばん、まつてくんねへ。ナニ、どうしても 00023310M12まてねへ。そんならおれもまてねへ。此あいだのわりめへ 00023320M13を、今よこせ(十五オ) 00023330¥N10¥J 00023340¥X◇女房に文をひろハれ◇ 00023350M16○白梅にかざして見るやよるの文。ナニ、それハおやしき 00023360M17のだんながせわをしておく女が、手がミをとゞけてくれろ 00023370M18とたのまれたのだ。ハテ、うたぐりぶかい。うそでハない。 00023380M19ムヽ、そのふうじのきれたハサ、それハめつたなことが 00023390¥P97 00023400¥G(十五ウ・十六オ) 00023410M1かいてあつてハすまないから、一寸かいふうしたのだ。ナ 00023420M2ニ、平治さまと、おれの名がかいてある。アヽ、それハお 00023430M3やしきのだんなが、平河原治郎蔵といふから、おかこがし 00023440M4やれて、平といふ字と治のじと、かしら字ばかりとつてか 00023450M5いたから、おれが名の平治とよんだもむりハねへが、まつ 00023460M6たくおれハきのふ、かん平さんとあミをうちにいつたにち 00023470M7げへねへ。うをハ一ぴきもとれなんだが、あミをうつたせ 00023480M8うこハ、今きさまが、水くさいといつたじやアねへか(十 00023490M9五ウ) 00023500¥N11¥J 00023510¥X◇けまり◇ 00023520M12○かげろふの高しまり場のすなの上。コリヤ+、小ども 00023530M13ヨ。わがミたちハ、だい+なげてあそびおる。なるほど、 00023540M14江戸のわらハじや。京とでハ、正月になれバ、みなたな向 00023550M15でハまりをけます。ドレ、わしがチヤツと、けて見せまし 00023560M16よか。いつたい、まりハぎやうぎさほうをだい一として、ま 00023570M17づおのれよりむかひの人に、ほまれをとらすがほふじやテ。 00023580M18まづ一人リでハきよくまりじや。サア見い。わしハゆるし 00023590M19とつたまりじやぞ。ヨヨ、ハリヤ+。イヤ+、なんと 00023600M20ゑらいか+。よう見イ。まるであすか井さまじや。ソレ、 00023610¥P98 00023620¥G(十六ウ・十七オ) 00023630M1これがゑもんながし、これがゆるしのかすミがくれじや。 00023640M2ソリヤ高いぞ+。ヱイヤ、あれ見イ。たかい+。ナニ、 00023650M3あほうめが、あれハ天たうさまじや。まだくだらぬ。あい 00023660M4だのあるがいゝのじや。アレ見イ。まだくだらぬ。コリヤ 00023670M5ながい。コリヤどふじや。コレ、小ぞうヨ。となりうらへ 00023680M6はやくいつて見イ。くたつたかもしれぬ(十六オ) 00023690¥N12¥J 00023700¥X◇けんじゆつ◇ 00023710M9○たゝかれたあとて花さくなづなかな。ナニ、おてまへが 00023720M10おりうぎハ明智流とな。せつしや、たりうじあひハのぞむ 00023730M11ところ、いつぽんまゐらう。せつしやのつかふハ、中条り 00023740M12うのひやうほふ、月水はやながしのはやわざ。イザ、立あ 00023750M13ひ申さう。ヱイトウ+++、ヤアどつこい。トウ 00023760M14++。ヤアなか+、おてまへなぞのうち太刀ハ、身 00023770M15にもちゝにもさハりなく、二ケ月めより五ケ月までうけて 00023780M16ながして、りをいれて、イヤどつこい、ヱイトウ++ 00023790M17+。アヽまいつた+。しないのくるひか、手のミだれ 00023800M18か、はかなくまけた。シテ、おてまへの先生ハな。ナニ、 00023810M19梅の井新蔵。どほりでかなハぬ。中条流ハばゞアでござる 00023820M20(十六ウ) 00023830¥P99 00023840¥G(十七ウ・十八オ) 00023850¥N13¥J 00023860¥X◇ひつツかき◇ 00023870M3○春の夜やどこやらかゆき人ごゝろ。アヽひつの心と秋の 00023880M4そら、かハるがならひといひながら、こんなにもかいゝも 00023890M5のか。ヲヤ+、あせをかくので、ヲヽ+一トばんのう 00023900M6ちに、いちめんになつた。こりやアみんな、しな川の女の 00023910M7おもひだ。それで海がてるのか。なるほど、ひつとハよく 00023920M8つけたぜ。ひつツこいものだ。モウ+ひつ+いやだア。 00023930M9いたい+、かいゝ+。あんまりあそびすぎたあげくが、 00023940M10これだ。なんでもわりい女をかつちやアいかねへ。アヽか 00023950M11いゝ+。かくとふへるといふが、どうしてかゝねへじや 00023960M12アゐられねへ。そのはづよ。あそびすぎてできたひつだか 00023970M13ら、ゆふひつだ(十七オ) 00023980¥N14¥J 00023990¥X◇たばこにむせ◇ 00024000M16○冬がれやたばこのかハる田舎見せ。イヤア万兵衛さん、 00024010M17金右衛門さん、丹吉さん。ヲヤ+、みなたうじんのより 00024020M18あひだ。わたしハたばこハきついきらひさ。ナニ、のミな 00024030M19らへ。イヤどうして+、そんな毛たうじんののむものが、 00024040M20わたしらにのまれるものか。ときに、ゆふべのかんじやう 00024050¥P100 00024060L1合をしてしまわう。てうど壱分一朱づゝだ。アレ+、わ 00024070L2ざとおれのほうへけむりをよこすぜ。それでハはなしがで 00024080L3きねへ。よしねへ+。わるふざけをしなさんな。ゴホン 00024090L4+ヱヘン+++、アヽせつない。ゴホン++ 00024100L5+。はやくちやでも水でもくんねへ。アヽくるしい+ 00024110L6おめへがたハおそろしいものをのむぞ。ナニ、まひだのた 00024120L7てだのと芝居じやアあるめへし、ナニ、こくぶだ。ドレ、 00024130L8どこに(十七ウ) 00024140¥N15¥J 00024150¥X◇ねぼけ◇ 00024160L11○牛になるがてんじやあさね夕すゞミ。ナニ、どうしたと。 00024170L12そんなに人をなぶらねへもんだよ。てめへが、ムヽアヽせ 00024180L13うわるのくせに、アヽ++ふけいきな、アヽ引ムヽお 00024190L14いらアそんな事ハしらないヨ。ウム+、てんぷらか。あ 00024200L15りやアむかふのおばさんにもらつたのヨ。ナニ、あの人に 00024210L16もらうものかな。ムヽ+アツア引、それよりやア、その 00024220L17おいもをはやくくハせな。ヱヽムヽ、あれどうした、おく 00024230L18れといふのに。アレ++くハせなよ。コレサ、なんだ 00024240L19のう。ヲヤ、内の人ハゐないヨ。ヲヤ、いかなこつたとつ 00024250L20てなんだ。どふしたといふのだのう。ゆふべ内でハけへら 00024260M1ねへで、わたしひとりたつけ(十八オ) 00024270¥N16¥J 00024280¥X◇けいあんばゞ◇ 00024290M4○出かハりやあすのちや水の一ト手をけ。ホンニおまへ。 00024300M5此内へ奉公にすむとしあハせだ。今までゐた女中も、わた 00024310M6しがすましたのだが、いなかのおふくろがきうびやうで、 00024320M7いとまをとつたのサ。その子なんぞハ、どんなによろこん 00024330M8だらう。おまへ、今にごしんぞが出ておいでなすつたら、 00024340M9わたしがいふとほりに、あい+といつておいで。ハイ 00024350M10+++、今日ハよいおてんきでござります。おやく 00024360M11そくの女中をつれて上りました。ハイ、としハ十九でござ 00024370M12ります。ハイ、田舎ハさがミでござります。いたつてすな 00024380M13ほでござります。やどハいもあらひざかでござります。お 00024390M14しごとも、はりかへ物ぐらいハいたします。御ぜんもたき 00024400M15ます。おかずも八百人まへぐらゐハこしらへます。ハイ、 00024410M16かミも一人リでいひます。ゆへも一人リではいります。つ 00024420M17めもとります。おはぐろもつけます。いねむりもします。 00024430M18あさねもいたします。そして引うたひもいたします。ナニ、 00024440M19三味せんでハございません。引うすでござります(十八ウ) 00024450¥P101 00024460¥G(十八ウ・十九オ) 00024470¥N17¥J 00024480¥X◇はちにさゝれ◇ 00024490M3○なしの花くゞりてはちにおハれけり。ヲヤ、何さまだら 00024500M4う。おやりがはいたゝきで、三方金御もんで丸の内にひや 00024510M5うたんだ。りつぱなものだ。ヤア引馬、おかち、若とう、 00024520M6ぞうりとり、かつぱかご。りつぱ+。そりや+、馬か 00024530M7たがしかられた。アラ、しやりきがよこ丁へ引こんだ。あ 00024540M8んまがまごつく、こひたごがひつつく。こりやたまらぬ。 00024550M9くさい+。ヲヤ++、アレ++、大わらひだ。 00024560M10むかふから、さとうおけをかついできたら、まちげへてお 00024570M11かごをさしたぜ。アハヽヽヽ、こりやアおさきがしらが、 00024580M12ちか目だそふだ。コリヤをかしい。アハヽヽヽ、あいツテ 00024590M13ヽヽヽ、コリヤたまらぬ。いてへ+++。ヤア、は 00024600M14ちめがさしたのだ。ばか+しい。なきツつらをはちがさ 00024610M15すといふことハきいたが、わらつてゐるのにさしやアがつ 00024620M16た。うつかりハできねへ。わらひがほをさして、とんだや 00024630M17つだ(十九オ) 00024640¥N18¥J 00024650¥X◇雨やどり◇ 00024660M20○夕立やほつけかけこむあミだ/堂(だう)、とハ、京のあミだ寺で、 00024670¥P102 00024680¥G(十九ウ・二十オ) 00024690M1其角があまやどりの名句だが、なるほど、かうふられてハ 00024700M2さりきらいハねへ。ヲヤ+、つぶぬれ+。ふところの 00024710M3かミ入レまでびつしよりだ。ヱヽいま+しい。ぜんてへ、 00024720M4ゆふべからつけがわりい。さけにつぶろくよつたまぎれに、 00024730M5つまらねへばけべそ女郎をかつて、どくをながしてふられ 00024740M6て、又けさ、けへりにふられるといふも、あんまりちゑが 00024750M7ねへ。ヲヽ+、びしよぬれになつたもんだから、からだ 00024760M8ががた+する。ドレ、小べんでもしやうか。なるほど、 00024770M9ふるへるはづだ。ゆふべふられて今ふられて、着てゐるも 00024780M10のがお/古(ふる)だから、それで/三(み)ぶるいがでるのだ(十九ウ) 00024790¥N19¥J 00024800¥X◇をどりのけいこ◇ 00024810M13○すゝはきやしよ人のまねるやりをどり。モシ、お師しや 00024820M14うさんへ。おまへさんのおつけなすつた成こま屋と、座元 00024830M15の道ぜう寺の両花ミちハ、大できでござりますぜ。きんね 00024840M16ん、あのくらゐなしよさハありません。今ふりつけでハ、 00024850M17西川扇蔵にかぎるといふひやうばんでござります。それに 00024860M18又、山左衛門さんがなりもの、ミからだいこ大小のうちあハ 00024870M19せ。むかしの京がのこをくづさねへで、たうせいふうにな 00024880M20りものをはめたくふうも、めうでござります。わたくしハ 00024890¥P103 00024900¥G(二十ウ・奥付) 00024910¥Y天保十三壬寅孟春G新彫梓絵草紙目録G 00024920L11/京鹿子振袖日記(きやうかのこふりそてにつき)@△山東京山戯作|初編六冊△△△|△歌川国貞画図@△@/三世相応(さんせそうおふ)|二世物語(にせものかたり)@/奇縁結赤縄(おつなゑ 00024930L11にしむすぶのいとすじ)@武亭小三馬作|初編四冊△△|歌川国貞画△@ 00024940L13/笑門松和合寿(わらうかどまつわがうのことぶき)△@△松亭寿山作|全△四冊△△|△歌川貞秀画@△/帰雁故郷(かへるかりこきやう)の/花園(はなぞの)△@松亭寿山作△|全△四冊△△| 00024950L13一猛斎芳虎画@ 00024960L15/百面相仕方噺(ひやくめんそふしかたばなし)△@△土橋亭龍馬作|二編四冊△△△|△一勇斎国芳画@△/女舞千代(おんなまいちよ)の/寿(ことぶき)△@七曲舎倭金作|全△四冊△△|一猛 00024970L15斎芳虎画@ 00024980L17/忠孝誉之碑(ちうこうほまれのいしぶミ)△@△松亭寿山作△|全△四冊△△△|△一猛斎芳虎画@△/万福長者宝蔵入(まんふくてうじやたからのくらいり)△@台西堂主人作|△全△四冊△△| 00024990L17一勇斎国芳画@ 00025000L19@/恵方(ゑほう)|/冨士(ふし)@/初夢草紙(はつゆめぞふし)@△宝田千町作△|全△六冊△△△|△五雲亭貞秀画@△/浮世又平名画誉(うきよまたへいめいぐわのほまれ)△@武亭小三馬 00025010L19作|全△四冊△△|五蝶亭貞重画@ 00025020L21/牡丹園女荘子(ぼたんのそのむすめさうじ)@前編|後編@△△△@柳△亭種彦作|香蝶楼国貞画@ 00025030L22@仙|方@人参丹@京ばし△△|△仙女香△|△△とりめ@地本錦絵問屋△松郷五町目△松原堂△藤岡屋彦太郎板 00025040M1あんまりいゝから、まい日けんぶつしましたが、ものおぼ 00025050M2へがわりいから、ちツともおぼへません。アノ、お師しよ 00025060M3さんへ。つりぎつねのあさひなハ、ぜうるりのおとしにな 00025070M4つて、めんを左りにもつて見へになりますが、あれハめい 00025080M5じん秀佳さんのしたのでござりますから、アノないかいな 00025090M6間にハ、わたくしにハいきにくうございます。ま事に、ど 00025100M7んなにやつてもいけませんから、やつぱりおしをつよく、 00025110M8めんをかぶつていきませう(二十オ) 00025120¥Q噺作者 00025130M11◇△△土橋亭りう馬 00025140M12△△土橋亭扇好◇ 00025150M14△△△亀座して△しびれけもなき△御代の春 00025160M16△△△△△△△△△△△◇一勇斎国芳画◇ 00025170M18△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二十ウ) 00025180¥P104 00025190¥U噺本大系△第十九巻 00025200¥T@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△〔題名〕 00025210¥G 00025220¥Y 00025230L17天保十年頃刊 00025240L18今井黍丸作 00025250L19大坂△塩屋喜兵衛板 00025260L20美濃紙半截二十二枚 00025270¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△/濫觴(はじまり)△△△△¥A今井黍丸作◇ 00025280¥N1¥J 00025290¥X 00025300M4△一口ばなしハ、/手(て)ミやげのつかひものニよろしい△S/本(ほん) 00025310M5ニなア 00025320¥N2¥J 00025330¥X 00025340M6△一ト口ばなしの本かひませふか△S/草紙屋(さうしや) 00025350¥N3¥J 00025360¥X 00025370M7△しほやハ△Sあこか 00025380¥N4¥J 00025390¥X 00025400M8△ゆびぐすりやの/本家(ほんけ)にハ、さるのかんばんがでゝあると 00025410M9Sきゝました 00025420¥N5¥J 00025430¥X 00025440M10△本るい/草紙(さうし)ものも御座ります△S/兼而(かねて)/承知(しやうち) 00025450¥N6¥J 00025460¥X 00025470M11△/古本(ふるほん)の/払(はらい)ものハ、こゝがねだんがよいゆへ、もつてきま 00025480M12した△S/現銀(げんぎん)なおかたじや 00025490¥Q1書林兼草紙屋@大坂心才ばし|ばくらう町△@塩屋喜兵衛板 00025500¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△/初編(しよへん)△△△△¥A今井黍丸作◇ 00025510¥N1¥J 00025520¥X 00025530M17△四十七人の内で、おもい人は△/大石(おほいし) 00025540¥N2¥J 00025550¥X 00025560M18△/寺岡(てらをか)平右衛門は/芸州(げいしう)へ/飛脚(ひきやく)ニいた△あしがる 00025570¥N3¥J 00025580¥X 00025590M19△よふねるおなごじや△おきよ 00025600¥N4¥J 00025610¥X 00025620M20△/可内(べくない)、はやふやすめ△ねへ 00025630¥P105 00025640¥G 00025650¥N5¥J 00025660¥X 00025670M1△あなのあいた/紙(かミ)、おくれんか△やれ+ 00025680¥N6¥J 00025690¥X 00025700M2△/藤(ふぢ)の/花見(はなミ)に/風(かぜ)ひいた△はなたれ 00025710¥N7¥J 00025720¥X 00025730M3△さほ/上(あげ)のさきがぬけました△またいれ 00025740¥N8¥J 00025750¥X 00025760M4△/馬方(むまかた)さん、お前のむすこか△まご 00025770¥N9¥J 00025780¥X 00025790M5△/井戸(ゐど)の/中(なか)へ/石(いし)がはまつた△/丼(どぶ) 00025800¥N10¥J 00025810¥X 00025820M6△/鼠(ねずミ)が/引(ひき)だしへはいつた。はよさし△しめた 00025830¥N11¥J 00025840¥X 00025850M7△これをはやふそめておくれ。いつきましやう△こんや 00025860¥N12¥J 00025870¥X 00025880M8△かづの/子(こ)のおやは△/二親(にしん) 00025890¥N13¥J 00025900¥X 00025910M9△/忠(ちう)介さん。三ミせんひいてか△かぢります 00025920¥N14¥J 00025930¥X 00025940M10△/壱両(いちりやう)のうなぎくた△/大(ゑらい)じや 00025950¥N15¥J 00025960¥X 00025970M11△ふぐじるなら、/百(ひやく)ぜんもくふ△てつぽうじや 00025980¥N16¥J 00025990¥X 00026000M12△/蚊(か)ニくわれて、/糸(いと)つむぎ△ぶう+と 00026010¥N17¥J 00026020¥X 00026030M13△/夜番(やばん)にいて、百/両(りやう)のばした△どん+と 00026040¥N18¥J 00026050¥X 00026060M14△/峠(とうげ)まで来たに、/夜(よ)があけぬ△くらがりじや 00026070¥N19¥J 00026080¥X 00026090M15△つりがねニいぼが、たんとついてある△それでたこがつ 00026100M16く 00026110¥N20¥J 00026120¥X 00026130M17△/馬(むま)のあふたどうしゆかふ△どう+ 00026140¥N21¥J 00026150¥X 00026160M18△こぶやハたちくずまで/銭(ぜに)にする△つめじや 00026170¥N22¥J 00026180¥X 00026190M19△はりがねの/職人(しよくにん)、/朝(あさ)はやうおきる△かねをのばす 00026200¥Q1二編近日ニさし出シ申候 00026210¥P106 00026220¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△二編△△△△¥A今井黍丸作◇ 00026230¥N1¥J 00026240¥X 00026250L4△/甚兵衛(ぢんべい)とハ、おまへのことか△そでない 00026260¥N2¥J 00026270¥X 00026280L5△それ、/荷(に)じや△はい 00026290¥N3¥J 00026300¥X 00026310L6△/畳(たゝミ)やさん、よふうれ升△はんじやう 00026320¥N4¥J 00026330¥X 00026340L7△さほにとりもちが、すくないゆへ△とりにがした 00026350¥N5¥J 00026360¥X 00026370L8△三之助つかまれたハ、たれじや△わしじや 00026380¥N6¥J 00026390¥X 00026400L9△/障子(しようじ)のたけが、ちがふから△/間(ま)ニ/合(あハ)ぬ 00026410¥N7¥J 00026420¥X 00026430L10△/黒雲(くろくも)ハまけぬはづじや△/地(ち)につかぬ 00026440¥N8¥J 00026450¥X 00026460L11△/塔(たふ)へあがるハ、五十じや△/高(たか)い+ 00026470¥N9¥J 00026480¥X 00026490L12△/八卦見(はつけいミ)が/借(かつ)た/家(いへ)、/空地(くうち)があるか△うらなひ 00026500¥N10¥J 00026510¥X 00026520L13△かんごりや、/酒(さけ)いけるか△あびます 00026530¥N11¥J 00026540¥X 00026550L14△よめのつれ/子(こ)ハいくつじや△ごさい 00026560¥N12¥J 00026570¥X 00026580L15△/仙助(せんすけ)のかわり、おまへできるか△のうなし 00026590¥N13¥J 00026600¥X 00026610L16△そのやうに/甲(かふ)をたゝいたら△かめかめ 00026620¥N14¥J 00026630¥X 00026640L17△でんがくの/箱(はこ)、/割(わつ)てないてゐる△くし+ 00026650¥N15¥J 00026660¥X 00026670L18△御内義ハはしごうりにいかれた。/親仁(おやじ)さん、何してじや 00026680L19うちばんしてゐる 00026690¥N16¥J 00026700¥X 00026710L20△けんくわして/中直(なかなほ)りの/酒(さけ)ハ△あたまわり 00026720¥N17¥J 00026730¥X 00026740M1△/庖丁(ほうてう)やのよめさん、よいきれうじやが△ちとでば 00026750¥N18¥J 00026760¥X 00026770M2△あんどうの/外(ほか)、なに+/買(かふ)た△かきたててミ 00026780¥N19¥J 00026790¥X 00026800M3△天王寺の二王さん、大きなわらんじ、/釣(つゝ)てあるたびハ 00026810M4なんもんで/有(あら)ふ 00026820¥N20¥J 00026830¥X 00026840M5△/六部(ろくぶ)さん、入レませふ△おい+ 00026850¥N21¥J 00026860¥X 00026870M6△/山本勘助(やまもとかんすけ)、/後陣(ごじん)の△かためじや 00026880¥N22¥J 00026890¥X 00026900M7△/雨(あめ)があがつて、/日傘(ひがさ)でいけ升△あを/天上(てんじやう) 00026910¥Q1●三篇近日売出し申候 00026920¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△三編△△△△¥A今井黍丸作◇ 00026930¥N1¥J 00026940¥X 00026950M12△/大工(だいく)さん/仕事場(しことバ)へ、すしがやつてある△こけらじや 00026960¥N2¥J 00026970¥X 00026980M13△そばやの/子(こ)、/楊弓(やうきう)がすきじや△うどんかちん 00026990¥N3¥J 00027000¥X 00027010M14△/重忠(しげたゞ)の/衣裳(いしやう)ハ、きぬでない△ちゝぶじや 00027020¥N4¥J 00027030¥X 00027040M15△八百やニ/何(なに)いふても、はらたてん△じゆんさい 00027050¥N5¥J 00027060¥X 00027070M16△くの/字(じ)ハ/弓(ゆミ)、しの/字(じ)ハつるじやと△ゆふている 00027080¥N6¥J 00027090¥X 00027100M17△/新玉(しんたま)おでん、あしたくわんか△こんやく 00027110¥N7¥J 00027120¥X 00027130M18△/木(き)屋ハ/算盤(そろばん)がたつしやな△/割(わつ)たり/掛(かけ)たり 00027140¥N8¥J 00027150¥X 00027160M19△/挑灯(てうちん)の/相談(さうだん)、できたか△おだハら 00027170¥N9¥J 00027180¥X 00027190M20△/地蔵(ぢざう)まつりに、たんとあまつて△なんきんじや 00027200¥P107 00027210¥N10¥J 00027220¥X 00027230L1△べゝがよごれた△くそたれ 00027240¥N11¥J 00027250¥X 00027260L2△くへなんだ/柿(かき)の、/銭(ぜに)はらふた△しぶゐかほして 00027270¥N12¥J 00027280¥X 00027290L3△/仲士(なかし)のむすこが、おとなしうて、ようせいだす△かたの 00027300L4よい人じや 00027310¥N13¥J 00027320¥X 00027330L5△一ツ/休(きう)のかいた/字(じ)ハ、ながたら△し 00027340¥N14¥J 00027350¥X 00027360L6△/下寺(したでら)町の江戸やさん、/三毛(ミけ)やり口ハないか△/猫(ねこ)いらず 00027370¥N15¥J 00027380¥X 00027390L7△そろばんやさん、ねつがあるから、薬のミなされ△八さ 00027400L8んする 00027410¥N16¥J 00027420¥X 00027430L9△/馬(うま)かいた/古法眼(こほうげん)、/画(ゑ)にハよつぽど△ぬけでたもの 00027440¥N17¥J 00027450¥X 00027460L10△こんなミじかい銭を、とつてくるゑらいあほうじや△十 00027470L11六文たらん 00027480¥N18¥J 00027490¥X 00027500L12△/正蓮寺(せうれんじ)の/小僧(こざう)、あたまがはれた△でんぼ 00027510¥N19¥J 00027520¥X 00027530L13△丁内の玉の/名(な)、半七さんとハ/若(わか)イ名△イへ+としより 00027540¥N20¥J 00027550¥X 00027560L14△/酒(さけ)のミが/夕(ゆふ)だちニあふて、おばこへは入ッた△/雨風(あめかぜ)じや 00027570¥N21¥J 00027580¥X 00027590L15△/坐頭(ざとう)さん、しほものかひんか△うるめハないか 00027600¥N22¥J 00027610¥X 00027620L16△/隠居(いんきよ)さんの目がね、ふミわりた△/親仁(おやじ)が/目玉(めだま) 00027630¥Q1四編近日出し申候 00027640¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△四編△△△△¥A今井黍丸作◇ 00027650¥N1¥J 00027660¥X 00027670M1△/麩屋(ふや)のむすめ、ひとりかミ/結(ゆふ)た△大づと 00027680¥N2¥J 00027690¥X 00027700M2△/親(おや)の/病気(びやうき)で/願(ぐわん)かけて、/天(てん)わうじの南門迄はだかまいり 00027710M3こうしんじや 00027720¥N3¥J 00027730¥X 00027740M4△/舟(ふね)にのりなら/茶(ちや)づけくゐ△かちでいく 00027750¥N4¥J 00027760¥X 00027770M5△/相場仕(さうばし)がせりあふて△/堂(どう)じまでたゝいた 00027780¥N5¥J 00027790¥X 00027800M6△/生(なま)ぶし/何(なん)べんかひた△はつじや 00027810¥N6¥J 00027820¥X 00027830M7△おきやくさん、ふぐ/汁(じる)をすきじや。お/国(くに)ハ△なごや 00027840¥N7¥J 00027850¥X 00027860M8△おみくじ上ゲてのむくすりハ△ふりだし 00027870¥N8¥J 00027880¥X 00027890M9△じしんハ大きらい。よなをせ+とこわがつて△ふるひ 00027900M10だす 00027910¥N9¥J 00027920¥X 00027930M11△日の丸を/買(か)ふて銭がもうない。/財布(さいふ)ハうん+△いかの 00027940M12ぼり 00027950¥N10¥J 00027960¥X 00027970M13△あミやさん、/長雨(ながあめ)でしめしがかわくまい△あぶりこして 00027980M14ゐる 00027990¥N11¥J 00028000¥X 00028010M15△/家主(やぬし)のかうやく屋へいて、ふしんをしておくれ。やねが 00028020M16そんじました△/雨(あめ)のもり 00028030¥N12¥J 00028040¥X 00028050M17△/一日(いちにち)たつてゐて、ミそすつたら/足(あし)が△すりこ木ニなつた 00028060¥N13¥J 00028070¥X 00028080M18△/帯(おび)の/地(ぢ)がゑらふわるい△やたらおり 00028090¥N14¥J 00028100¥X 00028110M19△/紋所(もんどころ)/染(そめ)あがつたら、日にもほしや△かげひなた 00028120¥N15¥J 00028130¥X 00028140M20△/目(め)がまふた。それ/針(はり)よ△きう 00028150¥P108 00028160¥N16¥J 00028170¥X 00028180L1△茶の湯の間ニ合ふよふニ、いそいでもどり、/足(あし)をいため、 00028190L2ざしきへ△にぢりあがり 00028200¥N17¥J 00028210¥X 00028220L3△/夜(や)ばんから/戻(もど)つた。内ハまだねている。あけてくれ△ど 00028230L4ん+ 00028240¥N18¥J 00028250¥X 00028260L5△ゑらい/酒(さけ)のミじや。てんまやの/肴(さかな)で△/片口(かたくち)でのんだ 00028270¥N19¥J 00028280¥X 00028290L6△山/姥(うバ)がわが子にきものこしらへてやつても△きんときが 00028300L7おほひ 00028310¥N20¥J 00028320¥X 00028330L8△/和尚(おしやう)ニなつてから、なんぼになり升△/十念(じうねん) 00028340¥N21¥J 00028350¥X 00028360L9△/何(なに)/商売(しやうばい)しても、あんまニハ/叶(かな)ハぬ△つかミどり 00028370¥N22¥J 00028380¥X 00028390L10△/痘瘡(ほうさう)見まひに/朝日山(あさひやま)のせんべが△かるい 00028400¥Q1五編近日出し申候 00028410¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△五編△△△△¥A今井黍丸作◇ 00028420¥N1¥J 00028430¥X 00028440L15△/雨(あめ)がふりそふな。のりかひものといれ、ぬれたら△うて 00028450L16ん+ 00028460¥N2¥J 00028470¥X 00028480L17△此お子ハ/早(はや)ふはひなさる。いつ/生(うま)れじや。元日△ついた 00028490L18ちじや 00028500¥N3¥J 00028510¥X 00028520L19△/紅葉(もミぢ)がりハ酒がよい。きらいな人ハこゝに△これもちが 00028530L20ある 00028540¥N4¥J 00028550¥X 00028560M1△/公家(くげ)ハなべとりと/聞(きひ)たが、/中納言(ちうなごん)ハ△ゆきひら 00028570¥N5¥J 00028580¥X 00028590M2△二つある/花生(はないけ)、/南(ミなミ)のほうハ△なんぼうじや 00028600¥N6¥J 00028610¥X 00028620M3△/両丁(りやうてう)の/袴(はかま)ずれ、としよりへ/取(と)るハ△けんたい 00028630¥N7¥J 00028640¥X 00028650M4△/地蔵(ぢざう)さんのおくやうがきた△うちあけ 00028660¥N8¥J 00028670¥X 00028680M5△/白粉(をしろい)ゑらふぬつた、いやらしい女子じや△べつたり 00028690¥N9¥J 00028700¥X 00028710M6△引キだしへ/饅頭(まんぢう)入た。/後(のち)ニ一つせしめて/遣(やら)ふ△うまい 00028720M7+ 00028730¥N10¥J 00028740¥X 00028750M8△かわらけのそうじ、まだせづか△をりがない 00028760¥N11¥J 00028770¥X 00028780M9△/竹(ちく)らんの/鉢(はち)がひつくりかへつた△/蘭竹(らんちく)さわぎ 00028790¥N12¥J 00028800¥X 00028810M10△あの/紺屋(こうや)ハ/染(そめ)ものやらんのに、毎日/廻(まハ)る△こんがよい 00028820¥N13¥J 00028830¥X 00028840M11△長吉、くさいがな。たしなまんか△へ 00028850¥N14¥J 00028860¥X 00028870M12△料理やの/葬礼(さうれい)に、ばゝがたらん。だれぞないか△/仲居(なかゐ)で 00028880M13もだんないか 00028890¥N15¥J 00028900¥X 00028910M14△ぎをん/会(ゑ)に/登(のぼ)つてよばれたが、酒が/水(ミづ)くそふて△/酔(ゑ)ひも 00028920M15せず京 00028930¥N16¥J 00028940¥X 00028950M16△/楠(くすのき)のうちじに、/吉野(よしの)へいふてきた△ちうしん 00028960¥N17¥J 00028970¥X 00028980M17△たびがぬれて、ひつくりかへし△びた 00028990¥N18¥J 00029000¥X 00029010M18△/妙(めう)こくじのそでつ、信長公の/庭(にハ)でいのふとゆふた△そう 00029020M19じやさかひえかへした 00029030¥N19¥J 00029040¥X 00029050M20△/綱(つな)ハ/羅生門(らしやうもん)で/鬼(おに)にかつた△うでづくじや 00029060¥P109 00029070¥N20¥J 00029080¥X 00029090L1△紺屋にひいてゐる三/味(ミ)せん、なんじや。わからん△あい 00029100L2の手 00029110¥N21¥J 00029120¥X 00029130L3△かもじやさん。ばんまでにしておくれ△/惣輪(さうわ)できません 00029140¥N22¥J 00029150¥X 00029160L4△/中野行(なかのゆき)のミちでしんこあがつたか△くわづ 00029170¥Q1●六編近日出し申候 00029180¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△六編△△△△¥A今井黍丸作◇ 00029190¥N1¥J 00029200¥X 00029210L9△元朝(ぐわんてう)からはたらいたで、大/晦日(つごもり)ハ/金(かね)があまつた△いちね 00029220L10んじや 00029230¥N2¥J 00029240¥X 00029250L11△八人して/御輿(ミこし)をかいた。おもたふて△あちらへよつたり 00029260L12こちらへよつたり 00029270¥N3¥J 00029280¥X 00029290L13△大晦日のばんハねる物じやない。/夜(よ)があけたら△ねんと 00029300¥N4¥J 00029310¥X 00029320L14△八文のまくわ、四文にまけた△/安(やす)うり 00029330¥N5¥J 00029340¥X 00029350L15△/門(かど)松の下で/礼者(れいしや)が、こしかゞめてゐる△ゑびのやうに 00029360¥N6¥J 00029370¥X 00029380L16△/盆礼(ぼんれい)にさむらひの/供(とも)ハ△/中元(ちうげん) 00029390¥N7¥J 00029400¥X 00029410L17△戎ばしのうへで、/跡(あと)見かへり、ともハまだこんか△参り 00029420L18ましたトうしろから 00029430¥N8¥J 00029440¥X 00029450L19△/長者(ちやうじや)の月見ハこゝろに△かゝるくもなし 00029460¥N9¥J 00029470¥X 00029480L20△帳/祝(いは)ひの勘定もよいが、/店(たな)おろし帳ニ附おちハないか 00029490M1/〆(しめ)の/内(うち)じや 00029500¥N10¥J 00029510¥X 00029520M2△九月の/節句(せつく)ニ/菊(きく)の花を/大事(だいじ)そふニ/生(いけ)てゐる△ちやう/陽(やう)花 00029530M3よ 00029540¥N11¥J 00029550¥X 00029560M4△廿日正月、大/根(こん)とぶりとハむまい△/骨(ほね)じや 00029570¥N12¥J 00029580¥X 00029590M5△おもやへ/勤(つとめ)て、あま酒もつてゆく人ハ△かた入じや 00029600¥N13¥J 00029610¥X 00029620M6△/初(はつ)午にばんばでのぼしたい△いかしてんか 00029630¥N14¥J 00029640¥X 00029650M7△十夜参りのぼんさん、/若(わか)とうが/下(しも)ばかりつけてゐた△/上(かミ) 00029660M8なしづき 00029670¥N15¥J 00029680¥X 00029690M9△まぜり/豆(まめ)をやつたに丸めてかんだハ/何(なん)じや△はなくそ 00029700¥N16¥J 00029710¥X 00029720M10△/神前(しんぜん)で/湯立(ゆだて)がある。/釜(かま)の下の△お火たき 00029730¥N17¥J 00029740¥X 00029750M11△/雛(ひな)さんのまゝ事してゐるのハミな△/蛤貝(はまぐりがひ) 00029760¥N18¥J 00029770¥X 00029780M12△/歳暮(せいぼ)にもらふた/肴(さかな)、よそへやつたら、かゝがおこつた 00029790M13ぶり+と 00029800¥N19¥J 00029810¥X 00029820M14△御てんの/襖(ふすま)の/鶴(つる)の/画(ゑ)も△/雛(ひな)じや 00029830¥N20¥J 00029840¥X 00029850M15△大晦日じや。早ふ仕まいたい。さつさと△/懸(かけ)まハり 00029860¥N21¥J 00029870¥X 00029880M16△初節句ニよバれた。/酒(さけ)かと思ふたら、ちまきくわした 00029890M17だんごの/節句(せつく) 00029900¥N22¥J 00029910¥X 00029920M18△/金(かね)がたんと/船(ふね)で/来(き)た。どこへなをそ△/角(すミ)のくら 00029930¥Q1●七編近日出し申候 00029940¥P110 00029950¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△七編△△△△¥A今井黍丸作◇ 00029960¥N1¥J 00029970¥X 00029980L4△のミこんだか△うん 00029990¥N2¥J 00030000¥X 00030010L5△/帳(てう)の/紙(かミ)がわるい。三わりひきんか△うだ+いひな 00030020¥N3¥J 00030030¥X 00030040L6△/日(ひ)がミじかい。あさねこそ△おきなされ 00030050¥N4¥J 00030060¥X 00030070L7△こゝでわかれる。/壱人(ひとり)ゆけとハ△つれない 00030080¥N5¥J 00030090¥X 00030100L8△/今宮(いまミや)の/近所(きんじよ)でかねおとした△ひろた 00030110¥N6¥J 00030120¥X 00030130L9△水がにごつた。いつすもふな△/明(めう)ばん 00030140¥N7¥J 00030150¥X 00030160L10△しろふと/市(いち)で八百やが/直(ね)をつけてゐる△ゆゆ 00030170¥N8¥J 00030180¥X 00030190L11△/大工(だいく)さん、安いふしんじや。/先(さき)へ金あげる△/請(うけ)とり 00030200¥N9¥J 00030210¥X 00030220L12△/金(かね)とりニいたら、/店(ミせ)がさしてある△しもた 00030230¥N10¥J 00030240¥X 00030250L13△いつしよニのんだ酒、ふたりにわると△/五合(ごがふ)ヅヽ 00030260¥N11¥J 00030270¥X 00030280L14△/夕部(ゆふべ)/買(か)ふた/酢(す)が、まだある△あまり 00030290¥N12¥J 00030300¥X 00030310L15△/肴(さかな)やさん。此子、/奉公(ほうこう)にやるが△くちわないか 00030320¥N13¥J 00030330¥X 00030340L16△/左官(さくわん)がおこつて、ぶちわつた△かんてき 00030350¥N14¥J 00030360¥X 00030370L17△/国元(くにもと)から/肴(さかな)がきた。ちとくさい△ゑん/着(ちやく)じや 00030380¥N15¥J 00030390¥X 00030400L18△あづきもちがよふうれるのでいそがしい△てんてこ 00030410¥N16¥J 00030420¥X 00030430L19△百文の/酒(さけ)おくれ。あじハよいか△一トすじ 00030440¥N17¥J 00030450¥X 00030460L20△/袴(はかま)がぬれた△/茶(ちや)ぶ 00030470¥N18¥J 00030480¥X 00030490M1△久三が/酒(さけ)のまずと/銭(せに)でもらふハ△りくつじや 00030500¥N19¥J 00030510¥X 00030520M2△/傘(からかさ)の/油(あぶら)ハなんじや△ゑ 00030530¥N20¥J 00030540¥X 00030550M3△/小町(こまち)ハ三十二/相(さう)そろふてある△あながない 00030560¥N21¥J 00030570¥X 00030580M4△おやじがわかしてゐる△/茶(ちや)びん 00030590¥N22¥J 00030600¥X 00030610M5△一ト口ばなしのはんこ、ミなさらんか△おかし 00030620¥Q1●八篇近日出し申候 00030630¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△八編△△△△¥A今井黍丸作◇ 00030640¥N1¥J 00030650¥X 00030660M10△とうふ/壱丁(いつてう)△きらずとおくれ 00030670¥N2¥J 00030680¥X 00030690M11△くそした。なぐれ△にげていぬ 00030700¥N3¥J 00030710¥X 00030720M12△いも/買(か)ふてくれにハ△ほつこりこまる 00030730¥N4¥J 00030740¥X 00030750M13△/粂(くめ)の/仙人(せんにん)が/好(この)む/所(ところ)ハよつぽど△おちる 00030760¥N5¥J 00030770¥X 00030780M14△百の/銭(ぜに)、どちらからよんでも△くろく 00030790¥N6¥J 00030800¥X 00030810M15△/大師(だいし)さんハ/京(きやう)でもよふ/参(まい)り升△とうじはんじやう 00030820¥N7¥J 00030830¥X 00030840M16△まびきそろへておきました△はゞかり 00030850¥N8¥J 00030860¥X 00030870M17△壱升どくりの酒でハ、お/客(きやく)にたらん。壱/斗(と)なら△たる 00030880¥N9¥J 00030890¥X 00030900M18△五ばんハ/河内(かハち)のふじゐ寺じや。がてんがいたか△/詠哥(えいか) 00030910¥N10¥J 00030920¥X 00030930M19△/酒(さけ)と/酢(す)ととりちがへた△すかん 00030940¥N11¥J 00030950¥X 00030960M20△/目(め)がねやハ/細工(さいく)じまんで△はなにかける 00030970¥P111 00030980¥N12¥J 00030990¥X 00031000L1△たんぽの中へ/塩(しほ)がこぼれた。どふしやう△さかしほニな 00031010L2る 00031020¥N13¥J 00031030¥X 00031040L3△かざり/馬(うま)は△どふもひんがよい 00031050¥N14¥J 00031060¥X 00031070L4△/不細工(ぶさいく)なたんす、/仕(し)入レて/損(そん)をした△/長持(ながもち)ハせぬ 00031080¥N15¥J 00031090¥X 00031100L5△とし/玉(だま)に/酒(さけ)一/升(しやう)おくれ△あいはたのまぬ 00031110¥N16¥J 00031120¥X 00031130L6△人の/股(また)をくゞつて、/後(のち)に/名(な)をあげた△かんしんじや 00031140¥N17¥J 00031150¥X 00031160L7△/時(とき)をうたぬが、/夜番(やばん)ハねてゐる△おきやがれ 00031170¥N18¥J 00031180¥X 00031190L8△/八百(やほ)やのむすこ、/青(あを)いかほしてゐる△/大根(おほね)がねぶかい、 00031200L9山いものじや 00031210¥N19¥J 00031220¥X 00031230L10△つんぼの/薬(くすり)、なんぼのんでも△きかん 00031240¥N20¥J 00031250¥X 00031260L11△$とられたら△つまらぬ 00031270¥N21¥J 00031280¥X 00031290L13△/餅(もち)やさん。/子猫(こねこ)いらぬか。こちや△ちんずきじや 00031300¥N22¥J 00031310¥X 00031320L14△/月見(つきミ)の/酒(しゆ)ゑんハ△さへました 00031330¥Q1九篇近日出し申候 00031340¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△九編△△△△¥A今井黍丸作◇ 00031350¥N1¥J 00031360¥X 00031370L19△/鉄之助(てつのすけ)が/鼠(ねずミ)の/術(じゆつ)をあらハしたハ△ちう 00031380¥N2¥J 00031390¥X 00031400L20△せんち/早(はや)ふでんか△うん 00031410¥N3¥J 00031420¥X 00031430M1△/政岡(まさおか)の/忠義(ちうぎ)ハ/天下(てんが)一、/女子(おなご)の△/鏡(かゞミ) 00031440¥N4¥J 00031450¥X 00031460M2△おうバのきふ/銀(ぎん)、たれが/取(とり)にくる△わたしがちゝ 00031470¥N5¥J 00031480¥X 00031490M3△/荷持(にもち)に/雇(やと)れていて江戸/見物(けんぶつ)してきた△/両掛(りやうがけ)じや 00031500¥N6¥J 00031510¥X 00031520M4△/米(こめ)やから/隠居(いんきよ)さんの/祝(いはひ)がきた△/升(ます)かけじや 00031530¥N7¥J 00031540¥X 00031550M5△/左官(さくわん)さん、/白(しら)かべのうハぬり、なんぼかゝる△/弐(に)歩 00031560¥N8¥J 00031570¥X 00031580M6△おもやの/親旦那(おやだんな)へ、/紅(べに)もめん/祝(いは)ふたハ△ほんけ 00031590¥N9¥J 00031600¥X 00031610M7△/百(ひやく)まなこ/買(か)ふてんか△べかこ 00031620¥N10¥J 00031630¥X 00031640M8△/唐人(とうじん)が/吉備大臣(きびだいじん)をこまらそと/思(おも)ふて△/詩(し)の/碁(ご)のいふた 00031650¥N11¥J 00031660¥X 00031670M9△/隠居(いんきよ)さんが/寺(てら)まいりに△/杖(つへ)ついてゆく 00031680¥N12¥J 00031690¥X 00031700M10△べつ/甲(かふ)じやといふて、かんざし/買(かふ)てやつたら△にたりと 00031710M11/笑(わら)ふた 00031720¥N13¥J 00031730¥X 00031740M12△/釜(かま)の/下(した)どふどゝたいてくれると△きがへるやうな 00031750¥N14¥J 00031760¥X 00031770M13△さつまの/守(かミ)を六弥太の/家来(けらい)がうしろから△切るかいな 00031780¥N15¥J 00031790¥X 00031800M14△かんてきに/炭(すミ)の入れやうが/多(おゝ)いと、おやじがしかる△/茶(ちや) 00031810M15びんがにへかへる 00031820¥N16¥J 00031830¥X 00031840M16△/孔明(こうめい)のはかりことニかゝつて△そう+にげた 00031850¥N17¥J 00031860¥X 00031870M17△/子(こ)もりが/犬(いぬ)をよんだりおふたり△こい+しい+ 00031880¥N18¥J 00031890¥X 00031900M18△/座禅豆(ざぜんまめ)やの/看板(かんばん)ニ、なんで/達磨(だるま)が/書(かい)てある△さとつて見 00031910M19い 00031920¥N19¥J 00031930¥X 00031940M20△川中じまの大/合戦(がつせん)、うへしたへとひつくりかへした△し 00031950¥P112 00031960L1んげんけんしん 00031970¥N20¥J 00031980¥X 00031990L2△だれがかいたのじや△ゑ 00032000¥N21¥J 00032010¥X 00032020L3△さんごじゆのできてある/植木(うへき)ハ/高(たか)そふなものじや。あれ 00032030L4ハ△/万両(まんりやう) 00032040¥N22¥J 00032050¥X 00032060L5△/佐野(さのゝ)/源(げん)左衛門が/家(いへ)ニやどを/乞(こ)ふ/僧(さう)ハ△/雪暮(ゆきくれ)て 00032070¥Q1●十編近日出し申候 00032080¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△十編△△△△¥A今井黍丸作◇ 00032090¥N1¥J 00032100¥X 00032110L10△/石(いし)にけつまづいて/下駄(げた)がかけた△はしもた 00032120¥N2¥J 00032130¥X 00032140L11△/味噌(ミそ)やの/子(こ)がちいさいみかんくてゐる。あれハ△こうじ 00032150L12じや 00032160¥N3¥J 00032170¥X 00032180L13△らふそくやの/若(わか)い人は△しんまく 00032190¥N4¥J 00032200¥X 00032210L14△/男達(おとこだて)がなつの/夜(よ)ねられんから△/蚊(か)をやく 00032220¥N5¥J 00032230¥X 00032240L15△/古梅園(こばいゑん)の/代呂物(しろもの)ハ/南都(なんと)もかとも△ゆゑんよい/墨(すミ) 00032250¥N6¥J 00032260¥X 00032270L16△/酒(さけ)壱升/角(すミ)のミして、さかなは△ますのミ 00032280¥N7¥J 00032290¥X 00032300L17△/鎌(かま)があたるとにげた△/蛤馬手(はまぐりまて) 00032310¥N8¥J 00032320¥X 00032330L18△ひへがきびしいから、/此子(このこ)のやまひハ△かんがつよい 00032340¥N9¥J 00032350¥X 00032360L19△/芝居(しばゐ)がいそぐ。/腰(こし)かけて/茶碗酒(ちやわんざけ)でやろ△はや/幕(まく)じや 00032370¥N10¥J 00032380¥X 00032390L20△四十七人の内で、/年若(としわか)でも一/方(ほう)の/大将(たいしやう)ニなる△/主税(ちから)があ 00032400M1る 00032410¥N11¥J 00032420¥X 00032430M2△/三味線(しやミせん)の/皮(かハ)やぶつてしかられた△なりがわるい 00032440¥N12¥J 00032450¥X 00032460M3△/蛤(はまぐり)/取(と)りにゐても/取(と)れんと、もどるに△しほがない 00032470¥N13¥J 00032480¥X 00032490M4△ふとん一まいでハ/寒(さむ)い。かしておくれんか△/夜着(よぎ)なきむ 00032500M5しん 00032510¥N14¥J 00032520¥X 00032530M6△/紙屑(かミくす)かひの子が/愛(あい)ざかりで、つむり△てん+といふた 00032540¥N15¥J 00032550¥X 00032560M7△/淡路(あハぢ)のお/客(きやく)ハ/番頭(はんとう)か△/淡州(だんしう)じや 00032570¥N16¥J 00032580¥X 00032590M8△よこねがいたくとも、/応対(おうたい)ごとハ△うミちおしておき 00032600¥N17¥J 00032610¥X 00032620M9△/男(をとこ)ばかりうんだら、ふちがくると/親(おや)を△みつご 00032630¥N18¥J 00032640¥X 00032650M10△はらの/工合(ぐあひ)がわるいか。/薬(くすり)のミ△六ぷくじや 00032660¥N19¥J 00032670¥X 00032680M11△大/晦日(つごもり)の/夜浪(よなミ)の/引工合(ひきぐあい)見て取るか△めかりじや 00032690¥N20¥J 00032700¥X 00032710M12△/茶(ちや)わんやで/呑(のミ)くひしてゐるハだれじや△/五介(ごすけ)二五郎八 00032720¥N21¥J 00032730¥X 00032740M13△あとを△/蚊喰(かく) 00032750¥N22¥J 00032760¥X 00032770M14△すだれ/買(か)ふて/来(き)ました。これも△よし 00032780¥Q1●拾一編近日売出し申候 00032790¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△十一編△△△¥A今井黍丸作◇ 00032800¥N1¥J 00032810¥X 00032820M19△/宵(よひ)の/内(うち)ハ/人目(ひとめ)がある。夜ふけてから△Sおそめに/逢(あ)ふ 00032830¥N2¥J 00032840¥X 00032850M20△ちんずきニいたり、内であきなひしたり△Sかけ/餅(もち)じや 00032860¥P113 00032870¥G 00032880¥N3¥J 00032890¥X 00032900M1△こへとりが、大きなたごに一ぱい/荷(に)のふた△Sくそおも 00032910M2たい 00032920¥N4¥J 00032930¥X 00032940M3△/切(き)りうりのなんきん一ツおくれ△S/爪(うり)きれました 00032950¥N5¥J 00032960¥X 00032970M4△ふとんがはいらぬ△Sおしいれ 00032980¥N6¥J 00032990¥X 00033000M5△/家(いへ)をかるまで、此しやうぎ、かつておきます△Sこしか 00033010M6けじや 00033020¥Q1●十二編近日出し申候 00033030¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△十二編△△△¥A今井黍丸作◇ 00033040¥N1¥J 00033050¥X 00033060M11△ふか七が/御(ご)てんにこしかけて、/内(うち)をながめ△Sいるか 00033070M12+ 00033080¥N2¥J 00033090¥X 00033100M13△/六哥仙(ろくかせん)の/内(うち)のぼんさん、/茶(ちや)がすきじや△Sきせんほうじ 00033110¥N3¥J 00033120¥X 00033130M14△せきださがすのに、なんじや△S引ずりだした 00033140¥N4¥J 00033150¥X 00033160M15△/松(まつ)ハとのさまへ御/買(かひ)上ケ△Sごようじや 00033170¥N5¥J 00033180¥X 00033190M16△はしごうりに、こへたのハない△Sやせ 00033200¥N6¥J 00033210¥X 00033220M17△/左馬(さま)之介ハあさい所をよつてわたる△Sこすいわたりじ 00033230M18や 00033240¥Q1●十三編近日出し申候 00033250¥P114 00033260¥G 00033270¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△十三編△△△¥A今井黍丸作◇ 00033280¥N1¥J 00033290¥X 00033300M4△/釣(つり)がねやの/権(ごん)兵へさんが、/挑灯(てうちん)やの/娘(むすめ)を/貰(もら)ふとハ△つり 00033310M5/合(あハ)ぬ 00033320¥N2¥J 00033330¥X 00033340M6△/餅(もち)つきに、ぼんさんをよんだら△ぜんざい+といふた 00033350¥N3¥J 00033360¥X 00033370M7△/質屋(しちや)の/門(かど)で、みじかい/俄(にハか)した△ながしじや 00033380¥N4¥J 00033390¥X 00033400M8△/物(もの)だすなら、/火(ひ)をともしてゆけ△くら 00033410¥N5¥J 00033420¥X 00033430M9△/黄(わう)だんやミが、せんちで△きばりがほ 00033440¥N6¥J 00033450¥X 00033460M10△月の/名所(めいしよ)といふはづじや。とんと/昼(ひる)のやうな△すまあか 00033470M11し 00033480¥N7¥J 00033490¥X 00033500M12△かるわざ/師(し)が/金(こん)ぴらさんへ/願(ぐわん)かけて△さか/立(だち)した 00033510¥N8¥J 00033520¥X 00033530M13△あつもりさんの/石塔(せきたふ)がしれん△すまのうら二ある 00033540¥N9¥J 00033550¥X 00033560M14△/禁酒(きんしゆ)したといふて、いつでも/酔(ゑふ)てじや△しようちうのん 00033570M15でゐる 00033580¥N10¥J 00033590¥X 00033600M16△/雪(ゆき)ふりに/碁(ご)をうつたら△/白(しろ)がちニ見へる 00033610¥N11¥J 00033620¥X 00033630M17△/酒(さけ)の/切手(きつて)三ンまいもろふた。おいでんか△/三升(さんじやう) 00033640¥N12¥J 00033650¥X 00033660M18△/杣人(そまびと)が山ざくら見てゐる△まさかりじや 00033670¥N13¥J 00033680¥X 00033690M19△わたし/舟(ぶね)がいごかん。たちな+△すハつた 00033700¥N14¥J 00033710¥X 00033720M20△/酒(さけ)ずきじやが、やぶ/入(いり)ニのミたか△とらになつた 00033730¥P115 00033740¥N15¥J 00033750¥X 00033760L1△ねんぶつ申て/精霊(せうれう)へそなへる/水(ミづ)は△なむ+ 00033770¥N16¥J 00033780¥X 00033790L2△/鳥屋(とりや)さん。せつきハ△かしハあり/鴈(かり)もあり 00033800¥N17¥J 00033810¥X 00033820L3△/春(はる)/椿(つばき)/夏(なつ)ハ/榎(えのき)に/秋(あき)/楸(ひさぎ)、其しゆん+に△/木(き)を/付(つけ)てよむ 00033830¥N18¥J 00033840¥X 00033850L4△しめうりハわるい、/鳥屋(とりや)さん△はなし/鳥(どり)ハやすい 00033860¥N19¥J 00033870¥X 00033880L5△お/客(きやく)さん、ばんにハかならず△おじやれ 00033890¥N20¥J 00033900¥X 00033910L6△おきせんにもろふた△/一朱(いつしゆ) 00033920¥N21¥J 00033930¥X 00033940L7△/天川(あまかハ)やが/寒(さむ)いのニ、でつちよんでゐる△いごきとむない 00033950¥N22¥J 00033960¥X 00033970L8△/木曽(きそ)よし/仲(なか)が/討(うち)じにのとき、/今井(いまゐ)ノ四郎に△あハづ 00033980¥Q1●十四編近日出し申候 00033990¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△十四編△△△¥A今井黍丸作◇ 00034000¥N1¥J 00034010¥X 00034020L13△/畳(たゝミ)がよごれた。しかへたいと△おもている 00034030¥N2¥J 00034040¥X 00034050L14△/毎日(まいにち)すへると、やいとのかハが△あつなつた 00034060¥N3¥J 00034070¥X 00034080L15△/信田(しのだ)のもりへ/呼(よび)にやつてももふ△こん+ 00034090¥N4¥J 00034100¥X 00034110L16△いわしのくさつたハ/肥(こへ)になる△ほしかやろ 00034120¥N5¥J 00034130¥X 00034140L17△/弥次郎(やじろ)兵へ/北(きた)八が五右衛門ぶろにはいるハ△そこきミが 00034150L18わるい 00034160¥N6¥J 00034170¥X 00034180L19△/住吉(すミよし)の/社(やしろ)の/前(まへ)で/将棊(しやうぎ)の/駒(こま)ひらふた△ししや 00034190¥N7¥J 00034200¥X 00034210L20△/植木(うへき)にも/男女子(をとこをなご)がある△おもと/此松(このまつ) 00034220¥N8¥J 00034230¥X 00034240M1△/壱部(いちぶ)の/利足(りそく)、/寺(てら)へかせバ/弐(に)わり/引(ひき)△/八宗(はつしう) 00034250¥N9¥J 00034260¥X 00034270M2/重筥(ぢうばこ)のふた、あけなへ△おこわじやぞへ 00034280¥N10¥J 00034290¥X 00034300M3△/伊勢(いせ)の/太夫(たゆふ)、/神前(しんぜん)へ/覆面(ふくめん)して/物(もの)いはぬ△おしじや 00034310¥N11¥J 00034320¥X 00034330M4△あたまでかんばん/落(をと)して/釘(くぎ)がぬけた△/打(うち)ました 00034340¥N12¥J 00034350¥X 00034360M5△お/家(いへ)さん、/鍋(なべ)が一ツ見へません。○/出入(でいり)の/権(ごん)兵へニわし 00034370M6がやつた△/釜(かま)やるな 00034380¥N13¥J 00034390¥X 00034400M7△/半紙(はんし)二千ン/枚(まい)うつた。また二千枚の/注文(ちうもん)じや。/払(はらひ)ハどふ 00034410M8じやあろ△ま/一メ(ひとしめ)じや 00034420¥N14¥J 00034430¥X 00034440M9△あたま/虱(しらミ)がわいた。そつて/仕(し)もふておくれ。いとさんか 00034450M10ぼんさんじや 00034460¥N15¥J 00034470¥X 00034480M11△おこりハなをつたか。ねつけがとれて△/落(おち)ました 00034490¥N16¥J 00034500¥X 00034510M12△/心(こゝろ)といふ/字(じ)ハ/真(しん)で/書(かい)ても/角(かど)がない△/丸(まる)いがよい 00034520¥N17¥J 00034530¥X 00034540M13△/米(こめ)やがこぼしていんだ。よびニやつてはかし△/白米(はくまい) 00034550¥N18¥J 00034560¥X 00034570M14△/夜店(よミせ)におき/上(あが)りこぼし/売(うり)なされ△こけしらず 00034580¥N19¥J 00034590¥X 00034600M15△/夕部(ゆふべ)ハ/挑灯(てうちん)がよふ/売(うれ)たで三百文の/鯛(たい)△はりこんだ 00034610¥N20¥J 00034620¥X 00034630M16△/八百(やを)やが/商売(しやうばい)がよふと/思(おも)ふて、/上下(うへした)へとひつくりかへし 00034640M17たが、やつぱり/元(もと)の△やをや 00034650¥N21¥J 00034660¥X 00034670M18△/節季(せつき)になると、/払(はらひ)ハせんきニなる△/横(よこ)ニねてこしすへ 00034680¥N22¥J 00034690¥X 00034700M19△かんてきな人じや△火のやうニ成ツておこつた 00034710¥Q1●十五編近日出し申候 00034720¥P116 00034730¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△十五編△△△¥A今井黍丸作◇ 00034740¥N1¥J 00034750¥X 00034760L4△/頼光(らいくわう)さんが/大江山(おゝえやま)へもつていた/酒(さけ)ハ△/鬼(おに)ころし 00034770¥N2¥J 00034780¥X 00034790L5△/紅毛人(おらんだじん)が/持(もち)わたりの/菓子(くわし)ハ/毛(け)が/生(はへ)たある△カビタンじや 00034800¥N3¥J 00034810¥X 00034820L6△/吹玉(ふきだま)の/入(いつ)た/茶碗(ちやわん)わりくさつた△しやぼてんめ 00034830¥N4¥J 00034840¥X 00034850L7△/八百(やほ)やのばゝが/売(うる)いもは△ゑぐひ 00034860¥N5¥J 00034870¥X 00034880L8△ざこば/魚市場(うをいちば)の/納屋(なや)ハ△/浜地(はまち) 00034890¥N6¥J 00034900¥X 00034910L9△わり/木(き)のそげがある/釜(かま)の/下(した)△たきつけ 00034920¥N7¥J 00034930¥X 00034940L10△つめたいものなぶらずと、こたつへあたれといふのに 00034950L11おかん/子(こ)り 00034960¥N8¥J 00034970¥X 00034980L12△/火(ひ)ふきさいて、いねむつてゐる△おこせ 00034990¥N9¥J 00035000¥X 00035010L13△/出(で)かハりの/大勢(おほぜい)/世話(せわ)するニ、/手(て)が/足(たら)ぬ△/人(ひと)おき 00035020¥N10¥J 00035030¥X 00035040L14△/忠臣蔵(ちうしんぐら)ハ/子供(こども)でもようわかる△かな/手本(でほん) 00035050¥N11¥J 00035060¥X 00035070L15△ぼんの/内(うち)ハ/何(なに)/商売(しやうばい)じやへ△/挑灯(てうちん)/売買(ばい+) 00035080¥N12¥J 00035090¥X 00035100L16△/産(さん)の/前(まへ)ニ/食(しよく)がいかぬと、うむ/時(とき)ニ/力(ちから)がない△さん/前(ぜん)たべ 00035110L17ました 00035120¥N13¥J 00035130¥X 00035140L18△/隠居夫婦(いんきよふうふ)、/参(まい)り/下向(げかう)する/身(ミ)ハ△らくだ 00035150¥N14¥J 00035160¥X 00035170L19△へこきたな。/出(だ)して見せ△した 00035180¥N15¥J 00035190¥X 00035200L20△/安部野(あべの)で/安菜(やすな)/買(か)ふたら△くずの/葉(は)がでた 00035210¥N16¥J 00035220¥X 00035230M1△/謀計(はかりこと)でハ/名(な)が/高(たか)い△こう/明(めい) 00035240¥N17¥J 00035250¥X 00035260M2△/姑(しうとめ)さんハ/目(め)がわるふて、/暦(こよミ)ハ△よめにくひ 00035270¥N18¥J 00035280¥X 00035290M3△でんぼに/膏薬(かうやく)が△はれた 00035300¥N19¥J 00035310¥X 00035320M4△すくひたまふ/仏(ほとけ)は△/釈氏(しやくし) 00035330¥N20¥J 00035340¥X 00035350M5△/親子(おやこ)してのはりものハ△/親子(しんし) 00035360¥N21¥J 00035370¥X 00035380M6△あミ/棚(だな)へたんとハ△はいらず 00035390¥N22¥J 00035400¥X 00035410M7△/出世(しゆつせ)して/天(てん)へ/登(のぼ)る/龍(りやう)は△わだかまりなし 00035420¥Q1●十六編近日出し申候 00035430¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△十六編△△△¥A今井黍丸作◇ 00035440¥N1¥J 00035450¥X 00035460M12△/子(こ)どもがよふ/廻(まハ)してあそぶ△/輪(わ) 00035470¥N2¥J 00035480¥X 00035490M13△/節分(せつぶん)に/麦(むぎ)うりにきたでつちに△よばし 00035500¥N3¥J 00035510¥X 00035520M14△/払(はらひ)ハばんに/早(はや)ふ/取(とり)にこいといふたが△/暮(くれ)たら/宵(よひ) 00035530¥N4¥J 00035540¥X 00035550M15△きびすにはる/膏薬(かうやく)/買(かふ)て/来(き)ておくれ△おあし/出(だ)し 00035560¥N5¥J 00035570¥X 00035580M16△おんとめんとほたへてゐる。中のよいのが△ちんちんじ 00035590M17や 00035600¥N6¥J 00035610¥X 00035620M18△やもめの/手伝(てつたひ)が/弁当(べんとう)ニめしバつかり/持(もつ)ていくので△さい 00035630M19を/貰(もら)ふた 00035640¥N7¥J 00035650¥X 00035660M20△がけへひつくりかへつて/落(おち)たら△けが 00035670¥P117 00035680¥N8¥J 00035690¥X 00035700L1△/東(ひがし)の/御堂(ミだう)の/細間(ほそあひ)で/金(かね)ひらふてもどした△/御前(おまへ)/小治気(せうじき) 00035710¥N9¥J 00035720¥X 00035730L2△/代呂物(しろもの)ハ/上(うへ)ばかりで、これより△したのハなひ 00035740¥N10¥J 00035750¥X 00035760L3△/芝居(しばゐ)の/見物(けんぶつ)が/手(て)をたゝき、/幕(まく)あけい。そんなこといふて 00035770L4も△はじまらぬ 00035780¥N11¥J 00035790¥X 00035800L5△/安(やす)いかまぼこハ/日数(ひかず)もたぬ△/板身(いたミ)やすい 00035810¥N12¥J 00035820¥X 00035830L6△/兄弟(きやうだい)ぶんの/盃(さかづき)に、/兄(あに)が一ぱいついでやつたら△/弟(おとゝ)といふた 00035840¥N13¥J 00035850¥X 00035860L7△/梅(うめ)ぼしハ/塩(しほ)と/梅(うめ)との△/塩梅(あんばい)もの 00035870¥N14¥J 00035880¥X 00035890L8△/此肴(このさかな)ハちとくさい。/焼(やい)ておくか、肴や/呼(よん)でもどし△いん 00035900L9で/仕廻(しまひ)ました 00035910¥N15¥J 00035920¥X 00035930L10△かなだらいハ/丸(まる)いゆへ、ならすと△/丸(ぐわん)+といふ 00035940¥N16¥J 00035950¥X 00035960L11△/■(やまひかむり)に/寺(てら)とハ、なんといふ△/痔(じ) 00035970¥N17¥J 00035980¥X 00035990L12△/東寺(とうじ)の/種(たね)がよい、ひがんに△まくわ 00036000¥N18¥J 00036010¥X 00036020L13△/高尾(たかを)のからだと/金(かね)のおもミと、/釣(つり)がへして/身受(ミうけ)した△め 00036030L14かけ 00036040¥N19¥J 00036050¥X 00036060L15△/頼朝(よりとも)の/御前(ごぜん)であハてずにまふた/舞(まひ)ハ△しづか 00036070¥N20¥J 00036080¥X 00036090L16△/芸子(げいこ)のはらんだハ△たゞの/身(ミ)でなひ 00036100¥N21¥J 00036110¥X 00036120L17△/朝鮮(てうせん)ぜめに、あの/大将(たいしやう)やつたら△/加藤(かとう) 00036130¥N22¥J 00036140¥X 00036150L18△むかし+ぢゞとばゝとにナア、/鏡餅(かゝミもち)やいてくひんか。 00036160L19/一口(ひとくち)△はなしじや 00036170¥Q1●十七編近日出し申候 00036180¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△十七編△△△¥A今井黍丸作◇ 00036190¥N1¥J 00036200¥X 00036210M4△/由良之助(ゆらのすけ)の/女房(によばう)においしとハ△むまい/名(な)を/付(つけ)た 00036220¥N2¥J 00036230¥X 00036240M5△/将棊(しやうぎ)にかつたものニまんぢうやろ△/大手(おほて)じや 00036250¥N3¥J 00036260¥X 00036270M6△/飛脚(ひきやく)が/銭入(ぜにいれ)をこしにさげてゐる△はやミち 00036280¥N4¥J 00036290¥X 00036300M7△三井ハ/根(ね)がつよい△まけた事なし 00036310¥N5¥J 00036320¥X 00036330M8△やらこうなるやうに/茶(ちや)をいれて△たこ 00036340¥N6¥J 00036350¥X 00036360M9△/神主(かんぬし)も/祭(まつ)りにハ△/神拝(しんぱい)じや 00036370¥N7¥J 00036380¥X 00036390M10△/酒(さけ)ににごりが/入(いつ)た△さげてうり 00036400¥N8¥J 00036410¥X 00036420M11△/無一物(むいちもつ)といふ/禅坊主(ぜんばうず)でも△/有一物(ういちもつ)じや 00036430¥N9¥J 00036440¥X 00036450M12△/大仏供養(だいぶつくやう)ニ/重忠(しげたゞ)が/景清(かげきよ)を/見顕(ミあらハ)し、/悪七兵衛(あくしちびやうへ)まて△/南都(なんと) 00036460¥N10¥J 00036470¥X 00036480M13△/悟(さとり)のうたをわしらがきひても△/道哥(だうか)/和哥(わか)らん 00036490¥N11¥J 00036500¥X 00036510M14△あんまはりの△/両治(りやうぢ) 00036520¥N12¥J 00036530¥X 00036540M15△/角力(すもふ)とりなら/色事(いろごと)やめて、/酒(さけ)ニしなされ△/左(ひだり)ハあがる 00036550¥N13¥J 00036560¥X 00036570M16△/曽我(そが)の五郎が/大磯(おゝいそ)の/遊女(ゆうぢよ)ニなんで/通(かよ)ふた△しやう+と 00036580M17/思(おも)ふて 00036590¥N14¥J 00036600¥X 00036610M18△今/買(かふ)たしびんハ/穴(あな)がちいそふて間に合ぬゆへ、もどしま 00036620M19す△/小(せう)べんハなりませぬ 00036630¥N15¥J 00036640¥X 00036650M20△/安宅(あたか)の/関(せき)で/義経(よしつね)を/弁慶(べんけい)が△/九郎(くらう)した 00036660¥P118 00036670¥N16¥J 00036680¥X 00036690L1△/琴(こと)の/哥(うた)びらきハゆるしもので、たんと/祝儀(しうぎ)が入ます△つ 00036700L2めでかゝねバなりませぬ 00036710¥N17¥J 00036720¥X 00036730L3△/光秀(ミつひで)のほろびた/城跡(しろあと)は△/明(あき)ち 00036740¥N18¥J 00036750¥X 00036760L4△/楠(くすのき)の/謀事(はかりこと)にこへをにやして、/寄手(よせて)にかけたら/皆(ミな)/迯(にげ)てい 00036770L5んだ△くそがあきれる 00036780¥N19¥J 00036790¥X 00036800L6△/佐野(さの)の/源左衛門(げんさへもん)が/射(ゐ)とめた/鶴(つる)を/荒次郎(あらじらう)が△/鳥(とり)たくつた 00036810¥N20¥J 00036820¥X 00036830L7△/楊弓(やうきう)やで/大工(だいく)がきをもんでゐる△きりじや 00036840¥N21¥J 00036850¥X 00036860L8△/大慈(だいひ)の/弓(ゆミ)に五百かけ/直(ね)があつたら△/鬼(おに)がまけた 00036870¥N22¥J 00036880¥X 00036890L9△/野崎(のざき)からわらづとに/室(むろ)の/梅(うめ)をそへて/持(もつ)てきた△/急咲(きうさく)じや 00036900¥Q1●十八編近日出し申候 00036910¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△十八編△△¥A今井黍丸作◇ 00036920¥N1¥J 00036930¥X 00036940L14△よふ御/登(のぼ)り/被成(なされ)ました。いつでござり升△/京(きやう) 00036950¥N2¥J 00036960¥X 00036970L15△/時斗(とけい)ハ/重(おも)りが/下(さが)ると/時(とき)を/打(うち)ます△なるほど 00036980¥N3¥J 00036990¥X 00037000L16△/武士(ぶし)が/多(おほ)ひ/国(くに)ゆへ/武州(ぶしう)といふが、/犬(いぬ)のくそが/多(おほ)ひので△ 00037010L17/武蔵(むさし) 00037020¥N4¥J 00037030¥X 00037040L18△/小町(こまち)の/哥(うた)ハ/古歌(こか)といはれて、/草紙(さうし)をあらふてかほを△す 00037050L19ゝいだ 00037060¥N5¥J 00037070¥X 00037080L20△/大井川(おほゐがハ)に/水(ミづ)がました。/木賃(きちん)やどハないか△百ならとまる 00037090¥N6¥J 00037100¥X 00037110M1△小町ハ哥の/名人(めいじん)といふことハ、あふむがへしでしれた△ 00037120M2/一字(いちじ)が/万事(ばんじ) 00037130¥N7¥J 00037140¥X 00037150M3△/升(ます)かけの/祝(いは)ひするまで、たつしやで/一日(いちにち)も△ねん/賀(が)/目出(めで) 00037160M4たい 00037170¥N8¥J 00037180¥X 00037190M5△/八百(やほ)やハ/安(やす)いといふ/評(へう)ばん/取(と)つて△なをうつた 00037200¥N9¥J 00037210¥X 00037220M6△そこがもるなら、/買(か)ハずと△をけ 00037230¥N10¥J 00037240¥X 00037250M7△/隠居(いんきよ)さん。/誠(まこと)ニ/久(ひさ)しぶりのおこし。お/上(あが)りなされ△/玉(たま)の 00037260M8おいで 00037270¥N11¥J 00037280¥X 00037290M9△けふの/能(のう)ハ/高砂(たかさご)じや。/場(ば)ハあるが、/連(つれ)が/多(おほ)ふて△/一見(いつけん)せ 00037300M10バやと/存(ぞん)じ候 00037310¥N12¥J 00037320¥X 00037330M11△きれが/張(はつ)てあるのニ/雨(あめ)がかゝる△/戸(と)いれ 00037340¥N13¥J 00037350¥X 00037360M12△/矢立(やたて)/買(か)ふた/前髪(まへがミ)ハ△すミ/入(いれ)てゐます 00037370¥N14¥J 00037380¥X 00037390M13△よい/道(ミち)ハ/遠(とほ)し、ちか道ハわるし、/何分(なにぶん)/急用(きうよう)で△どちらの 00037400M14/道(ミち)/行(ゆか)ねバならん 00037410¥N15¥J 00037420¥X 00037430M15△/百夜通(もゝよかよ)ひニ九十九夜かよふて、おもひをとげぬ/深草(ふかくさ)の/少= 00037440M16将(せう=+)ハ△/一日(いちにち)/不足(ふそく)いふてゐる 00037450¥N16¥J 00037460¥X 00037470M17△/南京(なんきん)にするのハ/古(ふる)い/綿(わた)を△むしろ 00037480¥N17¥J 00037490¥X 00037500M18△けいとまと/金(きん)をしめるで△ふんどし 00037510¥N18¥J 00037520¥X 00037530M19△/関(せき)ハまけハ△/角力(すまい) 00037540¥N19¥J 00037550¥X 00037560M20△ぼたんもミぢ四人リして、/四(よ)ぜんヅヽ/喰(く)た△しゝの/獣(じう)ろ 00037570¥P119 00037580L1くじや 00037590¥N20¥J 00037600¥X 00037610L2△/法師(ほうし)さんハ/後(のち)ニ/検校(けんげう)ニなつてじやあろ△/先(さき)のミへぬ事ハ 00037620L3わからぬ 00037630¥N21¥J 00037640¥X 00037650L4△/川童(がたろ)ハどんなあたまじや、見いたか△/皿(さら)ニみづ 00037660¥N22¥J 00037670¥X 00037680L5△くさきもなびく、/御代(ミよ)ハたい△へ 00037690¥Q1●十九編近日出し申候 00037700¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△十九編△△¥A今井黍丸作◇ 00037710¥N1¥J 00037720¥X 00037730L10△/必定(ひつでう)/久吉(ひさよし)、此内に/忍(しの)び/居(ゐ)るこそ/究竟(くつけう)一△/武智(たけち)の鎗ぞこな 00037740L11い 00037750¥N2¥J 00037760¥X 00037770L12△/同(おな)じ/内(うち)じやとおもふたが△ぶんけ 00037780¥N3¥J 00037790¥X 00037800L13△/元朝(ぐわんてう)から/呑(のん)でじや。おさかなハ△はつのミ 00037810¥N4¥J 00037820¥X 00037830L14△おばアさん、ひとり参りなされ。おそなり升△/孫(まご)ついて 00037840L15居る 00037850¥N5¥J 00037860¥X 00037870L16△かき/歩行(あるい)てじや、かねがたまろ。イヽへ、わたしハとか 00037880L17く△/蚤喰(のミくひ) 00037890¥N6¥J 00037900¥X 00037910L18△さんしたら、ろくに/居(すハ)つていんならんので△九になる 00037920¥N7¥J 00037930¥X 00037940L19△/月代(さかやき)そつて、きれで△ふけ 00037950¥N8¥J 00037960¥X 00037970L20△/旦那(だんな)にしかられてなへた。あいさつしておくれ△おゑさ 00037980M1ん 00037990¥N9¥J 00038000¥X 00038010M2△/唐人(とうじん)が大きな物を/舟(ふね)にのせるのハ△/象(ざう)じや 00038020¥N10¥J 00038030¥X 00038040M3△/李白(りはく)ハ/酒(さけ)をたんと/呑(のむ)ゆへ△/詩詩(しし)がよふでる 00038050¥N11¥J 00038060¥X 00038070M4△/鍋(なべ)ずミがほしい△そこのとり 00038080¥N12¥J 00038090¥X 00038100M5△夘月八日の花をさほ竹五本ついだ。大坂中で一/番(ばん)じや 00038110M6はなが/高(たか)い 00038120¥N13¥J 00038130¥X 00038140M7△/唐人(とうじん)と/通辞(つうじ)と/咄(はなし)して、二人とも笑ふた△から+と/和(わ)は 00038150M8ゝと 00038160¥N14¥J 00038170¥X 00038180M9△かけとりニいたら、しめてある△あかん 00038190¥N15¥J 00038200¥X 00038210M10△/店(ミせ)つきの/女郎(ぢよらう)でも、おしたてのよい△/格子(かうし)/附(つき) 00038220¥N16¥J 00038230¥X 00038240M11△/晦日(つごもり)にハぜひ、はらハねバならん△/義理義理(ぎりぎり)二なつた 00038250¥N17¥J 00038260¥X 00038270M12△/戎(ゑびす)やの/内義(ないぎ)ハおたふくじや。それでかねがたまる△ふく 00038280M13つんじや 00038290¥N18¥J 00038300¥X 00038310M14△やぶれた/太皷(たいこ)でも、そないに/安(やす)ふてハ、ねが△なりませ 00038320M15ん 00038330¥N19¥J 00038340¥X 00038350M16△/芸子(げいこ)がおかしい目つきして、/揚(あげ)を/頼(たの)んだ。ありや△ひが 00038360M17ら 00038370¥N20¥J 00038380¥X 00038390M18△/初(はじ)めてのお/客(きやく)しや。/御馳走(ごちさう)しや△/鯛(たい)めんいたしました 00038400¥N21¥J 00038410¥X 00038420M19△/元日(ぐわんじつ)に/寺(てら)へいて、ものも△/堂礼(どうれい) 00038430¥N22¥J 00038440¥X 00038450M20△中/払(はらひ)なしにしてゐるけれど、/節季(せつき)ハ△のびてある 00038460¥P120 00038470¥Q1●二十編近日出し申候 00038480¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△二十編△△¥A今井黍丸作◇ 00038490¥N1¥J 00038500¥X 00038510L5△/夜明(よあけ)がたに/明石(あかし)のうらで、/阿曽(あそ)次郎ニ/顔(かほ)/見合(ミあハ)したハ△/朝(あさ) 00038520L6がほ 00038530¥N2¥J 00038540¥X 00038550L7△/太公望(たいこうぼう)ハすぐな/針(はり)で/釣(つり)してゐるので、/妻(つま)がひまとつたハ 00038560L8つれないゆへ 00038570¥N3¥J 00038580¥X 00038590L9△すしやの/娘(むすめ)に、かりの/契(ちぎ)りとハ△これも/理(り) 00038600¥N4¥J 00038610¥X 00038620L10△/餅(もち)むしろ、おそかつたか△/間(ま)に/合(あひ)ました 00038630¥N5¥J 00038640¥X 00038650L11△/里見(さとミ)/伊介(いすけ)ハ/恋(こひ)の/仲立(なかだち)した/云(いひ)わけハ△おせん 00038660¥N6¥J 00038670¥X 00038680L12△/堤(つゝミ)の/牛(うし)のくそが/鎌(かま)に/付(つい)て△くさかつた 00038690¥N7¥J 00038700¥X 00038710L13△/宇治川(うぢがは)の/先陣(せんじん)、/佐&木(さゝき)/梶原(かぢはら)、/馬(うま)ハおとらぬ/生食(いけずき)する/墨(すミ) 00038720L14どふ+でわたる 00038730¥N8¥J 00038740¥X 00038750L15△二ツ/灸(きう)ハ/大(おほ)きふて△/灸灸(きう+)いふた 00038760¥N9¥J 00038770¥X 00038780L16△/高(かうの)/師直(もろなほ)が/塩谷判官(ゑんやはんぐわん)に/悪口(あくこう)いふハ△ふなか 00038790¥N10¥J 00038800¥X 00038810L17△/酒(さけ)によふてゐて、/奉公人(ほうこうにん)しかつても△したがまハらぬ 00038820¥N11¥J 00038830¥X 00038840L18△/熊谷(くまがへ)の/次郎(じらう)ハ、/黒谷(くろだに)でけつこうな△/王城(わうじやう)の/地(ち) 00038850¥N12¥J 00038860¥X 00038870L19△せきが△たんとでた 00038880¥N13¥J 00038890¥X 00038900L20△/頼光(らいくわう)さんハ/居(ゐ)ねむつても、/四天王(してんわう)がゐるので△/蜘(くも)かすミ 00038910M1とにげた 00038920¥N14¥J 00038930¥X 00038940M2△/店(ミせ)の/先(さき)ニ出して/置(おい)たら大風が/吹(ふい)て△ちり/紙(がミ) 00038950¥N15¥J 00038960¥X 00038970M3△/清(きよ)もりも/若(わか)い/常盤(ときハ)ある/習(なら)ひ、/年寄(としよつ)てから△/仏(ほとけ)に/迷(まよ)ふた 00038980¥N16¥J 00038990¥X 00039000M4△/下駄(げた)やへ/誂(あつら)へて/置(おい)たニ/間(ま)ニ/合(あハ)ぬ。いつまで△引ずりじや 00039010¥N17¥J 00039020¥X 00039030M5△/鎗(やり)の/内見(ないけん)ニ/伝(でん)七が/典蔵(てんざう)を/頼(たの)んでも、きかんゆへ△/菊一(きくいち)も 00039040M6んじでいはした 00039050¥N18¥J 00039060¥X 00039070M7△よだれ△/永(なが)し 00039080¥N19¥J 00039090¥X 00039100M8△/勘平(かんへい)の/腹(はら)きる/時(とき)、おかるハそばに△いたかつたで/有(あら)ふ 00039110¥N20¥J 00039120¥X 00039130M9△/薬(くすり)やのでつちハ、よつほどあまい△/勘蔵(かんざう) 00039140¥N21¥J 00039150¥X 00039160M10△けふの/相撲(すもふ)ハふつて、やらざなるまいと△ふんどししめ 00039170M11た 00039180¥N22¥J 00039190¥X 00039200M12△/手(て)に/油(あぶら)ぐすりぬつておき△ひゞニよし 00039210¥Q1●廿一編近日出し申候 00039220¥P121 00039230¥G 00039240¥T1◇@しん|ぱん@/一口(ひとくち)ばなし△△廿一編△△¥A今井黍丸作◇ 00039250¥N1¥J 00039260¥X 00039270M4△/白(しら)くらの/娘(むすめ)が見そめたハ△S/宮本(ミやもと) 00039280¥N2¥J 00039290¥X 00039300M5△/無三四(むさし)にまけて/風呂(ふろ)の/下(した)を△S/白倉(しらくら)もやした 00039310¥N3¥J 00039320¥X 00039330M6△がんりうじまの/芝居(しばゐ)のうちで、こゝが△S山じや 00039340¥N4¥J 00039350¥X 00039360M7△きのふハ六はらの松ばら、けふハやしきで/景清(かげきよ)がゆくへ 00039370M8を△Sあこやこゝでたづねた 00039380¥N5¥J 00039390¥X 00039400M9△/若狭之介(わかさのすけ)ハ/宵(よひ)から/工(たく)んでいた。/塩谷判官(えんやはんぐわん)ハ△S/朝(あさ)のたく 00039410M10ミじや 00039420¥Q●廿二編近日出し申候△書林兼草紙屋@大坂心才ばし|ばくらう町△@塩屋喜兵衛板 00039430¥P122 00039440¥U噺本大系△第十九巻 00039450¥T/縁取(えんとり)ばなし△〔題簽〕 00039460¥G 00039470¥Y 00039480L16弘化二年正月序 00039490L17鼻山人作 00039500L18歌川国盛画 00039510L19吉田屋三次郎板 00039520L20中本一冊 00039530¥G(見返扉) 00039540¥T1/縁取噺(ゑんとりばなし)△△△△¥A@鼻山人作|国盛画@ 00039550G1梅がいふ。S松さん竹さん。一寸御らん。アレ、亀さんとおつるさん 00039560G2と、むつましくあそんでいること。はやしてやろうじやアないか 00039570G3Sほうらいほう+ 00039580¥Y 00039590M15/一樹(いちじゆ)の/蔭(かげ)一/河(が)の/流(なが)れ、/蹲踞(つまづき)し/石(いし)も/他生(たせう)の/縁(えん)といふ。/縁(えん)なき 00039600M16/衆生(しゆぜう)ハ/済(ど)しがたし。/皆(ミな)/縁付(えんづく)の/割鍋(われなべ)にも/閉蓋(とぢぶた)の/譬(たとへ)あり。縁ハ 00039610M17/否(いな)もの/阿字(あじ)なもの、/縁(えん)に/引(ひか)るゝ/縁取(えんとり)の/落(おと)し/咄(ばな)しハ/新工夫(しんくふう)、 00039620M18/是(これ)も/縁記(ゑんき(ママ))と、ホヽ敬テ白ス 00039630M19△△乙巳正月△△△△△△△△△△△鼻山人誌G 00039640M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一オ) 00039650¥P123 00039660¥G(一ウ・二オ) 00039670¥N1¥J 00039680¥X 00039690M1△/芝居(しばゐ)のろうそくハ/直(ね)やすだといふ事だ。S惣だろう 00039700M2+ 00039710¥N2¥J 00039720¥X 00039730M3△一人のまたをくゝつて、千人のかたをこへたと申ます。 00039740M4Sかんしん+ 00039750¥N3¥J 00039760¥X 00039770M5△しうとめのやかましいに、よめの/身(ミ)きれいハかんしん 00039780M6なもんだ。Sソレ、ひがみ+ 00039790¥N4¥J 00039800¥X 00039810M7△あふきやのむすめハ、よくひとりで/髪(かミ)を/結(ゆ)ふネ。Sぢ 00039820M8がミにほねを/折(を)る(一ウ) 00039830¥N5¥J 00039840¥X 00039850M9△/運(うん)のまもりハ、亀戸の天神さまでうるといふハ、Sう 00039860M10そかい 00039870¥N6¥J 00039880¥X 00039890M11△/馬道(うまミち)のそばハ、いたつて/風味(ふうミ)がよいといふが、まこと 00039900M12かネ。S/正直(せうじき)+ 00039910¥N7¥J 00039920¥X 00039930M13△びつこがげたかけで、なんぶの名物をかいにきました。 00039940M14Sかたくり+ 00039950¥N8¥J 00039960¥X 00039970M15△一人/旅(たひ)の道中で雨にふられてハ、Sつれない+(二 00039980M16オ) 00039990¥P124 00040000¥G(二ウ・三オ) 00040010¥N9¥J 00040020¥X 00040030M1△アノいわしうりハ上るりをよくかたります。三の切か 00040040M2おはこさ。S/腹(はら)きりでなかせる 00040050¥N10¥J 00040060¥X 00040070M3△くさつても/鯛(たい)といふが、おれハかつほだ。なんとても 00040080M4いつて見ろ。Sコレ、さしてゐるぞ 00040090¥N11¥J 00040100¥X 00040110M5△なじミのとこからよこした/寒見舞(かんミまい)のこぶまきで、/一拳(いつけん) 00040120M6いかふ。S折づめか 00040130¥N12¥J 00040140¥X 00040150M7△/弓削(ゆげ)の/道鏡(だうけう)に長/唄(うた)のりんげんあれとも、さミせんにあ 00040160M8わず、S/太棹(ふとざほ)(二ウ) 00040170¥N13¥J 00040180¥X 00040190M9△とんぼうきりのやりさきにハ、百万ぎのぐんぜいも叶 00040200M10わぬと申ますが、さようかネ。Sほんだ+ 00040210¥N14¥J 00040220¥X 00040230M11△おまへの/目玉(めだま)ハはりこの/達摩(だるま)さまのやうだ。Sおきや 00040240M12アがれ 00040250¥N15¥J 00040260¥X 00040270M13△才ざうめがおどり出したら、内ぢう/地(ぢ)しんがいるやう 00040280M14だ。S/万歳(まんざい)楽+ 00040290¥N16¥J 00040300¥X 00040310M15△あの人ハいくら酒をのんでもへいきだ。ぼんにんでハ 00040320M16あるめへ。Sせうとく/大酒(たいしゆ)だ(三オ) 00040330¥P125 00040340¥G(三ウ・四オ) 00040350¥N17¥J 00040360¥X 00040370M1△こハめしやの娘がげんぶくしたら、Sヤ、ふけた+ 00040380¥N18¥J 00040390¥X 00040400M2△アノぢいさんハ、火ばちにばかり/懸(かゝ)つてゐるぜ。Sそ 00040410M3のはづ。あたまがやかん 00040420¥N19¥J 00040430¥X 00040440M4△すしやのむすめが、うれのこりをもつてくるにハあや 00040450M5まる。Sおしのつよい 00040460¥N20¥J 00040470¥X 00040480M6△/瘡(かさ)をかいたかほのいろハ、はしりの/唐茄子(とうなす)のやうだ。 00040490M7Sはなおち+(三ウ) 00040500¥N21¥J 00040510¥X 00040520M8△/川開(かわひらき)に/揚(あけ)た花火が浅草の方へとび、その玉が、御/蔵(くら)ま 00040530M9へでおちた 00040540¥N22¥J 00040550¥X 00040560M10△/車胤(しやいん)が/書(しよ)をよんだといふも、むりハねへ。/螢(ほたる)かごハ、 00040570M11S/四角(しかく)なもじた 00040580¥N23¥J 00040590¥X 00040600M12△本所深川ハ、/和漢(わかん)のつき合だといふ事だ。なるほど。 00040610M13Sおそろ/詩哥(しいか) 00040620¥N24¥J 00040630¥X 00040640M14△しうとめがあきめくらで、むがくもんもう。/何(なに)ニ事も 00040650M15よめかねてゐる(四オ) 00040660¥P126 00040670¥G(四ウ・五オ) 00040680¥N25¥J 00040690¥X 00040700M1△/竹(たけ)とりのむすめハ、いつもうつくしいの。そのくせ、 00040710M2S/半化粧(はんげしやう) 00040720¥N26¥J 00040730¥X 00040740M3△舟といふふねがあつまり、おやふねで大さかもり。/夜(よ) 00040750M4ふけておもてをたゝくハだれだ。Sハイ、わたし 00040760¥N27¥J 00040770¥X 00040780M5△コレ/若(わけ)へ/衆(しゆ)。/学者(がくしや)だといふ女郎衆ハどれだ。Sハイ、 00040790M6こうしから二ばんめ 00040800¥N28¥J 00040810¥X 00040820M7△そこへたばこの/実(ミ)/生(ばへ)かはへやうどうりがない。おれハ 00040830M8吹からでもはたかぬに(四ウ) 00040840¥N29¥J 00040850¥X 00040860M9△まんだらハ/海中(かいちう)にうかんで、七/字(じ)。/名号(めうごう)ハ/陸地(ろくじ)+ 00040870¥N30¥J 00040880¥X 00040890M10△ゑちごの/長岡(なかをか)から/来(き)たぢいさんハ、さむがりほうた。 00040900M11Sちゞミおる 00040910¥N31¥J 00040920¥X 00040930M12△/芋酒屋(いもさかや)でどつちりのんだら、さて夜が、Sふけた+ 00040940¥N32¥J 00040950¥X 00040960M13△/芋屋(いもや)さんの/上(じやう)るりハうめへもんだ。S/親(おや)アねへか(五 00040970M14オ) 00040980¥P127 00040990¥G(五ウ・六オ) 00041000¥N33¥J 00041010¥X 00041020M1△よめのうハさをいひちらして、/後生(ごしやう)まいりもおさまら 00041030M2ぬ。Sひがんだ+ 00041040¥N34¥J 00041050¥X 00041060M3△/奈良(なら)のミやげに、さらしでもとおもつたら、とんだ事 00041070M4す。Sうちわだけ+ 00041080¥N35¥J 00041090¥X 00041100M5△此どびんハ、/夕部(ゆうべ)かつて/来(き)たのだか、もるやうだぜ。 00041110M6Sそこにハきがつかなんだ 00041120¥N36¥J 00041130¥X 00041140M7△人ぎゝのいゝ/風(ふう)りうな/世(よ)わたりハ、Sはいかい+ 00041150M8(五ウ) 00041160¥N37¥J 00041170¥X 00041180M9△すゞめおどりなら、/松(まつ)まへの事だ。あいの/手(て)が、Sお 00041190M10つとせい 00041200¥N38¥J 00041210¥X 00041220M11△/車力(しやりき)のむすめハよい所へもらハれて、りつぱなおかミ 00041230M12さんになつた。Sハヽア、うんだナゑん 00041240¥N39¥J 00041250¥X 00041260M13△/勘平(かんへい)が/二(ふたつ)ツだま、しゝハはづして、とんだ所へあたり 00041270M14ました。S/親(おや)+ 00041280¥N40¥J 00041290¥X 00041300M15△/生酔(なまゑい)のすがたを見ると、こつちの/腹(はら)のかわまで、よつ 00041310M16た+(六オ) 00041320¥P128 00041330¥G(六ウ・七オ) 00041340¥N41¥J 00041350¥X 00041360M1△八月十五/夜(や)の月ハ、まんまるで/大(おゝ)きひねへ。Sやつぱ 00041370M2りだんごも 00041380¥N42¥J 00041390¥X 00041400M3△けいせひがくぼハ、/昔(むかし)ぢごく谷といつたさうサ。Sハ 00041410M4ヽア、そこでごくらく/見(ミ)ずだ 00041420¥N43¥J 00041430¥X 00041440M5△/猫(ねこ)がしぼりのゆかたをきて、もしちよつと見ておくれ。 00041450M6あんまりはですぎハしねへかへ。男猫ずいぶん、Sニヤウ 00041460M7+ 00041470¥N44¥J 00041480¥X 00041490M8△/角力(すまう)の/節会(せちゑ)ハ五月五日にはじまるツサ。S/大内(おゝうち)にて、 00041500M9せうぶをさす(六ウ) 00041510¥N45¥J 00041520¥X 00041530M10△/鍛冶(かぢ)やの/娘(むすめ)がそつとよこした文ハ、大かた/地(ち)がねだろ 00041540M11う 00041550¥N46¥J 00041560¥X 00041570M12△おまへハ酒がすきだから、おやふねにつんで上ケませ 00041580M13う。Sそれハいたみ入ります 00041590¥N47¥J 00041600¥X 00041610M14△/佐野(さの)の/馬(うま)ハしんぼうづよい。Sひんともいはぬ 00041620¥N48¥J 00041630¥X 00041640M15△かごやさんがぬかるミですべつて、ホイ++(七 00041650M16オ) 00041660¥P129 00041670¥G(七ウ・八オ) 00041680¥N49¥J 00041690¥X 00041700M1△/熊谷(くまがへ)でくつたそばハうまかつた。そのはづサ。Sあつ 00041710M2もりだ 00041720¥N50¥J 00041730¥X 00041740M3△/越(こしか)か/谷(へ)のもちやのぢいさんハ、あしがたつしやだ。こ 00041750M4しもつよい 00041760¥N51¥J 00041770¥X 00041780M5△/堀(ほり)の/内(うち)へいつて/来(き)たが、早かつたろう。Sお/祖師(そし)+ 00041790¥N52¥J 00041800¥X 00041810M6△たう/茄子(なす)をたんと/喰(く)ふと、よい+になる。かぼちや 00041820M7め(七ウ) 00041830¥N53¥J 00041840¥X 00041850M8△/字凧(じだこ)なら/龍(りやう)といふ字が一ばんいゝ。S/鷲(わし)も 00041860¥N54¥J 00041870¥X 00041880M9△ゑびすやでかりてきた/傘(からかさ)ハ、ゑんぎだよ。Sなるほど、 00041890M10大こくだ+ 00041900¥N55¥J 00041910¥X 00041920M11△ざとうさんのなりハ、ごうぎにじミだネ。Sハヽア、 00041930M12かうとうだ 00041940¥N56¥J 00041950¥X 00041960M13△つくしの/梅(うめ)が、一/夜(や)に北野へはへました。Sそれハと 00041970M14んだ事(八オ) 00041980¥P130 00041990¥G(八ウ・九オ) 00042000¥N57¥J 00042010¥X 00042020M1△/甘酒(あまざけ)やのおふじさんハ、いろじろでうまさうだ。Sア 00042030M2レハ三国一だ 00042040¥N58¥J 00042050¥X 00042060M3△おくざしきの八でうの客人ハ大いびきサ。Sたぬき 00042070M4+ 00042080¥N59¥J 00042090¥X 00042100M5△/三番叟(さんばさう)から見るきなら、ねてハゐられぬ。Sおきな 00042110M6+ 00042120¥N60¥J 00042130¥X 00042140M7△/蛸(たこ)のあしハ八本ありますねへ。Sいかにも(八ウ) 00042150¥N61¥J 00042160¥X 00042170M8△モシイ、山おくでさかながなくバ、此/骨(ほね)を持ていつて、 00042180M9うへておきなんし 00042190¥N62¥J 00042200¥X 00042210M10△はねをついてるむすめの目だまハ、むくろんじのやう 00042220M11だ 00042230¥N63¥J 00042240¥X 00042250M12△はくぼたんのおしろいが、よくのるはづ。/鼻(はな)が/獅子(し)だ 00042260¥N64¥J 00042270¥X 00042280M13△けんじゆつつかいの女郎もめつらしい。おれもしない 00042290M14で、ひどひめにあつた(九オ) 00042300¥P131 00042310¥G(九ウ・十オ) 00042320¥N65¥J 00042330¥X 00042340M1△/搗屋(つきや)の女房、むけんのかねをついたら、三百両が出ず、 00042350M2二百四十両。S二割ハつきべり 00042360¥N66¥J 00042370¥X 00042380M3△/利久(りきう)の/■玉(きんたま)がはれたといふ事だ。Sそれハ/千家(せんけ)+ 00042390¥N67¥J 00042400¥X 00042410M4△さミだれのつれ+に、おりはとハおもしろい。S/振= 00042420M5筒気(ふり=つゝけ)+ 00042430¥N68¥J 00042440¥X 00042450M6△/湯屋(ゆや)の三介ハ、あつぱれな/大将(たいしやう)と見ゆる。S/焚(たい)て/木(き)を 00042460M7ほろぼす(九ウ) 00042470¥N69¥J 00042480¥X 00042490M8△/白(びやつ)狐になりかゝつた/狐(きつね)が、/化(ばけ)る所を見ました。Sそれ 00042500M9ハ尾も白かろう 00042510¥N70¥J 00042520¥X 00042530M10△/軽(かる)わざ師のゐけんにハこまりきる。あたまから、さて 00042540M11+++ 00042550¥N71¥J 00042560¥X 00042570M12△お/寺(てら)で/出(た)した、こぶにあふらげハ、ちつとも/喰(く)へぬ。 00042580M13Sそのはづサ。なまだ+ 00042590¥N72¥J 00042600¥X 00042610M14△/芥(ごミ)舟ハさミせんぼりから出ます。Sハヽア、/塵(ちり)つんで 00042620M15いる(十オ) 00042630¥P132 00042640¥G(十ウ) 00042650¥N73¥J 00042660¥X 00042670M1△/唐(から)てハがくしやを、いきうめにしたと申ス事でござり 00042680M2ます。Sソレハしんのはなし 00042690¥N74¥J 00042700¥X 00042710M3△/縁(ゑん)とりばなしハ、日一万売れるといふ事だが、さやう 00042720M4かネ。S本だ+ 00042730¥Q 00042740M6◇鼻山人作G胡蝶園春升戯画G◇ 00042750M8△△東都△△△△△△△飯倉片町△吉田屋三次郎板 00042760M9△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(十ウ) 00042770¥P133 00042780¥U噺本大系△第十九巻 00042790¥T/万燈(まんどう)/賑(にぎわい)ばなし初・二編△〔表紙〕 00042800¥G 00042810¥Y 00042820L17嘉永五年正月・二月序 00042830L18閑亭主人著 00042840L19京都△勝村伊助板 00042850L20中本各一冊 00042860¥G(見返扉) 00042870G1△/上戸(しやうご)たちお/仕合(しあはせ)なりのむ/酒(さけ)の 00042880G2△△やすいねどしハ/干支(えと)のおつぎめ 00042890¥Y自序 00042900M17腹皷うち、おさまれる御代なれや、犬にたはるゝ童まで、 00042910M18よからぬ道にはふりむかぬ、亥の秋におよび、諸国一統大 00042920M19豊作して、番附を売やら踊(序一オ)やら、悦ばざる者、一 00042930M20人はおろか半人も、あら玉の春の賑ひ、ます+時節が直 00042940¥P134 00042950L1つて、北野ゝ万燈の数は、尽せぬ君か世は千代にやち世に 00042960L2さゞれ石の、いはほとなりて重くろ敷、おとし噺も(序一 00042970L3ウ)此はるの、山そひとつにわらひ給はゞ、予か幸ひなら 00042980L4むと、 00042990L5△△△閑亭のあるじ古池、一盃機嫌ニしるすG 00043000L6△△津&浦+までうるほふミづのへ 00043010L7△△△△めつそふ下つた米のねのはつ春(序二オ) 00043020¥G(序二ウ) 00043030¥N1¥J 00043040¥X 00043050M1△▽/君(きミ)が/代(よ)の/豊(ゆたか)なる/春(はる)の/日(ひ)に、梅松桜がよりあひて、ま 00043060M2つS/今年(ことし)ハ天神さまの/御忌(きよき)にあひて、有がたい事じや。こ 00043070M3とにわれ+ハ/御愛樹(ごあいじゆ)なれバ、此はるハべつして、かほが 00043080M4/大(おほ)きいじやないか△さくらSそこでおれも、/早(はや)ふさくつも 00043090M5りじや△うめS手まへたちもはれじやが、此万たふハ二月 00043100M6なり。まあ一ばんに、おれのはな香たかい(一オ) 00043110¥N2¥J 00043120M8G△▽/大家(たいか)の/旦(たん)しうたち、/下(しも)やしきにて/遊(ゆふ) 00043130M9きやうの折から、Sこんどの/御忌(きよき)のありが 00043140M10たさに、わたくしハ千/燈(とう)きふいたしました 00043150M11Sわれらハ弐千とう/上(あげ)ました△Sせつしや 00043160M12ハ三千/燈(とう)、五千とうと、めいめいに、きふ 00043170M13のはなしをするに、このざしきのるすゐし 00043180M14てゐるばゝが、Sソリヤ、だんなさんかた 00043190M15ハおすくない。わたしがやうなものさへ、百/銅(とう)あげました 00043200M16に(一ウ) 00043210¥N3¥J 00043220¥X 00043230M18G▽/松王(まつわう)や/丸(まる)介といふやどや、こんどの万どうにて、い 00043240M19なかのきやく大ぜいとまり、はんじやうせしが、ふと/将棊(しやうぎ) 00043250M20がはづんで、/客(きやく)めい+にさすに、此やどのせがれ小太郎ハ 00043260¥P135 00043270L1けなげな、八ツや九ツで、 00043280L2ことの外/将(しやう)ぎがつよく、 00043290L3御客かたをこと※くま 00043300L4かせけれバていしゆ、/心(こゝろ) 00043310L5のうちに大によろこび、 00043320L6/台所(だいどころ)のせうじをあけながら、S/女(によ)ばうよろこべ。/忰(せがれ)ハ/御= 00043330L7客(お=きやく)にかつたハやい(二オ) 00043340¥N4¥J 00043350¥X 00043360L9△▽/今(こ)としの/子(ね)と/去年(きよねん)の/亥(い)とがよつていふには、北のゝ 00043370L10かねのうしが、こんどハゑらいはれじやといふて、ゑらう 00043380L11ミがいてゐるさふな。Sそれハやつすはづ。きやつハ二ま 00043390L12いめじや 00043400¥N5¥J 00043410¥X 00043420L14G▽/御門(ごもん)ぜんの/牛(うし)がいふにハ、ま 00043430L15いにち+おほくのさんけいが、よ 00043440L16いものをきて、うまい/物(もの)をくひ、 00043450L17(二ウ)おもしろさふにたのしミおる 00043460L18が、おれハ又からだハほこりだらけ 00043470L19になり、さハがしいばつかりで、も 00043480L20う+何たのしミもない。アヽ/牛(うし)よ 00043490M1じやなア 00043500¥N6¥J 00043510M3△▽/此度(こんど)すが/原(ハら)もちといふ物をおもひ付ました。まづ/上(うへ) 00043520M4にハまつ/葉(ば)のやき/印(いん)をおして、/色(いろ)は/御愛(ごあい)じゆの/紅(こう)ばいよ。 00043530M5Sソシテ/皮(かは)ハ△Sしれたこと、/道(だう)めうじ 00043540¥N7¥J 00043550¥X 00043560M7G▽万どう/中(ちう)に/世話(せは)方より合、 00043570M8なんと、/日&(にち+)おびたゝしいさん 00043580M9けい。これてハめい+こんが 00043590M10つゞかぬ。(三オ)けふハしまひ 00043600M11/次第(しだい)、わつさりのまふじやないかと、その日、北のをしま 00043610M12ひて、ミなしまバらへ行、万どうの/新作(しんさく)をうたふやらをど 00043620M13るやら。中にもあハてたる男、Sわしや一ばん、権兵へを 00043630M14まハんとて、/尻(しり)引からげたちけれバ、げい子、ごん兵へを 00043640M15ひきうたふニ、をどつてゐるをとこが、S/万燈(まんど)に一どハ、 00043650M16よハずハなるまい 00043660¥N8¥J 00043670¥X 00043680M18△▽ナント、五年あとのいなバやくしの/開帳(かいちやう)に(三ウ)/本(ほん) 00043690M19ぐハん/寺(じ)さまの/大法事(だいはふじ)で、/下(しも)京がゑらにぎはひであつたが、 00043700M20こんどハ/北野(きたの)にぎはひじや 00043710¥P136 00043720¥N9¥J 00043730¥X 00043740L1△▽江戸ツ/子(こ)が、まんどうにまゐる/道&(ミち+)いふ。Sナント、 00043750L2/去(きよ)ねんハ秋から米が/下(さが)る。ことしハ/早&(さう+)からこんなににぎ 00043760L3やかで、ほんとに/亥(い)イ/子(ね)ヱ 00043770¥N10¥J 00043780¥X 00043790L5△▽あまりのくんじゆに、上かんや、酒をござのうへゝ 00043800L6/打(うち)かへされけれバ、これハもつたいなしと、めい+すふ 00043810L7てゐる/処(ところ)へ、/平野(ひらの)のミこどのが/来(き)て、(四オ)Sどれ+、 00043820L8わしも/口(くち)をよせませう 00043830¥N11¥J 00043840¥X 00043850L10G▽大くんじゆの中を、さミ 00043860L11せん引てまゐる女あり。せわか 00043870L12たとがめて、Sこれ+、此人 00043880L13こミの/中(なか)へ、なんでさミせん引 00043890L14てくるのしや。あぶない+△Sやかましうおしかりな。 00043900L15Sひいてきたのも、てんちんしやん 00043910¥N12¥J 00043920¥X 00043930L17△▽万とうはづむころ、いなかへ行、此ころ(四ウ)京ハ、 00043940L18にち+ひつくりかへるといへバ、やあ+/夫(それ)でにげてお 00043950L19いでたか 00043960¥N13¥J 00043970¥X 00043980M1△▽ある/宿(やど)や、万どうにゑらまうけにて、けふハおきや 00043990M2くにのぞミのめしをふるまはんとて、それ+にこのミを 00044000M3たづぬれバ、おれハあづきめし、イヤ茶めし、くりめし、 00044010M4なめし、さま※の/注文(ちうもん)する。ていしゆSコレ+、さ 00044020M5た村のおぢいさん。お前ハなにがおのぞミぞSヱヽ、と 00044030M6はずともしれた事。おれハ白かゆじや(五オ) 00044040¥N14¥J 00044050¥X 00044060M8△▽長五郎もちがゐながらにはやつて+、いついてミ 00044070M9ても、Sぽん+いふてゐる 00044080¥N15¥J 00044090¥X 00044100M11G▽長五郎もち、まいにち+大はんじやうに 00044110M12て大くたぶれ。まづけふハこれぎりと、/店(ミせ)かたつ 00044120M13けてゐるところへ、名だかいなきほとゝきすがミ 00044130M14まひにきて、Sぽん+はてたか 00044140¥N16¥J 00044150¥X 00044160M16△▽/去年(きよねん)米の一ばんようできた/国(くに)の人が、/万燈(まんどう) 00044170M17に(五ウ)まゐり、/久&(ひさ※)にてしんるいへたちよれハ、ていし 00044180M18ゆ、見わすれ、お前ハ。Sおれハ/亥年村(ゐとしむら)の/豊作(ほうさく)でごんす△ 00044190M19Sほんにそれ+。まあ+上へ△Sいや、おれハ/上(あが)るこ 00044200M20とハきらいじや 00044210¥P137 00044220¥N17¥J 00044230¥X 00044240L1△▽ナント、万どうまゐりに大ぜいそろへをきていたら、 00044250L2どふあらう。Sそれハよからう。うへ田か/米(よね)ざハか、たゞ 00044260L3しゆふきかと、いろ+ひやうぎするに、老人きゝゐて、 00044270L4Sイヤ+、そろへハむぢものがよいぞ△Sソレハなぜ△ 00044280L5Sハテ、天神さまハしまにハこりてござろう(六オ) 00044290¥N18¥J 00044300¥X 00044310L7△▽/万燈(まんたう)のせわ方、ある夜、よなべをはじめんとする 00044320L8に、女ばうが、おまへもにち+北のへ/出(しゆつ)きんの身で、も 00044330L9つたいない。せめて/御忌中(ぎよきちう)ハおきなされ。S何(なに)をいふぞい。 00044340L10その北のさまが、よるひるなしに、ともしつめじや 00044350¥N19¥J 00044360¥X 00044370L12G▽北のゝそばや、/波(なミ)や 00044380L13も/俵(たハら)やもよう/売(うれ)て+/両家(れうけ) 00044390L14とも一ぜんもなかつた。お 00044400L15きやくハあたまかいて、う 00044410L16どんそバきれか(六ウ) 00044420¥N20¥J 00044430¥X 00044440L18△▽ナント、このやうにうつくしものがたんとまゐるが、 00044450L19/神慮(おこゝろ)にかなふ女もあるじやあろ。Sもつたいないことをい 00044460L20ふな。S天じんさまハしやうぜうじや 00044470¥N21¥J 00044480¥X 00044490M1△▽けふ北のへまゐつたが、おすきの/牛(うし)の/日(ひ)で、イヤハ 00044500M2ヤゑらい人で、あとへも/先(さき)へもゆかれず、まことにこまつ 00044510M3た。何でもこんどハ、ひつそりした日にまゐりたいものと、 00044520M4いろいろかんがへて、ヲヽそふじや。/酉(とり)の日がよかろふ 00044530¥N22¥J 00044540¥X 00044550M6△▽/御忌中(きよきちう)ハくんじゆて、お宮ハまハれず、/酒(さけ)もゆつく 00044560M7りのめぬ。S其かはり、人に/酔(ゑふ)て、せんどする(七オ) 00044570¥N23¥J 00044580¥X 00044590M9G▽/西陣(にしぢん)/辺(へん)ハことさら北のまゐりに 00044600M10て、/門(かど)にぎハしく、さわつくゆへ、/奉= 00044610M11公人(はう=こうにん)がとかく/門(かど)をのぞきにいづれバ、 00044620M12ていしゆ、大にはらをたて、どこへう 00044630M13せた。はやふ/皆(ミな)/仕事(しごと)にかゝらぬか。た 00044640M14れもいぬかといふたら、Sおり升+ 00044650M15(七ウ) 00044660¥N24¥J 00044670¥X 00044680M17△▽しへい公、ごきんじゆにむかひて、/菅原氏(すかハらうぢ)ハ/同(おな)じ/大(だい) 00044690M18じんながら、だい+/御神徳(ごしんとく)を/上(あげ)給ふに、われハたれがま 00044700M19ゐるものもなきハめんぼくなきことなりとのたまふ。きん 00044710M20じゆSいや、/君(きミ)にも一ツ/上(あが)り給ふ御事がござり升△Sなに、 00044720¥P138 00044730L1身にもあがつた事とハ△きんじゆSたゝ今めんぼくないと 00044740L2/仰(おほせ)られた御ことはが、一ツあがり升た△Sソレハなにが 00044750L3S/四平公(しへいこう)がごへいこう 00044760¥N25¥J 00044770¥X 00044780L5G▽万どうの/初日(しよにち)に、あるさかなや、北野の 00044790L6/坊中(ばうちう)へ(八オ)さかな/荷(に)をずつしりかき/込(こ)ミ、わ 00044800L7たくしハ/椹木丁(さハらぎてう)の/肴(さかな)やでござり升。今日より/御= 00044810L8神前(ご=しんぜん)の御用、たくさん/仰(おほせ)くたされといへバ、/院= 00044820L9主(いん=しゆ)大いにあきれ、それハ何をいふ。こやつ、き 00044830L10ちがひと見へる。/誰(た)そ、たゝき出せ/て((とカ))いはれ、 00044840L11びつくりしてとんで/出(いで)、ゑらい/腹(はら)のたてやう。 00044850L12Sさかなハ/御忌(ぎよき)に入らぬさふな(八ウ) 00044860¥Q1 00044870M2△閑亭主人著 00044880M3△△万燈賑はなし@二編|追刻@ 00044890M6諸書物類紙板吟味極別下直に奉差上候間 00044900M7多少に限らす御用向被仰付被下度奉希上候 00044910M9△京都書林G@寺町通高辻上ル町|△勝村伊助△@ 00044920¥K(二編の奥付は、予告文中の「二編追刻」が「三編追刻」と変るほかは全く同一なので、省略した) 00044930¥P139 00044940¥G(見返扉) 00044950G1ちかついてきた野ゝ御忌にならひてや 00044960G2△東にもはやかけし万燈 00044970¥Y 00044980L13/幸(さいは)ひにおこなはれて、噺の万燈/四方(よも)にひかり、/評判(ひやうばん)は御/愛= 00044990L14樹(あい=じゆ)の梅の/香(か)とともにたかく、/登(のぼ)りの多き/今年(ことし)の春、/貴賎(きせん)く 00045000L15んじゆし、きさらぎの二編を出して、/諸君(もろきミ)のもとめをまつ 00045010L16や(序オ)桜花、/咲(わら)ふて/貰(もら)へば予か/本望(ほんまう)、じやうじゆうこん 00045020L17な年ばかりならよいになアと、/嬉(うれ)しさ/余(あま)りて/手拍子(てひやうし)を、う 00045030L18つゝに成て、しかいふ 00045040L19△△△子の春△△△△△△△△閑亭誌G(序ウ) 00045050¥T1▽万燈賑ひはなし二編△△△△△△△¥A閑亭著 00045060¥N1¥J 00045070¥X 00045080M4G五十年に一度の御/神忌(しんき)なれ 00045090M5バ、参るほどに+御けいだい 00045100M6の大くんじゆ、つめも立ぬ/堅(かた)い 00045110M7てんきに、梅・まつ・さくら三 00045120M8本つれにて、万どうニ参り、梅 00045130M9ハげこニて長五郎もちをくへバ、 00045140M10さくらハ/上戸(じやうご)にて、この花といふ酒やへ(一オ)はいれバ、 00045150M11まつがおかしがりて、/兄(あに)のうめハもちで、さくらがおとゝか 00045160¥N2¥J 00045170¥X 00045180M13△▽/今度(こんど)西から引こしてきた茶やのかゝ、小めろをつれ 00045190M14て万とうに参る道&、これおきよ。そなたの/兄弟(きやうだい)しゆがの 00045200M15ぼつてじやと聞たが、/今(いま)ニゐてか。Sはい。それハゆう所 00045210M16と同しこと。きよねんのくれに立ました 00045220¥N3¥J 00045230¥X 00045240M18G▽/上(かミ)七けんの/料(りやう)り仕出しや、茶やからハ/注文(ちうもん)がくる、 00045250M19万とう参りハおい+はいる。きり+まひ(一ウ)してゐ 00045260M20るのに、ていしゆが見えねバ、女ぼう二かいへ見ニゆけ 00045270¥P140 00045280L1バ、あるじ/日&(にち+)くたぶれて、大の字なりになつ 00045290L2てねてゐれバ、Sこれ+、此いそがしいニ、 00045300L3此へんのものがねてゐてすむか。東さへ立てゐ 00045310L4るのに 00045320¥N4¥J 00045330¥X 00045340L6△△五ばん町のそばや、/今(こ)としハまるでたゞ 00045350L7まふけるやうなものじやといへバ、Sいや+ 00045360L8そふでハない。(二オ)おほくの人をやとひ、/波(なミ)や大ていで 00045370L9ハ有まい 00045380¥N5¥J 00045390¥X 00045400L11△▽北のゝ茶やへ/客(きやく)がいて、てい/主(しゆ)ニ向ひ、こんどの御 00045410L12忌について、ざれうたをよんだ。 00045420L13△△△御きげんがよくて/今(こ)としハらくちうに 00045430L14△△△△かミなりハなくぜにがおちたり 00045440L15といふたら、てい主悦び、かミなりなれバへそをかゝへる 00045450L16によつて、それでハ/奉公(はうこう)人をかゝへねバならぬ 00045460¥N6¥J 00045470¥X 00045480L18G▽砂ハらといふおゐしやの内ニ下女あり。かミハ(二 00045490L19ウ)おまつ、まゝたきハおむめといふ。ある日内義ハおま 00045500L20つ・おむめをつれて万とうに参り、帰りにりやうりやへゆ 00045510M1き、二人ニも酒をのませけれバ、おむめ、 00045520M2ことの外たんとたべ、其うへもどり道に 00045530M3て、むしいもをかふてくひしが、大きニ 00045540M4むねかなづむとて、帰ると其まゝ打ふし 00045550M5けれバ、かミ女のおまつ、/二(ふた)やくのいそ 00045560M6がしさニぶり+すれバ、あるじすな原、一しゆの(三オ) 00045570M7うたをよむ。 00045580M8△△△梅はのミさつまがなづむ此中に 00045590M9△△△△何とてまつのすねたがるらん 00045600¥N7¥J 00045610¥X 00045620M11△▽/初午(はつむま)の前日、北のゝせわ/方(かた)内へ、あすのいなり参さ 00045630M12そひニいたれバ、此比ハ北野へ日&つめて、/片時(かたとき)も引事な 00045640M13らずと/断(ことハり)いへど、せひに+とすゝめられ、そんなら/た((おカ))れ 00045650M14も己午ニ参らふ 00045660¥N8¥J 00045670¥X 00045680M16△▽二月十五日、北野参が長五郎もち二ツくふて、銭三 00045690M17文置てゆく。Sこれ+、もちハ一ツが(三ウ)三文しや 00045700M18Sしつてゐる+△Sそんなら二ツでは六文△+いや、三 00045710M19文より出さぬ。けふハ/直半(ねはん)じや 00045720¥P141 00045730¥N9¥J 00045740¥X 00045750L1G▽初へんニいふ、かねの牛がそし 00045760L2られて、やつすことをやめてゐたが、 00045770L3ねはんの/日(ひ)、又/朝(あさ)からやたらにミがけ 00045780L4バ、かの亥と子が是を見て、/何(なん)で又け 00045790L5ふにかぎつて、そのやうにやつすといふたら、Sやつさい 00045800L6でか、牛のはれハねはんじや(四オ) 00045810¥N10¥J 00045820¥X 00045830L8△▽此亥子丑の三疋か、是よりこの花へ行、酒をのまん 00045840L9とする所へ、にはとりが/来(き)て、おれもよせてくれといふ。 00045850L10Sいや+、そちハ天神さまのおきらひゆへ、よせる事ハ 00045860L11ならぬといふたら、Sそんなら早うのませ。ゑひが廻ると、 00045870L12おれの名ハ/酉(とり)のけて、/寅(とら)になつて見せる 00045880¥N11¥J 00045890¥X 00045900L14G▽家内大ぜい、万とうに参た道で、其中のばゝさんが 00045910L15むり斗いふ。そこで皆&にくがり、平ぜいからの事を梅ハ 00045920L16きたのゝ哥につくり(四ウ)かへてうたふ。○嫁がきたのち、 00045930L17しうとめさまのごけんどん。日ごとニ 00045940L18ないたとさ。ないた其よめ兄弟が、た 00045950L19らしこむれどきな+あちらむく、し 00045960L20ほるすがたがたゞ嬉し。くねりのばさ 00045970M1ま、にてもやいてもくハれやせぬといふたら、ばさまハミ 00045980M2ヽをおさへて、しイらんつんぼ 00045990¥N12¥J 00046000¥X 00046010M4△▽北の/辺(へん)の新茶やが、お客ニいふ。此ごろハ万燈でお 00046020M5客ハ多し。かつてがしれねバ、おちよぼハ(五オ)うろつく、 00046030M6/毎日(まいにち)+口をたゝかねバなりませぬといふたら、お客が、 00046040M7Sそれやわしらに手をたゝかすからじや 00046050¥N13¥J 00046060¥X 00046070M9△▽だんなさん、只今。Sおゝ忠助。やぶ入して戻つた 00046080M10か。此ごろハ新地がめづらしいニよつて、定めてはまつた 00046090M11であろとあんじてゐた△Sめつそふな。今日ハやどのおや 00046100M12ぢと北のゝ御忌に参りましたといへバ、旦那、口合ずきに 00046110M13て、それハゑらい+。そふきいて(五ウ)おれもまんどした 00046120¥N14¥J 00046130¥X 00046140M15△▽いせの/御師(おし)が、ともをつれて万とうに参つた所が、 00046150M16ゑらいくんじゆて、二人ながらあたまからつちぼこりをか 00046160M17づき、御門を出て、太夫ハいしの牛のつな引まねすれハ、 00046170M18供があきれ、だんな、それや何をなされ升。S是ハおれの 00046180M19あたまがまつ白になつての思ひつき、白太夫とハどふであ 00046190M20ろ△ともSおれや又けらいゑら白じや(六オ) 00046200¥P142 00046210¥G(六ウ・七オ) 00046220¥N15¥J 00046230¥X 00046240M1△▽此ごろ北のゝ御忌がはづむとて、京のてあひが、た 00046250M2いこのやうにどん+いひくさる。Sそれハ今にかぎつた 00046260M3ことじやない。あの万とうのことハ、四五ねんもさきから、 00046270M4ならしてゐるのじや(六ウ) 00046280¥N16¥J 00046290¥X 00046300M10〔絵〕△/各(おの+)/只(たゝ)/咲(わらひ)/和(やハらぐ)△△どん字ばなし 00046310¥N17¥J 00046320¥X 00046330M11〔絵〕△北のゝにぎはひ△Sはなしの/種(たね) 00046340¥N18¥J 00046350¥X 00046360M12〔絵〕△門ぜんの牛△S二をつけぬ(七オ) 00046370¥P143 00046380¥G(七ウ・八オ) 00046390¥N19¥J 00046400¥X 00046410M1〔絵〕△のぼり人が多いので△S/宿(やど)が百ふへた 00046420¥N20¥J 00046430¥X 00046440M2〔絵〕△まんどうで△S京が二ギアふ(七ウ) 00046450¥N21¥J 00046460¥X 00046470M3〔絵〕△北ノがあかい(注=ノの字は朱でかく) 00046480¥N22¥J 00046490¥X 00046500M4〔絵〕△そばやの俵や、/表(おもて)からミても/イ(ひと)がこづんてゐる 00046510¥N23¥J 00046520¥X 00046530M5〔絵〕△都の/者(もの)も、とかく上ミへ出る(八オ) 00046540¥N24¥J 00046550¥X 00046560M6〔絵〕△ことしハ二月の閏△S春の日かずが多い 00046570¥N25¥J 00046580¥X 00046590M7〔絵〕△にぎはふこのはる△S米ノ大下リ 00046600¥N26¥J 00046610¥X 00046620M8▽さくねんハほうさく、ことしハ北のゝ御忌、両はう合せ 00046630M9バ、やはり亥子のミのり〔絵〕△(八ウ) 00046640¥G(八ウ) 00046650¥P144 00046660¥U噺本大系△第十九巻 00046670¥T/大寄噺(おおよせはなし)の/尻馬(しりうま)初編△〔目録題〕 00046680¥G 00046690¥Y 00046700L16嘉永頃刊 00046710L17月亭生瀬・森田軍光作 00046720L18友鳴松旭画 00046730L19大坂△本屋安兵衛等板 00046740L20小本一冊 00046750¥Y/大寄噺(をほよせはなし)の/尻馬(しりむま)△△△△/初編(しよへん) 00046760M3一△@/芝居(しばゐ)|/幕明(まくあけ)@/風呂屋(ふろや)/口上(こうじやう)△四△丁 00046770M4一△/間違(まちがひ)/穴物(あなもの)がたり△同 00046780M5一△/大笑(をゝわらひ)/座敷噺(ざしきばなし)△同 00046790M6一△/忠臣蔵(ちうしんぐら)/名寄(なよせ)ばなし△同△(1ウ) 00046800M7一△/地獄(ぢごく)のこん/立(だて)△四△丁 00046810M8一△/忠臣蔵(ちうしんぐら)/料理(りやうり)上△同 00046820M9一△/忠臣蔵(ちうしんぐら)/料理(りやうり)下△同 00046830M10一△/忠臣蔵(ちうしんぐら)ぬらくら/講釈(こうしやく)△同 00046840M11一△/忠臣蔵(ちうしんぐら)ぬらくら/講釈(こうしやく)△同△(2オ) 00046850M12一△@すり/鉢(ばち)|かへうた@/笑(わらひ)の/山(やま)ばなし△四△丁 00046860M13一△@大つゑ入|いよぶし入@/大笑(をゝわらひ)おとし/噺(ばなし)△同 00046870M14一△おとしばなし△上△同 00046880M15一△おとしばなし△中△同 00046890M16一△おとしばなし△下△同△(2ウ) 00046900¥P145 00046910¥Y 00046920L2△月亭生瀬戯作G 00046930L6/大寄噺(おほよせはなし)の/尻馬(しりむま) 00046940L9△浪華△△松栄堂G(見返扉) 00046950¥G(1オ) 00046960G1はら筋の 00046970G2△よれる/笑(わら)ひの 00046980G3△△をほよせは 00046990G4△さいこくへ 00047000G5△/行尻馬(ゆくしりむま)の/旅(たび) 00047010¥Y○/乍憚(はゞかりながら)/口上(こうせう)を/以(もつて)/御披露(ごひろう)/申上升(もうしあげます)る 00047020M3一△/私方(わたくしほう)、/当本(とうほん)/大寄噺(をゝよせはなし)の/尻馬(しりむま)ハ、/先年(せんねん)/大本(をゝぼん)ニ而/三編(さんぺん)まで 00047030M4/売出(うりだ)し候/所(ところ)、/御蔭(をんかげ)を/以(もつて)、/御見物様方(ごけんぶつさまがた)の/御意(ぎよゐ)ニ/叶(かな)い、/大慶至= 00047040M5極(たいけいし=ごく)ニ/奉存(ぞんじたてまつり)候。/夫(それ)ニ/付(つき)、/右(ミぎ)/継編(つぎへん)、/大本(をゝぼん)のつもりニ/仕懸(しかゝ)り 00047050M6候/所(ところ)、/当時(とうじ)/小形本(こがたぼん)/追&(をい+)/流行(りうこう)ニ/付(つき)、/御見物様(ごけんぶつさま)の/御覧(ごらん)も/甚(はなは)だ/見= 00047060M7易(ミ=やす)く、/懐中(くハいちう)/御勝手(ごかつて)ニ/御持参(ごぢさん)、/且(かつ)ハ/御進物(ごしんもつ)/等(とう)ニも/岌低(かさびく)ニて/奇= 00047070M8麗成(き=れいなる)を、十人/取(どり)/仕(つかまつり)候/義(ぎ)を/存(ぞん)じ、/此度(このたび)/新作(しんさく)のおどけばな 00047080M9し/色&(いろ+)/取交(とりまぜ)、/改(あらため)て/尻馬(しりむま)/小本(こほん)の/別編(べつへん)として、/追&(をい+)編数(へんすう)/相(あい)かさ 00047090M10ね/出板(しゆつぱん)/仕(つかまつり)候。/尤(もつとも)/彫(ほり)(3オ)を/改(あらた)め、/絵面等(ゑめんとう)/精&(せい+)/画工(ぐわこう)へ/相= 00047100M11励(あい=はげ)ませ、/仕立(したて)/奇麗(きれい)ニ/致(いた)し候て、/御土産物(をんミやげもの)ニハ/至極(しごく)/能(よき)/品(しな)と/成= 00047110M12丈(なる=だけ)/相働(あいはたら)き、/売出(うりいだ)シ/置(をき)候。/本安(ほんやす)のおどけ/小形本(こがたぼん)と/被仰下(をふせくだされ)候ハ 00047120M13ヾ、/何方(いづかた)の/本屋(ほんや)はんこやニても/有之(これあり)候。/尤(もつとも)/御勝手(ごかつて)ニ/依(よつ)て 00047130M14ハ、とぢわけの/本(ほん)/一冊(いつさつ)づゝ/放(はな)して/売出(うりいだ)し/有之(これあり)候。/是(これ)また/御= 00047140M15手寄(をん=てより)の/本屋(ほんや)/板行屋(はんこうや)ニて、/御求(をんもと)め/被遊可被下(あそバされくださるべく)候と、/噺(はなし)の/尻馬(しりむま) 00047150M16ニのつて、/口上(こうじやう)の/鞭(むち)をはやめ、/一(いち)ばん/刎(はね)る/尻馬(しりむま)の/一騎駈(いつきがけ)ハ、 00047160M17/御(ご)ぞんじの/本屋(ほんや)/安兵衛(やすべゑ)ニて候 00047170M18△△△月△△日△(3ウ) 00047180¥P146 00047190¥G 00047200¥T1/役者尽(やくしやづくし)/幕明(まくあけ)/口上噺(こうぜうはなし)ふろやの初日△△△△¥A@月亭生瀬作|松旭画并ニ書@ 00047210L15▲/道(とう)とんぼりの/芝居(しばゐ)/近所(きんじよ)ニ、/始(はじめ)て/風呂(ふろ)やできけるニ、/其名(そのな) 00047220L16を/芝居(しばゐ)ゆと/付(つけ)、/表(をもて)の/行燈(あんどう)ハ/芝居(しばゐ)のやぐらの/形(かたち)にして、/幕(まく)を 00047230L17/書(かい)て/紋(もん)を/付(つけ)、/始(はじめ)の/日(ひ)ハかど/口(ぐち)ニ、/今日(こんにち)£のびらを/張(はり)、/内(うち)へ 00047240L18はいつてミれバ、/銭取場(ぜにとりば)にハ/大木戸(をゝきど)よふの/男(をとこ)/上(あが)り、/入(いりて)人ふ 00047250L19たり/這入(はいれ)バ/二(に)まい引、/三人(さんにん)はいれバ/三まい引と、よミ/込(こミ)の 00047260L20ていニて/人(ひと)を/入(いれ)る。/入(いりて)人もしバ(壱ウ)いの/心持(こゝち)して、はき 00047270M1/物(もの)をぬぎ/上(うへ)へあがりてミれバ、/着物入(きものいれ)の/箱(はこ)ハさんじきの/形(かたち) 00047280M2ニして、/畳(たゝミ)の/上(うへ)ハ/芝居(しばゐ)のばのとをりニ/仕切(しきり)を/入(いれ)、一/段(だん)うし 00047290M3ろのかたニ/高(たか)い/所(ところ)をこしらへ、これハくり/上(あげ)と/名(な)をハ/付(つけ)け 00047300M4る。/入(いりて)人ハくんじゆゆへ、ばとくり/上(あげ)ニ/待合(まちあハ)しける。/正(せう)め 00047310M5んの/風呂(ふろ)のまへ/垂(だれ)にハ、/大手(をゝて)/笹瀬(さゝせ)の/印(しるし)あり。/誠(まこと)ニ/芝居(しばい)の/気(き) 00047320M6ニ/成(なつ)て/待合(まちあハ)しける/所(ところ)へ、(二オ)/菓子(くわし)やが、くわしやSうじ/山= 00047330M7水(やま=ミづ)から+と/売(うり)あるくもの/有(あり)けるゆへ、/待合(まちあハ)せる/人(ひと)が、/風= 00047340M8呂(ふ=ろ)やニマア/菓子売(くわしうり)と笑(わら)へバ、/傍(そバ)に/江戸(えど)ものがいて、江戸ツ子 00047350M9Sナアニ/江戸(えど)ジヤ、ゆやニ/菓子(くわし)うらねへゆやハねへサとい 00047360M10ふ/内(うち)ニ、/茶(ちや)やたバこぼんはこふ/女(をんな)/有(ある)と、/待合(まちあハ)す/人(ひと)が、ナン 00047370M11ト/長(なが)い/幕(まく)じやナと/栖落(しやれ(ママ))だすと、待人S/其(その)はつじや。けふハ 00047380M12/初日(しよにち)じやと/云(いふ)。/其内(そのうち)ニふろの/中(なか)(二ウ)£/一人(ひとり)出て、/肩(かた)に/手= 00047390M13拭(て=ぬぐひ)をかけ、/又(また)こしニ/手拭(てぬぐひ)を/垂(たれ)て、/上下(かミしも)の/様(よふ)ニして、/口上言(こうぜういひ) 00047400M14の/形(かたち)となし、口上S/東西(とうざい)+、/只今(たゞいま)のつゞき/初風呂紋日(はつふろもんび)の 00047410M15/大入(をゝいり)ふろやのだん、/役者(やくしや)かへ/名(な)の/次第(したい)△/東西(とうざい)+ 00047420M16△ふろわいたかとかげんをバ△△/三枡(ミます)/大五郎(だいごろう) 00047430M17△ふろから/戻(もどり)ニぬれ/手拭(てのごひ)は△△/片(かた)ニおかん/我童(がどう)(三オ) 00047440M18△ぶしやう/者(もの)ハからだあらふのが△△/中(なか)+/邪魔七(じやましち) 00047450M19△ふんどしを/越中(ゑつちう)ニする人ハ△△/又(また)ぐら/欠略(かんりやく) 00047460M20△/着物(きもの)/入(いれ)た/箱(はこ)の/番付(ばんづけ)をよふ△△おぼへ/多見蔵(たミざう) 00047470¥P147 00047480L1△あんまりなが/風呂(ふろ)ゆへニ△△/内(うち)からよび/十郎(じうろう) 00047490L2△/上(あが)り/場(ば)でヱラやつしハ/出這入(ではいり)の△△/邪魔(じやま)した/金作(きんさく) 00047500L3△ふろやで/咄(はなし)のでけた/女夫(めうと)ハ△△/実(じつ)から/ゑん(縁)/三郎(ざぶろう)(三ウ) 00047510L4△ふろ/上(あが)りニ/風引(かせひか)ぬまじないハ△△/乳(ちゝ)からふけ/十郎(じうろう) 00047520L5△しつくいばで/体(からだ)をふいているハ△△ふりまら/友吉(ともきち) 00047530L6△ふろやのてい/主(しゆ)が/大入様(をゝいりさま)のかをゝ△△/三枡(ミます)ギヱン/之助(のすけ) 00047540L7△ふろの/中(なか)/大入(をゝいり)で/大(をゝ)きな/尻(しり)が/迫(つまり)△△ぎち/川(かわ)/団蔵(だんざう) 00047550L8△/手拭(てぬぐひ)すゝぎの/手水鉢(てうづばち)に△△/中(なか)にハ/杓右衛門(しやくうえもん) 00047560L9△きさんじなおとこの/子(こ)ハ△△なかん/山男子(やまなんし)(四了オ) 00047570L10△まへ/垂(たれ)/着物(きもの)ゆまきまでとれハ△△/中(なか)にハ/開三(ぼゝさ) 00047580L11△/帯(をび)をときて/着物(きもの)を/箱(はこ)へ△△/入(いれ)たら/海老錠(ゑびじやう) 00047590L12S/其(その)ほか/諸役人(しよやくにん)/取(とり)そろへ、もんびの/大入(をゝいり)ふろやのだん、さ 00047600L13よふといへバ、のりじの/男(をとこ)が/手拭(てぬぐひ)をひろげ、まくとして、 00047610L14スウ+スウ引ヽヽヽヽと/引(ひい)たら、/後(うしろ)の/方(かた)ニちいさい/男(をとこ)、 00047620L15/丸裸(まるはだか)で/立(たつ)ていたら、かの/小男(こをとこ)のまへを/見(ミ)て、Sゑらい/道具(どうぐ) 00047630L16じやナア(四了ウ) 00047640¥G 00047650¥T1@大新板|おどけ@/間違穴物語(まちがひあなものがたり)△△△△△△¥A@△△月亭生瀬作|友鳴△松旭画并ニ書@ 00047660¥N1¥J 00047670¥X○ひがんざくら 00047680M16▲/春(はる)きさらぎのころにて/有(あり)けるが、/旦那(だんな)申けるハ、だんな 00047690M17Sコレさつ。/今日(けふ)ハのちの/酒(さけ)の/肴(さかな)に、いかのきのめあへを 00047700M18/仕(し)て/置(をい)てたもやト/申(もうし)けれバ、下女Sハイ+、かしこまり 00047710M19ましたと/表(をもて)へ/出(いて)て、/子供(ことも)の/持(もち)あそびの/凧屋(いかや)へ/行(ゆき)て、いろ 00047720M20+/買(かふ)てもどり、き(一ウ)のめ/味噌(ミそ)をぬりておきけるニ、 00047730¥P148 00047740L1/旦那(だんな)ハ/夫(それ)とハ/知(しら)ず、さつや、/最前(さいぜん)/頼(たの)んでおいたきのめあへ、 00047750L2できて/有(ある)ならだしてたもと/云(いへ)バ、/下女(げぢよ)ハかの/凧(いか)を/持(もち)いでけ 00047760L3る。だんなSヱヽゑらい/事(こと)したナア。/扇(あふぎ)いかも/味噌(ミそ)だらけ、 00047770L4/鬼(をに)の/面(めん)にもべつたり/付(つけ)て/有(ある)。/五右衛門(ごうえもん)のかをミそたらけ。 00047780L5コリヤいかゞ/間違(まちが)ふてある。コリヤ/糸付(いとつけ)(二オ)てのぼす/凧(いか) 00047790L6じやがナといへバ、下女S/春(はる)ハ/木(き)のめ/立(たち)で、ヨウのぼしま 00047800L7す 00047810¥N2¥J 00047820¥X○/吸(すい)だし/膏薬(かうやく) 00047830L10▲/去所(さるところ)のごふくやのばんと、/大白鼠(だいしろねづミ)で、/内証(ないしやう)ハふくつんゆ 00047840L11へ、/茶(ちや)やの/女房(にやうぼう)、/彼(かの)ばんとを/客(きやく)にしたい+と/思(をも)ふている 00047850L12をりふし、ばんとが/来(き)て、/火鉢(ひばち)の/傍(そば)(二ウ)で/一(いつ)ぱい/呑(のま)して 00047860L13/呉(くれ)を/幸(さいハひ)ニ、/肴(さかな)ハ/有合(ありあひ)ものニて/酒(さけ)を/出(いだ)し、/女房(にやうぼう)ハ/三味線(しやミせん)を/取= 00047870L14出(とり=だ)し、よし/此(この)なぞにてうかれさし、ばんとの/方(ほう)から、げい 00047880L15この/一人(ひとり)も/呼(よん)で/呉(くれ)と/云(いふ)よふニ/仕(し)かけんと、つめ/弾(びき)でしやり 00047890L16んに/成(なつ)ていると、てい/主(しゆ)ハ/女房(にやうほう)をかつてへよんで、ていし 00047900L17ゆSさかな/一(ひと)ツとらずニ/火鉢(ひばち)の/傍(そば)て/呑(のむ)/客(きやく)ニ、/三味(しやミ)(三オ)/線(せん) 00047910L18まで/弾(ひい)て/勤(つとめ)いでもよかりそふな/物(もの)じやナ△女ぼうSイヤ、 00047920L19/斯(かふ)してアノ/白鼠(しろねづミ)を、/猫(ねこ)の/皮(かわ)で/取込(とりこま)ふと/思(をも)ふて/居(ゐ)るのジヤ△ 00047930L20ていしゆSそれなら、/撥(ばち)/出(だ)して/三味(しやミ)ひくがよい。/鼠(ねづミ)とる/猫(ねこ) 00047940M1にや、つめをかくせ 00047950¥N3¥J 00047960¥X○/神国(しんこく)の/念仏(ねんぶつ) 00047970M4▲わかい/女夫(めうと)がさし/向(むか)ひに/成(なつ)て/申(もうし)けるハ、ていしゆS(三ウ) 00047980M5/去年(きよねん)はる、/御寺(をてら)の/観音堂(くハんをんどう)のさいこんの/時(とき)、くハんけを/頼(たの)ま 00047990M6れ、わがミが/出(で)やつたが、アノ/時(とき)の/姿(すがた)ハ/誠(まこと)によかつた。/今(いま) 00048000M7ニ/目(め)のさきにちら+するよふな。こんやハアノ/姿(すがた)で、く 00048010M8ハんけぼゝ、やりかけふかといへバ、/女房(にやうぼう)も、それハよろ 00048020M9しうござりますと、/一(いち)もんじの/笠(かさ)を/取(とり)だし、これ(四了オ) 00048030M10をかぶり、/白(しろ)い/手(て)をひをして、こしにハたゝきがねを/付(つけ)て、 00048040M11これを/打(うち)ならし、/詠哥(ゑいか)を/唄(うたひ)けれバ、てい/主(しゆ)ハ/涎(よだれ)を/流(なが)し、う 00048050M12つゝに/成(なつ)て、こしのあたり、どき+と/脉(ミやく)/打(うつ)て/入(いる)ニ、/女房(にやうぼう) 00048060M13ハ/大音声(たいをんじやう)ニて、/上月山(うハつきざん)/玉門寺(ぎよくもんじ)、/女房(にやうぼう)じきのくハんけ、お 00048070M14/志(こゝろざし)ハ/厶(こさ)り/升(ませ)んかナと/云(いへ)バ、てい/主(しゆ)、/前(まへ)のもの、かとふし 00048080M15て、/入(いれ)ませう+。女ほうSおへこう(四了ウ) 00048090¥P149 00048100¥G 00048110¥T1@大しん|ぱん△@/大笑(をゝわらひ)ざしき/噺(はなし)△△△△△△△¥A@浪花△月亭生瀬作|△△松旭画并ニ書@ 00048120¥N1¥J 00048130¥X○/所(ところ)さぐり 00048140L16▲/春(はる)/弥生(やよひ)の/比(ころ)、/旅(たび)をして/宿(やど)を/取(とり)けるニ、/相宿(あいやど)の/人&(ひと※)も、/皆(ミな)/大= 00048150L17坂(をゝ=さか)の/人(ひと)と/見(ミ)へけるゆへ、/互(たがひ)ニ/詞(ことば)を/懸合(かけあひ)けるニ、客S/和尚様(をしやうさま)。 00048160L18あなたハ/大坂(をゝさか)とミへ/升(ます)が、どのへんで/厶(ござ)り/升(ます)△和尚Sハイ。 00048170L19/私(わたくし)ハした/寺町(でらまち)の/南側(ミなミがわ)で/厶(ござ)ります△客S/下寺町(したでらまち)ニ/南側(ミなミがわ)ハご 00048180L20ざりません(一ウ)和尚Sイヤ、一ばん/南(ミなミ)の/遊行寺(ゆぎやうでら)で/厶(ござ)り/升(ます) 00048190M1客Sほんニ/南側(ミなミがハ)じやナ。/時(とき)ニ、こちら/隣(となり)のお/客(きやく)様ハ、ど 00048200M2のへんで厶ります△となりきやくSハイ。/私(わたくし)ハお/妓(やま)の/筋(すじ)のこ 00048210M3いので/厶(ござ)り/升(ます)客Sお/妓(やま)の/筋(すじ)のこいのと/云(いふ)お/所(ところ)ハ△となり 00048220M4きやくSハイ。げんさいばしのつめで厶り/升(ます)△客Sコリヤ 00048230M5おもしろい。/申(もうし)、あちらのいんきよ様。あなたハ/大坂(をゝさか)どの 00048240M6へんでござり(二オ)ます△いんきよSハイ。ばゝのおめこ 00048250M7にしらミがわきまして△客S申、さよふ/成事(なること)たづねてハい 00048260M8ません。おまへ/様(さん)のお/所(ところ)ハ△いんきよSハイ。ばゝのおめ 00048270M9こに、しらミがわきました△客Sおかしい/所(ところ)じやナ。そり 00048280M10やどこでござり/升(ます)へ△いんきよSハイ。しらが/町(まち)のくハん 00048290M11をんまへじや 00048300¥N2¥J 00048310¥X○/粋(すい)うわさ△(二ウ) 00048320M14▲/四方山(よもやま)の/噺(はなし)のうへにて、一/人(にん)の/人(ひと)のはなしにハ、/今(いま)ハ/舞(まひ) 00048330M15ざらへも/六(むつ)かし/成(なつ)て、/此(この)あいだも/見(ミ)ニいたら、/帯(をび)ニ/名古屋(なごや) 00048340M16ふぐの/縫(ぬひ)をして、/名古屋(なごや)をびをまふたり、/大口(をゝくち)と/着物(きもの)の/裏(うら) 00048350M17を/嶋(しま)にして、うらしま/舞(まふ)たり、/寒(さむ)い/時分(じぶん)でも/越後(ゑちご)じまの/着= 00048360M18物(き=もの)で、/越後獅子(ゑちごじゝ)まふたり、/又(また)/呉服(ごふく)の/袖口(そでぐち)(三オ)のかゝつた 00048370M19/繻絆(じゆばん)で、/袖(そで)ごうろ/舞(まふ)たり。あいてSサア、そんな/事(こと)がしく 00048380M20じりに/成(なつ)て、/一家(いつけ)へあづけられて、/汐(しほ)ふミまふたり 00048390¥P150 00048400¥N3¥J 00048410¥X○/秋(あき)のそら 00048420L3▲/先生(せんせい)。むかしのばせをと/云(いふ)/人(ひと)ハ、/発句(ほつく)の/名人(めいじん)じやそふニ 00048430L4ござります。先生Sコリヤ/又(また)かくべつじや。(三ウ)/其翁(そのをきな)の 00048440L5/秋(あき)の/句(く)ニ、/更(ふけ)ゆくや/花(はな)なら/紙(かミ)に/押(をす)ものを、と/云(いふ)/句(く)ハ、まこ 00048450L6とに/妙(めう)じや。/八月(はちぐハつ)の十五日の/月(つき)の/更(ふけ)ゆく/所(ところ)ハ、どふも/云(いへ)ぬ。 00048460L7/花(はな)ならバ/何(なに)ほどうつくしいても、/紙(かミ)ニ/書(かけ)るけれ/共(とも)、/今宵(こよひ)の 00048470L8/月(つき)の/更(ふけ)ゆく/所(ところ)ハ、/紙(かミ)ニも/書(かゝ)れぬといふ/句(く)じやといへバ、若 00048480L9ものSけれども/先生(せんせい)。/更(ふけ)ゆくや/花(はな)(四了オ)なら/紙(かミ)に/押(をす)もの 00048490L10を、でハ/分(わかり)にくい。Sゆくハふけ/涕(はな)なら/紙(かミ)でかむものを、 00048500L11としたら、どふで/厶(ござ)り/升(ます)△先生Sソリヤ/何(なん)の/事(こと)じや△若もの 00048510L12S/開(おめこ)を/仕(し)たらふき/升(ます)よつて、/行(ゆく)ハふけ、/涕(はな)が/出(でる)とふくと/云(いわ) 00048520L13ずニかむと/云升(いひます)よつて、/涕(はな)なら/紙(かミ)でかむものを△先生S/夫(それ) 00048530L14でハ/春(はる)の/気(き)か/秋(あき)の/気(き)か△若ものS/春(はる)でも/秋(あき)でも、/気(き)のゆく 00048540L15のハおなじ/事(こと)じや(四了ウ) 00048550¥G 00048560¥T1@おどけ△△|大しんぱん@/忠臣蔵(ちうしんぐら)/名寄噺(なよせはなし)△△△△△△¥A@浪花△月亭生瀬作|友鳴△松旭画并ニ筆@ 00048570¥N1¥J 00048580¥X○/忠臣蔵(ちうしんぐら)/名寄(なよせ) 00048590M16▲/京都(きやうと)の/山科(やましな)に、/大星由良之介(をほぼしゆらのすけ)のかくれ/家(が)あり。/此(この)ところ 00048600M17の/裏手(うらて)へ、/忠臣蔵(ちうしんぐら)と/云(いふ)くらを/立(たて)たいと、/皆&(ミな+)/打(うち)よりけるに、 00048610M18/此(この)うらニ/大(をほ)きなる/先崎(せんざき)あり。/此所(このところ)ニて/弥五郎(やごろう)わいなる/石(いし)、 00048620M19あまた/持(もち)はこびいるニ、/生(をひ)しげりたる(一ウ)/竹森(たけもり)のこなた 00048630M20に、/喜多八(きたはち)のかゝりたる/池(いけ)があり。その/傍(そば)におよそ/目(め)かた 00048640¥P151 00048650L1/薬師寺(やくしち)/貫目(くハんめ)/斗(ばかり)なる/大石(をいし)あり。/此石(このいし)をバ/治郎(じろ)+と/見渡(ミわた)し、 00048660L2この/石(いし)、/鷺坂(さぎさか)ニうち/捨(すて)おいても/伴内(ばんない)かとたづねたら、イヤ、 00048670L3/早&(はや+)/野(の)にのけたら/勘平(かんへい)がよいと/云(いふ)に、/付(つけ)のけて/由松事(よしまつこと)なら 00048680L4(二オ)バ、わしも/寺岡(てらをか)かと/出(いて)て、/尻(しり)から/平右衛門(へいえもん)をきバり 00048690L5だし、わしも/加古川(かこかわ)と/本蔵(ほんぞう)をもんだれども、/中&(なか+)/働(うご)かぬ。 00048700L6なんぼ/大(をほ)わしかいて/働(はたらい)ても、/文吾(ぶんご)ともせぬゆへ、ミな+ 00048710L7/原郷右衛門(はらごううえもん)/立(たて)、ヱヽいま+しい。/矢間(やざま)のわるいと/重太= 00048720L8所(しうた=ところ)がしよふもない。コリヤたれぞを/大田(をほた)のミ/申(もうし)、/了(りやう)(二ウ) 00048730L9/竹(ちく)とばかり、/与市兵衛(よいちべ)だしてもらハにや、/此石(このいし)ハでつちま 00048740L10でも/伊五(いご)くまいといへバ、イヤ+、たとへ/何(なに)ほど/桃井石(もゝのゐいし) 00048750L11でも、/年若(としわか)/狭之助(さのすけ)なものを/呼(よび)あつめたらよかろふと、/京都(きやうと) 00048760L12ぎをん/町(まち)一りきの/亭主(ていしゆ)、これハ/大(をゝ)かたあげやで/有(あら)ふと、/急(きう) 00048770L13ニよび/寄(よせ)けれバ、/中仲(ちうなか)(三オ)/居(ゐ)/大(をゝ)ぜいの/人(ひと)、たいこを/持(もつ)て 00048780L14はやしたて、/力弥(りきや)ツとある/上(うへ)に、/塩治(ゑんや(ママ))+とかけ/声(ごへ)を/出(いだ)し、 00048790L15からだにハ/小浪(こなミ)の/打(うつ)ほどあせかいて、/十七瀬(となせ)いだしたら、 00048800L16おそのおいしがおかるニ/上(あが)つた。ヤレ+、/中&(なか+)/天川屋(あまかわや)な 00048810L17/事(こと)でハ/行(ゆか)なんだと、/皆&(ミな+)/義平(ぎへい)/直(なを)し、/打笑(うちわら)ひいる/所(ところ)ニ、/此石(このいし) 00048820L18(三ウ)をわしに/九太夫(くたいう)と/云(いふ)ものあり、わしに/師直(もろなふ)といふ。 00048830L19/又(また)/斧九太夫(をのくだいう)が/忰(せがれ)か/来(き)て、わしニたゞ/九(く)りよと/云(いふ)。そんなら 00048840L20わしが/二〆五百(にくハんごひやく)か/判官(はんぐハん)ニでも、かほよ/御(ご)ぜんと/云(いふ)/者(もの)が/来(き)て、 00048850M1/石(いし)ハ/夫(それ)て/納(をさま)つたが、/其跡(そのあと)へ/蔵(くら)を/立(たて)るがよいと/云(いふ)/者(もの)と、/放(はな)れ 00048860M2ざしきニするがよいと/云(いふ)/者(もの)あり。/又(また)/此所(このところ)ハ/見(ミ)はらし(四了オ) 00048870M3のよい/所(ところ)じやよつて、/物見(ものミ)をたてるがよいと/云(いふ)ものあり。 00048880M4/評義(ひやうぎ)まち+にて、イヤ、やつぱり/先(せん)からいふとをり、/蔵(くら) 00048890M5にするがよかろう。イヤ、/物見(ものミ)がよい。イヤ+、はなれ 00048900M6ざしきがよいと、/我一(われいち)にいふていたが、どふど/仕(し)まいにハ、 00048910M7/柴部家(しばべや)でおさまつた@▲此外忠臣蔵りやうりづくし上下|△御座候。御求め可被下候。以上@△(四了ウ) 00048920¥P152 00048930¥G 00048940¥T1/大新板(だいしんばん)/地(ぢ)ごくのこん/立(だて)△△△△△△△△¥A@月亭生瀬作|松旭画書@ 00048950¥N1¥J 00048960¥X▲/婚礼献立(こんれいこんだて) 00048970L13△△△△△△△△△△△△○/酒(さけ) 00048980L14○S/舟人(ふなびと)の/舟盛(ふなもり)△△△△△△△ほねうづきの 00048990L15○S/居合抜(ゐあいぬき)の/歯(は)もり△△△△△△いたミ/名酒(めいしゆ) 00049000L16△△△△△△△△△△△△○/小鉢(こばち) 00049010L17○S/御所(ごしよ)の/御供(をとも)の/雑人(ざうにん)△△△△うそ/吐(つき)の/鉄砲(てつほう)あへ 00049020L18○/焚出(たきだし) 00049030L19△△/化粧下(けしやうした)のかもうり△△△△/子供(こども)の/珍宝(ちんほう)の 00049040L20△△かさやの/骨(ほね)きり△△△△△△とふがらし 00049050M1○/吸物(すいもの)△△△△△△△△△△○はち 00049060M2△△りやうしのうしをに△△△△六十六/部(ぶ)の 00049070M3△△/逆上(のぼせ)のきの/目(め)△△△△△△△△/背(せ)びらき(壱ウ) 00049080M4○/大平(をゝびら)△△△△△△△△△△○/吸物(すいもの) 00049090M5△△/寐間入(ねまいり)の/漬松茸(つけまつたけ)△△△△△△/敵役(かたきやく)の/赤(あか)ミそ 00049100M6△△/花(はな)の/先生(せんせい)の/筒切(つゝぎり)△△△△△△よいお/山(やま)のうろこ 00049110M7△△へた/駕(かご)かきのゆり/根(ね)△△○/蓋物(ふたもの) 00049120M8△△こしつやミのあなご△△△△さむらひの/田楽(でんがく) 00049130M9△△みゝきのきくらげ 00049140M10○/鉢(はち)△△△△△△△△△△△○/冷物(ひやしもの) 00049150M11△△ざう/兵(ひやう)のぐそくに△△△△△あほうのきなし 00049160M12△△/子供(こども)のいひだこ△△△△△△まへがミのミづぐわへ 00049170M13○/吸物(すいもの)△△△△△△△△△△○/浜焼(はまやき) 00049180M14△△さふばしのはまぐり△△△△さうかの/浜(はま)やき(弐オ) 00049190M15△△おてらのこしやう 00049200M16○/造身(つくりミ)△△△△△△△△△△○すゞりぶた 00049210M17△△/女郎(ぢよろう)のつくり/身(み)△△△△△△/美(うつく)し/者(もの)のにぬき/玉子(たまご) 00049220M18△△/下手(へた)/浄(じやう)るりの△△△△△△△/頬(つら)の/皮(かわ)のあつやき 00049230M19△△△すみそ 00049240M20○/菓子(くわし)△△△△△△△△△△△△しつねつのつぶしい/茸(たけ) 00049250M21△△/江戸役者(えどやくしや)の△△△△△△△△/男色(なんしよく)のかまぼこ 00049260M22△△△/有平糖(ありへいとう)△△△△△△△△△おんぼのやきとり 00049270M23△△/小無僧(こむそう)の/吹(ふき)よせ△△△△△△/仲人(なかうど)のむすびこぶ 00049280M24△△いんきよの△△△△△△△△かつたいのはじかみ 00049290M25△△△/楽(らく)がん△△△△△△△△△△△△△△△△(弐ウ) 00049300¥P153 00049310L1○/香(こう)の/物(もの)△△△△△△△△△△○/食(めし) 00049320L2△△△むすこの△△△△△△△△△はいでの 00049330L3△△△△どろぼうづけ△△△△△△△しんまいめし 00049340L4○/汁(しる)△△△△△△△△△△△△○/焼物(やきもの) 00049350L5△△△こむすめの△△△△△△△△いそべおなごの 00049360L6△△△△かいわり△△△△△△△△△しほやき(三オ) 00049370L7△△△/巾(きん)ちやくきりの 00049380L8△△△△すりながし 00049390L9○なます△△△△△△△△△△○ひら 00049400L10△△△/年寄(としより)の/白(しら)が/大根(だいこん)△△△△△△/女郎(ぢよろう)のきり/身(み) 00049410L11△△△/後家御(ごけご)の/生貝(なまがい)△△△△△△△ごうもんのゑび 00049420L12△△△/性悪旦那(せうわるだんな)の/摘(つまミ)しそ△△△△△/舟人(ふなびと)の/川(がわ)ごぼう 00049430L13△△△ひんさうのかすてら△△△△けんくハ/好(ずき)の/割頭(わりがしら) 00049440L14△△△/祖父(ぢぢ)さんのきんかん△△△△/男(をとこ)だての/三(ミ)ツば 00049450L15/閻魔大王(ゑんまだいわう)の/子息殿(しそくどの)/円太郎(ゑんたろう)と/云(いふ)ハ、/今(こん)(三ウ)/年(とし)廿二/才(さい)ニて、 00049460L16/親(をや)ニ/似(に)ぬ/鬼子(をにご)とやら、/父(ちゝ)/大王(たいわう)ハ/巾(きん)をかぶり、/笏(しやく)なぞを/持(もて)ど、 00049470L17/円(ゑん)太郎ハ/黒(くろ)ちりめんの/頬(ほう)かぶりをくひニまき、はゞの/広(ひろ)い 00049480L18/御(ご)めんげたなんぞをはき、もちろん/親御(をやご)のよふニ/赤(あか)いかを 00049490L19のこハい/人(ひと)でなく、/色白(いろじろ)のやさ/姿(すがた)なれバ、/血(ち)の/池(いけ)の/女(をんな)ニ、 00049500L20/此息子(このむすこ)/打込(うちこミ)/深(ふか)く/馴染(なじミ)けるが、/円太郎(ゑんたろう)ハ/此女(このをんな)を/女房(にやうぼ)ニもたね 00049510L21バ、くび(四了オ)/〆(しめ)て/生(いき)るなぞ/申(もうす)ゆへ、/大王(だいわう)も/困入(こまりいり)、/夫(それ)£ 00049520M1/十王(じうわう)/十(じう)たいの/内(うち)なる/平等王(べうどうわう)を/仮(かり)おやニして、/血(ち)の/池(いけ)の/女(をんな)/小(こ) 00049530M2さんとこんれい/致(いた)させける。@ごちそう、△△|まへのとをり。@こんれいも/相(あい)す 00049540M3ミ、ねまへ/入(いり)たる/時(とき)、/小(こ)さん/申(もうす)ニハ、モシ/円(ゑん)さん。/私(わたし)ヤし 00049550M4やばで/男(をとこ)/持(もち)ましたが、ちんぽハ/向(むけ)て/厶(ござ)り/升(ます)が、おまへ/様(さん)ハ 00049560M5/何(なに)ゆへ/向(むけ)てないといへバ、円太郎Sこゝハむけんぢごくじ 00049570M6や(四了ウ) 00049580¥P154 00049590¥G 00049600¥T1大新板/忠臣蔵料理(ちうしんぐらりやうり)△上のまき△△△△△¥A@月亭生瀬作|松旭画并ニ書@ 00049610¥N1¥J 00049620¥X 00049630L15▲道とんぼり/芝居(しばゐ)/近所(きんじよ)へ、/京(きやう)ぎをん/町(まち)一/力(りき)のでミせとて、 00049640L16/近比(ちかごろ)/店(ミせ)/出(だし)いたしけるが、/表(をもて)へ、/忠臣蔵料理(ちうしんぐらりやうり)と/云(いふ)/行燈(あんどう)を/出(いだ)し 00049650L17けれバ、お/侍(さふらひ)/壱人(いちにん)いり/来(きた)りて、侍Sナニ/亭主(ていしゆ)。/其方(そのほう)ハ忠 00049660L18臣蔵料理を/致(いた)すと/云事(いふこと)。しかし/予(よ)が/先祖(せんぞ)ハ、/塩谷判官公(ゑんやはんぐハんこう) 00049670L19の/家中(かちう)ニおいて/名(な)を/得(え)し/者(もの)/成(なる)ぞ。サア/其御(そのご)ぜん、(一ウ)/早(はや) 00049680L20く/出(いだ)せ△亭Sハイ。かしこまりましたと、いだしければ、 00049690M1お/侍(さふらひ)ハこれを/見渡(ミわた)し、侍Sコリヤ、/小皿(こざら)ニ/有(ある)ハとうがらし 00049700M2でないか。コリヤ/何(なに)ゆへだ△亭Sハイ。これが/大星由良之(をゝぼしゆらの) 00049710M3介/様(さま)/赤穂家老(あこがろう)で/厶(ごさ)り/升(ます)。/赤(あか)うて/辛(から)ふ厶ります△侍S/成(なる)ほど、 00049720M4おもしろい。/此鮒(このふな)ハやきものか。/小(ちいさ)いやき/物(もの)だナ。三まい 00049730M5ながら/皿(さら)の/中(なか)ニへバり/付(つい)て(二オ)おるが△亭S/是(これ)が/三段(さんだん)め 00049740M6で/厶(ござ)り/升(ます)。/師直(もろなを)が/判官公(はんぐハんこう)をバ/呼(よび)とめて、おそし+。き 00049750M7でんハナゼおそかつた@ト/皿(さら)を|しへて@/内(うち)ニ/斗(ばか)りへばり/付(つい)ているを、 00049760M8/井戸(ゐど)の/鮒(ふな)じやといふたとへが/有(ある)。/鮒(ふな)だ+、鮒/三(さん)まいジヤ 00049770M9と/申(もうし)ます△侍S/面白(をもしろ)い。/夫(それ)ハよいが、お/食(まんま)ハ/田舎(いなか)の/法会(ほうゑ)だ 00049780M10ちのすし/見(ミ)たよふニ、うへに/木(き)のめがひつ/付(つけ)て/有(ある)(二ウ)が 00049790M11亭Sハイ+。これが/五(いつ)ツ/目(め)/与市兵衛(よいちえ)が申升ニハ、/此財布(このさいふ) 00049800M12ハあとの/在所(ざいしよ)で/草鞋(わらじ)/買(か)ふとて、はした/銭(ぜに)だしましたが、あ 00049810M13とにのこるハ/中食(ちじき)のにぎり/食(めし)でござります△侍S/御膳(ごぜん)のお 00049820M14/食(まゝ)ニにぎりめしハ/珍(めづ)らしい。/此木(このき)のめハなんだ△亭Sコレ 00049830M15ハ/四段(よだん)め/判官(はんぐハん)/腹切(はらきり)の段。/力弥(りきや)、ゆらの/介(すけ)ハ。(三オ)ハヽア、 00049840M16いまださんしやう/仕(つかまつ)りませんと、/山椒(さんしやう)のならぬ/内(うち)ハ/木(き)の 00049850M17めで厶ります△侍S/成(なる)ほど/判(わか)つた。ドレ、/平(ひら)の/内(うち)ハ/何(なん)だ 00049860M18@と/明(あけ)て|/見(ミ)て、@平の内ニハ/蟹(かに)が/大(たい)そふ/目(め)を/向出(むきだし)てをる。/恐(をそろ)しい。 00049870M19コリヤ/何(なん)だ。亭Sハイ。/夫(それ)ハ/九段目(くだんめ)にて、加/古川本蔵(こがわほんぞう)が/師= 00049880M20直(もろ=なを)の屋/敷絵図(しきゑづ)を/力弥(りきや)ニ/渡(わた)す。力弥/取(とつ)ておしいたゞき、/開(ひら) 00049890¥P155 00049900L1(三ウ)き/見(ミ)れバこハいかに、/平明(ひらあけ)/見(ミ)れバ/剛(こわ)い/蟹(かに)で/厶(こざ)ります 00049910L2侍Sおもしろい。しかし、にぎりめしニ/胡麻(ごま)が/振懸(ふりかけ)て/有(ある) 00049920L3が、これにも/訳(わけ)がありそふなこと△亭Sハイ。/雪(ゆき)の/様(よふ)な/白(しろ) 00049930L4いおめしニ/黒胡麻(くろごま)ハ、/雪(ゆき)の/夜(よ)に/黒装束(くろしやうぞく)ニて屋/敷(しき)の内へ/乱(ミだ) 00049940L5れ/入(いつ)たるていでござります△侍S/夫(それ)ハよいが、/鮒(ふな)のいり/付(つけ)、 00049950L6/蟹(かに)(四了オ)の/塩(しほ)いり、にぎり/飯(めし)ニも塩が/有(あり)。これを/喰(くふ)たら、 00049960L7さだめて/咽(のど)がかハくじやあろ△亭Sサア、その/塩(しほ)からいの 00049970L8が/塩谷判官(ゑんやはんぐわん)さま。塩/谷(や)の/塩(ゑん)の/字(じ)と/赤穂(あこ)そうどうゆへ、ミな 00049980L9/塩(しほ)からふして/厶(ござ)ります。どふで/咽(のど)も、忠臣蔵のかハきうち 00049990L10ジヤ 00050000¥Q 00050010L11○此つゞき/下(げ)の/巻(まき)/御座(ござ)候。/其外(そのほか)/面白(をもしろき)おどけ/本(ほん)/有之(これあり)候(四了ウ) 00050020¥G 00050030¥T1大新板/忠臣(ちうしん)ぐら/料理(りやうり)△下の巻△△△△△¥A@月亭生瀬作|松旭画并ニ書@ 00050040¥N1¥J 00050050¥X 00050060M15▲亭主申お/侍様(さむらひさま)。/御酒(ごしゆ)をお/上(あが)りなされませんか。モヲ/酒(さけ) 00050070M16をだせとのお/手(て)が/鳴(なる)で/有(あろ)ふと、/待(まつ)ております。/私(わたくし)の/所(ところ)の/御= 00050080M17酒(ご=しゆ)の/銘(めい)ハ、七ツ目と/申升(もうします)。なぜなれバ、となた様のお/口(くち)へ 00050090M18でも/相性(あいしやう)がよいと/申事(もうすこと)で/厶(ござ)り升△侍S七ツ目なら、つらま 00050100M19へて酒を/呑(のま)そふと/云(いふ)心じやナ。又ゆら/鬼(をに)ニヤまたい酒でハ 00050110M20ないか△亭Sイヤ、私の/方(ほう)(一ウ)ハぎをん/町(てう)の出店。/中&(なか+) 00050120¥P156 00050130L1一/力(りき)の/有(ある)酒で/厶(ござ)り/升(ます)。モさいぜんから、あなた/様(さま)のお手が 00050140L2/鳴(なつ)たらもつてゆかふと、手の鳴/方(ほう)へ+と、めんないちろ 00050150L3りニ/入(いれ)てこしらへてござります。また、ちろり/燗鍋(かんなべ)なぞの 00050160L4酒おきらひな/御方(をかた)様にハ、/硝子(ひいどろ)のとつくりへ入てあげ/升(ます)。 00050170L5/早速(さつそく)ニだします所は(二オ)二/階(かい)のおかるの/夫(をつと)、/早(はや)の/燗瓶(かんびん)で 00050180L6ござります△侍Sサア此/方(ほう)も二階のおかるじやから、/止(やめ)ニ 00050190L7せうハへ△亭S二かいのおかるとハ、/高(たか)いとおつしやるの 00050200L8じやあろが、/夫(それ)も手をだして/足(あし)をいたゞく/蛸肴(たこざかな)ぐらいて/御= 00050210L9上(を=あが)りなされますと安ふ/付(つき)ますが、/鶏〆(にハとりしめ)/鍋焼(なべやき)とおつしやる 00050220L10と、/六(むつ)かしふ厶りますが、マア(二ウ)/蛸(たこ)ざかなで、ゆる 00050230L11+と/先崎(せんざき)のしやうじでも/明(あけ)はなし、酒もり/喜多(きだ)八をなさ 00050240L12れて、むせう/矢間(やざま)に/晒落(しやれ)なされてハ、どふでござり/升(ます)△侍 00050250L13Sそんなら酒によふて、/工太夫(くだゆう)ても/伴内(ばんない)か△亭Sなんぼ成 00050260L14共大/星(ぼし)めし/次第(しだい)△侍Sしかし、/此方(このほう)が二かいのおかるじや。 00050270L15/止(やめ)ニせう△亭S/高(たか)い/事(こと)ハ/仕(し)や(三オ)いたしませぬ。ずいぶ 00050280L16んおあしの/所(ところ)ハ/軽(かる)う/足軽(あしかる)/寺岡(てらをか)/平(へい)右衛門ニ/致(いた)し/升(ます)△侍S/鶏= 00050290L17〆(にハとり=しめ)なべやきと、おもくろしうなしニ、/外(ほか)ニさかなの/仕(し)よふ 00050300L18ハないか△亭Sヘヱ、さかなもいろ+/買(かい)こんでござりま 00050310L19す。/其内(そのうち)ニてお/好(すき)のものをおつしやつて/下(くだ)さりませ△侍 00050320L20Sいつたい/魚(うを)ハ/何&(なに+)ある(三ウ)亭Sおかるの申まする文/句(く) 00050330M1の/通(とふり)、上るりS/細魚(さより)の/鮎(あい)ハ/鮗(このしろ)を、/蛸(たこ)ニ/立(たて)ての/鯛(たい)だちか、いと 00050340M2ま/鯉(こい)にもみ/■(ゑそ)なものと、/鰭(うるめ)でばつ/王(か)餘/魚(れ)をりましたと、/是(これ) 00050350M3だけ/買込(かいこん)で/御(ご)ざります。/其(その)内ニて/何成(なんなり)とも△侍Sそふして 00050360M4/勘平(かんへい)ぐらいでのめるか△亭S/勘平(かんへい)とハ△侍Sハテ、勘平ど 00050370M5のハ(四了オ)三十ニ成やならず、廿七八文で/呑(のめ)るか△亭 00050380M6Sめつそふな△侍Sそんなら/徒党(ととう)の/人数(にんじゆ)四十七文ぐらいで 00050390M7ハ△亭Sめつそふな△侍Sイヤ+、よく/思(をも)へバ二かいの 00050400M8おかるじや。/止(やめ)ニしやう△亭Sお/侍様(さむらひさま)。其/様(よふ)ニ/安(やす)ふでの 00050410M9める/物(もの)じや/厶(ござ)りません△侍Sイヤ、二かいのおかるジヤと 00050420M10/云(いふ)ハ、/高(たか)い/事(こと)じやない。わがミながら、はしごニこまる 00050430M11(四了ウ) 00050440¥P157 00050450¥G 00050460¥T1@新△板|おどけ@/忠臣蔵(ちうしんぐら)ぬらくら/講釈(こうしやく)△上のまき△¥A@月亭生瀬作|松旭画并ニ書@ 00050470¥N1¥J 00050480¥X 00050490L15▲/去大家(さるたいか)へおでいりの/小間物(こまもの)や、/参(まい)りて/申(もうす)ニハ、イヤ/奥様(をくさま)。 00050500L16あなた/様(さま)ハ/何日(いつ)もホヤ+/笑(わら)ふて/御(を)くらし/被成升(なさります)るニ、/此= 00050510L17節(この=せつ)ハひどふくさがり/升(まし)た/御(を)かを/持(もち)。チトおきほふじニ、 00050520L18/私(わたくし)めが/今日(こんにち)ハ/講釈(こうしやく)を/致(いた)します。あなた/様(さん)のお/好(すき)の/忠臣蔵(ちうしんぐら) 00050530L19で厶りますと、せり/箱(ばこ)を/程(ほど)よく/積(つミ)かさね、/見(けん)だい(一ウ)と 00050540L20して、/手(て)ニ/扇子(せんす)を/持(もち)、/六(むつ)かしいかをゝ/致(いた)し、はじめける。 00050550M1講釈Sさて/仮名手本忠臣蔵(かなでほんちうしんぐら)と申ハ、/昔(むかし)/竹田出雲(たけだいづも)と/云(いふ)/作者(さくしや)の 00050560M2こしらへたる/物(もの)ニて、十一だんニて/相分(あいわか)り、/泉岳寺(せんがくじ)を/入(いれ)て十 00050570M3二/段(だん)となる。一か/年(ねん)の/月(つき)のかづニ/表(ひやう)したる/物(もの)なり。/夫(それ)/大序(だいじよ) 00050580M4/鶴(つる)が/岡(をか)ゆへ、/年越(としこし)ニつるの/羽根(はね)をかんざしニさす。/又(また)かほ 00050590M5よ/御(ご)ぜん/兜(かぶと)を(二オ)/改(あらた)めるゆへニ、/十日戎(とをかゑびす)ニ/兜(かぶと)その/外(ほか)かぶ 00050600M6り/物(もの)を/商(あきな)ふ。ゑぼしハ/其場(そのば)の/師直(もろなを)・/判官(はんぐハん)・/若狭(わかさ)の/助(すけ)をかた 00050610M7どる。/則(すなハち)、/二段目(にだんめ)ハ二月なり。/此場(このば)にてハ/加古川(かこがわ)/本蔵(ほんざう)、/松(まつ) 00050620M8の/木(き)を/切(きる)。これハ二月/初午(はつむま)ニ/凧(いか)の/引(ひつ)かゝらぬ/用心(ようじん)なり。/又(また) 00050630M9/主人(しゆじん)をいさめ、/師直(もろなを)へまいないをして、/本蔵(ほんざう)ハ/誠(まこと)ニしやう 00050640M10らいニなるゆへ(二ウ)廿二日おしやうらいなり。/又(また)三/段目(だんめ) 00050650M11ハ/三月(さんぐハつ)なり。/雛(ひな)様をかざるゆへニ、三/段目(だんめ)ハ/御(ご)てんばじや。 00050660M12いと/様(さん)の/雛様(ひなさま)をだす。/師直(もろなを)も/此事(このこと)を/云(いふ)。S/判官(はんぐハん)どの。/貴殿(きでん) 00050670M13のよふニ/内(うち)ニばかりいる/者(もの)を、いとの/雛(ひな)じやと/云(いふ)たとへが 00050680M14/有(ある)。ひなじや+/雛(ひな)さん/棚(だな)じやと申。それ、/四(よ)だん/目(め)ハ四 00050690M15月(三オ)なり。/幕(まく)あけニ/花(はな)かごをならぶるゆへ、八日ニハ 00050700M16はなを/立(たて)る。/判官(はんぐハん)はら/切(きる)ゆへ、しやかによらい/腹(はら)をやぶり 00050710M17て/出(いづ)る。/又(また)/五(ご)だん/目(め)ハ/五(ご)月なり。/勘平(かんへい)てつほうを/持(もつ)ゆへ、 00050720M18/節句(せつく)ニぐそくてつほうをかざる。/定九郎(さだくろう)からかさ/持(もつ)ゆへ、 00050730M19/此(この)つき/五月雨(さミだれ)づきなり。また/六(ろく)だ(三ウ)ん/目(め)ハ/六月(ろくぐハつ)なり。 00050740M20/此時(このとき)かん/平(へい)ハ/金(かね)をもつて、/一(いつ)さんニ/走(はし)りてもどるゆへ、だ 00050750¥P158 00050760L1んじり/一(いつ)さんニ/走(はし)る。また/与市兵衛(よいちべゑ)の/死(し)がいを/見(ミ)て、ばゞ 00050770L2ハ/俄(にハか)になミだをながすゆへ、/此月(このつき)ハ二/○(わ)かとながしをする 00050780L3なり。/七(なゝ)ツ/目(め)ハ/七月(しちくハつ)。/七(なゝ)ツ/目(め)の/茶(ちや)や/場(ば)で、ゆらの/介(すけ)と/云(いふ)/旦= 00050790L4那(だん=な)が、ばた+おど(四了オ)るゆへ、/旦那(だんな)ばた/踊(をど)りする。 00050800L5/又(また)/家根(やね)ごしの/天(あま)の/川(がわ)といふ/事(こと)あり。ゆらの/介(すけ)、/蛸肴(たこざかな)を/喰(くら)ふ 00050810L6ゆへニ、/蛸坊主(たこぼうず)/棚経(たなぎやう)ニあるく。/八段目(はちだんめ)ハ八月ニ/取(とる)/八(やつ)ツ/目(め)ニ、 00050820L7/親(をや)と/子(こ)と/道行(ミちゆき)するゆへ、/月見(つきミ)ニ/芋(いも)をかざる 00050830¥Q 00050840L8△○/此(この)つゞき/講釈(こうしやく)もんく、/下(げ)の/巻(まき)ニくわしく/記(しる)す(四了ウ) 00050850¥G 00050860¥T1@新△板|おどけ@/忠臣(ちうしん)ぐらぬらくら/講釈(こうしやく)△下の巻△¥A@月亭生瀬作|松旭画并ニ書@ 00050870¥N1¥J 00050880¥X 00050890M15▲まへのつゝきまた九だん/目(め)ハ/九月(くぐハつ)なり。力弥/小(こ)なミ、/一= 00050900M16夜(いち=や)のちぎりとて、あまざけと/云(いふ)/一夜(いちや)ざけをこしらゆるに、 00050910M17/一夜(いちや)ふとんニつゝむ。小なミハ/此月(このつき)/松茸(まつたけ)をくふ。/力弥(りきや)十三 00050920M18日ニまめをくふ。/十(じう)だん/目(め)ハ十月なり。/天川(あまがわ)やの/女房(にやうぼう)おそ 00050930M19のハ/髪(かミ)をきるゆへ、/此月(このつき)を(一ウ)バかミなし月といふ。十 00050940M20一だん目ハ十一月なり。/敵打(かたきうち)しばべやかたどりて、/此月(このつき)を 00050950¥P159 00050960L1/火(ひ)たきする。/敵打(かたきうち)ハよさりするゆへ、/顔(かを)見/世(せ)と/云(いふ)/事(こと)して、 00050970L2/手打(てうち)といふ/事(こと)/有(ある)。かたき/打(うち)/仕(し)まふて、/泉岳寺(せんがくじ)を十二月に/取(とる)。 00050980L3/師直(もろなを)の/首(くび)を/石碑(せきひ)ニそなゆるゆへ、(二オ)/年(とし)こしにいわしの 00050990L4/頭(かしら)をひいら/木(き)ニさす。/又(また)たいこかねを/打(うち)ならし、おごろも 00051000L5ちをくりする。/此(この)とき/子供(こども)が、S/師直(もろなふ)どんハ/内(うち)ニか。ゆら 00051010L6の/旦那(だんな)、/御見(をミ)まいじやといふてまハる。/其(その)あとへ/厄(やく)はらひ 00051020L7か、はらひませう+。Sヤアラ/目出(めで)たいな+。めでた 00051030L8い/事(こと)(二ウ)ではらふなら、まづはつ/春(はる)のはじまりに、/新田(につた) 00051040L9とわらふてよしさだや、かぶともとしもあらためて、ちと 00051050L10せことぶくまつきりや、/御(ご)てんハいく/代(よ)すゑひろの、/扇(あふき)が 00051060L11やつのかミやしき、たからのやまざきざいしよの/場(ば)、/御名(をな) 00051070L12をあげやの(三オ)ミちゆきで、かのやましなへよめいりの、 00051080L13かほどめでたき/折(をり)からに、いかなるあくま/師直(もろなを)がきたると 00051090L14も、/天川(あまかわ)こへてかたき/打(うち)、せんがく/寺(じ)へさらり 00051100L15S/最(も)ひとつかさねていわひましやう。つるがをかハ千ねん、 00051110L16/勘(かん)平ハ/万(まん)ねん、(三ウ)/東(とう)ほうさくハ九/太夫(だゆふ)で、/浦(うら)しま/太(た)郎 00051120L17ハ/八(はつ)千/崎(ざき)、三うらの/大(をゝ)ぼし百六ツ、まつ/竹(たけ)もりの/嶋(しま)だいに、 00051130L18いし/堂(とう)むまの/丞(じやう)と/姥(うば)、かほよめでたき/折(をり)からに、いかなる 00051140L19あくま/師直(もろなを)が/小(こ)なミとも、此やく/原郷右衛門(はらごううえもん)がひつつかみ、 00051150L20/加戸(かこ)(四了オ)川とおもへ共、/義士(きし)の/海(うミ)へさらり△をくさま 00051160M1Sわらひましやう+ 00051170¥Q 00051180M2○/此外(このほか)、/月亭(つきてい)/生瀬(いくせ)/並(なら)びニ/森田(もりた)/軍光(ぐんくハう)のしん/作(さく)おどけ/落(をとし)ばなし/色&(いろ+)、 00051190M3/口合(くちあい)もんく、上中下つゞきもの、/沢山(たくさん)/御座(ござ)候。/御求(をんもと)め/御笑覧(ごしやうらん)の 00051200M4/程(ほど)、/偏(ひとへ)ニ/奉希上候(こひねがひあげたてまつり)。まづ此/講釈(こうしやく)ハ/是切(これぎり)+(四了ウ) 00051210¥P160 00051220¥G 00051230¥T1@大新板|おどけ@/笑(わらひ)の/山(やま)はなし△@すり/鉢(ばち)△△|かへうた/入(いり)@△△△△¥A@月亭生瀬作|松旭画并ニ書@ 00051240¥N1¥J 00051250¥X○/山(やま)の/芋(いも) 00051260L16▲/嶋(しま)の/内(うち)/辺(へん)ニ、ざい/所(しよ)から/来(き)た/女夫(めうと)ありて、ある/日(ひ)/山(やま)のい 00051270L17もを/買(かひ)、むぎめしを/焚(たき)、あたくた+ととろゝをこしらへ、 00051280L18ひるめしニ/腹(はら)ぞんぶん/喰(くふ)て、/気(き)がぶせうニ/成(なつ)たか、/女夫(めうと)が 00051290L19/打(うち)ふして/寐(ね)ていたら、/其向(そのむか)ひの/妾宅(しやうたく)が/是(これ)を/見(ミ)て、/端哥(はうた)の/摺(すり) 00051300L20(一ウ)/鉢(ばち)を/弾(ひき)いだす。/其哥(そのうた)ニ、すりばちかへうたSむぎまゝを 00051310M1/焚(たい)てとろゝを/摺立(すりたて)て、ひどふれん/木(ぎ)もちびりし/跡(あと)ハ、/煙(けむり)を 00051320M2たつる/汁(しる)の/鍋(なべ)。合の手とろゝ+であたくたと、モウひる 00051330M3か、/余(よ)ほどひもじなり。合くらい/過(すご)して/枕(まくら)をたづね、ひる 00051340M4の目ねくらす/爺(とゝ)とかゝ△Sと/諷(うた)ふやらそしる(二オ)やら、 00051350M5/向(むかひ)の/女夫(めうと)が/目(め)を/明(あけ)て、/嚏(くさめ)+、/又(また)/引(ひい)たそふナ 00051360¥N2¥J 00051370¥X○/菜種(なたね)さかり 00051380M8▲/隠居(いんきよ)さんハ天王寺参をせんとて、/丁児(でつち)をつれて戎橋を南 00051390M9へ/渡(わたり)けれバ、でつちS申、隠居様。こゝの/両角(りやうかど)ハ大きな/家(いへ) 00051400M10で/厶(ござ)り升ナ△いんS/此西角(このにしかど)の/方(ほう)ハ/富田屋(とんだや)といふ/大茶(をゝちや)や。/東= 00051410M11角(ひがし=かど)ハ/大與(だいよ)と/云(いふ)(二ウ)/料理(りやうり)や。われも/奉公(ほうこう)をあんばいよくし 00051420M12て、べつけしたら、金/延(のば)して/爰等(こゝら)へ/来(く)るとナ、うつくしい 00051430M13/仲居(なかゐ)が、なでつさすりつして、/大事(だいじ)ニかける。それも/皆(ミな)かね 00051440M14じや。金がないと/役(やく)ニ/立(たゝ)ぬ。ずいぶん/始末(しまつ)して、/金(かね)をこし 00051450M15らへよといひ+/南(ミなミ)へ/行(ゆく)と、また/松(まつ)の/尾(を)の/門(かど)ニて、でつち 00051460M16S申、/爰(こゝ)ニも/大(をゝ)きな/家(いへ)が/厶(こざ)(三オ)ります△いんS/爰(こゝ)も料理 00051470M17やじや。/金(かね)じやぞよ。かねづくで/来(こ)られるハと/云(いふ)/内(うち)、また 00051480M18/向(むか)ひで、S申、/隠居様(いんきよさん)。こゝにも/大(をゝ)きな/家(いへ)が/厶(ござ)ります△い 00051490M19んSサア、/是(これ)が/登加久(とかく)と/云(いふ)/料理(りやうり)やじや。/爰(こゝ)も金じやわへと、 00051500M20/南(ミなミ)へさして/野(の)へ/出(いで)ると、/丁児(でつち)/西(にし)を/見(ミ)て、てつちSアノ/大(をゝ)き 00051510¥P161 00051520L1な/家(や)根ハ/何(なん)でござります△いんSあ(三ウ)れハてつけん/寺= 00051530L2様(ぢ=さま)じや△でつちSあれも/金(かね)で厶りますか△いんSイヤ、て 00051540L3つげん/寺(ぢ)ハぜんじや 00051550¥N3¥J 00051560¥X○いづれ/陽気(ようき) 00051570L6▲申、/夜(や)ぜんの/火事(くわじ)ハどこで/厶(ござ)りましたへ。Sサア、/何(なん)た 00051580L7ら/云(いふ)/西(にし)のざい/所(しよ)でござりましたそふな。/夫(それ)ニおかしい/咄(はなし)を 00051590L8/聞(きゝ)ました。アノへんの/人(ひと)かいふ(四了オ)ていましたが、/女= 00051600L9房(にやう=ぼ)がおめこする/時(とき)、/金玉(きんたま)がバタ+/当(あた)るのが/好(すき)ゆへ、/金玉(きんたま) 00051610L10のかハりニ、/大(をゝ)きな/火打袋(ひうちぶくろ)を/括(くゝ)り/付(つけ)て/仕(し)た/所(ところ)が、/袋(ふくろ)の/中(なか)で 00051620L11/火打(ひうち)と/石(いし)と/摺合(すれあふ)て/火(ひ)が出て、ほくちニ/付(つき)、ふとんへうつり、 00051630L12もへあがつたんじやそうな△Sサアそうかして、ボウボと 00051640L13もへる/中(なか)から、へのこが/上(あが)つた(四了ウ) 00051650¥G 00051660¥T1@大しん板|おどけ@/大笑(をゝわらひ)おとしばなし@大つゑ|ぶし入@△△△¥A@月亭生瀬作|松旭画并ニ書@ 00051670¥N1¥J 00051680¥X○たんじやう/石(せき) 00051690M16▲/去(さる)/粋(すい)なお/客(きやく)、/新(しん)町ニてげいこ/四五人(しごにん)、たいこ/持(もち)/壱人(いちにん)ニて 00051700M17あそひけるが、客S/何(なん)と/皆(ミな)の/者(もの)。明日ハ/住吉(すミよし)まいりじや。 00051710M18/所(ところ)が/斯(かふ)じやと、大津絵ふし○すミよしまいりすりや、/行(ゆき)がけ 00051720M19/登(と)加/久(く)でぱい/一(いち)/入(いれ)、/今(いま)ミやニ/温石湯(をんじやくゆ)、中の/新家(しんけ)、/天下茶(てんがちや)や 00051730M20で一寸(壱ウ)休で、/岸(きし)の/姫松(ひめまつ)おくの/天(てん)じん/五(こ)だい/力(りき)、/神明= 00051740¥P162 00051750L1穴御四社(しんめい=あなをんししや)おやしろ、お/元(もと)の/宮(ミや)で/楊枝(ようじ)うけ、/反(さう)り/橋(はし)/浜辺(はまべ)ニ/高= 00051760L2燈篭(たか=どうろう)、/戻(もど)りニハ/分銅屋(ふんどうや)か、/戎(ゑび□)やか、いたミやか、三文字や 00051770L3か、どこがよかろ△たいこ持S/妙&(めう+)、/粋(すい)のおや玉様。/私(わたし)も 00051780L4/一寸(ちよつと)/石(いし)づくしでと、大津絵ふしさて/又(また)石づくし。/角力取(すもふとり)石/火= 00051790L5矢(び=や)かさね石、かめ山ニ石(弐オ)/井兵介(いひやうすけ)、いがごへ/敵討(かたきうち)/石溜武= 00051800L6助(いしとめぶ=すけ)、かるかやニ石/堂(とう)まる、石川の五右衛門か石田のつぼね、 00051810L7石/橋(ばし)さつきやう/白(しら)石ばなし、石/田光成(だミつなり)、/石(いし)やのミだ六、石や 00051820L8の五郎/太(た)、/大(をゝ)石くらの/介(すけ)、お石に石/堂馬(どうむま)之/丞(じやう)△客Sアヽコリ 00051830L9ヤ+。一ツ八。わりや石つくしうたふのハ、おれが/住吉(すミよし) 00051840L10まいりするといふたを、アノ(弐ウ)かたい/石(いし)べ/金吉(きんきち)が、/何(なん) 00051850L11の/住(すミ)よしまいりよふするものでと、/当(あて)こすりニいふたのじ 00051860L12や/有(あろ)ふがな△たいこ持Sめつそふな。/此(この)ごろ/覚(をぼへ)てきました 00051870L13/大津絵(をゝつへ)ぶしでござります△客Sそんならおれを/大(をゝ)つゑ/見(ミ)た 00051880L14よふな、ぶ/細工(さいく)な/男(をとこ)じやと/云(いふ)のか△たいこ持Sめつそふな。 00051890L15しかし、そふお/恕(いか)りがつよふてハ、/甚(はなは)だめいわく。(三オ) 00051900L16大津絵とハわたしのことで厶ります△客Sわれが/何(なん)で大つ 00051910L17ゑじや△たいこ持Sハイ。わたくしハたいこ/仲間(なかま)で一ばん 00051920L18/下(した)へ/落(をと)されています。たいこを/旦那(だんな)のお/怒(いか)りで引上貰ひ升 00051930L19ので厶り升といへバ、客Sゑらいめニ/合(あわ)しよる。とうどお 00051940L20れを/雷(かミなり)に/仕(し)たがな 00051950¥N2¥J 00051960¥X○/十反(とかへ)りの/花(はな)(三ウ) 00051970M3▲/岩崎先生(いわさきせんせい)。/新町(しんまち)の/太夫(たゆふ)を/松(まつ)の/位(くらい)とハ/何(なに)ゆへ申/升(ます)のじやへ。 00051980M4先生S/夫(それ)ハ/新町(しんまち)ニハ/限(かぎ)らぬ。/太(た)夫ハどこでも/松(まつ)の/位(くらい)じや。 00051990M5/何(なに)ゆへなら、/唐土(もろこし)/泰(しん(ママ))の/始皇(しくハう)と申せし/帝(ミかど)、/或時(ある□き)御狩ニお/出(いて)遊 00052000M6バされた。/俄(にわか)の/雨(あめ)ニて、/先(まづ)/松(まつ)の/木かげニ/雨舎(あまやどり)を/遊(あそ)ばした。 00052010M7/其時(そのとき)、/松(まつ)ニ太夫の/位(くらい)をおゆるしなされた。夫故(四了オ)ニ 00052020M8太夫ハ/松(まつ)の/位(くらい)じや。太夫ハかさをさしかけさし、/下駄(げた)をは 00052030M9くも、これミな/雨(あめ)の/粧(よそを)ひを/仕(し)たものじや△男Sそれで/分(わか)り 00052040M10ました/事(こと)がござります。/惣嫁(さうか)ハ/浜(はま)ニ/立(たつ)て/風(かぜ)の粧ひをいたし 00052050M11ます△先生Sさう嫁が/何(なに)ゆへニ風のよそをひするのじや 00052060M12男Sハイ。惣嫁ハやすものゆへ、花をちらします(四了ウ) 00052070¥P163 00052080¥G 00052090¥T1@/大新板(だいしんはん)おざしきそく|せき一/興(きやう)きれいな△@△おどけ/落(をとし)ばなし△上¥A@浪花△森田軍光作|△△△松旭筆并ニ画@ 00052100¥N1¥J 00052110¥X○/松(まつ)のうわさ 00052120L16▲ある/友(とも)だち、/二人(ふたり)づれにて/一(ひ)人が/云(いふ)。S此/春(はる)、/御城(をしろ)に/松(まつ) 00052130L17がうハつたが、/知(しつ)ているか△Sフン、あれハたつのとしに 00052140L18/朝(てう)せん/人(じん)がくるよつて、/夫(それ)で/植(うへ)たんじや/有(あろ)ふナ△Sそんな 00052150L19ら、/表門(おもてもん)へ/植(うへ)れバよい/事(こと)に、/何(なん)でうらてへ/植(うへ)たんじやヱ△ 00052160L20Sハヽヽヽヽ、あほうな/男(おとこ)じや。(壱ウ)アレがまへじやが 00052170M1ナ△Sそれでもわしや、どない/見(ミ)ても、おしろとはかおも 00052180M2ハれん 00052190¥N2¥J 00052200¥X○まけづおとらず 00052210M5▲/去(さる)/所(ところ)ニ、まことにしまつな/男(をとこ)あつて、/夜(よ)ニてもとう/心(しん)や 00052220M6/油(あぶら)が/入(いる)とて、/火(ひ)をともさず、/人(ひと)がくれバ/去(いに)しなに、カチ 00052230M7+と火を/打(うつ)て、其/明(あかり)ではき/物(もの)をミせ、(弐オ)ばんじしま 00052240M8つ/斗(ばか)りしていたりしが、/或日(あるひ)、/同(をなじ)くしハんぼな/人(ひと)が/来(きた)り、 00052250M9いろ+な/咄(はな)して/去(いに)しなニ、Sさよなら、モヲおいとま申 00052260M10/升(ます)△Sマアお/待(まち)なされ。/今(いま)/火(ひ)を/打(うつ)て、はき/物(もの)を/見(ミ)せ升△ 00052270M11Sイヱ+、おまへさん/所(とこ)ハ/火(ひ)が/無(ない)と/聞(きゝ)ましたんで、実ハ 00052280M12はだしでさんしました 00052290¥N3¥J 00052300¥X○/火事(くわじ)のろん△(弐ウ) 00052310M15▲/大坂(をゝさか)と/江戸(えど)との/人(ひと)/寄合(よりあひ)、江Sホンニ、/浪花(なには)ハはんくハの 00052320M16/地(ち)だといゝやすが、お/江戸(えど)から/見(ミ)ちや、ひどくせめへ/所(ところ)で 00052330M17ありやすネ△大Sヱヽおまへさん、そない/云(いひ)なさるけれど、 00052340M18/大坂(をゝさか)ハ/又(また)べつな/事(こと)が/厶(ござ)り/升(ます)ぜ△江Sさやふかしらねへが、 00052350M19いつかアの/江戸(えど)の/大(をゝ)くわじなんぞハ、まことに+ごうせ 00052360M20いな/事(こと)で/有(あり)やした△大Sヘン、/江戸(えど)どころか、せんど(三 00052370¥P164 00052380L1オ)の道とんぼりやけか、おまへさんに見せたいわいナア 00052390L2江Sナニサ、お/江戸(えど)の/火事(くわじ)をいつちや、をよそ/百日(ひやくにち)あまり 00052400L3ハやけやした△大Sハヽヽヽヽ、そりやおまへさん、し 00052410L4りなさらんよつてじや。/道(どう)とんぼりやけハ、/百日(ひやくにち)どこじや 00052420L5ない。じつニ/千日(せんにち)ぢかふやけました△江Sナニ、そりやお 00052430L6めへさんのハ、/所(ところ)の/名(な)の/千日(せんにち)サ。わつちがいふハ、ほんと 00052440L7うに(三ウ)拾丁や弐拾丁のはなしだねへ△大Sハヽヽ、そ 00052450L8れでも/大坂(をゝさか)のほうが/広(ひろ)い。/中&(なか+)五拾丁や百丁じやない。も 00052460L9ちつとけさづにおいたら、/日本(につほん)の/橋(はし)までもでるのじやあつ 00052470L10たもの 00052480¥N4¥J 00052490¥X○まわり/気(ぎ) 00052500L13▲あるてかけ、だんなのそばにて、プンとへをこく。だん 00052510L14なSヱヽ(四了オ)これ、たしなまんかい。ぎやうぎのわる 00052520L15い△てかけSモシだんなさん。あんた、いまのんで、あいそ 00052530L16が/尽(つき)ましたかへ△だんなSなんの、そんな/事(こと)ぐらいで、あ 00052540L17いそがつきるもので△てかけS/夫(それ)ハまことにうれしうござ 00052550L18り/升(ます)と、こちらむくひやうしに、またプンと、へをこくと、 00052560L19だんなSあんまりそちも、うたがひじやないか(四了ウ) 00052570¥G 00052580¥T1@/大新板(だいしんはん)おざしきそくせ|き一きやうきれいな△@△おどけ/落(をとし)ばなし△中¥A@森田軍光作|松旭筆并ニ画@ 00052590¥N1¥J 00052600¥X○/龍宮入(りうぐういり) 00052610M16▲/三井寺(ミゐでら)のつり/鐘(がね)、ある/日(ひ)/龍宮(りうぐう)へころ/こ((ママ))んで/行(ゆく)。乙ひめ 00052620M17Sヲヽお/鐘(かね)さん。ヨヲお/出(いで)なさつた。/誠(まこと)にお/久(ひさ)しぶりじやナ 00052630M18ア△かねSハイ。わたしも/何(なん)じやせハしいのんで、ねつか 00052640M19らよふ/尋(たづね)ませなんだ△乙Sさよかいナ。しかしおまへさん、 00052650M20/去(いに)しなハ、どないしなさる△かねSほんにさうじや(壱ウ) 00052660¥P165 00052670L1ナア。/来(き)しなハころんできたけれど、/去(いぬ)ときにハゑらいな 00052680L2んぎじや。ヲヽすかんやよ△乙Sヲホヽヽ、まあ/待(まち)なされ。 00052690L3もちつとしたら、こゝへ/田原(たわら)/藤太(とうだ)が/来(き)てじやよつて、/頼(たの)ん 00052700L4だあげ/升(ます)ハといふて/居(ゐ)る/所(ところ)へ、/藤太(とうだ)うへをとふる。乙Sモ 00052710L5シ/田(た)アさん+。ゑらいきのどくにおますけれど、こゝに 00052720L6/居(い)てじやお/鐘(かね)さんを、どふ(二オ)ぞ/上(あげ)たあげとおくれなさ 00052730L7らんか△藤太Sよし+、サアお/鐘(かね)さん、おいでと、つり 00052740L8/鐘(がね)をだいてひき/上(あげ)る。乙Sよう+お/鐘(かね)さん。/田(た)アさんに 00052750L9ミづあけしてもろて△かねSイヽヱ、もふべんけいさんが、 00052760L10とふにわつてゞござりました 00052770¥N2¥J 00052780¥X○/風雅人(ふうがじん)(二ウ) 00052790L13▲さる/内(うち)に、あまり/金(かね)がたくさんあるゆへ、なんぞめづら 00052800L14しい/事(こと)をして金をへそといふ/所(ところ)から、/大工(だいく)や/手伝(てつたい)をやとひ、 00052810L15/新(しん)もんニ/菓子(くわし)のざしきを/立(たて)て、/人(ひと)をもてなしけるが、/或(ある)と 00052820L16きほうゆうきたり、きやくS/御(ご)めんなされませ。/聞(きゝ)ますれバ、 00052830L17/内(うち)かたに/菓子(くわし)のおざしきをお/建(たて)なさりましたそふなが、ど 00052840L18ふぞ(三オ)お/見(ミ)せ/下(くだ)さりませんか△あるじSサア+お/上(あが) 00052850L19りなされませと、あんないニつれ、おくへ/行(ゆく)と、/誠(まこと)ニたゝ 00052860L20ミからふすま、ついたて、すべて/諸道具(しよどうぐ)のこらず/菓子(くわし)ニて 00052870M1こしらへたれバ、ほうゆうもびつくりして、きやくSほん 00052880M2ニけつかうなおざしきで/厶(ごさ)ります。わたしも/一(いつ)へんハ、こ 00052890M3んなとこで/寐(ね)て/見(ミ)とふ/厶(ござ)り/升(ます)ゆへ、しバらくやすましてく 00052900M4だ(三ウ)さりませんか△あるじS/何(なん)ぼなとお/休(やす)ミ。ふとん 00052910M5を/上(あげ)ます/迚(とて)、/枕(まくら)をかり、しバらく/休(やす)ミ、やがて/礼(れい)をのべ 00052920M6かへりしが、/何(なに)やら心もち/悪(わる)いゆへ、/長吉(てうきち)に/向(むか)ひ、Sわし 00052930M7や、けふ/菓子(くわ)のざしきニねてから、/何(なん)シヤ、きぶんか/悪(わる)い 00052940M8長Sソリヤ/風(かぜ)で/厶(ござ)りましよ△S/何(なん)で/風(かぜ)を/引(ひい)たのジヤ/有(あら)ふナ 00052950M9長Sサア、ざしきが/菓子(くわし)なら、ふとんハ/煎餅(せんべ)で/厶(ござ)りましや 00052960M10う(四了オ) 00052970¥N3¥J 00052980¥X○ひやけどし 00052990M13▲男なんと、おちよぼさん。あついジヤないか。/時(とき)におま 00053000M14へハ、何でもまへひろげて/居(ゐ)てじやが、/此(この)ごろハひやけじ 00053010M15やゆへ、あめでもふらそふとおもふて、そないにまくつて 00053020M16/居(ゐ)なさるのんかへ。女Sイヽヱ、めつそふな。わたしのハ 00053030M17/土用(どよう)ぼしてござります(四了ウ) 00053040¥P166 00053050¥G 00053060¥T1@/大新板(だいしんはん)おざしき△|即席一興(そくせきいつきやう)きれいな@△おどけ/落(をとし)ばなし△下△¥A@森田軍光作|松旭筆并ニ画@ 00053070¥N1¥J 00053080¥X○/仏(ほとけ)のはなし 00053090L16▲七月廿四日ハ/地蔵(ぢざう)まつりなれバ、ほう※の/地蔵(ぢざう)そん/寄= 00053100L17合(より=あひ)給ふ/中(なか)ニ、/桃谷(もゝだに)の/向(むか)ひ/地(ぢ)ざう、/御茶湯(をちやと)の/地(ぢ)ざうに/向(むか)ひ、 00053110L18もゝだにSコレ、おまへハほんにしあハせな/人(ひと)じや。/賑(にぎ)や 00053120L19かな/所(ところ)にいるよつて、さんけいもたくさんな。わしハ/場(ば)し 00053130L20よがわるいニよつて、まい(一ウ)りがすくない。しかしお 00053140M1まへハ、たとへどないな/事(こと)たのんでも、いち+/聞(きい)てやる 00053150M2か△おちやとS/何(なん)のマア、あの/大(をゝ)ぜいの/人(ひと)を、どふしての 00053160M3こらず/聞(きけ)るもので。/大(たい)がいな/事(こと)ハほつたらかしじや△もゝ 00053170M4だにSソリヤおまへのハミづくさい。わしらハむりなねが 00053180M5ひでも、/頼(たの)まれたら/一寸(いつすん)もあとへハよりやせん△おちやと 00053190M6Sおま(二オ)へ、/一寸(いつすん)あとへよつたら、おちてしまふがな 00053200¥N2¥J 00053210¥X○/料理(りやうり)べんけい 00053220M9▲/源(ミなもと)のよし/経公(つねこう)、ある/日(ひ)けらいべんけいニ/向(むか)ひ、よしSコ 00053230M10リヤ/弁(べん)けい。わしやけふハ/鯛(たい)のつくつたんが、くてミたい 00053240M11が、/一寸(ちよつと)/料理(りやうり)して/呉(くれ)まいか△弁Sハヽアかしこまり/升(まし)た 00053250M12と、べんけいハかつて/元(もと)ニ而、/鯛(たい)をりやう(二ウ)りにかゝ 00053260M13りしが、あまりむまそふなゆへ、/一(ひと)ツくひ/二(ふた)ツくひ、/我(われ)を 00053270M14わすれてくて/居(ゐ)る/所(ところ)へ、よしつね、おくより/出(いて)きたりしが、 00053280M15べんけいハりやうりもせずに、/作身(つくりミ)をくて/居(ゐ)るゆへ、よし 00053290M16つねハびつくりせしが、/今(いま)/呵(しか)るも/大人気(をとなげ)ないと、/狂哥(きやうか)の/上(かミ) 00053300M17の/句(く)を/云(いふ)。よしつね哥Sべんけいハ/料理(りやうり)ハよいがむさし(三 00053310M18オ)ばう、といへバ、べんけい、ぬからぬかをにて、弁 00053320M19Sそれをバしつてくろうはうぐハん 00053330¥P167 00053340¥N3¥J 00053350¥X○/横(よこ)りくつ 00053360L3▲ある/人(ひと)、/大丸(だいまる)の/店(ミせ)へゆき、男きやくSコレ、おまへのう 00053370L4ちニ、一ばん/細(こまか)い/嶋(しま)が/有(ある)なら/見(ミ)せとおくれ△大丸Sヘイ 00053380L5+、さよなら/千(せん)すじハどふで/厶(ござ)り/升(ます)△男S/千(せん)すじハ(三 00053390L6ウ)あらい△大Sさよなら/万(まん)すじ△男きやくSイヤ、/万(まん)すじ 00053400L7もあらい△大Sそないに/云(いひ)なさつたら、ありやしませんが 00053410L8な△男きやくS夫でも、これから/南(ミなミ)へ/行(ゆく)と、八まんすじと 00053420L9/云(いふ)のが/有(ある)△大Sハヽヽ、それハ/所(ところ)の/名(な)で/厶(ござ)り/升(ます)△男きやく 00053430L10Sイヤ+、/夫(それ)でもやつぱり/嶋(しま)の/内(うち)じや 00053440¥N4¥J 00053450¥X○/金(かね)のむしん△(四了オ) 00053460L13▲いせ/大神宮(だいじんぐう)と/御門跡(ごもんぜき)さんと、/鴻池(かうのいけ)へまいられ、いせSコ 00053470L14リヤ/善(ぜん)右衛門。わしニ/金(かね)を/千両(せんりやう)かしてくれ△善Sハイ+、 00053480L15/畏(かしこまり)ました△門Sどふぞわしにも、かしとおくれ△善Sヘ 00053490L16イ、どふもあなたにハかせません△門S/何(なん)でわしにハかせ 00053500L17ん△善Sよふ/思(をも)ふて/見(ミ)なされ。おいせさんニ/貸(かし)ましたら、 00053510L18/直(じき)にお/払(はらひ)さん。あなたへ/貸(かし)たら、おふミさんで/厶(ござ)り/升(ます)(四 00053520L19了ウ) 00053530¥Q 00053540M2/大寄噺(おゝよせはなし)の/尻馬(しりむま)@月亭生瀬戯作|友鳴松旭書画@ 00053550M3/弐篇(にへん)/三篇(さんへん)/四編(しへん)と/追&(をい+)/引続(ひきつゞ)イて/出版(しゆつはん)/致(いだ)シ/御座(ござ)候 00053560M4/前篇(ぜんへん)三/冊(さつ)ハ/大本(をゝほん)ニて/売出(うりだし)有之候へ共/此度(このたび)/新作(しんさく)を/以(もつて)あい 00053570M5/改(あらた)め/小形本(こがたほん)ニ/仕立(したて)/出板(しゆつはん)仕候/右(ミぎ)御/望(のぞ)ミの/方様(かたさま)一/冊(さつ)づゝ/綴分(とぢわけ) 00053580M6/本(ほん)/御座(ござ)候間/何方(いづかた)の/本屋(ほんや)はんこやへも/売出(うりだし)有之候/小形(こがた)おどけ 00053590M7の/本(ほん)/安板(やすはん)と被仰下御/手寄(てより)の/本屋(ほんや)ニて御/求(もと)め被遊可被下候 00053600M8△△△△大阪心斎橋筋順慶町南江入 00053610M9△△△△△△△△△△△秋田屋幸助 00053620M10書林△同道頓堀日本橋南誥東江入 00053630M11△△△△△△△△△△△本屋安兵衛 00053640¥P168 00053650¥U噺本大系△第十九巻 00053660¥T〔芝居絵落噺貼込帳〕 00053670¥G 00053680¥Y 00053690L17林屋正蔵等作 00053700L18国芳・芳宗等画 00053710L19川口等板 00053720L20市立上田図書館花月文庫蔵 00053730¥G 00053740¥N1¥J 00053750¥X勘平△尾上菊五郎 00053760M8五段目の/文句(もんく)に、しゝよりさきへ一ツさんにかけると申升 00053770M9が、四四十六へ/一(いつ)ツ/算(さん)かけると、勘平どのハ三十二なり升 00053780M10る。これへ、しうと与一兵衛の年の六十八を合せて、百両 00053790M11とハ〆ました 00053800¥A林屋正蔵作 00053810¥A一松斎芳宗画 00053820¥P169 00053830¥G 00053840¥N2¥J 00053850¥X若狭の介△沢村訥升 00053860L8わかさの介のかんしやくで、/家(いへ)にも/身(ミ)にもかへられぬ師直 00053870L9をうつて/捨(すて)るといふをきいて、本蔵が/松(まつ)の/枝(えだ)をきつたので、 00053880L10つゝがなくおさまりしはづぢや。/松(まつ)の/木(き)をきれバ、/公(きミ)に/木(へん) 00053890L11がござりませぬ 00053900¥G 00053910¥N3¥J 00053920¥Xおその△岩井杜若 00053930M8/義平(ぎへい)が/女房(にようばう)おそのへ、さり/状(じやう)がハりの/一首(いつしゆ)の/狂哥(きやうか)に、 00053940M9S/凧(いかのぼり)ながきいとまのさるやりてきらバ/子供(こども)のなきやあ 00053950M10かさん、とハおもしろい事でハないか。此心をかんじて、 00053960M11ゆらの介の/仲人(なかうど)で、ふたゝび又ふうふになつたハ。Sそん 00053970M12なめんどうな事ハいらぬ。おれハさり状に、/五合升(ごんごうます)を/書(かい)て 00053980M13やつた。Sハテ、/壱升(いつしやう)のわかれだ 00053990¥P170 00054000¥G 00054010¥N4¥J 00054020¥X義平△市川海老蔵 00054030L8/義平(ぎへい)が/女房(にようばう)をさりて、/女郎(ぢようろ)かいをはじめ、/玉川(たまかハ)といふおい 00054040L9らんの/所(ところ)へばかり/行(ゆく)ゆゑ、しうとの/了竹(れうちく)がはらをたち、女 00054050L10郎やの二かいへ/上(あが)りて、これ+/若(わか)い/者(もの)、/玉川(たまかハ)や義平ハ。 00054060L11わかいものSハイ、おとこでござります 00054070¥G 00054080¥N5¥J 00054090¥Xおかる△岩井紫若 00054100M8こし/元(もと)の/時(とき)の/名(な)もおかる、/内(うち)へかへりてもおかる、/女郎(ぢようろ)に 00054110M9なりてもおかる。とかく、かるがはなれませぬ。/其(その)はづさ。 00054120M10/子供(こども)の時、/母(はゝ)のちゝがすくないゆゑ、坂本町の川口の/白(はく)せ 00054130M11つかうや、又かるやきでばかりそだつて、ほうそうもかる 00054140M12くしたゆゑ、いつまてもおかるさ。それでわかりました。 00054150M13/兄(あに)の平右衛門が/足(あし)がる、南伝馬町の/仙女香(せんぢよかう)を/付(つけ)たがる、勘 00054160M14平にとかくあひたかる 00054170¥P171 00054180¥G 00054190¥N6¥J 00054200¥X十良祐成△尾上菊五郎 00054210L8東西+。狂言なかばへ、まことにやぼとばけ物めきゑて 00054220L9なくなれ、箱根からさきへうせろと、おしかりをかへり見 00054230L10こしの大入道、大入叶元信ハ、むかし男のぬれざとう、か 00054240L11ねて手くだをしりながら、ついばかされて、がまのじゆつ、 00054250L12自由じざいをなすのゝ狐、せつせう石もわれかねる、土間 00054260L13をあらそふお岩の怪談、/累(かさね)かさねの大あたり、百鬼夜行の 00054270L14夜の内から、片輪車のどろ+と、おしあひへしあふ鼠木 00054280L15戸、うづらと化るも土間さじき、売切レ札ハよく御ぞんじ、 00054290L16お化の開山梅幸と、おなじ仲間の林屋正蔵。宅ハ本所一ツ 00054300L17目子そう、三ツ目かむろの其間、我人なミの二ツ目に、こ 00054310L18うろうへたる元祖の怪談、化物づくしのほめ詞と、ホヽう 00054320L19やまつて申ス 00054330¥G 00054340¥N7¥J 00054350¥X沢村訥升 00054360M8/十升(としやう)の升目ハ壱斗にひいきおほく、二/斗目(とめ)の/訥子(とつし)に其まゝ 00054370M9で、京大坂江戸の三斗に名高く、今此人ばかりと、四斗五 00054380M10斗にほめて/居(ゐ)る所へ、六斗七斗がいきを/切(きつ)て/欠(かけ)こんだから、 00054390M11おれも八斗おもつて、どうした+といふと、今そこであ 00054400M12らそつたが、/外(ほか)の/役者(やくしや)£此人の/九斗(くどう)左衛門ハいゝに/違(ちげへ)ねへ 00054410M13と、Sとう+/壱石(いつこく)を/言(いひ)とほした 00054420¥P172 00054430¥G 00054440¥N8¥J 00054450¥X五良時致△市川海老蔵 00054460L8学問の先生、どうらくむすこの親仁にむかつて、Sそつち 00054470L9のかげうハ米屋じやが、御子息もモウ十六となれバ、男壱 00054480L10人リまへじや。不佞も弟子のよくなる事じやから、まい日 00054490L11素読をさせて、◇壱升◇はづかしくないよふ、物しり◇二升◇と 00054500L12思へど、◇三升◇の五郎のこハ色ばかりつかつて、◇四升◇のお 00054510L13しへハ一向用ひず、◇五升◇らくな、/◇六升◇(むせう)にしばいのまねをす 00054520L14るゆゑ、いけんをいへバ、◇七升◇までのかんどうをうけて 00054530L15も、役者になりたいといふが、すきのみちならなるがよい 00054540L16と、二人リしてうハさをすれバ、せうじのかげでむすこが 00054550L17◇八九升◇ 00054560¥G 00054570¥N9¥J 00054580¥X高の師直△坂東三津五郎 00054590M8/師直(もろなほ)がいふにハ、/足利(あしかゞ)の/天下(てんか)ハ、ねかさうとおこさうと、 00054600M9おれがじゆうとハ、あまり/上(かミ)をくつたいひやうぢや。Sそ 00054610M10のかミをくふゆゑ、/執事(ひつじ)/高(かう)の/師直(もろなほ)でござります 00054620¥P173 00054630¥G 00054640¥N10¥J 00054650¥X判官△市村羽左衛門 00054660L8/判官(はんくわん)を、/鮒(ふな)ざむらひといふハ、/奥方(おくがた)かほよ/御(こ)ぜんとハ、な 00054670L9まぐさい/中(なか)のふうふでくつついてゐるから、/魚(うを)へんに/付(つく)と 00054680L10いふ心で、ふなでござりませう。どうりで、けんくわのも 00054690L11とハ、/鯉(こひ)のいしゆぢや 00054700¥G 00054710¥N11¥J 00054720¥X由良の介△中村歌右衛門 00054730M8九段目の本蔵の/文句(もんく)に、/力弥(りきや)をとらへて、かへるの/子(こ)ハか 00054740M9へるになるとハ、/利(り)づめぢや。ゆらの介や力弥の/紋所(もんところ)をよ 00054750M10く/見(ミ)ると、だきお玉じやくしだ 00054760¥A林屋正蔵作 00054770¥A一松斎芳宗画 00054780¥P174 00054790¥G 00054800¥N12¥J 00054810¥X親玉ばなし△△時宗△市川海老蔵 00054820L9S深川の/別荘(べつさう)へ、此間まゐりましたが、家の紋とハいゝな 00054830L10がら、ぼたんを大さううへましたが、手あてのよい事さ 00054840L11Sもし+、そふぼたんを植たら、いのしゝが出ませふ 00054850L12Sそれハおまへの了簡ちがひぢや。ぼたんにくるふは、か 00054860L13らしゝの事じや△Sイヱ+、いのしゝで厶り升。住所が 00054870L14木場ぢや 00054880¥A林屋正蔵述 00054890¥G 00054900¥N13¥J 00054910¥X宝つくし△△工藤△坂東三津五郎 00054920M9S千両やくしやといふハ、此人の事さ。ばん三ツ+と、 00054930M10/小判(こばん)ハミつるほどあつて、寿命ハ深川の/永(ながい)木で、/弟(おとゝ)に/玉(たま)が 00054940M11ある。むすこに/簔(ミの)があり。是がほんの宝の山+△Sどふ 00054950M12りで、/大判(おほばん)がよふ厶り升 00054960¥A金原亭馬生述 00054970¥A一勇斎国芳画 00054980¥P175 00054990¥G 00055000¥N14¥J 00055010¥X金ばこ△△祐成△尾上菊五郎 00055020L9Sいつもかハらぬ金ばこさ。箱といへバ、かつぶし箱、は 00055030L10り箱、はさミ箱、香箱と、いろ+はこもあるが、箱の王 00055040L11ハ千両箱。そがの五郎のおさな立、これがほんの箱王さ 00055050L12Sそれでわかりました。その箱を十ヲよせて、兄の十郎ハ 00055060L13一万かね 00055070¥A朝寐房むらく述 00055080¥G 00055090¥N15¥J 00055100¥Xたばこ好△△大いそのとら△岩井半四郎 00055110M9S老若男女ともにすくもののおゝいハ、たばこと岩井半四 00055120M10郎さ△Sさやう+。上方たばこと違ふて、油ひかずのさ 00055130M11らげのはぶたへ、かづらハ杜若からはじめたのぢや。きゝ 00055140M12めのよい、つよい所が龍王で、舞もよし、三がの津の、 00055150M13S/館小山(たておやま)/田(だ) 00055160¥A林屋正蔵述 00055170¥P176 00055180¥G 00055190¥N16¥J 00055200¥Xほめ詞△△朝比奈△中村芝翫 00055210L9S紋所がきおん守りの一くわんを二くわん、朝ひなが和田 00055220L10の三なん、俳名が四くわんで、/五(ご)ん太の評判、/六(む)ごんの立 00055230L11まハり、/七(な)んくせなく、/八(や)んや+の、/九(く)んじゆのこゑ 00055240L12Sもし+、おまへのほめ詞ハよいが、跡のよミきりが、 00055250L13んんんとはねるね△Sはねるはづさ。家名が、なりこまぢ 00055260L14や 00055270¥A林屋正蔵述 00055280¥G 00055290¥N17¥J 00055300¥X坂東三津五郎△△GG 00055310M8ある人の狂哥に、S関取のきりやうに見とれつゝ茶碗△わ 00055320M9れるほどいる人の大和や、トほめました。此人の/濡髪(ぬれがミ)長五 00055330M10郎ハ、/親(おや)/秀佳(しうか)からのゆづりものにて、本とうの関取にして 00055340M11見たい。/小結(こむすび)ハそつちのけ、玉子の/様(やう)な/肌(はだ)へ、/横綱(よこづな)をやの 00055350M12字にしめ。Sおまへのほめるをきくと、にしめだの、玉子 00055360M13だの、又小結だのといふが、関取も箱入の/幕(まく)の/内(うち) 00055370¥P177 00055380¥G 00055390¥N18¥J 00055400¥X市川海老蔵△△△△△△△△△△△¥A国芳画 00055410L8白猿をほめて、三味線とハ糸の三すぢハ/好(このミ)のもやう、/海老= 00055420L9尾(かいらう=び)に/海老(ゑび)蔵の名高く、役者ハ一に目、二にてうし、三にげ 00055430L10いといふが、此一二三の糸がそろつて、/紫(し)たん/棹(さを)のかたき 00055440L11役、/吟(ぎん)のあるぬれ事に、三の/上(かミ)ちん+かものうまミをミ 00055450L12せ、/八(や)ツ/乳(ぢ)をはりし/皮(かハ)いのものハお/家(いへ)のせりふ。市川八代 00055460L13の/根尾(ねを)を〆て、男の介のあら事、鼠をとらへる所ハ、外に 00055470L14ハ有まい。Sもし+、ゑび蔵がねずミをとるとハ。どう 00055480L15りで三味線を、ねこと申升 00055490¥G 00055500¥N19¥J 00055510¥X尾上菊五郎 00055520M8梅幸の梅の春から、菊五良の初秋迄、いつもかハらぬとき 00055530M9ハの松の御亭主、/懐(ふところ)から出るゆうれいハ、紙入の思ひ付、 00055540M10/外(そと)入をとると、内の美しいをミせ、てうちんの/怪(くわい)だんにち 00055550M11いさい穴から出るハ、ほねなしかと思ハれ、ちうぱらのす 00055560M12く鼠のげいに、同じ名の鼠木戸迄の大入。Sそして、ふろ 00055570M13敷から出るゆうれいハなんだねSあれハつぎ+の着物 00055580M14をつゝんだのさ。そこで出るのが、おばけぢや 00055590¥A林屋正蔵作 00055600¥P178 00055610¥G 00055620¥N20¥J 00055630¥X岩井杜若 00055640L9さら/毛(げ)の羽二重、かづらハ此家£はじまりて、お山に名高 00055650L10きふじびたい、/湯(ゆ)どの/山(さん)にはだをミせず、は/黒山(ぐろさん)のせわ女 00055660L11房、何の役てもつくば/山(やま)、/廿山(はたちやま)にたらぬ/肩(かた)ぬひ/上(あげ)の小娘、 00055670L12/西(にし)山も/東(ひがし)山も/南(ミんなミ)に/北(きた)、/四方(よも)の/見物(けんぶつ)ハひゑの山ほどゆきのつ 00055680L13もりしハ、京橋南伝馬町三丁目の仙女香のきゝめ、ひゑい 00055690L14ざんの下が、しかも/名字(めうじ)の/坂本(さかもと)、/買(か)ふ人ハいつも門口に、 00055700L15Sイヨ、やま+ 00055710¥G 00055720¥N21¥J 00055730¥X関三十郎 00055740M9/何役(なにやく)をなされても、かんしんな事斗り。取分千本桜の/渡海(とかい) 00055750M10屋ハ、今此人にかぎり升。/安徳(あんとく)天王のきんりをかくまひ、 00055760M11ぎん平となのり、本名ハしんちうなごん/知盛(とももり)。銕のいかり 00055770M12をかついで、/海(うミ)へ入までの/仕打(しうち)ハ、/外(ほか)にしてハあるまい 00055780M13+。Sモシ+、おまへのほめるをきけバ、/金((余カ))りに銀平、 00055790M14しんちうに銕とハ、よく/揃(そろ)ひ升た。どうりでしはゐの金箱 00055800M15ぢや 00055810¥A林屋正蔵作 00055820¥P179 00055830¥G 00055840¥N22¥J 00055850¥X中村歌右衛門△△△△△△△△△△¥A国芳画 00055860L8成駒屋が御目見へのだんまり。見物が、やんや+の大評 00055870L9判。まくが切れると、まくの内£大きなこゑで、東西+、 00055880L10S/孟子町(もうじまち)/五経目(ごきやうめ)/大学(だいがく)や/論語郎様(ろんごらうさま)、/木戸迄(きどまで)/中庸(ちうよう)といふゆゑ、 00055890L11S見物が、歌右衛門が出る芝居ゆゑ、よび出す/書物(しよもつ)までが、 00055900L12/四巻(しくわん)じや 00055910¥G 00055920¥N23¥J 00055930¥X岩井紫若 00055940M8/源氏(げんじ)の/若紫(わかむらさき)を下から紫若と名付しも、/帚木(はゝきゞ)の思ひ付にて、 00055950M9まだ/揚巻(あげまき)の胡蝶(こてふ)の/頃(ころ)£、/何(なに)の/芸(げい)にも/澪漂(ミをつくし)、/見物(けんぶつ)ハ/年寄(としより)、/若= 00055960M10菜(わか=な)の上下もなく、紫式部が石山の舞台顔、秋の月をいのり 00055970M11て、早く跡つぎの子がもたせたいといへバ、Sおあんじな 00055980M12さるな。今にモウ/安産(あんざん)がござり升。/居宅(いたく)が本所の/子(こ)うめで、 00055990M13/座敷(ざしき)の間かずが、S五十/四(よ)/帖(でう)でござり升 00056000¥P180 00056010¥U噺本大系△第十九巻 00056020¥Tしみのすみか/物語(ものがたり)〔目録題〕 00056030¥G 00056040¥Y 00056050L16文化二年正月刊 00056060L17石川雅望序 00056070L18朝田保清跋 00056080L19名古屋△永楽屋東四郎等板 00056090L20半紙本二巻合一冊 00056100¥Y 00056110M1わかき時、雨ふりあるはつれ+なるころ、旅人のあつま 00056120M2りて、さま+のものかたりせるをきゝて、その中わらハ 00056130M3しきかきり、えりひろひて、まんなもてかきつゝりて見し 00056140M4か、これハ文字のすゑ処もおほ+しく、あやしけれハ、 00056150M5人にもミせて、うちこめ置ぬるを、このころ、ほうこの中 00056160M6よりミいたしつるに、しミと(一オ)いふむしそ、ところえ 00056170M7て、すミはひこりたる。女子なるもの、これ、かんなに書 00056180M8てたまひなむといふを、をりふし、あつけになやミて、も 00056190M9こよひをりけれハ、さらハとて、筆すさミとはなしつ。す 00056200M10へては、もとのまゝなる中に、少&はにハかにつくりまう 00056210M11けて、そへたる事もあり。とまれかくまれ、よしなしこと 00056220M12なれハ、これもまた(一ウ)人にミすへきものにもあらす。 00056230M13たゝふるきほうこのかひくさゝを、さなからとりて書つけ 00056240M14つれハ、しミのすミかとやなつけてんと、ふてなけすてゝ、 00056250M15そのまゝふしつ 00056260M18△△△△△△△△△△△△△△△△△△石川雅望 00056270M19△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二オ) 00056280¥P181 00056290¥Y 00056300L4里諺鄙話之不可入文也譬之猶 00056310L5隘巷僻地之不可以起美觀也夫豫 00056320L6章■楠伐于山林工匠■之廼■廼 00056330L7梁以構大廈■屋者在爽■之地則 00056340L8易成功也在湫隘之地則難矣而大 00056350L9匠善成之紫氏清氏我邦之大家文 00056360L10姫而文藻之深山茂林也良■鉅材 00056370L12英艷鬱葱以至■■掘奇無所不 00056380L13有焉伐以構大廈在其人乎五老山 00056390L14人少時毎聴賓旅戲談有圓轉滑稽 00056400L15可解頤者則筆之以代踏鞠圍棊之 00056410L16樂爾来十数年爲蠧魚之食者太 00056420L17半今茲長夏曝書得舊稿於簾中 00056430L18悉以古文修之如其奇古温雅婉曲 00056440L20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(三オ・ウ) 00056450M4秀麗不待余言善度材於二書中経 00056460M5營一大殿堂其樸劉彫鏤之美粲然 00056470M6隘目隘巷僻地儼如通邑大都心匠 00056480M7之巧不亦大乎余開卷而嘆卒卷復 00056490M8嘆三嘆之餘不能己&終援筆題其 00056500M9篇端蓋山人結髪與余交矣放舟於 00056510M10雪夜賞花於春園者既歴三紀山人 00056520M12天性好學才氣軽俊博渉羣書其 00056530M13志将継芳躅於宇治亞相云 00056540M15享和壬戌仲秋大邨■書於日窪客 00056550M16舎△△△△△△△GG 00056560M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(四オ・ウ) 00056570¥P182 00056580¥Y1しミのすミか物語上目録 00056590L3/強盗(がうたう)/袴垂(はかまたれ)/医師(くすし)/盛之(もりゆき)が家に/入(い)る事 00056600L4/菅原孝標(すがはらのたかすゑ)の/隣(となり)なるげすの/女(むすめ)の事 00056610L5/通俊卿(ミちとしきやう)の/家(いへ)の/女童(めのわらハ)の事 00056620L6/修行者(しゆぎやうじや)/人(ひと)を/救(すく)はむとする事 00056630L7/侍(さふらひ)の/妻(つま)/男(をとこ)に/遺言(ゆゐごん)する事 00056640L8/文章生(もんさうのしやう)/行兼(ゆきかね)/五節(こせち)のまねびする事 00056650L9/大和国(やまとのくに)/山寺(やまてら)の/児(ちご)か事 00056660L10/昆沙門天(びしやもんてん)/窮鬼(きうき)を/逐(おひ)/給(たまふ)事(一オ) 00056670L11/商人(あきびと)/門(かと)を/飛越(とびこへ)て/家(いへ)に/入(いる)事 00056680L12/大鼻某(おほはななにかし)/栗栖野(くるすの)にて/美女(びぢよ)に/遇(あふ)事 00056690L13/鐔(つば)あきなふ/男(をとこ)の事 00056700L14/遊(あそび)女/放屁(はうひ)せる事 00056710L15/商人(あきびと)/茶椀(ちやわん)を/砕(くだく)事 00056720L16/受領(すりやう)の/子(こ)/乞児(かたゐ)を/断(きる)事 00056730L17/信太森(しのだのもり)の/狐(きつね)の事 00056740L18/博打(ばくうち)/吉祥天(きちしやうてん)を/祈(いのり)て/福(さいはひ)を/得(え)たる事 00056750L19/義清(よしきよ)/放屁(はうひ)せる事(一ウ) 00056760L20あしかの/局(つほね)/殿居(とのゐ)の事 00056770M1/美濃国(ミのゝくに)の老夫婦わかかへる事 00056780M2/常陸介(ひたちのすけ)の/北方(きたのかた)の事 00056790M3/宮司父子(くうしふし)/愚痴(ぐち)なる事 00056800M4えせもの讃酒歌をおもひたがへし事 00056810M5/郡司(ぐんじ)/禁酒(きんしゆ)の事 00056820M6/博打(ばくうち)/河豚(ふぐ)を/喰(くらふ)事 00056830M7/兵藤太(ひやうとうだ)が/妻(つま)/密夫(ミそかをとこ)にあふ事 00056840M8/色好(いろごのミ)の/男(をとこ)/簾(ミす)の/際(そば)より女をミる事(二オ) 00056850¥P183 00056860¥T1 00056870¥N1¥J 00056880¥X〔強盗袴垂/医師(くすし)/盛之(もりゆき)が家に入る事〕 00056890L3あざな、はかまたれとつきたる/強盗(がうたう)ありけり。/同類(どうるい)をひき 00056900L4ゐて、くすし/盛之(もりゆき)か/家(いへ)の/垣(かき)をこぼちて/入(いり)ぬ。さてうちいら 00056910L5むとするに、いかなるにか、あしすくミてうごかず。十/余= 00056920L6人(よ=にん)ミなおなじごと、/足(あし)はたらかざりけり。せめてあゆまむ 00056930L7とすれど、あしすゝまず。あるやうこそあれとて、ひきか 00056940L8へして、ミな/出(いて)ていにけり。しもべなるもの、がや+と 00056950L9いふに、/目(め)さめて/起(おき)出て見れハ、/盛之(もりゆき)、はひりにむかひた 00056960L10るあかり/障子(しやうし)のうちに/立(たち)て、くすり/袋(ふくろ)なる/匙(かひ)をもろでにと 00056970L11り、かしらにさゝけつゝ、ねらひゐたり。/此(この)しもべ、ぬす 00056980L12ひとは、とくまかりさりぬ。/何事(なにこと)し給ふぞといへは、盛之 00056990L13ほくそゑミて、さこそあらめ。(一オ)しやつうちいりなば、 00057000L14/五臓(ござう)六/腑(ふ)こと※く、なますになしてんと、いきまきいふ。 00057010L15しもべ、かたきにむかハむずるには、うちものをこそもた 00057020L16せ給ハめ。くすりあつかひ給ふやうに、/かひ(匙)をもち給ふこ 00057030L17そ、こゝろもえ侍らね。さるにても、ぬす人ども、などて 00057040L18すご+と/帰(かへ)りいにたるにかといへば、盛之、いよ+ほ 00057050L19こりかなるおもゝちして、かひとりて、ひたひにおしあて、 00057060L20/某(なにかし)、このかひをとりて人をころす/事(こと)、とし/比(ころ)になりぬ。 00057070M1強盗といふとも、いかで/命(いのち)をしまざらん。されバこそ、か 00057080M2くハかまへたれといふにぞ、/顔(かほ)うちまもられて、いふこと 00057090M3なかりける 00057100¥N2¥J 00057110¥X〔菅原/孝標(たかすゑ)の隣なるげすの/女(むすめ)の事〕 00057120M6むかし、/菅原孝標(すかハらのたかすゑ)といふ人のとなりに、げす/男(をとこ)の(一ウ) 00057130M7ありけるが、むすめ一人もたり。此むすめ、つねに孝標が 00057140M8/家(いへ)に/行(ゆき)かよひて、なれしたしミけり。あるひ、/母(はゝ)にいひけ 00057150M9るは、/隣(となり)の御かたこそ、/物(もの)かたりぶミこのませ給て、/世(よ)に 00057160M10ありとあるもの、おほかたもたせたまハぬハなし。さバか 00057170M11りならすとも、われも/一(ひと)まきふたまきハほしく侍り。いか 00057180M12で/伊勢(いせ)ものかたり、/大和物語(やまとものかたり)、このふたまきもとめ出て、 00057190M13/我(われ)にたびてんといへバ、母、ふびむなる事をもいふかな。 00057200M14となりこそ、さきのひたちのすけにておハせ。御むすめと 00057210M15きこゆる人も、さやうのふみなど、ミあつめ給ふこと、さ 00057220M16もあるべし。けふだにくらしわぶるげすの家にて、ふミな 00057230M17ととりあつかはんハ、にげなく(二オ)/人(ひと)わらへなることそ。 00057240M18さるひまあらバ、たちぬひのかたに、心いれてひねりなら 00057250M19へかしと、いとすさまじと/思(おも)ひていひけれは、父きゝて、 00057260M20/伊勢(いせ)/大和(やまと)のものかたりをほしといふとか。そはいふまゝに、 00057270¥P184 00057280L1もとめてもやりたまひね。かれ、をのこにしもあらば、け 00057290L2ふこのごろは、さる/国&(くに+)ゆきめくりて、/寺社(じしや)のかぎり/順礼(しゆんれい) 00057300L3しありきて、こゝらの/銭(せに)をこそつかハめといひけり。伊勢 00057310L4大和の/名(な)ところをあげたるふミとやおもひたりけむ、いと 00057320L5をかし 00057330¥N3¥J 00057340¥X〔/通俊(ミちとし)卿の家の/女童(めのわらハ)の事〕 00057350L8/治部卿(ちふきやう)/通俊卿(ミちとしきやう)のもとに、/花(はな)こそといへる、めのわらハ/有(あり) 00057360L9けり。/本(ほん)かきてさづけ給へれど、/手(て)ならひをきら(二ウ)ひ 00057370L10て、/机(つくゑ)によりてハ/筆(ふで)のしりくハへ、つら/杖(つゑ)つき、あくびう 00057380L11ちして、うちねふりをり。/北(きた)の/方(かた)、/常(つね)にいさめたまへども、 00057390L12きゝいれず。ある/時(とき)は、鬼のかほをかき、またハミヽずが 00057400L13きのミやくとしつゝ、すこしもこゝろにいれてならハざり 00057410L14けれバ、/北(きた)のかた、ちかくよびすゑ給て、/物(もの)かゝぬひとは 00057420L15/鳥(とり)けものにもおとりて、人にあなづらハれ、わらハるゝぞ 00057430L16かし。おとなになりて、/悔(くい)ごとせむより、/今(いま)のほど、こゝ 00057440L17ろにいれてよくならひおぼへよ。人のをしふること、つれ 00057450L18なくうけひかぬも、ことによるぞとて、すこしひきつミな 00057460L19どし給へば、/声(こゑ)うちあげ、よゝとなきて、すのこのかたに 00057470L20はしり出て、しやくりあげつゝたちて、ひとりごとに(三 00057480M1オ)いひけるハ、われにあながちに手ならひををしへ給ひ 00057490M2て、よくかきおほせなば、御/しぞく(親族)のわたりの御/文(ふミ)のゆき 00057500M3かひのたび+、せんじがきせさせんの/御(ミ)こゝろなるべし。 00057510M4御みづからの/用(よう)にたてんとて、人にくるしき目ミせ給よ。 00057520M5せんじかきの用には、われはたゝじをとて、はなうちすゝ 00057530M6りて、ふづくミなきい/ざ((さカ))ちけり。/通俊卿(ミちとしきやう)、/秦兼方(はだのかねかた)か/歌(うた)を 00057540M7/難(なん)じ給へる時、花こそとは、めのわらハの/名(な)のやうなりと 00057550M8のたまひしハ、これがことなりと、人のいひたる 00057560¥N4¥J 00057570¥X〔修行者人を救はむとする事〕 00057580M11/修行者(すきやうじや)、/国&(くに+)をめくりありきて、津の/国(くに)なる/山路(やまぢ)にかゝり 00057590M12けるに、/酒(さけ)うる/軒(のき)のはしらに、人をくゝりて(三ウ)置たり。 00057600M13ぬす人をとらへてころさむとするにや。出家の身の、つれ 00057610M14なく見すぐすべうもあらず。たすけてミバやとおもひて、 00057620M15酒うる家に入て/子細(しさい)をとへハ、あるじ、あのやつは/旅人(たびゝと)に 00057630M16て侍り。いまほど、わか家のさけをかひのミて、/味(あぢ)そこね 00057640M17て、すけありといひ侍り。/我家(わかいへ)いかで、すけあるものをう 00057650M18らむ。さるあらぬことをいひて、人にもふれしらすへき 00057660M19物とおもひて、とらへくゝり置て侍りといふ。修行者、う 00057670M20りものをわろしといへるに、はらだゝせたまへること/道理(だうり) 00057680¥P185 00057690L1あり。されど、いミじきつミにもあらざれは、いまハ/老(おい)法 00057700L2師にまけて、ゆるし給ひ/は((なカ))む。さてそのさけ、いかなる味 00057710L3かして侍りし。(四オ)われ、こゝろ見むといへバ、あるし、 00057720L4まかりにくミて出すを、修行者とりて、ひとくちのミける 00057730L5が、めもまゆもひとつにしゞめて、まかりをうちすて、ミ 00057740L6つからうしろざまに手をまハして、いざ、われをもくゝり 00057750L7たまへかしとぞいひける。すなほなる修行者にぞありける 00057760¥N5¥J 00057770¥X〔侍の妻男に遺言する事〕 00057780L10ふる/宮(ミや)のあたりにつかふるえせざふらひありけり。すきも 00057790L11のにて、女とたにいへハ、いち/女(め)あそひのけぢめをいハす、 00057800L12かゝづらひ、うかれありきけり。ひとひ、/妻(つま)、こゝちあし 00057810L13とてふしゐたるが、男をまくらがミによびすゑていひける 00057820L14ハ、わぬしのあだこゝろ、いまハ見はてつ。われしにうせ 00057830L15なは、/幽霊(いうれい)となりて、こと人と相かたらはむまくらべにた 00057840L16ちて、(四ウ)うらミ聞へんといへバ、男あざわらひて、を 00057850L17この事をものたまへるかな。そも/幽霊(いうれい)といへるものは、ふ 00057860L18るき物かたりふみにも、こゝら/掲焉(けちえん)にしるしありて、/装束(さうぞく) 00057870L19よりはじめ、すべてけしうハあらず。おほくハしろきから 00057880L20あやなどひき/重(かさ)ね、/髪(かミ)ながきものとこそきけ。されバおぼ 00057890M1ろけの人のいでたつべき/姿(すがた)ともおぼへず。おもとは、/髪(かミ)人 00057900M2よりハみじかく、もとよりさるころもなど、ひとつもたく 00057910M3ハへざれハ、/幽霊(いうれい)とならんこと、かたしともかたきわざな 00057920M4りといへハ、つま、なに事いふぞとよ。かミみじかく、さ 00057930M5る/衣(ころも)なしとて、出たゝじやは。はゝしろのかたミにとてた 00057940M6びぬる、しろきあさのころもあなり。なへふるめきたれど、 00057950M7(五オ)(五ウ挿絵)これつぼをりて、/髪(かミ)きこめていでたゝむに、 00057960M8何かたらハぬ事あるへきといひて、なきはらたちていかり 00057970M9けるとそ 00057980¥N6¥J 00057990¥X〔/文章生(もんさうのしやう)/行兼(ゆきかね)/五節(こせつ)のまねびする事〕 00058000M12/文章生(もんざうのしやう)/行兼(ゆきかね)、身まつしかりけれバ、/陰陽師(おんミやうし)/安倍(あべ)のうらま 00058010M13すがもとに/行(ゆき)て、なげきけるハ、けふとなりては、/たんせ= 00058020M14き(■石)のまうけだになし。いかにせば、このうれひのがれなむ 00058030M15と、なミたくミていふ。此/行兼(ゆきかね)、つねにふミの/道(ミち)にほこり 00058040M16て、人ありともせずふるまひけれバ、うらますもかねてに 00058050M17くミおもひけれど、さりげなくもてなして、とり申さんも 00058060M18大事に侍れど、あまりにいとほしけれバ、/告(つげ)まいらする也。 00058070M19そハ/皆(ミな)/貧報(ひんほう)の/冠者(くわざ)のさするわざ(六オ)なり。かれだにおひ 00058080M20やり給ハヾ、/次第(しだい)になりいでたまひ、よろつ御こゝろにま 00058090¥P186 00058100¥G(五ウ) 00058110L12かせ給ふべしといふ。行兼、さるものやらひのけなんには、 00058120L13いかなるわざか侍る。をしへ給へと手をすれハ、/冠者(くわざ)ハ/五= 00058130L14節(ご=せち)の夜のうたまひをにくミて侍れバ、さるこゑするわたり 00058140L15にハよりもこぬなり。家に帰り給ハヽミづからおこなひた 00058150L16まふべしといふ。行兼よろこびて、いミしき御恩を/蒙(かうむ)り候 00058160L17ひぬと、あまたゝびぬかつきてかへりぬ。されと、じほう 00058170L18なる/学生(かくしやう)のすぢなりけれバ、かのうたまひといふことしら 00058180L19ざりけれハ、人にならひて、やう+にあきらめける。さ 00058190L20て家のうちと、きよまハりて、しめひきわたし、よろづう 00058200M1る(六ウ)ハしうかまへて、日くるゝを待つけて、もやのま 00058210M2なかにありて、しわかれわなゝきたる声をいだし、のびあ 00058220M3がりかゞまりて、家のうちをまひありくこと、およそ時ば 00058230M4かりす。さるあひに、物のうしろひし+となりて、おそ 00058240M5ろしき/鬼(おに)いできて、しろうすやうかうせんしの紙なとはや 00058250M6しつゝ、とのかたへいでゆくを、ゆきかね見つけて、いか 00058260M7にや/窮鬼(きうき)。わがうたまひのおそろしきかといへバ、かのお 00058270M8に、たちとゞまりて、あらず。きんちがまひの手、/興(きよう)あり 00058280M9てをかしきを、ひとりきかむも、さう※しけれバ、かし 00058290M10こへゆきて、友たちのかぎり、よびあつめてこんとおもふ 00058300M11なりといふ。ゆきかね、きくより、たましひうするこゝち 00058310M12(七オ)して、うゝといひて、のけさまにうしろへたふれけ 00058320M13り。そのゝちはいかになりにけむか、しらず 00058330¥N7¥J 00058340¥X〔大和国山寺の/児(ちご)か事〕 00058350M16/大和国(やまとのくに)なる/山寺(やまてら)にある/児(ちご)、こゝろぼけ+しくおろかなり 00058360M17けれバ、/僧(そう)どもゝ、つねにあさむきわらひけり。ある夜、 00058370M18/師(し)のかたハらにありて、大空の星を見やりていへらく、/雲(くも) 00058380M19のうちに光りたるものミゆ。かれは雨をもらす/あな(穴)ゝるに 00058390M20やといへハ、師もあきれて、つれ+とかほをまもりて、 00058400¥P187 00058410L1もろ+のやまひハ/薬(くすり)もてこそいやすなれ。このしれもの 00058420L2がやまひのミ、いやすべきくすりなむなきと、/大息(おほいき)つきて 00058430L3いへバ、かのちご、さるくすり、/世(よ)にあらましかハ、いか 00058440L4にたふとからましとぞいひける。この(七ウ)ちごかゆくす 00058450L5ゑ、いかにおひたちにけむ 00058460¥N8¥J 00058470¥X〔昆沙門天窮鬼を/逐(おひ)給事〕 00058480L8/受領(ずりやう)より/宰相(さいしやう)までなりのぼれる人あり。あくまで物をしミ 00058490L9して、/銭(ぜに)ひとつをも妻/子(こ)にあたへず、はかりなき/大事(だいじ)のも 00058500L10のにぞしける。さるゆゑに家とミて、よねのくらまち、こ 00058510L11かねのくらまちと、うらうへにたてつゞけゐたりける。ふ 00058520L12ゆのせちぶんの夜、此家のはひりに/窮鬼(きうき)/入(いり)きて、おくさま 00058530L13を見やりて、うかゞひをり。この家あるじは、としごろ/昆= 00058540L14沙門(び=さもん)を/信(しん)じければ、こよひもミあかし参らせ、ミき/しとき(粢餅) 00058550L15など奉りて、あがめまつりけり。かゝるに昆沙門天、ほぐ 00058560L16らよりとびおり、はひりのかたをにら(八オ)まへて、のた 00058570L17まひけるは、この/家主(いへぬし)ハ/財(さい)にとめる/長者(ちやうじや)なれハ、我ともが 00058580L18ら、ミなこゝにあつまりつどふ。さるを窮鬼、などてこの 00058590L19あたりにちかづききし。/くゑむぞく(眷属)におほせて、ひきさき 00058600L20すてむずと、いかりをたけびてたち給。窮鬼、すのこのも 00058610M1とに/ついゐ(隠居)て、おづ+申しけるハ、我ともがら、いかで 00058620M2おましちかくたちより候べき。ましてこゝは、/大福長者(たいふくちやうじや) 00058630M3の家に侍れば、までくべきやうも候ハずと、かしこまり申 00058640M4す。さらバ、何とてかういりきたれるととひたまへバ、さ 00058650M5る事侍り。このいへぬし、/無双(ぶそう)の物をしミにて、とし比を 00058660M6へ侍れバ、およそ/天(あめ)が/下(した)のたから、なかばゝみな(八ウ)こ 00058670M7ゝもとにつどひぬ。されバ、此ころ天下に、まづしきもの 00058680M8あまたいできたること、ミなこの家主の御とくにて、わか 00058690M9ともがら所えて、うけばりほこらはしう、のゝしり侍る。 00058700M10このよろこび申さむために、すなはちまうきつるなり。あ 00058710M11なたふと、あなめでた、あがほとけ+と、そこらをがミ 00058720M12めぐりて、いつこともなく出ていにけりとぞ、人のかたり 00058730M13し。まことなりや、しらず 00058740¥N9¥J 00058750¥X〔商人門を飛越て家に入事〕 00058760M16五条わたりに、ひとりすみのあき人有けり。それが家は、 00058770M17おくまりたる所にて、ほそき道一すぢあるに、ちひさき門 00058780M18たちて、それを入て家にハゆきゝする所なり。この門のか 00058790M19たへに、/鍵(かぎ)をあづかるいへぬしは住て、(九オ)/例(れい)も/亥(ゐ)のと 00058800M20きには、とさすことをせり。このあき人、冬の夜つれ+ 00058810¥P188 00058820L1にたへで、したしうせる人がりゆき、物かたりして、夜ふ 00058830L2けて帰りけるに、入べきかどハ、とくさしてけれバ、/鍵(かぎ)あ 00058840L3づかるいへをおこし、ひらかせむもあいなし。いかにせま 00058850L4しとたゆたひけるが、もとより門ハひくし、飛こへていら 00058860L5ましとおもひて、身のかろらかなるまゝ、左右のはしらに 00058870L6もろでかけて、やす+と飛こへて、家に入けり。かくす 00058880L7ること、ひごろになりけれハ、いへあるじ、きゝしりてい 00058890L8ひけるハ、そこはまめ人にて、ひるはあき物にこゝろをい 00058900L9れて、しあるき給へバ、よるばかりこそ、こゝろゆくまで 00058910L10あそびありきたまはめ。(九ウ)そハことわりに侍り。され 00058920L11ど夜ふけて帰りたまふとて、門をとびこへ給ハむ事、よう 00058930L12せずハ、いミじきあやまちや、しいでたまはむ。そはびん 00058940L13なきことなり。今より、よなかあかつきをいはず、我門を 00058950L14たゝかせ給へ。すなハちあけて、いれまゐらせむといふ。 00058960L15あきびと、さらバうれしかりなんと、いらへてわかれぬ。 00058970L16そのゝちは、/常(つね)にかの家の戸をたゝきてぞいりける。ある 00058980L17夜、/雪(ゆき)いミじうふりつもり、さむさはげしかりけるに、か 00058990L18たらひふかして、かへりきぬ。例のごと、かの家の/戸(と)をた 00059000L19ゝけど、むごにあけず。きゝつけぬにやと、猶したゝかに 00059010L20たゝきけれバ、あるし、ねほれたる/声(こゑ)にて、こよひばかり 00059020M1ハとびこへ給へと、たかやか(十オ)にいひて、かほひきい 00059030M2れてねぬめり。かゝる/空(そら)には、よひまどひせむも、うべな 00059040M3りけりと、つとめてあきびとのかたりけるこそ、をかしか 00059050M4りしか 00059060¥N10¥J 00059070¥X〔大鼻/某(なにかし)/栗栖野(くるすの)にて美女に遇事〕 00059080M7すぐれて/鼻(はな)大なる男ありけり。世にハ/大鼻(おほはな)の/某(なにがし)とぞよびけ 00059090M8る。/用(よう)の事ありて、くるす/野(の)をゆきけるに、つぼさうぞく 00059100M9したる女のたゞ一人さきだちてゆくあり。すきものなりけ 00059110M10れハ、おひつきて/見(ミ)るに、十六七ばかりなる女の、ひとへ 00059120M11めくものきたるが、きこめたる/髪(かミ)もつややかにて、いろし 00059130M12ろうをかしけれは、とかくいひよりてうちつれゆくに、さ 00059140M13のミはぢらふけはひもなし。ともなふ人も見へねハ、うれ 00059150M14しくて、にはかにかきいだきて、(十ウ)(十一オ挿絵)すゝき 00059160M15おひしげりたる所にゐてゆきて、おもふさまにまきつ。さ 00059170M16て、はかまの/紐(ひも)しめなどして、心におもひけるは、かゝる 00059180M17/野中(のなか)を、なほ+しからぬ女のひとりゆくべきやうなし。 00059190M18/此野(このの)は/狐(きつね)あなりと、かねてもぞいふなる。我をはからむと 00059200M19て、やかんのするなめりと、こゝろつきけれバ、つかに手 00059210M20をかけて、女にむかひて、おもとハよも、女にはあらじ。/た= 00059220¥P189 00059230L1うめ(狐)にてこそあらめ。さらバ、けせうにかたちをあらハす 00059240L2べし。いかにやいかにといへバ、女、うちはらたちたるま 00059250L3ミもてあげて、まろ、いかできつねならむ。わぬしのはな 00059260L4のしたゝかなると、きたなき物のいミじうながきハ、わぬ 00059270L5しぞ/馬(うま)にてハ/有(あり)(十一ウ)げなると、こゑあらゝかにいふ時、 00059280L6又いらふべき/詞(ことば)もなく、そばとりて、あしばやににげいで 00059290L7ゝぞ帰りける。人をうたがひて、いミじきはぢ見たりと、 00059300L8のちに/語(かたり)りてぞ、/笑(わら)ひける 00059310¥G(十一オ) 00059320¥N11¥J 00059330¥X〔無題〕 00059340M3えせさふらひのゑひしれたるが、えほうしもうちゆがめ、 00059350M4くつをだにはかで、なへ+くた+となりて、七条の/大= 00059360M5路(おほ=ぢ)を、/夜中(よなか)ばかりに、しどろもどろににじりゆきけるか、 00059370M6たへずやありけむ、ゑう+とよびて、すゞろにつきちら 00059380M7して、そのまゝにたふれふしける。そこにありける/犬(いぬ)ども、 00059390M8つきちらしたる物を、あつまりてくひをハり、またさふら 00059400M9ひがくちのあたりを、ねもごろになむる時、(十二オ)人の 00059410M10するぞとおもひて、あなたふと。むげにゑひしれて、わび 00059420M11にて侍るを、かういたはり給ふ事のうれしさよとて、ぬか 00059430M12つくやうにせしが、また/眠(ねふ)り入て、ふたゝび/起(おき)ざりけり。 00059440M13大かた/酒(さけ)のうへにてハ、かしこき人も、いみじきあやまち 00059450M14をもすなり。/狂薬(きやうやく)としもなづけたるハ、げにひがことには 00059460M15あらざりけり 00059470¥N12¥J 00059480¥X〔/鐔(つば)あきなふ男の事〕 00059490M18むかし、/某(なにがし)のおとゞとかや、/内(うち)よりまかでたまへるみちに 00059500M19て、/市中(いちなか)に、ふるものあきなふ家あり。そこにかたなのつ 00059510M20ばの、ふるめきたるならべありけるを、/御車(ミくるま)のうちより/御= 00059520¥P190 00059530L1覧(ご=らん)じて、あれもとめてこ、とのたまふ。/御随身(ミずいじん)、やがてあき 00059540L2びとのもとによりきて、おのれがつば、めさるゝ(十二ウ) 00059550L3ぞ。あたひを申せといふ。あきびと、あわてかしこまりて、 00059560L4あたひ二十文にてさふらふといらふ。/随身(ずいじん)いへらく、/大殿(おほとの) 00059570L5のめさせ給へるなり。いかであたひひきくハ申すぞ。うけ 00059580L6ばりて、たかくまうせといへバ、あき人、こゑをうちあげ 00059590L7て、あたひ二十文にてさふらふなりと申しけれバ、/牛飼(うしかひ)、 00059600L8とねりらまで、いちどに、はとわらひけるとぞ 00059610¥N13¥J 00059620¥X〔/遊(あそび)女放屁する事〕 00059630L11いろこのミなりける男、しりたるあそびのがり行て、そひ 00059640L12ふして物がたりしてありけるに、このあそび、はこのした 00059650L13かりけれバ、/ひどの(厠)にゆかむとおもふを、とバかり/念(ねん)じて 00059660L14うちかたらふほどに、ふと大きなる/音(おと)、たかやかにならし 00059670L15ける。さすがにかたハらいたくや、男に(十三オ)むかひて、 00059680L16たゞ今のおと、きゝ給ひつやといふ。男もいはんすべなけ 00059690L17れハ、恋しき人やいりぬらんなど、いひまぎらハしをるを、 00059700L18女、いなとよ。すべていもとせのかたらひは、/神(かミ)にちかひ、 00059710L19/仏(ほとけ)にいのりて、松山の/波(なミ)をかけ、/野中(のなか)の/清水(しミづ)をくミて、か 00059720L20はらじわすれじと、ちぎりかハしぬれど、人のこゝろに秋 00059730M1風たちぬれバ、かたミにやう+そば+になりゆきて、 00059740M2/終(つひ)に手をあがれゆく物になむ。そハもと、こゝろさしのあ 00059750M3ハ+しくて、かりそめのあだこゝろより/逢初(あひそめ)ぬれバ、う 00059760M4つろふ心もまた、たはやすきぞかし。まことのまめ人のこ 00059770M5ゝろはしからじ。さる故に、我身ミづからの/恥(はぢ)をすてゝ、 00059780M6君がこゝろをこゝろみむとす。いかにたゞいまの音にて、 00059790M7我をおぼす御心は(十三ウ)さめ給ひぬらん。さらバ御こゝ 00059800M8ろのうすきなンなりとかいひそミつゝいへバ、男、など、 00059810M9さる事はのたまふ。はねをならべ、/枝(えだ)をかはさむと契りし 00059820M10をバ、いつハりとやおぼす。あからさまなるあやまちあり 00059830M11とて、ちぎりし事、いかでかたがふべき。しかうたがひ給 00059840M12ふなむ、なか+にあいなきこゝちし侍るといらふれバ、 00059850M13女、しすましぬと思ひて、さらバ、かゝるあやまちしつと 00059860M14て、御こゝろにあきたしとはおぼさぬにや。さてもうれし 00059870M15き御心ばへなンなりとて、よりそひなむとするとき、また 00059880M16大なるおとにならしつ。男、かほに/袖(そで)おほひて、などてさ 00059890M17ハ、くね+しうものうたがひし給ふぞといひける。いと 00059900M18をかしき、いもせの(十四オ)かたらひかな 00059910¥N14¥J 00059920¥X〔/商人(あきびと)茶椀を砕事〕 00059930¥P191 00059940L1ミちのくにあるものゝふ、/地火炉(ぢくわろ)ついでといふ事すとて、 00059950L2/具足(ぐそく)なとたらハぬものもとむとて、/市(いち)にゆきけり。あきび 00059960L3との家に、ふるきちやうわんの有けるをミて、いミじきも 00059970L4のなり。かハましとおもひて、/価(あたひ)をとひけれバ、銀五両た 00059980L5まハらむと答ふ。かの武士、いぶかしげなる/顔(かほ)して、こは 00059990L6たゞ一両のしろにもたらぬものなるを、など五両とはいふ 00060000L7ぞ。おのれ、一ぢやう家あるしならじ。さる故に、こまか 00060010L8なるものゝあたひ、しらざンなり。とく家ぬしをよびてこ 00060020L9といふ。あき人、やつかれ、あるじにて候といふを、きゝ 00060030L10もいれで、いかでおのれ、あるじならむ。すミやかに、ま 00060040L11こ(十四ウ)とのあるしいだせとせむ。あきひと、/某(なにがし)を置て、 00060050L12ほかにこの家のあるじ侍らずといへど、いな、おのれハつ 00060060L13かひ人なめり。いへのぬしハ、そばめにも、そのきはミゆ 00060070L14るはやといへば、あきひと、まじりひきあげて、かのちや 00060080L15うわんをとりて、前なるいしにうちつけ、ほろ+とうち 00060090L16くだきて、さてのゝしりけるハ、すでにちやうわんは、か 00060100L17くさまになしつ。なほあるじとはおもハざるにやといひて、 00060110L18はらたちけれバ、あさましうなりて、いさかひもやめて帰 00060120L19りけるとぞ 00060130¥N15¥J 00060140¥X〔/受領(すりやう)の子/乞児(かたゐ)を/断(きる)事〕 00060150M3/受領(ずりやう)の子の、さしすぎほこりかに、ふるまふありけり。人 00060160M4にあさむかれて、/太刀(たち)/一(ひと)ふり/買(かひ)てけり。此たち、いかなる 00060170M5さねよきよろひをもとほしなんずと、人ごとに見せて(十 00060180M6五オ)(十五ウ挿絵)ほこりけり。されど、いまだミづからこ 00060190M7ゝろミざるハ、一ぢやうならずとて、月のほのくらき夜、 00060200M8ずざ二人/具(ぐ)して、/河原(かハら)をさして行けり。かしこにふせる 00060210M9/かたゐ(乞児)の、うまいせるを見て、/太刀(たち)ひきぬき、ぬきあしし 00060220M10てあゆミより、もろでに太刀ふりあげ、かたゐがこしをか 00060230M11けて、まふたつにきりて、やをらにげはしりて、一町あま 00060240M12りきぬ。されど、そゞろに/胸(むね)をどり/足(あし)ふるハれけるを、よく 00060250M13/念(ねん)して、ずざにいひけるハ、/胴(どう)ぎりといふ物ハ、かひなよ 00060260M14くかたまらざる人は、きりうる事かたしと、/かんのとの(守殿)こ 00060270M15そのたまひしか、見よ、あのやつ、いま胴ぎりにぞしたる。 00060280M16さてもこのやきばのするどさよ。あす、ともだちの人&に 00060290M17かたらバ、ねたきまで(十六オ)うらやミあざミなんずとい 00060300M18ふ。ずざども、けしうハあらぬ/御太刀(おほんたち)にてこそさふらへ。 00060310M19さるにても、いまひとたびゆき給ひて、かれがさまをも/御= 00060320M20覧(ご=らん)じしらせ給へと申す。げによかンなりとて、ふたゝびか 00060330¥P192 00060340¥G(十五ウ) 00060350L12しこにいたりて、ちかづきよらむとする時、かたゐ、むく 00060360L13+と/起(おき)かへり、/寐(ね)ほれたる/声(こゑ)して、何ものぞ、またきた 00060370L14りて、うちたゝかんとハするぞと、のゝしりけり。世に、 00060380L15われぼめする人ハ、おほかた、かく/未練(ミれん)なるものぞおほか 00060390L16りける 00060400¥N16¥J 00060410¥X〔/信太(しのだの)森の狐の事〕 00060420L19しのだの/森(もり)のあたりに/狐(きつね)ありけり。あだし狐にも似ず、あ 00060430L20さましくおろかなりけれハ、/化(ばけ)て人をたぶらかす事もなし 00060440¥G(十七ウ) 00060450M12えざりけり。われよりわかき狐どもの(十六ウ)よくばけな 00060460M13らひて、/高名(かうミやう)なるも有けれハ、いで、われもばけやう/習(ならひ)て 00060470M14ましとて、/其術(そのじゆつ)をともだちにとひきゝけり。をしへつるや 00060480M15うに、あたりなる/池(いけ)にひたりて/藻(も)をとり、かしらにうちか 00060490M16ぶり見るに、しとゝぬれて、なめらかなる物なれば、かし 00060500M17らに、えたまらで、すべりおちぬ。とりてかつき見るに、 00060510M18またすべりておちぬ。いく/度(たび)もおなじやうにとりつゝ、う 00060520M19ちかつきぬれど、たゞすべりにすべり/落(おち)てたまらず。さて、 00060530M20大にいらちて/藻(も)をとりて、/岸(きし)のひたひになげうち、あな物 00060540¥P193 00060550L1くるをし。かういたづかハしきめミんより、のら狐といは 00060560L2れて、世をやすくへなむこそ、まさらめといひて、こう 00060570L3(十七オ)(十七ウ挿絵)こうとなきて、/草(くさ)むらの中にはひいり 00060580L4けるを、/釣(つり)する人のたしかに見たりけるとて、/帰(かへり)りきてか 00060590L5たりけるになむ 00060600¥N17¥J 00060610¥X〔/博打(ばくうち)吉祥天を祈て/福(さいはひ)を得たる事〕 00060620L8ふるばくちの、まけ/極(きハま)りたるか、せんすべなくて、/吉祥天(きちしやうてん) 00060630L9の/御(ミ)やしろにまうでゝいのりけるハ、かうたよりなくて、 00060640L10くふべきものさへつきて侍れバ、いまハ/年(とし)ころありける所 00060650L11をも、あくがれまかり出なむとす。あはれ、御とくに、今 00060660L12/一(ひと)たび家とミなりいでむやうを、はからハせ給ひねと、う 00060670L13ちなげきつゝ、/御帳(ミちやう)の/前(まへ)にうつぶしにふしたりける。/夜中(よなか) 00060680L14ばかりに、/吉祥天女(きちしやうてんによ)、御帳を/出(いで)させおハして、たへなる 00060690L15御声にて、おのれ、なりはひをつとめず、ばく(十八オ)ち 00060700L16にのミ心いれて、あざれありけバ、/神(かミ)も/仏(ほとけ)もにくミて、/皆(ミな) 00060710L17さりいましき。いまハあが/いもうと(妹)なる/黒闇女(こくあんによ)こそ、/汝(なんぢ)が 00060720L18かたハらさらずつきそひて、もろ+のいミじきうきめを 00060730L19ば見すなれ。されど、あながちに申す事のあハれなれバ、ふ 00060740L20たゝび/有徳(うとく)の/身(ミ)となしつべけれど、こハさだめたる外のこ 00060750M1とわりなれば、ふたゝび/有徳(うとく)なりとも、/三年(ミとせ)のかぎりすご 00060760M2さバ、いのち/終(をハ)りなむ。それくるしとおもハずハ、家をも 00060770M3とませやりてんとの給ふ。今のわびしさにたへがたきをお 00060780M4もへハ、三年の/後(のち)の/命(いのち)ハ、なにかをしく候ハむ。たゞとく 00060790M5つかむやうに、まもらせたまへと申せば、/後(のち)に/悔(くい)ごとな申 00060800M6しそとのたまひて、御帳のうちに入給ひぬ。夜あけ(十八 00060810M7ウ)家に帰りけるに、きのふまでむなしかりし/袋(ふくろ)に、こが 00060820M8ねおほくいりてあり。/神(かミ)のし給へるにこそとおもひをるほ 00060830M9どに、/風(かぜ)のふきつくるやうに、さま※とくつけることい 00060840M10できて、なか+もとよりは、たのしき/長者(ちやうじや)とぞなりにけ 00060850M11る。かくてほこらハしうのゝしりくらすほどに、三年の/日= 00060860M12数(ひ=かず)も、はやあすとせまりぬ。とミの事出きしやうに、さわ 00060870M13ぎまどひて、あすこそしにうせめ。こはいかにすべきとて、 00060880M14おぢわなゝきけるか、あるかぎりのこがね、つゝミにつゝ 00060890M15ミもておひ、家をすてゝ、まどひ出にけるとぞ 00060900¥N18¥J 00060910¥X〔義清放屁せる事〕 00060920M18やごとなき人、しのびてあそびのもとへおハして、/酒(さけ)のみ 00060930M19/興(きよう)じ、うちあげあそび給へり。やゝたけなはに、ゑひくハ 00060940M20(十九オ)はりて、をかしかりけるころ、このあそび、ほそ 00060950¥P194 00060960¥G(二十オ) 00060970L12き声に、へをこき出したりけるを、かたハらに/惟光(これミつ)とかい 00060980L13ひける人、さかし人にて、/ついたち(隠立)て、あなかしこ、/殿(との)の 00060990L14御前にて、あらぬあやまちつかうまつりてけり。まことハ 00061000L15よべより、はらをそこなひ侍て、かゝるむじんなる事ハつ 00061010L16かうまつりつ。あなたへがたし。またも+といひて、し 00061020L17たゝかなる/声(こゑ)に、/三四(ミつよつ)つゞけてならしたりけれハ、はじめ 00061030L18の/音(おと)も、これがしつるなりとこゝろえて、ミな人とよミわ 00061040L19らひあへりけり。/夜(よ)ふけ、人しづまりて、かのあそび、惟 00061050L20光をよびて、御とくにて、いミじき恥ミずなりぬること、 00061060M1返す+うれしうなむ。これハよろこび申すしるしなりと 00061070M2て、あたらしきこうちきに、はかまそへ(十九ウ)(二十オ挿絵) 00061080M3てあたへぬ。惟光が友たちに、よしきよとかいへるもの、 00061090M4これをきゝ、うらやミて、いつかかゝる事もあれかしと思 00061100M5ひをりけるに、/八月(はつき)のもちのよ、おなじ御方の、かのあそ 00061110M6びがもとに入おハして、/例(れい)のごと、あそび/興(きよう)じ給ひ、やゝ 00061120M7ふけゆきて、物のこゑもさえわたりゆくころほひ、かのあ 00061130M8そび、とりはづして、又/げ((けカ))せうに、こきいだしたりけるを、 00061140M9よしきよ、うちきくまゝに、心あわてゝ、/奥(あう)なく/大声(おほごゑ)をあ 00061150M10げて、いで、われもつぎてひらましとぞいひける。いとあ 00061160M11いなきこゝちせられて、/殿(との)をはじめ人&もミな/興(きやう)さめて、 00061170M12帰りおハしけるとなむ 00061180¥N19¥J 00061190¥X〔あしかの/局(つほね)/殿居(とのゐ)の事〕 00061200M15あるふる/宮(ミや)に、なま/女房(にようばう)ありけり。年は五十ばかり(二十ウ) 00061210M16なれど、いといぎたなくて、/常(つね)に/朝(あさ)い/過(すご)して/起出(おきいで)けれバ、 00061220M17人&にくミて、あしかの/局(つぼね)といひつけてぞわらひける。 00061230M18そのころ/伊豫国(いよのくに)より、いミじきぬすびとの/大将軍(たいしやうぐん)のぼり 00061240M19て、こなたかなたおし入て、ぬすミすなりと、、/都(ミやこ)の/中(うち)さ 00061250M20わがしかりけれバ、このミやにも/武士(ぶし)のかぎり、/弓(ゆ)づるな 00061260¥P195 00061270L1らして、夜もけいめいしありく。女がたにも、さる心して 00061280L2よと/仰(おほ)せごとありけれバ、ねび/人(ひと)のかぎり、一人づゝ/起(おき)ゐ 00061290L3て、とのゐしたりけり。このあしかの局、/番(ばん)にあたりて、 00061300L4人しづまりて後、おほとなぶらミじかくて、ふミなどよミ 00061310L5てをるに、人&は、よくねたるにや、いびきのこゑ、こほ 00061320L6+とするに、かべの/中(なか)なるきり※すのミぞ友なりける。 00061330L7(廿一オ)(廿一ウ挿絵)/鐘(かね)の/声(こゑ)きこへて、とのゐ人の夜こゑも、 00061340L8いとさびしくきゝわたさるゝに、しきりにねふたくなりて、 00061350L9たへがたかりければ、よし、しばしねふりたりとも、人も 00061360¥G(廿一ウ) 00061370M1しらじとおもひて、ひぢ/枕(まくら)して、しばしまどろミぬとおも 00061380M2ふに、にはとり、はなやかになきて、とのかたに声して、 00061390M3あけぬなりときこゆ。おどろき目さめてミれバ、まだ人ハ 00061400M4おき出ず。てうづなど参て、さりげなくもてなしをるに、 00061410M5やうやくひと+起出て、局がまへにきたりて、おもとハ 00061420M6さこそつかれ給ひつらめ。ねふたかりなむといへバ、おほ 00061430M7せごとにて、起ゐて侍れバ、さらにねふたくも侍らざりき 00061440M8といらふ。女房たち、いミじくいたき人かなゝど、いひあ 00061450M9へ(廿二オ)るほどに、/老(おい)たる/家司(けいし)のうちしハぶき、すのこ 00061460M10に/居(ゐ)て、よべ、うしふたつばかりにやあらん。おほきなる 00061470M11/ない(地震)のふりて侍るを、女房たちハしらせ給ふにやといふ。 00061480M12かの局、こは、我をはからむとかまへ、いふなりとおもひ 00061490M13て、まうとは、おそろしきそらごとをぞのたまふなる。よ 00061500M14べハわらハ、とのゐして侍り。ないふり侍らバ、おましち 00061510M15かきひと+、いかでおこさでやハ候べきといらふ。家司、 00061520M16さハこゝをバよぎて、ないのふらざりしにや。/夜行(やぎやう)のもの 00061530M17どもゝとり+、めづらかに大なるないなりとぞ、たゞい 00061540M18まも申しつるといひて立ぬ。/巳(ミ)の時ばかりに、おとゞの/姫= 00061550M19君(ひめ=ぎミ)の御もとより御ふミありて、ないの事、聞えさせたまひ 00061560M20けるにぞ、(廿二ウ)さハ、このつぼね、ねたりけるよとし 00061570¥P196 00061580L1らせ給ひて、わらハせ給ひける 00061590¥N20¥J 00061600¥X〔美濃国の老夫婦わかかへる事〕 00061610L4/美濃国(ミのゝくに)に/老(おい)たる/夫婦(ふうふ)ありけり。ともに七十にあまれり。ひ 00061620L5ごとに/山(やま)にのぼりて、/薪(たきゞ)をとりて、なりハひとしける。ひ 00061630L6とひ、/翁(おきな)山にゆきて、/日(ひ)くらしかへりこねバ、/嫗(うば)、こゝろ 00061640L7もとながりて、/門(かど)にたちて、まちつけゐたるに、/戌(いぬ)すぐる 00061650L8比、おきな、薪になひて/帰(かへ)りきぬ。いかにおそかりつると、 00061660L9/しそく(帋燭)とりてむかひ見るに、おもひかけず、/翁(おきな)、かほかた 00061670L10ち、はたち/計(はかり)のわか人になりて、/髪(かミ)もつやゝかに、むかし 00061680L11のごとなりにたり。さても、いかなる事ありてかゝりしと 00061690L12とへバ、おきないへらく、はじめ、やまに入て(廿三オ)/薪(たきゞ) 00061700L13こりてあるとき、ミなれぬ/鳥(とり)を見つけて/追(おひ)もてゆくに、/例(れい) 00061710L14の山ともおぼへぬ/所(ところ)に出つ。そこにきよげにながるゝ/泉(いづミ)あ 00061720L15り。のんどかはきぬれバ、むすびてのむに、よくかもした 00061730L16る酒にたがハず。心ゆくばかりのミけるまゝ、しきりに/酔(ゑひ) 00061740L17をもよほして、やがてそこにたふれふしぬ。ねぐらもとむ 00061750L18る鳥どもの、きなくにおどろきて、めさめて、いそぎはし 00061760L19りかへりぬといふ。/隣(となり)なる人もとひきて、おほかた、あざ 00061770L20ミいはざる者なし。あしたになりて、/姥(うバ)、われも/往(ゆき)て、か 00061780M1の/泉(いつミ)/汲(くミ)てのまゝしといふ。うべなり。とくゆきねとて、よ 00061790M2く/道(ミち)を/教(をしへ)ていだしたてゝやりぬ。かくてその日もくれぬれ 00061800M3ど、うば、かへりこず。/初夜(そや)も/過(すぎ)に(廿三ウ)たれど見へこ 00061810M4ず。夜ひとよ、いも/寐(ね)られねハ、/鳥(とり)と/共(とも)に/起(おき)て、ゆくへも 00061820M5とむとて、いそぎゆく。こゝろもとなきこと、かぎりなし。 00061830M6されど、しりたる/道(ミち)なれは、/朝霧(あさぎり)のまよひもたどらず、や 00061840M7う+かしこにいたりぬ。いづミのあたりを見れど、人も 00061850M8なし。/狼(おほかミ)などにやくはれけむ、わか身こそわかがへりたれ。 00061860M9としごろの女をうしなひては、いかにせましと、なきいざ 00061870M10ちて、たふれふしけるが、ちひさき/岩(いは)ほのかげに物ありと 00061880M11見て、ちかづきて見れバ、うまれ出て/月(つき)ばかりへぬるとお 00061890M12ぼゆるあか/子(こ)の、さゞやかなる声してなきをり。よくミれ 00061900M13バ、うばかきなれつる衣の中に、もこよひてあれバ、かきい 00061910M14だ(廿四オ)きて、うばかととへバ、なきつゝうなづく。や 00061920M15がてふところにいれて、やどりにかへり、/乳(ち)をもらひてや 00061930M16しなひそだてけるとぞ。あまりにいづミをむさぼりて、い 00061940M17たくのミすごしけるあやまちなりとぞ、かたりつたへたる 00061950¥N21¥J 00061960¥X〔常陸介の北方の事〕 00061970M20/常陸介(ひたちのすけ)の/北方(きたのかた)ハ、なほ+しき、さしすぎ人にぞありける。 00061980¥P197 00061990L1ひと日、まらうどのきたりけるとき、/主(あるじ)、/常(つね)のりがかきた 00062000L2る/人麿(ひとまろ)の/絵(ゑ)とうでゝ、見せゐたりける。まらうど、ものめ 00062010L3でする人にて、いミじくもかきて候かな。/常則(つねのり)なンなりと 00062020L4いへば、北方/奥(あう)なく、/木丁(きちやう)のうちより、いな、常のりには 00062030L5侍らず。人麿にて侍りとぞいらへける。いとあさましかり 00062040L6き(廿四ウ) 00062050¥N22¥J 00062060¥X〔宮司父子愚痴なる事〕 00062070L9/宮司(くうじ)/某(なにがし)ハ、いミじきしれものなりけり。その子の太郎な 00062080L10りけるものも、/親(おや)にまさりて、おろかにぞおひたちける。 00062090L11ミなづきの/宵(よひ)やミのころ、屋の上にのぼりて、/大空(おほそら)を/仰(あふ)ぎ 00062100L12て、ながき/竿(さを)をもちて、ふりうごかしをり。/宮司(ぐうじ)、/庭(には)にす 00062110L13ゞミてありけるが、ミつけて、なに事するぞととへば、太 00062120L14郎、大空のほしをうち落すなりといらふ。宮司うちわらひ 00062130L15て、あなをさなや。そらハ猶たかゝンなるを、さるみじか 00062140L16き/竿(さを)の及ふべきかハ。しひてとりえむならバ、なほさをの 00062150L17ながきをえらびてせよとぞいひける 00062160¥N23¥J 00062170¥X〔えせもの讃酒歌をおもひたがへし事〕 00062180L20あるかんたちべのもとに、人&つどひて、/和哥(わか)の/会(くわい)をハ 00062190M1(廿五オ)りて、あるじの/秘蔵(ひさう)せる、大伴/卿(きやう)のつくれる讃酒 00062200M2歌十三/首(しゆ)を、/道風(たうふう)のかきたるをこひ出して、うちこぞりて 00062210M3見る/中(なか)に、/老(おい)たる/学生(がくしやう)のありけるが、すこししぞきて、か 00062220M4うべうちかたふけつゝ、げにまことなり。いにしへの/皇神(すべかミ)た 00062230M5ちハさらなり、から/国(くに)のひじりと/聞(きこ)へたる人&も、猶これ 00062240M6に心をよせ、めでたまひぬ。あはれ此物よ。いにしへ今の 00062250M7けぢめなく、しなくだれるしづ山がつまで、あながちにこ 00062260M8のミめづる事、げに/天地(あめつち)のじねむのたまものなるべしとい 00062270M9へば、かたはらに、うけ/哥(うた)いだして、人まじらひする、を 00062280M10こ人のありけるが、うちきゝて、かのまむながき、われも 00062290M11よみおほせつと、人に(廿五ウ)見せまほしくて、/扇(あふき)ひろげ 00062300M12て、うちあふぎつゝ、さなり。旅人卿のよミ/歌(うた)、こゝらが 00062310M13中に、たゞいま見たまふる、/ひなさき(門)のうたこそ、/殊(こと)に/興(きやう) 00062320M14ある物なれといらへつ。/荒涼(くわうりやう)の哥よみにぞありける 00062330¥N24¥J 00062340¥X〔郡司禁酒の事〕 00062350M17ちかき世にやありけむ。/郡司(ぐんじ)の/酒(さけ)いたうこのめるありけり。 00062360M18ひるよるをいはず、/盃(さかつき)をはなたざりけり。/しぞく(親族)なるもの 00062370M19ゝいさめいひけるハ、さけは、になき/薬(くすり)にて侍れど、そこ 00062380M20のやうに、ひたすらのミては、よき事あらじ。かつハやま 00062390¥P198 00062400L1ひをえて、/命(いのち)もしゞミぬべし。/酔(ゑひ)しれては、おほやけわた 00062410L2くしのつとめをもわすれ、人にむかひても、/むらい(無礼)なるふ 00062420L3るまひおほかンめり。ことに(廿六オ)/■弱(わうじやく)のつはれ人な 00062430L4ど、ほしいまゝにのミすごしなむにハ、/後&(のち+)/財(ざい)もつき、家 00062440L5をも/失(うしな)ひぬべし。かくとり申すもかしこけれど、したしき 00062450L6なからひなれバ、はゞからず申すなりといふ。郡司うなづ 00062460L7きて、かしこくものたまへり。すまひいなむべき/詞(ことバ)だに侍 00062470L8らず。いまよりふつにやむべし。されども、/本性(ほんじやう)にあくま 00062480L9ですきて侍れバ、ながく/禁(きん)ぜむハ、なか+ちかごとやや 00062490L10ぶりなまし。いまより/三年(ミとせ)がほど、ちかひて/盃(さかづき)は手をだも 00062500L11ふれじといふ。さらバ、申ししかひ有て、うれしからむと 00062510L12て立て出ぬ。妻/子(こ)なるもの、ミなきゝて/悦(よろこ)びけり。さて、 00062520L13ひくれぬれバ、/例(れい)の/酒(さけ)ともだち入きたりけるに、郡司いへ 00062530L14る(廿六ウ)やう、しぞくなるものゝいさめ、かた+わり 00062540L15なく/覚(おぼ)へ侍るまゝ、三年がほどハ、さけたち侍りつといふ。 00062550L16これを聞て、いかで、としごろめでたまひける物を、すミ 00062560L17やかにやめ給ふべき。又人もまほにうけひき侍るべきにあ 00062570L18らねバ、例にならひて、かならずしひそしすゝめ侍るべし。 00062580L19されば、ちかごとたて、酒たち給も、なか+せんなかる 00062590L20べし。されど、かのしぞくの御いさめも、もだしがたきこ 00062600M1となれバ、三年のさだめをうちはへ、六年になして、よる 00062610M2+のミきこしめさば、/友(とも)どちのまじらひにもうちあひ、 00062620M3かの人のいさめにもたがハで、よかるべしといふ。郡司、 00062630M4めくちはだけ、よろこびて、げに、いはれたり。ミとせの 00062640M5かぎりを(廿七オ)六年にのばへて、よるのミたうべんこと、 00062650M6ことわりあれバ、しぞくなるものも、くちあくべき道理な 00062660M7し。たゞいまより三年のさだめを、六とせにのばへて、よ 00062670M8るのミのむべし。さらバ、かれもこれも、ことわりにかな 00062680M9へり。いま、ひくれぬれバ、さけのまむこと、/定(さだ)めをやぶ 00062690M10るにあらずとて、さけあたゝめさせ、まらうどにもしひ、 00062700M11われもひきつゞけのミて、かしらうちたゝきて、あなこゝ 00062710M12ろよや。これいかで、ミとせがほどたちぬべしと、あらま 00062720M13しごとにだに、さだめけむ。げに大なる/誤(あやまり)なりけり。さる 00062730M14を、むとせにあらためかへて、よる+のまむ事、ひとへ 00062740M15に、わ君のたま物よといひて、またひきつゞけのミて、や 00062750M16ゝ/酔(ゑひ)しれ、かほ(廿七ウ)あからめ、まなこほそやかになし、 00062760M17手かきつゝ、まらうとにいひけるハ、/夜(よる)のミのミて、六と 00062770M18せをすごさむも、こゝろもとなく、さう※しかるべけれ 00062780M19ハ、今よりあらためて、十二年をかぎりて、/昼夜(ちうや)のミなま 00062790M20しとぞいひける。さてもうるせきちかごとにぞありける 00062800¥P199 00062810¥N25¥J 00062820¥X〔/博打(ばくうち)/河豚(ふぐ)を/喰(くらふ)事〕 00062830L3むかし、はくうちあつまりて、/ふくへ(河豚)の/魚(うを)をかひて、と 00062840L4り+くらハんとせしに、あしきかのしけれバ、こは、あ 00062850L5されたり。この魚ハ人をころすこと、ためしなきにあらず。 00062860L6さハうちすてよなどいふを、さるにても、いたづらにあし 00062870L7つひやし、おほかたにくはでやミなむも、こゝろゆかずあ 00062880L8ると、いひしろひけるに、/老(おい)たるかたゐのわなゝきて、と 00062890L9ほり(廿八オ)けれバ、こゝろミによびて、此魚くへとてや 00062900L10れば、かけたる/け(笥)にいれ、うちさゝげてゆきぬ。とばかり 00062910L11/過(すご)して、かのかたゐ、いかになれると、/かハら(河原)に人やりて 00062920L12見すれバ、こともなく物こひてをりといふ。さらバ此魚く 00062930L13ひたりともあしからじとて、たゞくひにくひつ。されど猶 00062940L14わろきかのすれバ、おもふさまにもくはず、いさゝかくひ 00062950L15あまれるを、これ、いぬにやくハせましなどいひてをると 00062960L16き、かたゐ、また/門(かど)をとほりけれハ、よびて、これ、猶も 00062970L17ちていねとてやれば、はじめのけに入て手にもち、いたゞ 00062980L18きつゝいひけるは、きんだち、この魚、とくめされつるに 00062990L19やといふ。ミな今くひて、そハのこりなりといへバ、さは、 00063000L20きこしめしたる(廿八ウ)にこそ。はじめたまひつるもの、 00063010M1少&くさきかのし侍れバ、ようせずハ、はらをそこなひな 00063020M2んとて、なほくハで置て侍。きんだちの、しかきこしめし 00063030M3たるうへ、こともなくおはせば、おのれもまかりて、すな 00063040M4はちたうべなむとて、たちはしり、河原のかたへいにけり。 00063050M5身を大事におもへバ、かたゐすら、あしきかのせしをくは 00063060M6ざりける。このはくうち、かたゐにはおとりたるものなり 00063070M7けりと、こゝろある人は、わらひけるとか 00063080¥N26¥J 00063090¥X〔兵藤太が妻/密夫(ミそかをとこ)にあふ事〕 00063100M10さがみの/国(くに)に、/兵藤太(ひやうとうだ)といへるものゝふありけり。いろく 00063110M11ろく、こへふとり、ひたひはれて、ミぐるしき男なりけり。 00063120M12つまハミめよかりけれども、あだ+しきこゝろそひた 00063130M13る(廿九オ)ものにて、ミそか男まうけて、しのびつゝあひ 00063140M14てけり。此こと、兵藤太につぐるものありけれバ、事のこ 00063150M15ゝろ、よくあきらめて、ころさむとぞ思ひける。さて、ひ 00063160M16くるゝ比、こよひ山に入て、ともしせむとて、/弓矢(ゆミや)とり、 00063170M17/郎等(らうどう)ともひきゐて、松ともさせて出行けり。つま、よろこ 00063180M18ひて、ミそか男よびてかたらひをり。兵藤太、/一里(いちり)あまり 00063190M19行て、松うちけち、ひそかに家にかへり、めぐりの/竹垣(たけがき)を 00063200M20こぼちて、しのびいり、すのこにのぼりてうかゞへバ、ミ 00063210¥P200 00063220L1そか男の声にて、かゝる事、/服(ぶく)の/衣(ころも)のしらバ、はしたなき 00063230L2ことこそ、いでこめといへバ、妻がこゑにて、さなおもひ 00063240L3わびそ。ぶくのころもハ、としたけて侍れバ、とへ(廿九 00063250L4ウ)からでしにうせなむ。よし、さらずとも、あべの/某(なにがし)ほ 00063260L5ろぼすべき、うての/使(つかひ)くだりなば、いでたちぬべし。さる 00063270L6えびすとたゝかひなば、よも、いのちいきて/帰(かへ)らじ。こゝ 00063280L7ろやすかれといふ。兵藤太、よくきゝすまして、やりと、 00063290L8さうじ、けはなち入て、こほりのごとミゆる/太刀(たち)ひきぬき 00063300L9て、まづミそか男がかしらうちおとしつ。/妻(つま)は、おもひか 00063310L10けぬ事なりけれハ、あわてまどひて、にげいでんとしけれ 00063320L11ど、さしも大なる男の、はだかりたちてあれバ、にぐべき 00063330L12道もなし。たゞ手をあハせて、あが君+といひて、ふる 00063340L13へわなゝきたり。兵藤太、はたとにらミて、しや、むざん 00063350L14の女め。我そらいきしたるをしらで、よくもミそか男ひき 00063360L15(三十オ)いれたるよ。おのれら、ぶくの衣としもいひたる 00063370L16ハ、我いろのくろきをあざけりいひつるならむ。にくしと 00063380L17もにくし。おのれ、ころすべけれども、いけ置て、ながく 00063390L18うきめミせむずといへハ、妻、/畳(たゝミ)にうちふして、いまは申 00063400L19すべき/詞(ことバ)侍らず。すミやかにころし給ひねといへバ、兵藤 00063410L20太、まなこを大になして、われにころされて、ミそか男に 00063420M1おひつき、ながく/黄泉(くわうせん)のもとにて、あひかたらハんとや。 00063430M2かへす+胆ふとかる女めといひて、いよ+はらたち、 00063440M3いかりけるとか 00063450¥N27¥J 00063460¥X〔色好の男/簾(ミす)の/際(そば)より女をミる事〕 00063470M6いたうえんがり、いろこのめる人ありけり。いさゝかも女 00063480M7に、ミやうとまれむと、よろづにつけて心づかひしつゝ、 00063490M8さうぞくよりはしめて、もてるあふぎなどさへ、ミやび 00063500M9(三十ウ)をつくし、/何事(なにこと)も女におとしめられむは、いミじ 00063510M10き大事なりとおもひて、よそほひ、ざれありきけり。やご 00063520M11となき御わたりの、/鞠(まり)の御遊ありけるに、まゐりて、たち 00063530M12まじハり、物するにも、ミすのあたりに、こゝろをかけつ 00063540M13ゝ、足もとをさへこゝろづかひして、もてふるまひけり。 00063550M14しばしやすらひなむとて、人&/花(はな)のかげにゐ給へるに、見 00063560M15わたしたるミすのつま+、すきかげ見えて、女房たちの 00063570M16さゝめく声す。さハ我をミるなりけりと、いとゞもてしづ 00063580M17めて、さりげなきさまに、うちふるまへど、こゝろはをど 00063590M18りぬ。れいのわれぼめのこゝろより、いで、/前(まへ)わたりして、 00063600M19ちかまさりのほども見せましとおもひ(卅一オ)て、つれな 00063610M20しつくりて、/勾欄(かうらん)のもと、ちかくあゆミよりたるに、から 00063620¥P201 00063630L1/猫(ねこ)の、つなながうつきたるが、ミすのうちよりはしり出て、 00063640L2やかて勾欄のうへによぢのぼるに、ミすのそば、はなやか 00063650L3にひきあけられたるを、しりめにミれバ、/木丁(きちやう)のかげにう 00063660L4つぶしたる、かほしろき女の、つれづれとわれをミつゝを 00063670L5り。さハ我におもひつきぬるにこそ。おもひのミこそしる 00063680L6べなれなど、うちおもへど、まさなくミやらむも、はした 00063690L7なけれハ、いよ+しらずがほつくりて、そこらさまよひ 00063700L8ありきて、/時&(とき+)はつかに、しりめにミやれバ、女は猶うち 00063710L9まもりて、めかれせず、よりふせるさまなり。さバかり、 00063720L10われをおもふ心も(卅一ウ)いとほし。いかなる人にか、/名(な) 00063730L11をきかむとおもふも、おほざうにてかひなし。きぬのいろ 00063740L12をだにミとめ置て、/後(のち)にふミかよハさむよすがにもせまし 00063750L13とて、つか+とすゝミよりて、きと見あげたれハ、女の 00063760L14/顔(かほ)なりと見つるハ、しろかねの/瓶子(へいじ)にぞありける。いろご 00063770L15のミのうへにハ、かゝるやくなきこゝろづかひもすめり。 00063780L16こハ/平仲(へいちう)がわかきときの事なりけりといふ人あり。されど、 00063790L17たしかにつたへたることならねバ、おぼつかなし(卅二オ) 00063800¥Y1しみのすミか物語下目録 00063810M3/家司(けいし)/壺(つぼ)なる/結果(かくのあわ)をとらむとする事 00063820M4/陪従(べいじう)/春近(はるちか)/下部(しもべ)に/雪仏(ゆきほとけ)を/作(つく)らする事 00063830M5/価(あたひ)二百両せる/柑子(かうじ)の事 00063840M6/大進(たいしん)/有恒(ありつね)か/妻(つま)/閻王(えんわう)の/庁(ちやう)にうつたふる事 00063850M7/餅(もちひ)を/買(かひ)て/捨子(すてご)を/拾(ひろ)ふ/男(をとこ)の事 00063860M8/蝨(しらミ)をもてあそぶ/翁(おきな)の事 00063870M9/紀(きの)/直方(なほかた)/兄弟(きやうだい)の/子(こ)を/論(ろん)ずる事 00063880M10/宮司(くうし)と/法師(ほうし)/闘諍(とうじやう)におよべる事(一オ) 00063890M11/桶工(をけつくりの)/暴風(わき)をよろこびし事 00063900M12/家(いへ)/乏(とぼし)く/成(なり)たる/男(をとこ)を/妻(つま)いさむる事 00063910M13/文字(もじ)しらぬ男/出家(しゆつけ)せる事 00063920M14大太郎/弟子(でし)を/教(をしふ)る事 00063930M15/恋(こひ)やミし/給(たまふ)/姫君(ひめきミ)の事 00063940M16/人宿(ひとやど)して物とらむとせる女の事 00063950M17かたなり/博士(はかせ)につきて/書(ふミ)/借(から)んといふ事 00063960M18/越前守(ゑちぜんのかミ)が/下部(しもべ)/水仙花(すいせんくわ)を/愛(めづ)る事 00063970M19/未央宮(びあうきう)の/瓦硯(かハらのすゝり)/重宝(ちようほう)とする事(一ウ) 00063980M20/北面(ほくめん)/実持(さねもち)人をとふらふ事 00063990¥P202 00064000L1/貧人(まつしきひと)/従者(ずざ)を/雇(やと)はむとする事 00064010L2/椿市(つばいち)の/宿(やど)りの事 00064020L3/琵琶法師(びはほうし)/夕立(ゆふたち)に/逢(あふ)事 00064030L4/竹垣(たけかき)をくゞりて/首(くび)/出(いで)ざりし男の事 00064040L5/袴着(はかまき)の/姫君(ひめきミ)をいさむる/乳母(めのと)の事 00064050L6/学生(かくしやう)/源(ミなもと)の/広(ひろし)が/家(いへ)のわらはの事 00064060L7/検非違使(けひいし)の/下司(したつかさ)となりたる人の事 00064070L8/某(なにかし)/入道(にうだう)のわらは/柳(やなぎ)をまもりたる事(二オ) 00064080L9/同童(おなしわらハ)/藁(わら)にふしていねたる事 00064090L10/丹後国(たんごのくに)の/痴人(しれもの)/龍宮(りうくう)に/行(ゆき)たる事(二ウ) 00064100¥T1 00064110¥N1¥J 00064120¥X〔/家司(けいし)壷なる/結果(かくのあわ)をとらむとする事〕 00064130M3あるミたちに、ふるきけいしありけり。わかきより/奉公(ほうこう)せ 00064140M4しものなりとて、あはれミめしつかひ給ひけり。ある時、 00064150M5/かく(結果)のあわを、/むく(椋)の大さにつくらせて、/壺(つぼ)にいれてきこ 00064160M6しめすことあり。このつぼは、からくによりわたしたるも 00064170M7のにて、ひそくのすぐれたるにて、くちハ/手(て)さしいるゝば 00064180M8かりせばく、そこはふくらかにつくりたるものなり。雨ふ 00064190M9り、さう+しかりければ、かのけいしめしいでゝ、もの 00064200M10がたりせさせおハしけるが、かのつぼをいださせ給ひて、 00064210M11とりいだしてくへとの給ふ。けいし、おづ+ゆびをすぼ 00064220M12めて、壺の口にさしいれけるが、ぬかむとするに、おほか 00064230M13たぬかれず。とかくすれども(一オ)ぬきえざりけれバ、/殿(との)、 00064240M14よしなきものとらすとて、/老人(おいびと)にうきめ見することゝ、く 00064250M15るしがり給ふ。人+もよりて、さま+しあつかへど、 00064260M16ふつにぬけず。このうへは、せんすべなし。になき/宝(たから)なれ 00064270M17ども、うちわりていだしなむとて、/鉄(てつ)の/如意(によい)とりて、たゝ 00064280M18きたまへバ、つぼは/三四(ミつよつ)にくだけてとび/散(ちり)ぬ。人&よりて、 00064290M19けいしが手を見れバ、かくのあハ二十ばかり、つかみてを 00064300M20り。されバこそぬけざりつれとて、ミなつきしろひ、にく 00064310¥P203 00064320L1ミあへり。はらぎたなきえせけいしハ、おほかたかゝるこ 00064330L2ゝろをば、よろづにつかひけるものとぞ 00064340¥N2¥J 00064350¥X〔/陪従(べいじう)春近/下部(しもべ)に雪仏を作らする事〕 00064360L5/陪従(へいじう)/春近(はるちか)といひけるもの、雪いたうふりける夜、すのこ 00064370L6(一ウ)にわらうた/敷(しき)、/火桶(ひをけ)の火おこさせ、かはぎぬのあつ 00064380L7こへたるをかさねきて、/高(たか)きけいしはきて、/庭(には)におり、し 00064390L8もべよびて、ゆきをあつめて、/鬼(おに)のかたち、ほとけのかた 00064400L9ちなどつくらせて、そのむかし、/中宮(ちうくう)の/御庭(おほんにハ)にこそ、雪の 00064410L10やまつくらせたまひしか、かゝるものは、いまだためしあ 00064420L11らじとて、ゑつぼに入て/興(きよう)じける。しもべハ、わたうすき 00064430L12つゞれひとつきたりけれハ、さむさ身にとほりて、たゞふ 00064440L13るひにふるひをれども、主の仰、いなはんやうもなくて、 00064450L14したなきしつゝ、たちはしりけるを、春近はひとりよろこ 00064460L15ぼひて、あらおもしろ。この/雪仏(ゆきほとけ)のかほのをかしさよ。か 00064470L16ばかりの興は、またあらじをとて、/猶(なほ)/雪(ゆき)に(二オ)ぬれつゝ 00064480L17/庭(には)にたちをり。ゆきハいやまさりにふり、夜もいたくふけ 00064490L18ゆきけれど、いよ+ゑミまけて、この雪、たゞに見むハ 00064500L19はへなし。/汝(なんぢ)、/哥(うた)ひとつ、つかうまつれといへば、しもべ、 00064510L20とりもあへず、 00064520M1△△△風さゆるよはともいはす起あかす 00064530M2△△△△あるじや犬ににはのしら雪 00064540M3と、たかやかにいひて、とくおのかざうしに、にげていり 00064550M4ぬ。のちのかんだうをもおそれず、はらだゝしきまゝに、 00064560M5いひけるなるべし 00064570¥N3¥J 00064580¥X〔価二百両せる/柑子(かうじ)の事〕 00064590M8/某(なにかし)の/大納言(だいなごん)の/太郎君(たらうきミ)、いたくわづらはせ給ひ、おものも、 00064600M9つや+きこしめさず。御たちの人&、あしをそらになし 00064610M10て、あわてまどひ、どきやうの法師、はらへのかんなぎな 00064620M11ど(二ウ)かた+にのゝしりさわく。かくて日数ふれとも、 00064630M12よろしうも見へさせ給ハねば、/父(ちヽ)の大納言、御まくらちか 00064640M13くより給て、いかに、かうものもきこしめさで、うきめを 00064650M14ば見せ給。何にまれ、すこしはものきこしめしてよと、御 00064660M15/泪(なミだ)にむせびてのたまへバ、太郎君、いきのしたに、なにほ 00064670M16しともおもひ侍らず。されと、あなかちにのたまふことの 00064680M17わりなけれバ、せめて/柑子(かうじ)ひとつ、たうべて見ましとの給 00064690M18ふ。そハうれしくあなりとて、とく人はしらせて、もとめ 00064700M19給ひけれど、ミなづきのころなりけれハ、ミやこのかぎり、 00064710M20あき人の家、あなぐりもとめつれど、なしとのミ申す。大 00064720¥P204 00064730L1納言いらち給て、ちゞのたからも、なにかをしからむ。 00064740L2(三オ)たゞあたひをつのりて、もとめてこ、とおほせ給。 00064750L3/秦(はだ)の/武安(たけやす)といふ者、からうじて/伏見(ふしミ)のほとりにて、/柑子(かうじ)な 00064760L4ゝつ、もとめてきぬ。あたひ、こがね二百両とかきこへし。 00064770L5とくすゝめ奉りけれど、わづかになかばをだにまゐらず。 00064780L6されど、はつかはかり、いさゝかのものだに、きこしめさ 00064790L7ゞりけるを、けふばかり物まゐり給へる、うれしかりけり 00064800L8とて、武安には、おもく/勧賞(けんじやう)ありて、ほめさせ給けり。さ 00064810L9て、のこりたる柑子ハ、めづらかなるものなれバとて、/小= 00064820L10野(を=の)におハすあまぎミの御もとへまゐらすべしとて、またた 00064830L11けやすを御/使(つかひ)にて、出したて給ふ。武安がしもべ、柑子の 00064840L12入たるかたミをもちて行けるが、/七(なゝつ)のあたひ二百両と(三 00064850L13ウ)きゝて、こゝろにおもひけるハ、六にても、よきあた 00064860L14ひのものなり。これぬすミて人にうらましかば、よきあた 00064870L15ひはえましとおもひて、武安か、/道(ミち)にてやすらひをるひま 00064880L16をうかゞひて、かのかたミうちかたげて、いづちともなく、 00064890L17にげうせけり。このしれもの、いかなるあたひをかえたり 00064900L18けむ、いぶかし 00064910¥N4¥J 00064920¥X〔大進有恒か妻閻王の庁にうつたふる事〕 00064930M1/大進(たいしん)ありつねがつまハ、かたち見にくゝて、こゝろもひが 00064940M2+しく、おぞましかりけり。つねにありつねとちぎりて、 00064950M3われ、しにたりとも、かならずこと人を、なむかへ給ひそ 00064960M4といひけり。ありつね、うるさけれと、さよころもハいか 00064970M5で、などいらへて、こしらへすかしてありける。さだまれる 00064980M6すくせ(四オ)にや、この妻、かりそめにやミて、ミうせぬ。 00064990M7ありつね、のちの事などいとなミ、日数へにけるのち、し 00065000M8たしき人にすゝめられて、またつまをむかへたりける。は 00065010M9じめのさがなものにくらぶれハ、こよなうよかりけれバ、 00065020M10むつましくなれむつびけり。かくてかのしこめハ、よもつ 00065030M11くにゝありて、此事をきゝしり、/閻王(えんわう)の/庁(ちやう)にまゐりて、う 00065040M12たへて申さく、ありつね、ちぎりしことをたがへて、こと 00065050M13人をむかへ侍り。このうらミ、やらむかたなく、おぼへさ 00065060M14ふらへバ、いま/幽霊(いうれい)となりて、かしこにいたり、/松山(まつやま)の/波(なミ) 00065070M15かゝらむとハ、ちぎらざりしあた、むくはまほし。しばし 00065080M16/呵責(かしやく)のいとま、たびなむときこゆ。閻王、かしらミぎひだ 00065090M17りにうちふりて、やおれ、しこめよ。そも(四ウ)(五オ挿絵) 00065100M18いうれいといへるものは、かほきよらかに/髪(かミ)ながく、いろ 00065110M19/白(しろ)く、たをやかなるすがたしてこそ、いでたゝめ。おのれ、 00065120M20さるみにくゝきたなきおもゝちして、さるふるまひせむこ 00065130¥P205 00065140¥G(五オ) 00065150L12と、ふさはしからす。この事かなはじ。とく、まかりしぞ 00065160L13けとのたまふ。かたハらなるらせつ、あハれとやおもひけ 00065170L14む、女が/袖(そで)をひかへて、/幽霊(いうれい)はかしこし。/夜叉(やしや)とならまし 00065180L15と、きこえなほせかしとぞいひける 00065190¥N5¥J 00065200¥X〔/餅(もちひ)を/買て捨子を拾ふ男の事〕 00065210L18あるひと、/大仏殿(だいぶつでん)をゝがミて、かへさに、あたりなるあき 00065220L19人のいへにたちよりて、いへづとに、もちひかはゞやとて 00065230L20見るに、いとさゞやかなりければ、いかでこのもちひ、よ 00065240M1のつねにもにず、あさましくつくりしぞといへば、あき人、 00065250M2この(五ウ)もちひ、ちひさからず。しかの給ふハ、/一(いち)ぢや 00065260M3う、大仏殿を/拝(をが)ミ給へるなるべし。かの大なる御ほとけを 00065270M4はいしたまへるめうつしには、よろづのもの、ミなさゝや 00065280M5かにこそ見ゆれといへば、げに、さる事あるべしとて、も 00065290M6ちひをふところにいれて、一二町あゆミゆきける。ミちの 00065300M7かたハらに、かぶろなるミどりこの、人のすてたるにや、 00065310M8すゞろにねぶりゐたるを見て、あないとほし。母にそひね 00065320M9のゆめミるにこそとあハれがりて、かきいだきて、また四 00065330M10五町ばかりあゆミけるが、あまりにおもくて、こうじにた 00065340M11れバ、しばしいこはむとて、かきおろして、かほをまもり 00065350M12ミれバ、老たるかたゐの/尼(あま)にてありけるとぞ(六オ) 00065360¥N6¥J 00065370¥X〔/蝨(しらミ)をもてあそぶ翁の事〕 00065380M15ある所の/大饗(たいきやう)に、/中間(ちうげん)・うしかひら、/御門(ミかど)のあたりに、む 00065390M16しろうちしきて、かひねふり、あくびうちしてをりけるに、 00065400M17おもゝちきたなげなる/翁(おきな)の、いで、めさましに/興(きよう)あるわざ 00065410M18してミせむといへバ、うしかひわらはなど、いかにとたち 00065420M19めくり、まもりをるに、翁、しらミひとつとりいだし、人 00065430M20&に見せて、いまこの/蝨(しらミ)のミて、こと/所(ところ)よりとりいだして 00065440¥P206 00065450L1ミせむずといひて、しらミを口にいれ、舌たゝき、/歯(は)うち 00065460L2ならして、ミよや人&。しらミははやう、のんどに入つ。 00065470L3さていま、のんどにいりたるを、ふところよりいだすぞと 00065480L4て、ふところをさぐりて、しらミとりいだしミせつ。うし 00065490L5かひら、あざミ興ずれバ、またかのしらミをくちにいれか 00065500L6ミて、このたびハ(六ウ)人&のぞまむにまかせて、いだし 00065510L7てんといふ。さらバえりのあたりよりいだせといへバ、え 00065520L8りをかいさぐりて、とりいだしてミせつ。さてまたのミて、 00065530L9えぼうしとりのけて、/髪(かミ)のあひだよりもとりいだし、ある 00065540L10ハもゝのあたりよりも、いだしつゝミせけり。かたハらなる 00065550L11もの、ふぐりよりもいだすべしやといへバ、などかいださ 00065560L12ゞらむとて、くちにいれをハりて、帯ときひろげ、ふくり 00065570L13なるひげかきよけつゝさぐりて、くは+とて、ゆびのさ 00065580L14きにつけて、いだしたるをミれバ、はじめのには/似(に)ず、か 00065590L15たちひらめなる物の、ふたつまでうごめきをり。人&、口 00065600L16よりいれたるものにはあらざりけりとさとりて、さてもし 00065610L17らミおほかる翁かな(七オ)と、こゑあげていちどに、はと 00065620L18わらふ。このとよミ、いとなりたかかりけれは、奥さまゝ 00065630L19でひゞきて、あるじも、/ゑか(垣下)の/君(きん)だちもおどろかせ給て、 00065640L20何事ぞとて、/子細(しさい)きかせ給て、ミなわらはせたまひにけり 00065650¥N7¥J 00065660¥X〔紀直方兄弟の子を論ずる事〕 00065670M3/左兵衛尉(さひやうゑのぞう)/紀(きの)/直方(なほかた)は、/世(よ)のおれものにて、しれ+しきこと 00065680M4のミいひつゝ、つねに人にわらハれけり。/兄弟(きやうだい)の子をもた 00065690M5りしが、父にひとしき、をこなるものにぞありける。/或(ある)と 00065700M6き/弟(おとゝ)なるもの、/兄(このかミ)にむかひてとひけるハ、世におぼつかな 00065710M7き事のおほかる中に、/釈迦仏(さかぶち)のねはん/会(ゑ)、/誕生会(たんじやうゑ)こそ、 00065720M8こゝろもえね。きさらぎのもちにうせ給て、やがて卯月の 00065730M9八日にうまれ出給へること、いかなる子細さふら(七ウ)ふ 00065740M10にかといへバ、兄きゝもあへず、しかうたがふなるハ、わ 00065750M11ぬしがたらはざるなり。なべての人ならバ、/二月(きさらぎ)にうまれ 00065760M12出て卯月にしぬべけれと、ほとけハ/神通(しんつう)おハしませハ、/生= 00065770M13死(しやう=じ)のさかひも、おほよそ人とは、いとことにて、さきだち 00065780M14てしに、おくれてうまれ出給へる也。かゝるこそ、仏にて 00065790M15はおハしけれといへハ、父、ひとまなるところにきゝをり 00065800M16て、太郎こそ、いミじき才学はありけれ。かくては、おほ 00065810M17やけのまじらひすとも、末たのもしからんとて、ほめよろ 00065820M18こびけり 00065830¥N8¥J 00065840¥X〔宮司と法師/闘諍(とうじやう)におよべる事〕 00065850¥P207 00065860L1むかし、/某(なにかし)の/国(くに)の/山寺(やまてら)に、/手(て)をよくかく法師ありけり。あ 00065870L2たりちかき人の子どもは、ミなかしこにゆきて手な(八オ) 00065880L3らふことをぞしける。おなし所に、/宮司(くうし)にて、えせうたな 00065890L4どよむ者ありけり。ひとひ、法師がりゆきけるに、/弟子(でし)に 00065900L5かきてやる本に、桶といふ/文字(もじ)のかながきに、はしのをに 00065910L6て、をけとかきたるをミて、/宮司(くうし)あざわらひて、/御坊(ごぼう)には、 00065920L7かんなのつかひざまを、まだしらせたまハぬにや。桶はお 00065930L8くのおをもちひ候がならひ也。/但(たゞし)、小桶といはんときのミ、 00065940L9はしのをゝ用てかくなる。このほんに見へたるハ、/常(つね)の桶 00065950L10なれハ、おけとこそかき給ふべけれ。さしもふミの道、こ 00065960L11ゝろえたまへる御坊なれど、この国の事ハ、うと+しく 00065970L12おハしにけりといへハ、法師は、もとよりさる山寺におひ 00065980L13たちて、かたくなにむくつけき(八ウ)人なりけれバ、はら 00065990L14だちて、これ、さらにあやまりならず。わぬし、/順(したがふ)ぬしの 00066000L15/和名抄(わミやうせう)をミずや。まさしく/乎計(ヲケ)とかきてあり。法師はさ 00066010L16る/証拠(しようこ)につきてかきたれば、ひがことならず。そこのゝた 00066020L17まへる、小桶の時にのミ、をけとかゝむこそ、なか+あ 00066030L18やしく、しれがましき人の/心地(こゝち)ハすれといへバ、宮司も大 00066040L19にいかりて、しれがましとは、わ僧の事よ。およそ、かミ 00066050L20つよのこと葉ハ、某らこそわきまへたれ。とほきこと国の 00066060M1をしへをまもるものゝしるべきにあらずとて、さま+あ 00066070M2しざまなることをいひつゞけけれバ、法師も、をさめぬ筋 00066080M3にて、/念珠(ねんず)もて、宮司がつらをしたゝかにうちけれバ、宮 00066090M4司は/扇(あふき)(九オ)をあげて、法師がかうべ、わるゝばかりにう 00066100M5ちつ。さて、ひきくミて上下になりて、をどりあひたるを、 00066110M6むらのをさ、きゝつけて、ひきわけなだむれども、かたミ 00066120M7にはらたちて、うけひかず。法師も宮司も、かほかしらを 00066130M8いはず、大なる/柑子(かうじ)うちつけたらむやうに、はれあがりぬ。 00066140M9さながらやむべきならねバ、いかにもあれ、/国司(こくし)の御まへ 00066150M10に出て、ことのこゝろ、あきらめ申すべしとて、いたきを 00066160M11/念(ねん)じて、まうし/文(ふミ)もちて、/庁(ちやう)にいでぬ。/守(かミ)、大にいかりて、 00066170M12およそ宮司は、きよくあかきこゝろをもち、いミきよまハ 00066180M13りて、神につかうまつるこそ、道なれ。法師は、/柔和(にうわ)をも 00066190M14て、人をミちびき、後の世のことなど、ときしらす(九ウ) 00066200M15(十オ挿絵)べきを、おのれら、まけじこゝろのつよく、いさ 00066210M16かひうちあひて、/疵(きず)をさへ/蒙(かうむ)りぬること、しづ山がつには、 00066220M17おとりたるこゝろなるはや。よしあしをいハず、その/職(しよく)を 00066230M18めしはなち、とほくおひやらふべけれとも、上のおほんめ 00066240M19ぐミ、ふかくおハして、つミ人のいでくることを、御身に 00066250M20かへ、なげかせおハしませバ、このたびのとがはゆるしつ。 00066260¥P208 00066270¥G(十オ) 00066280L12おのれらがいさかひのはじめハ、桶といふ字のかんなより、 00066290L13事おこりぬ。これ、あがことわるべきことならねど、また 00066300L14もうたへことのおこらざンなるために、をしへしらすなり。 00066310L15かんなつかひのことしるせる/書(ふミ)に、おけ、こをけとかきた 00066320L16るハ、/木(き)もてつくれる桶のことにはあらず。かけむもかし 00066330L17こけれど、(十ウ)/顕宗天皇(けんそうてんわう)、/仁賢(にんけん)天皇ときこへ奉れるハ、 00066340L18御/兄弟(はらから)におハしまして、/兄(このかミ)のミこは/億計(オケ)、/弟(おとゝ)みこは/弘計(ヲケ)と 00066350L19申奉りし。このおほんな、ともに、おけをけにて、まぎれ 00066360L20やすければ、かんなのこと、たがへじとて、弟ミこを、か 00066370M1りに、こをけとしるしつけて、かんなづかひの/書(ふミ)に、かき 00066380M2とゝめ置てしを、/後(のち)の人は、/日本紀(にほんぎ)をだに、えよまざれハ、 00066390M3/先達(せんだち)のこゝろもちひも、いたづらになりて、おけ、こをけ 00066400M4ハ、ミづいるゝうつハぞと、こゝろえあやまちけるなり。 00066410M5また桶の/仮字(かな)ハ、/順(したがふ)あその/書(ふミ)に、/乎計(をけ)とかゝれたれバ、そ 00066420M6れによるべきことわりながら、後の世となりては、歌のミ 00066430M7ちにも、たてたるその筋の家&あれハ、おの+/師(し)にした 00066440M8がひて、をしへのまゝにかゝんこと(十一オ)は、さもある 00066450M9べし。とまれかくまれ、やくなき物あらがひし、さまにも 00066460M10にざる/闘諍(とうじやう)に及びぬること、/奇恠(きくわい)なりとて、しかりて/庁(ちやう)の 00066470M11とにおひやりぬ。宮司も法師も、ふたゝびいひいでむ詞も 00066480M12なくて、こぶのいゆるほど、五十日ばかり、かどをさし、 00066490M13こもりをりけるとかや 00066500¥N9¥J 00066510¥X〔/桶工(をけつくりの)/暴風(わき)をよろこびし事〕 00066520M16都のはしつかたに、桶をつくりてうる男あり。秋のころ、 00066530M17風はげしくふきいでゝ、よろぼひたる家をうちたふし、木 00066540M18の枝をさへ、をりさきなどす。ひはだやのいたのはがれた 00066550M19るが、空にとびかふさま、さながら、たふけの神に、ぬさ 00066560M20まゐらするこゝちす。桶つくり、妻にむかひて、わか家、 00066570¥P209 00066580L1たからにとむべき時きぬ。とく神の御まへに、/ミわ(神酒)、/かし(■) 00066590L2/よね(米)奉りてよと(十一ウ)いふ。つま、のわきはげしかりと 00066600L3て、家のとむべき/道理(だうり)やはある。けうの事いふ男かなとい 00066610L4へバ、女ハあさましきまで、ものゝこゝろを、たどりしら 00066620L5ぬもの也。むかし、から国に/朱買臣(しゆばいしん)といひしかしこき人、 00066630L6わが身、いまになりいでなむといひけるを、そのつまのき 00066640L7ゝもいれで、終にわかれけるが、ほどなく、夫はいミじき 00066650L8/位(くらゐ)をえたりけるを、くやミつるためしもぞある。すべて男 00066660L9のいへることを、あなどりざまにもてなさバ、よき事はあ 00066670L10らじといふ。妻、さらバ、かゝる風につけて、/何条(なんでふ)よきさ 00066680L11ちあるといへば、夫かいはく、風あらく吹ぬれハ、/砂(すな)ほこ 00066690L12りおこりて、人の/眼(まなこ)にいるぞかし。されバ、目をやむ人お 00066700L13ほくいできなむ。これ、よろこびいはふべきことにこそと 00066710L14いふに、つま(十二オ)いよ+いぶかりて、人のめをやむ 00066720L15が、いかで我身のさいはひとハなるととへバ、夫、ふかく物 00066730L16のこゝろたどらざる人は、そのよしをえしらじ。めを煩ふ 00066740L17人おほかれば、ようせずバ目つぶれて、かたはとなりぬべ 00066750L18し。さるかたハになりなバ、法師とこそなるべけれ。めく 00066760L19ら法師はちかき代に、からくによりわたしたる/三絃(さんけん)といふ 00066770L20もの/弾(ひき)て、なりはひとすなり。さらバ、三絃、よのなかに 00066780M1おこなはれぬべし。これ、わがためによきさちのきたれる 00066790M2なりといへバ、妻、しか、三絃の世にはやりゆくとも、身 00066800M3のさいはひとなるべうもなしといふ。夫、そも三絃は、ね 00066810M4こまの/皮(かハ)をもてつくるなり。三絃のはやりゆかバ、世にあ 00066820M5りとしあるねこまのかぎりころされて、(十二ウ)たねつき 00066830M6ぬべし。これ、よきさちのまぢかくきたれる也といふを、 00066840M7猶いぶかりてとへバ、ねこましにたへなば、/鼠(ねすミ)、ときをえ 00066850M8てはびこり、くりやのたな、さずきをいハず、こゝらのね 00066860M9ずミ、ほこりさわぎ、よろづの桶とも、ミなくひやぶり、 00066870M10あるはなげおとして、くだきそこなひつべし。さらバ、わ 00066880M11が家にあきものゝ数まさりて、とミさかゆべきものなるは 00066890M12やと、手うちたゝきて、をどりよろこびけり。ふかきたど 00066900M13りある桶たくミにぞありける 00066910¥N10¥J 00066920¥X〔家乏く成たる男を妻いさむる事〕 00066930M16これも同わたりのあきびと、なりハひのミちには、つや 00066940M17+こゝろをもちひず、家とぼしくなりゆきて、いまハく 00066950M18ふべき物だになくなりぬ。妻なりけるもの、うらミいさめ 00066960M19(十三オ)ていひけるハ、あまりに身におはぬミやびをのミ 00066970M20このミて、月花にのミうかれありきたまへバ、かくおちあ 00066980¥P210 00066990L1ふれて侍。ミなわ君のいふかひなきより、おこりしことぞ 00067000L2かし。となりなるあるじをミたまへ。あしたはくらきより 00067010L3おきいで、ゆふべハ/子(ね)/過(すぐ)るまて/起(おき)ゐて、ふゆの空の/雪氷(ゆきこほり)、 00067020L4/夏(なつ)の日のてりはたゝくにも、たゞなりはひを大事として、 00067030L5立はしりつとめぬれバ、とし+いへゆたかになり、けふ 00067040L6となりては、になき/福者(ふくしや)とハ成にたり。わぎミも、となり 00067050L7のあるじにならひて、いまよりなりハひにこゝろをもちひ 00067060L8給て、ふたゝび家をとまし、過にしむかしにかへしたまへ 00067070L9と、うちなミだぐミていへバ、男、うちはらだちて、こち 00067080L10なき(十三ウ)人のうへをとりなして、あがミやびこゝろを 00067090L11しも、びんなしとうちけちなむとする、おろかなり。とな 00067100L12りのあるじハ、よるひるをいはず、はしりありき、あから 00067110L13さまに、いこふひまだになく、ひとひもやすきこゝろなし。 00067120L14おちゐてたのしめるひは、たゞしはすのつごもり、ひとひ 00067130L15のミなり。わづかにひと日、のどやかにたのしまむとて、 00067140L16こゝらの一とせの日数を、くるしミあへぎて、さわぎまど 00067150L17ひなむこと、いともいとも、おろかなるこゝろにこそ。さ 00067160L18るむしんの人のうへを、われハまなばじといひて、いよ 00067170L19+あざれあそびありきけるとなむ 00067180¥N11¥J 00067190¥X〔文字しらぬ男出家せる事〕 00067200M3ものかくすべだにしらぬ、しれものありけり。いかに世を 00067210M4(十四オ)おもひ、うんじにけむ。山にのぼりて出家してけ 00067220M5り。しぞくなりける人、たつね行て、などて、かうハおも 00067230M6ひすて給ひける。あさましといへば、ゆめまぼろしの世に、 00067240M7さのミ心とゞむべしやハ。よしみねの某、たかミつのあそ 00067250M8などの、ふかきこゝろばへのうらやましくて、かくハのが 00067260M9れつる也といふ。さらバ、さもあきらめてあへなむ。御名 00067270M10をバ、いかにあらため給ひつるととへバ、/さいおん(西音)と、師 00067280M11のつけてたまへるなりといふ。いかなる文字にかととへバ、 00067290M12さいハ/西方浄土(さいほうじやうど)の/西(さい)にて侍り。さて、おんといふ文字こそ、 00067300M13見なれざる文字にてあれ。/真字(まな)もてかきつれバ、六百の文 00067310M14字をあはせたるやうなり。また/草(さう)もてかきつれハ、七百の 00067320M15文字(十四ウ)をあハせたるなりとぞいひける。しぞくなる 00067330M16人、をかしきを/念(ねん)じて、あるやうある文字にて侍りといら 00067340M17へて、いとまこひ、山をくだりていにけり。かゝる人の/道= 00067350M18心(だう=しん)おこしたるは、なか+/堅固(けんご)なるものぞと、人いひき。 00067360M19さる事ありやしらず 00067370¥P211 00067380¥N12¥J 00067390¥X〔大太郎弟子を教る事〕 00067400L3大太郎といへるぬすびとありけり。/弟子(でし)どもをあつめて、 00067410L4ぬすミすべきやうををしふとていひけるは、人の家にしの 00067420L5び入たるとき、ものおとのすれば、其家の/者(もの)きゝつけて、 00067430L6かならず、たそやととがめなむ。その時にげずして、/猫(ねこ)の 00067440L7こゑをなし、また/鼠(ねずミ)のこゑをなすべし。しかすれバ、とが 00067450L8めつるもの、さハねこねすミのさわぐぞとおも(十五オ)ひ 00067460L9て、うちとけていぬるものぞ。またうちいらむずとて、/戸(と) 00067470L10をこぼたんとするに、内にて、なにものぞなどいはゞ、犬 00067480L11の声をせよ。又えびのからをもて行て、くふ/音(おと)をすべしな 00067490L12ど、さま※かしこきことゞも、をしへける。弟子ども、 00067500L13をしへられつるやうに、さま※のこゑをまねいふ中に、 00067510L14一人のいままゐりのものありけるが、いで、えびのからく 00067520L15ふことしてミんとて、とざまにいでゝ、戸のもとにたゝず 00067530L16ミて、からをとりて、犬のくらふやうに、おとたてつ。内 00067540L17にきゝゐる弟子ども、まさしく犬のくらふにたがはず。あ 00067550L18ハれ、かしこくもしたるかなとほむれバ、大太郎きゝて、 00067560L19こゑハよく似たれど、たちながら、くらふべきにあらず。 00067570L20地にふしゐてせよとぞいひける。ぬすびとの(十五ウ)ミち 00067580M1にては、この大太郎にすぎたるかしこきものハあらざりき 00067590M2と、とらハれたる/同類(とうるい)の/者(もの)のかたりけるとなむ 00067600¥N13¥J 00067610¥X〔恋やミし給姫君の事〕 00067620M5むかし、やごとなき御わたりに、いつきかしづき給姫君お 00067630M6ハしけり。御かたち、なべてのきはにおハしまさず、てか 00067640M7き、うたよミ、かいひきたまふすぢも、けしうハおはさす。 00067650M8この姫君、うづきのはじめより、御こゝち、れいにたがひ 00067660M9て、なやミがちにふし給へり。とりたてゝ、こゝぞとくる 00067670M10しがらせ給ふところも見えたまハねど、何となく御かほも 00067680M11つやなく、やせほそりて、おものなども、をさ+まゐり 00067690M12たまハず。ちゝぎみ、心ぐるしがり給て、/寺(てら)&に仰せて、 00067700M13御/祈(いのり)など、こちたくしたまへとも、なほおなじさまにて、 00067710M14/月比(つきころ)になりぬ。ある(十六オ)ひ、御てならひのかミのはし 00067720M15つかたに、 00067730M16△△△あけやすきミじか夜なからおくつゆハ 00067740M17△△△△たがひとりねのとこなつの花 00067750M18とかゝせ給へりけるを、/侍従(じしう)といへるおもとびと、これを 00067760M19とりて、御めのとのざうしにもちゆきて、さゝやきけるは、 00067770M20ひめ君の御ありさまを見参らすれバ、よのつねの御やまひ 00067780¥P212 00067790L1としも見奉らず。とり申さんもかしこけれど、御としも十 00067800L2七におハしませバ、もし人をこひ給ふ御こゝろおハして、 00067810L3所せき御身をなげかせくんじ給へるにやといひて、かの御 00067820L4てならひとりいでゝミすれバ、めのと、手をうちて、さり 00067830L5けり+。此こと、よくとひたづね奉りて、/殿(との)にきこへ奉 00067840L6らハ、いかなる/下臈(げらう)なり(十六ウ)とも、むこがねとなし給 00067850L7ひてん。猶よく姫君にとひたてまつりて、あらハにきこへ 00067860L8奉りてんとて、二人うちつれて、御枕かミちかく参て、か 00067870L9ううちハへ煩はせ給へることを、父君ハさらなり、つかう 00067880L10まつり見奉る人&まで、こゝろうきこと、やらんかたさふ 00067890L11らハず。いかでひとひもはやく、をこたらせ給はなむこと 00067900L12を、神仏にいのり侍て、ミなミ/とき(斎)にて日を過し侍り。も 00067910L13し御心にかけさせ給ふことありて、いかでかくなど、おも 00067920L14ほすことおハさば、あめのしたをさかしまになしても、ミ 00067930L15こゝろのまゝに、なし奉りてむ。つゝまで、おいらかにお 00067940L16ほせ給へかしと申せば、ひめきミ、すこしはぢらひたまひ 00067950L17て、したゆくミづの、とばかりのたまひさして(十七オ)う 00067960L18つふし給を、侍従、こゝろときものにて、なほさしよりて、 00067970L19いかなる人をか、こひさせ給ふなる。まさしく御名をさし 00067980L20て、のたまへと申せど、さらに御いらへしたまハず。こゝ 00067990M1ろミに、もし/某(なにかし)の中納言どの、くれかしの/宰相(さいしやう)のきミにや 00068000M2など、とひたてまつれど、ふつに御いらへしたまハず。さ 00068010M3ハ、れいの御ものはぢの/御本性(ごほんじやう)なれバ、あらハに世の人を 00068020M4さして、とひまゐらせむは、なか+に御いらへもあらじ。 00068030M5物によそへて、その人かの人とも、さして見ばやとおもひ 00068040M6て、ものがたりのふミども、こゝらとり出て、あが御かた 00068050M7のあたりにすミつかせ給、御むこの君は、/光源氏(ひかるげんじ)などや、 00068060M8御こゝろにかなひなましと申せば、ミぐしうちふり給。か 00068070M9れはあだ+し(十七ウ)かれバ、いとはせたまふならむ。 00068080M10/夕霧(ゆふきり)の/大将(だいしやう)のごとき/実法(じほう)なるはいかならむと申せど、猶お 00068090M11なじさまに、いらへたまハず。めのと、さごろもの大将こ 00068100M12そ、あめわかひこもめでつれ、これハいかにときこゆれど、 00068110M13物ものたまハず。さて、かほる・/匂宮(にほふミや)より、かたのゝ/少= 00068120M14将(せう=+)・/在中将(ざいちうしやう)・/平仲(へいちう)などをさへとり出てきこゆれど、つや 00068130M15+いらへだにし給ハねバ、めのと、すゝミよりて、御耳 00068140M16にくちさしよせて、さてはいかなる人か、ミこゝろにはか 00068150M17なふべからむと申せバ、ひめぎミ、さゞやかなる御声にて、 00068160M18まろは、つくしのけんにもあれ、おちくぼの/てんやく(典薬)にも 00068170M19あれ、その人をえらはんこゝろはあらず。たゞいまにもと 00068180M20くいりきて、ふすまかぶりて、ともにねた(十八オ)らむ人 00068190¥P213 00068200L1こそ/恋人(こひびと)とハせめと、の給ひける。めのとも侍従も、めを 00068210L2くハせつゝ、あきれてたちしりぞきけるが、はつこゑきけ 00068220L3バあぢきなく、などいひしろひつゝ、/廊下(らうか)をはしりて、ざ 00068230L4うし+にぞ入ける 00068240¥N14¥J 00068250¥X〔人宿して物とらむとせる女の事〕 00068260L7ゐなかわたらひして、/絹(きぬ)あきなふあき人、日くれぬれバ、 00068270L8ある/家(いへ)の/戸(と)をたゝきて、やどからなむといへバ、うけひき 00068280L9て、あけていれけり。あるじのつまは、おそろしきこゝろ 00068290L10もちたるものにて、このたび人のつゝミのおもりかなるを 00068300L11見て、いかで此つゝミ、わすれてゆけかし。わがものにし 00068310L12てむとおもひて、あるじにさゝやきいへバ、/茗荷(ミやうが)をくひた 00068320L13る人は、こゝろぼけて物わすれするものなりといふをきゝ 00068330L14(十八ウ)て、/あはせ(菜)のミの、ミなミやうがをいれてくはせ 00068340L15つ。さて、あきびとは、あけぐれの空におきいでゝ、たち 00068350L16てゆきぬ。妻ハ、たび人のわすれたるものミむと、ねたる 00068360L17ところにいりて見れバ、つや+ものひとつなし。くハせ 00068370L18つるミやうがハ、しるしなかりけりといへバ、あるじ、い 00068380L19な、/茗荷(ミやうが)こそしるし有けれ。いミじき物、わすれて行ぬと 00068390L20いふ。妻、なにをかわすれたるととへバ、われにあたふべ 00068400M1き/かりて(粮代)のぜに、わすれていにけりといへバ、つま、げに 00068410M2+といひて、いよ+はらたちけり。人をはかりて、も 00068420M3のとらむとして、かへりて、おのれ/損(そん)をしたりける。はら 00068430M4ぐろなるこゝろは、つかふまじき物にぞありける(十九オ) 00068440¥N15¥J 00068450¥X〔かたなり/博士(はかせ)につきて/書(ふミ)借んといふ事〕 00068460M7むかし、かたなりといへるすまひありけり。/明衡(あきひら)といへる 00068470M8はかせの家にゆきて、/孝経(かうきやう)・/論語(ろくご)のたぐひ、しばしかした 00068480M9びてむといふ。あきひら、おどろきて、そこはちかきころ、 00068490M10ゐなかよりのぼりつれバ、をさ+/見参(げんざん)にも入侍らねバ、 00068500M11こゝろざしもしり侍らざりしを、ふミかりいでゝよまむと 00068510M12あるこそ、/都人(ミやこひと)にはまさりて、ありがたくおぼゆれ。世中 00068520M13の人、うはべにハこゝろざしあるやうにもてなすめれど、 00068530M14じちにこのめる人は、いとすくなく侍り。さて/孝経(かうきやう)・/論語(ろんご) 00068540M15なむ、/注(ちう)しつけたるふミ、まち+にわかれて、/数(かず)おほく 00068550M16侍る。孝経ハ/御注(ごちう)にや。/安国(あんこく)が/伝(でん)は、/清和(せいわ)の/帝(ミかど)の/仰(おほ)せごと 00068560M17にて、こゝにはをさ+もちひざれど、よまむとならバ、 00068570M18(十九ウ)(二十オ挿絵)かしまゐらせむ。/論語(ろんご)ハわうかんか/疏(そ) 00068580M19こそ、をかしきものなれ。いづれをかといへバ、かたなり、 00068590M20あまりにほめたてられて、まバゆきこゝちして、かひつく 00068600¥P214 00068610¥G(二十オ) 00068620L12りていひけるハ、ふミをかりまゐらするは、/学問(がくもん)のために 00068630L13は侍らず。うるハしき/文字(もじ)をミつけて、/背(せ)なか、かひなの 00068640L14あたりをえり、いれずミして、人にほこらばやとおもひ侍 00068650L15る也といへハ、あきひら、あきれて、すさまじげなるおも 00068660L16ゝちして、やがて/奥(おく)ざまにいりにけり 00068670¥N16¥J 00068680¥X〔越前守が/下部(しもべ)水仙花を/愛(めづ)る事〕 00068690L19/越前守(ゑちぜんのかミ)なりける/人(ひと)、/任(にん)はてゝ、ミやこにのぼらむとしける 00068700L20に、/ずざ(従者)のすくなかりけれバ、そのわたりなる/男(をとこ)/一人(ひとり)、/具(ぐ) 00068710M1していでたちけり。かへりつきて、/日比(ひごろ)へてのち、/守(かミ)のい 00068720M2へ(二十ウ)らく、けふの/夕(ゆふ)ぐれ、/まらうど(客)をむかへつべし。 00068730M3その/用意(ようい)せよといひて、はなちでのすのこに、はなかめを 00068740M4すゑて、/水仙花(すいせんのはな)あまたさゝせおきつ。かのずざ、/庭(にハ)のあた 00068750M5りミづうち、かひはきなどしてありしが、はなかめをミつ 00068760M6けて、やがてよりきて、つとうちまもり、ひたひおしあげ、 00068770M7あな、あやし+といふ。かたはらにあるものゝ、なに事 00068780M8ぞ、ことさらびいふなるハといへバ、あが/国(くに)は六郡ながら、 00068790M9こしのしり、なかの国をあはせては、いとひろう侍り。を 00068800M10さなきころより、さるわたりゆきかよひ侍れど、いまだか 00068810M11ゝるものを見ず。げにミやここそ、世にミへぬけうのもの 00068820M12ハあなれと承りつるを、まこと、さにてありけりといふ。 00068830M13さるハなにをか、めづら(廿一オ)しういふぞととへバ、か 00068840M14れ、ミたまへ、人&。/ふゆき(冬葱)に、しろき花のさきいでゝあ 00068850M15り。これ、めづらしからで、なにかめづらかならむといふ 00068860M16+、ゑミこたれ、すのこにひぢかけ、つら杖つきて、と 00068870M17バかりまもりゐけり。家のうちのもの見て、ミなわらひと 00068880M18よむ。守もきゝて、まらうとにかたりて、わらひけるとな 00068890M19む 00068900¥P215 00068910¥N17¥J 00068920¥X〔未央宮の/瓦硯(かハらのすゝり)重宝とする事〕 00068930L3/伊豫守(いよのかミ)なりける人、/未央宮(びあうきう)の/瓦(かハら)もてつくれる/硯(すゞり)をもたり。 00068940L4これ、/道風朝臣(たうふうあそん)のかたはらはなさず、/重宝(ちようほう)とし給へるもの 00068950L5にて、天下にさうなきもの也とて、つねには/秘(ひ)めおきて、 00068960L6いださず。ミなつきのころ、いさゝか風にあてむと、/筥(はこ)を 00068970L7ひらき、つゝミをとき、とり出して、人にもほこりてミせ 00068980L8けり。めのとの/夫(をつと)なりけるもの、此比ゐなかよりのぼり 00068990L9(廿一ウ)きてありけるが、とりミて、この硯、はじめもと 00069000L10め給ひし時、いかばかりの/価(あたひ)をか、いだし給へるととふ。 00069010L11/守(かミ)、こがね百両もてかひつといへハ、/舌(した)をしゞめ、そゞろ 00069020L12に身をふるハしつゝ、さて+、おそろしきまでたふとき 00069030L13あたひにも侍るかな。そのもとをたづね侍れハ、これ、土 00069040L14もてつくれるものにて侍り。かうさゞやかなる物にしも、 00069050L15こがね百両のあたひあなりと、承り侍れバ、こぞもとめて、 00069060L16あが家にすゑて侍りし/へつひ(竃)のあたひこそ、こよなういや 00069070L17しく、やすきものには侍りけれといひける。ゐなか人のこ 00069080L18ゝろにハ、さもおもひつべし。かうざまのことをきゝて、 00069090L19こち※しなど、そしりわらひて、ふるものめであつかふ 00069100L20人の、さしもかしこからむ。物をもて(廿二オ)あそびぬれハ、 00069110M1こゝろざしをうしなふなりとか、ふるきふミにも見へたる 00069120M2をや 00069130¥N18¥J 00069140¥X〔北面実持人をとふらふ事〕 00069150M5しはすのころ、/北面(ほくめん)/実持(さねもち)といふもの、したしき人がりゆき 00069160M6けるに、あるじ、いとさむし。まらうどに、おましまゐら 00069170M7せよといへバ、わらハ、こゝろえて、もてきたるをミれバ、 00069180M8くまの/皮(かハ)のあつらかなるしきかハなりけり。さて、うちし 00069190M9きて、おなじさまにものかたりしてありけるとき、こゝろ 00069200M10もなく、手をもて、しき皮のうへをかいなで+しけるが、 00069210M11つきもなきに、こゑうちあげて、あがつまも、まうとに、 00069220M12よくきこへてよと、ことつて侍りきといひけり。何事のこ 00069230M13ゝろにうかびて、かうあうなくいひいでたりけむ、いとい 00069240M14ぶかし(廿二ウ) 00069250¥N19¥J 00069260¥X〔貧人/従者(ずざ)を雇はむとする事〕 00069270M17まづしき人ありけり。むつきのよろこびまうしに、いでた 00069280M18ゝむとて、ずざのなきまゝ、人をやとひにやりたりけるが、 00069290M19ぐしてきつる者をミれバ、衣やれ、あかしミて、いときた 00069300M20なげなれバ、かくては人わろかりなむ。きかへてこといへ 00069310¥P216 00069320L1バ、此ほかにハ、ころももちて候ハずといらふ。さらバ、 00069330L2供に具せむも、なか+かゝやかし。いまは用なし。かへ 00069340L3りねといへバ、やとひ人、衣のミぐるしくて、人わろしと 00069350L4おぼさバ、ミちのほど一二町ひきさがりて、御ともつかう 00069360L5まつらむは、いかにとぞいひける。さるにても、/具(ぐ)せざら 00069370L6むにはまさりなむや、しらず 00069380¥N20¥J 00069390¥X〔/椿市(つばいち)の宿りの事〕 00069400L9/初瀬(はつせ)ハあらたなるしるし見せ給とて、ミやこひなをいハず、 00069410L10まうでくる人おほかり。十七八日のころ、つば市のわた 00069420L11(廿三オ)りハ、/宿(やど)かる人ゐこミて、おしあひたり。やどの 00069430L12あるじ、こよひハ、ことにまらうどおほけれバ、かしまゐ 00069440L13らすべき/枕(まくら)たらハず。いかにせましとおもひけるが、きと 00069450L14おもひつきて、/隣(となり)なる/木履(きぐつ)うる家にゆきて、ひらあしだな 00069460L15どかりもてきて、枕にかへて、まらうどにいだしつ。おの 00069470L16+/寐(ね)しづまりてのち、十ばかりなるわらハの枕のたふれ 00069480L17て、めのさめけれバ、またとりよせて、かしらうちのせて 00069490L18眠けるが、やゝねいりぬれバ、またまくらすべりて、目を 00069500L19さましつ。かくいくたびとなくたふれて、ねられざりけれ 00069510L20は、その父をよびおこして、夜ひとよ、まくらのたふれて、 00069520M1いもねず。ひぢ枕していねむと思へど、もしこのあしだの 00069530M2まくらせずして、あす/観世(くわんぜ)(廿三ウ)/音(おん)に参りなバ、御ばち 00069540M3やかうふりなむ。いかにせましといひける。いとをさなく、 00069550M4いとほしかりけり 00069560¥N21¥J 00069570¥X〔琵琶法師夕立に逢事〕 00069580M7びは法師の、人のもとによばれて、夜いたくふけて、帰り 00069590M8きける道にて、ゆくりなくゆふだちのふりいでけるに、ミ 00069600M9のかさもなかりけれバ、しとゝにぬれつゝいそぐを、雨ハ 00069610M10なほをやミなく、神さへなりはためきて、わびしき事かぎ 00069620M11りなし。手をあはせて大空を/拝(をが)ミつゝ、なも/八大龍王(はちだいりうわう)、此 00069630M12あめ、しばしやめたうびなんと、うちいのりつゝゆく。/野= 00069640M13中(の=なか)なれハ、たちよるべき木かげだになし。雨はたゞふりに 00069650M14ふりて、/盆(ぼん)の/水(ミづ)うちかたふくるやうにふりきて、かほかし 00069660M15らにあたるだに、いたさ、しのびがたし。法師、ころもぬ 00069670M16ぎ、たふ(廿四オ)さきばかりになりて、大地に座し、しろ 00069680M17きまなこ、大きにミひらきて、空をにらミ、こゑあげてい 00069690M18ひけるは、ふれかし、ふれかし。たゞふりにふれかし。め 00069700M19くらほうしひとり、雨にうちころしたらむ、いミじき高名 00069710M20ならむとぞ、よばゝりける。こゝろひがミぬるものは、あ 00069720¥P217 00069730L1るまじき事をもいひけり 00069740¥N22¥J 00069750¥X〔竹垣をくゞりて首出ざりし男の事〕 00069760L4えせさふらひ、加茂まつりのかへさに、あき人の家に、/横= 00069770L5笛(よこ=ふへ)のありけるを、とりてミつゝ、ふとひとさしのおよびを、 00069780L6くちにさしいれけり。ぬかむとすれど、ぬけず。つよくひ 00069790L7けば、/指(ゆび)いたミて、たへがたりければバ、この笛、われか 00069800L8ひてむといひて、/価(あたひ)をやり、家にかへらバ、ふえううくだ 00069810L9きてとらましとおもひて、指につきたる笛、さながらうち 00069820¥G(廿五オ) 00069830M1ふりて、あゆミ行ける道に、(廿四ウ)(廿五オ挿絵)/竹垣(たけかき)しこ 00069840M2めたる家ありて、たへ+/琴(こと)の/音(ね)のしけれハ、ゆかしくて、 00069850M3かいまミせんところもがなと、ミめぐりて、/竹垣(たけかき)のすこし 00069860M4ひまあるところをミつけて、もろでにおしわけ、かしらさ 00069870M5しいれて見れバ、/卯花(うのはな)たかやかにさきミだれて、よくも見 00069880M6へねど、すだれすこしミじかくまきあげて、女四五人居た 00069890M7り。なに事にかあらむ、うちわらひなどするを、めもはな 00069900M8たず、のぞきてあるに、おくのかたより人のいできて、何 00069910M9ごとか、つげきこゆれバ、すだれおろして、ミないりぬ。 00069920M10いとなごりなく入にけるかなと、興なくて、かへらましと 00069930M11おもひて、くび引いでむとするに、ぬけず。はじめ、あな 00069940M12がちにくゞり入て、もろでに竹をおしわけゐたりけるゆゑ 00069950M13にや、/縄(なハ)つよく(廿五ウ)しまりてぬけず。さりともと、も 00069960M14だへけれハ、いよ+つよくしまりて、いまはのどもくび 00069970M15るゝばかりになりぬ。くるしさに、うゝとうめきけれバ、 00069980M16あるじなるべし、竹垣のもとに人のこゑするハ、なぞとて、 00069990M17ちかづきよるをミて、このさふらひ、大なる声して、いか 00070000M18にこのたけかき、われにうりたうびなむとぞいひける。よ 00070010M19く+あわてたりけむと、をかし 00070020¥P218 00070030¥N23¥J 00070040¥X〔袴着の姫君をいさむる/乳母(めのと)の事〕 00070050L3むかし、しれ+しき姫君おハしけり。御/もぎ(裳着)のよろこび 00070060L4の日とて、女房たち、そゞきあへり。めのとなりける人、 00070070L5姫君にむかひまゐらせて、御もきそめさせ給ひてハ、きの 00070080L6ふまでとは、ことかはりぬれバ、よろづおいらかに、しづ 00070090L7まらせたまひ、おほどかなる御もてなしこそ、あらまほし 00070100L8けれ。(廿六オ)たとひくだものなど、人&まゐらせ奉ると 00070110L9も、つや+見いれ給ハで、ほしげなる御もてなし、なし 00070120L10たまひそ。くだ物など、そぼれとりくふ人は、まだ袴など 00070130L11もきぬ人のうへにて候ぞなど、いさめきこゆれバ、うなづ 00070140L12かせ給を、いふかひありと、うれしとミたてまつる。さて 00070150L13四五日を過して、御母君の御おろしとて、めのと、ひとま 00070160L14なる所にて、/栗(くり)をむきて、ほろ+とくひ居けるを、ひめ 00070170L15きミ見つけ給ひて、まゝは、いかで、もぎのよろこびも、 00070180L16まだせざりしやと、たちはしりおハしてのたまひけり。女 00070190L17房たちも、おとがひをときて、ミなわらひけり 00070200¥N24¥J 00070210¥X〔/学生(がくしやう)源の/広(ひろし)が家のわらはの事〕 00070220L20/学生(がくしやう)/源(ミなもと)のひろしが家に、わらハあり。つねに/主(しう)につきて、 00070230M1/文(ふミ)(廿六ウ)よむことをならひけり。あるとき、家のおとな 00070240M2にむかひていひけるハ、もろこし人は、すべてあらぬいつ 00070250M3はりことをぞいふなる。/学問(がくもん)の/道(ミち)ハ、なか+/世(よ)に/用(よう)なし 00070260M4といふ。おとな、何事のありて、さハいふぞととへバ、わ 00070270M5らハ、いまほど/李太白集(りたいはくしふ)をよミて侍るに、/白髪三千丈(はくはつさんせんぢやう)とい 00070280M6へる/句(く)あり。これ、かぎりなきそらことならずやといふ。 00070290M7おとな、あらず。わぬしがものまなびすることのたらざれ 00070300M8ば、さる/疑(うたが)ひもいでくる也。いま/大学(だいがく)に/入(いり)て、おほざうの 00070310M9はかせの御まへにて、/学問(がくもん)して見よ。さるうたがひハはる 00070320M10けなむ。そも+かしこは、/我(わが)ひのもとにハまさりて、/国(くに) 00070330M11も四百/余(よ)/州(しう)ありとか。さるひろきところなれバ、さバかり 00070340M12/髪(かミ)ながき人もあらざらむやハ。わぬし、/論語(ろんご)をバよミ(廿 00070350M13七オ)たるべし。かのふミに、/顔淵鬢四間(かんゑんびんしけん)とこそ見えたれ 00070360M14といへバ、わらハ、げに+といひて、うなづきけるとか 00070370¥N25¥J 00070380¥X〔/検非違使(けひいし)の/下司(したつかさ)となりたる人の事〕 00070390M17はかまだれといふぬすびと、/所&(ところ+)おしいり、人をころし、 00070400M18物をぬすむなりとて、ミやこの/辻&(つじ)、一町ごとに/小屋(こや)つく 00070410M19りて、夜昼三人ツヽ、まもりてあれと、/検非違使(けんひいし)の/庁(ちやう)より、 00070420M20ふれしらす。なほ、/番(ばん)のものゝをこたりもぞするとて、/下= 00070430¥P219 00070440L1司(した=つかさ)、/昼夜(ちうや)ミめぐらひて、番人のかずをあらたむべきのさだ 00070450L2めになりける。これによりて、下司に人あまたそへける中 00070460L3に、いミじくまづしき人めされて、この/役(やく)にぞくハヽりけ 00070470L4る。/大(おほき)によろこびて、きのふまで、はしたなめ、そしりけ 00070480L5るものどもに、いきほひつきたるほどをも見せましなど、 00070490L6(廿七ウ)こゝろにかまへ居たり。さて、ミめぐりありくに 00070500L7は、/従者(ずざ)三人ばかり/具(ぐ)すべきれいなるを、この人、ずざの 00070510L8なかりければ、俄に人をやとひて、ひきつれて出ける。わ 00070520L9がいへのちかきあたりに、番の小屋ありけるを、ちかより 00070530L10て、番人やあるとよべど、いらへするものなし。いらちて、 00070540L11大こゑによべバ、むかひなる竹垣の門の中より、老かゞま 00070550L12りたる翁出きて、ついゐてぬかづく。おのれ、番人かとい 00070560L13へバ、さに侍りといらふ。いかで小屋をあけて、番せでは 00070570L14あるぞ。おほやけの仰せことを、きやう※に思ひてある。 00070580L15かろからぬつミなり。/別当(べたう)の/庁(ちやう)に申て、うきめミせてん。 00070590L16おのれ、たれぞ。なのりせよといへバ、翁かしこまりて、 00070600L17おの/がれ((ママ))、まことは番人にてハ候ハず。むかひなる家の/門(かど) 00070610L18もりにて(廿八オ)侍れど、たゞいまのほど、しばし小屋の 00070620L19あたり、こゝろつけ見てあれと、やとはれて侍り。さるを、 00070630L20名をとハせ給て、をこたりをせめ給なむには、まことの番 00070640M1人の、いでこむをまちたまひて、とハせ給ひねと申す。さ 00070650M2らバ、まことの番人ハいづくにあるととへバ、ひとりは/風= 00070660M3病(ふ=びやう)おもきにたへで、おやの家にかへりて侍りといふ。され 00070670M4ど、三人と定まりたる番人なれバ、いま両人ハ、いかでこ 00070680M5ゝにはあらざる。いづくにゆきたるといへど、翁たゞ、お 00070690M6ぢかしこまりたるのミにて、いらへせず。いかにや、おれ、 00070700M7しらざるやうやある。いへ+とせむれば、翁、やう+ 00070710M8にかしらをもたげて、申すにつけては、はゞかり候へども、 00070720M9せめてとハせ給へバ、/告(つげ)奉るなり。御供に/具(ぐ)し給て、御太 00070730M10刀持たる(廿八ウ)者と、大かさもちたる男こそ、こゝの番 00070740M11人にハ候へと申せバ、すこしをかしくなりけれど、念じて、 00070750M12いかにまれ、番すべき者の小屋にあらざるこそ、ゆゝしき 00070760M13くせごとなれ。ふたゝびかゝる事あらバ、/庁(ちやう)に申さむずる 00070770M14ぞといへば、太刀もち、かさもちと二人、ひたひ、地にう 00070780M15ちつけて、このゝち、さること仕らじ。けふバかり、かく 00070790M16て侍なんとぞいひけるうしろで、をかしとハ、よのつねな 00070800M17りきと、見たる人のかたりつたへけるとか 00070810¥N26¥J 00070820¥X〔/某(なにかし)入道のわらは柳をまもりたる事〕 00070830M20/某(なにかし)の/入道(にうだう)といふ人あり。人のもとより、/柳(やなぎ)のおろし枝を 00070840¥P220 00070850L1もらひて、これ、/庭(にハ)にさして、おほしたてばやとて、つか 00070860L2ひけるわらハにいひつけて、/垣(かき)のあたりにさゝせつ。さて、 00070870L3子どもなど入きて、ぬきもぞする。よく守りてをあれとい 00070880L4ひつけ置ぬ。(廿九オ)わらハ、そのひより、すのこに机も 00070890L5ていでゝ、てならひしつゝ、柳まもりをり。七日ばかりす 00070900L6ごして、入道、庭におりたちて、此柳、こどもやぬきなま 00070910L7しとおもひつるを、さもせざりけり。をこたらずまもりけ 00070920L8るかひありとて、わらハをほめけり。さるにても、/夜(よ)のま 00070930L9に、子どもの入来て、ひきぬかむには、しりてとがめむや 00070940L10うもあらじを、かしこくも、/夜(よる)/入(いり)こざりけるよといへバ、 00070950L11わらハ、したりかほに袖かきあハせて、さにて侍り。夜の 00070960L12まにぬきとられむにハ、守りつるかひなしとおもひ給へて、 00070970L13/例(れい)も初夜すぎぬれハ、ひきぬきて/筥(はこ)にをさめて、/夜明(よあけ)て/後(のち) 00070980L14ぞ、さし侍りつるといふに、入道もあきれて、大くちひろ 00070990L15げ、きたなきはむき出して、わらハれけりとか(廿九ウ) 00071000¥N27¥J 00071010¥X〔/同(おなしく)/童(わらハ)藁にふしていねたる事〕 00071020L18おなじわらハ、まだ入道のもとに参りこで、ちゝのもとに 00071030L19ありけるとき、まづしくて、ふすまだになかりけれバ、夜 00071040L20ハわらをしきてふしける。わらハ、人の前にてもはゞから 00071050M1ず、わらにふすことをいひけれバ、父、ひそかにしかりて、 00071060M2人わろし。わらとばし、ないひそ。ふすまきて、ねたるふ 00071070M3りせよとぞをしへける。あるあした、ちゝ/起出(おきいで)て、まらう 00071080M4どゝものかたりして居けるに、えぼうしに、わらしべのか 00071090M5ゝりてありけるを、わらハミつけて、てゝきにものきこえ 00071100M6む。えぼうしに、ふすまひとすぢ、かゝりて侍りといひけ 00071110M7る。あな、うたてしやな 00071120¥N28¥J 00071130¥X〔丹後国の/痴人(しれもの)龍宮に行たる事〕 00071140M10/丹後国(たんごのくに)に、しれたる男ありけり。うら/嶋(しま)が子の事をつたへ 00071150M11きゝて、/我(われ)も、いかで/龍宮(りうくう)に/行(ゆき)てミむとて、つねに/浜(はま)づら 00071160M12に(三十オ)/出(いで)て、さまよひあるきける。/亀(かめ)のふしをるをミて、 00071170M13これや龍宮の/あない(案内)かとて、/甲(かふ)のうへにのりつゝミけるが、 00071180M14こへふとり、したゝかなる男なりけれバ、かめはおしにう 00071190M15たれて、ひしげ/死(しに)けるもおほかりき。されど、こりずまに、 00071200M16うミべに出て、さまよひありきける。あるひ、あてやかな 00071210M17る女いできて、われは龍宮のつかひなり。いざたまへとい 00071220M18へバ、うれしくて、いかにしてゆかまし。まなし/かたま(篭)や 00071230M19あるととへバ、女、たちまち大なるかめとなりて、/沖(おき)のか 00071240M20たをさしてあゆむを、こゝろえつとて、やがてのりて行け 00071250¥P221 00071260L1り。さて、龍宮にいたりて、/龍王(りうわう)の御前にまゐりて、われ 00071270L2はいミじきつはものにて侍り。みかミ山にすめるむかでな 00071280L3りとも、やすく射おとしてまゐ(三十ウ)(卅一オ挿絵)らせむ。 00071290L4また、あまが/乳(ちゝ)のしたにかくせる玉など、とりかへさむこ 00071300L5とは、ことにもあらず侍りなど、さま+ほこらしきこと 00071310L6をならべて、ことよくいへども、龍王たゞ、むゝとわらひて 00071320L7のミおハさうす。きゝしにはやうかハりて、めづらかなる 00071330L8まうけだになけれバ、すさまじとおもひて、しぞきて、ひ 00071340L19とまなるかたに出ぬ。さて、めのわらハのすぐるをよびて、 00071350¥G(卅一オ) 00071360M1おと/姫(ひめ)きミハといへバ、このごろ、おもき御なやミにて、 00071370M2ひきこもらせおハしぬといらふ。われハむこにならなむと 00071380M3てきつるを、さてはかひなしなどおもひをり。やをらあゆ 00071390M4ミて、とのかたに/出(いづ)れバ、/門(かど)のあたりに、くらげといふも 00071400M5のゝゐていひけるハ、わぬしのきもをとりて、おとひめ君 00071410M6のミくすりに(卅一ウ)すなりといふ事きゝつといふ。さハ、 00071420M7われを/猴(さる)とおもひたがへつるなめりと、そゞろにおそろし 00071430M8くて、いかにもして、にげて出なまし。さもあらバあれ、 00071440M9/玉(たま)の/箱(はこ)といふものぬすミてとりもちいかましとおもひて、 00071450M10その/夜(よ)しのび入て、からうじて玉のはこ、ぬすミいだしつ。 00071460M11さて、/ついひぢ(築土)をこへていでけるが、もとよりうミべにお 00071470M12ひたちて、かづきするわざハ、よくれんじたりけれバ、/浪(なミ) 00071480M13かきわけつゝ、やう+もとの/浜(はま)べにかへり出たりける。 00071490M14うらの者どもミて、いかでかへりきたまへる。人にきけバ、 00071500M15かつをつりに/鯛(たい)つりにとハいひ侍れど、/七日(なぬか)まで見えたま 00071510M16ハざれバ、やすからぬ事と、とり※申き。まづ/手(て)にもち給 00071520M17へるものは、なにぞととふ。これ(卅二オ)龍宮にてとりえ 00071530M18てきたる玉のはこといふもの也。いミじき/宝(たから)なりといへバ、 00071540M19さぞ侍らむとうちミて、龍宮のものならバ、/光(ひかり)かゞやきな 00071550M20んを、これハいと/古代(こだい)なる物とミへて、ふちなどもかけそ 00071560¥P222 00071570L1んじ、うるしも所&はげおちてミゆるなり。されと、/用(よう)あ 00071580L2るものにこそといふ。この男、/箱(はこ)をあまたゝびおしいたゞ 00071590L3きて、いで、ひらきて、人&にもをがませてん。そこらひ 00071600L4かりかゞやくべけれバ、ようせずハ、眼くるめきなん。そ 00071610L5のこゝろせよとて、むすびたる/紐(ひも)ときて、さハひらくぞと 00071620L6てあけつれバ、いさゝかのひかりだに見へず。ほろ+と 00071630L7こぼれて、おつるものあり。よりてミれバ、ふるきわらく 00071640L8つ、ひらあしだ、たび、うらなしなどの、やぶれほころび 00071650L9たるが、こゝらいれてありけり。(卅二ウ)人&、さて+ 00071660L10といひて、あざミおどろきて、あきたる/口(くち)をふさぐ者もな 00071670L11し。この男のけしからぬこと、おもひつきぬるを、はやう 00071680L12/狐(きつね)のしりて、にくがり、かうばかしたりけるとぞ、うらの 00071690L13ものどもはいひける。ものうらやミせんハ、よしなきこと 00071700L14にこそ(卅三オ) 00071710¥Y1しミのすみか物語下終(卅三ウ) 00071720¥Q 00071730L18此書五老石川子所著也。余嘗在東都時借鈔某家。頃日書肆 00071740L19東璧堂乞上梓之。乃校正以与之 00071750L20△△△甲子孟春△△△△尾張△△△朝田保清識(卅四オ) 00071760¥G(卅四オ) 00071770¥Q 00071780M13文化第二乙丑春開彫 00071790M14△△△大坂唐物町 00071800M15△△△△△△河内屋太助 00071810M16△△△江戸山下町 00071820M17書肆△△△△萬屋太次右衛門 00071830M18△△△尾府玉屋町 00071840M19△△△△△△永楽屋東四郎梓 00071850M20△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(卅四ウ) 00071860¥P223 00071870¥U噺本大系△第十九巻 00071880¥T/白癡(しれもの)/物語(ものがたり)〔内題〕 00071890¥G 00071900¥Y 00071910L16文政八年夏序 00071920L17遠藤春足作 00071930L18石川雅望序 00071940L19六&園春足自序 00071950L20半紙本二巻合一冊 00071960¥Y 00071970M2王■州作左逸短長一時 00071980M3游戯以資談柄但以其修 00071990M4■立説摸擬逼真人喜 00072000M5其行文之妙不復以戯筆 00072010M6視之也阿波人遠藤春香 00072020M7新着白癡物語亦復戯筆 00072030M8耳其所栽者多是生平耳(序一オ) 00072040M13目新触可喜可咲之説話 00072050M14鄙俚猥褻無所不至使人 00072060M15解頤棒腹不能自己而其 00072070M16辞則古諺嫺雅一如読宇 00072080M17治拾遺古今著聞等書是 00072090M18豈尋常作者所可得彷 00072100M19彿歳其事雖戯而其文不(序一ウ) 00072110¥P224 00072120¥Y 00072130L2戯矣雖日我邦出王■妙 00072140L3亦未為悖也春香専攻国 00072150L4学遊本居大平之門又嗜 00072160L5狂歌師六樹園宜無其文 00072170L6字鍛錬之■乃能如此及索 00072180L7其序不得不費而言之乙酉 00072190L8夏五平山池相孫題(序二オ) 00072200L11△△△△恭斎河三千書(序二ウ) 00072210¥Y 00072220M1此しれものゝ物語は、阿波国なる遠藤春足ぬし、わらハと 00072230M2ものこへるまゝに、かきてあたへたるものとなん。さるハ 00072240M3いミしきすき人にて、もろこしとなく、やまとゝなく、な 00072250M4にくれの書とも、のこるくまなくとりあつめ、みわたし給 00072260M5ひつるうへ、本性のさとくかしこくおはすれは、さえのほ 00072270M6と、すか+(序三オ)とのほりゆきて、はやう世にたくひ 00072280M7なき、はかせたつ人とハなり給ひぬ。おのれ、ちさとをへ 00072290M8たてゝすまひぬれと、此ぬしのミやひこゝろのことなるを、 00072300M9ふかくしたふまゝに、かたみに文とりかはしつゝ、うるは 00072310M10しうむつひかハしつ。一日かゝる書おくりおこせてけるを、 00072320M11まきかへしよみ見るに、けに此比の(序三ウ)人の筆つかひ 00072330M12にも似す、あてにおかしく、見ところありて、またたくひ 00072340M13あらしはやとおほえつ。さてなん、たゝにすくしかたくて、 00072350M14このはしつかたをかいよこすも、やさしき人のかたへにハ、 00072360M15はちかゝやかしきこゝちのするや(序四オ) 00072370M17△△△△△△△△△△△△△△△六樹園のあるし 00072380M18△△△△△△△△△△△△△△△△△石川雅望 00072390M19△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序四ウ) 00072400¥P225 00072410L1おのれ、はやう戯れに猿蟹物語といふものをかきて、わら 00072420L2ハともにとらせけれハ、いみしうよろこひつゝ、なほをか 00072430L3しきものかたりあらハ、いかてとくかきてたへといふ。を 00072440L4りふし雨ふりて、いとつれ+なりけれは、いてやとて、 00072450L5としころ見きゝたる笑ハしきことゝもを、ひとつふたつ、 00072460L6つふつふとかきつけたる。かく二巻のさうし(序五オ)とは 00072470L7なりぬ。さて、こその春、江戸にものしけるついて、是を 00072480L8師の君のもとにもてゆきて、見せまゐらせけるに、にしむ 00072490L9ら何かしといへる書屋のあるしのきてありけるか見て、こ 00072500L10れ、おのれにたへ。いたにゑりはへらむといふ。さはれ、 00072510L11かうさまのたはれことを、いかて世の人にみせ侍るへきと 00072520L12いへは、師の君、いな。もろこし(序五ウ)人も、はやう笑 00072530L13林広記、笑府なといへるものをさへ、かきてあなれは、な 00072540L14てうことかあらむ。たゝとくと、の給へるまゝに、さらハ 00072550L15ともかうもとはいらへぬ。さて、これか名ハいかにものせ 00072560L16ましなといふをりから、ふと風の吹きて、師の御かたハら 00072570L17なるはゝきゝの巻を、はら+とふきかへしけるに、ゆく 00072580L18りなう頭中将の、われハしれ(序六オ)ものゝ物かたりせん 00072590L19との給へること、見えけれハ、これこそ、おのれかこゝろ 00072600L20にハはへれといへは、師も、けに+との給へるまゝに、 00072610M1やかてこの巻のなとはなしつ 00072620M3△△△△△△△△△△△△△△△△六&園春足 00072630M4△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序六ウ) 00072640¥P226 00072650¥Y1白癡物語巻之上 00072660L4△△△目録 00072670L5某の家人等耳しひたる女におびやかされたる事 00072680L6某の尼鳴門見にゆきたる事 00072690L7学生家焚たる人をとふらふ事 00072700L8何がし痳病の事 00072710L9かいもちひ好む童の事 00072720L10大物上人児をかへして後歌よミたる事 00072730L11某のひじり童をすかしてかたらふ事 00072740L12亀ノ浦方桐ノ政男等江の島にまうづる事(一オ) 00072750L13某女のもとにやどりて郭公の鳴を聞たる事 00072760L14何がしのずさものまうでの用意したる事 00072770L15某の娘めしうどにいでんとてげむざんにゆく事 00072780L16土佐某の絵を見てろうじたる翁の事 00072790L17何がしもミぢ見にいきたる事 00072800L18なき女の事 00072810L19某藤の花を見て短冊つけたる事 00072820L20饅頭を見て妻をおもひたる人の事 00072830M1月見ることをひが心得したる男の事 00072840M2髑髏をひろひて葬りたる人の事(一ウ) 00072850M3何がしの大納言の北方の事 00072860M4腹とりの法師が笛ふくをきゝてあやしミたる男事 00072870M5はらをそらして寐たる女事 00072880M6ものいミするおうなの事 00072890M7某の寺の下部琴かりにゆきたる事 00072900M8何がし女と寐てものがたりの事 00072910M9某の番匠はしたものをよばひたる事并長哥(二オ) 00072920¥P227 00072930¥T1白癡物語巻之上 00072940¥N1¥J 00072950¥X○某の家人等耳しひたる女におびやかされたる事 00072960L5それの里に、何がしとかいひて、酢をつくりて売家ありけ 00072970L6り。ある夜、子ばかりにや、人のきて戸をおびたゝしくう 00072980L7ちたゝきければ、家人きゝつけて、たそ+といへども、 00072990L8ふつにこたへず。何ごとぞ+とゝへども、猶きゝもいれ 00073000L9ずて、たゞ板戸もわれぬばかり、ひたゝたきにたゝきぬ。 00073010L10さは盗人などのきたるを見出たるにや。さらずバ、ちかき 00073020L11あたりに火などの出たるにこそと、いミじうあわてまどひ 00073030L12つゝ、家の人のこりなうおき出て、いそぎ、やり戸おしあ 00073040L13けて見れば、/四十(よそぢ)ばかり(三オ)なる女の、ふるびたるまり、 00073050L14もちたるがたちをり。何ごとのありて、かうあわたゝしう 00073060L15ハおどろかい給ひたるとゝへハ、銭一文とうでゝ、これ、 00073070L16酢にかへ給へといふ。人&うちはらだちて、くやつ、はや 00073080L17うかばかりにとひたるに、などゝく、さはいはざるといへ 00073090L18ば、しらず顔にて、わが夫まちてあり。とく給へといふ。 00073100L19あまりにけしからずおぼえければ、此しれものめ。いづく 00073110L20よりかきつると、あらゝかにいへば、今は/子(ね)二つにや侍ら 00073120M1んといらへて、なほ、したり顔なりけるにぞ。さハみゝし 00073130M2ひたる女としられて、笑ひけるとぞ 00073140¥N2¥J 00073150¥X○某の尼鳴門見にゆきたる事△(三ウ) 00073160M5わがさとに、としごろおこなひたる尼ありけり。一とせ、 00073170M6隣なるおうなとゝもに、三十三所の/大悲者(だいひざ)を順礼せんとて 00073180M7出たちて、岡崎といふ所にやどりぬ。こゝハ淡路との境ニ 00073190M8て、行さきハ/海路(うミぢ)なるを、あけの日は、てけあしとて船出 00073200M9さねバ、すべなくて、尼もおうなも、たゞいたづらにとゞ 00073210M10まりをり。さてあるじのいふやう、おまへたち、たゞかく 00073220M11ておハさんより、鳴門見にものし給へ。じちに天下ぶそう 00073230M12にてさふらふといへば、げに+、鳴門のことハはやうよ 00073240M13りきゝわたりてはべり。いざ給へとて、おうなとゝもに出 00073250M14ゆきて、其わたりの/大毛山(おほげやま)といふにいたりぬ。おほかた鳴 00073260M15門見る人ハ(四オ)(四ウ・五オ挿絵)ミなこゝにくることにて、 00073270M16此日も法師ばら、くすしだつ人人、これかれきあひたり。 00073280M17尼ハくすしのまへにぬかづきて、鳴門のかたへは、いかに 00073290M18ものしさふらふべきと問ふに、くすし、沖のかたをゆびさ 00073300M19しをしへて、あの/渦(うづ)まき浪たつ処こそ、鳴門にて侍れ。よ 00073310M20く見給へといへば、尼はうちはらだちたるおもゝちして、 00073320¥P228 00073330¥G(四ウ・五オ) 00073340M1ぬしには/■弱(わうじやく)の尼とあなづり給ひて、さることハの給ふか。 00073350M2わが日本国にたゞ一所とかきくなる鳴門に、いかで/御堂(ミどう)の 00073360M3なくてはべるべき。いで、こと人に尋て、をがミ奉らむと 00073370M4て、なほあらぬかたにあゆミ行けるとぞ。鳴門をバ、たゞ 00073380M5いかめしき伽藍ある処とのミ(五ウ)おもひをりけるも、か 00073390M6ゝる尼法師の身にハ、さもあるべくや 00073400¥N3¥J 00073410¥X○学生家/焚(やけ)たる人をとふらふ事 00073420M9それの里に、何がしとかいへる学生ありけり。ある夜、ち 00073430M10かきわたりなる人のもとに、ふと火出て、家やけゝれば、 00073440M11あくるあさ、此学生ゆきとふらひて、よべハおもひ給へか 00073450M12けず、/御館(ミたち)やけさふらふとか。さて、御馬ハいかにさふら 00073460M13ふやといふ。あるし、うまハことなうさふらふ。なれど、 00073470M14老たるもの、いさゝかあやまちしてさふらふといへば、学 00073480M15生、ふづくミたるおもゝちにて、おのれハ馬を(六オ)こそ 00073490M16とひ候なれ。人のうへハ、とひはべらざりしものをといふ 00073500M17+、いでゝかへりぬ。あるじもあまりにいぶかしきこと 00073510M18におぼえけれバ、のちに其ゆゑをとふに、論語に、/厩(うまや)/焚(やけ)た 00073520M19るには、人をとひて馬をとはずとあれば、人の家のやけた 00073530M20るにハ、馬をとひて人をとハざるこそ、/聖(ひじり)のをしへにハあ 00073540¥P229 00073550L1なれといひて、なほしたり顔なりしとぞ 00073560¥N4¥J 00073570¥X○何がし/痳病(しハゆばり)の事 00073580L4わか友某、ある時ふと痳病をやみて、玉茎のいミじういた 00073590L5めることあり。さてくすしのきて、いで見せ給へと(六ウ) 00073600L6いへば、たふさきをとりて見せけるに、さらぬだに、いミ 00073610L7じきものゝはれてさへありければ、さながら馬のものなど 00073620L8ミたらんさましたり。くすしもみるまゝに、おもハず声う 00073630L9ちあげて、あな、いミじの御具足かなといひけるを、さう 00073640¥G(七ウ) 00073650M1じひとへあなたに、ふるものあきなふ翁のきてありけるが、 00073660M2きゝて、さばかりの御具足にさふらハば、おのれにも、い 00073670M3かでみせ給へといひて、へだてのさうじひきあけて、入き 00073680M4たりけるにぞ、くすしもばうざも、もろごゑにわらひあへ 00073690M5りける 00073700¥N5¥J 00073710¥X○かいもちひ好む童の事(七オ)(七ウ挿絵) 00073720M8おのれ、ある時、某の寺にまうでけるに、人&あつまりて、 00073730M9庚申して遊ぶとて、かいもちひをなん、/調(てう)じてくひてける。 00073740M10此人&の中に、ある童のきてありけるが、これくひ+、 00073750M11あはれ、いかで、かいもちひにあかんといふをきゝけれバ、 00073760M12そこにはいまだ、かいもちひにあかずやとゝへば、いまだ 00073770M13あき侍らずといふ。さらば、あす、おのれにしたがひてこ。 00073780M14此ものにあかさんといへば、かしこく侍らんとて、ぬか 00073790M15づきぬ。あけの日ハ、/箭野(やの)といふところの八倉の宮の祭に 00073800M16てありければ、おのれもしぞくのものがりいくとて、此童 00073810M17をぐしていきぬ。さるハ此まつりにハ、いつ(八オ)もかい 00073820M18もちひをおびたゝしく調じ出して、せちにすゝむる例なれ 00073830M19ばなり。さて、かしこにいたれバ、まづはじめに、いと大 00073840M20きなる/金椀(かなまり)に、/醴(あまざけ)をこぼるゝまでにもりて出しぬ。おのれ 00073850¥P230 00073860L1も童も下戸なれバ、ともに舌うちをして、二たびまでかへ 00073870L2てすゝりぬるを、また/家刀自(いへとじ)の出きて、いかで、今一もり 00073880L3めせ+とて、あながちにすゝむるまゝに、おのれもまた 00073890L4一もりすゝり、童ハまた二もりをぞすゝりたる。今ハいミ 00073900L5じうはらふくれて、くるしきまでにおぼえけるを、またを 00073910L6しきに、/拳(こぶし)の大さしたる団子四つと、/児(ちご)のかしらのさまし 00073920L7たるかいもち(八ウ)ひ三つとを、もりてもて出つゝ、とく 00073930L8めせ+といふ。おのれハはやう/醴(あまざけ)にあきたれば、ひとつ 00073940L9だに、えものせぬを、童ハかの団子を四つながらうちくひ 00073950L10て、たゞかいもちひのミ、さながらにのこしおきぬ。此童 00073960L11のくひやう、いと/不思議(ふしぎ)におぼえければ、そこには、よべ、 00073970L12かいもちひにあかんといへるがいとほしさに、けふハかう 00073980L13ふりはへゐてきつるに、など団子のミくひて、かいもちひ 00073990L14をバくはざるとゝへハ、されバおのれ、かいもちひハ、こ 00074000L15とにこのミてさふらへハ、こは、いとはてにものすべくお 00074010L16もひて、まづ団子をとりて、たうべけるほどに、はやう醴 00074020L17をさへ、したゝ(九オ)かにたうべてさふらへバにや、今ハ 00074030L18いたうはらふくれて、さしもめでものするものをも、ひと 00074040L19つだにも、えものせで、たゞいたづらに、めのよろこびと 00074050L20なしてさふらふが、あかずくちをしうさふらふといひける 00074060M1にぞ、いとをかしくハおぼえし。うまきものハとくくへと 00074070M2かいへる、わらはべかたとへも、げにとぞおぼえたる 00074080¥N6¥J 00074090¥X○大物上人/児(ちご)をかへして後歌よミたる事 00074100M5おのれがちかきあたりの山寺に、齢/四十(よそぢ)はかりなるひじり 00074110M6ありけり。ひしり、もとは/弓削氏(ゆげうぢ)なるが、かの道鏡とかい 00074120M7へる法師の後などにやありけん、きたなきものゝ(九ウ)よ 00074130M8のつねにはまさりて、いミじう大きやかにありけれバ、人 00074140M9ミな、大物上人とぞよびたりける。あるとき、なまうつく 00074150M10しげなる児をおきけるが、かうざまのものなれバにや、夜 00074160M11ごとにそひぶしても、思ふやうには、えなさで、たゞいつ 00074170M12も+宝の山にいりて手をむなしうしてかへりたらんこゝ 00074180M13ちのミぞ、せられける。されど、いかでとおもひて、月ば 00074190M14かりがほど、とかくしけれど、つひに、ほいえとげねバ、 00074200M15かくてあるべきにもあらずとて、なく+児にはいとまと 00074210M16らせて、かへしやりにけり。またの日、友だちの法師の許 00074220M17より、これもちひたまへとて、一ふくろの(十オ)薬をおく 00074230M18りおこせつ。何にかあらんとて取てミるに、通和散といふ 00074240M19くすりなり。かゝることにハいミじきしるしあるよし、か 00074250M20きてありけれど、はやう児ハかへしての後なれバ、かひな 00074260¥P231 00074270L1かりけり。さて筆をとりて、そのつゝみ帋にかきつけたる 00074280L2△△△あたらしなかゝるくすりのありとしも 00074290L3△△△△しりせばあごハかへさじものを 00074300¥N7¥J 00074310¥X○某のひじり童をすかしてかたらふ事 00074320L6山ざとに、某とかいへるひじりありけり。ある日、坊のう 00074330L7ちの法師ばら、みなものへゆきて、たゞひじりひとりのミ 00074340L8(十ウ)ありけるに、午ばかりより五月雨うちそゝぎて、い 00074350L9とつれ※なるころ、隣にすミけるげすの家の童、たかう 00074360L10な四つ五つもてきて、是まゐらすなりといふ。童は十二三 00074370L11ばかりなるが、なまうつくしかりけれバ、ひじりうちみて、 00074380L12ふと、をこごゝろいできぬ。さて、ひと間なるところへゐ 00074390L13ていきて、くだものなどあたへつゝ、すかしこしらへて、 00074400L14やをら、しりかいまくりて、ほいとげんとしけるほど、あ 00074410L15やにくに、とのかたよりしはぶきうちして、もの申さふら 00074420L16ハんとて、とひくる人あり。ひじりハ、をゝといひつゝ、い 00074430L17そぎ出てミれバ、此坊の一のだんをちとたの(十一オ)ミた 00074440L18る家のあるじ翁なり。いミじううちおどろきながら、さら 00074450L19ぬさまにて、をりにあひたるものがたりなとすれば、翁ハ 00074460L20させるようしのこともあらざるに、たゞけぶり草のミくゆ 00074470M1らかしつゝ、時うつるまでかへらず。いそぐことあるをり 00074480M2に、長ことするまらうどかなと、いとにくゝ思へど、すべ 00074490M3なし。童も今ハまちわびてや、大声をあげて、だいとこや、 00074500M4だいとこや。をう+とよび出けるに、ひじりは胸つぶれ 00074510M5て、何ごとのありて、かくハいふぞ。まらうどのきておハ 00074520M6すなれバ、今しバし、まちねかしといへば、べちのことに 00074530M7てもさふらハねど、あまりにさばへのむれ(十一ウ)きてさ 00074540M8ふらふが、いミじうたへがたうさふらふなり。いかでとく 00074550M9いりきて、ことはたし給へといひけるとかや 00074560¥N8¥J 00074570¥X○亀ノ浦方桐ノ政男等江の島にまうづる事 00074580M12江戸のはしつかたに、亀ノ浦方桐ノ政男といふ、なま哥よ 00074590M13ミありけり。一とせ、五月ばかりにやありけん、相模ノ国 00074600M14江の島にまうでんとて、これかれ五人ばかりにて出たちて、 00074610M15かな河といふ/駅(うまや)にやどりぬ。さて酒のミ遊びけるに、この 00074620M16処のあそびなども出きて、例の三絃とかいへるもの、かい 00074630M17ひき、うたひなどすれば、人&もいミじう興(十二オ)にい 00074640M18り、ゑひすゝむまゝに、はて+ハ、あかはだかになりな 00074650M19どして、まひをどりぬ。浦方、政男なども、さるがうがま 00074660M20しきことハ随分の上手にて、例ハ人よりもさきに、まづか 00074670¥P232 00074680¥G(十三オ) 00074690L12うざまのたはれをもし出けるを、こたびはいかなれバ、た 00074700L13ゞ烟草くゆらかし、扇ならしなどのミしてありけれバ、人 00074710L14&、さてハかやつらハ、このあそびどもにおもはれんとて、 00074720L15ことさらに、かうえんがりをるにこそ。さハ、にくきすき 00074730L16ものどものふるまひかなとて、やがてたちよりて、此まめ 00074740L17をとこどもハ、何ごとをおもひて、かうくんじてハをるぞ。 00074750L18とくおのれらと(十二ウ)(十三オ挿絵)ともに、をどりねとい 00074760L19ひて、まづ浦方の手をとりて、ひきいづれバ、たゞぬかを 00074770L20つきて、おのれ、こよひハかしらいたミてはべるなり。い 00074780M1かで、ゆるい給へといへば、そらごとないひそとて、あな 00074790M2がちに帯ときて、衣ひきはぎぬ。げに、かういなミたるも、 00074800M3ことわり。たふさきをだにせでありて、したゝかなるもの 00074810M4ゝけちえんにあらハれけるに、きぬかづきしてさへありけ 00074820M5れは、あそびもまらうども、えたへで、いちどに、はとわ 00074830M6らひけり。浦方も今ハせんすべなけれバ、かのしたゝかも 00074840M7のを、さながらにぶら+とうちふりつゝ、やとせのせ、 00074850M8やとせのせと、うち(十三ウ)はやして、まひをどりければ、 00074860M9人&興にいること、かぎりなし。さて、政男も大かた、お 00074870M10なじやうにこそあめれ。いで、ともに恥見すべしとて、手 00074880M11をとりてひきいづれハ、たゞこたびばかりハ、ゆるい給へ 00074890M12といひて、手をすりけれど、なにかハゆるさん、やがて帯 00074900M13ひきときて、たゞぬがせにぬがせてミれば、あなあさまし、 00074910M14はやうおびたゝしきものゝ、いミじうおこりたちて、こし 00074920M15の国の名におひたるたふさきも、やぶるゝまでにぞなりて 00074930M16ありける。人&もこれを見て、ふたゝびふしまろび、頤を 00074940M17はなちて笑ひけるとぞ。げに、いちはやきすきものにハあ 00074950M18りけり(十四オ) 00074960¥N9¥J 00074970¥X○某女のもとにやどりて郭公の鳴を聞たる事 00074980¥P233 00074990L1なにがし、卯月のころ、しりたる女のもとにいきて、やど 00075000L2りけるに、ねばかりにやありけん、ふとほとゝぎすのなき 00075010L3わたりけれハ、おのれひとりのミやハとおもひて、この日 00075020L4ごろまち給ひつるほとゝぎすの鳴てはべるなり。夢をさま 00075030L5したまへといへど、女ハいといぎたなくて、いらへだにも、 00075040L6えせねは、ひきゆるがしなどして、おどろかせたまへ。と 00075050L7く+といふに、なほねむたげなるまミして、おのれ、今 00075060L8のほど、いさゝかむねいたミて侍るなれバ、いかで、朝ま 00075070L9でまたせ給へとのミいひさして、また(十四ウ)夢になりぬ。 00075080L10何ごとをかうはいひたりけん、いといぶかし 00075090¥N10¥J 00075100¥X○某のずさものまうての用意したる事 00075110L13何がし、一とせ、をんなめとずさとをぐして、京にまうで 00075120L14て、三条なる人やどす家に、やどりゐたり。さてあるとき、 00075130L15例のやうにおき出けるに、ずさのをのこ、わらぐつさしは 00075140L16き、菅笠もて出などして、御まうけのいできてさふらはゞ、 00075150L17いざ+といふ。男も女も、おもひかけぬことなれバ、何 00075160L18ごとに、さはいふぞとゝへバ、おのれ、ゆばりのたへがた 00075170L19うはべりて、まだあけぐれのほどにおき出てさふらふに、 00075180L20とのにもおもとにも、いづくへものし給ふとも、しりさふ 00075190M1(十五オ)らハねど、今にもまうで給ふやうにおほせられて 00075200M2さふらふを、もりきゝてさふらふまゝ、さらバ御ともつか 00075210M3うまつらんとて、かくハまうけつかうまつりてさふらふと 00075220M4いひけるとぞ。何ごとをもりきゝて、かくハよういしたり 00075230M5けん、いぶかし 00075240¥N11¥J 00075250¥X○某の娘めしうどにいでんとてげむざんにゆく事 00075260M8徳島のはしつかたに、としごろひきこもりて、はえなくく 00075270M9らせる翁ありけり。それがむすめハ、としのほど十六七ば 00075280M10かりなるが、世にならびなきかたち人にてありけれど、か 00075290M11うこもりてのミありければ、しる人もいと、まれなりけり。 00075300M12(十五ウ)また其ちかきわたりに、宮づかへ人の仲だちなどす 00075310M13るおうなのありけるが、ある日この娘をミて、翁にいふや 00075320M14う、わぎミハ、かゝるめでたきかねのなる木を、いかでか、 00075330M15うすもりにハし給ふぞ。とくよき人のめしうどゝなして、 00075340M16今のわびしさをもわすれ給へ。もし、さもおぼさバ、おの 00075350M17れ、仲だちしまゐらせんといへば、翁は、さもはべらバ、 00075360M18うれしうこそ思ひ給ハめといらへぬ。さておうなハ、いか 00075370M19で此娘をよき人にあはせて、おのれもそのとくにあはばや 00075380M20とおもひをりけるを、ある日、おなじ仲だちなどする女の 00075390¥P234 00075400¥G(十七オ) 00075410L12きて、此ごろ、それの福者の、めしうどもとむるがお(十 00075420L13六オ)はすなり。さるべき人やはべるといへば、おうなは、 00075430L14しかしかの人こそ侍れとて、則この娘のことをかたらひあ 00075440L15ハせぬ。さらバこよひ、おのれがもとにおこせて、まづげ 00075450L16んざむにいれ給へ。御心にだにかなひて侍らバ、こがねハ 00075460L17をしみ給ハじといへば、おうなハしおほせつとおもひて、 00075470L18やがて翁のがりいきて、しか+のよしいへバ、翁ハよろ 00075480L19こぶこと、かぎりなし。されど、かゝる/貧者(ひんざ)なれバ、さう 00075490L20ぞくハさらなり、櫛かうさしだにもあらねバ、おうなはこ 00075500M1ゝかしこより、かりもてきなどして、おのれが心のかぎり 00075510M2ひきつくろひてぞ、いだしたてゝやりける。さる(十六ウ) 00075520M3(十七オ挿絵)はこよひのげんざむにて、何ごとをもおきて定 00075530M4むることなれば、ことさらにかう心もちひせらるゝなりけ 00075540M5り。さておうなハ、いかで此ぬしの心をもとれかしと、夜 00075550M6一夜おぼつかなうのミおもひをりつゝ、あけぬれバ、やが 00075560M7てかの人のもとにいきて見るに、ぬしハあけぐれのほどに 00075570M8かへりて、今ハたゞ娘ひとりあり。さて、ゐさりより、声 00075580M9うちひそめて、よべハ、さこそうれしうおはしつらめ。と 00075590M10のにもまだ、わかうおはすとなれバ、御すきごとこそしげ 00075600M11からめ。いかにまれ、此かずにハかけ給はじといひつゝ、 00075610M12袖に手さしいれて、および三つを(十七ウ)にぎれバ、いと 00075620M13はづかしげなるおもゝちにて、たゞ、いなとのミいひて、 00075630M14かしらうちふりぬ。さハかうにやとて、および二つにぎれ 00075640M15ば、おなじやうに、いなといひて、またかしらうちふる。 00075650M16さハこればかりにやとて、およひ一つにぎれバ、またおな 00075660M17じやうに、かしらうちふりぬ。おうなハいミじううちおど 00075670M18ろき、さハ、とのゝ御こゝろにかなはせ給はぬにや。かう 00075680M19までこゝろつくしぬることの、いたづらごとゝなりたるこ 00075690M20そ、くちをしけれ。今はこゝにありて、何かせむ。はやか 00075700¥P235 00075710L1へらせ給へといへど、なほものもいはで、かしらうちたれ 00075720L2をり。おうなは、おもへることの(十八オ)たがひぬれバ、 00075730L3うちはらだちたるまじりひきあげて、いで+、とくたゝ 00075740L4せ給へといひて手をとれば、さまでにの給ふうへハ、なに 00075750L5をかかくしさふらふべき。まこと、かのとのゝめし給うけ 00075760L6るは、この手ばかりにてさふらふといひて、顔うちあかめ 00075770L7てゐたりけるとぞ 00075780¥N12¥J 00075790¥X○土佐某の絵を見てろうじたる翁の事 00075800L10わが隣に、とくある翁ありけり。ひと日、某のもとに、よ 00075810L11ろこびのことありて、人&とゝもにゆきけるに、あるじは 00075820L12こゝろきゝたる人にて、壁には土佐の某のかきたる絵をか 00075830L13けたり。絵は松杉などしげりたる山に、た(十八ウ)かき塔 00075840L14などある処をかけたり。人&うちミて、こハ土佐にてはべ 00075850L15り。よくもかきてはべるかなといひけるを、かの翁きゝて、 00075860L16おのれ、ようのこと侍りて、いとわかきほどより、しば 00075870L17+土佐の国にものして、おほかた、ゆきいたらぬところ 00075880L18もはべらねど、かのわたりには、かゝるところ、はべらず。 00075890L19こは、塔なども見えてはべるなれば、讃岐の国善通寺など 00075900L20にや侍らむといへるにぞ、人&もミな顔うちまもられて、 00075910M1いふことなかりける 00075920¥N13¥J 00075930¥X○某もミぢ見にいきたる事(十九オ) 00075940M4徳島に、何がしとかいふ歌よミありけり。九月の廿日ばか 00075950M5り、ともだち某のとひきて、いざ給へ。大谷のもミぢ見に 00075960M6といへば、いざとて、ともにいてぬ。さて、ふたりともに、 00075970M7此わたりへハひさしう、ものさでのミありければ、道のほ 00075980M8ど、いとおぼつかなくて、そのあたりに薪こりてありける 00075990M9翁に、もミぢのあるかたへハ、いかにものすべきそと問へ 00076000M10ば、かの翁、したり顔にて、もみぢを見給ハんとならバ、 00076010M11などゝくき給ハざる。いまハかしこにものし給ふとも、楓 00076020M12ハ大かた、赤葉にこそなりてさふらハめといひけるとぞ 00076030M13(十九ウ) 00076040¥N14¥J 00076050¥X○なき女の事 00076060M16何がしの/坊(まち)とかいへるに、いミじう色ごのミなる女ありけ 00076070M17り。男にあふごとに、こゑうちあげてなきければ、人ミな、 00076080M18泣女とよびつけてぞわらひける。これをあるすき人、うち 00076090M19かたらひてねにけるに、げに人のいへるにたがはず、さく 00076100M20りあげて、よゝ+とぞなきける。男も、人にしられんこ 00076110¥P236 00076120L1との、あまりにはづかしくおぼえければ、かくてハとなり 00076130L2の人のかべもや破れん。いますこし、しのびやかにといへ 00076140L3ば、いな。わがもろあしハ、かうまでもたげてはべれハ、 00076150L4かべには、よもさハり侍(廿オ)らじといひて、いよ+花 00076160L5やかに泣いさちけると、後に、かの男ぞかたりける 00076170¥N15¥J 00076180¥X○何かし藤の花を見てたむざくつけたる事 00076190L8わが里の地福寺といふ寺に、いミじき藤あり。花の長さ六 00076200L9尺ばかりもありて、よにめづらしき藤にてありければ、花 00076210¥G(廿一オ) 00076220M1さくほどは、/遠近(をちこち)の人&つどひきて、ひしめきあひてけり。 00076230M2一とせ、おのれも友だちとともに、此藤ミに行て、酒うる 00076240M3家にしりかけてありけるに、いづくの誰にかあらん、みめ 00076250M4ことがら、さうぞくなども、いと清らなるがきたりて、同 00076260M5じ(廿ウ)(廿一オ挿絵)家にいりて、酒のミなどしけるが、し 00076270M6ばしありて、かの藤に、たむざくを結びつけてゆきぬ。さ 00076280M7れバよ、みやびこのむ人にはありけりと、いとゆかしくお 00076290M8ぼえて、たちよりて、かのたむざくをミれば、 00076300M9△△△これハ+とばかり花のよし野山 00076310M10といふ人のしりたる句を、さながら書てありけるにぞ、胸 00076320M11つぶれて、あさましくハおぼえし。世にハをこの人もある 00076330M12ものかなとて、友だちとゝもに笑ひをりけるに、とばかり 00076340M13ありて、かの人、いきまきてかへりきぬ。あるじうちミて、 00076350M14何をかわすれてはゆき給へる(廿一ウ)とゝへば、いな、さ 00076360M15ることにははべらず。さきのたんざくに、いミじきあやま 00076370M16ちしてさふらふまゝに、かくかへりきてさふらふなり。い 00076380M17で、硯かし給へとて、やがて筆をとりて、かきかへつゝ、 00076390M18またかの枝に付ぬ。おのれもをかしきをねむじつゝ、さき 00076400M19のたびの御句も、よのつねにはおぼえ侍らぬを、またいか 00076410M20なるところをか直させ給ひたる。いでミせ給へとて、立よ 00076420¥P237 00076430L1りてミれば、よしの山といへるを、藤の棚とあらためてあ 00076440L2りけるにぞ、えたへで、一どに、はとわらひあへりける 00076450¥N16¥J 00076460¥X○饅頭を見て妻をおもひたる人の事(廿二オ) 00076470L5おのれ、江戸にものしけるとき、狂蝶子文麻呂がり、とぶ 00076480L6らひいきけるに、尾張の国の某とかいふ人、きあひたり。 00076490L7もろともに、何くれと歌ものがたりなどしてありけるに、 00076500L8あるじ、らいしに饅頭といふものをもりて出しつゝ、いざ 00076510L9とて、おのれにも尾張の人にも、とりてたびつ。おのれハ、 00076520L10なにの心もなう、たうべけるを、かの人はくひもやらず、 00076530L11手して此まんぢうをかいなで+してありけるが、とばか 00076540L12りありていふやう、わがめは、ことし十七になりてさふら 00076550L13ふが、いミじうこえてさふらふなり。あまりにこえたらん、 00076560L14身のためよからず(廿二ウ)とか。此わたりにさるくすりの 00076570L15さふらはゞ、をしへ給へ。用意せまほしとぞいひける。何 00076580L16ごとの心にうかびて、かうあうなううちいでたりけん、い 00076590L17ぶかし 00076600¥N17¥J 00076610¥X○月見ることをひが心得したる男の事 00076620L20ことし八月十五日、人&とゝもに月ミばやとおもひて、ひ 00076630M1るつかたよりふねをやとひ、あるハ酒肴のまうけなどして 00076640M2ありけるに、ふと隣なる人のきて、何ごとに、かゝる御ま 00076650M3うけはし給ふにやといふにぞ、そこにハわすれ給ふか。こ 00076660M4よひハ月見の夜にて候ものをといへば、おのれはたゞ七月 00076670M5廿六夜のミとおもひ給へ(廿三オ)つるに、こよひもまた三 00076680M6尊の御仏の/影向(えうがう)し給ふにやといへるにぞ、いとあさましく 00076690M7ハおぼえし 00076700¥N18¥J 00076710¥X○髑髏をひろひて葬りたる人の事 00076720M10むかし、みちの奥に、たゞひとりすミける男ありけり。あ 00076730M11るとき、ようのことありて、そのわたりのひろき原をゆき 00076740M12けるに、萩すゝきのおひしげりたる中に、いとしろうされ 00076750M13たる髑髏ありけり。いかなる人かはしらねど、あまりにい 00076760M14とほしくおぼえければ、そのあたりにうづミて、しるしの 00076770M15石をたて、僧をこひて、くやうしぬ。さてある夜、子ばか 00076780M16りにや、誰かはし(廿三ウ)らず、かどの戸ほと+とうち 00076790M17たゝくおとのしけれバ、あやしとおもひつゝ、やり戸おし 00076800M18あけてみれバ、桜のミへがさねに、くれなゐのはかまきて、 00076810M19えもいはず、あてにらうたげなる上臈のきておはしぬ。む 00076820M20ねつぶれて、あさましとおもひたれど、ひたひ、ちにうち 00076830¥P238 00076840¥G(廿五ウ) 00076850L12つけて、そも、君ハいかなる御方の、いかにし給ひて、か 00076860L13ゝるあたりへは、わたらせ給ひたるとゝひきこゆれバ、ぬ 00076870L14したちも定めてきゝしりつらん。われハむかし、深草の少 00076880L15将のいミじうけさうし給ひて、百夜までかよはれたる小野 00076890L16小町なり。はや(廿四オ)う業平の中将の、此国にものし給 00076900L17へるとき、秋風の吹につけてもとよミてしより、いく百年 00076910L18かしらほねの、たゞ雨にそゝがれ、露にそぼちてのミあり 00076920L19けるを、今ゆくりなう、ぬしのねんごろにはうぶり給ハる 00076930L20うれしさ、何にかはたとへ侍らむ。されば、此むくいせま 00076940M1ほしくて、かうことさらにとふらひきつるなり。いなミ給 00076950M2はずハ、こよひ一夜、ぬしのかたはらにとの給ふさま、さ 00076960M3ながら絵にかきたらん人の、ものなどいへるやうにて、た 00076970M4ゞ夢のこゝちせらるゝを、やう+もてしづめつゝ、やを 00076980M5らともなひいれて、うちかたら(廿四ウ)ひぬ。あけの日と 00076990M6なりなる友だちのきければ、あまりのうれしさに、よべは、 00077000M7しか+のことなむはべりしとかたれば、この男も、いミ 00077010M8じううちおどろき、かつハうらやましくて、さらば、われ 00077020M9もよきどくろひろひて、いかでかゝることにあはゞやと思 00077030M10ひて、これより日ごとに、わらくつさしはきてぞ出ゆきけ 00077040M11る。さてこゝかしこ、めをたてゝ見ありきけるに、からう 00077050M12じて衣川のほとりにて、されたるどくろひとつひろひえた 00077060M13り。うれしとおもひつゝ、やがてそのところにうづミて、 00077070M14前のやうにしるしの石をたて、(廿五オ)(廿五ウ挿絵)僧をもこ 00077080M15ひて、くやうしぬ。さて、こよひハ紫式部の君やき給へる、 00077090M16あすの夜ハ清少納言のおもとや見え給へると、たゞまちに 00077100M17まちてのミありけるに、十日ばかりをへて、子ばかりにや、 00077110M18かどの戸もやぶるるばかり、はた+とうちたゝくおとの 00077120M19しければ、されバよとおもひて、いそぎおき出て、やり戸 00077130M20おしあけて見れバ、くは+いかに、身のたけ七尺ばかり 00077140¥P239 00077150L1にて、かしらハ針をたてたるごとく、目はかなまりのやう 00077160L2にて、えもいはず、おそろしげなる法師の、さもいかめし 00077170L3き大の長刀もちたるがたちをり。胸つ(廿六オ)ぶれて、あ 00077180L4さましと思ひたれど、わなゝくわなゝく、そも御坊ハ、い 00077190L5づくのいかなる御坊にておはしますにかとゝへば、ぬした 00077200L6ちもさだめて聞しりつらん。我ハむかし、九郎/判官(はうぐわん)にした 00077210L7がひて、一騎当千とよばれたる武蔵坊弁慶なり。衣川にた 00077220L8ちながら死してより、いく百年か、しらほねのたゞ浪にゆ 00077230L9られ、いさごにうづまれてのミありけるを、今ゆくりなう、 00077240L10ぬしのねんごろにはうむられたるうれしさ、何にかハたと 00077250L11へん。されバ此むくいせまほしくて、かうことさらにとぶ 00077260L12らひきつるなり。いで、此/髭臀(ひげしり)と(廿六ウ)もかうもせよか 00077270L13しといふ声、さながら、かミなどのおちかゝるやうにきこ 00077280L14えければ、この男は、たゞきもたましひもうするこゝちし 00077290L15て、うゝといひて、のけさまにうしろへたふれけるとぞ。 00077300L16げに、ものうらやみはすまじきことにこそ 00077310¥N19¥J 00077320¥X○某大納言の北方の事 00077330L19何がしの大納言の北方ハ、世にさうなきかたち人にぞおは 00077340L20しける。あるとき御ふねにて、ものへゆかせ給ふに、いく 00077350M1らともなうこぎくだりける舟どもの中に、わかきをのこど 00077360M2ものあまたのりたるが、みすのひまより、この北(廿七オ) 00077370M3方をミまゐらせて、扨もうつくしうおはする君かな。かゝ 00077380M4る人を、めにもちてこそ、男とうまれたるかひはありけれ 00077390M5といへば、今ひとりのをのこ、さまでにおもひ給ハヾ、か 00077400M6はつるミをだにし給へなどいひ+、舟はすぎゆきぬ。さ 00077410M7て北方、/御館(ミたち)にかへらせ給ひて、老たるけいしのあるをめ 00077420M8しいでゝ、けふふねにものしけるに、若きをのこどものし 00077430M9か+うちいひて、さおもはゞ、かはつるミをだにせよと 00077440M10いひぬ。何ごとをか、かはつるミとはいふぞととひ給へば、 00077450M11けいしもこたへわびて、いやしきものゝたミことをきかせ 00077460M12給はんことは、ふようにこそ(廿七ウ)侍らめと申せど、ゆ 00077470M13るし給ハで、たゞいへ+と、あながちにせめ給へば、す 00077480M14べなくて、しもがしもにては、酒たうべよといふを、かく 00077490M15まうしさふらふと申せバ、さにやとて、笑ハせ給ひぬ。さ 00077500M16てあるとき、某の中納言、くれがしの三位など、したしき 00077510M17御あたりの君たち、これかれいらせ給へバ、今まゐりの女 00077520M18に/瓶子(へいじ)とらせて、酒すゝめ給ひけるに、この北方も出させ 00077530M19給ひて、けふは御さかなはべらで、さう※しくこそおは 00077540M20さめ。いで、この瓶子とりたるものを御らんじて、かはつ 00077550¥P240 00077560L1るミし給へといひ給へバ、人&御顔をうちまもりて、いふ 00077570L2ことなかりけり。やむごと(廿八オ)なき御あたりには、か 00077580L3ゝることもはへりけるにや 00077590¥N20¥J 00077600¥X○腹とりの法師が笛ふくをきゝてあやしみたる男の事 00077610L7こぞの霜月ばかり、徳島にて、それの人のもとにやどりけ 00077620L8るに、河田村といふ所の何がしとかいへる人きて、やどり 00077630L9をり。さて亥ばかりにやありけん、大路のかたを、はらと 00077640L10りの法師の笛ふきならしつゝゆけば、かの河田人きゝて、 00077650L11今はやゝ夜もふけにたるを、何ものゝかゝるたはぶれごと 00077660L12はするにかといへるまゝ、おのれも、いとをかしくおぼえ 00077670L13て、くは、たはぶれごとにハあらず。按摩といひて、人さ 00077680L14するものゝ、さるよしを人&につげ(廿八ウ)しらせんとて、 00077690L15かくハするなりといへば、かの男、さハいミじきしれもの 00077700L16にもあるかな。たゞかうのミして、さるわざする人といふ 00077710L17こと、誰かはきゝしるべきといふにぞ、いとあさましくハ 00077720L18おぼえし。とばかりありて、またそば/麦((ママ))うる人の風鈴とい 00077730L19ふもの、風のまに+吹ならさせつゝゆけば、かの男きゝ 00077740L20て、さきなるは笛を吹てゆき、こたびのハ鉦をならしてす 00077750M1ぎぬ。げに、やう+さま+なる腹とりの法師どもかし 00077760M2らせかなといひけるにぞ、いよ+あさましくハおぼえし 00077770M3(廿九オ) 00077780¥N21¥J 00077790¥X○はらをそらして寐たる女の事 00077800M6わがともに、何がしとかいひて、ひたすら、としわかき女 00077810M7を好める人ありけり。あるとき、十五六ばかりなる女をよ 00077820M8びてふしけるに、いかなることにか、此女、しきりにはら 00077830M9をそらして、かの住の江のそり橋とかいへるものゝさまに 00077840M10なりてありければ、男もしわびて、くは何ごとし給ふぞ。 00077850M11かくてはことのほか、たよりあしうさふらふといへば、女、 00077860M12さはかうにやといひて、いよ+腹をそらしけるにぞ、男 00077870M13もあきれまどひて、さしもこゝろいられけることも、えは 00077880M14たさでやみにけると(廿九ウ)ぞ。さて此女のふるまひ、あ 00077890M15まりに不思議におぼえければ、後に人して、ひそかに、こ 00077900M16とのやうとひきけば、たゞ媒のおうなのいへることを、む 00077910M17ねとまもりたるにてさふらふといひけるとぞ 00077920¥N22¥J 00077930¥X○ものいミするおうなの事 00077940M20我ちかきわたりに、いミじうものいミのミするおうなあり 00077950¥P241 00077960L1けり。おのれ、あるとき、ようのことありて、此おうなの 00077970L2がりいきてやどりけるに、子ばかりにやありけん、おうな 00077980L3とならびふしたるはしたもの、ふと大きなるおとにならし 00077990L4ぬ。おうなハ此おとをきくと、やをらは(卅オ)ひおきて、 00078000L5手あらひ口そゝぎなどして、やがて/竃(かまど)の前にいたり、手を 00078010L6たかやかにうちて、なも竃の御神竃の御神。火のもとよ 00078020L7く鎮めさせ給へといひつゝ、ぬかをつきてをがミ、またい 00078030L8づミにゆきて、みづから水くミきたり、家の中柱にむかひ 00078040L9て、なも大国主の御神大国主の御神。火の災ひ、なあらせ 00078050¥G(卅一ウ) 00078060M1給ひそといひつゝ、かの水を三たびまでそゝぎて、ねんご 00078070M2ろにふしをがミぬ。おのれハふしながら、此ふるまひをミ 00078080M3て、たゞ何の故といふことをしらねバ、いといぶかしきこ 00078090M4とにのミおもひをりけるに、ほどなうことゞも(卅ウ)しは 00078100M5てゝ、今ハふしどにいるとて、ひとりごとに、鼬の鳴たる 00078110M6あとは、ことのほかにくさきものかなといへるにぞ、さは 00078120M7かのはしたものゝならしつるを、いたちのなきたりときゝ 00078130M8ひがめて、かくはしつるなめりとさとりて、ふすまのうち 00078140M9にて、ひとりうち笑らハれぬ 00078150¥N23¥J 00078160¥X○某の寺の下部琴かりにゆきたる事 00078170M12ある時、それの里それの寺に人&あつまりて、浄るりとい 00078180M13ふことをものしけるに、ある人のいふやう、琴責といふも 00078190M14のこそ、あだし曲にハやうかはりて、いと面しろう興ある 00078200M15ものにはあなれ。いざ、これをものせ(卅一オ)(卅一ウ挿絵) 00078210M16ましといへば、人&も、げによかンなり。されど、此わた 00078220M17りには琴といふものゝなきを、いかにかせましといへば、 00078230M18あるじのひじりきゝて、そは、それのさと、それの人のも 00078240M19とにあなれば、おのれ、せうそこして、かりてまゐらせん 00078250M20といふに、人&よろこぶこと、かぎりなし。扨下部の男し 00078260¥P242 00078270L1て、此琴かりにやりつるに、ほどなうもてかへりて、おの 00078280L2がふところをさがし見て、くハ+、けしからぬあやまち 00078290L3してさふらふといふ。さは、いかなるあやまちをかしつる 00078300L4とゝへば、べちのことにてもさふらハねど、いづちにてか、 00078310L5琴のつめ、おとしてさふら(卅二オ)ふといふ。さハみなが 00078320L6ら、なくなしつるにやとゝへハ、いな、三つばかりハのこ 00078330L7りて候といひて、さしいでけるとぞ。下部のこゝろには、 00078340L8五つあるべうおもひたるにこそ、をかし 00078350¥N24¥J 00078360¥X○何がし女と寐てものがたりの事 00078370L11ある人、しりたる女のもとにゆきてふしけるに、つねには 00078380L12さしもなき女なれども、けふハものへゆきたりとて、いミ 00078390L13じうけさうしてありけれバ、ほかげにてらし見るに、あて 00078400L14にうつくしきこと、いふばかりなし。さて男のいふやう、 00078410L15おほかたもけしうハおはさねど、こよ(卅二ウ)ひの御あり 00078420L16さまこそ、よに似るものなう、めでたうハおぼえさふらふ 00078430L17なれ。げに、女はへんぐゑにこそあなれといへば、女、う 00078440L18ちほゝゑミて、君には、女をへんぐゑなりとの給ふなれと、 00078450L19よくおもへは、なか+に、男こそへんぐゑにはさふらふ 00078460L20なれ。さるハ、此ものを御らんぜよ。はじめのほどハなえ 00078470M1+として、たゞ二寸ばかりしものゝ、今ハかうざま 00078480M2になりて候といひて、した/ゝ((ママ))なるものをかき出しければ、 00078490M3男もいふことなかりけるとぞ 00078500¥N25¥J 00078510¥X○某の/番匠(ばんさう)はしたものをよばひたる事并長哥(卅三オ) 00078520M6わがさとに、何がしとかいふ/番匠(ばんざう)ありけり。おのれ一とせ、 00078530M7/庫(くら)を造らんとて、この番匠をよびてとゞめおきけるに、わ 00078540M8が家のはしたものにけさうして、ある夜みそかに、そのふ 00078550M9しどへよばひいきぬ。それをかたはらにふしけるおうなの 00078560M10きゝしりて、よべハ飛/弾((ママ))人とはしたものと、しか+のこ 00078570M11となん侍ると語りければ、をかしさにたへずして、たはむ 00078580M12れにかくなん、よみ出しける 00078590M13△△吾家に。菜摘水汲。女等は。二人しあるを。一人ハも。 00078600M14△△肥ふくらひて。家のうち。あゆめるさまハ。(卅三ウ) 00078610M15△△/家鴨(アヒル)ちふ。鳥にかも似。おもわには。/痘瘡(モガサ)のあとの。 00078620M16△△ひまもなく。みちてしありて。/柚(ユ)の/実(ミ)ちふ。ものにし 00078630M17△△にれバ。/蜂(ハチ)/吹(フ)かぬ。人しもあらず。一人はも。髪さへ 00078640M18△△長く。膚へしも。白くしありて。/佐尓頬(サニツラ)ふ。妹にしあ 00078650M19△△れバ。思ハざる。人しもなきを。ことしハも。/庫(クラ)つく 00078660M20△△らむと。此里の。飛/弾((ママ))の/工匠(タクミ)を。呼児鳥。よびてかた 00078670¥P243 00078680L1△△らひ。日をあまた。とゞめおきけり。かくのミに。と 00078690L2△△ゞめしおけば。飛/弾((ママ))人も。かのたわやめの。しなびた 00078700L3△△る。/門出(カドデ)しかぶり。朝よひに。見のまくハしミ。苅蒋 00078710L4△△の。(卅四オ)おもひミだれて。顔花の。恋にたへねば。 00078720L5△△いつしかと。たねらひをりて。人ミなの。いねたるこ 00078730L6△△ろに。沢蟹の。横這しつゝ。くらき夜を。かいなでさ 00078740L7△△ぐり。そがねやへ。はひよりにけり。女ハも。おもひ 00078750L8△△かけねバ。古衣。うちおどろきて。たれ人か。しら波 00078760L9△△きつと。大声。をらびにけるを。われハもよ。飛/弾((ママ)) 00078770L10△△たくミなり。墨縄の。たゞ一すぢに君をしも。おもひ 00078780L11△△あくがれ。人しらず。よばひてきぬと。おくまへて。 00078790L12△△思へることを。まつぶさに。こちでつるにぞ。やゝ 00078800L13△△+に。心なごミて。其人の。(卅四ウ)なしのまに 00078810L14△△+。釼太刀。身をまげぬれば。/大根(オホネ)なす。ふとき 00078820L15△△/腕(タヽムキ)。筑紫櫛。さしまきいねて。雲井なす。遠津神代 00078830L16△△に。/真赭(マソホ)よし。/鶺鴒(ニハクナフリ)の。をしへたる。事のごとくに。 00078840L17△△ねもごろに。まぐはひぬれば。女ハも。いたくうれし 00078850L18△△ミ。ことさへぐ。/高麗(コマ)もろこしも。日本も。ひとつと 00078860L19△△ころに。今ハもよ。つどひよりぬと。声あげて。なき 00078870L20△△いさちけり。男も。おやじこゝろに。玉のをの。なが 00078880M1△△き命も。今こそは。たえぬばかりと。もろこゑに。なげ 00078890M2△△きいきつぎ。さね床の。ひしとなるまで。しぐひあひ。 00078900M3△△やむ間なければ。しほ舟(卅五オ)の。ならびてふせる。 00078910M4△△/老嫗(オムナ)らの。うとき耳にも。梓弓。おと聞つけて。夜も 00078920M5△△すがら。いのねらえねば。にはつどり。かけハなきぬ 00078930M6△△と。いざとくも。おきて出つゝ。今こそハ。佐夜は明 00078940M7△△ぬれ。/淫婦(タワケメ)も。おきよ+と。声たかく。よバはひぬ 00078950M8△△れど。夜一夜を。まぐハひあかし。いかさまに。いた 00078960M9△△つきつらん。/雷(カミ)の如。鼾のミして。一言の。こたへも 00078970M10△△あらず。かしらだに。もたげもせねバ。老嫗ハも。い 00078980M11△△たくいかりて。女の。かつきてふせる。奴婆玉の。よ 00078990M12△△るの衣を。かは柳。ひきはぎミれば。みそかをは。か 00079000M13△△い(卅五ウ)けちゐねど。/玉櫛笥(タマクシゲ)。/二布(フタヌ)ときさけ。駒造 00079010M14△△る。/土師(ハジ)がほりせん。黒色の。あらきはだへを。股長 00079020M15△△に。うちふせりつゝ。深山なる。熊と見るまで。黒き 00079030M16△△毛の。おひたる中に。さを鹿の。尻とミるまで。真白 00079040M17△△なる。紙かきはさミ。秋の田の。いねたるミれバ。し 00079050M18△△れ者の。飛/弾((ママ))の工が。此日ごろ。心つくせる。/佐尓頬(サニツラ) 00079060M19△△ふ。妹にはあらで。/家鴨(アヒル)なす。/醜女(シコメ)なりけり。いかさ 00079070M20△△まに。おもひはかりて。此よらハ。かのたわやめと。 00079080¥P244 00079090L1△△ふし床を。かへていねけん。そのゆゑを。われハえし 00079100L2△△らず。飛/弾((ママ))人は。しるやしらずや。と(卅六オ)ハまく 00079110L3△△ほしも 00079120L4△△△△△反哥 00079130L5△△△/鶴羂(ツルワナ)につるはさやらず/屎鳶(クソトビ)の 00079140L6△△△△さやれることをたくみハしるや 00079150¥Y1白癡物語巻之上△終(卅六ウ) 00079160¥Y1白癡物語巻之下 00079170M4△△△目録 00079180M5児の夜泣したるにもぐさやきたる事 00079190M6何がし唐詩選のなかなる文字ミたがへたる事 00079200M7酒をつくりて夫をまちたる妻の事 00079210M8酒このむ男法師にせられたる事 00079220M9耳しひたる翁どち道にあひたる事 00079230M10某の嫁放屁の事 00079240M11ものわすれする人の事 00079250M12貧学生某のもとにやどりたる事(一オ) 00079260M13松坂のくすし閻王の前にいたる事 00079270M14孫康をしたひたるをとこの事 00079280M15何がし色好の事 00079290M16子ふたりもちたるしれ人の事 00079300M17某のもとなる女の童の事 00079310M18某のほうし座禅の事 00079320M19何がし天王寺建立の事 00079330M20某の入道戦ひの事 00079340¥P245 00079350L1何がしのをんなめさうじミの事 00079360L2某のくすしの妻学生をあざける事(一ウ) 00079370L3某の家のはしたもの放屁の事 00079380L4何がしくすしをやとひてふミかゝせたる事 00079390L5某父のなくなりたるをかなしミたる事 00079400L6/医師(くすし)何がしふたりの童を夢見たる事 00079410L7某の妻ミそか男よびいるゝ事 00079420L8何がしの家のはしたものゝ事 00079430L9某と蚯蚓と問答の事(二オ) 00079440¥T1白癡物語巻之下 00079450¥N1¥J 00079460¥X○児の夜泣したるにもぐさやきたる事 00079470M5何がしとかいふ人、五つばかりなるをのこ子ひとりもちた 00079480M6るが、いかなることにか、夜ごとにたゞなきになきければ、 00079490M7病にもぞあるとて、ある日、隣なるくすしをよびて、せは 00079500M8らのあたり、もぐさもてやかせつ。さて父、をしへていふ 00079510M9やう、今よりな泣そ。もしなきたらんものハ、たれにまれ、 00079520M10けふのやうにやくべしといへば、児ハ身をしゞめて、おそ 00079530M11るゝことかぎりなし。さてその夜は、ふつになかざりけれ 00079540M12ば、夫婦いミじうよろこびぬ。かくてあけの日、くすしと 00079550M13ひきて、(三オ)よべはいかにぞといふ。夫婦出むかへ、ぬ 00079560M14かをつきて、もぐさのミとくに、よべハ泣侍らずといひて、 00079570M15くだものなどもて出つゝ、あへしらふほどに、かのちご、 00079580M16ふとはしりいできて、てゝきに、ものきこえん。けふはわ 00079590M17がはゝきに、もぐさやき給へといふ。父、あやしとおもひ 00079600M18て、あごは何ごとに、さハいふぞとゝへば、てゝきにハよ 00079610M19うべ、はゝきのいミじうなき給ひたるを、しらせ給はぬに 00079620M20やといふに、はゝハえたへずして、ついたちて、おのがざ 00079630¥P246 00079640L1うしにいりけるとぞ 00079650¥N2¥J 00079660¥X○何がし唐詩選のなかなる文字見たがへたる事 00079670L4ひと日、わが友何がし、きたりていふやう、おのれ、此こ 00079680L5ろ(三ウ)それのくすしのもとに、唐詩選とかいふものゝあ 00079690L6るを、とりて見はべれば、/信長宮(のぶながのミや)といふ詩見え侍り。から 00079700L7国にも、はやう清正ぬしの/御霊(ミたま)をまつれりといへることは、 00079710L8きゝわたりてはべるなれど、信長の宮のあることは、はじ 00079720L9めてしりてさふらふとぞいひける。いかなるところを見て、 00079730L10かくハいひたりけん、もしハ長信宮とあるを、見たがへた 00079740L11るにハあらぬにや 00079750¥N3¥J 00079760¥X○酒をつくりて夫をまちたる/妻(め)の事 00079770L14今ハむかし。何がしとかいふあき人ありけり。用のことあ 00079780L15りて、ひさしく浪速に旅ゐしてありけるが、いつばかりに 00079790L16(四オ)はかへりくべきよし、せうそこしてければ、/妻(め)ハに 00079800L17なうよろこびつゝ、やがてちひさき瓶に、まち酒をつくり、 00079810L18おのれがつねにものせし二布もて、おほひてぞおきたる。 00079820L19さて、六ツばかりの児のありけるが、いたう此酒ほしがり 00079830L20て、日ごとに酒たべよ、たべよとのミいひてなきければ、 00079840M1母のいふやう、くハ、てゝきにまゐらせんとて、ことさら 00079850M2につくりたなれば、をさなきものにても、心まゝにのむべ 00079860M3きにあらず。今にも、てゝきのかへり給ひなバ、ましもお 00079870M4のれも、ともにのむべければ、とくてゝきの舟のかへりた 00079880M5まふをミて、我につげよといへば、児は、(四ウ)むといら 00079890M6へて出ぬ。さて、沖のかたをうちミてありけるが、ほどな 00079900M7うあわたゝしくかへりきていふやう、今のほど、てゝきの 00079910M8船、いミじき帆柱をたてゝ、かへりき給ふなり。こよひハ 00079920M9はゝきの二布のしたこそ、たのしうもうれしうもおはさめ 00079930M10といひけるぞ 00079940¥N4¥J 00079950¥X○酒このむ男法師にせられたる事 00079960M13それのさとに、いミじう酒このむ男ありけり。よるひる、 00079970M14たゞのミにのミて、酔るほどは、さながら死たるものゝや 00079980M15うにて、何ごともしることなかりけり。人&いさめなどし 00079990M16けれど、ふつにきかざれバ、にくきものにいふ人もおほか 00080000M17り(五オ)けり。あるひ例の酔しれて、大路にたふれふして 00080010M18ありけるを、あるわろもの見つけて、かゝるやつは、かし 00080020M19らに髪おひたりとも、/妻子(めこ)をも、えやしなハじ。たゞ法師 00080030M20になしたらんこそよからめとて、やがて剃刀もてきて、か 00080040¥P247 00080050L1しらそりおろしぬ。此男ハ、例の何ごとをもしらでありけ 00080060L2るが、あけの日夢さめて、なにとてか、かしらのあたり、 00080070L3さむげなるといふ+手して、かいなでゝミれば、髪たゞ 00080080L4一筋もなくて、いとまろらかなる法師になりにたり。さて、 00080090L5つく※思ふやう、おのれハきのふまで、かしらに髪おひ 00080100L6て、かゝるほうしにて(五ウ)(六オ挿絵)ハあらず。くはよ 00080110L7も、おのれにてはあらじ。まづ、めなるものにとひてみん 00080120L8とて、いそぎ家にかへりいりて、めにむかひて、此法師、 00080130L9おのれにてさふらふやといへば、妻ハかゝりとはおもひも 00080140¥G(六オ) 00080150M1よらざれバ、いみじううちおどろきて、このしれほうし。 00080160M2いづくよりかきつるとしかりければ、されバよ、我にあら 00080170M3ざりけりといひて、やがていでゝゆきけるとぞ。その後は、 00080180M4いかになりにけむ 00080190¥N5¥J 00080200¥X○耳しひたる翁どち道にあひたる事 00080210M7わが隣に、みゝしひたる翁ありけり。あるとき、ものへ 00080220M8(六ウ)ゆきけるに、道にて、そのともの翁の、これも耳し 00080230M9ひたるが、瓶子もて酢かひにゆくにあひたり。さて翁、い 00080240M10とたかき声して、そこには酢かひにや、ものし給ふととへ 00080250M11ば、さきなる翁、かしらうちふりて、いな。われは酢かひ 00080260M12にまかりさふらふといらふ。こなたの翁、うちうなづきて、 00080270M13さにてさふらふや。おのれは、酢かひにものし給へるにか 00080280M14と思ひ給へて侍りとて、別れぬとか。をかしきとひこたへ 00080290M15にはありけり 00080300¥N6¥J 00080310¥X○某の嫁/放屁(ハうひ)の事 00080320M18むかし、某とかいへる人、嫁をとりぬ。嫁はしなかたち、 00080330M19け(七オ)しうハあらねど、常に屁ひるくせありければ、ミ 00080340M20づからもたゞそれをのミ、いとはづかしきことゝはおもひ 00080350¥P248 00080360L1ゐたり。さて、具してきたりけるはしたものと、わらはと 00080370L2をよびていふやう、いつにまれ、まらうどのき給ハんをり 00080380L3に、ふとならしたらんには、そこがしたらんやうにしなし 00080390L4て、まぎらハし給へ。さらば、これとらすべしといひて、 00080400L5絹などとうでゝあたへけれは、はしたものもわらはも、う 00080410L6け給はりさふらふといらへぬ。さてひと日、したしき人 00080420L7※のきければ、出むかへて、けふり草の盆まゐらせよな 00080430L8ど、あへしらふほとに、(七ウ)例のたかくならしければ、 00080440L9やわら、かたはらをうち見て、この女ハといへば、はした 00080450L10ものハ、顔に袖うちおほひて、あらぬあやまち、つかうま 00080460L11つりてさふらふとて、うつぶしせり。さて、なにくれとも 00080470L12のがたりしなどしてありけるほどに、またひとつならしけ 00080480L13れバ、またうちミて、この童ハといへば、わらハヽ、あら 00080490L14ぬあやまち、つかうまつりてさふらふ。ゆるい給へとて、 00080500L15ぬかづきぬ。かくて、かはらけもて出などして、あるじし 00080510L16けるほどに、またいと大きなるおと、二つまでならしけれ 00080520L17ば、あたりをミるに、いかにせん、わらハヽ/瓶子(へいじ)とりに、 00080530L18はしたものハミさかな(八オ)調じにやいりたりけん、そば 00080540L19には人もなかりければ、いミじう心あわてつゝ声うちあげ 00080550L20て、むらいなる此しりめと、いひけるとかや。かのへひり 00080560M1の判官代とかいへる人のたぐひにやと、いとほし 00080570¥N7¥J 00080580¥X○ものわすれする人の事 00080590M4むかし、弓いることをこのめる、えせさぶらひありけり。 00080600M5病にやありけん、いみじうものわすれしければ、妻はいと 00080610M6こゝろくるしがりて、夫にむかひて、それのさとのくすし 00080620M7こそ、もろ+の病をも、よく療治し給ふときゝて侍れ。 00080630M8とくゆきて、くすりこひ給へといへば、我も(八ウ)さこそ 00080640M9おもふなれとて、例の弓箭とり、馬に乗て出ぬ。さて、一 00080650M10里ばかりゆきて、ふと、はこのしたくなりければ、いそぎ 00080660M11おりて、馬を木につなぎ、箭を土にさしおきて、やわら、 00080670M12しりをからげてまりぬ。まりはてゝ、ついたちけるが、か 00080680M13の箭を見て、いたくうちおどろきて、くは、いづちよりと 00080690M14ひきつる箭ぞ。今のほど、かうかゞまりをらざらましかバ、 00080700M15我ハ此箭にこそあたらめ。あな、あぶなの命やとて、舌を 00080710M16まき、身をわなゝかして、おそるゝこと、かぎりなし。ま 00080720M17たかたハらなる馬を見て、手をうちよろこびて、此馬、た 00080730M18れ人かひきゝつる。(九オ)思ひかけぬに、よき馬をしも、 00080740M19えつるものかな。いで、のりてゆかましとて、くつわとら 00080750M20んとするほどに、ふと、おのがまりたるはこをふミて、 00080760¥P249 00080770L1のけさまにどうとたふれぬ。くハ+けしからぬあやまち 00080780L2しつ。しれ犬めが、あらぬところに尿まりおきて、おのれ 00080790L3がくつをしも、けがさせつ。あなにくのちくしやうやつと 00080800L4いふ+、はひおきて、かの馬にのれば、馬は道をしりた 00080810L5れバ、やがて我家にかへりぬ。さて家にいりて、めにむか 00080820L6ひて、某のくすしの君に、ものきこえん。おのれハものわ 00080830L7するゝ病のさふらふまゝ、かくふりはへまうできてさふら 00080840L8ふ。いか(九ウ)で、さる薬あたへ給へといへば、妻、うち 00080850L9はらだちて、このしれ人、我めをわすれ給ふか。よくつゝ 00080860L10しミ給へといへば、はじめてまうでさふらふものを、いか 00080870L11で、さはの給ふぞ。たゞとく、あるじの君にまうして、療 00080880L12治せさせたまへといひて、しきりにぬかづきけるとぞ 00080890¥N8¥J 00080900¥X○貧学生某のもとにやどりたる事 00080910L15今ハむかし。いとまづしき学生ありけり。ある日、某がり 00080920L16ゆかんとするに、ずさのなかりければ、すべなくて、妻を 00080930L17ずさのさまにいでたゝせて、具してゆきぬ。かしこのある 00080940L18じ、酒肴もて出などして、あへしらふほどに、日く(十オ) 00080950L19れにければ、こよひはこゝにやどり給へといへば、やどり 00080960L20ぬ。かくてあるじ、学生ハおくまりたる所に、ふしどをま 00080970M1うけて、そのこの童を、そばにねさせ、ずさハ下家にやり 00080980M2て、下部のそばにねさせぬ。あけの日、つとめておき出け 00080990M3るに、かの童、あるじにつげていふやう、ぜんじやうハ、 00081000M4何ごともたらぬがちにおはするにや。よべ、衣をぬぎてね 00081010M5給ふを見侍れば、たふさきをさへ、つけておはさゞりしと 00081020M6いへば、かたハらに下部のありて、たゞぜんじやうのミに 00081030M7はべらず。ずさもまた、いミじき/貧者(ひんざ)にて侍り。さるはよ 00081040M8べ、衣をぬぎてぬるを見はべれば、ち(十ウ)うほうをさへ、 00081050M9もて侍らざりしといへるとぞ 00081060¥N9¥J 00081070¥X○松坂のくすし閻王の前にいたる事 00081080M12今ハむかし。伊勢国松坂の里に、何とかいふくすしありけ 00081090M13り。いけるかぎり、儒の道と仏の道とをにくみのゝしりて、 00081100M14たゞわが国の神の道をのミ、いと尊きものにいひはやす人 00081110M15にてありけるを、九月十日ばかりより、ふとこゝちわづら 00081120M16ひて、おなじつごもりごろになくなりぬ。さて、閻王の庁 00081130M17にいたりけるに、いかなることにか、大王、たちまち座を 00081140M18たちて、くすしを上座にさうじ、鬼どもにいひつけて、く 00081150M19さ※の酒肴、あるはくだもの(十一オ)(十一ウ挿絵)など、 00081160M20いださせて、いミじうあるじせられければ、くすしも、こ 00081170¥P250 00081180¥G(十一ウ) 00081190L12ハおもひ給へかけぬ、御もてなしにも侍るかな。おのれは 00081200L13いけるほとは、たゝ神の道をのミたふとミて、いさゝかも 00081210L14仏を信じたることもなき身にはべるを、など、かうねんご 00081220L15ろには、ものし給ふぞ。たゞうちおかせ給へといへば、大 00081230L16王ぬかをつきて、されば、そのことにてさふらふ。/南瞻部= 00081240L17洲(なんせんぶ=しう)大日本国は、はやう/廐戸(うまやど)ノ皇子、蘇我ノ馬子とゝもに、 00081250L18仏法をひろめ給ひしより、世&の帝をはじめ、天の下の人 00081260L19&、悉皆仏法にのミ、きえしさふらふによりて、吾地獄に 00081270L20きたれる人、やう+にすくなく(十二オ)なりゆきて、あ 00081280M1またの鬼ども、なすべきわざをうしなひ、くらふべきもの 00081290M2もあらずなりつゝ、今はほと+、地獄もたえぬべうなり 00081300M3てさふらふを、ちかきころ君の出給ひて、ひたすら仏の道 00081310M4をそしり、神の道をとき給へるによりて、其をしへにした 00081320M5がへる人&、日けにいとおほくなりゆくまゝに、/千有餘年(ちとせあまり) 00081330M6を経て、はじめてわが地獄にきたれる人、やゝおほくなり 00081340M7て候なり。なほ君の著ハし給へる/書(ふミ)ども、あまねく天の下 00081350M8にひろまりて、いよ+其道を学ぶ人おほくなりゆき侍ら 00081360M9ば、ふたゝび仏法の、いまだかの国にわたらざりし(十二 00081370M10ウ)上つ世にたちかへりて、わが地獄のさかえともなりな 00081380M11ましと、たのもしくもよろこばしくもおもひ給へ侍るまゝ、 00081390M12いさゝか御むくいせまほしくて、かくハものしさふらふと 00081400M13いひて、いよ+あつくもてなしけるとかや 00081410¥N10¥J 00081420¥X○孫康をしたひたるをとこの事 00081430M16むかし、何がしとかいふ男ありけり。その隣に学生ありけ 00081440M17れば、をさなきほどハをり+いきて、/書(ふミ)よむことをもな 00081450M18らひけり。おとなになりて後ハ、ふつによまずなりければ、 00081460M19あるとき学生、この男をよびて、そこには、いかでふミ 00081470M20をば、よまずなりぬるとゝへば、家貧しく(十三オ)てとい 00081480¥P251 00081490L1らふ。師、まづしくとも、こゝろざしだにあらば、よまで 00081500L2やはあるべき。むかし、もろこしの車胤といへる人ハ、家 00081510L3いとまづしかりしかども、螢をあつめてよミ、孫康といへ 00081520L4るは、雪を集てさへよミたなり。されば此人&をば、螢雪 00081530L5の学とて、いまも世にいミじきためしに、いひつたふるな 00081540L6りといへば、さにてさふらふや。おのれもいかでしかこそ、 00081550L7なさまほしうおぼえさふらへとて、かへりぬ。かくて日ご 00081560L8ろへて、あるゆふぐれ、此男、かの学生のもとにきて、何 00081570L9にまれ、/書(ふミ)かし給へ。よミ侍らんといへば、よきことなり 00081580L10とて、何くれととうでゝとらせつ。さて、あ(十三ウ)けの 00081590L11日、朝とう、童してこの書どもミながら、かへしおこせけ 00081600L12れば、まだよむべきほどもあらざなるに、いかでかくハか 00081610L13へしおこせたるにかと、いといぶかしくおぼえながら、と 00081620L14りてみれば、せうそこあり。 00081630L15△△ひめ給へる御/書(ふミ)をしも、かし給ハりぬるうれしさ、何 00081640L16△△にかはたとへ侍らん。まことや此ほどは、風いミじう 00081650L17△△吹あれぬるを、きのふハなごりなうしづまりて、たゞ 00081660L18△△雪のミたちつゞき侍れば、よべはかならず雪ふりぬべ 00081670L19△△うおもひ給ふるまゝ、さらバそを、あかしとなしてこ 00081680L20△△そとて、ふりはへつゝ、かりまゐら(十四オ)せしを、 00081690M1△△あやにくにふらずなりて、おもひたまふること、たが 00081700M2△△ひはべれバ、かういたづらにハかへしまゐらすなり。 00081710M3△△また降たらんをりに、かし給ハらんことをねがひきこ 00081720M4△△ゆるになむ。穴かしこ 00081730M5とあり。学生うちミて、はらをきりて笑ひあへりけるとぞ 00081740¥N11¥J 00081750¥X○何がし色好の事 00081760M8今はむかし。何がしのかうの殿につかふる、えせざふらひ 00081770M9ありけり。いミじきすきものにて、女とだにいへば、たか 00081780M10きいやしきをいはず、よるひるまどひありきければ、世に 00081790M11(十四ウ)ハ今平仲とぞよびたりける。此さふらひ、ある時、 00081800M12それの里に沙汰すべきことのありければ、十日ばかりがほ 00081810M13ど、ゆきてとゞまりをりけるに、ある夜、子ばかりにやあ 00081820M14りけん、しきりに、をう+うゝ+といひて、うめき出 00081830M15しぬ。ずさのをのこハ、此声をきゝて、さハ、殿には例の 00081840M16さくのおこり給へるにこそとおもひて、丹薬をやまゐらせ 00081850M17ん、煎薬をやものし侍らんなど、いひさわげば、いな。わ 00081860M18が此なやミは、さる病のわざにはあらざるなりといふ。さ 00081870M19は、何のなすわざにてかさふらふといへば、あな、こゝろ 00081880M20なの男や。ましらハ、あのものおとをきゝし(十五オ)らぬ 00081890¥P252 00081900L1か。われハこれをきゝてハ、たゞ死ぬばかりくるしう、た 00081910L2へがたきはといふにぞ、ずさもみゝとゞめてきけば、あな 00081920L3あさまし。さうじひとへあなたにて、家あるじの、ことゞ 00081930L4もくはだてつるになむありける。むかし、何がしのひじり 00081940L5ハ、餅をつくおとをきゝてだに、いとたへがたくて、ひた 00081950L6すらをめきけるとかきけば、かゝるすきものならんにハ、 00081960L7さもあるべくや 00081970¥N12¥J 00081980¥X○子ふたりもちたるしれ人の事 00081990L10今ハむかし。徳島ちかきあたりに、某とかいへるしれもの 00082000L11ありけり。子ふたりもちたりけるが、ともに父にひとし 00082010L12(十五ウ)き、をこなるものにぞ有ける。さて七月の十日ば 00082020L13かり、弟なるもの、兄にむかひて、盆の十五日ハ月夜にて 00082030L14候やといへば、太郎、かしらうちかたむくること、いとひ 00082040L15さしうして、こぞハ月夜にてあなれバ、ことしも大かた、 00082050L16月夜なるべしといらふ。ちゝ、一間なる処にきゝをりて、 00082060L17太郎よ。しれごとないひそ。さることは、こよミを見ずて 00082070L18ハ、いかでかしらるべきといひけるとぞ 00082080¥N13¥J 00082090¥X○某のもとなる/女(め)の/童(わらハ)の事 00082100M1何がしのもとに、としのほど十二三ばかりなる女の童あり 00082110M2けり。それをあるすきもの、とかくいひこしら(十六オ)へ 00082120M3つゝ、ミそかなる処へゐていきて、かのことくはだてぬ。 00082130M4いとをさなければ、男もあまりにかはゆくおぼえて、おの 00082140M5がおもふまゝにも、えふるまハで、たゆたひてありければ、 00082150M6女のいふやう、君には我をゝさなきものとおぼして、さは 00082160M7あなづらせ給ふかといへば、なでう、君をあなつりまゐら 00082170M8せん。ともかうも、御心のまゝにといへば、さらバ、おと 00082180M9なにあひ給ハんやうに、すか+とものし給へかしといひ 00082190M10て、ひし+といたきつきけるとかや 00082200¥N14¥J 00082210¥X○某のほうし座禅の事(十六ウ) 00082220M13京ちかきわたりの禅寺に、何がしの和尚とかやいへる、と 00082230M14くあるひじりありけり。ある日、それの法師のきて、修行 00082240M15の道は、いかゞつかうまつるべきとゝへば、和尚、たゞ座 00082250M16禅にしくハ侍らじといらふ。法師はやがて、仏の前にまか 00082260M17りて、しばしばかり座禅してありけるが、たちまち手をは 00082270M18たとうちて、げに、座禅のとくは、いちじろく侍りといひ 00082280M19て、いミじうよろこびぬ。和尚も、あまりにとみのことな 00082290M20れば、いぶかしくおもひて、いかなることか、見え給ひた 00082300¥P253 00082310L1るとゝへば、法師ほくそゑミて、今ハ三とせばかりにやな 00082320L2りてはべりけん。ある夜、おかしげなる尼のきたりけるを、 00082330L3(十七オ)やどしてさふらふに、もし我をおぼさは、五条わ 00082340L4たり某の尼とたづね給へといひていでぬ。さるをいかなる 00082350L5ことにか、ふつにその名をわすれはべりて、としごろおも 00082360L6へど、えものせで侍りしを、今座禅して侍りけるほど、こ 00082370L7れをおもひ出てさふらふといひけるとぞ 00082380¥N15¥J 00082390¥X○天王寺建立の事 00082400L10今はむかし。寛政それのとし、天王寺へ/雷(かミ)おちて、堂塔の 00082410L11こりなうやけうせぬ。そのころ、淡路屋某といふもの、此 00082420L12堂塔建立せんことをおもひたちて、あまねく京難波を勧進 00082430L13しけるに、いくほどもなく、こがねざいもく(十七ウ)など、 00082440L14いとおほくあつまりぬ。さてあるとき、飛/弾((ママ))の/工匠(たくミ)をよび 00082450L15て、その堂塔をたつべきところをさだめさせけるに、/工匠(たくミ) 00082460L16のいふやう、かゝる伽藍を造りさふらふには、いミじきさ 00082470L17ほう、あることにてさふらふなり。さるはおほかた、人の 00082480L18かたちによりてさだむることにてさふらふとて、やがてひ 00082490L19とりの男をあふのけにふさしめて、とばかりながめをりて、 00082500L20まづ鼻ある処には何の堂、目ある処には、くれの寺など、 00082510M1こち※しういひしらふほどに、このふしたる男、何ごと 00082520M2をか思ひ出たりけん、あのものゝ、すハすハとおこり立け 00082530M3れば、かの/工匠(たくミ)、手をはたとうちて、(十八オ)これこそ大 00082540M4塔のたつべき処にははべれといひけるとぞ。したり顔なる 00082550M5おもゝち、いかにをかしかりけん 00082560¥N16¥J 00082570¥X○某の入道戦ひの事 00082580M8むかし、それの国臍村のちかきわたりに、何かしの入道と 00082590M9いふ人ありけり。おほかた、さうじなどもせずして、常に 00082600M10鳥の子うまふゞきなどをのミ、好ミてくひてけり。さて比 00082610M11那崎といふところに、入道が年ごろの敵あり。あるとき、 00082620M12おそひきたりてかこミせめければ、例のいでゝたゝかふに、 00082630M13敵ことのほかにつよければ、さしもたけきほうしも、えた 00082640M14へずしてにげぬ。敵は尚おひきたりけるを、/館(たち)(十八ウ)(十 00082650M15九オ挿絵)のうちより、いミじうよそひたる/兵(つはもの)、二人出きて、 00082660M16この入道をたすけ戦ひて、敵おひかへしてけり。さて、こ 00082670M17のつはもの、いと不思議におぼえければ、日ごろ爰にもの 00082680M18し給ふともミえぬ人&の、かう戦ひし給ふは、いかなる人 00082690M19にてさふらふぞと問ひければ、君にはしろしめさぬにや。 00082700M20としごろたのミて、朝な夕なにめしつる鳥の子うまふゞき 00082710¥P254 00082720¥G(十九オ) 00082730L12らにてさふらふといひて、うせにけりとぞ。ふかく信をい 00082740L13たしぬれば、かゝるとくもありけるにこそ 00082750¥N17¥J 00082760¥X○某のをんなめさうじミの事(十九ウ) 00082770L16ある人、としごろしりたるをんなめのもとへ、いきてふし 00082780L17けるに、女のいふやう、あすハ朝とう神まうでし侍らんと 00082790L18て、けさほどより、さうじして侍るなれば、こよひばかり 00082800L19はゆるひ給へといへば、男もすべなくて、いたづらぶしを 00082810L20してありぬ。さて子ばかりにや有けむ、いで、おどろかせ 00082820M1給へ。わが君+といひて、あながちによびおこしけるに 00082830M2ぞ、何ごとのありて、かうはおどろかし給ひたるとゝへば、 00082840M3君、よろこばせ給へ。今のほど、雨ふりいでゝさふらふと 00082850M4いひけるとぞ 00082860¥N18¥J 00082870¥X○某のくすしの/妻(め)学生をあざける事(廿オ) 00082880M7都のはしつかたに、とくあるくすしと、まづしき学生とな 00082890M8らびて、すむありけり。学生あるとき、聊なる書をかひけ 00082900M9るに、銭なければ、からバやと思ひて、くすしがりゆきけ 00082910M10るに、くすしは、ばうざのもとへいきて、家にはたゝ/妻(め)ひ 00082920M11とりあり。妻ハミめよかりけれど、すきものにて、はやう 00082930M12此学生にけさうしてありぬ。学生ハさることゝもしらずて、 00082940M13あるじの君やおはする。ものまうさんといへば、妻出むか 00082950M14へて、あるじは家にはべらねバ、おのれ、うけ給はらんと 00082960M15いふ。学生、おのれ、少&の書かひてさふらふに、あたひ 00082970M16の銭侍らねバ、それ(廿ウ)かりまゐらせんとて、かくまう 00082980M17できつるなり。いかで、あるじの君にまうし給へといへば、 00082990M18さばかりのことを、いかであるじにきこゆべき。おのれ、 00083000M19かしまゐらせんとて、やがてミづから銭もて出て、あたへ 00083010M20ければ、学生はよろこぶこと、かぎりなし。さて、めハ、 00083020¥P255 00083030L1おのれもまたぜんじやうに、ミそかにきこえまほしきこと 00083040L2こそさふらふなれ。きゝて給ひてんやといへば、何ごとに 00083050L3まれ、うけたまハりさふらハんといふ。さはうれしうこそ 00083060L4侍れとて、やわら、ゐざりよりて、思ひ給はんほども、は 00083070L5づかしうさふらふなれど、いかなるすくせにや、としごろ 00083080L6君をおもひまゐらせ(廿一オ)て、わすれがたうさふらふと 00083090L7いへば、学生はいミじうゝちおどろきたるおもゝちにて、 00083100L8こは、けしからぬことをものたまふものかな。おのれはか 00083110L9ゝるわび人にてはさふらへども、常にくしの道をまなぶも 00083120L10のにてさふらふなり。いかで、さる不義のふるまひ、つか 00083130L11うまつるべきと、あらゝかにうちいひて、かの銭をも、さ 00083140L12ながらに打おきてぞ、いでゝいにける。妻は学生のうしろ 00083150L13で見おくりていふやう、あの人はつねに、から国の書をの 00083160L14ミよミて、いミじき学生と聞たりしが、よもさにはあらじ。 00083170L15さる学生ならんには、かうまでじはうなるこ(廿一ウ)とは、 00083180L16いかでかいひいづべきとて、かたぶきゐたりけるとぞ。此 00083190L17女、ちかき世の学生たちの、たゞよからぬふるまひのミお 00083200L18ほかるを、見きくまゝに、学生とたにいへば、たれも+ 00083210L19ミな、さるすぢにおもひひがめたるこそ、いとも+あさ 00083220L20ましけれ 00083230¥N19¥J 00083240¥X○某の家のはしたもの放屁の事 00083250M3むかし、某のもとに、しれ※しきはしたもの有けり。あ 00083260M4る日、あるじ、ひと間なるところにこもりゐて、ただひと 00083270M5り、書などよミてありけるに、この女、火桶の火や、まゐ 00083280M6らせむなどいひきけるほどに、いかにしてか、た(廿二オ) 00083290M7かやかに、へをこき出したり。あるじ、うちはらだちて、 00083300M8むらいなる此しれものめといひけるに、またひとつならし 00083310M9ければ、いよ+はらたてゝ、おのれ、しやしりつミてん 00083320M10といひて、ものすそたかうひきあげゝるに、色しろう、つ 00083330M11ぶ+とこえて見えければ、ふとこゝろまどひて、やをら 00083340M12おしふせてまきつ。さて、またの日、あるじは隣へいきて 00083350M13ありけるに、此女、わが殿はいづくにあらせたまふぞ。わ 00083360M14がとの、わがとのといひて、そこらたづねまどひけるが、 00083370M15はて+は左右の手して、ミづからしりをかゝへて、いか 00083380M16にせむ、あな+(廿二ウ)(廿三オ挿絵)といひつゝ、すぢり 00083390M17もぢりして立めぐらひければ、家のうちの人&も、あやし 00083400M18むこと、かぎりなし。あるじも此こゑをきゝければ、いそ 00083410M19ぎかへりきて、くは+何ごとぞといふに、今のほど、い 00083420M20ミじうへのひらなんとして侍るまゝ、かくハまうしゝなり。 00083430¥P256 00083440¥G(廿三オ) 00083450L12さる用意し給へといふほどこそあれ、したゝかなるおとに、 00083460L13五ツ六ツつゞけてならしければ、ミなふしまろびて、どよ 00083470L14ミわらひけるとかや 00083480¥N20¥J 00083490¥X○何がしくすしをやとひてふミかゝせたる事 00083500L17わが友に、何がしとかいへる、なま歌よミありけり。をさ 00083510L18(廿三ウ)なきほどより手習をきらひて、ふつにものせねば、 00083520L19いミじき悪筆にて、たま+詠草などものするにも、たゞ 00083530L20蚯蚓のあとのやうにのミぞありける。ある時、京なる宗匠 00083540M1だつ人のもとへ、ようのことありて文つかハすに、かうざ 00083550M2まの悪筆なれば、おのれもいたう恥らひつゝ、隣なるくす 00083560M3しをよびて、せんじがきせさせてぞつかはしける。さて、 00083570M4ほどへて後、かの宗匠のもとより人おこせて、さきには御 00083580M5せうそこ給ハり、いとうれしうおもひ給へはべり。たゞし、 00083590M6あまりに御手のすぐれさせ給へるまゝに、いとも+よみ 00083600M7ときがたう(廿四オ)さふらふなれバ、今より後ハ、たれに 00083610M8まれ、手のわろき人して、たゞよみやすからんやうに、も 00083620M9のし給へかしといへば、あるじ、のびあがりて、おのれ、 00083630M10すなはち、ことのほかなる悪筆にて候へば、さやうにもの 00083640M11せんに、いかでか人たのミまうすべき。さきなるふミこそ、 00083650M12/実(まこと)には隣なるくすししてかゝせたるには候なれといへば、 00083660M13かの男、いな+、さにははべらじ。こは一ぢやう、君の 00083670M14かゝせ給へるなめりといふ。あるじ、などはらぐろきこと 00083680M15はの給ふぞ。おのれはうまれつきたる悪筆にてさふらふも 00083690M16のをといへば、尚きゝもいれずて、いな+、君いかで 00083700M17(廿四ウ)悪筆におハすべき。偽りばしの給ふなといへば、 00083710M18あるじは、うちはらだちたるまじりひきあげて、傍なるち 00083720M19び筆さしぬらしつゝ、一文字二文字かきて、これ、ミ給へ。 00083730M20かうざまの悪筆なり。かくても尚、能書なりとうたがふに 00083740¥P257 00083750L1やといひて、声あらゝかにのゝしりけるにぞ、いとあさま 00083760L2しくなりて、いさかひもやめてかへりけるとぞ 00083770¥N21¥J 00083780¥X○某父のなくなりたるをかなしみたる事 00083790L5わが隣里に、何がしとかいひて、身まづしくて、うはべを 00083800L6つくろふ人ありけり。一とせ、ひとりの子をうしなひ(廿 00083810L7五オ)てのち、いくほどもなく、また父をうしなひけれバ、 00083820L8ちかきわたりの人&、ゆきとふらひけるに、此男は、たゞ 00083830L9ふすまひかづきつゝ、よゝ+とのミうち泣て、さらにお 00083840L10きも出ざれば、はやうをさなき人のなくなりたる時ハ、さ 00083850L11しもあらざなるを、今老たる人のなくなりたりとて、かう 00083860L12のミ泣かなしめるは、あはれ、いミじき/孝(けう)の人かなとて、 00083870L13人ミな感じあへり。されど、かくてもことはてねば、人& 00083880L14まくらがミによりて、ちゝぬしのわかれをかなしミ給ハん 00083890L15は、さることにさふらへども、ちゝぬしも今は/八十(やそぢ)にも多 00083900L16く餘れるまで、ながらへ給ひに(廿五ウ)たれば、御齢にお 00083910L17きては申すところはべらず。さらずとても、生者必滅会者 00083920L18定離と申ことの候なれば、さのミになうれひ給ひそと、な 00083930L19ぐさめいへば、いな。おのれハちゝのなくなりたるは、さ 00083940L20ばかりにはおもひ給へ侍らねど、あれなる銭櫃米櫃こそ、 00083950M1すべなうかなしうおぼえさふらふなれといふに、人&もあ 00083960M2やしとおもひつゝ、たちよりて、ふたひきあけて見れば、 00083970M3あなあさまし、銭も米もいさゝかもあらざりしとぞ 00083980¥N22¥J 00083990¥X○/医師(くすし)何がしふたりの童を夢見たる事 00084000M6今ハむかし。/典薬頭(てんやくのかミ)にて、やんごとなきくすしありけり。 00084010M7(廿六オ)(廿六ウ挿絵)あるとき西京なる、それの人のもとに 00084020M8ゆきて、その/妻(め)のとしごろわづらひてありけるを見ていふ 00084030M9やう、こハ等閑の病に侍らず。もし、よのつねのくすしを 00084040M10たのミ給はバ、いちじやう、黄泉の客となり給ふべかりつ 00084050M11るを、よくもおのれには見せ給へるものかな。我家にハお 00084060M12ほてゝのときより、かゝる病ををさむる奇法あなれば、い 00084070M13くほどもなく、いやしまゐらすべし。夢こゝろを、ならう 00084080M14し給ひそといひて、したり顔に袖つくろひ、みづからあま 00084090M15た袋の薬をてうじおきてぞ、いでゝかへりける。さて其 00084100M16夜、くすしの夢に、いとむつかしげなる童の(廿七オ)ふた 00084110M17りまでうちつれいりきて、しきりにくすじの前にぬかづけ 00084120M18ば、くすし、こゝろのうちに、さハやまうどもの、わがあ 00084130M19たへつる薬のあまりにたへがたさに、今ハゆるしかうぶら 00084140M20んとて、かうハいりきつるなめりとおもひて、いかにやわ 00084150¥P258 00084160¥G(廿六ウ) 00084170L12らハ、我薬の、さばかりたへがたきかとゝへば、いな。此 00084180L13ばうざハ、おのれ、はじめのほどより命とるべうおもひて 00084190L14はべるを、いかなれば神仏のまもりありて、おのれらがち 00084200L15からにもおよびがたければ、今ハうちおきてや、かへらま 00084210L16しなどおもひをりけるを、ゆくりなう、けふぜんじやうの 00084220L17き給ひて、あらぬくすり(廿七ウ)をしもあたへ給ひぬれバ、 00084230L18かくてはちかきほどに、うたがひなく、なくなりぬべうお 00084240L19ぼえさふらふまゝ、此かしこまりきこえ侍らんとて、かう 00084250L20ことさらにまうできて候といふにぞ、くすしもあきれまど 00084260M1ひつゝ、めくちはたかりて、いふことなかりしとぞ 00084270¥N23¥J 00084280¥X○某の妻ミそか男よびいるゝ事 00084290M4むかし、某とかいへるなま学生ありけり。そのめは、ミめ 00084300M5よかりけれと、こゝろあだ+しきものにて、そこへもの 00084310M6ならひにきかよひけるくすしと、をり+しのびつゝあひ 00084320M7てけり。さて六月ばかりのあつきころになりぬ(廿八オ)れ 00084330M8バ、夫婦はたゞならびふすのミにて、夜床はへだてゝあり 00084340M9ければ、めはこれをよきことにして、ある夜、ともしびふき 00084350M10けちて、ミそかにかのくすしをよびいれぬ。くすしハ女の 00084360M11しりにふして、その腰のあたりをあげおろし、いくたびと 00084370M12もなう、かいさするに、さながら、うすものなどつがねた 00084380M13らんやうにて、えもいはず細うたをやかなれバ、くすしも 00084390M14いミじうめでまどへるまゝに、ふと声うちあげて、願作 00084400M15軽羅著細腰とうちずしぬ。かたはらにふしたる夫、こ 00084410M16の声をきゝて、今のほど、わぬしのそばにものいひたるは、 00084420M17たそとゝふ。めはみ(廿八ウ)そかをのことしられつとおも 00084430M18ひて、胸うちさわぎけれど、猶さらぬさまつくりて、今宵 00084440M19は吾房にいミじき蚤のさふらふなれば、それがかくまうし 00084450M20ゝにこそはべらめといへば、げにむかし、虱の阿房宮の賦 00084460¥P259 00084470L1をずせしといふことは、五雑爼といふ/書(ふミ)にもしるしたれば、 00084480L2蚤のからうたずせんことも、などかあらざらんとて、こと 00084490L3なかりけるとぞ 00084500¥N24¥J 00084510¥X○某の家のはしたも/((の脱カ))ゝ事 00084520L6何がし、ようのことありて、むらをさ何がしのもとへとぶ 00084530L7らひゆきぬ。けふは家のうちの人&、ミなものへゆ(廿九 00084540L8オ)きて、なまうつくしげなるはしたもの、たゞひとり有 00084550L9ければ、男うちミて、こゝちまどひにけり。さて、とかく 00084560¥G(卅オ) 00084570M1いひよりけるに、女はかたちには似ずて、いミじきしれも 00084580M2のにて、たゞあらぬことのミうちいひぬ。されど、男も今 00084590M3はしのびがたくおぼえければ、そこにありたる風呂敷とか 00084600M4いへるもの、かしらにうちかづかせつゝ、かきふせて、あ 00084610M5ながちにまきつ。さて人のしらざるほどにとて、いそぎい 00084620M6でゝかへりきぬ。されど用のことは、なほはたさゞれバ、 00084630M7またの日、かの人のがりいきて、あるじとさしむかひゐて、 00084640M8じはうなるものがたりどもうちし(廿九ウ)(卅オ挿絵)てあり 00084650M9けるに、おもひもかけず、かのしれもの、かしらに風呂敷 00084660M10うちかづきつゝ出きぬ。くは何ごとするにそと、人&あき 00084670M11れてありければ、某の君いで、きのふし給へるやうに、け 00084680M12ふも物して給へ。はや+といひつつ、のけさまにふして、 00084690M13えもいはぬことゞもしけれバ、かのをのこも、えたへで、 00084700M14しりきれはきもあへず、にげていにけるとぞ 00084710¥N25¥J 00084720¥X○某と蚯蚓と問答の事 00084730M17ある人の子の、むつばかりになりたるが、しとしけるに、 00084740M18ふと蚯蚓にかゝりければ、やがてそのちうほうのいミ(卅 00084750M19ウ)じうはれ出ぬ。さて父なるもの、かのみゝずにむかひ 00084760M20ていふやう、おほよそ、人あやまちある時は、おとなをと 00084770¥P260 00084780L1がめて、をさなきものをゆるすなん、よのつねなるを、ま 00084790L2しハ、おとなハさはなくて、只をさなきものをのミとがむ 00084800L3ること、いと不当にあらずやといへば、蚯蚓のいふやう、 00084810L4まことにさにてさふらふなり。されど、おのれ、おとなの 00084820L5ものを見はべれバ、はやう法師のかたちしてさふらふなり。 00084830L6いかにぶらいなりとて、/出家(すけ)をとがめさふらハんことは、 00084840L7/後世(ごせ)のほど、おそろしうおぼえさぶらふまゝ、かくゆるし 00084850L8てさふらふと、こたへけるとかや。(卅一オ)かゝるものに 00084860L9ても、なほ仏を信する心はありけるにこそ 00084870¥Y1白癡物語巻之下△終(卅一ウ) 00084880¥Q 00084890M1六々園著述目録 00084900M3春屋集△前篇三冊△@歌の部△文の部|俳諧歌の部△△@ 00084910M5春屋随筆△初篇三冊△@としころ見わたしたるからやまとの△△△|書ともより何くれと珍らかなることゝもを|抄出して自の考を加へ旦近き世の人&の△|説ともの是非をそこれかれとろうしたり△ 00084920M5@ 00084930M6白癡物語△全二冊△△@はやう見きゝたる処の笑人しきもの|語を宇治拾遺体の雅文にかきたる△|にて六樹園翁のしみのすみかもの△|かたりのたくひなり△△△△△△△@ 00084940M7同△拾遺△△二冊 00084950M8猿蟹物語△△一冊△@わらハべの物かたりくさにすなる猿蟹の復讐|のことを雅文にかきたるなり△△△△△△△@ 00084960M9桃太郎物語△一冊△@上にひとしきわらハへの物かたり也但し二書共|巻尾に諸名家のされ歌を附録す△△△△△△△@ 00084970M10一力物語△△△△△@忠臣くらといふ上るりの第七段を物語体の|雅文に訳したるなり△△△△△△△△△△@ 00084980M11中古笑話△@前扁二冊|後扁三冊@△@今昔宇治拾遺著聞砂石によりこと△△△△△△|にをかしう興あるもの語を抄出し頭に△△△△|觧かたき詞ともを考證してちうさくを加ふ@ 00084990M13中古俗語考△三冊△@中むかしの俗語を竹とりうつほ源氏其外|あらゆる物かたりをはしめ十訓著聞盛△|衰記によりぬきいてゝいろは分にして考|證を加ふ△△△△△△△△△△△△△△@ 00085000M14吾嬬の日記△一冊△@甲申の春江戸にものしたる道の記なり但し△△|旅中にて見きゝたることをさなからにしるし△|たれハよのつねの紀行とハやうかはりておかし|きものかたりおほし△△△△△ 00085010M14△△△△△△△@ 00085020M15同△△附録△一冊△@江戸にありけるほどあまねく諸名家を訪|らひ行たる日記なり△△△△△△△△△@ 00085030M18宇治能須左備@初篇|五冊@△@天正慶長のころより今時にいたるまて△△|神祗△釈教△忠義△孝行△貞烈△△△△△|和歌△文字△戦争△武勇△怪異△△△△△|奇癖△名物△風俗△禽獣△草木△ 00085040M18△△△△おの+部を分ちてものがたりの世につたふ|るにたるものを集め今昔宇治拾遺△△△△|体の文をもてしるせりなり△△△△△△△@ 00085050¥P262 00085060¥U噺本大系△第十九巻 00085070¥T/鳴呼笑(ああおかし)△〔序文〕△△△△鼠足舎万化序△△安永十年正月序 00085080¥K 00085090L3△大東急記念文庫蔵。小本一冊。題簽を欠く。序 00085100L4題・内題なし。丁付は「序」、本文は「高二〜高 00085110L5十一、十二〜三十二、三十四〜五十三」。序一丁 00085120L6(うしの初春鼠足舎万化)。本文五一丁・五九話(「盗 00085130L7人」を含む)・見開挿絵二、半面挿絵一。奥付を 00085140L8欠く。 00085150L9△本書は、序一丁と本文一○丁・一○話・半面挿 00085160L10絵一葉を新刻、そのあとに、安永八年刊『寿々葉 00085170L11羅井』の第十二丁「盗人」の中途から巻末第五十 00085180L12三丁「仏のむしん」までの板木を嗣ぎ足したもの 00085190L13である。丁付を通すため、元板の「盗人」の前半 00085200L14部分(十一丁裏の四行分)は省いたまま、本文中途 00085210L15から付け加える無理がしてある。序者の鼠足舎万 00085220L16化の経歴は未詳だが、『相撲地名評判記』(安永九) 00085230L17などの著がある。板元は元板時の竹川藤助かどう 00085240L18かは不明。未翻刻である。 00085250¥Y序 00085260M3耳に初て聞、目にはしめて見るは、いと面白く手柄あり。 00085270M4さればとて、古をもつてあたらしきと改バ、質屋よりミう 00085280M5けする上下を着て、後家入に行も、これまたあらためて 00085290M6(序オ)新しきなり。されども、世の中はひととせに珍敷/事((ママ)) 00085300M7の葉の数&ハ、花の都の初売によせてつゞれバ、咄し上手 00085310M8も口べたも、どつと一座の/鳴呼笑(あゝおかし)とぞはべるそかし 00085320M10△△△うしの初春△△△△△△△△△△鼠足舎万化 00085330M11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序ウ) 00085340¥N1¥J 00085350¥X/洗湯(せんとう) 00085360M15/田舎(いなか)の/御客人(おきやくじん)、/嘸(さぞ)御くたびれであらふ。/湯(ゆ)へござれ。わ 00085370M16しがつれて行ませうと、つれだち行。わしも一ト/風呂(ふろ)しや 00085380M17うばんしませうと、はだかに成リ、サアわしについてござ 00085390M18れと(高二オ)さき立、ざくろ口をはいりながら、アイ、ひ 00085400M19へ/物(もん)でござい。御めんなさいといふてはいれバ、あとにつ 00085410M20ゞいて田舎者が、Sハイ、喜右衛門でござります 00085420¥P263 00085430¥N2¥J 00085440¥X/博奕(ばくち) 00085450L3Sコレ、てまへハわるいこつた。又此ごろ(高二ウ)ばくち 00085460L4をするそふだ。よしやれ。どうでとくハいかぬ△Sハテ、 00085470L5そふいやるな。ぬしやアしらねへからだ。あれほどとくな 00085480L6物ハねへ。マア見やれよ。今おれがかんぜうして見せうと、 00085490L7そろばんを前におき、まづ百はるか、とる時ハ四百取(三 00085500L8オ)やす。よしかへ。そこで其四百をすぐにはるか、又取 00085510L9時ハこんどハ壱貫六百になりやす。よしかへ。又其壱〆六 00085520L10百をはると、こんどハ△Sコレ、よしやれ。ばか+しい。 00085530L11其位の事ハおれもしつている。おきにしやれと、そろばん 00085540L12を(三ウ)ひつたくれバ、Sそのかわり、まけたときハ、て 00085550L13ふどそんなにとられる 00085560¥N3¥J 00085570¥X/松風(まつかぜ) 00085580L16けふ/御能(おのふ)/拝見(はいけん)にいつたが、なか+おもしろいものだ。 00085590L17Sハテナ、どんなものだ△Sマヅ、しよてが高砂さ△Sは 00085600L18てな。シテ(四オ)高砂とハどんなことをするな△Sマヅし 00085610L19かけが大キな松の木があつて、ぢゞいとばゞあが出る。そ 00085620L20のつぎハ松風だ△Sハテナ、それハどふだな△Sこいつも 00085630M1やつはり、しかけハ松だ△Sハアそんなら、高砂の松も松 00085640M2風の松も、おんなじ(四ウ)事か△Sインニヤ、松かぜハう 00085650M3ゑへけしをふりかける 00085660¥N4¥J 00085670¥Xたいこ/持(もち) 00085680M6/出入(でいり)の町人にふるまわれて、はしめて/吉原(よしハら)へ行、げいしや 00085690M7をありたけに/呼(よ)んでさわがすれは、かのおさむらい、(五 00085700M8オ)けゞんな/顔(かほ)付をして、いつこうもの/お((ママ))もいわずいられ 00085710M9しが、町人の袖を/引(ひい)て、/耳(ミヽ)へ口をよせさゝやいて、Sコレ、 00085720M10あのものどもハなんでごさるといふゆへ、Sイヤ、あれハ 00085730M11此おさしきをもたせますため御ちさうによびました(五ウ) 00085740M12たいこもちと申者でござりますといへバ、Sハア、そんな 00085750M13らあれがたいこ/持(もち)といふものか。はてさてなあ、身かやし 00085760M14きでハ、あんなものを、きちがひと申ス 00085770¥N5¥J 00085780¥X/仇名(あだな) 00085790M17これ、おれが事を/酒徳利(さけとくり)たと(六オ)人がいふか、なぜさけ 00085800M18どつくりだといふの。Sハテ、一年ン中さけくさいによつ 00085810M19て、それで酒どくりといふハ△Sイヤ、そんならちがつた。 00085820M20おらあ、せうゆどくりだものを△Sソリヤまたなぜに 00085830¥P264 00085840L1Sハテ、一年中のどがかわくハさ(六ウ) 00085850¥N6¥J 00085860¥Xおたすけに/恋(こひ) 00085870L4おもてハこうしつくりのくゝり/戸(ど)、ひとり/住居(すまひ)のかど口へ、 00085880L5/廿(はたち)あまりなるおたすけ。見れハ/美(び)なるものゆへ、あるじむ 00085890L6ほんをおこし、コレあねさん。内へへいりねへ。おたすけ 00085900L7に(七オ)あげるにぎりめしがあるよ。こゝへきねへ。Sそ 00085910L8れハかたじけなふござりますと内へはいれバ、あるし、や 00085920L9にむに、かの一/物(もつ)おこなわれしが、あとの手もちなけれバ、 00085930L10/銭(ぜに)弐百文つゝミ出し、これをもつていきねい。いつてもよ 00085940L11りねいよ。又(七ウ)いつきなさるよ。S此頃にきますが、 00085950L12もふむぎをまきますから、いそがしう成ました。なんなら 00085960L13けふ、もふ弐百文かの、いれさしやりませ 00085970¥N7¥J 00085980¥Xそゝふもの 00085990L16さる/御(お)やしきがたへ、しろふとしばゐ(八オ)によばれしに、 00086000L17みすの内に御ぜん様、/奥(おく)女中、ほかにおく/家老(からう)相つめられ、 00086010L18きやうげんハ市川のしうちにて、がいこつのせいげん、そ 00086020L19う身をくろもめんでまき、ほねをごふんでかき、せいげん 00086030L20のしよさ事せられし(八ウ)か、下をびをわすれたゆへ、も 00086040M1ゝ引の合より、かの一物か、ふら+と出れハ、見物の女 00086050M2中ハせきばらいをするで、/奥家老(おくからう)もきつと見るより、かい 00086060M3こつの/慮外者(りよくわいもの)、さかれ 00086070¥N8¥J 00086080¥X下女の不/器量(きりやう) 00086090M6かミ様が/夜(よ)はなしにいかれたむかいに、下女と(九オ)/小坊= 00086100M7主(こほう=ず)二人つれで/通(とを)リ町へゆきかゝれバ、むかふより、ひより 00086110M8/下駄(げた)のいきな手合が四五人つれで、此下女をミて、とんだ 00086120M9/美(び)なものたとほめてとをれバ、小坊主ハふしきな/顔(かほ)で、コ 00086130M10レおさんどん。今の/若者(わかいもの)ハたしかに/盲(めくら)だよ 00086140¥N9¥J 00086150¥Xきおひ者(九ウ) 00086160M13江戸のきおひが大坂へ/登(のば)り、なんそけゑたい物だと、/順慶(じゆんけい) 00086170M14町/筋(すじ)をとをれバ、たび屋を見てかどくちから、申へ、たひ 00086180M15をミせねい。わかいもの、りやう手をつきて、いろハなに 00086190M16をおめにかけませう。Sヱヽト、くろにすへい。/若(わかい)もの、 00086200M17ミせ(十オ)さきへ出て、あなたのおあしをおミせあそはせ。 00086210M18Sものをもいわずに、あしをだせは、物さしてとつて見な 00086220M19がら、あなたハこゝのもんじやの。Sナンタ、はかなつら 00086230M20め。おれハ江戸ものだハヱ(十ウ)(十一オ挿絵) 00086240¥P265 00086250¥G(十一オ) 00086260¥N10¥J 00086270¥X/観音(くわんおん) 00086280L13花いろのぬのこに、あさぎうらのおとこ、/浅(あさ)くさ/御門(ごもん)へか 00086290L14ゝり、Sモシ、かんのん様へハどふまいりますときけバ、 00086300L15ばん人、ぬからぬかほで、S此/橋(はし)をわたつてつきあたり 00086310L16(十一ウ) 00086320¥K 00086330L18△以下『寿々葉羅井』の第十二丁「盗人」の後半部(第十一 00086340L19巻二○三ページ)から末丁「仏のむしん」までの板木を使用。 00086350L20「盗人」(後半)○借銭乞○牢人者○勘略奉行○どら息子○雷 00086360M1ぎらい○桃太郎○げぢ+○牢人の錆刀○大一座○きせるの 00086370M2がんくび○どうらく指南所〔挿絵〕○晦日○きおひ○いんぎ 00086380M3ん○貧乏人○禿○干鯛○嫁いぢり○富士の裾野○竹田料理○ 00086390M4刀のそり○大食○なががたな〔挿絵〕○かつぱ○開帳の上ケ 00086400M5物○物しり○はつ茸○牢人の自慢○論語○紙帳○ばちびん○ 00086410M6遠国者○馬士○髪結床の喧嘩○鉢の木○疱瘡○新宅○鯉の瀧 00086420M7登○むらさき○使○かけあらそひ○時花うた○鬼むすめ○ね 00086430M8じやか○座頭○どろぼう○地蔵○仏のむしん 00086440¥P266 00086450¥U噺本大系△巻十九巻 00086460¥T/梅屋舗(うめやしき)△〔内題〕△△△△△△△△△△△△△△安永頃刊 00086470¥K 00086480L3△都立中央図書館東京誌料蔵。小本一冊。題簽を 00086490L4欠く。内題「梅屋舗」。丁付は「序」、本文は「一 00086500L5〜六、七ノ廿一、廿三〜三十二、三十三ノ四、三 00086510L6十五〜五十四」。序一丁。本文は三七丁半・四七 00086520L7話・見開挿絵一図で、奥付はない。 00086530L8△本書は、序一丁と本文七丁・九話を新刻、あと 00086540L9は安永四年刊『一のもり』第廿三丁「狂言」から 00086550L10第五十四丁表の「東鑑」までの板木を嗣ぎ足した 00086560L11ものだが、この際、元板の三十三ウ―三十四オの 00086570L12見開絵は省き、また、五十四丁裏は空白で、『一 00086580L13のもり』末尾「達磨」「投入」の二話は載ってい 00086590L14ない。序は「のとかなる日」とあるだけで年時も 00086600L15序者名も不詳だが、安永末から天明初年の刊行と 00086610L16思われる。未翻刻である。 00086620¥Y 00086630M1/今(いま)や大/通(つう)/皆(ミな)/茶(ちや)なり。はなし本の/序(しよ)も、また茶なり。/趣向(しゆこう)も 00086640M2なく、/文作(ぶんさく)ハなを/出来(でき)す。/四方(よも)(序オ)の/笑(わら)ひもまた/茶(ちや)にし 00086650M3て、/花(はな)から/実(ミ)のなるまて、あけらかむ 00086660M5△△△のとかなる日△(序ウ) 00086670¥T1梅屋舗 00086680¥N1¥J 00086690¥X麁相 00086700M11/皆(ミな)がむめやしき+といふて/行(ゆく)が、きつい/茶(ちや)な物だ。いつ 00086710M12て見た/所(ところ)が、梅が/咲(さい)てゐる/斗(ばかり)。サアあれが梅屋敷さ。ムウ、 00086720M13おらアまた、なんぞくわせるかとおもつた(一オ) 00086730¥N2¥J 00086740¥X祖父祖母 00086750M17ぢいハ山へ/柴(しば)かりに、ばゝハ/内(うち)てせんたくも何もせずにゐ 00086760M18たれバ、/程(ほど)なくぢゝが/帰(かへ)つて/来(き)たを見れば、廿四五の/男(おとこ)に 00086770M19なつてかへつた。ばゝ/肝(きも)をつぶし、こなた、どふして/其(その)や 00086780M20うにわかくなら(一ウ)しやつた。サレバ、有がたいことじ 00086790¥P267 00086800L1や。アレ、あの山こへて此山こへて、あちらの+の/瀧(たき)の 00086810L2水を一ト口のむと、此やうに/若(わか)やいだ。コレ、こなたもい 00086820L3て/呑(のん)てお/来(き)やれといわれて、ばゝもよろこんで、へこ+ 00086830L4して行れたが、とほうもなくひまが入から、ぢいが(二オ) 00086840L5/跡(あと)からいて見たれば、ばゝハ/欲(よく)どしく/呑(のん)だそふで、/瀧(たき)つぼ 00086850L6のはたに、おぎやあ+ 00086860¥N3¥J 00086870¥X花見 00086880L9けふはな見にいつたが、わるいときいつた。はながミんな 00086890L10らつくわしてしまつた。おぬしも(二ウ)花でも見にゆくも 00086900L11のが、そんなもんもふなことをいわぬものだ。らつくわし 00086910L12たとは、むまからおちたことだ 00086920¥N4¥J 00086930¥X辞世 00086940L15/盗(ぬす)人をとらへ、ころさんとする時、Sぬす人しばらく/待(まつ)て 00086950L16たべ。/辞世(じせい)の/哥(うた)を(三オ)よみたひといふ。ソレハきどくな 00086960L17ことじや。サアよめ。/聞(き)かふといゝけるときに、 00086970L18△△Sかゝるときさこそ/命(いのち)のおしからめ 00086980L19△△△△/兼(かね)てなき身とおもひしらずハ 00086990L20と/吟(ぎん)しけれハ、人&/聞(きい)て、それは(三ウ)太田/道潅(どうくハん)の哥じや 00087000M1が。Sぬす人アイ、これが一生のぬすミおさめでごさりま 00087010M2す 00087020¥N5¥J 00087030¥X/唐(から)の/雀(すゞめ) 00087040M5/唐(から)のすゞめを/献(けん)上するに、/一羽(いちハ)/不足(ふそく)なるゆへに、日本のす 00087050M6ゞめを(四オ)まぜて/上(あげ)たれば、/殿(との)様/御(ご)らんなされ、コレハ 00087060M7/珍(めづ)らしひものじやが、日ほんのすゞめが一/羽(ハ)見得ると、御 00087070M8/意(ゐ)あれば、あれハ/通辞(つうじ)でこさります 00087080¥N6¥J 00087090¥X急病 00087100M11九ツ/過(すぎ)の/寝(ね)入はな、とん+とん。/誰(たれ)じや。(四ウ)イヤ、 00087110M12いせ屋から。御しんぞ様がしやくが引付て、目を取/詰(つめ)まし 00087120M13た。/急(きう)に+。なむ三宝と、はをり引かけ、ひもそこ+ 00087130M14にかけて/走(はし)り行、ずつと/這(は)入ば、/家(か)内ハ上を下へとさわぐ。 00087140M15/医師(いしや)どの、/寝(ね)おきのうろたへ/眼(まなこ)で、行なりに、(五オ)/下女(げじよ) 00087150M16の手を/取(とつ)て、みやくを見る。アヽ申、/私(わたくし)でハごさりませぬ。 00087160M17Sハテ、こんなときに、/誰(たれ)かれの/差別(しやべつ)ハないてや 00087170¥N7¥J 00087180¥X鳥目 00087190M20このごろハ/鳥(とり)めでこまるが、ナント、/夜(よる)目の見へる/薬(くすり)ハ有 00087200¥P268 00087210L1まいかととへバ、ソレハふくろふ(五ウ)の目を/黒焼(くろやき)にして 00087220L2のむとよひと/聞(きい)て、/早速(さつそく)こしらへて/呑(のめ)ハ、/昼(ひる)のごとく二三 00087230L3町/先(さき)まて見へる。/是(これ)ハよしと/悦(よろこ)ひしが、/夜(よ)が/明(あけ)ると、まつ 00087240L4くら 00087250¥N8¥J 00087260¥X大栗 00087270L7おらが/国(くに)のくりハ/丹波栗(たんばくり)といふて、(六オ)/風味(ふうミ)の/能(よ)さ、又 00087280L8栗の大キさが三寸ほどづゝ。それ/故(ゆへ)、いがで有ときハ、大 00087290L9キさがと、両手を壱尺ほどひろげて、これほど有といへば、 00087300L10いかに/丹波(たんば)くりじやとて、あんまり手のひろげやうが大そ 00087310L11うだ。もちつとせばめやれ。そんなら/此位(このくらい)も(六ウ)有ふか 00087320L12と、/少(すこ)し手をせばめければ、もつとせばめやれといわれて、 00087330L13手をせばめなから、あいたゝ 00087340¥N9¥J 00087350¥X上戸 00087360L16二三人/寄集(よりあつま)り、/四方(よも)山のはなし/過(すぎ)て、/扨(さて)此やうに心安く/咄(はな) 00087370L17しても、(七ノ廿一オ)/果(はて)はミな/死(し)んて/仕廻(しまふ)が、とても/死(しぬ)なら、 00087380L18こんどハ/分限(ぶげん)者に/産(むま)れて/来(き)たいといふ。上戸おれハ/備前(びぜん)の 00087390L19/土(つち)に/成(なり)たい。ソレハなぜ。ハテ、/徳利(とくり)になつて、酒ひたし 00087400L20になつてゐる/気(き)た。/縁(ゑん)の下から/摺鉢(すりばち)出て、/備前(ひぜん)も土ニ/寄(より)ま 00087410M1す(七ノ廿一ウ) 00087420¥K 00087430M3△以下『一のもり』第廿三丁「狂言」(第十巻一〇七ページ)か 00087440M4ら第五十四丁表「東鑑」までの板木を使用。 00087450M5○狂言○遊所○噺○会津○手癖○大額○山出シ○笋○火事見 00087460M6舞○野宿○餞別○毛彫○新刀○言葉咎○夜鷹○見立○珊瑚珠 00087470M7○異見○生酔○芦鴈○寒声○三味線○牽頭もち○鉢木○了簡 00087480M8○裸○閉帳○返魂丹○養子○物買○日雇〔挿絵〕○親指○切 00087490M9腹○百の札○岡場所○丁稚○慇懃○東鑑 00087500¥P269 00087510¥U噺本大系△第十九卷 00087520¥T/富久(ふく)/喜多留(きたる)△〔題簽〕△△△△△△△△△天明二年正月序 00087530¥K 00087540L3△東大国文研究室蔵。小本一冊。題簽「富久喜多 00087550L4留全」。序・内題を欠く。序は版心の中央に 00087560L5「序」、下部に丁付「一、二」。本文は丁付がな 00087570L6く、最終丁のみ「終」。序二丁(天明二とらのとし 00087580L7春)。序者名はない。本文三八丁・五五話・見開 00087590L8挿絵二図。奥付を欠く。 00087600L9△本書は、序二丁と本文二丁・三話を新刻、あと 00087610L10は安永二年刊『坐笑産』の第廿四丁「大仏」から末 00087620L11尾第六十四終丁の「しわんぼう」まで、見開挿絵 00087630L12二図を含めての板木を嗣ぎ足している。その際、 00087640L13元版の丁付は削り、最終丁「六十四終」の「終」 00087650L14のみ残っている。また、本文末尾にあった刊記は 00087660L15省略される。序年のみは分るが、序者名もなく、 00087670L16板元も不明。未翻刻である。 00087680¥G(袋) 00087690¥Y序 00087700M14こひしさをむかしは/袖(そて)に/包(つゝ)みけり。/今宵(こよひ)ハ/袖(そて)にあまりぬる、 00087710M15かな/書(かき)のしやれ/本(ほん)も、/春(はる)ごとに/曽我(そか)の/名題(なだい)の/上(うハ)(序一オ)/書(かき) 00087720M16の、/年々(ねん+)/歳々(せい+)/華(はな)/相似(あいに)たりと、すけ/経(つね)が/言草(いゝぐさ)の、/似(に)たりや 00087730M17+/花菖蒲(はなあやめ)、/皃見世(かほミせ)の/赤面(あかつつら)が、/古(ふる)きをもつてあら事と、ミ 00087740M18なおし(序一ウ)きせの松/坂(さか)ぬのこ、せんたくしても/地(ち)のき 00087750M19れぬ、はなしの/本元(ほんもと)/外(ほか)にはないぞや。むかしハ/袖(そて)に/包(つゝむ)(序 00087760M20二オ)/笑(わら)ひを、ことしははめをはづさして、わらふ/門(かと)にハ 00087770¥P270 00087780L1/富久(ふく)/喜多留(きたる)と/題(たい)するものならし 00087790L2△△△天明二とらのとし春(序二ウ) 00087800¥N1¥J 00087810¥X/寉(つる)の/狂哥(きやうか) 00087820L6/通人(つうしん)あつまり、これ見給へ。/此床(このとこ)の/寉(つる)の/画(ゑ)は/妙(めう)だ。是でお 00087830L7れが狂/哥(か)をした△S友たちどふいふきやうかた△Sくひ 00087840L8なかくくちばし長く/足(あし)長く/命(□のち)もながくそろひ鶴かな 00087850L9Sつる/聞(きゝ)かねて、おれも一しゆした。Sミな+なんと+ 00087860L10Sつるはけ(1オ)長く羽おりもなかくひも長く/裄丈(えりたけ)なが 00087870L11くそろひ/通(つう)かな 00087880¥N2¥J 00087890¥X/船(ふね)のいしや 00087900L14/乗合(のりあい)に大せいのせてこきだす。やがてふねがいごかぬと、 00087910L15皆+さハゐで、是ハ大かた、わにニでも見こまれたであ 00087920L16ろふ。Sのり合いしやいや+、さハかつしやるなと、へ/先(さき) 00087930L17の/脉(ミやく)を(1ウ)ミて、/川中(かわなか)へねりやくを/流(なが)すと、たちまち舟 00087940L18がいごいた。Sのり合のものかんしんしている/内(うち)、/又(また)舟がい 00087950L19ごかぬ。Sいしや/薬(くすり)をまた流したれど、/今度(こんど)は/利(きか)ぬ。Sの 00087960L20り合がてんゆかぬ故、/聞(きい)たれバ、Sいしや此舟が大ぶんき 00087970M1よしましたによつて、わしかもちひましたハ、六味てござ 00087980M2る△Sのり合それでなぜ利ませぬか△Sいしやかんがへて、ハ 00087990M3ヽア、/川上(かハかミ)で大根を/洗(あら)ツた(2オ)でこざろふ 00088000¥N3¥J 00088010¥X/迯(にげ)そこない 00088020M6/或(ある)女郎、うら口から/迯(にけ)るとてふミはつし、田の中へ/落(おち)ると、 00088030M7なじミの/客(きやく)が/田甫(たんほ)を/通(とを)る。S女郎モシ露/蝶(てう)さん。/落(おち)んした 00088040M8から上ておくんなんし△S客何さ、/身揚(ミあかり)の事さ△S女郎ヱ 00088050M9ヽモ、主のそふ/言(いふ)心とハしらず、此なに/首(くひ)ツたけ、はまり 00088060M10んした(2ウ) 00088070¥K 00088080M11△以下『坐笑産』第廿四丁「大仏」(第九巻九八ページ)から末 00088090M12尾六十四丁「しわんぼう」までの板木使用。 00088100M13○大仏○弐朱銀○梅の木○弐朱銀○上染○勘定○巨燵○奴そ 00088110M14り打○はしら暦○欠る名人○布袋○素壱分○栄螺○掛リ人○ 00088120M15屁○一家へ注進○釈迦○口きゝ○あま酒○鶉○四十七人○と 00088130M16びの者○鴨○鴨○弁天○むだ〔挿絵〕○眼の玉○花見○いき 00088140M17すぎ○寒国○盗人○はんごん香○焼もち○思入れ違ひ○井戸 00088150M18堀り○烏男○駿河の客○畳替へ○後家○瞽女○はごのこ○四 00088160M19十七人○かばやき○手帳○大工○松茸〔挿絵〕○ぶせうくら 00088170M20べ○掃除○馬士○いしや○茶の湯○しわんぼう 00088180¥P271 00088190¥U噺本大系△第十九卷 00088200¥T落噺/語満在(ごまんざい)〔題簽〕△△△△△非咎話楽翁序△天明二年正月序 00088210¥K 00088220L3△国立国会図書館蔵。小本一冊。題簽「落噺語満在 00088230L4全」。内題「/語満在(ごまんざい)」。丁付は「序壱、序二」、本 00088240L5文は「一〜七、九〜五十七」。序二丁(/非咎話楽翁(ひとがわらおう) 00088250L6天あきらけきとらの初春)。本文は五六丁・五八話・ 00088260L7見開挿絵二図。本文末尾に「飯田町中坂△ゑん州 00088270L8屋板」とあり、帳交模様の遠州屋特有の表紙であ 00088280L9る。 00088290L10△本書は、序二丁と本文七丁・七話を新刻、あと 00088300L11は安永四年刊『聞童子』の第九丁「お初ほ」の中 00088310L12途から、末尾五十七丁の「やしま」まで、見開挿 00088320L13絵二図を含めての板木を使用したものである。丁 00088330L14付で八丁が欠けたのは『聞童子』の第一図を省い 00088340L15たための処置で、「御初穂」の前半部分の新刻個 00088350L16所も、元板と多少文字に異同がある。ただ、元板 00088360L17の板元名がそのまま残っているが、本書も遠州屋 00088370L18板である。序者の非咎話楽翁は、同年刊『話問 00088380L19訥』の序も誌している。未翻刻である。 00088390¥Y序 00088400M3/新玉(あらんたまん)のとしたち/帰(かあへ)るあしたごとに、/新(しん)さくのおとし/咄(ばなし)、 00088410M4/殿様(だんなさま)も/語好(ごすき)なれば(序壱オ)/奥様(おかミさま)もお/好(す)キ、/竃(かま)の/前(まへ)のお/三(さん)/女= 00088420M5郎(じよ=らう)もほぢりよみに/腹(はら)をかゝへるは、まことに/目出度(めでたき)はつ/春(はる) 00088430M6のはなし/始(ぞめ)、(序壱ウ)/語満在(ごまんざい)と/呼(よぶ)ものならし 00088440M8△△△△△△△△△△△△△△△/非咎話楽翁(ひとがわらおう) 00088450M9△△△△△△△△△△△△△△△GG 00088460M12△△△天あきらけき△△△△△△△△△△△(序二オ) 00088470M13△△△△△とらの初春(序二ウ) 00088480¥T1/語満在(ごまんざい) 00088490¥N1¥J 00088500¥X/礼帳(れいちやう) 00088510M19しわいやつ、/半紙(はんし)を一チ/帖(ぢやう)/買(かつ)て/来(く)る。友達Sコレ、ぬしや 00088520M20あ、いつもなしぢの/鼻紙(はながミ)だが、正月だとおもつておごるな 00088530¥P272 00088540L1Sナニサ。是ハ鼻紙じやアねへ。/年礼(ねんれい)(一オ)帳にするのだ 00088550L2友Sナニ、礼帳を/拵(こしら)へる。それにしても、/日頃(ひごろ)のしわいに 00088560L3/似合(にやわ)ぬ。だいふ此正月ハ/気(き)をはるな△Sナニサ、/礼者(れいしや)を/上(う□) 00088570L4へあげぬつもりだ 00088580¥N2¥J 00088590¥X/推量(すいりやう) 00088600L7Sコレ、/悪事千里(あくじせんり)とハなんの事だ(一ウ)Sソレハ/悪事(あくじ)をし 00088610L8て、よもや人ハ/知(し)るまいとおもつて/居(い)ても、悪事千里を/走(はし) 00088620L9るといつて、人が/直(ぢき)に/知(し)るといふ事だげな△Sハテノウ、 00088630L10/夫(それ)ハほんの事か△Sおれも人の/咄(はなし)で聞たから、うそか/誠(まこと)か 00088640L11知らぬ△Sフム、(二オ)そして/其悪事(そのあくじ)といふハ、なんのこ 00088650L12つたの△Sサレバサ、おゝかた/虎(とら)の/事(こと)だあらう 00088660¥N3¥J 00088670¥X/相談(さうだん) 00088680L15/雪(ゆき)を/降(ふ)らす/仲間(なかま)ども/寄(よ)り/集(あつま)り、Sなんと、もふふらしても 00088690L16よかろふじやねへか△Sイヤ、まだ+。/松(まつ)の内/降(ふ)ると 00088700L17(二ウ)また/七度(なゝたひ)/降(ふ)らねへけりやアならぬ。そしてせつかく 00088710L18ふつて/積(つもつ)ても、アノ/雨(あ)めがあとからふりやあがると、/降(ふ)つ 00088720L19たかいがない△Sヲヽサ。/雨(あめ)ハいま+しいやつだ。どふ 00088730L20ぞしよふハあるまいか△Sヲヽある+。コリヤア/白雨(ゆふだち)を 00088740M1(三オ)/頼(たの)んで、わたりをつけてもろうがゑい△Sナゼ 00088750M2Sハテ、/夕立(ゆふだち)ハ/雨(あめ)の/中(なか)での/通(とおり)りものだ 00088760¥N4¥J 00088770¥X/恵美須(ゑびす) 00088780M5大こくSヤレ+、/沢山(たくさん)に/鯛(たい)がつれたの△ゑびすSヲイ。 00088790M6イヤモ、/此頃(このごろ)ハまんが/能(よ)くて、りやうがきゝ(三ウ)ます。 00088800M7是につけても、/貴様達(きさまたち)は/浦山(うらやま)しい△大Sなぜ△ゑSイヤサ、 00088810M8貴様ハ/鼠(ねづミ)をつかい、/弁天(べんてん)ハへび、びしやもんハむかで、/布= 00088820M9袋(ほ=てい)ハ/唐子(からこ)、/寿老(じゆろう)でも/福(ふく)ろくでも、/皆(ミな)/夫(それ)レ+につかいもの 00088830M10があるに、おれ/斗(ばかり)リハなんにも(四オ)ない。なんぞ/使者(つかいもの)を 00088840M11/工面(くめん)してください△Sナゼ、今になつてそんな/事(こと)をいわつ 00088850M12しやる△ゑSイヤサ、ゑさをほるにこまります 00088860¥N5¥J 00088870¥X/居酒(いざけ) 00088880M15/一(いち)チの/谷(たに)の/落城(らくじやう)に、さつまのかミ/忠(たゞ)(四ウ)/度(のり)ハ、あまたの 00088890M16/敵(てき)を/切(きり)ぬけて、/漸(やう)+/迯延(にげのび)たまひ、ひといきほつと、月か 00088900M17げにこなたを見れバ/酒(さか)やあり。/天(てん)のあたへと立寄りて、こ 00088910M18なから/所望(しよもう)とのたまへバ、/折(おり)ふし/亭主(ていしゆ)/取込(とりこミ)にて、ついであ 00088920M19がれと/云(いゝ)けれハ、(五オ)/忠度(たゞのり)/自身(じしん)にのミ/口(ぐち)ひねり、ちろり 00088930M20へついでかんをしてぐつとひつかけ、Sコレ/亭主(ていしゆ)。さつま 00088940¥P273 00088950L1のかミとつけて/置(おけ)と、かけ/出(いだ)したまふ/袖(そで)をとゞめ、S扨ハ 00088960L2/只呑卿(たゞのミきやう)にてましますか。/直(じき)にかんをしのミ給へバ、/直(ちよく)かん 00088970L3の御身とも申(五ウ)べし。さすれバ/只(たゞ)のミ/卿(きやう)とも/付(つけ)がたし 00088980L4と、しかつべらしく帳面にしるすを、のぞいて見給へバ、 00088990L5Sのミ人しらず 00089000¥N6¥J 00089010¥X/銭湯(せんとう) 00089020L8せんとうへ/行(ゆき)、まつぱだかになり、ざく(六オ)ろぐちをく 00089030L9ゞるやいなや、アイ、ひへものでござい。ごめんなさいと、 00089040L10ぐつと/風呂(ふろ)へはいつた所が、だれもいず。Sマア、こふい 00089050L11つて見たものさ 00089060¥N7¥J 00089070¥X/放亀(はなしがめ) 00089080L14/尼(あま)と/坊主(ぼうず)とつれ/立(だつ)て行。/橋(はし)の/上(うへ)ニ(六ウ)はなし/亀(かめ)を/売(うつ)て/居(い) 00089090L15る。/尼(あま)、その/亀(かめ)を/買(かつ)てはなす。坊主Sなんの/為(ため)に亀をはな 00089100L16さつしやります△尼Sアイ。わたくしが/俗(ぞく)の時、いくらと 00089110L17なきさし/櫛(ぐし)に、おゝくの亀の/命(いのち)を/取(とつ)たも/同前(どうぜん)。せめて/其罪(そのつみ) 00089120L18ほろぼしでござ(七オ)ります△坊主Sサテモシタリ。いや 00089130L19も、かんしんいたした。しからバ、わしも/泥亀(すつぽん)をはなしま 00089140L20せふ△尼Sなぜへ△坊主Sかげ/馬(ま)の/罪(つミ)ほろぼしに 00089150¥N8¥J 00089160¥X/御初穂(おはつほ) 00089170M3/番太(ばんた)の長太郎が/毎晩(まいばん)十六文のむとき、かまどへむかひ、な 00089180M4む(七ウ) 00089190¥K 00089200M6△以下『聞童子』第九丁「御初穂」の中途(第十巻一二○ページ) 00089210M7から末尾五十七丁「やしま」までの板木使用。 00089220M8△「お初ほ」(後半)○夜廻り○吾妻橋○蛤○まちかひ○長松 00089230M9○反ごん香○口上○せんべい○ねたり○三めん○かつを○元 00089240M10結○掛物○ゆや〔挿絵〕○してう○禁酒○自鬢○白ねずミ○ 00089250M11つゞみ○蓬莱蚊屋○土圭○かミあい○大文字○異見○猫○眼 00089260M12病○思付○学者○なまこ○豆いり○和中散○たるの名〔挿絵〕 00089270M13○手本○まぐろ○びつこ○学文○ぶし○伊勢物語○難風○辞 00089280M14退○新宿○おつけ○比よく○遠目かね○かつを○胆○はりか 00089290M15ね○鞠○仕掛○やしま 00089300¥P274 00089310¥U噺本大系△第十九巻 00089320¥T落噺/話問訥(わとうない)△〔内題〕△△△非咎話楽翁序△△△天明二年正月序 00089330¥K 00089340L3△大東急記念文庫蔵。小本一冊。題簽を欠くが、 00089350L4天理図書館蔵本によれば、遠州屋板独特の帳交模 00089360L5様の表紙左肩に、「落噺話問訥△全」とあり、見返に 00089370L6は、竹の葉模様の中央に「落噺/話問訥(わとうない)△全」とある 00089380L7絵柄の袋が貼付されている。内題「/話問訥(わとうない)」。丁 00089390L8付は「序一、序二」、本文は「一〜五、七〜九、 00089400L9十ノ十一、十二〜廿四、廿五ノ廿六、廿七〜四十 00089410L10三、四十四ノ四十五、四十六〜五十五尾」。序二 00089420L11丁(壬寅めで度春/非咎話楽翁(ひとがわらおう)。本文五一丁・五一 00089430L12話。挿絵はなく、奥付も欠く。 00089440L13△本書は序二丁、本文五丁・四話を新刻し、あと 00089450L14は、安永三年刊『富来話有智』の第七丁「丸屋」 00089460L15の中途から、巻末五十五丁「五重塔」までの板木 00089470L16を使用したもので、本文末の刊記は削ってある。 00089480L17元板の見開挿絵三葉を省いたため丁付に細工があ 00089490L18り、「丸屋」前半部の新刻部分は、文字に多少の 00089500L19異同がある。序者は『語満在』と同じで、板元も 00089510L20遠州屋か。名著文庫『落語選』に、十一話省略さ 00089520L21れて翻刻がある。 00089530¥Y序 00089540M3/夫(それ)/今(いま)/大通(だいつう)の/世界(よのなか)、/落咄(おとしばなし)といへども/行過(ゆきすぎ)/而己(のミ)/沢山(おゝく)、/咄下手(はなしべた)ハ 00089550M4/更(さら)に/可笑(おかし)からず。/只(たゞ)/口拍子(くちびやうし)を/以(もつ)て/落(おと)せば、/各(おの+)/■(どつ)と/咲(わら)ふ。 00089560M5(序一オ)/其始終(そのしじう)/木(き)に/竹(たけ)を/継(つぎ)、/耳(みゝ)に/鼻(はな)を/附(つく)るが/如(ごと)し。/白髪(かび)の 00089570M6/生(は)へたる/老悖(ふるおやぢ)ハ/毛唐人(けとうじん)の/寐言(ねごと)かと/疑(うたが)ふ。/全(まつた)く/唐言(とういん)にては/無(なけ) 00089580M7れども、/野夫(やぼ)と/不通(わから)(序一ウ)ざれば、/和言(わごん)ともおもわれず。 00089590M8/唐(から)と/倭(にほん)を/其侭(そのまゝ)に、/話問訥(わとふない)と/題号(だいごふ)して、しかも/目出(めで)たき/寅(とら)の 00089600M9とし、/天(そら)あきらけき(序二オ)/青陽(はつはる)の、/笑始(わらいぞめ)とハなりぬ 00089610L11△△△△△△△△△△△△△△△/非△咎△話△楽△翁(ひとがわらおう) 00089620L12△△△/壬寅(ミつのへとら)めで度春△△△△△GG 00089630L13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序二ウ) 00089640¥T1/話問訥(わとうない) 00089650¥N1¥J 00089660¥X/頭巾(づきん) 00089670M20/是(これ)、けふ/買初(かいぞめ)にいつて、/頭巾(づきん)を/買(かつ)て/来(き)た。/見(ミ)てくりやれ。 00089680¥P275 00089690L1Sヲヽ、たつふりとしたゑゝ/頭巾(づきん)だが、しかし、是にハま 00089700L2へだれの/様(やう)な/物(もの)があるが、(一オ)コリヤアなんだ△Sハテ、 00089710L3/是(これ)ハ/女郎買(ぢよらうかい)にでも/行(ゆく)/道(ミち)で、/知(し)つた人にあふても、是をこふ 00089720L4おろして、/目(め)ばかり/出(だ)して/行(ゆく)と、だれかしれぬためさ。ナ 00089730L5ニサ。なんぼ目斗リ出しても、それが/知(し)れねいでどふする 00089740L6ものだ。Sムンニヤ、そりやあ、ぬし/達(たち)ハ(一ウ)/朝夕(あさゆふ)つき 00089750L7あふて/居(い)るものだから、/知(し)れる/筈(はづ)よ。是でも、ふいと知ら 00089760L8ぬ/者(もの)が見てハ、よもやおれだとハ/知(し)るまい 00089770¥N2¥J 00089780¥X/秤(はかり)の/家(いへ) 00089790L11ずつと/山家(やまが)の/者(もの)、/薪木(たきゞ)をかつき(二オ)/城下(じやうか)へ/出(で)る/道(ミち)にて、 00089800L12/秤(はかり)の家を/拾(ひろ)ひ、ふしぎに思ひ、/我(わが)家へ/帰(かへ)り、/親父(おやぢ)に見せれ 00089810L13バ、/親父(おやぢ)もきもをつぶし、こんな物をついに見たこともな 00089820L14いといふ所へ、/旦那寺(だんなでら)の/和尚(おしやう)が/来(き)かゝり、/し((ママ))たひにしわを 00089830L15よせ、Sハテサテ、(二ウ)/是(これ)ハなんとも/合点(がてん)のいかぬもの。 00089840L16/天狗(てんぐ)どのゝ/扇(あふぎ)の/親骨(おやぼね)か、おた/が((ママ))じやくしのゆふれいか、ひ 00089850L17やうたんの/化(ばけ)たのか。いづれ/此様(このやう)な物ハ内へ入レぬものだ 00089860L18といわるゝゆへ、/急(きう)に/気味(きミ)がわるくなり、/早+(そふ+)/表(おもて)へ/投(なげ)出 00089870L19す/拍子(ひやうし)、(三オ)/彼(か)の/秤(はかり)の/家(いへ)、はつかりと/口(くち)を/明(あけ)ケバ、S扨 00089880L20こそ/化物(ばけもの)だ 00089890¥N3¥J 00089900¥X/雷公(かミなり) 00089910M3雷公のむすこ、/天(あま)の/川(がわ)の/七夕(たなばた)といふけいせいに/馴染(なじミ)、けふ 00089920M4も/翌(あす)もいつゞけ。/家(いへ)につたわる/太皷(たいこ)も/質(しち)に(三ウ)/置(おく)くらい 00089930M5の/仕合(しあわせ)。/親達(おやたち)聞て大キニ/立腹(はらだち)、/家来(けらい)/坂東(ばんどう)太郎に、/急(いそ)きつれ 00089940M6帰れといゝ付けれバ、/早速(さつそく)天の川へ行、むすこ五郎五良に 00089950M7/対面(たいめん)し、父上の以の外/御立腹(ごりつふく)、早+御帰りなされませと、 00089960M8まつくらになつて(四オ)いへバ、ムスコ、とつちりもので、 00089970M9ハテ、そいつハこまつたものだ。そして/何(なに)ハどふだ。お/袋(ふくろ) 00089980M10ハ。/稲妻(いなづま)様にも、殊の外おひかりでござります 00089990¥N4¥J 00090000¥X/坊主(ぼうず) 00090010M13コリヤ/弟(おとうと)。けふハ/幸(さいわい)/日柄(ひがら)もよし、いよ+(四ウ)/旦那寺(だんなでら) 00090020M14へお/頼(たのミ)申て、/出家(しゆつけ)さすぞよ。/兄(あに)が/家督(かとく)を/取(とる)を、/必(かなら)ず/浦山(うらやま)し 00090030M15いと思ふな。おぬしが/学(がく)もん/精出(せいだ)すも、兄か/十呂盤(そろばん)精出す 00090040M16とおなじ事だ。兄が/此家(このいへ)の旦那になれバ、おぬしハ/和尚(おしやう)様 00090050M17になる。又兄が/肴(さかな)を/喰(くへ)バ、(五オ)おぬしも/油(あふら)あげを/喰(くうわ)さ。 00090060M18又兄が女房を持バ、おぬしハまた、アヽ、あぶらげを/喰(くうわ)さ 00090070¥P276 00090080¥N5¥J 00090090¥X/丸屋(まるや) 00090100L3/二三人(にさんにん)/寄(よ)りて、なんと/旧冬(きうとふ)の中村が/顔(かほ)見世を御/覧(らん)なされた 00090110L4か。Sアヽ、あれを見いで、どふいたそふぞ。(五ウ) 00090120¥K 00090130L7△以下『富来話有智』の第七丁目「丸屋」の中途(第十巻六七 00090140L8ページ)から、巻末「五重塔」までの板木を使用。 00090150L9「丸屋」(後半)○宝舟○連哥○人参○黒尽し○虫笛○時鳥 00090160L10○余寒○でき心○吝い奴○養子○麁相○朔日丸○初雪○から 00090170L11かさ○月見○雨天○天気○権介○雪の段○異見○大蛸○下駄 00090180L12○妙薬○笙の笛○雷嫌イ○泉水○雪女○短冊○曲切○鵺○戸 00090190L13板○的○甘酒○御能○つぐミ○武士○レイ+○箱根○対句 00090200L14○頭巾○舎利○極楽○助言○安物○昼ね○五重塔 00090210¥U噺本大系△第十九巻 00090220¥T/話句翁(はなしくおう)△〔序文〕△△△四方山人序△△△天明三年正月序 00090230¥K 00090240M3△小本一冊。架蔵本は題簽を欠く。丁付は序には 00090250M4なく、本文は「初一〜初四、初五ノ十一、初十二 00090260M5〜初三十、続一〜続廿五」。序一丁(兎の耳の長き 00090270M6春の日△四方山人)。本文四九丁・四八話で挿絵は 00090280M7なく、奥付半丁に『聞上手』から『管巻』まで八 00090290M8冊の書名と「元飯田町中坂△遠州屋板」とある。 00090300M9△本書は、序一丁と本文五丁・六話が新刻で、あ 00090310M10とは、安永六年刊『蝶夫婦』の初第十二丁「娘の 00090320M11成人」の中途から、続二十五丁「かぶろのはつめ 00090330M12い」までを嗣ぎ足したもの。奥付も『蝶夫婦』の 00090340M13ものをそのまま出している。序の四方山人は『蝶 00090350M14夫婦』の山手ノ馬鹿人此楓同様、大田南畝の別号 00090360M15といわれるが、ともに南畝ではあるまい。全体は 00090370M16未翻刻であるが、新刻部分は「江戸文学新誌」第 00090380M17三号の『蝶夫婦』翻刻の後に付記されている。 00090390¥P277 00090400¥Y序 00090410L3/昔&(むかし+)、/宇治(うぢ)の/何某(なにかし)ハ/茶店(ちやミせ)を出し、/渋(しぶ)ひ/茶(ちや)をのませ、/往来(ゆきゝ) 00090420L4の人の/話(はなし)を聞て、うぢしふゐと/云(いふ)/物語(ものかたり)を/作(つく)れり。こゝにか 00090430L5ち+山の/梺(ふもと)に、/話(はなし)のやうな/翁(おきな)あり。/道行(ミちゆく)人に/鹿(か)の/子(こ)/餅(もち)を 00090440L6くハせて(序オ)はなしの/種(たね)をかいこミしより、/話上手(はなししやうす)のき 00090450L7ゝ/下手(へた)ハあれと、はなし下手の/聞(きゝ)上手ハなしと、あまねく 00090460L8/世(せ)上にはなし/伝(つた)へて、/此翁(このおきな)を/話句翁(はなしくおう)と/名(な)つけけるとなん 00090470L10△△△/兎(うさき)の/耳(みゝ)の 00090480L11△△△△△長き春の日△△△△△△△△△四方山人 00090490L12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△G 00090500L14△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序ウ) 00090510¥N1¥J 00090520¥X御能 00090530L19殿様、御なぐさみに御/能(のう)を遊され、それ+に/役割(やくわり)もつき、 00090540L20がくやに切まくの役ハ、さしつめお気に入リの御門番七兵 00090550M1衛と、手わけ/不残(のこらず)/定(さたま)り、御能も/始(はじま)り、扨殿様(初一オ)の御 00090560M2役も殊の外に出来て、/最早(もハや)/謡(うたひ)も/仕舞(しまい)にて、ヒイテン+ト、 00090570M3殿様、はしかゝりへ御入あれバ、切まくさつと引ながら、 00090580M4大/声(こへ)あげて、門番七兵衛、殿様御はいり+ 00090590¥N2¥J 00090600¥X万年葛篭(初一ウ) 00090610M7よくにハふたもなき、もんもうなかねもち/隠居(いんきよ)有。諸道具 00090620M8のそんじ/安(やす)きをうれい、万年/葛篭(つゞら)と言もの有とて、一ぼく 00090630M9をつれ/買(かい)に出、つゞらやへ行、かの葛篭を/求(もとめ)、是ハ万年/持(もつ) 00090640M10かの。Sアイ、/随分(すいぶん)持ます△Sソリヤ(初二オ)金と、/払(ハらひ)し 00090650M11て出行を、S/亭主(ていしゆ)、モシ+とよひ返し、しかし千年に一 00090660M12へん/宛(ツヽ)、御しふくを被成ませ 00090670¥N3¥J 00090680¥X塩引 00090690M15ある人塩引、大小六本を/台所(たいところ)につるし/置(をき)けり。/友達(ともたち)きたり、 00090700M16是ハ(初二ウ)珍らしい。Sサラハ、をれがいわつてやろと、 00090710M17さけ+六本大小。亭主、キノウトヲライ 00090720¥N4¥J 00090730¥X手ならい 00090740M20めしたきもし、/旦那様(だんなさま)。私も此間中手習をいたしました。 00090750¥P278 00090760L1S旦那それハ/能(よい)(初三オ)事た△Sめしたき旦那様。是ハいろ 00090770L2はにほへとと/斗(ハかり)て、外ニよみこゑハござりませぬか△S旦 00090780L3那ナニサ、外にハない△Sめしたきそんならよしにいたし 00090790L4ませふ 00090800¥N5¥J 00090810¥X通人講 00090820L7あすの朝ハ、れいの通人/講(かう)じや(初三ウ)か、なんぞおもひ 00090830L8つき/わ((ママ))あるまいか。S料理人夜すがらくふうして、/朝顔(あさがほ)の 00090840L9すいものにいたしませう。それハどうしたものじや。Sイヤ、 00090850L10あさ顔のつぼミを入て出す。ふたをとる。しるのやうきで 00090860L11花がひらきます△Sコレハ(初四オ)おもしろい。/講中(かうぢう)あつ 00090870L12まり、かのすい物が、をちつきに出る。是ハなんじや。珍 00090880L13らしそうな/御趣向(こしゆかう)と、ふたをとれバ、花ひらかず。Sテイ主 00090890L14ぶてもちにて、なぜひらかぬ。つまらぬ朝顔じやといへば、 00090900L15Sアヽねわすれた(初四ウ) 00090910¥N6¥J 00090920¥Xわらんべ 00090930L18わんはくむすこ、さま+の/面(めん)をかい、もつと買ふといふ。 00090940L19Sヲンバモヲそれ切て、面ハごさりませぬ△Sムスコそん 00090950L20なら、それ切を買ふ 00090960¥N7¥J 00090970¥X娘の成人(初五ノ十一オ) 00090980M3をみまひ申ませう。是ハめづらしいおきやく。Sマア、何 00090990M4とおぼしめして△Sサア、御あがりなされ△Sハイ、こぶ 00091000M5さたをいたしました。ひさしう御/免(め)にかゝりませぬと、あ 00091010M6いさつして(初五ノ十一ウ) 00091020¥K 00091030M8△以下『蝶夫婦』初十二丁「娘の成人」の後半(第十一巻六ペー 00091040M9ジ)から続二十五丁「かぶろのはつめい」までの板木を使用。 00091050M10「娘の成人」(後半)○乙姫の労咳○足留の盃○盗人の恋風○ 00091060M11○鶴の見物○娘の不器量○灸所の早合点○天狗の怪我○姉女 00091070M12郎の異見○大食の後悔○浪人の系図○砂糖味噌○新参の使○ 00091080M13当世の眉毛○懸物の唐詩選○役者の噂○武士の嗜○角大師の 00091090M14噂○雀の子飼○噺の行過○盗人の逆追○おこりの見舞○富突 00091100M15の指南○鰒のせんさく○あんま取の感心○うさぎのしゆつく 00091110M16わい○神拝も見立○七福神の遊び○弁慶ハ調法○魚の寸法○ 00091120M17萱原へおふせ○清水寺の開帳○盗人の白状○万年のあらそひ 00091130M18○狸のきんたま○泥亀の立腹○座敷上留理○塩干の道筋○く 00091140M19らげも骨に逢○鷺を烏○地口の御褒美○かぶろのはつめい 00091150¥P279 00091160¥U噺本大系△第十九巻 00091170¥T/猫(ねこ)に/小判(こばん)△〔内題〕△△△△払鬼堂万福序△△天明五年正月序 00091180¥K 00091190L3△小本一冊。架蔵本は題簽を欠く。内題「猫に小 00091200L4判」。丁付は序が「甲、乙」、本文は「一〜六、七 00091210L5ノ八、九、十ノ卅一、三十二〜五十七」。序は二 00091220L6丁で「于時天明五の年太郎月のはしめ、払鬼堂の 00091230L7主万福、恵方にむかつて書」とある。本文三五丁 00091240L8・三七話(「講釈」は省く)・見開挿絵三図で、奥付 00091250L9を欠く。 00091260L10△本書は、序二丁と本文九丁・九話を新刻、あと 00091270L11は安永五年刊『鳥の町』第三十二丁「吉原」から 00091280L12五十七丁「講釈」(題名のみ)までの板木を三図の 00091290L13挿絵も含めてそのまま使用したもの。序者の経歴 00091300L14も未詳である。『@絵|入@江戸小咄本』に新刻分の翻刻 00091310L15がある。 00091320¥Y序 00091330M3大/通(つう)/変(へん)じて/野暮(やぼ)のごとく、いきちよん無/茶(ちや)と/成(な)ツて、むか 00091340M4し+ぢゝゐは山へせんだくに、ばゝあは/川(かハ)へ/柴苅(しバかり)にを、 00091350M5(甲オ)それは大きなてん/違(ちかひ)と、はんぜうといふ/世界(せかい)なしに、 00091360M6/猫(ねこ)の/気(き)のやふに、まん丸に/出(で)かけれバ、こツちも/随分(ずいぶん)/角(かど)な 00091370M7しに、少しいびつな小判/形(なり)を、(甲ウ)すぐに外題に顕して、 00091380M8四角ばツた上ミ下モを/脱(ぬい)で、初春のわらひそめに、噺のい 00091390M9と口をとく。于時天明五の年太郎月のはしめ、(乙オ)/払鬼堂(ふつきだう) 00091400M10の/主(あるじ)/万福(まんぷく)、/恵方(ゑはう)にむかつて書(乙ウ) 00091410¥T1猫に小判 00091420¥N1¥J 00091430¥X画 00091440M17去るれき+の町人、上手なる/絵師(ゑし)の/処(ところ)へ行たのミけるは、 00091450M18/唐人(とうじん)の/寐言(ねごと)を壱まひ/書(かい)て下され。心得候とて、/其後(そののち)ねこが 00091460M19小判を(一オ)くわへたる所を書てつかわしける。町人、と 00091470M20くと見て申ハ、是ハ唐人の寐ごとでハござらぬ。Sイヱ 00091480¥P280 00091490L1+、夫がとうじんの寐ことでござる△S夫ハまたなぜで 00091500L2ごさる△Sきんにやう+でござる△Sとうりて、おれが 00091510L3目にハ(一ウ)ねこに小判だ 00091520¥N2¥J 00091530¥X/豆腐(とふふ) 00091540L6/山椒(さんしよ)と豆腐より合、とうふがいふハ、おぬしハ/形(なり)もまるふ 00091550L7/少(ちいさ(ママ))ふて能ひが、目の玉をむき出すにハこまるといへば、 00091560L8Sイヤ、それハ何ン(二オ)でも一トくせヅヽハ有るものじ 00091570L9や。きさまも色ハ白し、りつハなれども、ひたいの四角な 00091580L10が見ともなひといへバ、イヤ、是ハこふせにやあならぬ。 00091590L11Sナセ△S時+やつこになる 00091600¥N3¥J 00091610¥X/信濃者(しなのもの)(二ウ) 00091620L14おしな。モウねるか。Sハイ、もふ寐ます△Sわれハ/消(け)し 00091630L15/壺(つぼ)へ/能(よ)く水をかけたか△Sハイ、水をかけました△Sさつ 00091640L16き/茶(ちや)を壱ツ/斤(きん)ほうじたが、あれも能くさましてしまつたか 00091650L17Sハイ、あれもよく水をかけ(三オ)ました 00091660¥N4¥J 00091670¥X大/仏(ぶつ) 00091680L20大仏様の/眼(め)の玉ぬけ落、京大坂の者に直をつもらせけるに、 00091690M1千五百両とつもる。江戸の者ハ弐百両と申て請合、京大 00091700M2(三ウ)坂の者のつもりハ、下にて大きな眼玉をこしらへ、 00091710M3大そうに/足代(あししろ)をかけてはめる/工夫(くふう)。江戸者の/考(かんがへ)ハ、こいつ、 00091720M4ぬけ/落(おち)た物ゆへ、内へ落て有はづと、内へはいりて見れば、 00091730M5はたして眼の玉、内に落(四オ)て有る/故(ゆへ)、上へあげてまん 00091740M6まとはめける。京の者/見物(けんぶつ)して、あいつ、眼玉をはめて、 00091750M7おのれハとれから出おる。出所ハなひはづと見て居る内に、 00091760M8はなの/穴(あな)よりぬけ出たれバ、Sても扨も、目からはなへぬ 00091770M9け(四ウ)おつた 00091780¥N5¥J 00091790¥X忠しんくら 00091800M12こうのいけ、/忠臣蔵(ちうしんぐら)をこしらへんとて、まづ四十七立なら 00091810M13べ、其/前(まへ)へ大石を居へる時、/旦那(だんな)、/家来(けらい)へこ介・へこ内を 00091820M14/呼(よ)びて申さるゝは、(五オ)大石とも可有ものを足にてふむ 00091830M15といふ事ハ有まじき事ゆへ、向ふの方へ加古川にいたせと 00091840M16申さる。両人申ハ、此大石、わたくしどものちからにてハ 00091850M17まゐりませぬ。Sそんなら町へいて、力弥の有/日雇(ひよう)を呼で 00091860M18(五ウ)まいれ△Sかしこまりましたと出て行向ふへ、寺岡 00091870M19平右衛門。コレハへこ介・へこ内、/何国(どこ)へ行きやる。Sイ 00091880M20ヤ、旦那がくらの前の大石を、向ふの方へ加古川にせいと 00091890¥P281 00091900L1いわしやるゆへ、力弥の有る日用やとひに行キます(六オ) 00091910L2Sそれハおれがなをしてやろふと/連立(つれだ)ツて行、大石の下へ 00091920L3両うでさし入れ、ゑんやつと向ふの方へゆら++と、 00091930L4かこ川になをす。旦那、おかるふあがつて、お石うござろ 00091940L5ふ(六ウ) 00091950¥N6¥J 00091960¥X兄弟 00091970L8子どもふたりあそんで/居(い)る。弟がいふにハ、さミだれとさ 00091980L9月は、どつちが/先(さき)たと/聞(きく)。/兄(あに)が云。あれもこよみによつて 00091990L10/違(ちが)ふ事もあるが、まづさミだれハ三(七ノ八オ)月、さつき 00092000L11は五月さといへば、おやぢ、そばに聞て/居(い)て、おらが所も、 00092010L12あにイが無ひと、内ハやミだ 00092020¥N7¥J 00092030¥Xふんどし 00092040L15ひちりめんのふんどしを/買(かつ)て、(七ノ八ウ)さらば/是(これ)をしめて、 00092050L16なんでも人に見せてやらふとおもひ、ひより下駄でかたし 00092060L17りまくり、御いわひ/御縁日(ごゑんにち)でにぎやかな/薬研堀(やげんぼり)のふどうさ 00092070L18まへぶら+行。道+見るほどのものが/笑(わら)ふ。ハテ(九 00092080L19オ)笑ふはづハなひがと/覗(のぞい)て見たれバ、ふんどしハしめな 00092090L20んだ 00092100¥N8¥J 00092110¥X観音 00092120M3/浅草(あさくさ)の/観音堂(くわんおんだう)ハ、よりとも公の御こんりうで、梶原が/普請= 00092130M4奉行(ふしん=ぶきやう)で有つたげな。Sなる(九ウ)/なる((ママ))ほど、そふいふ事だ。 00092140M5いかさま、よりとも公の御ふしんでも有ろふ、けつこうな 00092150M6ふしんだ。時にアノ/矢大臣門(やだいじんもん)ハ、なぜアノやふに、まけて 00092160M7/建(たて)たのう△Sハテ、そこが梶原だ(十ノ卅一オ) 00092170¥N9¥J 00092180¥X/雪隠(せつゐん) 00092190M10/急(きう)にうらへ行たく/成(なつ)て行たれバ、人がは入ツて居る。/隣(となり)へ 00092200M11行と、是もふさがつて、内でヱヘン+。もふこらへかね 00092210M12て、雪隠のまへえたれて居ると、雪隠の戸を内から明にか 00092220M13ゝるを、外から押へて、Sヱヘン+(十ノ卅一ウ) 00092230¥K 00092240M15△以下『鳥の町』の第三十二丁「吉原」(第十巻一九五ページ) 00092250M16から五十七丁「講釈」(題名のみ)までの板木使用。 00092260M17○吉原○道楽者〔挿絵〕○違謡○業平○嫁姑○茶代○庵室○ 00092270M18金物見世○丁稚○臆病○火燵○守刀○地獄〔挿絵〕○儒者○ 00092280M19茗荷○虎○占○大黒○雷○同○大屋○時節○高砂○泰平楽○ 00092290M20春興〔挿絵〕○釣指南○平目○出物○講釈(題名のみ) 00092300¥P282 00092310¥U噺本大系△第十九巻 00092320¥T/扇子売(おうぎうり)△〔内題〕△△△△△△△△△△△天明六年正月序 00092330¥K 00092340L3△小本一冊。題簽「@新作|落咄@あふ/義売(ぎうり)△全」。内題「/扇= 00092350L4子売(あふ=きうり)」。丁付は「序」、本文は「一〜6、七ノ十 00092360L5七、十八九、廿〜三十五、三十六ノ七、三十八〜 00092370L6五十二」。序一丁(午の睦月)。本文四○丁・三七 00092380L7話・見開挿絵二図。奥付は欠く。 00092390L8△本書は、序一丁と本文七丁・八話を新刻、その 00092400L9あとは、安永三年刊『茶のこもち』の第十八丁 00092410L10「富樫」から、五十二丁の「了簡」までの板木を 00092420L11嗣ぎ足している。ただし、元板の十八ウ・十九オ 00092430L12の見開絵は省き、そのため丁付を飛丁にしてある。 00092440L13それ以外の挿絵はそのまま入る。序は「午の睦月」 00092450L14とあるだけだが、天明六年の刊と見られる。『@絵|居@ 00092460L15江戸小咄本』に新刻分の翻刻がある。 00092470M3/明(あき)らけき/春(はる)の/初日(はつひ)の/霞(かすミ)より、/扇子(あふぎ)+の/呼声(よびこゑ)に、/春駒(はるこま)なん 00092480M4ぞの(序オ)/夢(ゆめ)さめて、/開(ひら)く扇子の/霍(つる)/亀(かめ)ハ、かわらぬ/年(とし)の 00092490M5/笑初(わらひぞめ)、/尽(つき)せぬ/千代(ちよ)の/咄(はなし)とハ/成(なり)ぬ 00092500M7△△△午の睦月(序ウ) 00092510¥T1/扇子売(あふぎうり) 00092520¥N1¥J 00092530¥X○あふぎ 00092540M13扇子+と/呼(よん)て/来(く)る。/亭主(ていしゆ)ハ/例(れい)のめでた/好(すき)。はつ/買(かい)に末ひ 00092550M14ろがりの扇と/呼込(よひこミ)、持あふぎに成りさふな、めてたひ物を 00092560M15見せさつしやい。Sハイ。/富士(ふじ)のに被成(一オ)ませぬか 00092570M16Sアヽそれもめてたひが、まだ何ンぞ目出度物ハ△Sごさ 00092580M17ります+。/千(ち)とせの松竹に/霍(つる)が弐/羽(ハ)、万年の/亀(かめ)が三ツ居 00092590M18るのが△Sヲヽ/夫(それ)+。夫にしまし/((衍))やふ。まづ亀が三ツ 00092600M19で三万。めでたひ+。/霍(つる)が二羽、竹が二本て四千年。松が 00092610M20壱本ン弐本ン三ン本。(一ウ)ヤ、小僧、そろばん持ツて/来(こ)ひ 00092620¥P283 00092630¥N2¥J 00092640¥X○酒 00092650L3おやぢハ酒のさの/字(じ)もきらゐに、むすこハぼうだら。かた 00092660L4/+((くカ))いましめて/呑(のま)せぬゆへ、/気(き)ぬけのしたやうになつて居 00092670L5しが、/幸(さいわ)ひおやぢが居ぬ間にと、(二オ)竹戸/棚(たな)を明てとつ 00092680L6くりに入れて有を出して、一ツぱいぐつと引かけ、ざぜん 00092690L7/豆(まめ)に/舌(した)うちして居る所へ、おやぢが/帰(かへ)り、そりや何しをる 00092700L8とこゑかけられ、Sハイ、豆と/徳利(とつくり)でごさひ 00092710¥N3¥J 00092720¥X○鼠(二ウ) 00092730L11四寸五寸のながれの身にハ、とりわけいやしきことの/葉(は)も 00092740L12有らんかし。ソレ+、そこへ鼠が+。◇若者◇ヱヽぶちこ 00092750L13ろしなさんせ△◇女郎◇あれも/質(しち)に取るかへ 00092760¥N4¥J 00092770¥X○/仕合(しあい) 00092780L16ソリヤぬいた+と、八ツ方へ/迯(にげ)る。互に侍(三オ)どうし 00092790L17のしんけん/勝負(しやうぶ)。うけはづして壱人の侍、/顔(かほ)かたつら切ツ 00092800L18ておとされ、モウかなハぬと迯出した跡へ、/駕篭(かご)かきが通 00092810L19りかゝり、かのかたつらをひろひ、旦那、かほやりましよ 00092820L20+ 00092830¥N5¥J 00092840¥X○かるわざ(三ウ) 00092850M3コレ、両国へとんだかるわざか出た。壱本竹の/曲(きよく)ハ/妙(めう)だ。 00092860M4Sナニ、あのくらゐな事ハ、壱本竹でも/横(よこ)に足かゝりが有 00092870M5るハ。おれが一ツして見せふ。是がほんの一本竹たと、/太(ふと) 00092880M6ひ/物干(ものほし)さほをおつたて、つる+とのほる。S是ハきめう 00092890M7だ+(四オ)Sもつとはやくのぼつて見せふかと、つるツ 00092900M8とのぼり、つるッと下ル。Sイヤ、モウ+妙+△Sも 00092910M9つとはやくかと、ツヽ++ツヽとのほり、ツヽと下り 00092920M10て、竹のもとにしやがんでいる。コレハ妙たといへと、だ 00092930M11まつている。どうした事たと/仰向(あをむい)て見れバ、(四ウ)/竿(さほ)のう 00092940M12らに/睾丸(きんたま)がぶらり 00092950¥N6¥J 00092960¥X○わんぱく 00092970M15かゝさんや+。どふへはいつたと/云(いつ)てかへる。/腰(こし)から下 00092980M16ハ/泥(どろ)だらけ。Sヤレ+、にが+しひ。どふした物と、 00092990M17まづ/着(き)ものをぬがせ、よくあらつてやり、(五オ)/取(とつ)て/置(おき)の 00093000M18/布子(ぬのこ)をきせると、又外へ出ながら、もう一ツぺん、どぶへ 00093010M19/落(おち)て来て、小袖をきやふ 00093020¥P284 00093030¥N7¥J 00093040¥X○/新宅(しんたく) 00093050L3友だちがふしんをしたと/家(いへ)/見(ミ)に行。Sコリヤアゑゝふしん 00093060L4だ。よつぽと(五ウ)かゝつたろふ。しかし何ンぼ/裏(うら)でも、 00093070L5/間口(まくち)をバもちつとひろくして/置(おけ)バ能ひ。是じやアとふらひ 00093080L6の時に/龕(がん)が出ねへぞへ△S此男ハ何ンの事ツた。/家(いへ)見に来 00093090L7て、いま+しひ事をいふ△Sコリヤアあやまつた。そん 00093100L8なら出る+(六オ) 00093110¥N8¥J 00093120¥X○/百足(むかで) 00093130L11しのハずの弁天さまへ、びしや門さまからむかでがつかひ 00093140L12に来て、たのミませふ+。おりふしつかわしめのへびも 00093150L13るすかして、弁てんさまししんに文を御うけ取、ちつと待 00093160L14つて居やれと、御返事したゝめ、百足(六ウ)にわたし給ひ、 00093170L15いさひハそれへ書て上るから、/旦那(だんな)へよろしふ申上て/呉(く)り 00093180L16や。/太義(たいぎ)+と、おくへ入り給ひしが、やゝしはらく/過(すぎ)て、 00093190L17/拝殿(はいでん)でまだごそ+とする/故(ゆへ)、弁てんさまも/合点(かてん)行かず。 00093200L18ハテ、あのつかひのものハ何を(七ノ十七オ)うぢ+して 00093210L19いるやら。たゞし御文の外におつしやつてつかわされた事 00093220L20でも有つたをわすれて、云ひにもどつたのかと立出て見給 00093230M1へバ、/道理(とうり)こそ、/草鞋(わらし)をはいて居(い)る(七ノ十七ウ) 00093240¥K 00093250M3△以下『茶のこもち』第十八丁「富樫」(第十巻三五ページ)か 00093260M4ら五十二丁「了簡」までの板木を使用。 00093270M5○富樫○分別○なぞ○富士山○思案○歩の者○麁相○開帳○ 00093280M6つれ+○燈篭○異見○常念仏〔挿絵〕○大石○せんぼう○ 00093290M7大八車○人相悪○家来○自身番○進物○煙草○熊○風呂○茶 00093300M8かま〔挿絵〕○見立○末世○初会○鉢の木○游○了簡 00093310¥P285 00093320¥U噺本大系△第十九巻 00093330¥T/十千万両(とちまんりよう)△〔序文〕△△△△△△△△△△△△天明六年冬序 00093340¥K 00093350L3△大東急記念文庫蔵。小本一冊。題簽を欠く。丁 00093360L4付は序は「一」、本文は「一〜六、七ノ十五、十 00093370L5六〜四十一」。序一丁半(ひん+はねる午の冬)。 00093380L6本文三二丁半・二一話。挿絵はなく、奥付も欠く。 00093390L7△本書は、序一丁半と本文六丁半・五話が新刻、 00093400L8あとは、天明二年刊『笑顔はじめ』第十六丁「下 00093410L9駄屋」から、末尾四十一丁「虱紐」までの板木を 00093420L10嗣ぎ足したものである。序文に「午の冬」とのみ 00093430L11あるが、天明六午年であろう。序者名はない。 00093440L12『@絵|入@江戸小咄本』に、新刻分の翻刻がある。 00093450¥Y 00093460M1/唯今(たゞいま)+たつたいまとは、/坊主天窓(ぼうずあたま)の/朝清(あさきよ)メ、/夫(それ)より早ひ 00093470M2は/魚荷(うをに)のかつき、京大坂も/及(およ)びもねヱ、今とりたての(序 00093480M3一オ)/噺(はな)しの/鮮(ぶゑ)ん、/買手(かいて)に/売手(うりて)、口+に、/十千万両(とちまんりやう)+ 00093490M4(序一ウ) 00093500M6△△△ひん+はねる午の冬(一オ) 00093510¥N1¥J 00093520¥X初かつを 00093530M10さて、ことしは/初(はつ)かつをのをそい事だ。Sされバさ。イヤ、 00093540M11なんでもりうぐうへ人をやろう△Sイカサマよかろうと、 00093550M12人をやる。りうぐうへきて見れバ/門(もん)ンあり。/内(うち)へ入(一ウ) 00093560M13ミれバ、だん+/肴(さかな)の/屋(へ(ママ))やかあり。まづ/鯛(たい)のへや、そのつ 00093570M14ぎに/蛸(たこ)のへや、/鯔(ぼら)のへや、あこうなとのへやあり。かつを 00093580M15のへやか見へぬと、ほう※見れバ、おくのほうに、かつ 00093590M16を(二オ)のへやあり。/内(うち)へ入ミれバ、かつを、こたつにあ 00093600M17たり、ゆどうふてのんてゐる 00093610¥N2¥J 00093620¥X/堅田(かただの)/落雁(らくがん) 00093630M20/何(なに)もしらぬくせに、よくてつぽうをいふ/男(おとこ)、/上方(かミがた)へのほり、 00093640¥P286 00093650L1(二ウ)/大和(やまと)めぐりをして/帰(かへ)りけるか、ある/時(とき)、/自身番(ぢしんばん)に大 00093660L2ぜいより/合(あい)/居(ゐ)ける/所(ところ)へ、かの/男(おとこ)きたりけるが、Sなんと、 00093670L3あいつをなくさんでやろうと、コレ、キ様ハ/上(かミ)へのほつた 00093680L4げな。大和を/廻(めぐら)ら(三オ)しつたか。Sなるほど、大和廻り 00093690L5をしました△Sときに、堅田のらくがんを/喰(くハ)しつたか△ 00093700L6Sたべました△S/味(あぢわ)ひはどんなでござつたときけバ、Sま 00093710L7づ、くら/前(まへ)の/御所(ごしよ)おこしの(三ウ)よふなものでごさる 00093720¥N3¥J 00093730¥X/状箱(ぜうばこ) 00093740L10/御地頭様(をぢとうさま)£/御状(ごせう)ばこまいり、/是(これ)をてんぢくへとゝけよとの 00093750L11/御意(ぎよい)。/庄屋(せうや)/罷出(まかりいで)、いかに/殿様(とのさま)の/御用(こやう)でも、/天竺(てんぢく)へどうい 00093760L12たして(四オ)とゞけられませう。/此儀(このぎ)は/御免(こめん)下さるべしと 00093770L13いふ所へ、庄屋のむすこ、大の/通人(つうじん)とんて出、てんぢくへ 00093780L14きつとおとゞけ申ませう。かしこまりましてごさります。 00093790L15おやぢ、き(四ウ)もをつぶし、イヤ、どんたやつでごさる。 00093800L16天竺へどふしてとどけられるものかといへバ、はて、わつ 00093810L17ちがとゝけやす。イヤ、どふしてとゞける。Sまづ/品川(しなかハ)へ 00093820L18やりやす。それから/雲(くも)にもたせやす(五オ) 00093830¥N4¥J 00093840¥Xこうとく/寺(じ) 00093850M1さるびんぼう人/死去(しきよ)いたし、御/寺(てら)はこうとく/寺(じ)。さつそく 00093860M2ほうむらんとまいつた/所(とこ)が、よう+/水(ミづ)は/引(ひき)けれとも、ど 00093870M3こを/堀(ほり)ても、/下(した)から水(五ウ)がかぶ+出てならず。あそ 00093880M4ここゝと堀て見ても、水にていけられず。/施主(せしゆ)もこまりは 00093890M5てゝゐる所に、ほとけ、/桶(おけ)のうちから/首(くび)を出して、こんな 00093900M6うまらぬことハねへ(六オ) 00093910¥N5¥J 00093920¥X/銭(ぜに)くらへ 00093930M9/旦那(だんな)、小ぞうをよび、これ小/僧(ぞう)。おれハなんでも四の/字(じ)の 00093940M10ついたものはきらいじやによつて、けつして四の字はいふ 00093950M11な。そしていふものハ(六ウ)/銭(ぜに)を五/貫(くハん)づゝ出しこだといへ 00093960M12バ、S小僧こいつ、/何(なん)でも四の字をいはせて、/銭(せに)をとつて 00093970M13やろうとおもい、あるとき/使(つかい)に/行(ゆき)てかへり、モシ/旦那様(たんなさま)。 00093980M14こん日/通丁(とをりてう)で/鍋屋(なべや)か/木(き)の(七ノ十五オ)なべを、せい/出(だ)して 00093990M15/火(ひ)であふつておりましたといへバ、S旦那とんだやつだ。 00094000M16それハ大きにしりがこけるだろうといへハ、S小僧はい、 00094010M17五貫文+(七ノ十五ウ) 00094020¥K 00094030M19△以下『笑顔はじめ』の第十六丁「下駄屋」(第十二巻二四ペ 00094040M20ージ)から末丁「虱紐」までの板木を使用。 00094050¥P287 00094060L1○下駄屋○年号○ゑんま○殿様○かけとり○物好○犬のとし 00094070L2○寝ぼけ○長口上○居候○むすこ○誕生日○初旅○女房○お 00094080L3く病○虱紐 00094090¥U噺本大系△第十九巻 00094100¥T/評判(ひようばん)の/俵(たわら)△〔内題〕△△△△△深川珍話序△△天明八年正月序 00094110¥K 00094120M3△小本一冊。架蔵本は題簽を欠く。内題「/評判(ひやうばん)の 00094130M4/俵(たハら)」。丁付は「序」、本文は「一〜五、六ノ十二、 00094140M5十三〜二十六、廿七ノ三十、三十一〜四十三了」。 00094150M6序一丁だが、表半丁は、篆書大文字で「序」の一 00094160M7字、裏半丁が序文(天明八ツの睦月△深川珍話書)。 00094170M8本文三四丁・三二話で挿絵はなく、奥付も欠く。 00094180M9△本書は、序一丁と本文六丁・四話が新刻で、そ 00094190M10のあとに、安永十年刊『@当世|新話@はつ鰹』の第十三丁 00094200M11「新宿」から第四十三丁「小人」までの板木を嗣 00094210M12ぎ足したものである。序の深川珍話は、深川に住 00094220M13む著名な書家三井親和である。帝国文庫『滑稽名 00094230M14作集』下巻に翻刻がある。 00094240¥P288 00094250¥Y 00094260L2G 00094270L6△△序 00094280L10△△△△△△△△△△△△△△△△GG 00094290L11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序オ) 00094300L13此大キな字は、何といふ事だ。あれハ/序(しよ)といふ/字(じ)さ。序と 00094310L14は何の/訳(わけ)だんべひ。はじまり+といふ事さ 00094320L16△△△天明八ツの△△△△△△△△△深△川 00094330L17△△△△△△睦月△△△△△△△△△△珍△話△書 00094340L18△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序ウ) 00094350¥T1/評判(ひやうばん)の/俵(たハら) 00094360¥N1¥J 00094370¥X○福神 00094380M5弁天さまが日まちをなさるとて、おきやくのまふけ。/懸物(かけもの) 00094390M6をかけるの、花を/活(いけ)るのといつてござる所へ、大/黒(こく)さま 00094400M7(一オ)がもふ御出。いよ+てん+まひ給ふを、気の毒 00094410M8がり給ひ、ナニサ、/客(きやく)といふハなかまうちばかり。何もし 00094420M9たくなしが/能(よい)のに。Sイヱ、何も致しませぬが、懸ものを 00094430M10かけよふと思へバ、(一ウ)此はしらに/釘(くぎ)が△Sドレ+、 00094440M11おれが打ツてやらふと、打出の小/槌(つち)で、トン++と打 00094450M12給ふと、小/判(ばん)や小/づ((ママ))ぶや弐朱銀がぐわら++。Sたつ 00094460M13た今/掃(はい)た/処(ところ)を、/埃(ごミ)たらけに(二オ) 00094470¥N2¥J 00094480¥X○吉原 00094490M16やつさアこりやサア。ほうぐミ、すべるなと/土手(どて)へかゝる 00094500M17と、/駕(かご)のそこがぬけ、侍ハどろだらけ。此なりでハあそび 00094510M18にも行かれずと、大きに(二ウ)はらをたちけれバ、駕かき 00094520M19ハミな迯出しけるが、壱人の駕かき、取つてかへし、たん 00094530M20なさま。御目出たふござりますといへハ、侍、いよ+は 00094540¥P289 00094550L1らを立、おのれ、にくひやつ。此やうに(三オ)どろだらけ 00094560L2にして、何が目出たひ。Sハイ、さやうおつしやりますな。 00094570L3/今年(ことし)土に付たものに、何ンでも/悪(わる)ひものはござりませぬ 00094580¥N3¥J 00094590¥X○/逆(さか)さま(三ウ) 00094600L6/此間(このあいだ)さかさまな事で、とんだはねを取つたよ。Sそれハど 00094610L7うして△Sイヤ、さる処へ茶ばんに行やした。まづ思ひ付 00094620L8で、あたまのわげをさかさにわげ、/下駄(げた)をかぶり、じゆば 00094630L9んを(四オ)/袴(はかま)にして、/慶子(けいし)が/声色(こハいろ)さ。とんだあたりで/声(こゑ)か 00094640L10かゝりやした/処(ところ)へ、おやぢが/来(き)て、サア内へ/帰(かへ)ると、大ら 00094650L11んちきよ△Sフン、それから/仕(し)まひハどうした△Sハテ、 00094660L12すぐに親仁を/勘当(かんとう)サ(四ウ) 00094670¥N4¥J 00094680¥X蝋燭 00094690L15/片田舎(かたいなか)へ江戸の/縁者(ゑんじや)から、らうそくを一ト/箱(はこ)/遣(や)れバ、/一家(いつけ) 00094700L16残らずあつまりて、/是(これ)ハ替つたものだ。何ンで有ろふと評 00094710L17判しても、いつかう(五オ)わからず。ひよつと/喰(くい)ものかも 00094720L18しらぬと、一ト口喰つて見れバ、しごくやわらか/故(ゆへ)、いよ 00094730L19+喰ものにぎぢやうして、打/寄(より)喰ふおりふし、庄屋どの 00094740L20がひよつくり来て、此ていを見(五ウ)て、きもをつぶし、 00094750M1Sヤレ、てんこちも/無(な)ひ事をしめさる。是ハこのまへ大坂 00094760M2で見た、口から火をふく物だハへ。それを喰ツてたまるも 00094770M3のか。サア+大事だ+。喰ツたもの(六ノ十二オ)ハのこ 00094780M4らず/池(いけ)へはいらつしやひ。きつといひつけましたといひす 00094790M5て、すぐに/棒(ほう)をついて、むら中をかけまわり、火の用心 00094800M6+(六ノ十二ウ) 00094810¥K 00094820M8△以下、『はつ鰹』第十三丁「新宿」(第十一巻三二五ページ) 00094830M9から末丁「小人」までの板木を使用。 00094840M10○新宿○切腹○蜂○蓼○鰹○雪隠○小豆餅○夜の精進○刀の 00094850M11空○世良田○めくり○豆腐○見世物○無筆○医学○鯲○茶わ 00094860M12ん○盗人○大工○猿廻し○白狐○弐朱○御門跡○蛇○湯上り 00094870M13○猟人○水入リ百姓○小人 00094880¥P290 00094890¥U噺本大系△第十九巻 00094900¥T@新作|落咄@/室(むろ)の/梅(うめ)△〔内題〕△△△振鷺亭主人序△△天明九年正月序 00094910¥K 00094920L3△小本一冊。題簽は「@新作|落咄@室の梅△全」。内題も同 00094930L4じ。丁付は序が「一、二」、本文は「三〜六、二 00094940L5〜廿四、廿五ノ三十一、三十二〜三十四、五十一 00094950L6〜六十二終」。序二丁(天明九のとし酉のはつ春△振 00094960L7鷺亭主人書初に誌)。本文四三丁・三三話・見開挿 00094970L8絵四図。奥付を欠く。 00094980L9△本書は、序二丁と本文一〇丁・一〇話・見開挿 00094990L10絵一図を新刻し、あとは安永七年刊『乗合舟』の 00095000L11第九丁「薬買」の後半から三十四丁「燈篭見物」 00095010L12までと、五十一丁「するか客」の本文始めから六 00095020L13十二終丁「狩人」までの板木を、挿絵を含めて使 00095030L14用したものである。この際、三十四丁裏末行の 00095040L15「○下手せうき」の題名を「○するか客」と入木 00095050L16し、元板の刊記は削り、咄の中途でつづけるなど、 00095060L17手のこんだ細工である。なお、新刻分の丁付に重 00095070L18複が見られ、『乗合舟』と本書の間にも嗣足改題 00095080L19本の介在が考えられるが、後考を俟つ。序者の振 00095090L20鷺亭は洒落本作者として知られ、『噺手本忠臣蔵』 00095100L21『噺日記』などの噺本もある。『滑稽本集』(日本 00095110L22名著全集第十四巻∞一丁落丁)『寛政笑話集』第一冊 00095120L23などに翻刻がある。 00095130¥Y序 00095140M3/春(はる)の/夜(よ)の/価(あたへ)/千金(せんきん)にもあらぬ/此草紙(このそうし)を/得(ゑ)て、/能(よく)/頤(おとかひ)をよろこ 00095150M4はしめ、能/耳(ミヽ)を/澄(すま)すこそ、/笑(わら)ふ/門(かと)に(一オ)/鴬(うくひす)のはつ/音(ね)を 00095160M5聞たらんに、また/洪福(こうふく)の/幸(さいわい)もあるへしと、/南総館(かづさや)の/竈将軍(やどろく) 00095170M6がもとめに/諾(やすうけやい)して、/年(とし)の/暮(くれ)の/混雑(こんさつ)に/輯(あつめ)て(一ウ)/牒(てう)となす 00095180M7のひま、/費(ひま)なる/趣(おもむき)をわらひ/南枝(なんし)、はしめてひらく/序文(ついでふミ)に、 00095190M8/室(むろ)の/梅(むめ)とはなしぬ(二オ) 00095200M10△△△天明九のとし 00095210M11△△△△△酉のはつ春△△△△△振鷺亭主人 00095220M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△書初に誌 00095230M14△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二ウ) 00095240¥T1@新作|落咄@室の梅 00095250¥N1¥J 00095260¥X○/礼者(れいしや) 00095270M19/無筆(むひつ)な/男(おとこ)、/伊勢屋(いせや)何がしの礼者にやとわれ、お/出入屋敷(ていりやしき)の 00095280M20お/役人(やくにん)の/所(ところ)へゆき、/年始(ねんし)の/御慶(ぎよけい)申あげますと、/玄関(げんくわん)の(三 00095290¥P291 00095300L1オ)/障子(しようじ)をあけると、ぞつとするほどなうつくしい/娘子(むすめこ)。 00095310L2ぐつとてれて、伊勢屋何右衛門/早速(さつそく)/出(で)かね、しばらくため 00095320L3らつて/居(い)たりしが、ばからしくなつてきて、娘子のそばへ 00095330L4より、/小声(ここゑ)になつ(三ウ)て、おはづかしながら、/私(わたくし)は/無筆(むひつ) 00095340L5でござります。/何卒(なにとぞ)/名(な)をおよミなされてくだされませと、 00095350L6/扇箱(おふきばこ)をさし/出(だ)す/所(ところ)へ、だいどころから、/折介(おりすけ)/飛(と)んでいて、 00095360L7ふ/義(ぎ)もの、うごくな(四オ) 00095370¥N2¥J 00095380¥X○番人 00095390L10/送(おく)りひようし/木(ぎ)もたゝきくたびれ、まつくらな/晩(はん)ゆへ、/燈(ひ) 00095400L11を/消(け)して/犬(いぬ)を/抱(だい)て/寐(ね)て/居(い)るところへ、/盗人(とろぼう)はいり、こゝは 00095410L12ばん/屋(や)だとはさすがいわれず、(四ウ)ちいさくなつて/抱(だき)し 00095420L13めると、いぬ、せつながつてほへ出せバ、どろぼう、/戸(と)ま 00095430L14といをして、テモ、ていねいな/木戸(きと)だ。番人、ちいさな声 00095440L15で、/火(ひ)の/用(よう)じんさつせいましよう引。そばア引そばア引チ 00095450L16リン+++(五オ) 00095460¥N3¥J 00095470¥X○/碑文谷(ひもんや) 00095480L19/信濃(しなの)もの、/冬奉公(ふゆほうこう)に/来(きた)り、あんまり/大飯(おふめし)をくふゆへ、どこ 00095490L20へすんでも二日三日ておいだされ、しよう/事(こと)なさ、ひもん 00095500M1やの/仁王(にわう)さまへ/願(がん)をかけ、どふそいひ/口(くち)のこさりますよふ 00095510M2にと、(五ウ)いつしんふらんに/祈(いの)れば、仁王もふびんにお 00095520M3ぼしめし、/善哉(よきかな)+。ねがいの/通(とを)り/叶(かなへ)てやろうから、七日 00095530M4が/間(あいだ)、/断食(だんじき)をしろ。S信濃者ナニサ、おめい。くわずにい 00095540M5られるなら、/国(くに)にいやす(六オ) 00095550¥N4¥J 00095560¥X○為十郎 00095570M8/評判(ひようばん)ほどあつて、なるほど、/軽業(かるわざ)は/妙(めう)だ。ナアニ、/芸(げい)がや 00095580M9すい。ばかな/事(こと)をいわつしやい。ハテ、それでもけんぶつ 00095590M10が、/奥(おく)やま+とほめます(六ウ)わいの 00095600¥N5¥J 00095610¥X○浪人 00095620M13/貴殿(きてん)、/師直家(もろなをけ)の/浪人(ろうにん)とや。/義士(ぎし)ども/夜討(ようち)のせつは、/病気(ひやうき)に 00095630M14て御引ツ/込(こミ)か。イヱ+、ずゐぶんつとめておりました。 00095640M15(二オ)そんなら申さふ。何ともつまりませぬ。たとへ大/星(ぼし) 00095650M16が/鬼神(おにかミ)にもせよ、わづかの/人数(にんじゆ)。/夫(それ)に切り立らるゝとハ、 00095660M17どふしたもの。むかしのほり川/夜討(ようち)は、/土佐(とさ)坊ハ三百/余騎(よき)、 00095670M18/義経(よしつね)がたは(二ウ)/亀井(かめゐ)・/片岡(かたおか)・/伊勢(いせ)・/駿河(するが)・/弁慶(べんけい)・しづか 00095680M19御ぜんにて、/土佐(とさ)が/三百/余騎(よき)を。サア+++、そこ 00095690M20をよく/御了簡(ごれうけん)下タさりませ。その亀井・片岡・弁けいと申 00095700¥P292 00095710¥G(五ウ・六ウ) 00095720M1やうなものが、四拾七人まいり(三オ)ました 00095730¥N6¥J 00095740¥X○吉原米つき 00095750M4アヽもふ/昼(ひる)でもあろふ。ひだるく成つたと、/杵(きね)も/臼(うす)もすて 00095760M5ゝ一ツぷく/呑(のミ)ませふと、かうし/先(さき)へ立つて、女郎ども、ど 00095770M6や+/居(い)る(三ウ)中へ、◇米つき◇もし、モウ何ン時でごさり 00095780M7ませうね△◇女郎◇コハばからしひ、此人ハや。ひるま時が有 00095790M8ルものか 00095800¥N7¥J 00095810¥X○/葬礼(さうれい) 00095820M11/扨(さて)りつはなとむらひのと、/大勢(おゝぜい)(四オ)が立つて見て居る。 00095830M12◇田舎者◇もし、是はどなたが/死(しに)ましたのでごさります△◇江戸者◇ 00095840M13是かへ。/病人(びやうにん)が死ました 00095850¥N8¥J 00095860¥X○はなれ馬 00095870M16やつこがすた+云て/欠(かけ)て/来(き)て、(四ウ)/辻(つち)に大勢立つてゐ 00095880M17る中へ、モシ、/爰(こゝ)へ馬ハ来ましなんだかへ。◇大せい◇馬かへ。 00095890M18馬ハ/畳(たゝミ)をなめて居ます 00095900¥N9¥J 00095910¥X○地口 00095920¥P293 00095930L1/奥(おく)かくしハ何ンだ+。/腹(ハら)が(五オ)(五ウ・六オ挿絵)いたく 00095940L2はよし/野(の)へござれ。コリヤゑいのと/行過(いきすぎ)、むすこが何ても、 00095950L3とこぞへはめやうと、かへりがけに友だちの所へよれバ、 00095960L4友だちが/腹(ハら)をかゝえて居る。何ンでも先キのをやらふと思 00095970L5ひ、どうした+。(六ウ)友達いや、筋張る様だ。息子ハ 00095980L6テナ、腹が痛くば。友達イヤ、痛くはないよ。息子ヱヽど 00095990L7んな。そんなら何処へでも御座れよ(七オ) 00096000¥N10¥J 00096010¥X○薬買 00096020L10本町三丁目の/薬種(きくすり)屋へ、殊の外、/痩(やせ)おとろへたる者、よふ 00096030L11+と見せへ/腰(こし)をかけ、まづため/息(いき)/継(つい)で、なんと、水の/減(へる) 00096040L12薬ハ御座らぬかと(七ウ) 00096050¥K 00096060L13△以下『乗合舟』の第八丁「薬買」の後半(第十一巻一四八ペ 00096070L14ージ)から三十四丁「燈篭見物」までと、五十丁裏末行「す 00096080L15るが客」から六十二終丁「狩人」までの板木を使用。架蔵本 00096090L16も東大国語研究室本も早大図書館本(『滑稽本集』の底本)も第 00096100L17七丁を欠くので、七丁表の部分は『寛政笑話集』の翻刻に、 00096110L18七丁裏は『乗合舟』に依って示した。 00096120L19△「薬買」(後半)○物忌○むしん〔挿絵〕○文箱○九年ぼう 00096130L20○灸○首売○文○婚礼○おく病○占○掛物○見廻○湯屋のけ 00096140M1んくわ○なら漬〔挿絵〕○義大夫○燈篭見物○するか客○間 00096150M2違ひ○嶋台○宗論〔挿絵〕○せんべい○はり医○狩人 00096160¥P294 00096170¥U噺本大系△第十九巻 00096180¥Tふくら/雀(すずめ)〔内題〕△△△△雀躍堂百成序△△天明九年正月序 00096190¥K 00096200L3△小本一冊。題簽「@おとし|はなし@/福来(ふくら)すゞめ△全」。内題 00096210L4「ふくら雀」。丁付は、序は無丁、本文「一〜九、 00096220L5十一〜十三、十四又五、六、七八、九〜廿九」。 00096230L6序は一丁(天明九ツのとしはつ春雀躍堂百成)。本文 00096240L7三六丁・四七話・見開挿絵二図。奥付は欠く。 00096250L8△本書は、序一丁と本文一三丁・一七話を新刻、 00096260L9以下は安永五年刊『高笑ひ』の第六丁「野がけ」 00096270L10から廿九丁「元日」までの板木を挿絵二図を含め 00096280L11て嗣ぎ足したものである。序者の雀躍堂百成は、 00096290L12山口剛の解説によると、瓢亭百成であるという。 00096300L13新刻の丁数・話数も他書に比して多いが、内容は 00096310L14『坐笑産』などの既成話が多く、新味は薄い。早 00096320L15大図書館本には扉絵があり、同書に拠った翻刻が 00096330L16『滑稽本集』(日本名著全集第十四巻)に所収されて 00096340L17いる(なお、「倹約」中の凸版は汚損のため、活字本か 00096350L18らとった)。 00096360¥Y序 00096370M3/勧学院(くわんがくゐん)の/雀(すゞめ)は/蒙求(もうぎう)を/囀(さへづ)り、大/都会(とくわい)の/童(わらんへ)ハ/習(なら)ハぬ/晒落(しやれ)にさ 00096380M4とく、/眼(め)から入て/鼻(はな)へ/抜(ぬ)ける事、/鶴吉(つるきち)が/小刀(こがたな)のごとく、す 00096390M5るどき小/耳(ミヽ)/大耳(おゝミヽ)の、/耳(ミヽ)から入つて口へぬける、/噺(はなし)の/種(たね)を 00096400M6(序オ)いわて/止(やミ)なんも、/腹(はら)ふくるゝとやらと、ふくら/雀(すゝめ)と 00096410M7/題(だい)して、/恵方(ゑほう)に/向(むかつ)て囀り初る事しかり 00096420M9△△△天明九ツのとしはつ春 00096430M11△△△△△△△△△△△△△△△△雀躍堂百成G 00096440M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序ウ) 00096450¥T1ふくら雀 00096460¥N1¥J 00096470¥X/富士(ふじ)山 00096480M17S/床(とこ)の/間(ま)の/掛物(かけもの)を見て、ハヽア/探幽(たんゆう)。/書(かい)たり+。/私(わたくし)ハ此 00096490M18間/不二(ふじ)へまいりましたか、とんと此とをりでござります 00096500M19てい主S何ンと、あの山のうへからハ、私が(一オ)内も見 00096510M20へませふね△客Sめつそふな。どうしてあの山から、/爰(こゝ)が 00096520¥P295 00096530L1見へるものか△ていしゆSハテナ、見へるはづだか。わた 00096540L2くし/共(とも)の/物干(ものほし)から、/富士(ふじ)ハよく見へますが 00096550¥N2¥J 00096560¥X/豆腐(とうふ) 00096570L5下女、たん+と出ツ世して、めし/焚(たき)(一ウ)を遣ふやふに 00096580L6成り、/台(たい)所へ出て、コレ、さんや。/何(なに)やら白ひものが半丁 00096590L7のせて有るが、それハ何ンといふ物た 00096600¥N3¥J 00096610¥X/倹約(けんやく) 00096620L10/神田(かんた)/辺(へん)に、けんやく/指南所(しなんところ)と/表札(へうさつ)うち、門人あまた有り。 00096630L11又浅くさ(二オ)辺にも同しく、しなんの先生有しが、神田の 00096640L12先生、ことの外はやり、/浅草(あさくさ)のハ次第に/淋(さひ)しくなる故、神 00096650L13田の先生へ行て、/奥儀(おうぎ)もあらハ聞たしと神田へ行、はしめ 00096660L14て参りし/印(しるし)までにと、わらしべ十本を(二ウ)$〔しん上御きせる通し〕 00096670L15としてさし出し、奥義もごさらバ御/伝受(でんじゆ)下されたしといへ 00096680L16バ、神田先生、是ハおびたゝしひてうほうの品、いたミ入 00096690L17ります。扨わたくしとても、さのミ伝と申も御ざらぬが、 00096700L18まづ是ほどの品にてハ、五十/軒(けん)斗(三オ)の進物になります 00096710L19S夫ハとふいたしてな△S此わらしへを二三分斗に切り、 00096720L20此紙もかう切まして、かう/包(つゝミ)まして、$〔しん上しびれ薬〕 00096730¥N4¥J 00096740¥X/禿(かふろ) 00096750M3/新参(しんざん)のかぶろに、◇女郎◇コレ、よしのヤア。(三ウ)下モのた 00096760M4んすから多葉粉を持ツテ来ヤア△Sアイと立ツて、モシ、 00096770M5おいらんへ。/箪(たん)笥にハ御坐りイせん。女郎大キに/呵(しか)り、コ 00096780M6レ、手めへハしんざんだけれと、此中もおしへたハの。た 00096790M7んすといつたら、下の町のたばこ屋へ行ツて買ツて(四オ) 00096800M8来るもんたにヨウ。又/客(きやく)の有る時、下のたんすへ行て、た 00096810M9はこをもつて来やといへハ、アイと、しばらくすぎて来て、 00096820M10モシへ、下のたんすハ、もふ/寐(ね)んした 00096830¥N5¥J 00096840¥X歯かた(四ウ) 00096850M13むせうにミゑをしたがるゐんきよ、我とわが腕を/喰(くい)付、コ 00096860M14レ見やれ。年がよつても気にほれたさふて、かのなじミめ 00096870M15が喰ひ付おつた。S此/歯(は)かたハ、女にしてハたいぶ大キひ 00096880M16ね△Sそのはづ。わらひながらヨ(五オ) 00096890¥N6¥J 00096900¥X/生酔(なまゑい) 00096910M19おやぢ、酒に酔ひて/帰(かへ)り、コリヤ孫六ヨ。おのれがあたま 00096920M20ハ三ツ有。そんなものに、あとハゆづられぬ。同じくむす 00096930¥P296 00096940L1こも酔つていて、何ンの事ツた。こんな廻る家を、何ンに 00096950L2(五ウ)するもんだ 00096960¥N7¥J 00096970¥X中の町 00096980L5おやぢつく+しあんし、とかく命有つてものだね。一 00096990L6ツ時のゑいぐわに/千(ち)とせをのぶるとやら。/些(ちと)/眼前(がんぜん)のごくら 00097000L7くへ行て見やふと、(六オ)/俄(にわか)に/黒油(くろあぶら)でつくり立、七ツ過か 00097010L8ら行。むかふからむすこ、女郎のかたへもたれかゝり、能 00097020L9ひきげんで来る。おやぢ、せんかたなく、コレ甚吉よ。ば 00097030L10くちハならぬぞ 00097040¥N8¥J 00097050¥X雪(六ウ) 00097060L13小ぞうヨ。庭の雪ハどれほど/積(つもつ)た。物さしでさして来ひ。 00097070L14アイと、口小言を云ひ+さしてくる。とうだ、しれたか。 00097080L15Sアノ、ふかさハ壱尺と五寸。はゞハどうもしれません 00097090¥N9¥J 00097100¥X紋所(七オ) 00097110L18/紋(もん)所といふ物も、ミんなそれ+にいわれが有る物だげな 00097120L19の。Sヲヽサ。有ルのさ+。まづ、ともへなぞハ花火に 00097130L20も有る。みけんじやくと王とおちと、三ツの首たげな 00097140M1Sおらが紋ハ、かたはミだが△Sムヽ、そりやその時の/尻(しり) 00097150M2さ(七ウ) 00097160¥N10¥J 00097170¥X/願人(ぐわんにん) 00097180M5くわんにんぼうづ三百人、ゑんまの前へ引/居(す)へる。大王、 00097190M6しやく取直し、おのれら、しやばにて、ひさうのしやうづ 00097200M7かの/婆&(ばゞ)を引すりあるきおつたとが、釜いりにして、(八オ) 00097210M8あび大地ごくへおとすべしとの仰付。/役(やく)人の鬼ども、/三途= 00097220M9川原(さうづ=かハら)へ/行馬(やらい)を/結(ゆ)ひ、いついく日、/罪人(さいにん)共かまいりと、高札 00097230M10が立ツ。ミな+/当(とう)日にいたり、さぞおもしろからふと行 00097240M11て見れバ、/断(ことわ)り書。(八ウ)/薪(まき)/高直(かうしき)ニ付、/暫(しはらく)/延引(ゑんいん) 00097250¥N11¥J 00097260¥X/凧(いかのぼり) 00097270M14つんとした女ぼう、でつちを/連(つれ)て通るうしろへ、/凧(たこ)が落た 00097280M15を、しらぬふりで行。今落たハ何ンだ。ハイ、凧てごさり 00097290M16ます。ムヽ、おれハ又、仙人かと(九オ)おもつた 00097300¥N12¥J 00097310¥X/鍔(つば) 00097320M19去ルれき+の御侍、柳原の/干(ほし)見世にて鍔を見給ひ、/近習(きんじゆ) 00097330M20に、/直(ね)を聞ケと仰らるゝ。S此鍔ハいかほどじや△Sハイ、 00097340¥P297 00097350L1百十文仕ります(九ウ)S御前の御もとめなさるのじや。も 00097360L2つと高く云へといわれ、商人、大キなこゑで、百十文 00097370¥N13¥J 00097380¥X/脇差(わきざし) 00097390L5今日の花見には何ンぞめつらしひしゆかうで行かふと、い 00097400L6ろ+あんじ、(十一オ)十人ばかり、ミんな脇さしを右へ 00097410L7さし、キン+出たちで、三/囲(めぐり)の茶屋へ/寄(よつ)て休んでいると、 00097420L8あとから/医者(いしや)のやふな坊さまが来て、同しく/腰(こし)を/懸(かけ)て、ミ 00097430L9んなが右へ指しているゆへ、おかしく思つていた所が、十 00097440L10人ばかり(十一ウ)ミんな右ゆへ、きもをつふしてさしかへ 00097450L11る 00097460¥N14¥J 00097470¥X/唄(うた) 00097480L14/馬士(まご)が連立ツテ行ながら、コウ、きのう/麹(かうじ)町を通つたらア、 00097490L15/三絃(さミせん)を引ツひいて/唄(うた)をうたつたア。Sハテ、(十二オ)どんな 00097500L16事をいつたア△S何ンだか、/恋(こひ)ハくせものだアといつたア。 00097510L17それから又聞たら、こひハいなかのさくのたねといつたア 00097520¥N15¥J 00097530¥X番人 00097540L20/店(たな)もの、さる所で/遊(あそ)びすごし、(十二ウ)内の/首尾(しゆひ)をあんじ 00097550M1+帰りながら、モウ何ン時か、聞て見やふと、番所へ立 00097560M2よると、番人、戸を明ケ、あくびしながら、モウ何時でご 00097570M3ざります 00097580¥N16¥J 00097590¥X/字(じ) 00097600M6/$(りつしんへん)に/乙(おつ)の字ハ、何と申よみこゑで(十三オ)こざります 00097610M7と、物しりの医者様に聞たら、ハテな、終に見ぬ字でござ 00097620M8る。/字彙(じい)で見て進ぜませふとかへり、四五日過て来て、扨 00097630M9先日の字ハ書物にも見へませぬ。◇亭主◇夫ハこちらで見出し 00097640M10ました△◇医者◇ハア、そして何と(十三ウ)いふ字で、何に出 00097650M11て居ますな△Sイヤ、よたれのれの字でござりました 00097660¥N17¥J 00097670¥Xどう/忘(わすれ) 00097680M14とのさま、/祐筆(ゆうひつ)をめされ、/今夕(こんせき)茶の御もやうし、いつもの 00097690M15通、御手紙を仰付られる。扨墨を(十四又五オ)すり、筆おつ 00097700M16とり、いかゞ仕りませふ。S只ざつと口上書/同様(とうやふ)△Sハイ 00097710M17と書かゝりしか、四五/字(じ)て筆をやめ、かんがへている△◇殿◇ 00097720M18何じや。S申スといふ字を/失念(しつねん)仕まして△◇殿◇きせるを/竪(たて) 00097730M19にして御見せなさる△Sハヽア、$と書(十四又五ウ) 00097740¥P298 00097750¥K 00097760L1△以下『高笑ひ』第六丁「野がけ」(第十巻二六九ページ)から 00097770L2廿九丁「元日」までの板木使用。 00097780L3○野がけ○医者○拾物○新無間○道心○息子〔挿絵〕○店越 00097790L4○宥経○浅草○格子○会合○鶏○地蔵○口上○古道具屋○医 00097800L5師○幽霊○画○きほひ○大師○観音参○奴〔挿絵〕○掛乞○ 00097810L6燈篭○番人○火燵○高慢○虚空○馴染○元日 00097820¥U噺本大系△第十九巻 00097830¥T/年(とし)の/市(いち)△〔内題〕△△△△△△△△△△△△△△△天明頃序 00097840¥K 00097850M3△小本一冊。架蔵本は題簽を欠く。内題「年乃市」。 00097860M4丁付は「序ノ一」、本文は「一〜八、九ノ三十二、 00097870M5三十三〜三十六、三十七ノ八、三十九〜四十七、 00097880M6四十八ノ九、五十〜五十五」。序一丁(むつまし月)。 00097890M7本文三○丁・四一話・見開挿絵一図。奥付を欠く。 00097900M8△本書は、序一丁と本文九丁・一二話・見開挿絵 00097910M9一図を新刻し、あとは、安永五年刊『高笑ひ』の 00097920M10第三十三丁二行目「単物」から末尾の「手紙」ま 00097930M11での板木を使用している(一行目は「機嫌」の末行 00097940M12を入木)。ただし、二葉の見開挿絵は省いたため、 00097950M13丁付に細工が施される。序文に「むつまし月」と 00097960M14あるだけで、年時や序者名は不詳だが、天明年間 00097970M15の刊行であろう。新規の挿絵にも落款はない。未 00097980M16翻刻である。 00097990¥P299 00098000¥Y序 00098010L1/日本一(につぽんいち)の/大都会(だいとくわい)、あさ/草(くさ)/市(いち)にて/買得(かひゑ)たる、おとし/咄(ばなし)の/新作(しんさく) 00098020L2ハ、/去年(こぞ)や(序ノ一オ)/今年(ことし)をこき/交(まぜ)て、/目出(めで)たくかしく/歳(とし) 00098030L3の/市(いち) 00098040L5△△△むつまし月(序ノ一ウ) 00098050¥T1年の市 00098060¥N1¥J 00098070¥X立春 00098080L13一/夜(や)/明(あく)れば道中双六福神双六、あふぎ+の/声(こへ)、/去年(こぞ)のせ 00098090L14わしきとハ大/違(ちが)ひ、何がわさ+と心/面(おも)白きに、/召仕(めしつかひ)に三 00098100L15河者有しが、私共の国の者どもハ長/生(いき)を致し(一オ)ますか 00098110L16ら、/世間(せけん)で五万/歳(ざい)と申ます、目出度国で御ざりますと云。 00098120L17/傍(そば)に/冬(ふゆ)奉公人、是を聞て、/夫(それ)/£ハまだ、わしらが国/者(もの)をば、 00098130L18/皆(ミな)様が、しなぬ者と申ますと云。/亭主(ていしゆ)聞て、/道理(とうり)で/生(いき)国だ 00098140¥N2¥J 00098150¥X理方(一ウ) 00098160M1其元様の御/鍔(つば)ハ、/常躰(つねてい)と/違(ちが)ひ、殊外厚く見へますが、/兼(かね)て 00098170M2御心/懸(がけ)も御さるとの義。何ぞ/理(り)方の/宜(よろしき)事でも御さります 00098180M3か。Sされは、心懸と申がそこで御座る。かやう致/居(をつ)ても、 00098190M4/理(り)ふじんに切かけまい物てもこさらぬ。/抜(ぬき)合せる/間(ま)がなけ 00098200M5れば、/柄(つか)で/留(とめ)ますが、其(二オ)/刀(かたな)が/流(なが)れて参る。其時ハ此 00098210M6/鐔(つば)て/留(とま)ります。なれ共/薄(うす)ければ、/割(われ)て小手を/落(をと)されます。 00098220M7/依(よつ)て/厚(あつ)くします△S成ほど御尤。アノ御/刀掛(かたなかけ)の御道具の 00098230M8鐔ハ、/薄(うす)く見へますか、あれハなぜてござります△Sあれ 00098240M9ハ/夏鐔(なつつば) 00098250¥N3¥J 00098260¥X竹光(二ウ) 00098270M12コレ折助との。こなたの/脇(わき)ざしハ、そりを打て有。なをし 00098280M13たがよいといふ。折助、少しも/騒(さハ)がず、ムヽ、今の風で 00098290¥N4¥J 00098300¥X真似 00098310M16/遊(あそ)びに行ても、上郎が/馬鹿(ばか)にするから、武士のまねをして 00098320M17行が/能(よい)と、/刀(かたな)をかり(三オ)(三ウ・四オ挿絵)出し/指(さし)て行。何 00098330M18/角(か)ともあんばいよく、やつてのけ、/扨(さて)ねてから、イヤ、あ 00098340M19すハ早く/起(おこ)してくれ。Sナゼ、しづかに御帰りなんせとい 00098350M20へバ、Sイヤ、買出しに行ねばならぬ 00098360¥P300 00098370¥G(三ウ・四オ) 00098380¥N5¥J 00098390¥X鴬(四ウ) 00098400M3ひと夜あけたれハ、うぐひすが/鳴(なく)といへば、鴬Sべらぼう 00098410M4め。おれが元日をしつてなく物か 00098420¥N6¥J 00098430¥X金が敵 00098440M7よく人のいふ事だが、/世間(せけん)で/金が/敵(かたき)といふが、貴様ハ何と 00098450M8思ふ。S成ほど、/能(よい)も(五オ)/悪(わる)いも皆金ゆへ、それだから 00098460M9おれハ見ると/直(ぢき)に/遣(つか)つてしまふ△S成ほど、それハ能りや 00098470M10うけん△Sしたが、久敷かたきに/廻(めぐ)りあわぬ 00098480¥N7¥J 00098490¥X車 00098500M13/座頭(ざとう)、くるまに行あたり、べらぼうめ。(五ウ)/昼(ひる)日なか、 00098510M14目を/明(あい)てあるきやかれといゝつゝ、さぐりミて、人ならバ 00098520M15マアこふいふところだ 00098530¥N8¥J 00098540¥X虚言 00098550M18/芝(しば)の切通しへ/毎晩(まいばん)おゝかミが百ほどつゝ出る。Sとんだう 00098560M19そをつく者だ△Sヲヽ(六オ)五十ほど出る△S江戸なかへ、 00098570M20何出るものだ。そんなばかな事をいふな△Sそれても四五 00098580¥P301 00098590L1ひきハ/丈夫(ぢうぶ(ママ))に出る△Sまだいふか△Sどふか出そふな所だ 00098600¥N9¥J 00098610¥X抛入 00098620L4/田舎(いなか)者、江戸へ出、とんだなげ/入(いれ)がはやる(六ウ)と聞、な 00098630L5んてもおれも/習(なら)ひませうと思ひ、花の/師匠(しせう)へ行、/弟子(でし)に成。 00098640L6S師匠まづ貴様の/存寄(ぞんしより)を、どのやふにも/活(いけ)て見さつしやれ 00098650L7といへハ、花いけをバ遠くにおき、一/畳(でう)ほどさかりて、こ 00098660L8ゝらから/投(なげ)付ませうか(七オ) 00098670¥N10¥J 00098680¥X源平 00098690L11/芝(しば)居へむかひに行ながら、なんと/棒組(ぼうぐミ)。切がおそいて、/帰(かへ) 00098700L12りが/悪(わる)いな。Sさればよ、Sあの/狂言(きやうげん)ハ何たな△S何か源 00098710L13平事だといふ事よ△Sハテナ。あの源氏ハ白く、平家ハ/赤(あか) 00098720L14いとハ、どふした事だの△Sサレハ、花にも(七ウ)白赤の 00098730L15飛入をバ源平と云△Sそして芝居でするには、いつでも源 00098740L16氏ハ/勝(かつ)が、あれハ平家ハよわひと見へたな△Sさあ、そふ 00098750L17かして、/蚤(のミ)よりハ/虱(しらミ)の/喰(くう)が/痒(かゆ)い 00098760¥N11¥J 00098770¥X雑炊 00098780L20/田舎(いなか)さむらひ、ちうさんと出かけ、/奢(をごり)まん(八オ)+、酒 00098790M1も大/過(すご)し、ねる間ほどなく七ツ/迎(むか)ひで、中の町の茶屋へ/戻(もど) 00098800M2れハ、/亭主(ていしゆ)、目をこすり+、まだお早ふこざります。む 00098810M3かひ酒に一ツあがつて、おかごにめしませ。Sイヤ+、 00098820M4此上に/呑(のん)では、明日の御奉公がならぬ。酒ハまふ/許(ゆる)しやれ 00098830M5S左様(八ウ)ならば、水ぞうすいを上ませうSいかさま、 00098840M6それハひや+とよからふ 00098850¥N12¥J 00098860¥X機嫌 00098870M9/深(ミ)山おろしに山吹の花ふき/散(ちら)すとハ、聞ても/嬉(うれ)しいやうな 00098880M10文句。金四五両持て、にこ+として見て居る所へ(九ノ 00098890M11三十二オ)/友達(ともだち)きかゝり、ちらと見付、何た。何を見て、き 00098900M12げんが能。Sイヤ、何でもないS今ちらと見へた。金な 00098910M13ら五六両持て/詠(ながめ)くらすハ、それ程うれしいかといへば、 00098920M14Sされハ聞てくりやれ。おぢきをだまして、五両かりて来 00098930M15たが、かへす(九ノ三十二ウ)まいと思へは、いつそ嬉しい 00098940¥K 00098950M17△以下、『高笑ひ』第三十三丁二行目「単物」(第十巻二七六ペ 00098960M18ージ)から末丁「手紙」までの板木を使用。 00098970M19○単物○あざみ○きり+す○初会○信濃○苫船○時代物○ 00098980M20天目○甲酉○練間○餅売○仕合○穏密○三月○常上下○つん 00098990¥P302 00099000L1ぼ○看板○茶の湯○信州○饅頭○赤銅○乞食○絵師○雪ふり 00099010L2○膏薬○食焚○色紙○鸚鵡○手紙 00099020¥U噺本大系△第十九巻 00099030¥T/御慶(ぎよけい)/三笑(のさんしよう)△〔序題〕△△△△△△△無銘作△△寛政二年正月序 00099040¥K 00099050M3△東大国文研究室蔵。小本一冊。題簽は欠く。序 00099060M4題「御慶三笑叙」。内題「/御慶(ぎよけい)のさんせう△無銘 00099070M5作」。丁付は序は「序一、序二」、本文は「一〜十 00099080M6七、十八ノ二十、廿一〜廿七、三十三〜四十六、 00099090M7無丁」。漢文序二丁(寛政二庚戌玉正月武陽東流 00099100M8■振鷺撰于書初)。本文四○丁・三二話・見開挿絵 00099110M9一図。奥付は欠く。 00099120M10△本書は、漢文序二丁と本文二丁・三話を新刻し、 00099130M11あとに安永六年刊『喜美賀楽寿』の本文の巻頭か 00099140M12ら末尾までの板木を使ったもの。ただし、元板の 00099150M13二十八丁から三十四丁までの六丁・三話・見開挿 00099160M14絵一図は削られている。作者の無銘は伽藍堂で、 00099170M15元板にも序に名前が見える。序は漢文体なので凸 00099180M16版で示した。『小噺再度目見得』第八冊に、新刻 00099190M17分のみ翻刻がある。 00099200¥P303 00099210¥Y 00099220L2御慶三笑叙 00099230L4吾嘗春正月二日夜市宝船 00099240L6於枕上而夢蓋也因所邀 00099250L8其意姑為感焉於茲将書之 00099260L10以彰奇偶已而観其所模写(序一オ) 00099270L12可謂佐保姫之工窮春山之 00099280L14笑也其笑何也所以使招福 00099290L16也往昔虎溪有三笑方今名 00099300L18曰御慶山椒若夫長局之於 00099310L20乎於乎深窗女之快兮快兮(序一ウ) 00099320M2妄難為之説雖然披此編一 00099330M4観則当足不言不語而聴其 00099340M6膽言耳豈従閲者歓月乎哉 00099350M8幸以為笑門之三笑則転禍 00099360M10不為福山椒乎夫因以序 00099370M12寛政二庚戌玉正月 00099380M14△△武陽△東流■振鷺 00099390M17△△△撰干書初G(序二オ) 00099400¥P304 00099410¥T1/御慶(ぎよけい)のさんせう△△△△△△△△△¥A無銘作 00099420¥N1¥J 00099430¥X○/谷風(たにかぜ) 00099440L5こんど谷風が日の下/開山(かいさん)になるそうだのといふ/傍(そば)に、/堅(かた)く 00099450L6なゝ/親父(おやじ)、/耳(ミヽ)をすまし、S谷風さまとハ、どのお/寺(てら)の/御開= 00099460L7山(ごかい=さん)さまでござりますと/聞(きか)れ、Sはて、谷風/梶(かぢ)之助(一オ)の 00099470L8事さ△Sヱヽ、何かの加/持(じ)をなさるのかへ 00099480¥N2¥J 00099490¥X○/角力(すもふ) 00099500L11江戸橋で立札を見たが、/虎(とら)の/開帳(かいてう)ハはやつたの。これから 00099510L12思ひ付で、こんだ深川で/武士(ぶし)・/百姓(ひやくしよう)・/職人(しよく)・/商人(あきんど)、ミな/寄= 00099520L13合(より=あい)てとるすまふがある(一ウ)Sハテ、おもしろかろうの。 00099530L14札が/出(で)たかの△S出たとも+。/士農工商(しのうかうしよう)仕候、晴天十 00099540L15日 00099550¥N3¥J 00099560¥X○/押込(おしこミ) 00099570L18おしこみ、ある/菓子屋(くわしや)の/敷居(しきい)の下を/堀(ほり)て/忍(しのび)入しか、何も取 00099580L19物ないゆへ、菓子をひつさらつて、(二オ)/元(もと)の/穴(あな)から出る 00099590L20所を、ていしゆ見つけ、はねおきて足をおさへしが、どふ 00099600M1も/詮方(せんかた)なく、もぐさをしたゝかにして足へのせけれど、/音(おと) 00099610M2も/沙汰(さた)もないゆへ、くゞりを/明(あけ)て見れバ、Sどろぼう、/顔(かを) 00099620M3をしかめながら、菓子をムチヤ+(二ウ) 00099630¥K 00099640M5△以下、『喜美賀楽寿』の本文巻頭「一の富」(第十一巻九五ペ 00099650M6ージ)から末尾「祝言」までの板木を使用。ただし、第二十 00099660M7八丁から三十四丁までの六丁分(しハん坊・計策・ぶせう親父 00099670M8と見開挿絵一図)は省かれている。 00099680M9○一の富○田舎者○四万六千日○せんだん〔挿絵〕○法力○ 00099690M10ふたつ文字○君ハ舟○とら息子○座頭の目○むすめ○くやミ 00099700M11○劔術○御声○刀の目利○麻疹見廻○目鏡○小ごと○つけ木 00099710M12○言葉とがめ○勘弁者○下女○願がけ○象○とうふ○さらさ 00099720M13○馬糞○哥○取成○祝言 00099730¥P305 00099740¥U噺本大系△第十九巻 00099750¥T/駿河茄子(するがなすび)△〔序文〕△△△△△宝山人序△△△寛政二年頃刊 00099760¥K 00099770L3△国立国会図書館蔵。題簽を欠く。内題なし。丁 00099780L4付は序にはなく、本文は「一〜七、八ノ一、二〜 00099790L5八、又八、九〜廿七」。序一丁(目出度春日宝山人 00099800L6述)。本文三五丁・三五話。挿絵はなく、奥付を 00099810L7欠く。 00099820L8△本書は、序一丁と本文八丁・五話を新刻、あと 00099830L9は天明八年刊『百福物語』の第二丁「七宝」から 00099840L10第廿七丁「宝珠」までの本文全部の板木を使用し 00099850L11ている。この際、元板にある作者名は削られてい 00099860L12る。元板は、喜三二・はる町・ゆき町三者の合作 00099870L13集で、序も跋もあるが、それらの代りに、宝山人 00099880L14の簡単な序と新規の話をつけて新作として発表し 00099890L15ている。刊年は未詳だが、『国書総目録』には 00099900L16「寛政二頃」としてあるので、それにしたがう。 00099910L17序文に依ると、板元は元板と同じく伏見屋善六で 00099920L18ある。未翻刻である。 00099930¥Y序 00099940M3くれ竹の/伏見(ふしミ)や/某(それがし)、/話本(はなしぼん)をもち来て、ちよつと一口/叙(じよ)せよ 00099950M4とこふ。とてもゆるさぬ/責(せめ)なれバ、はなしの一口/賞翫(しやうくわん)を、 00099960M5/駿河茄子(するがなすび)とかい(序オ)つけて、それがはしりを/売(う)る事しか 00099970M6り 00099980M8△△△目出度春日△△△△宝山人述G 00099990M10△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序ウ) 00100000¥N1¥J 00100010¥Xけんやく 00100020M15女房が毎日+やたらに/白粉(をしろい)をぬるゆへ、/亭主(ていしゆ)がいふにハ、 00100030M16これ、ちつとけんやくをしてくれ。そふをしろいをつけら 00100040M17れてハ、/身代(しんだい)がたまらぬといふ。それから女房もたしなん 00100050M18で、いつこう白粉(一オ)をつけず。ある時、近所のかミさ 00100060M19んにさそハれて芝居へゆくとて、二/階(かい)へ上り、髪をゆふ。 00100070M20亭主思ふハ、女房めが、けふハ久しぶりで、をしろいをお 00100080¥P306 00100090L1もひいれ、つけをるであらうと見て居る。程なく女房、身 00100100L2じまひすんで、二階(一ウ)からをりるをミれバ、目のふち 00100110L3へバかり白粉をつけてゐる。ていしゆ、きやうさめて、コ 00100120L4レかゝア。なんぼをれがけんやくをしろといつたといふて 00100130L5も、見とむない。目のふちへ斗、をしろいをつけると言事 00100140L6があるものかといへバ、女房が、イヽへ。(二オ)けふハ袖 00100150L7/頭巾(づきん)をかぶつて行やす 00100160¥N2¥J 00100170¥X目出度/振舞(ふるまい) 00100180L10きのふ/福徳(ふくとく)屋/寿(じゆ)兵衛殿の所へ、めでたふるまひによバれた。 00100190L11扨+珍らしい献立であつた。Sハテの、どんな料理であ 00100200L12つたの△Sまづめしが銀の(二ウ)むく、しるが黄金のつミ 00100210L13入、平が小判にこつぶのきりみサ△Sハテな、つぼハなん 00100220L14だ△Sつぼハまめ銀のいとこに、茶碗盛が金の/鶏(にハとり)のたまご 00100230L15とぢ△Sこれハよくあんじた。なますハなんであつた△ 00100240L16S二朱銀のいけもりサ△Sこい(三オ)つもいゝ。そして/猪= 00100250L17口(ちよ=く)ハ△Sちよくハあつさりと、四文銭のはり+ 00100260¥N3¥J 00100270¥X/雷(かミなり)の子 00100280L20雷、我子にむかひて、コレ、われもモウことしハ十ヲに成。 00100290M1いたづらばかりして居ずと、チツトしやうばいを落(三ウ) 00100300M2ならつたがいゝ。子Sアイ。わつちもちつと、おちならひ 00100310M3やしやう△雷Sそんなら此比に夕立がしたらつれてゆかふ 00100320M4と、程なく四五日過ると、夕立かするから、かの忰をつれ 00100330M5て雲に乗、ゴロ+++と鳴て行、こゝらで(四オ)落 00100340M6そふと、下をミれバ大海なり。イヤ+、をちならひだか 00100350M7ら、こゝらハあぶないと、又コロ+++と行過て下 00100360M8を見れバ、深き谷なり。爰も場所がわるいと、又ゴロ+ 00100370M9++とさきへ行、下を/覗(のぞ)けバ竹薮なり。爰こそ(四ウ) 00100380M10くつきやうの所と、かの忰をつかまへ、ゴロ+++ 00100390M11ピツシヤリと、下へをとす。折ふし竹薮の中にハ、大きな 00100400M12虎が昼/寐(ね)して居たるが、此音におどろき目をさまし、かの 00100410M13子雷をミつけて、いつさんにをつかける。子雷ハ(五オ)き 00100420M14もをつぶして、雲をかすみに/迯(にげ)ながら、Sアレとつさん。 00100430M15ふんどしがをつかける+ 00100440¥N4¥J 00100450¥X/薮医者(やぶゐしや) 00100460M18ある人、めい/医(ゐ)を尋ねてりやうぢをたのまんと、名高きゐ 00100470M19しやと云(五ウ)にハ残らず/尋(たづね)行てミるに、どの医者の/玄関(げんくわん) 00100480M20にも、廿人卅人、或ハ五十人六十人ツヽ/幽霊(ゆうれい)が居て、此医 00100490¥P307 00100500L1者ゆへに、ひごうの死をとげし事のうらめしやとわめく。 00100510L2此人きもをつぶし、扨+医者にハ上手のないものとミへ 00100520L3る。是ハ何(六オ)でも幽霊の少ひほどが名/医(ゐ)ならんと、所 00100530L4&方&の医者を尋ぬれども、ちつとかそつと幽霊の居ぬと 00100540L5云ハなく、せん方つきたる所に、とある新道に、あやしげ 00100550L6なる竹のぶつづけ/格子(かうし)をしつらいし医者あり。此(六ウ)ゐ 00100560L7しやの門口にばかりハ、たつた一人ゆうれいが居る。かの 00100570L8男、これこそまことのめいゐなるべし。一人ぐらゐハさじ 00100580L9ちがへもありそふなもの。ひろき世の中に、たつた一人幽 00100590L10霊の居るハこゝばかりと、かんしん(七オ)して、あんない 00100600L11をこハんとしけるに、/彼(かの)幽霊、此男の袖をひかへて、Sモ 00100610L12シ、およしなせへ。此医者ハきのふから/始(はじめ)て、ゆふべ私ハ 00100620L13ころされました 00100630¥N5¥J 00100640¥X/蜜夫(まをとこ) 00100650L16/亭(てい)主がまおとこを見付、二人とも(七ウ)にとつておさへ、 00100660L17不義者見付たとわめく。まをとこも女房もかくごをきハめ、 00100670L18とてもかふなつた上からハぜひなし。早く二人ともにお手 00100680L19にかけてくだされといふ。亭Sイヤ+、そふハならぬ 00100690L20二人Sいきてはぢをさらそふ(八ノ一オ)より、お手打にな 00100700M1されて下されまし。サア+早ふ+と、二人ともに手を 00100710M2あハせてくびをさしのバす。亭Sイヤ+、そふハならぬ 00100720M3+△二人Sそりや又なぜてござります△亭S早くころさ 00100730M4せて、又さきの世でそをふとおもつて(八ノ一ウ) 00100740¥K 00100750M6△以下、『百福物語』第二丁「七宝」(第十二巻一○四ページ) 00100760M7から末尾二十七丁「宝珠」までの板木使用。ただし、元板の 00100770M8作者名は削られている。 00100780M9○七宝○宝舟○鷹○としの夜○茄子○丁子頭○としの市○大 00100790M10黒○鳥の声○恵比須○納涼○布袋○宝尽○福禄寿○気なが○ 00100800M11福禄寿○七福神○子待○弁天○髪置○元日○八十八の賀○毘 00100810M12沙門○寄遊女恋○月見○恵方参○題しらず○寿老人○出世鯉 00100820M13○宝珠 00100830¥P308 00100840¥U噺本大系△第十九巻 00100850¥T/大神楽(だいかぐら)△〔内題〕△△△△△出方題序△△寛政三年正月序 00100860¥K 00100870L3△小本一冊。架蔵本は題簽を欠く。内題「大神楽」。 00100880L4丁付は、序と本文通し丁で「一〜四十」。序二丁 00100890L5(出方題寛政三亥とし目出度春の日やろひどん+ 00100900L6と面白きころ)。本文三八丁・四○話・見開挿絵二 00100910L7図。奥付は欠くが、『江戸出版書目』によると、 00100920L8出願が寛政二戌十二月の上総屋利兵衛板と分る。 00100930L9架蔵本は第五丁が落丁のため、上田市立図書館花 00100940L10月文庫本で補った。 00100950L11△本書は、序二丁と本文八丁・九話を新刻、あと 00100960L12は安永九年刊『初登』の第十一丁「噂噺」から末 00100970L13尾四十丁「願掛」までの板木を使用している。同 00100980L14書の見開挿絵二図もそのまま含まれる。寛政三年 00100990L15と序者名は明示されるが、出方題の経歴は不詳。 00101000L16『日本小咄集成』下巻に翻刻(一話欠く)がある。 00101010¥Y序 00101020M3此本の名を、太神楽となぜいふの。ハテ、しれた事サ。咄 00101030M4と言物は、大勢/団■(くるまざに)/居(ゐ)て、酒でも呑時に(一オ)出る物だ 00101040M5から、其/居(すわ)りよふさ。ヲキヤアガレ。そりや大あぐらだア。 00101050M6はて、そふか。夫てももふ書たから、しよう事がねへと云 00101060M7尓(一ウ) 00101070M9△△△△△△△△△△△△△△△△△△△出△方△題 00101080M10△△△寛政三亥とし目出度(二オ) 00101090M11△△△△△春の日やろひどん+と面白きころ(二ウ) 00101100¥T1大神楽 00101110¥N1¥J 00101120¥X○江戸見物 00101130M17/長閑(のどけ)き春の/花(はな)のお江戸を/詠(なが)めんと、/旧冬(きうたう)お/地頭(ぢとふ)様へ/年貢= 00101140M18納(ねんぐ=をさめ)の/序(つゐで)ながら/逗留(たうりう)して、松の内/両国(りやうごく)へんをぶらつき見れ 00101150M19ば、/紅葉(もミぢ)の(三オ)/吸(すい)物と有/故(ゆへ)、是ハめつらしひ。立/寄(より)/聞(きけ)ば 00101160M20/鹿(しか)。/四足(しそく)ハ/穢(けがれ)だと行/先(さき)に、/牡丹(ぼたんの)吸物。是も/聞(きけ)ば/猪(しゝ)なれは、 00101170¥P309 00101180L1/柳(やなぎ)橋のほうへ/懸(かゝ)り、/障子(せうじ)にさくら/草(さう)。是ハ大方/精進物(せうじんもので)有 00101190L2ふと、つゝと/這(は)入、吸物を出しやれといへは、/爰(こゝ)ハ(三ウ) 00101200L3むまでごさると/云(い)へば、それハなを、けがれだ 00101210¥N2¥J 00101220¥X○吉原 00101230L6/赤蜻蛉(あかとんぼ)ではないが、/北(きた)のかたへおもむき、/暫(しバら)くの間に/何(なに)か 00101240L7/事(こと)/替(かわ)り、/座敷(ざしき)を見れば、/見台(けんだい)に/唐本(たうほん)(四オ)/表紙(ひようし)の四角なや 00101250L8つ、奥にてハやつとふの/木刀(ぼくたう)の/音(をと)。是ハふしぎとのぞき見 00101260L9れば、/女郎(じうろ)/同士(どふし)、玉たすきをかけ/仕合(しあい)の/稽古(けいこ)。はて/珍(めづ)らし 00101270L10ひとためろふ内、かぶろがかけ/出(だ)し、/武功(ぶかう)の人(四ウ) 00101280¥N3¥J 00101290¥X○思ひ付 00101300L13/蹴(け)ころ屋の/向(むか)ふの同/商売(せうばい)屋へ行。/爰(こゝ)の子/供(ども)ハよくあがるが、 00101310L14おらがのハねつからあがらぬ。どふぞ/外(ほか)へハもらすまいか 00101320L15ら、おれに/伝授(でんじゆ)してくれろといふうち、(五オ)/客(きやく)がきてあ 00101330L16がる。/去(さり)とハ/爰(こゝ)の内ハ/妙(めう)た。どふぞ/教(をし)へてくりやれといふ。 00101340L17/向(むか)ふの/亭主(ていしゆ)、そんならおらが子/供(とも)のしりをまくつて見やれ 00101350L18といふから、まくつて見たれバ、/尻(しり)に/糸(いと)すか附て有(五ウ) 00101360¥N4¥J 00101370¥X○/鍛冶(かぢ)やの/娘(むすめ) 00101380M1おゐらがとつ様ハきついよ。Sなぜ△Sけふもとつさんと 00101390M2/湯(ゆ)へ行たが、いつそ石できん玉をきたへたよ 00101400¥N5¥J 00101410¥X○足袋△(六オ) 00101420M5おかみさん。此/足袋(たび)ハとほうもない大きな物だね。/何(なん)もん 00101430M6でごさんすヱ。S十三もん半さ△Sそして、/誰(だ)がのだへ△ 00101440M7Sうちのさ△Sぎやうさんなもんだネ△S何さ、/足(あし)/斗(ばかり)大 00101450M8きくつて 00101460¥N6¥J 00101470¥X○火燵△(六ウ) 00101480M11此間から/祖母(ばゝ)どのも参りたかつたから、/幸(さいわ)ひ/今日(けふ)ハおぬし 00101490M12も/休(やす)んだによつて、/祖母(ばゝ)殿をつれて寺参りをしてこやふ。 00101500M13大儀ながら/留守(るす)をしてくりやれ。そして/火燵(こたつ)が/持(ぢ)ぶつの前 00101510M14て/悪(わる)いから、/障子(せうじ)の方へ(七オ)/寄(よせ)て切て/置(をい)てくりやれと/云(いゝ) 00101520M15付て/出(て)て行。/跡(あと)で/子息(むすこ)が/火燵(こたつ)を切て/置(をく)。/親父(おやぢ)、寺参りより 00101530M16/帰(かへ)り見て、なぜ此やうな事をした。どこの国にか、火燵を 00101540M17三角に/切(きる)と/云(いふ)事が有物だと/腹(はら)をたてれば、/子息(むすこ)ハ(七ウ)/平= 00101550M18気(へい=き)で、はて、/欲(よく)のふかい事をいゝなさる。/爰(こゝ)と爰におまへ 00101560M19/達(たち)が/居(ゐ)るか、こちらにおれがあたればゑゝではないか。ハ 00101570M20テそふいうな。此/暮(くれ)にハ/呼(よん)でやるわ 00101580¥P310 00101590¥N7¥J 00101600¥X○面向不背(八オ) 00101610L3/昔(むかし)/唐土(もろこし)より/渡(わた)りし/面向不背(めんかうふはい)の/玉といふハ、とちらから見 00101620L4ても/同(をな)じおもてに/拝(をが)まれると/聞(きい)て、をらが/惣領(そうりやう)めも/面向(めんかう)不 00101630L5/背(はい)の/破家(ばか)だと/云(い)へば、ナゼ。はて、/竪(たて)から見ても/横(よこ)から見 00101640L6ても(八ウ) 00101650¥N8¥J 00101660¥X○紅葉 00101670L9/殻尻(からしり)へ御/侍(さむらひ)を/乗(のせ)、品川の方へ行。/旦那(だんな)、よい/序(ついで)でこさり 00101680L10ます。/海安寺(かいあんじ)の/紅葉(もミぢ)が/盛(さかり)、ちよつと御/見物(けんぶつ)なされませぬか。 00101690L11/夫(それ)ハ/能(よか)ろふと/行(ゆく)。是ハどふもいへぬ。/能(よく)/気(き)か付て/案内(あんない)して 00101700L12くれた。是に付て(九オ)一/首(しゆ)/読(よ)まふか。それハよふ御ざり 00101710L13ませふ。Sこふも有ふか。/奥(をく)山に/紅葉(もミぢ)ふミ/分(わけ)なく/鹿(しか)の△声 00101720L14きく時ぞ秋はかなしき。是ハ+/近年(きんねん)の/名哥(めいか)でごさります。 00101730L15そんなら/案内(あんない)した/褒美(ほうび)に一/盃(はい)/呑(のめ)と酒屋へ/寄(よる)。/馬士(まご)ハし/た((ママ))か 00101740L16してやり、/真赤(まつか)に/成(なつ)て(九ウ)ゐる所へ、/外(ほか)の/馬士(まご)かきて、 00101750L17/権(ごん)、ゑい日よりだな。大ぶなまが有な。S何、ばかな事を 00101760L18いふ。/自切(じぎり)て/呑(のむ)/株(かぶ)ハない。そして/誰(だ)が/呑(のま)せた。S此/猿丸(さるまる)が 00101770¥N9¥J 00101780¥X○落馬 00101790M1/軽(かる)いお/公家(くげ)様、是も/殻尻(からしり)に/乗(のり)、(十オ)/道中(とふちう)をなさるところ 00101800M2に、/落馬(らくば)を成されて/気(き)を/失(うしな)ひ玉ふ。/供(とも)ハ/跡(あと)へ/送(をく(ママ))れ、/馬士(まご)ハ 00101810M3お/公家(くげ)の/名(な)ハしらず。天神様+と/呼(よび)けれは、/漸(やう+)/気(き)が付 00101820M4玉ふ。其所へ/雲(くも)助なと/寄集(よりあつま)り、/河原(かはら)の/左(さ)大/臣(じん)様ならバ、み 00101830M5じんだ(十ウ) 00101840¥K 00101850M6△以下、『初登』第十一丁「噂噺」(第十一巻二八七ページ)か 00101860M7ら末丁「願掛」までの板木を使用。 00101870M8○噂噺○眼薬○秀句○針医○食事○物忘れ○仝〔挿絵〕○壁 00101880M9○十露盤○参詣○角力○長居○咒○焼抜○田舎○茶屋○孔 00101890M10明〔挿絵〕○上戸○箒○大仏○助言○人霊○宗論○十徳○夢 00101900M11判○途中○聾○豆腐屋○異見○郭公○願掛 00101910¥P311 00101920¥U噺本大系△第十九巻 00101930¥T/落咄(おとしばなし)/梅(うめ)の/笑(えミ)△△△△△@曲亭馬琴序|瓢子作△△@△△△寛政五年正月序 00101940¥K 00101950L3△小本一冊。題簽「梅の笑△完」。内題「/落咄(おとしはなし)/梅(むめ) 00101960L4の/笑(ゑミ)△村瓢子述」。尾題「梅乃笑畢」。丁付は序が 00101970L5「一」、本文は「二〜六、三〜十五、廿三」。序 00101980L6一丁(癸丑はつ春曲亭主人序并校)。本文一九丁・ 00101990L7一七話。挿絵はなく、「書林△江戸通油町蔦屋重三 00102000L8郎」の奥付が半丁ある。 00102010L9△本書は、序一丁と本文五丁・五話を新刻、あと 00102020L10は前年、寛政四年刊『冨貴樽』の第三丁、本文巻 00102030L11頭話「猫鼠」から第十六丁「女郎買」までの板木 00102040L12を利用したもの。元板の内題のあった二行分には 00102050L13新刻話の末二行を入木し、また巻末には「上毛山 00102060L14中△瓢子作」の作者名と尾題「梅乃笑畢」を新た 00102070L15に入れてある。『冨貴樽』の前半・後半部分を使 00102080L16って本書と『華靨』を作りあげたもので、ともに 00102090L17馬琴が序を誌し、蔦重の奥付と、書物奉行許可の 00102100L18Gの印がある。作者とされた瓢子と鬼武は、新刻 00102110L19分の創作に関係したものかどうかは不明。未翻刻 00102120L20である。 00102130¥Y序G 00102140M3/上毛(かミつけ)の/瓢子(ひやうし)なるもの、/嘗(かつ)て/話(はなし)を/好(この)む/辟(へき)有り。/余(よ)わ/亦(また)一ツの 00102150M4/筆辟(ふでくせ)あり。/彼(か)がはなすこと、/鉄炮玉(てつほうたま)の/坐禅(さぜん)豆のごとく、/余(よ) 00102160M5か是を/味(あぢハ)ふ事、四文/銭(ぜに)のはり+に/似(に)たり。(一オ)/於乎(あゝ)か 00102170M6たひ/哉(かな)、/於尓今世(いまのよにおゐて)、/新(あた)らしく/得(う)ること。煮ても/焼(やい)ても/喰(くハ)れ 00102180M7ぬものハ、/五徳(ごとく)/鉄橋(てつきう)かなまじりに/識(しるす) 00102190M9△△△癸丑はつ春△△△△△△△△曲亭主人序并校 00102200M10△△△△△△△△△△△△△△△△GG 00102210M12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一ウ) 00102220¥T1/落咄(おとしはなし)/梅(むめ)の/笑(ゑミ)△△△△△△△△△△¥A村瓢子述 00102230¥N1¥J 00102240¥XG/宝舟(たからぶね) 00102250M17正月の二日に、たから/船(ふね)を/敷(しい)て/寝(ね)れバ、きつと、はつ/夢(ゆめ)を 00102260M18ミるといふが、/唐土(から)でもやつはり、日本の/通(とふ)りだらふかの 00102270M19といへハ、◇しつたふう◇そりやア、いづくのうらでも、おん 00102280M20なじことさ。(二オ)Sそして日本の宝ふねにハ、七ふく/神(じん) 00102290¥P312 00102300L1かのつてごさるが、/唐(から)でもやつぱり七/福(ふく)神かの△◇しつたふう◇ 00102310L2@しばらく△|かんがへ、@ナニサ、七/賢人(けんじん)+ 00102320¥N2¥J 00102330¥X/縁結(ゑんむす)び 00102340L5ぶ/男(おとこ)のくせに、うつくしい/女房(にようぼう)をもちたがり、/湯(ゆ)あがりの 00102350L6/美人香(びしんこう)、日の(二ウ)くれの/硝子(びゝどろ)かゞみときて、おれもまん 00102360L7ざらな/男(おとこ)でハないわへと、しきりによい女ぼうをもつ/気(き)に 00102370L8なり、十月ハ/出雲(いづも)の大やしろで/神(かミ)+様がゑん/結(むす)びをなさ 00102380L9るといへバ、なんでも此月にこそと、九月のすえから/旅(たび)だ 00102390L10つて、いつもの大/社(やしろ)へこもり(三オ)けるに、ふしきや、七 00102400L11日/満(まん)ずる/夜(よ)に、/四方(しほう)わるくさき/匂(にほ)ひして、こうか/神(かミ)、/忽然(こつぜん) 00102410L12とあらわれたまへハ、◇ふ男◇いつしん不/乱(らん)に、/南無(なむ)こうか/神(かミ) 00102420L13さま。/神変(しんへん)不/思議(しぎ)のきどくにて、/美(うつ□)くしい/女(によう)ぼうをと、いひ 00102430L14きらぬ内、◇こうか神◇くそをくらへ(三ウ) 00102440¥N3¥J 00102450¥X/大&(だい+)/神楽(かぐら) 00102460L17/村中(むらちう)とし/頃(ころ)の/寄進(きしん)で、/大&講(だい+こう)が/成就(じようじゆ)したれバ、今度のくじ 00102470L18にハ、/水落領(ミつおちりやう)の彦右衛門があたり、何が/伊勢路(いせぢ)へかゝるや 00102480L19/否(いな)、ミち+の待もふけ、花をかざり、/三度(さんど)の食に/膳(ぜん)/尽(つく)し、 00102490L20おじやれか顔に/美(び)をつくせバ、(四オ)生れてこんなめにあ 00102500M1ひつけぬ男ゆへ、/袋(ふくろ)をかふつた/猫(ねこ)のことく、/尻(しり)ごミばかり 00102510M2してゐる所へ、お/迎(むかひ)ヒのお/駕(かご)を申つけました。イザ、おめ 00102520M3しなさりませと駕の/戸(と)をあくれば、ついぞ/乗(のつ)たことのない 00102530M4彦右衛門、あたまから/這入(はいり)にかゝれハ、駕のもの、/気(き)(四 00102540M5ウ)のとくがり、モシ、/尻(しり)の/方(ほう)から/先(さき)へおめしなさりませ 00102550M6といへバ、◇彦右衛門◇デモ、あんまりぶしつけだから 00102560¥N4¥J 00102570¥X/下帯(したおび) 00102580M9/貧(ひん)のやせがまんとハ、よくいつたもの。ある/浪人(らうにん)もの、か 00102590M10くらう+の/身(み)となりて、人に/義理(ぎり)ハかくとも、せめ(五 00102600M11オ)てふんどしばかりハ/新(あたら)しくせんと/思(おも)ひ、/清水(きよミづ)の/舞台(ぶたい)か 00102610M12ら/落(おち)た/気(き)にて、/呉服屋(ごふくや)へゆき、よそゆき不/断〆(だんじめ)のつもりで、 00102620M13/絹(きぬ)ともめんの/下帯(したおび)を二すじかい、/直段(ねだん)をきけバ、/手代(てだい)、/十= 00102630M14露(そ=ろ)ばんをはち+いわせて、ハア、二すじ/〆(しめ)て九匁五分で 00102640M15ごさり(五ウ)ます。◇らう人◇イヤ、/〆(しめ)たのハ/入(いり)申さぬ 00102650¥N5¥J 00102660¥X/田舎(いなか)もの 00102670M18Sこゝなせなごハ、此ごろハ、げへにとふ※しいが、/替(かハ) 00102680M19ることもごさりましねえか△Sきいてくれせへ。あとの/名(な) 00102690M20ぬしどのゝ/日需(ひまち)に、どぶろくのをおつ/喰(くら)ひすぎて、ぐわら 00102700¥P313 00102710L1ら/腹(はら)をおつ(六オ)くだしことよ。何がハア、よるの/昼(ひる)のわ 00102720L2かちもなく、こうかへ/百度(ひやくと)まいりをしもふすか、ねつから 00102730L3/緡(さし)があがり/申(もふ)さねへさ。Sそりやアこまつたものだア。う 00102740L4らアハア、/尻(しり)の/穴(あな)のせまいせへか、そんなにはらをくだし 00102750L5た事ハ/覚(おぼ)へ申さねへ。しかし何にしろ、めでゝへこんだモ 00102760L6ン△Sおやつかな、こゝな(六ウ)人ハ。はらをおつくだし 00102770L7て、何でめでたかんべい△Sハテ、/肥(こい)がたまり申スわさ 00102780¥K 00102790L9△以下『冨貴樽』第三丁の本文巻頭「猫鼠」(第十二巻二〇二 00102800L10ページ)から第十六丁「女郎買」までの板木を使用し、「独も 00102810L11の」の題名と前半部分は削って、代りに末尾に「上毛山中△ 00102820L12瓢子作」と尾題の「梅の笑畢」を入木する。 00102830L13○猫鼠○火燈○夜這○間違○鹿兎○角力○桃太郎○田舎者○ 00102840L14桃■香○和尚親仁○考○女郎買 00102850¥U噺本大系△第十九巻 00102860¥T/戯話(おとしばなし)/華靨(はなえくぼ)〔内題〕△△鬼武作・馬琴序△△寛政五年正月序 00102870¥K 00102880M3△小本一冊。架蔵本は題簽を欠く。内題「/戯話(おとしはなし) 00102890M4/華靨(はなゑくほ)」、尾題「華恵久保畢」。丁付は序が「一」、本 00102900M5文は「二〜六、十七〜三十、終」。序一丁(癸丑は 00102910M6つ春曲亭馬琴)。本文二〇丁・二二話。挿絵はな 00102920M7く、奥付は、「書林△江戸通油町蔦屋重三郎」である。 00102930M8△本書は、序一丁と本文五丁・三話を新刻、その 00102940M9あとは、寛政四年刊『冨貴樽』の第十七丁「独も 00102950M10の」の中途から末尾三十一丁「女郎の屁」までの 00102960M11板木を使い、さらに「通り者」の一話を付け加え 00102970M12たものである。『冨貴樽』の後半部分を本書が使 00102980M13ったもので、「独もの」の前半と「女郎の尻」の 00102990M14後半の各一行分は新刻のため、元板とは文字に多 00103000M15少異同がある。作者は感和亭鬼武で、馬琴が序を 00103010M16書いている。鬼武は元小笠原家臣の前野曼助で曼 00103020M17亭の別号をもつ山東京伝門下の戯作者である。 00103030M18『江戸小咄集△I』に翻刻がある。 00103040¥P314 00103050¥Y序 00103060L3/鴬餅(うくひすもち)/梅干(むめほし)にとまらず、/鶉焼(うづらやき)/艸饌(くさもち)にふけらず、/外方(げほう)が/印(しるし)の 00103070L4/瓢覃(ひやうたん)より、/駒下駄(こまげた)も/出(いで)ざれハ、大/黒傘(こくかさ)のしら/張(はり)、/鼠(ねづミ)半切も 00103080L5用ず。/新古(しんこ)ハ/作(さく)の/好悪(こうお)にあれバ、/古着(ふるぎ)をたづねて/新(あたら)し/橋(ばし)へ 00103090L6/行(ゆけ)(一オ)とも/古(ふる)く、/去年(こぞ)のふる/瀬(せ)もはつ/鰹(かつほ)といへバ/新(あたら)し。 00103100L7よし/小田原挑灯(おだハらてうちん)の/相談(そうたん)は/消(けす)すとも、/下手(へた)の/話(はなし)の廻り/道(ミち)ハせ 00103110L8しな 00103120L10△△△癸丑はつ春△△△△△△△△△△曲亭馬琴 00103130L11△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△G 00103140L13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(一ウ) 00103150¥T1/戯話(おとしはなし)/華靨(はなゑくほ) 00103160¥N1¥J 00103170¥XG/扇子(あふき) 00103180L19立かへる春の日の/岡(をか)/長(なか)き、松ばら/伝(つた)ひ来る/深編笠(ふかあミかさ)の三人、 00103190L20いづれもしる人と見へて、/間(ま)ちかくなれハ、笠をとり/互(たがい)に 00103200M1あい/拶(さつ)するあしもとに、扇が一本ン/落(おち)てあれバ、三人一所 00103210M2(二オ)にめばやく見つけ、はつ春そう+/末(すへ)ひろがりを/拾(ひろ) 00103220M3ふとハめでたし。/是(これ)ハわれらと/立(たち)よれバ、ひとりの/男(おとこ)が、 00103230M4これ/待(まつ)た。その/扇(あふぎ)ハ、われらがはじめ。Sイヤ、それがし 00103240M5がと、/互(たがい)に/詞(ことバ)もつのめだち、/尻(しり)ひつからげ、どつこいとき 00103250M6まるきつかけに、/中(なか)の/男(おとこ)があふきを/取(とつ)て、(二ウ)さつとひ 00103260M7らけバ、/絵(ゑ)が/御所車(こしよぐるま) 00103270¥N2¥J 00103280¥X/夷講(ゑひすこう) 00103290M10/加茂(かも)の/長明(てうめい)がむかしならで、/鳰(にほ)の/浮巣(うきす)のよるべ/定(さだ)めす、か 00103300M11たつふりの/家(いへ)を/運(はこ)び、こゝに/半年(はんねん)かしこに三月、/店(たな)がへす 00103310M12る男あり。ある正月、/木(き)できざんだ/夷(ゑびす)を/一体(いつたい)ひろひければ、 00103320M13(三オ)友たち打こぞり、/近(ちか)い/頃(ころ)ハ、貴様もまんがわるく、 00103330M14/度(たび)+/店(たな)がへをすれ共、/一体(いつたい)が/正直(せうじき)なこゝろゆへ、/福(ふく)の/神(かミ) 00103340M15をさづかつたといふものじや。何ハともあれ、/此(この)廿日にハ 00103350M16/夷(ゑびす)こうをするかよかろう。Sイヤ、めつそうなこといふ人 00103360M17じや。おれが/身上(しんせう)で、とふして/夷講(ゑびすこう)がなる(三ウ)ものだ 00103370M18Sハテ、そこが身いハひじや。ごまめ/膾(なます)にざく+/汁(じる)でも、 00103380M19/夷(ゑびす)こうとおもへバ、/夷講(ゑひすこう)になるじやないか△Sいかさま、そ 00103390M20れもそうじやと、こまめ/膾(なます)に/赤小豆(あづき)めしで友だちをよへバ、 00103400¥P315 00103410L1人+にぎやかに打より、Sまづ/夷講(ゑびすこう)ハしたよふなものだ 00103420L2が、きけバ/夷(ゑびす)こうにハ(四オ)/売買(うりかい)とやらがあるじやないか 00103430L3Sサア、そのうり/買(かひ)しようにも、おらが/身分(ミぶん)で△Sハテ扨 00103440L4わるい/了簡(りやうけん)。それもやつはり/身証(しんせう)そうわうに、千両の/所(ところ)を 00103450L5壱〆、百両のところを三拾弐文といつて、うり/買(か)ひをする 00103460L6がよいわいの△Sそれもそふかと、そう※が/立(たち)かゝり、 00103470L7サア+/汁(しる)(四ウ)じや+。おつと、/汁(しる)なら三十二文よ 00103480L8Sまだ+△S六十四文よ△Sまだ+△Sいつそ百よ 00103490L9Sまけてやれさと、/手(て)をたゝけバ、Sサアその/次(つぎ)ハ、/平(ひら)じ 00103500L10や+△S/平(ひら)ならハ六十四文△Sまだ+、もちつと/買(かハ)ん 00103510L11せ△S百二拾四文、百五十よ△Sまけてやれと、又/手(て)を/敲(たゝ) 00103520L12く。S扨その/跡(あと)ハ、/此日光膳(このにつくわうぜん)じや。(五オ)Sにつくわう/膳(ぜん)。 00103530L13百五十よ△Sまだ+△S弐百よ、弐百五十よ△Sまけて 00103540L14やれさといふ/所(ところ)へ、となりのかミさんが、ぐわらりと/戸(と)を 00103550L15/明(あけ)て、Sヲヤ、又どつちへそ、お/引(ひき)こしなさりますか 00103560¥N3¥J 00103570¥X/剃刀(かミそり) 00103580L18Sモシおかミさんへ。此ぢう、江戸の方へ(五ウ)ゆくなら、 00103590L19/剃刀(かミそり)をかつてくれろと、おつしやりやしたが、けふ/序(ついで)がご 00103600L20ざりやす△◇かミさん◇こなたアあんまり/長(なが)いから、きのふかつ 00103610M1て/貰(もらつ)たよ△◇男◇アヽそりやア、かミそり/斗(ばかり)ハ/素人(しろうと)じやアいか 00103620M2ねへものだニ△◇かミ◇ナゼ△◇おとこ◇ハテ、/砥(と)とかミそりと/合(あハ) 00103630M3せてミて/買(か)ハねへけりやア、わるふご(六オ)さりやすとい 00103640M4われて、うろたへかへして、/砥(と)いしとかミそりを/出(だ)して、 00103650M5しつくりとあハせて/見(み)て、◇かミ◇ヲヤ+、こりやア/砥(と)より 00103660M6かミそりがよつ/程(ほと)ながいやつさ 00103670¥N4¥J 00103680¥X/独(ひとり)もの 00103690M9ひとりもののとなりに、/至(いたつ)て/姉(あね)を大(六ウ) 00103700¥K 00103710M11△以下、『冨貴樽』第十七丁表「独もの」の途中(第十二巻二 00103720M12〇五ページ)から、第三十丁表「女郎の屁」の途中までの板 00103730M13木を使用。 00103740M14「独もの」(後半)○化もの○馬鹿男○料理○鳶烏○掛もの 00103750M15○子傅○芋好○忍術○病人○雷○魚○狂哥○雪○夫婦けんく 00103760M16わ○神道者○手長○女郎の屁 00103770M17△さらに「女郎の屁」の末一行と、次の一話がつづく。 00103780M18@そばのあんとうをふつと吹△|けせハひけのひやうし木が、@チヨン+チヨン+++ 00103790¥N5¥J 00103800¥X通りもの 00103810M20/通(とふ)りもの、/子(こ)ぶんに/異見(いけん)をするに、コレ、われもはのぬけ 00103820¥P316 00103830L1た/鍬(くわ)をミるように、/日額(ひたい)ばかりぬきあげたか、/男(おとこ)じやアね 00103840L2へ。とかくに人ハ/堪忍(かんにん)が/第一(でへいち)だハ。コレ、ゑちごのけんし 00103850L3んハナ、人の/股(また)せへ(終オ)くゞつたハへといへば、/子分(こぶん)あ 00103860L4やまり入て、Sイヤモウ、おや/方(かた)。/樊会(はんくわい)さきにたゝずでご 00103870L5ざりやす 00103880L6△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△¥Aおに武作 00103890L7△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△¥A馬琴校 00103900¥Y1華恵久保畢(終ウ) 00103910¥U噺本大系△第十九巻 00103920¥T@新作|落咄@/松(まつ)の/内(うち)△〔序文〕△△△△△布袋庵序△△寛政十三年頃序 00103930¥K 00103940M3△国立国会図書館蔵。小本一冊。題簽は欠き「酉 00103950M4のとし新作落咄」としてある。内題などなし。丁 00103960M5付も新刻分にはなく、元板分の「三〜二十六」の 00103970M6みある。序一丁半(酉のむつまし月△布袋庵誌)。口 00103980M7絵見開一図。見開挿絵一図(とよ丸画)。本文二五 00103990M8丁半・三三話・見開挿絵一図。奥付なし。 00104000M9△本書は、序一丁半、口絵一丁、本文一丁半・一 00104010M10話・見開挿絵一図の計五丁を新刻、あとは寛政七 00104020M11年刊『わらひ鯉』の本文第三丁以下末丁までを付 00104030M12け加えたものである。書名は明確でないが、序文 00104040M13中から「@新作|落咄@松の内」と推定した。刊年も「酉の 00104050M14とし」のみで不詳だが、元板と同じく、寿亭豊丸 00104060M15画であり、寛政十三酉年としたが、あるいは文化 00104070M16十年とも考えられる。口絵も会咄の光景を描いて 00104080M17価値がある。未翻刻である。 00104090¥P317 00104100¥G(2ウ・3オ) 00104110¥Y序 00104120M3あら/玉(たま)の/空(そら)あをみたる/曙(あけぼの)は、つねきく鳥もわか+と、御 00104130M4子様/方(がた)もにこ+と、手まづさへぎる/羽子板(はこいた)や、道中双六 00104140M5たからぶね、一チまい絵、/艸(くさ)ぞうし+の声に、◇おぼう様◇ア 00104150M6レおさんや。くさぞうしか来たから、よんでくりや(1オ) 00104160M7◇おさん◇コレ+本やどん+。コレ+コヽダ+△◇本や◇お 00104170M8ぼう様。当年も相かわらず、たんと御めしあそばしませ。 00104180M9おもしろい新板が、たくさんにござりまする△◇おぼう様◇おれ 00104190M10ハおかしい落咄の本がほしい△◇おさん◇本やどん。しんさく 00104200M11を見せさつせへ。ハイ+、いろ+ござります/内(うち)に、此 00104210M12本が一ばんおもしろうござります△◇おさん◇ドレ、お見せ。 00104220M13(1ウ)/新作(しんさく)/落咄(おとしばなし)/松(まつ)の/内(うち)△◇おぼう様◇こりやアおもしろそふだ。 00104230M14これにしようと、おぼう様がいふことしかり 00104240M16△△△酉のむつまし月△△△△△△△△布袋庵誌 00104250M17△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△G 00104260M19△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(2オ) 00104270¥P318 00104280¥G(3ウ・4オ) 00104290¥N1¥J 00104300¥X/凧(たこ) 00104310M3◇こども◇とつさん。おれにも大きいたこをかつてくれねへと、 00104320M4おやをせがむ。◇おや◇正月になつたらかつてやろふといふう 00104330M5ちに、正月になりけるゆへ、おやじ気をはつて、十六ばり 00104340M6の大だこをかつてやりけるが、子供のてきわにハあがらず。 00104350M7となりあにいがおれがあげてやろふと、ちうツぱらであ 00104360M8いが大ぜいしてあげるゆへ、大さわぎ(4ウ)にて、うぬの 00104370M9われのと、らんちき大さわぎ。大ぜいかいゝつのり、たこ 00104380M10のことハわきにして、たゝきやうやらぶちやうやら、大き 00104390M11にけが/人(にん)ができしゆへ、家主さつそくかけ来り、コレハ 00104400M12+子供あそびにおとながでるゆへ、此ようにけんくわが 00104410M13できるから、モウ+大きなたこハ、おれが長屋でハあげ 00104420M14させませぬと、家主、長屋中をふれてまわり、まづかどの 00104430M15米屋へ行、けふからたこをあげる(5オ)ことハ、はつとで 00104440M16ござるから、なりませぬぞ。又そのとなりの八百屋へ行、 00104450M17けふからたこをあげることハなりませぬぞ。それからまき 00104460M18や、あぶらや、かぢや、だん/と((ママ))※とふれてまハり、はづ 00104470M19れのてんぷらやへ行、けふからたこをあげることハなりま 00104480M20せぬといへバ、てんぷらやの/亭主(ていしゆ)、きもをつぶし、モシお 00104490¥P319 00104500L1ふや様。けふからたこはあげられませぬなら、そして、い 00104510L2かとはまぐりわへ(5ウ) 00104520¥K 00104530L4△以下『わらひ鯉』の第三丁目「礼者」(第十二巻二八二ページ) 00104540L5から第二十六丁「草履取」までの板木を使用。 00104550L6○礼者○いきすぎ○吉原○かいる○かづさ○かむろ○宿なし 00104560L7○座敷持〔挿絵〕○粉薬○羽織○ひかさ○女郎○たいめん○ 00104570L8奥女中○ねほう○こんや○あんま○せんせい○大鞁○密夫○ 00104580L9女曲馬○大橋○大釜○拍子木○香○按摩○灸○四十七人○茶 00104590L10の湯○夫婦喧嘩○借店○草履取 00104600¥U噺本大系△第十九巻 00104610¥T@鬼|外@/福助噺(ふくすけばなし)△〔題簽〕△△△△十返舎一九作△△文化二年正月序 00104620¥K 00104630M3△国立国会図書館蔵。小本一冊。題簽「鬼外福助噺 00104640M4全」。丁付は「序一、一〜十二、十三〜二十五」。 00104650M5序一丁(文化乙丑春十返舎一九誌)。本文二五丁・ 00104660M6二一話・見開挿絵二図(栄松斎画)。本文末尾に 00104670M7「栄邑堂△東武通油町△村田屋治郎兵衛板」と板元名 00104680M8が記される。 00104690M9△本書は、序一丁、本文一一丁半(裏の半丁は元板 00104700M10分使用)・八話・見開挿絵二図を新刻し、あとは享 00104710M11和二年刊『落咄臍くり金』の第十三丁「空腹」 00104720M12(後半)から巻末の第二十五丁「もちつき」までの 00104730M13板木を使用したもの。巻末の板元名は変る。前半 00104740M14の新刻部分は当時流行した叶福助に因んだ咄ばか 00104750M15りで、栄邑堂の連中の作者名が記されている。挿 00104760M16絵二図は栄松斎画。本書は元板の十一・十二丁目 00104770M17が欠けたまま仕立てられている。これは丁付をそ 00104780M18ろえるための処置で、「新宅」の後半部と「空腹」 00104790M19の前半部が省略されており、これに基づいた『一 00104800M20九全集』(続帝国文庫21)の翻刻も、その部分が不 00104810M21備のままである。 00104820¥P320 00104830L3/栄邑堂(ゑいゆうどう)の/年忘(としわすれ)に/会合(くわいがう)の/諸君子(しよくんし)、/落咄(おとしばなし)に/頤(あご)のかけがねをはづ 00104840L4して、/戸(と)さゝぬ御代を/怡(よろこ)び、/浜(はま)の/松風(まつかぜ)さつ+と、/出傍題(でほうだい) 00104850L5なる/自作(じさく)といへども、/節分(せつぶん)の/鬼(おに)の/留主(るす)に/洗濯(せんたく)せし/咄(はなし)にもあ 00104860L6らず、/又(また)/煤払(すゝはらひ)に/鼠(ねずミ)の/巣(す)より/引出(ひきいだ)(序一オ)したる/反古(ほぐ)にもあ 00104870L7らねバ、/取(とり)あへず/子供衆(こどもしゆ)の/御機嫌(ごきけん)に、/叶(かなふ)/福助咄(ふくすけばなし)と/表題(ひやうだい)し、 00104880L8予、此/校合(けうごう)を/余慶(よけい)の/仕事(しごと)に/序(しよ)する/事(こと)しかり 00104890L10△△△△△△△△△△△△十返舎一九誌 00104900L11△△△文化乙丑春 00104910L12△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△G 00104920L14△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序一ウ) 00104930¥N1¥J 00104940¥X大こく△△△△△△△△△△△△△△¥A邑二作 00104950L18S大こく/天(でん)、だん+としもよりけれバ、/金(きん)/銀(※)のせわもた 00104960L19いぎになり、/娘(むすめ)/吉祥天(きちじやうでん)によいむこをとり、はやくゐんき 00104970L20よがしたひと、/仲ケ間(なかま)の/福禄寿(ふくろじゆ)へたのミけれバ、さつそく 00104980M1のミこみ、/幸(さいハ)ひよいむこがござるが、/貴様(きさま)の/気(き)にいれバい 00104990M2ゝが。◇大こく◇それハ/耳(ミヽ)よりじやが、とこの/者(もの)じや△◇ふく◇貴 00105000M3さまもおゝかた、うハさに/聞(きい)たであらふが、/叶(かのふ)(一オ)/福(ふく)介 00105010M4といふて、此ごろ/世上(せじやう)でもてはやして、/能(よく)人に/禍福(くハふく)をさづ 00105020M5けて、こつちの仲ケ間の/聟(むこ)といふてはづかしくない/福神(ふくじん) 00105030M6でござる。しかし/貴様(きさま)やおゐらのわかひ/時分(じぶん)とちがつて、 00105040M7ちとおごり/者(もの)と見へて、とかくどんすやちりめんのふとん 00105050M8をいくつもかさねて、そのうへに/上下(かミしも)を/着(き)て、すわつては 00105060M9かりいます△◇大こく◇/夫(それ)ハまあ/利口(りかう)なよいむこじや。さつそ 00105070M10く/相談(さうだん)がいた(一ウ)したひな△◇ふく◇それさへきさまの/気(き)に 00105080M11いれバ、なんにも/外(ほか)にきづかひない/男(おとこ)じやが、ふとんのう 00105090M12へにすわハつているのが、なぜ/利口(りかう)でござる△◇大こく◇ハテ、 00105100M13わしがやうに、たわらの三/俵(びよう)や四俵、/大事(だいじ)そうにのつてば 00105110M14かり/居(ゐ)ても、/今年(ことし)もまた/豊作(ほうさく)で、/米(こめ)がいたつてやすいから、 00105120M15はらつた/所(ところ)が/何(なに)ほどにもなりませぬ。そのけつこうなふと 00105130M16んを一ツはらつても、米の十俵のあたへハとれます△◇ふく◇ 00105140M17ハテナ、そんならことしは(二オ)(二ウ・三オ挿絵)/不作(ふさく)でご 00105150M18ざるか 00105160¥N2¥J 00105170¥X其二△/祝言(しうげん)△△△△△△△△△△△¥A邑二/語((ママ)) 00105180¥P321 00105190¥G(二ウ・三オ) 00105200M1Sかのふ/福(ふく)介ハ、/福禄寿(ふくろじゆ)の/仲人(なかうど)にて、/首尾(しゆび)よく/祝言(しうげん)もすミ 00105210M2けれバ、大こくも大きによろこび、いろ+の/宝物(たからもの)、/打手(うちで) 00105220M3の/小槌(こづち)、/延命袋(えんめいぶくろ)、くゝり/頭巾(づきん)ものこらず福介にゆづり給ひ 00105230M4けれバ、福介も/娘(むす□)/吉祥天(きちじやうでん)も大きによろこび、いろなをし 00105240M5の/床盃(とこさかづき)にて一ツすごしけれバ、◇吉◇もしだんなへ。お/前(まへ) 00105250M6(三ウ)さんハせいのひくいところや、いろの/黒(くろ)ひ所が、い 00105260M7つそおとゝさんに/其(その)まゝでこさります。とてもの事に、お 00105270M8ゆづりの小づちや/袋(ふくろ)もおもちなされてごらうじませ△◇福介◇ 00105280M9なるほど、おれもそふおもふて、けいこのため一ツやつて 00105290M10見よふと、まづ袋をかつぎ、小づちをもち、につこりとわ 00105300M11らふ。◇吉◇ヲヤ+、せふでござります。とてものことにお 00105310M12/頭巾(づきん)もと、かぶせて見たところが、大あたまゆへ、/一向(いつこう)は 00105320M13いらねバ、モシ(四オ)/旦那(だんな)へ。おまへさんのハあんまりあ 00105330M14たまが大きいから、はいりませぬよといふこゑを、S/奥(おく)で 00105340M15大こくきゝつけて、これ、むこどのや。むすめハはじめて 00105350M16じやから、そろ+とやつて下さい 00105360¥N3¥J 00105370¥X/大晦日(おゝミそか)△△△△△△△△△△△△△¥A炭方作 00105380M19Sこく、大/三十日(ミそか)にのたまひけるハ、まづハ/甲子(きのえ)どしも 00105390M20/豊年(ほうねん)に/目出度(めでたく)まもりおさめてしまひ、二日まへにはらひも 00105400¥P322 00105410¥G(五ウ・六オ) 00105420M1しまふたし、これから正月をまつ(四ウ)ばかりじやと、/聟(むこ) 00105430M2の/福(ふく)介をよび、/是(これ)福介や。/先(まづ)わしがあづかりの/甲子(きのへね)どしも 00105440M3とゞこほりなくまもりおさめてしまひ、ことに貴さまのよ 00105450M4ふなよいむこをとり、此春ハらく+といんきよして、目 00105460M5出たい春をむかへます。又/来年(らいねん)ハ/開運(かいうん)のなで/丑(うし)どしじやか 00105470M6ら、同じよふに、ふとんのうへで、うんを/守(まも)る。/貴様(きさま)のこ 00105480M7とじやから、/運(うん)ハまもりがちじや。まけぬよふに、うんを 00105490M8まもるがよい。そして/娘(むすめ)にふく/茶(ぢや)をわかさせたがよし。/重= 00105500M9詰(ぢう=づめ)(五オ)(五ウ・六オ挿絵)が/出来(でき)たら、/目出度(めでたく)一ぱいいわゐ 00105510M10ませうと、むこしうと二人にて/酒(さけ)くミかわしゐるところへ、 00105520M11かのやくはらいのとりのこしたる/悪魔外道(あくまげだう)、大こくのつち 00105530M12を目がけ、とらんとするを、◇福介◇/夫(それ)をやつてなるものかと、 00105540M13たがいにくんつほくれつ大さわぎになりけれバ、大こくも 00105550M14きかぬ気になり、福介、まけるな+。◇福介◇イヱ+、ま 00105560M15ける事でハこざりませぬ。/鬼(おに)にも叶福介でござるといへば、 00105570M16大(六ウ)こく、二人をやつと引わけ給ひ、福ハ内にいよ 00105580M17+、/鬼(おに)ハ/外(そと)へ出おれ+とつき出しけれバ、鬼もまけお 00105590M18しミに、Sひようひやく/笑(ハら)ひましよ 00105600¥N4¥J 00105610¥X女郎/買(かい)△△△△△△△△△△△△△¥A鬼武作 00105620¥P323 00105630L1S叶やひとりむすこ福介といふもの、/大尽(だいじん)なれども大あた 00105640L2まのかたハものゆへ、/何所(どこ)へいつてもあしくされる所が、 00105650L3あるときあそびにゆき、/座(さ)しきのうちより、/出来(でき)がよくて 00105660L4大もてなれバ、つひにこん(七オ)なめにあつたことがなけ 00105670L5れバ、大きにうれしく、ほどなく/床(とこ)がおさまると、間もな 00105680L6くおいらんきたり、いろ+かきもんくありて、もしへ、 00105690L7ぬしやアこれから、どふぞ/来(き)ておくんなんしへ。◇ふく◇こね 00105700L8へでどふするもんか△◇女郎◇いつおいでなんす△◇ふく◇あした 00105710L9こよふ。/仕(し)まつていな△◇女郎◇ほんざんすかへ。うれしいね。 00105720L10うそじやアおつせんかへ△◇ふく◇/何(なに)、うそをつくもんだ△◇女郎◇ 00105730L11そんならごめんなんしト、うしろむきになつて、グウ+ 00105740L12(七ウ)と/寐(ね)かける。福介きもをつぶし、コウ、おめへハな 00105750L13んのこつた。こいといつて、もふ/寐(ね)かけるのかトゆすりお 00105760L14こされ、◇女郎◇ぬしが来ておくんなんす心なら、/寐(ね)てもやう 00105770L15ざんす。主をよびもうしてへから、それで/寐(ね)へすハ△◇ふく◇ 00105780L16そりやア又なぜ△◇女郎◇ハテ、げほうハ/寐(ね)て/待(まて)と、もふしん 00105790L17すから 00105800¥N5¥J 00105810¥X/色事(いろごと)△△△△△△△△△△△△△¥A鬼武作 00105820L20/浅草(あさくさ)の/中見世(なかミせ)に/有(あ)る今戸/焼(やき)のおふくと、/深(ふか)(八オ)/草(くさ)やきの 00105830M1福介と、いつしかいろごとをはじめ、人目をしのんで/忍(しの)ひ 00105840M2/逢(あ)ひ、おふくのいふにハ、モシ福さんへ。おまへハ/上方(かミがた)か 00105850M3らはる※来なさつて、江戸/者(もの)のわたしとこふなるも、ふ 00105860M4しぎなえんだから、どふぞ女房にして、おめへのかへると 00105870M5きハ、/在所(ざいしよ)へつれていつておくれといへバ、◇福介◇ずいぶん 00105880M6せうちたが、たとへ/国(くに)ハへだても、手めへもやつぱりお 00105890M7れと同じ在所だとおもつているから、国へ(八ウ)ゆくにや 00105900M8アおよハねへ△◇おふく◇そりやア又なぜへトいへバ、福介、 00105910M9/鼻(はな)をつまんで、S手めへもよつほど/深草(ふかくさ)だ 00105920¥N6¥J 00105930¥X叶福介△△△△△△△△△△△△△¥A邑二作 00105940M12わかいしゆ二三人あつまり、◇八◇コウ、なんと此ころの/新(しん)見 00105950M13せだが、アノかのふ屋福介が見世ハ、ごうせへはんじやう 00105960M14だぜ。そして/内中(うちぢう)がミんな福じんのよふだぜ。よく/気(き)を/付(つけ) 00105970M15て見さつし。ソレ、てい/主(しゆ)のふく介ハ、せいのひくい所が 00105980M16大こくのよふだぜ。それにむす子のふく兵へ(九オ)もあた 00105990M17まハちいさいが、はらの大きひ所ハほていのよふ。/弟(おとゝ)の福 00106000M18六もあたまがながくて、ふくろくじゆのよふさ△◇友だち◇フ 00106010M19ウ、なるほど。そんなら、福介がかミさんハヱ△◇八◇あれか。 00106020M20あれハおたふくべん天のよふさ 00106030¥P324 00106040¥N7¥J 00106050¥Xけんくわ△△△△△△△△△△△△¥A邑彦作 00106060L3/手遊(てあそび)やの見世に、深草やきの福介と浅草の福介とならんで 00106070L4あるを、/通(とふ)りの人がうハさをしてゆくを聞けバ、江戸の福 00106080L5介ハあたまがごふせいに(九ウ)大きひが、深草やきハあた 00106090L6まがへこんでいるが、さいしきがいゝとひやうばんしてゆ 00106100L7きけれバ、跡にて深草やきの福介、アレ、きかつしやい。 00106110L8どふいふても、こちとらが/本家(ほんけ)本/元(もと)じやさかいで、いろど 00106120L9りがよいと、ミなさんがゑらふほめてじやわいなト、ミそ 00106130L10をあげるト、江戸の福介、ぐつとあつくなり、イヤ、此/上= 00106140L11方(かミ=がた)のふく介やらうめ、おきやアがれヱ。なんのこつた、本 00106150L12家だのとうけだのと、へたなうらなひしやが、/店下(たなした)で(十 00106160L13オ)よびかけをするよふに。これへ、此あさくさのふく介さ 00106170L14まの/御出生(ごしゆつせう)のたつとい事をちやうもんしやアがれ。此大江 00106180L15戸の/土(つち)一升金一升の土からうまれて、ぎやつとできあがる 00106190L16がさいこ、/上(かミ)ハ若さまおじやうさま、/下(しも)ハぼうさん/娘子(むすめご)さ 00106200L17ん、/遊里(ゆうり)ハおゐらん三ツぶとん、しゆすやどんすやさやち 00106210L18りめん、かさねぶとんにたかあぐら、わいらがよふながら 00106220L19くた手遊とハちかふハヱ。わるくそべへると、はり(十ウ) 00106230L20くだいて、/雨(あま)おちのへこミへふミこむぞよと、おもいれ/大= 00106240M1平楽(たい=へいらく)をいへば、Sふかくさやきの福介もあきれて、だまつ 00106250M2ているゆへ、そばにいる/下(くだ)りの手遊ども/聞兼(きゝかね)て、/是(これ)貴様。 00106260M3あのやうにいわれて、だまつていてハすむまいぞへトいわ 00106270M4れ、深草のふく介、S江戸/衆(しう)ハあたまがちじや、こちはへ 00106280M5こんでゐる 00106290¥N8¥J 00106300¥X叶福介見/世(せ)/開(びら)き△△△△△△¥A酒利作(十一オ) 00106310M8かのふ福介ハ、どふもかねがたまりすぎてこまるゆへ、な 00106320M9んぞしやうばいをはじめて、おもいれやすくうつて、そん 00106330M10をして金をへらす工ふうにて、米屋を出して、さうばはづ 00106340M11れにやすくうり、/呉服(ごふく)屋を出して、おもいれそんをしてう 00106350M12るつもりにて、やすくうつても/問(とい)や/払(はらい)の時になると、問屋 00106360M13/元直(もとね)をまけてよこして、やつパりもふかるし、酒や、ミそ 00106370M14屋、(十一ウ)まき屋、いろ+な見世を出して、そんをす 00106380M15る気でも、どふももふかつてならず。もはやなんぞやすく 00106390M16うつて、そんのつくせうばいハあるまいかと、番頭をよん 00106400M17でさうだんをしけれバ、◇ばん頭◇下駄屋を出して、おもいれ 00106410M18やすくおうりなされませといへバ、◇ふく介◇ナニサ、そのく 00106420M19らいな事で、げほうらしい 00106430¥P325 00106440¥N9¥J 00106450¥X/新宅(しんたく)(十二オ) 00106460¥K 00106470L4△以下、享和四年刊『臍くり金』の第十丁裏「新宅」の本文 00106480L5冒頭(第十四巻五七ページ)から巻末の第二十五丁「もちつき」 00106490L6までの板木を使用。ただし、元板の第十一・十二丁(「新宅」 00106500L7の後半と「空腹」の前半)の二丁は削除されている。 00106510L8「新宅」(前半)「空腹」(後半)○あんない○家見○目の玉○ 00106520L9ふぐ汁○細工じまん○人相○雪棟○早合点○思ひ寐○火の見 00106530L10○橋番○もちつき 00106540L11△なお、「もちつき」の本文のあとの板元名が、元板の「田中久五郎 00106550L12版」から変っているので、次に示す。 00106560¥Q 00106570L14△△△△東武通油町 00106580L15G栄邑堂△△△村田屋治郎兵衛板 00106590¥U噺本大系△第十九巻 00106600¥T@新作|落咄@/笑顔始(えがおはじめ)△〔内題〕△△@式亭三馬閲序|古今亭三鳥述@△△△文化五年正月序 00106610¥K 00106620M3△東大国語研究室蔵。小本一冊。題簽「/風話(おとしはなし)/笑= 00106630M4顔初(ゑ=かほはじめ)△全」。内題「@新作|落咄@/笑顔始(えかほはじめ)△@式△亭△三△馬△閲|門人古今亭三鳥述@」。 00106640M5尾題「/江戸嬉笑(えどぎしやう)尾」。丁付は序が「壱、二」、本文 00106650M6は「三、四、無丁、五〜十三、九〜二十六」。序二 00106660M7丁(文化戊辰春△式亭三馬ちよびとしるす)。本文三 00106670M8○丁・三一話・見開挿絵一図。奥付を欠く。 00106680M9△本書は、序二丁と本文一二丁・一五話・挿絵一 00106690M10図を新刻し、あとは文化三年刊『諢話江戸嬉笑』 00106700M11の第九丁「瞽女」以下、巻末第二十六丁の「精進」 00106710M12までの板木を使用したもので、尾題も削らず元板 00106720M13のまま残っている。後半は元板の咄角力の形式の 00106730M14ままで、嗣ぎ足し本と一目で分る。新刻部分は、 00106740M15古今亭三鳥の作であろう。未翻刻である。 00106750¥P326 00106760¥Y 00106770L1/向島(むかふじま)の/武蔵屋(むさしや)に/咄(はなし)の/会(くわい)が/権三(ごんざ)りますと、おかしミの/報条(ちらし) 00106780L2を/出(いだ)して、/噺種(はなしのたね)を/蒔初(まきそめ)しは、/天明(てんめい)の/昔咄(むかしばなし)に/遺(のこ)れども、/根= 00106790L3問葉問(ね=どひはどひ)の/夫(それ)から/夫(それ)から、/市(いち)が/栄(さか)へに(壱オ)/弥栄(いやさか)へて、そこ 00106800L4にもこゝにも/有(あつ)たとさ、/爺(ぢゝい)は/山(やま)の手/下街(したまち)きつて、/婆(ばゝあ)ハ川の 00106810L5/桃(もゝ)よりも/流(なが)れ+て/今(いま)は/猶(なほ)、/落咄(おとしはなし)の/種(たね)のミか、/枝葉(えだは)/茂(しげ)りて 00106820L6/広小路(ひろこうじ)に、/八文(はちもん)が/菓子(くわし)を/売(うる)にも、/落話(おとしはなし)で/落(おち)を/取(と)り、十二文 00106830L7の/茶代(ちやだい)を(壱ウ)おくにも、咄の/会(くわい)へ/腰(こし)をかけ、ソレ/咄(はなし)、ヤ 00106840L8レ/話(はなし)と、/猫(ねこ)も/杓子(しやくし)も/丁稚(でつち)も/下女(げぢよ)も、/旦那(だんな)さんがた/芸者衆(げいしやしゆう)、 00106850L9/多(おほ)くの/中(なか)で/此本(このほん)の、/落咄(おとしばなし)の/口合(くちあひ)は、/当世(とうせい)/流行(はやり)の/羽織(はおり)の/紐(ひも)、 00106860L10ナソレ/短(ミぢか)いやつを、ヤンヤと/誉(ほめ)たり(二オ) 00106870L12△△△文化戊辰春△△△△式亭三馬G 00106880L13△△△△△△△△△△△△△ちよびとしるす 00106890L14△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二ウ) 00106900¥T1@新作|落咄@/笑顔始(えかほはじめ) 00106910¥A式亭三馬閲 00106920¥A門人△古今亭三鳥述 00106930¥N1¥J 00106940¥X/舌切雀(したきりすゝめ) 00106950M7/松(まつ)の/枝(えだ)に/雀(すゞめ)が/一羽(いちハ)とまつて/居(ゐ)るを、/鳥(とり)さし見つけて、チヨ 00106960M8イと/指(さし)けるが、チヨツとも/鳴(な)かぬ/故(ゆゑ)、/口(くち)を/押明(おしあけ)て見れバ、 00106970M9/鳴(な)かぬはづ。/舌(した)が/無(な)い。Sア、/今頃(いまごろ)ハたづねて/居(ゐ)るだらう 00106980M10(三オ) 00106990¥N2¥J 00107000¥X大団扇 00107010M13アヽ/暑(あつ)いぞ+。この/暑気(しよき)にはたまらぬ。コレ長松。/其大= 00107020M14団扇(そのおほ=うちハ)であふいでくれろ。Sハイといふて、団扇の/柄(え)のひし 00107030M15げる/程(ほど)にぎり/詰(つめ)、さつ+とあふぎ/立(たて)る。ヤレ+、/涼(すゞ)し 00107040M16くなつた。モウよいぞ。/汗(あせ)はどこへかなくなつた。長松 00107050M17Sハイ。/汗(あせ)ハ/皆(ミな)、/私(わたくし)へ/参(さん)じました(三ウ) 00107060¥N3¥J 00107070¥X心得違 00107080M20十二三の/調市(でつち)が/気(き)の/毒(どく)さうな/顔(かほ)をして、/足(あし)の/損(そん)じた/膳(ぜん)と/破(わ) 00107090¥P327 00107100¥G(無丁ウ・五オ) 00107110M1れた/鉢(はち)をだかへて、/塗師屋(ぬしや)へ/行(ゆ)く/道(ミち)すがら、/旦那(だんな)らしき/男(をとこ) 00107120M2とすれ/違(ちが)ひしが、/彼男(かのをとこ)ふり/返(かへ)つて、コリヤ+、三吉でハ 00107130M3ないかといへハ、/丁稚(でつち)/立(たち)とまりて、Sイヽヱ、おりんどん 00107140M4でござります(四オ) 00107150¥N4¥J 00107160¥X丙癸 00107170M7又/其(その)やうに/火(ひ)いじりをして/寐小便(ねせうべん)をするが、どうした/物(もの)だ。 00107180M8/扨(さて)も+/世話(せハ)のやけるとしかりつゝ、/引(ひき)のけんとするに、 00107190M9/袖(そで)もすそもびつしよりと/濡(ぬれ)てあるゆゑ、コレ、たつた今い 00107200M10ふ/口(くち)の下から、モウ小便したか。Sウンニヤ、今/水(ミつ)なぶり 00107210M11をしてぬらした△Sヱヽ、ちつと(四ウ)/水(ミづ)なぶりをすると、 00107220M12ぬらしおる。ホンニ+、/干(ほ)すのが/大体(たいてい)の事かい。いつそ 00107230M13/火(ひ)いぢりでもしおれ 00107240¥N5¥J 00107250¥X江戸絵図 00107260M16/江戸絵図(えどゑづ)を見て、/往(いつ)て/来(き)たやうにいふてゐる/田舎者(いなかもの)ありけ 00107270M17るが、/近所(きんじよ)に江戸から/戻(もど)つた人の/所(ところ)へ/行(ゆき)、ナント江戸/始(はじめ)て 00107280M18で/有(あつ)(無丁オ)(無丁ウ)・五オ挿絵)たが、/常(つね)+わしが/咄(はなし)に/違(ちが)ハぬ。 00107290M19りであらうがのといへバ、なるほど、/貴様(きさま)のお/咄(はなし)に/違(ちが)ハぬ。 00107300M20/上野(うへの)/両国(りやうごく)の/繁昌(はんじやう)、/堺(さかひ)町の/賑(にぎハ)しい事。イヤ又/各別(かくべつ)な/物(もの)だ。 00107310¥P328 00107320L1Sムヽ、さうであらう。Sシテ、/浅草(あさくさ)のくわんおんへも/参= 00107330L2詣(さん=けい)してか△S/成程(なるほど)参りました△Sサテ、/吉原(よしハら)ハどうであつ 00107340L3た△Sイヤ、/吉原(よしハら)へハ/行(ゆ)かなんだ△Sハテ、/残(のこり)/多(おほ)い事をし 00107350L4た。/浅草(あさくさ)からハ(五ウ)もう/二三寸(にさんずん)だものを 00107360¥N6¥J 00107370¥X戸迷 00107380L7かゝさん、/小便(しい)がしたい。母親、/起(おき)た処が、/有明(ありあけ)/消(きえ)て/方角(はうがく) 00107390L8を/失(うしな)ひ、/仏檀(ふつだん)であたまをこつきり。S/早(はや)くしいがしたいよ 00107400L9Sヲヽサ、やつてやるよと、/箪笥(たんす)で/鼻柱(はなはしら)をぴつしやり。 00107410L10S/爰(こゝ)でもないと、/家内(やうち)をあちこちとうろたえ/廻(まハ)れバ、Sか 00107420L11ゝさん。(六オ)/今夜(こんや)はいつもより、/内(うち)が/広(ひろ)いの 00107430¥N7¥J 00107440¥X豆腐 00107450L14/寺(てら)の/小僧(こさう)、/豆腐箱(とうふばこ)を/提(さげ)てぶら+と/戻(もと)るうしろより、なじ 00107460L15ミの/犬(いぬ)/走来(はしりきた)り、Sクン+と/鼻(はな)をならし、/彼箱(かのはこ)の/傍(そば)へ/身(ミ) 00107470L16をよせて、かぐやらなめるやら、そばへけれバ、/小僧(こさう)もう 00107480L17るさく、シツ+とおへども+、/付(つき)まとふてのかざれ 00107490L18(六ウ)バ、Sヤイ、べらぼうめといひながら、/箱(はこ)のふたを 00107500L19あけて、Sけふはほんの/豆腐(とうふ)だハ 00107510¥N8¥J 00107520¥X髪結 00107530M3/新道(しんミち)の六兵衛どのハ、/髪(かミ)のむつかしい人だ。あんな人ハこ 00107540M4ぬがいゝ。/外(ほか)の/銭(ぜに)まうけの/邪魔(じやま)になると、/思(おも)ふさまわるく 00107550M5いつてゐる/処(ところ)へ六兵衛/来(きた)り、Sどうだ、/吉(きち)。いそがしいか。 00107560M6コレ一寸(七オ)なでつけてくれ△Sハイ△Sコレ吉ヤ。て 00107570M7めへハ/気(き)ハいゝが/髪(かミ)は/下手(へた)だ。モウちつとハ上手になりさ 00107580M8うなものだス△Sコレ六兵衛さん。おめへハいつでもむづ 00107590M9かしいが、どう/結(ゆ)へバ/気(き)にいります。/髪結(かミゆひ)を/渡世(とせい)にすれバ、 00107600M10人さまにきこえても/恥(はづ)かしうござりやす。あんまりわるく 00107610M11いつてもらひやすめへ。ばかなつらなと/張込(はりこま)れて、(七ウ) 00107620M12六兵衛やつきとなり、Sコレ、さうぬかしやア、モウやぶ 00107630M13れかぶれだ。うぬがやうな/下手(へた)なやつに/結(ゆハ)せるものか。な 00107640M14んのつがもねへ。S/銭(ぜに)はこつちの/物(もの)、あたまハそつちの/物(もの) 00107650M15だ 00107660¥N9¥J 00107670¥X雪踏 00107680M18又あの人の/長(なが)ばなしにハこまるぞ。コレ、/先度(せんど)の/灸(きう)ハよく 00107690M19/利(きい)たつけ。/今夜(こんや)も/雪踏(せつた)の(八オ)/裏(うら)へやらかせと、/家内(かない)ひそ 00107700M20+声で、/艾(もぐさ)/取出(とりだ)し/大灸(おほやいと)。/客人(きやくじん)、もうおいとまと、/揚(あが)り/口(くち) 00107710¥P329 00107720L1へ/出(で)かくれバ、Sそれ、おはき/物(もの)と/雪踏(せつた)を/直(なほ)せバ、コレハ 00107730L2私の/履物(はきもの)でないやうでごさります。イヱ+、私が/雪踏(せつた)は、 00107740L3うらの/鉄(かね)でわかりますと、/手(て)づから/裏(うら)を見て、/彼艾(かのもぐさ)の/跡(あと)あ 00107750L4れバ、しばらく/小首(こくび)/傾(かたぶ)け、S/今晩(こんばん)は、モちつと(八ウ)/帰(かへ)り 00107760L5とむなう/存(ぞんじ)たが、/道理(どうり)こそ、先日の/灸点(きうてん)とは/少(すこ)しひずんで 00107770L6ござる 00107780¥N10¥J 00107790¥X麁言 00107800L9ソレ、/鍋(なべ)の/下(した)がもえすぎるぞよ。ヤイ、/其鉢(そのはち)はそちらへ/直(なほ) 00107810L10せ。ヱヽのろ+と、らちのあかぬやつ。この又のらつき 00107820L11めハ/何処(どこ)へうせた。Sハイ。今/奥(おく)のお/客(きやく)のお/間(あひ)をなされて 00107830L12S/又(また)/奥(おく)で/酒(さけ)か。(九オ)ソレ/早(はや)くよんでこい△Sハイ+ 00107840L13Sハイ/親父(おやぢ)さん、/何(なん)でござい△Sなんでと。Sヱ、おのれ、 00107850L14此いそがしいのに/酒(さけ)といへバ/目(め)がない。ちやんと/奥(おく)へ/往(いつ)て、 00107860L15お/客(きやく)とおんなじやうに/馬鹿(ばか)アなつらをして 00107870¥N11¥J 00107880¥X元日 00107890L18/物申(ものまう)+といへど/音(おと)もせず。いかゞにやとさしのぞけバ、 00107900L19/丁稚(でつち)、/宵(よひ)の/草臥(くたびれ)にて/居(ゐ)(九ウ)ねぶり/居(ゐ)る/体(てい)なれバ、是はゆ 00107910L20かぬと/高声(たかこゑ)にて、/亀屋(かめや)/万右衛門(まんゑもん)、/御慶(ぎよけい)申入レますといへバ、 00107920M1/丁稚(でつち)びつくりして/起上(おきあが)り、S/払(はらひ)はこちらから/上(あげ)ます 00107930¥N12¥J 00107940¥X老女房 00107950M4小兵衛といふて、/廿才(はたち)ばかりの/小男(こをとこ)あり。/女房(にようばう)は/年(とし)ふけて 00107960M5/大(おほ)がらなるものなりしが、(十オ)小兵衛つね※/我(わが)からだ 00107970M6の/小(ちい)さきをあなどると/思(おも)ひ/居(ゐ)けれバ、/夫婦(ふうふ)けんくわとなり、 00107980M7/言(い)い/合(あひ)けるが、女房/声(こゑ)をあらゝげ、/親(おや)にも/持(もち)さうなわしを 00107990M8あらけなくしかるハ何事と、たがひにたゝきあふ/所(ところ)へ、/隣(となり) 00108000M9の太郎兵衛、/真中(まんなか)に/割(わつ)て/入(いり)、まづ+しづかにして、/様子(やうす) 00108010M10をいハつしやいと/宥(なだ)むれバ、小兵衛、/泪(なミだ)を(十ウ)ながして、 00108020M11コレマア/聞(きい)て下され。おれが事をあなどつて、/親(おや)にも/持(もち)さ 00108030M12うななどゝいひます。太郎兵へSそれではお/内儀(ないき)のがわる 00108040M13い。女房といふものは、/男(をとこ)を/大切(たいせつ)にする/物(もの)だ。こなたハ男 00108050M14をあなどるによつて、つひそんな/詞(ことば)が/出(で)る。チト男を/大切(たいせつ) 00108060M15にするがよいといへバ、女房Sなんの、わたしがわるく思 00108070M16ひませう。ほんに(十一オ)+、/真実(しんじつ)の/子(こ)のやうに/思(おも)つて 00108080M17/居(ゐ)ます 00108090¥N13¥J 00108100¥X算用 00108110M20なんと思ふ。/近年(きんねん)はおつな事がはやつて、まんぢうハ/蒸篭(せいらう) 00108120¥P330 00108130L1の/切手(きつて)が/出(で)る、/酒(さけ)は/酒(さけ)で/切手(きつて)にする。夫に/付(つい)て、/女郎(ぢようろ)や/芸= 00108140L2者(げい=しや)をも切手にする所があるが、ごうせへはやるぜ。ヤ、又 00108150L3はやるはつさ。まつ/一割(いちわり)はお/定(さだま)り/引(ひか)せる(十一ウ)つもりだ 00108160L4が、マア切手でハ二割半/三割(さんわり)でもよこす。さうして見りや 00108170L5ア、/足下(そつか)やおいらなどハ、/一(ひと)もの/前(まへ)に四拾両と五十両は/吉= 00108180L6原(よし=ハら)で/払(はら)ふが、マア五拾両の/手(て)前では九百匁も/違(ちが)ふ。スレバ、 00108190L7それで/家内(かない)がやしなハれさうなもんだ 00108200¥N14¥J 00108210¥X芝居△(十二オ) 00108220L10/一面(いちめん)の/黒幕(くろまく)/薮畳(やぶたゝミ)、/色(いろ)の/赤(あか)い/侍(さふらひ)が/大童(おほわらハ)になり、/口(くち)に/一巻(いちくわん)ひつ 00108230L11くハへ、/出(いで)るやいなや/二(ふた)ツ/玉(たま)、どつさりグア引と/倒(たふ)れる。 00108240L12/揚幕(あげまく)より/鉄炮(てつぽう)/引(ひつ)さげのつさ+、/黒装束(くろせうぞく)の/曲者(くせもの)、/巻物(まきもの)とつ 00108250L13て/押(おし)いたゞき、/此一巻(このいちくわん)さへ手にいれば、/軍勢(ぐんせい)/催促(さいそく)/心(こゝろ)のまゝ 00108260L14ト、/吹出(ふきだ)す/呼子(よぶこ)に/奴(やつこ)の/角内(かくない)、お/旦那(だんな)、/首尾(しゆび)は。シイと/耳(ミヽ)に 00108270L15/口(くち)。Sナ(十二ウ)Sナ●アノあれ、/内(うち)ミすの/三(さん)のナ●うつ 00108280L16くしいかトいふと、/倒(たふ)れた/死骸(しがい)が、/目(め)をぱつちり 00108290¥N15¥J 00108300¥X磁石 00108310L19/宿(しゆく)はづれの/宿屋(やどや)、/困窮(こんきう)しけれバ、/工夫(くふう)をめぐらし、/大(おほ)きな 00108320L20る/磁石(ししやく)を/調(とゝの)へ、/店(ミせ)に/置(おき)、/扨(さて)/鉄屑(てつくず)を/持(もち)て、/旅人(りよじん)のあたまへ/振(ふり) 00108330M1かけければ、/自然(しぜん)と/磁石(じしやく)にすハれ、/其内(そのうち)へはいりける(十 00108340M2三オ)/故(ゆへ)、/段(だん)+/栄(さか)へける。/向(むかふ)の/亭主(ていしゆ)、/是(これ)を見て/浦山(うらやま)しく、 00108350M3/其通(そのとほ)りにしけれバ、/旅人(たびうと)、/其門(そのかど)へ/行(ゆ)くと、/両方(りやうはう)の/磁石(じしやく)にす 00108360M4ハれ、どちらへも/歩(あゆ)まれず、/大道(たいどう)のまんなかに/立(たち)はだかり 00108370M5て/居(ゐ)るを見て、/隣(となり)の/宿屋(やどや)、/頓智者(とんちもの)にて、ミご/箒(はうき)を/持(もつ)て/出(いで)、 00108380M6/旅人(たびうと)のあたまを/払(はらつ)ては/連(つれ)て/行(ゆ)き+(十三ウ) 00108390¥K 00108400M8△以下、『江戸嬉笑』の第九丁「瞽女」(第十四巻一九五ページ) 00108410M9から巻末二十六丁「精進」までの板木を使用。 00108420M10○瞽女○石刻○流行医者○夜具○蒲穂子○物忘○飛頭蛮○文 00108430M11盲○西瓜○生酔○化習○画工○鼻毛○茶菓子○代脉○精進 00108440¥P331 00108450¥U噺本大系△第十九巻 00108460¥T落噺;/恵方土産(えほうみやげ)〔序題〕△△△感和亭鬼武序△△文化六年正月序 00108470¥K 00108480L3△小本一冊。題簽「風話恵方土産△全」。序題「@落|噺@ 00108490L4/恵方土産(ゑはうミやげ)/叙(じよ)」。丁付は「一〜八、壱〜十九、無丁」。 00108500L5序一丁半(維時文化五つちのとの巳初春△感和亭鬼武 00108510L6誌)。見開口絵一図。本文二五丁・一○話。末丁 00108520L7裏に「午春新作噺目次;@会|談@/文盲雅話(もんまうがわ)△鬼武作;/蛙(かハづ) 00108530L8/飛出(ひよこ+)/噺(ばなし)△同作;板元△田所町霍屋金助」とある。 00108540L9△本書は、序一丁半、本文六丁半・三話・見開口 00108550L10絵一図(北川美丸画)を新刻、あとは享和四年刊 00108560L11『落咄腰巾着』の第一丁の巻頭話「初買」から第 00108570L12二十丁表「悠長」までの板木を使用したものであ 00108580L13る。板元は同じ鶴屋金助なので細工は容易であっ 00108590L14た。新規の分は、序文をかいた鬼武の作である。 00108600L15彼は同年に、同じ『落咄腰巾着』の他の部分の板 00108610L16木を用いた細工本である次項の『落咄春雨夜話』 00108620L17にも序を書いている。未翻刻である。 00108630¥Y@落|噺@/恵方土産(ゑはうミやげ)/叙(じよ) 00108640M3/放鰻(はなしうなぎ)ハ/放(はな)す人に/罪(つミ)あり、/售人(うるひと)に/罪(つミ)あり。/放人(はなして)なければ/不= 00108650M4售(うら=ず)、/売人(うりて)なけれバ/不放(はなさず)と。/此論(このろん)ぬらくらとして/分難(わけかた)し。/落= 00108660M5咄(おとし=はなし)ハ、/噺上手(はなしじやうづ)あれば/聞下手(きゝへた)あり。/聞(きゝ)上手(一オ)あれば/咄下= 00108670M6手(はなしへ=た)あり。/那鰻(かのうなぎ)の/論(ろん)に/似(に)たり。予がごとき/愚作(ぐさく)の/噺下手(はなしべた)は、 00108680M7たゞ/閲功者(ミこうしや)の/聞上手(きゝじやうづ)を/憑(たのミ)に、わからぬはなしも/能(よい)/加減(かげん)の/御= 00108690M8評判(ご=ひやうばん)を/乞(こ)ふのミ(一ウ) 00108700M10△△△維時文化/五((ママ))つちのとの巳初春 00108710M12△△△△△△△△△△△△△感和亭鬼武誌G 00108720M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二オ) 00108730¥N1¥J 00108740¥X○/道理(だうり) 00108750M17/物(もの)の/道理(だうり)といふものはあらそハれぬもの。ねんころ+と 00108760M18いふ/唄(うた)がはやつたから、/其跡(そのあと)で/引風(ひきかぜ)が大はやりであつたと 00108770M19はなすをきいて、/側(そバ)に/居(ゐ)る/爺(ぢい)さまが、いかさま、其/理(り)でよめ 00108780M20た/事(こと)が(三ウ)ある。Sそれハ/何(なん)でござるな△Sイヤ、/此頃(このごろ) 00108790¥P332 00108800¥G(二ウ・三オ) 00108810M1ハごもんぜきさまで、さんもんのどうづきがはじまつた 00108820¥N2¥J 00108830¥X○/曽我狂言(そがきやうげん) 00108840M4さる/田舎(ゐなか)にて、五月/鎮守(ちんじゆ)の/祭礼(さいれい)ありけるが、/庄屋(せうや)どのゝ思 00108850M5ひつき、/村(むら)の/若(わか)いものをあつめ、/芝居(しバゐ)をさせて(四オ)見ん 00108860M6と、/曽我(そが)の狂言をしくミ、庄や、/組頭(くミかしら)、/百姓代(ひやくせうだい)の子供など 00108870M7ハ、五郎、十郎、/祐経(すけつね)の/役廻(やくまハ)り、庄屋の/頭取(とうどり)にて/始(はし)めけれ 00108880M8バ、/水呑(ミづのミ)百姓ハおこし・/松風(まつかぜ)、茶などを/中(なか)にて/商(あきな)ひ、見物も 00108890M9あるつもりなれど、ゐなかものゝしろうと狂言ゆへ、おも 00108900M10しろくもなんともなけれバ、/見物(けんぶつ)もなく/役者(やくしや)も(四ウ)/退屈(たいくつ) 00108910M11なれバ、五郎十郎/始(はじめ)、/中売(なかうり)のおこし・松風などをとつてく 00108920M12らい、狂言もろくにはじまらねバ、/中(なか)うり/商人(あきんど)もくわしハう 00108930M13れず、/役者(やくしや)はくつても/銭(ぜに)をよこさねバ、これでハもとねが 00108940M14はづれる、/損(そん)をしてハなるまいと、くわしうりハせわ/役(やき)の 00108950M15/庄(せう)やをとらまへ、Sもし+、/祐成(すけなり)、/時宗(ときむね)(五オ)、すけつ 00108960M16ねどの三人で、十八文が松風をくつた銭を/払(はら)つてくだされ 00108970M17といへば、@庄やハ役者気どりにて、|曽我たいめんのもん句。@Sなゝ、なんといふくわし 00108980M18うり。それがしハ/不買(かハず)にくつたおぼへハないぞ。@くわしうり|もはらをた@ 00108990M19@ち、まけぬ気になり、|同じく役者気取にて、@S/庄屋(しよや)ハしらねど/子(こ)ハくつた。ハテ、わ 00109000M20うちやくをいやるなア△@此さわぎに、五郎・十郎|すけつねもがくやより、@(五ウ)@いづれバ、|くわしう@ 00109010¥P333 00109020L1@りハ頭にのり、|三人にむかひ、@S五ツ三ツのあんころより、十八文のだま 00109030L2つかぜ、/不買(かハず)にくつたとなのつた+△@五郎|十郎@Sちゝのかた 00109040L3より、たれも/銭(ぜに)をいたゞかず△すけつねSなのるまじとハ 00109050L4おもへども、かハずにくつたハ、かくいふ/左衛門(さへもん)なるハや 00109060L5い△くわしうりSさてこそなア。かハずにくつたうへからハ、 00109070L6あたへもわたさず(六オ)/手(て)をむなしくかへすのか△庄や 00109080L7Sいゝや、手をむなしくハかへすまい。コリヤ、/此赤(このあか)いは 00109090L8しをわたしおき、五月/下旬(げじゆん)までかりておく。是をしようこ 00109100L9に、はらいをとれ△くわしSまづそれまでハ、/此場(このば)ハこの 00109110L10まゝたちわかれん△庄やSシテ、そのくわしの/勘定(かんぢやう)ハ 00109120L11くわしS十文/祐(すけ)なり、(六ウ)五文/時宗(ときむね)、/工藤(くどう)三文/祐(すけ)つねど 00109130L12の△三人Sハテ、はづかしい/借銭(しやくせん)じやなア 00109140¥N3¥J 00109150¥X○/夫婦喧嘩(ふうふけんくわ) 00109160L15ふうふくらしの/亭主(ていしゆ)、をり+あそびに出かけれバ、/女房(にようぼう) 00109170L16はらをたち、やきもちけんくわをはじめ、すりばち、すり 00109180L17/小木(こぎ)、(七オ)なべかまをなげちらし、大さハぎをやるゆへ、 00109190L18/近所(きんじよ)のもの、/家(いへ)ぬしまでもかけつけ、やう+とりしづめ、 00109200L19ふたりへいけんをすれバ、ふうふハなほくち※にわめく 00109210L20を、いへぬしハふんべつ(七ウ)/顔(かほ)に、イヤ、これ+。/先(まづ) 00109220M1+/御亭(ごてい)しゆ、だまらつしやい。/惣体(そうたい)/貴様(きさま)が口がすぎる。 00109230M2なんでもあそびに出たのがわるいから、其やうに女房にく 00109240M3ちごたへをせぬがよい。まうこんどから、/夜歩行(よあるき)ハせまい 00109250M4といふあやまりじようもんを(八オ)かいて、かゝアどのに 00109260M5やらつしやれ△亭主Sどふも、ていしゆがかゝアにあやま 00109270M6り/証文(しようもん)をだすといふ/法(ほふ)は御ざるまい△家主Sイヤ、あるこ 00109280M7とでござる△亭S夫ハ又なぜ△家Sされバサ。にようぼう 00109290M8にも/筆(ふで)のあやまりといふ/古事(こじ)があるて(八ウ) 00109300¥K 00109310M10△以下、『落咄腰巾着』の第一丁「初買」(第十四巻一五七ペー 00109320M11ジ)から、第二十丁表「悠長」までの板木を使用。 00109330M12○初買○名作もの○高慢○俄商ひ○懸徳○麻疹○悠長 00109340¥P334 00109350¥U噺本大系△第十九巻 00109360¥T/落咄(おとしばなし)/春雨夜話(はるさめやわ)△〔序題〕△△△鬼武序△△文化六年正月序 00109370¥K 00109380L3△東大国語研究室蔵。小本一冊。題簽を欠く。序 00109390L4題「/落咄(おとしばなし)/春雨夜話(はるさめやわ)/叙(じよ)」。丁付は「一〜七、十六 00109400L5〜三十三」。序一丁半(ちよつと巳のとしアハヽトわ 00109410L6らふ三太郎月△感和亭鬼武誌)。見開口絵一図(北川美 00109420L7丸画)。本文二一丁・一二話・後序一丁・奥付半丁。 00109430L8△本書は、序一丁半、本文五丁半・三話・見開挿 00109440L9絵一図を新刻し、あとは享和四年刊『落咄腰巾着』 00109450L10の第十六丁表三行目「懸徳」から第三十三丁まで 00109460L11の本文全部と後序・奥付を含めた板木を使ったも 00109470L12のである。ただし、嗣ぎ足すに当って、「懸徳」 00109480L13の前にある二行を削って空白のままとし、奥付中 00109490L14の「享和四子初春発行」の文字は省かれてある。 00109500L15本文巻頭に「十返舎一九作」とあるが、新刻分が 00109510L16一九作か鬼武作かは、不明である。未翻刻である。 00109520¥Y/落咄(おとしはなし)/春雨夜話(はるさめやわ)/叙(じよ) 00109530M3/噺(はなし)は/無歯(はなし)の/縁(えん)をもて、/爺(ぢゝ)イハ/山(やま)へ/柴刈(しバかり)に、/婆(ばゝ)アハ/川(かハ)へ/洗濯(せんたく) 00109540M4にと、/這(これ)を/話(はなし)の/始(はしめ)といへど、/今(いま)/三歳(さんさい)の/童子(どうじ)も/軽口(かるくち)をはき、 00109550M5/爺(ぢゝ)イハ/無当山(とんだやま)を/思(おも)ひ、/婆(ばゝ)アは(一オ)/虚言(うそ)のかハをいふ/世中(よのなか)、 00109560M6/美醂酒(ミりんしゆ)の/鑿口(のミぐち)にハあらざれども、/甘口(あまくち)の事でハ/不行(ゆかず)。/此書(このしよ) 00109570M7/也(や)、/能(よく)/其人情(そのにんじやう)に/通(つう)じ、/閲(ミ)る/者(もの)をして/腹筋(はらすじ)の/蒲焼(かばやき)、/鼻(はな)の/障子(さうじ) 00109580M8を/開(ひら)かせ、/腮(あご)の/掛鉄(かけがね)を(一ウ)はづさしむ。/呼嗚(あゝ)、/至(いた)れり/尽(つく) 00109590M9せりといつつべし 00109600M11△△ちよつと巳のとし 00109610M12△△△アハヽトわらふ 00109620M13△△△△△三太郎月△△△△△感和亭鬼武誌G 00109630M15△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二オ) 00109640¥N1¥J 00109650¥X○/鮗(こはだ)△△△△△△△△△△△¥A十返舎一九著 00109660M19/松助(まつすけ)ひゐき二三人/寄合(よりあひ)、ときに、こんどの/武智(たけち)の/狂言(きようけん)には、 00109670M20/音羽(おとハ)やが/出(で)ねへが、とふしたの。S/三朝(さんてう)ハ/夏芝居(なつしバゐ)から/病(びやう)気 00109680¥P335 00109690¥G(二ウ・三オ) 00109700M1だそふサ△Sなるほど、おこりとかを/煩(わづら)つたと/聞(きい)たが、ま 00109710M2だよく(三ウ)ねへか△Sナニサ。それから/出勤(しゆつきん)して、こん 00109720M3どハ/食(しよく)あたりだといふ事だよ△Sなるほどきこへた。その 00109730M4はづだ△Sそりやアなぜ△Sハテ、こはだがあたつたから 00109740M5サ 00109750¥N2¥J 00109760¥X○/客物語(きやくものがたり) 00109770M8/去(さ)る/家(いへ)の/娼妓(おゐらん)たち、/夜(よ)ミせ(四オ)まへに/一所(ひとゝころ)へあつまり、 00109780M9もしへ、此ごろハ/色男(いろをとこ)にさつばり/縁(えん)がおざりいせんが、/百= 00109790M10物(ひやく=もの)がたりをしいすと/化物(ばけもの)が出るとまうしいすから、/客(きやく)もの 00109800M11がたりをしいしたなら、/客人(きやくじん)がきいしやうから、/意気(いき)な人 00109810M12の/咄(はなし)/斗(ばかり)しいしやうと、/車坐(くるまざ)に/成(な)り、(四ウ)色男のうハさば 00109820M13なしを、一ツはなしてハ/行燈(あんどう)へとうしミを一すじとぼし 00109830M14二ツはなしてハ二ツともし、/段(だん)+咄てあかりをまし、と 00109840M15ふ+九十九すじはなして、百すじめになるとき、夜ミせ 00109850M16をしらする/鈴(すゞ)の/音(おと)がぐわら+と/聞(きこ)へると、/二階(にかひ)のはしご 00109860M17をばた+と(五オ)上るをミれバ、ひつこ/抜(ぬき)の色男四五人、 00109870M18きやくものがたりのざしきへ/来(く)るをミて、おゐらんたちハ 00109880M19きもをつぶし、もしへ、おまへさんがたハどこからおいで 00109890M20なんしたへト/聞(きく)と、かの男ども、わたしどもハおはなしに 00109900¥P336 00109910L1ひかれてきた、きやくものがたりの/幽霊(ゆうれい)サ。Sナニばから 00109920L2しい。(五ウ)ぬしたちのやうな/意気(いき)で、どこもかもまんろ 00109930L3くな、はつきりとわかるゆうれいが、おざんすものか 00109940L4Sイヽヱ、これでもおまへがたにのぼせてきたゆうれいサ 00109950L5女郎Sなぜへ△客Sハテ、/腰(こし)から下は、おるすだものを 00109960¥N3¥J 00109970¥X○/狐狸(こり)(六オ) 00109980L8/狐狸(きつねたぬき)、いろ男にばけて/女郎買(ぢよらうかい)と/出(で)かけ、/青楼(せいろう)へ/上(のぼ)り、/初= 00109990L9会(しよ=くわい)のざしき、おさだまりの通りにて、てれぼうゆへ、/色身(いろミ)ば 00110000L10かりして、人をばかすほどの/手(て)も出ず。どふかこつちがば 00110010L11かされさうだと、ぶる+ものなれば、(六ウ)気をたしか 00110020L12にもたんと思ひ、さけをぐつと/一盃(いつぱい)づゝのんで、のまぬふ 00110030L13りをして女郎へさす。女郎Sもし、ちつとおゝさへまうし 00110040L14いしやう△狐Sわたしどもも、いつこう/下戸(げこ)でごぜへすか 00110050L15ら、(七オ)マアおあがんなせへ△女郎Sうそをおつきなん 00110060L16し。今一はい、あがんなんしたじやアおざんせんか。よく 00110070L17ミておりゐしたよ。ぬしたちやア、かくし/上戸(じやうご)とやらの/尻= 00110080L18尾(しり=を)が、いつそミへゝすよ@トいはれて、△|きもをつぶし、@狐狸/南無三(なむさん)、/正体(しやうたひ)をし 00110090L19られたか(七ウ) 00110100¥K 00110110M1△以下、『落咄腰巾着』の第十六丁三行目(初の二行分は空白) 00110120M2「懸徳」(第十四巻一六二ページ)から、第三十三丁「牛房うり」 00110130M3までの本文全部と後序・奥付までの板木を使用。 00110140M4○懸徳○麻疹○悠長○竹光○夜這○黒びろうど○狐つき○松 00110150M5魚○牛房うり 00110160¥P337 00110170¥U噺本大系△第十九巻 00110180¥T/亜良井粉(あらいこ)〔序題〕△△△△猿猴房序△△△△文化九年頃序 00110190¥K 00110200L3△東大国語研究室蔵。題簽「/亜羅井粉(あらひこ)△全」。序題 00110210L4「亜良井粉」。丁付は新刻分は無丁、以下「七〜十 00110220L5八」。序一丁(申のとし△猿猴房述)。本文は二二丁 00110230L6・一三話・見開挿絵一図。奥付を欠く。 00110240L7△本書は、序一丁と本文七丁・二話・見開挿絵一 00110250L8図を新刻、あとは寛政九年刊『巳入吉原井の種』 00110260L9の本文巻頭第三丁「むけんのかね」から第十八丁 00110270L10の「天神」までの板木を使用したものである。刊 00110280L11年は序に「申のとし」とあるのみだが、序者猿猴 00110290L12房月成の活躍時から、文化九申年以後、文政七申 00110300L13天保七申年のいずれかであろう。新刻分はかなり 00110310L14の長話となるが、匡郭を付けたり付けなかったり 00110320L15の杜撰な細工である。未翻刻である。 00110330¥T1亜良井粉 00110340¥Y叙 00110350M5/申年間(さるとしま)、春の夜話に/言(いへる)こと有。或時、/経水(つきのさハり)に/転(まろ)び侍る。 00110360M6/孰(いつれ)よりか/陽(をのこ)来て言。/僕(やつがれ)病有。/陰人(ふじん)是を/治(ぢせ)。/其謂(そのいわれ)を/問(とう)。曰、 00110370M7/痳(りん)ハ尚/疾(しつ)のことし、疾ハなを/淋(りん)の如し。/淋疾(りんしつ)(序オ)/生(びん)&と 00110380M8すと/言(いつ)て/責(せむ)。/妾(せう)、/辞(ぢ)すれとも/不免(ゆるさず)。/終(つい)に/交(こも+)/尾(をハら)んとす。 00110390M9/陽(をのこ)、歓にたえす、S兵庫フシ御いたわしや、愛子の若ハ父を 00110400M10尋ねて高野へ登るト唄う。妾、面白サニ、@アヽヨヲイ+ヨヲ|イヤサ、アリヤリヤ@ 00110410M11@コリヤリヤアヽ|よひわひナアト@爾云 00110420M13△△△申のとし△△△△△△△△△△△△猿猴房述 00110430M14△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(序ウ) 00110440¥N1¥J 00110450¥X告子 00110460M18爰に/得徳(うとく)の/商人(あきんど)あり。何ふそくなく月日を送りしに、みつ 00110470M19れハかくる/浮世(うきよ)のならひ、/跡式(あとしき)をゆづるべき子なく、/夫婦(ふうふ) 00110480M20あけくれ此事をなげき、/或(ある)とき女ぼうに(1オ)むかひ、わ 00110490¥P338 00110500¥G(2ウ・3オ) 00110510M1れらすでに/年老(としおい)たり。しかれども一ツ子なく、此しんだい 00110520M2を/他人(たにん)の物とするもざんねんなれハ、何卒/仏神(ぶつじん)にねがひ、 00110530M3もふし/子(ご)せんとおもふハいかに。女ぼう、げにもという。て 00110540M4いしゆ言。われ(1ウ)世に不足なしといへども、たゝはづ 00110550M5かしきハ/生得(せうとく)/文盲(もんもう)なり。今告子をいのる上ヱハ、/生(むま)れなが 00110560M6らにして、/是(これ)をしるの/聖学(せいがく)者となるへき一ツ子をねがわん 00110570M7と、それよりふう婦、/氏神(うじかミ)へもふで(2オ)(2ウ・3オ挿絵) 00110580M8一チ七日があいだ、/宮(きう)でんのもとに/通夜(つや)していのりしが、 00110590M9其せつなるを神ものう/受(じゆ)まし+けるや、まんずる/明方(あけがた)、 00110600M10/白衣(はくへ)の/束帯(そくたい)なしたる/老翁(ろうおう)、こつぜんとあらわれ給ひ、よひ 00110610M11かな、/汝(なんじ)(3ウ)壱人の/聖子(せいし)をねがふ、其たいまんなきをあ 00110620M12われみ、ねがふ所の一ツ子をさづく。夢&うたがう事なか 00110630M13れと、/神告(しんこう)すゞしく聞へけれハ、夫婦おどろき、/拝謝(はいじや)せん 00110640M14とするに、ふしきや、一ツすいのゆめとなる。二人ハ悦び 00110650M15帰りけるが、(4オ)/将(はた)して女ぼう、その月よりくわいたひ 00110660M16し、既にりん月にうつる。ていしゆ、あるよの夢に、二人 00110670M17の/児(ちご)、一つの皿をあらそひとらんとなすと見て、夢さめた 00110680M18り。あまりのふしんさに、近所の/能(よく)ものを/占(うらな)ふ人に/始終(しじう)を 00110690M19かたりて、(4ウ)もしや二タ子にてハなきやと/問(と)ふ。かの/卜(ぼく) 00110700M20者打わらひ、此子かならづ聖/儒(じゆ)ならん。其いわれハ、子と 00110710¥P339 00110720L1いう/字(じ)の下へ/皿(さら)を書ハ、これ/孟(もう)也。子と子の中へ皿をいる 00110730L2れハ、是孟子也。さすれは、孟子ふたゝび世に出/給(たま)ひ、/聖= 00110740L3賢(せい=けん)(5オ)の/道(ミち)をおしへ給ふ也と、つまびらかに夢はんじし 00110750L4けれハ、夫婦おふひに悦びける。其夜、安&と出産す。う 00110760L5ぶ/声(こへ)とともに、ガクシヤ++とくつさめす。諸人、是 00110770L6を奇也とす。其上、七夜おわらざるに、/赤子(あかご)、おとつさん 00110780L7+という。父、おどろひて、なんだ+。赤子、/ししや= 00110790L8う(四書)+(5ウ) 00110800¥N2¥J 00110810¥X芝居 00110820L11◇菊之介◇御住寺さん。けふハ過し/夫(おつと)の/忌(き)日。一/遍(ぺん)のゑかふが 00110830L12したサ、御寺参りいたしましたわひナア△◇徳次◇アヽ、/深= 00110840L13哉(しんなる=かな)/切(せつ)哉、/貞(ていなる)哉/美(び)哉。扨よく参られた。よひつひでなれバ、 00110850L14/愚僧(ぐそう)が十念をさづ(6オ)けてやろふ。実や世の中に、夫と 00110860L15なり/女房(にやうぼう)となるほど、/深(ふか)ひゑんハないじやてい。所がたん 00110870L16のふせづに、ころりとやる。是をしやかも/老少(ろうせう)不/定(ぜう)、/愛別= 00110880L17離苦(あいべつ=りく)とやらかしておかれたてナ、ハヽヽヽヽ△◇きく◇御すひ 00110890L18れふなされ(6ウ)て下さりませ。此上ハあなたの御十念を 00110900L19うけまして、みらひハせめてひとつはちすに△◇とく◇ヲヽ承 00110910L20知+。そもしをぜふ仏させるハ、/愚僧(ぐそう)かのミこんでおる 00110920M1じや。アヽ時に、まつ十念をさづけるには、(7オ)そのよふ 00110930M2にかたくしてハいかぬじや。帯をとひて、一ツしんに/目(め)を 00110940M3とぢて、南無あミだ仏といふたなら、愚僧をこふ〆つける 00110950M4と、愚僧もこふ△◇きく◇申+、コリヤ何をなされます。御 00110960M5出家のミだりな△◇とく◇みだりでハない。死だ夫の/後家(ごけ)を/悔(とむろ) 00110970M6ふ(7ウ) 00110980¥K 00110990M8△以下、『巳入吉原井の種』の第一丁「むけんのかね」(第十 00111000M9三巻一一四ページ)から第十八丁「天神」までの板木使用。 00111010M10○むけんのかね○目白○雷神門○かふろ○いきすぎ○しんぞ 00111020M11う○八丈しま○緋おどしの鎧○人相○こもそう○天神 00111030¥P340 00111040¥U噺本大系△第十九巻 00111050¥T/咄(はなし)の/蔵入(くらいり)△〔序題〕△△△△十返舎一九序△△文政三年正月序 00111060¥K 00111070L3△小本一冊。題簽を欠く。序題「/咄(はなし)の/蔵入(くらいり)序」。 00111080L4丁付は「一〜十六、八〜十八」。序一丁半(文政辰 00111090L5春△十返舎一九志)。見開口絵一丁。本文は二四丁 00111100L6半・二五話で挿絵はなく、奥付を欠く。 00111110L7△本書は、序一丁半・見開口絵一図、本文一三丁 00111120L8半・一四話と、「竹の子」の前半部を新刻し、あ 00111130L9とは、文化十五年刊『落咄口取肴』の第八丁「竹 00111140L10の子」の本文始めから第十八丁「貧乏神」までの 00111150L11板木を嗣ぎ足したものである。元板では「竹の子」 00111160L12の題名が第十七丁裏の末行にあるが、本書では第 00111170L13十六丁裏に題名とも五行を使つて、前半部を新た 00111180L14につくり、元板の文章とつづける細工が施されて 00111190L15いる。『小噺再度目見得』第十二冊などに、新刻 00111200L16分のみの翻刻がある。 00111210¥Y/咄(はなし)の/蔵入(くらいり)序 00111220M3/五風十雨(ごふうじうう)/其時(そのとき)を/違(たが)へず、/例(れい)の/社中(しやちう)が/作(つく)り/出(いだ)せし/落噺(おとしばなし)も、/今= 00111230M4年(こ=とし)は/取分(とりわけ)/豊作(ほうさく)にて、/口合(くちあひ)の/実入(ミいり)よく、/笑(わら)ひの/種(たね)の/一粒(いちりう)も、 00111240M5/万倍(まんばい)の大(一オ)/出来(でき)、其くせ口に/年貢(ねんぐ)も上らねば、/我等(われら)/村= 00111250M6長(せう=や)の/役廻(やくまハ)りにて、/書肆(しよし)の/検見(けんミ)をうけたる/所(ところ)、是は/上作(じやうさく)との 00111260M7/詞(ことば)につけこミ、/売(うつ)ておけ、しやん+しやんと/極(きま)りし/咄(はなし)の 00111270M8/新米(しんまい)(一ウ)/一粒撰(ひとつぶゑり)を/俵(たハら)となし、則/外題(げだい)を/蔵入(くらいり)と/命(なづく)るものな 00111280M9らし 00111290M11△△△文政辰春 00111300M12△△△△△△△△△△△十返舎一九志G 00111310M13△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△(二オ) 00111320¥N1¥J 00111330¥Xはつ雷 00111340M18/晴天(せいてん)にハかにかきくもり、はつ/雷(かミなり)なりはためけバ、家内お 00111350M19それて/蚊帳(かや)をつり、ひそまりかへつてゐる所、ゴロ+ 00111360M20+ピツシヤリと、すさまじきおとして、雷、/庭(にハ)さきへど 00111370¥P341 00111380G1ひんかしに玉の春たつ初日かな△△十返舎 00111390¥G(二ウ・三オ) 00111400M1つさりおち、/手水鉢(てうづばち)にて手をあらふゆへ、/亭主(ていしゆ)こハ※さ 00111410M2しのぞきて、Sモシ+、おゆをあげませうか。(三ウ)ど 00111420M3ふなさりましたといへバ、かミなりSイヤ、今あそこで/臍(へそ) 00111430M4をつかミそこなつた。アヽきたない 00111440¥N2¥J 00111450¥X/幽霊(ゆうれい) 00111460M7なじミの女郎の方より/文(ふミ)がきたり。このものまへ、廿両の 00111470M8かねがなけれバ/生(いき)てゐられぬわけ。しんでハかねての/約束(やくそく)、 00111480M9/夫婦(ふうふ)にもなられぬことなれバ、/是悲(ぜひ(ママ))とも廿両の(四オ)/工面(くめん) 00111490M10たのむとの/文言(もんごん)。むすこハほれてゐる女郎のこと、/命(いのち)づく 00111500M11ときゝて/不便(ふびん)におもひ、どふぞかねの/才覚(さいかく)してやらんと思 00111510M12ひしが、/都合(つがう)わるく、/其侭(そのまゝ)にものまへも打すぎ、むすこハ 00111520M13/只(たゞ)くらうにして、かねをやらねばしぬとの事ゆへ、さだめ 00111530M14ししんだであろう。かわいそうにと、ひとりつつくり、お 00111540M15もひつゞけ(四ウ)てゐたる所へ、ヒヨウドロ+にて女郎 00111550M16のゆうれいあらハれ、かねをよこしてくれぬゆへ、/命(いのち)をす 00111560M17てたとの/恨(うら)ミ。むすこそのまゝかぢりつき、Sヤレ+な 00111570M18つかしかつた。よく来てくれた。/咄(はなし)がある。マアしたにゐ 00111580M19やといへバ、ゆうれいSイヱ、そふしてハゐられませぬ△む 00111590M20すこSそれハなぜ+△女郎Sまだほかへ出る所が、たん 00111600¥P342 00111610L1とあります(五オ) 00111620¥N3¥J 00111630¥X/小便(せうべん) 00111640L4往来Sヤレ+小便がもるやうだと、/黒塀(くろべい)の/前(まへ)にせうべん 00111650L5しかゝる所へ、/辻番(つじばん)より/出(いで)きたり、Sコリヤ+、なぜそ 00111660L6こへ小便をする。ふとゞきなやつだとしかれバ、わうらいの 00111670L7おとこSこゝハせうべんをたれぬ所でござりますか。それ 00111680L8でもこゝに人のたれたあとがござりますから、それで(五 00111690L9ウ)わたしもたれましたといふと、つじばんSイヤ、それハ 00111700L10たつた今、しかつたあとだ 00111710¥N4¥J 00111720¥X/行(ゆき)たをれ 00111730L13ある人、/行倒(ゆきたを)れ/覚帳(おぼへてう)といふてうめんを/拾(ひろ)ひ、コレハめづら 00111740L14しいものをひろつたと、一まいあけてよんで見れバ、ひと 00111750L15つ/何月(なんぐハつ)/何日(いくか)、/中橋(なかばし)のうへゝたをれ候/節(せつ)ひやめし五はい、 00111760L16/古布子(ふるぬのこ)(六オ)ひとつ。/何月(なんぐハつ)/何日(いくか)、両ごくへたをれ候/節(せつ)、 00111770L17にぎりめし三ツ、/銭(ぜに)二百文。ひとつ/青山(あをやま)へ/倒(たを)れ候/節(せつ)、/灸(きう)ば 00111780L18かり 00111790¥N5¥J 00111800¥X小つゞミ 00111810M1客Sナント、となりで小つゞミのをとがするが、あれハ/誰(たれ) 00111820M2がなろふのだ△ていしゆSあれハとなりのむすこよ△客 00111830M3Sハテ、あのむすこハ/去年(きよねん)から小(六ウ)づゝミをならつて 00111840M4ゐるが、もふ大づゝミになりそふなものだ 00111850¥N6¥J 00111860¥X/蛇(へび)/蛙(かハづ) 00111870M7/往来(わうらい)の/野道(のミち)に、大ぜい人だかりがしてゐるゆへ、何事ぞと 00111880M8見れバ、大きなるへびと/蛙(かいる)がむかひあふて、たがひにねら 00111890M9ひ合、じりゝ+とつめよせてハ、又じつとして見合おる 00111900M10ゆへ、(七オ)/見物(けんぶつ)の大ぜい目をはなさず、今にかいるがの 00111910M11まるゝであろふといへバ、ひとりが、イヤ+、このかい 00111920M12るハひとゝをりのかいるでハないから、へびのほうがのま 00111930M13れるであろふと、/評義(ひやうぎ)とり※見てゐるうち、かいる、見 00111940M14物のほうへ手をつきて、日も/晩景(ばんけい)におよびますれバ、まづ 00111950M15こんにちハこれぎり(七ウ) 00111960¥N7¥J 00111970¥X/医師(ゐし) 00111980M18ゐしやの内に/弟子(でし)ども/打寄(うちより)ゐる所、/格子(かうし)さきにて、/往来(わうらい)の 00111990M19人が/小便(せうべん)するをとをきゝて、一人の弟子Sナント/寸白(すんはく)どの。 00112000M20あの小べんのをとをおきゝなされ。/拙者(せつしや)の/考(かんがへ)でハ、小べん 00112010¥P343 00112020L1のをり+とぎれるあんばい、あれハ/痳病(りんびやう)の/男(をとこ)と見へます 00112030L2るが、(八オ)なんとでござろう△寸白Sされバ/御考体(ごかんてい)、/相= 00112040L3違(さう=ゐ)ござるまい。なるほど、さやうと外ハ見へませぬといふ 00112050L4を、/先生(せんせい)きゝつけ、しばらくかんがへ、Sイヤ+、きさ 00112060L5またちハまだ/修行(しゆぎやう)がたらぬ。あの小便のをとハ、りん病で 00112070L6ない。あれハたしかに、/腹(はら)に/屁(へ)をもつたものと見へる 00112080¥N8¥J 00112090¥X/茶(ちや)がゆ△(八ウ) 00112100L9をやぢ、近所へはなしにゆきてゐる所へ、/子僧(こぞう)きたり、 00112110L10Sモシ/旦那(だんな)さま。/茶(ちや)がゆができました。お/帰(かへ)りなされませ 00112120L11とよびにくる。/親父(をやぢ)そう+帰りて、小ぞうをよびつけ、 00112130L12Sコリヤ/外分(ぐハいぶん)のわるい。大ぜいゐる所で、ちやがゆができ 00112140L13たとハきのきかぬやつだ。こんどから、たとへちやがゆで 00112150L14あろふとも、おめしが(九オ)できました。お帰りなされと 00112160L15いふものだと、よくをしへておき、又/近所(きんじよ)へはなしにゆき 00112170L16てゐる所へ、小ぞう来りて、Sハイ/旦那(だんな)さま。おめしがで 00112180L17きました。お帰りなされといふと、だんなSヲヽ、めしが 00112190L18できたか。ドレ、いつてすゝろうか 00112200¥N9¥J 00112210¥X/河童(かつは) 00112220M1かつぱ、うろ+とおかへあがり、まごついて(九ウ)ゐる 00112230M2所を、人が見つけて、ヤレうちころせと、大ぜいよつて、 00112240M3とう※かつぱをひつとらへ、こいつハよく人の/尻子玉(しりごだま)を 00112250M4ぬくやつだから、見せしめのため、こいつの尻子玉をぬい 00112260M5てやれと、よつてかゝつて、かつぱの尻ごのたまをひつこ 00112270M6ぬき、つきはなせバ、かつぱ、ひよろ+して/命(いのち)から※ 00112280M7川の中(十オ)へころげこミし所へ、友だちのかつぱ来り、 00112290M8Sヲヤ、手めへ。どふぞしたか。いろがわるいといへバ、 00112300M9Sイヤ、とんだめにあつた。おれハにんげんどもに、しり 00112310M10ごのたまをぬかれたといふと、友だちのかつぱ、Sドレ 00112320M11+、見せやと、/尻(しり)のあなをのぞひて見て、Sハヽア、し 00112330M12ろうとにしてハよくぬいた(十ウ) 00112340¥N10¥J 00112350¥X/掛(かけ)もの 00112360M15客Sアノお/床(とこ)のかけものハ、何人の/賛(さん)でござるときけバ、 00112370M16ていしゆSイヤ、あれハ/詩(し)でござるといふ。客Sこちらの 00112380M17お/屏風(びやうぶ)も/詩(し)と見へますな△ていしゆSイヤ、あれも/一休(いつきう)の 00112390M18/語(ご)でござるといふゆへ、/客(きやく)、心のうちに、こいつ、さんか 00112400M19といへバ、しだといふ。しかときけバ、五だといふ。/今度(こんど) 00112410M20ハはぐら(十一オ)かしてやらんとおもひ、そこらを見まハ 00112420¥P344 00112430L1して、客Sモシ、あの/袋戸(ふくろど)のハ六でござるかといへバ、 00112440L2てい主Sイヤ、/質(しち)にあつたのをうけたのでござる 00112450¥N11¥J 00112460¥X/太&講(だい+こう) 00112470L5/伊勢(いせ)の/古市(ふるいち)の/杉(すぎ)もとやがよいといふ/評判(ひやうばん)をきゝて、/田舎(いなか)も 00112480L6の遊びにきたり、/酒(さけ)のミてゐるうち、/菊(きく)の/間(ま)(十一ウ)とい 00112490L7ふ大ざしきにて、客大ぜい、おもしろそふにさハぐを、/田= 00112500L8舎(い=なか)ものうらやましく、仲ゐの女をよびて、Sナント、おく 00112510L9の客ハ大ぜいと見へるが、あのくらひさハぐにハ、たんと 00112520L10かねのいることであろうといへバ、仲ゐSあのお客がたハ 00112530L11/太&講(だい+こう)の/衆(しゆ)でござりますといふ。いなかものSはなしにき 00112540L12いた太&こうを(十二オ)うてバ、あのやうにさハがれるも 00112550L13のか。そんならわしも、だい※こうをうちたいが、うた 00112560L14ふといへハ、じきにうたれるものかへ△仲ゐSハイ。おか 00112570L15ねさへお出しなさると、じきにできます。いなかSそれハ 00112580L16何よりやすい事だと、ふところより/銭(ぜに)二百文とり出して、 00112590L17Sナント、これでわしもだい+こうがうちたいから、た 00112600L18(十二ウ)のミますといふと、仲ゐ、きもをつぶし、Sなん 00112610L19のまあ、だい※こうといふハ、すくなふても三拾両、五 00112620L20十両からでなけれバ、うたれませぬといふと、いなかSそん 00112630M1なら、だい※こうができずハ、これで/蜜柑講(ミかんこう)でもたのみ 00112640M2ます 00112650¥N12¥J 00112660¥X/道成寺(だうじやうじ)(十三オ) 00112670M5Sきのふ、/回向院(ゑかういん)の/道成寺(だうじやうじ)のかいてうへまいつたが、/両国(りやうごく) 00112680M6の/商人仲間(あきんどなかま)からでもあげたのか、/奉納(ほうのう)に/牛房(こぼう)やにんじんが 00112690M7たんとあつたハ、どふしたものだろう△Sヲヽ、それハに 00112700M8んじん、ごぼうをあげるはづだ。アノ/清姫(きよひめ)のかけ地の/絵(ゑ)に、 00112710M9わたしばへかけだしてゆく時、何といつたろうとおもふ。 00112720M10けんちん(十三ウ)さまイのふといつたからさ 00112730¥N13¥J 00112740¥X/雪陣(せつちん(ママ)) 00112750M13/旅(たび)人、ある/宿(やど)へとまりたる所、ものあたりして/腹(はら)をくだし、 00112760M14/雪陳(せつちん)を/尋(たづぬ)るに、しれず。客Sコレ+女中。せつちんハど 00112770M15こにある△女Sわたくし所にせつちんハござりませぬ△客 00112780M16Sナニ、せつちんのないうちがあるものか。(十四オ)そふ 00112790M17してこゝの人ハ、どこへたれる△女S/当宿(とうしゆく)ハ/氏神(うぢがミ)さまがこ 00112800M18との外、不/浄(じやう)をおきらひなさるゆへ、/宿(しゆく)のうちに、せつち 00112810M19んといふハござりませぬ。これから一里半ばかりもお出な 00112820M20さると、むかふの山のふもとに、ミな/当宿(とうしゆく)のせつちんがた 00112830¥P345 00112840L1てゝござりますから、それへまいつてたれるのでござりま 00112850L2す(十四ウ)△Sそれハ不/自由(じゆう)なことだ、/常(つね)ハそれでもよか 00112860L3ろうが、/腹(はら)でもくだるときハどふする△女Sそんなときハ 00112870L4/駕(かご)をたのんでおいて、はやかごでいつたりきたりいたしま 00112880L5す△客Sそのかごにのるまも、またれぬときハどふする△ 00112890L6女Sハテ、ねどいするおかた。そんなときハ両あしをねぢ 00112900L7て、しつかりとしばつておきます(十五オ) 00112910¥N14¥J 00112920¥X子僧 00112930L10ある/酒屋(さかや)の子そう、わるい/病(やま□)にて、/毎晩(まいばん)人のねしづまりた 00112940L11る/時分(じぶん)はひおきて、あんどうのともし/油(あぶら)をねづるゆへ、あ 00112950L12る夜、/番頭(ばんとう)ねたふりして/伺(うかゞ)ひゐたるに、/案(あん)のごとく、かの 00112960L13子ぞう、ねどころよりそつとおきて、だい所のあんどうへ 00112970L14かゝり、あぶらざらを手にもちて、(十五ウ)チウ+とす 00112980L15つてしまふ。ばんとう、とびぐちをもつて、そろ+うし 00112990L16ろへ立まハり、おのれハと、/鳶口(とびぐち)をふりあげると、小ぞう 00113000L17ふりかへつて、くわつとにらミたる、その/顔色(がんしよく)のおそろし 00113010L18さ。ばんとう、はつとおそれ、とびぐちをすてゝ、へいふ 00113020L19くすれバ、子ぞう、あぶらさしをばんとうのまへゝぐつと 00113030L20さしつけ、こぞうSコレ+、ばんとう(十六オ)ばんとう 00113040M1Sハイ+、御用でござりますか△こぞうS今のハのんで 00113050M2しまつた。もふ/一合(いちごう)下さい 00113060¥N15¥J 00113070¥X/竹(たけ)の/子(こ) 00113080M5/片田舎(かたいなか)に、/平生(へいぜい)中のわるいとなりどしありけるが、なにが 00113090M6な、たがひに/意地(ゐぢ)をわるくして、またしても/兎角(とかく)いぢり/合(あひ) 00113100M7けるが、あるときこちらの/畑(はたけ)へ(十六ウ) 00113110¥K 00113120M9△以下『落咄口取肴』の第八丁「竹の子」の本文始め(第十 00113130M10五巻九五ページ)から第十八丁「貧乏神」までの板木を使用。 00113140M11「竹の子」(本文)○徳利○熊の皮○無筆○早呑込○白籏○ 00113150M12棚の字○間違○大工○爺なし子○貧乏神